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1976-10-26 第78回国会 参議院 社会労働委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月二十六日(火曜日)    午前十時九分開会     —————————————    委員異動  十月二十二日     辞任         補欠選任     目黒朝次郎君     粕谷 照美君      宮之原貞光君     川村 清一君  十月二十五日     辞任         補欠選任      川村 清一君     松永 忠二君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         戸田 菊雄君     理 事                 玉置 和郎君                 森下  泰君                 浜本 万三君                 小平 芳平君     委 員                 小川 半次君                 佐々木 満君                 高田 浩運君                 徳永 正利君                 橋本 繁蔵君                 粕谷 照美君                 田中寿美子君                 松永 忠二君                 柏原 ヤス君                 沓脱タケ子君                 柄谷 道一君    国務大臣        厚 生 大 臣  早川  崇君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)       西村 尚治君    政府委員        厚生省公衆衛生        局長       佐分利輝彦君        厚生省環境衛生        局長       松浦十四郎君        厚生省医務局長  石丸 隆治君        厚生省社会局長  曾根田郁夫君        厚生省児童家庭        局長       石野 清治君        厚生省保険局長  八木 哲夫君        厚生省援護局長  出原 孝夫君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  杉浦 喬也君        建設省道路局長  浅井新一郎君        建設省住宅局参        事官       救仁郷 斉君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        警察庁刑事局保        安部防犯課長   長岡  茂君        法務省刑事局青        少年課長     村上 尚文君        大蔵省主計局主        計官       保田  博君        国税庁直税部所        得税課長     田口 和巳君        文部省大学局医        学教育課長    齋藤 諦淳君        文部省体育局学        校保健課長    遠藤  丞君        郵政省人事局保        健課長      宮垣 明次君        労働省労働基準        局監督課長    倉橋 義定君        建設大臣官房官        庁営繕部長    大屋登美男君        消防庁予防救急        課長       持永 堯民君        日本国有鉄道職        員局保健課長   石井  敬君        日本国有鉄道旅        客局開発企画課        長        落合  瑛君        日本電信電話公        社厚生局次長   岩淵 文雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○社会保障制度等に関する調査  (身体障害者対策に関する件)  (個室付浴場業に関する件)  (救急医療に関する件)  (特発性側わん症に関する件)  (産婦人科医診療報酬等に関する件)  (ベーチェット病に関する件)  (原子爆弾被爆者援護に関する件)     —————————————
  2. 戸田菊雄

    委員長戸田菊雄君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る二十二日、目黒朝次郎君及び宮之原貞光君が委員辞任され、その補欠として粕谷照美君及び川村清一君がそれぞれ選任されました。  また、昨二十五日、川村清一君が委員辞任され、その補欠として松永忠二君が選任されました。     —————————————
  3. 戸田菊雄

    委員長戸田菊雄君) 社会保障制度等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 松永忠二

    松永忠二君 総理府長官が十時半ごろまでというお話ですから、少しその関係を先にお聞きをいたすようにいたします。  まず先に、ここに「福祉町づくり」の冊子をお上げしてありますけれども条例とかその指導基準をつくって、福祉町づくり、つまり身障者や老人や妊婦などのハンディキャップを持つ人たち利用しやすい町づくりを進めているその市、都道府県にどんなものがあるのか、そこにも書いてありますが、町田市が四十九年八月に建築物等に関する福祉環境整備要綱というものをつくって、千五百平方メートル以上の劇場映画館、銀行、公会堂など、公共建築物を建てるときには事前に市と協議をして一つ基準を守ってもらうようにしている。  東京都が四十九年に身障者のための都立施設建築指針というのをつくりまして、不特定多数の都民が利用する都立施設について、やはりそういう一つ規制基準をつくってやっているわけです。  最近つくりましたもので、一番非常に完備したと思われる京都市のものを、その最後のところに全文を挙げてありますけども、京都市が五十一年の四月から福祉町づくりのための建築物環境整備要綱をつくって、そうして五百平方メートル以上の百貨店とかマーケットとか小売り店舗についての規制、そのほか劇場公会堂いろんなものについての新築、改築、修理という場合には、事前にあらかじめ計画について市長と協議をしていくというような方向をつくったようであります。  ここに出ておりませんけれども、神奈川県が身障者のための生活環境整備基準を五十二年度から実施をしていく。従来公共施設のものだけであったけれども民間施設協力を呼びかけて身障者向け施設をつくろうと申し出があれば、具体的に設計の仕方などについて技術援助をするというようなことはやられているようであります。  まず、厚生省の方に、私が挙げたこれらの例以外に条例なり基準をつくっているものがあるのか。大体そういうところがいま基準なり条例をつくって福祉町づくり推進しているのかどうか、この点をまず簡単にお答えを願いたい。
  5. 曾根田郁夫

    政府委員曾根田郁夫君) 大体先生がいまお述べになりました地方公共団体でございますが、そのほか私ども承知しておりますのは静岡県で、これも実施要領でございますが、制定しておるというふうに承知しております。
  6. 松永忠二

    松永忠二君 そこで、総理府長官並びに厚生大臣にもちょっとお聞きをしたいわけでありますが、ここの私が差し上げました資料の九ページに、中央心身障害者対策協議会が当時の総理大臣報告したもの、これ年月日書いてありませんが、四十七年の十二月十二日であります。これは例の心身障害者対策基本法ができまして、それに基づいて中央心身障害者対策協議会ができた。そこで、その発足後この中央心身障害者対策協議会が出した報告であります。ちょっと九ページを見ていただきますと、そこにありますように、「心身障害者社会復帰対策雇用対策について」、それから「心身障害児保護育成対策教育対策について」、第三に「心身障害者社会活動促進公共施設等との関連について」というこの三つのチームをつくって、そうしてこれを報告したわけです。御承知のとおり、一番の「心身障害者社会復帰対策雇用対策について」というのは、身体障害者雇用促進法という法律ができまして、またこれが改正になってこの十月から改正案実施をされるようになりました。  第二の「心身障害児保護育成対策教育対策について」は、御承知のように、五十四年から養護学校義務設置を行うことになって、法的にも対策樹立をされてきたわけでありますけれども、第三の「心身障害者社会活動促進公共施設等との関連について」というのは、ほとんどこれらしい対策が十分にとられていないわけであります。  この報告書は、その十ページにもありますように、なかなかりっぱにできているわけであります。十ページから十一ページに、たとえば「公共建築物についての改善事項」、「公共交通機関についての改善事項」、それから「道路についての改善事項」、それから「駐車場についての改善事項」、「障害者用住宅についての改善事項」、「文化的諸条件の整備」、それから「情報の提供」というふうに分かれているわけであります。私は、この報告書がある程度実施をされ、整備をされていれば、福祉町づくりなどということを、この際、それほど私が質問したり、あれすることはないわけでありますが、この報告を読んでみると、この報告をそのままいま持ち出してきてもまだ通用するに足りると考えるほど、私はこの対策は非常に十分推進されていないという感じがするのであります。で、この報告には「一層の努力を傾注されるよう強く要望するものである。」と言っているのに、それに応じたものになっていないという現状だと思うわけでありますが、この現状認識について、総理府長官の御判断や、続いて厚生大臣の御判断をひとつお聞きをしたいと思うのであります。
  7. 西村尚治

    国務大臣西村尚治君) この協議会から出されました報告、私も特にこの第三項よく拝見しましたけれども、今後の対策の総合的基本的な方針を示しておるものとしてなかなかりっぱなものだと思っております。  それで、これがどのように実績として上げられておるか、いろいろ聞いてみましたけれども各省、それぞれ努力はされておる跡はうかがえます。うかがえますけれども、何しろそれぞれ相当膨大な財政的措置を伴う関係もあるからでございましょう、どうも思うような成果が十分上がってはいない、まだまだこれは残念ながら各省の対応する措置が不十分だと、そういうことを率直に認めざるを得ないと思うわけでございます。  現状認識はどうかということですから、第一回はその程度にとどめておきます。
  8. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 協議会の第三の問題につきましては、厚生省としては、今日まで身体障害者福祉モデル都市設置五十三カ所、福祉テレホン設置事業の新設、これは相当数に上っております。それから、身体障害者福祉センター設置が五カ所、その他身体障害者スポーツ振興、あるいは身体障害者地域活動促進に努めてまいりましたが、なお、たとえば交通機関あるいは公共施設、その他の身障者に対する配慮という面においては、これからこの答申に沿いましてまだまだやらなけりゃならない点が多々ございます。同時に、またこの線に沿いまして、厚生年金国民年金等でいろいろな福祉施設ができておりますが、その場合に、身障者に対しまして車いす、その他の利用等につきましては相当な配慮が最近施設の内部で行われておるように聞いておりますが、いずれにいたしましても、今後、なお先生の御指摘、に沿いまして一層努力する面が多々残されていると、こういう認識でございます。
  9. 松永忠二

    松永忠二君 そこで、それでは現状はどうなっているかということを御質問する順序でありますが、さっき話しましたように、総理府長官が時間がありますので、後から厚生大臣がいま言われたようなことが現実にどう実行されているかという問題はその次に置いて、それじゃ諸外国ではどういうふうになっているかという問題について、そこに私も書いてありますが、諸外国実情については五ページから、アメリカ西ドイツフランスイギリス、それからその他の国のこと、それからまた国際会議とか、国連あたりでどういう勧告がなされているかということをそこに出しておきました。特にアメリカでは「建築物および設備身体障害者にも近づきやすく使用できるものにするアメリカ基準仕様書」というものをつくりまして、この連合政府がつくったものを、各州で法律規制をするということで、十九の州が全面的にあるいは部分的に仕様書を受け入れて立法措置をとったわけです。やってないものはあと十二にすぎません。西ドイツは「建築上および技術上の障害除去における重点対策のカタログ」というのを公表して、まことに簡潔ではありますけれども。これを法律上の規制を持つものとして実行されているわけであります。フランスは「心身障害者基本法」という法律の中に、「心身障害者社会生活を助成するための措置」というのがあって、「その「第四十九条」には、住宅地および公共施設とくに小中学校大学訓練施設等心身障害者の接近が可能なように設計および改築措置がとられなければならない。」というようなことで、この基本法の中にこういうことが規定をされておるわけであります。  それから、イギリスが最も徹底しているのでありまして、一九四八年に「国民扶助法」を制定したけれども、どうもこれでは不十分だというので、一九七〇年に「慢性疾患及び障害者法」という法律が制定されたわけであります。私はその法律全文を翻訳をしてもらって言うのでありますが、たとえば「公共施設」の第四条にはこういうことがあります。「公衆が出入りする建築物又は施設設置しようとするものは、その有料・無料にかかわらず、その建築物又は施設の内外の出入りの方法に関して、また、利用に供する駐車設備及び便所に関し、そこを訪れる障害者のニーズのために、事情の許す限り実用的かつ合理的に、措置を講ずるものとする。」と、こういうことが出ているわけであります。そうしてまた、第二十条には「公道における障害者用乗物使用」として、つまり障害者の使う乗り物については、「歩道の使用禁止又は制限している制定法によるいかなる規定も、右の乗物についてはその使用禁止又は制限しないものとする。」といって規制を外してある。それから「その乗物が自動的に進行する場合でも、道路交通法道路交通規制法及び道路安全法第一章にいう自動車として扱わない。」「その乗物が、自動的に進行するか否かにかかわらず、道路輸送照明法規定する要件を免除される。」こういうふうな具体的なものが出ているだけではなくて、大臣障害者に関する調査及び事業の発展について、年次報告書を議会に提出する義務を負うことになっているわけだ。そうしてまた、その次に何らかの基準を設けている国はそこに出ているように非常に多いわけであります。  こういうふうなことを考え合わせてみたときに、一体日本はどうなっているかということでありますが、大体私が申しました諸外国身障者のための環境整備努力は、私の申しましたことに違いがあるのかどうなのか、大体そのとおりであるのか、厚生省のひとつまず御答弁を願います。
  10. 曾根田郁夫

    政府委員曾根田郁夫君) お尋ねの諸外国の例でございますが、実は私ども不勉強でございまして、私どもの方が直接資料を収集しておりませんが、民間団体等調査の結果によりますと、およそ先生が挙げられましたような国が一応の何らかの規制基準を持っておるようでございます。
  11. 松永忠二

    松永忠二君 民間団体調査ではありませんよ。私自身国会図書館を通じ、また各調査室を通じて政府資料を取り寄せたわけであります。大体こういうことを担当の厚生省自身が明確に資料を持ち合わせて提示できないというところに問題があるのであって、こういうようなものについては的確に諸外国調査をして、それでそれと日本調査といかに実情と違うかというところにこの政策の起点を持っていくべきだと思う。かわったばっかりの社会局長にそのことを言っても無理だけれども、直ちにそういう努力をすべきだと私は思います。  そこで、一体日本法律には何と書いてあるかということであります。心身障害者対策基本法の第二十二条にこういうことが出ています。「国及び地方公共団体は、心身障害者による交通施設その他の公共的施設利用の便宜を図るため、施設構造設備整備等について適切な配慮がなされるよう必要な施策を講じなければならない。」というようなことが出ているわけです。そうして、この総理府に設けられている中央心身障害者対策協議会はどういうことをやれと書いてあるかというと、「心身障害者に関する基本的かつ総合的な施策樹立について必要な事項調査審議する」「施策推進について必要な関係行政機関相互連絡調整を要するものに関する基本的事項調査審議する」ということになっているわけです。そうして、「内閣総理大臣又は関係大臣に意見を述べることができる。」ということができているわけです。  そこで、私は先ほど申しましたように、昭和四十七年の十二月に出した報告、しかも一項二項には立法措置がとられてそれなりの充実が進められているわけです。私は全然やっていないとは言いませんよ。言いませんけれども、その施策はばらばらであって、何らの法的な整備をなされないままに実行されているこの問題について、現状がこうであるということを考えてみると、諸外国実情から比べて見ても、御承知のとおり諸外国へ出かけた身障者人たちが何と言って一体日本に帰って来ているかという事実を考え合わせて見ても、この際せめて四十七年に報告された事項を、この際ひとつ施策に移すことが必要だ、そうして心身障害者対策基本法の第二十二条の必要な施策として実行していくことをせなきゃならぬと思うのであります。私は早急に関係行政機関協議をして、心身障害者社会活動促進のための公共施設民間施設等との関係について内容基準化を図る、そうして法制化へ進んでいくというような協議努力推進してほしいということを、私は強く考えているわけでありますが、一回総理府長官はこの努力をぜひやってほしいと思うけれども、どういうふうに考えられるのか。続いて厚生大臣のこれの推進についてどういうふうなお考えを持ってこの要望にこたえられるものであるのかどうか、お聞かせをいただきたい。
  12. 西村尚治

    国務大臣西村尚治君) 身障者方々が自立更生して一般の方々と同じような社会生活を送る、そのためには生活環境改善、これが大事なことは申し上げるまでもないことであります。そういう意味におきまして、先生のいまのお話まことによくわかるわけでございます。まあ私ども政府としましては、せっかくこの中央協議会から四十七年、先ほど御指摘のありましたああいった報告がなされております。非常に今後の方向づけとして私はずいぶんこれは参考にすべきりっぱなものだと思うわけでありますが、ただそれだけのものが今日に至るまで十分なまだ実績として出されていない、これはいろんな制約があるからだと思いまするけれども、それと、もう一つ聞いてみますと、この協議会、非常にそうそうたるメンバー、顔ぶれで学識経験者、りっぱな方々が集まっていらっしゃるわけですけれども、これが最近はどうも余り開かれていないというようなこともわかりました、年に一回くらいだと。これでは全く宝の持ちぐされだとも思いまするので、そういった点をひとつ反省しまして、報告されましたこの内容ができるだけ早く具体化されますように、この協議会中心として関係各省協力を得まして、所期成果が上げられるようにまず努力をしていくことが第一だと。そして、その上でここに基本法の二十二条の二項に一応法文はあるわけですから、根拠はあるわけですから、まあこれでやっていきまして、それでどうしてもやっぱりさらに細かい法制化が必要だということになりますれば、またその段階で関係各省と相談をいたしまして、そういったこともひとつ考えていきたい、かように思う次第でございます。
  13. 松永忠二

    松永忠二君 厚生大臣ちょっと後から聞きますから。もう退席時間が来ておりますので。  私は何もそれぞれの各省がやることを、このとおり実行してもらえばいいんだというならば、私は何も総理府長官ここへ呼んできてお話はしないわけであります。これは各省ばらばらでやっていて一貫性がないというところに問題があるわけであります。だから、この調整機関としての総理府役割りを果たしてもらわないといけない。また、この総理府中央心身障害者対策協議会の庶務は、厚生省社会局更生課で担当することになっているわけです。総理府の役人などを呼んでみますと、私のところは会議を主宰するだけであって、そんな内容のことは私たちがタッチすることではありませんなどということを言っている者がある。そうなってくると、また厚生省にも後ほど私は具体的なものからそういうことに努力の必要さを言うわけでありますが、どうしてもやっぱり調整してもらわなきゃだめです。関係行政機関のこのいわゆる対策協議会を招集して十分に調整協議をし、一体この対策協議会には専門委員会を置くことができるというふうに出ている。お話のようにこのための専門委員会をつくってやっていたっていいわけです。どうしても総理府というところが積極的に出てきて関係各省集めてこのいま言ったような問題を統一して推進をする。そうして四十七年の当時はこの程度であったけれども、いまや諸外国が何らかの法規制をしながらその実施をしている事実、たとえばフランスのごときもイギリスのものでも基本法の中に公衆便所と、こういうことまでちゃんと書いてあるわけです。日本のようにこんな漠然たるようなことを基本法に書いてあるわけじゃないわけです。だからそういう点も考えて、特に総理府長官にその調整機能総理府として果たしていただくように特に要望すると一緒に、地方には地方心身障害者対策協議会があるわけであります。そこで、こういうところはまた国がやらないから私たちは知りませんというんじゃなくて、先進の市町村や県がやっておるように、先駆けてみずからとにかく条例をつくり要綱をこしらえて指導しているわけだから、こういうことについて地方心身障害者対策協議会が積極的にその役割りを果たすように指導もしてもらわなきゃできない。この点について再度ひとつ総理府長官のお考え方をお聞きをして、長官への質問はそれで終わります。
  14. 西村尚治

    国務大臣西村尚治君) 私の申し上げたのは、別に各省それぞれの所管に従ってやってもらえばいいというような趣旨では毛頭ございませんで、その点少し舌足らずだったかもしれませんけれども、この協議会が置かれているのは総理府に置かれておるわけでありまするし、そして御趣旨よくそれは理解いたしますので、総理府がもちろん中心になってといいますか、まあ総合調整機能を発揮して厚生省その他とよく相談しながら、協議会を何といいますか大事な場として、これで成果を上げていきたい、所期成果を上げていきたい、そういうことで努力をいたしまして、そうしていま御指摘法制化の問題、諸外国にもいろいろ結構な先例があるようですから、そういうことも勉強しながら必要とあれば細かく法制化していくということも考えなきゃなるまい、かように思っておる次第でございますので、よろしくひとつお願いいたします。
  15. 松永忠二

    松永忠二君 どうも都合つけていただいてありがとうございました。  それでは厚生省お尋ねをいたします。私は何を一体各省がやったのかという問題であります。そこで、まず厚生省にお聞きをしますことは、福祉モデル都市というのを厚生省がやられた。昭和四十八年の七月に厚生省社会局長通知通知を出すと一緒に、身体障害者福祉モデル都市設置要綱というものをこしらえた。原則として二十万以上の都市について生活環境施設整備事業をやって、道路交通安全施設整備——大臣、ひとつお聞きください、大臣細かいことはいいんですよ。公共施設構造設備の改造とか、公共施設公園等車いすの配備、移動浴槽車、リフトつきバス、電話相談網等の整備身体障害者公衆便所整備身体障害者福祉についての普及啓蒙という項目を挙げまして、「市役所、駅、公的病院、市民会館及び公園等市内の中枢的機能を有する公的機関への利用が容易ならしめるよう特に配慮すること。」ということで、具体的には国はどのくらい金を出したのかというと大体一市一千万円、それで県が一千万円、そして市町村が大体一千万円以上ということで考えて、四十八年に六市、四十九年に十七、五十年に三十、全部で五十三の市に五億三千万円の金を出したわけだ。   〔委員長退席、理事浜本万三君着席〕  仙台市のごときは、福祉町づくり緊急五カ年計画というものを四十八年から五十二年につくっている。この要綱の中にはこういうことを言っています。国と自治体との分担領域を明確にして、基盤となるもの——年金、医療対策とか住宅建設は国でやってもらう、それ以外のもので地域に応じたきめ細かいサービス的福祉政策を自治体の住民のニードを直接受けて自治体で責任を持ってやる、まことに区分けを明確にする中で、市の住民要求にこたえる最小限度必要とするものと思われる施策と考えて、その四十八年から五十二年の五カ年計画を立てて、四十八年度に五千九百二十二万円出した。その中で一般財源を四千九百万、国と県の補助を千二十一万出した。大臣、ここのもう一つの点でありますが、それは自分で計画立てて始めたんでありますが、四十八年にこの二千万円の金が来たので、そこで九月に補正を組んで、その二千万円に加える一般財源の三千四百万を合わせて九月補正に五千四百万にした。したがって、四十八年度に一億一千三百二十二万円を計上して仙台のいわゆるこれをやったわけであります。したがって、仙台市は駅からおりて中枢の場所については、幹線についてはとにかく車いすで通ってちっとも支障がない。私は車いすが通ることを言っているだけじゃない。車いすが通れる道はいわゆる盲人にしても身障者にしても、老人にしても妊婦にしても通りやすいという、住みやすい町をつくるということになるわけです。  同じく下関市はどういうことをやったかというと、県費を二千万円くれたので、補助があったので、総額八千三百四十七万円というものを予定して、四十八年に四千四十二万円使った。つまり、二千万円出したものに対して二千万円市が追加をしてやったわけだ。  ところが、われわれもこういう福祉モデル都市ができたから、今度は静岡でやったからこの次は浜松、この次は沼津、私の町でもというふうに期待をしていたのに、五十年度でこの予算を打ち切ったのであります。一体なぜこの予算を打ち切ったのか。四十八年に五十年までの三カ年当初目標であって、各県一市の指定をおおむね終了したというような言い方をして、この予算を大蔵は打ち切ってしまったわけです。その打ち切られたときに厚生省が何と言ったかというと、今度はひとつ局部的な市役所とか公会堂中心とした狭い地域の環境設備予算をつけてくれと言ったけれども、これまた完全に通らない。一体何でこういうような効果を上げている予算を打ち切ったのか、何で一体これを局部的にもやろうとしたのにこれを打ち切られてしまわれたのか、この点について私は厚生大臣のお考えを聞くと一緒に、まず、なぜ一体打ち切ったのか、大蔵の主計官ここに来ておるわけでありますが、その理由を明らかにしてもらうことが一つ。  それから、何でまた厚生省自身が要望したのにかかわらず、局地的にもそれを認めないような状況になってしまったのか。また、厚生省はこういうものについてどういう考え方を持っているのか。この二点をひとつ大蔵並びに厚生省関係者から、大臣にお答え願いたい。まず大蔵。
  16. 保田博

    説明員(保田博君) お答えをいたします。  身体障害者福祉モデル都市設備建設事業、これが四十八年度に予算化されましたときに、私担当の主査をしておりました関係もありまして、この経費を設けます目的等についてはいささかなりとも承知をいたしておるつもりでございますけれども、当初から国費一千万円ということで使途を必ずしも特定しない補助金を設けるということについては、税の使い方として果たしていかがであろうかというような問題もあったわけでございます。でありますけれども松永先生先ほどから御指摘のような事情もございまして、われわれとしては、ではとりあえず人口二十万以上の主要都市においてモデル事業として実験的にやってごらんなさいということで、厚生省当局との間で了解が立って予算化されたものでございます。松永先生指摘のように、三カ年でこの予算は打ち切られましたけれども、各主要都市においてモデル事業としての役割りというものは十分果たし終えたものというふうに理解をして、予算化が五十年度をもって終わった、こういう事情でございます。
  17. 松永忠二

    松永忠二君 厚生省ちょっといいです。  あなたがおっしゃるように、モデル都市としての役割りを果たしたというなら、いよいよこれから本格的にモデル都市のやったことがいいから、ほかの方でやろうということになるじゃないですか。モデル都市をやったというのはそういうことでしょう。同和地区だってモデル地区をつくって、そのモデル地区と同じようなものを各地方でやろうとしてモデル地区のあれを推進しているんじゃないか。モデル都市で効果が上がったなら、いいですか、二千万円出したものを追加して四千万円にし八千万円にして、貧しい市でがんばっているわけですよ。仙台市のごときはたった二千万円の金をもとにしながら、一億一千万円の金を四十八年に使っているわけですよ。それで、私の静岡市でもそれを実行して、静岡市だけはそれをやったわけだ。そのモデル都市がいかに効果を上げているかということを見て、今度はそれを一般化した施策にしていくというのが政策の行き方じゃありませんか。そういう主張を厚生省がするだけに十分な環境になかったために、せめて市役所の周辺だけでもやってもらえぬだろうか、駅の周辺だけでも予算をつけてくれぬかとがんばったのに、いや約束は三年間ですと、こういうことで打ち切られてしまったわけです。私は何もあなたを、そういうことをどうこういって言うわけじゃない。だから、主計局の局長なり次長が来なければ、主計官に言ってみたってどうにもならぬことだけれども、あなた自身がモデル都市の約束であったからやめたと言うなら、そんな考え方でやってもらっちゃ困るわけです。  そこで大臣、じゃ、いま現状はどうなっておるかということです。これだけとにかくいわゆる福祉町づくりをしたいと、こう言っているのに、それじゃいまの予算はどうなっているかと言うと、もう打ち切られてしまったものだから、五十一年度からどうしたかと言うと、在宅障害者福祉対策というものの中で地域活動促進費というのがあるわけであって、この地域活動促進費が一県当たり三百五十万——三百五十万と言ったって国か補助するのは二百三十万ですよ。それでその予算を十二に分けるんですよ。メニュー予算と言って十二の項目を挙げて、その中のどこへ力を入れるかと言えば、地方でやってもらうということで、一体福祉町づくりはどの項目に当たっているかと言うと、身体障害者地域活動事業というのに当たっているわけです。これに一体どうした、たとえば、静岡県が五十一年度に四百六十万の事業をどうしたかというと、身体障害者地域活動事業というのに五十万ですよ、県で。何て書いてある。この中には、実施事項の中に「身体障害者のための環境づくりの促進」ということが書いてある。何で一体五十万の金でそんなことができますか。十二の項目、それをメニューと言うので、下の三つは切っちゃったけれども、そう言ったって九つは残っているじゃありませんか。その中には盲人の人たち対策もあれば、聾唖の人の手話のことをやる人もつくらなければいけない。一体五十万の金を何に使うかと聞いてみたらば、県内の福祉身障者にこの設備は使えますというパンフレットをこしらえてそれを配るんだと。いまやさっき申しましたような、いわゆる環境整備の仕事はできないんじゃないですか、予算が何もなくて。  そこで、今度は四百六十万を七百万円に再度要求をいましているわけであります。私は七百万は結構だ、その七百万になったら今度はまた一つ事業をふやして十三にして、七百万と言ったって半分しか国は補助しないのですよ。そうして十三の項目を挙げてこれにやれと、そんなことをして一体身体障害者環境整備事業が進むと思うんですか。私はぜひひとつ地域活動促進費を予算要求を完全に実施すると一緒に、厚生大臣、あなたは厚生省関係の仕事については相当深い造詣を持っておられるわけです。相当また、あなた自身の発言というものはそれなりに動かすだけの力を持っている、従来の事例から見てそういうふうに考えている。本気になって早川さんがこれじゃだめだと、せっかく効果を上げた三年間のモデル都市事業は続けてどうしてもやらせなければできないというふうにお考えになるなら、あなた自身の御努力によってもできるし、また、いま言った、いわゆる協議会などに議を諮るようなこともできるし、私は厚生大臣がその気になってやろうと思えば、いわゆるモデル都市事業をやっぱり推進していくということはできる、また、やってもらわにゃできない。そうしてまた地域活動促進費もひとつかさ上げをする努力をしてもらいたいと思うが、まずひとつ厚生大臣の決意をお聞きをしたい。
  18. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 私も身近に身障者をよく存じ上げている人が多いものですから、従来とも身障者、特に重症身障者のためには、九年前に労働大臣をやっておりましたときに身障者の雇用率の設定、雇用促進のいろんな事業をやらしていただきました。また、厚生省も決して身障者にやっていないわけではないのでありまして、最も直接的なことに非常にいままでエネルギーを注いできたわけです。たとえば身障者センターの設置とか、全国に四百六十六カ所の身障者の更生援護施設がすでに設置されまして活動をいたしておるわけでございます。そこで、先生の御指摘は、さらにそういう人たちの社会活動、日常生活、公共施設利用という点にもう一味ひとつ加える段階にきているのではないかと、きめの細かい配慮という点でございますが、私も全く御趣旨同感でございます。そこで、モデル都市に三カ年かかりましてやってまいった、地方自治体の条例でもいろいろつくっていただいておる、これは私は自治体の仕事としてスタートしたということは非常にいいことだと思うんです。日本の民主主義にとりまして。それを追っかけてひとつ国で補助金をつけていくという姿が一番望ましいので、それがいまお聞きしますと、モデル都市の助成費が削られたと初めて私も聞きましたので、むしろ更生事業費の中に予算としてほうり込んだということでございます。それがまた非常に金額が少ないという御指摘でございますので、今後こういうもののどうせ促進費だと思うんですね。道路でそういういろんなことをやるには予算が小さいものではだめで、それはむしろ建設省とか運輸省の道路交通安全施設整備という項目に入るわけです。あるいはまた、公園の中に車いすの配備と、これはまた建設省の公園課で配慮すべきものだと思うんですね。だから、先生の御指摘はそういうものを誘導していく費用という意味が、やはり厚生省の予算でもう少し必要だという意味だと思います。まことに同感でございますので、今後五十二年度予算等をにらみまして努力をいたしたいと、かように申し上げます。
  19. 松永忠二

    松永忠二君 私は、何も建設省とかそういうものはそれぞれ努力しなきゃいかぬが、厚生省が具体的にいま言っておる環境整備はこれだけしかないんですよ。ほかに施設や何かならありますよ、おっしゃるとおり、年金もね。しかし、厚生省が答申の第三項に当たるものとした施策としてはこれだけしかないんですよ、厚生省は。それをいま結局地域活動促進費の中の身体障害者地域活動事業でやっているんですよ。ほかにあるなら何も厚生省にも私は鞭撻するというか、厚生省盛んにやっていますと。厚生省でやっているのはそれだけしかないんですよ、施設や年金は別として。それだから厚生省が、中心になる厚生省としての努力が足りないじゃないか。だから、ぜひひとつ考えてもらいたいと言っているのであります。  そこで運輸省にお聞きをいたします。運輸省並びに国鉄から御答弁を願いたいわけでありますが、国鉄は身体障害者鉄道輸送対策懇談会というのを運輸省こしらえております。これは国鉄、私鉄あるいは旅客船、航空というものについて施設改善と運賃料金の割り引き、それから盲導犬の同伴、車いすの持ち込みなんという施策を実行しているのですよ。だから私は全然やってないとは言いませんよ。しかし、これまた全く一体いつになったらそれができるかというくらいなもんであります。たとえば国鉄は身障者施設整備のために盲人対策をやった駅が五十年で二百五十八であります。一体、国鉄の駅は五千百九十四あるんですよ、それも二百五十八。それから、車いす利用対策をやっているのは八十二しかないんですよ、駅に。それから、新幹線の博多開業用車両に車いす関係設備設置したのは八十四両。新幹線の車両は二千二百四十車両ある。たったこれだけしかない。それから、その他シルバーシートなどをやっているけれども、シルバーシートは四百九十二両。国鉄の電車の車両は一万四千二百六十二ある。だから、現実にたとえば私の静岡県で何を国鉄がやっているかと言えば、盲人対策として誘導ブロックをつくったのは静岡、点字運賃表及び時刻表をこしらえたのは沼津と静岡、駅内案内板をつくったのは静岡だけ、車いす対策をやっているのはゼロ。浜松という駅も私たちのところにはある。観光の入り口になる熱海も三島もあるけど、何にも一つもやっちゃいない。そういうことになっているので、私は何にもやってないなどということを極言はしないけれども、一体運輸省、国鉄はどういう計画があって、年次にどういう計画を立てて予算要求をしているのか。まずひとつどういう計画を持っているのか、それは年次によってどういう予算を要求していくような方向をとっているのか、その計画事業を盛った計画と、それの年次計画とをこれひとつ知らしてください。  そして、時間も少しありませんのであわせてお聞きをいたしますが、しかもそのやり方が一貫性が何にもないわけです。だから、たとえば私の修善寺町に身障者保養所の北狩野荘というのをつくった。そこで、伊豆箱根鉄道で大仁駅に車いすのスロープをこしらえたところが、一年半たってそれを使ったのは三回で十人しかないんですよ。そのわけでしょう、国鉄の各列車には何にも設備はない。三島に行ったって、三島の駅だって階段ばかりだ。乗りかえようと思ったって、駿豆線へ乗りかえるには階段ばかりじゃないか。大仁駅にスロープをつくってみたって何で一体利用できるかという話になるわけで、何にも一貫性がない。予算が余ればくっつけるという程度のことじゃないですか。したがって、さっき言ったとおりに、また同時に身障者人たちが一番利用したいのは新幹線ですよ。新幹線はいま「ひかり」を停車するところにはエレベーターがあるけれども、ほかの「こだま」の駅にはエレベーターがないわけです。静岡の人たちも浜松の人も、エレベーター設置をしてくれということで陳情書を集めてやっているわけです。私は、たまたまその人たち京都へ行くのでその旅行のときに出発のところを見ましたけれども、何のことはない、駅の衆がみんな集まって持ち上げちゃやっている。こんなことをしちゃってどういうことになるのか。したがって、一体どういう年次計画があって、その計画、いわゆる総合的な事業計画があって、一体年次的にどう、何年度から何年度どういうふうにやっていこうとしているのか。そして、続いて「こだま」の駅にはいつエレベーターをくっつけるのか。具体的に静岡、浜松、三島には一体いつエレベーターがつくのか、これもひとつ具体的に御答弁してください。私はもう一つ聞いて終わりたいと思います。
  20. 杉浦喬也

    政府委員(杉浦喬也君) ただいま新幹線等国鉄の対策につきまして先生からお話がございました。実情はそれなりに取り組んでいるつもりでございますが、なかなか全体の御要望に応じられないということは、本当に遺憾なことでございます。運輸省といたしましても特に鉄道につきましては、御指摘対策懇談会を開きまして問題点を研究をいたしております。まあそれなりに過去二回実施しておりますが、身体障害者側の代表の方からも若干の評価も得られていると思っておるわけでございます。具体的な施設整備、今後やっていくわけでございますが、何にいたしましてもたくさんの駅あるいは車両、大変数がございますし、それから現実に身体障害者の方が御利用なさる実態というものも非常にばらばらでございます。そうした点につきまして、今後私ども重点的に身体障害者の方が御利用できるような施設につきまして、配慮をしてまいりたいと思います。まあ、現在までやっておりますこと、必ずしも十分でございませんが、先ほどお話がございましたような福祉モデル都市を対象にして考えるとか、あるいは身体障害者施設がある駅につきまして、これを重点的に実施するとかというようなことでやってはきておるわけでございます。ただ、他のいろいろな施設、たとえば道路その他の施設との有機的な連携という点も重要な問題じゃなかろうかと思います。そうした点で、関係の市町村等の施策とも十分連携をとりまして、今後とも及ばずながら実施してまいりたいと思います。なお、また運輸省におきましては、四十九年度から三年計画で身体障害者に関する交通問題についての実態調査を現在実施中でございます。本年度完結をいたすわけでございますが、まあ勉強が不十分でございますので、こうした調査をもとにいたしまして、具体的に問題を摘出いたしまして、施策を実行していきたいというふうに思います。なおまた、将来の年次計画等の御指摘がございました。なかなか将来の具体的な、何年度に幾らというような数字を現在持ち合わせておりません。これらにつきましても今後計画的に実行をするように、できるだけの努力をしてまいりたいと思います。
  21. 落合瑛

    説明員(落合瑛君) 身体障害者設備改善につきましては、国鉄といたしましてもこれまでできるだけ多くの機会をつかまえまして、実施してきておるところでございます。たとえば、大きな工事で申しますと、山陽新幹線を初めといたします新線開業の設備でございます……
  22. 松永忠二

    松永忠二君 聞いていることを答えてください。やっていることじゃなくて。
  23. 落合瑛

    説明員(落合瑛君) それから駅舎改築の際その他、そういう際に同時に身体障害者のための設備を並行して実施いたしております。
  24. 松永忠二

    松永忠二君 計画があるのか、ないのかと聞いているだろう。
  25. 落合瑛

    説明員(落合瑛君) 同時に、そういう大きな工事のほかに、各地方鉄道管理局におきまして、実情に応じて実施いたしておるところでございますが、実情は先ほど先生指摘のとおり必ずしも十分ではない実情でございまして、これからできるだけの努力をいたしたいと考えておりますが、五十一年度、本年度でございますが、につきましては、さらに目の不自由な方に対しまして全国で三十一駅、それから車いす利用者に対しまして十一駅につきまして追加的に工事を実施する計画でございます。  それから、一貫性がないではないかという御指摘が二番目にございましたが、御指摘のように、これは駅を直しただけではだめでございまして、車両も同時に直さないと車いす利用者には利用ができないわけでございますので、ただいま申しましたいろんな工事に絡みまして、先行的に実施する場合もございます。それから新幹線のように、車両とエレベーターと同時に実施する場合もございます。そういうふうに、いろんな機会につきまして、ときには先行的な投資を含めながら改善を進めたいと考えておるところでございます。  それから、新幹線の問題でございますが、新幹線は昨年の三月より、「ひかり」停車駅につきまして車いす利用者の方の利用を開始したわけでございますが、現在なおこのシステムが必ずしも完全であると考えておりません。今後利用者の皆さんの御意見を承りながら、改善をさらに進めていきたいと考えておりまして、「こだま」停車駅につきましてはこれは駅のエレベーターの新設を初め、それから車両の改造を伴いますので、早急にこれを「こだま」にまで広げるということはむずかしかろうと考えておりますので、とりあえず「ひかり」で実施いたしまして、これを完全なシステムにいたしまして、その結果を見て「こだま」に順次将来広げていきたい、こういうふうに考えております。
  26. 松永忠二

    松永忠二君 聞いてみりゃ何もないということでしょう。運輸省の方が正直だ、実際のところ。やっぱり計画を立てて、そして要求していかなきゃしょうがないと思うのですよ。国鉄だってそうだと思うのですよ。金が余りゃくっつける、その都度考える。何か予算に項目があって、その項目で幾ら要求して、ことしは幾らふえたというそれならまだそこにもある。ほとんどだめだじゃないですか。だから「こだま」につくですかと言ったら、「こだま」はまだ全然だめだ。「ひかり」のつけたところをもうちょっと整備する。何も「こだま」使えないということでしょう。だから静岡や何かについては、静岡がその本線の駅の改造をやるときに何とか努力するけど、「こだま」はだめだと言っている。そんなこったからどうにもならぬ。大臣にひとつ、国務大臣として聞いといていただきたい。  そこで、建設省はこれなりにまたやっていることはやっているんですよ。たとえば建設省の営繕部では、昭和四十八年七月にいわゆる通達を出して、職業安定所と労働基準局、それから合同庁舎にはあれをやるということにしたんです、身障者対策をやると。昭和四十九年に日本肢体不自由児協会に諮問をして、この人たち身体障害者利用を考慮した設計資料というものを出してもらって、それに基づいて昭和五十年六月に、官庁営繕の身体障害者に関する暫定措置についてという通達を出して、いままで一部だったものをとにかく一般官庁建築の対象に入れた。そして外部の出入り口、内部の出入り口、廊下、階段、男子便所、エレベーターをやっている。私はまあまあやっていると思うのですよ。ところが、それじゃ現実に官庁がどうなっているかということになると、新しい官庁にはそれが本当に完全に守られているのかどうか。それからまたいまある官庁に改善を加えなけりゃどうにもならぬが、こんなことは進んでない。一体、国会はどうなっているのか、議員会館はどうなっているか、新しく建てた新館のいわゆる参議院の会館は一体どうなっているのか。こうなってくると、努力はされていてもまだこれまた全く十分とは言えない。建設省はそのほかに道路についてもやっているし、住宅についても公営住宅あるいは住宅融資それから住宅公団の抽選についての援護措置もやっている。まあまあ予算を見ても、建設省は建設省なりにとにかく努力している点は私は認める。さっきのように、運輸省のようなこととは全然違う。国鉄は財政が苦しいから、そういうよほど計画してからにゃ、国鉄がそのくらいだから、私鉄や旅客船や空港なんていうのは言っているだけで何にも……やっているのはまあ運賃割引のこの方だけは金要らないというか何というか、やれるからやっているんでしょうが、これもまた不十分。私は時間もきているので、細かいことは聞きませんけども、一体建設省は言うとおり道路とか住宅とか官庁営繕について何次計画を立てて、言うとおり年次計画によって予算要求をしているのかどうなのか。ないならないで結構、やむを得ない。あるならあるで、あるということをきょうは住宅局と道路局とそれから官庁営繕部長も来ている。だからそれを答えてもらいたいのが一つ。  それから厚生大臣、最後にあなたのをお聞かせをいただきたい。  こういうふうに、私は細かく言えばもっと実情あるけれども、そこでさっき話の出た総理府中央心身障害者対策協議会というのは実は総理府にあるけれども、庶務は厚生省社会局更生課がやるというふうにちゃんと政令で出ているわけですよ。したがって総理府の方の役人あたりの中には、厚生省更生課の方が案を出してくれなきゃ相談する内容はない。わしらはただ関与するだけであって、内容はそっち側から持ってきてもらわにゃしようがないと言われているんですよ。だからどうしてもやはり厚生大臣中心になって、やっぱりこれを総理府長官一緒になって推進してもらわないと、現実問題として諸外国に比べてみて非常に劣っている。私は総理府でやってないとは言わぬけれども、非常にばらばらであって一貫性もなければ計画性もない。これを何とか推進して、せめて諸外国並みにやはり体の不自由な人たちが何らかひとつまず町の幹線くらいは自由に活動できるように、道路も大きな役所も大きな設備もひとつこういう環境整備をやってもらいたい。   〔理事浜本万三君退席、委員長着席〕 それにはもう格段、中央心身障害者対策協議会、特に一番中心である厚生省あたりの努力が非常に必要だと私は思うので、最後に厚生大臣からそのことをお考えを聞かしていただいて終わりたいと思うが、先にひとつ建設省の方から計画の問題を話し、最後にひとつ厚生大臣にお聞きをして質問を終わります。
  27. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) それでは、道路関係の対応について御説明いたしますと……
  28. 松永忠二

    松永忠二君 時間もないからひとつ簡潔に。
  29. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 従来からいろいろやっておりますが、特に問題なのは歩道の切り下げ、段差の解消でございまして、これは昭和四十八年に道路局長通達を出しまして、道路管理者全体に、今後の道路づくりの中で道路構造としては歩道は従来のような段差方式じゃなくて切り下げ方式を原則とするということで、新設、改築についてはすべてその方針で切りかえて四十八年以降はやっております。それから既設の歩道についても、鋭意身障者利用の特に多い場所、病院、保健所、市役所、郵便局あるいは駅といったようなところから逐次切り下げを実施しておりまして、現在全体計画としては三十二万カ所というふうに把握しておりますが、四十九年度までに十五万カ所、約半分の切り下げを終わっておりまして、今度の五カ年計画が五十一年から始まりますので、この五カ年計画の中で達成するように努力してまいりたいというふうに考えております。そのほか、いろいろ身障者対策としては、視覚障害者のための点字ブロックとか、今後とも検討すべき課題がいろいろ多いわけでございますが、積極的に対処してまいりたいというふうに考えております。
  30. 救仁郷斉

    政府委員(救仁郷斉君) 住宅用につきましては、先生の御指摘のように公営住宅あるいは住宅金融公庫の資金の貸し付けあるいは住宅公団の入居者の選考などに際しまして、従来からいろいろ優遇措置を講じております。ただ先生指摘のように、年次計画というものにつきましては、住宅全体につきましては住宅建設五カ年計画という枠の中でやっているわけでございますが、ただ住宅問題というものは一般の公共施設等と違いまして、身障者方々の個人の生活の問題でございますので、一人一人の個人のニーズをどう把握していくかということが計画の基礎になってまいるわけでございます。そういった意味で地元公共団体に対しまして、民主当局と連携をとりながら、個人個人のニーズをはっきりつかまえて、そうして住宅建設五カ年計画の中に織り込むようにという指導をいたしておりますが、残念ながらまだ完全にできているとは言えないのが現状でございます。今後とも努力してまいりたいと思います。
  31. 大屋登美男

    説明員大屋登美男君) 四十八年度と五十年度の通達につきましては、先ほどのお話のとおりでありますけれども、今後ともそういった措置の範囲を広げてまいりたいと考えておりますが、具体的な年次計画はまだ立っておりません。
  32. 松永忠二

    松永忠二君 監視体制をちゃんとせにゃだめだね、監督せにゃいかぬ。ただ通達を出せばそれでいいというわけじゃない。  大臣にひとつお聞かせ願いたい。
  33. 早川崇

    国務大臣早川崇君) いろいろ有益な御意見を拝聴いたしまして、問題は基本法二十二条の第二項を、どうさらに詳しく法律あるいは建築基準法で消防のためにはっきり規定を設けて義務づけるとか、あるいは法律が無理ならば条例を奨励するとかという問題にしぼられるのじゃないか、先生の御主張は。したがって、第三項のあの協議会のあれというのは、いよいよわれわれとしてももう今後の課題としてぜひ立法化の問題も含めまして義務づけるということを検討してみたいと考えておりますので、その結果、また委員会等に報告する機会があろうかと思います。検討いたします。
  34. 田中寿美子

    田中寿美子君 厚生大臣承知かと思いますけれども、七十七国会の終わりに野党の婦人議員が共同発議者になりまして、そして各野党全体が提案になって、粕谷照美議員が提案者となりまして、公衆浴場法の一部改正法案というのを出しました。これはいわゆるトルコ風呂に関してこれを許可することを公衆浴場法でやめなさいという法律でございます。実はきょう日程の都合で、総務長官の御都合、それから私自身の都合もありまして、粕谷議員と私と分担し合いまして、順序は先に粕谷議員がその法案の内容に触れながら、実態を少し厚生省、警察庁あるいは労働省あるいはそれに関係したところから、実態を説明を受けながらいろいろと問題点を指摘するということを先にして、そして私がその後を引き継ぐことになっておったんですけれども、ですから順序が逆になりますし、間でとぎれるというような順序らしいので大変その点遺憾でございますけれども、私の分担した部分でお尋ねしたいと思います。  この公衆浴場法の一部改正案というのは、いまも申し上げましたように、公衆浴場法で許可している浴場で個室を設けて、その個室で異性の客に接触する役務を提供することをさせない、禁止する。それから、そういう異性の客に接触する役務を提供する者にその個室を使わせてはいけないと、こういう法律案でございます。それに付属して風俗営業法の四条の四を削除するということと、それから経過措置として一年間、既存の業者に対してはこの禁止条項を猶予するという簡単な法案でございます。ですけれども、大変これは長い経緯がございまして、もう数年にわたって私どもは野党の議員たち、それから売春問題と取り組む会という婦人団体、二十一団体が参加しておりますし個人も入っております団体で、絶えず検討してきたものでございます。これは大臣は御存じであるはずだと思いますが、トルコぶろというのが事実上売春防止法があるにもかかわらず、売春の温床になってしまっている。売春防止法がもうできて二十年たつんですけれども、あれは赤線地域を閉鎖してしまった、つまり売春をしてはならないという法律なんでございますね。そしてそれを業としてやる者、あるいはあっせんする者、あるいはそれによって女性を搾取する者、そういった者をみんな処罰するというのが売春防止法なんでございますけれども、それがなくなって赤線が消えたかと思いましたら、その後いろんな形で売春が行われる場所があり、そしてそれの場所を提供したり、やっぱり業者として女性にそういうことをさせるという業態がいろいろ起こってきております。特にトルコぶろというのがそういうものになってきたという事実の上に立って、これをほっておいたら、売春防止法があるにもかかわらず赤線が復活しているような状況になってしまっている。売春の温床になっているから、だからこれは禁止すべきではないかということで、長い間議論をしてまいりました。いろいろ議論の末、公衆浴場法の一部改正案というのが比較的一番やれるやり方ではないかという結論になって、七十七国会の終わりに出したんでございます。大変抵抗のあることもよく承知しております。これ決して理想案では私たちから言えばないのでございます。いろいろ議論しておりますと、あるときは風俗営業法を改正して強化するべきではないかという案もつくってみました。それから、公衆浴場法を改正して、許可する段階でとめるべきではないかという考え方にも立ったり、あるいはいずれにしても両方とも本当になかなか簡単に売春をなくすということはできない、業としての売春をなくすことはできないから、むしろ単独立法でトルコぶろを禁止するという法律案の方がすっきりと、売春そのものが行われているんだから、売防法に照らしてもそうすべきではないかと、こういうふうなことで、そういう法案もつくってみました。参議院の法制局と話し合いながら幾つも法案をつくってみたんです。  しかし、単独の禁止立法というのは、営業権の自由ということを盾にする人たちと正面からぶつかっていく。それで非常に困難ではないか。で、自民党さんにも協力していただけるように非常にいろいろと私ども努力をしたわけです。衆参の婦人議員懇談会でもたびたび議論をしてきて、その結果一番妥当な方法というのは公衆浴場法の一部を改正して——公衆浴場というのは公衆の浴場なんですからね。ですから、その定義でもありますように、「温湯、潮湯又は温泉その他を使用して、公衆を入浴させる施設」というのが公衆浴場なのに、個室を設けてそこで異性へのサービスをさせるという、そこから売春が起こってくることはもう必然的な状況であり、また実態としてそうである。こういうことがある以上は、その入り口のところで許可しないということにしてもらえば、だんだんこれをなくしていくことができるんではないかということで、この法案の提案に至ったわけでございます。  ところが、いままで私たちが議論してきました過程では、警察と厚生省とがまるでボールの投げっこをしている。厚生省は、公衆浴場法というのは衛生立法なんだから、そんなものなじまない一点張り。それから警察の方は、売防法で取り締まるということは非常に困難だ、立証がむずかしいと。これは想像していただいたらわかると思うんですが、警察官がトルコぶろの中で売春が行われているということを立証するためにはどんなことをしなければならないか、私はいま時間がないから説明しませんし、説明もしたくないようないやらしいことをしなければならないわけですね。ですから、非常に困難であるということから、入り口で締めてもらう、許可する段階で押さえてもらうということをまずやってほしいというのですが、だから大変私は徹底しない法案だと思うんですね。  こういうことを大臣はお聞きになって知っていらっしゃいますかどうですか。つまり、トルコぶろというところが売春の温床になって、事実上調べてみたならばほとんどが売春の場になっているということを御存じでございますか。売春あるいは売春類似行為ですね。大臣御存じですか。
  35. 早川崇

    国務大臣早川崇君) いや、トルコぶろへ行ったことありませんので実態は存じませんが、売春として風俗取り締まりで警察に挙げられたという事例のあるトルコぶろのあることは承知いたしております。
  36. 田中寿美子

    田中寿美子君 まあ、まだ大臣になりたてだし、こういうことを質問されると(「反対」と呼ぶ者あり)お思いになっていなかったかと思いますが、その辺で反対とさっきから言っている人たちもいる。これは、もうちょっと本当に真剣に取り上げてもらわなければ困る。  実は、都道府県で条例をつくって規制してきている状況ですね。このトルコぶろについては、昭和四十一年に風営法の改正がありまして、四条の四で距離規制と地域規制をしたんですね。この問題は後で触れますけれども、実は距離規制をし地域規制をしますと、一定のところまではいけない、そこから先はいいということになって、そこに集中してきたわけですね。ですから赤線地帯のようなものが生じている。たとえば千葉県の栄町、それから川崎の堀之内、あるいは大津の雄琴といったような、非常に顕著なところがありますね。そういうふうに集娼地域みたいな状況を呈してきている。それに対して、地方ではいろいろと条例をつくって規制をしてきております。条例三十一ぐらいいまできているようですけれども、また新たにあちこちから規制条例をつくろうとしている。その条例、たとえば最近宮城県は、十月十四日の河北新報——新聞によりますと、トルコぶろ全面規制、県下全体に今後は許さないという県の条例案が県議会に提案されたと。ところが、これをよく読んでみますと、私も本当のその条例を見ておりませんからわかりませんけれども、今後は一切許さない、県全体許さない。だけれども、既設のものは許しておくわけですからね。ですから、既得権のある業者にはむしろ法的にその地位を与えたことになるような状況、こうならざるを得ない、条例というのはですね。それからまた、大津の雄琴ですね、有名な雄琴ですけれども、ここでもいま悶着が起こっているわけです。地元から婦人団体などが、条例規制をもっと厳しくしないと——あの雄琴というのは本当にひどいところですね、行ってごらんになったらわかると思いますが。ああいうような状況では困るといって強い条例規制をしようとした。そうしたら、業者の方から巻き返しが起こっているということ。それから新潟ですけれども、これは厚生省が新たに許可をしているわけですよ。新たなトルコぶろの新設の申請があった。それで保健所から問い合わせてきたら、中央の保健所の方では、これは法律違反ではないから許しますといって許していると。条例でもって規制をしたり、あるいは厚生省の態度がいまのような状況だから、どんどん許すという状況も起こっているわけですね。ですから、きちんとした態度をとってもらわなければならないと思うんですが、厚生省に言わせると衛生立法だからといってべらべらしゃべられると時間がなくなりますので、私はその態度を非常に遺憾に思っておりますので、改めてほしいのです。  そのことは後でもう少しお尋ねするとしまして、最初に警察の方に風営法の四条の四のことかお伺いしたいと思うんですが、風俗営業法の四十一年に改正があって四条の四で距離規制をした、そして地域規制をした。つまり、一定の公的な施設ですね、図書館とか、学校とか、そういうものからは二百メートルの区域内にはつくっちゃいけないという距離の規制とか、それから特別に条例で指定してこの地域にはトルコぶろを置いちゃいけないとかというような、そういう定めることができるというような改正をしたわけです。これを改正したのは、総理官邸のそばにトルコぶろができそうになったので騒いだわけですね。それで、そのときは各党がみんな一致してこのように改正をしちゃった。私はこの改正は大変問題だったなといま思っているわけです。それで警察はその点をどう思っていらっしゃるか。四条の四で距離規制とか、地域規制をしますと、一定の地域まではいけないけれども、一定の地域ではよろしいという法的な位置づけを与えてしまったというような感じがするんですが、その点を警察の前に売防法の所管官庁であるところの法務省の人権擁護局の方ですか、どなたが来ていらっしゃるか知りませんが、実に法務省というのはのんきなところで、売防法の所管官庁なのに、この前私ども野党が出した公衆浴場法の一部改正法律案を御存じなかった。いまさっき私がお貸ししたわけですね。こんな状況だから野放しになっているということです。このことをどうお思いになるかということと、警察の方々は四条の四がよりどころになって取り締まりをしているという状況だと思うんですが、これをどう見ていらっしゃいますか。
  37. 長岡茂

    説明員(長岡茂君) 風営法四条の四の規定が新設されたことについて、警察庁としてどう考えるかという御指摘だと存じますが、この規定は、ただいま御指摘のように全面規制ではございません。このような一部について営業を認めるような規定を設けられたということは、当時の状態からやむを得なかったものでないかと思いますが、このような規定が設けられたことによりまして、禁止地域におけるトルコぶろの増加が抑制されているという点では効果があったというふうに考えております。
  38. 村上尚文

    説明員(村上尚文君) 法務省といたしましては、先生指摘のように売春防止法を所管しておるわけでございますが、現在のトルコぶろの実態につきましてどう考えておるかという御質問かと理解するわけでございますけれども、いわゆるトルコぶろ営業も既成法令をちゃんと遵守して営む限りにおきましては、もとより合法なものであるわけでございまして、それなりの効用はあろうかと思うわけでございますが、しかし、この種の営業は個室におきまして異性の客に接触する役務を提供するという営業形態の特質上、とかく先生指摘のように売春事犯の温床となりやすいところに問題が存すると考えるわけでございまして、この種営業において行われます売春事犯につきましては、売春防止法による厳正な検挙、取り締まりを励行継続するとともに、そのような違反を誘発助長しないように事前の行政的な規制指導関係各方面にお願いしたい、こういうことが何よりも肝要であろうかと考えておるわけでございます。
  39. 田中寿美子

    田中寿美子君 いま、だから法務省は自分たちのやるべき義務をお述べになっただけで、実際ちっともそれが行われていない状況です。これは後で粕谷議員がなさると思いますけれども、売春対策審議会というのが総理府にありますけれども、ここから何回も意見書が出ているわけですよ。そうして現在の状況はもうトルコぶろというのは売春の場になっている。だから各省、各関係行政機関が立法を迅速にして対処しなければいけない、対策を講じるようにというのは何遍も出ているけれども、何にも行われていないというのは一体どういうことだろうかと思うのですが、風営法の四条の四でそれまでは「個室付浴場業」というのは、いわゆるトルコぶろですね、これは法的にはあいまいな存在だった。ところが、四条の四ができたためにトルコぶろ営業を浴場業の施設として個室を設け、同個室内において異性の客に接触して役務を提供する業務というふうに規定づけちゃったわけです。すなわち「個室付浴場業」、こういうふうに四条の四の第一項でそれをちゃんと法律的な位置づけを与えてしまった。だから、このことは私はある意味じゃさっき警察の人が制限された地域での取り締まりには役に立ちましたと。確かにそういう功罪の功の面がないとは私申しませんけれども、同時に、売防法でもって禁止してせっかく赤線を消した。あれをまた復活させるような役割りを果たしてきているということは、警察の方は十分知っているはずでございます。これまで発表されている統計や資料でよくわかっているわけです。ですから、私はこのことが重大なある意味じゃミスだったというふうに思います。  それで、もう一つ風営法の四条の四で、すっかりこれまで既設のものの既得権というもの、こういうものも保障されました。それからこういうことがあってから、それじゃ一定の地域に行けばできるというので、トルコぶろがどんどんふえていっている。実際に数がどんどんふえていったわけで、ですから、売春が業として行われるようになって、それを助長していたというその功罪の罪の方が非常に大きく出てきているんじゃないかというふうに思います。もちろん、さっき警察の方がおっしゃったように、この規定を善用して県の中にはそういう地域を全面禁止している県もあるわけですね。たとえば、青森、山形、群馬、富山、福井、長野、奈良、こういうところでは全面的に禁止地域にしてしまっているから、営業ができない。こういう状況の県もあるから、功罪の功の方に数えてもいいかもしれないと思います。ですけど、大体においてそれは過疎地域の方が多いようですね。歓楽街の多いような大都市では、今度は罪の方が大きく作用しているというふうに私は思うわけなんです。どうして全体としてこういう規制というものが行われにくいのかということです。警察の第一線でやっている人たちがやりにくい状況については、私は後でお話があると思いますから、簡単に言っていただきたいんですが。
  40. 長岡茂

    説明員(長岡茂君) 警察といたしましては、トルコぶろにおきます売春につきましては、売春防止法その他いろんな法律を使いまして鋭意検挙に努力しておるわけでございますが、必ずしも私どもが実際に行われているであろうと推定するだけの検挙件数にはなっておらないという点は、ただいま御指摘のとおりでございます。  この理由といたしましては、いろいろあるわけでございますが、幾つか申し上げますと、業者あるいはトルコ嬢を含めましてそういう関係者が、警察の取り締まりを予想しましてあらかじめ口裏を合わせて、あるいは徹底した証拠隠滅を行っている、そういう点で知情性の立証、情を知っているという知情性の立証が非常にむずかしいという点が一つございます。それからもう一つは、トルコ嬢の多くが売春について罪悪感を持っておらない、したがいまして売春することに余り抵抗を感じていないという面も指摘できるのじゃないかと思います。それから三番目に、事犯の性質上遊び客の協力がなかなか得られない、それで立証が困難であるというような、そういうふうないろんな状況がございますので、捜査が非常に困難しているということでございます。
  41. 田中寿美子

    田中寿美子君 警察がやることというのは、そういう意味で大変無理がある。そして、それを無理をしようと思ったら、警察が風営法でやろうとしたら、これを強化するということになると、かつての臨検のようなことでもしなければつかまりませんということになって非常に危険性を感ずるから、私たち公衆浴場法の方でやってほしいというふうに言っているわけなんです。  時間の節約上ついでに先に伺いますが、風営法の四条の四の四項に行政処分の項がありますね。これは刑法、売春防止法、職安法、労基法、児童福祉法、こういうものに違反した者に関しての処罰なんですけれどもね、これ、どのくらい一体やっているかということについて、私、各省とも非常に責任があると思うんですけれども、この問題、実態の方は後に粕谷議員に譲るとしまして、この項が私たちの今回の公衆浴場法の一部改正法案の中では四条の四を全部抜くことになっている。つまり四条の四があるために法的に位置づけされて、トルコぶろがちゃんと法律的に認められたことになるので、これは取るべきだというふうに考えて取ることにしたんですけれども、これを取ってしまうと具体的にいまのような刑法、売防法、職安法、労基法、児童福祉法違反というのがいっぱいあるわけですね、そういうものに対する行政処分ができなくなる、全くできなくなるということについての危惧があるかどうか。あるいはもしそうであれば、この改正法案に入れることができるかどうか、その辺の御意見を、私、前任者の防犯課長とはずいぶんその点についてお話ができたのですけれども、今度課長がかわられまして、私、課長の性格がよくわからないものですから、どういうふうにおっしゃるか、ちょっと聞きたいのですが。
  42. 長岡茂

    説明員(長岡茂君) 御承知のように、風営法におきましては公安委員会が行政処分を行えるようになっておりますが、この四条の四が削除されますと、公安委員会による行政処分はできないということになります。
  43. 田中寿美子

    田中寿美子君 余りよく私たちの法案も見ていただかないか、あるいは状況を十分知っていていただかないと思いますので、これ以上言っていると公衆浴場法の厚生省の方を攻めることができなくなりますので、もうちょっとその辺は勉強していただいて、私どもまたお話し合いをしたいと思うんですが、事実上トルコ嬢の中には、さっきトルコ嬢の意識の方を問題にしていらっしゃったけれども、しかし、強制されているのもあるし、前借金を取られているのもあるし、出てこなかったら罰金取られたり、それはひどい状況ですよ。ですから、そういうものに対する処罰というのはあってもいいはずだと思うんですが、それをどこのところで入れたらいいかということについては、私たちもいま考慮中ですので、研究していただきたいと思います。  そこで、公衆浴場法の問題点なんですけれども、この営業許可権が都道府県知事にこの公衆浴場法によって与えられているわけですよね。そこで、都道府県の条例で見ますと、構造規制——構造などという物的要件が不適当でなければ許可をするということになっておって、従業員が売春するかしないかそういうことは関知しないと、こういう考え方を厚生省は持っていらっしゃいますね。これは衛生立法なんだからそんなことは知らないというふうにいつもおっしゃるのですが、そうですが。ここで国会の場で確認したいと思います。
  44. 松浦十四郎

    政府委員(松浦十四郎君) ただいま先生おっしゃいましたとおり、公衆浴場法というのは、公衆衛生上の観点に立ちまして衛生的におふろに入れるということを規制しようということでございますので、本来の目的はそういった公衆衛生の立法になっておるわけでございます。ただ、そこでやはりいま先生がおっしゃいました売春などが行われても構わないのかと、こうおっしゃられるわけでございますが、それはやはり、当然そういうことが行われるのは構わないとは考えておらないわけでございまして、やはりこの公衆浴場法の立法の精神にのっとった範囲内におきまして、各条例である程度のやり得る範囲内のことはやるということを考えて、そういった通知もいたしているわけでございます。
  45. 田中寿美子

    田中寿美子君 公衆浴場法の第三条は、公衆浴場について講ずべき措置というのがありまして、そこでは、「浴場業を営む者は、公衆浴場について、換気、採光、照明、保温及び清潔その他入浴者の衛生及び風紀に必要な措置を講じなければならない。」となっていますね。ですから、この風紀というのは厚生省の方は男女の混浴だというふうにおっしゃるわけです。十歳以上の男女が混浴してはいけないと、そういうことを風紀というのは意味するんだと。この法律ができたときはそうでしょうけれども、実態はいまや売春の温床になっているということになれば、風紀というのはすなわち売春を意味するというふうにお考えにならないでしょうか。
  46. 松浦十四郎

    政府委員(松浦十四郎君) この法律ができましたときに、これに関しまして厚生事務次官の通知がございます。その通知の中に、これは昭和二十三年でございますが、「法第三条に規定する風紀に必要な措置とは、主として男女の混浴の禁止を意味するものであって、警察的風紀取締に非ざること。」と、こういう通知が出ておるわけでございまして、この法律ができましたときの精神としましては、ここではその男女混浴というところに限られておりまして、いわゆる警察的な風紀取り締まりではないという考え方を一応持っておったわけでございます。
  47. 田中寿美子

    田中寿美子君 だから、昭和二十三年当時、それでいいんですけれども、その後の状況はこうなっていて、だから都道府県知事が許可するときに条例をずいぶんつくっているわけでしょう。その条例規制しているというのは、みんな売春があるから構造規制をしたり照明の規制をしたりなんかしているわけです。みんな都道府県知事はよく知っているわけですよ。あなた方の第一線の保健所の職員だってみんな知っているわけですね。それだから、つまり風紀という、公衆浴場について講ずべき措置の風紀に必要な措置というものの拡大解釈をしていくのはあたりまえのことでしょう。拡大解釈じゃなくて、実態に即した解釈だと思うんですが、いかがですか。
  48. 松浦十四郎

    政府委員(松浦十四郎君) ただいま先生指摘のとおり、その後トルコぶろという問題が非常に大きくなってまいりまして、昭和三十九年に環境衛生局長通知をもちまして風紀問題について、いまの最初の男女混浴というラインからもう少しこれを広げまして、各都道府県の実情に応じまして条例改正を行う等、トルコぶろにおける風紀が乱されることのないようお願いしたわけでございます。それに基づきまして各都道府県で条例がつくられたわけでございます。そういう意味合いにおきまして、社会の動きに応じてこの風紀というものの考え方が少し広がったわけでございますが、現在いわゆる公衆衛生を考えております段階の浴場法の考え方としましては、現在のこの条例で行っております範囲がもう精いっぱいというようなところだと私ども考えております。
  49. 田中寿美子

    田中寿美子君 だから、いまおっしゃったところによると、その風紀というものは事実上混浴の域からすでに拡大してきているということをお認めになっているわけですね。だから、条例でそういう措置をしなさいという指導もしていらっしゃる。だから、いまの公衆浴場法ではそこまでがぎりぎりいっぱいだといまおっしゃった。だから、私たち公衆浴場法の一部改正しなさいと言っているわけですね。それで、警察で取り締まるのが私たち目的じゃないわけなんです。許可する段階で明らかに売春が行われることがわかりきっているようなものを許可しなさんなと言っているわけなんですね。それを非常に逡巡なさるんですが、そこで、保健所の職員の立入検査権のことなんですけれども、立入検査権を事実持っているわけですね。これは、もっぱら公衆衛生的な観点からだけ検査するんだというふうにおっしゃっている。それだったら、いまおっしゃったように、事実上トルコぶろがそういう実態になっている場合に、もっぱら保健衛生の立場からのみ検査するというのは、これはちょっとおかしくありませんか。それからもう一つは、保健所の職員だけじゃなくて、公務員というものは刑事訴訟法二百三十九条二項で、職務上知り得た犯罪についての告発の義務がある。それは大抵皆知っているけれども、告発できない、その事情は何なんですか。大変厚生省はこわがっていらっしゃると思うのですが、何がこわいかということです。
  50. 松浦十四郎

    政府委員(松浦十四郎君) 先ほど申し上げました、昭和三十九年の風紀の問題につきまして都道府県で条例をつくっていただくようにした中身は、風紀を乱すおそれのある服装をしない。あるいはそういう行為を行わないように指導する。あるいは風紀を乱すおそれのある文書、絵画等を張らないようにするとか、あるいはそういうものを置かないということ。それからさらに、一般的には部屋にかぎがかからないようにするとか、中がよく見えるようにするとか、こういった措置を講ずるようにしておるわけでございますが、こういう面におきまして都道府県の保健所の職員が立入検査をいたすのは、もちろん公衆衛生の観点もございますが、この範囲内までは監視いたしておるわけでございますが、実際問題といたしまして、先ほど、警察関係ですらその事実関係を把握するのはきわめてむずかしいという状況でございますので、そもそも公衆衛生を担当しております都道府県の監視員にいたしましても、とてもいま先生がおっしゃいましたようないろいろな事実をしっかりと把握するということは現実的に非常にむずかしいというふうに考えます。そのために、そういった告発というのも行われないんではないかというふうに考えております。
  51. 田中寿美子

    田中寿美子君 一つは、手がないということもあると思います。一つは、トルコぶろを中心にして、これは売春対策審議会などでも十分議論されていることですけれども、非常に犯罪がたくさんあるわけですね。トルコ嬢にしばしばひもがついている。そのひもの後ろには暴力団がいる。暴力団の資金源として使われている。こういう事情があるものですから、保健所職員もこわいということがあって、おたくの指導課長は、今後ピストルでも持って歩かなきゃいけないというようなことをおっしゃったそうですけれども、それほど恐るべきものであるという実態があるのを、これほっといていいかということなんです。  それで、私もう時間がないから、これは法務省にも伺いたいんですが、いまのこのような状況で、トルコぶろを、これを今回の私どもの法案は、公衆浴場法の一部改正だから、認可をしなさんなということであり、既存のものは一年たったらやめさせなさいという、大変穏やかなものですよ。だけれども、やっぱりそれがこわいという現実があるわけですね。具体的に業者の組織もあるだろうと思う。それで、そういうような状況であるところのトルコぶろを禁止するということは、憲法二十二条の職業選択の自由というものに私は反しない。これは公共福祉に反しない限り、職業選択の自由があるわけですから。だから営業権の自由というものは、私はそれは反しない。だから、それはそもそもトルコぶろというものが大部分が売春の場であるという認識の上に立ってる。これは保健所員だって警察の人だってみんな知っているんですね。ですから、その辺で、しかもその中で管理売春が事実上行われています。私ども見たところでも、トルコ嬢はそのトルコぶろの上に住まわせているんですよね、実際に。そして、出てくる日について、客が払う入浴料のほかにサービス料を取る、トルコ嬢がいろんな種類のサービスをする。それをみんなピンはねしていますよ。それから、出てこなかったら罰金をかけるとか、それからひもが前借金を借りちまってそれで女を使っているという場合がある。私どもはそういうことをさせてはならないと思うものですからこれを言っているわけで、法務省は人権擁護の立場から、このようなことをさせる業態を禁止することは憲法二十二条の職業選択の自由に反しないというふうにお考えにならないですか。
  52. 村上尚文

    説明員(村上尚文君) 私は、人権の方を直接担当している者ではございませんので、責任ある答弁はしかねるわけでございますが、仮に、現在のトルコぶろの実態がすべて売春の温床であると、こういうことが認定できるならば、あるいはそれを禁止することも許されるかと考えております。
  53. 田中寿美子

    田中寿美子君 まあ、責任ある立場ではないということをおっしゃったけど、いまのお答えはわりあいにいいお答えだと思うのですね。ですから、実態として八〇%以上も売春をやっているということはもうわかっているんですよ。だから、そういうものについては今後、私は、今回出している法律案は決して理想案ではないと思っているので、なるたけ賛成者が得られるような法案を出しているのにすぎませんので、徹底的にこの問題は考えてみてもらいたいと思うわけなんです。  もう終わりますけれども、去年国際婦人年のメキシコ宣言というのがありましたね。婦人のための十年というのがいま第一年目なんですけれど。そのメキシコの世界会議で、日本政府の代表も参加して、そして宣言を採択しておりますが、その中で、男女ともに肉体の不可侵ということ、肉体は不可侵である。それをじゅうりんするようなことは人権の侵害である。だから、そういう女性の肉体を犯し、商品化し、人権をじゅうりんするような行為、つまり人身売買とか売春とかというようなことは一切なくさなければならないという宣言を採択しているわけなんです。ですから、私はきょうは時間が不十分で、十分の議論できなかったけれども各省とも全くこの問題に関しては実に実に不熱心で、これの所管官庁である法務省もいまのような状況でしょう。厚生大臣公衆浴場法というのは厚生大臣の管轄なんですから、いまみたいな考え方で私どもがそれを出していることを理解して、そして今後どういうふうに取り組んでいくつもりでいらっしゃるのか、御意見を聞かしてください。
  54. 早川崇

    国務大臣早川崇君) この問題は大変古い問題で、十数年前、私も公安委員長をやっておりましたとき、藤原道子先生、いまお見えの市川先生、その他からもすでに指摘された問題でございますし、また、ILOの男女平等の条約も締結をいたしましたし、また、婦人年の宣言もよく承知いたしております。まあ、そういった全般を踏まえまして、公衆浴場法というのが非常に売春防止という問題となじまない一つの浴場法でございますので、そういった面と、警察的な風俗営業法との接点の問題として、よく御趣旨はわかりますので、十分総合的に検討してみたい。いまここで議員立法に対する意見を問われましても、直ちにその結論に賛成するというわけにもまいりませんので、検討いたしたいという程度で御勘弁願いたいと思います。
  55. 田中寿美子

    田中寿美子君 いまのような厚生大臣のお言葉があると、私ももう一言言っておかなくちゃなりません。公衆衛生になじまないというような言葉を使われました。これはこの前、七十七国会でこの法案を提案しましたときに、環境衛生局長及び指導課長がぐるっと自民党を回って、防止させるために大変努力なすった。私は、ああいうことは、行政機関が立法機関にそんなふうに介入してもらっては困るということを非常に憤慨したわけですが、大臣にこれはなじまないと、公衆衛生の観念になじまないというふうに吹き込んでもらっては困ります。公衆衛生になじまないものを許していること自体が大変なことでしょう。公衆衛生上全然そんなものを許可するべきでないのに、売春の温床となるトルコぶろの許可権を厚生省が都道府県知事に与えているわけだから、だから許可しなさんなと言っているんで、なじまないことをやりなさんなということなんです。私はそれだけ意見を申し上げて終わります。
  56. 戸田菊雄

    委員長戸田菊雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時から再開することとし、休憩いたします。    午後零時一分休憩      —————・—————    午後一時四分開会
  57. 戸田菊雄

    委員長戸田菊雄君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。  午前に引き続き社会保障制度等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  58. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 きょうは救急医療の問題をお聞きしたいと思いますが、その前に一点だけ大臣にお伺いいたしたいと思います。  それは社会福祉施設の補助単価、並びに補助基準面積についてでございます。補助単価については比較的年々引き上げられているようでございますが、補助基準面積、これについては、見るべき改正が行われておりません。まあ特に両親、保護者のことで入所されている児童の養護施設、ここを見ますと、昭和三十年代以降、まあ今日まで二十年間一回も改正されておりませんが、この点についていままでどのように努力をしていらっしゃったか、これをお聞かせいただきたいと思います。
  59. 曾根田郁夫

    政府委員曾根田郁夫君) 御指摘の補助基準面積の改善でございますけれども、いままでいろいろ経緯はございましたけれども、本年度かなり実情に沿った改善を考えておりまして、財政当局と事務的な話し合いを進めておりますが、近々最終的な合意に達する見込みでございますが、おかげさまをもちまして、いま御指摘のございました養護施設等につきましては、かなり、おおむね五割近い改善ができる見込みでございますので、これはまあかねて先生からいろいろ御指摘のあったところでございますけれども、その他の施設につきましても、できるだけ引き続き話を進めていきたいというふうに考えております。
  60. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 これからはいいというお話で、非常に期待をかけるのですが、二十年間さっぱり改正もされなかったということについて、本気でいままでやっていらっしゃったのですかとお聞きしているわけです。やっていませんという以外にないと思うんですね、事実そうなんですから。ですから、その二十年間のおくれを取り戻さなければならないと思うのですね。それがやや前進するようなお答えですけれども、まだまだそれじゃ私は足りないと思うんですね。こうした社会福祉施設の問題は、今後も量の面でもたくさん建てなければならない、これは当然なことですが、その面だけじゃなくて、質の面、特に広さ、こういう点はもうもっともっと充実改善されなければならないと思うのです。老人ホームなどへ行ってみましても、一つの部屋に六人も八人もいるところがほとんどです。それから食堂などへ行きますと、畳が敷いてない、板敷きなんですね。食事するときだけはおぜんに座って食べるからござを敷いて、そこにせんべい布団程度の座布団を敷いている。食事が終わるとそれを片づけちゃって、その板の間を何か集会をするのに使っている。一つの部屋をそういうふうに兼用しているわけですね。そのほか特別養護老人ホームなどには、ぜひリハビリの部屋というものはつくらなければならない。そういうものはつくりたくてもできない。先ほどお聞きした児童の養護施設、こういうところに行きましても、本当に両親がしっかりしていないために、こういう惨めなところで子供は暮らさなきゃならないかというような感じのみんな施設なんですね。こういうところに入っているなら安心だというように、これからの子供のためにはやってあげなければならない。せめて自習する部屋くらいはつくってあげるというような、こういうことは当然のことだと思うんですね。そういう点でぜひ単価を上げているだけじゃとうていそうしたことはできない。この補助基準の面積、これを大幅に改正すべきだと、大臣の御答弁も重ねてお聞きしたいわけです。
  61. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 単なる補助単価の増額にとどまらず、面積の面でも改善しようという御指摘、まことにごもっともでございます。補助基準面積については、保育所については一人当たり面積を五平方メートルから六平方メートルに拡充を本年度いたしましたが、それ以外の施設につきましても、実情に合わなくなっておる過密面積の施設もたくさんございます。御趣旨に沿いまして改善してまいりたいと、かように存じます。
  62. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 そこで、緊急医療の問題をお聞きいたします。  ここ数年来緊急医療体制の不備によりまして、全国各地で急病人や重症のけが人、この人たちが病院に送られる。転々として病院をめぐっている。いわゆるたらい回し、こういうことによって悲惨な事故死を生み出しております。助けられるものも助けられない。ことしもこうした急病人に対して、病院側の診療拒否などの理由によってとうとい命が奪われた事件が新聞などにも出ております。  医師法の十九条では、「診療治療の求があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」とありますが、どのような事由から診療拒否がされているか、この点厚生省はどういうふうにつかんでいらっしゃるか、お聞かせいただけますか。
  63. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) 診療の求めがあった場合に診療を断っている、そういう事例は間々聞くところでございます。  それで、その理由をいろいろわれわれも調べてはおるところでございますが、いろんな理由が重なっておるところでございますが、やはり一番多いのが専門医の不在ということでございまして、これが約四七%ぐらいが専門医の不在という理由で断っておるようでございます。これは医師ならばすべての診療ができるはずでございますけれども、やはり現在医学というものもだんだん専門分化しておりまして、非常に内科の中でも内臓をやるとかあるいは心臓をやるとか、そういったふうに非常に医師の方も専門分化をしておりまして、自分の専門分化以外の分野ではなかなか責任の持てるような治療ができないというようなことで断る場合が多いようでございまして、それが約四七%の理由になっております。  それから、もう一つは、これは診療ではございませんが、入院医療を希望いたしました場合に、入院を断るという、そういう事例があるわけでございますが、いわゆる入院ベッドが満床であると、すでにいっぱいになっているという、そういう理由で断っているものが一九%でございます。  そのほか、たまたま診療の求めがあった場合に、他の患者さんの手術をしていたり、あるいは往診中であったり、いわゆる医師不在というような事例もございますが、大体ほとんどの事例が専門医の不在あるいは医師不在という、こういう理由になっております。
  64. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 一般の病院でしたら、急病人であってもいろいろな事情で診療ができない場合もあると思いますけれども、どんなときでも急病人に対してまた事故に対して収容できる、十分な治療ができるという救急告示病院、この使命は非常に大事だと思います。全国でこの救急病院は現在どのくらいありますか。
  65. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) この救急告示施設のことだと思います。病院と診療所を含めまして申し上げたいと思いますが、五十一年四月一日、本年の四月一日現在の数字で申し上げますと、実数で申し上げまして病院が二千九百二十四、診療所が千八百四十七、合計いたしまして四千七百七十一、これが本年四月一日現在の告示を受けている医療施設の数でございます。
  66. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 この二千九百二十四ですか、この救急病院、この内容を調べますと、圧倒的に民間病院が多いわけです。国立のあるいは公立の救急告示病院が非常に少ない。民間の病院におんぶに抱っこ、これは政府としてはお考えになっていらっしゃると思いますが、どんなお考えを持っていらっしゃいますか。
  67. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) わが国の医療体制そのものが、いわゆる自由開業医制をとっておるところでございまして、病院についてもやはり同じような傾向があるわけでございまして、診療所と病院を比べますと、国立あるいは公立あるいは公的の占める割合は、病院の方がはるかに高いわけでございますけれども、やはり絶対数におきまして私立の病院あるいは診療所が多い。絶対数として多いところでございまして、やはりわが国の医療というものは、そういった実態から考えましても、やはり私的医療機関の役割りが非常に大きいところでございまして、われわれといたしましては、そういった公的あるいは私的の医療資源というものを総括いたしまして、やはり国民医療に最も有効なような体制を整えてまいりたいと考えております。
  68. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 大臣もこの国立、公立の病院に少ないということに対してはいかがですか。
  69. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 国立病院の場合は、厚生省直轄の国立病院は九割方救急医療施設告示病院になっておるのでございますが、御指摘の点は各大学の付属病院のことだろうと思います。これにつきましては文部省、文部大臣に御協力をお願いいたしまして、逐次東京大学とか阪大とか御協力いただいており、逐次御協力していただく病院がふえておるわけでございます。  ただ、公立市町村立のあれもまだ約半数近いものが救急医療協力病院に指定されておらない、告示されておらないという実情でございます。  さらに問題は、これは専門病院、職域病院でございますが、三公社五現業というのがりっぱな病院を持っておられます。こういう病院に対しても御協力体制を願いたいというので、目下関係大臣を通じましてお願いをしておるというのが現状でございます。
  70. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 そこで、四月六日に厚生省救急医療懇談会に出されました緊急医療対策現状関係資料、そこに病院の救急告示状況という表がございます。その表の欄、特に国立という欄がございまして、そこが厚生省とその他に分かれておりますね。それでそのその他というところの病院総数が六十というふうになっております。厚生省関係の国立病院の九十四のところは結構ですけれども、その他の国立病院の六十というところを機関別に内訳の数をお聞きしたいと思うんです。六十の内容ですね。
  71. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) この当時出しました資料厚生省以外の国立——六十になっておりますが、いまちょっとその内訳を持っておりませんが、大部分が大学付属病院でございまして、そのほか法務省の病院とか、いろいろ厚生省以外の国立のものがございます。ただ、現在この六十の内訳の数字、手元に持っておりませんので、いまお答えちょっといたしかねると思います。
  72. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 それでは続いてお聞きしますが、私が先日厚生省からいただいた資料、この資料を見ますと、やはり公的病院の救急告示の状況をここに示されておりますが、同じような形式に分けられて、やはり国立という欄で厚生省そしてその他に分かれております。この資料は四十七となっておりますね。この四十七の内訳はどういうふうになっているんですか。
  73. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) 厚生省とその他という分類ですべての統計をとっておりまして、その他の国立の各省別の数字は現在手元に持っておりませんのでわかりません。
  74. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 とってあるのか、とってないのか、まあここではわかりませんと、だけれどもわかってらっしゃるんですか。
  75. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) これは、それぞれの病院から調査表を送ってもらって、それを集計いたしておるわけでございますが、その集計の段階、コンピューターにかける集計の段階で厚生省立とその他という分類で分けておるものでございますので、統計として分類はいたしておりません。ただ、原表を調べればその数字は出てまいります。
  76. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 まあ、そんなことかもしれないと思って、そんな言い方失礼ですけれども、私は調査いたしました。厚生省以外の国立病院の数は昭和五十年十月一日現在で、ちょっとメモしといてくださいよ、あなたも。郵政省十七、電電公社十六、国鉄三十八、専売二、造幣局三、印刷局三、林野二、労災病院三十四、国立大学付属病院二十七、合計百四十二なんですね、私の調査では。それで、その中で救急告示病院の数は労災五、印刷局一、大学付属病院二で、合計八です。この救急告示病院をしっかりつくろうと、こういうことを検討する救急医療懇談会に出した資料が六十という数ですね。それで調べてお聞きしますと、内訳は何だかわかっているような、わかってないような、厚生省から出している資料は四十七、数が違いますね。これは。内訳がわかっていてもいなくても非常に数が違うわけですよ。私が調べた調査はさらに多いわけです、数が違うのですね。この六十とかあるいは四十七とかいうそういう病院から救急告示病院を今後つくってほしいと、つくろうということになっているわけでしょう。それで、できている病院は皆同じ八なんですね。できている数はもうできているんだからいいわけです。これからつくってほしいと、つくらなければならないところの数がこんなあいまいで、それでいいのかと私は言いたいんですね。ただ、自分の厚生省関係の病院の数だけを差し引いて、それで残ったのをその他だと。そのその他の数が問題じゃないですか。その他の数を掌握してなければどの病院にどういうふうに緊急告示病院がつくれるか、そういうことをやっていかなければならないわけでしょう。一体だれの数が、どこに示されている数が正しいか、これはどうなんですか。
  77. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) ただいま先生指摘になりました数字は、三公社五現業が含まれた数字だというふうにいま受け取ったわけでございまして、私がただいま申し上げましたのは、三公社五現業を除きました、いわゆる国立の施設の数を申し上げたわけでございます。したがいまして、それと……
  78. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 ちょっと待ってください。あなたそんなことを言ってちゃだめよ。内容のことはいずれにしても、六十と、あれでしょう、懇談会には六十という資料を出しているんじゃないの。それから厚生省の正式な資料は四十七でしょう。これは内容がどうであっても違っていますね。どっちを正しい数字として今後検討するかって聞いているんです。
  79. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) この数字の違いでございますが、これ調査の時点の違いが一つございます。  それと、もう一つわれわれ数字といたしまして論じます場合に、結核療養所とか精神病院の数を含めた数字と、そういったやはり核結療養所や精神病院はちょっと救急医療関係ございませんものですから除いた数字と、二つ使い分けている場合がございます。  大きな数字の場合は、そういった結核病院等を含めました数字で出したわけでございまして、その後個々の救急医療を論じます場合に、そういった病院を除いた方がいいだろうということで、その結核療養所、精神病院等を除いた数字も使っております。
  80. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 そういう漠然としたことをお答えになるんじゃなくて、ここにちゃんと救急告示状況と、同じように救急告示実施という項目で同じ分け方をしているのですよ。そして一方では六十、一方では四十七と出しているのです。どっちを使うか、どっちが正しいのか。今後救急告示病院をつくることの検討の実態というのですか、資料というものを厚生省はどっちに置いてやっていこうとしているのか。簡単でしょう、決まっているんですから、実際はもうあるんですよ。
  81. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) この先ほどの六十という数字が五十年十月一日に調べました数字でございます。その後委員会をやっております際に、その後さらにそういったただいま申し上げましたような結核とか、そういった数字を除きまして、懇談会の席上出した数字が四十七という数字でございまして……
  82. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 同じ五十年十月一日現在ですよ、両方。五十年十月一日現在。同じ日に調査したものがどうしてこういうふうに違うかと言うのです、六十と四十七と。どっちを正しいと言うのか。それは答えられませんね、いまここで。先ほどちょっとお聞きしますと、内容も余りよく調べていらっしゃらないみたいじゃないですか。報告だけ聞いて、差し引いたのがその他だなんて。そのその他が大事なその他じゃないですか。これから検討するその他ですよ。その他というのはいいかげんにしていいみたいなその他もあるけれども、この問題は、このその他が問題になるところじゃないの。  ここで押し問答していると時間がたってしまいますので、これははっきりと後で——お聞きしたことに対してもちゃんとした御答弁はいただいておりません。その他の内容をお聞きしても、わかってない、わかってないと言うだけですし、わかっていただきたいからお聞きしているのですから、わかってください。これは簡単でしょう、電話かなんかかけて聞けばいいし、資料を取れば全部できていますよ、各三公社五現業その他。それをちゃんと数えてごらんなさいよ。それは非常に貴重な資料に今後なりますでしょう、その他というところが。どうでしょうか。
  83. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) これはいろいろ数字が出ておりまして、混乱を起こしておるわけでございますが、この懇談会の席上最終的に使いました数字が、先生の後でおっしゃった数字を正式に使っております。
  84. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 後で使った数字って何ですか、それを数で言ってください。
  85. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) その他が四十七という数字でございます。
  86. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 四十七が正しいのですね。それじゃ、あなたが出した——あなたというわけじゃないけれども、正式な救急医療懇談会に資料として出した資料は間違っていますね。いいかげんだということですね。おかしいじゃない。まじめに検討している人たちに対して大事な資料をただいいかげんに出して、それで四十七の方が正しいなんて言っていたのじゃ、一体懇談会のよりどころというのがもう全然おかしいということになるじゃないですか。その六十という数と四十七という数の違いは、ただ字で書く数字じゃありませんよ。マルの数じゃありませんよ。全国に救急病院にしなければならない病院が、もういかめしく建っているわけじゃないの。数で幾つと言ったって、これは全国に病院がある。それを数え損なう、見落とす、それを問題にするということは大変な問題じゃないですか。もしそれが救急病院にするのに非常に適切な病院であったとしたのに、厚生省の掌握がいいかげんであったためにそこが告示病院にならない。そういうところこそ厚生省が、あそこはやってもらえないでしょうか、あそこをすることが適当じゃないかということを言う立場でしょう。もう本当に何だかいいかげんなことを言って、ここを過ごせばいいと——まあ、一時間きり質問の時間がいただけないので、次に移らざるを得ないのですけれども、本当だったら、私はあなたと一対一ではっきりしたことをお答えいただくまでは動かないというぐらいの気持ちをいま持っていますよ。いいかげんじゃないの、余り。数さえ合わせればいいというものじゃないでしょう。実態を私はしっかりとつかんでほしいと思う。厚生省関係のところはしっかりつかんでありますよね、ここは。やっぱり自分の管轄ですから。ところが、その他のところは三公社五現業といって、そっちに余り厚生省としてはおせっかいはやきたくないでしょう。またよけいなことも言えないような立場にあるかもしれませんけれども、国民の一番いま要望している救急告示病院をこれからどんどん建てていこう、つくっていこう、そういうふうにしていこうというときに、厚生省が一番本気にならなければならないのじゃないですか。その本気にならなければならない厚生省が実態をつかんでいないということは、進みませんよ、これ。  生意気なことを言うななんてあなた思っているかもしれませんけれども、本当にこれはもっとしっかりやっていただきたい。こういう意味で申し上げるのですから、ひとつよろしくお願いしますよ。後でまたいろいろとお知らせいただきたいと思います。
  87. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) 数字が混乱をいたしましてまことに申しわけございません。なお、今後この三公社五現業等を含めました他の、厚生省立以外の国立の数字等もさらによく調査いたしまして、正確な数字をまとめたいと思います。
  88. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 大臣は一体どの数字を掌握されて閣議に出されたのですか。大変御熱心に閣議でこれを要望されたということですけれども
  89. 早川崇

    国務大臣早川崇君) いま医務局長がお答えいたしました四十七の数字でございます。
  90. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 大臣にも申し上げておきますけれども、懇談会の数と違うのですよ、それ。よろしゅうございますね。またそちらではっきりと内容がわかりましたら、大臣もお目を通していただきたいと思います。  次に参ります。郵政省にお伺いいたしますが、郵政省の病院は現在一つ減ったそうで十六になっておりますが、この病院は救急告示病院になっていない、一般にも開放されていない。厚生大臣が閣議で要望されたということですが、この点についてどういうふうに幾らぐらい救急病院にするつもりか、その点いかがでしょう。
  91. 宮垣明次

    説明員(宮垣明次君) 御説明申し上げます。  郵政省所管の逓信病院は十六ございますが、確かに現在一つも指定を受けるに至っておりません。これは逓信病院が職員及び家族の健康を保持するための機関として設けられておりまして、しかもその実態が年間延べ二百三十万人に及ぶ患者を処理しておるといったような点から、そこに施設面での、また要員面でのゆとりがないといったような状況になっておるわけでございますが、救急医療への協力の問題につきましては、現状においてどの程度その方針に沿い得るかということにつきまして、早急に検討してまいりたいというふうに考えております。
  92. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 すばらしい病院を十六も持っている。それなのに一般には使わせない。しかも診療単価が一点六円である。そういうことで五十年度には百十一億の赤字が出ている。昭和四十六年から五十年までの五年間に三百七十七億の赤字を出しておりますね。この赤字はだれが払っているのですか。
  93. 宮垣明次

    説明員(宮垣明次君) 御説明申し上げます。  いま御指摘のありました赤字は、郵政省の予算の仕組み上、病院等の行う診療業務だけから出たものじゃない、すなわち定期健康診断等の保健衛生上の一般施策等の経費も含んでおるものでございますけれども、いずれにいたしましても、病院等の医療機関の職員の健康を適切に維持し、健全な労働力を確保するために設けておるものでございますので、その運営に要する経費につきましても、事業運営上必要な経費といたしまして、郵政事業特別会計全体の歳出予算全体の中で賄っておるわけでございます。
  94. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 郵政事業特別会計で払っているということは、わかりやすく言えばこの郵政省の病院の赤字は私たちが払っている郵便料金で払っているということですね。国民が払っている。その国民には使わせない、赤字は払わせる。とんでもないことじゃないかと、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  95. 宮垣明次

    説明員(宮垣明次君) この財源といたしましては、先生指摘の郵便料金のほかに、郵便貯金、簡易保険とか、そういったものから繰り入れられているもの等もございますが、いずれにいたしましても、現在の逓信病院というものが郵政職員の健康を保持するという事業運営上の目的のために設けられておりますので、その事業運営上必要な経費としてそれを充てておるという実態にあるわけでございます。
  96. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 私はこうしたことに対して提案をいたしたい。これは郵政省の病院は組合の病院ですから、一点六円でもいいと思います。しかし、これは一般に開放して、一点十円ぐらいで開放できないか。少しは赤字がなくなるんではないか、こういうふうに思っております。いかがですか。
  97. 宮垣明次

    説明員(宮垣明次君) 御説明申し上げます。  逓信病院は職員及びその家族の健康保持といった目的のためにつくられておりまして、その利用対象もそういった者に限定してございます。したがいまして、その施設というものもそういった利用人員といったものに見合うような施設をつくっておりまして、ゆとりがないわけでございます。そのような事情でございますので、この逓信病院を制度として一般に開放するということは、単価の問題は別といたしまして、非常に困難であると考えるわけでございます。
  98. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 こうした赤字は国民に払わしている、こういう点を考えれば、職員のためだから職員のためだからばかり言っていないで、一般に開放したらどうかというこうした提案に対しても、そういう、考えてみよう、検討してみようというような姿勢は全然ないんですか。あなたの立場では答えられないかもしれませんね。
  99. 宮垣明次

    説明員(宮垣明次君) 逓信病院が制度上職員及びその家族の健康保持のためにつくられておる、それからそうした趣旨に応じましてそれに見合うだけの最低の施設を設けておる。したがいまして、実態的に見ましてもゆとりがないという状況でございますので、それを制度的に開放するということは、制度的、実態的に困難であるということを申し上げておるわけでございます。
  100. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 そこで、ちょっと時間がなくなってしまったので、いろいろと細かくお聞きしながらお答えを求めていきたいんですけれども、まとめて——国鉄の場合も郵政省と同じなんてすね。三十八の病院を持っていながら、しかもそうして赤字なんですね。五年間で七百億の赤字——ことしを大体二百億ぐらいの赤字と見込んでですが、こういう内容から、しかもその赤字は国民が払っているわけです。そういうことから考えて一般開放はできないか。また同時に、大臣が要請されたそれにこたえて救急告示病院にできないか。これは国鉄にお聞きしたいのですが。  それから電電公社、これも現在五十年度で百三十万の人を診療しているようでございますが、これも電電公社の関係の病院は十六もある。それでやっぱり二百九十億の赤字を出している。一体この赤字はだれが払っておるのか、国民が払っておる。それならば規則、規則と言っていないで、一般に開放すべきだと思うのですね。また救急告示病院にできないか。これは電電公社にお聞きします。  それから労働省の関係の労災病院、これも全国に三十四ある。で、救急告示病院はたった五つしかございません。これは全病院を救急告示病院にできないか、こういう点をお答えいただきたい。  それから、文部省は大学病院を持っております。これは医学の研究をするところだという大きな目的のための病院であるということはわかりますが、この救急医療の問題は国家的な問題でございますので、大学付属病院二十七、これは救急告示病院にするということは当然だと、このように大学病院には特に私は救急病院の受け入れを強く要望するわけなんです。この点関係者の方にお答えいただきたいと思います。
  101. 石井敬

    説明員(石井敬君) まずオープン化の問題でございますけれども、事情は郵政省の病院とよく酷似しておりまして、職員の健康管理上の問題を主体として職域病院としてできております。したがって、そのための対応で現状の上では手いっぱいでございまして、なかなか一般患者に開放することは困難であるというふうに考えております。また制度上もそれに見合うような形で制度をつくっておりますが、制度的な改正がないと困難であろうと思っております。また救急医療の告示のことでございますけれども、御指摘のとおり全国に三十八の鉄道病院がございますが、これらの病院は規模が非常に小さなものもあり、大きなものもございますけれども、各地方に点在しておりまして、画一的に告示を受けるというふうなことは告示の基準にも合いませんので、なかなかむずかしいことだろうというふうに思っております。ただ、その地方の地域の救急医療の体制の中でどのような形で参加することができるかどうかというふうなこと、地方ごとに検討するように指導したいというふうに思っております。
  102. 岩淵文雄

    説明員(岩淵文雄君) 電電公社の病院は十六ございまして、その目的は、職域病院として職員とその家族の健康を維持することによりまして健全な労働力を確保し、事業の目的でございます円滑な電気通信サービスを提供するために設置しております。その診療の実態も年間約延べ三百万人という非常に多数の患者を取り扱っておりまして、職員、家族等でもすぐ入院等の対応ができないような状況でございます。施設、要員とも一般の方を受け入れる余裕が現在のところございません。また保険の給付の面でも、私ども逓信病院は一般に利用されております健康保険の対象となっておりませんので、給付等の面からも、事実上むずかしい問題があると思います。また救急医療につきましては、さきに述べましたように、病院の診療実態から見ましても、非常に窮屈な状況でございますし、保険給付の面でも料金的な面で患者とのトラブル等も予想されますので、現状においては非常に困難だと思いますけれども、職域病院としてどの程度これらの問題を解決していけるか、今後検討してまいりたいと考えております。
  103. 倉橋義定

    説明員(倉橋義定君) 先生指摘のように、全国に労災病院が三十四カ所ございまして、その中の五つの労災病院が緊急指定を受けております。御承知のように、労災病院につきましては、使用者の負担によります労働保険特別会計のうちの労災勘定の経費によりまして設置をしているわけでございますが、われわれといたしましては、この五つの病院のみならずその他の労災病院におきましても、従来から地元の消防機関とも連絡をいたしまして、緊急医療につきましては協力をして運営をしてきているところでございます。現に各病院とも緊急患者を受け入れて措置しているところでございます。なお、消防法に基づく緊急指定を受けることにつきましては、御承知のような要件があるわけでございます。まあたとえば外科系の医師を常時配置しておかなければならない、当直を含めまして配置しなければならない。それから所要の看護要員を配置する等、いろいろ前提となる要件がございます。また緊急病床の確保、搬入設備整備等が必要でございます。こういうようないろいろな問題がございますが、片やまた労災病院は、その運営費におきまして自主採算制をとるし、また設置費につきましては、労災勘定というような制約もございますので、われわれといたしましては、まあいろいろな指定を受けるための要件整備のためには、別途の財政的、財源的措置が必要ではないかというような問題点を考えているわけでございますが、いずれにいたしましても、労災病院の特質と申しますか、特徴を生かしまして、医療緊急体制の整備につきまして、いろいろ関係機関と協力してまいりたいと思っております。
  104. 齋藤諦淳

    説明員(齋藤諦淳君) 文部省といたしましては、大学付属病院が救急の告示のあるのが非常に少ないということは申しわけないと、このように考えております。従来から大学病院といえども、教育のみならず、地域医療にサービスをするという、その点で十分配慮すべきである、このように申しておったわけでございますけれども、特に本年に入りましてから、救急医療が国会でも再三取り上げられるようになりまして、そういうことも反映いたしまして、私どもといたしましては、この五月に開かれた全国医学部長病院長会議でも申し上げましたし、六月に行われた国立大学長会議でも申し上げましたし、同じく六月に行われた全国の国立大学病院長会議でも申し上げましたし、それからこの十月の初旬に行われました全国の国立の医学部長会議でも、文部省としてぜひ救急医療協力するように申し上げておる次第でございます。  ただ、大学側といたしましては、十分最近は奉仕しなければならないという、そういう意識は出てきたわけでありますけれども、やはり教育病院であるというために、非常に基礎的な体系的なことから学生に教えていかなければならない。それと同時に、応用的なものも一遍に教えなければならないというのは非常につらいことである、こういうことをしきりに申します。それから、研究者としては、自分がいまこういう研究をしておるのに、そこへ、いろいろな日程を組んでおるところに入ってこられては、非常に困難をする、そういう意味でなかなか協力しにくいのだという、そういう言いわけを大学関係者は非常に申すわけでございます。私どもとしましては、結局そういう教育病院なり研究機関として、通常の診療機関と異なる機能を果たしながら、救急医療についても協力しなければならないのではないか、こういうように考えておる次第でありますけれども、その際にやはり地域の医療体系がよほど整備されませんと、いろいろな患者が全部大学病院に来るというようなことになりますと、非常に大きな組織でありますので、機能が混乱する、こういう面がございます。そういう意味で大学病院としては協力はするけれども、ぜひ地域の医療全体の体制をつくっていただいて、そこに大学病院が加担するような、そういうことにぜひしてくれないかという、非常に強力な大学側からの申し入れがございます。なお、私どもといたしましては、院内の救急体制の整備、それが大学の合意が得られたところから、できるだけ行っていきたい、このように考えておる次第でございます。
  105. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 お聞きしておりますと、非常に消極的だというふうに言わざるを得ません。そういう点、来年は救急医療を目玉としてやるというほどの力の入れ方の厚生省は、もっともっとこれに対して腹を決めなければならないと思います。そういう点で、大臣もここにおいでになって関係者の方々のことをお聞きになったのですから、一言お述べいただきたいと思います。
  106. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 率直に申しまして、文部省のお答え以外は私も非常に不満足な気がいたします。閣議におきまして、郵政大臣、運輸大臣初め労働大臣が大変積極的に、総理の御指示もありまして、御協力を約束されたにもかかわらず、担当の方々が非常に消極的だというので、実は驚いて聞いておったわけでございます。なるほど、この逓信病院その他は職域病院でありますが、同じことは市民病院も市民だけじゃなくって、市部以外の人が来られたときも診療しておるわけです。昨日ある佼成病院に行きましたら、信者の治療が二、三割で、あとは一般の人の治療にも当たっているということでございますし、全部オープンにしろと私はお願いしているのじゃなくて、せめて夜間、休日の救急医療だけは御協力を願いたい、それがやっぱり地域社会の中に、たとえばあそこに市ヶ谷ですか、四谷に逓信病院ありますね。ぽつんとりっぱな病院建っているのだが、交通事故で死にかかって、夜の夜中に担ぎ込むというと協力しないと、こういうことが愛される国鉄、愛される郵政になるだろうかということですね。ですから、われわれ税金をずいぶん払って、赤字を埋めているのですから、国鉄に対しても、電電に対しても。先ほどの柏原先生指摘のとおりですから。全面的にオープンにしろというのは無理かと私は思います。しかし、夜間及び救急のときぐらいはひとつ御協力いただきたい。国立大学の付属病院も御協力するというのでございますから、そういう意味でひとつ関係各省、この委員会の気持ちなり要望にこたえて、やはり御検討賜りたいと、私、大臣としてそういう感想でございますので、一言お答えさせていただきます。
  107. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 次に、救急医療センターについてお伺いいたします。これは厚生省では昭和四十二年から五十年までの間に全国に二百十四カ所を整備したと、こういうふうに言われておりますが、どういう目的で、どんな仕事をやったか、またその実績はどうなのか、現在はどうなっているのか、これをかいつまんでお願いいたします。
  108. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) 従来、厚生省の方で救急医療体制といたしまして整備いたしましたのは、この交通外傷等を対象といたします、いわゆる外科系の医療施設救急医療の体制を整備してまいったわけでございまして、その第一次救急医療体制といたしまして、救急告示病院、救急告示診療所を整備いたしたわけでございます。ただ、この交通外傷等におきましては、さらに頭部外傷の患者——頭の外傷の患者かおるわけでございまして、そういった意味におきまして脳外科の手術設備を持った病院をさらにこの救急医療センターとして整備を図ってまいったわけでございます。したがいまして、この救急告示施設の中におきましても、脳外科の手術の可能な施設救急医療センターという名前で特別に整備をいたした、かような関係になっております。
  109. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 現在はどうなっておりますか。
  110. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) 現在どうなっているかということでございますが、全体といたしましてやはり労働状況等が非常に逼迫をしてまいっておりまして、救急告示全体として見ました場合に、特に診療所の方では救急告示を辞退するというような事例も出ておるわけでございまして、ただ病院の方につきましては非常に各都道府県その協力についての努力を払っておりまして、病院の方は大体横ばいという、こういう状況になっております。
  111. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 救急医療センターとして二百十四カ所を整備したわけでしょう。それは現在どうなってますかとお聞きしているんです。
  112. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) 救急医療センターとして取り扱っておる患者について申し上げますと、現在入院といたしまして七千九百十一人、それから外来で五万四千三百六十七人というような患者の取り扱いになっておりまして、そのうち交通事故患者が二百六十六名、七百十九名、それぞれそういったことでございまして、一施設一日当たりの取り扱い患者が入院で十・九、それから外来で七十四・七、こういうような患者の取り扱いになっております。
  113. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 私がもう少しお聞きしたいことは、この二百十四カ所は救急医療センターとして現在も活動しているんですね。それで、ことしはその二百十四カ所に毎年予算を出しているように予算も出してずっと続けてやっている、それともやめたのか、どちらですか。
  114. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) これちょうど今回救急医療懇談会から答申をいただきまして、新しいシステムに変えつつあるところでございまして、ちょうど過渡的な状況になっておるわけで、ただこの救急医療センターは先ほども申し上げましたように脳外科の設備を持っている非常に優秀な病院でございますので、この部分は今後とも大いにこの救急医療の面で活躍願いたいと考えておるところでございまして、従来からもこの救急医療センターの整備には努力いたしておりますし、さらに今後はこれが新しいシステムの中で恐らく第二次救急医療、またその中でも特に設備の整ったものは第三次救急医療施設としての救命救急センター、そういったところに整備されていくんではないかと考えておりますが、いずれにいたしましてもこの救急医療センターというものを、名前は今後変わるかもわかりませんけれども設備としては十分活用して、なおその充実に努力してまいりたいと考えております。
  115. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 消防庁は、厚生省がこういうことを決めた、またそれに対して第二次的なものを考えているというようなことについて意見を聞かれたのですか、また連絡を受けていらっしゃるか。具体的に言うと、東京十三カ所がございますが、そういうものがあるということ、そしてそれは活用されているのか、消防庁はいかがですか。
  116. 持永堯民

    説明員(持永堯民君) 先ほどお話ございましたように、昭和四十二年からだったと思いますが、救急医療センターができ始めたわけでございますが、これにつきましては当然私どももそういう御計画をお聞きしておりますし、各地方といいますか、各市の消防本部におきましてもどこに救急医療センターがあるかということは当然知っておるわけでございます。ただ、救急医療センターをどの程度活用しておるかということにつきましては、これはもっぱら外科系については救急医療センターを活用するようなところもございますし、あるいはそのほかにもいろいろりっぱな病院があるところではほかの病院も活用するということで、必ずしも画一的なものではございませんけれども、いずれにしても相当活用しておることは事実でございます。
  117. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 厚生省が新たな考え方でこの救急医療センターも考えていく、いままでのは第一次として、今度第二次というようなものも考えていこうというわけですね。そういうときに、東京の消防庁は昨年の四月に日本医大千駄木病院、東邦医大の大森病院、武蔵野の日赤病院、こういうものを独自に発足させている。片方は考え直そうというときに消防庁の方は新たに出発していると。厚生省の方は救急患者の手当てですね、それをどうするかという中身の問題だと思うのですね。消防庁の方は運ぶ方だと思うんです。この両者が密接に連携をとっていなければ、厚生省が非常に力を入れているところがそれが活用されない。また厚生省も消防庁の迅速に的確に手当てが受けられるような要請というのですか、そういうものはしっかりやっていただかなきゃならないと思うのですね。そういう点で厚生省はこうした問題を救急医療体制の整備に当たって、またこれからいろいろ考えることについても、消防庁の意見を聞くのか聞かないのか、また聞いていらっしゃるんでしょうか、ちょっとその点疑問を持っているものですからお答えお願いします。
  118. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) 本年四月から発足いたしました厚生大臣の私的諮問機関でございます救急医療懇談会にも、消防庁並びにこれは医学教育の問題もございますので文部省の方にもお話し申し上げまして、消防庁それから文部省からも御参加願っておるわけでございます。特にまたそれぞれの官庁の先輩の方にも委員として御参加願ったわけでございます。ただいま先生指摘日本医大の病院、東邦医大、それから武蔵野日赤、これは消防庁の方でも非常に御努力なさって、非常にりっぱな救急施設としての整備が行われておるわけでございまして、今回のわれわれの懇談会におきましてもこの病院が一つの参考になりまして、第三次救急医療施設としてこういったものを今後全国的に設置をする必要があるであろう、こういう結論が出まして、第三次救急医療施設という一つの考えがあの答申の中に盛られたわけでございまして、従来も十分連絡はもっておりますが、今後もさらに連絡を密にいたしましてこの救急医療システムの作成に努力いたしたいと思います。
  119. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 救命救急センターの質問は次回に譲って、これで終わります。ありがとうございました。
  120. 粕谷照美

    粕谷照美君 私は午前中の田中委員の質問に継続をいたしまして、具体的な問題についてお伺いをしたいというふうに思っております。  最初に警察庁の防犯課長にお願いいたします。  昭和四十八年の九月の二十六日官報一四〇二六号の付録にありますように、トルコ風呂における売春の実態というものは非常に大変な問題があるというふうに考えているわけですが、そのトルコ風呂における近年の売春状況というふうに言いましょうか、営業状況というふうに言った方が正しいのでしょうか、それについて警察庁はどのような把握をしていらっしゃるか。そして、またそれに対する取り締まりというものは、具体的な検挙数なども含めましてどのようになっていらっしゃるか、説明をお願いいたします。
  121. 長岡茂

    説明員(長岡茂君) まず、トルコぶろ営業の現況でございますが、昨年末現在で全国千二百三十九軒でございます。これが四十一年の例の風営法四条の四が制定された当時の営業所数七百六軒に比べますと、五百三十三軒の増加になっております。  それから、御参考までにトルコ嬢の数でございますが、これも昨年末現在で全国で約一万七千名というふうに承知しております。トルコぶろにおきます売春でございますが、昭和五十年中のトルコぶろ営業関係の売春の検挙件数は三百件、人員にして百七十五人でございます。これは昭和四十八年以降大体横ばいの状態でございます。   〔委員長退席、理事浜本万三君着席〕  それから、この検挙された業者の数で申しますと、全体の約六・三%に当たる七十八の業者が検挙されております。  なお、その売春の内容でございますが、管理売春、場所提供につきまして見てみますと、昭和四十一年中は千九百九十二件の全体の違反件数のうち売春事犯違反件数は五十三件、二・七%でございましたが、昭和四十八年には七百三十七件中の三百二十四件、四四%。五十年には六百三十八件中の三百件、四七%というふうに、管理売春、場所提供というような違反の形態が増加してきておるという状況でございます。
  122. 粕谷照美

    粕谷照美君 警察庁は実際にこの売春行為があるということと、その検挙数との関連をどういうふうに見ていらっしゃいますか。非常に少ない、実態はもっともっとあるんだけれども、これで精いっぱいだったというふうに見ていらっしゃるのですか。大体こんなものだろうというふうに見ていらっしゃるのですか。
  123. 長岡茂

    説明員(長岡茂君) 私どもは警察が検挙した件数が売春関係事犯のすべてであるとはもちろん思っておりません。しかし、この何倍の暗数があるかどうか、この辺についてははっきりここで申し上げられるような根拠のある数字を持ち合わせておりませんけれども、かなりの暗数があるんではないかというふうに考えます。
  124. 粕谷照美

    粕谷照美君 いま資料をお持ちじゃないでしょうか、過去十年間ぐらいにおけるそれぞれの事犯別検挙数のようなものは。
  125. 長岡茂

    説明員(長岡茂君) 過去十年間のというお話でございましたが、ちょっといま持ち合わしておりませんが、四十九年と五十年の件数を申し上げたいと思います。  四十九年中売春関係事犯の検挙の総数でございますが、四千六百二十八件、三千二百四十人。昭和五十年になりますと五千五十件、三千二百四十一人でございます。
  126. 粕谷照美

    粕谷照美君 私が調べたこの数字を見てみますと、やっぱり昭和四十一年、二年、三年度に比しまして、売防法あるいは刑法、職安法、児童福祉法と、こういうもので検挙された数字というのは激減をしているんですね。その激減をしたという理由は一体どういうことなのか。労基法関係はもう皆無に等しいわけなんですけれども、その辺のところはどういうふうにお考えですか。
  127. 長岡茂

    説明員(長岡茂君) この売春防止法が施行されましてから、かなりの年数になるわけでございますけれども、トルコぶろ営業につきましては午前中の御質問でもちょっと申し上げたのでございますが、このやり方が非常に巧妙化しているということで、警察の捜査が非常にむずかしくなってきているということであろうというふうに考えます。
  128. 粕谷照美

    粕谷照美君 私は本当にそうだというふうに思います。やり方が巧妙化しているということについては資料もありますから、なるほどこういう中で御苦労されている警察官の方は、本当に大変なんだということがわかるわけなんですけども、もう一つ警察官そのものの姿勢について大変非難を受けているような部分はありませんか。
  129. 長岡茂

    説明員(長岡茂君) 私どもはそういうふうには考えておりません。一生懸命やっておるつもりでございます。
  130. 粕谷照美

    粕谷照美君 私もそういうふうにあってもらいたいというふうに思うのですけれども、ここに売春問題と取り組む会のニュースがありまして、そこのところでトルコ嬢そのものが駆け込んで訴えているわけですね。そうしますと、その業者がやっぱり警察官を抱き込んでいるという事実があるわけですよ。そういうことについて取り組む会の人たちが警察に電話をしますと、言を左右にして答えてくれない、こんな事実があるわけですが、そういうようなものはもうこれからは絶対になくしていくというようなお考えで、どのような態度、指導をなさるか、その辺の決意のほどをお伺いしたいと思います。
  131. 長岡茂

    説明員(長岡茂君) トルコ嬢その他被害者から警察に訴えがあって、それを取り上げないとか、言を左右にして明確に取り合わないというようなことでございますが、私はそういう事実はあっちゃならぬと思いますし、そういうことのないように指導しております。具体的なことは私ども寡聞にして余り聞いておりませんけども、御指摘があれば調査いたしたいと思っております。
  132. 粕谷照美

    粕谷照美君 あなたまだ私の質問に答えていないわけですよね。売防法や刑法あるいは職安法、児童福祉法等が昭和四十一、二、三年ぐらいに比べて激減をしてるという、そこのところはなぜかということに対して。
  133. 長岡茂

    説明員(長岡茂君) 検挙件数が激減しているというのはなぜかということでございますが、これは決して警察が取り締まりの手を緩めているということではございませんで、これは先ほど申しましたように業者、それから従業員のやり口が非常に巧妙化しているということ、それから遊客、遊び客の協力が得られないということ、それからトルコ嬢に売春が罪悪であるという、そういうふうな感覚が低い人もかなり見られるというようなことから、捜査が非常に困難しているということだろうと私どもは考えております。
  134. 粕谷照美

    粕谷照美君 それじゃ、ちょっと具体的にお伺いしますけれども、ことしの六月の二十五日の日に少女がタクシーをただ乗りして名古屋から新宿まで五万円無賃で来たというようなニュースが載ってまして、そのときは何げなく見過ごしていたわけですが、その後の新聞にですね、その少女というのは一体なぜただで乗ってきたのかということについての調べがあるわけですね。まあ、この人はいろいろな経過を踏まえながら名古屋に遊びに行ったら、しばらくすると持っていたお金がなくなったので、岐阜の柳ケ瀬のトルコぶろで住み込んで働くことにした。ところが、トルコぶろの支配人らが売春をしろと迫ってきて、断ると暴力をふるうためにこわくなって、二十五日の夜に店を逃げ出して東京に帰ろうとしたというふうに新聞記事は書いているわけです。この辺のところをお調べになりましたか。そして、どのような対策をおとりになりましたか。
  135. 長岡茂

    説明員(長岡茂君) ただいま御指摘の新聞記事でございますが、私どもの調べによりますと次のようなことになっております。この事件は本年の六月二十五日にタクシーの無賃乗車の捜査から明らかになったものでありますが、十九歳の少女が同棲中の二十九歳の暴力団員に勧められまして、岐阜市内のトルコぶろ——ゴールドでございますが、に勤めたわけでございますが、体の調子が悪いために二日間働いたのみで、名古屋に住んでおる暴力団員のもとに戻ったわけであります。ところが、その暴力団員に覚せい剤を打たれまして、再びトルコぶろで働くように強要されましたので、タクシーで東京まで逃走したという事件でございます。  それで、事件の措置といたしましては、まあ一応無賃乗車という件がございますので、これはこれで事件を処理してございます。  それから、相手方の暴力団員につきましては、覚せい剤取締法違反でことしの十月の一日に逮捕いたしまして、身柄つきで検察庁に送致しております。
  136. 粕谷照美

    粕谷照美君 そうしますと、この新聞はまあ早とちりで、業者から売春を強要されたというふうに書いちゃったというふうに理解をしてよろしいのですね、そういう事実はなかったと。
  137. 長岡茂

    説明員(長岡茂君) 私どもの調べでは、この暴力団員に強制されたというふうに承知しております。   〔理事浜本万三君退席、委員長着席〕  なお、業者の方に売防法違反事件がありますれば、もちろんこれは捜査するわけでございますが、その辺のまあ知情性といいますか、立証がいろいろございまして、いまのところまだ処理しておらないというふうに承っております。
  138. 粕谷照美

    粕谷照美君 私はそういう姿勢が問題だというふうに思うんですよね。具体的にこれだけのことが出ているのに相手のことを調査もしない。その該当の少女と、それからその相手のひもの人と、これだけしか調査をしないでね、いるというところに、やっぱり私は警察のその姿勢の問題があるというふうに考えます。以後厳重に取り締まっていただきたい。そうでないようなものにはもう物すごい勢いで警察は取り締まるのにね、こういうことには大変緩やかじゃないかというふうにみんな思っているわけですよ。きちんとするように要望いたします。  それでは確認をいたしますけれども、トルコぶろには個室の設備として浴槽や蒸しぶろがあるけれども、そしてまた、入浴は二次的なもので一般に売春行為、これに類似する行為が公然と行われているというふうに私たちは思うのですが、売春が行われていないというトルコですね、健全営業のトルコというのがありますか、おたくの調査で。具体的にはどこのどういうようなところ、たとえばというふうにお答えいただけますか。
  139. 長岡茂

    説明員(長岡茂君) 具体的にどこの店が健全にやっているかというのは、私どもは把握しておりません。店の名前は把握しておりません。
  140. 粕谷照美

    粕谷照美君 名前はじゃあ結構ですから、ありますと、大体幾つぐらいありますというふうに言われますか。何%程度で結構です。
  141. 長岡茂

    説明員(長岡茂君) その辺、まあ自信を持って何%と言うことはちょっとできかねるような状態でございます。
  142. 粕谷照美

    粕谷照美君 じゃあ一〇〇%売春が行われているというふうに考えてよろしいですか。
  143. 長岡茂

    説明員(長岡茂君) これも一〇〇%全部やっているということは、実際に一〇〇%調査してございませんので、その辺もまた一〇〇と言い切るのは問題があろうかと思います。
  144. 粕谷照美

    粕谷照美君 じゃあ、あなたこれから調査をしてください。どうですか。
  145. 長岡茂

    説明員(長岡茂君) 警察が捜査するためには、いろいろな情報をあらかじめ収集いたしまして、それに基づいて行うわけでございますので、御趣旨に沿いまして広く捜査を進めていきたいというふうに考えております。
  146. 粕谷照美

    粕谷照美君 大変でしょうけれども、ぜひお願いをしたいというふうに思うのです。  午前中の田中委員の質問に対しても法務省の方が、すべてのトルコでその売春が行われているということであればというふうに、大変前向きな御説明もいただいておりますので、私どもは勇気を持ってそれを根拠にこれから運動を続けていきたいというふうに思いますから、ぜひ精力的にやっていただきたいというふうに思います。できれば、こういうのが模範的なトルコぶろだというような営業状態がありましたら、名前なども教えていただいて、私はぜひ見学にやらせていただきたいというふうに思っているところです。  では、次に移りますけれども、トルコ嬢とその業者との関係についてお尋ねしますけれども、現実的にはこの両者の間に管理関係があるというふうに見てよろしいでしょうか、いかがですか。
  147. 長岡茂

    説明員(長岡茂君) すべての業者とトルコ嬢との間にそういうふうな関係があるということは言い切れませんが、そういうふうな関係のある業者は相当あるんじゃないかというふうに考えます。
  148. 粕谷照美

    粕谷照美君 それにしても、私はほとんどと言っていいくらい、もう一〇〇%管理関係にあるというふうに理解をしているのですけれども、先ほどの御報告にありました、それにしてもこの管理売春で検挙されるという数が非常に少ないように思うのですよ、他の検挙に比べて。その辺はいかがですか。
  149. 長岡茂

    説明員(長岡茂君) これはあくまで立証の問題だと思うのでございます。比較的件数の多いのは場所提供、立証が容易であるということでやっておりますけれども、管理売春はその他いろいろなむずかしい問題がございまして、比較的容易な場所提供の方で検挙しているというのが実態だろうと思います。
  150. 粕谷照美

    粕谷照美君 私もその辺はそういうふうに考えていました。大変犯罪が巧妙になってきているわけですから、そういう状況しかとれないのではないかというふうに思いますけれども、しかし、その先ほどお話ししました官報第一四〇二六号の最後のところにこういうことがあるわけですよ。「売春防止法に対する最近の挑戦的行動については断固たる措置を継続的に講じていくことになろう。」と、政府としてはなかなか思い切った大変勇ましい態度を示されているわけですが、こういう巧妙化していくものに対して警察庁はどういうふうな対処をして——手の内を明かすということも問題があろうかと思いますけれども、いこうとされていますか。予算措置だとか、人員配置だとか、その辺のところも含めてお伺いしたいと思います。
  151. 長岡茂

    説明員(長岡茂君) これは犯罪の手口が巧妙化していくというのは売春防止法関係だけでございませんで、その他いろいろな特別法違反がそういうふうな傾向になっております。したがいまして、私どもといたしましては担当者の研修会あるいは講習会、そういうようなものを毎年繰り返して、捜査技術の向上に努めておるような次第でございます。
  152. 粕谷照美

    粕谷照美君 それでは、最後に二つまとめてお伺いいたします。  トルコ嬢と暴力団というものは非常に深いかかわり合いを持っているというふうに思います。トルコぶろにおける役務の提供の女性とひもあるいは暴力団員との関係、さらに業者と暴力団との関係などによる売春の役割りというのは一体何を果たしているのか。搾取が非常に増大しているというのは一体どういう理由なんだろうかということを、警察としては把握をしていらっしゃるかということが一つ。  それから個室付浴場業の実態は、いま売春の温床になっているというだけじゃなくて、火災だとか、嬰児殺しだとか、死体遺棄など、まさに凶悪犯罪の温床になっているということを警察庁はお認めになりますか。そのことと同時に、そういう実態を厚生省はお認めになりますかという質問をいたします。
  153. 長岡茂

    説明員(長岡茂君) トルコぶろと暴力団との関係でございますが、暴力団がどのようにトルコぶろ営業に介入しているかということにつきまして、必ずしも明確には把握してございませんが、一応昨年の十月末で調査したところによりますと、千二百二十四軒の営業所のうち、約一〇%の百二十二軒が何らかの形で暴力団と関係があるという結果が出ております。その内訳は、暴力団が経営しているものは十四軒、暴力団が事実上経営していると認められるもの、これは内妻名義とかそういうようなものでございますが二十六軒、暴力団員が従業員として働いているものが八軒、何らかの形で暴力団とのかかわりがあるもの七十四軒、総計百二十二軒というふうに把握しております。  暴力団がトルコぶろ営業にこのような介入をしているというのは、やっぱり売春には搾取がつきものでございますので、それによって彼らの資金源を獲得するというところにねらいがあるというふうに考えております。  それから、トルコぶろの中での犯罪でございますが、これは全くないということではございません。それはもちろんございますが、特にトルコぶろにおいて売春関係以外の犯罪が特に多いというふうには考えておりません。
  154. 粕谷照美

  155. 松浦十四郎

    政府委員(松浦十四郎君) 私ども数字的には把握しておりませんが、やはりトルコぶろは暴力団と関係があるとか、あるいは売春が行われているということについて、そういうことがあるであろうというふうに聞いておるだけでございまして、数字的には把握しておりません。
  156. 粕谷照美

    粕谷照美君 数字的に把握していないでもいいですけれども、聞いてますなんていう返事ありますか。そういう態度だから、私は厚生省がきちんとした対策がとれないのじゃないかというふうに思うのですけれどもね。実態はそうなんだというふうにお認めになりますか。単に聞いていますと言うだけですか。もっとも、あなたは経験者でないから知りませんというふうにお答えになるのですか。いかがですか。
  157. 松浦十四郎

    政府委員(松浦十四郎君) 私どもの厚生行政のルートでまいりますと、これが売春とかそういったようなことに関しまして調べておるわけでございませんので、具体的に知らないと、こういう意味合いで申し上げたわけで、確かにそういうことかあるであろうということは想像——想像といいますか、予想しておるところでございます。
  158. 粕谷照美

    粕谷照美君 じゃ労働省にお伺いをいたしますけれども、トルコぶろ業者とトルコ嬢との関係というのは、これは一体使用者と従業員というのですか、そういう関係になりますか、労働基準法が適用されますか。
  159. 倉橋義定

    説明員(倉橋義定君) 一般的に労働基準法によります労働者の概念でございますが、いわゆる適用事業所に使用されている、で賃金を受けている者というものでございまして、トルコ営業、いわゆる個室付の公衆浴場につきましては、適用事業であることは間違いないわけでございます。ただ、労働者の判断につきましては、やはり実態に即して実態判断をするわけでございまして、その間使用の実態、われわれ使用従属関係と呼んでおりますが、その使用従属関係が個々の具体的にどういうように存在しているか、また受けるのが賃金としての形態を整えているかどうかというようなことで、実態的な把握をしてみないとわかりませんが、一般的に申しまして、トルコ営業業者とトルコ嬢とは労働者・使用者の関係にあるものと思われます。
  160. 粕谷照美

    粕谷照美君 そういうことになりますと、一般的に言えばそういう関係にあるということになれば、労基法が適用されるというふうに考えるわけですね。いかがですか。
  161. 倉橋義定

    説明員(倉橋義定君) いま申しましたように、使用従属関係及び賃金の支払い関係があるということになりますと、労基法の適用がございます。
  162. 粕谷照美

    粕谷照美君 そうしますと、その労基法違反という事実があるというふうに労働省としては見ていらっしゃるか、あったとすればどのような指導が行われてきたかということを具体的にお教えください。
  163. 倉橋義定

    説明員(倉橋義定君) トルコ営業関係につきましての、労基法に基づく監督並びにその違反状況でございますが、労働省におきまして全国的な規模で労基法違反につきまして把握したことはございません。私ども個々のトルコ嬢等から申告等がございますと、現地の監督機関としましては労働者性の判断をいたしました上で、各事業所へ参りまして違反の有無につきまして監督を行い、所要な措置を講ずるということになっております。
  164. 粕谷照美

    粕谷照美君 申告があるとそういうふうにやるというふうにお話がありますが、申告は一体昨年一年間でどのくらいありましたか。
  165. 倉橋義定

    説明員(倉橋義定君) 具体的な資料は持っておりませんが、考えますところ、トルコ嬢からの申告はあっても数件、またはないかもしれません。その点の事情につきましては把握しておりません。
  166. 粕谷照美

    粕谷照美君 私は労働省も非常にちょっと怠慢じゃないかというふうに思うのですけれどもね。たとえば年少労働者の違反の問題がありますでしょう。それから職安法違反、これらが具体的に上がっているのに申告を待たなければだめだとか、そういう態度じゃ困るのじゃないですか。
  167. 倉橋義定

    説明員(倉橋義定君) 具体的に年少労働者の深夜労働または就業制限違反等の違反事実が指摘があった場合につきましては、監督機関としてはそれにつきまして必要な調査または捜査活動に入るということになっております。ただ、具体的に私もいまトルコの従業員関係で局署でそのような実態を把握し、または監督したかということにつきましては、本省に上がってきた資料がいまのところございませんで、あるということが申し上げられませんし、また考えるところ余り全国会議等で話題にならない、なっておりませんで、恐らく皆無ではないかという感じでお答えいたしているところでございます。
  168. 粕谷照美

    粕谷照美君 私は労働省は非常に冷淡で、傍観者みたいな立場にいるのじゃないかというふうに思うのですよ。この売春問題というのは、ひとつ警察の問題だけじゃなくて、厚生省だけの問題じゃなくて、そこに働く人たちを抱えている、そういう労働省の問題でもあるというふうに私たちは考えているのですけれども、本当にそういう意味ではまことに残念な態度だと言わざるを得ません。そういうことも含めまして、この売春防止法ができるときの労働省の婦人少年局の働きなんというのは大変なものがあったわけですね。それから、厚生省におきます社会生活局の活躍なんというのは大変すばらしいものがあった。今回「売春防止法と共に」二十年を歩んでという相談員の方たちの、本当に胸を打たれるような本が刊行されていますけれども、その本を読むにつけても、いまの労働省や厚生省の態度というのは私は大変問題があるというふうに思うんです。特にトルコ嬢は、男のトルコ嬢というのはいないわけですからね。婦人労働者の問題です。その婦人労働者を抱えているという婦人少年局が大変冷たいんじゃないかということが言われていますので、ここで皆さんちゃんと耳にしていただいて、どのような対策をとったらいいかということを後で検討してください。  これは「売春問題ととりくむ会」からの要望書なんですけれども、ずっと前の方を略しまして「労働省婦人少年局は、戦後、新たに設けられ、婦人のかかえる問題に鋭意とりくんでこられましたことは、自他ともに認むるところでありましょう。とくに売春問題においても積極的に活躍し、他に先んじて活動をすすめてこられたことは、同じくこの問題に携わってきたものとして、おおいに多とするものであります。」これは過去をほめているわけです。「その後、業務も拡大し分野も幅広くなった故でしょうが、婦人問題の原点ともいうべき売春問題に熱意がみられないことは甚だ残念であります。」こういうふうに書いております。婦人少年局長来ておられないというふうに思いますけれども、私も何回かお伺いしたんですが、本当に何というんですかね、よそ事のような感じでもって対処をしておる。婦人少年局そのものがそれだけの権限がないとおっしゃればなるほどそうかもしれませんけれども、しかしそれにしても積極性というものはもっと別な意味でちゃんと形にあらわれるものだということを考えておりますので、これからの御努力を心から期待をいたします。  それでは、時間がありませんから次に移ります。大臣よろしいですか。売春対策審議会というのがありますね。審議会令によれば、「内閣総理大臣又は関係大臣の諮問に応じて、売春対策に関する重要事項調査審議する。」、二項として「前項の諮問に関連する事項について、内閣総理大臣又は関係大臣に意見を述べることができる。」というふうに、こう書いてありまして、内閣総理大臣あてに昭和四十八年七月二十四日、これはトルコぶろ営業に対する対策強化について、同じく総理大臣あて四十九年七月四日、法規制の要望について、それから四十九年の七月二十九日、法令検討について、それから五十年の四月三日もさらに答申を出しているわけですが、こういう審議会の意見というのは聞きおくという程度だけでよろしいのでしょうか。それから、総理大臣に要望書が出されているわけですが、総理大臣の方から厚生大臣の方に何かおまえのところで少し何かやったらどうだろうかというような通知なりお言葉なりがありましたでしょうか。
  169. 松浦十四郎

    政府委員(松浦十四郎君) この売春対策審議会の要望書ということで、審議会の方から内閣を通じまして私どもの方へ文書が回っております。
  170. 粕谷照美

    粕谷照美君 参ってますだけじゃ困るんで、その参ってましたことについてどのようにやったかということをお伺いしたいわけですが、具体的に五十年の四月三日に出されたその文書の最後のところを読んでみます。「しかるにトルコ風呂営業の実態は、いっこうに改められず、今や集娼地区復活のそしりを受けるに至っている。  売春防止法制定の趣旨から判断して、かかる状態はこれ以上看過できない段階であるといわざるをえない。この際このような現状を早期に解決するため、関係行政機関は、関係立法を迅速に改正することに関してあらゆる施策を講ずるよう重ねて強く要望する。」とあります。よろしいですか。これを解決するために「関係行政機関は、関係立法を迅速に改正することに関してあらゆる施策を講」じよとありますが、厚生大臣おやりになる決意がありますか、いかがですか。
  171. 松浦十四郎

    政府委員(松浦十四郎君) 先生指摘のとおりに、売対審からそういう要望をされたわけでございます。それで私どもといたしまして引き続きこの問題を検討してきたわけでございますが、すでに先生承知のとおり公衆浴場法に基づきまして個室を禁止するということは、これはいろいろ憲法上の問題もあるわけでございます。また今度は異性の役務を提供するという問題につきまして検討いたしましても、これはるる申し上げておりますように、いわゆる衛生を目的とした法律の中でこういう問題を取り扱うということは、どうしてもなじまないというふうに厚生省としては現在考えておりまして、そこで私どもとしてはやはり現在の時点におきましては、従来の関係法令につきましてこれを活用して、そしてできるだけ措置を講じていくということしかないのではないかというふうに考えております。
  172. 粕谷照美

    粕谷照美君 大臣、お答えになるのですか。
  173. 早川崇

    国務大臣早川崇君) これも私も十数年間いろいろ関係をお聞きしておるのでございますが、厚生省というのはどうしてもこれは衛生面を主体とした役所でございますし、行政でございますので、売春という問題は犯罪を構成するわけでございます。風俗営業等取締法ということで警察当局が検挙できるわけでございます。したがって厚生省といたしましては、公衆衛生の面からできる限りの指導をいたしておるというのが現状でございまして、それ以上のことはひとつ取り締まり当局に御質問賜りたいと思います。
  174. 粕谷照美

    粕谷照美君 大臣、そんな答弁じゃだめなんですよ。もう看過できないところまで来ておると、これは四回目の勧告なんですよ。もしその勧告を受け入れないとするならば、こんな売対審なんというものは税金使う無用の長物だという結論になりはしませんか。繰り返し巻き返し同じことを意見勧告をしているのに、それについて討議したけれども、いままでと同じだというのだったら、本当にこの売対審なんというのはなくても結構だということになりはしませんか。私はその意味も含めまして、何も厚生省だけでやってくださいなんということをこの売対審は言っているわけでありませんから、厚生省関係ないなんていうことは言われないのです。先ほどからの質疑討論の中でよくわかったと思いますけれども関係もあるわけですから、ぜひその他の省庁と一緒になりまして、十分これにこたえるような施策というものをやっていただきたいということをお願いをします。  そして最後に、時間がありませんからひとつ質問をいたしますが、厚生省でも警察庁でも結構ですけれども、トルコぶろ業者の組織を把握しておられますか。銭湯の組合と同じような組織になっているでしょうか。あるいはトルコのようなところで純正熱気浴場協会というものも存在をするわけですが、その辺のところはつかんでいらっしゃいましょうかということが一つ。  それから、そういう業者の組織であります滋賀県の特殊浴場協会、ここは六百人いて灯会というのをつくっているのだということが週刊新潮に出ておりまして、私ちょっと意見を求められたのです。答えたこと以外のこともいっぱい書かれちゃってずいぶんまいってはいるのですけれども、しかし、事実として日赤にこの浴場協会から献金が——献金というのですか何ですか、寄付が行われておりまして、銀色有功章という賞状をもらっているのですね。その賞状を下さった人が何と日赤の総裁の代理であって某妃殿下でいらっしゃる。それをまた喜んで写真を撮ってこの浴場協会のところに掲げておいて自慢をしているというような話がありまして、売春が行われていることが一〇〇%近いというトルコぶろ業者が、そういう献金をすることで自分たちの罪悪感を消したつもりかもしれませんけれども、そんなことをまた喜んでもらっているところももらっているところです。滋賀県においても福祉施設に寄付をしていらっしゃるというのですが、寄付そのものはきれいかもしれませんけれども、私はここにコピーを持っているのですが、トルコ嬢が一日に何人のお客をとって幾らもらったかというふうなことと、どういうようなものにお金を出したかというふうなことを記録している家計簿というんですか、出納簿というのがあるんですが、その中にちゃんと日赤分として何百円、何千円というのが入っているんですね。だから、これは単なるその辺に愛の何か泉みたいのがあって、お金を、小銭を投げ入れるなんてもんじゃなくて、業者がちゃんと取ってて、そしてそれを寄付するわけですね、日赤に。人道的立場でなんと言っている日赤が、世界に恥じるようなところからお金をもらうなんて、そんなだらしのないことじゃ困るというふうに思うんですよね。それは厚生省がきちんとどういう業者があるのかということぐらい調べていないから、厚生省関連の深い日赤では喜んでそうやってお手ずから表彰状なるものを出しているというふうなことになるんじゃないですか。売春汚職のときだって、こういうような形で取られたんじゃないかと私たちは想像するんですよね。時間がありませんから私はこれで質問を打ち切って、いずれかの機会にまたいろいろな調査も仕入れて質問したいというふうに思いますので、お答えいただきたいと思います。
  175. 曾根田郁夫

    政府委員曾根田郁夫君) 日赤に対する献金のお話がございましたのでお答えいたしますが、この個人であれ、あるいは団体であれ、社会福祉のための献金、社会事業団体に対して行われます場合に、その団体等がよほど反社会的なものでない以上、私どもとしてはこれを断る理由はないんではないか。なお御指摘の滋賀県雄琴の従業員組合灯会、これは約五百人というふうに私ども承知しておりますけれども、私どもとしては、日赤に対する献金は素直に受けとめていいんではないかというふうに考えております。
  176. 戸田菊雄

    委員長戸田菊雄君) 速記とめてください。   〔速記中止〕
  177. 戸田菊雄

    委員長戸田菊雄君) 速記を起こしてください。
  178. 松浦十四郎

    政府委員(松浦十四郎君) 私どもといたしまして、トルコぶろの組合の件でございますが、任意団体として全日本特殊浴場協会連合会というのがあるということを聞いております。ただこの協会連合会というのは、各都道府県に協会がございまして、その協会の連合会であるということで聞いております。なお、ここの事業というのは、従業員の教育とか経営の健全のための自主活動、あるいは情報交換というようなことをやっておるということを聞いておりますが、それ以上の詳細については存じておりません。
  179. 長岡茂

    説明員(長岡茂君) トルコぶろ営業の全国組織としまして、ただいま厚生省の方から御説明ありました全日本特殊浴場協会連合会がありまして、さらに府県段階、地区段階にもそういうふうな組織ができておるということは聞いておりますが、警察の方といたしましては、それ以上のことは余り把握しておりません。
  180. 粕谷照美

    粕谷照美君 私はもう質問終わりますと言ったんですけれども、いまの答弁はどうしても納得いかないんですよね。なるほど個人から、あるいは何というんですか、団体から下さるものは何でもいただきましょう、よほど反社会的でない限りと、こうおっしゃったけれども、こういうようないままでの実態を私が質問して、警察がちゃんと答弁をしていらっしゃる、そういう実態があるということは、これは反社会的でないというふうに考えていらっしゃる、そのこと自体が私はあなたの常識の程度というのを疑うわけなんですよね。トルコ嬢の中にも本当にまじめに一生懸命やっていらっしゃる方いらっしゃるんですから、私はそういう方々が献金をされるということについては結構だというふうに思うんですけれども、どうしてもその辺の御答弁は納得がいかないということだけ申し上げまして、私の質問を終わります。答弁はもうよろしいです。
  181. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、最初にちょっと時間をいただきまして、トルコ売春の問題についてお伺いをいたします。  午前、午後に引き続きまして論議が出ましたように、トルコぶろが売春の温床になっていると。もう見過ごすことができないところまできているという問題が起こってきております。私ほんのわずかの時間で、本当にこののんびりしておれないんだという実情を少し知ってもらいたいと思う。これは、先ほどもお話に出ておりましたが、「売春問題ととりくむ会」という会に駆け込んで来られたトルコ嬢の訴えの一端を申し上げたいと思います。  私が働く埼玉県のSトルコでは、経営者が吉原で働いていた人なので、やり方が赤線システムだと言われている。二千五百円の入浴料に強制延長料千円、七月からは延長料が二千円になった。トルコ嬢のサービス料は二千円だが、客一人につきコーラ代二百円、掃除代、化粧品代、ジュークボックス代として千七百円は店に取られる。食事代金も時価より高く、強制延長も払っていたら手取りはなく本番をしなくてはならない仕組みになっている。その本番も高く取ると客足が鈍るので、七千円以上は取らないようにミーティングなどで店は指導している。遅刻すれば五千円の罰金をすぐ取られる。指名客が一カ月七十五人以上だと部屋持ちになるが、指名が少ないと自分で入浴料を払っている。客が少ないとマネージャーは自転車に乗って客引きに行ったりする。コンドームは女の子持ちで店に置いてあるが、なくなると買うのもマネージャーの役目である云々ということなんですね。一日で指名、フリーを合わせて十七人の客を取ったころもあるが、いまは不景気で客は少ない。二十人いる女の子の大半はひもがおり、子持ちも五人いる。皆、店での名前で呼ばれている。店は保健所や地元署、県警まで手を回していると従業員たちに誇示している。事実、草加署のS警官は、ただで特定のトルコ嬢とたびたび接触していた。その上、彼の後任者にマネージャーが女の子をモーテルに送り込んでやり、以後接触がある云々というふうなことでございます。  厚生省ね、大臣も午前中の田中委員の質疑の中で、この問題は環境衛生になじまないというふうなことをおっしゃっておられましたけれども、事態はきわめて深刻だと思うわけでございます。こういった点を先ほどからの質疑の中でも、非常に詳しく出ておるわけですけれども、法改正等を含めて対策を強化するというふうなことをお考えにならないのかどうか。すでにこれは七十七国会で野党四党で共同提案をしております公衆浴場法の一部改正案、こういったものを提出いたしておりますけれども、こういったものも御検討いただいて、もうすでに見過ごすことができないという事態まできているのだから、ひとつこれについては公衆浴場法だということで、くちびるをぬぐってそのまま通り過ぎるというふうなことは許されないという事態に来ているという立場で、御見解をお伺いをしておきたい。
  182. 松浦十四郎

    政府委員(松浦十四郎君) 午前、ただいまのいろいろ御議論いただきまして、確かにそういうことが行われて、売春が行われるということは私どもまことにけしからぬことだというふうに考えていることは全く同感でございます。ただ、本来この問題というのは、やはり売春という問題が問題の本質でございますので、そういう意味からいたしまして、私どもとしてはやはり売春ということを本来取り締まるべき法体系のもとで、こういうものは取り締まられるべきではないかというふうにいまのところ考えておるわけでございます。
  183. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私は、余りたくさん時間を取りたくないと思っておりますので、特に突っ込んできょうやろうと思っていないのですが、私はそういった売春の取り締まりというのを、それじゃその監督官庁がどうしているかという問題だということが先ほどからもかなり論議をされましたが、その中で警察庁にお伺いをしたいんですが、埼玉県草加署のS警官の処置は一体どうしたんだという問題ですね。私ども調査では、埼玉県警本部内で明らかになったもう一件がある。本年の一月末に熊谷署の捜査二課に所属をしていた係長です。氏名がわかっておりますがあえて申し上げませんけれども、この人物が熊谷市にあるミストルコの業者から一定の供応を受けていたことがわかり、県警は特別監察をしたはずでございます。これらの件、全然問題がなかったのか、あるいはあってしかるべき処置をしたのか、その点についてお伺いをしたい。
  184. 長岡茂

    説明員(長岡茂君) 最初の草加の問題でございますが、これは今年六月二十四日、高橋喜久江氏から私どもの課に対しまして情報提供がありましたので、埼玉県警の防犯少年課長、それから高橋氏立ち会いのもとでトルコ嬢、自称「すださちこ」さんと接触したわけでございます。この「すだ」さんの話によりますと、本人は草加トルコセンターで働いておったわけでございますが、この店は売春もしている、店での搾取も非常に厳しい、警察官が出入りしている、そのために手入れができないのではないか、あるいは警察官がそこで遊んでいるというふうなことだったわけでございます。したがいまして、早速県警で売春関係の犯罪の捜査と、それから非行の監察と両方の面から捜査及び調査を進めたわけでございますが、途中、この情報を提供した女性が行方不明になったというようなこともございまして、捜査と調査がむずかしくなったわけでございます。そこで、別のルートからの売春事犯の、この店での売春関係の端緒を得ましたので、これらをあわせまして、手間取りましたが捜査をいたしまして、十月の十九日、このトルコセンターを売春防止法十一条第二項、すなわち場所提供業違反で検挙しまして、経営者、マネージャー、営業部長、三名をそれぞれ逮捕いたしております。  なお、警察官の非行関係につきましては、現在までの調査ではその事実を確認しておりませんが、そのようなことを一時提報されておりますので、この捜査とあわせまして、そういう事実があるかどうかについて徹底的に究明する方針でございます。  それから、二番目の熊谷署の関係でございますが、これにつきましては御指摘のミストルコの関係者から告発があったというふうに聞いております。それで早速その当人を呼んで調べまして、一部そういう事実を認めたということがございますので検察庁に送致いたしております。ただ、この告発をした人それからその主人の供述が得られないということがございまして事実の確認ができず、現在まだ処分未定というふうになっておるように聞いております。
  185. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 警察官あるいはその関係者がそういうことで、いわゆる取り締まり担当者がいろいろと関係者から疑惑を持たれるようなことがあるというふうなことで、果たして問題を正しく取り締まったり指導したりすることができるかという点が非常に重大な問題だと思うのです。その点で、この件についてはまだ取り調べ中ではっきりしておらないということだそうですけれども、これは細かく申し上げればいろいろありますが、私はきょうぜひこの問題について注意を喚起しておきたいのは、売春、特に管理売春、こんなものを絶対やめさせなきゃならない、当然のことです。そのために法律があるわけです。その法律を行使しなければならない取り締まり担当者が、その同じ渦の中へ入って供応を受けておるというふうなことが告発をされたりあるいは駆け込み訴えで言われたり、そういうふうな疑惑を持たれるようなことがあったのでは、これはもう法は野放しになるのは当然でございます。そういう点で、特に業者との関係では厳正な態度で今後その点これは厳重に対処する必要があろうと思うのですが、その点について警察庁どうですか。
  186. 長岡茂

    説明員(長岡茂君) 警察官が行政指導あるいは捜査等の過程で業者と接触する場合があり得ますけれども、これにつきましては厳正に一線を画して、いやしくも御指摘のような疑惑がないように常日ごろ指示しているところでありますけれども、今後ともこういうことのないように十分指導してまいりたいというように考えております。
  187. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私は別の機会を得てもっと詳しく実は追及したいと思うのですが、委員長私ぜひお願いをしたいと思いますのは、法律上の改正等についても必要な問題点の重要な点を含んでおると思いますし、当然われわれ野党四党でも提案をしているところでございますが、取り締まらなければならないあるいは監督をしなければならない関係省庁が、これだけ手ぬるい状態で放置されているようでは、幾ら法をつくってもこれはもうざる法にしかならないというふうに思うんです。そういう点で、委員会としてもぜひ実態調査ども含めて御検討をいただきたいということを、特にお願いを申し上げておきたいと思います。
  188. 戸田菊雄

    委員長戸田菊雄君) ただいまの提案については、後刻理事会で協議をし、決定をいたします。
  189. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 じゃお願いいたします。  続いてお伺いをいたしたいのは、最近新聞等でも報道されております特発性側湾症についてお伺いをしたいと思います。これは新聞報道でも非常に詳しく発表されておりますけれども、知らない間に背骨が曲がってくる、しかもそれが十歳から十五歳ぐらいの小学校の上級生、中学生に非常に多い、しかも千葉大の医学部の整形外科の調査では、大体小学生百人に対して四人——四%程度の側湾症の子供がいると。特に構築性側湾症と言われて自然治癒ができないものについては、大体一%内外もおるのではないかというふうな調査結果が報道をされております。この点について、しかも自然治癒をしない構築性の側湾症というのがそのまま成人になりますと、やはり肺臓だとか心臓に一定の影響をもたらして、たとえば肺炎にかかりやすくなるとか、あるいは慢性の腰痛症あるいは背中の痛みというふうなその他の続発的な症状も起こるというふうな問題を抱えております。しかも、早期発見がかぎであり、早期治療がかぎだと言われておるわけですけれども厚生省、文部省ともにどういうふうに対処しておられるのか、ちょっとお伺いをしたい。
  190. 石野清治

    政府委員(石野清治君) ただいま先生の御指摘ございましたように、確かに発生率といたしましても〇・七%ぐらいの数字ではないかという数字もございます。  それから、同時に早期発見の面でも生後から三歳、あるいは四歳から九歳、十歳から十五歳という三つのパターンがあると思いますけれども、特に問題になりますのは、十歳から十五歳の率が非常に高いと、こういう指摘がございます。  私の方は、できるだけ早期の発見に努めておりますけれども、同時に育成医療という観点からコルセットを支給するとか、あるいは場合によっては手術をするという形によりまして、育成医療の支給をいたしておるわけでございます。しかし、発生原因等もよくわかりませんので、それよりも前にその発生の原因の追求ということに一番重点を置いて、五十年度で約五百万、それから五十一年度におきましても六百万の研究費をつけまして研究を続けておるところでございます。
  191. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 文部省。
  192. 遠藤丞

    説明員(遠藤丞君) ただいま先生指摘のように、側湾症の問題がいろいろ新聞で報道されております。私どもも早速事の重大性にもかんがみまして、千葉大学へ参りまして井上教授からいろいろと御教示をいただいたところでございますが、私どもの所管しております学校保健法という法律に基づきまして、毎年四月から六月までの間に定期の健康診断を児童、生徒に行うことになっておるわけでございまして、その診断項目の中には当然脊柱の異状の発見に努めるということにもなっておるわけでございますけれども、この学校におきます健康診断で発見されます率と申しますのが、千葉大学の御調査による率よりも相当に下回っておる。といいますことは、学校におきます健康診断ではなかなか見落としが多いという結果になるわけでございまして、これらの点につきましてこういった専門家の御指導によりまして一層の充実を図りたいというふうに考えております。
  193. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 文部省ですがね、こういった原因不明で、しかも一定の年齢、特に十歳から十五歳までというのがきわめて重要だというふうに言われておるわけですから、全国的な発生状況というのをつかむ必要があると思うんですよ、まず。そういう点で、全国的に各都道府県の教育委員会等を通じて実態調査をまずする必要があるんじゃないかということが一点です。  それから、もう一つはいまおっしゃったように、確かに学童生徒の健康診断では脊柱正と書いてあるんですよ。その検査をすると思うんですけれども、その点についてこれは従来どおりではなくて、少なくとも来年度からそういった点の学校の健康診断の項目として新たに加えるというふうな形で、これは実態を把握するというふうなことをする必要があろうと思うんですが、その点はどうです。
  194. 遠藤丞

    説明員(遠藤丞君) 御指摘の第一点のこういった症状が多発しておるというか、多く発見されておる地域について調査をするように、あるいは全国的な状況について把握するようにという御指摘でございますが、これは全国一斉にということになりますと、最終的な健診には相当専門的な知識を持っておられるこういう整形外科の専門家のお手を煩わしませんとできないことでございまして、今年度いま直ちにというわけにはまいらないかと思いますけれども、新聞にも報道されておりますように、千葉大学のほかにも幾つかあっちこっちのブロックに相当拠点として、この側湾症の問題の拠点となるような大学もあるようでございますので、そういったところがすでに幾つかの学校を対象にいたしまして、サンプル的にではございますけれども調査いたしました結果につきましては早急に集めまして、今後の指導資料にしてまいりたいと思います。  それから、従来の健康診断の方法が不備があるんではないかという御指摘でございますけれども、この点につきましても千葉大学の先生方のお話を伺いますと、こういった専門家が診ましても十分といいますか、目で見、さわってみ、たたいてみというようなかっこうで検査をするのには、専門家がやっても最低一人三分ぐらいは必要だということでございまして、短い日数の間に全身的な健康診断をする、一人の学校医が健康診断をするということになりますと、つい見落としがちであるということから、ほとんどの学校には看護婦の資格を持っております養護教諭も配置されておることでございますので、学校医の指導のもとにこういった養護教諭にも大いに活躍をしていただいて、見落としがなくなるように来年度からは厳密な実施ができるようにいたしたい、かように考えております。
  195. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いま文部省のお答えでは、全国的な状況把握をするのに都道府県の教育委員会の調査をひとつやってもらって、現状把握をしたらどうかということを申し上げたんですが、私は各地域の大学だけではやっぱり不十分だと思うんです。大学の御検討ももちろんデータとしていただきながら、全国的な把握ということがいま何よりも大事だというふうに思うわけです。  それから、養護教諭などの活用でございますけど、これは整形外科等の御意見でもはっきりしておりますように、視診ですね、目で見るだけで一定の異状というのは発見できるということなのでございますから、これは養護の先生方を一定の時間緊急に講習会でも開いて、一定の知識を持ってもらえば、学童生徒の健診というようなことができると思うんですよね。大まかな異状をひとつ引っ張り出していただいて、そうしてチェックできた人たちをこれを専門医、整形外科の先生方にひとつ精密検査をしていただくというふうな体制をとるのが、一番現実的でやり得るやり方ではないかと思いますので、ぜひそういうことをやってもらったらどうかというふうに思うわけです。  それからもう一つ、文部省に特にお願いをしておきたいと思いますのは、そういう異状の出た人がコルセットをつけたり、それからときによればひどくなれば手術もするというふうな場合、厚生省では育成医療の対象にしてやるんだと、こうおっしゃっておるんですが、大いに活用しなきゃならぬと思うんですけれども現状は必ずしもそういった異状を持つ子供たちの父母というのは、育成医療の対象になるということを知らないで自費で治療をしている、むしろ援助されるとしても学校保健法の段階だというふうなことですね。そういう点で育成医療の対象にもなって、装具あるいは治療等についてはやり得るんだというふうなことも、これはすべての児童生徒の父兄に徹底をさせるべきではないかというふうに思いますがどうですか。
  196. 遠藤丞

    説明員(遠藤丞君) おっしゃるとおり、こういうものが育成医療の対象になるということについての普及と申しますか、徹底には欠けるところがあったかと思います。今後は厚生省御当局の方とも十分連絡をとりまして、そういった恩恵に該当する人たちにつきましては、落ちこぼれのないようにいたしたいというふうに思います。
  197. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 最後に大臣、こういう問題ですが、特に厚生省、文部省両省にまたがる問題でございますが、厚生省では年前五百万なり六百万なりの調査費等をおつけになっておるようでございますけれども相当数出てくるんではないかというふうな、数の問題から言いましても、また将来を担っていかなければならない学童生徒に非常に率が高いというふうな問題も含んでおることでもございますので、両省で協議をして十分な調査研究の体制というふうなことが、早急に必要ではないかというふうに思うわけです。そういう点で予備費からでもですね、いま急にというと混乱があるかもしれませんが、予備費からでも支出をして、両省で協議をして至急に研究体制をとる必要があろうと思うんですけれども、ひとつ大臣、御意見を伺っておきたいと思います。
  198. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 沓脱先生の御専門的な立場からの御意見でございます。全く同感でございますので、すでに厚生省におきましても千葉大学教授の井上さんを班長にして研究を進めておるという次第でございまして、よく文部省と相談いたしまして、この問題に真剣に取り組んでいきたいと存じます。
  199. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 本題に入る前に、もう一件ちょっとお願いをしておきたいと思いますのは、生活保護法に関することなんですが、これは去る十四日に衆議院の社労委員会でも実はわが党の寺前議員から見解をただしたわけでございますが、現在生活保護世帯に対しましては年末一時金が支給をされているけれども、夏は支給されてないんですね。で、世間並みに夏にも手当を出してほしいというのは、これは該当者の皆さん方からも非常に強い要望でございます。  私ども厚生省からいただいた資料を見てみますと、全国的にはやはり厚生省お出しになっていませんけれども、全国都道府県あるいは地方自治体ですね、市町村でですね、相当量の市町村あるいは都道府県ではやはり夏期にも手当を出しておるというふうな実態でございます。またそういった関係から言いましても、多くの府県、市町村から国においてもひとつ制度化をしてほしいという御要望というのはかねがね出ておるわけでございます。まあ、予算的に見ましてもそう莫大な予算が要るわけではございませんので——いや首をひねっておられますけれども、それは夏期手当を何万円もお出しになるということでありますならば、ずいぶん費用もかかるであろうとは思いますけれども、これはたとえば一人千円という見当だったら幾らになります、十三億ぐらいでしょう、百三十万ですからね。だから、二千円にしたって二十六億程度で片がつくわけです。国会にも請願も出ておりますよ。私は日本の慣習から言ったら、これは盆暮れということになるわけですね。皆さんも盆暮れにボーナスをいただいておるというのがわが国の慣習なわけです。ですから、そういう立場から言ったらわずかでも支給する制度にするということが、これは非常に強く望まれていると思いますし、ぜひ実施するべきだと思うんですが、前向きに御検討いただけますか。
  200. 曾根田郁夫

    政府委員曾根田郁夫君) 夏期の一時扶助の問題はかなり古くから要望されておることでもございますし、また先般の衆議院社会労働委員会での次第もこれありますので、まあ財政問題が絡むわけでございますけれども一つの問題点として検討させていただきたいと思っております。
  201. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 ぜひ前向きに御検討を、ただいて実現をさせていただきたい。  次にお尋ねをしたいのは、実は妊産婦の危機、産婦人科の危機というのが大変な状態だということでございますので、この点についてお伺いをしたいと思います。  わが国では妊産婦の死亡率というのは、この十年ほどの間に約半減をいたしました。しかし、いまなおヨーロッパ諸国に比較いたしますと、なお二倍ないし四倍の死亡率になっております。こういう状況といいますのは、わが国のこの働く婦人の母性保護対策、これと大変深いかかわり合いがあると同時に、分娩時の医療体制、これが非常に重要な要因になっていると考えられるわけでございます。  御承知のように、妊娠、分娩というのは本来生理的現象ではございますけれども、その進行中にいつどんな重大事態が発生するかわからないという点では、救急的性格をいつでも帯びているというのが妊娠、分娩にはつきものでございます。統計によりますと、これは私が参考にいたしました統計というのは、「産婦人科治療」の一九七五年九月号です。これの大阪逓信病院の産婦人科部長竹村先生調査でございますが、この調査によりますと、突然の出血によって症状悪化から死亡までの時間を見ますと、二時間以内の死亡というのは二八%、六時間以内の死亡が三一%、妊産婦死亡の約六割が六時間以内に死亡しているという大変な事態である。しかも、この竹村氏の実態調査は、さらにこの産科救急事態の発生率、これは一〇%ないし一五%になっておる。したがって、たとえば大阪の人口を当てはめて見ますと、大阪では人口八百三十万、分娩は年間十七万です。これの一〇%から一五%、大阪では二万件以上に上るというふうに言われておる。この率で全国的に当てはめて見ますと、これは二十万以上を超す大変な重要問題が起こっておるということが想定できるわけでございます。こういう点につきまして、厚生省としてこういった産科救急の問題ですね、こういう点についてどういうふうに対策をおとりになっておられるか、これを最初にお聞かせを願いたい。
  202. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) 妊婦死亡率、出生一万対の率につきましては、わが国におきましても非常に努力をいたしまして、昭和二十五年、すなわち一九五〇年の出生一万対死亡率一七・六が、七五年におきましては二・八というふうに顕著に減小いたしておるところでございますが、ただ一九七二年の、これはわれわれ数字が一番新しいのでございますが、七二年の世界各国の出生一万対の数字と比較いたしますと、ただいま先生指摘のように、わが国の妊婦死亡というものが欧米諸国に比べまして約四倍ということになっておりまして、特にスウェーデンのように出生一万対〇・七という国に比べますと、四・一の約六倍という非常に高率になっておるところでございます。そういった事態が一体どういうことで起きるかということでございますが、これはいろいろな複雑な理由があろうかと思いますが、やはりただいま先生指摘のように、分娩時の医療体制というものの不備ということがひとつ大きな原因になっていようかと思うわけでございます。それで、こういった分娩時の救急医療体制をどういうふうにやるかという問題でございますが、先ほどこの救急懇談会からいただきましたこの報告の中にも、分娩時の救急医療体制というものは別の体制として今後研究しようということになっておるわけでございまして、その点今回のこの救急医療体制の整備の中で必ずしも取り上げられなかったということは非常に残念なことでございますけれども、やはり分娩時のこの救急医療システムというものは、他の救急医療とちょっと異なっておるわけでございまして、やはり妊娠と同時に何らかの医療機関との関係があって、その分娩が開始してから急激に変化を起こすという、ただいま先生指摘のように、二時間以内あるいは六時間以内の死亡が過半数を占めると、こういう状況でございまして、他の救急と違いまして、やはり何らかの意味において医療機関とのかかわりを持っている。その医療機関内においてこういう急変が生ずる、それに対してどういうことを考えるかということでございますが、わが国の現在の医療機関、特に産婦人科の現状を申し上げますと、やはり人手不足ということが非常に大きな原因になっておるわけでございまして、なかなかその分娩時に急変が起きました場合に、それに対応するだけの医師を集め得ない、その病院では集め得ないというような事態になっておるところでございます。現在、産婦人科学会が中心になりまして、地域ごとの産婦人科医師の相互協定ということを結んでおるわけでございまして、ある病院におきまして妊婦の病状の急変がありました場合に連絡をとる、いわゆるオンコール方式という方式をとっておりまして、その求めに応じてその地域の産婦人科医が応援をする、そういう体制をとっているところでございます。
  203. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いや、厚生省対策を聞いておるのです。それで、確かに産科救急というのがもうひとつ、いわゆる救急夜間休日診療の要請と同じようなかっこうで、国民的な課題としてクローズアップしてきておらないわけですけれども、問題の緊急性、しかも将来の時代を担う子孫をつくっていくという上で、きわめて重要な要素を持っているという点でこれは重大だと思うわけです。厚生省として、ですからまだ今度の救急対策にも出てきていない。これは私は早急に対処しなければならない課題だというふうに思っているわけです。  しかも、私はこれが大変な事態だなというふうに思いますことは、特に日本母性保護医協会の調査によりましても、産婦人科医自身が大変な事態だということを現に言っているわけですね。日本母性保護医協会の調査によりますと、緊急事態で困ったというふうにアンケートで答えておられる方が四九%、約半分です。現在の状況ではお産を扱っていく上で大変不安だと言っておられるのが八六・九%です。何とかして産科救急の体制を確立してほしいという希望をしておられる方々が九〇・五%になっている。お医者さんの要望ですよ。緊急事態で困ったという最大の理由は何かという中身は、夜間や休日が人手不足だというのがこれが五六%。移送する病院がない、頼む病院がないというのが四六%。輸血の入手に困ったというのが十数%ですね、これ。こういう状況ですから、診療に第一線で携わっている産婦人科医がこう言っているのですから、どうしても緊急な対策が必要だと思うのです。少なくとも国公立病院がこの問題に対処する必要がある。国公立というても公立病院の話をここでしてもしょうがないので、国立関係の病院で、これは一般的な救急医療の要請と同時に、産科救急についてこれをどうしてもやらなければならないというふうに思いますが、これはどうですか。
  204. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) ただいま先生指摘のように、現在産婦人科医師がこの分娩を取り扱わなくなった事例が非常に多いわけでございまして、その理由として、ただいま先生おっしゃいましたように、移送する病院の問題と輸血の問題があるわけでございます。この第二次救急医療の移送する病院あるいは輸血の問題につきましては、これは一般の救急医療と同じ体系の中で措置できるというふうに考えておるわけでございます。特に病院が産婦人科に限定される病院であるという点や、産婦人科を持っている病院でなければいけない。そういう点がちょっと違うかと思いますが、輸血の問題につきましては、これは一般の救急問題として今後対処してまいりたいと考えております。  そこで、国立関係をどういうふうに考えるかということでございますが、この国立病院の役割というものを考えました場合に、そういった産科を持っておる病院につきましては、今後できるだけのそういった体制の整備努力いたしたいと思います。ただ、今回も懇談会で省きましたのが、やはり医療施設内で病状が急変するというような問題が非常に多いので、そういった移送の方法等の問題もまた別の問題があろうかと思うわけでございまして、こういった問題につきまして、今後この懇談会におきまして早急に御検討を願いたいと考えております。
  205. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いま、分娩進行中に緊急事態が起こるというのは、ほとんど医療機関で起こっているわけですよ。いまどうしているかといったら、ほとんどその先生個人の大学とかあるいは先輩、友人、知人の個人的コネを用いて解決をしているのです。しかし、それにも限界があるわけですよ。そういうことではなくて、だから産科についても産科救急の制度を確立してもらいたいというのが、九〇%以上の先生が言っておられるのはそこなんですね。個人的努力ではもう賄い切れないというところへきている。そこが一つの重要な問題。  さらに加えて、局長、先取りをしておっしゃったのですけれども、私は産婦人科全体が大変な事態になってきている。大阪では——大阪の調査を見て私は驚きましたけれども、これは大阪だけ見ますと、かつては千名を超す産婦人科専門医があったのですね。その方々の中で、かつて分娩を取り扱っていた産婦人科医で分娩の取り扱いをやめたという人が、七割も出てきているというふうな問題なんですね。これは大阪だけの特殊性かなと思って見ていたんですけれども、そうではなくて、同じく日本母性保護医協会の調査を見ますと、分娩の取り扱いをやめた産婦人科医というのは、近畿二府四県の調査を見ましても約三割ですね、三〇%がやめております。大阪で三〇%、京都では三八・八%ですね。しかも、この五年間にこの半数がやめてしまっている。大阪の調査で、私、調べてみてこれもまた驚いたのですけれども、産婦人科の専門医で長年技術を研さんし、またそういった専門施設設置していた先生方が、何と内科だとか外科へ転科をしておられるという方々が、平均にして一二・五%です。ベッドを持たない診療所の先生では、産婦人科の方々が内科へ転科をされた方が何と二七・三%に上っている。これは大変なことです。  しかも、どういう理由のためにそういうふうに転科をしたかというと、一つは患者の激減だ。人手不足。それから救急体制の不備と医療事故の不安、これが三つです。四番目は、二十四時間体制で過労でとてもやないけどもっていかぬ。さらに加えて、産婦人科は医師税制とは別個の七〇・二%という大変な徴税攻勢だ。こういう中で、とてもじゃないがやっていけないというふうな形でどんどんやめていっているわけでございます。ですから、大阪府の衛生部あたりでも、この調子でどんどん減っていったら、これは妊産婦の行き先がなくなる、どうなるだろうかということを率直に言っておられるほどの状態になっています。  人手不足については、これはもうすでに御承知のように助産婦がずいぶん減っていますよね。助産婦、昭和三十年度の末には五万五千人おったのが、四十九年度二万六千人になっております。開業助産婦の年齢は、驚くなかれ五十二歳ですね、平均年齢。こういう状況になってきておって、大阪での調査を見ますと、産婦人科医で助産婦のおらない診療所というのは五三%になっている。大変な状況です。ですから、それほど人手不足が起こってきている。  もう一つは、患者の激減という問題は、人口動態もありますし、いろいろな社会的動向の変動というようなのがございますから、これは一口には言えないわけですけれども一つは分娩費の問題というのが非常に大きな問題になってきているわけです。というのは、分娩費の公的病院等との競合の問題が出てきている。たとえば私、大阪だけでの実情を調べてみましたけれども、お産を一つ見ましても、大阪の産婦人科医会の慣行料金というのは総枠で一つ二十万です、正常分娩ね。ところが、阪大病院では九万円ですよね。大阪市立大学付属病院では二十万、関西医科大学では十四万、府立病院では六万から七万、住吉市民病院では十二、三万、大阪日赤では十五、六万、済生会野江病院では十三万から十五万と、こういうことになっている。ですから、当然これは分娩費の競合で、若い御夫婦がお産をするということになるわけですから、できるだけ安いところに行きたいわけですね。ところが、うんと安い大阪府立病院などは、第一子だけは引き受けるけれども、二子以降は引き受けない、こういう状況なども出てきているということで、分娩料というのは非常に大きな問題になってきていることは、一つ産婦人科医会の重要な問題点になっているわけです。そこで、私はここでちょっと横道になるかと思うんですけれども、そういう点でやはり分娩料の問題というのをもう一遍考えてみる必要がありはしないか。これはすでに御承知のように、昨年の国際婦人年を契機にいたしまして、超党派の婦人議員懇談会でも、政府に対してこれはもう諸外国、先進諸国の実例から見ても、出産分娩については無料化するべきであるという点の要請をしておりますし、またわが国でもILO百二号条約批准の際に、これまた同じ要求というのが外務委員会でも最大の課題としてやられてきたわけでございます。こういう問題をやはり国民の側から言えば、分娩料を諸外国並みに何とか早く無料にしてほしいという要望。医療機関の側でも、取り扱う機関によって二十万のところもあれば七万のところもあるというふうなことでは、これまた大変だ。少なくともこの辺は国民的な要求でもあります分娩料の無料化の問題、これ一体どうするかということです。どういうふうに考えていかれるかという点ですね。これ、いろんな考え方ありますが、いま健康保険からは十万円ですね、現金給付という形でやっておられますが、これをそれじゃ一定の慣行料金並みにしていくのか、あるいは健康保険料金として算定をするのか。そうすると、手術料が帝王切開でも二万六千円から八千円だから、とてもやないけど割りが合わないというふうなことが隘路になって、なかなか保険の点数には入れられないという隘路があるんですね。そういった諸問題を勘案してどういうふうに解決をするか。これは解決が迫られていると思うんですが、その点についてはどうですか。
  206. 八木哲夫

    政府委員(八木哲夫君) ただいま分娩料の問題につきましての、いろいろな角度からの御指摘があったわけでございますけれども、確かに現在の医療保険制の体系におきましては、現物給付は疾病に対する給付であるというふうなことから、分娩につきましては健康保険におきましては現金給付という形で処理しているわけでございますけれども、制度的なILOの条約等の関係等もいろいろあろうかと思いますし、さらに現在は慣行料金で行われている。しかも、先生指摘のように、地域によりあるいは各病院の態様により、非常にそれぞれさまざまな料金があるわけでございます。しかし、分娩給付ということの改善ということは非常に重要な問題であるということから、先ほどもお話出ましたように、先般の国会で御審議賜りました健康保険法等の改正におきまして、従来の六万円というものを六割以上の大幅な改善ということで十万円に引き上げたわけでございます。この十万円の根拠と申しますのは、当時も御説明申し上げたかとも思いますけれども、国立病院の実態の全国的な平均の額というものに見合いまして、十万円というような額をもってまいったわけでございます。医療保険財政、非常に苦しいときでございますけれども、この問題ゆるがせにできないというようなことから、先般六万円から十万円に引き上げたわけでございまして、今後とも改善努力を払っていかなければならない問題であるというふうに理解しておる次第でございます。
  207. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは国民的な要求でもあり、国会でも超党派ですでに要望もしておるという点も踏まえて、どういうやり方をするかということは別問題ですよ、これは非常にむずかしい問題を含んでいるとは私は思うのです。だから、どういうやり方をするのが一番適切かということをひとつ考えて、これは具体案を出してきてもらわぬといかぬと思うのですね。今後とも努力というても、一般的努力ではこんなことは簡単に片づかぬですよ。このことが非常にいまの産婦人科医会全体の問題、また国民の側から言ったら妊娠、分娩の問題と深いかかわり合いになっておるわけですから、そういう点についてはひとつ積極的な考え方というのをぜひ出していただきたいと思うわけでございます。  時間余りありませんから、きょうは余りゆっくりやれませんけれども、産婦人科というのが大変な事態になってどんどん減ってきて、妊娠しても行く先もなくなるというおそれさえ出てきているという、この産婦人科医会の荒廃というのですか危機というのですか、そういう事態に拍車をかけているのは、もう一つは、たとえば分娩の取り扱いをやめた先生は産婦人科の看板をかけて保険診療をやっている。その保険診療というのは、社会保険の診療報酬というのは不公平点数が多いということで、ずいぶん医療担当者の中では不満の種になっておるわけですが、特に産婦人科の分野というのは不合理点数が他の科に比べてもひどいのじゃないかというふうに思うのです。まあ時間の都合がありますから私申し上げますが、こんなことをいつまでもほうっておいたら産婦人科の先生やめてしまうなあというふうに思うのです。  たとえば、これは大阪で開業しておられる産婦人科の女医さんなんですがね、こう言っておられますよ。私は三年前から分娩をやめました。ところが、もう外来患者の診療をするのに診療報酬がむちゃくちゃで腹が立ってしょうがない。たとえば、婦人の局所の治療をする洗浄がわずかに十五点、百五十円だ。そうして洗浄して医師が診断して必要な薬を使用すると、この薬がたとえばトリコマイシンK膣錠というのを使用すると、購入価格は三十一円五十銭、ところが保険点数はわずかに一点、十円しか加算してもらえない、一体どういうことなんだ。原価が三十一円五十銭、それが保険では十円にしかならない。あるいはフラジール腔錠というのを入れると、これは購入価格が五十七円六十銭だ。ところが保険では四十円しかもらえない。せめて購入価格プラス処方料、それに挿入の手技料、あるいは当然必要なタンポンなどの衛生材料費、こんなものが点数になぜ算定をされないのだろうか。どこの世界に、自由経済の時代に、材料費の方がもらう診療報酬よりも高い薬を使って、それで黙ってやれというふうなことを押しつけているというやり方というものはどこにあるのだろうか、こう言っているのです。こういう状態ですよ。  あるいは慢性指導料ですね、慢性指導料をどうして婦人科には出していないのか知りませんけれども、婦人科にはずいぶん慢性病の相談の人たちが来るわけですね。あるいは手術料ですね、手術料だってそうです。これは手術料というのは外科もずいぶん低いですから。たとえば胃がんの手術五万円ぐらいですね。実際に十分体制をとってやったら原価十五万円ぐらいにつきますよ。この間も私大阪の成人病センターの外科医長と話をしていた。十五万円かけて手術をして、もらう診療報酬は五万円だという状況だと。こんなことをどうしていつまで黙ってほうっておくのだろうかというのが一致した意見です。ですから婦人科もそれは同じです。検査料に至っては特にひどいですね。ダグラス窩穿刺という腔内から腹腔の穿刺をやる検査料、わずか二百円ですよ。こういうむちゃくちゃな不合理点数、しかもこれが審査のときにまたカットされると。まさに婦人科医にとっては前門のオオカミ、後門のトラだって言うてその女医さんたち怒っていますよ、婦人科の先生方。どないしますか、何とか早急に改善しますか。
  208. 八木哲夫

    政府委員(八木哲夫君) 診療報酬の問題でございますが、基本的には私ども国民経済の情勢というものを勘案、国民の経済力というものを勘案いたしますとともに、人件費なりあるいは物件費等の経済の変動に対応し、さらに医学の進歩に伴いましての適正な技術料の評価というものを中心に行うべきである。特に技術料の評価におきましては、最近におきましても中医協等におきまして大きな問題になっておるわけでございます。私ども中医協におきまして、十分この問題御審議賜りまして、今後とも改善努力を払っていかなければならないというふうに考えておる次第でございます。ただいま先生から御指摘ございました種々の問題点等につきましても、十分御意見踏まえまして、また中医協におきまして診療側の先生方も入っておられますし、各科のバランス等も十分考えまして、今後中医協におきまして慎重にこの問題を研究さしていただきたいというふうに思っておる次第でございます。
  209. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 中医協、中医協と言うけれども、あなたそういう診療が麻痺していくような、あるいはやめていかれるような状況が起こってきたら、当然是正について厚生省は建議せにゃならぬじゃないですか、そうでしょう。そういうことの不公平是正、しかもだれが考えてもおかしいと思うようなところは是正したらどうですか、そういうことやりますか。
  210. 八木哲夫

    政府委員(八木哲夫君) 中医協におきましては、診療報酬の改定の際に、各科の問題点を含めまして御審議を賜っている次第でございまして、今後の診療報酬の改定の際等に、この問題十分御審議を賜りたいというふうに思っておる次第でございます。
  211. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それじゃできるだけ早くそれをやってもらいたいと思います。  それからね、ちょっと国税庁来てくれていますか。ちょっとお伺いしたいのですけど、医師課税というのはよく問題になるんですよね。ところが、事、婦人科に関しましては自費率七〇・二%ということで、ずいぶん婦人科医は攻撃を受けているわけです。大体どんなことをやっているかと言いますと、末端では、事前通知もなしに調査理由もろくにはっきりせぬで押しかけてきて、カルテ皆見せよということで、強引にやるというんですね。カルテというのは患者のプライベートな問題であるから、これは直ちにお見せはできませんと言うても、強引にまあ強制的に閲覧をするというふうなことが公然とやられている。こんなことをやらしちゃならぬですよ。私はもっと不思議だなあと思いますのは、保険外収入というのは、実費計算で所得の算出をするというのが常道だと思うんですけれども、税務当局というのは、便宜上つくった所得標準率、つまり七〇・二%を当てはめておるようですけれども、この七〇・二%、二十年近く変わっていませんね。二十年近くも変わらぬといったら、この最近のようにインフレと物価高でどんどん世の中の変わっていっているときに、また診療内容やあるいは営業実績等の実情が非常に大きく変わっているときに、少しも変わらずに同じように七〇・二%というのを機械的にやっているというのは問題だと思うんですよ。少なくとも、やはり保険外の報酬については、実額計算でいわゆる所得の計算を算出をしていくというやり方を、もっと考え直していく必要がありはしないかというふうに思いますが、その点どうですか。
  212. 田口和巳

    説明員(田口和巳君) 御説明を申し上げます。重々御承知のところかと存じますが、所得税の課税されます所得は、納税者の記帳等をもとにして、収入金額から必要な経費を差し引き計算した差し引き所得金額によることがたてまえでございます。このような立場から、税務当局といたしましては、なるべく青色申告を勧めていただき、正しく所得を計算していただき、適正な申告をしていただくように努めておるところでございまして、御指摘がございました産婦人科医方々では、すでに八〇%近くが青色申告をしていただいている状況でございます。先生指摘の率は、所得計算の目安として使用している率のことと存じますが、この率は広く一般に適用されるというようなものではございませんで、青色申告の方々はもちろん、青色でない方々の場合も正しい収支計算をしてくださっておれば、その結果で申告していただければよいというわけでございます。収支計算をしていらっしゃらないような場合には、この率で申告していただくようにいたしている、そういう性格のものでございます。この御指摘の率を作成するに当たりましては、私ども数多くのサンプルによる実態調査を行いまして、その調査結果に基づいて、経費の実態等をきめ細かく正確に把握するように努めてつくっているものでございます。つけ加えて御説明いたしますと、御指摘の率が一見高い数値のように感じられるかと存じますけれども、この率を適用して計算した額がそのまま所得になるというわけではなくて、たとえば雇い人費であるとか、建物の減価償却費であるとか、地代、家賃、利子、こういったようないわば個別性の高い経費につきましては、さらに別途に差し引くというようなやり方をしておりまして、私どもとしては無理のない方式だと感じております。なお、このようにして作成いたしておるものでございますが、年月の経過に伴って実態にそぐわなくなることもございますので、必要に応じ随時見直し改定をするということもいたしております。産婦人科医の場合につきましては、現行の率に改定しましたこれは先生二十年前とおっしゃいましたんですが、数年前に改定いたしておりますが、毎年その後実施しております一般の調査事績等を参考にいたしまして、改定の要否を判断いたしてまいりましたが、特に私でもとしては改定の必要性が認められなかったので据え置いておるものでございます。しかし、作成以来ある程度の年月も経っておりますし、御指摘趣旨を踏まえて、今後の所得調査の事績等を十分検討いたしまして、実態に即した率にいたすように努力してまいりたいと存じます。
  213. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 時間がありませんので、もう終わりたいと思うのですけれども、そういった点で、私は一方では産科救急体制が整っておらなくて大変だというふうな問題、一方では産婦人科担当医の世界で大変な事態になってきているというふうな状況を申し上げたわけですが、そのことの一つのあらわれといたしまして、各大学の卒業生の中で産婦人科に対する入局者というのが非常に少ないですね。私たまたま大阪の四つの各大学の付属病院の産婦人科に入局者の数を調べてみたのですが、市立大学でことし二名です。大阪医科大学では三名、大阪大学ではことし十名です。関西医大では三名です。こういうりょうりょうたる事態で、しかもデータを見ますと、開設数よりも閉鎖数の方がどんどんふえていっている、そういう事態というのは、まさに産婦人科医会というのが大変な危機に直面をしてきているということの端的なあらわれだと思うのです。私はかつて小児科専門医が大変激減をして、小児科学会で五千名あるなしだというふうな状況で、これは大変じゃないかと、国民医療を守っていく上で重大問題だということを申し上げたことがございましたが、小児科専門医に対しては特に国民医療を守るという観点から、診療報酬等でも一定の対処がなされてきているわけですね。そういう点で、いま産婦人科医会というか、産婦人科対策というのを、これは実態が十分おわかりでなければ実態調査をなさって、このままほうっておいたら将来大変なことになると思うので、実態調査をやられて、そのデータを冷厳にひとつ見て思い切った対策が必要だと思うのですけれども、最後にひとつ大臣、御見解を承りたい。子供を産む、つまり次の世代をつくっていくという大変な仕事を受け持つ産婦人科分野が大変なことになってきている。これについてのいろんな問題点、私は幾つかいま指摘をしたわけですけれども、そういった点をひとつ御調査をいただいて抜本的な対策が必要だと思うんですが、御見解をお伺いをしたいと思います。
  214. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 私の弟も産婦人科をやっておりますが、いま沓脱議員の言われましたように、手術料が十五万かかるが五万円よりもらえないとか、非常に驚くべき事例を数点述べられたので、実は驚いておるわけでございます。もしそういうことが一般化しておりまして、産婦人科が三割も減っておるという事態、まことにゆゆしき問題でございますので、当然厚生省としてはそういうことは把握しておるはずなんですがね、あえて調査するというのもおかしい話でございますけれども、せっかくの御意見でもありますので、早急に厚生省といたしましては産婦人科の実態を調査するということをお約束いたします。
  215. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 じゃ私時間が来ましたので、あと歯科医療のことについてお尋ねをしたいと思ったんですけれどもきょうはやめまして、以上をもって終わります。
  216. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は最初に厚生大臣に、現在埼玉県秩父市で起こっておりますベーチェット病専門病院の建設問題についてお伺いをいたしたいと思います。  一昨日、二十四日朝六時から文化放送は「アングル’76」というラジオ番組で、この問題の特集を行っておりますけれども、失礼ですが大臣はこれをお聞きになりましたか。
  217. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 残念ながら聞いておりません。
  218. 柄谷道一

    柄谷道一君 その内容は、いわゆる反対者、賛成者に対して記者がインタビューを行い、その賛成、反対の意見を中心として 厚生省古川難病対策課長、そして秩父市の関係者にその所信を問う、こういう形でその番組は進められたわけでございます。私はこの中で、建設反対の立場に立つ地域住民の声を聞いておりますと、建設がされたならば羊山の農作物は売れなくなる、またはベーチェット病は伝染病である、こういう誤った認識を持つ住民が圧倒的であるということに驚かされたわけでございます。本年の五月二十二日、日野田町の町会長が「ベーチェット病患者収容施設に関する件」ということで反対運動の趣旨を述べておりますが、その第一項には「ベーチェット病はその症状がライ病及び梅毒と酷似しており、原因も治療法もいまだに判明していない難病中の難病であり、しかもベーチェット氏自身ウイルス感染説をとなえており感染しないとは断定できない。」、これがまず出だしでございまして、観光農業政策、観光都市政策と相矛盾するものであるというのがその反対の趣旨でございます。  私が聞くところによりますと、この住民の反対運動のきっかけは厚生省編集の難病対策ハンドブックに掲載されておりましたウイルス感染、スローウイルス感染という言葉から出発したと承知いたしております。しかし、四十九年度版からの新しいハンドブックには、すでにウイルス感染という言葉は除かれております。またスローウイルス感染につきましても、厚生省ベーチェット病の原因をつかむことができないためにつくられた作業の仮説の一つであって、逐次消去法をとりながらその原因解明に当たっておるわけであって、スローウイルス感染は現在単なる仮説にすぎない、こういう厚生省の見解であろうと承知をいたしております。とするならば、国として地域住民に対しましてこのあたりの事情をやはりよく説明することが厚生省に課せられた責任であると私は思うのでありますが、見解はいかがでございましょうか。
  219. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) ただいま御指摘がございましたように、地元の住民の間にベーチェット病の感染説が一部流布されているようでございます。したがって、われわれといたしましては、埼玉県の衛生当局を通じましてそのような誤解を解くことに努力をしているのでございますが、必要があればいつでも私どもも現地に出向いて厚生省みずから説得に努めたいと思います。  この問題を顧みますと、ただベーチェット病が感染するからということだけが原因でもつれているわけではないようでございまして、いろんな要因が多々あるようでございます。それだけむずかしい問題でございますが、必要があればいつでも出向いて厚生省としても説明をいたします。
  220. 柄谷道一

    柄谷道一君 ただいまの答弁でも、必要があればいっでも現地に赴いて説明をすると、こうお答えになったわけですが、私ラジオを聞いておりますと、その中でも、また十四日の法務委員会でこの問題が取り上げられておりますが、その質問に対しましても、古川難病対策課長は、現地へ誤解を解きに行くのにやぶさかでない、こう答弁されております。私は国会でのこうした答弁、そしてマスメディアを通じて語られました約束事というものにつきましては、情勢の熟するを待ってという姿勢ではなくて、積極的に厚生省が現地に赴き、その誤解を解明するために努力すべきであろうと思うのでありますが、その約束事をいつ果たされるおつもりであるのかお伺いをいたします。
  221. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) このような問題は、ただいまもお答えしたようにいろんな原因があるわけでございます。したがって、まず地元の市当局、県当局が問題の打開に努めるべきではないか、こう思うのでございますけれども、特に今回は地元の市当局の理事者の間に異なった意見がございます。したがって、やはり何と申しますか、地方自治の本旨というようなこともございますので、初めから国家権力によって抑えつけるというような方法は得策でないと思うのでございます。したがって、先生も御存じのように、すでに埼玉県の衛生、民生関係民間団体が本件説得のために反対者の戸別訪問等も行っている段階でございますので、その模様も見ながら、また地元の方から厚生省出向くようにという御要望があればいつでもということで、情勢を見守ってきたところでございます。
  222. 柄谷道一

    柄谷道一君 厚生省は難病班の総括研究報告を、これ清水保班長の報告を出しておられます。また諸外国報告でも、ベーチェット病が普通の伝染病のように人から人に伝染した証拠は皆無である、こういうふうに一般に言われているわけでございます。医学者も、この原因及び治療法はまだわからない。いま鋭意解明中であるけれども、しかし少なくとも人から人に伝染するものでないということだけははっきり言うことができる、こう言っております。私は国家権力でこれを抑えろということを言っておるわけではなくて、ベーチェット病に関して最も正確で科学的な情報を持っているのは、私は厚生省とそしてその下に設けられています研究班であろうと思うわけであります。地元の問題につきましては、いろいろの問題が介在しておることは私は承知いたしておりますけれども、やはりその根本になっておるのは、このベーチェット病というものに対する認識に誤解があるということがその最大の要因である、こう思います。  大臣大臣は本委員会の所信表明の中で、ヒューマニズムと連帯感にあふれる福祉社会の実現は、国の最も基本的な政策目標である、こう述べられております。私は、この問題につきましても地方の問題ではありますけれども、そうした形式的な理由で国の責任というものを逃れるべきではないと、こう思うわけでございます。ベーチェット病院の建設は、単にベーチェット病患者推定三万から五万と言われておりますし、それだけの人ではなくて、約百万人と言われておりますいわゆる難病に苦しむ人々やその家族にとりまして、はかり知れない希望をこの建設は与えるものであります。私どもは善意によりまして「太陽ハ泣カナイ」という映画をつくりまして、各国民に難病に対する理解というものをより深くするための活動も行っておりますけれども、このやさき起きましたこの問題につきましては、私は放置すべき問題ではないと、こう信ずるわけでございまして、大臣、この問題について正確な情報を国として地方に伝達するということは、これは国家権力でも何でもないわけでございますから、その点ぜひ大臣としての善処をお願いをいたしたいと思うんですが、大臣いかがでございましょうか。
  223. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 今朝も厚生省局長以下と御相談をしたんでございますが、この問題は知事さんも非常に御熱心のように聞いております、これを建設することに対して。あそこには民生部長、衛生部長、いろいろの関係者もおりますし、まず地元の話し合い、説得ということが自治体自身の中で行われるというのが一番ベストでございます。かえって国が出向いて壊れるケースも大変多いわけでございます。しかし、さればといってこの問題は中央の問題でないというわけではございませんので、間接指導といいますか、ベストを尽くしてお手伝いをして誤解を解いていくということを、局長以下に指示をいたしておいたわけでございます。いま御指摘のように、誤解がありますれば中央から担当官が出向いて、純医学的立場等の説明することは当然でございます。よく検討さしていただきます。
  224. 柄谷道一

    柄谷道一君 今回の問題につきましては、地元民の方すべての人が反対というわけではございません。すでに千名を超える人道的な立場に立っての賛成に署名された方があるとも聞いております。  また私のところに寄せられました手紙によりますと、こういうのがあるんですね。  専門の権威者によって伝染の心配が全くないという医学的、科学的裏づけを一般市民に解明してほしい。汚物処理による伝染の可能性があるのかないのか。空気伝染はあるのかないのか。たとえば、患者が散歩している折にすれ違ったような場合、感染しないのか。もし感染した場合、国家で責任を持って秩父市民の生活を保障してくれるのか。こういう点が解明されるならば、私は賛成することにやぶさかではありません。  これは反対派の方がよこされた手紙でございます。  私は、大臣、これは人道上の問題でございます。いま大臣からできる限り間接的支援をという御答弁があったわけでございますけれども、現在の難病患者及びその実族の当面している実態というものもよく御理解を願い、かつ誤った認識がこれらを妨げているとするならば、正しい情報を伝達することによって一日も早くこの問題の解明を図ることはきわめて必要であろう。私、ちなみにこの問題がどれほど新聞に取り上げられているか、四月以降全国紙、地方紙のスクラップを集めてみましたら、もう七十二回これは報道をされているんですね。相当これは時間もかけ、各報道陣も両者の立場を述べています。世論としても非常に注目するところでございますから、ひとつ一日も早い厚生省としての善処を強く大臣に求めておきたい、こう思います。  次に、問題を救急医療の問題に移しまして御質問いたします。私は一一九番のダイヤルを回せば、いつでもだれでもどこでも救急患者は診てもらえると、そういう体制を早く求めたい。それは率直なかつ素朴な国民の声であろうと思います。しかし、一面この救急医療は不採算医療という現実を持っております。受け入れ病院も不足であります。資金も不足であります。そういう実態を国民ははだで感じまして、もし自分が急病や大けがをしたら果たして収容してくれる病院はあるんだろうか。病院はあったとしても、そこで十分の手当てをしてくれる専門医や看護婦がいるんだろうか、救われるべき命が体制の不備で失われるのではないだろうか、こういう不安を持ち続けているというのが、これまた実態であろうと思うわけであります。そうした中で、厚生省救急医療懇談会を設けて検討を行いまして、来年から救急医療センターを設置するなど積極的な姿勢を示しつつあることは、率直に言って時期やや遅きに失したとは言いながら、私は評価するものであります。  そこで、大臣として今後総合的施策を確立するために、どのような対策を進めようとしておられるのか、まず基本的な大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  225. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 御指摘救急医療というのは、最近非常に世論化をいたしまして、たらい回しして亡くなる、また夜間の救急病に対して医者がなかなか治療していただけない、こういう問題は急速に世論化してまいったことは御承知のとおりでございます。  そこで、厚生省といたしましては休日あるいは夜間の医療過疎といいますか、医者にかかれないという、ナショナルミニマムから言いましても大きい人権の問題でございますので、従来は地域的医療過疎に取り組んでおりまして、無医村の解消とかこれも非常にまだ十分ではございませんが、いよいよおくれておる休日夜間の救急医療に真剣に国策として取り組むように昨年からなりました。昨年は救急医療センター現在二百を超えておりますかな局長、それから告示病院はたびたび申し上げましたように、大変多くの病院その他お願いいたしておりますし、なかんずく消防庁の一一九番の御協力というのは、これはどんなに評価しても過大評価でないほど非常によくやっていただいておるわけでございます。ただ、消防の若い職員が不平言うのは、救急医療に出動することは決していとわないが、いやになるというのは、方々へ行っても寝て起きてくれないと、お医者さんが。断られる。いやになるというんですな。ですから、消防庁の救急搬送の若い隊員がそういうことで不平、文句言われないようなシステム、医療整備ということは厚生省の仕事でございますので、詳しくは局長からお答え申し上げますが、五十二年度でも、いまは十億足らずですが百二、三十億を要望いたしまして、第一次、第二次、第三次という救急医療体制を整備して、それに加うるに何と言っても情報ネットワークでございます。最近、東京都あたりはコンピューターを消防庁が入れまして、非常にネットワークが整備してまいっておりますが、これと同じように各府県にも完全なネットワークを、情報網を整備する、まあこういったことで、画期的な救急医療体制に取り組んでまいりたいと、かように思っておるわけでございます。それには先ほどもお話ありましたが、たとえば三公社五現業の病院にしましても、公立病院にしましても、おれんとこは昼間のあれだけだと言わないでですな、みんな御協力いただくという体制が望ましいので、そういう意味で総合的にこの問題取り組んでまいりたいと、かように思っておるわけでございます。
  226. 柄谷道一

    柄谷道一君 総論としては前向きの御答弁であるのですが、あと具体的にちょっと聞いてみたいと思うんですが、去る七日より九日まで大阪中之島中央公会堂日本救急医学会総会が開かれております。それを取材いたしましたある新聞記者は、わが国の救急医療が確立するためには当分試行錯誤を繰り返さなければならないという不安をぬぐい去ることができなかったという、まあ悲観的な報道を行っております。そこで、悲観的報道を行う第一の問題として指摘しておりますのは、基礎データすらない手探り救急医療ということを指摘いたしているわけでございます。  学会の第一日目の、救急医療患者の動態というセクションで明らかになったと言われておりますことは、一つ救急医療対策が、いま大臣も言われましたようにこれほど世論化している時代である。したがって、各地方自治体では当然基礎的統計資料は整えているであろう、こう期待をして学会から各都道府県に資料の提出を求めたところ、統計をとっていたのは十二都道府県にしかすぎなかった。また、その基準につきましても、消防庁は通院が軽症、三週間未満の入院は中等症、三週間以上の入院は重症という分類をとっておる。警察統計では一カ月以上になりますと、これが重症ということになる。消防庁及び警察関係の統計のとり方自体も不服である。また、消防庁基準によりますと、ちょっとでも軽い骨折でもしますと、当然三週間以上治療にかかりますから、これは重症になる。ところが救急医療の面でとらえますと、たとえばのどに異物がひっかかった、これはまさに救急医療を要するものでありますけれども、患者が処置を終わって帰宅をすれば、これは軽症扱い、こういうことになってしまう。まあその新聞記者はこのような状態の中で、果たして救急医療に対する正確なその処方せんを書く場合に、正確かつ妥当な統計というものがない以上、処方せんが書けないのではないか。何科の医師をどのくらいどこに置いたらいいのか、人工呼吸や手術を必要とする患者は一体どれぐらいいるのか、そうした基礎データすらないのに適切な対策を確立することができるのかという疑問を禁じ得なかったと鋭く指摘いたしているわけでございます。実態の正確な把握のために、こうした基礎的ないわゆる基準というものも厚生省調整しつつ、将来に対処する必要があるとこう思われますが、御所信はいかがでございますか。
  227. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) 救急医療現状が、ただいま先生指摘のような状況にあることは、非常にわれわれも残念に思っておるところでございまして、今後こういった基礎的なデータの収集等につきましては、全力を挙げて努力いたしてまいりたいと思っております。ただこの統計をとります場合には、やはりそのそれぞれの統計の目的によっていろいろ問題があろうかと思うわけでございまして、たとえばこの救急医療の対象となる患者というものを考えてみました場合にも、医学的に見ました場合に、これ一体どういう患者を取り扱えばいいかという問題もあろうかと思います。ただいま先生指摘のようないろいろなケースがあるはずでございます。ただ一つの現在国民の要求いたしております救急医療というものを考えました場合に、先ほど大臣から御答弁がございましたように、この医学的に見れば大して救急ではないけれども、時間的な医療の過疎と申し上げましょうか、医学的に見れば大した病気ではないけれども、やはり患者にとっては夜中に発熱をしたということは非常に大きな問題でございまして、やはりわれわれといたしましては、そういった社会的な意味における救急も対象にせざるを得ない、こういう問題もあろうかと思いまして、この救急関係の統計の取り方というものはいろいろな問題が含まれておるわけでございますが、今後警察当局あるいは消防等とも十分連絡をとりながら、なお統計の整備努力いたしたいと考えております。
  228. 柄谷道一

    柄谷道一君 ぜひその点は非常に問題があることではございますけれども、それなくして厚生省の三カ年計画もまさに的を射た計画はつくり得ないわけでございますから、これは衆知を集めて適正な基準設定について御努力を願いたい。  次に、私はこの救急医療ということになりますと、三本の柱があると思うわけでございます。第一本目の柱は、休日、夜間に医療機関を訪れる膨大な救急患者の診療を担当するいわゆる初期医療機関の整備充実でございます。その意味で休日夜間急患センターの設置は現在人口十万以上の市となっていると思いますが、これをさらに基準を緩和して拡大整備を図るべきであると思います。  第二の柱は、在宅当番医制度でございます。これは休日夜間センターとともに初期救急医療体制を支える第二の重要な柱であろうと思うわけであります。率直に言って、従来その普及を図るための施策は私はきわめて不十分であったと指摘せざるを得ません。今後その普及、拡大、そしてその定着化を図るために、厚生省としては具体的にどのような措置を講じようとしておられるのか。  そして、第三の柱は、現在最も整備がおくれている休日、夜間において手術、入院を要する重症患者を受け入れます第二次救急医療体制の整備であろうと思います。その整備、拡充についての方針。この三本の柱に対する厚生省としての所見を、時間の関係もございますので簡潔に要を得てひとつお答えを願いたい。
  229. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) 休日夜間急患センターにつきましては、先生指摘のように、従来人口十万以上の都市にこれを設置するよう整備を図ってまいったところでございまして、大体十万以上の市には整備できたところでございます。わが国の現状から申し上げますと、やはり大都市近郊のいわゆるベッドタウンで人口急増地帯というものがこの休日、夜間の医療の過疎状態になる率が非常に高いわけでございます。そういう意味におきましては、人口十万以下におきましても、こういった急患センターの整備は必要なわけでございまして、今後来年度予算におきましては、人口五万以上のいわゆる大都市周辺の人口急増地域にこの休日夜間急患センターの整備を図ってまいりたいと考えておるところでございます。  それから、さらにこういった休日夜間急患センターの設置がおくれている地域、あるいはむしろ在宅当番医制によってこういった休日、夜間等の通常の診療時間以外の時間帯における医療を確保するという方法がより好ましい地域もあるわけでございまして、そういった地域につきましては、従来、先生指摘のように、その地域医師会の善意にすがっていままでこういった在宅当番医制の整備を行ってまいったわけでございますが、やはりこの在宅当番医制の拡大、定着化ということも今後必要でございまして、そういった面から、その地域医師会の在宅当番医制等に対します活動に対しまして今後助成を行いまして、その定着化を図っていりたいと考えております。
  230. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、大臣、本年度から救命救急センターの整備に着手したと、こう言われるのでありますが、その数はわずか四カ所でございます。私は、一刻を争う重篤患者のための施設は、これは緊急に整備を急がなければならない。また、たらい回しの原因の一つに情報体制の不十分さが指摘されております。大臣は、各種施設整備とあわせまして広域的な情報システムを早急に全都道府県に整備していきたいと、こういうような意味の御答弁をされたわけでございますが、私はこの情報システムにしても、現在のコンピューターを使った救急医療情報センターには確かに何億もの金が注がれておりますけれども、しかしその情報システムは患者の搬送を情報的に処理しようというものでありまして、必ずしもそれが十分であるとは言えないと思うのであります。すなわち、患者の病状に見合った処置をする医療内容にまで突っ込んだ情報システムの開発が当然必要になってくる。そのためには救急車の中での適切な処置を命じ、病状に見合った医療施設に患者を送る新システムの開発が必要でありましょうし、そうなってまいりますと、たとえば心電図などを電送できる設備を救急車に常備する、こういったように救急車そのものをつくりかえていかなければならない必要性も生まれてくると、こう思うわけでございます。  ここ数年、わが国の貧弱な救急医療体制の実態は各地で取り上げられてきたところでございますが、私は休日、夜間の医療砂漠、患者のたらい回し、二次医療機関の絶対的量の不足、医師と看護婦などパラメディックの不足など、どれをとりましてもこれは容易に解決できる問題ではない。いま厚生省が本年度の予算の約十二倍の予算を明年度大蔵に要求しているということでございますが、私は、この額は確かに十二倍ではございますが、元の原資が少なかったわけでございますから、決してこれをもって十分と言える額ではないと思うのです。私は、この百二十五億というのは初年度のいわゆるスタート台につくいわば予算であろうと思うのですね。厚生省にお伺いしますと、二年度目の予算をどのぐらい要求をするのか、まだ検討していない、平年度に組みかえられることによって二百五十億ぐらいにはなるのではないか、こういう意向も伺うわけでございますが、わが国の救急医療体制の現状と将来の展望という点を見ますと、二年度目の二百五十億程度ではまだまだ救急医療体制というものが十分でない、こう思うわけであります。財源逼迫の折から、なかなか大蔵の抵抗は強いと思うのですけれども、そういった実態を踏まえて、大臣、これはひとつ政治的生命をかけて、来年の厚生省の少なくとも目玉商品なんですから、絶対にこの予算は本年度取る、来年は飛躍的にこの額を増額したいという力強い答弁をここで期待をしたいと思うのです。
  231. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 休日及び夜間救急医療という問題のむずかしさは、お医者さんも人間でありますから、休みには休まなければならぬ、夜中は寝なければならぬ。ところが、事故とか急患というのは夜も起こるわけですね。ですから、それに応じた医療体制をしてもらうというのには、やっぱり国もお金を出さなければ救急医療体制は完備いたしません。病院にいたしましても、あるいは救急医療センターに医師会の人が勤めてもらうにいたしましても、それだけ余分の勤務外のお仕事をするには費用もかかる、手当も出さなければならぬということでございますから、百二十億の来年度予算は決して多過ぎるものではございません。医療費はGNPのもうすでに四%、四兆円、五兆円を突破しているわけですから。しかし、病気や急患は夜、休日にも同じように起こるのですから、救急医療体制の占めるウエートというのは百億、二百億のものじゃないでしょうね。しかし、これは世論が起こらなければ——夜はあきらめておるのだという人も多かったわけですね、心臓麻痺が起こっても。幸い、地方のどこの中小都市に行きましても、救急医療センター、センターと必ず市町村で言われるというほど世論化してまいりました。そういう意味で、いま御激励の線に沿いまして、厚生省の来年度の最大の目玉商品の一つである、そうして国民の健康と生命を守っていくというつもりでおりますので、せっかくベストを尽くしたいと思っております。よろしくお願いします。
  232. 柄谷道一

    柄谷道一君 時間が参りましたので、私は今後設置されます救命救急センターの運営に、大学病院等の協力の強化が必要であろう。また救急医療には、これも他の委員から指摘されておりますが、国公立病院がもっと積極的な役割りを果たすべきではないか、このようにも思っておりますが、時間の関係で質問は省略をしたいと思います。  最後に私は、大臣救急医療に関する総論はもう語り尽くされていると思うのであります。しかも、現在の実態はその体制と対策が不十分であるということは、一般にこれも指摘されているところであります。総論が尽くされ、しかも現状は不備であるとするならば、要はこの解決に対して厚生省当局がいかなる勇断をふるうか、その勇断に基づく具体的対策を年次計画を立てていかに早急に整備するかという、私は厚生省の責任にすべて帰せられるべきだというのが現状であろうと思います。時間の関係で、もっともっと質問をしたかったわけでございますが、時間を守りまして、最後に、大臣、目玉商品が目玉商品らしいようなひとつ成果を上げるために、今後とも引き続いて厚生省挙げての積極的な努力を強く強く要請をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  233. 浜本万三

    ○浜本万三君 簡単に二、三のことについて質問いたします。  質問の要点は、被爆動員学徒に援護法を適用してもらいたいということであります。五月の十一日の社労委員会におきまして、私、厚生省に要求をいたしました。特にその中で広島電鉄家政女学校、広島県立病院、さらに日本製鋼所の問題について要求をしたのですが、そのことにつきまして十月二十四日の中国新聞紙上に、広島電鉄家政女学校の生徒の認定という問題について記事が載っておりました。これはかねてから厚生省に検討を要求し、また局長も、広電家政女学校については学校自体が文部省所管のものであったのか、また動員命令がどこから出されておったのか、資料が不十分であるので調査いたしますということであったわけなんですが、いずれにいたしましても、認定をするという厚生省の態度を決められたことは、私はその努力を評価したいと思っています。特に、いろいろ調べてもらいまして、軍需充足会社の指定を受けておったということが発見されたわけなんでございますが、そういう努力を積み重ねられたことについては、私は一定の評価をしておるわけであります。しかし、動員学徒の親たちから言いますと、非常に不満の意思が表明されておるようでございます。同じく当日の中国新聞で、動員学徒等犠牲者の会の副会長が話されました談話の記事があるわけなんですが、その内容を見ますと、原爆から三十一年間も見離されていたということ、さらに公務死として認められるようになってうれしいが、いままでどうして認めてくれなかったのか、まことに残念である、こういうふうに認定がおくれたことを非常に不満に思っておられるわけでございます。私はまず前段に要望しておきたいんでございますが、調べていただければいろんな救済の方法があると思いますので、今後とも十分ひとつ誠意を持っていろんな申請に対しましては調査をしてもらうように要望しておきたいと思います。そこで、確認の意味でその広電家政女学校の認定の数についてちょっと伺うんですが、これは実際何人ぐらいこれで救済をされることになりますか。
  234. 出原孝夫

    政府委員(出原孝夫君) 会社が把握しております数は三十一名でございますが、今回認めることができましたものは十八名でございます。
  235. 浜本万三

    ○浜本万三君 そういたしますと、あと十三名の方はこれからさらに審査を継続されるということになるわけでしょうか。
  236. 出原孝夫

    政府委員(出原孝夫君) これにつきましては、まだ会社の方から請求をいただかなきゃならぬ部分も出てまいるかと思います。したがいまして、そういった手続を経た上で認定できる可能性を非常に持っておるものでございます。
  237. 浜本万三

    ○浜本万三君 それでは、さらに会社から申請書が出ました暁には、誠意を持って認定なさるように要望をいたしたいと思います。  それからもう一つ、新しく軍需充足会社の指定を受けたものということが新たに出ましたんですが、これはいま、じゃあどういう会社がいつどういう法律根拠で指定を受けたかという点につきましては、にわかにお答えができなければ後でひとつ資料を提出していただきますようにお願いしたいと思いますが、いまお答えできますか。
  238. 出原孝夫

    政府委員(出原孝夫君) 広島電鉄家政女学校につきまして、この学校は昭和十七年の十一月に広島県知事の認可がございましたので、これは学校教育法に基づく学校であるということがここでわかるわけでございます。その後、学徒勤動令に基づく学校報国隊の出動命令が発せられたかどうかということが問題であって、これが実は明瞭ではなかったわけでございます。しかし、この会社自体が軍需充足会社として認定されておるということが、その後の調査によってはっきりいたしましたので、軍需充足会社でございますと、これは当然徴用に準じた形でその会社に従業する人たちが皆扱われるということになりますので、これらの学校の生徒さんたちも半分が授業で半分は会社の仕事をしておられた。特にこの昭和二十年の八月ごろになりますと、ほとんどが会社の仕事中心であったろうというふうに推定がされますので、個々についての明確な実証はなかなかむずかしいんでございますけれども、これだけ周りのことについて新しい事実ではございませんが、新しく私どもの方に資料としてわかった事実がございますので、これらを総合いたしまして認定できるというふうに考えたわけでございます。
  239. 浜本万三

    ○浜本万三君 それでは後ほどですね、先ほど申したようなことでいま局長の方でわかっていないことは資料として提出いただくようにお願いしておきたいと思います。  それから次の問題は、そのときに要求しておきました広島県立病院の認定の問題でございますが、これはいまどのようになっておるでしょうか。
  240. 出原孝夫

    政府委員(出原孝夫君) この件につきましても、これは先ほどの件もあわせましてでございますが、いわゆる遺家族援護法で準軍属に取り扱える範囲というのは援護法の中で規定されておるわけでございますが、いまの広島家政女学校の場合には、これは国家総動員法関係が基礎になったわけでございますが、今回の場合におきましては、特にいまの県立病院の件でございますが、これは旧防空法の第六条の一項もしくは二項の規定によって、防空の業務に従事しておられるかどうかということが認定の基準になるわけでございます。この防空法の第六条と申しますのは、特殊技能を有する者をして、地方長官がその特殊技能を持っている者に防毒あるいは救護その他防空の実施に従事せしめることができるということがございまして、これは防空従事の例証を出すということが基本原則でございます。ところが、こういう状況で原爆が落ちたわけでございますから、そういう例証はもう残っておらないということになりますので、周りの事情をいろいろ調べてみてという家政女学校と同じような問題が出てくるわけでございます。私どもといたしましては、作為の入り込む余地のある資料としてはこれはなかなか採用しにくいのでございますけれども、直接の資料でなくてもこういった周りからいろいろ固めて見てこれで間違いないというところまでくればいいわけでございます。そういう意味におきまして、広島の県立病院の方々につきましても、現在防空法に規定する防空の業務に従事しておられたというようなことをできるだけ証明できるようなものにつきまして、県当局とタイアップをしながらその資料を集めておるという段階でございます。特に防空法の規定に基づきますところで申し上げますと、医師、看護婦等の方々は、この規定上からも、規定で言う特殊技能を有するものということは明確でございますので、むしろそのあとの防空法上のこういった知事の命令が出ておったかどうかということを実証するような資料を目下鋭意検討いたしておりますので、遺家族の方々の御心情等をもお考え合わせの上、できるだけ早くに結論を出したいというように考えております。
  241. 浜本万三

    ○浜本万三君 前回よりも相当前向きの答えをいただいたわけなんですが、この遺族の皆さんの心情から言いますと、すでに亀井政子さん、当時二十の方なんですが、この方は。その被爆いたしまして亡くなった皆さんの中で、ただ一人公の死として救済をされている方でございます。だから、その他の方々は同じ職場で同じように働いておった同じ身分の人が、一人は救済されて他の者は救済されないということはいかにも不当ではないか、こういう不満の声が強いわけでございます。しかし、いま局長からお話をいただきましたように、あと問題は県知事の命令だけが問題になっておるということになりますれば、前の事情よりも相当前進をした調査の結果がお答えになられておるというように思いますので、私はその努力を評価いたしますと同時に、早急にその点を調査をしてもらいまして、すでに救済をされました一人の方と同じように救済をしていただくように努力をしてもらいたいと思いますが、重ねてお答えいただきたいと思います。
  242. 出原孝夫

    政府委員(出原孝夫君) その点につきましては、現在私どもの方では当時の県立病院におきまして、旧防空法に基づく防空計画によって救護班が編成されておったかどうかと、これは編成されておったというように私どもも推測できるというように考えております。で、これが防空法第六条によるものであると認定できるかどうかの段階にきておりますので、その点につきましては、救護班の構成内容その他につきまして、もう少し詳しく調べた上で答えを出したいというふうに考えております。
  243. 浜本万三

    ○浜本万三君 なお重ねて、お答えはできればしてもらいたいと思いますが、いまそういう審査をしておる県立病院の犠牲者の数はどのぐらいになっておりますか。
  244. 出原孝夫

    政府委員(出原孝夫君) 犠牲者といたしましては、医師、看護婦その他の職員及び看護婦の講習生を含めまして、被爆時には百四人が受講中にその中の多数が亡くなったということで、当時の状況では医療従事者が五十八名と事務職員が二十二名おられたというように承知をいたしております。
  245. 浜本万三

    ○浜本万三君 それでは早急に審査を完了して、一刻も早く救済をいたしまして、遺族の気持ちが安らぐように努力をいただきたいと思いますが、これは最後に戦後措置の問題でございますので、厚生大臣にその決意を伺って、時間が来ましたので質問終わりたいと思います。
  246. 早川崇

    国務大臣早川崇君) できるだけ御遺族なり、そういう犠牲者が急ぎますので、調査を急ぎまして、適当な措置をとりたいと思っております。
  247. 浜本万三

    ○浜本万三君 適当な措置じゃどうも最後の締めくくりが悪いですからね、できるだけひとつ誠意を示したいという意味のことを大臣は答えてもらわにゃいかぬと思いますが。
  248. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 承知いたしました。
  249. 戸田菊雄

    委員長戸田菊雄君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十三分散会      —————・—————