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1976-10-19 第78回国会 参議院 社会労働委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月十九日(火曜日)    午前十時九分開会     —————————————    委員異動  十月十八日     辞任         補欠選任      野坂 参三君     星野  力君  十月十九日     辞任         補欠選任      志苫  裕君     前川  旦君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         戸田 菊雄君     理 事                 玉置 和郎君                 森下  泰君                 浜本 万三君                 小平 芳平君     委 員                 今泉 正二君                 上原 正吉君                 小川 半次君                 佐々木 満君                 高田 浩運君                 橋本 繁蔵君                 田中寿美子君                 柏原 ヤス君                 沓脱タケ子君                 星野  力君                 向井 長年君    国務大臣        厚 生 大 臣  早川  崇君    政府委員        厚生政務次官   中山 正暉君        厚生大臣官房長  山下 眞臣君        厚生省公衆衛生        局長       佐分利輝彦君        厚生省環境衛生        局長       松浦十四郎君        厚生省医務局長  石丸 隆治君        厚生省薬務局長  上村  一君        厚生省社会局長  曾根田郁夫君        厚生省保険局長  八木 哲夫君        厚生省年金局長  木暮 保成君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        行政管理庁行政        管理局管理官   佐々木晴夫君        大蔵省主計局共        済課長      山崎  登君        文部省大学局医        学教育課長    齋藤 諦淳君        通商産業省産業        政策局消費経済        課長       内田 禎夫君        労働省労働基準        局労災管理課長  田中 清定君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○社会保障制度等に関する調査  (原子爆弾被爆者援護に関する件)  (薬品による被害者救済対策に関する件)  (国立病院及び国立療養所に関する件)  (年金に関する件)  (老人医療に関する件)  (大久野島の毒ガス被害者対策に関する件)  (救急医療に関する件)  (洗剤等安全対策に関する件) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 戸田菊雄

    委員長戸田菊雄君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十八日、野坂参三君が委員辞任され、その補欠として星野力君が選任されました。  また、本日、志苫裕君が委員辞任され、その補欠として前川旦君が選任されました。     —————————————
  3. 戸田菊雄

    委員長戸田菊雄君) 中山厚生政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。中山厚生政務次官
  4. 中山正暉

    政府委員中山正暉君) 委員長から御指名をいただきました九月二十日に厚生政務次官を拝命いたしました中山正暉でございます。  前回の委員会でごあいさつを申し上げるよう御指名をいただいておりましたが、あいにくとまことに個人的な理由でございますが、私の母が逝去いたしまして、そのためにやむなく欠席をいたしましたところ、大変人情深い御配慮の上に、本日、委員皆様方の前でごあいさつをする機会をお与えくださいましたことに心から深く感謝を申し上げつつ、特にこれまた個人的なことで恐縮でございますが、母中山マサ昭和二十八年に厚生政務次官、三十五年に厚生大臣をいたしましたし、私も、その厚生大臣のときに政務の秘書官をいたしましたが、くしくも、くしき因縁と申しますか、私がこうして厚生政務次官を拝命をいたしました際の逝去でございます。特に心を新たにして国民の福祉、特に急速に変化をいたします経済社会情勢に呼応した厚生行政を行うために、ここにおられます早川大臣のもとに、特に参議院社会労働委員会の大変指導性ある先生方の御指導のもとに政務次官の任を果たしたい、かように覚悟を新たにいたしております。今後ともの御指導、御鞭撻のほどをお願いを申し上げまして、ごあいさつにかえたいと存じます。  きょうは御配慮を感謝します。ありがとうございました。(拍手)     —————————————
  5. 戸田菊雄

    委員長戸田菊雄君) 社会保障制度等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 浜本万三

    浜本万三君 私は、原爆二法の運用などにつきまして御質問を申し上げたいと思います。  昨日、総評被爆連などの代表の方が厚生省に陳情に参りましていろんな要求をいたしました。厚生省からは一定の回答もあったようでございますが、なお、いろいろな問題点につきまして明らかにしていただきたいと思いまして質問を申し上げたいと思う次第でございます。  御承知のように、三十一年前の昭和二十年八月六日、九日に広島、長崎にアメリカの原子爆弾が投下をされまして非常に甚大な被害を与えました。死者三十万人余、全市壊滅というこれまでの戦争史上にかつて見なかった大きな犠牲を受けたわけでございます。しかも、この爆弾特殊性から申しまして、一時にたくさんの死傷者が出たばかりでなしに、放射線障害による後遺症がいまだに継続をされておりまして、多くの人々を苦しめておることは御承知のとおりでございます。またそれらの方々は、今日貧困と病苦と孤独という三重苦に悩まされながら、ようやくこれまで生き延びてこられたと思うわけでございます。したがって、これらの方々に対しまする早急な国家保障による援護措置というものが講じられてしかるべき時期に来ておると思うわけでございます。また、そのときに被爆をした方々だけでなしに、二世、三世まで放射線障害の影響が及ぶであろうという予測も今日立てられておる次第でございまして、今後の救済措置は、これらの方々を含めまして早急に実施する必要があると思うわけでございます。しかし、厚生省の今日の施策を拝見いたしますと、医療法特別措置法による二つの法律で救済をされておるようでございますが、いずれもその措置は不十分なように思うわけでございます。  以下、その内容につきまして若干私の意見を述べながらお尋ねをいたしたいと思います。  まず最初に、健康診断の問題についてお尋ねをするわけなんですが、健康診断の実情を厚生省資料で拝見をいたしますと、五十年度は一般健診が約四十万四千九百余人、そのうち精密検査を受けた者が八万六千六百余人となっておりますが、しかし、健診を受けた方々の健診に対する感想を伺いますと、非常に不満の方が多いように思うわけでございます。一体、その不満の原因はどこにあるのであろうかという点を私ども考えてみますと、被爆者立場に立って健診が行われていないというところに要約できるように思うのですが、厚生省としてはどのように考えられておられるでしょうか、まずその点からお尋ねいたしたいと思います。
  7. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 原爆医療法に基づく被爆者健康診断につきましては、昭和三十二年の制度創設当時におきまして当時の被爆者に必要な健康診断項目をすべて盛り込んだものでございましたけれども、その後、被爆後三十一年もたってまいりますと被爆者方々老齢化をしていらっしゃいましたので、そういう面も考慮しながら今後の制度改善を図らなければならないと考えております。ただし、被爆者方々の御要望を承りますと、端的に申しまして外来人間ドックのような検査をあのような集団健診ですべて行ってほしいという御要望のようでございますが、そのようなことにつきましては実施能力についても限度がございます。したがって、そのような実施能力、また、被爆者老齢化、こういったものを相互勘案しながら今後の制度改善を図りたいと考えております。
  8. 浜本万三

    浜本万三君 被爆者が結局政府政策に接する一番最初機会健康診断であるということは申すまでもないと思いますが、原爆医療法の第四条、六条を見ますと、知事は、毎年、省令の定めるところにより健康診断を行い、また診断を受けた者に対して必要な措置を行うということが定められておるわけでございます。つまり、健康診断というのは先ほど申したように被爆者方々医療行為と結びつく最初の窓口であろうというふうに私は思います。また、この医療法の期待する疾病を予防するための具体的な指導を施す機会でもあるというふうに私は思う次第でございます。  そういう立場に立って考えますと、局長が言われるように被爆者の実態が従前より変化をしておりまするので、早急に健診項目をふやすとか、あるいは言われておる人間ドック式の健診を行うとか、あるいはまた、定期訪問制度というものを加えるとかいうようにいたしまして、本当に被爆者立場に立って今後健診を行う必要があるというふうに思うんですが、そういう考え方につきましてどのようにお考えでしょうか。
  9. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 先ほども申し上げましたように、被爆者の第一次健診における項目につきましては現在いろいろな角度から検討をいたしておりまして、先ほども申し上げましたように各都道府県の実施能力も勘案しながら、たとえば従来の検査に加えまして心電図測定とか肝臓機能障害検査とか、そういったものを新たに加えることを現在検討中でございます。また、一次の健診で要精密健診と判定された方々につきましては、現在すでに一部の方については入院ドック方式による精密検査を行っておりますが、こういったものを逐次拡大してまいりたいと考えております。  また、ただいま御提案のございました訪問健康診査のような方法につきましては、これも将来の問題として慎重に検討する必要はあろうかと存じますが、現在のところは実施能力関係からきわめて困難であろうと考えております。
  10. 浜本万三

    浜本万三君 局長も健診制度のあり方については三十一年たった今日、被爆者高齢化であるとか疾病多様化等によってその必要性は認められておるんですが、必要性が認められておって制度改善がないということは、やっぱり厚生省少し怠慢ではないかというふうに思うのです。特に、従前からこの問題が提起をされておることも御承知であろうと思うのですが、念のために申し上げますと、広島県は昭和四十九年十二月二十九日付で医療審議会にその再検討を求める要求をいたしておりまするし、厚生省としても昭和四十七年から検討中であるということがこれまで答弁にあったわけなんですが、しかしその後、審議はされておるけれどもほんの少ししかその改善が認められないということになると、行政としては少しやはり怠慢ではないかという気が私はするわけです。ですから、広島県の医療審議会に対する再検討要求なり厚生省検討中であるという速度をもう少し速めて、できれば五十二年度から実施する気はないかということをお尋ねしたいと思います。
  11. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) ただいまも申し上げましたように、明年度から心電図測定とか肝機能検査、こういった検査項目を追加するように予算要求をいたしまして、ただいま鋭意努力をしているところでございます。
  12. 浜本万三

    浜本万三君 大臣にちょっと締めくくりで私の方から注文つけたいんですが、いまのように健診の改善をする必要性局長も認められておるんですけれども、ほんの少ししかそれの改善の跡がないということで、被爆者の皆さんが被爆者立場に立って健診をされてないという不満があるんですよ。したがって、もうすでに厚生省も四十七年から検討に着手されておるわけですし、また広島県等におきましてもその問題に取り組んでおられるわけなんでございますから、早急に大臣で督励をしていただきたまして、健診項目改善あるいは被爆者の心情を十分考えた上での健診方法というものが早急に実現できるように善処していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  13. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 全く浜本先生の御指摘のとおりでございますので、御趣旨に沿った健診というものに努力、督励いたしたいと存じます。
  14. 浜本万三

    浜本万三君 大臣から非常に前向きの御発言がありましたんで、ぜひひとつその趣旨に沿って促進をしていただくように重ねて要請をいたします。  次は認定制度の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。昭和五十年三月末現在の被爆者健康手帳交付者数は、厚生省資料によりますと三十五万六千五百余人になっておりますが、そのうち特別手当受給者は、つまり認定患者でありますが、これはわずかに三千九百余人でございます。手帳交付者数に比べると認定患者はわずかに一・一%という低位になっておると思います。私は、こういう結果になっておるのは基本的にこの認定制度に欠陥があるのではないかというふうに考えております。したがって、認定制度は早急に撤廃すべきであるという考え方を持っておるわけなんでございますが、以下、二、三の点についてお尋ねをしてみたいと思います。  まず第一は、認定制度性格が変わっておるんじゃないかということをお尋ねしたいと思うんです。と申しますのは、医療法制定されました当時は、医療認定を受けなければ国費による医療を受けることができませんでした。しかし、そういう中で三十五年に特別被爆者制度ができました。特別被爆者認定を受けなくても原則として国費治療ができるようになったことは局長も御承知のとおりだと思います。そして、その範囲も次第に拡大をされまして、四十九年には特別被爆者一般被爆者が一本化されたことも御承知のとおりだと思います。そこで、被爆者認定なくして国費医療が受けられるようになったという経緯はやっぱり正しく受けとめるべきだというふうに思います。つまり、このことは医療に関しましては認定意義というのはすでに消滅しておることを意味しておるんではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  15. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 原爆医療法に基づく医療費国費負担については二種類ございまして、認定患者につきましてはその医療費の全額を国庫が負担いたしておりますが、その他の被爆者につきましては医療保険などを優先させまして、本人の自己負担分だけを国庫が負担いたしております。このような性格の違いがございます。
  16. 浜本万三

    浜本万三君 つまり、いま局長がおっしゃいましたように、確かに二つの取り扱いにはなっておると思うんでございますが、先ほど私が申しましたような経緯考えましてみますと、その後四十三年に特別措置法というものが制定をされまして、医療認定を受けた者に特別手当が支給されるようになったわけでございます。そこから認定制度は、医療認定とは言いながら、医療認定を受けなければ特別措置法による手当が受けられないという条件になったと思うんです。したがって、現在はむしろこの特別手当を受けるために医療認定を受ける、こういう形に変化をしておるんじゃないかというふうに私は思うわけでございます。したがって、被爆者方々からいたしますと、治療後も特別手当の半額が支給されるということになってまいりますと、これは保健手当と加えて年金的な性格を持つものであるから、したがって特別手当を受給するために認定という、そういう制度に乗っかかってしまうということになるのではないかと思うわけなんであります。したがって、むしろこの認定制度性格というものは特別手当を受けるための認定制度変化をしているんじゃないかというふうに私は思うんですが、この点いかがでしょうか。
  17. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 昭和四十三年の原爆特別措置法以後はそのような面が出てまいりましたが、それより以前に原爆医療法に基づいて認定患者には医療手当が支払われていたわけでございます。したがって、四十三年の特別措置法制定以後さらに特別手当を追加して支給するという制度になってきただけでございまして、先生おっしゃるようなそれほど大きな性格の変更ではなかろうと考えております。
  18. 浜本万三

    浜本万三君 これは実は私だけの考え方かと思っておりましたところ、最近、「日本医事新報」に、長い間被爆者のめんどうを見てこられ、かつまた原爆医療審議会委員でありました松坂先生が書かれました論文が掲載されておりましたので、その論文内容を見ましても、どうも私の見解とほぼ同じような見解をとっていらっしゃると私は思ったわけでございます。つまり、その内容によりますと、かつて昭和四十三年十月、広島市におきまして「原爆症認定問題点」と題するシンポジウムが開催をされました。そのシンポジウム申請疾病原爆起因性証明がはなはだ困難だということが述べられておるわけでございます。起因性を証明することが非常に困難だという意味もあるんでしょうが、厚生省医療審議会に対しまして、起因する可能性を肯定できるとか、あるいは起因する可能性を否定することができない、起因する可能性を否定するという、この三つに分けられまして、この審議会で評価をされておるということを聞くんですが、これは起因性が証明できないのでいま申したような区分によって認定をしておるのではないかというふうに思われるわけであります。そう考えてみますと、私はこの原爆起因性というものが非常に認定しがたい状態にもうなっておるのではないか。そうだとすれば、認定制度というものはほとんど無意味ではないかというふうに思うんですが、いかがでしょう。
  19. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 数はそれほど多くはございませんが、昭和三十二年の原爆医療法制定以降現在まで約七千三百人の方々認定を受けていらっしゃるわけでございます。  また、原爆医療審議会におきましては他の関連する援護法とか恩給とかあるいは労災関係認定の模様も勘案いたしまして、一定認定のルールを定めておりまして、しかも、それを医学進歩などに合わせて逐次改善も図ってきているわけでございます。したがって、原爆固有障害というようなものがないということから、原爆症認定がむつかしいということは一般的には申せますけれども、一部の障害疾病については起因性が証明できるという状況にございますので、現在の認定制度はやはりそれだけの存在の意義を持っておりまして、今後も継続していく必要があると考えております。
  20. 浜本万三

    浜本万三君 いま局長も認められましたように、原爆放射線に起因する独立した疾病は認められていないと、こういうお話でございまして、このことについては広島大学の志水先生もそのことをすでにおっしゃっておられるわけでございます。  また、すでに認定をされております疾病につきましても、原爆とは無関係に起こり得るということも申されておりまするし、これらが原爆放射線によって起こったということを証明することは困難であるということも同時に長い間原爆病院で仕事をされました重藤原爆病院長もおっしゃっておられるわけでございます。そういう点から考えますと、一刻も早く基本的には認定制度を撤廃をする必要があるというふうに私は思っておるわけでございます。  また、百歩譲りましても、認定制度につきましては疑わしいものは救済をするという立場認定基準の枠を今日の状態では拡大する必要があるんではないかというふうに思いますが、その点は局長いかがにお考えでしまうか。
  21. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 現在におきましても疑わしいものは認定をしているわけでございます。先ほど先生からもお話のございました因果関係が否定できないというグループがこの疑わしいものでございます。ただ、先生もおっしゃいますように、こういった認定基準医学進歩等々によって逐次改善されるものでございますので、そのような努力は今後も図っていかなければならないと考えます。
  22. 浜本万三

    浜本万三君 いまおっしゃいました認定基準というのは、私ども先ほど申した区分では科学的な根拠が非常に薄いというふうに思うんですけれども基準についてはどういうふうにお考えになっておるんですか。
  23. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 先ほども申しましたように、原爆固有病気というようなものがございませんで、原爆放射線を多量に浴びたことによって病気が起こりやすい、治りにくいといった性格のものでございますから、ケースバイケースでそれぞれ認定をしていかなければならないというむつかしさはございます。しかしながら、先ほど先生からもお話がございましたような三つグループに分けて認定事務を進めるといった方法は、これは原爆だけでなく、援護法でも恩給法でもまた労災の方でもそのような三つグループに分けて最終的な認定をしているのでございますから、そういった意味においてはほかの認定制度と同じような方法認定事務を進めているところでございます。
  24. 浜本万三

    浜本万三君 疑わしきは救済をするとか、ケースバイケース救済をしていきたいという考え方を表明されたんですが、そのとおりになっていないのが石田訴訟であったと思うんです。ところが石田訴訟は、私どもから言えば幸いにも広島地裁において厚生省の反論を退けまして、原告の申し立てどおり救済をされるということになったわけでございます。ということは、いま局長がおっしゃるように、疑わしきは救済するとか、ケースバイケース被爆者立場に立って認定をしておるということは、石田訴訟一つを見ましても言葉どおり実行されてないというふうに私は考えます。石田訴訟があのような判決を裁判所が下した以上は、ますます石田判決に従ごうて厚生省は今後の運営をすべきだと思いますが、その点いかが  でしょうか。
  25. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 石田訴訟に関する判決におきましてあのような論旨が展開されている  わけでございますけれども、私ども上告を取りやめましたのは、その後の医学進歩考えますと、まず原爆白内障があった、それに後から老人性白内障が合併してきたと、その原爆白内障も古いものについては対症療法の効果はないと。また老人性白内障原爆によって起こったものとは言えないというところは従来どおりでございますけれども原爆白内障による視力障害が後から起こった老人性白内障による視力障害の合併によってさらに重くなると、それを防ぐためには、老人性白内障原爆に起因するものではないけれども、その対症療法をやるという必要もあるであろうという新しい眼科学会考え方に従って上告を取りやめ、石田さんのようなケースについては今後は認定するという措置をとったわけでございます。
  26. 浜本万三

    浜本万三君 厚生省のそういう一歩進んだ措置がとられたわけでございますから、今後の運用におきましてもさらに認定範囲拡大をして運営していただくように重ねて要望をしたいと思います。  なお、その範囲拡大の問題に関しまして二、三の具体的な症状、障害を挙げまして厚生省見解を承りたいと思います。  と申しますのは、乳がんでありますとか、肝機能障害者でありますとか、原爆医療制度制定以前に行われた治療後の後遺症に対する対策でありますとか、さらに原爆症の代表的な疾患でありましても、医療内容医療行為を伴わないと認定されないという不都合があるわけでございます。こういう問題はケースバイケースで、被爆者立場に立って、そして広く救済をしていくという厚生省先ほど見解どおり、早急に改善をしてもらいたいと思いますが、これはいかがでしょうか。
  27. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) ただいま具体的に御指摘のございました、たとえば乳がんとか肝機能障害、こういったものにつきましては近距離の多線量被曝者についてはすでに認定が行われているところでございます。  また、三番目に御指摘がございました昭和三十二年の原爆医療法制定以前にすでに傷病の状態が治癒して後遺症だけを残している者はどうにか救済してやれないであろうかという御意見でございますけれども、これは医学的にもいろいろな問題がございますが、簡単に申し上げますと、やはり昭和三十二年以降まで原爆放射能を浴びて大変苦しんでいらっしゃった方々について現在の原爆二法を適用するのだという基本的な方針に基づいて制度運用しているわけでございます。また、そのような過去の経緯、また制度制定趣旨もございますので、今後原爆後遺症だけお持ちになっていますけれども医療は必要としないというような方々にまで認定の対象を拡大するという考え方は持っておりません。
  28. 浜本万三

    浜本万三君 いまの話は非常に血も涙もない答弁なんですよ。昭和五十年の十一月に、たとえば長崎の長崎県被爆者手帳友の会という会から請願が来ておる内容を見ますと、たとえばこういうことをいわれておるわけですね。「最近却下され又は見送られる事例には特に外傷者(ケロイド等)に多く見られますが、外傷は三十年経過して漸く固定した状態であり、過去の苦しみの経験から少々の不自由はあっても、今更、切開若しくは手術等を行のうことを躊躇するのは当然であります。然も既に老境に入ろうとする年令的なものからも今更と言うこともあるのであって、これらに対し元に戻るでもない手術や治療を受けなければ認定しないとのことは、余りにも人間性を無視したものと言わざるを得ません。」、そういう文章があるわけです。私、読みましてもまさにそのとおりだというふうに思うわけでございます。  また肝硬変症の問題にいたしましても、これも松坂先生がおっしゃっておられるんですが、肝硬変症も慢性肝炎の一環であって、肝機能障害と病名を変えても救済をする必要があるんではないか。逆に言えば、放射線のときは疫学的にも何千ラドという非常に高い放射線を受けなければ肝硬変症というものは起きないような学説もあるということをおっしゃっておられるのでありますが、そういうふうに病名を変えてもやはり救済をする必要があるんではないかという説もあるわけでございます。  また、乳がんの発生率が広島に高いというのは、御承知のように爆弾の種類で中性子がたくさん飛び出して人間の人体に大変大きな障害を与えたという原因でもあろうと。したがって長崎よりは広島が乳がんが多いんだという説もあるような次第でございまして、こういう具体的な一つ一つの例を考えてみますと、本当に原爆の代表的な疾病にかかっておる者、もしくは後遺症がある者は一刻も早く救済することがまさに情のある被爆行政ではないかというふうに思うんですが、重ねてひとつ回答いただきたいと思います。
  29. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) たとえば、ただいま御指摘ございました肝硬変でございますが、これは従来のABCCその他の疫学的な調査によりましても、特に被爆者に肝硬変が多いという結果が出ておりません。したがって、これを認定することは困難であると考えております。  また、その前に御指摘のございました外傷、それによる手足の障害とか、あるいは皮膚の障害のケロイド、こういったものでございますが、これは医学的に見ましても昭和三十二年当時とまた現在の昭和五十一年当時では、かなりその後遺症の模様も変わってきているわけでございます。たとえば、三十二年には非常に足が動きにくかったけれども、それをそのまま放置しておきますと、現在においてはかなり動くようになったとか、あるいはケロイドの場合にも三十二年のときには非常に醜いかたいケロイドであったが、その後約二十年を経過してやわらかくなって余り目立たなくなったというような変化も起こっているわけでございます。したがいまして、そのような医学的さらに社会的な側面も重視しなければならないかと存じますが、世の中の進歩に合わせて今後認定基準も逐次改善されるべきではあると存じますけれども先ほど要望のございましたようなところまで、いま直ちに認定の対象者を拡大するということは考えておりません。
  30. 浜本万三

    浜本万三君 ここはひとつ大臣に決断を求めたいんですが、先ほど申しましたように、原爆症といえばいろいろな症状がございますけれども原爆でやられまして後遺症としてケロイドが残ったと、こういう方はもう明らかに原爆被害者だということがだれの目から見てもよくわかると思うんですよ。ところが、これは手術しなければ認定されないということになってまいります。ところが、その人は先ほど申しましたように、もういまさら年をとってという気持ちもあるわけなんであります。原爆の代表的なそういう障害を持った人に対しては、そうたくさんな人数じゃないんですから、温かいまなざしをもってこれを救済するということが望ましいと思うんですが、いま一つの例を挙げましたが、大臣、どうでしょうか。
  31. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 特に先生から御指摘のございました外傷、それによる手足の障害とか、あるいはケロイドのような皮膚の障害、こういったものは一般戦災者の場合にもかなり起こってくるわけでございます。そこがいわゆる放射線を多量に浴びたことによるがんの増加とか造血機能、腎臓機能、肝臓機能の障害、そういったものとかなり違うところがあるのでございます。したがって、認定範囲医学その他世の中の進歩に合わせて逐次改善拡大はしなければなりませんけれども、いま直ちにそこまで対象を拡大するという考え方は持っておりません。
  32. 浜本万三

    浜本万三君 まことに残念なんですが、さらに検討をしてもらうことを要望いたします。  それから被爆二世、三世の問題なんですが、これは原爆医療法第二条第三項で被爆者の定義に入るんじゃないかというふうに思うんですが、原爆が投下されました際、またはその後において、身体に原爆の放射能を受けるような事情にあった者ということがこの第二条第三項に記載をされておりますので、二世、三世の方々はその項に入るんじゃないかというふうに思うんですが、いまだに二世に対する具体的な方針が前向きに出されていないことを残念に思います。しかし、そのことを心配されました東京都など地方自治体におかれましては、被爆二世、三世等に積極的な政策の意思を表明され、具体的な措置も講じられておるわけでありますが、厚生省としてはもうこの際前向きにこの問題の検討をされ、同時に救済をされる方途を講じられるべきではないかというふうに思いますが、いかがですか。
  33. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 被爆二世の放射線障害の問題につきましては、結婚、就職等非常に大きな社会問題となってくる可能性がございますので、きわめて慎重にこの問題は取り扱わなければならないと考えております。また、先ほど先生原爆医療法第二条第三項で、被爆二、三世も対象者として読めるのではないかという御提案がございましたが、これはやはりABCCその他各大学などで調査いたしましたこれまでの結果によりますと、被爆者の二世とその他の方の二世との間に差が認められないのでございます。そういう関係から、二条三項で読むということはできないのでございます。しかしながら、理論遺伝学等の示すところによりますと、被爆者の影響が二世、三世に残るという可能性もあり得ますので、私どもといたしましては本年度から広島、長崎の放射線影響研究所におきまして、きわめて新しい血液検査方法による遺伝生化学的研究という方法被爆二世、三世の状態を解明しようという調査を始めたところでございます。このような新しい医療技術によりまして、二世、三世に対する影響というものがはっきり証明されてくれば、これは当然適切な措置を講じなければならないのでございますが、現段階におきましては、被爆者の二世に特別な影響があるという結果は出ていないのでございます。  そこで、東京都が本年度おとりになりました二世に対する医療費公費負担の措置につきましては、これは憲法でも定めてございます地方自治の本旨から言ってやむを得ないこととは存じますけれども先ほども申し上げましたように二世、三世に対する放射線の影響というのはまだ解明しておりませんので、こういった問題はきわめて慎重に取り扱わなければならない問題ではないかと考えております。
  34. 浜本万三

    浜本万三君 最後の地方自治体の特別措置に対しましては、慎重にというふうに後ろ向きのお話があったんですが、少なくともこの放射線障害というものは医学的に解明されてないとするならば、その方々が非常に苦しんでおられるということになれば、厚生行政としては前向きにそれらの方々を拾い上げて救済をする姿勢がなくては本当の厚生行政では私はないと思うのであります。ですから、早急に研究をされまして前向きで一刻も早く救済できるような措置を講じてもらうことを要望しておきたいと思います。  時間がないので次に移りますが、小頭症の問題について伺いたいと思います。小頭症の現状について厚生省調査によりますと二十二人おられると、こういう話でございます。そして、その症状はいろいろまちまちである、こういう結果が報告をされておるわけでございます。しかし、ことしのこの厚生省の大蔵省に対する概算要求を見ますと、小頭症問題に対する要求がないように思うんですが、これはどのようにされようとしておるのかお尋ねをいたしたいと思います。
  35. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 二十二人の原爆小頭症の方々につきましては、たとえば親御さんがお亡くなりになった後だれがそういった方々のお世話をするかといったような問題がございます。そういう観点から、原爆小頭症の方々に何らかの特別措置をする必要があるのではないかという見地から、現在二十二人の方々状態をいろんな側面から検討を進めているところでございます。  なおその際、たとえば本年四月から原爆小頭症の方々が従来三年ごとに障害等級の認定を受けておりましたのを永久認定に切りかえたのでございますけれども、たとえばいま小頭症の方は特別手当医療手当、介護手当、こういったものを受給していらっしゃるのでございますけれども、そういった各種手当ができるだけ簡単に、しかもできるだけ永久認定のような方法で受けられるようにすることはできないであろうかというようなことも考えて、現在種々検討しているところでございます。要するに、最も象徴的な原爆被爆者原爆小頭症の方々については、何らかの措置を今後とらなければなるまいということで、きわめていろんな角度から慎重に検討を進めているところでございます。
  36. 浜本万三

    浜本万三君 これは五十二年度の予算に乗せるような検討の仕方なんでしょうか。たとえば広島市などでお話を伺いますと、市の方はなかなかむずかしい問題があるので、したがって、小頭症対策については原爆医療審議会の福祉部会でこの問題を煮詰めて早急に問題の解決を図ってほしいという意見を厚生省に出しておるとも私は聞いておるわけなんでありますが、具体的にどのような機関で審議をして、いつまでに予算に乗せようとされるのか、その点を一つ伺いたいと思います。
  37. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 私どもが当面、先ほど申し上げましたように、現在ございますいろんな手当の支給方法改善するというやり方はないかという立場から検討を進めておりますので、特に予算要求をする必要はないのでございます。従来の予算の支給の仕方の改善ということになろうかと存じます。
  38. 浜本万三

    浜本万三君 そうすると、時期はいつまでに具体的な方針を出されるわけですか。
  39. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 二十二人の方々状態が非常にまちまちでございますので、そこに一つの問題がございますけれども、できるだけ来年四月からでも実施できるように慎重に検討を進めているところでございます。
  40. 浜本万三

    浜本万三君 来年の四月からということなんでございますので、やや私もこの見通しが明るくなったんですが、早急にひとつ決定をしていただくようにお願いをしたいと思います。  大臣にこの問題でお願いをしたいと思いますのは、いま一番心配していますのは、局長が言いましたようにもしその二十二人の小頭症の親御さんが亡くなったらどうするのかというのが一番心配の点なんですよ。不幸にしてあるいはそういう場合が近々あった場合にはどうするかというのが非常に問題でございますので、それらの親の方々は、自分が亡くなった後はこの子はどうなるんだろうかという切実な心配があるわけなんです。したがって、厚生行政に非常に熱心な考え方を持っていらっしゃる大臣として、四月にということなんですけれども、四月にさらに十分措置をするというような決意を伺いたいと思います。
  41. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) ただいま申し上げましたように、小頭症の二十二人の方々医学的あるいは社会的な状態がいろいろございまして、それが一つむつかしい問題でございます。また、小頭症の方に特別な措置を講じますと、それがほかのまた特殊な方々にも広がっていくというようなことも予想されるわけでございます。したがって、まず小頭症の方々にどういうふうな特別な措置を講じるかといった問題、またそういったことがやたらにほかの被爆者方々に広がっていかないように歯どめをしなければならないといった問題、そういったむつかしい問題がございますので、できるだけ早くこの問題については結論を出したいと考えておりますけれども、いま直ちにいつからどのようにやるというようなお約束はできないのでございます。
  42. 浜本万三

    浜本万三君 どうも局長被爆者のことを言えば一般戦災者のことを言うし、この問題を言えば他のことをまた持ち出して逃げられるわけなんですが、先ほどの話では四月までに検討して何とかやりたいという話なんですが、いつまでにやるかわからぬということではまた答弁が後退することになるんで、もう一遍四月までにやるならやるということを聞かしてもらいたいと思いますけど。
  43. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) ここで何月までにやるというお約束はできません。できるだけ早く結論が出て実施に移せるように努力をするということしかお話しできないと存じます。
  44. 浜本万三

    浜本万三君 大臣、さっきのように四月にやる言うてみたり、いつまでにやるかわからぬと言うてみたり、どうも局長は答弁がいけぬのですけれどもね、四月までにやらせるという決意を大臣示してください。
  45. 早川崇

    国務大臣早川崇君) まあ一般論として御趣旨に沿って努力いたしたいと思います。まあ各論については局長の言われる線も考慮しながら最終的に決定をいたしたいと思っております。
  46. 浜本万三

    浜本万三君 時間が二十二分までだそうですから、もういよいよないんで急いで次の質問をいたします。  保健手当改善をしてもらいたいという私気持ちがあるんですが、これは結局厚生省の言われる二キロの線に線引きをしたというのは、二十五レムの放射線を受けておる者以上という人に対しまして、病気にかかっておろうがおるまいが保健手当を支給するということになったという話なんですが、これは一定の前進だというふうに評価する反面、また一方では被爆者方々は、これは放射線障害の実態を知らないところの、被爆者に対する新たな差別だと、こういう意見もあることも御承知のとおりだと思います。したがって、私は前から申し上げているようにこの制限を撤廃いたしまして、全員に保健手当のようなものは支給すべきだという見解を持っておるんですが、一回にそういう前進が期待できないとすれば、せめて三キロ程度までに拡大をすべきではないかという考え方を持っておるわけです。その理由は昭和三十七年に特別被爆者範囲というのが二キロから三キロに決められたわけですね。そのときに決めた理由は疾病の発生率や病状に変化がないということで範囲拡大されたわけなんでございますから、その理由を根拠にするというのが一つ。  それからもう一つは、健康管理手当をもらっておる人の事情を見ますと、二キロ以内と二キロ以上区分してみますと、二キロ以上の方が広島等では五一%もおられるということになりますと、病気にかかっておられる人々の数は二キロ以遠でもたくさんおるということがわかるわけであります。そういう事情から申しまして、実態的にもこれは改善する必要があるというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  47. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) この問題につきましては、一九五七年の国際放射線防護委員会の勧告、これは一九六五年に改定されておりますが、またアメリカの放射線防護測定委員会の一九七一年の勧告、さらにこれまでの医学的な経験に基づいて一応二十五レム以上の多線量被曝者を保健手当の対象にすることにしたものでございます。したがって、いま申し上げましたような国際放射線防護委員会などの新しい勧告が出てまいりますと、この二キロも再検討しなければならないと思うのでございますが、まだそのような新しい勧告は出ておりません。  なお、昭和三十七年当時は、広島、長崎の原爆放射線の推定量でございますが、一九五七年の第一次推定値を使っておりました。しかし、その後一九六五年に第二次の推定値が公表されまして、かなり広島については原爆の瞬間放射線の量が減ってきたわけでございます。したがいまして、現在二キロで測定いたしますと、広島の場合は四・四レムとなるのでございまして、これを三キロに拡大いたしますと〇・〇一レムぐらいに非常に低くなってくるのでございます。そういう面からも、特に広島については二キロを三キロに拡大するということはきわめて困難であろうと考えております。
  48. 浜本万三

    浜本万三君 いま局長が言われましたこの広島の被曝線量がまあ非常に少ないという話なんですが、その根本の原因は、結局中性子の生物換算率というのが率常に少ないところに私は大きな問題があると思うのですが、時間がないのでそういう点余り触れられませんけれども、だからその生物換算率を変えていけば若干の変化があるということが考えられるわけでございます。いずれにしましても、放射線防護委員会の二十五レム説を盾にとりましてこの保健手当の線引きをされるということは、私はやっぱり了承しがたい点がありますので、早急に改善をされるように要望をしておきたいと思うわけです。その理由は、まあ石丸学説とかあるいはまた千葉のイリジウム事件であるとか、あるいは体内被曝とか、老人、婦人の基準のとり方にも問題があるでしょうし、また米国はすでに一般人は〇・一七レムに下げられておるという実態等を考えますと、二十五レム説というものをいつまでも固持するということは誤りであるというふうに考えますので、早急にその改善要望したいと思います。  それから、次の問題は所得制限の撤廃につきましてお尋ねするのですが、これは時間がないのでいろいろな理由は申し上げられないんですけれども、簡単に質問をいたしますと、厚生省の方は一昨年からですか、年齢制限の撤廃に続いて所得制限の撤廃を大蔵省に要求されておるんですけれども、いまだにこれが実現しません。そこで、厚生省の撤廃要求にもかかわらず実現しない最大の障害はどこにあるのかという点についてまずお尋ねをいたしたいと思います。  それからもう一つ、ついでに時間がないからあわせていたしますと、この所得制限のやり方も、被爆者の諸手当とそれから児童扶養手当等福祉年金の場合と違っております。これはわかりにくいので、やっぱり統一をする必要があるんじゃないかという気持ちを持っております。統一をするとして、この被爆者の諸手当と福祉年金等の所得制限を比較してみますと、原爆手当受給者の制限の方が厳しい。これはやっぱり同じようにすべきではないかという見解を持っておりますが、この二つについてお答えいただきたいと思います。
  49. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) まず第一の諸手当等の所得制限が撤廃されない理由でございますが、これはやはりこの制度国家保障的な制度ではなく、社会保障と国家保障の中間的な制度であるというところから出発していると思います。また、いろいろ現在の経済状態、財政状態を勘案いたしますと、やはり非常に所得の多い方には御遠慮を願うというようなことにもなろうかと思うのでございます。  次に第二の、各制度によって所得制限の仕方が違うのではないかという御指摘でございますが、たとえば老齢福祉年金を例にとりますと、この制度は二段階の所得制限をやっております。まず、老齢福祉年金を受ける本人の所得が二百二十八万円以上の者はだめ。本人の所得が低いかないとき、こういったときには扶養義務者の所得が二番目に問題になってまいりまして、これは八百二十七万円以上であればだめという二段構えになっております。  ところが、原爆の方は一段階で所得制限をしておりまして、本人の所得の場合も家族の所得の場合も扶養義務者の所得の場合も合わせて、本年度で申しますと四百万三千円以上はだめという制限をしているわけでございます。  したがって、どちらの制度にも有利な点と不利な点がございますが、特に原爆被爆者の場合は、もうすでに被爆後三十一年でかなり老齢化をなさいましたが、老齢福祉年金受給者に比べるとまだ平均年齢はお若いわけでございます。したがって、いまのような所得制限の方が有利ではないかと考えておりますけれども被爆者の年齢もだんだん老齢化してまいりますので、今後はそういった面について慎重に検討してみる必要はあると存じます。
  50. 浜本万三

    浜本万三君 前向きに検討されるということでございますので、積極的にその推進を要望しておきます。  特別手当と生活保護の関係については局長見えてないですね。——それじゃこれは後にいたしましょう。  それから次は、ABCCの問題につきまして簡単にお尋ねをいたしたいと思うんですが、これは旧ABCC、いまの放射線影響研究所でございますが、発足いたしましてすでに一年半を経過したわけですか、最近の放影研に関する新聞の報道あるいは市民、特に被爆者関係の皆さんからの評価は芳しくないようであります。  ここに中国新聞で非常に膨大な報告がございますので、局長もごらんをいただいておると思うんですが、余り芳しくない。その理由をいろいろ調べてみますと、一つはアメリカ主導型が依然として続いておるということ。それから二番目は、日本が主体となって研究する状態にまだなっていない。対等と言われながら依然としてアメリカの主導型になっておるというところに問題があると。したがって、二番目は被爆者立場に立って運営されていないというところに不満があるように思うわけでございます。したがって、被爆者の気持ちを尊重して今後運営をする必要があると思います。で、被爆者の意見をどうして尊重するかということなんですが、これは地元の連絡協議会等を通じまして、被爆者の意見を反映するようにすることが必要ではないかと思うが、この点、局長見解をまず最初に聞きたいと思うわけです。  それから、その次の問題は、最近労使紛争が起きておるようでございますが、その原因を調べてみますと一つは外人二世との人種差別の問題があるようであります。その次は、理事会が自主的に運営をしていない、理事会の自主性が喪失しておるというところにその原因があるように思うわけでございます。したがって、労使紛争を早く解決をし、安定した業務を運営していくためには、その主管庁であります厚生省が相当指導力を発揮すべきではないかというふうに思います。その場合、特に厚生省としてはどういう態度でABCCの運営に臨まれ、指導しょうとされておるのかというような点につきまして、まず最初伺いたいと思います。
  51. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 放射線影響研究所の運営につきましては、結論から申しますと日本主導型で、本当に被爆者の健康と福祉のためになるというような運営をやることをわれわれの念願といたしております。そこで現状でございますが、まだこの新法人の新研究所の発足後一年半でございますけれども先ほど指摘があったように現在もアメリカ主導型であるという状態にはなっておりません。もういまでは日米が本当に半分ずつ力を出し合って、よく話し合ってやっているという状況でございます。ただ、研究体制につきましては、まだ日本人の研究担当幹部の数が非常に少のうございますので、そういった関係で若干アメリカ主導型というような形を残しておりますが、これも日本人の研究職員を早急に確保いたしまして、できるだけ早く研究体制についても日本主導型にいたしたいと考えております。なお被爆者立場を尊重しながら、被爆者の御期待に沿えるような放射線影響研究所の運用をするために、連絡協議会が広島と長崎に置かれておりまして、年に数回開催いたしまして、被爆者方々の御意見もよく聞き、研究所の運営に反映させるようにいたしております。  第二の労使の問題でございますが、確かに御指摘のございました米系二世の処遇と日本人職員の処遇に、経過措置として若干の相違があったのでございますけれども、この問題につきましてもアメリカ側が非常に協力をしてくれまして、その後、新しい案を日米双方でつくりまして、その線にのっとって日本人についてもあるいは米系の二世についても同じような方針で勤務条件で運営をするということになっております。本件につきましては、まだ当該米系の職員の御了解を全部得ているわけではございませんので、その説得に今後の問題が若干残っておりますが、基本的には日米双方合意に達して、均等条件ということで進むことにいたしております。なお、理事会におきましても、日本側がいまよくアメリカと相談をしながら対等の立場運用をしているところでございますけれども最初に申し上げましたように、逐次、日本主導型の運用にしてまいりたいと、またそのために厚生省は十分な指導力を発揮いたしたいと考えております。
  52. 浜本万三

    浜本万三君 いま紛争の焦点は、給与問題に関してこの旧来のABCCの給与体系をいかに新しい体系に移行していくかという問題と、もう一つはその前提になる基本的な給与のあり方について、俗に言う公務員並みにするのか、それから政労協と言いましょうか、政府関係機関の従業員の給与体系並みにするのかということが、最大の焦点になっておるようでありますが、私はまあ公務員並みということはなかなかむずかしい事情もあるようでございますので、結局そうすると政労協並みの方向でこの給与を将来決めていくということが望ましいんじゃないだろうかというように思うんでございますが、局長の現在の心境ですね、考え方いかがでしょうか。
  53. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 放射線影響研究所の職員の給与につきましては、旧ABCC時代の給与水準を保証する、保証しながら公務員並みの給与体系に切りかえる作業を進めております。したがって、五十年度はまずその前段階といたしまして、いろいろな手当の一部の統廃合などを行ったところでございます。現在の基本方針といたしましては、公務員並みというような方針で進んでおりますけれども先ほど先生からは政労協並みというような御提案がございましたが、それぞれ一長一短があると思いますし、また最初に申し上げましたように、ABCC時代の給与の水準とかあるいは勤務条件といったものをそのまま継続して保証することにいたしておりますので、この問題はいろいろな角度からよく検討をして定める必要があると考えております。なお、現在においては、先ほども申し上げましたように、できるだけ早く公務員並みにするという方針で作業を進めている段階でございます。
  54. 浜本万三

    浜本万三君 そうすと、はっきりした方針がまだ未確定でございますが、切りかえは公務員のこの給与というものを対象にされておるらしいんですが、いわゆる戦略的目標はまだ決まってないということなんで、早急にひとつ労使間で決定をしていただくように、またそのアドバイスをできるだけ既存のABCC時代の給与の既得権を守りながら、いい方向に進めてもらうように指導をしてもらいたいと思います。  次は、大蔵省の人は来てますか。——最近、広島の新聞などによりますと、広島兵器廠忠海分廠阿波島出張所に勤務されておりましたガス障害者の問題が報道されておるんですが、この内容を御承知かどうか、まず最初お尋ねをしたいと思います。
  55. 山崎登

    説明員(山崎登君) お答えします。  新聞で承知しております。
  56. 浜本万三

    浜本万三君 この事件の内容というものは、大蔵省で調べられた範囲でどのように理解されておられますか。
  57. 山崎登

    説明員(山崎登君) まだ新聞に出て、私ども十分に調査は進んでいないわけでございます。しかしながら、私どもの旧令ガス障害救済特別措置におきましては、一応忠海の製造所ということに限っておりますので、それから非常に戦後三十年という月日がたっておりますので、なかなか実態の把握というものが困難をきわめておりますので、まだ十分には調査しておりません。
  58. 浜本万三

    浜本万三君 昭和四十六年二月五日付で黒崎良人さんという人が医療手当交付の申請をしておりますが、これを却下されております。そのほかにもそういう方があるらしいんですが、却下の理由を広島県庁等で調べてみますと、旧令共済の要領の中に当該事業所が載ってないというところに最大の理由があるらしいんですが、そのとおりですか。
  59. 山崎登

    説明員(山崎登君) 詳しいことはちょっとわかりませんけれども、現在の救済の対象といたしましては旧陸軍造兵廠忠海製造所の従業員であるということが一つ、それから旧陸軍共済組合の組合員であったという二つの点にこの救済の対象がなされているわけでございますので、いま御指摘の阿波島というところはこの忠海製造所の従業員でないということになりますので、現在却下されたというふうに考えます。
  60. 浜本万三

    浜本万三君 広島兵器廠忠海分廠阿波島出張所というのと、それから大久野島のいわゆるガス製造所はこれは東京兵器廠に所属しておったので、言われるように確かに兵器廠の所属は違いますけれども、同じ陸軍兵器廠の職場であったことは間違いないというように思うのです。それが旧令共済の要領に載ってない事業所であるから救済されてないということなのですね。それからもう一つは、そうすると、その職場でガスを扱っておったかなかったかということは調査されていないわけですね。
  61. 山崎登

    説明員(山崎登君) 現在の特別措置につきましては、終戦後間もなくいわゆる忠海の大久野島の製造所にガス障害者が集団発生したということにかんがみまして、大蔵省といたしましては旧令の共済組合員を国家公務員共済組合の連合会が継承したということもございまして、行政措置によりまして救済措置がなされているわけでございまして、その後その他の地区でこういった事態を聞いておらなかったわけでございます。最近の新聞でそういった阿波島というところの問題が出てきたことは新聞で承知しているだけでございます。
  62. 浜本万三

    浜本万三君 私が調査したところによりますと、これはいわゆる広島兵器廠忠海分廠の一職場であったことは間違いない。そうすると旧令共済の対象になる事業所ではあるけれども、戦後のどさくさでその職場が要領の中で落ちておったというふうにも思われるわけでございます。しかも、現実にその職場に従事しておりました人たちの話によりますと、何か手投げ爆弾のようなガラス容器に入ったそういうガス弾を大久野島から運搬をして保管をしておって、陸運の各隊に運搬配給をしておったという事情も判明をしておるわけでございます。これはいずれにいたしましても旧令共済関係と、それから厚生省の戦後処理の問題とも関係があるようでございますので、私は早急に両者協力をいたしまして調査をして、救済をするものであれば早急に救済をする必要があると思うのです。しかも、その救済方法は、申請時に遡及して救済をすべきだというふうに思うのですが、これは大蔵省と厚生省の両当局から決意を聞きたいと思います。
  63. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 大蔵省と協力いたしましてよく実態を調査いたしまして、その結果を慎重に判断して善処いたしたいと考えます。
  64. 山崎登

    説明員(山崎登君) 何分にも戦後大分経過しておりまして、私どもの方は公務と疾病因果関係ということもございますので、そういった点で非常に困難をきわめますけれども、十分調査の上、検討いたしたいと思います。
  65. 浜本万三

    浜本万三君 じゃ両省協力して早急に調査をし、救済措置を講じられるように要望しておきたいと思います。  私の時間が過ぎましたので、あと大臣に特に原爆援護法関係について質問する予定でございましたが、これは次の機会に回したいと思います。どうもありがとうございました。
  66. 田中寿美子

    田中寿美子君 私は救急医療問題についてお尋ねしたいと思いますが、   〔委員長退席、理事浜本万三君着席〕 昨日の毎日新聞の夕刊に、第二次三木内閣発足後一カ月間の大臣の勤務評定が載っておりました。その中で、なかなか大物大臣がたくさんいらっしゃる中でも、早川厚生大臣は大変大物だということですね。そして最初の記者会見のときに、「日本医師会、日本歯科医師会は社団法人。自分は別に偉くはないが、国民に選ばれた憲法上の厚生大臣。これまでのように軽々しく扱われては、大臣の権威を失ってしまう」と、こういうふうにおっしゃったというふうに報道されておりますが、これ大変意気盛んでよろしいと思うんです。いままで日本医師会のオーケーをとらなかったら厚生行政は行われないというふうに一般に思われておりますし、どうもそういう傾向があったんですけれども大臣は日本医師会をもリードして厚生行政をがんとやっていらっしゃるという御決意だと思いますが、いかがでしょうか、最初にそのことについて。
  67. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 私は大物でも何でもございませんが、記者会見のまあ雑談中にああいう言葉が出たことは事実でございます。ただ、少しあれを訂正し補足いたしておきたいのは、社団法人というのは御承知のように公益事業を行うあれを社団法人と。営利法人と違いますのでそういう意味で申し上げたんですが、何かいろいろ誤解もございまして、さらにつけ加えれば、医師会、日本歯科医師会は専門的学術団体でございますし、それからまたワクチンの注射やその他では公務員並みの公共的なお仕事も御協力をいただいておる団体であるというのが正確なあれでございまして、ただ社団法人だけというと、中には株式会社なんかも社団法人と間違う人もありますので、その点は誤解のないように訂正しておきたいと存じます。同時に、厚生大臣というのは、いま田中先生の御指摘のように国会で、国民の投票で選ばれました、政府の、しかも認証式を経ました、国会で、多数によってこの任についているわけでございます。私は非常に、決して実力者でも大物でもございませんが、その責任の重大さは十分痛感しておりまして、一にも二にも国民全体の利益のために邁進をいたしたいと、こういう趣旨でございますので、はっきり申しておきたいと存じます。
  68. 田中寿美子

    田中寿美子君 まあ医師会に牛耳られるんじゃないというその意気、意思は訂正されたんじゃないだろうと思いますので、そういうふうに伺っておきます。  そこで、私はこの救急医療の問題はいまもう非常に重大な問題であることは、もうすでに大臣もよく御認識のことなんですが、一番いまの医療の問題の中で緊急性を持った問題だと思います。まあ地域の住民が緊急に事故があって傷害を受けたとか、あるいは急病になったとか、そういうときに医療が必要であっても、それにいまこたえられない状況になっているということは、日本の医療制度の基本的な欠陥のあらわれであるというふうに思っております。いわゆるたらい回しの事件というのはもうみんなよく知っていて、非常に不安なんですね。それでこの問題はほとんど救急医療が民間に依存しているということや、それから救急医療機関が非常に不足している、それから財政措置が貧弱で採算に合わないから引受手が少ないということや、それから受け入れる側の医師の質と量の問題などいろいろあると思うんですけれども、現行の医療制度の枠内で予算措置を一生懸命に厚生省いま大分努力してはいらっしゃいますけれども、予算措置をしてもあるいは医療費の引き上げを行いましても、私は厚生省努力は認めるんですけれども、もはや制度の抜本的な改革がないと解決できないんじゃないかというふうに思ってるわけなんです。その点、厚生大臣は国民の命を不安にさらさないというのが第一の使命でいらっしゃると思うんですが、いまの制度をそのままにしていてやれるというふうにお思いになるかどうか、ちょっと御意見を伺いたいと思いますが。
  69. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 国立病院及び公的病院につきましては、すでにほとんどの病院が救急医療の告示病院になっていただいております。ただ、残念ながら三公社五現業というのはほとんど告示病院にまだ御協力をいただいておらない。さらに自治体の公立もまだ三五%という低い率でございますので、こういったところはひとつぜひ救急医療病院に御協力をいただくという考えでございますし、御指摘のように、法律で強制して開業医さんその他という御指摘でございますが、いま、法律を改正しないで、まあ各開業医さんにも当番制でこの救急医療を見ていただく。第二次には病院、いま申しました告示病院にこれまた当番制で御協力いただく、さらに第三次、まあ本当に命にかかわる問題は国費を投入してやるとか、あるいは各地、いままで十万以上の都市に救急医療センターというのを設けておりますが、これを五万の都市にまで及ぼしていく、まあこういう措置を講じまして、しかも、消防庁が大変御協力いただいております。東京では御承知のようにコンピューターまで入れまして、すぐ来ていただく。実は私も昨晩、自分の息子の、孫が誕生するというんで、救急医療で車来ていただいて、すぐ慶応病院へ行って手術していただいた、帝王切開していただいたというように御協力をいただいたんですが、まあ厚生大臣だからかもしれませんが、一般もそういうことで救急医療体制もかなり進んでると私は思います。しかし、なお不十分でございますから、田中先生指摘の線に沿いまして、来年度予算には百二十億を超す救急医療体制をつくりたいと、この内容につきましては後ほどまた局長から詳しく御説明いたしたいと思いますので、まあそういったことで国民の夜間及び休日の時間的医療過疎という大変大きい問題に対処していきたい。いま法律を根本的に改正するという意思はございません。
  70. 田中寿美子

    田中寿美子君 私まだ法改正のことまで申し上げておりませんけれども大臣はいま、これから取り組もうとしてることをいろいろとおっしゃいました。国立病院、公的病院のほとんどが救急医療告示病院になっているとおっしゃいましだが、それはちょっと違うんじゃないかと思います。  私は、救急医療体制の不備についてやっぱり行政の責任が最大だと、厚生省が最大の責任を持っていると思いますので、その責任について以下何点かこれから御質問していきたいと思うんですが、まず、医療機関の配置ですね、この適正配置が必要なんじゃないかということなんです。救急医療を非常に困難にしてる第一番の原因は、医療機関が都市部に集中していることなんですね。いまでは十大都市では医師が人口十万人当たり百六十五・二人、これは厚生省の四十九年末の統計なんです、調べですが、ところが町村部ではわずか六十六・三人。だから三分の一ですね。こういう医療機関のアンバランスというのがあるということは非常に重大な問題になっています。そしてそのアンバランスが生じる一番の原因は、いまの現行の医療法で診療所の開設というのが都道府県知事への届け出制度になっておりますね。ですからその届け出さえすれば開業ができる。それから一方許可制の病院でも、その許可権がほとんど地方の医師会に握られているという状況、そういう結果行政責任において医療機関を適正に配置することがほとんど不可能なんじゃないか、いまの制度ですと。この点をどうお考えになりますかということです。  そして、時間の倹約上続いて申し上げますけれども、地域ごとに、一定の地域にこれだけの病院が必要だというような地域指定というようなことができないかどうかですね、その点を伺います。
  71. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) 医療機関の適正配置の問題でございますが、御承知のように医療機関の都市部への集中、すなわち過疎地帯における医療機関の不足という点につきましては、先生指摘のとおりでございまして、そういった医療機関の配置の問題に関しまして、医療法に基づきまして医療審議会でその人口割り等の医療機関の数及びその入院のベッド数でございますが、そういったものを数的に決めておるところでございまして、われわれといたしましてもそういった方法を通じまして医療機関の都市部への集中ということをできるだけ避けてまいっておる点でございます。  ただ、この医療法の適用を受けますのは公的医療機関でございまして、そういった点におきまして私的医療機関につきましてはただいま先生指摘のような点があるわけでございますが、やはりこれはわが国が自由開業医の制度をとっておりますし、またこれは医師の教育制度とも関連してくる問題ではなかろうかと思うわけでございますが、われわれといたしましては、現時点におきまして公的医療機関の適正配置という点につきまして鋭意努力をいたしておるところでございます。
  72. 田中寿美子

    田中寿美子君 救急医療機関の九五、六%が民間に頼っているわけですね、そういう状況の中でいまおっしゃった医療審議会ですか、そこでもって数は決めているということだけれども、それを指導するやり方はどういうふうにやられるのか。やっぱりこれ行政担当である厚生省が非常な責任があると思うんですね。ですから、ある程度民間の医療機関に対しても、地域の非常に過疎であるところにはこういうふうに配置させるべきであるというような、ある程度の強制力を持った指導ができないのかどうか、もう一度お尋ねします。
  73. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) ただいまわれわれのとっております政策は、公的医療機関をもってその過疎地域の医療を担当して、すなわち公的医療機関の公的使命というような点に着目いたしまして、公的医療機関が都市部に集中しないような措置をとっておるところでございます。
  74. 田中寿美子

    田中寿美子君 民間医療機関の問題に対しては大変警戒なさってお答えがないんですけれども、公的医療機関をそういうふうに適正配置するというのだったら、もっと公的医療機関をずっとふやさなければならないはず。いまの数からまるで及ばない状況ですよね。自由開業医制度をとっているからどうもしようがないというような立場をとっていらっしゃるんで、これついこの間も、九月二十七日の衆議院でのわが党の島本議員の本会議質問の場合のときに、救急医療の問題をお尋ねしたけれども、三木総理は十分な把握がおありにならなかったから、ほとんどちゃんとしたお答えをしていらっしゃらないんですが、厚生大臣、大変救急医療の問題に力を入れていらっしゃるようなんですが、いまみたいな状況で公的医療機関をどんどんふやすという可能性もちょっと簡単にはない。今後それはできるだけ適正配置をしますということでは、私は全然イメージが浮かばないんですが、だから現にたくさんの民間が引き受けている救急医療を、もう少し指導——配置その他、これは薬剤店なんかには一定の距離制限みたいなものがあるようですね。医療機関というのも、ある地域には必ずあるようにというような方法考えられないでしょうかね。大臣いかがですか。
  75. 早川崇

    国務大臣早川崇君) いま田中先生指摘の問題は、地域的医療過疎ということだと思うんです。休日、夜間の救急問題は時間的医療過疎ということでございまして、両方相まって初めてりっぱな救急体制もできると考えるんでございますが、地域的医療過疎という面では、残念ながら全国で二千地区ぐらいまだ無医地区があると聞いております。  そこで問題は、これは非常に憲法に関係いたしまして、奨学資金とかいろんなものを出し、あるいは自治体病院とかたくさんつくるんですが、お医者さんがそういう僻地に行きたがらぬ、行きたがらぬときに強制力がいまの憲法上ないという点で大変困っておるわけです。  そこで、厚生省といたしましては、そういう地域的な過疎、いわゆるお医者さんがおらぬという、ナショナルミニマムに反する事態を解消したいというので、非常に交通機関が発達いたしましたんで、広域的な診療所なり病院を過疎地域につくりまして、すぐ自動車やあるいは通信で対処できるということをいま考えておるわけでございます。  同時に、医者が学校を出て少なくとも二、三年、そういう無医村地区にヒューマニズムの立場でぜひ行ってもらいたいということは、今後ともひとつ呼びかけてまいりたい。幸い保健所のお医者さんに関する限りは、厚生省でも奨学金を出しておる。医科大学を出ましたら保健所には相当来ていただくという結果が出ておるので、さらにそれを進めて過疎地区にも三年でも五年でもいいんですが行ってもらうようにお願いをしておるんですが、これなかなか憲法上の問題がありまして思うような配置ができないというのが実情でございます。
  76. 田中寿美子

    田中寿美子君 結局、救急医療というのは不採算医療ですから、これは厚生大臣も認めていらっしゃるでしょうし、この間の救急医療問題懇談会ですか、あそこでも不採算性ということは認めていらっしゃいますよね。ですから、非常に割りの悪いものを引き受ける人たちというのは非常に少ないわけなんで、もしあれでしたら財政的な相当の措置をして国庫補助をするというようなことがなければ、適正に配置しようと思ったってできないわけです。それですから、何らかのそういう方法を講じるべきではないかということを申し上げたので、いま大臣がヒューマニズムの立場から医科大学を出た者が三年でも四年でも、そういう過疎地帯に行くようにしたいというふうにおっしゃいましたが、それもそれをバックする措置がないとできないだろうというふうに思うのです。  それで、もう少し話を進めていきたいと思いますが、救命救急センターというのを始められたところですね。それで厚生省救急医療対策の一つとして救命救急センターを設置なすって、五十一年度は全国四カ所、予算額六億七千万と、五十二年度はそれを九カ所の増設の要求をしていらっしゃるというふうに伺っておりますが、一カ所の救命救急センターの専門医師の数あるいはパラメディカルの配置の現状は、いま始められたばっかりで、一体どうなっているか、そしてどうあるべきだというふうにお考えになっていらっしゃるか、そしてそういう人手の確保を一体どういう方法でしょうと思っていらっしゃるのかということを伺いたいんです。
  77. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) まず前段の問題でございますが、先ほど僻地医療の問題につきましてある程度強制的配置というふうに私理解しておったものでございますので、先ほどのような御答弁を申し上げたわけでございますが、確かに僻地医療あるいは救急医療、これは現行の診療報酬体系のもとにおいては確かに不採算な問題でございまして、そういった意味で僻地になかなか医者が行きたがらないというような問題があるわけでございます。そういった点につきまして、義務とかそういった点は別といたしまして、僻地に行くようにいろんなことを促進するという財政的な助成については、従来からもいろいろ考えておるところでございまして、たとえば僻地に赴任するという条件で奨学金制度も設けておるところでございますし、また僻地に診療所を建設いたします場合に、その建設費の助成あるいは融資、そういった点についても考えておるところでございまして、そういった財政的な促進措置というものにつきましては従来もやっておりましたし、また今後さらにこれを促進してまいりたいと考えておるところでございます。  それから、第二の問題でございますが、救命救急センター、これはただいま先生指摘のとおり五十一年度四ヵ所でございまして、これは初年度でございまして、とりあえず救命救急センターのモデルということでこの四カ所を設定いたしておるところでございまして、まだこの建設等には着手いたしていないんでございますが、いずれにいたしましても五十一年度の四カ所と、今後これはそれをもとにして本格的に来年度九カ所ということで整備してまいるので、また本年度のものとはちょっと違うわけでございますが、一応その総人員を七十名程度というふうに来年度予算で要求を出しておるところでございます。で、本年度の……
  78. 田中寿美子

    田中寿美子君 九カ所で七十人——九カ所に対して七十人。
  79. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) いえ、一カ所でございます。五十一年度の建設いたします部分、このモデルのものにつきましては二十五名という計画で進めておりますが、本格的に始めます場合には七十名ぐらいを必要とするというふうに考えておるところでございます。  なお、このほかに医師等につきましては、なかなか専属の医師もむつかしいと考える点もあるわけでございまして、そういった点につきましては必要に応じてオンコールと申し上げましょうか、呼び出しに応ずる医師というようなことで、七名程度のさらに人間を考えておるところでございます。
  80. 田中寿美子

    田中寿美子君 ですから、救命救急センターのアイデアはいいんですけれども、実際にそういうふうに動くかどうか、非常に疑問なんですね。先日、十月に開かれた日本救急医療医学会総会の席で学会員の話していらっしゃることに、救急センターは専任医師がいまいても一人か二人だと。看護婦も不足しているし、エックス線技師だとかそれから検査技師に至っては専任がゼロであるという体制で、いまのところ十分な機能は果たしていないと。実際に必要だと思われるのは、救命救急センターが十分機能を果たすためには専任の医師が十五人くらい、それから看護婦など含めて百人くらいの編成が必要だろうというふうに言っていられます。いま、七十人くらいとおっしゃったけれども、七十人でももし確保できて、九カ所がスタートして、本格的に五十二年度できるというようなことになるのかどうかですね。その見通しはどうですか。
  81. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) この救命救急センターに従業いたします職員、特に医師の問題が非常に深刻な問題でございます。それで、いずれにいたしましても、この救命救急センターは医療内容としても非常に高度な医療要求しておるところでございまして、そういう意味におきましては大学等から絶えず医師の補給ができるという、そういった施設でないとなかなかこの運営はむつかしいのではないかというふうに考えておるところでございます。まあ今年われわれ予定いたしております四カ所につきましては、いずれも大学の医局の方との連絡がうまくついておりまして、大体この人員の、特に医師の確保が可能なようなところを選んでおるところでございます。いずれにいたしましても、今後の問題といたしましては、またこれは将来の問題ではございますけれども、恐らく大学病院とかそういった研究員とかあるいは研修員の非常に多い病院を中心といたしまして、この救命救急センターをお願いするということになろうかと思いますが、文部省の方ともよく連絡をとりながら、この救命救急センターの職員、特に医師の確保に努力いたしたいと考えております。
  82. 田中寿美子

    田中寿美子君 いま大臣——この間十二日の閣議で、政府関係機関の病院を所管している各省の閣僚に向かって、告示病院になるように積極的に指導してほしいということを要請されたということを私は新聞紙上で拝見したんですがね、政府関係機関の病院の告示指定はどのくらい行われて、いま大学病院は大いに今後参加させるようにおっしゃっていますが、そのときの大臣の御要請になった内容とか、その要請に対して関係各省がどんな態度をとっているか、どういう協力態勢になっているかがわかりましたら、お話しいただきたいんですが。
  83. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 先般の閣議で、三公社五現業、自治体、労災病院等につきまして、救急医療についての御協力を要請いたしましたところ、関係大臣はその線に沿って、文部省の国立大学を含めまして協力を約束いたしました。  現在の救急医療告示病院になっていただいている数等につきましては、局長からお答えを申し上げたいと思います。
  84. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) この救急告示医療施設の数でございますが、御承知のように、救急告示は交通外傷等の外科系を中心として従来整備されたものでございまして、今後考えております内科系、小児科系等とはちょっと形が違うわけでございますが、いずれにいたしましても、現在救急告示医療機関として指定されている状況でございますが、国立病院、これは厚生省の所管いたします国立病院につきましては九八%、すなわち八十四カ所のうち八十二カ所が指定されておるところでございます。その他の国立病院四十五のうち三カ所、すなわち六・七%。この国立のその他というのは、ほとんどが国立大学病院という状況でございます。それから、三公社五現業等の病院が八十六のうち五カ所、五・八%。それから、自治体立が九百七十五のうち四百五十六、四六・八、約四七%。それから、日赤、済生会等いわゆる公的医療機関と言われるものが四百四十二のうち二百六十一、五九%。私的病院が五千三百八十のうち二千百七、三九%。かような状況でございまして、総平均で申し上げますと四二%、かような状況になっております。
  85. 田中寿美子

    田中寿美子君 それで、まあ大学病院ですけれどね、これは文部省の方がいらしていると思いますが、東大、東京医科歯科大学の付属病院とが指定されているんですかね。そしてあとは全部ほとんどないと。それから三公社病院はゼロです。それから、労災病院は三十のうち五というふうな数字を私は拝見しておりますが、文部省はいまの厚生大臣の要請を受けてどういうふうに対応なさいますか。また、労災病院はそれができない理由は何かということですね。  それから、これは厚生省に伺いますが、三公社の病院は私も現場の病院の人たちに接触することがよくあるんですけれども、自分たちの組合員以外は受け入れられない規則がありますよね。規則というか、それはむしろ医師会の反対だということですが、その辺はどうですか。先に文部、労働の方から。
  86. 齋藤諦淳

    説明員(斎藤諦淳君) 大学付属病院も地域の医療に協力すべきことは言うまでもございませんが、文部省といたしましても従来から大学に地域医療の一つの重要な分野である救急医療について、もっと積極的に協力をすべきではないか、こういうように申しております。たとえば、本年の六月に行われました国立大学の病院長会議等でも、文部省として十分申し上げましたし、あるいは国立大学長会議等におきましても大臣からも申し上げておる次第でございます。  なお、救急の告示を受けておる病院でありますけれども、本年の七月に大阪大学が告示を受けまして、国立大学の本院は二十七病院中三病院が告示を受けた、こういうことになったわけでありますけれども、なかなか大学病院が告示を受けるというのは実は容易なことではございませんで、大阪とか東京あたりが告示を受けやすいのは、地域の診療機関なりあるいは消防機関とのネットワークが地域医療の仕組みが非常にうまくいっておりまして、いわゆる一時的な患者は、たとえば夜間あるいは休日診療等のいろんな診療機関で見ていただける。大学病院はその大学病院の特性を生かして非常に専門的なそういうものだけを受けるというような、そういうネットワークが組まれれば大学病院としても非常に協力をしやすい、それがなされないで大学病院が門戸を開きますと、非常に複雑な組織でございますが、いわば一時的な患者が押し寄せることになりまして、患者にすれば緊急の事態でございますけれども、大学はなかなか大きな組織で対応し切れないという、こういうことがございます。  それからもう一つは、大学病院はその性格上非常に長期の待機患者を抱えておりまして、ベッドも要員がぎりぎりのところまで使われておる。したがいまして、救急の告示を受ければ必ずベッドをあけて待っていなきやならない。ところが慢性疾患とか難治疾患は、それはそれで地域医療として非常に大きな要請がございまして、それがいわばひしめいて待っておる、そこのところどちらを優先するかというジレンマに陥りまして非常に苦労しておる、こういうことでございます。そういう意味で、ぜひ地域の救急体制全体が仕組みがしっかりすれば、大学病院も非常に参画しやすくなる、こういうような事情もございますので、十分地元と話し合いをするように、そういうことも含めて文部省としては強力に指導しておる、こういう状況でございます。
  87. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) 三公社五現業関係の病院について申し上げますと、ただいま先生指摘のように、確かにこれは職域病院といたしましてその職域の患者さんを診療いたしておる、こういう状況になっておるものでございます。ただ、個々の事例につきまして医師会の反対云々というような点につきましては、われわれまだよく事情をつかんでおりませんが、いずれにいたしましても、原則といたしましては職域病院としてこれが設立をされている現状でございます。  それで、三公社五現業のただいま数字を申し上げましたが、それぞれの病院の特性というようなものについてはまだわれわれも詳細には承知いたしていないところでございますが、三公社五現業が救急告示医療施設として告示されていない原因として考えられますのが、やはり一つには工場の内部、たとえば専売公社等の病院が工場の内部等にあって、夜間ちょっと一般には開放できないというような、そういう特殊な病院もあるようでございますし、それぞれの個々の病院についての事情は今後なお調査いたしまして、できるものは御協力願いたいというふうに考えております。  もう一つは、先ほど申し上げましたようにこれが職域病院でございます関係上、一般の保険医療機関としての指定を受けていないというような問題がございまして、やはり、診療費の支払い等なんかの立てかえ払いというようなむつかしい問題があるようでございます。そういった点につきましては、今後保険医療機関の指定を受けるよう御協力をお願いするというような点で、大臣の御発言に基づきましていろいろ事務的に連絡をとっている段階でございます。
  88. 田中寿美子

    田中寿美子君 労災病院はどうでしょう。
  89. 田中清定

    説明員田中清定君) 労災病院につきましては、先生指摘のように三十四カ所のうち救急病院として告示されておりますのが五カ所でございます。ただ、救急病院という告示を受けておりませんでも、地域の関係医療機関であるとか消防関係機関であるとか、そういうところと連携いたしまして当番制をとるとかというような形で、事実上救急患者を引き受けているというところも相当ございます。  それから、労災病院としてできるだけ救急体制の中でその持ち味を生かした役割りを果たしたいということで、特に重度の傷病者を対象としたそういう二次、三次の救急機関としての役割りを果たしたいというような方向で、かねがね充実強化を図ってきたわけでございますが、もちろん、そういう体制で十分ということはございません。今後とも救急体制の協力にできるだけの努力をしたいということでございます。
  90. 田中寿美子

    田中寿美子君 厚生大臣があれほど閣議で要請されているんですから、私はできるだけ協力体制をとってもらいたいと思いますが、三公社五現業、私が訪問したある病院なんかは、もちろん町の中にあるのだけれども、比較的いまの病院の非常に混雑して満員であるのに比してわりあいとゆとりがある。これで地域の人を取り入れたいのだけれども、医師会の反対があるという話を間々聞いておりますので、この辺はやっぱり指導していただかなければならないと思う。  少し急がなければ時間があれですが、せっかく告示病院になりましても、看板掲げただけで実際に機能しなければもう何にもならぬ。それで大臣、御存じだと思いますが、国立病院の中の人手が非常に不足しているわけなんです。動くに動かれない。だから、たとえば国立相模原病院の事例がありますね。あそこでは告示して、そうして夜間診療、夜間救急診療をスタートしたけれども、もう二回当番医を——地域との話し合いで当番医制度をとったようですね。ところが二回引き受けただけでとてもこれはやっていけない。一晩じゅう、さっきおっしゃったように入院患者がいますから、だから夜勤の医師というのは病棟の患者のために本来任務を持っている。各病棟で二人と、それから内科、外科産婦人科が四人、それに看護婦さんと二十八人で当直していたけれども、ほとんど救急医療に追われて二日二晩眠れない状況、こういうのじゃとてもやれないというので返上したといえ事例があるわけなんです。だから、これはもう本当に人手確保というようなことが同時に行われなかったら、救急医療制度を幾らつくったってだめじゃないかと思うのですがね、どうで  しょう。
  91. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) 御承知のように、国立病院は定員法の枠内でこれを運営せざるを得ないものでございまして、そういう点、われわれも非常に苦労いたしておるところでございます。  なお、今後やはり救急医療体制、システムをつくるに当たりまして国立病院の占める割合は今後ますます増加するわけでございますので、来年度予算要求等におきましてもそういう救急医療のための増員というものを要求いたしておるところでございます。
  92. 田中寿美子

    田中寿美子君 ちょうど総定員法のことが出ましたので、私は行政管理庁の方に伺いたいんですが、いまから大体四年計画で平均三・二%削減という定員削減の計画を立てていらっしゃいますね。救急医療に関して、あるいは病院に関してはどういう方針をとっていらっしゃるか。これは増員するとすればどのくらい。これは各省のあれを見ますと、みんな減らさなきゃならないから減らしているわけですね。厚生省の比率は多少低い二・二九%ですけれども、この中で医療機関に対する部分、あるいは救急医療に対してどういう配慮がありますでしょうか。
  93. 佐々木晴夫

    説明員佐々木晴夫君) お答えします。  最初に、総定員法に基づきます定員削減のお話でございますけれども医療機関、国立病院及び国立療養所、それからがんセンター、らい療養所、これにつきましての定員削減につきましては、医療職につきましては特に例外といたしましてこれを削減いたしておりません。したがいまして、医師、看護婦につきましてもこの削減はございません。  それから、救急医療につきましては、従来厚生省の御要望に基づきましてある程度の措置をいたしてきたというふうに私ども一応考えております。五十一年度の場合に、救命救急センター一カ所を国立病院につくるというお話でございまして、これにつきまして二十五人の定員措置を行ったところでございます。また、今後の救命救急センターにつきましても、先般の救急医療懇談会の答申を受けて、厚生省の重点施策であるというふうに承知いたしております。ただ、それに伴います定員措置につきましては、来年度の予算との絡みもございますし、これから検討してまいるところでございます。
  94. 田中寿美子

    田中寿美子君 厚生大臣、こういうところでがんばっていただかなきゃいけないんですね。救急医療を全く間に合わない状況の中では、総定員法に縛られるようなことがないように、まあ幾らか増員の可能性もあるということですけれども、一カ所つくるんでもさっきは七十人は必要だとおっしゃっていて、それはあちこちから動員してくるやり方もあるでしょうけれども、そこのところでうんとがんばっていただかなければならないと思うわけです。  で、民間の救急医療機関というのは救急医療告示を返上したりしているという状況なんで、結局、原因は不採算医療だと。これをやったってお金にはならない、そういうところがあると思うんで、相当の公費の投入が必要だと思うんですが、その辺は、これは大臣にお答えいただきたいんです。
  95. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 私的な医療機関及び開業医さんに御協力願うことによって救急医療等に、いろいろな医療費は保険でもらえましても、付帯の出費が出ることは当然でございますので、救急医療対策費におきましても、そういうことも含めまして予算要求をいたしております。  ただひとつ、私二日前に松山に参りましたら、歯科医師会の会長さん皆来られまして、歯科医師会としては非常に珍しい御陳情を受けました。それは、いわゆる歯科の、歯の治療の夜間及び休日の救急センターをつくりたいと、歯科医師会で。そうして、みんなが当番で出て、特に勤労者あたりは夜より歯を治療できない、夜間に非常に痛んでも治療ができないのでつくりたいと。それは土地もある、施設も応援してほしいという陳情を受けまして、大変、私も大いに激励し、また援助したいと思っておるわけでございます。そういった私的機関の自発的なボランタリーな機運も歯科にも盛り上がっているというわけでございまして、当然医師会、民間医師もどこへ行っても救急医療救急医療と言っています。国としてできる範囲の、それで非常に出費を強制するとなりますとこれは長続きいたしませんので、田中先生指摘のような線に沿って予算もつけていきたいと思うわけでございまして、具体的に局長からお答えいたします。
  96. 田中寿美子

    田中寿美子君 非常にたくさんの予算が要るということはよくわかるし、それはがんばっていただかなければいけないと思うんですが、ちょっと急ぎまして、結局、その救急医療体制をしくのに基礎データが余りないということなんですね。  この間の救急医療学会の例の報告を見ましても、厚生省では救急医療の状況について、ほとんど調査資料を持っていらっしゃらないのじゃないかと思うんですね。それでは何にもならないんで、この間、厚生省の方ではどういうやり方でその資料を、基礎の調査をしていらっしゃり、そうして集めようとしていらっしゃるのでしょうか。
  97. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) 救急医療に関します諸統計の現状につきましては、ただいま先生のおっしゃったように、先日、救急医学会でも報告されたような状況にあるわけでございます。  ただ、この救急医療という定義そのものが非常に人によって違うわけでございまして、学会等でも、救急医療についてのいろいろな報告がなされた場合に、その定義が違うためにそれぞれの報告の統計を比較できないという、こういう問題もあろうかと思うところでございまして、そういった点につきまして、今後の問題としてわれわれも十分考えてまいりたいと思っておるところでございますが、従来からその必要に応じまして各種の事務資料の収集を都道府県等にお願いしてとっておるところでございますし、また関係省庁、特に消防庁の方でいろいろ統計をお持ちでございまして、そういった消防庁等の統計あるいは医師会を通じての地域医師会が独自に実施いたしました各種の調査結果を収集いたしておるところでございまして、これらを総合的に判断いたしましてわれわれの資料として使っておるところでございますが、今後、さらにそういった基礎的なデータの収集には努力してまいりたいと考えております。
  98. 田中寿美子

    田中寿美子君 おかしいじゃないですか。厚生省救急医療というのはどういうふうに把握するのかということすらきちんとしていない。それで、消防庁は救急病人が発生したときに、これを輸送するのが一番の義務なんですね。その病名でも、重傷度というのもとらえ方が、消防庁は軽傷というのは通院できる、中等傷というと三週間未満の入院、重傷というのは三週間以上の入院というふうに分類している。警察の統計は一カ月以上が重傷。厚生省にその基準がないなんというようなことは困るので、この間の救急医療学会で各都道府県に統計資料要求したところが、わずか十二道府県しか集まらなかったと報告されていますね。そういったような基礎データがなくて、それで救急の告示をしましても、またそれが、厚生省が省令でやっていらっしゃるわけでしょう。この省令というのはその責任の所在がはっきりしないんですよね。こんなことでいいんでしょうかね。都道府県知事に対して、告示医療機関がこの省令に規定している基準要件に合わせて、こういう厚生省の側ではチェックしたことがあるのかどうか。ほとんど救急医療に関してはそういうこともなくて情報システムだけ進めるといったって、私はちょっと無理じゃないかと思うんですけれどもね。だから、もっと意欲的に、主体的な調査があってしかるべきだし、省令というものはただ指導するだけのことだ、こういう状況では困ると思うんですね。
  99. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) ただいま先生指摘のように、われわれといたしましても今後さらに努力してまいりたいと考えておるところでございます。  ただ、この救急医療の統計をとります場合に、医学的ないわゆる医者の立場に立っての救急医療というものと、現在の社会状況のもとにおける一般国民の考えておる救急医療というものとの間に、大きな隔たりがあるんではなかろうかと考えておるところでございまして、一般的にこの救急医療医学的に考えました場合には、早急に処置を、医療を加えなければ生命に危険を及ぼすとか、あるいは人体の重要な機能に後遺症を残すとか、そういったような表現でよく言われておるところでございますが、やはり現実に国民の求めております救急医療というものは、子供が夜中に熱を出したりあるいは引きつけたり、そういう内科的あるいは小児科的な疾患が非常に多いわけでございまして、そういった点、学会の考えておられる救急医療というものと、われわれが行政的に対策を講じなければいけない救急医療というものの間に大きな隔たりがあるのではないかと思うわけでございまして、そういった点、さらに今後研究してまいりたいと思いますが、いずれにいたしましても、この救急医療というものはそれぞれの地域の社会状況に応じて大分その内容が変わってくるものだというふうに考えておりまして、今後のわれわれの、いわゆる救急医療懇談会の出しました答申に基づきましてわれわれの講じようといたしております対策というものも、それぞれの地域の実情に応じてやはりその内容が違うというふうな、わりにきめ細かい対策を講じてまいりたいと考えておるところでございます。
  100. 田中寿美子

    田中寿美子君 厚生省で、救急医療というものをこういうふうに把握しますという、はっきりそれは私は出さなきゃならない問題だと思う。昭和三十九年に省令をお出しになったわけなんで、その救急医療告示病院というものはどういうものかという中には、担当の医師が常時診療できるようになっている。しかし、これはいまのところアルバイトの医師が多いですよね。それから手術室とか麻酔室とかレントゲン室とか、そういうものがあるとか、それから適当な場所——輸送に適当な場所でなければいけないという場所の問題とか、構造の問題とか、省令では決めていらっしゃるわけですけれども、この間の東京都が四十九年に行った調査によりますと、夜間における救急患者の診療体制実態調査というのがあって、それによりますと、救急告示医療機関のうち夜間当直医者を持っていたのは一五%にすぎない。しかも、これらの当直医者というのは入院患者を診るのがもともとの目的で、救急外来専任の当直医を持っているのは三・七%にすぎなかったと、こういう状況ですよね。だからこれは、厚生省全体それを把握なさって、そして省令というものが行われないならば、これがちゃんと行われるような対策を講じなければならないというふうに思います。  時間がありませんので、次に救急医療においては医師が協力しなきゃならない、医師の協力義務があるわけなんですが、診療拒否を行うことがしばしばある。これはたらい回し事件で幾つか事例はもうありますけれども、典型的な診療拒否の事例として、ことしの二月の木更津訴訟を起こした問題、それから同じく栃木県の河内郡の上三川町で赤ちゃんが発熱して五軒回っているうちに、みんな拒否されて、そして死んだというようなこと、これはたくさんあるわけですが、これは一体どういうふうに後始末なすって——これは医師法違反ですね、拒否した場合は。正当な理由なくして——正当な事由というのはこれもまた大変漠然としていて、厚生省のおっしゃる正当な事由というのは、医師法第十九条ですか、「診療に従事する医師は、診察治療の求があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」ということになっている。その正当な事由というのが、医師の不在または病気等により事実上診療が不可能な場合に限られるというふうに指令していらっしゃるわけだけれども、これなんか大変もう抽象的な漠然としたことで、みんなこれに当てはまって、医師法違反であっても一体どうなっているのか。この間のような事件の後、厚生省はどういう措置をとっていらっしゃるのか説明していただきたいんですが。
  101. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) 木更津事件そのものは、現在裁判中の問題でございまして、その点につきましてはちょっといま意見を申し上げることを差し控えたいと思っております。  それから、医師の応招義務につきましては、ただいま先生のおっしゃったとおりのものでございまして、診療に従事する医師は正当な理由がなければこれを拒んではならないということになっておるわけでございまして、その正当な事由に該当する場合か否かは個々の問題として判断しなければならない問題だというふうに考えておるところでございまして、その一般的な解釈等につきましては、ちょっといま手元にございませんので定かでございませんけれども、過去二回にわたりまして昭和二十四年とたしか昭和三十二年だったと思いますが、そういった解釈が出ておるところでございまして、いずれにいたしましても、いろいろなケースがあろうかと思うところでございまして、その判断に当たりましては個々の患者の症状あるいは地域内のいろいろな他の医療機関の体制、そういったものを勘案して判断すべきだというふうに考えております。
  102. 田中寿美子

    田中寿美子君 いつもその地域の状況を判断してというふうにお逃げになりますけれども、たとえば栃木県の上三川町での生後十三日の赤ちゃんが発熱して、五軒拒否されて回っている間に死んだというこの問題ですけれども、栃木県警で医師法違反として捜査を開始したというふうになっていますが、これその後一体どうなったかおわかりになりませんですか。
  103. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) ただいま警察の方で捜査をしておる段階でございまして、まだわれわれの方に報告を取っておりません。
  104. 田中寿美子

    田中寿美子君 全部そんな状況で、これはお医者さんが少ないからお医者さんが協力してくれなければ困るという問題があるので、非常に微妙なところがあることはわかりますけれども、これ非常に古い、昭和二十三年ごろの国会の厚生委員会で医師法のことを審議したときに、それは違反者に対して行政処分を行って取り締まりたいというふうに厚生大臣は答えていらっしゃるわけなんですけれども行政処分というようなことが行われた事例がありますか、いままで。
  105. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) ただいま先生指摘のように、法改正前は国民医療法に基づきまして罰則があったわけでございますが、あの改正のときその罰則が取り払われた、その経過の中におきまして、今後の問題として、むしろ医師の倫理というような点からその罰則が取り払われたわけでございますけれども、その当時大臣発言といたしまして、ただいま先生のおっしゃったような発言があったわけでございますが、その応招義務違反ということで処分を受けた例、いま私存じておりません。
  106. 田中寿美子

    田中寿美子君 だから、ほとんどないということですね。それで、たとえばそれはいわゆる悪徳医師とかいて免許状がないのに診療したとか、それから非常に不道徳なことをしたとかいう場合の処分はあっても、拒否をしたからといって処分されたことはない。つまり、これは大変患者というのは弱いものでお医者さんに頼るわけですから、非常にむつかしいところだけれども、やっぱり必要な処罰というものを伴わなければいけないんじゃないか。そうしないと命が守られないという部分がある。しかし、それにはそもそも不採算性ということがあって、そういうふうにすれば返上してしまうという問題がありますので、それで私が最初に申し上げましたように、いまの医療制度の枠の中で解決しようと思ってもできないんじゃないかというふうに考えるわけなんですね。それで何らかの強制力を持たせる法的な措置をしていかなければならないんではないかということ、それから公的な機関がみんな救急医療を引き受けるようにしなければいけないということや、適正に配置していくというようなことも含めて、あるいは医師の応招義務だとか、あるいは医師になったばかりの人が一定期間特定のところで働いてもらうとか、そういったものを含めた私はやっぱり立法措置が必要ではないかと考えるのですが、これは私はお答えはほとんどわかっているので、懇談会の方で法制化の問題では、法制化するのは余り好ましくないというようなことを言って、言わせたのか言ったのか、あるわけですね。で、国や自治体の責任において現行法のもとで救急医療対策を推進するというのが好ましいんだというふうな書き方をしていらしゃいますけれども、現状のもとで、そして不採算で、人不足で、そして何といいますか、適当な配置が十分とられていなくて、罰則もないという段階で、一体国や自治体の責任で救急医療が満たされるというふうにお思いになりますか、もう一度これは大臣の問題ですよ。
  107. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 現段階では、現行法のもとでいろんな当番制を初め医療救急センター、第二次、第三次と充実していくという線には変わりはございませんが、いま御指摘のいろんな立法化の問題等につきましては、単に医師の応招義務という問題のみならず、たとえば消防法の救急はけさも話しておったんでございますが、法律ではオープンの場のいろんな救急の事故とかというようなものは法律で書いてありますが、家庭内の夜いろんな救急の病気というのは、これいわゆる省令といいますか、にゆだねられておる。いわば消防庁の救急車の出動は、そういう場合にはサービスと、法律という面じゃなくてサービスとしてやっていただいているという感なきにしもあらずでございます。そういった面も含めまして、とにかく救急医療施設が欠けておりますので、それを充実していこう。私も医者が非常に親戚が多いんですが、たとえば私の弟は婦人科の部長をやっておりますが、夜中に必ず二回三回起こされて病院まで行かなきゃならぬ。これは体がもたないんですな、お医者さんにしてみれば。ですから、確かに応招義務はありますけれども、また、医者が若いうちはまだいいんですが、年をとったお医者さんが一々夜中にやられますと、本人が今度はまいっちゃうという事情もありますので、それを補う意味におきまして、当番制あるいは第一次救急医療センターの設置あるいは第二次の病院も当直制にして、それを全部消防庁なりにコンピューターでわかっている、そうすればしょっちゅう起こされて、起きなかったら訴訟されるという弊害もその面で防げていくと思いますので、まず法律改正の前にいま言ったような体制をとっていく、こう考えておるわけでございます。それでもなかなか支障ができるという面が出ました場合には、田中先生指摘の立法の問題についても検討しなければならないという段階にくるかもしれませんが、現状はそういうつもりでこの問題に対処いたしております。
  108. 田中寿美子

    田中寿美子君 もうこれで終わりますけれども、いまおっしゃったようなことをいろいろやっていて、ちょっと私間に合わないだろうというふうに思っているわけなんです。前の田中厚生大臣も七十七国会のときに、やっぱり法改正のことについてわが党の目黒議員がお尋ねしましたときにも、検討してみたいという話、いまもいろいろやってみてだめだったら検討してみるというふうなお話なんですけれども、少なくともいま厚生省令がほとんど行われない状況だということもお認めになっている。人手が不足だからやりたくたってできないという状況もある。そうすると、よほどの覚悟で行政の責任である程度の拘束力を持たせながら予算措置もする、人員措置もする、非常に大きなことをやらないと間に合わないのではないかということなんです。それで、日本の医療の大部分が開業医、民間医に頼っております状況ですので、大変やりにくいところがあるかもしれませんけれども、開業医の集団を恐れないでやっぱりやらなければいけない。それから、救急医療に関しては法的な責任がもう第一義的にあるという意味で、不採算の方向で意欲的にやっていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。まだたくさん残っておりますけれども、またこの次にします。
  109. 浜本万三

    ○理事(浜本万三君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分から再開することとし休憩いたします。    午後零時三十六分休憩      —————・—————    午後一時四十二分開会   〔理事浜本万三委員長席に着く〕
  110. 浜本万三

    ○理事(浜本万三君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。  午前に引き続き、社会保障制度等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  111. 小平芳平

    ○小平芳平君 先日の予算委員会質問をいたしました薬による健康被害者救済制度について若干お尋ねをして、問題点を明らかにしておきたいと思います。  きのうから厚生省に薬害被害者方々が数十人泊まり込んで、何とかして実際の被害者の声を聞いてほしい、救済制度をつくるということについては私もその必要なことは数年前から当委員会で再三問題提起をしてまいりましたわけであります。しかし、実際現に発生しておられる被害者の方がそういう制度では反対だと、われわれの意見を聞いてほしいと、こういうことに対してどうも新聞の記事を、報道されているニュースを見るについても、どうも厚生省の対応がよろしくないではないか。私もけさ厚生省へ行って、皆さんの集まっていらっしゃるところへ行ってまいりましたが、もう少し生命を守る健康を守る官庁だという厚生省なんでありますから、被害者救済制度をつくるというなら被害者の御意見というものを十分聞いて制度をつくることに取りかかるという姿勢でなくてはならないと思うんですが、いかがですか。
  112. 上村一

    政府委員(上村一君) 先般、発表されました研究会の報告書に盛られました救済制度内容に対しましては、副作用被害の発生防止の姿勢が見られないとか、あるいは無過失責任に立った損害賠償制度としていないといったいろいろな理由で、被害者団体その他から批判があることは承知しておるわけでございます。私どもいま御指摘になりましたように、薬の副作用による健康被害を受けた人に対してはどうしても救済することが必要であるというふうに考えまして、慎重に救済制度の作成について検討しておるわけでございますが、それに当たりましては、被害者その他関係団体の意見を十分聞いて仕事を進めてまいりたいと思っております。
  113. 小平芳平

    ○小平芳平君 予算委員会の席では、厚生大臣からはごく簡単に報告を受けました、この報告をもとにして次の国会に救済制度の法案を提案しますというふうに答弁されておられますが、その点、大臣救済制度そのものが必要だということは再三私も申し上げているわけですが、それにはまず厚生省の玄関に大量に泊まり込みで、被害者の体の不自由な方が泊まり込みしなくてもいいように、もっとよくそうした御意見というものを聞くべきだ、それは早く提案する案を作成するということは結構ですが、そういう姿勢が必要だと思いますがいかがですか。
  114. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 厚生省の前に座り込みをしているという事実は局長から聞いておりますし、またそのうちの半分ぐらいの方が実際の被害者であると聞いております。そこで、薬務局長の方から被害者方々のうち代表的な方を選んでいただきまして、そうしてお話し合いをしたいという申し入れをしておるんでございますが、座り込みの方は大量に一緒に全部でなきゃということでまだ話し合いができておらないので、お会いしてないということでございます。ですから、平穏に代表者を選んで正常な陳情なり話し合いというのならいつでも薬務局長に会見をいたさせます。
  115. 小平芳平

    ○小平芳平君 大臣、私がいまお尋ねしている点は、平穏に話し合いをするということは前提でありますが、大臣の予算委員会の御答弁は、次の国会に制度を法案として提案しますということだったんです。で、次の国会に提案なさるという方針は厚生省変わりないでしょうが、予算要求もなさっているわけですから変わりないでしょうが、実際の被害者の意見を聞くべきだ、そうして被害者の方がそういう制度は早速つくってほしいという制度が望ましい制度なんだということをお尋ねしているんです。
  116. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 予算委員会でもお答えしたとおりでございまして、被害者救済制度を立法化したいと思っておるわけでございます。ただ、こういうことができたから、被害例の副作用とかそういったものの薬品の許可等ルーズになっては困るじゃないか、こういう御批判があるわけですが、われわれはそういうことの絶対ないような意味での救済制度と、しかし人間のことでありますから、どんなにあれしましても薬品の公害ということで被害者が出る場合もこれは万が一あるわけですから、そのためには救済に万全を期するという内容救済制度検討を命じておるわけでございまして、そういう意味では予算委員会にお答えしたとおりでございます。そこで、実際の方々の御意見を聞いたらどうか、そのとおりでございますので、先ほどお答えしましたように、代表的な方々でルールに従って話し合いをするならば薬務局長もお会いするということをしておるんでございまして、そういう点で経過をしばらく見守っていると、こういうことでございます。
  117. 小平芳平

    ○小平芳平君 それでは、時間の関係で三点お尋ねをします。  厚生省案はいつごろを目標につくろうとしておられますか。第一点です。  それから第二点は、無過失責任の原則を厚生省としては取り入れる考えがあるかどうか、それが第二点です。  それから第三点としては、認定ということがこの報告書に出てきます。どういう具体例として認定が行われるか。現に発生している被害者がたくさんおられるわけですが、どういうケースの方が認定の対象になり給付を受けるような制度になるか、以上の点についてお尋ねします。
  118. 上村一

    政府委員(上村一君) 厚生省の案は、研究会の報告をもとにいたしまして、関係団体の意見を聞きながらいままとめつつある段階でございますが、関係団体の意見も全部出そろった段階ではございませんので、いつできるかにつきましてはきょうの段階ではお答えいたしかねるわけでございます。なるべく早い機会にまとめたいと思っております。  それから、無過失責任を医薬品についてとるかどうかという点でございますが、研究会の報告にもございますように、医薬品について無過失責任を導入することについては時期尚早であるというふうな見解が盛られておりますので、私どももこの医薬品について無過失責任を導入することについては目下のところ直ちにとは考えておらないわけでございます。  それから、現に医薬品の副作用によって健康に被害を受けた人を救済する場合の認定について、現に発生しておるもろもろの事件と申しますか、そのうちどういうものを認定するのかというお話でございますが、これもこれからどれとどれとにするかということを決めることになるわけでございますけれども、いまここで厚生省としてはこう考えておるのだということはちょっと申し上げかねます。ただ、普通こういった制度をつくりますときには、将来の問題として考えることになるわけでございますが、この制度につきましては、現に医薬品の副作用によって健康被害を受けている人についても、それを指定することによって対象にしてまいりたいという考え方は、研究会の報告と同じように私どもも持つべきではないかというふうに思っております。
  119. 小平芳平

    ○小平芳平君 いまの第三点ですが、仮定のことを私はお尋ねしているのです。制度ができた場合に、たとえばここにはっきり書いてあることは、基金が民事上責任のある事件というふうに認めた場合は認定から外すとなっているわけですね。給付を受けられないとなっているわけです。したがって、民法上責任がないかもしくは民法上責任が明らかでないというものを認定し給付の対象とするということのようでありますが、そうなりますと責任についてはほとんどのケースが訴訟で争っているわけです。したがって、いまたとえば、スモン等の訴訟で争っているケースは、この制度によってスモン患者が直ちにいますぐ全部対象になるかどうかという質問ではなくて、こうしたことが発生した場合、たとえばキノホルムによってスモンという障害が大量発生しているという、そういう場合、そこで責任を訴訟で争っているという場合、そういう場合はどうなるのですかということを質問しているのです。
  120. 上村一

    政府委員(上村一君) 研究会の報告では、民事責任の有無が明らかでなく訴訟で争われているようなケースにつきましては、その被害者の迅速な救済を図るという見地から一応この制度の給付の対象にして、それから民事責任が確定いたしますと、責任のある者に求償する仕組みをとってはどうかというふうに言われておるわけでございますので、抽象的にはいまお話しになったようなケースは該当するのじゃないかというふうに考えるわけでございます。
  121. 小平芳平

    ○小平芳平君 そうしますと、こういうことが起きてきませんか。民事責任が明らかでないということで認定され給付を受けるということは、訴訟で責任を争う場合に被害者に不利になりゃしないか。
  122. 上村一

    政府委員(上村一君) 研究会の報告で、民事責任が争われておるような場合に給付をするという道を考えておりますのは、当然そこは裁判があるというふうに考えておるわけでございますから、救済制度認定をされましても、私はその裁判には不利な影響はないものだろうというふうに思うわけでございます。
  123. 小平芳平

    ○小平芳平君 まあ、あろうと思う程度の制度をつくろうというところに問題があるのじゃないですかね。恐らく認定するということは相当の権威者が認定をすることになるでしょう。そういう相当の権威者が民事責任がないか、もしくは明らかでないというふうに決めることが訴訟に影響しませんか。
  124. 上村一

    政府委員(上村一君) あろうというふうにあいまいな形で申し上げましたのは、裁判所の判断に属することでございますので、私どもどうも断定いたしかねるというのでそういう表現を使ったわけでございますが、専門家の方々がある薬とある身体障害との間に因果関係がある、そうして、その薬の製造等について責任かないということがはっきりしておるというふうな認定であれば、これはいまお話しになったように裁判に持ち出されましても原告側に非常に不利なことになるかもわかりませんけれども、どこに責任があるかまだわからない、不明であるというふうな認定であれば、だれが責任があるのかもわからない、しかし、まだわからないというふうなことであれば、これは裁判で責任者が確定すればそれでよろしいわけでございますから、その点私は先ほどの答弁と同じように不利なことにはなるまいというふうに思うわけでございます。
  125. 小平芳平

    ○小平芳平君 では次に、こうした薬による健康被害は防いでいかなくちゃならない、なくしていかなくちゃならないという姿勢が、国も企業も当然そういう姿勢であるべきだと思います。ところが、現在の日本の薬の大洪水、報告書にも一兆八千億、それで今年あたりは二兆円を超すのではないかと言われるようなこういう薬の大量生産、大量販売、大量使用、そうして被害者がまた大量発生ということを繰り返すということは、まことに制度をつくればいいというような単純な問題ではないということを強く各方面で指摘しておりますが、この点についてはいかがですか。
  126. 上村一

    政府委員(上村一君) いま御指摘になりましたように、薬は病気に効く反面、どうしても好ましくない副作用があるものでございますので、そういった副作用による健康被害の発生を防ぐということが何よりもまず大切であるというふうに思うわけでございます。したがいまして、薬務行政の中でも医薬品の安全対策というのを最も重点を置いて進めておるわけでございまして、救済制度というのは、先ほど大臣からもお答えいたしましたように、こういった安全対策を講じてもなお薬の特殊性から避けられない副作用というのが発生するので、そういった人たちを救済しようというねらいのものでございまして、あくまでも大前提として医薬品の安全対策があるということでございます。
  127. 小平芳平

    ○小平芳平君 大臣のこの問題に取り組む姿勢をお尋ねしたいのですが、要するにこの報告書は薬の大量生産、製薬メーカーは大量生産することによって利益を得る、そして救済に必要な資力を持っている、金を持っているということが救済制度の前提になっているわけです。そして、また「製薬企業は救済に必要な費用をコストに組み入れ社会的に分散しうる能力をもっている」ということを前提にしているんです。こういうことを前提としての制度大臣はつくろうと思われますか。要するに、製薬会社はたくさん大量生産して、大量販売してお金をたくさん持っているということが一つ。それからもう一つは、製薬会社は将来救済に必要なお金をコストに組み入れて大衆に分散して売れば、それでこの制度を維持できるというわけです。で、制度をつくるには原資が必要だ、資金が必要だということはわかります。わかりますが、何か当然大量生産する、利益を受ける、それでもまだ足りないくらい将来大量被害が発生した。大量被害が発生してもコストに入れちゃう。コストに入れて大衆に売れば十分企業としては採算に合うじゃないかということはどう感じられますか。
  128. 早川崇

    国務大臣早川崇君) これも参議院の予算委員会で総理からも御答弁された大きい問題でございますが、日本の国民が薬をよく飲む、またドイツなんかと違いまして、大衆薬の広告がものすごいですね、テレビその他で。これは日本の特殊現象でございます。しかし、薬をたくさん飲むからいかぬというのでなくて、医療——薬をよく飲むことも一つの原因で私は日本の平均寿命が女性は七十七歳、男性は七十二歳という、スウェーデンをもう追い抜いて、世界一の金メダル組になってきておる一つの役割りを薬が果たしていることは、これはまた私は否定いたしません。ただ、薬の飲み過ぎが宣伝や広告によっているという、あれだけ飲まなくってもいいんじゃないかという感は私もいたしております。しかし、同時に救済制度というものは、予算委員会で総理もお答えされましたように、結局厚生省が薬の許可において、いままでちょっといろんな問題起こしましたから、従来よりももっともっと厳しくあらゆる角度から過ちないようにいたさせますが、同時に万が一起こる副作用に対しまして、これを補償するとなると財源の問題がございますので、どうしてもやはり薬業界の製品を販売している会社に均てんして終局的には経費になって返ってまいりますが、そうでなけりゃ税金でやらなければならぬという問題でございますので、考えられる方法としてはやむを得ないんじゃないかということを総理もあのときにお答えになられましたし、私もやむを得ないんじゃないかと、それ以外に厚い補償をする道はないんじゃないかと、こう感じております。
  129. 小平芳平

    ○小平芳平君 大臣、そうなると企業の責任というものは問われないことになりませんか。要するに、企業は健康被害が発生している、健康被害が発生しているときに、その救済のためにはとにかくコストに入れちゃえばいいんだと、百円で売る物を百二十円で売りつけて二十円で救済すればいいんだと、そんな、何の責任を感ずるんですか、企業は。
  130. 上村一

    政府委員(上村一君) 研究会の報告では基金をつくりまして、各メーカーから生産高に応じまして拠出を求めて、それを財源に救済していこうという考え方でございますが、そのメーカーに費用を負担させる理由といたしまして、幾つかの理由を挙げたわけでございます。その一つはとにかく医薬品の安全性というのは、使う人はメーカーを信頼する以外に方法がないということが一つと、それから、メーカー自身に医薬品の副作用の発生を防止する第一義的な責任があるということ、そういった社会的な責任に合わせまして、いま御指摘になったような必要な資力があるとか、あるいは費用をコストに組み入れることができるというふうなことがあるだけでございまして、費用をコストに組み入れることができるということだけがメーカーに費用を持たせる理由じゃございません。あくまでもメーカーは副作用の発生を防止する一義的な責任があるし、薬の安全性については私どもはメーカーを信頼する以外にないという大前提に立っておるわけでございます。
  131. 小平芳平

    ○小平芳平君 じゃあ大臣も薬務局長も財源は心配ないと、生産する薬を高く売って、大衆から集めたお金で救済してやりゃいいんだと、こういうことですか。
  132. 上村一

    政府委員(上村一君) メーカーが拠出をいたします場合に、その医薬品というのはいま非常に競争の激しい、価格が何と申しますか低下傾向にある商品でございますが、したがいまして、その拠出に必要な経費をどういう形でそれぞれの企業が出すかは、必ずしも一律的には決められないと思います。あるものは広告費を削り、あるものは利潤から、あるものは全然採算が合わない場合にはコストに転嫁せざるを得ないのじゃないか。私どもコストに転嫁して上乗せすれば事が足りるというふうなことまでは毛頭考えておるわけではございません。
  133. 小平芳平

    ○小平芳平君 報告書はいま局長が言ったように書いてないわけです。報告書は「コストに組み入れ社会的に分散しうる能力をもっていること。」こうなっているだけでしょう。そういう点の考え方を、厚生省案をつくる場合は、ただ安くできた薬を高く売れば、そうすれば大衆にそれを買わせればお金は心配ないんだというような、そういう考えはよくないと私は言っているんです、どうですか。
  134. 上村一

    政府委員(上村一君) こういった医薬品の副作用の救済に必要な経費に限りませず、これからもろもろの安全対策なんかの経費があるわけでございますが、そういったものを国民経済的に考えますと、どうしても社会的なコストというふうに考えざるを得ない性格のものでございます。そのコストをどういう形で転嫁するかは、これはそれぞれの商品を製造し販売する者の判断に依存せざるを得ない、現在資本主義経済体制でございますから、個々の企業が個々の商品の価格を決めるという仕組みをとっておる、その中ではどういうふうにこの費用を考えていくかということは、個々の企業の判断に任せざるを得ないというふうに思うわけであります。
  135. 小平芳平

    ○小平芳平君 個々の企業の判断に任せると書いてないと言っているじゃないですか。じゃあ、あの公害が激発した。各産業、各企業一斉に公害防止を迫られたそのときに、いや公害防止にどんな資金がかかっても構いませんよ、コストに入れりゃいいんだからと、そんな議論が通用しましたか、どうですか。
  136. 上村一

    政府委員(上村一君) いま御指摘の点は、研究会の報告に、メーカーに費用を負担させる一つの理由として、費用をコストに組み入れて社会的に分担する能力があるというふうに書いてある。それについて私ども考え方を申し上げたわけでございまして、いま申し上げたことが研究会の報告にすべてが書いてあるというわけではございません。ただ、何と申しますか、これからの事業というのは社会的に各種の費用を負担をせざるを得ない状況にあるわけでございまして、そういった費用を利潤から出せない限りは、何と申しますか、コストにオンをしないとその企業そのものが成り立たなくなるんじゃないかというふうに思うわけでございます。
  137. 小平芳平

    ○小平芳平君 非常に不満です、あなたの答弁は。それは、じゃ公害防止に費用が必要だからそれはもうコストに入れりゃいいんだと、そんななまやさしい議論が通用しましたか、あの当時。いまだって通用しますか、そういうことが。
  138. 上村一

    政府委員(上村一君) どうも非常にお答えしにくいわけでございますが、そうなると一体費用はどこから出せばいいのかという点につきまして、つまりその企業が極端な場合を申しますと利益は全然ない、しかしながら社会的な費用を持たざるを得ないといいました場合に、その企業は一体どうやって費用を負担するのかということになりますと、そういった限界にある企業に目をやれば、これはどうしてもコストにオンをせざるを得ないのではないかということでございます。
  139. 小平芳平

    ○小平芳平君 製薬メーカーが限界ですか、いま。
  140. 上村一

    政府委員(上村一君) それは製薬企業はいろんなタイプがあるわけでございまして、非常に利潤率の高いものもあれば、採算がとれなくて赤字の決算を出しているところもあるわけでございます。私その限界だと申し上げましたのは、そういった赤字を出しておる企業について申し上げたわけでございまして、一方で利潤率の高いところもあるわけでございますから、そういうところは当然そういったことはあるまいというふうに期待するわけでございます。
  141. 小平芳平

    ○小平芳平君 非常に不満ですが、時間の関係で次へいきます。  そこで、西独の例を引用して各報道機関でも薬事法を改正し、もっと規制を厳しくし、安易な大量生産、大量被害発生ということを規制することが先決だということを各方面で指摘されておりますが、いかがですか。
  142. 上村一

    政府委員(上村一君) 西独の場合に、先般薬事法を全面改正いたしました場合に、医薬品の副作用による健康被害救済制度のほかに、医薬品の製造承認その他各種の規制措置をとったことにつきましては承知しておるわけでございます。わが国の場合には、医薬品の製造承認についてはすでに現行法の中で、しかも運用を相当厳しくしてまいっておるわけでございます。さらに承認許可後の副作用情報の報告等、あるいは医薬品の再評価、あるいは副作用情報の収集その他のことにつきましては、相当強い行政指導で安全性に対する効果を上げておるというふうに考えておるわけでございます。もちろん、行政指導と現行薬事法を並べてながめました場合に、必ずしも現行薬事法で十分であるというふうに私は申し上げるつもりはございませんし、お話になった点につきましては、私、何と申しますか、ごもっともだと思う点もあるわけでございますが、多くの点につきましては現在行政指導で所期の目的を達しておるというふうに思うわけでございます。
  143. 小平芳平

    ○小平芳平君 どうもその行政指導が頼れなくてね。なお、こういう制度ができた、さらに被害が大量発生するというようなことがきわめてよろしくないと言っているわけです。  大臣、次にお尋ねしますが、ちょっと観点が変わりますが、関連のあることですからお聞き願いたいです。  大蔵省の財政制度審議会が、五十二年度予算編成に当たって、老人医療無料化を廃止するとか、患者負担の大幅アップとか、薬剤費の有料化とかということを重点的に取り上げるみたいな報道が盛んにされておりますが、けさもそういう報道がありましたが、一体厚生省はそういうことに相談にあずかっているのですか。また、これに対してどう対処されるお考えですか。
  144. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 財政審議会におきまして社会保障に関するいろんな御研究をして、その結論的なものをきょうの新聞で拝見いたしましたが、薬剤の一部負担の導入、初診時、入院時一部負担の引き上げ等、あるいは老人医療の無料化問題等多方面にこの問題を取り上げておりますが、厚生省としてはその問題について一緒に作業したわけでも何でもありませんので、財政審の意見であるというように御理解賜りたいと思います。
  145. 小平芳平

    ○小平芳平君 財政制度審議会の討議であって、厚生省は全くそういうことは考えておらないと、そういうことがもし厚生省へ提案されてきても厚生省はそういうことは受け付けないんですか、受け付けるんですか、その辺はどうなんですか。
  146. 八木哲夫

    政府委員(八木哲夫君) 財政審議会で、大臣からもお話ございましたように、財政審議会は財政当局の立場でいろいろ御議論しているわけでございますが、ただいま出ましたいろいろの問題の中で医療保険に関する問題につきましてお答え申し上げたいと思いますが、医療保険の問題につきましては、各制度を通じまして非常に財政状況が窮迫化しているということで、現在大きな問題点を抱えているということは間違いないわけでございます。そこで、私ども、今後の医療保険制度をどうするかという問題につきまして、先般政府管掌の健康保険につきまして、弾力条項の千分の二の引き上げの問題につきまして社会保険審議会で御答申をいただいたわけでございますが、今後、健康保険の、特に政府管掌健康保険の問題を含めまして医療保険につきまして大きな問題を抱えているというようなことから、社会保険審議会におきましてこの問題を本格的に取り組むという形にしているわけでございますし、私どもといたしましても、今後の財政収支の見通しというものが出てまいりますのが十一月の半ば過ぎぐらいになりませんと出てまいりませんので、その時点等を踏まえまして社会保険審議会で十分御意見なりあるいは御論議をいただきまして、今後どうするかという態度を決めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  147. 小平芳平

    ○小平芳平君 大臣の姿勢さえ述べてくださればいいんです。細かくいまの三点を説明してくださいと言っているのではなくて、厚生省厚生省として、事そういう社会保障あるいは福祉に関する問題は厚生省としての検討、判断があってしかるべきであって、大蔵省がどういうニュースを流したからといって、そのことによって厚生省が動いているわけではないわけでしょう。
  148. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 全くお説のとおりでございまして、戦前は富国強兵国家、戦後は平和的な福祉国家が国の最大の国是でございますので、社会保障が後退するようなものに対してはわれわれは賛成できない。ただ、御承知のように、財政その他が従来のように豊かじゃありませんので、財政当局がいろいろ御苦心するような問題につきましてはわれわれも謙虚に検討することはこれはもちろん当然でございますが、あくまで福祉の前進という面で判断して検討してまいりたいと思っております。
  149. 小平芳平

    ○小平芳平君 それでは次の問題に移りますが、通産省にお尋ねしますが、家庭用品品質表示法の指定品目と表示の標準の一部改正というものが八月七日に行われたという点ですね。これで、洗剤あるいは石けんというものを六種類に分けたというのはこれはなぜですか。
  150. 内田禎夫

    説明員(内田禎夫君) 通産省からお答え申し上げます。  私ども、いま先生指摘いただきましたように、家庭用品品質表示法の見直し作業の一環といたしまして、つい先ごろでございます、十月八日付で政令の一部改正及びそれに伴う省令告示の改正を行ったわけでございます。その中で、石けん及び合成洗剤につきましてそれぞれ三区分いたしまして、全体で六区分にいたしました。実は石けんにつきましては、洗たく用の石けんにつきましては従来品質表示法の対象となっておりませんでございました。それを今回加えまして、同時に消費者のいろいろな御意見等を参考にいたしまして、消費者の選択の便宜に供するということで、従来の合成洗剤につきましての表示も改めまして、両方それぞれを三区分にいたしたわけでございます。で、この区分の根拠でございますが、日本工業規格——JIS規格でございますか、これに粉末洗たく石けん及び衣料用合成洗剤の規定がございます。このJISの規格に準じまして、まず合成洗剤及び石けんというそれぞれの区分につきまして、それを界面活性剤の含有の量、それからそれがどういうものでできているかということを細かく分けまして、六区分にいたしたわけでございます。  もう少しわかりやすく申し上げますと、私ども合成洗剤の系統、それから石けんの系統というふうにまず大きく二区分いたしましたのは、その洗浄力の主体でございます界面活性剤がいわゆる純石けん分、いわゆる石けん分、つまり脂肪酸塩でございますが、これを主体としているか、それからそれ以外の界面活性剤を主体としているかということで、石けんの系統と合成洗剤の系統に分けまして、それぞれにつきましてさらにその含まれ方によりまして、それを純粋あるいは純粋に近い石けん、それから合成洗剤的な、つまり石けん分以外の界面活性剤も含んでいるもの、これをさらにいまの二通りに分けたわけでございます。それから、合成洗剤の方につきましても、純粋あるいは純粋に近い合成洗剤、それから石けん分を含んでいるものという形で分けていって六通りに分けた次第でございます。
  151. 小平芳平

    ○小平芳平君 結果として六種類、六通りに分けましたが、注意書きは全部同じようにつけるわけでしょう。注意書きは、炊事用手袋を使用しなさいとか、幼児のシャボン玉遊びに注意しろとか、手の届かないところへ置けということは、合成洗剤も石けんも同じように注意書きをつけなくちゃならないのですか。
  152. 内田禎夫

    説明員(内田禎夫君) お答え申し上げます。  使用上の注意につきましては、これはやはり消費者の方が実際に買われまして使われますときに、できるだけその使用上の注意をよく読んでそれに従って使っていただくということが、それぞれのその商品の使用目的に一番合った使用になるんじゃないかということでつけておるわけでございます。で、実は合成洗剤及び石けんにつきましての使用上の注意につきましては、若干合成洗剤の方が詳しくなっている部分がございますが、御指摘のように大部分は同じ注意事項になっております。
  153. 小平芳平

    ○小平芳平君 合成洗剤について毒性がある、あるいはないということが長い間議論されてきた。厚生省がある時期にこうした手袋を使えとかシャボン玉遊びに注意しろというような使用上の注意をつけさせるようにしたのは、厚生省は合成洗剤につけさせたのか、石けんにつけさせるようにしたのか、どちらですか。
  154. 松浦十四郎

    政府委員(松浦十四郎君) 最初の段階におきまして、合成洗剤についてそのようなことをつけさせるようにお願いいたしました。
  155. 小平芳平

    ○小平芳平君 じゃ石けんはどうですか。
  156. 松浦十四郎

    政府委員(松浦十四郎君) 当時、いわゆる台所で使いますところの洗剤でございますが、この台所で使います洗剤につきましては、合成洗剤のいわゆる液体のものしか存在しておりませんで、いわゆる石けんのまあ液体化されたそういったものがなかったわけでございますので、その時点においてはそのようなお願いをしたわけでございます。
  157. 小平芳平

    ○小平芳平君 じゃ現在はどうですか。要するに、厚生省がこういう注意書きをつけなさい、手袋を使用する、幼児のシャボン玉遊びに注意しろというのは、石けんについても必要なんですか、必要でないんですか。
  158. 松浦十四郎

    政府委員(松浦十四郎君) 合成洗剤にいたしましてもあるいは石けんにいたしましても、一つは、通常の洗浄に用います場合には事安全性については特に問題はないと思うわけでございますが、ただ、これらが過って飲まれる、飲んじゃうというようなことがありますれば、これはやはりそれはそれとして好ましいことではないと思いますし、それからまた、石けんにいたしましても合成洗剤にいたしましても、洗浄ということになりますと、その主力は結局物体から脂肪分を取り去るということでございますので、これはその作用は石けんでも合成洗剤でも同じでございます。そのような意味合いからしまして、長時間使うとかあるいはその人の体質によって荒れ性の方である場合には、当然合成洗剤の場合でも石けんの場合でも手荒れというのが起こるわけでございますので、過って飲んじゃうとかあるいは手が荒れが激しい方がおられるというような場合には、いずれの場合においてもそのようなことが起こり得るわけでございますので、そのような表示がなされることは適当ではないかと考えております。
  159. 小平芳平

    ○小平芳平君 それじゃ、合成洗剤も石けんも全く危険は同じだということですか。いままでは一般は、われわれ素人は石けんの方が安全性が高いというふうに思っていたが、それは間違いなんですか。
  160. 松浦十四郎

    政府委員(松浦十四郎君) まあ、飲んでしまうというようなことは別といたしまして、通常手が荒れるという問題でございますが、合成洗剤の方が洗浄力が強いわけでございますので、やはり石けんに比べて合成洗剤の方がより手荒れを起こす可能性が大きいのではないかと思います。
  161. 小平芳平

    ○小平芳平君 だけども、注意書きは同じように必要なんですか。
  162. 松浦十四郎

    政府委員(松浦十四郎君) 先ほども申し上げましたが、過って飲んじゃうというようなことに対する注意書きがあることは、それはやはり妥当なことであろうと思いますし、また、手荒れが起こる方であれば、手袋をした方がよろしいというのはこれは当然の考え方ではなかろうかと思います。
  163. 小平芳平

    ○小平芳平君 合成洗剤とそれから通常言われている石けんと、ともに同じ危険物質だと言うんですか。そんなことが通りますか。
  164. 内田禎夫

    説明員(内田禎夫君) お答え申し上げます。  危険物という意味ではございません。私どもが使用上の注意として書いておりますことは、これはその物がどなたにも同じような形で危険であるとかなんとかいうことではない、つまり、合成洗剤の場合にもそれからいま厚生省局長がお答え申し上げましたように石けんの場合でも、その使い方によってははだ荒れの原因となる、あるいは飲んだ場合、幼児が石けん水を飲んだ場合にはやはりいろいろ問題があろうかと思います。そういう意味での注意事項でございまして、私ども、その注意事項を書くからといって、それがどういうふうに危険であるということを合成洗剤と石けんとを比較考量して書き分けるというような筋合いのものではもともとないんではないかというふうに考えております。
  165. 小平芳平

    ○小平芳平君 どうしてそういうように——、合成洗剤と石けんは別だと一般に思っているわけですよ。わざわざこの六種類にして、それでしかも同じような注意書きをつけて、そして合成洗剤も危ない面があるという点では石けんも同じ危ない面があるみたいなことを言うのはどうしてですか、あなた。
  166. 内田禎夫

    説明員(内田禎夫君) 先ほどもお答え申し上げましたように、現実に売られております石けんあるいは合成洗剤、これはもちろん一〇〇%どちらかに純粋という形で区分けできるものもございますけれども、その中間的なものもいろいろ含まれているわけでございます。で、私ども今回の改正につきましては、そういう現実に売られているものに即しまして、それを消費者が購入する際に、十分識別ができるというような体制にしなければいけないということが今回の改正の主眼点でございます。したがいまして、通常合成洗剤と言われているものの中にも、その中に石けん分がかなり含まれている。したがいまして合成洗剤と言っても、純粋合成洗剤ではなくて、ある程度複合的なものもある。それから石けんと言って売られているものの中に、やはり合成洗剤的な要素が入っているものもいろいろあるわけでございます。これを忠実にその表示の内容によって消費者が見分けられるように今回の表示の改定をいたしたわけでございまして、それが結果六種類になったわけでございます。それから、その取り扱いの注意につきましては、先ほども申し上げましたように、仮に完全一〇〇%純粋の石けん分だけでできている石けんでございましても、これもやはりそれでは何も注意事項がなくてよろしいか、もしそれでは何も注意事項がなかった場合に、ある家庭で子供さんがそれを飲んでしまったというような場合に、一体問題が起こらないだろうかということを考えますと、それはそうとは言えないわけでございます。先ほどから繰り返して申し上げておりますように、私どもはそういった不測の事故というものを防ぐ、あるいははだ荒れの問題につきましても、石けんを使ってはだ荒れをされる方もやはり中にはおられるわけでございますので、そういうことを防ごうという趣旨でございまして、どちらがよりはだ荒れの度合いが多い、あるいはどちらがより飲んだ場合に危険かというようなことを、細かく取り扱いの注意事項に書き分ける必要はもともとないんではないかというふうに考えております。
  167. 小平芳平

    ○小平芳平君 厚生省は、合成洗剤はどういう危険があるか、合成洗剤にどういう注意書きが必要か、とともに、石けんにつけるとしたらどういう注意書きが必要かということをもう一遍検討してください。
  168. 松浦十四郎

    政府委員(松浦十四郎君) ただいまもお話し申し上げましたように、実際にこれが問題になりますのは過って飲む場合、それから手が荒れるという、いまこの問題に限局しておるわけでございまして、その問題のみを考えれば、いずれにいたしましても飲んではいけないというのは当然でございますし、それからまた手が荒れたときは手袋をして荒れないようにして使うという、まあ本質論としてはその二つでございますので、そのまた程度の差というのも決定的な何かの程度の差ということでもないわけでございますので、その辺、私どもとしてはこの程度の表示ということで意見を求められたときに、結構であると、こういうふうな考え方をしたわけでございます。
  169. 小平芳平

    ○小平芳平君 二問一緒にしますから。六種類の中で、洗たく用石けんはたとえ三%未満でも界面活性剤を混入しているから、これは石けんと表示しないでほしいという意見。それから洗たく用複合石けんと洗たく剤は削除して、これは合成洗剤の中に入れるべきだという意見。この二つはどうですか、簡単に。
  170. 内田禎夫

    説明員(内田禎夫君) お答え申し上げます。  まず初めのその三%未満という問題でございますけれども、これは現実にその洗たく用石けんを生産しておりますメーカー四十社ほどございますが、これは大部分中小企業でございます。その中のかなり多くのメーカーが合成洗剤と石けんを両方つくっておりまして、実際にその設備は共通で使っております。そういたしますと、どうしてもその工程上、洗たく用石けんをつくっております場合にも、合成洗剤をつくった場合のものが若干残留いたしましてそれが混入するということは、現在の生産の実態から言うと避けられない。これを全く分けようとすれば、全く同じ設備を二通りつくりまして、それぞれ専門にしなければいけない。これはやはり現在のコストの面その他からいきまして、そういった中小メーカーにはたえられないという面があるわけでございます。それからまた、実際に私どもいろいろ洗浄力等を試験いたしてみますと、三%程度仮にその石けんの中に合成洗剤分がまじっているものと、それから純粋の石けんとを比べましても、そこに有意な差は認められないということでございまして、そのためにその三%という一応の許容限度のような形でそれを入れたわけでございます。  それから、御質問の第二の点でございますが、複合石けんあるいは石けん系洗たく剤、これは石けんの条項から削除して合成洗剤の方に入れろという御指摘でございますが、私先ほど申し上げましたように、まず大きくその石けん系統のものと合成洗剤の系統のものを分ける場合に、これはどちらがその主体になっているか、脂肪酸塩が主体になっているかあるいはその他の界面活性剤が主体になっているかということで区分けをしているわけでございますので、これはどうしても表示をしないということなら別でございますが、表示をする以上はそういう分類になろうかと思います。ただし、そこは実態が石けん分以外の界面活性剤を含んでいるということを表示の内容ではっきりさせることによりまして、消費者が十分それを承知して購入できるようにという形の表示の内容にいたしたわけでございます。
  171. 小平芳平

    ○小平芳平君 納得いたしませんが、次の質問に行きますが、この六種類に分ける、そしてしかもそれは注意書きを同じようなものを全部つけろと、いままで規制になっていなかった石けんにまで同じような注意書きをつけろということは十月八日の官報に載っていますね。で、施行は五十二年十月一日だというのですね、官報によりますと。しかし、現在大手メーカーの販売している商品は、もうとつくの前から、何カ月も前からすでに六種類に分けて、しかも注意書きを載せておりますね。これはどういうわけですか。
  172. 内田禎夫

    説明員(内田禎夫君) お答え申し上げます。  この今回の改正につきましては、実は本年の三月末日の時点で私どもの方の家庭用品品質表示審議会の議を経まして、審議会の答申をいただいております。その審議会の答申に基づきまして、それを政令、省令の形に直しましたもので今回政省令及び告示を出したわけでございます。そういうことで、すでにその改正の内容につきましては、三月の品質表示審議会を通りました時点で公表されておるわけでございます。したがいまして、恐らく御指摘のございましたような、すでに表示をそういう形でしているメーカーは、その三月の時点で公表された審議会の答申に基づいて表示を変えたんだろうと思います。ただし、これはあくまで私どもの方の家庭用品品質表示法に基づく表示ではございません。現在の段階では全くこれは自主的な任意の表示でございます。その十月八日以前は任意の表示でございます。十月八日に政省令、告示が公布されましたので、私どもは実際に市場で売られております合成洗剤及び石けんにつきまして、今回の改正内容に即して正しく表示されているかどうかということを今後十分チェックして指導してまいりたいというふうに考えます。
  173. 小平芳平

    ○小平芳平君 なかなか企業は不利になることは、そんな省令改正を先取りして表示するなんということはやりませんよ。そう思いませんか。ですから、先取りでしょうけれども、こうしたそのメーカーがもうとつくの前から六種類に分け、そうしてこういう大手メーカーは洗たく用石けんとか粉石けんというところへ、さっきから再三申し上げているような使用上の注意をつけてやっているというのは、そういま説明されるようなことで納得できますか。よほど有利だと見てこういうふうにやっているんじゃないですか。
  174. 内田禎夫

    説明員(内田禎夫君) 私先ほど申し上げましたように、これは三月にすでに、公表されておりますし、通産省はその審議会の答申に即して政省令適用を改正していくということで、これはいずれそういう形の規制になるということはもうこの春以降天下に公表されているわけでございます。それで、これは先ほど申し上げましたように、基本的に消費者の消費者団体等からのいろいろな要望がございました。私どもそれにできるだけこたえるという趣旨で改正いたしましたので、仮に現在までにすでにそういう表示をしているメーカーがあるとすれば、それはやはりそういう消費者の意向に沿った改正であるから、できるだけ早く取り入れていこうということで取り入れたんじゃないかと思っております。ただし、それが正確な表示であるかどうかということは私どもまだ現在のところチェックいたしておりません。今後、先ほど申し上げましたように十分チェックいたしまして、今回の改正の内容に即した適正な表示であるかどうかということで、もし適正でなければ当然それを適正化するように指導してまいりたいということが私ども考えでございます。
  175. 小平芳平

    ○小平芳平君 ちょっと厚生大臣、洗剤のことについては厚生大臣も国会で何回も議論されてきたことは御承知と思いますが、そういう洗剤の問題が議論されてきたにもかかわらず、今回は石けんまでそこへ含めて同じような扱いにする。同じようなというのは六種類に分けるんですからね。洗たく石けんを買いに行くといったって、六種類のうちの何か見分けて買ってくるということになるんですが、何か厚生省としましてあるいは大臣としまして一体どういう注意が必要か、合成洗剤ならどうか、石けんならどうか、もっとその辺わかりやすいように考えてください、そういうように思いますが、いかがですか。
  176. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 一般論としてまことに結構な御意見でございますので、検討させていただきます。
  177. 星野力

    星野力君 厚生大臣がかわられたこの機会に、厚生行政の基本的な諸問題について新大臣の御抱負をお聞きしたいと思っておりましたが、きょうは時間が非常に短いので、国立病院国立療養所の問題に限って二、三点だけお聞きいたします。  この夏以来、私は島根県、福岡県、大分県など、主としてこれ西日本地域でございますが、そこの国立病院国立療養所について見聞する機会が多かったわけでございます。それらの国立医療機関の建物について言いますと、私どもが知っておる一ころに比べましてかなり整備されてきたのは事実だと思います。しかし、全国にはまだ十数カ所の未整備の国立療養所国立病院がありますし、また療養所から病院に移行したところでは一部に戦前の古い建物も使用されております。そうした未整備機関について言いますと、その荒廃ぶりというのはまことに無残なものがあります。文字どおり屋根は傾き根太は落ちというものもございます。病院の当局者も職員もこもごも速やかな整備を求めておりましたが、それら病院、療養所の整備を急がなければならないというのが一つの問題であります。  次に、建物の方は全体としてはある程度整備が進んできたとしましても、その中で働いている職員、医療従事者の充足の方は非常にこれはおくれております。これは本当にゆゆしい問題だと感じました。まずこの問題からお聞きしたいと思います。  看護婦さんについて言うならば、いわゆる二・八体制の確立について人事院勧告が出されましてからもう十年からたっておりますが、改善は遅々として進んでおらない。各種の公的病院に比べても国立医療機関が一番劣悪な条件にあるというのはこれは周知のことであります。ここに一枚のビラがございますが、これは大分県の別府病院のある病棟の看護婦さんの訴えであります。どうしてくれる夜勤十四回、中にはここ四年間生理休暇は一日もとれておらないというようなことも書かれております。まあどこの病院も国立病院似たり寄ったりでありますが、二・八問題の現状と今後の方針を、現状はこの程度であるが今後どうするかをはっきりとごく簡単に答えていただきたいと思います。
  178. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) 二・八体制につきましては、人事院勧告以来施設の整備並びに定員の増員問題について鋭意努力を重ねてまいったところでございまして、本年度におきましても増員の要求が認められておるところでございます。で、現状でございますが、昭和五十年度のこの複数夜勤単位の占める比率が五五%でございまして、これが五十一年度、本年度の増員が計画どおりに参りますと六〇%まで増加する、かような計画になっております。
  179. 星野力

    星野力君 看護婦さんを初めとする医療従事者の人員の問題というのは、どこの病院、療養所でもおしなべて深刻な状態にあるんでありますが、その間にも若干の格差は見られました。私が見た中では島根県の大田病院などが最も悪い方ではないかと思いました。療養所から移行した病院であるということも影響しておるかもしれないんでありますが、ここでは現に組合が要求を出して施設当局と交渉中と思いますが、その要求では夜勤を月十日以内にと、こうなっております。月八日ではない。二・八ではない。せめて月十日という要求であります。この夏、私がここを訪れましたときの夜勤の平均はたしか月平均十一・四日ということでありました。病棟によっては十三日、十四日というところもありました。またこの組合の要求の中には他施設との格差是正という項目も出ております。ここに資料がございますが、この病院の場合、たとえば訓令定床数がほとんど同じ、まあ奈良が一番近いですが、奈良が二百六十八で大田が二百六十七、一つ奈良の方が多いわけでありますが、ここの職員の合計は、奈良が百七十人で大田が百四十六人、二十四人少ないんであります。医療職(三)これは看護婦さんですか、これは奈良の方が八十五人で、大田が六十八人と十七人少なくなっております。奈良の方は何か外来が若干多いんだということも聞きましたが、ここに厚生省国立病院における救急患者取り扱い調べですか、ございますが、救急患者で見ますと、奈良病院が一日平均一・二人、それから大田病院の方が四・一人と三倍半になっておるわけですね。しかも、この奈良病院の方は救急センターの指定を受けて、医師、放射線技師、看護婦さんの人員や機械などで若干のこの予算による特別措置がなされておりますが、大田病院の方はそういう医療センター指定外になっておる。しかも、実際、周辺に総合病院などがない関係と思いますが、三倍半もの救急患者を引き受けておるという状態ですから、これは何とかしてやらなければいけないと思うんでありますが、御意見をお聞きしたいです。
  180. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) ただいま先生指摘のように、このそれぞれの医療機関の定員、特に職種別定員につきましては、その標準化等について努力を払っておるところでございます。ただいま先生指摘の大田病院は、御案内のように療養所から病院への転換施設でございまして、そういう点ほかの医療施設との間に若干のアンバランスがあろうかと思うわけでございます。特に、この転換病院につきましては、療養所時代の職種の関係もございまして、他の職種が多くて看護婦さんが少ないとかいう、そういう問題もあるわけでございますが、やはりこの定員問題につきましては、ベッド数、特にその病床利用率、それと外来患者数、そういったことをいろんな条件を勘案いたしましてできるだけそういったアンバランスのないように今後とも努力してまいりたいと考えております。
  181. 星野力

    星野力君 看護婦さん以外の他の職種を含めましても、先ほど申しましたように奈良の百七十に対して大田の百四十六と、こういうふうにやっぱり違っておるんですね。二十四人も少ない。看護婦さんについては十七人少ないと、こういうことですが、こういう格差がある。そういう格差、ハンディキャップを持ちながら重大な医療の業務に従事しておるんだということはお認めになりますね。
  182. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) 施設間にそういったアンバランスが現存するということは、われわれも承知いたしております。
  183. 星野力

    星野力君 私は、具体的な問題として大田の問題、これを挙げておるわけです。と申しますのは、この間、多少理由は違いますけれど、長崎県の大村なんかで座り込みをやられておった。現にこの大田ではそういう強い要求が出て交渉も行われておること、医務局長はもちろん御存じのはずなんでありますが、そういう問題であるから私出しておるんです。そういうふうに格差は現実にある。病院の間にアンバランスがあるというだけでなしに、この大田の場合はかなり激しい劣悪な条件にあると、こういう問題を申しておるんですね。これお認めになると思うんですが、たとえば施設当局なりあるいは組合なりが、地方の医務局——中国医務局でございますか、ここへ行って交渉したところけんもほろろなあいさつですね。認めやしないんですよ、そういう事実を。この格差是正はぜひ急いでやらなければいけないと思うんでありますが、このまま放置なさる考えはないでしょうね。どうなさるんです、一体この問題。
  184. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) そういった意味での施設間の格差是正につきましては、毎年定員改定も行っておるところでございまして、今後ともさらに努力を重ねてまいりたいと思います。ただ、先生指摘のように現にそういったアンバランスがあるわけでございますが、それは施設間によって成規にはじきました定員以上に現在定員を持っておる、現在員を持っておる、そういう施設もあるわけでございます。たとえば、二つの施設が合併したような施設におきましては、この数字上計算いたしました人数より多い定員を持っておるわけでございますが、そういったところの人たちの転勤というようなことも鋭意努力はいたしておりますが、なかなかそういった転勤の方もうまくいかないというようなことで、現実問題としては先生指摘のような事態があるわけでございます。
  185. 星野力

    星野力君 私はほかの病院についても資料をいただいておりますからわかるんで、何も大田だけを問題にしなければいけないと、こうは言っておりませんけれども、現に大田の場合はひどいですからね、早急にこれはひとつ是正をやっていただきたいと、こういうことなんですが、それはおやりになりますか、早急に。
  186. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) 大田の場合につきましても、いろいろ他の施設との比較、そういった点につきまして毎年洗い直しをいたしておりますので、さらに大田の事例につきましても現状をよく把握いたしまして、是正すべき点は是正いたしたいと思います。
  187. 星野力

    星野力君 一般的な問題にこれは解消されないようにお願いしたいと思うんです。と申しますのは、中国医務局、さっきも申しましたような態度なんですしね、ここをよく中国医務局に、この事実を認めてその対策を中央と話し合うように指導していただきたいと思うわけです。  非常に短い時間で、こうやっておりますとなくなってしまうんで先へ進みますが、大臣にお聞きしたいんですが、国立病院国立療養所、こうした国立医療機関の存在意義、役割りは何かという問題ですね。時間がありませんからこれは後でもう一度聞きますわ、それじゃ。結論的に言いますと、私は現状が、このような国立医療機関を抱える厚生省、これを総定員法の枠内に閉じ込めておくのがそもそも間違いだと思うんであります。国立学校、ことに医科大学をこれからも増設していかなければならない文部省は、どうやら総定員法の枠から今度外されることになったようでありますが、厚生省もそうならなければいけないと思いますが、この点について大臣の御見解をお聞きします。
  188. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) 大臣からお答え申し上げます前に、事務的に現状について御説明申し上げたいと思います。  この国立医療機関の定員問題につきまして、これを総定員法から外すか否かという問題につきまして、本年におきましても行政管理庁の方ともいろいろ相談はいたしておるところでございますが、やはり、総定員法の枠内で医療職については減員をしないというような点で、ただいまのところ事務的に話を詰めている段階でございます。
  189. 星野力

    星野力君 大臣にもっと進んだ視点で答えていただきたい。
  190. 早川崇

    国務大臣早川崇君) いまのわが自由社会は、国営、公営、民営あるいはチャンポンの混合形態とか、非常な多角的な社会を構成しておるわけでありまして、医療におきましても御同様でございます。そういう意味で、国立病院というものは私立、公立と違いまして地域医療の中心的リーダー格を務めておることは御承知のとおりでございます。特にがんとか結核とか難病等あるいは僻地の医療等、いわゆる採算ベースに乗らない特殊的な医療というものは国立でお引き受けしておるということは、星野先生御理解のとおりでございます。さらに、今後の問題としては、特に救急医療というものにおきましても、国立は他の私立、公立その他に先駆けまして、ほとんど一〇〇%近い救急医療の指定病院に国立は指定いたしまして御協力をいただいておる、こういう次第でございます。さらに、今後、相模原病院のように難病ですね、リューマチとかあるいは湿疹とか難病はたくさんございますが、こういうものも国立で引き受けております。  さらに、私の新政策として、ひとつ国立で大いに力を入れてもらいたいと思っておりますのは、腎臓の移植ですね。こういうのは西ドイツでも非常に発達しておりますが、透析というものでいまやっておりますが、これ非常に患者も苦痛で、しかもなかなか正常な体に戻らない。これは私は人工透析を否定するわけじゃないんですが。幸い専門家に聞きますと、腎臓だけは心臓移植と違って非常に技術的に可能だそうでございますので、そこでこういうことも西ドイツなんかで考えておりますように、運転免許を受けるときに、もし交通事故で亡くなった場合には腎臓を提供するというような式で、強制はしませんけれどもそういう登録制度をすでに発足をして、多くの腎臓病患者を助けているという実例も聞きまして、厚生省としては五十二年度からは腎臓移植の登録制を設けまして、これは非常な難病でございますが、多くの腎臓病患者を救っていきたいと、そういうのなんかは国立の千葉と、それからもう一つは——県立か、そういうのは国立病院で専門の腎臓移植手術をやるというように、五十二年度から考えてまいりたいと、そういうわけでございまして、民営、公立でない一つの使命というのはちょうど国有鉄道が持っているようなそういう使命を果たさしたいと思っております。
  191. 星野力

    星野力君 私は国立医療機関のあるべき姿について先ほどもちょっと言いましたが、大臣お聞きしたいとこう思っておったんですが、先取りされていま大臣考えておられる国立医療機関のイメージを述べられた、それは結構でございますが、私いま具体的にお聞きしましたのは、そういうことを実現していくためにも、いまの総定員法の枠内に厚生省置いてはいけないんじゃないかという問題なんでございます。まあ、いまお答えになったような、冒頭部分は厚生省設置法の二十一条、二十二条などにも書かれておるんでありますが、そこで言われている「医療を行い」ということは、これはどういうことでしょうか。最低の医療を行えばよろしいということではなしに、よい医療を行わなきゃいけない、こういうことだと私理解しますが、そうではないでしょうか。そのことと、それから大臣からは総定員法について、先ほど質問についてのこれはぜひその方向で大臣私やられなきゃいけないと思うんですが、そのお答えを、二つお願いします。
  192. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) この国立病院あるいは国立療養所の提供いたします医療というものの内容でございますが、ただいま先生指摘のような点ごもっともでございまして、われわれといたしましても、国民の医療需要の変化に対応した適切な医療を提供する義務を持っておる、かように考えておるところでございます。  総定員法の問題、これはいろいろ事務的にも現在折衝している段階でございまして、先ほどお答えを申し上げましたような段階でございます。
  193. 星野力

    星野力君 大臣、答えないからしょうがない。まあ医療の問題について、国立医療機関のやるべき医療の問題についてはいま医務局長から申された。まあたてまえはそうなんですね、これは。だが、本音といいますか実際は違う。そこからいろいろなごまかし——言葉は悪いですか、矛盾といいますか、それが生まれてきておると思うのであります。そのあらわれが臨時賃金職員あるいは付き添いの問題などにも出てきておると思います。賃金職員という定員外職員にいまの状態では頼らざるを得ない、しかも、その人々は非常に残酷な待遇を受けておる。賃金職員といっても定員の職員と同じ資格、同じ仕事をやっておる。しかも条件に格段の違いがあります。これは臨時で一年以内の雇用ということになっておりますが、年度末の三月三十一日には必ず雇用されておらないという状態になっておる。そういう形式ではありますが、実際には任用の自動的更新はやらないといいながら、自動的に更新されて何年も勤続しておりますけれども、しかし幾ら勤続やっても加算制度はない。調整手当——結核とからい関係の仕事をした場合に、一般の医師や看護婦につくところの調整手当もない。通勤手当、これは金額としては大きいものですね、実際の支出としては。これもない。期末手当制度もない。こういう状態で働かされておる人が相当たくさんの数おられるわけです。これは人数ももらっております。大臣、こういう実情なんですね。これをどうしますか、これを。私は大体これは早く定員化しなければならぬ問題だと思いますが、とりあえずこの人々にいま言ったような加算制度であるとか、調整手当であるとか、通勤手当、期末手当、こういう制度でも保証してやる、こういうお考えに立っておられるのかどうか。
  194. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) 賃金職員の処遇につきましては、従来よりその改善努力をいたしておるところでございまして、昭和五十一年度におきましても、これは賃金職員に二種類あろうかと思います。一つは看護婦の資格を持ったいわゆる看護職の職員とその他の職員に、われわれ大きく二つに分けております。特に看護婦さんの資格を持った賃金職員は、普通の看護婦さんと全く同じ業務に従事いたしておるわけでございまして、そういった点、格差をできるだけ少なくというようなことを考えておるわけでございまして、この看護婦さんの資格を持った人につきましては、一日当たりの雇い上げ単価を三千二百円、その他の職員につきましては二千五百五十円に引き上げたところでございまして、これを前年度の単価と比較いたしますと、約一〇%の引き上げを行ったところでございまして、このように毎年その引き上げに努力をいたしておるところでございます。さらに期末勤勉手当等につきましては、看護婦さんの資格を持った人には二十五日分、その他の職員につきましては十五日分というような実効上の数値をとっておるところでございます。なお、夜間看護手当につきましても、これは定員職員並みに千七百円の夜間看護手当を支給いたしておるところでございまして、今後この賃金職員の定員化への移行あるいはその処遇の改善、そういった点につきましては、格差の生じないようできるだけ努力をいたしたいと考えております。
  195. 星野力

    星野力君 賃金が一〇%上がろうが二〇%上がろうが、これは大したことないんですよ、実際言うと。この劣悪な待遇条件というものがなかなか本質的に改善されたということにならない。これは医務局長の一番よく知っておられるはずなんです。大臣は知っておられるかどうか、こういうことをよく知っておいてもらわなきゃいけないと思います。それから、皆さんが手引きなどをつくって改善努力されておるということもこれは存じておりますが、その程度じゃだめだということですね。それからもう一つ申し上げたいのは、病院や療養所によって格差がこの問題にもありますが、いろいろ隠し田を持っているような大病院ならやり方も幾らかあるんですが、そういうことに頼って、病院なり療養所なりの自主的なやり方に頼って、制度の方でもっと大幅に改善していくと、こういう努力を怠られては、これは困ると思うんですよ。  先へ行きますが、基準看護というのはどういうことですか。付き添いはお断りしますということではないんですか。
  196. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) 基準看護の問題は、これは社会保険の方の問題でございまして、私からお答えするのはいかがかと思いますが、私の知っている範囲内でお答え申し上げますと、基準看護は原則といたしまして付き添い看護を必要としない、すべて病院の職員で看護を提供すると、かような制度というふうに存じております。
  197. 星野力

    星野力君 大臣、そうなんですよ。このたてまえはそうなんですが、ここでも本音の方は付き添いがなければ病院の運営ができないという実情でありますね。まあ御臨終間近な患者に家族がつくというのは、これは当然でありましょうが、そうじゃないんですよ。何カ月も何年も家族が付き添いについていなければならぬ。そうでなけりゃ看護婦さんなりお医者さんその他の職員だけでは、どうしても手が回らないというのが実情であります。問題、先ほども申し上げました大田病院の場合ですと、二百五十四人の患者に対して、五十一人は付き添いがついております。浜田病院の場合は三百五十人の患者に九十人ついておる。そのうち、専門家といいますか有料の付添婦さんは大体一〇%程度で、九〇%は家族がついているわけであります。患者四人に一人はそういう状態でありますね。私、どこの病院でしたか、おなかの大きい若い婦人に訴えられたんですが、夫が交通事故でもって入院して、もう十日、二週間ほどになっておる。その間に自分の出産の予定日はもう過ぎてしまったと、こういうわけです。病院におるんだから安心ではないかと、こう言いましたら、ここでは産ましてくれないので、ほかの病院で産むことになっていると、こういう状態です。そういう人が看護に付き添っているわけですね。また関西に嫁いでいる人が親の病気ということで、子供たちをしゅうと夫婦に預けてもう何カ月も看護に来ておるという例もありました。で、病院としてもこれは付き添ってもらわなきゃ困る。しかし、たてまえ上付き添ってくれと言うわけにはいかないんで、家族の方から付き添わしてもらいたいという形式の文書を病院に出してそして付き添っておる、こういうごまかしであります。その付き添いの人たちが、だから睡眠をとる施設というものも、これは場所も大体ありません。あの小さな仮眠用のベッドに寝ておるんですが、暖かい季節は床の上でもいいじゃないかと言ったら、ゴキブリがたくさん出るんでこわくてと、こういう話でありました。これは九州のどっかの病院でも、また山陰でもそうでありましたが、病院長自身が付き添いの中から病人が出て困る、それが心配だということを言っておりました。こういう事態をどういうふうに改善されていかれるか、結局は先ほどの定員の問題にまた返ってくる問題ではないかと思いますが、ひとつこの問題、大臣簡単でよろしいから、御感想でもよろしゅうございます。
  198. 早川崇

    国務大臣早川崇君) これはまことにむつかしい問題でございまして、基準看護病院は、本来付き添いというものは、あるいは外からの看護婦を雇えないことになっておるのですが、実際問題として看護婦不足ということで、二割、三割ベッドがあくというような病院もありまして、家族だというカムフラージュで雇っているというようなことも実情を聞いております。そういうことを含めまして、きのう私は慶応病院へ子供の入院で行ったんですが、ここなんかは完全な基準看護体制で、そういう病院たくさんございますが、そうでない場合には、実際問題として患者が付き添いさんなりあるいは外から看護婦を雇いたいというのを黙認しておるという病院が多いんじゃないでしょうか。ですから、保険の方で、あるいはまた被医療者の場合で保険の差額ベッド等、この問題は結局金払わなければならないんで、生命保険の健康保険ができたり、胃がんの保険なんかできて、国民皆保険の原則を崩すじゃないかという御意見もございます。しかし、実際問題として需要と供給がアンバランスになって、その穴埋めをしているという実情でございますから、看護婦を完全に確保するということの努力と並行して、このむつかしい問題は考えてまいりたいと思っておるわけでございます。何か明快な回答でなくて恐縮ですが。
  199. 星野力

    星野力君 夜勤看護婦特別通勤経費、いわゆる深夜勤の看護婦さんの車送りの問題ですね。これは五十二年度は大丈夫でしょうね。この車送りの問題は、夜間看護手当を増額する問題と別個の問題でありますよ。夜間看護手当ではこれは解決できない問題。実際、悪い男どもに看護婦さんが深夜誘拐された、車で連れて行かれてしまったと、こういう事実もあります。それから、看護婦さんが月賦で車を買って、運転免許を取ったりして、自分で運転して帰る。それだって安全ではないとこう言われておるのであります。それから、夫に迎えに来てもらう。午前一時ということで待っていても、手術の後始末などでまだ一時間一時間半とおくれることもあるわけですが、そういう場合の話なども聞きました。もう車の中から、おくれるならおくれるともっと早く連絡できなかったかということで、車の中からもう夫婦げんかが始まって、家に帰って朝まで寝ずに夫婦げんかをやって、夫はそのまま食事もしないで勤めに出てしまう。こういう話は数限りないほど言われておるのですね。そう大した予算じゃないんだ、これは。ぜひやってもらわなければいけないと思うのですが、どうですか。
  200. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 先般も朝日新聞でしたか、投書欄に八戸のこれは男でございましたが、いまの問題、どうして男からの投書か存じませんが、いま星野先生言われたとおりの内容の投書欄を読みまして、これは前大臣以来努力しておるのですが、いまだに実現しないのは非常に残念だと思っております。そこで、五十二年度は三人相乗りタクシー代として、一台当たり千二百三十円を要求しようと、三人乗りで一人千二百三十円、細かい数字で恐縮でございますが、要求いたしております。同時に国立の病院、療養所につきましては、厚生省としては夜勤のタクシーを使っている実態は調査して把握しておるようでございますので、五十二年度には一般の夜勤手当の増額と別に、ベストを尽くして御要望にこたえたいと、かように思います。
  201. 星野力

    星野力君 未整備療養所の問題初めに出して、これはおくれてしまったんですが、九州だけでも田川、武雄、壱岐、戸馳、これは態本県。それから霧島、ここは一部未整備かと思いますが、それから病院としては対島、こういうところがまだ残っておるのでありますが、早急に整備していただかなければいけない、非常に強い要望ですね。実際また、私もその全部を見たわけではないですけれども、ひどいところを見ております。さっきも申しましたように根太が抜けるようなところも実際あるわけです。  ここに霧島病院からの写真が届けられておりますが、お見せしてもわからないかもしれませんが、お貸ししますからよく見てください。シロアリのあれでもってひどいものです、これは。  それから、あわせていま申しました態本県の戸馳、ここは三角港から橋がかかっている島でございますね。傾斜地に建っておる療養所でありますが水が乏しい。看護婦さんたち手も満足に洗えない。お医者さんもそうでありますが、その状態は医務局長は御存じであろうと思います。で、千七百万円ぐらいかけて井戸を掘っておるわけでありますが、まだ水が出てこないという問題ですね。もう少し掘らなければならぬ。これはやりますか。やるんですね、これは。
  202. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) この戸馳療養所の井戸の問題でございますが、五十一年、本年四月に三百一メートルまで掘削いたしましたが、施設の需要量を賄うまでの水量に達しておりません。この点、いま御指摘のとおりでございます。その後いろいろ地質調査等も実施いたしまして、さらに百メートル掘削すれば需要量に間に合う、確保できる見込みがついておりますので、近くこれは着工する予定にしております。
  203. 星野力

    星野力君 それ、ひとつ急いでいただきたいと思うんですが。大臣ですね、私、短い時間でございましたが、総定員法の問題を初め、緊急の問題を幾つかこれは申し上げたつもりなんです。で、大臣としては非常に激しい政局の中でこれは御就任なされたんで、じっくり腰を落ちつけて厚生行政をと、こう申し上げるのもちょっとはばかりあるような感じもいたすんでありますが、きょうも大臣抱負を述べておられましたが、せっかく就任なされた厚生大臣、どうかひとつ日本の厚生行政の上に早川崇のつめ跡を残すような問題を私幾つか申し上げました、ひとつやっていただきたいと思いますが、どうですか。
  204. 早川崇

    国務大臣早川崇君) まことにありがとうございます。御趣旨に沿って努力したいと思います。
  205. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは本題に入る前に、まず最初大臣にお伺いをいたしたいと思うわけですが、きょうも各紙一斉に報道されておりますが、大蔵省は十八日に開かれました財政制度審議会の第二特別部会で、五十二年度予算編成に当たって、一、老人医療費無料化の廃止、二は初診料、入院費など患者負担の大幅アップ、三は薬剤費の有料化を骨子とする医療費の改定に本格的に取り組む方針を明らかにしたということで一斉に報道されておるのは御承知のとおりです。で、三木総理は今国会でも本会議答弁などでは、老人医療の有料化というのは当分はやる考えはないという点をしばしば明らかにしておられますけれども、報道されている大蔵省の方針というのはこれと全く根本的に相反する方針でございます。で、厚生大臣、こういう論議を通じまして、老人医療費の問題に関しては有料化が必要だと思っておられるのか、あるいは無料化を継続する立場を堅持するという立場をおとりになるのか、その点をひとつ明確にしておいていただきたいと思う。
  206. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 現在の老人医療も一〇〇%無料化ではないわけでございまして、御承知のように所得制限というものがあるわけでございますので、部分的無料化でございますが、この基本線というものは三木総理大臣が言われておる以上、内閣の一員として堅持していくということは当然でございます。
  207. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私は特に大臣に申し上げておきたいと思うんですが、この老人医療費無料化を提出した第六十八国会ですね、ここで当時の斎藤厚生大臣が提案理由でこう述べておられるんですよ。「医療の問題については、老人の負担能力が十分でないため、必ずしも適切な医療が確保されていないうらみがあったのでありまして、その点、医療費の無料化により老人に必要な医療を保障する方策が強く望まれていたところであります。  今回の改正法案は、このような要請にこたえるため、老人医療費の支給の措置を講じ、もって国民皆保険制度のもとにおいて老人が必要とする医療を容易に受けられるようにしようとするものであります。」ということを、これは六十八国会で提案理由として述べておられるんですね。わずか二、三年の間にこういう基本的な立場、これを放棄するような論議が起こってくるということになりますと、これは大変広範な老人から恨みを買うだろうということを心配するわけでございます。先日も私、直接伺ったんですけれども、七十歳になったら医療費が無料になるので家族に遠慮なく医者にかかれるということで、誕生日が来るのを指折り数えて待っておるという年寄りたちが全国にわんさとおるということでございます。こういう点で、これは施策を拡充してもこれを有料化するというふうなことというのは、これはまかりならないんじゃないかというふうに思うんです。ただ問題になるのは、特に国民健康保険財政等に対する問題点等が常に問題の焦点になっておるようでございますけれども、これはわが党がかねがね申し上げておるんですが、こういった老人医療の無料化部分については公費負担の原則で、むしろそういった国民健康保険等における矛盾などを解決するというふうな立場で論議を進められるということなら話は別の問題といたしまして、老人医療無料化を有料化にするというふうな形での大蔵当局との論議が、今後の課題になるであろうというふうに新聞では報じられておるんですが、そういう点については総理大臣のお答えのとおり厚生大臣としても基本姿勢を堅持されるんであろうと思いますが、重ねて決意を伺っておきたい。
  208. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 先ほどお答え申し上げたとおりでございますが、長期的に見ると老人問題というもの、収入の増加というものも年金の充実等によりまして所得が非常にふえてくるというような時期においてはそれは再検討しなきゃならない。いまのように老齢福祉年金が一万三千五百円という低い段階におきましては、老人に医療というものを後退さす考えはございません。ただ、われわれも財政問題に目をつぶるというわけではありません。厚生省といたしましては、老人になってちょうど病気になる時期に健康保険から国民健康保険へほうり込まれる。吹きだまりのようになって赤字は累積する。老人医療だけは別建てでひとつ何か考えようじゃないかという検討はしておりますが、まだ結論を得ておらぬわけでございまして、われわれもそういった財政問題も含めて考えておりますが、いずれにいたしましても総理大臣の言われるとおり、老人医療の無料化を後退さすということは現在考えておりません。
  209. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは本題に入りますが、救急医療について若干お聞きをしたいと思っております。時間が余りありませんので集中的にお聞きをしたいと思っております。  すでにこれは救急医療必要性、重大な社会問題化をしておるという点については各方面でも論ぜられておりますし、本委員会あるいは本院の各種の論議の中でも再々にわたって問題になっておるところでございます。消防庁の報告件数でも、たらい回し件数は昭和四十九年に六万四千件だというふうに言われている。あるいは十一回以上の、問い合わせを含めるたらい回しが四千四百四十六件だと。十一回以上といったら大変な数ですよね。昭和五十年の一月からことしの三月までたらい回しの結果死んだという死亡件数は、これは毎日新聞の報道ですが全国で三十七件だと。これは先ほどもちょっとお話がありましたけれども、学会でも言われておりますように正確なデータさえないという状況ですから、いろんな数字で重大な社会問題であるという点が問題にされているわけでございます。特に救急搬送が全国民の九五%をカバーするほど消防の御協力が非常にやられておる。それじゃ百三十五万でとどまっておるかというとむしろそうではなくて、いわゆる急病の方々というのはその十倍、あるいは十数倍にも上るであろうというふうに言われておるので、まさに国民の命にかかわる重大な社会問題になっておるわけでございます。しかも非常に医学医療進歩、特にわが国では医学水準のレベルが非常に向上している中におきまして、特にこの救急医療については後進国だとさえも言われているというふうなことでございますけれども、こういった点について私は国の責任の明確化というのが非常に大事だということをここ数年来いろいろな角度で接触をし、御意見を聞く中で痛切に感じるわけでございますが、そういう点について、これまあ時間がありましたら最初に御見解を伺いたいんですが、国の責任の明確化をするためにはやはり法的措置というか、法律的整備というのが必要ではないんだろうかということを感じるわけでございます。御承知のように救急医療関係では法的措置というのは消防法に搬送の義務があるというだけであって、厚生省は省令に基づく告示病院だけだというふうな大変お粗末な状態になっておりますが、こういった点について国の責任を明確にしていくという立場で法的整備というふうな点についてお考えになっておられるのかどうかという点を最初にお伺いをしておきたい。
  210. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) 救急医療システムの確立に際しまして、どういう手順でいくかという問題ではないかと思うわけでございます。まあ先生指摘のように、まず国あるいは地方自治体あるいは医療機関の責任というものを定めて、これを法制化いたして、それからそのシステム化を図っていくというのも一つの方法でございます。あるいは現在のわが国の医療というものが、特に救急医療についてはいろいろ問題点が多いわけでございまして、まあそういった非常に複雑なわが国の救急医療体制というものに対して、とにかく手のつくところからそのシステム化を図っていって、その途中においてやはり法的に何らかの措置をとらなければその実現がむずかしいという、そういった点を探りながら法制化を図る、こういう二つ方法があろうかと思うわけでございますが、現在われわれといたしましては、やはりとにかく救急問題は緊急の問題であるということで、できるだけ早くとにかくシステムをつくっていって、その結果法制化すべき点についてはさらに今後検討していく、そういう態度で現在臨んでいるところでございます。
  211. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでいまのお話ですが、とりあえず急々に救急医療体制の整備という形で進めていきたいという御意見でございますが、救急医療体制を整備していく上で、これはいつでも言われておりますように国公立医療機関ですね、これが個々の国公立医療機関がこの救急医療体制の根幹になるという点の位置づけですね、これがまあ非常に大事だというふうに思うわけです。これは午前中にもいろいろと御意見が出されておりましたが、私はたとえば国立関係医療機関が、いろいろ大臣も閣議で厚生省以外のところも協力してくれというふうなことの発言をなさっておるというのは報道等通じて存じておりますが、四百一カ所の国立関係病院の中で告示病院になっているのは百カ所だと、大ざっぱに言うて二五%弱なんですね。それじゃ告示を受けておる国立病院というようなところは役に立っているかということですよ。まあ四分の一でも告示をしているんやからええ方やと、厚生省に至ったら九十二の病院のうち八十二までは告示病院になっているんやと、こう言うんですけれども、実際役に立っているかどうかという問題なんですね。数字の点では若干違いがあるかもわかりませんが、これは厚生省からいただいた資料に基づいて私申し上げている。で、国立医療機関がそれじゃ救急病院として役に立っておるかどうかということが非常に重要な問題なんですが、私は十分役に立ってないと思うんです。たとえば、私、大阪ですから、大阪の実例を挙げますと、たとえば国立泉北病院、ここではこの泉北病院を中心にしてのいわゆる泉北ニュータウンという住宅群のあるところですが、そこで一年間に、これは昭和五十年の一月から十二月までそこの管内の消防署の搬送件数が二千九十三件、その中で泉北国立病院に搬送した件数が百六件、わずかに五%。しかもこれはどういうふうに言われておるかというと、堺市消防署のデータなんですが、消防隊員の声によりますと国立泉北病院は当てにならないと、その理由としてこう言っているんですね。搬送していっても医師の手配が遅い、体制がないというんですね。それから、当直医の担当科を見て患者の搬送をしても扱ってもらえるのは半分ぐらいで、院内に重症患者がおってだめだということで扱ってもらえないと。それから入院の必要な人は初めから連れていかない、連れていっても受け入れてもらえないと言われている。これでは告示病院というふうに名前がついておっても国民の期待にはこたえることはできない、こういう状況になっている。  それから、先ほどお話しでもありましたが、国立大学の大学病院が、わずかだけれどもこの救急医療を担当してもらい出したと。で、大阪でもそういうことをやってもらい出したということでございます。確かにやっている。ところが、これでもどういうことが起こっているかといいますと、わざわざ大阪大学の付属病院に特殊救急部というのを、大阪府が金を出してですよ、一階と地階の一部分の建物を改造いたしまして救急医療を受けてもらえるようにということにしたんですね。施設改造費を大阪府が出した。ところが、運営は国立大学だから国にお任せをしている。そうしますと定員法だ何だということで、せっかくそのためのベッド五十床もあるのに一部分しか動いてない。せいぜいベッドがふさがっているのは五、六ベッドです。あの大大阪に救急患者が五、六人しかないということじゃない、受け入れられない、こういう状況になっているわけなんで、先ほどから星野議員からも御指摘がありましたけれども、国立医療機関、特に私は全体としての定員法あるいは総定員法の枠で全体として簡単でなければ、少なくとも救急部門についての担当部門は別枠にするというふうなことをせめて考えなかったら、これは仏つくって魂入れずというに等しいんですよ。その仏もまだつくられてないんだけれども、あるところでさえもまともな運営がされていない、こういう状態は一日も早く、救急医療を急々に整備するとおっしゃるんだから、少なくともその部分はそういうふうにやるというふうな立場というのは、まず態度を明らかにしていただかなかったら国民は信頼できませんよ。その点どうですか。
  212. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) 国立病院あるいは自治体病院、そういった公的使命を持ちました公的病院がこの救急医療問題について大きな責任を持っているということは、これは先生指摘のとおりでございまして、そういった意味合いにおきまして、われわれといたしましてもこういった公的医療機関が救急医療に積極的に協力をするよう指導してまいっておるところでございまして、まあ病院の立地条件あるいは診療機能等に応じましていろいろ協力を願っておるところでございます。そういった意味におきまして、三公社五現業の病院等につきましても大臣が閣議の席上その協力を依頼されたところで、ただ国全体の救急医療体制というものを考えました場合に、やはり一番現在必要なのは初期治療と申し上げましょうか、プライマリーケアではなかろうかと思うわけでございまして、そういった初期治療の分野につきましては、やはり国立病院あるいは自治体病院、そういった公的病院の数というものはしれておるわけでございまして、そういった意味におきましてはやはり地域医師会等の協力がぜひとも必要でございまして、そういった意味におきまして第一次救急医療施設としての医師会への協力というようなことに力を入れておるところでございます。国立病院あるいは自治体病院等につきましては、そういった意味において第二次救急医療の施設として、今後その責務を果たしてもらうというふうに考えておるところでございます。特にそれぞれの病院が責任を持つということでも、なかなかその一つの病院に負担がかかるわけでございまして、今後の問題といたしましては、その地域地域ごとにおきましてそれぞれの病院が相共同いたしまして、いわゆる輪番制というような形でその分担をやっていただきたいと、かように考えておるところでございます。  そこで、そういった体制をとる際に問題になりますのがやはり定員の問題でございまして、これはただいま先生指摘のとおりでございます。で、われわれといたしましては、この現段階におきましてやはり救急医療という問題、特に国立あるいは自治体病院というものが新しく大きな使命をこの救急医療で持ったわけでございますので、そういった意味合いにおきましてこの救急医療部門についてはさらに増員をお願いいたしている、かような状況でございます。
  213. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 増員をというのは、まあ厚生省の言う増員というのは実にちゃちだと思うんですよ。泉北病院の救急告示病院になるときにふえた人数といったら、四人かな、四人ぐらいですよ。四人ぐらいふやしてこれはできるはずないんですよ。だから、五%ほど受け持ったら関の山なんです。これは中がサボっているんじゃないと思うんです。病院の従業員がサボっているんではなくて、能力を越す仕事になっているわけですから、本当に国民の期待にこたえ得る体制をつくるためには別枠で人員の体制を整える。それから不採算部門だというのはこれは百も天下周知のことですから、この部分についての財政的な補償というふうなもの、これをやらないと、国立医療機関でさえもまともにやれないということが明らかになっている。しかも、いま局長おっしゃったその初期診療ですね、初期診療が非常に大事だ、確かにそのとおり。初期診療どこがやっているのか、全部民間医療機関じゃないですか。全国の六〇%の医師会が、単位医師会がすでに在宅輪番制というかっこうで、不十分であっても協力している。そうでしょう。しかも初期診療で、たとえば休日救急センターという形で厚生省も若干のお金をお出しになって、大体府県とその当該市町村が大部分の負担を持って運営をしておる救急センターですね、休日救急センターというんですか、そこだってこれは全部民間医療機関の医師が、医療機関あるいは医療担当者が協力をしてやっているわけでしょう、実際には。そこが一体それじゃまともにやられているのか。たとえば、私は医療関係者の一人なので非常によくわかるんですが、たとえば在宅輪番制ということで社会的使命を感じて医師会が、日曜日は夜間を返上して輪番制をやるとしますよね。十年やっておろうが十五年やっておろうが、御苦労さんの一言もないかわりに、厚生省からびた一銭の援助も補助もないわけでしょう、実際。本当にいま急に幾ら緊急に体制を整備するとおっしゃっても、人的資源あるいは物的資源というのを一遍にできないわけでしょう。今度の厚生省の御計画では、五万人単位で休日救急センターをつくるということだけど、それつくろうと思ったら四百八十四ぐらいつくらにゃならぬでしょう三年間に——四百六十四か。いま百四十くらいしかないんですね。それは簡単にできないわけですよ。簡単にできない間は、依然としてやはり在宅輪番制で初期診療については受け持ってもらわなきやならない。こういうところに対して、本当に協力のしやすい形で厚生行政として財政援助なりあるいはその他の必要な援助をやっていくおつもりがあるのかどうか。特に、その初期診療を担当している医療担当者はどう言っているかと言ったら、これは二次、三次の引き受けてもらえる病院がないから、それが最大の悩みだと言っているんですよ。そのしかも二次引き受け病院というのが、大部分、八割近くは民間の告示病院がやっているといういまの状態でしょう。この民間の告示病院に対して、これはもう不採算医療だということは、もう天下周知なんですが、国からびた一銭の援助もなくて、ベッドをあけておいて必要な人員を確保して待っておらなければならない。  だから、どんなことが起こっておるかといいますと、たとえば救急車から眼球破裂の患者を送りますと、こういうて電話がかかった。あわてて深夜に眼科の先生を呼び出し、麻酔医師を呼び出し手術の準備をして、看護婦の段取りをしてちゃんとして待ってた。連れてきた患者を見たら、眼瞼裂傷で、まぶたが裂傷だったという。一針縫うたら終わりというふうな治療で終わったと。それは、患者さんが重傷でなくて結構だということはありますけれども、その眼球破裂の手術をする態勢をつくるための段取り、準備、その経費といったら四、五万円かかるわけですよね。それで、診療報酬というのは千円か千五百円だ。こういうことの連続を民間医療機関に押しつけて、そうして民間医療機関にこれをやらない方が悪いんだみたいなことを言って厚生省が責任を負わないという態度は、これは国民医療の最高責任を負わなければならない厚生大臣としては、こんなものを放置できませんはずでしょう。明確にしてもらわなければいかぬと思うんですよ。  特に、告示病院がどんどん減ってきているという現状は、そういうことに耐え切れなくてやめていっているわけです。これは、たまたま九州の実例を見ますと、西日本新聞の報道によりますと、福岡県では三年間に二八%、四十五施設が告示病院やめた。それで、糸島郡というところは全く空白地帯になったというふうなことまで起こっているわけです。国民の医療要求とは逆に、医療機関というのは逆行するというふうな状況になってきているんですが、こういうふうに従来まさに犠牲と忍従でそういった告示病院の任務を果たさせてきた民間の告示病院、二次引き受け等を含めての告示病院、あるいは在宅輪番等でいわゆる初期診療を分担してきておる民間医療機関に対して、政府は財政的な補助あるいは財政的な大幅な援助、そういったものをやっていくお考えがあるかどうか、その点をお伺いしたい。
  214. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) ただいま予算編成作業に入っておる段階でございますので、まあ一つの予定としてお聞き願いたいと思います。  この救急医療の整備につきまして、特に医療施設の整備につきましては、第一次救急医療、第二次救急医療、それと第三次と申し上げましょうか救命救急センター、こういう三つの段階に分けまして整備計画を立てておるところでございます。  それで、まず最初に第一次救急医療体制の問題でございますが、ただいま先生指摘のように、この第一次救急医療体制につきましては、地域医師会の善意によっていままでこれを整備してまいったところでございます。それで、従来はこの休日夜間急患センターというようなものを、人口十万のところに一カ所というふうに整備をしてまいったところでございまして、この部分につきましてはその設置等に助成を行ったわけでございます。ただ、いろいろ全国のいままでの整備状況を見ておりますと、やはりいろんなその地域地域の特性がございまして、その地域によっては休日夜間救患センターの設置よりは在宅当番医制の方がいいというような地域もあるわけでございまして、そういった意味におきまして、まあ従来から在宅当番医制を地域医師会の善意によってその維持を図ってまいったところでございますが、今度この在宅当番医制についても、やはり一つの地域の実情に応じた救急医療体制というふうに考えまして、この在宅当番医制の拡大、定着化というようなことも考えておるわけでございまして、まあそれに要する費用の問題でございますが、休日夜間急患センターにつきましては、今後さらに運営費等についてもめんどうを見て助成をしていただきたいと考えております。  それと、在宅当番医制の定着ということでございますが、それぞれの医療費につきましては、これは社会保険診療報酬との関係もございますが、そちらの方との関連も考慮しつつ、なおこの在宅当番医制の定着化というようなことについていろいろいま地域医師会の事務費等も必要だと思っておるところでございまして、そういった点につきましても財政的な助成を考えていきたいと考えております。  それから、この第一次救急医療体制を確保するためにどうしてもやはり医療過誤の問題等もございますので、第二次医療救急体制の整備ということが重要になってまいるわけでございまして、第一次救急医療体制を確立するためにもわれわれこの第二次の方に力を注いでおるところでございまして、この第二次救急医療体制につきましてもそれぞれの地域の特性に応じて三つの方式を考えておるところでございますが、いずれにいたしましてもこの救急医療体制をとるためには、先ほど来不採算医療というような言葉で御指摘があったわけでございますけれども、やはり出来高払い制の現在のわが国の診療報酬体系の中で、やはり空きベッドを準備しておかなにゃいかぬとか、あるいはやはりその医師を初めとする医療関係者が余分に当直をしなきゃいかぬとか、そういういろんな問題がございますので、そういうふうに普通の医療費では賄い切れないような余分の体制というものに対しまして、今後助成を考えていきたいと思っております。
  215. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 時間がもうありませんので、大臣、最後にお伺いをしたいんですが、私、もっと幾つか聞きたかったんですが、時間の関係でお聞きできないんですが、これを本当に進めていかれるためには、いま局長お話では在宅輪番制と言われる民間医師会、あるいは二次救急の役割りを受けておるところあたりに一定の補助をやっていきたいということでございますが、これは非常に新しい試みだと思うんですが、この来年度予算の概算要求も十二倍余りふえたんだということで大変にしきの御旗にしておられるわけですが、その点を必ず実現できるようにひとつ本気でがんばっていただきたいと、これを実現させなかったら絵にかいたもちになりそうだという心配をするのですが、その点について大臣最後に御見解を承って終わりたいと思います。
  216. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 休日及び夜間救急業務につきましては、地方に参りましても世論のように急激な要望も高まっておるのでございます。いままではそれほどでなかったんですが、非常に世論化してきておりますので、五十二年度ではこれにこたえまして、いま先生の御指摘にありましたように在宅医の方に対するいろんな手当て、また第二次救急病院に対するいろんな予算、当番医制の普及定着化の予算等を含めまして画期的な要求をいたしておるわけです、百二十数億円のですね。もちろん全部査定されますけれども、この国民の要望に沿ってベストを尽くして予算獲得に努力したいと思いますので御協力を賜りたいと思っております。
  217. 向井長年

    ○向井長年君 ぼくは委員長にまず苦言を呈しておきます。大体きょうは厚生であって、大臣初め各関係者に質問をしておりますが、各党の割り当てをやって時間いっぱい使われて、一番最後のところにしわ寄せをされると、何か決算委員会大臣が行かなきゃならぬということのようですが、これはそういうことわかっているんだから、当初から割り当てなりいろんなことは考えていてもらいたいということを要望しておきます。  きょうはそういうことのようでございますから私は協力いたしまして、いろいろな質問もございますが省略いたしたいと思います。特に私は年金問題についていたす予定でおりましたけれども、そういうことでございますから、時間がございませんので次に譲りたいとこう思っております。  そこで早川大臣、あなたは労働大臣になり自治大臣になりたびたび大臣に就任されて大臣経験者ですね。今度重要な厚生大臣に就任された。いろいろと抱負を持っておられると思う。憲法二十五条これは御存じでしょう。「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」こうなっておるんですよ。これを行政で生かすのは少なくとも厚生省である。先ほど医療問題がたくさん出ております。あるいは病気の予防から医療治療、それから今後福祉、そして老後の安定。もろもろの問題を見たときに、すべてこれは厚生省の言うならば行政において実行されるべき問題であると思います。ところが、現状におきましてはまだまだ不十分でしょう。十分とは言えないでしょう。これに対して早川大臣は、今後憲法の精神に従って徹底的に厚生行政の改革をやる、そしていま申しましたあらゆる問題を解決していきたいと、こういう気持ちが私はあるだろうと思うんですが、いかがでしょう。
  218. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 憲法二十五条による国民のナショナルミニマム——ナショナルミニマムというはやりの言葉を使わさしていただきましたならば、厚生行政は非常に住宅を除きまして、住宅、教育のナショナルミニマムというものをよく言われておりますが、その他につきまして厚生行政が非常に幅広い責任を持っておることは御指摘のとおりでございます。  そこで今後の問題といたしましては、まず医療の面におきましては世界一の平均寿命の国にまで到達いたしまして、さらにそれを伸ばしていかなきゃなりません。その場合に医者にかかる権利というのはこれナショナルミニマムですね、必要なときに。これについて最近世論化してきましたのは、都会地その他で医者はたくさんおるんだけれども、休日と夜間という時間的医療活動というものの問題がいまの救急医療。地域的に二千カ所ほど医者のおらない地域がある、これは地域的医療過疎で、両方ともナショナルミニマムの点からいってぜひともひとつ充実さしたいと思って一生懸命やっておるわけでございます。もう一つは、若いうちに働いて汗を流したんだが六十、七十になって惨めな生活をしなければならぬ、身寄りもないと、いろいろなそういういわゆる老後保障の問題でございまして、これは年金制度先ほど老人医療の無料化等々、寝たきり老人に対する福祉テレフォン等々の万般にわたりましてこれから充実していかなければならないナショナルミニマム。健康で文化的な生活の要望だと思いましてせっかく努力をいたしておる次第でございます。
  219. 向井長年

    ○向井長年君 冒頭申し上げましたように、そういう一環としての年金制度の問題について、私は具体的にいま年金制度の改正あるいはまたその財源の確保等あるいはまたこれ八種類にわたる年金制度がありますね。これに対する今後の検討、こういう問題も含めて具体的にいろいろとお聞きしたがったんですが、これは一応やめますが、ただ一つだけこの年金の中で、先ほども出ておりましたが老人福祉年金と、これは年金ですか。これは大臣ね、大臣も御承知かと思いますが、昭和三十四年に発足したんですね、これは千円で発足したんですよ、当時。このときに政府が何を言ったか、この法案審議の過程で。いや、もうこれは年金というよりも、まあお年寄りにお寺参りのおさい銭あるいはお孫さんにあめ玉一つ買ってやるその程度のものだと、こういうことを言われているんですよ。これは年金じゃなくて、私は言うならば、当時は明治、大正、昭和にかけてあの動乱期に若い諸君を養成をし育ててきた、そういう功労に対する功労的な性格を持ったものだというような形でいろんなことが審議されたんですよ。もし年金と名がつくならば、千円から発足してただいまは一万三千五百円ですか、こんなもの生活の保障になるはずがないでしょう、この程度のものは。だから、これどちらなのか。私は、まず先ほど冒頭言ったようなそういう功労的なものであるのか、本当に生活に対する福祉対策としてやるのか、これどっちなんですか。性格を明確にしていただきたいと思う。
  220. 早川崇

    国務大臣早川崇君) まことにむつかしい御質問ですが、普通、年金というものは保険の年金もありますし、所得保障の意味では遺族年金なんというふうなのもありますし、ここにまた新たに老齢福祉年金というものがあるわけでございますが、いま向井先生指摘のような意味での、無拠出でございますし、老齢年金とは違う、そうすると何だと。年金制度がまだできてないころの一つのつなぎの何といいますか、非常にむつかしい性質の生活保障、老人に対する一つのわれわれ国民のささやかなプレゼントと、いろんな総合的な意味で特殊な私は概念だと思いますが、局長からお答えいたします。
  221. 向井長年

    ○向井長年君 もういいわ、答えてもらわぬでもいい。  私は、これ非常に当時できたときから先ほど言われるような性格を持っておると思うんですよ。わずか千円ですよ、当時ね。千円といったらいまから言えばもっと値打ちがあったんだと言うかもしらぬが、余り人をばかにしたような年金ではないかという意見があった。そのときにやはり老人方は孫に厄介になったり子供に厄介になって、そして非常に気苦労が多い。そのためにはやっぱりお寺参りなり宮さん参りもやるだろう。あるいはお孫さんにあめ玉かお果子を一つ買ってあげる、こういうぐらいのものだ。だから、これは年金として自分が生活するための助成ではないんだというようなことがたびたび言われておったんですよ。で、私はこれは先ほど申しましたように功労年金というか、功労保障というか、こういう形に置きかえるなら置きかえて判断すりゃいいし、そうじゃなくて年金というならば年金らしく、少なくとも生活に役立つ、たとえばただいま一万三千五百円ですか、これが十分じゃないけれどもまあ三万円程度直ちに引き上げるというならば、ちょっとこれはやはり老人福祉年金性格を持ってくる。しかも、現在一万三千五百円でも、収入があったらいかぬ、扶養家族になって、扶養者がいま何ぼですか、三百万ほどの収入があればこれはやれないんだと。これ市町村いま困っていますよ。七十歳にたまたまなったから市町村に申請した。君は扶養家族であなたのお孫さんはあるいは子供さんはこれだけの収入があるから君はもらえないんだと、こういうことがまちまちで、各市町村はこれに対する分類の解釈は非常に困っている。あるいは場合によれば若干の恩給がある、その人が、あるいはちょっと小さい家を持っておってその収入が上がってくる、この人たちはもらえないんだとか、もうこれは非常にまちまちな状態がいま地方では出ておるんですね。だから、私は相談受けますけれども、本来この法律ができたときの趣旨から考えるならば、そんな福祉年金という名前はついておるけれども、本当の福祉じゃなくて、その程度のものであったやつがいま若干ずつ上がって一万三千五百円になったと。これは解釈をもっと明確にして、もし福祉年金とするならば所得制限を大幅に引き上げる。したがって、少なくとも五百万円まではこれはやっていいんだとか、何かをこれやっぱり厚生省考えなきゃいけないんじゃないですか、この点ひとつお伺いしたいと思います。
  222. 早川崇

    国務大臣早川崇君) いま所得制限というものは家族六人の場合八百七十六万円、本人は百二十万、夫婦百五十三万とかなり高い所得制限になっておりますから、少なくとも七、八割の人が福祉年金をもらえるのじゃないか。かなり広範なものでございます。しかし、これを一万円上げますともろに六千億円要るわけですね、月に千円上げるだけで六百億円要るわけですから、これは大変な予算を食うわけですな。ですから、これは上げればもちろんいいのですが、国全般の財政を考えた場合には、どうしても拠出の五万年金、十万年金あるいは国民年金の老齢年金の方へのつなぎという意味での所得保障、いわゆる年金が熟しておらない段階の一つのささやかなプレゼントというか敬老的なものに所得保障というものを加えたと。五年年金でも拠出しながら一万五千円ですからね。ですからそういう意味では非常に敬老的なプレゼントだ。金額は一万三千五百円でございますけれども、何分数が多いですから、その辺のことはひとつ、ふやせばふやすほどいいというものではないということを御理解賜りたいと思います。
  223. 向井長年

    ○向井長年君 私ははしょって言ったからそういう形になったのだと思いますが、これは少なくともやはり年金制度の均一化というかあるいはまた一本化を目指して改革を行っていく、そういうことがもとにあるのですよ。  そこで、そういう中から積み立て財源の一部を基金をそちらに回す、あるいは国の一般会計からの額もふやすと、こういう両面からそういう形をとっていくのが正しいのではないか、こういう感じを持ってこの問題をとらえておるわけなんですよ。だから、いますべて一般会計からやれというものじゃなくて、冒頭言わなかったけれども年金制度の一本化というか、いわゆる財源の、あるいはこれに対する均一化というか、こういう状態をつくり上げつつ、この問題をそうあらねばならぬ問題だろうと、こういう立場から取り上げておりますから、これはひとつ十分検討いただきたいと思います。  そこで、もう約束しましたからやめますが、もう一つだけお聞きしたいのは、これは私は先般予算委員会で言った問題ですが、現状の社会福祉施設の運営は、施設従業者の肉体的、経済的犠牲の中で行われている、現在。福祉社会とはいうものの完全整備が先行しておると思います。そこで、この問題について福祉従業者の処遇、職場環境の整備に関する特別措置法必要性を私は提案したのですよ、過去に、予算委員会でしたか。その中で厚生大臣は、どの厚生大臣だったかちょっと記憶ございませんが、非常に趣旨としては賛成できます、十分ひとつ検討したいと思いますと、こういうことで終わっておるのです。前向きで検討しょうということで終わっておるのですが、これは検討されましたか。あるいはまた検討してどういう状態にこれを持っていこうと、この法律の問題どう考えておられるか、これ御答弁願いたい。
  224. 曾根田郁夫

    政府委員(曽根田郁夫君) 社会福祉施設関係の職員の労働条件等の改善の問題については、いろいろ過去御指摘がございまして、それで結論といたしましては五十年、五十一年の両年度にわたりましてかねて指摘されておりました労働基準法遵守体制、これを二カ年間で一万六千名ほどの増員を図りまして一応整備を終わったところでございます。ただ、この問題はこれですべてよしという問題でもございませんので、私どもといたしましては来年度以降も施設職員のそういう点の実質的改善を図る意味においてしかるべき要員の増員を考えたいというふうに考えております。
  225. 向井長年

    ○向井長年君 先ほどからも質問ありましたように緊急医療と変わらないのですよ。これはほとんど民間なんですね、民間六〇%以上でしょう、施設の何は。そうなんですよ。これはそういう意味で補助も施設に対する補助関係はあるけれども、これに対する処遇改善の問題については、国、地方のこういう施設は、これは公務員ですから公務員によっての月給も上がっていくけれども、民間はそうではないのですよね、予算ですから補助体制の中からやるから。だから非常に劣悪な形でこの人たちが働いておる。したがって人員不足しておるでしょう、いま。来ないですよ、人が。やってくれませんよ。そして、これは老人とか母子、身体障害者、精神薄弱者、こういう諸君の施設でしょう。そうなりますと、やっぱり金がなくてもやらねばならぬという気持ちになるんですね、この従事されておる人たちは。したがって、自分の、言うならば自分が犠牲を払って財政的にも支出してやっているという傾向が各所にあるんですよ。こういう問題を置き去りにするもんだから、こういう人たちが不足してくるし、不十分である。したがって、私はここで言ったことは、特別措置法をつくって、これに対してやはりこの施設の処遇、職場環境、あるいは処遇も改善すると、こういう方向でひとつ考えたらどうかということを言ったんですよ。だから、その点民間と、あるいはまた国、地方とおのずから格差があり、非常に不安定なんだな。今後も十分。これ今後どう取り組まれますか、そういうところに対して。
  226. 曾根田郁夫

    政府委員(曽根田郁夫君) 民間の施設と国公立との格差是正の問題につきましては、実は、給与の面におきまして、一般的に施設全体として国家公務員の給与体系によっておるわけですけれども、なお公立と民間との格差がございますので、その点につきましてはいわゆる特別手当という形で改善を図るようにすでに措置をいたしておりますけれども、今後ともこの問題の改善努力いたしてまいりたいというふうに考えております。
  227. 向井長年

    ○向井長年君 最後に大臣ね、大変な問題たくさんありますよ。これは医療問題も先ほどお話があったように、あるいは福祉問題も。これはひとつ大臣先ほど共産党の星野君も一言われましたけれども、ひとつ腰落ちつけて、また内閣改造でどうなるか知りませんが、恐らく大臣は残られるでしょう。ひとつ残って、いやと言ったらだめですよ、残って、いやな人に私たちは何ぼ言っておったってしようがない、これ。やっぱり残って、よしおれこそはやってやろうという気持ちになって、ひとつ陣頭指揮をとって、この問題、もろもろの問題を解決するように最善の努力をしていただくように私は希望いたしまして質問を終わります。まだ時間あるようですが、これで終わります、協力いたしますから。
  228. 早川崇

    国務大臣早川崇君) 大変ありがたい御激励の言葉をいただきまして、私といたしましては、高度成長時代と違いますので財源に制限がございますが、質的充実と不公正是正と申しますか、先生の言われました憲法二十五条の精神でナショナルミニマムを満たしていくという点につきましては、勇気を持ってベストを尽くしたい、こういう心構えでございますので、よろしく御指導のほどをお願いいたしたいと思います。
  229. 浜本万三

    ○理事(浜本万三君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  230. 浜本万三

    ○理事(浜本万三君) それじゃ速記を始めてください。  本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  231. 浜本万三

    ○理事(浜本万三君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  労働問題に関する調査のため参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  232. 浜本万三

    ○理事(浜本万三君) 御異議ないものと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  233. 浜本万三

    ○理事(浜本万三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十四分散会      —————・—————