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1976-10-29 第78回国会 参議院 災害対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月二十九日(金曜日)    午前十時九分開会     —————————————    委員異動  十月二十八日     辞任         補欠選任      宮之原貞光君     松永 忠二君  十月二十九日     辞任         補欠選任      藤原 房雄君     塩出 啓典君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         工藤 良平君     理 事                 上條 勝久君                 神谷信之助君     委 員                 上田  稔君                 川野辺 静君                 高田 浩運君                 桧垣徳太郎君                 中村 波男君                 前川  旦君                 松永 忠二君                 塩出 啓典君                 原田  立君                 柄谷 道一君    国務大臣        建 設 大 臣  中馬 辰猪君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  天野 光晴君    政府委員        科学技術庁研究        調整局長     園山 重道君        国土庁長官官房        長        河野 正三君        気象庁長官    有住 直介君    事務局側        常任委員会専門        員        森  一衞君    説明員        国土地理院長   大島 哲男君    参考人        地震予知連絡会        会長       萩原 尊礼君        東京工業大学教        授        力武 常次君        文部省緯度観測        所所長東京大        学教授      坪川 家恒君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (地震対策に関する件)  (地震対策に関する決議の件)     —————————————
  2. 工藤良平

    委員長工藤良平君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十八日、宮之原貞光君が委員辞任され、その補欠として松永忠二君が選任されました。また本日、藤原房雄君が委員辞任され、その補欠として塩出啓典君が選任されました。     —————————————
  3. 工藤良平

    委員長工藤良平君) 災害対策樹立に関する調査を議題とし、地震対策に関する件について調査を行います。  本日は参考人方々の御出席を願っておりますので、早速御意見を承ることといたします。  参考人方々を御紹介申し上げます。地震予知連絡会会長萩原尊礼君、東京工業大学教授力武常次君、文部省緯度観測所所長東京大学教授坪川家恒君でございます。  この際、参考人の方に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は御多忙中のところ、本委員会に御出席をいただきましてまことにありがとうございます。地震対策につきましては各方面に広く関心を持たれ、その対策を要望されておりますことは御承知のとおりであります。本委員会におきましても、この機会に参考人の方から忌憚のない御意見等をお伺いし、地震対策参考に供したいと存じますのでよろしくお願いをいたします。  なお、議事の進め方といたしましては、初めに各参考人からお一人二十分程度の御意見を述べていただき、引き続いて委員の質疑にお答えをいただくことにいたします。  それでは萩原参考人から逐次御発言を願いたいと思います。萩原参考人
  4. 萩原尊礼

    参考人萩原尊礼君) きょうは地震対策について意見を述べよというお話でございますが、私は地震予知関係の仕事を主にしておりますので、地震予知中心といたしまして地震予知地震災害対策というようなことについてお話をさせていただきたいと思います。  わが国地震予知研究計画的に行われるようになりましたのは、ちょうど十年前、昭和四十年からでございまして、文部省測地学審議会建議に基づきます地震予知研究計画昭和四十年度から予算的にも出発したのでございます。それから第一次、第二次を経まして、ただいま第三次の計画が進行中でございます。この地震予知研究計画と申しますのは、地震予知に必要な観測調査等をいろいろな機関が協力して行っていくというものでございます。この計画特徴は、各機関とも地震予知業務としているところは現在でもまだないわけでございますが、本来の業務というものの形を崩さないでお互いの協力によって行っていくという形で現在までは進んでいるのでございます。この計画は一体どういうことをやるのかと申しますと、いろいろな観測項目からなっておりますが、その第一は地殻変動をとらえるということでございます。これは物に力を加えますと変形いたします。そしてその変形があるところまで進みますとこれが破壊いたします。地球の場合で申しますと、地殻にいろいろな原因で力が働きましてそれが破壊する、それが地震でございますが、この地震が起こることをあらかじめ知るということは、まず地殻変形をはかって、その変形がいまどのくらいのところまできているかあるいはその変形速度が急になったとか、そういうことをまず検出することがもとになるわけでございます。この地殻変動検出は最も確実な方法は測量でございまして、あるときにある場所測量をして、それからまたある期間を置いて同じ測量をいたしますと、その間に進行した変形がわかるわけであります。わが国測量事業建設省国土地理院が担当しております。したがって、この日本測量——三角測量水準測量といろいろございますが、こういうものを繰り返して行うということがこの地震予知のまず第一のもとになるわけでございます。  次は地震活動調査でございますが、こういった地殻変形が進行いたしましてそれが大きな破壊に近づきますといろいろな現象が起こります。たとえば棒を折る場合にいたしましても、最初メリメリといってそれからポキッと折れるわけでございますが、このポキッと折れるのが大地震でございまして、メリメリというのは小さな地震になるわけでございます。こういうわけで、とにかく地震活動の監視、大きい地震から小さい地震までの活動を常に監視するということは非常に地震予知に大切なわけでございます。わが国地震観測事業は大地震から中地震、小地震マグニチュードで申しますと三というあたりまではこれは気象庁業務としてすでに行っております。それよりもさらに小さい微小地震という非常に倍率の高い地震計ではからねばならない地震は、これはまだ研究的色彩が非常に強かったために大学幾つかの観測所を持って行ってきております。こういうふうに地震活動調査ということも非常に地震予知に大切なわけでございます。そのほか、破壊が近づきまして、変形が非常に進行しまして破壊が近づきましたときにただいま微小地震活動に異状が起こることがあるということを申し上げましたが、そのほかにいろいろな物理的な現象が伴います。たとえばそういうところを伝わる地震の波の速度が変わるとか、あるいは電気的あるいは磁気的な性質が変わる、そのために地表でそれを地磁気の変化あるいは地電流変化というようなものでとらえることができる可能性がある。そういうことで、こういった種類観測地震予知に非常に必要なことでございます。  ただいま述べましたような項目をできるだけ密に日本じゅうで行う、このために各機関が協力するということがこの地震予知計画根本でございました。そして第三次に入ったわけでございますが、この測地学審議会建議というものがどれだけ実際には実現しているかということになりますと、大体項目においては全部認められております。そういう意味ではこの計画は着実に進行していると申し上げてよろしいと思うのでございますが、ただその経費、人員等においては十分でない点が多いのでございます。で、この計画が約十年進みまして、その間に地震予知研究というものは大変進歩したわけでございまして、現在地震予知ということは、まだ実用段階には入っておりませんが、研究から実用に一歩踏み込んだ、あるいは一歩踏み込もうとしている、あるいは少し踏み込んだといったような状態のところまで来ておるわけでございます。それで、これが実用に完全にもう入ってしまいまして、ただこういうことをすれば、こういうことがあらわれたら、これで地震が起こると、そういうようなことが簡単に言えるようになりますと、これはもう研究ではないわけでございまして、もう完全に業務として地震予知が行えるわけでありますが、いまその研究から実用という非常にデリケートのところでございますので、この計画をさらに進める上にいろいろと微妙な点が生じるわけでございます。  で、地震予知はやはり長期的な予報ともう少し差し迫った短期的な予報が大切であろうと思います。たとえば五年以内に、ある場所でこのくらいの大きさの地震が起こる可能性が非常に強いというようなことは、これは長期的な予報でございますが、長期的な予報というのは非常に大切でありまして、そういうことができますと、そこにいろいろな観測を集中して短期予報を実現させることもできるわけでございます。また、こういった長期的な予報は、国あるいは地方公共団体、あるいは企業、こういったものが少し日にちをかけて防災対策を講じるのに役に立つわけでございます。しかし、五年先になるかもしれない、あるいはひょっとするとあしたかもしれないと、そういうようなことでは今度は社会的な不安を起こすおそれがあるわけでございまして、やはり長期的予報には必ずその短期的な予報が約束されないとまずいのでございまして、まあ長期的な予報はこうであるが、もう少し差し迫ったらまたお知らせするというような前提がないと、どうも不安を起こすおそれがあるわけでございます。そういうわけで、地震予知というものには長期的な予報短期的な予報と、こういうものがどうしても必要なわけでございます。ところで現在の地震予知計画では、大体この長期的な予報についてはめどがついたと申しますか、見通しがついてきております。それは大体先ほど申しました測量を主体にした地殻変動検出でございます。短期予報につきましては、日本のほかにアメリカソ連中国、皆一生懸命研究を続けておりますが、現在のところ、まあ決め手となるものはないわけでございまして、ケース・バイ・ケース、また地域によっていろいろと違ってくるのではないかと思います。そういうわけで、必要と考えられるいろいろな観測を、地震発生が可能と、発生のおそれがあるというところに集中してこの短期予報を成功させなければならないと思っているわけでございます。  そして、ただ最後に申し上げたいことは、この地震予知ということはやはり地震防災の一環でありまして、余りに地震予知さえすれば、まあ対策の方はどうでもいいと、そういう考えは間違っているのでありまして、そういう対策というものがあって初めて地震予知ということが生きてくるわけでございます。たとえば中国のようなところですと、これは地震予知をして、そうして住民をみんな家から避難させる、そうして壊れたところから耐震的な建物、耐震的な町に変えていく、そういう考えのようでございます。大体ソ連もそれに近いところがございますが、アメリカあるいは日本のようなところでは、そういうようなことはできないのでございますが、やはり地震対策ということは非常に大事でありまして、対策が整って初めて予知ということが生きてくるのだろうと思います。  で、最後に、まあ私どもの希望でございますが、どうもこの一番の根本になる、めどのついたと申し上げました地殻変動検出、特に日本測量でございます。これは国土地理院精密測地網と称しまして、全国の一、二等三角点繰り返し測量計画しておるのでございますが、これが著しく計画からおくれているということでございまして、これをまず何とか軌道に乗せたいということでございます。それともう一つは、とにかくまだ研究から実用に入ろうとしている段階なのでございまして、基礎的な研究が非常に重要でございまして、これは各機関でも研究はいたしておりますが、やはり頼るところは大学でございます。そういったために大学基礎研究ということ、これは一見実用とは関係ない、直接な関係はないように思いますが、非常に大切なことでございまして、この研究を伸ばせるように何とかしたいと思っておるわけでございます。
  5. 工藤良平

    委員長工藤良平君) どうもありがとうございました。  次に、力武参考人にお願いいたします。
  6. 力武常次

    参考人力武常次君) 私は萩原先生お話を踏まえまして、やや詳細に現在の地震予知技術と申しますか、そういうもののレベル及びそれを地震警報に結びつけるときの諸問題というような点についてお話を申し上げたいと思います。  地震予知を達成するためには、私見も大分含んでおりますけれども、四つの段階があるというふうに思います。それはまず、日本のような二千年の歴史を持つ国、あるいは中国のような三千年の歴史を持つ国というのは大変巨大地震記録がたくさん残っておりまして、それを解析することによって巨大地震の起こり方の習性というものをある程度見当つけることができるであろうということでございます。たとえば東海南海地方におきましては百年から二百年ぐらいの平均的な繰り返し時間間隔でマグニチュード八クラスの地震が起こっております。あるいは北海道、千島の沖合いにおいては、八十五、六年の平均繰り返し周期地震が起こっております。で、こういうものは、ただ平均の周期というように簡単なことではいけないのでありまして、なぜそうなるかという考察が必要でございます。最近の理論によりますと、はるか太平洋沖合いで新しく生成された海底が板のようになりまして日本列島目がけて押し寄せてくるのである、そのために陸地が圧縮されてついに破壊に至って反発する、そのときに巨大な地震になるというような理屈ができておりますが、そういうような理屈でもってまず大体の線は説明できるようでございます。で、同様な状況中米南米等においてもございまして、本年の二月にグアテマラで大変大きな地震が起こって二万何千人死んだということがございましたが、あの辺は大体三十四年の繰り返し周期で起こっております。最後のものが一九四二年でございまして、まさに三十四年後の七六年に起こっておるというようなことで、中米につきましては、数年の幅で物を言うならば、ほとんど決定論的に巨大地震発生を、予知といいますか、予測することができるわけであります。残念ながら、日本におきましては、非常にシャープにはまいりませんで、地震予知という面からはやや残念な面があるわけでございますけれども、それでもどのぐらいの危険が差し迫っておるかということをおおよその見当をつけることはできるわけでございます。こういうような観点から東海地方巨大地震が再来する確率というようなものを求めることができるわけであります。そうしますと、一八五四年以来すでに百二十二年ですか、を経過しておりますが、おおよそ六十何%、こういうような値が出てまいります。  次にはもう少し具体的な話になりまして、これも萩原先生の強調されました測量でございますが、測量によって地殻がどのぐらいひずんでおるかということがわかるわけであります。たとえば南関東におきましては、一九二三年の関東地震のときに三角点が数メーター南東に移動いたしまして、それがじりじりともとに戻っておりまして、約三分の一回復しているわけでございます。ですから、五十年の間に三分の一回復しておるわけでございますから、倍の百年をつけ加えるならば、またその南関東相模湾から巨大な地震が起こってもよろしいという状態になるというような、いささか乱暴な議論でございますけれども、そういうようなことが言えるわけでございます。したがいまして、そういう測量成果と、それから地殻がどれだけひずんだら壊れるかというその限界のひずみの値、両方を突き合わせますと、現在どのぐらい危ないかということは言うことができます。この地殻のひずみがたまって壊れるという状態は、どのぐらいたまったらポンと壊れるというようなものではないのでありまして、場所によって違いますし、またいろいろその辺の地殻の構成によって違ってくるわけでございまして、地域的特徴があるかと思われます。つまり、電球を買ってまいりまして、すぐ切れてしまう場合もありますし、五年、六年使っても切れない場合もある。しかし何となく一、二年のところで切れやすいというような状況があるわけでありまして、地殻というのはまさにそんなようなものなんでございます。現在のひずみ——現在関東地震以後進行してまいりましたひずみと、その地殻限界的なひずみとを突き合わせまして判断いたしますと、現在までに関東地震が再来する確率といいますか、そういうものはたかだか二〇%でございます。で、同様なことを遠州灘駿河湾等において行いますと、これは値がずっと高いように出てまいります。私の試算ではもう八〇%、九〇%になっておるというふうに出てまいりました。これは測量の結果の解釈といいますか、つまり陸上の測量を実際に破壊が起こるであろう海の底のところまで延長して議論いたしますので、やや精度が落ちるおそれがあります。しかしながら、ともかく数量的にある程度口をきけるようになったというのは、萩原先生中心として進めてまいりました地震予知計画の十年間の成果だと思います。で、現在までに地震が起こらなかったわけでございますから、今後十年以内に地震が起こるであろう確率というようなのは計算することはできるわけでありまして、関東地方では一〇%ぐらい、それから遠州灘等においては五十何%というような値が一応計算されております。で、こういう値をどう評価するかということは、これは各人の世界観に基づくようなしろものでありまして、非常にこわいと思う人もありますし、まだ大丈夫だと思う人もある。しかしながら、行政等の立場からは、その数字を参考としてどこに防災対策費をつぎ込むというようなことができるのではないかというふうに私は思っております。  さて、そのようにして地殻のひずみがたまってまいりまして、限界値に近づいてまいりますといろいろなことが起こってまいります。地震先行現象というものが出てくるわけでございまして、土地が異常に隆起するとか、地震波のスピードが変化するとか、電気抵抗が減るとか、そういうようなことが出てくるわけでございます。そういうものをたくさん、ありとあらゆる例を調べてみますと、大きな地震ほど早く先行現象が出てくるということがございます。マグニチュード七とか七・五というようなものですと、もう七、八年前からおかしくなってまいります。新潟地震、一九六四年のときの例はまさにそうでございます。マグニチュードがずっと小さい地震マグニチュード三なんというこんな小さいものを予知してもしようがないのですが、こ場合には二日ぐらい前には変になるというようなことがございます。で、幸いにしてそういう現象広がりをつかまえますと、おおよそのそのマグニチュード見当がつくという経験則がございますので、何かおかしいことが出てまいりましたら、まずその広がりを調べる。そうすると、来るべき地震マグニチュードがわかる。そうすると、先行時間と言いまして、異常現象が出てから地震が起こるまでの時間というものがほぼ見当ついておりますから、何年先ぐらいだということが出てまいります。したがいまして、それを目途といたしまして非常に観測を強化して集中的にやりまして、その地震直前現象をつかまえるのだというふうに考えられるわけでございます。で、いろいろ調べておりますと、地震直前にあらわれる先行現象、これを第二種の先行現象と私は名をつけておりますけれども、たとえば海水が急に引いた、つまり陸地が急に増加したわけでございます。あるいは電気抵抗が急に変わった、地下水が急に変化したというような例が幾つかございます。したがいまして、地震直前、これは大体数時間前のものが多いようでございますが、に徴候をつかまえることが決して不可能ではないと思います。以上のような研究結果を総合いたしまして、地震予知の戦略と申しますか、手順といたしましては、次のようなことが考えられると思います。  まず、その予備的段階では、歴史記録等を調べまして統計的に見当をつける。大体どこではどのぐらい危ないのだ。それから実際に測量によるひずみの蓄積を調べまして長期的に予測をするという段階がございます。それから第三番目には、その第一種の先行現象をつかまえまして、中・短期的に予測をして何年先に地震があるだろう、その地震の大きさはどのぐらいだろう。そうしてそこに集中観測をして、その直前の第二種先行現象をつかまえて短期的な予測を行う。これは私の調べた限りにおきましては、一週間、十日というようなものは余りございませんで、大きな地震ですと、まず数時間前のものが多いようでございます。しかし、うまくこれをつかまえれば人命だけはともかく助けることができるというふうに判断します。で、考えてみますと、中国が成功した地震予知やり方というのはまさにこのやり方でございまして、長期、中期、それから短期、それで避難命令を出したというわけでございまして、恐らくこういうような前兆の出方というのは世界じゅうどこでもそうなんだろうというふうに私は考えております。ただ、ここで問題になるのは雑音の問題でございまして、たとえば異常な隆起だけをつかまえましても、それが果たして地下水その他によるものであるのか、地震によるものであるのか判断する材料に乏しいわけであります。地震予知のための先行現象というのは幾つかの種類がございますから、その三つ、四つ独立なものがみんなおかしくなったというふうな状態をキャッチいたしまして口をきくべきではないかというふうに判断しております。  さて、そのようにして情報、地震予知がある程度できたということになりましても、これを直ちに世の中にどうやって知らせるかという問題が決まってないわけでございます。地震予知連絡会の方でも、連絡会でございまして、警報を出すような権限はないというふうに私は思っております。で、私の考えでは、予知警報とは全く違うものである、警報には行政が入っているべきものであるというふうに思います。ですから予知をしても警報を出さない場合もあるかもしれない。いきなり大きな地震が来るぞというような警報を出しますと、いろんな混乱が起こると思います。多くの人々がその地域社会に密着して生活をしているわけですから、長期的に、長期間疎開するなんていうことは当然できませんし、危険防止のため原子力発電所とかあるいは溶鉱炉であるとかあるいは石油精製装置などの操業をストップさせる、あるいは新幹線をとめるというようなことも必要となると思いますけれども、その経済的損失は大変なものでありますから、一体だれがそういうことを命令する権限があるのか、あるいはその経済的な損失はだれが補償するんだというような点が全く何もわかっておらないわけでございます。ですから何か立法措置でも講じない限り警報は出せないんではないかというふうにも思えます。しかも地震警報がいきなり完璧なものとなるとは思えません。試行錯誤的にだんだんとよくなっていくようなものだと思いますので、初めのうちは失敗することも多いかとも思います。そのたびに地震予知専門家をやめさせることはたやすいことですけれども、すぐ種切れになってしまうだろうと思います。  で、そのような欠点にもかかわらず、これは事柄は人命に関することでございますから、何としても警報のようなものを出さにゃいかぬだろうと思います。そういうようなことは十分な研究を積んでから出すべきだというふうに私は考えておりまして、アメリカにおきましては地震予知は現実のものになるということを踏んまえまして、どうやって地震警報を出すかという研究が始まっておりまして、ある程度予備的な成果も出ております。その結果を見ますと大変興味がございまして、アメリカの国情が違いますし国民性も違いますから、直ちに日本に適用できるというふうには思いませんけれども、非常に参考になる点がございます。たとえばマグニチュード七ぐらいの地震が起こるというようなことが数年前に警告が出たというような場合に何をするかということを、行政の担当の方、企業のトップの方ともにインタビューして聞き歩いて、それをまとめたような結果がございます。そういたしますと、政府機関は、まず大規模な損害予測を行いまして、その分布といいますか、そういうようなものも一般に知らすようなことが行なわれるだろう。ダム、貯水池、それからビルディングの安全性に対して診断と補強が行われる。必要な弱体な施設はある時期において疎開が行われるであろう。たとえばコンピューターシステムのようなものは非常に強力にするかあるいは安全な地帯に移す。それから知事等が用います無線、有線の通信施設等も、そのセンターは外に出るだろう。それからいろんな土地の登録のものの用紙であるとか、そういうようなものはマイクロフィルムにおさめてコピーをつくるであろう。それから震災保険といいますか、地震保険に非常に殺到するであろう。そのために新規加入はもう認められなくなって、政府が保証するような保険がつくられるであろう。それからそういう地域の資産価値は六〇%程度下落して、今度はそれが下がったところで買い占めて、地震が済んだ後高く売ろうというような思惑買いが行われるであろう。土地・住宅ローンのようなものは全く停止されてしまう。そのために建設業は非常にストップされまして、不況に陥って、いろいろ対策でお金を必要とするにもかかわらず、地方自治体の税収は減るであろう。大企業は幾つかは永久的に移転してしまうし、いろんなマーケットでは在庫を減らして安全を図るであろう。クレジット販売というようなものは全く制限されてしまうだろうというようなことが出てきたそうでございまして、そんなこと私余りよくわかりませんけれども、つまり非常な不況が起こるだろうということでございます。したがって、その地域だけでなくて、日本のような場合には、仮に東京のようなところがそういうことになりますと、これはもう日本全国がおかしくなるというような、そういうことになるんではないかと思います。  したがいまして、警報のタイミングを非常にうまいことやりませんと、不況によって受ける打撃というものが地震の損害を極端に言えば上回る場合もあるかもしれぬというような議論がなされているそうでございます。というわけで、警報を出すにはそれ相応の研究をしなきゃいけない。で、どういう地震にはどういう対策でいくんだというようなことをあらかじめ作戦第何号というふうに決めておかないと、実際に警報が出せないだろうというふうに判断いたします。  そういうようなわけで、地震予知の方もどんどん進歩するでしょうから、それを警報として、行政を通じて実際問題に生かすための社会科学的な研究と申しますか、これはもう地震学者の手に負えないものでございますが、その方も至急始めなければいけないというふうに判断しております。  以上、私の地震予知の現状に対する評価と警報に関する考えでございます。
  7. 工藤良平

    委員長工藤良平君) どうもありがとうございました。  次に、坪川参考人にお願いいたします。
  8. 坪川家恒

    参考人坪川家恒君) 私、先ほどの学会で駿河湾地震について非常に近々起こるということに関しましては否定的見解を述べ、中規模の大地震といったようなものについては地震発生がしばらくないような地域は注意した方がいいんじゃないかというふうなことを発表いたしましたので、それについての要旨を説明しろということと解釈いたしまして、それらについてお話し申し上げたいと思います。  実は私一九六九年に、地震発生すべきマグニチュードとその地震を準備すべき期間といったようなものについての関係式を提唱いたしました。この関係式をもとにいたしまして、今回日本でいままで起こっております地震資料をもとにしまして、先ほど申し上げましたようなことを発表いたしたわけでございます。で、この式を出すときに一番基礎になりましたのは、一九四六年に起こりました南海道地震の起こる前の地殻変動の様子でございまして、このとき室戸半島が安芸市に対しまして年間約八ミリメートル常に沈下しているという事実が水準測量の結果わかりました。そこで地震が起こりますと室戸半島は一・二メートルばかり不連続的に上昇いたしまして、その後測量いたしますと、地震前の沈下の速度と全く同様な沈下が行われているということがわかっております。と申しますことは、巨大地震というものは常にエナージーを蓄積しておりまして、地震後またさらに前と同じような形態、経過をたどって、もう地震直後からすでに次の準備を始めるというふうに考えられるわけであります。そういたしますとこの南海道地震といいますのは、その前の発生期はいわゆる安政地震でございまして、九十二年前でございます。恐らくは九十二年間ひずみを蓄えて八・一の地震になったのであろう、こういたしますと、八・一の地震は九十年余りの蓄積のもと発生するであろうというふうに考えたわけであります。そのほかに、中小の地震になりますと非常に例は少ないんでありますが、まあいろいろ無理やりに探し出しまして、発生期間とそれから地震マグニチュード——発生と言いますのはひずみを蓄積している期間でございますが、期間と地震マグニチュードというものを探し出しましてある式を出しました。ところが、これだけではいささか根拠が薄いわけでございまして、恐らくは準備期間の長い地震というものは発生回数が非常に少ない。たとえば一つの工場で一年間に十二個の製品をつくるといたしますと、一つの製品に対する所要期間は十二分の一年、すなわち一月でございます。したがって、この一年間にでき上がる個数とそれを仕上げるまでの期間といったようなものは逆数関係になければならない。それが一つの工場でございますと、一年間にできる製品の数掛ける製品をつくるに要する期間というようなものは、これは逆数になっておりまして、掛け算いたしますと一になるはずでございます。で、このような関係がどうなっているかといいますと、実は地震の一年間に発生する個数と、それからそれに応ずる地震の等級、マグニチュードの間にはグーテンベルク・リヒターの関係式というのがございまして、日本に対して彼が提起した式がございますが、これと比較してみますと、地震の準備期間とそれから一年間に発生すべき地震の数という式には非常に明瞭な関係がございまして、係数間に逆数関係を成立させるような関係がございます。ただ、この二つを比べてみますと、N掛けるTが十になります。もし一工場での先ほどの例によりますと掛けたものは一になるはずでありますが、これが十になります。といいますことは、工場が十工場あるというふうに考えればよろしいのではないか。で、実は地震区という言葉がございまして、その区域内では一年の地震は非常に関連の大きいかっこうで発生しているというふうに考えているわけでありますが、そういたしますと、この工場を地震区に置きかえてみますと、日本では地震区が十あるんだというふうに考えられるということでございます。これにつきましては、六九年に発表したのがこういう式でございます。これをもとにいたしまして、まず日本巨大地震について考えてみます。  非常によくわかっているというところは南海、東海区域でございまして、日本の文化が最も昔から栄えたところでございますから、ここでの資料はかなり確実であろうというふうに思われるわけでありますが、西暦六八四年から一九四六年の南海地震発生するまでに合計九回の巨大地震がございます。そのうち最近のもの四つぐらいにつきましては、この東海、南海が必ずペアになって起こっているということでございます。もっと前の地震につきましても、資料不足のために、両方で起こったのが必ずしも明瞭にわからないといったような感じのものもございますし、何とも資料がよく整っていないというのもございますけれども、この九つの地震の大部分がほとんど同期的に起こっておりまして、一番長いのが一〇九六年の東海地震と一〇九九年の南海地震、間隔が三年でございます。それから、この発生した場所でございますけれども、どうも遠州灘に震源を持っておるというふうなものがわりあい多いんでありますが、どうも東南海に近寄っているといったように考えられる地震もございます。いずれにしましても、非常によく同期しておりまして、この終戦前後に起こりました東南海、南海、これが期間が二年ございますけれども、これもやはり一連の東海、南海地震の一つと考えて、やはりよく同期した地震ではないかというふうに考えられるわけであります。で、先ほど力武参考人は安政から数えられたのでありますが、この千三百年ばかりの地震記録を見ますと、そういうふうに飛んでいて数十年後に巨大地震が起こったといったような例は全然ございません。したがいまして、安政地震の次にこの終戦前後に起こりました東南海、南海は一つのペアの地震でありまして、以後起こるとすれば、このいままでの実績から見ますと二十一世紀ではなかろうかというふうに考えられるわけでございます。  そこで、先ほど地震の起こる期間とそれからそのときに発生すべき地震マグニチュードの式がございましたが、これを使いまして、歴史的な地震、これの被害状況から推定した等級がございますが、この等級を準備するのにどれだけの期間かかるかということでこの式に入れて計算いたします。それで合計八個の期間があるわけでございますが、八個の期間を全部その計算式から出した数値を足してみますと千二百三十四年になります。それから最初の記録地震、六八四年でございますが、それと一九四六年、南海道地震でございますが、この間隔が千二百六十二年でございまして、そういたしますと、この両者の間に二十八年ばかり、千二百年に対しまして二十八年ですから非常によく合っていると言わざるを得ないかと思いますが、そういうわけで大体この地域に対しては資料は整っているというふうに見たわけでございます。  そういうわけで、この地域地震発生状況を見ますと、終戦前後の東海、南海で一連の巨大地震は終息したと。もちろんこれは、先ほど申し上げましたように、巨大地震はもう地震発生の次の瞬間からひずみを、次の百年間、百年余りの後に起こるべきエナージーを蓄積しているというふうに考えられますので、もちろん南海、東海、この太平洋岸の沿岸ではひずみが常に蓄積しているということは当然考えられるわけでありまして、まあかなり後に発生するにいたしましても、子孫のためにもいま調査をしているということはよろしいことかと思いますが、あすにでもということにつきましては、そういうふうなことで、いかがであろうかと考えたわけでございます。  それから、十の地域に分けたと申しますが、そういった趣旨で十という根拠が出ているわけでございますけれども、日本のこの百年間に発生した七・〇以上から七・九まで、この程度の地震でございますと、百年間の記録でもかなりの信頼性があるかと存じますので、これにつきまして発生した地震を全部とらえました。それから、たとえば七・〇でありますと私の式でいきますと十二年ばかりかかる、七・九でございますと六十三年ばかりかかるといったような式になっておりますが、こういうふうな数値を参考にいたしまして各地域について当たってみたわけでございます。この地域の分け方そのことは必ずしも重要でないんでありますけれども、まあ分け方によってかなりユニホームに分かれるようになりますが、地域によっては地震発生の率が非常に少ないというところが幾つかあります。要するに地域的なコントラストがあるということでございます。そういたしますと、そういう地域は、もともと地震のないところであれば問題がないんでありますが、そういう地域でも歴史的にはかなり起こっているということがございますので、こういう辺については十分調査すべきではなかろうかというふうに考えるわけでございます。  それから先ほど七・〇は十二、三年であるというふうなことを申し上げましたが、実はこの開発地域の直下あるいは非常に近傍に起こりましてかなりの被害を与えるというのが七・〇以上の地震ではないかというふうに考えられます。で、ちょっと申しおくれましたが、いままでお話し申し上げておりますのは、ほとんど地殻内に起こると考えられる浅い地震でございまして、これが地震の被害を特に与える地震でございます。また大きい地震もあるのでありますから、すべての話は浅い地震についてでございますが、この浅い地震で七・〇以上でありますと非常に被害が大きい。期間が大体十二、三年であるということになりますと、従来の測量の改測周期では非常に不備でございまして、たとえば七・五、新潟地震でも三十年ぐらいの準備期間があったというふうに考えているわけでありますけれども、日本の従来の、特に三角測量周期はまあ三十年、五十年といったような周期でありまして、大部分の地震は逃がしてしまうというふうな状況になっております。したがいまして、かなりの被害を与える地震予知するということにいたしますと、十二年の少なくも半分以下の改測周期調査をしなければならないということになりますと、やはり五年ぐらいの周期で繰り返すのが最低の所要周期でございまして、五年間で日本の、たとえば二等三角網、それから一等水準網、これがまた密度がいささか不足しておりますけれども、もう少し密度を高くいたしまして、三角測量——最近は三角でなくて三辺といいまして、路離の方、距離の測量で網を改測しておりますが、そういったような水平及び垂直方向の測量を繰り返す、これを少なくも五年周期繰り返していくということが必要じゃないかと思います。で、この地震予知を早期に実現させるためには、このような測量を一日でも早く所要の周期の測定をする事業として出発さしていく、これが急務であろうかと思います。先ほど両参考人からも力説されたわけでありますけれども、まあ浅い地震で被害を与えるということになりますと、これは恐らく地表面の観測からトレースできるであろう、その変動の大きさ等を調べますと地震の規模がわかる、そういたしますと、これがいつごろに地震として発生していくかということも推定がつくであろう。そういうことになりますと、そこにあらゆる調査を集中いたしまして地震短期予知をするといったようなことになるかと思いますが、その前提条件としましては、要するにイベントがあるであろうという場所を探すということが先決問題でありまして、これがない限り地震予知というものは出発しないというふうに考えられますので、この辺につきましてよろしく御配慮をいただきたいと思います。  終わります。
  9. 工藤良平

    委員長工藤良平君) どうもありがとうございました。  それでは参考人方々にこれから質疑を行いたいと思いますが、別に順序その他制限もいたしませんで、委員長の方から希望者御指名をしてまいりますので、逐次御発言をいただきたいと思います。
  10. 川野辺静

    ○川野辺静君 最近大変地震、特に駿河湾地震につきましてマスコミ初めいろいろ声が大きゅうございますので、非常に国民全体が不安を持っております。特に駿河一帯の者は特別の心配を持っておるわけでございます。たまたま私も駿河の住人でございますので、きょう先生方のそれぞれのお立場のお話を大変にありがたく拝聴いたしました。まあこの道全く素人の私でございますので、大変初歩的な愚かなお尋ねになると思いますけれども、それぞれの参考人に一つずつお伺いさせていただきたいと思います。  萩原参考人にお尋ねさせていただきますけれども、地震予知するのには、測量とか活動調査とかいろいろのお話がございまして、結局現在の研究程度のものを実用に進めるのに微妙な点があるというお含みのあるお言葉がございましたけれども、その点につきまして、やっぱり私は研究も大切ですけれども、これはぜひいち早く実用に活用できるようにしなければ、その研究がせっかく宝の持ち腐れになると思うわけでございますが、そういった非常に実用に進めるのには微妙な点があるのだという先生のお言葉がありましたので、この点につきまして、また先生からもう少し具体的に御意見伺えれば大変ありがたいと思うことでございます。  そして力武参考人にひとつお尋ねしたいのは、やはりその予知のためには隆起とかあるいは海水減とかいろいろ歴史記録とかひずみの測定とか等々でそれを予知するんだというお話がございまして、それにつきまして、ひずみ測定器でございますね、そのひずみ測定器というのが大体現在、特に駿河湾地震が大変叫ばれております現在、いまどのくらいその測定器が活用されておりまして、それをさらにどの程度に充実すれば非常に確実にそれがわかるものだということをひとつお教えいただきたいと思うわけでございます。  それともう一つ、静岡県の伊東地区に、これはたしか先生の御発表だと思うんですけれども、この七年から九年ぐらいの間にいわゆる地盤の隆起が十五センチぐらいあるというような御発表があったことを何かちょっと拝見したことがあるんでございますけれども、この隆起についての先生のお立場からごらんになりました駿河地震への御診断をひとつ伺わしていただきたいと思うわけでございます。  それから坪川参考人にお尋ね申し上げたいんですけれど、いまいろいろお話伺いまして、駿河地震におびえております者といたしましては、石橋案に対しまして坪川先生がいろいろ深い御研究で、当分大丈夫だというようなお説をお説きいただいておりますことは、本当に地獄に仏というような救いの気持ちでございますけれども、それでは先生の御専門のお立場で、いまの状態でいきましたらば、一体どのくらいのころにはその駿河地震考えなきゃならないかというような点につきましてお教えいただければ大変ありがたいと思います。  以上どうぞよろしくお願い申し上げます。
  11. 工藤良平

    委員長工藤良平君) それでは逐次御発言をお願いいたしたいと思いますが、最初にそれでは萩原参考人からお願いいたします。
  12. 萩原尊礼

    参考人萩原尊礼君) お答え申し上げます。  まあ先ほど微妙な点と申し上げましたが、そう別に奇々怪々な点があるわけではございませんで、非常にむずかしいデリケートな点があるということを申し上げたのでございます。それは先ほども申し上げましたように、ただいまの地震予知研究研究経過というのは、お互い各機関の協力で成り立っているということでございまして、どの機関業務の中に地震予知ということがまだ入ってはおりません。たとえば国土地理院測量をやっておりますが、これは本来の業務日本の測地事業をやっておるのでございます。で、また気象庁におきましても、これは地震観測業務としてやっておりますが、その業務の中には地震予知ということは入っておりません。津波警報はとり行っておりますが、そういう点で、つまり本来の業務の形を崩さないでまあお互いの協力、つまり善意から成り立つ協力ということでやっております。ですから、それは初めのうちはよろしかった、いままではよろしかったのでございますが、地震予知研究というものがここまで進んでまいりまして実用に一歩足を踏み入れた、それでもうできるだけ一刻も早く実用化の目的を実現させたいという段階になってきますと、本来の業務の形を崩さすというところにいろいろな矛盾な面が出てくる、特に行政的な面におきましてですね、そのことを申し上げたのでございます。
  13. 力武常次

    参考人力武常次君) 初めの駿河湾周辺の測定器のひずみ測定ということでございますが、私がいろんなことをやります論拠といたしましたのは、国土地理院の測地、測量繰り返しによって検出されたひずみ、地殻のひずみでございまして、そこに何かぽんと器械を置いてはかっているというようなものではないわけでございます。非常に広域をはかる面的な測定によった結果でございます。ですから、そういう測定を頻繁に繰り返していただくということは全く大事なことでございまして、これはぜひお願いしたいと思います。  で、ひずみ測定器という言葉がございますけれども、確かに一カ所に何かを置いてひずみの変化を連続的にはかるという器械がございます。それは傾斜計であるとか、あるいは岩石の堆積がどう変化するかというような、まあひずみ計と申しますか、そういうようなものが実際に設置されておりまして、特に御前崎等におきましては気象庁がその堆積ひずみ計を設置しております。それからやや離れました富士川の方であるとか、あるいは三河の方であるとか、そういうところには地殻変動観測所という、横穴を掘った中に器械を置いた設備がございまして、そういうところでも観測をしております。持に御前崎のひずみ計は非常に大きな変化を示しているということが報告されておりますが、これが果たして本当の変化であるのか、あるいは器械を設置したための擾乱がまだ残っておるのかどうかというような点を判断するために、少なくとも御前崎から駿河湾周辺に数個の同種類の器械を大至急設置することが必要であると思います。そうすれば少なくとも気象庁観測しております、やや大きな異状について判定ができるのではないかと思います。  次に、伊東地区の隆起でございますけれども、これは私は国土地理院測量の結果そういうことが判明したと伺っているわけでございまして、私自身は何も論評したことはございません。しかしながら、隆起があるということは厳然たる事実でございまして、これがそこに、その隆起のところにある程度の地震が起こるのか、あるいは駿河湾方面、遠州灘方面の大きな地震に結びつくのか、この辺の点は私自身は全くわからないわけでありまして、恐らく大部分の地震学者もそういうことはわからないと答えざるを得ないだろうと思います。で、学説によりますと、伊豆半島というものはその南の海底にくっついたものであって、それが日本列島目がけて押し寄せてくるので、そのつけ根のところでいろいろなことが起こる、ですから場合によってはふくらむこともあるのだというような考えもございます。しかし、それが直ちに大きな地震の引き金のようなものであるかどうかという点については目下のところ残念ながら学問がそこまで進歩してないと申し上げるより仕方がないんではないかと思います。  以上でございます。
  14. 坪川家恒

    参考人坪川家恒君) 駿河湾地震についての御質問でございますが、実は駿河湾自身の周辺部には大きい地震記録されておりません、歴史的な記録の中には。そこで、一番大きいのは六・七というのが一つございますが、あとは六・三、四、松代地震が一挙に群発でなくて起こったという場合の程度の地震でございまして、恐らく駿河湾そのものではなくて、いわゆる遠州灘東海地震ということになろうかと思いますが、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、東南海、南海で終わったのではないかというふうなのが私の考え方でございます。実はこの東海、南海が非常に同期性が高いということと同時に、実は日本巨大地震がかなり同期性が高い。いままでの得られております歴史的資料によりますと、昔の資料は、非常に、巨大地震につきましても、三陸、北海道等は人口密度が少ない、文明がおくれたわけでございまして、資料が少ないんでありますが、少ないながら四つばかりの資料がありまして、これがこの東南海とかなり同期しております。たしか一番長いのが東南海が起こる前三十年に起こっているというふうなのがありますが、あとは皆十年あるいは八年といったように非常に短く接して起こっている。たとえば、私この資料を整えておりませんので記憶でございますが、たしか八八七年、これが五畿七道での地震と称しておりますが、これが東海、南海の地震ではないかと思いますが、この八年前に三陸の大地震が起こっております。これが八・六でございます。そういうようなわけでかなりここにくっついて起こっております。  で、今回の二十世紀になりましてからの日本巨大地震考えてみますと、三陸地震が一番最初でございまして、一九三三年に起こっております。八・三でございます。それから東南海一九四四年、南海が一九四六年、それから数年しまして十勝沖地震八・一が起こっております。それから一九五六年かと思いますが、択捉島沖地震八・一というのが起こっております。したがいまして、五個起こっておるわけでありますが、先ほどグーテンベルクの式と申しましたが、この式から推計をいたしますと、大体八・〇以上の巨大地震は四個ぐらいじゃないかというふうに考えられますので、大体まあ税金を払っているというふうに考えられまして、そういうふうな諸般の情勢を考えますと、どうしてもこの次は二十一世紀であろう、二十一世紀も大分入ってからであろうというふうに考えざるを得ないということでございます。
  15. 川野辺静

    ○川野辺静君 ありがとうございました。  つきましては、私お願いなんでございますけれども、萩原先生地震予知連絡会会長さんでいらっしゃいますが、それぞれの先生方が専門のお立場で御研究いただきましたこと、そういうようなことを、やっぱりこれが行政の方にいきませんと実際にどうにもならないと思いますので、ぜひひとつ、とうといそういった皆様方の御研究を御違慮なく、予知会長さんといたしまして、相当に強く、ひとつ行政の方にもこれを刺激していただく御意見を積極的にお出しいただくことが大切じゃないかと思います。それを受けまして私どももできるだけの努力をしなければそのまま国益につながらないんじゃないかということを思いますので、その点をお願い申し上げます。どうもありがとうございました。
  16. 工藤良平

    委員長工藤良平君) なお、大島国土地理院長も一緒に同席をいたしておりますから、質問があればどうぞ一緒に御質問なさってください。
  17. 松永忠二

    松永忠二君 二、三お尋ねいたします。  三人の参考人の方に。駿河地震は明日起きるかもしらぬし、五十年、六十年先かもしれぬ、こういうのがいま地震研究している皆さんの集約した統一見解のように思うのですけれども、あすかもしれぬし、また五十年、六十年先だかもしれぬという考え方についてどういうようにお考えになるか、そして、そのためにはいま一体何が一番必要なのか、こういうことについて簡潔に三人の方にひとつ御意見をお伺いしたいと思います。
  18. 萩原尊礼

    参考人萩原尊礼君) 現在、地震予知連絡会というものがございます。これは地震予知研究計画に基づきましていろいろな観測調査の資料が集まるようになりまして、それを連絡会に全部持ち寄りまして、委員方々がそれを検討して学問的な判断をし、ここをもっと観測を強める、そういったような判断を下すわけでございますが、この連絡会におきましては、統一見解と申しますか、大体の皆さんのほぼ一致したお考え、もちろん少数の違った意見の方もあるわけでございますが、大体の、ほぼ一致した意見を申しますと、大体安政元年に、つまり東海地方に大きな地震があって、非常にこれは三島から浜名湖の辺にかけまして非常に大きな被害が生じ、また津波も生じたわけでございますが、この地震では駿河湾の中にまで及ぶ大きな断層ができて起こったと、これは確かである。つまり地震域と申しますか、つまり地震のエネルギーが、断層ができてそこで吐き出される、そういったことが駿河湾の中にも及んだと、これは確かでございます。また、昭和十九年の東南海地震というのが紀州の東の方の海の中で起こりましたが、このときのいわゆる震源域といいますか、破壊の起こった領域、これはいろいろな調査から駿河湾の中には及んでいなかったということでございます。したがって、駿河湾の中は安政の地震以来まだひずみが蓄積されつつあると、こういうことはまず確か、ここまではまず確かでございます。  で、ただ問題は、それがいつ起こるかということでございまして、先ほど坪川先生は、今世紀は大丈夫だといまおっしゃったわけでございますが、ただ、駿河湾近辺の地殻変動、これは測量からは——明治に第一回の測量か始まりましてから今日まで、その測量からわかりました地殻変動、上下の変動も、また水平方向の変動も、定常的に一定に進行していると、こういうことは間違いない。これも間違いないことでございます。また、それが最近になって急激に加速したとか、そういうことはございません。そういうわけで、駿河湾周辺には刻々にひずみが蓄積されていることは、これはもう明らかな事実でございまして、だれも異議をはさむ者はないわけでございます。ただ問題は、地震の切迫度でございます。これがまああす起こるようにも伝えられ、また五十年先のようにも伝えられておるわけでございますが、この地震の切迫度については、現在の、現時点におきましては、それがいつだというようなことを判断するほどのデータは持ち合わせていないということでございます。  で、こういうことをよりはっきりさせるためには、駿河湾の周辺でいろいろな観測を強化するということ以外にございません。それには駿河湾を中心にして測量を強化すること、あるいは地震波の伝わる速度が変わるというようなことを調べるための観測をやること、あるいは気象庁の御前崎に据えたひずみ計、こういうものを一つではなく数カ所あの辺に置くこと、それとまた地下水調査、これを周辺で密に行うということ、それから駿河湾の海底の地殻構造、あるいはその海底の地殻の中を伝わる地震波速度を決める、そういったような観測、これはまあ船の作業が伴うわけでございますが、そういったことも行う、あるいは地磁気の観測を早急に行う。それとまた、駿河湾の東の岸、西の岸、これにいますでに二つの検潮所がございますが、さらに少なくもあと二つぐらいの検潮所を設けるということ、こういったようなことを早急に行いたいと、こういうことによって、逼迫度、つまり当分大丈夫とか、やはり相当逼迫しているというようなことが判断できるようになるものと思っております。
  19. 力武常次

    参考人力武常次君) 遠州灘、駿河湾方面の状況につきましては、私は次のように判断しておりoます。  先ほどの私の話の中に、地震予知の戦略として四段階あるということを申し上げました。そのうちの第二番目のひずみ蓄積段階というのに該当しているというふうに考えております。これはいま萩原参考人からお話がありましたように、測量の結果厳然たる事実でございます。で、それをどう解決するかということでございますけれども、これは先ほど申し上げましたように、地殻の強さというものと対比して現在の進行状況がそのまま延長していったならばどこで壊れるかという判断をする以外にしようがないわけであります。それはどうしても割りばしを曲げたときにどこでぼきんといくかというような議論になるわけでありまして、アメリカで天気予報を聞いておりますと、あした雨が降る確率は何十%であるというようなことを言っておりますが、どうしてもそういう考え方にならざるを得ないわけでありまして、これは私の試算でございますけれども、今後十年以内に起こるのと、その十年からさらに後に起こるのとは五〇%・五〇%であるということになっております。ですから、坪川参考人のおっしゃるよりは幾らか切迫しているような感じを私は抱いております。そういう議論は現実に測定されました地殻のひずみというものに基いてなされているわけでございまして、坪川参考人の、現実の測定ではない過去の地震の起こり方、そういうようなものに基づいている議論とちょっと違うところがございます。坪川参考人は私の敬愛する友人の一人でございまして、非常にその測地学的な業績を高く評価しているものでございます。ただ、坪川参考人の議論で私はちょっと納得いかない点もあるものでございますから、余り論評は避けたいと思います。しかし、私の計算ではもうちょっと早いような感じであるということでございます。  それから、何が必要であるかということでございますけれども、これは萩原先生がおっしゃいましたことに尽きるわけでありまして、いろんな計器を設置してその変化を見守る、その次に大事なことは、それをどう解釈するかといういわゆる地震予知理論と申しますか、そういうものを開発していくことでございます。この点がある意味では極端におくれているわけでありまして、大いに若手の学者の活躍を期待したいと、そういうふうに思っております。  以上です。
  20. 坪川家恒

    参考人坪川家恒君) なかなかこれはむずかしい問題でございますが、歴史的な資料というものはかなり重要であろうというのが私の立場でございますが、御参考までに申し上げますと、西歴六八四年から九個起こっておりますが、次までの間隔、これが第二の八八七年の地震までに二百三年、その次が二百十二年、その次が二百六十二年、その次が百三十七年、その次が百七年、その次が百二年でございます。それから安政地震があるわけでございますが、安政地震までに百四十七年、それから安政地震から東南海、南海地震——この南海を基準といたしますと、そこまでが九十二年でございまして、今回の南海、東南海が歴史的な地震に比べてちょっと短い、その次が百二年、百七年ということでございますから、ちょっと短いのであります。それと、東南海地震というのが紀伊半島の東ということでかなり東海地震としては西寄りに震源があるといったようなことから、駿河湾付近の沖である遠州灘にはまだ解放されないひずみがあるのではないかということを想像するわけでございますけれども、先ほども申し上げましたように、巨大地震というのはかなりグループとして起こっているというのは、これは私だけではなくて、たしか最近、地震をテープレコーダーに入れまして、それを期間を圧縮してディスプレーする、そうすると、巨大地震というのはぱっと起こって、一群のものとして起こって、後は静かな小さな地震になってしまうといったようなことがあるそうでございまして、私自身は見ておりませんが、ということで、ある程度グルーピングがあるような感じがいたします。実際三陸から択捉に至る期間は二十八年しかございませんで、この巨大地震がここへ集中しております。ということは、かなりそういう説——また歴史的な地震、これはかなり数は、資料は少ないのでありますけれども、やはり短期間の間に起こって中間にないというふうなこともございまして、そういう点を考えますと、まだひずみ蓄積についての追跡の歴史がないわけでございますから、こういったものをある程度参考にするとそう考えざるを得ないということでございます。  以上でございます。
  21. 松永忠二

    松永忠二君 そこで萩原先生、十一月の二十九日に、地震予知連絡会としては駿河湾の大地震についての予知連としての正式な見解を表明する、同時に政府に対して八項目にわたる地震観測強化の申し入れをするということも聞いているわけであります。その中では具体的にお話のあった地殻容積変化計を五カ所を十カ所にしてくれ、それから一カ所の傾斜計を六カ所に、いま検潮機の問題が二カ所くらいというお話がありました。こういうことが要望されるように聞いておりますが、この点について科学技術庁長官の見解をただしましたところが、長官としてはそういう具体的なものを受けて十分に努力したい、それについては数字的なもの、予算的な、金もある程度具体的に言ってもらうと非常にぐあいがいいというようなお話がありました。したがって二十九日で正式の見解を出されるのかどうか、それと同時にこうした要望を政府にするのかどうか、するとすれば具体的な数字を出してほしいという、この点が一点と、もう一点は、第三次の予知計画の中でも、地震予知連絡会——先生が会長やられている——ここをもう少し改組充実した方がいいというようなことが出ているわけであります。私もこの連絡会の運営要綱などを見せていただいたりしますが、要するに予知の第三次計画というものは、もともと測地学審議会の出したものである、これは設置法に基づく一つの審議会、予知連絡会とは全然やや性格的にはっきりしているわけですね。そのほかわれわれから言うと、情報の質的な面の要望は予知連ができないじゃないのか。国土地理院というのはもともと設置の法律なんかでも測量というものを中心にして考えている、地震予知のためにつくった機関ではないので、これにいわゆる国土地理院長が委嘱をするということも少し筋違いのようにも思う。やっぱり予知そのものを可能にする、特に駿河湾地震は直接どうしても予知しなければできない状況日本はなっているわけなんだから、どうしてもその予知を可能にする観測の充実をしてもらうという意味から言っても、いまの予知連では不十分ではないか。また同時に予算なども調べてみましたが、五十一年度二百十八万という、実は項目としては国土地理の地殻活動調査経費というのを全額そっちへ充てているわけで、費用も少ない。それから特に力武先生からもお話があった、ころから重大ないわゆる予知をしようと、判断をして、それを予報ようということになれば、予知連でそれが可能だと言うことはできにくいという点で、どうしてもこのお話のように、地震予知連絡会の改組充実というものを考えなければいけないということを思うのですが、そこで関連をしてやはりいま行政ベースで地震予知研究推進連絡会議があって、これは科学技術庁の事務次官を主宰にして関連の事務次官が集まっているわけなんです。今度本国会中にと言いますから、もう近く地震予知推進本部というのができて、これは科学技術庁の長官が長になって各関係の事務次官を集めた推進会議をつくるということであり、ここで予知の判断をして、いわゆる予報の責任体制をつくって予算の充実の推進を図ると、こう言っているわけですが、先生は一方国土庁地震台というようなものをつくったらどうかというようなことも言われているようでありますが、他の方の御質問がありましょうから一点に集約いたしまして、さっき話しました十一月の正式見解、要望の検討、もう一つは地震予知連絡会の改組という問題とあわせて一体推進本部というものができて、果たして予知というものは本格的に日本で進められるだろうか。いままで予知連の果たした役割りは非常に大きかったけれども、もういよいよ予知しなきゃいけない、短期間に予知しなきゃいけない駿河湾の問題ができたときにおいては、これではもう不十分であるということはわれわれも感ずるところでありますが、政府がいま考えている推進本部、科学技術庁長官を長とした推進本部で足りるんだろうか、それはそれとして行政ベースで考えていただこうとするならば、自分らとしては、予知連としてはどういう改組をすべきであるのか、この点をひとつ二点にわたって御意見聞かしていただいて私のほうの質問を終わりたいと思います。
  22. 萩原尊礼

    参考人萩原尊礼君) 地震予知連絡会はいわば実戦部隊でございます。観測から得られた地震予知に必要な資料を集めまして、それに判断を加えているわけでありまして、やっぱり実戦部隊でございますから、連絡会はもう実戦部隊である以上、与えられた経費人員でできるだけのことをしていくということが任務だと思っておったわけでございます。それで、近く開かれます連絡会におきましては、この駿河湾の問題に対しまして見解は、連絡会としての見解を発表する、また発表せざるを得ないと思っております。  ただその結果、先ほど申し上げましたように、なお詳しいことを知るためにはいろんな観測をやらなければならないということに落ち着くと思うのでございますが、この種の計画地震予知研究計画自体、文部省測地学審議会建議の線で進んでまいっておりますので、先ほど幾つかの、八項目に近いいろいろこういうことをやりたいということを申し上げましたが、こういう計画、先ほどお尋ねのありましたような、さらにそれの詳しい、金額はどのくらいとか、何カ所行うかとか、そういったいま具体的な計画につきましては、測地学審議会の中に地震予知特別委員会というのがございますが、そこでただいま至急取りまとめておりますので、もう具体的な結果が出てくると思っております。  連絡会の改組の問題でございますが、これはもう第三次計画建議の中にもこのことがうたわれておったわけでございますが、ただこれが——究極はこれ一元化ということになるわけでございまして、国土庁地震台ですか、そういうところで地震観測業務とか、地震予知に必要な測量業務とか、そういうものが一元化されることは望ましいと思うわけでございますが、それはまあ現段階においては一つのビジョンでございまして、やはりこの研究から実用化にこう移りかけているところでございますので、やはり最後段階にいくために、一段階か二段階置かなければならないのじゃないかと私は思うのでございますが、こういうことにつきましては、やはり行政官の、行政方々がそれぞれの立場からいろいろと御検討いただければと思っております。で、先ほどお話地震予知推進本部と、こういうようなものができましたら、やはりそこでこういったような問題を積極的に検討していっていただきたいと連絡会長としては思っている次第でございます。
  23. 上條勝久

    ○上條勝久君 私どももあらゆる機会をつかまえて、日本の国土の立地条件なり、あるいは都市構造、そうして重要構造物の構造というような点から、一たん地震が起こりますると、御指摘のとおり大変な問題になる。しかしどうも日本人というのは、事が起こりますると、いろいろうろたえて対策に走り回る癖がありまして、事前に研究するとか、対策を講じていくということが、政治の面におきましても、行政の面においても非常に欠けておるということを指摘してまいっておるのでございます。  いままでの御発言と重複を避けますが、三先生方からいろいろ伺いました結果から感じますことは、私の手元にあるこの関係研究機関項目にいたしましても、研究機関にいたしましても、項目だけでも十六以上ある。それから研究機関も各大学でもそれぞれやっていらっしゃるし、あるいは役所関係では、国土地理院気象庁防災センター、地質調査所、水路部、東京都、静岡などでもやっておられるようでありますが、きわめて多岐にわたるわけで、このことが、ただいま松永委員からも御発言がありましたように、地震予知あるいは対策ということがいかに重要であり、かつまたむずかしい問題であるかということが言えると思うわけでございます。この地震予知について、あるいは地震対策については、きょうもマスコミの方々がずいぶんおいでになっているようでありますが、これに立証されるように、国民の関心も非常に大きい。したがっていまの御意見のように、私ども政治の場においても、あるいは政府の立場からも、これは先生方のせっかく御研究をいただいておることを、なるたけ一本にまとめるような形をお骨折りをいただきまして、そうしてこれを踏まえて今後対処していかなければならぬ非常に政治の一番重大な問題じゃないかと、かように認識をいたしております。  そこで、いまもお話がありましたが、これらの地震予知というようなものは、やはり一つの役所でやるとか、あるいは一つの研究機関にこれをまとめて結論を出す、導いていくということは事実上非常に困難であろう、どうしてもやっぱり持ち場持ち場で御研究をいただいて、その成果をどこかでまとめていただく、そうしてそれを政治なり行政に移していくということが大事であろうと思うわけでありますが、ここで最近新聞紙上等でも非常に取り上げられておる問題でありますが、民間の皆さん方あるいは各県等におきましても、お話の点以外に自然現象——これは地殻変動も自然現象でありまするが、しかしまあたとえば井戸水の問題であるとか、あるいは動物の現象あるいは地光り、地鳴りといったようなそういう問題これは中国方式とも言われておるわけでありますけれども、こういう問題もやはり一方においては非常に高度な学問的な、科学的な研究にお取り組みをいただく、一方においてはそういう問題についても、やっぱりこれはおろそかにしてはいかぬのじゃないかという考えを持つわけでありますが、その点につきまして一言ずつ、その必要はあるかないかということについて先生方から承りとう存じます。
  24. 萩原尊礼

    参考人萩原尊礼君) 中国におきましては、大衆の参加によって井戸水それから動物の挙動の異常、そういうものの調査を徹底的に行って地震予知のお役に立てておりますが、この井戸水の変化、動物の異常、これは日本でもそういうことがあったということは古文書にもいっぱい残っておりまして、大変重要なことだと思っております。ただし、こういう井戸水にしても、動物にしても、地震が起こらなくても変なことがいっぱい起こることもあるわけでございまして、ただ一カ所や二カ所の井戸がどうだ、ある一カ所である動物が変なことをやったといってもそれだけでは意味がないんで、やはり非常にたくさんの数でのところからいろんな情報が一カ所に集まってと——これはそれだけで地震予知ができるとは思いませんし、また中国でもそうは思ってはおらないと思いますが、いろんな器械観測のいろんな補助、特に短期予報の場合に、最後の非常な大きな参考になると思っております。
  25. 力武常次

    参考人力武常次君) 中国の昨年の遼東半島の地震のときにヘビが出てきたというような話がございます。あのときには非常に小さな地震が起こり出しまして、もう何十年も地震がないようなところにいきなりそういう地震が起こり出しまして、だんだん数もふえ、大きさも大きくなるというような状態だったようでございます。そうしますとヘビでも驚くのが自然ではないかというふうに私は思います。で、ただし東京のようなところですと、ダンプカーやなんかで年じゅうがんがんやられているようなヘビは案外驚かないんではないかと思います。そのようなことで非常に参考にはなりますけれども、それだけに頼るということは当然できないことだろうと思います。  いまの事象地震でございますけれども、私は魚でも、動物でも、ヘビでも、それを刺激する物理的な徴候をつかまえるというのが、多額のお金をいただいてやっております地震予知計画であるというふうに思っております。ただし質の悪い情報であっても、一つ一つは質が悪くても、それの数をものすごくふやせば、たとえが関東一円の井戸をはかるというようなことをやれば、その結果は質が高まりまして有意義である場合があると思います。ですから、そういうことに興味を持ってくださる一般のボランティアの方々がいれば是非やっていただきたい。そしてそういう活動を通じまして地震現象に対する一般国民の認識というものが高まって、非常の際に犠牲を少なくすることができるというふうに判断しておりますので、われわれ科学的な立場からといいますか、この地震予知、国家の計画という立場から携わっている者も、そういう話には謙虚に聞かなければいけないというふうに思っております。
  26. 坪川家恒

    参考人坪川家恒君) 地震の前兆現象として地下水を調べるといったことは結構だと思います。ただ問題は、地震発生するということは、非常にある特定の場所について考えますとまれなことでございまして、大体地震が起こりますと、故老といえどもこういう地震は経験したことがないといったようなことに大体なるわけでございまして、百年河清を待つというようなこともございますが、大体百年ぐらいの間に一回ぐらい経験するといったようなことではないかと思います。したがいまして、まあ辛抱強くその前兆現象を常につかまえるということは現実的には非常に困難であるかと思います。  ただ重要なのは、この辺に起こりそうだという場所を探すということがきわめて重要でございまして、それにはやはり繰り返し測量といったようなものを早急に事業としてスタートさせていただくということでございます。もし、そこである程度の確実さをもって地震発生予知されるということになりますと、そこへそういったものを集中するということは非常に重要かと思います。
  27. 上條勝久

    ○上條勝久君 三先生の共通した御意見として地殻の運動といいますか、変動というか、それを把握することか非常に大事であるという——ほかの観測もきわめて大事でありますが、なかんずく大事であるというご意見については三先生とも共通した意見であると思います。  そこで、先ほど坪川先生が従来は十二年か二十年周期地殻変動調査を進めてきておる。これは三角点なり水準なりの測量でありますが、そのことについて政府筋である国土地理院長はこの地殻変動調査を担当されておるわけでありますが、一体そういう状況を踏まえてどういう姿勢でこの調査にお取り組みになっておるのか、また取り組もうとされておるのか、その点をひとつ忌憚なく承りまして、私どもはその調査を推進するために国会の場において大いに協力をしていかなきゃならない、かように思いますので、遠慮は要りませんから、理想の姿としてはこうしていきたい、しかし諸般の情勢からさしあたってはこういう形で取り組んでいくつもりであるというような点について簡明にひとつお答えをいただきたいと思います。
  28. 大島哲男

    説明員(大島哲男君) 地理院では地震の長中期の予知のために、一つは全国をまんべんに測量をするという事業をやっております。これは地震の予想される地域、予想されない地域ともでございまして、全国の一、二等三角点六千点を五年周期を目標に測量しようということを考えております。  それからもう一つは、地殻の上部の変動をはかることでございますけれども、この水準測量をやはり二万キロを五年周期ではかろうという予定をしております。  これが全国一円の事業でございますが、もう一つは地震の予想される地域、たとえば首都圏でありますとか、あるいは駿河湾地域でございますとか、こういう観測を強化すべき地域あるいはその他の特定観測地域につきましては、もう少し周期を縮めまして、二年に一遍とか四年に一遍とかいうふうにもっていきたいというふうに思っております。  ただ、この事業は四十九年から始まりました地震予知計画にのっとっておりまして、御承知のように非常に高度の技術を要するわけでございます。そのために体制の整備あるいは技術の涵養ということからしまして、現在のところはまだ所期の目的の五年周期という測量のサイクルに乗っておりません。そういう現状でございます。
  29. 上條勝久

    ○上條勝久君 私の聞くところでは、来年あたりからひとつまあ本格的な取り組み方をしていきたい。それで予算も、先ほど松永先生もお話がありましたが、来年は八億か十億ぐらいを要求して、それで初年度の調査に取り組んでいきたい、それをまあ五年周期でやりたいという御意見はいまわかりましたけれども、五年周期でやるということになれば十八億ぐらい要るわけですね、全体から言いますと。私が聞いておる資料から言えばそういうことです。しかし、初年度だから来年は十億ぐらいから取り組んでいきたい、あとは四年にならして、少なくとも五年周期で、とりあえずの萩原先生の御意見もございましたが、まとめて成果を上げたいというふうに聞いておりますが、その点は予算的にはどう考えておられるか、はっきり聞きたい。
  30. 大島哲男

    説明員(大島哲男君) 来年度の予算要求といたしましては、約十億の要求をしております。これは今年度が六億でございますので、約六割強になります。先ほど申し上げましたように、一刻も早く建議で言われました五年周期に持っていきたいと考えておりますけれども、いわゆる地理院の態勢と申しますか、あるいは技術の涵養とか、そこら辺の力を強めまして、一刻も早く五年のサイクルに持っていきたい。これはただいま上條先生がおっしゃいましたように、来年度の予算要求のまた八割増しの予算が要ると思います。そういう意味で、私ども一生懸命取り組んでいきたいと考えておる次第でございます。
  31. 上條勝久

    ○上條勝久君 結構です。
  32. 原田立

    ○原田立君 先ほど三先生からいろいろと御意見をお伺いしたわけでありますが、日本地震国でもありますし、地震の問題については国民全体が大きい関心を持っているところだと思うのであります。また四海海で、どの地域にも駿河湾のような地震が起きる、あるいは火山帯がこう入っておりますから、その関係でいつも地震が起きるようなそういう態勢にあると思うのであります。そういう認識の上に立って先ほどからお伺いしておったわけでありますが、萩原参考人お話の中に、研究するに当たって経費や人員が現状では不十分である、もっと充実すべきである、こういう御意見がありました。一体どのぐらいの程度のものがあったならばいいのか。先ほど松永委員からも予算的な面で数字を云々という話がありました。もし、経費、人員等で、現在では十分でない、ぜひこのぐらいのものはしてもらいたいというようなものがあれば御意見を承りたいと思います。  それから、大学基礎研究が非常に大切なことだと、こういうふうな御意見でありましたけれども、現状で見てまだまだ足りないというお考えなのかどうか、その二点をお伺いしたいと思います。  それから、力武先生にお伺いしたいのでありますが、十月二十五日の新聞にも先生の御意見が載っておりましたけれども、「いつ来る駿河湾大地震」というようなタイトルで出しているわけでありますけれども、その中で、十年以内には五二%の危険率があるということで、地元も大変心配していると思うのでありますが、その火山地帯ですね、火山帯が日本には、たとえば富士火山帯、霧島火山帯いろいろとこうあるわけですけれども、この駿河湾以外にも大変危険なところだとこういうふうにお考になるようなところがあるのかどうか、二つお願いしたいと思うのであります。  それから、警報を出すにはもっと研究しておかねばならないという最終的にお話ありましたけれども、ここら辺も技術的にどんなふうにお考えであるのか。  それから坪川先生、専門的なことはよく私はわからないんですけれども、先ほども萩原先生と同じように観測体制は現在では不備である、もっと充実しろというような御意見であります。で、先ほどから若干お話ございましたけれども、また改めてお話しいただければ幸いでございます。
  33. 萩原尊礼

    参考人萩原尊礼君) 最初に経費の点でございますが、私は数年前たしか衆議院の科学技術振興特別委員会だったと思いますが、の参考人に呼ばれまして、そのときに一体経費はどのくらい欲しいのかというので、三十億とお答えいたしました。これは議事録にも残っておると思いますが、でございますが、地震予知の経費は今年度二十三億ということでございまして、大分三十億に近づいたように見えますが、実は数年前の三十億は現在のまあ五十億かあるいは六十億になっておると思います。したがって、大体大ざっぱでございますが、倍増と申しますか、現在の倍がいただければまあまあというところでございまして、人員はいろいろと実用化に近づいて、かなりシステマティックにやろうといたしますと、方々で人員がほしい、入り用になってまいります。で、特に官庁でございますね、国土地理院とか気象庁、こういうところはなかなか人員の増は厳しゅうございますが、何とか実現ができればと思っておるわけでございます。  で、大学における基礎研究費の問題でございますが、これは現在までは第一次、第二次を通しまして観測所をつくるとか、また三次に入りましては、そういった観測所がいろいろな衛星点を持っておりますが、そういうところでキャッチした地震とか、あるいは地殻変動、そういうものをテレメートリングでもって一カ所に集める、そういったような非常にハードな部分にお金が使われてまいっておるわけでございますが、こういった施設に使うお金が、施設をつくるということが一段落いたしますと、まあこれは要するに仏をつくって魂云々ということがございますが、これからは魂を入れる時代になるわけでございまして、いままでは文部省関係では数億のお金が出ておりましたが、これは大体数億でよろしいと思いますが、それをつまりソフトと申しますか、基礎的な研究に向けるようにできたらと思っておる次第でございます。
  34. 力武常次

    参考人力武常次君) 駿河湾方面における巨大地震の起こる可能性ということを何とか数量化しようということをやっておるわけでございますが、この研究繰り返しますが、地殻のひずみがどのぐらい進行しつつあるかという問題と、地殻がどこの限界値に達したらば壊れるかということを突き合わせて議論をする手法でございまして、私が数年前からやっておる問題でございます。  で、ただいま萩原先生のおっしゃられました衆議院の科学技術振興特別委員会におきまして、私も、どこが危ないのだという質問を受けたときに、三年前でございますけれども、これは根室の沖であると、それから遠州灘であると二点を申し述べました。その根拠は、ただいま申し上げたような手法による研究結果に基づいているわけでございまして、その後二カ月たって根室沖には具体的に現実の問題として、かなり大きな地震が起こりました。遠州灘の方はまだなわけでございます。で、その後同様な研究日本のみならず、アメリカのサンフランシスコあるいはロサンゼルス北方等においての地域において行いました。サンフランシスコはまだ余り高くございません。しかし、ロサンゼルス北方は一八五七年に非常に大きな地震があったところがありますが、そこはもう非常に危険な状態になっているということを論文に申し述べております。その後、本年になりまして、その付近がものすごく異常な隆起をしているということが発見されております。で、そういう根室の例あるいはロサンゼルスの例等を見まして、全く荒唐無稽の根拠ではないというふうに、これは手前みそでございますけれども、考えておるわけでございます。  そこで、その遠州灘、駿河湾でございますけれども、最近の地殻変動から求めたひずみで計算した結果では、安政元年のときに全部出切ったといたしまして、だんだんひずみがたまってくる、そして現在までに地震が起こってしまっていてもよい確率という、そういう集積的な確率というものを求めることができます。そういたしますと八九%というような値が出てまいりまして、これは見積もりようによっては八〇%にもなるわけでございますけれども、ともかくそれはどういうことかといいますと、このような状態が過去に十回あったといたしますと、そのうち九回は大地震が起こっていると、そういう意味でございます。  それから、それに基づいてさらに今後十年以内にはどうだ、今後五年以内にはどうだというような議論もできるわけでございます。そうすると、さっきお話のありました五〇%という値が出てくるわけでございます。こういう問題は個人の経験といいますか、個人の世界観といいますか、そういうものに基づいて危険性が判断されるようなものでございまして、あした雨が降る確率が六〇%であるといったときにかさを持って出るか出ないかというような問題であります。ですから、すぱっといかないのはどうも申しわけないんですが、どうも問題の本質がそのようなものであるように思われます。  それから、駿河湾以外に危険なところがあるかというお話でございますが、北海道沖合いにおきましては、ほとんどの区域が一九五〇年、六〇年代、七〇年代にわたって起きてしまっておりますので、多分数十年は巨大地震が起きないのではないかというふうに私は判断しております。それから南関東は多分来世紀であろうと。ただし房総の南東方面におきまして、元禄十六年、一七〇三年にマグニチュード八・二と推定される大きな地震が起こっております。これはもう二百七十年過ぎておりまして、再びエネルギーがたまっている可能性は非常に高いわけでございますが、何分はるか沖合いの海の中であるために測量をかけることができません。したがいまして、陸からはるかに観測している。小さな地震が起こり出すかどうかというような点しか判断の決め手がないわけでして、ここは地震が起こっても、データがないとは言うものの、そうおかしくはないところであると思います。この場合には津波というものが非常に心配されるようなものでございますが、大事なところではその辺ではないかと思います。  それから第三点の警報の実施の問題でございますが、これは最近アメリカの科学アカデミーから「地震予知と公共政策」という本が出版になっておりまして、ただいま翻訳をやらせておりますが、これは社会学者、心理学者、地震学者あるいは政府の行政の担当の方々等を集めましてパネルをつくりまして、そこで一体地震警報を出すにはどうすればよいかというような議論を重ねたあげく出版された本でございまして、それによりますと地震予知というものは絶対に隠しおおせることはできないものであるということが書いてございます。つまり、学者というのはおしゃべりなもんである、で、必ずどこかから漏れる、いわゆるマスメディアの方はそんなにうっかりはしていないから必ず漏れるのだ、そのことは結構なことだと書いてあります。つまり、そうやって出たものを、どこか正式のたとえば予知連絡会のようなコミッティーでもってちゃんと評価をして、これは正しいなら正しい、間違っているなら間違っているとして、それを政府に取り次ぐべきである。政府はそれを受けて、ちゃんとした根拠に基づいて警報を出すなら出す、その出し方については社会学者等を動員して十分な研究をして対策を練った上で出すんである、そうしないと大損害をこうむることがあるというようなことでございます。で、何もアメリカの方が非常に進んでいるというふうに私は考えません。しかし、日本ではまだそういう研究は緒についておりませんし、日米の比較というふうなことをやった学者がおりますけれども、国民性が違うので非常に違うようでございます。また、国土の広いアメリカのようなところと日本のような狭いところとでは、また対応の仕方も違うわけでして、アメリカではすぐ家財道具をトレーラーに積んで自動車で引っ張ってどこかへ逃げてしまうというような発想があるようでございますけれども、日本はそういうことは全然考えるわけにいかないわけでございます。ぜひこれは日本の国情に合った警報の出し方というものを確立すべく直ちに発足しなければいけないと思います。このことは社会心理学的な立場からは、ちゃんと研究の方法があるんだそうでございまして、いろいろインタビューしたり、アンケートを出したり、そういうようなことでかなりのめどがつくということでございますので、どこかの機関でぜひ進めていただきたい、そういうふうに考えております。
  35. 工藤良平

    委員長工藤良平君) 質問者、それから参考人の方にも申し上げたいと思いますが、後の日程、委員会がございますので、大臣の出席等も予定しておりますので、要約をしてひとつお願いをいたしたいと思っております。  それじゃ坪川参考人
  36. 坪川家恒

    参考人坪川家恒君) 駿河湾の地震につきましては、先ほど何回も申し上げましたが、要するに南海道地震と同期しない東海地震がいままで千何百年なかった、それから南海地震があって数十年で巨大地震東海にあったという歴史は全然見当たらないということがまあ根拠になっております。  それから地震予知のための調査でございますけれども、前にも申し上げましたように、私の考え方では、被害を及ぼすような地震といったようなものは必ずその被害区域に地殻変動をもたらすであろう、その区域に地殻の顕著な変動がないような地震では、たとえば地震がありますといたしましても、それではまあ余り被害ないだろう。実は新潟地震のときは余り顕著な変動ではなかったわけでありまして、あるいは地震が起こるか起こらないか、疑問に思うようなところがございました。もちろん調査が不十分であったという点もございますけれども、そうでありますと、人が死ぬというほどのことはなかったということでございます。  そこで、地震はどの程度の間で準備されるかということを考えてみるわけでありますが、大体マグネチュード七・〇くらいの地震だと十数年であろうといたしますと、五年周期の測定を繰り返せばよろしいのじゃないか。実はそういろいろ地震予知に関するデータがあるように一般に思われているわけでありますけれども、実はいままでの集積はいかにも貧弱なものでありまして、とうてい地震がここに確実に発生するといったようなところまではデータが集積されておりません。どうしてもいまから出発するのが最初である、これからのデータによってようやく地震予知可能性が出てくるというふうに私は了解しております。したがいまして、もし来年から五年間の周期測量が繰り返されますと、恐らくは何らかのデータの出るのは二回目、ですから十年後であろうかと思います。  そういうようなわけで一日も早い調査のスタートをお願いしたいと思います。現状では地震予知はできないと言った方がよろしいと私は了解いたします。
  37. 原田立

    ○原田立君 力武先生、先ほど遠州灘の問題と北海道の問題と、それから南関東の問題と、こういうお話ありましたけれども、じゃ東北関係はどうか、近畿関係はどうか、四国関係はどうか、九州関係はどうか、ここのところだけごく簡単で結構ですから……。
  38. 力武常次

    参考人力武常次君) 内陸に起こる地震についてはほとんど何もわかりません。で、現在議論できるのは太平洋沿いに起こります非常に超弩級の地震だけについてしか、坪川先生の発言ではないですけれども、地震予知はできないというふうに私は思っております。ですから内陸についてはもっと測量の目を詰めないと多分できないと思います。
  39. 神谷信之助

    神谷信之助君 時間もありませんから……。  いずれにしても地震をいまの科学ではなくしてしまうということはできないわけですね。しかも、日本列島のいまの過密の進行状況や、あるいはコンビナート地域その他危険地帯が集中しているわけですから、そういう状況考えますと、先生方御指摘になっていますように、予知がきわめて大事であります。同時にまた、萩原先生がおっしゃしましたように その余地は防災のために行うのであって、防災の体制がそれに伴って確立をされるということが必要だという御指摘は非常に大切だというふうに思います。もう一つの問題は、その予知されたものの情報の伝達が的確になされなきゃならぬ、これもきわめて重大な問題の提起だというように思うんです。  そこで時間の関係もありますから、特にいままで予知連に結集されている皆さんが、それぞれ本来の業務を持ちながら、俗な言葉で言えば片手間といいますか、本来の業務で得たデータを、地震予知に供せられる必要なデータはすべて予知連で集約をし、判断をされる、こういう状況なんですね。だからこの点がひとつ、そういう体制は、先ほどもちょっと出ましたが、予知体制の専門化といいますか、あるいはセンター的なものをつくって強化をするということが必要になってくるんじゃないかというように思うんですが、この辺についての展望、あるいはお考え、そういうものをひとつお聞きをしたいというふうに思います。  それから第二点は、先般火山関係の問題について参考人の皆さんに御意見を聞きました。その中で大学における火山学といいますか、これの講座がきわめて少ない、そのために若い研究者が枯渇しつつあるという重大な問題が提起されていましたが、この地震観測関係のいろんな部門があるでしょうが、その点での若い研究者の養成の体制、こういった点は一体どこでするかという点。  第三点は、いまもお話がありましたが、火山のときにも出たんですが、長期的な、しかも周期的な観測がこの問題では必要になるわけですね。そうしますと観測体制の整備がおくれればおくれるほど的確な予知ができないということにもなります。その点で、先ほど地理院の院長の方から、非常に苦慮しながら来年度予算なり再来年度の予算の話が出ていますけれども、しかし全体として見ますと、それぞれそれほどでかい予算の額ではないと。萩原先生のなんですと三十億、といったらいまの倍にしても数十億——五、六十億ですから、日本のいまの国家予算の規模から言えばそれほど五、六十億の予算をつぎ込むのが大変なことではないというように思うのです。あるいは五年ごとの周期の全国の測地体制を完成をする、それに必要な機器とそれから人員体制、これを拡充するにしても、やろうと思えば五年間で十八億なら一遍にやってもできる——そういう要員を、人材を養成することができるかどうかはまた別にしまして、そういうこともあるのですが、その辺について一体そういうふうにのんびりと考えておってもいいのかどうかという問題があるのですね。五年なり、あるいは十年なり二十年先になりましても、それを的確に予知するような体制が早くできないと、どこに起こり、そしてそれはいつごろに起こるかということがつかめない状況になってくるわけですが、この辺については地理院の方からひとつ見解を聞かしてもらいたいというように思います。  以上、三人の学者の先生どなたかお一人で結構でございますから。
  40. 工藤良平

    委員長工藤良平君) それでは萩原参考人にお願いいたしましょう。
  41. 萩原尊礼

    参考人萩原尊礼君) 最初にセンターの問題でございますが、測地等に関する資料は全部国土地理院のセンターに集まっております。それから大、中、小地震に関する資料は全部気象庁のセンターに集まっております。大学関係の資料、これは現在一つのセンターではございませんで、北海道、東北それから東京、名古屋、京都にありますセンターに集まっております。ただ、それを現在一つのセンターにするというような意見もございますが、現状ではこれでまあまあよろしいんじゃないかと思っております。  それから、あと研究者の養成でございますが、これは各地球物理学教室のある大学では研究者が養成されております。それから気象庁などは気象大学校、建設省は建設大学校等でこれは技術者の養成が行われております。  以上でございます。
  42. 大島哲男

    説明員(大島哲男君) 逼迫した情勢を考えますと、周期を短くして測量すれば一番望ましいのでございますが、現在のところ五年周期を目標にして技術の涵養その他を図っておる次第でございます。先ほど申しましたように、予算も漸次延びておりますので、その点につきましては体制がとれていくと思います。  ただ、その人材養成につきましては現在のところ非常に苦しいのでございまして、測地学の講座は現在のところどこの大学にもございません。また測量学につきましても、工学系統で多少はやっておりますけれども、すべて地理院が自前で養成しておるような状態でございます。その点は今後の課題かと思います。
  43. 柄谷道一

    柄谷道一君 質問が大分尽きておりますので、簡潔に御質問いたします。  まず、力武先生にお伺いしたいのでございますが、先生は地震予知を四段階に分けておられると聞いております。第一段階予備的段階、第二段階長期予測段階、四十九年の十二月二十六日に予知連が川崎直下地震について予知した例はこれは第二段階予測に該当するのではないか、現在駿河湾で言われております問題も統計的予測の第二段階ではないかと、こう思うわけでございます。力武先生は、書物を拝見いたしますと、問題は、第三段階の中・短期予測、第一種先行現象出現段階と第四段階短期予測、第二種先行現象出現段階である。この研究が非常におくれているのではないかと指摘されるやに私、承知いたしておるわけでございますが、もちろん第一、第二段階予測の充実は必要でございますが、この第三及び第四段階予測体制の充実についてお考えをお持ちであればお伺いをいたしたいと。  それから第二点は、私はこの地震予知が具体化すればするほどそれに比例して大きな問題になるのは、得られたこの予測というものをどのように利用するかという問題点ではないかと思います。住民の中にパニックを起こすようでは、予報は必ずしも望ましいということになり得ない。週刊東洋経済の先生の座談会を聞きますと、アメリカはすでに地震予知が可能として、どうやって警報を出すかという基礎研究が社会学者の中で進められている。で、先生は、場合によっては地震そのものの被害よりも警報による社会的混乱、停滞の方がその被害が大きいとも、この中で指摘されておりますし、また地震対策につきましては、人間の動物性、心の問題に踏み込んだ地震対策が必要である、こう指摘されているわけでございます。ただいま、わが国には行政当局、社会学者、心理学者等を網羅した総合的な対策機関の不在を御指摘されたわけでございますが、現在の状態の中でどのような体制が最も望ましいとお考えになっているのか。この二点を力武先生にお伺いしたい。  で、もう一点、最後坪川先生にお伺いしたいんでありますが、地下水のラドン含有量、トリチウムの含有量を分析することによって地震予知に大きな成果が得られたということがソ連で言われており、わが国でも東大などで観測を行っていると聞いておりますけれども、今回の駿河湾の問題につきまして、このような観測が行われているのかどうか。もし、観測が行われているとすれば、この面における異常現象というものが何か発見されているのかどうか。  最後に、萩原先生にお伺いいたしたいのは、私は、現在の予知連は、その権限、責任が必ずしも明確でないと、こう思うわけでございます。で、経費の点は、現行の約倍、約三十億程度の所要経費が必要であろうと、こういまお答えになったところでございますけれども、今後の地震予知という問題を万全を期すために、これらの問題についても何か改革、改善をすべき点があるとお考えになっているのかどうか。もし、そうであるとすればどのような点が必要であるのかをお伺いしたい。時間の関係で一回にまとめて御質問いたします。
  44. 工藤良平

    委員長工藤良平君) それでは、最初に力武参考人
  45. 力武常次

    参考人力武常次君) 御指摘のとおり、私の研究結果によりますと、地震予知は四段階に分けることができると思います。  それで、ただいまの遠州灘駿河湾等状況は、私はひずみ蓄積の段階であるというふうに思っております。で、大事であるという、その第一種先行現象出現段階及び第二種先行現象出現段階というのは、いまのところつかまっていないんではないかというふうに思います。  で、川崎の話が出ましたが、あの場合の、私は当時日本におらなかったんで非常に正確なことはわかりませんが、あれは私の言います第一種先行現象出現段階というふうに御判断くださって対策を講じられたということではないかというふうに判断しております。で、確かにこの長期予測にはひずみ蓄積段階というのが非常に必要でありまして、それによって地震が起こる確率というようなことは議論できるようになりました。これは大変な進歩でございますが、具体的にはこの二つの先行現象の実態をとらえまして、で、口をきくべきであるというふうに思います。  特に、短期的な第二種の方はまだ実例も非常にたくさんあるというわけではございませんので、これには萩原先生の御指摘になるように、ありとあらゆる観測を投入して、それをつかまえると。で、私の考えでは蓄積段階が進行してまいりますと、必ず第一種先行現象出現段階が到来するというふうに思います。  それから、地震予知の情報を生かすという問題でございますが、これはたびたび申し上げておりますように、下手にやると損害を招くおそれがあるということが、これは私が指摘したというよりも、アメリカの予備的な研究成果から出てきておるようでございます。で、そういうことを聞きますと、全くもっともでございまして、この地震情報を流すタイミングというのは非常にむずかしいと思います。そのためには、私はどこが中心になるかよくわかりませんが、文部省でもよろしいし、科学技術庁でもよろしいし、あるいは国土庁でもよろしいかと思うんですが、音頭を取りまして、そういう警報予知を結びつつける具体的な研究を直ちに出発させるべきである、そういう持論でございます。
  46. 坪川家恒

    参考人坪川家恒君) 私、実は水の方は全然専門でございませんので、事情はよく知らないわけでございます。  地震予知連絡会、それから測地学審議会地震予知特別委員会等に関係はしておりますけれども、恐らくは駿河湾につきましても地下水調査をお始めになるかというふうに思いますけれども、具体的にどういうふうになっているかということについては存じておりませんので……。
  47. 萩原尊礼

    参考人萩原尊礼君) 皆さん御承知のように、地震予知連絡会は別に行政的に何らの権限もないわけでございまして、これまでは地震予知研究推進連絡会議が、この行政的の面から予知連絡会のいろいろな意見行政面に反映できるように図ってくだすっていたわけでございますが、今回これが少し機構が昇格いたしまして、推進連絡本部というものができることになったようでございますので、予知連といたしましては、この推進本部に大いなる期待をかけている次第でございます。
  48. 上田稔

    ○上田稔君 私は大変素人でございますんで、大変失礼なことを申し上げるかもしれませんが、お許しをいただきたいと思うんです。  いま、いろいろとお伺いをいたしておりますと、駿河湾地震というのは直下型の地震が起こりそうだと、こういうことでございますでしょうか、まず第一点でございます。  で、何か新聞のを見たんでちょっとわかりませんが、伊豆半島の真ん中の辺が一番こう隆起しておるような絵が書いてあったのでございますけれども、そういったようなことから見ると、何だかこう直下型の地震考えられるわけでございます。で、直下型ですと、その真上は非常に大きな震度になりますけれども、まあ周りの方はそう大きくないというような感じがするわけでございます。  で、坪川先生のお話の統計学的なものは、これは特にいまお話が南海、東海地震が関連して起こるというようなものでございますと、これは直下型じゃなくて深海型といいますか、海底地震、こういうものをお考えになっておるんじゃなかろうかと。そうなると、海底でもうとても大きな変動が起こって、それが広範囲な影響を与えるのではないか、こういうことの統計学的の御研究をなすっているんじゃないかというように思えるのでございますが、その点が違うのかどうかということを第二点としてお伺いをいたしたいと考えます。  それから第三点として、これは国土地理院かもしれませんが、海中の変動ということが私は非常に大切なんじゃなかろうか。日本海溝から日本に至るまでの変動というか、そういうものの動きというものが一番大きな私は日本の大地震というものに対する決め手になってくるんじゃないか。こういうものに対してもっと何か観測をするような研究をやり、またそういう観測地点をつくるということが必要なんじゃなかろうか。日本地震国だと言われながら、ただいま大変失礼でございますけれども、萩原先生お話によると五十億か六十億ぐらいの予算があればいいんだというお話でございましたが、これでは非常に少ないんじゃなかろうかというふうに私は思うんでございます。いままで国の方が出さないで、そして国会議員もそういうことを要求しないでこういうことを申し上げるのは大変失礼でございますけれども、私は大変少ないように思うんです。で、これはもうひとつ大いにむしろ研究家の方々、御研究をいただいておる方々、もっと要求ができるような方にひとつお勧めをいただきますようにお願いを申し上げたいと思います。  以上でございます。
  49. 萩原尊礼

    参考人萩原尊礼君) 直下型の地震というのは、別にそういう特別な型の地震でございませんで、直下に起こる地震を直下型と言うのだと思います。この名前は新聞社がつけた名前でございまして、ですから駿河湾は陸に近いから直下型と言えば直下に近いわけでございます。特にそういう型があるわけではございません。  それから伊豆の隆起でございますが、これは最近二カ年ぐらいの間に冷川峠付近が十五センチぐらい隆起いたしまして、かなりその隆起の範囲は広い範囲にまで及んでおりますので、こういう隆起は地震と関連する場合もありますので、ただいまいろいろとあの付近で各種の観測を行っている現状でございます。
  50. 大島哲男

    説明員(大島哲男君) 現在地理院の業務の範囲は陸地測量ということに一応限られておりまして、陸地の続きとみなしております海底水面下五十メーター程度までは陸地の延長ということで測量をやっております。したがいまして、海底の変動の把握は現在のところ地理院ではできないことになっております。
  51. 上田稔

    ○上田稔君 じゃ、もう一問だけ。  萩原先生にちょっとそれじゃいまの補足をしていただきたいと思うんですが、直下型という言葉が、これは新聞のつくられたものであろうかと思うのでございますけれども、いまの御観測をしていただいております駿河湾の地帯の変動というのは、どちらかというと局部的なと言うといけませんが、影響が非常に少ない地震、たとえば南海、東海地震というようなああいうでかい、海の中でばあんと起こってそれが大きく広範囲にずうっと大きく出て東京まで及ぶというようなものではなくて、部分的なものと考えてよろしいのでしょうか。その辺のところをもう一度お知らせをいただきたいと思います。
  52. 萩原尊礼

    参考人萩原尊礼君) 現在問題になっておりますいわゆる駿河湾の地震というのは、非常に、ただいまお話に出ました東海、南海、つまり関東の関東地震、それに匹敵するいわゆる巨大地震東海沖から相模湾の中にかけて起こるということでございます。巨大地震でございます。
  53. 工藤良平

    委員長工藤良平君) 以上をもちまして参考人方々に対する質疑は終わります。  参考人方々に一言お礼を申し上げます。  本日は御多忙中のところ本委員会にご出席をいただき、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただきましたことを厚くお礼を申し上げたいと思います。今後ともなお一層地震研究のために尽力されますよう特にお願いを申し上げましてお礼にかえたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)     —————————————
  54. 工藤良平

    委員長工藤良平君) 上條君から発言を求められておりますので、これを許します。上條君。
  55. 上條勝久

    ○上條勝久君 私は、自由民主党、日本社会党、公明党、日本共産党及び民社党の共同提案に係る地震対策に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    地震対策に関する決議   近年、世界各国で地震による甚大な被害が発生しており、地震国といわれるわが国においても、地震予知及び地震対策の一層の推進が望まれている。   従つて、政府は次の事項について、万全を期すべきである。  一、地震予知のための各種の観測研究調査を拡充し、関係資料の統一的管理、解析の体制を整備する等、総合的かつ機能的な地震予知推進体制の早期確立に努めること。  一、地震対策に関する企画、立案、調査、調整等の業務の推進を図るため、行政体制の整備に努めるとともに、大都市地域の再開発、都市建築物の耐震不燃化、避難地・避難路の確保等総合的かつ効率的な防災対策事業を促進すること。  一、地震対策の樹立にあたつては、食糧備蓄、避難誘導その他の必要な事項に関し、国、地方公共団体、国民の一体的な防災体制の確立に努めること。  一、地震予知及び地震対策を推進するため、所要資金の確保等に努めること。   右決議する。  以上でございます。
  56. 工藤良平

    委員長工藤良平君) ただいまの上條君提出の決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  57. 工藤良平

    委員長工藤良平君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、この取り扱いにつきましては、委員長に御一任を願います。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 工藤良平

    委員長工藤良平君) ただいまの決議に対し政府から発言を求められておりますので、これを許します。天野国土庁長官
  59. 天野光晴

    ○国務大臣(天野光晴君) 地震対策に関する決議案御決議いただきましてありがたく御礼申し上げます。  けさの閣議で予知に関するばらばらになっておる問題を一つに取りまとめる方針が決定されました。  そこで問題は予知対策であろうと思います。その対策は中央防災会議の方でやることになるということになりますと私の方の所管になるわけでございますが、地震は完全に予知できれば大変結構でありますが、これは予知する方では完全に予知するわけでしょうが、私たちは過去の経験から言うと、完全に予知しなくても地震は起きてくるものであると思っております。そうですから、私たち防災会議の方の事務局といたしましてはこの問題を重視いたしまして、具体的な措置をどう講ずるか、地震が来た場合における措置をどう講ずるかという問題に具体的にひとつ対策を講じてまいりたいと考えておりますが、いまの陣容ではどうにもなりません、そう言っては失礼ですが。たまたま前長官が地震課という課を設けるために、災害に関する部を来年度の新年度に予算要求をして、引き継ぎを受けております。これの内容そのものではとてもまだ思うようでないと思いますが、これを契機といたしまして内容の充実した対策を立てられるようにいたしたいと思います。  きょうの参議院の災害対策委員会でこの問題御決議いただきまして、私たちがやることに非常に強力なバックアップをすることになると思いますので、厚く御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。
  60. 中馬辰猪

    ○国務大臣(中馬辰猪君) 近年特に高まりつつある地震発生のおそれに対応して、建設省におきましても従来よりその対策の推進に努めてまいったところでありますが、ただいまの決議につきまして、その御趣旨を十分尊重して、今後とも地震予知研究、施設の点検、整備、都市地域の総合的防災対策並びに施設の緊急復旧体制の確立など、地震対策に努力してまいる所存であります。  よろしくお願いいたします。
  61. 園山重道

    政府委員(園山重道君) 地震による被害を軽減いたします上で地震予知の果たす役割りは大変大きいものがあります。予知実用化のための研究と諸施策につきましては、従来から関係各省庁の連携のもとに進められてきたところでありますが、ただいま国土庁長官の御発言にもございましたように、これをさらに強力に推進するため、科学技術庁長官を本部長とする地震予知推進本部を内閣に設置することが本日の閣議によって決定されました。  ただいまの御決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして、この推進本部の運営等によって地震予知の推進に最善の努力を尽くす所存であります。
  62. 工藤良平

    委員長工藤良平君) 本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十三分散会      —————・—————