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1976-10-21 第78回国会 参議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月二十一日(木曜日)    午後一時十七分開会     —————————————   委員異動  十月二十日     辞任         補欠選任      沢田 政治君     小野  明君  十月二十一日     辞任         補欠選任      小野  明君     沢田 政治君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         竹田 四郎君     理 事                 坂野 重信君                 沢田 政治君     委 員                 遠藤  要君                 上條 勝久君                 神田  博君                 堀内 俊夫君                 増田  盛君                 望月 邦夫君                 二宮 文造君                 矢原 秀男君                 春日 正一君                 三治 重信君    国務大臣        建 設 大 臣  中馬 辰猪君    政府委員        建設政務次官   梶山 静六君        建設大臣官房長  粟屋 敏信君        建設省計画局長  大富  宏君        建設省都市局長  中村  清君        建設省住宅局長  山岡 一男君        建設省住宅局参        事官       救仁郷 斉君        消防庁次長    田中 和夫君    事務局側        常任委員会専門        員        森  一衞君    説明員        自治省財政局交        付税課長     今井  実君        自治省税務局固        定資産税課長   栗田 幸雄君        日本国有鉄道環        境保全部長    吉村  恒君     —————————————   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○建築基準法の一部を改正する法律案(第七十二  回国会内閣提出、第七十七回国会衆議院送付)  (継続案件)     —————————————
  2. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い理事が欠員となっておりますので、この際、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事沢田政治君を指名いたします。     —————————————
  4. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  建築基準法の一部を改正する法律案の審査のため、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  7. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 建築基準法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 沢田政治

    沢田政治君 前回の当委員会において同僚議員遠藤君から、なぜ内閣提出政府原案にあったビル防災遡及適用が削られたのか、こういう質問があって、それぞれ答弁がなされました。答弁は聞きましたが、なかなかわかりにくいわけです。軽い答弁をしておったようですが、どだい政府提案を与党が削除するなんていうことは、絶無とは言えないが余りこれはあることじゃない、ちょっと希有なことだと思うのですね。たとえば政府原案になるまでは恐らく、これは政党内閣でありますから、党の部会なりそれぞれの機関に諮って最終的には政府提案として、自民党も許容して政府提案、こういうことになってくるのが常態なわけですね。政府提案審議の場になってこれを削除したということは、この前答弁した以外の技術的とかそういう方法論じゃなく、何かがあるのじゃないかという疑惑を持ってならぬわけです。そうなりますと、先般大臣答弁をしました、次期国会特別立法として必ず提出しますという内容もちょっと疑われてならぬわけですね。かてて加えて、新聞報道ではもう中身をみんな取っちゃったと、これはまあデパート資本圧力か利益にこたえたのか、そういうような報道もあるわけです。この前のような答弁ゃどうもすとんとこう腑に落ちない疑惑を感ぜざるを得ないわけです。本当の経緯はどうですか。これは大臣の方がいいけれども、まあ大臣いま就任されたばかりでその長い経緯はわからぬければ局長でもいいが、どうなんだ、これは。
  9. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 衆議院におきます審議におきましては全く、先日ですか私が御報告いたしましたとおりの状況でございまして、特段の理由があったとは思っておりません。ただ数回にわたりまして、審議の中で理事懇等におきまして業界からのいろんな申し出を聞かれたことは事実でございます。その中におきましていろんな問題が提起をされまして、それに対しましてわれわれ政府側も完全な解明ができなかったという点が削除されました理由の第一であろうと考えております。  それから振り返って見ますと、われわれが提案いたしました法案の中には、建築基準法オールジャパン適用になる状態規定であるということでございますので、どうしてもそういうような遡及適用を組み込むという場合には、将来の改正に備えまして、将来基準政令で変わった場合にはもう一回その政令の中で遡及規定を考えるというような規定がございました。その点につきましては各先生方から、やはりそういうふうな遡及ということはもう非常に大変なことじゃないか、そういうものを政令段階で将来もできるようにすることはおかしい、やはりそういう場合には抜き出して法律でもう一度聞くべきだというふうなわれわれの立法技術の問題についても意見が出されました。さらに、建築基準法中身でございますと、どうしても構造設備等につきましての代替施設しか認められないということになりますけれども、最近はやはりビルの屋上に設けた仮設の橋梁等で人が助かったというような例もございます。そういうふうな例も代替措置として入れるためにしは、どうも基準法の中で構造上同等以上というようなことしか代替措置できないのは困るじゃないかというような問題、それからやはりいろいろとたとえばデパート等につきましては全国から二十ぐらいの例をピックアップいたしまして、それぞれケーススタディーを真剣に行いました。そういたしますと、やはり改修する場合にどうしても避難階段道路側に出さなければならない、もしくは隣のビル横断橋でつないだ方が結構だというようなケースが出てまいります。そういう場合には建物容積率がふえるとか斜線制限に当たるとかというふうな問題がございまして、それに対する手当てがこの法案にはないじゃないか、そういうものも前向きに検討すべきじゃないかというような提案もございました。  それからさらに、技術的な問題といたしまして、先行いたしました消防法によりますスプリンクラーの設置の義務づけということと、このスプリンクラーの効果と今回遡及しようとする規定関係についてわれわれはまあ十分に関係があったといいますか、関係づけて考えたという答弁をいたしましたけれども実情調査等の結果、もう少し真剣に検討したらどうかという御提案もございました。  それからさらに、煙感知器ということによりまして、現在は煙が出ますと、それに感知をいたしまして非常ベルが鳴る、もしくはシャッターがおりるというようなのが最近相当多くなっておりますけれども、それがときどき誤作動をする。したがいまして、それを誤作動するようなことをそのままでいま遡及するのは適当じゃないじゃないか、そういうものについても将来はっきりした方向づけをして遡及をすべきじゃないかというふうな数々の問題が出ておりました。しかしながら、その他の日影の問題もしくは多年の懸案の問題等につきましてはやっぱり相当急を要する。したがいまして、もう少し時間をかけるところについては別途防災対策小委員会をつくって息長く検討を続けたらどうかと、当面こっちだけは早く通したらどうかというのが最後の御決心であったというふうにわれわれ拝察いたしております。
  10. 沢田政治

    沢田政治君 いま局長答弁されたように、少なくとも遡及ということは既成事実を遡及するわけですからね、これは大変な事柄だと、こういうことはわかります。もともと私どもが立法府の一員として政令に多くをゆだねる、こういう傾向については近時とみに多くなっているわけだ、政令ね。これはいかぬと。やっぱり法律で可能な限り、立法技術上可能な限りは立法化すべきである。こういうように、そういう説にはそういう意味も含まっておるということについては私どももうなずける面があるわけです、まあ技術的な面もわかりますが。衆議院でこれを削除した後、新聞報道等ではデパート等圧力があったんじゃないかのごとき報道もあるわけなんで、そういうように内容に後退を意味するものであるならば、これは大変だと思うんですね。そういうことであえていま申し述べたわけです。それで、特別立法については後ほど私は注文があるわけですね、これは後ほど述べたいと思うんです。  そこで、二十年前とか三十年前は日照権とか環境権とかこういう概念というものは、もちろんなかったとは言えないけれども、余り人々の口に上ってくるような概念じゃなかったわけですね。たとえば住宅にも広い狭いがあるわけでありますが、まあ一、二階程度住宅であるならば、それぞれの好みに合って家をつくってきた、だれも異和感感じなかった。ところが最近、建築の態様も違ってきたし、建築の振る舞いも変わってきたし、そこでマンション等を初めとして環境権というものがこれは大きく世上にクローズアップされてきたと思うんです。  それで、環境権と言いますと、これは非常に広い意味が入るわけでありますが、プライバシー、を含め、自由を含め非常に大きい意味になると思うんですが、これをどういうように、何といいますか、とらえておるかということですね。日が当たらないのはお気の毒だというようにとらえているのか、そういう健康の問題ですね。たとえば憲法で言うならば二十五条ですね。健康にして文化的だというようなとらえ方をしておるのか、あるいは幸福追求憲法十三条の条章に基づくとらえ方をしておるのか、これは非常にやっぱり法律内容としては大きな変容を来すと思うんですね。内容性格も違ってくるんですよ、その視点のとらえ方によって。まあいろいろ建設省も考えたと思うんだが、どういうとらえ方をしているかですね。これはアメリカ等も裁判所でいろいろなこれ議論して、いろいろなとらえ方をしていますね。こういうとらえ方というのは一つのパターンというか定説というのはなかなかこれはないようですね。しかしながら、環境権というものはどういう憲法上のかかわり合い、触れ合いがあったとしても、やはりこれは許容すべきであると、やっぱり基本的な問題だというようにとらえておるわけですか、特にわが国——これはアメリカ憲法を言ったって始まりませんが、日本憲法条章に照らしてどういう視点に立ってこれをとらえて位置づけたのか。この点どうですか、局長
  11. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 先生のお話のとおり、日照権につきましては、わが国の学界におきましても、いわゆる環境権と同様に、憲法の第十三条に決めております幸福追求に対する国民権利は公共の福祉に反しない限り最大限に尊重されるという思想に基づく幸福追求権中身としての考え方、それから憲法第二十五条におきますように「すべて国民は、健康で文化的な最低限度生活を営む権利を有する。」、国はその増進に努めなきゃならぬという、そういう生存権にゆかりを持つものという説と、憲法上の解釈もいろいろとあるようでございます。しかしながら、日照を享受する権利あるいは日照侵害を排除する権利等として主張されておりますけれども、その概念学説におきましても必ずしもまだ明確にされておりません。  なお、判例におきましても、日照権とはこういうものだという点についての確たる判例はございません。したがいまして、日照権確立はやはり裁判の判決等によりまして今後積み重ねによって確定されていくものだろうというのがわれわれの現状の認識でございます。ただ、今回の改正案は、市街地におきます日照確保、それから健全な市街地を形成するためのルール確立ということが現下の急務であるという考え方から、住居系地域を中心に公法的規制によってこれに対処しようという町づくりのためのルール確立ということが願いでございまして、決してその日照権についてはこういうものだと断定をいたしまして、それを法制化しょうというふうなものではございません。
  12. 沢田政治

    沢田政治君 ぼくはここで素人が憲法論議なんか恐れ多くもしようとは思ってませんが、これは不毛の論講に終わるだろうから。どうもこの法律性格を見ますと、非常に二十五条的な色彩の最低受忍論というのかなあ、これだけはがまんすべきじゃないかという価値論受忍論というのかね、それは非常にきわめて限定された立場で立法しておるような感じがしてならぬわけですね。そういうことだから非常に食い足りない面が私個人としては持つわけですぬ。特に今日の日照問題を含め、環境問題を含め、かつては日陰になる人と家を建てた建築会社との問題であったわけだ、今日までは。しかも限られた都市の限られた土地においてこの種の紛争が起こってきたわけですね。ところが、今日はもう東京ばかりじゃなく全国中小都市ですね、しかも日が当たらぬという人じゃなく、環境が非常に変わると、違和感を感ずると、こういうように被害者加害者立場だけじゃなく地域生活環境が変わってくる、居住環境が変わってくる、こういう問題に必然的に発展してきておるわけですね。  そういう意味からいって、日影制限ですね。日照確保するというよりこれは日影制限をしておるわけでありますが、ぼくは冒頭に言ったように、この幸福追求とかそういう角度からいくならば、おおよそこの法律というものは、取るに足りないということまで極言しませんが、非常に物足りない感じがするわけですね。どうせ日照をとらえるならば、そういう環境面もとらえなかったのかという疑問をぼくは率直に持つわけですね。これは何も日影ばかりじゃなく風害もありますし電波障害もあるでしょう。電波障害被害を与えた者と、何というか被害を受けたものが話し合いで決めろなんということで逃げ込んでいるようですが、こういうものもやっぱり建築基準法の中で明確にする必要があるんじゃないですか。どうしてこの日影だけで何というか、建築基準法これでよしとは、ぼくはもう納得できないんですね。その付近の考え方局長ちょっと聞かしてくださいよ。
  13. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 先生おっしゃいますとおり、日影の問題につきまして従来は個々の問題であったわけでございます。しかし、衆参両院建設委員会におかれましても、やはり頻発するそういうふうな都市内の日影の問題につきまして、建設省の方では勉強しろと、立法化措置を図れというのが三年ぐらい前から毎国会で言われておりました。それを受けまして、実はわれわれ審議会に諮りまして、二年ばかり時間がかかってしまったんですけれども、成案を得て御提案をしたというのがいままでの考え方でございます。  先生おっしゃいますとおり、風害電波障害等につきましても最近の問題であるという点は十分認識いたしております。しかしながら、それぞれの問題につきましてまだ因果関係を明確にするような学説的なものも確定いたしておりませんし、学問的に明確な結論が得られておりません。したがいまして、まだ直ちに建築基準法による規制を行うことが困難であるという判断をわれわれはしておるわけでございます。しかしながら、都市内の建築物高層化に伴いまして電波障害風害等の問題が起こってくることは事実でございまして、鋭意検討を進めながら必要な時期にはまたお諮りいたしまして、立法化することがあるだろうというふうに考えておる現状でございます。
  14. 沢田政治

    沢田政治君 ぼくはこの問題の取り上げ方は、どこのビルがどう紛争をして、あそこはどうするんだとか、こういう聞き方をしたら十時間かかったって、もう相当の膨大な量も出ているし、問題がたくさんあるから、そういう問題から取り上げたらこれはもう際限がないと思って、しぼって質問をしておるわけですよ。  それで、学説がないとか言うのだけれども、学問が先で人間の生活は後だということにならぬと思うんだよ。やっぱり事実の積み重ね国民価値判断にかかってくると思うんだね。それにやっぱり法律が後追いしていくというようなかっこうになると思うんだよね。だから、学説がないから手をつけなかったというのは、これはちょっと言い逃れだと思うんですよ。たとえばああいうのはどう考えますか。ホテルニューオータニが非常にでっかいのが建ってますね。あれは建築基準法に許容されたものかどうかわからぬが、地震工学等からいってもあれは震度八かマグニチュード七、八でも耐えられるような耐震構造にはなっていると思うんですが、やはり住居環境として大きな変化をするわけですね。違和感感じる、圧迫感感じる。これは何というか地震でも起きたら議員宿舎——議員宿舎ばかりじゃない、あそこに人もおるんで、飛び込んできやしないかというような畏怖感というのかね、恐怖感というのかね。ぼくはやっぱり環境を変化させ違和感感じさせるというような角度、さっき言った憲法十三条からいったら、ああいうところまで対象にしなくちゃならぬじゃないかと思うんですね。ああいうのはやっぱりいまの基準に合えばどうでもいいんですか。鉛筆のような高い、だれが見ても恐ろしいようなああいうものをタケノコのようにぽこぽこつくっていくというのを、そういうものを許容して、日影二時間保障したからとかいうことに矮小化するということは、ぼくは建築基準法としてはどう何か言っても腑に落ちないと思うんだ。あなたの考え方あったら少し広い意味で話してくださいよ。
  15. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 建築基準法は従前の建築物法改正いたしまして、戦後改正された法律でございますけれども、昔の建築物法とそれから当初の建築基準法には絶対高さの制限というのがございました。したがいまして、住居地域、それからその他一般の建築物でも三十一メートルを超えてはならないということがあったわけでございますが、その裏には耐震構造もしくは地盤に対するいろんな構造、力学的な検討が進んでいなかった等がバックでございました。大都市地域等におきまして土地高度利用を図るということが時代の要請となるにつれまして、そういうものにつきましては、やはり高さの制限は原則的に決めるというのはおかしいじゃないかという声が世の中に起こってまいりました。したがいまして、それにかわるものといたしまして現在容積率というものを決めております。したがいまして、そういうふうな地域に応じましてどの程度建物があったらいいのかというふうな容積の面における制限が一つあるわけでございます。  それから、その他高さの点等につきましては、斜線制限その他今回入れますような日影制限等によりましていろんな制限が変わりますけれども現行のいろんな制度を加味してまいります場合には、おおむねそう違和感がなくて都市にもマッチしたものが建つんじゃないかとわれわれ考えております。ただ、いまのそういうふうなりっぱなといいますか、非常に大きいものにつきましては、やはり特定街区だとか総合設計だとか、新しい環境を考えたチェックが行われるというなのが最近の通例でございまして、その範囲内におきまして十分検討ができておるんじゃなかろうかとわれわれは思っております。
  16. 沢田政治

    沢田政治君 局長、ぼくは質問を整理してこないのでまぜ返しになると思うんだが、午前中別の委員会質問してきたので整理つかぬのでごめんなさいね。まあ答弁の方はよくしてください。  それで、建築基準法違反が、これはいつも建築基準法改正の際にも議論されるわけですね。やむを得ない面もありますが、たとえば建蔽率がありますね、初歩的なことですが。この建蔽率もごまかそうと思えばこれはごまかせるんですよ。たとえば、そこに五十坪の土地がある、もっと狭い三十坪ですか、そこにはおのずから地区によって建蔽率があるわけですね。どうしても自分の希望する規模の家が引っかかると、こういう場合の逃れる方法があることは御承知のとおりですね。つまり、三十坪がないのを隣の人か何かからちょっとうまく工作して、三十坪借りたことにするわけだ。借りたと、家を建ててもいいという承諾書ももらってですね、そうして実際に建てるのは自分の本当に所有しておる三十坪なら三十坪へ建てちゃうわけだね、ぎりぎりに。そうして、つくって建築確認した場合は、これを返しゃいいんだ。もう建っちゃって人が住んでおるんだから、これはどんな公権力でもそれに縄をかけて引っ張ってこれないわけだね。こういう事実があることを知っていますか。個人あるいは宅建業者、逃れる方法はあるんですよ。いかがですか。
  17. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 現行制度確認制度と申しますのは、これは所有権タッチをしないたてまえになっております。したがいまして、たとえば底地国有地でございまして、そこに自分の家を建てるというふうな申請が出ました場合でも、建築法規に照らし、構造上、用途上安全であることが確認されますと、確認を下すということになっております。これは確認制度というのが、いわゆる建築士等のアービトラリーな判断によるということではなくて、あくまで編束裁量的な基準に合っているかどうかの確認にあるということから担保されてきた制度でございます。その結果といたしまして、たとえば最初に土地の広さにつきまして確認申請が出てまいります。それについて、そのとおりの家が建つという前提で確認をいたします。その後所有権等につきましてはタッチはいたしませんけれども、現実の土地確保が行われまして家が建っているというふうな場合には、最終的には出かけまして検査をいたします。その検査の結果、初めて検査合格通知書を出しまして使用するというようなたてまえでございます。その間に、建蔽率を逃れるために、先生のおっしゃいますように、たとえば隣地を一時借りまして、まあ建蔽率違反がないようなかっこう申請をする。でき上がった結果、まあ検査も済んでしまうと、また向こうへ返していまうというようなことがあることは承知しております。しかしながら、基本的に確認という制度は確かにそういう制度でございますけれども建築基準法の全体の規定というのは、その一回限りのパスとかなんとかいう法律じゃなくて、状態規定する規定というのが建築基準法の本来の任務でございます。したがいまして、一たん確認申請をして検査を合格したものは、いつまでもそういうふうな状態にあるべきだ、そのものが違反になった場合には当然違反になるというふうなのが建築基準法上の当然の立場でございまして、そういうものにつきましては、できるだけ早期に発見をして是正をするというようなことがわれわれの課せられた任務であろうというふうに考えております。
  18. 沢田政治

    沢田政治君 非常にきれいな答弁をされますが、なるほど建築確認して、それ一回であとはもうノータッチだということじゃないですね。現存するこの違反建築物については、これは除却になるか、勧告するか、これはやれると思うんですね。しかし、そういう答弁しても、やりましたか、何カ所、ケースで、どことどれだけやったか。じゃ、そういうことを言うならば言ってください。どこをやりましたか。今後われわれが指摘するものを全部それはやれますか。
  19. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 現実には建築のために監視員というのがおります。その監視員が常時パトロールをいたしまして、見て注意をしておるというのが実情でございますが、春秋二回、そういうものにつきまして実はわれわれも一斉検査というのをやることにいたしております。ごく最近も全体検査をやりまして、ちょっといま件数は調べますが、全体の中で相当違反等もございまして、厳重な注意をしたというのが実績でございます。
  20. 沢田政治

    沢田政治君 これは局長、現在の機構の中では、人員の中では不可能に近いんですよね。ぼくは個人を指して、本当に零細な金で、こつこつお金をためたけれども、五十坪買うところ三十坪しか金がなかったと、窮余の一策としてやるものまで苛斂誅求にたたきのめせということを言っているわけじゃないんだ。それも奨励はしませんよ、奨励はしません。しかし、業者等も時期をずらして、そういう例がなしとはしないんですよね。でありますから、ここで即答を求めるとかそういう意味じゃなく、そういう点も一つの将来検討課題にして、やっぱり抜け穴をなるべく——ざる法でですね、抜け穴を頭からあけておくということじゃなく、そういうものに対する対策をどうするかと、立法面でうまい方法があるのか、あるいは行政面でそれをさせないような方法があるのか、ぼくは検討課題として考えなければ、ちょっと小才のきく者は得をして、正直な者はこれはどうにもならぬと、こういう不平等が出てくるわけで、法律というのは、これはみんな信頼しなければ、抜けることばっかり考えておったんじゃ、これは法律の作用をなさぬですね。その点はやっぱり検討課題として考える気がありますか。
  21. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 先ほど申しましたとおり、建築基準法状態規定でございますので、できる限り早期発見に努めて是正をするというのが一つの方法でございまして、そういうことを厳重にやるということは一つの方法でございます。それと同時に、実は住宅等におきましては人が住んでおるという実態がございまして、先生おっしゃいますとおり、相当な注意をいたしましても是正に時間がかかるという点がございます。そういう場合の一つの対抗策といたしまして、執行罰と申しますか、違反状態がある限り毎日、日銭を取るという制度が外国にもございます。私ども建築基準法の中にも、将来そういうふうな違反是正対策の一つとして、そういうふうな罰則等について検討をすべきであるというのが附則の中に実は入っております。しかし、これにつきまして関係当局等とも十分相談をいたしておりますけれども、いろいろな問題がございましてまだ成案を得ておりませんが、そういうふうなことの検討も今後の一つの対策の柱になるだろうというふうに考えておる次第でございます。
  22. 沢田政治

    沢田政治君 この前も遠藤君がたしか質問しただろうと思いますが、なぜ今度日照制限でも、日影制限でも住居区域だけに限ったのか、やっぱり都市環境ということになると、生活環境ということになると、住居区域ばかりに日本国民が全部住んでおればいいんだけれども、そうじゃない。やっぱり工業との混在区域もあるし、住商混在区域もあるし、人間が住んでいるわけだよ、少ない多いは別としてですね、なりわいの相違は別としてですね。なぜ商業地域とか、そういう住居区域外を離したかということですね。ぼくは非常に今度多くなると思いますよ。商業地域で、やっぱり生活環境が変化する、もう住居環境も悪化すると、こういうことで出てくると思うのですよ。これを区別した理由がどうもわからぬわけだな。人間が住んでおらなければいいよ。夜はみんなさっとですね、工場に働いていたようにそこから退去して、ネコの子一匹おらぬというならいいけれども、そこでもう生活しておるわけですからね。多くのものを保護するけれども、少数のものは何というか、同じ法律日照も与えなくともいいという理論は出てこないと思うのだな。いかがですか。
  23. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) おっしゃいますとおり、日影のことを考えるという点から申しますと、あらゆる地域で問題はあろうかと思います。ただ今回は、どうしてもいままで、たとえば裁判によりましてだんだん判例を重ねつつある世の中におきまして公法的に介入をしたいというのが一つのねらいでございます。しかもこれは日照権を前提とするという意味じゃございませんで、やはり望ましい将来の町づくりのために、たとえば隣に空き地がありましても、こういうふうに家をつくっておけば将来の日影が防げるというふうなことを念頭に置きまして定めた基準でございます。したがいまして、まあそういうものにつきましては、やはり地域、地区とリンクして定めるわけでございますけれども、その地域、地区の中では、やはり住居の安寧を増進させるための地域となっております住居系地域を中心に公法の介入をまずやるべきではないかと考えた次第でございます。商業地域は主といたしまして商業の利便を増進するために定める地域ということでございまして、高い建蔽率、高い容積率が定められております。したがいまして、同じような地域をリンクさせて考えます場合には、やはりどちらかと言えば、まだ商業地域の方が若干受忍の程度が高いのではないか。現実に問題が起こっておりますのも、低層もしくは中層の住居系の中に相当高いものがぽっくり建つということから起こる紛争が全体の七割ぐらいを占めております。そういうものも考えまして、そういう意味でまず当面は住居系地域にリンクすべきじゃないかと考えた次第でございまして、商業系の地域につきましても、やはり日影の問題が大事なことはわれわれも当然だと思っておりますし、今後の判例の蓄積に待つべきだと考えておりますけれども、その途中におきましても、いろんな新しいようなといいますか、こういうような観点でやったらどうかというようなのが生まれました場合には、やはり検討が必要ではないかというふうに考えております。目下のところは、当面住居の安寧を向上させる地域でございます住居系地域を中心に考えたということでございます。
  24. 沢田政治

    沢田政治君 どうもあなたの言われておるのは、この受忍の限度論というような点から問題を発展させておるように思うわけですね。そこはまあ商業地域だからですね、商売やるという地区なんだから少しくらい日照制限されても——まあ価値論というのか、そういうことではいかぬと思うんですね。これはもう受忍とかなんとかといったら、これは主観ですよ。これだけ耐え忍ぶべきだということで、もう恐らく裁判所でもそういう角度から裁判やられていたんじゃ、これは都会が狭いんだから、人がおるんだから、家もつくらなくちゃならぬのだから、それをがまんすべきだという受忍論から、受忍限度論からいったらぼくは裁判でもこれはろくな裁判が出てこないと思うんですよね。だから、どうもあなたとの歯がかみ合わぬな、この議論はですね。
  25. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) いま受忍という言葉を使いましたけれども、実は民法の上にも相隣関係というのが先生御案内のとおりございます。相隣関係と申しますのは、やはり隣の家と自分の家との間にお互いが受忍をして、たとえば隣地境界線からは何メートルに穴を掘らない、もしくは家をつくる場合には何メートル以内のところでは窓をつくらない、つくっても遮蔽をするというようなことが民法で決められております。へいをつくる場合にもお互いが折半するとかいうようなことは決まっておりますけれども、そういうふうないわゆる私法上の相隣関係ルールとして今後はそういうものが確立されていくべきであろうというのが私どもの現在の考えでございます。したがいまして、受忍と申しましたのは、相隣関係としての受忍が、やはりそういうふうな建蔽率も高く、容積も高いところであれば一般の住居系よりは多少差があるのではないかというふうに申し上げた次第でございます。
  26. 沢田政治

    沢田政治君 この日照問題をめぐって、また環境変化をめぐっていろいろな議論なり法律、裁判がですね、なされていますし、先進資本主義国家もそれぞれの紛争経緯を経て今日に至っておると思うんですね。まああなたが言いました、何といいますか、受忍論とか受忍限度論とかですね、行為の社会的な価値及びその加害行為の動機とか被害発生の回避可能性とかですね、まあいろいろあるわけだが、こういう立場からいくと、やっぱり環境権というものは守られぬと。であるから、やっぱり幸福追求を阻害するものはこれは悪なんだと、こういう方向に世界の大勢も向いてきつつあるわけだね。大体そういう方向に出てきていますよね。まあそれはその国の事情にもよるでしょう。国土の狭小であるとか人口の密集の度合いとか、そういうものにもあると思うんだけれども、あんまり何といいますか担当者のあなたが受忍論とか動機とか、そういう議論をされたんじゃぼくは困ると思うんですね。それで、現にどういう指導をしていますか。  これは読売新聞の五十一年の九月二日ですか、新宿ですね、新宿二丁目ですか、ここにビルができると五戸が被害に遭うわけですね。だけれども、これはかいつまんでこの内容を紹介しておっても始まりませんが、個人ですね、被害を受けるのは。その他たくさんおりますが、ほとんどあとは借家とか、通勤してそこに余りおらぬ人だわけですね。もう祖先伝来そこに生きようという人じゃないから余り関心を持たぬわけですね、そういうことで問題が起こっておる。そうして区役所へ行って相談したところが、あそこは商業地域なんだから少々日が当たらなくてもがまんせざるを得まいと、こういう御託宣、御指導なわけですね。あなた方もやはり日照問題に対する指導を通達しておると思うのですね。商業地域だから日照を奪われても泣き寝入りやむを得ないと、こういう指導をせよということを出していますか。これは内容を知っていますか、あなたの方に問い合わせもありましたか。
  27. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 問い合わせは受けておりませんが、新聞は拝見したことがございます。そういうふうな点につきまして公法上の問題として云々ということは現在できないわけでございますけれども、当然建築行政の担当しておる部局がございまして、そういうふうな相談がありましたときに、お互いのためにこうしたらどうだというぐらいのことは当然私は指導すべきじゃないかというふうに思っております。したがって、公法的に云々というのではなくて、今後いろいろな基準ができまして、その基準に合致しておるものと否との差はございますけれども、そういうふうな一般の問題といたしましては十分御相談に応じたらどうかというふうに思う次第でございます。
  28. 沢田政治

    沢田政治君 たとえば、今度は日照問題は至るところで紛争裁判もたくさんやられておる、こういう状況の中で、いまこの法律できる前に、たくさんの条例ないしは指導要綱ですか、こういうものがありますね。この法律ができた場合ですね、一体地方の指導要綱とか条例というものはどういう関係になるのかですね、これは大変な問題が出てくるような気がしてなりません。ぼくはちょっと調べてみたわけですが、この同意を内容とするものもたくさんあるわけだな、住民参加といいますかな、これは一番理想ですね。隣と——加害者被害者のこの問題だけじゃなく、近傍の居住者がこういう構造にせよと、それじゃ認めてやろうと、つくる方とつくられる方と話し合いでやるのだから、これだけまた円満な方法はないわけだね。こういう条例もあるわけですよ、指導要綱もあるわけですよ。余りこれは分けて話していると長くなりますが、一応ぼくの調査が間違っておるかどうかわかりませんが、大体条例は地方自治体でどれだけ条例があって、そうして区別的に住民の同意を内容とするものはどれだけだか、あるいは日照を——日影等について具体的な基準を定めているものはどれだけかと、指導要綱についても同じことが言えると思うのですね。これはおたくの方では調査しておると思うのだが、これはどうなっていますか。
  29. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 日照関係のことのうちで相当細かく申し上げてみますと、具体的な規制基準を定めていないものといたしまして、条例が十五、要綱で百八十一ございます。用途地域にかかわらず一律に日照時間を定めて規則、基準としているもの、これは条例にはございません、要綱では十一ございます。それから用途地域ごとに具体的規制基準を定めているものが条例で十、要綱で五十七ございます。うち住民同意の基準として定めておりますものが条例で三、要綱で二十三ございます。本改正案に準じまして具体的規制基準を定めているものは条例では七、要綱では三十四ということでございます。特に住民同意制を導入しているところにつきましては、先ほど申し上げました条例では七、要綱では百六十一ございますが、そのうち基準を定めて基準に合致するものについては同意を要しないとするものが条例について三、要綱で三十一ございます。さらに、周辺住民の同意を要らない場合には、その理由書を提出する旨の規定のあるものが条例につきまして一、要綱で二十七ございます。そういうような状況だと思っております。
  30. 沢田政治

    沢田政治君 それともう一つは、建築協定というのはもともとこの建築基準法の中で認められておるので、これがわれわれが当初想定したよりも案外普及しておりませんね。もっとこれが普及するだろうと。まあ建築協定ですから、これやっぱり合意が調わなければ建築協定にならぬわけだから、これは双者合意になってこれも望ましい制度だと、こういうものこそが大いに活用されてしかるべきものだと、こういうように一面私ども期待してきたわけですね。とおろが、全国で、これは私どもの調査ではわずかに二百二十七地区ですか、しかまだないわけですね。これはしかし、なぜ建築協定というのは普及したり活用されなかったかと、こういうことについて考えてみたことがありますか。というのは、たとえば、ぼくの考え方間違っていたら指摘していただきたいんですが、一種の私法というようにみなしておると思うんですね。まあ厳密な意味ではこれは私法かもわからぬですね。ところが、これに法律的な裏づけを与えてやらないことがやっぱりこれが普及しない一つの原因じゃないかと思うんですね。たとえば協定はしたと、まあ地元を納得させるために協定書なるものを書いて協定はしたと。ところが、実際は建てるときはこれを守ったんじゃこれはやっぱり多く建物も建たぬし、これはまずいやと、こういうわけで、住民の何というか反撃を一応なだめて、それを破って建築をしちゃった。こういう場合でも、建築確認のときは合意に反したから建築確認をしませんよというような保障がないわけだな、これは。だから、こんなもの結んでももともとこれはだめだというような、せっかく法律にはありながらこれをやはり利用しなかった一つの、全部とは言えないにしても、そういう側面があるんじゃないかと、こういうように考えるわけですよ。やっぱり一番望ましいのは、何といっても住民参加といいますか、住民が同意して町づくりをすると、これが一番望ましいわけだから、これはだれが何と言っても。だから、これをやっぱり促進させるといいますか、利用させるために法律的な一つの裏づけを与えてやるべきじゃないかと。たとえば、何といいますか、住民協定を、建築協定をした場合は、それも建築確認を認可する場合のやっぱり資格要件というか条件の一つにするとか、そういうことは考えられぬものでしょうかな。
  31. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 先生おっしゃいますとおり、建築協定の制度建築基準法制定当初から存在いたしました。しかし、当初は必ずしも十分活用されておりませんでした。最近に至りまして新市街地等におきまして相当取り入れられまして、先生がおっしゃいますように二百二十幾つかまでふえてまいっておるわけでございます。最近特に住民の間にみずからの手による町づくりを推進したいというふうな動きが活発になったこと、それから人口、産業の著しい都市集中に起因します地価の高騰、それから敷地規模の狭小化等に伴いまして、日照、通風等住宅地の環境悪化等の問題が生じやすくなってきたことに伴いまして、特に新市街地におきまして建築協定があらかじめ決めておくという意味で積極的に活用される傾向にございます。ただ、既成市街地におきましては、やはり建築協定制度の活用はいまでもまだ余り活発ではございません。その原因といたしまして考えておりますのは、市街地における土地利用が、特に権利関係土地利用関係が複雑化をしておるということが一つでございます。さらに、建築協定がやはり関係権利者の一人でも反対があると締結できないという従来からの全員合意制が一つの問題だったと思います。今回の改正ではその全員合意の中を相当広げたわけでございますけれども、あくまで建築協定というのはやはり私法上の契約というのが法律上のたてまえでございます。公法的介入が直ちにできないというきらいがございます。  実はそういうふうな公法的なものにするのも一つの案ではないかということで、審議会等にも諮りましたし、それから法制局段階でもずいぶん議論をいたしたわけでございますが、たとえば全員同意でなくて三分の二の同意でもできるようにしたらどうかというようなものも事務的に提案をしたこともございますけれども、やはりそこまでやって公法のルールに乗せるというならば、建築協定ではなくて地域、地区の問題なり、条例そのものの問題ということで検討すべきものだろうと、公法上のものに乗せなくてあくまで私法契約という範囲内で実効を上げさせるのが建築協定の制度であるということで、今回はそういうふうなものは手をつけていないわけでございます。ただ、大部分の建築協定では、協定の内容といたしまして違反是正措置というのを協定の内部でやはり決めておられます。そして最終的には当然裁判という担保措置があるわけでございまして、われわれも、行政措置といたしましても、そういうようなものにつきましてはできる限りの行政指導といいますか、そういうものはやりたいと思っておりますけれども、最終的違反の是正等につきましては、そういうふうな協定の中身によりまして皆さんの行われるやはり自主的な規制措置、それから最後には裁判ということでやはり処置していただくべきではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  32. 沢田政治

    沢田政治君 私契約でありますから、最後は契約不履行ということでこれは民事上の問題になるのは、これは法律順序からいってそうなるとは思うんですが、民事裁判というのはこれは長くかかるというのはもう常識なわけですね。そのうちに建物ができちゃうと、既成事実がそこでできたと、こういうことになるわけだから、ぼくは少なくとも何らかの法律的なやっぱり補完といいますか、保障といいますかね、そういうものが必要だと。これはやっぱり将来の課題として考うべきであるし、さらに建築協定を結ぶ際の違反是正措置条項ですね、そういうものぐらいはきちんとこれはすべきだということで、これは建てる方にも、何というか建てられる方にもそういう指導をしていますか、現実に。一時住民のパワーを逃れるために、もう頭から守る気がなくて抜け穴だらけの建築協定をする悪質な者もおるんですよ、中にね。そこまでやっぱり指導していますかね。
  33. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 特定行政庁において十分指導しておると考えております。さらに、今回の建築協定の改正案につきましては、実際にそういう指導面に当たった点から数々の問題点があるという特定行政庁からのいろんな御報告をもとにして、できる限りの前進をしたというふうに考えておる次第でございます。
  34. 沢田政治

    沢田政治君 話は飛ぶようだが、キャバレーとかナイトクラブとか遊技場ですね、つまり特殊建築物ですね。こういうものも建築確認を要するわけですが、御承知のように、ぼくは余り利用者じゃないのでわかりませんが、非常に客寄せのために模様がえというのかな、スタイルを変えるらしいやな。もうしょっちゅう変えるらしいんですね、これは。一年に二回も変えるところがあるらしいね、夏は夏のように、冬は冬のようにね。こういう場合、やっぱりその都度、あなたがおっしゃられましたように建築確認は一回きりじゃないと、その該建物がある限りは、その確認に合致しておるかどうかと、こういうものをもう追跡してやっぱり調査していくんだと、こういうことになるわけだが、これはもう的確に余さずにぼくは追跡して調査していると思われないんですね。そのためには相当の人員が要ると思うんですよ。いまの態様でそれを全部チェックできますか。ぼくは素朴なそういう疑問を感じているわけですね。
  35. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 今回の改正におきましてキャバレーとかバーとかにつきまして追加いたしましたのは、用途の変更関係確認でございます。実際の建物の改修等につきましては従来どおりのシステムでやるわけでございまして、今回の改正によって直ちに人がふえるというようなことではないかと思っておりますが、先生おっしゃいますとおり、建築行政の推進のためにはやはり相当な人手が要ります。実はその点につきましてはわれわれも毎年度自治省にもお願いいたしまして、昭和五十年度から標準団体の人員その他につきましても相当数ふやしていただいております。それらの範囲内で十分善処してまいりたい。今後もさらにふやすように努力してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  36. 沢田政治

    沢田政治君 ビル防災遡及適用の際に、いろいろな議論が業界なりあるいは当事者なりから議論されておるわけですが、その反対がいいとか賛成がいいとかは別として、昭和四十九年六月ですか、消防法改正によってスプリンクラーの設置が義務づけられたわけですね。大体スプリンクラーだけでいいじゃないか、こういう議論が一方にはあるわけですね。それと、階段とかエスカレーターですね、竪穴区画ですか、こういうものがあるために煙が上層部に行ってそして大惨事になった。なるほどいままでのビル火災は、焼け死んだ、焼死というよりも窒息死が多いのですね、これは。大阪にしても熊本にしても、これは煙突になるわけですからね。特に大洋デパートの火災調査委員長という立場で、建築防災の権威者である星野東大名誉教授ですね、この人がそういう主張をしていますね、現地を踏まえた結果ですね。ところが、こういうスプリンクラーでいいということと、竪穴とかエスカレーター、こういうものが原因だと、こういう両者の説があるわけだが、これはデパート側とか、そういう資本側というか経営者側ですか、そういう者から言いますと、これは経費を考えるわけだね。なるべく安く済ましてもらいたいという、いい悪いは別としても、そういう心情になるだろうと思います、それはね。ところが、やっぱり事人命の問題だから、経費がかかる、かからぬの問題じゃない。人間の命はこれは地球より重いということで、当然経費の問題とそれから人命というものと同時に並列に議論すべき問題じゃないと思うのですね。  ある新聞記事で、こういう議論があるさなかに私見たわけでありますが、百貨店協会ですか、ここの藤田という専務理事がおるわけですが、率直に言って竪穴閉じは金ばかりかかって効果に疑問があると、こういうことを主張しておるわけですね。これをせんじ詰めて考えますと、銭がかかるから困る、そんなものを義務づけられちゃうのじゃ困る、こういう議論に通ずると私は思うのですね、これは。でありますから、後ほど特別立法で皆さんがお出しになられるわけですが、金と人間の命を並列に置いて議論するようなこういう見解はぼくはいかぬと思うのですよ。だから、冒頭に聞いたように、ビル防災遡及適用を除外した理由はどこかというのは、こういう至るところにひっかかりが出てくるわけだから、くどいように再三再四聞くわけだよ。これはどう思いますか。
  37. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) スプリンクラーの設置が防災上きわめて有効な措置であるという点については、われわれもそのように考えております。しかしながら、建築物のすべての部分に設置義務が課せられてはいないという点、また火災の種類によりますと、たとえば天井裏の火災、設備関係の火災等に対しましては有効でない場合がございますし、現にそういうところから生じた火災もあるわけでございます。したがいまして、一定規模以上の建築物につきましては、その利用者の人命の安全確保を図るために必要最小限の避難施設等はぜひとも必要だと考えておるわけでございます。スプリンクラー設備が先ほど申し上げたとおり非常に有効でございますけれども、いざ火事となった場合に、すぐに逃げられるということもわれわれ一番の願いでございまして、やはり必要最小限度の避難施設、竪穴区画等につきましては設置が不可欠だというふうに強く思っております。特に竪穴区画につきましては、常時閉まっておるドアをつけておくとか、煙感知の防煙シャッターでフードづきのもので処置するとかいうのが現行法の規定でございますけれども、やはりいま先生のお話のございました百貨店協会の皆さんも最近アメリカ等に行かれまして、ずいぶんそういうことの勉強もなさってきたと聞いております。また、どういう御意見になられたか、近くまたお伺いしてみたいと思っている次第でございます。
  38. 沢田政治

    沢田政治君 あなたはいま包括的に答弁されましたが、問題は煙ですよね。煙によって死んでおる例——一酸化炭素の窒息死ですね。だから煙こそ大敵なわけですね。でありますから、これを具体的にどうするかというのを——われわれの方は不本意なわけだが、次期特別国会回しになったわけでありますから、煙対策は特に重点を置くべきですね。これは幾ら逃げどころを、何というかそれも必要ですよ。避難個所を多く設けるというのは必要だが、一たん煙に巻かれたら人間はだめですよ、方向感覚を失ってしまうのだからね。これは酸素が不足になるのだから頭がおかしくなるわな。どっちが東が西かわからなくなる。だから、煙対策は目下の一番重点対策にしなくちゃならぬですね。でありますから、非常に通りのいい答弁はしたのだけれども、防煙シャッターですか、そういうものを義務づけるとか——特に一番憂慮すべきは、地下街ですな、地下街。こういうものを大ざっぱな規制じゃなく、大ざっぱな何というか遡及適用じゃなく、相当綿密にやっぱり学者とか専門家の英知を集めて——いま起きないからいいものの、大変ですよ。地下街の東京駅の中でも起こったならば、思わざる大惨事になると思うのですね。まさに阿鼻叫喚でしょう、パニック状態になりますね。こういうものについて、いまの細かいどこをどうするじゃなく、どういうような対策を考えておるのか、いま目下考えていることがあったならばお示し願いたいと思うのですね。
  39. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) ただいまのところでは、建設省その他五省でつくっております協議会等がございますが、省内でも住宅局のみならず関係局、都市局、道路局等全部入りまして、そういうふうな地下街のための協議会というのがございます。その中でいろいろな防災的な基準を決めまして運用してまいっております。  それからさらに、基準法でも地下街のための特別ないろいろな規定を定めております。問題は、新しい地下街につきましても、そういうふうな新しい基準によりますものは相当完備されているとわれわれは思っておりますけれども、やはり既存不適格の地下街におきまして、先生おっしゃいますようにいろいろな設備の済まないものがございます。いろいろと自発的になさっているところもございますけれども、今回、今後つくります防災規定の中では、そういう点にも重点を置いて改正したいと考えております。  もとの改正原案で考えておりました地下街に対します対策といたしましては、たとえば地下街でございますと、避難上最も重要な地下道につきまして、その幅員及び高さの制限がございます。幅員は五メートル以上なければならない、高さは三メートル以上なければならないというのがございますが、そのほか内装制限、それから階段の配置、これは各構えから三十メートル以内に必ず階段がなければいけないという規定でございます。その他末端の幅員  出口か狭くなると、いざという場合にパニックが起きますので、末端の幅員も広くする。非常用の照明設備もつけてもらう。排煙設備に対するものも十分完備をしてもらう。それから店舗と地下道との間の防火区画をしっかりしてもらう。それから店舗等の内部におきましても、地下道までの行程につきましてある一定の制限を設ける。高層建築物並みの防火区画、内装制限、排煙設備等規定も同時に動くようにするというようなことを考えておったわけでございます。
  40. 沢田政治

    沢田政治君 また話を日照の方に移しますが、この法律が仮に、法律案じゃない、法律として発効し、施行された場合、これによって一切の住居区域における紛争がもう一件落着かと、こういうようになると考えていますか。
  41. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) いままでの過去に起きましたいろいろな紛争につきまして、まあ全部取り上げてみまして、実験的に全部を職員に検討していただいておりますが、大部分は助かると。ただし、やはり紛争として残るものはあるだろう、全部ゼロになるとは思っておりません。
  42. 沢田政治

    沢田政治君 私は、もうこのために紛争がますます激化するとは私もはね上がって考えてませんが、この法律ができたために紛争が少なくなるというようには考えていませんね。なぜならば、これは日照権を保障しょうという法律じゃないんですよ。建物をつくる場合、これだけは制限しますよという法律なわけですから、幸福追求権利は当然憲法に伴って国民にあるわけだから、環境変化に耐えられぬという何というか主張もこれは当然出てくると思うんですね。これは一種の手続なんですよ。建築確認する場合、こういう条件の場合は確認しますであって、住民がそれで納得するかしないかというのはこれは別の次元の問題だと思うんですね。そうでしょう。でありますから、いまの基準内で許容され建築確認をされたものでも、住民のやっぱり変更を求める声というもの、反対の声というものは一向に私は減らぬと思うんです。このためにふえるだろうなんということは私は余り扇動的には申し上げませんが、まだ根本が解決されておらぬわけですよね。  そこで、この「日照問題に関する対策についての中間報告」ですね、「日照紛争等のあっせん等に関する措置」として、こういろいろ出てますね。こういうことで、これはどういうようにしてその日照問題を——地方自治体等にも皆さんの方でも通達出されておると思うし、今後も出すだろうと思うんだが、どういうようにして指導しますか。こういうものはない都市もあるんですよ、指導員なんて専門に置かぬところも。そうなりますと、相当の人的な機構というものも必要になるわけで——人的な機構というのはおかしいが、要員確保ですか、こういうものも必要になると思うんですね。その際に、特に経費の問題ですよね。いままさに地方自治体は財政難でこれは四苦八苦というのが今日の現状ですね。そういう場合、地方交付税の基準財政需要額にこれを算入するかどうかという問題ですよね。あなたの方はどういう行政指導をしようたって、人がおらなくちゃ指導も何もできたものじゃないわけだ。これは大きな課題なんですよね。きょう自治省からは来てもらってない、きょうは建設省だけでぼくは間に合わせようと思ってやっているんですが、こういうものを自治省に対して、大蔵省に対してどういうようにあなたの方は対応されようとしていますか。
  43. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 地方公共団体が住民サービスをするという観点から、日照紛争の調停のために機関を設けている例もございますし、またそういうものは私ども好ましいことだと考えております。この改正案がもし施行になりました際に、そういうふうなものを担当するということになりますと、建築行政担当者等がやはりそういうものを担当する場合が多いと思います。したがいまして、日照紛争の調整事務の一部を担うこととなることのために、昭和四十九年度ごろから自治省に対しまして地方交付税の算定基準の基礎となる建築行政に係る人員増というのは強く要望してまいっておりまして、昭和五十年度にも相当の是正がなされております。しかし、今後も引き続いてそういうようなものについてはお願いをしてまいりたいと考えております。ただ、日照紛争調停機関のための必要な経費というようなものにつきましては、現在のところも必ずしも全国的に設けられておりませんので、標準団体の財政需要額に算入というところまではなかなか自治省も応じがたいということのようでございます。したがいまして、今後の設置状況等に応じまして地方公共団体に過重な負担とならないように自治省に対しまして特別交付税等による行政措置の要求をしてまいりたいというように考えておるわけでございます。
  44. 沢田政治

    沢田政治君 この点は行政効果を完璧なものにするかどうかという一つの使命がかかっておる問題ですから、自治省にお任せするということじゃなく、この実効を期するためには、自治省であろうが大蔵省であろうがやっぱり建設省サイドで強い意見というものを主張していくべきだと思うんですね。  そこで、仮にこの法案法律になって施行される場合、既存の建物で、いままだ工事進行中のものも含め、完成したものでもこの法律に該当する建物はたくさん出てくると思うんですね。先ほど言いましたように、建築確認というものは、まあ説教されたわけだが、そのときでオーケーと、あとはもう将来どうなっても構わぬというものじゃないと。一たん確認したものであっても現行法規に照らして違反である場合は、除却命令になるか是正命令になるか、そういうものをやっていくと、こういうことにならざるを得ないわけだ、あなため答弁からいけば。非常に結構な答弁だと思いますが、どうですか、いま建っているマンションですね、新しくできる法律からいけばこれはもう抵触します。こういうものを、北側を半分欠けとか、南側を半分欠けとかできますか。できなければこれはもう何というか既得権ということを認めたことになるわけだね。もうつくったものはやむを得ないと、新しいものと、こういうことになるわけだね。これは現実問題として本当にやれますか、できますか。どういうようにしてやれますか。これははしょらないで正直に言ってください。困るなら困る、できないならできない。できないと言ったら困るけれどもね、こっちの方は。どうですか。
  45. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 建築基準法の本来のたてまえは、既存不適格には遡及しないというのがたてまえでございます。したがいまして、公法的規制を、今回国会を通りましてもし施行になりますと、施行日以後につきましてその法律が動くということでございまして、それに現在違反のものは既存不適格そのまま残るわけでございます。それをしもやはり日影ルールを守らせるために遡及をしなきゃならぬということになりますと、先ほど来のお話のように、もう一度国会法律で御審議を願わなきゃならぬというように考えております。われわれはやはりこういう町のつくりといいますか町づくりというものは長い時間がかかる、ある日突然にりっぱになるというものではございませんので、法施行日以後そういうものを積み重ねまして、とにかくりっぱな町にしていきたいと考えておるわけでございます。ただ、既存不適格と申しましても、建築基準法のたてまえ上、将来大規模な模様がえ、それから再改築等いたします際には、当然に新しい規定に従わなきゃならないという規定もございますので、そういう機会をとらえて新ルールに従うようにさせていきたいと考えておるわけでございます。
  46. 沢田政治

    沢田政治君 すごく矛盾を感ずるんですね。刑事訴訟法とか、事人権とか身柄を拘束するとか、こういうものに関しては法律遡及の原則はこれは厳然としておるわけですが、こういう問題について先に建てたものは得であったと、後につくったものはこれは厳しく取り締まられると、こういうことは行政に対する不信感と法律に対する私は不信感だと思うんですよね。災害についてもこれは遡及するというんだから、もう急いでぼんぼんつくろうというところも出てくるかもわからぬですよ。この法律が少し遅くなれかしと祈っている人もこれはあるかどうかわかりませんが、こういうことじゃいかぬと思うんですね。ビル防災にやっぱり遡及するならば、こういうものにももう遡及するぐらいの、遡及までいかぬけれども何か考えなくちゃおかしいんじゃないか。たとえば、ぼくは法律的にばかり議論しているんじゃないんです。環境が変化して困ると、日当たりがなくて困ると、こういうものにはこれは業者ですから建設省のにらみも相当きくわけよ、ある程度。別の意味の、圧力じゃないですよ、行政指導という立場からの相当の影響力はぼくは駆使できると思うんですね。だから、法律をこれに何というか急いで適用できないとするならば、それにかわる行政的な何らかの措置を講じてやる必要あるんじゃないか。泣き寝入り、そうしてもう時間の差で得したというものがないようにするためには、たとえばある程度納得いくような値段で買ってやるとか迷惑料を出すとか——建設省だってそうでしょう、余り日が当たらないところは、ここは公的な施設に対しても今度何か出すことになっているでしょう、五十万円ですか。そういうことぐらい、一つのやっぱり思いやりが行政になければ、もうくるくる法律が変わるんだから、先のものが得をしたということになれば困るんだよ、これは。こういうことを検討していますか。
  47. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 法律上のたてまえは、あくまで既存不適格というものにつきましては現行法は及ばない。将来の大規模の模様がえ以上の場合に現行法に従ってもらうというのがルールでございます。しかしながら、やはりたとえばこの日影問題等につきましては、建築学界、設計学界等におきましては多年の問題でございましたので、建築士事務所もしくは設計管理に当たられる建築士の方々等はそういう問題について非常に努力しておられまして、むしろこの基準よりももっと厳しいと申しますか、というようなものをつくられるのが最近の例でございます。したがいまして、われわれ行政指導というふうなことだけではございませんけれども、そういうふうな面で私は相当程度最近のものは、少なくともこの国会審議にかけました以後、それらの点についての配慮は相当されて進んでおるんじゃないかというふうに拝見しておるわけでございます。
  48. 沢田政治

    沢田政治君 それで、今度一定の日影制限を設けた。これはどういう根拠で、こういう何時間、何時間とか別表に書かれていますが、設けたんですか。これは医学的な見地といいますか、生物の生存するための最低要素としてこれだけ日照が必要だという、そういう見地のこれはものであるのか。これは日照というものは、人体にとって幾ら必要だかというのはこれはなかなかむずかしいと思いますよね。しかも家の中だけで日照をとらなくちゃならぬのか、外でもとるのか、これはむずかしいんだ、正直言って。これはどういう基準で——これ受忍論になるのかどうか、最低これだけ冬至のときは必要だというような角度になるのか。都市だからこれだけ受忍しなきゃならぬ、あるいは人口密度が非常に過密であるからこれだけやらなきやならぬというような価値判断でやったのか。どうしてこういうものができてきたか、少し納得いく答弁を聞きたいものだと思いますな。
  49. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 先生おっしゃいますように、日照は医学的もしくは建築学的に計測されます効果のほかに、精神的な効果も非常に大きいとされておりまして、これらを総合しましてこれだけの日照必要量が必要だということはどなたも決めがたいというのが現状のようでございます。したがいまして、それぞれの市街地につきまして現在享受している日照の量、並びに都市機能の状況及び立体化の程度等につきましての現状と将来のあるべき姿等を勘案いたしまして、日照確保の目標水準とその場合の規制基準について建築審議会を煩わして二年半にわたりけんけんがくがくの議論をして理論的検討をしていただいたという結果、こういうような基準を決めたというのが実情でございます。その結果、日照確保の目標水準につきましては、用途地域の指定目標を勘案しまして社会的合意の得られるような水準でなければならないということで今回の提案をしておるわけでございまして、規制手段につきましては、平均的な住居用建築物において客観的かつ不公平を生じない基準というようなことで採用した時間でございます。これはやはり、たとえば国会審議を経まして大方の御同意を得れば、それが客観的な基準と言えるだろうということでございます。
  50. 沢田政治

    沢田政治君 建築審議会に諮問してこういう結論を得たというんだけれども、何か答弁らしいものをしたんですが、どうもこれは権威があるとか、科学的だとか、あんまりぴんときませんが、この議論はさておいて、やはり今日の環境権の問題、日照権の問題、これは一にぼくは建築基準法にだけ責任を負わしてもいかぬと思いますよ。これだけでどうもできませんよね。いろいろなものの何というか集積からきているわけだ、今日の都会問題は。だから、建築基準法だけで今日の都市問題、環境問題、日照権の問題は解決つかないことは、これは何人も認めざるを得ないんですね。  だから、大臣にお聞きするわけですが、私は今日まできた原因というのは、都市政策といいますか、これは都市計画も含みますが、ぼくはやっぱりこれの大きなまずさにあったのじゃないかと思うのです。まあ山の好きな人の言葉には、そこに山があるから登ると言うそうですが、そこに人が集まったから家をつくらなくちゃならぬ、入れ物はどんどん過密でもつくっていかなくちゃならぬ、こういうやっぱり都市政策ですね。これは人口とか、何というか都市の分布とか、いろいろなやかましい議論にもなってくるのだけれども、つまり都市への集積を積極的に唯々諾々として容認してきたというところに、何というか産業政策も入るわけだが、今日の都市の混迷した混乱した状況というものが現出されたと思うのです。高度成長には再び返られない、こう言っていますが、都市に人口がまだまだやっぱり集中してくる、こういう可能性も指摘せざるを得ないと思いますね。だから、これは建築基準法だけの責任じゃなく、やっぱり都市計画、都市政策、産業政策全般に関する問題に私はなってこざるを得ないと思いますね。そういう意味で、いまのように都市に人口が集まるから、ただそれに受けざらをつくらなくちゃならぬということではますます私は都市の諸問題というものは一層深刻化していくだろうと思うのですね。まあ抽象的な聞き方なんですが、大臣、この点についてどう考えますか。
  51. 中馬辰猪

    ○国務大臣(中馬辰猪君) まさにおっしゃるとおりだと思います。そこで、三全総をいま政府の方で検討し、策定の準備をいたしておりますが、そのためには都市計画はもちろんでありますが、新しい住宅政策をいかに立てるかということに実は非常に大きな関心を私ども持っておりまして、現在の都市計画の中で住宅の建設がなかなか容易でありませんので、特に団地等をつくる場合は自治体が団地を非常にきらっておるという点がありまして、きらわれる点もまた、幼稚園とか水道とかいろいろな付帯設備の金が要りますので、自治体が非常に団地の建設をきらっているわけであります。そこで、団地の建設のために自治体からきらわれないようにということで、いろいろ税法の問題等で考えておりますから、そういうものと含めてやらないと、おっしゃるように建築基準法だけで解決はなかなかこれは容易じゃないということで、全般の問題としてわれわれも深刻に受けとめていま検討いたしておる、こういうことでございます。
  52. 沢田政治

    沢田政治君 次に、公的機関の建設に関する日照基準ですね。いま法律案で提出されておるものは建築審議会に諮った、こう言っておるわけですが、非常に違いますね。まあ公的機関といいますと、たとえば公団住宅の建設基準日影制限と公営住宅とか、非常に何というかばらばらになっているのですよ。同じ何といいますか政府で、しかも政府機関のわけですね、政府が関連している機関においてこんなに違っていいものかと思うのですね。これはちょっと疑問を感ずるんですね。どこがどうだってこれだけ読み上げてあなた方に示す必要もないし、これだけ言っていればまだ十分ぐらいかかるので、こんなものははしょりたいと思いますが、おかしいんですよ、これは。こんな基準の違い方は。ますます権威なくなるわけだ。いまの法律案基準とこれがばらばらなんだから。どうしてこういうことになるんですか。将来統一しますか、これ。
  53. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 公的住宅日照基準につきましては、実は日照基準と申しましても、外部へ及ぼす日照の障害ということを避けるための基準ということではなくて、たとえば団地内部の個々の住宅が受けるべき日照の最小限を決めた基準という内部の基準でございます。この基準につきましては、公営と公団は大体そろっております。ただ、公庫関係基準につきましては、特に民間ということを意識したせいもございまして、若干公営、公団よりは緩いというのが現状でございます。今後やはりこういうふうな規定が施行になりますと、それぞれの公営なり公団なりが立地をいたしまして建設をいたします場合には、今度条例で決められますその地域基準に従うことは外部的には当然でございます。しかし、内部の運用といたしましても、たとえば公営住宅でございますと、日照時間は四時間以上であるべきだと決めておりながら、ただし、高度利用を図るためにやむを得ない場合はこの限りでないということで、ある程度の運用を認めております。したがいまして、公営の中の個々の住宅につきましても、このただし書きの運用等に当たりましては、その地域の条例等勘案いたしまして、それに即するような運用をしてまいりたいというふうに考えております。
  54. 沢田政治

    沢田政治君 これは削除されたものを議論したってしょうがないんですが、将来特別立法で出してくるための問題提起として私一つ示しておきたいのは、たとえば前の政府原案だね、削除と言いますと。この遡及適用の対象となる百貨店ですね、この病院が全国でおとといも言われましたが二千二百と推定されておるわけです。これの用途によって三階ないし五階以上は、または千五百平方メートル以上の床面積の特殊建築物、こういうことが考えられておるわけですね。特に雑居ビルや先ほど申し上げましたキャバレー、劇場等については五階以上または地階二千平方メートルとしている、こういうようになっているわけですが、この用途の位置及び規模の基準は余りにも大きいのではないか、大きいものだけこれは取り締まるんじゃないか。もう少し何といいますか、こういう大きいものだけで災害が起こって人が死ぬということには限らぬわけだね。特に不特定多数の者がそこに出入りをするということになると、もっと網の目をしぼっていく必要あるんじゃないか。こういうように基準を人命保護ということを第一義にしてもっと厳しくすべきじゃないか。人の命ですから、もうかるとか、もうからぬとかの問題じゃない。経費がかかるとか、かからぬとかの問題も無視はできないが、もう少し網の目を狭めたらいかがなものかと私は考えるわけです。危険性の高い中小規模の特殊建築物に対しては、規模を二千平方メートル以下のものでもやっぱり義務づけて安全性を確保する必要があるじゃないか。ぼくは専門家じゃないからわかりませんが、こういう大きいものだけじゃなく、二千平方メートル以下でも起こり得るんですよ。だから、少し網が粗いんじゃないか、平らな言葉で言えば。これはどう考えますかな、局長
  55. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) おっしゃいますとおり、いろいろな災害は事柄の大小にかかわらず起きるとは思います。しかしながら、建築物生活と広範かつ密接な関連を有するものでございまして、従来まで建築基準法上は既存不適格ということで何もしなくてもよかったところに遡及適用をしたいということでございますので、社会的、経済的にきわめて大きな影響を与える問題でございます。したがって、相当限定的に考えるべきじゃないかと考えておる次第でございます。  したがいまして、対象とする建築物の選定につきましては相当数のものを規模をしぼったわけでございまして、これは消防法遡及と軌を一にいたしております。特に可燃物品が多くて、かつ大空間構成であるために火災の拡大がきわめて速いという百貨店、スーパー、それから行動能力の劣る患者を収容する就寝施設を有する病院、それから避難施設等を熟知していない不特定多数の利用者を収容する就寝施設を有しますホテル、旅館、それから利用空間の照度、密度等に比較的条件が悪くて、行動能力に劣るキャバレー、ナイトクラブ、それから避難施設等の維持管理の水準が比較的低くて、その配置が不明瞭ないわゆる雑居ビル、それから災害時、方向感覚を把握しがたく消火救急活動が比較的困難な地下街等、いざ災害が発生した場合に多数の犠牲者の発生するおそれがあるものというものに限定をいたしまして遡及適用を考えたという次第でございます。  それからさらに、それ以下の規模のものにつきましてほうっておくというわけではございませんで、法律による一律の遡及適用の義務づけはこの程度のものが一番いいんじゃないかといまでも考えておりますけれども、避難上支障のあるものにつきましては個別的な行政指導の道が開かれておりますので、そういうものによりまして対処を促進したいと考えております。
  56. 沢田政治

    沢田政治君 一昨日も同僚議員遠藤君が消防庁長官に対して、四十九年にできた消防法に基づく是正とか、いろいろな諸命令をどういうように履行しておるのかという細かい中身に入った質問をして、それぞれ答弁がありました。しかし、私どもが想像したよりも進んでいませんね。もう半分ぐらいはまだ命令を聞きっ放し、こういう状況になっておるようですね。もちろんこれは金もかかるでしょう、時間もまだあるでしょう。しかし、この基準法ができ、さらには遡及適用特別立法ができても、同じような状態じゃこれはいかぬと思うのですね。これだけ議論して、これだけの年月をかけて、一応この国会で本当は論議すべきものを外したんだから、それだけの時間を置いた、私はやっぱり内容を高めなければ、何のために時間を置いたかということを疑わざるを得ないわけですね。  ただ、余り条例で遡及というよりも私は法律の方がいいと思うんです、これは。条例に委任するということは本質的に私きらいですから。まあ政令だったらこれは原則として罰則ということはなかなかむずかしいわけですね。だから、今度は特別立法で出す内容はもちろんのこと、履行しない者、聞き流しておく者、こういうデパートとか特殊建築物を経営する者に対しては、やっぱり罰則を強化して、ある場合には営業停止をもうしょっちゅうさせる。こういうことぐらいの、皆さんが、何といいますか、今度の法律にはむちばかりじゃない、あめも加えると言う、このあめはどういうあめかわからぬが、金を貸すとか、やりやすくするということだと思うんだ。ぼくはあめも否定しませんよ。これは実効を上げればいいわけですからね。あめも全面的にぼくは否定しないが、あめだけで、むちという言葉はわかりませんが、ワサビの方を抜かれたんではこれはだめなんですよね。だから、多くのことを具体的に法律に書くという以上は、その法律を履行しなかった場合こうだという罰則もやっぱりきちんと守らせる。ごね得、聞き流しが得をしないように明確な法案の体裁を出すべきだと、こういう点を私の主張として申し述べます。  これは主張だけじゃなく、見解をお聞きしまして、ぼくは二時間午前中に皆さんに御迷惑をかけましたので、午前中から引き続いて質問したいということで、私ども社会党の方としてはこれで終わります。
  57. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 先生おっしゃいました方向を十分心得て、来国会提案法案については検討いたしたいと考えております。
  58. 中馬辰猪

    ○国務大臣(中馬辰猪君) ちょっと私は前国会法案のいきさつはよく知りません。しかし、デパートだとかそういうところは人命に最も影響がございますから、多少ひとつ無理をしてでも思い切った案をつくりたい、こう考えております。
  59. 二宮文造

    ○二宮文造君 私、引き続いて建築基準法の一部を改正する法律案について若干お伺いしたいわけですが、なるべく重複を避けたいと思いますが、問題によりまして若干重複する部面も出てくることを御容赦願いたい。  御承知のように、この法律案は四十九年三月十一日、七十二国会提案されまして、すでに二年半という長い年月を経過してまいりました。その間、衆議院においては相当に紆余曲折のあった審議が行われたと、このように伺っております。そこで私は、この参議院当委員会におきましても先国会の最終日、五月の二十四日に提案理由の説明があって、御承知のように継続審議として持ち越されてきたわけです。  そこで、ちょっと先ほど来の質疑のやりとりを聞いておりまして、私は今後の法案の取り扱いについてどうしても確認しておきたいと思うので、まず政府にお伺いしますが、政府が本委員会提案をされたのは、いわゆる提案理由の説明のあった部分を提案されている、こう理解してよろしいですか。
  60. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 提案理由といたしまして、政府提案提案をいたしましたのと、あわせて修正案と両方提案されておりますので、私よくわかりませんが、事柄はそういうようなことだと思います。
  61. 二宮文造

    ○二宮文造君 ちょっと待ってください。提案した方がどうかわかりませんがということじゃ審議する方は困るんです。政府原案はどうなんですかということをまず政府からお伺いしたい。
  62. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 政府といたしましては、政府原案提案をいたしたわけでございます。
  63. 二宮文造

    ○二宮文造君 政府は原案を提案をされた、同時に衆議院においては修正がありましたよと、衆議院では修正がありましたという衆議院側としての御説明があったわけですね。
  64. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) さようでございます。
  65. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、先ほど来あるいは先日来、政府側答弁はまさに遡及適用は削除されたものと、こういう立場に立って答弁をされていることはどういうわけですか。
  66. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 衆議院の最終議決の際にそのような応答をいたしておりまして、そのことを申し上げたわけでございます。
  67. 二宮文造

    ○二宮文造君 そのことではなくて、そのこと自体を申されたことではなくて、政府はああいう特殊建築物のあの規定提案をしておきながら、政府側答弁として、次の国会特別立法いたしますとか、削除になりましたとか、これは提案の姿勢がまことにふまじめじゃないでしょうか、この点どうですか。
  68. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) まあ衆議院等におきまして修正が行われた場合の提案の仕方といたしまして、参議院には政府提案と修正案と両方御説明すべきだというふうなのが例であるとわれわれは聞いておりまして、そのとおりの取り扱いをなされたというふうに思っております。
  69. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣、これはですね、政府が原案として提案をしたならば、衆議院で修正されたことは衆議院側で答弁をされればいい。政府側が原案として当委員会提案をしておきながら、まさにもう遡及適用の面を削除されたものだと、こう決めてしまって提案をすることは、提案をされた原案にきわめて忠実じゃない、こういうふうに私は思わざるを得ないんですが、この点はどうですか。
  70. 中馬辰猪

    ○国務大臣(中馬辰猪君) 非常に忠実に提案をしたのですけれども衆議院の方でこれはひとつもうやめろと、削除せよということになったものですから、衆議院という国会の一つで削除をされたものを参議院で御提案申し上げるということは非常に失礼に当たると思いまして、実は抜いたわけでございます。
  71. 二宮文造

    ○二宮文造君 まことに失礼なんです、そういう意味では衆議院に対して。衆議院で削除されたものを参議院でそれをまた復活して、原案として政府が提案されるというなら、衆議院に対する失礼でしょう。また、先日来の政府答弁で、原案として提案をしておきながら、衆議院では削除されたから、そのままの姿勢で、削除されたものとして当委員会答弁をされるということは、参議院は衆議院の議決のまま御承認願いたいというような、二院制度の特質というものをぶっ壊したような政府の答弁の姿勢ではないか、こう私は思うのですが、この点あわせて答弁いただきたい。
  72. 中馬辰猪

    ○国務大臣(中馬辰猪君) 大変まあ申しわけないと思います。ただ役人としては、これは来国会にやるのだということに大体頭で切りかえちゃったものですから、そういう錯誤があったものだと思います。私からおわびいたしておきます。
  73. 二宮文造

    ○二宮文造君 錯誤に基づく提案を当委員会審議できますか。委員長、どうでしょう。私もっと明確にしてもらいたい。錯誤に基づくような提案を当委員会審議できませんと思います。
  74. 中馬辰猪

    ○国務大臣(中馬辰猪君) 衆議院におけるいろいろいままでの審議の経過にかんがみ提案したわけでございます。
  75. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣ね、政府は提案をしていないんです。政府は原案を提案されておるわけです。そうしてわざわざ衆議院側から来られて、こういうふうに修正議決をいたしましたので、参議院の方もよろしく御審議を願いたいという、こういう会議録になっておるわけです、委員各位の。そこで、政府は原案を提案しておきながら、答弁についての姿勢が、もうすでに削除されたものとして、いわゆる提案に熱心な、政府原案に熱心な答弁をされていないのは何事かと私は伺っているわけです。
  76. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 衆議院におきます修正の形態を踏まえまして、のみ込んで答弁をしておりましたので、その点非常に申しわけなかったと思います。
  77. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  78. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 速記を始めて。
  79. 二宮文造

    ○二宮文造君 いま助け船が出たわけです。質問者は、削除されたという状態でそれを踏まえて質問をしているから、その質問者の趣旨に沿って政府は答弁をしたと、こういうふうに答えなさいと助け船が出たわけです。
  80. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 御質問内容に応じまして御答弁申し上げた次第でございます。
  81. 二宮文造

    ○二宮文造君 ですが、私は今度は当委員会の取り扱い方が、いまの政府の姿勢で、政府が提案をしている原案はこれでございますということから当委員会の取り扱いは始まらなければならないと思うのです、われわれとしては。そこで、そういう私は削除された理由というもの、あるいは修正された理由というものについても、いろいろお伺いをしたいというので、私の立場をまず鮮明にしたいということでいまの二、三のやりとりをやったわけですが、そこでお伺いをしたい。  政府提案改正案の二つの柱の一つでありました、いわゆる既存の特殊建築物等に対する避難施設の設置、これを義務づけるといういわゆる遡及適用ですね。これについて建設省が現に予定している適用項目並びにその実態を概略御説明を願いたい。
  82. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) この法律では遡及適用の範囲を避難施設、防火区画、非常用の照明装置及び非常用の進入口の四項目といたしております。さらに、その細目については政令で定めることとなっております。政令で定める場合には、建築物利用者の安全な避難を確保するために絶対不可欠な施設に関する規定に限定するということにいたしたいと思っております。特殊建築物につきましては、特別避難階段、竪穴区画、非常用の照明装置及び非常用の進入口、地下街につきましては、地下道の内装制限、階段への歩行距離、末端の階段幅、排煙設備及び非常用の照明装置、並びに店舗と地下道との防火区画を定めたいと考えております。これらの項目を遡及適用をした場合に改修する必要が多い事項は、特殊建築物にありましては竪穴区画及び非常用の照明装置、地下街にありましては地下道の排煙設備、非常用の照明装置及び店舗と地下道との防火区画が該当すると考えております。
  83. 二宮文造

    ○二宮文造君 そういういま述べられたような項目で、その対象になる建築物の数、これはおおむねどれぐらいとつかんでおられますか、用途別にお伺いしたい。
  84. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 遡及適用の対策となります建築物の用途別の数でございますが、地方公共団体に依頼をして取りまとめたところによりますと、百貨店が約三百六十棟、スーパーが約五百三十棟、大規模物販が約二百八十棟、地下街が約五十、旅館が約二百二十棟、ホテルが約三百六十棟、病院が約二百五十棟、複合用途の建築物が約二百十棟、合計二千二百棟というふうに踏んでおります。
  85. 二宮文造

    ○二宮文造君 いま伺った、いわゆる対象建築物の棟数、建築物の棟数ですね、それをそれぞれ用途別にいただいた資料でパーセントをはじいてみますと、総数に対して百貨店の場合は約七割、それからスーパーの場合が二割五分、二五%、その他の大規模物品販売ですか、販売業の建物が五九ですから約六〇%、それから旅館の場合は〇・三%、ホテルの場合が約五〇%、病院の場合が三・一%、複合用途の建築物が〇・五%。そうしますと、要するにこの遡及適用ということで当面対象になるものと言えば、百貨店それから大規模の物品販売業のもの、さらには——地下街が抜けました、地下街が八二・八%。こういう、あるいはホテルの五割というところが問題の対象になり、またそういうところに火災等の場合の危険がきわめて憂慮されるということで政府は提案をされ、今日まで審議を求められてきたんだろうと私は理解するわけです。  そこでもう一つ、この点お伺いしたいんですが、これもすでにお話がありましたけれども、消防庁に来ていただいておりますので御発言を願いたいんですが、建築基準法令の防火避難規定の強化につきまして、建設省に消防庁として要望をしたことがあると思いますけれども、その内容はどうなってますか、これをお伺いしたい。
  86. 田中和夫

    政府委員(田中和夫君) 昭和四十七年の五月に千日デパートの火災がございまして、そういったようなことで、不特定多数の者が利用します施設について、たくさんの死傷者を伴う火災が発生するというようなことが人命安全対策の推進上からはなはだよろしくないということで、   〔委員長退席、理事沢田政治君着席〕 四十八年の九月に建設省に対しまして、防火区画あるいは避難施設等に関する規定を既存の建築物についても適用してほしい、あるいはキャバレー、バー等に関する規定を強化してほしいという安全対策についての必要だと思われます事項についての建築基準法令の改正方の要望をいたしております。
  87. 二宮文造

    ○二宮文造君 まず、順序どおりにお願いしましょうか。  ところで、きょうは梶山政務次官の特に御出席をお願いしているわけですが、政務次官は当時衆議院建設委員会の自民党の理事ないしは同委員会建築防災対策小委員会の小委員長でもあられた。今回の衆議院段階での審議の経過にはきわめて詳しいという立場でお伺いをいたしたいわけでありますけれども遡及適用の問題につきましては、もう申すまでもなく四十七年五月の大阪の千日デパートの火災、あるいは四十八年三月の済生会病院の火災、さらには同年十一月の熊本大洋デパートの火災、こういうものの経験を通じまして得た最大の教訓として、いわゆる遡及適用、これはもうどうしても必要だということであったと思うんですが、そういう数次にわたる火災、それから得た教訓、そしてそれに基づいて提案をされ、審議をされてて、衆議院における修正案の議決という、こういう経過をたどったわけですが、まず、いま私三つほど例を述べましたが、その教訓に基づいて消防庁等の要請もあった、で、遡及適用の問題が出てきたという、この教訓を政務次官としてはどのように受け取っておられたか、これをお伺いしたい。
  88. 梶山静六

    政府委員(梶山静六君) 確かに数次にわたる火災で、こういう火災が起きますと、人命に、大きな死傷者を出すということは教訓で明らかであります。そういう中で、世論の高まりとともに今回の建築基準法提案をされたという経緯は私もよく承知をいたしております。ただ、この遡及適用の削除について、率直に申しますと、やはり人命尊重という大前提に立てば、当然相当厳しいものでもやるべきであるという前提に立ってこの法案審議を行ったわけでありますが、一面、一つはこの法律案が完全に施行されるに当たっては、特に施設を持つ側、この間に多大な費用の負担をかけることは当然であります。そういう中で、過大ではないかという一つの意見。   〔理事沢田政治君退席、委員長着席〕  それからもう一つは、煙感知器やあるいは連動のシャッター等いまだに技術的に解明をされない部分が幾つかあると。そういう中で、長い二年余にわたる審議を重ねたわけでありますが、にわかに結論を出しがたい。そういう中から、日影その他の問題、これに関係のない部門をそれと同時並行的に延ばしておくことはどうかということもありまして、大変遅くなりましたけれども、この際問題点を一部保留をして、早急に、早い段階でむしろその結論を出したい。それ以外の分野についてはむしろ遅きに失したけれども、早く日影その他の問題の処理をするということで、分割をしましたというか、削除をいたしまして、衆議院建設委員会に小委員会をつくって、さらに精力的にその問題を詰めようということであったわけであります。
  89. 二宮文造

    ○二宮文造君 政務次官も御存じのように、またいま消防庁からもお話がありましたように、既存の建築物スプリンクラーなどの消防用設備の設置を義務づけることになりました消防法改正、これが四十九年の六月の一日に公布されたことは御承知のとおりです。また、その後の経過については、先般来余り進んでないというふうな実態の報告があったことも御承知のとおりであります。  ところで、このいわゆる遡及適用の対象になる建築物消防法改正による設備の設置、これを義務づけられる建物と、大体対象が似ていると、こう見なきゃならぬと思います。そうしますと、進まないと、いわゆる消防法改正に基づいて設備をしなきゃならないものがいま十分に進んでないということは、むしろこの際は消防用設備等の設置とあわせて防火避難施設に関する改修工事を行うことが、経費の点からも経済的かつ効果的だというふうな、むしろ消防法改正内容、防火避難というものを加味した方が対象建築物を持っている所有者にとっては踏ん切りがつくし、結果としてそれが人命救助というような問題にもつながってくるんじゃないかと思うんですが、この点どうでしょう。
  90. 梶山静六

    政府委員(梶山静六君) 確かに消防法改正によるスプリンクラーその他の設置義務等の施設と、それから建築基準法のいわば遡及適用部門、これが同時並行的に行われることは、受ける側としては一体化をされるわけでありますから、原則としてその方が望ましいことは、技術上は、あるいは経費の上からは明らかだと思います。ただ、先ほども述べましたように、やはり技術上の解明、それから過重負担ではないかという懸念、この二つを考えてみますと、確かに分割をすることによる弊害もありますけれども、合意をなかなか見ることができなかったという経緯があるわけであります。
  91. 二宮文造

    ○二宮文造君 衆議院における審議の経過を若干私も資料でいただいているわけでありますけれども、七十六国会の五十年十月二十九日ですか、それと七十七国会の五十一年五月十九日の二度にわたって、衆議院では理事懇談会の席上で関係業界、たとえば日本百貨店協会とか日本チェーンストア協会とか日本ショッピングセンター協会とか、あるいは全国地下商店会連合会の代表からそれぞれ陳情を聴取されたようでありますが、そこいらを概略的にその陳情の中身を御説明いただけませんか。
  92. 梶山静六

    政府委員(梶山静六君) 衆議院建設委員会では、理事懇談会の席上、御指摘のとおり二回にわたりまして関係業界からの陳情の聴取が行われたことは事実であります。  陳情の概要は、特殊建築物や地下街の防災対策は重要な問題であるが、何分改修工事には多大の費用を要するものである以上、その制限内容等については、技術的に見て問題点がなく、国民側の納得が得られるものでなければならない、それから建築基準法改正案により改修工事が義務づけられる防火避難施設については、スプリンクラーとの関係煙感知器の非火災報  火災が起こらなくてもベルが鳴ってしまう等、幾つかの問題点がございますので、この問題点が解明されるまでは改正法案中の遡及適用に関する措置はその成立を見送られたいというような趣旨の陳情がなされたわけであります。
  93. 二宮文造

    ○二宮文造君 同時に、建築物の安全性とか、あるいは防災を促進しまして利用者等の人命の安全を確保するという観点から、遡及適用規定の制定を早くしてもらいたいという立場全国市長会とか、あるいは全国建築審査会協議会とか、あるいは日本建築士会連合会、さらに十大都市建築住宅主管者会議、さらには日本特殊建築安全センター、こういうところから早期成立の要望が出されていたと思うんですが、そこいらの意見の聴取というものは衆議院ではなすったんでしょうか。
  94. 梶山静六

    政府委員(梶山静六君) 参考人意見聴取が一度ですか、それから現地視察その他に数度出ておりまして、その辺の状況はよく承知をいたしております。
  95. 二宮文造

    ○二宮文造君 それがちょっと、一方そういう建物、いわゆる遡及適用を受ける業界側の陳情は二回にわたって理事懇で丁寧に聴取をされたと。それからまた一方は、いろいろの部面から要望が出されていたけれども、それらの意見が余り理事懇談会とか、そういう一つのセットされた場所で聴取がされてないんじゃないかといわゆる憶測をする部面もあるということは、次官も御存じのとおりだろうと思うわけですけれども、結局、遡及適用規定の全面的な削除によりまして、既存の特殊建築物についてやっぱり問題が残ったわけです。その問題が残った。それがまた先日来のやりとりによりますと、特別立法ということでカバーをしたいというふうなお話でありますけれども、現時点としては確かにその危険性を解決する方向は示されてないわけですね。そういう点を修正案の提案者としての政務次官は、現在どういうふうにお考えになりますか。
  96. 梶山静六

    政府委員(梶山静六君) 提案者としての自民党の理事ということより、政務次官としてお答えをさしていただきたいと思います。  前半の理事会で業界の陳情を聞いたというのは、理事懇談会といういわば非公式な場で聞くことの方が業界の陳情というものはよろしいのではないか、それから公的な意見を堂々と聞く機会に、参考人その他の意見を正式な委員会で聞いた方がこれはむしろ権威があるものだというふうに私は理解をし、そのとおりにわれわれは参考人意見やそういうものを聞いたという経緯がございます。確かに御指摘のとおり、いわゆる遡及適用の部門が削除をされたことによりまして、現在人命上の損傷を起こすおそれが多分に残されているわけであります。確かに先ほど申しましたように、技術上の解明あるいは費用上の援護措置、そういうものを考慮に入れても、あとう限り早い機会にこの遡及適用の部門が両者相まってできますように、衆議院側においては小委員会を設置をして、今後精力的にお進めを願うことを期待をしておるわけであります。
  97. 二宮文造

    ○二宮文造君 それで、先ほど建設省に対して基準法改正の中にそういう避難あるいは防災という設備を早急に織り込んでもらいたいというふうに要望を出された消防庁側として、御承知のような衆議院段階で全面削除ということになったわけですが、これについて消防庁はどんな対策というか考え方を持っておられますか。
  98. 田中和夫

    政府委員(田中和夫君) 先ほど来お話がございますように、消防庁といたしましては、建築物の火災に対する安全性を確保するためにスプリンクラー等の消防用設備の設置を進めておるわけでございますが、同時に、建築物の防火区画や避難施設といったような有効な防災性能を満足するようなもの、そういったものがやはり同時に不可欠であるというふうに考えておるわけでございます。災害の拡大防止という観点からだけ考えれば建築基準法遡及適用がより望ましいというふうにいまでも考えておりますが、しかし、先ほど来政務次官等からお話がございましたように衆議院におきます経緯がありまして、いずれにいたしましても、私どもといたしましては安全性の確保について実効が上がり、かつ現実に可能な方策が早急にとられることを現在では希望いたしております。
  99. 二宮文造

    ○二宮文造君 いろいろな状態が加味されて衆議院で修正あるいは遡及適用の全面削除ということになったわけですけれども、評判はきわめて悪いことは御承知のとおりです。  たとえば、報道なんかを拾ってみますと、見出しだけですけれども、「安全より採算、業界団体法改正にブレーキ」、こういう見出しがついたり、「デパート防災、法改正骨抜き」、あるいは「骨抜き建築基準法改正案、人命よりカネ優先」、さらには「ビル火災対策、骨抜き」「削られたビル防災対策」「防災強化こそ企業の最低の責任」なんていうように非常に評判の悪い見出しがくっついているわけです。それなりに衆議院では非常に御苦労されて、もっと徹底をしたいという衆議院側の法案に取っ組む姿勢というものがこういう形で取り上げられているということはまことに私は残念なことだと思いますし、また先日来のやりとりで、特別立法を急ぎ、そして人命尊重という立場を貫くというふうなことでございますけれども、それまでの過程としまして現に危険性は存在するわけです。ですから、私はもっと住宅局長なりあるいは大臣の方から、衆議院には非常に申しわけないけれども、やっぱり政府原案をもう少し粘っこく当委員会でも御説明をいただき、そして当委員会判断を、政府の提出原案の立場に立って委員会判断を受けるというふうな姿勢があってしかるべきではなかったか、こう私は思うわけです。で、冒頭のようなやりとりになったわけです。  そこで、当面の行政指導というのがきわめて重要な問題になってまいります。現行基準法の第十条によりますと、保安上危険な建築物に対して改築などの保安上必要な措置をとることを命ずることができるようになっておりますけれども、こうした規定の積極的な活用、これを図っていくということは考慮の中にありますか。
  100. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 十条の規定には「著しく」というのがついておりまして、なかなか行政的に活用がむずかしい面があったわけでございますが、現在におきまして、そういうものにつきましても、必要なものについてはどしどし適用していきたいと考えております。
  101. 二宮文造

    ○二宮文造君 私はあえてそれとったわけですがね。じゃ、その著しくと著しくないという判断基準はどこに置かれますか。
  102. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) ただいまのところ、著しいの規定を内規としてどのように考えておるかということにつきましては直ちに御答弁できる用意がございません。しかしながら、たとえば工事中の使用禁止等につきまして従来非常に不明な点がございましたけれども、そういうものにつきまして、たとえば熊本の大洋デパート等の例がございますが、ああいうもの等につきましては九条なり十条なりの命令を大いに発揮していきたいと思っておるわけでございます。
  103. 二宮文造

    ○二宮文造君 ちょっと待ってください。熊本の大洋デパートは火災があってからああいう例がわかったわけですよね。それを、その例が、そういう火災、不幸な事故が起こる前にわかる方法をとる用意はありますか。
  104. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 現在、建築監視員というのを置きまして、まあパトロール等によりましてやっておるのが一つございます。それと春秋二回、何度も申し上げておりますけれども相当ねらいをつけまして消防当局とも一緒になりまして査察を行っております。その中で、現在ことしの査察につきましても集計中でございますけれども、特に問題があるもの等につきましてはそういうものを適用していけばよろしいと考えております。
  105. 二宮文造

    ○二宮文造君 これ以上どんなに言ってもイタチごっこになりますが、消防庁は危険性がもうごろごろしているということで建設省に要望をし、法改正にまで持ち込んだわけですね。そういう経過があったということを十分に踏まえて、監視員によるパトロールとか春秋二回のそういう対策とか、そういうものによって事足れりということではなくて、要するに建設省とすればこの遡及適用というものを一つの武器として持っていたわけでしょう。それが、その改正が先に延びたわけですから、その穴埋めをするためには、遡及適用に取っ組んだ姿勢、それ以上の姿勢で現状把握という、まあ著しいというその問題を把握するために、やっぱりその途中経過としても私はそれだけの努力をなさるべきだと、それで初めて建設省の人命尊重の姿勢が貫かれる。また、そうしてこそ初めて衆議院における修正の本意が生きてくるんじゃないかと。もしそれをやらなければ、かえってもう新聞報道なんかでたたかれっ放しで、衆議院が犠牲者になったまま時を待たなきゃならぬというようなことにもなると思うんで、これはもう私答弁求めませんが、格段の姿勢というものを強く要望しておきたい。  そこで、防災改修費が多額になるということが問題になってまいりましたけれども、どうでしょうか、任意の場合、要するに企業側あるいは所有者側で人命尊重という立場をうんと強く貫いて任意の立場で防災工事をやりたい、改修をやりたいという場合に、開銀融資の道を開くことも必要ではないかと思うんですが、大臣、これはどうでしょうか。法が改正されたらその道を開くという用意はあったわけですね。それが遡及適用がなくなったわけです。先に延びたわけです。しかし、所有者側の方で人命尊重の立場で防災改修工事をやりたい、こういう場合の開銀融資の道は私当然開いていいんじゃないかと思うんですが、この点どうですか。
  106. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) ただいままでのところ大蔵省と打ち合わせ、開銀と打ち合わせしております範囲では、消防法に基づき消防用設備を設置する工事にあわせて建築基準法第十条に基づく防火避難施設の工事を実施するものについては融資を行っていこうではないかと、これは全体の枠の中でやはり優先的にそういうものからやっていこうという趣旨であろうと思いますが、そこまでの話をいたしております。
  107. 二宮文造

    ○二宮文造君 それからもう一つ、本年度予算で特殊建築物等防災改修促進事業補助約五億円ですね、これが計上されておりますが、この使用法はどうなりますか。
  108. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 中身が二つございまして、特殊建築物等の台帳整備、これにつきまして約七千万の予算がございます。これは現在執行中でございます。防火避難施設の緊急整備の方で、これは改正法を実は予算の要求段階では予定をいたしまして、特殊建築物等の改修工事を行う者に対しまして補助を行う地方公共団体に対して国が補助するというシステムの予算を四億七千六百万ばかり準備をいたしているわけでございます。で、事務的な経緯で申しますと、これはどうも法案がもし通らなかった場合には、まあ不用になるというのが大蔵とわれわれの間の従来の態度でございましたけれども、先日も大臣からも検討を命ぜられております。したがいまして、これを実行するような都道府県等がございます場合には、執行できるように大蔵とも交渉してみたいと考えているわけでございます。
  109. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣、いま局長が言われましたが、そういう件について大蔵と詰める用意は大臣お持ちですね。
  110. 中馬辰猪

    ○国務大臣(中馬辰猪君) はい、さようでございます。
  111. 二宮文造

    ○二宮文造君 遡及適用の問題、まだまだ問題がございますけれども、次に日照の問題に入りたいと、こう思いますが、私ここでも冒頭にどうにも合点のいかぬことがあるわけです。  というのは、日照権とか日照紛争住宅局長答弁を聞いていても日照権日照紛争日照時間、こういうことがぽんぽん、いわゆる通用語として出てくるわけですね。また、建設省のいろいろな審議会とかそういうふうな中で審議されたその中にも日照という問題が出てまいりますけれども法案の中には突然日影規制と。日影規制ということで提案をしておきながら、答弁の方は日照日照日照と。どうしてこんな無理な用語の使い方をしなければならないのか。要するに、法律用語というのはきわめて一般国民には理解しにくいという従来からも非難がありますけれども日照という通俗の言葉を避けて、なぜ日影規制などというような日陰者のような言葉の使い方をしなきゃならないのか。私どうも一般の用語と比較してみてちょっと考え過ぎではないかと、こう思うんですが、どうでしょう。
  112. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 実は日照権というのがまだ確立された概念ではないということも前提でございますけれども、それを頭に置いて、まあ日照という字句をことさら避けたということではございません。現実の問題といたしまして、規制方法には既存建築物との相互関係によって左右されるような日照時間の確保というようなものが一つあります。新たに建てようとする個々の建築物に対する公法上の規制といたしましては、そういう場合の基準が非常に定めにくい。また、先に建築する方が後から建築するよりも有利となるような不公平があるというような議論がございまして、建築審議会の中の日照関係委員会の中で種々議論が行われました結果、結果といたしまして、日照時間方式よりも最も合理的かつ客観的な規制として、いわば公害の排出基準に当たるような、家を建てる者が自分の敷地から外へ影を出すことを規制する方が、より手法としていいじゃないかということで、こういうふうなことになったわけでございます。
  113. 二宮文造

    ○二宮文造君 ちょっと、私せっかく質問して答弁伺っていてほかのことをやっていましたのでちょっとわからなかったんですが、日照ということを使っちゃまずいんですか。日影規制という言葉にしなければまずいんですか。
  114. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 日影規制しました結果、隣地に日照確保されるという制度でございまして、たとえば隣地か空き家の——空き家といいますか広っぱの場合でも、今回は建てる建物の方に日影規制が働くわけでございます。いろんな意味から申しまして、建てる側の敷地境界線から外へ出す日影規制するというのが規制中身になっておりますので、そういう意味で今回は日影規制という言葉を使ったわけでございます。
  115. 二宮文造

    ○二宮文造君 ですから、いいですか、太陽があって、建物があって、日影があるんでしょう。そのもとの方の言葉を使えばいいのに、なぜこっちの方の結果の——結果というか、太陽があり、建物があり、日影ができる。こっちの方をとらなきゃいけないんでしょう。むしろ日照というものにやっぱり法律の焦点を当てる方が私はいいんじゃないか。これは日照ということにしちゃまずいんですか。どういう弊害が出てくるんですか。
  116. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) まあ表現の問題で弊害があるかないかという点は、私はないと思います。ただ、本当に規制内容が、実際問題といたしまして各建物が、実際に一日じゅうに動きます影の複合を見まして、その複合した影が自分の敷地の外に出してはいけないという規制内容はまさに日影規制でございます。したがいまして、建てる建物に対する規制といたしまして、日影規制という言葉が最も適当だと考えた次第でございます。
  117. 二宮文造

    ○二宮文造君 じゃあ、もう一つ私は国民立場から伺いますが、国民日照というものが理解しやすい。それをあえて日影規制という言葉に変えた、いわゆる親切な行政という立場からはどちらの用語がより好ましいと思われますか。日影規制という言葉の方が国民に対しては好ましいと、こういうふうに理解されますか。どうでしょう。
  118. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 今回新しくつくりました町づくりルールでございまして、結果としては、こういうことは人口に膾炙いたしまして、すぐ御理解いただけるものと思っております。
  119. 二宮文造

    ○二宮文造君 だから、堂々めぐりになりますがね、むずかしい言葉を使われましたね、人口に膾炙して——そんな努力必要ないじゃないですか。いますでに人口に膾炙されている用語を使えばいいじゃないですか。それを新しい言葉を使って、そしてそれをまたPRするという必要は私はない。何かここにやっぱり行政の姿勢というものが、私は何かお役人様の新造語というような、あるいはまたわれわれの理解しにくい、いわゆる専門家から見て抵触する部面、それをあえて御説明されませんから私も触れませんけれども、やっぱりそういう立場で言葉をつくってこられた。こういう姿勢は将来変えていただきたい。やはり通俗語を使うようなそういうふうな立法の立場をとっていただきたい、こう思うわけです。  ですから、あえて私は日影規制という言葉は使いません。人口に膾炙された言葉を私は使って御質問したいと思いますが、建築物が中高層化するに伴いまして、日照をめぐる紛争が大きな社会問題になってきたのは御承知のとおり、裁判にもエスカレートしておりますが、そこでまずここ数年の日照紛争件数を御報告いただきたい。
  120. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 昭和四十六年以降、地方公共団体におきます建築行政担当部課、市民相談室、または公害担当部課等で受けました苦情相談件数は、電話によるものもございますので、軽微なものは除いて報告を受けておりますが、四十六年が九百九十六件、それから四十七年が三千二百二十五件、四十八年が六千八百六十八件、四十九年が一番多うございまして一万一千八百九十三件、五十年にはちょっと減りまして八千百五件というような状況でございます。そのうち裁判まで持ち込まれましたものの数も四十六年が十件、四十七年が二十二件、四十八年が二十五件、四十九年が十九件、五十年が二件というふうに報告を受けております。
  121. 二宮文造

    ○二宮文造君 御承知のように、日が当たるとか当たらないとかという問題は、法律やいわゆる行政制度の枠をはるかに超えてしまいまして、一たび日照を奪われたという生活がいかに悲惨なものか、そういう実情を知らないでわれわれはこれを問題にするわけにはいかないわけですが、これまた新聞報道等で私どもが承知しているその日照を奪われた被害者の切々たる叫びは、いろいろな言われ方しておりますけども、たとえば、家の中にいるといらいらする、テレビできょうはよいお天気でなどとせりふを聞くと、何とも言えない情けない気持ちになるとか、あるいは、昼間の部屋の電気の光がたまらなくいやになる、あるいは、ひなたや日だまりが無性に恋しい、こういうように言っている人がいるかと思いますと、外から部屋に入るときは冷蔵庫の中に入るような感じだ、押し入れや食器だなは冬でもカビが粉をふいたようになっている、さらにはまた、一年のうち半分以上も家族のだれか必ずかぜを引く、あるいは騒音が目の前のマンションの壁に反響してうるさい、布団も干せなくなり、マンション居住者の布団のたたく音を聞くと腹がたつ、こういう切々たる訴えがあるわけです。まだありますよ。家じゅう互いに口もきかなくなった、物を言えば言い合いになる、不愉快だ、不健康、血圧も上がった、こういう人もいます。あるいは、毎日が穴蔵の生活で寒い、その寒さは冬の寒さとは全く異質な感じだ、さらには冷え症が高じて流産してしまった、こういうふうな日照を奪われた人たちの叫びがあるわけです。  大臣はこうした被害者の生の声、これをどのように受けとめておられるか。結論からいって、なすりつけて大変恐縮なんですけれども、ここまで日照被害を拡大さしてしまったという行政の責任はやはり建設行政の貧困にあったと、こう指摘する者もおりますけれども、この点、大臣はどうお考えになりますか。
  122. 中馬辰猪

    ○国務大臣(中馬辰猪君) これは建設行政の貧困というのではなくて、高度経済成長で猛烈に突っ走ったということで、社会全体の無理があったと、こう考えております。
  123. 二宮文造

    ○二宮文造君 その言わんとすることはわかりますけども、やはり私は、大臣自分の持ち場を守るお気持ちはわかりますけれども、そのために私はそういう被害者の声を時間をいただいて並べたわけです。ですから、不備にあった、建設行政のやっぱり貧困にあったというふうな反省とか理解とか、そこに責任が出るとかなんとか賠償が出るとかいうことじゃなくて、やっぱりそういう人たちにこたえるべき大臣の姿勢というのはあって私はよろしいんじゃないか。高度経済成長政策がこうなりました、じゃ、それを進めた政権担当の政党はどこだと、こういうような議論になってくるわけです。この点いかがでしょう。
  124. 中馬辰猪

    ○国務大臣(中馬辰猪君) 物には両面がありまして、高度経済で雇用政策も増大されたし給与も上がったし、いい点も確かにあったわけです。しかし、そのために行き過ぎた点がありましたから、こういう住宅その他の弊害も出てきた、こう考えております。それをいまからどういうふうにして是正していくかというのが私どもの大きな責任であろうというふうに考えております。
  125. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣が言わんとする、それらの被害者の方々は非常にかわいそうだ、気の毒だ、だからこれからの建設行政でそれをカバーしていく、こういうお言葉、口の中で声なき声としてあった、こういうふうに私は理解します。  それで、日照という権利について学界でも種々論議があることは承知のどおりであります。たとえば憲法第二十九条の財産権を主たる論拠とする物権的な請求権説、あるいは憲法第十三条、第二十五条などを論拠とします人格権的な請求権説、その他多くの学説があると聞いております。私も余りよくわかりません。しかし、建設省としては今回のその改正に当たりまして、この日照という権利性格をどのようにとらえて法改正提案をされたか、これを伺いたい。
  126. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 国民の皆さんが良好な居住環境のもとで生活することができるように各種の施策を講ずるということは、われわれに課された重大な責任であると思っております。そのために日照確保もまたきわめて重要な問題であると考えまして、日照の問題の勉強を始めております。ところで、いわゆる日照権につきましては、いま先生もおっしゃいましたように学界等におきましても種々の論議がなされております。それで、その概念は必ずしもまだ明確なものになっておりません。日照権確立は、われわれといたしましては、今後の判例積み重ねによって、相隣権的なものとして内容積み重ねられていくものだというふうに思っております。したがいまして、今回の改正案市街地におきます日照確保及び健全な市街地を形成するためのルール確立ということが現下の急務であるということから、公法的規制によってこれに対処しようということでございまして、いわゆる日照権というものがこういうものだと、したがって、これはこういう前提であるからこういうふうにするんだというふうな、日照権の存在を前提として今回の案を提案したというものではございません。
  127. 二宮文造

    ○二宮文造君 先ほどの同僚沢田委員質問で、日照の問題に対処するための地方公共団体で条例あるいは指導要綱、こういうものを制定をしている。その云々のことについては先ほどやりとりがございましたので、それを受けまして、たとえばこの改正案が成立した場合に、いま制定されております条例とか指導要綱の取り扱いは一体どうなるのか。また、改正案に抵触する点が出てくるとすれば、どういう点が抵触することになるんだろうか。この点をお伺いしたいと思うんです。
  128. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 本改正案は、日照につきまして、建築する側も、その影響を受ける住民の側も、両方を考えまして、社会的な合意を得られる健全なルールを定めていただくという趣旨のものでございます。これによりまして日影規制につきまして法律上の根拠ができることになりますので、日照保護のための条例はそれと重なる限り当然その有効性を失うということになると思います。また、要綱についてもその存在理由がなくなりまして、日照に関する限りはこれを存置する必要はなくなるものだとわれわれは考えております。  改正案の施行により問題となるものとしましては、たとえて申しますと、一応の基準が今度法案で決まりますのに、さらに住民同意制等を採用するかどうかと、商業地域や工業地域内にある建築物について規制しているものがあるが、これをどう考えるか等の問題がございます。これらの規制内容について考えてみますと、いわゆる建築確認を、これに従わなければ建築確認を行わないというような法的手続とリンクをするようなものがあります場合には、これはやっぱりどうも適当でないと考えますけれども建築確認とリンクをしないであくまで行政指導の範囲内で行っているというものであれば、それを直ちに違法と言えないというふうにわれわれただいま考えておる次第でございます。
  129. 二宮文造

    ○二宮文造君 いま局長が言われた条例とか指導要綱の中で住民同意制、これを盛り込んでいるところがあるわけですが、改正案にはそれはないわけですね。そうすると、これはどうなりましょうか。
  130. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 今回はあくまで社会的合意を得る公法的な規制ということでルールづくりをするということでございます。したがいまして、公法上のルール確立されますと、そういうものの場合に、やはり住民同意というようなことはなじまないんではないかということで、削除といいますか法案の中に入れていないものでございます。
  131. 二宮文造

    ○二宮文造君 だから、その条例等ではそうなっている、指導要綱ではそうなっている、改正案ではなじまないというので、それが入ってない。すると、この場合はむしろ条例の方が先行していますね、住民の気持ちには。だけど、本法の方には入ってませんね。すると、この条例と本法との力の関係というのはどうなりますか。
  132. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) わが国憲法では財産権を保障するとともに、その内容は公共の福祉に適合するように法律で定めると書いてございます。と同時に、地方自治法の中にも、地方公共団体が条例を制定できるものにつきまして列挙いたしておりますが、その中にも建築物制限をする場合、それからいろんな費用の負担を求める場合等につきましては、法律の定めるところにより条例を定めることができるというふうになっております。今回は公法的ルール住居系地域のところにつきましては確立するわけでございますので、法律が優先するというふうに考えるわけでございます。
  133. 二宮文造

    ○二宮文造君 そこにもまた、あれですね、地方公共団体は条例をあれして、それに基づいて住民がいわゆる日照権確保したいということでその条例の制定を望んだ、で、採択をされたと。それが今度は本法に入ってないということで、せっかくの住民の意思がここで葬り去られるわけですね。たとえば今度は建築計画の事前公開とか、事前説明とか、事前協議とか、そういうものを義務づけている条例、指導要綱というのもあるように聞いておりますけれども、これらもやはり同じように、この住民同意制というものと同じ範疇で処理されてしまいますか。要するに、法の中には盛られてないから、法律が優先するという立場で効力がなくなってしまうと、こういうふうになりますか。
  134. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 先ほど申し上げましたように、そういうふうな条例もしくは要綱で定めておりますものが、それがなければ確認をしない、許可をしないというふうな法律的行為と連動するのであればどうも問題だと考えておるわけでございます。特にただいまの事前公開制等につきましては、建築基準法でもすでに確認申請書に関する図書の閲覧の規定がございます。工事現場における確認の表示、設計図書の備えつけの義務に関する規定等がございまして、そういうもので当分の間皆さん方がそういうことに対しての周知徹底が図れるとわれわれは現在考えておるわけでございますが、本改正案によりまして関係住民の日照の保護を目的とした社会的な合意が得られるということでございますと、客観的な基準によって建築行為が規制され、合理的かつ妥当な財産権の行使が担保されるということが必要だと思いますので、これらの現行法の措置のほかに、さらに御指摘のような措置法律上求める必要はないという判断をしたわけでございます。ただ、建築計画の内容等をめぐる事前の関係住民と建築主等との接触は今後とも——現地で行っておりますように、社会的な儀礼的な説明会、ごあいさつ等は行われることは今後もあり得るというように考えておる次第でございます。
  135. 二宮文造

    ○二宮文造君 専門家の局長が、用意された答弁要旨を流暢に御発言されますと、私どもちょっと聞いていてよくわからないですよ。もう少し抑揚をつけて答弁してください、わかるようにですね。ただ答えればいいと、朗読すればいいというのでなくして、質問者にわかるように、ひとつ納得のいくような御説明をもう一遍していただけませんか。
  136. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) まあ建築基準法の中には、すでにそういうふうな住民の皆さんに対する事前公開的なものについては規定がすでにあると考えておるわけでございます。したがいまして、今度公法的ルールを決めたときに、さらにこれを追加することは意味がないと考えた次第でございます。
  137. 二宮文造

    ○二宮文造君 それじゃ事前公開とか、後段に言いましたこの問題については、指導要綱とか条例で救済ができる。いわゆる……首振られると困るのです。先にやられると、あと言葉を継げなくなるから……。事前公開とか、事前説明とか、事前協議とか、こういうものを要綱とか条例の中に入れていても、結局やっぱり前の住民同意制と同じ取り扱いになると、こういうことですか。
  138. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) だから、それをやっていなければ確認してやらないぞ、許可しないぞというふうな法的制度とのリンクがある場合は問題だと申し上げておるわけでございます。
  139. 二宮文造

    ○二宮文造君 ですけれども、お話を伺っていて、要するに、なぜ指導要綱とか、地方公共団体のですよ、指導要綱とか条例とかいうものがなぜ出てきたかと。これはやっぱり既存の法律に欠陥や、いわば時宜に適しないそういうものがあるために、地方公共団体はそれを補助するものと、こういうものとして生まれたもので、まあいわば現在の社会に生まれてきた矛盾ですね。それを何とか解決しようという姿勢が条例とか指導要綱という形になってきたと私理解するんです。したがって、その条例とか指導要綱が生きた法としてですね、町づくりに果たした役割りというのは大きいんじゃないかと。しかもその住民同意制や事前公開や事前説明、事前協議、これはもうすでに慣習法として大体定着しているように私は理解します。そういうことで、やはりこれらのことぐらいは改正案の中に盛り込むべきではなかっただろうか、こう思うんですが、大臣、この点はどうでしょう、答弁になじみませんか。
  140. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 地方公共団体の条例とか要綱が、国の方がまだ法が定めないという間に、その空白を埋めるものとして役割りを果たしたことは十分に評価できるとわれわれは思っております。しかし、今回こういうふうな町づくりルールを決めるわけでございますので、その範囲においてやはり眠るという部分があっても仕方がないと考えております。それから、おっしゃいましたように、方々にそういうものがございますけれども内容を見ますと著しくバラエティーがございます。まだまだ慣習法として確立されているというところまでいっていないんじゃないかというのがわれわれの考えでございます。
  141. 二宮文造

    ○二宮文造君 いや、私はやっぱりそういうふうな理解を持って臨むべきではないだろうかと、こう思います。  それで、ところでこの改正案が公布された場合ですね、現在裁判所で係争中の日照紛争、これは一体どういう影響が予想されましょうか。特に建築工事の差しとめ請求を求めている事案について悪影響が出ると、こういうふうな意見もあるようなんですが、建設省はどう考えますか。
  142. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 今回の日影規制基準につきましては、公法上の規制基準としてルールを決めるものでございます。したがいまして、直接に私人の間の日照紛争に関します裁判上の規範を成立しようというふうな目的を持ったものではございません。しかしながら、この基準がまあ住宅地におきます日照享受の実態を前提に考えたルールであるということからいたしまして、特に社会的な合意が得られるということで、法案として定められることになりますと、やはり司法的な解決に関しましても重要な判断資料の一つになるということは十分予測されるところでございます。日影——先生はおきらいでございますが、日影規制基準がまあ司法的な解決に関しまして判断資料の一つにされるというふうにわれわれは思うわけでございますが、この基準は公法的な立場といたしましてはあくまで最低の基準でございます。私法上の個々の権利の衝突を調整するための私法規範とは異なりまして、それはやはり裁判所におきまして、個々具体のケースで十分判断をされていくだろうというふうに思うわけでございます。
  143. 二宮文造

    ○二宮文造君 先ほど沢田委員の御質疑の中にも、いわゆる住居系地域、それと商業地域とか工業地域を除外していると、こういうことについて云々の問題がございましたけれども、ここ数年の日照阻害の原因となりました建築物の敷地の用途別の判例の結果というのはどうなってましょうか。
  144. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 一種住専におきまして六件、二種住専におきまして十一件、住居地域が二十八件、近隣商業が七件、商業地域が二十一件、準工業が二件、それから無指定地域が三件、計七十八件というのが最近の判例の出ました分析でございます。
  145. 二宮文造

    ○二宮文造君 いまもその数字が示しておりますけれども日本の住居とそれから商店、あるいは住宅と中小工場、これが混合密集しているという都市現状を考えましたときに、やはりこの商業地域だとかあるいは工業地域、こういうものに法的な保護を一切与えない、こういうやり方は先ほども商業地域で二十二件という御報告がございましたけれども、その判例の結果に抵触するばかりでなくて、地方公共団体が独自で制定した条例や要綱よりも後退をする、こういうことになりやしないかと思うのですが、この点はどうでしょう。
  146. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 先ほど申し上げました判例結果の中でも、全体のうちで今回規定の対象といたします一種住専、二種住専、それから住居、近隣商業、準工業等につきましては判例が五十四でございまして、全体の約七割を占めております。それ以外のところにも確かに判例があるわけでございますけれども、けさほど来申し上げましたとおり、今回は住居系の住居の安寧を維持すべきところとして定められました地域におきまして公法的介入を行おうというものでございまして、その他の地域につきましては、やはり当分の間は、そういうふうなものによります地方公共団体の行政指導並びに裁判所の判例等の確立を待っていきたいというのが現在の姿勢でございます。
  147. 二宮文造

    ○二宮文造君 では、具体的にちょっと伺いますけれども、その商業地域あるいは工業地域内の建築物によって、いいですか、商業地域または工業地域内の建築物によって住居系地域、近隣商業地域あるいは準工業地域に影を落とす場合ですね、これはその場合の規制はどうなりますか。
  148. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) いまお話しの線につきましては、提出いたしております法案の五十六条の二第四項というところに決めておりまして、「対象区域外にある高さが十メートルを超える建築物で、冬至日において、対象区域内の土地日影を生じさせるものは、当該対象区域内にある建築物とみなして、第一項の規定適用する。」ということを定めております。
  149. 二宮文造

    ○二宮文造君 先ほど来の答弁で一番よくわかった答弁でございます。  ちょっとここで関連して、その用途地域の指定外の問題についてお伺いしたいのです。時間もありませんので、通告してございますから前段の説明をやめにしまして、先ごろ宇都宮地裁で、住居地域から準工業地域への指定がえをめぐりまして、全国で初めて用途地域の指定取り消しの判決が宇都宮地裁から出ました。この訴訟の経過とか、あるいは原告住民の主張、あるいは被告である県の主張、さらにその後の経過、時間もありませんから簡潔にこの経過を御報告願いたい。
  150. 中村清

    政府委員(中村清君) お答え申し上げます。  経過でございますが、まず当該地域につきましては、昭和四十一年の三月三十一日に旧都市計画法によりまして住居地域として指定をされております。それから四十八年の一月五日に当該地域を今度は準工業地域に指定がえをしております。その指定がえに不服があるということで、四十八年の四月四日に用途地域の指定処分取り消し訴訟が起こされまして、五十年の十月十四日に宇都宮地裁で判決がございまして、準工業地域への指定がえの処分を取り消すという判決が出ております。十四日にそういう判決がございましたが、十月の二十三日に被告の栃木県知事から控訴を提起いたしまして現在に至っております。  経過はそういうことでございますが、少し長くなりますが、お時間をちょうだいしまして……
  151. 二宮文造

    ○二宮文造君 よろしいです。
  152. 中村清

    政府委員(中村清君) 原告の主張と、それから被告の主張の要旨を申し上げたいと思います。  まず原告、これは地元の住民の方でございますが、主張は大体三点ございます。  第一点は、本件地域はもっぱらいままで住宅地として発展してきた。したがって、準工業地域としてよりはむしろ住居系地域として指定がされるべき地域であるということでございます。第二点は、旧都市計画法による住居地域の指定によりまして原告の方々が良好な住環境を享受しておったと、にもかかわらず、本件の指定によって生活環境の破壊が差し迫ったものになった。これが第二点でございます。第三点は、被告の栃木県知事、これは恣意的に本件の都市計画決定をしたということで、裁量権の範囲を超えている、あるいは裁量権の乱用があったと言うべきであって、したがって本件指定は違法な行政処分であるというのが原告の主張でございます。  次に、被告栃木県知事の主張でございますが、大体三点でございます。  第一点は、本件指定は一般処分であって抗告訴訟の対象にはならないと。それから第二点でございますが、住環境の破壊は将来の可能性にすぎないと。さらに、本件指定の取り消しによりましてこの地域は無指定地域になると。いわゆる用途地域が何もなくなるという地域になってしまう。そういうことで現在よりも不利な状態になるということからも原告らは訴えの利益を有しない、当事者適格を欠いておるというのが第二点でございます。それから第三点といたしましては、本件地域が宅地化をしておるということはこれは認めますと。しかしながら、栃木県知事としましては、東北自動車道の栃木インターが近くにできたということから、インター周辺の土地利用を考えまして準工業地域として指定をしたというものでございまして、決して恣意的にしたものではない。なお、栃木市に対して——これは栃木市の問題でございますが、栃木市に対して特別業務地区をあわせて指定することによりまして合理的な土地利用を図るよう指導しておりましたが、たまたま訴訟が起こったということで、しばらくそういうことを見合わせておると。以上の三点を主張いたしまして、第一義的には請求の却下、それから予備的に請求の棄却の判決を求めるという主張をしたわけでございますが、先ほど申し上げましたように、十月の十四日に第一審の判決がございまして、住居地域から準工地域への指定の処分を取り消すという判決が出まして、それについて栃木県知事が控訴をしたという次第でございます。
  153. 二宮文造

    ○二宮文造君 それで建設省は、これは私の言うのは時間がないから言い方がきついかもわかりません。言い方がきついかもわかりませんが、結論するとこういうことになるんじゃないかというので私取りまとめて申しますが、住民の訴えがまかり通っては今後の都市計画に影響が甚大だ、こういうふうなことで、地域環境を保全しようとする住民と真っ正面から対決して、県を全面支援していると、こういうふうに私耳にはさんでいるんですが、こういう建設省の姿勢ですか。
  154. 中村清

    政府委員(中村清君) 先ほど申し上げましたように、本件の第一審判決の趣旨につきましては、実は用途地域に関します都市計画の設定の方法について私どもの基本的考え方がございますが、第一審の判決は実はそれと必ずしも相入れない。したがいまして、この状態をこのまま放置いたしますと、今後都市計画行政を進める上で支障が出てくるんではないか、こういう懸念がございますので控訴に及んだ次第でございます。  なお、本件の場合に、地元の方が周囲の環境が悪くなるというふうなお話がございましたので、これにつきましては先ほどの御答弁でもお答えをいたしましたが、当初の方針どおりことしの三月一日に、準工地域、これが基本的な用途でございますが、その上に重ねまして特別業務地区の指定をしました。業務地区の内容につきましては、特別業務地区条例という条例を制定いたしまして、この条例の中身で、工場とかそういうものは近くに建たないとか、あるいはバーとかキャバレーとか風俗営業的なものは近くに建たないということによって住環境を保全すると、こういった措置を講じておる次第でございます。
  155. 二宮文造

    ○二宮文造君 これはもっと根が深いんです。要するに、本件の問題になっている地域は御承知のように県道栃木−藤岡線のバイパスがついたわけです、バイパスがついた。そしてバイパスがつき、それまでは、そのバイパスの用地の買収のときには、県の姿勢としては住居地域に指定しますと、将来。こういうふうにいわゆるその地域環境というものをよく了解した上で用地買収をやっているわけですね。そして四十八年の一月に都市計画を決定してやったわけですね。用途地域を準工業地域にしたわけですが、四十六年に市内にある、ある自動車会社が工場を設置しようとした。いいですか。しかもそれはバイパスのルートに、どういうふうに情報をつかんでそこに建てようとされたのかどうか、とにかくバイパスができたその道端に工場を設置しようとした。まあきわめてタイミングのいい工場設置を考えたようです。で、何か聞いたところによると、その方はもと公職にあった方だそうですが、代表者の方がですね。で、その建設を計画をしたわけですね。で、地元の住民が、住居地域で工場の建設は認められない、こういうふうに地元でやったものですから、県知事が工場建設を特別許可した。こういう経緯があるわけです。四十六年十二月。それで、四十七年の一月にその自動車会社は、修理工場は、工場の建築確認申請を出した。ところが、こういう訴訟とかなんとかという問題になってまいりまして、それで結局いまのところは、四十八年の五月に住民が工場の建築確認の取り消しの審査請求申し立てをしましたので、四十八年十二月にその自動車修理工場は確認申請を取り下げて工場計画を中止して今日に及んでおります。こういうところから恣意的にやったのではないかというふうな議論も出たのではないかと私は仄聞するわけですが、その計画案が縦覧された、要するに都市計画の案が住民の縦覧に供せられた後、住民の方から提出された意見書が百二十通、うち九十六通は準工業地域への指定がえに反対であると。しかも県も市もちゃんとした説得もしなかった、審議会も形だけで地元も見にこない、書類と図面だけで決めてしまった、こういうふうにこの手続の経過があったと聞いております。  こういうふうな、いわゆる環境が住民側から言わせますと破壊されるおそれがあると、こういう心配を持っている住民の意向を全く無視したやり方はちょっと私ども理解できないんですが、その県の立場建設省か全面的に支援する——その後の訴訟の、裁判の対応の姿勢を見ますと、全面的に支援しているようなかっこうに私は承知するわけですが、そういう態度を建設省がおとりになることはよろしくないと思うんですが、この点どうでしょうか。そういう経過も踏まえ、裁判の判決も踏まえ、住民の気持ちも踏まえて、なおかつ県の立場を支持されますか。
  156. 中村清

    政府委員(中村清君) 都市計画の決定あるいは変更につきましては、できるだけ地元の住民の皆さん方の意見を尊重してつくるようにということで、計画法上いろいろな手続がございます。本件の場合、先ほど御指摘がございました審議会でも十分審議がされなかったんじゃないかというお話もございましたですが、本件につきまして栃木県知事が控訴した理由につきましては先ほど申し上げたような事情でございます。  そこで、いま審議会のお話が出ましたが、住民の方々から約百二十通ほどの意見書が出てまいりまして、そのうち九十六通ほどが準工の指定についての反対であるというふうな御意見であったということも承っております。都市計画の決定につきましては当然都市計画地方審議会にかけなければいけないわけでございますが、審議会にかけます際に、出てまいりました意見書の要旨ももちろん審議会にかけて、こういう御意見が出ておりますということでお話を申し上げて、その上で準工地域の指定をしたというふうに私どもは承っておる次第でございます。先ほど申し上げましたように、第一審判決の趣旨が必ずしも用途地域の設定に関する都市計画についての基本的考え方とは相入れないものがございますので、私どもとしましては、栃木県知事  これは都市計画行政全般の今後の進展にも絡む問題でございますので、控訴審でできるだけわれわれの主張が理解を得られるように努めたいというふうに考えております。
  157. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣、私要望しておきますが、いわゆる手続的な問題として建設省側はこの問題をとらえているわけです。私は、実態の上から住民の意向というものを無視できないではないか。しかもそういう住民が原告として訴訟を提起したその立場が、一審とは言いながら宇都宮の地裁で採択をされまして、指定は取り消せと、こういうふうに判決が出ているわけですから、手続云々とかなんとか、そういうことをしたら指定の取り消しの要請があちこちに出てくるというようなことではなくて、問題の所在は、住民の意思を無視してこういうことが行われていたというところに重点を置いて、これはやはり建設省としても、住民の立場に立った問題のとらえ方というものの一応側面を持ってよろしいのではないかと、こう思うのですが、この点大臣に要望して、改めて問題をもうひとつ調査を命じていただきたい、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  158. 中馬辰猪

    ○国務大臣(中馬辰猪君) 建設省としては、一たん決めたから何が何でも耳を傾けないというのではなくて、十分調査した結果決めて、大体いける、理解が得られると、こう思っておったところが、裁判があったわけでございますが、一審でございますから、しばらく様子を見てこの間方針をひとつ決めたいと、こういうふうに考えております。
  159. 二宮文造

    ○二宮文造君 それは大臣就任以前の問題なんです。就任以前からの経過なんです、建設省の。私は、この問題をとらえてみて、住民の立場というものに耳をかすべきではないかと、こういうふうな気持ちがしてなりませんので、従来の経過は経過として、また大臣も就任されたわけですから、改めてこの問題はどうか、この問題の本質というものを大臣のお立場として調査をし、理解をして、住民の立場というものに耳をかしていただく、そういう用意があるかどうかということを伺いたいわけです。
  160. 中馬辰猪

    ○国務大臣(中馬辰猪君) 行政というものは、法律と実態と両方マッチしないとうまくいかないことは当然であります。役所としては控訴審に持ち込んでいるわけですから、これはこれとして残しながら、中身については検討さしてください。
  161. 二宮文造

    ○二宮文造君 それで、本論に戻りますけれども、従来の公害相談室やあるいは課ですね、そういうものから独立をさせて、たとえば日照相談室——局長に言わすと日影規制相談室となりましょうか、日照相談室や課、あるいは日照紛争等のあっせん機関を設けている地方公共団体がふえてきておりますけれども、こうした地方公共団体は現在どのぐらいありましょうか。
  162. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 昭和五十一年の九月末現在でわれわれが承知いたしましたところでは、日照相談室等の建築物に係る環境阻害に関する窓口を持っている地方公共団体が三ございます。また、紛争調整委員等の日照紛争等に関するあっせん機関を設けております地方公共団体の数は四十八でございます。
  163. 二宮文造

    ○二宮文造君 そこで、四十七年十月十一日の「日照問題に関する対策についての中間報告」によりますと、日照紛争等のあっせん等に関する措置について提言をしておりますが、なぜ今回の法改正に当たってこれを盛り込まなかったのか。提言がされたそれを今回の改正には盛り込まなかった理由、これをお伺いしたい。
  164. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 今回の法改正が施行されました際にも日照に関する紛争が後を絶つというふうには考えておりません。しかしながら、その場合に発生しますと想定されます紛争は、本法によります日影規制基準に適合する建築物でなお起こる紛争ということになります。建築基準法は、建築物法律最低限度基準を定めるという法律でございますので、したがって、いま申し上げましたようにその基準以上の要求が起こる場合もございます。そういう場合のことまでを法律の中に取り入れることはこの際どうかと考えて一応は外してございます。しかしながら、こういうふうな調停につきまして、先ほども御報告しましたとおり、地方公共団体でもそういうあっせんに努めておりますが、今後もわれわれはそういうことは必要だと思いますので、行政指導という面におきましては十分努めてまいりたいと思っている次第でございます。
  165. 二宮文造

    ○二宮文造君 おっしゃるとおり、こうした機関の設置は、日照紛争の解決をする上で非常に必要不可欠な機関だと、こういうふうに私どもも考えますし、またそのために必要とする経費については、これは当然地方交付税の基準財政需要額に従来の公害費と分けて算入をするようにすべきだと思うのですけれども、恐らく建設省はそういうことで方針を進めていかれるとは思いますけれども、その点、大臣どうでしょうか。
  166. 中馬辰猪

    ○国務大臣(中馬辰猪君) ごもっともな御要求でありますから、その方向で検討いたします。
  167. 二宮文造

    ○二宮文造君 自治省の方で、大変お待たせしましたが、今後の方針をちょっとお伺いしたいのです。
  168. 今井実

    説明員(今井実君) 先生御承知のとおり、普通交付税の考え方は、全国の地方団体に共通する普遍的な事務をとらえまして、これに要する経費を基準財政需要額に算入していくというたてまえでございます。  ただいまの日照紛争処理委員会等のあっせん機関に要する経費でございますが、建設省のお調べによりますと、現在東京都の二十三区を含めまして四十八団体にすぎません。このうち普通交付税の交付を受けております団体が半分の二十四でございます。残りの二十四の団体は交付税の交付対象団体ではございません。したがいまして、交付税の措置の改善を図る場合にも、その影響を現実に受けますのはわずか二十四団体というふうなのが現実でございます。したがいまして、普通交付税の一般的な性格からしまして、いま直ちにこれを取り入れるというのがきわめて困難であろうかというふうに考えざるを得ないと思います。
  169. 二宮文造

    ○二宮文造君 だから、現在のことじゃなくて、そういう方向に出てくるわけですから、将来の方向としては当然検討しなければならぬ問題だろうと、その方針を伺っているわけです。
  170. 今井実

    説明員(今井実君) 現状はいま申し上げたとおりでございますが、先生御指摘のとおり、将来これは好ましいことではないでしょうけれども紛争の発生件数等が増加し、この処理機関も法定されるというふうな時期にまいりますれば、当然これは交付税においても対応した措置をするということになろうと思います。
  171. 二宮文造

    ○二宮文造君 そこで、次にちょっと具体的な問題で伺いたいのですが、公共機関による日照権買い上げ補償基準についてお伺いをしたいわけですが、実は五十一年二月二十三日の日付で、建設事務次官名で「公共施設の設置に起因する日陰により生ずる損害等に係る費用負担について」、こういうふうな通達が出されておりますけれども、この趣旨を概略御説明いただきたい。
  172. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 先ほど来御議論になっております日照阻害の問題は、公共施設の設置に伴いましても同じような現象が起きているわけでございます。一番重要なことは、公共施設の計画面からこれに対応するのが一番よろしいわけでございますけれども、施設の立地上やはり日影の発生というものは避けがたいものがあるわけでございまして、公共事業の用地取得、あるいはこれに伴いますところの損失補償事務を円滑迅速に行うという趣旨で、先ほど述べられましたように、五十一年の二月二十三日に事務次官通達でその処理方針を定めて流したわけでございます。  その概要と言いますのは、公共施設の設置によりまして、住宅地等における住宅の居住者に一定の限度を超えますところの日影による損害が生じたと認められる場合におきまして、当該公共施設の工事完了の日から一年を経過した日までに申し出た当該居住者に対しまして、損害等を軽減するために必要な暖房とかあるいは照明等の費用を起業者において負担することができるということを内容とするものでございます。
  173. 二宮文造

    ○二宮文造君 それで、この通達を出しているのは建設省だけなんですが、他の省庁が所管するものにもこの通達というのは生きるものでしょうか。公共施設ということで「公共施設の設置に起因する」と、こういうふうなくくり文句になっておりますから、出したのは建設事務次官ですけれども、他の省庁の所管するものにもこれは通達が生きるのかどうなのか、この辺の理解はどうでしょう。
  174. 大富宏

    政府委員(大富宏君) お答えいたします。  この通達は、先ほど述べましたように、建設省の事務次官が直轄の所管の公共事業に係る日照阻害の問題に関する処理方針として流したものでございますので、直接この通達を施行いたしますのは地方建設局及び沖繩、北海道の開発局でございますけれども、同時に都道府県及び公団——建設省所管の公団にもこの通達を送付いたしまして、扱いは右に準ずるようにということをいたしたわけでございますが、御指摘の他省庁という場合が問題でございますが、実はこういう公共事業の施行に関係する諸官庁が集まりまして、任意団体でございますけれども中央用地対策連絡協議会というものをつくってございます。ここで、この協議会の申し合わせといたしまして、先ほど述べましたように、建設省の事務次官通達とほぼ同じような内容のものを総会申し合わせで五十一年の七月につくっておりますので、この建設省の事務次官通達が他省庁にそのまま適用になるわけじゃございませんけれども、この連絡協議会の申し合わせによりまして他省庁でも同じようなことが実施されるものと思っております。
  175. 二宮文造

    ○二宮文造君 それはそうでなければ私はならないと思うわけですね。公共施設ということでくくっているわけですから、他の省庁も当然これを参照にしてやるべきだと私は思いますが、ところでこの通達で予定している「公共施設」というのは何でしょう。
  176. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 道路、河川、こういった建設省の直轄の公共事業に係る施設でございます。
  177. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうして、大体計算しますと、いろんな積算がありましょうけれども、一月当たりの平均補償額というのはおおむねどのくらいになりましょう。
  178. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 当該物件がどこにあるかとか、あるいは自家用のものであるとか、借家であるとか借間であるとか、家族数によっていろいろ変わるわけでございますけれども、典型的なものといたしまして、自家需要の居住の床面積が三十平方メートルを有する標準世帯、四人でございますが、四人の場合で、従前この日影の時間が四時間であったものが、公共施設を設置したことによりましてこの日影の時間が二時間ふえたと、こういう場合には約六十二万円と計算いたしております。
  179. 二宮文造

    ○二宮文造君 通達施行後の実績はどうなっていましょうか。また、今後この種の補償が予想されるというのはどのぐらいありましょうか。また、これは建設省だけでなくて、国鉄の方からもこの件について同じ趣旨で御答弁をいただきたい。
  180. 大富宏

    政府委員(大富宏君) この通達を出しまして以降適用いたしましたのは、建設省で四カ所、十一戸、補償総額にいたしまして七百万円でございます。それから首都高速道路公団で一カ所、三十六戸、補償総額約一千八百万円でございます。それから今後予想される物件でございますけれども、現在供用開始あるいは建設中のものにつきまして、公団まで合わせまして約五十カ所、約三千戸になるものと考えております。
  181. 吉村恒

    説明員(吉村恒君) 国鉄におきましては、この五十一年七月中央用地対策連絡協議会の決定以降、残念ながら今日まで実績がございません。現在早急に実施をすべく鉄道に向きました規定の細部、それを検討をいたしておりまして、現在素案の段階まで進んでおります。なるべく早く実施したいと思っております。  今後この種の施策の実施を予想をいたしております主なものは、在来線の関係では総武線の小岩—船橋間、複々線高架化をやりました区間におきまして約六百戸、大阪地区で阪和線の高架化をやりました区間、鳳−東羽衣間で約二十戸、新幹線の関係では山陽新幹線の福山の市内、これは二重高架になっておりますが、これの関係で約九十戸などがございます。至急今後進めるようにいたしたいと思います。
  182. 二宮文造

    ○二宮文造君 国鉄さんの方は、さっき建設省の説明によりますと、五十一年の二月の二十三日に建設事務次官の通達が出て、間髪を入れないで三月の三日に中央用地対策連絡協議会、これで理事会で決定をされたと。いまそのおたくの説明によりますと、五十一年の七月中央用地対策連絡協議会決定以降についてと、こういうように大分四カ月もずれておりますが、この点はどうなんですか、理事会と……。
  183. 吉村恒

    説明員(吉村恒君) 五十一年三月にございましたのが連絡協議会の理事会でございまして、同年七月十二日総会がございまして、これで承認になりまして、事務的にはこの総会の承認をもちましてスタートというかっこうになると思いますので、七月と申し上げました。
  184. 二宮文造

    ○二宮文造君 ですが、現在までにこれによって補償した実績はないと、その説明が残念ながらまだありませんと。こんな補償の問題を残念に思わないで早く——せっかくの趣旨ですからね、ですから早くやらなければならないと思います。しかもいまの御説明によりますと、それから以降まだ素案もできていないというようなことで検討されていると言うんですが、いつごろから大体具体的にこういう現地との話に入る、いわゆる成案を得て入る見通しは一体いつですか。
  185. 吉村恒

    説明員(吉村恒君) 先ほども申し上げました総武線につきましては、明年三月には御説明に入れると思っております。
  186. 二宮文造

    ○二宮文造君 それからもう一点、山陽新幹線の福山市内はいま九十戸という御説明がございましたが、私が別途伺ったところによりますと、千戸にも及ぶんではないだろうかと、こういうふうな話も私耳にしておりますが、この新幹線の方面は一体いつごろ手をつけられ、話が始まるんでしょうか、その見通しを伺いたいと思います。
  187. 吉村恒

    説明員(吉村恒君) いま先生のお話になりました千戸という数は、現在開業しております新幹線の全区間につきまして、私ども構造物の日影の中を全部計算をいたしました概数でございます。これがすべて紛争になっているわけではないわけでございまして、工事の実施中に何らかのほかの補償等を含めまして御納得をいただいているところもあるわけでございます。今後これらの処置、先ほど総武線の例を申し上げました。これと同じ時期に始めたいということで進めております。
  188. 二宮文造

    ○二宮文造君 お聞き及びかどうかわかりませんけれども、私が住んでおります香川県の高松市におきましても高徳線が高架になりました。もうこれは従来紛争を起こしております。非常に幅が狭い、いわゆる民家との間隔が全くないわけです。激しいところはもう三尺ですか、古い言葉でまことに恐縮ですが、一メートルぐらいしかないところさえもありますから、当然ここからもこの問題の補償が出てくると思います。急遽お調べになった方がよろしいんではないかと思うんです。  そこで、大臣、この通達によりますと、補償基準というのはいわば日照被害を金銭補償しようということでせっかくここまで出てきたわけですが、とにかくその家がある限り、あるいはまた公共施設がある限り、その被害の家は永久に日照を奪われるわけですね。そういうことからいいますと、いろいろ積算の仕方はあるんでしょうけれども、六十万、七十万ということでは、永久の日照を奪われた者の立場あるいは国民生活感覚、こういうものに照らしてちょっと私は低いのではないか。積算の仕方をもう一つ上積みをするというような姿勢をとらなければならないんじゃないかと思うんですが、この点どうですか。
  189. 大富宏

    政府委員(大富宏君) これの積算の根拠でございますけれども日照阻害によります物的な損害というものをなるべく回復するという意味で、算定根拠というものは暖房費とかあるいは照明費、乾燥費、それから諸経費、これの合計額というのがその基礎になっているわけでございます。しかも大体ここで出ました、先ほど申し上げましたような標準世帯当たり六十万というような数字は、従来の民事の判例の結果ともほぼ似たような数字でございますので、若干物価変動等があればこれもやっぱり積算が変わりますけれども、私どもはこれで十分じゃないかと思っています。
  190. 二宮文造

    ○二宮文造君 もう一点伺いたいんですが、次官通達によりますと、別表によると商業地域、これが補償対象の地域から除外されているようですけれども、これはどういうわけですか。
  191. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 冒頭にこの通達の趣旨を御説明いたしたわけでございますが、なるべく公共事業施行に伴って必要な土地の取得、それに伴うところの損失の補償事務を円滑迅速に行うための基準としてこしらえたものでございます。したがいまして、こういう日照阻害に伴う事例というもので一番事例が多いのはこういう住居系の問題でございますし、しかも損害等の内容というものが定型的であり、しかも計量的に把握することができるということで、画一的な処理の対象として住居系だけを書いたものでございます。したがいまして、商業地域等にもこういうものはないというわけではございません。しかし、おのずから商業地域における態様というものは住居系の場合と幾らか違う。したがいまして、出てきた場合にはやはりケース・バイ・ケースで判断していくという姿勢でございまして、商業地域は全然だめだという趣旨ではございません。
  192. 二宮文造

    ○二宮文造君 いまの答弁で理解しましたけれども、商業地域といっても御承知のように一階が店舗、二階が住宅という併用住宅は特に多いわけですね。だから、そういう面を考えまして、商業地域だからだめだという姿勢ではないと、考慮していくということですから、これはそのとおり理解します。  それから通達によりますと、費用負担の請求期間が「当該公共施設の設置に係る工事の完了の日から一年を経過した日までに請求があった場合に限り、」と、あるいは「費用負担について現に協議中のもの」、こういうようになっておりますけれども、すでに供用されている沿線の住民から新たに損害等に係る費用負担の請求があった場合はどうされるのですか。
  193. 大富宏

    政府委員(大富宏君) この通達の適用範囲を、「設置に係る工事の完了の日から一年を経過した日まで」というぐあいに限りました趣旨は、類似のものといたしましては、道路法あるいは土地収用法等で、工事に起因しましてみぞ、かき、さく等をつくる必要がある場合は、工事完了の日から一年を経過した後においては請求することができないという先例があるわけでございます。それを参考にいたしまして、請求期間を一年に限定したものでございますが、御指摘のように、工事完了後一年経過したということではございますけれども、工事期間中にすでにもういろいろ問題になっているというようなものは、対象といたしておるのは経過措置として書いているわけでございます。  ただ、御指摘になりましたように建設年次が古いものはどうするかという問題がございます。これは民法上の損害賠償請求権の問題もございましょうし、また建設年次が古いものという場合に、果たして建設当時にそういう家族関係はどうなっておったか、住居の所有者がだれであったかという事実関係が明確でない諸事情もあろうかと思います。ですから、私ども一概に建設年次が古いものは全部シャットアウトするということではございません。こういうものも有効に損害賠償請求の内容になり得るわけでございますから、その辺はやはりこれもケース・バイ・ケースで判断していきたいと考えております。
  194. 二宮文造

    ○二宮文造君 そういうことになりますと、建設年次の古いものはいわゆる住民運動を起こして新たに問題を提起してください、そうでなければ建設省としては問題にしませんよと、言挙げをしてくださいという、何か言挙げを奨励する答弁のように私は聞くのですが、もちろんこういう要請とか陳情とかいうものがあって初めて動き出すのでしょうけれども、この辺はいわゆるそういう激しい住民運動の結果ケース・バイ・ケースでかち取るものができたりできなかったりする、こう理解してよろしいですか。それとも、積極的に建設省の方からそういうものを取り上げていくというふうな考えにするのか。でなければ、新しいものはやりましょう、古いものはやりませんと、建設年次の古いものはやりませんということでは公平の原則に反する。日照を奪われたことについては同じですから、被害は同じですから、この点の姿勢をもう一度明確にしていただきたい。
  195. 大富宏

    政府委員(大富宏君) まず第一点は、現に協議中のものは工事完了後一年以上を経過したものであっても取り扱いますということは、この通達の経過措置に書いてございます。それから原則として、それ以上に古いものにつきましては、原則は、請求の範囲は一年と書いてございますけれども、年次が古いからというてすべて切り捨てだというわけではございませんということを申し上げておるわけであります。
  196. 二宮文造

    ○二宮文造君 理解しました。  それから自治省、非常にお待たせをして恐縮なんですが、日照時間が短縮をされますと、当然のことですけれども地価がそれに伴って減価します。これは御承知のとおりです。ところで、五十年の十月十五日付で、自治省税務局固定資産税課長から各県に、「都市計画施設の予定地に定められた宅地等の評価上の取扱いについて」と題する通達が出されておりますけれども日照阻害が要因となってこの通達が適用された事例というのは一体どのくらいありましょうか。
  197. 栗田幸雄

    説明員(栗田幸雄君) 私ども悉皆調査をやっておるわけではございませんが、件数の多い市といたしましては、指定都市では、名古屋市の千五百件、それから神戸市の四百五十件というのがございますし、それから東京都下では武蔵野市の千件といったような事例があります。
  198. 二宮文造

    ○二宮文造君 案外この趣旨がよく理解されてないんじゃないだろうかというような感じがするんですが、このPR等、周知徹底方の問題についてはどういうように自治省ではお考えになっていますか。
  199. 栗田幸雄

    説明員(栗田幸雄君) 去年の十月にこの通達を出しまして、評価替えが一月一日でございますから、その期間が非常に短かったということもございまして、御指摘のように必ずしもこの適用が行われていない町村もあるようでございますので、今後この趣旨の徹底に尽力してまいりたい、努力をしてまいりたい、そのように考えております。
  200. 二宮文造

    ○二宮文造君 私、大変恐縮なんですけれども、あとに建築協定の問題とか、それから執行体制の問題とか、さらにまた私ども考え方とか若干まだ問題を残しております。あとこれは同僚議員の方に引き継ぐか、あるいは同僚議員の時間を若干拝借して足りない点を、問題を質疑をさしていただきたいと思いますが、きょうはこれで申し合わせの時間が来ましたので保留しておきます。
  201. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  202. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 速記を始めて。
  203. 遠藤要

    遠藤要君 議事進行について、発言をちょっとお許しをちょうだいいたしたいと思うのです。  きょう当委員会が開かれ、建設大臣が御出席になっておるので、先般当委員会において私が発言をしておった東北、北海道の冷害に対する救済土木はどうかということに対して、就任早々の建設大臣は、いままで建設省として冷害対策の土木事業というのはなかったようだ、しかし、自分としてできるだけ努力してみたいという、そういうふうなお答えがあったわけです。その後、大臣は大変精力的に努力をされておったと私はいろいろの点から拝聴しておるわけですが、その結果が相当得られたようにも仄聞しておるのでございますが、せっかく委員会が開会中でもございますので、これがせっかく委員会で発言し、委員会でお約束をされているのが、後に新聞紙上で知ったということもどうか、こういうふうな点を考えますので、委員会の権威を高めるために、この際大臣がもしも東北、北海道冷害対策の実情についてどういうふうな方法を講じられたかを、ひとつ大臣の努力の結果を御公表できればお願いをしたいということでございますので、よろしく御了承願いたいと思います。
  204. 中馬辰猪

    ○国務大臣(中馬辰猪君) 先般の当委員会で、東北地方その他の冷害対策の救農土木事業というものが、従来農林省専管でございまして建設省は全くタッチしていなかった。こういうことでありまして、私はとかく建設省というところは建設業者のための役所であるというような悪い印象が一部国民にございますから、この際ひとつ東北の冷害にも建設省は手を出したいというかたい決心を持っておりまして、予算委員会でも聞かれもせぬのにみずから進んで救農土木は建設省もやりますと、大蔵省と全く相談しないで独断でお答えいたしたわけでありますが、その後事務当局の方々が非常に熱心に大蔵省を説得されまして、ようやく、金額についてはまだ明らかでありませんけれども、近いうちに、農林省にはもちろん及びもつきませんけれども建設省としては応分の協力はできるということで近く正式に発表になります。そのために実は先般東北、北海道の県、道庁の土木部長に建設省に来てもらって、私もみずからこれに出席をして、ぜひひとつ建設省の仕事で農民になじむものはないか、たとえばブルドーザーを使うような仕事はこれはとても問題にならぬから、なるべく労務費がたくさん農民に渡るという案を考えてほしいということで、一時間ぐらい私も実は出席をして説得したりお願いした結果、ある種の成案があったようでございまして、近く正式に閣議で決定をいたしますから御了承ください。
  205. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十七分散会