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1976-10-07 第78回国会 参議院 建設委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月七日(木曜日)    午前十時十七分開会     —————————————    委員氏名     委員長         竹田 四郎君     理 事         増田  盛君     理 事         坂野 重信君     理 事         沢田 政治君                 遠藤  要君                 上條 勝久君                 神田  博君                 古賀雷四郎君                 寺下 岩蔵君                 中村 禎二君                 望月 邦夫君                 山内 一郎君                 小谷  守君                 中村 波男君                 松本 英一君                 二宮 文造君                 矢原 秀男君                 上田耕一郎君                 春日 正一君                 三治 重信君     —————————————    委員異動  九月二十二日     辞任         補欠選任      山内 一郎君     片山 正英君  九月三十日     辞任         補欠選任      増田  盛君     堀内 俊夫君  十月一日     辞任         補欠選任      片山 正英君     増田  盛君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         竹田 四郎君     理 事                 古賀雷四郎君                 坂野 重信君                 中村 禎二君                 沢田 政治君   委 員                 遠藤  要君                 上條 勝久君                 神田  博君                 堀内 俊夫君                 望月 邦夫君                 小谷  守君                 中村 波男君                 松本 英一君                 二宮 文造君                 矢原 秀男君                 上田耕一郎君                 春日 正一君    国務大臣        建 設 大 臣  中馬 辰猪君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)      天野 公義君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  天野 光晴君    政府委員        北海道開発政務        次官       安田 貴六君        国土政務次官   江藤 隆美君        国土庁長官官房        長        河野 正三君        国土庁土地局長  松本 作衛君        国土庁地方振興        局長       土屋 佳照君        建設政務次官   梶山 静六君        建設大臣官房長  粟屋 敏信君        建設省計画局長  大富  宏君        建設省都市局長  中村  清君        建設省河川局長  栂野 康行君        建設省道路局長  浅井新一郎君        建設省住宅局長  山岡 一男君    事務局側        常任委員会専門        員        森  一衞君    説明員        国土庁長官官房        審議官      紀埜 孝典君        厚生省環境衛生        局環境整備課長  森下 忠幸君        厚生省社会局施        設課長      水田  努君        農林大臣官房審        議官       小笠原正男君        農林大臣官房審        議官       増田 甚平君        林野庁指導部治        山課長      江藤 素彦君        自治大臣官房参        事官       平岩 金一君    参考人        水資源開発公団        理事       大橋 文雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○調査承認要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○派遣委員報告に関する件 ○建設事業並びに建設計画に関する調査  (台風十七号による災害状況及びその対策等  に関する件)     —————————————
  2. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  議事に入るに先立ち一言申し上げます。  すでに皆様承知のことと存じますが、本委員会理事として長くその職責を果たされました大森久司君が去る八月十三日逝去されました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。  ここに謹しんで同君の長年にわたる御功績をしのび、各位とともに黙祷をして御冥福をお祈りしたいと存じます。  どうぞ御起立を願います。黙祷。   〔総員起立黙祷
  3. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 黙祷を終わります。御着席ください。     —————————————
  4. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 委員異動について御報告いたします。  大森久司君の逝去に伴い、同君補欠として去る八月十六日、神田博君が、九月二十二日、山内一郎君が委員辞任され、その補欠として片山正英君が、九月三十日、増田盛君が委員辞任され、その補欠として堀内俊夫君が、また十月一日、片山正英君が委員辞任され、増田盛君がそれぞれ委員選任されました。     —————————————
  5. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  大森久司君の逝去及び委員異動に伴いまして、理事二名が欠員となっておりますので、この際その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事古賀雷四郎君、中村禎二君を指名いたします。     —————————————
  7. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会においても建設事業並びに建設計画に関する調査を行うこととし、その旨の調査承認要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  10. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。  建設事業並びに建設計画に関する調査のため委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員派遣地派遣期間等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  13. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  建設事業並びに建設計画に関する調査のため、本日、参考人として水資源開発公団役職員出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  15. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 中馬建設大臣天野国土庁長官及び天野北海道開発庁長官からそれぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。中馬建設大臣
  16. 中馬辰猪

    国務大臣中馬辰猪君) ごあいさつ申し上げます。  今回の内閣改造によりまして建設大臣を仰せつかりました。その任きわめて多く、また重く、私の力足らざるを心配をいたしております。しかし、誠心誠意努力を傾けて建設行政推進いたしたいと考えておりますから、皆様方格別の御後援と御指導お願いいたします。ありがとうございました。(拍手
  17. 竹田四郎

  18. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) 三木内閣改造に当たりまして、国土庁長官を拝命いたしました、二人きょう天野おりますが、私、天野光晴と申します。よろしくお願いをいたします。  とりあえず、災害が起きまして、その始末に全力を尽くしておるつもりでございますが、当建設委員会災害対策特別委員会と表裏一体のものでございますから、ひとつ災害の後始末、今後の問題等についてよろしく御指導、御配慮をお願い申し上げて、ごあいさつにかえます。ありがとうございました。(拍手
  19. 竹田四郎

  20. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 北海道開発庁長官を仰せつかりました天野公義でございます。  北海道開発重要性にかんがみ、今後とも一生懸命努力をしたいと思っております。また当面、冷害、干ばつ等もありますので、皆様方の御教示を得ながら、その職責を果たしてまいりたいと思っておる次第でございます。どうか皆様方の御教導をお願い申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手
  21. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 次に、梶山建設政務次官江藤国土政務次官及び安田北海道開発政務次官からそれぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。梶山建設政務次官
  22. 梶山静六

    政府委員梶山静六君) このたび建設政務次官を拝命をいたしました梶山静六でございます。  微力でございますが、中馬大臣のもとで誠心誠意建設行政推進努力をいたす決意でございます。委員各位格別の御指導と御鞭撻お願いをいたします。よろしくお願い申し上げます。(拍手
  23. 竹田四郎

  24. 江藤隆美

    政府委員江藤隆美君) このたび国土政務次官を拝命いたしました江藤隆美でございます。  天野長官のもとに精いっぱい努力を傾けまして職責を全うしてまいりたい所存でございますので、委員皆様の格段の御指導と御鞭撻を賜りますようお願い申し上げて、ごあいさつといたします。(拍手
  25. 竹田四郎

  26. 安田貴六

    政府委員安田貴六君) このたび北海道開発政務次官を仰せつかりました安田貴六でございます。  至って至らぬ者でございますけれども天野長官のもとにおきまして誠心誠意北海道開発推進に精進をいたす決意でございまするので、委員長さんを初め、各委員皆さん方格別なる御指導と御鞭撻を心からお願い申し上げまして、簡単でありますが、ごあいさつといたします。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)     —————————————
  27. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 次に、派遣委員報告に関する件についてお諮りいたします。  先般、当委員会で行いました建設事業実情調査のための委員派遣につきましては、各班からそれぞれ報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございません。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  29. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 建設事業並びに建設計画に関する調査を議題といたします。  建設省所管に係る台風十七号による災害について、報告を聴取いたします。中馬建設大臣
  30. 中馬辰猪

    国務大臣中馬辰猪君) 今次、台風十七号の災害につきまして、その概要を御報告申し上げます。  台風第十七号は、全国各地に大きな被害をもたらし、死者・行方不明者百六十七人、被災者約四十万人を出し、公共土木施設等にも甚大な損失を与えました。これはまことに遺憾なことであり、被災者方々に対しましては御同情申し上げますとともに、亡くなられた方々に対しましては深く哀悼の意を表する次第であります。  建設省所管公共土木施設被害額は、直轄災害約一千カ所、四百五億円、補助災害約八万七千カ所、二千九百二十九億円、合計約八万八千カ所、三千三百三十四億円に達しております。  また、住宅災害につきましては、全半壊約五千棟、浸水家屋約五十一万八千棟に上っております。  これに対する対策としましては、災害発生後直ちに昭和五十一年台風第十七号建設省非常災害対策本部を設置し、また、政府においても非常災害対策本部が設置され、応急対策推進を図り、特に被害の著しかった地域調査団及び係官を派遣して、被害状況調査並びに応急対策措置指導に当たらせました。私も建設大臣就任直後、直ちに被害の著しかった地域被害状況を視察し、また災害復旧に万全の対策を講じているところであります。  なお、今後このうな災害発生を防止するためには、治水施設整備、その他総合的な災害防止策を積極的に講じていく必要があると考えておりますが、当面来年度を初年度とする第五次治水事業五カ年計画の策定につきましては、今次災害実態を反映し、被災河川整備など緊急に対策を必要とする事業の促進が図られますよう努めておるところであります。  参議院建設委員会におかれましては、よろしく御高配のほどお願いいたします。  ありがとうございました。
  31. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 以上で、建設省からの報告聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  32. 小谷守

    小谷守君 台風十七号のもたらした災害は、全国的に大変な規模に達しておるわけであります。両大臣は、御就任早々災害対策に御奮闘になっておるわけであります。御苦労さんです。  私は、この災害一般論については特別委員会等でまた御質問をする機会があろうと思いますので、きょうは、今度の台風十七号の全国的な被害の中でも、とりわけ特異な災害である兵庫一宮町の問題を爼上に上げて、途方に暮れておる住民にかわって、一体これをどうしたものかというような点についてお考えを確かめたい、このように考えます。  それに先立って、まず国土庁長官に伺いたいのは、激甚災害政令指定はいつ行われるのか、これ、災害地は待ち焦がれておるんです。どういう状況でございますか。
  33. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) お答えいたします。  実は先月の三十日に指定を、発令をいたしたいと思ったんですが、なかなか災害実態が全部把握できなかったために少し延びてまいりまして申しわけないと思っております。明日の閣議で激甚地指定はいたします。それから天災融資法関係は、いろいろまだ調査が完全にできてまいっておりませんので、これは今月中できるだけ早い機会天災融資法は適用いたしたいと思います。
  34. 小谷守

    小谷守君 同法第二章の「公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助」の措置は、中央防災会議の決めている指定基準によって、災害復旧事業費の「査定見込額全国都道府県及び市町村当該年度標準税収入の総額のおおむね四%をこえる災害」、こういうふうに定められておりますが、査定見込み額はどのぐらいになりますか。
  35. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) 室長から答弁させます。
  36. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘いただきました激甚災害指定基準の中にあります四%には、査定見込み額都道府県標準税収入の四%を超える場合、あるいはその基準で満たない場合には一・二%と緩和いたしましてその基準を決めることになっております。今回の基準から申しますと、先ほど大臣から御答弁いただきましたように、十七号台風はこの基準に当てはまりまして、激甚災害指定をする、かようになっております。
  37. 小谷守

    小谷守君 この指定基準に該当しないときは、これは被災市町村ごと局地指定をなさるわけですか。
  38. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) 本月に指定できない場合には、市町村に限りまして局地激甚という指定をすることに相なっております。
  39. 小谷守

    小谷守君 大臣に伺いますが、災害復旧事業は申し上げるまでもありません、都道府県に非常に多くを依存しなくてはならぬと思います。昨今の地方財政の逼迫の状況からいたしまして、今度の災害都道府県財政を著しく圧迫することになってはならぬと思うんです。激甚災害基準を大幅に緩和、改正する御意図はございませんか。
  40. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) 私も災害関係、十数年勉強さしてもらってきておるつもりでございますが、激甚地指定のいろんな問題につきまして緩和措置をできるだけ講じてきたつもりでございます。しかし、集中的に小さな市町村が一カ村やられてもこれはなかなかそう簡単に激甚地指定をするということは困難な場合が多かったわけでございますが、現在も小さなものはまだ扱いかねておると思いますが、受けたその部分はやっぱりどんな小さな市町村一カ村でも容易でないわけでありますから、そういう意味で法の緩和というものをもう少しやっぱりやるべき性質のものであるというふうに考えておりますが、今日の段階、いまの法律解釈の最大限、もうできるだけのぎりぎりいっぱいの線まで解釈をさせまして、できるだけ措置を講じてまいりたいと思いますが、この災害は御承知にように私は伊勢湾台風よりもかえって大きいんじゃないかというような感じをしておるのでございますが、そういう点で、これを契機としてこの災害を反省してみまして、これから後のものについてはどうしても法律改正が必要だとすれば、この機会に何らかの処置を講ずるようにいたしたいと考えております。
  41. 小谷守

    小谷守君 さて、今度の災害の中で特に特徴的な災害と思われます兵庫一宮町の問題を爼上にのせて対策を確かめたいと思うのでありますが、建設大臣は先般いち早く現地においで願って実情をつぶさに見ていただきまして非常に感謝をいたしておりますが、まず大臣はどういう御感想をお持ちになりましたか。
  42. 中馬辰猪

    国務大臣中馬辰猪君) 私は南九州出身でございまして、たびたび台風災害経験をいたしております。その経験兵庫県の一宮町に参ったのでありますけれども、あそこは通称抜け山という山だそうでございます。抜け山というのは山が抜けるということで、何かの調子で山全体が頂上からぐっと抜けて崩れ落ちるという意味であろうと思います。また、道路上から山を見てみますと、その横に2カ所ほど、大昔といってもまあ百年か二百年前でしょうけれども、山が抜けた場所が歴然と残っております。したがって、何かのはずみ、たとえば豪雨あるいは地震、そういう際におきましてはあるいは山が抜けて再び崩れ落ちるというようなことでございまして、平素これを見ておっても何らの異状はありませんけれども、しさいに点検すればあるいはそういう事故があり得るということが、後からのことでございますけれども、私ども素人が見ても、ああここは山が抜けるところだと。山が抜けるという部落、山だそうですからして、災害が必ず起こり得る場所であるということは、当然専門家にとりましては予測し得たのではないかと思います。ただ、それが五年、十年の間に抜ければ緊張するのでございますけれども、恐らくもう百年に一回とか百五十年に一回という程度でございますからして、地元方々も故老の話としては聞いておっても、まさか自分たちの時代にはそういうことはあるまいという安心感もあったのではないかと、こう考えておりますが、いずれにしても専門的に見るとあり得る場所であったということは言えるのではないかと、こう考えております。
  43. 小谷守

    小谷守君 大臣、問題はそこなんでして、七百ミリ近い雨量で、一瞬のうちにこの山が崩れて百万立米土砂が一部落を壊滅さした、こういう事故でありますが、名前の示すとおり、語り伝えられておるように抜け山ということで、危険な山だというふうに語り伝えられておったわけでありますが、これは建設省の方からも砂防指定地にもなっていない。林野庁治山当局もこれについて何らの警告もしていない。私はそこに一つの大きな怠慢があったんではないかと思われてならぬのです。  そこで、農林省、建設省、何かその行政の領域が競合することは結構でありますが、ちょうど野球にたとえますと、外野フライセンターライト守備だと思っている、ライトセンター守備だと思っておる、両方手をこまねいておったと、とることができなかった。比喩は適切でないかもわかりませんけれども、私はその辺に今度の不幸の大きな原因がひそんでおるのではないか、こう思われてなりませんが、両大臣いかがですか。
  44. 中馬辰猪

    国務大臣中馬辰猪君) 確かにそういう感じはいたしますが、ただ、地元の方でも非常に安心感があったものですから、そういう砂防をしてくれというような運動といいますか、県に対しても余りなかったのじゃないかという感じがしますが、安心し切っておったと。最近五百ミリ以上の雨が降ったことがないものですから、この点は私どもの方にも手抜かりがあったし、地元の方でも、この辺は災害がない場所だということで多少安心感があっような感じがいたしております。この間兵庫県の副知事にも来てもらいまして、彼も土木屋出身だそうでございますから、ひとつ兵庫県はよく災害がある場所なんだということを認識してもらって、そういうものを事前に私どもとも相談してもらいたいと、こういうふうにお願いをいたしておきました。
  45. 小谷守

    小谷守君 災害と申しますと、まず原形復旧ということでありますが、これ、原形復旧ができぬのです。大臣がごらんになりましたように、もう手がつけられない。百万立米土砂を取り除くことも大変なことでありますし、持っていくところもない、これをどうしたものか。これは大臣として一つの指針を示していただく必要があると思うんです、この復旧の方向について。  なお、今度の災害で私は細かに調べてみましたが、災害救助法を発動した、災害救助法によって住民一人一人がどういうことをしてもらったかということも全部確かめてみました。厚生省、これは御苦労願っておると思いますが、災害救助法基準を改定されたことは結構でありますけれども、まだまだこれは不十分ですね。いつ、どういうふうに改正されましたか。中身を、概要をひとつ御説明願えませんか。
  46. 水田努

    説明員水田努君) 災害救助法に基づきます災害基準につきましては、毎年物価あるいは労賃の上がりに比例しまして改定を行っているところでございます。特に応急仮設住宅については、この単価が低いという御批判をかねがね国会等で御指摘をいただいておりますので、特に本年度応急仮設住宅につきましては、物価にスライドいたたしますだけでは内容の改善が十分伴いませんので、天井が張れるようにする、便所が屋内につけられるようにする、最近の生活は非常に電気化いたしておりますので、居室内にコンセントをつける等の改善を図ってまいったつもりでございますが、なお私どもはこれで十分だと思っておりませんので、今後もさらに努力してまいりますとともに、私ども運用面で、面積につきましても現在平均七坪ということになっておりますけれども、これはまあそれぞれ被災者世帯状況に応じて広い狭いがあっていいわけでございまして、本年度から特に県単位で平均して見るということで運用弾力化も図っておりますし、今回被災された中には家族八人というような世帯もございますので、そういうところについてはさらに特別の加算をするというようなことも、非常に私どもいろいろ運用面につきましてもできるだけ地方自治体の超過負担が生じないように、基準基準として、運用面で配慮のできるものは極力県ときめ細かく御相談に応じてあげて対処をしていきたい、このように考えています。
  47. 小谷守

    小谷守君 いま仮設住宅の御説明がありましたが、この部落では九月二十日の日に仮説住宅の入札をいたしまして、今月十四日には完成する予定であります。そこで、仮説住宅の基準は今度は改正されて六十二万八千円、六畳、四畳、板の間二畳、あなた方の基準のとおりのものをつくって入札をしました。ところがこれは八十万です。二十万円近い差額というものは、これまた自治体の超過負担になるわけです。後で申し上げますが、非常に過疎地の貧しい山村であります。財政も非常に乏しい。特に仮設住宅であなた方の配慮が抜かっておる点は、これはふろをつけることができぬです、あなた方の基準では。町中ですと銭湯もありますから、そういうものが利用できますけれども、山の中で銭湯なんかありませんです。そうすると、これ実情として困りますから、町では入札に当たって二世帯に一個の共同ぶろを設計に入れたわけであります。それが多少基準をオーバーしたという理由になるかもわかりませんけれども、こういうことは私は当然のことだと思う。そういう点についてはどうお考えになるか。また、その超過負担さしてもらっちゃいかぬ、これはこういうケースについては特別な御配慮があるのかどうか、こういう点を確かめたいと思います。いかがですか。
  48. 水田努

    説明員水田努君) 応急仮設住宅は、先生もう釈迦に説法でございますが、建築基準法の許可を得ないで応急に建てられる、そのかわり二年で撤去する、こういう性質の被災後の生活の場を提供するというのが目的になっているわけでございます。それにいたしましても、今日非常に国民の生活のレベルというのが上がってきているわけですから、それなりのいま御指摘のような問題等は当然われわれも考慮していかなきゃならぬ問題である、当然認識いたしているわけでございまして、特に山間僻地の場合には、特に寒い地方等はお隣の家にもなかなかふろをもらいに行けないという問題等もあるので、私どもは今後改善する大きな課題の一つであるというふうに認識いたしております。現在でも山間僻地の場合には個々につけるというんじゃなくて、応急仮設の一環として共同浴場を、応急仮設住宅に入っていただく方の共同浴場を設置することについては認めているわけでございますが、一宮の場合にはそれが共同浴場という形をおとりにならないで、二軒に一個という形で御対処なさったというふうに承っておりますが、ここらあたりも極力県と相談しまして、めんどうの見れる範囲でめんどう見るようにいたしたいと思います。
  49. 小谷守

    小谷守君 これは自治体の超過負担にならぬように強くお願いをしておきます。  これに関連して、災害関係について国土庁長官、御苦労願っておるわけでありますが、この災害救助法関係で、いろいろありますよ、一日四百円で一体炊き出し、お握り以外に何が食えるかということもありましょう。特に私、情けないと思うのは、死者に対する取り扱いです。不幸にして死者が出たと、この死体処理費が一体について去年までは五百円、今度千七百円に改善をされたわけでありますけれども大臣承知のように、災害発生した、災害救助法を早速発動したというふうなことがマスコミで報ぜられますと、何かいいことをしてくれたんじゃないかというふうに国民は印象します。そうしてテレビで、お寺に安置されておる遺体に遺族が対面をするというふうなことがよくブラウン管を通じて見るわけでありますけれども、そこまでの処理費——埋葬費は別でありますが、そこまでの処理費がこの間まで一体五百円、今度千七百円になった。これ、もう情けないですね。大臣は軍隊生活をやられましたか、経験されましたか。
  50. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) 四カ月。
  51. 小谷守

    小谷守君 四カ月、それじゃ私の方が上官ですな。昔のあれだけ人間の命を粗末にした軍隊でさえも、一つ星の二等兵が死んでも、しかばね衛兵というものを二十四時間立てて、そして死者に対しては非常に丁重に扱ったものです。私はそういうことを思い出すんです。この災害救助法による死体の処理費なんというものは、これは日本人の美風、日本人の感情からいって、こういうものは多いとか少ないとかではない、問題にならぬ状況ではないか、こう思われてなりませんが、いかがですか。
  52. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) そのとおりだと思います。災害救助法の内容についてはいろいろもう数多く問題点がございます。これは法律改正でなくて、私の所管でございませんから本当に恐縮なんですが、政令かその他の何か取り扱いでこれらの処置をやっているんじゃないかという感じがするのでございます。そうすれば、法改正しなくともやれるんなら、政令を改正するなり何らかの処置を講ずればできると思うのです。それをやりたがらないところに、私も役人になったわけですから、こういうことを申し上げては恐縮なんですが、官僚政治の姿というものがあるんじゃないかという感じがするんでございます。それで、いま言ったように炊き出しが大体四百円でできるかできないか。それはことしの場合は一日ぐらいは握り飯でもいいが、何日も続けばみそ汁ぐらい出さなければならないから、その分の超過については処置いたしますなどと言えるんなら、初めからそれを七百円なら七百円、八百円なら八百円にすべきであって、これは私の所管でございませんから、これはとやかく言えることではございませんが、参議院の災害、あすございますから、小委員会で検討してもらいたいと思うんです。衆議院ではきのう災対で、これは全面的に災害のすべての問題について見直しておる。ところが、救助法はとりあえず災害が起きた場合の処置ですから、まずどれぐらいの災害に対して救助法が適用されるかどうかというような問題についても相当議論の分かれるところだと思います。そういう点で、私の方でも厚生大臣に強く申し入れをいたします。それですから、死体の始末をするのに千円や千五百円でできるとは、どうしてやるのか私わかりませんが、やっぱり問題点も非常に大きなものじゃないかと思いますので、私の方でも連絡をとるようにいたします。始末をする場合における一つの問題点として扱ってみたいと思います。
  53. 小谷守

    小谷守君 厚生省の方、結構です。  まあいまの問題にしましても、すべてこれがそういうことでは足りませんから、全部これが自治体の超過負担にかかってきておるわけです。今度の災害については、どの自治体も超過負担をさせぬぞということで御検討願わなければならない問題だと思います。
  54. 水田努

    説明員水田努君) 災害基の送内容の改善については、いまの御指摘の死体の——まあ私どもの専門用語で処理と申しておりますが、につきましても、実はあした被災の主要の県の課長を呼んで、今後の改善等の参考資料を得るためにも招集しておったわけでございますが、災害対策特別委員会とかち合いましたので、十三日に変更して呼ぶようにいたしておりますので、十分実情を聞いた上で必要な改善を今後進めてまいりたいと思います。  なお、食費補てんにつきまして、一言この機会に御説明をさしていただきたいと思いますが、私、岐阜に政府調査団として被災地に参りまして、これは十七日付の毎日新聞の記事でございまして、安八町の被災地の避難所の給食内容が紹介されておりますので、公の報道機関がお書きになったので一番正確かと思いますので、一応この記事の内容を御紹介させていただきますと、みそ汁、これは被災者に二杯、みそ汁の中身は豆腐、ワカメ、白菜。それからメニューは、豚肉、白菜、油揚げ、ニンジンと、こういうふうに書いてありまして、安八町の場合には四百円で対処できておる、こういうふうに聞いております。で、確かに四百円というのをよく論議されるわけでございますが、私らが消費者として小売店に行って買ったら、とうてい四百円では買えないわけでございますが、避難所におきます場合には何千食というのを出すわけでございまして、豚一頭あるいはタマネギ何箱というふうに卸値で買ってくるわけでございまして、私どもの過去の経験則からいいまして、食費の改善ということを非常に強く言われているのですが、実績を見ますと、私どもの設定している基準をはるかに下回る金額で実績というのはもう埋まっておるわけです。で、私どもは、特に先ほど国土庁長官からも言われましたように、今度の被災が大きいということと、それから長期化するということが当然に予想されましたので、何をおいても被災者の方には健康に留意をしてもらわなければいかぬわけでございまして、被災各県に食事には十分ふんだんの注意をしてもらうようにということを緊急に電話で連絡するとともに、基準をオーバーしてもそこはめんどう見るから十分対処するようにということで、われわれも十分その点は意を尽くしているつもりでおりますので、なお足りない点はわれわれも反省をし努力をさしていただきますが、ここで一言、常に四百円というのが話題になりますので釈明をさしていただきたいと思います。
  55. 小谷守

    小谷守君 まあ食事の問題が出ましたから、もう一つ申し上げておきますが、いま防衛庁は一千万食の非常用食糧を備蓄しておる、一千万食。そんな必要がどこにあるかという追及に対しては、これは災害のときにどんどん放出しておりますと、こういうことをたびたび言っておったわけでありますが、私の地元兵庫県を、今度の災害で県内各地の災害地を調べてみて、これを放出した事実は一件もない。県に聞いても市町村に聞いてもそういう事実はないと、こういう話であります。自衛隊の非常用糧秣のほとんどはかん詰めです。これは三年が担保期間ですから三年たったら入れかえていかにゃいかぬ。災害のときにはどんどんこういうものは放出すべきだと思いますが一つもやってない。こういう点ひとつ全国的にはどうだったかというふうなことを、いま御用意がなければ後でひとつ厚生省の方、お調べを願っておきたいと思います。いかがですか。
  56. 水田努

    説明員水田努君) 承知いたしました。
  57. 小谷守

    小谷守君 結構です。  さて、自治省おいでになっていますか。——御苦労さんです。この問題の一宮町だけでなくて、府県にしましても市町村にしましても災害地は特交を待ち焦がれておる。もう底をついておるわけです。特に一宮町のごときは、災害があってから今日まで一カ月近い間に町が立てかえ払いをしました金額は三千万円。もちろんそんな歳計現金があるわけでありませんから、農協から借りたり、金利を払って借りたりしてやりくりをしておる、こういう状況です。自治省としては機敏に財政の手当てをしてもらわなければならぬと思いますが、この災害について自治省としてはどういう財政上の手当てをされたか、それひとつ承りたい。
  58. 平岩金一

    説明員(平岩金一君) お答えいたします。  ただいまお話しのように、災害に際しましては何よりも応急対策その他で当面いろいろ資金を必要といたします、公的資金を。そのため御承知のように去る十月二日に普通交付税の十一月定例交付額のうちから五百七十六億円を繰り上げて交付し、当面の資金繰りを円滑にすることに資していただくという措置をとったわけでございます。  具体的に御質問の一宮町でございますが、一宮町は多大の被害を受けられまして、私どもが県当局などから聞きましても、十数億円を超える額の被害があるというふうなことを聞いておりますが、自治省といたしましては、先ほど申し上げました十月二日の繰り上げ交付といたしまして、一宮町につきましては一億八十九万三千円を繰り上げ交付いたしております。これは兵庫県内の被災市町村につきまして四十九億円ほどの繰り上げ交付をしているわけでございますが、一宮町の被害の激しさということからそのような高い交付率と申し上げますか、で当面御措置申し上げたところでございます。  なお、お話にございましたような特別交付税につきましては、データなどのとられる限り、今年度分の配分につきましては十二月分の特交配分において措置いたしたい、かように考えております。
  59. 小谷守

    小谷守君 起債はどうですか。
  60. 平岩金一

    説明員(平岩金一君) 被災地方公共団体が行います災害復旧事業につきましては、その地方負担額とか、あるいは単独災害復旧事業につきましては地方債を充当することにより財源措置をいたす予定でございます。これら事業が今後いろいろ固まるに対応いたしまして、できるだけ早く措置いたすように努めてまいりたいと、かように存じます。
  61. 小谷守

    小谷守君 とにかくこういう零細な自治体でこのような大災害を受けますと、もう財政がパンクしてしまう。できるだけ手厚い財政援助を配慮していただきたいと思います。自治省の方は結構です。  さて、そこでこの復旧対策でありますが、現地から伝わっておる災害復旧の骨格としては、この崩壊した山地の復旧はこれは農林省が担当する、そして河川を含む平地の復旧建設省関係で当たる、こういう合意ができた、こういうふうに聞いておりますが、そのとおりでありますか。
  62. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) そのとおりでございます。
  63. 小谷守

    小谷守君 それでは林野庁に伺います。まず先ほども建設大臣、現地を御視察になっての生々しい御感想がありましたが、これは抜け山と言ってですね、危険のひそんでおった山である。今日まで何らの指導がなかったということについて私どもは大変いぶかしく思いますが、その点はどうでありますか。
  64. 江藤素彦

    説明員江藤素彦君) 先ほど建設大臣からお答えいたしておられましたように、確かに抜け山というような通称で称せられておった地域でございますけれども、しかしながら、ここ百年前後という、五十数年以上であるだろうと思いますが、この地域につきましてはそういった災害がなかった状態で、こういつた意味では住民につきましても安心感があったというようなことで聞いております。私どもにつきましても、危険山地、危険地につきましての調査は、最近になりました四十七年にこれを行っておるわけでございますが、こういった事例、非常に異常な事例等の発生から、今後十分にさらに一層点検を強化してまいりたいと、このように考えております。
  65. 小谷守

    小谷守君 そこで、この山をどうされますか、どう復旧されますか。三次災害の危険もまだあると、こう言われておるんですが、これを林野庁としてはどういうふうに復旧される御計画ですか、あらましで結構ですから。
  66. 江藤素彦

    説明員江藤素彦君) この地域発生いたしました山地災害につきましては、災害発生後直ちに林野庁から災害査定官、それからまた林業試験場から、防災部というのがございますけれども、との防災部の治山課長をそれぞれ現地に派遣いたしまして、現地調査復旧対策指導を行ったわけでございます。その結果、まあ再度災害の防止を図りますために、一応応急措置といたしましては、緊急治山事業によりまして早急に対策工事を講ずるようにいたしておりまして、現在その応急工事といたしまして、埋設土どめ工といったものを施工しているところでございます。  なお、復旧の全体計画につきましては、現在兵庫県の方で、先ほど建設省河川局長さんのおっしゃったように、河川局担当の分野がございますんで、これとあわせまして兵庫県で策定を進めておるわけでございまして、明十月八日に本省協議を実施することとしておるわけでございますが、まだこの左右両岸の未崩壊地周辺部もあわせまして、地質構造とか、あるいは地下水の状況、こういったものを十分な調査を行いまして、また他省庁との、先ほど申し上げましたような建設省所管と、あるいは農林省内部での耕地等の部分がございますが、そういった所管事業とも緊密な調整を図りながら、谷どめ工とかそれから土どめ工あるいは水路工、いろいろございますけれども、コルゲートパイプを通して水路をつくるとか、そういったものとか、あるいはまた林野庁サイドで当然行いますところの緑化工、もとの山に復したいということでいろいろ肥料木等を混植して緑化していくというような緑化工、こういったものを施工いたしまして山腹の安定を図りまして、万全の対策を講じてまいりたいと、このように考えております。
  67. 小谷守

    小谷守君 応急の工事は大体いつごろまでにできましょうか。
  68. 江藤素彦

    説明員江藤素彦君) 現在すでに災害発生直後から事業を行いまして着手いたしておりますんで、応急工事といたしましては、当面のところ十一月末ぐらいにはとりあえず応急工事ができると、このように考えております。
  69. 小谷守

    小谷守君 国土庁長官、まだ現地をごらんになっていませんから、これを……。(写真を示す)  そこで、建設省ですが、この平場の方の始末はどうしたもんでございましょうか。もう途方に暮れておるんです。
  70. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) 平場の復旧計画、いわゆる本復旧の基本方針でございますが、これはいわゆる町づくりと関連してくると思います。それで、現在県当局と町当局が一緒になりまして検討を進めておる段階でございます。その中におきまして、いわゆる関係住民の意向なども考慮して案を練っておるということでございます。そうしまして、これにつきましては建設省あるいは農林省も関係しますので、関係行政機関が十分協調をとりながら災害復旧事業あるいは改良事業、そういうものを総合的に組み合わせて復旧事業を実施していきたい。そうしまして民生の安定を図ってまいりたい。現在におきましてはいわゆる県当局と町当局が復旧の基本計画を練っておる最中でございます。それに基づきまして早急に対処してまいりたいというふうに考えてございます。
  71. 中馬辰猪

    国務大臣中馬辰猪君) 災害復旧自体のことは当局の申したとおりですが、私は現場に参りまして、一日も早く町づくりをしてほしいという切実な要求がございます。私はこれに対して、それはよくわかるけれども、もとの場所につくるのか、あるいは別な場所にまた移転してもらうのか、これはよほど慎重にしなきゃいかぬというので、先般建設省の地質の専門家の方が三人参りまして現場を見てまいりましたから、県当局と町当局との間で話をしながら、しかも地質学的に永久に安全であるという場所を決めてもらってからしなきゃいかぬと。故老の中には、やっぱり墓場がそばにあるわけですから、どうしてももとの家に住みたいという、これは人間の本能でございます。ところが、中にはもうここは危ないから思い切って移転したいという方もたくさんおるようでございますから、場所については県と地元とそれから建設省等の間でよく協議して、もう二度と再びないと、災害はないという場所を決めたいから、それはひとつこっちに任せてほしいと、こう申したら、もちろん一任というわけじゃありませんけれども大臣頼んまっせという声があっちこっち会議で上がりまして、大体その方向だと思います。  ただ、私の一つの試案でございますけれども、川内川の中流で宮之城という町の温泉街が先年全部流失したわけです、水害のために。そこで地元では、もとの場所につくってほしいという人たちが半分ぐらいと、思い切って高い場所に移りたいという人が半分ぐらい、約二カ年ぐらいもめたんです、場所の移転について。ところが、結局危ないから移ろうじゃないかという、そのときに、それじゃ土地をどうするかというので、知事がじゃあ県で引き受けましょうということで、県に住宅公社というのがありますから、これが地元の意見を聞いて、そして町づくりのために計画をして、そして土地買収をして町をつくったわけです。そしてつくったときに、あなたの家はここ、あなたの家はここといって一軒一軒決めないと、おれはあれの隣はいやだとか、あの後ろはいやだとか、いままでは隣だったけれども、もう今度はひとつ別に直してくれとか、やっぱり二年ぐらいかかりましたね。まあ田舎のことですから、もう非常にあれと一緒になりたい、あれのそばはいやだとか、町の裏がいいとか表がいいとか、そういうことを一切町当局と部落と県でやってもらって、その県の住宅公社のを住民に買ってもらうわけです。買ってもらうといってもすぐに金は払えませんから、住宅金融公庫の方から借りた分は充てると。足らぬ分は年賦払いということにしまして、住民が納得いく形で部落をつくったんです。これには水道とかそれから保育園とか、あるいは公園とか、まあいろんな条件があるものですから、その費用はどっちが持つかとかいうことで、納得ずくめで、私が中に入りまして、最終的に移転が完了したのは大体三年ぐらいかかっておるんです。あそこはしかし温泉地だったものですから、湯源の関係があるし、それから町の表が商売がいいとか悪いとか、いろんなことがあったわけですが、まあ一宮の場合は、私は原型は知りませんけれども、純農村地帯の町でございますから、温泉場みたいにお温がそばであるとかないとかということはないわけですから、ですから、まあこれはもう内政干渉に当たりますけれども、もし兵庫県の方でそういう住宅公社等が提供して、それはもう年賦払いをすると。で、建設省の方でもできるだけのめんどうを見るということができますと進むのじゃないだろうかと。これは先生の方からも——まあ利の意見は意見てございます、これはもう個人の意見でございますけれども、県当局にも話をしてもらえれば、私の方も思い切って進めてまいりたいと、こう考えております。
  72. 小谷守

    小谷守君 いま県と町との間で話し合いをしておることも事実であります。ただ、被災者は何年待ってもいいからもとのところへ帰りたいと、こういうのが今日の被災者の心情でありますが、これもやむを得ぬことだと。しかし、百万立米土砂の下に埋まったものを、これを取り除くというふうなことはポンペイの遺跡を発掘するよりまだむずかしいと思う。ですから、そのもとのとおりに復元してそこに先活を営む場所を求めたいというのは、被災者の心情はわかりますけれども、実際問題としてはできにくい。  そこで、私はいま大臣のおっしゃったような方向以外に本格的な復旧の方法はないと思うのでありますが、そうした場合にどういう手だてがあるか。私は、この委員会のメンバーであります古賀先生が推進をして四十九年にできた防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律、これに依拠してやれるならばかなりなことができるのではなかろうかと思われるわけであります。仮に、崩壊した土砂を取り除くことはできぬと。持っていくところもない、また取り除くためにもう莫大な費用がかかる。その上に新しい集落を再建すると。地籍その他まだ、あるいはたんぼ、そういうものの地籍もはっきりあるわけでありますから、それに相当する面積は確保してやる、こういうことが可能なのではなかろうか。あるいはほかの場所に移転することがあったとしても、この法律はこの際の根拠法として有効に機能するものかどうか。大ざっぱなことでありますけれども国土庁長官の御所管のようでありますから、私は大体の方向だけ承っておきたいと思うのです。
  73. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) もう先生よく御承知のとおり、防災集団移転促進事業というのは、被災現地の集落再建ではなかなかその住民の生命あるいは身体、財産の安全確保か期しがたいということで、特別な財政の特例措置を講じまして集団移転を図るということでございますから、現地で復旧するということになると、当然にはこの法律の適用がない。そこで集団的に移転する。移転する場合に、一般の場合十戸以上の団地をつくって移転するわけでございます。その場合に特例が適用になるわけでございますが、その現地で踏み固めてやるということは一体どうかということになるわけでございますが、この法律の基本的なまず精神から見ますと、その現地では非常に危険があるということで、別の方へ団地をつくって移転してもらうということで、それだけに実は手厚い国庫補助もしておるわけでございます。したがって、いまいろいろ関係省の話を聞いておりまして、いろいろな治山治水の工事等もされるわけでございますけれども、一体現地から見て、その結果が非常に安全が確保できるのかできないのか、基本的にはそこの問題に帰するのではないかと思うのでございます。  そういうことで、この程度やればこうだということで見込みがあるならば、現地でおやりになる場合は、一般的な災害復旧といったような形での対応策ができると思うのでございます。ただ、どうしてもやっぱり、おっしゃいますように百万立米のがけが崩れ、さらにまだあと地割れもあるといったようなことで不安だということになりますと問題もありそうでございますから、やはりそうなると、私どもとしては地元住民あるいは市町村とも——十分町とも相談をいたしまして、どうするかということを詰めた上で対応すべきだと思うのでございます。ただ、その場で復旧すればこの法律の適用があるかとなると、なかなかそれは直ちには読みにくいのじゃないかと思いますが
  74. 小谷守

    小谷守君 平面が違うのです、平面が。
  75. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 平面が違うわけでございますが、同じ場所でございますから、そこはもう少し地元とも相談して、やり方いかんにもよると思いますので、もう少し研究さしてもらいたいと存じます。
  76. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 小谷君、時間が来ましたので……。
  77. 小谷守

    小谷守君 こんなときに機能せぬ法律ならだめですよ、これ。われわれ期待してこれに賛成してつくった法律です。こんなときに生きて動かぬ法律ならだめですよ、これ。ひとつ前向きで考えてもらいたいと思います。
  78. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) 法律の精神はいま局長が申したとおりでございますが、集団移転……一戸ずらしても移転ですから、法律は解釈のしようじゃないかと思います。これほどの災害をこうむっておる地元民が、被災者がここがいいということで、それが建設省並びに県等との話し合いの上でそこに決まったという場合においては、この法律で活用できる範囲内において適用できるような措置を講じたいと思います。
  79. 小谷守

    小谷守君 きょうは、まことに小さい災害の一点だけにしぼって御質問したわけでありますが、私はこの中に全国的な災害のいろいろな問題をはらんでおる、こういうふうに思われましたので、国会質問のスタイルとしては変わった形でお伺いをしたわけでありますが、いまこの法律の適用について国土庁長官の非常に弾力的な御見解が出たことを多とします。これはぜひ、恐らくこの法律が立って歩く初めてのケースではなかろうかと思われますので、特段ひとつ御検討を願いたい。  これで終わります。
  80. 中村波男

    中村波男君 私は、先般の十七号台風に伴う水害について、治水対策を中心に質問を進めたいと思うのでありますが、その前に天野国土庁長官に二、三お尋ねをいたしまして、質問が終わればお引き取りいただいて結構だと思うのであります。  その問題と申しますのは、先般社会党を代表いたしまして災害対策長官にお会いをし、申し入れました中で、長官からも、いわゆる個人災害については、この機会に庁内で小委員会を設けて、実行措置をも含めて検討してみたいという趣旨のお話があり、さらに十月の四日でございましたか、本院の予算委員会で前川旦君の質問にお答えになりまして、その趣旨は、新聞によりますと、「昭和四十五年から三年間、共済制度の研究をしたが、地方自治体によるまとめが困難など問題があった。しかし、国民一人当たり十円の拠出で十億円の資金ができ、こんどの災害だと被害者に七百万円ぐらいの見舞金が出せることになる。地すべりなどで家屋ごと流失した場合に、屋敷をつくるぐらいのカネを出せるような方法がないか、検討してみる」。これは大きな世論的にも反響を呼んだと思うのでありますが、私、岐阜県の例をとってみましても、四日、五日と床上浸水の中にありました家屋というのは、大変な傷んだばかりか、家財というのはほとんどだめになる。したがって、時価で見積もるならば、一戸平均一千万あるいは七、八百万の損害ではないかとさえ言われております。また、畜産家の例をとりますと、鶏で一万羽以上斃死したとか、あるいは豚が百五十頭、二百頭斃死したとかいいうようなそういう災害、さらに中小企業者の機械等はスクラップになってしまったというような損害、そういうのに対するいわゆる低利長期の融資の道は一応ありまするけれども、結局ただでいただくといいますか、返さなくてもよい救済の方法というのは皆無と言ってよろしいかと思うのであります。  そういう点に立ちましても、これは前々から個人災害に対する救済制度を確立すべきである。このことは両院におきましても相当前々から議論をされてきた内容でありますだけに、長官の前向きの姿勢は大きく反響を呼んだわけでありますが、その具体的な内容、真意について重ねてお尋ねをいたしまして、今後のこれに取り組む姿勢を含めてお尋ねをいたしておきたい、こう思います。
  81. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) 災害が起きるたびにこの問題が議論されているわけでございます。私の経験からしても、十七、八年前からこの問題が議論されておるのでございますが、なかなか個人災害の補と償いう問題になりますと、国で扱うということは理論的に非常にむずかしいということで、この問題がなかなか法制化することが困難であったことは事実でございます。  そこで、私ちょうど衆議院の災害委の小委員長を相当期間長くやりましてこの問題と取り組んだのでございますが、お見舞い金を出すという程度ではこれは限られております。そこで、まとまった金で災害のときに救済する措置はないかというので共済制度を考えついたわけでございますが、それで当時総理府に予算を取らせまして、三ヵ年間この共済制度を調査、勉強さしたんでございますが、当時総理府、政府当局からは非常に困難である、実施をするその下部組織である県並びに地方自治団体の市町村が賛成をしているのはわずかであるということで、これはどうも困難だというので、やむを得ず個人のお見舞い金制度、五十万という制度を私、議員立法であれを出した経緯からいって、当時の問題点は、やっぱり亡くなった人のお見舞い金の方は、考えようによっては生命保険がありますから、これは一〇〇%戦争と違いますから実施されます。入ることができます。それですから人間の命は救われるんですが、いまの一宮災害のように、屋敷も家も何もなくなってしまったというものに対する民間で扱う処置は、物件保障として損害保険で総合保険というのがあるだけでございまして、なかなか農業共済の制度ですらも農村は入れないという実態で、うち、いつか地すべりが来るんじゃないかなんというようなことを、言っていても高額な、非常に高いですから入ることが困難だ。  であるから、この問題はやっぱり政府の手でこれは救済すべきであるという考え方、これは私の災害を扱ってきた体験上からきた思想でございます。なかなかこれが扱いすることが非常に困難でございますが、衆参両院の災害対策委員会の小委員会の御協力を得ながら、私の方でも事務局に命じまして共済制度として確立ができないものか、何らかの指示はできないものかということで前向きにこれはやりたいと思う。ただ、私ちょうど幸いこの担当する大臣就任することができたものですから、この機会にひとつやろうと思っているんですが、どうも私これをやり切れるまで命があるのかないのか非常に問題なものですから、なかなかそこのところがちょっと……。そこで、まことに恐縮ですが、両院の小委員長によくお願いして、小委員会の協力を得てという言葉をそこにはさんであることをひとつ御理解願いたいと思うんであります。私ちょっと長くできるんならこれは始末いたします。
  82. 中村波男

    中村波男君 長官のいまおっしゃったように、これは国の責任で救済の道を開くというのは、私は当然な政策のあり方として、またそういう思想でこの問題に対処してもらいたいと思うんでありますが、ただ、新聞記事その他から気がかりになりますのは、従来総理府等で三年間検討したけれども実らなかったという経過がある。それからもう一つ長官はいまも率直におっしゃったが、おれの任期はいつまで続くかわからぬという、そういう長官としての責任の限界はあると思います。しかし、衆参の両院の建設委員会にげたを預けて、かっこうのいいことだけおっしゃって逃げられたんでは私はたまらないと思うわけであります。したがいまして、政府として、国土庁として、やはり小委員会なり正式な調査機関を設けてこの問題に前向きに取り組むという、そういう最初に私たちにお約束になったようにお考えがあって、もうすでに事務当局についてはそういう——まだ日にちがありませんから、具体的な方法、方針について承ると思いますが、指示をなすって動きつつあるのかどうか、その点をもう一点お聞きいたしたいと思います。
  83. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) 結論から申し上げますが、あす参議院で初めて災害委員会がございます。それが終わったところで御了承を願って、この問題、災害の小委員会に取り組んでいただけるということになりますれば私も事務的にすぐ命じます。ただ、これはもう釈迦に説法だと思いますが、個人災害の救済がいかにむずかしいかということなんでございます。これは私、五十万のお見舞い金、これはいま百万になったんですが、これは憲法違反だと言って大蔵省からもう小委員会でずいぶんやられたんですが、憲法違反ならおまえたち国会相手にして行政訴訟を出せと言って私最後にしりたくってあの法律案を出したんでございますが、やってみれば、これ四年ぐらいたったんですが、どこからも出てこないから、やはりこれはよかったなという感じがしているんですが、いわゆる交通事故で亡くなったのも個人災害である、そこらのアパートが燃えて、人が、親子三人連れが亡くなったということになればこれも災害である、一体どうするんだということで最後には大蔵省の方からやられたんですが、私は天災と名のつくものを、天災地変と名のつくものをこれをやるんだということで、扱うんだという始末をしたわけでありますが、そこらあたり行政的に非常にむずかしいところがございます。これどうしても正式の政府機関でやらせるということでは私は不可能だと思います。これはどうしても、そうではなくて、強力なそれ以上の力で、政治力でやらなきゃだめな問題であると思いますので、これは私の執念でもございます。そうですから、幸いこの立場になったわけでございますから、私のところでつばをつけますし、長くできれば結構だけれども、長くできなくても議会に戻りましてこの問題とは取り組んで始末をつけたいと思いますから、その点よろしく御理解願いたいと思います。
  84. 中村波男

    中村波男君 これは申し上げますまでもなく、この問題こそ超党派で合意に達する内容であり、前々から政府に要求してきたいきさつから言いましても、これは国土庁が窓口になってやはりたたき台をつくって、それを衆参の小委員会等でも検討をして、一体になって次の国会には法案として出さなければならぬということになるならば、出すぐらいのめどと意気込みで対処していただきたいと思いますが、いかがですか。
  85. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) 私はその意気込みなんですが、私も本当、これは今度予算で要求するんですが、災害を扱っているのがごく少数で、とても今度の国会までに間に合わせることが、事務的な内容からいって、いまの災害の始末をするのにてんやわんやでございますから、そこは責任逃れじゃありませんから、私は決して責任逃れはいたしませんから、自分の申したことは必ずやるという方針で議員生活を続けてきておりますから、この問題を責任を持って私は進めますので、その点御理解願いたいと思います。
  86. 中村波男

    中村波男君 ありがとうございました。長官もう結構です。  次に、建設大臣にお尋ねいたしたいと思うんでありますが、ここ数年前までは大体治水対策、特に河川の改修等の事業の中心といいますかウェートというものが直轄河川、一級河川に限られてきたと思うんであります。したがって、当院における過去の審議の議事録等も大ざっぱでありますが目を通してみますと、それぞれの河川局長なり大臣は、これからは中小河川、都市河川に重点を置いて河川行政を進めていくということを言明をされてきたわけであります。したがって、大河川だけは大丈夫だという神話を生んでいたことも事実であります。しかしながら、一昨年の多摩川の決壊、昨年の石狩川のはんらん、決壊、今回の長良川の決壊によって神話はもろくも崩れ落ちたと言わざるを得ないと思うんであります。したがいまして、岐阜県におきましても直轄河川が切れたというので大変なショックを与えておることは否定できない事実でございます。  したがって、まずこの長良川の安八町大森地内の決壊の原因というのはどこにあったか。私は今後再びこういう災害を繰り返さないためにも原因を究明することがきわめて重大である、こういう立場で、原因についていかなる建設省は認識をお持ちで今後に対処されようとしておるのか、お尋ねいたします。
  87. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) 今回の台風の洪水の特徴というのは、いわゆる上流部で、長良川の上流部におきまして千ミリ以上の雨が降ったと、しかもその大きな雨の山が四回にわたって降りまして、したがいまして、河川におきましては計画高水に近い水位というものが三回にわたって起きたわけでございます。しかも、その高い水位が七十時間以上続くというふうに非常に長時間の洪水が続いたわけでございます。と同時に、当該地先におきましても八百ミリ以上の雨が降ったと、そういうふうに近年におきましても類のない異常な天然現象といいますか、そういうものが重なっていわゆる堤防が破堤したというふうに考えております。しかしながら、やはりああいう異常な雨が降ったというのは事実でございますので、いわゆるああいう雨が降った場合でも堤防は安全であるかどうかという、そういう面につきまして建設省としましては調査してまいりたい。と同時に、いわゆるあそこの破堤の機構というものについても十分調査してまいりたいと。そうしまして、今後ああいうふうな異常天然現象に対しても十分耐え得る堤防といいますか、そういうものを計画してまいりたいというふうに考えてございます。
  88. 中村波男

    中村波男君 やはり私が予想したような答弁がはね返ってきたわけでありますが、すべての原因を大雨に転嫁させようとする建設省の態度には私たちは承服するわけにまいりません。なるほど八十時間水づけになったという堤防の現状、それから千ミリ、千二百ミリと未曽有の大雨が降ったという現実、これを無視することはできぬと思いますが、しかし、堤防そのものから考えますならば、最高の高水位も高水量も決してオーバーはしておらなかった、超えてはおらなかった。そういう中で堤防が切れたのでありますから、やはり水だけに責任を負わせることはできないと思うわけです。何かやはり堤防が根本的に弱かった、切れる原因があって切れた、こういうふうに地元はひとしく言っております。だから人災である、政治災害だ。この憤激、この怨嗟の声は被災者の中に満ち満ちております。そういう意味で、そういう大雨にただ責任をかぶせて、この原因を逃げられようとすることについては、私たちとしては納得するわけにはまいりません。したがって、まだほかに原因があったと思うのであります。その点について全くないとお考えでありましょうか。
  89. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) 今回の洪水は、先生もおっしゃいましたように非常な大雨でございました。それで長良川全川におきまして非常に危険が、堤防が全川にわたりまして非常な危険な状態になったわけでございます。それで私たちとしましては、ああいう長い雨によりまして堤防がうんだ、そうしていわゆる水位は堤防をオーバーフローしないけれども、堤防が水でいっぱいになって切れたというふうに考えてございます。しかしながら、この点につきましては今後とも堤防の安全性を含めまして十分調査してまいりたいというふうに考えてございます。
  90. 中村波男

    中村波男君 十分調査をしたということでありますが、かなりその調査には日数も要することはわかりまするけれども、いましからば、その原因調査についてどのような方法で調査に取りかかっていらっしゃるのか、その実態というのをお示しいただけたらと思います。
  91. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) 早速どういうふうに、どういう問題点を調査していくべきか、それからどういう事項を調査していくべきであるか、そういう調査内容につきまして、土木研究所が主体になりまして、本省ですでに会議を持ちまして今後の方針をいま検討中でございます。
  92. 中村波男

    中村波男君 ただいまも河川局長は、原因の主たるものとして大雨に置かれたわけでありますが、私はあの地域が御承知のように明治四十四年だと聞いておるのでありますが、池があった。その池を埋めまして、そしてゆがんでおった堤防をまっすぐにした。その土というのは、その付近からいわゆる集めた砂土である。堤防の築造法として従来とられてきた方法によれば、真ん中に粘土なり赤土を固めまして、そして堤防をつくるというのが従来のつくり方であったようでありますが、あの付近に限りましてはそういうことか行われておらなかった。そういうことの中で、いわゆる土の堤防というのは長時間大流量につかると崩れてしまうということは定設でありますし、私もそれを否定することはできないと思うのであります。しかし、最近十五年も盛り土だけの堤防で済まされていたという、このために今度の事故というのは第一原因は異常な大雨であったにいたしましても、行政責任は私は免れないと思うんであります。  さらに申し上げますが、地元の人たちは、三年前からすでに漏水がしていた、だから建設省に対しまして、これに手当てをしてもらいたい、危険だから何とか堤防を強化してもらいたい、このことを切にお願いし続けてきたけれども、ほってあった。こういう事実があるわけであります。これらを全然反省することもなく、雨に転嫁される建設省の態度については、被害を受けた者は泣くにも泣かれません。そういうことが生で伝わりますならば、住民の感情は大変なことになると私は思うんであります。雨だけに責任を転嫁することなく、行政の手落ちというものも率直に私は認めた上で、再びかかる災害を起こさない対策はどうあるべきかを検討してもらいたい、こう思うのでありますが、これは大臣からひとつ御答弁をいただきましょうか。
  93. 中馬辰猪

    国務大臣中馬辰猪君) 事は非常に重大な問題でございまして、私も現場を見たんですけれども、私何分素人でございまして、そういう専門的な判定をできる能力はないと思っております。しかし、よく行政当局とも相談をして詳しく検討してみたいと、こう考えます。
  94. 中村波男

    中村波男君 それからもう一つは、私はその災害が起きるまでの建設省の対応の仕方に大変な手落ちがあったのではないかと思うのであります。と申しますのは、九月十二日の未明からいわゆる漏水等が激しくなった。そしてさらに七時か八時ごろでありますか、大変な亀裂が生じた。しかし、その段階でも建設省の木曽川上流工事事務所の職員は一人か二人現場にいたようてありまするけれども地元の四、五十人の人たちで水防活動をしておったにすぎない。したがって、少なくとも七、八時間、特に危険が増した時点から七、八時間決壊までに時間があったのでありますから、したがって、もうすこし適切ないわゆる防災活動が行われておるならば切れなくても何とか防げたのではないか、こういうことが悔やまれてならないと地元の人たちは言うのであります。  これも、もう一つは、この決壊現場がいわゆる水防計画によるランクづけのCであった。したがって、AとかBとかに、いわゆる水防活動の重点がそこに置かれて、もちろん岐阜周辺等に破堤寸前の個所が幾つかありましたから、岐阜市で堤防が切れたならば大惨害を引き起こすということで、その地域に重点が置かれることはやむを得ぬと思いますけれども、やはり、A、B、Cというランクづけによって水防活動というのが何といいますか位置づけられていたということが誤りであったのではないだろうか。したがって、私がいただいた資料を見ましても、今回の水害で危険個所がたくさん出ておるわけでありますが、この危険個所を見ましても、A、B、Cになっていないところに相当な危険個所がある。いま申し上げましたように安八町大森地域の決壊地というのはCであった。こういうことを考えてみますときに、A、B、Cのランクづけ自体がこれは全く科学的でないという、今度の水害に限って申し上げれば全く実態とはかけ離れた結果が出たという、そういうことを考えますと、今後の水防計画としてこれはやはり洗い直す必要があるのじゃないか、そういうところに手落ちがあったのではないだろうか。こういう点について考えるのでありますが、いかがでしょうか。
  95. 中馬辰猪

    国務大臣中馬辰猪君) 私も就任早々そのことを感じたものですから、全く同じことを。直ちに全国の一級河川については健康診断をしてほしい、いわゆる健康診断といいますか、ランクづけといいますか、個所づけといいますか、本格的な大改修はなかなか口で言うほど簡単でありませんので、ちょっとした金をかければここは直るというところは多少あると思います。だから、いわゆる直ちに総点検といいますか、健康診断をいま事務当局に要求しておるところであります。
  96. 中村波男

    中村波男君 もう一つ、先刻質問した問題に戻るわけでありますが、この決壊現場がいわゆる沼地であった、池であった。それを埋めて堤防をつくった。このことについては建設省は認めますね。
  97. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) 当該地域が池であった、そこを埋めて堤防をつくったということは、そのとおりでございます。
  98. 中村波男

    中村波男君 池を埋めて堤防をつくったということをお認めになったわけでありますが、そのことが決壊に大きく結びついたとはお考えになっていないわけですか。
  99. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) 当該地域につきましては、昭和三十四年あるいは三十五年、三十六年というふうに長良川で非常に大きな洪水が三年連続して続いたわけでございます。そのときにおきましても、当該地域におきましては、のり崩れとか、あるいは堤防からの漏水とか、そういうものはなかったというふうに聞いております。したがいまして、いわゆる池があっても、それが直接の破堤の原因になったというふうには考えておりません。
  100. 中村波男

    中村波男君 局長、過去にも大洪水があって、そのときには全然危険がなかったから、その原因でないとおっしゃいますがね。しかし、過去の雨量、それから特に八十時間堤防が警戒水位を上回って水づけになったという、そういうことはないわけですね。
  101. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) いままでの大洪水におきましては八十時間以上も長い水位が続いたということはございませんでした。
  102. 中村波男

    中村波男君 局長、しゃあしゃあと、ございませんでしたと簡単に御答弁されますがね、八十時間も警戒水位を突破して、そして堤防自体がうんだといいまするか、そういう中からいわゆる決壊をしたという、この事実は認めざるを得ないでしょう。
  103. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) ああいう天然現象が原因になって堤防が決壊したと、そのとおりだと思います。
  104. 中村波男

    中村波男君 そこで、私の質問に的確にひとつお答えいただきたいんでありますが、私もそういう異常出水であったということは前提にして、決壊原因というのはどこにあったかということを素人なりにいろいろ検討をいたしておるわけであります。したがって、もう三年も前から漏水をしておったという事実ですね。それからその朝に、未明にはガマから浸水が目立つようになったという事実、そういう中でやはり悔やまれるのは、あそこにもう少しコンクリートの護岸壁が早くつくられていたならばこのような惨害というのは避けられたことは間違いない、そう思うわけであります。  したがって、もう少しさかのぼって質問をいたしますが、新聞等によりますと、大体大河川の整備率というのは全国平均で五〇%程度だと、長良川に限っては一九%である。このことはどういうわけで長良川だけかくも整備率が低かったのか、この点について御説明をまず承りたいと思います。
  105. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) 整備率の五〇%という意味は、いわゆる戦後最大洪水を安全に流下さすには五〇%程度できておるという意味でございます。いわゆる流量を、戦後最大の流量を安全に流すための整備率が五〇%であるということでございまして、長良川におきまして一九%という問題でございます。非常に低く感ぜられるわけでございます。それで、いわゆる河川の改修というものは昔からやってございまして、当初の計画を対象にして現在歴史的に河川改修が行われておるわけでございます。その後いわゆる計画を改定して、新しい計画のもとにまた改修工事を実施しておるということでございまして、一般的にいわゆる戦後最大洪水の流量というものは、普通の川でいきますと、当初の計画にほぼ等しいというのが実態でございます。ところが、長良川におきましては三十五年の大水害によりまして計画改定して、いわゆる基本高水八千になった。それで河道で七千五百ということでございまして、こういう改定した流量そのものがいわゆる戦後最大洪水そのものであった。  それに対しまして、長良川としましては、その七千五百を流すのにどういう方法で対処してまいったかということがこの一九%の基本になろうかと思います。と申しますのは、いわゆる長良川におきましては河床を掘削する、川底をしゅんせつして、前が四千五百だったと記憶しておりますけれども、一秒間に約三千立方の洪水がふえたのを安全に流すのに、河床を掘って、川底を掘って流すという計画でございます。したがいまして、そういう意味におきまして一九%ということでございます。しかしながら、堤防そのものの進め方といいますか、進捗率といいますか、これは一般の直轄河川よりも進んでおるということでござます。すなわち、しゅんせつ途中で計画を変えまして、いわゆる戦後最大の洪水というものは、新たに河床を掘らぬといけないということが、こういうふうな一九%になったということでございます。
  106. 中村波男

    中村波男君 ちょっと私、お話を聞いても理解がしにくいわけでありますが、そういうお話だと私の聞き違いかもわかりませんが、いわゆる河道をしゅんせつすると、川底を下げると、これは河口ぜきとの関係が必然的に出てくるわけであります。だから、整備率にいわゆるたるみといいますか、テンポを緩めておるんだと、こういうふうにとれますが、そうでしょうか。
  107. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) その辺非常にデリケートでございまして、すぐ直結するということでもございませんけれども、いわゆる河川の改修の歴史というものがありまして、まあしゅんせつをすると同時に、やはり堤防の方も補強していくということでございます。
  108. 中村波男

    中村波男君 そこで、もう災害の起きたことを幾ら攻撃してみても、災害は戻らないわけであります。したがって、問題は、今回の災害にかんがみて、二度と再びかかる大災害を引き起こさないようなそういう復旧対策はもちろん、恒久的な河川の整備計画というものが打ち立てられなければならないというふうに思うわけであります。堤防決壊というのは、私は河川行政にとっては恥なことではなかろうかというふうに思うわけであります。この機会治水事業のあり方というのを改めて問われておるのでありますから、したがって、新治水五カ年計画を改定するというのでありますが、それを見ますと、何か八兆円を一兆円程度予算をふやすというようなことも大臣談話として出てきておるようでありますが、この計画についてどういうふうになっておるのか、この機会に承っておきます。
  109. 中馬辰猪

    国務大臣中馬辰猪君) 御説のとおりでございまして、治水計画が従来から見れば多少おくれておったような感じはいたします。堤防だけ補修をすれば、あるいは改修すれば災害が防げるということには無理があると思います。やはり国土全体の総合計画というものをつくるということ、そういうことを考えた場合に、まあ新都市計画法とか、あるいは宅地造成事業規制法とか、こういうものを厳重にまず規制してもらうということ、実行してもらうということ、また堤防だけではなくて、ダムとか、あるいは遊水地とか、あるいは団地をつくる場合に、そこが、いま計画しておりますけれども、水が入ってきても一階までは仕方がないと、二階以上は助かるというふうに最初からそういう団地をつくるとか、いろいろのことを計画しているわけです。したがって、従来の治水計画を見直して、そうして国土の安全と国民の財産、人命を守ろうということでございまして、いま早急に計画の内容について事務当局で検討をいたしておりまして、これを近く大蔵省その他にも御相談を申し上げたい、こう考えております。
  110. 中村波男

    中村波男君 そこで、私は新治水計画、原案は八兆円だと承っているわけでありますが、これではとてもとても足らないと思うわけです。少な過ぎると思うわけです。したがって、私たちといたしましては、この改定の機会に、今回の災害にかんがみて、もっと大きい予算に変えられるべきではないだろうか、増額をすべきではないだろうか、このように思うわけでありますが、新聞等によりますと九兆円ということが出ておりますが、それは建設省として固まった金額で、可能性があるのかどうか、見通し等を含めて御答弁を願います。
  111. 中馬辰猪

    国務大臣中馬辰猪君) 九兆円ということはまだ固まっておりませんし、八兆円自体もまだいろいろの問題がございまして、なかなか大蔵省が素直にその紙切れを受け取らないという現状でございますが、まだ予算編成までに相当期間がございますから、八兆円になるのか、八兆円を超えるのか、いろいろの問題がありますけれども、まだ具体的にコンクリートしたものではございません。
  112. 中村波男

    中村波男君 相手が、大蔵省が何だかんだと言いますが、しかし、少なくとも建設省として断固どれだけ要求をし、実現を期する、こういうものがもう固まらなければ、言い方は悪いのでありますが、へっぴり腰でお伺いを立てるような態度ではなかなか八兆円もおぼつかないのではないかというような気もいたすわけであります。したがって、ここで承りたいのは、決定はとにかくといたしまして、建設省としては九兆円以上を要求するという態度が固まりつつあるのか、固まったと見ていいのか、その点いかがですか。
  113. 中馬辰猪

    国務大臣中馬辰猪君) 決してへっぴり腰ではございません。というのは、三全総という問題がありまして、建設省だけでも独走ができない、建設省の中でも治水だけ伸ばして、じゃ、あと道路その他は全部削るのかということも問題がありますから、やはり国全体の三全総という枠の中で、いかにして治水計画を伸ばすかと、こういう技術的な問題もありまして、決してへっぴり腰ではありません。ただ、最重点的に私としては治水計画を進めたいと、こう考えております。
  114. 中村波男

    中村波男君 局長、もう一度くどいようでありますけどね、何といっても担当局長で、いわゆる一番重大な責任を今後もとられなければならぬ立場でありますから確認しておきますが、たしかこれは朝日新聞の記事の中で局長談話というものが出ているわけでありますが、「長良川の決壊原因の一つは、盛り土堤防が水に弱いことだったと認めざるをえない」——これはいいですね。
  115. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) はい。
  116. 中村波男

    中村波男君 それならばそのように初めからおっしゃることですね。大水に責任を転嫁するような答弁をされるから要らぬ質問をしなければならぬということになるわけでありますが、そこで、「堤防にとって護岸が大切なことをあらためて痛感している。治水事業がこう遅れている現状では、次はどこがやられても不思議はないほどだ。今度も関東の鶴見川、関西の円山川が間一髪の危険な状態だった。利根川でさえ安全でない。だが、例えば護岸をいまの一割から大幅に引き上げるには、治水予算が徹底的に足りない。戦後すぐのころは国民所得の二二%も治水予算があったのに、その後は低下の一途で、いまは六、七%だ。守るべき河川流域の人命、財産はふえているのに、守る主体がこれでは正直いって心細い」。これが私は実態であり、こういう認識をお持ちいただくことが大切ではないか、こういうふうに思うのでありますが、この記事はもちろん間違っておるとは私は思っていないわけでありますが、よろしいですね。
  117. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) その記事の全体的な趣旨については、そのとおりでございます。しかしながら、やはりよく新聞記者の方が勉強されて書かれたということと、やはり書かれる方のアクセントがあるということも事実でございます。  それから先ほど先生が直轄河川が破堤したのは恥だとおっしゃいましたけれども、私たちも本当に直轄河川がいわゆるオーバーフローしてもあれでございますけれども、切れるということは非常に残念に思ってございます。この安八町の被災された方々に対しまして非常にお気の毒に感じております。私たちはさらにやはり治水事業推進してまいりたいというふうに考えております。
  118. 中村波男

    中村波男君 そこで、今後の緊急復旧、さらに通常復旧といいますか、危険個所の手当てでありますが、去る九月三十日に中部地建が台風十七号の被害をまとめまして新聞等に発表をいたしておるのを見ますと、「今度の豪雨の被害の特徴は堤防のノリ面が各所で崩れたことと堤防の漏水が目立った点」だと、「なかでも水防計画Cランクのいわば〃安全な堤防〃の被害が目立った」と、「これらの被害個所については、来年の出水期までには復旧を終える予定だが、」「今度の被害実態を踏まえて護岸の設置、天端(堤防の上部)の改修、水防ランクの見直しなどの対策を進めることにしている」と、こういうふうにまあ言っておりまして、決壊寸前が四十四カ所とか、いろいろ内容があるわけでありますが、時間もありますし、建設省御存じのことでありますから詳しくは言いませんけれども、これでも大変な私は予算を要すると思うわけであります。長良川一つにおきましても、かなり大きな予算の配分をお願いしないとできないのではないかという感じがいたすのであります。これらにつきまして、この建設省に対する地建の、要求というのは必ず満たされるものであるかどうか、予算的裏づけをここで言明願えますか、どうでしょうか。
  119. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) 長良川につきましては、従来からも建設省としましては重点を置いて予算をつけてきたところでございます。今後におきましても、今回の災害にかんがみまして、やはり重点を置いて処置してまいりたいというふうに考えております。
  120. 中村波男

    中村波男君 昭和四十七年の「国土建設の現況」といういわゆる建設省の白書ですね。白書によりますと、こういう項目があるわけであります。「河川流出の集中増大を防ぎ、あわせて低湿地の宅地化の抑制と都市における公園緑地の確保を図るため、水害危険区域の公示、遊水池、公園、洪水調節緑地の積極的かつ先行的な確保」、こういうことがうたってあるわけであります。これが実際に今日までどのように稼働したといいますか、働いてきたか、その実態について少しく説明を求めたいと思います。
  121. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) 上流の開発に伴う流量増に対しましては、たとえば大規模な団地の開発を行いますときには、流量がふえないように防災調整池をつくらすとか、そういうことも対処しております。また、たんぼにおきまして大きな団地を建てる場合も、そこに池を掘るとかいうふうな行政指導もやってございます。また、治水緑地その他、いわゆる河川管理者の行うそういう洪水調節地につきましても、従来から重点を置いて対処してございます。  また、現在の土地がどういう土地であるかということでございますけれども、そういう面におきましては、すでに洪水はんらん予想区域の調査とか、あるいは土石流危険区域の設定の調査とか、そういうものを行っておりまして、早急に対処してまいりたいというふうに考えてございます。
  122. 中村波男

    中村波男君 実際には建築基準法あるいは急傾斜地なんとかというのによって規制を行うことになっておりますが、実際問題としては、それなら危険地域だから住宅を建てていけないよというので規制をしたという事例というのは、私がお聞きした範囲で申せば、ほとんどない。あってもほんのわずかである。こういう点から言いましても、私はこの災害経験にかんがみまして、新しい治水五カ年計画に仮に十五兆円の予算が組まれたといたしましても——組まれることはありませんが、しかし、完全な河川体制というのをつくることは不可能に近いんじゃないか、そう思うわけです。したがって、行政側としては大変な勇気の要ることであり、決断を要すると思いますが、率直にこの地域は危険でありますよということをやはり明らかにする、それには危険区域というのを指定する。そうしてやはり危険区域においては住宅の建築の規制をやるとか、規制のやり方にもいろいろあると思いますが、そういう地域についてどうしても家を建てたいというものは、鉄筋なり鉄骨でげたばきにして、一階はいわゆる人が住まないような構造に変えると。  あるいは、私の地域で起きた経験でありますが、材木が低いところに堆積しておる。それも長大物の大変な長い太いものがいわゆる流れてきて、橋だけにぶつかりまして、それがそこで水かさをふやすという、結局せきと同じ形になって、まさに堤防がいわゆる溢水をして、裏側が欠けてしまいまして、切れる寸前で消防団等の防災が当を得まして防ぎ得たという例があるわけであります。したがって、そういう水害危険区域については、そういう材木を置くことについても、一定の施設をするなり、そうでない場合には規制をするというような、そういうことを考える必要があるんじゃないか。  それには、先般「建設省、治水行政見直し」「土地利用を規制」という、こういう表題で一部の新聞に建設省がこれに取り組まれる姿勢、構想が出ておりまして、いま大臣も少しこれに触れられたようでありますが、この具体的な構想についてこの機会に明らかにしていただけたらと思うわけであります。
  123. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) ただいまのは先生のおっしゃるとおりでございまして、いわゆる水害を防ぐには、治水事業整備を図るのとあわせまして、土地利用の問題、あるいはいろいろな規制の問題というのを含めてやっていく必要があるというふうに考えてございます。それで、先ほど大臣がおっしゃいましたように、大臣の指示がありまして、建設省の河川審議会の中に小委員会を設けまして、こういうのを総合的に検討していこうというふうに現在進めておる段階でございます。
  124. 中村波男

    中村波男君 審議会に諮問をされまして、流域総合治水対策委員会を——仮称でありますが、設けて検討に入るというわけでありますが、これを、成案を得て立法を要すると思うんでありますが、特別法として国会に提案をされることになろうと思いますが、このめどをどこに置いておられるか、そういうものがあれば明らかにしていただきたいと思います。
  125. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) まず、河川審議会で議論していただく、それからこれはいろいろ建設省の中におきましても多くの局に関係しますのでその中におきまして、次に建設省の中におきまして一つの成案を得ると。そうしまして、また他省庁との兼ね合いも出てまいります。それで他省庁とも十分打ち合わせしながら、めどといいましても非常にむずかしい問題ですけれども、できるだけ早く少しでも具体的に持っていきたいというふうに考えてございます。
  126. 中村波男

    中村波男君 割り当ての時間が切迫しておりますので建設大臣にお伺いをいたすわけでありますが、建設大臣は、就任早々でありましたけれども、いち早く岐阜県の災害地をお見舞い、調査をいただきまして、私からも感謝を申し上げる次第であります。  そこで、建設大臣に岐阜県知事がいろいろ陳情を申し上げた中で、やはり今回の災害経験にかんがみて、河道をしゅんせつする、川底をもっと下げてもらいたい、こういうことを陳情いたしたのに対しまして、新聞によりますと、「河床しゅんせつは一般的にいって問題が多く、長良川河口ゼキも県民大多数の同意を得てから着工するべきだ」と語られまして、また新聞によっては、しゅんせつをした土の処置等々難点があるというようなことも書かれておるわけであります。  そこで、大臣も御存じであったか、御存じでないかは存じませんが、岐阜県におきましては河口ぜきの建設の可否をめぐって賛成、反対派がいろいろと論議を交わしてきておりますし、それから四十八年十二月には漁業者、あるいはその他民主団体等が中心になりまして一万六千有余人が署名をして、河口ぜき建設差しとめ訴訟というのを起こしておるわけですね。したがって、建設大臣があたかもいわゆるしゅんせつには反対だというようなニュアンスと受け取れる発言をされたことによって、それでなくとも今回の決壊によりまして河口ぜき推進派、反対派の間でしゅんせつをめぐって論議が再燃をしておったところへ油を注いだ、こういう結果だけは歴然と今日あるわけです。  したがって、私が理解に苦しみますのは、私が賛成とか反対とかいうことは別にして、少なくとも建設省は四十七年の一月の十一日に実施方針を告示をして、四十八年の七月三十一日に実施計画を認可しておる、河口ぜき建設の。それに何か反対だというような発言があったというので大変物議を岐阜県では醸しておるわけであります。したがって、この真意をこの機会に明らかにしていただくことが建設省の態度を表明願う機会であろうと思いますので申し上げるわけであります。
  127. 中馬辰猪

    国務大臣中馬辰猪君) 私の発言が異常な空気を醸したとすれば、大変私としては申しわけないと思っております。  私が申しましたのは、一般論としては、河川の特に大きな川のしゅんせつをしますと、そこに水の流れ、海水の逆流等の現象が変わってきますから、そこでとれる魚の種類も変わってくるというので、しばしば全国各地で紛争あるいは裁判ざたが起こっておることは御承知のとおりであります。したがって、一般論とすればそういうことがあっては大変であるから、特に長良川の場合は河口ぜきとの関連があって、河口ぜきの建設とにらみながら、あるいはこれを前提としながら、あるいは並行しながらしゅんせつの問題も考える必要がある。ちょうど長良川河口においては着工差しとめの訴訟も起こっておる。私が申したのは、ちょうど東京都で杉並区のごみ処理の工場の計画があった場合に、美濃部知事がこれを慎重に扱われたと、これも当然のことであります。その際、東京都民一千万から見れば二百人、三百人というものはパーセントでは非常に少ない数字であると、反対者は。しかし、影響するところは非常に大きいから人数だけでこれを決めるわけにはいかない。事の性質の方が非常に大きなウエートがある。  だからして、長良川の場合でも裁判があったから、やっておるから河口ぜきをしないとかするじゃなくて、知事が県民の空気を察知しながら、あるいは裁判のことをよく提訴者等も内輪で相談しながら、裁判をやっておってももうゴーと、もうやってもよろしいということを建設省に県議会の同意を得て持ってこられたら私は直ちに着工いたします。だから、裁判をやっているから着工しないとか、裁判が済むまでは着工を待つとかそういう形式論じゃなくて、県知事が諸般の情勢を勘案して、裁判の進行中だけれども知事としては河口ぜきに同意いたしますと、あるいはちょっと待ってほしいとか、いまあとちょっとだとか、表面反対、裏面賛成という人も世の中にはたくさんおるわけですからして、ですからそういうことは知事がひとつよく腹におさめて、知事さんのゴーのサインがあれば私はいつでも、あしたでも判こをつきますと、私はこう申し上げたわけであります。  それに対して、新聞記者の人もたくさん来ておられまして、いまの建設大臣発言で知事はいいですかと言ったら、知事は笑われて、そのとおりだと、建設大臣の言ったとおりであって、私が判こをつけば大臣が判こをつくということはいまおっしゃったとおりだから、ぜひそっちの方で勉強してみたいというわけでございまして、しゅんせつその他のことは長良川という意味じゃなくて、全国一般論としてのことを申し上げたわけでございまして、私としては、いまはっきりとこれは約束をいたしますけれども、岐阜県知事が諸般の状況を察知されて河口ぜきの着工に踏み切るという正式の意思表示が建設省にございますれば、直ちにこれを認可して、受けて、着工したいと、こう考えております。
  128. 中村波男

    中村波男君 私は、質問するに当たりまして、県政記者クラブへ行きまして各社の記者の皆さんにその状況をお聞きしたわけでありますが、全く新聞に書いておるような趣旨であったということで、また新聞を本人は読んで中馬建設大臣のお考えというものを知ったわけでありますから、大波紋を描きまして、実に県政運営の上においても困ったことが一時期あったと思うのであります。したがって、今後そういう誤解を受けるような発言はぜひひとつ何といいますか、御注意をいただけたらと思うわけであります。  もう時間が参りましたので、最後に一つだけ確認をいたしておきたいと思うのでありますが、これも新聞記事によって私も承知をしたわけでありますが、「決壊の原因が現場の盛り土堤防が水にもろかったことから、災害復旧工事で決壊場所をコンクリート護岸に改修することになる。同時に遅まきながらこの一帯の堤防も激じん災害対策特別緊急事業を適用し、五カ年以内にコンクリート護岸に改修する」と建設省は発表した、こういうことが新聞に出ておるわけです。したがって、地域住民はこの実現に大きな期待を寄せておるわけであります。この記事どおり、建設省の態度として承知してよろしいと思いますが、いかがですか。
  129. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) そのとおりでようございます。
  130. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十二分休憩      —————・—————    午後一時三十七分開会
  131. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  午前に引き続き調査を進めます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  132. 望月邦夫

    望月邦夫君 私は、今回の台風十七号につきまして、特に香川県及び徳島県の現地を視察したものでございますかち、そのことに関連して主として質問をいたしたいというふうに思うわけでございます。  まず最初に、私が香川、徳島へ参りまして、その災害実態につきまして二通りのものがあるというふうに思うわけでございます。とにかく瀬戸内海の余り降雨のないところに年間降雨量に相当する降雨が短時日に集中して降って、したがって、香川県及び小豆島におきましては、山崩れ、がけ崩れ、あるいはその小河川に土砂が流入して町の中に流出してきた。したがって、死者あるいは個人財産に非常に大きな損害を与えた。もう一つは、吉野川の下流地域に見られますように、大河川周辺の小河川の流下能力が足らないために、いわゆる内水と申しますか、年々浸水災害が行われているというふうなことでございますが、これで見ましても、私はいまの台風十七号というものは、従来の暴風雨を伴った台風被害と異なった降雨の形であったというふうに思うわけでございますが、河川局長としては今回の災害実情を見られまして、いままでの行政にどのような教訓を得られたか、もしあるならば御報告を願いたいと思います。
  133. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) 私も建設大臣の随行をいたしまして、長良川、兵庫県、岡山県、そして小豆島を見てまいったわけでございます。そのときの印象を申し上げますと、現地でよく聞いた声は、改良復旧をやっておったところは非常に助かった。それでまた小豆島におきましても砂防ダムを、いわゆる施設をやっておったところは、がけ崩れが少なかったという、施設の促進といいますか、施設の効果といいますか、それに対する要望が非常に強かったことが第一点でございます。  それともう一つは、岐阜県、愛知県におきましてもそうでございますけれども、やはり内水問題、内水問題が非常にクローズアップされておると。ああいうふうに千ミリ以上の雨が降った場合に、そのときの内水対策をどうすべきかというふうに、このがけ崩れの問題と、施設があった場合にはやはり河川におきましても災害から免れておること。それから内水問題が非常に大きく今回の台風でクローズアップされておるということ、こういう点を非常に印象強く受けて帰ってまいりました。
  134. 望月邦夫

    望月邦夫君 それで、いわゆる従来の治水という概念では処置し切れない大きな問題が出てきていると思うんですが、しかし、いま局長も言われたとおり、私も小豆島へ参りまして砂防ダムとかあるいは治水ダム、こういったものがあるところはやはり被害から免れておったという事実でございますので、やはり今度の災害実情にあわして復旧工事の採択等をしていってもらいたい。特に現地におきましては河川砂防の激特工事、これを積極的に対処してほしいという要望が多く出ておったわけでございますけれども、本年度内に処理される河川砂防の激特工事につきましてはどういう状況になっておるか、お知らせ願いたいと思います。
  135. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) 激特事業は本年度発足しました新しい制度でございまして、先生がおっしゃいますように、各現場におきましても激特事業あるいは緊急治山事業あるいは砂防事業というものの要望が非常に強かったわけでございます。私たちとしましても、この激特にしましても緊急砂防事業にしましても、その災害実態に応じましていろいろ制度上でございますから制限はありますけれども、その中におきましてできるだけ採択いたしたい。そうしまして、被害を受けられた方々に早く安心していただきたいというふうに、これからも積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。
  136. 望月邦夫

    望月邦夫君 それからまた、急傾斜地対策事業というものに対して非常にこれが効果があるということがわかったわけでございますけれども、非常に狭い土地に民家が密集している、家の裏はがけであるというふうなところでございますが、こういった問題につきましても、ひとつ来年度あたりにおきましても、予算等におきましても積極的にやっていただきたいと思います。だから、要は単に流水だけの問題じゃなくして、要するに土砂害ということを根本的に認識されまして、ひとつ今後の河川行政を進めていっていただきたいというふうに思います。  次に、都市局長にちょっとお伺いいたしますが、このような土砂害の災害でございますので、土砂が町村内に非常に多量に入り込んで、町村の機能というものが全然ストップした。それで、急遽入ってきた土砂を取り除かなきゃいけない、また家に入った土砂が町の道路に積まれる。小豆島等の小さい町村においてはこういったものを町村でやるということは大変だから、何か国の方に対する助成等について特に配慮してほしいという要望が非常に強かったんでございますが、この都市と申しますか、都市の堆積土砂の除去に対するやり方、いまどういうふうになってますか、ちょっとお伺いしたい。
  137. 中村清

    政府委員中村清君) 住宅地等の市街地にございますところで土砂が堆積をするといった場合に、市町村長がその堆積土砂を排除した、現在は都市災害復旧事業といたしまして採択をいたしております。一定の要件はもちろんございますけれども、その場合の補助率は二分の一ということになっております。なお、その災害が激甚法によります激甚災害指定をされますと、同法によります特別の財政需要の対象になるということになっております。
  138. 望月邦夫

    望月邦夫君 次に、住宅問題ですが、さきの応急住宅は別にいたしまして、災害復旧住宅資金の融資の問題でございますが、これの適用の範囲を拡大してほしい、さらに貸し付けの限度額を引き上げてもらいたい、あるいは災害特別金利の適用について配慮をしてほしいと。また、被害者の公営住宅及び改良住宅に対する国庫補助率の引き上げ、あるいは標準工事費を大幅に増加してほしい。これはいわゆるそのように非常に住宅が壊れていますんで、こういう要望が非常に強いわけでございますが、これについての住宅局の対処の仕方をひとつ教えていただきたいと思います。
  139. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 災害復興住宅融資の貸し付けにつきましては、毎年少しずつ改善を行ってまいっております。範囲を拡大しろということか一つございましたけれども、実は災害復興住宅貸し付けにつきましては従来いろいろなむずかしい規定を設けておりまして、その中で、特に大臣指定するものということにしておりましたけれども、昨年から、いろいろな災害の中で、一市町村でも災害救助法が適用になったということを条件に、すべて災害復興住宅も適用をするということにいたしております。したがいまして、本年も十七号台風等については、当然すべての地域につきまして災害復興融資の貸し付けをするということにいたしております。  さらに、災害復興融資の貸付額でございますけれども、たとえば金融公庫でございますと、乙地、丙地等の山間部等において相当あったわけでございますが、三百五十万とか三百二十万というのが一般の個人貸し付けでございます。それに対しまして、従来五百十万円ということでございましたけれども、本年の七月災害を機にいたしまして、先ほど来、八月の二十日でございましたけれども、政令を改正いたしまして、五百四十万ということに引き上げております。  それから公営住宅等の災害につきましては、既設の公営住宅につきましては意外と災害は少なかったという報告を受けておりますけれども、その中で、特に浸水が多かったものがございます。浸水したものにつきましては、やはり二戸当たりで畳、建具等も直しますと六万円以上というものは採択の基準として取り上げております。さらに市町村でございますと、そういうものが百万円、府県営でございますと百五十万円というようなものが県の事業費になるという場合には災害として採択をいたしまして、直ちに補助をするということにいたしております。その場合に、たとえば畳、建具等の補修等につきましては、査定等に当たりましても現場の写真を残しておけばよろしいということで、現在すでにそういうものは指示済みでございます。  それから標準工事費等につきましては、これは本年度も単価増を行いまして、いまのところ超過負担もないとわれわれ聞いておりますので、特に引き上げることは考えておりません。  以上でございます。
  140. 望月邦夫

    望月邦夫君 それから住宅金融公庫の金を借りて、そして家を建てた。ところが、まだその返済がずいぶん残っているうちに今度の災害でまた家がやられてしまった、こういった場合に、そういった人々を保護する何か方法があるんですか。
  141. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 公庫融資を受けていらっしゃる方が、現にお金を償還中にまた災害を受けたというような場合どうなるかということでございますが、いろんなケースがあると思いますが、まず住宅金融公庫で融資をいたします際には、公庫特約によります損害保険に必ず入っていただくということになっております。これは保険料も一般の保険よりはまけてもらっておりますが、同時に、一般の損害保険につきましては、風水害等による被害の場合には、損害額の三割以内というような保険の支払い額になるのが普通でございますけれども、公庫の特約分につきましては十割払っていただくという特約を結んでおります。したがいまして、償還中の方々につきましては、その家を建てたときの原価による保険が全部かかっておるわけでございまして、その保険が必ず出るということになります。したがいまして、それを一時償還をしていただいて、新しく災害復興融資の貸し付けを受けていただくということでございまして、利子等がダブることはございません。  それからさらに、公庫融資を受けている途中で、全壊には至らなかったけれども一部の補修がしたいという場合には、さらに災害復興融資の中に補修の貸付金がございますが、これは十万円以上二百七十万円だったと思いますが、それにつきましては合わせ貸しができるということになっております。  それからさらに、災害によりまして元利金の支払いが著しく困難だと認定されるものが出た場合には、公庫の方が承認をいたしまして貸付条件の変更かできるということになっております。中身といたしましては、償還期間の延長、一部の利子の引き下げ等でございます。それで十分いろんな場合に対処して臨めるようにできておると考えております。
  142. 望月邦夫

    望月邦夫君 実はそういう方法を一般の人がまだはっきり理解してなくて、そして今度の災害に出会ったと。だから、かえって何も知らないために悲壮感が非常に多かったというふうに思うわけでございます。ひとつそういう住宅の問題につきましては非常に個人個人に影響がある問題ですから、本人はわかっているのかもしれませんけれども、町村当局においてもそういう心配をしておったから、もう少しわかるようにひとつ徹底していただきたいと思います。  それから次に、内水の問題でございますが、さっき局長も今度の災害で内水問題が非常に多かったと。私も徳島県の穴吹町に行きますと、非常に大きな土砂害で、とてもこれは原形に復旧することがむずかしいような災害があって、その下流に参りますと、今度は一転して小河川がじわっとはんらんして浸水する。これも今度の台風十七号だけであれば私も異常災害というふうなことも考えられるわけです。連年起こっておる。こうなると、どうしても内水対策というものを積極的にやる必要があるんじゃないか。事実やるといってもその地域関係からなかなかむずかしい点もある。しかし、やはりポンプ排水ですか、これについては建設省の方もこれから治水事業の大きな柱として考慮する必要があると思いますが、その点いかがですか。
  143. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) 御指摘のとおり、内水排除対策というものは非常に重要な事業でございまして、いままでも建設省としましては重点を置きましてやってきたところでございます。まず第一義的には本川の河道の整備というものを進捗させるということが必要でございますので、それらとの整合性を十分とりながら、今後ともこの内水排除対策につきましては重点的に推進してまいりたいと、こういうふうに考えております。
  144. 望月邦夫

    望月邦夫君 それに関連して町村管理の準用河川、これが非常に荒れておる。そしてこれが今度の災害の特色だと思いますけれども、非常に多い降雨だったために溢水して、ことにこの溢水によって農作物に非常に被害を及ぼした。野菜等は非常に水に弱いということで、四国、あの辺は野菜不足に陥るんじゃないか。これ、なかなか積極的に対処するにしても実行はむずかしい面があると思いますけれども、やはり行政指導として、今後この町村の準用河川について直轄河川と同じ程度の態度で河川局が今後やっていく必要があるんじゃないかということを私痛感したんですが、いかがですか。
  145. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) 準用河川制度はまだ最近始まったばかりの制度でございます。といいますのは、やはり先生御指摘のとおり、おっしゃるとおり市町村の要望が非常に強うございまして、それで準用河川制度というものを始めたわけでございます。この補助制度でございますけれども、今後ともやはり重点を置いて進めてまいりたいというふうに考えてございます。
  146. 望月邦夫

    望月邦夫君 それから私、今度の災害地を見てまいりまして、山村といいますか、いわゆる民有林の多い地帯においては燃料がプロパンあるいは石油にかわったために非常に山林の維持管理というものが悪くなっている。したがって、落ち葉等が堆積していわゆる表面流出が非常に少なくて、そしてそれが基盤との間にすべり面をつくった。そして風化土砂部分が崩壊したという現状があるわけでございまして、これは建設省の所管ではないけれども、今度新しく総合治水対策ということを推進されるということでございますが、やはり流域自体について相当関心を払っていかないといけない。特に私が心配するのは、総合治水対策というと、とかく都市周辺というふうな頭が働かないようにしていただきたいと思います。それで総合治水対策においてはどういうことを検討されんとしているのか、わかっている範囲でお答え願いたい。
  147. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) まず、災害を軽減しますには治水事業推進する、そして治水施設整備を図るということが第一に重要でございますけれども、あわせまして、先生おっしゃいますように、流域の適正な土地の利用とか、あるいは災害時の警戒体制、避難体制の充実というものが必要であると考えてございます。  したがいまして、河川流域の総合対策というものの内容としましては、一つ治水施設整備計画の基本的な問題を議論することが一つ。  第二点としましては、流域からのいわゆる洪水、雨が降った場合の洪水流出量を抑制する。たとえて申し上げますと、山におきましては十分森林を保全して、そして地下に浸透さすとか、あるいはたんぼにおきましても、できるだけたんぼの遊水機能を生かす、そういうふうな雨が降った場合の流出をおくらすというものを、山からたんぼあるいは都市市街地を含めまして総合的にどうすれば一番いいかということを検討してまいりたい。  それから第三点としましては、洪水予想はんらん区域あるいは土石流危険区域の設定というふうに、たとえて申し上げますと、この川は五十ミリ降ればあふれますと、そうしまして、この範囲水につかって、この程度の深さ浸水しますというふうに、あらかじめ住民方々に自分が住んでおった土地がどういう土地であるかと、どのような危険を持っておるかということを十分知ってもらって、一緒になって避難体制あるいはその他の体制を固めて被害を軽減する。と同時に、また地方自治団体の方々にもそういう土地というものを知ってもらって、いわゆる土地利用のあり方などの指針にもしていただきたいということを考えておるわけでございます。  また、第四点としましては、適正な土地利用ということも総合的に検討してまいりたい。それからこれは急傾斜地、主としてがけ崩れなどがあれでございますけれども、いわゆる警報の装置の問題、危ないという警報の装置、そしてその避難体制の問題、そういう問題を総合的にいろんな分野の方から議論していただきまして、そして新しい治水行政、総合的な治水行政に役立てていきたい、こういうふうに考えてございます。
  148. 望月邦夫

    望月邦夫君 そこで、私は観念的にはいま言われたことはわかると思うんですけれども、とかくいままでこういつた問題については議論だけに終わって、そして実効が上がらなかったという点が多々ありますが、まず長期整備計画、それから施設の安全度ということでございますけれども、この安全度といっても流下能力の問題あるいは堤防そのものの問題ということがあると思うのですけれども、何かこれらについて検討する方式でもできているんですか。
  149. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) 堤防の安全度でございますけれども、土木研究所を中心としまして、どういう項目について調査していくべきか、どういう解析方法でいくべきかというふうなことを現在議論しておる段階でございます。それから流下能力の安全度、これも非常にむずかしいテーマでございまして、いわゆる余裕高の問題とかあるいは堤防の幅の問題とかいろいろございます。この点につきましても現在検討中でございます。
  150. 望月邦夫

    望月邦夫君 それから警報避難体制ですけれども、今度もやはり相当この警報によって避難されて、そして人命を救えたという事実もありますし、また中には、私が現地で聞いてまいったわけですけれども、何というのですかね、年寄りの人は、もうぼくはここで死ぬんだと、それを助けるために若い人も死んだということでございますので、この警報避難体制は単に通知だけではこれから無理だと思うんですけれども、この点市町村行政とも連絡とっていただいて、十分その体制をつくっていただきたいというふうに思うわけでございます。  それで、大臣がおいでになりましたのでお伺いいたしますが、今回の建設省公共土木施設被害額が三千三百億だといふうに言われましたが、その中において、本年度において復旧するために必要な経費というものは幾らぐらいと見込んでいらしたのか。
  151. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) 本年度発生災害の所管公共土木施設被害報告額でございますが、十七号台風関係におきましては、先生御指摘のとおり三千三百三十四億円でございます。それ以前に発生した被害額を含めますと、総額で五千三百四十二億円になるわけでございます。そのうち本年度内に災害復旧費といたしまして支出を必要といたします国費は、今後発生災害をも含めて考えますと、総額で一千二百四億円と推定されるわけでございます。そのうち当初予算で百三十九億円措置をされておりますので、今後追加して支出を要する国費は千六十五億円ということに相なっております。
  152. 望月邦夫

    望月邦夫君 この約一千億の金の処置について、建設省として財政当局と折衝されておると思いますが、その進捗状況についてお知らせ願いたいと思います。
  153. 中馬辰猪

    国務大臣中馬辰猪君) 実は、財源につきましては、いわゆる第一予備費と第二予備費と最近言っておりますが、三千億円の一般の予備費と、それから千五百億円のいわゆる公共事業等に使う金という二つがございます。大蔵省としては当然のことながらいま財政窮迫の折からでございますから千五百億を使いたいと、こう実は申しておることは御承知のとおりであります。ところが、いまここに国土庁の長官もおられますが、私どもは一緒になりまして、大蔵省の立場もよくわかる、わかるけれども、しかし最初の千五百億円を予算に計上した目的は、いまの予算総則ではなるほど災害にも使えるというふうにはなっておりますけれども、大方の国民も私どもも理解したところでは、これは一般の公共事業だと、景気の浮揚策であると、こういうふうに実は理解をいたしてきたわけでございます。これに対して企画庁や大蔵省では、景気が大分よくなってきたじゃないかと、こう申しておりますが、よくなってきたのは、たとえば自動車工業界とかあるいは家電とか、そういう業態はなるほど結構な経営でございますけれども、公共事業を当てにする関連企業というものは、政府が申すほど景気がよくなったわけではない。むしろ中には倒産の危機まで心配する企業もあるんだから、そこで私どもとしては千五百億を使いたい。  これでいまやり合っておるわけですが、これは私個人のいままだ試案でございますけれども、大蔵省が言う全部千五百億を使いたいというのもこれは無理があるし、われわれみたいに災害が現にそこに発生して被災者が困っておるところに全然金を出さぬというのも、これはあこぎな話でございますから、私としては妥協をする、どこで妥協をしようか。これは国土庁長官、また後で別な話をされるかもしれませんですけれども、さしあたり災害復旧に金が要ることは事実でありますから、それを横に見ながら全然応じないというのもどうかという気がいたしておりまして、どこで妥協線を出すだろうかということであります。私は極力公共事業を残しながら一部は災害復旧の方にも回す、残りは予備費の方から、第一予備費から出してもらうということで、いま部内その他関係省等とも国土庁が中心になって相談いたしておりますが、この詰めが大体終われば国土庁長官を中心として私どもが大蔵大臣と折衝する、こうなるだろうというふうに想定をいたしております。
  154. 遠藤要

    遠藤要君 関連。  そこで、国土庁長官並びに建設大臣に改めて私からお尋ねしたいんですが、両大臣とも国会議員として特に治山治水、交通、この面においてはだれしも建設の両先輩だ、こう言われているお二方でございますので、その予備費の千五百億を幸いお二方とも当時大臣でなく、議員の立場で審議して可決されておるのでありまして、そういうような点で、議員として自分たちが執行部と話し合って決めた問題は忠実に履行してもらいたいというのが、だれしも同じ考えだと思うんですが、特に国土庁長官に改めて千五百億というのはどういうふうな気持ちで協賛されたんだか、それから今日どのようにしてわれわれの気持ちを生かしていただけるかということをお聞かせいただきたいと思います。
  155. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) ちょっと話しづらいんですが、第二予備費として千五百億を計上したことについては、当初予算の予算委員会でこれは相当問題になったことも事実でございます。やはり予備費としての性格上、公共事業に仮に景気刺激策であったとしても使うという前提条件があって、予備費に計上することについては相当問題のあることは、予算編成をするときのわが党の内部においてもこれは大きく議論された問題でございます。これは野党の予算委員会の質問でも相当問題にされておったことも事実でございますが、一応これは与野党ともに考えておることは、公共事業に使うんだということで、一応あの席上はおさまっているものであるというふうに私は理解しておるのでございます。たまたま千古未曽有という大災害が起きまして、この災害の始末をすることは何をさておいても緊急事態でございますから、これは当然すぐやってもらわなければいけないのでありますが、大蔵省当局は、災害関係予算は十二分にあります、こう答弁しているわけでございます。そうですから、あるんだろう、十二分にあると言うから、この千五百億を含んでいないだろうというふうに私閣議で大蔵大臣に話したところが、これは含んでいると言うものですから、ちょっと私たちの考え方と考え方が違うんでないかということなんですが、これ以上ここで私はうちの方の中の問題ですから、この仕上げをどうするかはこれからでございます。そこで、それはその程度にしておいてください。  問題は、とりあえずやらなきゃならない問題は、災害の即復旧する作業と、それから災害を受けた地域の人々に対する越冬資金を与えるために、いわゆる救農土木とも言われております——東北地方は、冷害で今度北日本は困っておりますから、そういうものと絡めて災害地域もこれはあるんだということで、実は一昨日の閣議の席上で私、救農土木の予算はどこから出るんだというような、ちょっと農林大臣——皮肉だったんですが、救農土木やる、救農土木やる、農林大臣、一体本会議でも委員会でも答弁しているが、救農土木という予算を農林省は何ぼ年度当初に取ってあるんだと聞いたら、一銭も取ってない、それで、それでは何の金でやるのか、これは一体災害の金でやるのか、一体公共事業でやるのか、どっちでやるんだというようなやりとりもあったわけであります。  そこで、私、災害の後始末をする総まとめ役を引き受けておるものですから、了承を得ましたので、一昨日緊急に関係官庁の官房長会議を開きまして、すぐに実施する課長会議を開きまして、いま各災害を受けた地域あるいは冷害を受けた地域に対して、救農土木的なものとして受け入れられる公共事業、大型な機械等を導入しないで、できるだけ人件費で賄い得るような仕事に使えるということで、一体どれぐらい受け入れできるのかというので、いま下げたばっかりでございます。そういう関連性ともこれあり、国会の幾ら会期延長をしても五日かそこらっきり延長はできないようでございます。衆議院は御承知のとおりもう十二月の九日までの任期でございますから、そういう点からいたしまして、この国会中に追加予算を組むということは非常に困難な問題であると、私もそう理解しているんでございますが、そういう観点から、この災害復旧に対処するための予備費としての千五百万の使い方については、これから問題点が多く残っておると。これは一生懸命私ども詰めるつもりでございますから、そういう点で、どうも仲間割れ的な発言になると困りますから、この辺でひとつお許しを願っていただきたいと思います。
  156. 遠藤要

    遠藤要君 国土庁長官の常にお話しされておることは実現すると、そういうふうな御性格をよく承知をいたしておりますので、それでは国土庁長官にこの点を大きく期待をいたしておきたいと思いますが、ただ大臣承知のとおり、建設省なり何かが、いろいろ公共事業や何かの予算の配分や何かにおいても、地方の都道府県や何かに、河川なり道路なりを、いずれ千五百億があるのだから、まあ暫定的にこれでがまんしておけということで、後ほどはそれを配分するんだぞということを言っておることは、長官もよく御承知のとおりだと、こう思うので、その点よろしくお願い申し上げたいと思います。  さらに、長官からただいまお話がございました北海道、東北の冷害に基づきまして、救農関係と申しましょうか、そういうふうな県で非常に農民の人たちは路頭に迷っておるといいますか、すでにまあどっかに働きたいというようなことで、私どものところにまで押しかけて、いろいろの相談をされております。そういうふうな点で、ただいま長官からもお話がございましたが、建設大臣にお伺いいたしたいんですが、できるだけ東北、北海道関係の公共事業は機械化を避けて、人力によって、地元の労働力を吸収してやっていくというような設計の変更ということが考えられるかどうか、あわせて救農的な仕事を、公共事業を興すことがどうかということについてお尋ねしておきたいと思います。
  157. 中馬辰猪

    国務大臣中馬辰猪君) 私は昨日の災害委員会でも、救農救農と言うからいかにも農林省の所管みたいであるけれども、そうではないと、建設省の仕事もずいぶんあるんだということで責任を感じておりますと。ただ、いま農林省の方で詰めておるもんですから、どれぐらい、どの地域被害があったと、どこはこれぐらいだということを詰めておりますから、これを詰めながら、いまから農林省と相談して、各県それから北海道、各市町村、そういうところで、ここはどれぐらい救農が必要であると、ここはどれぐらい必要であるという査定が、大体計算が出てきますから、それに応じて建設省としては農林省と並行しながら予算を組んでいきたいと。それにはもちろん大型のたとえばトンネルを掘るとか、そういうのはとてもそれは救農にならぬものですから、小さな仕事、たとえば市町村道路の改良とか、あるいは県道の改良とか、そういうものをなるべくたくさん拾い集めまして、まんべんなく予算が配分できるようにということで、いま心の準備はできておりますし、その方針でいま農林省と協議中でございますから、しばらくひとつお任せを願いたいと思います。
  158. 望月邦夫

    望月邦夫君 ただいま救農の話が出ていましたけれども、私、確かに救農というと、農林省だけだとこれはとてもできないと思います。ただいま大臣の言われたとおりだと思いますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  それから長良川で災害が起こったことは非常に残念なことだと思いますが、しかし、この河川につきましては、さっきもちょっと話が出ましたけれども、長良川の河口ぜきの仕事がございます。これは局長の答弁にも、単にせきをつくるだけではなくて総合的な治水対策をやるんだということでございますが、これが残念なことに訴訟というふうなことで県知事さんもなかなか踏ん切りがつかないようでございますが、しかし、こういう災害のときに当たりまして、改めてこの事業というものを検討をしていただいて、本当にやらなければいけないというふうに結論がまあ出ていると思いますけれども、ひとつ積極的な態度で望んでいただきたいと思います。それにつきましても現在の裁判の進行状況はどのようになっているか、ちょっとお知らせを願いたいと存じます。
  159. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) 長良川河口ぜきの建設事業の差し止めの請求訴訟でございますが、昭和四十八年の十二月二十五日、長良川の上流、中流域に住んでおります漁業者など約二万六千人から、原告らの人格権、漁業権、それに環境権などの違法侵害を理由に水資源開発公団を相手方としまして、岐阜地方裁判所に提起されたものでございます。これまで口頭弁論二十回、それから現地検証などの証拠調査が十三回行われてございます。裁判所におきましては、現在問題になっておる事項——これ、いろいろございます——につきまして、専門的な学識経験者六名に鑑定を裁判所では依頼しておるところでございます。そうしまして、この問題になっておる事項の鑑定につきましての結果は、昭和五十二年の三月までに現在のところ出そろう予定になってございます。  以上でございます。
  160. 望月邦夫

    望月邦夫君 それじゃ最後に、今度の台風十七号を含みまして相当な災害個所があると思います。これ、大災害地はもちろんでございますけれども全国的に災害があるわけでございます。その査定につきましては万遺漏なきを期していただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わらしていただきます。
  161. 二宮文造

    二宮文造君 このたびの台風十七号の災害は、御承知のように千葉県を除きます全都府県を襲いまして、けさいただいた建設省の資料によりましても、死者、行方不明者が百六十七名、罹災世帯が十万九千四百八十六世帯、罹災者が三十八万七千六百六十五人と、大変な災害を引き起こしたわけであります。で、ある人が、今回の台風災害を分類をしまして、この長良川の堤防決壊に見られるような大河川の災害、あるいは東海地方や瀬戸内海沿岸の各地に起こりました、堤防が破れたり、あるいは河川がはんらんしたという中小河川水害、それから高知なんかで見られる都市災害、あるいは香川県の小豆島で見られたような土石流災害、こういうふうな災害実態を分類をしまして、要するにここ十数年来の日本列島の土地の利用とか、あるいは開発状況をもう一遍見直さなければならぬ大変な問題を提起した災害であったと、こういうように分類をされ、総括をしておるわけです。私もそのとおりだと思うのです。  私どもは党本部に災害対策本部を設置しまして、御承知のように十四日、十五日の両日にかけて国会議員団を岐阜、愛知、それから兵庫、香川、高知と、こういうふうに派遣しましたし、また鹿児島県本部からは奄美群島方面、離島方面に調査団を派遣いたしまして、その結果を持ち寄りまして、十七日に内閣、それからまた国土庁、建設大臣と、こちらの方へ党として十項目にわたる申し入れをいたして、災害復旧に鋭意努力をしていただきたい、こういう要望をいたしたわけであります。私はその要望書、申し入れに基づきまして、もっと具体的に問題をお伺いをいたしてまいりたいと、このように思っております。  質問に当たりまして、今回被害を受けられた方々の失意落胆といいますか、本当にもうはかるに知れないような大変な大災害でございまして、一日も早く立ち直っていただきたいことを心から願っているわけですが、どうしてもやはり政治の温かい手を差し伸べなければ立ち上がりはできません。そういう観点から問題を提起してまいりたいと思うんですが、十項目にわたる申し入れ書を提出いたしました。これはもう両大臣御存じのとおりであります。  まず、その激甚災害の早期指定、あるいは激甚災害指定基準緩和と対象事業の拡大とか、あるいはその地方団体に財政措置を講じられるように地方債とか特交の配分とか、あるいは公共土木、さらには農林水産業施設の災害復旧事業については早く緊急査定をやって、同時にまた予算措置も講じてもらいたい、こういう第一項目の申し入れ書については、けさほど来大体のその姿勢というものを両大臣からもお伺いしましたから、その姿勢をよく了解をいたしましてですね、具体的な問題に入ってまいりたいと思うわけです。  まず、治山治水事業のおくれ、これはもういま指摘をされておるとおりですが、私も不勉強で、後で伺ってびっくりしたわけですが、一級河川の基本施設、この改修率が五二%、それから二級河川を含む地方施設の改修率がこれまた一〇%台の一三%、こういういわば河川改修のおくれが今回の災害の大きな原因であったというふうに感じます。特に長良川は一九%である、当然起こるべくして起こった決壊ではなかっただろうか。まあ数字の上からそういうことが感じられるわけですが、そこで一級河川の総点検を実施すると、建設省では早々と方針を打ち出されましたが、いつごろまでに終わりますか、総点検は。
  162. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) 早速総点検に取りかかりたいと思っておりますけれども、総点検の内容としましては、一つは堤防の安全度が第一でございまして、それにはやっぱり土質と水とのかかわり合いという問題がございまして、各堤防におきます土質調査、また土木研究所におきます実験とかいろいろ時間がかかると思います。しかしながら、できるだけ早くその成果を上げたいというふうに考えておりまして、いつまでできるか、これは相手が土と水でございますのではっきりは申し上げられませんけれども、最大がんばって一年はかかるんじゃなかろうかというふうに考えられます。
  163. 二宮文造

    二宮文造君 それからもう一つは、今度は、その一級河川はわかりました。そのスタッフ等の問題もありますけれども、恐らくいまの陣容でそういうことができるだろうか、どうだろうかという不安感はなきにしもありません。ですが、時間の関係で一年で大体終わりたいということをまず了とします。  それから、続いて、どうですか、中小河川の総点検、これが必要でしょう。今回の問題を反省した場合にはですね、これはこの被害が非常に大きいわけです。中小河川はどうします。
  164. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) 中小河川の総点検でございますけれども、中小河川の場合は整備が非常におくれておるということで、洪水があふれての被害が非常に多うございます。したがいまして、その一環としまして、すでに現在やっておりますのはいわゆる洪水はんらん予想区域の調査でございます。これはすでに本年度からやってございまして、特に都市部におきまして早急にまとめてまいりたいというふうに考えてございます。いまのところ首都圏、近畿圏、中部圏などにおきましては、三カ年ぐらいをめどにまとめたいというふうに考えてございます。
  165. 二宮文造

    二宮文造君 残念ながら、今回の災害はそういう三大圏じゃないのですよ。それから地方団体の財政難ということも考えられまして、大体この間も井出官房長官もおっしゃっていましたが、鉄道とか道路とか、そういうものには政治の手は案外目に見えるものだから差し伸べられると、河川改修というのは選挙民から見て余り見えませんからどうしても政治の日が当たらない。そういうようなことを官房長官自身も反省されておりました。ですから、いまのお話では三大都市圏を中心にやっていこうという考えですが、では、その他の地方はやはり建設省から指示をしませんと、実態調査の指示をしませんと結果が上がってきません。どうするという前に実態はどうかという、それを把握されることがこれからの予算措置とか、あるいはまた行政指導の面で非常に大事だと思うのですが、全部に網をかけた、そういう各都道府県も動員した、あるいは市町村も巻き込んだ実態調査というものを考えられないかどうか、この点どうです。
  166. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) 私がいま申し上げたのは、現在やっておる調査でございまして、中小河川調査でございまして、先生おっしゃいますように今年の大水害とか考えますと、やはり全国の中小河川につきましても早急にやはりその実態を早く把握する必要があると思います。したがいまして、そういう面におきまして、都道府県をよく指導しましてその実態把握に努めてまいりたいと、こういうふうに考えます。
  167. 二宮文造

    二宮文造君 大臣、どうですか。河川局長はいま実態把握に努めてまいりたい、こういうふうなお話なんですが、私は、今回の災害を反省したときにはこの実態調査実態をつかむということは一日も早くしなければならない、こういうふうに感じるんですが、大臣はこれこれの期間内に指示をして、こうまとめたいというようなお気持ちはありませんか。
  168. 中馬辰猪

    国務大臣中馬辰猪君) 当然一定の期間にまとめたいのですけれども、なかなか一級河川だけでもいまの建設省の手では直り切れぬと思うのです、本当のところが。よほど多くの予算を計上して、たとえば予備費を請求してやらないと、中小河川まで一定期間にやるということは、口で言うのは簡単ですけれどもなかなか容易じゃない。というのは、学者とかいろいろな専門家とかコンサルタントに頼んで、建設省自体だけではなかなかこうあれできませんからね。結局は相当予算をかけて各地区ごとにコンサルタントに頼んで、大学の教授なんかを長として——こういう人なんかも都合もあるものですから、一級河川はいまのところ腹を決めておりますが、中小河川についてはどれぐらいの予算でいけるのか、期間がかかるのかですね、しばらく待ってくれませんか。この国会中に御返事申し上げます。
  169. 二宮文造

    二宮文造君 それから、これもこの前ちょっと建設省の方と話しているときに議論になったわけですが、いわゆる本流が流れています、水流がずっとこうアップしてきますと、もう中小河川、枝の方は全部水門をストップしてしまいます、水門をあけておきますと逆流しますから。これがずっとはんらんしてしまう。これはもう少々三十ミリ程度の雨量でも常時浸水をしてしまうという地域がいま放置されているわけです。ですから、そういうところではやはりポンプ排水というものに頼るほかにはないという要望が非常に強いのですが、ポンプ場を設置する費用が非常に高いので、ちょっと予算的にむずかしいというような話もあったわけですが、やはりその河川改修も必要ですが、もういま遊水地帯がほとんどなくなりましたから、いままで田畑でちょっと泳がしておられましたけれども、それがもういま宅地化して終わっていますから、どうしてもポンプ排水というのに頼らなければならないのですが、この点についての補助の現状、あるいは将来に対する考え方はどうでしょうか。
  170. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) このポンプ排水につきましては、昭和三十六年ごろから非常に活発になってきたというふうに記憶しております。それて、現在におきましても最近の出水の被害実態、内水被害実態から見まして、いわゆる建設省におきましてはポンプ排水に非常に重点を置いてやっております。今後ともポンプ排水につきまして内水被害を軽減する意味におきまして重点を置きたいと思います。しかしながら、いわゆるポンプ排水をしますと、下流の河道の負担がふえるということがございますので、その辺も十分整合をとりながら積極的に進めてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  171. 二宮文造

    二宮文造君 これは威力を発揮しているわけですよ。たとえば高知市の場合、昨年五号、六号でやられました。で、ポンプ排水の能力をアップしたわけです。その地帯は、いわゆる高知市の東の方は今回浸水を免れておる。ところが、高松市の場合は大きな河川はないんです。ですけれども、高松市は毎回ある一定の地域ですが、ポンプ排水が不十分なためにいつも床下ないし今回は床上と、こういうようになっているわけです。ところが、市の方からポンプ排水について要望してもなかなかそれがうまくいかないと。今回はぜひというような姿勢で市長も取っ組んでいるようですが、その姿勢わかりましたから、この点はひとつ今後も十分に御考慮いただきたいと、こう思います。  それから私いろいろ調査をしておりまして非常に疑問に思いましたのは、昭和三十三年四月二十二日に法律第七十二号、御承知台風常襲地帯における災害の防除に関する特別措置法、これが公布になりました。さて、この法律が動いているのか動いてないのか。これいかがでしょう。
  172. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) これは具体的には局長に答弁させますが、五年間と五年間、十年間の時限立法みたいな状態になっているものですから、この法律の効果は当初の目的は果たしたような感じではありますが、これからこれをもとに戻して使うというのには、ちょっと考え直しをしなきゃいけないんじゃないかという点があるようでございますが、私はよく勉強しておりませんので、局長の方から具体的に答弁いたさせます。
  173. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) 本法につきまして御説明させていただきたいと思います。  本法は、いま御指摘いただきましたように三十三年に議員立法として制定していただいたわけでございます。この骨子を申し上げますと……
  174. 二宮文造

    二宮文造君 いや、よくわかっていますから。
  175. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) それで、第一次五カ年計画をまず組んでどんどん事業をやる。その次になおやる必要があるかないかは、第二次五カ年計画を組むときにはよく内閣総理大臣は検討する。その検討する事項はいわゆる審議会でやっていただく、台風常襲地帯審議会でございます。だから、三十八年当時に台風常襲地帯審議会にこの議を書類を見ますと諮っておりまして、そのときの結論は、「今後治山治水、海岸、土地改良等の長期計画の作成または改定に当たっては台風常襲地帯の対策を十分配慮すべきものである。」、といいますのは、その前の年にいわゆる治山治水関係の法律、それから長期計画の制度、そういうふうなものができておりますので、こういう結果になったんだろうと思います。政府といたしましては、それを受けまして、総理府告示で同じような審議会の告示をさせていただいております、審議会のお考え方を政府も取り入れまして。以後そのようにして進んでおりますが、この法律はだから四十二年、その第二次、長く見ても四十二年には一応この法律の骨子とするところは終わっておると、こういう形に相なっておるわけであります。
  176. 二宮文造

    二宮文造君 それじゃ伺いますけれども、この三条に「台風常襲地帯の指定」というのをやることになっていますが、これ、やりましたか。
  177. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) これはそれぞれやらしていただいておりまして、ちょっとこれはいろいろの最近の台風状況等の問題も関連いたしますので特に地域を申し上げますと、九州全域、それから四国へまいりましては愛媛県西南部、それから高知県、徳島県、それから中国へまいりましては山口県全域、広島県西部、島根県西部、それから近畿へまいりまして和歌山県、それから奈良県南部、三重県南部、それから中部地方へまいりましては静岡県伊豆地方、こういうふうな指定をなされております。
  178. 二宮文造

    二宮文造君 そのようにせっかく法律で地帯を指定したんですが、じゃあその地域台風災害を受けたときに、この法律、常襲地帯という法律の立法の精神に基づくような特典といいますか、そういうものはありますか、わざわざ地帯は指定しているわけですが。
  179. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) これはかつての書類で私ら見てまいったわけでございますが、第一次五カ年計画につきましても、結局審議会でいろいろの議論がありまして、いわゆる長期計画、治山治水立法に乗っていこうと、こういうふうな先ほど申しました結論になっております。当局としては、その治山治水……
  180. 二宮文造

    二宮文造君 今日、いま。
  181. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) でき上がっているかどうかということでございます。
  182. 二宮文造

    二宮文造君 いまそういう台風常襲地帯として指定されたところが、災害のたびに何かこの法律に基づいての特典はありますかと言うんです。
  183. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) 先ほど総理府告示で申し上げたとおり、各省長期計画等の行き方としてあったと思います。だから、その十年後の四十二年以降のところの考え方は、そういう先ほどの廃止されておるものかという問題もありますので、五年間は少なくともやっていただいておると思います。
  184. 二宮文造

    二宮文造君 私、わからない。じゃ、この法律は廃止したんですか。時限立法だから廃止になったんですか。
  185. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) これは、だからそういう意味合いで、かつ審議会が三十八年以後開かれていないという事実もありますので、いろいろ御疑問がありまして法制当局の意見も聞きましたら、先ほど私が申しましたような実情でございますので、特別委員会、衆参両院の特別委員会では少なくとも議題にしていただいて、その取り扱い等についていまなお検討中にしていただいているということでございます。
  186. 二宮文造

    二宮文造君 死に法なら審議会に衆参から委員を任命する必要はないじゃないですか。現に審議会の委員は任命されているじゃないですか、衆参から。
  187. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) そこで、先ほどちょっと説明が不足した点があるわけでございますが、本法の審議会に——これは法制当局とこの法律のどうあるのが現在の姿かということをよく相談した結果なんですが、審議会に関する事項を除く以外はそういう先ほど申し上げたような形になっておる、審議会はだから生きておるものと解する必要があると、こういうことでございますので、開かれないままに生きている審議会だけの審議委員さんはずっとその都度都度任命していただいていると、こういうことでございます。
  188. 二宮文造

    二宮文造君 私は法律が生きているとか死んでいるとか、そういうことを議論したくないんです。するつもりで問題を提起したんじゃないんです。要するにこの立法の趣旨は、議員立法の趣旨は、台風常襲地帯というものは連年そういうふうな災害を受ける危険性がある、したがって、やっぱりその対策として特別の配慮をしなきゃならぬということがこの立法の精神ですよね。で、まあ時限立法でいろいろ目的を果たしたとおっしゃるけれども、現に高知なんかは、こういう法律があるのに、なぜこの法律が働いて、われわれのような常襲地帯に災害が起こったときにこの法律が援護してくれると、こういう姿勢にならないのかということをいわば問題にしているわけです。たとえばどういう問題ができるかといいますと、昨年の五号台風、六号台風、これで高知では七百戸が流失したんです。それから別のところで聞いたんですが、八丈島で二百戸流失したそうです。流失家屋が計九百戸。ところが、全国で千二百戸なければ激甚災害指定は受けられないというので、結局高知県は局地の指定を受けたわけです、高知県は。  ところが、高知市はそれから外れました。ために、商工業者が災害で損害を受けて融資を受けました。その利率が、もし激甚災害のあれを受けると、融資が六分二厘で済む、三年間は。ところが、一般融資になってしまいますから八分六厘になる。もしこの台風常襲地帯というこの法律が生きていて、常襲地帯に特に配慮されるならば、この利率の面においても、あるいは個人住宅の融資枠においても多分に保護されるのではないか。ぜひこの法律、せっかく検討された法律ですから、これを息を吹き返すように、そしてその常襲地帯には特別に配慮されるという一つの歯どめを今回ぜひ——こういう災害、高知の場合は連年災害ですからそういう要望が強いわけです。この点はどうでしょう、大臣
  189. 中馬辰猪

    国務大臣中馬辰猪君) 実は、自白しますと、この法律は私の名前で国会に提案したものでございます。ところがその当時は、台風の目が上陸する場所が気象庁に聞かぬとわからぬですけれども、七、八年置きぐらいで変わってくるのですよね。終戦後は鹿児島湾の西の方に来よったわけですよ。それから鹿児島の西部から天草とか島原半島とか、あっちの方が災害があったのです。今度はだんだんと移動してきまして、志布志湾から宮崎の方に行って、高知の方に行く。大体九州全域が七、八年の間に全部やられたものだから、われわれ有志議員がみんな超党派的に集まりまして、これじゃたまらぬからというので私が右代表で法律案をまとめたのです。まとめた結果かなり効果があったと思います、いろいろな配慮で。今度は、宮崎の先生がおりますけれども、宮崎はだんだん災害がなくなってきたのですよ。今度は佐賀県がなくなってくる。大分県にもほとんど来ない。福岡なんかほとんど来ない。長崎に一部が来るということで、最近は今度は台風が四国の方に上陸する。伊豆半島の方ですね、紀伊半島から。だから、そこで人間のこれは弱点ですけれども、七、八年来ないと、地元もわれわれ国会議員も少し健忘症になってしまって、もうおれのところは対策が済んでしまったというところで、一種の死文化したというのじゃないかと思うのですよ。  そこで、このごろは、たとえばこの間の小豆島とかそれから一宮とか、近畿のあの広い場所じゃなくて、一定の地域に雨が降っているのですよね、赤穂とかそれから岡山県の備前市とかですね。だから、どうも昔みたいに台風は九州と四国の一部だという観念がなくなったものですから、責任は、私も国会議員ですけれども、国会議員にかぶして申しわけありませんけれども、連帯組織がなくなったですね、自民党の場合は。ですから、台風常襲地帯というのはなかなか学者的、学問的に見ると、どこが常襲で、どこが非常襲かという区別はありませんけれども、比較的に、あれは昭和三十三年ごろできた法律ですが、過去十年ぐらいの間にはこの辺が常襲地帯であった。また、将来もあるであろうという想定をしてできた法律だったものですから、これに参画しなかった県の人はそういう法律があったかどうかもまず関心がない。また、当時関心があった国会議員もかわったりしまして、やや死文化しているという感じがしますから、常襲地帯の法案そのものは当時は私は非常に大きな効果があったと、こういうふうに考えておりますが、今後どうするかということはまた御相談申し上げます。
  190. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) まことに申しわけありません。法律そのものを素直に読むと、五年の五年で一応消えることになっているらしいのですが、それで打ち切りとは書いていないから、法律は残っているということのようです。  そこで、議員立法で出た法律なものですから、事務当局としては災害対策委員会の方に申し入れして、これをどう始末するかということでいま、これは衆議院の方ですが、検討中になっておるそうでございます。私は勉強しましてどう始末を——法律があって、全然効果のない法律があって、見れば常襲地帯が大変助かるような法律があって、中身はちっともないのじゃこれは話になりませんから、御期待に沿えるところまで持っていけるかどうかわかりませんけれども、これは検討を十二分にいたしてみますから、法律それ自体について。よろしくひとつ御了解願いたいと思います。
  191. 二宮文造

    二宮文造君 中馬大臣、お話の経過はよくわかるのです。私は、あるいは高知の人たちがそういうことを言うのは——私は今度の十七号台風についてこの問題を云々するわけではないのです。いわゆる常襲地帯、連年——たとえばことしは兵庫県の一宮あるいは備前市、さらにはまた安八、こういう方面ではやられましたね。だけれども、高知は去年もことしも、あるいは毎年のように襲われるわけですよ。鹿児島も一緒だと思うのです。奄美も一緒だと思います。あるいは沖繩も一緒だと思います。こういうところはやはり、もう台風といえば必ずこの方面というのは大体あるわけですよ。その目でこの法律を見ますと、やっぱりこれは生かすべきではないだろうか、連年やられるわけですから。そういう意味で申し上げているわけでして、これはよく了解しましたから……。
  192. 中馬辰猪

    国務大臣中馬辰猪君) さっきの長良川の河口ぜきみたいにまた失言してもいけませんから、慎重に言葉を選びますけれども、こういうふうにしたらと思いますがね。たとえば、いまさっき審議官のお話で、どことどことどこが指定されておる。その中にもうここ十数年全然ないところがあるわけでしょう、本当のところが。しかし、既得権というのは外すのがなかなかこれまだむずかしい。そこで、純学者的に言いますと、過去十年ここはなかったのだから、ここは外そうじゃないかということがもしできれば、そこは外してよいとなったら——事実いまおっしゃるようなところがあるわけですからね。入れることができれば、今度は連帯組織をつくってここは重点的に予算配分をしましょうということができるかどうか。それはいま私は役所の方だから慎重に申しておるわけですけれどもね。そこの辺が一番政治的に見るとむずかしいのじゃないかと思いますよ。確かにおっしゃるように台風の来る地帯、来ない地帯、それは確かにあります。それは時期によってこれまた五年、十年置きにずっと変わっていくもんですから、まあしかし学者みたいなことを言ってもこれはつまらぬわけですから、そういうふうに仕分けができるかどうか。仕分けができると、そこに重点的にいろいろな砂防とか、あるいは湛水防除とか、あるいはポンプとか、そういう予算重点は私は可能であると、法律が生きている間は、こういう感じがいたします。これはしかし失言になってはいけませんから、どこを外すとか外さないということじゃございません。
  193. 二宮文造

    二宮文造君 じゃ、鋭意検討していただくことにして次に進みます。  次は、救済措置の問題ですが、厚生省にお伺いしますけれども応急仮設住宅、けさも小谷委員からお話があったようですが、運用の方針をちょっと時間もありませんから簡単におっしゃっていただきたい。
  194. 水田努

    説明員水田努君) 応急仮設住宅は一応全壊世帯の三割をめどに貸すという一般基準がございますが、私どもは三割のところで実際問題需要のあるところを打ちどめにするということはできませんので、実情に沿うように対応するということで県の指導にも当たっているところでございます。  今回の被災では、全壊世帯のおおむね五割に応急仮設住宅全国規模で申し上げますと御用意申し上げる、こういう形に相なっておりますが、なお県当局等で市町村指導に非常に誤りがあるところもあるやに聞いておりますので、この点は私ども非常に自戒をいたしまして十分適切な指導を図ってまいらなければならない重大な問題である、このように考えております。
  195. 二宮文造

    二宮文造君 補助率は。
  196. 水田努

    説明員水田努君) 補助率は、これはいわゆる地域社会の方に応急の住宅を提供するわけでございますので、たてまえ上は都道府県の負担でございますが、都道府県の財政力に応じまして五割からおおむね九割までの補助率を適用するように相なっております。
  197. 二宮文造

    二宮文造君 さあ、そこで問題なんです。よろしいですか。まず行政指導の中で三割という線を明示されている。しかし、これはそのときの都合で、状況で伸縮は自由自在と、伸縮というか伸ばすのはいいと。今回の場合は五割程度になって大体住民の要望を消化することができたと、こういう報告は受けました。ですが、そこまでに至るときに、いま答弁にありましたように、県は、国の補助が五割から九割、どちらにしても県の持ち出しになるわけです。そうすると、財政不如意の折から何とかかんとかこの三割という線を固執して、なるべく建築戸数を少なくしようとする、町の方はそれじゃたまらぬからというので、はねつける、こういうやりとりが件数が決まるまでに相当あるわけです。ですから、これは恐らく、私は香川県でその例を知ったわけですが、高知でもどこでもあるし、また県によってはその建てる戸数の。パーセンテージが大分違うと思いますよ。これはそういうふうな県の裁量で住民の要望を押し切ってしまうというようなやり方じゃなくて、まず三割という指導の線を撤廃をして、あるいはまた財政力に応じて五割から九割なんというようなそういうものを撤廃をして、やっぱり一線になすった方がいいんじゃないでしょうか。要するに応急仮設住宅の必要な戸数を判定するのは町に任すと、町は住民からの希望でやると、県はその県、国はその需要に応ずると、こういうふうなその姿勢というのが必要ではないかなと。  また、けさも問題になりましたけれども、大体標準の坪数が七坪だと伺いました。しかし、実際問題として香川県で建てられておりますのは、一人から二人が六畳、そしてそれに便所のつくのとつかないのとあります。九十センチの押し入れ、それから簡単な台所と。大体一人から二人のところは四坪半ぐらいの坪数だと。便所は別ですよ、共同便所です。それから三人から五人になりますと、六畳に四畳半がつく、あとは同じと。六人以上になると、その上にもう一つ六畳がつくと、こういうことになっているようですが、この場合に便所を外につくるでしょう、共同便所。その軒下の通路は町の負担なんです、軒下の通路。だから、これは仏つくって魂入れずということになりゃしませんか。もしその一戸一戸に便所をつくると、それはその費用、建築費用の中に入るけれども、外に出しますと、軒下の通路、これを町に負担させるというような、いわばちょっと配慮が足りないようなことになっていますから、この点はひとつ御検討を願いたい、こう思うわけです。これひとつよろしくお願いいたします。  それから災害救助法基準額の改定、これは私どもも申し入れて要望しておりますが、けさもお話がありました一日四百円の食費ですね。これはどうでしょうか。
  198. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) 余ると言ったよ。
  199. 二宮文造

    二宮文造君 そうなんです。余ったんです、実は。高知市は約二十二万食出したんです。ところが、代表的なパン工場が四つあるんですが、これが三つ被害を受けまして操業不能になった。だから、パンは間に合いませんで、一食当たりパン一個と牛乳一本で何とかつじつまつけた。それで私は現場見ましたが、ヤクルトがついてきていました。牛乳じゃなくてヤクルトがついてきていました。ですから、三百十八円八十銭で終わりました。しかし、住民は大変な被害を受けました。本来、その被災者の方に聞いてみますと、やはり台風のときに何とか口に入れたいのは握りとお茶だと言うんです。その握り飯は、米ですね、これは四百円の枠の中に入らない、とてもじゃないがそれにはおさまらない、こういう状況ですがね。それからパンはのどに通らないそうです。この点はどうですか、厚生省
  200. 水田努

    説明員水田努君) まず、御要望の点はよく今後われわれ改善さしていただきたいと思いますが、私どもは応急仮設については家屋の中に便所を設置するようにということで積算もいたしておりますし、指導もいたしておるつもりでございますが、農家の方等でやはり戸外の方がいいという方が、ある場合にはあるんではないかと思いますが、私どもは一応戸内につくれるようにというふうに改善をしてきたつもりでございますが、なおその点は実情等も確かめまして、必要な今後検討をさしていただきたいと思います。  次に、食事の問題でございますが、食事——私どもは毎年全国の担当者を集めまして、それぞれの県の市町村災害の担当者に被災を受けた場合の食事の出し方、用意その他について十分指導をするようにということを常々にお願いをいたしているわけでございまして、よく四百円が問題になるわけでございます。もちろん被災直後というのはなかなか御飯まで炊けないというような状況がある場合もあるわけでございますが、私どもは今回は特に相当長期化するという見通しを持ちましたものですから、被災各県に四百円の枠にこだわらぬで、十分被災者の方の健康に留意できるようにやってくれという電話指示もいたしたわけでございます。  ちなみに、午前中の小谷先生のときにもお話しさしていただいたんでございますが、これは私ども政府調査団でかなり各被災県を回っておりますが、これは安八の例が新聞に出ているわけです。これはおみそ汁を食べておられる、避難所の。これかなりの食事の内容が提供されているわけです。みそ汁の中身は豆腐、ワカメ、白菜が入っていると。それからメニューは豚肉、白菜、油揚げ、ニンジンだと。これはもちろん安八の場合には被災直後は自衛隊の乾パン等の放出で対処してもらいまして、水が引いてすぐに学校の給食施設を整備して、それでこれに対応したという、相当の大量食になるものですから、大量食を供給できる体制整備をしなきゃならぬという問題が一面においてあるわけでございますが、いずれにしましても、食事の点については衆参の災害対策特別委員会で私はもう毎年矢面に立って一番指摘を受けている点でございまして、身にしみて感じておりますので、今後も十分改善に努めさしていただきたい、このように思っております。
  201. 二宮文造

    二宮文造君 身にしみて感じているわりには、毎回もう同じ問題が出てくるというのはやっぱりしみてないんじゃないでしょうか。毎回私はこういう話を聞くわけです。  それから、さっきの応急仮設住宅の答弁はあれはおやめなさい。農民の人が外で云々ということで共同便所になっているんだ——これはやめた方がいいです。どうですか、その意思ありませんか。
  202. 水田努

    説明員水田努君) 私も十分実情を知らないでお答えいたしましたので、撤回さしていただきます。
  203. 二宮文造

    二宮文造君 その方がいいと思います。  それから災害弔慰金ですが、これも死亡者一人当たり百万円、ちょっとやっぱりせっかくの弔慰金ですから、少し金額が少ないのではないか。こう申し上げると、恐らく去年までは五十万円でしたと、それを上げましたと、こういうお話でしょうが、ちょっと少ないのではないか。何とか検討する必要があるのではないかと思いますし、それからそれに関連して災害援護資金の貸し付けですが、これがいろいろ条件がつきまして限度額百万円、こうなっております。これで、ここでも限度額を引き上げをしないと、百万円じゃ最低必需品も買えない。だって条件が、家が全壊流失、要するに形をなくした場合とか、あるいは家財の三分の一程度の損害ないしは世帯主が一カ月の重傷、こういう条件を付しての貸付金でしょう。そうしますと、百万円ではどうにもならないのではないか、こう考えます。この点について質問します。  それからもう一つ、これには所得制限がかかりまして、実収で百八十五万以上の方は御遠慮願いたい。トータルで大体二百八十万の年収らしいですね。二百八十万と言いますと大体国会議員の第二秘書、この方々の程度がどうやら年収二百八十万円該当だそうです。それ以上になりますともうその資格がない。この点も考慮に値するのではないだろうか、こう思うんですが、この三点、答弁願いたい。
  204. 水田努

    説明員水田努君) いずれも大変厳しい御質問でございますが、弔慰金は御承知のとおり、私の承知いたしておりますところは、こういう公的資金を、全額公的資金でいわゆる社会的な見舞い金制度を持っておるのは、国際的には日本だけであるというふうに私聞いているわけでございますが、この法律は御承知のとおり超党派の議員立法でつくられ、この額の改定も超党派で御対処いただいておるという経緯を持っておりまして、この取り扱いについては衆参のそれぞれの災害対策特別委員会理事会で近々御検討があるやに仄聞いたしておりますので、私どももそこに当然お呼ばれすることになるんではないかと考えておりますが、この問題については財政当局とも十分協議しながら対処をしてまいらなきやならぬ問題ではなかろうかと、このように考えております。  次に、災害援護の貸付金でございますが、これは災害時には先生御承知のとおりに各種の災害の救済のための融資制度がございまして、その中のいわゆる福祉資金としての位置づけでこれが創設されているわけです。厚生省が持っております世帯更生資金の中から独立して厚生省の社会局が所管しているということで、いわゆる生い立ちが低所得者を中心とした被災後の生活の立て直し資金、こういうことに相なっているわけでございます。  まず、所得制限の点でございますが、所得制限——課税所得で百八十五万、実収入で約二百八十万ぐらいまで。これは五十年所得でございますので、本年所得じゃございませんで、一年前の所得で、私どもの推測するところでは大体国民の三分の二程度はカバーできるのではないか。厚生省が持っておりますその他の福祉資金とのバランスからいっても、ちょっと所得制限の緩和をこれ以上図ることは困難が相伴うのではないかと思っています。  それから貸付金の最高限度の引き上げでございますが、実は被災各県を八日の日に呼んで実情を掌握してみたいと思っておったんでございますが、衆参の災害とかち合って十三日に急遽変更いたしましたので、各県から主管課長にそれぞれ実情を持って参上するようにさしておりますので、他の融資制度の改善、その他の状況とも見合わせながら個々の問題はひとつ検討さしていただきたい、このように考えております。
  205. 二宮文造

    二宮文造君 いろいろの経過もありましょうけれども実態がそういう実態になっておりますから、それを踏まえて、ただ一つ世界でも例を見ないようなやり方ならやり方らしく中身もやっぱり伴うのがよろしいと思います。大臣も応援してくれていますから。  それから廃棄物の処理、それから清掃の問題ですが、これは災害によるごみ処理あるいは屎尿処理は国庫補助二分の一と、こうなっておりますが、これは実際問題、市町村の負担というのは大変なことになっているのですが、全額かないし三分の二ぐらいに格上げしてくれということですが、この点はどうですか。
  206. 森下忠幸

    説明員(森下忠幸君) お答えいたします。  今回の十七号台風災害廃棄物の処理事業を必要といたしましたところは二十一道府県、百五十七市町村に及んでおりまして、そのうち十三道府県、六十六の市町村では大体仕事が済みまして、処理事業費も確定しております。これにつきまして、それぞれの市町村の清掃費の中身をいま当たっておるところでございますけれども、一、二の例外的な町村を除きますと、被害の程度、態様、あるいは災害廃棄物処理事業の中身、それから費用が市町村の財政規模とどんな比率になっているかというふうなことを見ますと、従前の災害とも大体類似しておるというふうなことで、今回も従前の例にならって二分の一ということでやってまいりたいと思います。ただし、今後係官を現地に派遣をいたしまして査定をいたすわけでございますけれども、その段階でできるだけ市町村の負担を軽減できるように処置してまいりたいと考えております。
  207. 二宮文造

    二宮文造君 こういう問題が高知市で起こったようです。といいますのは、生ちりと言うんですか、生ごみと言うんですか、土地の人は生ちりと言うんですが、われわれは生ごみと聞いているのですが、そういうことで御理解ください。それを捨てる場所として、これは余り歓迎されません、土地購入に。ですが、やっと交渉して、六億円かけて三年分の投棄場所を確保した、その矢先に災害のごみが出てきまして、それを三万五千トン持っていったら一遍で終わりです。そうしますと、これは市の単独ですから、その用地を買うときに全く補助もない、やっとやりくり算段して六億円かけて場所を確保したのが一朝にしてパァになってしまった、また新たに確保しなければならない。そういう場合に市の財政的な援助というものは考えられますかどうか。
  208. 森下忠幸

    説明員(森下忠幸君) 高知市の場合は、大変短かい期間になってしまったということでお気の毒なわけですけれども、一般廃棄物を処理いたしますと、最終的にはどういう形かで残滓が出るわけです、残渣と言っておりますけれども、こういうものが出るわけでございまして、これの処分をするにつきまして、処分の用地は別でございますけれども、適正な埋め立てをいたしますのに必要な堰堤とか、そこから出てまいります汚水の処理施設、こういったものにつきまして国庫補助をいたす制度が五十一年度、今年度から創設されましたので、今後高知市がそういった処分地を新たにお求めになるということにつきましては最優先にこれを採択し、補助してまいりたいと考えております。
  209. 二宮文造

    二宮文造君 ちょっと半分わかって半分わからないのですが、あなたの答弁の前段では、そういうものを投棄、捨てるために埋め立て等をするときには、堰堤とかなんとかというものについて今年度からするようになったと。私が申し上げているのは、恐らく土地を購入してそこへ埋め込むのだろうと思うのですね。そういう場合にも援用できますか。いまおっしゃった、五十一年度からの補助の対象にしたということが、そういう場合にも当てはまりますか。当てはまって、なおかつ高知は事情がよくわかるので最優先に取り扱いますという答弁と理解してよろしいか。
  210. 森下忠幸

    説明員(森下忠幸君) 用地の取得費につきましては国庫補助の対象としておりませんが、そういう用地について適正な廃棄物の埋め立て処分をいたしますと、そこが新たな土地として活用できますし、価値が出てくるということで、それに付属いたしました施設、堰堤とか汚水処理施設について国庫補助をいたすということになっております。
  211. 二宮文造

    二宮文造君 役所の方と話していると、そのまま聞いていいものだか、どこかにしり抜けがある。とにかく自分の耳を疑ぐりながら答弁を聞かなきゃならない。これはまことに不幸なやりとりだろうと思うんです。現状が現状なんですからね。現状が現状なんですから、それでるる事情を説明したんですから、特別の御配慮をされるように私は要望しておきます。  それから個人災害の救済の問題です。これもずうっと議論になってきておりますし、けさほどもお話があったんですが、要するにやっぱりこういうきめつけ方が果たしていいか悪いかわかりませんけれども、一般の理解は台風被害というのは防災施設が十分でなかった、だから起こったんだ。だから国は、そういう防災施設のおくれでそういう被害を受けたんだから被災者の立ち直りに手をかすのが当然だと、こういう被災者は気持ちを持っているわけですね。ところが現状は、こういう台風による個人財産の損害というのはその人が運が悪かったと、こうあきらめなきゃならぬような状況になっていまして、これは何とか大臣もおっしゃっているように方法を考えなきゃなりません。われわれとしても考えなきゃならぬと思いますが、私、先ほど住宅局長望月先生への答弁でちょっとわからなかったんですが、一般の火災保険ですね。これは通告しておりませんでしたが、これ、関連してきますからちょっと答弁願いたいんですが、風水害による家屋の損害、家財の損害というのは一般の火災保険で、あるいはまたいまの損害保険会社でカバーできるようになっていますか。
  212. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 火災保険制度の中で住宅総合保険というのがございます。それを見ますと、火災、落雷、爆発、墜落または衝突、漏水または水ぬれ、騒擾、そういうところまでは保険金額ということになっておりますが、風水雪害に対しましては三〇%または二百四十万ということになっております。それから長期総合保険でも、保険金額に対しまして三〇%または二百四十万円ということになっております。
  213. 二宮文造

    二宮文造君 それで、住宅金融公庫の融資の対象になったものについては住宅金融公庫が特約をしておりますから、いわゆる上限もない、また全領補てんされる、こういうふうになっているわけですか。
  214. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) さようでございます。
  215. 二宮文造

    二宮文造君 それは結局さっきも望月先生がおっしゃってましたけれども、一般の場合は特約、そういうものを特約をしても三〇%、二百四十万でカットされるわけですね。住金の場合は全部カバーされるわけですね。ここに何か、住金の融資を受けた者以外の者は、その話を聞くと何か納得のできないような、何か不公平なような受け取り方をしないでしょうか。なぜその住宅金融公庫の場合は全額補てんされるんですか。
  216. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) その点、実は私も十分承知をしておりませんで、先生と同じように少し不公平じゃないかという感じを持った一人でございます。ただ、いままで金融公庫におきましては貸付金額の回収ということに非常に重点を置いておりまして、したがいまして、公庫が特に火災保険等にお話をいたしまして、新銘柄をつくってそれに入っていただいておるというのが実情でございます。
  217. 二宮文造

    二宮文造君 どうでしょう、大臣。もし住宅金融公庫の融資対象の建物についてそういうふうな特約ができるんだったらその制度を拡大をする、そのために国の方から何らかの負担もあるかもわかりませんが、そういうもので個人災害、いわゆる家屋ですね、家屋についての災害を何とかカバーするということを検討願えませんか。
  218. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 住宅総合保険、長期総合保険等につきまして、実は私十分勉強しておりませんでしたので今後十分検討してみたいと思います。ただ、公庫の特約災害保険等、それらの保険の差といたしまして、他の住宅総合保険、長期総合保険等では盗難等の場合にも保険の全額がかかることになっておりますけれども、公庫にはそういうものが抜けておるというふうな保険内容の差はあるようでございます。
  219. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) 個人災害、いろいろむずかしいんですが、いま先ほど来御議論になったように、人間の方は生命保険で一応これは全額カバーできますからいいんですが、それでもお見舞い金を出そうというのは、われわれ国会議員団が視察に行きまして、何十人も亡くなって合同のお葬式をやっているのに、ただ線香だけ上げてくる手はないんじゃないかというので、行った議員の方がみんなで金を出し合ってお悔やみ金を出して、そして葬儀に参列するということが何回かあったわけです。それですから、行った議員みずからやるのに国で出す手はないんではないかというのがいまのお見舞い金制度のもとだったわけでございますが、どうせやるんならば本格的にやった方がいいんじゃないかと。どうせ役に立たせるぐらいひとつ、そう言ったら失礼だが、地崩れ等に遭うようなところはなかなか生命保険でも火災保険でも十二分入っておるなんて家庭は、そう言ったら失礼ですが、最近はどうかわかりませんが、少ない状態だから、そういう意味でも国家機関でひとつやれるんならやろうではないかというのがいわゆる共済制度という、一人十円ずつぐらい出し合ってやれば、何ぼ少なくとも五、六百万ぐらいお見舞い金出すのならば相当役に立つのではないかという考え方でやったわけでありますが、これが先ほど来問題になっておる百万円までまあ伸びてきたところであろう。  これもひっくるめまして、いまの土地が、屋敷がなくなったものまでは損害保険入るわけにいかないだろうと思うんですが、私が一番心配するのは、家を建てる場合にまず屋敷が必要だ。その屋敷がなくなってしまった者に対してはどうするんだ、それに対しての保険、共済的な制度はどうかということが前々から議論しておるわけでございまして、そういう点で幾分でもお役に立てるものならば共済制度でやろうという考え方でずっと勉強してきたつもりでございます。幸い私いまそれを担当する役所を持つようになりましたので、私の在職が長い短いは別として、来年度の予算には調査費を計上いたしまして、すべての損害保険あるいはいままでの、先ほど来御議論になったいわゆる金融公庫との関連性等の問題等も全部ひっくるめまして検討を加えて、何らかの成案を見るように努力をいたしたいと思いますので、御理解願いたいと思います。
  220. 二宮文造

    二宮文造君 ぜひ前進さしていただきたい、こう思います。  それで、先ほど私冒頭に今回の災害はいろいろな形で分類される、こういうふうに申し上げて、その結論として十数年来の土地利用だとかあるいは開発行政、開発状況がここでテストされたんだというふうなお話を総括的に申し上げましたが、実はその被災者にとってみますと、これが天災だとこう割り切ってしまうには、自分の目の前に出てきた現象が、人災というふうな状況が余りにも多過ぎる。  たとえば、こういうことがあるわけです。農林省の方にまた後で伺いますけれども、小豆島の池田町、ここは電照菊と言いまして菊を電気で照らして、それで早く出荷させるように、この三大主産地の一つにまでいま成長したそうです。これまでにはもう二十年近い農民の営々たる辛苦がある。そして大体電照菊が四十ヘクタール、そのほかに大体二十八ヘクタールぐらい露地菊、普通の菊があるわけです。それが今回もう八〇%、しかも土砂が二メートル。ですから、鉄骨のハウス園芸ですか、これはもう全部天井まで砂がいってしまった。なぜそうなったかという直観的な農民の判断は、その山に別荘地が開発された、そして取りつけ道路がついた。ために水系が変わった。だから、ぐうっと押してきた。事実またその付近の岩がごろごろごろごろ押し流されてきているわけです。あるいは香川県に東の方に津田町という町があるんです。ここでも数名の死者が出ました。これは山の中腹に採石現場がある。その上にゴルフ場が最近開発された。ここでまた水系が変わった。現に土石流がずっと流れてきた。そこにはゴルフ場のいわゆるいろんな表示板が来ているわけです。その被害を受けた、これは漁師町ですが、住民の方は、やはりあの採石場の採石かすですね、それを押し流してきますが、あれが原因だ。さらにその上のゴルフ場のいわゆる防災工事が十分じゃない、こう指摘をする。  それからあるいは内海町、小豆島の内海町という池田町のすぐ東側に町がありますが、ここは四十九年に引き続いてまたやられたわけです。ここにも山の頂上付近に道路公団の有料道路があるわけです。それが設置されて以来どうも怪しいと。現に私は有料道路を上がって行きましたが、確かに有料道路の取りつけの部分が土砂がずっと流れて不通になっていました。こういうふうに今回の災害はあながち天災とこう言えるものではない。直接やはりそういう開発の手が何らか入っている、土地造成の手が入っているところが災害を受けたという印象を非常に深くしたわけです。地域の人は、皆さんは訴訟を起こすんだと、こういうことを言われています。それで私が思い出したのは多摩川のあの流失の訴訟、あるいは大阪の大東市の水害の訴訟、これはまだペンディングでずっと係争中ですが、こういう開発と今後の災害という問題については、やはり国として何らかの目安といいますか、結論めいたものをここでお出しにならなきやならぬじゃないか。要するにゴルフ場の開発を許可した、二年前ですから。そうしてその防災工事に手落ちがあったのか、あったかなかったか点検しなきゃわかりません。そうすると、これはゴルフ場の開発を許可した県に責任が出てきますね。こういう問題は一体どう考えたらいいのか、ひとつ両大臣から御賢察を伺いたいんですがね。
  221. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) 非常にむずかしい話ですが、御承知のように日本の国は非常に狭い領土でございまして、この国土をどのように利用するかということが非常に大切な問題であろうかと思います。たまたま利用の仕方によっては、いまお話しのあったように開発が過ぎて、いわゆる災害プラス人災イコール今度の大災害という結果になるわけでございますから、開発をすることによって災害が必ず起きるとも申し上げかねますが、それは災害が起きる原動力に役立っていると思うのは当然だと思うわけです。そこで、環境庁その他との関連性で、開発については相当歯どめをつけているわけでございますが、この点の災害、今度の災害の現地の調査ができ上がり次第、それらとの含みも十二分に調査をいたしまして、今後の国土開発につきまして十二分に検討を加えてまいりたいと考えます。
  222. 二宮文造

    二宮文造君 これは当事者があるわけですから、われわれが一概にどうこうということを結論づけることはできませんけれども、やはり開発の何らかの直接間接の影響を受けてこういう大災害を引き起こした。被災者の立場に立てば、やはり原因をどっかの機関で明確にしてもらいたい。そうして被災者方々はそれに基づいて行動を起こしたいという気持ちがあるわけです。ということは、大臣もよくおわかりだろうと思うし、それに何らかの手がかりみたいなものを検討すべきではないだろうか、こう考えるわけです。  それから、農林省の方、電照菊、これはもう通告もしてありましたが、どうします。対策をちょっと簡単にお話しください、時間がありませんから。
  223. 小笠原正男

    政府委員小笠原正男君) 先ほど御指摘ございましたように、日本の三大電照菊産地の一つであります香川県池田町におきましては、壊滅的な被害が出てきたわけでありまして、農林省といたしまして、早急に事後対策を講ずる必要があるというふうに考えておりますが、具体的な救済策といたしましては、まず第一に、埋没あるいは流失いたしました農地につきましては、激甚災の指定に伴う高率補助によりまして、できるだけ早く復旧する必要があるというのが第一点であります。  それから二番目に、ハウス等の施設をつくり直すと、あるいは必要な種苗等の資材の手当てをするというような問題につきましては、天災融資法による融資によって施策の確保を図るということにいたしたいと考えております。それから当面被害が比較的軽い耕地、あるいは当面代替地で、露地で何かを栽培できるというところがありますれば、それにかわりましてストック、アスター等いまからでも間に合うもの、そういう花卉について至急に代作を開始するように指導をしたいというふうに考えております。  それからさらに、生活維持のために必要な問題に対しましては自作農維持資金の充実を図る。それからなおこの地区につきましては種々の施設がすでにあったわけでありまして、制度資金、農林漁業公庫資金、あるいは近代化資金、これらの融資をすでに受けている方もいらっしゃるわけでありますが、これらの融資の償還期限につきましては、必要に応じて中間据え置きの設定なり、あるいは償還期限の延長なり、そういったような貸付条件の変更を行うというようなこと等で、被害農家の経営の安定に万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  224. 二宮文造

    二宮文造君 耕作放棄をするよりほかにないという声がだんだんだんだん広がってきまして、不穏な空気になっております。ですから、これはひとつ鋭意いまおっしゃった線で激励をやっていただきたい、こう思います。  それからついでに、これは非常に細かい問題ですけれども、ないがしろにできないのは、たとえば災害救助法が発動された、そして水害を受けた。ところが、中央卸売市場ではやっぱり競りをやるわけです。そのために高松で私ちょっと調べたのですが、高松の市場ですね。これが大根、九日がキロ百十二円、十日が百五十七円、十一日が二百五十五円、十三日が——十二日が日曜ですから、十三日が二百四十円、そうして十四日は百四十二円と、この二日間でごらんのように非常にアップしていますね。それからネギの場合は、これもキロですが、九日が百九十一円、それから十日が百八十円、十一日が二百五十八円、もう非常に激しいときですね、雨の。それから十三日が二百六十円、そうして十四日が百十五円、これはまさしくあの水害の最中に近郊の農家から集荷してくるというのはまことにむずかしい。荷受け機関が委託か何か知れないけれどもすでに確保してあったものが競りにかかって、雨が降ったぞということで、競りで三割、四割、場合によったら五割もアップしてしまう。こういう場合、しかも高松市は浸水家屋が出て、床上浸水が出て災害救助法を発動しておる。そういう場合はどうでしょうか、市場の競りというものは抑えて、そうして相対で前の日の値段、そういうもので便乗値上げを抑えるというような操作というのはできないものでしょうか、この点どうですか。
  225. 増田甚平

    説明員増田甚平君) 現在の中央卸売市場でございます、御売市場におきます取引につきましては、御案内のように卸売市場が規定によりまして
  226. 二宮文造

    二宮文造君 簡単にやってください。時間が大分……。
  227. 増田甚平

    説明員増田甚平君) 競りが原則となっておるわけであります。ただ、いま御指摘のような災害発生等の場合におきましては、開設者の指示なりあるいは承認によりまして卸売業者が相対なり、あるいは委託販売でございますけれども、それを翌日に販売をする、あるいは御指摘のありましたように、競りにかえまして相対販売するということは認められておるわけでございます。ただ、これはいろいろ現地の状況によりますんで開設者の判断ということにいたしておりまして、私ども状況を見ておりまして、その必要がある場合には農林省としてもそういうことをやるような指示をするということにいたしております。
  228. 二宮文造

    二宮文造君 それで、いわゆる開設者、開設者は市長になるのか、あるいは市場長になるのかわかりませんけれども、私は市場長と理解しまして、市場長に連絡をとりました。あなたはこういう災害時、特定の場合には市場長が判断をして、原則は、物は委託で出荷されたもの、集荷されたものではあるけれども、競りをやめて相対で取引できるという方式をあなたは御承知でしたかと、こう聞きました。承知しておりましたと、承知しておりましたが、実際にはそういうふうに指示をすると、卸売業者なりあるいは生産者なりに損害を与えることになるので、私の判断ではそれは指示することは知っていてもできませんと。だから、相対で売買をしなさいという指示ができるというんであれば、そこで起こってくる損害というものについては、やはり国なりあるいは県なり市なり、そういうところが損害をこの程度補てんしますというバックアップがなければ、私の責任では指示は出せませんと。法はあっても運用できないような中身になってますという市場長の説明なんです。この点はいかがですか。
  229. 増田甚平

    説明員増田甚平君) 私どもとしましては、取引の安定に重点を置きまして、そういう場合にも弾力的にやるようにということは平素指導しておるわけでございますけれども、御指摘のような点等ございますれば、今後ともそういう点十分配慮するように指導いたしてまいりたいと思っております。
  230. 二宮文造

    二宮文造君 これはぜひ、ですから私、細かいことですけれども、特にこの二日間の値動きという顕著な例をとってきたわけです。これが小売のところへ行きますと、卸売市場では三割、四割のアップですが、小売のところへ行きますと、これは大体倍ぐらいにこたえてくるんです。元がそれぐらい上がりますと、倍ないし二倍半という極端な値上がりになって住民はダブルパンチを受けたわけです。この点はぜひそういう法の規定が執行できるような裏づけというものをいま御答弁のとおりこれから御検討願いたい、こう思うわけです。農林省結構です。  それから、この点、これは災害対策の本部長が国土庁長官になってますから長官にお伺いしたいんですが、今回の場合、人命尊重あるいは避難体制、そういうもので成功したのは高知なんです。あれほどの被害を受けながら、まあ役人の責任放棄だということにはなりましょうけれども、とかくの話はありますけれども、坂本市長が非常事態宣言をやって、いままで一生懸命やりましたけれども、もう手がつけられませんと、市民の皆さん、まことに申しわけないけれども、自分の身は自分で守ってくださいと、こういうテレビで異例の発言をして、発表をして、人命を、いわゆる犠牲を免れたわけですね。  ですが、私考えるのに、こういう災害時に的確な、正確な情報を定時にしかも継続的に地域住民に周知をする、これは非常に大事だと思うんです。この点について私どもは今回申し入れ書に、ラジオとかテレビ、この電波を活用すべきではないかと。たとえば無線を派出所なり役場に置いてみたところで、そこまでは県の災害対策本部から行くとしても、一般住民に周知するには、もうすでに雨降りとかなんとかですから、それから先に徹底できません。やっぱりマスメディアといいますか、ラジオ、テレビというものを活用すべきではないかというので、実は高松の放送局へ行ってみました。技術上そういうことは可能ですか、一応NHKの体制とすれば、ローカルの電波は場合によればそういうふうにやってよろしいと、こういうことにはなっているようですが、テレビはできませんと。私は、テレビは、停電になりますから、むしろこの場合活用するのはやはりラジオではないだろうか。現に指導として、救急袋の中にトランジスタを必ず用意しなさいという指導もされているわけです、避難体制の中にですね。ならば、トランジスタラジオを活用すべきではないか。現に高松放送局で十一日、十二日、これのラジオのローカルでどういうふうに災害情報を流したか伺ったのですが、十二日からは大体毎時十分ないし十二、三分入れておりました。ですが、あの小豆島で災害の起こった十一日は、残念ながらニュースを延長した程度に終わっているわけです。ですから、これはひとつ積極的にラジオの電波は、そういう災害、ローカルですね、電波は活用するという道を開いてもらいたいことが一つ。  もう一つは、そのときに放送局の方で要望として、私どもはニュースを流す、情報を流す用意はありましたと、ところが、県の災害対策本部へ何かありませんかと情報提供を要望しても、向こうは被害状況を集めるのにてんやわんやで、われわれの方に情報提供はありません、こういう大変な状況の中が想定できるわけです。ですから、災害対策本部を県に設置した場合は、その長は、災害に関する情報を定期的に定時的に継続的に流すという義務化をすると、それを電波が受けると、こういうふうなことをお考えいただき、また指導していただけないだろうか、こういうことですが、いかがでしょう。
  231. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) ただいまの御意見ごもっともだと思います。私の方にも、当時の連絡不十分のためにいろいろ苦労したというお話も聞いております。それですから、できるだけの範囲内で、たとえばテレビも利用できればいいと思うんですが、テレビ、ラジオ等を通しまして連絡をスムーズにできるような措置を講ずるように検討をいたしまして、今後の災害に対処したいと思います。
  232. 二宮文造

    二宮文造君 ぜひ御検討願いたいと思います。  それから、これは二重のあれがあるのです。というのは、わが家にいると危険ですから避難場所へ行った。そうしてテレビをつけた。そうすると、野球の放送なんです。あるいはジャズ、そういう何というのですか、その避難所の気持ちを逆なでするようなものがブラウン管に出てくるわけですね。ですから、せめてその被災地に向けては、被災地の分は、だからテレビはそういう意味では無理かもわかりませんけれども、ローカルのラジオの電波はそれに全面的に活用してもよろしいんじゃないか、またそうすべきではないかという気持ちを持ったわけです。鋭意御検討願いたいと思います。  さて、最後に残りました水資源公団、早明浦ダム、これの異常放流について。もう私の時間が七、八分程度しか、あと矢原君が問題二、三持っていますので、三時五十八分までに終わらなければなりません。ですから、それを配慮しながら早明浦ダムの問題をひとつ御答弁願いたい。  まず、概括を御報告願います。
  233. 大橋文雄

    参考人(大橋文雄君) お答え申し上げます。  早明浦ダムの異常放流についてでございますが、この地域におきます今回の台風十七号によります降雨は、六日間に年間降水量の二分の一程度に相当する雨量を記録するという異常な豪雨でありました。そのため早明浦ダムにおきましては、洪水が未曽有の長時間にわたって継続するというきわめて特異な事態となりまして、最大流入量は毎秒約四千七百立方メートルに達しました。これに対しましてダム管理上、最大毎秒約三千五百立方メートルを放流するというやむなきに至ったのであります。しかしながら、最大流入量に対しまして、毎秒約千二百立方メートルの洪水調節も効果を上げたものでございます。  なお、つけ加えまして申し上げますれば、今回の出水は九月の八日から十三日までの六日間に四つの波、四波の洪水が相次いで起こるというきわめて異常な洪水でありました。
  234. 二宮文造

    二宮文造君 じゃ、時間がありませんから、私問題を整理して、一括して御答弁願いたい。  まず、早明浦ダムを建設するのについて地元と了解をしたのは、最大限考えてみても毎秒二千トンでございます。毎秒二千トン。それが今回は三千五百トン、それか六時間放流か続いた。よろしいか。そのために、いま写真をあれしましたけれども、下流に大変な災害を起こした。これが一点。いわゆる洪水調節、あるいは洪水時の放流に技術的にもう一遍再検討をする必要があるんじゃないか。ダムの管理者は水をためる、水が血の一滴ほど大事なことはわかります。しかし、今回のような異常気象の場合は、とにかく長時間にわたって放流をして、なるべく少なくずつ長時間に放流をして、いわゆる水がめはあけておくというのが対策ではないだろうか。それがやっぱりこの程度は残したい、この程度は残したいということが、四回波が起こって、その四回の波を処理し切ることができなくて、六時間にわたって約束の倍以上の、倍に近い放流をしたというのがその被害を生んだ一点。これは水資源の約束違反だと住民は怒っています。だから、電気で死ぬよりろうそくで生きたい、こう言っています。これは大変な言葉ですよ。電気で死ぬよりろうそくで生きたい。これほどまでに住民の気持ちを追い込んじゃいけません。  それからもう一つ、大又地区というんですか、何ですか、ダムのすぐ下に八戸の家があります。これは本来地元の人は立ち退きをしたい、建設のときに。買収してもらいたい。ところが、補償が難航しまして水資源公団がけ飛ばしてついに残った。住民の意思、もうほかへ移りたいという住民の意思をけ飛ばして今回の災害に直面したという、これは責任が水資源にあると思います。これをどうするか。  それから護岸工事、いわゆる向かい側の土佐町の早明浦ダムのずっと流れた川の護岸工事が飛び飛びなんです。これ、なぜすっきりやらないのだ。ああいうふうに飛び飛びにしているから今回のような大災害を招いて住民に迷惑をかけたのだ。それから単に下流地域だけではない。上流の大川村においても地盤の変動を起こして、ここでも住宅が倒れたりあるいは大きな亀裂が生じた。これもダムによる災害は下流だけではないということをまざまざと見せている。こういうふうな問題が出てきましたから、これらについてどう処置をされるのか。  それから私はやはり大臣にも御検討願いたいのは、高知市のあの災害も結局あの鏡川の上流に鏡ダムがありまして、これは県営ダムです。多目的ダム。で、知事さんは、われわれは何度もとにかく水がめを空にして待ったのだけれども、ついに三度目の分はしょい切れなかったのでこういうことになりましたと。で、空にしたということを言っていますが、水面のあれをずっと統計とっていますから、それをずっと見ますと、もっと早くにもっと水位を下げておけばこういう問題はなかったんじゃないかという気がします。ですから、こういうことをこのままにほうっておきますと、もうダムの建設というのはできません。先年も岡山県の旭川ダムの問題がありました。ですから、洪水時におけるダムの洪水調節、いわゆる放流のやり方というものは水を措しむのではなくて災害を措しむと、被災者の立場を考えるということで抜本的にこの計画は変えていただきたい、これを私要望したい。この点、大臣に最後にまとめていただきたいと思いますが、まず水資源、この損害関係どうするか。
  235. 大橋文雄

    参考人(大橋文雄君) お答え申し上げます。  今回の異常出水にかんがみまして、まず第一番目に、先生の御指摘の技術的問題と申しますか、ダム操作ルールの体系についてでございますが、それはひとつ建設省ともよく相談いたしまして、前向きにこの方向で検討してまいります。
  236. 二宮文造

    二宮文造君 前向きなんていうことじゃない。反省を込めて検討しなきゃいけません。
  237. 大橋文雄

    参考人(大橋文雄君) 第二点の、ダム直下の吉田橋上流の本山町の大又地区及び土佐町中島地区の家屋移転でございますが、これも関係機関と協議して対策を講じてまいる所存でございます。  それから護岸につきましても、同様に建設省とよく話し合いまして、対策を考えていただくように努力いたす所存でございます。  なお、上流の大川村及び土佐町においてでございますが、ただいま先生が御指摘のように地すべりが発生しております。これらにつきましては公団はすでに高知県と協力して調査を実施中でございまして、その対策工事の施行等につきましては、先ほど申し上げました関係機関と十分協議中でございます。  以上でございます。
  238. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) いつでも大洪水が起きるときにはこの問題が必ず出てまいります。水はためておきたい、たまり過ぎれば一度に出すということで予期せざる災害が起きてくるというのが過去にも何回か経験したことでございます。今度のように場所によっては一年分近くもわずかの間に降ったというような大降雨量でございますから、いろいろ手違いもあったことと思いますが、できるだけこれは災害があってはいけないのでありますから、そういう点で私素人ですからよくわからないのですけれども、降雨量とそのダムの維持できる水位というのですか、それとの関連性があり、どれくらいの時間でどれくらい降るかということの問題点等もこれあり、気象庁との連絡を非常に密にしてこの始末をしなければならないと思いますから、もう少し真剣にこれは扱いさせるようにいたしたいと思います。
  239. 矢原秀男

    矢原秀男君 私、明日の災害特別委員会で主体的ないろいろの質疑をしたいと思いますが、先ほども同僚の小谷議員から一宮災害復旧についてのいろんな事項がございまして、私も災害が起きまして二時間後に現地に参りまして、対岸に渡りながら町役場の町長にお話をしますと、救助に向かった二百人以上の消防員たちも消息が不明であると、町役場としては情勢をつかんでおりませんということで、私、現地に向かって、無事逃れておるというのを自分の目で確かめて……。  ですから、きょうは私質問申し上げますので、あすのまた災害委員会において答弁等もお願いしたいと思いますが、きょう申し上げる一点は、一宮の山津波は基岩の崩壊である。こういうふうに防災工学の権威でございます田中茂さんという神戸大学の工学部の教授が、神戸新聞の記者が撮影した崩壊時の連続写真を見て、断層にたまっている水の圧力、山を形づくる岩盤そのものを一気に突き崩している、こういうことで基岩崩壊と分析をいたしております。  そこで、大きな問題になりますのは福地地区というわけでございますが、流紋岩とその凝灰層、また安山岩とその凝灰層、こういう四種類の地質がございますけれども、いま先ほどもお話がございましたように抜け山である。こういうことで百万トンのいわゆる山津波になったわけでございますが、行政関係の長に、山を踏査した人が尾根に亀裂が入っている、大変であるというのが事前に言われているわけです。ですから、人災であるのか天災であるのかという前に、私は謙虚に、小谷委員等のお話もございましたが、県や国としても、あそこに本当に建設省も農林省も指定地域としてのそういうものが全然手が打ってない。しかもその踏査した人たちが行政の長に対して、すでに早くから亀裂がございます、抜け山である——そういう土質の中で何ら手が打たれてないということは私は人災ではないか、早く言えば政治災である。雨量がたとえ七百ミリ、千ミリ近く降っても、私はそういうふうな見解を持っているわけですが、この抜け山について、一つは現地の防災工事について林野庁としては具体的に何点ぐらいの対策を……。あそこには百万トンの土砂が流れたと言っておりますけれども、まだ二十万近くは残っておりますし、尾根が剣が峰のようになっておりますから、それに対する防災工事はどうやっているのか。  それから第二点目は、こういう土質をずっと調べてまいりますと、一番恐ろしいのは風化花崗岩という亀裂の多い、そういう岩盤の地質が六甲山系にあるわけなんです。六甲山系といえば皆さん方承知のように、神戸市の百五十万になんなんとする山手に住宅街がざっと広がっているわけです。先般はゴルフ場の大被害が起きましたけれども、六甲山系の中で住宅地が建てられておりますけれども、それは土の上に建てられておるのでは一なしに鉄骨を支えてその上に家が立っている。しかも行政関係は徹底した指導がされてない。私は一宮のこの抜け山の百万トンの土砂崩れ、山津波、これを見て、予防措置として国や県が六甲山系の総点検をやらなくちゃいけない。そうして神戸市の人命というものをどういうふうに守るのかということについて明日もう一回伺いますけれども、御答弁を願いたいと思います。  それからもう一つは、こういう欠陥断層の存在は、この田中教授も空中写真、二番は地形図、三番目はボーリング、四番には放射線の測定、そういう早急の調査整備を急げば未然的に防げるのではないかというので、防災地図をつくらなくてはいけないと言っております。そういうふうないま三点、四点の問題点を申し上げましたが、これは明日突っ込んでお伺いしたいと思いますので、きょう検討していただいて責任のある——検討するとか善処しますではなしに、具体的にいつどうなると、予算はどういう措置をやると、こういうことを明確に答えていただきたいと思います。  もう一点は、文部省から来ていただいておりますので申し述べますが、これも明日で結構でございます。私たちは県知事に十二日の午前十時に一宮災害復旧に関しての申し入れを公明党はやりました。そのときに遺体並びに行方不明の迅速な発見、そうして死亡者遺族に対して十分な補償措置被災に対する仮設の住宅、食糧、飲料水及び衣料等生活必需品についての緊急救済、そうして抜け山の防災工事に全力を挙げること、河川流入の土砂の撤去に全力を挙げること、それから下三方小学校及び下三方幼稚園の復旧措置、それから同小学校生徒、幼稚園児の勉学に支障のないよう応急の措置を講ずること、同町に対する激甚災害地域指定を適用すること、建設省初め国の責任機関に対して必要な救助を要請すること。もう一つは、救助のときに民間の人たち、消防団の方々が五十台の車をもって、約百台とも言われますが、学校の広場に、運動場に置いたわけです。ところが、それも三十メーターぐらいの、厚みの土砂崩れで皆やられているわけです。こういう救済措置をどうするかということでございますが、文部省にお伺いしたいことは、ここでは四十軒の世帯がやられたわけでございますが、下三方幼稚園に通っていらっしゃる四歳児、五歳児の方が男女合わして三十九名、下三方小学校の一年生から六年まで男子七十一、女子九十八、合計百六十九の小学校の生徒、中学生を入れると少し多くなるわけでございますが、災害救助法の中で、救助の種類で学用品の給与という中で、対象が住家の全壊、流失、半壊、こういうふうなことで修学上支障のある小学校児童及び中学生徒、これが費用の限度額、こういうことで文房具及び通学用品、こういうふうなことで小学校児童一人当たり、これは四十七年は千二百四十円ですね、中学生が一人当たり千三百三十円、これは改正になりましたですか、これだけちょっといまお伺いします。——じゃ委員長、時間ございませんのであす答弁いただきます。  いずれにいたしましても、家がすべてやられてお金や衣類やすべてが三十メーター下に埋まっているわけです。そういうことを考えますと、この救助のあれですね、これらの条項についてもいわゆる対象、費用の限度額というものが、現今の物価高の中において有名無実のものになっているわけです。歯みがき一つすらないんですから、そういうふうなことで、こういう規則等についても全般にわたって質疑を交わしたいと思いますが、非常に学校の生徒さんのいわゆる将来、近い将来のことだけを考えましても、持ち出しを何もしていないんですから、有名無実なんです、これは。確かにこれは四十八年の災害に私たちが全国を回りまして、一部は非常にいま長官がおっしゃいますように改正しようと、こういうことで一部は改正されました。しかし、こういう一つの具体点だけを見ましても非常に残念である、こういうことできょうは問題提起をいたしますが、明日重ねて質疑を交わしていきたいと思います。どうかこれに対する答弁も用意をしていただきたいと思います。
  240. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 答弁、要らないんですか。
  241. 矢原秀男

    矢原秀男君 もう時間ないでしょう……。
  242. 春日正一

    春日正一君 今度の十七号台風関係災害というのは非常に広範にわたっておりますし、特に建設省の治水関係その他の行政についてあらゆる角度から問題を提起しているというように思います。その問題については、私はこの次の機会に徹底的に掘り下げて質問をしたいというように思いますんで、きょうはもう一つの一級河川ですね、つまり長良川が、一級河川が破れたと。まさに危なかったと言われる鶴見川の問題について、しかもこれはできるだけ具体的な問題でお聞きしたいと思います。  御承知のように、今回の十七号台風で、上流、中流、下流でそれぞれ鶴見川は被害を受けておるわけです。建設省からもらった地図によりますと、こういうことになっているんですね。(地図を示す)この一番下流の河口に近いところで水が出ていますし、それからこういうところは浸水していまして、もっと上の方のここのところで大きく堤防を越えて被害が出ている。これちょうど新横浜駅の前ですね、あの辺まで水が出ている。それからこっちは内水で相当やられているわけです。さらに支流の早淵川の上流の方ですね、ここもやられてますし、まあそのほか恩田川、その他上流の方、横浜市外と言われておる方もやられて、そういう意味ではかなり被害を受けておるんです。雨としてはいつもと比べてあんまり大きな被害ではなかったわけですけれども、そういうふうな被害が起きております。そこで、話の最初にはっきりさしていただきたいんですけれども、鶴見川というのは流域がほとんど都市化されておって、一度破れたら非常に大きな財産的な被害があるというふうに言われておる特殊な川になっておるわけですけれども、これの治水の計画目標そうしてこの予算というようなものについて逐一知らせてほしいと思うんです。  そこで、最初にお聞きしたいんですけれども、四十一年に、あの災害の後、毎秒九百トンという計画高水量をお決めになって、それから四十九年に改めて二千三百トン、鶴見川本川の分だけでいえば千八百トンという計画高水量をお決めになったんですけれども、これが現在どれだけ鶴見川本川で通るようになっておるのか。それからまた千八百トンというものが通れるようになるのはいつのことか、そこのところから説明してほしいんですよ。
  243. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) 現在、鶴見川の流下能力というものは五百トンでございます。それで、先生いまおっしゃいました千八百トン通る時期でございます。二千三百トンといういわゆる最近改定いたしました計画でございまして、そのうち放水路あるいは遊水地で五百トンカットして河道を千八百トンということでございまして、このめどはいまのところちょっとついてございません。と申しますのは、現在の私たちの五カ年計画、あるいは十カ年計画でございますけれども、いわゆる鶴見川のような大河川でございますけれども、そういうものの計画、当面の計画対象といたしまして、いわゆる戦後最大洪水に対処するということでやってございまして、こういう最終的な計画目標に対しては、いまのところまだ至っておりません。
  244. 春日正一

    春日正一君 そこで、そうしますと、いまやられておる五カ年計画ですね。これはあれですか、何トンを目標にしてやっておいでになるのですか。
  245. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) 現在行っております五カ年でございますけれども、これもすでに本年度で終わるわけでございます。それで、むしろ第五次五カ年計画における、来年度以降の五カ年におきます目標としましては毎秒九百五十トン、第五次五カ年におきましては、一秒間に九百五十立方メートルを対象におおむね概成したいというふうに考えてございます。
  246. 春日正一

    春日正一君 そこで、予算の関係ですけれども、今度の第四次の五カ年計画では、四十七年度が十五億八千六百万、それからずっと始めまして五十一年度で十八億二千万、計八十一億九百万ということになっているのですね。これは五カ年計画計画自体に出ている八十億いうのとほぼ重なると思うのですけれども、しかし、この数字でいきますと、この九百五十トンの必要投資額というのは六百七十億というふうに聞いてきたんです。しかもそれに橋をかけるときの、かけかえのときの仮橋とか休業補償とかいろいろそういったものが入っていないから、少なくとも一千億は要るだろうというのが現場の判断ですね。そうしますと、いま挙げました五カ年八十一億というような計算でいきますと、四十年かかるということになるわけですわ。このテンポをどのくらいお縮めになる計画ですか、今度の計画で。あと何年で九百五十トンを達成なさるか。
  247. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) 鶴見川につきましては、非常に重要な川でございまして、建設省におきましても非常に重視をしてまいったということで、五カ年計画の達成率もいわゆる全国的に見ますと九二%でございますが、鶴見川は一〇〇%超えておるということでございます。しかしながら、今回の洪水にかんがみまして飛躍的に伸ばさんといかぬということを痛感しておる次第でございます。それで、河道改修九百五十トンをやっていく上におきましては、大体五百億ほど要るんではなかろうかというふうに推定しておりますけれども、これをできれば五カ年以内に、今後五カ年で一応概成ですね、九百五十を概成するように持っていきたいというふうに考えております。
  248. 春日正一

    春日正一君 そうすると、今度の五カ年では五百億ぐらいの予算をつけるということになるわけですか。
  249. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) 現在はまずその程度は必要ではなかろうかというふうに考えてございます。しかしながら、全般の関連もありますけれども、はっきりと申し上げられませんけれども、私たちとしては、ぜひせめてそこまで持っていきたいというふうに考えます。
  250. 春日正一

    春日正一君 これは予算の問題ですから、まあ確実につけますとは言えぬでしょうけれども大臣どうですか、この問題ですね。つまり、いままでのテンポでいけば九百五十トンという、過去戦後最大というと千四百五十トンですね、出た水が。それよりも少ない九百五十トンにするのに、いま局長の話では五百億と言う、現場では六百七十億、まあその他入れると千億はかかるだろうと言う。これを五ヵ年でやってくれますか、大臣
  251. 中馬辰猪

    国務大臣中馬辰猪君) 鶴見川は典型的な都市河川でございまして、特に中流以上はまあ乱開発といいますか開発が非常に盛んな地区であるし、長さも短い川であるというので非常に心配して、今回の台風におきましても大変はらはらしどうしであったということも聞いておるわけですが、そこで、予算につきましては極力努力をしますが、いまここで全国あちこち総点検してやれということもあるし、私も約束しているわけですから、ここだけで幾らつけるということはちょっと言明はできませんが、極力ひとつできるところら準備をさしてもらいたい、こういうふうに考えております。
  252. 春日正一

    春日正一君 こういうことなんですね。私は鶴見川の問題は何回も質問しておりますけれども、四十九年に私この問題を質問しましてですね、四十九年の三月に上流の開発ですね、港北ニュータウンその他の、そういう点を見込んで計画高水量をですか、最大流量を二千三百トンということに改定なさったんですね。建設大臣、それにはんこを押したんですわ、それだけのものが出るということで。そしてその同じ年に港北ニュータウンを建設着手してよろしいと、八月二十七日だったですか、そういう許可を出して、現に港北ニュータウンの方はどんどん進んでいるのですね。それからそのほかに、さらにあそこは東急の田園都市の開発で、全部が開発されると四十数万、五十万近い人口が張りつくようなそういう計画が進んでおるわけですわ。そこからも水が出ると。だから、二千三百という格上けをやったわけですね。ところが、そのニュータウンの方の建設計画はいつ完了するかというと、今度行って聞いてみましても、最初は五十五年というめどだったけれども、現状では六十年ないし六十二年には完了するだろうと言う。六十年あるいは六十二年には最大限は完了するのですわ。それを受ける方のめどがないということだったら一体どういうことになるか、だれの責任になるのか、そこのところをいま沿線の住民は非常に心配しておるわけですね。つまり、災害源はどんどん上流でつくられていっている。そして雨が降ると上流で破れてはんらんしている。そして今度のように余り大きな雨でなくても、さっきお見せした地図のように溢水するというようなことが起こっておる。だから、そういう意味で今度大臣もあるいは総理もですね、治水計画、いままでの五カ年とかいうような概念にとらわれずに見直せということを言っておいでになると思うのですけれども、そこのところの食い違いを合わせなければですね、今後長期にわたってこういう災害が起こってくるということは、これは論理上も避けられないことになるわけですわ。だから、そこのところをどうしてくれるのかと住民は言っているわけですわ。だから、それにどうおこたえになるか、そこを聞かしてほしい。
  253. 中馬辰猪

    国務大臣中馬辰猪君) とっさの私の判断でございますけれども、十八億円、まあついたんだな。だから、これ倍、もし八兆円の治水計画が策定ができますと三十六億円、大体四十億円と。昭和六十二年度に完成するとすれば四百億円ぐらいですから、十年間ですから、大体。そうすると、理想的なことは別としても大筋としてはまあ可能であるまいかと、こういう気がしますわね。これは経済成長、それから予算の拡大のテンポ、その他との関係がありますけれども、四、五百億つけば、いまから十年間にかなり進捗しやせぬだろうかと、こう私はいま話を聞きながら判定したわけですけれども、お許しください。
  254. 春日正一

    春日正一君 この議論は実際金が出る段階になってまたやりますから、そういう問題な人だということは頭に入れておいていただきたいというふうに思います。  そこで、この点はついでに言っておきますと、そういう問題なものだからもう何回も市議会とか区議会とかそういうところから意見書が出ておりますし、一昨日、五日の日にも神奈川県議会、超党派で治水対策の促進と、特に鶴見川については、という形で意見書を議決して建設省の方に出していると思うのですよ。そういうふうな実情になっている。そういう切迫した問題だという点をひとつ頭においていただきたいというふうに思います。  そこで、そうすると九百五十トンといういまのものでも、いまの大臣の言われた四百億ということで約半分と、十年のずれがまあ出てくるわけですね。そうすると、戦後最大と言われる千四百五十トン、狩野川台風の場合、あれが受けられる——一度それが来たことがあるのですからね。受けられるというふうにするにはどのくらい先までかかるか、その辺の見通しをちょっと聞かしておいてほしいんですが。
  255. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) まず第一点としましては、戦後最大流量の千四百五十トンが来る時期でございます。現在におきましては流域の状況から見てみますと、戦後最大洪水が来ても九百ないし千トンじゃなかろうかというふうな目安を持ってございます。それで、大体千四百五十立方メートルの洪水が来る時期はやはり十年ぐらいかかるんじゃなかろうかというふうに見ております。したがいまして、十年後にはやはり鶴見川もここまでは持っていきたいというふうに、ぜひ持っていきたいというふうに考えます。
  256. 春日正一

    春日正一君 ちょっとそれはおかしい。九百五十トンで十年かかって四百億だから、本当にできるのは二十年ぐらいかかるだろうと、一千億ぐらいと現場は言っているのですから。そういうのを今度は千四百五十トンを十年でと言っているんじゃ、何かそこらがはっきりしないものですから地元では非常に困るわけですわ。いまやっている五カ年計画がいわゆる九百トンをやるということでやっておるのか、千八百トンをやるというのでやっておるのか、そこらがはっきりしないものですから、いや何年かかりますと言っても、その何年先が九百トンでできるのか、千八百でできるのかというようなこともわからぬものですから、そこを私ははっきり確かめておいて、それから先の質問にいきたいと思っているのですわ。
  257. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) まず、河道の九百五十トンでございますけれども、これはできれば五カ年内、今後の五カ年ぐらいで一応概成のめどに持っていけないだろうかというふうに考えてございます。
  258. 春日正一

    春日正一君 それじゃそういうことにして、あとは予算をつけるように私どもも絶えず協力もしていきたいし、鞭撻もしていきたいと思いますけれども、その次に、そういうふうなことがありますけれども、先ほど局長も言われたように、鶴見川の流量、現在末吉橋のあの基準点では七百トンというふうに言われております。実測して六百九十は確かに通っていると言っていますから、これはそういうことだと思いますけれども、下流の潮鶴橋のところにいきますと五百トン以下になっている。だから、鶴見川の全体の流れを見れば五百トンということになってしまう、そういうことがあるのです。なぜ五百トンになっているか、そこの原因をお考えになったことありますか。
  259. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) 下流のいわゆる潮鶴橋付近でごさいますけれども、ここは無堤地区——堤防ができてない地区でございます。それで、この無堤地区につきましては特に緊急を必要とする個所がら鋭意用地交渉を進めておる段階でございます。そうしまして逐次工事をやっておるというのが現況でございます。
  260. 春日正一

    春日正一君 その無堤地区ですね。私も行って見て驚いたんですけれども、さっき大臣にお見せしたあの地図の一番下のところですわ、この三角のここですね。大臣、ちょっとこれ見といてください。ここが無堤地区と言われているところで、鶴見川の一番下流のもう海へ出るところですよ。ここで堤防がない。ないというのは全然ないんじゃなくて、あるところはこう堤防がずっとできて芝がもう生えておって、これから間がぼこっとくぼんで、約一メートル半ぐらいですか、くぼんでしまっておって、また少し堤防があってまたくぼんでおるというような形で堤防が切れている。一級河川の、しかも一番下流の人口の密集した、あの辺は町工場と住宅の密集したところですわ。そういうところが堤防がない状態になっておる。それで今度はそこから出たんですね。つまり堤防の切れた間、これはちょうど出てくださいというふうにできているわけですからそこから出た。それで、自衛隊が来て土のうを積んで何とか防いだということですけれども、相当被害を受けているということなんですけれども、ここのところの状況を言いますと、ここに潮鶴橋という橋がありまして、これの——こうなっている橋があって、この橋の上と下に材木店が二軒あるわけですよ、相当大きな材木店です。そうしてその材木店が川に原木を浮かべまして、相当長尺のもの、そしてそこから自分の工場へ引き上げては製材しておる。しかもこのいかだが、私行ってみましたら、川幅の約三分の一近くを占めているんですね。だから、水が出てくるとこれが障害になって五百しか通れなくなっちゃう、そういうことなんですよ。それが一つ。それから、自分のところでそうやって仕事をしているもんだから、堤防のための土地を出さないということでそういう堤防ができないというようなことになっておる。こっちの方は二軒ですわ。ほかの人たちはもうすでに堤防の土地を提供して別なところへ移ったんですけれども、そこの問題が片がつかぬために、地所を提供した人たちがそこから入ってくる水でもって被害を受けているというような状態になっているわけです。  この間の経過はずっと建設省の方でも知っておられると思うんですけれども昭和二十九年から三十五年までは水面の占用の許可、これを各年ごとに更新してやってきたけれども、三十五年四月からはそこへいかだを置いてやるということを許可しなくなった。それでも続けておるわけですね、今日まで。そして三十五年以降は口頭でもっていかだの撤去を要求し、さらに四十三年、五年、六年、八年、九年、五十一年と工事事務所長名その他で文書でもっていかだの撤去を警告しておる。いまだに撤去されてない、そのために水害が起こっておるということになると、これは監督官庁としての建設省の責任じゃないですか。三十五年にもういけないよと、許可しないよと言っている。それ以後は不法占拠ですよ。公有水面の不法占拠ですわ。それを、三十五年からですから、もう四十五年、五十一年と十六年にわたって放置してきているわけですね。ただ、口で言いましたと、文書で送りましたと、しかし、撤去してくれないから仕方がありませんと。それでいいんだろうか。その点についてひとつどう処理するか。
  261. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) いま先生おっしゃいましたのは鶴見製材だと思いますけれども、これにつきましては鋭意用地交渉を進めておるわけでございます。しかしながら、代替地の問題がいろいろむずかしゅうございましていままで延引しておったというのが実態でございます。しかしながら、今回のこういう水害にかんがみまして、県当局あるいは市当局の協力を得まして、もう一刻も早くこの問題を解決したいと。いままでもこういうふうに非常に問題がむずかしく残っておったのは、その中にはいろいろ問題があるわけでございます。しかしながら、そういうことも越えまして、県、町の協力を得てもう一刻も早く解決したいと思っております。いかだの問題につきましてもいま先生おっしゃるとおりでございまして、早くこの用地を解決することによって一括してそういうものも抑えていきたいというふうに考えております。
  262. 春日正一

    春日正一君 その問題ではもういままでも、さっき私言いましたようにもう二十年がかりと地元は言っております。そして建設省の方でこういうふうに処置を始めてからもすでに十六年もたっておる。その間に災害は何回も起こっているわけです。四十一年災のときなんか、私行ってみたけれども、潮田は全部水浸しになったですからね。そういうひどい目に遭っておる。それから十年たってまたあそこで水が出たというようなことで、ちっともこの問題が解決しないために住民が何回も被害を受けなきゃならぬようになっておる。しかも小さな商売やっている人とか、そういう人たちは進んで堤防用地を提供して、それで早く治水をやってくれという協力をしておるのに、この大きな、相当の大きな材木屋ですよ、これ。これが自分の商売の都合だと言って協力しないために、そういう人たちに何回も被害を与えておるということで、地元の人たちはもうがまんできぬというところへきているんですわ。しかもこの以前にそれじゃ移転するかという場合に、横浜市が、私以前ここで問題にした金沢の埋め立ての際に、あっちへ木材センターをつくると。その機会に越したらどうだというときにも、いやだと言って越さなんだ。そしていまは移転先がないからというようなことでがんばっているというのは余り勝手過ぎると思う。だから、そういう意味では建設省ももう少し強い態度で臨んでもいいんじゃないか、住民のために、もう時間もかかっておるし。だから、少なくとも今年度内ぐらいには私は片はつけるというようにしてもらいたいと思うんですけれども、どうですか、やってもらえませんか。
  263. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) この問題は昔からの問題でございまして、いわゆる本人の人権の問題等もいろいろあって延引してきたわけでございますが、しかしながら、こういう大水害にかんがみまして今年度内に何とかしたいというふうに最善の努力はいたしたいと思います。
  264. 春日正一

    春日正一君 当然これは横浜市なり神奈川県なりの協力というものも要るでしょうし、私どももできるだけ地元としてそういう協力もしますから、ぜひ今年度内ぐらいにはその問題を解決して、鶴見川が文字どおりせめて七百トンは通りますというものにしてほしいと思いますよ。これ、よろしくお願いします。
  265. 中馬辰猪

    国務大臣中馬辰猪君) 私も、年度内にという局長のかたい決意ですから、ときどきひとつ督励して、その経過報告を聞いてまた御報告いたします。
  266. 春日正一

    春日正一君 ぜひそういうふうにお願いします。  それから次の問題ですけれども、もう一つの問題は、この地図でもありますけれども、ここの地域ですね。この地域、ここのところが計画高水位を超えて、それで対岸の、こっちの方は新羽と言いますけれども、こっちは太尾その他、太尾町とか、そういうふうなところですけれども、この堤防を越えてこの辺に水が出たのですね。この辺に水が出た。それで、当時の数字を聞いてみますと、亀の子橋というところで計画高水位が七・三七二メートル、今回の最高水位が八・一〇メートルというようなことで、約七十三センチ計画高水位を超えているわけですね。そういうことで、余り大きな水でないのに越えて出ている。しかもこれからここはずっと、いまも人家が密集しておるし、さらにしていく地域です。新横浜駅の前に当たるところですからね。この対策をどうなさるか。その点みんなが心配しておるものですから聞かしておいてほしいのですが。
  267. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) 河川改修は、全川が一様な安全度といいますか、流下能力で改修していくというのが鉄則でございまして、この亀の子橋付近の堤防が低いという問題でございますけれども、これは全川が同じような状態でございまして、やはり逐次下流から順次改築して、できるだけ早く当地区に届きたいというふうに考えております。
  268. 春日正一

    春日正一君 そう、下流からやっていかないと大変なことになるので、そういうことになると思いますけれども、この辺はしかし応急の対策としてもあふれない程度のことは当然やっておいてもらわぬと困ると思うのですけれども、その点はどうなんですか。下流が全部できてくるまでほっておくということじゃないわけでしょう。
  269. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) 下流が全部できなければ上をやらないというのじゃなくて、下流の増強に見合って上の方もやる。先生おっしゃるところが、あふれているところが太尾とすれば、太尾地区ですか、とすれば、そういう特に低いところは堤防は上げたいというふうに考えております。
  270. 春日正一

    春日正一君 その点は応急の措置だけでもとっておいてもらわぬと、あそこは人口の非常に密集している地域ですし、やっておいてほしいと思います。  それからもう一つの問題は、国の施行する地域の境、それからまた上ですね、支流、早淵川とか大熊川、恩田川というようなところが今度かなりはんらんしまして、そしてたくさんの浸水被害を出しております。そういうところの改修を急がなきゃならないのですけれども、その点では国は、県のやっている部分もありますし、横浜市がやっている部分もありますけれども、こういうものに対する援助、指導というような点ではどういうふうにやっておいでになるのか、これからどうしていこうとなさるのか、そこらを聞かしてほしいのです。
  271. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) 建設省としましては、いわゆる補助河川でございますけれども、に対する指導としましては、一つ計画面における指導、もう一つは工事を実際にやっていく上におきます指導ということがございます。それで、下流——鶴見川全体の安全度といいますか、流下能力といいますか、そういうものに見合いまして、こういう中小河川といいますか、につきましてもその促進を図ってまいりたいというふうに考えております。
  272. 春日正一

    春日正一君 そこで、早淵川の勝田橋の上流ですね、ここで水が温水して百五十戸床上浸水を出したのですけれども、そこの状況を見ますと、これはもうあふれるようになっているのですね。その溢水したところの上の部分が一部改修されて、両方護岸されて川幅三十二メーターですわ。ところが、それが少ししかなくて、そのあとはもう手つかずで古い川のままで、古い川の幅は十六メーターぐらいでしょう、半分でしょう。だから、こう来てこうなっているのですね、しかも幾分曲がりぎみのところへ。だから、三十二メーターで水が来れば、こっちの十六メーターへみんなそろっていかずに、それを押し上げて流れるのは、これはわかり切っているのですね。そういう工事がされておる。  それから、その切れたまた上の方も古い川のまんまになって、その先の方もまた広がっていくというような形に、虫食い工事みたいなことがやられていますね。そのために溢水している。そしていま言ったように百五十四戸ですか、床上浸水というような被害を受けている。で、地元の人たちもそれを非常に怒っているわけです。そんなことをすれば漏るのはあたりまえじゃないか、水が越えるのは、ということで怒っている。だから、そういう問題はほっておくわけには私はいかぬと思うのですがね。どうしてもやはり改修したら一気にやらなければならない。私はそう思うのですけれども、ここでもそうですけれども、問題は現地で聞いてみますと、用地買収ができないから買収できたところからやったと。だから、できたところは広くなって、できないところは狭いもんですから、そういうことになる。買収できたところから先やっていくということになりますと、そういう災害を起こすような個所を限りもなくつくっていくようなそういう結果になるわけです。だから、結局河川の改修というのは、上流からも下流からもやらなければならぬけれども、とにかく早くやるし、手をつけたらそこのところは一度に全部やってしまいませんと、中途半端でもって、ことしはここだけやって来年はこっちというようなことを言っていますと、絶えず災害をふやしていくようなことになる。だから、そういう意味では、いまあそこでの問題はそういう用地の問題ですね。そういう問題を早急に解決するように——まあこれは横浜市のやっている仕事ですから、市当局としても努力はしておるようですけれども建設省としても指導もし、援助もするという形でこの問題を早く片をつけてほしいというように思いますけれども、その点はどうですか。
  273. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) いま先生がおっしゃいました地区につきましては、五軒家屋がありまして、いわゆる借家人と家主さんとの関係とかいろいろ複雑でございまして残っておったという実情でございます。それで、県の方にいろいろ聞いてみますと、報告によりますと、五軒のうち三軒ほど買収の見通しがつきまして、二軒がまだいろいろ問題がありますけれども、これは早急に解決したいということで私たちもそういう点指導してまいりたいというふうに考えております。
  274. 春日正一

    春日正一君 これはぜひそういうように強力に進めてほしいと思います。  それからもう一つ、これは関連しての問題ですけれども、鶴見川本川のさっき言いました水のこぼれたこの個所ですね。この個所のここのところに亀の子橋というのがあるわけです。ここへ私行ってみましたけれども、古い橋でして、五メーター間隔ぐらいに橋脚がずっとあるんです。だもんで、かなり長い橋で、しかも五メーター間隔ぐらいに橋脚が小さいやつが立っているものですから、行ってみると、流木なんかがひっかかっておったり、あるいはごみなんかがひっかかって、それが一つのせきのようになって、だから上と下とが一メーターも違うというような状況が出てきておるわけですね。だから、ああいうものはやはり至急改修して流れをよくするようにしなければ、あれをそのままにしておけばやっぱり一つ災害要因になる、こういうものについてぜひ早く処理をする。  あの川はどこの川か、管轄はどこですかね。委員長御存じないですか、あの亀の子橋は。横浜市の管轄ですか、県の……。
  275. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 市でしょうね。
  276. 春日正一

    春日正一君 市ですね。市の管轄だと思うんですが、しかし、河川は直轄河川ですから、だから建設省関係のあることですから、ぜひああいう問題を早く片をつけて、あの地域災害が繰り返されないように、さっきの堤防のかさ上げの問題ともあわせてぜひやってほしいと思うんですが、その点どうですか。
  277. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) 亀の子橋につきましては、河川としましてかけかえるという計画は持っております。しかし、そういうふうな亀の子橋に似たような橋がまだ下流に大分残っております。それで、下流の方からできるだけ早く直してもらいたいというふうに思っております。
  278. 春日正一

    春日正一君 その問題はぜひ早く処理をするというように進めてほしいと思います。  そこで、私いままでも持論のように言ってきたんですけれども、この鶴見川というのは御承知のように上流の方からどおっと最近都市化が進んできまして、町田だとか港北、緑区というような。それで、聞いてみますと、現在流域の六〇%が開発されておると。四十九年に私質問したときには、増岡河川局長は将来八〇%は開発されるだろうというように言っておりましたけれども、現在もう六〇%までいっておる。多摩川の場合ですと、開発が四分の一で四分の三は開発されていないというように聞かされましたけれども、異常な周辺の開発が進んでいる、しかも非常に早く進んでいるところですね。だから、そういう意味でも災害の要因が急速に大きくなっておる。そういうところだけれども、そういうふうに開発が急速に進むのと河川の整備というものとを比べてみると、災害源の方、開発の方はどんどん進みながら、河川の整備の方はなかなか追いついていかない、むしろ間が開いていくというような状況になっている。  そういうことで、これ、どうしてもここで問題になるのは、そういう開発とそれから治水対策、河川の整備とのバランスというものをやはり真剣に考えなきゃならぬのじゃないか。つまり、そういうふうに上流が急速に開発されるなら、それに応じて大量に治水費用を投下して河川をきちっと対応できるようにしていくか、それとも、もし治水の方が間に合わなければ開発の方を抑えると、おくらせるというような形でバランスをとるというようなことが必要じゃないのかということを私いつも考えているんですけれども、四十九年の質問のときにもその点を私質問したら、当時の亀岡建設大臣は、それはぜひ検討したいというふうに答弁しておられるんですけれども、その後どういう検討をしておられるのか、また、新しい大臣はそういう点についてどういうふうに考えておいでになるのか、その点を聞かしていただきたいと思うんです。
  279. 中馬辰猪

    国務大臣中馬辰猪君) 個々の問題で具体的な検討はいたしておりませんが、先ほどあと十年たてば四百億ぐらいになるじゃありませんかという話をしたときに、実はこの希望としては、港北の方の開発を少しでもおくらせてもらえればこっちは助かるなあという実は希望を込めながら申し上げたつもりでありまして、やはり具体的にいまの港北開発のスケジュールについては知りませんけれども、金利その他いろんなことがありましょう、また入りたいという人々のその希望もありますから、そこをどう調和させるかということで、もしおくれていいものならばおくらしてみたいものだと、こういう気持ちは持っておりますが、ただ、早く入居したいという人たちも中にたくさんおるわけですから、そことの調和がどうなるかということで、条件がなければやっぱりおくれた方がいいと、こう思っております。
  280. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 時間が来ておりますので……。
  281. 春日正一

    春日正一君 いま片づけます。あともう二つばかりあるんですけれどもね。  入りたいと言って、それは入りたいけれども——今までの例を私ども調べても、みんな越していって一番低地の安いところへずうっと張りついてしまって、もと遊水地であったようなところへ。それで水が出て、さあ水、どうしろというような形で問題が起こる。だから私は、都市計画として初めから、今後はですよ、少なくとも、ここはもう遊水地にするから家を建っちゃいかぬとか、川の両岸何メーターは将来拡幅の計画に備えて家を建てちゃいかぬというようなきちっとした計画が立てられるように法的にもやっぱり整備していかなけりゃ、いつでも建設の側が後追いをしていかなきゃならぬ、そのためにむだな費用をうんと使わなければならぬようなことになるということで、私はそういうことを言っておるわけで、これは真剣に考えてほしいと思います。  それからもう一つの問題は、そういう形で河川の整備をやると言いましても、やはり鶴見川のような場合、流域はほとんど家が張りついている。それをきちっと河川整備して急速に流せば、これは水の流れの落ちてくる速さというものは異常なものですわ。あそこの建設省の出先の事務所へ行って聞きましたけれども、今度の水では考える暇がなかったと言うんですね。今まで、前のときには上で降って、来るまでに半日ぐらいはゆとりがあって、どこへ出たらどうしようかって考えて打ち合わせしてから出ていけたと。今度はもう考える間もなしにぱっと飛び出したと。二時間で来ちゃうと言うんですね、あの末吉橋まで。そういうふうな状況になっている。そういうことを考えますと、河川の改修ももちろん徹底的にやらなきゃなりませんけれども、やはり上流なり中流で貯水池をつくって一時カットするというような手も打つ必要があるだろうし、横浜市なんかでは指導要綱をつくって、それで二十ヘクタールですか、十五ヘクタールか、大規模な造成に対してはそれに相応する貯水池をつくって、それで水をそこでセーブするというような指導も始めているようですけれども、そういうことを国としても全体として考えて、必ず貯水池を設けさせるというような方向にもし、同時に多目的なものとして、ふだんは運動場にしておくと、そして雨が降ったらそこに水がたまるというようにするとか、あるいは地下にして上にふたして、そこを運動場にするとか公園にするというような構想も都市づくりの問題として当然考えていいんじゃないか、そういう制度も。ちょっとここに遊水地補助というようなのもあるようですけれども、もっと充実してそれができるようにしたらどうかと、その点をお聞きして、私はこれで終わりたいと思います。
  282. 中馬辰猪

    国務大臣中馬辰猪君) 実は第五次の治水計画には入れてございます。おっしゃるように、かねては運動場みたいにしておいて、水が来たらもう池にするというようなことを考えまして、計画の中に入れてかなり重点にする予定でございます。
  283. 竹田四郎

    委員長竹田四郎君) 本件に対する質疑は本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時四十八分散会      —————・—————