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1976-10-22 第78回国会 参議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月二十二日(金曜日)    午前十時十二分開会     —————————————    委員異動  十月二十日     辞任         補欠選任      和田 静夫君     久保  亘君  十月二十一日     辞任         補欠選任      加藤  進君     渡辺  武君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鈴木  力君     理 事                 遠藤  要君                 世耕 政隆君                 望月 邦夫君                 大塚  喬君                 峯山 昭範君                 塚田 大願君     委 員                 青井 政美君                 岩上 妙子君                 河本嘉久蔵君                 永野 嚴雄君                 堀内 俊夫君                茜ケ久保重光君                 小山 一平君                 志苫  裕君                 黒柳  明君                 矢原 秀男君                 渡辺  武君                 下村  泰君    国務大臣        厚 生 大 臣  早川  崇君        建 設 大 臣  中馬 辰猪君    政府委員        厚生省公衆衛生        局長       佐分利輝彦君        厚生省医務局長  石丸 隆治君        厚生省薬務局長  上村  一君        厚生省保険局長  八木 哲夫君        建設省計画局長  大富  宏君        消防庁次長    田中 和夫君    事務局側        常任委員会専門        員        道正  友君    説明員        警察庁刑事局保        安部公害課長   浜田 栄次君        厚生省薬務局安        全課長      代田久米雄君        厚生省社会局更        生課長      金瀬 忠夫君        厚生省社会局生        活課長      末次  彬君        自治省財政局公        営企業第一課長  金子 憲五君        会計検査院事務        総局第三局長   小沼 敬八君    参考人        医療金融公庫総        裁        山本 正淑君        環境衛生金融公        庫理事長     坂元貞一郎君        日本住宅公団総        裁        南部 哲也君        日本住宅公団理        事        白川 英留君     —————————————   本日の会議に付した案件昭和四十八年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十八年度特別会計歳入歳出決算昭和四十八年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十八  年度政府関係機関決算書(第七十五回国会内閣  提出)(継続案件) ○昭和四十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第七十五回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和四十八年度国有財産無償貸付状況計算書  (第七十五回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 鈴木力

    委員長鈴木力君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十日、和田静夫君が委員辞任され、その補欠として久保亘君が、また、昨二十一日、加藤進君が委員辞任され、その補欠として渡辺武君がそれぞれ委員に選任されました。     —————————————
  3. 鈴木力

    委員長鈴木力君) 昭和四十八年度決算外二件を議題といたします。  本日は、厚生省と、それに関係する医療金融公庫及び環境衛生金融公庫決算について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鈴木力

    委員長鈴木力君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 鈴木力

    委員長鈴木力君) 質疑通告のない山本医療金融公庫総裁及び坂元環境衛生金融公庫理事長は退席して結構です。  それでは、質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 大塚喬

    大塚喬君 きょうは、救急医療体制の問題を中心にして医療行政全般について質問をいたしたいと存じますが、質問の初めに姫路日赤病院紛争に絡む問題について若干お尋ねをしておきたいと思います。  九月九日の日に、姫路日赤病院で二棟、百床が閉鎖になって現在に至っております。御承知のように、姫路市の日赤病院は、西播磨地区一帯医療のかなめ、西播磨地区医療センターとも言うべき、そういう性格を持つ病院でございます。ところが、この病院紛争に絡んで二病棟、約百床の患者、この二病棟閉鎖してその百床の患者を他の病棟に強制的に移す、こういう措置がなされて、現在姫路日赤病院閉鎖病棟、この二病棟に対する地元の住民の声は、速やかにひとつこの閉鎖中の病棟を解消してもらいたい、こういう要望が強いわけでございます。  初めに、この問題について現在までの経過をどういう事態になっておるのか、説明をいただきたいと思います。
  7. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) この姫路日赤病棟閉鎖状態でございますが、ただいま先生の御説明のとおりのような状況でございまして、われわれといたしましては、やはりその地区地域住民医療確保観点から非常に大きな関心を持っておるところでございます。  この姫路地区には、この姫路日赤病院と国立の姫路病院、これが二つの大きな病院でございまして、そういった意味から申しましても、この姫路日赤がこの地区医療に占める役割りは非常に大きなものでございまして、そういう点から、非常に重大な関心を持ってわれわれもその推移を見ておるところでございます。  この姫路日赤の今回の紛争につきましては、その原因にはいろいろ深い問題があろうかと思います。これはわれわれもいろいろ聞いてはおりますが、特に今回のこの紛争事件そのものの直接の原因といたしましては、本年四月ごろから夏期闘争として二十四項目の要求が出され、これは後でまた追加になっておりますが、その中で特に夏期一時金の支給をめぐりましていろいろ問題が起きたわけでございまして、そういった労使紛争に端を発しまして、夜勤、準夜勤時の一斉休暇闘争が行われたわけでございます。その結果、ただいま先生指摘のように九病棟のうち二病棟閉鎖され、その七病棟に従来の患者さんを収容している、かような状況になっておるところでございます。  われわれといたしましては、この労使紛争に直接介入することは避けておるところでございますが、希望といたしましては、労使の話し合いで早急にこの紛争解決することを期待しておるところでございます。特にわれわれといたしましては、この地区住民医療確保するということに全精力を傾けておるところでございまして、兵庫衛生部当局、あるいはその地区医師会等との連絡を密にしながらこの地区住民医療確保に最大の努力を注ぐとともに、できるだけ早急にこの事件解決するようその推移を見守っておるところでございます。
  8. 大塚喬

    大塚喬君 ただいまの答弁で、希望を持って見守っておるということですが、公的な医療機関、それが百床も閉鎖をされておる。地域住民要望が強いにもかかわらず、そういう事態がもう九月九日以来ですから約五十日近く、四十何日か続いておるわけであります。そういう願望だけ厚生省の方で持っておっても、現実動きがなければそういう問題の解決ということはなかなか容易でない問題であろうと思います。  私がお聞きしたいのは、これから先どういうことを厚生省の方で努力をされて、いつごろまでにどうしようか、まあ実際は、この閉鎖しておる病床を開いてほしい、こういうことの要望なんですが、厚生省として今後どういう努力を重ねられるお考えか、そこのところをお聞かせいただきたいと思います。
  9. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) 先ほど御答弁申し上げましたように、個々労使紛争そのものについては、非常にわれわれといたしましてもその取り扱いは慎重にならざるを得ないわけでございます。  なお、経過を申し上げますと、本年八月十一日、組合側から地労委夏期一時金あっせん申請が行われたわけでございまして、八月二十七日、まあいろいろ経過がございましたが、地労委あっせんを打ち切りまして、労使自主交渉を指示いたしておるところでございます。それで八月三十日以降現在まで六回にわたり労使団交が行われておるところでございまして、次回十月二十二日を予定しておるような状況でございます。われわれといたしましては、やはりその地区の全医療機関の勢力を挙げまして、その地区住民医療確保努力いたしておるところでございます。
  10. 大塚喬

    大塚喬君 地区の他の医療機関の全力を挙げてということですが、現実に百床があいて放置されておるままですね。厚生省としては何らこういう問題に対して打つ手あるいは努力する、そういう具体的なことを示していただいて、何か打開のための努力、こういうことは現実には何にもお考えになっておらないわけですか。具体的にどういうことをやって、ひとつどうしようと、これは現在のところそういう緊急な努力目標というか、そういうことを動きにして示していただかないと、どうも私も質問して何だかさっぱり要を得ない、そういうお答えにしか受け取れません。
  11. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) ただいま御説明申し上げましたように、この問題は現在地労委の方にあっせん申請が行われているところでございまして、われわれといたしましては、そこで早急にこの紛争解決することを望んでいる段階でございます。  なお、この問題につきまして県の衛生部の方ともいろいろ連絡をとっておるところでございまして、去る十月六日の県議会におきまして、本問題が兵庫県の県議会でも取り上げられたところでございまして、その際、県の衛生部長の方といたしましても、この入院患者の制限ということは非常に好ましくないと思うけれども、現段階においては入院患者医療確保するためには、やはりやむを得ない措置だというふうに考えておるという答弁をなされておるところでございまして、われわれといたしましても県当局を通じまして、できるだけ早くこの問題が片づくよう努力いたしたいと思っております。
  12. 大塚喬

    大塚喬君 打つ手がないというような、そういう感じが強いわけでありますが、厚生省としてひとつ最大限努力を重ねていただいて、こういう問題、不祥事態が解消できますように特段のお骨折りを願いたいと思います。機会がございましたら、これらの問題についてまた改めてひとつ、その後の厚生省のとったいろいろの経過等についてもお聞かせをいただきたいと思います。  さて、本論の救急医療体制の問題について質問をいたしたいと思います。  実は私、栃木でありますが、本年の二月二十三日の夜、宇都宮から約二十キロほど南、河内郡上三川町、ここで生後十三日の乳児かぜで熱を出し、電話で付近の診療所あるいは開業医五軒に往診をお願いしたわけでありますが、ことごとく断られて、二十四日の未明に死亡するという事件が起きました。いずれもその五軒とも医者がいない、こういうお答えだったようであります。  この問題について、まず厚生省から事件概要、それと医師法違反に該当するかどうか、この問題について報告をいただきたいと思います。
  13. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) 今回栃木河内郡で発生いたしました事件概要は、ただいま先生質問のような現状でございまして、なお、われわれの知っておるところをつけ加えさしていただきますと、本年二月二十三日午後七時半ごろでございますが、生後十三日の新生児が自宅で発熱をいたしまして、父親が午後八時から十一時ごろにかけまして、ただいま先生指摘のように五カ所の診療所電話往診を求めておるところでございまして、それぞれ理由が異なるようでございますが、一軒の医者におきましては、ちょうど医師宇都宮に出て行っていて不在であった。それからもう一軒の医者では、ちょうど往診をしていてそのとき不在であった。それから一人のお医者さんは、かぜは寝ているのが一番いいが、熱が高かったら連れておいでなさい、見ましょうという、こういう返事をしておるようでございます。それからもう一つは、やはり医師が出張中で留守、それからもう一つは、やはり小児科の専門医でないので、小児科を紹介したそうでございますが、しかし、なおかつそういう発熱があるならば、連れてくれば診察をいたしましょう、こういうそれぞれの返事をしたようでございますが、いずれにいたしましても往診そのものは断られておるところでございます。  その後、この赤ちゃんの父母やそれから祖母、おばあさんが看病に当たったようでございますが、ただいま御指摘のように、当該新生児は翌二十四日の午前二時窒息死をしている、かような状況になっておるところでございまして、なお、この間患者の方から消防の救急隊の方への出動要請はいっていないというふうに聞いておるところでございます。  これが事件概要でございます。  それで、そういったいろんな問題が医師法応招義務違反になるか否かという問題でございますが、やはりそれぞれの事件応招義務違反するか否かということは、それぞれのケースについて実情をよく調査しなければならないわけでございます。一応ここでただいま申し上げましたような理由でこの五軒のお医者さんが応待をしておるところでございまして、その範囲内においては、直ちにこれが医師法応招義務違反には該当しないというふうに考えておるところでございます。
  14. 大塚喬

    大塚喬君 この件に関連して警察庁お尋ねをいたしますが、この事件が報道された際に、栃木警察本部防犯課ではこれら診療所医師五軒の関係者から医師法違反がなかったかどうか調べる、こういう報道もなされておるわけでございますが、警察の方でこの問題についてどういう取り調べをし、どういう処置をとられたのか、この問題についてお伺いをいたしたと思います。
  15. 浜田栄次

    説明員浜田栄次君) 警察本件事案を認知いたしましたのは、本年の二月二十四日、南那須町の診療所の方から変死の届け出が所轄警察署になされましたので、警察本件事案について承知いたしたわけでございます。所轄警察署におきましては関係医療機関につきまして事実調査をいたしたわけでございますが、ただいま御指摘のございましたように、正当な理由があると認められ、かつ医師法応招義務違反には罰則がついていないわけでございますので、警察捜査には着手していなかったようでございます。
  16. 大塚喬

    大塚喬君 まあそれぞれ調べをいただいて、医師法第十九条違反の事実はない、こういう趣旨の答弁でありました。その答弁をお聞きして感じますことは、五軒も連続をして往診を断られた、拒絶された、そのために、かぜにかかっておった乳児が間もなく死亡するという痛ましい事故につながったわけであります。厚生省からの答弁では、それぞれ聞いた、こういうことですが、その程度の簡単な事情聴取ということで、本当のそのときの実情というものが調査把握できたのか、こういう問題が依然疑問として残るわけであります。医師法十九条には、「診療に従事する医師は、診療治療の求があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」という応招義務のあることは、私も承知をいたしておるわけであります。栃木県では、全く大きな社会問題、安心して夜は医者にもかかれない、こういうあちらこちらでのささやき、憤満というものが聞かれるわけでございますが、その程度簡単な事情聴取と申しますか、そういうことでこの問題はけりがついた、こういうことで一体国民大衆は納得する問題かどうか、私は疑問であります。警察庁の方の答弁では、医師法十九条違反罰則がないと、これはまあ確かにそのとおりでございましょう。  私が申し上げたいことは、厚生省の方には、そのような簡単な調査でこの問題をけりをつけてもらいたくはない。今後の不祥事態を防止するために、徹底したやっぱり調査をして、納得できるような解決をしてもらいたいということと一緒に、今後のこのような事態の再発を防ぐためにどのような行政指導、私は、罰則がなくてもこの問題については徹底した行政指導ということをやって、そして国民の納得できるような解決の道が必要ではないか、こう考えるわけであります。  それから、警察庁の方に重ねてお尋ねをいたしますが、医師法罰則がない、こういうことでありますが、世間の親たちが心配することは、警察で調べてもらって、医者がこのような態度をとった場合に、医者というのは、業務過失致死という、そういうことに触れないのかどうかという疑問が残るわけであります。この問題について、ただいまの調査結果の報告とあわせて今後の対策、こういう問題がありますので、重ねて答弁をいただきたいと思います。
  17. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) ただいま先生指摘のように、こういったことが再び起きてはならないということはわれわれも十分承知いたしておるところでございまして、そういう意味におきまして、本年四月、厚生大臣私的諮問機関といたしまして救急医療懇談会というものをつくりまして、そこでいろいろ御審議願いまして、一応、当面とるべき措置についての御答申をいただいたわけでございまして、この答申に基づきまして、来年度予算で、わが国の救急医療体制というものの整備に今後努力してまいりたいというふうに考えておるところでございます。  いずれにいたしましても、その地域なら地域におきまして診療の求めがございました際、どっかでやはり国民医療を受けられるという体制をつくることが必要ではないかというふうに考えておるところでございまして、個々医療機関ではなかなかこれに対応できない場合もあろうかと思うわけでございます。そういった観点から、今後は地区医師会全体が共同いたしましてこういつた問題に対応するよう、来年度予算考えておるところでございます。  ただ、今回の問題は、先ほども答弁申し上げましたように、五軒の医師から、診療所から往診を断られておるところでございますが、二軒の診療所におきましては、連れてくれば診ましょうという、こういう答えをしておるわけでございまして、まあわれわれといたしましては、往診診察といういろんな問題があろうかと思いますが、いずれにいたしましても、医療が受けられる体制を今後つくることに努力してまいりたいと考えております。
  18. 浜田栄次

    説明員浜田栄次君) この種の問題は、人の生命にかかわる重大な問題でございますので、私どもといたしましても重大な関心を持っておるわけでございます。それで、医師法罰則がないからこれは警察が直ちに捜査をしないというような、安易な気持ちでおるわけじゃございませんで、そのケースによりましてそれが業務過失に当たるような場合には、当然刑法の法令を適用いたしまして厳正にこれは捜査しなければいけない、こういうふうに考えておるのでございます。ただ、いままでの私ども承知しております範囲内のケースにおきましては、業務過失に当たるようなケースはなかった、こういうように考えておるわけでございます。また、この改革的なことにつきましては、やはりこの救急医療体制を所管する主管行政庁やあるいは医師会等におきまして、しかるべき措置が講じられることが望ましいんじゃなかろうかというふうに私ども考えておるわけでございます。
  19. 鈴木力

    委員長鈴木力君) ちょっと私の方から関連して一言、はっきりしないと後に問題が残ると思いますから伺いたいんですが、石丸局長にですね、さっきの御答弁の中に、かぜは寝ておれば治るけれども、いいんだけれども、連れてきたら診てあげましょうと言って往診を断ったと、その事実に対しても、局長の先ほどの答弁は、医者としてはそれが当然なんだという意味の御答弁に聞こえたんですけれども厚生省はそういう医師のあり方については認めているかどうか、はっきりもう一遍御答弁いただきたい。
  20. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) どうも答弁不十分でございまして、申しわけございません。  ただいま申し上げましたのは、そういった応答を当時その診療所がしたという事実を申し上げたわけでございまして、まあこれは寝てれば治るというようなことではなく、やはり患者診察しなければそういったことはわからないというふうにわれわれ考えておるところでございます。ただ、そういった応答をしましたことが、直ちに応招義務違反にはなかなか結びつかないというふうにわれわれは考えているということを御答弁申し上げたわけでございまして、それが当然のこととか、そういったことではないわけでございます。やはり求めがあった場合には、患者を診るということが必要だと考えております。
  21. 大塚喬

    大塚喬君 いまの委員長質問に関連する形になりますが、医師法第十九条、これは「正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」と、こう明らかにされております。正当な事由とは何か、こういうことでありますが、医師不在または病気等により事実上診療が不可能な場合に限られる。私がここで重ねてただしたいことは、その子供は現実に数時間後に死亡しておるわけです。そのような事態というのは、まさに危篤というか、その病院まで連れていくと、まあこういうような事態で、その中途でこの生命が失われるような、そういう危険な状態にあったと推測をされるわけであります。いま局長答弁だというと、厚生省態度というのは、医者が連れてくれば診てやりますよと、こういうことをまさに一〇〇%是認をして、そのことはもう医者の道義あるいは人道上の問題、こういうような問題に何ら厚生省としては、もう異議の余地がないんだ、当然の措置なんだと、こういうふうに受けとめられるわけであります。  そういうことで本当に国民医療というものが確保された状態かというと、私は決してそうではない、まさにそういう事態ではないという受けとめ方をするわけであります。私は、今後対策を十分にして、国民に安心する医療確保、こういう立場から今後の厚生省指導の方針、あるいはこれらに対する今後の処置事情を聞いたからもうこうでした、これでもうすべておしまいということでは、とても私どもも納得できません。これらの問題について重ねてひとつ、局長から答弁をいただきたいと思います。
  22. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) 往診の問題でございますが、最近、この往診に応ずるか否かをめぐりまして、いろんな問題があることはよく承知いたしておるところでございまして、今回のこの事件も、先生指摘のように往診の問題であったわけでございます。  ただ、最近、医療がどんどん進んでまいりまして、やはり医療というものを往診先でやるよりは病院なりあるいは診療所なり、そういった設備の整ったところで進んだ医療を与えるということの方がより患者のためにいいんではないかというように、だんだん考えてくるようになったわけでございまして、そういった場合に、それでは国民がそういったいい医療を受けられるためにはどういうサービスを今後すればいいかということが問題になろうかと思うわけでございまして、そういった観点におきまして、患者を患家から医療機関に安全に運ぶということが大きな問題になってくると思うわけでございます。したがって、今後の問題といたしまして、やはり患者搬送体制を整備するということが必要になってまいるわけでございまして、先ほど御答弁申し上げました五十二年度予算におきましても、そういった患者を安全に患家から病院なり診療所に運ぶ体制の整備ということ、特に、それが非常に短時間内に適当な医療機関に運び込まれるようなシステムをつくろうということで、五十二年度の事業の計画を立てておるところでございます。
  23. 大塚喬

    大塚喬君 答弁お聞きして、まあそれなら安心だという、そういうことにはどうも至らない答弁で大変不満であります。また、これらの関連する事項が次にまいりますので、質問を進めさせていただきます。  この質問は、初めに消防庁関係の方に——警察庁の方はこれで結構でございます。消防庁関係の方、お見えになっておりますか。——現在の救急業務の現況について初めにお聞きをいたしたいと存じます。  夜間診療体制をとっておる団体、それから休日の診療体制がどうなっておるかという問題、初めこの点について現況をひとつ消防庁の方からお聞かせをいただきたいと思います。
  24. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) 休日・夜間診療体制厚生省の方が担当いたしておりますので、私からお答え申し上げたいと思います。
  25. 大塚喬

    大塚喬君 後で厚生省の方もお聞きするんだけれども、初めに、消防庁でも急患輸送というようなことで、これらの調査等もよくおやりになったようでありますので。
  26. 田中和夫

    政府委員(田中和夫君) 休日・夜間の診療体制、これは昭和四十九年度の状況でございますが、調査対象の団体全部で八百十八団体の中で、休日診療が約四百九十五団体、六〇・五%について体制ができております。夜間診療体制の方は一九・七%、百六十一団体について夜間診療体制ができておるという状況報告がございます。
  27. 大塚喬

    大塚喬君 ただいまと同趣旨の質問で、厚生省の方からお答えをいただきたいと思います。
  28. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) この夜間・休日診療体制は、われわれの方では二つの方法でこれに対応いたしております。  一つの方法といたしましては、人口十万以上の都市でございます。人口十万以上を対象に現段階において整備を図っておるところでございますが、いわゆる休日・夜間急患センターというものをこの人口十万以上の都市に設置をして整備をしておるところでございまして、現段階におきまして百四十三市にこれが整備がされておるところでございます。  そのほかの市におきましては、その地区医師会の御協力を得まして、いわゆる在宅当番医制、それぞれのお医者さんは自分の家にいるわけでございますが、当番を決めておきまして、その当番に当たった日はその診療に従事する、そういう体制をとっておるところでございます。  なお、この休日・夜間急患センターの整備につきましては、来年度からはこれを五万以上の都市まで拡大をする、こういう計画になっております。
  29. 大塚喬

    大塚喬君 人口十万以上の都市で整備を目標にしているというこの百四十三という数字、これはパーセンテージにしてはどのくらいになりますか。
  30. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) 全体計画は二百三十カ所でございます。二百三十のうちの百四十三が既整備でございます。
  31. 大塚喬

    大塚喬君 パーセンテージは。
  32. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) 約六八%ぐらいになりましょうか、ちょっといま暗算でやったところでございますが。
  33. 大塚喬

    大塚喬君 その他の都市で、その在宅医との協定と申しますか、この方は総数どのくらいで、何%ぐらいになっておりますか。
  34. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) その数字につきましては、まだわれわれ正確な数字を把握いたしておりません。
  35. 大塚喬

    大塚喬君 消防庁の方にお尋ねをいたしますが、この救急業務という場合で急患を転送する、いわゆるたらい回し、こういう問題が大変私どもの生活に不安を与え、多くの人たちもこの問題について大きな不安、嘆きを持っておるわけでございますが、この急患転送、一回の診療所ではとても診療を受けることができなくて、二つ、三つとたらい回しをされた、こういう事例はどのくらいございますか。
  36. 田中和夫

    政府委員(田中和夫君) 昭和四十九年中に救急隊が搬送いたしました全国の救急患者の総数は百三十六万人でございますが、その中で約百十六万人について調査いたしました結果、転送なしに医療機関に収容された救急患者が全体の九五・三%、約百十一万人でございまして、一回以上転送された——最高十一回というのがございますが、一回以上転送された救急患者が全体の四・七%、数にして五万四千四百人ということになっております。
  37. 大塚喬

    大塚喬君 厚生大臣お尋ねをいたします。  夜間あるいは休日、現実に病気にかかったこれらの方々、急患ということでそれぞれ異常な事態であろうと思うわけでありますが、いまの答弁にありますように、五万四千四百人も急患の人たちが一回で医療機関に手当てを受けることがなくて、あの救急車で次々に医療機関を引き回されておる。日本の医療行政の現状、これが五万四千四百人もそういう悲痛な悲惨な事態に置かれておる、こういうことについて、厚生大臣としての所見を率直にお聞かせをいただきたいと思います。
  38. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) 消防庁の非常な御協力によりまして、九五%は転送なしに病院なりあるいはお医者さんのところに運べた、ただ四・五%が転送ということでございます。これにつきましては、夜間及び休日の救急医療体制が残念ながらまだ十分でないという結果でございまして、さればこそ、厚生省といたしましては世論にこたえまして五十一年度から、また五十二年度は百数十億円の予算要求をいたしまして、お医者さんの当番制あるいは第二次病院の当番制、さらには三公社五現業の病院も救急告示病院にしてもらいたいと閣議発言も私いたしました。  またさらに、救命救急センターという一番重いそういう事故に対する施設も考えておるわけですが、結局先ほど先生指摘のように、この前の栃木県の例のように、お医者さんの側に立ちました場合に、私もきょうだいが医者をやっておりますし、おやじもやっておるんですが、医者のモラルでそういう電話があったら行きたいのはやまやまだけれども、しょっちゅうということになると体がもたぬという事情もありまして、ですからやはりこれは当番制度、さらに病院も当番制度ということで、交互に総合的に休日と夜間の医療体制を整備していかなきゃならぬ、こういうふうに考えまして、いま世論にこたえて最大のひとつ整備体制をつくろう、こういうふうに考えておる次第でございます。四・五%が転送されたということは非常に残念なことだと思っております。
  39. 大塚喬

    大塚喬君 受けとめ方がどうも歯がゆいような、そういう感じが率直にいたします。  消防庁の方に関連してお尋ねをいたしますが、転送なしと、こういう場合にはその方は九三%以上も、まあ大変よかったと思う、好運であったと思うわけでありますが、数で四・何%かという問題です。現実にこのパーセンテージを搬送患者の数から言えば、先ほどの申し上げましたように五万四千四百人もいらっしゃる。こういうことで大変お気の毒な目に遭われたと思うわけでありますが、これらの方々の中で最悪の事態、その搬送の途中にお亡くなりになった、こういう事例については全国的にどのくらいの件数が発生しておりますか。調査がございましたらぜひひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  40. 田中和夫

    政府委員(田中和夫君) いま先生のおっしゃったような事例を、全国的に調査して把握しているというものがございません。しておりません。
  41. 大塚喬

    大塚喬君 厚生省の方にはありませんか。
  42. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) われわれの方もそういった数字は持っておりません。救急医療につきましては、消防庁の方とわれわれいろいろ御連絡をしながらこの体制整備に今後努力してまいりたいと考えておるところでございますが、統計数字等も従来消防庁の方にいろいろお願いをしている、こういう現状でございます。
  43. 大塚喬

    大塚喬君 厚生省としてはいろいろの資料がどうも不十分、不足過ぎる、こういう指摘を私は率直に申し上げたいと思います。  それで、消防庁の方にお尋ねをいたしますが、救急車によって搬送された患者の収容拒否の理由、これをその種類別にどういう実態になっておりますか、お聞かせをいただきたいと思います。
  44. 田中和夫

    政府委員(田中和夫君) 先ほど申しました一回以上転送したというものについての理由でございますが、医師不在あるいは病床が満床、あるいは専門外で処置ができないというような理由がその大部分だと承知いたしております。
  45. 大塚喬

    大塚喬君 その問題についてさらに突っ込んで厚生省の方にお尋ねをいたします。  医師不在という理由が大変多い、一番だということをお聞きしたわけでございますが、そうしますというと、そのときにその医療機関病院医師と名のつく者がこれは全然いなかったという、こういう場合に当たりますね。もしもその病院が救急病院ならば、さきの厚生省令に反するんではありませんか。もし一般病院であっても、医療法第十六条が示しておりますように「医業を行う病院の管理者は、病院医師を宿直させなければならない。」、こう明らかにされておるわけでありますが、これは明らかに医療違反。ただ医師不在ということで、はいそうですか、こういうことで私ども引き下がるわけにはまいりません。この問題について、一体医師不在という問題は厚生省としてどう理解をし、どう対処をされようとするのか、そこのところをお聞かせいただきたいと思います。
  46. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) ただい先生指摘のような事例は、救急指定病院のことだというふうに理解いたしたいと思います。それで、この救急指定病院におきましては医師がこれはおるはずでございます。あるいは大きな病院ですと入院患者を持っておりますので、やはり入院患者の病状の急変に対応するためにも当直医師は存在しておると思うわけでございますが、ただ、最近一つの傾向といたしまして、医師の方も非常に専門分化してまいっておるわけでございます。それぞれの科が非常に専門分化してまいっておりまして、そういった意味におきまして、ちょうどそこに来ました患者さんに対応する専門医がいない、こういう事例が多いというふうに考えております。ただいま先生指摘のような医師不在の中には、専門医の不在ということが非常に大きなウエートを占めているというふうにわれわれ理解いたしておるわけでございますが、そういった意味で専門医が不在の場合が相当あるんではないか。  ただ、そういった転送をさせます場合に、やはり善意の転送ということもあるわけでございまして、自分のところで診るよりはこっちの専門の病院で診た方がいい、診療した方がいいとか、いろんなケースがこの事例には含まれておると思うわけでございまして、そういった意味におきまして、先ほど大臣から御答弁がありましたように、われわれといたしましては一つ地域における医療機関、すべての医療機関のどこにどういう医者がきょうは当直をしているとか、そういった情報を消防庁の方とうまく連絡をとりながら情報システムを整備することが、やはりただいま先生指摘のような救急医療の不備というところで一番大きなウエートを占めるんではないか、かように考えて、来年度そういったところに重点的に整備を行っていこうというふうに考えております。
  47. 大塚喬

    大塚喬君 いまの局長答弁いただいて、局長答弁自体に矛盾をお感じになりませんか。専門医がいない、それはそういう場合も現実にあるでしょう。ですけれども、その患者に対応できるお医者さんがいない。この場合を考えてみますと、対応できるかどうか、それは診てみなくちゃわからないわけでしょう。そうして、その患者さん自体は速やかに応急処置がとられなければあるいは生命を失うかもしれない。そういうことをやっぱり診察した上での医師としての判断が成り立つわけであります。全然診もしないで、それが専門でないからだめだと、こういうことで拒否する場合には、これは明らかに応招義務違反じゃないですか。局長答弁自体が、応招義務違反をこの国会の席で明らかにお認めになっておる、そういう答弁じゃないですか。いかがです。
  48. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) ケース的に非常にいろんなケースがあろうかと思いますが、たとえば交通外傷で脳の外傷、頭部外傷を受けたような患者さんが来ました場合に、たまたまそこの病院で内科の医者しかいなかったという場合もあろうかと思うわけでございまして、そういった場合には、やはり脳外科のお医者さんのいる病院にすぐ送った方がいいとか、そういったいろんなケースがあろうかと思います。  先生指摘のようなケースも、当然この数字の中には含まれているということは承知いたしておりますが、やはり搬送という問題につきましても、われわれといたしましては、その最初に運ばれた医療機関が専門外であっても、何らかの応急処置をいたしまして、それから専門の病院へ転送するという、こういう体制が今後望ましいというふうに考えておるところでございます。現段階におきまして、やはりいま申し上げましたような事例、たとえば頭部外傷の患者さんが内科の医者しかいないというようなところへ運ばれた場合には、やはりすぐ次の病院へ行ってくれという、こういうような事例もあろうかと思うわけでございまして、そういった事例につきまして専門医不在ということで断る場合があろうかというふうに考えております。
  49. 大塚喬

    大塚喬君 全く医療砂漠と言われる、こういう言葉も聞くほどに夜間、休日というものの診療体制についてはみんな国民関心を持ち、不安を持っておるわけです。  先ほど消防庁にお尋ねをいたしたわけですが、専門医不在ということが一番多いということで、私ども実はその資料を新聞で見たわけであります。専門医不在ということが救急車により搬送された患者の収容拒否の約五〇%近い四六・九%と、こういう数字を見たわけでありますが、いま局長答弁で脳外科——確かに脳外科というようなことはこれはもう専門医を必要とする、そういうことの最も模範的なということではちょっと語弊がありますが、確かにそういう事態であろうと思います。しかしながら、五万四千四百人も緊急患者が拒否されておる。その約半分ということになれば、二万数千人の方が門前払いを受けた、こういう形が現実に毎日のように起きておるわけであります。  それで私は、いまの局長答弁では、大変責任のない逃げの答弁としか受け取れないわけであります。ともかく、とりあえず応急処置をするようなそういう必要があると思うわけでありますが、そういうことについて一体厚生省は、これから先もこんなにたくさんの困っておる、生命に危険を感ずるような緊急事態患者さんを、いまのお答えいただいたようなことで実際に何も手を出さないで、動かないで、そういうことをこれから先も放置されるお考えですか。この問題について国民の不安をなくするためにどうするのか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  50. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) 一つの問題といたしましては、ただいま先生指摘のように、専門外の患者であってもとりあえずの応急の処置をして、その次に専門の病院に送る、転送するということも望ましいというふうに考えておりまして、そういった体制についても、医師会等の協力を得ながら整備してまいりたいと思います。  ただ、もう一つの方法といたしまして、先ほど御答弁申し上げたところでございますが、やはり消防の方にAという病院はきょうは脳外科の先生が当直をしている、Bという病院は内科の先生、内科でも心臓の専門の先生が当直している、そういうふうに消防の方へ事前に情報をお知らせしておけば、そこに一一九番で患者さんから連絡があった場合に、直ちに適当な病院にすぐ送り込める、こういうことも考えられるわけでございまして、われわれとして来年度のこの救急整備につきましては、そういった情報網の整備ということを重点的にやってまいりたいと考えております。
  51. 大塚喬

    大塚喬君 何度お聞きしても、やっぱり厚生省というものが国の医療行政を預かる責任者と、こういう立場を私どもそういう受けとめ方ができないわけであります。医師会にお願いをする。これは当然医師会にもお願いをしなければならないと思いますが、私ども国民の立場から言えば、毅然とした態度医師会に対して協力をお願いする。もちろん形は丁重でなければならないと思いますが、たとえ慎重にお願いをするにしても、やっぱり行政指導という形をとって、厚生省がここではっきりこうすると、こういう答弁を私ども国民としてはお聞きしたいわけであります。  何かこう私どもが受ける感じは、外郭団体、そういうところにぺこぺこ頭を下げて、この緊急な救急医療体制の確立という問題がどうも及び腰で、ぺこぺこ行政で、厚生省として毅然としてこれらの国民要望にこたえる態度、こういうものがうかがわれないのはまことに残念であります。ひとつ、私が申し上げました趣旨を厚生省でも、厚生大臣も十分に受けとめていただいて、これらの問題に、早急に私どもの納得できるような、国民の安心できる医療というものが確保されるようにぜひお願いをいたしたいと思います。  先ほどの質問にまた戻りますが、ともかくそのたらい回しという事態、その前に国民としては、診療したがどうも手に負えないと、こういう場合も現実にそれぞれ専門化しておる現在の医療の中で当然あることは承知をいたしております。その診療を拒否した場合、このときに、治療のできるところを患者側あるいは消防庁の皆さん方がお骨折りを願って、一緒においでになっておると思うわけでありますが、それを自分で勝手に探せと、これが率直にこれらのお世話になった人の、お医者さんの態度だと。これはもう大変私も憤りを持って感ずるわけでありますが、これはどうしてもその応招義務、こういうことをうたっております医師法の精神に反するのではないか。  私が、毅然としてやってもらいたいと、こう言うことは、こういう緊急の事態の場合に、これはもうお医者さんだけでなくても、だれでもそうだと思うんですが、道義的に、常識的にこれらのお医者さんの態度医療機関態度というものはやっぱりおかしい、許せない、こういう気持ちが強いわけであります。少なくとも、その専門の立場にいらっしゃる医療機関の人たちがいち早く心当たりを探して患者側に紹介をする、連絡をとる、便宜をいただく、こういうことが当然ではないか、私はこう考えるわけでありますが、この点について厚生省として一体、これから先こういう事態がもう非常に多い、こういう事態をどう対処されようとするのか、今後の方針をお聞かせいただきたいと思います。
  52. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) 診療患者さんから求められた場合に、その求められた医師がそれに絶えずいつでも応ずることができるようなシステムが必要だということは、先生指摘のとおりでございまして、われわれといたしましても、一つの団体としてそういった体制ができるように今後整備してまいる。  すなわち従来ですと、個々のお医者さんがそれぞれ次の適当な医療機関を紹介する、こういうそれぞれ個々のお医者さんにそういったことを要求しておったわけでございますけれども、今後の問題といたしましては、やはり地区なら地区医療機関状態が一目でわかるように、また、それが患者さんにすぐ利用できるような状態にするということが必要だというふうに考えておるところでございます。  そういった意味におきまして、この休日・夜間急患センターの整備はもちろんでございますが、その休日・夜間急患センターにも今後、テレホンサービスの設備の設置を来年度予算考えておるところでございまして、そういった点、今後、患者さんからその特定のところへ電話をしていただければ直ちにそういった情報を提供できるという、こういう体制を整えたいと考えております。
  53. 大塚喬

    大塚喬君 先ほどから答弁をいただいて、この救急医療体制を整備すると。厚生省の方針は十万以上の都市、それからその他の市、こういうことで都市部を優先的にこの整備に努力をされておる。これはいろいろの事情があって、そういうことも——それだけでは不満でありますが、そのことについて素直に私も報告をお聞きしたいと存じます。しかし、現実には山間僻地、都市部でない一般の町村、そこでも当然人の住むところですから救患が出てき、この救急医療という問題について大変困っておられる方も多いはずであります。現実にはこれらの救急医療というものが、町村では、政府の方針の手の届かないそういうところには置かれておらないわけであります。  現実に、私も栃木でありますが、栃木地区にも無医村というようなそういう個所が何カ所もございます。町村ではこのようなたらい回し——何度か回って最後に診療手当てを受けるという、そのたらい回しということすら受ける医療機関が現存しておらない、こういう場所であります。そうなりますと、こういう町村部については、せめて国立、公立、こういうところの医療機関——現在の民間の医療機関への依存主義という問題が、後ほど申し上げたいと思いますが、現実には不可能な状態にあることは厚生省でも御承知のとおりだろうと思います。速やかにやっぱり公的な医療機関の整備、特に市町村立病院あるいは一部事務組合の病院を含むわけでありますが、この問題について少し救急医療体制の確立の一環として質問をいたしたいと存じます。  初めに、市町村立病院あるいは一部事務組合の病院及び診療所、これらの実態についてお尋ねをいたしたいと思います。  初めに、これは厚生省と自治省両方からお尋ねをしたいわけでありますが、この公的な医療機関の現在の医師の充足状況、これは定員と現員、現在員、この数字を報告を受けたいと思います。厚生省から初めにお願いします。
  54. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) この市町村立病院あるいは市町村の一部事務組合のあるいは僻地診療所医師の充足状況でございますが、ただいま先生指摘のように非常に不足している現状でございます。で、一つの問題といたしまして、先ほど来御質問のございました救急医療問題というものが、ある時間帯における無医状態と申し上げましょうか。ある特殊な時間帯に医者がいないという、こういう状態に対応するために、現在救急医療問題にわれわれ取っ組んでおるわけでございますが、先生ただいま御質問の問題は、地域的な無医状態というふうにこれ対比して考えればいいんではないかというふうに考えます。  われわれといたしましては、この無医地区の解消ということに従来から努力してまいったわけでございますが、ただいま先生質問の現状について申し上げますと、これは昭和四十九年度の数字でございますが、市立の病院で三千九百五十一人……。
  55. 大塚喬

    大塚喬君 何立……。
  56. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) 何々市の市立でございますが、三千九百五十一人、町村立医療施設におきまして千二百二十九人、一部事務組合におきまして九百七十二人、こういうように医師状況がなっておるところでございまして、これを百床当たりの医師数で見ますと、町村立の病院の方が市立の病院に比べまして非常に低いわけでございます。そういった実態にあるわけでございますが、いずれもこの長い年次経過を見ますと、市立、町村立いずれにおきましても若干増加の傾向にあるように受けとめております。
  57. 大塚喬

    大塚喬君 局長質問お答えいただかなくちゃだめなんで、私のお尋ねしているのは、医師の充足状況、それぞれの市立病院、町村立病院、一部事務組合病院、これの医師の定数と現員、何%充足されておるのか、そこのところを私はお尋ねしております。
  58. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) ただいま私、現在員数を申し上げたわけでございますが、われわれ現在のところ定員をつかんでおりませんので、現在員数だけを統計として持っている、こういう状況でございます。
  59. 大塚喬

    大塚喬君 数だけを、現員つかんで、一体それで五〇%充足されているのか、七〇%充足されておるのか。定数というのは、それだけが必要だから定数という定員が決められているわけでしょう。国の医療機関のその最高の責任ある厚生省がどうしてこういう定数——怠慢じゃないですか。こういう定数をいままで把握できない、何%充足されておるのか、これは今後どうする気ですか。現員だけ調べてあっても、それは確かにないよりはましですけれども、この町村部の医療体制という問題を整備するためにいま私はお尋ねしておるんだから、そのお尋ねをする一番の出発点で、どの程度医師が充足されておるのか。これはもう医療機関の整備ということの一番基本になる、基礎になる問題ですから、そこのところをこれはどうするお考えですか。
  60. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) そういう点、われわれ統計を整備しておりませんことを非常に残念に思うわけでございますが、ただ従来、われわれといたしましては、それぞれの地区住民医療確保という点から考えまして、その地区住民当たりの医師数、あるいは一人の医者が担当する患者住民数と申し上げましょうか、そういった観点からそれぞれの地区医療状況というものを推測しておるところでございまして、そういった意味で、市町村立あるいは一部事務組合立、そういった病院医師の充足状況ということについては、われわれ残念ながら統計数値を持っておらない、こういう状況でございます。
  61. 大塚喬

    大塚喬君 残念ながらということだけで済まされたんじゃ困るんです。そこのところは、やっぱり厚生省としてはこの充足状況をはっきり、たとえば何々町というところでお医者さんが三人この医療機関を整備するためには必要なんだと。実際にそこに一人しかいないかもわからない。そうなった場合には、いまお答えいただいた三千九百五十人とか一千百二十九人とか、こういう数字もそれだけではやっぱり意味をなさないと思うんです。これは早急に調査をされるというお考えはございませんか。
  62. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) 地方自治体立の病院につきましては、これは自治省の方が所管をいたしておるわけでございまして、われわれ、自治省の方とよく連絡をとりながら、なお今後、そういった数字につきましてその数字をとることに努力いたしたいと思います。
  63. 大塚喬

    大塚喬君 自治省関係の方にお尋ねをいたします。  いまの医師の充足状況、これを自治省の方から答弁を求めたいと思います。
  64. 金子憲五

    説明員(金子憲五君) 公的医療機関の中で市町村立の病院、これは地方公営企業法適用のものでございますが、全体で六百九十九ございます。ここでのベッド数が十一万三千床ほどございまして、医師の数が六千五十二人というふうになっております。それで、ただいまの数字から医師一人当たりのベッド数を計算いたしますと一八.七床ということになりますが、これ以外に外来の患者等もございますので、これも換算をして医師の一人当たりの担当患者数を決めていかなければならない、このようなことになろうかと思います。  現在、医師の充足状況につきましては、それぞれの地方公共団体あるいは病院ごとに非常に差がございます。それで、全体として見ますと、特に市、町村は先ほど厚生省の方からも御説明がありましたけれども、都道府県指定都市に比べると非常に充足状況が悪いということになっております。いま御指摘の、充足状況につきましてきちっとした比率でお答えするまでのものは持っておりませんけれども、必要とされる実数よりも数割は低い充足状況になっておるということは申し上げられるかと思います。ただ、これも個々病院ごとに非常に差がございますので、ちょっと一概には申し上げかねるかと思いますが、そのような状況になっております。
  65. 大塚喬

    大塚喬君 医療機関の数がわかっているんですね。それで、そこの一つ一つ医療機関でお医者さんの定数、定員というのが決まっているわけですね。現在の人員がわかっている。不足をしているということがわかっておって、その不足の実態というのが現実にどれだけかということについては、両方から全然お答えがないわけでありますが、これほどの簡単な調査——医療機関の総数がわかって、定員がわかっておって現員がわかっておれば、充足率というのがすぐに出るはずだと思うんですが、これは、いままでもずっと一回もこういう調査をなさったことがないんですか。いまの答弁だけでは、これから先の論議という問題をどうも発展させるわけにいかない。  率直に私は、厚生省も自治省も明らかな怠慢ということに通ずる問題じゃないか、これはもう言葉が過ぎるかもしれませんが。それらを所管をしておるそれぞれの機関で、どちらについてもそのことがおわかりいただけないというのは、大変これは遺憾なことであります。そこで、これはそう長い期間でなしに、各県なり市町村なりの協力をいただければわかるわけでありますから、これらのずっと積み重ねたそういう数字というものが、やっぱり医療体制の整備という問題にどうしても基礎的につながる問題でありますので、いつまでに調査をして、いつまでにこの決算委員会報告をいただけるか、そこのところの見通しについてひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  66. 金子憲五

    説明員(金子憲五君) 私ども持っておりますのは、年度間においての患者数、それから年度末あるいは期首におきましての医師数、そういったようなものについての数字を持っておるわけです。医師患者との対応関係、あるいはベッドとの対応関係等につきましては、現在、御承知のように市町村立の病院につきましては、たとえば伝染病の病棟であるとかあるいは結核病棟であるとか、非常に空床を持っているベッド等もございます。そういったような関係で、単純にそれらの数値から現在の充足数がどうであるということを、数字だけでは物を申し上げることができないような状況にあります。ただ、全体として見ておりまして、府県よりも市町村が、そして市町村の中で特に町村が医師の充足が現在の患者数から見て絶対的に不足をしておる、こういうことは申し上げられる。ただ、それを数字でもってどこまできちっと示せということを言われますと、ちょっと示しかねるというような状況でございます。
  67. 大塚喬

    大塚喬君 私が言うことがそんなにむずかしい要求ということになりますかな。医療機関の数がわかっているんでしょう。そもそもその医療機関医師の定数というのは決められているわけでしょう。で、年々、町村あるいは山間僻地の医療体制が荒廃をしておる。それらの問題の検討、審議をする場合に、まず医師の充足状況というものが、やはり現実医師不足という事態の中で土台になる。それらの論議が、いまお答えいただいただけでは、責任をこう逃れて、国会でのこういう審議というものが十分に尽くされない、私はそういうことにつながると思うわけです。ですから、六百九十九とかあるその医療機関、しかもそれは民間の医療機関でなくて公的な医療機関、そこの定数をどうして調べることができないんですか。どうしてそこの医師の充足状況を調べることができないんですか。これは不可能なことですか。
  68. 金子憲五

    説明員(金子憲五君) 一定の仮定を置きまして、ただ数字を集める、集計をするということであれば可能かと思います。現在、公営企業におきまして公営企業法の適用を受けております病院におきまして、定数につきましては全体の数を定めております。その中で医師、看護婦等の区別はしておらない。医師、看護婦等の区分につきましては、これは予算上で積算の根拠として設けられておるということでございますので、物理的に医師の数だけを集計をするということは必ずしもできないことではございませんけれども、それが実際にどれだけの意味があるかということになりますと、私ども現在のところ、決算上の統計数字に頼って判断する方がベターである、また実際的であるということで、そのようなことでやってきております。
  69. 大塚喬

    大塚喬君 ずいぶんひどいことをおっしゃる答弁だと思います、意味がないと。私は意味があるからお尋ねをしておるわけです。その医師の数が全体で何人おるか。それは、その必要数と現在おる数というものは必ずしも一致するものでない。たとえば、それぞれの地方自治体で公的な医療機関を設けておる。その公的な医療機関を完全に円満に運営するためには医師が二人要るとか三人要るとか、こういうことを地方自治体の実情に応じて定数が決められておると思うわけです。現員がわかっているんですから定数だけ調べればいいわけですね。各地方自治体が必要とするお医者さん、その数を意味がないというようなことで私が要求しておる質問に対してはぐらかされたんでは、私も審議をするのに、これは大変国会の審議に御参加いただいているあなたの立場は、まじめな態度で国会の審議に参加いただいておるという立場には私は受けとめがたい。
  70. 金子憲五

    説明員(金子憲五君) 特に市町村立の病院におきまして、職員、要員で不足をしておりますのは医師だけではなくて、看護婦その他の職員につきましても非常に充足が困難な状況にございます。したがいまして、ベッドにつきましても必ずしも一〇〇%患者を収容するわけにはいかない。むしろその看護婦の数から患者数が制約をされ、あるいはそれから医師の数についても制約を受けるというようなことがございますので、理論的な、物理的にございますベッド数から看護婦の数がこれだけ必要である、あるいは医師の数がこれだけ必要であるというような計算は、おっしゃられるように確かにできます。  ただ、現実の充足状況から見ますと、実際のその必要状況から見ますと、決算統計によって判断をする方がより実際的であるというふうに私どもいままで考えてきておるわけでございますけれども、ただ、おっしゃいますように、それでは実際の実働ベッド数あるいは看護婦その他の要員との関係からいきまして、どれだけ地方公共団体において当該年度において医師を必要としているか、これらにつきましては毎年度予算に計上しておりますので、その予算の内訳について報告を求めてこれを集計するということは、必ずしも不可能ではないというふうに考えております。
  71. 大塚喬

    大塚喬君 いまのお答え、私はあなたのその態度が、この国会審議に行政庁の側として誠意を持って参加いただいておるとはどうしても受けとめがたいね。そういう予算の必要な数字が出ておる、それが定数とは、あるいは私が言っている言葉と意味が違うかもしれませんが、その中で一体現員が何人だと、こういうことがその数字からでも一応私は出せると思うわけですが、私が聞いておるのは医師ということで、あなたは看護婦とか何かいろいろのことを引き合いに出されてくるわけですが、どうして私の質問に対して素直にあなたがお答え、対応いただけないのか。どうも私はあなたの態度を疑問としか受けとめられません。
  72. 金子憲五

    説明員(金子憲五君) 私ども現在持っております統計では、実除的な市町村での対応あるいは私どもの方での実際の指導上に必要な数字としては、決算統計の数字を使っておるわけです。ただ、おっしゃいますように、それぞれの地方公共団体におきまして、その地方公共団体の病院の置かれている状況からどれだけの医師が必要かということは、当該年度の予算の積算上医師予算上の定数を定めておる。ですから、そういったような数字を集めることは必ずしも不可能ではない。また、それによって現実に、その年度において地方公共団体が必要と考えている医師の数と現実の充足状況とを比較することは可能であろうかというふうに思っております。ただ、ただいま申し上げましたように、地方公共団体いろいろの制約がございまして、形式上の定数とでも申しましょうか、定数とそれから現在員とを単純に比較をしただけでは医師の充足状況を直ちにあらわすものにならないと、そのことだけは御承知いただきたいと思うんですが。
  73. 鈴木力

    委員長鈴木力君) ちょっと私の方から確かめますが、第一課長、その調査をすることが可能であるけれども大塚委員の要求に対して数字を出すことができない、それは課長の判断で大した意味がないからだと。しかし質問者の方は、その資料を使って一つのものを検討したいと、こう言っているわけですから。たとえば、簡単でしょう、六百九十九の病院、施設がある、定員が幾らだ、現員が幾らだ、これをずっと並べればいいので、その判断をどうするかは後の問題で。それをつけ加えて拒否をされたんでは、大塚委員と同じに委員会の審議にはならないわけですから、あなたの判断は別として数字上の統計は出せるわけですから、出すなら出すとはっきりおっしゃってください。
  74. 金子憲五

    説明員(金子憲五君) 若干の時間はかかりますが、おっしゃられたような数字については調整をしてみたいというふうに考えます。
  75. 志苫裕

    志苫裕君 ちょっと関連して。  ちょっといまの点に関連しますが、私も実は新潟にいまして、ずいぶんこればっかりやっていたんですよ。そこで、いまあなたがおっしゃるように、確かにあの種の統計では、本当に欲しい医師が幾らで、足りない医師が幾らかというのは出にくいと思うんですが、自治体単位ではずいぶん最近はもうこれ神経使って対策していますから、調べる気になれべ調べられます。  ただ、統計だけですと、もともと医師が、診療所があって医師がいたんだけれども、いないもんだからやめたとか、それから診療所病院はあるけれども、しかし、特定の科の医師が充足をされない、何年も笛、太鼓で探し回ったけれども、ついに見つからぬので業を煮やしてやめちゃったとか、こういうのも言うならば、一口に言うと医師不足になるわけですよ。ですから、ただ単に表面的な定数じゃなくて、まず現実に調べられるのは、診療所あれども医師なし、科があるけれども医師がいない、これは調べられると思うんです。と同時に、診療所があったけれども医師不足に原因をして廃止をした。これは潜在的には医師がおればあったわけですから、これが現実住民もやはり不自由を感じているもとになっているわけですね。こういう分類別の整理なり調査は自治体ごとに私はほとんどでき上がっていると思うんです。ですから、そういう点での調査をよくやって、先ほど大塚委員要求の資料として提示をできるようにしてほしい、こう思うわけであります。
  76. 大塚喬

    大塚喬君 いま委員長、それから志苫委員から関連で、それぞれの言葉をいただいたわけでございますが、自治省の答弁は、私が質問しておることで、最終的にだめならだめだ、できないんだと、こういうことならば、それはどういうことか重ねてお尋ねすることにして、国会の審議でこちらが必要だと、こう言っておるのに、あなたは頭からおっかぶせるように、そういうものは意味がないと、こういう態度は、それはやっぱりこの席では許されませんよ。  これはいまお二人から関連があったわけですが、期日が若干ずれがあっても、そのことについては私もとやかく申し上げるつもりはありませんが、いつまでに私が申し上げた資料が提出できるか、そこのところをはっきりお聞かせいただきたい。
  77. 金子憲五

    説明員(金子憲五君) 意味がないと申し上げましたのは言葉が足りませんでしたが、私どもの方で統計資料をただいま持ち合わせていない、つくっていない理由を申し上げたつもりです。ただいまおっしゃられました数字につきましていろいろ困難な問題がございますが、若干時間がかかるかと思います。来年の一月末ぐらいまで時間をいただければつくりたいと思います。
  78. 大塚喬

    大塚喬君 若干の期間かかるということはわかりますが、来年の一月末、いま十月——十一、十二、一月、三カ月ならこれらの調査ができると。で、具体的にせっかくの調査でやるんですから、各都道府県別、それから各市町村別、それから町村立、一部事務組合別、そういう形で調査をされると思うわけですから、それらについてひとつお聞かせをいただきたい。ぜひひとつこのことは一生懸命やって、一日も速やかに資料の提出要望いたしたいと思います。  次に、市町村立病院、一部事務組合の病院、あるいは僻地診療所個々医師の充足について私は、あと幾つか大きな関心を持っておる事項がございますのでお尋ねをいたします。  ここに従事をする医師に支払っておるいわゆる報酬、これについて資料の提出を求めたわけでございますが、若干の県での資料がございました。これによりますと、茨城、栃木、富山、長野、岐阜、三重県、そこの関係の十三人のお医者さんの給与額、平均して年額五百三十二万百八十一円、こういう数字をいただいたわけであります。昭和五十年度の僻地診療所医師給与の調べ、こういうものでいただいたわけであります。  私がここでお尋ねをしたいことは、各地方自治団体では、特に山間僻地の町村では医師確保するために四苦八苦、もう市町村の財政の事情いかんということを乗り越えて努力をされておるわけであります。この医師の報酬の実態、そこでこの医師の報酬の内訳が、医療業務ということに当たっておる、そういうこともありますし、それだけで医師の報酬が支払える、そういう状況にないことも現実に私は承知をいたしております。この医師に支払っておる報酬のいわゆる財源内訳、これは一体どうなっておるのか、そこのところをひとつ自治省側からお聞かせをいただきたいと思います。
  79. 金子憲五

    説明員(金子憲五君) 原則的に地方公共団体立病院の人件費につきましては、これは医療による報酬によって賄われるということになっております。ただし、僻地医療あるいは高度医療、特殊医療といったようなもので、その収入によって経費が賄われないものにつきましては一般会計の方から繰り出しすることができる、このようなことになっております。
  80. 大塚喬

    大塚喬君 そうしますと、この五百三十二万何がしというのは、これは市町村の負担でなくて、その業務の中からのそういう数字になるわけですか。  それから、私が特に関心を持っておりますことは、北海道の町立病院に出向しておるお医者さんに一日七万円支払っておるという、こういう報告が来ておるわけであります。このことは、もう現在疲弊のどん底というか、窮迫のどん底にあります自治体財政に過大な負担をかけておる。それでもやっぱり人の命が大事だからということで、市町村では大変無理をしてお医者確保に努めておるわけであります。しかし、これは銭金を使って何とかして医者確保しようという本当に気の毒な市町村、そしてそれの背後にあります市町村住民、こういう切なる願いでこういう無理を重ねておると思うわけでありますが、このような無理がどこまで続くかということになると、各市町村長に会って話を聞きますというと、もうぎりぎり、これ以上耐えられない、こういうことでございますが、この実態をひとつ速やかに把握をしなければ私は、町村部の医療行政というものは完全に崩壊をしてしまう、こういう事態に現在差しかかっておると思うわけであります。この実態調査、現在わかっておりますことは、その財源区分がどうなってどうなって幾ら払ってるんだと、こういうことと、それから、今後この詳細について実態調査を速やかにされる必要があると思うわけでありますが、この点についてひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  81. 金子憲五

    説明員(金子憲五君) 市町村立病院病院に従事をする職員の給与につきましては、医師を含めまして診療報酬をもって賄うということが原則になっております。ただ、先ほど申し上げましたように、非常に特殊なものにつきましては、その病院の収入をもって賄うことが非常に困難であるというふうに考えられますので、これにつきましては一般会計から繰り出しをすることが認められ、その一部につきましては特別交付税等において措置をしておるところでございます。
  82. 大塚喬

    大塚喬君 私の質問を聞いて答弁してください。  私は、この実態を把握してもらわなければ町村の医療行政というのが崩壊をする、こういう立場でこの実態をお尋ねしておるわけです。ですから、そのことについてお答えをいただかないと、一般会計から出すことが認められておるんだという答弁だけでは、私の質問に対して十分なお答えにはなっておりません。
  83. 金子憲五

    説明員(金子憲五君) 一般会計からの繰り出しにつきましては、特殊の事情があるものについて行っておるわけですが、どのような特殊な事情があるかにつきましては、特別交付税の聞き取りの際に、各地方団体から私どもの方でその内容及びその理由等を聞くということをやっておりますので、その過程を通じて今後とも実態を把握してまいりたいというふうに考えております。
  84. 大塚喬

    大塚喬君 抽象的じゃなくて、この実態を調査して、先ほどと同じように私は、本委員会に資料として提出を早急に要求したいわけですが、これもできれば最近の十年間。先ほどあなたが言っておる答弁は、特例として一般会計から支出をしておるところもあるように私はお聞きしたわけでありますが、現実は逆ですよ。ほとんどの町村が過大な財政負担をして医師確保医療機関の継続ということにもう血のにじむ、涙の出る思いをしておるんです。一部の特殊な町村だけが一般財政から負担をしているなんという現状ではありません。もうどこの町村でも必死になってこの医師確保のために過大な財政負担をしておるんです。その現状がわからなければ、今後の町村部の医療体制の整備という問題は、これはもう論議になりませんから、これを十年間ひとつ実態調査をして報告をいただきたい。  それから、これと同じことをやっぱり厚生省も、自治省だというようなことでのほほんと、こう人ごとだというふうに構えられては、大変私どももこの問題の解決にはならないものですから心配をしておるわけですが、厚生省としてもいまの実態調査をなさるお考えがあるのかどうか、ひとつお答えをいただきたい。
  85. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) 自治省の方とよく相談をいたしまして、できるだけの統計数字を集めたいと考えております。
  86. 金子憲五

    説明員(金子憲五君) 実態については、特別交付税のヒヤリングその他を通じて、できるだけ調査をしてまいりたいというふうに考えております。
  87. 大塚喬

    大塚喬君 調査結果がほしいんです。そのことについてどうしていただけますか。
  88. 金子憲五

    説明員(金子憲五君) 総括的な数字については、先ほどの医師数、医師の充足状況等の調査とあわせて報告をさせていただきたいと思います。
  89. 大塚喬

    大塚喬君 いつまでに。
  90. 金子憲五

    説明員(金子憲五君) 同時期までに報告させていただきたいと思います。ただし、個別的な数字につきましては、これは若干問題がございますので留保させていただきたいと思いますが。
  91. 大塚喬

    大塚喬君 厚生大臣お尋ねをいたします。  いま、具体的に地方財政の過大負担、医療制度を継続し、維持させるためにその実態の数字が報告いただけなかったことが残念でありますが、この問題について厚生省としてはこのような実態、このような実態というのは具体的に数字が出ませんけれども、もう文句なしに、例外なしに各市町村とも大きな財産負担でバンザイしそうなんです。この事態をどうとらえて、どう対処をされようとするお考えか、厚生大臣の所見をお聞かせいただきたいと思います。
  92. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) 厚生大臣は、国民の健康の総括的行政責任者でございますが、直接には厚生省がコントロールしているのは日赤、国立病院診療所あるいは一般の開業医さんということになっておりまして、自治体病院は直接自治省の指導にございますが、総括的な医療行政という立場で非常に赤字が累積しておる、あるいは先生指摘医師不足という点につきましては、自治省とも御相談して、まず財政の健全化というものにつきましては、厚生省からもいろいろ援助、協力をいたしておるわけでございます。具体的にはたとえば、がんとか救急医療とかいうことによる自治体病院の出費につきましては、厚生省予算でこれをカバーしておる、こういう実情でございますが、なかなかむずかしい赤字問題を抱えていることはよく承知いたしております。  なお、地域医療過疎につきましてはこれまた大変大きい問題でございまして、無医村地区は北海道の一カ所になりましたが、無医地区というのが全国に非常に多い。二千ほどある。これをどう解消していくかというのは、先ほどの医務局長の御答弁のように、時間的過疎とともに地域的過疎、そのことによって国民が簡単に医者にかかれない。ナショナルミニマムは、やっぱり医療にすぐかかれるということがナショナルミニマムでございますから、厚生大臣といたしましては、地域過疎の一刻も早い解消について努力いたしたい、かように考えております。
  93. 大塚喬

    大塚喬君 その資料の提出を求めて、十大都市、それからその他の市、それから町村部、ここでの人口十万当たりの医者の数の報告を求めたわけでありますが、人口十万当たり十大都市では百六十五・二人、それから町村部ではわずかにその三分の一ほどの六六・三人、こういう数字の報告をいただいたわけでございます。これは四十九年度現在で厚生省調べの数字をいただいたわけでございますが、この事態が先ほどから申し上げております現在の日本の医療制度の欠陥、こういうものの直接的な結びつきになっておるのではないか、こう考えるわけでございますが、こういう問題について少し質問をいたしたいと思います。  現在、国立、公立、この医療機関病院診療所等を含めて総体の医療機関数の四%強しかございません。先ほどから私が申し上げております、いわゆる救急医療体制の整備あるいは無医地区の解消、町村部の医療確保、こういう問題、この問題の当面の対策ということになれば、四%の残りあと九六%の民間の医療機関、ここに従事をするお医者さん、この方の協力を求めなければ、この方の動員を図らなければこれらの問題というものは解決できない問題であろうと考えるわけであります。これは私の考えでございますが、厚生省お尋ねをいたします。  現行制度のもとで、国の行政責任において民間の医療機関を適正に配置することが可能かどうか、現在の制度でこれができるかどうか、ひとつ厚生大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  94. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) 御承知のように、日本の医療は民間医療が主体でございまして、それを補うのに公立、国立があるわけでございます。民間の開業医さん、民間の病院に強制的に地域配分を強制するということは、現在の法律では不可能だと思っております。
  95. 大塚喬

    大塚喬君 そうしますと、私が言いたいことは、まあ民間の医療制度を基本にする日本の現状の中から大変こういう問題が起きておる、私はこう考えておるわけですが、これらについては厚生大臣としては、もう方法がないから、この民間医療機関の協力要請というこういう問題、そういう行政責任というものは一切もうとるわけにはいかないんだと、こういうことになるわけですか。
  96. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) そうではないんで、法律的に強制して無医地区に行けと言うことはできない。そこで、たとえばいま奨学資金、あるいは自治体病院等を出られたお医者さんに短期間でいいからひとつ行ってもらいたいと、いわゆるボランタリーのそういうお医者さんの勧誘とか、保健所なんかにはそういう奨学資金をあれしまして、お医者さんに保健所勤務になっていただいている率は非常に多い。さらに、そういう無医地区に行ってもらうということ。昔、日本大学とか各大学、ボランタリーの、卒業したら八丈島へ行ったりするということは相当活発にやられておったわけです。最近それが非常になくなったので、私は、やはりお医者さんもヒューマニストが多いわけですから、大学とも相談しまして、これ、長期間というとなかなかむずかしいのですね。ですから、短期間にボランタリー医療というようなことができぬものだろうか、しかも自治体病院もできましたし、奨学資金も皆もらって大学を出る人が多いんですから、そういう働きかけもいたしたい、しかし同時に、民間を補う意味診療所とか、国立とかあるいは公立の病院なり医療施設あるんですから、これは強制的に政府でやろうと思えばできるわけで、まあそれはそれで補ってまいりたい、かように考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、開業医さんに法律的に強制力で行けと言うことは、いまの自由主義体制ではできないことだけは御了解賜りたいと思います。
  97. 大塚喬

    大塚喬君 強制的にという言葉で誤解が生じてはいけませんと思いますが、国民が現在の医療行政、救急医療、こういう問題についてもう大変大きな不満を持っておることは厚生大臣も御承知いただけると思うわけですが、この問題を当面どう対処するかという問題で、先ほど申し上げましたように、十万以上の都市はお医者さんの数が十万人当たり三倍もいる、町村部にはその人口比にして三分の一程度しかお医者さんがおらない、何とかしてくれと、こういう国民の願いであります。  それをどう対処するかという問題で、やっぱりお医者さんが偏っているわけですから、民間の医師及び民間の医療機関、これが適正に配置をされれば、こういう問題の解決にはずいぶん大きな力を発揮すると、こう思うわけです。それを国民としては、厚生大臣という肩書きのついた偉い人がいるんだから、そういう人がひとつ国の行政責任で骨折ってくれないかと、これは率直なそういう願いであろうと思います。私は、こういう方法について厚生大臣としてどうお考えになるのか、お尋ねをいたします。  この医療機関医師の適正配置という問題で開業規制の制限地域、それを一つ設けること、それから国の行政でそれにそれぞれの力をプラスして開業誘導地域、これを国と各都道府県が協力をして開業規制地域、開業誘導地域、こういうものを設置する方法、現行法のもとでこういうことは可能かどうか、厚生大臣答弁をお聞かせいただきたい。
  98. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) 開業規制地域と、これはなかなかむずかしい問題でございまして、いまむしろ逆に官公立の、ベッドを制限するという、医療審議会で今度は開業医さんの方から、官公立が余りベット数たくさんやられたら開業成り立たぬということで、これはできることになっていますが、自由企業の開業医さんの開業地域規制というのはちょっとむずかしい。  ただし、後段の誘導地域ということ、これは私はいろんな方法があると思います。たとえば医療金融公庫の融資をそういう場合には特別に配慮するとか、あるいは税制の面、あるいは収入の面、こういった面におきまして自治体、国が相談して特典を与えるとか、いわゆる誘導的な地域医療ということは十分先生の御提案でもございますので考え得ることでもありますし、真剣に検討してまいりたいと考えます。
  99. 大塚喬

    大塚喬君 まあいまの制度の中ですから、私も強権をもってそういうことをやれという、こういう主張ではございません。しかし、その誘導地域の設定という問題は国の行政の責任で、これはもう十分こういう問題について検討をいただき、そして具体的に移せる方法がある、私はそう考えるわけで、いまの質問をいたしたわけでございます。どこかの団体に余りに気がねをしておどおどしながら逃げ腰で考えられたんでは、いまこういう国民要望というのは、これはもういつになっても実現はできないと思います。  先ほど私が、北海道で医師の手当一日七万円という数字を申し上げましたが、これは自治体と医師の自由契約、こういう中からこのような七万円という額が決められた、契約料が掲げられた、こういう事実を聞いておるわけであります。  第二の問題は、自治体が地域医師会と契約を結んで実施をしておるこれを全国的な制度として確立すること、このことは現行法の中でも十分可能ではないか。このことと、もう一つは公設の病院診療所、まあここのお医者さん、一定の限度内で交代で出向する、こういうことを何か義務づけみたいな方法で国民医療に対する困窮を解消いただけないかどうか、こういう考えでございますが、この私の主張に対して厚生大臣としてどうお考えいただけますか、答弁をお願いします。
  100. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) 北海道だけではなくて、ある都市の大きい医師会と十キロ、二十キロ離れた山村僻地の無医地区と契約をして当番医療巡回と、それには一日七万円はどうか、まあよく存じませんが、五万でも契約してやるということは、北海道に限らず私はやっているところも承知いたしておるわけでございまして、そういうことで広域無医療、無医地区解消と、広域医療によって無医地区解消ということが進めば非常に結構だと思いますので、これの検討はもちろんいたしたいと存じます。
  101. 大塚喬

    大塚喬君 私は、そのような各地域的に医師会と自治体が契約をしておる、こういうことを全国的な制度として現行法の中でできないか、そういう努力をするお考えはないかと、こういうことを大臣にお尋ねしているわけです。
  102. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) そういう方向で検討はいたしたいと思います。それで、われわれといたしましては、そういう市町村と地区医師会等とが契約できるような方向で、いろいろその助成の方法があればそういった方向で検討してまいりたい。ただ、僻地医療対策といたしまして従来われわれが実行いたしております方法といたしましては、その僻地近くに存在いたします公的病院を使いまして、そこを地域中核病院といたしまして、そこから医師を派遣する、こういった費用についてめんどうを見ておるわけでございまして、現在、われわれのとっております制度といたしましては、地域中核病院から医師を派遣するという、そういった方向で検討をさらに進めたいと思います。
  103. 大塚喬

    大塚喬君 もう一つ。三つ目の提案は、その医師免許取得後三年とか五年とか一定期間に限って勤務地を指定し、その指定地の勤務を勤め上げたれば自由に開業できる、こういう問題は現行法の中で可能かどうか。私が、いま高校生何人か知っているわけですが、私立大学に進学する者、それからそれの父兄、こういう人たちの話の中で特に感じたところでございます。年間何千万円もかけて公立のあるいは国立の医科大学に進学をさせる、そういう人たちがそれだけの国の恩典を受けて、このような医療行政の貧困の中で、困窮の中でそういう人たちに対する協力というものは当然あってしかるべきではないか、こういう考えを聞かせられたわけでございます。医師の免許取得後、ある一定の期間、その国なり県なりが指定する勤務地に勤務をする、こういうことを義務づけることが可能かどうか、この点。  それから、時間がなくなったものですから、これは厚生大臣の今後の奮闘を期待し要望するわけでありますが、救急医療対策費、これの五十年度、五十一年度の予算を調べてみますと、五十年度が三億七千五十二万円、五十一年度が九億九千五百四十一万円、それぞれ千円単位の端数がありますが、このようになっております。これは間違いないと思いますが、いかがですか。  それを現在の国民総人口一億一千二百万として計算いたしますと、国民一人頭救急医療対策費が、昭和五十年度が三円三十銭、国民一人当たりの救急医療対策費が三円三十銭、五十一年度の国民一人当たり救急医療対策費がこれは二倍以上にふえております。大変大幅な増額ですが、年間八円八十八銭。この具体的な数字を厚生大臣としてどう受けとめて、今後どう対処をされるお考えか、厚生大臣の決意を表明いただきたいと思います。  二点、最後の質問といたします。
  104. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) 第一点の御提案、まことに私は検討に値することだと思います。国立大学のみならず、そのほかに育英資金というような膨大なものを出しているわけですね。ところがこれは、育英資金出して卒業した、資金は返しますよと、こういう人も多いわけです。ですから、非常に困っているんですが、まあせめてこれはやはりボランタリーにできればいいですが、さらにいま御指摘のように、法律で何かの条件をしぼって、地域的な医療過疎地域に二年でも三年でも、そういうように特に国の費用はかかっている、さらにまた育英資金もあれしているというようなあれに限って、法律ができれば一挙にこの問題は解決しますし、それから医療担当者のヒューマニズムという立場から言っても、ぼくはお医者さんにとっても結構なことだと思うんですね、そういうことで非常に国民に評価されるというのは。ですから、真剣にいま言ったような法制化ができるかどうか検討をしてまいりたい、かように考えます。  なお、予算のことでございますから、第二の御質問は医務局長からお答えさせます。
  105. 石丸隆治

    政府委員石丸隆治君) 救急医療対策費として国が組んでおります予算は、ただいま先生指摘のような数字でございます。  ただ、これの問題につきまして、われわれその増額に努力をいたしておるところでございまして、先ほど御答弁申し上げましたように、本年四月、救急医療懇談会をつくりまして、その御答申に基づきまして昭和五十二年度予算要求を行っておるところでございまして、それはいま要求の段階でございますけれども、一挙に百二十四億という数字を要求をいたしておる、そういう段階でございまして、今後この救急医療対策費につきましては格段の努力を払いたいと思っております。
  106. 鈴木力

    委員長鈴木力君) 午後一時十五分から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時十七分休憩      —————・—————    午後一時十九分開会
  107. 鈴木力

    委員長鈴木力君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  108. 黒柳明

    ○黒柳明君 建設大臣と住宅公団の総裁済みません。厚生の所管ですけれども、ちょっと関連でお聞きしたことがありましたものですから、どうしても厚生中心になるかと思いますが、ひとつその点御了承いただきたいと思います。  冒頭に、厚生の方にお伺いする前に公団の総裁からお伺いしたいんですが、北海道の札幌の北区の篠路地区の用地取得の状態、若干お伺いしたいんですが、土地の取得面積、それから取得の始まつた期間、それから取得に対する代金、この三点まずお伺いします。
  109. 白川英留

    参考人(白川英留君) お答え申し上げます。  まず、取得の状況でございます。  取得予定面積は二百八十六ヘクタール、そのうち取得済みの面積、これが二百八十五ヘクタールでございまして、このうち一一・八ヘクタールを勤住協に譲渡いたしております。したがって、土地の取得の進捗率は九九・七%でございます。取得土地の内訳といたしまして、農地が二百五十七・六ヘクタール、非農地十五・六ヘクタールでございます。金額は九十億七千八百万円でございます。
  110. 黒柳明

    ○黒柳明君 取得の始まったとき。
  111. 白川英留

    参考人(白川英留君) 取得の始まったのは、四十八年十二月から五十年二月までであります。
  112. 黒柳明

    ○黒柳明君 五十年二月現在——継続中のものも若干あるのですか。
  113. 白川英留

    参考人(白川英留君) 一ヘクタールだけ残っておりますから……
  114. 黒柳明

    ○黒柳明君 まだ完了してない。
  115. 白川英留

    参考人(白川英留君) まだ買う予定でございます。
  116. 黒柳明

    ○黒柳明君 その全体二百八十六ヘクタール予定、まあ二百八十五取得したわけですから、ほとんど取得済みなわけですが、その中で北海道の勤労者住宅生活協同組合のあっせんによる分と、それから公団が直接に買収した分、この面積はおのおの何ヘクタールずつですか。
  117. 白川英留

    参考人(白川英留君) あっせん依頼による買収は二百七十一ヘクタールでございます。それから、公団が直接買収いたしましたのは十四ヘクタールでございます。
  118. 黒柳明

    ○黒柳明君 いまの公団の方の御答弁を前提にしまして、厚生省の方にお伺いしますけれども、住宅問題は、これは非常に国民最大の課題でありまして、政府当局もまた公団当局もお骨折りをいただいておることについて、ある意味では私も評価せざるを得ないと思います。いろいろなむずかしい点もあるだろう、こういう事情も私も知っているつもりであります。しかしながら、引き続きとは言え、この四十八年取得を始めたころのいわゆる田中内閣の土地政策、これに対していろいろ私も疑問を持ち、行政が継続するという点があるにせよ、非常に住宅に対する政府の施策、または公団の姿勢というものに対して疑問がある。こういう点は、後ほどまた建設省の方にお伺いしたいと思うんです。さらに、いま申しました北海道の生活協同組合、まあ勤労者のために一生懸命いろいろな面で活躍していることも私存じており、敬意を表しております。しかし、問題は問題としてやっぱりきちっとしておく方がいいし、せざるを得ない、私こういう感じがするわけであります。  そこで、いわゆる北海道の生協が二百七十一ヘクタールの土地のあっせんを公団にしているわけですが、こういうことはどうなんですか、生協の定款ではできることになっているんでしょうか。厚生省の方、いかがでございましょう。
  119. 末次彬

    説明員(末次彬君) お答えいたします。  元来、消費生活協同組合と申しますのは、組合員のために事業を行うということを目的にしてできている制度でございまして、したがいまして、組合員以外の者との間に土地売買のあっせん契約をするということになりますと、消費生活協同組合法に照らしまして、その点につきましては問題があるというふうに存じております。
  120. 黒柳明

    ○黒柳明君 問題があるということは、端的に言えばこういうことはできないんだと、こういう前提を含んで、先ほど言いましたように、この全国的な生協がいろんな問題点があるということも私若干知っていますが、それを越えて勤労者のために一生懸命やっていると、こういう評価もしております。しかしながら、やっぱり立法府でありまして、法に照らしてみてうまくない点はやっぱりうまくない、こう指摘する方がこれは本来のあり方だと、こう思うわけであります。ですから、問題があるというのは、定款にのっとりましてそういうことはできないんだと、こういうことで理解してよろしゅうございますか。
  121. 末次彬

    説明員(末次彬君) お答えいたします。  消費生活協同組合法上、組合員のための事業ということを目的にいたしております。そういった趣旨からいきまして、生協の行うべき業務範囲を越えているものというふうに御理解願いたいと思います。
  122. 黒柳明

    ○黒柳明君 申しわけありません。済みません、いまちょっと……、もう一回、申しわけないです。
  123. 末次彬

    説明員(末次彬君) 消費生活協同組合と申しますのは、組合員のための事業を行うということを目的といたしております。したがいまして、こうした生協の目的からいたしまして、生協の行うべき業務範囲を越えているものというふうに御理解をいただきたいと思います。
  124. 黒柳明

    ○黒柳明君 業務範囲を越えている、問題である、定款にのっとったものでない、もっと言うと違法である、私はこう言いたいわけなんですけれどもね。いま課長さんが問題があるとか、のっとったものじゃないと、こういうことは私の趣旨と全く一致だろうと思うわけでありますが、この裏にはいろいろな問題が介在しておりますんで、政府としてもいろいろ問題、十分に知っておりますので、それを何とか解決したいということも、御存じのようにきのう札幌の市当局から私のところに来た書類では、本年の三月、道警の北区で官憲の事情聴取を受けている。こういう警察問題にもなっているということが札幌の方から、これ一々経過として市の方から来ておりますので、非常に今後発展もするし、また、問題がいろいろ複雑なんで、だからと言って問題がある、あるいは範囲を超えておると、こういうことではなくて、はっきりこれは定款で認められてないものである。  そうなりますと、これは公団からいただいた書類に書いてありますが、生協の方が土地をあっせんした手数料として九千六百万公団からあっせん依頼料をとっている、これも確認していただけますか。
  125. 末次彬

    説明員(末次彬君) 本件あっせん契約の内容につきましては、私どもまだその詳細を承知いたしておりません。したがいまして、その九千六百万云々が生協に入ったかどうかという事実確認もいたしておりませんので、この点につきましてはちょっと御答弁を差し控えさせていただきます。
  126. 黒柳明

    ○黒柳明君 済みません。それじゃ公団の方、いまの事実は間違いありませんですな、あっせん料を生協の方に九千六百万円払ったという……。
  127. 白川英留

    参考人(白川英留君) 間違いありません。
  128. 黒柳明

    ○黒柳明君 よろしゅうございますね、課長さん。当然御存じなことで、正式の場ですからね。順序を踏んでお答えして、何ぼ時間がかかるわけじゃありません、九千六百万。そうすると、生協が厚生省——大臣、ここで大臣お出まし願うわけですけれども、全国の生協、これについての評価する面、これの方が多いことは当然です。だけど、その中において若干少数のところで問題があることも私認識しております。しかし、やっぱり問題といいましても厚生省の管轄下にある団体、しかも定款にのっとって運営されているところが、定款にない違法な土地のあっせんをやっている、しかも九千六百万もあっせん料を取っている。この金額についてまた問題があるんですけれども、まず大臣、この事実について、これは完全に事実関係、この場ででも簡単な論理ですから、もう納得していただいたかと思うんです。これはどうお感じですか、まず。
  129. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) 本件につきましては、直接の所管行政庁である北海道知事を通じて実態を十分調査いたしておりますが、消費生活協同組合についてのその業務運営については遺憾だと存じまして、今後そういうことのないように十分指導してまいりたいと考えます。
  130. 黒柳明

    ○黒柳明君 遺憾なことは当然。また、前に私が知っている限り、こういう同趣旨の問題を起こしてはいないだろうと思います。今後は当然こんなものが起こっちゃ、うまくないわけです。ただ問題は、金銭が絡んでいますね、九千六百万もの委託料、ここらあたりも含んで道警が何か捜査しているような感じが私はするんです。  そこで問題は、定款違反、その事実を現に犯している。あっせん手数料九千六百万入手していることも間違いない。遺憾であるという大臣の答弁、今後こういうことのないようにしたい、これはもう総括的な根本的な姿勢ですね。だけど、問題というのは非常に具体的です。場所もあるいは面積も、あるいは金額も年月日もすべて具体的だ。こういう具体的なものにつきまして、ただ遺憾です、今後ということじゃ、私は所管の官庁として済まされないんじゃなかろうか、こう思いますが、大臣いかがですか。もうちょっと具体的な前向きな答弁ができませんですか。
  131. 末次彬

    説明員(末次彬君) この点につきまして先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、本件につきまして私どもは、直接の所管行政庁でございます北海道知事を通じての報告をまだ受け取っておりません。したがいまして、この後の取り扱いにつきましては、所管行政庁でございます北海道知事の調査結果あるいはその意向など十分確めた上で対処いたしたい、かように考えております。
  132. 黒柳明

    ○黒柳明君 いまもその前に大臣が、所管である北海道からいろいろ聞いておりますと言ったじゃないか。聞いてないんですか。おかしいじゃないか。だから課長、ここに来ていろんな公式的なことをつくろったってしょうがないじゃないですか。つくろう必要ないじゃないですか、もうすべて知っているんですから。遺憾は遺憾で、しようがないじゃないですか。ここで大臣をかばおうったってかばい切れるものじゃないじゃないですか、事実関係はっきりしているんですから。大臣は道庁の方から聞いていると。それを擁護するためにすぐそんな聞いていませんと、そんなばかなことは考えられませんでしょう。課長さんとしても非常につらい立場だろうことはわかるけれども、しようがない、起きちゃった事件だから。大臣が直接の責任官庁の大臣になっちゃったんだ、しようがないですよ。これについて課長が聞いてないなんてそんなことはない。大臣そうでしょう。私が言っている方が理が正しいでしょう。もうちょっと具体的な答弁を大臣してください、課長さんかわいそうだ、そうじゃないと。何とかうまく大臣、大臣だ、大臣。
  133. 末次彬

    説明員(末次彬君) まず先に……。
  134. 黒柳明

    ○黒柳明君 大臣——質問者の要求にこたえなければだめだ、そんなことは。大臣やりなさい。課長に言わせるとまたおかしなことになる。
  135. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) 先ほど申し上げましたように遺憾な事件でございますが、そういう契約のあったことはわかっておるんですけれども、具体的に金銭関係、そういった点にまだ十分承知いたしておりませんので、そういった面につきましてはさらに検討して遺憾なきを期したい、こういうことでございます。
  136. 黒柳明

    ○黒柳明君 所轄官庁がみずからの監督不行き届きでょう、知らないということは、認めますな、大臣。みずからの監督不行き届きでしょう、そんなことを知らないということは。どうですか、認めますね、大臣、その点は。大臣。
  137. 末次彬

    説明員(末次彬君) 本件につきましては……
  138. 黒柳明

    ○黒柳明君 認めますね。その点は。知らないということは。
  139. 末次彬

    説明員(末次彬君) はい。本件につきましては存じ上げません。
  140. 黒柳明

    ○黒柳明君 それで大臣、だから私たちがこんなことをやる必要はない、所管の官庁である皆さん方がやるんだ、こういうことは。それをこういうところで資料を提起されて、お隣にいる総裁、いまはっきり具体的に物を申したじゃないですか。しかも複雑なことじゃないでしょう。単純明快じゃないですか。あっせん料九千六百万取っています、行っています、こういうことでしょう、大臣。いいですか。その事実をここで私指摘したんです。それ以上のことはないんです。それを踏まえて、知らなかった落ち度、監督不行き届き、そしてそういう金銭、依頼料が行っている。それがここではっきりしたんですから、これは疑惑を持つわけじゃないでしょう。ここで提起されたら、不行き届きな面をさらに謝るとともに、与えられた問題に対してどうすると、これはやっぱり政治的トップにいる大臣の役目じゃないですか、立場じゃないでしょうか。当然じゃないですか。もっと積極的にやらなければだめですよ。具体的に問題を提起している。明瞭なんですから。どうします、これ、大臣。金銭の問題なんです。——待ちなさい、ちょっと委員長待ってください。政治的判断だから、課長はもうさんざん論議しているんだから、大臣、具体的に問題どうするのか。
  141. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) この問題につきましては私も実はつまびらかに聞いておりませんので、事実関係その他について課長からお答えいたします。
  142. 末次彬

    説明員(末次彬君) 本件の取り扱いにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、直接の所管庁でございます北海道知事、これは行政のルートでございますので、そのルートを通じまして正規の手続をとりつつ、今後その適正化を期してまいりたい、かように思っております。  また、消費生活協同組合としての業務運営につきまして御指摘のような点がございましたわけでございますが、この点につきましてさらにその適正化と申しますか、消費生活協同組合としての業務運営のあり方等につきまして十分認識させるとともに、今後さらに全般的な問題につきましても、遺憾なきを期するように指導してまいる所存でございます。
  143. 黒柳明

    ○黒柳明君 そんなことは一課長が言うべきことじゃないですよ、そんなことは。百歩譲って、知らなかったとしたっていいや。——相当前からその事実もう教えたでしょう。いまここで課長と会うんじゃないんです、私は。私の部屋で何回もお百度を踏んで事実関係というものを教えたじゃないですか。この場で何とか大臣の前に答弁をなんて必要ないと。私もそういうふうに言ったじゃないですか、それの方がいいですよと。いまになって、全部道の方に押しつけようと、それで作戦を練ったと。私は善意だから、いろんなことを調べなさい、やりなさい、こうですよ、ああですよと言ってやったでしょう、現に。これは間違いない。だから百歩譲って、事実関係をいま知ったとしても、大臣——もう大臣の答弁なんですよ。一課長指導するとか何とか言ったって、この裏はいろいろ複雑なんですから。そういうことは後で聞いてください、勉強してください。これはこれでいいです。だけど、定款違反をやりまして、九千六百万、一億の委託料を取っているんですよ。  さらに私は、大臣のこれから道庁の方にとか、こう言うんならいい。その金は生協が入手していますから、帳簿上どう使途が明瞭になっていますか。あるいは極端なことを言うと、これは帳簿に記載されていない、業務上の横領、収賄にまで発展しているんですからと、こう言われたときには、所管である道庁によく聞きますとか、こういう答弁でいいんですよ、私はそこまで要求していないんだから。いいですか、ここで事実、簡単なことじゃないですか。定款違反で一億近いあっせん料を取った、この後のことを聞いているんじゃないんですから、私は。それに対して課長に、失礼だけれども、一課長にそういう政治的判断を押しつけて行政指導、これは大臣もおっしゃったじゃないですか、遺憾であると、今後そういうことのないようにしたいと。これはいいですよ、そのとおりです、結構です。  だけど、問題が複雑、警察も手を入れている、こういう事件だから、百歩譲って、いま大臣がここで知ったとしてもそんなことはないんです。だから道庁から報告を受けているって大臣言ったばかりじゃない、議事録見りゃわかりますよ。そう言ったじゃないですか。譲ったとしてもここで問題指摘されて、明快なことなんですから。定款違反、一億も依頼料取った、これが収賄につながるか、業務上横領につながるかわかんないですよ、さらに先は。そこまで尋ねてません、その手前です。わずか簡単なことをわかったんだから、この場でもこれはどうするか、こういうことをはっきり言わなかったら、所管の大臣として責任とれないじゃないですか。こんなばかな審議だったら、これだけの資料を提供して、そういうものをただ提示してみたってむだですよ。どうですか大臣、もうちょっと具体的に前向きにはっきりした答弁をしなさい。
  144. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) 実は私に対する答弁要求なかったものですから、生活課長だけの答弁で、まことに恐縮でございますが、事実関係つまびらかにいたしません。いま黒柳委員の御指摘のとおりでございましたならば、まことに監督官庁として遺憾きわまりないことでございます。ただ、犯罪構成するかどうか、これは警察関係の問題でございますので、そこまでは私の方といたしましては云々するつもりはございません。まことに監督不行き届きで遺憾でございます。
  145. 黒柳明

    ○黒柳明君 私に対して御質問があるかどうかわかりませんなんて、ここは厚生所管ですよ。厚生所管で、厚生大臣が出て、まあ建設大臣と総裁は所管じゃないですから、私一言敬意を表しました、ありがとうございましたと。それは礼儀です。厚生大臣が出てきて、私は答弁……これは委員長、ちょっといまの発言問題だから注意してください。私に答弁の要求がなかったもんでなんて、そんな大臣、私も短い国会生活だけど、私余り追及なんてやったことない。ですけども、そんな言葉聞いた大臣初めてだな。委員長、私に答弁要求なかった、一々これは所管大臣に、ひとつこういう質問だからこういう答弁って要求しなきゃならないんですか、この委員会は。どうですか委員長、見解、いまの大臣発言、私答弁要求なかったって言うんですよ。一言しかるべく処置を、注意してくださいよ。
  146. 鈴木力

    委員長鈴木力君) 大臣、御発言ありません  か。
  147. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) 実は、こういう事実関係をつまびらかに報告課長から受けてませんでしたんで、先ほどのような御答弁申し上げましたんですが、いろいろ問答をお聞きいたしまして、監督官庁として、厚生省としては遺憾である、こう申しておるわけでございます。
  148. 黒柳明

    ○黒柳明君 課長さん、大臣に報告しなかったんですか。まああなたを責めてもかわいそうだけど、どう。報告しなかったと、大臣に。悪いけど課長さん、大臣に報告しなかった——そしたら爆弾落ちるよ、報告しないなんて言ったら。そんなでたらめなことだったら怒るぞ、これは。報告しなかった、大臣。——大臣に報告したかしないか。
  149. 末次彬

    説明員(末次彬君) 詳細について報告をいまだやっておりませんでしたんですが……。
  150. 黒柳明

    ○黒柳明君 どの程度大臣に報告したか。
  151. 末次彬

    説明員(末次彬君) 問題のありましたことにつきまして……。
  152. 黒柳明

    ○黒柳明君 具体的に。
  153. 末次彬

    説明員(末次彬君) はい、項目として申し上げた次第でございます。
  154. 黒柳明

    ○黒柳明君 具体的に言ってごらんなさい、それを。何と何を教えたか。
  155. 末次彬

    説明員(末次彬君) 北海道勤労者住宅生活協同組合と日本住宅公団との間の土地売買あっせん契約をめぐる問題につきましてトラブルが生じているという趣旨でございます。
  156. 黒柳明

    ○黒柳明君 その一言か。
  157. 末次彬

    説明員(末次彬君) そういうことでございます。
  158. 黒柳明

    ○黒柳明君 あなた責めても趣旨じゃないんで、私はあなたを責める気はない。だけど、そんなばかなことをね……。だから、局長を出しゃよかった、局長を。課長がわざわざ矢面に立って、損な役目することはないじゃないですか。まあいいです。  大臣、遺憾であったと、これはわかる。それで具体的に知ってない、報告受けてない、答弁の要求がなかった——本当に考えられない。考えられないと言ったって、ここで何もそのことを取り上げて言ったところで、大臣の管轄下にある時期もあと幾ばくもあるかどうか疑問なわけですから、まあ結構でしょう。そこで、遺憾である、これはいいですよ。具体的な処置、これをいま大臣として、私失礼な言葉だけど言わしていただきますよ、大臣。聞いてなかった、あるいは、大臣の要求なかったから答弁もなんて、そういう、失礼だけど全く私のこの本当に短い国会生活でもあり得べからざる答弁が返ってきたんで一言言わしていただきますと、こういうものを判断するのが政治的な立場で大臣の職責じゃないですか、課長局長にできないこともあるわけですから。これはある程度問題聞いていたでしょう。二つだけですよ、いま問題は。定款に対してどうなんですか、あっせん料もらってますか、それだけのことですからね。それに対してとっさの判断——何もこれは判断したところで別にどうってことはないんです。それをできないって言うような大臣であるならば、大臣としての適格性が問題になるんじゃないか。失礼な言葉で申しわけありませんな、大臣がこう私の常識外のことをいろいろおっしゃったんで、だからそれを今度は私踏まえざるを得ないわけですよ。もう大臣としての適格性が、こういう答弁が即座に出ない。遺憾だ、遺憾だ。これだけ簡単な具体的事実。そういうふうに感じますよ。まあこれは私の主観、失礼な言葉あったら許してくださいよ。  それで質問は、あるいは要望と言ってもしようがないでしょう、ひとつこういう問題はっきりしたんですから、課長さんに、いま言った一言の報告じゃなくて、あるいは道からいろんな書類取りまして、問題は一億の金が絡んでますから、これについてすぐ認識熟知しまして、これに対してきちっとした対処をしてもらう、いいですか大臣、対処をして、私にその方途というものを報告してください。約束できますか。またその時期もね。相当前からです、四十八年から。もう三月には道警の方で事情聴取してるんです。いまもう十月、やがて十一月ですから、選挙に入ればこれはもう皆さんお忙しくなるんですから。時期は、相当たっていますから、ですからいま新しい事実ということじゃないわけであります。そのことも踏まえまして、ひとつこの全貌というものをよく熟知すること。一億からの大金が絡んでいますんで、これについての入手、帳簿上の処理等を明確に把握しまして、定款違反した、したらしたでしょうがない、過去のことですから。今後遺憾なきを期する——当然です。だけど、この起こった問題に対してどうこれを指導監督していくか、この具体的方途というものをひとつ報告していただく、この約束をしてください。しかもその時期は、いま国会で取り上げられたんだというものの、実はもう課長さんから話をしてますからね、前から。公団の方じゃ前からの話ですから、所轄官庁として非常に怠慢だ、こういうことになるんで、ひとつ速やかに、今国会中ということでしょうな、今国会中、これに対してどう処理するかという方途を報告してください。約束できますですね。
  159. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) この問題について詳細聞いておりませんでしたので、まことに御不満な点があったろうと思います。その点はおわび申し上げます。監督官庁として御趣旨に沿いまして実情を把握し、今後どう監督行政として処理するか御報告させていただきます。
  160. 黒柳明

    ○黒柳明君 時期的な点もよろしいですね。
  161. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) ええ、もうできるだけ早くですね。
  162. 黒柳明

    ○黒柳明君 厚生省課長さんの方が余りこうやりとりするのも立場上があるんで、ちょっと建設、総裁の方にいきますんで、御了承ください。  ということなんです、建設大臣、総裁。要するに厚生省として所管の生協としてはやっちゃいけない業務——やっちゃいけないから業務とは言えないかもわかりませんですな、そういうことをあえてやった。そこから二百八十五ヘクタール、まあこれは後でまた建設大臣に、非常に前向きの発言をしていることは新聞やテレビで認識しておりますので、最後に一言そういう政策論議についてまたお尋ねしたいと思うんですけれども、まあそれはそれとしまして、住宅公団が幾ら国家の政策上とはいえ、非常に住宅問題でいろんな悩みを抱えている、これはもう間違いない。その中において幾ら四十八年当時といえども、幾らいろんな事情があったとしても、やっちゃいけない生協から、住宅公団は住宅の専門家ですから、民間のそこらの不動産屋とかが悪意でやったとか意図的にやったとか、これはもうさらに悪質であるという非難は免れない可能性もあるんですね。専門家が、公共的な要するに公団が、こういうやっちゃいけないところからあっせんしてもらったその事情、その時期、その方途はいずれにせよ、これは非常にうまくないことであった、こう思いますが、総裁どうですかね、これは。
  163. 南部哲也

    参考人(南部哲也君) 篠路の問題につきましては、大変黒柳先生にかねがねから御注意いただきましてありがとうございます。  本件につきましては……。
  164. 黒柳明

    ○黒柳明君 まずそこだけ、一点だけちょっと。
  165. 南部哲也

    参考人(南部哲也君) はい。  経過から申しますと、日本勤労者住宅協会から、実はこの問題につきまして共同開発の申し出がございました。その勤住協の下部団体である北海道生協がすでに篠路地区について用地の取得の交渉をしておると、こういう実は前提がございました。そこでわれわれの方といたしましては、これを共同開発するということであるんで、生活協同組合の方に用地取得のあっせんの依頼をいたすというのが事実でございます。  ただ、いま御指摘のように、協同組合の方のいろんな法的な制限その他につきましては、私の方で調べ方が至らなかったために厚生省の方にもいろいろいま御迷惑をかけておるという点については、深く反省いたしまして将来の資にいたしたい、このように考えておる次第でございます。
  166. 黒柳明

    ○黒柳明君 要するに生協を通して、私さっき言ったように、そこらのデベロッパーや不動産屋ね、意図的にやるところが間違った、あるいは知っていてやった、これならいざ知らずというところですよ。ところが住宅公団がいろんな、きのうも出てまいしたな、車内広告やるっていうんでしょう。さらにテレビでコマーシャル流すかもわからぬ。全部それが家賃にかさ上げしてくるわけでしょう。さらにそちらから受け取った資料によりますと、八カ所も用地取得したけれども、いろんな事情があって——農地転用の問題あるいは地元の反対の問題莫大な百億からの金利を抱えているような場所もあるということでしょう。その最大なるものはこの北海道ですな、この北区ですね。そういう問題を抱えている。もうある意味では相当非難がありますね。いま総裁がくしくも前からと、私そんなつもりであれしたんじゃないんですけれどもね。やっぱり国政にちょっとでも足を突っ込んでいるからには、みずからの力で幾分でもなおよくなればという、こういう前向きの姿勢で確かにいろいろこう御指摘したことがあります。だけど今回の問題、勤住協の方と共同開発と、それはそれですよ。さらにその下部組織の生協、これはこれですよ。完全に勤住協だって生協だって定款あるいは契約の上で土地のあっせんなんかやっちゃいけないと、そんなことを明記してある。そんなことはちょっと調査という問題じゃない。そこまで住宅公団が熱心な余り調査しないで買っちゃったんだと、こうなると、公団にこれから任せ切れないんじゃないですか。政府の予算対策の上でもこれは考えてもらわなならぬですよ。大臣、そんなもう国民のために住宅確保するために何でもやっちゃおうという姿勢があるならば、そんなことじゃないと思うんですよ。いろんな裏があるので、これについて私たちも一党として、議員として一生懸命解決の方向に協力したいと思いますよ。ですけれども、こんなもうわかり切っていることを専門家である公団がやるなんということは、全く勤住協がどうとかこうとかいう問題じゃないんじゃないでしょうか。この点だけ。  それであと問題点、ちょっとお聞きいたしたいと思うんですけれども、いま厚生省からそういう話が出ましたので、もっといろんなことで具体的に聞くのを、問題を、用意したんですけれども、どうも課長さんに会っても、どうかななんというような点があって、根本的にははっきりしましたので、総裁の方にお伺いします。いまの点だけでいいです。  そういうことから、厚生省でも遺憾である、今後調査しなければならない、行政指導しなければならないというところから、いろんな観点で空き屋住宅問題になっている。用地取得で全然進まない問題がある。その最大のものがこの北海道ですよ、用地取得の。面積でもある。金額でもある。それがほとんどが定款違反をしてやった生協から買ったということについて、これは根本的にまず総裁の認識と、これに対する態度というものをきちっとしてもらわないと、その次にちょっと進めないですな、厚生省からこう引き続きましても。その点一言はっきりしてくださいよ。一言でいいです、またあれしますから。
  167. 南部哲也

    参考人(南部哲也君) 大変遺憾なことであって、今後につきましてこれを十分な反省の材料にしたい、このように思っております。
  168. 黒柳明

    ○黒柳明君 これは厚生省所管なもんですから、総裁、建設大臣、私はいろいろなことを指摘して質疑応答をしたいんですが、ひとつ総裁の方からまとめて簡明にこの用地取得に対するいまに至るまでの問題点、農地、農転法もあるでしょう。あるいは租税特別措置法で免税になったところは今度は追徴取られたという問題、税金も問題ありますね。そんなことを含めまして一つ、二つ、三つ、ひとつ総裁がこの問題を問題にして、私が本年の三月、これはもう総裁知っているでしょうね、この問題を指摘しようと思った。ところが機会を逸していまになった。だから、その間に私が指摘したこと、どう——国会じゃないですよ。私の部屋に来てもらいまして、問題点というものを様子をいろいろ聞いて指摘した。それを動機にしていろんな点も改まっているわけですね。そのこともはっきり含めて農転の問題とか税金の問題とか、こういうことをひとつ言っていただけますか、理事の方からで結構です。
  169. 中馬辰猪

    ○国務大臣(中馬辰猪君) すべての責任は建設大臣にあるわけでございますから、私は二つあると思うんです。  一つは、過去のいきさつを極力明らかにするということ。第二は、それを踏まえてなるべく早く解決をしてもらって、そして勤労者の方々に少しでも早く優良な住宅を提供したいと、この二つがあるわけでございますが、第二の問題を解決するために、どうしても第一のことを解明しなければ進まないわけでございますから、私もいま初めて話を聞いておりまして、どうしてそんな資格のないところなんかに頼んだんだろうかという気がするわけです。それにはいろんな事情があったでしょう。早急に調べて一日も早く解決をする。農地転用の問題とか、あるいは金利の問題とか、あるいはその他過去の問題がございますから、建設的な意味で解明をいたしまして、一日も早く全部解決をして、勤労者の方々になるべく早く優秀な、優良な住宅を提供したいということで、いつまでかかるかはいまここで言明はできませんけれども、私でできる範囲内で、最も早い機会に御報告をさしていただきます。
  170. 黒柳明

    ○黒柳明君 大臣、積極的御発言いただいて恐縮なんですけれども、これは勤住協、生協ということは出てきましたけれども、勤労者のための住宅、生協組合員のための住宅、これはもう合法なわけですね。これに対しての土地は少ないんです、いま指摘がありましたように。ほとんどがそうじゃないんです。住宅公団の一般住宅向けのものは、これは勤労者といえば勤労者ですけれども、そこのところをちょっと大臣がもし勤住協、生協ということで、その延長線上でというと誤解がある、報告してないのだとそういう誤解がある。ちょっと私そういう誤解があるやにいまの発言聞きました。勤労者というのは、一般住宅、一般庶民を含めて勤労者、勤労者住宅公団、ここだから勤労者ということじゃないんですよ。ほとんどは一般住宅向けの用地取得ですよ。
  171. 中馬辰猪

    ○国務大臣(中馬辰猪君) 利も実はそういう細かい関連で申したんじゃなくて、働く人たちに提供したいという大きな意味で答えたわけでございますから、ひとつ御了解ください。
  172. 黒柳明

    ○黒柳明君 それじゃいまの問題点をひとつ公団の方から。
  173. 白川英留

    参考人(白川英留君) 候補地選定に当たりまして幾つかの問題点がございます。当地区は区画整理事業によって施工予定いたしておりますため、市街化区域への編入が前提となります。市街化区域の編入につきましては、現在確たる見通しを得ていないことも事実でございまして、その後、当地区の開発につきましては、札幌市から交通とか上下水道、あるいは土質等の問題が言われまして、現在においても工事に着手できる段階に至っておりません。  次に、農地取得に係る問題点がございます。当地区につきましては、土地の売買契約のときにおいて、積雪のために取得する土地の現況確認が非常に困難でございました。したがいまして、現況農地を非農地として取得した、いわば農地法上問題のある処理をしたわけでございますが、これは結果的に現況農地を非農地といたしまして取得する契約変更をいたしましたので、現在では解決いたしております。  第三番目に、土地保有税の支払いの問題でございます。公団におきましては、土地の一部を勤住協に譲渡したわけでございますが、これに伴って最終的に約千四百二十八万円の特別土地保有税、それから遅延利息、延滞金といたしまして百三十五万を納付いたしております。公団自体は非課税団体でございますが、勤住協はそうでございませんので、勤住協が取得した分につきましてはそういった税金がかかってきたわけでございます。  あと、農地について地元地権者の生活再建の非常に強い要望がございましたので、一〇〇%支払ったこともございます。これにつきましては、道農務部の指導もございまして二〇%返還させまして、現在では農地法違反ではない、こういった措置をとった次第でございます。
  174. 黒柳明

    ○黒柳明君 結構です。時によると、公団の方はここで議論して、それでもなおかつしらを切るという場面が過去にありました。さすがにいまの総裁の指揮監督よろしきを得て、事実関係を素直におっしゃっていただいた。建設大臣、ここで初めてお聞きになったんですけれども、もう一回私、建設大臣に確認していただいて、これに対する御見解をいただきたい。  まず第一は、理事の方がいまおっしゃったことですよ。もうお聞きになっているので恐縮です、確認する必要ないと思いますけれども、要するにこの取得した二百八十五ヘクタール、なかんずく定款違反を犯して生協から取得した二百七十一。取得したことは結構ですよ。ところが、これは市街化区域の見通しがない、いまおっしゃったとおりですね。  さらに市会では、私これを論議しようとは思わないんですけれども、地質も問題がある、上下水道も問題がある。さらに、市長の答弁ですと、一、二年は全く宅地化する考えはない、一、二年と言っていますな。三年後はどうかわからない。はっきりしているでしょう。全く市の予定がないところ、いかに住宅公団が建設行政が必要であるとはいえ、市の見解も聞かないで、確固たる裏づけもないで買っちゃった。肝心の市長が、地質も問題なんだよ、上下水道だって問題なんだよ、まだ問題は幾らもあるんですよと御答弁されているんです。一、二年は全く考えられない。それを四十八年から取得しちゃっている。もう大多数は取得ですな。こんなことは、あの時点の政策がどうあれ、住宅確保に対しての熱意がどうあれ、全くおかしいんじゃないですかね、大臣。まずこれが第一点。  第二点。要するに農転の問題があるんです。農地転用できない、これは課税やなんかありますから、一括してそういうことに私発言します。所管は厚生ですから、また大臣に聞きますのでね、ちょっとお暇のようですけれども、またすぐ大臣に。厚生大臣にも聞かないと、それも、私が指摘したから違反だということがわかったんです。しかも、道の方だっていま登記では原野になっている。それが事実、道で確認したら農耕地になっているわけです。いかに積雪のため現地確認が困難なんて言ったったって、北海道だって雪の降っているときばっかりじゃないじゃないですか。四十八年から、四十八、四十九、五十、五十一、冬は四回ありました、間違いなく。春だって四回ありましたよ、夏も秋も四回ありました。登記簿を見れば原野、これは公団は北海道に初めて進出するんだから、時間がなかったらわかんない、そんなことは言わせません。道で、市で確認して、原野が農耕地になっているんです。これはおかしい、こういうことなんです。それを、まあ前向きで結構です、素直で結構ですけれども、現状確認が積雪のため困難でしたということは全くおかしい。そうでしょう。それで私が三月に指摘して、あわてていまは農転違反じゃなくなっています、たしかそうです、私が指摘したから。これは聞いてください。間違いないんですよ。そこまで詰めると、これは別ですからね、単純明快にやると。そんな改まって行かなきゃいいんですから。まして大臣が中馬大臣ですから、これはもう相当意欲的にやっていることは私認識していますから。これは大臣、よろしゅうございますか、現状確認困難なんてとんでもない。一応いまのことは聞きました。だけれども、これはもうとんでもない話です。  第三点。千四百二十八万——引き取ったわけだ。しかし、三月時点では七千三百万なんです、この税金の払いが。五十五ヘクタール、それから相当交渉したんです、札幌税務当局。いや、住宅公団だから税金なんか払う必要ないんじゃないか。いや、勤住協だと。いや勤住協だって住宅公団と同じ性格じゃないか。それに対して突っぱねられたんです。そんなばかなことはない。その書類もここに来ています、往復書簡がね。こんな住宅公団がミスしている。それで、これだけ財政が逼迫している中、どんどんどんどん家賃が——最後にこれやりたいんですけれども、スライドしている中で一千四百二十八万の追徴金、さらに、いまおっしゃらなかったけれども加算税が百三十五万。これはたとえ一千万にしても、たとえ百三十五万にしても、当然住宅公団がこんな税金を払うなんというのはもう前代未聞じゃないですか。また、あり得べからぬことじやないですか。だけれども、私が指摘しなかったら七千三百万取られちゃうんです、農転違反だというその時点において。それが早急に買い戻したんです、五十五から四十幾ら買い戻したんです。それで残った十一・八ヘクタールに対しての税金がかかってきた。  税金なんか払う必要ないなんてクレームつけた。住宅公団でそんなことないと言って、結局払いました。百三十五万の追徴も払いました。千五百万です。もう国民が住宅に困って、そしてスライドしているなんということを聞いて、電車の広告の中づりもCMもなんというときにね、こんなばかな、これこそこれも家賃に吹っかかってくるんじゃないですか、建設大臣、これも家賃に——払わなかったら処理する場所ないんじゃないですか。全部国民はこれを負担する。税金の問題、いまおっしゃらなかった。百三十五万という追徴も払っております。さらに、一〇〇%、これは払っちゃったんです。いいですよ、地元の人は、地主の方は、喜ぶんです。売るんだ、金欲しいですからね。だけど、四十八年から四年間手がつけられています。市の市街化の予定もない。かえって、市長はことしの市会の答弁でいま言ったように、問題があるんだけどどうしようもないと言っているところに全部金額かぶちゃった。それを指摘したから三〇%農協に移管したんです。いま二〇%返還したと。それがいまの話なんですよ。  そんなことをやりとりしたら時間がないんであれだから、いま端的に問題点指摘している。この事情があるんです、大臣。いいですか、こんなことを住宅公団がやっていた。これが住宅問題でいろいろ困って、問題があって、入っている人だつて公団住宅にクレームをつけている。それを知ったらこれは何だ、こんなばかなと、しかもこれに対しての金利九十億ですから、ざっと八分にはじいて百二十五億、まあこれは正確にはどうなるか。大体そのぐらいになっているんでしょう。百億にはなっているんでしょう、百億。  いま四点のことをお話していただいた中でも全部問題だらけなんです。それも農転違反も追徴のことも、さらに一〇〇%払ったそのうちの農協に対する移管金のことも全部問題指摘して初めて処置した。三月時点でやるという構えありましたからね、問題は、事実関係は。これはちょっとずれただけで、それでいまずっと改まっているんですよ。こういう問題、どうですか大臣、まずこの認識をまあどれだけしていただいたかわかりません。こう点を指摘したらまだありますよ、細かい点。やりません私は。どうです大臣。
  175. 中馬辰猪

    ○国務大臣(中馬辰猪君) 私も実はさっきからやりとり聞いておりまして、なかなかやっかいな問題であるという認識を持っております。それで、早急に部内で調査しまして、まず先生の意見も聞きまして、よい結論が出るようにしたいと思っております。  私は、就任以来わかりやすい行政をしなきゃいかぬ、国民から見てきわめて明快な行政をしなきやいかぬと、これが私の就任の方針であると思っておりますが、まあ知る権利があるとかないとか、そういうきざっぽいことは私はあえて言いませんけれども、極力個々の問題ではわかりやすい建設行政を進めたい、これが私の大方針でございますから、雪が降ったから農耕地であったかどうかわからぬというようなことは、私も実はそういうことは余り信用できないわけです。ですから、まあしかし済んだことを言ってもますます紛糾して金利がかさむだけのことで、結局はまた入居者が困るわけですから、早い機会に優良な住宅ができるようにという方向でひとつ検討さしてください。早急にやります。
  176. 黒柳明

    ○黒柳明君 結構です、非常に前向きの御発言で私も調査しがいがある、指摘しがいがあると思うんです。ですけど、もう一言二言足んないんじゃないんですか。公団が一生懸命住宅政策に対して苦労しながらやられている。そういう中でも問題はある、クレームがある、直さなきゃならない点もある、そうでしょう。そして、なおかついま家賃の、傾斜家賃一つだけ言うんじゃないんだけど、またきのう見た新聞ですから頭にある。コマーシャルまでやろうと、金かけなきゃなんないと、こういうことだけ言うんじゃないですけどね。公団がこういう全く素人みたいなことをやっている。そして、大臣がこの問題複雑だと言う必要はないんですよ。複雑じゃないんですよ、いま指摘した範囲は。住宅公団と私の間では、あるいは当該者では複雑だということを認知しているんです。若干そういう問題があることを認知しているんです。大臣はそこまで熟知しているんだったらもっといろんなことを知っているんだから、そうじゃないんでしょう。
  177. 中馬辰猪

    ○国務大臣(中馬辰猪君) 知りません。
  178. 黒柳明

    ○黒柳明君 ね、知らないんでしょう。だから大臣がこの問題複雑だなんて二回発言されましたけど、それは必要ないんです。複雑じゃないんです。いま指摘した範囲は非常に単純明快です。単純明快な点しか指摘をしていません。いいですか、だから大臣が複雑だなんという必要は、理由は何もない。明快です。全くはっきりしています。  それについて公団にやっぱり、この問題解決するたって、四十八年から市の当局じゃ全く考えてないんだ。できないんですから。これをただ一言解決するからと言ったって、私は前向きだからって評価はそれでおしまいというわけにはいかないですな、これは。これだけの事実を公団がやったという、大きなミスを犯したという結果を踏まえて、これはだから私は、勤労者のためにいいようにすぐ早急にやりますと、これじゃすべて行政、政治なんてのは、国会発言というのは、;日で片づけられちゃいます。そのために私は、公団の方でおっしゃらない点を補足をして言わさしていただいた。複雑じゃないんです。事実は。ここで挙げた問題は、認識していただく点は非常に明瞭なんです。そうすると、この一つ一つを犯した公団に対してやっぱりどう対処していくのか、こういうことがいま私が言った公団の姿勢の中に当然こう組み込まれている一つの問題点じゃないんですか。いまの公団に対するクレーム、政府の住宅行政に対する、施策に対するクレーム、それもこういうところに端的にあらわれているんじゃないですか。そういうこともやっぱり含めて、具体的なこういうミスというものを、公団の口から出たんですから、いまこの場で知ったとしても、これに対してもうちょっと具体的に——用地取得に対して全く地元の意向も聞かないで、それで定款違反をやっているところから買っちゃった。あるいは税金の問題、追徴の問題、全部先行して金払っちゃった、こういう問題。あるいは農転の全くできないところを取得した、こういう問題については、これは何とかと言ったって何とかできないんですよ、大臣。そんなできるんだったら、公団がこんな指摘されるまで待っているわけないじゃないですか。できたのはここまでなんですよ。あとは手つかずだという。  だから、そんな簡単な答弁じゃ私は済まされない。複雑だとかむずかしいというのは、いまここで認識していただく大臣にはおわかりにならない。これまた厚生大臣と同じようによくお伺いしてください。だから、複雑じゃないんです、ここで指摘したことは。こういう公団の姿勢に対して——同じですよ、早川大臣と。建設大臣としても、ただこれ勤労者のために建つようにと、そんな簡単なことじゃない。その点について。
  179. 中馬辰猪

    ○国務大臣(中馬辰猪君) 私が申し上げた複雑という意味は、資格のない団体に金を払うとか、転用ができないところを買ったとか、そういう問題を含めて非常に入り込んでおるというふうにいま考えたわけですよ。別段だからあなたと認識は変わらぬと思います。ですから早急にこういう問題は、私の方でもいま聞いたばかりでございますからして、部内でよく調べて、できないものはできない、できるものはできるわけですから、それを踏まえて、どうすれば前進し得るかということを徹底的に調べてみたいと思っております。それはもう信用してください。調べます。
  180. 黒柳明

    ○黒柳明君 信用しないとは言わないけど、いま聞いたばかりというのはどうも気になるんですよ。
  181. 中馬辰猪

    ○国務大臣(中馬辰猪君) いや、いま聞いたんです。   〔委員長退席、理事大塚喬君着席〕
  182. 黒柳明

    ○黒柳明君 大臣がいま聞いたばかりというのが真実であるならば、これは総裁、その点はちょっと怠慢。あるいは住宅局長、きょういないかな。——まあ大臣就任以来月日が短い。だけど三月にこの問題は一回やったんです。だけどきょうの発言に至るまで、大臣就任してからもやっているんですよ。関係の専門家やなんか何回となく来ていただいている。それがこの委員会に来るときテーマくらいしか聞いてこないなんて言って一そちらとの問題もある。そちらもそうですけど、まあそちらは……。
  183. 中馬辰猪

    ○国務大臣(中馬辰猪君) 事実そうです。いや、いま聞いたんです。
  184. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、どうです、どうして報告しないの、こういう問題。総裁もこれだけ問題になっているのに報告しないの。ばかに大臣なめられたな。
  185. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 本日この決算委員会に備えまして、けさ方大臣に報告いたしました。
  186. 黒柳明

    ○黒柳明君 どんなことを報告したんですか。
  187. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 建設大臣及び住宅公団総裁に対する先生の御質問を中心に大臣に御説明いたしました。
  188. 黒柳明

    ○黒柳明君 御質問中心となれば、いま私が指摘したようなことはいやというほど、私も善意で、この問題があるから調べなさい、すぐこの場でやると、関係局長さんも総裁も、はあ、すぐ事実関係をどうのこうのということになるんで、煮詰めてあるんですよ。いまおっしゃった私の質問範囲について大臣にけさ報告したとなれば、当然細かい問題幾らもありますが、いまの基本的なことは、これは報告してないんですか。聞いてないですか、それも。
  189. 中馬辰猪

    ○国務大臣(中馬辰猪君) 北海道の北何キロかのところで篠路というところがあって、この問題できょう質問がございますということでした。それぐらいのものです。
  190. 黒柳明

    ○黒柳明君 これは自民党の派閥なんか私関係ありません。大臣とその省庁の役人との関係なんか知りたくもないです。だけど、どうも私は大臣の言われる方にこう軍配を挙げたくなるね、私は裁判官じゃありませんが。それが何のために私が善意にいろんなことを御指摘し、住宅公団——住宅公団非常にきょうりっぱですな、お世辞ですよ、半分は。なぜ私が善意で、三月からさかのぼって、今回はきのうもおとといも、先おとといも、おととい、きのうなんかは遅くまで、本当に感謝していますよ、いろいろ足運んでいただいて。言ったことを大臣になぜ報告しないんです。私は、こんな問題じゃないですよ。専門官や住宅公団の方にはもう細かいところまでどんどんやりましたよ。いろんな発言の議事録から税金の資料とか、全部ここに添付されています。全部それをやりとりしている。なぜそういうことを行政の最高責任者の大臣に報告しないの。まだこの場でこの場で、この場でないということは、私ははっきりもう皆様方とやりとりしているんじゃないですか。この報告を踏まえて、そして大臣には政治的な観点から最高の決断を下していただくということなら私もわかる。怠慢じゃないですか、それじゃ。派閥の関係かなんかあるの、それとも。いや、私はそんなこと勘ぐりたくなっちゃうですな、どうも。大臣で選択の余地はあるんですか。どうも大臣の方が真実味がありますよ、おっしゃっていることが。
  191. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 大臣に対する御説明が本当にわずかの時間でございまして、十分な御説明がいたしてないということは、私、この機会でおわび申し上げたいと思います。
  192. 黒柳明

    ○黒柳明君 それをはっきり素直に言いなさいよ。大臣と局長が並んで、私はまあ政府のこと、行政のこと、自民党のこと、関知する範囲じゃない。だけど私だって一生懸命日本の国のため、まあ大きな話で済みませんな、よかれとやってるんです。何も揚げ足取ったり、だれか個人の指摘ということじゃないですよ。専門官に聞いてごらんなさいよ、担当の人に聞いてごらんなさいよ、一生懸命やっている、そうでしょう。それを肝心な最後の決を、しかも大臣は前向きにやるという発言されてるじゃないですか。全部報告してここに臨むべきです、当然。私の言っていること無理ないんじゃないですか、大臣。
  193. 中馬辰猪

    ○国務大臣(中馬辰猪君) 実は私の方の態度にもあると思うんですけれども、私は事務次官以下には、行政はもう一切任せる、そのかわり責任はぼくがとるから、大筋だけひとついつでも持ってきなさいと、こう言っているもんですから、その姿勢が少し強過ぎたとみえて、あるいは局長なんかが、大臣は細かい話は聞かない人だという誤解があったかもしれませんが、これは私が悪かったことですから、おわびします。   〔理事大塚喬君退席、委員長着席〕
  194. 黒柳明

    ○黒柳明君 はい、結構です。いやいや私も気持ちはそんなに強く言う気持ちないんです、根はやさしい方ですからね。ですけれども、やっぱり非常に詰めた問題について、局長と大臣とおかしな話していたんじゃ、これは一言言わざるを得ない。済みません、その点、私おわびします。
  195. 中馬辰猪

    ○国務大臣(中馬辰猪君) 私の方が悪かったんですがね。
  196. 黒柳明

    ○黒柳明君 だけど、これは私が悪い、局長も大臣に報告しなかった、これはもうどこが悪いじゃないですよ。国会での質疑というものはこれはやっぱり国民の皆さん方、真剣の場ですから、まして住宅政策、問題があるんですから、ひとつ局長さん、これから十二分に頼みますよ。公団、りっぱじゃないですか、いまきちっと言っているじゃないですか。
  197. 中馬辰猪

    ○国務大臣(中馬辰猪君) よくわかりました。
  198. 黒柳明

    ○黒柳明君 いつもは反対なんです、公団が隠しちゃって建設が前向きなんですよ。きょうは違うんだから、公団が全く前向きですからね。もう建設が局長と大臣で知らない知らないなんて、そんなのうまくない。まあ大臣でいる限りはひとつ御精励をいただければと、こうまあ言っとるんです。済みません委員長、こういうこと。
  199. 中馬辰猪

    ○国務大臣(中馬辰猪君) わかりました。
  200. 黒柳明

    ○黒柳明君 そこで大臣、政策論議になって、これは前から言いましたあれで、足立区の新田二丁目、もうこれは言うまでもない、三DKで家賃が六万百円ですね。それで、これから傾斜家賃にする、この政策というものについて、私はそんなにいい政策じゃない。ということは、住宅宅地審議会が家賃はやっぱり一五%と言っているわけです。そうすると、六万百円の家賃ですと、四十万の所得者じゃないと入れないわけでしょう、四十万ないと。しかも、これが十年後減額処置取られたときには、これが外されたときは十二万になりますよ、そのときには八十万の所得者じゃなきゃ入れないことになるんです。住宅宅地審議会の家賃は一五%と、まあこれは現実にはその一五%を超えている、これは幾らもありますよ。だけど、民間の住宅じゃないんだから、政府だから、政府機関がやっているところですからね、それが六万百円。実際その審議会の意見によると、四十万の所得がなきゃ入れない。それがさらに傾斜していって、十年後には十二万になって八十万、まあ十年後には八十万の所得になるかどうか、そこはわかりませんけれども、そう家賃がなることはもう決定ですね。こういう制度、この制度も、あの土地ブームのとき、住宅公団が何でもかんでも用地取得しなければというときできた制度であることは間違いないんですね。  そうすると、先ほどからちょっと言いました、車内広告もつくる、さらにはコマーシャルもテレビでやるのか、ここらあたりの意向、大臣どうですか、まあ総裁にも聞きたいんですけれども、そうなりますと、みんなこれ家賃にかぶさっていくわけでしょう。こういう政策にもういまの時点は問題があるんじゃないんでしょうか。大臣、いまのこの具体的例、処置していただく、こういう大臣のお考えであるならば、その住宅政策の根本であるこういう面についても、当然もう就任時からお考えがあり、賢明な施策と断を持っているんじゃなかろうかと私は確信するんですが、いかがでしょう。
  201. 中馬辰猪

    ○国務大臣(中馬辰猪君) 実は住宅問題は非常に私も頭痛の種でございまして、何とかうまい手はないものか、こう考えておるんですが、ちょうど住宅宅地審議会というのにお諮りして、家賃はどうあるべきかということの根本いま学識経験者の方々に審議をお願いしておる段階でございますが、それはそれとして、こっちはこっちで極力ひとつ来年度の施策の上で何か方法を講じたい、まあこういうことにいま考えておるわけです。
  202. 黒柳明

    ○黒柳明君 いまの住宅問題いろいろな問題がありますよ。必ずしも家賃の問題だけじゃないというふうには思いますよ。ですけれども、やっぱり庶民、私たちにとってはこの傾斜家賃、こういうシステムというものは一番その中で庶民的な抵抗がある。やっぱり住宅問題の中心と、こう思う。だから、この傾斜家賃制度ということについて、もうここで抜本的に考えるときじゃなかろうか。大臣はこの認識はどうですか。
  203. 中馬辰猪

    ○国務大臣(中馬辰猪君) 確かに公団の家賃その他を含めてかなり限界に来ている、あるいは限界を超えているということは私も思っておりますが、じゃどうするかということが実は問題でございまして、いま非常に頭を痛めておるわけです。認識は全く一緒だと思います。
  204. 黒柳明

    ○黒柳明君 さらに、一昨日の某一流新聞には、空き家住宅五戸に二戸は応募者がないと。これはもう前から私も指摘したことがありますけれども、そういう問題が取り上げられていましたですね。  それからさらに、私が冒頭に言いましたように、長期間というのは五年間だと、事業に着手できないと見込まれる宅地造成用地一覧、これ公団からもらったんですよ、大臣、これも当然御存じかと思いますけれども、八カ所ありまして、施工総面積は九百八十二ヘクタール、それから取得面積が五百二ヘクタール、それから取得金額は三百十一億六千九百万、これは、金利をざっとはじくと百億くらいになります。——あ、済みません、先ほどのあれはこれの金利、さっきのは北海道の金利じゃなく、この北海道を含めての八カ所の金利。百億ぐらいになりますよ。さっきの空き家住宅、傾斜家賃制度の問題、さらにこういうものはまず私は百二十四億、八分と、こう見込んだんですけれども、もうちょっと安いのか、百億を下らないことは間違いありません。これはどこに吹っかかってくるかというと、これからできるであろう家賃でしょう。だから当然高くなるわけです。傾斜制もとらなきやならないわけですね。これについても、大臣は、相当深刻な問題以上の度を超した問題であって、大臣の期間に何とかこれを抜本的に改善できないまでも、する方途を講ずるぐらいの気はありますか。あるいは具体的に、それにはいまの傾斜家賃はこれからだ、審議会の方だ、これは具体的にどうしますか。それも審議会じゃちょっと余りにも情けないと思うんですよ。
  205. 中馬辰猪

    ○国務大臣(中馬辰猪君) 審議会の中身のことについては申し上げませんけれども、このままで住宅公団が抱えておるいろんな使えない土地といいますか、いまおっしゃったように農地転用なんかでできない場所、あるいは水道が引けない場所、結局住宅としては提供できない場所等ももしあるとすれば、これをずっと仕分けをしまして政府部内で検討さしてください。もうできないのを抱えておって、結局みんな公団もまいっておるし、入る人もまいるわけでございますから、それは仕分けしていつまでもうやむやのうちにごまかしてみても、これはいつかは行き詰まるわけでございます。現に行き詰まっている点もあります。  ですからたとえば、いつか埼玉県の何とかというところでは、買ったけれども水道が引けないという、これは新聞で昔見たわけでございますが、そういうところがあるとすれば、この際公団とよく相談をしまして、できるやつはできる、できないところはできない、転用についても絶対にできないのか、あるいはいまから行政当局に相談すればできるのか、いつできるのか、水道はことしはだめだけれども来年はできるとか、そういうものを含めてよく中身を調べてみて、不良債権と優良債権というふうに、たとえば分けてみて、それをもとにして、もう政府部内で公団の手に余る部分があるいはあるかもしれぬですね、それは、公団がやったことだから公団で処理せいと言っても、なかなかこれはもう実際できかねるわけでございますから、早急によく一応調べてみたいと思います。
  206. 黒柳明

    ○黒柳明君 調べてみたいというのは結構ですけれども、やっぱりそこらあたりは一番の問題ですから、もう調べてなければならないんだと、この点ひとつ私は前向きの答弁の中で、大臣の取り組む姿勢というものをもうちょっとやっぱり真剣にやってほしいという要望をしておきます。  それと確認ですけれども、大臣の在任期間中にいま言った、たとえば用地を取得して長期間、五年間住宅建設できない、事業着手できないと、膨大な数ですね。私はもう金利の方が問題、金利だけが問題じゃありませんよ、それを入手するんだってやっぱり国民の税金ですから。それがさらに家賃にもろにかかってくるのですから。直ちにかかってくるわけですよ、金利なんというのは。だからこういう八カ所、これを仕分けすると言うんですね。公団がもう持っていたってだめなところとか、あるいは一年、二年後には着手できそうなところとか、だめなところはどこかまた転売するとか、金利が重ならないように処置するとか、あるいは募集しても応募者がないような空き家住宅に対して調べて、それも仕分けしたい、こういうことですね。  これは大臣の在任中にやってくれますね。結論づけろったってこれからやることですからね。だけれども、こういう仕分けに対して公団に対して相談に乗っていただいて、ここはいつできるのか、だめだ、見通しが立たないから処置しろとか、ここはあいているのかとか、しかるべき処置を講じろとか、そういう仕分けをしてきちっと公団に処置、さらに前向きに建設省が、−そればかりじゃないでしょうな、こういう住宅建設についての問題、それはあるでしょうね、政策論。だけれども、そういう抽象的なことより具体的な問題を処置して、大臣の任期中にこうしたとか報告してくれますね。
  207. 中馬辰猪

    ○国務大臣(中馬辰猪君) 私が調査すると言うと、いかにも逃げたみたいにおっしゃいますが、そうではありません。まず調査しなければ結論は出ないわけでございますから、任期中に必ず調べた結果を御報告いたします。また、前向きと言ってはちょっとまた抽象的ですけれども、私の在任中にできるだけの努力を傾けて御報告申し上げます。
  208. 黒柳明

    ○黒柳明君 以上です。
  209. 下村泰

    ○下村泰君 きょうは厚生大臣がお見えになっておりますので、難病対策について御意見を伺いたいと思います。  いま厚生省の方として難病として取り上げているのは、大体どのぐらいの数があるのでしょうか。
  210. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 難病を大きく分けますと大人の難病と子供の難病になりますが、大人の難病は公衆衛生局が所管いたしておりまして、四十疾患を取り上げております。また、子供の難病につきましては児童家庭局が所管いたしておりますが、約三百疾患を取り上げております。
  211. 下村泰

    ○下村泰君 その場合、ただいまの難病に対する厚生省の方の取り組み方と申しましょうか、姿勢はどういうふうになっていましょうか。
  212. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 難病のうちが三大難病といわれます、たとえばスモン、べ−チェット、エリテマトーデス、こういったものは昭和四十年度あたりから調査研究を始めておりましたけれども、四十五年から特別研究ということでさらに力を入れるようになり、昭和四十七年度に難病対策が発足いたしまして、現在のように調査研究とかあるいは治療研究、この治療研究というのは医療費の公費負担でございますが、そういったこと、さらにこれは医務局が所管しておりますけれども、国立病院、療養所を中心とした難病のための研究施設、難病の病床の整備、こういったものをやっております。  四十七年の十月に難病対策要綱といったものが決められておりますが、三つの柱からなっておりまして、第一は調査研究の推進、第二が医療費負担の軽減、第三が医療施設の整備と要員の確保、こういった三つの目標を掲げて関係各局全力を挙げて対策に打ち込んでいるところでございます。
  213. 下村泰

    ○下村泰君 その中でいわゆるベーチェット病でございますけれども、このベーチェット病に対する厚生省の認識というのはどの程度まで明らかになっているのか、ひとつお聞かせいただきたいのですが。
  214. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 行政的な側面と学問的な側面があると存じますが、行政的な側面といたしましては、べーチェット病についてはまず昭和四十年度に厚生科学研究費で調査研究を始めております。また、昭和四十五年度から特別研究費によりまして大型の研究を開始しております。また、四十七年度に難病対策が創設されましたとき真っ先に指定をいたしまして、さらに巨額の調査研究費を計上すると同時に、治療研究、つまり医療費公費負担の疾患に指定して今日に至っております。
  215. 下村泰

    ○下村泰君 さあ、そこまで厚生省がべ病に取り組んでいらっしゃる姿勢はわかるんでございますけれども、四十八年にお出しになったこのパンフレットは御存じでございますか。
  216. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) よく存じております。ただし、そのパンフレットは厚生省の責任において出版したものではございません。御案内のようにその翌年、四十九年度にパンフレットがさらに出版されておりますが、それは厚生省の監修として出版しておりまして、内容について厚生省が責任を持っております。
  217. 下村泰

    ○下村泰君 そうしますと、四十八年のこちらの方ですね、これは厚生省が責任は持てない、その後のは責任が持てる、こういうわけでございますね。ところが、責任の持てないようなパンフレットを、何で各地方自治体の保健所とかその他に難病対策。パンフレットとして配布したのでしょうか。
  218. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) まず第一には、その時点においてはほかに類書が全くなかったということがあろうと思います。  また、第二には、やはり第一線の保健所といたしましては、いろいろ住民からの御相談等もあるので、そういうふうな本が初めて出されますと、きわめて便利であるということで購入したものと思います。
  219. 下村泰

    ○下村泰君 ところが、ベーチェット病の、いわゆる患者の方々から組織しておるところのべーチェットの会がございまして、社会福祉法人、これは最近なったばかりですけれども、こういう患者の方々が御自分たちのリハビリテーションの更生施設をつくるという段階で、このパンフレットがえらい影響をしているというのは御存じでしょうか。
  220. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 存じております。ただ、私ども客観的に考えますと、その問題だけであの紛糾が起こったのではないと考えております。
  221. 下村泰

    ○下村泰君 それでは、いま局長ももう御理解になっていると思いますので、いわゆる秩父の問題に触れていきたいと思うのですけれども、どの程度当局の方は、あの秩父でいま起きている問題を熟知していらっしゃいましょうか。
  222. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 埼玉県の衛生部と生活福祉部が協力してこの問題にタッチしておりまして、私は公衆衛生局でございますので、衛生部の方から逐一報告が来ているわけでございますけれども、どう申しましょうか、事の起こりから現在までの推移は委細漏らさず知っているつもりでございます。
  223. 下村泰

    ○下村泰君 これ、問題といたしましてたくさんいろんな状況が絡み合って、とても一つや二つの解決をしたからといってこの問題が即解決とは思えないという、私の調査した結果がそう出ておるんではございますけれども、一番の問題になっているのは、何といってもこのパンフレットなんですね。このパンフレットの中に、完全にこの病因というものがつかみ切れていない、これは厚生省の方も病因はつかみ切れてないのは事実でございますかね。
  224. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 医学的な側面でございますが、ベーチェット病の病因、原因については現在は不明であるということしか言えないと存じます。学説はいろいろございます。
  225. 下村泰

    ○下村泰君 確かにこの中にも、「近年、スロー・ウイルス感染症の概念が、従来の原因不明の中枢神経疾患の解釈に新しい方向を示したことは事実であり、ベーチェット病、とくに神経ベーチェット病の病因としてウイルス感染の意義を重視するものも少なくありません。」と、これはある程度の知識と申しましょうか。知識でなくても、こういうことに対する多少の理解のある方が読めば別にどうということはないんです。ところが、これが結構利用される原因になっているのは、「スロー・ウイルス感染症」とか、「病因としてウイルス感染の意義を重視するものも少なくありません。」と、ここのところを取り上げて、さあこれでは伝染病だというような解釈を土地の人がしている。それも御存じでしょうか。
  226. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) よく存じております。しかし、私どもが所管しております精神病の場合も、かつて十五年ぐらい前までは、これは伝染病ではございませんけれども病院その他の建設の際に非常に強い住民の反対運動が起こったという経験も持っております。
  227. 下村泰

    ○下村泰君 それで、もう一つ伺いたいんですが、これはこのままにしておきまして、その社会福祉法人をつくる場合にどういうことがネックになっておるか御存じでしょうか。
  228. 金瀬忠夫

    説明員金瀬忠夫君) 社会福祉法人を設立いたします場合のネックと申しますか、要件のことだと思いますが、まず一つは、その法人が事業を実施するだけの基盤が固まっていなきやならない、それがまず第一の要件になると思います。そのためには、やはり当然設置しようという施設が整備されていること、あるいは土地その他についての恒久性が認められるということ、これが第一の要件になろうかと思います。
  229. 下村泰

    ○下村泰君 そのために、結局そのベーチェットの協会の皆さんが、まずその土地を取得せにゃいかぬ、土地を取得しなければこの社会福祉法人ができないんだというところから、まずまず会をつくって、それから取得すべき土地を探さねばいけないというふうな考え方から、今度の事件が起きてきたというふうに考えても過言ではないと思うんです。  それで、大石武一氏を会長に仰ぎまして、たまたま大石会長の友人である方からこの土地を借りたんですが、地元の方に言わせると、それ以前になぜ相談に来ないかということが、また反対理由一つになっているというですね。そうすると、その土地がなければ法人をつくることができない、あるいは建設資金の準備金がなければできない、金があっても土地がなければできないというような、鶏と卵と何か一つぐるぐるぐるぐる回っているような状態で、大変協会の方々も苦しんだ。とりあえずとにかく土地がなければいけない、それからこの建設施設の資金を獲得しなければならない、この二つをまず先にやらなきやならないということから、土地の人には、全然おれの方には話がなかったじゃないかということからこの問題が起きてきたというのも御存じでしょうか。
  230. 金瀬忠夫

    説明員金瀬忠夫君) 承知いたしております。
  231. 下村泰

    ○下村泰君 さて、そうしますとね、厚生省当局として、こういういわゆる裏の問題と申しましょうか、こういう紛糾してきた原因というのをよく御存じのはずだということになれば、それじゃ厚生省はどういう態度をとってこれのあるいは仲介であるとか、あるいは少しでも患者側に立って事を進めていく上にはどうすりゃいいかぐらいのことは、お考え願ったことがあるでしょうか。
  232. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 当然厚生省としては、まことに残念なことであるという立場から、県の衛生当局また福祉当局を通じて地元の市あるいは地元の反対派の住民の方々を説得するという方針を立てまして、従来も指導してきたところでございます。
  233. 下村泰

    ○下村泰君 局長はそういうふうにおっしゃいますけれども、一体どなたが、いつ、どこで、どういうふうになさったんでしょうか。
  234. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 職員の名前は手元に資料ございませんけれども、衛生当局の担当職員と福祉当局の担当職員とが、市の理事者あるいは反対派の住民の代表、こういう方々に会いまして正確な情報をキャッチすると同時に、この疾病の本質その他を申し述べまして、できるだけ穏やかに円満に話をつけていただくように、これまでも努力をしてまいったという報告を受けております。
  235. 下村泰

    ○下村泰君 私の方は直接このベーチェット病に関係していらっしゃる、今度のこの事件関係していらっしゃる方々にお話を伺っているんですけれども、そういうことは一度もなかったように伺っているんですが、どっかで間違えられて体裁よく報告されているんじゃないんでしょうか。私のところには全然そういう報告ございませんよ。
  236. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) その点につきましては、必要であれば後刻調査をいたしまして、資料を先生のお手元に提出いたします。さらに、全国ベーチェット協会の方からは厚生本省に対してもいろいろお話がございましたので、厚生省公衆衛生局といたしましては、この疾病が伝染病であるという誤解が今回の問題のかなりの大きな部分を占めているならば、担当課長を現地に派遣して、本省が直接地元でいろいろ手を打つということはきわめて珍しいことでございますし、また、普通の行政慣行としてはやらないことでございますけれども、事柄の性格にかんがみましてやらなければならないということも考えて、もうすでに数週問前からその打ち合わせ等もしていたところでございます。
  237. 下村泰

    ○下村泰君 実は十月の十四日に法務委員会でこの問題を持ち出しまして、そして難病対策課長にもいろいろと伺ったのですが、これは十四日に伺ったのです。いまの局長のお話でいきますと、数週問前からと言うと、もうすでにやられているというふうにこっちは解釈したくなるんですけれども、実は十月の十四日にやったときに難病対策課長が、もしこういうふうな問題で、ということはいわゆる伝染病ですね、さらに地域住民に伝染病であるというふうなことが障害になるならば、適当な時期に私難病対策課長が現地に赴きまして、じっくりと地元の人と話し合いその誤解を解くにやぶさかでない、こういうふうに考えておりますと、大変これすばらしい回答なんです。あれからもう幾日かたっておりますが、そういう動きをなさいましたかどうか。
  238. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) そういった場合も、私どもが直接地元の方の反対団体あるいは市の当局と相談をすることはいたしません。やはり県の衛生当局あるいは福祉当局を通じてそのような打ち合わせをしているわけでございます。先般十四日の法務委員会で難病対策課長がそのようにお答えいたしましたけれども、われわれのレベルにおきましてはすでにその前から、早く地元に行って、そういった医学的な側面については厚生省の方からいろいろ御説明をしたらいいんではないかということで、県の当局とはそのチャンスをつくってもらうように折衝をしていたところでございます。
  239. 下村泰

    ○下村泰君 いまの、局長の話を解釈しますと、つまり厚生省が直接行って携わるのではなくて、地元の方である程度の舞台ができ上がったら、その花道へ厚生省が出かけていって、本舞台に上がって、そこで厚生省のメンツを立てて話し合いをさせるというような感じにぼくら受けるのですがね。そうでなくて、やはり中央のレベルの厚生省がお出かけになることによって、皆さんが現地に赴くことによって土地の方々とお話し合いをなすってくださって、県の方も動かして率先してやってくださるのが私は務めじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
  240. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 事柄の性格によりましては、いま御提案のような方法をとることが望ましいかと考えるのでございますけれども、やはり憲法九十二条でも保障されております「地方自治の本旨」というようなものもございまして、余り国の当局が地方自治体を差しおいてとやかくするというのは、従来からそういう慣例がないわけでございます。
  241. 下村泰

    ○下村泰君 私らわからぬのは、そういうところなんです。慣例がないとか慣例があるとかというようなことを言っておったら、一体ベーチェットの患者はいつ救われるんでしょうかと私は聞きたくなるんです。どうしてもそう言って中央官庁が気取っていなけりゃならないというのが私にはわからないんです。それは確かに厚生省と地方自治体の中のそういう係とは格段の相違がありましょうし、貫禄も違うでしょうけれども、しかし、厚生省の方が率先なさって地方自治体の方に呼びかけをしても、別に私は筋が通らないという話はないと思うし、格が下がるわけでも何でもないと思う。  それは、そういう条例があって、それによってやるんだと言ってしまってそのままを重んじて動くならば、それもいたし方ないかもわかりませんけれども、そんなことをしておったんでは、こういう力ない人たちを救う方法というのは一体どこにあるんでしょうかね。厚生省自体がこういう人たちを一番庇護してやらなければならない立場なんですからね。やはり私は、別に県の方へ行ってどうのこうの言ったとか、やれ地方自治体の方へ出かけていってやったからと言ったって、別に法則を曲げるわけでも何でもないというふうに感じるんですけれどね、どうでしょうか。
  242. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 本件の場合には、地元市の理事者当局に若干のいろいろな御都合があるように承っております。また、一般論といたしまして、国が、行政指導ではございますけれども、一種の行政権力をもってこういう問題をこうするというよりも、最近新たな動きが出ておりますけれども、民間の福祉とか衛生関係の諸団体が結束して地元の反対住民を説得するというような、非常に穏やかな方法もあるわけでございます。そういうところも勘案しながら、県の衛生、福祉当局を仲介にいたしまして対策を進めているところでございます。
  243. 下村泰

    ○下村泰君 まあ局長の方がこういう問題に対してはベテランでございましょうし、私自身はまだまだこういう問題素人でございますし、言葉を使って巧みにいろいろと質問をするということに余りなれておりませんから、むしろ何か局長に私は丸められているような感じがさつきからしていてしようがないんですけれどもね。  ただ、いずれにいたしましても、ある程度の慣例を無視してもこういう問題に取り組んでいただかないと、ぼくはその慣例慣例とか、ある一つのでき上がってきたコースというものを常にそのコースを踏まえてとか、それは慣例外だとか、それはもちろん零細企業のあり方と、やや上になった中小企業のあり方と、あるいは大企業のあり方と、大企業になればなるほどそれは直接問題が解決できなくなるということは、これは事実ですし、そのまま日本の国政に当てはめればこれも理屈の通ることだとは思いますけれども、しかし、これだけの多くの一億という人間を動かしていく上において、その中からどうしても軌道を外れて生活をしなければならない方々をやはり同じようなその軌道に乗せてやろうとするには、多少なりとも慣例とかその他を私は無視してくださるのが本当の行政じゃないかという気がするんです。  たとえば、こういうような地元の皆さんが十月の七月に新聞の折り込みで二万枚というチラシを新聞の中に折り込んだ、これお手元にございますか。——これをお読みになってどういうふうにお感じになりますか、それを私は伺いたいんです。これが日本の国の中で日本人同士がお互いに傷つけ合わなければならないような文章なんです。これは物すごい。どういうふうにお考えですか、これ。
  244. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 端的に申しますと、理性的でない、きわめて感情的な文章になっていると思います。しかし、それだけこの問題は簡単に申しますとこじれてきておりますので、やはりこういう問題についてはある程度時間をかけて慎重に対処しなければならないと思います。建物をつくることはわけはないのかもしれませんけれども、上下水道とかあるいはガスだとか、そういうふうな問題もございますし、また、将来この施設をお使いになるベーチェットの患者さん方の幸福とか福祉を考えますと、どうしても地元の円満な了解、協力を得て建てるということが必要であると考えております。
  245. 下村泰

    ○下村泰君 さあ、そうしまして、実は私の方からお願いがあるんでございますけれども厚生大臣、いままでお話をお聞きくださって、厚生大臣としてはこの問題をどういうふうにお受けとめになっているか、ひとつ御意見を伺わしていただきたいと思います。
  246. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) 難病の一つであるべーチェット厚生施設建設につきましては、一日も早く地元と話し合いがつきまして解決することを念願をいたし、厚生省として何もしておらぬのではないのでございまして、県の衛生部、生活福祉部あるいは地元にいわゆる内面指導をいたしておるわけでございます。また同時に、この施設に対する数億の資金につきましては、自転車振興会とか社会福祉の融資とか国でめんどうを見まして、このベーチェット病患者のためにせっかく協力をいたしておるわけでございます。  ただ、これは国が直接——先ほど局長お答え申し上げましたように、何といっても地域住民との問題でございます。極端な例でいえば、原子力発電の問題だってちょうど同じことなんで、そういう施設誘地にトラブルのあるのを、国が直接介入して果たして解決するかどうかということ、大変むずかしい問題でございますので、いま申し上げましたように、極力民間及び地方自治体と協会との相互の理解によって解決することを期待しておる、このような次第でございます。
  247. 下村泰

    ○下村泰君 実はこの内側の方はいろんな問題を秘めていることは事実なんです。で、このべーチェット協会がこの土地を借りた場合には借り賃が百十円前後。細かく言えば百十何円になるんですけれども、百十円前後。この土地の人がここの土地を借りる場合には四十円か四十円そこそこなんです。ところが、中に四十五円で借りていた人、この四十五円というのは借り賃の最高であったと言うんです。ところが、このベーチェット協会が百十円で借りてしまったわけです。これは権利金も何もないから百十円でお借りした、こういうことなんですね。ところがその理解はないわけです。その土地を貸した老夫婦に対しては、今度はやっかみ半分で、急に金持ちになった、あのじじいはと、こういう感情があるわけです。市当局としてもその近所で借りている土地があるわけなんです。市の当局は恐らく四十円前後で借りているんじゃないかと思います。  そうしますと、このベーチェット協会が百十円で借りると、ひょっとしたら、請求されりゃこれは上乗せもしなけりゃならないという問題が一つ絡んでおります。それからお名前申し上げられませんが、自民党の某代議士先生がこの問題に絡んでおります。そしてその方の息を、その方の意思というか、その派といいましょうか、その方にいろいろ御指導されている方々が市当局にも大勢いらっしゃる。で、その代議士先生に働きかけた。その代議士先生の意向からこちらの方へ下がってきて反対運動はなお加熱している。  もう一つは、文教厚生委員会が市議会にありまして、その文教厚生委員会の皆さんは、委員会を形成しているのはどちらかというと革新派の方が多いようなんですね。それで反対陳情をしたときに、その文教厚生委員会の皆さん方が他の施設をごらんになって、これは伝染病でも何でもないと研究をなさっている権威の先生から言われて安心して、しかもこういう施設をつくるのはりっぱなもんじゃないかと言って、その委員会ではこれをまずは否決した。それが三日後の本会議になったら、いわゆる保革逆転で、保守の方側にこれまた逆転してしまったといったような問題が絡みに絡んで、こういう問題がますますエスカレートしていることは事実なんです。しかし、時間もございませんから……。  手元に、ここに写真もございますけれども、公の道のど真ン中にくいをぶち込んだりしてそして反対運動を促進している。その反対運動と書いてあるビラを見ると、これは素人の書いたもんじゃない、こういうことを専門に動いている人たちの書き方であるというようなことを全部包含しますと、ちょっとやそっとでなかなか解決できない問題だと私は思います。  けれども、大臣、ここが大事なことなんです。全国のベーチェット病という患者がつくるこの厚生施設がもしここでできなければ、これ以外の難病を抱えた難病の患者たちが集まっていろんな会ができたとして、その会の人たちが一つ一つリハビリテーションの厚生施設をつくるにしても、これは全部これからけられることになるわけです。  いま、厚生省がこういう患者たちの、あるいはこういう難病の対策に対して施設をつくるとか厚生施設をつくるとかして、あるいはそれを全部寄せ集めたような大きなものを富士のすそ野につくるとか——ゴルフ場はよくできますけれどもね。そういうふうな施設を厚生省みずからの姿勢でつくり上げてくれるなら話は別です。ところが、全部こういった庶民の間で生まれた協会、自分たちの身を守る友の会、こういう小さな個々の団体がこういうことをしていってこういうふうな結果になってくれば、いつまでたっても救われないし、この秩父を断られたらこれは日本全国どこにもべーチェット病協会の彼らの厚生施設はできないという結果になるんです。ここが一番大事な問題なんですよ、どんな問題が地元にあろうとも。  ですから、先ほど局長がいろいろとわかりやすくお話をしてくださいましたけれども、問題はこの一点なんですよ。ここでできなけりゃ日本全国どこにもできないという結果が生まれてくるんです。少なくともこの問題に関してぼくはもう本当に厚生大臣にお願いしたいです。頭を下げてお願いしたいですよ。厚生大臣みずから何とかしてこの問題に取り組んで、現地へ赴くことができるならば現地へ赴いていただきたいし、県の方へ赴いて県の方と話をしてくださればなお結構です。そういうようなことができるかできないか。とにかく、この秩父を断られたらもうどこへも行くところがないということ。厚生省はあってなきがごとしということになるんです、結果的には。行政何にもないということになってしまう。この点をひとつ厚生大臣に改めて伺いたいと思いますが、いかがでしょう。
  248. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) 下村議員のお気持ちよく拝聴いたしました。厚生省といたしましても、厚生省のできる範囲でベストを尽くしてこの問題の解決に当たってまいりたい、かように考えております。
  249. 下村泰

    ○下村泰君 それがどういうふうに具体的にと私はまだ突っ込んで聞きたいんですけれども、大臣がそういうお考えでございます。局長の方から、改めてじゃひとつ御意見を……。
  250. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 難病のうち、べーチェット病につきましては比較的恵まれている方ではないかと思います。社会局が国立視力障害センターというのを全国に五カ所持っておりますけれども、そこでべーチェツトの患者さんを、一四、五%の割合になろうかと思いますがお世話をいたしております。しかし、これではもちろん足らないわけでございまして、さらに福祉関係の施設、また、急性期にある場合には医療関係の施設でべーチェットの対策を強化していかなければならないと考えておりますけれども、先ほども申し上げましたように、国立病院などにおいても長期の計画ができておりますので、逐次先生の御要望のような方向に進んでいくものと考えております。
  251. 下村泰

    ○下村泰君 もう時間が来ました。お話はこれでとどめますけれども、いま局長のおっしゃったようなことで、もしべーチェット病の患者の方々がお聞きになったらば、それはちょっと違うんじゃないか、もし局長のおっしゃったようなことが行われているくらいならば、何も私たちはこんな協会をつくる必要もないし、こんな運動もする必要はないと恐らくおっしゃるだろうと思います。けれども、この問題はこのままにほっておくわけにいかないんですから、厚生大臣もよろしくひとつ真剣に取り組んでいただいて、べーチェット病患者の皆さんが安心できるような措置をとっていただきたいと思います。  終わります。
  252. 渡辺武

    渡辺武君 私は、チアンフェニコール製剤による薬害の問題について伺いたいと思っております。  現在、ネオマイゾンとかチアンフェニコールとか、チオサミノール、チオゾーンその他等々いろいろな名前でチアンフェニコール製剤が売り出されているわけですけれども、これの副作用が、血液の障害という点については以前から言われているわけです。特に最近神経障害もあるということでかなり多くの被害者が出ております。私、専門の方に伺った限りでは、学会などで正式に報告された障害者の例、被害者の例は十数件を数えているということだそうでありますけれども、私のところに、チアンフェニコール製剤を飲んだために神経障害が起こりましたという話を聞かしてくれた方は二人もあります。  それで、どうしてこの薬がこんな障害があるのにもかかわらず発売を認可されたのか、その認可の当時の事情を聞かしていただきたいというふうに思います。
  253. 上村一

    政府委員(上村一君) チアンフェニコール製剤の承認の申請がありましたのが昭和四十年の七月でございました。承認をいたしましたのが四十三年の四月でございます。それで承認時にも安全性に関するデータをとったのでございますが、それは急性毒性、それから亜急性毒性、それから慢性毒性の各試験、それから薬理試験、それから胎仔、腹の中にある子供についての試験、そういった毒性試験と臨床試験の成績というものが出されておりまして、それをもとにいたしまして、中央薬事審議会で専門家によりまして慎重な検討が行われたのでございます。そうして慎重に検討いたしましたその段階では、いま御指摘になりましたように末梢神経障害に関しては、動物試験でも臨床試験でもこれを疑うようなデータというのが何もなかったということでございました。
  254. 渡辺武

    渡辺武君 当初、いまおっしゃった昭和四十年ですね、輸入申請をして四十三年に輸入が承認されたとおっしゃいましたが、これはエーザイ株式会社ですかが、この輸入及び製剤のメーカーだったというように聞いておりますけれども、それはそのとおりですか。
  255. 上村一

    政府委員(上村一君) 最初に申請いたしましたのがいまお話しになりましたエーザイでございまして、イタリーのザンボン社という会社から輸入したものでございます。
  256. 渡辺武

    渡辺武君 そうすると、現在ずいぶんたくさんの会社がいろんな名前で新薬を売り出しているわけですけれども、これはどのくらいあって、それで一体どんないきさつでこんなにたくさんの会社がつくるようになったのか、この辺もちょっと伺いたい。
  257. 上村一

    政府委員(上村一君) 現在、チアンフェニコール製剤をつくっておりますのが約四十社ばかりあるわけでございます。それで、どういうわけでこういうふうにたくさんのメーカーがつくるようになったのかというふうなお話でございますが、これは医薬品全般について共通した問題でございまして、新しい医薬品を先発のメーカーが自分で開発をするなりあるいは外国から輸入をします。私ども四十二年からこういった新しい医薬品につきましては、初めは二年間、その後三年間でございますが、副作用の報告をメーカーに義務づけておりまして、その間、承認前の臨床試験ではわからなかったような副作用の把握につとめておるわけでございます。  そういたしますと、承認いたしましてから三年たちまして、これというふうな思わざる副作用ということがないということで、初めて他のメーカー、これを私ども俗語でぞろぞろメーカーと言っておりますけれども、ぞろぞろといっておりますが、英語ではミーツーと言っておるようでございますけれども、そういった何といいますか、追随する医薬品の製造承認が出てまいるわけでございます。これについて承認をいたしました結果、いま申し上げたような数のメーカーがつくっている結果になりましたということになるわけでございます。
  258. 渡辺武

    渡辺武君 それで、この薬による副作用ですね、現在判明しているのはどんな種類があるんですか。
  259. 上村一

    政府委員(上村一君) いま一番新しい段階でと申しますのは、私どものメーカーに対する指導といたしまして、いままでわからなかった副作用が発生いたしますと、その副作用について専門家に検討してもらいまして、使用上の注意を改めさせるというふうな指導を続けてまいっておるわけでございますが、そういったこれまでの指導を重ねました結果、いま一番新しい副作用といたしましては、一つは血液があるわけでございます。まれに再生不良性貧血がある、あるいは時には貧血があるというふうなことでございます。その次が神経でございまして、まれに末梢神経がやられることがあるから、観察を十分に行うというふうなことが使用上の注意に書いてあるわけでございます。そのほか肝臓、まれに肝障害があらわれることがある。それから消化器障害等もございますし、それから発疹等の過敏症状があらわれるような場合もあるわけでございます。そういったものが主なものでございまして、整理いたしますと、大体五つのタイプの副作用があるというのが、現在このチアンフェニコールについてわかっております副作用でございます。
  260. 渡辺武

    渡辺武君 私は、主としてきょうは神経障害の問題について伺いたいと思っているのですけれども、一番最初認可するときに、いろいろ検討されたと言われるのですが、そのときの副作用はどういうものがあるということがわかっておったのですか。
  261. 上村一

    政府委員(上村一君) 四十三年の四月に承認いたしましたときにわかっておりました副作用といたしましては、食欲の不振、それから胃腸の障害、口内炎、それから目まい、そういったものが臨床試験のうち約五%の者について上がっておるというふうに把握いたしました。もう一つ、貧血等の血液障害、従来のものを忘れておりました。これがございました。
  262. 渡辺武

    渡辺武君 そうすると、その血液の障害などについては一番最初からわかっておった、胃腸障害等とですね。しかし、神経の障害ということになりますと、これは私も素人で、専門のお医者さんから聞いた話の受け売りですけれども、どうも神経の細胞というのはこれは小さいうちにできてしまう、だから、これが一度冒されますと再生不能だというのです。ところがその神経障害がいまずっと起こってきて、私のところまで患者が、ぜひこれは検討してくれということで来るというような状況なんですね。学会などの報告ども、最近神経障害についての正式な報告というのがだんだんふえつつあるという状況だと思うのです。それが一番最初のころにはどうしてわからなかったのか。これがもっと前からわかっていれば、恐らくいま神経障害で苦しんでいる人たち、これは全部とは言えないかもしれませんけれども、かなりの人たちが私は救われておったと思うのです。そういう被害を受けないで済んだと思うのですね。どうしてわからなかったのか。
  263. 上村一

    政府委員(上村一君) 医薬品の承認に当たりまして、さっきも申し上げましたように臨床データを要求しておるということを申し上げたわけでございます。私ども最低要求しております臨床データというものは、五カ所の医療機関で百五十例以上の臨床症例を集めてもらいたい。それで、この医薬品について製造承認の申請がありましたときに集められました臨床例数は約五百六十でございます。そこで、医薬品の承認に当たりまして集めます臨床症例の中では出てこない頻度というのがあるわけでございます。製造承認後市販されまして、何万人の人が使うことによって、初めて何万人に一人というふうな副作用があらわれてまいる場合がある。それが一つございます。  それからもう一つは、臨床試験の場合には、この申しちゃ何でございますけれども、必ずしも非常に長い期間にわたって服用された症例というものは集められておらない。その結果、非常に長い期間服用した症例の中からそういった副作用が出てまいる。したがいまして、医薬品の製造承認をします場合に、もちろん動物試験等、あるいはその他の基礎試験等も参考にいたしますけれども、臨床試験のカバーし得る範囲の限界から、どうしても事後になってわかってくる副作用というものがある。そこで、新しい医薬品については、少なくとも三年間は副作用が発生すれば直ちに私どもの方に報告するように義務を課しておるという点も、そういうことにあるわけでございます。
  264. 渡辺武

    渡辺武君 どうも余り納得できませんですが、話をもう少し移しまして、これは私どもの方で厚生省の方からお借りした薬業時報社——これは昭和四十七年の四月付の本ですけれども、この中に「医薬品の使用上の注意」ということで市川篤二さんという方が序文を書いておりますが、そこにチアンフェニコール製剤の使用上の注意というのが出ているのですね。これを見てみますと、長期間投与しちゃいかぬというようなことは書いてない。後からこれは御披露したいと思うんですけれども、私が拝見した限りで神経障害が起こったという学会の例では、大概長期間これは飲んでいる。私のところに相談に来た人は四ケ月間飲んだ、そのために神経障害が起こったというようなことで、やっぱり長期間投与を受けて、そのために障害が起ったということがその後の実例でよくわかっているわけです。  ところが、一番最初恐らくこれは出たものだろうと思うんですけれども、その使用上の注意の中に、長期間投与しちゃいかぬというような趣旨のことは一つも書いてない。ただ、「動物実験では長期使用で睾丸萎縮が報告されているので注意すること。」ということが一言書かれているにすぎない。そういう状態なんです。ましてや神経性の障害があるなんてことは少しも書かれてないのですね。こういうものが使用上の注意として出ていて、そうして新薬がどんどん発売されたら、恐らくそれを使うお医者さんは、この使用上の注意を見て患者に投与すると思うのですね。だとすれば、これは副作用が出てくるというのは当然予想できるわけです。これは大変な問題だと私は思うのです。さっきおっしゃった、最近は神経障害が起こるのだということになっていると言いますけれども、私もあなたの方からいただいたこの最近の使用上の注意というのを見てみました。はっきり書かれております。また、「長期投与しないこと」ということも一項目はっきり盛られている。いつからそういうものが挿入されるようになったのか、またそのいきさつはどうなのか、その辺を聞かしてほしいです。
  265. 上村一

    政府委員(上村一君) 最初にお話しになりました使用上の注意は、四十三年発売当時のものでございまして、御指摘になりましたように、神経症状のことについては触れておらないわけでございます。と申しますのは、先ほど申し上げましたように、承認の時点ではそういったことについて何もなかったということもございますし、当時、これはイタリーの製品でございますけれども、イタリー、フランス、オランダ、西独等々の国々でもすでに行われていて、そういう例がなかったということであるわけでございます。  この市販後、チアンフェニコールについて末梢神経障害の副作用が報告されるようになりましたのは四十七年の六月でございます。昭和四十七年六月に開催されました第四十一回の日本神経学会関東地方会で、東大医学部の豊倉教授が報告されたのでございます。この豊倉教授が報告されました内容はチアンフェニコールを約一年間継続投与した結果、末梢神経障害の副作用があらわれたという内容のものでございまして、この豊倉教授の情報につきまして、厚生省の中央薬事審議会にございます副作用調査会で検討いたしまして、チアンフェニコール製剤の添付文書に、本剤の長期にわたる投与により、まれに末梢性神経炎のあらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するというふうな注意を記載させまして、副作用の発生防止に関し注意を喚起する措置を講じたのでございます。したがいまして、末梢神経障害に関するデータがわかりましたのは、四十七年の六月の学会報告が端緒であるというふうに私ども考えております。
  266. 渡辺武

    渡辺武君 そうしますと、いま伺った話をずっと考えてみますと、一番最初認可の場合にいろいろ調べたけれども、特に長期投与という点では十分見てない、そのために長期投与によって起こる神経障害も発見できなかったんだということになるわけですな。そうして、その後発売されてから、豊倉教授の発表が四十七年六月にあって、そこで使用上の注意の中に神経障害があるぞということも入るし、それから長期投与しちゃいかぬということも入った、こういうことになるわけですね。
  267. 上村一

    政府委員(上村一君) 何と申しますか、承認されましたものについて審査をいたします場合に、慢性毒性試験等について動物実験は十分データとしてとるわけでございます。  それから、さっきも申し上げましたように、何万人に一人という確率で起こるものについてなかなか把握できない。一番問題なのは、臨床試験というのは厚生大臣が承認する以前の医薬品であるわけでございますね。何と申しますか、厚生大臣が承認する以前の医薬品について臨床試験例を集めます場合に、そこにそういった薬を投与される患者の立場を考えますと、どうしても制約がある。つまり、まだ厚生大臣が承認もしておらない、したがって審査も済んでおらないものを、大ぜいの人間に、しかも相当長期にわたって使って、そこで集めてこいということが言えるかと言われますと、そこは非常に微妙にむずかしい問題があるというふうに考えるわけでございます。
  268. 渡辺武

    渡辺武君 技術上のそういう問題はあるでしょうね、私は素人でよくわからないけれども。そう言われてみればそうかもわからぬなあという気もするんですよ。  しかし、それにしましてもとにかく新薬でしょう。これを飲んでどういうことになるかというのは、まだ恐らく未知数の問題でしょう。新薬の認可の場合に慎重に徹底的に調べて、これは大丈夫だ、またこれこれの副作用があるから、その副作用を防ぐためにはこうしなければならぬという点までがはっきり明示されて薬が認可されるというような形になれば、被害者は起こらないと思うんですね。あるいは数が少なくなると思うんです。その点で私は、薬の認可がまことに安易に行われたのじゃないか。後で被害者が出てきたというので、四十七年の六月に学会で報告になったということで、あわてて手直しするというようなことでは、これは薬害を受けた人たちの立場に立ってみれば、一体どういうことになるんですか。そういう副作用があるということを知らないままで薬を認可してしまった、これは厚生省の責任になるんじゃないでしょうか。同時にまた、そういうものをこれも十分に検討もせずに輸入をして国内に発売するということをやったメーカーの責任でも私はあると思うんです。その点どう思いますか。
  269. 上村一

    政府委員(上村一君) 医薬品の製造承認に当りましては、私ども基礎的な各種の試験、それから動物試験、それから三つの段階にわたります臨床試験を通じまして、集まったデータをもとにして専門家によって検討いたしまして、さらにその検討した結果疑念が持たれます場合には、さらに新しいデータを要求するという形で承認を進めておるわけでございます。したがいまして、承認をした時点では、その当時私ども考えられました最善を尽くして、これこれの副作用があると把握をしておるわけでございます。  そして、先ほど来申し上げておりますように、それが市販されて大ぜいの人に使われるようになって初めて出てまいるものがある。そこで御指摘になったように、そういった市販されて大ぜいの人に使われるようになって初めてあらわれた副作用によって健康被害を受けた患者さんは非常に気の毒ではないかと言われると、私もごもっともだと思います。そこが医薬品という物質の副作用がどうしても避けられない一つの限界だろうというふうに思うわけでございまして、そういう医薬品を承認した時点ではわからなかった副作用によって健康被害を後で受けたような人については、どうしても救済制度というようなものを考えていかない限り、患者さんの救われる道がないんじゃないかというふうに思うわけでございます。
  270. 渡辺武

    渡辺武君 それはちょっと余りに無責任な言い分じゃないですか。救済制度が必要でないということを言いたくはありませんよ。確かに必要だろうと思う。しかし、当初の新薬の認可のときに十分な検査もしないで認可をする。そういうようなことで被害者が出る。そこのところを十分な反省をして、検討をして改めていくということなくしては、被害者救済制度は厚生省の責任を回避する手段になってしまうんじゃないですか。  私、さっきあなたの方で言った、新薬を売り出された当初の薬の使用上の注意というのを読みまして唖然としましたよ。余り簡単で粗雑ですね、これ。チアンフェニコール製剤の経口用剤の使用上の注意で、「(1)造血能の低下している疾患、貧血、白血球減少のある場合には注意して用いること。(2)動物実験では長期使用で睾丸萎縮が報告されているので注意すること。(3)新生児、未熟児に用いる場合にはとくに記載の用量を越えないよう注意すること。(4)まれに他の広範囲抗生物質と類似の消化器障害がみられるが投与を中止することによって消失する。」、こんな程度です。  ところが、一番最近のものだといってあなた方からいただいた、ことしの六月か七月に出されたものですね、「チアンフェニコール製剤の使用上の注意」、これは全部で七点ありまして、かなり詳細にその内容が記載されている。その中で特に私が先ほども指摘しましたけれども、一番最初の第一の「一般的注意」の第四項に、「長期投与しないことが望ましい。」ということもはっきりと書かれておりますし、「副作用」の中にも(1)が「血液」、(2)が「神経」ということで、神経障害についてもはっきりと書かれている。かなり詳細なもんです。初めからこのくらいのものを出しておったら、神経障害で苦しむ人というのは非常に少なかったろうと私は思うんです。そういう事態を来したあなた方の責任はどうなさるのか、この点を伺いたいのです。
  271. 上村一

    政府委員(上村一君) 医薬品の製造承認に当たりましては、先ほど来の繰り返しになりますけれども、必要なデータを私どもできる限り集め、そして専門家による検討をお願い申し上げ、さらに追跡の試験をいたしまして承認をしている。しかしながら臨床試験については、さっき申し上げましたように、承認前の医薬品という性格上どうしても限界がある。その限界を超えた副作用というのは、どうしても市販された後に発生してまいる。これは医薬品の性格上どうしても避けられないものであろうというふうに思うわけでございます。  そこで、それをどうして防ぐかということになるわけでございますが、これも先ほど来申し上げましたように、その医薬品の製造承認をして、それが市販されるようになりましてから、およそ新しい医薬品については三年間はメーカーから副作用の報告を義務づけておるわけでございます。そして、その間はそれ以外のメーカーからその薬について製造なり輸入の承認申請がありましても、一切認めないというふうな扱いをしておることでございます。そういたしまして、そういうふうな三年間の副作用報告を義務づけられました期間、その間に報告のあったものについてはさらに使用上の注意を改めさせる。  さらに、そういった期間も過ぎて、専門家から、先ほど申し上げましたように末梢神経障害というのは四十七年に初めて報告のあったものでございます。報告のありました段階で、これが本当にチアンフェニコールによるものであるかどうかを十分調べまして、そうである、これはクロだということがわかりました段階でさらに使用上の注意を改めさせる。つまり、承認申請がされました段階での審査というのは承認前の医薬品である性格上、どうしても臨床試験例に制限があると、その範囲内で承認するわけでございます。しかる後に、その副作用というものを絶えず追跡することによって使用上の注意をふやし、それをその薬を扱うお医者さん方に十分連絡することによって副作用の発生の防止に努める、これが私どもがとっております医薬品の安全対策でありますし、どこの国でも医薬品の安全対策につきましてはそういう方策をとっておるわけでございます。
  272. 渡辺武

    渡辺武君 どうもやむを得なかったんだ、私どもには責任がないとおっしゃっているように聞こえますね。とうていそんなことでは私は納得できない。  念のために伺いたいんですが、エーザイが輸入申請したのが昭和四十年になっているんです。輸入の承認があったのは昭和四十三年だという、三年間かかっているんですね。その間、薬事審議会からエーザイの出されたいろんな書類についてたびたび保留がなされて、そして改めてエーザイが再び書類の出し直しをするというようなことが何回かあったということを聞いております。その経過の詳細を聞かしてほしい。
  273. 上村一

    政府委員(上村一君) まず、四十年の七月十七日に申請がありましてから、私どもこれを新薬調査会の審議にゆだねるわけでございます。この中央薬事審議会の新薬調査会で審議をいたしますのに約二年かかっております。それから特別部会に諮り、それから常任部会に報告をして、承認をいたしましたのが四十三年の四月ということでございますが、この審議会の中で主に検討することを求めましたのは、睾丸の萎縮なり精子形成の障害について検討いたしました結果、この病変というのは可逆的である、もとに戻ると。不可逆的ではなくて、可逆的であるということを確認したのでございます。さっきお読みになりました承認当時の使用上の注意に書かれてある項目というのは、これを受けておるというふうに考えていただいていいと思います。  それから、造血機能障害につきましても調べさしたわけでございますが、これは著しい障害というのは認められなかったというふうに考えておるわけでございます。そういうふうな検討をいたしまして承認をしたのがこの薬でございまして、先ほどの繰り返しになりますけれども、当時すでにイタリーほか五十数カ国でも市販をされているような医薬品でございます。
  274. 渡辺武

    渡辺武君 私、ここに東京大学の、先ほどのお話になった豊倉康夫先生、それから島田康夫先生、その他、この方が一九七四年の「臨床神経」という雑誌の十四号に発表された「Thiophenicol長期投与によると考えられるPolyneuropathyの一例」という論文を持ってまいりました。この中に、特に最後の方で——あなた方これお読みになっているでしょうね。それをちょっと念のために伺いたい。
  275. 上村一

    政府委員(上村一君) 私が目を通しておりますのは、その学会報告を要約したものでございまして、学会報告そのものにつきましては、私も医師でございませんのでわかりかねる点もございますから、読んでおりません。
  276. 渡辺武

    渡辺武君 これ、まだ神経障害についての正式なこういう報告というのはそう数多くないんです。私が数えただけで学会に報告されたのを含めて十二、三例ぐらいしかないんです、雑誌報告も含めてですよ。そう長いものじゃないんです。私のような素人でさえ始めからしまいまで丹念に読みました。責任あるあなたがこういうものも十分読んでないというようなことで責任果たせますか、けしからぬ話ですよ。  ところで、この中に一番最後の方に「Thiophenicolについて」という項がありまして、ここで全部読むのは時間がありませんから私申しませんけれども、このチアンフェニコールというのはクロラムフェニコールと非常によく似た化学構造を持った薬なんだという趣旨のことが書いてあります。そのクロラムフェニコール、つまりクロマイです。これがO2Nを基にしている、O2Nを。この基がCH3SO2これに変わっただけで、そのほかの化学構造は全部同じだというんです。  そこで、当然のことながら、このクロマイで起こっているいろんな副作用、これと同じ副作用が起こるだろうということは予想できるんだという趣旨のことがはっきりと書かれている、いいですか。そうして、当時すでにクロマイによる血液の障害も起こる、同時にまた、神経障害も起こるということは明らかになっておった。そういう見地で書かれているんです。したがって、チアンフェニコールで血液障害が起こるだけじゃない、神経障害が起こるということもいわば当然なことであるという趣旨のことがこれに書かれている。その点についてどう思いますか。
  277. 上村一

    政府委員(上村一君) まず、専門雑誌の論文を局長が読まないのははなはだ不勉強ではないかというおしかりを受けたわけでございますが、こういった専門の論文につきまして、専門調査会の先生方が専門的な観点から判断されるものについて私ども信頼を申し上げておるわけでございますし、私どものスタッフにもそれぞれそういったことについての専門家がおるわけでございますので、私どもは、その報告について専門家の判断はそれは正しいものであるというふうな見地に立って物事を処理しておる点は、御理解いただきたいと思うわけでございます。  それから、いまお話しになりましたチアンフェニコールとクロラムフェニコールというのは化学構造式が似ておるという話につきましては、私ども承知しておるわけでございますし、効能効果等につきましてもよく似ておるということも承知しておるわけでございますが、この論文についてどう思うかということにつきまして、この場でいま直ちに答えよとおっしゃいましてもちょっとお答えいたしかねますので、御容赦いただきたいと思います。
  278. 渡辺武

    渡辺武君 これは言葉で言ってもわからないだろうと思って、私はちゃんと絵にかいてきだんですよ。これがクロラムフェニコールの構造なんです。(図表を示す)このO2N、これはニトロ基ですよ、こちらがチアンフェニコールです、いいですか。この下のCH3S02は、これはメチルスルホニル基ですか、これが違うだけで、あとこっちの構造は全部同じなんだ。私、これをある薬理の先生に見せたら、これはクロラムフェニコールで起こる副作用と同じものが当然こちらでも起こるだろう、つまりチアンフェニコールですね。起こるだろうというのは薬理の常識を持った人ならば、この式を見たらすぐにもわかることだ、こう言うのです。そのくらいのことが、あなた方、このチアンフェニコールを新薬品として認可するときにわからなかったのか、この点を聞きたい。
  279. 上村一

    政府委員(上村一君) もしお許しが得られれば、専門の担当課長を帯同しておりますので、よろしゅうございますでしょうか。
  280. 渡辺武

    渡辺武君 ええ、答えてください。
  281. 代田久米雄

    説明員代田久米雄君) お答えいたします。  確かに構造面ではおっしゃるとおり非常に類似した構造でございますので、そういう意味で薬事審議会でもクロラムフェニコールとの比較を十分議論をしたのではないかと思います。といいますのは、血液障害についていろいろメーカーに資料を要求したり、検討しておるわけでございますが、それはまさに先生の言われたクロラムフェニコールとの関連について検討したというふうに考えられますので、そういう意味ではクロラムフェニコールとの比較で十分検討したというふうに、この審議の経過から考えますとそういうふうに考えられるわけです。
  282. 渡辺武

    渡辺武君 考えられるじゃ困りますね。もし検討したとして、つまり、当然このクロマイと同じような副作用が起こるだろうということを考えて検討したとしたならば、神経障害について副作用のおそれがあるということをなぜ明らかにしなかったんですか。
  283. 代田久米雄

    説明員代田久米雄君) これは記憶でございますのであれですけれども、当時はクロラムフェニコールのいわゆる神経障害というのがそれほどはっきりしていなかった段階じゃなかったかと思うのです。そういう意味で、主として血液障害の方を一生懸命検討したんだと、こういうふうに考えられます。  それからもう一つは、先ほどから局長が御説明していますように、メーカーからの種々の基礎試験あるいは臨床試験においても、当然いわゆる副作用あるいは有害作用というものについての検討があり、あるいは欄があるわけでありまして、それについて臨床試験においてもそういうものが見られなかったということでございますので、結果的にそういう注意が書かれなかったというふうになっているのだと思います。
  284. 渡辺武

    渡辺武君 とんでもないことをあなたはおっしゃるんですね。私のような素人がちょっと調べただけでも、当時このクロマイによる神経障害が起こるというのは、あちらこちらの医学雑誌にも報告されているのだ。私がピックアップしただけで一九五一年、これはゲウィンらということになっておりますが、一九五二年発表された雑誌が必要ならまた後ほどはっきり申しますけれども、一九五二年にはウェルランシュタイン、これがクロマイで神経障害があるという報告をしている。一九六五年には中川喬先生などが日本の国内で発表している。一九六六年にはコックという方などがやはり発表している。一九六七年には木元克治先生などが神経上の障害があるということをはっきり報告している。これは先ほど昭和四十三年に認可されたというふうに言いましたから、その一九六八年以前のものをわざわざピックアップして申し上げた。  その以後のものについても一九七三年には東京大学の井上聖啓先生らが発表しておりますし、同じ年に村山英一先生らも発表している。いずれにしても当時クロラムフェニコールで神経障害がなかったなんて、明らかでなかったなんて、そんなばかなことないですよ。その気になって検討すれば十分にその危険が予知できたにもかかわらず、その辺を全然無視して新薬を認可した、これは厚生省の責任です。また同時に、その点を明らかにしなかったエーザイの責任でもあると思う、どうですか。
  285. 代田久米雄

    説明員代田久米雄君) 確かにそういう報告はあったと思いますけれども、少なくともチアンフェニコールの基礎データ、あるいは臨床データにおいてはそういうものは見られないという臨床研究報告であったということが専門家のそういう判断であるというふうな結果になったんだと思います。
  286. 渡辺武

    渡辺武君 これは臨床データとして、実際使用して神経障害が出ている。もっともその神経の障害も、主としては目の神経だという点はあるにしても、いずれにしても神経障害が実例として出ていて、その実例をもとにして報告を出しているんです。うそ言っちゃいけませんよ。責任をどうとります。
  287. 上村一

    政府委員(上村一君) いま私の方の担当課長が申し上げましたのは、チアンフェニコールについてそういう臨床例がないということを申し上げたわけでございまして、クロラムフェニコールについて当時どういう臨床例があり、どういう報告が私どもの方になされておるかにつきましては、いまこの席上で明快にお答えいたしますことは、資料との関係もございますので、いたしかねます。   〔委員長退席、理事大塚喬君着席〕
  288. 渡辺武

    渡辺武君 クロラムフェニコールの副作用について私はいま伺っておるんです。その副作用が当時すでに明らかであったのにもかかわらず、同じ構造を持つチアンフェニコールを認可するときに、普通の薬理の知識を持っている人ならば、当然予想される神経上の障害をなぜネグレクトしたのかと、その点を伺っておるんです。その点どうですか。  私、念のためにと思いまして、ある病院の薬剤の係の先生にわざわざ伺ってみたんです。そこの病院では、エーザイがこのチアンフェニコール剤を、ネオマイゾンでしたか、という名前で売り出した、宣伝されておったんで、どんな薬かなと思っていたところが、売り出されたのでその化学構造を見てみた。クロマイとほとんど変わらない。しかもクロマイよりも血液の中、あるいは胆汁の中、あるいは尿の中に入ったときに活性が大きいと言うんです、つまり残っていると言うんです。これはおそらくクロマイよりも副作用は大きいだろうと思って、うちの薬局ではこの薬を使わないことにしたんだと、こういうことを言っている。念のためにほかの二、三の大きな病院に問い合わしてみた。使っていると答えたところは、私が伺った範囲では一ところもない。おそらくこれは、薬理についての常識を持った人ならば普通に考えることだろうと思うんだ。クロマイ同然もしくはクロマイ以上の副作用があるだろう、そういう懸念を持つのが私は常識だろうと思うんだ。それを三年間もかかって検討をして、何でエーザイが輸入するときに、その危険性を予知して十分な検査をやらなかったのか、その点を伺っているんです。
  289. 上村一

    政府委員(上村一君) いまこの席でいろいろ伺い、お聞きされるわけでございますが、私ども最初からお答え申し上げておりますように、その新薬調査会のメンバーというのは、それぞれ医学、薬学の専門家でございます。いまお話になりましたようなことがおよそ薬を扱う者の常識であるならば、当然そのことは検討をされた上結論を出されたに違いないというふうに考えるわけでございますが、いまこの席上その関係のデータの持ち合わせがございませんので、明快にお答えいたしかねます。
  290. 渡辺武

    渡辺武君 そういうことだったらとうてい承服できない。調べてくるのが当然でしょう。私きょうこの問題で質問するということをはっきり申し上げている。あなた方からも来てもらっていろいろレクチュアも受けている。その資料を出してもらいたい。薬の認可の当時、どういう検討をやったのか、どういう結果が出たのか、その資料を提出していただきたい。委員長、どうぞお取り計らいください。
  291. 上村一

    政府委員(上村一君) 当時の、エ−ザイから申請がありましたものについて、どういう副作用の報告があったか、それからどういう臨床例であったかということにつきましては、その後でお話し申し上げるようにしたいというふうに考えます。
  292. 渡辺武

    渡辺武君 少なくともいま言ったように、全くもう化学構造はほとんど同じですよ。この薬から同様の副作用もしくはそれ以上の副作用があるだろうとかいうことについては、素人だって当然予想できる。私も話聞いてなるほどそうだろうなと思った。薬理の専門家ならば当然これは考えられること。当時認可する場合に、一体そういう注意をして薬理上のテストを厚生省として指示したのかどうか、その点どうですか。
  293. 代田久米雄

    説明員代田久米雄君) 構造の問題でございますが、構造が似ておるということで、必ずしも絶対同じ副作用が出るというふうに限ったわけではございませんで、構造が少しでも違えば当然副作用の点でも違うということはあり得ることでございます。特に先生がおっしゃったようにチアンフェニコールについては活性度が高いじゃないかというふうにおっしゃったと思うんですけれども、そういう意味では効き目の方もまた高いわけでございまして、現にクロラムフェニコールよりチアンフェニコールの方が服用量は少ない量で十分済んでいるわけでございます。ですから、そういう意味では服用する量も少ない、したがって、副作用の出方も違うということは当然あり得るだろうと思います。
  294. 渡辺武

    渡辺武君 そんな一般論を伺ってるんじゃないんです。このチアンフェニコール製剤を認可するときに、薬理上のテストを厚生省として十分やるように指示したかどうか。当然常識的に考えられることだ、やったかやらないか答えてください。   〔理事大塚喬君退席、委員長着席〕
  295. 上村一

    政府委員(上村一君) そういう薬理学的なテスト、あるいは各種の試験、そういうものをやらないで申請があったものは受け付けばいたしません。
  296. 渡辺武

    渡辺武君 そういうことを伺ってるんじゃない。厚生省として、薬理上のテストを十分にやれということを改めて指示したかどうかということを伺っている。
  297. 上村一

    政府委員(上村一君) 四十二年の新薬承認の基本方針を確立しまして以来、その申請があるものにつきましては詳細な研究データを要求するようにあらかじめいたしておりますので、まずその承認を出してくる立場の会社からはそれにかなったものが出されるわけでございます。それから先ほども申し上げましたように、その調査会で、審査の過程でこういうデータをさらに出せというふうな要求をすることはあるわけでございます。本件につきましてはさっき申し上げましたように、血液なり睾丸障害についてやったというふうに私報告を受けておるわけでございます。
  298. 渡辺武

    渡辺武君 そんな一般論で逃げられちゃ困る。質問のポイントをちゃんと答えてほしいです。やったのかやらないのか。
  299. 上村一

    政府委員(上村一君) いまさっきから申し上げておりますように、どういうことをやったのかということについて手元にその資料がございませんので、お答えいたしかねるわけでございますけれども、さっきお答えしました中にもございましたように、その審査の過程で何と申しますか、テストによる資料の要求ということはいたしたものでやあるというふうに考えております。
  300. 渡辺武

    渡辺武君 いずれ資料を出していただいて、じ改めて検討しましょう。  それで、先ほど私が、いま学会などで正式に報告された患者の数はまあ十人を超えるということを申しました。被害者の数ですね、学会などに正式に報告された例としてですよ。しかしそのほかに、そういうものに載っていないで私の知っているだけで二人いますよ。ある専門の先生に伺ってみましたら、おそらくすでにチアンフェニコール製剤による神経障害の患者だというふうに明らかになっている患者の数ですね百人ぐらいはすぐにわかるだろう、いるだろうということをおっしゃっておるわけなんです。私はこれは氷山の一角だろうと思うんです。神経障害が起こったけれども、一体何が原因で神経障害になったのかわからないで苦んでいる人たちが非常にたくさんあると思うんです。いまのお話を伺っていると私は、こうした患者の苦しみの責任は厚生省とそうして一番最初にこの薬を輸入し、販売したエーザイその他の製薬メーカーにあるというふうに考えざるを得ません。  そこで、もうすでにかなりの被害が出ているということが明らかになっているわけでありますから、したがって厚生省の責任とそれから特にメーカーの責任で、このネオマイゾンによる神経障害の患者、これを全国にわたって洗い出す、そういうことをやってほしいと思うんです。メーカーがどの病院にどのぐらい薬を売ったかというようなもの、これはすぐわかることでしょう。それぞれの病院でその薬をだれにどのぐらいの期間飲ましたか。これも全部わかることだと思う。やろうと思えば私はできることだと思う。患者の全国的な総点検をやってほしいと思うが、どうですか。
  301. 上村一

    政府委員(上村一君) まず、医薬品についてその医薬品を障害との間に因果関係があるかどうかということを個別的に認定するというのは、なかなかむずかしい問題だろうと思うわけでございます。お話しになりました点、チアンフェニコールによって神経障害がある患者が、全国の病院にどのくらいおるかということはどういう方法で調べられるか、それを検討しました上で態度を決めさしていただきたいと思うわけでございます。
  302. 渡辺武

    渡辺武君 それは厚生省が、副作用のある薬をその副作用を明示しないで販売を許可したという責任は免れることはできない。あなた方の責任を果たす上からも、一日も早くネオマイゾンの投与によって神経障害が起こったということを、いまわかっているものだけじゃだめですよ。とにかくネオマイゾンの長期投与をした患者、これを神経障害が起こっているかどうかという角度で改めて調べ直すということが必要だと思うんです。重要な問題ですから重ねてお答えいただきたい。
  303. 上村一

    政府委員(上村一君) いまお話し申し上げましたように、十年前から売り出されておる薬でございます。その薬について、その薬は投与された患者さんの中からどのくらいの人がいまお話しになった神経障害であるかどうかというのは、医療機関を頼りにせざるを得ない。医療機関を頼りにすると申しますのは、医療機関医師の判断と保存されておりますカルテ以外に頼るものはないわけでございます。したがって、先ほどの繰り返しになりますけれども、そういう調査が果たして可能かどうかということをよく検討した上で、態度を決めさしていただきたいということになるわけでございます。
  304. 渡辺武

    渡辺武君 これは厚生省としての姿勢が問題だと思うんです。厚生大臣、どうですか。
  305. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) 十分検討さしていただきたいと思います。
  306. 渡辺武

    渡辺武君 それから、ここにエ−ザイの出しましたネオマイゾンの薬につけられる使用上の注意、これは九月からこれをやるという一番新しいものです。これを持ってまいりました。ここには厚生省指導をして、ことしの六月ごろに出さした使用上の注意がほとんど盛り込んでいるんです。しかし問題は、この一番最後にある参考文献です。  この中には、厚生省の副作用調査会ですか、これが副作用の事例として取り上げている「医薬品副作用情報」というのに載っている学会報告二つ、厚生省としては正確にキャッチしているんですけれども、何にも載っていない。また、私自身が個人的に調べました各学会の臨床医学だとか、あるいはまたその他の雑誌に載っている神経障害についての副作用に関する論文、これも参考文献の中に一つも載ってないんです。恐らくここに載っているのは、効果があるという論文だけだろうと私は推定しております。こんなことで患者の健康や生命に対して責任が持てるのかと言いたくなる。こういう点についてはどうお考えですか。
  307. 上村一

    政府委員(上村一君) 使用上の注意は、いま御指摘になりましたように、私ども指導しておるように一般的な注意を書き、それから個々患者の態様に応ずる副作用等を明記しておるわけでございます。  この参考文献でございますが、この参考文献をどういう趣旨で選んだのかにつきましては、これはこういったものをつくりました会社に聞いてみないとわからないわけでございますが、私どもが薬品情報としてまとめましたもの、その中には先ほど申し上げました豊倉教授の報告があるわけでございますが、そういったものはすべて医療機関にわかり得る状態に置いてございます。しかもこの医薬品というのは医療用の医薬品でございますから、仮にこのエ−ザイの参考文献に載っておらないからといって、そのお医者さんが知ることができないという状態にあるとは考えません。ただ ここに書かれておる参考文献というものの選び方が妥当かどうかにつきましては、この文献を選んだ立場の者に聞いてみない限り、どうも判断のしようがない、そう思います。
  308. 渡辺武

    渡辺武君 当然副作用があったという例症の出ている論文も参考文献として載せなきゃならぬでしょう。それが望ましいことじゃないんですか。まさにそうしなければ、十分に副作用を防ぐことはできないんじゃないですか。どうですか。
  309. 上村一

    政府委員(上村一君) 参考文献の中には当然のこととして、その副作用がある、ことに重篤の副作用があるような文献というのは、私、載せてしかるべきであるというように思います。その点はお話のとおりだと思います。
  310. 渡辺武

    渡辺武君 お話のとおりだということだから、次に移りますが、ここに一九七三年の同じエーザイの使用上の注意を持ってきました。ネオマイゾン カプセル・顆粒、これは当時すでにもう出ておりました。長期投与しない方がいい、それからまた、「末梢神経炎があらわれることがある」という注意が載っております。ところが、同じエ−ザイでネオマイゾンGの注射薬、これには全然載っていないんです、同じ七三年の同じ会社から出た使用上の注意で。これは不徹底じゃないですか。その点どうですか。
  311. 上村一

    政府委員(上村一君) 御指摘のとおり、四十八年一月の使用上の注意についてはカプセルと注射剤で書き方が違う点があるわけでございますが、その書き方としては同じようになすべき筋合いのものだろうと思います。なぜそうなっておるかにつきましては、いまつまびらかにできませんけれども、現在のその使用上の注意につきましては、注射につきましてもカプセルにつきましても同じような書き方になっておるわけでございます。
  312. 渡辺武

    渡辺武君 時間が来ましたからもうこれでやめますけれども、私はこれは厚生省行政指導の不徹底だと思うんです。いい加減な行政指導をしているんじゃないですか。錠剤を飲んで悪けりゃ注射だって悪いに決まってますよ。  それから、同じ一九七二年に出された三共株式会社、これがチオサミノールカプセル、これにも長期投与しちゃいかぬとか、あるいはまた神経障害があるんだという、そういう使用上の注意は載ってない。あなた方が指導を徹底すりゃこんなばかなことにならぬと思うんです。こういうものがお医者さんにいって、お医者さんは知らないで患者に飲ませる。当然被害者が出てきますよ。こういう点についてもう少し行政指導を徹底していただきたい。全面的に調べてもらいたい。この点、厚生大臣どうですか。  それからもう一点。厚生省説明を聞きますと、新薬の認定の際に臨床試験をやる、その結果も報告される。ところが、これはメーカーが病院に頼んで臨床実験をしてもらって、その結果は薬事審議会に出てくるんだというんです。この間国立がんセンターの問題が起こりました。メーカーから金をもらっていると、新薬の試験について。そういう問題が起こっている。その点も念頭に置いてこういう新薬の臨床試験については国が責任を持ってやるべきだ。そうでなければ、臨床試験をやってもらって報告が出ましたそれを書面審査して大丈夫だと思いました、幾ら繰り返したって同じような問題が私は起こってくると思うのであります。当然国が責任を持って、臨床試験などももっと責任の負えるものを出さして検討すべきだと思います。その点どうか。  それから第三点。いまのこの医療保障制度、これは薬の保険の単価の高いもの、薬価基準の高いものをお医者さんが使うという傾向があると言われている。お医者さんの技術評価が非常に低くて、そうして薬価の基準が高いためにどうしてもそういうものを使いやすい。クロマイについては薬価基準が下がり、値段も下がってきた。チアンフェニコール製剤についてはクロマイよりも薬価基準が高い。きょうは時間がないから細かい数字は申しませんけれども、そういう現在の医療保険の仕組みです。ここに、こういうチアンフェニコール製剤を特に町のお医者さんが患者さんに長期投与などをして、いろんな被害を生み出してきている一つの大きな原因があるんじゃないか。この点について検討する用意があるかどうか。  以上伺って終わります。
  313. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) 第一点の、薬事審議会なり厚生省の製薬許可が非常にルーズじゃないかと。実は私は、厚生大臣になる前の認識では、大変私も製薬許可を頼みたいんですが、実に厚生省はむずかしいというのに驚いておったんです。ところが、実際行政の方に携わると逆のような、スモンにいたしましても、本日御指摘のような副作用の出る薬を許可しておると実は驚いておるわけです。しかし、人間のやることでございますから、どんなに慎重にやりましても、その中に副作用のある薬の認可という場合もあり得ると思います。しかし、御指摘のとおり念には念を入れ、また、手続上さらに慎重に今後とも検討していくべきものである、かように考えまして、大変御参考の御意見として承って行政の参考にいたしたいと思います。  第二の問題は、少し専門的になりますので、私にかわりまして第二、第三は薬務局長からお答えさしたいと思います。
  314. 上村一

    政府委員(上村一君) 第二点、新薬の臨床試験をどこでだれが責任を持ってやるかということでございますが、現在の医薬品の製造販売というのはそれぞれの企業が行うわけでございます。その企業が厚生大臣の承認を得て行うわけでございますので、国自身がその新薬について臨床試験を行うのは日本の場合妥当ではない、むしろ、メーカーが行います臨床試験というものについて、より客観性を求めるように、同時に、その臨床試験を受ける患者さんの立場を考えるように指導してまいることが肝要ではなかろうかというふうに思うわけでございます。  それから、薬価基準価格と実際の価格との差が大きいものを好んで医師が投与するというふうなお話でございますけれども、私自身、医師というのが患者に医薬品を投与するのは病気を治すためでございまして、薬の差でもうけるためではないというふうに信じておるわけでございます。そういうことはないというふうに考えます。
  315. 鈴木力

    委員長鈴木力君) 他に御発言もないようですから、厚生省と、それに関係する医療金融公庫及び環境衛生金融公庫決算につきましてはこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十六分散会