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1976-10-19 第78回国会 参議院 外務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月十九日(火曜日)    午前十時九分開会     —————————————   委員異動  十月十四日     辞任         補欠選任      稲嶺 一郎君     川野辺 静君  十月十五日     辞任         補欠選任      川野辺 静君     稲嶺 一郎君  十月十八日     辞任         補欠選任      星野  力君     野坂 参三君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         高橋雄之助君     理 事                 亀井 久興君                 秦野  章君                 増原 恵吉君                 戸叶  武君     委 員                 伊藤 五郎君                 大鷹 淑子君                 矢野  登君                 亘  四郎君                 寺田 熊雄君                 田  英夫君                 羽生 三七君                 和田 静夫君                 塩出 啓典君                 立木  洋君                 田渕 哲也君    国務大臣        外 務 大 臣  小坂善太郎君    政府委員        外務大臣官房長  松永 信雄君        外務省条約局外        務参事官     村田 良平君    事務局側        常任委員会専門        員        服部比左治君    説明員        外務省経済局外        務参事官     溝口 道郎君        外務省経済協力        局外務参事官   大鷹  正君        農林大臣官房企        画室長      小島 和義君        農林省農林経済        局国際企画課長  瀧   巖君        農林省農林経済        局国際協力課長  岩渕 道生君        農林省農蚕園芸        局農産課長    山極 栄司君        農林省畜産局食        肉鶏卵課長    甕   滋君        食糧庁企画課長  野明 宏至君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○千九百七十一年の国際小麦協定を構成する小麦  貿易規約及び食糧援助規約有効期間の第三次  延長に関する議定書締結について承認を求め  るの件(内閣提出) ○千九百七十六年の国際コーヒー協定締結につ  いて承認を求めるの件(内閣提出) ○在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務  する外務公務員の給与に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十八日、星野力君が委員辞任され、その補欠として野坂参三君が選任されました。
  3. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 千九百七十一年の国際小麦協定を構成する小麦貿易規約及び食糧援助規約有効期間の第三次延張に関する議定書締結について承認を求めるの件  及び、千九百七十六年の国際コーヒー協定締結について承認を求めるの件(いずれも本院先議)  両件を便宜一括して議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 戸叶武

    ○戸叶武君 国際小麦協定は、一九七一年二月の国連小麦会議で採択され、同年七月一日に発効したものですが、この協定作成の当初から、その当時は小麦生産過剰の傾向にあったので、この方の最低価格をどうするかということを中心に、産出小麦価格標準に問題の重点があったのですが、いろいろ各国の立場があるので、主要輸出国意見がまとまらないでいたが、そういう関係でこの国際小麦協定においては、商品協定の根幹となるべき経済条項を欠いていることが問題になっており、その後も、その問題をめぐっていろいろな話し合いが行われたのですけれども、その後ソ連における小麦大量買い付け、これは異常気象のためであったといいますが、そういうふうになって、その問題もついにまとまらないままに今日になったのですけれども、やはりこれに見られるように、需給関係の問題が非常にこの問題の根底においては重要な課題となっておると思いますが、いま小麦産出国におけるところの生産状態、そういうものはどうなっているのか、去年と違って、ことしはアメリカにおいてもその他の主要生産国においても豊作だという知らせがあり、また、ソ連中国においても異常時のようなことはない。インドですらもことしは輸出の方に回れるのじゃないかというふうな話まで出ているという状態ですが、一時ヨーロッパでは干ばつによって食糧危機が来るのじゃないかという新聞等には報道ありましたが、そのことに関して、ひとつ外務省がキャッチしている情報並びにそれに補足して農林省側からも御報告を願いたいと思います。
  5. 溝口道郎

    説明員溝口道郎君) 先生指摘のとおり、小麦世界需給状況は、七二、三年ごろのソ連の非常な不作によりまして、ソ連アメリカ初め各国から大量の買い付けをいたしましたので、非常に需給が逼迫する情勢が続いておりますが、幸いにして、ことしは小麦事務局の試算では四億トン近い三億九千万トン程度の記録的な世界生産量になるのではなかろうかという見通しを述べております。  国別に主なところを申しますと、米国見通しとしては五千八百万トン程度、カナダが二千数百万トン、西ヨーロッパが五千六百万トン、ソ連見通しとしては八千万トン程度インドも御指摘のとおり少しふえまして二千七百万トン、こういうのが主な国の見通しでございます。したがって、このまま続けば過去数年に見られた非常なきつい需給状況は少し緩和されるのではなかろうか、見通しは非常にむずかしいんでございますが、小麦事務局ではそのような見方をしているようでございます。農林省の方がお詳しいと思いますので、あるいは補足いただければ幸いと思います。
  6. 野明宏至

    説明員野明宏至君) ただいま外務省から御答弁がございましたように、概括的にはただいまのような状況にあろうかと思います。昨年はソ連が非常な不作でございまして、それに伴う大量買い付けがあったわけですが、アメリカにおいて史上最高豊作、五千八百十万トンという生産を記録したわけでございますが、そのほか主要輸出国生産もおおむね順調であったために、一九七二年以降のような大きな混乱は招かないで済んだわけです。  本年産につきましては、年の初めごろ、アメリカにおいても干ばつが一部冬小麦についてあるとか、あるいはオーストラリアとかフランスなどで干ばつ影響によりかなりの減産が見込まれるというふうなことがございまして、価格も若干上昇するというようなことでやや懸念されたのでございますが、アメリカにおきまして春小麦豊作、これは昨年の史上最高豊作とほぼ同程度であるということで、世界全体で見ますと、ことしは約三億九千万トン、前年に比べますと一一%、数量にいたしまして三千七百万トン程度の増加が見込まれておるわけでございます。ソ連あるいは中国インド等についても同様大豊作というふうに伝えられております。したがいまして、五大輸出国在庫につきましても昨年度より増加する見込みでございまして、今後の小麦国際需給につきましては、過去の二、三年ごろの状態に比べますれば緩和ぎみに推移するものと見られております。  ただ、世界小麦在庫水準、これは需要全体の規模から見ますとなお低水準にございますし、世界的な景気の回復とか、あるいは穀物需要の増大ということも見込まれます。他方、気象変動等による供給の減少といったことも考えなければならないといたしますと、やはり国際需給の先行きについては必ずしも楽観を許さない、予断を許さないというふうな状況にあろうかと思っております。
  7. 戸叶武

    ○戸叶武君 米国のキッシンジャーは、一九七四年の秋、ローマの世界食糧会議食糧備蓄構想を打ち出しましたが、このような豊作状態だとそれが実際的にどういうふうに実践されるか、世界各国における動きをもう少し詳細に承りたいと思います。
  8. 溝口道郎

    説明員溝口道郎君) 先生指摘のとおり、アメリカ食糧会議備蓄構想を打ち上げまして、昨年の春以来、ロンドンで小麦理事会のもとに準備会議ということで、新しい小麦協定内容について話し合いが行われております。その一環といたしまして米国備蓄構想を提出いたしました。  アメリカ構想も非常に概括的なものでございますが、考え方といたしましては三千万トン、このうち小麦二千五百万トン、米五百万トンの備蓄を設けます。これは国際備蓄ではございません。各国に分かれて保有いたしますが、この備蓄国際的に管理をいたしまして、これを一種の食糧安全保障的な考え方から、世界需給情勢に応じて放出するという考え方でございますが、この点につきまして、話し合いの過程におきまして、日本とかECのような国は、備蓄という考え方を仮に取り入れます場合には、需給変動という量的な要因もさることながら、むしろ国際価格の上下を見きわめる必要があるのではないか。国際価格が非常に逼迫したときに備蓄の放出を行なうという価格安定的なことを非常に強く出しておりますが、アメリカの方はむしろ量的な状況に応じて備蓄を管理するという考え方を出しておりまして、その他後進国も、備蓄食糧援助に用いるとか、あるいは後進国のために特に有利な価格を造出することを考えなければならないとか、各国考え方は非常にまちまちになっておりまして、話し合いもなお続けられておる状況でございます。  御指摘のように、最近の需給状況がやや変化しつつあると考えられるときにおいて、この米国備蓄構想というのはどのような意義を持ち続けるかという問題がございますけれども、アメリカ構想も単に一年とか二年とかいうのではございませんで、今後の一つの長期的な世界食糧需給の安定を図るメカニズムとして考えているようでございます。
  9. 戸叶武

    ○戸叶武君 EEC側備蓄よりも価格安定を優先すべしという主張と、アメリカ備蓄の量を重点に置く考え方とは大変な違いだと思いますが、ことしのような豊作の年においては、価格問題においても、価格が下がりこそすれ本来ならば上がるはずはないのでありますが、そのような動きに対してどういう対応の姿勢を示しておりますか。
  10. 溝口道郎

    説明員溝口道郎君) 価格動向は非常に微妙なものがございまして、どちらかというと、最近数ヵ月軟調に推移しているかに見えますが、先ほど農林省の方からも答弁がございましたように世界需給動向、これは気候の変化とかいろんな要素によって突如価格の流れが変わることもございますから、なかなか把握はむずかしゅうございます。ただ、過去の経験に照らしてみますと、長期的に小麦価格も非常にアップダウンがやはりかなりあるということで、一般的に申しますと、日本のような小麦の大輸入国といたしましては国際協力を通じまして小麦世界価格ができる限り安定することが望ましいということで、そういう価格安定あるいは貿易の安定のお話し合い日本としても参加しております。  アメリカ備蓄構想がどのような意義を持つかということにつきましては、アメリカ備蓄構想内容もまだ固まっておりませんので、その点アメリカあるいはヨーロッパ関係国話し合いを通じましてさらに明らかになってくるものと思われます。
  11. 戸叶武

    ○戸叶武君 アメリカ備蓄構想によると、小麦二千五百万トン、米五百万トンというような構想内容になっている模様でありますが、ここで問題は、小麦価格というものと日本の現在における米の価格とには非常なギャップがあるのであって、備蓄の面においてやはり小麦というものが優先的になると思うんです。ただしかし、その場合において後進国発展途上国において飢餓状態のようなところには、日本が米あるいは農機具なり肥料等援助するというふうな定めになっているのでありますが、この小麦価格日本米価格の非常に大きな開き、こういう問題は日本においてはどういうふうに調整していこうと考えているか、それを承りたいと思います。いますぐこの答えは出てこないと思うんですが、この会議その他が今後も継続されて、非常なデリケートな問題がありますけれども、この間の微妙な問題も十分心得て外交政策をやる場合においては対処しなければならないと思いますので、この問題に対しては外務大臣からひとつ御答弁を願います。
  12. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 戸叶さん御指摘のように、非常にこれデリケートな問題でございますし、わが国とすれば小麦の大輸入国であるわけでございますので、価格の問題についてはやはり慎重に対処する必要があると思うのでございます。  ただ、国内の米の価格のあり場所が国際的なものより相当高位になっておることは御承知のとおりでございますので、私どもとすれば、これは外務大臣守備範囲ではございませんけれども、やはりできるだけ米の国内消費をふやすという方向にもっていくことはどうしても必要ではないかと思っておるわけでございます。一ころは、米を食うと体に悪い、小麦の方がいいんだというような話もあった時期もありますけれども、どうもこの話はそう医学的な根拠のあるものでもないようでございます。できるだけ国内で取れる米の消費をふやしていくという方向をとりたい、私はそういうふうに考えておるわけでございます。
  13. 戸叶武

    ○戸叶武君 この協定は、一九七六年七月一日から七八年六月三十日まで延長することになっているのでありますが、すでに本議定書は本年二月に裁択されておるのであります。こういうふうに問題の方向づけはできておるけれども、実際的な国際間における調整というものが非常に困難をきわめておるのでありますが、やはりこれは日本として、先ほど外務大臣が言われましたように、一九六〇年のケネディ・ラウンドの交渉以来、開発途上国への食糧援助問題が討議されるに至ってから、日本のこの問題に対する協力の仕方というものは非常に具体的に規定されつつあると思うのです。そういう観点から、日本食糧関係事情というものも十分配慮した上で、この国際的な協定に善処していかれんことを私はお願いする次第であります。  それと同時に、外務大臣は非常に正直に物を言う人ですが、とにかく小麦を食べさして、米を余り使わないでアメリカからの輸入食糧を仰ごうというときには、パンの方が栄養になるんだから米食うなという宣伝を政府みずからがやり、今日に至っては、いま外務大臣が言っているように、どうも余り米を食っても害はないようだという意見まで、政府は年じゅう大幅に変わるということは、これはいまいろんな面で政治に対する不信国民から受けている際ですが、政府農業政策というのはアメリカ向きに絶えず動いておって、あるときには小麦をうんと食べるように、あるときには米を食っても差し支えないように、どっち向いて走っているかわからないような面がありますが、こういう点もやはり政治不信につながることですから、今後食糧自給の問題は農林省だけに任せないで、国際的な波動からも大きな影響を受けるんですから、食糧自給というのをまともに打ち立ててもらわないと、その面からも政治に対する不信の念が強く出てくると思うんです。  特に農村歩いでみると、栄養価があるのは植物性たん白質で豆が一番だと言われている。周恩来豆腐が大好きでしたが、豆腐とか納豆とか、いろんな豆を食べれば非常に栄養があるのに、このごろ田舎へ行ったって豆なんかをつくっているところはなくなってしまった。ゴルフ場はあるけれども、ゴルフ場のあぜにだけでも生やしても相当の豆がとれるので、小学生なんかに奨励すれば学校の庭のすみでもどこでもこれはとれる。そういうふうに日本みずからの食糧自給に対するまじめさというのが欠けてきてしまったので、このことはやはりいまのような、ほとんどいまではゴルフがばくちになっています。あんなものぶつつぶさなけりゃ本当はだめだという意見すらもあるんです。やっぱりゴルフ場なんかは規制して、豆ぐらいは植えつけさせるぐらいのことはさせてもらいたいと思います。これは注文ですから、寺田さんがいま関連質問されると言うので、私のはいま答えなくてもいいですから、寺田さんひとつ……。
  14. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 大臣にちょっとお尋ねしたいんですが、いまあなたは戸叶委員の御質問に対して、できるだけ米の消費をふやしていきたいとおっしゃいましたね。これは岡山県、全国都道府県農協中央会、それから連合会会長合同会議で、米の消費拡大していくために外麦輸入を制限してほしいというような決議をしているんですけれども、いまの大臣の米の消費をふやしたいというような気持ちは、外麦輸入を制限しようというような農民の要求につながりますか、それとも全然そういうことはお考えになっていらっしゃらぬですか、その点どうでしょうか。
  15. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 今日、米が千二百万トン以上できますと余ってくるというふうに言われておるわけですが、一方、小麦の方は自給率というものは四%ぐらいしかない。ですから、自給できるものを余して、そして非常に輸入に多く頼っていくということがどんなものであろうか、これは私外務大臣ということですから、農林政策に直接容喙するつもりはございませんけれども、そういうふうに私は従来から思っておるものでございます。  いまのような、外麦制限すべしという御決議があったということは、私も人づてには聞いておりますけれども、ただいまの御答弁は私の従来から持ってる気持ちをそのまま申し上げたわけでございまして、そういうことに余り深入りしますと農林大臣のどうも守備範囲に容喙するようでございますので、その程度にお聞き取りをいただきたいと思います。
  16. 野明宏至

    説明員野明宏至君) 米の消費拡大の問題につきましては、従来からいろいろ努力してまいっておるわけでございますが、特にことしの春以降、農業団体米販売業界消費者団体、そういうところも非常に熱心に取り組む方向になってまいりまして、そういう団体米消費拡大推進連絡協議会というふうなものもつくりまして、米消費拡大のためのいろいろな対策を行っております。それから学校給食につきましても、本年度から本格的に取り組むというふうなことを行っております。これらにつきましては、単に米の生産が現在需要を上回っておるというふうな状況に着目してやるというだけではなくて、国内十分供給余力のある農産物、これを国民に食べていただくということが長期的に見てもわが国食糧自給力を高める道にもつながっていくのではないかということで、いわば官民一体と申しますか、いうことで現在努力してまいっておるわけでございます。  それから麦の問題でございますが、現在主食用といたしましては小麦約四百万トンぐらいの輸入をいたしております。えさなんか含めますともっと多いわけでございます。米の消費拡大のために麦の輸入を抑制すべきではないかというふうな御意見があることは事実でございます。ただ、こういった麦の需要を直接的、計画的に削減いたしましてその消費を規制するといったようなことにつきましては、麦製品がすでにわが国の食生活に定着しておる状況等から見まして、そういった直接的な規制を加えるということについては問題があると考えておりまして、したがいまして、やはり今後は国民の理解と協力のもとに米の消費を増進していく、そういう努力を、これは息の長い話になりますが、努力を積み重ねていくということがやはり必要ではなかろうかというふうに考えております。
  17. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 そうすると、まあ食糧庁考え方としては、全国農協中央会なんかの言う外麦輸入を制限しろという要求にはすぐには進む気持ちはないと、そういうふうに伺ってよろしいんですか。
  18. 野明宏至

    説明員野明宏至君) 直接的にそういう削減というふうな方法をとることには問題があろうかと思っております。
  19. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 それからもう一つ戸叶先生に、ちょっと関連に少しはずれるかもしれませんがお許しいただきたいと思いますが、食糧援助規約第二条第二項でわが国食糧援助最小拠出量というものを定めています。これは日本開発途上国に対する援助が非常に少ないという批判が諸外国にあるようですけれども、この援助規約第二条第二項に定めた最小拠出量ミニマム拠出量現実わが国が行っている開発途上国に対する食糧援助との間には何かギャップがありますか。それとも、あるいはその最小のものを上回っているんでしょうか。その点どうでしょうか。
  20. 大鷹正

    説明員大鷹正君) いまの点は、この食糧援助規約によって日本小麦最低二十二万五千トン毎年援助するということになっております。ところが、日本はこの規約ができましたときに留保をしまして、これに相当する一千四百三十万ドルを食糧または農業物資援助いたしますということにしておりまして、この食糧規約ができてからずっと毎年千四百三十万ドル食糧または農業物資援助をやってきております。
  21. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 いや、あなた方がわれわれに配ってくださった資料があるでしょう、「「一九七一年の国際小麦協定を構成する小麦貿易規約及び食糧援助規約有効期間の第三次延長に関する議定書」に関する統計関係参考資料」というのが。この二十四ページ、二十五ページなどに、わが国現実援助量というのが入っていますね。あなたのおっしゃることは、われわれもこの条約の成文を見てわかっておるんですが、そのミニマムの義務的な量と現実援助額との間に差があるかとお尋ねしているんです。
  22. 大鷹正

    説明員大鷹正君) その点は、実は確かに政府としては毎年千四百三十万ドルの援助をするという方針でおりますけれども、現実実施になりますといろいろな事情がございまして実施がおくれておる面がございます。しかし、たとえば七四年、七五年度をとりますと、最近七月にバングラデシュに対して六百七十万ドルの援助をすることを決めまして、交換公文もできましたので、この援助が遂行されれば、いまこれを遂行中でございますけれども、これが終われば七四、七五年度については全部終わることになります。  それから七五、七六年については、まだ七百四十万ドル分ぐらいが残っておりますけれども、これも実はバングラデシュ債権国会議の席上、日本は八百万ドルぐらいの援助をいたしますということを約束しましたので、これが行われれば全部七五、七六年の援助も終わるということになります。ただ、いままだこの点は交渉中でございますので、必ず年度じゅうに終わるかどうかということはちょっとまだわかりませんけれども、その方向努力しておる段階でございます。
  23. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 この食糧援助規約に定めているのは義務的な、ミニマムの量ですね。だから、それさえもまだ義務を果たしていないということだと、日本国際的な信用にも関するし、とかく経済大国のわりに関発途上国に対する援助をけちっているという世界的な批判があるでしょう。だからせめて義務的なものを果たして、それに何かプラスアルファをつけるというならまだいいんだけれども、それさえもまだ達成してないというのはどうだろうか、ちょっとみっともないんじゃないかな。
  24. 大鷹正

    説明員大鷹正君) まさに先生のおっしゃいますように、毎年期限内にきちんと全部その援助を終わるということが最も望ましいことでございまして、われわれもそのように努力をいたしておるんでございますけれども、実は、たとえばわが方の援助を受け入れる側の運賃運賃は原則として受け入れる側が負担することになっておりますけれども、その運賃の工面がなかなかつかないとか、あるいは、まあ受け入れた食糧の貯蔵施設が十分じゃないとか、いろいろな事情がございまして、遂行がおくれることが間々あるわけでございます。こういう面についても、たとえば運賃についても、もっと援助を供与するわが方で持てないかというような点もわれわれいま真剣に検討しておるところでございます。
  25. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 大臣の国連総会での演説など非常に私いい演説だと思うんですよ。ただ、演説で国際的な声価を高めることも必要ですが、現実条約上規定された開発途上国への援助、義務的な量を果たすというようなことは、これはわが経済大国としての——でなくてもそうですか、まして経済大国と言われているわが国としては何をおいてもやるべきことだと思うんですね。そういう実践の面でも大臣の識見を大いにこれから発揮してもらいたいと思うんですが、いかがでしょう。
  26. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 仰せのとおりだと思うんでございます。私もせいぜい省内を督励いたしましてさようなふうにいたしたいと思います。  ただ、少し弁解がましくなるんでございますが、いま大鷹参事官も申しましたように、先方の事情もございまして、たとえば倉庫がなかなかないとか、それから港の施設が悪い、そのためになかなか定時に物が運べないというような点もございまして、やはり本当の経済協力、本当の世界の南北問題の解決の一つにやはり南側の運輸施設でございますね、倉庫を含めた。そういうものに北側が援助をするというようなことも大切なことじゃないかというふうにも考えております。まあせっかく努力をするつもりでございます。
  27. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 終わります。
  28. 羽生三七

    ○羽生三七君 一つだけ。  いまの援助のうち純粋に食糧援助とその他の農業物資という場合にはどういうふうな内訳になっておるんでしょうか。大要でよろしいです。
  29. 大鷹正

    説明員大鷹正君) それも実は年によって違いまして、相手の国の要請にも基づくわけでございますので、必ずしも毎年同じパターンではないと思いますけれども、いまのところ米が九、農業物資が一ぐらいの割合になっております。
  30. 戸叶武

    ○戸叶武君 それでは、次にコーヒーの問題を質問いたします。  コーヒーは、わが国においては嗜好品としてこのごろは少し値段が二倍半にも上がったんで困ったものだという受けとめ方をしておりますが、コーヒー生産地は、御承知のように南米のブラジルを中心とした生産地と、もう一つはアフリカの生産地、いずれも発展途上国です。これらの国々においては貿易収入においてコーヒーの占める地位は非常に重いのでありますが、そのブラジルその他のコーヒー生産地の貿易状況はコーヒーを中心としてどういうふうになっているか、承りたいと思います。
  31. 溝口道郎

    説明員溝口道郎君) 先生指摘のとおり、コーヒーは非常に世界的に貿易が大きな産品でございまして、後進国輸出品では石油に次ぐ量でございます。貿易量から申しまして三十億ドルという膨大なものでございますが、これがまた四十余りの、発展途上国がほとんどでございますが、発展途上国生産され輸出されて世界需要を賄っているというかっこうになっております。また御指摘のとおり、たとえばブルンジはその外貨収入の七八%をコーヒーに依存する、ウガンダは六〇%、コロンビアは五二%、エチオピアは五〇%というふうに、発展途上国の多くはコーヒーという単一産品に外貨収入の大部分を頼っているという国も多々ございます。  わが国といたしましては、こういう発展途上国産品であるということに着目いたしまして、一九六二年の第一回のコーヒー協定締結以来この協定に参加して国際協力に尽くしておる次第でございます。
  32. 戸叶武

    ○戸叶武君 コーヒーの消費の一番多いのはアメリカだと思いますが、個人的な量においては生活レベルが高い北欧諸国が相当高率を示しておりますが、それらと比較して日本消費量はどういうふうな線を描いているか、承りたいと思います。
  33. 溝口道郎

    説明員溝口道郎君) 日本消費量は、十年前には輸入が約一万トン程度でございましたけれども、昨年の輸入量は十万九千トンというふうに非常な著増を示しております。もちろん依然としてその輸入量は、世界におきましては、御指摘のように米国とかドイツ初めヨーロッパ諸国よりはるかに少のうございまして、輸入量が、たとえばスウェーデンのような人口の少ない国よりもやや多いといったことにも示されますとおり、一人当たりの消費量、一人当たりのコーヒーの量、十年前には日本人が三日に一杯しか飲まない、アメリカ人は一日に三杯飲むと言われておりましたが、これは古い数字でございまして、最近は先ほども申しましたとおり非常に輸入がふえておりますので、はるかに日本の一人当たりの消費量はふえていると思いますが、なお依然として、たとえば米国あるいはドイツの消費量よりはるかに少ないものがございます。
  34. 戸叶武

    ○戸叶武君 問題はコーヒーの値段ですけれども、ブラジルが昨年七月中旬霜害に見舞われたため、その影響を最も受けて、来年あたりをピークに数年間生産が落ち込むということが予想され、そういう関係から、それに次いでコロンビアの豪雨、グアテマラの地震、アンゴラの政変というようないろんな不利な条件が重なって、コーヒー価格が一年間で二倍半以上も高騰しているという状況ですが、この価格変動見通しはどういうふうに見ておりますか。
  35. 溝口道郎

    説明員溝口道郎君) コーヒーの価格は全く非常な変動がございまして、そもそも性格的に多年生のコーヒーの木でございまして、これが何か、植えてから数年してから初めて豆ができまして、それから三十年ぐらい実がとれるのだそうでございますが、そういうことから、たとえばコーヒーの消費が伸びたからといって直ちに作付をしても、数年たってからでないととれない。あるいはコーヒーの消費が減ったというようなときに、急にまたそれに応じて供給の方を調節するというのも非常にむずかしゅうございまして、そういう関係からコーヒーの値段というのは非常に変動を繰り返しておりまして、戦後二十セント台からあるいは三十セント、一袋、一ポンド、そういう値段もございましたけれども、たとえば最近におきましては、品種によりますけれども、一ドル八十セント程度のかなりの値段を維持しております。  これもしかし、御指摘のような昨年のブラジルの非常な霜による害がございまして、コーヒーの木の四分の三程度がやられまして、その結果、ことしの可能輸出量は大幅に落ち込む見通しでございます。この関係、あるいはコロンビアの洪水、アフリカでの干ばつ、あるいは御指摘の過去のアンゴラの内戦、こういうような突発的な事故によりましてコーヒーの値段は最近は非常に堅調を維持しておりますが、またしかし、長期的な見通しをいたしましては、どんどん新しい木の植樹も進んでおりますので、専門家の見通しでございますと、あるいは今後弱含みになる可能性があるのではないかという見通しも立てております。しかし、こういう内乱とか洪水とか干ばつとか霜とか、そういう突発的な気象条件によってもずいぶん作物が違ってくるようでございますので、今後のコーヒーの需給体制がどのようなものとなるか、なかなか見通しがむずかしい、そういう状況になっております。こういうコーヒーの熱帯産品としての特性があるからこそ、また輸出国も輸入国もできるだけ国際協力を通じて何とか価格変動最小限に抑えようという発想から、一九六二年以来この国際コーヒー取り決めができておりまして、わが国もこれに参加してまいりました次第でございます。
  36. 戸叶武

    ○戸叶武君 去る五月に開催された国際貿易開発会議のナイロビ総会でも、一次産品の総合プログラムをめぐって、この一次産品の国際価格の安定ということに対して積極的な姿勢を示しているんですが、日本政府は、あのキッシンジャー米国務長官がナイロビ総会で提案した国際資源銀行、各政府の出資により十億ドルの基金をつくり、これを基礎に同銀行が商品証券を発行し、民間の資金を集め、これを開発途上国に融資して一次産品の供給を円滑にすることを目的とする、あの提案が同総会では否決されましたが、十月のIMF・世界銀行合同総会では、やはりこの線に沿うての討議が続けられているのは事実でありますけれども、この問題に対してはどういうふうな取り組み方をしておりますか。
  37. 溝口道郎

    説明員溝口道郎君) ナイロビで行われましたUNCTAD第四回総会で、一次産品の問題が非常に一つの焦点になりまして、最後には、この一次産品の総合プログラムという、UNCTAD事務局が立案いたしまして発展途上国が非常に期待を寄せておりますプログラムが採択されました。  このプログラムに基づきましてこの九月から十八品目、この中にはコーヒーも入っておりますけれども、こういう品目について国際的に準備会議を開きまして、そういうものの中でどういう対策をとることによってこの一次産品価格の安定、あるいは輸出国、輸入国の間の貿易の円滑化、そういうことがどういう方策が可能かということが検討されることになっております。幸いにして、コーヒーはすでに一九六二年以来コーヒーの輸出国、輸入国のほとんど大部分を網羅した取り決めができておりますので、今回のナイロビの決議によりましても、コーヒーにつきましてはすでにそういう枠組みができておりますので、大きく状況が変わることはないかと思われます。  御指摘国際資源銀行につきましては、ナイロビで米国が提案いたしましたその構想は、なお細部は固まっていないようでございますが、基本的には発展途上国における、特に鉱物資源の開発につきまして鉱物資源の開発に伴ういろんな国有化でありますとか、そういうリスクを補償する意味の国際的な取り決めを資本の輸出国、輸入国の間で結んだらどうかというのが骨子になっているようでございます。  ナイロビにおきましては、アメリカがその提案を初めて出しましたこと、また、それが内部が非常にはっきりいたしませんこともございまして、わが国初め先進主要国、それから発展途上国の一部はその米国のIRB提案を引き続き検討することにしようということで、提案そのものの採決と申しますよりは、提案を検討することを決議で賛成することにいたしましたが、発展途上国の一部では、なおこの提案に疑問を持つ国も多々ございまして、数票の差で決議がやぶれたことは御承知のとおりでございます。  また、聞き及びますところによりますと、先般のマニラのIMF・世銀総会では、このIRB構想を検討するための作業部会が設けられることになったと承知しております。
  38. 戸叶武

    ○戸叶武君 先般、東南アジア方面の権威ある学者とも会って問題を論議したのですが、アメリカなり日本の不幸は、その意図が非常に善意的なものであるにしても、何かやはりいままでのやり方からくる不信感で、一応発展途上国が何を意図してやってくるのかという一つ不信感と疑惑を持ってこれに対応してくるから、そういうところに非常にギャップが埋められていないんだと言いますけれども、とにかく、この間外務大臣が国連総会でやったスピーチは、寺田君も高く評価しているように、私は歴代の外務大臣で一番積極的な平和外交の姿勢、特に発展途上国に対しての満腔の一つの同情をもって私はあの演説は行っていると思うんです。これは本当に三木内閣においてあなたと三木さんが本気になれば私は大したものだと思うんですが、三木さんも総論あって各論なしと言われているような人だし、あなたもあれだけ高邁な一つの見識を示したが、寺田さんが言われたように実を伴わないと、またこの人もかという不信感の重なり合いになってしまうと日本外交というものがぼけてしまうと思うんです。  政治はいつも常に具体的でなけりゃならないので、コーヒーの問題のごときはわれわれにとっては嗜好品でありますけれども、発展途上国の苦悩し続けているアフリカ諸民族等においてはこれは  一つの経済発展の生命線です。そういうものに対してやはり満腔の同情を持って具体的に取り組んでいくことが、アメリカは少し大ざっぱならば、その大ざっぱ過ぎる粗漏な面を補ってでも前向きにやはり助けていくことが必要だと思うんです。  日本はいま東西南北の十字路に立っているんであって、特にアジア・太平洋のライトハウスとしての役割りだけじゃなく、一つ世界発展途上国の期待を外さないで、日本はやっぱり苦労してきただけに、白色人種の帝国主義的な包囲の中にあってその突破路をつくってきただけあって、われわれに対しても、アメリカ側だけを見ているんじゃなくて、満腔の同情を持って近代国家に発展させるための助力を惜しまないんだ、これがかち取れれば日本の外交は変な原爆を持つよりはるかに国際世論を背景にして外交をやれるんですから、どうぞ構え方は小坂さんはなかなか上品だし、いいところあるんだが、さて実行の方に至っては、三木さんのずるさはないかもしれないけれども、やはり頼りないところがあるというんだと、これは日本が全く台なしになってしまいますから、多少失敗してもいいから前向きで、発展途上国の期待に沿うような一つの実践的な動きを示してもらいたいと思うんですが、この際小坂さんを信用しているんだから裏切られちゃ困るけれども、あなたの国連総会でやったような見識ある意気込みをここで示してもらいたいと思うんです。
  39. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 非常に理解のあるお言葉を感謝申し上げまするが、お言葉にもございましたように、これから非常に必要なものば南北の対話でございますが、わが国といたしましてはちょうど色のように白と黒の折衷でございまするし、そういう意味で非常に南の信頼感は得いい立場であると思うんであります。日本が帝国主義的な意図を全く持たない、しかも、平和憲法を持っておって、何でも話し合いで解決していこうという姿勢を持っていることは、最近国連などへ出てみましても非常によく各国に理解されつつあるという感じがいたすのでございます。しかし、お言葉にもございましたように、かっこうだけじゃいけないんでございまして、やはり実態が伴わなければならぬのであります。しかし、最近ODAの援助等にしましてもむしろ減っている。これは事実でございまして、できるだけひとつ努力いたしまして、ただいま仰せのような日本発展途上国に対する献身と申しますか、彼らの側に立っての理解を示していくその努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  40. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは、小麦協定の問題についてお尋ねします。  今回の小麦協定は、いわゆる経済条項を入れることを話し合いながらその点の結論が出ないためにさらに二年間延長する、こういう内容と理解をしておるわけでありますが、この経済条項というものをどのようにするかということで昨年の二月、新協定準備グループというようなものができ、経済条項を含む新協定の作成に鋭意努力をしておるように聞いておるわけでありますが、この作業状況あるいは対立点、今後の見通し、今後二年間の延長で、この期限が過ぎるまでにはできる見通しであるのか、そういう点について簡単に御報告願いたいと思います。
  41. 溝口道郎

    説明員溝口道郎君) 先生指摘のとおり、昨年二月からロンドンの国際小麦理事会のもとに準備グループが設置いたされまして、そこで小麦の主要輸出輸入国約二十カ国、この中にはわが国初め米国、欧州共同体あるいはソ連、カナダ、豪州、こういう国の間で経済条項の入っている小麦取り決めについて話し合いが行われております。  しかし、この小麦協定をつくりますためには、たとえば価格条項一つをとりましても、これはそもそも七一年のときに価格条項について話し合いができませんでしたことにもあらわれておりますが、技術的にも非常に困難がございますし、今後の市場動向についての見通しについてもいろいろむずかしい点がございますので、なかなか話し合いがむずかしいようでございます。  小麦の種類につきましても、ハード小麦とかソフトとか種類もたくさんございますし、輸出国もいろいろありますので、小麦価格をどうするかという問題、あるいは先ほども戸叶先生から御指摘のありました備蓄構想というのがアメリカから出てまいりまして、これが昨年の秋以来この準備グループにおいて検討されておりますが、米国構想はどうも三千万トンの備蓄、それを各国備蓄しながら国際的にその備蓄を管理していく。そしてその放出は世界需給動向、量的に見まして需給がタイトになってきたときに放出するというようなことを考えておるようでございます。  これに対しまして欧州共同体とか日本とかは、やはり価格の安定ということが輸入国としての最大の関心でございますので、価格の安定と、それから需給が逼迫しましたときは量的に供給の保障を得るということに非常に関心を示しております。したがって、たとえば備蓄につきましても、国際価格が上がったときに備蓄を放出する。そういういわゆる価格トリガーというようなことを主張しております。  このほかに発展途上国は、インド、ブラジルなどでございますが、食糧援助の増大あるいは小麦価格につきましては、輸入国である発展途上国国際価格よりも安い価格小麦供給されるべきである、そういうような主張をしております。  このように、各国まちまちの主張をしておりますので、いまのところまだその話し合いがどういうふうになっていくかというのは予測はむずかしゅうございます。  一方、これと並行いたしましてジュネーブで行われております新国際ラウンドにおきましても、各種の貿易障害の話し合いの中の一つとしまして、農業委員会のもとで穀物サブグループというのが設けられまして、そこでも小麦についての話し合いが行われまして、このジュネーブの話し合いとロンドンの話し合いとが並行して同じようなことを検討しているという状況になっておりまして、ただ、このジュネーブの話し合いにおきましては、これはガット加盟国を中軸にしておりますので、ソ連は参加しておりません。しかし、内容は大体ほぼ並行したものになっておりまして、こういう話し合いが、いつ機が熟しまして新協定締結ということに進むかどうかは、ちょっときょう現在の段階では見通しがはっきりいたしません状況でございます。
  42. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 いまのお話では、わが国の主張は非常に安定価格という、アメリカの主張はいわゆる安全保障的な備蓄、私たちが考えるのは価格ももちろん安いに越したことはないわけですけれども、しかし、幾ら金出してもなくなったら困るわけで、そういう点でいまはアメリカが史上最大の豊作であり、価格も非常にいいために農民も意欲的で、作付制限も撤廃されたために非常に需給状況は心配ないようないまお話だったわけですが、しかし、世界的には食糧の増加よりも人口の伸びの方が非常に大きい。そういうことを考えるときに、これは農林省外務省か知りませんけれども、やはり異常気象、天候異変ということも当然考えて、ある程度備蓄というものを考えていかなければいけないんじゃないか。これはむしろアメリカなんかよりは、やはり輸入している日本なんかの方がもっと積極的に食糧を確保するという意味での備蓄に力を入れなければならないんじゃないか、そう考えるわけですけれども、そういう心配ないのかどうか。大体世界の期末における備蓄量というのはわが国としてはどの程度備蓄があればいいと考えているのか、そういう点をお伺いしておきます。要点だけで結構ですから簡単に。
  43. 溝口道郎

    説明員溝口道郎君) 輸入国といたしましては、備蓄は多ければ多いほどよいということだと思います。最近の統計では、たとえば米国を初め五大輸出国在庫は五千万トン程度にふくれ上がっているのではないか、こればなかなか在庫の計算の仕方がむずかしゅうございますからあれですが、趨勢としては上昇ぎみというような状況になっております。  わが国としましては、従来から備蓄というのは本質的には輸出する国が責任を持つべきではないか。輸出国が世界にそれを供給しているのだから、輸出国が責任を持つべきではないかという主張をしておりますが、しかし同時に、御指摘のように近年非常な不測需も出ておりまして、そのときの供給の問題が非常に出ておりましたので、備蓄ということについて直ちにわが国も反対をしているわけじゃございません。その備蓄内容についていろいろと話し合おうじゃないかということで、そういう話し合いに参加しておりますのも、頭から反対ということではございませんで、内容によっては日本としてもメリットがある、したがって日本ののみ得るような内容のものに持っていきたいということで話し合いに参加しておる状況でございます。
  44. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 小麦というのは米に比べて長期保存が可能である、このように聞いておるわけですが、何年ぐらいもてるのですか。
  45. 野明宏至

    説明員野明宏至君) 一般的に小麦の場合は備蓄が五、六年は可能であると言われておるわけでございます。
  46. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 ひとつ、一九七一年からもう五年間も話し合ってなかなか結論が出ない。国際会議というのは多くの国が集まればなかなかまとまらないかもしれませんけれども、外務大臣わが国としてもひとつ強力な代表団を送って早期に新条約が作成され、安定的な供給が約束されるように努力してもらいたい。そのことを要望しておきます。  それから食糧援助規約に基づく援助で、この表を見ますと、アルゼンチンとか  特にアルゼンチンが非常に目標に達していない。ほかは大体今年度、恐らく年度途中でございますので、一九七五、七六がまだ未達成じゃないかと思うのでありますが、その点の事情はどうなんでしょうか。
  47. 大鷹正

    説明員大鷹正君) いまおっしゃいました七五、七六年は、確かにそのとおりまだ実施中でございますのでそういう数字になっておりますけれども、今年の終わりまでには大部分が達成されるものではないかと期待されております。  それから、アルゼンチンは確かに実際の援助供与がおくれておるわけでございますけれども、この理由は、やはりアルゼンチンの経済が非常に困難な状況にあったということではないかと思っております。しかし、アルゼンチンも供与期限の延長を申し出ましてそれが認められておりますので、延長された期限の中で供与を達成することを期待しておる次第でございます。
  48. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これはどうなんでしょうか。この協定に基づく食糧援助はほぼ予定どおり行われておるわけでございますが、しかし、依然としていろいろな報道では、世界において飢餓の状態は存在をしておるわけなんですが、こういう食糧援助規約に基づく援助というものは本当に効果をあらわしているのか、あるいは焼け石に水程度なのか、それよりもうちょっといいのか、大体世界食糧危機の問題についてどの程度の効果を発揮しておると考えておりますか。
  49. 大鷹正

    説明員大鷹正君) この食糧援助規約に基づく援助というものは、食糧援助の全体から見ると必ずしも非常に大きいものではないかもしれません。実は、日本でも開発途上国食糧増産、農業生産性の向上ということのためには、いわゆるKR援助のほかに一般の無償援助とかあるいは有償の援助をいたしております。そういういろいろな援助と相まってこのKR援助、いわゆる食糧規約援助開発途上国によって評価されておるというのが実情であろうと思います。
  50. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私は、食糧援助をすることも必要ではあると思いますが、願わくは発展途上国において農業技術が向上し自給率が向上をしていく、やっぱりそういう方向わが国協力すべきではないか、わが国はそういう農業の技術はあると思うのです。そういう意味で日本は技術協力あるいは経済協力、そういうような形の協力はどのように行われ、どういう効果をあらわしておるのか、これを伺っておきたいと思います。
  51. 大鷹正

    説明員大鷹正君) いま塩出先生がおっしゃったとおりでございまして、わが国としては開発途上国食糧増産のための努力、自助努力援助する、それに協力するということが大事であるというふうに考えておりまして、そのためには、いま先生がおっしゃいましたように技術協力を非常に大事に見ております。  実際には、たとえば農業関係の専門家を開発途上国に派遣するとか、あるいは開発途上国から農業関係の研修生を受け入れるとか、センターを設置して技術移転を行うとか、機材を供与するとか、そういうかっこうで技術協力を推進しております。そのほかにも、先ほどちょっと申し上げましたように、農業関係の有償無償の資金協力もいたしておる次第でございます。
  52. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これは小坂大臣に要望しておきたいと思うのでありますが、いまお話ししましたように、やはり本当に発展途上国みずからが立っていけるように、発展途上国の立場に立って日本は技術援助あるいは経済援助をしていかなければならないと思うわけでありますが、この問題については後日またいろいろ論議したいと思います。  大体いままでのわが国の農業関係の技術援助にしても、非常に他の国から批判の点もあるわけで、この点を力を入れることは発展途上国との友好の上にも非常に大事な問題でございますので、小坂大臣としても、そういう立場に立って発展途上国食糧自給率を高めることができるように、そういう方向に力を入れてもらいたいし、また、国連、国際会議等の場においても主張してもらいたい。これを要望しておきたいんですが、その点についての見解を承っておきます。
  53. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 塩出さんのおっしゃるとおりであると考えます。やはり一次産品生産国が自助努力をするということになりますと、何といっても農業技術を援助するというのが一番よろしいと思うのでございますが、まあとかく工業、工場をつくる援助をするとか、あるいはこちらの産品を売りつけるとか、そういうようなことが先方の立場に立たないでやる経済協力ということで批判されるわけでございますから、いま仰せられるとおりの考え方が正しいと私も存じております。
  54. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 農林省には、いまの問題を含めての御答弁と、いわゆる国内小麦生産状況小麦自給率はもう四%というように非常に下がっておるように聞いておるわけでありますが、昭和六十年を目標に農林省としては小麦自給率小麦のみならず、大豆その他飼料とか、そういう自給率の目標が設定されておると思うのでありますが、その目標に対しては着々と進んでおるのかどうか。現状と将来の見通し、それもあわせてひとつ御答弁いただきたいと思います。
  55. 岩渕道生

    説明員(岩渕道生君) 私の方から農業協力につきましてお答え申し上げたいと思います。  私ども海外の農業技術協に対しまして協力と言う際には、まず第一に相手国の要請というものを踏まえてやる。もう一つはそれらの諸国の実情に即さなければならない。そしてその国の農業と現地住民の本当の意味での福祉の向上ということに積極的に寄与するんだというところから、相手国の自助努力ということにこちらが協力するという基本的観点に立っているわけでございます。  したがいまして、やり方といたしましてもその国の実情によっていろいろとやり方も考えてはおりますが、まず第一は、先ほど外務省から話がありましたが、何と申しましても技術というのは人間の問題でございますから、相手国から研修生を受け入れまして、それぞれの程度に従っていろいろと研修を行っておる。また、こちらから専門家を派遣いたしまして向こうの研究機関での協力、あるいは現地に入りまして農民と一緒になって稲作であるとかあるいは畑作で協力をする。あるいはプロジェクト型と申しておりますが、展示農場をつくり、あるいは普及活動を行う、そのための現地適用試験的なもの、あるいは試験場にかなり高度の機械と一緒に専門家が入って、向こうの研究者と相互に技術水準を高めていくというふうなこともやっているわけです。そういうことによりまして人的資源の開発、あるいは技術の普及、あるいは研究の向上ということを通じて発展途上国食糧増産と生産安定に寄与するというのでございますけれども、やはり農業の増産、先ほど先生おっしゃったとおりの自給率の向上というのは、そういうところから着実にやっていくべきではなかろうかというふうに思っておる次第でございます。
  56. 山極栄司

    説明員山極栄司君) いま先生お尋ねの後段のことでございますが、御存じのように、昨年の五月閣議決定された農産物の需要生産の長期見通しというのがございますが、ここでは六十年における麦類の作付面積を四十三万四千ヘクタールというふうに見込んでおります。これは五十年産に比べますと二・六倍になるわけでございますが、生産量では百四十四万三千トンというふうになっております。このうち小麦につきましては作付面積で十七万八千ヘクタールでございます。生産量は二十八万四千ヘクタールというふうに見込んでいるわけでございます。  一方、最近の麦の作付状況というものを見てみますと、四十五年以降特に急激に麦が減ってまいりまして、大体毎年三〇%ぐらいの割合で減少をしてきたわけでございますけれども、四十九年度から農林省といたしましても従来の施策に加えまして麦の生産振興対策を講じたわけでございます。そういうこともございまして、いま申し上げたような著しい減少傾向に大体歯どめがかかりまして、五十一年産の麦の作付面積では十六万九千ヘクタールということでございまして、一番国内の作付面積が底をついた四十八年に比べますと九%の増ということになっておりますし、その中で小麦につきましては五十一年産でございますが、八万九千百ヘクタールでございますが、これは底をついた四十八年に比べて一九%の増ということになっておるわけでございます。まあほかの麦類に比べますと高い伸び率を示しておるということでございます。  したがって、農林省といたしましては、いま申し上げた六十年の長期見通しに即しまして計画的な麦の増産を図るということで、考え方一つといたしましては水田と畑があるわけでございますが、水田の裏作麦では表と裏の表裏一体といいますか、米麦一貫の生産体制を整備する、こういうことにいたしまして、特に水稲と麦との作期調整なり、農作業の受委託とか期間借地というふうなことによりまして、できるだけ麦作規模の拡大を通じて生産性を上げていきたい。  もう一つ考え方は、畑作麦につきましては、麦というものが非常に畑地の場合に地力維持ということで重要な作物でございますので、できるだけ合理的な輪作体系を確立するというふうなことを考えまして、麦の生産振興奨励金なりあるいは水里軍衣作麦の作付奨励補助金というふうなものを交付いたしましたり、あるいは麦作集団の育成とか、高性能な機械施設の導入というふうなものを通じまして、できるだけ麦の生産対策を強化して長期見通しを実現したいというふうに考えておるわけでございます。
  57. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 五十一年は、大体小麦自給率はいまの状態でいくと何パーセントぐらいになるのですか。それと、農産物の長期見通しにおける六十年の自給率は何%目標になっておりますか。
  58. 山極栄司

    説明員山極栄司君) これは、六十年の見通しを立てた基準年次は四十七年でございますが、四十七年のときの麦類の自給率は八%でございまして、最近年次は四十九年までしか統計が出ておりませんが、これは六%でございます。そのうち小麦につきましては基準年次が四十七年が五%、四十九年が四%ということになっておりまして、六十年の自給率見通しは麦類全体で一七%、それから小麦につきましては九%ということになっております。
  59. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 なかなか、減るときば三〇%減ってふえるときはなかなかふえないわけで、農林省の計画はいつも計画だけで実行が伴わないという批判が非常にあるわけでありますが、その点ひとつ努力してもらいたい、このことを要望をしておきます。  次に、コーヒー協定の問題をお尋ねしますが、この協定も、一九六八年にできた協定がその後二回にわたって延長し、そして今回一部内容の変更があって新しい協定として国会に提出されておるわけでありますが、いわゆる一九六八年協定を過去二回延長をする、そのときには国会の承認事項として提出をされていないわけでありますが、私たちのいままでの理解で申しますと、条約とかあるいは取り決め、覚書、こういうように他国との取り決めには主に分けて三種類があるわけでありますが、その中で国会の承認が必要であるかどうかという判断の基準の中に、予算を伴うものは国会の承認が必要である、このように理解をしておるわけであります。ところが、一九六八年協定は当然分担金等の拠出において予算が伴うものでありながら、なぜこれは国会に承認を求める件として提出をしなかったのか、その点について御説明を願いたいと思います。
  60. 村田良平

    政府委員(村田良平君) ただいま先生指摘のとおり、この一九六八年の協定に続く実質的な内容を持った協定ができませんでしたので、七三年の四月三十日にコーヒー理事会におきまして決議二百六十四号という文書によりまして、六八年協定のうちのいわゆる経済条項に当たる部分を全部削除いたしまして、主として国際コーヒー機関、理事会とか執行委員会、事務局といった機関を存続せしめて、さらに新協定作成交渉のための統計収集等の作業を行い得るということを可能ならしめるための新しい取り決めができたわけでございまして、これが延長された一九六八年協定と呼ばれるものでございまして、私どもはこの延長された一九六八年協定と申します協定は、形の上では一九六八年の協定の規定に基づきましてできたものではございますけれども、その実質的な内容から見まして、いわばもとの協定に根本的な修正が施されておる。したがって、新しい協定締結されたものであるというふうに考えておる次第でございます。そういうことで、その協定のタイトル自体が「延長された千九百六十八年の国際コーヒー協定」という新しいタイトルも与えられておるということでございます。  そこで、この協定締結に当たりまして、果たしてこれに関して国会の御承認をいただくべきかどうかということは、その協定自体の内容に照らして、これが国会の御承認を仰ぐべきものかどうかということを検討したわけでございます。しかしながら、結論といたしまして、この新しい延長された六八年協定内容は行政府限りで締結できるものであるという結論になりましたので、そのように措置した次第でございます。  そこで、御指摘の分担金の問題でございますが、この延長された六八年協定は、二十三条におきまして分担金についての定めがございます。しかも、この期間は七三年の十月から七五年の九月までということで二年間に及ぶ延長でございますので、財政事項を含んでおる協定ではないかという当然御質問があるかと思うんでございますけれども、この六八年協定延長されました時点におきまして、その初年度、すなわち七三年の十月から七四年の九月までの分担金に関しましては、すでに昭和四十八年度の予算に計上されておった次第でございます。したがいまして、わが国延長をされた六八年協定を受諾しました時点におきましては、すでに予算が国会の御承認を得ておったということでございます。  そこで、第二年度の分担金につきましては、しかしながら、これを無条件に受諾するということはできませんので、その点が問題であったわけでありますけれども、先ほど申し上げました理事会の決議におきまして、加盟国政府がこの新しい協定各国の憲法上の手続を条件として受諾するということを許しておったわけでございます。したがいまして、政府はこの延長された一九六八年協定を受諾するに際しまして、いま申しました、わが国の憲法上の手続を条件とするという条件つきの受諾をいたしたわけでございます。したがいまして、このような受諾は多年度にわたります予算の支出というのを約束したわけではございませんで、そういう条件に従いましてのみ受諾するということで、行政府限りで行い得るものでございます。  なお、政府は、二年目の予算に関しまして国会の御承認を得ましたので、昭和四十九年九月二十六日に憲法上の手続を終えたという旨を通告いたしております。
  61. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうしますと、先ほど質問いたしました小麦協定も、これは恐らく分担金の問題、あるいはまた食糧援助の支出、そういう問題もあるわけでありますが、恐らくそういうものは今年度の一般会計の予算の中にちゃんと入って予算案としては成立しているわけですね。ところが一方は承認を求める、一方は求めない、そのような基準というものがどうもはっきりしてないんじゃないか。やはり外交というものは、外務大臣がかわっても常に一つの連続性というものがなければならないわけでありまして、こういう点については、きょうは余り時間がございませんので、外務省としてひとつはっきりさしてもらいたい。その点どうでしょうか。
  62. 村田良平

    政府委員(村田良平君) 小麦協定に関しましては、いまのコーヒー協定と違いまして、これを毎回国会に御提出して承認を求めた理由をごく簡単にまず説明さしていただきたいと思います。  小麦協定に関しましては、七四年、七五年それぞれ有効期間一年の延長がなされておりますけれども、この内容は、今回の第三次延長議定書と同様に二つございまして、一つ小麦のいわゆる貿易規約、もう一つ食糧援助規約でございます。  貿易規約に関しましては、先ほど国際コーヒー協定延長の際に申し上げましたのとほとんど同じような状況、すなわち経済条項が全く含まれておらないものでございますので、これだけを取り上げますと行政府限りで、しかも一年間の延長という場合におきましては、すでに予算に関して国会の議決をいただいておった場合には恐らく行政府限りで処理し得たと思います。したがいまして、そこにコーヒーと小麦との取り扱いの矛盾というふうなものはないと思うんでございますが、ただ、小麦の場合にはさらに食糧援助規約がございまして、わが国といたしまして年間最小必要の拠出量という援助義務を負っておるわけでございますが、この七一年の小麦協定が第一次の延長をされました昭和四十九年七月の時点におきまして、四十九年度予算で認められておりました食糧援助額では十分ではなかったわけでございます。したがいまして、延長期間は一年間でございますけれども、次年度の財政支出予算というものにかかわりがある協定でございますので、これを国会に提出して御承認をいただいたということでございまして、その次の五十年七月から本年の六月までの第二次の延長に関しましても全く同じ考え方をとった次第でございます。  なお、先ほど先生指摘の、政府としてできるだけ統一した取り扱いをすべきであるということでございますが、まさに私どももそのように心得て処理しておりまして、いかなる条約が国会承認の対象であるかということはかねてから種々論議がございまして、その結果、第七十二国会であったかと思いますが、当時の大平外務大臣から政府の統一的な考え方というものを申し述べておられます。私どもとしましては、当時大平外務大臣がお述べになりました線というものを遵守して今後とも本件を取り扱う所存でございます。
  63. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私は、統一見解には予算条項というのがあったわけですから、当然予算条項のあるものは出すべきじゃないか。だからそういう点でいまの説明では納得ができないわけでありまして、この程度の予算条項ならもういいんだ、これは一般会計、予算が通ればいいんだ、これ以上の予算の支出の場合は出すとか、そういうような基準でもあればいいんですけれども、あの大平さんの見解はあくまでも予算の支出を伴うものということですから、そうなると、いわゆる経済条項を伴わない食糧援助、それのない食糧援助規約にしてもコーヒー協定にしても当然出すべきではないか、こういうことを主張しているわけであります。この点はひとつ論議は後日に譲りたいと思います。  最後に、もう時間はないわけですけれども、ちょっと要点だけお尋ねしておきたいと思います。  先ほどの戸叶委員の質問のときにもございましたが、いわゆる一次産品の問題ですね。一次産品のこの十八品目についてナイロビ総会以来論議がされておるようでありますが、特に十八品目のうちたとえばゴムとか油脂とかジュートとか、こういうものは石油化学による代替品がどんどんふえてまいりまして、発展途上国の一次産品よりも石油製品の方が非常に安い。そういうことで、洗剤にしてもいわゆる合成洗剤がふえて粉石けんというものは非常に減ってきておるわけですね。私は、やはり発展途上国生産品を日本が買うということは発展途上国のためにもなるし、また一方、いま日本の国の資源の節約、石油の節約、あるいはまた公害という点から見ても、合成洗剤はもうやめて粉石けんにしろとか、こういう論議もなされておるわけですね。そういう意味で、やはり私は日本外務大臣としても、こういう一次産品というものがだんだん石油化学製品に変わっていく、石油も一次産品、発展途上国のあれではあるわけですけれども、しかし、やはり石油は有限であり、ゴムとか油脂とかジュートのようないわゆる天然の循環というもののできるものをもっとやはり活用していくべきじゃないか、こういう点について外務大臣は考えておるのかどうか、その御意見をちょっと承っておきたいと思います。詳細いろいろ輸入状況とか生産状況というのをきょうお聞きする予定だったんですけれども、これは別に資料として提出していただいて、また後日論議したいと思います。
  64. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 確かに一つの見識のある御設問でございまして、私も非常にそれは考えなきゃいかぬことだと思います。最近御承知のように、食糧等についても天然食ということが非常に言われるわけでございますが、一時非常に人工的なものに頼りました傾向から、また、そういう公害等との関係で天然のものを見直す必要があるんじゃないかという一般的な傾向があるわけでございます。  なお、発展途上国は大体こうした一次産品の生産国でございまするので、そうした問題についてこれからいろいろ検討していく必要があることは全くただいまの御指摘のとおりだと存じます。ただ、いまお前はどうするかと、こうおっしゃられましても、ちょっと実は私もこうしますというお答えを持っておりませんが、貴重な御質問の趣旨を踏まえまして、さらに研究さしていただきたいと存じます。
  65. 立木洋

    ○立木洋君 まず、コーヒー協定に関連してお尋ねしたいと思うんですが、いまも問題になりましたように、大臣御承知の一次産品問題というのは非常に国際的にもいろいろ問題になっておりますし、前回のANCTAD会議でも問題が提唱されて議論されておるところでありますけれども、そういう状況の中で、先般国際すず協定締結された、さらにはココア協定締結された、今回コーヒー協定、こういうふうになってきたわけでございますが、一次産品の問題を正しく解決していくというふうな観点から見て、今回のこのコーヒー協定というのをどういうふうに評価され、お考えになっておられるのか、最初に大臣の御見解を賜っておきたいと思います。
  66. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 一次産品問題との関連でコーヒー協定をどう位置づけるかということでございますが、コーヒーはANCTADの総合プログラムの十八品目の中におきまして相当重要な部門を占めておるわけでございますが、われわれとすれば一次産品問題の解決というものは、やはり一次産品のそれぞれの特性というものを考えながら、ケース・バイ・ケースでこれに当たっていくということを主張しているわけでございます。  コーヒー協定に関して申し上げますと、一九六三年にコーヒー協定が発足いたしまして以来、わが国はこれに加盟しているわけでございますけれども、今般一九六八年協定の改正という形で協定の作成に至りましたことは、従来からのいま申し上げたようなわが国の態度から見て、このことを評価するという立場に立っておるわけでございます。  なお、新コーヒー協定の成立は、発展途上にある生産国も、品目によりましては必ずしも他の商品と一律の取り扱いを求めていないということを申している、これはコーヒーの特性からくるもので、さような認識を持っておるわけでございます。
  67. 立木洋

    ○立木洋君 御承知のように、すず協定の場合やココア協定の場合には国際的な緩衝在庫制度がとられている。もちろんココアの場合には輸出割り当て制度と兼用されておりますけれども、今回の場合にはいわゆる輸出割り当て制度ですか、という形で緩衝在庫制度というのがとられなかった。今回のコーヒーの場合にこういう緩衝在庫制度がとられなかった理由がどういう理由なのか、その点について。
  68. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) やはりコーヒーの持つ特殊性と申しますか、商品の多様化、たとえばブラジルのものはいいとか、コロンビアのものはいいとか、他のものはどうであるとか、いろんな特性がコーヒー豆についてあるわけでございますので、緩衝在庫といいますか、そういうものを設けましてもどういうものをどう調節するかという、コーヒーそれ自身にある特性からしていろんな困難があるということではないかと思うのでございます。そういうところで緩衝在庫の運用上技術的な問題、また、特定国が大きな生産のシェアを占めておるその商品の在庫というものがいろいろ多様化している。そこで理事会におきましても、この緩衝在庫の有効性というものを今後さらに検討していこうじゃないかというふうになっているというふうに理解しております。
  69. 立木洋

    ○立木洋君 結局、この緩衝在庫制度をとるということにアメリカが強く反対をして、それで日本としても反対をされたというふうに伺っておりますけれども、その反対された理由というのは、いま言われたいわゆる技術的な測面ということだけですか。ほかに問題はありませんか。
  70. 溝口道郎

    説明員溝口道郎君) 先生の御指摘のあった、技術的な理由でございますといま大臣から御説明がございましたが、全く技術的な理由から緩衝在庫がコーヒーの場合は適当でないということでございます。
  71. 立木洋

    ○立木洋君 技術的な理由の問題であるならばいろいろ検討する余地はあるだろうと思うんですよ。実際に今回のコーヒー協定が六八年以後、一時期ブラジルなどの霜の害等々で非常に供給不足になって価格が暴騰する、そういう状態の中での経済条項が問題になった時点では、これは輸出国としては輸出割り当てをもっとふやせ、あるいは割り当て制度そのものを中止せよというふうな要望が強く出される。最近では、国際的な見通しでいえば、コーヒーの供給が過剰に推移するだろうというふうなことから今回のこういう協定が結ばれたという問題として考えるならば、一次産品問題を根本的に解決していくという観点から見るならば、こういう問題というのは不十分ではないか、もっと検討する余地があるんではないだろうかという気がするわけですが、その点はいかがですか。
  72. 溝口道郎

    説明員溝口道郎君) 非常にむずかしい御指摘でございまして、こういう一次産品問題の解決のための商品協定の役割りでございますが、一つ価格を安定させるということ、そのほかに、特に発展途上国の場合は何とか輸出が安定するのみならず、高位安定と申しますか、できるだけ高いものに安定させろということを非常に強く主張してくるわけでございますが、われわれの主張といたしましては、発展途上国の経済開発に協力する意味でできるだけのことは協力したい、しかし同時に、人為的に余りにも高いところで安定させるということは、結局最後にはまた破滅すると申しますか、かえって大きな、需要がないのに高い価格で物だけがたくさんたまっちゃって、その結果、反動として逆に数年間今度は国際価価が下向けに非常に抑制されるということで、したがって、後進国の要望を取り入れながらも、また同時に、いわゆる市場メカニズムが円滑に作用できるようにすることが、結局長期的には発展途上国の利益にもなるんだということから、先ほどお話がございました、なぜ六八年協定が終わったときに経済条項ができなかったかという点も、まさにその価格をどの辺に置くかということで話がつきませんでしたので、数年経済条項のない状況ができたわけでございます。
  73. 立木洋

    ○立木洋君 さっきもほかの委員から問題が出されておりましたが、国連演説で大臣がおやりになって、一次産品問題についても特にお取り上げになっておる。ここでも「わが国としても、一次産品総合計画、政府開発援助の拡充・改善を含む各種の課題に取り組むに際し、現実的なアプローチを通じて実効的な解決方途を探究すべく、」云々と、そして「真剣な努力を払ってゆく考えであります。」というふうに述べられておりますし、それに引き続いて、今後開発途上国に対する一層の配慮を深めて、多角的な協力を拡充していくというふうな趣旨の演説をなされているわけですが、この一次産品の問題に関して、いまも問題になりました緩衝在庫の問題等々についても御意見を伺いましたけれども、たとえばインデクセーションなんかについての提唱もありますし、あるいは前回UNCTAD会議で問題になりました十八品目の総合プログラムとして、共通基金等の提唱もありますが、これも来年の三月までに交渉を行って一定の方向を見出すというふうな問題になっておると思うんですが、こういうふうな一次産品の問題に関して、これを今後どう扱っていくのか、これはただ単に開発途上国に対して何か恵みを与えるとか、援助をしてやるんだというものではなくして、いわゆる貿易立国としての日本とするならば、海外の資源に対する依存度というのはきわめて強いわけですから、そういうところから供給の安定あるいは価格の安定ということは、日本の経済の将来にとってもきわめて重要な意味を持つと思うんですね。そういう意味では、一次産品問題の正しい対処の仕方というのはきわめて重要になるだろうと思うんです。こういう一次産品問題に関する、今後どういうふうな具体的な取り組み、考え方で進めてお行きになるつもりなのか、その点についてお伺いしておきたいと思います。
  74. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) わが国はとにかく無資源国と言ってもいいような、非常に資源の乏しい国でございますので、やはりわれわれとしては資源は常に輸入していかなきゃならぬわけでございます。そうした面で、われわれはいまお話のあったような無資源国として必要な物を入れるということなんで、単に恵みを与えるとか、あるいは日本が特別の立場に立って援助をしてやるとか、そういうようなことでないのは、いま仰せのとおり、私も全くそのように考えておるわけでございます。しかし、その方法をどうするかということでございますが、やはり問題は産品別のケース・バイ・ケース、産品の特性に応じた検討が必要であるというふうに考えておるわけでございます。そういう基本的な立場に立ちまして、わが国は国連の貿易開発会議であるとか、国際経済協力会議であるとか、各種の商品別国際機構等におきまする提案を初めとする一次産品問題に積極的な寄与をしていこう、こういう姿勢であるわけでございます。  具体的な点につきましては、まだ今後検討を進めていかなきゃならぬと思いますが、姿勢といたしましてはさような基本姿勢を持っていきたいというように考えております。
  75. 立木洋

    ○立木洋君 インデクセーションの提唱だとか、それから共通基金についてはどういうふうなお考えをお持ちですか、日本政府は。
  76. 溝口道郎

    説明員溝口道郎君) この二つの点は、御指摘のとおりUNCTADにおきまして発展途上国が非常に重点を置いているものでございます。ただ、インデクセーションにつきましては、先進国側はやや懐疑的と申しますか、その基本的な考え方である世界の工業品の価格に一次産品の価格をリンクさせろと。ですから、工業品の価格が一〇%上がったら一次産品の価格も一〇%自動的に上げるべきではないかという主張でございますが、これは余りにも画一的ではないか、やはり市場の動向に応じて生産消費がバランスがとれるように、物によっては価格が三〇%上がるものもございますし一〇%下がるものもございますし、一律にそれを機械的にリンクするのはむずかしいんではないか。  また一つの点は、たとえば一次産品価格と申しましても、多くの一次産品ば発展途上国ではなくて米国とか欧州とか日本とか、まあ日本の場合は余り入りませんが、欧州とか米国とか豪州、カナダ、そういう先進国で生産されるものもまた多うございます。したがって、一次産品価格を自動的に上げることによって利益を受けるのは発展途上国とは限らないで、むしろ先進国ではないかというような指摘もございます。いずれにしましても、これは市場メカニズムとはちょっと相入れないのではないかということから、ナイロビにおきましても、先進国はこの考え方に疑問を呈しまして、その後、この問題は現在パリの国際経済協力会議などでも検討されておりますが、なかなか両者の話し合いがっきがたいという問題でございます。  ただ、先進国といたしましても、その発展途上国要求の背後にございます、世界的なインフレによって工業品初め物価が上がっているのだから、その中で石油なりあるいはその他の一次産品なり、適正な価格の引き上げが場合によっては必要だというその願望は十分理解しておるということでございまして、たとえばいま御審議いただいておりますコーヒー協定におきましても、価格条項につきまして、それを世界のインフレなどを勘案しながら価格を決めていくということはちゃんと書いてございます。したがって、画一的な、工業品対一次産品というような画一的な考え方はとらないけれども、コーヒーとか個々の産品ごとに十分世界の経済情勢をも勘案して価格を決めるということは、先進国としても賛成いたしておる次第でございます。  また、第二のコモンファンドにつきましては、これは御承知のとおり、UNCTADで行われております後進国要求は、こういう、このコーヒーには緩衝在庫というのはございませんが、すず協定とかあるいは今後もし何かの新しい商品について商品協定ができました場合、緩衝在庫があります場合には、そういう個々の商品協定の緩衝在庫の資金を補う意味で一つの共通基金、コモンファンドというものを設けて、そこから足りない資金を融通したりするということで、商品協定を強化しようという考え方発展途上国は持っています。この構想につきましては、十一月にジュネーブで第一回の準備会議が行われることになっておりまして、さらに来年の三月にはUNCTAD主催で交渉会議も行われる、こういう日程ができておりまして、わが国としてはこの準備会議に参りまして、そのコモンファンドの——これはですからどういう内容のものとするか、まだ発展途上国側も必ずしも考え方が完全に確定しておりませんので、どういう内容のものとするかという国際的な話し合いには参加していこうと、そういう姿勢で臨んでおる状況でございます。
  77. 立木洋

    ○立木洋君 日本としては考えを持っていないけれども一応話し合いには参加してみようと、外国の話を聞いてから日本としてはどうするか決めようということですか。日本としてはどういう方向で進むべきかという……。
  78. 溝口道郎

    説明員溝口道郎君) 日本は、基本的には先ほど大臣から申し上げましたとおり、一次産品問題の解決は画一的なことではむずかしいので、やはりコーヒーとかすずとか砂糖とか、そういう個々の産品ごとにその商品の特性に応じて解決策を講じると。ですから、すずの場合には緩衝在庫が適当であるがコーヒーの場合には緩衝在庫は適当でないというようなことで、品目によって解決策は違うのではなかろうか。急いでコモンファンドを設けて、それをあらゆる品目に適用するというのはちょっと行き過ぎと申しますか、いろいろ問題があるのじゃないか。ただ、具体的にコモンファンドの考え方について後進国はどういう考え方を持っているか、いろいろ話し合いには応じましょうという姿勢でございます。
  79. 立木洋

    ○立木洋君 大臣も御承知のように、一次産品の問題を解決していくというのはいろいろむずかしい問題もありますし、それぞれの商品によって問題点も違うというふうなこともあるわけですから、それはいろいろと対応の仕方というのはあるでしょうけれども、しかし、基本的にはUNCTAD第四回合議が開かれたわけですが、そもそも南北の経済格差をなくしていく、そういう努力をしようではないか、その中の一つの重要な問題として一次産品問題をどう解決していくかという問題がやっぱり問題になってきているわけですね。  それで、前回の第四回UNCTAD会議の中でも、あそこの事務総長ですか、事務局長の報告でもはっきりされておりますけれども、事実上一九五二年から二十年間の間に先進工業国のGNPというのは三・五倍になったけれども、後進国開発途上国というのはGNPはわずか五億ドルぐらいしか上昇していない、格差がますます広がるばかりだと、これは私が言うまでもなく大臣が国連演説で、「近年、開発途上諸国間における発展の格差の拡大も無視し得なくなっており、」と述べられておるわけですから、この点は十分に御理解なされている点だと思いますけれども、事実上そういう経済格差をなくしていかなければならない、いわゆる開発途上国というのは一次産品に依存している国々が非常に多い、それによって自分たちの経済をどう賄うか、安定さしていくかということについては、非常に開発途上国の場合には重大な問題になるわけですね。いま言われましたインデクセーションの問題に関しても、これは一次産品の場合には工業製品なんかと違って簡単に調整のきくような産業ではない。実際上十年間の度合いを見ても先進工業国における工業製品の物価の上昇の率から見るならば、一次産品の上昇率というのはきわめて低い、そういう点でまた格差も広がっていくというふうな非常に大きな問題を含んでいると思うのですよ。  ただ、この点で大臣にぜひお聞きしておきたいのは、先般一九五〇年代、御承知のように世界の石油というのは資本主義、発展した工業国が大体世界の石油を握りしめるというふうな状態の中で、石油産出国である国々が、これは天然資源、いわゆる恒久資源ですか、自分たちのところにあるものは自分たちが価格を決め、自分たちがどう処理するかを決める権利があるんだということが主張されて、御承知のような事態になってきた、こういうエネルギーショックの問題を振り返るまでもなく、この一次産品の問題に対しては、どうしても自国だけの利益、狭い利益、狭い範囲内での短期的な考え方で対応するという点ではきわめて不十分になりがちだというふうに考えなければならないと思うのですが、今度こういう一次産品の問題でも配慮ある国連での演説をなさっているんだから、すでにお読みになっただろうと思いますけれども、八月に非同盟首脳会議で経済宣言が出されましたが、あの経済宣言については大臣どのような評価をなされているのか。——大臣お読みじゃないですか。
  80. 溝口道郎

    説明員溝口道郎君) 経済宣言は後進発展途上国考え方を大成しておりまして、ただ、これば従来、たとえばことしの二月にマニラで会合してマニラ宣言というのを出しております。あるいは昨年ダカールで会合しましてダカール宣言というものを出しておりますが、基本的にやはり一次産品の価格を高位安定させる、あるいは発展途上国の工業化を大いに促進する、そしてその手段といたしまして国際協力に基づいてやっていきたいけれども、先進国間の協力が得られない場合にはできるだけ発展途上国自身でその体制を進めていきたい、そういうふうな内容になっていると理解しております。
  81. 立木洋

    ○立木洋君 内容の理解ではなくて、大臣の評価をお聞きしたいんですよ。内容は私読んでいますから知っています、言われなくとも。
  82. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 発展途上国の、みずからをみずからの努力によって立てていきたいという願望については、われわれもできる限りそれに沿っていかなきゃならぬというふうに思っております。例のCIEC等におきましてもこの点がいろいろ論議されておるわけで、私もこの十二月でございますか、このCIECの会議等にも参る機会がございますれば、そういう点でいろいろ努力をしたいと思っておるわけでございますが、いままでばらばらであった発展途上国が、そういう集団的な自助努力、ばらばらで自助努力をするより集団的に自助の努力をするということを言った点に私ども注目をしているということでございます。
  83. 立木洋

    ○立木洋君 大臣がいま言われましたけれども、いわゆる非同盟諸国首脳会議が、御承知のように百カ国以上ですね、参加国、ゲスト、オブザーバー含めまして、これだけ、世界の三分の二以上に上る国々が集まって、世界的な新しい経済秩序を目指そうではないかという方向が出されている。今後の世界の経済の動きを考える上で私は非常に重要だろうと思うのです。これは短期的にどうするかこうするかという問題だけではなくして、日本アメリカなどと違って海外の資源の依存度というのが五〇%、アメリカの場合が二二%、ECが一二%ということになりますと、海外資源の依存度というのは日本の場合は非常に強い。そうした場合には、国連の演説でも大臣述べられておりますように、先進国あるいは開発途上国という画一的な概念から脱皮しなければならないという趣旨のことも述べられた。ですから貿易立国としての日本が、いわゆる海外の資源依存度の強い日本として、一次産品問題をただ単にアメリカと歩調を合わして対処していくということではなくて、やはり独自の展望と見通しを持つ努力が私は必要になってくるんではないかというふうに思うのです。そういう意味で、ぜひ今後もそういう面でいろいろ御検討いただいて、一次産品問題についてはきわめて重視されているように国連演説では述べられておりますから、その点を十分に生かしていただくように要望しておきたいと思うんです。  それで、小麦協定の問題ですが、先ほど来幾つかほかの委員の方が指摘されておりますけれども、これは経済条項がない、つまり価格帯が決められていないという問題で輸入価格がきわめて不安定だ、これは非常に重要な欠陥になっていると思うのですが、実際にこの小麦協定が発効されて後一年後、一九七二年の夏からですか、小麦価格というのは非常に高くなってきております。これは一九七一年、七二年が六十ドル、それが七六年の六月では百四十七ドルというふうになってきておる。これはアメリカはそういう状況の中で小麦輸出する最大の国ですから、アメリカは一九六〇年代以降常に述べておりますように、いまや食糧は外交上の武器になったということで、この小麦等を最大の武器に使っていろいろとやっておられることば、もう時間がないから申し上げませんけれども、御承知だろうと思うのですが、そういう意味で、これば非常にやはり欠陥のある重要な問題点を含んでおる問題であるという点はどうしても指摘せざるを得ないと思うのです。ただ、その問題については後日また議論する機会もあるかと思いますけれども、先ほど農林省の方で述べられた点で、この小麦協定に参加しての日本での小麦自給率を見てきますと大幅に後退した。ここに数字がありますが、四十四年の場合には小麦の収穫が七十五万八千トン、それが昭和四十九年になりますと二十三万二千トン、事実上三分の一以下に減っているわけです。作付面積にしても二十八万七千ヘクタールから八万三千ヘクタール、先ほど五十年では若干回復したというふうに言われておりますが、それでも八万九千ヘクタール。こういう小麦協定に参加して、いわゆる日本における農業政策小麦切り捨て政策と言われますが、そういう言い方もされておりますけれども、こういうものと日本小麦自給率を高めていくということが実際に正しくやっていけるのかどうなのか。小麦協定参加後の日本小麦自給率というのがますます低下してきたという現状、これをどういうふうに評価されるのか、その点について農林省から……。
  84. 小島和義

    説明員(小島和義君) お答えいたします。  麦類につきましては、食糧管理特別会計によりましていわば政府貿易品目として輸入が行われておるわけでありますから、国際的に安定供給を得るということと、国内価格水準の問題は一応遮断されておるというふうにお考えいただいて結構でございます。したがいまして、麦が減ってまいりましたにつきましては、もちろん国内の農業諸事情の変化、特に水田裏作地帯におきましては稲作との競合の問題でありますとか、あるいは麦全体が非常に反収が伸び悩むというふうなことから、収益としても余り高い作物ではないというふうなことから、国内産の麦の価格国際的に見れば非常に高いわけでありますけれども、それでもなかなか有利な作物ではないというような事情が作用いたしまして今日のような事態になってまいったわけでございます。ただ、わが国食糧の全体の供給力を上げていくという観点からいたしますと、御承知のように非常に狭い国土でございます。裏作利用が可能であるという作物は一つの有利な点でもございますので、そういう点に着目いたしまして、今回の需給見通しにおきましては、麦は大いに増産をしようという作物として取り上げておるわけでございます。
  85. 立木洋

    ○立木洋君 一応関係がないという、農林省答弁としてはそういうことになるだろうと思いますけれども、しかし、政府農業政策としてはそうではない。外国の小麦に依存をするのかどうなのかという問題と、実際に日本国内で自給できる小麦をどう奨励し生産を高めていくかという問題とは関係がないことはないと思います。これは重要な関係がある。日本政府が外国の小麦に依存するという方向を推し進めて、いわゆる小麦を切り捨てして、実際に生産やっても生産費を賄えないような状態をつくっていったらだれもそんなものつくりませんよ。そういう形に実際にはなっていくんです。その点では、先ほど同僚委員指摘しましたけれども、やはり自給率を高めるという点の努力はきわめて重要だと。そういう外国からの輸入との関係で、日本国民小麦を必要としていないならこれは問題は別ですね。実際には五百万トンからの必要量というのが現実に存在しておる。しかし、実際につくられている量というのは二十三万トンぐらいであとは全部外国に依存する、こんなような状態になっておったら、これは小麦だけでなくてほかの農作物もどんどん外国に依存する。そういうかっこうになっていけば日本自給率というのはますます停滞していく。この辺の関係というのは重要な問題点がある。  それと関連して豚肉の輸入の問題についてお尋ねしたいんですが、現在の豚肉の卸価格はどういうふうになっていますか。
  86. 甕滋

    説明員(甕滋君) 豚肉の卸売価格は昨年以来高騰を続けておりますが、本年度について申し上げますと、八月が七百七十八円でございまして、これは安定上位価格の七百三十四円よりも上回って推移をしてきたということでございます。その後、九月に入りまして平均が六百九十円ということになりまして、十月の上旬では六百二十七円というところまで低下をいたしたわけでございますが、ごくこの数日を見ますと六百四、五十円というところまで徐々に回復をしてきておるというのが現状でございます。
  87. 立木洋

    ○立木洋君 これは、やはり政府が決めた基準価格といいますか、これを大幅に下回ると生産者としては非常に大きな打撃を受けていく。前回、飼料費の値上がりの問題で畜産農家で自殺者まで出るというふうな事態があったわけであります。いま、この価格の問題に関して農林省にも幾つか要望が各地から寄せられておると思うんですが、農林省としてはこれについてどういうふうな対策をとられておりますか。
  88. 甕滋

    説明員(甕滋君) 御指摘のように、八月末以降卸売価格が急速に低下をしたという事態を踏まえまして、生産団体等から生産が成り立っていかないので輸入を抑制するようにというような御要望がございます。私どもといたしましては、この価格の急速な低下の原因といたしまして考えておりますのが、背景といたしましては、関税の減免をいたしまして輸入の増大を図る、あるいは国内生産がいろいろ対策を講じました結果だんだん回復基調にあるということがございますけれども、このような急落を示すという直接の原因といたしましては、やはり、長い間非常な高値で推移をしてまいりまして、この夏も実際には非常にもっと高目になるんじゃないかというような見通しがあったところへ、急速に先行きが不安である、弱気であるというようなことに転換をした心理的な要因が非常に強く働いているのではないかというように考えておりまして、その基礎にありますのが、やはり需要が相当程度、私どもが予想していたよりは弱いのではないかという感じを持っておるわけでございます。  そこで、価格につきましては、高い肉の時代から適正な水準の時代に水準訂正をするという局面が現在であるといたしますならば、それが余り急激な形で価格変動に結びつかないように、需要についてはこれを維持増進していくということが必要であるという考え方を持っております。  そこで、現在こういった卸売価格の低下が見られるわけでございますので、それに見合った小売り価格の低下という問題をとらえまして関係業界を九月の初めあたりから指導しておりまして、その浸透を図りまするために、現在も、たとえば東京都で申しますと豚肉の値下げ消費キャンペーンといったものを展開するなどいたしまして浸透を図っておるわけでございます。  それから、需要の増進という点から申しますと、やはり豚肉の加工品につまして、これは従来、国内豚価が高い時代には輸入品が主として充てられるということでございましたけれども、安い国内産の豚肉を充てるというような指導もいたしておりまして、国内産の手当ても各加工メーカーでだんだん進んでいるという状況でございます。  それから、やはり急激な低価が生産者の経営の痛手になるということでございますので、生産団体等を中心にいたしまして出荷調整の措置を指導いたしまして、これも今月に入りましてからスタートをし、いま現在実施中という状況でございます。
  89. 立木洋

    ○立木洋君 豚肉の輸入に関して関税の減免措置をとるということについては、たとえば供給不足で価格が上昇するというふうな状況の中で一定の措置としてとられてきたわけです。前回の場合には七月までの三ヵ月間という形でやった。しかし、実際の状況を見てみますと、五月段階で農林省の統計情報部の資料によりましても、大体八月から供給予測としては上昇する、七月が一〇〇、八月が一〇一、九月が一〇二というふうに上昇するというふうな見通しまで出されておるのに、さらにその関税の減免措置を三ヵ月間延期したという理由は何ですか。
  90. 甕滋

    説明員(甕滋君) 豚肉の卸売価格が安定上位価格を大幅に超えて騰貴した状態が長い間続いてきたわけでございますが、今年度におきましては、五月から七月までの三ヵ月間減免を実施したわけでございます。ところが、この間卸売価格は鎮静の気配がございませんで、むしろ月を追って上昇するような状況も見られたわけでございます。八月以降につきましては、肉豚出荷の動向等を慎重に検討しまして、その結果、当面の需給見通しとしては関税減免措置を継続することによってやはり需給の安定を図るという判断のもとに、十月末までの三ヵ月の延長を行ったわけでございますが、肉豚出荷の動向についての見通しといたしましては、御指摘のように、夏以降は前年の水準から比べますとやや増加をするということは私どもの調査でも把握をしてございます。ところが、前年の状況を申し上げますと、そのさらに前年に比べますと生産が一〇%前後ダウンをしておりまして、四十九年との対比で申しますと五十一年が回復基調に向かったということは言えるのでございますけれども、需要に対しまして国内供給は絶対的な不足状況にあるという現状は依然として続くという判断がございまして、相当量の輸入豚肉を確保する必要があると、こういう判断から延長を行ったわけでございます。
  91. 立木洋

    ○立木洋君 時間がないから余りこれ以上申し上げることはできませんけれども、しかし問題は、生産地においては輸入洪水からこういうふうな事態が起こっているのだというふうな厳しい指摘まであるわけです。仮に、その見通しについてどうなるかということが不安定の場合に、三カ月間ととらなくて、一ヵ月間ととったって構わぬのですよ、関税の減免措置を延期する場合に。現実に三ヵ月間とって十月まで措置を決めているのだからそれ以上時間を短縮することにはいきませんと言って、局長までそういう答弁をしているわけでしょう、交渉の人々が行った場合に。このために受けた生産者の打撃というのはやはり大きいと思う。これはやはり政府自身が事実上供給が回復してくる見通しをある程度持ちながらも、これについて慎重でなければならないという形でとったならば、それならば一ヵ月間でも延期をして、さらに状況を見るということだって可能だと思うんですね。この関税の減税措置を三カ月間延ばしたということは、やはり農林省としてはきわめて重要な誤りだと私は思う。その点で、あなたは課長さんだから、それについて、いや農林省はそれは誤りでしたとお答えになれないでしょうが、そういうことについてはやはり十分に考えておいていただきたいので、その点について、いわゆる調整保管などに対して政府は利子補給などを含む助成措置を積極的に行うようなつもりがあるかどうか、あるいは小売店に犠性を与えない形で小売価格の引き下げで需要を喚起するように指導を強力にやってほしいということを要望しておきたいと思うんです。あなたがそういう措置をとれるというふうにお答えできないならば、そのことを伝えておいて、その措置についてどうか後で返事を聞かしていただいて結構だと思うんです。  最後になりますけれども、大臣、一次産品の問題、先ほど申し上げましたし、この点についてはぜひとも、くれぐれもよく検討していただいて対処をお願いしたい。そうしないと、日本の経済というのは、国際的に言われている食糧危機の時代がやはり来るということが問題になっていますし、日本の経済を考えていく上では、この一次産品の問題を正しくどう解決するかということがきわめて重要になってきております。特に三木総理は本会議等々でも、すぐランブイエ会議だとかサンファン会議だとかいうふうなことを言われます。これはもちろんいろいろな意味で重要な会議であるという点は、見解の相違があってもそれを否定するものではありませんけれども、しかし、開発途上国での意向、考え方、どういう見解を世界の経済問題に関して持っておるのかということについては、もっと積極的に目を向けるようにぜひともお願いしたいという点で、最後に大臣の御所見を賜って質問を終わりたいと思います。
  92. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 南北問題がこれからの主要な課題であることは言うをまたぬところでございますが、われわれの立場から、できる限り南側の立場にも立ち、かつまた、合理的な解決、もちろんわれわれは消費国として一定の限度もあるものであります。それから、一次産品それみずからにいろいろな種類もあることでございますから、その間の状況等も十分に考慮しなければならぬと思いますが、鋭意この問題に対して取り組みまして、御指摘のように非常に重要な問題でございますから、できるだけ妥当なる解決を見出すように努力したい、こう思う次第でございます。
  93. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  事後の審査は後日に譲ります。     —————————————
  94. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 次に、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案衆議院送付)を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。小坂外務大臣
  95. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) ただいま議題となりました在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を説明申し上げます。  この法律案におきましては、先般、ベトナム社会主義共和国の成立に伴い、緊急の措置として政令により在ベトナム日本国大使館を設置いたしましたが、これを法律に規定する必要がありますので、この法律案におきまして在ベトナム共和国及び在ベトナム民主共和国の各日本国大使館を廃止し、在ベトナム日本国大使館を設置するとともに、同大使館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額を定めることとしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  96. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 以上で趣旨説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ります。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十九分散会      —————・—————