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1976-11-04 第78回国会 参議院 運輸委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十一月四日(木曜日)    午前十時四十九分開会     —————————————    委員異動  十一月四日     辞任         補欠選任      江藤  智君     徳永 正利君      福岡日出麿君     黒住 忠行君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         上林繁次郎君     理 事                 岡本  悟君                 中村 太郎君                 瀬谷 英行君                 三木 忠雄君     委 員                 木村 睦男君                 黒住 忠行君                 佐藤 信二君                 橘  直治君                 徳永 正利君                 永野 嚴雄君                 福井  勇君                 宮崎 正雄君                 青木 薪次君                 加瀬  完君                 杉山善太郎君                目黒今朝次郎君                 内藤  功君                 和田 春生君                 松岡 克由君    国務大臣        内閣総理大臣   三木 武夫君        大 蔵 大 臣  大平 正芳君        運 輸 大 臣  石田 博英君    政府委員        大蔵省主計局次        長        松下 康雄君        運輸政務次官   阿部 喜元君        運輸省鉄道監督        局長       住田 正二君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  杉浦 喬也君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        日本国有鉄道総        裁        高木 文雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改  正する法律案(第七十七回国会内閣提出、第七  十八回国会衆議院送付) ○総合交通政策の樹立に関する請願(第三九九  号)(第四〇〇号) ○地方陸上交通事業整備法等成立促進に関する  請願(第四〇一号)(第四〇二号) ○大幅な国鉄運賃値上げ反対等に関する請願(第  八二七号)(第八二八号)(第八二九号)(第  八三〇号)(第八三一号)(第八三二号)(第  八三三号)(第八三四号)(第八三五号)(第  八三六号)(第九〇四号)(第九〇五号)(第  九〇六号)(第九〇七号)(第九〇八号)(第  九〇九号)(第九一〇号)(第九一一号)(第  九一二号)(第九一三号)(第九九六号)(第  九九七号)(第九九八号)(第九九九号)(第  一〇〇〇号)(第一〇〇一号)(第一〇〇二  号)(第一〇〇三号)(第一〇〇四号)(第一  〇〇五号)(第一〇七二号)(第一〇七三号)  (第一〇七四号)(第一〇七五号)(第一〇七  六号)(第一〇七七号)(第一〇七八号)(第  一〇七九号)(第一〇八〇号)(第一〇八一  号)(第一〇八二号)(第一〇八三号)(第一  一四九号)(第一一五〇号)(第一一五一号)  (第一一五二号)(第一一五三号)(第一一五  四号)(第一一五五号)(第一一五六号)(第  一一五七号)(第一一五八号)(第一二二七  号)(第一二二八号)(第一二二九号)(第一  二三〇号)(第一二三一号)(第一二三二号)  (第一二三三号)(第一二三四号)(第一二三  五号)(第一二三六号)(第一三〇七号)(第  一三〇八号)(第一三〇九号)(第一三一〇  号)(第一三一一号)(第一三一二号)(第一  三一三号)(第一三一四号)(第一三一五号)  (第一三一六号)(第一四一五号)(第一四一  六号)(第一四一七号)(第一四一八号)(第  一四一九号)(第一四二〇号)(第一四二一  号)(第一四二二号)(第一四二三号)(第一  四二四号)(第一五三九号)(第一五四〇号)  (第一五四一号)(第一五四二号)(第一五四  三号)(第一五四四号)(第一五四五号)(第  一五四六号)(第一五四七号)(第一五四八  号)(第一六一六号)(第一六一七号)(第一  六一八号)(第一六一九号)(第一六二〇号)  (第一六二一号)(第一六二二号)(第一六二  三号)(第一六二四号)(第一六二五号)(第  一六二六号)(第一六二七号)(第一七六四  号)(第一七六五号)(第一七六六号)(第一  七六七号)(第一七六八号)(第一七六九号)  (第一七七〇号)(第一七七一号)(第一七七  二号)(第一七七三号)(第一八五九号)(第  一八六〇号)(第一八六一号)(第一八六二  号)(第一八六三号)(第一八六四号)(第一  八六五号)(第一八六六号)(第一八六七号)  (第一八六八号)(第一九五五号)(第一九五  六号)(第一九五七号)(第一九五八号)(第  一九五九号)(第一九六〇号)(第一九六一  号)(第一九六二号)(第一九六三号)(第一  九六四号)(第二〇五六号)(第二〇五七号)  (第二〇五八号)(第二〇五九号)(第二〇六  〇号)(第二〇六一号)(第二〇六二号)(第  二〇六三号)(第二〇六四号)(第二〇六五  号)(第二一七五号)(第二一七六号)(第二  一七七号)(第二一七八号)(第二一七九号)  (第二一八〇号)(第二一八一号)(第二一八  二号)(第二一八三号)(第二一八四号)(第  二二九三号)(第二二九四号)(第二二九五  号)(第二二九六号)(第二二九七号)(第二  二九八号)(第二二九九号)(第二三〇〇号)  (第二三〇一号)(第二三〇二号)(第二三八  五号)(第二三八六号)(第二三八七号)(第  二三八八号)(第二三八九号)(第二三九〇  号)(第二三九一号)(第二三九二号)(第二  三九三号)(第二三九四号)(第二五〇九号)  (第二五一〇号)(第二五一一号)(第二五一  二号)(第二五一三号)(第二五一四号)(第  二五一五号)(第二五一六号)(第二五一七  号)(第二五一八号)(第二五一九号)(第二  五二〇号)(第三八三二号)(第三八三三号)  (第三八三四号)(第三八三五号)(第三八三  六号)(第三八三七号)(第三八三八号)(第  三八三九号)(第三八四〇号)(第三八四一  号)(第三八四二号)(第三八四三号)(第三  八四四号)(第三八四五号)(第三八四六号)  (第三八四七号)(第三八四八号)(第三八四  九号)(第三八五〇号)(第三八五一号)(第  三八五二号)(第三八五三号)(第三八五四  号)(第三八五五号)(第三八五六号)(第三  八五七号)(第三八五八号)(第三八五九号)  (第三八六〇号)(第三八六一号)(第三八六  二号)(第三八六三号)(第三八六四号)(第  三八六五号)(第三八六六号)(第三八六七  号)(第三八六八号)(第三八六九号)(第三  八七〇号)(第三八七一号)(第三八七二号)  (第三八七三号)(第三八七四号)(第三八七  五号)(第三八七六号)(第三八七七号)(第  三八七八号)(第三八七九号)(第三八八〇  号)(第三八八一号)(第三八八二号)(第三  八八三号)(第三八八四号)(第三八八五号)  (第三八八六号)(第三八八七号)(第三八八  八号)(第三八八  九号)(第三八九〇号)(第三八九一号)(第  三八九二号)(第三八九三号) ○盲人を含む身体障害者に対する国鉄運賃等の減  免措置拡充に関する請願(第一三五四号)(第  一三五五号) ○国鉄運賃値上げ反対等に関する請願(第一七〇  四号)(第一七〇五号)(第一七〇六号)(第  一七〇七号)(第一七〇八号)(第一七〇九  号)(第一七一〇号)(第一七一一号)(第一  七一二号)(第一七一三号)(第一七一四号)  (第一七一五号)(第一七一六号)(第一七一  七号)(第一七一八号)(第一七一九号)(第  一七二〇号)(第一七二一号)(第一七二二  号)(第一七二三号)(第一九三一号)(第二  〇二七号)(第四一七四号) ○勤労国民犠牲転嫁国鉄運賃値上げに反対し  大企業優先から国民のための国鉄にすることに  関する請願(第一七二四号) ○本州四国連絡橋の架橋に伴う旅客航路事業の補  償措置等に関する請願(第一九一三号)(第二  二五一号)(第二四八四号)(第二六二四号) ○国鉄運賃値上げ反対等に関する請願(第一九  九八号) ○国鉄運賃値上げ反対に関する請願(第二〇二  八号) ○国鉄運賃値上げ反対に関する請願(第二〇九九  号) ○国鉄運賃値上げ反対等に関する請願(第二一  一六号) ○国鉄運賃値上げ反対に関する請願(第二六六  〇号)(第二六六一号)(第二六六二号)(第  二六六三号)(第二六六四号)(第二六六五  号)(第二六六六号)(第二六六七号)(第二  六六八号)(第二六六九号)(第二八三五号)  (第二八三六号)(第二八三七号)(第二八三  八号)(第二八三九号)(第二八四〇号)(第  二八四一号)(第二八四二号)(第二八四三  号)(第二八四四号)(第二九六七号)(第二  九六八号)(第二九六九号)(第二九七〇号)  (第二九七一号)(第二九七二号)(第二九七  三号)(第二九七四号)(第二九七五号)(第  二九七六号)(第三一七八号)(第三一七九  号)(第三一八〇号)(第三一八一号)(第三  一八二号)(第三一八三号)(第三一八四号)  (第三一八五号)(第三一八六号)(第三一八  七号)(第三一八八号)(第三一八九号)(第  三三五六号)(第三三五七号)(第三三五八  号)(第三三五九号)(第三三六〇号)(第三  三六一号)(第三三六二号)(第三三六三号)  (第三三六四号)(第三三六五号)(第三三六  六号)(第三三六七号)(第三三六八号)(第  三三六九号)(第三三七〇号)(第三三七一  号)(第三三七二号)(第三三七三号)(第三  三七四号)(第三三七五号)(第三三七六号)  (第三三七七号)(第三三七八号)(第三三七  九号)(第三三八〇号)(第三三八一号)(第  三三八二号)(第三三八三号)(第三三八四  号)(第三三八五号)(第三三八六号)(第三  三八七号)(第三三八八号)(第三三八九号)  (第三三九〇号)(第三三九一号)(第三三九  二号)(第三三九三号)(第三三九四号)(第  三三九五号)(第三三九六号)(第三三九七  号)(第三三九八号)(第三三九九号)(第三  四〇〇号)(第三四〇一号)(第三四〇二号)  (第三四〇三号)(第三四〇四号)(第三四〇  五号)(第三四〇六号)(第三四〇七号)(第  三四〇八号)(第三四〇九号)(第三四一〇  号)(第三四一一号)(第三四一二号)(第三  四一三号)(第三四一四号)(第三四一五号)  (第三四一六号)(第三四一七号)(第三五五  一号)(第三五五二号)(第三五五三号)(第  三五五四号)(第三五五五号)(第三五五六  号)(第三五五七号)(第三五五八号)(第三  五五九号)(第三五六〇号)(第三五六一号)  (第三五六二号)(第三五六三号)(第三五六  四号)(第三五六五号)(第三五六六号)(第  三五六七号)(第三五六八号)(第三五六九  号)(第三五七〇号)(第三五七一号)(第三  五七二号)(第三五七三号)(第三五七四号)  (第三五七五号)(第三五七六号)(第三五七  七号)(第三五七八号)(第三五七九号)(第  三五八〇号)(第三五八一号)(第三五八二  号)(第三五八三号)(第三五八四号)(第三  五八五号)(第三五八六号)(第三五八七号)  (第三五八八号)(第三五八九号)(第三五九  〇号)(第三五九一号)(第三五九二号)(第  三五九三号)(第三五九四号)(第三五九五  号)(第三五九六号)(第三五九七号)(第三  五九八号)(第三五九九号)(第三六〇〇号)  (第三六〇一号)(第三六〇二号)(第三六〇  三号)(第三六〇四号)(第三六〇五号)(第  三六〇六号)(第三六〇七号)(第三六〇八  号)(第三六〇九号)(第三六一〇号)(第三  六一一号)(第三六一二号) ○地方交通確保に係る立法化促進に関する請願  (第二七一二号) ○国鉄私鉄運賃値上げ反対に関する請願(第  三〇二一号)(第三一五三号)(第三二八〇  号)(第三四六八号)(第三六九六号)(第三  九二二号) ○高齢者に対する国鉄運賃優待制度確立等に関す  る請願(第三〇九六号)(第三〇九七号) ○国鉄運賃値上げ反対及び内部障害職業病患  者の運賃割引に関する請願(第三〇九九号) ○勤労者国民生活を圧迫する国鉄運賃値上げ反  対等に関する請願(第三一二六号) ○国鉄運賃値上げ反対運賃料金体系改善等に  関する請願(第三一三〇号)(第三一三一号)  (第三一三二号)(第三一四五号)(第三二二  〇号)(第三二二一号)(第三二二二号)(第  三二二三号)(第三二二四号)(第三二二五  号)(第三二二六号)(第三二二七号)(第三  二二八号)(第三二二九号)(第三二三〇号)  (第三二三一号)(第三二三二号)(第三二三  三号)(第三二三四号)(第三二三五号)(第  三二三六号)(第三二三七号)(第三二三八  号)(第三二三九号)(第三四四一号)(第三  四四二号)(第三四四三号)(第三四六四号)  (第三九四〇号)(第四〇三〇号)(第四〇三  一号)(第四〇三三号) ○内部障害者に対する国鉄運賃割引きに関する請  願(第三一四四号)(第三九七六号)(第三九  七七号)(第四〇二〇号) ○日置海岸防波堤内への砂れき流入防止工事に関  する請願(第四〇八七号) ○山陰線複線電化促進に関する請願(第四一一四  号) ○山陰線(京都−綾部)複線電化促進に関する請  願(第四一一五号) ○継続調査要求に関する件     —————————————
  2. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、福岡日出麿君が委員を辞任され、その補欠として黒住忠行君が委員に選任されました。     —————————————
  3. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑のある方は御発言願います。
  4. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 最初に、本委員会でかなりいろいろと審議をされてまいりましたけれども、まとめの段階に入ったと思いますので、これを要約をして、運輸大臣からお答えを願って、それに対する総理の見解を確かめていくと、こういう方法をとりたいと思うんです。  細かく一々申し上げませんが、まず国鉄の過去債務の問題があります。長期負債が六兆八千億、その過半は設備投資資金に充当されているということが監査報告書にも書いてあります。この長期負債のうち二兆五千億を特定債務整理特別勘定で整理すると、こういうことになっておりますけれども、六兆八千億から二兆五千億を何とかするとしても、残りはどうなるかという問題があります。この残り負債として残っている限りにおいては、国鉄借金という問題、借金利息という問題は解消しないわけですね。したがって、この長期債務並びにその二兆五千億を何とかするとしても残りをどうするかと、後々残るやつをいつどのようにして解消できるのかという問題。  それと、公共負担というのは国家政策に基づいて当然国が負担をしなきゃならぬ、そういう性格のものだと思うんでありますけれども、この公共負担を依然として続けていく限りにおいては、やはりこれは国鉄のしょい込みになるということもはっきりしております。したがって、抽象的な言葉では公共負担についてはどうするかということを言われておりますけれども、具体的にこの公共負担をこれからどうするかという問題。  それから、これも大きな問題でありますが、いわゆる赤字ローカル線の問題、これは現地公聴会を本委員会では札幌で行いました。札幌現地公聴会では、北海道の各地における赤字線区の問題についていろいろな陳情的な意見を交えての公述人公述があったわけです。したがって、今回の措置としては百七十二億円を政府の方でめんどう見るということになっておりますけれども、二千億以上の赤字に対してその一割にも満たない補助をもらったとしても依然として大きな赤字が残るということははっきりしております。  これらの点が、今回の法案が仮に成立をいたしましたとしても、未解決の問題として残るということになるわけです。この未解決の問題をどうするかということについての政府の方針が明らかにされないことにはわれわれは納得できないわけであります。したがって、いままで何回か答弁されましたけれども、まず運輸大臣から、これらの一番ポイントになる点をまとめてお答えをいただきたい。
  5. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 過去債務の問題は、いま瀬谷委員御指摘の状態でございます。しかし、そのうちで二兆五千四百億円というものの肩がわりを今回の再建計画の中で実施をいたしましたことは、これは画期的なことであって大きな前進だと考えております。したがって、その残りの分については今回の再建計画の中には入ってはいないのでありますが、しかし、依然として国鉄再建の大きな負担になることは事実でありますし、収益を伴う資産に見合うと申しましても検討を要すべき点が多々あると存じます。したがって、御意見を尊重してさらに検討を加え、折衝を進めてまいりたいと存じます。  それから公共負担の問題は、国鉄昭和三十八年まで健全な経営を続けておりました時点におきまして公共負担をする能力があり、政策負担をする能力もあったわけでありますが、今日御承知のような状態に立ち至っているときにこの公共負担政策負担国鉄が背負うということは、「独立採算性を指向」するというたてまえから言えば私は無理がある。これが必要であるとするならば、それぞれ政策実施部門において担当してもらうのが筋であると考えております。しかし、長い間続いてまいりました伝統でもございますので、一遍にこれを解決するということはむずかしいかもしれませんけれども、いま御説のようなたてまえに基づいて折衝を続けたいと存じます。  それから、いわゆる地方ローカル線の問題、これはとにかく金額はわずかでございますけれども、国費で負担をするという突破口が開けたわけでございます。その地方のそれぞれの事情、あるいは御意見等を勘案しながら、地方交通線赤字の解消ということを目指した努力を続けていかなければならないとは存じますけれども、しかし、地方交通線は元来が奥地の開発とか先行投資とか、そういったような政策的な目的をも兼ねておりますので、その結論を得次第、積極的な行財政上の援助というものを続けてまいらなければならぬ、こう考えておる次第でございます。
  6. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 総理数字をたくさん並べますと時間をとりますので、なるべく細かい数字を並べるのは省略いたしますけれども、いま運輸大臣から言われた国鉄赤字の原因を一体どういうふうにするかという問題について、一昨日まで本委員会でいろいろと審議が尽くされました。一番最後に民社党の和田委員から、それではいままで運輸大臣が答えてきた内容を具体的にどういうふうに大蔵大臣としては処理するのかと、こういう質問になったわけなんです。  ところが、たとえば五十一年度の赤字をどうするかとか、いろいろと運輸大臣答弁を裏づけをすることを大蔵大臣に求めようとしたんでありますが、必ずしもはっきりしなかった。独算制はあくまでも、希薄になってもその他の手段で前向きにと、こういうようなお答えがあった。資本積立金の取り崩し並びに運賃で何とかなると、こういうようなやや希望観測的なお答えがあったわけであります。その点を大蔵大臣から、運輸大臣のいままで答えられていることを具体的に、今度は話は具体的になりますので、予算の面で処置することができるのかどうか、五十一年度の赤字の問題も含めて、あるいは地方ローカル線の問題も、公共負担の問題もできるのかどうかということを再度大蔵大臣から今度は約束をしていただきたいと思うんでありますが、どうでしょうか、どの程度までお約束ができるでしょうか。
  7. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 五十一年度の約八千億に上ると言われておりまする赤字を五十二年度にすべて解消する必要はないと思うが、その処理の方法といたしましては、資本積立金の取り崩しでございますとか、ある一定期間内において運賃で回収することも考えなければならぬと思いますが、その他国鉄財政健全性を阻害しないようないろいろな手段を真剣に運輸当局との間で検討いたしまして、五十二年度の予算編成の過程におきまして十分財政当局運輸当局との間で御相談をしてまいりたいと考えております。
  8. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 今度は総理にお伺いしたいと思うんでありますが、先般の本会議でも私質問いたしましたが、今回の値上げによって問題は解決するんじゃない。というのは、今回の値上げがもっと早く行われたとしても増収分は五千億にすぎない。その五千億の増収分というのは、長期負債の、つまり国鉄が今日まで借金をしたその利息の分だけで消えちまう、こういうことになるわけです。それでは利息の分だけ値上げをしたところで、あとこの長期負債はどうなるか。その後全部たな上げするわけじゃない、二兆五千億だと。そうすると依然として四兆からの莫大な長期負債というものはそのまま残っている、利息もついて回る、そこで、独立採算制ということが可能なのかどうか。  赤字路線の問題も、いまお答えがあったところでは前向きにと、おとといまでの答弁では前向きにということであったけれども、言葉の上ではどんなうまいことを言ってみても、二千億の赤字が出るところに百七十億もらったって、この赤字は消えないということは小学生が計算してもわかることです。  公共負担の問題も具体的な問題になって、国鉄公共負担分をどうするかということになって、予算面でそこまで手が回りませんと言われればそれっきりですよ。そうすると、独算制ということは、これは実行不可能ということになると思わざるを得ないんでありますが、このままの姿でいって何とか乗り切れるというふうにお考えになっているのかどうか。あくまでも独算制ができるような方向を、来年度の予算の話になるかもしれませんけれどもやっていけるのかどうか。その点を総理からお答えをいただきたいと思うんであります。
  9. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 瀬谷君御承知のように、国鉄累積赤字と言われるものが六兆八千億円もあるわけですから、二兆五千億円のたな上げをしてもなお債務が残るではないかということでございますが、そのあとの債務資産に見合ったものでございますので、今度のたな上げの中には、資産として残っておるわけでございますから、したがって、たな上げの中には無論入ってないわけでございますが、その中にはいろいろ収益を生む資産もございますんですが、どうしても国鉄をこの機会に再建さしたいということで再建案を出たわけですから、今後この問題というものに対しては、国鉄が健全な企業体としてやっていけるように十分運輸省大蔵省ともいろいろ調整すべきものはいたしまして、再建できるような方向で考えてまいりたいと考えておる次第でございます。
  10. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 総理答弁は多分に希望的な意見、こうなってほしいという意味の御答弁になっておるのでありますけれども、話は具体的になってまいりますのでね。  じゃ、一つだけ今度は問題をしぼって考えてもらいたいと思うんでありますが、たとえば地方ローカル線、これは公聴会あるいは地方公聴会でも意見が出たところです。深刻な問題なんですが、地方赤字線二千億からの問題をどうやって処理をするかと。百七十億では二階から目薬だと本会議で私は言ったんですよ。そうだろうと思うんですよ。たとえばこの問題一つ取り上げてみても、このままでいけばやはり依然として赤字が累積をしていくだけで、問題の解決はできないということになると思うんであります。数字を挙げただけでもはっきりしてくるわけでありますが、たとえばこれらの問題をどうなさるおつもりなのか。国鉄負担とするのか、あるいは赤字線というのは思い切って全部やめてしまうということになるのか、あるいはまた経営形態を変えるのか、これらの問題がその問題処理としては残るわけです。
  11. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 瀬谷君の御指摘になった地方交通線は、たくさんに問題をはらんでいることは御承知のとおりでございますが、いま瀬谷君自身も御指摘になったような、これは地域の負担であるとか、あるいはまた経営主体の問題というものも起こり得るでしょうし、それから、ほかに国鉄にかわるようなもっと一般の人の交通に利便な方法というものがあるかどうかという問題もございますから、これはいろいろ地方の選択も求めなければならぬわけでございますけれども、まあわれわれの県でも赤字路線を廃止したわけであるんですが、これは自動車道路にかえてそういうこともしたわけでございます。そういう地方地方の事情に応じて地方意見、選択、こういうものでこのローカル線というものをどうしていくかということも決めていかんならぬ面もございますが、全般的に見れば、やはり行財政上の支援というものが、ことしは二階から目薬ということでございましたが、そういう道も開かれたわけでございますから、そういう行財政上の支援というものも行ってまいらなければならぬと考えています。どの程度かということは問題でございますが、そういうふうに考えております。
  12. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 話がなかなか抽象的で私の方も困るんですがね。きょうは自民党のメンバーも歴代の運輸大臣がおそろいになっております。その責任がやはりあるわけなんで、ごまかしがきかないと思うんですね。  そこで、はっきり答えていただきたいと思うんですけれども、このままいきますと、また来年も運賃値上げしなきゃならぬといったような問題が出てくる。こういうふうに、値上げをしても値上げをしても、もう追っつかないという状態を、根本にメスを入れないで、その場しのぎでもって取りつくろっておったらどうするかと言うんですよ、これは。こんなになるまでほっておいたということは、いままでの運輸行政に大いに責任があると思うんです。  ここでもって何とかしなければならぬというふうにお考えになるならば、いままでのやり方をそのまま踏襲したのではどうしようもないだろうと言うんですよ。来年度もう運賃値上げしなくともやっていけるという保証がおありになるんならば——これは運賃がそれだけ増収になるだろうと言ったってそうはいきませんよ、これはね。名目五〇%値上げだって実質的には三七%だろうと、こう言っているんです。思うとおりに収入が上がらなかった場合にどうするのかという問題も出てくるんですよ。そうすると、いままでのようなやり方をとっておったんではどうにもならぬじゃないのですか。それでも何とかやっていけるというふうにお考えになっているのかどうかですよ。独立採算制が果たして可能かどうか。現状のままでいくと絶対に独立採算制でやっていけないように数字は出てくるんですよ。それでもなお独立採算制でやっていくということならば、政府は一体どういうふうに処理をするのかということをさらに具体的にお答えをいただきたいと思うんですが。
  13. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 瀬谷君の御指摘のように私もそう思います。ローカル線をこのままに従来のとおりやっていけば、これはいま御指摘のような結果になるわけですから、ローカル線のあり丈というものは根本的に考えてみる必要に利は迫られておると思う。こういう問題も、それを考えるのには、ただ国の助成さえふやせばいいというものではございません。そういう意味で地方の事情等も勘案をしなければなりませんが、この問題に対しては従来の惰性では解決はできない。根本的なローカル線に対しての解決策を講じてまいらなければならぬと考えておりますから、ただ惰性で従来のとおりを踏襲すべきだとは考えていないということでございます。
  14. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 せっかく総理に御出席をいただいたんでありますけれども、総論についてのお答えは出てくるけれども、各論についてのお答えがなかなか出てこないわけです。そこで、今日まで各論でもってずいぶん論議が行われました。これではどうにもならぬじゃないかというのが結論になっているわけなんですよ。  そこで、それではもう観点を変えまして、総理に同じことを答えていただいてもなかなか始まらぬので申し上げますけれども、いまの日本の人口というのは、たとえば東京都の人口は一千万を超えています。北海道の人口は五百万、東京都の半分です。ところが、面積は北海道の方が東京都の三十倍も四十倍近くあるわけです。だから、そういうところと、東京のような人口過密地帯、東京周辺はいずれも人口過密地帯です。この状態をそのままにしておきますと、過密地帯はもうますすま通勤地獄がひどくなる、どうにもならならない状態になる。過疎地帯はどんなに手当てをしても、これはどんなに合理化しようとしても、赤字路線赤字はふえるばっかりであると、こういうことになるわけです。東海道のメガロポリスに人口が集中をする。そうすると、東京−大阪間はいまの新幹線でも飽和状態になっている、さらに第二東海道新幹線をつくらなければ間に合わないんじゃないかと、こういう状態になってくる。ところが、一方においてはますます過疎現象が激しくなる。これは国鉄だけじゃなくて、地方のバスにしても赤字でもってどうにもならなくなってくる、経営困難になるというバスが出てきているわけです。  だから、これらの問題を根本的に解決をするためには、一体現在のような人口、あるいは産業が一地域に集中するというこの姿を、自由主義経済だからといってほっといてよろしいのかどうかという問題も出てくると思うんです。総合交通体系を何とかしなきゃいかぬ、交通政策を何とかしなきゃならぬという問題が出てきます。国土計画と交通政策ということも一体として考えなきゃならぬことになると思うんであります。総理大臣としては、日本列島改造論などという話が前に田中さんの時代に出ておかしくなりましたけれども、いまのこの国土計画、交通政策というものをどういうふうにするおつもりなのか、総理としてのビジョンがおありになるのかどうか、その点をお伺いしたいと思うんです。
  15. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ御指摘のとおり、人口の都市集中というものはこれは世界的な傾向でもあるわけですが、それにはおのずから都市としての能力があるわけでございますから、むやみに人口がふえていくということでは、これは市民生活の維持が困難になる場合もございますが、したがって、政府の方としても全国的なやっぱり総合的な国土の計画というものを立案をして、その中における交通体系などということも当然に考えなければなりませんが、この問題についてはわれわれとしても重大な関心を持って、日本の国土計画というものには、関係各省の中で検討を進めておる問題でございまして、いまここでこの場合、結論というものを申し上げるわけにはいきませんけれども、大問題でございますから、政府自身としても、その御指摘のような問題意識は当然に持っておるわけで、これは今後の大きな研究の課題であるということはお説のとおりでございます。
  16. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 これもまたまことに漠然としているんですがね。三木さん、あなたが自民党の中で次期政権をさらに担当するのかしないのかといったようなこともいろいろと問題になっていることを国民全般がよく知っております。それは自民党の中のいろいろな思惑ということでありまして、しかし、総理として考えてもらわなきゃいかぬことは、やはり本当に今回だけでやめるというんじゃなくて、次期もおれがやるんだという意欲をお持ちになるならば、少なくともこの交通政策についてもしっかりとしたビジョンというものを出さなきゃいかぬ。それから交通政策だけじゃないです、国土計画全部が絡まってきます。こういう問題をちゃんと言えないようじゃ、これは自民党の中で、やっぱりかわってもらった方がいいということになってしまうわけですね。余り三木さんを支持したくはないけれども、ああいうふうにちゃんとしたことを言われりゃこれはまた推さざるを得ないかなと、こういう問題も出てくるかもしれない。そこがだからいまが思案のしどころじゃないかと思う、せっかくのチャンスなんですからね。  だから、問題は国鉄運賃の問題だけれども、出てきた問題は過密問題であり過疎問題である。そこから赤字ローカル線の問題をどうするのだ、公共負担の問題をどうするんだということになっているんですからね。それらのもう少し、せっかく——もう総論しかおっしゃらない三木さんですから、ここで私も各論について細かく御質問するのはあきらめまして、総論についてもう一度三木さんにお伺いしたいと思っているんです。あなた自身は一体現状でいいと思うのかどうか、よくないというふうに思われるんならば、少なくともその方向としてはかくありたい、かくしたい、こういうふうにするといったようなことをここで明言をしていただくことでないと、なかなかこの次の政権だって容易じゃないと思いますよ。だから、その点を考えながら、三木さんとしても、総論なら総論でしようがないから、思い切った大きな構想というものをここでお示しになったらどうでしょうか。
  17. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いまここで国土計画というものを、これは単に人間一人の思いつきというわけにはいかないわけですから、各方面の意見なども徴しながら、これは一つの大仕掛けな調査、研究というものが必要でございますから、ただ、個人の思いつきという問題としては問題が余りにも大きい問題であるわけですから、この問題を一口にここで申すことに無理もあると思いますが、とにかく問題は、ローカル線の問題というのは、一方においてはいま過密、過疎の問題とも関連があるわけですね。地域の開発というものに対して一つの鉄道というものが持っておる役割りというものも非常に軽視できないわけでございますから、従来のようなローカル線というものが次々に厳しい選択でなしに広げていくというこういうやり方というものはやめなきやならぬ。きわめてローカル線に対して厳重なやっぱり厳しい選択が必要でございますが、一概にローカル線は全部やめてしまうんだとは言えませんけれども、しかし、いまはこれにかわるべき輸送機関というものも十分あるわけですから、従来のような、ただ安易にローカル線を延ばしていけばいいという方法では行き詰まることは明らかである。  したがって、地元の事情等も考えながら、しかもやっぱりこのローカル線の将来の負担のあり方というようなものについても、根本的に検討を加えなければなりませんので、こういう問題も含めて、政府ではいま公共企業体のあり方、その中に鉄道の部会を設けて、ローカル線の問題もこれは大問題でございますから検討をいたしておるわけでございまして、この意見なども、専門家の意見でございますから徴しつつ、ローカル線というものに対しての現在の時点においてどうするかという結論を出したいと考えておるわけでございます。
  18. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 国鉄総裁にお聞きします。手持ちぶさたなようですから、今度は国鉄総裁にお聞きをしますがね、いま総理から総論的なお答えがあったんですよ。ところが、各論的な御答弁はなかなか得られないんです。わからないからかもしれませんけれども、しかし、それじゃ困るんでね、総裁としては何を注文するのかということです。  国鉄総裁というのは、前の藤井総裁がやめた後でなり手がなかったということをわれわれよく承知しております。なり手のない中で引き受けたんですから、これはなかなか、よほど奇特な人でなきゃ引き受けまいというふうにわれわれ思ってたんですが、引き受けた以上は、これはやはりできることはできる、できないことはできないと言って、注文つけるものは注文つけなきゃいかぬでしょう。ところが、いままでわれわれがこの委員会で何回も聞いてまいりましたけれども、過去債務の処理はこれで完全にできるのかどうか、やろうとすれば一体どうしたらいいのか、あるいは公共負担を一体具体的にはどういうふうにしたらいいのか、それから赤字路線の問題、いま総理からも何回もお答えがありましたけれども、これを具体的に一体どうするんだ、金が足りないじゃないか、足りない分を一体どうするんだ、こういう問題が出てきますよ。抽象論じゃなくて、具体的に。これらの点は数字でもってごまかしがきかないんです。だから、総裁としては、一体国鉄再建のためにこれで十分だとは思わなきゃ、思わない、具体的にはこうしろ、ああしろということを注文つけてみたらいいんじゃないかと思うんでありますが、そういう注文がつけられましたならば、総裁自身の考え方とあわせて述べていただきたいと思います。
  19. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 国鉄の再建は、昨年の十二月の末の閣議了解で基本線は決められておりますけれども、これを具体的にどういうふうに位置づけをしていくかということは非常にむずかしい問題だというふうに考えております。  本来、独立採算でやっていかなければならない部面と、とても国鉄が独立採算、つまり運賃で、受益者負担ですべてを処理するということができない部分とあるわけでございまして、その分界点を決めていただくことがぜひとも必要なわけでございますけれども、これもそう一挙に簡単にいくかどうかは、国鉄以外の事情もございましょうからなかなかむずかしい問題だとは思っております。しかし、だんだんその内容を明らかにしていただきまして、そして、国鉄としてやっていくべき部分と、援助を求める部分を明快にしていただきたいと思っております。  いまお願いをいたしたい第一の点は、やはりローカル線の問題でございまして、初めて援助はいただいたとはいうものの、現在の援助ではとてもうまくいかない。地方にある程度の負担を求めるといたしましても、あるいは場合によりまして、時折言われております特別料金というようなことを考えるにいたしましても、余りにも赤字が大き過ぎるという現状であり、私どもといたしましては経費を切り詰める方策をいろいろと考えますけれども、その場合でもなおかついろいろ不足をしていくだろうと思います。  したがいまして、いまたくさんあります問題の中で、やはり第一にお願いをいたしたいのは、地方ローカル線についてどういうふうな処理をするかということを一方において決めながら、その関連において援助をふやしていただくということが必要ではないかということを考えておるわけでございます。  それから、公共負担の問題につきましては、これは先般来運輸大臣お答えになり、私も同様に申し上げておりますように、昔国鉄の財政事情が非常に余裕があったというときに、ある意味からいいますと、国鉄もそういう福祉事業にお手伝いをするんだという精神から、場合によりましたならば営業政策の観点も含めていろいろな割引をやってきたわけでございますけれども、いまや割引をすることが非常に困難になってまいりました。しばしば運輸大臣からお答えといいますか、見解の表明がありますように、これはそれぞれの所管官庁においてやっていただけるならば一番望ましいことではあると思います。ただ、長年続いてきたことでもありますし、一方において各所管官庁にもいろいろ事情がありましょうから、直ちに解決ができる問題かどうかは、これは政府サイドの問題であって私どもとして十分見当がつかないわけでございますが、その場合にどうやってとりあえず経過的、暫定的な措置をとっていくかということについては、今後一層詰めて議論してみたいと思っております。  一般的に公共負担と言われますけれども、それもいろいろな種類のものもございますし、いろいろな歴史をしょっておりますから一概に論ずるわけにはいかないわけでございまして、各公共負担の性格に応じて、今後私どもももっと勉強してお願いをすることになろうかと思うわけでございます。  それから、過去債務の問題でございますが、これは、一応経営上の不足額に対応する借り入れをいたしました分については、今回たな上げ措置を認められたわけでございまして、残りは一応資産に見合うものということになっておりますので、一つのけじめがついたというふうに思っておりますけれども、しかし、先ほども運輸大臣からお答えがございましたように、資産の中にもいろいろな種類のものもございますので、この辺も、これでいいかどうかということは一つの問題であるかと思います。  いずれにいたしましても、一方においてやはり来年度におきましても運賃の改定はお願いをせざるを得ない現状でございます。しかし、実際問題として競争線その他の関係がありまして、それには限度があります。物価に対する影響とか、利用者の方々に大変御迷惑をかけるという大きな問題がございますが、それと並行して、われわれの経営という点からだけ考えましても、なかなかそう簡単には上げられないという現状でございます。それを考えながら、しかし、やはり援助だけに頼っておりましたんでは、企業としての何と言いますか馬力が生まれてまいりません。どんどん助けてもらえばいいというわけにもいかないわけでございますので、そこのところはやはり独立採算制を基本に置きまして、したがって、運賃の問題も十分お願いをするということを頭に置きまして、援助と運賃との関係をどう調整するかは、これはなおもう少し時間をかしていただきませんと、幾ら幾らを貸していただければよろしいとか、幾ら幾ら上げさしていただければよろしいというところまでは現段階では申し上げられないということでございます。
  20. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 来年度予算はもう骨組みをつくらなければいかぬ段階ですから、時間をかしてもらいたいと言ってはいられないわけですよ。  そこで、もう話を今度は具体的にしぼってまいりますが、来年度も値上げをさせていただかなければならないと、こういうふうにおっしゃっている。そういうふうにおっしゃっているような財政状態だということなんです。国民にしてみれば値上げはされる、しかし、値上げをされることによってサービスもよくなるというならばがまんできると思う。ところが、値上げはされるけれどもサービスはダウンするということであれば、これはがまんができぬということになると思うんです。実際的には、たとえば車両修繕費の削減という問題がありますね。それから五万人合理化なんという問題がありますね。車両修繕費を削減をするということは列車を減らすということです、これはね。ますますその窮屈な状態で運ぶということになるわけです。サービスダウンなんです、具体的に言うと。それから五万人合理化と、こういうような問題については、やはりこれもサービスダウンということになるのです。具体的にはこういうことになるんですよ、いまの総裁の答弁を翻訳をすれば。  そこで、総理にもう一度お伺いしますけれども、総裁がいま言っていることは、現状のままでは値上げをしてもサービスはいままでよりももっと悪くせざるを得ないということを示唆をしているわけなんですね。これでよろしいかどうかということを考えてください。  それから公共負担の問題にしても、この間こういう話がありました。たとえば身体障害者であるとか、あるいは精神障害者であるとか、いろいろな健康上の問題で一人で旅行ができないという人たちのために二人分の、たとえば付添人の分も含めて運賃を割り引いてもらいたいといったような陳情等もたくさんあるわけですよ。ところが、それらの陳情が、たとえば厚生省に行きますと、それは国鉄へ行ってくれと、こう言われてしまう。それから、たとえば通学関係は文部省で負担をするかというと、そんな気は文部省もさらさらない。自治省も、あるいは農林省も、国鉄公共負担をさせていた問題で自分たちが改めて予算を計上しようという気はさらさらないわけなんですよ。そうすると、その公共負担については政策担当部門においてやらせるといっても、今日の段階ではそういう気持ちもなければ用意もないということがはっきりしております。それを一体どうするのか。政府としてはそれを今度は踏み切ってやらせるということになるのかどうか。そういう決意があるならば、五十二度予算でもって計上しなければ間に合わぬということになるのでありますが、そのような用意が政府としておありになるのかどうかをお伺いしたいと思います。
  21. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは、まあ従来から長い経緯もございますから、国鉄当局と、またその政策の実施官庁、大蔵省を交えて今後の調整に待ちたいと思うわけでございます。いきなりこれを全部政策官庁にこれは予算として計上せよということが無理なことはおわかりのとおりでございますが、これを関係政策遂行の官庁との間に、国の助成の問題もそこにございますから、そういうものを含めてこれは今後の調整に待たなければならないと思いますので、ここで結論的にこういたしますとはなかなか言い切れないものがございます。
  22. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 いままで運輸大臣答弁の中でも、公共負担をそのまま国鉄にしょわせておったんでは、いつまでたったってこれは赤字は消えっこないと、地方ローカル線だって同じだと、だから公共負担については、それぞれの政策実施部門において負担をさせたい、こういうふうに運輸大臣は答えてきているんです。そのとおりに実行されるんならば、これは赤字の問題もなし崩し的に、部分的に解決をしていくことはできると私は思います。しかし、それを総理約束をすればいいんですけれども、いまのお話は、まあいろいろと時間をかけて検討したいということであると、来年度は一体どうするんですか、来年度は。来年度の予算でもって具体的にやってもらわなきゃいかぬのですがね。それはどうなんでしょうか。
  23. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) この問題は、運輸大臣の言うことはよく理解できます。しかし、いま私も最初に申しておるように、各省間いろんな政策決定の優先順位もございましょうし、したがって今後は、運輸大臣の言うことはよく理解できますから、そういう意見も体して今後の調整をいたさなければ、政策官庁に対してその調整も済まない前に私がここで断定をすることには無理があると思いますので、今後これは十分に調整をして、そして、国鉄の独立採算を維持するためには、こういう問題があることはもう御指摘のとおりでございますから、独立採算維持のためにこれは調整を必要とする問題点であることは全く明らか、全くお説のとおりでございますので、今後、運輸大臣意見等も理解できることでございますから、それを体して各省間でよく調整をいたしたいと思っております。
  24. 加瀬完

    ○加瀬完君 関連。  その再建計画というのは閣議の了解事項でありますから、これはお認めになるんでしょう。したがって、再建計画の中身の来年度以降の問題はこういうようにしたいとさっき運輸大臣はお述べになった。したがって、その運輸大臣がお述べになったことの肉づけをいま聞いているわけだ。総理は、運輸大臣のおっしゃったように、予算、その他の措置をやるのかやらないのかと、閣議で決定したものを来年からやるのは当然の総理の責任でしょう。総理がかわったって、これはだれかがやらなければならない、新しい総理は。それを改めて相談しなければ何かできないみたいな話は、閣議了解事項を自分で決めておいて自分で破っているということになるんじゃありませんか。そこをはっきりしてくださいよ。
  25. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私の考えは、たびたびお聞きをいただいたとおりでございます。ただし、この問題は長い歴史を背負ってもおりますし、各省庁の政策実施順位その他もありますから、一遍にこれを実現するというわけにはいきませんけれども、しかしながら、これをまず処理……、国鉄の再建は独立採算性を指向するということが閣議の決定で義務づけられている以上は、こういう種類のもの、つまり過去において経営が健全であった時代にできたものをそのまま負担をしてやれというところには無理があると、そういう方向で五十二年度の予算編成に際して努力をしていきたいというのが私の立場であります。  それから、五十二年度において収支の均衡を図るというのは、今回提出しております二法案の前提でございますので、その前提を満たすためには、まあいろいろな方法を考究し、あるいは行財政上の御援助を願わなければならぬことは当然でございます。しかし、運賃値上げも、これも何度も申し上げておりますとおり、私としてはできるだけやりたくない。やりたくないけれども、どうしてもやらなきやならぬといたしましても、これは他の競争機関との関係があってそれにはおのずから限度がございます。したがって、こういう観点からも行財政上の援助をお願いをしたい、これがわれわれの立場でございます。  総理お答えは、お聞きのとおり、そういう私の立場を御理解いただいた上で関係各省庁との調整に当たっていこうと、こういうお答えでありますから、私の申し上げたことと基本的に矛盾しているとは私は考えません。
  26. 加瀬完

    ○加瀬完君 もう一問。  いまで間違いありませんね。閣議で決定した来年度以降の内容は運輸大臣が述べられた。運輸大臣の述べられたことについて、同様に責任を持って実現を図ることには変わりがありませんと、こう総理はおっしゃっておったと——そうは聞こえませんでしたが、いうことですな。
  27. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) この公共負担については、これは非常に無理があるわけでございますから、国鉄が全部負担することに無理があるので、まあ運輸大臣の言うことを理解して、そういう線で調整をしようというのが考え方でございます。
  28. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 運輸大臣の方から、あるいは国鉄総裁の方から私どもいろいろなことを聞きました。質問をして答弁をしてもらいました。そして運輸大臣答弁を、じゃ、具体的に大蔵大臣数字に直してもらえるのかどうか。それから、まず総理大臣がそのことについてオーケーというふうに言ってもらえるのかどうかということを確かめないことには、いままで何回もここで、委員会でやりとりいたしました。運輸大臣から答えてもらったんですが、運輸大臣の答えてもらったことが、総理大臣に裏づけしてもらわないと空手形になってしまうわけです。だから、空手形になったのでは何にもならないので、運輸大臣が言ったことを、五十二年度の予算の中で生かすということを総理大臣がまず約束をしてもらえるのかどうか、その約束に基づいて大平大蔵大臣数字にしてもらえるのかどうか。  もっとも三木さんと大平さんとの関係はいろいろあるかもしれませんけれども、それはそれといたしまして、総理大臣が一つの方針を決めたならば、それを大蔵大臣数字にしてもらうということは当然のことなんですから、それを約束してもらえるかどうかです、問題は。
  29. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 運輸大臣の言ったような線でこれを財務、大蔵当局に検討いたさすことにいたします。
  30. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 それでは、大蔵大臣に今度お聞きしますが、おとといでありますが、おとといの和田君の質問に対する答弁とも関連してくるんですが、大蔵大臣としては、ともかくいままで運輸大臣が答えているそれらの問題について、五十一年度の赤字の問題も含めて、あるいは過去債務の今後の処理の問題も含めて、来年度予算でもって具体的に処置をしていくということを約束することはできますか。
  31. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 運輸大臣から御相談がございましたなら、前向きに、真剣に検討いたします。
  32. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 総理としては、ここでやっぱり心にとめておいてもらいたいというのは、いままでずいぶんわれわれも公聴会もやりましたし、いろんな人の意見も聞きました。そして結論的に言うと、さっきも国鉄総裁にも言ってもらったんですけれども、このままでいくと来年度また値上げしなきゃならぬ、われわれ同じことをもう一回蒸し返してやらなきゃならぬということになるんです。何回も値上げをしなくともいいようにするためには切開手術しなきゃならぬだろう、その度胸があるのかどうかということなんです。  だから、来年度、五十二年度以降またまた運賃値上げということになって、またまた同じことを繰り返すということになったんでは意味がないと思うんです。そうさせないために、まず五十二年度予算では少なくともいままで運輸大臣がわれわれに対して表明をしてきた事柄を具体化する、約束をするということが行われなければ、五十二年度になってまたまた同じことを繰り返すというおそれがあるので、そういう心配はないと、ここでもってはっきりと約束をするということが言えるかどうか、もう一度おっしゃっていただきたいと思います。
  33. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) しばしば申しておるように、運輸大臣の言うことは理解できますから、そういう線に沿うて、これは前向きに処理をいたしたいと思います。
  34. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 運賃値上げに伴って、先ほども申し上げましたように、運賃は上がった、サービスはダウンするということではこれは利用者は納得しないということなんです。  そこで、今度また具体的な問題に入って申し上げますけれども、車両修繕費の削減でもって間引き運転をする、車両を減らす。具体的にこれから寒くなってくるときになって、いろんな問題が出てくるような計画があるんですけれども、それらの計画は一応御破算にして、サービスダウンはやらぬ、通勤、通学輸送の改善と強化は何とかするということが約束できるのかどうか、これは運輸大臣にお伺いしたい。
  35. 石田博英

    国務大臣石田博英君) この法案が処理されました後、財源その他についてもう一度厳重な見直しをいたさせまして、御心配の事態が生じないようにいたす所存でございます。
  36. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 それでは、これは約束をしてもらいたいと思います。国鉄総裁からも先般表明されましたことは、車両修繕費の削減やむを得ざるもの、こういうようなことで、結果的には車を減らすということ、サービスダウンになるということを懸念されました。それらの問題について、いままでうちの方の党の委員からも質問があったわけです。それは、いま運輸大臣の御答弁によって、この法案が成立をするということと関連をして、そういうことのないようにするというふうに私の方では理解をいたしますから、どうかそのように約束をしていただきたいと思います。
  37. 石田博英

    国務大臣石田博英君) そのように理解していただいて結構だと思いますが、完全に一〇〇%の財源が見つかるかどうかということになりますと、まだ若干自信がございませんけれども、全力を挙げて財源の発見に努めて、特に年末から年始にかけての帰郷される人々に御迷惑のかからないように、あるいはだんだん厚い物を着るようになって通勤をなさる人々に御迷惑のかからないようにいたす所存でございます。
  38. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 今後の問題としては、これは一〇〇%と言ってもそうはいかないかもしれないと、そこまで私も細かく詰めるようなことはしないつもりであります。しかし、少なくとも何回も申し上げておりますけれども、運賃は上がった、サービスはダウンしたということであってはならぬということです。  それと、もう一つ基本的な考え方なんですけれども、安くさえあれば不便でも不自由でも構わないという御時世ではなくなっているわけですよ、今日。だから、やはり少なくとも貨物でも旅客でも、どっちにしても、利用者を満足させないと国鉄から離れていく。自動車にいく、あるいは飛行機にいく、こういうことになる。もちろん飛行機でなければならぬ部面まで国鉄が手を伸ばす必要はないと思うんでありますけれども、そのためには少なくとも後ろ向きの、たとえばけちけちして節約をするんだということで合理化計画、五万人何とか減らせと、人間を減らすことばっかりであっては、収入をふやすとか、あるいはサービスを改善するということとはつながらないんであります。したがって、それらの後ろ向きの政策というものはとらない。むしろ前向きの政策でもって必要があれば人間もふやす、あるいは予算政府の方でさらに今年度、今回以上に十分に約束をするということができるのかどうか。これは基本問題でありますので、総理に最後にその点をお伺いをして、私の質問を終わりたいと思うんでありますが、いいですか。
  39. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私じゃいけませんか。
  40. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 じゃ、大臣から答えてもらって、総理からまたお答え願いたいと思います。
  41. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 国鉄の仕事は基本的に迅速、正確、大量の輸送を担当するというのが役目でございまして、これは国民に対するサービスが基本であります。したがって、値上げがサービスの低下につながらないように努めなければならないことは当然であろうと思います。それからサービスの向上によって収益の増大も期待でき、今日の事態はいま御説のように、安ければそれでいいんだという時代でありませんので、しかも、他の交通機関との競争関係にあることを十分理解をいたしまして、従来の発想をひとつ思い切って転換をして、平たい言葉で言えばお客様が喜んでたくさん利用してもらうという線を通じて国鉄の増収を図ってまいる、これが基本的な線であろうと思います。  ただ、現在の状態におきましてもなお合理化を必要とする面がたくさんございますが、その合理化に当たってあらかじめ整理人員を先に決めておいて、そうして、その整理人員の数を実現するという方向でやるのではなくて、合理化を進めるという方向に重点を置いてこれを実施していきたいと考えておる次第でございます。
  42. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 総理答弁の前に、じゃもう一度念を押しますが、私が言いたいのは、人間も減らします、経費も節約しますということではろくな仕事ができないというのですよ。元をかけなければこれはいい仕事はできぬということなんです。そこで、必要とあれば合理化ということを言わずに人間もふやす、それから予算もふやすということでないと、ろくな仕事はできぬであろうと。だから、そこのところが一体どっちの方向を向くんだということを総理の方から一言はっきり答弁してもらいたいと思うのです。
  43. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは人間をふやさなければサービスはよくならぬというのは少し断定できないと思いますね。いろいろな能率を上げ方法というものが各方面に考えられておるわけですから、したがって、国鉄の大事なことは、国民に対してのサービスを低下させないということですから、それに対して適切な方法をとるべきであって、値上げをしたけれどもサービスは悪くなったということでは国民に相済まぬわけですから、サービスの維持を図らなければならぬ。そのためには経営というものに対して常に合理的なやはり見直しが必要であるということで、人員の整理は、問題は石田運輸大臣の言われるとおりに私も考えております。     —————————————
  44. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、江藤智君が委員を辞任され、その補欠として徳永正利君が委員に選任されました。     —————————————
  45. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 本案に対する質疑を続行いたします。
  46. 三木忠雄

    三木忠雄君 時間が限られておりますので総理大蔵大臣、私は具体的な問題で結論を出してもらいたいと思っているのですよ。  それで、いままで運輸委員会で何回か審議を続けてきました。この問題に対するやはり結論というか、そのために総理が出席をし、大蔵大臣に出席を願っているわけです。こういうわけで、私は何点か問題点を指摘したいと思いますので、その結論を伺いたいと思うわけでありますが、その前に総理に、このロッキード事件の問題で、何としても今回のこのロッキード問題の端を発したのは運輸行政なんです。まあいままでの疑獄事件と言えば、大半が運輸行政に絡んでいる疑獄が多いわけです。こういう問題を通して、まあロッキードの解明に政治生命をかけると言った総理、この運輸行政に対して、このロッキードの問題を通して運輸行政の何を改革しなければならないと考えているのか。その点についてまず総理に伺いたい。
  47. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 三木君の言われるように、運輸行政に伴っていろんな不祥事件が起こる例が多いわけですから、この事件が起こりまして、私は運輸省に対しても、こういう不幸な事件を転機にして運輸行政の刷新を図らなければならぬ。運輸行政のあり方に対してもう一遍総点検をする必要がある。その中では一つのやっぱり行政指導のあり方、あるいはまた許可、認可事項の再検討、こういうものに対してこの際運輸行政——まあほかにも問題はございますけれども、こういう点については特に見直しを必要とするのではないかということで、運輸省においても総点検本部ですか、これを直ちに置きましていま検討を加えておるわけで……
  48. 石田博英

    国務大臣石田博英君) いま結論を得て通達しました。
  49. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) そういうものはすでに設置されて活動しておるわけで、いわゆるこの事件というものが運輸行政をめぐって行われたということに対して、この問題が運輸行政のあり方に対して根本的に総点検をする機会である。そうして国民に対して、いやしくも運輸行政から疑惑を持たれることのないようにしなければならぬと強く考えておる次第でございます。
  50. 三木忠雄

    三木忠雄君 じゃ、運輸大臣ね、まあ総理は総論だけしか言いませんから、具体的にこのロッキード事件を教訓にして何を改革し、いままでやったこと、それから、いつまでにどういうふうな、たとえば許認可の問題にしても、一例を挙げて具体的な解明策を示してもらいたいと思います。
  51. 石田博英

    国務大臣石田博英君) まず第一に、組織といたしましては、事務次官を長とする総点検本部を設けました。全国の各責任者を招集し、問題点の検討に入りました。一番最初に行いましたことは、いわゆる行政指導が口頭で行われる、後になっていわゆる証拠として残っておらない、また、だれがだれに対してやったかというようなことも明確でない。これが問題でありますので、これからは一切これを書類で決裁をとって行うということをまずいたしました。  それから第二番目には、その意思決定に当たって、できる限り意思決定と、それから部外への伝達に当たりまして、その理由の明確化、それからそれを処理する体制の改善、こういうことをあわせて行ったわけであります。  次には、職員の——何しろ許可、認可事務は二千数百件に上っております。そのこと自体再検討し、縮小の方向に向かって行政をしなければならぬとは思いますが、何しろ陸海空にわたる輸送を担当し、人命にもいろいろ影響を及ぼしますので、一概に数だけを処理するということでは済まない問題でございますが、この許可、認可の事務処理に当たりまして、ひとつ厳正、公平にやらせるとともに、具体的には関係業者、あるいは利害関係者との個人的接触、あるいは中元、歳暮等の贈答、そういうことにまで慎むよう厳重に注意をいたしました。このことはもうすでにそれぞれ各関係者に伝達済みでございます。
  52. 三木忠雄

    三木忠雄君 その問題はまた別な今後の問題として運輸行政、私たちもタッチしていくわけですからいろいろ検討したいと思いますが、まあ限られておりますので、先ほど瀬谷委員から修繕費の問題でちょっと前向きな答弁がありましたけれども、私、一点だけ具体的にその問題を詰めておきたいと思うんです。  この車両修繕費の中で特に通勤電車の問題ですね。たとえば中央線、十二月から車両修繕費で、二一〇%の乗車効率から二七〇%の乗車効率になるわけですね、もしこの六十億の削減を予定どおりするとすれば。いま運輸大臣は、それは一〇〇%とは言えないけれども前向きに処理すると、こういうふうな答弁ですけれども、具体的にもうこの中央線の込む、一〇%削減に伴う現在の二一〇%の乗車効率、これが二七〇%になるというのは必ずなくなると、あるいは総武線の二三一の乗車効率が二四四になる、あるいは大阪でも横浜でも二一〇が二一二〇、二四〇の乗車効率になるという、こういう冬に向かっての通勤ダイヤにいささかの混乱を起こさせないと、こういう確信を持って今回のこの車両修繕費の削減問題を再検討するという、こういう考え方と受け取ってよろしいですか。
  53. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 先ほども瀬谷さんにお答えいたしましたように、いまお話しのとおりに行いたいと思っております。
  54. 三木忠雄

    三木忠雄君 国鉄総裁、そのとおりでいいですか。
  55. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 現在計画しております減車の計画では、一番影響が大きくなりますのがいま御指摘の中央線の問題でございまして、いま二一〇とおっしゃいましたけれども、現在でも非常に状態が悪くて二六〇ぐらいになっております。それがさらに二七〇になるということでございまして、これはもう限界でございますので、中央線はまず第一にもとへ戻す努力をいたさなければならない典型的な例でございますが、通勤につきましては、全般的に何とかこういうことに立ち至らないよう運輸省にお願いをし、政府にお願いをして処理をしたいというふうに考えております。
  56. 三木忠雄

    三木忠雄君 大蔵大臣、いま国鉄総裁から答弁のあったように財政上の問題、わずか六十億ですよ。これは総理もよく聞いてもらいたいんですが、わずか六十億の問題で車両修繕費を削減する、私はこれは深い意図はわかりませんけれども、合理化を促進するためのこういう車両修繕費の削減ではないか。そこに通勤電車とか、あるいは年末年始の貨物輸送とか、こういう方向にまでその波及効果を及ぼそうというようなやり方は余り芳しくない問題ではないかと思うんです。したがって、この車両修繕費等を含めた六十億等の問題について、たとえば国鉄の短期借り入れが四千億のうち三千五百億いま使ってまだ五百億残っておるはずですね。これを充当してでもこの車両修繕費等の問題は解決させてみせるという、こういう大蔵大臣の考え方はいかがですか。
  57. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) そういう深刻な事態を緩和ないし回避することは望ましいことでございまするし、また、当然運輸当局としても、国鉄当局としてもやらなけりゃならぬことであろうと思います。やはりそのためには財政当局としても真剣に協力しなけりゃならぬと思います。
  58. 三木忠雄

    三木忠雄君 じゃ、そのことをよく期待をして、私はこの問題は年末年始、大した輸送の混乱もない、あるいは通勤電車等も着ぶくれして事故が起こったり、あるいはいろんな問題が、トラブルがない、こういうことを期待をしたいと思うんです。万が一そういう問題があった場合には国鉄総裁、あるいは運輸大臣、あるいは総理が責任を持ってこの問題は処置するという考え方と私は理解をしておきたいと思うんです。  それでは、次に総理に伺いたいんですけれども、この再建対策要綱の中に——閣議で了解をされた、運輸大臣からもしばしば答弁をもらっておりますけれども、「独立採算性を指向した自立経営」、この問題に対して総理はどういうふうな考え方を持っているのか。もう一人、大蔵大臣、この「独立採算性を指向した自立経営」、大蔵大臣はどのように考えているのか。これはいろいろ事務当局の答弁はあるでしょうけれども、総理大蔵大臣の立場として、この問題を国鉄に対してどういうふうに考えているのか、まず総理から答弁願いたい。
  59. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) やはり公共企業体というものは、利用者の負担というものが私は前提になると。そうでないと、利用する者としない者と不公平になりますが、しかし、国鉄の場合を考えてみると、一つの公共割引あるいはローカル線、国鉄にこれに対して全責任を持たすところには、独立採算性を指向した場合に無理があることは明らかでございますから、これは前半の質問の中にも、政府の中でこの問題は前向きに調整して処理していきたいとお答えしておるわけでございますが、しかし、やはり独立採算制という歯どめがなければ、これは非常に経営自体に対しても何も親方日の丸式な安易な経営になってもいけませんから、そういう一つの大きな枠組みは必要である。その中で国鉄負担さすのが無理なものに対しては、これは政府としても検討を必要とすると思うんですが、大きな枠組みとしてはそうあるべきだと考えております。
  60. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 本来公共企業体といえども、これは厳密な意味でいろいろとり方があろうと思いますけれども、独立採算制が維持されて円滑に運営されることが望ましいと思うのでありまして、国鉄もその例外であっていいとは思っておりません。しかしながら、運営の実際におきましては、御承知のようにたくさんの累積債務を生じて経営が非常に危殆な状態に陥っておりますことは隠れもない事実でございまして、独立採算制が達成されていないことが現実でございます。こういう状態でございますから、この原則はひとつ放てきしていいということには直ちにならないと思うのでございまして、国鉄自体がみずからの合理化を徹底していくのと歩調を合わせまして、政府におきましてもこれに補完的に助成をいたしながら、両々相まちまして健全な自主経営が実現していくようにしてまいるのがわれわれの任務であろうと考えております。
  61. 三木忠雄

    三木忠雄君 そこで総理、「独立採算性を指向した」——確かに無理があるといういまの答弁ですね。大蔵大臣もやっぱり大きな枠組みの中でいろいろ考えなきゃならない問題があると言う。こういう中で総理は、国鉄が独立してやっていけるものとは考えていないと思うのですね、いまの政策割引等の問題があるわけです。したがって、この国鉄がいままでの独占時代と違った現在の時点に置かれているわけです。  そのために、やはり国として助成基準をここではっきりすべきではないかと思うのです。これが明確でないからいつも論議になるわけですよ。われわれこの運賃の改定法についても一定の条件下であればということでいろいろ私たちも再建案を党でつくってきました。しかし、政府の助成基準が全然明確じゃないんですよ。その場限りの、その場を逃げ切っていけばいいという再建対策要綱にしかなっていない。第一次、第二次も同じことなんです。結局決まっているのは何かというと、運賃値上げのパーセンテージだけなんだ。これじゃ国民は納得しない。したがって、今回の再建対策要綱は五十一年、五十二年で明確に収支の均衡を図ると言っているわけですから、そのためにも助成基準を私は明確にすべきだと思うんです。そのときの金額は多少なりともいろいろな差はあると思いますけれども、国がやらなければならない国鉄に対する助成基準は何と何をやればいいと総理は考えているのか、それを明確にしてもらいたいと思うんです。
  62. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 助成の枠組みをあらかじめ決めるということには無理も私はあると思う。むしろ必要なことは、公共負担であるとか、ローカル線であるとか、相当国鉄の経営を圧迫するような事態に対して、これをどのように考えていくかということがこれは大きな前提になると思うのです。これをいまのままで置いておけば、これはやはりなかなか独立採算性のベースなんか乗らぬことは明らかですから、これをどう処理するかということを決めないで、ただ国の助成の枠だけを決めるというやり方ではなくして、公共負担あるいはローカル線、こういう問題に対して政府がどのように対処していくかという大きな方向というものはいろいろ御説明もいたしましたけれども、これを具体化するということはそう簡単な問題ではないわけですね、実際の長いいきさつがあるわけです。こういうことですから、この問題をまずやっぱりどう処置するかということを決めることが前提であって、そして、なおかついろいろ国の助成が必要であるというような場合も起こり得ましょうから、その問題等を政府として考えるという順序が、私はやっぱりこの問題の解決の一つの手続としてはその方が妥当だと考えておるわけでございます。
  63. 三木忠雄

    三木忠雄君 どうも答弁がわからぬのですがね。やっぱり五十二年で、再建対策要綱の中で収支均衡を図るとなれば、もう長い経過があると言ったって、長い経過をもうみんな見てきているわけですよ。われわれも、学者の意見も、あるいは地方住民の意見も、あるいは各地域からのいろんな要望、意見なりを聞いているわけですよ。したがって、もうある程度の枠組みが、この再建対策要綱の中で、あるいはいま出なくても私はいいと思うんですよ、きょう出せと言いませんよ。しかし、来年の予算のときまでには、国はこういう問題を助成するということを明確にしなければ、国有鉄道の「独立採算性を指向した」というこの再建要綱の国鉄の基本概念とは違ってくると思いますよ。これをことしは明確にできるかどうかということを総理答弁願いたいと思う。総理やっているかどうかわからぬけれどもね。
  64. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 単年度のバランスは合うということでございますが、その問題については、たとえばローカル線にしても、次々にいまのような状態でローカル線の建設が進んでいけば、これはやっぱり単年度合っても国鉄赤字という問題は解決できませんから、単年度収支は償ってもやはり将来の問題があるし、そういうことも含めてこの問題に対しては政府が今後どういう処置をとっていくのかということは、予算編成の場合においてもある方向というものは出す必要がある。単年度には収支は償うということで再建案が出ておるわけですから、将来の課題としてそれを割り切らなければ、またいつか赤字が累積してこういう事態になるということでございます。
  65. 三木忠雄

    三木忠雄君 だから、そういまいみじくも言葉で言ったけれども、建設を進めているこういう路線をどうするかということを処理しなさいと私たちは運輸委員会で何回も提議しているわけですよ。具体的に問題を挙げましょうよ。いま東北新幹線の問題があるわけですな。東北新幹線は国鉄でこれつくっているわけです、一兆六千億の予算で。ところが、国鉄は借入金でその工事を進めているわけです。上越新幹線は鉄建公団で、政府の出資によってつくっているわけです。片や赤字のところは借入金で利子を払いながらやった新幹線、それも投資効率の悪い、五年かかるか七年かかるか、いまの投資基準からいけば、あるいは国鉄の財政の状態から考えれば、恐らく金額的には十年かかるか十五年かかるかわからぬという。こういうふうな実態から考えて、そのほかにAB線の問題ですね。総理の故郷へ行ったって、どこへ行ったって、これはみんなAB線をつくるということに対して反対する党派、だれもいないですよ。どっかで解決しなければならないんです、これは。政治の責任問題ですよ、これは。国鉄に責任をいつまでもなすりつけてやる問題じゃないですよ、これは。  こういう政治がはっきりしなきゃならない問題をいつものらりくらりしてやっているところに私は今回の国鉄赤字をここまでふくらました大きな原因があると思うわけです。したがって、鉄建公団等の存立の問題も含めて、これは行管からは廃止すべき公団であると提案されているんですよ。こういう問題等も含めてどうするかということを、私は来年の予算の中ではっきり検討しなければ、片やAB線を一生懸命つくっていく、赤字路線をふやしていく。片一方では赤字路線に補助しなければならない。こういうふうな問題について総理、どう考えますか。もう結論を出すべきときじゃないですか。
  66. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) しばしばここの御質問にもあったように、この問題に対してははっきりした方向を打ち出さなければならぬことは、今後の国鉄再建とも重要な関係を持ちますから、そのことは御指摘のとおりに考えております。
  67. 三木忠雄

    三木忠雄君 余り時間がないので私は細かく聞きませんけれども、もう一つ、地方ローカル線の問題で財政当局、あるいは運輸省に伺いたいんですが、ことしは百七十二億ですね。これは八月の概算要求で運輸省幾らしましたか、この地方ローカル線対策として。
  68. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 地方交通線につきましては、この委員会で御答弁申し上げておりますように、まだ最終的な処理方針が決まっておりませんけれど、とりあえず五百七十億程度を要求いたしております。
  69. 三木忠雄

    三木忠雄君 もうすでにここで決まっているんですよ、方向が。五百七十二億ですよ。何ぼでしたかな、五百五十七億ですよ、運輸省地方ローカル線対策として概算要求しているのは。二千二百億出る赤字、単年度走らせれば。来年は五百五十七億しか概算要求してないんです。もうローカル線対策は四分の一の補助でいいと初めから決めてかかる——決めてかかると言ったら私言い過ぎかもしれませんけれども、すでにここで概算要求の線で地方ローカル線対策は決められてしまっているわけですよ。これではすでに一千五百億の赤字がローカル線でははっきり出る。これは最終折衝が十二月三十一日まで続けられるでしょうけれども、これ以外の助成問題がまださらに国鉄はあるわけですね。  そう考えると、この地方ローカル線の一つの問題を考えてみても、五百五十七億程度の助成をすればまあまあことしはいいだろう、そうなってきますと、たとえば五十二年度の国鉄の財政計画、これはまだはっきり収支バランスは予想もつかないかもしれませんけれども、今回五〇%たとえば運賃値上げしたとする。来年度は一〇%か一五%当然経費増があるわけです。こう考えた場合、私の試算では約八千億の赤字が出ると思うんですよ、また。今回の五〇%を値上げしても。そのうち二千二百億のやはり地方ローカル線赤字が、わずか五百五十七億しか出なかったら、六千五百億か六千六百億のこの赤字を、その単年度の収支均衡のためには——あと出てくる助成というのは政府は限られたものだと思うんですよ。運賃で転嫁せざるを得ないわけですよ。  もしそれができなかったら何でやるかというと、先ほど総裁も言ったけれども、車両修繕費とかサービスの低下、あるいはローカル線にやはり列車を三本走らせておったのを一本にして、その結果住民に不便を来して、列車を切って合理化をしようというその方向しかないわけでしょう。こういうふうなやり方を私は考えているのではないかということを、これは非常に遺憾だと思うんですね。したがって、ローカル線対策の一つの問題にしても、私はもっと真剣に考えてもらわなければならない問題だと、こう思うんですね。運輸大臣、どうですか、これ。
  70. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 地方ローカル線をどういうぐあいに運営の形態、あり方をしたらいいかという問題については、まだ結論を得ているわけではございませんが、概算要求はいま説明したとおりで、想定される損失額について比較をいたしますとかなりの差がある、これは御指摘のとおりでございます。ただ、本年百七十二億といういわば突破口を開いて、そうしてその突破口を広げていく過程におきまして、余り大きな飛躍的な要求も現在の財政事情から無理であろうというような配慮からこういう概算要求をしたものだと、まあ私の時代ではありませんけれども、私はそう思っております。  そういう状態の上に立って、先ほど申しましたような運輸政策審議会に、何度も申し上げているように、ただ漠然と諮るのではなく、具体的な案を幾つか示して結論を得てまいりたい、こう思っておる次第でございます。五十二年度に単年度の収支の均衡を図るという大目標の上で考えますと、運賃値上げという問題も出てくるわけでございますが、これは何度も申し上げておりますように、独占性を喪失した現在、物価問題その他を別といたしましても、運賃値上げが直ちに増収につながらない状態でありますので、これはできるだけ避け、やむを得ない場合でも少額で対処をいたしてまいりたい。今後の予算編成その他に当たる重要な課題でございますが、基本的には五十二年度で単年度の収支の均衡を図るという方向で問題に取り組みたい、こう考えております。
  71. 三木忠雄

    三木忠雄君 時間がないから、具体的にその問題は、あと予算編成で私、見守りたい。来年の法案が出たときには、そういうあいまいな形で私は済まされては、次の法律の問題は済まされないと思いますよ。  それからもう一つ、総理に、もう時間がないから答弁を簡単に伺いたいんですけれども、労使の関係を速やかに正常化しなきゃならないと、こう再建要綱の中に述べているのですけれども、やはり五十二年で収支均衡を図る、この問題と絡んでスト権の問題はやはり五十二年ぐらいまでには結論を出すべきだと思うんですよね。この問題に対して総理はどう考えているかということと、もう一つ、国鉄がいまいろんな角度から縛られて、開発利益の還元等の問題、投資の拡大という問題が余りできないような状態になっているわけです。したがって、国有鉄道法の第六条ですか、これを改正して、もう少し国鉄が増収ができるような法改正を行うべきではないかと、こういうふうに考えるんですけれども、この二点の答弁をいただいて、私は質問を終わりたいと思います。
  72. 石田博英

    国務大臣石田博英君) ちょっと後の部分はよくおわかりでないようだから、私からお答えいたします。前の問題については、私は私の考えをたびたび申し上げておりますので、それは勘弁をしていただきまして、後の問題でありますが、日本国有鉄道法の改正を行って、もっと広範囲な事業が行えるようにいたしたいと考えております。
  73. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) スト権の問題は、従来もいろんな審議会というものに意見を徴しながら、実際は結論が出ないで今日を迎えておるわけですが、この問題をいつまでも放てきすることはできませんので、政府の部内においていま公共企業体というものに対する諸問題、一つにはやっぱり公共企業体のあり方、当事者能力、スト権の問題、こういう問題が重要なやっぱり公共企業体の問題でございますから、中山教授を議長に煩わして、いまこれで関係閣僚会議の下部機関としてそういう懇談会を設けて、そしてこれは大変にいままでにない大きな一つの懇談会でございまして、各部門に分かれて部会を設けて検討をいたしておるわけでございまして、この問題はいろいろと日本の将来の労使関係、国民生活にも影響のある問題ですから、そういう意見の結論が出てまいると思いますから、その結論も参考にしながら、政府としてはこの問題の決着をつけたい。それは三木君は昭和五十二年度ということでございましたが、期限は切っておるわけではないわけですが、これはいつまでもこのままで放置することは労使関係のためにもよくないと考えておりますから、できるだけ早く結論を出したいと考えておる次第でございます。
  74. 三木忠雄

    三木忠雄君 大蔵大臣に最後に、五十一年度の国鉄の収入減のために二千六百五十億ですか、それから収入見込みの違いから約三千億近く資金の不足を来しておるわけですね。この問題について、この法案成立後補正予算を組むのか、あるいは財投でこの穴埋めをするのか、どういう考え方なんですか。その考え方を伺っておきたいと思います。
  75. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) この法律を成立さしていただきますと、収入欠陥が具体的にどれだけになるかはっきりいたします。それをベースにいたしまして収支のバランスを見直しまして、どのように、国鉄事業を維持する上におきまして、つまり予算の補正が必要かということにつきまして直ちに検討を始めまして、必要な措置は直ちに講じなければならないと考えております。   〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕
  76. 内藤功

    ○内藤功君 まず、三木総理にお伺いをしたいと思うんです。  六兆八千億に上る長期債務、さらに三兆一千億に上る累積赤字、こういう事態に至らしめた歴代政府の責任と、それからそれを深く政府として反省をしておるかどうかという問題が、まず総理にお伺いしたい点であります。  民間の会社ならこういうことは許されないということが国鉄の論議でよく言われますね。民間の会社でしたら、これだけの債務、国家予算が二十四兆円なんですから、そのうちの七兆円というような長期債務を出したようなケースについては、この債権者の追及というのは非常に厳しいものです。まずこの企業をつぶすのか再建するのか、本気で再建するのか、頭を百遍ぐらい下げただけじゃみんな納得しないですよ。さらに、その社長以下経営者の全財産投げ出して、そしてしかも明確な借金の返し方、今後の収入の取り方という細かい具体的な計画を出して、そして百万遍おじぎしてやっと再建が許されるものなんです。私は、反省が深く、かつ深刻で、科学的でなければ、幾ら絵にかいたものを出しても、もう絵にかいたものもないんですけれどもね、幾ら計画はこうですと言ったってそれが実現できるかどうか、多くの値上げ負担を負わされる国民は納得しないと思う。私は、主として勤労者を初めとする利用者、所得が高くなく、そしてこの値上げで非常におびえている利用者の立場から、まずこの反省ですね、聞きたいと思う。  昭和三十九年に赤字が出たんでしょう、国鉄は。それまでは、石田さんの言葉をかりて言えば優良企業だった。戦争中は軍需企業にお金を出した、その前は三分の一くらい国家益金で明治時代出しておったんですね。その企業が三十九年に赤字に転じた。三十九年に赤字に転じた以後、三回長期計画をやったんですね。四十年の第三次長期計画、それから四十四年、四十八年の長期計画、こういう計画をやってきて、しかもその都度大幅な値上げをやってきた、しかしよくならない、借金はますますふえる、国鉄の財政は悪くなる、こういう状況でしょう。これはもう自民党政治の十三年の間の失政であることはだれでも明らかなんです。  ところが、三木総理の本会議の御答弁を伺いますと三つ言うんですね。一つは、運賃の値上がりがずっとおくれてきた。あたかも利用者が悪い、野党が悪いぐらいの言い方ですよ。二番目は、地方交通とそれから貨物という輸送構造の変化だ。要するに貨物を自動車に取られている、それから地方に過疎地帯ができたというようなことなんでしょう。全部よそに責任負っかぶせている。三番目は、人件費が上がっている。しかし、人件費が上がったのは、歴代自民党内閣の、これは三木内閣も含めてです、この高物価インフレ政策、特に公共料金をつり上げていくという政策の私は結果だと思う。すべて人に責任を転嫁する。これではこれから再建政策を論議する上の出発点として、反省が深刻で、科学的で、かつ自己の、政府みずからの責任を痛感したものとは言えませんよ。この点をどうお考えになるか、まず再建計画の出発点ですからはっきり伺いたいと思うんです。
  77. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 政府として、国鉄というものが輸送機関として占めておる重要な点にかんがみて、そのときどきの対策を立ててきましたが、しかし、やはり抜本的といいますか、国鉄というものの再建に対して抜本的対策というものは、いま考えてみるといろいろ政府にも反省しなければならぬ点があると私は思いますね。ただ、今日の社会経済情勢の変化というものの激しさからして、そして、これに対して対応できなかったという面は確かにあると思いますが、各国の例を見ましても、これだけの社会情勢の変化というものが余りにも激しいから、各国とも既設の鉄道を、西独にしても、イギリスにしても、フランスにしても、皆もう鉄道の線路を外していってこう縮小しておるわけですね。  そういうことを考えつくならば何も建設しなくてよかったわけでしょうが、やはりそういう諸外国においてもこういう輸送構造の変化といいますかね、こういうものに追いつくことのできなかった姿が各国にもあらわれている。各国がそうだから日本側はそれでいいという、許されるというわけではありませんが、それだけ激しい変化があったのだということも、一つのある意味においてなかなか政府が抜本策を立てるのに容易でなかった点もございますが、政府としても全然反省の余地はないのだというふうに私は考えていない。これはやはりときどきの改善策をやったけれども、そういう将来を見通して、そして抜本的な対策というものを講ずるということに少しやっぱり時代の変化とずれとが生まれてきたというものに対しては、これは反省が必要だと考えています。
  78. 内藤功

    ○内藤功君 言葉の上では反省を言われますが、中身をよく聞くと、やっぱりほかに原因を求めているんですね。輸送構造の改善、輸送構造の変化というところに主な原因を認められておるようで私は深刻な反省がないと。三木内閣でないほかの田中内閣、あるいは前の何々内閣であるから関係がないということはこれは言わせないことなんだ。私はまずこの反省が口では言われるが不十分であるということをここで言わざるを得ないと思う。  そこで、具体的な問題に入っていきますが、まずこの再建はいまある借金債務をどのように計画的に減らして、それから取り得るところからどう収入を得るか。この破産に瀕した企業である国鉄を前にして、われわれ国会議員と政府がこれを治療しなきゃならないその基本はそれなんですね。まずその借金、六兆八千億の長期債務、そのほかにもありますが、長期債務六兆八千億をどういう順番で、いつまでにどういう計画でこれを減縮し、そして最後に消滅さしていくか。これがまず、企業をつぶすんなら別ですよ、企業を生かすんならその道なんです。ところが、あなたの方の答弁は、二兆五千四百四億についてはことし肩がわりの策を打った。しかし、四兆三千億については再建対策要綱にのせない、なぜか。それは資産に見合う債務であるからして、こいつは再建対策要綱にはのせないのだと言うんです。  そこで、私はこの問題に関連して二つまとめて聞きたい。  一つは、この資産に見合うとは一体何なのか。資産に見合うということは一体どういうことを言うのか。その資産を売れば四兆三千億になるというのか、あるいはその資産というものを運用していけば四兆三千億の利益が得るであろうという、こういう推測なのか。後者であれば、それは資産に見合うという言葉ではないんです。これが第一点。  それから第二点、これは見合うにしても見合わぬにしても、返済計画というのは当然立てるべきじゃないのか。しかるにそれがない、そうして値上げだけを要求してくる、これはいけない。計画を立てるべきだ、なぜ立てないのかということ、この二点を伺いたい。   〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕
  79. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 現在国鉄が持っております借入金の返済の問題でございますが、政府が今回肩がわりをいたしました残りの四兆二千億につきましては、いまお話がございましたような資産に見合っていると。その資産の運用によりまして返済の財源がかせげると、さように考えているわけでございます。また、返済計画につきましては、今回の再建対策要綱で五十二年度末で収支均衡を図るということを目標にいたしているわけでございますので、収支均衡を図れれば、資産の償却によりまして返済が可能になるわけでございます。将来収支均衡が崩れますと問題がございますけれども、収支均衡を図られる範囲内におきましては十分借入金の返済は可能であると、さように考えているわけでございます。
  80. 内藤功

    ○内藤功君 こういう問題をやはり局長が答えるというのはよくない。総理自身が、この六兆八千億もあるんですからね、国家予算の四分の一なんですから。総理がやっぱり国の指導者として、どういうふうに借金を返していくのかということがわからなきゃいかぬと思うんです。そこで、いまの答弁ですけれども、私は細かいことは言わないけれども、この際細かいことは言わないが、具体的な計画になっていない、願望のようなものであります。それから資産に見合うということについての説明になっていない。あくまで形式論で、帳簿の上の議論だということを申し上げておきたい。  私どもの党は、具体的な国鉄再建の政策をすでに今国会中発表いたしました。その中で、われわれは野党であるが、こういう線を出している。政府の責任ですべて過去債務は処理すべきだ。しかし、一遍にやれとは言わない、長期計画を立てるべきだ。政府特定債務整理特別勘定は二兆五千四百億円を対象としただけだ。それを過去債務全体を対象とする長期債務整理特別勘定に改めて、当面長期債務の少なくとも半額を取り入れ、その元利償還のための一般会計からの支出をふやすという基本方針を具体的に出しているわけです。この方針は私は道理のあるものだし、また政府の立場からしても、当然これは賛成し、そうしてこの線に沿ってやっていくべきものだと思うんですが、この点について総理の御意見いかがですか。総理がどうしてもわからなきゃ運輸大臣
  81. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 確かに資産に見合うものとして御指摘の数字が挙げられておるわけでありますが、いま局長の答弁は、五十二年度で単年度収支の均衡を図れば、償却その他によってこれが処理されるという見込みの上に立って、資産に見合うという表現を使っているわけでありますが、それについての具体的な数字的裏づけがないという点は確かに御指摘のとおりであります。ただ、今回のこの再建二法の成立、これの効果等を見て、そして具体的な数字検討に入るべきものだと思っております。  それから過去債務の問題は、とにかく二兆五千四百億円というものが肩がわりされたということ自身が非常に大きな前進であると考えております。しかし、残ったものの中でも、全部が収益性を期待できるものではないわけでありまして、収益性の期待できないものについては、私はやはり再検討をしていくべき問題であると思っております。
  82. 内藤功

    ○内藤功君 三番目の問題は、基礎施設に対する政府の助成の問題であります。これはもう今日、各委員が言われましたように、独立採算制が実際上不可能に等しい状態になったという現状では、国鉄の施設のうちいわゆる線路、路盤、さらに道床、鉄橋、トンネル、信号施設、駅舎というような固定施設、基礎施設については、これはヨーロッパ各国がすでにやっておりますように、政府の助成、補助金の支出をもってこれを賄っていく。ちょうど国道に、国の道に出資していると同じように国がやはり出資をしていくべきだ。そしてこの人件費、燃料費、あるいは修繕費、動力費、こういったいわゆるランニングコストについては、これは利用者の応分の負担を願うというふうにはっきりとした方針を、将来の国鉄を設計する上に立てていくということが私は現実的で妥当な大きな方針だと思うんです。これは別に細かいむずかしいことを言っているわけじゃないから総理お答え願いたい、この前運輸大臣に答えてもらったから。総理、一体これはどう思われますか。  外国では、これは国鉄監査報告書に書いてありますように、非常に具体的な毎年単年度ごとの見直しをやって、そうしてこういう基礎施設に対する助成、補助というのを積極的に行っておるのであります。まあ総理答弁は、外国の例は日本の国情に合わないからとよく言うんですけれども、さっきは外国はその線路を縮小しているという例も引かれました。都合のいいときばっかり言っちゃいけない。特にこの英独仏の三国は、国鉄自身がこういう三つの国を一番参考にすべきだと考えておるから、監査報告書の中にもこの三つの国の例を出しておるんですよ。私は社会主義国の例を本当は出したいんです、ハンガリーなど。しかし、それを出すと、あれは社会主義だと言いますから資本主義国の三つの例を出している。外国のまねをしろと言うんじゃないですよ。しかし、同じような人間じゃないですか。同じような資本主義の国じゃないですか。そこでやっていることが日本でなぜできないか。私はこれしかもう方法はないと思うんですね。この基礎施設の問題についてはどうお考えになりますか。
  83. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 鉄道に対する投資というものは効果を上げるまでの間に相当な時間がかかる、まあむずかしい言葉で言えば懐妊期間が長いとでも申しましょうか、その上膨大な額にも上りますし、したがって、そういうものに対して政府も、十分であるかないかは別問題といたしまして、利子の補助とか、出資などによる助成措置を行ってきたわけでございますが、しかし、それでもなお問題点がたくさん残っておりますし、他の交通機関、道路、港湾等との比較においても、国鉄は決して有利な立場にないこともよくわかっておりますので、そういうものとのバランスを考えて処理をしていきたいと思っております。  それから諸外国、いま御指摘のうちでドイツは非常に大きな国庫の支出をしているようでありますが、他の二国と比べますと、それはわが国の方が額は少ないのでありますけれども、そう大きな差がないように私は、ここに資料がございませんが、記憶をいたしております。  それから補助対象にしておりますものについてもいろいろな条件があると思いますので、そういう状態については鉄監局長からお答えをさしたいと思います。
  84. 内藤功

    ○内藤功君 いや、鉄監局長の答弁要りませんよ。これはもう監査報告書に出ているんだから。総理質問の日ですからね。  四点目は、私はどうしても聞いておきたいのは、この貨物の問題なんです。特に料金体系の問題——債務を計画的に縮減すると同時に取れるところから取らなくちゃいけないんです。これは企業の原則ですよ。これは認められると思う。そこで、どこから取ってないか。私はもう一番大きいのはこの貨物輸送の赤字、これを、料金体系をどう改めるかという問題だと思う。四十一年から四十九年度まで国鉄赤字二兆二千五百二十八億円のうち、八割の一兆七千七百十四億円が貨物による赤字なんですね、貨物による赤字。したがって、この貨物による赤字をどういうふうにこれを解決するか。私は本委員会の質問で二回にわたってこれを聞いた。端的な例として、本牧港から笠寺まで自動車の輸送の運賃はどれだけいま上がっているかというと、四十一年からいままで比べてわずか六・七%しか上がってないです。ところが、そのほぼ同じ距離の東京−名古屋間の新幹線の運賃、料金は、この同期間内に六六%上がっている。一方は六・七%しか上がらない、一方は六六%上がっている。こういうことが、いかに新幹線、山手線、中央線、高崎線なんかが営業係数が一〇〇以下であり、黒字であっても、国鉄全体の赤字がどんどん深まっていくかという一つの根底に私はあると思うんです。  そこで私どもは、この共産党の政策にもはっきりうたっておりますし、私もそう確信しておりますが、これは旅客にあるような特急料金、急行料金、それから物資別料金、こういうような料金をきっちり取るべきだ。国鉄の内部の規則では、急行とは何ぞ、特急とは何ぞという定義は旅客にはないんですが取っているんですね。料金だけ取っている。貨物の方は、特急とは何ぞ、急行とは何ぞ、どういう種類の車をつけるか、何両つけるか、何キロで行くかまで細かしく規定されているのに料金は取ってない。こういうことからもおかしいんですね。やはり国鉄全体の大きなこれは問題、料金制度についてこれは検討する必要があると思うのです、私は、貨物の料金制度について。  そうしてこの料金体系というものを見直し、それからもう一つは、運賃が低い低い、運賃水準が低いと言うけど、これはもっと正確に言うべきなんです。これは貨物の運賃水準、特に大企業が主に使うところの——私は大企業という名前は書いてあるかないかを言っているのじゃありませんよ。大企業が主として使うところの石油、セメント、自動車製品、こういったものに使うこの貨物料金が非常に割り安になっている、比較的に。この点の見直しが必要だと思うのです。この点はどうお考えになるか。
  85. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 貨物につきましては、料金制度をいろいろな意味において見直す必要があると思っております。料金といいますか、運賃、料金、全体を通じて見直す必要があると思っております。ただし、いま御指摘のように、非常に過去に比べまして引き上げ率が少ないわけでございますが、それにもかかわらず荷物が減ってしまったという現状でございますので、もう少し細かく物資別なり輸送形態別なりについて検討をいたしまして、率直に申しまして、言葉は悪いが、取れるところからは取るという姿勢でいかなければいけないというふうに考えております。
  86. 内藤功

    ○内藤功君 取れるところから取るという総論の総論だけは認めたけれども、各論については答えられない、あるいは具体的な計画が何も示せない。野党であるわれわれの方がこれだけ案をつくっているのにあなた方のはない。非常に残念なことです。  もう一つ聞きたい。いま総裁が言ったことですが、答えは総理あるいは運輸大臣から私は欲しいということを最初に申し上げておく。  この貨物のお客がトラックに逃げるというのですね、お客が逃げる。しかし、石油だとか、セメントだとか、自動車だとか、繰り返しますが、こういう主として日本でも指折り数える大きな企業がもっぱらつくる製品や取り扱う製品というのはお客が逃げるわけないんです。もし逃げるというならば、これはおかしい話なんです。  そういうことも含めて四つの具体的な政策を私どもは出しておる。一つは、いま一方的な貨物駅の拠点集約をやめさせるということ。特に中小の貨物駅の荷役施設などの必要な整備を図るというような問題が一つ。それから二番目は、トラックに取られるということは非常な低運賃、低賃金でやっているのですよ、これは。下請トラック運輸業者に対する大企業荷主の不当な運賃切り下げを規制しなければならぬ。これをやっておく必要がある、これは政策全体として。そうして、認可運賃の下限を大幅に下回るような運賃を強いられているこの下請トラック運輸業者に対する規制をどうするか。これを規制する必要がある。それから三点目は、さっき言ったように国鉄の基礎施設の建設改良費を国の助成、補助で賄っていく、そうして国鉄の輸送コストをさらに引き下げていく。四点目は、現在の幹線自動車高速道路中心の道路整備計画を根本的に再検討する、モータリゼーションのこの波というのを抑えていく。こういう四点を私どもは政策の中で打ち出しておるのですよ。  ところが、政府の方の答弁は、ずっと黙って聞いておりましたけれども、これについては、いやどんどんお客が取られていくんですと、トラックに取られていくんですと言うだけであって、ではどういうふうにしてトラックと国鉄、両方総合的に調整するか。運輸省はそれをやるところでしょう。運輸省はそれをやるところです。運輸省でできなければ、政府サイドでやっぱりやるべき問題、内閣サイドでやるべき問題。具体的な対策がない。いま私の言った政策についてはどういうお考えですか。また、政府の細かしい対案がございますか。
  87. 石田博英

    国務大臣石田博英君) トラックに取られていくといういわゆるモータリゼーションの影響のほかに、鉄道貨物の中心でありました石炭、あるいは鉱石、あるいは木材、こういうようなものの構造的な変化によって、こういう大手の輸送資材が非常に減少したということも言えると思います。確かに自動車、トラック行政も運輸省の所管でございます。いまのような自由経済のもとにおいてどういう規制を適確に行うことが可能であるかという点には問題はありますけれども、トラックにお客が取られていくんだから仕方がないということだけでは済まされない。やはりこれとの連合関係、共存関係、協力関係というようなものを配慮していかなければならぬと思っておる次第であります。  それから、後の施設の国庫の負担の問題は先ほどお答えいたしましたとおりでありまして、いままでも額の問題が十分であるかないかということは別問題といたしまして、ある程度のことはやってまいりましたが、他との均衡を考えながらさらに前向きの検討をいたしたいと思っておる次第でございます。  それから貨物駅の集約化は、どうも少し専門的な問題でございますので、国鉄側からお答えをいたしたいと思います。
  88. 内藤功

    ○内藤功君 次に、公共負担の問題。これはさっき詳しく議論がされましたから、私は特に総理運輸大臣、御両名に対して、特にこの心身障害者の方々、それから内部障害を持っておられる方方、具体的に言うと腎臓病の患者の方の問題、これはもう一刻も——総理、ちょっと聞いておいてください、これは大事な問題だ。居眠りしておっちゃ困りますよ。これはいま私の聞くことは人命に関する問題ですからね。いまこの大事なときに寝ておられるのは困ります。  私のところにも非常に多くの全国の腎臓病患者の組織の方から陳情があり、本委員会にも請願が出ておるところであります。  これは一例を挙げてみますと、いま福知山から京都の病院に通う腎臓病患者の方、これは透析ということをやらないと亡くなってしまうわけです、腎臓病患者は。週に大体三回通わなくちゃいけない。この三回通う病院というのは福知山にない、京都に行く。急行で一日その透析のために往復すると、いま千五百八十円かかる。週三日行かないと命がなくなりますから、週三日通院して一カ月一万八千九百六十円です。これが今度は、運賃値上げになると一日二千三百二十円、週三日通院で一カ月二万七千八百四十円、月に八千八百八十円の負担増になる。私はまさにこの命をかけたこれは陳情だと思うのですよ、請願だと思う。  こういう人たちがいるんですから、これから調整をするというんではこれは本当はいけないと思う。しかし、いますぐ出せと言っても無理でしょう。速やかにこの公共負担をそれぞれの政策実施担当部署において責任を持ってやる。大蔵省ともしっかりと速やかに詰めを行う。そしてこの公共負担についていままで運輸大臣がここで述べている、ぼくはわが党の政策の中でこの点だけは総論として石田運輸大臣、乗ってきたと思う。ただ、やらなければ何にもならないですからね、運輸大臣が幾らここで強調されても。そこの点について、人命にもかかわるこれは問題になっておりますから、総理の御所見、さらにこれについて一層努力をするという決意のほどを聞きたいと思う。ただ、これから調整しますというだけの答弁なら、これは余り意味がないと思うのですよ。
  89. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 公共負担の問題についての私の考えは何度も申し上げておりますから繰り返しません。本来、いま御指摘の問題、まことに同情し、善処すべき問題だということについては全く同感でございます。しかし、これはやはり厚生省が現在やっております行政の枠の中からこちらへ御相談があってしかるべき問題だ。公共負担を一遍にやめろと言っても長い歴史がございますから、これは一遍にやめるということはなかなかむずかしいと思いますが、しかし、いま御指摘のような問題は人命にかかわる重大な問題でありますので、政策実施部門である厚生省と速やかに相談をいたしたい、こう考えております。
  90. 内藤功

    ○内藤功君 最後の質問です。これは運賃法定主義の問題であります。  先日も公聴会で、私は明治大学の清水教授、この道の専門家でありますが、いろいろ御意見を質問して聞きました。私はこの問題については、いま政府の言っておるのは、独占企業でなくなった、独占性がなくなったから法定主義を外すんだと、こういう論法です。しかし、これはきわめて論拠が薄弱だと思うんです。確かに独占性というのは貨物の場合のシェアは減っているでしょう、しかし旅客はどうか。国民の生活に即して考えてごらんなさい。この東京の首都圏、それから大阪を中心とした近畿圏、こういうところでやっぱり大きな独占的な力を旅客の輸送の面で持っております。それからもう一つは、法律というのは、一たんできたときの立法趣旨は、だんだんだんだん世の中が変わるに従ってその法の役割り、機能は変わっていくんですね。確かにつくったときは独占性ということが立法趣旨であったかもしれない、財政法の三条。しかしいまは、特に昭和四十年代に入ってきてからいろんな料金が上がる、そういう中で、国鉄運賃法定主義というものは、この高物価、公共料金の相次ぐ値上げから国民の暮らしを守ってきたそういう法律の機能を果たしているんです。  私はいろんな会合に出て婦人の方、勤労者の方にお話しすると、国会でどうして値段を上げるのをとめられないのか。とめられるのはありますよと。国鉄と専売と、そしてこの郵便料金というものは下げられますよ、抑えることはできますよと言うんです。この消費者、利用者には、運賃法定主義を維持してもらいたいというところに大きな国民の期待はあると思うんですよ。もちろん国会における国鉄運賃審議の仕方はもっともっと変える必要があるでしょう。しかし、この法定主義をいま外したらどうなるか。続いて私鉄の運賃値上げ、航空運賃値上げ、こういうものが相次いで起きてきます。  私はもう時間がないので簡単に言いますが、この昭和四十一年代、つまり四十年代になりましてから、国鉄運賃が三回、それから私鉄運賃が四回上がっているんですがね。たとえば四十一年一月に私鉄が二〇%上がると、四十一年三月に国鉄が三一・二%上がる。今度は四十四年五月に国鉄が二二%上がると、四十五年十月に私鉄が二三・一%上がる。こういうふうに国鉄値上げが私鉄の値上げの刺激になり、私鉄の値上げが今度は国鉄値上げを誘発する。この関係が、私は詳しく数字もう読みませんけれども、こういう状態になっているんです。私はこういう点からいって、この国民の物価政策全体、それから公共料金のあり方という深い深い見地から、独占性があるかないかという狭い議論でやっちゃいけない。そういうことからこの運賃法定主義の撤廃には賛成できないんです。  私はこの点について、この国民生活、特に旅客の利用者の負担というものについて、さらに他の物価を刺激するという面について、本当に深い配慮をしていろいろ発言しているのかどうか。深い配慮をして発言していないんであったら、この発言はやっぱり正しくないんだと、こういうことはおやめになった方がいいんだということを私は言いたい。考え方が違うというなら結構、どう違うのか言ってもらいたい。私はその点はっきりさせてもらいたいと思うんであります。  以上で終わります。
  91. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 運賃法定主義の問題でございますが、ほかにも公共料金がいろいろある中で、郵便それから電話、電報、国鉄、これだけが法定主義になっておるのでありますが、その理由は、この法律ができたときに、それらすべて独占性が非常に強かった、したがって、これを規制する必要があるというような考え方から出発したものだと思っております。しかし現状は、国鉄はもう独占性がなくなってきておりますので、またその国鉄の今日の財政難の理由の一つが、これは全部だとは申しません。ごく幾つかのうちの一つでありますが、これが運賃の改定が適時適切に行われなかったということも一つの理由でございます。そこで、法定主義について検討をいたしておることはいたしておりますが、いま内藤さんのお話にもあり、またわれわれも諸物価、あるいは物価に間接的影響がある運賃、輸送賃というようなもの等も兼ね合わせまして、そういう事情をにらんで、まだ結論は出しておりませんが、検討はしておりますが、その検討の過程には当然いま申しましたようなことは内包されているわけでございます。
  92. 和田春生

    和田春生君 私の質問は三木総理総理だけでございますから、十分その点は心得て、居眠りなんかしないようにお聞き取りを願いたいと思います。といいますのは、一昨日、二日の日に大蔵大臣運輸大臣おそろいになってこの席でいろいろと御答弁をいただきました。これまでの私の質疑を通じて重点を置いてまいりましたのは、国鉄の財政再建をどうしたらできるかという政府の施策の根本的な態度に重点を置いてお伺いをしてきたわけです。  きょうも総理に、技術的な細かいことをお尋ねをしようとは思わないわけです。ただ、非常に残念なことに、これまでの質問を通じて私が疑問に思っているところが明らかになってはっきりしてくればよろしいわけですけれども、そうではなくて、問い詰めれば詰めるほどだんだんおかしくなってきた。ただ、はっきりしてきたことは、国鉄を再建させるための政府としての役割り、果たすべき責任というものについて、現在の三木内閣で思想統一ができていない。政策的な面についての意思統一もできていない、そういうことがはっきりしてきたと、こういうふうに言っていいと思うんです。  具体的に申し上げますと、いままでの質疑を通じ、同僚各委員の質問に対する政府答弁国鉄答弁等も通じまして、運輸大臣と高木国鉄総裁のお考えというものはほぼ輪郭がはっきりしてきた、実を言いますと。ただ、財政当局ないしは政府の施策というものがきちんとまだ詰めていないものですから、歯切れの悪いところはありますけれども、私ははっきりしてきたと思う。ですから、もし大蔵省の財布も、運輸大臣と高木総裁に預けて、五十二年度の予算というものを閣議了解事項の国鉄再建、つまり健全経営を確立する、五十二年度で単年度収支均衡を図ると、こういうふうに持っていくためには何をすべきかということは私はでき上がると思うんです。  それに対しての政府側の方針は何も決まっていない。きょうの答弁でようやく大蔵大臣が言ってきたことは、運輸大臣を通じてそういう問題についていろいろ提案があれば、これをいろいろ検討してみたい、こういうことであります。また総理大臣は、各省庁間の政策の優先順位、こういうふうな問題もあるので、そういうものについて、いまここでどうこうするということは言えないけれども、いろいろと運輸大臣の考え方は理解できるので検討したいということなんですね。こうするという基本的な物の考え方は一つも示されておりません。それは運輸省当局並びに国鉄総裁の方から、こうしてほしい、ああしてほしい、こういう一つの政策的願望が示されたにすぎないわけであります。  そこで、私は総理にお伺いしたいのは、去る本会議におきまして、私はあなたに質問をいたしました。この国鉄の再建について私どもの見るところでは、この政府の提案ではできそうにないと、日ならずして挫折をして、根本的な練り直しを必要とすると思うということを前提にしてお伺いをいたした。これに対して三木総理、あなたは、二年間でこの国鉄の収支の均衡を図るという目的は達成できるものと言い切っておられるわけです。はっきり言い切っておられるわけです。それに対して条件がついているのはどういう条件がついているかというと——和田君もお触れになりましたけれども、労使関係というものが非常に重要なんです。そこで、労使関係の正常化ということは再建に欠かせない一つの基本である——ということはおっしゃっているわけですけれども、ほかの留保条件は何もついていないのです、あなたの答弁は。  そうすると、いま私が言ったような経緯で来ているのに、二年間でこの収支の均衡を図るという目的は達成できると、あなたは国政の最高責任者として言い切ったわけなんです。その根拠は何か。そこまで自信を持って言い切られたについては、こうするというものがなければならぬはずです。ところがあなたは、何もこうするというものを示しておられないわけですね。だから、国鉄の再建についての政府の責任と果たす役割り、これについて総理大臣として根本の、ここではこういう考え方だということを具体的にお聞きしたい。それが質問の第一であります。
  93. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) この国鉄再建案は、単年度で収支のバランスが合うということでできておるのですが、確かに御指摘のように、一つのこのローカル線の問題をとらえても、これが従来のような方法でいけば、これまた赤字の原因になっていきますから、この問題については、一体今後のローカル線ならローカル線の問題をどう取り扱うのかということは、これはやはりいまそれ全部やめるか、それがまたほかの政策目的ならば国鉄負担さすのは無理じゃないかといえば簡単ですけれども、しかし、やはりこのローカル線にはローカル線としての大きな使命もあるわけですから、いまは非常に人口が希薄のときであっても、こんなに都市だけに人口が集中する状態というのは飽和点に来ますから、地域の開発ということも必要になってくるわけです。  また、社会的な何といいますか、社会的な大きくいえば国民の福祉ということも考えなければならぬわけです。やめてしまえばいいんだという簡単な問題ではないわけでございますから、一体いま政府の中にあるどんな事態でも、一体ローカル線というのはどう考えたらいいのか、これを全部赤字というものに対して、これに対して国家助成を強化していけばいいという問題、そういうふうな簡単な問題でもないわけです。これに対して地元の負担とか、あるいは経営形態であるとか、あるいはまたほかに対してかわるべき輸送機関があるかどうかといういろいろ複雑な個々の問題についての、船舶の問題もございますから、単年度は収支は償うのだけれども、根本的にはこういう問題というものは一体将来どうしていくかという方針が決まらなければ、これはやっぱり不安の種は残るわけですから、したがって、この問題少し時間をかしてもらいたい。ここで割り切って、こうするのだとお答えするのには、もう少し関係するところが非常に多いわけですから、まあこの問題は検討もされておるわけですから、専門家の意見も徴しておるわけですから、少し時間をかしていただきたいと思いますけれども、この問題は結論を出さなければ、また同じような問題を繰り返す原因になるという問題意識は持っておるわけでございます。
  94. 和田春生

    和田春生君 そんなこと聞いていないのです。時間が限定されていますから要約して申し上げますけれども、国鉄が単年度で収支の均衡を図ると、それを達成するために幾つかの関連事項があるのですけれども、一つはローカル線の赤字なんです。一つは本来国鉄が背負うのはどうかと思われる公共負担をどうするかということなんです。もう一つは、工事費に対しての助成をどうするかという問題、この点については、総理はその席におられなかったけれども、私は国鉄の単年度の収支の均衡を図るという面において、政府がどれだけやるかという形について、足りない分は運賃にはね返ってくる、これを決定的にやればそれだけ運賃値上げ幅を抑えられる、それは相関関係があるということは承知の上なんです、私は。その点はいま横に置いてある。  もちろんローカル線の赤字、大事ですよ。それはやってもらわなければいかぬ。この点については本年度は百七十二億円のほんのおしるし程度だけれども、来年度予算で詰めましょうと言っているのですから、それは了解しているのです。ところが、この法案が出てきた最初のときには、予算だったのですけれども、すでに五十一年度半分以上たった。その後いろいろな経緯や法案の成立のおくれで、ざっと見積もって国鉄は五十一年度で八千億円前後の赤字というものが残る。いいですか。過去の累積債務じゃありませんよ、新しくそれだけの赤字というものを発生するんです。これをどうするかという問題があるんですよ、根本的に。細かい技術的な問題じゃないんです。  私が見るところによれば、まあ九千億ぐらいになるんじゃないかと思いますけれども、仮に政府側、国鉄当局の答弁を前提に置けば、八千億円程度あるんです。いいですか、三木さん。三木さん、聞いておってくださいよ。八千億円程度ある、決して少ない金じゃない。これを単年度収支均衡を図るという中で政府がめんどう見なかったら、運賃にはね返らせる以外に方法がないんです。いいですか、三木さん。運賃をそれまで上げれば今度はお客が減る、貨物が減るという形で国鉄の自殺的なことになるかもわからないので、それはできるだけやりたくないというのが運輸大臣のお考えなんです。いいですか。運賃をできるだけ抑えようと思えば、それを政府がめんどう見なければ、どこからも持ってこれないでしょう。  それは国鉄資産から取り崩すというふうに大蔵大臣は言われるけれども、そうすれば、過去の債務に対して見合うだけの国鉄資産があると言うけれども、それを削ることになっちまう。ある部分は運賃に持っていかなければいかぬという問題があるんです。いいですか、三木さん。あなた聞いておらないといかぬですよ。あなたはいつも人の言うこと聞いてないから、三木さん。
  95. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 聞いている、聞いている。
  96. 和田春生

    和田春生君 それからもう一つの問題は、過去の債務が、先ほど来同僚委員が質問をされておりましたけれども、四兆数千億円残っているわけですね。よろしゅうございますか。これに対して政府側は、それに見合う資産があるということをおっしゃっているわけです。しかし、これが資本金なら資本金に見合う資産があるということでいいわけです。利益が上がらなければ配当しなければいいわけです、資本金は返さなくていいわけですから。それはバランスがとれるんですね。ところが全部借金なんです。その利子は払っていかなければいかぬ、返していかなければいかぬという負担が大きくのしかかってくるんです、国鉄に。それは総理、おわかりだと思いますね。  民間会社の場合に、過去に新たな収入源を得るという形で設備投資をするというんならば、それは新たな収入によってそれを返していくということもできるでしょう。あるいは、配当損金算入という制度ができていない。そこで、課税所得の中から配当を払うよりも、他人資本に依存をして利子を払っていけばこれは企業経理の損金で払えるかという形で、日本の一般の企業は非常に他人資本に依存しているけれども、国鉄の過去債務というのは、新しいこれからの投資ではない、過去のものなんです。その中には、新幹線のように利益を生んだものもあるけれども、むしろ過去が持ってきた資産によって現在国鉄を運営しているその国鉄が、どうにもこうにもならなくなってきている。それを使ってその資産に見合う分の四兆数千億円の負債というものを返していくとか、利払いするということは大変大きな国鉄負担になる。  これについては、それをたな上げする考え方はないということを大蔵大臣は本会議答弁で言い切っている。その後も政府はめんどう見ないと言っている。政府も過去債務については五十一年度でおしまいだということを言っている。これ、三木内閣の方針なんです。いいですか。そうなってくると、運輸大臣や総裁がしばしば言われたことは実現が不可能ではないか。そこが問題なんですよ。政府が銭を出すか出さぬかという問題なんです、簡単に言えば。そこについて、わかりましたと、五十一年度生じたその赤字についても政府がめんどうを見る。累積債務についても五十一年度はとりあえずこういう措置をしたけれども、これはどうにもならないんだ。  独算制に乗らないような要素が入っているんだから引き続き政府がめんどうを見ますと。ただ、そのめんどうを見るということについて、数字的な詰めは五十二年度予算案が決まっていないからこれからの問題ですと言うんなら私は了解するんだ。絶対言わないんです、それを。前向きに検討すると言う。前向きに検討するったって、人間皆前を向いているですよ。後ろを向いたら後ろが前になるだけのことだ、そんなものはね。検討したけれども銭が足らなくなったからやれませんでたと言ったら、それっきりパアになるわけでしょう。だから、それを総理大臣の責任として、やると言うか言わぬかということをお聞きしたい。はっきりお聞きしたいと思います。
  97. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあいま和田君の御指摘の、八千億のこの赤字を、これは五十二年度までに処理するということは無理ですからね。これはやっぱり資産、この資本金、資本積立金の取り崩しとか、まああるいは長期にわたって……(「聞こえないんですが」と呼ぶ者あり)
  98. 和田春生

    和田春生君 ちょっと聞こえないですよ、わからぬ。
  99. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ資本積立金運輸大臣の言っておるような、これの取り崩しであるとか、運賃の改定も入るでしょうね。いろいろあるけれども、とにかく政府国鉄のこれだけの再建案を立てて、そして運賃値上げ等も御審議を願っておるわけでございますから、国鉄の経営の健全性を失われないような処置はとるつもりでございます。
  100. 和田春生

    和田春生君 そんな抽象的に、国鉄健全性を損なわないような措置をとるつもりであるという形では答弁にならないんです。考え方を聞いているんじゃなくて、具体的な施策についての政府の態度をただしているわけでしょう。すでにもう五十一年度新たに追加赤字が従来予想されたよりももっとふくらんで出てきているわけでしょう。これ、どうするかということは五十二年度、つまり五十一年度と五十二年度の二年間で国鉄の健全な体制を確立するということに不可分にくっついている問題なんですから、五十二年度でめんどうを見なければ、その赤字しょっていくわけだ。赤字の金利負担がまた残ってくるわけですよ。国鉄の中から返していかなければいかぬでしょう。そして過去債務に対して二兆五千億円ほどはたな上げしたけれども、しょっているわけでしょう、三木さん。技術的なことを聞いているわけじゃないんですよ。国家予算の一割以上になるような大きな金額の問題について言っているから総理にお伺いしているわけなんです。  私は申し上げますけれども、言葉でごまかしていただきたくないんですね。私は国際的に見て、世界に比べても非常にハイレベルの国鉄の技術、これは国民の貴重な財産だと思っているんです。二万キロ以上に及ぶ国鉄、全国をネットワークしている路線網。中には国鉄が背負うべからざるものもあるかもわかりませんが、これも大事な国民の財産です。熟達した四十万人の職員がおるんです。中には経営責任が欠如しているとか、あるいは自殺行為に通ずるような争議とか、あるいはまた職場規律の乱れによって国民国鉄離れを促進するようなこともありますけれども、それは直せばいいことなんです。国民国鉄として大事だと思っておる。国民も納得する形でこれは確実に再建をしなくちゃならない。つぶしたんじゃ全部これは国民の損失になるんですから。そういう観点で、終始一貫その一点にしぼってきて、国鉄だけではどうにもならない。やっぱり政府がどういう形でか手をかさないと再建できないというところに来ているわけでしょう。だから、それをどうするかと、こう聞いているんです。しかも将来の問題じゃないんですよ。あなたは、五十一年度、五十二年度で達成できるとおっしゃったんだ、国民に。五十二年度はもうすぐ目の前なんです。どうするかと聞いているんですよ、総理大臣として。
  101. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 当然に五十二年度の予算編成のときに、この問題というものは国鉄、あるいはまた財務当局などとも意見も徴さなければなりませんが、とにかく国鉄が健全に運営できるような、五十二年度の予算編成のときにこれは処置しなければならぬということで、ただ、そんなにこのまま言い逃れていける問題ではないということでございます。
  102. 和田春生

    和田春生君 あなたの答弁が本会議以来こういうことだったら私は了解するんです。とりあえず五十一年度はこういう措置を講じましたと、しかし、五十一年度の措置では足らない面もある、そういうものについては五十二年度の予算案の中でいろいろと検討をしてみたい。しかし、それはできるかできないかは今後の問題だけれども極力努力をすると、こういうことを最初から素直に言われているんなら私は了解をするんです。しかもまた、いまも言われている答弁が、この五十一年度予算案を提出した、つまり去年の終わり、あるいはことしの国会の、まだ五十一年度が始まらない状況のもとでなら、やってみなくちゃわからぬということになる。ところが、いまやきょうで臨時国会終わりですよ。五十一年度は半分以上過ぎたわけです。そういう状況の中で、最初出したのと全く同じものを出してきたんでしょう、あなたは。全然修正をしないと言う。補正予算を組む考えがあるかということに対して、あなたも大蔵大臣も、補正予算を組む考え方はないと言い切っているわけだ。そして、この五十一年度が始まる前に出した予算案のままで出してきている。  そして、なおかつこの期に及んで、五十一年度、五十二年度、二年で達成できるとあなたが断言するから、私はできないと思うと言っている。だから、達成できると言い切るなら、いま言った問題に対する答えを用意していなければそんなこと言えないでしょう。だから、あなたは腹の中にその答えを用意しているはずだと言っている。これからいろいろと検討するというのでは達成できるということじゃありませんね。達成したいと思いますと言うならいいですよ。そのためには努力したいと思うんですと。ところが、あなたは達成できると言い切った。いいですか。やっぱし一国の総理大臣として、本会議における答弁というものは千金の重みがありますよ。政治に対してもっと誠実でなければならぬ。だから、あなたが達成できると言ったことについては、達成させるための根拠をお持ちでしょう。まだそれは、大蔵大臣が本当のあなたの腹の中は知らないかもわからない、運輸大臣言ってないかもわからないが、どん詰まりですよ、いま。それを証明するだけのことを言うべきじゃないですか。  そうすると、ローカル線とか、公共負担とか、工事費の問題は五十二年度予算でよろしいでしょう、運賃とある程度相関関係がある。新たに生じたものをつけ加えてこれだけの大きな赤字と、過去の累積債務に対する巨大な負担と、これに対してどうするかということを聞いている。根本の問題です、再建できるかできないか。これがだめになったら再建は根底から崩れるんです。幾ら総裁以下が努力したって、働けど働けど赤字は続いていくんですよ。それじゃ、やる気なくしますよ、国鉄だって。根本をお伺いしているんです、はっきりお答えください。
  103. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これはやはり、国会における運賃の改定、また国鉄再建案というものもおくれたわけですから、当然に最初の計画とは違ってきたわけでございますから、そういう点で五十一年度はこれでいくとしても、五十二年度に対しては予算編成のときに、そういう状態も踏まえて国鉄の健全な経営がやっていけるような十分にそれは検討をいたします。
  104. 和田春生

    和田春生君 十分に検討すると言うなら、やっぱし国鉄再建の大きな柱で、あなたもおっしゃってきたように、過去債務の処理とか、財政補助のほかに運賃値上げというものが重要な柱で、三本柱で再建をするとおっしゃいましたね。国鉄の健全経営ができるように十分検討すると、あなたいまおっしゃいました。  そこで、お伺いするんですが、これは運輸大臣国鉄総裁も、今年度に引き続いてかなり大幅に運賃上げれば、必ずしも増収につながらないだろう、それは旅客が逃げ、貨物が逃げて、国鉄離れを促進する危険性がある、こういうことを再三おっしゃっている。私たちもそのとおり思います。これは与党の方も、専門家を含めてみんなそういう考え方には共通の要素があると思うんですね。私鉄や航空運賃や、トラック運賃に比べてもはるかにメリットがない、あるいは割り高だというような運賃になれば国鉄離れを促進するばかりでありますから、そういう意味で、それならばその十分健全に再建できるようにするとおっしゃる場合、来年度の運賃値上げはどうお考えになっていますか。
  105. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) この問題は、やはり利用者にも応分の負担を願わなければならぬというのが一つ大きな原則ですから、公共企業体として政府はそういうふうに考えておりますが、この問題も全体と関連をする問題ですから、国鉄がですね。これからもやっぱり再建をしていくときの大きな関連性を持っておりますから、五十二年度の予算編成のときにこの問題もあわせて検討をいたしたいと思っておる次第でございます。
  106. 和田春生

    和田春生君 関連をするとおっしゃいますけどね、国鉄を利用している現在の旅客並びに貨物は、国鉄以外に利用するものがないんで国鉄から離れない。それだけの輸送量というものはほぼ固定化しているという状況の中で、政府の財政措置というものがこれだけある、国鉄の努力によってこれぐらい生み出される、あとはどうにもならぬから運賃で見ろ、こういうふうに関連をします、それは。しかし、いま競争路線もできてきている、国鉄の独占性というものはほぼ失われてしまっているという中で運賃を引き上げるということは、これは再々運輸大臣が言われた、石田運輸大臣の言われることは私は正論だと思うのですけれどもね、増収につながらない。そうでしょう。お客や貨物が逃げちまったら幾ら高い運賃を決めたって入ってこないんですから、その瀬戸際にいま近づいているわけでしょう。今度の運賃値上げでさえも、名目で五〇%引き上げだけれども実質では三七%、利用率の減が見込まれている。  まして、さらに上げるという形になれば、さらに利用率が減少するであろうということは火を見るより明らかですから、関連できない面があるんです、ですから、そういう面について、それもひっくるめてという答弁ではだれも納得しないと思いますよ。それは結局いいかげんなことを言っているにすぎないんだということになる。だから政府が、国鉄が健全に経営していけるようにちゃんとするつもりだとあなたはおっしゃったから、財政措置についてはまだ予算が決まっていないからお伺いいたしませんと、運賃の点はどうお考えになっているのか、いまからさらに予定しているとおり五〇%以上上げるのか、あるいは、もう上げないでやっていくのか、考え方を聞かしてくださいよ、具体的なパーセンテージまで聞きませんから。
  107. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあそれは、原則論としては、運賃値上げをできるだけ抑えていくということが、和田君の言うような好ましいことではありましょうけれども、そうかといって、いろんな情勢が変化していきますからね、人件費も上がってくるし、物件費も上がってくる、そういうときに運賃上げてはいけないということになれば、これは……
  108. 和田春生

    和田春生君 だれもそんなこと聞いていない。どれぐらい上げるか、腹づもりを聞いている。
  109. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) そういうことですから、運賃値上げということも、これはやはり利用者も、あるいは国鉄も、政府も三者一体になって国鉄の健全な運営を図っていかなけりゃならぬことは明らかですから、そういうもので利用者にもやむを得ない場合にはこれは運賃値上げを願わなければならぬし、値上げをするにしてもできるだけこれは低く抑えていくということが当然でございましょうが、こういうことは、やはりいまここで私からまだ、これが、法案が通って、そして国鉄というものの財政状態というものも確定するわけですから、それを踏まえてこの問題も、できるだけこれは運賃値上げというものを安易にそれに転嫁しないような努力をしながら最終的に決めたいと思っております。
  110. 和田春生

    和田春生君 総理ね、私はいまここで運賃上げるべきでないとかいう結論的なものを前提にして伺っているわけじゃないんです。いまあなたは、それは利用者にも負担してもらうのは当然だというような物の言い方をされましたけどね。国鉄の利用者は、それは提供されるサービスに見合うと、しかも、それを利用することによってメリットがあるという範囲内では国鉄運賃が上がってもそれは負担するでしょう。しかし、国鉄を利用しないという自由もあるんです、日本国民には。いいですか。運賃が、自分たちが国鉄を利用することによって得られるメリットよりも高過ぎるという形になれば、国鉄を利用しないという権利も自由の国の日本ではあるんですよ。それが問題になっている。  だから運輸大臣は、できればもうこれ以上上げたくないんだと、仮に上げなくてはならぬとしても、できるだけ小幅に抑えたいんだということを再三おっしゃってきた。正論だと言っている。しかし、その運輸省当局、ないしは国鉄の考え方を実現しようとすれば、私がさっきから何度も言っている問題について、政府が思い切って金を出すということでなければ不可能なことなんです。空中分解しちゃうんです、それは。そのお覚悟があるかと聞いているわけです。やりますか。運賃をできるだけ低く抑えると、それに見合う分は政府が責任を持って銭を出しますか。それをはっきりお伺いしましょう。
  111. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 運賃それ自体とすれば、和田君の言っているように、これはむやみに安易に運賃に転嫁すべきものじゃないですよ。上げたところでその利用度は減るんですから。そういうことも考えなければならぬわけですが、そういうことも勘案しながら、運賃はできるだけ値上げの幅というものは抑えるということが必要でしょうが、そういうことも頭に入れながら、政府の方としては、それによって政府の助成というものも問題が起こってくるわけですから、こういう法案が国会で成立いたしますれば確定するわけですから、そういう上に立ってその問題も含めて十分に検討をいたしたいと思います。
  112. 和田春生

    和田春生君 法案が成立すれば確定するんじゃなくて、成立以前にすでにわかっている要因と、国鉄の経理を圧迫する問題、しかもそれは国鉄の責任では処理できかねる問題について私は何度も聞いているわけだ。その意味がわからなきゃ、あなたが国鉄のことを一つもわかっちゃいないということなんですよ、はっきり言って。そうでしょう。あなたが本当に国鉄の事情というものをわかっておって、内閣総理大臣として国有鉄道を何とかしなくちゃいかぬと言うんなら、私の言っていることについて、賛否は別にして言えるわけだ。  たとえば、大蔵省の担当者が一時そういうことを言ったけれども、過去債務については五十一年度で終わりました。いいですか。あとは国鉄の独立採算のたてまえによって単年度収支均衡を図ってもらうんですから、その後に生じた赤字というものは運賃の中で考えてもらうか、あるいは国鉄の財産を食いつぶすか、何とかやってください。いい悪いは別にして、その考え方です。しかし、運賃はできるだけ抑えるんだ、できれば上げたくないんだというようなことを前提にすれば、政府は相当銭を出す以外に方法がないというきわめてこれは単純明確な、しかも国鉄再建に対する根本の問題だから、三木さん、あなたにしつこく聞いている。  しかも、それが五十一年度の措置は——もう一回言いますよ、最後ですから。いいですか。五十一年度はとりあえずこれだけのことをやったんだけれども未知数はたくさんあるんだ、それはこれから検討するので、検討をした結果を見ていろいろと批判してもらいたいと言うのならわかるんです。しかし、五十一年度、五十二年度で目的を達成すると言い切ったから、あなたが。五十二年度は目の前じゃないか、五十二年度どうするかって聞いている。もしこれに答えられないんなら、本会議答弁をあなた訂正いたしますか。
  113. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは、私も運輸大臣をしたことはあるし、国鉄というものに対して深刻な状態は十分に承知いたしておるわけですが、私としても、五十一年度はこれでいくにしても、二年度というときはいろいろ問題があると思いますよ、これすでに運賃値上げに対してもおくれてもきておりますし。そういう点で、前提等はよほど変化もございますから、したがって、そういうものも、その前提の上に立ちながら国鉄が立っていけるような処置は、五十二年度の予算編成のときにこれは検討をいたしたいと思います。いろいろのわれわれがいま予定したのと事情が違ってきておる面もございますので、それを含めて検討をいたしたいと思います。
  114. 和田春生

    和田春生君 これは時間的な制約もあるので最後の質問になりますけれども、私はこういう席上であなたの政治的な誠実性というものを疑いたくはありません。そうすると、事情も違ってきたから、五十二年度予算措置をするというあなたの言葉は、それはもうこの後でおれはやめちまうかもわからぬからという無責任なことじゃ困るんですよ、政府のあれですから。五十二年度予算案で必ずその問題については責任を持って措置をする、五十一、二年度で閣議了解に基づく国鉄再建というものは目的を達成する、そのあなたの言葉が本物になるようにきちんとやるということを、三木総理個人ではなくて、日本の政府の代表者として、今後に続く措置に関連する問題として約束されますか。それをあなたが約束をされるんなら私はこれ以上追及いたしません。約束されないんなら本会議答弁を取り消して謝るか、あなたが総理大臣をやめるか、どちらかです。
  115. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それはやはり政府再建案を出したのは、五十一年、五十二年度で国鉄を再建したいということで出したわけですから、極力政府のいま申したような再建案が達成できるような努力をいたします。
  116. 和田春生

    和田春生君 重ねて聞きます。極力努力はだめなんだ。努力はしたけれどもできなかったでは困るんだ。やるかどうかなんだ。あなたは達成できると言ったんだから、約束するかと聞いているんです。
  117. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは当然に再建を前提として再建案を出しているのですから、達成のために政府が責任を持って努力することは当然でございます。
  118. 和田春生

    和田春生君 終わります。
  119. 松岡克由

    ○松岡克由君 お互いさまに——総理、聞こえますか。あ、あ、あ、総理、聞こえますか、聞こえますか。(笑声)ランチタイム返上で御苦労さまでございます。質問の最後でございます。真打ちでございますから、そのつもりでひとつ御答弁を……。  私は、つたない経験ですけども、この議員の生活をしていて、役人の答弁とか、または関係大臣というのは上手にはぐらかしていくのがその姿勢であり、その行き方であるみたいな感じが一体にしていた中で、今回の運輸の長時間の意見というのは、お互いの、その答弁を含めて非常に私は熱意があるものだと、こう思っている。それは高木総裁、そして石田運輸大臣、含めて。せっかくある部分、具体的なものが煮詰まってきたのを、物のみごとに総理がまた形式論に、いまもとへ戻しちゃってるわけです。それがみんな、いま野党の委員たちが不満なんですがね。わからない部分はわからない部分でもいいですよ。  ですから、私はその前に、ちょっと私がお教えしますがね。プロというものは、総理ね、おれが発光体でなければいかぬのです。いいですか。露骨な言い方をしますと、ぼくらは観客と言いますがね、おもねてる場合じゃないんです。ときには拒絶反応食うかもしれないんです。経済のことは池田にお任せくださいと言ったのは、あれはプロの態度なんですよ。わかりますか。そのかわり拒絶反応を食うんですよ、プロというのは。総理が余り拒絶反応を食わないことは、内容的にアマチュアなんだね。それでは困ると思うんです。私はこれ一国の総理として、国鉄問題を含めておれはプロの総理大臣だと一言答えてください。(笑声)
  120. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) どうも私は、プロとかアマチュアとか、そういうことは問題にしないわけです。私は責任を負うておる、国政に対し。
  121. 松岡克由

    ○松岡克由君 そのロジックだけの問題でなくて、ロジックとしては答えられなかったら、腹の底へしっかりとプロの意識を持ってくれないと何を質問しても同じなんだ。やらない方がいいくらいなんだ。お互いにおなかが減っているから飯を食った方がよっぽどいいかもしれません。(笑声)  限られた時間なので端的に伺いますけど、国鉄運賃法改正法案の成立がこれおくれまして、減収が一カ月で五百三十億ですか。当初の改定の実施が六月の一日でございますね。ですから、五カ月間の減収累積が御存じのように二千六百五十億円。国民感情からすれば、これは上げてもらいたくないと言う。これは国民感情です、私もその一人に入ってますけどね。しかし、国鉄の経営の根幹に当たる問題ですから、やっぱり上げざるを得ない問題も出てくる。これを、問題を半年間も放置しておいた責任なんですがね、総理、いかがですか。どう考えますか。
  122. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 放置しておいたというわけではないわけで、政府としては一日も早くこの法案というものの成立を願っておったわけですが、いろんな理由といいますか、たとえばロッキード事件というものも、やはり捜査の最終段階で臨時国会ということもなかなか無理がございましたので、そういう……
  123. 松岡克由

    ○松岡克由君 聞こえないらしいんで、もう少し国きな声で。
  124. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) ロッキード事件というものも最終段階で国会ということも、国会の能率のある審議をお願いするのにもなかなか不適当だと思いまして、臨時国会の召集がおくれたことも原因でございますが、これはいろんな政治情勢を考えて、そんなに早く臨時国会を開き得ない状態にあったこともあるわけで、いまの……
  125. 松岡克由

    ○松岡克由君 おくれたことは当然であると……
  126. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 当然ではないんです。遺憾に思っておるわけでございます。
  127. 松岡克由

    ○松岡克由君 そのいろんな理由、ロッキードも出しましたが、もろもろの理由の中に、俗に言う三木おろしですよね、あの渦中にいたもんで、そっちの方の理由もだいぶあったんではないかとこれは想像するわけですがね。  この委員会でも質問したんですけども、前運輸大臣運賃のこの法案を早く通してくれと言ったら、あなた聞き流したという。聞いてんじゃなくて聞こえているだけなんだと、聞き流したということがある。これはそういう記事がありましたよ。私は、これは国鉄が持ってきたんだろうけど内閣提出ですからね。これはあなた、ほっぽらかしておいて、いろいろな理由の中に、少なくもまさか政治より保身が大事だとは言えないでしょう。実際の責任をどう感じますか。どうとりますか。
  128. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いや、これは私が一番早く、この予算に関連する法案ですから成立さしたいと願っておる者は私であることは当然ですよ、予算執行というものの上において障害が生ずるわけですから。しかし、そういうことがあっても、いろんないま言ったようなロッキード事件もそうでしょうし、野党の諸君でも、この問題がやはりひとまず決着がつかなければ臨時国会を召集するのは適当でないという御意見でございます。私もさように考えておったわけですから、どうしてもやはり八月中にというものの、臨時国会の召集は無理であるという判断もあったわけですから、一日も早くにこれを通したいと考えておることは当然でしょう、行政の責任者として。そのときの政治情勢から判断をせざるを得ない場合もあるということで、今度の場合はそういうこともあって、臨時国会の召集がおくれたことは遺憾に思っておる次第でございます。
  129. 松岡克由

    ○松岡克由君 たしか総理は、最初はそんなことおっしゃってなかったんですけれども、八月か九月ごろになって国事優先と言い出したことは事実ですけれども、私はそもそも総理大臣が国事優先なんて言い出すのがおかしいんで、何のための総理大臣だと、国事をやるのが総理大臣であって、自分の仕事も大事でしょうけども、それが仕事なんですからね。逆に言えば、そういうことを言い出すこと自体が特定の世論とか、または人気、これを優先させているようにとられるんです、いま首を横に振りましたけれども。人気からいきますと、総理ね、ヒットラーも人気があったんですよ、ムッソリーニも人気があった、東条さんも人気があった。やっぱり後世に残るような政治家になっていただかないと。さっきも言うとおり、自分の保身も大事でしょうけど、私は、だからそういう意味において、どうも言いにくいことなんですけどもね、いろいろ私もお世話になったこともあるし、ということは禄をはんだこともありますから、自民党の。しかし、あなたを見ていると、どうも総理として責任の何といいますか、意識能力に欠けるように思うのですけどね。どうですか、もう後へ渡しますか、また。なり手はたくさんいるようでございますけどね。(笑声)
  130. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) ヒットラーとかムッソリーニと、いろいろお出しになりましたけれども、そういう点ではいろいろ見解を異にいたすわけでございますが……
  131. 松岡克由

    ○松岡克由君 そんなこと言っていないよ。
  132. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 国事優先というのは、党内でいろいろ問題がございましたから、党内の問題は党内の問題として、国事を優先しようじゃないかということを私は申したわけでございまして、事実ですからね。党内問題は党内問題として切り離して処理する。国事は、国事をやっぱり優先して処理しようということを申したわけでございまして、これが私の政治の保身とかなんとか、それはそんなこと必要ないんですからね。保身も何もないわけで、責任を私は果たそうとしておるわけですから、そういうふうにやはり何というんですか、そういうふうに物を見ることは余りにも皮相な観察である。
  133. 松岡克由

    ○松岡克由君 具体的なことを聞いてみます。  その前に、たとえばいま話しているうちに、ヒットラーとムッソリーニと意見を異にするなんて、そういう言い方をされると、こっちの言っているたとえ話が何にもわかっていないというわけですね。後世に名を残すようになんなさいと言うのに、意見が違う、ヒットラーと意見が同じじゃ困るでしょうが、幾らなんでも。そうなってくると、ばかばかしいやら、質問しているのが私はばかにされているような感じがする。いかぬですよ、それは総理、やっぱり。ちゃんとしていただかないと総理の頭の中がおかしい、分解して何か——「時計仕掛けのオレンジ」というのがありましたが、何か頭に違うものが入っているんじゃないかと、そういう気が起きます。どうぞひとつ意見ぐらいはちゃんと聞いてくれてないと、総理大臣なんだからね。  運賃法定主義、これをどうお思いになりますか。たとえばこの間、公述人の方々、これは与党推薦の方々も、経済戦争に対して国会で決めるべきもんではないだろうと、ある程度枠を決めて——これは私もそこで質問したんですけど、その前に。ある程度枠を決めて、そういう機関でやるべきではないかという、この意見に対して一言端的におっしゃってください。余分なこと要らぬですよ、時間がないから。
  134. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 確かにこれは日本だけの制度ですからね、先進国の中では。法定主義というものはなかなか運賃の改定というものに弾力性を欠くことは事実です、長い審議を受けなきゃならない。検討すべき問題ではあるけれども、私がいま結論的に法定主義を廃止せよという結論には達してないが、確かにこの問題は検討すべき問題点だと考えております。しかし、そのためにはいろんなこれに対する歯どめが必要であって、政府の意図どおりにいつでも運賃が改定できるというような安易なものであってはいけない、そういう対策は必要であるけれども、検討の題目であるということを考えております。
  135. 松岡克由

    ○松岡克由君 ということは、歯どめがある程度完全になれば、した方がいいということですね。
  136. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) した方がいいという結論には達してないと言っているでしょう、達していないんです。だから、これからの検討題目であることは事実であると言っているのです。
  137. 松岡克由

    ○松岡克由君 ロジックで反論していますが、ロジックになっていませんですよ、それは。ロジックにならないじゃないですか、全くまとまらないじゃないですか。委員長、私は総理大臣と話をしているんでしょうね、伺いますけれども。これはまあひどいもんだ。だから、いいですよ、その可能不可能とか、常識非常識の幅を超えてもいいです。ということは、総理なりの理想的なものが、歯どめ、そういったものができれば、いま私の言うような運賃法定主義をある意味においては外していくような気持ちはありますな。
  138. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは結論を私がここで言うことは適当でないと思います。したがって、この問題は確かに問題があると、この問題は。したがって、検討すべき課題であるという以上に、私がいま結論を言うのまで、結論的には私の結論は得てないわけですから、今後の研究の課題であるということでございます。
  139. 松岡克由

    ○松岡克由君 大変失礼なこと言っているようですけどね、何も私は、一国の総理に対しても敬意を表している人間がね、こういう会話をさせるような答弁を私はしないでほしいと思うんです。  最後に一問だけ聞きます。いろいろと赤字をなくすという意味においての非常にごく部分かもしれませんが、学割という制度があります、学生割引でございますね。これは三十六億、微々たるもんです、国鉄赤字からいったら。しかし、姿勢としてどうでしょう、公共負担、こういったものに持っていくという姿勢があるならば、これは文教の方の予算から負担してもらう。——学割はわかりますね、相談しなくも、そのぐらいのことは。どうでしょう、これは後で運輸大臣に一言伺いますが、これを最後の質問にしますが、一つぐらい具体的に、学割は文教の方の予算の方に回してもらうと、そのような姿勢というのが私はいま国鉄において一番大事で、こういうことを、うんと言いますと、もうこれで帰って食事もできますし、やっぱり姿勢が違ってくるんですな。あえてぼくは三木内閣のために言っているつもりですが、どうお考えでしょう。
  140. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 公共負担の問題については、いままでたびたび私の所見を申し述べてまいりました。したがって、学割もその公共負担の一つでありますので、運輸省及び国鉄の現状にかんがみまして、運輸省としてはこれはやはり政策実施機関である文部省において考えてもらうべき性質のものだとは思います。ただ、長い歴史を持っておることでありますので、にわかにその全部にわたって解決するということは、これは困難が伴うものとは思いますが、姿勢及び方向としてはいま申し上げたとおりであります。
  141. 松岡克由

    ○松岡克由君 結構です。
  142. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 午後二時四十五分まで休憩いたします。    午後一時四十八分休憩      —————・—————    午後三時六分開会
  143. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 運輸委員会を再開いたします。  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑のある方は御発言願います。
  144. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 実を言うと、大臣の答弁をめぐりまして、各党協議の上、附帯決議をつけようということになりました。なかなかその意見がまとまらなかったのでありますけれども、どうやら理事会では合意をいたしました。  そこで、念のために再度運輸大臣お答えをいただきたいと思うんでありますが、大別をしますと、過去債務をどうするか、それから公共負担をどうするか、地方交通線赤字をどうするか、これが一番大きな問題であり、それから今年度の問題としては、昭和五十一年度の赤字について政府が責任を持ってくれるのかどうか、そういうことでもって、五十二年度以降の運賃改定は極力これを回避するようにしなければならないんじゃないか、こんなことに帰着をするわけなんです。  そこで、いままですでに大臣から言われている事柄をまとめたつもりなんでありますけれども、過去債務については、これはいつまでも残っておれば、国鉄借金がついて回るわけでありますから、これは借金がついて回らないように清算をするんだ、すべきである、こういう考え方を私どもは持っております。それについて、やはり運輸大臣として同意をしてもらえるのかどうか。  それから、公共負担については政策実行部門がこれを負担をするということで、具体的な問題になりますと、かなりむずかしい点があるとは思いますけれども、約束をした以上はこれを具体化してもらわなければ、五十二年度予算の中からでも、それが実現をしてもらわなければ意味がないと思うのでありますので、それらの点について、大臣からもう一度確認をしたいということ。  赤字線の問題につきましても、これは何回も論議が出ましたけれども、いま理事会の中で論議がありましたのは、自民党の方は助成措置を強化をするということ。しかし、助成だけでは解決しないじゃないか、これを根本的に解決をしなければついて回るじゃないかと、こういう問題がありました。  それらの点について、大臣の考え方を承りたいと思います。
  145. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 第一の国鉄の過去債務、これは国鉄負担を軽減するように、積極的に努力をいたしたいと思います。その債務の性質の中に利益を生む部分もございますので、そういう点を加味しながら、積極的に処理をしたいと思います。  それから第二番目の、国内的政策に基づく国鉄公共負担は、それぞれの政策実行部門が負担するよう努力をいたしたいと存じます。これは何度も申し上げておりますとおり、国鉄が健全な経営を続けているときなら別といたしまして、御承知状態になっているもとにおきましては、それぞれ政策実行部門が負担すべきものと考えますが、長い間の慣習によるものでもありますし、にわかに急速な解決ということには困難な点があろうと思いますけれども、予算編成に当たって極力努力をいたしたいと思います。  また、地方交通線等の赤字に対しては、一段と助成を強化してできるだけ、まあ再建要綱には「国鉄の責任において」という言葉がございますが、私どもは、国鉄側の幹事役としての責任、推進役としての責任はありますけれども、これを処理するのはやっぱり国であると考えておる次第であります。
  146. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 責任がどこにあるかということがはっきりしないと、国鉄だけではどうにもならぬということがはっきりしておるわけですね。だれがやったって、どうやったって黒字にならないやつは、やっぱりこれは国が責任をとる以外にないわけです。  そこで、自民党側からの御意見をここで御披露するのも悪いかもしれませんが、そういう点は助成措置ということで逃げようとされるんですよ。だけど、百七十億の助成措置は、私も言ったけれども二階から目薬でしょう。これを五百億にしたところでやっぱり解決しないでしょう。そうすると、解決しないままでいきますと、いつまでも借金がついて回るということですから、その点については国が責任を持つということを、はっきりいま大臣から確認をとりましたから、それでよろしいというふうに理解しますが、いいですね。
  147. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 御承知のように再建要綱には、「国鉄の責任において」という言葉がありますし、それは閣議了解をとっておるわけでございます。しかし、これは国鉄が幹事役として働くという意味に私ども解釈をいたしまして、「国鉄の責任において」と言ってみたところで、国鉄は具体案をつくり上げる責任はありますが、足りない金の引き出しようはないわけでございますから、そういう意味において、最終的には国の責任において処理をしていくということになるものと考えます。
  148. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 それから、五十一年度末の赤字について、これもやはり政府が責任を持って処理しなければならぬことだと思うんですよ。補正予算を組むといったような形でもって、政府として責任を持ってもらえるかどうか、この点五十一年度末の赤字の処理の方法というのは、後へ残したんではこれまた問題になると思うんですね。後へ残さないようにするためにはどうするかということを、これはもうさしあたっての問題なので、やはり確認をしておきたいと思います。
  149. 石田博英

    国務大臣石田博英君) この問題は、しばしば論議された点でございますが、やっぱりこれも予測しない新しい事態が出たことでございますので、具体的な方法は、財政当局と協議して決めなきゃなりませんけれども、結局、国鉄負担にならないように、政府の責任で処理をしなきゃならぬものと考えます。
  150. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 政府の責任をもって処理をするというふうにいま運輸大臣は言われたんです。だから、われわれの原案のとおりに自民党が承知してもらっても一向に差し支えはない、こういうことになるわけです。念のために申し上げます。  それから、これは松岡君の質問にもあったんですけどね、たとえば学割等については文部省で負担を考えるとか、あるいは農産物の割引については農林省で考えるとかといったようなことが、政策実行部門が負担をするということになりますと、具体的な問題になってくると思うんですよ。だから、これらの点は抽象論でいきますと、やっぱり結果的には国鉄負担をするというようなかっこうになっちまうと思うんですが、その具体的な問題として、かなりこれはむずかしい問題ではあるけれども、財政政策の中で考えられることでしょうか。自信を持っておられますか、運輸大臣。もちろん御答弁があったんですから、かなり自信を持っておられると思うんですが。
  151. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 先ほども申しましたように、従来の長い経緯もございますから、非常に広範囲に処理するということは、一遍にはむずかしいと思いますけれども、そういう方向へ向けて努力をいたす所存でございます。
  152. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 それは、一遍にはというふうに言われますけれども、一つ一つでもいいから実行に移されれば、大臣が約束をしたことを履行したことになるわけです。  そこで、松岡君は学割の問題を出されました。しかし、一つの例を挙げますと、無賃乗車証というのがありますわね、国会議員の。これはあえて私が指摘をいたしますけれども。ところが、国会議員の無賃乗車証といいましても、沖繩の人なんかは鉄道を利用したくとも沖繩には国鉄はないわけです。それから、沖繩から国鉄に乗ってこようたって海を渡らなきゃならないからこれは使えない。そうすると、事実上は持っておってもほとんど使用のチャンスがないということになる。もっとも東海道新幹線を利用される方は利用価値が多いかもしれない。しかし、これらのものは、たとえば無賃乗車証ということではなくて、有料乗車証にして、そして、どのくらいに評価をするかは別として、これらの金は、これらの乗車証については一年分は何万円である、あるいは何十万円であるというふうにして、国鉄が金を取るというようなことだって考えられると思う。その負担を議員がするか、あるいは、国家予算の中で処理をするということは別といたしまして、そういう方法をとれば、国鉄自身の負担としないで、国鉄自身は収入としてこれを入れることはできるわけです。こんなことはやろうと思えばできることなんだし、それに類似した方法を一つでも二つでも、来年度の予算の中で考えてみたらどうかというふうに思うんですが、どうでしょうか。
  153. 石田博英

    国務大臣石田博英君) この法案が処理されましたら、速やかに政策実行部門に対して運輸省、あるいは国鉄として、そういういま申されたような方向について要求し、交渉を開始いたします。そして、いまお話しのように、一段一段でも前進できるように努めたいと思います。  ただ、国会の議員の問題は、私が申し上げるより国会でお決めいただく問題ではないかと思います。
  154. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 国会の問題だって、そういう受け入れ体制があれば、国会法なら国会法に手をつければいいわけだ、法律の改正をすればできることなんです。つまり、一つの方向が示されるならば、その方向に向かって必要な法律改正をやっていくことになればいいというふうに思うわけです。
  155. 石田博英

    国務大臣石田博英君) ただ、国会議員の問題について、行政当局であるわれわれが方向を指示するのは穏当でないように思いますので、国会でお決めをいただきたいと存じます。
  156. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 政策実行部門が負担をすると、公共負担については。こういう一つの原則を運輸省が実行に移そうということになれば、国会の問題は国会で論議をするにしても、方法はおのずから考えられるということを言っているわけです。
  157. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 方針については、さっきから何回も申し上げているとおり、政策実行部門が負担をしていただくように、現実の行動をできるだけ速やかに開始いたします。
  158. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 それから、これもいろんな御意見がございましたけれども、たとえば、自民党からすれば合理化ということを進めたい、五万人合理化などということが俎上に上っておったんでありますけれども、私どもは五万人合理化という自民党の中で出てきた意見というものは、何も当てがあって五万人を減らせということじゃなくて、わりあいと当てもなしに、当てずっぽうに何とか五万人ぐらい減らせないかということで言ってきたというふうにしか理解されないんですよ。  したがって、そういう方法はやらぬということをいままでの答弁でされておりましたけれども、しかし、その種の後ろ向きの合理化ではなくて、むしろ、国鉄自身が当事者能力を持つような方向で、国鉄自身が当事者能力を持つということは、財政的に当事者能力を持つということであるし、またスト権の問題についてもいつまでもたな上げにしておかないで、これを確立をするということによって労使双方が労使関係の正常化を図る、こういうねらいをわれわれは持ちたいと思うんです。まあ運輸大臣は労働行政についてはベテランでありますので、その点についての理解もお持ちだろうとは思いますけれども、その意味で労使関係の正常化を図る、そして、責任ある経営体制を確立をするということが望ましいのではないかと思うんでありますが、その点についてはどうですか。
  159. 石田博英

    国務大臣石田博英君) この国鉄の再建が成るか成らないかということの非常に大きなファクターは、やっぱり労使関係の改善であろうと思います。  で、公共企業体の争議権の問題につきましては、前にもお答えいたしましたとおり、私は私なりの私見を持っておるのでありますが、いま政府が委嘱した機関が審議を行っておる途中でございますので、この際私の私見を言うことは差し控えたいと存じますが、労使関係の正常化、特に下部の部門における正常化、現場部門における相互の信頼の回復、そういうものを含めて、国鉄自身がさらに発想を転換した努力をすべきものと考えておる次第でございます。
  160. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 今度、国鉄総裁にお伺いいたしたいと思うんでありますが、国鉄自身のこれは責任であろうとなかろうと、ともかく運賃が上がるということになれば、運賃上げたのは国鉄上げたというふうに国民は解釈をいたします。そこで、今度運賃は上がったけれども、たとえばいろいろな経費の節約のためにサービスダウンをする、間引き運転をすると、これからますます着ぶくれでもって混雑をするのに窮屈になる、通勤輸送が窮屈になるということになりますと、これまた国鉄が一身に恨みを買わなきゃならぬということになると思う。この運賃法の問題は結果的にどうなるにいたしましても、国鉄の総裁としては通勤、通学輸送を改善をするというような実績をつくらないと、やはり世論というものは国鉄に対して同情を持たないだろうと思う。その意味では通勤、通学輸送を改善するということは、これはもう大臣の仕事というよりも国鉄総裁の仕事になってくると思うんでありますけれども、その点について、現在まことにひどい状態にあるんでありますけれども、これを改善をするということについてお約束できるかどうか。
  161. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) それは通勤、通学は国鉄の使命の重要なるものでございますから、ぜひとも改善をすることにいたしたい。まあその意味で、たとえば東京におきますいわゆる五方面作戦と言われておりますものについても、できるだけの努力はいたしておるつもりでございます。また、それを実現に移していきたいと思っております。ただ、それを実現いたしますにつきましても、どうしてもやはりいろいろと、いわばお金がかかるわけでございますので、それについては十分各方面から御配慮をいただきたいと思います。
  162. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 金もかかることだし、人手も要ることだと思うんですよ。合理化といえばやたらと人を減らすことばっかり考えているようだけれども、列車を一本ふやすためには、無人列車を動かすわけにいかないんだから、人もふえるし金もかかる、こういうことになると思う。輸送力をふやすというためにはそれだけ元がかかるわけです。元がかかることを避けておったのでは、輸送力をふやすことはできない。国民の要望にはこたえられないということになる。だから、根本的には輸送力をふやすということに重点を置いて、合理化といったような言葉は、人を減らすんじゃなくて、必要に応じては、私もさっき言ったんだけれども、人をふやすということはどうかというふうに総理大臣言ったけれども、必要に応じては、人もふやさなければ列車もふやせないということがあり得るでしょう、これは。これは当然のことだと思うんです。輸送力をふやせということは、一時間に一本しか走ってない、不便でしょうがない。それを二本にしろと言えば、人も列車もふやさなければならぬということになる。これらが通勤、通学輸送、あるいは在来線の輸送力の強化ということにつながるわけです、きわめて単純な論理なんですけれどもね。この単純な論理を実践をしていただけるかどうかということを、総裁から約束をしてもらいたいと思う。  それと、通勤輸送なんかの問題、これはやはり技術的になるかもしれませんがね、通勤時間帯に特急、急行がどんどん出る、通勤列車が途中でもって待避をするといったようなことが現実のダイヤにあるわけです。だから、通勤者というのは時間がおおむね決まっていますけれども、遠距離旅行者は必ずしも通勤輸送の時間に乗ってもらわなくとも、その時間を避けてもらってもいいわけなんですから、ダイヤ編成の面でそれらの配慮をすると。通勤者あるいは通学生の輸送というものを円滑に行うことを優先的に考えるということを工夫してもらえないかどうか、その点を総裁にお伺いしたいと思う。
  163. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 第一の点は、片っ方において能率を上げると、そのためにいろいろ機械化を図ったりしながら要員の合理化に努めると同時に、それをそれだけ減らすということではなくて、そのうちの一部は当然に通勤なり通学なり、あるいはまた他のサービス向上のために、充当を今日までもしてきたつもりでありますし、今後ともそういう方面に回していくということをいたしてまいります。  それから、いまのダイヤの点は、私もまだ詳しくわかりませんのですが、なかなか遠距離から適当な時間に目的地へ着くための列車ダイヤを、後回しにしてしまうというわけにもなかなかいきにくいようでございまして、そこの、通勤、通学のための近距離の列車、電車と、遠距離から参りますのをどうはさみ込むかというのは、大変技術的にむずかしいようでございますが、ただいまの点はいままでも各方面から強い御指摘を受け、御依頼を受けておりますので、なお一層努力をして、通勤、通学に対して遠距離から参ります列車のために支障がまいりませんように、なお一層工夫をこらすということで御了解いただきたいと思います。
  164. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 まあ国鉄職員四十何万のうちで、一番の素人が国鉄総裁だと思うんですよね。だから、あんまり専門的なことを聞いてもこれはわからないと思いますから、一つの大まかな問題について、要するに通勤、通学輸送というものに重点を置く。特急、急行のお客を一番優先をして、通勤、通学をその後の順位にするということがあってはいかぬということを言いたいんです。利用者の一番多いのは、通勤、通学生だと。だから通勤、通学輸送と在来線の輸送力強化。どうもいままでの国鉄の宣伝は新幹線一本やり。だから、早く新幹線を通してもらいたい、こういうことだけれども、新幹線以上に在来線を利用している人の数が多いわけです。また、この在来線が国民の足になっているわけです。したがって、在来線の輸送力を強化をするということのために、金や人を惜しんではいかぬという気がいたします。その点を総裁にも心得てもらいたいと思うんでありますが、在来線の問題も含めて、どうですか。
  165. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) まさに御指摘の点は、私も素人ながら感じておるわけでございますので、いま御指摘の方向で今後のダイヤを組むとか、あるいは工事を進めるとかいうことについて、いまの御指摘の線に沿ってまいりたいと思います。
  166. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 運輸大臣に最後に申し上げたいのは、ともかくわれわれがいままで論議をして、あるいは附帯決議の中でいろいろと話し合いをした、これらの点は、空文になってしまったんではしようがない。実行してもらわなきゃいかぬ。われわれがいま与野党合意でもってその相談をした内容の事柄は、これを強く実行に移せば、その五十二年度以降の運賃改定といったようなものはこれは避けられるんじゃないか、こういう一つの見方に立っておるわけです。できればそういう方向国鉄財政に根本的にメスを入れて、またまた値上げだ、またまた同じ論議を繰り返すというようなことのないようにしたいと考えておりますが、大臣の見解を伺った上で、私の質問を終わりたいと思います。
  167. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これもたびたびお答えをしてまいったところでございますが、すでに独占性を失った国鉄の現状において、値上げが増収につながるものとは限らない。また、農産物その他の遠距離輸送等に関連をしてまいりますと、消費者物価等にも影響を及ぼすことも忘れてはならないことであると思います。したがって、たびたび申し上げておりますとおり、できればこれを避けたいという気持ちを私は強く根底に持っておりまして、それを根底として極力努力をしたい、こう考えております。
  168. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  169. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 御異議ないと認め、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  170. 青木薪次

    ○青木薪次君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいままで議題となってまいりました国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案に対し、反対討論を行うものであります。  反対の理由は、このたびの法案がその場しのぎの性格を持っているということであります。  国鉄の財政危機がきわめて深刻になっている事態については、われわれも深く憂慮しているところでありますが、今日の危機を招いた根源に鋭くメスを入れて、その原因について根本的改革をしない限り、計画がどんなに美辞麗句を並べ立てておりましても、国鉄の再建は不可能であるということであります。議論されてまいりましたように、再建対策要綱によりますと、国鉄は「独立採算性を指向した自立経営を行うものとする。」と言っておりまするけれども、これが今日の国鉄に対する三木内閣の姿勢であり、運賃を大幅に引き上げて再建を図るというその負担の大部分を、利用者にツケとして回すという内容にほかならないからであります。過去債務の、ただいま議論となりました六兆八千億円から二兆五千四百億円を差し引いた部分の約四兆二千億円余の相当部分が投資に向けられてきたものであって、当然政府肩がわりすべきものと考えるわけであります。他方、ローカル線の二千二百億円の赤字公共負担の約五百億円は、政策実施部門負担すべきことは当然であります。  しかも、政府国鉄当局は、本年度の想定赤字約五千億円、値上げ遅延による減収分の二千六百五十億円、その他減収分の約三百億円、合計八千億円の赤字分についても明確な答弁を行わないとあっては、工事費、修繕費の削減による国民へのサービスダウンはもとより、大幅運賃値上げを行った結果、国民負担と人減らし合理化のみが先行いたしまして、国鉄の財政再建はできないものと判断せざるを得ないのであります。  国鉄財政再建とスト権の問題は、これはセットであります。しかもこれは、これまたただいま議論となりましたように、労使関係の安定の基本であります。三木内閣はこのことを遷延するのみであって、まさに無責任な態度に終始していると言わざるを得ないのであります。従来の経過が示すとおり、この問題については、関係各団体は、政府とともにこの問題について打開をすべく努力いたしてまいりましたけれども、このことを尊重いたしまして、直ちにスト権を付与すべきものであると考えます。  わが党は、すでに表明いたしましたとおり、国鉄再建案について、国民国鉄として、一日も早く国鉄の財政再建に向けて努力するものであります。  以上をもって反対討論を終わります。
  171. 中村太郎

    ○中村太郎君 私は自由民主党を代表し、ただいま議題となっておりまする法律案に対し、賛成の討論を行うものであります。  賛成の第一の理由は、本法律案による措置が、わが国交通分野の中における国鉄の使命を果たさせる上で必要欠くべからざるものとなっているということであります。  国鉄のシェアは、旅客、貨物ともに年々減少し、今日では旅客三〇%、貨物一三%にまで落ち込んでおります。そのこと自体は、国民に輸送手段選択の自由がある限り、ある程度はやむを得なかったと思われます。  しかしながら、鉄道、すなわち安全、高速、大量輸送等の特性に加え、エネルギー効率、公害問題等を考えれば、国鉄は将来にわたって国民の足としてその使命は重大と言わなければなりません。  この国鉄が膨大な債務を抱え、毎年赤字を出し、本来の業務に支障を来し、国民に良質なサービス提供ができないような状態になっておることはまことに遺憾であり、これに対し政府は抜本的な国鉄再建対策を講じようとするもので、まことに時宜を得たものと言わなければなりません。  賛成の第二の理由は、今回の措置国鉄財政基盤の強化に資するということであります。  昭和五十年度末における国鉄債務は約六兆八千億円に達し、国鉄財政上の大きな負担となっております。この重圧をどのようにして解決するかが再建の第一歩であり、今回はそのうち二兆五千四百億円をたな上げしようとするもので、画期的措置と言わなければなりません。その他の財政援助と合わせれば、昭和五十年度の直接助成は約三千六百億となっており、今日の国家財政状況から見れば、決して少ない助成ではありません。  一方、利用者負担として、旅客運賃五五%、貨物運賃五九%の値上げを行うことになっておりますが、運賃は長年にわたり低位におかれており、他の物価水準から見て決して不当なものとは言えません。また、利用者負担の原則を逸脱するものとは言えず、応分の利用者負担はやむを得ないものと言わなければなりません。  政府助成、国鉄の合理化、そして応分の利用者負担、これにより国鉄財政を再建し、国民に対し良質のサービスを提供することは、わが国経済の発展に寄与することであり、今回の措置はそのために欠くべからざるものであり、賛成の意を表するものであります。  最後に、私は国鉄の経営姿勢について申し上げておきます。  国鉄財政のここまで悪化したその要因の大部分は、外的要因に起因するものであることはある程度認められますが、国鉄自身の経営責任を逃れることはできないと思われるのであります。  この際、国鉄は大いに反省し、国鉄自身が安易な経営に陥ることのないよう、厳しい姿勢のもとに労使関係を正常化し、責任ある業務体制を確立し、もって国民に良質のサービスを提供できるよう格段の努力を要請いたしまして、賛成討論といたします。
  172. 三木忠雄

    三木忠雄君 私は公明党を代表して、ただいま議題となりました国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。  まず第一の反対理由は、今回の大幅な運賃値上げ国民生活に大きな影響を及ぼすからであります。  国鉄運賃値上げは、私鉄、バス、航空等他の交通機関の運賃値上げを誘発することはもちろん、諸物価への影響はきわめて大きく、三木内閣が標榜する物価抑制策に逆行するもので、強く反対せざるを得ません。  政府が、国鉄財政の再建に当たって、運賃値上げを一つの柱とすることは、いままでの二回にわたる再建計画が破綻したことから見ても、再建を達成することは不可能であり、国民の上に運賃値上げのみが残り国民生活を強く圧迫するものであると考えます。  反対の第二の理由は、国鉄の再建が国鉄一企業として解決できる問題ではなく、わが国の交通体系全体の中でのみ達成されるものであるにもかかわらず、いまだに総合交通体系が確立されていない点についてであります。公共交通機関の中心的存在であり、国民生活の向上に重要な使命を持つ国鉄が、総合交通体系の中で明確に位置づけられ、その機能を十分に発揮できるよう、政府の交通政策の根本的見直しと、総合交通政策の早期確立を要求するものであります。  反対の第三の理由は、国鉄赤字要因である過去債務対策、地方交通線問題、公共負担、貨物輸送問題等についての具体的施策が全く不十分な点であります。  まず、過去債務対策についてであります。政府は、国鉄長期債務高六兆八千億のうち、二兆五千四百億円をたな上げすることとしておりますが、五十一年度末におきます長期債務残高は五兆三千億円、同年度の利子負担は三千数百億円と、依然として大きな負担となっております。国鉄長期債務が、政府のこれまでの失政から生じたことを考えますと、過去の長期債務は全額国が肩がわりをして、国の責任において処理すべきものと考えます。  次に、地方交通線問題についてでありますが、ナショナルミニマムとして維持、運営される地方交通線は、大幅な運賃値上げや合理化努力によってその収支を均衡させることは困難であり、そこから生ずる赤字は一種の公共負担的なものであります。したがって、この地方交通線から生ずる赤字は、全額国が負担すべきにもかかわらず、本年度においてわずか百七十二億円の特別交付金が支出されるにすぎないのであります。さらに、これら地方交通線の存廃問題についても何ら明確な方針は示されず、一方においては、危機に瀕した国鉄財政のもとで三十二線区、千三百五十三キロに及ぶローカル赤字線の建設が政府の手によって進められております。このように政府地方交通線対策が終始する限りにおいては、国鉄財政再建もあり得ないのであります。  次に、国鉄のいわゆる公共負担についてでございますが、通勤、通学定期割引、学生割引、貨物政策等級など公共負担は、国の物価政策、文教政策、福祉政策を補うために行っているもので、こうした公共負担減収分は当然国が負担すべきで、いまさら申し上げるまでもございません。委員会審議の場におきましても、政府は、これら公共負担はそれぞれ政策実施部門負担すべきであるとの答弁はしたものの、これを完全に実施するとの確約はされなかったのであります。われわれは、この公共負担はあくまでも国が負担すべきものとして強く要求いたします。  次に、国鉄の貨物輸送問題についてであります。国鉄における貨物輸送の赤字が財政危機の要因であり、国鉄再建策の最重要の柱として位置づけられてしかるべきものである。と同時に、貨物輸送部門は、総合交通政策の立場からの見直しが最も必要な部門であります。国鉄貨物輸送がわが国物流部門において占める地位、その具体的実行策は明らかでなく、貨物の大幅な赤字は今後とも一般旅客が負担しなければならないとあっては、国民だれ一人として納得するものではありません。政府は速やかにその解決策を国民の前に示すべきであります。  以上、数点、国鉄赤字対策について指摘し、国の財政措置について申し上げましたが、国がとるべき財政措置を明確にし、かつ実行するならば、運賃の大幅な値上げなしに国鉄財政の再建は可能と思われます。  反対の第四の理由は、国鉄再建に当たっては労使の協調が必要であることは、政府みずからが提唱しているにもかかわらず、その労使関係にひびを入れる人員削減の強行にあります。政府の一方的な要員合理化案は、労使間の協調体制を破壊しようとするものであり、認めることはできないのであります。国鉄が近代化、合理化によって業務の能率的運営を図ることは当然でありますが、正常で安全な業務遂行のために、現在の要員規模を維持すべきであると強く主張するものであります。  以上、四点にわたり反対の理由を申し述べましたが、国鉄財政再建を達成するためには、国民の理解と協力が得られるものでなければなりません。さきに申し述べましたように、国民負担を強いる運賃値上げ案は即時撤回し、真に国民のための国鉄とする国鉄再建案を策定することを強く主張いたしまして、私の反対討論を終わります。
  173. 内藤功

    ○内藤功君 私は、日本共産党を代表いたしまして、二法案に反対の討論を行います。  まず私は、この委員会におきまして、わが党の出した再建案を含め、各党の提案を十分にフリートーキング等の方法によって討論すべきであると強く主張してまいりましたが、今日までの間それが実現されていないということが非常に遺憾であるということを先に申し添えておきます。  以下、私は四点にわたり反対の理由を申し述べるものでございます。  第一は、政府案が国鉄の危機についてその根本的な検討も加えずに、再び安易な、その場しのぎの運賃値上げという従来のやり方を繰り返そうとしておる点であります。政府は、国鉄赤字に転落した昭和三十九年以来、すでに三回の運賃値上げを、国民の大きな反対を押し切って進めております。その都度、国鉄の財政はこれで健全化できるのだと強弁してきました。しかし、その結果残されたものは、六兆七千七百九十億円の長期債務と、三兆一千六百億円の累積赤字ではありませんか。  政府は、まずこのような財政と経営の破綻の根本原因を明らかにしなければならないはずであります。ところが政府は、事実を挙げての私の質問に対しても、その根本の原因と責任を明確に認めないばかりか、逆に、しゃにむに法案の成立を図って、五〇%を超えるこの運賃値上げ国民に押しつけ、しかも来年度についても同様な値上げを明言するありさまであります。このような態度は断じて容認できません。しかも、当然即時実施すべき義務のある仲裁裁定をてこにとって、法案の審議促進成立を強引に進めてきた政府の卑劣な術策は、厳しく糾弾さるべきであります。  第二の理由は、国鉄財政、経営の抜本的再建の重大な条件である国と大企業の負担の適正化、これについて政府が何ら具体策を示そうとしていないという点であります。今日の国鉄財政、経営の危機は、政府が長年にわたって国鉄に対し公共交通機関にふさわしくない財政制度を押しつけるとともに、国鉄経営を大企業本位の高度成長政策に奉仕させてきた結果であることは、もはや議論の余地がありません。それは政府が、公共企業である国鉄に対し当然なすべき出資を怠り、しかも、大企業本位の列島改造計画に沿った莫大な設備投資を、借金に次ぐ借金で賄わせてきたことであります。  この結果、国鉄の利子負担は、昭和五十年度におきまして、同年度の赤字総額のほぼ半分に当たる四千億円にも上っておるのであります。そうして、この設備投資の資金をつくり出すために、過大な減価償却方式を昭和三十六年から取り入れ、この十六年間に約八千五百億円の過大なる償却をなしてきたのであります。また、過去十年間の国鉄赤字の約八割が、貨物輸送によって生まれていることにも明らかなように、国鉄は大企業の貨物にはもともと低い運賃に加えて、さらに営業割引など特別の割引を行ってきたのであります。  質問で明らかにしましたように、旅客運賃は東京−名古屋間、四十一年から六六%も上がっているのに、トヨタ、日産などの自動車輸送運賃はわずかに六・七%しか上がっていないというありさまであります。質疑の中で私は、これら国鉄赤字の根本的原因を取り除いて、その仕組みを抜本的に改めることこそが、国鉄再建の道であるということを一貫して主張してきました。政府国鉄当局が私の提案を受け入れる熱意なく、また、みずからの具体的計画も示さず、ただただ運賃値上げだけを繰り返そうとしていることは、財政再建どころか、財政破綻を一層激しくするものと断ぜざるを得ません。  第三の理由は、国鉄貨物シェアの低下による収入減対策について、政府が何ら具体的、根本的な解決策を明らかにしていないことであります、現在陸上の総貨物輸送量に占める国鉄の割合は年々低下し、貨物運賃収入はここ数年来横ばい状態となり、それは国鉄赤字の一つの要因であります。しかもその原因が、国鉄への出資は怠りながら、高速自動車道路の建設には莫大なる国費を支出するなど、政府の自動車優先政策によるトラックの圧迫にあることが明らかであるにかかわらず、政府は、私どものたび重なる主張を無視して、何らの具体的解決策をとろうとしていないことは、言語道断と言わなければなりません。  理由の第四は、政府国鉄が、従来の新幹線と大企業貨物輸送の増強に、依然として設備投資の大半をつぎ込みながら、他方では地方路線の切り捨て、駅の無人化、ダイヤの削減など、国民の犠牲を一層激しくしようとしていることであります。私は、地方の通勤、通学列車の現状、無人駅の荒廃の実態、身体障害者、視覚障害者の方に対する安全施設の欠如について、具体的な事実を挙げてその改善を求めてきました。政府国鉄当局が依然として国民への安全、サービス義務を無視した大企業奉仕の輸送政策を改めようとしていないことは、きわめて不当だと言わざるを得ません。  政府が真に国民本位の民主的再建策を確立することを、私はここに重ねて強く要求いたしまして、反対討論を終わります。
  174. 和田春生

    和田春生君 私は、民社党を代表いたしまして、国鉄関係二法案に対する反対の討論を行いたいと思います。  これまで審議を見詰めてまいりまして、締めくくりの段階で、三木総理からもう少しはっきりした答弁が聞かれるものと期待をいたしておりましたけれども、全くあいまいな言葉に終始をいたしまして、まことに失望を禁じ得なかったわけでございます。  私が反対をする第一の理由は、今回の国鉄の再建対策及び関係予算措置につきまして、当初、国会に提出されたときから、時期的に大幅におくれてまいりまして、その間に、所期の効果が期待できないような事実関係が発生しているにもかかわらず、何ら補正の措置をとらずに、当初案のまま強行を図ってきたという点であります。  第二は、国鉄の再建に対する国の責任と、政府の果たすべき役割りにつきまして、政府自体の思想統一がまだできておりません。その結果として、政策手段についてもいまだ確固たる方針が決まっていないわけであります。それにもかかわらず、三木総理初め政府側は、五十一年、五十二年の二年度間で国鉄の収支均衡を図り、以後、健全経営を維持する目標について、これが達成できると強弁してきている点であります。  第三には、そのような不確定な要素を残しておるわけでございますから、当然国鉄の場合に、国鉄自身としてきわめて困難な立場に置かれまして、このままでは、幾ら企業努力をしても、働けど働けど赤字がなくならない、再建への意欲を喪失させる懸念が強いからであります。もとより、今日の国鉄におきましては、経営責任の確立、労使関係の正常化、とりわけこの国鉄の危機的な状況にもかかわらず、国民のひんしゅくを買うような無責任な争議行為が行われて、職場の荒廃を促進をしている。さらにまた、徹底した合理化が行われない、そういう点に対する国民の不満や批判を取り除くための企業努力が必要である。  さらにまた、徹底した近代化、合理化を進めることによってサービスを改善をしなければならぬというような、国鉄自身の努力によって達成されなければならない問題点が多くあることは事実であります。しかし、それにもかかわらず、現状の国鉄は、国鉄だけの努力ではどうにもならない事態に置かれているわけでございますから、国民国鉄としてこれを必要とする限り、政府が積極的にそれに対して国鉄再建の役割りを果たさなくてはならない。この点が今回の案では、先ほども申し上げましたようにきわめて不徹底、不十分であるということであります。  以上のような結果、現在言われております国鉄再建案というのは、国鉄を再建するための基礎工事ができておらず、合理的な基盤を欠いたまま大幅な運賃値上げだけが先走っているわけでございまして、いわば再建にならない再建案であると称しても言い過ぎではないと思います。  今回の政府の提案、国鉄運賃法並びに国鉄法の一部を改正する法律案が、従来に比べて一歩前進しているという事実については、認めるにやぶさかではございませんけれども、以上申し上げましたところによりまして、本案には基本的に賛成をしがたいわけでございます。こうした点につきまして、来年度以降の予算並びに対策で、政府は根本的に反省をして、より積極的な対策を打ち立てられることを心から期待をいたしまして、本案に反対する私たちの立場を明らかにいたしたいと思います。
  175. 松岡克由

    ○松岡克由君 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案について、私は次の理由により反対いたし、討論を行います。  まず、反対理由を述べる前に、特に国鉄運賃法に対する私の意見を言うならば、私は運賃値上げに何が何でも反対だというものではありません。その妥当性が認められれば、法案成立に協力することもやぶさかではありませんが、独立採算性をたてまえとし、指向する国鉄にとって、もはや運賃の法定主義はすでになじまないものになっていると、こう思います。経営当事者を抜きにしてコストを決めること自体がナンセンスであります。もし公共性ゆえに法定主義を貫くのならば、独立採算制の看板を外し、国の責任において国鉄は経営されるべきだと思います。  さて、本法案に反対理由の第一は、これが国鉄再建策の一環をなしているにもかかわらず、肝心の再建計画に具体性を欠き、再建の見込みが全く立っていないことであります。つまり、物価上昇と運賃値上げの悪循環を繰り返すにすぎず、国民生活に与える影響は甚大と言わざるを得ません。  反対の第二は、さきにも述べましたように、運賃の法定主義そのものであります。国鉄運賃に関する国会の役割りが、もっと本質的かつ基本的な部分を審議するのがふさわしく、したがって私は、本法のような改正案が提出されること自体反対であります。  反対の第三は、本法律案に対する内閣、特に三木総理大臣の熱意の不足であります。法案成立が焦眉の課題というものの、半年近くもこれを放置しておいたことは、同じ与党の内部でも批判の声が上がっております。こうした無責任な政府によって国鉄再建は期待できず、それは絵にかいたもちにすぎません。私は、いたずらに運賃値上げのみを先行させる政府の姿勢に強く反対するものであります。  以上三点の理由を述べ、私の反対討論を終わります。(拍手)
  176. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  177. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 御異議ないと認め、これより採決を行います。  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  178. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  179. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 私は、ただいま可決されました国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案に対し、各派共同提出にかかる附帯決議案を提案いたします。  案文を朗読いたします。    国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府及び国鉄当局は、左の事項の実現を図るため、万全の措置を講ずべきである。  一、国鉄の過去債務国鉄負担を軽減するよう積極的に処理する。  一、国家的政策にもとづく国鉄公共負担は、それぞれの政策実行部門が負担するよう努力する。  一、地方交通線等の赤字に対しては、一段と助成を強化し、国の責任において解決するよう努力する。  一、通勤、通学輸送の改善と在来線の輸送力強化を促進する。  一、昭和五十一年度末の赤字については政府が責任をもって処理する。  一、国鉄自身の企業努力と労使関係の正常化により責任ある経営体制を確立する。  一、政府は以上の措置を確実に実行することにより、昭和五十二年度以降の運賃改訂は極力これを回避するよう努力する。   右決議する。
  180. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) ただいま瀬谷君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を求めます。   〔賛成者挙手〕
  181. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 全会一致と認めます。よって、瀬谷君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、石田運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。石田運輸大臣
  182. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案につきましては、慎重御審議の結果御採決をいただき、まことにありがとう存じました。  また、決議されました附帯決議の項目の中には、直ちに実行することがむずかしいものも含まれておりますが、政府といたしましては、でき得る限り御趣旨を尊重し、今後努力してまいりたいと存じます。
  183. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  184. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  185. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 次に、請願の審査を行います。  第三九九号総合交通政策の樹立に関する請願外五百一件を議題といたします。  先刻の理事会において慎重に協議いたしました結果、第三九九号総合交通政策の樹立に関する請願二件、第一九一三号本州四国連絡橋の架橋に伴う旅客航路事業の補償措置等に関する請願四件、第四一一五号山陰線(京都−綾部)複線電化促進に関する請願一件、合計七件の請願は、議院の会議に付するを要するものにして、内閣に送付するを要するものとし、第四〇一号地方陸上交通事業維持整備法等の成立促進に関する請願外四百九十四件は、保留と決定することに意見の一致を見ております。  右、理事会協議のとおり決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  186. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  187. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  188. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  運輸事情等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  189. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  190. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  これにて散会いたします。    午後四時五分散会      —————・—————