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1976-11-02 第78回国会 参議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十一月二日(火曜日)    午前十時三十二分開会     ―――――――――――――    委員異動  十一月一日     辞任         補欠選任      三木 忠雄君     中尾 辰義君  十一月二日     辞任         補欠選任      黒住 忠行君     福岡日出麿君      中尾 辰義君     三木 忠雄君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         上林繁次郎君     理 事                 岡本  悟君                 中村 太郎君                 瀬谷 英行君                 中尾 辰義君                 三木 忠雄君     委 員                 江藤  智君                 木村 睦男君                 佐藤 信二君                 橘  直治君                 永野 嚴雄君                 福井  勇君                 福岡日出麿君                 宮崎 正雄君                 青木 薪次君                 加瀬  完君                 杉山善太郎君                目黒今朝次郎君                 内藤  功君                 和田 春生君                 松岡 克由君    国務大臣        大 蔵 大 臣  大平 正芳君        運 輸 大 臣  石田 博英君    政府委員        大蔵省主計局次        長        松下 康雄君        運輸省海運局長  後藤 茂也君        運輸省鉄道監督        局長       住田 正二君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  杉浦 喬也君        運輸省自動車局        長        中村 四郎君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        日本国有鉄道総        裁        高木 文雄君        日本国有鉄道常        務理事      田口 通夫君        日本国有鉄道常        務理事      高橋 浩二君        日本国有鉄道常        務理事      篠原  治君        日本国有鉄道常        務理事      尾関 雅則君        日本国有鉄道常        務理事      馬渡 一真君        日本国有鉄道常        務理事      橘高 弘昌君        日本国有鉄道常        務理事      吉武 秀夫君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改  正する法律案(第七十七回国会内閣提出、第七  十八回国会衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨一日、三木忠雄君が委員辞任され、その補欠として中尾辰義君が委員選任されました。     ―――――――――――――
  3. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 委員異動により、理事一名が欠員となっております。つきましては、これよりその補欠選任を行います。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事中尾辰義君を指名いたします。     ―――――――――――――
  5. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑のある方は御発言願います。
  6. 中尾辰義

    中尾辰義君 最初に、国鉄財政問題について若干お伺いをいたします。  国鉄財政再建に当たりまして、政府再建対策要綱で五十一年度、五十二年度の二年間で収支均衡を図ると、こういうふうにしておるわけでありますが、しかし、五十一年度計画を見ましても、なお四千九百四十億円の赤字が発生することになっておるわけですね。また、本改正案成立のおくれによりましても、その赤字額は相当大幅にふえるんじゃないかと、こういうことも予想されるわけであります。さらに、この過去債務対策を見ましても、政府は二兆五千四百億円のたな上げをするものの、五十一年度末にはなお五兆三千億円の債務を背負っておると、こういうことになるわけですが、このような状態で本当に二ヵ年間で国鉄収支均衡を図ることができるのかどうか、これがこの審議に当たりましてだれしもが最初に疑問に思う点であります。この点、政府及び国鉄の見解をお伺いしたいと思います。
  7. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 確かに、御指摘のように、この再建二法が当初の予定どおり六月一日に成立をいたしたといたしましても、なお五千億円くらいの赤字が出ますし、おくれによりまして工事繰り延べ等で賄ってはまいりましたけれども、なお二千億円以上の減収が見られるわけであります。しかしながら、五十一年度、五十二年度の二ヵ年間で、その後におきましては単年度収支均衡を図るという見通しは変えておりません。そういう方向に向かって諸般の努力を続けたいと思っておる次第でございます。
  8. 中尾辰義

    中尾辰義君 そこで、この国鉄財政を二年間で収支均衡を図るというのであれば、当然二ヵ年間の再建計画再建対策が示されなきゃならぬわけです。いま国会にお出しになったこれで再建ができますと、そういうことでしょう。ところが、再建対策要綱を見ましても、五十二年度における対策は何ら示されてないわけです。五十二年度における国鉄財政状態はどのような姿になるのか、この辺が非常に明確でない。それで、五十二年度には国鉄財政がどういうような姿になるのか、この辺をお伺いしたい。あなたの方からお出しになりました参考資料を見ましても、五十一年度までの姿は出ておって五十二年度は出てないんです。その辺ちょっとお伺いしたいんです。
  9. 住田正二

    政府委員住田正二君) 先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、五十二年度末に収支均衡を図るということを目標にいたしているわけでございまして、その意味は五十二年度末では単年度赤字が出ない、そういう状態に持っていくことになります。この委員会でいろいろ御論議をいただいておりますように、そのためにはいろいろな問題がございます。たとえば、地方交通線を今後どうするのかとか、あるいは貨物の問題をどうするとか、あるいは公共負担の問題をどうするかとか、いろいろな問題があるわけでございますけれども、そういう問題についての方針を来年度予算に織り込みまして、来年度末で収支均衡を図れるような状態に持っていきたいと考えております。
  10. 中尾辰義

    中尾辰義君 ですから、そういう程度のことでは、これはちょっと審議に支障を来すわけなんですね。二ヵ年間で再建を図るというのであれば五十一年、五十二年の姿というものを数字的に出してもらわなければならぬですな。それが出てないからわれわれはこの再建対策に対して疑問を抱くわけなんです。それができていないようでありますけれども、この辺はまた後でお伺いすることにします。  それから五十二年度運賃値上げをするのかどうか、この辺ちょっとお伺いしたいのですが、政府は本委員会で来年度もまた五〇%未満と言いながら再値上げを確認をしたような新聞記事も出ております。昨年の十二月三十一日の閣議了解による国鉄再建要綱には、五十二年度に再値上げするなどということは触れてない、ことしの分はありますけれども。再建要綱では単に五十一、五十二年両年の二年間で収支均衡を回復し、以後健全経営を維持するとあって、運賃値上げは五十一年度だけ名目五〇%ということになっておるわけですね。五十二年度は五〇%未満という値上げ幅縮小のいわゆる下方修正でありましても、とにかく値上げをわざわざ確認した真意はどういうところにあるわけですか、この点をお伺いしたい。
  11. 住田正二

    政府委員住田正二君) 先ほど御指摘がございましたように、五十一年度でも約五千億の赤字が生ずる状態でございます。したがいまして、収支均衡を図るためには五十二年度もある程度の値上けが必要であると考えておりますが、どの程度の、五十二年度何%の値上げをするかにつきましては、先ほど申し上げましたようにいろいろな問題がございますので、そういう問題を詰めた上で最終的な値上げの率を決めたい、さように考えておるわけでございます。
  12. 中尾辰義

    中尾辰義君 来年度五〇%の再値上げをするというのは、国鉄再建要綱が決まる過程で運輸省財政当局の間での暗黙了解であったというふうに、これは新聞等にも報道されておりますが、暗黙了解が周知されていると、こういうことですが、この二年間連続の五〇%ずつの値上げは世論や国会の納得するところではないので再建要綱の中に触れなかったと、こういうことじゃないかと思うんですね。  そこで、現在国会での審査が進んでいるのに従って、いまのうちに再値上げをするということを前もって明らかにした方がいいんじゃないかと、やりやすいんじゃないかと、そういうことも勘ぐられるわけなんです。来年度の五〇%の大幅値上げではまだ抵抗があろうということでいわゆる下方修正、つまり値上げ幅は五〇%まではいきませんが縮小しますと、しかし、とにかく再値上げをしますと、こういうふうにこの委員会で先手を打って公にしたのではないかと、まあこういうことも勘ぐられるわけです。その辺いかがですか。
  13. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私は引き継ぎのときに、来年度も五〇%未満値上げをするという暗黙了解なるものの引き継ぎは受けておりません。したがって、そういう国鉄再建を明年度引き続いて図るに当たってそういうことに拘束される意思はございません。  それからもう一つは、値上げをしたからといって、国鉄独占企業でございませんから、値上げしたことが即増収につながるものとも思えません。  それからもう一つは、今回の値上げで実質どの程度増収になるか、どういう影響を及ぼすか、そういうことを過去の事例をも考えてみなければならぬわけであります。運輸大臣としての願望は、希望は、なるべくならば値上げをしないで、したとしてもごく低く抑えて、それで国鉄再建の道を見出したい。具体的に申しますと、公共負担の問題、政策負担の問題、それから地方交通線の問題、貨物の問題、そういうものについて数字をはじき検討をして、そういうもので補って再建を図って、できればやりたくないし、やったとしても低い水準で抑えたいと、こう考えておる次第でございます。
  14. 中尾辰義

    中尾辰義君 まあやったとしてもというようなことではっきりしないですね。どうもその辺運輸大臣歯切れが悪いですよ。まあやったとしてもというように何か他人ごとみたいにあなたおっしゃるけれども、やりたいんでしょう、大体。このくらいの赤字ならばとても私らが見て二ヵ年間で再建はできませんでしょう。そこで、あなたいまやったとしてもとおっしゃったが、何%ぐらいの値上げをおやりになるつもりか。
  15. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 先ほども――歯切れが悪いかどうか知りませんが、できるならばやりたくない。どうしてもやらなきゃならぬとしてもできるだけ低い水準で抑えたい。その低い水準の率は、今回の値上げ実施を見て、その影響等を勘案して定めなければ、値上げ増収につながらないで減収になる危険もあるわけであります。そういう点も考えなきゃならぬ。それは、この法律成立して、実施を見た上の影響を考えたいと、そういうことであります。
  16. 中尾辰義

    中尾辰義君 まあ、これは大臣ね、やっぱりあなた大物だから答弁がうまいですよね。やりたくないけれどもというようなことですが、まだどうもわれわれは審議をしておりまして、これじゃとてもやっていけぬのじゃないかと思いますよ。まあいずれにしても、これは値上げをしますと、万々御承知でありましょうけれども、すでにもう東京-大阪間の新幹線運賃料金グリーン車飛行機代の方が安いわけですから。また大阪-京都、私は京都ですけれども、これは二百八十円でしょう。私鉄も二百八十円でしょう。これことし五〇%上げてまた来年上げたんじゃ、これはもうお客さんが減ってくるのは目に見えておりますがね。そのほか貨物問題等もありましょうから、結局これは国鉄増収にはならないのじゃないか、来年値上げをしてもですな、と思いますよ。この辺はいかがですか。ことしの値上げ影響を見てからと、こういうことですか。
  17. 石田博英

    国務大臣石田博英君) そういう懸念を持ちますから、来年の問題を検討するに当たっては今回のこの法案成立実施影響を見なきゃならぬ、こう考えておる次第であります。
  18. 中尾辰義

    中尾辰義君 それはそれでいいでしょう。そのぐらいしかあなた言えないと思いますから、あえて追及しませんが。  そこで、再建要綱によりますと、二年間で収支均衡の回復を図ると、こういうようになっておるわけですが、これは先ほど申し上げましたように非常に無理な点があるようであります。できもしない再建策をつくってみてもこれはもう何にも足しにならぬでしょう。それで、この再建策をもう一遍練り直したらどうだというふうに考えるんですが、その辺はいかがですか。たとえば二年間の期間をもっと延ばすとか、その間赤字路線対策新幹線工事は最小限にとめるとか、不急不要の出費をやめる、秩序ある労使の慣行を樹立する、許される最大限の国家助成を得る等の努力をすべきじゃないかと、こう思うんですが、その辺いかがです。二年間というふうに切らないで。
  19. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 現在のところは、二年間で単年度収支均衡を図るという方針は変えなければならぬとは思っておりませんが、いま御指摘幾つかの条項につきましては、私就任早々、それらを含めた内容を列挙したものを国鉄当局に渡しまして、そういう方面の検討をいま求めておるわけであります。たとえば、現在未利用地の処分の問題、あるいは利用地に入っておりましてももっと効果的に利用ができる問題、あるいは鉄道敷設法日本国有鉄道法等の見直し、再検討、また貨物等についてはもっとセールスについての工夫、そういうものを含めた検討を求めております。また、地方交通線につきましては運輸政策審議会にお諮りをしておるんでありますが、そのお諮りをする仕方も、幾つかの具体案運輸当局側検討をいたしまして、それをたたき台に検討をしてもらう。いままでのように漫然とした御意見拝聴でない方針をとるように努めておるわけでございます。
  20. 中尾辰義

    中尾辰義君 それでは、大蔵大臣もお急ぎのようでありますから、まず国鉄総裁大蔵大臣に一人一人お伺いをいたします。  国鉄公共企業体でありますから、まあとにかく独立採算制ということでありますけれども、民間企業なら当然これは倒産していますわ。その国鉄企業体が生き残り、営業活動を続けておられるのは、第一に親方日の丸で、いざというときには国がめんどう見てくれるという安易な期待感があるからだ、こういうふうに、これは世間一般に言っているんですな。しかし、現実には赤字路線の維持、貨物輸送慢性的欠損運賃値上げ国鉄職員待遇等、政治的にも経済的にも自力で立ち直れる要因が余り見当たらない。そういう意味ではきわめてお粗末な企業体と、こういうふうに言わざるを得ないわけですね。なぜこうなったかという点については、関係者それぞれの言い分がありましょうけれども、それは国鉄の持つ公共性独立採算制という民間企業並み経営理念とのギャップにあると思うわけであります。  そこで、次の点についてお伺いをいたしますが、まず国鉄総裁にお伺いしたいんですが、ことしの七月の七日、長野県軽井沢で日本生産性本部主催のセミナーにおいて、国鉄運賃収入ですべて賄うという明治以来の独立採算制について別れを告げるときが来たと、こういうふうに高木総裁はおっしゃっておるわけです。今後は、私鉄など他の輸送機関と競争しながら採算制を確保し、かつ公共事業としての性格をどう絡ませていくかが問題であるというような趣旨を述べているようでありますが、総裁は本当に独立採算制ではやっていけないというふうに観念をされたのかどうか。これは総裁にお願いします。
  21. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 従来は独立採算制公共性を、相矛盾するような目的をともに負ってきたわけでございまして、総合経理主義といいますか、そういう意味で本来単独でとりますとなかなか成り立ちがたい地方の線区の経営も、他の地域の経営をうまくやることによって補ってきたわけでございまして、それによって公共性独立採算制というものを相互目的を達することができたわけでございます。そういう歴史を九十年間続けてきたわけでございますが、現在では自動車とか、航空機とか、海運とかいう他の競争輸送手段が発達をしてまいりましたから、総合的に経理を見ましても全体としての独立採算制を維持することが困難になったというふうに考えております。  五十一年度予算におきまして、きわめて少額ではございますけれども、地方交通線について一般会計から補助金をいただくということになりましたのも、ある意味におきましてはそういう分野についての赤字までを抱き込んで全体としての独立採算制を維持できないという認識のもとにそういう補助金をいただくことになったわけでございまして、その意味では明治以来、長く持ち続けてまいりました独立採算制を堅持するということは不可能になったというふうに私は考えております。
  22. 中尾辰義

    中尾辰義君 運輸大臣にお伺いしますが、大臣赤字ローカル線、あるいは民営移管論貨物輸送量の低下と独立採算制との関係をどうお考えになっていらっしゃるのか。また、運賃料金制度を現状のままでよいと思っているのか、その点をお伺いします。
  23. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 地方交通線の問題は、これは普通の民間企業経営という立場から言えば国鉄として引き受けられる性格のものではない、運賃コストをはるかに上回った負担を強いられているのであります。しかし、これは奥地の開発とか、あるいは先行投資とか、そういうような政策的な意味合いを含んでいるものでありますので、そういう政策的意味合いを含んだものについては別途の政策的な支出、出費負担、そういうものを願うのが筋だと。で、その第一歩といたしまして、ことし、わずかでありますが百七十二億円というものが計上されまして、推定される損失総額に比べてみますと一割にも達しないものでありますが、しかし、まあ突破口を開いたものと考えております。それと同時に、これはやはりほかの幾つかの方法、たとえばその地方の自治体、これは財政上非常に苦しい状態にあることはよくわかりますが、そういう点のある程度負担というようなことも含めた別途の政策的な負担によって処理するということが私は必要であろうと考えます。  それから、運賃料金体系国鉄赤字一つ原因料金の改定が適時適切に行われなかったということが一つ原因だとも思います。したがって、かつて国鉄独占的企業であった時代、郵政とか電電と同じような立場で考えられた運賃法定主義というものも、ある程度条件はむろん必要であろうと思いますが、再検討をすべきものではなかろうか、こう考えておる次第であります。
  24. 中尾辰義

    中尾辰義君 それじゃ大蔵大臣、いま独立採算制は可能かどうか、話七合い、一人ずつ聞いておるわけですね。ところが、国鉄総裁はそれは非常に無理であると、不可能であると、こういうような趣旨の発言もあったんです。そこで、この際大蔵大臣は思い切った国費による助成をする気はないのかどうか、それが一つと、もちろん、その前提として国鉄当局企業努力、あるいは運賃法定制度、あるいは認可制併用による適正な運賃料金検討、そういうことは必要でありましょうけれども、とにかく、こう経営が硬直しては企業努力にも限界があるんじゃないかと、こういうふうに思わざるを得ないわけですね。この点の所見を承っておきたい。  以上、国鉄独立採算制とすべきか否かを踏まえてひとつ答弁を願いたいと思う。
  25. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 本来国鉄は、公社として独立採算であるべきはずでございまして、そういうたてまえででき上がった公社制度であろうと思うのであります。ところが御案内のように、すでに六兆八千億に及ぶ長期債務の残高を残しておるような状況でございまするし、運営の実際は大変苦しい局面にありますことは申すまでもないことでございますので、独立採算制はすでに実際において壊れておると言わざるを得ないわけでございます。したがって、この問題は、過去におけるいろんな問題の残滓を一遍どのようにして整理するかという問題と、これから先に向かって国鉄はどういう経営理念をもって貫かれるべきであるかという二つの問題があろうかと思うのであります。  今度の再建策は、過去に向かって、中尾さんも御指摘のように、二兆五千四百億という企業債務のたな上げをいたしまして、これを一般会計が背負い込むということにいたしたのでございます。そういたしますと、その残余の四兆三千億ばかりの債務は健全な財産と見合っておるわけでございますから、これだけのことをしておけば、これからの運営が合理的に運営される限りにおきましては国鉄はやっていけないはずはないという想定があったわけでございます。  もう一つ、今度の再建策では、いま運輸大臣からも仰せになりましたようなローカル線に対する政策的な配慮、これはこれから先、国鉄独立採算を堅持していくにいたしましても、すでに相当強い競争性を持っておった昔と違いまして運輸構造交通体系が非常に変わってまいりました今日、よほど考えて差し上げないといけないという一つの問題としてローカル線が取り上げられて、とりあえずことしは検討しようと、百七十二億という金は一応ことし暫定的なつなぎとして見ておるわけでございまして、真剣な検討を遂げて、これだけどうしても一般会計からもらわなけりゃならぬという結論が出たら、私どもはそれを尊重して、予算計上をするにやぶさかでないつもりでございますが、そういうような問題性を持った問題を一々固めてまいりますならば、公企業といたしまして運輸サービスを提供して、利用者サービスを提供する国鉄といたしまして、適正な運賃というものをそこにはじき出すことができる素地ができるわけでございますから、将来の問題といたしましては、一定の条件のもとでやっぱり独立採算制というものは追求していくべきものであろうと思うのであります。  どういうかしょうべき条件を考えなければならぬかということは、先ほど運輸大臣仰せになりましたとおり、この法律が通りまして、これを実行してみて、そして収支のバランスをよく見てみまして、それで来年度予算の編成の段階におきましてもう一度、何を取り上げるべきか、どのように取り上げるべきか、どの程度取り上げるべきかというような点はやっぱり検討しなけりゃならぬと思いますけれども、そういうことをした上で、私は根本におきましては、本来の独立採算制というものは国有鉄道といたしましては堅持してまいるということが筋ではなかろうかと考えております。
  26. 中尾辰義

    中尾辰義君 それでは、まだ大蔵大臣にいろいろお伺いしたいけれども、私も質問がたくさんあるものですからね。本当は、あなたはそうおっしゃるけれども、国鉄総裁はいま独立採算制は不可能であるとおっしゃっているんですからね。ですからあなたに聞いているんです。――それじゃ大蔵大臣結構です、お急ぎのようですから。  ここから運輸大臣にお伺いしますがね、この運賃法について政府は来年度は通常国会において法定制の改正案を提出したいと、こういうような御意向のようであります。これは当委員会でも議論されておる。そこで、その法定制の改正案といいましても、どういうことを考えていらっしゃるのか、その骨子はどういうものなのか、その辺のところをひとつお伺いしたい。
  27. 石田博英

    国務大臣石田博英君) まだ運賃法定主義というものを廃止するという結論を得ておるわけではございません。ただ、先ほど申しましたように、赤字原因一つ運賃の適正な改定の時期おくれにありますので、そういう意味で法定主義というものも検討する必要があるんでないかという段階でございます。そういう場合におきましても、やっぱり一定の枠は必要であろうとは考えます。  それからもう一つは、先ほどからもお話がございましたが、やはり国鉄当局経営姿勢、負担ができないものは負担ができないもの、ほかの部門において負担をしていただくべきもの、そういうものと、それからもっと効率的な利用のできる資産、そういうようなものの十分の検討、そういうこともあわせながら、目標は独立採算制をとる方向へ向かっていかなきゃならないということでございまして、恐らく国鉄総裁のお考えも同じだろうと思っておりますことをちょっとつけ加えておきたいと思います。
  28. 中尾辰義

    中尾辰義君 それで、法定制を仮に廃止すると、こういうようなことを考えた場合に、その範囲ですな、これは旅客運賃貨物運賃、いずれも含まれるのか、また値上げの幅について、ある一定の限度を設ける考えがあるのか、いまもちょっとありましたけれども。この辺、検討中でありましょうけれども、検討検討じゃこれは委員会審議にならぬのですよ、少しはやっぱりしゃべってもらわぬと。そういう意味でお伺いしておるんです。
  29. 石田博英

    国務大臣石田博英君) まだ関係者全部と話し合いをしているわけではありません。したがって、これはあくまで私の私見であります。個人的な考え。それは、まず現在置かれている立場が、決して過去のような独占的立場でないという前提、つまり値上げがすなわち増収に必ずしもつながらないということ、それから値上げをするといたしましても、一般物価の趨勢と合わせていかなきゃならぬし、その値上げ増収につながらなければこれは何の意味もなしません、そういう一定の枠。消費者物価の趨勢、それから値上げ増収につながるというそういう一定の枠の中で考えなけりゃならぬと思う。で、日本のように熱エネルギーの資源に乏しい国におきまして、エネルギー効率の一番高い、仮に二番目かは別といたしまして、非常に効率の高い鉄道がそれを生かしていくためには、より効率の低いものより安くなければこれは話にならぬのですから、そういう点もあわせて検討の材料として決めるべきものだと、こう私は考えております。
  30. 中尾辰義

    中尾辰義君 それから、これちょっとね、少しにおわしてあるんですけれどもね、これは運輸省筋の明らかにしたところによるものです。筋の明らかにした。筋から聞いた方が早いでしょう、委員会であんた方しゃべらないからね。だから、この筋論を少し私はお伺いしますからね。これは貨物運賃については、法定制完全撤廃に近い形として運輸大臣認可だけで市場原理に基づいた適時適切な物資別、地域別の運賃改定ができるようにする。それから二番目は、旅客運賃については五〇%を超すような大幅値上げについて歯どめをした上、物価上昇に対応した小幅の値上げ国会の議決を経ずに大臣認可だけで実施できるようにする。三、大臣認可の際は事前に適切な審議会を設けてチェックする。こういうようなことが筋の方から出ておるわけですな。ですから、筋ではなしに、大臣答弁を私はいまこの委員会で聞いておるわけだから、この辺のところをもう少し懇切にひとつ答弁してください。そういうのはどうなんです、一体。
  31. 住田正二

    政府委員住田正二君) 法定主義の緩和の問題でございますけれども、やはり旅客の場合と貨物の場合では扱いが異なってくるのではないかと思います。まず貨物につきましては、いままでたびたび御指摘がございましたように、非常に厳しい競争関係にありますので、国鉄総裁がある程度裁量をもって運賃を決めるというような制度にしませんと、なかなか他の交通機関との競争に勝てないんではないかということで、まあ私どもの希望といたしましては、現在やっておりますトラックに対する運賃規制、あるいは、できましたらもう少し緩い程度の規制にとどめたいという方向でいま検討をいたしております。  また旅客につきましては、これはいろいろやはり問題がございまして、いま御指摘ありましたような一定幅に限定して法定主義を緩和したらどうかという意見もございますし、また、現在のような独占力を失った状態では、そういう制約も要らないんじゃないかという意見もございまして、来年度の法案の制定の際にどういう方向で案をつくるかについてまだ方針はきめておりませんが、しかし、先ほど大臣申し上げましたように、独占力を失っております反面、とにかく運賃上げたからといって直ちに増収に結ぶわけではございませんので、そういうところも十分勘案しながら国鉄として自主的な経営力を発揮できるような制度に持っていきたいと考えているわけでございます。
  32. 中尾辰義

    中尾辰義君 それで、まあそれはわかりましたよ。審議会制度のようなものをお考えになっていらっしゃるのか、たとえば、現在の運輸審議会を、改組して国民の意見を広く求めるというような方法を考えておるのかどうか。その辺いかがです。――考えておるのかですよ。私は決めたと言うてないんだ、そういう意味で答えてください。
  33. 住田正二

    政府委員住田正二君) いま御指摘の点も、法定主義の緩和の問題に関連いたしまして非常に重要な問題ではないかと思うのですが、ただ、現在の運輸審議会の委員は、広い経験と高い識見を持った方々につきまして総理大臣が両院の同意を得て任命するということで、委員の方々について運賃を決める上において不適当であるというような方はおられないだろうと思います。ただ運輸審議会のあり方についてはいろいろ御批判も出ておりますので、法定主義の緩和の問題に関連いたしまして検討はいたしたいと考えております。
  34. 中尾辰義

    中尾辰義君 どうも、もう一つはっきりしないんだけれども、まあ国民の意見を広く求めるような受益者代表等も入れるというような、そういうような考えもあるのかどうか、その辺いかがですか。
  35. 住田正二

    政府委員住田正二君) これは事務的な話になりますけれども、私どもといたしましては運輸審議会のあり方、あるいは法定主義の緩和に関連しまして、何か新しい制度が必要であるかという問題を検討いたしておりますが、その段階での一つ問題点は、利用者代表というものは一体どういうふうに観念したらいいのか、現在の運輸審議会の委員の方は利用者代表と言えないのかどうか、そういう点についても問題があるわけでございまして、利用者代表の意見を聞くということについては、公聴会その他の手続も定められているわけでございますので、いまお話しの利用者代表という方はどういう方を指すのかわかりませんけれども、私どもといたしましては、できるだけ利用者の意見が広く取り入れられるような方法で審議会のあり方を検討いたしたいと考えているわけでございます。
  36. 中尾辰義

    中尾辰義君 それじゃ次に、国鉄軌道の老朽荒廃問題と黄害の問題と、それから施設労の賃金等の問題について若干お伺いします。  まず、この国鉄線路軌道が年々劣化いたしまして、現在は特急などに乗車すると立って歩けないほど相当揺れるものが多くなっておるわけであります。輸送量の増加及びスピードアップによって、それに対応する軌道構造及び整備、保守の立ちおくれや、列車間合いが短くなり、それに伴い当然に保守作業時間も短く、十分な保守がなされていないという実情でありますが、その辺の実態はどうなっておるのか、まずお伺いをいたします。
  37. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 国鉄の輸送の情勢は、この十年間だんだん輸送の量が多くなってまいりました。輸送の量が多くなってまいりますと、それに見合うだけの線路を強くし、また保守をしていなくちゃならないということは当然のことでございますが、輸送の量が多くなってまいりますと、保守をする線路間合いが少なくなってくることも事実でございます。そういう両面から、この十年間の軌道の状況を、私の方は軌道検測車という機械を用いまして軌道の整備状況を調べておりますけれども、いま先生が御指摘のように、この十年間は必ずしも線路のいわゆる整備状況はよくなっていない、むしろこの七、八年間は悪い方向にきていたことは事実でございます。しかし、この一、二年間、こういうことではいけないということで、いろいろ特別の修繕費を入れたり、あるいは軌道を強くしたりということで、いまはようやく平衡の状況になっているのが実態でございます。
  38. 中尾辰義

    中尾辰義君 高崎線、東北本線、鹿児島本線などは十年以上もレール交換、排水、路盤整備等がなされておらない。保守作業も特急などの増発によりまして思うようにできない状態でありますが、そこで、保守管理の基礎データとなる保守管理目標値、いわゆるP値の実態はどうなっておるのか、その辺いかがですか。
  39. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) いまP値という言葉が出てまいりましたけれども、P値と申しますのは、線路の長さ十メーターの長さのちょうど真ん中の点、すなわち五メーターの地点で、たとえば高低が三ミリ以上下がっているとか、上がっているという状態になったものが全延長の中で何%あるかという、そういう指数がP値というふうに私の方は呼んでおりまして、したがって、そのPが多くなるということは、全体の高低のいわゆる変化が少し多くなってきたという、そういう意味でございます。そのP値で、たとえば高低等を測定したデータでは、東北本線も鹿児島本線も、いずれもこの十年間では約一割ほど実はその量が多くなったということは実態でございます。  しかし、これは別に線路の安全とかいうことに関係するんでなく、いま先生のおっしゃいますように線路が少し揺れる、揺れるから乗り心地が悪くなるということにはもう直接につながって事実として出てまいります。私の方はこれをできるだけ低く抑えるようにいろいろ補修をしていくということを考えるわけでございます。いまおっしゃいました東北線、鹿児島線とも列車本数が非常に多くなったということもございまして、いま先生のおっしゃるようにP値は高くなりつつありますが、この一、二年間はほぼ平衡状態になっております。
  40. 中尾辰義

    中尾辰義君 会計検査院の報告によりますとこういうことが出ているんですね。これは北海道総局内及び盛岡ほか八鉄道管理局の調査によりますと、四十五年、四十六年度に購入をされました機械が日数で二九%、軌道延長で一五%程度、中には全く野ざらしにされて稼働してないところもある、こういうことですね。例を挙げますと、マルチプルタイタンパー、これは軌道保守用機械ということですが、これの未稼働のものが大変多くなっている。その原因としては、オペレーター養成のおくれ、機械使用間合いの不足、使用するための受け入れ体制の未整備などが挙げられておりますが、この機械稼働率低下の原因はどこにあるのか、どういう点を原因として考えていらっしゃるのか。  それから次は、稼働率を促進するプロジェクトチームを設置したと、こういうふうに聞いておるわけですが、それはどのようなメンバーで構成をされているのか、また、現在実効はどれぐらい上がったのか、あわせてお伺いをいたします。
  41. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) いま申しましたように、非常に線路の状況が、列車の通トンが多くなりまして悪くなってきたということもございますけれども、だんだん――線路の補修というのは昔から人力でやっておりました。しかし、人力は非常に多くの労力を要しますし、また疲労も非常にはなはだしいということで、この五、六年前から、いろいろ全国の線路を直すためには機械力によって補修をしていこうという計画を実法立てたわけでございます。実際に、いま先生の御指摘のようなマルチプルタイタンパーというのはバランスを締め固める機械でございますけれども、これは十年ぐらい前からだんだん使用いたしてきたわけでございますけれども、その機械の取り扱いが非常に慣れてなかったというのがまず第一点で、非常に機械の稼働率が悪いということがございました。  それ以外に、この機械はある一定の間合いがございませんと――手でやる場合には十分でも十五分の間合いでも突くことができるわけでございますけれども、機械は駅から発車させてその現場に参りますので、一時間なりあるいは一時間半というような間合いがないと機械が使えないというようなことで、当初計画したときよりもどんどん実は列車本数がふえてまいりまして機械を入れる間合いがなかったということもその稼働率を下げた理由でございます。  そこで、いろいろ検査院からも御指摘を受け、また私どもも御指摘を受けるまでもなく当然そういう機械の稼働率を高めて線路をよくしたいということで、まず、いままで使いました機械類をもう一遍点検をいたしまして、果たしてこういう機械の組み合わせでうまく補修ができるかどうかということを各線ごとに調査し、また現場においていろいろ工夫をいたしまして、いままで使えなかった機械もうまく組み合わせることによって使えるようになり、また機械を操作するオペレーターの教育等もいたしまして、いままで稼働率が非常に悪かったのをいま逐次機械の稼働率を高めまして補修の万全を期しておるのが実態でございます。  いま御指摘のように、チームをつくったということでございますが、これは本社では、本社の施設局長を長といたしまして各関係の課長及び現場機関の責任者を入れましたチームで、各一線ごとにこの線ならこの機械がこういう組み合わせで使える、この線なら別の機械を入れようということを一つ一つ詰めて稼働率を上げて保守の万全を期したいということを現在やっているところでございます。
  42. 中尾辰義

    中尾辰義君 次に、この軌道保守の作業が、これは深夜にわたる重労働が主体である。これは御存じのとおりですね。若年労働力の確保が非常にむずかしく、作業員の年齢構成が高くなっております。効率も悪化している。そこで、労働力確保も困難で外注もふえていると思うわけでありますが、外注作業員は季節労務者が大半である、技術力もなくチームプレーもうまくいかないと聞いておりますが、この辺はどうなのか。また、農繁期には人手不足のために保線作業が低下する傾向があります。安全上から問題があると思う。軌道保守は安全輸送にとって基盤となるものだけに十分な対策を講ずべきでありますが、当局の明快な方針をお伺いをいたします。
  43. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 直接レールに絡みます作業は、いま先生外注とおっしゃいましたけれども、本線についてはすべて直轄の部隊で実施をいたしております。ただ、レールに直接関係ない部分、あるいは臨時にまくら木等をたとえばコンクリートまくら木に直して軌道全体を新しく強化していくというこういう作業、あるいは直接線路にかかわりのない部分の作業についてはただいま外注をいたしております。そこで、したがって、直接安全に関係するものは直営でございますが、外注というのは、いま申し上げた軌道を強くしていく面を外注いたしておりますが、これはやはり相当の技術力も必要といたしますし、年間を通じて工事をやっていくためには、確かに実態としては季節的ないわゆる労務も使用いたしておりますので、軌道を強化していく面においては必ずしも十分なまだ体制になっていない。  そこで私どもとしては、軌道業務というのは非常に専門業種でございますので、そういう専門業種の方にいろいろまた私の方からも教育をしてもらうようにお願いもし、そういう会社自体を強くして、そういう部分については外注が技術的にも、また会社自体がしっかりするようにいろいろ指導をいたしておるところでございます。重要な部分については現在のところは直轄でやっているということを申し添えておきたいと思います。
  44. 中尾辰義

    中尾辰義君 それでは次に、黄害の問題につきましてお伺いをいたします。  これもいままで何回か議論されておりますけれども、なかなか進んでおらないし、労務者も非常に困っておりますし、被害も多いようでありますから若干お伺いしておきたいと思います。  国鉄は、新幹線開発に見られる高度の技術力、運行時間の正確無比、こういう点では世界に冠たるものがあるわけでありますが、その反面におきまして、列車の汚物処理につきましては、汽笛一声以来百年間旧態依然のまま、たれ流し黄金列車がきょうも行くというような、皮肉たっぷりのいろいろな記事等も出ておるわけで、いろいろと酷評をされております。  そこで運輸大臣国鉄総裁はこれをどうお考えになっているのか。たれ流し黄金列車きょうも行くと、世界最高を誇る国鉄がこういうふうに皮肉られておるんですよ。その辺はまずどういうふうな感じを持っていらっしゃるのか、御両人にお伺いをしたいと思います。
  45. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 主要幹線につきましては全部これを現在の新幹線と同じように貯留タンク方式をとることによりまして黄害をなくすということを至急進めてまいりたいというのが基本的な考え方でございます。
  46. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 具体的な問題は国鉄当局からお答えするのが筋だと思いますが、私もしょっちゅう奥羽本線で往復をいたしておりますので、その実情はよく承知しております。できるだけ速やかにこれを処理すべきものだと私も考えておる次第でございます。
  47. 中尾辰義

    中尾辰義君 私が聞いているのは、それもそうですけれども、世界最高の技術を誇る国鉄が、こういう前時代的な黄色い公害のたれ流しをしながら、国鉄の周辺の住民にも迷惑をかげながら走っていくその状態大臣としてどういうふうな感じを持っていらっしゃるのか、これを聞いているのですよ、まず最初に。
  48. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 新幹線のようなものをつくる前に、やはり順番が違って、そういうものをなくす方に力を注ぐ方が順番としては正しい。新幹線が世界に誇るものである以上は、すべての点について非難をされないようなものをつくっておくべきものだと考えます。
  49. 中尾辰義

    中尾辰義君 それで、以下質問をいたします。  非常にこれはいろいろな問題が多いですから、私も京都でありますが、京都-二条間はトイレは遠慮してくれと、こういうようなマイクを通じて流れてきますが、実際はこれは守られておらないところもあるわけですよ。住民のいろいろな被害もありますし、それで聞いているのですよ。いままでも大臣、この問題は何回か取り上げておるのですが、なかなか進んでないのですよ。それで、これまたきょうも取り上げざるを得ない、こういうことです。  そこで、現在大部分の在来線車両は屎尿のたれ流しを行っておるわけでありますが、実情はどうなのか。現在の旅客輸送車両はどれだけあり、そのうちトイレタンクが備えつけられていない車両、いわゆるたれ流し車両はどのくらいあるのか、具体的にお願いします。
  50. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 新幹線は全部タンク式になっておりますので、新幹線を除きまして、在来線の旅客の車は約二万六千両ございます。そのうち便所のついておる車両は一万六千五百両でございまして、当面私の方は、車両基地の整備をとりあえず考えております区間に関係する車両はそのうち約七千両ほどあるというふうにつかんでおります。その七千両のうち現在タンクの取りつけ完了いたしましたのが約二千両、ただいま準備工事を済ましておりますのが約二千百両、合計七千両のうち四千百両については、いつでも基地ができればタンク式に貯留ができるという準備のできているのが四千百両ございます。
  51. 中尾辰義

    中尾辰義君 いろんな調査も出ておりますが、私どもが知るところによりますと、一日の屎尿のたれ流しが約二千トンある。それは全国の線路に振りまかれておるわけですが、特に高架線からのたれ流しは非常に影響が大きいわけですよ。この前も新聞には、高架線からの黄害のたれ流しで赤痢菌が感染したと、こういうことも出て問題になっておるわけですよね。それで、列車本数がふえましてスピードアップをされるにつれましてその屎尿量もふえ、あたりに飛散をする距離も遠くなり、最近では線路から四十メートルの範囲が汚染をされるというふうに聞いておるわけでありますが、現在までにたれ流しによる沿線住民の被害状況、あるいは疫病の発生状況はどういうふうに掌握をしておるのか、その辺はいかがですか。
  52. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 実は百年以来同じようなことをやってまいって、いま鋭意申し上げましたように車両を改造し、あるいは基地の整備を行って、全体を一刻も早くタンク式にしたいというふうに考えておるわけでございますが、確かにいま先生のおっしゃいますように、高架区間では飛散の範囲は広まるということもございまして、新たに高架橋をつくる場合には、騒音防止の点もございますけれども、そういうことも含めてできるだけ飛散しないような防音を兼ねた壁をつくるようにいたしておるわけでございます。  それで、それに対する苦情といいますか、とにかく早くそういうふうにして飛散が出ないようにしてくれという陳情、あるいはそういう希望は毎年数件、特に多い年には、昭和四十九年度にはそういう要望が非常に全国的に出されまして、全国から件数にして百二十八件にも及ぶ要望、陳情等がございました。  これが実際にどういう病気どの関係になっているかということはよくわかりません。ただ、私どもの内部の保線に従事している職員は、線路の際でしょっちゅう作業をしておりますので、保線従事員のそういう赤痢その他の罹病率等については、国鉄全体の中の職員の罹病率と同じでございまして、そういう意味では内部的な資料がございますけれども、外部全体についての病気の程度についてはつまびらかでございませんので、ちょっと私もよくわかりませんが、内部的な職員の罹病率においてはほとんどいまのところは差はないというのが実態でございます。ただ、あくまでもこれは統計上の問題がございますので、ちょっと腹を壊したと、そういったわからない点がたくさんあるかと思います。
  53. 中尾辰義

    中尾辰義君 先ほどおっしゃいました車両が二万六千台、その中で七千台でトイレつきが一万六千五百と、数字を挙げて説明があったんですが、これは全部やるつもりなのか、この程度で終わるのか、将来どういう計画を持っていらっしゃるのか、その辺を一つ。  それともう一つ、トイレはつけても、それを処理するところで困るというようなことも聞いているわけですが、いわゆる処理施設の状況はどうなっているのか、その辺もあわせてひとつ答弁をしてください。
  54. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 車両よりも、むしろいま先生もおっしゃいますように、処理施設が整備されませんとなりません。私どもの方の計画としては、全国の車両全部、あるいは全線というには相当実は期間もお金もかかりますので、とりあえず全国の急行、特急はほとんど全部、それから大部分のローカル線というふうに考えまして、まず基地の数では最終的には六十ぐらいの車両基地を整備しなくちゃならないだろうというふうに考えておるわけでございます。当面この三、四年の間にやりたい、またやるべきだというふうに考えておりますのは、その六十基地のうちとりあえず二十二基地ほどを整備したいというふうに考えておりまして、その二十二基地のうち、ただいまのところまで、ことしの夏までに六ヵ所、すなわち宮原、幕張、品川、金沢、秋田、新潟、この六基地については整備が完了いたしました。残りの十六基地はただいま鋭意その浄化設備を工事中でございます。  それで問題は、なぜ早くできないんだということでございますけれども、市の下水道に放流するような設計のできる場所と、下水道がなくて浄化をして河川に放流するのと二つの種類を考えて、その関係市町村と協議をいたしておりますけれども、下水道の方はただいま全国的に徐々に整備しつつございますので、それができる時期に完成しようということで、どうもまだ二、三年かかるというところがございます。それから河川に放流する場合には、私の方は基準に従ってきちんとした浄化をいたしますけれども、どうも感情的に河川に流されては困るという地元の方々の強い反対等もございます。いまできるだけ市町村の、自治体の御協力を得て、この十六ヵ所については大部分がその建設について見通しが出てまいりました。できるだけ早くこの基地を完成させたいというふうに考えております。それができますと、ほぼ全国のうちの主要の急行、特急分の便所については貯留式にできるというふうになるかと思います。
  55. 中尾辰義

    中尾辰義君 大体わかりましたが、とにかくこれはタンクを取りつけることは急務でありますが、すぐはもう、これ時間もかかるようでありますが、しかし、現実に沿線の住民たちに被害が出ておるわけですな。それで取りつけ完了まで放置するわけにはまいらないわけであります。そこで、この衛生管理上重大な問題に対して軌道の消毒措置、沿線住民に対する対策等はどうなっているのか、その辺をお伺いします。
  56. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 実は地方の方々には本当に目に見えて被害があったということも一、二聞いております。そういう場合には、それに対してよくお打ち合わせをして見舞い的な処置をいたしておりますけれども、それ以外については、何せ非常に長いことでございますので、実態としてはほとんど沿線の方々に対しては具体的な処置はまだできかねておるというのが実態でございます。  内部の職員に対しましては、これはもうしょっちゅう近接で作業いたしておりますのでいろんな問題が出ております。内部の職員に対しましてはそういう実態が出ますと直ちに作業衣をかえるとか、あるいは作業のためのマイクロバスの中にいろいろ消毒液を備える、あるいは洗剤を備える、そういう処置をして、職員に対しては直ちに実際の被害を受けますと支区に帰って着がえさせる、ふろに入れるというようなことを本人とよく話をしてそういう処置をいたしておるのが実情でございます。
  57. 中尾辰義

    中尾辰義君 次に、これら在来線軌道の補修を行う施設労働者がおりまするが、在来線のこの運転走行の間合いの中で作業することがあるのかどうか。その際、ふん尿が飛散して施設労働者が汚染されることもあると思いますが、労働者の衛生管理をどのように行っているのか。またこういった施設労働者が伝染病等に冒された場合の処遇は、処置はどうなっておるのか。それをお伺いします。
  58. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) ただいまも申し上げたんでございますけれども、保線作業員については、しばしばいま先生のおっしゃるような実態があらわれてまいります。で、そうなりますと、とりあえずは、まあ病気になるということはめったにないんでございますけれども、実際にはふん尿その他が洋服につくということがございますので、それは直ちに保線支区に戻らせて着衣を洗たくする、あるいは本人をふろに入れる、その前にマイクロバス等には石けん、洗剤、あるいは消毒液等を車の中に備えて直ちに体をきれいにするというような処置をとってございます。  最初に申し上げましたように実際の罹病率というのは、はっきり実はこれが原因であるかどうかわかりませんけれども、実際に職員が職務に際してそういう病気になりましたら、これはまあそれ自体が本当に直接の作業が原因でございますれば、これは公傷扱いということで病院による治療をするというのが現状でございます。
  59. 中尾辰義

    中尾辰義君 それから国鉄当局者が、保線係は屎尿を浴びる事実を承知して仕事についているはずである、その程度は当然濡忍すべきである、そういうような倫理の上に立っているようでありますが、いかに労働契約上予定されたといいましても、屎尿を浴びるという人格を無視する労働条件は即刻改善すべきであると思いますが、この辺はいかがです。
  60. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 労働協約がそうなっているから当然だということはございませんが、まあそういうのがこの長年の実態であったということはみんな承知をいたしておるわけであります。   〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕  そこで、できるだけ私の方は、先ほどからも軌道の補修に絡んで申し上げておりますけれども、なるべく機械を使いまして列車の間合いをとって、その間合いの中で機械によりまとめて作業していくという方式にだんだんいま切りかえつつございます。そういたしますと、列車からのいわゆるふん尿その他の飛散率等もはるかに少なくなりますので、方向としてはそういう方向にいまあることは事実でございます。しかし、根本的には最初に申し上げましたように、タンク式等にいたしまして、なくしてしまうということを心がけていかなくちゃならないというふうに考えております。
  61. 中尾辰義

    中尾辰義君 こうした問題、一日も早く解決するために、当局は対策を具体的に実行して促進されるためのプロジェクトチーム等を発足させる考えはないかどうか、この辺いかがでしょう。
  62. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) いまの先生の御質問はちょっとわかりませんけれども、基地の整備とか、あるいは車両の整備については何もプロジェクトチームまでつくらなくても、業務として鋭意推進をしてくれればよろしいのじゃないだろうかというふうに考えております。
  63. 中尾辰義

    中尾辰義君 大臣、あなたいまずっとお聞きになったでしょうが、運賃値上げも、財政問題もこれは大事でありますが、この黄害問題というのも古くて新しい問題でして、非常にこれは迷惑かかっておるんですよ、さっきから言いますように。世界最高の技術を誇る新幹線が、国鉄の技術が、一方においては一番いやなたれ流しを平気でやっておるわけですがね。いろいろといまお伺いしましたように問題もあります、それは。この際、大臣がこういう問題に対して一日も早く解決するように努力するひとつ決意をお伺いしまして、この問題一応終わります。
  64. 石田博英

    国務大臣石田博英君) いま中尾先生のお話を承っておりまして、実は新幹線なんかはみんなタンクになっておるようでありましたので、もっと進んでいるものと思っておりましたところが、地上施設その他の影響もあって、案外計画実施がおくれているようであります。これは文明国の鉄道としては恥ずべきことでございますので、速やかに改善策を講ずるように努力をいたしたいと存じます。
  65. 中尾辰義

    中尾辰義君 次に賃金、待遇改善等を問題といたしまして、保線労働者の処遇につきまして質問をいたします。  まず最初に、国民の生命や財産を安全、快適に目的地へ運ぶ輸送基盤の確立を図るため、国鉄の保線労働者は昼夜を問わず酷寒酷暑、風雪の中を線路保守に従事しているわけであります。ところが、保線労働者は列車トイレのたれ流しによってふん尿をかけられ、踏みつけ、つかむなど、施設労働者の労働環境権は全く無視されておるのが現状でありますが、このように保線労働者は他の駅務や車掌、運転士等に比べてきわめて悪い条件の中で作業をしておるわけですが、その待遇等はどうなっておるのか、まずお伺いしたい。
  66. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) 保線関係従事員の待遇問題につきましては、いろいろいま先生から御指摘をいただきましたとおりの問題がございまして、これらについては、現実の問題といたしましては毎年ベースアップがあります際にこのベースアップの配分交渉の中でいろいろとその辺の特殊性を考慮して措置してまいっておるわけでございます。
  67. 中尾辰義

    中尾辰義君 まあ国鉄の職員といいましてもいろいろな部門に分かれておるわけでありますが、中でもこの保線関係はいままで述べたように大変過酷な労働環境の中で作業が行われておるわけであります。しかし、その待遇は夜中に起きて仕事で千円、つまりこれは夜勤手当という意味でしょう、いびきをかいて寝ておったら二千円だと、これは宿直手当という意味でしょうが、このように言われてきわめて悪いのが現状であります。あなたはいま、毎年改善をしておるとおっしゃったけれども、私はいまから具体的にお伺いをいたします。  その前に、この五月の二十二日、各公共企業体関係の四月一日以降の新賃金に対する仲裁裁定がそれぞれ提示をされたところであります。過去十数年の結果を見ましてもベースアップ額はほぼ民間と同程度でありますが、実質的な賃上げの中身、つまり個人の賃上げ額は年ごとに低くなっていると思います。特に国鉄のように年齢、勤続年数は著しく高く、また基幹輸送を受け持つ仕事の中身から見て、他の公共企業体との比較において遜色があると思われますが、この点は国鉄総裁としてどのように理解をしていらっしゃるのか、まずその点お伺いいたします。
  68. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 現在の国鉄職員の賃金水準は他の職員と比べて高いか低いか、適当であるかどうかということは非常に比較のむずかしい問題であると思います。何分職種がいろいろございますし、それから不規則勤務と申しますか、そういう点から言いまして、いまの水準がよろしいのかどうかということは率直に申しましてなかなか議論の多いところでございます。ただし、現状におきましてはそれを全部包括をいたしまして、ここ十年来、民間賃金水準に、改定率に準拠しながら毎年改定が行われているということが事実として繰り返されてまいったわけでございまして、こういう状態を、いい悪いという議論いろいろあると存じますけれども、現実の問題としてはそういうことで今日まで進んできたわけでございまして、   〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕 なかなかこれをどういうふうにしてか変えるということもきわめて困難といいますか、技術的といいますか、評価論というようなもので困難があると思います。現状はいまのやり方でやっていく以外にないのではないかというふうに考えております。
  69. 中尾辰義

    中尾辰義君 それで私は、この国鉄の賃金の中で特に施設関係労働者の賃金がさらに低くなっている、こういうふうに考えるわけです。たとえば例を挙げますというと、ことし三月における国鉄全体の賃金ベースは、年齢四十・六歳、勤続二十二・一年で十四万九千五百七十二円、こういうふうに発表されておるわけですが、これに対して鉄道線路で働くいわゆる施設関係労働者の賃金は、年齢四十・八歳、勤続二十一・四年で十四万五千四百四十四円、約四千百三十円低くなっていると言われておりますが、そのような実態になっているのかどうか、その点いかがですか。
  70. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) この個別賃金につきましてはいろいろな実態がございますので、ある一例をとりましてそれが全体であるということにはまいらないと思います。これらの問題を含めまして、毎回この賃金の配分交渉の中ではその辺が労使間で最も中心的な議題として論争されまして、毎年毎年の基本給表がつくられるわけでございまして、これは入社しましてからの途中のいろいろな経過というものが現在の俸給には、過去の歴史の産物でございますので、非常に高い者も中にはありますし低い者もある。それから施設関係従事員の全体の年齢というものもございますし、勤続というものもございますので、その辺を一々しさいに点検してみませんと、個別的な例をもって比較されまして全体が低いと――そのようなことはないと思いますが……。
  71. 中尾辰義

    中尾辰義君 それでは具体的な例を一つ挙げましてお伺いをいたします。A君は昭和四十六年十月一日付で東京のある保線区に軌道係として採用されたわけです。四十八年、係主務登用試験を受けて合格をいたしました。その当時の基本給は一職群二十号で金額は五万三千三百円、職務手当五千円の計五万八千三百円でありましたが、軌道係の上位職である保線機械係に四十八年七月昇職をした結果、基本給は三職群二号俸、金額は五万四千七百円となりましたものの、いままで支給された職務手当がゼロとなったために差し引き三千六百円の基準内賃金が低下した、こういうことですね。こういう事実があるんですか。この点いかがですか。
  72. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) 先生御指摘のとおり、労務三職と申しまして軌道係――軌道係と申しますのはいま先生御指摘の保線関係の従事員でございますが、それからヤードの中で働きます構内係、それからあるいは踏切保安係と申しますか、踏切警手と昔言っておりましたが、その労務三職につきましては一時期非常に需給難であった時期もございまして、これに職務手当をつけることにいたしました。そうしますと、この労務三職の者がだんだん入ってまいりまして、時間の経過とともに偉くなってまいります。上位の職群に参りますと、この職務手当がもらえないことになりますので、途中過渡的にはそういう現象が生ずるわけでございます。しかしながら、だんだん偉くなっていくわけでございますから、偉くなっていきますといろいろな待遇、たとえば昇給の額とか、あるいは上位職群にいきますときに調整号俸と申しまして相当な金額を上積みするというような制度がございますので漸次、一時的には落ちますけれども、上にいくことによってだんだんとまた給料もよくなっていくというようなことで、長い目で見ますとその方が得であるということに賃金体系がなっておるわけでございます。
  73. 中尾辰義

    中尾辰義君 もう一つ例を挙げましょうね。これはB君でいいでしょう。B君は、同じ四十六年の十月同じく採用、昇職試験に合格いたしまして、その当時、つまり四十八年十月の基本給が二職群四号俸、金額は五万三千八百円、職務手当五千円の計五万八千八百円であったものが、保線機械係に昇職し、四十九年一月ですね、基本給は三職群一号俸、金額は五万四千四百円となったものの、A君と同様に職務手当がゼロとなって、四千四百円の基準内賃金が低下したと。これはどうですか。
  74. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) このケースも、ただいま申し上げましたケースと全く同様でございまして、上位職名に移行するとともに職務手当が支給されなくなりまして、一時的にはそういう現象が生じてまいります。
  75. 中尾辰義

    中尾辰義君 これではあなた、もう偉くなっても実質賃金が減ってくるんですね、この物価の高いのに。勤労精神が出てきませんでしょう。  それで高木総裁にお伺いしますが、このように職務手当はその職名、職務内容、評価等によって支払われることはわかっておるわけですが、その仕事の内容を分析してみましても、職名が変わっても中身は全く同じ作業でありまして、軌道係と同様、列車便所たれ流しと触車の危険にさらされながら、営々黙々として国鉄輸送の根幹をなす線路の保守にまじめに働いておりながら実質賃金が低下するということは、同一価値労働、同一賃金の原則から見ましてもとうてい考えられないことであります。これらの部門について総裁はどのようにお考えになるか、またどのような措置を講ずる考えがあるか、その辺を明らかにお願いします。
  76. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 基準内賃金をどういう水準に置くかと、それとの関連において手当をどういうふうにしたらよろしいかということは、どの職場におきましても非常にデリケートな問題でございます。賃金水準の決め方はともかくといたしまして、その配分によっていま御指摘のようないろいろな問題が生じてくるわけでございます。いま御指摘のように、せっかく一つの上のグループに入ったと、そしたら今度実際の手取りが減るということは非常に矛盾でございまして、決して本来好ましいことではないと思います。ただ、いまの軌道関係だけではなしに、担当常務から御説明いたしましたように、他の職場におきましても、現場の最末端の戦力といいますか、実際の仕事を担当する人の立場というものも考慮して、いまの手当制度が構内作業等について設けられたわけでございまして、その設けるときにもすでにいま御指摘のような問題が後から生じますということは十分考慮の上で、しかも労使間で、ある種の合意の上で組み立てられておるわけでございまして、初めから実は矛盾が起こるよということは予想されておったところでございます。  で、これをどう考えたらいいのかというのは、賃金問題に常に伴いますきわめて重要問題でございまして、ある意味では古くして新しい問題であるということが言えるわけでございまして、今後.ともどういうふうにしたらよろしいのかは、当局は当局なりに、また職員団体は職員団体なりにいろいろな考えがあるわけでございますので、それのすり合わせによって調整をしてまいるほかないと思いますが、確かにいまのような矛盾がございますので、これでよろしいというわけではない。しかし一方においてやはり手当制度の必要もあるということで、はなはだまあ明快でないお答えしかできないわけでございますが、今後ともわれわれの課題として研究の対象としてまいりたいと思っております。
  77. 中尾辰義

    中尾辰義君 とにかくこれあなた、昇職いたしましても作業は同じなんですよ。そして手当がなくなって月給減っちゃったんだと。それじゃ働く者は、これはあなた、帰ったら奥さんにもしかられちゃうでしょう、こういうことでは。物価は上がるし、あなた月給減っちゃったじゃないのと。これはひとつ非常に問題だと思いますよ。物価が非常に安定しているようなときならともかくとして、こういうように毎年一〇%も一五%も上がるときに給料が減るというのはこれは問題ですよ。その点、大臣どうお考えになりますか。
  78. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 実は私もいま初めて聞いた問題であります。ただ、国鉄側の御説明があったように、まあ長い目というのはちょっとのんき過ぎるように思いますが、できるだけ早い期間に昇職した方が有利だという条件が出るものだと当然考えておるわけであります。ただ、作業が全く同じならば、その作業に伴って出される手当をどうして減らすのか、ちょっとそれはぼくも聞きたい問題でございます。
  79. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) なぜ同じ仕事なのに職務手当がなくなるのかということでございますが、実は軌道係から先ほど指摘されました保線機械係等に昇職いたしますと、本来ならその保線機械係の職務に変わるわけなんでございますけれども、先般来、先ほども話が出ておりましたけれども、機械の導入がおくれたりした場合に、一時的に前のとおりの作業をしなくちゃならない事態があるわけでございます。これはいずれその機械が入ってきた時点で解消するわけでございますけれども、職員側としてはなるべく早く偉くしてくれというようなことで、これは本社といたしましても、組合との交渉の中で、それじゃこれは本来ならば実施した時点で同時に昇職もいたしましょうというのが筋であるけれども、まあ早く偉くなりたいという気持ちはみんなにあるし、組合の要求としてもそういうのが出てまいりますので、昇職の措置をいたしまして昇職をさせるわけでございます。そうすると、機械が現実には入ってこない、若干その機械化の実施時期がおくれると、その間は前のとおりの仕事をしておりますので、仕事をしてないのに職務手当を出すわけにはいかないということで切らざるを得ないということで、過渡的にいま一時そういう状態が生じておるわけでございます。
  80. 中尾辰義

    中尾辰義君 そうすると、あなたの答弁によりますと、これは過渡的なものですか、どうです。
  81. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) そのとおりでございます。
  82. 中尾辰義

    中尾辰義君 そうしたら、過渡的なものが済んだら後どうなるんです。この手当はつくのですか。
  83. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) 作業の本来の職名の仕事に仕事そのものが変わってまいるわけでございます。
  84. 中尾辰義

    中尾辰義君 ちょっと聞こえなかったんだけれども、もう一遍。
  85. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) たとえば、機械が入って新しい体制になりますと、本来の保線機械係の仕事に従事することになるわけでございます。
  86. 中尾辰義

    中尾辰義君 それで、手当の内容はどうなんですか。手当が減ったと言うんです、これは。
  87. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) その点は変わりませんで、偉い職名になっておるんですから、職務手当はつかないことは同様でございます。
  88. 中尾辰義

    中尾辰義君 偉い職務についたら月給が減ると、これは大変なことですよ、いま言ったでしょう、だから。こういうような苦しい生活の中で、おまえ職務待遇が上がったんだから月給減ったんだから、それはしようがないじゃないか、将来はいいんだからというようなことでしょうけれども、現実問題として四千円も五千円も減らされたんじゃ、これは家族大変ですよ。今度はあなたの方は五〇%上げるんでしょう。電電も上がりますしね。お米代も約一〇%この前上がったところでしょう、消費者米価も。どうお考えになりますか、その辺は。
  89. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) 先生御指摘のような矛盾というものは、ある意味で賃金体系の中ではいろいろな面で生じておるわけでございまして、先ほど総裁答弁いたしましたように、いろいろな過去の労使間の交渉の中で出てきたものでございますので、そういうある一断面で言いますと、そういうものはどうしても出てまいる。それは長い目で職員感情として新たな矛盾としてまた交渉の場面で出てまいりまして、何とかしてくれという話になってまいる場合もありますし、それをそういうときどきの職員の要求と申しますか、そういうものをとらまえながら配分の交渉の中でそのときどきに措置していくというのが現実の賃金の実態でございます。
  90. 中尾辰義

    中尾辰義君 そうしますと、この問題また労使間の間において話し合いされるわけですね。それで話し合いの結論はどうなっておるんですか、その辺。
  91. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) 施設関係の職員の待遇問題につきまして、この問題だけではなしに、いろいろと本質的に施設関係職員の待遇をどうするかという問題がかねてから出ておりまして、その点につきましては従来の交渉経緯もございますので、そういうものを踏まえながら引き続き協議しようというようなことで、この問題を真剣にひとつ取り組もうというようなことで労使間で話し合いをいたしております。
  92. 中尾辰義

    中尾辰義君 それでは総裁にお伺いしますが、施設労組関係に対する公共企業体等労働委員会の仲裁裁定主文二項の問題でありますが、これに対して総裁はどのようにお考えになっておりますか。いかがですか。
  93. 高木文雄

    説明員高木文雄君) いま御指摘の主文二項の問題は、仲裁で指摘されておる問題でございますので、当然に当局側としてはそれを尊重して考えるべき問題であると思っております。ただ、施設関係につきましては、御存じのように、先般の仲裁裁定がまだ実行できないという状態でございますけれども、その配分交渉については、仲裁裁定が実行できることを期待して現在すでに進行をいたしておるわけでございまして、その過程におきまして、ただいまの問題は施設関係職員の賃金上の問題については従来の交渉経緯を踏まえ、引き続き協議するということで、この春以来の仲裁の処理については実は労使間でそういう合意が整っておるという現状でございます。
  94. 中尾辰義

    中尾辰義君 それでは、それに関連して施設関係労働者の賃金上の扱いとは、労働の仕組み、内容の改革と労働の質、量に見合った給与改善を図ることと理解をしてよろしいかどうか、その点いかがですか。
  95. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) いま言われましたことでございますが、施設関係職員の待遇につきましては、もちろんおっしゃるとおり労働の仕組み、内容の改革等に関連する賃金上の問題として引き続き協議するということでございます。
  96. 中尾辰義

    中尾辰義君 一番最後語尾をはっきりなさいよ。くにゃくにゃして聞こえないのだ、ここは。最後のところをもにゃもにゃと言わないではっきりと答弁しなさい。
  97. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) 労働の仕組みとか、内容の改革等に関連する賃金上の問題として、労使間で引き続き協議しようということでございます。
  98. 中尾辰義

    中尾辰義君 私聞いているのは、もう一遍読みますよ。  施設関係労働者の賃金上の扱いとは、労働の仕組み、内容の改革と労働の質、量に見合った給与改善を図ることと理解をしてよろしいかどうか。  こういうことですよ。
  99. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) ただいま私答弁したとおり、労使間でそういうやりとりがあったということでございます。
  100. 中尾辰義

    中尾辰義君 それから労使間でやりとりがあってどうなったの。それであなたの方はどういうふうに答えたんですか。
  101. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) ただいま私が申しましたように答弁いたしております。
  102. 中尾辰義

    中尾辰義君 やりとりがあったというふうに言っただけだって、あなたが客観的みたいに答えているから、私が理解できないのだよ。
  103. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) 先ほど申しましたように、労使間でそういうやりとり――組合側からこういうふうに理解してよいかという問いかけがありましたのに対して、当局としては労働の仕組み、内容の改革等に関連する賃金上の問題として引き続き協議していきたいというふうに答えたわけでございます。
  104. 中尾辰義

    中尾辰義君 それでは、国鉄再建をめぐり国民利用者の理解を求めることは当然でありますが、公共輸送機関としての輸送機能を現在以上に低下をさせてはならないと思うわけであります。そのために輸送基礎施設の荒廃に歯どめをかける必要性から、老朽荒廃軌道の復元に意欲的に取り組む関係職員の労働条件の改善を図るべきであると思うがどうか、この点はどうです。いまのに関連しておりますけれども。
  105. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) これも労使間でやりとりがございまして、当局といたしましては、いまのような組合側の問いかけに対しましてさきに述べたように――というのは、先ほどのやりとりのことでございますが、関係職員の労働条件については、当面の懸案事項との関連で速やかに結論を得るよう引き続き協議したいということを答えております。
  106. 中尾辰義

    中尾辰義君 それじゃ、私は午前中の質問はこれで終わりますがね、大臣、いまあなたお聞きになっていて、非常に施設労働者の賃金等に対してもかなり矛盾もあるようでありますし、低いようでもあります。その点、所感と決意をお伺いしたいと思います。
  107. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 施設関係の労働組合の方から、四十八年以降その待遇の改善について御要求があることは承知しております。  それから、これは非常にデリケートな問題で、実は私は十七、八年前大失言をして怒られたのですが、その当時は電気通信、電電公社の職員に婦人層が非常に多かった。その婦人層が多いのと、国鉄の職員のベースアップ率が仲裁裁定にほぼ同じというのはおかしいということを私は非公式に申しまして、翌日役所へ行きましたら、交換手の人に取り囲まれてえらい目に遭った経験がございます。いまの施設関係の従業員の方々の困難な労働、しかも、夜働いていて夜勤料、一般職員の宿泊料手当に匹敵しないような賃金支払いというものには矛盾を私自身も感じます。しかし、国鉄の職員の仕事は非常に多岐にわたっておりますので、やはりこれは原則として労使間で十分話し合って決めていただくべき問題だと思いますが、御質問を承った感想はいま申しましたとおりでございます。
  108. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時二十分休憩      ―――――・―――――    午後一時三十二分開会
  109. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 運輸委員会を再開いたしたす。  この際、委員異動について御報告いたします。  本日、黒住忠行君が委員辞任され、その補欠として福岡日出麿君が委員選任されました。     ―――――――――――――
  110. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑のある方は御発言願います。
  111. 中尾辰義

    中尾辰義君 それでは、午前中に引き続きまして質問をいたします。  国鉄財政関係がありますのでお伺いしますが、国鉄の出資会社、これはいろいろなものがございますが、それとその投資効果につきまして若干お伺いをします。  まず、五十年度の監査報告書によりますというと、国鉄が臨海鉄道や物資別ターミナル事業、あるいは通運、倉庫事業など、国鉄の運送事業と直接あるいは密接な関連を持つ運輸事業に対して資本金を出資しているものの会社が五十年度末現在で四十六株式会社があります。その出資金も合計で百十六億円に上っておるわけでありますが、これらの四十六社のうち、国鉄が五年前の、つまり四十五年度末までに出資をした二十五社について、出資金は二十五社合計で七十五億円にもなっておるわけであります。ところが、配当金を支払った会社は全部で五社しかなく、その配当の額も四億六千万円にすぎない。さらに、これら二十五社のうちには、国鉄が四十年度以前に出資をした会社が八社もある。このうち五十年度末までに幾らかでも配当金を出しているのは日本交通公社と広島バスセンターの二社だけで、残りの六社は配当はゼロとなっておるわけであります。  まずそこまで、それで大体実情はどうなっておるのか、その辺をお伺いします。
  112. 篠原治

    説明員(篠原治君) いま御指摘がございましたように、五十年度末におきまして出資いたしました会社が四十六社ございます。有配会社がきわめて少ないというのも事実でございます。これにつきまして、ちょっと御説明申し上げますと、私どもが出資いたしてまいりました会社にはいろいろございますけれども、国有鉄道法第六条によりまして三項目が決められておりまして、それを受けて政令第一条で個別に投資対象が定められておるわけでございます。私どもが投資いたしてまいりまじた時点におきましては、数年あるいは十年以内には配当ができるであろうというような感触で出資をいたしたわけでございますけれども、いろんな他の事情、情勢の変化等によりまして配当のおくれているものもございます。  ただ、弁解ではございませんが申し上げますならば、私どもが出資いたしてまいりましたのは国有鉄道法に定められておりますように三つでございまして、国鉄と直通運輸をする事業、国有鉄道とともに使用する輸送施設、国有鉄道の輸送業務と密接に関連する運輸事業というふうになっておりまして、私どもの出資いたしました目的は、たとえば旅客ターミナルで申し上げますならば、旅客駅の近代化と旅客輸送の利便が主たる目的でございますし、臨海鉄道について申し上げますならば、臨海工業地帯発着の大量貨物の効率的な輸送体制を整備する、あるいは物流改善に稗益する、あるいはバスターミナルにおきましては、最近の道路事情等もございますので、ともに使用いたしますバス事業者が一緒になりましてターミナルをつくったというわけでございまして、もともと必ずしもすぐ配当ができるというような性格のものではなかったということも言えるかと思います。  ただ、先ほど申し上げましたように、若干情勢の変化によりましておくれておりますけれども、いま申し上げましたような観点に立ちますならば、一般的な効果といたしましては運輸収入の増加にはかなり寄与いたしております。貨物収入におきまして、あるいは旅客収入におきまして、五十年度で申し上げましても約二千五百六十億円の収入が上がっておりますし、付帯事業収入といたしましても十億円の収入が入っておりますし、その他さまざまな効果がございますので、先ほど御指摘のありましたように、残念ながら配当収入はきわめて少ない、配当いたしている会社が少ないのは事実でございますけれども、出資いたしました分につきましてはそれ相応の効果があったのではないかと、かように考えます。
  113. 中尾辰義

    中尾辰義君 それでは、この二十五社の中で四十年以前に出資を受けながらいまだ無配を続けておる六社につきまして、各会社ごとにその経営状況の推移、出資に伴う事業の計画国鉄に対してどの程度貢献、寄与しておるのか、その辺の実績を概略説明をお願いしたい。
  114. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) いまの六社は、京葉臨海鉄道、神奈川臨海鉄道、名古屋臨海鉄道、それからバスターミナル――草津温泉バスターミナル、広島バスセンター、福岡交通センターと思いますが、これにつきまして御説明を申し上げます。  京葉臨海鉄道につきましては、国鉄の出資をいたしました年度が三十七年度でございまして、例の千葉を中心といたします京葉臨海工業地帯に地方鉄道として誕生したわけでございます。で、その後経営成績をずっとながめてまいりますと、それぞれ波動もございますが、四十二年から四十六年度まで一応先行投資の期間が終わりましてそれぞれ黒字を出しておりますが、四十七年、四十八年、四十九年はそれぞれさらに線路の建設をいたしておりますので、それの利子負担等によりまして四十七、四十八、四十九は赤字出しております。五十年度はかなりがんばりまして、約八百万程度赤字にとどまっておりますが、累積赤字で申し上げますと、京葉臨海鉄道は一億五百万程度の累積赤字出しております。なお一般的な感じで申し上げますと、やはり当初は、開業いたしまして五、六年は鉄道事業でございますので、かなりの先行投資になりますので赤字、それが一段落いたしますと黒字に転化いたしまして、さらに臨海工業地帯が開発をされるに従いまして線路の建設を行いますので、それの利子負担が再びかかってくるという形で現在まで推移をいたしております。  それから、神奈川臨海鉄道でございますけれども、これにつきましては非常な努力をいたしておりまして、たとえば倉庫業、あるいは通運業その他かなりの付帯事業をいたしておりまして、四十年度までやはり先行投資影響赤字出しておりますが、四十二年度以降は黒字を続けておりまして、現在の累積黒字は一億二千二百万円という形になっております。  それから、名古屋臨海鉄道は四十年九月に開業をいたしておりまして、これは非常に残念なことでありますが、四十五年度は黒字になりましたが、それ以後赤字を続けております。  なお、この一般的状況といたしまして、やはり四十九年から五十年度の景気停滞による進出企業の操業度の減という問題もございますし、それからオイルショック等によります四十八年度以来の物騰もございまして、こういう形で非常に苦しい経営をしておる臨海鉄道でございますけれども、最近ようやく出荷も上向きという状態になりまして、十三社を平均いたしますと対前年一三%の伸びを示しておりまして、私どもそう悲観はいたしておりません。  なお、先ほど篠原常務から話がございましたように、臨海鉄道は私どもの出資に対する配当というねらいではございませんで、できるだけ民間なり地方公共団体の資金を活用して、なおかつ国鉄の出資でもって貨物収入を上げるというのが最終目標でございますので、極力企業の健全化につきましては、私ども十分監督指導いたしていくつもりでございます。  なお、バスターミナルにつきまして申し上げます。  広島のバスセンターは昭和三十年三月、非常に古い会社でございますが、設立をいたしまして、順調な経営を続けてまいりました。三十六年度から六%の配当を行ってまいりましたけれども、四十九年の十月に地上十階、地下三階の近代的なターミナルビルを建設いたしましたために、それの借入利息、あるいは減価償却という点で財政が圧迫されまして、五十年度末では六億四千四百万円の繰越欠損をいたしておりますけれども、そもそもバスターミナル事業といいますのは、バスの発着手数料を取るのが本業でございますけれども、ターミナルの付帯事業、たとえばスーパーマーケット、あるいはそういうような物品販売等の付帯事業収入によって経営の健全化を図っておるのが原則でございまして、この広島バスターミナルは六億四千四百万円の繰越欠損をいたしておりますけれども、資金計画を見ますと、五十三年度は単年度黒字を出すようになっておりますし、五十七年度には累積六億四千四百万円が消えるという資金計画で鋭意努力をいたしておりますので、私どもはその方面に沿って出資者として協力をしていきたいと思っております。  福岡交通センターでございますが、これは昭和三十八年三月設立をいたしまして、やはり五十年度末には三億八千万円の繰越欠損をしておりますけれども、これは出発時の土地購入あるいは建設資金の借入利息というようなもので経営が圧迫されたわけでございますけれども、四十六年度以降毎年利益を出しておりまして、逐次繰越欠損金が減少いたしております。ちなみに四十六年度の当期利益がわずかでございますが、二百万円、同じく四十七年度が千五百万円、四十八年度が三千万円、四十九年度が四千万円、五十年度が二千五百万円のそれぞれ当期利益を出しておりまして、繰越欠損金は年々減少をたどっておるわけでございます。  草津バスターミナルにつきましては、昭和四十年四月、草津温泉のバスターミナルができたわけでございますが、比較的付帯収入が多うございまして、経営も順調で、五十年度末には千六百万円の繰越利益を計上しております。  以上でございます。
  115. 中尾辰義

    中尾辰義君 この株式会社大阪鉄道倉庫への出資の目的ですね、これは倉庫業務のほかに通運業務を並行させる点にあったと思うわけですが、先発の通運業者との調整がむずかしく、通運免許がいまだおりずに、四十五年度末の段階では今後における免許見通しも暗いと言われていたが、その後はどういうふうになりましたか。
  116. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) その間の事情はそう明るくはございませんが、従来後発倉庫の場合にやはり送配関係を持ちませんことには、なかなかかつての倉庫業のような収益を上げるわけにまいらぬということでございまして、新しき近代的な送配機能を持ちたいということで大阪鉄道倉庫も通運免許について努力をいたしましたが、御指摘のとおり大阪にはそれぞれ新免あるいは旧免、日本通運等、大阪梅田駅にはたくさんの通運業者がございまして、それぞれの利権の調整も非常にむずかしくございまして、いまだに大阪鉄道倉庫は免許をもらってないというのが現状でございます。
  117. 中尾辰義

    中尾辰義君 そうしますと、倉庫業務だけということになりますか。将来はどうされるのですか。将来は通運免許がとれるのか、その辺どうです。
  118. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) その点につきましては、倉庫の機能も非常に送配機能を持たない倉庫はつぶれるというぐらい厳しい現状でございますので、近き将来においては私ども出資者といたしまして通運免許を得るために協力をしでいきたいと思いますし、また経営を執行しておる方々につきましては極力私どもアドバイスをし、いろいろの点で通運業界との調整にも乗り出して、できるだけ早い機会に通運免許を持たせるようにしたいというふうに考えております。
  119. 中尾辰義

    中尾辰義君 次に、鹿島臨海鉄道株式会社ですね、これも国鉄が出資をいたしましてからもうすでに八年を経過しておるわけですが、黒字になっておるのかどうなのか。また、鹿島地域には今日かなりの企業が進出をしておるわけですが、この鹿島臨海鉄道の事業経営上の隘路はどういう点にありますか。
  120. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 鹿島臨海鉄道は四十五年十一月に開業をいたしております。それで、概要を申し上げますと、現在鹿島の臨海工業地帯の開発の経過をお話し申し上げますと、全体の計画面積は三千三百三十万平方メーターが計画としては稼働面積になるわけでございますけれども、それに対しまして各企業の進出状況がなかなか計画どおりまいりませんので、したがいまして、鹿島臨海工業地帯の稼働率全体が四四%という形で非常に低くございます。このため当初計画、当然出荷されるであろう荷物が計画どおり出荷されませんものですから、かなりの鹿島につきましては赤字が暦年、累年出まして、現在のところ四億三百万円の累積赤字になっておりますが、逐次努力をいたしまして本年度は昨年度に対して約二〇%以上の出荷を現実に努力をいたしておりまして上げておりますし、将来石油関係の増槽ということも考えられますので、この四億三百万円につきましてはかなり明るい見通しをもって解消するものだと私どもは考えております。
  121. 中尾辰義

    中尾辰義君 次に、日本フレートライナー株式会社への出資目的がフォークリフト等によるコンテナ積みおろし作業について、全国における貨物駅の拠点で本会社に独占的に事業を行わせることにあったと承っておるわけですが、これまた先発業者の抵抗が強く、事業は伸び悩みの模様であったようでありますが、これなんかは開業に当たっての業界からの圧力など国鉄として事前に調整の上出資をすべきものではないのか。また、その後、国鉄におけるフレートライナー網の拡充に伴い、営業所の設置は二十ヵ所に上っている由であるが、今後における経営収支の見通しはどうなりますか。
  122. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 日本フレートライナー株式会社は、御存じのとおり四十四年四月に開業いたしまして、これは通運業者等の圧力があったというふうにおっしゃいましたけれども、現実には駅における、ターミナルにおける通運の取扱事業、積みおろし事業を主体といたしておりまして、したがいまして、その通運のみならず路線トラック業者、あるいは区域トラック業者の物をも取り扱うという体制にいたしておりますので、現在なるほど累積黒字にはなっておりますが、その損益の状況が大体そう目立っていいというものではございませんけれども、国鉄の今後のフレートライナーの努力を積み重ねることによって業務量もふえてまいると思いますし、このフレートライナーにつきましては、必ずしも業者間のあつれきという問題は大阪鉄道倉庫のようにはないというふうに認識いたしております。
  123. 中尾辰義

    中尾辰義君 それから京葉臨海鉄道、あるいは衣浦臨海鉄道、これは出資以来無配になっておるんですね。そういう無配会社に国鉄は三回も追加融資をしているんですが、どのくらい追加をしているのか、なぜ三回も追加融資をしなきゃならなかったのか、その目的並びに理由につきましてお伺いします。
  124. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 京葉臨海鉄道から御説明申し上げます。  京葉臨海鉄道の追加融資と申しますと、四十年六月に一億五千万円追加投資をしております。これは南部線の、南の方の線の建設を新たにいたしましたので、それに充当する資金として投資を追加いたしました。同じく、四十二年三月十五日袖ケ浦線の建設で一億四千万円の追加投資をいたしております。それから久保田線の建設で四十七年三月二十九日、六千万円の建設をいたしておりまして、最近では食品線――京葉臨海の中に食品工業地帯がございますので、そこへのアプローチのために建設をいたしました。これが四十九年三月三十日、一億追加投資をいたしております。  なお、衣浦の場合を申し上げますと、四十五年三月二十八日、当初一億を出資をいたしまして、五十年十一月十五日開業でございます。五年間の潜伏期間がございました。で、本来十二億の投資を当初から計画いたしておりまして、初めから十二億を出資いたしますと資金がだぶつきますので、国鉄もそう金があるわけではございませんので、当初の計画年度に割り当てまして、四十八年六月三十日に三億、四十九年に三億四千万円、五十年十月に四億六千万円、合計追加投資としましては三回、御指摘のとおり三回、十一億を投資をいたしております。  なお、誤解があるといけませんのですけれども、臨海鉄道に対する投資の規制といたしまして、日本国有鉄道法施行令の第一条によりまして、「大規模な臨海工業地域における運送を行なう地方鉄道であって、日本国有鉄道の鉄道事業と直通運輸を行なうものの運営を行なう事業」に投資を、出資をしてもよろしいと、しかしその場合に、「新たに当該地方鉄道の建設又は路線の延長の工事を行なうものに限る。」ということで、要するに車両部分に投資をするとか、あるいは赤字であるから出資をして資金を補うとかということは一切禁じられておりまして、建設のお金に出資をした、衣浦の場合は当初計画どおり分けて出資をしたということでございます。
  125. 中尾辰義

    中尾辰義君 これはひとつ総裁にお伺いしますがね、いま私が名前を挙げましたような会社に対する国鉄の出資、これは言うまでもなく国有鉄道法第六条に基づいて運輸大臣の認可を受けてこれは決定されるわけであります。まあいま申し上げましたようなステーションビル、物資別ターミナル、そういう施設に対してまあ投資は今後も続けられるでありましょうが、その点にかんがみまして、出資の決定には慎重、適正な配慮という措置が必要ではないか、このために事務当局だけでなく部外者から成る第三者機関を加えた決定手続も必要じゃないかと思うのですが、どのようなお考えを持っておられましょうか。
  126. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 出資をいたします場合には、それによりまして旅客、もしくは貨物をよけい集めるためのいろいろな施設をつくるという場合が多いわけでございますので、必ずしも配当を期待できない場合もあると思います。しかし、いま国鉄がこういう現状になりましたものでございますから、従来にも増してその出資に対する配当ということを十分踏まえてやっていかなければならないというふうに思っております。その場合になかなか手が回りかねるといいますか、管理、監督が十分いきかねるという点もございますので、おっしゃるようなことも一つの非常に有力な御提案であると思いますし、また他にもいろいろ何か方法を考えまして、もう少し関連事業会社の何といいますか、管理、監督について強化をいたさねばならぬと思っております。その場合の一つの具体的な案としてただいまの御提案もしかと心得て考えてみたいと思います。
  127. 中尾辰義

    中尾辰義君 そこで、まあ既設の出資会社に対しては従来以上に業務の指導、監督を強化し、出資目的の早期達成を図り、国鉄へ寄与させることが大事なわけであります。これらの出資会社が国鉄運輸省OBの単なる寄宿先に終わってはならない。まあこの点を再度、どのように留意をされておるのか具体的にお述べを願いたいと思います。
  128. 高木文雄

    説明員高木文雄君) まだ、申しわけありませんが一つ一つのもの、あるいは全体のものにつきましても具体的にこういうふうな措置をとると、あるいはこういう管理、指導のやり方に変えるということを申し上げるまで私の準備、勉強ができておりません。しかし、基本的には、再度申し上げますが、国鉄の方がこういう経営状態でございますので、よほど心せねばいかぬわけでございまして、いままでもやっておったことと信じてはおりますが、改めていわばふんどしを締め直してやってまいりたいというふうに思っております。
  129. 中尾辰義

    中尾辰義君 次に、まあいろいろこれは国鉄は問題がありまして、私もどれから質問しようかと実は迷っておるところなんですよ。質問の通告もしてありますので、次は、これは全部国鉄財政関係があるのですね、どれもこれも関係がある。  それで、次は荷主に対する損害賠償に関係いたしましてお伺いします。これもまあ赤字財政に悩んでおるこの国鉄として非常に管理が大変ずさんである、こういうことで私はお伺いするわけですが、まず貨物業務を続ける限り荷主の信頼感を回復することが先決でありますが、輸送上荷主に直接損害を与えるため、国鉄の責任となるいわゆる第一種の荷物事故について見ますと、四十九年度の場合でも七万一千余件に上っております。多少改善の跡がうかがわれておりますが、この中には、輸送をした荷物の不着事故が四千百五十件、輸送をした荷物が届かない、そういう事故が四千百五十件、それから紛失事故が百五件も発生しております。非常にこれは悪性なものであります。また、主要な発生の原因と、どのような防止策をとってきたのか、これを説明を願いたいと思います。
  130. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 昭和四十九年度の荷物事故件数は、御指摘のとおり七万一千七百八十一件でございます。この事故件数、たくさん発生いたしましたけれども、それぞれの事故原因を私どもは調査をいたしまして、積極的な防止策を実施いたしております。例を申し上げますと、たとえば非常に比較的荷づくりの粗漏な荷物も多うございますので、荷主さん並びに通運業者の方々に強固な荷づくりをしてもらうようにという呼びかけをいたしておりますし、また、非常に壊れやすいものもございますので、それにつきましては取扱注意というような荷票をわかりやすいところにくくりつけていただくように御指導を申し上げているわけでございます。また、非常に減量といいまして量が少なくなる、あるいは荷づくりをしておった中の物が外にこぼれるというようなものにつきましては、貨車に積む際にはできるだけ均てんに積んでいただきまして、非常に片寄った積み方をしないように、これは特に通運業者が車扱いの場合は積みつけをいたしますので、特に監視をすると同時によく指導をいたしております。さらに、荷物が汚れますために、これは前の荷主の方の使った後の車の清掃が十分でなかったということで油等による汚損の場合も出てまいりますので、清掃を特によくやるよう励行いたしておりますほか、荷物の保管設備の改善、こういう点につきましても鋭意努力をいたしております。  まあ、その結果といいますか、それはともかくといたしまして、五十年度は先ほどの四十九年度の七万一千七百八十一件に対しまして一万八百一件の減少の六万九百八十件でございます。それで、特にいま御指摘のございました不着事故は、これは要するに、送ったけれども荷物が着かないというものでございますが、これは荷札が特に途中で落ちてしまった、そのためにだれのところに送っていいかわからないというようなことが圧倒的の原因でございまして、荷受け人の住所、氏名を荷物自体に書いていただく、あるいは荷物の中にあて先等を記入したものを入れていただくというような指導といいますか、業務掲示といいますか、そういうものを駅、あるいは電車等にポスターを掲出いたしたり、あるいは新聞広告等を利用いたしまして荷主さんに協力をお願いしておる次第でございます。  それから紛失事故は百五件で二ざいますが、これは紛失事故と申しますのは、一たん駅には到着いたしますが、配達の途中でなくなってしまった、紛失をしたという事故でございまして、これの多くはやはりトラックヘの積みつけがずさんでございますので途中でトラックから落ちてしまった。で、その荷物はどこかにいってしまったというようなのが圧倒的な原因の大半でございまして、これにつきましても関係者の事故防止に努力をいたしております。  この不着及び紛失事故につきましては、昭和五十年度は不着につきましては四十九年度の四千百五十件に対して三千二百七件、また紛失につきましてもそれぞれ減少いたしておりまして、一層今後とも荷物の事故につきましては荷主さんに御迷惑をかけることでございますので、特段の努力をしてまいりたいと思います。
  131. 中尾辰義

    中尾辰義君 それは特段の努力をなさらないとみんなトラックに行っちゃうんですよ。あなたは荷札がどうの、荷主に対していろいろとおっしゃるけれども、国鉄側の方が相当反省しなきゃいけませんですね。  そこで、四十九年度ではいわゆる濡損事故――ぬれた事故ですね、これは四千八百一件発生をしております。例年になく多いわけですが、変質事故も六千百十三件起きておる。過去十年間見ても四十八年度に次いで大量に発生をしておるわけですが、何か事情があったわけですか。
  132. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 御指摘のとおり、四十九年度の濡損事故は四千八百一件で非常に多うございます。このぬれました原因は、この年の八月、九月に台風の十四号、十六号、十七号というのが参りまして、さらに一月、二月が例の北海道、日本海側の豪雪でございましたので、特にこの八、九月、一月、二月に多く発生をいたしておりまして、五十年度は四千三十一件で、七百七十件今年度は減少いたしておりますが、四十九年度は御指摘のとおり、確かに以上のような理由で多かったというふうに考えております。  また、変質事故は六千百十三件でございまして、この七二%が要するに小荷物でございます。その小荷物の十月から十二月に多く発生いたしておりまして、品目を調べてみますとカキ、リンゴ、ミカン等でございまして、例の豪雪、あるいはその他の輸送障害がありましたので、延着等に伴いまして要するに腐りました、あるいは変質いたしましたという例が多く出たわけであります。それで五十年度はこれが五千二百七十一件でございまして、八百四十二件の減少を見ておりますが、こういう原因が重なりまして、特に御指摘のとおり四十九年度の濡損事故、変質事故は多かったというふうに考えております。
  133. 中尾辰義

    中尾辰義君 それで、四十九年度に発生した七万一千七百八十一件ですね、この事故についてそれぞれはどのようになされたのか。四十六年度に発生した事故では、発生した責任個所がどこにあったのか、不明のまま完結した件数が約半分を占めていたと、こういうように記憶しておるわけですが、四十九年度発生の事故につきましてはどうなっておるのか。
  134. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 御質問の意味は、四十九年度の七万一千七百八十一に対してどういう処理をしたかという御質問だと思いますので、そのようにお答えいたします。  四十九年度七万一千七百八十一件に対しまして、よく調査をいたしました結果、国鉄として損害賠償いたしました件数は三万九百四十一件でございます。これに対しまして、支払いました金額は三億八千百四十七万八千円でございますが、ただ私の回答で正確ではございませんのは、この三万九百四十一件支払ったという中には四十八年度分もございまして、要するに四十九年度中に支払った件数というふうに御理解をいただきたいと思いますし、また四十九年度に発生した七万一千七百八十一件につきましては、五十年度の中にでも支払いをいたしておりますので、七万一千七百八十一件と三万九百四十一件とは必ずしもリンクしないということで、十分な説明ではございませんが、御容赦を願いたいと思います。
  135. 中尾辰義

    中尾辰義君 それで、いまおっしゃったように、四十九年度内に賠償金として荷主に支払われた金額は三億八千百余万円ですよ。これは大きいですよね。過去にこれは支払われた賠償金額中で最も多いわけです。このうちでは、御承知のように変質事故や破損事故、不着事故のための賠償額が多いわけですが、このような事態は貨物事業にとってはかり知れない損失を及ぼしておると思うわけであります。その上、責任者に対する当局の処置は厳正でなければならぬ。発生原因が多様で複雑化しているということで、この点がなおざりにされておるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  136. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 賠償金額が実に三億八千万円で、大変いままでの最高であるし、高いではないか、これに対する原因は何かということでございますが、一つ原因は、やはり四十八年度以来の物価高騰に伴う対象物品の価格の上昇だというふうに考えておりますし、それから四十九年十月に運賃改定をいたしておりまして、軽過失の場合には国鉄運賃の収入をいたします運賃額を限度といたしましてお支払いをいたしますので、その限度が運賃改定によって高くなっておるということも一つ原因かと思います。なるほどそれらに対するまた事故の原因でございますけれども、国鉄と連絡運輸を行っておりますたとえば私鉄のような場合、あるいは通運の配達業務を委託しております通運業者というような場合には、当然先ほど紛失のところで申し上げましたように、トラックで途中で落ちたと、そして荷物がなくなったというような場合につきましては、当然賠償額の全額を求償をいたしております。   〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕  なお、賠償単価の推移を参考までに申し上げますと、単価といたしましては昭和四十七年度は七千百七十九円でございましたですが、昭和四十九年度は一万二千三百二十九円ということで、約五千円アップをいたしておりますし、通運業者あるいは私鉄への求償額といたしましては、損害賠償で支払いました額の約一割弱というふうにお考えいただきまして、昭和四十九年度は二千九百万、約三千万でございますが、これを通運業者または私鉄からちょうだいをいたしておるわけでございます。  なお、最後に職員の責任者に対してはどういう措置をとっておるかということでございますけれども、現実に取り扱いをいたしました職員に、まあ故意とか、あるいは非常な重大な過失がありました場合には厳正な措置をとっております。例を申し上げますと、昭和四十七年の八月三十日に岡崎駅の構内で、構内作業指導係が、貨車に積み込まれております輸送途中の自動車を損傷させた事故がございますが、これには厳重な減給処分をもって臨んでおります。  なお、小荷物のように非常に中継も多岐にわたりますし、多くの業者の手を経る場合には、なかなかその責任者の所在を突きとめることは非常にむずかしゅうございますので、非常にこのように厳正な措置をとるという例はきわめてまれでございます。申し上げておきます。
  137. 中尾辰義

    中尾辰義君 それから今度は、事故を起こした以上、国鉄としては早急に荷主に対しまして適正賠償金を済ませることがこれは肝要であるわけですね。そこで事故の処理、賠償に日時を要し、荷主からせき立てられて、苦情を申し込まれることがしばしば生じておるわけであります。私ら何回もこういうことを聞くんですがね。  こういう点に関係して、日本初の長距離トラック定期便を走らせました日本運送の大橋社長はこう言っておりますよ。「万一破損事故が発生したら、国鉄の補償は長引くようだが、当方は一週間で解決をいたします。」と、このように言って荷主を説得し、そのとおり実行していると、こういうふうに聞いておるわけですが。  そこで、国鉄はこの種事故の処理期間の短縮化についてどういうふうに努力をしているのか、ここら辺が非常に損害を受けた側から言いますと国鉄に対する不信があるわけです。それで、貨物のお客さんもだんだんトラックにとられていくんです。非常に大事なところです。どうです。
  138. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 確かに国鉄の場合は、継送作業あるいは他業者の手による集配作業というものが総合的に行われて、一つの輸送を完結するという形になっておりますので、たとえば戸口からトラックで戸口へ行くという場合と違いまして、多くの輸送機関が介在することが多うございますので、現実問題として確かに一週間で解決しなさいと言われました場合にも、かなり困難な問題があろうかと思います。現在極力努力をいたしておりまして、大きい金額のものにつきましては五十日ぐらいかかるものもございます。しかしながら、非常に金額の小さいものにつきましては、全国に四十二ヵ所の荷物相談センターを設置いたしまして、これに現場限りで処置をさせておるというような実態でございます。  その実態を申し上げますと、事故が発生したということで荷主さんが申し込まれましてから十日以内、あるいはもう少し細かく言いますと五日以内に処理をいたしておりますのが七三%。それから六日から十日間が一九%でございまして、十日までで九二%の処理を、金額の小さなものについてはできるだけ迅速に処理をいたしております。しかしながら、何千万というような金額の張るものにつきましては、やはり私どもとしましては、十分調査をする必要もございますので、あるいは荷物の評価その他の点につきましても、いろいろと実態調査をする必要がございますので、必ずしも御指摘のように満足の、十分迅速に処理をするというような実態にはなっておりませんが、今後できるだけ努力をして、日本運送の長距離トラック便に対等にということにはまいりませんけれども、私どもとしては、できる限り早く賠償処理を片づけたいというふうに考えております。
  139. 中尾辰義

    中尾辰義君 それではこの問題を終わりまして、次に議題を変えまして、国鉄の中央線岡谷-塩尻間の新線敷設問題につきまして若干お伺いしたいと思います。中央線岡谷-塩尻間の近道の新設計画につきましてですが、赤字で困っているはずの国鉄がわざわざ一番金もかかるし、手間もかかる最悪のルートに新線を敷くのは納得できない、こういうことで住民が取り消しの行政訴訟まで起こしている。十分御存じでありましょうけれども。そこで、この地元の岡谷市におきまして十年戦争と言われているように、この問題がなかなかいままで時間も食っているし、完成を見てないわけですが、当初の計画でいつ完成をする予定であったのか、またおくれておる理由は何か、そういう点をまずお伺いします。
  140. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) ただいま中央線の複線化をこの十年来進めておりまして、いま先生の御指摘の区間は岡谷市から塩尻の区間に至りますところでございまして、この計画をいたしましたのは、中央線全体の複線化計画の時期でございますので、いま先生のおっしゃるように、約十年ほど前に計画をいたしました。その間計画はいたしましたけれども、地元の方々の非常に強い反対が一部にございました。しかしながら、岡谷市としては、ぜひ岡谷市を通って塩尻に至るルートについて建設してほしいという、市及び市議会はそういう方向で強く要望がございました。  私の方も市全体の意向を入れて、一部非常に強い反対がございましたけれども、市の意向を入れたルートで建設を一応しようということで、昭和四十一年に運輸大臣の認可を得て、約七、八年間ルート論争がございまして、ようやく昭和五十年、昨年の十月になりまして、建設大臣の事業認定をいただきました。ただいま鋭意工事を進めているところでございます。当初の完成予定は昭和四十六年を目途に進めたのでございますが、いまのような実情でございますのでおくれました。ようやく昨年から鋭意工事を進めておりまして、ただいまは昭和五十四年度を完成目標に努力をいたしております。
  141. 中尾辰義

    中尾辰義君 それで、私は質問をわかりやすく言うために、いままで国鉄は三つの案が出ているわけですから、下諏訪と塩尻、この間を第一案。下諏訪-岡谷を通って塩尻、これが第二案。それからさらに飯田寄りの方を通るのを第三案と、こういうことで質問をいたしますから。  第一案、つまり下諏訪と塩尻間がこれがあったと思うわけですが、これについて国鉄は勾配の問題を挙げているわけですが、勾配は基準値が二十であり、技術的に可能でもある。しかも、飯田線は赤字線であり複線化の必要もないという反論もあるわけですね。なぜ経費の面、技術の面、交通緩和の面で最もよいと言われる第一案が第二案、第三案となってきたのか。中央自動車道もできるとすれば、第一案がよいではないか、こういう意見、これに対してどうお考えになるのか、どういう御意見なのか。
  142. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) いまの第一案とおっしゃいますのは、岡谷市を通らないで、一つ手前の駅の下諏訪の駅から塩尻に通るというこういう案でございます。東京から塩尻に参りますには、岡谷を通らないで当然一つ手前の下諏訪から塩尻の方へ行きました方が距離的にはわずかでございますけれども近うございます。したがって、運転時分から申し上げますと、約二分ほどこの方が時間的には早うございます。しかしながら、岡谷という一つの非常に大きな町を通らないという欠点がございます。したがって、お客様の利用状況から見ますと、やはり岡谷という大きな市を通ってルートをつくる方がよかろうというふうに考えておるのでございまして、勾配が千分の二十だからということで、あるいはきつくなるからということではございません。むしろ利用者の方々を考え、なおかつ岡谷市当局並びに岡谷市民、市議会がぜひ岡谷を通ってほしいという非常に強い要望もございまして、岡谷を通る案を原案として私の方は考えた次第でございます。
  143. 中尾辰義

    中尾辰義君 それから経費の問題でありますが、国鉄からいただいた事業認定申請書、つまり昭和四十二年の十二月に時の国鉄総裁石田禮助より建設大臣の保利茂氏に提出されたものによりますと、岡谷-塩尻間の事業経費が六十一億、ところが昭和五十年八月事業認定が一部変更された建設大臣あての申請では百三十億円と大幅にふくれておるわけであります。関連資材の値上がり、そういうものがあったということは言えますが、非常に計画がずさんである、こういういろいろ地元の批判もあるんですが、その点はいかがでしょう。
  144. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 四十二年に事業認定を申請いたしたそのまま昨年、五十年ですか、大臣に認可申請いたしましたときに比べまして完成時期が変わってまいりましたものですから、工費と工期だけを訂正いたしまして改めて建設大臣に事業認定の申請をいたしました。そのときの額がいま先生のおっしゃいますのは、当初昭和四十二年に申請したときには六十一億ということで申請いたしました。昨年申請しましたときには百三十一億ということで金額を訂正して出しました。しかし、ルートその他が変わったわけではございません。したがって、この間の金額の増はちょうど約八年間にわたる物価、工事費の増によって変更したものでございます。
  145. 中尾辰義

    中尾辰義君 それじゃ、この新聞記事に問題が出ておりますし、私も疑惑を持っておるんで種々お伺いしますが、まず経済的に見てA、B、Cの三つの案の中で最も高く経費を要するという点でありますが、これで一案から三案までそれぞれの工事費の内訳はどういうふうになるのか、その辺いかがですか。
  146. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 国鉄の原案がいま一番高いという先生の御指摘でございますけれども、岡谷を通っていま塩尻に至る、私の方でいま考えております案が工事費としては一番安いというふうに私の方は比較検討いたしております。ただ、実際には私の方の原案以外は詳細な測量をいたしておりませんので詳細な比較ではございませんが、図上においてトンネルはたとえば一キロ幾ら、橋梁は一メーター幾ら、そういう比較をいたしまして出した案では、私の方が考えております案が一番工事費は安いというふうに確信をいたしております。ほかの案とそれほど多くはございませんけれども、ほぼ一割前後の範囲内において、私どもの原案が一番金額的にも安い。しかも岡谷市を通っていくという意味において地元の方々の非常に御要望に合っているというふうに考えております。
  147. 中尾辰義

    中尾辰義君 それじゃ具体的にお伺いをしますがね。まず国鉄案ですね。これは天竜川を越える鉄橋は五本かかる。第二案の方は一本でよろしい。今度は買収に関係する対象民家と工場は、国鉄案の方が民間が八十八、工場は二、第二案の方が民間が三十三で工場は七、それから敷設距離と買収用地面積、これは国鉄案の方で中央線、飯田線入れまして三千二百四十七メートル、第二案の方が三千百七十メートル、こういうふうになっているのですが、それに対してお考えいかがですか。   〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕
  148. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) ちょっと先生の御質問が、第一案というのは、先ほどから一案、二案、三案とおっしゃっていますけれども、第一案と先生がおっしゃいましたのは下諏訪から塩尻に至るのが第一案、第二案は岡谷を通って塩尻に行くのを第二案、それから第三案はただいまの中央線沿いに辰野の方を通って塩尻に行くのが第三案、そういうふうに先生先ほどおっしゃったのですが、それでよろしゅうございましょうか。
  149. 中尾辰義

    中尾辰義君 結構。
  150. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) そういたしますと、第一案と第二案では、第一案では、用地買収面積が二十一万七千平方メートル、支障家屋が百三十九戸ということになっています。第二案、いわゆる岡谷を通る案では、用地買収面積が十六万四千平方メートルで支障家屋が百二十五戸、それから第三案の辰野を通って行く現在線に併設する案では、用地面積が二十六万平方メートルで支障家屋が百九十六ということで、面積、支障戸数ともにただいまの岡谷通過案が一番少ないというふうに考えております。
  151. 中尾辰義

    中尾辰義君 それで、この新聞を見ますると、国鉄の野口線増課長の話として、第三案が「種々検討の結果決まったことで自信を持っている。」こういうことです。あなたのおっしゃったようなことだろうと思いますが、この自信の内容、中身ですな、それをもうちょっと説明してください。
  152. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) ちょっと補足さしていただきますけれども、先生がいまおっしゃった、あるいは野口線増課長が言った第三案というのは、先生の最初に言われた三案とちょっと違いまして、第二案の岡谷市を通るルートの中にイルートを通るのとロルートを通るのと二つございまして、そのうちのロルートを通るのが国鉄としては一番いいということで、それが一番いい、それをいまの先生のお話では、それがどうも第三案というふうに考えられるようでございます。したがって、私の方は岡谷を通るのが第二案、第二案の中でしかもイとロがあって、ロを通るのが一番よろしいというふうに考えておるわけです。
  153. 中尾辰義

    中尾辰義君 それで、経費の問題につきまして、技術的な可否の関係も大きな問題があるようでありますから、お伺いしたいのですが、立体交差が技術的に不可能であるという岡谷市長あて昭和四十七年高橋建設局長の回答は、わかりやすく具体的に言いますとどのようなことなのか、また立体交差の部分についてちょっとわかりやすく説明をしていただきたい。
  154. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) いま最初に先生が地元から訴訟が出ておるというふうに言われました。その訴訟になっている、いわゆる事業認定に対する訴訟でございますけれども、いま岡谷を通る案の中にイとロがございまして、私の方はロの案をとっておりますけれども、地元の方々はイであるべきでないかということで実は訴訟になっているわけでございます。そこで、当時私の方はロの方がよろしいということで発表いたしました。ところが、岡谷の市及び反対派の方々がそれぞれ、国鉄の案だけでは信用相ならないから、一応第三者の意見を聞こうということで、岡谷市自体は国鉄の案と同じような、いわゆるロの案を第三者の方に検討をお願いしました。それから、地元の反対の方々は第三者の先生に、岡谷市を通るイの案についての鑑定依頼をお願いしました。イとロについておのおの第三者の専門家の間でいろいろ議論があったわけでございます。  そこで、地元の反対の方々は、イの案について一体国鉄ではどういうふうに考えるんだと、国鉄案と比べてむしろイの方がよろしいんじゃないかという意見が出されましたのに対しまして、私の方は国鉄の意見として、まず地元の方々が言われるイの案を実施するためには岡谷の駅を移転しなければ技術的にはできない。それから、イの案を実施するには、線路と線路の立体交差の関係でもう少し設計を変えなければできないというようなことを、国鉄の意思として岡谷の市長あてに、地元の反対の方々が言われるイの案について、その点で非常に問題があるから技術的にはできないんだということを国鉄の正式の意見として申し上げた次第でございます。
  155. 中尾辰義

    中尾辰義君 いや、私は立体交差の部分を聞いているんですよ。
  156. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) いまの中央線は岡谷から辰野の方ずっと南に回って、それから北に上がって塩尻に行く非常に長い迂回ルートをとっているのが現在の線でございます。この長さは三十一キロもあって、非常に迂回の長さでございます。今度新しく計画いたしましたのは、そういう迂回をしないで、岡谷市から塩尻に真っすぐ複線のルートをつくってしまおうという計画案でございます。しかしながら、現在ある辰野経由の線を廃止するわけにはまいりませんので、新しくつくった線と現在ある辰野の方を通っている線と両方を成立させながら新しいルートを決めなきゃならない。したがって、新しいルートと、いまある辰野の方へ回っている中央線との立体交差をするためには、勾配並びに曲線半径その他の技術基準に従ってやりますと、国鉄の案の方がすぐれておりまして、地元の方々が言われるイの案についてはその交差が非常に困難である。それを実施するためには急勾配を使わなければならぬし、あるいは岡谷駅の移転をしなければならぬという問題が出てくるということでございます。
  157. 中尾辰義

    中尾辰義君 これは、元国鉄技術研究所の軌道研究室長でありました高橋博士の説によりますと、交差する地点における将来の飯田線と中央下り線との空頭の問題が問題になったやに聞いているんですがね、そこで、この空頭は六・七九メートルとなって、最小限必要空頭六・四メートルを満足しているという、こういうこれ反論もあるんですが、この点いかがですか。
  158. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 当初、その高橋博士が出されましたときには、五メートル何がしかの余裕しかないロケーションを出されました。線路と線路の高さの差は最小限五メートル何がしかあればよろしいんですけれども、実際には線路を受けるけたの高さだとか、あるいは砂利の高さだとか、そういうものもございまして、六メートル四十なければ交差ができません。私の方はその点をまず指摘しまして、高橋先生が出された案は空頭が足らないと。したがって、もう一遍それは検討すべきではないかというふうに反論をいたしました。その後、先生もそれはそうだということで、また新しい案としてその六メーター四十をとれるような案をつくってこられたわけです。したがって、それをつくりますと、いま申し上げましたように岡谷の駅を百数十メーター移転しなければそのロケーションはできないわけでございます。したがって、岡谷の駅を移してまでそういうふうにいたしますと、地元の方々にも問題がありますし、私の方の工事をする側から見ましても、駅のお客さんを扱いながらいまの駅を百数十メーター移すということは技術的に非常に困難である、お金に換算すれば、逆に言えば工事費が非常に高くなるということでございます。
  159. 中尾辰義

    中尾辰義君 それから、日大教授の大塚氏はこういうことを言っていますよ。緩和曲線と縦曲線は競合しておらないで技術的に可能であると。これまた、この方も専門家でありますから、国鉄と意見がまた正反対だということだ。交差の問題、曲線競合について、国鉄当局にやればできないことはないと言う人もおるわけですが、その辺いかがですか。
  160. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) これも先ほどの空頭の問題と同じで、最初に出された案がいわゆる線路の曲線と、それからもう一つ縦曲線という縦の方の曲線とその二つが重なった、いわゆる私の方から見ればこれは技術基準に違反をしているロケーションをされたわけです。したがって、その点も私の方から御指摘申し上げて、これはいまの国鉄の基準からいくと基準に合わないというふうに御指摘を申し上げましたら、それを直すためにまた新しいルートを選定されました。そのルートはやはり駅の移転を伴わないとできないルートでございます。したがって、縦曲線と円曲線を両方重ならないようにするために及びさっきの駅の橋梁の空頭をとる二つの理由から駅の移転が必要になって、駅を移転をすれば理論的にはいま先生のおっしゃる大塚博士の案はできるわけでございます。
  161. 中尾辰義

    中尾辰義君 そうしますと、両方可能ではあるが、片方は駅をこれは相当ずらさなきゃいけないだろう、これをやればできると、こういうことですか。
  162. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) ただ、動かすというだけではなくて、駅を動かすためにはその付近の道路との関係がいろいろ出てまいります。しかし、理論的には駅を動かしてやればできるということでありますが、駅を動かすのも、先ほどから申し上げているようにお客さんを扱いながら百数十メーター動かす、なおかつこの案ですと駅自体を一メーターぐらい高くしなくちゃならぬという、そういう両方の問題がございまして、理論的には可能であっても、技術的にはこれはできないというふうに考えております。
  163. 中尾辰義

    中尾辰義君 成田町案というものも当初は国鉄計画案として考えられていたものだと聞いておるわけですが、実際はどうなんですか。
  164. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 十年ほど前に計画したときには計画の段階では、ロケーションやります場合にはいろんなルートを検討をいたします。したがって、検討の中の一つにあったことは事実でございます。しかし、検討した結果、その案はとれないということで、その案でない案で、ただいま発表しておる国鉄の案が一番よろしいということで、私の方は国鉄案を採用をした次第でございます。
  165. 中尾辰義

    中尾辰義君 なぜ最終案が第三案、すなわち橋原案になったのか、地元の訴えた人の声では、新聞にも出ておりますが、政治的な働き、あるいは臭いものがあったんじゃないかと、こういうようなうわさも出ておるわけですが、この辺はどうなのか。メリット、デメリットをあわせてお伺いをしたいと思います。
  166. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) いまのは岡谷を通過する中のイの案とロの案の比較かと思いますが、いずれも第二案でございますね。このイの案とロの案はわずか数百メーター離れているだけでございます。したがって、通常政治的というような言葉が使われるとすれば、それはいわゆるこの駅を通るか通らないかという非常に離れた問題でございまして、わずか百メーターか二百メーターの間で政治的にこちらの案がいい、こちらがいい案ということはまずあり得ないことでありますし、私の方もそんなことでルートを決めた次第ではございません。これは当時の関係者からよく私も聞きまして、そんな問題でなくて、本当に純技術的に決められた問題でございます。  で、なぜいいんだということは、まず一番問題は、先ほど申し上げたように、岡谷の駅を移転をしないで、そして技術基準に合わせて最小の工事費のものという考え方でございます。で、先ほども申し上げるように、一番の問題、その問題を基準にしまして、じゃ用地買収の支障面はどうだ、あるいは支障家屋はどうだと、そういうこともあわせて、なおかつ町の形態から見てどうであるということも含めまして判断をしたものでございます。
  167. 中尾辰義

    中尾辰義君 同じ技術問題で、岡谷駅構内のホーム一部改修に伴う一般利用者への影響はどうなるのか。それから、構内を大幅に移動しなければ成田町案が不可能であるというあなたのおっしゃったことについても、その必要はないという反論もあるわけですが、それに対してはどうなのか。
  168. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) これは技術問題でございますので、法律論争じゃわかりませんので、技術的に解明すればこれは明らかになると思います。そこで、いまの成田町案というのと国鉄案と二つ実は案が出てまいりましたわけでございますが、この問題は先ほどもちょっと触れましたけれども、岡谷市が両方の案について第三者の先生方に二つの案についての比較検討をお願いしたわけです。その結果、昭和四十八年だと思いますけれども、現地の市議会の中においてこの両案に対する第三者の技術の方々の説明会がございました。両方の案を十分市議会がお聞きになった結果、成田町案はとれない、これはやはり国鉄案が技術的によろしいのだという結論を得て、市議会の九割以上の方が国鉄案に賛成という議決をされたというふうに私は伺っております。
  169. 中尾辰義

    中尾辰義君 国鉄案による成田町案図面を見てみましても、岡谷駅改修はホームを壊す必要はなく、また下諏訪側に増線する必要があるとは明示をされていない。ホーム増設は国鉄図面には見られず、国鉄成田町案にのみ見られ、岡谷駅を不必要に拡大して、そのために東京寄りにふくらみ、そのために線路が延長し、東京寄りの踏み切りが混雑すると言われるが、その心要なしとする案もあるわけですね、それについてどうお考えになるか。
  170. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 再々申し上げますように、これは全く技術的な問題でございますので、位置は動かさなくちゃなりませんし、また高さも変えなくちゃならないというのが私の方の見解でございます。しかも、岡谷市議会は十分その意見について納得されて市議会の議決を経た線路でございますので、私の方はそれ以上申し上げるあれはございません。現実にただいまの国鉄の案でこの岡谷市内の用地買収も八割ほど済んでおります。いままでは非常に反対の方が多くございましたけれども、昨年の二月以来逐次買収に賛成される方が出て、ただいま八割の方が用地買収に応じるか、または、ただいま交渉中というのが実情でございますので、その点を申し上げておきたいと思います。
  171. 中尾辰義

    中尾辰義君 それから、鉄橋の建設と河川管理の問題でありますが、これは災害との関連もあるので、どちらがどのように支障を来すのかお伺いします。
  172. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 川に橋梁をつくる場合に、一番問題になりますのは橋脚の本数が何本あるかということと、橋梁と川の交差する角度が直角ならよろしいのですけれども、どのぐらい急であるかというこの二つの問題が河川の水の流れから見た場合に問題でございます。そこで、いま国鉄案は天龍川を二度渡っております。それから、成田町案というのは一度だけでございます。しかしながら、そこのいま申し上げた渡る角度については国鉄案の方が直角に近うございます。地元のおっしゃる成田町案は非常に急な角度で天龍川を渡っているというので、河川に対する影響については急な角度で渡る方が私の方は影響が大きいだろうというふうに考えております。
  173. 中尾辰義

    中尾辰義君 それから環境の問題について、国鉄の案より第二案が公害の面でよりベターである、こういう意見もあるようですが、この点についてはどうですか。
  174. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 地元の反対の方々がおっしゃられるのは、地元の案の方が住宅よりもまあ工場のようなものに近いので、地元の案がよろしいのじゃないかというような御意見かと思います。しかし、実態を見ますと、すでに私の方の案は、もともとあります中央線沿いにつくってありますので、先ほど申し上げましたように支障の家屋の戸数も少ないし、買収面積も少ないということで、後はむしろ都市施設、すなわち道路とか、あるいは公園とか、そういうものとどうマッチさせるかということによって環境との関係は決まると思います。したがって、今後そういう点ではよく市と協議して、環境整備についてはいろいろ配慮したいと思いますが、いまの現状のままでどちらがいいか、これは私にはちょっと判断いたしかねる問題でございます。
  175. 中尾辰義

    中尾辰義君 これは運輸大臣国鉄総裁、いままでずっと質問をお聞きのことと思いますが、この問題はすでにもう十年間もなっているんですね。ですから、これは長期間を要しておるわけでありますから、このルートの選定に当たりまして、よく住民との意見交換を行い、検討を加えるものは加え、調和を図ることを要請するわけですが、この点につきまして、最後にこれは大臣ですか、総裁ですか、一言お伺いしましてこの問題は終わります。
  176. 高木文雄

    説明員高木文雄君) いかなる場合にも住民の方々の御意見を十分拝聴しなければならないということで、路線の選定についてもいたすべきものと思います。ただ、本件に関しましては、ただいま担当理事から御説明申しましたように、岡谷の市とかなり密接に今日までも連絡をし、岡谷市の意見も聞いて決めておるわけでございまして、私も先般ごく概略でございますが話を聞いておりますが、いままでのところではいまの案で進めさしていただきたいというふうに思っております。ただ、まあ一部の方々に反対があり、訴訟が起こっているわけでございますので、訴訟でありますので、その経過もまた見ていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。一般論としましては、御指摘のように地域住民の方々にいろんな意味で便益もありますけれど、直接被害をこうむる方々もあるわけでございますから、その辺はよく広く意見を伺って私どもの計画を決めるという基本方針であることは御指摘のとおりでございまして、今後もそのようにしてまいりたいと思います。
  177. 中尾辰義

    中尾辰義君 それじゃ、その問題はこれで終わりまして、次に用地の管理、処分につきましても非常に問題があるようでありますから、若干お伺いをしたいと思います。  五十年度財政再建計画実施状況報告書、これを見ますと、国鉄では未利用資産の積極的な有効利用等、利用計画のない用地の処分を促進するため五十年度に未利用地の総点検を実施した由であります。まずこの現在までの点検状況、その調査結果、これにつきまして説明を願いたいと思います。
  178. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 行政管理庁から五十年度国鉄の用地の問題について御指摘がございました。その御指摘の主なものは、まず一つ国鉄の用地は非常に細長く全国にまたがっているにかかわらず、用地の境界がはっきりしない。それに伴って図面等が正確なものが必ずしも全部整備されていない。したがって、用地のそういう図面の管理、用地ぐいの管理を含めてもっときちんとすべきではないかというのが御指摘の第一点。それから第二点は、そうやって国鉄の用地がわかったならば、その用地の中で国鉄の事業に必要な土地と、それから要らないいわゆる未利用地と、どういうふうにそれを区別して管理しているんだ、そういう点をもっと明らかにせいというのが御指摘の主な点でございます。  第一点の国鉄の用地ぐいは、確かに用地境界線は、これはもう明治の時代からあるいは私鉄を引き継いだり、あるいは戦争を受けたりいろんな点で用地の境界が不明確な部分が全延長の約一割近く境界ぐいが明確でないところがございます。山の中の田舎等では必ずしもそれがそうはっきりしなくても実態としては差し支えなかったというようなこともございまして、用地の境界が約一〇%ほどくいがないというのが従来の、昨年度までの実態でございます。したがいまして、私の方はその用地ぐいをまず打って、そしてそれの図面をつくって、そして登記漏れをしているものは再登記してというような処置をこれから約十年計画で進めようということで、五十一年度からやることにいたして正確を期したいということを、これは外注で主にやるんですけれども、外注のそういう用地関係者を動員して、それを正確にしていきたいということをただいま実施いたしております。  それから用地の、これは使っているのか使っていないのかということについては、これはまず本社に土地管理委員会を置き、また地方の管理局にその管理委員会を置いて、これは必要であるか必要でないかという判断はいろんな角度から検討しなくてはなりませんので、まず運転サイドで要るのか、営業サイドで要るのか、あるいは施設サイドで要るのか、そういう非常に関係者が多うございますので、おのおの合議をするための委員会をつくって、まず要るか要らぬかということを決める委員会をスタートさしております。そこで要るか要らぬか判定しまして、それを台帳に登録し、なおかつある一定面積以上のものはコンピューター処理をして正確を期そうということをスタートさせております。
  179. 中尾辰義

    中尾辰義君 現実には未利用地であるのに、これが未利用管理台帳に登録をされないで把握漏れとなっている、これがかなりあるようであります。また、その一方ではすでに利用され、あるいは売り渡し済みの土地であるのに、なお未利用管理台帳に登録をされていた事実もあります。少なくともこういうような点につきまして、この総点検によって把握をされ、是正整理されるのかどうか、この辺はどうですか。
  180. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 五十年度末の実態は把握しておりますけれども、いま申し上げましたように五十年度後半から五十一年度にかけて、ただいまも、これから先もでございますけれども、未利用地であるのかどうかという正確な実態をいま把握をいたしております。したがって、これは正確に把握をすれば、また若干数量は変わってくると思いますけれども、一応未利用地の面積というのは再々実はここで申し上げておりますように、国鉄の用地の約三%ぐらいの未利用地がある、その大枠は変わらないと思いますが、個々にはいろいろ正確な資料が逐次整備されてくると考えております。
  181. 中尾辰義

    中尾辰義君 いま私が質問しましたが、そういう管理台帳というのはそれはいいかげんのものなんですか。未利用地利用されたり、利用されたものが未利用地になっているし、どうなんですか、これ。問題ですよ。
  182. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) ただいま申し上げましたように、くいのはっきりいたしております――これは私の方とその境界側の地主の方と立ち会わないとくいが正確に打てません。したがって、全国のくいがきちんと打たれれば一寸一厘違わない面積が出てまいります。それはまだ完成しておりませんので、そういう点では不十分というか、ラウンドナンバーといいますか、そういう点がございます。  それからもう一つは、毎年毎年非常に大きな、たとえば立体交差の工事だとか、踏切の改良だとか、道路つけだとか、いろんなそういう用地の面積を動かす仕事をたくさんやっております。そういうことから新たに未利用地というものが毎年生まれてまいります。そういう意味においては毎年実はそれが数字が変わってまいります。そういう意味で、ただいま現在のが不正確だと申し上げているんで、刻々実はそういう点では変わってまいりますが、大部分の土地については厳密に処理を、所管をいたしております。
  183. 中尾辰義

    中尾辰義君 この行管の抽出調査の結果では、未利用管理台帳上は国鉄として利用計画であるとされているが、行管によりますと当該利用計画の実現性はないと認められたものが全部で五十六件ですよ。六十六万九百三十四平方メートルもあったはずであります。これら用地のうち国鉄としても、結局行管の認めるように利用計画の実現性はないものと見なして利用計画からさずされたものもあるのではないかと思われます。その状況を述べてください。
  184. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) おっしゃいますとおり、この利用計画があるであろうということは、これは将来の交通計画がどうなるか、あるいはいま未利用地でございますけれども、先ほどから御指摘のようにもっと関連事業をやったらどうだということでいろんな意見があって、いろんな角度から検討されている土地はたくさんございます。またもう一つ大きな問題は、たとえば東北新幹線等が建設されますと、東北線沿いにある土地というのは、東北新幹線の土地といわゆる相互交換ということが非常に多く出てまいります。そういう意味で、私の方は土地を持っておりませんと、新しい東北新幹線等つくる場合の代替土地として確保しておりませんと、実際に用地買収がうまくいかないということがたくさんございます。そういうものも私の方は利用計画があるんだというふうにまあ一般に解釈していたわけです。  しかし、詳細に調べていきますと、その中から行管の御指摘のようにこれは早く売った方がいいんじゃないかという土地等もたくさんございましたので、そういう点をよく整理しまして、できるだけ不用の土地については速やかに処分をして、わずかでも国鉄財政に寄与するようにしたいというふうに考えております。
  185. 中尾辰義

    中尾辰義君 そうしますと、今度総点検のねらいは、あらためて未利用地を把握し、確立した上、この中から不用地を選定することにあったわけでありましょうが、現段階ではどの程度の用地が不用地として選定をされているのか、その内容をお伺いします。
  186. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 事業に供されてない土地が二千万平方メートルほどございます、全国で。そのうち事業計画等が考えられておるものが約四割ほどございまして、後の六割が完全に要らないというのが従来からの一応検討結果でございます。しかし、これは本年度も引き続いて現地で管理委員会を設けて正確に精査しておりますので、若干数字が変わってくるかと思いますが、大ざっぱに申し上げますと、というか、五十年度末で考えていた完全に不用地というのが千二百八十万平方メートルございます。
  187. 中尾辰義

    中尾辰義君 かつて本社が将来とも利用計画がなく、売却しても経営上支障がない、こういうふうに定め、管理局等に対し積極的に処分するよう指定した七百一件、八百八十六万平米にのぼる不用地、いわゆる指定物件について今日までの処分の概況はどうなっておるか。
  188. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) ちょっといま一件一件の資料を持ち合わせておりませんので一件一件についてはあれでございますが、大体昨年度の、五十年度の用地売却はちょうど百億ちょっとでございますけれども、百六億ほど売約をいたしております。したがって、いまおっしゃられたのはその数量の中に大部分が含まれているんではないかというふうに考えておりますけれども、非常にまとまって大きな土地については、地方自治体の財政事情もあって、年度末になりませんと地方自治体の方も支払いができないというようなことで、一件一件についてはいろいろ問題があろうかと思います。  なおかつ、いろいろ最近は競争入札等で売却の公示をいたしますけれども、一般公開競争入札で売却いたしましても、私どもの予定価格ではなかなか売却ができないという実態が最近の実情でございます。
  189. 中尾辰義

    中尾辰義君 五十年度における不用資産の処分目標が三百億円であったが、その処分実績は百六億円、これにとどまっているわけです。これはなぜこうなったのか、その原因をお伺いしたい。
  190. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) いま申し上げましたように、非常に高い目標を掲げましたのは、私の方の推定で、先ほど申し上げました千二百八十万平方メートルというものの価格が約三百億ある。それからなおかつ毎年、先ほどから申し上げているようないろんな事業をやっていって不用地が毎年幾らかふえてまいります。そういうことから、もうできるだけよけいとにかく処分をしたいということで非常に高い目標を掲げておりました。ところが、一生懸命やりましたけれども、先ほど申し上げましたように、地方自治体の財政事情その他公開入札をやりましても入札が落ちないというようなことで、最終的には百六億という結果におさまったのが実情でございます。
  191. 中尾辰義

    中尾辰義君 今日の不況のもとで、いま答弁ありましたが、地方自治体等における財源難、あるいは地形の不整形などのせいもありましょうけれども、現場の用地担当職員がよく言っているように、国鉄当局は自治体と公共団体を売り渡しの相手方とする場合を除いては随意契約の方式をとってはならぬと厳しく解釈していることが大きな隘路になっておりはしないかという意見もありますが、この点いかがでしょう。
  192. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 先生のおっしゃいますように、公共自治体に対しては随意契約ということでいたしておりますけれども、一般に土地を売る場合には、ただいまのところでは特殊の場合以外は随意契約はいたしておりません。これはいろいろ非常に全国多くの場所で多くの土地を抱えておりますのでいたしておりませんけれども、いまのように非常に早く処分をしたいという目的からは随意契約の方が早いかと思います。しかし、厳正公正を期しながら、なおかつ早くという点においては、必ずしも一挙に随意契約というわけにはまいりませんが、この点はいろいろ事務的に検討し、なおかつ公正価格の算出等についてももう少し一考を加えて、できるだけ早く処分ができるように、なおかつ公正に処分ができるようにということを考えたいと考えております。
  193. 中尾辰義

    中尾辰義君 遊休未利用地の有効利用は、再建対策としてこれは不可欠の問題だと、こう思うわけですが、用地処分に当たっては、もちろん第一次的には一般市民よりも地方公共団体等を売り払いの相手方とすることが好ましいわけですが、公開競争入札に対しましても、二度目で落札者がない場合、適正な予定価格である限り随意契約で売り払うこともやむを得ぬことではないかと思うわけですが、運輸省当局を含めて、この点はどういうように見解を持っていらっしゃるのか。
  194. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 第一回の公開競争入札で落札しないということは、私の方の予定価格より安い値段で買いたいというのが落ちないわけでございます。私の方の予定価格は、いま決めておりますのは、通常の場合には二人以上の土地鑑定士によってその時価の評価をもらって、その評価で予定価格を立てるわけでございます。したがって、私の方の予定価格を何らかの方法で下げない限り、実は二回やっても三回やっても落ちないという事態が出てまいります。私どもの予定価格を下げるということにはいろいろまだ問題がございますので、先ほども申し上げたように、一回か二回か競争入札しても落ちなかった物について、これは総裁なり、大臣の特認をもらって価格を下げるという、そういう方式は検討していかなくちゃならぬかなというふうに考えております。
  195. 中尾辰義

    中尾辰義君 それでは次に、資材の購入の問題につきまして、これまた非常に国鉄財政関係ありますのでお伺いしますが、国鉄が調達をいたしました各種の資材、これは五十年度内だけでも三千二百億円に上っておるわけであります。年度末における貯蔵品残高も四百四十五億円となっております。これらの資材管理のよしあしは、昨今における国鉄の資金事情から見て、これにかなりの影響をもたらすものと思うわけであります。  そこで、まず当局では、適正在庫の保持や、在庫内容の質的な向上を図るためどのような措置をとってきたのか、特に資材購入の面につきましてお伺いをしたいと思います。
  196. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) 工事に使います資材につきましては、それぞれ工事計画に従いまして所要の資材を準備するわけでございます。これは工事計画がわかり次第、正確に要求することによってむだができるだけ発生しないようにということで心がけておりますけれども、やはり時期というものも大切でございまして、必要な時期に入らないというようなことになりますと、またその面でもむだが出ますので、その両方を勘案いたしまして、総合的にむだのないようにという考えでやってきております。
  197. 中尾辰義

    中尾辰義君 監査報告によりますと、五十年度の場合は物品監査員延べ二千九百余人をもって実地にたな卸し資産を確認させ貯蔵品の出納帳などにつきましても監査させたと、こういうことでありますが、この結果や指摘、是正の状況につきまして具体的に説明を願いたいと思います。
  198. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) 五十年度年度末にたな卸しをしてどうなっておるかというのは手元にちょっと資料がございませんが、四十九年度の末まだ使われていないで五十年度へ越したものが百六十八億ございます。
  199. 中尾辰義

    中尾辰義君 それから四十九年度の会計検査院の検査報告によりますと、本社の資材局や各地方の資材部が車両改造工事などに使うため購入した工事用品につきまして検査をしたところが、当年度内に使用されなかった資材が百六十八億円相当もある、こういう報君ですよ。さらに、このうち五十一億円分の資材につきましては、五十年九月現在でもなお使用の見込みが立っておらない。特に問題なのは、東京建築工事局における乗車券印刷発行機の購入要求の場合で、四十八年度に購入した分が四十九年度になっても全量が使用されず、製造業者に保管をさせたままになっている。ところが、四十九年度でもまた同じ物を購入を要求して、購入をされたため、前年度購入分を含めその大部分が遊んでいるという、そういうケースがあるわけですね。これは同建築工事局が使用見通しを誤ったというよりは、実質的に業者から買わされたんじゃないかと、こういうような勘ぐりも出るわけですな。これは、こういう赤字で困っておる場合に非常にずさんですな。まあ国鉄側の言い分もありましょうけれども、これはどういうことなんですか。
  200. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) 先生御指摘のとおり、会計監査院から昨年の九月に至るもまだ使う見込みが立ってない物を五十一億も持っておるではないかという御指摘を受けまして非常に反省をいたしておる次第でございますが、この理由でございますけれども、やはり四十八年、九年と申しますと、先行き非常にたくさん工事が行われるという高度成長時代の雰囲気でございまして、また、物も早目に手配をしておきませんとなかなか手に入らないというような客観情勢の中で資材の計画を立てまして、どうしてもそういう状況ですと、やはり計画に対して早目早目に手配をしたという事情が、背景がございまして、その後いろいろな事由で計画を立てました工事実施がだんだんおくれおくれになっておるということが基本的にございます。  先生御指摘の乗車券の発行機でございますが、これも具体的に現場で設計をし、測量をし、あるいは教育をし、というもろもろの計画が初めに考えましたとおりに実施がむずかしくなってだんだんおくれていったということが主な理由でございます。その後、これが全然むだになったかと申しますとそうではございませんで、計画はおくれはいたしましたけれども、漸次計画を消化をいたしていきまして、ただいまの予定では、五十一年度末までにほぼ御指摘を受けました品物も消化できる見込みが立ってまいってきております。
  201. 中尾辰義

    中尾辰義君 いまお伺いしましたけれども、東京建築工事局では両年度とも使用見込みが立ち得ない段階で資材局に対して購入の要求、つまり準備要求をしたというようなことでありますが、資材局としては前年度購入分がすべて未利用のままであることは知らなかったのかどうか。知っていても、資材局ではこの場合準備要求をチェックできる立場にはないのか、その辺いかがですか。
  202. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) 資材局は、自分のところで抱えているものがどうなっているかということは知らないことはございませんけれども、非常に膨大なもので、しかも品種が多岐にわたっておりまして、種類が非常に多いというようなこともございまして詳細、そういうもので完全に在庫しておる物を手当しなかったかということは、場合によってはそういうこともないわけではございませんけれども、このように大きな量を見落とすということはないというふうに考えております。  で、建築工事局から二度準備が出てきたのにこれはどうしたんだという御指摘でございますけれども、これは恐らく東京都内の駅の改良工事に絡で乗車券の印刷発行機、あるいは券売機を設置するという工事関係だろうかと存じます。それで、やはり種類の問題、それから前の計画に引き当てた物を他に流用することが本当にほかの、その種類がよその計画にマッチするかどうかというような点もございまして、やはり二重とも見られるような準備になったのかというふうに考えております。
  203. 中尾辰義

    中尾辰義君 ちょっと、こういういいかげんなことじゃ困りますな。前年度購入したのを全然使っていないでしょう、これ。それでまた今年度ということですから、この点は非常にこれは厳重な監督をしてもらわない上、そういう答弁ではあなた、なかなかこれは満足できませんよ。  それから資材局では工作局からの要求によりまして、四十九年度に施行する車両改造工事用の資材として冷房装置等の工事用品二十七億相当分を購入をしたところ、これがまた買い過ぎで、このうちに十五億円相当の分は年度内には使用されずに終わりましたと、さらに、このうち四億円相当分は五十年九月現在も使用見込みが立っておらない。この場合、工作局からの購入要求は、通常のいわゆる準備要求という方式ではなく、予算が示される前に例外的に行われる見込み準備という形の購入要求をとっておる。したがって、この見込み準備によって購入要求の場合、その要求数量は必要最小限度にとどめるべきであるが、このように必要数量の倍以上も購入要求をしたのはどういうわけですか。
  204. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) 当時、車両の通勤の電車が主でございますが、冷房化の御要求が非常に熾烈でございまして、また、ちょうど先行き冷房装置等の需給が逼迫をしてまいって値上がりをするというような情勢でもございましたために、若干多目に見込みで準備をいたしたものと考えております。
  205. 中尾辰義

    中尾辰義君 この場合、工作局では資材局への購入要求、つまり見込み準備に当たりまして所要数量など把握するため、どのような事前調査をなされたのか。  それから、工作局ではみずから改造工事をすることはできない。それゆえ、購入要求側としては当該車両工場における本件資材を使っての改造工事の施行能力ぐらいのことなどは要求前に確認する必要があったはずであると思います。こういう点を怠ったのではないかと思いますが、この点いかがですか。
  206. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) 工作局は全国の鉄道工場の管理をしておりますので、当然自分のところの工場の改造能力というものは把握をしておるわけでございます。また、工場に車をいつ入れて、どのチャンスに改造工事を行うかということも、これは冷房改造のためだけに入場させるのではなくて、定期検査のときにやれば能率がいいわけでございますので、そういうことをいろいろ考えまして計画を立てるわけでございまして、それによって大ざっぱではございますけれども、急いでいたために精細には詰めていなかったかもしれませんけれども、準備をしたと考えております。しかし、その後北陸トンネルの火災の事故等のために車両の難燃化、不燃化工事というような飛び込みの仕事もありましたし、あるいは上越線で「とき」が非常に故障が多発したというようなこともございまして、工場の仕事がふくそうをいたしまして、冷房化よりも忙しい工事、急を要する工事というのがたくさん出たために計画が大幅におくれたものと考えております。
  207. 中尾辰義

    中尾辰義君 この買い過ぎが五十一億円余あるわけです。この資材の大部分が、それぞれの工事に限って使用される特定の用品であるために、ほかの工事に転用することが困難である、このように思われるわけですが、その後これらの資材はどの程度使用され、あるいは転用されているのか、いずれ、かなりの物が未稼働品として処理されていくのではないかと思いますが、その点いかがですか。
  208. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) ただいま、五十一年度九月末で、五十年九月末に五十一億ございましたものが、五十年度の末には約半分の二十七億まで消化をいたしております。  それから、ただいま、さらに使用が進みまして約二十億弱という数字でございますが、これも年度末までには大体消化できるというふうに計画が立っております。
  209. 中尾辰義

    中尾辰義君 私がいま申し上げました、こういったような買い過ぎの実態、いろいろと御答弁ありましたが、必ずしも国損というわけにはいかない面もありましょうけれども、これは、関係者の責任は非常に重大であると、こういうふうに思うわけですね。そこで、資材局、東京建築工事局及び工作局等、国鉄内部におきまして、これは実質的な責任関係はどのようになっているのか、その辺をお伺いします。私は、こういうふうなことを質問するのもいやですけれども、実際、片方じゃあなた、五〇%も値上げしてくれと言うんですからね。これは、国民に対して申しわけないと思いますから、それでお伺いしているんです。最後にこれ、総裁にもひとつお伺いします。
  210. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) まことに、結果におきまして大変な不経済なことでございますが、深く反省をいたしております。関係個所にいろいろな理由があったことと思いますけれども、やはりそのようなことを再び起こさないために、関係個所の責任者には厳重に注意をいたしたいところでございます。
  211. 中尾辰義

    中尾辰義君 総裁も、大臣も、あなた聞いていらっしゃったでしょう。非常にずさんですよ、これは。まあ見込み買いだとかいろいろとおっしゃったけれども、必ずしもそうばっかり受け取れぬ面も私はあると思うんです。だから、値上げ値上げという前に、こういったような問題もきちっとやっていただかないと、さっき私は黄害の問題等も質問しましたけれども、あれだってあなた、たれ流しばっかりしておって値上げかと、こう言うんですから、そういう点で、最後に大臣総裁の所見をお伺いしまして、質問を終わります。
  212. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 値上げをお願いいたします以上は、国民の側から見てもっとすることがあるんじゃないかという声が起こらないような処置を十分しておかなきゃならぬと私も思います。これは未利用地の問題もそうですが、一応利用地になっているところでも、もっと効果的な利用の方法があるのではないかという声をよく聞くのであります。そういう方面についても検討を命じております。  それから、いまの資材の購入の点は、やはり国鉄の現状がどうあろうと、そういう見込みとか、あるいは必要量以上の購入というようなものは、これはやはり必要に見合ってやっていくべきものと考えております。ぜひこういう管理の状態というものを速やかに改善するように私も努力をいたしたいと存じます。
  213. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 先ほどから御指摘がありました出資会社の投資効率の問題、あるいは用地の管理、処分の問題、さらに資材購入の問題等は、いずれも業務の能率がうまく上がってないということの点でございまして、単に列車を安全、確実に走らせるというだけでなくて、こういう面にも細かに配意してまいりたいと思っております。御指摘をいただきました点につきましては、いろいろ改善を要する基本問題があると思いますので、それを考えて取り組んでまいります。
  214. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 私は、主として運輸大臣と、国鉄問題のメーンである総裁に質問いたします。  そこで、ずばり若干物を申し上げておきますが、私は基本理念として、質問は言わずもがなの問題でありますが、意見も含め、ポイントとしては、要望というようなやさしいものではなくて、これこれのことを要求すると、こういうことをポイントに置きたいと思います。  なぜかと申し上げますというと、まあ運輸大臣をたなざらえにするわけじゃありませんけれども、運輸大臣は陸海空の行政の三つのルートの頂点に立っておられる、言うならば行政の長官である。同時に、三木内閣のもとにおいてはかなり発言力の大きい国務大臣でもある。そういうポイントを押さえながら、かてて加えて、すべての人間の生活活動とか生産行動というものは、これは総裁にもよく聞いておいてもらいたいんですけれども、人間、人の問題と物財とぜに金勘定、言うなれば財政金融という問題が三つランクして、大体これはまあ政治、経済体制の違いがあろうとも、この三つの基本点はこれは間違いない一つの原理だと、こういうふうに思っているわけであります。  次に、総裁に申し上げますが、総裁との出会いでは、いま申し上げたようなことを申し上げておいたことは、あなたの耳の中にあると思います。私は、総裁にひとつ強い総裁になってもらいたい、こう思うんですよ。なぜかならば、あなたはやはり弁護士会に登録すればいつでも認可される法律家でもある。経済学者としては、上級のやはり大学の経済学部の講師ということにも十分受け入れられる能力を持っておられる。同時に、やっぱり官僚としてはエリートコースの日の当たる、しかも、財政のやはりメーンであるところの事務次官まで大蔵省でやっておられる。しかも、この国鉄問題が社会問題化し、政治問題化してきてから、結局そのだれもなり手がなかったんですよ。  ところが、たまたま三木内閣のもとでは、総裁なしでは国鉄問題というものはこれは解決しないものですから、あなたは頼まれていやいや来られたわけでありますので、したがって、やはりそれは法や秩序というものはありましょうけれども、そういう意味でこれは国鉄問題について十分胸を張って、冗談じゃないんだよと、おれが来たのは頼まれて来た、やむを得なく来たんだと、そういう点でひとつ――私もたとえば石田総裁だとか、それから磯崎総裁だとか、まあ藤井総裁だとかいったような人と、あるいはこの労働委員会の中であるとか、あるいは運輸委員会の中でも、いろいろとつき合ってきた経過を持っているわけであります。  それで、あなたはそのうちで最も強くなって、胸を張ってやはり運輸大臣とのかみ合いでひとつうまくやってもらいたいということで、実は私は十本の柱を立てておるわけであります。   〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕 しかし、限られた時間でありまするので、実はこの十本の柱を消化するためには、この中の運輸行政の民主化についてといったような問題は、たとえば運輸審議会の会長であるとか、あるいは非常に運輸行政の中にはいろいろ問題がありますね、ロッキード問題等も含めて。そこで、管理者等を管理するという側で職員労働組合から、相当に関心を持っておられるので、そこで委員長も来てもらって、参考人でと。ところが、これをやるというと、これだけでも二時間や三時間かかりますので、これはメーンから抜くということにしておきます。  以上申し上げましたが、そこでずばりで、まあ総裁から詰めていきますが、今日この国鉄の破産状況になっておるという原因ですね、うちの中、渦の中に巻き込まれて苦悩しておるよりも、外の側から主観的にも客観的にも見た、あなた方はこの破産状態になった原因は何だと、こういう現象があって、結果があった限りには、責任というのがあるわけですけれども、私はここで責任を追及するというようなけちな考え方は持っておりません。だれがこうこうしたからやめよということではなくて、もしこの原因が、やはり破産の現状というものに対して原因があるならば、その過ちは再び繰り返してはならないと、そういう一つのポイントを押さえて、私が長々と申し上げました一つの点を、実はこう思うんだということをずばりで言ってもらえば次へすっと進むと、こういうことでありますから、その点でひとつお答えいただきたい、こう思うんです。
  215. 高木文雄

    説明員高木文雄君) いろいろな事情があったとは思いますが、一つはやはり経済情勢の変化に対応いたしまして、国鉄の仕事のやり方というものも変わっていかなければいけなかった面がいろいろあると思いますが、特に他の輸送手段が発展してまいりました場合に、それに対応して仕事のやり方といいますか、企業のあり方を変えていかなければならない点が過去において多々あったと思いますが、そのおくれという問題が一つあると思います。  それからさらには、しばしば言われますように、やはり他の輸送手段との間の競争関係のみが表へ出過ぎた感じがいたします。むしろ他の輸送手段、飛行機とか、自動車とか、内航海運とかいうものとの協業といいますか、その輸送体系の変化に即応して、むしろ単に競争だけではなくて、協業というようなことがなければいけなかったんではないかと思います。  それから三番目に、やはり運賃水準が全体として低く、かつそれが物件費、人件費の改定に伴いましてお願いをして直していかなければいけなかったんだと思いますが、その努力が続けられましたが、結果としてやはりそれがおくれたというようなことがございます。同時に、またこれ非常に重要なことでございますが、内部におきまして、一言に申しますと、労使間というような言葉で表現されておりますけれども、人間関係がスムーズに行ってない、何となく気合いが入ってないといいますか、そういうことが多く原因したと思います。  これ、まだほかにもございますが、主にはそうしたことではないかと私は判断をいたしておりますので、今後の問題といたしましても、そういった問題を一つ一つ早目に解決をしていくということでありませんと、このままの状態がいつまでも続きますし、立ち直れないということになるのではないかと思っておりますので、その原因と取り組みまして、それを直していくということが立ち上がりにつながる問題だというふうに考えておるわけでございます。
  216. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 これはね、鉄監局長からでもひとつ確認をしていただくことがあるんです。大体いまの答弁で、はい、さようでございますかと言うわけにはいかぬ点があるので、ひとつ確認をしていく問題があるんです。実は確認ですから、私から聞きながら――私メモを持っておるんですから。  昭和三十九年鉄道建設公団法制定というもの。ずっと読んでいきますが、それから昭和四十四年五月新全国総合開発計画が閣議で決定しております。七千二百キロ新幹線網を織り込むということで、これが昭和四十四年の五月。それから昭和四十五年五月の全国新幹線鉄道整備法が成立をしておる。で、関連して本四国連絡橋公団法が成立をしておる。それから昭和四十六年の一月、基本計画が決定をしておる。四十六年の四月に整備計画決定、建設指令。で、建設の主体は、東北は国鉄でやる。上越、成田は鉄建公団でやる。昭和四十六年九月に青函トンネル工事実施計画が認可されておる。そこで、四十六年の十月の時点で、東北、上越新幹線工事実施計画が認可されておる、十一月から着工しておる。昭和四十八年の二月、経済社会基本計画。これは昭和六十年までに七千キロ整備計画を閣議で決定をしておる。こういうわけでありますが、これちょっとひとつ鉄監局長のところへ持って行って確認してもらいますから、持って行ってください。
  217. 住田正二

    政府委員住田正二君) いまお話しのありました経緯は、大体そのとおりだと思います。ただ、新幹線につきまして、現在の基本計画を決めましたのは、昭和四十八年の秋であったと記憶いたしております。
  218. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 そこで、総裁の質問に答えていただいた中で、もう一つ私は再質問しておきますが、政府国鉄では、再建計画というものがいろいろな視点をとらえて、それなりに位置づけられておるわけでありまするけれども、当時田中――いまは被疑者の立場でありますから、これは田中角榮とあえて言いますけれども、どういう地位におられたということは私が一番よう知っておるのであります。私自身は、生まれは愛知県でありますけれども、選挙のたんぼは新潟にありますので、そういったような関係からよく知っておる。まあ全国総合開発計画がある。さらに新しい新全国総合開発が出てきた。それを、日本列島全部をふろしきで包むような日本列島改造論というものが出てきたんです。その関連の中で、現象面で鉄道建設公団というものができてきたんです。そこで、私は対象的に私なりに、たとえば東北新幹線とこの上越新幹線と対比して、一方では国鉄がおやりになっておる、この鉄道建設公団ができるというと上越新幹線の方、おたくの方と、政府と鉄道建設公団がドッキングをしたような形で、これは言うならば本四国架橋の問題も、あるいは自動車、そういったような問題も含めて、大体において大同小異の路線を歩いておる、こういうふうにうかがい知っておるわけであります。  ところが、これがうまくいけば問題じゃないのでありまするけれども、まあ計画失敗がしておることは事実なんです。だから、一度ならず二度三度再建計画というものがやはり閣議であり、あるいはいろいろ論議されておるわけであります。この辺のつぼと勘どころを、まああなたが、いま私がしゃべらないことをしゃべって、あなたは頼まれて来た総裁でありまするから、胸を張ってここに失敗の原因があったんだというようなそういう点について、何かあなたのやはり経済感覚なり、また総裁として今度おれがひとつ立て直すと、そういう気魂の中から、そういう点については何にも、あなたはこの財政赤字原因というものの中には、あなたの認識の中にはそういう要素というものは全然ありませんかどうか、そういう点についてひとつポイントを。
  219. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 率直に申しまして、私が大蔵省におります時分にも、必ずしも鉄道の問題に直接担当をいたしたことはございませんが、その周辺の仕事ということであったわけでございますけれども、AB線の問題等につきましてはかなり長い間大蔵省の方の立場では批判的であったわけでございます。で、いまの国鉄の非常に経営状態が悪くなったこととの関連で申しますと、まだAB線で当方でお引き受けしておりますものの量はそれほど多くないわけでございまして、AB線の建設を終わりましたものを国鉄の方で運営をお引き受けしていることによる負担は、赤字ではございますけれどもボリュームとしてはそんな大きなものにはなっておりません。  ただ、私どもとしての心配はむしろ今後の問題でございまして、今後さらに相当数のものが、工事が完了して国鉄の方で運営をしなければならないという事態が起こりました場合、それからいろいろの新幹線計画がございますが、これを何年か先に工事完了の上で国鉄の方に運営をすることを求められました場合に、その負担が容易ならぬものになりはしないかということは非常に心配をいたしておるわけでございまして、鉄建公団という制度の可否、あるいはその仕事の中身ということによる影響は、今日ただいまの段階では現在の国鉄赤字にはそれほど直接の影響がないわけでございますが、今後これを持ってこられた場合の処置をどうしたらよろしいかというのは、大変現実的な問題として私どもの悩みの種になっているわけでございます。
  220. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 限られた枠組みの中でありますので先へ進みますが、大体、事あればあのオイルショックであるとか、あるいは計画を立ててこれで完全にいくんだというような形で、しかも、行政のスタッフのポイントである閣議でいろいろの計画がなされてて、一度ならず二度三度、足元から崩れていくということについては、あなたが十分その原因を究明して、あなたは何も、前の総裁よりも強い立場に、やはりこれは回り合わせでありましょうけれども、あなたはそういう意味では恵まれておると、勇気を持ってひとつ是は是、非は非というかっこうで、先ほども申し上げたように、まあ私は常に認識の中で石田博英と言えばこれは労働大臣だなあというかっこうで、実はここに同僚もおりますけれども、私の先輩等は初代の労働大臣米窪満亮であったのです。そういうような関連もこれあってそういう認識を持っておるわけです。顔見ていたらきょう労働大臣が来ておるというかっこうで、しかし、労働大臣という形で来ておられなくてもいいわけですけれども、やっぱり人間関係からいってすべて天つ日嗣のもとは人間だと、そういう意味に考えて、そこで先へ進みますが、国鉄再建並びにこの値上げ法案に関して国鉄当局の姿勢に問題があると思うのです。  ずばり申し上げまするけれども、たとえばNHKの三十日の夜、これは九時ちょっと過ぎに国鉄の減車の問題についてニュース解説がありましたです。あの絵は見る者と見ない者があったと思いまするけれども、これは総裁、ごらんになりましたか。
  221. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 見ております。
  222. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 それならば、二年間に二回の運賃値上げをして収支のバランスを図るという再建案は、国民の家計を苦しめるということだけではなくて、公共の役割りを持つ企業経営として運賃値上げは最後の手段であるという認識が当局に欠けておると思うのですよ。たとえば、新幹線の腹痛の事件であるとか、値上げ法案の審議影響を与えまいとした小細工であるとして、たとえば関連下請業者などを動員して値上げ運動させるなどという、これは見えすいておると思うのですよ。たとえばわれわれは、私は五十数年この道に、政治はまだとうしろうで駆け出しなんですけれども、解放運動という戦列の中で私は五十年余を生きておるわけですよ。だから、旗かつげ、デモやれということは言っておる方でありますけれども、しかし、洋服屋さんであるとか、その他新幹線の中の鉄建公団、その他の地場の下請業者の中についても、たとえば新潟に例をとってみれば大清水トンネルについても、その他新潟に入ってから本当に多くの駅がありますよ。  でありまするけれども、これらに対して確かに鉄建公団が公団としての位置づけを持つならば、その下請の人たちが旗やデモをやってというようなそういう関係は、これは実は国鉄値上げをしなければ銭が払えないんだというような、これは勘ぐりかもしれませんけれども、この勘ぐりは私だけではないんだというふうに考えております。特に、これは十月の二十日ですよ、十月二十日、通勤電車やローカル線の運休計画が、サービスダウンの発表がされておりますね。犠牲を国民にしわ寄せして、言うならばその反射的な力学によって値上げ法案の審議を促進させようとした意図だと勘ぐられてもこれは仕方がないでありましょう、このやり方は。値上げの上にサービス低下をするということは全く常識外だと、そういうふうに私は私なりに把握しておりますよ。  およそこれは国鉄であろうと私鉄であろうと、運賃料金値上げして、さらにどういう家計の内情があろうと、サービスダウンをして、国民の信頼感が得られるかどうかという問題をお互いが深刻にひとつ考えてみようじゃありませんか。特に国鉄の任務は安全、確実、正確、サービスが基本となっておるはずです。その枠組みを外して、私企業と同じ感覚で営業してそれで公共企業と言えるかどうか、そういった点について、ずばりひとつこれは総裁から現状認識をどういうふうに考えておられるかということを承りたいと思います。
  223. 高木文雄

    説明員高木文雄君) いささかどうも、杉山先生と私とちょっと考え方が違うわけでございますが、今回の工事をとめざるを得ない、あるいはサービスをダウンせざるを得ないということは、これは値上げとかなんとかは別にして、予定されました収入が入らないということから起こったわけでございます。予定されました収入が入らない場合に、それを何らかの方法で政府から援助をしてもらうということで泳いでいくことにいたしますれば、これは公共性という点は維持できると思いますけれども、それではつまり企業としての独立性を全く失うわけでございまして、ローカル線の問題とか特殊な問題は別にいたしまして、やはり基本はお客様、利用者の方々に運賃を払っていただいて列車、電車を動かしていくというのがいまの国鉄の基本ではないかというふうに私は認識をいたしておるわけでございます。   〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕 したがいまして、収入がない、運賃を払っていただけないという場合には、その払っていただけないことによるやはり運営の障害というものが出てくるわけでございまして、その結果として非常に残念でございますけれどもサービスをダウンせざるを得ないことに追い込まれていったわけでございます。もちろんこれは決して好きこのんでやっておるわけではないわけでございまして、全くほかに方法がないと、援助を求めれば別でございますが、そうでない限りは方法がないというところでそこへ追い込まれていったわけでございました。  これはもちろん国鉄のあり方と関係いたします。幾らでも足りない分は援助してもらうということであればサービスを落とさずに動かすことができるわけでございますけれども、私はやはりそこは基本は利用者の方々、車に乗っていただく方々、電車に乗っていただく方々に払っていただくという前提でないと運営がうまくいかないというふうに考えておりますので、一日も早い運賃の改定を片方において祈念しつつ、できるだけのことをやってみましたけれども、どうにも金がないということでこういう次第になったわけでございまして、そういうことを通じて何か運賃値上げの促進を図ろうというような意図であったかのごとくとられるような記事が新聞紙上横行しておりますけれども、いささかもそういうことはなかったということはひとつ信用していただきたいと思うわけでございます。
  224. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 だから、私はよけいなことを言って、国鉄総裁はあなたは強いんだからひとつ強くなってくれという、そういう政治的な意図的なポイントを私は持っておったんだけれども、多分あなたは国鉄総裁に平面的にいまなっておられる。もっと立体的な立場に立って、現在の国鉄経営の危機の責任というものの大半は政府の政策に実は失敗があったんだから、だから、こういうことになったんだと、そういうふうに強くなってもらって政府国鉄公共企業体である限りにおいては一番大きな行政のメーン、そして、出資者の大株主は、言うならば政府ですよ、国ですよ。そういうような点から、出資者である政府に対して文句を言う姿勢が国鉄にあって、国鉄もあれだけ一生懸命に総裁もやっているわけなんだから、金を出さぬ政府が悪いんだからというかっこうで、あなたは国民を、消費者大衆を敵に回すようなことでなくて――やっぱり国鉄総裁総裁ということになってしまうというと、行政やなんかには弱いんだというような形に、結果的になっておると私は判断をしておるわけでありますよ。  とにかく物価高に苦しむ国民に値上げをともかくもこれはどういう事情であろうと押しつけておることは間違いなく押しつけておるわけですよ。さらに、国民の生活に影響を与える運休計画、言うならば御承知のようにわが国の家庭事情はやはり盆と正月に民族の大移動といって、ふるさとに大きな動きがあるわけですよ。しかも、たとえばメーンであるところの大都市の幹線であるとか、あるいはいろいろな幹線に対して十二月に入って減車をするなんといったようなことは、それは政治じゃないんですよ。だから、そういうような点について、このやり方について私はどうしても納得がいかない。  そこで、ひとつ運輸大臣は、先ほど私が三つの要素を言いましたけれども、これは民族の大移動、こんなときに一体ということになるならばまあずばり言ってやはり過去の海運問題が戦前から戦後に移るときに、一体これを国有民営にするか、民有国営にするか、そういう体系についてもいろいろ論議があったことも事実でありますよ。こういうことがとにかく入りの部と出の部がつじつまが合わないんだ、そこで、どうしても減車しなければならぬ、それをドック、あるいは修繕に回さなきゃならぬのだと、そこでどうしてもということになる。その事情はわかるけれども、あえて今日的な時点に――実はこれはついでに申し上げておきますけれども、これは新聞には「国鉄三、五〇〇両“休車”へ 山手、中央、総武線毎日六本運休十二月中旬以降」ということになっておりますよ。それからもう一つは「シワ寄せ全部乗客!値上げ国鉄、ケチケチ進行」、で中身を見てみると「寝台手抜き カバー外す 洗車週一回 石けん廃止 国電間引き」、こういう形でありまするが、特に私は新潟でありまするから、ローカル新聞に新潟日報というのがありますけれども、私のおかかが新聞を送ってきたんですよ。めったに送ってくれるような――政治に私のように関心はないのですから、幾ら取ってどういうふうに使ってと、そういう大蔵大臣のようなことをやっておるんです。こう書いてありますよ、悲鳴をあげる企業と官庁、主婦家計簿を投げ出したい、こういうかっこうで、中身を読んでみると国民感情、県民感情をフルに出してきているわけですよ。地元からは今太閤が出ておるし、どうしてこんな悪い政治かというようなぐあいに、そういうかっこうなんです。  でありまするから、どうしてもこれはひとつ大臣から、行政のスタッフであると同時に、やはり三木内閣のもとにおける運輸大臣として、こういう問題についてこれでいいのか悪いのかといったようなものを国務大臣一つは内閣の問題としてもそういう位置づけで考えて、簡明直截に御回答いただきたい、こう思うんですよ。
  225. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 何度もこの委員会でもお答えしたと思うのでありますが、何とかやらないで済む方法はないかとたびたび国鉄総裁にお願いをいたしました。説明を聞いて、最後にやむを得ないものとして承知はいたしましたが、納得したわけではありません。できる限りの努力を払って、実際にいまの計画を行わないで済むように全力を尽くしたいと考えております。
  226. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 もう現在始まっていますか、このことは。
  227. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 今日ただいまはまだ始まっておりません。
  228. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 これは新聞によるというと、十一月一日から始めるというようなこと、これはやらぬ方がいいですよ。
  229. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 失礼しました。車を洗う仕事とか、いまの石けんとか、スリッパとかを節約するとかいうのは始まっております。始まっておりませんのは、車両の編成を短くしましたり、あるいは列車計画を縮減したりすることはまだ始まっておりません。と申しますのは、今月から車両工場に入ってまいります車両の修理費を節減しておりますが、その結果備品がだんだん買えなくなってまいりますので、今月の中旬ぐらいからその影響が出てくるわけでございますけれども、現在のところはまだ若干在庫がございますので、それで修理を続けておるということでございまして、大体今月の中、下旬ぐらいから、ごくわずかでございますけれども影響が出てくるというのが現在の見込みでございます。
  230. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 私の質問要求のメーンは、まだ枠組みの中でどうしても申し上げなければなりませんから、非常に不満です。私は、先ほど念のために申し上げましたけれども、質問、意見も含め、そして要望というようななまやさしいものでなくて要求すると、そういう基本理念の上に立って消費者代表、国民というものを代表する立場で物を申しておるということを――一応意見のやりとりは時間のむだになりまするから取りやめておきまするけれども、もう一つ具体的な問題として申し上げておきたいと思うのですが、これは、恐らく総裁はまだ日が浅いのであるからおわかりになっておりませんと思いますけれども、私はよくわかっておるし、こういうことはやはり非常に、ここだけではなくて世間にあり得る問題だと思いますが、しかし、余りにもひど過ぎるということで申し上げますが、新潟県の信越線に来迎寺という駅があります。ここから西小千谷までわずか十二・六キロを魚沼線といっておるわけであります。ここに二両編成の列車が午前二回、午後二回走っておるわけであります。一日平均お客さんの数は定期券利用者が百六十六人です。一般客は五十六人です。駅は三ヵ所あるのです。無論これはいずれも無人駅で人はおりはしませんよ。そこで昨年の年間収入は六百六十六万円なんです。それから支出は一億一千七百五十七円。  これからが問題ですよ。問題は、この魚沼線に沿ってずっとたんたんたる舗装道路が敷かれておるわけですよ。私はこれを見て、また実際に行ってみて、日本列島改造の縮図は一応ここに、日本列島の中に新幹線という幹線がある。それと並行線に高速自動車道を走らせると、それで内航海運を活用して、表から裏へカーフェリー 裏から表へカーフェリーということにならば、運輸交通体系の中の国鉄は一体どういうふうに位置づけていくべきかと、それを交通整理するのが運輸行政であり、国の政治であると。だけれども、ここにあらわれた縮図は、こういう点がここだけで問題でなく、全体の問題にあるからというわけでありますから、問題は魚沼線に沿うてたんたんたる舗装道路が走っておるのですよ。ここに越後交通株式会社のバスが一日数十本往復しているわけであります。で、この越後交通は田中ファミリーの会社であることは世間周知の事実であります。  これはまあずばりで申し上げますが、田中さんはまず国鉄の再開通――魚沼線というのは大体眠っておった状態にあったんですよ。道路ができてから眠りから覚めて、いまこういうような状態になってきたんです。でありまするから、ずばりで言えば、この再開通させて票田を構築したということにもなってくるわけですよ。その後、路線沿いに道路をつくったこともいま申し上げているとおりです。そこへもってきて、自分の会社のバスを走らして、そして、国鉄の乗客を横取りしてしまったということに結果はなるわけでありますよ。また、田中が建設公団を設けたという上に、ずばりはいま先ほど、私は年表で、誰だあれ、鉄監局長か、大体この計画どおりだ。その計画を得たのは、私はきわめて意図的なんですよ、あれはね。大体このときに田中さんが大蔵大臣であったか、あれは、まだ総理でなかったということには間違いないようでありまするけれども、いずれにしても上越線に、新幹線にいち早く地元の利益誘導をやっておると、私はそういうふうに思うわけです。これは一つの政治路線です。  総合交通体系とこれが言えるかどうかというふうにも実は思っておるわけでありますが、建設の上越新幹線は速いだけが決して取り柄というふうに県民感情は評価しておりませんよ。その上、東京――これは上越新幹線のことを言っておるのですよ。東京、大宮、熊谷、高崎、まあここまではいいでしょう。今度は新潟県に、大清水トンネルというものをこれは通るわけでありますが、この大清水――それで実は湯沢ですね、それから浦佐、ここに天皇家のやはり山奥にはスキー場とか何かあるというふうに聞いておりますけれども浦佐、それから長岡ですよ、それから燕・三条と、それから新潟と駅ばかりですよ。並行してそこに関越高速自動車道が走るわけでありますよ。これはとにかく新潟の県民感情からいけば、東京まではいまは「とき」もあり「佐渡」もあるんだと、こういう新幹線が出て、これが百分で仮に往復できるにしても、県内に四つも五つも駅がある。で、鉄建公団がそれを請け負っておるんだと、工事はぐんぐん進んでいるんだというような、そういう点から言って、このような建設をして国鉄の営業というものが一体いつになったら黒字になるかどうかと、上越新幹線だけじゃないんでありましょう。結果は、私どもが試算して数千億の工事にありついた土建屋さんと、それに絡む利権屋や政治家が笑いのとまらぬほど実はもうけておるじゃないかと私は私なりに勘ぐっておるわけであります。  そこで、全国の新幹線計画は上越新幹線の拡大版にならなければいいと、これはなってしまってから内輪げんか起こして、おれが悪かったとか、いいとかいうことじゃもうおそいんですよ。ならないうちに、たとえばこれを十分意識してやっていただく必要があるんだというふうに考えておるわけでありますが、まあそういうようなことでありまするので、この点についていろいろ申し上げましたけれども、この魚沼線の中のこの状況について、総裁自身は知っておられなければだれかが答えていただきたい、こう思いますけれども、これは非常に問題なんですよ、実際問題は。
  231. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 私はちょっと魚沼線のことは詳しく存じませんので、ここでお答えをいたしかねます。
  232. 石田博英

    国務大臣石田博英君) いまお話を伺っておりまして、いわゆるこの地方交通線の問題の処理、これは一番最初にそういう並行線からかかっていくべきものだと私も考えます。そういうのは方々にある、また地元も納得してもらえると、そういうものから処理されていくべきものだと思っております。  それから昭和四十八年まで逐次決定をされてまいりました新幹線計画とか、あるいはAB線の計画などにつきまして、これを現在の段階で計画を修正するということはいろいろ困難がございます。たとえば鉄道建設審議会の議を経なきゃならないとか、いろいろ手続上も困難がございます。そこで、いまのわが国の置かれておる経済的条件は四十八年以前のときとは違うのでありますから、そうしてまたこの条件がこれからも続くと思わなければならぬのでありますから、実施に当たって、いま杉山さんの御意見のような方向に向かって、後になってもう一つ別のお荷物を背負い込むというようなことの起こらないように、実施に当たって十分配慮をしたいと考えます。
  233. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 昭和四十八年二月の閣議決定で経済社会基本計画というものが位置づけられておるわけであります。これで、昭和四十八年でありますけれども、この計画国鉄再建できると思っておられるかどうかという問題も、ひとつ後で答えていただきたいと思います。自信を持って言えるかどうかという点。  これに関連して、これは大臣に伺っておきますが、新幹線建設の見直しというような問題について、まあ衆議院の段階においても一応発言をされて、ニュース面には取材されてうたわれておりまするけれども、私は一つポイントとしてお伺いしておく必要があると思うのです。具体的な問題として、青函トンネルの開通に伴って、貴重な財産であるあの船舶や、そこで働く職員、船員の合理化という問題が、当然延長線上に出てくるわけであります。たとえば、新幹線の中で九州や東海道や山陽に本幹線を置いて、北海道だけをこれは取り残しておくわけにいかぬから、とりあえず北海道新幹線は生きてきたんだと、いま先行しておるのは、この最も難工事であるところの青函トンネルというものが、これは技術的に鉄建公団のこなしができるでしょう。問題は、上に、歴史を持った多くの船舶、管内には船舶局というものもあり、そして船員というものもあり、そしてこういうような問題について深慮遠謀をめぐらしながら、これは総裁も考えておられるかどうか。考えておられないとすればこれは大変な問題ですよ、実際問題は。その点についてひとつ。
  234. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これはいわゆる本四架橋の問題にも起こることだと思いますが、この結果として生ずる船員諸君の雇用問題、これは十分配慮しつつ行うべきものだと思っております。
  235. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 これでもし体制が変わって、われわれの方の側で民主国民連合政権というものができるとして、なったならば、これはまたやり方は違いますけれども、この体制のままでずっといけば、これはメーンでありますから、十分、いま本四国架橋の話も出ましたが、しかしぼくは、やはり衆議院の段階において楯委員大臣に質問をして、この新幹線の手直し七千キロはどうかという問題について、その当時の私どもの感は、大臣はやはり例の北海道新幹線については、東北新幹線もまだ地についていないし、盛岡-青森間、そして函館-札幌までという路線を、通念からいけば、いずれこれをやるということに計画の中に位置づけられるとすれば、問題はやはり延長線上についてこれは大きな一つの政治問題が歴史を帯びつつ、私、実はこの委員会から、この青函トンネルについて技術的に将来の展望について見てきたわけなんで、これは大変なことだと、私は船員上がりでありまするから、船長ですね、船舶局、管理局とその他全員にいろいろ要望を聞いてきたわけなんでありまするから、その点はひとつしっかりやってもらいたいと思います。
  236. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私もたびたび労働行政をお預かりいたしまして雇用の確保、これは一番人間生活を守っていく基本であると考えておりますので、先ほどお答えを申し上げた決意で臨むつもりでございます。それから、現在着工していない新幹線の見直しについて、どこをどうする、どこをどうするという結論を持っていまいるわけではございません。ただ、見直しをしなきゃならないと思います。
  237. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 実は運輸行政の民主化については、これは留保しておきます。なぜかなら、実は今日的な政治状況の中で、これはどうしてもロッキード問題等も含めて、行政の中に許認可権がたくさんあるんだと、したがって、行政はいまの行政が満点の一〇〇%ということに烙印を押すわけにはいかぬのだと、だからこれは徹底的に民主化する必要があるんだと、そういう方向の中では、津田運輸審議会の会長であるとか、それから全運輸労働組合の委員長天野さんという人がいますが、これは内部告発というかっこうについて、そういう意地の悪い位置づけでなくて、善意の、われわれも一生懸命で働いておるけれども、行政の管理能力の、いろいろな陸海空について行政はやはり民主化していく必要があるんだというような、そういう点でこれは留保して、他日また単独質問をするというかっこうで、これはきょうは参考人を呼ぼうと思ったけれども、呼べばこの問題だけで、こういう状況の中でと思ってこれは留保しておきます。お答えいただかなくていいことに。  次に、これもずばりで国鉄総裁から答えていただきますよ。これは質問をすることがやぼであって、あなたの方から、質問すればツーと言えばカーと言って答えてください。  国鉄職員の五万人ですか、合理化については行きつ戻りつということにあったんでありまするけれども、私は杉山という関係について対照的に藤井という問題と、あの人が信濃川の工事事務所におった時分から知っておるわけなんです。結局病気というかっこうで、別に腹が痛かったり病気になったわけじゃないですよ。こんなめんどうくさいことはおれにはやれぬわと言って飛び出して行っちゃった。いろんな問題がありまするけれども、人間関係で五万人の問題は四十四年度で、あるいは四十八年度計画の中でも後や先になっても、とにかく合理化の中で五万人という数字が出ておるわけであります。この問題について、一体延長線上に、いまあなたの勘として、あなたの総裁立場からして、言うべきは言う立場として、そして運輸大臣国務大臣として、しかも三木内閣のもとにおいては相当な発言力を持っておられる、そういうふうに私は政治的感覚で考えておりまするので、その点についてひとつあなたの見解を、これは私のメーンはまだ先にありまするから、簡潔にひとつお答えいただきたいと思います。
  238. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 経営の合理化ということはやはりどうしてもやらざるを得ない、やっていかざるを得ないわけでございます。経営の合理化という場合に、国鉄の場合には大変労働集約的な構造になっておりますから、どうやって経費を節約するかという場合には、やはり職員が能率よく仕事をするということが前提でなければならないわけでございます。また、国鉄の中には非常に単純な労務分野もあるわけでございますので、これを機械化等をすることによって人の労働の効率を上げる余地はまだ多々あるわけでございます。したがいまして、時間がかかりますけれども、やはり全体としての要員はなるべく少なくして、少ない人員で同じだけの荷物を運び、お客さんを運ぶという努力をしなければならないというふうに思っております。  ただ、昨年の閣議了解では、五十五年までに五万人ということになっておりますが、これは五万人の要員合理化を行うことに目的があるのではなくて、大いに合理化を行って、結果として五万人前後の人数を減らすことができるようにしようということであるというふうに私は考えておるわけでございまして、その程度のことはやりませんと、やはりいまの経営コストを下げることはできない。しかし、それをやりますためには、それ相応に少ない人数で同じ仕事ができるように対策を立てなければできないわけでございます。  もう一つ問題は、現在四十五歳以上の職員の数が二十万人近くに及んでおりますので、全体としての能率化を図るのはこの時期が適当なわけでございまして、そういうことも頭に置きまして、これは五万人という数を目標にするわけでなくて、そこをねらいにしまして能率化を図るということはやっていきたいというふうに思っております。
  239. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 とにかく一度ならず二度、五万人の合理化という員数が数字に出てきているわけですが、その延長線上に、私が前段申し上げたこの青函トンネルが北海道新幹線の中で機能した場合について、船舶局傘下で働いている陸上の職員、海も含めて何もかもその関連の中で、員数もその五万人の中にメーンとして入っているのか、それはそれまでに何も勘ぐったり神経がらないでいいと、その辺はどうなんですか。
  240. 高木文雄

    説明員高木文雄君) これは、五万人というのは別にどこで何人というふうに計算して出てきておる数ではございませんのですけれども、少なくともいまおっしゃった青函その他の船舶要員のことは頭に置いておりません。船舶に関しては過去におきまして非常に能率化が図られまして、また特に最近新しい船を入れて、少ない人数で運航できるようにいたしておりますし、またもともとそう大ぜいの人数のことでもございませんので、この五万人ということを考えますときには、青函連絡船の船舶要員のことは頭に置いてないというふうに考えていただいてよろしいかと思います。現在考えておりますのは、やはり主として貨物問題をどうするか、また地方ローカル線問題はどうするかということで、別の角度でそういった部面の経費の効率化を図る必要がございますので、恐らくそういったフィールドが主体になっていくのではないかというふうに思っております。
  241. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 これは四月四日ですがね、これは新聞で私見たわけでありますが、四月四日の新聞だと思いますが、新総裁になった高木氏は、四月四日、五万人削減は白紙に戻すことを政府・自民党に申し入れ、政府首脳はこの考え方を了承したというふうになっておりますが、これは、私どもの主観にマッチしたニュアンスとしての活字であるかどうか、この点については四月四日ということは出ておるわけでありますが、この点はどうですか。
  242. 高木文雄

    説明員高木文雄君) その白紙とかなんとかいうのは、いささか正確な私の気持ちが伝えられているわけではないわけでございますけれども、とにかくまず何人か人数を一つの目標として決めて整理をするなんという思想ではなくて、全体としての能率化を図る結果としてそれ相応の人数、少ない人数で仕事ができるようにしたいというのが私の気持ちでございまして、そうしてそれをやっていくならば、結果としてほぼ五万人近い人間の数、少ない数で同じだけの仕事をすることはできると思いますけれども、まず五万人という人数目標を置いて仕事をするという考え方は私は賛成いたしがたいという気持ちでおるわけでございます。
  243. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 強い総裁になってほしいということを、三代の総裁のことを言って、あなたの場合はひとつ強くなってくれと、あなたは頼まれてきたんだし、そして何でも言いたいことを、政治が悪い、政府が悪いというかっこうで、そういう気持ちで、この合理化といって年寄りやめさして、後先構わず生首をもぐような合理化なんということは、これは公共企業体とその位置づけとしてやるべきじゃない。そういう点についてはひとつ、あなたはまだふんどしを締め直すほどにだるんでいないはずなんですから、ひとつしっかりやってください。  ついでに大臣にこれは申し上げますよ。雇用問題は、本来これは労使間の基本的な労働条件のメーンだろうと、こう思うんですよ。特定政党が、労使問題を乗り越えて使用者に時の権力や予算編成を盾に介入することは許されないこれは事実ですよ、実際問題から。率直に言ってみて、藤井さんは、おまえは五万人ぐらいその首切りをやれと、そしてこれをやるような能力と力量がなければ、おまえがどんな要求を持ってきてもこれはいけぬと、大体おまえはもう年寄りだと、やめちまえというかっこうでおどかされた、そういうことが新聞に書いてありますよ、要約すれば。そこで、明くる日かその次やめちまったというようなことでありますけれども、だから私はここで、やはり時の権力や予算編成というような時期において特定政党が介入をしてきても、やっぱり行政の権威や、所管の大臣は憤然としてこれは労使間の基本問題だという、そういう認識をはっきりと受けとめてひとつやっていただきたいというふうに考えるわけですよ。
  244. 石田博英

    国務大臣石田博英君) いや実は、高木総裁がごあいさつにおいでになったときに、私は党側の人間としてそれを聞いた一人でございます。それから、私が運輸大臣に就任して高木総裁といろいろお打ち合わせをした際も、合理化を進めることはこれはしなきゃならない。しかしながら、人数をあらかじめ決めて、そうして、その決めた数に拘束された合理化であってはならない。合理化の結果として何人になるかということでなきゃならぬし、それからもう一つは、やっぱり後の雇用問題、それから同時に若返りというようなこともあわせて御検討を願いたいという私の気持ちを申し上げた。先ほどお言葉にありましたような後先構わず生首を切るようなまねは、たとえどんな方面からどんな圧力がきましてもやる意思はございません。
  245. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 公共企業体としての当事者能力の問題とスト権の問題をうらはらに置いて一つ質問いたしますが、国鉄再建の柱として労使関係の正常化はすべての立場から常識論として言われもし、それは何とか具体的に位置づけ、処置すべきだということは、これは一つの全般論として評価されておるわけであります。そこで、大臣は十月十六日ですね、国鉄幹部に、親方日の丸をやめて企業意識に徹せよということを言っておられるわけでありますが、私が国鉄という実態を把握している時分は、実は新潟の管理局長はいま民社党から議席を持っておられますけれども、あの当時は実は国鉄は一本の姿の体制にあったわけであります。その後、組合がいろいろ多党化しておるという経過を踏まえておりますが、それは過去の経過の中として、どうしてもこの今日的な状態の中では、国鉄公共企業体としての立場がある限りにおいては、その当事者能力という問題とスト権という問題についてこれは避けて通れない問題ではないかというふうに考えておるわけであります。  そういうものを意識されるされないは別の問題として、実はあなたは、これは就任のときでありましたか、これは五十一年の十月の十七日の日本経済に出ておるわけでありますが、あなたの顔写真も出ておるわけですけれども、要約して、資産の活用と、労使関係の改善と、閉鎖的な官僚臭を取り除くということをポイントに置いておられるようでありまするけれども、この労使関係の改善という問題について、一応あなたが今日ただいまの現状認識において、そしてスト権と国鉄の当事者能力という問題もかみ合わせて、あなたのひとつ見解をこの際伺っておきたい、こう思うんです。
  246. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 国鉄再建をするに当たって善美な労使関係を確立していくということは、私はやっぱり一番大きな条件一つであると考えます。それにはいろいろな努力が必要でありますが、そのうちの一つの問題点がスト権、それと公共企業体経営者の当事者能力との関連であろうかと思います。私は、労働行政をたびたびお預かりいたしましたから、私なりにこの問題については私見は持っております。ただ、いまの政府では、中山先生を座長に公共企業体のあり方について審議が進められておる途中でございます。したがって、そういう段階で私が私見を申し述べることは適当でないとお察しをいただきたいと存じます。
  247. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 私はずばりで申し上げますが、具体的に言って、たとえば、いま、中山伊知郎さんですか、基本問題懇談会というものが開かれたり、それから関係閣僚会議が開かれておりますが、それから慶応の教授である、名前はちょっと忘れましたけれども、よく田中総理なり、まあ三木総理になってからかどうか出てきませんけれども、教授がおりますが、そういう中で、総括して私は一本これは背骨がひん曲がって、そしてあばら骨が抜けておるんだと、そういうふうに考えておりますよ。  たとえば、小野吉郎さんが懇談会の会長であろうと、中山伊知郎さんが会長であろうと、これは実はかかしであり、看板のようなものですよ。中身は、本当は労働者側の、使用者の意見というものは大体取り入れてないと私は読んでそういうふうに思っているんですよ。でありまするから、いま大臣が、きれいごとではない、あなたの真意だと思いまするけれども、これもしっかり詰めてもらわないと、何々懇談会が何々計画をするということになるというと、結果から見て、主体的には時間かせぎということで終わって、結局しわ寄せを食ってしまうのがやっぱり国鉄の労働者であり、そのサイドにおける職員であるというふうにもなりかねないということに思うわけであります。  で、時間も、先へまだメーンを二つ残しておりますから先へ進みまするけれども、これは答えていただきますよ。  で、どうしてもスト権が与えられなかったり――話は前後いたしまするけれども、実は、かつて国鉄の労働者がやはり百九十二時間ぶち抜いた、あれは三木総理が、やはりこの憲法に保障された労働基本権に対して行政の権威として第一ボタンをかけ違ったからああいうことになったと思うんですよ。率直に言うならば、あの当時に、あの時点で三木総理が行政の権威としてスト権を与えるという方向で、ただし時間が非常に惜しいんだと、だからだということを歯切れよくやったならば、あのスト権は憲法上保障されておるけれども、憲法上これはないからということは、もうやる者も時間切れになって入っちゃったんですよ。本当は、そういう点に私は――これはあなたからお答えいただく必要はないけれども、そういうかっこうで好まざる結果として現象面では百九十二時間ですか、入っちゃったと。あのときにやっぱり第一ボタンのかけ違いだというふうに、これはそういうふうに見ているわけで、非常に不幸な事実があったと。  そこで、私はずばりで申し上げまするけれども、結局、いま、ともかくも法は法である限りにおいては守れない限りは……。しかしながら、いつまでもスト権を与えないわけにはいきますまい。そういうような点で、当事者能力を与えるか、それで条件つきでスト権を与えるか、そういったような問題について煮詰めた考え方と、もしそれがどうしても与えられないということならば、われわれ体制変革の原点に立てば、どうしても国鉄の所有形態や経営形態のことの問題について労働者の基本的な権利というものをどうしても日の当たる状態に押し出していかなきゃならぬという理念を一応基本的には持っておるわけですが、私の考え方は別として、客観的にひとつ大臣からこの点をお答えをいただきたい。
  248. 石田博英

    国務大臣石田博英君) スト権の問題と当事者能力の問題、それから公共企業体経営形態、それはやっぱり一本になった問題だと思います。そこで、そういうものの検討がいま行われておるわけでありまして、私は先ほども申しましたように、私なりの考えがありますが、それはそういう懇談会が現在行われて、政府がその人たちに委嘱をしている段階で私が私の私見を申し上げるのは適当でないと、こう考えます。
  249. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 時間の空費になりますから、先ほど私が申し上げたように、大臣三木内閣のもとにおける国務大臣であり、陸海空の三つのルートの行政長官であるし、そして、やはり労使関係の問題についても一つの権威というに近い常識を持っておられる、そういう立場におられますので、私は私なりの哲学も思想も見識もあるけれども、ここでは言えない。ここでは言えなくても、三木内閣が今日ただいまはあるわけでありまするから、そのあるうちにやはり十分そういう点について国務大臣として十分あなたのそこを言ってもらいたいというふうに言っておきますよ、実際に。  次に、私はこの仲裁裁定の完全実施の問題について、私は先ほど質問、意見、要求というものがあると、これはポイントなんですよ。この仲裁裁定の完全実施をすることはあたりまえなんです。そのあたりまえのことが紆余曲折があって非常に苦悩して今日に至っているということになるわけであります。去る九月の二十日ですか、仲裁裁定の実施に関して公共企業体労働関係法三十五条に基づいて、そして、それから第十六条の定めるところによって、そのただし書きに基づいて同法第十六条によっていわゆる議決案件として国会に提出しておられますね。これは総裁もわかるわけですね。そうして、仲裁裁定の完全実施には財源上の点から運賃料金値上げ法案の成立が前提であると、そういうようなニュアンスで、値上げ法案の審議に完全実施をセットする、言うなればこういう図式を一貫してとり続け、今日までそういう延長線上にあるんだと。  言うならば、仲裁裁定を道具として値上げ法案を成立させるようなことは、実はこれは労使関係の間から言っても、法の精神から言っても、憲法の基本理念から言っても、現在スト権はないんです。ないけれども、しかし、こういうふうなやはり代替組織として仲裁裁定を完全実施するということがある限りにおいては、労使問題として解決するだけで、いかにこの公共企業体の財布がやりくりがつかなくても、この点について値上げに関する道具建てのようなかっこうにこれをリンクさせるということははなはだ不見識であって、これが前例とならないという保証がないし、こういうことは再びしないということをとにかく強く要求するわけでありますが、大体これについて私は三つばかり煮詰めたポイントで質問をします。  本来仲裁裁定は、スト権のない公共企業体労働者が、その代償として公労委が下した裁定を双方が守ることによって紛争の解決を図ることを目的として設けられたものであることは、これは申し上げることもないでしょう。そのためにわざわざ三十五条には政府実施努力義務を明記しておるわけでありますね。政府が一方的に処置しないように義務を課し、スト権のない労働者の権利を守っておるということも、これは今日的において完全実施をするということの延長線上に生きておるわけです。仲裁裁定に対する政府の態度としては、積極的に責任を負うという立場から、いわゆる承認案件として国会に提出するというのが当然であったと思います。これは過去の経過になりまするけれども、将来の方向に向かってこういう財政がこれこれであるから、あるいは金繰りがつかないから、結局完全実施すべきであるけれども、値上げをしなければこれはその審議に云々というような問題が期せずして起きてくるような状態は、これは政治の姿勢からいっても、行政の姿勢からいっても、国鉄企業体の一体化と好ましいことじゃないじゃありませんか、そういうような観点についてどういう見解を持っておられますか。
  250. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 御存じかとも思いますが、昭和三十三年であったと思うのですが、この公労法の精神はいまおっしゃったとおりの精神であります。したがって、政府は仲裁裁定は完全に守る、そのかわり国鉄の労働組合の諸君も公労法で禁じてあるスト行為をやらないでもらいたいということを当時財政当局でありましたか、大蔵大臣であった池田さんに断わりなしに労働組合に約束をした本人であります、私は。したがって、この仲裁裁定は完全に実施すべきもの、保障義務として実施すべきものだと考え、同時にそれはずっと本年まで続いてきたわけであります。  しかし、本年は国会で承認された予算の枠内ではどうにもこうにもやり繰りがつかない、こういうことでありますので、十六条の規定によって議決案件として提出をせざるを得なかったのでありますが、一方われわれは、国鉄及び電電公社再建のための政府としての法律案を提出し、それがいま審議をされております。政府としてはこの二法案の成立を図る努力をするのは、そしてそれを期待するのは当然であります。だが、幸いにしてその審議も順調に進んでおりますので、この仲裁裁定は完全に実施されるものと私は期待をいたしております。ただし、この問題は現在では私の所管でございません。これは労働省、労働大臣の所管でございますので、私のこの問題に対する見解を申し上げた次第であります。
  251. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 本当は労働大臣を私は呼ぼうと思ったのです。ですけれども、結局あなたがおられれば、労働大臣来てもらってもこの時点ではしようがない。だから、国務大臣としてひとつお答えをいただきたい、そういうかっこうで前文句を言ったわけでありますから、そこで、本来仲裁裁定の実施は労働問題でしょう。値上げ問題は経営に関する問題ですよ。もちろん国鉄はやはり公共企業体です、わかっております。公共企業体でも経営を無視して成り立たぬわけでありますから、この二つを混同されることは許されないのだ。そういう見識の上に立って、国務大臣としてやっぱりお答えいただきたい、こう思うのですよ、もうこういうことはやらないと。
  252. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 国務大臣として答えろという話でありますが、その国務大臣としての私の考えは、先ほどから申したとおりでございます。私は将来にわたってもこういうことのないようにすべきものと考えます。しかし、所管はやっぱり所管の閣僚がほかにいないなら別であります。ちゃんと所管の労働大臣というのがおるのでありますから、正式の政府の見解は労働大臣が申し述べるものと思います。
  253. 青木薪次

    ○青木薪次君 関連質問をさしていただきたいと思いますがね、いま杉山委員の発言に対して運輸大臣は、予算実施不可能と思う、したがって国会に議決案件として提案することにしたということを言われたわけでありますが、その予算上の点という点について、国鉄当局に質問いたしたいと思いますが、いま普通の予算上の五%の点と、それから二%の点が予算上昇給資金並びにベースアップ資金として組んであると思うのですけれども、その点いかがですか。
  254. 馬渡一真

    説明員(馬渡一真君) 先生のおっしゃるとおり、五%の予算上の人件費の枠と、それから二・二%の昇給分の枠とは組んでございます。
  255. 青木薪次

    ○青木薪次君 そういたしますと、今度のベースアップのいわゆる昇給を含んだベースアップ資金というのは何%ですか、仲裁裁定は。
  256. 馬渡一真

    説明員(馬渡一真君) ベースアップに必要な資金という意味で申し上げます。これは損益勘定並びに工事勘定を含みまして一千三億でございます。
  257. 青木薪次

    ○青木薪次君 一千三億ということでありますが、私の質問いたしたいと思いますのは、いわゆる五%プラス二%、私は八%以下だというように考えておりますけれども、八%から七%余を引いたその財源というものは幾らになりますか。
  258. 馬渡一真

    説明員(馬渡一真君) ちょっと御質問の趣旨がわかりませんので、こういうことで申し上げますが、五%分というものは損益勘定並びに工事勘定を合わせまして金額としては八百十億円でございます。
  259. 青木薪次

    ○青木薪次君 私の質問しているのをちょっと取り違えて回答してもらっちゃ困るのですけれども、いわゆる八%平均が今度の仲裁裁定でしょう。そのうち現に予算を組んであるのが五%プラス二%、いわゆる七%余の予算は組んであるはずです。そうすると、その残余のわずか一%程度のものがいわゆる出すことができないという勘定に私はなると思うんですけれども、その点いかがですか。
  260. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 予算的にはそのとおりでございます。ただ、今回非常に困りましたのは、資金的にどうにもならぬということでございまして、予算面の上では組んでありますけれども、ちょうどいろいろ経費を節約しなければならないとか、工事費を、契約ができないとかいうのと同じでございまして、そこのところは資金の方で詰まってしまったという方が主たる理由だと私は理解をいたしております。
  261. 青木薪次

    ○青木薪次君 関連ですから余り長くやることはいけないと思いますが、大臣、あなたは予算上どうしてもできなかったと、こう言われたのですけれども、予算上はできるのですよ。したがって、そういうことから考えてみると、政府の姿勢で郵便とか、専売とか、アルコール専売とか、いろいろなところ全部実施した、国鉄と電電だけは、これは値上げ問題があるので議決案件として提案したというのは本当のことなんです。それを今回は違うんだというようなことを言っても、それは言葉のマジックでしかないと私は思うんです。ですから、その点については、短期資金の四千億に対していま現在国鉄が借りておるのが三千五百億でしょう。その五百億を持ってきても、これは資金の関係、資金運用等の関係についてできないといま総裁言われたけれども、しかし、そのことは答弁にならないと私は思うのです。ですからそういう点などを考えて、いま杉山委員のおっしゃった点について、仲裁裁定というものは完全に守るべきものであるということをもう一度大臣から答弁してもらいたい。
  262. 石田博英

    国務大臣石田博英君) さっき私の説明のうち、あれは十六条の規定の中には予算上、資金上という言葉が入っておりますので、資金上という言葉が抜けておりました。  先ほどから何度もお答えをしておるとおり、仲裁裁定というものは、私は完全に実施すべきものだと考えております。
  263. 加瀬完

    ○加瀬完君 ちょっと関連。  実施すべきものであれば、予算がないから実施できませんということではなくて、その予算は当然実施するために組まなければならない義務があるわけですね。したがいまして、予算のやりくりがつかないから仲裁裁定は実施できませんということは、仲裁裁定の精神から言えばなじまない内容ですね。そこがはっきり私はしておらないと思うのです、国鉄総裁のさっきからの答弁では。もう一度申し上げますが、仲裁裁定というのは、いま大臣の言うように、政府実施すべき義務があるわけですから、義務があるならば、当然予算措置もしなければならない義務がある。これは担当大臣の問題ではなくて、そういう閣議決定したら閣議全体の問題ですよ。  それを総裁は、予算のやりくりがつかないみたいな話をするけれども、予算のやりくりがつかないときには仲裁裁定はしなくていいということであれば、運賃値上げというものを前提に今後は仲裁裁定が実施されるという悪例をつくることになりますよ。これは大臣が先ほどから御説明のように、仲裁裁定の精神とはそういうものじゃないはずだ。それを国鉄の当事者が、いかにも予算がなければ仲裁裁定はまかり通すわけにはいかないという前提のような、何といいますか、御意見を述べられることはどうしても私には腑に落ちない。この点はどうですか。
  264. 住田正二

    政府委員住田正二君) 先ほど大臣の、…
  265. 加瀬完

    ○加瀬完君 大臣の言ったのはいいんだよ。大臣の言ったとおりだ。私はそのとおりだと思う。そんなら予算がないという言いわけは成り立たないと言うんだ。
  266. 住田正二

    政府委員住田正二君) 公労法三十五条では、政府は仲裁裁定の実施について努力をする義務があるわけでございますけれども、予算上あるいは資金上できない場合にはその限りでないということになっているわけでございまして、今回その十六条に基づきまして国会の方の判断をお願いいたしてあるわけであります。確かに政府としては実施義務といいますか、実施努力する義務があるわけでございますけれども、やはり予算上の制約というものが当然ある関係上、十六条でそういう調整規定を設けているわけでございますので、そういう調整規定に基づいて政府国会の判断を求めるというのは通常の手続ではないかと思います。
  267. 加瀬完

    ○加瀬完君 この一問で終わりますけれども、それは言いわけというものですよ。仲裁裁定の制度ができてから長い間今度のような措置で仲裁裁定が行われたことはないでしょう。また行うべきでないということは、大臣さっきからたびたび言っている。したがいまして、仲裁裁定が当然出るわけでありますから、予算的に不足をするなら予算的措置というのは当初において考えておかなければならない義務が政府にあるわけです。  一歩譲っても、今回はいろいろの手続上このような形になったとしても、将来は仲裁裁定が行えないときにはいつでも運賃値上げをしますよという、そういう組み方は絶対あり得ないんだということをはっきりしてもらわなければ困る。あなたの説明だと、足りなければいつでも運賃値上げをする、そうすると、運賃値上げしない限りは仲裁裁定はやらなくていいということになってしまう。そんなことを大臣はさっきから言ってるわけじゃないのだから、大臣の言ってることを私は信じますから、それならば、運賃値上げと仲裁裁定というものの一連のつながりというものは、今回はあったけれども、将来にわたってそれが前提にはならないんだということをここではっきりしてもらわなければ困る。
  268. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私の労働問題というものについての政治的信条、これはもう申し上げました。法律の規定は、十六条はこれは国会予算審議権、政府予算編成権と関連をして設けられている。三十五条の努力義務の中にもただし書きがあって、ただし予算上、資金上不可能なときには十六条の規定に戻ることになっておるということと、それから国鉄予算は六月一日から値上げ実施されるということを前提に組んであるものであります。それが実行できない段階で予算上、資金上実行不能と、それで国会の議決を得ると、こういう手続をとったわけでございますが、私はそういうことは好ましいことだとは思っておりませんし、私の労働行政問題というものについてのそれこそ政治家石田博英としての決意は先ほどから申しましたとおりであります。
  269. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 この問題については関連質問等もこれありましたので先へ進みますが、これは今後完全に実施することをひとつ約束してもらいたいんですよ。いみじくも運輸大臣は、この問題は労使問題の延長線上にある問題であるから労働大臣と、労働大臣を呼ぶということはぼくはそれは一つのルールとしてわかっているんです。しかし、労働大臣に来てもらったってこの時点ではしようがないんだと、国鉄の中に起きた問題であって、完全実施というものを保障義務として、そして他の二公社五現業がすでに行われて、取り残されておるのが国鉄路線だということなんですから、そういう点で今後は完全実施することをひとつ約束してくださいと、国務大臣として。しかし、それだからといっても、これは私がいみじくも言った、要求するというポイントはここなんですよ。この点についてどうですか。
  270. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 御要求の趣旨もよくわかります。これは私の政治的信条はいままで申し上げたとおりであります。ただ、法律の規定は規定として残っておるわけでありますから、その法律の規定まで空文化する約束を公の場で私がするわけにはいきませんが、政治家として私は労働問題についてはそういう信条を貫くつもりでございます。
  271. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 これは抜きますけれども、ただ一つ、これも他日に譲りますが、上越新幹線は先ほど申し上げたように前例のない、新潟に入ってから五つも六つも駅があることで、これが黒字に出るときにはどうなるかという心配を持っているが、それはそれとして、いま今日的な問題についてはビジネス列車として一日十二両編成、十二往復の「とき」という、裏日本の人たちはこれを新幹線だとこう言っておりますけれども、この「とき」の安全とサービスについて気象、海象が非常に常識の延長線上にはずれておりまするから、もしこれが豪雪によって危機を生じたならば非常にこれは問題であるんだというかっこうでありまするから、一遍総裁にとにかく時を見て、これに乗ってもらいたいということだけをひとつ要望しておきます。一遍藤井総裁も来ましたよ。でありまするから、行きの列車には食堂車のない汽車、帰りにはとにかく食堂車のある汽車。これは非常に、これがもし故障でも起こしたならば総裁、あなた首になりますよ。首飛んじゃいますよ。いいですか。これだけは言って、これは他日に譲っておきます。  そこで、これは最後の質問でありますが、社会党を初め、各野党の再建案に対する政府国鉄当局の見解の修正をするという心構えで、やはり原案は政府原案として出ておりますね。それについて社会党、共産党、公明党、民社党、それぞれ野党案が出そろっておるわけであります。これを手際よく取材をしておるのが十月八日の日本経済に出ておるわけでありますが、したがいまして、いま申し上げた、すでに各党は再建案を発表しておる。また、衆議院では六項目の附帯決議までつけておるわけでありますが、それはそれとして、相当に限られた日程であっても、参議院ではたてまえ上慎重審議をする、そういう立場でいま一生懸命で勉強をし合っておるわけでありますが、各野党の主張についてはともかくも政府国鉄はそれぞれ理解しておられるかどうかと、そういう点について一応この点を大臣から国務大臣としてお答えいただきたいと思います。
  272. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 各党のお出しになりました再建策というものは私も拝見をいたしております。今後の国鉄再建案の作成、それからその実施等に当たって十分検討をさしていただきたいと考えております。
  273. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 わが党の主張に対しては、たとえばローカル線赤字であるとか、公共割引の国庫負担であるとか、新幹線の見直しであるとか、自動車重量税の国鉄財政への投入構想であるとか、前向きの理解を示されたと、そういうふうに理解をしていいですか、どうですか。
  274. 石田博英

    国務大臣石田博英君) いろいろないわゆる公共負担、これは元来国鉄が非常にいい経営状態にあったときに、公共性のもとに実施したものであります。また農産物、水産物等のいわゆる政策割引もそうであったと思います。しかし、今日国鉄がこのような状態にありますときには、これらの公共負担政策負担はそれぞれ政策実施機関で持ってもらうのがたてまえであると私は考えております。  それから地方ローカル線の問題につきましても、本来これから鉄建公団でまたつくって国鉄にお下げ渡しになるのでしょうが、本来国鉄独立採算制を維持していけというたてまえ、これを施行せよというたてまえのもとにあります場合は、これはやはり奥地開発とか、あるいは先行投資とか、そういう意味合いを持った政策的な路線でありますから、政策費用でもって負担をしていただくのがたてまえだと思います。ただし、長い間の伝統、行きがかりもありますから、一遍に全部が実現するということはむずかしいと思いますが、その方向に向かって努力をするつもりでございます。
  275. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 来年度、五十二年度運賃値上げに関して、五十年十二月三十一日の閣議了解再建要綱というものができておるわけでありますが、この決定の際に、言うならば五十一年度も五〇%、五十二年度も五〇%という含みで大体これは確認して原案としては出ておるようでありまするが、やはりそういうことについては各野党のいろいろな、各原案に対してはかくあるべきであるという意見を含めても来年もやるということを、そういうことになって決定版だというふうにこれは理解をせざるを得ないのでありますが、この点については国務大臣としてどういう見解を持っておられますか。
  276. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私は来年度も五〇%の値上げをするという引き継ぎは受けておりません。したがって、そういうものが存在するとも思っておりませんし、そういう考え方に拘束されるつもりはありません。今回の値上げ実施されました経過を見て、なるべくならば値上げをしないで済ませたい、やむを得ないとしてもできるだけ低い点で抑えていきたい、こういう考えでおるわけでございます。
  277. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 十月二十三日の民放ビデオでは、来年度値下げは下方修正という方向にというニュアンスで、総裁大臣も大体言っておられるように思いますが、それはそういう理解をしていいですか。
  278. 石田博英

    国務大臣石田博英君) その来年度五〇%上げるということが既定の事実のようにおっしゃるとそういうことになると思いますが、そういうものに初めから拘束されているつもりはございませんので、下方も上方もそれはそちらの御解釈でございます。
  279. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 それでは、五十三年度は全く値上げをしないと、そういう保証が、レールが走って、延長線上にかくかくの問題があって、五十一年度あり、五十二年度あり、非常なスピードで新幹線的に走って、五十三年度ぐらいにその点についてははっきりと、現状の段階では五十三年度は、もうこの予算上その他の計画からいくというと、閣議決定で五十一年度も五十二年度上げると、こう言っている。そこへ野党が修正を出して、かく意見を取り上げてほしいと要求をしておる。そういう中で五十三年度という、そういう延長線の先方になって、これはそれまでにやはり手直しをして、五十三年度にはもう決して上げないということの保証を、そして言質は与えませんか。
  280. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 今回の値上げ実施影響、効果等も見なければなりませんし、その後のいろいろな客観情勢の変化も考えておかなきゃなりませんから、いま現在の段階でそういう確約と申しましょうか、というようなわけにはまいりませんけれども、たびたび申し上げておりますように、国鉄は現在すでにもう独占力を失っているんです。値上げをしたからそれが増収につながるとは限らないんです。国民生活に及ぼす影響とともにそういう実情も勘案しなきゃならぬと思います。そういう状態を見ながら、なるべくならば上げないで済むように、上げなきゃならぬとしても、できるだけ少ないところでがまんができるようにいませっかく努力を命じておるところでございます。
  281. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 もう一問でやめます。  実は私は、最初の段階で一遍調べてみたんですが、憲法に保障された国民消費者サイドで請願権というものについて、七十七回から七十八回に国会は及んでおるわけでありまするから、そういう中の積み残し法案で、この国鉄運賃値上げ法に対してどれだけの請願が出ておるかと、衆議院では百四十件、これは五十四万六千ということになっております。参議院では若干少ないのでありまするけれども、総計で六百四件、十六万二千何がしと、込みで七百四十四件と、そして百万に近いこれは請願というものがある。私は、問題はやはりこちらへ来て附帯決議であるとか、陳情、請願というものの扱い方について実際政治の上に本当に生かしていくと、これを活用していくというところが扱いの原点だと思います。  請願権が出てくると、委員部で収録する。出てくると、それでこれは保留するとか採択をするとか、そういう扱いではなくて、この問題に対して、この衆議院の段階で附帯決議はできておるが、何も参議院の独自性において衆議院に右にならう必要はないのでありまするけれども、出す出さないは別の問題として、問題はやはりこれらの請願権の精神、憲法に保障された原点に立ってこの請願のいろいろなものが出ておる。  百万に近いこれは限られた請願でありまするけれども、国民のサイドにおけば、先ほど私のおかかが、政治には関心のないのが、とにかくお父さん、こうなるぞと、新潟の新聞を持ってきたと同じように、これに対する扱いという問題に対して国務大臣として、そしてあなたがいずれきょうは問題は、総理もやはりここへ来るか来ないかは知らぬけれども、どちらにしても来れることを意識してあなたは運輸行政ルートの長官であり、国務大臣であるから、あなたがとにかくこれは請願や附帯決議というものは重視すべきであるということを心情を込めて総理に言えば、ああそうか、そうかということになると思うんですよ。その辺はどうですか。もうこれでやめますが。
  282. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 請願は、これはその趣旨を十分体して、行政の上に参考にするべきものだと考えます。
  283. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 終わります。     ―――――――――――――
  284. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、中尾辰義君が委員辞任され、その補欠として三木忠雄君が委員選任されました。     ―――――――――――――
  285. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) ただいま報告いたしました委員異動により、理事一名が欠員となりました。つきましては、これよりその補欠選任を行います。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  286. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事三木忠雄君を指名いたします。     ―――――――――――――
  287. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 本案の質疑を続行いたします。
  288. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 質問に入る前に、大臣に十月十四日福島のタクシーのストライキの問題について要請いたしましたところ、早速取り組んでもらいまして、いま連絡によって大体労使が知事のあっせんをのんで解決すると、そういう方向になりましたのについて、心から御礼申し上げます。御苦労さまでした。  それで、私はもう十九日に四時間もやったんですから、積み残しの問題について若干お願いいたします。  その積み残しの前に、いま仲裁裁定の話が出たんですがね、大臣、この前の質問の際に議決案件と承認案件がどうして変わったのかわからないという、こういう大臣答弁があったんですがね、私の記憶では、去年社会労働委員をやっておりまして、承認案件の提案の当時の労働大臣の話を聞いた際には、やはりスト権問題を解決すると、そういう前向きの政府の積極姿勢、それが承認案件だ。したがって、予算上、資金上非常に困難な場合でも政府の責任で金の裏付けをする、そういう積極姿勢が承認案件の意味だと、こう私は当時記憶しておるんですが、そういう点から考えると、私はやっぱり今回の議決案件は、どんなきれいごとを言われようとも、運賃値上げと仲裁裁定をセットにしてやると、そういう自民党の戦略であるということは間違いないと思うんですが、この戦略については率直にお認めになって、今後はそれをやらない、やはり予算上、資金上の問題であっても、公労法十六条の問題の場合には、去年とおととしやった承認案件、そういう形で政府が責任を持つと、こういう点を私はここではっきり表明されないと、どんなに労使関係を安定しようときれいごと言っても、しょせんはそこに労使関係の紛争になってしまう、こう思うんですが、改めて大臣の見解をお聞きしたい、こう思うんです。
  289. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これは先ほどから申し上げておるとおり、直接私の所管ではございません。それから、ただし、この仲裁裁定の完全実施ということを取り決めたのは先ほど申しましたとおり私の時代でございます。それが今日まで続いているのであります。こういう取り扱いにせざるを得ないという状態、私ははなはだ残念に思います。十六条の規定というものは例外規定でありますが、これは例外規定というものは使わない方がいいんです。そういう意味で私は昭和三十三年に当時の国鉄労組の幹部との間に約束を交わしたわけでございます。ただし、法律にちゃんと書いてあるものを私が公の席上で空文化するような発言はできません。しかし、精神はわかっていただきたいと思います。
  290. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 国鉄総裁、どうですか。まあ総裁も、総裁更迭という非常に渦中に参りましたから、なかなか言いにくい点もあろうと思うんですが、われわれも藤井総裁時代の問題、過去の問題をどうこう言いませんが、十分その経過はそれなりに心得ておると思いますが、やはり総裁としてもスト権の問題について賠償請求するぐらいの意気込みがあるならば、仲裁裁定については政府に向かって国鉄職員の生活を守るために命をかけても実施してほしい、そういう態度をとるのが総裁として当然の姿勢であろうと、こう思うんですが、いま大臣答弁を受けて総裁はどういうお気持ちか、聞かしてもらいたいと、こう思います。
  291. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 仲裁がなされました以上は、それをそのとおり実施するのは私の責任でございまして、その意味において国鉄総裁立場といたしましては、ストに対する代償措置である仲裁について、これはあくまで尊重するという立場を貫いてまいります。
  292. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 じゃそのようにひとつ今後とも努力してください。お願いします。  それから私、この前資料の提出を要求したんですが、どういう関係か、私が要求した資料は出てこないですがね、鉄監局長。この資料を出せないという何か理由があるんですか。私はここにこう持っているんですがね。この資料をちょうだいと言っているのに、あなたが出さないというのは、何か出さないことについて困ることがあるんですか。
  293. 住田正二

    政府委員住田正二君) 私が経団連で話をいたしました要旨につきましては、経団連の方で週報でまとめておりますので、それを目黒委員のところへお届けいたしたと思うんでございますけれども、もし届いてないようでしたら私の方のミスでございますが。
  294. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 いや、経団連の団報があるからこれでがまんしてくれと言われましたから、なかなか出さないんならしようがないなあと思って私もらったんです。だけれども、経団連のこれと、こっちのメモと何か出せない理由があるならば私は聞きたいと思ったんですが、非常に遺憾です。それだけに、私はあなたに対する何かあるのかという不信感を持たざるを得ないですが、時間がありませんから、もらったこれで質問しましょう。  このメモによりますと、十ページの(3)で、「しかしながら、今後の輸送需要については、運輸省の長期見通しによると」「貨物は逆に減る」と、こういう表現を使っているんですが、この長期見通しというのをわれわれこの運輸委の審議段階でまだもらってないんですが、どういう作業をされて、どのような数字を持っておって、なぜわれわれ国会審議の資料に出さないのか。それで第三者のところに行ってこういう断定的なことを言っておるその背景は何かということについて見解を聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
  295. 住田正二

    政府委員住田正二君) 私どもの段階でございますけれど、国鉄再建に関連いたしまして、まあ今後の貨物がどうなるかいろいろ試算をいたしていたわけでございますが、本年度値上げ、まあ来年以降はどの程度値上げをするかまだ決まっておりませんが、値上げに伴いまして当然需要減というものが予想されますので、そういう点を考慮いたしますと、輸送量は現在よりも減るというふうに考えざるを得ないのではないかと思います。
  296. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 そうすると、いままで議論された五〇%は上げるけれども実質は三七%だと、その三七%と五〇%のそのずれですね、そのことを指しているんですか、これは。
  297. 住田正二

    政府委員住田正二君) 本年の値上げによる減収もございますし、また、再建要綱の中で五十五年度までに固有経費で収支均衡に持っていくという目標が決められておりますが、そのためには、どの程度の幅になるかわかりませんけれども、ある程度値上げは必要でございますので、そういう値上げを考えますと、やはり需要の減退が予想されることになるわけでございます。
  298. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 「輸送経済」という新聞に、五十五年度のおたくの数字が出ているんですがね。「輸送経済」というこういう新聞にデータを出していながら、なぜわれわれの国会審議参考資料として出せないんですか。あなたの感覚だけでやらないで。大分この数字出てますね、ここにはいろんな書いてありますが、こういう資料は具体的にわれわれに提供できますか。
  299. 住田正二

    政府委員住田正二君) どういう資料か知りませんが、私の方で細かい今後の需要の見通しについての資料を提出したことはございません。
  300. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 だって、「予測値はいずれも部内資料で非公式なものだが、関係者にとっては興味深いもの」であるとわざわざ書いてあるんですよ、これ。だから、それは運輸省筋からちょいちょい流れるんですがね。その運輸省筋のどなたかが流しているんじゃありませんか、われわれに出す前に。新聞記者に提供してわれわれに出せないと、そんなばかなことありますか、運輸委員会のわれわれに出さないというのは。それはどういうわけですか。
  301. 住田正二

    政府委員住田正二君) こういう長期的な輸送需要につきましては、運輸省の官房の方でいろいろ作業をいたしているわけでございますが、私の方からこういう関係の資料を外部に出したということはございません。
  302. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 運輸大臣、おたくが官房の方でやっているという話ですが、官房であろうと鉄監であろうと、運輸省筋からこういう数字が出ておって、われわれの審議では、五十二年度以降については、今回の運賃値上げをやってどれだけ減収になるか、どういう伸びになるか、そういうものを全部網羅してからやりますという答弁している。一方では、官房かどっか知らぬけれどもこういう数字が流れている。こういうことになりますと、一体われわれをペテンにかけて審議をやっていると、こういうようになりかねないと思うんですが、その点は大臣としてどうですか。いかぬのじゃないですか、これは。
  303. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私も、実は新聞屋出身でございまして、恐らくそういうあれから考えますと、未定稿のものを入手したものでないかと思います。しかし、そういう未定稿のものがやたらに外へ出るというような管理の仕方、そのことが第一遺憾なことだと思います。それから第二には、それが未定稿であろうとなかろうと、新聞社に先に出して皆様方に後に出すということはこれはあってはならない。そういう資料というものができて外へ出すときには皆様方に当然配付されるべきものと考えます。
  304. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 もう出ているんですからね、鉄監局長。「輸送新聞」、これは五十一年九月十一日、まだ新しいんですよ。出ているんですから。このネタですね、この数字と資料とその根拠、それを後ほど、まあきょう求めたいと思うんですが時間がないようですから、この資料と、こういう数字を算出した根拠、背景について責任持って資料出せますか。
  305. 住田正二

    政府委員住田正二君) 先ほど申し上げましたように、こういう仕事の担当は私どもの官房の政策部門でございますので、政策部門の作業がどの程度進捗いたしておるのかわかりませんけれども、よく相談いたしてみたいと思います。
  306. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 相談いたすって、あんた、大衆の目に出ているのにわれわれ国会に出さないと、そんなばかなことありますか。そんなら審議する必要ない。そんなんなら。
  307. 住田正二

    政府委員住田正二君) 官房の方でどの辺までまとめてあるのかよく私ども承知いたしておりませんので、恐らく作業の途中の段階で外部に漏れたのではないかと思いますので、官房の方とよく相談いたします。(「そんなら官房呼んでくれ」と呼ぶ者あり)
  308. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これは恐らく未定稿の状態にあるときに何といいますか、盗まれたという言葉は悪いんですが、見られたものだと思います。したがって、これが定稿になった、完全な、運輸省として責任を持ってお目にかかられる段階になったときには、これは無論早速皆様方にお届けをいたします。現在完成しているものであるならばもちろん早速手配をいたさせます。
  309. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 これが大衆の前に、いろんな業界の皆さんの前に出ないうちなら大臣の言葉も私はそれなりに筋道が通ります。でも、ちゃんとこれ業界紙に載って、業界の間で議論されているという段階になりますと、われわれ自身も運輸委員としてどうなんだろうか、そういう質問を受けた際に、それはわかりませんねという答弁はできないでしょう。だから、これはまだ完成でない、現在事務レベル段階で検討中のものだというただし書きでも結構ですから、ここに細かい「輸送経済」に書いてあるのを裏づけるような資料はわれわれ運輸委員会に出すべきじゃないですか。今後の問題についてはわかりますよ、いま大臣答弁は。これだけ業界紙に出ている以上は、われわれも心配ですから、一体国鉄総裁の言うことが本当なのか、鉄監局長の言うことが本当なのか、どっちが本当なんだと、こういう問題は必ずこれは労使関係の私は不安定のもとになると思うんですよ。やはりきちっと、この前十九日、私の質問に答えたように、大臣も答えました、総裁も答えました、貨物を何とか生かしていく、そういう積極姿勢を国鉄職員はもうじっと見ているんですよ。ですから、そういう者に自信を与えることが必要でありますから、その自信をなくして労使紛争のもとになるようなこういうネタは、出た以上はやっぱり出してもらうと、そういうことが私は必要だと、こう思うんですが、いかがですか。
  310. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 運輸省として皆様方に提出をいたしますときは、これはやっぱり結論がしっかり出たときに運輸省として提出しなければ責任が通らないと思うんです。で、その未定稿であるか定稿であるか、それを早速調べました上で、定稿でございましたら皆さんにお配りをいたします。
  311. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 まだ私は納得しませんから、まあ時間の関係もありますから、いまの大臣答弁を受けて、後ほど理事会で相談をしてください。その問題は私は次の委員会まで保留しておきます。  次に二番目、同じく私、もうこの前十九日、あれほど質問したんですから余り言いたくないんですけれども、国鉄再建のために人員の削減、地方路線の赤字を減らす、貨物部門の赤字を減らす、いずれも徹底的な合理化をする以外に道はない、「当面は「値上げか破産か」」という言葉を使っているんですがね。「値上げか破産か」という何かいかにもわれわれを脅迫するような言葉を使っているんですが、この「値上げか破産か」というこれはどういうことを言おうとしておったんですか、鉄監局長の率直な気持ちを聞かしてもらいたい、こう思うんです。
  312. 住田正二

    政府委員住田正二君) この、前の方にも書いているわけでございますけれど、まあアメリカ等におきましては鉄道会社で破産をいたしている会社があるわけでございます。これはもう値上げができなくなって破産をしたということでございますし、またヨーロッパの国々でも毎年毎年相当の値上げをやってきておりますけれど、もはや値上げはできなくなってきて、巨額の赤字出しているという状況でございますので、その点と比較いたしますと、日本の場合にはまだ値上げの余地があるというような判断をいたして再建の方をお願いいたしているわけでございますが、もし値上げができなくなると、やはりアメリカの例、あるいはヨーロッパの例にならいまして破産に至るおそれがあるというように考えているわけでございます。
  313. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 じゃ、あなた、逆に聞きますがね、この前十月二十九日の公聴会、あなたも傍聴していましたね、公聴会を。私が、国鉄総裁になり手がない、財界からも政界からも。なぜ国鉄総裁になり手がないんですかときわめて単純な質問をしたら、公述人の方々はどういう答えをしたかあなた覚えているでしょう。運賃値上げの問題にしたってやっぱり一般的な社会的な水準以上に無理だと、それでどうしても採算が合わないときは、国家的な助成をしない限り国鉄は成り立っていきませんということは、自民党推薦の公述人から、一般公募の方から共通して言っている言葉でしょう。  そうすると、あなたは公共企業体という、この公共性というものをすっかり忘れちゃって独算制独算制だけで国鉄を強いる、それで「値上げか破産か」なんていう言葉を財界の大ボスがいるところに行って言うなんていうのはちょっと、あなたは鉄監局長なんですか、鉄道破滅論者なんですか、どっちなんですか。あなたは鉄監局長でしょう、少なくとも。鉄監局長というのは鉄道を監督して、よりよい経営が成り立つ、より多くのサービスを国民に提供する、そういう監督、助成する立場でしょう。それを「値上げか破産か」なんて、その後になると「合理化か破産か」でしょう。値上げと合理化をてこにして国民と労働者に強制をする、そういう姿勢を端的にあらわしているんじゃないですか。どう思うんですか、あなた。
  314. 住田正二

    政府委員住田正二君) これ全部お読みいただいたらわかると思うわけでございますけれど、私といたしましては、やはり国有鉄道というものを健全な姿で将来とも存続させる必要があるということでいろいろ申し上げているわけでございまして、特に貨物につきましては現在のように固有経費で見ましても相当大きな赤字出しているということになりますと、一部で言われておりますような国鉄貨物はやめてしまったらどうか、安楽死さしてしまったらどうかというような議論が強くなってくるわけでございます。で、国鉄貨物を現状のままに放置いたしますと、旅客の方でその赤字負担することも許されませんし、いま申し上げましたような安楽死論が出てくると国鉄の将来にとって非常にまずい結果になるおそれがある。そういうことで、国鉄再建をする上において貨物再建がきわめて重要であるということを申し上げているわけでございまして、私といたしましては、国鉄再建のための必要な方向について訴えてみたつもりでございます。
  315. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 そうしますと、おたくの考えは、国鉄が生き抜くために貨物を縮小する、そういう議論で国鉄側を指導する、こういう考えをお持ちだと、こういうふうに理解していいんですか。
  316. 住田正二

    政府委員住田正二君) 国鉄貨物の基本的な方向につきましては、再建要綱の中にはっきり決めておりますけれど、国鉄の現在の貨物の輸送機能を維持するということを明示いたしているわけでございます。したがいまして、現在国鉄貨物が果たしております国内輸送における役割りについては、それを今後とも残しておきたいという考え方をとっているわけでございます。
  317. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 そうすると、この公述人でありました国鉄に非常に関係のある日通総合研究所監査役大森誠一さんの公述の中で、やはり今後の国鉄のいろんな機械化、改善をやりながら、現在一億三千万か四千万トンの貨物国鉄が運んでおるけれども、今後の近代化なりいろんな創意工夫をすれば二億トンは可能だと、六千か七千トンのプラスは可能だと、こういう公述を専門的な日通の立場から公述されましたけれども、この見解とは逆な見解なわけですね。
  318. 住田正二

    政府委員住田正二君) 国鉄貨物につきましてはいろんな見解があるわけでございます。で、私は、やはり何が必要かといえば、まず国鉄貨物は固有経費で収支均衡を図るということが必要であると、そのためにどうしたらいいかということは、これは国鉄努力になるわけでございますが、いずれにいたしましても、国鉄貨物だけで採算がとれるような方向に持っていくことが必要であるわけでございまして、国鉄として輸送量をふやして収支均衡を図るか、輸送量を減らして収支均衡を図るか、これは国鉄の判断によることだと思いますけれど、いま御指摘の日通の公述人の話でございますが、まあそういう方向で今後輸送量が拡大できれば非常に結構だろうと考えております。
  319. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 総裁へなかなか言いにくいと思うんですがね、国鉄側としては、この前十九日私が質問して、積極的に経営の改善をしながら、労使関係を安定させながら拡大する方向でがんばってみたいと、そういう積極的な姿勢を国鉄側が持っていると、こういう考えは再度この段階でもお変わりありませんか。
  320. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 拡大をするというのは急にはなかなかむずかしいと思いますけれども、しかし、とにかくその経費を節すると同時に収入をふやすということを考えなければいけないわけでございまして、その場合に、収入をふやす場合に量をどうするのかと、それからつまり運賃をどうするのかと、そこの兼ね合いが非常にむずかしいことだと思いますが、なかなか運賃上げましても今度は量が減ってくるという関係でございますので、要するに運賃掛ける数量の掛け算したところの一番大きいところはどこだということを、少しきめ細かに求めていかなければいけないと、いまのように一律運賃ではなかなかうまくいかないのでございまして、そこのところをもう少し何とか弾力的にやることと、もう一つは、先般来申し上げておりますように、通運業者その他との協業、協調を万全にいたしまして、競争だけの精神じゃなくて、協業の精神でやっていけば、なかなか容易でないと思いますが、何とかいけるんじゃないかというあたりがいまの私の心境でございます。
  321. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 大臣、鉄監局長再建の御心配と、国鉄総裁のお答えと若干ずれがあるんですけれども、それを総合調整する大臣としては、貨物の育成について基本的にどう思っているか、こういう問題について聞かせてもらいたいと、こう思うんです。
  322. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私は実務家ではございませんので、具体的にどうすればいいかというような知恵があるわけではありません。あるわけではありませんが、かつては三〇%も四〇%も国鉄が受け持っておる。その中で石炭とか、鉱石とか、あるいは木材といったような国鉄の輸送に適した品目がだんだん減ってきた。減ってきたけれども、石炭の問題などはまた見直されるようになってもまいりました。したがって、もっとセールスの努力をすればお客をもっとつかまえ得るんではないかと、私はそちらの方に大きな期待を持っております。
  323. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 鉄監局長、そういうことですから、あなたも悪意があってやっているんじゃないだろうけれども、やはり総裁の方の意向などを十分に聞いて、国鉄職員に無用の心配を与えるような言質とか、新聞の記事にならないようにひとつ慎重に配慮してもらいたいと、こう思うんですがね。  私、この前合理化でやって、きょうも杉山先輩が合理化やったから、合理化はやるまいと思っておったんだけれども、この問題もちょっと触れているんですね。「貨物固有部門の人間は五万人に縮小しなければならない」と、こういう表現を使っていらっしゃるんですね。われわれ商売屋ですから、ああ五万人か、そうすると、七万八千やら八万だから、貨物だけで三万人首だなあと、そういう数字がすぐ出てくるんですよ。この五万人に縮小ということはあなたの個人的な見解なのか、運輸省として貨物部門を五万人に減らすという決定をしていらっしゃるのか。個人的見解か省の決定か、まずこの点を聞かしてもらいたい。
  324. 住田正二

    政府委員住田正二君) その点、お読みいただいたらおわかりいただけると思いますけれども、それは例示をしているわけでございます。で、私どもの見解としては、昭和五十五年度で固有経費で収支均衡を図るということになりますと、一人当たりの売り上げがやはり六百五十万ぐらい必要ではないかということではないかと思います。それがもし決まりますと、あとは運賃上げて輸送量を上げれば従業員はふえることになりますし、運賃が上がらない、あるいは輸送量が余り多くを期待できないということになると、従業員が減ってくるということでございまして、それは単に一例として挙げただけの話でございまして、分母、分子をかえれば七万人にもなるし、あるいは場合によっては三万人にもなる可能性があるわけでございますが、要するに、そこで申し上げたいのは、一人六百五十万ぐらいかせがないと固有経費での収支均衡を図れないということで、経済合理性に基づいて企業マインドで今後の貨物のあり方を考えてもらいたいということを言っているわけでございます。
  325. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 その経済合理性からの計算はわかるんですが、野党のわれわれがいろんな公共負担法の問題とか、政策部門の負担であるとか、あるいは国の助成であるとか、地方ローカル線助成であるとか、いろんなものを総合的にして何とか再建しようという考えの議論をやっている最中に、経済合理性だけでこういう数字を出して、で、結論は五万人にするんだと、こういう導き方は政策担当者なり指導者にあるあなた方としてはちょっと不用意ではありませんかと、総合的にこういうことになるけれども、やはり国の助成をやったり、ローカル線の補助をやったりして、できるだけこういうことのないようにやっていくんだと、そういう総合的な問題の提起の仕方が鉄監局としての当然の私は仕事ではなかろうかと、現に野党として衆議院段階で提案しているんですからね、野党全体が。ですから、そういうものを含めた経団連に対するお話というのを当然やるのが常識ではありませんか。われわれここで議論しておって、それで運輸大臣が前向きの答弁をしても、あなたが経団連に行って日本の経済界のボスどもにやはり五万人にするんだと、こういった形だけの問題の提起の仕方はちょっと軽率ではありませんか。どうです。
  326. 住田正二

    政府委員住田正二君) ここに問題にいたしておりますのは、貨物の問題でございます。貨物について、その赤字を国から助成するというようなことは、現段階ではなかなかむずかしいのじゃないかと思います。したがって、国の助成がなければ企業的な見地から収支均衡を図らなければいけないということになるわけでございまして、旅客の問題と貨物の問題は別個の問題ではないかと思います。
  327. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 この前の連合審査で、農産物の割引の問題について見直すという答弁をおたくの方やっているんじゃありませんか。ですから、結局それについては運輸大臣は、政策部分でめんどう見てもらうと、やはりこの際は割引については整理をしたいと、貨物、旅客を問わず。そういう答弁しておるのとちょっと食い違いがありませんか。
  328. 住田正二

    政府委員住田正二君) 国鉄貨物赤字は、共通経費まで含めますと昭和四十九年では約四千億でございますし、恐らく昭和五十年度では五千五百億を超えているのではないかと思います。こういう経費だけ見ましても、恐らく昭和五十年度は二千数百億に上る赤字ではないかと思います。で、いま御指摘ありました政策割引の問題は、額としては四、五十億の金額でございますし、この前、連合審査で国鉄総裁から御答弁申し上げたと思うんですけれども、こういう問題は営業割引の問題の一環として考えたいというふうに申し上げているわけでございます。
  329. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 じゃ、貨物は営業割引と、こういうことですね。そう確認していいんですね。
  330. 住田正二

    政府委員住田正二君) この前、連合審査で問題になりました点については、営業割引等の活用で解決したいということを国鉄総裁から答弁申し上げたと思います。
  331. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 それで、この合理化の問題でもう一回やっぱり私は詰めておく必要があると思うんですが、先ほども大臣答弁し、あるいは総裁答弁したんですから、私は余り言いたくありませんが、頭の中にはどうあろうとも、やはり具体的な問題について労使で十分話をして、その結果論としてこういう合理化が出てくると、そういう筋道でやりたいんだと、鉄監局長がここに書いている貨物部門七万八千人を五万人にすると、そういうようなことについては頭から考えないで、いろんな工夫をしてみて結果論として出てくると、そういう路線については、いま鉄監局長の一私案が出たけれども、そういう段階でも、この前私に答弁した考え方は変わっていないと、こういうふうに確認したいと思いますが、大臣総裁からおのおの見解を聞かせてもらいたいと、こう思うんです。
  332. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 連合審査で問題になりました農産物の割引の問題は、原則としてはやっぱり私は政策実施機関が負担してもらうべきものだと思います。だけれども、にわかにできないというようなことがありますと、その負担が生産者に主にかかってくるような事態を考える場合、あるいはほかの輸送機関に逃げる場合いろいろ考えなきゃなりませんので、そういう場合はいまお話しのような方法で解決せざるを得ないが、基本的な線は政策実施機関で負担してもらうということだと思います。
  333. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 御指摘のとおりで、変わりございません。最近も組合幹部の諸君といろいろ話をいたしておりますが、前回にもここで御議論があったかと思いますが、そうした問題について篤と組合諸君とも話をして、どういうふうにやったら一番能率が上がるか、どういうふうにしたら赤字が減ることができるか、そして、国民の皆さんに公共輸送機関としての使命を果たすことができるかということを一緒になって相談をしていきたいと思っております。
  334. 石田博英

    国務大臣石田博英君) いま合理化の問題についてお答えを忘れましたので私が追加さしていただきます。  何度かここで申し上げましたとおり、頭から人数を決めて、その人数に向かって人減らしを図っていくということは、これは間違いである。合理化を図り、労使の話し合いを進めて合理化を図っていく経過においてそういう現象が生まれてくるのはこれはやむを得ないけれども、初めから人数を決めてかかるというような考え方は私は間違いであると思っております。
  335. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 鉄監局長にちょっと聞きますが、国鉄の労使関係がこじれたのにはいろいろ原因があると思うんですが、一番根っこになっているものは何だと思いますか。労使関係がこじれた一番根っこになったのは何が原因だと、こうお思いでしょうか。
  336. 住田正二

    政府委員住田正二君) いろいろ原因はあると思いますけれども、恐らくマル生運動に基づく労使間の不信というものが今日まで尾を引いているのではないかと思います。
  337. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 マル生を企図した政治的背景は何ですか。
  338. 住田正二

    政府委員住田正二君) マル生運動についてはいろいろ御批判もあるかと思いますけれども、マル生運動というその言葉の意味を申し上げると、やはりできれば生産性を上げようということじゃないかと思います。
  339. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 あなたは、前の総裁がわれわれに、当時の動労の委員長である私に謝りの文章を書いたことをよく覚えていない。やっぱりマル生の根底は合理化ですよ。だからいままで私は、いま大臣総裁が言うような合理化の取り組み、発想の転換をマル生前にやっておればこんなに労使関係はこじれなかったと、こう思うんですが、過ちでしょうか。
  340. 住田正二

    政府委員住田正二君) やはり、まあ合理化といいますか、生産性を向上するということは必要なことではないかと思います。ただ、そのやり方、方法が妥当であったかどうかについては問題があったのではないかと考えております。
  341. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 あなたは現場を持っていないから非常に簡単に言っていますが、われわれは体の中に、合理化の問題がやっぱり頭から押しつけられたと、そこに労使関係のこじれた最も根本があったと、こう私たちは考えているんですよ。ですから、その件については十分、もう時間がありませんから言いませんから、今後あなた自身もひとつ合理化という問題について、大臣総裁が持つ発想の転換についてぜひ前向きに努力をしてもらいたいと、指導してもらいたいということを要請しますが、いかがでしょうか。
  342. 住田正二

    政府委員住田正二君) 先ほど大臣からお話がありましたように、生産性の向上、あるいは合理化についてはやはり十分配慮をしながらやっていく必要があろうかと思います。
  343. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 じゃそのようにお願いします。  これも心構えの問題ですが、こういう言葉じりをとらえるわけじゃありませんが、やっぱり同じ十一ページのところに「独占時代の意識を捨て、使命感によるのではなく、むしろ経済合理性」云々と、こういう言葉を使っているんですが、言わんとするところはわからないわけじゃないんですけれども、実際午前一時、午前三時、みんなが寝ているときにあの電気機関車で四十両も五十両も貨車を引っ張ったり、寝台列車を引っ張って眠気と戦いながらやっている機関士、運転士の気持ちになると、この経済合理性だけではあの深夜運転、たった一人で運転できませんよ。やっぱり公共企業体に対する使命感で私は夜中に運転していると、こう思うんですよ。ですから私は、動力車乗務員に対する侮辱だと、こういう言葉を使うのは。そう思うんですが、軽はずみじゃありませんか。使命感も必要だけれども、やはり経済合理性についても十分考えてほしいと、そういう並列の姿勢が正しいんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  344. 住田正二

    政府委員住田正二君) ここで申し上げておりますのは、やはり経済的に成り立たない貨物輸送がかなり出てきているわけでございまして、そういうような点については、まあ独占時代の流れでもあるわけでございますが、そういうものを単に使命感で維持するということでは赤字解消は非常にむずかしいんではないか、やはり経済合理性に基づいて、採算のとれないものについては合理化をするなり整理をするということも必要ではないかということを申し上げているわけでございまして、いま目黒委員のお話しのような点について申し上げているわけではないわけでございます。
  345. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 そうすると、使命感も必要であるけれども、やはり経済合理性という問題についても十分職員の皆さんなり国鉄側でも考えてほしいと、そういう意味だというふうに、若干舌足らずであったという点でいいんですか。
  346. 住田正二

    政府委員住田正二君) いま御指摘の点についてはそのとおりでございます。
  347. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 それからもう一つ、総合交通体系の問題について、この前公述人でも大分言われたんですが、運輸省としてはこの総合交通体系の問題についてどの程度作業が進んでいるのか、現況と見通しについて教えてもらいたいと、こう思うんです。
  348. 住田正二

    政府委員住田正二君) 総合交通体系の問題は、先ほど申し上げましたように官房の方の担当でございますので、最近の作業状況については詳しくは承知いたしてないわけでございますけれど、やはり高度成長から低成長に経済の基調が変わってきておりますので、それに基づいて今後総合交通体系をいかに構成すべきかについていろいろ検討いたしているのではないかと思います。
  349. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 これも清水公述人から、特に総合交通政策の調整の失敗が今日的な旅客の問題、貨物の問題を含めてできているという強い指摘があったわけでありますから、これは運輸大臣ね、何回も言っていると思うんですが、やっぱりこの総合交通体系については、同じ車へんの仲間ですから、十分にどういうふうになっているのか、具体的に調整する場があるのか、あるいは調整する会議を持っておるのか、あるいは別な何か機関があってやっているのか、総合交通体系の調整というやつを運輸省はどういう仕組みで現に行われているのか、あるいは、いままでなかったならば今後どういう仕組みで調整をしていこうという考えなのか聞かしてもらいたい、こう思うんです。
  350. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 国鉄が今日のような状態になった一つ原因は、同じ役所の中にありながら、海とトラックと国鉄という相互の関係についての連絡、配慮、そういうものが足りなかったということは、私はもう率直に認めます。といって、これを強制力で是正するとか、修正するとかというのは現在の体系のもとではできませんし、必ずしも適当ではないと思います。  で、まず第一に、われわれが当面しております一番大きな問題はやっぱり国鉄再建でございますから、国鉄再建ということを中心といたしまして、関係各局が官房において世話をしながらいま検討をさしておるところでございます。これはもうちょっと定期的、組織的なものにして現実的な効果のあらわれるように早くいたしたいと、こう考えているところでございます。
  351. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 ひとつそういうことについて大臣、責任を持って定期的、組織的なものをつくってもらうという点でよろしくお願いしたいと思います。  参考までに鉄監局長ね、この質疑応答の中で、十三ページの終わりの方に、質問に答えておる中で、自動車との関係が最大の問題点だが、「しかし、道路費用については、トラックの負担が軽いという問題があり、また自家用トラックの野放しについても問題があるので、今後十分に検討してゆきたい。」と、こういう言葉で答えてあるんですがね。これは私、十九日大蔵省の皆さん呼んで自動車税の問題でやったときに、まあ今後検討するという大蔵当局の話はとってあるんですが、鉄監局長として、この趣旨はどういうことを言っておるのか、今後の調整の問題もありますから聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
  352. 住田正二

    政府委員住田正二君) 鉄道とトラックの問題で一番大きな問題は、私は、この前目黒委員も御指摘になりましたように、過積みの問題であるとか、あるいは労働条件の問題が非常に大きいのではないかと思っています。そういう点から言って、実質的に運賃ダンピングが行われているわけでございまして、その点が鉄道貨物から見ますと一番大きな問題ではないか。特にそういう点のひどいのは自家用車ではないかと思うわけでございまして、そういう面から、ぜひ自家用車について規制措置ができればということを期待いたしているわけでございます。  また、税金の問題等につきましては、私ども運輸省内部の問題もございますけれど、外国の例から見ますと、いわゆるオーナードライバーと営業車との税金負担のあり方がいいか悪いかについては問題があるんじゃないかという認識をいたしているわけでございます。
  353. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 自動車局長、いまの鉄監局長答弁に対して、自動車局としてはどういう考えをお持ちですか。
  354. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) やはり自動車、特に御指摘のトラックにつきましては、その特性を発揮する輸送分野におきまして、秩序正しい運営をしていくのがたてまえでございます。したがって、いろいろ御議論のある問題点につきましては、これをためて、トラックはトラックらしく、その適正輸送範囲で健全な運営を進めていかなければならない、かように考えております。
  355. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 この前の公述人の清水先生の発言で、トラックは現在七百万台あるけれども、営業車が五十万台で、これ大体いま基準局の指導などを受けながらやっておる、あとの六百五十万台はいわゆる俗に言う白トラあるいは自家用、十トン車に二十トンも積んで走ると、こういう問題を調整しない限りは、どうにも貨物の流れを正常に戻すということができないと、こういう公述があったんですが、私も日通や運輸労連の皆さんから聞いて、そのとおりだと、こう思うんですが、自動車局としてはどういう指導方針なり、あるいはこの六百五十万の白トラをなくすための考えを持っておるか聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
  356. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) これは大分前から問題として出てきておるわけでありまして、私どもの方としても、知恵を出して何かいい方法はないかということを検討を続けておるわけでございますが、何分にも、いま先生御指摘のような非常に多くの数の自家用自動車になっておりまして、本来的に自家用自動車の便利さを追求した運用ということであれば問題はありませんが、特に貨物の場合に、自家用の営業行為という事態が出てくるわけでありまして、これにつきまして私どもの方の地方機関と一緒になりまして、この輸送秩序を保つということで努めてまいっております。ただ、何分にもそれが十分に行われないということでございますので、今後もその辺を踏まえましてこれを打開していく道を考えたいと、かように考えております。
  357. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 時間もありませんから、ぜひその点については、日通とか、運輸労連のトラックを現に運転しておる組織労働者が非常に関心を持っていますから、交通事故撲滅の面からも強力な指導なり、場合によっては免許の停止というぐらいの気持ちで取り組んでもらいたいと、こう要請しておきます。  最後に二つだけしますから。  一つは、十月三十一日朝日新聞で、「再建主柱は貨物減らし」と、こういう記事が載っているんですがね。これを見ると、やっぱり国鉄職員はぴーんとくるんですよ。内容を見てみると、大体運輸省筋のこれはネタですがね、どうも新聞の記事が。きょうの関係で私はわかりましたから、こういう誤解を与えて労使紛争の種を現場にまくということについては、ひとつ取材の関係で十分に運輸省側としては注意してもらいたいし、国鉄側にも要望しておきたいと、こう思うんですが、これに対する所見があったら、大臣でも、鉄監局長でも結構ですから聞かしてもらいたい。  もう一つは、新聞で大臣ね、東北新幹線の上野駅の問題について大分記事が出まして、私も仙台ですから、仙台の方々は喜んでいるんですけれどもね、あれの本当のねらいは何なのか、あのままずばり受け取っていいのか。この前の段階でも質問が出たと思うんですが、あの上野駅の問題について、この際大臣の見解と、それを受けた国鉄側の見解、そういうことをひとつ聞かせてもらって、私の質問を終わります。
  358. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 前段の問題は、そういう誤解や摩擦を起こさないように、運輸省関係者に注意をいたします。  後段の問題は、一応東京をターミナルにして工事認可が出ておるわけでございますが、しかし、台東区を中心に、上野駅を始発駅にしてくれ、あるいは、上野駅に停車してほしいといった種類の各種の陳情がございます。先般も早朝台東区長ら関係者がおいでになりました。私も東北人であるから、心情的には上野というものに愛着も関心も持っていると、また上野から東京までつなぐと言っても東京駅の処理能力、それから繁華街をどうやって貫いてくるかといういろいろな問題がある。その上に大宮から上野までの問題がまだ解決していない段階であるし、時間的にもかなり長期になる問題であるから、あれで決まったからおしまいということでなく、もう一度やっぱり検討をしてみる必要があると思うと、こういうお答えをいたした次第であります。
  359. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 国鉄側に陳情したと、そういう記事になっているんですが、国鉄側との関係はまだないんですね。
  360. 高木文雄

    説明員高木文雄君) かねがね上野駅周辺の方々からは、新幹線を上野駅へとめてほしいと、その場合には上野の山の下を通るということでは駅をつくるのに実際的にはむずかしいから、現在の在来線の腹づけのような形式でやってはどうか、それについては住民の非常に大ぜいの方々も賛成しておって、いままだそれに反対なのはごく一部の方だと、こういう話があります。  私どもといたしましては、実は上野の問題だけで事を片づけるわけにまいりませんので、北区の問題がありますし、大宮と赤羽の間の問題もありますので、それらの進みぐあいを見てからでなければ何とも言えないが、一応路線が決まっておりますので、そして、過去において路線を変更したということは私は詳しく知りませんが、ないそうでございますので、非常に困難ではありますが、関係住民の方々の御発意でもありますから、なお研究いたしますということで、今日までまいっておるわけでございます。で、先般も大臣からそういう種類の要望に対して、もう一遍国鉄の方で考えてみるように言うとくからというふうに返事したよということでありますので、いや、それは前々から私どもといたしましても実は全く研究してないわけではないんだということでお答えをいたし、かつそういうふうに具体的に研究をいたしているわけでございます。  ただし、非常に問題は、やはり路線の変更を軽々に行いますと、何しろ鉄道というのは道路の場合と違いまして、真っすぐ引っ張らなければいけない、横にカーブをよけい切ることもできませんし、それからレベルを変えて建設することもできないという関係がありまして、道路とは全く違う新しく線路を引っ張る場合の困難性がございますので、各地域、地域の御要望をそれぞれ伺っておりますと、とても建設ができないという特性がございまして、その意味から言って、過去において路線を変更したことは全くないということでありますから、具体的な問題の処理としてはどっちがいいかという問題と、軽々に路線を変えることにはマイナスがあるという問題と、そして、また同時に、東京駅まで持ってくる場合と、上野でとめる場合との東海道新幹線のつながりの問題というような問題、いろいろあります。  また現実に、大宮から南は大変キロ当たり単価が高いわけでございますので、東北新幹線全体としての採算の問題をまた考えなきゃいけないということで、まだまだ考えなければならない、検討しなければならないファクターがたくさんございます。ございますが、それをいずれも比較検討いたしまして、いよいよ本格的に東京に近い方の工事が始まりますまでには何らかの結論を出して、その結論に基づいて運輸省に結論を持っていくつもりでおるわけでございます。
  361. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 もう一つですが、建設に相当時間がかかると、こういうことだと思うんですけれども、新しい駅をつくることは余り問題ないですが、在来線の駅を改築してつくる、そういう際に、非常に多くのお客さんが出入りする、それで安全の面から非常に現場の工事担当者、それから掃除をする駅員、運転士、駅長、非常に苦労されている。ですから四年も五年もかかりますから、在来線の駅を改築して新幹線の駅と併合する個所については、少ない予算ではあるけれども、やっぱり重点的に金を注入して、一日も早く在来線のターミナルが使用できるようなそういう配慮を、工事をする際に十分考えてやるべきじゃなかろうかと、こんなように思っていますから、それも実施の段階で十分に検討してほしいということを要望いたしまして、質問を終わります。
  362. 内藤功

    ○内藤功君 委員長、大分長時間にわたりますが、このまま続けていっていいんですか。――大分お疲れのようですが、よろしいですか。
  363. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 続けてください。
  364. 内藤功

    ○内藤功君 昭和五十年度末で累積赤字三兆一千六百億円、長期債務残高が六兆七千七百九十億円、こういう重大な破綻を来したこの責任は一体どこにあるか。私どもは、これは昭和三十九年から赤字になっておる、この三十九年からずうっと政権を担当しておるのは、ほかならぬ自民党政府でありますから、この自民党政府の責任だと、しかも、この赤字の責任は深い、非常に遠いところにある、そういう失政の積み重ねが今日の破局をもたらした。しかも、この破局に至るまでに、わが党はもちろん各党、さらに国鉄内部の有識の士に至るまでいろんな警告を発したのに、警告を聞かないで暴走したという、こういうところに原因がある。特に国の一般会計からの支出を極力抑えまして、借金に次ぐ借金で膨大な設備投資をやってきた。この自民党政府の長い、十数年にわたる責任は免れることはできないと思うんです。  それではどうするか。わが党は、すでに発表した政策の中でも明らかにしていますように、これを国の責任で計画的に縮減し解消する、そういう段取りを詳しく発表しております。時間の関係でこれを朗読することはいまここでいたしませんが、これに反して本委員会並びに本会議における政府当局のいままでの御答弁聞いておりましても、まじめにこれに対応するんじゃなくて、ただこの値上げ是か非かで迫ってくる。ここ二、三日中にも採決をあえて行おうとしておる。言語道断だと言わなきゃならぬのであります。私は、こういう前提に立ちまして、以下国鉄貨物輸送による赤字問題から質問をしたいと思うんです。  国鉄貨物輸送による赤字額は、昭和四十一年度から四十九年度までの間で一兆七千七百十四億円、同期間の国鉄赤字の二兆二千五百二十八億円の約八割はまさにこの貨物輸送による赤字なのであります。貨物輸送のこの赤字について、政府やあるいは国鉄当局は、口を開けば貨物運賃上げると貨物が逃げる、したがって、旅客の運賃上げたけれども賃物の運賃上げないということも一度ならずあった。貨物が逃げるのが貨物輸送赤字の主たる原因のように言ってきた。しかし、果たしてそうだろうか。そのために大口荷主に対する割引を、われわれの警告にもかかわらず野方図にやっている。特急、急行料金を取りなさい、物資別料金を取りなさいということをこの間もこの委員会で言った。しかし、これについてもまだ前向きの姿勢が見られない。一体この貨物輸送赤字は何かという問題です。  まずお聞きしますが、いろいろな本を書いておる石川達二郎という人はどういう人です。
  365. 高木文雄

    説明員高木文雄君) つい最近まで国鉄におりまして、いまはやめておりますが、国鉄で常務理事をしておった人でございます。
  366. 内藤功

    ○内藤功君 これはりっぱな、学識のある人ですね。
  367. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 特に経理問題について経験もございますし、堪能な人だと思っております。
  368. 内藤功

    ○内藤功君 ここにその石川達二郎さんの「国鉄機能と財政の構図」という本を持ってまいりました。この本に、長い間経理局の仕事をしていた石川氏はこう言っているんです。三百十ページです。「貨物輸送赤字の根底には、輸送量の停滞があるにしても、最近急速に悪化した原因は、四一年に一二・三%の値上げがあった以後、四九年一〇月まで八年半も貨物運賃が据え置かれた点にある。」、貨物について、輸送量の停滞というのが主原因じゃないということをここで指摘をしております。これはもう経理を長年国鉄でやってきた、総裁もいま評価された方の本であります。  念のために昭和四十一年からいま五十一年までこの約十年の間、貨物運賃、それから旅客の運賃料金、これがどういうふうに上がったかということをひとつ数字で確かめてみたい。  まずお伺いいたしますが、貨物の場合、これは車扱い一等級である自動車というものを一応物として例にとる。距離は、まあ本牧埠頭から笠寺までという距離をとった。そうして四十一年は何ぼであったか、いまは幾らであるのか、これをちょっと数字で説明してもらいたい。
  369. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 本日残念ながら手元にその資料は持っておりませんが、恐らく先生の御質問は、四十三年ごろから自動車の輸送を始めたわけですが、その当時は、四十一年の三月の運賃値上げしましたレベルで運んでおりますのと、現在でどれぐらい上がっておるかということだろうというふうに推測いたしますと、約七%アップをいたしております。そういうお答えにさしていただきます。
  370. 内藤功

    ○内藤功君 これは国鉄で私、計算していただいたんです。あなた持っていないと言うのでこちらから要点を言うと、四十一年の三月では一台当たり六千五百円、いまは幾らかというと、一台当たり六千九百三十八円、四百三十八円しか上がっておりません、この十一年の間に。そうしまして、アップ率はいまあなたの言ったのはちょっとはしょってあるが、四捨五入をしたようだが、六・七%、こういう数字である。  次にお聞きしますが、その期間に大体同じ距離である東京-名古屋間、新幹線は四十一年は幾らで、いまは幾らですか。――これは質問すると言っておいたんだが、資料持ってこないのかな。
  371. 吉武秀夫

    説明員(吉武秀夫君) 四十一年はちょっと手持ちはありませんが、現在は東京-名古屋で三千八百九十円でございます、新幹線で。
  372. 内藤功

    ○内藤功君 だめだね、こういうことじゃ。ちゃんと聞くということで言っておいたんですが。私の方で言いましょう、時間がどんどんたってしまう。たつのは結構だけれども、こういうことでたつのはむだなんですよ。  四十一年の四月で東京-名古屋の新幹線運賃料金合わせて二千三百四十円、現在は三千八百九十円、そうするというと千五百五十円上がっている。パーセンテージにすると六六.二%。ついでに申しますと、東京-新大阪間は四十一年が三千三十円、現在五千五百十円、八〇%上がっている。大体同じような距離の旅客が六六・二%。そうして貨物は、自動車を運ぶやつ、これはもう大企業ですよ。中小企業のおやじさんが自動車つくるわけないんですからこれは大企業、これは六・七%。はっきりこれで出てきているわけですね。そこで貨物の方は、石川さんの本に書いてあるよりもっとひどい状況になってきている。  それで、もう少し説明してもらいたいと思うんですが、昭和四十九年度の客貨別損益というのを見ると、営業係数を旅客と貨物の方で比べてみる。旅客の方は新幹線を含めて営業係数は一一九なんです。それに対して貨物の方の営業係数は二六九になると思う。そこで、二六九の営業係数を旅客の営業係数の一一九並みに引きおろすというふうにするためには、どのくらい貨物の方の営業収入をふやさなければならぬか。言いかえると、二六九の貨物の営業係数を一一九という旅客並みにおろすにはどれだけの収入をふやせばよいのかという点は計算してありますか。四十九年度の客貨別損益、これも質問すると言っておいたはずですが……。  これも非常に遺憾なんですがね、収入一兆千二百五十四億円、これが新幹線も含めて旅客の方なんです。そうして営業係数が一一九、二六九を一一九におろすには三千億円です、三千億円の増収があればいい。逆に言うと、三千億円の増収を図らなければならない、こういう関係になるわけです。どうですか、こういう計算はしたことがありませんか。ぼくはこれを質問すると言っておいたんです。
  373. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 質問は残念ながら伺っておりませんが、いま御指摘の数字になります。
  374. 内藤功

    ○内藤功君 その数字になるね。  そこで、この国鉄赤字原因については三木総理、石田運輸大臣、いろいろな機会に答弁するのをずっと静かに聞いておると、三つ言うのです。一つは、運賃値上げが思うようにいかなかった、一年半延びた。冗談じゃないですよ、一年半の間にどんなことがあったのか。たとえば、小選挙区制を施行しようとした、ロッキード事件もそのとおり、公職選挙法二法案の改悪をやろうとしたというようなことで、どんどんどんどんおくれている。無理なことをやるからいかぬ。二番目は、人件費が上がった、これも政府の政策のためです。それから三つ目は、貨物とか、地方線とか、こういう輸送構造が違う。三つを言いまして、自分の悪いことは一切言わない。みんな労働者の賃上げが悪い、それから運賃値上げができない、反対する野党が悪いと言わぬばっかりのことをおっしゃる。けれども、この運賃水準が低いとおっしゃる、この本質がどういうものかということは、いま私が言った数字で非常に明らかになっておると思う。  国鉄経営を苦しくしておるのは、その最たるものは、国鉄貨物対策です、貨物赤字対策。そうして、石川さんの本でも指摘するように、貨物運賃を長期にわたって据え置くという大企業奉仕の政策、大企業奉仕じゃありませんと言うけれども、主観的にそうでないと言ったって、客観的にはそういう結果になっているということは、あなた方も否定せざるを得ないと思うんです。こういう政策をとってきたところにあることが明らかであります。しかもその上に、赤字国鉄に対して政府は膨大な設備投資を借金に次ぐ借金でやらせてきたわけであります。三十九年度赤字になった直後、政府がどういう手を打ってきたかということから、この国鉄赤字の責任追及は始めなくちゃならない。  そこでお聞きしますが、昭和四十年度、つまり赤字になった直後の昭和四十年度から始まったいわゆる第三次長期計画、これがそれまでの国鉄の第一次計画、あるいは第二次計画と違って政府計画となったのはどのような理由ですか、これは鉄監局長
  375. 住田正二

    政府委員住田正二君) その辺の事情はよくわかりませんが、恐らく政府のいろいろな長期計画が出た関係上、それとの整合性ということで決めたのではないかと思います。
  376. 内藤功

    ○内藤功君 結局、これは国鉄には資金がない、国鉄に事業の責任を持たせることはできないということで、これ以上国鉄にやらせれば経営上無理だと、政府がどうしてもここで乗り出さなければならぬということじゃないですか。
  377. 住田正二

    政府委員住田正二君) いま御指摘の点が第一回目の国鉄再建計画との関係であれば、国鉄財政状況からいって計画の立案が国鉄の力ではやりにくいということで政府の方で考えたということではないかと思います。
  378. 内藤功

    ○内藤功君 現に当時の副総裁の磯崎氏は、これは古証文を出すようですが、いまの事態を見る上で非常に大事なところなんです。昭和四十一年の二月十九日に衆議院の運輸委員会でこう言っているんですね、「私どもとしましては」「四十六年度時点における国鉄財政状態を見ますと、決して健全なものとはいえないというふうに思いますので、将来政府にもお願いし、」また国会にもお願いして「たとえば利子の補給あるいは政府出資等、どうしても国鉄がやらなければならないという純粋公共的な仕事につきましては、相当程度やはり政府の御援助を願いたいという気持ちを持っている」、いまから見ると当然のことなんですよ。こういうことをすでにSOSというか、こういう危惧の念を表明しておるんです。  また同じ時点では、総裁石田禮助さんの方ですね、禮助さんの方はここまで言っているんです。「三千億円をぜひひとつ国の投資でやってもらいたい。今日までにおける国の投資というものは」、これは有名な言葉ですが「あとにも先にも金四十億円なり。しかも昭和二十五年です。戦前の四十億ならば何をか言わんや、これは昭和二十五年になっての四十億円です。」これでは国有鉄道という名前をつけたが、民有鉄道だということまで昭和四十一年の二月の運輸委員会では総裁、それから副総裁とも言っておるんです。そうして、そういう状況だから政府が四十四年度から輸送力増強とあわせて新しい十ヵ年計画というものを始めたわけですね。  鉄監局長、この四十四年からの新しい十ヵ年計画というもの、その結果国鉄財政はどのような状況になったか、再建されましたか。
  379. 住田正二

    政府委員住田正二君) 第一回目の再建計画は数年にして大きな改良を生じたわけでございますけれども、やはりその大きな原因として挙げられますのは、当初見込みました人件費の伸び、あるいは物件費の伸び以上に、実際の人件費、物件費の増加があったということと、また特に貨物につきましてでございますが、輸送のシェアが落ちてまいりまして、計画で予定いたしておったような収入を確保できなかった、そういうような理由で破綻を来したわけでございます。
  380. 内藤功

    ○内藤功君 結局、現実的には今日に至るまで財政は一歩一歩と危機に向かって進行してきている。そうして現在に至っているわけですね。私どもの党もすでに四十八年六月に国鉄再建方策について具体的な政策をいまから三年前にもう発表して、このままの政府のいわゆる再建計画というものではだめだということで四項目、五項目の指摘をしておるわけなんであります。これを聞かない。国は設備投資とそのための借金を国鉄に押しつけるだけで政府からの金を出そうとしない、こうなるのは当然なんですね。  そうして、なお石田総裁の言葉として昭和四十一年にはこういうことを言っておるんですね。これは二月十五日「私は、ペイせぬけれどもやってやるというような、そういう不届きな考えは持っていないのです。これは国鉄公共性から考えて、ペイしようがしまいが、国鉄として当然の義務ですよ。義務だが、やはりペイしないところに対しては、その資金を調達する上において借金をもってするということはできない。利息の負担、償却の負担に追われて、にっちもさっちもいかなくなってしまう。」で、結論として、かかるがゆえに政府の資金というものを出してくれれば、われわれは喜んでちょうだいしますが、どうも資金を出してくれないということを言って、ここでも一つの大きな叫びを上げています。  さらに野党の皆さんにも、政府を口説いて三千億でも五千億でも出してくれということを、これも有名な発言ですが、悲痛な叫びを上げておるんですね。当時の運輸大臣中村寅太氏に至っては、国は国鉄というものを自分の子供のように考えるのはいいけれども、ろくすっぽ飯も食わせないでしりっぺたをたたいて酷使してきた、ということまで言っておる。こういうように国がら出資できるように努力するという言葉にもかかわらず、第三次長期計画の期間中、これは昭和四十年から四十三年のこの期間中に一体政府国鉄にどれだけの出資をしたか。これは前にも資料要求をしてありますけれども鉄監局長、この第三次長期計画の期間中の、つまり赤字が発生した直後の長期計画中の国の出資額はどのくらいですか。
  381. 住田正二

    政府委員住田正二君) 政府国鉄に対する出資でございますが、昭和四十六年に三十五億円の出資をいたしまして、それ以後逐年ふえておりまして、昭和五十年度までに約四千四百億円の出資をいたしております。
  382. 内藤功

    ○内藤功君 私の質問は、昭和四十年度から四十三年度の四年間で国鉄政府から受けた助成金ですね、これは一体幾らぐらいかという質問です。
  383. 住田正二

    政府委員住田正二君) 昭和四十年度は三十億程度ございまして、その後四十三年に五十四億、四十四年に八十三億、四十五年に百二十二億助成金を出しております。
  384. 内藤功

    ○内藤功君 四十四年はいいです。いまの四十年度から四十三年度までの四年間見ますと、四十三年度は五十四億円、これはあなたの言ったとおり、昭和四十年度は九億円です、新線建設費補助九億円、四十三年度工事補助金が五十四億円、合わせてこの四年度の間は六十三億円、たったこれだけなんですね。三十九年度赤字が出て、その直後のこのいわゆる期待されており、鳴り物入りの長期計画の間六十三億円の助成金しか出されていない。これは二階から目薬というお説もありますが、目薬のにおいぐらいにしかならないということです。しかしその反面、設備投資だけはちゃんと借金をやらしてでも続けさした。旅客運賃を三〇%以上上げたのが昭和四十一年度でありますけれども、この四十一年度においてさえ黒字になりませんね。そうして四十二年の七月に監査委員会の報告というのが出た。四十一年度の監査委員会の報告ではどう言っているか。ここではまたまた悲痛な叫びがこの監査委員会の報告書から聞こえてくるわけです。これには、四十一年度監査報告書の八ページですが、国の設備投資に対する要求です。「これらの改善あるいは増強に要する資金について、政府出資、利子負担の軽減、長期負債の返還の延期などの措置を要望する。」ということが詳しくここに指摘をされておるわけです。  私はこのように国鉄総裁、副総裁など国鉄の当局者、責任者も、また監査委員会も、政府に対してこの期間出資を要求し続けてきたのに政府が出資、助成をしなかったその理由は一体何か、どこにあるのかという問題であります。わずか六十三億の助成金しか出さないでいた事情は何か。これは当時の中村運輸大臣答弁というのをもう一つここで紹介しておきたい。これは四十一年二月十四日の運輸委員会で、中村運輸大臣は国家の財政事情等から考えて、いまの段階ではこれができないのだと、「国家の財政事情」ということを言い出してきておるわけであります。しかし、果たして一体そうであったのか。  お伺いいたしますが、この期間、つまり昭和二十八年から四十三年までの期間を限りまして、一方国家財政から船舶利子補給金、つまり私企業である造船事業に対する船舶利子補給金の金額は一体累計でどのくらいであったか。それから特に四十年度から四十三年度にかけてはどのくらいであったのかということを海運局の方から伺いたいと思います。
  385. 後藤茂也

    政府委員(後藤茂也君) 外航船舶の建造融資利子補給臨時措置法に基づきます利子補給金は、昭和二十八年度から昭和五十年度までの累計で千四百三十二億円でございます。そのうち昭和四十年度には三十一億円、昭和四十一年度には六十億円、昭和四十二年度には八十四億円、昭和四十三年度には百八億円を支出しております。
  386. 内藤功

    ○内藤功君 いまおっしゃった額を四十年度から四十三年度まで四年間計算してみると、国鉄はさっきの話のように六十三億円であります、助成が。ところが、この造船利子補給はこの四年間に二百八十五億一千七百二十二万円。二百八十五億円、約四・五倍、四倍半という金額が造船利子補給には出されておるんですね。ですから、国家財政の方からという理由は、私は理由としては成り立たないと思うんであります。もし三十九年度赤字が出る。そして、その最初計画である四十年度から四十三年度の間に適切な国鉄に対する助成というものをしておれば、今日のような姿にはなっていなかったのではないかと考えられるんであります。これをやらなかったからこそ国鉄は借金による設備投資を相次いでやらされ、その借金の元金と金利の支払いに追い回される結果になっている。よく石田大臣が言われる金利のついた金の恐ろしさというものを知らない人がやっているんじゃないかと、こう思うんです。このことが非常に大事なことだと思うんです。借金による過大な設備投資を国鉄にやらせては危険であるという警告にもかかわらず、この赤字が出てから十二年間の政権を担当してきた歴代自民党政府の責任はきわめて私は重大だと思うんです。ここに国鉄財政が今日の危機に追い込まれた最大の原因があるということを指摘をしておきたいと思うんです。  そこで、次にお伺いしたいことは、政府の今回の国鉄再建対策、去年の十二月の大綱に基づく今度の再建対策要綱なるものと、これまでの政府国鉄財政再建計画、この間では政府出資、さらに助成金の点はどのように相違があるのか。この点をまず鉄監局長にお伺いしたい。
  387. 住田正二

    政府委員住田正二君) まず政府出資でございますが、今回の再建計画の中では一応政府出資は考えておりません。といいますのは、これまでの工事補助――工事の利子に対する補助の考え方でございますけれども、工事補助金といたしまして金利の三分五厘までの補給をするということと、工事費の一五%の出資をするということをあわせまして、大体三%程度まで利子負担を軽減するという考え方をとっておったわけでございますが、今回の再建計画におきましては、過去債務の二兆五千四百億を政府が肩がわりいたしましたので、まあ出資をいたさなくても工事にかかわる利子の負担は三分程度になろうかということで出資を見送ったわけでございますが、これは今後一切出資をしないということではないわけでございまして、現在の工事については過去債務の肩がわりの措置によりまして、利子負担の軽減が図られているという判断をいたしているわけでございます。
  388. 内藤功

    ○内藤功君 そうしますと、過去債務の約七兆円、六兆七千七百九十三億ですか、これの過去債務のうちの一部に当たる二兆五千四百四億円というものを肩がわりをしたというので、そういう点も考えて政府出資は本年度予算などにはこれは一切ゼロになっているということですか。もう一遍確かめます。
  389. 住田正二

    政府委員住田正二君) 大体そのとおりでございます。
  390. 内藤功

    ○内藤功君 しかし、この六兆七千七百九十三億のうち、二兆五千四百四億円というものを除くと、残りは約四兆三千億円弱になるわけですね。これについては一向肩がわりをしていない。これについては、やれ不良債務ではないとか、健全な資産に見合う債務だとかいうことを言っておりますが、それで大丈夫なんですか、残りの方は。
  391. 住田正二

    政府委員住田正二君) 国鉄の資産は、いまお話のございました四兆二千億の債務以外に、資本勘定がなお一兆以上残っているわけでございますが、資本勘定と長期債務に見合った財産が残っているということでございます。
  392. 内藤功

    ○内藤功君 この資産に見合う債務と、そのほかのやつはいいですよ、私のいまの議論は、長期債務の二兆五千億を除いた四兆二千億ですね、この四兆二千億何がしというものについて、これはあれですか、あなたは過日の答弁で、これは別に不良債務というものじゃない、固定資産に見合っている健全なものだという趣旨の御答弁もなすっているようだけれども、この点をちょっと聞きたい。どうしてこれが健全な債務と言われるのか、そこのところですね、もう少し説明願いたい。
  393. 住田正二

    政府委員住田正二君) 健全か不健全かという問題になりますと、まあ赤字運転資金に見合っている債務は不健全であるということが言えるわけでございますが、残りました四兆二千億の長期借入金については、それに見合う資産があるわけでございます。したがって、その資産から収入が得られれば、その収入によって借入金を返すことができるという意味では健全であると言えると思います。ただ、現在持っておりますような資産で十分な収入が得られないという場合には問題が残ろうかと思います。
  394. 内藤功

    ○内藤功君 そうすると、この四兆二千億何がしに見合う国鉄の資産というものは、どうして健全であるのか。まあ、あなたは健全という言葉を使わないかもしれないが、債務に見合うものか、二つのとり方がある。一つはその資産というものを処分して、よく大臣が言う売却して、そうして利益を得ると、したがって、この四兆二千億に見合うものを得ることができる、万一のときには。こういう意味なのか。それとも、四兆二千億に見合う財産があるが、これを動かして、運用して、そうして収益を得ることができる。その収益は四兆二千億というものを賄うに足りる。どっちなんですか。
  395. 住田正二

    政府委員住田正二君) 後者の方に考えております。
  396. 内藤功

    ○内藤功君 そうすると、この四兆二千億の債務に、いまある国鉄の資産が見合うんだという計算はどういう計算なんです。
  397. 住田正二

    政府委員住田正二君) 国鉄の貸借対照表からいいまして、まあ国鉄の資産は建設勘定におきまして五兆三千億くらいあるのではないかと思いますけれども、それに見合っているのが長期借入金と資本勘定であるわけでございまして、二兆五千四百億円の長期債務の肩がわりによりまして一応累積赤字がなくなるわけでございますので、借入金と資産は見合っていると判断してよろしいのではないかと思います。
  398. 内藤功

    ○内藤功君 これはね、あくまで私は帳面の上の議論になっていくと思う。私はこの議論を長くやっておるわけにいかないので先へ進みますが、いまのお考えでいきますと、一応四兆二千億はこの帳面上見合う資産があるから、それで大体収益を得ることができるからという前提をぽかんと置いて、したがって、今後のこの国鉄の設備投資というのは引き続いて出資もしない、借金でやっていけと、今後の国鉄の設備投資は引き続きいままでと同じように鉄道債などの借金でやっていけということになっていくんですね。その点はどうでしょう。
  399. 住田正二

    政府委員住田正二君) その点につきましては、かなり問題があろうかと思います。先ほど申し上げましたように、四兆二千億に見合う資産があるわけでございますけれども、その資産から十分な収入が得られるかどうかという点に問題があるわけでございまして、たとえば地方交通線、あるいは貨物等につきましては、借金を返済するだけの十分な収入が得られるわけではないと思うのであります。また、今後いろいろな建設が予定されておりますけれども、その中には十分な収入が得られないような投資、一例を申し上げますと、大都市における増強対策工事等につきましては、投資をいたしましても、投資に見合うような十分な収入が得られないというような場合があるかと思います。したがいまして、今後すべて借金でやるかどうかにつきましては、今後の国鉄財政状況の推移を見た上で、新しい投資が国鉄負担になるかならないか、なるとすればどの程度負担になるかを判断して、今後の助成のあり方について検討いたしたいと考えているわけでございます。
  400. 内藤功

    ○内藤功君 私は、いまのあなたのおっしゃっている、また大蔵大臣もおっしゃっている四兆二千億という債務に見合う固定資産ですか、あるいは固定資産に見合う債務、まあどっちから言ってもいいですけれども、ここに非常なやはり帳面の上のごまかしというものがあると思う。私はこの点を前提にして二兆五千四百四億円についてだけ債務の肩がわりをしたからいいじゃないか。これでもう再建の盤石の基礎が築かれたというところは、これは引き続きわれわれとしては、果たしてそういうものかということはあらゆる面から追及をしていきたいと思うんです。  そこで私は、あなたは借金だけでやるんじゃないんだと言われましたが、いままでの実例は、この国鉄の設備投資は、新幹線を初めとして借金でやってきたのはもうみんな知っていること。しかし、借金借金でやっていけばうまくいくのであれば、先進国であるフランス、西ドイツ、あるいはイギリスというような日本と比較的国情の似た国でもああいうふうな基礎施設、路線、工作物、保安施設、あるいは踏切保守費というようなものに対する政府負担はなかったはずなんですね。こういうことをやはりフランス、西ドイツ、イギリスなどの諸外国、先進国でもやっているのは公共交通機関としてりっぱに運行して維持さしていくためにはこういう政府助成、補助というものがどうしてもこれは性格上必要だからやってるんだと思うんですが、この点はどうですか。
  401. 住田正二

    政府委員住田正二君) ヨーロッパの国鉄というのは、毎年輸送量も減っておりまして、私どもが承知いたしておるところでは、輸送力増強工事というのはほとんど行われていないと思います。イギリス、ドイツ、フランスの国家助成のやり方といたしましては、大体欠損補助に重点を置いているとみていいのではないかと思います。もちろん欠損補助の中身といたしまして、いまお話しのありました公共負担助成とか、あるいは踏切の助成とか、そういうものはございますけれども、そういうものを除きましても、なお相当の赤字出しておりますので、政府が最終的にしりぬぐいをするという形で助成が行われておるわけでございまして、新しい線路をつくるという意味助成はほとんど行われていないように承知いたしております。
  402. 内藤功

    ○内藤功君 新しい線路をつくるか否かにかかわらず、これらの諸国では、これは四十九年度の監査報告書でも出ておりますが、これは単年度ごとに欠損があるかどうかをよく見直して、そうして単年度ごとに補助して収支均衡を保つ、こういうやり方でしょう。
  403. 住田正二

    政府委員住田正二君) 大体そのとおりでございます。
  404. 内藤功

    ○内藤功君 日本では、昔はどうだったんです、戦後は。そういうときはなかったんですか。
  405. 住田正二

    政府委員住田正二君) 日本の場合には、国鉄は大体昭和三十九年まで黒字決算でやってきておりますので、欠損補助という考え方はとってないわけでございますけれども、今回の再建対策要綱の中では、地方交通線の欠損補助ということで新しい芽を出しているわけでございます。
  406. 内藤功

    ○内藤功君 私の予定時間が少し残り少なくなったようなのではしょっていきたいと思いますが、日本では昭和二十八年まで、法律のたてまえとしては、黒字であったけれども、国鉄法四十一条によって欠損が出たら、交付金を出すという制度があったでしょう。そういう制度になっておった。それを、昭和二十八年からその規定を削除しちゃった。逆になっているわけです。そういう状況ですね。  それで、私は次の質問ですが、日本の国鉄ではまだ赤字にならないとき、ぼくの言った黒字時代でも、国に対して出資要求を非常に頻繁にやっておるんです。私の方の調査では、昭和二十九年から四十三年まで、十回にわたってやっていますが、そういう事実がありますか。これは国鉄と鉄監局長と、両方……。
  407. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 古いことでございますので、これはどういう意味の数字か、ちょっとはっきり責任を持って申し上げかねますが、いずれにしても、国鉄に残っております資料では、おっしゃるとおり、国鉄運輸省にお願いをして政府出資をしてほしい、いただきたいということで出したのが二十九年から四十三年までで合計二千六百二十三億、回数は十回ということになっておりますが、それぞれどういう意味を持っているのか、場合によりましたならば、ある時期は東海道新幹線の建設費について出資を求めたこともあるようでございますし、ある時期は通勤施設について施設費の原資として出資を求めたこともあるようでございます。
  408. 住田正二

    政府委員住田正二君) いま総裁が言われたような出資要求がございましたけれども、実際に予算額で計上された額はゼロとなっております。
  409. 内藤功

    ○内藤功君 この昭和二十九年から、一々金額はぼくは言いませんが、私は何年に幾らというのをちゃんとここに持っていますよ。総額はいま総裁のおっしゃったような額です。黒字のころからいろいろな出資の要求をしているんですよ。   〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕 二十九年、これは百十億ですね。三十年六十五億、三十一年六十五億というように出資を要求しているんですが、これにいまは鉄監局長が言ったように答えていない。三十九年の赤字になる前から毎年度のように要求をしている。これは、やっぱりそれだけの要求をするには根拠があったと思うんですね。まして現在は、この過去債務のめんどうを見るといってもそのごく一部分、さっき話のように、二兆五千億にしかすぎない。残りは結局、四兆三千億というものは国鉄の責任で返さなければならないんでしょう。その上にまた新しい次年度からの借金が入ってくる。それから利息がついてくる。こういう状況では、私は財政再建なんて言うのはこれはおこがましいと思う。運賃値上げだけがただ一つの方法だと言わざるを得ない。  石川達二郎氏はこの本の中でこう言っておりますよ。これは、私は最後に、もって他山の石とすべきだと思うんです。さっきのこの本の最後のところに「長期資金を借りて設備投資をするのは、鉄道債券ならば一〇年先の自己資金を先食いしたのと同じである。しかも、その間の金利を負担してである。たとえ利用債であっても、この点に変わりはない。利用債をもってもらうと一〇年間の利子支払額は、元金の七九%にもなるのだから、一〇億円の設備をつくるのに、実は一七億九千万円の自己資金を投じたのだという感覚を失ってはならない。」「遠い先の不確定な自己資金を先食いするのだから、経営としては、非常な危険を冒すことになる。設備投資にあたっては、慎重なうえにも慎重」にすべきだということをここで書いています。これはやっぱり営業の基本だし、経理のこれは原則、定石をここで言っていると思うんですが、この定石を全く無視したやり方をとってきたというのが今日の事態を招いた重大な責任、重大な原因だと言わざるを得ないと思うんです。  最後に、私は大臣一つ聞いておきたいのですが、わが党も発表した政策の中で言っていますが、線路だとか路盤、道床、トンネル、鉄橋、駅舎、信号機施設、こういったようないわゆる基礎施設といいますか、こういうものは外国でも例があるように、この建設費というのは本来国道と同じように国のものなんですから国が負担すべきであると、そして、いわゆるランニングコストといいますか、燃料費、それから修繕費、それから車両関係、人件費というものは、これは運賃など利用者負担で賄うという原則を長い将来日本の国鉄を健全に育てる上では深く考えて、そういう方向にでもしないと、無計画運賃値上げを何回も何回もやっていくということではこれはもういかぬと思うんです。そこらあたりについて大臣のお考えを聞きたいと思うんですよ。
  410. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 今回は値上げをお願いしているのでありますが、何度もお答えを申し上げましたように、すでに独占性を失っておるわけでありますから、運賃値上げが即増収につながるものとは思っておりません。  それから、先ほど鉄監局長答弁につけ加えたいと思うのでありますが、残った四兆何ぼという資産に見合う勘定の中でも、収益を上げられるものはこれは資産として見ていいと思うんでありますが、それを持っているために欠損が生ずるものについては、やはりこれは政策的出費地方交通線のようなものはですね、そういう方向で検討をし直さなきゃならないのじゃないかと私は思っております。ただその場合に、いまおっしゃったような基礎施設を国が持つ形にするか、あるいはその欠損に見合う、要するにいわゆる資産といっても資産にもならないものについての肩がわりにするか、あるいは毎年毎年の欠損の国庫における補てんにするか、これはまだ検討を要することと思いますけれども、国有鉄道再建については、やはりそういうふうな公共負担の問題も含めまして基礎的な課題について、根本的に発想の転換と申しましょうか、そういうものを加えたものが必要であると、こういう御見解には賛成であります。
  411. 内藤功

    ○内藤功君 私は、あと運賃法定主義の問題の質問も用意しておるんです。  それで、わが党はこの十月、今国会の会期中に「国鉄を民主的に再建する道」という、こういう政策を発表しました。まあ大臣も読んでいただいたそうです。他の各党もそれぞれ出しておる。私は、今国会運賃だけの是非を問うということを非常に急ぐ向きがありますが、とても遺憾だと思うんですよ。それで、質問一巡終わって、総理大臣呼んで二、三日中に上げてしまおうということを非常にあせっている向きがある。これじゃ国鉄をまじめに再建する審議なんかできませんよ。国民に対する国会の責任を果たすことできませんよ。  ですから、私はこの間も理事会でフリートーキングを主張した。フリートーキングを主張したら、皆さん、もう九回裏になってフリートーキングはどうかとおっしゃるから、それならばわが党が言っているように会期をしかるべく延長してもフリートーキングやって、値上げだけが国民に押しつけられるんじゃなくて、各党が討議して練り上げ国鉄再建政策が国会でもできたというようにやっぱり討議するのが私どもの責任だと思う。このことだけをここで申し上げておきたいと思うんです。  私は運賃法定主義、それからいまさっき問題の四兆二千億円のあの問題について、なお質問したいことがあるということを申し上げておきます。
  412. 瀬谷英行

    理事(瀬谷英行君) 答弁はよろしゅうございますか。
  413. 内藤功

    ○内藤功君 その答弁は要りません。   〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕
  414. 和田春生

    ○和田春生君 大蔵大臣の御出席を要求しておいたんですが、まだお見えにならぬようでございますが、本当はこれ運輸大臣大蔵大臣とお二人並べておいて確認をしなくてはならないわけです。  その趣旨については、大蔵大臣がこの席に着かれてから改めて申し上げますが、その前に若干時間があるようでございますから、運輸大臣にいままでのことのおさらいの意味で確認をしておきたいことがあるのでございます。  この前の質問で私は、今回の政府提案の再建策で本当に再建が成るか成らないかということに重点を置いて、数字を含めていろいろお尋ねをいたしました。その過程でかなり重要な事実もあらわれてきたわけでございますが、それらの問題について運輸大臣の御答弁を私なりに理解をいたしますと、この五十一年度だけで全部けりではないんだと。五十一年度で済まない分は五十二年度に処理をすると。その予算措置については目下検討中であるから、どれがどれと具体的なことは言えないが、五十二年度予算において措置をしたいと、こういうことが一つであったと思います。  それからもう一つは、国鉄財政再建については五十一年度及び五十二年度の二年間で収支均衡を図って、以後は健全経営を維持すると。この国鉄再建対策要綱の原則についてはこれを守っていきたいということも、私の質問だけではなく再々おっしゃっておったように思うのですが、そういうふうに確認してよろしゅうございますか。
  415. 石田博英

    国務大臣石田博英君) ちょうど大蔵大臣がお見えになりましたから、いまおっしゃったとおりのことを申します。  つまり、今回お願いする運賃値上げの結果の効果を、実績を見なきゃならないと。それから、成立のおくれによる歳入の不足、それからまず本年だけで片ずかなくて残る赤字、そういうようなものの処理は、まず公共負担とか政策負担というようなものについては、これは政策実施機関でやってもらうように努力をする。あるいは地方交通線についても、これはやっぱり政策的なものなのでありますから、独立採算制を要求される以上は、政策的な支出としての埋め合わせを考えてもらいたい、そういう方向で努力をいたします。そして、五十二年度で単年度収支均衡を図っていきたい、こう考えている次第であります。
  416. 和田春生

    ○和田春生君 そこで、もう一つ確認をいたしたいと思いますが、運賃値上げについて、五十二年度については別に五〇%というようなことを引き継いだ覚えはないと。どれだけ上げるかは五十一年度運賃値上げの実績を見た上で考えたいと。で、できれば上げたくないと。上げる場合もできるだけ低く抑えたい、このことも確認してよろしゅうございますね。
  417. 石田博英

    国務大臣石田博英君) そのとおりであります。
  418. 和田春生

    ○和田春生君 そこで大蔵大臣、お忙しいところお見えいただいたので、お二人に確認をいたしたいのでございますが、実はこれから伺うことは、この政府の基本にしている再建の基本理念と目標と――つまり「独立採算性を指向した自立経営」、そして五十一年度及び五十二年度の二年間で収支均衡の回復を図って、以後健全経営を維持するということができるかできないか、総理初め関係閣僚の方が言明してきたことが本当であるかないかということに関する大変重要なポイントなんですから、ひとつ性根を据えて御答弁を願いたいと思うのです。  いま運輸大臣に確認をいたしたわけでございますが、実はこの委員会で私の質問に対する答弁並びに同僚委員に関する大蔵省側の御答弁というものを整理すると、いまの件に関してこの二つがあるんです。  一つは、国鉄担当の主計官が答弁をされた。それは要約をすると、過去債務に対する財政的な措置については五十一年度予算でいわば一件落着、けりはついたんだ、それを今後考えるつもりはない。五十二年度以降は、単年度収支均衡を図るから、生じた赤字については運賃で見てもらいたい、こういう趣旨答弁がございました。これはそういう答弁があったということを、はっきりここで申し上げておきます。そういたしますと、五十一年度に過去債務に対する措置をやったけれども、運賃値上げによってカバーできない分だけで約五千億円の赤字が残るわけです。これは五十二年度に繰り越されます。さらに国鉄総裁並びに国鉄当局のやりとりで、いままで表面化しておりませんでしたけれども、その後の実績、予算編成後の実情から見まして、国鉄側の見解によれば、一千億円程度見込み違いによる赤字がふえるのではないかということでございます。それだけで六千億あるわけであります。  さらにまた、時間の節約上当局側に確認することはやめて、私から申し上げたいと思いますけれども、運賃値上げ実施のおくれによる減収分として二千六百五十億円が言われている。それは工事費の削減、繰り延べ、物件費の節約、その他によって何とかやりくりをするけれども、それは全部工事費等についてはそれにて打ち切りというわけではなくて、やはりやらなくてはならぬ仕事は今後に持ち越していかなくてはならぬわけであります。そういう金額がまたその上に上積みをされるわけであります。  そうすると、運賃値上げ分が仮に平年度化したといたしましても、それは大体予想どおりいったとして六千億円ちょっとぐらいでございますから、それをさらに上回るだけの赤字というものがここに繰り越されるという形になるわけですから、相当べらぼうもない運賃引き上げをやらぬことにはつじつまが合わなくなってくる、こういう問題があるわけです。  ところが一方、他の委員の質問に対する主計局次長の答弁によりますと、五十一年度に残されて繰り越される赤字については、一年間で処理しても無理だから、おおむね五年程度においてそれを処理するということを考えたいという意味のような答弁もあったやに記憶をしているわけですね。そうすると、これは一遍に運賃でやらなくても、五年間ぐらいの期間を考えて運賃で処理をしろというのか、あるいは財政的な措置も含めて、五十一年度なお残っている赤字については処理をするという考え方があるのか、その点をひとつ大蔵大臣にまずお伺いしたいわけです。私の受け取り方が間違っておれば、大蔵大臣が大蔵省としての基本的な国鉄再建の考え方はこうだということを、ずばりお答えをしていただきたい。で、政府委員ではなくて、大蔵大臣に御出席をわざわざお願いしたのはそこでございますから、私のいまの理解はそれは受け取り方が間違いで、そういう気持ちを与えたとすれば、それは答弁その他において若干の行き違いがあったのじゃないか。大蔵省としてはこうなんだということを、ずばりお答えを願いたいと思うんです。
  419. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 再建対策要綱で言うところの二年間の収支均衡というものは、五十二年度におきまして単年度収支均衡ということになればその目的は達成されるものと考えます。したがいまして、五十一年度の約八千億に上ると言われている赤字を、五十二年度にすべて解消する必要はないと思いますが、その処理の方法といたしましては、資本積立金の取り崩しでございますとか、将来ある程度の期間をかけて運賃で回収するなど、いろいろな方法が考えられねばならぬと思いますが、これは来年度予算の編成の時点におきまして運輸当局、国鉄当局とよく相談をいたしまして考えていかなければならぬのじゃないかと思っております。
  420. 和田春生

    ○和田春生君 そういたしますと、五十一年度大蔵大臣八千億と言われましたが、そのほかに見込み違い千億入れますと九千億くらいになるかもわからぬのですが、それは五十二年度の単年度運賃で処理しなくても、何年かの間において運賃収支でその赤字を全部解消できるような、つまり単年度の運輸収入と、それから経営をしていく上に必要な業務関係の諸費用と、こういうもののバランスのほかに、その分を含めた運賃値上げを考えるべきだということであるのか、あるいは、約八千億ないしは九千億という形になりますが、これはやってみなくちゃわからぬことですけれども、それは積立金の取り崩しその他で、五十二年度で一遍に埋め合わせてしまうというおつもりですか。財政当局の考え方をお伺いしたい。
  421. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 資本積立金でございますけれども、承りますとこれが約七千億以上あるのではないかと私も承っておるわけでございます。したがって、全部運賃に割り掛けていかなければならぬという性質のものとは考えておりません。ただ、運輸大臣がおっしゃるように、今度新しい運賃体系がこの法律成立さしていただくことによってでき上がって、それがどのように利用大衆によって受けとめられて、収支がどういう状況になってまいりますか、これは先のことでございまして、確たる展望が具体的にいまつかめておるわけではございませんし、また、いま和田さんがおっしゃるように、法律成立遅延に伴う赤字も若干出てきておるわけでございますので、そういったものも含めて考えてまいりますと、将来積立金の取り崩しばかりでなく、運賃でこれを回収してまいるということにつきましても、いま持ち合わせておる数字だけで見当をつけていくことも若干無理があるのではないかと思いますので、先ほど申しましたように、予算編成の段階におきまして、具体的な数字を十分検討した上でその処理を決めていかなければならぬのではないかと考えております。
  422. 和田春生

    ○和田春生君 そういたしますと、ともかく財政当局を預かる最高の責任者としての大蔵大臣の、頭の中か腹の中かはわかりませんけれども、五十一年度から繰り越される赤字はどうなるかやってみなくちゃわからぬが、七千億になるか八千億になるか、あるいは九千億になるか、かなりのものが繰り越されるわけですが、それは全部とは言わないけれども、運賃収入でカバーをするということもある。しかし、単にそれを積立金の取り崩しとか、あるいは財政的な補助で全部埋めてしまって、国鉄負担にならないように、五十一年度生ずる赤字もいわゆる過去の累積赤字のうちの一部分の延長分と見て全部たな上げするんではないんだと、ともかくその全部を運賃で見るかどうかは別として、ある程度の部分はやっぱし運賃収入でカバーをしてもらわなくてはならぬと、そういうふうに考えているというふうに受け取ってよろしゅうございますね。
  423. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 仰せのとおりです。
  424. 和田春生

    ○和田春生君 さて、そうなってまいりますと、運輸大臣の方にお尋ねをするわけでございますが、単年度収支均衡を図るという場合に、運賃と相関関数といいますか、関連をするものは幾つかあると私は思うんですね。そこで、そいつを整理してみますと、まあ五十一年度運賃値上げ実施をしてみて、その状況を見ないと増収になるかどうかわからぬというアンノーンファクター、これはあると思うんです。それから支出の方で賃金、人件費を初め、いろいろな面で、物価の関係、節約等でどれぐらいになるかという動く要素がありますけれども、これはいわば経営努力にも関連する問題でありますから横に置いておきますと、一つ地方交通線、いわば赤字ローカル線に対する政府助成の額いかんによる、これが二千数百億全部見るのか、百億か二百億のほんのおしるし程度となるかということによってこれが影響してくるのでありますから、これは五十二年度予算の要素、つまり赤字ローカル線に関する政府助成の額いかん、これが第一だと思う。  第二点は、国鉄が背負わされている公共負担に対する政府助成、これがどれぐらいになるかということが第二だと思う。  それから第三は、工事費の補助金の額がどうなるか、これも単年度収支均衡の面では大きな問題になってくる。今度のように過去債務のたな上げをしたから、そっちの分に入ったので工事費は減らすと、つまり費目を変えて移しかえただけなんではどうにもならぬわけで、純粋に工事費の補助というものはどれぐらいのものを今後やっていくかということが、やはり収入の方としては関連する事項だと思うのです。  第四点が、いま大蔵大臣との質疑で明らかになりました五十一年度赤字を埋める、このことについてどれだけ運賃でかぶるのか、政府が持つのかという形で運賃が動いてくる。  それからもう一つ、第五としてあると思うのですね。それは、今年度収支予算で見ましてもおわかりになるとおりに、利子、債務の取扱費の支出費は三千二百六十四億円である。資本勘定よりの受け入れば収支の帳じりに見合う分として二千五十二億円である。一般収支勘定の中では千二百十二億円ほどのそこに差額があるわけでありますから、つまり利子、債務の取扱費という面についてはこれだけの金額をしょっていかなければいかぬ。これは過去の累積赤字の分だけではないと思うのですが、実は健全な資産に見合うと。国鉄当局は、鉄監局長等が言われることを見ると、固定資産の金額が資本費とそれから過去債務と合計したものとバランスをとっておるので健全な資産があるというふうにおっしゃいましたけれども、結局それを利子を払っていくというのは、言うなれば、簡単に借金に化けてるんだから、それは資本費の負担、配当その他と考えればよろしい、償却をしていく分はこれは償却と考えていけばよろしいと、いわばそういう形で営業の中から見ていけばいいんだということですから、それだけのものが乗っかってくるわけだ、過去債務。財産はあったってそれを全部売ってしまわない限り残っている借金と、それから利子を払っていかなければいかぬわけですからやってくると。  累積赤字の分だけについては政府は利子補給をやって、一部取り崩した分がありますけれども、償還分に相当する金額は政府から無利子で貸し付ける、こうなっていますね。だから、それはいいから、しかしその無利子で貸し付けた分については二兆数千億に関するものを三年据え置き二十二年で返せというわけだから、その分の、つまり償還分で無利子で貸し付けた分をこれから返していかなければいかぬというやつがその上に乗る。つまり過去債務に対して残っている分に対する利払い並びに償却と、それからいま言った借りた分に対する返していく分というものが第五として上ってくるわけですね。  この五つの問題が運賃の額に影響してくるわけですよね。大蔵省の方は四、五というのは簡単に言えば大変気乗りがないわけで、運賃でかぶってもらおうと、どれぐらいのことかは予算で考えにゃいかぬのだけれども、全部政府で四、五かぶるという考え方がない。そこで一、二、三の点だけでいけば、運輸大臣の言うように極力運賃値上げは抑えたい、できればやりたくないんだということも一つの考え方として、できるかできぬかどうかわからぬけれども、御努力に待ちましょうと、こういうことになるのですが、四、五がかぶってきたら、予想されている五〇%では下手すると足りなくなって、もっと運賃値上げをしなくては単年度収支均衡を図れないということになるかもわからない。あるいはそれを五年、六年に繰り延ばしたとしても、その運賃値上げ幅というのは相当なものにならぬとこれは均衡が図れないのです。  私の与えられた時間は少ないわけですから、一々その数字は挙げませんけれども、いま説明したことでおわかりだと思う。大蔵大臣の御答弁政府財政当局方針であるとすると、それが動かぬ限り運輸大臣の御答弁なさってきたことは、これは仮空のものになるという、そういう可能性があるわけです。どうでしょうか。
  425. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 四、五については国鉄当局からお答えする方が適当だと思いますが、一番根本的に考えなきゃならぬことは、独占事業でないんですから、値上げが即増収にはならないということです。おのずからそこに限度がある。そしてもう一つには、独立採算制を要求されている。また別に公共負担あるいは政策負担地方交通線の問題を含めてそれを要求されている。したがって、非常に困難なことはもうよくわかってくださっていると思うんです、むずかしいことは。しかし、五十二年単年度収支均衡を図っていくということをするためには、大蔵大臣に頭を十回も下げてお願いをしなきゃならぬこともこれは当然であろうと思っております。  つまり運賃値上げが即増収になるものなら、これは運賃値上げということも可能でありますが、今度五〇%上げていただいても、実際われわれが計算してみると三七%程度増収にしかならない。それ以上大幅に上げますと、飛行機とか、自動車とか、トラックとか、代替海運とか、いろんなものとの競争力が全く減退をいたします。そういうものと見合いながらやらなきゃならぬと思っておりますが、現在のところ五十二年度で単年度収支均衡を図って国鉄再建の土台をつくるという目標を変えるつもりはございません。
  426. 和田春生

    ○和田春生君 国鉄の方は質問をしているわけじゃないんで、これは当然のことを私は指摘をしているまでですから、収入の方は運輸収入のほかに政府からの助成金等で入ります。雑収入なんてしれたものです。支出の方は、収支バランスをとるためには事業費のほかに利子も払わなくてはならぬし、償却もしていかなくちゃいかぬ。それが全部やらなければ、単年度収支のバランスはとれないわけです。償却の分が見込まれなければ赤字がだんだんだんだん累積をしていくわけですから、これはもう当然のことなんで、だから、もしことしわれわれが主張するように過去債務は長期負債も累積赤字も全部たな上げをしてやると、政府がめんどう見ると、それから償還の分についても政府がそれは金をやるんだ、こういうような形であるならばいいんですよ。あとはもう赤字ローカル線の問題と、それから公共負担の問題と工事費の補助と、そういうような形と運賃との相関関係でどれだけ全部出せば運賃値上げはどれだけに抑えられる。場合によれば上げなくていいということになるんだけれども、過去の分がまだ残っているわけですから見ていかなければいかぬわけです。  そうすると、大蔵大臣にお伺いしますが、運輸大臣がいま頭十遍下げても変えてもらわないかぬと言いますけれども、その残った分だ、五十一年度から繰り越しする赤字の分と、過去の債務でなお国鉄経営の中でめんどうを見ていかなくちゃいかぬ、返していかなくちゃいかぬという問題について、相当思い切った財政補助をするというお考えがあるかノーかという問題。というのは、運賃上げても増収につながるとは限らぬからと、そうすると、やってみたけれどもだめだから運賃上げないということになれば、その分収入が落ち込むんですから、政府から持ってくる以外ないんです、それは。国鉄をつぶすかどっちかです。それは出すというお考えがあるんですか、どうでしょう、幾ら金額ということは聞きません。
  427. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) ことしの、いま御審議をいただいておる再建案を作案いたします場合に、国鉄当局、運輸当局、財政当局相寄りまして、これでもって国鉄再建をやろうと決意いたしたわけでございまして、財政当局が勝手なプログラムを押しつけたわけでは決してないのであります。したがって、せっかくこれを道標としまして、困難な国鉄再建に取り組もうと国鉄政府も決意いたしたわけでございますから、この決意はそう簡単に変えられては困ると考えております。  ただ、問題は二つありまして、その再建計画なるものが当初のもくろみどおり実行できなかったと、これは国会の御承認を得なければならぬことでございますが、これが今日のようにおくれてまいったということは、一つの当時考えなかった事実でございます。第二は、先ほど運輸大臣仰せになりましたとおり、現在この運賃率というようなものが独占性の希薄になっておりまする国鉄の状況において、果たして予想どおり需要者の需要に投ずることができるかどうか、予想どおりの収益を上げることができるかどうか、そういった収入を上げることができるかどうかというような点は確かにこれは一つのもくろみでございますから、その点は将来のことでありますからわかりません。二つのその当時から見まして変数が出てきているわけでございます。  これにつきまして、そういうことはわれわれの知ったことではないなどという気持ちはないのでございまして、先ほども申しましたように、この法律成立いたしまして、そうしてその後の新運賃体系が実行に移された状況を見まして、来年度予算が編成されるという段階におきまして、アベイラブルないろいろなデータを十分集めまして、そしてそういった問題をどのように処理するかということにつきましては十分私どもも相ともに検討する用意がございます。けれども、再建計画の根本の骨組みまで、和田さんがおっしゃるように土台からひとつ直してかからなければいかないということを再建計画自体の御審議をいま願っているさなかにお約束するというようなことは私はできません。
  428. 和田春生

    ○和田春生君 あのね、私はそれを約束してくれとかいうことをいま言っているわけじゃなくて、再建に対する基本的な政府の思想が統一をされていないということを実は問題にしているわけなんです。この点がはっきりしませんと、いま皆さんもお聞きになっていると思いますけれども、大蔵大臣運輸大臣の御答弁は大変ニュアンス違うのですよ。私がいま問題にしているのも、大蔵大臣がいまおっしゃったように、そのまだ知られてない要素があるから、その分についてどうするかということを迫っているのじゃなくて、五十一年度予定どおり運賃値上げによる収入を得られたとしても、なおかつ七千億か、八千億か、九千億かになるかわからぬけれども、今年度運賃値上げで予定されている増収の五千億ちょっと、五千二、三百よりも大きな赤字が残るということを言っている。残る。それが運賃値上げをやってみなければわからぬ要素じゃなくて、予定どおりいったとしてもそれだけが五十二年度に繰り越されるというのだ。それを財政でめんどう見なければ運賃でかぶる以外にないじゃないか。  運輸大臣は、それは運賃上げたって増収になるかどうかわからないから、そいつはそう簡単に言えないよと、運賃上げられない、増収にならない、政府から持ってくるか、国鉄を取りつぶすか以外なくなっちゃうじゃないですか。何千億という金ですから、取りつぶすというのは大げさにいたしましても、有形固定資産の一割以上の金になるわけですから、それから資産の再評価積立金も半分取り崩しちゃっているわけですから、それを大蔵省として、金額はどれだけかやってみなければわからぬけれども、十分国鉄再建のためにはめんどう見る考えがあるのだというならば、運輸大臣答弁はわれわれは一応納得して結果を見ましょうという形になる。めんどう見れぬという形になれば、運輸大臣はそうしたいと言っているけれども、大蔵大臣がだめだと言って話が決まらなければ閣内不統一ですわね。三木さんに来てもらって答えてもらわなければいかぬ。そこを聞いているわけですよ。これは聞くよとぼくは言ってあるのですから、もう念を押して細かく。はっきりしてください。
  429. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) それでございますから、先ほどもお答え申し上げておるとおり、何も運賃にみんな割り掛けていとうというふうなことではなくて、資本積立金の取り崩しもあるじゃございませんかと、これも七千億を超えるものがあると聞いておる。したがって、そういうものの取り崩しでございますとか、それから、ある程度の期間内におきまして、運賃で取り戻していくというように考えなければならぬのが筋道じゃないかと思っておるわけでございますが、それは利用できるデータを十分踏まえた上で、予算編成の段階で篤と運輸当局と御相談いたしましょうと、そういうことを申し上げておるわけです。
  430. 和田春生

    ○和田春生君 いまどうもちょっとなかなかはっきりしないんで、どうも巧みにレトリックを使っておられるようでございますが、私はこの問題はわからない要素じゃなくて、わかっている問題の五十一年度から五十二年度に繰り越される赤字のことを聞いているんですよ。これがゼロになるという可能性ないんです。よっぽどうまくいったとしても七千億円で、下手すると九千億円になるというものが、五十一年度からまた新たに新しい赤字として、過去の累積赤字は処理したかもしらないけれども、くるわけでしょう。それを積立金で八千億、九千億取り崩すことになれば、先ほど来鉄監局長に質問している長期債務については、見合う健全資産があるのでそれはいいということは皆うそになっちゃうわけだ。ぽこっと穴があくわけですからね。だから、そういう点で根本的な問題を実は含んでいるわけです。  で、お約束の時間がありますからね、私はこれ以上はここではやりとりしたくないと思います。ただ、これ非常に思想統一はしていないんだと、まだ。それはぼくは確認したいと思いますが、運輸大臣大蔵大臣、それを確認してよろしゅうございますか。
  431. 石田博英

    国務大臣石田博英君) この問題についてまだ大蔵大臣との間で十分な話し合いはしていないのでありますが、しかし、私のお答えを申し上げたことと、大蔵大臣のお答えを申し上げたこと、ニュアンスはそれは多少違うかもしれませんが、問題は予算編成期に新しく出てきた事態、それは歳入の欠陥が生じたという、成立がおくれたという、当初予想したよりも現在までの収入が減っているという事態、そういう事態を踏んまえて大蔵省とよく協議を進めたいと思っております。
  432. 和田春生

    ○和田春生君 これは最後の確認と、お伺いにいたしたいと思いますが、そういう点でまだ詰めていないという大変率直なお話がありましたんで、五十二年度予算がどういうふうにでき上がるかということを見たいと思います。衆議院で審議が始まるまであと三ヵ月、参議院に来るまででも四ヵ月しかないわけでありまして、そのころ大平大蔵大臣にしても、運輸大臣もいらしゃるかどうかわかりませんけれどもね、これは非常に重要な問題ですから、問題は残っているということはここのところで私は確認をいたしまして、この点についてそれがいいかげんでございますと、いままで政府の約束してきた「独立採算性を指向した自立経営」、五十一年度、五十二年度収支均衡を図って、以後健全経営、単年度収支均衡を図るという約束が完全に空中分解をするかしないかという境目になるわけですから、その点についてのお覚悟のほどを確認をしておいて、私の質問を終わりたいと思います。
  433. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 議事進行について発言したいと思います。  和田委員の後、私が質問をする予定になっておりました。しかし、いまの和田委員の質問でもって、この運輸大臣答弁、あるいは運輸省答弁というものが、大蔵大臣答弁によって確実に裏づけをされればまだいいんでありますが、どうもお聞きしたところによると、確実に裏づけされたようには聞き取れません。したがって、それらの問題については、これはどうしても明らかにしてもらわない限り、われわれとしてはこの法案の審議を打ち上げるわけにまいらないわけであります。  したがって、その点をぜひとも次回の委員会までに明らかにしていただきたい。いま運輸大臣答弁では、多少の言葉のニュアンスの相違があるというふうにおっしゃったんですけれども、言葉の上は多少の相違であっても、金額の上では大変な違いになってくると、これは財政再建というものは実りがないものになりますので、その辺は重要な問題だと思いますので、ぜひともはっきりさせていただきたいということを申し上げたいと思いますが……。
  434. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 政府一つでございますから、意見が二つに分かれるはずはないわけでございます。御質問の点について、そごがあってはならぬことは仰せのとおりでございます。で、まず運輸省と私どもの方との間で基本認識の相違があるわけじゃございません。つまり第一は、五十二年度、単年度におきまして収支のバランスがとれる、収支均衡を確立していかなければならぬ、そのようにやってまいらにゃならぬということにつきましては、財政当局も運輸当局も一致した見解を持っております。  それから第二に、しかし五十一年度に発生するであろう約八千億円と言われておる赤字の処理でございますが、これはいま瀬谷さんの御質問では、資本積立金の取り崩しと運賃による回収というだけでいくのか、それとも財政当局はそれだけではなくて、国鉄並びに運輸当局が真剣に所期の目的を達するために工夫して処理の手段を提案してまいった場合に、それを検討する用意があるかどうかということにかかってくるのではないかと思うんでございます。  この点につきましては、先ほどお答え申し上げましたように、資本積立金の取り崩しもあるいは考えなければならぬと思いまするし、独立採算制を基本とする以上、たとえ独占性が希薄になりましても、運賃でできるだけ回収の方途を講じていただかなければならぬことも当然と思いますけれども、それだけで実効が上がらぬという場合におきまして、国鉄並びに運輸当局がその他の手段を考えられて、財政当局との折衡に臨まれる場合におきまして、私どもといたしましては前向きに検討する用意があるということはここでお約束できます。
  435. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それでは、その他の手段で前向きにという、これも余り具体的でないんですけれども、しかし、具体的なお答えをぜひお願いしたいと思います。  きょうは時間も大分おそくなりましたから、私は質問を留保いたします。しかし、和田委員から最後に質問された問題については、きわめて重要な問題でありますから、したがって、次回の委員会ではぜひ納得のいくような御答弁をそれぞれの大臣にお願いしたいということを申し上げまして、一応きょうは終わらせていただきたいと思います。
  436. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 本案に対する本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後七時五十二分散会      ―――――・―――――