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和田春生君 総裁の御
答弁はそのとおりだと思うのですね。
私、ここに五十一年度予算について
国鉄が要求をして復活要求した数字と、
政府原案になった数字とを持っているわけですけれども、ちなみに読み上げますと、過去
債務対策として
国鉄の復活要求をしたのは二千七百六十八億であり、
政府原案はこれが二千四百四十一億円に減らされた。
地方交通線の
対策が九百九十三億である、それが百七十二億に値切られた。
工事費補助金も、
国鉄の復活要求は千四百二億円、これが九百七十六億に削られた。合計して五千一百六十八億の要求に対して三千五百九十四億円に
政府は値切っている。こういう数字があるわけです。
それは値切ったことはいろいろ理由があると思います。
国鉄も別に水増し要求をしたわけじゃなくて、こういう
内容で何とかしたいということである。それに対して、結局計算上はこっちのやつをこっちへ持っていったから、こっちを減らしてこっちはふえたように見えているけれども、合わしてみると
一つも余りふえてはいない、こういう結果になっているわけですね。その分は
運賃値上げの五〇%、しかも五〇%ではまだ足りないのであって、来年度さらに伝えられるところによると五〇%
程度上げると、こういう形である。そこに非常に問題がある。そうなれば、ますます
国鉄離れを促進をするという形になって、
国鉄の
再建なんというのは画餅に帰する危険があるのではないか。そういう点で大変長期の
累積赤字、あるいは過去
債務に対する手当て、
工事費の補助金、それらをひっくるめて、はなはだ中途半端であり、不徹底であるということは、事実上この
質疑において証明をされたと私は考えているわけであります。
こういう点は、先ほど来同じようなことをこの件についても申し上げますけれども、五十二年度で
再建を軌道に乗せるわけですから、必ずこれは五十二年度にこの問題は尾を引いていくわけです。その
対策をしかとひとつ考えておいていただきたい、こういうふうに考えます。
それでは、今度は
運賃の問題と
国鉄の
再建の
努力についてでございますが、ずっとこの
委員会のやりとりを聞いておって、私は
政府も、大変失礼ながら高木新総裁を初め
国鉄のトップの方々も、運輸
サービス業における
企業経営というものについて基本的な認識が少しおかしいのではないかという感じがしているわけです。ここに一九七五年「
国鉄の実情を訴える」という実に分厚いりっぱなパンフレットがあります。この中でも、たとえば「省エネルギーに役立つ」、「石油がなくても電車は動く」とか、「鉄道のエネルギー効率は非常に高い」とか、「鉄道の土地使用効率は高い」とか、こういうことが宣伝してありますね。
いままでも
質問のたびに言われることは路面
輸送、トラックやそういうものに比べて、レール
輸送というのは非常に効率がいいんだ、有利なんだ、こういうふうにしばしば強調される。確かに駅から駅のオンレールで計算をすればそのとおりになるでしょう。それはもう鉄道の敷設という資本も投下をしているわけでありますからそうかもわからないが、利用する側の受け取り
サービスというのは、駅から駅まで運んでもらうことじゃないんです。ドア・ツー・ドアなんです。そうすると、その間においてやはり
国鉄だけではどうにもならないので、トラックも利用するとかいう形に対していろいろな経費がかかってきますから、そういうドア・ツー・ドアでいった場合に、
国鉄というものが果たして単純な計算で有利であるというふうに言い切ることができるか。ところが、それを言い切ってこられているわけです。それは工場の中に鉄道のターミナルがあって、相手の工場に行っておって、それが専用線で行っているというなら、それは話は別ですけれども、そんなのは限られているわけですね。
それともう
一つは、
輸送を受け取る側の
サービスについては、たとえば商売のチャンスというものがあるわけだ。一日着荷がおくれたために莫大な損害をしたということだってしばしば起こり得るわけですから、特に品物によっては、いつ何月何日に確実に着くか着かないかということが重大な勝負になる。その保証がないとすれば、多少
運賃が安くたってそんなものは利用できない、危なくて仕方がない。高いものを金をかけても確実な
輸送を選ぼうと、こういう形になる。
それともう
一つは、スピードという問題があると思いますね。新幹線とそれから飛行機の競争の場合考えてみても、東京−大阪は確かに飛行機の方が非常に時間が早いが、東京駅の近くにおる人が大阪駅の近くに仕事に行くという場合には、羽田空港に行って伊丹の空港から行くのを考えてみれば、時間がほとんど変わらない。じゃ、ひとつ新幹線で行けと、こうなるわけですから、所要時間というものがその人がどういう形で利用するかというものと密接に関連をしている。そうすると、
輸送のいわゆる最終的完結に要する
輸送一時間、それからいつ何月何日到着をするかという確度、確実度と、そして手間、暇がかかるか、かからないかという利便性、そういうものを総合したものが
輸送サービスを受ける側にとっての利益だと思うのですね。その視点が欠けているのじゃないか。
だから何か言うと、鉄道の方が有利だ、土地の使用効率がいいと言う。なるほど鉄道だけ見れば土地の使用効率はいいでしょう。しかし、駅から工場まで、駅から店まで自動車で運ばなくちゃいかぬということになれば、その自動車で運ぶその道路も、鉄道の効率の中に含めて計算しなくちゃいけないわけです。そういう視点が欠けているところに親方日の丸とか、殿様商売とか言われる根本の理由があるのじゃないか。その点について、これは
国鉄総裁、
経営の立場でどういう対処策をとられようとしているのか、お
伺いしたいと思います。