運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1976-10-26 第78回国会 衆議院 法務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月二十六日(火曜日)     午前十時十四分開議  出席委員    委員長 大竹 太郎君    理事 小島 徹三君 理事 小平 久雄君    理事 中山 利生君 理事 稲葉 誠一君    理事 吉田 法晴君 理事 諫山  博君       大久保武雄君    千葉 三郎君       葉梨 信行君    濱野 清吾君       宮澤 喜一君  早稻田柳右エ門君       綿貫 民輔君    中澤 茂一君       山本 幸一君    青柳 盛雄君       沖本 泰幸君    山田 太郎君       折小野良一君  出席国務大臣         法 務 大 臣 稻葉  修君  出席政府委員         法務大臣官房長 藤島  昭君         法務大臣官房司         法法制調査部長 賀集  唱君         法務省矯正局長 石原 一彦君  委員外出席者         法務省刑事局公         安課長     石山  陽君         最高裁判所事務         総長      寺田 治郎君         最高裁判所事務         総局人事局長  勝見 嘉美君         最高裁判所事務         総局刑事局長  岡垣  勲君         法務委員会調査         室長      家弓 吉己君     ————————————— 委員の異動 十月二十六日  辞任         補欠選任   小坂徳三郎君     葉梨 信行君   松浦周太郎君     綿貫 民輔君   佐々木良作君     折小野良一君 同日  辞任         補欠選任   葉梨 信行君     小坂徳三郎君   綿貫 民輔君     松浦周太郎君   折小野良一君     佐々木良作君     ————————————— 十月二十五日  犯罪被害補償法の制定に関する請願(小沢辰男  君紹介)(第七四四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第八号)  検察官俸給等に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第九号)      ————◇—————
  2. 大竹太郎

    大竹委員長 これより会議を開きます。  お諮りいたします。  本日、最高裁判所寺田事務総長勝見人事局長岡垣刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大竹太郎

    大竹委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 大竹太郎

    大竹委員長 内閣提出裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官俸給等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  両案に対し、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲葉誠一君。
  5. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 この前の委員会のときに、裁判官の姿勢といいますか、裁判に対する信頼を失わしめたというような問題で、例の京都の鬼頭判事補ですか、このことについて質問したわけですが、これに関連をして、最高裁当局本人から事情聴取をしたということが伝えられておるわけなんですが、そのことに関連をして、これは非常に重要な問題ですからお名尋ねをしたい、こう思うのです。  そこで、差し支えない範囲でということではなくて、差し支える範囲もひとつ遠慮なく答えてほしいと思うのですね。これはやはり明らかにした方がいいと、こう思うのです。  そこで、まずお聞きをいたしたい第一点は、この録音テープというふうなものを読売新聞社に持ち込んだ、こういうふうなことが言われているわけですね。それは御本人の方から持ち込んで、どこでどういうふうにしてそのテープというものを聞かせたのか、そこいら辺のところからひとつ個別に質問をしていきたい、こういうふうに思いますので、お答えを願いたい、こう思います。
  6. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 冒頭にお断り申し上げますが、鬼頭判事補本人につきまして事情聴取を相当時間の間行いましたが、彼の述べるところはいろいろ多岐にわたりまして、私どもといたしまして、本人の述べるところを論理的につなぎ合わせるといいますか、了解するになかなか困難なところが多々ございました。その点をあらかじめ御了承いただきたいと思います。  ただいまお尋ねのいつ、どこで読売の方にテープを持ち込んだかと、こういうお尋ねでございますが、実は、いつ、どこでという点につきましては、鬼頭判事補は、それは期日は忘れた、場所は言えないということでございました。
  7. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 これは事務総長から後で聞くことかもわかりませんが、まとめてお答え願いたいのですが、いま人事局長が言ったように、多岐にわたって、了解するのに困難なような話をちょっと聞くのですが、これは具体的に——だって裁判官でしょう。裁判官が説明するのにそんなにわからないようなことを言うはずはない、こう思うのですが、多岐にわたって、了解するのに何か不十分な点が多々あるとかなんとかいうのは、具体的にどういうことなんですか。論理が合わないというのですか。矛盾がある、こういうふうなところも多々ある、こういう意味に受け取ってよろしいでしょうか。
  8. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 連日にわたる新聞報道をごらんいただきますとおわかりいただけると思いますが、記者会見の席上におきましても、その都度重要な中身を述べておるようでございます。したがいまして、私どもといたしましては、結論的に申し上げますと、記者会見で述べた以上の事実というものを結局把握でき得なかったわけでございます。  たとえて申しますと、昨日の毎日新聞朝刊報道されたような記者会見での発言等につきましては、あれほど具体的な形で私どもは聴取いたさなかったわけでございまして、先ほど申し上げましたように、後からお尋ねがあろうかと存じますが、全体的に非常に漠然としているということになろうかと存じます。  これも私どもから先に申し上げて失礼でございますが、昨日の裁判官会議におきまして、私ども調査いたしました結果をまとめまして御報告申し上げましたが、その報告中身も、いわば概略的な報告にとどまっているような実情にございます。
  9. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そうすると、テープをどういう動機から新聞社の方に持ち込んだというふうに御本人は言っておられるのでしょうか。そこはどう言うんですか。
  10. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 問題になっております電話を録音したテープのあることをかねてから親しいある人から聞かされた。そのテープのさわりだけを聞かしてもらったけれども、その中身が非常に変わったことといいますか、重要なことといいますか、そういうことであったので、これもかねてから知り合いの読売の人に話をしたら、早速それの中身を教えてほしいと言われた。そのようなことで、読売の人にそのテープを聞かせる気持ちになった。これが彼のいわば動機というものでございます。
  11. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 聞かせるつもりになったというのは、ちょっとそれだけでは余り単純過ぎてわからないのですね。どういうふうな意図から、どういう考え方から開かせるつもりになったというふうに鬼頭判事補自身は言っているわけですか。
  12. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 ただいまお尋ね動機の点につきましては、私ども事情を聴取した限りにおいては、先ほど申し上げた以上のものに出ておりません。
  13. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そうすると、大変失礼な言い方だけれども、それは一番大事なところだから、どういう意図でそういうふうにいま公表したかということについては、もう少し具体的な形、いろいろな角度から聞いていかなければいけないのじゃないでしょうか。ただ、どういう気持ちで公表したか、こう聞かれたところで、はっきりした答えは出てこないので、何らかの政治的な意図あるいはつながりというふうなものがあったというふうに常識的には考えられて——本人電話をかけたかどうかはまた後の問題ですよ。それを発表するそのこと自身に何らかの政治的な意図なりつながりというものがあったのではないかというふうに最高裁当局としては考えて、その点を確かめなかったのでしょうか。そこら辺のところはよくわかりませんね。
  14. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 まさに御指摘のとおりでございます。  ある行動につきまして私ども調べますに、その動機調べないはずはございません。しかし問題は、私どもといたしましては、この事実を知りましたといいますか、調べる前に、私どもの持っているデータというのは、まさに読売記事そのものが私ども調査出発点であったわけでございます。  そして一方、問題のテープ内容につきましては、私ども当然のことでございますが、読売報道以上にもちろん認識はございません。ところが、本人は、そのテープ内容についてはそう詳しくは覚えていない、こういうような答えでございました。私どもといたしましては、テープ内容を確知し得ないわけでございますので、動機と言えば当然内容に絡むわけでございますから、どうしても私どもの聞き方が、あるいは客観的に手ぬるいといいますか、甘いといいますか、そういう御批判がおありかと存じますけれども、何せこちらはテープ内容がわからない、相手テープ内容についてよく覚えておらぬ、こういうようなことで、その動機の点につきましてずいぶんとただしたわけでございますが、結局、先ほど申し上げた程度以上には出なかった次第でございます。
  15. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そうすると、最高裁としてはそれで満足しているの。それだけの質問答弁で満足しているのですか。
  16. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 事の自明を明らかにする立場にあります私どもといたしましては、当然満足しているわけではございません。
  17. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そうすると、いま読売記事のことが出ましたね。読売記事で、三木さんとの間で一問一答がありますわね。これについて一つ一つ、これは事実かどうかということを確かめているわけでしょう。それまでの調べをしないというと調べとしてはきわめて不十分だ、こう思うのですが、まあ検事の取り調べじゃないから、そこら辺のところはなかなかむずかしいかもわかりませんけれども、この記事のどの点を本人が認めて、どの点を本人は否定したということになるわけですか。
  18. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 ただいまお尋ね記事内容とおっしゃるのは、テープのいわゆる電話のやりとりの内容かと存じますが、先ほどから申し上げておりますように、本人はそのテープ内容についてはよく覚えていないということでございました。
  19. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 いや、よく覚えていないと言ったところで、テープ内容新聞に出ているんだから、一つ一つこれは事実か、覚えているか覚えていないか確かめたのですか。概括的にただ覚えていないと言って、それで終わりになっちゃっているの。それは被疑者や何か調べるわけじゃないから、多少その点は、同じ仲間だし、むずかしい点があるかとも思いますけれども一つ一つ事実関係を当たっていかなければ調べにならないのじゃないですか。どうなの、これ。
  20. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 おっしゃるとおりであると思います。その御批判は、先ほどから申し上げておりますように、お受けいたしますけれども、現実にその内容についての問答は、結局はよくは知らないということでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、読売報道された内容、特に昨日の朝の毎日新聞に出された内容等につきましては、私どもは結局は全然聴取できなかったわけでございます。
  21. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そこで、そうすると、この鬼頭という人は、自分三木総理検事総長だと言って電話をしたということを、最終的にはというか、最高裁事情聴取では認めたのですか、認めなかったのですか。
  22. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 鬼頭判事補は、三木総理にそのような電話をしてはいないということでございました。
  23. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そうすると、これは報道の伝えるところによると、鬼頭さんの言うことは再三変わっておるようですけれども、まず最初に、こういう点はどうなんですか。自分の方から重大な情報がある、ぜひ記事にしてほしいというふうに記者に持ちかけたという点についても、当然あなたの方で聞かれておると思うのですが、この事実はどうなんでしょうか。日時は忘れたけれども場所は何とかかんとか言っておりましたけれども自分の方から持ちかけたんだということですね、重大な情報がある、ぜひ記事にしてほしいと持ちかけたということについては、どういうふうに認否しているわけですか。
  24. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 読売の方でテープ内容は御存じなかったと思いますので、当然鬼頭判事補の方からいわゆる御指摘の持ちかけた形になったと思います。
  25. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そこで、いま言ったように、電話をかけたのは自分ではないというのが、最高裁での事情聴取結論であったわけですね。そうすると、あなたの方としては、その過程で「電話相手は私だ。しかし、総理の違法な指揮権発動を証明するため、記事にする価値はある」というふうに鬼頭さんは記者に主張したというふうに報道されているわけですね。そうすると、電話相手自分なんだ、こういうふうに認めたことが過去においてあったではないか、こういうことについてはあなたの方は聞かなかったのですか。あるいは聞いたけれども、そういう事実は全くない、こういうふうに鬼頭判事補は言ったのですか、そこはどうなんですか。
  26. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 当然のことですが、聞いております。結論自分でないということでございますので、読売にそういうことを言ったことはないということに相なろうかと思います。
  27. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 それは答えは違うのじゃないですか。結論自分ではないということと、電話相手自分だということを一応しゃべったけれども、いまになって取り消したということとは答えは違ってくるのじゃないですか、そこら辺のところ、ちょっと質問答弁と食い違ってますよ。一たんは認めたのかどうかということをぼくは聞いているのですよ。一たんは認めたけれども結論的には最高裁事情聴取では自分ではないのだと言ったのだ。自分ではないと言ったのだから、前にそういうふうに、「電話相手は私だ。」というふうに言ったことはなかろうかと思うというのでは、それはちょっと答えは弱いよ。
  28. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 論理的に言いますと、私ども最初質問は、当然あなたは報道されているような電話をかけたかどうかという点に相なろうかと思いますが、その冒頭におきまして、自分は一切電話をしていないというお答えでございました。したがいまして、読売に対してもそういうことを言っていないという答えでございます。
  29. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 自分の方から電話してないということが答えとして出てきたのはわかりましたけれども、前にそういうふうに、「電話相手は私だ。」というふうに読売記者に言ったことがあるかないかということについて、あなたの方で聞いたことがあるかないかと問いているのですよ。あなたの場合は結論ばかりになってしまうから、結論でなくて、そのプロセスがあったのかどうかということをぼくは聞いているのです。ちょっとしつこいですけれどもね。
  30. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 先ほどから申し上げておりますように、最重要なことでございますので、当然聞きました。
  31. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そうすると、しつこいですけれども結論的にはそういうふうに言ったことがないと言うのですね。
  32. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 仰せのとおりでございます。
  33. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 何かこのことに関連をして、自首をするとかしないとかいう話があって——自首というのもちょっと言葉が強過ぎると言えば強過ぎるのですが、そういう話があって、ほかの人と相談をしなければそれは答えられない、こういうようなことで、だれかと相談をしたのではないかということです。そういうことについては、あなたの方としては聞いたのですか、聞かなかったのですか、まずそのことからお答えを願いたいと思うのです。
  34. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 日曜日の読売朝刊に出ている記事のことだと思います。私どもは土曜日に事情聴取をいたしたわけでございまして、日曜日の読売朝刊記事については、私どもといたしましては、前の日でございますので、もちろん全然知らなかったわけでありまして、当然のことですが、土曜日の問答の中には自首云々のことは出ておらなかったわけでございます。日曜日の読売朝刊を見まして、本人もこういう記事読売に出ているのでこの点に関してぜひいわば釈明したい、こういうこともございまして、昨日午前中再度の事情聴取をいたしたわけでございます。その中で、当然のことですが、ただいま御指摘の点も附きました。これも当初から電話の主は自分ではないということを言っているわけでございますから、自分自首をする云々ということはあり得ないというような答えでございました。
  35. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 「十月二十一日になって、」これは十月二十四日の読売を言っているんですが、「十月二十一日になって、逆に、「取材に動き回ると記者の身分と安全を保障しない」という趣旨の脅迫的な電話もかけてきた」、こういうことを言って、「本人は、「仲間がやったのだろう」と弁解している」というふうに書いてあるのですが、こういうことについても、その後毎日新聞記事によって、本人が出てきたときのことはまた後で聞きますけれども、何かそんなふうな電話をかけてきたということについてはあなたの方でお聞きになったことはありますか。
  36. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 ただいま申し上げましたとおり、日曜日の読売朝刊記事につきまして逐一尋ねました。それに対する答えは、自分はそのような電話をしていないということでございます。
  37. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 だから、その「仲間がやったのだろう」ということですね。これは後からも出てくることで聞きますけれども、「仲間」という言葉もおかしな言葉ですけれども、友人か何か知りませんけれども、だれかがやったんだろうというふうに言ったようにもとれるようになっているのですが、だれかが新聞記者を脅迫したとかなんとかということについては、あなたの方では聞いたんですか、聞かないのですか。話はわかるのですよ。こういうことよね。自分はやらなかったというように答えている。それはそれで、その答えはその答えでしょう。だけれども、それではだれがやったんだろうかということについてあなたの方としては聞いたのか聞かなかったのか、聞いたとすればどういう答えだったのか、そのことを聞いているわけです。
  38. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 聞きました。その人がだれであるかは全然わからないという、仮にそういう電話があったとすれば、その電話はだれであるかは全然わからないという答えでした。
  39. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 もうさっきの話の中に、何か毎日新聞記事を見て、そして、本人の方からどうだというのですか、何か事情聴取をもう一遍してほしいということで最高裁当局申し出があった、こういう話のようでしたね。これはこっちが聞かない前にお答えになったのですが、そのことを聞くわけですが、それは本人最高裁当局にどういうふうな経過から何を言いに来たんですか。これはあなたの方で求めたわけではないらしいですね、その間の経過をまず最初にお話し願いたい、こう思うのです。内容はまた後から聞きますから。
  40. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 先ほど申し上げましたように、もう一度申し上げますが、日曜日の朝刊読売記事が出たわけでございます。本人からその読売の日曜日の朝刊記事について……(稲葉(誠)委員毎日じゃないの」と呼ぶ)違います。日曜日の朝刊読売記事について釈明したいという申し出がございました。日曜日でございますので、それでは月曜日にするかということで、それで月曜日の毎日朝刊先ほど指摘記事が出たわけでございます。私どもといたしましては、日曜日の読売記事重要性も当然でございますし、月曜日の毎日朝刊記事についても、テープ内容について記者会見発言したことになっておりますので、その点もあわせて聞くことにしまして、それで出頭——出頭といいますか出てきてもらって、事情を聴取したようないきさつでございます。
  41. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 何か伝えられるところによると、本人の方から聞いてほしいということを言ってきて、そして最高裁の方ではそういう予定ではなかったのだけれども、急遽というか、聞くことになったのだ、こういうふうに一般的には伝えられておるのですが、私の読み違いあるいは聞き違いかもわかりませんが、どちらでもいいと言えばいいかもわかりませんけれども本人の方からそういうことで言ってきたのではないですか。
  42. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 どうも説明不足でおわかりいただけないで大変失礼でございますが、二十四日の日曜日に先ほど指摘読売記事が出ました。それについて本人は恐らく泊まり先で見て、自分のことがずいぶん書いてあるわけでございますので、これは土曜日の調査の際には何も私どもに述べていなかった点でありますので、本人の方からその点について明らかにしたいという、いわば弁解したいというような申し出があったわけでございます。次の日、きのうの月曜日の毎日記事については、彼に月曜日に出てきてもらうことになりましたので、その際にあわせて、こちらとしても事重要な中身でございますので、ぜひ聞きたいということで、いわば両者競合した形できのうの事情聴取を行ったような次第でございます。
  43. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 わかりました。そうすると、その鬼頭判事補が二十四日の午後に毎日新聞記者と都内のホテル、ニューオータニですか、単独インタビューに応じて、そのときに「“田中起訴指示言葉 公表したかった」、こういうふうに語ったと報ぜられているわけです。そのことについて、そういうふうに語ったのか語らないのか、これは非常に大きな問題ですから、そのことについてはあなたの方としても、本人が出てきたときに当然動機にも関連することですし、聞いたのだ、こう思うのですが、まずそういうふうなことを聞いたのか聞かなかったのか。それから、最後のときの時間はどの程度聞いたわけですか。それが一つと、それから、いま言った「“田中起訴指示言葉 公表したかった」というふうにニューオータニでの単独インタビュー毎日記者に話をしておる。このことについてあなたの方としては聞いたのか聞かないのか、聞いたところがどういう答えだったのか、こういうふうに三つに分けてお聞きしましょう。
  44. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 述べてもらった時間は、きのうは約一時間でございます。それから、来てもらったいきさつ先ほど申し上げたとおりでございますので、当然その発言をしたかどうかについては聞いたわけでございます。私どもといたしましては、従来、テープ内容についてよく覚えてないとかなんとか土曜日には言っていたわけなのに、毎日との記者会見できわめて重要な発言をしているわけでございますから、当然そのことを聞くために呼んだわけでございます。当然聞きました。それに対する答えはどうも要領を得ませんで、はっきりとそういう言葉毎日記者に言ったかどうか。ただ毎日記事に何かはしょりといいますか、省略があるというようなことを言う限度でございました。
  45. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 要領を得ないというのは、率直に言うと、鬼頭判事補という人は要領を得ない人らしいですね。言うたびに言うことが違うらしいのですが、要領を得ないというのはどうなんですか。この記事、「“田中起訴指示言葉 公表したかった」ということが一つ。「「私は辞表を提出するが、三木さんも、国会で“忘れた”と言わずに、指揮権発動の“発言”の内容を明らかにすべきだ」と結んだ。」こういうふうに言っていますね。まず「“田中起訴指示言葉 公表したかった」ということについては、言ったというのですか言わないというのですか、言ったか言わないかわからないというのですか。非常に重要な問題ですから一つ一つ聞いていきましょう。
  46. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 その部分については、全面的に言ったか言わないかはっきりしません。私どもといたしまして、この席でそういうふうに、毎日新聞社の記者との会見でどのように言ったかということは、結局は確認できませんでした。
  47. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そうすると、「「私は辞表を提出するが、三木さんも、国会で“忘れた”と言わずに、指揮権発動の“発言”の内容を明らかにすべきだ」と結んだ。」こう出ているのです。ここら辺も聞いたでしょう。こういう点はどうなんですか。そういう点はあなたの方で聞いたのか聞かないのか。三木さんは忘れた忘れたと言っている。ふだんはよくしゃべる人だけれども、忘れたと言っているからあれですが、こういう点は聞いたのか聞かないのか、あるいは聞いたけれども答えはどうだったのですか。
  48. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 その点は聞きませんでした。と言いますのは、彼は何回目かの記者会見だったかと思いますが、いわば三木総理に対して自分電話をかけたというのであれば、自分の声がとにかく堂々と外に出ているんだから、三木総理は当然聞いておられるだろう。そうしたら、あの電話自分であるかどうかはわかるはずだというようなことも言っておりましたし、その内容についても、御自分が聞いておられるわけですから、そのようなことをところどころに言っておりましたので、きのうの毎日記事のその部分についての質問はいたしませんでした。
  49. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 「読売新聞が掲載したテープ内容は、三木さんに気がねして真実を伝えていない。」こういうふうに出ていますね。恐らくこれはそういうふうに答えたのだろう、こう思うのです。これは確かに重要な点が抜けているらしいということも言われているのですが、これは法務大臣も関係してくるのです。あなたのことも出てくるのです。余り芳しくないことが出てくる。芳しくないという言葉は取り消しますが、出てきます。「三木さんに気がねして真実を伝えていない」ということについて、あなたの方で聞いたのか聞かないのか、それだけでいいです。聞かなかったとしたら、どういう理由で聞かなかったのですか。総理大臣のことだから聞きづらいのかな。
  50. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 何回も申し上げますように、私ども調査出発点におきましては、読売報道がすべてであります。私どもといたしましては、調査出発点においてはいま申し上げたとおりであります。  そこで、先ほどこれも申し上げましたように、本人はそのテープ内容についてはほとんど覚えていないというようなことから出発したわけでございまして、私どもといたしましては、テープ内容がどのようなものであったか、どの程度の重大なことを含んでおったか、先ほどこれも申し上げましたように、結局は確認できずじまいであったわけでございます。  さらにきのうの調査の段階におきまして、これも先ほどから繰り返して申し上げますように、毎日記者に対して非常に重要なことを言ったというような報道がありましたので、改めてそのテープ内容についてもちろん聞きただしたわけでありますけれども、やはり基本的には土曜日の姿勢を変えておりませんで、どういう内容であったか、したがって、仮に読売の方ではしょったとしたらどういう点をはしょったかどうかというようなことは、結局は私どもとしては全然わからずじまいであったわけでございます。
  51. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 その中にテープの問題で、「テープを提供した人に返したが、その人が処分したと言っている。テープを聞かせられないが、あの話は本当のところ、三木さんと私しか知らないんだ。」こう言っているのが出ていますが、これは非常に重要ですね。これはどこから調査が出発したかは別として、「あの話は本当のところ、三木さんと私しか知らないんだ。」ということを言ったとすれば、これはあなた、電話をかけたのは本人がかけたとしか考えられないじゃないですか。だからこの点は非常に重要なところですから、こういうことを言ったのか言わないのか、ニューオータニ毎日記者に言ったか言わないのかということを当然あなたの方で聞かなければおかしいですね。この点はどうなんですか。
  52. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 もちろん聞きただしましたが、何せ鬼頭判事補毎日記者にこう言ったかどうか、記事はこうなっているが、実際にどう言ったかどうか、いわば間接的な形になるわけでございます。その点、きのうはわりに短時間で済ませましたが、なかなか時間を要したわけであります。その前に土曜日の事情聴取の際には、彼の言っておりますことは、先ほど申し上げましたように、ある人からちょっと変わったおもしろいテープがあるというふうに言われてそこでさわりの部分を聞かされた、なるほどこれはおもしろい変わった話だなということで、かねてから知り合いの読売の人に話した、こういうようないきさつを彼は述べているわけでございまして、先ほど指摘毎日の、テープ内容自分三木総理しか知らないということと矛盾するわけでございます。しかし基本的な彼の供述は、結局は土曜日に私どもが聴取いたしましたような経過であったというふうに、これは真実どうであったかどうか私ども現在のところ、核心と言いますか、真相はいかなるものであったかはよくわからないのでありますけれども本人の供述はそういうことでございましたので、きのうの毎日記事との矛盾をもちろん突いたわけでございますが、結局は土曜日に述べたとおりでありますと、こういうことであったように思います。
  53. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 私の聞いているのは、土曜日に答えたのと月曜日に答えたのと——月曜日の場合は新しい資料が出てきているわけですから、時間的に一時間というのはぼくは非常に短い、こう思うのです。最初の日の九時間は長過ぎるかもわからないけれども、後の日の一時間は短過ぎる。これはちょっとおかしい。私が聞いているのは、「あの話は本当のところ、三木さんと私しか知らないんだ。」ということを言った、こういうふうに新聞記事に出ているのですから、非常に重要なことです。そのことをあなたの方で聞いたのかどうかということですよ。まずそのことだけはっきりあなたの方で答えてください。どうも答えがはっきりしない。
  54. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 先ほど申し上げましたように、聞きました。
  55. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そうすると、答えはイエスなんですかノーなんですか。あるいはイエスでもノーでもない、灰色なのかしらぬけれども、一体何なのですか。そこら辺のところわかりやすく答えてください。一番大事なところですよ。
  56. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 毎日記者にどう言ったかは結局は確認できませんでしたけれども、私どもの前では、先ほど何回も申し上げましたように、テープ中身を知っている人というのは自分三木総理以外にいるという前提で土曜日から話しているわけですので、結局は私どもといたしましては、彼の供述は先ほど申し上げたようないきさつであったというふうに御報告申し上げた次第でございます。
  57. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 いまのは答弁になってないですね。これははなはだ失礼な言い方だけれども答弁になってないな。私の聞いているのは、「あの話は本当のところ、三木さんと私しか知らないんだ。」ということをあなた聞いたと言うのでしょう、このことについて。それは本当かどうか。こういうことを言ったか言わないか聞いたと言うのですが、言ったなら言った、言わないなら言わない、そこだけじゃないですか、答えは。どうもあなたは矛盾があると言う。だれが聞いても確かに矛盾があるのです。ちょっとくどいのですけれども自分でもくどいということをわかっていて聞いているのですけれども、「あの話は本当のところ、三木さんと私しか知らないんだ。」ということに対して、どういう答えだったのですか。答弁がはっきりしないのですよ、イエスかノーかどうなんです。
  58. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 聞きましたけれども、結局はそういうふうに言ったとは言わなかったということでございます。
  59. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そういうふうに言わなかったと言ったということはどういうふうに言ったということなんですか、ここが非常にむずかしいところです。一番大事なところなんです。だから聞いているわけです。
  60. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 三木総理自分だけであるというふうに言ったかどうかということについては、結局は何もそれに対する答えがなかったということでございます。
  61. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 それならそういうふうに答えてくださいよ、そうすれば聞いている人は大体話がわかるのだから。鬼頭という人は二人いるのですよ、テープを持ち込んだ人と電話をかけた人と二人いるわけですね。それが結局同一人物だということに推定があるいはなるのじゃないですか。あるいはですよ、ぼくはわかりませんけれども、この問答を否定してないところから見ると。そういうふうに私には聞こえるのですが、これは判断の問題ですから。  そこで、この人の交友関係についていろいろお聞きになりましたか。よくわかりませんが、松本明重というのですか、日本民主同志会中央執行委員長、こういう人との接触があるということが事実かどうかということについて聞いたか聞かないか、これが一点。それから、公安調査庁に出入りしたことがあるかないかということが第二点。それから第三点は、何かよくアメリカに出張しているということが言われておるのですが、そういう事実があるのかないのか。この三点です。
  62. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 松本明重氏との関係につきましては、全然面識もない。それから公安調査庁に対するいわば出入りということについても、そういうことはない。それからアメリカに出張したあるいは出張命令を受けたことはありません。
  63. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 出張命令じゃなくて行ったことがあるかどうか聞いているのですが、そういうことを盛んに言われているものだから、大した問題じゃありませんけれども聞くのですよ。これはそれでは後で一緒にして答えてください。  何か田中角榮さんの事務所へ鬼頭という人の名刺を持って、自分が行ったのかほかの人が行ったのか、あるいはこの人の名前をかたってだれかが電話をしたのかよくわかりませんけれども、どうもそのときに、ある新聞社の人が電話に出てしまったらしいですね。そういうことについてあなたの方で聞いたことがありますか。
  64. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 まず第一点、外国旅行の点でございますが、私どもの方では当然のことでございますが、外国に旅行するときには許可を申請をさせて許可という形をとっております。四十九年の十二月から一月にかけましてドイツの方にということで、許可が出ております。それから、ことしの七月二十三日から八月九日までの間にドイツとアメリカということで許可申請が出ておりまして、それに対する許可がなされております。  それから、田中事務所の件ですが、新聞報道されたのはたしか二件あったと思いますが、名刺を持って訪ねて行った件、この点については自分ではない。しかし、君の名刺という点についてはどうかというふうに聞きましたら、それは自分の名刺をだれかが、もしそういうことがあったとすれば、ほかの者が名刺をつくって自分の名をかたって行ったんだろう、こういうようなことでございました。  それからもう一つ電話の件がございますが、その電話についても自分ではないというふうに言っておりました。
  65. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 中曽根事務所へこれまた行ったとか電話したとかという説もあるんですが、この点については聞いたことがありますか。これはないんでしょうか。
  66. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 中曽根事務所という名を特定した記事があったかどうか、ちょっと確認できませんが、たしか他の政治家のところにも出入りしているというような記事があったように思います。その点につきましても聞きましたが、そういうことはないということでございました。
  67. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 いまの質問は、他の政治家の事務所というふうに訂正さしていただきましょう。  そこで、最後の、これは後で同僚議員の方で質問されることだと思うのですが、網走の刑務所に行ったということですね。これは事実のようなんですが、これはどういうプロセスで行ったわけですか。だれかの紹介で行ったんですか。このだれかの紹介というところがこれは問題らしいのですが、これは大臣知っているの。うんと言っているけれども。あなた知ってるようなふりを見せるから。違うの。どうですか、それは。
  68. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 だれかの紹介でというお尋ねの趣旨が理解いたしかねますけれども、普通に行ってはだれも、第三者が普通に行っては見せてくれないという意味での紹介ということでありますと、最初に彼は刑務所の方に電話をしたそうでございます。それで、八王子支部民事三部の鬼頭であるが、戦前の治安立法について研究しているので、宮本氏に関する記録を見せてほしいというふうに電話したそうでございます。そのときの刑務所側の返答は、古いことで探してみなければわからないというような答えだったそうです。結局、返事のないまま八王子を立ちまして、札幌に着きまして、札幌から、丘珠空港から飛行機で行ったそうですか、丘珠空港で再度網走刑務所に電話をしたところ、所長が出てきて、記録はあった、しかし矯正局の了解をとってほしいというふうに言われた。そこで彼は矯正管区に電話をして、いわば口添えを頼んだ。それで、再度網走の方に電話したら、どうぞと言われたので、網走に出かけた。こういう供述でございます。
  69. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 何か札幌に民事裁判があって、証人尋問かなんかあって行ったときに足を延ばしたというふうにもちょっと聞いたんですが、そうすると、そうじゃないのですね。
  70. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 その点についても問いただしましたが、彼はいつ網走に行ったかはっきりした期日は覚えていなかったわけでございまして、夏ごろということだけだったわけでございます。したがいまして、その事件の出張の足を延ばしてそちらに行ったものかどうか、本人の口からは結局は供述は得られませんでしたが、私の方から、事件出張に行って、その足を延ばしてその機会に行ったのではないかというふうに聞きましたら、そう言われればそうだったかもしれないというふうに答えておりました。  したがいまして、矯正局の方でお調べいただいておると思いますが、彼が網走刑務所に行った日にちが確定できれば、私どもの方の出張命令と照らし合わせれば一いま御指摘のようなことであったかもしれません。
  71. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そこで、これは事務総長に最終的なまとめといいますか、お聞きするわけですが、その本人の、鬼頭判事補の現在までのわかった状況の中で、裁判官としての適格性について、事務総長なり事務総局としてはどういうふうに理解し、判断をしておられるのでしょうか。
  72. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 先ほど人事局長からるる御説明申し上げましたとおり、二回にわたり鬼頭判事補から事情聴取をいたしましたけれども、お聞きのとおり、私どもとしてもまだ十分に納得のできる事実の解明ができていないわけでございます。したがいまして、今後とも本人事情聴取を含めましてあらゆる角度から十分な事実の究明をいたさなければならない、かように考えておるわけでございます。  ただ、いずれにいたしましても、現在わかっております範囲でも、現職の裁判官が政治的活動という疑いを受けてもやむを得ないような行動をとりまして、裁判官の中立性、適格性について国民の疑惑を招きましたことは、まことに遺憾なことでありまして、国民の皆様に対して深くおわび申し上げる次第でございます。  今後、いま申し上げましたとおり、事案の早急な解明に全力を尽くしますとともに、かような疑惑を招くことのないよう、裁判官全員に注意を喚起いたしまして、裁判所に対する信頼の回復に努めたい、かように考える次第でございます。
  73. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 それから、本人辞任するようなことをほのめかしているようなことがちょっと出ておりますがね。本人から恐らく辞任申し出がある、こう思うのですが、その場合に最高裁としてはどういうふうな態度をとるということになるのでしょうか。
  74. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 本人辞任するような気持ちを持っているような報道もございますし、またさような口吻を漏らしたような報告も受けておりますけれども、いまだ正式に辞意の申し出と申しますか、辞表の提出というものはございません。今後そういう場合には、最高裁判所としてこれをどう扱うか、事案の究明とあわせて慎重に検討いたしたいと考えております。
  75. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 法務大臣、これはぼくがこの電話のやりとりを、新聞なんかに出ておるのを見たり、それから参議院のロッキード委員会なんかで聞いていて、三木さんも軽率だと思います。検事総長からの話を一時間も聞くということはおかしいのじゃないですか。仮に検事総長の布施さんからの電話だと言ったら、なぜ三木さんは断らないのですか。法務大臣から聞くのだからそんな電話を受けられないと言って、法務大臣を通じて電話してくれというふうになぜ三木さんは言わなかったのでしょうかね。あなたは一体その点をどういうふうに思いますか。ぼくもあなた非常にその点不愉快に思っているのじゃないかと思うんですよ。そうもはっきり言えないけれども、それはどうなんでしょうか。おかしいと思いますよ。
  76. 稲葉誠一

    稲葉国務大臣 それはどういうつもりですかなあ。どういうつもりですか、よく総理にお聞きください。
  77. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 いやいや、あなたはどう思うかというのですよね。本当なら法務大臣から行くのが筋でしょう。そう思わないの。どうなんです、それは。
  78. 稲葉誠一

    稲葉国務大臣 あんな、新聞に出ているようなことは法務大臣からも行くはずはないでしょうな。筋じゃないでしょう。
  79. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 いや、あの内容でなくて、いろいろな事件の報告とかなんとかということなら、法務大臣から報告するのが筋であって、直接検事総長からいろいろな具体的なことについて総理に連絡するとかなんとかというのはおかしいではないでしょうかと、こう言うのですよ。これはあたりまえの話よね。
  80. 稲葉誠一

    稲葉国務大臣 ロッキード事件についての捜査の報告は、もし重要だとすれば法務大臣にあるべきもので、検事総長が直接総理電話などするわけがないのです。
  81. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 わけはないけれども、そういうふうな電話に応待するのもこれはおかしいと思うんだけれども三木さんに聞いてくれと言うからこれは別の機会に聞きますけれどもね、あなたとしてもこれはおもしろくないだろうとぼくは思うんだ、あなたの心中を察すると。  そこで、まだ三木さん変なことを言っているのですよ。これ以上聞きませんけれどもね、録音が事実とすれば。あなたの名前も出てくるところがあるのですよ、それはぼくはここでは聞きませんけれども。  そこで、今後この問題について、法務省なり検察庁というかな、あなたはこれはどういうふうにしていくつもりですか。そこら辺を最後にお聞きをしていきたい、こう思うのです。
  82. 稲葉誠一

    稲葉国務大臣 どういうことでこんな電話のやりとりが——もし行われたとすればどういう背景であるのか、これはやはりいろいろ問題なわけですから、よく調査をするようにと厳命しております。
  83. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 よく調査をするように厳命してあるということですか。いつごろどういうふうにしてあるのかということをひとつお答え願いたいのと、いままでのいろいろ私の質問を聞いてみても、これは率直に言うと、いろいろな報道なり何なりというものと非常に食い違っておりますしね、これは法務大臣じゃないですよ、この鬼頭判事補の言うことが。真相が十分にわからないですね。そして、なおかつこれは国民の司法に対する信頼を非常に損ねている。これを回復するためにも真相を明らかにしなければならない、こういうふうに私は考えますね。だから、これは委員長鬼頭判事補の当委員会における証人喚問を私の方でここで請求をいたしておきたい。後で理事会でお諮り願いたい、こういうふうに考えております。  法務大臣は、いままでずっと聞いていてどういうふうに思われました。
  84. 稲葉誠一

    稲葉国務大臣 なかなかこれはめんどうなことになったが、しかし真相は明らかにしないとこれはいかぬぜと、わが国の司法に関する国民の信頼が失われるような状態になっているよと、こういうふうに感じまして、しっかりやらなければいかぬな、こう思いますね。
  85. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 じゃ、時間ですから、私の質問はこれで終わります。  いまの証人喚問の件については、終わった後での理事会で十分取り計らって、それが実現するようにお願いをいたしておきます。
  86. 大竹太郎

    大竹委員長 諫山博君。
  87. 諫山博

    ○諫山委員 最高裁人事局長質問します。  鬼頭については何時間くらい調査をされたのか、そして、だれが調査に当たったのか、この点を説明してください。
  88. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 土曜日の日には約七時間でございます。それから昨日は一時間でございます。土曜日の日に調査に当たりましたのは、私と泉調査課長でございます。昨日は、前半ちょっと私所用がございまして、泉課長に当たらせまして、最後二十分間ぐらいは私も同席いたしました。
  89. 諫山博

    ○諫山委員 裁判所というのは、真実を究明するのが一つの本来の職務みたいなところですが、鬼頭裁判官は正直に真実を述べているという感触ですか、それとも、うそを言ったり知っていることを隠しているという感触ですか。
  90. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 いわば調査の段階でございまして、事件で申せば当事者本人尋問の第一回目を終わったというような段階でございます。先ほど稲葉委員に申し上げましたように、私どもといたしましては調査のスタートが新聞報道が前提でございまして、その報道自体も、私どもといたしましては、実際にあったのかどうかということも——これは新聞社に対して大変失礼でございますけれども、仮に事実であったという前提でいろいろ聞いたわけでございます。その間の供述といいますか、述べ方は、先ほどもちょっと申し上げましたように、いろいろありまして、結局私どもといたしましては真相をつかみ得なかったというのが正直なところでございます。ただし、このいわゆる事件のいきさつないし真相がどうであったかという心証と言われますと、まだまだ調査の段階でございますので、最高裁事務総局といたしまして、こういうものであったというふうなことはまだ申し上げかねるところでございます。
  91. 諫山博

    ○諫山委員 にせ電話の問題から質問しますが、にせ電話の関係で、どうも明らかに供述を拒否しているという部分があるように思います。これは違うとか忘れたというのじゃなくして、この点は説明できませんという内容があるように思われるのですが、それはどういう点でしょうか。
  92. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 電話事件で最も重要であります、だれが電話の主か、あるいはその電話、これは仮に謀略といたしますと、その工作をした人が多数人なのか単独なのかという点がまず問題だと思いますが、その点については一切申し上げられませんということでございました。
  93. 諫山博

    ○諫山委員 テープを渡した人について、新聞記者に対しては、フランクにお話しできる人だ、非常に信用のできる人からテープを受け取ったと、こうなっているのですが、最高裁ではそこまでは説明しておりますか。それとも、そういう説明も拒否していますか。
  94. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 その点につきましては、親しいある人からという趣旨だったと思います。
  95. 諫山博

    ○諫山委員 その場合、たとえば飯守元裁判官との関係とか、何人か名前を指摘して、この人とは違うのかという追及はされましたか。
  96. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 ただいまの段階で、特定の方を私ここで聞いたかどうかという点についてお答えは遠慮さしていただきますが、私ども調べの基本的な姿勢といたしましては、新聞報道にこういうふうな報道があるけれどもどうだという形で、その点についても尋ねた次第でございます。
  97. 諫山博

    ○諫山委員 私は前回、飯守元裁判官などと非常に親しい、むしろ同志と言えるような間柄だ、そして、飯守元裁判官がこの電話に関係している可能性が非常に強い、この点を調べていただきたいと要望したのですが、この点の調査はどうなっていますか。
  98. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 現在のところ調べておりません。この点に関して当の御本人が、朝日新聞だったと思いますが、談話を発表しておられます。今後その方についてあるいは調査に御協力をいただくかどうかにつきましては、現在のところまだ決めていないような状況でございます。  ただ、先ほども申し上げましたように、新聞報道を前提として聞きましたので、その点についても鬼頭判事補に対してその間の事情を聞いたわけでございますが、確かに前回も申し上げましたように、公的には鹿児島の裁判所時代に二カ月弱御一緒だったようですが、その他の点につきましては、ある程度の交際はあるという程度の答えだったわけでございます。
  99. 諫山博

    ○諫山委員 まだ調査の途中のようですが、現在の時点で、鬼頭テープを持ち歩いたという奇怪な行動はどういう目的によるものか、どういう動機に基づくものと見ていますか。
  100. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 先ほど稲葉委員に申し上げましたように、本人の供述をそのままお伝えしたわけでございますが、本当に動機がそうで、本人の供述以上に出ないということは、われわれ常識でも考えられないところでございますが、先ほど申し上げましたように、ただいまの段階では、本人の供述は先ほど申し上げたような程度であったわけでございます。
  101. 諫山博

    ○諫山委員 次に、共産党の宮本顕治氏の身分帳その他に関する資料写しといいますか、持ち出しといいますか、この点について質問します。  現在、最高裁判所が掌握している事実は、簡単に言うとどういうことでしなうか。
  102. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 先ほど一部御質問がございましたので申し上げましたが、私どもでいわば把握しました事実といたしましては、四十九年の夏網走刑務所に出かけたが、出かける三日ぐらい前に前もって先ほど申し上げましたような電話をした。先ほど申し上げたような返事があって、空港から電話があって、矯正管区の口添えを得て、どうぞと言われて網走まで出かけた。網走では所長室で当該の記録を見せてもらった。席を会議室様なところに移して、ストロボつきの写真機で記録を写真にとった。自分として関心のある部分のみを写真にした。帰る際、網走の駅でフィルムの巻き上げに失敗し、フィルムの一部をだめにした。そこで、写らなかった部分についてゼロックスにとって送ってくれるように刑務所の方に頼んだ。数日後、課長からゼロックスがないということで手書きの写しを送ってきた。事実としてはそのような事実でございます。  なお、当該書類を他に見せたり流したりは一切していないということでございます。
  103. 諫山博

    ○諫山委員 矯正管区のだれがどのような口添えをしたのでしょうか。どうぞということのようだったんですが、もっとそこのところを具体的に説明してください。
  104. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 管区のどの地位にある方かについては記憶がないということでございました。先ほどちょっとはしょりましたが、どうぞという電話は、もう一回網走の方に電話したところ、どうぞと言われたので、網走へ飛行機で出かけた、こういうことでございます。
  105. 諫山博

    ○諫山委員 法務省の方に質問します。  いまの点、いまの程度の詳しさで結構ですから、どういう事実を認識されたのか説明してください。
  106. 石原一彦

    ○石原政府委員 前回もお答え申し上げましたとおり、目下真相を究明すべく関係職員につきまして鋭意調査中でございまして、本日も続行しているところでございます。したがいまして、詳細を申し上げますことにつきましては、いましばらくお待ち願いたいと思います。  ただ、なおこれまでの調査によりますれば、先ほど裁判所の人事局長から御報告がありました点と、経緯につきまして、鬼頭判事補の言うところと相違している点がございます。  なお、先ほど人事局長の御答弁では、四十九年の夏ということでございましたが、私ども調べでは、七月の下旬ではなかろうか。その確定の日付につきましては、先ほどの御答弁を承りますと、裁判所でも必要というような御趣旨でございましたので、確定次第裁判所にも御連絡申し上げるつもりでございます。  なお、果たして鬼頭判事補本人が網走に行ったのであるかどうか、この点につきましても私ども調べました。と申しますのは、いろいろな新聞報道を拝見いたしますと、他にも関係者があるというような点がございますので、果たして本人であるかどうか、本人の名刺なり何かを持ってきたのではないかという点も含めて調べておりますが、現在までのところでは、鬼頭判事補が網走刑務所に行ったのは間違いないようでございます。  以上だけ申し上げますが、あとの点につきましては、いましばらく猶予をいただきますればできるだけ詳細な御報告を申し上げたいと思っております。
  107. 諫山博

    ○諫山委員 鬼頭判事補の説明と法務省の説明で違う点があると言われたのですが、どの点が違いますか。
  108. 石原一彦

    ○石原政府委員 私どもの関係者は二人でございまして、いまだ二人の間の供述あるいは記憶の喚起の仕方に相違がございます。したがいまして、確定的にここで申し上げるのはいましばらく差し控えさせていただきたいと思いますが、たとえばどこで電話をしたか、どういう趣旨で網走刑務所に行って、どういう理由を述べて閲覧を求めたかという点につきまして、現在のところ、必ずしも鬼頭判事補の言っているとおりではないというふうに私は考えております。
  109. 諫山博

    ○諫山委員 最高裁の説明では、矯正管区に電話したところが、そこの方からどうぞという返事があって、鬼頭裁判官は恐らくオーケーを得たものということで現地に行ったとうかがわれるのですが、この点は法務省の調査はどうなっていますか。
  110. 石原一彦

    ○石原政府委員 鬼頭判事補が管区に電話したのは事実の模様であります。模様であると申し上げましたのは、それを受けた——受けたといいますのは非常にむずかしいのですが、その鬼頭判事補本人から、管区におりまして電話を受けた者がいまだ記憶を喚起いたしておりません。ただ、その管区の者から電話を受けた方でそういうことがあったように思うということでございまして、私の見たところでは、電話があったことは事実であろう。その詳細につきましては、先ほど申し上げました日時の確定とともに、最初鬼頭本人から電話を受けた者を調査しなければならぬと思っております。その者は現在東京以外の地に在勤いたしておりますので、ただいま先ほど申し上げました二人の関係職員を調査いたしました後、できますれば東京に呼びまして調査をしたい、かように思っておるところであります。
  111. 諫山博

    ○諫山委員 法務省としては、程田所長それから南部庶務課長、この二人は鬼頭裁判官に書類を見せた、そして写真で写らなかった分は手書きで写して鬼頭裁判官に渡した、このことを認めていますか。
  112. 石原一彦

    ○石原政府委員 ただいま御指摘の点も問題となる分の一つでございまして、慎重に調べているところでございますが、ただいまもおっしゃられたとおりの事実であるかどうかにつきましては、もう少し調べてみなければわからない点がございます。したがいまして、しばらく時間をいただきたいという趣旨でございます。  なお、諫山委員法律家であらせられますので申し上げますが、やはり、記憶がないという者に対しまして、片方の供述を中心にして事情聴取をすることは危険でございますので、現在までのところは、双方から思い出す限りのことを言ってもらっている段階でございます。それで、その思い出した結果が出ましたならば、両方の食い違い、あるいは矛盾点、あるいは日時の相違という点を詰めてまいりたい。なお、その段階で裁判所でのお調べの結果等をも差し支えなければお教え願って参考にいたしたい、かように思っておりますので、詳細について申し上げますことは、いましばらく差し控えさせていただきたいと思います。
  113. 諫山博

    ○諫山委員 鬼頭裁判官については、私たちは早くから嫌疑を持っていました。そして、私自身がことしの三月ごろ、K裁判官ということで、網走刑務所、帯広刑務所に調査に行ったということは法務省御承知のとおりです。そういう経過から見ましても、こういうことがあったとかなかったとかいう説明なら理解できるのですが、記憶しないというのはどうしても理解できません。ぜひこの点は詰めて、事実を明らかにしていただきたいと思います。  それから、人事局長にもう一遍質問しますが、矯正管区に電話をして、どうぞという返事だから網走刑務所まで行ったんだということだとすれば、それは、法務省側が記録を閲覧し謄写することを承諾したというふうに理解しているのですか。
  114. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 本人の供述はいま御指摘のとおりでございます。
  115. 諫山博

    ○諫山委員 矯正局長、矯正管区でそんな権限があるのかどうか。また、そういうことを上から言われたとして、現場の所長とか課長は、これは普通見せるのですか。どうでしょう。
  116. 石原一彦

    ○石原政府委員 今度の事件は、刑事コロンボの捜査のようでございまして、本人が先に見たとおっしゃられて、それを私どもが追いかけているわけであります。しかも、自白の信憑性につきましては十分調べなければならないという点は、諫山委員も十分御存じなところだろうと思います。したがいまして、先ほども申し上げましたように、私ども調べでございますので、二人のうちのいずれかの供述が正しいという予断を抱かずに調べていると申し上げましたが、鬼頭判事補の供述につきましても、先に言ったからそれが正しいのだという前提はとらずに調べているのでございます。  したがいまして、御質問のところにつきましては、後に御報告申し上げる際に詳細に申し上げますが、先ほどの御本人の供述とはやや違う点が出てくるかと思います。  なお、管区が関与する点でございますが、これも鬼頭本人が行ったということから、管区が関与したのはおかしいということに相なるわけでございますけれども、私どもが、いまは矯正局長でございますからどこでも刑務所へ行きますれば迎えてくれますが、現に私自身、私事旅行で行きましたときに、網走を見せてもらったことがございます。網走は言うなれば観光刑務所みたいなところでございまして、夏に非常に多くの方がおいでになるのでございます。そのときに、直接行くよりも、やはり管区に口添えをしてもらうという点が非常に多いのでございます。これは、率直に申し上げまして、国会議員の中にもそういう方がおありになったのではないかと思っております。  そういうわけで、ただいまの管区の口添えというのがどのような趣旨のものであったか、鬼頭本人からどのように言われ、また、どのように理解してそれを網走刑務所に伝えたかという点は、私どもも重要視いたしておりますところで、詳細にかつ綿密に調査いたす予定でございますので、その結果が出ますまでお待ち願いたいと思います。
  117. 諫山博

    ○諫山委員 最高裁の方に。鬼頭裁判官が管区に電話したのは、訪ねていくからよろしくということだったのでしょうか、記録を見せてもらいたいからよろしくということだったのですか。
  118. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 訪ねるということでなくて、やはり当該自分の希望する記録を見せてほしいという趣旨だというふうに思います。
  119. 諫山博

    ○諫山委員 矯正局長にもう一回。あなたは前回、戦後三十年の間に、宮本顕治氏の外に出ることができないはずの資料が、出る機会があったかもしれない、可能性はあり得るという趣旨のことを言われているのですが、これは一般的、抽象的な可能性を言っているのですか。いつごろ漏れたらしいという何か具体的な根拠があって、戦後三十年と言われたのですか。
  120. 石原一彦

    ○石原政府委員 一般的なことで申し上げたのでございます。
  121. 諫山博

    ○諫山委員 宮本顕治氏の身分帳は、ことしの一月初めごろ法務省に引き揚げられていると聞いています。現在は網走刑務所になくて法務省にあると聞いているのですが、いつごろどういう動機で法務省に引き揚げたのでしょうか。
  122. 石原一彦

    ○石原政府委員 宮本委員長の釈放につきまして御質問があるということを承りました。そこで、とにもかくにも三十年前のことでございまして、その間の事情はまず身分帳を見るほかはないであろうということで、ことしの一月の初め、私の記憶では一月の六日ごろではないかと思います、いわゆる御用始めの直後でございました。網走から送るように言いまして、二、三日後に到着いたしたと記憶いたしております。
  123. 諫山博

    ○諫山委員 この問題が国会で論議され始めたのは一月二十七日からですが、だれからそういう申し出があったのですか。
  124. 石原一彦

    ○石原政府委員 民社党の方の御質問があるというふうに記憶いたしております。
  125. 諫山博

    ○諫山委員 身分帳の一部と見られる診断書、それから執行停止に関するさまざまな資料が外部にずいぶん出回っています。たとえば、民社党の春日委員長はふろしきいっぱい持っていると言われるし、文芸春秋の立花隆論文にも引用された。また、鬼頭裁判官の弁によれば、公明党も自分たちが手に入れることができないような資料を持っているらしいと語っているのですが、こういう点は、どういう経路でそういうふうに広まったのか、法務省としては調査しましたか。
  126. 石原一彦

    ○石原政府委員 法務大臣から、あらゆる背景その他につきましても綿密に調査せよという御命令を受けておりますので、ただいまお申し出の点も含めまして調査をいたしておりますが、いまだ結論は出るに至っておりません。
  127. 諫山博

    ○諫山委員 この点は、とにかく外に出るべからざるものが現に出ている、こういう状況ですから、鬼頭裁判官あるいは刑務所側で聞くだけではなくして、現にこういう資料を持っていると称している人たちに直接当たっていただきたい。真相を究明していただきたい。そうでなければ、鬼頭が黙秘したり否認したりすれば真相は明らかにならないという結果になるのですが、法務大臣、ぜひそういうやり方で真相を究明してもらいたいと思います。どうでしょうか。
  128. 稲葉誠一

    稲葉国務大臣 身分帳なんというものが出回ってははなはだ困りますから、重大なことですから、こういう重大なことはあらゆる手段を尽くして真相を究明せい、おっしゃるようなことも必要でしょう、あらゆることをやって真相を究明しなければならない、こういうふうに思いますね。また、そういうふうに申しております。
  129. 諫山博

    ○諫山委員 最高裁事務総長に……。とにかく、いま言いましたように、宮本顕治氏の診断書なるものが出回って、単行本に引用されている、そして宮本顕治氏と日本共産党を中傷する材料に使われている、これは前回いろいろ説明したとおりです。そして、こういうのが漏れる一番具体的な可能性のあるのは、やはり鬼頭裁判官を通じてということです。戦後三十年の間に漏れる可能性もあると言われたんですが、これは一般的なこととして言っているだけで、あのころ漏れたのだろうという根拠があって言っているのじゃないということのようですから、鬼頭裁判官から漏れたと推定するのが一番現実的なわけです。最高裁判所としても、当然、鬼頭裁判官を監督する立場上、この点を鬼頭裁判官とか刑務所だけじゃなくて、資料を持っていると称している人に当たっていただきたい。たとえば立花隆あるいは松本明重あるいは民社党、公明党の人、この人たちは持っていると言っているのですから、どうして手に入れたのか、この点をぜひ明らかにしてもらいたいと思いますが、どうでしょう。
  130. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 鬼頭裁判官の手によって写し取られましたものが万一外部に漏れたといたしますれば、それはゆゆしいことでございます。現在のところ本人は否認いたしておりまするけれども、いまお話しのとおり、あらゆる方法をとってその真相の究明に努力したい、かように考えております。
  131. 諫山博

    ○諫山委員 最高裁人事局長に……。宮城刑務所に電話したということが言われているんですが、これはどういう目的だったんでしょうか。
  132. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 その点につきましては、私ども別にそういうような事実があったことを知っておって質問したわけではございませんが、彼の方から、実は袴田里見氏に関する書類を宮城刑務所に、先ほど申し上げたような形で、照会したということを言っておりました。
  133. 諫山博

    ○諫山委員 法務大臣にちょっと質問します。  とにかく、出るべからざる資料が刑務所の中から出てきた、そして鬼頭判事補が持ち出した一人であることは間違いない、こういうことになりますと、こういう出るべからざるものは法務省としては回収すべきだと思います。取り上げるべきだと思うのです。鬼頭裁判官その他これを持っていると称している人に当たって回収するという措置を要望したいのですが、いかがですか。
  134. 稲葉誠一

    稲葉国務大臣 身分帳みたいな出るべからざるものがそのまま出ているとすれば、それはもちろん回収しなければ話にならぬですね。しかし、それの写しだとか何とかいうことでだれか持っている、あなたが持っていると言ったら、あなたよこせというわけにはちょっといかぬな。
  135. 諫山博

    ○諫山委員 最高裁どうでしょう。鬼頭裁判官はとにかく違法に写してきたわけですよ。これはすでに現物ではないにしても、最高裁あるいは法務省が回収すべきだと思うのですが、事務総長、そういう措置はとれませんか。
  136. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 鬼頭判事補の問題の資料の入手が違法であったかどうかという問題については、私どもとしてはまだ断定いたしかねます。本人の弁解によりますと、彼自身はいわば任意に写さしてもらったんだというような意識のようでございます。
  137. 諫山博

    ○諫山委員 時間が来ましたからこれ以上深入りしませんが、これはとんでもないことで、いま人事局長の言ったとおりだとすれば、国家公務員法違反の共犯者というふうに見るのが当然だと思うのです。これは秘密漏洩の罪です。  そこで、私最後に法案について質問します。  今度の法案で、下級裁判官、下級検察官の給料を上げることは結構なんです。ただ、特別職の上級裁判官、上級検察官の給料が非常に高くなるわけですね。ますます差が広がるわけです。この点で私たちは賛成できないわけです。全体としては棄権という態度をとらざるを得ないわけですが、ことしはどうしてこんなに差が開いたのか、説明してください。
  138. 賀集唱

    ○賀集政府委員 前回二十二日の当法務委員会でも御説明申し上げましたように、昨年度内閣総理大臣と国務大臣は、全然といいますか、引き上げはなかったわけでございます。それから判検事八号以上に当たります、行政職に対応させますと指定職のところは、最高三万円しか上がらなくて、その三万円しか上がらなかった理由も民間の、どういいますか、役付手当をそれぞれカットしたというような経緯から、引き上げが抑制されたわけでございます。そういうファクターがことしは除かれましたので、仰せのとおり引き上げの幅が多くなったわけでございますが、一昨年に比較いたしますと、引き上げ幅は先生のおっしゃる下の方も上の方もほとんど同じパーセンテージになっております。
  139. 諫山博

    ○諫山委員 最後に、鬼頭裁判官の問題は今後引き続いて徹底的に私たち真相を究明します。  さらに、真相究明の手段として、私も、鬼頭裁判官とそれから程田前所長、それから南部前庶務課長、三名を証人としてぜひ呼んでいただきたいと思います。後で理事会で検討してください。
  140. 大竹太郎

    大竹委員長 沖本君。
  141. 沖本泰幸

    ○沖本委員 まっすぐ御質問しようと思ったのですが、ずいぶんいやなことを言われたので、資料を持っているらしい、持っていると言っているところというお言葉が出たので……。持っているか、持っていないか、御存じないはずなんです。公明党が資料を持っている、そんなことを言ったこともありませんし、持っている事実も確認していらっしゃらないはずなんです。だから、あたかも持っているような言い方をなさるということは、私けしからぬと思うのですね。もうこれ以上のことは申し上げません。  お伺いいたしますが、最高裁の方と法務省の方とは当然きちっと機能が分かれているわけですけれども、たまたまこの事件になりますと、同じ問題を両方でお調べになるということになるわけですけれども、捜査の方針なりあるいは調査内容なり、いろいろな点で両方とも競合するというようなことが起こってくると思いますけれども、さらに最高裁としては、鬼頭判事補最高裁の方へお呼びになる、法務省の方としては、そのことで検察庁の方へお呼びになってお調べになるのかどうか、そういう点われわれ全然わからないわけですね。両方ともそういう点をお話し合いなさったり協議をなさりながら、両方が御一緒になってこの調査をお進めになる、捜査をお進めになる、こういう方針なんですかどうなんでしょうか。その辺はいかがですか。
  142. 稲葉誠一

    稲葉国務大臣 鬼頭判事補という人は、裁判官の身分を持っておられるわけですから、それはやはり裁判所のことなんですね。ただ、網走刑務所の方へ行って、鬼頭裁判官が筆記していったとか、だれが筆記させたか、それはこちらの方の矯正職員ですから、矯正局長がみずから陣頭に立ってそちらは調査する、こういうことになろうかと私は思います。
  143. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 ただいま私ども調査いたしております趣旨は、あくまでも司法行政の一環として調査しているわけでございます。世上問題にされておりますように、網走刑務所の関係もにせ電話の関係も犯罪が成立するのではないかというように言われておるわけでございます。私ども調査した限りで、現在、その犯罪が成立するかどうかということについてはずいぶん微妙な問題があろうかというふうに考えておりますが、現在の段階では、あくまでも司法行政の一環として調べているわけです。  たとえば網走刑務所の問題にいたしましても、現在のところやはり行政レベルで、法務省の矯正局から、先ほど局長からお話がありましたように、行った日の確定があれば、その日に当該鬼頭判事補は裁判所の関係でどういう形で、まあいわば旅行に出かけたかどうかというようなことが相わかるわけでございますので、その辺の御協力をいただくというふうに考えております。しかし、事これが刑事事件として検察当局の手に移ったような場合には、これはむしろ協力関係というより、すでに刑事事件として立件されれば、私どもとしてはいわば捜査機関に協力を求めるという形はいかがかというふうに考えている次第でございます。
  144. 沖本泰幸

    ○沖本委員 いま法務大臣は、網走の問題に関してはという御発言があったわけですけれども、そうすると、そのにせ電話内容で、新聞記事によりますと、三木総理に指揮権が絡んでくるような内容のやりとりがあったようなこともちらちら出てきているわけですけれども、そういう点の中身については、法務省の方としては、どういう角度でお調べになるのか、調べないのか、その辺はどうなんですか。
  145. 稲葉誠一

    稲葉国務大臣 指揮権の発動が行われるわけはないですからね。それだからこそ指揮権の発動をするのではなかろうかと疑われるような言動もあってはいかぬというので、非常に言動を慎んで、最初から資料などもすっと法務省を通り越して向こうへやっているというような、私も見ないのですから総理もごらんにならない方がいいと言って出発しているのですから、どんな電話が来ようと指揮権発動めいたような返事をするわけはないと私は思っております。
  146. 沖本泰幸

    ○沖本委員 ロッキード調査特別委員会でもまた当委員会でも大臣はお話しになっておられましたけれども、ロッキード調査特別委員会では、総理はそれを調べるように法務大臣に言った、こういうことをおっしゃっているわけです。調べろと言ったのは、にせ電話について調べろということであって、いま大臣のお答えは、網走の刑務所についてはうちがやるんだ、こういうお答えなんで、その間の三木総理からどういう指示があったのか、それを当局ではどう受け取っておられるのかという点と、さらにその電話内容について総理自身から事情をお聞きになるのかならないのか、または、そういう内容について最高裁の方もそういうお考えでいらっしゃるのかどうか、その辺をお答えいただきたいと思います。
  147. 稲葉誠一

    稲葉国務大臣 検事総長にせ電話事件というのは、やはり世上言われているように、何か総理を牽制したりそうする背後的関係でもあってだれかがたくらんでやったのか、鬼頭判事補が本当にやったのか、調べてみるというと、おれはそんな電話はしないと言っておるそうですな。そういう事の真相は究明しなければ、これは重大なことですからね。前に総理から、変な電話が来るんだよと言うので、そんな電話は幾らでも来ますよと言ったことは私はあるのです。ですから、そんなに気になさらぬでもいいんじゃないですかということで、話の内容は私は全然承らないでそう言ったことを覚えていますね、その程度に。それでこういうことになりましたから、これは刑事局長、ほうってはおけないぜ、こんな新聞に出ているようなことが行われたとすれば、これは国民にも誤解を与えるし、よく真相を調査しなさいよ、徹底的に調査しなさいよ、こういうふうに刑事局長を通じて検察の方へも言い、その私の意思は行っていると私は思いますね。
  148. 沖本泰幸

    ○沖本委員 そういうふうにおっしゃったのですが、具体的にさっき大臣がおっしゃったのは、網走に関してだけだ、これは調べるけれども、身分を持っている裁判官でもあるからというお答えもあったわけですね。そうすると、その辺だけよけておいてほかの方をぐるりから調べていくのか。だけれども、問題が火を噴いたのはにせ電話から火を噴いたわけであって、同時にまた、網走の方へ行ってそういう資料を入れたのも私自身だということを本人が言っているわけですし、それは相当具体的に問題が出てきているということになるわけですから、両方がちゃんと整ってくるわけなんですけれども、そういうことに関して、法務当局としてはどういう形でこれを具体的にお調べになっていくのか。その辺が、いま伺った点ではもやもやとしているわけです。
  149. 稲葉誠一

    稲葉国務大臣 網走の問題もこの問題も、徹底的に調査すべきものですね。  それから、これが犯罪を構成するとすればどういう犯罪になるのか、それは犯罪捜査当局が鋭意捜査しなければいかぬ。鋭意捜査する検察当局の捜査の方法は、どういうふうにするのかということを私にお問いになっても、それはあなた、そんなことを言って逃げられてはかなわぬから、やはり捜査の方法というものは申し上げるわけにまいりませんね。
  150. 沖本泰幸

    ○沖本委員 では、最高裁の方に伺いますけれども、もし鬼頭判事補が辞表をお出しになって、そのままさっとおやめになった場合は、どういう事態が起こってくるのでしょうか。または、いまは事情聴取に応じておられますけれども、これからも納得いかないから徹底的に内容を究明するんだ、解明するんだという総長の御回答があったわけですけれども、そういうふうな事態が起こった場合には、最高裁の方としてはどういうふうにおやりになるのか、その点だけお伺いしたいと思います。
  151. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 先ほど事務総長から申し上げたところでございますが、現在鬼頭判事補本人は、記者会見におきましても、私どもの前におきましても、自分の出処進退については十分考えているということを言いまして、辞意のあることをいわばほのめかしておったわけでございますが、きょう現在、辞表が所属の京都地方裁判所の所長のところに出たという報告は受けておりません。このような情勢でございますので、果たして、鬼頭判事補から土曜日の時点で辞表を出すのではないかというふうに思われるようなことがございましたけれども、出るとすればいつごろ出るのか、現在のところ、ちょっとわかりかねているところでございますが、事裁判官の出処進退のことでございますので、辞表が出たらどうするかということにつきましては十分慎重に検討をするつもりでおりますが、ここでこういうふうにするという答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
  152. 沖本泰幸

    ○沖本委員 時間がありませんので、これは後の委員会でいろいろお伺いしたいと思います。  以上で終わります。
  153. 大竹太郎

    大竹委員長 これにて質疑は終了いたしました。     —————————————
  154. 大竹太郎

    大竹委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  155. 大竹太郎

    大竹委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、検察官俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  156. 大竹太郎

    大竹委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  157. 大竹太郎

    大竹委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  158. 大竹太郎

    大竹委員長 次回は、明二十七日午前十時理事会、十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二分散会