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1976-10-21 第78回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月二十一日(木曜日)    午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 板川 正吾君    理事 越智 通雄君 理事 加藤 紘一君    理事 松浦 利尚君 理事 山中 吾郎君    理事 小林 政子君      三ツ林弥太郎君    三塚  博君       加藤 清政君    中村  茂君       野間 友一君    有島 重武君       石田幸四郎君    和田 耕作君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     澤田  悌君         公正取引委員会         事務局経済部長 吉野 秀雄君         公正取引委員会         事務局取引部長 後藤 英輔君         経済企画政務次         官       西銘 順治君         経済企画庁長官         官房長     田中  敬君         経済企画庁調整         局長      青木 慎三君         経済企画庁物価         局長      喜多村治雄君         厚生省薬務局長 上村  一君  委員外出席者         大蔵省主税局税         制第一課長   矢澤富太郎君         大蔵省銀行局中         小金融課長   吉田 正輝君         農林大臣官房審         議官      増田 甚平君         水産庁漁政部水         産流通課長   塩飽 二郎君         通商産業省産業         政策局総務課長 原田  稔君         通商産業省産業         政策局商政課長 山本 康二君         物価問題等に関         する特別委員会         調査室長    芦田 茂男君     ————————————— 十月十八日  公共料金値上げ抑制に関する請願(吉田法晴  君紹介)(第六八二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 板川正吾

    板川委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤清政君。
  3. 加藤清政

    加藤清政委員 きょうは私は、来年度経済見通し減税物価対策について御質問したいと思いまして、特に経済企画庁長官であられる福田総理にお聞きしたいと思いましたが、福田総理が出れないということでありますが、まず、その理由をお聞きしたいと思います。
  4. 西銘順治

    西銘政府委員 はなはだ申しわけないと思っておりますが、とみに最近、政情が大変混沌といたしておりまして、大臣におかれても出席いたしまして御質問に答える予定になっておりましたが、よんどころなき用件で出られませんので、御了承のほどをお願いしたいと思っております。
  5. 加藤清政

    加藤清政委員 物価の副総理ということで、私も、福田総理にひとつ私の質問をお答え願えるということで期待してまいりましたが、副総理が出れないということでありますから、西銘政務次官にお答えをお願いしたいと思います。  最近の新聞報道によりますると、経済企画庁は、昭和五十二年度経済見通しについて、実質成長率を七%台にする、さらに消費者物価指数年度中の上昇率を七%程度とするということでありますが、昨年度、五十一年度経済見通しにおいては、実質成長率を五・六%に、そして積算の基礎を、個人消費を一二・七%、民間設備投資を七%、さらに輸出を一三%とするということで経済見通しを立てたわけでありますが、現在、本年度経済見通し現状はどうなってどう進行しておるか。  そのことをお聞きすると同時に、五十二年度経済見通しの七%台の成長率達成のかぎを、民間設備投資個人消費需要回復だとしておりますが、まず第一に、民間設備投資が活発になると考えているかどうか、また、その場合どんな業種が見込まれておるか。それから第二番目に、個人消費需要も当然喚起しなければならない課題でありますけれども、本年度勤労者世帯消費支出は、物価上昇分を差し引けば実質的には前年を非常に下回っておるということが言われておるわけでありまして、こうした中で、あえて個人消費景気回復決め手に挙げた根拠は何か、その点をまずお伺いしたいと思います。
  6. 西銘順治

    西銘政府委員 景気現状でございますが、御案内のとおり、世界経済回復に伴いまして輸出伸びも順調でございますし、さらに、景気刺激の大きな要因でございます個人消費につきましても、物価安定基調ということに支えられましてわりあい順調に伸びているわけでございます。したがいまして、そういった総需要回復基調にありますので、われわれといたしましては、何としても景気回復、同時に物価の安定、相反するような目的でございますが、同時にこの二つ目的を達成していきたい、こういうことでございます。  また、本年度中の消費者物価伸びでございますが、政策課題として何としても八%の線で抑えていきたい、こういうことでございます。  それから、民間設備投資の問題でございますが、現在、過剰投資現状からいたしまして急速な回復は望めませんけれども、次第次第に回復していくのではないかと考えております。  詳しいことは関係局長から答弁させることにいたします。
  7. 青木慎三

    青木(慎)政府委員 ただいまの御質問の中で来年度にわたる分がございましたが、来年度成長率幾らにするか、あるいは物価目標幾らにするかという点につきましては、今後経済の推移を見ながら十二月末あるいは一月の初めまでに策定することになっておりまして、現在のところ特に数字を持っているわけではございませんで、新聞報道推測記事だと思いますので、その点はひとつそういうことで御了承願いたいと思います。  それから、現在までの経済動きでございますけれども統計が発表されておりますのは、国民所得統計は四−六の第一・四半期までしか出ておりませんが、第一四半期実績は、御承知のとおり、名目で四%、実質で一・一%という伸び率でございまして、私どもが想定した線とそう大きく違っていないと思います。個々の需要項目につきましてはいろいろ強い指標もございますし弱い指標もございますが、全体のGNPについて申し上げますと、四−六の一・一という実質成長率がずっと第二・四半期、第三・四半期、第四・四半期と同じ率で伸びていくと想定して計算いたしますと、五十一年度成長率は五・七になります。私ども政府見通しで五・六でございますから、ほぼその線に沿っているということができると思います。  それから、名目の方は同じく四・〇という成長率でございますが、これも同じような考え方でまいりますと一四・何がしかという数字になりまして、これは政府見通しよりもやや高いというところにいっています。その後の経済動き、必ずしも着実に伸びていると言うにはやや弱い指標もございますけれども、現在まで出ております統計から見ますと、ほぼ私どもの想定した線に沿って経済は動いておるというふうに考えてよろしいのではないかと思います。  それから、民間設備投資でございますけれども民間設備投資は昨年度前半非常に落ち込みましたけれども、一−三月からようやくプラスに転じまして、四−六月もプラスになっておりますので、非常に緩いスピードではございますけれども、徐々に出てきたという感じでございます。  それから、民間設備投資のアンケートその他を見ましても、私どもの想定よりやや高い数字が出ておりまして、現実に各企業設備投資計画を持っているようでございますけれども、それがどうも出おくれておるというのが私ども感じでございます。  それから、個人消費につきましてもいろいろな数字が出ておりますけれども、四−六の実績プラスの〇・五でございまして、前の一−三月に比べると非常に落ち込んでおりますが、それは一−三月が非常に高かった反動でございまして、前年同期比で比べますと名目で一四・三%、実質五・六%ということになっておりますので、必ずしも低い数字ではないというように考えております。  以上でございます。
  8. 加藤清政

    加藤清政委員 いま五十一年度経済見通しについての御答弁がありましたが、いまだ推測の域を出ていないという答弁でありました。個人消費景気回復決め手としては非常に落ち込んでおるということが現状であるわけでありますが、具体的にそれでは、来年はことしよりもよくなると思うかどうか、この点について御答弁願いたいと思います。
  9. 青木慎三

    青木(慎)政府委員 来年度見通しは、現在いろいろ作業している最中でございますので、明確なことを申し上げるわけにはいきませんけれども個人消費は、少なくとも五十一年度はこれでもって景気を引っ張っていくという要素としては考えておりませんで、私どもが五十一年度経済見通しを策定いたしましたときは、輸出政府投資というものに景気牽引力を期待したわけでございます。個人消費は大体GNP伸び率とほぼ同じぐらい、中立的な要素として考えておったわけでございます。  来年度見通しでございますけれども、恐らく、いまの段階で判断すれば、今年度程度ぐらいの伸び率は期待できるんじゃないかというふうに考えております。
  10. 加藤清政

    加藤清政委員 個人消費支出拡大を図るためには、何といっても実質所得の向上を確たるものにしなければならないわけですが、今年のように、春の賃上げ率が前年を下回ったり、あるいは夏の一時金がきわめて低い水準にあったりという状態では、とても個人消費拡大は望めないと思いますけれども、落ち込んだ個人消費を一層上向きにするために努力するという答弁の中から、この状態ではとても個人消費拡大というものは望めないわけですが、この点についてどう考えておられるか、その点お聞かせください。
  11. 青木慎三

    青木(慎)政府委員 個人消費は必ずしも賃金だけで決まるわけではございませんけれども、一番大きな要素としてはやはり名目賃金とそれから消費者物価上昇との二つの絡みであろうかと思います。その中で特に重要と思われますのは、やはり消費者物価が非常に高かった四十九年度、五十年度に比べましてだんだん落ちついてくるということが消費者の心理的な安定感を呼びまして、個人消費引き上げる非常に重要な要素だというふうに考えております。したがいまして、賃金そのもの政府が介入するわけにまいりませんけれども経済活動が一般的に上がっていきますと雇用もふえ、それから賃金もある程度伸びを示してくるということになりますので、特にいまここで消費刺激策を直接とるということがいいか悪いかというのは、いろいろ議論があるところでございますけれども、私どもの方は、いま直ちにそういう方策がぜひ必要だというところまで個人消費が沈滞しているというふうには考えておりません。
  12. 加藤清政

    加藤清政委員 個人消費拡大につきましては、賃金を抑えることは妥当でない。むしろ、賃金物価動向にあわせて考慮すべきであるというようなことを、関西の経済同友会はこの点を指摘しておるわけでありますが、したがって、何といっても消費需要拡大していくには、賃金をある程度物価動向に見合って上げていかなければならないわけでありまして、むしろ、賃金はこの意味においては重大なポイントを示しておると言っても過言ではないと思うわけであります。  そこで、お伺いしたいと思いますが、西銘政務次官あるいは青木調整局長からお答え願いたいと思いますが、来春闘賃上げについては、経済運営全体との絡みでどの程度アップが妥当と考えておられるか。本来なら福田総理にこの点をお聞きしたいと思って気負ってきたわけですが、ひとつ政務次官青木調整局長から、この点についてお見通しを御答弁願いたいと思います。
  13. 青木慎三

    青木(慎)政府委員 来春闘がどれくらいの水準であるのが妥当かというお尋ねでございますけれども、従来から、政府賃金の問題の水準に関しては特に御意見を申し上げるというのじゃなくて、労使間の折衝にまって、その結果を私ども考えるということでございますので、特に何%であるべきかというようなことは従来も申し上げてありませんし、いま直ちに申し上げるわけにもいかないということで御了承願いたいと思います。
  14. 加藤清政

    加藤清政委員 そこで、大蔵省来ておりますか。——所得税減税についてまずお聞きしたいと思うのです。     〔委員長退席松浦(利)委員長代理着席〕 本来なら大平大蔵大臣に来ていただきましてお聞きしたいと思うのですが、今月の四日の参議院予算委員会で、五十年代前半は一切減税しないという方針を明らかにしておりますが、これは所得税を含む各種税の増税を考えているというふうに受け取っていいかどうか、その点お答弁いただきたい。
  15. 矢澤富太郎

    矢澤説明員 お答え申し上げます。  まず、第一の所得税減税の問題でございますが、所得税の制度の問題といたしまして考えましても、わが国の課税最低限はすでに国際的に見て相当水準にございますし、それから、所得税負担率そのものも国際的に見てそれほど高くないという水準でございます。さらに、昨今の財政赤字財政から脱却することを至上命令とされているわけでございまして、これらの総合的な事情を勘案いたしますと、所得税減税を行えるような環境にはないという認識を持っております。  それから、今後の問題につきましては、昭和五十年代前期計画、あるいは大蔵省で国会の方にお出ししております財政中期展望、ここでは、社会福祉等財源充実にこたえつつ、しかも赤字財政から脱却していくためには、ある程度租税負担引き上げざるを得ないという考え方を出しているわけでございますが、ただいま税制調査会におきまして、所得課税消費課税資産課税の全般にわたりまして、今後の税負担あり方を慎重に御審議いただいている段階でございます。
  16. 加藤清政

    加藤清政委員 たとえば来年度物価調整減税を実施するとしますと三千億円程度財源が必要と言われているのですが、このくらいの財源は、たとえば医師の社会保険診療報酬に関する所得税特例をやめるとか、あるいは利子配当所得に関する特例をやめるとか、企業交際費の限度を思い切って引き下げるというようなことで、租税特別措置の廃止あるいはそういう問題を考えていくことで十分穴埋めができるのではないかという意見がかなり広範にあるわけでありますが、こういう点については一体どう考えておられるか、また、どう検討されておられるか、また、それでもなおかつ減税をしない場合、いま言ったようなものについて改める考えがあるかどうか、この点について御質問したいと思います。
  17. 矢澤富太郎

    矢澤説明員 お答え申し上げます。  いま先生から御指摘のございました租税特別措置は、税制の機能を使いまして一定の好ましい政策を誘導していこうということでございますが、その反面、税の負担の公平を損なうという弊害がございますことは御指摘のとおりでございます。私どもといたしましては、政策目的税負担の公平という兼ね合いを常に考えながら、租税特別措置慢性化あるいは既得権化することのないように不断の努力見直しを行っているわけでございますが、特に昭和五十一年度におきましては、従来以上に課税の公平という観点を重視して見直しを行いまして、たとえば企業関係分で申し上げますと、項目で約六割のものについて整理合理化を行い、金額にいたしまして三割ぐらい整理するという、かなり思い切った整理縮減を行ったところでございます。ただ、特別措置の中には、たとえば中小企業対策特別措置がございますとか、あるいは勤労者財形貯蓄利子を非課税としているというような措置も含まれておるというようなことでございまして、すべてが大企業高額所得者の優遇につながるというものばかりでもございません。また、従来の方針を貫きまして今後とも整理合理化努力するのは当然でございますが、その努力をしたとしてもそれほど大きな税収が上がってくるという事情でもございません。こういうような事情もございますが、仮に租税特別措置整理合理化によりまして相当程度税収増が出てまいったといたしましても、昨今の財政事情、特に先ほど申し上げました借金財政からの脱却を至上命令とする最近の情勢では、これを赤字公債の減額に回すのが財政健全化という現下の財政政策の眼目に合致しているのではなかろうか、かように考えているわけでございます。
  18. 加藤清政

    加藤清政委員 国債発行度が二九・九%、そして、赤字国債が一五%を占める割合であって、国債依存率が非常に高いわけですね。健全財政を維持するために赤字国債から脱却していくことが至上命令だという答弁がいまあったわけなんで、当然そうあってしかるべきであろうと思うのですが、その赤字国債との絡みにおいて、どうしても大衆負担のかからない中において税収を図っていくことを考えなければ赤字国債から脱却する方途はあり得ない、そのように考えるわけなんです。  そこで、赤字国債をだんだん減少し脱却していく方途として、現状税制で果たして妥当であるか、それとも、思い切って税財政見直してこれを改めていく、いわゆる再検討していくということについて大蔵部内の考え方はどうか、どう作業しておるか、この点についてひとつ御質問したい。
  19. 矢澤富太郎

    矢澤説明員 お答え申し上げます。  先ほども少し触れたわけでございますが、この九月から税制調査会が、五十年代前半をターゲットに置きまして今後の税負担あり方につきまして審議を始めたところでございます。  その考え方は、先ほども少し申し上げましたように、昭和五十年代前期経済計画あるいは財政収支試算考え方に従いまして、今後中期的に見て、租税についてある程度負担の増も求めざるを得ないということを頭に置きながら、所得課税資産課税消費課税などの各般の課税について検討いただいておるわけでございますが、先生指摘のとおり、税金の問題は国民に与える影響も非常に大きいところでございますので、税制調査会の慎重な検討をまちまして、大方の御理解を得るようなかっこうでこれからの税制あり方を研究してまいりたいと考えているわけでございます。
  20. 加藤清政

    加藤清政委員 これからも税金の問題について検討を加えていくという答弁でありまして、赤字国債から脱却するために抜本的に税制見直していかなければならないわけなんですが、思い切って抜本的に見直していく、その気持ち大蔵当局にあるかどうか、その点重ねてお伺いしたいと思います。
  21. 矢澤富太郎

    矢澤説明員 税制見直しにつきましては、この九月から来年の十月ぐらいを目標といたしまして、税制調査会検討をお願いしているところでございますけれども、抜本的な見直し気持ちは当然私どもとしても持っておりますことを申し上げておきたいと思います。
  22. 加藤清政

    加藤清政委員 西銘政務次官にお尋ねいたしますが、物価上昇所得税アップ社会保険料アップなどで実質収入が大変落ち込んでおるわけであります。そして、勤労世帯大変生活が苦しくなったというようなことが世論の中で大きく言われております。経企庁としては、物価調整減税についてこれを政府部内で積極的に進言していく考えはないかどうか、また、これが物価担当経企庁の任務であると思われますが、この点についてひとつ西銘政務次官の所信のほどをお伺いしたいと思います。
  23. 西銘順治

    西銘政府委員 現在置かれておりますきわめて悪い財政状況下において、目下のところ調整減税考えておりません。  詳しいことは局長から答弁いたします。
  24. 青木慎三

    青木(慎)政府委員 これはきわめて政治的判断の問題かと思いますけれども、事務的に考えますと、物価が上がったために何かの調整手段が要るんではないかということはよくわかるわけでございますが、それは現在の財政事情との兼ね合いでございまして、これから政府部内でもいろいろ詰めていくことだと思いますが、景気に関する影響から申しますと、減税を行えば消費がふえまして景気刺激になることは確かでございます。  ただ、苦しい財政の中から景気に対する影響だけを考えますと、同じ財源があるならば政府投資に投資した方が景気に対する影響力は大きいというのは常識でございますので、景気に対する観点からだけ考えますと、個人消費が極端に落ち込むようなことがない限り、景気対策としての減税というのは必ずしも最良の手段ではないと思います。ただ、それだけの観点減税をするかどうかというのを決めるのは問題でございまして、生活の維持その他から見た別個の観点調整減税というのは十分考えられるのではないかと思います。  ただ、これを実施するかどうかは、一にかかって財政事情がそれを許すかどうかという点にございますので、現在の財政事情から見ますときわめて困難だということが事務的には言えるのではないかと思います。  事務当局としての考え方を申し上げると以上のとおりでございます。
  25. 加藤清政

    加藤清政委員 物価調整減税については、現在の財政事情から言いまして大変むずかしいし、現在のところ考えていないという大変つれない答弁西銘政務次官からあったわけなんですが、この物価調整減税についての要望というのは、勤労者中小企業だけではなくして、国民各層にわたってかなり物価調整減税に対する要望が起こっておるわけでありまして、過般も、御承知のとおり、総評の中でもこれを政府部内と詰めて物価調整減税についての要請をしておるわけです。したがって、物価上昇したり所得税が上がったり、社会保険料が上がったり健保が上がったり、あるいは公共料金がメジロ押しに上がっていくわけでありまして、特にいま問題になっておりますのは、タクシーが、今日のタクシー大衆輸送機関としてなくてはならないものでありますけれども、二六・五%タクシー値上げ申請しておるということが大きく報道されておりまして、かなり国民の中にもこの関心度が強いわけでございます。さらに、私鉄運賃値上げ考えられておるわけでありまして、このように考えてまいりますると、公共料金引き上げ、さらに関連商品引き上げ、しかもガス料金が上がり、運賃電信電話料金など上がる予定である、こういうことで非常に値上げムードが醸し出されて、いわゆるインフレ再燃への兆しなしとせず、それに対する一種のインフレ指向の形になっておるときに、物価を最も中心に国民生活の安定に向かわれる経済企画庁として、このタクシー値上げ申請あるいは私鉄運賃値上げというものは非常に国民生活に大きく響くわけでありますので、このことについて、経済企画庁としては、物価抑制の立場から、タクシー値上げあるいは私鉄運賃値上げに対してどう対応されておるか、この点についてひとつお伺いしたいと思います。
  26. 喜多村治雄

    喜多村政府委員 私鉄運賃につきましては、私はまだ何も聞いておりませんが、タクシー運賃につきましては、東京及び周辺のタクシー業者から、先生指摘の二六%何がしの申請が出されたようでございます。まだ運輸省からは協議についての何の御相談もございませんし、私どもの方から先走ってどうするかということを申し上げることではございませんけれども、仰せのとおり、いま公共料金が非常にメジロ押しに上がっているということは事実でございますし、これが持っております消費への影響というものは大きゅうございますので、協議のありました段階では十分厳正な査定を加えていきたい、こういうふうに考えております。
  27. 加藤清政

    加藤清政委員 まだ具体的にタクシー値上げについては運賃の改定については関与されてないという話ですが、東京は、東京陸運局へ九月の二十九日に申請をしておる。横浜は十月一日に申請し、作業手順として、六大都市の場合には、申請から公示公示から調査、本省、さらに経済企画庁経済閣僚会議、認可、こういう順序でいくということを聞いておるんですが、現在の段階は、きょうこのことを告示すると聞いておるんですが、その点いかがでしょう。
  28. 喜多村治雄

    喜多村政府委員 私どもの方にはまだ何も連絡ございませんので、承知いたしておりません。
  29. 加藤清政

    加藤清政委員 この点はだれかひとつ調べていただきまして——告示の方法としては、陸運局報に載せ、掲示板に張り出すということになっておりまして、きょう、国民がこれほど大きな関心を持つこのタクシー値上げの問題をいまだ聞いていないというようなことであっては、各所管の調整機構というものはきわめてずさんであるということを露呈しておると思うのですが、その点ひとつ急遽聞いてもらいます。それによって私、質問を続けます。
  30. 松浦利尚

    松浦(利)委員長代理 委員長から加藤君に申し上げますが、いま調査させております。返事があってからいまの問題の質問を続けてください。  別の問題がありましたら質問を続けてください。
  31. 加藤清政

    加藤清政委員 担当は東京陸運局の自動車一部の旅客二課の方で担当しておりますから、その方に連絡していただいて、果たしてきょう告示するかどうか、その点お聞かせ願いたいと思います。  いま、非常にタクシー料金の引き上げというものが物価上昇への大きなポイントを持つので厳正な査定をしてこれに対応するという、きわめて明快な御答弁がありましたので、その点ひとつ十分考えていただきまして、タクシー値上げというものが大衆に及ぼす影響というものはきわめて大きいんだという点についてひとつ御考慮願いたいと思います。  なお、私鉄運賃値上げも大変言われておるわけでありますが、こういう物価上昇の機運でいわゆるインフレマインドといいますか、こういう状況の中にもし私鉄運賃値上げというようなことが申請された場合には、これに対してどうチェックし、どう指導していくか、その点についてお聞かせ願いたいと思います。
  32. 喜多村治雄

    喜多村政府委員 その他申し上げましたように、私鉄運賃につきましては、その値上げ申請について何ら聞いておりませんので、仮定の話になると思いますけれども、もしそのような事態になりますれば、一体その需要がどうなるか、あるいはコストが一つ一つどうであるかということにつきまして、十分厳正な査定を加えて対処したいと存じます。
  33. 加藤清政

    加藤清政委員 賃上げ減税について大変悲観的な見通しですが、それでは物価の安定について具体的な方策があるかどうか。物価は確実に毎年毎年上昇しておりますが、一方、減税はしない。しかも、わずかばかりの賃上げでは所得税の累進税率の適用ではね上がっていきまして、社会保険料にしても同様であります。これでは中低所得者層はたまったものではありません。  私の手元に、ことしの五月に東京都が実施した世論調査の報告書があります。この調査で、いままでよりひどく上がっておるというのが二三・四%、いままでと同じ程度で上がっているというのが五二・六%、つまり八〇%の都民の物価に対する認識が、上がっていくという、さい先不安が非常に大きいということがこの物価動向調査によって明らかであるわけなんです。もう個人のやりくりではどうにもならないところにきていることを示しておると思います。  この春に大根やキャペツが高値を続けたときに都民はどう対応したかというと、それらの野菜を買わないようにしたという人が二六%都民の中にあるわけなんですね。それから、買う量を減らしたという人を合わせますると約五一%、半数以上が個人としてでき得る最大の努力を払って、大根やキャベツを買わない食生活を深刻に続けていくということが、都民の実態調査であるわけなんです。  しかも、過日のIMF総会の報告でも、世界経済景気回復の過程でインフレ再燃の兆しが強まっているとしており、わが国もその例外ではないと思いますが、インフレを防止しながら、景気回復軌道に乗せていけると考えているのかどうか、先ほど物価抑制の具体策とあわせて御答弁をお願いしたいと思います。
  34. 喜多村治雄

    喜多村政府委員 IMFの報告は、御存じのように、インフレの抑制がなければ景気回復は短命に終わる可能性がある、こういう基本的な姿勢でございます。もちろんIMFは、御承知の海外為替の安定ということを通じて海外の景気を安定させようという目的を持っておりますために、この姿勢が非常に強く出ております。したがいまして、これからの経済運営に当たっては、インフレの再燃を防止しつつ景気の順調な回復を図るというようなトーンになっております。私ども考え方といたしましても、今後景気が息の長い上昇を続けていく上でも物価の一層の安定が必要であると考えておりまして、今後におきましても、引き続き総需要の適正な管理でありますとか、独禁法の厳正な運用でありますとか、通貨量の適当なコントロールの重要視でありますとか、あるいは生鮮食料品等の価格安定対策を講じるというようなことでありますとか、先ほど先生指摘のありましたような値上げムードの鎮静化を図るための情報の提供のきめの細かさ、あるいは企業に対しては自粛を要請していくというようなことを、いろいろきめ細かくやっていくつもりでおります。
  35. 加藤清政

    加藤清政委員 先ほど私は、質問の冒頭に、五十二年度経済見通しについて、実質経済成長率を七%にし、そして、消費者物価指数を七%台にするということを挙げまして質問いたしましたら、いまだ推測の域を脱し得ないというお話でありますが、けさの新聞にも「設備投資回復図る」という記事があるわけでありまして、経済企画庁調査団が欧州諸国を回りまして帰ってきてこのことをうたっておるわけでありますが、この設備投資回復を図るということについていま具体的にどのようなことが論議されておるか。五十一年度経済見通しについて、実質成長率を五・六%、そして個人消費を一三・七%、設備投資を七%、輸出を一三%、これを積算の基礎にして経済見通しを立てたということで、現在五・七%程度実質成長率だという答弁があったわけでありますが、「設備投資回復図る」というこの記事が相当新聞で発表されておるにつきましては、政府が五月にスタートさせた昭和五十年代の前期経済計画、五十一年から五十五年度の効果を高めようと経済企画庁計画し、そこで送ったものであるということがうたわれておるわけでありますが、設備投資回復を図り、今後もこれに重点的に向けていくということが書かれておるのですが、具体的にどのようなことを言っておるか、その点についてひとつお聞かせ願いたいと思います。
  36. 青木慎三

    青木(慎)政府委員 設備投資動向につきましては、先ほどもちょっと御答弁いたしましたが、五十年度非常に落ち込みまして、四十九年、五十年度と両年度にわたりましてずっと落ち込んでまいったわけでございます。その後、ことしになりまして一−三月にややプラス、それから四−六にもプラスになっております。これは、経済が緩やかではございますけれども徐々に回復してまいりますと、設備投資というのはおのずから出てくるものでございます。ただ、その回復の力が弱いためにどうも水準はまだ十分でない、非常に低い水準でございますけれども、ようやく上向きの気配は出てきたということであろうかと思います。  それで、御承知のように、設備投資と申しますのは新しい設備を投資するわけでございますから、オイルショックの後のように、非常に稼働率が下がった場合には投資がなかなか行われないという事態があるわけでございまして、生産がだんだん上がってまいりまして稼働率が上がってまいりますと、そこで企業家の中に投資の意欲が出てくるということを予測しておるわけでございます。したがいまして、現在直ちにどういう方策をとるかということよりも、むしろ、予測として今後だんだん出てくるであろう、その出てき方が少しおくれているというのが現状の認識ではないかと思います。
  37. 加藤清政

    加藤清政委員 私は、これから福田総理の政治への所信についてお尋ねしたいと思いましたが、特に国民の関心事が物価を鎮静させたいということで、物価に対しての大きな要望があるわけでありまして、物価担当大臣として福田総理が当然これに当たっておられるわけでありますけれども、きょうも出席を見ないし、また、自民党内のいわゆる三木派、反三木派、こういう問題からいたしまして、何か福田総理は担当大臣を辞任されるというようなことが新聞に書かれておるわけでありますけれども、これほど国民が重大な関心を持ち、一日もゆるがせにできない物価対策の担当大臣として、そういう党の事情によって、あるいは自分の政治信条を曲げてそういうことを考えるとすれば、これは根本的な誤りである。いまインフレと不況に悩むスタグフレーションという、この厳しい経済に対応してこれを乗り切っていかなければならない重大な立場にある物価担当大臣が、もし途中でやめるというようなことがありとせば、これは大変な問題であろうと思いまして、私は、この点について福田総理に所信のほどをお尋ねし、また、あえて福田総理とこの問題について質疑を醸し出したいと思いましたが、御本人がおりませんので、私の質問はこれをもって終わります。  それから、先ほどタクシー申請について、きょう告示されるということだがどうかという質問をいたしましたが、その点どうでしょうか、再度質問いたします。
  38. 喜多村治雄

    喜多村政府委員 大変おくれまして申しわけございません。東京陸運局に問いただしましたところ、本日の陸運局報に告示するそうでございまして、東京地区、横浜地区について利害関係者に知らしめる、こういうことでございます。
  39. 加藤清政

    加藤清政委員 私、各省のあり方について一つ要望したいと思うのですが、人間の体には脳下垂体というものがありまして、いわゆるホルモンの分泌作用を取り扱う機関であるというようなことを聞いております。そのホルモンの調整機関である脳下垂体の作用が鈍ると、親指なら親指だけがばかに太くなる、その作用が回らないところは活動しないように細くなってしまうというようなことでありまして、ホルモンの調整作用を扱う脳下垂体の作用そのものによって体の健康が非常に大きくむしばまれていくわけでありまして、各省問の調整もそのとおりであって、有機的な一体性を持つ中に官庁機構というものを出していって初めて総合的なそういうものが出されていくと思うわけであります。  このタクシー申請告示について、私はきょう出がけにこのことを聞いたのですが、一番大事な企画庁が告示されることを知らないというようなことであってはならないと私は思います。ひとつ各省問の連絡調整、有機的な一体性、これを十分保って今後処していただきたいということを厳重に要望いたしまして、私の質問を終わります。
  40. 松浦利尚

    松浦(利)委員長代理 野間友一君。
  41. 野間友一

    ○野間委員 同僚委員の方からお話ありましたけれども、きょうは福田総理が、党内事情か何かわかりませんけれども、出席しないということについて、私どもも大変遺憾に思います。その点抗議をしながら質問をしたいと思います。  まず、最初にお聞きしたいのは、最近の物価動向についてでありますけれども、小売あるいは卸売物価ですね、とりわけ大企業性製品、これの物価の高騰が目立っておると思うのです。卸売物価について言いますと、十五カ月間連騰に連騰を続けておるというのも、これまた事実であります。さらに、消費者物価上昇を見てみましても、たとえば対前年比で見てみますと、工業製品、これについて大企業性製品が六・五%、中小企業性製品が五・三%、食料について言いますと、同じく大企業性製品が八・六%、中小企業性製品が六・九%、これは対前年度比もあるいは前年同月比もいずれもそのような特徴を示しておる。このほかにも、たとえば公共料金、米麦の値上げとかあるいは電気料金の値上げ等々も非常に特徴的に出ておりますけれども、私、ここで申し上げたいのは、まず工業製品ですね。この中で大企業性製品の値上げ、小売の場合でもそうですし、卸売の場合でもそういう特徴が出ているという点について、まず経済企画庁に確認を求めたいと思います。
  42. 喜多村治雄

    喜多村政府委員 工業製品につきましての大企業製品と中小企業製品との価格の動向はどうかというお尋ねと思います。  卸売物価につきましてでございますが、景気回復し始めました五十年の四月以降両製品とも上昇に転じましたけれども、その上昇テンポは中小企業製品の方が大企業製品よりもやや高くなっております。卸売物価の騰勢がやや高まった五十年十二月から最近の八月ごろまでの動きをとってみましても、中小企業製品の上昇率の方がわずかながら大企業製製品を上回っておるのございます。数字を申し上げますと……(野間委員「いや、いいです」と呼ぶ)  この原因は、大企業製品では鉄鋼、石油、非鉄金属、石油化学等の基礎資材が上昇しているものの、電気機器、自動車、機械等の製品が弱含みまたは横ばいになっておるということでございます。これに対しまして中小企業製品は、市況の回復から製材、合板、繊維製品、皮製品、線製品の上昇を初め強含みに推移しているということに原因がございます。  消費者物価指数の方でございますけれども、五十一年八月現在の確報しか手元にございませんが、前年同月比の上昇率で見ましても、五十年十二月来の上昇率で見ましても、大企業製品の上昇率中小企業製品よりも高くなっております。これは、五十年末にたばこが七年半ぶりに価格改定されたことが、これが大企業性製品の中に入っておりますために非常に影響したということが一点と、それから、大部分が中小企業製品である繊維製品が、夏物の衣料の処分セールによりまして、八月に前月比六・三%も下落したということが中小企業製品の上昇率を低くしているというようなことがございまして、これらを除いて考えますと、基調としては中小企業性製品の上昇率の方がやや高目ではないかというように考えておる次第でございます。
  43. 野間友一

    ○野間委員 いろいろ言われますけれども、公取にまずお聞きしたいわけですが、公取が主要産業における生産集中度の調査について、これは十九日に出したものがありますけれども、これを私はずっと拝見しまして、大企業を特に中心にして調査をされておりますが、一つは企業集団そのものの持つ意味あるいは実態、これの分析調査が抜けておる。これは別個に例の商社の調査に続いてやっておられるのかどうか、この点をお伺いしたいのと、この利益分析ですね、後からまたいろいろ触れますけれども、これがこの調査の中では抜けておる、こういう点を指摘しながら、この調査のねらい、そしてその特徴について、まず公取委員長からお聞きしたいと思います。
  44. 澤田悌

    ○澤田政府委員 過日発表いたしました主要産業の生産集中度調査、これはいろいろな面から問題の存するところでございますので、公正取引委員会といたしましてもこの実態をきわめる第一歩としてあの調査をいたし、公表して大方の御批判をいただく、こういう意図でございます。  それで、ただいま御指摘企業集団の分析あるいは利益に関する収益状況等の分析というような問題、これは非常に重要な問題で、御指摘のとおりでありますが、総合的にそこまで一挙に調査分析するということもなかなか手が回りかねます。今後の問題としてそういう方面も心がけてまいりたい。  企業集団の問題は、かつて商社について行いました。その他についても逐次可能な限りやってまいりたいという意図を持っておることは事実でございます。
  45. 野間友一

    ○野間委員 商社について、たしか二度にわたって調査をされまして、その中で企業集団の持つ独禁政策上の問題点、これが幾つか指摘をされております。私もあれを拝見して、公取委員会がまじめにこれを取り上げてやられたという点については評価をするわけであります。いま委員長も認められましたけれども、たとえばいま金融機関を中核に、三菱あるいは三井、住友、富士銀行ほか第一勧銀、三和銀行、こういう系統の六大企業独占集団、こういうものがございまして、そして巨大企業等を軸にして日本の経済を動かしておるということは、これは紛れもない事実だろうと思うのですね。この点について、系列の研究とかいろいろさまざまな文献がございますし、私ども調査をしておりますが、とりわけ高度経済成長、あの時期での企業集団の役割りと、そしてさらに、いま減速経済、高度経済成長の破綻の中でこの企業集団がどういう役割りを果たしておるのかということを、これはぜひ調査する必要があるということですね。いま委員長言われましたけれども、これは調査する意思があるわけですね。その点の再度の確認と同時に、今度のこの下方硬直化のいろいろな調査の結果報告を見てみましても、これによっても企業がどのように利益を得てきたかという利益分析が出ていない、これはどういうわけか。その二点についてお聞かせ願いたい。
  46. 澤田悌

    ○澤田政府委員 企業集団の分析、これも先ほども申しましたように、独禁政策上の必要に応じて、今後意を用いてその調査分析に努力をしたいことの一つでございます。  利益分析については、別にそれをしなかったわけではない。今度の調査目的が、集中度の分析、それによる価格との関係ということに主眼を置いてありますので、そこまで今度の直接の目的の範囲に入っていなかったということと、なかなか手が回りかねるということ、両方の理由で、他意はございません。
  47. 野間友一

    ○野間委員 そうすると、一応の調査はされておるということになるわけですか。というのは、いわゆる経済成長の破綻後のいまの企業動向、特に寡占企業動向ですね、これはやはり価格を抜きにして考えることはできないと思うのですね。価格と申しますか、その利益ですね。企業分析そのものが集中とどうかかわっておるのかということの分析がなければ、私は片手落ちだという感じがするわけです。ですから、もし調査しておられるとするならば、調査しておる、その結果もしそういう事実があるなら、それをぜひ当委員会に出していただきたい、この二点についてお答えを願いたい。
  48. 澤田悌

    ○澤田政府委員 調査する意図はございます。そして、その調査の結果が出れば、発表して御批判をいただきたい、こういうふうに考えております。
  49. 野間友一

    ○野間委員 それからお聞きしたいのは、この調査の特徴として、四十六年不況と五十年不況を比較して、HIの指数を使いながら集中の推移が第一表にずっと書かれておって、これを見ますと、やや横ばい、ないしはHIの指数によりますと増加しておるというのが一つの特徴として出されておるわけでありますけれども、四十六年不況と比へまして、現在五十年不況——公取では五十年不況というふうに名づけておられますけれども、その進んだ集中の中での不況に対する対策の特徴はどこにあるのか、その点指摘がありますけれども委員長からお答え願いたいと思います。
  50. 澤田悌

    ○澤田政府委員 ただいま御指摘の点、四十三年度ぐらいからの動きを見ますと、集中度は大体四十六年くらいまで進んでおりますが、最近は横ばい状態。しかし、御指摘のように、HIの指数で見ますと、これは計数のとり方の問題でありますが、一貫して集中度は進んでおる。  そこで、四十六年度と五十年度の不況の違いという問題になりますが、今度の調査の一つのねらいは、不況期における価格の動向を比較調査してみるということでございます。それで、いわゆる高度寡占業種、三社集中度が七〇%以上というような高度寡占業種において、四十六年度不況と比べて五十年度不況はどういうような違いがあるか、特に価格硬直品目の比率についてどうかという点を調べたのが一つの特徴でございます。それによりますと、四十六年度不況では、高度寡占品目六十四のうち二十七品目、四二・二%が下方硬直品目として挙げられておるわけでありますが、五十年度不況によりますと、六十五品目のうち四十一品目がそれに該当し、六三%になります。したがって、品目においてかなり増加しておるというのが特徴でございます。それが今度の調査の結果出てきた一つの指数でございます。
  51. 野間友一

    ○野間委員 私、商工委員会の中でも何度も質問をしたのですが、私の評価としても、集中が進むにつれて、たとえば価格が、自由競争でなくて、これは寡占価格と申しまして、同調的な値上げを中心としてああいう形で硬直していく。これは経済成長の過程の中での大きな問題でもあったわけです。ところが、今度の調査の結果で明らかになりましたように、たとえば十二ページにもありますが、集中度一〇%ごとに個々のグループに分けまして、物価が下落したかどうかという点について、四十六年の不況のときには、第一グループと申しますか、九〇%以上のシェアを占めるもの、これも下落回数が四回、最大下落率〇・六ということから、順次結局、物の価格を下げることによって需要拡大していくというようなことが特徴であったのが、五十年の不況では、たとえば九〇%あるいは八〇%、このグループではもう下落が全くない。下落回数もないし、最大下落率もゼロ、こういう特徴を示しておりますね。さらに次いで、品目別の硬直の割合を見てみましても、四十六年不況のときには、九〇%以上の集中度、このグループでは六八・四%、これが硬直品目比率でありましたけれども、それ以下はかなり下がっておりますね。これが五十年の不況になりますと、七〇%グループ以上が、ここにパーセントが書いてありますように、六六・七あるいは六八・八、五七・一とずっと硬直品目も増加しておる。ここから、特徴としては、物を安くしてそして企業がもうけるのじゃなくて、要するに、集中の度合いを強めて、その中で減産をやることによって価格そのものが硬直化していくというのが一つの特徴であることが、この中でも数字的にも明らかになっておりますし、この調査の中でもそういうコメントもあるわけなんですね。これはそうですね。
  52. 澤田悌

    ○澤田政府委員 この調査結果の評価につきましては、なかなかむずかしい分析が要ると思います。思いますが、われわれの集めたデータによるこの調査に関する限りそういうことでありまして、それがたとえば四十六年と五十年のそのときのいろいろな経済的状況、いろいろな背景がそれにどう違った影響を与えておるかというようなことはこれ以外の問題として、この結果の評価については別途考慮される余地があるということは事実でございます。
  53. 野間友一

    ○野間委員 いろいろな要因があることは私も承知しておりますけれども、特徴的にはそういうこと。いまも委員長が認められましたが、九ぺ−ジのところでも指摘してありますように、「集中度が高い産業ほど不況期においても価格が下方硬直的となる傾向がみられ、寡占産業における市場支配力は、特に不況期に発揮されることが指摘されている。」これははっきりとそういう評価を公取はされております。私はそのとおりだと思うのです。  そこでお聞きしたいのは、寡占企業、独占企業でありますけれども、これの価格形成ですね、これを一体どうごらんになるのか。これと特に自由競争との関係ですね。これは独禁法では一条に明らかに自由競争の原理、これはもう口を開けば需要と供給によって価格が決まっていくんだ、これが自由主義なんだというようなことをよくおっしゃるわけですけれども、こういう点から考えて、寡占企業の価格形成と自由競争、この点について公取はどのような認識を持っておるのか。いかがですか。
  54. 澤田悌

    ○澤田政府委員 これは非常にむずかしい問題でございますし、独禁政策上も常にわれわれの重要な研究課題になっておる問題で、一概にここで申し上げることはなかなかむずかしいのでございますが……(野間委員「メリット・デメリットよりも自由競争との関係でどうお考えになっているか」と呼ぶ)自由競争が、寡占的業界においても自由競争が行われている場合と、それが制限的である場合と、あるいは同調的な価格操作が行われるような場合、こういうふうに比較いたしてみますと、そこに価格形成に関する違いがあるということはわれわれも考えておるところでございます。
  55. 野間友一

    ○野間委員 すべての価格は自由競争の原理で働かなければならない。独禁法の一条に、目的として、不公正取引あるいは不当な取引制限、独占の排除、これについて、「公正且つ自由な競争を促進し、事業者の創意を発揮させ、」云々ということはもう大原則なんですね。いままでずっと政府が言っておりますように、自由競争の原理はまさに原理なんだということをよく言われるわけですけれども、そういう点で、すべての価格については基本的、原則的に自由競争の原理が働かなければならない、こういうふうに公取委員会としてもお考えになっていると思うのですが、その点どうですか。
  56. 澤田悌

    ○澤田政府委員 そのとおりでございます。
  57. 野間友一

    ○野間委員 その点で、景気、不景気と申しますか、経済成長が高度になるころ、あるいはいまのような破綻の時期、いずれにしても寡占企業そのものは減産あるいは見えざるカルテル、さまざまな形を使いながら価格そのものを同調してこの価格を維持する。特に、好況になればばっとつり上げるし、不況になってもさまざまな手練手管を使いながら価格の上昇をさらに図っていく。たとえば不況になれば減産をやる、そしてそれのリスクを全部価格にオンしていくということもこの調査でも指摘されておりますけれども、私、ここで申し上げたいのは、寡占企業というのはえてして本来的にそういうふうに自由競争そのものにはなじまないものである、そう思うわけでありますけれども、いかがですか。
  58. 澤田悌

    ○澤田政府委員 そういう傾向があることは否定できないと思います。
  59. 野間友一

    ○野間委員 経企庁、その点についてはいかがですか。
  60. 喜多村治雄

    喜多村政府委員 委員長のお答えのとおり、そういう傾向があることは否定できないと思います。
  61. 野間友一

    ○野間委員 公取にお聞きしたいのは、そうしますと、独禁法あるいは独禁政策上、いまのこの調査報告の中での不況下の、要するに集中による弊害、被害を全部国民に犠牲をオンしていく、こういうようなことについて独禁政策上どのような措置がとれるのか。恐らくこの調査は任意調査、四十条でやられたかどうかはよくわからぬけれども、何条でやられたのかということと、いま私が質問したことについて、まずお答え願いたいと思います。
  62. 澤田悌

    ○澤田政府委員 この調査は、各企業の協力を得まして任意にいたしました。(野間委員「四十条ですか」と呼ぶ)法律の条文によったものではなく、任意に調査したものでございます。  それから、この結果につきまして、これは一般的に寡占企業と価格の動向等について調査いたしたものでありまして、御指摘のように、成長が低下いたしますとどうしても企業行動というのは協調的になり、競争制限的になる傾向がございますので、こういう調査をもとにして、今後の推移ということについては十分注目してまいる、そういう所存でございます。
  63. 野間友一

    ○野間委員 いや、注目するのは当然なんですけれども、独禁法論議のときでも、これはとげを入れて骨を抜いたような、わけのわからぬものを政府は出してくる。公取試案の中では、いわゆる同調的値上げの場合の原価公開というようなことを試案の中に入れておられましたね。これは私はそれなりに評価できるわけです。ところが、いまの法のたてまえからいたしますと、四十条なりあるいは四十六条でしたか、こういう調査がございますけれども、しかし、少なくともこのような集中度の高い企業のこういうようなやり方に対して、独禁法あるいはそれに関連する法律の中でこれを規制するようなことができるかどうか。いかがですか。
  64. 澤田悌

    ○澤田政府委員 今回の調査が直接個々の問題の調査に結びつくというものではございませんが……(野間委員「法律でできるかどうかお聞きしておるのです」と呼ぶ)こういう今回の調査と離れまして、公正取引委員会といたしましては、現在の独禁法の規定で可能な限りの対応策をとっておるのでありますが、御承知のとおり、寡占企業あるいは独占的状態というようなものに対する現在の独禁法というのは、そこが最も弱点でございます。ですから、できるかという御質問に、できますと言うことは、なかなか歯切れよく申し上げられないという状態になっておるわけであります。
  65. 野間友一

    ○野間委員 だから、いま委員長答弁にもありましたように、何か物をしゃべっておられたけれども、結局これは、実際の話、何にもできないということになるわけですよ。調べて問題点の指摘をされるということが関の山だろうと思うのです。歯がゆい思いをされておると思うのですね。  そこで、私たちは公取に対して、巨大企業やあるいは独占企業、集団ですね、そういうものに、常に原価等を含めた資料を定期的に提出させて、その企業あるいはその企業集団の動向、実態を正確につかむ、そして経済撹乱行為あるいは反社会的行為を規制する、こういうような、私たち共産党の独禁法の改正案もすでに出しておることは御承知のとおりなんですけれども、だから少なくともこれは真剣に考えなければ、特にこれからは、低成長下の時代の推移の中では、こういうものははるかにふえてくると思うのです。これはこの調査にも指摘されておりますけれども、二十一品目ですか、ふえていますね。これはさらに私はふえてくると思うのです。しかし、これはふえてきて、それがこのような動きをしておる、それについては調査をしたけれども、しかし何ら手がつけられない。手をこまねいて見る以外にしょうがないということでは、これはコウノトリになっしまうということになるわけですね。ですから、公取委員長としても、こういう弊害、こういうものは排除するための何らかの措置を独禁法の中で、あるいはしかるべくそういう法律、そういうものが要求されるというふうに私は思うわけですけれども、その点いかがでしょう。
  66. 澤田悌

    ○澤田政府委員 独禁法の精神から申しまして、その理念に反するような経済事態、いろんな諸現象、これに対応して積極的に排除に努めるのはもう当然のことであります。しかし、それに対する対応手段が不足しておるということに相なりますと、いま御指摘のような歯がゆさが出てくるわけでありまして、その手段の補強ということにつきましては、われわれも常時努力するつもでりございます。
  67. 野間友一

    ○野間委員 経企庁に聞きますが、これからますますこういうことが顕著に出てくると思うのですよ。私はいつでも指摘しておるのですが、これは高度経済成長下でも同じなんですよ。これがさらにひどくなる。これは公取の指摘のとおりですよ。これは所管物資としたら通産物資あるいは農林物資の両方がありますけれども経企庁としては一体これについてどのように考えておられるのか。時間の関係がありますので、端的にひとつお答え願いたいと思うのです。
  68. 喜多村治雄

    喜多村政府委員 御指摘のように、低成長下になりますれば、そういう可能性がひどくなってくることは間違いないと思います。したがいまして、これに対する対応策というのは、現行独禁法の強化ということもやっていただかなければなりませんでしょうし、それから、それに対する対応策は何がしか考えていかなければならぬだろうと思っております。
  69. 野間友一

    ○野間委員 ところが、全くだめなことしかやらぬのがいまの政府なんですね。特に私が独占企業に腹が立つのは、中小企業が経営が赤字だからもううちの企業が成り立っていかぬと言いまして、翌日自分の店舗に紙を張りまして、この値段でなかったら売りませんぞと言ったら、だれも買う者ありませんよ。ところが、独占企業だけは幾ら高くても買わざるを得ない。勝手気ままなことができるわけです。乾電池とかいろいろあります。これは後でまた触れますけれども、螢光ランプ等等、特に乾電池など見ましたら、これはもう明らかにカルテルなんですよ。価格が何年も動いていないわけです。そうでしょう。そして五十年になったら今度またばっとつり上げておる。これはまさにでたらめもはなはだしいわけですね。  そこで、経企庁に聞きますけれども、独占企業、寡占企業、これらが価格の形成についてどのように考えておるのかということを物価局で調査されましたね。四十九年六月の「工業製品の価格形成に関する調査報告の概要」、これは喜多村さん御存じですね。これは石油ショックの後ですね。これを見て前から私もびっくりしておったのですけれども、たとえば「価格競争に対する今後の態度」、これは対象は上場会社の調査です。それを見ますと、価格競争を積極的に主張する企業は五・六%、「競争は続けるが業界の協調にも留意」する企業は七〇・三%、それから、これをシェア別に見ると、五〇%以上の階層で「なるべく競争しないように努める」とする企業が増大する。それからさらに「価格決定の方法」というところでは「需要と供給の自由な競争関係による」とする企業がわずか四〇・二%なんです。次いで「業界の多数企業の価格動向による」というのが三七・八%、「プライス・リーダー的に自主的に価格設定する」というのが一一・五%。ですから、これは上場会社の工業製品ですが、この価格形成について彼らは毫も——毫もと言うと大げさかもわかりませんが、実際、自由競争の原理によって価格を決めるなんという気持ちは毛頭ないですよ。こんなものはみなカルテルあるいはやみカルテルなんですよ。同調値上げなんです。だから、物価局長も自由競争は原則だというふうに言われました。しかし、企業の姿勢というのはこんなものなんですよ。これは一体どう考えられますか。
  70. 喜多村治雄

    喜多村政府委員 その調査は石油ショック直後のものでございます。そのときの上場会社の価格形成のやり方あるいはスタンスというものはそういうものであったと思っております。しかし、それ以後、私どもはこの調査に基づきまして、いろいろな方面に対して、価格というのは自由競争で決めらるべきものであるということを公表もいたしましたし、あるいは通産省なり公取を通じて自粛の要請もしましたというようなことで、それを使ってまいったわけでございます。また改めて調査もしてみたいと思いますけれども、確かに仰せのとおり、価格の形成については非常に心配な内容を持っております。
  71. 野間友一

    ○野間委員 公取の調査の中でも、二十品目、この推移を見ましても、局長、あなたはごらんになったと思うのですが、この中でも、これはカルテルかどうか、この表だけでは私はわかりません。ただ、価格の推移を見れば、これはカルテルあるいは同調的値上げというようなことが推測されるケースがずいぶんある、こう思うのです。これはいかがですか。
  72. 喜多村治雄

    喜多村政府委員 それがカルテルであるかどうかということの推測を、私はその表からは直ちに私からは申し上げることはできませんけれども、そういった傾向が生まれるであろうというようなことまでは予測できると思いす。
  73. 野間友一

    ○野間委員 いやいや、あなたがごらんになったら、これは数字がずっと出ておるでしょうが。二年にわたってずっと全く移動しない価格が出ておるでしょう。生産と在庫率との価格が出ておりますけれども、これはまさにそうなんですね。公取委員長、その点についていかがですか。
  74. 澤田悌

    ○澤田政府委員 それがカルテルであるかどうかということにつきましては、当然そこに共同行為の立証が必要です。ですから、われわれはそういう同調的な動きがあるかないかというような問題とカルテルであるかどうかというような判断、これは区別して考えておる次第でございます。
  75. 野間友一

    ○野間委員 いや、区別はわかりますけれども、この中でそういうようにだれが考えてもおかしくない数字がずいぶんあるわけです。だから、私はここで、公取委員会はこれについてやはりカルテルではなかろうかという点で、独禁法に基づいた調査をぜひすべきであるというふうに要求したいと思いますが、いかがですか。
  76. 澤田悌

    ○澤田政府委員 私ども調査して発表したものでございます。私どもがそれについてどういう判断をすべきであるか、行動すべきであるかということは、われわれ自身が最もよく知っておるところと申し上げておきます。
  77. 野間友一

    ○野間委員 それは何ということですか。あなたたちが調べて、私がこれを見て問題があるから検討してちゃんとしなさいということを言っておるのですよ。私はよく知っておる、私だけがよく知っておるということは何ということですか。だから、こういう中であなたたちが調べて疑いがあるものは独禁法に基づいてちゃんときっちりした検討をして、調査するなり何なりした上で、適切な措置をとりなさいということを申し上げておるわけです。
  78. 澤田悌

    ○澤田政府委員 私の言葉が足りませんでしたが、同じことを申し上げたわけです。それがわれわれの覚悟だということを申し上げたわけでございます。
  79. 野間友一

    ○野間委員 それから、経済白書を見ますと、生産調整、これは通産省がよくやるわけですけれども、これで卸売物価が上がったという評価もあるわけですね。いまの公取あるいは経企庁とのやりとりの中で、減産指導、ガイドライン方式、これは抜本的に改めて、国民の暮らしを犠牲にするようなこういうばかげたことだけはやめていただきたい、本当に抜本的に検討し直せということを申し上げたいのです。通産省、いかがですが。
  80. 原田稔

    ○原田説明員 通常言われておりますガイドライン方式による行政指導でございますが、昨年の八月来から不況自体が非常に深刻であるということで緊急避難的に行ったわけでございますが、それはすべて本年の六月末で撤廃せられております。これは最近の需給状況等にかんがみてそういう措置をとったわけでございます。  なお、今回行いましたガイドライン方式による行政指導の対象となった品目あるいは不況カルテル品目等を含めまして、私どもの計算ですと、全体のWPIの中で占めるウエートは五%足らずでございまして、その数字だけから申しますと、全体のWPIの上昇の中でそんなに大きなウエートは、今回の場合には占めていなかったのではないかという感じを持っております。
  81. 野間友一

    ○野間委員 そんなことはないですよ。だから、私は通産省の基本的な指導方針を改めなさい、そういうことを言っておるわけですよ。いかがですか、簡単に。
  82. 原田稔

    ○原田説明員 私どもは緊急避難的にガイドライン方式による行政指導を行ったわけでございまして、これは基本的にはやはりあくまでも例外的な措置であると思っております。
  83. 野間友一

    ○野間委員 これはまた後で論議したいと思いますから、次の質問に移ります。  経企庁に聞きますが、総理府の消費者物価指数五十一年の七月分を見ますと、上昇率が高いところと低いところを比べてみますと、高いところはほかと比べまして一年分ぐらい早い上昇率になっておる。一年間ぐらい違いがあるわけですね。たとえば和歌山と青森と比べてみますと一二・四%も違うわけです。時間がありませんから続けて質問しますけれども、なぜこのような地域差が生ずるのかということについてひとつお答え願うのと、それから四十五年を一〇〇として一番高い物価指数が出ておる県庁所在地はどこか、これをひとつ教えてください。
  84. 喜多村治雄

    喜多村政府委員 まず、一番後の分で申し上げますと、一番高い指数を示しておりますのは和歌山でございます。  それから、なぜこういう形に出たのかということでございますが、一般に価格に地域格差が存在するのは、諸事情がございますからやむを得ぬといたしましても、五十年度はその格差がやや開いたということがございます。ちょっと長くなりまして恐縮でございますけれども、四十年の段階では平均からの開きと申しますか、プラス・マイナスニポイントぐらいのところに大体おさまっておったわけでございますけれども、今回の場合はプラス・マイナスニポイントにおさまっているのは大体六五%から七〇%程度、あと数県ずつぐらいがプラスの面、マイナスの面にそれぞれ分散しているというのが特徴でございます。低い方は青森、福島、宮崎、秋田というようなところで、遠隔小拠点的なところでございます。これが生鮮食料品の生産地、原産地であるというところから、主として生鮮食料品を中心とする価格が比較的小さいということでございます。これに対しましてプラスの方に出ておりますのが和歌山、神戸、山口、北九州、静岡、京都というようなところでございますが、これはそれぞれに諸事情がございますけれども東京、大阪の大拠点の周辺都市でありまして、主として人口急増都市というところが多いように見受けられます。しかも生鮮食料品につきましては、全体として、全体としてと申しますよりトータルと申した方がいいかもしれませんが、トータルとしての生鮮食料品の高低には大きな差はございませんけれども、個々の物資、たとえば魚の中の一部であるとかというようなものが高かったり、あるいは一部は低かったりというようなところが多いようでございます。  それからもう一つは、季節商品以外のものも高い。たとえば和歌山で申しますと衣料品でありますとか、あるいは住宅費の中のいろいろな経費が全国よりもはるかに高いというようなところでございます。
  85. 野間友一

    ○野間委員 先々とそういうふうに答弁されますけれども、これは驚いたのですがね、四十五年を基準にして三十八年の全国平均が六九・二%、和歌山は六七・八%ですね。四十五年以前においては全国平均よりも和歌山は安かったわけですよ。これは出典は総理統計消費者物価指数です。ところが、四十六年以降はずっと指数が上がりまして、いまでは日本二局いというような現状になっておるわけですよ。だから、四十五、六年を軸にしてその前と後でそんなに指数が上昇するというようなことは考えられないわけですよ。私もかなり調査したわけですがね、それを合理的に説明する理由が全くどこにも見当たらぬわけですね。これは一つの和歌山の例ですけれども、各地でかなりの地域格差があるということですが、これはやはり地方自治体の責任ということでなくて、これだけ物価問題で国民は悩んでおるわけですから、各都道府県の物価問題についての問題点はどこにあるのか、そしてそれはどうやって克服していくのかというようなことを、経済企画庁としても通産とかあるいは農林、こういうところと協力しながら、地方自治体と十分調査をした上で国民の暮らしを守っていくという姿勢がなければならぬと私は思うのです。その点で、昭和五十年度経企庁が和歌山県に「生鮮食料品の低温流通と価格形成に関する基礎調査」という報告書を委託されましたね。これもずっと私は拝見したわけでありますが、この中身を見ましても、実際にわけがわからぬと言ったらあれですけれども、その原因について的確な指摘がないということです。だから、関係各省と地方自治体が、いま言いましたように一年も青森と和歌山では差があるわけですから、そういう点の問題点の指摘とそれに対する適切な調査、施策、これはそれぞれ関係省庁と協力しながらやられるべき筋合いのものではなかろうかというように思うのですが、いかがですか。
  86. 喜多村治雄

    喜多村政府委員 御指摘のとおりでございます。確かに最近の財及びサービスというものは全国的になっておりますので、一つの都道府県だけの調査あるいは対策だけでは応じ切れないところが相当出てきておるということも十分承知をいたしております。したがいまして、先生指摘になりましたこの調査も、そういった意味でやったわけでございますけれども、結果的には全国で何とかしなければならぬ問題が相当出てまいりましたので、御指摘のようなことにつきましては、これからも各省と協力いたしまして調査及び対策を講じたいと思います。
  87. 野間友一

    ○野間委員 四十五年当時と比べましてことし食料品が二倍、つまり二〇〇%以上になっておるところはどこどこか御存じですか。数字を拾いましたので私の方から申し上げましょうか。山口が二〇八・二%、札幌が二〇一・八%、和歌山が二〇〇・九、この三つだろうと思いますけれども、これはいかがですか。
  88. 喜多村治雄

    喜多村政府委員 手元に三月の物価指数しか持っておりませんけれども、大体そうだろうと思います。
  89. 野間友一

    ○野間委員 いま繊維製品等々も言われましたが、食料品は三つ挙げましたが、和歌山も結局四十五年に比べて二倍になっておるわけですよ。しかし、よく考えてみますと、和歌山というのは、たとえば果樹にしても蔬菜にしても魚にしても全部産地を持っているわけですよ。ところが、実際に日本で一番高い部類にその食料品が入っておるということも、これまた事実なんですね。何でこんなに和歌山の物価指数が高いのか、全国一なのかということとの兼ね合いもありますけれども、その原因について端的にどのようにお考えになるのか、ひとつ簡単に御説明していただきたいと思うのです。
  90. 喜多村治雄

    喜多村政府委員 これは先ほど企画庁から委託しました調査の中にございますけれども、一つはその輸送に問題がありそうだということがあります。貨物量が時期的に非常に変動いたしまして採算コスト高になっておるらしい、それから積み荷の運賃負担力が乏しい、それから片荷輸送によるコストアップが特にひどいというようなことで、輸送問題があるようでございます。それから販売業者の取り扱いでございますけれども、和歌山の関係につきましては、小売店は非常に多いけれども、冷凍食品の店舗数は全国でも少ない、つまり冷蔵能力が販売の段階において小さいということでございます。それから、幾つかありますけれども消費者の購買行動にも若干問題があるのではないかという指摘がその中でなされております。長い間豊富な近海水産物、青果物に恵まれてきたことから、強い鮮度訴求性というものがあるのではないかというようなことでございます。
  91. 野間友一

    ○野間委員 そんなことを言ったら和歌山県民から袋だたきに遭いまっせ。和歌山県民が、たとえば魚についても鮮度のいいものを食うなんというのはとんでもない話なんですよ。みんな魚屋に行きましても、一舟二百円、三百円のものを買って食っておるのですよ。県民の一人当たりの個人所得と支出、これは全国平均に比べても和歌山はずっと低いのですよ。一々数字を挙げませんが、これはお認めになると思うのです。  たとえば、一つ挙げますと、昭和四十七年度をとってみますと、個人所得は対全国比で八九%なんですよ。こういうふうに所得も低い。しかも個人消費も全国に比べますと非常に低いわけです。しかも産地を抱えながら日本で一番高い物価、特に高い食料品を買わされておる。これはとんでもない話なんで、何とかこれにメスを入れなければならぬ、こう思うわけですね。  時間がそうございませんので、はしょって聞きますけれども、まずマグロについて農林省にお聞きします。和歌山は全国の漁獲高の約一割を占めておる生産県である、この点についての確認をひとつ求めたいと思います。
  92. 塩飽二郎

    ○塩飽説明員 いまお尋ねの件につきましては、大体私どもの把握しておる数字でもそのようになっております。
  93. 野間友一

    ○野間委員 時間がございませんのではしょって、済みませんが質問を続けたいと思いますが、東京とか大阪に比べまして和歌山のマグロは高いかどうかということについては、これは実際に和歌山の方が高いのですよ。それは農林省も確認しておるわけですけれども、生産地の市場においてその価格はどうかといいますと、これは決して高くないわけです。つまり、和歌山に勝浦というマグロの市場がありますけれども、生産者に対しては、それじゃ高い価格でこれが買われておるかといいますと、そうじゃない。ところが、大阪やあるいは東京に比べて、消費地に比べてみても、和歌山のマグロの価格は非常に高くなっておる。これまた非常に不思議な現象なんですよ。そこで、和歌山の中央卸売市場がありますけれども、ここに一つの大きな問題があるのではなかろうか、こう思うのです。時間がありませんから一々数字は申し上げませんけれども、たとえば一つだけ挙げますと、勝浦の市場、ここではキログラム当たりマグロで五百三十四円、全国平均が五百五円、そんなに変わりないわけですね。いずれも生鮮なんです。ところが、和歌山の中央卸売市場、ここの価格は、昭和四十九年、キログラム当たり千六円なんですよね。ところが東京では七百九十四円、同じ生鮮のマグロなんです。こんなに違いがあるのですよ。これについて、経企庁調査を委託されたこれを見ましても、なぜこうなるのかが全然解明がされていない。  それで、いろいろ聞いてみますと、この流通問題について、その一つは、大阪へ持っていって、そこから逆に転送してくるというようなこととか——これは農林省も聞いておいてくださいよ、時間の関係で一括して答弁を求めたいと思いますので。それから、何か競りの場合に、故意に値をつり上げる操作をしたり、たとえば高くなるまで、自分の思うような価格が出るまで競りにかける、こういうようなことがあったり、あるいは理由もなく売りどめをするというようなこともありまして、結局高いものを買わされるということで、仲買人とかあるいは小売から苦情が出ておるのを私どもは聞いておるわけです。  したがって、喜多村局長も言われましたが、そのほかに流通機構、特に中央卸売市場、この中で大阪の市場との関係、あるいはいま申し上げた競りの関係、これは仲卸会社にやはり一つの大きな問題があるのではないか。そうでなければ、たとえば東京と比べてもこれだけの大きな価格の差が出るはずがない。しかも先ほど申し上げたように、じゃわれわれは毎日朝から晩まで一番うまいトロばかり食べておるかというととんでもない話です。いま申し上げたように、県民所得からあるいは個人消費から考えてもそんなことは考えようがないし、現に私自身がそこで暮らしておりますから、そういうばかなことはあり得るはずがないわけですね。ですから、そういう点についてぜひひとつメスを入れていただきたい、調査をお願いしたい。  これは大衆魚のアジについても同じなんです。京都、大阪に比べまして、近県に比べて和歌山は高い。したがって、マグロのような高級魚だけではなくて、大衆魚についても同じことが言える。きょうはミカンの問題もやりたかったわけですけれども、中央卸売市場、特に大阪との関係、いま申し上げた転送をも含めてぜひ調査をしてこの実態を解明をして、そして日本で一番高いものを買わなくても済むように、和歌山の物価を安定するのが政府の責務ではなかろうか、こう思うのです。この点、最後に農林省と政務次官に、その後局長答弁を求めて、きょうの質問を終わりたいと思います。
  94. 増田甚平

    ○増田説明員 お答えいたします。  いろいろ御指摘ございまして、私どももいろいろと勉強しておりますけれども先生も御承知のように、転送問題につきましては、これは許可制になっておりまして、私どもとしても、その許可に当たりましては、単に市場の開設者だけではなくて、関係の取引委員会等で適正な数量なり細部にわたる承認要領をつくってやっておるわけでございます。いろいろ問題がございますけれども、私どもの調べた限りでは、マグロに関して申し上げますと、和歌山から大阪への転送というのはないように聞いておりますけれども、なお、これらにつきましては五十一年度からの調査をやろうとしておりますので、御指摘の点を含めまして勉強したいと思っております。
  95. 喜多村治雄

    喜多村政府委員 先ほど申し上げました調査がございますので、あれをもとにいたしまして、県なりまた農林省と共同いたしまして解明をしていきたいと思っております。
  96. 西銘順治

    西銘政府委員 物価の安定と景気回復ということが当面の政策課題でありますが、先生の御指摘になったとおり、物価についても大変地域差があるようでありまして残念なことだと思っております。こういうことのないように行政指導を通じてやっていきたいと思っております。
  97. 野間友一

    ○野間委員 多少時間をオーバーして申しわけありませんでした。これで終わります。
  98. 松浦利尚

    松浦(利)委員長代理 続いて石田幸四郎君。
  99. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、私はまず最初に、最近地方都市に起こっております中型スーパーと小売業の関係について若干質疑を行いたいと思います。  と申しますのは、東京、大阪、名古屋、こういった大都市もしくはその周辺の人口急増地帯に中型スーパーが進出をいたしておりますが、小売業とのトラブルはそう目立っておらないのであります。むしろ大型スーパ一との関連の方がその地域の小売業とのトラブルが多いわけでございますけれども、最近、人口二十万ないし五、六十万の都市の中におきましては、この中型スーパーと小売業のトラブルが非常に目立っておると思うのです。この前も熊本県で、たしかこの問題が県議会でも大変話題になったようでございますが、消費者の立場から考えますれば、そういったスーパーの進出というのはきわめて好ましい状況であるわけですが、逆に現在の小売業を保護育成するという立場からいきますと、この競争関係というのは、小売業がいわゆる絶滅の方向に向かわざるを得ない。特に生鮮食料品を扱う小売業は非常に困難な立場に立たされておるわけでございます。このトラブルに対して、通産省はどういう態度でこのトラブルを調整しようとしているのか、あるいは公正取引委員会の立場といたしましては、これらの競争に対してどういうようなお考えを持っているか、この二つを別々に通産省と公取からお伺いをしたい、こう思います。
  100. 山本康二

    ○山本説明員 お答えいたします。  中型スーパーの問題につきましては、基準面積以上のものにつきましては、先生先ほど指摘いただきましたような大規模小売店舗法によりまして調整をいたしておりますが、基準面積未満のものにつきましては、私どもといたしましては、法案成立の際、国会の附帯決議で基準面積未満のものについても大店法の趣旨に準じて行政指導することという御決議を受けまして、紛争が持ち込まれた場合には、それぞれの通産局が、都道府県なり商工会議所等と御相談をいたしまして、適宜地元の方々の御意見を反映しながら行政指導を行っておるところでございます。  それから、大型小売店舗法の趣旨は、消費者利益に配慮しつつ周辺小売業の営業の機会を確保し、あわせて流通の近代化を進めるという非常にむずかしい三つの目的を持った法律でございますので、行政指導及び調整に当たりましては、その三つの調和に心して運用しておるところでございます。
  101. 澤田悌

    ○澤田政府委員 御指摘のように、スーパーマーケットと地方都市におきまする地元の小売商と、間々トラブルがございます。私どもは、先ほどのお話のように、消費者の利益のためにスーパーも小売商も相調和して、ともに消費者の便宜を図るという状態が実現すれば、これは最もよろしいと考えるわけでありますが、間々不当廉売というような不公正な取引方法の疑いのある方法でスーパーが、俗に申せば暴れるというようなことがござ  いますれば、これは当然独禁法の立場から厳重に取り締まる、こういう姿勢で臨んでおるわけでございます。
  102. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは公取に続いてお伺いを  いたしますが、大型スーパーなんかの場合で、いわゆる目玉商品をつくりますね。たとえば豆腐なんかのトラブルを私もよく聞くのですけれども、これは一般の豆腐屋さんがつくっている規格品より若干小さい、そして価格というのはかなり安い、そういうような印象をもって目玉商品として売っているわけなんですけれども、これによって豆腐を販売する一般の小売業というのは非常に圧迫されて、年々店舗は閉鎖せざるを得ない、そういう状況が少しずつ少しずつ、なし崩し的に今日まで行われておるわけです。豆腐屋さんなんかは、やむを得ず資力のあるところは大型スーパー納入業者になりまして、そして一生懸命そういった目玉商品としての豆腐をつくっているというような状況であるわけなんですけれども先ほど公取の方では、不当廉売ということになりますれば十分これは調査をして注意をしなければならぬというようなことをおっしゃっておるわけですけれども、こういうようなやり方が果たして公正な競争であるのかどうか、そこら辺に対する判断はどういうふうに持っていらっしゃいますか。     〔松浦(利)委員長代理退席、加藤(紘)委員長代理着席
  103. 澤田悌

    ○澤田政府委員 いわゆる目玉商品、ただいまお話しの豆腐でございますとかしょうゆとか、いろいろございますが、そういうものをもって販売に臨んでおる、これが不当廉売に該当する、あるいはそういうことの広告がいわゆるおとり広告というような形において不当表示になる場合もございます。そういうことが明白でありますれば、これはおっしゃるように不公正な取引、公正な競争を阻害するものでございますので、当然規制の対象になるわけでございますが、どの限度でどういうふうに判断すべきかということになりますと、なかなか一律には申し上げかねる面が多うございます。ケース・バイ・ケースで処理しなければならぬということが多かろうかと考えております。
  104. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それは一般的な概念からいけばそういうことなんですけれども、しかし、このまま放置しておけば、結局生鮮食料、特に目玉商品なりそういう安い生鮮食料を売っている小売業というのはだんだんと滅亡をしていかなければならない、そういう状況になりますね。これらの問題については、公取としては何にもタッチすることはできませんか。
  105. 澤田悌

    ○澤田政府委員 独禁法のたてまえは、ただいま申しましたように、法令、法律に違反するかどうかという問題でございます。その場合の不公正な取引方法に該当するかどうかという判断の問題に結局帰着するわけでございますので、そういうことが一般の産業行政の面で好ましくないとかいう問題と、法律による違反事件として取り締まるという場合とのニュアンスの違いはどうしてもあるように考えられますので、個々の案件について、法規に照らして厳正に判断するというのが私どもの姿勢でございます。
  106. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 これは要するに黒いか灰色か、そういう問題でございますから、法律では非常になじみにくい、判断をしにくい問題だろうと思うのですけれども、これに対するいままであったトラブルの中で、特に法律に触れるおそれのあるものについてはひとつ厳正にやっていただきたい、こう思うのでございます。  通産省に同じ問題をお伺いをするのでございますけれども先ほどもいろいろお話ありましたけれども、要するに具体的な問題としては言いにくいような感じでおっしゃっておるのでございまして、現場において話し合いをして解決をしなさい、こう言いますけれども、やはりその基本となるものを何かつくらなければ、単なる話し合いでは、この問題はだんだんそういった二十万、三十万、四十万都市の中で問題は広がる一方じゃないですか。現に熊本あたりであったトラブルについても、話し合いが行われるといっても話し合いがつかぬわけですね。それを県議会で条例で何かチェックする方法はないかというような形で大分問題になったらしいのですけれども、もう少し通産省として姿勢を明らかにしてもらわなければならぬ、こう思います。  それからいまの目玉商品の問題ですね。  この二つの問題についてもう一遍お答えください。
  107. 山本康二

    ○山本説明員 お答えいたします。  目玉商品等の価格の問題につきまして、独禁法上不当かどうかの法律的な判断は、これはやはり公正取引委員会のような専門的な機関にゆだねることが行政上適当であろうと考えております。  それから第一点の中型スーパーにつきましては、これは現在基準面積以下の対応の方法が幾つかございまして、一つは、先ほど私が申し上げました国会の附帯決議の趣旨を受けまして、通産局が中心になり、行政指導によって対処するというやり方と、それから小売商業調整特別措置法という法律がございます。それによりまして、都道府県知事が権限を持っておりますが、紛争の当事者からの申し出によりましてあっせんをし、調停の専門委員を任命いたしまして調停案をつくり、それからさらに必要な場合には知事みずから勧告をするか、主務大臣に勧告を依頼するということで地元との利害調整を図る法律体系がございます。  それから第三点は、特に最近紛争の多い地区につきましては、それぞれの自治体及び商工会議所等が自主的にそういうような論争処理の機構をつくっておりまして、熊本以外は罰則とかそういう強制力はございませんが、商工会議所の例で申しますと、基準面積以上のケースと同じように商調協の場で十分な判断をいたしまして、地元側、出店者側双方の理解を得て、たとえば営業時間でございますとか年間の休日、さらには店舗面積等につきまして所要の調整を加えておるケースがいろいろございます。
  108. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 これ以上この問題はやりませんけれども、通産省に御要望いたしましておきますけれども、そういうようないろいろな地方の調整ができたケース、こういうものは積極的に全国の自治体に通告をしていく必要がある、この点はひとつ一遍考えてもらいたいと思うのですね。  それから、いまの目玉商品の問題は、いま公取委員長からお話を伺ったばかりでございまして、その範囲でやるしかないというようなことであっては、小売業はだんだん滅亡する以外にないわけですから、通産省としてはもう少し行政指導的な立場をとらなければいけない、このことは申し上げておきますから、一遍研究してください。  じゃ、問題を変えます。大蔵省いらしてますか。——サラリーマン金融の問題についてお伺いをするわけですが、これはことしの五月ですか、社会党の横山さんが大蔵委員会大臣に、サラ金急増並びに被害の増大という問題で質問をしておられるわけですけれども、これに対して大蔵大臣は、サラ金の監督行政の責任を十分果たせるかどうか自信がなかったので大蔵省はいままでこれに介入するについては非常に消極的であった、こういうようなお答えと同時に、次の通常国会までに試案を責任をもって検討、回答を出す、こういうような答弁をしておられるわけですね。この状態を私も実はいろいろ調べておるのでございますけれども、四十八年の調べでは、業者が十三万業者と言われております。最近、特に地方都市についてはこれが非常に増大をする傾向があります。電信柱あるいはバスの広告、そういうものが急増している状態を見ますと、恐らくこの十三万業者というのは相当な数にふくれ上がっているのではないか、こういうふうに思います。それにつれて私どものところにもいろいろトラブルについての相談が来ておりますけれども、小口の金融であるということと、小口の金融であるがゆえに配偶者に相談をしないで借りてしまった、それが返せなくなってしまった、そしてまた、返せなくなると、その利息分をまた、元金に算入をして契約書を書きかえるというようなことで、短期間に——たしかこれは日歩三十銭以下の計算でやっているわけですけれどもね。そういったことで、一年もたてばたちまちもう倍以上になってしまう、そういうようなことで非常にトラブルが多くなっているわけなんです。しかも、このサラリーマン金融については監督省庁がないわけですね。届け出だけすれば業務を開始できるというような問題がございます。そういうわけで、とにかくこれをどこで扱うかは別にしても、当面の問題としては大蔵省はやはり総括的にこの実態を調査して対応策を考えなければならない、大臣答弁もあることでございますので、そういうふうに思います。  それで、まず一つは、いま業者の実態、それから被害の実態、そういうものを調査する必要があると思うのでございますけれども大蔵省としてはこれをやる気持ちはありませんか。
  109. 吉田正輝

    吉田説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のとおり、さきの通常国会におきまして御質問がございました。その際、大蔵大臣から、必ずしも自信はないけれども、次の通常国会までに検討したいというようなことを申し上げたことは事実でございます。  ただいまの御指摘の監督官庁の問題がございますが、これは貸金業の関係の法律がございますが、それによりますと、高金利の処罰というのが御指摘のとおりございまして、先生指摘のとおり日歩三十銭でございますので、年利に直しますと一〇九%ということに相なるわけでございますが、高金利の部分は、その法律によりますと第五条で規定されておりますけれども、御承知のとおり、刑事罰の分野に属することになってございます。したがいまして、この金利の分野につきましては、高金利の処罰ということで法務省の所管になっておるわけでございます。  もう一つは、私どもの方から申し上げさせていただきますと、金融行政の立場から申しますと、金融機関行政あるいは金融行政と申しますのは、主として信用秩序の維持と、それから預金者の保護というような観点から金融行政を担当させていただいておるわけでございます。ただいま御指摘の貸金業者の場合におきましては、資金需要が庶民生活の日々の生活の中で生じます需要と申しますか、一時的あるいは突発的な需要のものが多うございまして、金利なども市場動向あるいは資金の需給動向などで決めがたい要素が非常に強うございます。しかしながら、御指摘のとおり、なかなか暴利あるいは暴力等の——大部分の業者は大変にまじめにお仕事をされておりますが、一部暴力事犯あるいは暴利、高金利というようなものもございまして、警察庁の方でそれを取り締まっておりますが、その件数も増大しているような傾向にございます。私どもとしましては、ただいま申し上げましたような法律上の保護すべき法益が、信用秩序の維持あるいは預金者の保護とややかけ離れました庶民生活の保護ということに相なりまして、所管官庁なども多岐に分かれておりますが、前回大蔵大臣がそのようにお答えしたようなこともございますので、非常にむずかしい問題でございますけれども、ただいま勉強中でございます。  本件に関しましては、そういう改正をいたします場合に法益ということが一つ重要ではないか。庶民生活の保護ということに重点あるいは国家政策目的が置かれますときには警察行政ということに相なりますでしょうし、あるいは金融政策と無関係に、ただ高金利の処罰ということになりますと、これは刑事罰ということで法務省の所管になりますでしょうが、たびたび申し上げるようでございますが、大蔵大臣がそのように申したことでもございますので、私どもの所管にわたらない部分も非常に多うございますけれども、ただいま勉強中でございます。
  110. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 これはすでに御存じだと思いますけれども、アメリカあたりでは小口金融の利用者が非常に多い。しかも一定の法律に基づいてやられておりますので、これはどうしても来年までに研究をされて、この規制立法をしていただきたい。いわゆるこれは行政指導だけではちょっと片づきにくい性格のものであろうと思うのですね。     〔加藤(紘)委員長代理退席、委員長着席〕 そういった意味で規制立法の方向で考えるべきものと、こう理解してよろしいですか。
  111. 吉田正輝

    吉田説明員 先ほど先生指摘になりました点でちょっとお答えしなかった点と、いまの御質問とも関連すると思いますが、実態調査、ただいま先生四十八年に十三万軒とおっしゃいましたが、最近の調査によりますと、これは一応自由業で、届け出て行っているということになりまして、法人、個人合わせて十四万軒の貸金業者というのが存在することになっております。この貸金業者の中には、コール、短資業者、それから住宅金融を行うもの、それから手形割引業者と申します事業金融の分野、それから先生がまさに御指摘のサラ金業者というのがございまして、この十四万軒の人たちは、開廃等は届け出自由になっておりますために、自由に設立されあるいは自由に廃業するということになっております。一応都道府県に届け出の事務の受付を委任してございますけれども、その実態が果たしてどういうふうになっているのか、実は私どもも把握しかねているような状況でございます。  御承知のとおり、東京都だけでも二万軒を超えるようなことでございまして、仮に一日一軒ずつ検査いたしまして、一年二百五十日といたしましても九十年を要する。仮に一日十軒をやりましても九年を要するというような実情でございまして、この実態調査については、はなはだ申しわけございませんが、実情を把握しかねる点がございます。これも一つ、私どもが勉強をいたしますときの障害になっているということを申し上げなければならないのでございます。  そういうような意味で、規制を行う場合にも、果たして行政庁が責任を持って規制を行い得るのかどうか。それから、規制を行います以上、何らかの役所の公認というようなことになりました場合に、その公認のラベルが、あるいはそういう貸金業者の需要者側になります一般国民の方々にかえって誤解を与えるのではないかというような点も、長い間の経験で行政上指摘されているところでございます。  そういうことでございますので、ただいまは非常にいろいろの問題がございますために、果たして先生指摘のような規制が実態上、法律上可能であるかどうか、直ちにはお答えいたしかねる実情にございます。御容赦いただきたいと思います。
  112. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 その実情については私もようわかります。一軒一軒の実態調査なんというのはできないわけですから。しかし、最近、業界の中においては社内報を出しているような大型の業者もあるようですし、横の連絡等もぼつぼつ出てきたようですね。ですから、そういった面のいろいろな資料を集めてみれば、一〇〇%といかないにしても、おおよその方向はかなりつかめるのではないか、このように思いますので、これは鋭意勉強をしていただきたいと思うのです。  それで、規制立法の方向というのは法律的に言っても実態的に言っても非常にむずかしいということは私もわかります。これが大蔵省公認とか県知事公認なんということになりますと、またへんてこなぐあいになりますので、そこら辺のむずかしさも私もよく承知しております。しかし、被害がいかにも庶民的なトラブル、配偶者に相談しないで借りるもので、夫婦げんか、夫婦別れなんということもしょっちゅうあるのです。そういうような問題にまで発展をしておるわけですから、何らかの整理をしておかないと収拾つかなくなっちゃう。しかも、先ほどありました、一部には暴力団とおぼしき人が、届け出さえやればできるからというので、そういうような商売を始めて、返却しなければたちまちもろはだ脱いでというような、そういうトラブルも現実に私たちも持ち込まれておるわけです。ですから、これは鋭意研究してもらいたいということを御要望いたしておきます。  それでは、時間がありませんから薬務局長さんの方に薬価問題についてお伺いをするわけであります。  これは、実はことし二月の予算委員会で、私、取り上げようと思っていろいろ調査をしておったのでございますけれども、時間もございませんでしたし、また厚生省の方から、銘柄別何とか方式というのがあるんですな、それに転換をしたいというような御説明もあったので、この問題はちょっと留保しておったのです。  最近の、九月二十三日の朝日新聞でございますか、この報道を見ると、やはり抗生物質、ビタミン剤あるいはその他の薬品において非常に安く納入をされておるというようなことが報道されておるわけですが、まずこの実態を私たちはよく承知をしておかなければならぬと思うのですね。特にこういった国民健康保険の保険料の値上げ等の問題も絡んでおりますし、薬価が占める、いわゆる支払い側から見た金額というのも非常に大きいと思うのです。そういうことを考えてみますと、不当に安く売られている実態ががまんならない赤字の大きな要因じゃないか、こう思うのです。  一つ、二つ私の方で手に入れた資料を申し上げますと、薬価基準で百二十八円のものが実際の取引においては四十五円で売られている。三五・二%。それから、ある薬品においては薬価基準が百三十四円、それに対して実際の取引は二十五円、一八・七%。こういうようなきわめて安い価格で納入をされておるわけです。特に抗生物質なんかの状況を見ますと、昭和四十五年の生産総額が千五百七十億ですが、それが昨年には三千六百三十億と二倍以上に伸びておる。そういうようなものが不当に安い値段で取引が行われているのに、実際にいろいろなところから請求が出てくる場合には、この薬価基準で出てくるということになりますと、これは一千億ないし一千五百億ぐらいは消費者は、その不正な取引の中にむだ金をたたき込んでおる、一般の治療を受ける人は、そういうような印象も受けるわけです。  まずお伺いしますけれども、これら朝日新聞で指摘された問題これはダイレクトメールの中からわかってきたと言われています。私たちが手に入れている資料の中でも三〇%台、四〇%台なんというのはざらなんです。話にも何もならない。こういう実態について厚生省としては実情を把握されておるのですか、この点まず伺いたいと思います。
  113. 上村一

    ○上村政府委員 現在医薬品の需給がアンバランスであるという状況を反映いたしまして、いまお話しになりましたようなダイレクトメールによる、大幅に価格を引き下げた医薬品の販売があるということは、私も承知しておるわけでございます。ただ、それは、ながめました限りでは、取り扱いの品目が限られておるということもございますので、全部が全部そうではないんじゃないか。そしてことしの四月現在の取引価格というのをことしの五月に、薬価調査と申しておりますけれども、薬価調査をいたしておりまして、その集計をいまやっておる最中でございますので、その過程の中で全貌が明らかになるんじゃないかというふうに思っております。
  114. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 まず薬価基準でございますけれども、メーカーから出てくるのにはA、B、C、D価というのがありますね。これはどこら辺と合致しますか。
  115. 上村一

    ○上村政府委員 薬価基準で定めます価格は、その市場での取引価格でございますから、医療機関が購入をする価格ということになるわけでございます。したがって、私どもが薬局で買う小売価格よりも安いということになるわけでございます。
  116. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 薬務局長さん、私は学生時代、薬の卸問屋に勤めたことがあるのです。それで知っておるのですけれども、要するに、高価格のものを——これは小売価格が非常に安いけれども、B価、C価ということになりますと、これは非常に安いのですよ。特に価格の高いものについては、その割引率が非常に大きいのです。ですから、実際にたとえば開業医の方あるいは病院それから大型病院、こういうところを考えますと、大体C価にプラスアルファというのが薬価基準——いわゆる薬価基準の決め方もまた問題があるわけですけれども、私が想像してみるに、自分がそういう薬を販売した経験があるという立場からとれば、恐らくB価とC価の問です。そういうようなことを考えてみますと、しかも実態というのは、いま申し上げたようにパーセントではじいてみますと、もうべらぼうに安いものが抗生物質なんかにはあるわけです。実際の薬価基準との関連を見たときに、高いものだって五〇%というのは余りないのではないですか。この点もいま調査をされている段階だと言いますけれども、やはり薬価基準を定めるについてもう少し実態というものを掘り下げて調べてもらわないと、これは支払い側にとっては大変な損失になると思うのですよ。特に今度決めます銘柄別方式というのですか、これはどういうようなメリットが従来の問題と比べてみてあるのですか。
  117. 上村一

    ○上村政府委員 薬価基準に収載されております医薬品の中で、現在統一限定品目として挙げられておりますものを、銘柄別に収載することに今度の薬価基準の改正からするわけでございます。  それで、一つのメリットというのは、同じ成分の医薬品でありましても、銘柄によりまして非常に価格差がある。御指摘になりました新聞にも載っておりますけれども、いわゆるぞろぞろ品というものが安い。これは研究開発費等が価格に反映せずに済むというようなメリットがありますから、もっぱら価格の安いという点、薬価基準よりも安いという点をセールスポイントとして売っておる。そこで、御指摘のような問題があるわけでございますので、同一成分の医薬品でありましても、その銘柄によって実際に価格差がある。その実勢を反映するという点に大きなメリットがあると思うわけでございます。そして、さらに掘り下げてまいりますと、医薬品については、最近特に安全性が重視されておるわけでございますので、そういった医薬品の安全性に関するもろもろの情報というものを消費者に伝達するための経費、あるいは新しい医薬品を開発するための努力をしておる企業、そういったものの努力というのが価格に反映される、そういった意味で、銘柄別方式に切りかえるメリットというのはあるのではないかというふうに思っておるわけでございます。
  118. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そうしますと、いままで統一限定方式、これでは九〇%のバルクラインというのですか、そういうものを設定して、これに基づいていわゆる薬価を決める、こういうふうになっていますね。私たちは実勢の取引価格という点を考えてみると、九〇%のところにラインが引かれておるということは、いま申し上げたように三〇%台、四〇%台の値引きをしておる業者が非常に多いわけだから、そういう個別の医薬品が多いわけだから、そういった面で私たちはいままで非常に矛盾を感じておったわけです。この統一限定方式というものと今度の総括方式、これを考えたときに、そうすると実際の価格というものはもう少し下がったところへ決められてくるのかどうか、これは個別の問題があるので、正直言って私もよくわからないのです。だけれども、従来の方式から見ますと、これではどうにもならぬというふうな感じがいたします。ですから、今度の銘柄別方式というもの、それによると、実際に薬価基準というのは従来の価格に比較して下がってくるのかどうか、ここら辺はいかがですか。
  119. 上村一

    ○上村政府委員 いま計算をしておる最中でございますので、明確にお答えをすることは非常にむずかしい問題でございますが、九〇%バルクラインの方式というのは、統一限定収載方式の場合でありましても、それをさらに銘柄別に分ける場合でありましても、同じようにやっていかなくてはならない。と申しますのは、結局、薬価基準価格というのは、医療機関が保険者に請求する価格になるわけでございますから、この九〇%というのは九〇%の量を買える価格でございますので、それを低く決めれば、たとえば中には五〇%くらいで取引されておるものがあるから、薬価基準は五〇%でいいのだというふうな決め方をしますと、赤字になる医療機関というのは相当出てまいるということになるわけでございます。したがって、九〇%バルクラインという方式は貫くことになるわけでございます。  そこで、いま計算中ではっきり見通しがつかないと申し上げましたけれども、いままでは同じ成分でいろいろな銘柄があるものを、九〇%バルクラインで一本として決められますのが、今度は銘柄ごとに分かれてまいりますと、非常に安売りをしているところは安くなるわけでございますから、安いものが出てまいる可能性は従前よりも多いというふうに推定するということになるのじゃないかと思います。
  120. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そうしますと、いまの限定方式にプラス銘柄別方式ということになりますね。これを勘案するのじゃないですか。
  121. 上村一

    ○上村政府委員 非常に技術的な話になりまして恐縮でございますけれども、現在の薬価基準の中で、統一限定方式で記載されておったものをばらしまして、銘柄別に決めるということになるわけでございますので、従前の統一限定収載方式というのはなくなるわけでございます。
  122. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そういうふうになりますと、ますます銘柄別の価格を厳密に調べなければなりませんね。  そこで、問題になりますのは、いま私が数字を示しました資料は、公立の病院と言われるところに流れている一つの資料なんです。そういうような角度で見ますと、公立病院が取引をしている実態、いろいろな薬品の、しかも銘柄別のもの、これはやはり公開をしてもらわなければならない。いわゆる厚生省だけでそれを承知していたのでは、支払い側は一体どのくらいで取引されているのか実態がわからない。そういう意味で、この調査が終わり次第、こういった問題は公開できますか。
  123. 上村一

    ○上村政府委員 全国の医療機関に卸しております卸業者、それから卸業者から買っております医療機関の一部、これは抽出したものでございますが、それを対象に一カ月問の医薬品の取引価格というものを集めまして、それをまとめ上げたものが薬価基準でございますので、薬価基準というのが公表されるものであるというふうに御理解いただきたいと思います。
  124. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 時間がありませんから、その問題はそれ以上はおいておきますけれども、しかし、いままでの薬価基準の決め方ということから考えますと、余りにも実態がかけ離れているから、厚生省の方で、公正だ公正だと言いましても、われわれいわゆる診療を受ける側からいけば、非常な不信感を持たざるを得ない。現にこういうようなものが新聞あたりにも出てくるし、私たちの手元にも三〇%、四〇%の価格で取引されているというような資料が出てくるわけですから、これは本当にある程度実態にメスを入れたものが、薬価基準以外に発表できないというけれども、その薬価基準の前提になるものはこういうものなんだ、実態はこうであったというものをかなり詳細に公開をしてもらわなければいかぬではないかと思うのですよ。  それから、いろいろな大きな病院が大変赤字になっているわけですけれども、薬価基準と実際の購入価格が違うからかなり赤字も穴埋めになっているというような議論があるのですけれども、これは本質が違うと思うのです。そこら辺のところは薬務局長さんだけに伺ってもどうしようもないことですから、また席を改めて大臣等に御質問することといたしまして、とにかく薬務局長さんとしては支払い側の立場を十分ひとつ理解をした上で、この問題にメスを入れていただきたいと思うのですね。私たちが単純計算をしましても、これは素人の単純計算だからそういうふうにはならないとおっしゃればそれまでかもしれないけれども、実際に抗生物質なんかの総量等を考えてみますと、どんなに少なく見積もっても今日まで年に五百億ぐらいのものが支払い過ぎであったというような印象しか出てきませんよ、こういう問題が提起されて調べたときに。  そういうわけで、この問題については徹底的にメスを入れて公表を、数字の問題は別としても、抽象的な表現であったとしても、そういうような問題があったのだ、だからこの総括方式になるのだという経過を、使用者側に納得できるような形で発表してもらいたい、そういうふうに思いますけれども、最後にいかがですか。
  125. 上村一

    ○上村政府委員 今回の薬価基準の改正の際から、従来の統一限定を銘柄別方式に切りかえるようにいたしましたのは、中央社会保険医療協議会の決定によるものでございます。中央社会保険医療協議会というのは、当然のことといたしまして、支払い側の代表と、それから受け取り側の代表が入っておるものでございますので、そういった方々がそういったことにしてはどうかというふうにおっしゃった線に基づいてやっておるわけでございます。
  126. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それはわかっていますよ、私もそのぐらいのことは。だけど、それだけでは済まない問題が新聞にも提起されておるし、私たちも提起いたしておるわけでございますから、やはりもう一歩深くこれは検討をしてもらわなければなりません。これだけ申し上げておきます。
  127. 板川正吾

    板川委員長 委員長から言上村薬務局長に伺いますが、いまの問題で、公立病院に流す薬価と一般開業医が買う薬価と、いま指摘がありましたように、非常に価格の差があるということが、実は公立病院関係からも言われておるのですが、この差別価格で売られておるという実態、これもいまの問題と関連しておりますが、ひとつ調査をしていただきたい。実は調査室の方には前からその問題を調べるように言ってあるわけですが、ぜひひとつ協力してもらいたいと要望いたします。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時三分散会