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1976-10-13 第78回国会 衆議院 農林水産委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月十三日(水曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 湊  徹郎君    理事 今井  勇君 理事 片岡 清一君    理事 菅波  茂君 理事 井上  泉君    理事 角屋堅次郎君 理事 中川利三郎君       足立 篤郎君    愛野興一郎君       加藤 紘一君    吉川 久衛君       志賀  節君    丹羽 兵助君       竹内  猛君    野坂 浩賢君       芳賀  貢君    馬場  昇君       美濃 政市君   米内山義一郎君       林  百郎君    瀬野栄次郎君       林  孝矩君  出席国務大臣         農 林 大 臣 大石 武一君  出席政府委員         農林大臣官房長 森  整治君         農林大臣官房審         議官      杉山 克己君         農林省農林経済         局長      吉岡  裕君         農林省構造改善         局長      岡安  誠君         農林省農蚕園芸         局長      澤邊  守君         農林省畜産局長 大場 敏彦君         農林省食品流通         局長      今村 宣夫君         農林水産技術会         議事務局長   平松甲子雄君         食糧庁長官  大河原太一郎君         林野庁長官   松形 祐堯君         水産庁長官   内村 良英君  委員外出席者         警察庁交通局交         通規制課長   福島 静雄君         環境庁企画調整         局環境審査室長 大塩 敏樹君         環境庁自然保護         局鳥獣保護課長 野辺 忠光君         国土庁大都市圏         整備局筑波研究         学園都市建設推         進室長     石川  允君         国土庁地方振興         局東北開発室長 桑島  潔君         外務省欧亜局東         欧第一課長   都甲 岳洋君         文化庁文化財保         護部記念物課長 横瀬 庄次君         農林省農林経済         局統計情報部長 有松  晃君         海上保安庁警備         救難部長    久世 勝巳君         建設省計画局宅         地開発課長   梶原  拓君         建設省住宅局日         本住宅公団監理         官       羽鳥 光夫君         自治大臣官房参         事官      平岩 金一君         自治省財政局調         整室長     中村 瑞夫君         会計検査院事務         総局第五局長  東島 駿治君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 十月十三日  辞任         補欠選任   坂村 吉正君     志賀  節君   諫山  博君     林  百郎君 同日  辞任         補欠選任   志賀  節君     坂村 吉正君   林  百郎君     諫山  博君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 湊徹郎

    ○湊委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬場昇君。
  3. 馬場昇

    馬場委員 まず、農林大臣質問を申し上げます。  冷害や十七号台風等災害につきましては、この委員会でも、実情の報告なり質疑応答の中から対策も出ておるわけでございますので、私は重複を避けて、質問をいたしませんが、日本農業農民は、このことによって非常に大変な状態に置かれておるわけでございます。私は、こういう冷害台風災害の中から農林大臣日本農政において何を学ぶかということが非常に大切なことだろう、こういうぐあいに思います。今度の冷害なり災害というのは、ただ単に低温であったとか、日照不足だったとか、雨が多かったとか、風があったとか、こういう気象条件だけに責任があるわけではないと私は思います。そういう中から二、三点取り上げまして、農林大臣が何を学ばれ、どうなさろうとしておるかということについて質問をしたいと思うのです。  まず第一点は、米について言いますと、最近田植え機械、こういう機械の非常に急速な普及があります。普及それ自体には問題ありませんけれども、これに伴う対策を怠ったというところに問題があるんじゃないかと思うのです。この田植え機械田植えをいたしますと、やはり小さい苗でございますから、日照不足なんかに非常に弱いというわけでございます。ちょうど未熟児保育器の中から外にほうり出す、こういうようなかっこうの田植えになってしまっているのじゃないか、こういうぐあいに思うわけでございます。だから、いま田植え機械をなくせというわけじゃございませんけれども、これは使わなければならないかもしれませんが、未熟児をほうり出すような田植え、これはいけないんじゃないか。これについて、どういう対策考えておられるのか、また丈夫な苗をどうやってつくるかというような研究もなさっておるのか、こういう点についてまずお尋ねしておきたいと思います。
  4. 大石武一

    大石国務大臣 いまの御意見は、私も全く妥当な意見だと思います。  ただ、技術的にどのような丈夫な稲をつくるかと聞かれましても、私はいまわかりませんけれども、おっしゃるとおりの、やはり本当に地に足のついた——もちろんこのようないろいろな天災なり、いろいろな天候不順というのは今後も参ると思いますし、これに対しまして、何といいましても、われわれはとうてい抵抗はできません。しかし、それにしても、ある程度の、自分の身を守るための努力というものはやはりしなければならないと思います。そういう意味では、やはりおっしゃるとおりの、これに闘い得る体制をつくることが大事だと思います。そういう意味では、私は、現在の農業のあり方は余り機械力に頼り過ぎる傾向があるんじゃないかと思うのです。何も昔のような無理な苦労は決してやらすべきではありませんけれども、もう少し土地を愛し、土地のために、米づくりのために情熱を打ち込めるような、何かそのような今後のやり方が必要ではなかろうかと考えておる次第でございます。
  5. 馬場昇

    馬場委員 いま田植え機械の例で大臣のお答えを聞きまして、まさに同感でございますが、ほかの点でも言えるわけでございます。たとえば、冷害に強い品種がここにあるのに、農民としてはもう当然のことかもしれませんが、冷害に弱いけれども良質米をつくって、それは高く売れる、だからもうそちらの方だけつくるという状況がずっと行われておるわけでございます。農民にとってみれば、これは当然なことだろうと思いますが、たとえばその年の天候、気象状況なんかも調べて、ことしは冷害が来るかもしれない、そういうときには、良質米冷害に弱いから冷害に強いような稲をつくったらどうだ、こういう気象条件なんかをよく研究しながら品種についても事前に指導する、そういう農政だって当然行われるべきじゃないか、こう思いますし、いま大臣もちょっと言われましたけれども、やはり化学肥料に頼り過ぎる、堆肥をやらない、そうすると、保温力がなくなってきて冷害に弱くなる、そういうことだから、堆肥を土に入れて土を生き返らせる、保温力を持たせる、こういうことを常日ごろやっておくというようなことによってやはりこういう冷害をこうむっても最小限度被害を防ぐことができる、そういう点に、たとえば品種の問題でも、そういう肥料にかかわる問題でもやっていかなければならぬし、いま大臣が言われましたけれども、やはり農業機械とか化学肥料だとかあるいは農薬だとか、そういうものに非常に頼り過ぎるという日本農業というのを、この冷害、この台風災害の中で塗炭の苦しみにあえいでおる農民日本農政という中から抜本的に考え直して、そういうことを十分対策を立てていただきたい。精神的にはいま大臣も私と同じような考えですけれども、具体的にやはりこういうことを考えておるのだということで、何か具体的な方策がそういう点に考えられておるかどうかということをさらにお尋ねしておきたいと思うのです。
  6. 大石武一

    大石国務大臣 ただいまの御意見、私も全く同感でございます。ただ、いまおっしゃるように、寒さに弱い品種のものを少し不適当な土地に植えているのではないかということでございますが、そういう傾向は確かにあると思います。しかし、これは考えてみれば、人情の上でやむを得ないのかもしれませんね。やはりできるだけいい所得を上げたい、どうせつくるなら、よくて高く売れる米をつくりたいと思うのは人情だと思うのです。そういう意味で、いろいろな気象条件のことも必ずしも考慮しないでやる、そういう傾向があったと思いますが、これは確かに妥当ではありませんけれども、人情ではぼくはやむを得ないことだと思うのですね。しかしそのままですと、いつでも今度はそのような危機にさらされますから、これに対してはやはり何らかの心構えをすることが大事だと思います。そういう意味では、これからもいろいろな研究をやりまして、たとえば寒さに耐え得る品種であるとか、病虫害に強い品種だとか、そういうものも、味のよさに加えて兼ね備えた品種をこれからつくることも非常に大事だと思います。同時に一面、そのような不適当な土地にそのような作物をつくることも、これはもう少し検討して、これを変えなければならないのではないかと思うのです。やはり適地適産と申しますか、適地適種と申しますか、そのような考え方で、たとえば米をつくって、非常に条件の悪いところは今後はできるだけ米つくりでない別な農業作物もつくるようにする。ただしその場合には確かに米をつくるよりは条件は悪くなると思います。そういうものに対してはいろいろと助成をするとかいろいろな方法があると思うのです。いま水田を作付転換しまして別な作物を奨励しております。これも現段階ではやむを得ないことと思いますが、そのようなやり方は普通の条件のいい田んぼでなくて、むしろ条件の悪い土地にそのような補助金をたくさん出したり新しい転作を奨励する方がより効果的じゃないか、そんなことも考えておるわけでございます。
  7. 馬場昇

    馬場委員 たとえば、具体的に気象条件等も十分研究されて事前にそのことで米づくりなんかを指導するとか、やはり堆肥づくりなんかというのもこの際大いに奨励するとか、農民が進んでそれができるような条件づくりをしてやるとか、そういう点ぜひやっていただきまして、気象条件はどうにもできませんけれども、少なくともこれが人災と言われないような農政をひとつやっていただきたいということをお願いしておきたいと思うのです。  そこで、いまもちょっと出ましたけれども、こんな災害冷害を受けますと、米の過剰、過剰と言われますけれども、気象条件米つくりにいい方向には決して流れていないわけでございますし、単年度米が果たして過剰になるのかどうかという点の心配さえあると私は思うのです。そこでやはり生産調整減反政策というのをもうやめるべきじゃないか。そこをやめるということに踏み切ってから、そこから農政というものをスタートさせるということがこの際必要じゃないかというような気がするのです。たとえば日本瑞穂の国でございますし、言わなくてもわかっていますけれども、日本歴史を見て、米をつくるななどと言った人は私は余り知りません。専制君主がおったり少し悪代官もおりましたけれども、日本歴史を見て、瑞穂の国で米をつくるなと言ったのはこの昭和の御代の自民党の政府だけじゃないかと私は思うのです。そういう点で、農民にとって米づくりとは命ですから、この心の稲を枯らしたという状況、そのことが後継者も育たないというような状況になっているし、植えたら植えたで今度は出かせぎに行く、後は余り愛着がないとか、そういうような農業になってしまったのではないか。いわゆる農業に対する愛情といいますか愛着というのは、この減反政策でもって心の稲を枯らしたという状況の中で、そういう状況が出てきた。そういう農業愛着がないという点、その辺がやはり災害のときに被害が大きい、こういうような状況になってしまったんじゃないか、こういうような気もするわけでございます。  そこで片一方の面から見ますと、世界的にも食糧不足飢餓状況にある人が別のところにおる。日本はできる米をつくらない。そうして今度は別にまた世界食糧輸入している。どういう日本の国だろうか、どういう日本政府だろうかと飢餓に瀕している国の人たちは思うんじゃないかと私は思うのです。そういう意味で、たとえば外麦輸入を減らす。減らした分はまた飢餓のところに行くでしょうから、また日本は米もつくる、余ったらまたそういう援助もするとか、そういう中で外麦輸入を減らすということも世界食糧危機に貢献することだし、また米をつくって援助することも貢献することだし、そういう意味外麦輸入なんかを減らしながら、また日本国内でも米の需要を拡大しながら、生産調整、心の稲を枯らすようなことをやらない方がいいんじゃないか。ここでもうやるべきじゃない。そしてまた、こういうことがありますと備蓄も少なくなるでしょうから、つくって備蓄もやる。そういうような米行政食糧行政というのをこの際、いままでのように過剰、過剰とマンネリ的に頭の中で思っているだけじゃなしに、いまの災害を見ながら、現場を見ながら、世界情勢を見ながら、食糧危機考えながら、ぜひそういう政策をとっていただきたいと思うのですが、大臣、どうですか。
  8. 大石武一

    大石国務大臣 私は原則的にただいまの御意見に賛成であります。私は考えておりますが、日本人主食は米であると思います。ですから米というものは永久に——永久にといっても五十年、百年の話でございますが、その米というものを大事にして、日本の人口がどのようにふえましても米で日本人を養っていくことができるような体制だけは絶対につくらなければならないと思います。そういう意味で、たとえばいま麦とかそういうものの輸入が非常に多く行われておりますが、これは言ってみれば、将来はやはりその輸入は減らして、もっと米で日本主食を大部分賄っていけるように持っていくことが一番望ましいと思います。ただ御承知のように現代の段階では、日本人のいろいろないまの生活の仕方や物の考え方に関しまして、一挙に麦の輸入を減らして米を食えといっても、それはなかなか困難なことだと思います。麦の輸入を大幅に強制的に減らすことができれば間違いなく米の消費はふえます。しかし実際はそういうことはなかなかできかねます。そういうことで長い将来を考えまして、米の消費をふやしながら、米の生産を確保しながら外麦とか主食輸入はできるだけ少なくしていくことが、私は民族のために大事なことだと思います。  ただし、いま御承知のように米が余りまして、全量これを買い上げるとなりますと食管会計の赤字が非常にふえまして、これがふえますと農林行政をいろいろ圧迫いたします。そういう意味で現在は米の生産調整という政策がとられておりますが、これは一面当面の問題としてはやむを得ないと思います。しかし長い将来、近い将来にはこのような生産調整が果たしていいか悪いか。生産調整の仕方も、さっき申しましたようにいまの田んぼをやめないでもっと不適地なところをやめさせるというような形をとるとか、その他いろいろなことをやりまして、できるだけ需給バランスがとれるようにしながら、無理な生産調整はしないで、そうして将来民族がどのようにふえましてもこれを養っていくだけの米の生産が行われるような生産性向上と申しますか、これは潜在的なものになりましょうが、そのような生産性向上を図るような方向に持っていかなければならないと私は考えております。そういう意味でこれは非常にむずかしい問題でありますが、いろいろ考えればこのような無理な——無理というか、生産調整をしないでも別な形で米の需給バランスがとれて将来の増産が望めるような形に持っていきたい、こういうことにいま考えておる次第でございます。
  9. 馬場昇

    馬場委員 原則的には大臣も私の考えと同様のようでございますが、たとえば麦の場合、私の調査が正確かどうか知りませんけれども、昭和四十四年と四十五年の外麦輸入では、二百万トンかそれ以上よけい四十五年にふやしたように私は調べておるのです。減反政策は御承知のとおり四十五年から行われたわけでございますが、麦の輸入をわざわざ二百万トンか幾らふやしておいて、そして百万トンの米の生産調整を同じ年にやっておるわけですね。この辺が私はどうも不思議でならないのです。何でふやしたかというと、やはり輸入は商社が取り扱っていますから、ふやせばもうかるでしょうから、そういう点を配慮して麦の輸入が先になっちゃって、米の減反政策はそれに伴ってしわ寄せでやったんじゃないかというような疑問さえ実は私は持っております。  それはともかくとして、今日百万トンの米の生産調整をやっているわけですから、麦の輸入を百万トン減らすと生産調整しなくてもいいんじゃないか。これは農協のことしの要求にも農民要求にもきちっとそういうことを言っておられるわけですから知っておられるわけです。そして今度は、麦を減らしますと米の消費拡大もまたできるし、学校給食なんかも米飯給食をやりますとできるわけですから、ちょっとした計算ですけれども、麦の輸入を百万トン減らしなさい、そして米の生産調整も百万トン調整をやめなさい、できるじゃありませんか。どうですか。
  10. 大石武一

    大石国務大臣 具体的な数字なり状態につきましては、後ほど食糧庁長官からお話いたさせますが、私は少々もうけさせるためとかなんとかで外麦輸入しているのでは絶対にありません。これは、何も日本の国で麦を多く輸入したってこんなものは売れなければどうにもなりません。ですから売れないものは輸入するはずがございません。ただ問題は、そのような国民の食生活が変わり、いろいろな嗜好が変わったために、やむを得ずして私はこの外麦輸入が行われたと思います。でなかったならば、国民のそう好みもしないものに麦を入れよと言って、麦が余ってもてあますことになるのですから、そういうことはないはずだと思います。そんな外麦のストックはないはずだと思うのです。ですから、これはおっしゃるように米を食べさせてもらった方が日本としては非常にいいのです。せっかく何千年か食べてきた米ですからこれは国民にも合うと私は思うのです。そういう意味で、将来いま申しましたように、外麦輸入はだんだんに減らして米の需要を多くしていくということになりますけれども、それは多少時間がかかります。長い間の国民生活嗜好が変わってきたんですから、これをだんだんとある程度時間をかけて直して、米の消費をふやすようにするということに持っていかなければならない、こう考えておる次第でございます。
  11. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの大臣のお話に尽きるわけでございますが、数字の点につきましては、逐次ふえましたのは飼料用のふすま等の関係、それともう一つは、御案内のとおり四十年の初めに即席めんとか他の消費が非常に伸びまして、その需要量に応じた輸入をいたしたということでございまして、基本的には大臣のお答え申し上げたとおりでございます。
  12. 馬場昇

    馬場委員 私も学校の教員をしておりましたけれども、給食一つとってみましても、大臣は好まないものは輸入しないだろうとおっしゃいましたけれども、パン食は果たして生徒児童が好んでいるかどうかといいますと、小学校、中学校でもあるいは高等学校定時制なんかで見ましても案外好んでいないんですよね。いまは米飯に切りかえと言ったら盛んに各学校切りかえたがっておるのですけれども、切りかえた場合には施設の問題とかあるいはそれに対する要員の問題とか、いろいろ財政的な問題があるものですから切りかえも急激にはふえない。あれは切りかえの施設設備費とか人件費を出したら切りかえますよ。そしたらやはり、米飯がふえるわけですから、そういう政策、政治をとりますと米の需要は増大するし、またいま児童生徒が残したパンの後処理をどうするかとかなんとかいって大分困っているところもあるようですから、だからそういう点も政策でもって改善できる。生産調整をやらないような方向でもいけるという点は御存じと思いますけれども、ぜひそういう点やっていただきいと思うのです。  次に時間がございませんのて、今度は山のことについてマツクイムシ防除問題等について御質問申し上げますけれども、大臣、環境庁長官されておりましたときに、私も知っていますけれども、自然保護とか環境保全とか非常に熱心にやっておられまして、私も敬意を表しておるわけでございますが、私の郷里は松の生産地でございまして、もと炭鉱の坑木なんかたくさん生産しておりました。ところが、松は子供のときからきれいなのを見ておりまして、松はもみじしないわけですが、御承知のように全く松山がもみじになっているわけですね。これはまさにマツクイムシによりまして自然の摂理というものが壊されてしまいまして、松がもみじしているということを自嘲的に私の郷里人たちも皆言います。全国的にいまマツクイムシが蔓延しておるわけでございます。私はこれを見ましたときに、自然保護という立場からも、日本の資源、林業という立場からいきましても、あの松がもみじする状態がいまの日本林政の象徴じゃないかというような感じがしてしようがありません。それだけやはり林政というものは不十分だというような感じを持っておるわけでございますが、そしてそのことがひいては自然破壊にもつながっております。これにつきまして長い間対策を国に要求し、徐々にではありますが対策をしていることは私も知っているのです。  ここで具体的に質問申し上げますと、このマツクイムシというものを防除をする。そして松を守り山を守る、自然も保護する、そして林業振興する、こういう点でマツクイムシ防除対策について、特別立法考えておられるかどうかということについて、まず大臣心構えと、法律を出すのかどうかという乙とについてお伺いしたいと思います。
  13. 大石武一

    大石国務大臣 マツクイムシの問題ですが、これはまことに困ったものでございまして、何とかしてあらゆる手段を尽くしてもこれは防がなけばばならないと思います。幸いにその原因がわかりまして、マダラカミキリムシですか、これがマツノザイセンチュウとかという生物を運んで、それが松を枯らす原因になっているということはようやく見つかったようでございます。それに対しましては、現在のところは残念ながらマダラカミキリムシ防除するということ以外に方法がないようでございます。その方法につきましてもいろいろな制約がありますので、やはりおっしゃるとおり何か立法考えまして、強制的にあるいは国家的事業としてこれをやるような方法をいま検討中でございます。そういうことで林野庁でいま一生懸命に研究しておりますので、いずれそのような立法方向に出てまいるかと考えておる次第でございます。  ただ私は、そのほかにこのマダラカミキリムシがなぜこんなに終戦後ふえて、そのような線虫を運んだりするようなことになったのか、なぜふえたのか。何か天然の中のいろんな循環の一つの輪がありますね、そういうものがどこか壊されているのではないかと思うのです、そういうものにつきまして、林野庁としてもできるだけ研究費を出しまして、各方面で広く研究をしてもらいまして、できるだけ早くその根本的な原因、広い大きな原因を確かめなければならぬじゃないかといま考えて、林野庁長官とも相談している最中でございます。
  14. 馬場昇

    馬場委員 いま大臣から特別立法考えておる、検討中だということでございますから、長官にお伺いしますけれども、その立法はいつでき上がっていつの国会に出すのか。その内容は現在どういうことを検討されておるかということを具体的に長官からお伺いしたいと思うのです。
  15. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  ただいま大臣からお答えいたしましたように、全国的に非常に蔓延しているということと、たまたまこれを防除する技術が確立した。いま空中散布いたしまして予防いたしますと、ほとんどかからないという技術になってまいりました。したがってこの際、森林病害虫等の防除方法がございますけれども、その中から取り出しまして、緊急かつ計画的にやろうということで立法化を考えているわけでございまして、実は政府部内において検討しているところでございますが、まだ公表する段階にはまいっておりません。ただ先生おっしゃいますように、駆除の徹底と蔓延の防止ということを中心といたしておりまして、特に空中散布等を中心といたしまして、森林所有者の負担分を減らして補助率を上げるとかあるいは国営防除とか、そういうものを大きくふやしていく。そういうこと等を含めて、いま政府部内、関係省庁とも検討いたしておるところでございますが、次の国会には何とかこれを出したい、こういうふうな気持ちで整理をいたしておるところでございます。
  16. 馬場昇

    馬場委員 ぜひ特別立法というような形で解決をしてもらいたいと思うのですが、いま次の国会には出したいというようなことでございまして内容の一部も申されましたが、もうほとんど三十数都道府県ですか、知事さんなんかでこういう対策会議なんかもつくって、陳情書なんかもいろいろ出て、林野庁なんかとも話が行われておると思うのですけれども、たとえばいまその中で保全すべき制限林等に特別保全地域なんかというようなものをつくって、そこは国が指定をして、そういうところはほとんど国営というような形において防除とか蔓延の防止をやってくれというような考え方がありますし、また市町村でやる場合には、補助を国営と同じように出してくれというような考え方があるわけでございます。  それからもう一つは、環境庁長官をされておりましたから、大石さん特に気をつけておられると思いますけれども、こういう空中散布なんかします場合には、やはり人畜とか魚介類に被害があるわけですから、そういうものの被害が出ないような対策——また、出た場合には補償するとか、もう出ないようにこういう措置をするとか、そういうこともぜひ考えていただきたいと思う。  もう一つは、マツクイムシにやられました跡地の植林、造林、そういうことについても、やはり国営でやらなければ、いま、ほとんど民間では、資金的にもどうにもできない、人的にもできないということもございますから、国の力を必要とするわけです。そういう点がマツクイムシ地帯の住民の熱烈な要望ですが、長官、いま私が言ったようなことについて、もう少しお考えを聞いておきたいのです。
  17. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生お話しのような中身をなるべくこれに盛り込みたいということで検討いたしておるわけでございまして、特に被害の出るおそれのある地域を指定いたしまして、国営あるいは県営とかいうようなこと等も考えておるわけでございますし、また、一部空中散布することによっていろいろな被害がないような処置に対する制度、あるいは跡地造林等は現在優遇措置をもちまして補助造林をいたしておりますが、それらを含めて、御指摘のような中身が十分入るようなかっこうで検討いたしておるところでございます。
  18. 馬場昇

    馬場委員 当初申し上げましたように、松がもみじするなんという林政はもうこの辺で終わりますように、ぜひ、いま言われましたことを格段の努力をして、りっぱな法律を次の国会に出していただきますように要望しておきたいと思います。  次に、振動病の問題についてひとつお伺いしておきます。  大臣は告発か告訴はされないのじゃないかと思いますが、新聞で聞くところによりますと、長官は何か告訴か告発かをされたとか、されるらしいとかいうことが出ておりますが、私は、一国の長官が告訴されるとか告発されるというのはやはり大変なことだと思うし、そうなりますと、そのことは裁判で争われるのでしょうけれども、そういう事態を引き起こしたということについては、やはり反省が必要じゃないか、こういうぐあいに思います。私も最近ずっと、国有林、民有林を問わず働く人たちと話し合いも続けておりますけれども、やはりチェーンソーなんかを使わせておる、はなはだしいときには業務命令を出してそれを使わせておるような営林署なんかあるわけですね。長官に聞いていただきたいのは、私は水俣、あそこが地元ですから水俣病の問題をいろいろ努力をしておりますが、ちょうど水銀で水俣病が起きてあの悲惨な状態が起きているわけですね、そこに、あの水俣にもう一遍水銀を投げ込むような行動じゃないかと思うのです。チェーンソーを使ったら白ろう病になる、振動病になるとわかっている。それなのに業務命令を出してチェーンソーを使わせるとか機械を使わせるなんということは、水俣にいま水銀をもう一遍投げ込んで、水俣病になりなさい、病気になりなさい、狂い死にをしなさいと言うのと同じ行為だと思うのですよ。そういうことなんかが告発の理由の一つになっているということも私聞いておるのです。そういう点について、この振動病について告発、告訴されるという状態の中で、林野行政についての反省はないかという点についてまず聞いておきたいと思います。
  19. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  民有林で約九百名、国有林で約三千名という認定並びに治療者が出ておるわけでございまして、事態はまことに大変なことだというふうな認識をいたしておりまして、私どももそういう認識のもとに、予防あるいは治療ということに努力いたしてまいっておるわけでございます。ただ、先生はもう御承知と思いますが、特に時間規制あるいは新しい機械の開発、そういうこと等を含めまして、このチェーンソーの使用につきましては、組合と労働協約等を結んで、お互いに話し合いした上で使うことにいたしておりまして、その点、さらに十分な徹底を図るというようなこと、あるいは民有林等につきましても二時間規制等、あるいは機械の整備とか、そういうこと等も十分指導してこのような事態がないように遺憾のない処置をとってまいりたい、このように考えているわけでございます。
  20. 馬場昇

    馬場委員 いま長官、民有林で認定された者の数を言われましたが、その数は間違いないと私は思いますけれども、私のおります九州営林局管内でチェーンソーなんかの振動機具を使う人が千三百名くらいの中で、いま認定されているのが七百八十名です。そして、まだ精密検査を要する、疑いがあるといわれる者を含めますと、実は千人近い患者がおると思われます。そうしますと、振動病にかかる率というのは、働いている人の八〇%くらいになっているのですよ。いま、確かに国有林で認定されている者は二千九百五十三名と私も聞いておりますけれども、民有林というのはこの十倍以上もおるんじゃないかというぐあいに私は思います。ところがいま認定されておる者が何百名かという程度で、これはもうお話にならない。  これは大臣にも聞いておきたいのですけれども、実は民有林の振動病の調査、実態把握というのが今日に至るまでも行われていないというところに非常に問題があると思うのです。熊本県でこの間、県庁の職員が二名振動病に認定されました。そして、九月十四日、十六日に、振動機具を使う茶業試験場とか林業試験場とか土木事務所、草刈りとか、そういうところの五十九名を精密検査したのです。ところが、実は熊本県の五十九名の中の十一名が疑いがあるというぐあいにいわれております。こういうことがありますから、それは行政の——たとえば国有林は農林省でしょう、県は、いまみたいに自治体であります、あるいは民有林はまた別のところかもしれませんけれども、特に国有林で一番問題が起きて、一番経験がある農林省ですから、政府という立場においてこの振動病対策をあらゆるところ、民有林やいま言ったように自治体の振動機具を使うところはすべて、そういうところの一斉検診というものを水俣病じゃありませんけれどもやりまして、そして振動病の実態というものを明らかにする必要がある。こういうことを、大石さんは林野庁も所管しておられるのですから、政府部内で振動病の一斉検診なんかをやって実態を把握しよう、そして政府の責任において対策を立てようというような音頭でも取って、ぜひ民間その他の振動病の実態というのを明らかにしていただきたい。いま民有林でさえ明らかになっていないという状態ですから大変な問題だ。その中において、晩も寝られない、痛いと言って死んでいく人も出てきているわけですから、ぜひそういうぐあいにお願いしたい。それに対する見解をお伺いしたいと思います。  それから、林野庁長官には、これに対する答えと含めて、いま一つは、立木販売とか、それからいま、国有林も直営、直用事業をやらなくて、請負に出しているのが多いわけです。そういうときに、請負をしている事業主に対して、たとえば立木を請け負わせるとかあるいはいろいろな仕事を請負わせる場合には、いま国有林でやっているような労働時間なり検診体制なり予防対策なんかをあなたのところでやりなさいということを請負契約に入れるとか、あるいは定期的に検診をしてその検診の結果を報告しなさいということを契約の中に入れるとか、そういうことを当面やりながらも、民間に働く林業労働者が振動病にかからないような対策をとるべきじゃないかと思うのですけれども、これは大臣と長官で答弁願いたい。
  21. 大石武一

    大石国務大臣 振動病に対するいまの一斉検診の問題は結構な御趣旨だと思います。ただ、われわれの林野庁関係だけでやれませんから、労働省、厚生省その他と連携をとりまして、その中でできるだけ早く一斉検診をぜひやらなければならない。  それから、いま林野庁では、御承知のように実働二時間ということで一応やっております。この二時間という数字はいろいろな経験から割り出したのだと思いますが、果たして二時間が適当であるか、もっとやれるかやれないか、その他どういう対策が必要か、そういうことをもっと医学的に究明する必要があります。たとえば振動病と言われるものは果たしてどういう内容のものなのか、これも確かめなければ困ると思うのです。そういうことで、もう少し具体的に、真剣に、医学的にこれを究明してまいりたいと考える次第でございます。
  22. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  立木処分なりあるいは請負等は実際民間の方々がやられますから、そういうことに対して契約上いろいろな規制を加えたらどうだというお話でございますが、実は先般国会の中でもいろいろ御議論がございまして、立木処分というのは、お互い立ち木の売買の受け渡しが終わりますと、その後について直接ということは法律上なかなかむずかしいのでございます。ただ、素材生産の請負等を国有林の中でやっている、これはそのこと自体が一つの問題でございますので、それにつきましては、チェーンソーの使用の問題だけじゃございませんし、基準法もございますし、いろいろ守るべきことがございますから、そういうもの等を含めた契約上の問題として先般通達を出しまして改善しているところでございます。
  23. 馬場昇

    馬場委員 長官が労働省とか厚生省と話し合って、たとえば一斉検診とかその他の研究体制なんかもつくる。ぜひ前向きにやっていただきたい。大変な問題ですからよろしくお願いしておきたいと思うのです。  そこで、今度は構造改善局に具体的な問題でお尋ねします。  熊本県天草の羊角湾というところでいま国営パイロット事業が行われております。これは昭和四十四年に着工されて今日に至っておるのですが、ここ二、三年ほとんど工事停止という状況になっておるのはもう御承知のとおりでございます。  私ども社会党といたしましては、五月二十八日に正式に党の調査団をここに送りました。私もその一員としてそこに行ったわけでございます。結論から申し上げますと、この国営事業というのは、このまま従来の計画で進めていきますと、事業目的を失っておる、国費のむだ遣いである、工事のための工事である。だから、これは計画を変更すべきであるというのが実は私どもの見解でございます。  具体的に言いますと、ミカン園の造成、開拓があるのですが、大体九百七十七ヘクタールぐらいのミカン園をつくる、こういう計画になっておりました。私はこんなことは現地を見て知っているのです。岩山があって造成ができないということはわかり切っているのにそんな情勢でございましたから、この委員会でそんなに造成できるはずがないということを主張しましたら、そうして、五百ヘクタールという国営事業の限界を切りますよ、それはできませんと言いましたら、五百ヘクタールの造成は必ずできるという答弁でございました。できないときにはどうするかと言いましたら、できますけれども、できないときには国営事業をやめて県営等に格下げをすることも考えておりますというような答弁がありました。ところが、今日、案の定三百七十ヘクタールぐらいの開墾しかできていないのです。そうしてその中で植栽できますのは百七十ヘクタールぐらいなのですよ。こういうように、最初は千三百ヘクタールぐらいとか言われておりましたが、九百七十七が三百七十ぐらいの開墾で、植栽できますところはのり面なんかが多いものですから二百足らずなのです。それを県営にも下げなくて、国営基準である五百ヘクタールを割ったのにまた国営で続けておる、こういう状況でございますが、これが現状です。それから、千ヘクタールぐらいつくったミカン山に灌漑用水をやるということで、羊角湾という湾を締め切って淡水湖にするというもう一つの事業が行われておるのですが、あそこの羊角湾というのは魚の宝庫でございます。そして産卵場でもあるし、稚魚が育つところでありますし、プランクトンも多いし、東シナ海の回遊魚が入ってきますし、物すごいりっぱな漁場なのです。これを締め切って淡水湖にして、そこから灌漑用水を九百七十七ヘクタールのミカン園に揚げるという計画でございましたが、この工事に一部着工しましたら、汚濁問題なんか起こりまして、現在工事は中止しておりまして、ここは漁業権の放棄の問題を含めて二つの裁判が行われておる、こういう状況でございます。  そういう中で、もう時間がございませんから端的に聞きますけれども、九百七十七ヘクタールというミカン園に灌漑用水を揚げるということで、羊角湾を締め切って水を揚げるというのですが、三百七十か百七十ぐらいで、行ってみますと、ミカンはほとんどなくてアオギリなんかが植わっているのです。そういう状況ですから、灌漑用水なんか海を殺して締め切って揚げる必要はないということでございます。  ここで私が質問したいのは、まず計画変更で開拓の変更がずっと行われてきたということでございますので、締め切り計画というのを変更して、つくったわずかのところに水が必要であるとすれば、あそこは川が流れておりますから、そこに小さいダムをつくるなりして、そこから水をとったらよかろうということを考えておるわけでございまして、こういう淡水湖にする締め切り工事を、山の方にダムをつくってそこで水をとるという工事に変更してはどうかということがございます。この一つ意味は、結局山で、ほとんどもう農業振興になっていないのですよ。アオギリがちょっと植わっているだけでミカンもほとんどない、そういう山で農業振興にならないところに魚の宝庫の海を殺す必要はないじゃないか。  もう一つは、元環境庁長官、これは自然破壊ですよ。あそこのりっぱな海、あそこの漁場を締め切って殺してしまうというのは自然破壊にもなります。一回つぶしたらこれはだめになってしまうのです。そういう意味におきまして、結局海を山の犠牲にしてはならない。二百海里問題等で漁業資源、たん白資源というのが大変な問題になっているときにそんな犠牲を払う必要はない、こういうぐあいに思います。そしてまた、そういう意味において漁民の生活がそこで失われるわけですから、自然を破壊しない、漁民の生活を守る、漁業を守る、たん白資源をとるという中で、山を流れている谷川を締め切ってそこから水をとるようにしてはどうか、こういうことがわれわれが調査をした結論でございます。  そこで、こういう点については、関係の漁民とか農民とか関係の自治体の要望でやったと言っておられるわけですから、この際、そういう関係者を含めて、やはりつくったものは何とかして水をうまく引こう、海は生かそうという方向で、漁民とか農民あるいは自治体を含めて計画変更のための検討会をつくる気持ちはないかどうかということについて質問しておきます。
  24. 岡安誠

    ○岡安政府委員 羊角湾の国営、これは総合農地開発事業でございますけれども、これは内容は先生十分御承知のとおりでございます。  まず計画変更して面積を縮小することはどうかという御質問でございますが、確かにこの……(馬場委員「面積は縮小になっているのです。計画変更してなっているのです。私は海の方を計画変更しなさいと言っている。時間が私は二十分までだそうですから……」と呼ぶ)じゃ、そちらから申し上げますけれども、まず農地開発は、当初九百七十七ヘクタールでございますけれども、温州ミカンが現在相当過剰でございますので、大体三百七十、現状程度でこれ以上の開発はやめたい、やめた方がいいのではないかということで、現在県それから市町村、受益者と相談をいたしております。その方向で計画変更がなされる、その場合でも国営で継続をいたしたい、そういう要望でもございますので、そういうことを考えております。  その際、そういうふうに変更すれば羊角湾の締め切り、それによる淡水湖の造成は要らないのではないかという御質問でございますが、私ども調査をいたしておりますけれども、あの近辺で渓流水等を利用いたしましても、営農用の雑用水を賄うに足る程度の水しか確保できない。やはりあそこにおきましてミカンが相当現在植わっておりますし、その他の作物を植栽するためにも畑灌といいますか、その程度の用水の確保は必要でございますので、私どもはまだあそこの淡水湖を造成をいたしまして用水確保という考え方は捨てておりません。しかし、当面必要最小限度の雑用水を確保するということから、渓流水の利用というものはひとつ計画の中に組み入れて検討はいたしたいというふうに思っております。
  25. 馬場昇

    馬場委員 それで、たとえばあそこのダムをつくれば水はあるし、畑というのはほとんど水は——現在もうミカンが植わっているわけですから、そしてダムがなくても現在生育しておるわけですよ。だからいま言われたのは、ただ一遍計画したのをを続けるというメンツにしかすぎないし、むだな工事であるし、国費のむだ遣いだと私は思うのですよ。そういう声は現地の住民の間にほうはいとして起こっているのです。そのために漁民を殺すというようなことがあるわけです。海を殺すことになるし、自然を破壊しているわけですから、やはりきちんとして、そういうことに謙虚に耳を傾けて、そういう人たちと検討する話し合いを持つということぐらいの態度をとらなければ、まさに傲慢な、メンツのための工事でしかないと私は思うのですが、その点どうですか。話し合いをきちっと検討するという意思もないのですか。
  26. 岡安誠

    ○岡安政府委員 その農用地造成で現に半分、二百ヘクタール前後はミカンが植わっているわけですから、ミカン園等についてその灌漑施設がないということは、現在まで、干害がなければ問題はありませんけれども、一たび干害という事態が起きれば非常に問題になるわけでございます。私ども、やはり地元の要望もありますので、雑用水程度の確保では不十分ではないかというふうに思っているわけです。したがって、現在直ちにその地元の農家の方々が希望しております灌漑用水の確保というものをあきらめるというわけにはいかないのではないか。ただ、あそこの淡水湖の造成につきましては裁判が二つもございますし、いろいろ地元の意見もございますので、十分今後とも話し合いまして、工事の進捗は慎重にしなければならないとは思っております。しかし、やはり農用地を造成をし、それを経営する農民の方々の意向というものも私どもは無視はできないというふうに思っております。
  27. 馬場昇

    馬場委員 まだ議論がありますけれども、漁民を殺しながらそんなことをするのは絶対に許されないということですから、そういうことだけは申し上げておきます。  終わります。
  28. 湊徹郎

    ○湊委員長 井上泉君。
  29. 井上泉

    ○井上(泉)委員 私、農林大臣にまずお尋ねするわけですが、ソ連によって日本の漁船がかなりの数、拿捕されておるわけですが、こういう状態に対して農林当局はどう対処されておるのか、その点についてまず最初に承りたいと思います。
  30. 大石武一

    大石国務大臣 拿捕されることは大変なことですから、できるだけ拿捕されないようにということで一番の努力を払っておるわけでございます。問題はやはりソ連側との話し合いでございますが、御承知のようにミグ25の問題と絡みましていま非常に感情的といいますか、むずかしい状態になっておりまして、一切日本の十二海里の物の考え方を認めないというような方向で進んでおるようでございます。そういうことになりますと、やはりこちらではできるだけまず拿捕されないようにひとつ注意してもらう。それはできるだけ早く外交上の交渉によりましてソ連との間の話し合いをつけることが一番大事でございますが、それまでの間、拿捕されないようにこっちで全面的に漁民にも注意を喚起しますし、漁民も注意をして拿捕されないということが一番大事なことじゃないか、こう考えておる次第でございます。
  31. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それは当然のことですが、拿捕されないようにするために漁民に注意を与える、こう言っても、海の上のことで、特にこのミグ25の問題以来は非常に感情的とも思われるようなソ連の漁船拿捕事件が相次いでおるわけです。こういうふうな状態に対して水産庁の方では、拿捕されないということがまず第一番だが、拿捕されないためには注意と言うが、どういう注意を与えておるんですか。
  32. 内村良英

    ○内村政府委員 ただいま大臣から御答弁ございましたように、拿捕対策として政府におきましては、昭和二十七年五月の閣議決定で、海上保安庁が道北と道東にそれぞれ常時一隻の巡視船を配備して拿捕防止のための特別哨戒を実施してきたわけでございますが、最近の国際情勢にかんがみまして、海上保安庁から二回にわたって全管区に対して拿捕防止の徹底をまず指導してもらっているわけでございます。それから農林省といたしましても、従来より関係都道府県及び関係漁業団体を通じて、わが国漁船の拿捕事件の未然防止の指導を行ってきておりまして、これを受けて北海道においては、九月二十九日に北方海域出漁船に対して拿捕の未然防止の指導を行っております。水産庁といたしましても同様の通達をしております。  なお、北方四島の拿捕事件の発生の際には、外交ルートを通じて直ちに釈放するよう申し入れているところでございます。
  33. 井上泉

    ○井上(泉)委員 外務省にお尋ねするわけですが、現在もうすでにソ連に抑留されておる者が六十一人もある。それで、本年に入っても相当な拿捕された数があるわけで、特に九月、八月、ずいぶん多いわけですが、これが現在外交交渉の中でどういうふうになっておるのか、御報告を願いたいと思います。
  34. 都甲岳洋

    ○都甲説明員 御説明申し上げます。  御指摘の点でございますけれども、ミグ25の事件が発生いたしましてから若干日ソ関係感情的なやりとりがございますけれども、事実に即して申し上げますれば、ミグ25事件発生以来の拿捕件数というものを昨年と比べてみて、私どもとしては、件数において、また拿捕された漁夫の数において特にふえていないということが事実でございます。数字を若干申し上げますと、たとえばことしになりまして九月六日にミグ事件が起こったわけでございますけれども、九月中には五隻、二十五名、それから十月中には二隻、十一名という数字でございますが、昨年同期におきまして、たとえば昨年の九月は三隻で二十五名、それから十月に八隻で五十七名、十一月にはさらに十隻という数の拿捕事件が昨年も起きているわけでございます。こういう数を見てみますと、報復措置ではないかということで大分言われましたけれども、私どもとしては、拿捕事件というものがそれほど急速にふえているという事実はないのではないかというふうに考えております。  それで、ミグ事件をどういうふうに考えるかということでございますけれども、私どもといたしましては、本件はあくまでも政府の意思あるいは国民の意思にかかわりなく起きた事件であるということで、そういう意味からして、これが過去、国交回復後二十年間培われた日ソ関係の基本的な関係に影響を及ぼすべき性格のものではないというふうに考えておりまして、この点はソ連側も理解をしてもらえるのではないかと考えております。もちろん、北方水域における拿捕問題というのは根本に北方四島の問題が解決していないということがあるわけでございまして、政府といたしましても、そういう意味ではこの根本的な解決策といたしましては、やはり領土問題が解決して平和条約が締結されるまでの暫定的な措置として、双方の立場を害することなく、漁民の安全操業というものをソ連側との粘り強い話し合いによって解決していくということが基本的に必要なのではないかと考えておりまして、従来ともその方向でソ連側と話し合いをしておりますし、今後ともまたこれを続けていくという考えでございます。
  35. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それで、現在抑留中の六十一人というのはいつの時点に抑留されたものであるのか、その抑留された時点を資料として提出をしていただくと同時に、抑留されておる漁民の釈放交渉というものが現在どうなっているのか、その点伺いたい。
  36. 都甲岳洋

    ○都甲説明員 現在六十一名の方々が抑留されておられますけれども、具体的にいつ抑留されたかという細かい資料を持っておりますので後ほど先生にお届けしたいと思いますが、私の承知しているところでは、本年の一月に一たん全員釈放になりまして、その後また抑留をされたということでございますので、大体半年あるいはそれ以下の抑留期間というものがおおよそのめどであると考えております。  それで、北方四島の周辺におきます拿捕の問題につきましては、私どもはもちろん領土問題という基本的な日本政府の主張がございますので、これに対してはもちろん抗議をするとともに、乗組員の釈放、それから船体の返還ということを申し入れているわけでございますけれども、これはやはりソ連側に対してこういう申し入れを続けていくことによって、できるだけ早く釈放及び船体の返還ということを実現していく必要があると考えております。
  37. 井上泉

    ○井上(泉)委員 こうした地域で拿捕された場合、これは漁民が一番大変な被害であるし、またその家族にとっても耐えられない気持ちの日々の毎日だと思うわけですが、拿捕されないような状態に持っていくためには、この地域はソ連に拿捕される危険性があります——あるいは漁民に言わせれば、当然日本の領海内にあるにもかかわらず拿捕されたというようなことも言っておる報道もなされておるわけですが、その点について海上保安庁は、北方地域における漁民の操業の安全についてどういうふうな警備体制をとっておるのか、その点承りたい。
  38. 久世勝巳

    ○久世説明員 お答え申し上げます。  北方海域におきます海上保安庁の拿捕防止対策でございますけれども、先ほど水産庁長官から御説明もございましたけれども、昭和二十七年五月の閣議決定に基づきまして……(井上(泉)委員「時間がないから、現在どういうことになっておるか」と呼ぶ)現在は一応道東、道北に巡視船艇を常時一隻ないし二隻場合によって派遣しまして、直接漁民に対してソ連の主張領海に入らないようにということで現場において指導をしております。そのほか、都道府県及び漁業組合等の関係機関を通じまして、海難防止講習会等、あらゆる機会を利用しまして、ソ連主張領海内に入らないように、自粛するようにというような指導を行っております。  以上でございます。
  39. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それでは、ソ連に拿捕された時点に保安庁の警備船が遭遇をしたとかいうようなことは一度もないですか。
  40. 久世勝巳

    ○久世説明員 最近ではそういうことを聞いておりません。
  41. 井上泉

    ○井上(泉)委員 最近そういうことを聞いていないということは警戒をしていないということじゃないですか。ただ文書でやりとりしても、そして机の上でこうしますああしますと言ったところで、現実に日本の漁船がたくさん出ておるのですから、その現実に出ておる漁船が安全操業のできるように保安庁が——これだけ拿捕事件があるんだから一度や二度ぐらいは拿捕事件の現場に遭遇をして、ここは日本の領海内でございますよ、ソ連の言い方は不当でございますよとか、あるいはその漁船がこれはやむを得ずソ連の領海内に入っておったとか、現場でそういうことにも遭遇をしないということは、これは十分な保安体制をしいているということは言えないのじゃないですか、一回も遭遇していないということは。
  42. 久世勝巳

    ○久世説明員 最近ではそういう事実はございませんけれども、私どもの巡視船艇がソ連主張領海のぎりぎりのところまでパトロールいたしまして、要するに漁船がソ連主張領海に入らないように直接指導しておるわけでございますが、巡視船が直接ソ連主張領海に入ることは現時点では非常に不可能でございます。それで、事実漁船が拿捕されておりますのは、私どもの調査ではソ連主張領海の中で一応拿捕されておるということがございますので、その時点で直接拿捕したところに、巡視船がその現場そのものに居合わせるということはない、このようなことでございます。
  43. 井上泉

    ○井上(泉)委員 現場に居合わせたことがないということは、これは十分な警戒体制をとってない、いわゆる海上の操業の安全を守るために保安庁が十分な指導体制をとってない。それだったら拿捕されたのはソ連の言いなりに、もうソ連は自分の領海に入っておったんだ、こういうことで何も抗弁をする余地はないんじゃないですか。一回ぐらいはそういうふうな状態に遭遇をしておれば、これは日本の領海内でやっておるのをソ連がやっておる、それは保安庁の警備船がおるとソ連は入ってこなかったとかということがあるにしても、私はやはりもっと北方の漁民の操業の安全のために保安庁は力を入れなければいかぬと思うのですが、大臣、どうですか。
  44. 大石武一

    大石国務大臣 保安庁もできる限りの努力をしていると思います。ただ、安全操業の内容が完全に相互理解に達しておらない点に一番問題があると思うのです。われわれは四島を中心とした海域は日本の領海であるという方針で、日本はそのようなことで出漁しておりますが、ソ連はそれを認めておらないのです。そこに私は問題があると思うのです。ですから、この問題をもし解決するには四島の帰属の問題が一番中心になりますが、それはいつになるかわかりません。そうなりますと、もう少しこれをはっきりさせて、何と言ったってこれは力ずくの問題になりますから、お互いに意見が食い違って、こっちがおれだ、あっちがおれだと言ったって、これはどうにもならない問題です。そこでどっちかのやり方をはっきり、それを一応ソ連が認めてやってくれるか、あるいは認めなければそっちへ行かないかという、これは大変な問題ですけれども、何かの根本的な考え方に達しない限りはいつまでもこういう問題は続くんではなかろうかと思うのです。ここはソ連の領海だと片一方は言います、こっちは日本の領海だと言う、お互いの解釈が違うのですから、そこに私は問題があると思うのです。これをもう少し煮詰めて、むずかしい問題ですが、煮詰めない限りは、残念ですけれども、これらの拿捕問題はまだ続く可能性があると思うのです。ですから、やはり根本的にひとつこれを決める方向に懸命の努力をしなければならぬのではないかと考える次第でございます。
  45. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それは日本の領海内である、あるいはソ連の領海内であるという問題の解決は、これはなかなか早急にはできないとしても、やはり現実に現在漁民が日本の領海内であるにもかかわらず拿捕されたということではなしに、これは日本側が日本の領海内でやっておったという抗議をしたことも一遍も聞いたことはないわけですが、そういう点からも私はとにもかくにも零細な漁民の操業の安全を確保するために保安庁はやってくれておるだろう、こういうふうに非常に善意に理解をしておるんですけれども、私は保安庁がそういうことについてもっと力を入れてやるべきだ、こう思うわけですけれども、大臣はこれ以上この辺の操業安全について保安庁に要請をするというお気持ちはないですか。
  46. 大石武一

    大石国務大臣 それは、運輸省にもよく話しまして、できるだけ力を入れてもらえば結構だと思いますが、運輸省、海上保安庁に対してそのような要請はいたしたいと思います。ただ、問題は保安庁の警戒といっても、ソ連の監視船が来たから逃げろとかなんとかという通報を発することが、お互いにけんかするわけにまいりませんから精いっぱいじゃないかと思うのです。非常にむずかしい問題だと思いますが、おっしゃるとおりできるだけ被害を少なくするためには、やはり保安庁の警戒態勢と申しますか、それを強化する必要があると思います。そういうことで、保安庁にはそのような申し入れをいたしたいと考えます。
  47. 井上泉

    ○井上(泉)委員 現場に居合わせた漁民が、保安庁の方から通報を受けたということも一遍もないのです。だからもっと保安庁の方が漁民の操業安全のために熱意を持って取り組んでいただきたいと私は思うわけです。  そこで、時間がありませんので、二つだけ大臣並びに水産庁の長官に見解を承りたいと思うわけですが、その一つは、領海十二海里というものを日本はいつ宣言をするのか、それについての現在の状態はどういう状態になっておるのか、その点の説明を承りたい。  もう一点は、これは水産の関係とは違うわけですけれども、構造改善局長に、いまの馬場君の質問に続いて私も質問をしておきたい、こう思うのですが、農林省の指導のもとに樹園地造成をやったミカン園が全国でたくさんあるわけです。ところがミカンが過剰のために連年赤字続きで、借り入れた金も全く払えるような条件にない農業法人というものがたくさんあると思うのですが、そういう農業法人に対して行政当局はどう対処するのか、この点も農林大臣の見解と構造改善局長の見解を承って私の質問を終わりたいと思います。
  48. 大石武一

    大石国務大臣 沿岸十二海里説につきましては、御承知のように、日本政府といたしましても、極力それを宣言をいたしたいといって、あらゆる努力をしてまいりました。大体大筋のところでは内容は決まっているわけでございますが、ただいろいろな、多少むずかしいというのは、私はむずかしくないと思うのですが、非核三原則とかいろいろな問題がありまして、そこにひっかかりがあっていまだに十二海里の宣言ができない状態のようでございます。しかし、私はやはり大きな見地から見まして、どうすることが一番妥当かということを考えますと、やはり十二海里宣言を早く行うことが大事だと思います。そういう意味では、いろいろな、多少問題になっている問題を大乗的見地からこれを判断するということでなければならないと考えておる次第でございます。そのような努力をいたしたいと思います。  それから、あとのミカン園の問題につきましては、どうもよくわかりませんので、ひとつ係からお答えさせたいと思います。
  49. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 構造改善局長がいま参っておりませんので、私ミカンの関係でございますのでお答えいたしますけれども、先生のおっしゃるのは、具体的に構造改善局でやっております農用地の開発事業で、ミカン園を造成したところの融資の償還の問題だと思いますが、具体的な事情をよく調べまして、負担の軽減をできる道があるかどうかよく検討したいと思います。
  50. 内村良英

    ○内村政府委員 ただいま大臣から御答弁がございましたとおり、水産庁としては、一日も早く領海十二海里を実現したいと思って、いろいろ努力しておるところでございます。
  51. 井上泉

    ○井上(泉)委員 質問を終わります。
  52. 湊徹郎

    ○湊委員長 美濃政市君。
  53. 美濃政市

    ○美濃委員 二、三質問いたしたいと思います。  第一点は、冷害によりまして規格外米の買い入れでありますが、これは大臣はこの前の委員会で、今月中に検討せよと食糧庁長官に指示をした、こういうことだったのですが、もう現実には米が出回ってきまして、急ぐと思うのです。この際、今月末では非常におくれると思いますので、私の要請はできるだけ早く、今明日じゅうくらいに、おそくとも十五日ころにはこれを明確にしてもらいたい、こう思うのですが、いかがでしょう。
  54. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げますが、被害が大きくて出回りの早い東北、北海道等におきましては、低品位米の買い上げのための特例規格の設定については急ぐべきが当然でございまして、先般も大臣から、一切の公式的手続を今月中に終わるようにという御指示を受けて準備を進めておるわけでございますが、買い入れ規格等の基準等が内定しましたら、むしろ関係先へもっと早くお示しして、事実上の集荷の円滑化を図れるようにということで、できるだけ急ぎたいと思いますが、具体的な日取り等についてはなお準備を急いでおりますので、ちょっと具体的な日取りについては申し上げかねる段階でございます。
  55. 美濃政市

    ○美濃委員 もう一回、どこらまで作業が進んでおるのか、一日や二日違ってもこれはやむを得ぬですが、現地は非常にそれを期待しておるのでございますから、見込みでよろしゅうございますから、おおよそ何日ごろ、どのくらいの規格のものまで大体買えるだろう、見込みでよろしゅうございますからひとつ……。
  56. 大河原太一郎

    大河原政府委員 できるだけ早いという姿勢でございますが、何日というところまでは準備の都合もございます。と申しますのは、従来でございますと、冷害等でも、ちょっと技術的な言葉になりますが、未熟粒混入の規格外甲とか、あるいは未熟粒混入規格外乙ということで、大体災害に伴って出回ります低品位米の買い入れができたわけでございますが、本年は特に青未熟というようなものについてこれを配慮しなくてはならぬというので、現地の出回っております米の品質を見て規格を決めたいというようなことで、最も現地の要望にかなった規格の設定ということで準備を進めておりますので、非常に急いでおりますけれども、何日ということについては申し上げかねるということでございます。
  57. 美濃政市

    ○美濃委員 もう一回お尋ねしておきたいと思いますが、規格について、従来冷害対策のときに買ってきた甲、乙の乙ですね、あの程度までは買うという見込みですか。
  58. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げますが、ただいま申し上げましたとおり、未熟粒混入の甲なり乙の規格がございますが、それだけでもなかなか救いがたい面があるのではないか。したがってもう一つ特例規格を設けるかどうかということでわれわれとしては苦心惨たんをしておるというところでございます。
  59. 美濃政市

    ○美濃委員 できるだけ早く決定するように要請を申し上げておきます。  次に、過般てん菜の価格が決まりました。これは、価格の決定についての報告は次の委員会というふうにお聞きしておりますので、いろいろ振興対策やその他については次の機会にしたいと思います。ここでお尋ねしておきたいのは、てん菜の奨励金ですね。奨励金をつけるという報道がされておりますが、これはいつからどういう構想でつけるのか。ことしの昭和五十年産作付にも奨励金がつくのか、これをひとつ承っておきたい。
  60. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 お答え申し上げますが、例の三千八百六十円相当の奨励金ですね。これにつきましては、今年産のものにつきまして三千九百円の奨励金をつけまして、これは国と企業が責任を持つということで農家の手取り価格を一万七千円にするということでございます。  それからもう一つ、これは名前は奨励金という名前をつけるのがいいのかどうかということはまだ決まっておりませんが、先生のお尋ねの奨励金の反当二千三百円を払うというその奨励金の考え方であろうかと思います。これは今後ビートを増産していただくという趣旨において、特にバレイショからビートへということを奨励するという趣旨におきまして、今後市町村ごとにてん菜の作付の目標面積というのを決めていただきまして、その目標面積を増加した市町村につきましては、ビート作農家全員に対して反当二千三百円を支払うということでございますから、今後それぞれ市町村におきまして年次ごとにビートの増産計画目標を定めまして、その目標を達成した市町村につきましてそのお金を交付する、かように考えておるわけでございます。
  61. 美濃政市

    ○美濃委員 いまお答えの奨励金はどの局で扱うことになりますか。食品流通局ですか、それとも農蚕園芸局ですか。これはいわゆる耕作奨励金ですから、どちらが扱うのですか。
  62. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 いずれで扱うかは定まっておりませんので、今後財政当局とも十分協議をしながら決めてまいりたいと考えておりますが、いずれにしても農林省で出すことにおいては間違いございません。
  63. 美濃政市

    ○美濃委員 その目標面積というのは市町村は自主的に定めていいんですね。定めてもらってという表現ですから、目標面積は自主的ですね。
  64. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 これは内容についてはなお詰める必要がございますが、私としてはやはり道全体として少なくとも三千ヘクタールくらいは初年度ふやしていただく必要があるんではないか。これはもちろん作付をいたしますのは農家の方々でございますから、農家の方々によって面積が定まるわけでございますから、これを一律に上から割り当てるということは適当でございませんで、よく地元と話し合いながらその面積を確保していくというふうな考え方に立つのが適当ではないかと思います。ただ、輪作問題を考えていきます場合には、道としましてもどういう地域ごとにどういう方針でどういうふうな指導を行っていくのかという基本的な、あるいは地域別のそういう指導方針といいますか、輪作の方針といいますか、そういうものは立てていただく必要があるんではないかと私は思っておる次第でございます。
  65. 美濃政市

    ○美濃委員 とすると五十一年、ことしはどうなるのですか。ことしは該当するのかしないのか。
  66. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 いまから集荷されますてん菜は四万二千ヘクタールのところから出てくるわけでございますから、それには該当いたさないわけでございます。
  67. 美濃政市

    ○美濃委員 きょうは時間がありませんから、こういう問題についての質疑は次にいたします。  次に、本年の保証乳価の決定に伴いまして、酪農家の設備投資が非常に大きい関係で高額負債になっておるので、その条件緩和をやる、こういうことで調査も進められておったと思うのですが、その結果は現在はどうなっておるか、どういうふうに措置をしようとしているか。
  68. 大場敏彦

    ○大場政府委員 負債が酪農経営の重圧になっているという声はしばしば聞かれておりまして、そのために、畜産局といたしましても、この八月から北海道を初め有力な酪農県に国と県と共同いたしまして調査をしております。酪農の経営の実態調査と、それからもう一つは借金がどの程度累積しているかという意味での資金の動態調査、大きく分けましてその二つをいま調査しております。タイミングといたしましては大体十一月末までに農林省に報告願う、こういうような状況であります。
  69. 美濃政市

    ○美濃委員 これは十一月末までに……。いまのところまだ出てきていませんか、集まってきておりますか。
  70. 大場敏彦

    ○大場政府委員 まだ私どもの手元には届いておりません。
  71. 美濃政市

    ○美濃委員 予算要求はどうなっておりますか。
  72. 大場敏彦

    ○大場政府委員 予算要求とおっしゃいますのは調査費でございますか、それとも対策のためのということでございますか。——調査費の予算は本年度二百数十万円であったかと思いますが、道と県に対する委託費としてこれは支出することに決定しております。  それから調査の結果によりますけれども、結果を判断いたしまして対策が必要であれば、それに対する対策については今後取り組んでいきたいと思っております。現在それに対する予算措置は計上してございません。
  73. 美濃政市

    ○美濃委員 十一月末に報告があって、どうなりますか。これは私は急ぐと思うのですが、五十二年度から実施ということになりますか。十一月末に調査をまとめて、それから対策を立てて、五十二年度実施に持っていけるという見込みですか。
  74. 大場敏彦

    ○大場政府委員 調査の結果で私ども考えたいと思いますけれども、調査の結果やはり何らかの対策がどうしても必要であるというふうに判断いたしますれば、五十二年度から実施いたしたいと思っております。
  75. 美濃政市

    ○美濃委員 終わります。
  76. 湊徹郎

    ○湊委員長 この際、午後一時再開することとし、暫時休憩いたします。     午前十一時五十八分休憩      ————◇—————     午後一時二分開議
  77. 湊徹郎

    ○湊委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。竹内猛君。
  78. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は、筑波研究学園都市の問題と、それから全国競走馬農業協同組合に関すること、成田空港をめぐる若干の問題に関して農民及び地域住民の立場から質問をしたいと思います。  まず第一に、この筑波研究学園都市の建設についてはこれまで私は現地調査に参加をし、予算委員会の分科会、あるいはまた本委員会においてもしばしば建設を促進をする、こういう立場から質疑を行ってまいりました。そういう中で、関係当局におかれてもこの趣旨に沿ってかなりの努力をしたことは見受けられますけれども、なお問題がたくさんありますので、その点について一つ一つ尋ねますが、時間がありませんからできるだけ要領よくお答えをいただきたいと思います。  第一の問題は、現状の進行状況について予定どおりに進んでいるかどうか、進んでいないとしたらその原因はどこにあって、それをどう克服をされるかという問題についてまず第一点お伺いします。
  79. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 お答えいたします。  農林省関係の試験研究機関の筑波移転の予定といたしましては、十三機関を予定いたしておりまして、五十年三月の閣議決定によりまして、五十四年末までに概成移転するという計画になっておりまして、四十九年にすでに熱帯農業研究センターが建設が終わりまして業務を開始しておりますし、植物ウイルス研究所も近いうちに建築が完了して業務を開始するということになっておりますし、今後閣議決定のスケジュールに従いまして逐次建設が終了いたしまして、五十四年の建設概定という時期までには予定どおり進捗するものというふうに私ども考えております。
  80. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 予定どおりに進捗をしているということは結構なことだと思いますが、そこで、これは農林省だけじゃありませんが、ここは農林水産委員会ですから農林省の方にお聞きするのですが、学園をつくるときに了解事項として、地元優先採用、雇用、こういう問題を約束をされてきております。かなりの地元雇用がありますが、この雇用の状況と今後の見通し、今後なおどれぐらい雇用されるかという、こういう見通しについてはどうですか。
  81. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 現在までのところ、筑波地域の方を採用した現地採用の人数は二十三人になっております。
  82. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これは将来は何人ぐらい採用する見通しですか。
  83. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 今後移転の状況によって、その場・所のおのおのの事情によって決まってまいるものでございますから、現在のところ数字についてはまだ確かなことは決まっておりません。
  84. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで移転する者については移転手当というものが出ていますね。当然地元雇用だから、移転者じゃないから手当が出ない、こういうことになるのですが、問題はやがてこれが都市化していって十万の都市になる。こうなってくると状況がかなり変わってくるわけです。それで都市手当というものを要求をされている。これは農林省が出すわけじゃないので、人事院なり内閣なりの関係だと思うのですが、都市手当を要求をするというような要望が出ているのですが、これについては考えたことはありますか。
  85. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、建設が進捗いたしまして移転機関がほとんど全部移転するというような状況になりますと、相当の人口が集中するということになりまして、都市手当の対象となるということは可能性として考えられますけれども、これは私どもの問題ではございませんので、将来そういうふうな可能性があるであろうというふうな考えを持っておることだけ御披露いたしておきます。
  86. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いまいろいろ私も問題を提起をしてきたのですけれども、第三セクターの問題について質問をしたいと思います。この性格、運営、現状、方向ということに分けてみて、その中でいま性格的にもどうも第三セクターの本来の性格を持たないような形でこの要綱がありますけれども、利益を追求する、利潤の追求に中心があって、その本来の土地提供者あるいは地元の利益を中心として考えているような方向に運営がされていない、こういうことがすでに指摘をされております。それは運営の人事構想においてもそうだし、それから方向においてもそういうことが見出されているが、この第三セクターの問題に関して、いまどうなっているのか、この点をまずお伺いします。
  87. 梶原拓

    ○梶原説明員 お答えいたします。  御指摘の第三セクター、筑波新都市開発株式会社というのがございます。四十八年の九月に設立いたしまして、現在学園都市の中の竹園ショッピングセンターあるいは並木ショッピングセンター等の運営に当たっております。御案内のとおり、この会社は、地域社会の住民の方々の利便の向上、それから居住環境の向上といったことを本来の使命といたしております。したがいまして、組織の構成におきましても、会社の専務取締役といたしまして茨城県の出納長をお迎えしております。そのほか、茨城県の関係部長、それから地元六ヵ町村の代表といたしまして桜村の村長さんに入っていただいて、地元の意向反映に配慮いたしておるわけでございます。なお、消費者の方々の意向を反映するという意味におきまして、消費者の方々からアンケートをとる、あるいは地元の自治団体の幹部の方々との話し合い等を重ねてきておるわけでございます。
  88. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 構成はそのとおりですけれども、県知事、常陽銀行の親分、それから町村長だって、これは地主の代表ですよ。大地主だ。山林地主。それから県会議員でも、これは鉾田から出ている県会議員。こういう汚職のたまり場だ。そういうような人たちが構成するその中で、零細企業や土地提供者の利益が擁護されるというようなことについては非常に疑問がある。だから、アンケートなりそういうものがあったら後で届けてもらいたい、これはやはり問題だと思うのです。現在ささやかれているのは、京成資本と癒着しているじゃないか、こういうことで、最も福祉に努力をすべき第三セクターが、利潤を追究し、利益を求める、こういう方向に動いているということははなはだ許せないことだと思うので、この点についてはなお検討をしてほしい。それで、私は、この問題については今後もなお実態を調べながら、事実をもって明らかにしていかなければいけないと思うのですが、きょうは時間がありませんからそれはやりません。  そこでもう一つ、住宅建設協会というものがすでにできているということですけれども、それはどういう理由で、何に基づいてそれをつくったのか。
  89. 羽鳥光夫

    ○羽鳥説明員 お答えいたします。  この茨城住宅管理協会というものは、昭和五十年の八月三十日に茨城県知事の許可を得まして、これは民法三十四条の公益法人の設立ということに関係しますが、五十年九月一日に設立されたわけでございます。  この協会といたしましては、茨城県内に所在いたします公団住宅、それから国家公務員宿舎等の、いわゆる集合住宅団地に係ります現地管理業務をそれぞれの管理機関から受託をいたしまして、これを行っておるわけでございます。現地管理業務といいますと、入退居時の処理とか諸届けの受け付け、それから住宅の補修、共益運営業務というようなものがその内容になります。あわせまして、周辺地域の環境整備、それから地域融和等のための事業も行う。さらには、住民のための身近なサービス事業も企画し実施しようということが設立の目的となっておるわけでございます。
  90. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この機関もまた不必要な機関ではないかと私は思うのですね。なぜなら、まず団地には自治会が当然あるはずなんです。それで、この自治会が軸になって、いまの補修であるとか何であるとか、これは自治会が当然やることであって、人事構成などについてはまだ調べてありませんが、非常にむだな、屋上屋を重ねるようなことは不必要だと私は思うのです。だから、今後この問題についてはなお調査をして、これは問題であるということを残して、次に移ります。  学園都市が今後発展をしていく中で、人口がやがて十万を超えるような大きな都市になります。現在でも、もうすでに二千世帯くらい移ってきている。そういうところに集会所、いろいろな集会をやる場所がぜひ必要だと思う。ところが、現存のところ、そういうものについての見通しがあるかないか。まず土地があるか。土地があったならば、どういう形でそれをつくるのか。地元の勤労者からは、勤労福祉会館あるいは市民会館というようなものをぜひつくってほしいという要望があるけれども、これについては、いまどういうふうになっているのか。
  91. 石川允

    ○石川説明員 いま先生の御指摘の集会所の件でございますが、政府が決めております筑波研究学園都市建設推進本部というのがございまして、ここで筑波研究学園都市の計画をつくっておるわけでございます。その計画の中には建設計画の大綱とかあるいは公共公益事業の整備計画の概要といったようなものがございまして、その中で、中心市街地に社会、文化、教育の活動に資するとともに、他地区住民との文化的交流を図ることを考慮した文化施設をつくることとするとうたっております。そこで、これを踏まえまして、先生の御指摘のようなものかどうかいささか疑問があるかもしれませんが、市民会館に類するものとして、現在学園会館といったようなものを建設しようということを考えておるわけでございまして、その具体的な場所あるいは規模、それから建設主体といったような問題につきましては、関係省庁あるいは関係機関等の間で寄り寄り協議いたしております。場所につきましては、おおむねその都心の中央部を一応予定いたしております。
  92. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 概略はわかったわけですけれども、どうもいつも上の方から枠を決めては下の方へおろしていくということで、いま私が要求しているのは、あそこに入ってくる勤労者の皆さんあるいは学園に近接している農民、商人というような者が、その建設にどういうふうな形で参加ができるのか。名称はどうでもいいですよ。十万近い人たちが利用でき、便益のあるものをつくるため、そういう人たちをどのように参加させるのかということについて、一点伺いたい。
  93. 石川允

    ○石川説明員 現在、まだ具体的な段階に入っておりませんので、今後、そういった点につきましては関係機関及び関係者とよく詰めまして、具体的に考えていきたいと思っております。
  94. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 もう一点尋ねますが、中学校、小学校、幼稚園、保育所は現在かなり進めているけれども、高等学校に関しては、いまどういう考え方を持っているのか。
  95. 石川允

    ○石川説明員 高等学校でございますが、先ほど申し上げました推進本部が決めました「筑波研究学園都市の公共公益事業等の整備計画の概要」の中で、公私立合わせまして、一応四校を筑波では建設するということを計画で決めております。  そこで、そのうちの公立学校につきましては、現在すでに現地におきまして敷地の留保をいたしておりますので、漸次建設されるだろうと考えておりますが、具体的な問題につきましては、現在県が検討いたしておりますので、県の検討を待ちまして建設される運びになるであろうと期待いたしております。
  96. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 その問題についても地元では大変心配をしておりますので、適切な報道を通じてやはり安心をしてもらうようにぜひしてほしいと思います。  そこで次の問題は、これは前から取り上げてきた問題ですが、騒音の問題です。  研究学園というのは、まさにこれはその要綱にもあるように、公害を防止し、適切な処置を講ずるということと、それから研究者にふさわしい市街地と環境づくりをやるというのが、これが四十六年、四十八年来の建設大綱にある。ところが、その筑波学園の建設のために入ってくるダンプなり車はやむを得ないにしても——それは当然のことです、それは仕事のために入ってくるのですから。ところがそうでない一般の営業車が堂々とその中に入ってきて、大変な騒音をまき散らしている。このことについてこの前非公式に話をしたことによって多少の制限がされているけれども、依然として大きな車が毎日毎日往来をしてわが物顔に振る舞っている。そこで住民の方からは、少なくても一般の車にしてもあの中に入ったときには三十キロぐらいにスピードを落としてもらいたい、それから大型の車は禁止をしてもらいたい、それからその他いろいろ交通上の要求がありますが、現にあの調査をしたところが、大体激しいときには六本木ぐらいの騒音が出る、八十ホンぐらいのものが出てくる、こういうことで何としてもこれを取り締まってもらいたいという強い要望がある。私もそうだろうと思うのですね。わざわざ東京の繁華なところからあの非常に不便なところに移っていって、しかもしっかり研究をしようというのに、そこにまた六本木ほどの騒音が入ってきたんでは、これは何のために学園をつくったかわからない。その学園というものの建設はダンプのために道を開くということじゃないんだから、これはもう絶対に抑えてもらいたい。このことについて関係者から答弁を願いたい。
  97. 福島静雄

    ○福島説明員 お答えいたします。  筑波学園都市及びその周辺の幹線道路についての交通の問題でございますが、現在はなお比較的交通量も少ない状況ではございますが、沿道の一部に住宅も設置されているという状況でございますので、警察といたしましては居住環境の保全も考えまして、二車線区間を重点に交通規制を行っているところでございます。  一方、取り締まりにつきましても、学園都市内には特別警ら隊一個小隊を常駐いたさせまして交通取り締まりも積極的に行っているという状況でございます。  問題は、御指摘のとおり大型車の通行にあると思われるわけでございますが、現在夜間におきましても各種の建設工事等も行われているところでございまして、これに伴う関係車両の通行もございますが、そのほか一般車両の通行もあるという実情でございます。しかしながら、研究学園都市という性格の地域でございますので、管轄の茨城県警察ともよく連絡をいたしまして、関連道路の整備状況等も勘案いたしまして、御指摘の点について今後適切な交通処理の方法について十分検討  いたさせるというふうにいたしたい、このように考えているところでございます。
  98. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 きょうは時間の関係から問題だけを提起して、詰めの方についてはまだこれからやりますが、学園都市にそういう営業車というものをぜひ入れないようにしてもらいたいということだけは強くこれは要望します。学園都市は学園の研究者のためにつくったものであって、国道があり県道があるんだから、ダンプカーがそこのところをでかい顔して通るなんて、そんなことはもってのほかだ。ぜひそれはやめてもらいたいということを強く要求します。  それから二点にわたって関係者に尋ねたり、要望しますが、一つはいま筑波大学が、かなり学生が入ってきました。ところが実際の宿舎が足りない。大体六割足りないと言っています。その宿舎は、土地を提供した農家が、自分の残った土地に宿舎を建てて、何とか毎月金が入るようにしたいという希望があるけれども、これに関しては建設省あるいは国土庁、農林省の関係の諸法規がいろいろかかわりがあって、なかなか思うようにいかない。そこで国土庁としては、これは推進の立場にあるんだから、関係各省との間でぜひ土地を提供した農民たちが安心できるような、そういう調整をしてもらって、県に、県の方がこれは最終的には許可をすることになるだろうと思うが、これに対して適切な指導をしてもらわないと、農家の人たち土地を提供しただけでいま何の利益もない。ただ、いまのところ建設をしている労賃が入ってきておりますから、それだけに何とか食いつないでいるということですが、それがやがてなくなったときにはこれは大変困る。それから農業上の指導についても、いまのところこれといって目新しい指導が見当たりませんね。だから農家は土地を出したというだけで、いまのところは建設事業があるから労賃は入るけれども、その後はどうなるかということについては非常に心配だということであります。  それから自治省の方へお伺いしますが、財政上の問題ですが、昭和六十年度までは何とか話が決まっているようですけれども、その六十年までにつなぐ間の財政上の処置については万般、心配がないのかどうなのか。その辺はどうでしょう。
  99. 中村瑞夫

    ○中村説明員 六十年までの地元地方公共団体の財政問題について心配ないかというお尋ねでございますが、すでに御案内かと存じますけれども、地元地方公共団体に対する財政措置の問題につきましては、昨五十年五月七日に町村財政負担特別措置要綱というものを推進本部において決定をいたしまして、これに基づきまして基本的な特別の財政措置がなされておるというのが現状でございます。  その内容といたしましては、小中学校の校舎でございますとかあるいは幼稚園、保育所その他主要な公共公益施設につきまして日本住宅公団の立てかえ施行あるいは公団支弁による事業施行が行われるということとされておりますほか、特に建設されました施設につきましての維持管理費の増高に対処し、また周辺開発整備のための建設費の財政措置といたしまして、この要綱に基づきまして五十一年度予算におきまして筑波研究学園都市対策特別交付金五億円が計上されておるわけでございます。  さらに、このほか小中学校の校舎の建設及び幼稚園の園舎建設につきましては特別の補助率の引き上げも行われておるわけでございまして、これらの措置によりましておおむね六十年までにおける間の特別の財政需要に対する特別の措置といたしましては、基本的には一応相応の手当てがなされておるというふうに考えておるわけでございます。  なお、現在地元公共団体特に六ヵ町村の財政の状況でございますけれども、実質収支の面なり単年度収支の面なりあるいは経常収支比率でございますとか公債比率といったような指標でたとえば四十九年度の決算などの数字を当たってみましても、特に現在財政が特殊な財政需要のために危殆に瀕しておるというふうな状況ではないというふうに存じております。  したがいまして、まだ事業も差しかかったばかりでございますので、今後いろいろな事情が出てくるかもわかりませんし、特に標準財政規模大体五億から十億程度の町村にとりましてはけた違いに大きな事業でございますので、今後の進行過程におきましてどのような事情が出てまいりますか、それらの点につきましては関係省庁、特にまた茨城県等とも連絡をとり合いながら十分留意をしてまいりたいというふうに存じておるわけでございます。
  100. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 このことについても、学園に移転をされる人々の住宅なり学校なり集会所というものと、それから長い間農業の中で働いた古い在来の地域との間には非常に格差がある。その格差をやはり是正をしていかなければ非常にまずいということで、財政上もその点も考えられているけれども、なおこれを前進をするように要望して、次に移ります。  全国競走馬農業協同組合の問題に関して、過ぐる十月一日、茨城県議会において日本社会党の野上県会議員がこのことについて質問をいたしました。この質問が新聞に出まして、ある面においては関係者に誤解を与えた向きもあるし、まだ不十分な点もありますので、この点について三点くらいにわたって質問をしておきたいと思います。  北相馬郡守谷町の河川敷も含めて六十五町歩ですか、ここに全国の馬主から馬を預かって、これを育成をして走らせる、こういう形のものをつくろうということで、四十八年にその農業協同組合は農林省の認可を得ている。そして五十一年に開発の申請をした。この間に土地を買うようなことが行われたということですが、この認可がおくれていること、この理由、なぜこの認可がなかなかできないのか。それからまた、茨城県でいろいろ質問した中では、農林大臣が許可をしたので、農林省の方が調査をし、報告を待たなければこれは何とも言えないというような回答がある。農林省の方は、県の方からどういうような報告があり、これに対してどのような展望を持っているのか、こういうようなことについてこの問題をめぐる総括の問題について、ぜひ農林省の方から回答をいただきたいと思う。
  101. 岡安誠

    ○岡安政府委員 御質問の件は、全国競走馬農業協同組合が茨城県の守谷町におきまして、農地転用の事前審査の申請を出されたことについての取り扱いだと思っておりますが、この件につきましては、農地転用事前審査の申し出は昭和五十一年三月に関東農政局に受理されております。ただ、現在茨城県におきまして、国土利用計画法の運用によります事前協議書を茨城県が受け取りまして、関係課で構成いたします土地利用合理化協議会で本件の土地取引について検討中でございます。この検討結果を受けて、事前審査に対します茨城県の意見書を関東農政局の方に提出する予定となっておりますので、その提出があった後に関東農政局といたしましては審査をいたすというような段取りになっております。
  102. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この問題に関しては、これは中央競馬会と関係をしますが、茨城県の美浦に一千億、それから滋賀県の栗東では三百五十億ほどの予算を出して、そこで競馬のためのトレーニングセンターができている。こういうことについて、数少ない調教師が、ここでいろいろな利益をむさぼっているというような意見の投書が私のところにも来ておりますが、こういう中で、やはり零細な馬を取り扱っている協同組合、こういうものについても配慮すべきではないか、こういうような意見もあるのですが、これは一つ意見、要望です。だからそれはそれとしてぜひ聞き取ってもらいたいし、これに対し、こたえてもらえるならばこたえてもらいたい。
  103. 大場敏彦

    ○大場政府委員 守谷町でいま建設を計画しておりますトレーニングセンターは、同じトレセンと申しましても、いま御指摘になりました美浦だとか、栗東のトレーニングセンターとは違いまして、あれはいわば競馬場の厩舎そのものが移転するというようなそういう性格のものであります。守谷のトレセンはそうではございませんで、いわば軽種馬の生産者が、自己の生産した馬の付加価値を高めるという意味で、それについてトレーニングをする、こういう場所であります。そういう意味でありますから、農業協同組合の事業にも適するわけでありまして、私どもとしては、その健全な育成ということについては努力していきたいと思います。
  104. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 時間が来たから、当初予定した成田空港の問題に関しては別な方法質問をしていくということと、それからもう一つ、農林省にひとつ苦言を呈したいことがある。それは、きょう実は社会党の冷害対策委員会が農林省に対して冷害の事情についての書類を要求したところが、五十一年十月十三日現在において、東北では岩手県の報告があるだけで、青森にしても、福島にしても、山形にしても、宮城にしても、これは大臣調査に行ったし、われわれも調査したのですけれども、それに対する数字が何も出てこない、こういうことでは非常に熱がないじゃないかという意見が社会党の農林水産委員の全員の気持ちです。こういうことでは農林省の資料というものは、全くこれは熱がない。本気になって冷害対策に取り組んでいるのかどうなのかということに対する厳しい声がありましたので、これを伝えて私の質問なり要望を終わります。
  105. 湊徹郎

  106. 米内山義一郎

    ○米内山委員 大石農林大臣が就任早々の記者会見で非常に重要な発言をしているわけです。私はここに読売新聞の記事を中心に大臣の真意をただしておきたい。少し記事を引用します。「生産者米価は他の物価水準に比べて低く、農民生活水準もそれだけ低い。農林行政農民の暮らしと命を守ってやることだ。その意味で、まず米の値段を他の物価水準並みに妥当なものにしてやりたいということだ」この部分は非常に耳ざわりがいいわけです。その次には「生産者米価を上げれば消費者米価も上がる。それはある程度仕方がないということか。」こういう問いに対して「現在の食管制度に基づく一重米価制度をなくす、つまり米の統制は外すべきだと考えている。現在の制度は米の最低、最高価格を保証しているようなものだが、将来は、最低価格を保証し、かつ最高価格は一般物価並みにするのが望ましい。」少し飛んで、その次は「消費者米価がある程度上がっても負担しきれない額ではない」こういう記事であります。これはまことに重大なことだ。食管制度というものは日本農政の根幹をなしている。実質的には食管制度を否定するというような発言なんですが、これに対する大臣の真意を聞いておきたい。しかも重大なことは、これは九月十六日の発言ですが、九月三十日に本委員会において就任のごあいさつをなさった。そのときにはこの問題に一言も触れていない。一体だれに責任を持つのか。もちろん国民です。重要な政策については、機会があったらまず国会にその所信を表明すべきだ。一体大臣というものの職責をどう考えているのか。私はそういう意味大臣の真意というものをもっと具体的に、もっと政治的に、政策的にここで表明していただきたい。きょうは議論はいたしませんが、大臣の表明によって本委員会の重大な課題としてわれわれはこれを審議する必要があると思います。大臣の正確な真意を承りたいと思います。
  107. 大石武一

    大石国務大臣 先日の一番最初の私の出席しました農林水産委員会におきましては、米内山議員は御出席であったかどうか私よく記憶しておりませんが、あのときの状況は、一、二分で簡単な就任のあいさつをせいということで、せっかく長文の施政方針演説を用意してまいりましたが、それは申し上げる機会を得ませんで、私も非常に残念でございました。そういうことで、私はその点はひとつ御了承願いたいと思います。  それから食管制度の根幹を守らなければならぬという御意見でございましたが、私はそのとおりだと思っております。ですから、私のいままでの発言はいろいろと、まあ多少皆様のお聞き方によっては行き過ぎの点もあるかもしれませんが、食管制度を否定したことは一度もございません。そういう点は御運解いただけると思いますが、食管制度というのは、いままでいろいろのいきさつがございます丁初めは国民のために食糧を確保することでございました。食管制度の内容を読んでみますとそのとおりでございます。しかし、現在では、それも必要でございますが、それよりは、農民生活を守るための基本であると私は考えております。そういう意味で、私は食管制度というものはあくまでも堅持しなければならないと考えておる次第でございます。
  108. 米内山義一郎

    ○米内山委員 食管法というのは法律ですから、大臣はもちろん、われわれも国民もみんなこれは知っているわけですよ。むしろ知らないのは大臣じゃないかと思う。  食管制度というものは、農民の所得を上げるという一方的なものじゃないのです。同時に国民生活の安定を図るというところに食管制度があるのです。どうせ、あなたは百日大臣だと思って気楽にこういうことを発言なさっているかもしれない。これじゃ、農政への不信だけじゃなしに、政治不信の根源になると私は考えるのです。おべんちゃらだけで政治行政はできるものじゃないのです。  そこで聞いておきますが、あなたのようなやり方で、これをはずしたときに、生産者米価が上がると思いますか。消費者米価が安くなると思いますか。逆でしょう。私はそう思う。これをはずした場合には、生産者米価は買いたたかれる。ことしのようなときは別だろう。この点は非常に重大な問題ですが、大臣の所見を聞いておきたい。
  109. 大石武一

    大石国務大臣 統制の問題かと思いますが、私は統制の問題と食管制度とは全部同じものだとは考えておりません。食管制度といま申しましたように、国民のための食糧を確保すること、それは根本の目的でありますが、いまの段階ではむしろ国民食糧主食は確保されておりますから、いまの段階で重点は農民生活を守るための基本だと、私はそう考えております。  そういう意味で、統制の問題もありますが、統制をはずしてもよかろうという考えは私は以前から持っておりました。いまでもそれは一つ考えだと思っております。しかし、それをやるにはいつやるかとか、どうような情勢ができなければそれを執行することができないかということはお互いに考えておることでございます。いまのような、すべて統制に終始している段階において、突然統制をはずすなんということはできるはずもございませんし、そんなことは考えられるはずがないのです。第一番に、統制を仮にはずすといたしましても、一番大事なことは、米の需給状態バランスがとれる段階でなければできません。いまのように米の生産が余ってその処理に一応いままで苦労しておるような状態では、とうてい統制なんかはずせるはずもないのです。ですから、そういう意味で私はいまでもできると思っておりません。  また、二重米価制度の廃止、これは私もやはり将来必要だと思っておりますが、これは食管会計の本質と余り関係のないことだと思います。その証拠には、現に農林省は、ことしからこの二重米価制度廃止の方向にりっぱに踏み出しております。逆ざや解消というのは間違いなく二重米価廃止のことなんです。逆ざやがなくなれば二重米価はなくなります。そんなことはおわかりだと思います。でありますから、すでに農林省は昭年五十一年度からその方針にきちんと進んでおりますから、私もそれには賛成で、その方針は堅持しまして、できるなら、早い期間にこの二重米価制度は廃止してまいりたいと思います。  そのようないろいろな条件がそろうには五年も七年もかかります。その後において果たして世の中が統制をはずすことができるかどうかを、これは準備し、考え段階だろうと思いまして、いまの段階ではできると私は思っておりません。そういうことでございます。
  110. 米内山義一郎

    ○米内山委員 まず大臣の真意には、ますます重要な問題を含むわけですよ。  第一番に、食管制度というものを統制と考えているということがおかしいのです。消費者を安定させ、生産者の所得を補償するという考え方は、これは統制じゃないのです。それからもう一つ、二重価格制をなくしたいということは食管制度をなくしたいということにつながるわけですね。あなたは、あたかも農林省から生え抜きのようなお話をしますが、これは聞けば聞くほど総選挙前のおべんちゃらだとしか私は受け取れない。こういうふうな軽はずみなことで農林大臣は務まりませんよ。仮に来年の八、九月、三番町に大衆が集まるとき、あなた務まると思いますか。  それからもう一つ、食管制度もしなかりせば、ことしの減収というものは生産調整の量を上回る可能性があるのです。昔の米が自由のとき、二百十日の天気で米の相場が変わったのですよ。こんな減収を見ながら消費者は安心しているというのは何ですか。こういうことを知らずに大臣は務まるものじゃないということを私ははっきり言っておきます。  時間がないから別な方の問題を通告している順序に従って質問します。これは構造改善局です。  青森県の吹越台の開発というものについて、過去五年間、五千万円近い経費と時間をかけて吹越台の調査をやった。そうして、六年目になってから別な個所に開発の予定を移したのです。これは一体何の理由か。さきの調査地域が、目的である牧野にもならないというようなことであるとするならば、あの広い国有林のある青森県には開発適地があとはございませんということになるのです。何を考えているのか。しかも地元の要請と言うが、いつの時点に、どこの町村から、どういう目的でこの部分を国有林の所属がえをしてやってくれという申請があったのか、要請があったのか。五年間の調査だから、地質とか高低を調査するだけじゃなしに、当然そういうことも調査に作っていると思う。  それからもう一つ、これは国有林なんです。活用法によって所属がえされるものもある。国有林活用法には、三条に重要な規定があるのです。開発、所属がえの計画は「当該地域の住民の意向を尊重したものでなければならない。」とある。通常の法律にこんな親切な規定はそうないものだ、憲法には私有財産のことについてこういう言葉があるけれども。こういう該当地域の住民との関係をどう調査して、結論に達したのかを承ります。
  111. 岡安誠

    ○岡安政府委員 いま御質問の吹越台地地区につきましては、青森県の六ケ所村横浜町に広がりますおおむね千三百ヘクタールの地域を対象といたしまして、酪農の経営規模拡大を中心といたしまして、一部に肉用牛、畑作の規模拡大を含みます開発構想ということで、昭和四十五年から調査を行っているものでございます。  御指摘のとおり、この地区の中には国有林が相当広面積に所在いたしますので、国有林の活用を含む開発対象地の画定ということを目的としまして、現在、取りまとめの段階に入っているわけでございます。当然、御指摘のとおり活用法の三条二項には「当該地域の住民の意向を尊重したものでなければならない。」という規定もございますし、また、私どもの農用地開発におきましても、これは申請主義になっておりますので、地元の希望と地域住民の意向というものを尊重しなければ事業が実施できないわけでございますので、当然そういうような考え方のもとに、特に防災対策、水源涵養対策等につきましては専門的な意見も徴しながら、遺憾のないような調査計画樹立ということをいたしたいと思っているわけでございます。
  112. 米内山義一郎

    ○米内山委員 申請主義と言うが、申請者はだれか。調査を始めたのは四十五年と言うが、四十五年にだれがどういう計画内容で申請したかを明らかにしてもらいたいという質問には答えていない。
  113. 岡安誠

    ○岡安政府委員 私、申請主義といいますか、申請によるということを申し上げましたのは、土地改良法に基づきます土地改良事業一般が大体申請主義という形でもって事業の実施をするということを申し上げたわけでございまして、具体的にこの地域におきまして農用地開発事業を実施する場合には、正式な申請といいますか、それが上がってくるわけでございます。しかし、私ども四十五年に調査に着手いたしましたけれども、その着手いたしました時期におきましても、関係町村からぜひこの地域について開発を考えてほしいというような意思表示がございましたので、それを受けまして調査に着手したというようなことで、いわば法的手続でどうのこうのという調査段階ではまだございません。
  114. 米内山義一郎

    ○米内山委員 大事なところは答えないのだね。四十五年に調査に着手するといえば、それ以前に申請があっていいのです。あるのですよ。あなたはそれを知らないのか。そのときは目的も違うし、場所も違う。いつの間にかずるずる、ずるずる来たのだ。六千万もかけて調査するならば、そういう事情も調査すべきである。  それからもう一つ、ぼくはやるなとは言わぬよ。やれるならやってみろという態度です。反対があってもやるつもりかということだよ。答えてください。
  115. 岡安誠

    ○岡安政府委員 いかにも、反対があっても強行するのかというような御質問でございますけれども、私どもはそういうつもりはございません。私どもはやはり地元の関係の方々の御納得を得まして、それで事業に着手をいたしたいというふうに思っております。
  116. 米内山義一郎

    ○米内山委員 まあ反対があればやめるということでは仕事にならぬが、少なくとも反対があってその反対に理由と根拠が明白なときにもやるか、こういうことです。
  117. 岡安誠

    ○岡安政府委員 まあ反対の方々も現在おられます。そういう方々に対しましては、私どもはいろいろ、いままでの調査の結果、それから今後私どもの予定しております事業の内容等を十分御説明をいたすならば、おおむね御了解が得られるものというふうなつもりで、現在事業のスケジュールを考えておるわけでございます。
  118. 米内山義一郎

    ○米内山委員 これは農蚕園芸局の関係だと思うが、むつ小川原開発の工場用地に農林省の原原種農場がある、全域にこういう問題があるのです。これはすでに農林省としては開発側に売り渡すつもりなのか、あれを全部提供することに決まっているのか、移転先が決まっているのか。それから、移転しても原原種農場としての機能に障害を来さないのか。  いま青森県はいわゆるバイラスがあって、使用する種イモの九〇%以上を北海道に仰いでいる。その青森県にある原原種農場というものは単に青森県だけをサービス区域にしておるものではない。しかも、この原原種農場が最高の収量に達したのは、最初耕し始めてから二十年たったときに最高の段階に入っている。新しい地域に移ったら二十何年前のあの状態にならざるを得ない。そうすれば機能は低下するということをどう考えておるのか。  それから、これは工業開発のために移転するとか売るとかということになるのだが、その際この移転経費というものを農林省が負担するのか、それとも開発しようとする企業に負担させるつもりなのか、青森県の要請であるとしたならば青森県がやるのか、国家的開発であるとしたならば国土庁かどこかでやるつもりなのか。この点を明らかにしてもらいたい。
  119. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 むつ小川原地域の開発に伴いまして、上北の馬鈴薯原原種農場も開発用地に組み入れられるという問題でございますが、これは現在、先生御承知のように第二次基本計画が政府に提出されておりまして、現在なお環境アセスメント等をこれからやりまして、政府で、各省合同会議におきましてそれに同意するかどうかを決めるという段取りになっておりますので、現在移転を決めたということではございません。ただ、いろいろ、県の第二次基本計画には該当地域に入っておりまして、移転をさせたいというような案になっておることは十分承知をいたしております。したがいまして、現在環境アセスメント等が終わりまして、基本計画を政府といたしまして同意をする、承認をするということになりましてから県から正式に移転の協議がまいることになるというふうに考えておりますので、いろいろうわさは聞いておりますけれども、現段階でいつどこへ移転をするかということを具体的に検討するのにはまだ私どもとしては尚早ではないかという段階でございますので、県から正式の協議がございましたならばその段階で現地調査等もつまびらかにいたしまして、移転先あるいは移転計画等を具体的に固めていきたい。それらが固まります段階で、移転の経費をどのように負担をするかということもあわせて検討することになるというように思っております。
  120. 米内山義一郎

    ○米内山委員 会計検査院にお尋ねします。  新聞などですでにごらんになっていると思いますが、中央紙にも取り上げられるようになったし、ましてや青森県の地方紙では、ロッキード事件というか、国産のそでの下だからピーナツとは言えないかもしれないが、土地を買う会社が牛のころぶような二束三文の土地を高く買って、それからリベートを取って村長選挙に使ったというようなことが記事になっているのです。しかも、この会社が何と言うかというと、わが社には間違いがない、なぜならば会計検査院の御指導を受けている、こう言うのです。会計検査院がこういう黒い霧の指導機関であるということをおれは初めて聞いた。会計検査院の厳正公平ということを隠れみのにして悪事を働いている、これは日本列島改造論の延長なんですよ。こういうことについて、私らは国会議員であっても、これは不正だから警察に告発するように会計検査院は調査すべきだ、報告せよということは言いません、こういうことに対して会計検査院の権威保持のためにどのような処置をおとりになりますか。
  121. 東島駿治

    ○東島会計検査院説明員 私どもは北東公庫の出資、融資に関連いたしましてむつ小川原開発会社を調べておりますが、現在用地買収中でございまして、用地買収の進捗状況とかあるいは公庫資金の使途状況というようなものを北東公庫の本庫及び会社の本社で検査したり調査したりしている段階でございます。特に本年はあの線引き内にお住まいの方々の引っ越される新市街地用地を取得したわけでございますが、それについては本年現地を調査いたしましたが、それ以外のところは実はまだ全然見てない状況でございまして、その際にも、用地の買い方はこうすべきだとか、そういう指導と申しますか、そういうことは一切やっておりませんし、またそういう会社に対して私どもがこうすべきであるということを言うはずは絶対ない、このように私は確信しております。それで、二、三日前に朝日新聞に載りましたあの事態につきましては、新聞報道を見まして初めて私ども知ったような状態でございまして、あの件についてはいままで全然見ておりませんでした。  以上でございます。
  122. 米内山義一郎

    ○米内山委員 じゃ時間が来ましたから、環境庁、むつ小川原開発の環境評価を出されましたが、私はあれを見まして、もしこういう指針というものが確実に守られるという条件さえあれば、われわれの考えも違うし、もしこういう考え方が制度化しておるならば、瀬戸内海も伊勢湾もこうならなかったとさえ思う。したがって、あれは単なる体裁の問題でないとしたならば、あの趣旨を貫徹するためにむつ小川原開発という具体的な開発問題についてどう対応されるか伺っておきたいと思います。
  123. 大塩敏樹

    ○大塩説明員 環境影響評価の制度につきましては現在鋭意検討中でございます。今回環境庁が示しましたむつ小川原総合開発計画の環境影響評価実施に際しての指針は、御承知のようにむつ小川原総合開発会議の申し合わせによりまして環境保全が図られる範囲内で計画を作成する、こういうことになってございますので、環境庁といたしましては環境保全に万全を期するよう今後とも県を十分指導していくことといたしております。
  124. 米内山義一郎

    ○米内山委員 時間が超過しましたので、おわびしながらこれで質問を終わります。特に国土庁からせっかくおいでを願いましたが、質問を省略します失礼をお許しください。  終わります。
  125. 湊徹郎

    ○湊委員長 次に、中川利三郎君。
  126. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 先般、私は冷害に関連いたしまして技術論あるいは手続論、そういう具体的な問題で二、三発言したわけでありますが、きょうはその根本的な原因である政治論、加えて若干の具体論に入ってまいりたいと思うのです。  まず私がお聞きしたいことは、さっき同僚議員の発言の中にもありましたように、今回の冷害はやはり米づくり農業に対する非常な軽視があった、こういうことは一体どうかと言うと、大臣は私も同感だとおっしゃるのですね。あるいは米は日本農業のやはり基幹作物である、それだけに大事にしなければならないというような意見に対しても同感だ、いつも同感なわけですが、しかし問題は、はっきり言わしていただきますと、今日そのようにやってこなかったところの自民党の農政、これが今日このような災害なり被害なりをもたらしているわけでありますから、この根本に対する反省の言葉といいますか、そういういままでの長い間の政府・自民党の農業政策、こういうものに対する遺憾の意を表する、こういう意味の御発言は残念ながらいまだ聞かれていなかったわけでありまして、そういう点で改めて農林大臣から、このような冷害を招いた農政そのものに対する御反省があればまずもってお聞きしたいと思うわけであります。
  127. 大石武一

    大石国務大臣 日本の現在の農政も何十年かの長い歴史の積み重ねによって現在の段階まで進んでまいったと考えております。その間には、やはりどの場合も同じでありまして、常に一直線に前進するというわけにはまいりません。あるいは急速に進む場合もあれば停滞することもありましょうし、三歩前進して一歩下がることもありましょう。時代とともにいろいろあったと思いますが、そのようないろいろな長い間の積み重ねによって現在の農政が展開され、現実にいろいろな問題がありましても、いまから何十年か前の農民の暮らしに比べれば、農民生活ははるかに明るくなったと考えております。今度の冷害につきましても、なるほど何か農政上において多少の手落ちはなかったかという御意見であれば、私もその点は認めるにやぶさかでないと申し上げたのでございます。これは農政がどうだというよりは、やはり時代の流れに押された一つの結果でもあると思います。  御承知のように、日本の過去十数年間の高度経済成長という動きがやはりこの農政のあり方にもいろいろな変化を及ぼしまして、現在のような考えの違った、何と言ったらいいかちょっと言いにくいのですが、その形の変わった農政になったのだろうと思いまして、その点は、なるほど自由民主党は長い間政権を担当しておりましたから自由民主党のためだと言えば言えないこともありませんので、その点については十分に反省をしなければならないと考えておるわけでございます。
  128. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 大体その程度の反省というか、その程度じゃなかろうかというふうに予想しておりましたが、つまりあなたの御発言によれば、そうした時代の流れだ、三歩前進しても一歩後退したことがあるのは当然じゃないか、政府・自民党が戦後一貫して進めてきた、とりわけ農業基本法以来の農政に対する根本的な農民サイドの認識を欠いているということがいまの答弁の特徴だと思うのです。高度経済成長というものは自然の一つの流れだというふうにあなたはおっしゃる。しかし、それを農業内部から支えてきたものは農業基本法であって、そういう政策方向の中で農業がずっと荒廃してきたわけでありまして、特に今回の冷害について申しますならば、たとえばあなたは多少の手落ちはあったかもしれないがと言うけれども、先ほど馬場委員の発言にもありましたように、今回の冷害が、つまり銘柄米、自主流通米をつくれ、政府のそういう方向政策誘導の中で、あの東北の非常に寒いところでも山間の沢部でもそういうものがのべつ幕なしにやられていったということですね。あるいは機械田植え田植え機の問題もございましょうし、こういうことがここの委員会の中でも論議されたわけでありますが、そういうふうにやってきたことを、しかもことしは冷害だぞ、警戒しなければならないぞということは、たとえば昨年の十二月に盛岡で農業専門家がそういう見解を公式に発表して、各県にも農林省にも出しているわけでありますが、にもかかわらず全くそれに対しては一顧も与えないで、依然として自主流通米、つまり政府が奨励する米をつくれば奨励金も出すというかっこうでやられてきたところにあなた方の大きい責任があると思うのですが、これに対しては責任を感じませんか。
  129. 大石武一

    大石国務大臣 農政の中で、長い間の供米制度の一部を変えまして自主流通米制度をつくったということは過ちだとは私は思いません。時の流れの素直な行き方だと私は思います。いろいろ言うことはありますけれども、長くなりますから言いませんが、何といったってやはり米はうまい方がいいと思います。それは何でかと申しますと、日本の国でいま米が余っている、余った一番大きな理由は、国民が米を食う量が少なくなったからだと思います。なぜ米を食う量が少なくなったか、それは生活が次第に豊かになってまいりましたから、いわゆる栄養分の多い高価な食物、たとえば魚であるとか、肉であるとか、そういう種類の栄養分を多く食べられるようになりましたから、その結果米が少なくなったこともありますけれども、一つはやはり外国から、国民嗜好が変わりまして米食主義からむしろ。パンを食べたり、うどんを食べたりする方向国民生活も相当変わっていることも大きな原因だと思います。そのために五百五、六十万トンの小麦まで毎年輸入しなければならない現状でございます。これは農林省が指導したわけでも何でもございません。国民がおのずからそのような趨勢になったわけであります。  その一つの理由は、やはり私は米がうまくなかったからだと思うのです。おいしい米を食べていればそれほど外麦にも移らなかったでしょうし、もう少し変わったと私は思うのです。一つは米がまずかった。昔の供出制度は、米のおいしさとか質に関係なかったのです。量さえつくれば豊かになった。ここにやはり私らは一つの進歩がなかったと思うのです。そういう意味で、そういうような供米制度をやめて、ある程度農民の自由意思に任せるような、そして国民にもいい米、おいしい米を食べさせるような制度になったことは私は間違いではなかったと思います。  ただ、政府は別に高冷地に関してもそのようないわゆるおいしい米を奨励しているわけではありません。それはやはり、高冷地には高冷地にあるべき素質の品種もつくってありますし、そのような改良にも努力いたしております。ですが、やはりこれは人情でして、だれでも高く売れるいい米をつくれるならつくりたいと思うのは人情だと思うのです。そこにやはりこのような今回の冷害についての相当の問題があったと考えなければなりません。農林省は、なるほど三月には全国に対しまして、ことしは冷害型の天候の長期予報であるから十分に注意をして、植える品種もあるいはやり方もいろいろと考えてほしいということを通達いたしました。しかし、そんな一遍や二遍の通達で農民が皆そのとおり言うことを聞いて変えるなんということはあり得ない。これは考えられません。でありますから、やはり三月にもなればもうことし植える種子はちゃんと用意して決まっておるのですから、それを他の品種に変えろといったって変えられないいろいろなこともあります。そういうことで、この種の冷害に対してある程度の拍車をかけることにはなったと思いますが、結論から申しまして、私はいい米を奨励したことに対して過ちだったとは考えておりません。
  130. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 大臣、あなたは問題をすりかえないでください。だれもうまい米をつくるなと言っているのじゃないのですよ。うまい米で、しかも耐冷、われわれ農民の願いはみんなそうなんです。あなたはそこを、うまい米は何も悪いことないじゃないかというかっこうで、私の言った趣旨と別にすりかえておっしゃっておられるわけです。私たち農民は、冷害にも強いし、そしてうまい米をつくりたい。ところがあなた方の農政というものは、そういう農民の願いとは違って、逆に、とにかくうまい米をつくれというだけの話で、銘柄米、つまり政府のふところが痛まない、こういう米をつくらせる。このことに対して奨励金を出しましょう、普通の耐冷品種なんかばかにされて、われわれの言葉で言えばやしめられて、もう虐待を受けてきたというのがいままでの実態なんです。私はその実態に即して申し上げておるのであって、そういう冷害の反省という面から見ますならば、東北地方はあなた方食糧基地とおっしゃるわけですから、そういうみそもくそも一緒のやり方ではなくて、特に銘柄米に出すお金があるならば、耐冷品種でうまい米をつくるために開発研究費にお金をつぎ込む、このことが基礎にならなければならないじゃないかということを私は申し上げておるのであって、こういう考え方はあなたどう思いますか。
  131. 大石武一

    大石国務大臣 おっしゃるように、私は適地通産主義が一番いいと思うのです。ですから、現在のいわゆるササニシキとかあるいはコシヒカリとかというようなおいしい米でも、耐病性あるいは耐寒性の弱いものはやはり高冷地でつくるべきでないという考えを持っております。できるならば、農林省でいままでいろいろ努力いたしまして、たとえばササニシキにかわるトヨニシキとかアキヒカリとか、その他のいろいろのものをつくりまして、常に努力はいたしております。しかしやはり限度があります、現在の人間の能力とそれから自然の力には大きな差がございます。そういう意味で今度のこの冷害に対してはそのような努力も余り報いられなかったということはございますが、おっしゃるとおり、できるだけ適地適産でよいものを奨励する、よいものをつくっていくという努力は必要だと考えております。
  132. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 適地適産だとおっしゃいますが、まさにそこのところが問題であって、東北地方というのは一般の関東、関西と違いますので、そうした冷害に強い、しかもうまい米をつくるということが全体としての共通の願いでなければなりませんね。ところがあなたは、その中から、先ほども言いましたように、そういう考え方ではなくて、政府は現にそういううまい米をつくればそれを切り離して奨励金を出す、そして普通の冷害に強い米はばかにされてきた、冷遇されてきたというのが実態なんですよ。そこのところで申し上げておるわけでありますが、そういう点で、私は時間もありますから申し上げたいのですが、昔から東北の農民というのはどうであったかという実態について申し上げますと、いまこそ何ぼか技術が進んでおりますけれども、ずっと冷害で苦しんできた歴史があるのですよ。しかも、そういう状況の中で、冷害に対応できる品種を開発したり栽培技術を開発したり、非常に難儀してきたのです。ところが、皆さん方政府・自民党が自主流通米制度を導入したり、買い入れ制限をつくったり、政府の手でこういうものをやってきた中で、売れる米、うまい米というかっこうで銘柄米が奨励されてきました。そこで、農民がせっかくいままでつくってきた耐冷の成果、うまくてしかも耐冷品種をつくろうじゃないかという、そういう技術の成果、そういうものが十分生かされないできたということも事実なわけです。  と同時に、もう一つ問題なのは、米以外の農作物も、現在は皆さんの農政の中で十分な価格保障がないことからして、条件に合わない米を無理やりつくってきた、それが今日山間高冷地帯の農家に大きい被害をもたらすことになったわけですけれども、問題はそういう価格の問題もあるわけであります。あるいは出かせぎや通勤農家、こういう兼業農家のところで手抜きがあったわけでありますから、当然そういう被害も大きかったということになると思うのです。  そこで、それらを勘案して冷害被害を大きくした根本原因というものを見ますならば、大多数の農民経営を農業だけで成り立たなくして農業の体質を弱めてきたという政府・自民党の大企業本位の高度経済成長型の農政そのものがあるのではなかろうか。  ですから、今度の冷害を契機にして、私は先ほど東北地方からは、うまい米をつくるなということじゃなしに、少なくとも自主流通米制度を撤廃して、全体として耐冷に強い、しかもうまい米をつくる方に大きく政府方向を転換すべきだ、こういうふうに申し上げているのでありまして、これに対する農林大臣の御見解をいま一回お伺いしたいと思います。
  133. 大石武一

    大石国務大臣 私は、この自主流通米制度をやめようという気持ちはございません。それから、耐冷品種をできるだけ早くつくり出して、それをできるだけ高冷地の人にもあるいは条件の悪いところの人にも栽培させるという御説には、これは全く賛成でございます。ただし、私はいまの考えではその適地適作ということを中心にしていきたいと思います。つまり、高冷地とか米をつくるに条件の悪いところは、なるべく将来は米でないものをつくるような方向に進めてまいりたいと思います。ただし、米というものは収入が非常に多いのでありますから、なるほど米をやめたら所得は少なくなりましょう。ですから、そういうことで、たとえば現在の制度を考えてみましても、いまは水田の総合対策だとかいろいろ申しまして、現在のいい既成水田を作付転換させようという、そこにいろいろな補助金とかそういうものをやろうという政策がございますが、できるならば普通のりっぱな水田ではなくて、むしろそのような高冷地や条件の悪い水田に対してこの政策を多く適用して、別な作物に転換してもらって、そのかわり所得の足りないところはできるだけいままでの補助金とか何かによって補ってまいるという方向の方が、より農民に対しては災害に遭うことが少なくていいじゃないか、一応そう考えておるわけでございます。
  134. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 大石農林大臣は、なかなか人づき合いもいいし、相当国民が期待しておったのですが、いまずっと質問を通じまして、全く期待外れであったということが明らかになりまして、これまでの農政そのものに対しても、多少の手落ちがあったかもしれないなんということでは、今日の状況は済まないということです。やはり高度経済成長のレールを農業そのものも走ってきたわけですから、このレールを根本的に転換する以外に今日の農政を救うことはできないのにかかわらず、つまり適地適産と称して、言葉は適地適産であっても実態はそうじゃないところに問題があったわけでありますので、そういう点で、私は厳しくこれからも追及してまいりたいと思うわけでありますが、この点ばかり時間をかけるわけにもまいりませんので、今度は少し中身に入ってお聞きしたいと思うのです。  あなたは、今回の冷害による規格外米あるいは等外米、これについて全量農林省において責任を持って処理する、こういう御発言をなさったわけでありますが、これでもう全国の農民は、ああやはり農林大臣だということで、大変期待を持っているわけでありますので、疑うわけではありませんが、もう一回確認しておきたいのは、全量農林省において責任を持って等外米、規格外米を買うのだ、こういうこととして皆さんは理解しているわけでありますが、確認してよろしいですね。
  135. 大石武一

    大石国務大臣 初めから申してありますように、食糧となるべき等外米は全部これは政府で買います。もっと高く売れるならばそれで結構でありますが、高く売れないもの、売れ残ったもの、そういうものは全部政府で買います。ただし、食糧でないものはやはり買うわけにまいりませんから、これは政府が責任を持って、できるだけ買いたたかれないように、よく処理ができるようにこれはお世話いたします、そういう方針でございます。
  136. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 あなたは二、三日前から食糧でないものは云々と言いますけれども、最初のころは、ここに速記録もありますけれども、等外米、規格外米につきましては、これを全量農林省において責任を持って処理するようにはっきりいたしますというように、別に食糧が云々だとか食糧に適不適の問題は大臣の発言の中にはなかったのです。途中から加わったわけですね。ですから、その都度注釈が後から後から出てきて、だんだん枠が狭められて、本物はこうかということになりますと、それだけ農民の失望も大きいだろうと思うのです。  それで、やはり発言というものは、大臣答弁ですから的確にしていただきたいわけです。いま見ますと、食糧でないものは云々と、これも私はあなたの口から聞いたことがあるのです。ところがそうではない、とにかく皆買うのだという発言も私は聞いているのですよ。二通りも三通りもあなたの発言があるということはおかしいのです。  だからお聞きするわけでありますが、いずれにしましても、こういうふうに結論づけていいんですね。いずれにしても政府の責任で等外米、規格外米は全部処理するのだ、買うのだ、こういう理解でいいんですね。つまり食糧であるかないかということは、これはどこで見分けするか私わかりませんけれども、もし食糧云々ということが後からついたとするならば、それがどういう仕分けの中でそうなるのか。しかしそれを含めて全量政府が責任を持つことだけは間違いないということは確認してよろしいかどうか、その点をお聞きしておるのです。
  137. 大石武一

    大石国務大臣 おっしゃるとおり、この米につきましては全量政府が責任を持って処理いたします。これははっきり前から申したとおりでございます。
  138. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 だから私は疑うわけではないけれども確認する、こう申し上げているわけです。  そこで、ついでですが、これは事務当局で結構ですが、この前も私質問しましたが、いろいろな規格外米等はどういう仕様になるのか、どういう態様、性格なのか。これは十月中に早急に皆さん方がいま詰めていらっしゃるわけですが、価格を含めて告示するわけでありましょうが、出かせぎがやがて十一月になればずっと私の方は出ていくわけです。そういうものがはっきりしないとやはり出かせぎにも行かれないという状況が出るわけであります。農民の人はこの規格米なんかを農協に搬入しなければなりません。物理的に自分の庭先にも置かれないわけです。また、そういうものが決まらなければ農協にも搬入できないわけです。農協にも置き場がないわけでありますから。したがって、願わくは、私は時期としては十一月一日ごろには農民の方々が農協に搬入できる、こういう体制を十分勘案しながら作業を進めておるのかどうか、この点を押さえておきたいと思うのです。
  139. 大河原太一郎

    大河原政府委員 本日午前中にもいろいろ御要求なり御質疑がございましたとおり、われわれとしては十月中には買い入れ規格の設定、買い入れ価格の決定ということを終えたいというふうに思いまして、準備を急いでおるところでございます。
  140. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 したがって、その十一月一日段階には、そのころには農民がもう搬入できるというふうに理解してよろしいかどうかということで聞いているのです。
  141. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お話しのとおりでございます。
  142. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 それから大臣にお聞きしたいのですが、救農といいますか、公共事業の問題でありますが、大臣は今回の冷害による救農土木事業につきまして、いろいろと、何というか、余り大規模なものは適当でない、機械力でなくて手による仕事が必要だとか、そのためには農道をつくるとか、川の整備をするとか、林道をつくるとか、あるいは林野の間伐をするとか、いろいろな具体的なあなたの構想を発表していますね。こう見ますと、いかにも国が公共事業を起こして、国の計画で仕事をやるように見えるのですよ、具体的な中身まであなたはおっしゃっているから。国がそういう救農土木事業を起こすからこそ、あれこれ仕事の性格、中身まで——非常にいいことでありますからわれわれは賛成なわけでありますが、国としてこれをおやりになるのか。一体どういうものか。中身の方になりますと何かよくわかりませんが、この際はっきりしていただきたいと思うのです。
  143. 大石武一

    大石国務大臣 私が二、三例を申しましたが、たとえばそのような事業がよかろう、つまり国が出した金ができるだけ農民にそのままそっくり入るような形がよかろうということを考えておるわけでございます。その中身につきましては、各町村なり県で皆事情が違いますし、要望があると思います。そういうものを早く報告してもらって、どのような事業をやりたいのか、どのような予算規模になるのかということをつかむことが一番大事でございますから、それを各県に要望いたしまして、大分資料が集まったようでございますから、できるだけ早くその要望に従ってこれを実施してまいりたいと考えております。
  144. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そういたしますと、大臣の構想は述べましたが、その構想に従って県ができるだけやってほしいということであって、国が別に自分でやるというわけではないね。同時に、この点ははっきりしたわけでありますが、いま大臣の御発言にもありましたとおり、各府県がそれぞれの段取りでやっていらっしゃるわけでありますが、それを大臣の御趣旨に沿うようなかっこうでやるかやらないかということは、これは一体どうなるのですか。そこら辺が非常に心配なわけです。
  145. 岡安誠

    ○岡安政府委員 ちょっと御質問の内容がわからない点もあるのですけれども、私どもが考えておりますのは、やはり救農土木でございますので、農民に労賃が落ちるようにということで、そういう事業をまず選択をする。その中には既存の公共事業でも農民に労賃の支払いが行われるものもあるので、そういうものにつきましては、被災地それから被災農民というものを中心にいたしまして、公共事業の労賃部分が落ちるように配慮することが第一点でございます。  それから、都道府県、市町村でも独自で救農土木事業を催すというところがあるわけでございまして、それらにつきましては、起債の裏打ち等も必要でございますけれども、そういうものも優先的に実施する。なお足らざる場合におきましては、国が別途財源を調達いたしまして、これも恐らく先ほど大臣からお答えいたしましたように、小規模の基盤整備、その他の公共事業、これが労賃の占める部分が大きいわけでございますので、それらにつきまして国から補助金等を交付いたしまして、それで救農土木事業を実施していただく、こういう段取りになるかと思います。
  146. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そうしますと、そういう特殊な場合を除いて、一般的に言いますならば、都道府県や市町村が現に進行しているというか、走っているいろいろな公共事業、それに政府が増額分を負担する、主にそういうふうになるのですか。
  147. 岡安誠

    ○岡安政府委員 小規模のものということになりますから、団体営等が中心にならざるを得ないと思いますし、早期に実施するということが必要でございますので、継続事業につきまして、その事業の量を延長するというのが相当量になるだろうというふうに思っております。ただ、地方の事情によりましては、別途の事業を考えることもあろうかと思いますので、それは都道府県の要望を十分聞きまして、それで対処したいと思っております。
  148. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そこで、冷害県といいましても東北各県が主なわけでありますが、それぞれの県から皆さんの方に、おれの県にはこれぐらいのお金が欲しい、これこれの仕事のためにはこれぐらいの要望があるということで、それぞれ金額が出ていると思うのですね。参考までに、ひとつ秋田、青森、岩手、山形あたりをお知らせいただけませんか。
  149. 岡安誠

    ○岡安政府委員 現在希望を聴取中がございまして、取りまとめ中ということで、御報告申し上げるような段階には至っておりません。
  150. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私は全国を出せと言っているのじゃないのです。いま出ているでしょう。それは秋田県からも来ているはずです。したがって、いま出ている中で、東北というのは限られていますね。東北は六県ありますが、私が言うたのは、秋田、青森、山形、岩手、これだけでも出ているものであったらお知らせいただけませんかということを言っているのですよ。
  151. 岡安誠

    ○岡安政府委員 まだ内容につきましても、県と打ち合わせなければならない点もございますし、なまの報告をいただいているという県もございますので、ここでは発表を差し控えさせていただきたいと思っております。
  152. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 今回の冷害は、私の方の秋田県が太平洋岸より云々ということが言われておりますけれども、岩手県だけでも大変です。たとえば私の方の県にいたしましても、米の生産収入というのは年間千六百億円なんですね。一割の減収といっても百六十億、二割だと三百二十億になりますね。そういう点からいたしますと、救農関係にいたしましても、それを全部満たすものにはならなくても、相当な額の要望があるだろうと思うのですね。またそうでなければならないわけでありますが、たとえば秋田県では、昨年第四次対策として十六億円政府から認められたわけでありますが、十分それを上回るような、私はその三倍ぐらいは何とかできるのじゃなかろうか、こういう期待をかけているわけでありますが、そこら辺の感触は一体どの程度のものか、ひとつお漏らしいただければ聞かせていただきたいと思うのです。
  153. 杉山克己

    ○杉山政府委員 いま構造改善局長からお答えいたしましたように、各県の事業についての大体の見通し、それから就労が可能な員数、そういったものの調査を行っているところでございます。全体が幾らになるかということにつきましては、これは正直申し上げまして、各県の調査の仕方なりあるいは把握の仕方なりに若干差もございますので、その調整を行っているところでございます。ただ、どのぐらいのことを考えているかということになりますと、これは大蔵省との財政的な調整も必要なわけでございまして、いまこの席でにわかに申し上げるわけにはまいりませんが、ただ、過去の例で申し上げますと、北海道が対象になった四十六年、このときは総体としての被害額が千三百三十三億円、かなりな被害額でございました。このときに実施しました事業費の額が、これは補正でやったのでありますが、二十一億八千六百万円、今回は北海道だけでなく各県ありますものですから、これを相当上回るというふうに考えております。
  154. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 自治省にお聞きしますが、市町村がその地域の冷害のために、乏しい財政の中からいろいろな手だてを尽くした、こういう場合に、財政力の乏しい町村にいたしますと大変な負担になるわけでありますが、そういう場合に、ひとつ交付金なり何なりで見てもらえないだろうか。秋田県で言いましても、今回の救農土木関係に既定の公共事業費を振り向けて、四十六億何がしをやるというようなことになりました。そうなりますと、既定の分がそれだけできなくなるというような状況もあるわけであります。とりわけ、町村段階におきましては、場合によれば国保税を減免するとか、こういう状況もあるわけで、冷害で、米の関係だけでなくて、一般の生活部門にわたって大変な持ち出しが出てくるわけでありますので、そういう部分をどうかひとつ見てくれないだろうかという要望がひとしく出されておるのでありまして、これについて自治省の御見解を承りたいと思います。
  155. 平岩金一

    ○平岩説明員 お答えいたします。  東北六県、北海道などの冷害によります農作物被害につきましては、関係地方公共団体の農作物災害に伴う特別の財政需要に対しまして、その実態等を勘案の上本年度の特別交付税の配分において配慮してまいりたい、かように存じております。
  156. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 それでは、その点よくわかりました。  林野庁にお聞きするわけでありますが、今回の救農関係の仕事として林野庁もそれなりに対応を準備していらっしゃる、こういうことを聞いているわけでありますが、一つ私が申し上げたいのは、一般の民有林です。これは通常森林組合だとかあるいはその部落部落ごとにできておる造林組合だとか、こういう方々が日常緑を維持するために、また山仕事で暮らしを立てるためにがんばっていらっしゃるわけです。ところが、いま御承知のように人手不足であったり組合そのものが非常に弱体のために、人件費がなかったり、やる人がおらなくなって、したがって適期にも伐採できないという状況があるわけであります。私がお願いしたいことは、この機会にひとつ林野当局も呼び水として何がしかの補助金を出して、もっともっと十分な仕事ができるように段取りをしていただけないかということなわけでありまして、特に造林組合などというのは部落ごとにつくられておりますから、そこの地域の人がそこで仕事場を見つけることができる、こういう点で大変結構なことだと思うのですが、ひとつこれに対する長官の対応なり考え方を聞かせて、いただきたいと思うのです。
  157. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  林野庁といたしまして、救農土木ということで、単にこのような造林ということだけでございませんで、治山、林道等を含めまして民有林を中心といたしまして私ども現在計画しているところでございます。  なお、造林といたしましては、現在もう植林という行為はできない段階でございますので、間伐、除伐、特に県有林あるいは公有林等、そういうところにつきまして公庫融資とか、そういうことを通じまして人手の多く要る間伐、除伐というようなこと等を計画したいということで検討しているところでございます。
  158. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いや、だから私の言ったことについてはどうかということを聞いたのであって、それにはお答えになっていらっしゃらないわけですね。  ついでに聞きますが、町有林あるいは分収林みたいな市町村有林の除伐や間伐をぜひともいまやらなければならない。しかし、実態は長期低利の融資の枠がないから何ぼ言っても事業が円滑に准められないというのが実態なんです。したがって、いま前段の民有林のそういう小さな組合に補助を出していただくこととあわせて、こういうところにもつと枠を拡大してくれないかという問題があります。  もう一つついでに言わせていただきますならば、国有林については、たとえば私の地域の秋田県で言いますと、先ごろ集中豪雨を受けました鷹巣地区の明又地域あるいは上小阿仁というところの八木沢部落、こういうところでは国有林しかないのです。この地域はもう軒先から国有林が迫っておるという状態でありますので、従来も慣行として山仕事をさせてもらったという経緯もあるわけであります。そういう地域の要求にこたえるようなかっこうの体制をとって、ひとつ十分な仕事をそういう方々に確保するかどうか、この点をあわせて御答弁いただきたいと思うのです。
  159. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  第一点の公庫等のそういう公有林に対する除間伐の枠の確保ということにつきましては、すでに公庫等とは連絡をとりつつございますので、十分こたえられるように処置いたしたいと思っております。  なお、国有林地帯の大変大きいところでございますので、私ども国有林経営の収支の悪化ということで資金に非常に苦しんではおるわけでございますけれども、このような冷害というような事態でございますので、民有林同様、治山、林道あるいは造林等につきまして何らかの処置をとりたいということで検討いたしておるところでございます。
  160. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 最後に、共済の問題でお聞きしますが、こういうことですからちょっと読みますから聞いてください。   農林省の被害認定は農林統計情報部の減収率 調査にこれら各県連合会の損害評価を加味して 行われるわけで、昨年のような豊作には両者の はじき出した数字にほとんど開きがなかった。ところがことしの場合は、各県冷害対策本部が 発表した作柄状況農業共済の検見評価と農林 省の作況指数(東北地方は九月十五日現在九) とが大きく食い違った。このため農民のなかに は「共済金の支払い額を少なくする目的で、農 林省は作為的に作況を高く見積もったのではな いか」といった疑いが強まっている。こういう新聞記事があるのです。いままでは両者の評価のあれが同じであったのに、なぜことしだけこんなに違いが出たのか、この点を簡単に一言で説明していただきたいと思います。
  161. 杉山克己

    ○杉山政府委員 保険の方、共済の方の損害評価は、これはまさに一筆ごとに行う調査でございます。統計の現在出しておりますところの作況はまさに作況でございまして、被害調査そのものではございません。十月十五日現在、この次に私ども作況をその時点で調査したものを十一月の初めに公表するということにいたしております。その際には、あわせて統計情報部の被害調査も発表するということを予定いたしておるわけでございます。  一つは、そういう調査そのものの性格が違うということと、それから県等におきましても大体似たところが出そうなものだという感じをお持ちかもしれませんが、それぞれの各県地元の調査は時点が違う、それと調査方法も違うというようなこともありまして、そういう差が生じているのかと思います。これから先また新しい数字被害そのものの把握というような形で出てまいりますわけで、そういう実態を正確に把握し、農民の感情も十分御理解いただけるようなものになるというふうに考えております。
  162. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 あといろいろありますけれども、時間ですからこれでやめます。
  163. 湊徹郎

    ○湊委員長 林百郎君。
  164. 林百郎

    ○林(百)委員 大石農林大臣にお聞きしたいのですが、実は長野県の南アルプス・スーパー林道のことについてでございますが、あなたの立場が非常に微妙な立場であるということ、たとえば環境庁長官であったころあなたがストップをかけたこの南ア・スーパー林道について、今度は事業主体である森林開発公団やあるいは林野庁を行政の管轄の範囲に握っておられる農林大臣になった。しかもあなたは、私も承知しておりますが、自然保護議員連盟の会長でもある。こういう微妙な立場からのあなたの発言が実は行政の面で若干混乱を来し、地元でもこの受けとめ方について、これは賛成、反対両方あるものですから、いろいろの立場で受け取っているわけですが、あなたがどういう立場で残りの部分、北沢峠部分ですが、どういう態度を表明されたのか、まずそれを国会において正式にひとつあなたの見解を表明していただきたいと思うのです。
  165. 大石武一

    大石国務大臣 なるほど私はいまから四、五年前の環境庁長官時代と現在ではちょっとその立場が逆のようになっておりますので、いろいろ各方面にもやもやとした誤解のようなものを与えておりますことはまことに申しわけないと思います。私はもちろんいま農林大臣としての立場から正しい判断をいたすつもりでおります。ただし、農林大臣というのは、先ほど申しましたように、人の命を守るということが一番大事な立場でやはり物を考えていかなければならないと思います。そういう信念で農林大臣としての立場を堅持してまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  166. 林百郎

    ○林(百)委員 私は南ア・スーパー林道の残っておる部分の開通についてあなたがもっと具体的に、はっきりここで公式の場であなたの見解を述べていただきたい、こう言っているわけなんです。
  167. 大石武一

    大石国務大臣 わかりました。この問題につきまして考え方の結論だけ申し上げますと、これは五年前ですか、すでに凍結という形になっております。これは国立公園の中を通るわけでございますから、やはり何と申しましても環境庁の許可とか、何かそういうものがなければできないわけでございます。そこで、私どもとしましては五年前の凍結のままいまでも守ってまいりまして、環境庁が判断した上でこれがだめだというならば、やはりこれはつくることができないと思います。またいろいろな考え方でいろいろな方法考えて、やってもよろしいと言うならばその方向はできるだけ尊重してまいりたいという方針でございます。
  168. 林百郎

    ○林(百)委員 新聞紙の報道やそれから長野県の自然保護団体に対しての、陳情に対するあなたの意思表示を見ますと、あなたはこれに反対だという意思表示を表明されて、そのことが新聞記事に出ておるのですけれども、これはどういうことなんでしょうか。
  169. 大石武一

    大石国務大臣 私は確かに信濃毎日新聞の記者にも前にお目にかかりましたし、その後、いまから四、五日前、この委員会の隣の部屋で自然保護関係の代表の方々にお目にかかりました。いろいろな意見を聞かれました。そこで申しましたのは、結論はいまと同じことを申したのです。ただ私としては、個人的には通したくないという自分の気持ちはある。しかしそれは別だ。そういう気持ちはあるけれども、農林大臣としてそれは環境庁の判断に従うのだという結論でございますから、その点はひとつ十分に御理解いただきたいと思うのでございます。
  170. 林百郎

    ○林(百)委員 あなたのお立場もあるし、非常にデリケートな答弁で、農林大臣個人の見解だということになりましても、あなたが農林大臣で、そういう残っておる部分の開通について反対だということになりますと、あなたの所管に属する林野庁や、あるいは林野庁の所管あるいは監督下にある森林開発公団としては凍結を解除するという方向へはちょっと進みかねると思うわけなんです。そうじゃないでしょうか。それは大臣個人の考えだから、私の方は事業主体として自然環境保護審議会の審議は続けてもらいますと言って続けていくのでしょうか。  それではまず林野庁の長官に聞きましょう。大臣はそういうデリケートな答弁をしておりますが、林野庁の長官はどういうお考えでいくつもりですか。
  171. 松形祐堯

    松形政府委員 ただいま大臣からお答えいただきましたように、五十六キロございまして、すでに三十八億というようなことで大事業でございまして、そのうちあと千五百メートルが残っておる、これは先生御承知のとおりでございまして、私どもはこれは昭和四十三年に厚生省から許可を得て着工いたしたものでございまして、特別地域を通る七百メートルについての施工方法につきまして環境庁の審議会に諮っておるわけでございます。したがって私どもといたしましてはこれが開通することを期待いたしておりますけれども、大臣のお答えのとおりでございまして、現在審議会で慎重審議をしていただいているという段階でございますので、その結果等を待ちまして私どもは対処してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  172. 林百郎

    ○林(百)委員 環境庁にお尋ねしますが、環境庁としては、大臣がそういうお考えならば農林省が審議の申し入れを取り下げてくれるならいいではないか、自分の権限内の林野庁と森林開発公団の審議の申し入れによって審議が審議会で行われているのだから……。環境庁で何かこれ答弁できる人いますか。
  173. 野辺忠光

    ○野辺説明員 この問題につきましては、ただいま審議会で審議中でございまして、その結論を待つということで現段階では慎重に審議いたしております。ただいまの段階ではお答えをするような用意がございませんので、後日また御連絡申し上げたいと思います。
  174. 林百郎

    ○林(百)委員 大石長官の発言としてある新聞に対してこういうことを言っているのです。「しかし、最終的には環境庁の判断に従わざるをえない。まさか、開通OKというようなバカげた結論は出まいと思うが、そうなれば私としては非常に困る。私が会長をしている自然保護議員連盟としては当然反対の立場に回らざるをえないだろう。」「バカげた結論は出まいと思うが、そうなれば私としては非常に困る。」というあなたのデリケートな立場をここで言っているわけなんですが、こういうことを言った覚えがあるのでしょうか。それで万一このばかげた結論が仮に審議会で出たとすれば、あなたはどういう態度をとられるのでしょうか。
  175. 大石武一

    大石国務大臣 そういう発言をしたかどうかいま記憶ありませんけれども、会談ですから、あるいは全然言わなかったとも言えないかもしれません。ただばかげた結論が出ないだろうと思うけれどもというのは、私も確かにそうだろうと思います。やはり環境庁というのは国民のための環境を守ることが最大の責任でありますから、その判断において正しく判断してくれると思います。でありますから、これをどうしますか、仮にそこを通さなければならない、通路を開通させるが妥当であると判断しましても、特別地域の中をただむやみに通るとかなんとかということはやらないで、もっとしかるべき自然を守りながら妥当なことは当然考えるだろうと私は思います。そういう意味で、その中をむちゃくちゃごり押しするというようなことは絶対ないと信じておりますので、もし通した場合はということに対してはお答えはできません。考えておりません。ただし、もし通さないと決まれば、私はそれに従います。それから、どっか自然を守りながら別ないろいろないい方法考えればあると思いますが、それをおやりになるというならばまことに結構なことだ、こう思う次第でございます。
  176. 林百郎

    ○林(百)委員 あなたがかつて環境庁長官のときにストップをかけて、今度は、最初言いましたように、事業主体の方の所管の大臣になっておられるし、それで自然保護議員連盟の会長でもあるということの立場は私も十分わかるわけなんですが、そうすると、あなたが環境庁長官のとき審議会の審議のストップをかけられたのですけれども、これは農林大臣としての立場でないとしても、大石武一個人の立場としてその気持ちは変わらない、こういうことに聞いておいていいのですか。それとも農林大臣となったいまでも、自分がかつて環境庁長官のとき考えたその考えは、あそこを通せば自然が破壊されるので通さない方が好ましいのだという考えは変わらないということなんでしょうか。
  177. 大石武一

    大石国務大臣 先ほど申しましたように、農林大臣という仕事をいたしておりますが、やはりそれは、いま言ったように、もちろん農民の命を守り、国民食糧を守ることの主眼でありますけれども、やはり一つの政治家として、日本のりっぱな国民の命を守る、正しい自然環境を守るという考えには変わりございません。したがってやはりできるならば、あのすばらしい自然を破壊しないで、何かしかるべきいい方法によって解決してもらいたいという気持ちには変わりございません。
  178. 林百郎

    ○林(百)委員 時間の関係で、また、これ以上質問するとかえって大石農林大臣を非常に苦しめることにもなるかと思いますので、私の質問はこの問題についてはきょうはこの程度にして、いずれまた——実は地元に、大石さんも御承知のとおり、促進派と反対派とありますので、両方がそれぞれの受けとめ方をして、これから大石さんのところに陳情にも行くと思いますので、そういう立場をあらかじめあなたも現地の情勢についての実情ももう十分御承知だと思いますが、そういう実情にあるということも腹に入れておいていただきたい、こういうように思うわけです。  次の問題に移りたいのですが、これはどこが管轄ですか、カモシカの被害が最近非常に多くなってきて、長野県だけでも昭和五十年九月の調査で約八千万円の損害が出ておるわけなんですが、これはやはり林野庁が国有林を独立採算というのですか、企業性というか、そういうことの事情もあるのでしょうけれども、非常に自然を破壊する限度まで伐採をしている。たとえば私の郷里の伊那谷を飛行機で見ますと、そういう国有林が切られているために風化土壌が真っ白に出ているというような状態になっているわけなんですが、しかし、このカモシカが天然記念物でありまして、そういう国有林をいままで安全な居住の城としていたわけですけれども、それが切られるものですから、これはふえるのか、あるいは一定の地域にいたのがそこに食べる物がなくなるのでよそへ移るのか、この辺は生態の調査を十分していかなければならないと思いますけれども、これについて林野庁としては、所管が環境庁もあると思いますが、どういうお考えでしょうか。長野県で八千万の損害が出ているのに、私の方が調査したところによると、長野県へ昨年八百八十六万円の補助が出ているんですが、これでは損害の補償にもなりませんし、これでいろいろの措置をしろと言うのですけれども、長野県全体で五百八十ヘクタールあるところですが、八百八十六万円では約十五、六ヘクタールのさくが超えるかどうかの程度の補助金だと言うのですね。これでは、全く意味がないので、本格的に天然記念物としてカモシカを守るならば、同時に林野庁の乱開発といいますか、伐採が非常に加速度的によっているために生じてくるこの被害に対しても、国の費用によって十分の補償をし、そしてこれの生存を一定の地域で保護するなら保護するような措置をとるべきだと思いますけれども、これについては一体、林野庁あるいは環境庁ですか、どうお考えになっているのでしょうか。
  179. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  実は、このカモシカの関係につきましては、環境庁かと思いますけれども、ただいまお話ございましたように、昭和四十六年度約二百四十ヘクタールであった森林の被害が、五十年になりますと約千六百ヘクタールというふうに増大しておりまして、特に、先生おっしゃりますとおりに、全国十二県ではございますけれども、長野県と岐阜県が中心である、こういうことでございます。そして、杉、ヒノキあるいは松という植林されたものがやられるという現実でございまして、国有林もこれを切り過ぎたためあるいは生息の場所が少なくなったためにとかいろんなことが言われたり、あるいは民有林等の造林地がふえることによりまして、雑草がふえる、雑草がふえることによる食物の増加によるカモシカの増であると、いろいろ学説がございまして、私どもも環境庁などといろいろ相談しながら、現在、調査研究を続けておるわけでございまして、五十一年度も約一千万円程度で調査いたしておりますが、文化庁あるいは環境庁の方でもそれぞれお互い連絡をとりながら、調査研究しているというところでございまして、なおその調査結果等を待ちまして、関係各省庁で十分協議してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  180. 林百郎

    ○林(百)委員 時間の関係もありますので、それでは地元の要望がこういうことですので、林野庁なり、環境庁なりがどういうお考えか、両方あわせてお聞きしたいのですが、まず一つは習性調査を学術的に十分して、そして対策の指導をするということが第一項目です。それから、被害の山林の補償、改植の全額補助、どういう損害が出てくるかということは私ここで詳しく言わなくても林野庁承知だと思いますが、これはやはり国の天然記念物なんですから、それによって発生した損害は国が当然全額を補償すべきものだと思いますが、この点がどうかということ。それから、自然の成長量以上の伐採を、国有林は企業性や独立採算制等が背後にありますので、事情がいろいろあると思いますけれども、しかし日本の山林の自然を国有林が率先して守っていくということも重要でありますので、自然の成長量以上の伐採はやらないということが大事だと思いますが、それに対する考え方、それからもう一つは、具体的な方法としては防護さくをきちんとつくる必要もあると思いますが、これに対する補助金を出すべきだと思いますが、この点についても答弁を願いたい。  以上、四点について林野庁と環境庁と両方からこれはお聞きしておきたいと思うのです。
  181. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、関係省庁でいろいろ調査をいたしておりまして、それの調査の結果に基づきまして具体的なまた効果のある対策、指導をやるべきであるという御指摘でございまして、私どももそういう目的を持って一つ調査をいたしているわけでございます。  なお、被害山林に対する補償の問題でございますが、林野庁という立場からいたしますと、言うなれば一種の被害者でございますけれども、山村のそういう長年の造林地がそのようになるということにつきまして、再びここを植林するというような場合は再造林というようなことで造林補助をすることを考えておるわけでございます。また実行いたしております。  なお、国有林等の施業につきましては、四十八年来国有林の切り方、あるいは皆伐と申しておりますけれども、そういう大面積皆伐に対する世論等も配慮いたしますし、また国土保全、環境保全というようなこと等の重要性にかんがみまして、国有林の新しい施業方針というのを発表いたしまして、それがようやく定着しつつあるところでございまして、十分そのような社会的要請にこたえられるような国有林の施業体系というものを確立して実行しつつあるところでございます。  なお、保護さく等につきましては環境庁の方からお話があると思うわけでございます。
  182. 林百郎

    ○林(百)委員 来年の補助金の見込みから答えてください。
  183. 野辺忠光

    ○野辺説明員 御質問の防護さくの予算の件でございますが、五十一年度におきましてもおよそ九百万円程度の防護さくを設置するための補助金を用意いたしておりますが、来年度等につきましてもさらにこの内容を拡充しながらできるだけ御要望にこたえてまいりたいと思っております。  なお、防護さく以外の給餌施設でございますとか、そういうものを含めまして現段階で検討いたしております。
  184. 林百郎

    ○林(百)委員 環境庁、九百万でこれが二県か三県に分けられるわけですね。一つの県、長野県だけ来るわけじゃない。それで防護さくもつくれ、えさもこれでやれ、そうして調査もしろ、これは本当にスズメの涙と言っていいと思うんですよ。うるさく言われるから——これはあめの部類にも入らないですね、あめのまたほんの一かけらくらいで本格的に天然記念物として保護するというなら、その天然記念物としてのカモシカの被害に対して国は十分地域の人たちに対する補助をしてやるのが国の責務だと思うのですよ。その点長野県だけでも八千万の被害があるのに、ことしの予算は八百万だか九百万、来年も幾らかふやしたい、全くのスズメの涙なんですね。これはもっと本格的に調査をなさって、そうして被害に対する十分な国の財政的な補助政策をとるべきだと思います。この点どうですか。
  185. 大石武一

    大石国務大臣 先ほど四つばかり地元の陳情がありまして、お話し大体妥当な線だと思います。やはり何と言っても被害がないようにすることも役所の務めだと思います。そういうことで、まず第一にカモシカの実態を、生息の状態とか、数とか、あるいはいろいろな食べ物、食生活とか、いろいろなそういう実態を、できるだけ早くつかまえるということが大事だと思います。  しかし、これは大事な国の天然記念物でもありますから、これがある程度問題だとすれば、やはり国がこれに対する相当な補償とかそういうものをすべきだと思います。それから、なるほど防護さくが必要ならこれもつくったらいいと思う。積極的にそういう方向に進めるように努力いたしたい。環境庁とも相談して努力いたしますので、しばらくの間、少しがまんしていただきたい、こういうことをお願いする次第です。
  186. 林百郎

    ○林(百)委員 質問時間が来ていますので、あと一つだけ。これは農林省と自治省にお聞きしたいのです。  先ほど私たちの党の中川議員からも質問があったのですけれども、救農土木事業の早期実施のことです。大石農林大臣の言うのは非常に抽象的なんでわからないのですが、これを詳しく聞いていると時間がありませんので、冷害のための救農土木事業、農外収入を得るため、兼業農家としての現金収入のため、ことにことしは必要性が迫られている救農土木事業についての国の補助ですね。国が補助を出す、そして地方自治体が一定の比率の受けざらをする。御承知のとおり、地方自治体もいま財政的に非常に窮迫しておりまして、単独事業も非常に苦しくなっております。それから市町村道に対する緊急の起債枠がことし二千億ばかり出ましたけれども、これはもう事業計画が全部決まりまして、現に実施しておるものですから、新しく冷害のための救農土木事業というと、自治体としてもそれだけの財政負担をおのずから持たなければいけないわけですね。しかし、いまの自治体の実情としては、救農土木事業の財政的な負担を自治体が負いなさいよという自治体任せではとてもやり切れないと思うのです。国が補助を出す、そして、残りの一定の割合は地方自治体が負担しろ、こういうたてまえであるのかどうか。農林省と、自治省の人に来ていただいているはずですが、自治省の見解もあわせて聞いておきたい。まず農林省の方から先に……。
  187. 杉山克己

    ○杉山政府委員 いわゆる救農土木事業につきましては地元の要望がきわめて強い。特に急ぐところにおきましては、県なり市町村が単独ででも事業を一部実施するというような傾向がいまございます。しかし、そういうことでは足りないので、国としても補助事業としてこれをやってくれという話があるわけでございます。そこで、私ども、その地域において就労を希望する、あるいは必要とする農家の数はどうかというようなこと、それから、そういった人たちが働くのに適する事業はどんなものがあるか、どのくらいの規模になるかということをいま各県から事情を聴取しているところでございます。大体の資料は集まりまして、できるだけ早い機会にこれを整理いたしたいと思っております。  そこで、補助事業としてこれを実施することになりますが、その場合、当然起債についての地元負担という問題が出てまいります。この点につきましては自治省とも打ち合わせておりまして、まだ金額の詳細の詰めまでは至っておりませんが、起債についてめんどうを見てもらうということでお願いしております。
  188. 平岩金一

    ○平岩説明員 お答えいたします。  ことしの冷害は広い地域に及んでおりますし、いわゆる救農土木事業につきましては、窮迫した地方財政の現況にもかんがみまして、まず国において所要の措置を講じていただくべきであると考えております。  当省といたしましては、国における所要の措置が講じられる場合におきましては、当該事業に係る地方負担につきましては地方債で措置することといたしたい、かような考えでございます。
  189. 林百郎

    ○林(百)委員 時間が参りましたので、終わります。
  190. 湊徹郎

  191. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 飼料問題、動物、薬種商対策、ミカン、生糸並びに海洋法に関して、農林大臣初め関係当局に質問いたします。  飼料にもみがら混入で裁判となっている飼料異物混入事件が昭和四十一年に宇都宮地裁に問題が持ち込まれ、いまだ決着がつかないまま今日に至っております。最後に農林大臣にこの件について所見を伺いますので、事件の内容を十分承知していただきたいと思います。     〔委員長退席、菅波委員長代理着席〕  事件の概要を申し上げますと、原告は、ロッキード疑獄事件で問題になっております丸紅株式会社の直系である丸紅畜産飼料株式会社がつくった飼料を販売していた商社で、同じ丸紅系統の日産丸紅商事であります。被告は、鹿沼市石橋町千三百十一番地、栃木県養豚農業協同組合理事長太田嘉一氏でございまして、この理事長は、百軒ほどの農家を組織して養豚組合をつくり、昭和三十七年当時、鹿児島からバークシャー種千百七十頭の子豚を導入する一方、日産丸紅から飼料を購入し各農家に与えたが、子豚は非常に発育が悪く、中には死亡した豚もあり、ほとんど全部商品価値を失ってしまったのであります。  そこで、この理事長は、すぐさま宇都宮大学にこれと同じ飼料を使い七頭の豚を飼育実験させたのであります。ところが、この七頭のうちまともなえさを与えたものは五カ月で八十キロまで太くなったのでありますが、もみがらを混入しておった丸紅のえさを与えた方の豚は四頭のうち一頭が死亡し、残り三頭は栄養失調となったのであります。そこで、宇都宮大学での研究者は飼料の栄養分析も行った結果、これは公定規格にも達せず、しかもビタミン不足の飼料だとして、豚の発育不全、死亡の原因は飼料が不良なためであったという結論を出しております。  そこで、理事長は日産丸紅に二千万円の損害賠償を要求しておるわけでありますが、その要求の中身は、一つは豚舎の建設費、現在利用している豚舎は除いて、こういった被害を受けたために使ってないところのいわゆる豚舎建設費、二つには畜産農家の労賃、手間賃、三つには千百七十頭の子豚代、四つには太田氏の利潤等を含めて、厳密に言うと一億以上の担害であるのですけれども、当時二千万円の損害賠償を要求しておるわけでございます。そのことを日産飼料に再三迫ったわけですけれども、日産丸紅は逆に二年後の四十一年の夏、宇都宮地裁に三百五十万円の未払い金請求、要するに、えさ代の未払いを逆に払えということで訴訟を起こし、これを不服とした理事長との間で今日まで決着がつかないまま持ち越しているという事件でございます。こういったことは、他にも同じ丸紅の飼料を使い発育が悪くなったという事実が千葉、茨城両県においても発覚し、私、手元に資料を持っておるわけであります。  私は次にお尋ねしたいわけですけれども、こういった事件を農林省は十分承知しているはずですが、畜産局長はこれについては十分承知であるかどうか。と同時に、この飼料については、その後、裁判が行われた後で裁判官の立ち会いのもとに千葉県の畜産試験場で鑑定をしてもらった結果、当時こういったもみがらの異物混入ができないことになっておったわけですが、このもみがらが八%も含まれているということが判明しておりますけれども、これについても農林省は承知しているかどうか、まずその点、最初にお答えをいただきたい。
  192. 大場敏彦

    ○大場政府委員 ただいま御指摘になりましたように、日産丸紅商事株式会社とヤマタ水産食品株式会社との間で係争事件がありまして、長い裁判にかかって事件の解決が遷延しているということは承知しております。  それから、二番目に御指摘になりました農林省畜産試験場に飼料の鑑定を依頼して、その結果もみがらが八%出たということは聞いております。
  193. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 言うまでもなく、これに関係する法律としては昨年当委員会でわれわれが審議しました飼料の品質改善法でありまして、これが改正され飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律というふうに改名されたわけでありますが、この新法は本年の七月二十五日から施行されております。これはわれわれも十分承知しております。すなわち五十一年七月二十五日施行以後はこういったもみがら等飼料に入れるものは表示を明確にすれば一応は違法でないというふうになっておりますが、旧法第十五条には当時は異物混入の規定がありまして、その解釈について昭和二十九年には畜産局長から各都道府県知事あてに通達が出されております。この通達も手元に私持っておりますけれども、その中にもみがらも異物混入の対象となるということが明確に示されておるのであります。しかし、もみがら混入については、ごく微量については米ぬか等を飼料に使うことなどもあり、やむを得ない事情もあると思うが、一体完全配合飼料の場合は何%以上の混入を違法と当局ではみなしてきたのか、その点はっきりと回答いただきたい。と同時に、またその基準はどういう根拠に基づくものか説明願いたい。
  194. 大場敏彦

    ○大場政府委員 改正前の旧法十五条でえさにつきましては「その品質が低下するような異物を混入してはならない。」いわゆる「異物混入の禁止」の規定があるわけでありますが、その品質を低下させるような異物といたしましては畜産局長通達でもみがら、ヒマシ油の油かすあるいは落花生のさやの粉末、そういった十品目を挙げて指定しているわけであります。  どの程度入れたら違法であるかどうかということにつきましては、何%入れるかということは私どもは意図的に入れる場合には許容しておりません。ただやむを得ず不可抗力的に若干ごく微量のものが入るという場合には事情は了解すべき点はあるにしても、何%であるということを問わずこれを意図的に入れることにつきましては認むべきではないというような解釈に立っているわけであります。
  195. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ごく微量のものについてはと、こういうふうに局長は慎重な答弁をされますけれども、それではなぜその基準を示せないのか、その点を明らかにしてください。
  196. 大場敏彦

    ○大場政府委員 ただいまの御質問にすぐ当たるかどうかちょっと疑問に思いますけれども、私ども違反事件、法律の違反事項の処理要領という形で昭和四十二年に畜産局長通達を各肥飼料検査所長あてに出しているわけでありますが、その中には異物の混入の程度によりましていろいろとるべき行政指導の大要につきまして指導しております。たとえば例を申し上げますれば、異物が一%か二%というものにつきましては注意する、二%から五%入ったものについては注意のみにとどまらず始末書を出させるとか、あるいは五%入っておるものは戒告、始末書の提出をさせるとか、それからことに事情が悪質と認められるものにつきましては行政処分をする。つまりえさの譲渡、引き渡しの制限とかあるいは場合によっては登録の抹消とか告発とかそういったかなり強度の行政処分をするというようなことを内容といたしました行政指導をしているわけでありますけれども、いずれにいたしましても、たてまえとしては本来品質を低下させるような異物というものは、旧法におきましては混入することは禁止されているわけでありますから、微量であっても、これが意図的に入るのは、本来法の意図したところではないというふうに理解しております。
  197. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いま大場畜産局長が言われた四十二年十二月一日付四二畜B第三千七百六十九号、局長から肥飼料検査所長あての通達「飼料の品質改善に関する法律違反事項等の処理要領について」当時はこれは秘扱いになっていたそうでありますが、いま局長おっしゃったように、米ぬか(油かすを含む)中のもみがらその他の異物等で、一%から二%は注意。それからまた二%ないし五%は報告書、注意、請書。五%以上は報告書、出頭、厳重注意、請書。こういうふうに列記してございます。いまおっしゃったとおりであります。  そこで私さらにお伺いしたいのだけれども、慎重な答弁をしておられるのであえて申しますが、では仮定の話として仮に一、二%でも混入されておれば違法扱い、こういうふうになるのかどうか、その点も明確にしていただきたい、かように思います。
  198. 大場敏彦

    ○大場政府委員 一、二%でも入っておりますれば、やはり「異物を混入してはならない。」という規定に抵触すると思います。
  199. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 抵触するということは違法になる、こういうふうに理解してよろしいか。
  200. 大場敏彦

    ○大場政府委員 おっしゃるとおりであります。
  201. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この点は明確になりました。  そこで、大臣にも後でお尋ねしますのでよく聞いておいてもらいたいが、行政責任の問題についてお伺いしておきますけれども、丸紅側はいまだに二〇%ないし三〇%程度のもみがらが入っていたわけではないなどと、その他にもいいかげんな反論を繰り返しておる現状であります。こういう事態をいつまでも許しているのは農林省にも大きな責任がある。大臣もよく聞いていただきたいが、この問題については被告のこの理事長が昭和四十一年から数年にわたり何回も農林省に足を運び、その善処方を陳情してきたのであります。また四十三年には農林省の職員がこの裁判の証人として宇都宮地裁まで行っております。そして、この問題についていろいろと検討が加えられておりまして、農林省も十分承知をしておる問題であります。しかもこのことは、昭和三十九年三月には国会でもいろいろと論議された経緯もございます。農林省がこの問題をキャッチしたのは大体いつごろなのか、これもこの際お聞きしておきます。と同時に、その後一体どういう行政指導をやってきたのか、その点もこの際明らかに返事をいただきたい、こういうように思います。
  202. 大場敏彦

    ○大場政府委員 事態の解決が遷延していることは私どもも残念に思っているわけでありますけれども、丸紅の方に事情をいろいろ聞いておりますが、和解を申し出た経緯もあるというふうに聞いておりますが、双方の主張が食い違ってなかなか解決に至らないというような現状でございます。それから二番目のお尋ね、私どもが承知したのはいつかということでございますが、かなり以前の話でありまして、やや正確を欠きますけれども、当局が承知いたしましたのは、訴訟を起こされました昭和四十一年ごろであるというふうに聞いております。  それから、どう指導したかということでございますが、本事件の教訓にかんがみまして、私どもといたしましては、もみがら等の異物の混入による肥飼料の品質低下というものを防ぐために、有害物質はもちろんでありますけれども、異物の検査を一層強化するよう肥飼料検査所等に対して強く指導をしてきているということでございます。
  203. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大場畜産局長にさらにお伺いしますが、新しい法律、新法の中で、もみがらの扱いについてでございますけれども、異物混入の規定を削除しております。昨年もこのことをいろいろ審議したわけでありますが、新法のもとではもみがらにどういう扱いをなさるか、その点もこの際明らかにしていただきたい。
  204. 大場敏彦

    ○大場政府委員 ただいま御指摘になりましたように、新法では旧法にありました「異物混入の禁止」の規定は削除しております。したがいまして、もみがらというものは法律上は使えるという扱いになっておるわけであります。その理由といたしましては、今回の法改正によりまして、一つはえさの安全性の確保に関する規制というものが整備されたということと、それから一方におきまして飼料の品質表示制度が強化されたということでございますので、これを用いた旨の、つまりもみがらを用いたならば、それを用いた旨の表示を行うということによりまして原材料として用いることを許容したわけであります。その理由は、要するにもみがらにつきましては残留毒性という問題はございません。そういう意味では人体への影響とかそういったいわゆる安全性についての問題はない。それから次に栄養効率の点でございますが、これにつきましては、もみがらの混入には確かに栄養価値を低下させる、そういう作用はあるわけでありますけれども、しかし先ほど申し上げましたように、表示の義務がありますので、それを伴いますれば、いわゆるかつて行われたような欺瞞的行為というものは防ぎ得る、こういう趣旨で異物混入の規定は削除したという経緯になっております。
  205. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、もみがらを豚に食べさせた場合の安全性についてでございますが、当局は実験したことがあるのか、またそういったデータを持っているのかということもお伺いしたい。と同時に、御承知のようにもみがらというのは、人体に入ってもまたいろいろ害がある、また使用に際しても、量が多くなると弊害があるということが言われています。これが全部、一〇〇%害があるとは申しませんけれども、いずれにしても過去に、明治時代富山県で飢餓のときにもみがらをまぜて食った人が全員死んだという大事故があった歴史があります。さらに、豚と人間の胃腸というのがある意味でよく似ているということが言われまして、人体にもそういう害があるが、豚は特に影響を受けるということが従来から言われております。そこで、豚は鶏、牛と異なりまして消化器の構造がどうも異なっている、こういうふうに言われております。もみがらは腸を刺激して非常によくない、こういうふうに言われている意見もございます。こういったことで、農林省当局はその点さらにどういうふうに見解を持っておられるか、またもみがらを豚に食べさせた場合の安全性について、何か確たる実験した結果でも持っておられるのか、この機会にお答えをいただきたい。
  206. 大場敏彦

    ○大場政府委員 もみがらの成分は、先生御存じのとおり稲わらにきわめて似ているわけでありまして、そういう意味で粗飼料的なものであります。稲わらに比べまして若干栄養価値は劣っておるということでございまして、したがいまして日本では、一般的にえさとして使われている例はきわめて少ない、こういうことであります。そういう意味で、残念ながら試験成績も乏しいわけでありまして、ひなに数%、あるいは牛に二〇%与えた試験がありますけれども、いずれも対象動物に害を与えるほどではない、しかし、栄養価値の非常に低い粗飼料であるというふうに知見が得られております。豚につきましては、実験例は不明にして、私まだ聞いておりませんが、ほぼ同様のものではないかというふうに聞いております。  なお、たとえばブロイラー等の種鶏につきましては、余り穀物ばかり食べさせるとかえって肥満して、繁殖能力というものが落ちる。そういう意味で、粗飼料としてのもみがらを若干使うということもメリットがないわけではないというようなことも聞いております。
  207. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間の制限があるので、これにばかりかかっておるわけにいきませんけれども、肥飼料検査所の機構拡充のことでただしておきたいと思います。  この肥飼料検査所の飼料検査機構の拡充については、昨年法改正のときもいろいろと問題になって、私も当局に見解をただしたわけでございますが、事あるごとにこれが問題になっております。ことに県の検査機構は貧弱で、この抜本的な拡充がなされなければ、法律自体がざる法となってしまう、こういうふうに私たちは指摘しております。たとえば栃木県の例を挙げても、この検査所には所長以下一応三名ということになっておりますけれども、実質的には女の職員が一人にすぎない、しかもそれは兼務であるというのが現状でございます。女職員一人で何ができるか、私はこう言いたいのであります。予算の問題、定員法の問題等いろいろありますが、私は人間に関係する重要な問題、いわゆる畜産の肉を通じて人間の口に入ってくるものであるということを考えましたときに、飼料については十分な検査をしていかなければならぬ、かように思う。そこで、飼料の検査機構拡充についてどう考えておられるのか。県の職員の問題だとして、県に責任を転嫁するということはけしからぬと思う。こういったことについて農林省の見解を改めて承っておきたい。
  208. 大場敏彦

    ○大場政府委員 えさの検査の必要性につきましては、今後単に品質の改善だけの問題じゃなくて、安全性の観点からますますその重要性は加わってきているということは御指摘のとおりだと思います。私ども都道府県に対しましては、検査器具等の購入費の助成を行っておりますが、新たに本年度から飼料検査のための人員でありますけれども、そういった人員が地方交付税の算定基礎として計上されている、こういった措置も講じておるわけであります。  それからなお、国の検査所が六カ所ございますが、それにつきましても人員の増員とかあるいは施設の増強、そういった点につきましては努力をしたつもりでありますが、さらに今後それにつきましては強化をしてまいりたいと思っておるわけであります。
  209. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣にお伺いしたい。  冒頭申しましたように、時間の関係で制約がありますから、ごく簡単にその問題を議論してまいりましたが、いろいろな残りの問題については今後の課題として留保しておきます。  そこで、いまいろいろ述べてきましたように、要するに十年余にわたって裁判を長引かせ、大手商社などが弱い者いじめをし、それを行政が見て見ぬふりをしている、こう言われても過言でない。こういった問題に対して、私は、まことにこれはけしからぬことだと思う。そこで農林省の態度がはっきりしておれば、こういった問題は早く裁判が決着がついていた、かように私は思うわけであります。これは一つの事件の例にすぎないわけでございますけれども、他の地域でも弱い農業者が、現場ではいつもこのように泣き寝入りをしているということがあるわけでございます。千葉県、茨城県等もそういったことがあるのであります。  そこで私は、一つの事例としてきょう取り上げましたけれども、今後もこういったことがあってはいけませんし、またこういった問題について早く決着をつけて畜産農家、またこの理事長にしても早く安心をしなければならぬ、かように思うのですが、大石農林大臣は就任に際して愛情農政ということを叫ばれました。愛情農政を強調された大臣は、まことにわれわれは結構だということで期待もいたしております。また当然のことでありますが、いま議論をしてまいりましたこの事件について、弱い立場にある農民を守るために今後いかに改善していかれる決意であるか、この種事件の解決について明快に農林省の見解を早く打ち出してもらえば、こういった事件にならなかったわけでありますので、ひとつこの事件が解決するように農林省も早く見解を出してもらいたいし、また今後こういったことについても的確な指示をしてもらいたい、かように思います。と同時に、いま申しました肥飼料検査所の機構拡充など、改善をしてもらいたい、かように思うわけです。そういったことを含めて、いまいろいろ論議してきましたことについて、農林大臣の御所見を最後に承りたいと思います。
  210. 大石武一

    大石国務大臣 これからの畜産というのは、やはり重大な段階に入ってまいると思います。そういうことでさっき畜産局長からお答えしましたように、品質の向上はもちろんでありますが、同時にやはり動物に対する安全性が人間に大きな影響もありますから、こういうものについて十分にこれが守れるように努力しなければならぬ。それにはいまいろいろお話があったようでございますが、みんなで相談してよい機構をつくっていきたいと思います。同時に、弱い者がいじめられないようにすること、これは何といったって政治の基本でございますから、そういうことにつきましてはいま具体的に申し上げるものもありませんが、そのような心構えで一生懸命に努力してまいります。
  211. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、動物薬種商問題について伺います。  その背景を最初に申しますが、農林省畜産局衛生課は昭和五十年五月一日付で、都道府県の区域を越えるような広域にわたる営業活動には薬種商販売業等の許可を申請するよう行政指導を行っております。今日薬剤流通の乱れは目に余るものがあり、特に畜産食品の薬剤による汚染は国民への不安感の高まり、畜産食品の品質低下を引き起こしておりまして、大きな社会問題になっていることは御承知のとおりであります。このことについても、たびたび当委員会でも論議してきたところでありますが、また人の薬種商問題は各種の社会的弊害が出ており、廃止の方向で論議がなされているとき、このような畜産局衛生課の方針は国民への違背行為ともとれるわけでございまして、その真意を理解し得ないのであります。  これら衛生課の指導により、すでに大阪府、北海道では、わずか二日間の日程で講習が行われ、動物薬種商試験を行い、大量の合格者を出していると聞き及んでおります。これにより、何ら獣医学、薬学等の知識のないペット業者までが動物薬種商の資格を持ち、要指示薬まで自由に融通しているということは国民的見地から恐るべきことであります。私たちは、このような国のいわゆる施策に対して、法を曲げた拡大解釈をする姿勢を見逃してはならない、かように指摘をいたしておるわけであります。つまり、動物薬種商は人の薬種商に準ずるのが法律の正しい解釈、こういうように私は従来から理解をしてまいりました。また薬種商の条件の面から見ても、薬事法第二十八条二項において、「その者がその販売業の業務を行なうにつき必要な知識経験を有するかどうかについての試験を行なったうえ、与える。」と定められていることも御承知のとおりであります。しかしながら、今日の薬種商の講習はわずか二日程度であり、人で言う六カ月の講習とは大きくかけ離れた短日であります。こういったことで、私は、資格を有した人たちは、薬品と動物との生理的かかわり合いというものを知らぬままに家畜に、また場合によっては人に抗生物質その他要指示薬が流出していくのではないか、かように懸念をして、いまからこの問題に対して、時間がございませんので二、三点にしぼってお聞きし、残余の問題はまた次の機会にお答えいただくということにしたいと思っております。  まず、いまの異常問題の背景を申し述べましたが、昨年六月、農林省畜産局衛生課は、いまも申しましたように、課長名で、広域な区域にわたる薬品の販売を行う場合には薬種商の資格をとるよう通達文で行政指導しております。私は、本件について四十七年六月八日、第六十八国会でも増田長官にいろいろ質問をした経緯がございますが、この制度は、ただいま申し上げましたように、元来辺地等の医薬品が十分に流通できないところに流通を円滑にしようとした制度であったはずであります。それが、この衛生課長通達が出てから一カ年と少々たった今日、大阪府で先日試験が行われて、たしか十六名合格、北海道で三回ほど試験が行われて五十名以上合格したやに聞いております。都道府県が行う講習、試験によってこのような大量の資格者を出しております。ところが、私は、この農林省の方針とはうらはらに、思惑とは違う結果が出ておるのを確認したわけであります。と申しますのは、流通に問題のない都市のど真ん中、たとえば東京でありますが、こういったペット業者ばかりが受けて合格しております。いわゆる辺地の薬種商ということがねらいだったのが、結局結果的にはこういう都市の中心部の人が合格している。これは国の言う計画に対して相反しておる事実であります。この件はきわめて大きな社会問題を含んだもので、今日の社会の流れに対して逆行するものと強い疑義を持っております。これらは一〇〇%この制度を悪用したものと私は思っておりまして、農林省は今後も薬種商講習、資格試験を地方自治体にやらせていく考えなのか。今回の試験の結果を反省して十分慎重な扱いをすべきだと私は思うのですが、その点をまず大場畜産局長に見解を承りたいと思います。
  212. 大場敏彦

    ○大場政府委員 昨年の五月にわが局の衛生課長が大阪府の農林部長に対しまして回答いたしました。その回答文がやや誤解を招いたということがあって混乱が発生していると思いますが、その回答文の趣旨というものは、いま先生が御指摘になりましたように、いわゆる特例販売業というものにつきましてのあれであったわけでありますが、特例販売業というのはあくまで文字どおり特例であって、地域的な事情のためにどうしても薬品の流通が円滑に行われない、そういう事態を回避するための特例的な制度であるがゆえに、したがって、そういった特例販売業者が卸売業務をやったり、あるいは県の範囲を越えて広域に薬品を販売する、そういった行為は特例販売業者の本来的な機能から逸脱したものである、こういったことを強調したわけであります。それから、そういうような、卸売業務をやるとか、あるいは広範囲にわたって薬品の販売をやるというのは、本来的には別な制度がある、それは一般販売業者あるいは薬種商制度というものがあるから、その試験に合格した者でなければそういったことはできないんだよということを答えたつもりでございますが、ややそれが誤解されまして、むしろそういった薬種商販売業者への試験の申請というものを畜産局の衛生課が奨励したというぐあいに誤解された向きがありましたが、それは決してそうではございません。あくまで特例販売業というものは特例だということを強調するための回答であったわけであります。  それで、現実に薬種商に対する試験が大阪府と北海道でございまして、いま先生が御指摘になりましたような形での合格者が出ておりますが、これにつきましては、私ども決して奨励したのじゃないんだということの趣旨をはっきり、これは係官同士の会議でも強調しておりますし、また最近改めて簡潔な、正確な、分明を期して通達も出しております。  それから、試験実施の中身につきましては、これは確かにいろいろ問題があろうかと思います。県によってはばらばらであるかもしれないし、あるいはある県によってはむずかしいとか、ややそれよりもやさしいということもあり得るかもしれませんので、これはそのレベルアップという問題と、それから各県間のアンバランスをなくす、試験の程度を斉一化する、こういった方向で厳密に今後の運用を検討していきたいと思っております。
  213. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 それで、今回の大阪、北海道における試験合格者というものは適切なものであるか、こういうふうにお尋ねしたいわけですが、いまいろいろ御答弁がございましたけれども、その点についてこの際あわせて局長の見解を述べていただきたいと思う。
  214. 大場敏彦

    ○大場政府委員 薬事法二十八条によりまして薬種商販売業者の許可をするわけでありますが、そのためのいろいろ知識経験を持っておるかどうかについて試験をした上で許可を与えるということになっております。その試験の中身がどうであるかということにつきましては、私どもの方からこの際は批判を避けたいと思いますが、いずれにいたしましても、かなりの程度の学説試験あるいは実地試験が行われているわけでありますから、その合格した者に対しましてはやはり薬種商としての資格というものは認めるというのが本来的な筋であろうと思います。しかし、今後の運営として試験内容が従来どおりでいいかどうか、試験のやり方がいいかどうかということにつきましては、これも先ほど先生から御指摘がありましたように、指定医薬品そのものがほかに流れるというのは、やはり薬事行政の混乱ということもあり得ますから、そういう恐れがないような形でよく検討していきたいと思います。
  215. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣、本件についていまいろいろお聞きになったと思うから大臣にお伺いしますけれども、薬事法が施行されたころと今日の社会的背景は全く変わっているわけです。詳しいことは時間の関係で申しませんが、これを合法だからといって法の悪用を容認するような婆勢であってはならぬ、またそのような行政であってはならない、かように思うわけです。  そこで、私は、今回のこういったことを踏まえて、いま局長からもいろいろ答弁がございましたが、国はこれら関連法律を洗い直して、ひとつ原点に戻るべきじゃないか、かように思っておるのですけれども、これに対する大臣の見解もあわせてお伺いしておきたい、かように思います。
  216. 大石武一

    大石国務大臣 お話しのとおり、やはりどんな法律でも、それがいつでもその時代に合うように検討して改正することが妥当だと思います。薬事法につきましてもそのような努力はいたしているように思います。ただ、いまのところは大幅に改正する必要も余りなさそうでございますので、もう少し様子を見まして、さらにその必要が出ましたらこれを徹底的に改善してまいりたいと思います。
  217. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、ミカン対策についてお伺いいたします。  本年産温州ミカンについては、当農林水産委員会で八月十日、熊本県の例を中心に対策について政府の見解をただしたところでございますが、その後農林省は、このほど五十一年産ミカンの予想収獲量を発表されております。この調査は、八月一日現在における園地の果実状況などをもとにして、今後の気象条件が、平年並みで摘果などの肥培管理も通常年程度に行われるものとして予想したものでありますが、その結果、予想収獲量は三百三十一万三千トンと前年収獲量を三十五万二千トン、すなわち一〇%下回るものとなっております。私が去る八月十日指摘したとおりになったわけであります。また九月十五日現在の予想収獲量が今月末には再び発表されることになっておるようでございますが、御承知のとおり、台風十七号災害が西日本を中心に猛威をふるった後でもあり、その後かなりの減収も予想されるだろうし、本員が八月十日指摘した品質低下の問題も、さらに台風による葉ずれ等によってガザミカンが多くなり、果面粗剛による品質低下のミカンがますます多くなっておるのではないかと私懸念をしておるわけです。  そこで、お聞きしたいことは、収穫量の見通し、また品質面における実態についてどのように農林省は調査結果を踏まえておられるか、明らかにしていただきたい。
  218. 有松晃

    ○有松説明員 ただいままでに公表いたしました八月一日現在の収穫量については、先ほど先生のおっしゃいましたとおりでございます。その後統計情報部におきまして十月一日現在の予想収穫量を調査いたしまして現在その取りまとめ中でございまして、これは今月下旬に公表いたしたい、かように考えておりますが、ただいままでに私どもが中間的につかんでおる情報といたしましては、先ほど先生も言われましたように、台風十七号によって被害が若干出ております。これは大体二万トン程度というふうに把握しておりますが、そのほか八月以後の天候が余りよくないというようなことから肥大の状況も余りよくないというふうなことでございます。なお、このほか台風による玉ずれ等の品質の低下の問題もあるわけでございます。いずれにいたしましても、先ほど申しました下旬に公表いたします予想収穫量の調査においてその点は明らかにしたいと思っております。
  219. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 八月十日の前回の当局の答弁によると、農林省としては本年度の適正水準を一応三百四十万トンを目標に置いていたわけだが、またこの水準が達成されれば品質の問題もあるけれども、キログラム百二十円前後の水準にいけると踏んでおる、こういう意味の答弁がございました。いま申しましたように、八月一日現在で三百三十一万三千トン、一〇%減でございまして、すなわち大体三十五万二千トンも減収と中間報告として発表されたわけです。そうしますと、農林省が八月十日、いろいろ私の質問に答えたのとずいぶん変わってきた。そこで当局の掲げた適正水準は変更を余儀なくせねばならぬ、かように思うのですが、価格の見通しと合わせてどういうふうに今後検討しておられるか、その対処方針を明らかにしていただきたい。
  220. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 ただいま統計情報部長からお答えしましたように、三百三十一万トンを若干低下する可能性もあるということでございますが、私どもは今年の生産を特段の調整をしなければ約三百九十万トンぐらいになるのではないかと思っておりましたが、先ほど来説明いたしておりますような気象条件とそれから伐採、高接ぎ等もかなり行われましたために三百三十万トンの見通しになってきておるわけでございます。私どもは三百九十万トンを想定いたしましたときには、それを三百四十万トンぐらいまでに調整すれば適正な価格が実現できるのではないかという前提でおったわけでございますが、その水準を下回っておる、さらに今後下回るおそれがあるということでございますので、昨年の三百六十六万トンに比べてかなりの生産減になる見込みでございます。したがいまして、私どもといたしましては、出荷を計画的に行い、また市場出荷と加工用の出荷の振り分けを適正に行いまして、価格の安定に努めてまいりたいというふうに考えております。
  221. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 収穫量が減れば価格は上がるわけです。そこで問題は、量が今後相当に落ち込んでくれば、ミカンによる果汁加工原料が確保できるかどうかということが問題になっております。熊本県の場合でも、果汁工場は大変心配しておるわけですが、農林省は三百四十万トン前後に抑制するという根拠として、加工用原料ミカンの需要を五十五万トンと見ておられたわけでありますが、ちなみに昨年の実績は五十三万トンでありますけれども、このように一〇%の減産では思惑が外れたということになるわけであります。最近の加工需要、特にジュースの消費が、非常に飲んでおるということを見ましたときに、私たちも先々心配をするわけです。ちなみに申し上げますと、昨年は残暑が厳しくてジュースの消費がずいぶん伸びた、こうされておりましたけれども、ことしは、このように冷害があるような冷夏でございまして、残暑等には関係なく順調に伸びているという傾向を示して、まことにこれは結構なことであります。そういったことから、加工原料が確実に確保できるかどうかが心配であります。これについて、九月に全国果汁生産出荷安定協議会でも、量の割り当てで協議したとも聞いておりますけれども、どういう見通しか、また原料確保にどういう措置をとるつもりか、ひとつ簡潔にお答えいただきたい。
  222. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 今年産のミカンの加工向けの需要量は、ジュースとかん詰めと両方ございますが、両方で七十七万トンという見込みを立てておるわけでございますが、先ほど申しましたように、ことしの作が悪いということのために、加工用を確保するためには、かなり努力を要するというように思っております。現在、加工原料用果実の価格安定制度というものをやっておりますが、これは長期取引契約を生産者団体と加工業者の間に締結をさせまして、その締結した場合には、価格がもし暴落するようなときには、最低保証価格で一定部分を補てんするというような仕組みで、長期契約を促進をしておるわけでございます。これが今年度、七十七万トンのうちで五十六万トンはすでに契約が行われておりますので、この長期契約に基づいて、これを完全にできるだけ履行していくということに努めることがまず肝心であるということで、関係団体等を強力に指導をしてまいりたいと思います。
  223. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 去る十月五日、六日の二日にわたって、山口県において開かれた第二十四回全国柑橘研究大会は、緊急事態に対処するため途中で全国生産者大会に緊急に切りかえられて大会が開かれました。この大会で、国に対する要望事項として、一つには、オレンジ果汁の輸入枠の拡大と自由化は絶対にするな。二つには、すでに自由化されている柑橘の無秩序な輸入を直すための行政指導を。三つには、計画生産出荷促進事業など国の施策を改植、更新事業一本にしぼり、低位生産園の更新、転作に助成を。四つには、原料価格保証のため基金制度確立に助成を。五つには、集出荷施設の改善に対する助成と国鉄運賃などの値上げに伴う運賃負担の軽減措置などが決議されております。当局も御承知だと思います。  当委員会で八月十日に政府に伺った点でありますけれども、加工原料用ミカンの価格の問題ですが、熊本県の例で申しますと、原料果汁が、キロ当たり、四十八年が十七円四十九銭、四十九年が二十円六銭、五十年が二十円七十銭、かん詰めの方が、キロ当たり、四十八年十七円三十五銭、四十九年二十八円六十三銭、五十年二十五円五十七銭、こういう実態で、非常に低いのであります。先日も言ったとおりであります。  ある団体では、生果の市場出荷時にキロ当たり一円を取って、加工ミカンの手当てに振り向けるという考えで、これが全国的にまとまれば国がそれに対して助成をしてほしいという要望もあるわけです。今回の山口県の第二十四回大会でもこういったことがいろいろ話に出たわけでありますが、こうした要望を踏まえて、加工原料価格について何とか国で対策をとらねばならぬ。ことしはかなり厳しい情勢下でありますので、ミカン農家に対して政府の温かい対策を講じてもらいたいと思うのですが、それに対する見解を承りたい。
  224. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 加工原料用果実価格の安定対策の一環といたしまして、保証基準価格というのを定めまして、それを下回った場合に八〇%の補てんをするという仕組みで補てん財源に対しまして国から援助をしておるわけでございますが、これの保証基準価格はことしはジュース用は二十九円九十八銭ということで、約三四%だったかと思いますが、昨年より上げております。もちろん加工原料用のミカンといいますのは、くずミカンもかなりあるわけでございますし、生食用に向くものであっても二級品ということでございますので、一般市場に出荷されるものの価格と直ちに比較するわけにはまいらないわけでございますが、最低価格という面もございまして、全国標準で申しますと二十九円九十八銭ということになっておるわけでございます。ことしは、先ほど来御議論ございますようにむしろ原料用のミカンの出荷を確保するのが問題でございまして、その価格を割ることはまずないというふうに思っておるわけでございます。むしろ数量を確保する。この数量を確保いたしますのは、先ほどお答えいたしましたように二カ年間の長期取引契約を結ばせておりまして、現にことし結んでおります。したがいまして、それを履行してもらうということですね。これは目先だけ考えますと、ことしは生果用の方が非常に高いからそっちへ出荷したい、加工用は安いからということですけれども、やはり長い目で見て加工工場が成り立っていくということが、過剰の場合には非常に生産者のためにもなることでございますので、工場の安定操業という点からいたしましても、若干無理してでも契約は履行するということに努力をしていただきたいということでわれわれも指導してまいりたいと思っております。
  225. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間の制約があるので、ミカンについての残余の問題はまた次回に譲るといたしまして、次に養蚕問題を何点かお伺いしておきたいと思います。  生糸の世界的な供給過剰傾向や国内絹需要の停滞に加えまして、近年の中国、韓国産生糸のわが国市場への進出でわが国養蚕業が大打撃を受けていることはもう御承知のとおりです。これについては毎年たびたび当委員会でも論議してきたところでございますが、ことしさきの国会において繭糸価格安定法の改正を行い、繭糸価格安定対策に関する決議を行ったところでございますが、現在基準糸価一万二千百円に対して市価も一万二千八百円台を前後し、最低繭価は保証されておるとはいうものの、私の調査によれば晩秋蚕が約三%の減産の傾向であり、生糸も日本全体を見ましたときに、年間を通して約五%の減産というふうに言われておりまして、増産の兆しがないというふうにわれわれは見ております。このように法改正その他各種措置を講じても、肝心の生産農民、養蚕家に生産の意欲がないということは、今後わが国伝統産業であるところの養蚕が一大危機に頻している、かようにわれわれは思って憂慮をいたしておりますが、この減産はどの程度であるか、当局は晩秋蚕及び年間を通じてどのくらいの減産になっているか、まず最初に明らかにしていただきたい。
  226. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 前年に比べましておおむね六%の減少、春繭から晩秋蚕まで通じまして約八万六千トン程度になるのではないかというふうに推定をいたしております。
  227. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 減産の原因はどういうふうに見ておられるか、明らかにしてください。
  228. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 いろいろ原因があるかと思いますが、一つは一昨年からでございますか、絹糸あるいは絹織物等の輸入がかなりふえまして生産者が不安を持ったというような心理的な問題もございますし、さらにまた他の作物との作付の競合という点でたばこだとか果樹等を転換するというようなこと、それから労働力が非常に足らなくなってきているというようなことも原因一つかと思いますが、ことしの特殊事情といたしましては、先ほどミカンでも出ましたように春先から天候が非常に不順でございまして、桑の生育が悪かったということのために掃き立てを見合わせざるを得なかった、抑えざるを得なかったというような事情もございまして、それらの各種の要因が競合いたしまして、ただいまのような数字になっているというふうにお考えになっていただきたいと思います。
  229. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林省当局においては増産体制をいかに考えておるかということと、増産の意欲が農林省はあるのかどうか、その点も簡潔にお聞きしたい。
  230. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 残念ながらそういうふうに減産見込みでございますけれども、私どもといたしましては、伝統的な重要産業でございますのでできるだけふやしていきたい。わが国は世界最大の生糸の消費国でございますので、できるだけ国内供給を確保していきたいということから、先般来蚕糸業振興審議会の生産部会で種々検討をいただきまして、大体の方向を出していただきました。私どもといたしましては、来年度からその線に沿いまして、たとえば速成密植桑園の栽培を始めていくとか、あるいは人工飼料飼育を稚蚕については普及をしていくとか、あるいは中規模養蚕農家の複合経営を育成することによりまして脱落を防いでいくとかというようなことに重点を置いて、来年度以降努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  231. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 生糸の消費拡大はどういうふうに考えておられるか。
  232. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 消費拡大が大事なことは申すまでもないわけでございますが、これも直接には通産省の所管にかかわることでございますが、蚕糸サイドからいたしましてもできるだけ努力するということで、これも審議会の需要増進部会というところで現在御検討をいただいておるわけでございます。新規需要の開拓とかあるいは消費宣伝のやり方の問題、あるいは流通機構の改善の問題、マージンが途中段階が非常に高いわけでございますが、それらのことを含めて現在検討していただいておりますので、結論が出次第その線に沿って、団体と国と蚕糸サイドとしてもできるだけの努力をしてまいりたいというように考えております。
  233. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣に最後に伺って質問を終わりますが、いま論議しましたとおりいろいろ問題があるわけですけれども、輸入生糸の売り渡し価格について大臣にお伺いします。  高値抑制売り渡し方法の価格は現在決まっていないわけです。いわゆる全養連では、中間売り渡し価格と中間買い入れ価格の中間位で売り渡しを行うよう希望しておりますが、この点について農林省はどういうように考えておられるのか、またどういうように指導されるのか、またこの輸入生糸の放出はいつをめどにどういう計画でなさるのか、その点最後にお答えをいただきたい。
  234. 大石武一

    大石国務大臣 私はどうも生糸のことはまだ余りよく理解できておりませんので、実は局長なり局の正しい判断に私はゆだねておるわけでございます。そういうことで、日本の蚕糸業が発展するように、国民の利益になるように計らってまいることと思いますので、ひとつ局長からお答えさせたいと思います。
  235. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 輸入生糸の放出の価格の問題でございますが、これは輸入やり方、売り渡しのやり方を二つに分けております。これは一般売り渡しというのと実需者売り渡しというのと、輸入生糸については二つの方法をとることにいたしております。後者の実需者売り渡しというのは、俗に言う瞬間タッチというのでございまして、実際の実需者にあらかじめ輸入数量を割り当てておきまして、商社を通じて必要なものを必要な価格で自主的に決める、それを事業団は瞬間タッチで右から左にそのまま売り渡すということをやっております。それから一般売り渡しといいますのは、国内の生糸の価格ができるだけ安定帯の中で適正な水準に落ちつくように、といいますことは、余り高くなったときには売り渡しをする、そうでないときには輸入したものを事業団は瞬間的に売り渡すのではなくて持っておるという性格のものでございますが、これについてはあくまでも一般競争入札で時価で売るということにいたしております。そこで、現在価格が一万二千八、九百円になっております。かなり高いところにいっておりまして、中間標準売り渡し価格に接近しておりますので、近く事業団手持ちの輸入生糸を売り渡すことを考えております。これは一般売り渡しということになりまして、時価を冷やすために売りますけれども、あくまでも一般競争入札で時価で売るということにいたしております。下がらなければさらに追加して売るというようなやり方をいたすことにしております。なお、瞬間タッチによる売り渡しは、先ほど申しましたようにこれは個々の実需者が商社を通じて輸出国と取り決めた数量によって一定の手数料を加えた上で瞬間タッチで売り渡す、こういう方針でございます。
  236. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間が参りましたので、残余の問題は次回に譲って、以上で質問を一応終わります。
  237. 菅波茂

    ○菅波委員長代理 志賀節君。
  238. 志賀節

    志賀委員 私は、農林水産問題の中でも特に今般の冷害問題を中心として質問をさせていただこうと思うものであります。  ことしの冷害はもちろん一部天災によるものでございますが、私は一部やはり行政に落ち度がありはしなかったかという深い憂いを持っておるわけでございます。いままでの行きがかりから何か手っ取り早くお金になるようなそういう行き方、これがどうも農民の側にしみつくような農政が行われておったのではないかという、私は深い反省でございます。私、このことの象徴的な一つの弊として痛感いたしますのは、生産者米価が決められる、いわゆる生産者米価大会を前後とする、農林大臣の米価審議会に入っていったり出てくるときに、事もあろうに農民からお米が投げつけられるという粗末なお米の扱いが行われる。私どもさらいの年配以上の者は講談などで、水戸黄門が米俵に腰をおろして火吹き竹で百姓ばあさんに頭をなぐられて、八十八回も手数をかけるお米に対して腰をおろすとは何事であるか、そういう物語があったのを明らかに思い出すのであります。そういう本当に大事に思わなければならない農民の側から粗末に米を扱うまでに農政というものがいままでゆがめられてきておったのではないか。そのためにこういう冷害、いわゆる異常気象というものが訪れると、冷害にたわいもなくなってしまうようなそういう行政があったのではないかという深い反省をしなければならない、私は政治家の一人としてそういうことを考えておるのでありますが、この点は農林省にも特に御反省をいただきたいと思いますとともに、新農林大臣大石武一先生が愛情ある農政を最初から標榜しておられることには深く敬意を表しますとともに、どうかその線で、猛烈にこの線を押しまくっていただくように希望するものでございます。  そこで私は、この冷害問題に関しましていままで与野党の議員からいろいろ御質問があったと思うのでありまして、私の質問もまたその幾つかが前者の質問と重複することを恐れるわけであります。しかし、でき得るだけ私も重複を避けるようにしたいと思いますが、煩をいとわずに御答弁を賜りたいと存じます。  今回の冷害によって米は収穫量が減収するだけではなくて、品質的にも相当に劣った低品位米が相当量出回ることが予想されるわけであります。その場合、少なくとも主食に向けられる物については政府は買い入れを行うべきであると考えますが、さきに大石農林大臣が全量買い上げということを言っておられましたが、ただ、この場合全量とおっしゃっても、これにはおのずとその全量の中に含まれる米というのは何なのかということはあるかと思うのであります。たとえば、私今度の冷害に際しまして初めて学んだ言葉でありますが、不稔粒という言葉がございます。稔らざる粒と書くのだそうでございますが、不稔粒は米の扱いがされるのかされないのか。恐らくされないと考えるのが常識かと思っておりますが、いずれにいたしましても政府は買い入れの可能となる低品位米の規格設定をこれは大急ぎでしていただきたいと思うのであります。これは大急ぎでしていただきたい。そして低品位米であっても、低品位の下限をなるべく下の方に持っていっていただきたい。これは東北農民のひとしく希望するところであると私は思いますので、このことをお願いいたしますとともに、その規格設定はいつごろできるのか、そしてまた買い入れの時期、これはいつごろにしていただけるものか、これを御答弁いただきたいと思うのであります。
  239. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  買い入れの基本方針は、大臣から本日もるる申し上げたとおりでございますが、急ぐのは先生がお話しのとおり規格外米の規格の設定でございます。これについては先般も大臣から私どもに指示がございまして、十月中に特例規格の設定とそれから買い入れ価格の決定、これの公式手続を全部完了するようにという御指示をいただきまして、われわれとしてはいま鋭意急いでおるわけでございまして、特に特例規格の設定につきましては、これは内々の方針が決まりますれば、関係県には至急御連絡を申し上げまして、その調整なり受検、検査を受けられるように、被災農家の御便宜に供したいというふうに考えておるわけでございます。
  240. 志賀節

    志賀委員 これもすでに御質問があったかと思うのでありますが、冷害によって予約概算金が返納されなければならないのでありますが、被災農民に対してはその概算金の延納措置及び返納金額に対する利子の減免措置、これはどうなっておるか、ひとつ煩をいとわずにお願いしたいと思います。
  241. 大石武一

    大石国務大臣 それは御趣旨のように、実際自分の食う飯米さえない農民もずいぶん出てまいりましょう。そういう農民に対して前渡金を払えと言っても、それは非常にむずかしいと思います。そういう意味で延期してあげることも一つの正しい考え方だと思います。ただ、御承知のように、そのような冷害対策につきましてはいろいろなことをいま考えております。御承知と思いますが、たとえば激甚災害の指定、そして天災融資法の発動とかあるいはその他いろいろな制度資金、たとえば自作農維持資金とかそういうものを貸してあげるとか、できるだけ限度いっぱいのものを貸してあげたいと思います。そういうことを考えますと、そのような金が払えない、生活がやりにくくなった場合の資金として、自作農維持資金というものはそのためにあるのです。そのような借金ができて払えなくなったとか牛を手放さなければならなくなったとか、いろいろ生活を落とさなければならぬという場合に、それを守ってあげるために貸すのが自作農維持資金、そういうものでございます。したがって、延納を認める、そのために払うべき金の自創資金も認めるというと、これはちょっと矛盾してくるわけなんですね。そういう意味で、いまわれわれはやはり制度上やりにくいということで、恐らく前渡金は十五万か二十万、そんな程度だと思いますが、そういうものに対してはこれから貸す自作農維持資金、そういうもので十分にやり得るという考えを持っておるわけでございます。ただどうしても困るという場合には、御承知のように代位弁済という制度があります。大体農協ですから、農協がかわってその金を支払ってくれるわけなんです。そして農協に後で弁済していくという方法もあります。こういう場合には多少農協に金利もかかりますが、そういうものはめんどうを見てあげたいと思います。     〔菅波委員長代理退席、委員長着席〕 また前渡金の利子、これは当然災害の程度に応じまして全免から減免といろいろな方法がありますから、それについてもできるだけの考慮はいたしたいと思います。
  242. 志賀節

    志賀委員 ありがとうございました。  それから、大臣委員長も等しく東北選出の方でございますからよく御存じのことだと思いますが、雇用機会の余りない、あるいは余り期待できない冷害地において、被災農民の就労機会の確保を図るために、いわゆる救農土木事業を積極的に行うべきではないかと思うのであります。特に岩手県の場合は約一万一千人の就労希望人口があるやに聞いております。大体これに要する費用が五十一億というようなことも聞いておるわけでございます。この救農土木事業は、いままさに冬将軍が迫りつつあるときに、やはり降雪、積雪の見込まれる東北でございますから、非常に急を要する、至急に手を打っていただきたい。そのことについてどのように相なっているか、特に時間的に急ぐという問題を中心として御答弁をいただきたいと存じます。
  243. 杉山克己

    ○杉山政府委員 いま先生御指摘のように、現地では被害を受けている農民の現金収入の機会を確保するために救農土木事業をやってやりたいという要請が強く出ております。現在農林省としましては、これを積極的に進めるという考え方のもとに、どれだけそういう就労を希望する農民の数があるか、現地でどのような適した事業があるか、それは規模はどのくらいになるかというようなことを各県から報告を徴しております。大体基礎になるような数字は出てまいりましたが、県の間で考え方のばらつきもありますので、それを調整している段階でございます。岩手県の具体的な数字はそれぞれ担当の部局のところへ参っていると思いますが、この席では私承知しておりませんが、県から出た数字も基礎にしていろいろ検討を進めているところでございます。お話しのように、東北は確かに冬季事業につきましてはいろいろ気象的な制約もあります。私どももできるだけこれは急がなければならないということで手続を進めておりまして、あと若干の時間をおかしいただければはっきりした御回答ができるものと思っております。できるだけ早くということで懸命に努力をいたしております。
  244. 志賀節

    志賀委員 ぜひそのようにお急ぎの上、よろしくお願いしたいと存じます。  それから、先ほどお隣の片岡議員から聞きましたら、社会党からけさ質問があったそうでございますが、同じことを承らしていただきます。  現在の田植え機は稼動力に重点を置いているために、稚苗用を中心につくられているために、今回の冷害によって著しく損害を受けた要因の一つとしては田植え機による稚苗植えにも原因がある、これは実際農民の声でございます。もちろん稚苗だけに責めを負わせるわけにはいかないでありましょう。たとえば田植えの時期もございましょう。いろいろ要素があると思うのでありますが、しかしいずれにしても、農民のそういう声を聞きますときに、中苗、成苗用の田植え機についてもその開発を図るようにメーカーに対して行政指導を行うようなこともまた御検討いただきたいと思うのでありますが、その点どのように相なっているか、お聞かせをいただきたいと存じます。
  245. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 稚苗移植をしたところがどうしても成育がおくれますので、今回被害を受けた原因一つになっておるということは御指摘のとおりでございます。したがいまして、高冷地等におきましては中苗植えに転換をするという必要があるわけでございます。この点につきましては、すでに前から単なる冷害対策ということだけではなしに、表作と裏作をやります場合、表作を余り早くやっては困るということもございまして中苗田植え機の開発というものが技術的にすでに進められておりまして、現在すでに市販されております田植え機は大体稚苗と中苗兼用の機種になっております。したがいまして、機械的には一応解決をしておる。普及の程度は、まだ中苗植えというのは機械田植えのうちの半分以下でございます。東北の場合で四十数%かと思います。したがって、機械的には解決しておりますから、これを普及をしていくということが地域によっては、あるいは経営によっては大事だと思います。  問題になりますのは、機械的には解決をしておりますけれども、育苗につきましていままでのやり方を少し変えなければいかぬ。箱数をふやさなければならないとか、あるいは管理に特別の手がかかるとかいうような問題がございますので、それらを技術指導としてやっていかなければならないと思います。  さらに、いまお尋ねがございませんでしたけれども、成苗田植えというものがあるわけです。これは、普通手で田植えをする場合と同じように、葉が四枚ないし五枚になる程度の、二十センチから二十五センチぐらいのかなり大きな苗を植えるということでございますが、これは成育を促進するために一番いいわけでございます。これにつきましても一部メーカーがすでに開発をしております。ただ、これは一般的にはまだ普及をしておる段階には至っておりませんし、なお技術的には改善を加える面があると思いますけれども、これらの開発を促進いたしまして普及を図ることが、地域により、経営によっては大事ではないかというふうに考えております。
  246. 志賀節

    志賀委員 御承知のとおり、今回の冷害は岩手県に一番被害が大きいということでございます。もう東北御選出の先生方には珍しくないものだと思いますが、ここに、私の選挙区ではございませんが、岩手県の松尾村でできました米、精米したまるで粉末のような米、これを持ってきておりますので、御希望の方にはごらんをいただきたいのでございますが、かつて岩手県の遠野、これは柳田国男先生の「遠野物語」で有名な遠野でございますが、この遠野に耐冷性品種の育成、耐冷性作物の選定、裁培法等に関する試験を行っていた試験場があったということを聞くのであります。昭和九年に何かこれが統廃合されましたか、なくなったそうでございますけれども、今回のこの冷害にかんがみて、そういうことを、岩手県の遠野がよろしいかどこがよろしいかよくわかりませんが、ともかく冷害の最も大きな被災地であった岩手県に復活させるというようなことをお考えにならないかどうか、この点をお答えいただきたいと存じます。
  247. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 ただいま先生御指摘の遠野の試験地と申しますのは、昭和九年の大冷害を契機といたしまして、昭和十年に東北六県にいま先生お話しの趣旨で設けられた試験地でございます。耐冷品種の育成、耐冷作物の選定、栽培法というようなものを試験するという意味で設けられたわけでございますが、その後幾つかの変遷を経まして、昭和二十二年に育種事業につきましては青森県農業試験場の藤坂支場に統一されまして、遠野の方は水田経営に当たるということで、育種については研究をやめたということでございます。東北地方の耐冷性品種の育成、ことに水稲につきましては東北農業試験場それから青森県の農業試験場の藤坂支場、これは指定試験地になっておりますので、そこで品種の育成を行いますと同時に、宮城県の古川農業試験場、ここも耐冷性品種の育成をやっておるというような状況でございまして、ここいらでできた品種が現在東北でも耐冷性品種として用いられておるという状況にございます。  耐冷性品種の育成という点につきましては、東北地方、北海道の農家の所得の確保なりあるいは農業経営の安定なりという点につきまして非常に重要なものであるということで、私どもとしては従来も鋭意その推進に当たってきたところでございますけれども、今後もまた大いに進めてまいりたい。幸い、私どもでは、北半球の寒冷化が予想されるということもございまして、昭和五十一年度から別枠研究で寒冷気象下における農業技術の確立ということで、大体どこいらはどういうふうな気候の類型になるのか、過去の事例から調べてみましてどういう異常気象があったか、そういう地域についてはどういう作物が適するかということを、水稲に限らずほかの豆類であるとか果樹であるとか、そういうようなものについても研究をするということで考えておりまして、国の試験場のみならず、先生お話しの岩手県の農業試験場あるいは東北各県の農業試験場の御協力を得て研究の推進に当たってまいりたいというように考えておるわけでございます。
  248. 志賀節

    志賀委員 それでは、試験場の復活はないようでございますが、いずれにいたしましても、そういう横のつながりのチームワークでぜひいまお話しのような、北半球が寒冷期に向かっているような話も聞くわけでございますから、今後の農業問題に関して技術的にも万遺漏なきを期す御研究を積んでいただきたいと存じます。  次に、農業から水産関係に移りたいと存じます。  ことしの冷害状況を見ておりまして従来と趣が変っておりますのは、陸の方が冷害のときには、海の方は何か物によっては豊漁のことがあったわけです、たとえばイカがたくさんとれるとか。ところがことしは陸も海もともに不漁である。それは、私流の言葉を許していただければ、ことしは海の冷害であるという表現が許されるかと思うのであります。その冷害対策は一体どのようにしておられるか、きわめて大づかみなアウトラインで結構でございますが、内村長官からお聞かせ願いたいと思います。
  249. 内村良英

    ○内村政府委員 三陸沖の主要漁業でございますサバ、サンマ、イカ等が、本年は現在までのところ一般に不漁でございます。と申しますのは、これらの漁業は十月、十一月が盛漁期になりますので、まだ非常に不作だと判定するには、ちょっと早いのじゃないかという問題がございます。そこで、これらの、特にサバ、サンマの不漁の原因でございますが、ことしは北海道の東から三陸沖にかけまして例年に比べまして規模の大きい暖水塊が形成されまして、このため親潮の南下が妨げられているのが一つの大きな原因でございます。それから、スルメイカにつきましては、数年来資源量が低下いたしまして、三陸浴岸の来遊は減少傾向にございます。しかし、イカの場合には、御案内のように一年生の魚でございますので、これは将来はわからないということでございます。  そこで、ただいま申し上げましたようなことで、確かにただいまのところ不漁でございますけれども、われわれといたしましては、十月中旬から十一月下旬にかけての盛漁期の漁況を見まして、もしも非常に不作であれば何らかの対策が必要になるかと思っておりますけれども、現在のところでは、本年度中に漁業経営維持安定資金と漁業用燃油対策特別資金が出ますし、その他公庫の漁業経営安定資金、これは一種の不漁の場合の対策の資金でございますが、それと漁業近代化資金の延長措置等を検討すれば余り困らないのではないか。われわれといたしましては、いずれにいたしましても、これから盛んにとれることを非常に期待しておるわけでございます。
  250. 志賀節

    志賀委員 私はつい十日ほど前に岩手県の大船渡それから細浦、この二カ所の魚市場に参りまして、あそこの漁業協同組合にも訪れまして若干の漁民の方と話をしてまいりました。そのときの話でございますと、イカが不漁でこれに対して何か手だてはないかということを私は岩手県の県庁に問い合わせておったのでありますが、数年前の不漁時にそれに対する手当てを県がやってやった、しかしその際、二度とこういうことがあってはいけないから、共済に入りなさい、それを条件にめんどう見てあげましょう、こういうことで漁民がめんどうを見てもらったわけでありますが、ことしはそれでもってそのめんどうを見させようと思っても共済に入っておらない。そこで、漁民の人たちに共済のことをなぜ入らないのだということを聞きますと、どうも魅力がないと申しますか、一言で言うとそういう返事がはね返ってくるわけであります。もちろん個々には、人間でありますから、まことに残念なことでありますが、エゴイズムが働いていないとも限らないわけでありますが、しかし、一方、われわれの方は漁民のエゴイズムだということで現在の共済制度をそのままにしておいていいのかどうか、もっと魅力あるものとして何か具体的ないい方策はないものか、そういうようなことを私考えたわけでございます。そこで、この共済制度をもっと魅力あるものにしていただけないかということについて御答弁をいただきたいと存じます。
  251. 内村良英

    ○内村政府委員 ただいま先生から御指摘がございましたように、どうも漁業の共済制度は魅力がないということで、もう少し制度を改正して、掛金が安くて十分な補償をもらえるような制度をつくってくれという要望が漁民にあることは私ども承知しております。そこで、御案内のように、四十九年には漁業災害補償法を改正いたしまして補償水準の引き上げ、てん補内容の改善、共済掛金に対する国庫助成の強化等の措置をとったわけでございます。その結果、四十七年度は漁獲共済の加入率が一一%であったのが四十九年には一五%に上がっております。養殖共済も、これは従来漁獲共済に比べれば加入がよかったわけでございますが、三二%が四一%に上がっております。したがいまして、少しずつよくなっているわけでございますけれども、なお今後、われわれといたしましても、御指摘のようにもっと共済制度の拡充に努めなければならぬ、こう思っているわけでございますが、いずれにいたしましても保険でございますので、十分なる補償ということになりますと、ある程度掛金が上がってくるという問題もございまして、その辺のところをもっともっと制度を充実するようにしたい、そして魅力のあるものにしたいというふうに考えておるわけでございます。
  252. 志賀節

    志賀委員 いよいよ漁業も新しい海洋法の時代に入りつつあるわけでありまして、漁業資源、魚類資源について非常に問題があるわけでございます。漁業交渉一つをとりましても、それが科学的データであると言いながら、たとえば日ソ両国間の出し合うデータがまるっきり隔たりのある数字である。全く話にならない。こういうことが、国際間の漁業交渉はともかくとして、いわゆる友好親善に対してどれだけマイナスをしょわせているかはかり知れないものがあると思うのであります。  そこで、そういう友好親善の実を上げる上におきましても、何かそういうことの研究機関を設置するというような方向考えられないものかどうか。それはもちろん、日ソ間でやる場合には日ソ両国の学者が共同の研究機関をつくることも一方でございましょうし、あるいは第三者がそれに入るか、あるいは全くの第三者がそのようなものをつくることも一つ方法でございましょう。私は、そういうようなものをつくる方向日本の水産界、水産業は考えてもいいんじゃないだろうか。私は、国際連合というものは非常に気宇壮大なりっぱな機関であるとは思いますけれども、これはまだまだ穴だらけであります。その穴を補完する方法としても、ひとつそういう魚類の資源研究なんかを和気あいあいで、一つの結論を得るための何カ国かによる研究機関ができた場合にはそういう役割りも果たせるのではないだろうか、そういうことを期待するのでございまして、私はこのことにも特に意を用いていただきたいと希望しておる者の一人でございます。この点につきましてお考えをただしたいと存じます。
  253. 内村良英

    ○内村政府委員 ただいまお話がございましたように、これまでの漁業交渉の場合に、特に漁獲量の決定について、関係国の科学者が集まりまして科学委員会というものでいろいろ審議をいたしまして漁獲量を決めているわけでございます。ただ、日ソ交渉にもあらわれておるように、同じデータを使いながら評価の方法等が若干違って数字が違ってくるということがございます。したがいまして、FAO等の第三者機関がそういう面を十分やりまして、それに従って漁獲量を決めるというようなことができれば非常に望ましいと思っております。今後二百海里の時代に入りますと、沿岸国の力が強くなりまして、沿岸国の一方的な評価で決められるということは、わが国漁業にとっても重大な影響を及ぼしてまいりますので一われわれといたしましても、海洋法会議等でもできるだけ国際的な機関あるいは地域的な機関の評価を基準にしてやるべきだということを主張しておりまして、先生御指摘のとおり、そういうものができることは非常に望ましいことだというふうに思っております。
  254. 志賀節

    志賀委員 最後に私から希望を述べまして、もしできますれば大臣のお気持ちをお述べいただきまして私の質問を終わらせていただこうと存じます。  江戸時代、御案内のとおり、今日なお悪名高い田沼意次という内閣総理に相当する者がいたわけでございます。この田沼意次のいわゆる金権政治の後を受けたのが松平楽翁公定信でございまして、松平楽翁公は福島県白河の藩主でございました。この松平楽翁公がいわゆる台閣に列する前にその名をとどろかせたのは、天明の大飢饉の際に、みずからの領地からは一人も餓死者を出さなかった。ところが、それ以外の東北の各地域では犬や人肉を食うまでに悲惨な冷害を経験したということでございます。私はそういう過去の史書に徴しまして、現在この冷害がまだこの程度で済んでいるまでにいろいろ御研さんを積まれてきた、先ほど私が冒頭に苦言を呈したのでありますが、農林省、農政のその見るべき一面を見るし、また非常にありがたいことだと感謝をするのでありますが、いまから後世の人間がまた今日のような冷害が夢物語に思うような進歩を農業の上においてもたらさなければいかぬ、こう考えておるわけでございます。  それにつけても、やはり今日この農業のその時代に向かっての基礎づくりが大事であるし、これがまた私どもにとって緊急課題だと思うのであります。大臣が私どもと同じ東北からお出になって、しかもその松平楽翁公定信のお話も申し上げたのもそういう故事を思い出して申し上げるわけでありますが、どうかそういう面から全力投球で今回の冷害にもお取り組みいただくとともに、今後冷害のような異常気象があっても冷害が起こらない、あるいは起きても最小限に食いとめ得るような、そういう農業を目指していただきたい、そのための大臣のお気持ちを最後にお聞かせをいただくことにいたしまして私の質問を終わらせていただきたいと存じます。
  255. 大石武一

    大石国務大臣 ただいまの志賀さんのお考えはまことに結構でございます。私もそのとおりやるべきだと思います。  そこで、この冷害も今後はまたたびたびあると思わなければなりません。われわれが幾ら科学の進歩に努力したって何をしたって、この大きな宇宙なり自然の力なんというものにはとうてい抵抗できるものではありません。しかし、それにしてもできるだけの備えをして、できるだけ災害を少なくするということがわれわれの大事な務めだと思います。  また同時に、その災害が起こった場合には、そのことによって生活がつぶれるようなことがないように、いままでと近い生活をその期間は維持することができるような制度をつくっておくことが一番大事だと思います。それにはやはりいま申しましたように、農政に対する全部の人の、こういう管理をする者の愛情が基盤であり、そういうことが必要であると思いますので、おっしゃるとおり、いま一生懸命努力いたしまして、明るい将来をつくりたいと考えております。
  256. 志賀節

    志賀委員 ありがとうございました。(拍手)
  257. 湊徹郎

    ○湊委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時四十七分散会