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1976-10-08 第78回国会 衆議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月八日(金曜日)     午前十時十一分開議  出席委員    委員長 湊  徹郎君    理事 今井  勇君 理事 片岡 清一君    理事 島田 安夫君 理事 菅波  茂君    理事 井上  泉君 理事 角屋堅次郎君    理事 中川利三郎君       足立 篤郎君    加藤 紘一君       吉川 久衛君    染谷  誠君       丹羽 兵助君    森下 元晴君       柴田 健治君    島田 琢郎君       竹内  猛君    芳賀  貢君       馬場  昇君    美濃 政市君      米内山義一郎君    諫山  博君       瀬長亀次郎君    津川 武一君       瀬野栄次郎君    林  孝矩君       稲富 稜人君  出席国務大臣         農 林 大 臣 大石 武一君  出席政府委員         農林大臣官房長 森  整治君         農林省農林経済         局長      吉岡  裕君         農林省構造改善         局長      岡安  誠君         農林省農蚕園芸         局長      澤邊  守君         農林省畜産局長 大場 敏彦君         農林省食品流通         局長      今村 宣夫君         食糧庁長官  大河原太一郎君         林野庁長官   松形 祐堯君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      古橋源六郎君         厚生省保険局国         民健康保険課長 舘山不二夫君         農林大臣官房企         画室長     小島 和義君         農林大臣官房総         務課長     矢崎 市朗君         農林省食品流通         局砂糖類課長  牛尾 藤治君         自治省財政局財         政課長     石原 信雄君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 十月八日  辞任         補欠選任   諫山  博君     瀬長亀次郎君 同日  辞任         補欠選任   瀬長亀次郎君     諫山  博君     ————————————— 十月七日  南方産広葉樹材防虫対策に関する請願下平  正一紹介)(第四〇四号)  同(中澤茂一紹介)(第四〇五号)  同(中村茂紹介)(第四〇六号)  同(原茂紹介)(第四〇七号)  養蚕農家の経営安定に関する請願下平正一君  紹介)(第四〇八号)  同(中澤茂一紹介)(第四〇九号)  同(中村茂紹介)(第四一〇号)  同(原茂紹介)(第四一一号)  国民食糧安定供給に関する請願鈴木善幸君  紹介)(第四五五号)  大豆の生産確保及び価格安定対策確立に関する  請願鈴木善幸紹介)(第四五六号)  リンゴ腐乱病防除対策に関する請願鈴木善  幸君紹介)(第四五七号)  道頓堀場外馬券売場設置承認取り消しに関す  る請願久保田鶴松紹介)(第四七〇号)  農林業者の経営及び生活安定に関する請願(寺  前巖君紹介)(第四八九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(いもでん粉及  び甘味資源価格問題等)  小委員長からの報告聴取  昭和五十一年産いもでん粉原料基準価格等に  関する件  昭和五十一年産てん菜最低生産者価格等に関  する件      ————◇—————
  2. 湊徹郎

    ○湊委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴田健治君。
  3. 柴田健治

    柴田(健)委員 時間の関係上簡単に質問を申し上げたいと思うのですが、災害委員会なり農林委員会でそれぞれ同僚議員各位から、冷害そして十七号台風に関連する災害諸問題についていろいろと質疑がなされたわけでありますから、私からは今度は角度を変えて、各関係機関にいろいろとお尋ねを申し上げたいと思うわけであります。  まず、これは災害とは関係ございませんが、農林大臣一つ聞きたいのですけれども、いま国鉄運賃の審議が行われておるわけですが、今度の国鉄運賃の値上げに伴う貨物料金改定で、農産物輸送について料金を引き上げると大変な影響があることは御承知のとおりでありますが、きのう運輸委員会物価問題特別委員会との合同審査の中で石田運輸大臣は、農産物輸送に関する料金の問題については農林大臣十分話し合いをして、農林省負担をしてもらわなければならぬものは農林省で金を出してもらうというような言い方をしたわけですが、運輸大臣の方から農林大臣にそういう正式な話し合いがあったのか、そしてあった場合にはどうこれに対処していくつもりなのか、これをまずお聞きしておきたいと思うのです。
  4. 大石武一

    大石国務大臣 まだ運輸大臣とは会う機会がありませんのでその具体的な話は一切聞いておりませんが、そういうことならばいずれ連絡があることと思います。その場合にどうするかということでありますが、内容がわかりませんのでいま何ともお答えできかねます。
  5. 柴田健治

    柴田(健)委員 運輸大臣も逃げの方便でそういうことを答弁したとは言えないので、いずれ正式に農林大臣の方に農林水産物輸送料金についてどうするかということの話し合いが申し込まれると思いますから、十分配慮してもらいたいということを強く要望しておきたいと思います。  まず畜産局長お尋ねしたいのですが、今度の十七号台風家畜被害というものが相当大幅に出ておるように承っておるわけであります。和牛、乳牛、また豚、そして養鶏を含めて大変な被害が出ておると思うのであります。特に養鶏については共済制度がないわけでありますが、共済制度の実現、家畜共済制度というかそういうものに加入させる考え方を早急に固めてもらいたいし、これについての見解をまず聞きたい、これが第一点であります。  それから、岡山県のごときは一農家が十八頭も乳牛を一遍に土砂流出によって死亡さしたわけでありますが、これらの共済金支払い額を見ると一頭十八万円足らずです。これではどうにもならぬ、何とかならぬかという意見が強いわけであります。これらについて五十二年から新しい法の改正で多少違うわけでありますけれども、五十一年度の災害については適用されないのでありますが、余りにも少額な共済金でありますから農民は失望しておるというのが実態であります。これらの救済措置についてどうされようと思うのか、この二つの点で畜産局の方にお尋ねをしたいと思うのです。
  6. 吉岡裕

    吉岡(裕)政府委員 共済お話でございますので私から申し上げますが、先生承知のように、前通常国会におきまして農災法改正をお認めをいただきまして、家畜共済についても非常な拡充を図っておるわけでございます。共済目的拡充ということで肉豚を新たに共済目的として追加をいたしましたほか、牛につきましては掛金国庫負担を一律二分の一というふうに改善をいたしておるわけでございます。そのほか若干の組合等共済責任の一部保有を原則化するというふうな改正家畜共済について加えておるわけでございます。  この新しい改正法適用は、来年度、四月一日以降家畜については適用がされることになっておりますが、今後この改正共済法によりまして家畜共済の充実を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  それから牛についての付保価額につきましては、従来各県の実情に応じまして付保価額最高限がいろいろ設定をされておるわけでございますが、今後ともその辺はいろいろ各県の実情ども十分伺いまして、将来改善を図ってまいりたいというふうに思います。
  7. 柴田健治

    柴田(健)委員 畜産局は……。
  8. 大場敏彦

    大場政府委員 御承知のとおり家畜共済は必ずしも全部の農家が加入しておるわけじゃございません。大家畜につきましては加入状況はかなり進んでおりますけれども中小家畜、ことに豚等につきましてはまだ加入率が非常に低うございますので、こういったときにそういった問題が出てくるわけでございます。これにつきましては私ども経済局と協力いたしまして普及の向上に努めていきたいと思っております。  それから、いま御指摘になりましたように付保額といいますか、これが結局農業者自由意思によりまして選択されるわけでございますけれども、それが低いということもございます。これは掛金との関係でそういうような選択が出てくるわけでございますが、これにつきましてはいま経済局長が御答弁申し上げましたように、私ども、できるだけ引き上げるように今後も努力をしていきたい、実質的な共済ができるように努力していきたいと思います。
  9. 柴田健治

    柴田(健)委員 共済については経済局の方があれですけれども畜産農家救済措置については畜産局がどういう考えを持っているのか。とにかく今度の災害について防疫体制なり、いろいろと後遺症が残っておるわけですが、その後遺症に対しては万全の対策をとっておられるように思いますけれども、それらの経費について農家はいろいろ負担が多いわけでありますが、畜産農家に対する助成措置ということについては何も考えておられないのか。畜産局はその考えはあるのかないのか、お答え願いたいと思います。
  10. 大場敏彦

    大場政府委員 私ども考えといたしましては、被害農家に対しまして、これは一般農家と同様でございますが、共済加入農家に対しましては共済金早期支払いの問題とかあるいは天災資金とか、自創資金とか、そういった資金お世話をする。それから施設がいろいろ災害をこうむっておりますから、そういった施設復旧に対しましては、たとえば農林漁業公庫資金災害資金をもってこれに充当する、そういった資金面でのめんどうをできるだけ見ていきたいと思っております。  それからいろいろ飼料基盤、たとえば草地等埋没等によりましてかなりの被害を受けておりますから、そういったところに対しましては災害復旧事業早期適用していきたい。  それから、えさの問題でございますが、えさにつきましては、越冬用飼料というものにつきましてはまだそれほど具体的に各県から私ども伺っておりませんが、御要望がありますれば、ヘイとかあるいは稲わらとかいった問題がありますが、積極的にお世話したいと思います。それから一部の県につきましては、政府管理飼料大麦等を供出してほしいという御要望がありますので、具体的な数量につきましては現在、現地と打ち合わせ中でございます。これにつきましてもできるだけのお世話をしたいと思います。  それから家畜等が今回、台風関係でいろいろ被害を受け、その後の衛生状況は御指摘になりましたように問題があります。予防注射だとか、畜舎の消毒だとか、あるいは死んだ家畜の処理の問題だとか、いろいろあるわけでございますが、そういった家畜衛生面お世話につきましても、県がそういった家畜伝染病予防のための衛生事業を実施する場合には国が補助するという形で、これも関係県と具体的な事業につきまして御相談中であります。
  11. 柴田健治

    柴田(健)委員 次に食糧庁長官お尋ねしたいのですが、飯米農家が食う米がないという場合に、先般も同僚議員からも質問があったんですが、早急に米を貸して、現物を貸してやってもらいたいという気がするのですが、貸してもらえるかどうか、これが第一点。貸してもらったものを明年までひとつ出来高払いというか、できるまでそういうものが早急に手が打てるのか、こういう点を長官一つ聞いておきたいと思います。
  12. 大河原太一郎

    大河原政府委員 お答え申し上げます。  今回の災害に伴いましてそういう御要望を私ども承知しておりますが、従来の方針、今回もそうしたいと思うわけでございますが、災害に伴って飯米の不足した農家方々には一般消費者並み配給をいたすことは当然でございますが、特に災害激甚地帯等につきましては特別枠を設定いたしまして、知事市町村ルートで米を配給する。一般配給と異なった別ルート配給いたしまして、それについては一年間の延納を認める。これは四十六年の北海道災害等においてもそういう措置をとらしていただいたわけでございますが、そういう形で今回も災害に伴って飯米の不足する農家方々には措置いたしたいというように考えております。
  13. 柴田健治

    柴田(健)委員 それなら長官、個人が直接には借りないが、市町村経由で貸与する。たとえばことしの米の価格と明年の価格の格差が出てくる場合には金を取るということはしないでしょうな、現物で貸すんだから。
  14. 大河原太一郎

    大河原政府委員 ちょっと私の舌足らずでございまして、これは貸すという制度ではございません。配給をするわけでございます。したがって、一般配給ルートとは別に、県、市町村を通ずる特別配給ルートによって災害農家に米をあれする、代金として返納していただく、ただしそれは一般とは異なりまして、一年以内の延納という措置によって対応してまいりたいと思っております。現に今回の災害では、ややよけいなことでございますが、岐阜県の安八等の大災害地域におきましても、県当局とただいま協議中でございまして、県としてもそのような特別な措置によって対応いたしたいということでございます。
  15. 柴田健治

    柴田(健)委員 結局、配給ということで代金払いになるわけですが、代金延納にする、そうしたら結局その責任市町村長が持たなければならぬということに結果的にはなるわけですね。
  16. 大河原太一郎

    大河原政府委員 国との関係で、第一義的には県知事でございます。県知事に対して米を売る、知事はその災害地域市町村にこれを売る、市町村長災害農家に対して米を売るという形になっておるわけでございます。
  17. 柴田健治

    柴田(健)委員 その点は地方公共団体責任者十分話し合いをして、適切に、早急にやってもらいたい、こう思うわけです。  次に、林野庁の方にお尋ねしたいのですが、今度の十七号台風では林地崩壊個所が非常に多いわけです。特に花崗岩石風化地域、同時にまた瘠悪林地、そしてまた荒廃林地というところがたまたま山崩れが非常に多いわけですが、これらの対応策がいままで十分でなかったという批判をわれわれは持っておるわけです。同時にまた、杉、ヒノキの若年造林地山腹崩壊というのが目立っておる。もう一つは、松山が枯れておる地域。松の木は枯らしてはならない。松は御承知のように、根が直根型でありますから、枯らしたら水を含んで山すべりというか崩壊可能性が高い。これはもうだれが見ても、素人が考えても当然のことでありますが、これらの松を枯らしておるという実態。そうして植林造林斜面地域造林と、そしてまたその上の方には開発、開墾というか、いろんな形で土地の開発が行われておる。そういう中間層における斜面造林は今後検討すべきではなかろうかという気がいたしますし、また上の開発については、林野庁が今後どういう、地方公共団体なり、そういう民間企業に対する開発規制をやっていこうとするのか、今度の災害で学ぶべき点が非常にあるし、そしてまたいままで  の欠陥というものを明らかにしたと思うのです。  これらの反省を含めて、どう対処しようとされるのか、この点ひとつ簡潔にお答え願いたいと思う。
  18. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  ただいまお話がございましたように、特に瀬戸内海花崗岩の風化した地質でございまして、崩壊しやすいということもございますが、現在私どもがとらえております荒廃林地というものが、崩壊地が約十八万五千ヘクタール、地すべりが十三万三千ヘクタールという大面積に及んでおるわけでございまして、今回の災害等実態にかんがみまして、たまたま五十二年度から第五次の治山五カ年計画のスタートのときでございますので、それらの反省の上に立ちまして、第五次治山計画計画的に実施してまいる所存でございます。  なお、ただいまお話ございました植林地でも相当壊れているのではないか、こういうお話でございます。一般的に森林といたしますと、土砂崩壊防止機能というものがあるわけでございます。ただ、連続の雨量二百ミリあるいは三百ミリというようなのを超してまいりますと、森林が持っておりますそのような機能限界を超えてまいります。したがって、急激に防止機能が低下するわけでございますが、今回のように四百ミリを超えるあるいは千ミリを超えるというような豪雨でございますので、人工林であろうと天然林であろうと、もはや森林限界を超すというようなことが今度の災害に見られるわけでございます。私ども常に管理され、維持され、十分その機能が果たせるような森林をつくるように心がけてまいりたいと思っているわけでございます。  なお、松の問題につきまして、先生承知と思いますけれども瀬戸内海等中心といたしましてマツクイムシが相当蔓延いたしまして、枯れたものは切っておるわけでございます。したがって、これをどのようにするかということでございますけれどもマツクイムシそのものの退治といたしましては、現在新しい制度をつくるべく立法措置等考えておるわけでございまして、五十二年度からはさらに国営、県営という防除中心として対処してまいりたいと思っております。  なお、マツクイムシのその跡地造林でございますが、先生承知の、前は瘠悪林地改良事業と申しておりました。現在特殊林地改良事業ということの名称に変えておりますけれども、それの採択基準を、マツクイムシ被害地につきましては一般的には〇・五ヘクタールを採択にいたしておりますが、〇・一ヘクタールまでマツクイムシ跡地造林採択を緩やかにいたしまして、また査定係数等を掛けまして補助率を実質アップする、こういうことで対処してまいりたいと思っておるわけでございます。  なお、造林の場合に上の方も開発しているじゃないか、そのために水が出て造林地が壊れたということの御指摘でございますが、恐らくそういう実態のあるところもあろうと思います。私ども造林地保全あるいは造林をする場合にも、先般の国会におきまして、森林法改正によりまして普通林地にも開発規制というものが行われることになりましたので、今後は造林考える場合、御指摘のように、上部の開発規制というものにつきましても、法律に基づく知事権限でございますけれども、そのような許可権限につきまして適正な運営が行われるよう、今後も十分指導を徹底してまいりたいと思うわけでございます。
  19. 柴田健治

    柴田(健)委員 いま御答弁の中で気にかかる点があるから確認しておきたいのですが、マツクイムシ抜本的対策をするために新しい制度をつくりたい、こういう御発言です。恐らく新しい法律をつくられるのだろうと思うが、いつごろつくられる見通しなんですか。
  20. 松形祐堯

    松形政府委員 現在検討をいたしておりまして、予算要求なりあるいは立法措置を予定いたしておりまして、五十二年度から施行いたしたいと思っておるわけでございます。
  21. 柴田健治

    柴田(健)委員 ついでに長官お尋ねしたいのですが、今度の十七号台風を綿密に調査をしてみて、やはり異常雨量だ、こういうことで雨量だけに責任を持たせるというんじゃなしに、やはり治山ということに非常に力を入れてやっている地域は、被害が何らかの形で最小限度に食いとめられておるこの現実の姿。そして、やはりいろんな採択基準があろうかと思いますけれども、今度の災害を契機として治山事業を思い切ってやるべきじゃないか。たとえば砂防堰堤でもできる地域は思い切ってやっていく、投資していく、そういう姿勢がないと完全な治山対策とは言えないと私は思うのですが、この治山対策に対して思い切った処置をとる、重点的にやるというお考えがあるかどうか、それをまず聞いておきたい。
  22. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  先ほどお答え申し上げましたように、たまたま五十二年度から新しい第五次治山五カ年計画の発足でございまして、その場合、今回の十七号台風等に見られます災害実態を十分それに反映いたしまして、一つといたしましては、単なる復旧治山ということだけでなしに、予防あるいは地すべりというようなものを未然に防ぐということに重点を置くということと、さらに水需給のアンバラという流域もございますので、水源涵養林保安林等整備、あるいは緑の生活環境整備のためのいろんな事業等治山五カ年計画の中に盛り込みまして、ただいま御意見のようなことで徹底した治山対策を盛ってまいりたい、そのように考えておるわけでございます。
  23. 柴田健治

    柴田(健)委員 これだけはひとつ本気でやってもらいたい。特に毎年毎年予算編成期になると、大蔵省農林省はいろいろ予算要求をやられるわけですが、今度の災害を見てつくづく思うのは、とにかく一般会計で一律に何%伸びだとか何%で抑えるのだというパーセンテージを悪用している。治山事業にしてもまた老朽ため池にしても、そしてまた湛水防除事業にしても、いろいろな形で当然防災上必要な施設改善については、思い切って考え方を変えて予算編成をしなければならぬ。ところが農林省はそういう頭を持っても、大蔵省がどうしても頭がかたいし、大蔵省というものは本当にその点理解があるのかどうかよくわからぬ。きょうは大蔵省災害担当主計官が目えておるようですから、この責任上、災害を担当するというのは、ただ現在起きたものを復旧するのではなしに、将来に向けての災害対策というものを考えて、認識を新たにして、予算編成については思い切って防災については予算措置を講じていく、そういう考えがあるかどうか。これは農林省よりか大蔵省考え方に大きな比重があると思うのですが、大蔵省見えておると思うので、御答弁を願いたいと思う。
  24. 古橋源六郎

    古橋説明員 お答えいたします。  ため池等を初めといたします農地防災事業でございますとか、あるいはまた山地の荒廃を防止します治水事業、こういうものが農地荒廃を防止し、あるいは国土の保全のために非常に有効である、こういうことは私どももかねがね知っておるところでございます。この点につきましては、災害は忘れたころに来るというようなことのないように常に留意しておるところでございます。  来年度予算編成につきましても、先ほど先生がおっしゃいましたように、また繰り返したかということのないように、今回の被災状況等もよく考えまして、さらにまた来年度におきます財源等もよく考慮して十分検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  25. 柴田健治

    柴田(健)委員 どうも役人の答弁というものは紋切り型で、味もそっけもないわけですが、検討という言葉がどうもわからぬ。この次またお尋ね申し上げると、今度は中がついて検討中です、こうなる。この次また質問すると、今度は善処いたします、こうなってくる。今度質問すると、考慮いたしております、こういうことになる。まあいまの答弁を信じて、今度五十二年度の予算ではほかの事業とはどう変わってくるか見ておりますが、うそを言うたら承知いたしません、こう申し上げておきたいと思うのです。  次に、自治省お尋ねしたいのですが、何としても今度の災害で、特に今年度の一般会計でも地方公共団体歳入欠陥が非常に多いということで、人件費給与等を含めて地方公共団体は頭を痛めておったときに、本当に予測もしない大災害、特に東北、北海道冷害九州地区では梅雨前線による、そして十七号台風による風害、水害、そして真ん中は水害ということで、日本列島が今年ほど災害をまんべんなく受けた年はないと思うのですが、そういうときに地方団体財政に大変な影響を与える——住民の所得の削減によって住民税、そしていろいろな資産が破壊されたから、固定資産税の取り立て不能、その他いろいろな地方税収入に相当な影響を与えることは事実であります。  御承知のように、住民税は米価と一緒で昨年度のものを基準にして取るわけですよ。今年度のものは去年のものを取るのですね。ことしの所得のものは明年取られるわけだ。これは御承知のとおりであります。ことしはもう全部収入を得る基盤というものが破壊されてしまった。ことしはもう全然ないのだ。ことし払っているのは去年の所得に対して払っているのですから、そうすると、減免措置というのはどういう形になるのか。来年が減免措置になるので、ことしは税の延期になるのか、その取り扱いをはっきりしてもらいたいということ。  災害というのは、いつの場合もそうですが、目に見えない諸雑費が要る。特に農林災害なんというのは、普通の基準財政需要額の中で、公共事業はわりあい予算を見てあるけれども、この農林関係は産業経済費という形になっておる。産業経済費の基準財政需要額が非常に低い。日本の農業という歴史的産業を破壊するために、自治省も挙げてこの基準財政需要額の算定の単位費用を低く抑えておる。そういう低く抑えているところへもってきて、この災害を受けたのでありますから、その所得基盤が破壊されてしまった。そういうので、市町村は、一般のいまの交付税の基準財政需要額の産業経済費が非常に低いために、どこから金を出すか。御承知のように災害を受けると、たとえば災害救助法の適用を受けても、災害救助法で基準を決めたいろいろな経費よりも全部オーバーする。災害救助法の救助基準というものがまだまだ低い。そういう面で、市町村の持ち出し分というのが、目に見えない経費がたくさん要るわけであります。そしてまた、ごみ処理一つ考えても大変な経費が要る。水害の後片づけというものは火災よりまだひどい。これはもうとにかく大変な処理費がかかるわけであります。また家屋の床下浸水、床上浸水にしても、土砂が入ってきた、それを片づけるのでも大変な経費が要る。個人負担だけで皆やれと言ったってできない。町村がいろいろな臨時人夫を頼んで応援をやる。  これらをひっくるめて、後片づけというか、そういうものを考えたときに、地方財源のいまの交付税が国税三税の三二%の配分で、ことしは三兆八千億ですか、そのうち特別交付税というものが一割ほどある。一割の三千八百億ほどの特別交付税、これを先般地方財源のやりくり算段に援助するということで、一カ月普通交付税の配分を、町村で言うと千九十二町村繰り上げ配分をしておられる。これはもう当然普通交付税を出さなければならぬものを、やりくりを援助するということで、一カ月繰り上げ配分を早めただけであります。ところが、実際的には、それは何も効果がないとは言えませんが、余り効果がない。それで、九月、十月の地方税の税金を取るその分が、この混乱を起こしておりますから取れない。それのやりくりでありましょう。しかし、何としても特別交付税という制度をこういう時分に思い切って処置をしてもらわなければ、地方財源の確保、それから法的な処置における地方団体責任を持つ負担区分というものははっきり出てくるけれども、実際、水害という災害を受けた時分には目に見えない経費が要る。この目に見えない経費をどういう形で補てんするのか。普通ですら地方財源の非常に厳しいときに、この災害を受けた場合に、自治省財政当局としてどういう方法で救済していくのか。思い切って起債を認めていくのか、それとも特別交付税を今度の予備費でよけいもらっていくのか、特別交付税の財源は何ぼあるのか、別に今度は自治大臣が、内閣として、農家を思い切って救っていくだけの特別交付税というものをどう上積みをしようとするのか、この点ひとつ聞かせてもらいたいと思います。
  26. 石原信雄

    ○石原説明員 お答えいたします。  まず初めに、本年度の特別交付税でございますか、その総額は三千百十三億円でございます。なお、昨年度と対比いたしますと一七%弱の伸びになっております。この特別交付税につきましては、本年度の自治体のもろもろの財政需要に対処して配分いたすわけでありますが、私どもといたしましては、災害関連経費というのは、特別交付税の配分上最優先で考慮しなければならないものと考えております。  そこで、先ほど来先生指摘になりましたように、災害になりますと、復旧事業費その他対策費等、制度に乗った分につきましては、それぞれその裏負担に対して地方債の充当があり、その地方債の元利償還については、交付税の基準財政需要額の算入が行われるというような形で、現在ではかなり徹底した財源措置がなされていると思います。しかし、現実には、この制度に乗り得ないもろもろの財政負担があることも事実であります。そこで、従来から災害復旧事業費そのものに対して、一定割合の額を特別交付税として配分する。またそれだけでは十分でない面がありますので、さらに災害による被災世帯数、家屋の場合でいいますと、全壊家屋、半壊家屋あるいは床上浸水家屋、床下浸水家屋、こういった被害状況を一つの指標にする。さらに農地については、冠水田の面積等も指標にいたしまして、それぞれに一定の単価を乗じて、各種の対策経費を算定するというやり方をいたしております。  それから、災害による税の減免の問題でございますが、御指摘のように、住民税につきましては、前年の所得を課税標準にして、すでに課税額が決まっております。そのうち、災害の以前にすでに納付済みのものはいかんともしがたいわけですが、まだ納付されていない部分については、各世帯の被害状況によりまして減免の基準がございます。この基準を適用して、その結果減免をいたしますと、市町村としてはそれだけ減収になります。このような減収につきましては、今回の災害のような激甚災害の場合には、その減免を適用したことによる減収額が一定の額を超えますと、災害対策基本法の百二条の規定による災害対策債という形で地方債の発行を認めまして、その地方債の元利償還については、さらに特別交付税で算定するというやり方をいたしております。このような形で、比較的金額のかさむものにつきましては地方債を充当する。それから当面の細々とした財政需要につきましては特別交付税で算定をするというやり方で従来から対処しておりますし、本年度も当然本年度の災害の状況を踏まえて、万全の措置を講じてまいりたいと思います。したがいまして、算定方式等につきましても、単価その他で、今回の災害に対して十分でないものがあれば、それはさらに引き上げ等も含めて検討してまいりたいと考えております。
  27. 柴田健治

    柴田(健)委員 今度の災害の、国土庁が出した発表を見ると、膨大な被害なんですね。家屋の全壊、流失で千六百三十三戸、半壊が三千三百八十七戸、床上浸水十万九百八十九、床下浸水四十一万七千二十一戸、水田、畑の冠水、埋没というような膨大な被害なんですが、これらの積算の根拠は、従前どおり適用されるとするなら非常に低い。従前のものでやると非常に低いのだから、特別交付税の配分というものは三千百三十億の枠内で抑えてしまうということになったら、いままでの過年債の基準よりかまだ低く抑えられてくる可能性が出てくるのですが、その三千百三十億の現在ある手持ちの特別交付税の額をふやさない限り、市町村を救済することはできないのじゃないか。この枠をふやす可能性があるのかないのか。全然ふやす考えはないのかどうか、その点まず聞きたい。
  28. 石原信雄

    ○石原説明員 確かに本年度の災害は非常に大きなものでございます。そのための特別交付税の総額がどのくらいになるか、まだ正確な積み上げ計算はしておりませんが、かなりの額になると思います。ただ、ただいま現在までの被害総額は、国土庁の調査によりますと、十七号台風被害を含めて一兆一千億を若干超える程度になっておると聞いております。昨年度の年間の災害総額は九千四百億程度でありました。そうしますと、災害被害額でいいますと一七%くらいの伸びになっておると思います。昨年も実は津軽地方の大災害とかあるいは高知の大災害とかあちこちに大災害がありまして、それぞれに対して国庫補助、負担金あるいは地方債、さらに特別交付税というような形で万全の手を打ってきたつもりでございますが、昨年度の災害の際に災害関連で使用した特別交付税の総額が四百億円を若干超える程度でございます。そこで、本年度の場合には被害額そのものが一七%現時点ですでに上回っておりますし、さらにその後の物価上昇あるいは内容の改善というようなものを考えますと、昨年に比べてはかなり大きな額が要ると思いますけれども、ただ、従来の経験から考え、また大きな部分は地方債による財源措置を当面いたしますし、この地方債は現在の地方計画とは別に弾力条項を発動して上乗せでまいりますので、現在の特別交付税の枠内で重点配分するということで、その枠そのものを変更しなければならない事態にはなっていないのじゃないか、私はこのように考えております。
  29. 柴田健治

    柴田(健)委員 市町村財政救済について、特別交付税の枠そのものをふやす考えはない、こう言われたのですが、しかし実際面はこれからだろうと思うのです。いま石原財政課長考え方はそれなりの見解だろうと思うのですが、実際問題として五十一年度で県なり市町村のいままでの起債の償還を——これは個人でもいままでの負債を償還延期をしてもらいたいという意見があるのだから、地方公共団体も今年度払う起債償還の枠を一年でも二年でも延ばしてもらうという考えはないのですか。
  30. 石原信雄

    ○石原説明員 過去に起こした地方債の償還額が非常に多額になっておるために何とか起債の償還の延伸をしてほしいという意見がないわけではありません。そういった意見あるいは要望している市町村もあります。ただ、それらの市町村はその地方債が必ずしも災害その他の地方債ではなしに、全く別の過去に単独事業等で大きなものをやったとかその他の理由に基づくものが大半であります。災害関係地方債につきましては、たとえば公共災害の場合は元利償還の九五%を地方交付税の基準財政需要額に算入いたしておりますし、単独災害等についてもかなり手厚い算入措置が講じられておりますので、災害に関連する地方債について償還期限を延長しなければならないというような事態はないと思います。また具体的にそのような災害関連の地方債について償還期限を延伸してほしいという要請はいまのところ聞いておりません。
  31. 柴田健治

    柴田(健)委員 もう時間がございませんから、簡潔に要点だけをお尋ね申し上げます。  まず構造改善局長お尋ねしたいのですが、老朽ため池補助率を上げてくれという声が非常に強い。要するに湛水防除でも同じですが、老朽ため池湛水防除事業補助率の引き上げ、そして採択基準の緩和というものがあるわけですが、この点についてのお考えを聞いておきたい。  それから農機具とか農業用の自動車、こういうものの今度の災害に対して、総合的な災害援護資金の枠内ではとてもとても足らない。御承知のように、いま農機具の代金が非常に高いわけですが、そういう農機具なり農業用の自動車に対する融資の枠は別枠にしてくれ、こういう意見があるのですが、この点のお考えを聞かしていただきたいと思う。要するに、災害の種目別の融資枠というものを考えたらどうかという気がするわけであります。  それから次に厚生省に聞きたいのですが、国民健康保険税の延期なり減免措置をした場合に補てん策はどうするのか、どういう指導をするつもりか、どういう救済措置をとるつもりか。  以上の点をお答え願って、私の質問を終わりたいと思います。
  32. 岡安誠

    ○岡安政府委員 老朽ため池湛水防除事業につきまして、補助率並びに採択基準についてこれを優遇する考えはないかということでございますが、両方の事業につきましてのまず採択基準でございますけれども、それぞれこの事業が発足いたしましてから相当年次は経過しておりますが、もう数回にわたって採択基準を緩和いたしてきております。老朽ため池につきましては、本年度も要件緩和を行いましたし、湛水防除事業につきましては、四十九年度に要件緩和をいたしております。これらにつきましてもさらに実情に応じて今後は検討はいたします。  それから補助率でございますけれども、これは他の同様な土地改良事業、たとえば県営のかん排事業等に比べましても、もう約一〇%程度は上になっております。これ以上補助率等を上げることはなかなかむずかしいのではないか。むしろ、先ほど先生指摘ございましたとおり、非常に事業がおくれておりますので、私どもはこの際は事業の大幅な進展という方に力を注いでまいりたい、かように考えております。
  33. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 農機具等の災害復旧についてのお尋ねでございますが、これは現在の制度では農林漁業金融公庫から災害復旧資金を貸し付けする場合の対象になっております。もちろん災害復旧資金は主務大臣の指定施設の中にございまして、種目別に種類別に決めてはおりませんけれども、全体の枠内でこれまでも処理してきておりますし、枠がないからということで復旧融資の対象にしないということにはならないようにしておりますので、今回もそのように対処してまいりたいと思います。  なお、小さな農業機械、農機具といったようなものにつきましては、天災融資法の経営資金の中でも対象になっておりますので、これによっても対処したいと思っております。
  34. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 市町村災害等により被保険者に対して国民健康保険税の減免を行った場合につきましては、特別調整交付金を交付することによってその穴を埋めるということにいたしております。これは従来からも例がございますし、今度の災害につきましても当てはめたい、かように考えております。
  35. 湊徹郎

    ○湊委員長 次に、井上泉君。
  36. 井上泉

    ○井上(泉)委員 今般の十七号災害で西日本各地は農林省関係農地の大変な被害もあったわけでありますが、この際私は大臣に見解を承っておきたいのは、農地は農業の生命、農民の生命であるわけです。その農地が無残にも河原となった。それを見て、茫然自失をするというのが今日の被害地の農民の実情だと思うわけであります。そういう農民の悲惨な気持ちにこたえる意味において霊地の災害復旧——災害復旧というような形で回ようなことをやれば同じようにまた災害に遭うわけですから、この際やはり被災地の農民の気持ちになって考えるならば、農地災害復旧というものには当然もう今度災害を受けないような防災も、そしてまた農業のしやすいような条件を整えるような工法も加味した、いわゆる改良復旧というものを農地災害復旧の場合には特に重点的に考えるべきであると私は思うが、その点についての大臣の見解をまず承っておきたいと思います。
  37. 大石武一

    大石国務大臣 ただいまの井上委員の御見解と全く同じでございます。必ず農業の生産が今後は心配なく確保されますように復旧すべきだと考えております。
  38. 井上泉

    ○井上(泉)委員 そこで私はこれは直接担当の構造改善局長質問申し上げるわけですが、高知市の市街地の農地の重要な場所、つまり鏡川の流域の農地が先般大変な被害を受けたわけであります。農林省に市長が陳情に上がったときに、農林省開発課でありましたか防災課でありましたか、そこへお伺いしたところ、そういう被災農民の立場に立った気持ちで耕地復旧ということについての誠意を披瀝していただいた、こういうことで高知の市長も農林当局の方には非常に感謝をしておったわけであります。しかし、私はそれを一つの儀礼的な感謝の言葉ということには受け取っていないわけでありますし、いま農林大臣農地災害復旧については農地の生命をより以上高めるために、価値をより高めるための災害復旧ということに重点を置くと言われておるわけです。具体的にこれは私場所を申し上げて恐縮ですけれども、鏡川流域におけるあのはんらん状態、そして農地災害における荒廃状態等考えて、当然そういう点で重点的に農林大臣の意思のような形で災害復旧工事を進めるべきである、こういうように私は思うわけですが、構造改善局長の見解を承りたいと思います。
  39. 岡安誠

    ○岡安政府委員 いま具体的な御質問でございますが、高知市の鏡川流域の農地被害でございますけれども被害状況は十月一日現在で県から報告を受けておりますけれども、それによりますと高知市で四十二ヘクタール、金額で三億二千九百万円、土佐山田町で三十五ヘクタール、金額で四億七千三百万円、鏡村で十一ヘクタール、九千七百万円、合計で八十八ヘクタール、八億九千九百万というような相当な被害だというふうに私ども承知いたしております。  そこでこの復旧の方法でございますけれども、先ほど大臣からお答えいたしましたとおり、私どもいろいろお話も承りましたし写真等によりましても現状を把握しておるつもりでございますが、原区画で復旧することは非常に困難ではなかろうかというふうに考えておりますので、この地域につきましては被災した農地とそれから周辺の用水路、農道等の取りつけ等を考えまして、被災していない農地も含めまして、区画整理方式というような方式を採用いたしまして地元の期待にこたえるということにいたしたいと思っております。  さらに鏡川の堤防と同時に被災しているところもございます。そういうような地区につきましては河川管理者と相談をいたしまして総合的な復旧計画をつくって復旧をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  40. 井上泉

    ○井上(泉)委員 そこで、いま局長指摘したように、鏡川の改修というか災害復旧の工事と非常に関連があるわけなので、そのときに、建設省の方の鏡川の災害復旧工事が行われないから、だから農林省としての農地復旧工事が進まないとかいうようなことではなしに、これは農林省サイドで、農林省の方で仕事を進めてやろうとするけれども、建設省の方の河川改修がなかなか進まぬので困る、こう言って官庁ベースの間におけるいわば工事のおくれをなすり合いするということではなしに、農地災害復旧、この地域の耕地復旧については河川改修よりも先鞭をつける、先にやる。むしろ農地改良を進めることによって河川改修のおくれというものを取り返すような、いわば一つのてこにするだけの気概を持ってこの地域の耕地復旧をいま局長が述べられたような方針でぜひともやってもらいたいと思うわけですが、その点についての見解と、さらに今度の災害でこの鏡川上流地域におきましては鏡、土佐山というこの地域は高知市の非常に近くでありながら過疎地のしかも山村地域であります。だからたんぼ一反歩の面積を持った農地というものはきわめてまれであるし、そうしてまた被害を受けたのは河川の流域であるし、そのまた山の谷合いであるというような関係で、非常に農地が小さいわけであります。農地は小さいけれども、その農地の使用価値といいますか農地の持っておる農家に対する経済的な効果というものは非常に重要な役割りを示しておるので、規模としては小規模であるけれども、その持っておる農地の生命というものはいわばその地域の住民の生活、生命にかかる問題なので、こういう小規模な農地災害復旧というものについて、どうもこれは復旧費が多額にかさんでしようがないから、もうあなたのところのたんぼは没にしなさい、こういうようなことではなしに、こうした地域農地復旧についてもしかるべき手段を講じてこの生命を守っていただくように対処していただきたいと思うのですが、その点についての方針を承りたいと思います。
  41. 岡安誠

    ○岡安政府委員 いまの河川改修との絡みでの復旧の促進の御質問でございますが、私どもはまず応急復旧は直ちに着手いたします。それ以外の本格的な区画整理を伴います復旧につきましては、鏡川につきまして拡幅、改修等にも関係があるわけでございます。そういたしますと農地のつぶれ地その他が出まして、減歩等の問題が出ます。したがって、河川改修の計画がある程度確定をいたしませんと、私の方の区画整理を伴います本格的な工事の着手の方はなかなかむずかしいと思いますが、これも当然河川改修担当の部局を促進いたしまして、おくれないように促進はいたすつもりでございます。  それから山つき地帯の小規模災害でございますけれども、私ども従来から災害復旧の工事費につきましては大体一カ所十万円以上のものは対象にするということで事業も実施いたしておりますし、十万円以下のものにつきましても大体県等が地方債の裏打ちをもちまして災害復旧していると思いますので、小規模の災害につきましてはほとんど私ども対象にし得るものというふうに考えております。
  42. 井上泉

    ○井上(泉)委員 鏡川流域のはんらんをした土砂の状態、農地の状態というもの、これは普通の応急の復旧工事というような形で、その土砂を除いてもとの水田に返すというようなことはなかなかでき得ない現況にあるわけであります。だから、この災害復旧工事即改良工事というものにならないとあの地域農地災害復旧ということにはならないと私は思うわけですが、その点、先般市長が陳情に来られたときに、あの付近一帯の土砂のはんらん状態の写真等は資料として差し上げておると思うわけですが、それから見ても、やはりもとの農地に返す形での応急的な災害復旧ということにはなかなか着手できがたいのではないか。私はそういう点からも、やはり応急的にもそういう改良を含めた復旧工事でなければならぬと思うわけです。局長、現地を承知していなければそのことについてどうこうとは言えないかもわからぬけれども、恐らくその現場の状態についての報告は受けておると思うので、私はあえてその点について局長の再度の見解を承りたいと思います。
  43. 岡安誠

    ○岡安政府委員 私も災害の状況を写しました写真は拝見いたしております。相当広範囲にわたりまして土砂、特に砂利が農地を覆っているような現状でございます。技術者の方の意見を聞きますと、工法には大体二つある。一つは、土れき等を取り除いてもとの農地に戻す方法と、それがむずかしく、また他に土を採取できるような状態であるならば、石等はそのままにしまして、上に客土というか、土で覆うという方法と二通りあるようでございますけれども、いずれにいたしましても、まずできる限り来年の作付に間に合うように応急復旧工事をする。後は、先ほど申し上げましたように、それとあわせまして、もとは余り大区画の区画整理が行われていないようでございますので、私どもはあそこに二反歩ないし三反歩の区画の区画整理をいたしたらどうかというふうに思います。しかし、その方は、先ほど申し上げたように、河川改修との絡みがある場所につきましては、減歩等のことがございますので、計画はやはり河川の新しい位置等が確定いたしませんとできないのではなかろうかということを申し上げたわけでございますので、私どもは、そういうことも促進はいたしますけれども、ともかく来年度以降作付等ができるように、そういう方向で万全の努力はしてまいりたいと思っております。
  44. 井上泉

    ○井上(泉)委員 私はいまの局長答弁を了承するものでありますが、あくまでも農地というものは農民の生命であるし、農業は農地というものがなくては成り立つものではないわけです。特に、その地域は、高知市の近郊における大規模な農業地域として、市民生活の上にも非常に重要な役割りを果たしておる場所でありますので、早急にこれの復旧改良工事を促進していただきたいということを要請するものであります。  こういう場合に、大体計画を立てて、それではこの農地の状態の中でこういう方法でこれはこうやりましょう、河川改修はこういうことでいくということに煮詰まってきた場合に、大体これは農地のことでありますので、三年も四年もかかるということでは農民としては大変つらい思いがするわけです。そういう場合には、スピードを速めて復旧工事をなさるべきであると思うし、それについて大体どれくらいの年度を目途としなければできないのか。従前のような、普通一般災害復旧のように三年でやるというような形でやると、これは農民としても非常に失望するわけなので、その点についてのいわば年次といいますか、これにかかる期間というようなものについてのおおよその見解を承っておきたいと私は思います。  それから、その上流の地帯でもう土砂で非常に埋没して、土砂、土石流で全般的に農地がどうにもならないような状態になっておるので、そういう点におきましてはこれはやはり農林省サイドで、防災的な山腹砂防というようなものがやられねばならないような場所、地域というものがあるわけですが、この農地を守るためにはやはり山腹砂防をきちんとしなければならぬわけです。それはやはり農林省サイドの中でやるべき場所だと思うわけですが、この山腹砂防については考えておられるかどうか、またその点についての報告がないとするならこれは答弁を求めてもしようがないことでありますが、この点についてひとつ御説明を願いたいと思います。
  45. 岡安誠

    ○岡安政府委員 私は、災害復旧の年次といいますか、何年計画考えておるかということでありますけれども一般的に災害復旧は全国的には三年間で復旧するつもりでおります。これは全国的な予算措置等の考え方でございますので、一年ないし二年で完成できるところはそういうふうにいたしたいと思っておりますし、先ほど申し上げましたように特に翌年度の植えつけ、作付等が可能になるように、そういうようなつもりで私ども復旧工事のスピードを考えております。これにつきましても、先生指摘のとおり河川との関係があります。それによっておくれることのないように、私どもは十分心得て復旧を進めていきたい、かように考えております。
  46. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  ただいま局長からお答えがございましたような、進度その他運営によりまして、対策は、農地でございますと、農地の上部について将来とも森林という形で回復するという場合は、林野庁治山工事でやるというルールになっておりまして、特に農地の設計その他につきましても、あるいは進度等につきましても、農地復旧と同じテンポで、私ども農地が直ちに再開できるというようなテンポで、一緒になってやるということで、従来からやっているところでございます。
  47. 井上泉

    ○井上(泉)委員 そういうふうに、林野庁長官も、場所は、高知のことはよく御承知だと思うのですが、円行寺地域で山崩れがして、農地も人家も非常に埋没をした地域でありますので、あの地域の状態から考えて、山腹砂防についてはやはり農地復旧とぺースを合わせてひとつやっていただきたいということを私は強く要望すると同時に、これはやはり、先般災害を受けると、どこの市町村長も、本省へ本省へと陳情に来るわけです。これは非常に悲痛な訴えの中で来るわけでありますので、その訴えにこたえるような親切な行政態度で臨んでいただくということが一番大事ではないか。そういう点で、農林省関係者の方は非常に親切にやってくれた、これは私は率直に、そのことは高知の市長から話を聞いたのですけれども、ある省なんかに行きますというと、非常に冷淡な、何か恩恵的な、仕事をしてやるというような姿勢で臨まれて、非常に憤慨をしたわけであります。その点について私は、国務大臣として農林大臣も、そのことはやはり閣議なりあるいは事務次官レベルの会議なり、そういうことで被災地のいろいろ出されてきた陳情やあるいは要求に対する対処の仕方は、その被災者の気持ちになって接するように、私は各省に要望してもらいたいと思うわけですが、大臣どうですか。
  48. 大石武一

    大石国務大臣 ごもっともな御意見でございます。そのように努力いたします。
  49. 井上泉

    ○井上(泉)委員 質問を終わります。
  50. 湊徹郎

    ○湊委員長 次に、津川武一君。
  51. 津川武一

    ○津川委員 きょうは、台風十七号の農業施設農産物に対する被害について最初に質問し、最後に少し時間を割いて、今度の冷害による岩手県の畜産の問題について質問いたします。  そこで、第一の質問ですが、農林大臣冷害についてはかなり発言される、あちらこちらでいろいろなことを申される。ところが、台風十七号の農業被害、農民の被害、農業施設被害については余りしゃべらない。一部では、大臣が冷害の東北、宮城出身だから選挙運動をやっているんじゃないかという言葉さえ出ております。そこで、十七号の被害に対する農林大臣の態度をまず明らかにしていただきます。
  52. 大石武一

    大石国務大臣 別に農林大臣として東北だけをひいきするとかなんとかという考えは毛頭ございません。いずれにしても、台風にせよ冷害にせよ農民がいろいろな被害を受けたということはまことに大変なことでございます。でき得る限りその立場に立った気持ちになりまして、農林省としてのできるだけの手段を講じて生活を守り、来年の生産に取り組んでいきたいと考えております。いま、私は冷害の話だけをして台風十七号の話をしないというお話でございますが、別に意識的にしないわけではありません。いろいろな機会とかあるいは御質問とかがどうしても冷害の方に向いておりまして、台風に対するいろいろな御質問とか発言する機会が少なかっただけだと思うのでございます。根本は同じことでございます。  ただ、どちらかと申しますと、いわゆる台風災害に遭った方が、これは比べるのはちょっとおかしいのでありますが、より悲惨な内容が多いのであります。とにかく冷害というものはこれから一年間の生活資金とかあるいは再生産の費用がなくなったということで重大なことでありますが、水害も同じことで、さらにもう一つ、自分の一番の生産手段である耕地がやられたということでございます。これは大変なことなんです。ですから、こういうことを考えますと、台風による被害につきましては、まず何といっても耕地の復旧に取り組んでこれを来年からの生産に間に合わせるように努力することが第一の仕事である、そう考えております。その他のことにつきましては台風冷害も同じような方針でやるべきだという考えに立っておるわけでございます。
  53. 津川武一

    ○津川委員 大臣がはしなくも言ったように、北海道、東北の冷害はその深刻さにおいて筆舌を細するものがある。十七号台風では農産物のほかに農業施設農地それから野菜の施設、畜産、これも流されて失われているので、格別なる施策を重ねて要求して、次の質問に移ります。  一つは、きのう来問題になっている天災融資法、激甚災害法の発動は、農業施設農産物被害にも当然適用されると思いますが、念のためにこのことをこの委員会の席で宣言していただきます。
  54. 大石武一

    大石国務大臣 第十七号台風並びにその前の八月一日ですか、あの長雨による災害につきましては、激甚災害の指定をきょう閣議で決めました。ただ、天災融資法につきましては、まだその被害実態がはっきりとつかまれておりませんので、これは多少おくれることになっておるわけでございます。そこで、細かいいろいろなやる仕事につきまして、適用する内容につきましては、細かいことは忘れましたが、大体おっしゃるようなことはみんな入っておるように記憶いたしております。
  55. 津川武一

    ○津川委員 八月六日、山形県西村山郡最上川の左岸地区に集中豪雨がありましたが、これも十七号台風の中の同じ性格のものとしていま言われたことを適用されますか。
  56. 大石武一

    大石国務大臣 最上川の地域は八月中の大雨の被害だと思いますが、これは別個でございまして、二つの災害がどちらも激甚災害ということに指定になったわけでございますから、同じような内容の仕事がされるわけでございます。
  57. 津川武一

    ○津川委員 次に、台風十七号で政府の買い上げる規格に外れるお米が出てまいっております。われわれも現地に行ってみたら、農業団体や農民や関係市町村から昨日来と同じような買い上げを求められておりますが、当然おやりになると思いますが、念のためにここで明らかにしていただきます。
  58. 大河原太一郎

    大河原政府委員 十七号に伴う被害米の取り扱い等についてでございますけれども、御案内のとおり、被害地域は刈り取り時期が十月末から十一月という段階で、立ち毛中でございますが、出回りを見まして、その品質については冷害の場合の取り扱いと横並びという考え方で、規格外米の規格を設定して同様な取り扱いをいたしたいというように思っております。
  59. 津川武一

    ○津川委員 そこで、今度の十七号台風、私も兵庫県、岡山県、三日にわたって見ましたが、雨量がずば抜けて多いこと。したがってこの雨なしには災害は起きなかったのですが、この災害の中で特別に検討しなければならない幾つかの事態が起きております。それは内水です。水田が水につかって水が引かない。そのために冠水が何日も続いている。これが一つの特徴。もう一つは、地域住民を不安にさせたものは老朽ため池の決壊。老朽ため池が決壊するのではないかという心配。ため池の決壊のために農民が一生懸命動いた。決壊するのじゃないかと思って夜も寝ないでこれを防いでおる。こういう特色が出てまいっております。  第三番目はがけ崩れ、林地崩壊の多いこと。そのがけ崩れも危険区域として指定していないところが崩れておること。林地は、国有林野ではがけ崩れ危険区域としての指定事項がない。こういう点がきわめて大きな問題になったわけであります。  そこで、これらの若干について質問いたしますが、農業用水のために使われておるため池がどのくらいあるかということでございます。この点、農林省が把握しているかどうかということをまずお伺いします。
  60. 岡安誠

    ○岡安政府委員 私ども老朽ため池整備に対処するために四十七年度に全国規模で総点検を実施いたしましたが、そのとき把握した数字によりますと、ため池総数は約二十七万カ所というふうに私ども承知いたしております。
  61. 津川武一

    ○津川委員 この中で老朽化して決壊する心配のあるものとして把握しているため池はどのくらいございますか。
  62. 岡安誠

    ○岡安政府委員 いま申し上げました二十七万カ所のうち、受益面積が五ヘクタール以上で、要改修というふうに私ども考えておりますのは約一万カ所でございます。
  63. 津川武一

    ○津川委員 この中で、岡山県の和気町、八十ため池があって、二十七が決壊して今度の災害の直接原因になっております。このため池の点検、決壊されたため池の復旧、危険ため池の改修、これに対して農林省はどんな方針、計画をお持ちになっておりますか。
  64. 岡安誠

    ○岡安政府委員 先ほど申し上げましたように、ため池のうち要修理というのが約一万あると申し上げましたけれども、今回の十七号台風を含めまして、五十一年の一月以来、被災いたしましたため池は大体五百三十九カ所というふうに私ども把握いたしておりまして、これにつきましては、通例の災害復旧ということで、緊急に復旧をいたすつもりでございます。それ以外につきましては、そういうような決壊等の災害が起きないようにということで、いま老朽ため池整備のための事業をやっております。残念ながら、現在着手いたしておりますのは千カ所足らずということでございます。この調子ではなかなか要改修ため池の全般に行き渡るのも非常な長年月を要するということになりますので、ことしもそうでございましたけれども、来年度以降は大幅に予算の増枠を図りたい、それによってできるだけ早い機会に要修理の老朽ため池整備を完了いたしたい、かように考えております。
  65. 津川武一

    ○津川委員 農林大臣、聞かれたでしょう。いままで農業構造改善と関連してダムの建設を急いだ、工業用水のために大きい川の改修はやった。ところが、こういう高度経済成長と日本列島改造論の中で、ため池がどちらかと言うと放置されたので、これ大臣特別な方針を立てて配慮しなければならないということを指摘して、次の質問に入っていきます。  その次に、損傷された農地、兵庫県だけで三万一千件。これで手を上げているのが、これ全部復旧、しかも改良復旧、しかも来年の作に間に合うように。とすれば、これの技術者が足りない。農林省はこれをやってくれるのだろうか。この二つの点が指摘されておりますが、この農地復旧に対して農林省の方針を伺わしていただきます。
  66. 岡安誠

    ○岡安政府委員 今回の台風によります農地災害は個所数で約五万八千カ所、被害額で三百十九億というふうに私ども現在把握しているわけでございますが、復旧方針は先ほどもお答えしたと思いますけれども、原則は三年間でこれの復旧を完了をする。ただ、農地につきましては、応急的な工事を施しましてもできる限り来年の作付に間に合うようにいたしたい、かようなつもりで全力を挙げるつもりでございます。技術者等につきましても当然やりくりをしませんと十分工事の進捗ができないと思います。したがって、県間のやりくり、また県内におきましては被害市町村を重点的にしたやりくり等は私どもの方が指導いたしまして、そういう体制は万全を期したいと思っております。
  67. 津川武一

    ○津川委員 次に、十七号台風一つの特色であった内水——岡山県の高梁川の支流の小田川というところ、それが現地では一生懸命かかって堤防の決壊を防いだ。成功したのです。ところが水がはけない。降った雨がたまってしまって小田川の河床がこんなに高い。四日も五日も湛水してしまって、いま大臣に見せたところが湛水なんで、これはやはり決定的に土地基盤整備の、農地保全の根本問題に触れておるのであります。これが一つ。  その次は、今度は兵庫県の一番左、西の方にある千種川、これが大きな河川なんだけれども、一級河川に指定されないで決壊して復旧がおぼつかないかっこうで、国の何か熱が入らないのじゃないかと心配している。これによって失われた耕地がかなりある。この二つの損傷された農地復旧お話ししていただいて、内水でやられたそういうものに対する農林省の方針を伺わせていただきます。
  68. 岡安誠

    ○岡安政府委員 突然の御質問なので私どもまだ十分現地の事情は把握していないわけでございますけれども、まず岡山の術前町に関する件につきましては、私どもすでにここはやはり湛水防除といいますか排水を促進しなければならない地区と考えておりまして、現にいろいろ計画をしておる地区でございます。その期間に湛水が行われたということでございますけれども、できるだけ早く計画を完了いたしまして事業に着手いたしたいと思っております。  兵庫県の千種川、こちらの方は私もよく承知いたしておりません。災害が起きたようでございますので、その実情を把握いたしまして、さらにそういう事業を実施する必要があるならば、そういう方向で検討はさしていただきたいと思っております。
  69. 津川武一

    ○津川委員 そこで大臣、その小田川、それは差し上げますから、ひとつ農林省検討していただいて、再び同じ被害がないようにしていただきたいと思います。  その次には林地崩壊、これもずいぶんと起きました。そこで、一体、十七号被害林地崩壊、農道の崩壊林地の中における危険がけ崩れ、これがどのくらいあるのか。国有林以外のところでは危険がけ崩れとして建設省が把握している。これが公開されている向きがある。国有林におけるこの問題は別枠になっていやしないかという考え方を持つわけであります。そこで、国有林野におけるがけ崩れ危険区域がどのくらいあるのか、これが今回どのくらい崩れているのか。その他林地崩壊について現状の説明をお願いします。
  70. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  先生承知いただいておりますとおりに、四十七年の大災害のときに建設省と農林省と危険地域調査をいたしました。林野庁は山地崩壊の危険があるという危険地として約十二万五千カ所ございます。したがって、この中には国有林を除くものでございませんで、国有林も一緒にやっておりまして、国有林、民有林別に私手元に数字を持っておりませんが、そのような大きな数がございます。そしてこのたびの災害におきまして、必ずしもこの危険地域だけという限定は山の関係とあのような膨大な降雨ということでわかりませんけれども、約七千五百カ所が崩壊いたしておる、こういうのが現実でございます。
  71. 津川武一

    ○津川委員 そこで、今度のがけ崩れ、崩れたところへ行ってみると、危険個所に指定されてないところが多い。したがって、これは地元の故老たちにも入ってもらって、四十七年のところをもう一回点検しなければならぬと思いますが、いかがでございますか。
  72. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げました十二万五千カ所につきましての調査の場合も、ただいまおっしゃいましたように、地元の故老のお話とかそういうこと等も含めて調査項目に挙げておったのでございます。なお、これらに対しまして治山事業あるいは地すべり対策事業等を行います場合は、それぞれ必要な指定等を行いましてやっておるわけでございまして、それ以外の危険地域等につきましても、町村等を通じてここは危険であるというようなことはすでに十分連絡はしておるつもりでございますけれども、先ほど申し上げましたようなあのような災害でございますので、今後十分これらを見直しながら、それぞれ必要な個所につきましては調査を続けてまいろうと思っておるわけでございます。
  73. 津川武一

    ○津川委員 十七号台風についての質問は一応これで終わって、次は、今度の北海道、東北の冷害について若干お伺いいたします。  私たちは、八月二十五日、東北の共産党の代表者と今度の被害の現状を尋ねたり、そのときにやるべき必要な措置農林省と交渉しました。八月三十一日に前農林大臣対策を申し入れました。九月九日に共産党の冷害に対する緊急措置と恒久措置を発表し、大臣が就任された十七日に大臣に申し入れをしておるわけであります。この中で、岩手県の北、ここはかつてビートの主産地として指定されて、あの地域に工場までつくって、国でビートを勧めました。これが四十二年に工場閉鎖、それで大変な被害をこの地域の農民が受けた。そこで、政府も謝罪の意味もあってここに大きな家畜を導入して、今度の被害に遭ったわけであります。したがって、私たちは、この岩手県の北半分の畜産を守るためには特別な配慮が必要と思います。冷害だからすべてこれはやらなければなりませんけれども、ここのところは特別に肝に銘ずべきだと思うのですが、大臣はこういう事情を御存じでしょうか。
  74. 大石武一

    大石国務大臣 いま現在災害対策に重点を置いておりますから、もちろん災害対策上もそうでありますが、岩手県という地域考えますと、やはり酪農あるいは畜産を中心とすることも一つの大きな基本的な農業経営のやり方だと思います。各県でもあるいは各地域でも皆事情が違いましょうから、私は、元来適地適産ということを考えておりますが、そういう意味でも岩手県は畜産を大事に守るべきだろう。これに対しては、やはり畜産農民や県や、そういうものの努力が必要でありますけれども農林省としても正しい指導や協力はなさなければならないと考えております。
  75. 津川武一

    ○津川委員 この点は指摘にとどめるけれども、青森県の三沢を中心とした上北地方、岩手の北部というのは、国政のために犠牲にされたということを肝に銘じて進めるべきだということを指摘して、次に進めます。  私はことしの初夏のときの霜の害——この北岩手は去年はひょうにやられておる。ことしは今度は霜で飼料であるデントコーンがやられておる、牧草が伸びない。そのときは私は現地に入って、農林省にも対策をお願いした。越冬用のえさのわらを岩手県下の農民から救援として、友情として出してもらって、この越冬用のわらを心配ないようにするというのが被害農民に対する農林省の方針でありましたが、それがどうなっておりますか。まずこの春、夏にかけての霜の害に対して農林省が実際おやりになったことを明らかにしてください。
  76. 大場敏彦

    大場政府委員 霜の害の際に越冬用飼料のめんどうについての御要請があったことは、私もよく記憶しております。当時お答えいたしましたとおり、農林省といたしましても積極的にそのお世話をするという形で岩手県といろいろ御相談をしておりますが、実施しました施策は、域外あるいは県外から越冬用飼料としてのわらだとかあるいは干草、そういったものをあっせんするというようなことは県と相談してとったわけであります。なお、そういった輸送費につきましては県の方で補助、助成をして、農家負担の軽減を図った、こういった措置はとられております。
  77. 津川武一

    ○津川委員 そういうわらがまだ一束も届いてない。周りでお見舞い品として差し上げると言ったのが、周りが冷害に遭ってわらを売るというのです。したがって、農林省に対する要求も強い。下手すると不信になる。したがって、特別な対策が必要だ。デントコーンはあの状態で全部だめになって、植えかえた。私はいま行ってみたら、今度の冷害でだめ。牧草は二番草までよかったが、三番草はだめ。何か苦労して刈った三番草も雨が多くて栄養価にならない、これが現状。したがって、購入飼料だと高くなる、やっていけない。したがって、越冬用飼料をどうしても支度してあげなければならないと思いますが、これが一つ。  第二番目に、大臣も覚えているでしょうけれども昭和九年のあの冷害、東北では米が減収になって収入がないために娘を売っております。今度の冷害で私たち山形県の西村山郡に入ったら、寒河江警察管内で昭和九年に身売りされた婦女子の数が百七十二人、山形県警全部で一千人。そこで山形県の西川町でも、岩手県の奥中山でも、岩手町でも葛巻町でも西根町でも、ここには大臣も行っております。いろいろなことはあるが、結局生活できない、娘を売るわけにいかないから牛を売る以外にはないだろう。現に博労が現地に入ってうろうろしております。そして買いたたかれる場合の値段まで決まっております。こういう状態でありますので、牛を手放さないような施策がぜひ必要になってまいりました。この越冬用飼料とせっかく苦労して導入した牛を守る、この二つのことを答えていただきます。やはりこれに対する特別対策が必要と思います。
  78. 大場敏彦

    大場政府委員 越冬用飼料につきましては、先ほどの霜の害と、それから加うるに今回の冷害という形で非常に問題になっているわけで、緊急を要する仕事だと私は思っております。そういう意味で重ねて岩手県と連絡を、もうとっておりますけれども、仮に行き渡らないところがあれば、それは十分に行き渡るように措置をしたい、積極的にお世話をしたいと思います。  それから、なお政府管理飼料、これは大麦でございますが、牛用としてのえさでありますけれども、それの災害枠もありますから、現地から御希望があれば、これも積極的に具体的な数量を打ち合わせてお世話をしたいと思います。  それから牛の窮迫販売のお話がありましたが、これにつきましては私どもも気を配っております。気にしております。いろいろ御指摘がありますから、岩手県にも照会しておりますが、現在のところ牛の窮迫販売は進行している、進んでいるというふうには聞いておりません。しかし、まあこういった事態はなかなか表面化しがたいものでありますから、下にもぐる傾向があるわけでありますから、よくそこは注意したい。農家にも、牛の保留につきましては県庁を通じてよく指導していきたいと思います。  それから、問題は資金でありますが、これはたびたびお答えしておりますように、共済金の問題だとかあるいは天災資金とかあるいは自創資金とか、そういった資金でこれは本質的には対応できると思いますけれども、しかし、そういった資金が給付されます間にはまだ若干の時間がありますから、つなぎ資金の手当てをする必要がある。これにつきましては、今月の五日にすでに経済局長から通達をもって、たとえば農協その他の関係機関に対してつなぎ資金の融資あるいは既存の融資の借金の、負債の償還延期とか、そういったこと等の措置をとるよう強く要請しているところであります。
  79. 津川武一

    ○津川委員 これで質問を終わりますが、大臣に最後にひとつ。  先ほど岩手県の畜産を守るとはしなくも言ってくれた。そこで、この北の方の農民たちに、越冬用の飼料は心配させない、それから牛は売られなくてもいいようにするからということを、大臣、この席から言明していただいて、私の質問を終わります。
  80. 大石武一

    大石国務大臣 農林省としましては、ただいまのお話に対してそのとおりいたす方針でおります。ただ問題は、こちらにもいろいろな責任がありますが、行政というものは、たとえば中央の役所だけとか何かではすべて終わるものではありませんで、この中央の役所なり県庁なり市町村役場と、そういうものがお互いに一体になりまして初めて行政というものはうまくいくのだと私は思うのです。そういう意味で、われわれの方としてはいま言ったように越冬用のえさに対しては事欠かせません、あらゆる準備は手配いたしますと申し上げますので、その旨を体して県の方であらゆる具体的なことをされて、そしてわれわれはそれに対してできるだけのおこたえをするということがわれわれの責任だと思うのでございます。  それから、牛を売らないで済むということ、これは確かにそのとおりでございます。私が岩手県に参りましたときも陳情の中の一つに、そのことで何か無利子の、長期の牛を係留する資金をつくってもらいたいという御希望がございました。私、これに対しましては、多少条件は違う、無利子というわけにはいかないけれども、長期的な金、つまり自創資金というものもある。こういうものを活用すれば、一番ひどい場合に百万円の一応の金は借りられることになりますから、それで十分かわり得るのではなかろうかという話をしてまいりました。いま畜産局長からお答えしたように、いろいろな手段がありますが、それをできるだけ講じまして、心配をさせないようにするという心構えでおります。
  81. 津川武一

    ○津川委員 終わります。
  82. 湊徹郎

    ○湊委員長 次に、瀬野栄次郎君。
  83. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 台風第十七号災害対策について、農林大臣並びに関係当局に質問いたします。  この件については、去る九月三十日、災害対策特別委員会、昨十月七日農林水産委員会において、各大臣を初め関係当局に種々質問をしてきたところでございます。激甚災害法並びに天災融資法に基づく天災資金早期貸し付け等の問題について、三十四項目についていろいろ質問をしてまいりましたが、本日は時間の制約がございますし、この二回の質問で積み残した問題、特に熊本県を中心にした問題等若干農林大臣質問を申し上げたい、かように思うわけでございます。  まず最初に、農林大臣にお伺いしたいのでありますが、激甚災害法の指定について、本日閣議で早朝、指定をされたことになっておりますが、これについて正確に御報告をまず願いたい、かように思います。
  84. 大石武一

    大石国務大臣 台風十七号による被害並びに八月一日から何日間かの大雨による被害、この二つの災害に対しましてはきょう激甚災害適用が閣議で決定いたしました。  なお、これに伴って天災融資法が当然大事な問題でございますが、これはもう少し被害実態が十分に把握されるまで多少時間がかかるということで、これはまた少し延びておる現状でございます。
  85. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣、あえてお聞きしたのは、その台風十七号の災害に対する激甚法のことはわかりますが、八月の長雨等具体的にいつといつのやつがどういうふうになっているのか、その点を正確にお聞きしたい、こういうわけでございます。
  86. 矢崎市朗

    ○矢崎説明員 私からお答えをさせていただきます。  八月の一日から十六日までの間の豪雨についての災害適用でございます。
  87. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 熊本県は去る六月下旬の大雨及び七月十八日の台風九号によるつめ跡がまだ残っているさなかに台風十七号により激甚な災害を受けたわけでございます。今回は四国または近畿あるいは東北、北海道、東日本の冷害の激甚な被害のために、ややもすれば色あせたようなことになっておりますけれども、地元としては局地的には大変な災害を受けておりまして、熊本県下でも全域にわたって暴風雨に見舞われまして、農作物を初め公共土木施設、農林水産施設など被害総額は約百九十一億円にも及んでおります。  そこで、先日来いろいろ質問をし、また通告した中で積み残した問題数点についてお尋ねしてまいりますけれども農地復旧十アール当たりの限度額の撤廃という問題でございますが、今回の災害の特徴が急傾斜地の崩壊等が多かったというのが、熊本県を初め全国的にこの災害は出ておりまして、一つの今次災害の特徴である、かように思うわけでございます。この急傾斜地帯に被害が多かったために、復旧に各県とも苦慮しておりますけれども、熊本県においても復旧面積に比べて工事費が高額となっておるために、十アール当たりの限度額を超える場合が多いわけでございます。そういったことで、この十アール当たりの限度額を撤廃していただく、または運用の緩和をお願いしたい、こういうことが強い要望となって出ておりますけれども、当局はどういうふうに見解を持っておられるのか、これに対する対策をまずお答えいただきたいと思います。
  88. 岡安誠

    ○岡安政府委員 農地災害復旧につきましては、やはり災害復旧効果の面を考えまして、一戸当たりの国庫補助基準額というものを定めております。したがって、そういう基準額から計算いたしますと、十アール当たりの限度額というものもあるわけでございますが、これは毎年災害復旧事業事業費の単価の動向を参酌いたしまして引き上げてきておりますので、実際の災害農地災害復旧の場合には余り制約になっていないんではないかというふうに考えております。  ただ、御指摘のような山間傾斜地等につきましては、相当ほかよりも大幅な事業費のアップというのがある場合もございますけれども、そういう場合には大体農地防災の観点から農地保全施設をあわせて設置をするというようなことで災害復旧事業が行われるのが通例でございます。そうしますと、農地保全施設の設置は、これにつきましては限度額の定めがないわけです。したがって、農地災害復旧に限って限度額があるということでございますので、実際問題としましては余り制約はないであろうというふうに考えております。
  89. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 実際問題としては余り制約がないということでございますが、また実際運用に当たっていろいろ支障が起きてきた場合には十分これらの問題についても、今次災害に対して特に激甚であるがゆえに、運用の緩和等、当局も十分配慮していただくように重ねて要求をいたしておきます。  次にお尋ねしたい問題は、高潮対策事業の促進の問題でございます。これは建設省及び農林省関係するわけですけれども農林省の立場からお答えをいただきたいと思います。  熊本県の横島干拓を初め、玉名市の滑石、共和地区等、要するに有明海の沿岸、天草等の沿岸に、今回台風第十七号によりまして異常潮位、さらには越し波及び老朽樋門等による浸水被害が多く発生しまして、大変農家被害を受けておるわけでございます。御承知のように今回の十七号台風は、九州等は風の害また中国、四国等は水の害と、こういうふうに特徴づけられておりますように、風によってこういった異常潮位あるいは越し波、高波等が起きまして、いわゆる塩害を受けたわけでございます。こういうことが今後もまたあるとなると大変な問題であるということで、今後高潮対策の一層の促進を図っていかなければならない、こういうことで、これは建設省もさることながら、農林省として農地を守るために、また農作物を被害から守るためにも高潮に対する対策ということは、建設省とも協議をしつつ強力に進めてもらわなければならぬ、こういうことでございます。こういったことについて農林省はどういうふうにお考えであるか、私はその対策を明らかにしていただきたい、かように思うわけでございます。
  90. 岡安誠

    ○岡安政府委員 海岸事業につきましては、御指摘のとおり高潮、波浪によります災害の防止、それから海岸侵食に対処いたしまして関係各省それぞれ事業を実施いたしておるところでございます。これにつきましては、五十一年度から五十五年度の五カ年間を期間としまして第二次の海岸事業五カ年計画というのをすでに策定いたしたわけでございまして、この計画によりますと、既応の投資分を含めまして防護を要します総延長一万五千キロの約三〇%は整備できるということになっております。その事業費は全体で五千八百億円でございまして、農林省、特に構造改善関係ではそのうち六百三十二億というような事業費を予定いたしまして、この五年間で必要なところを整備いたしたいと思っております。  御指摘のように、今回九州地方におきましては、塩害によりまして水稲作を中心として相当の被害をこうむったわけでございます。その他やはり緊急に措置をいたさなければならない個所があるわけでございますので、現在この第二次五カ年計画を実施するための総点検をいたしておりまして、近くこの事業費に対します具体的な個所づけを完了いたしたいと思います。それを完了次第、私どもはこの計画に沿いまして緊急に事業を実施する予定でございます。
  91. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣、いまの件で私も先日も申し上げておいたわけですけれども、この問題は熊本県のみならず全国的に大変問題にされておりまして、今回の委員会でも高潮問題は余り取り上げられておりませんので、あえて私追加して申し上げたわけですけれども、この塩害による農作物被害というものは大変莫大なものがありますし、後の農地復旧についても大変問題が残るわけです、塩分が残るわけですから。そういった意味で、ひとつ建設省ともよく打ち合わせしていただいて、いまも話がありましたように、ぜひとも総点検をするように、なるべく早くひとつこの機会に、熱の冷めないうちにやるようにお願いしたいと思いますが、大臣の見解をあわせて伺っておきます。
  92. 大石武一

    大石国務大臣 おっしゃるとおり、できるだけがんばりまして早期に完成するように努力いたします。
  93. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、林野庁長官お尋ねいたしますけれども災害復旧造林事業における倒木起こしの採択範囲の拡大という問題でございます。  今回の台風によりたくさんの風倒木が生じたことは御承知のとおりです。現行造林補助事業におけるところの倒木起こしという問題は激甚災害復旧造林に該当しなければ採択されないということになっておりまして、これを指定災害一般災害復旧造林についても採択できるようにお願いしたい、かように思うわけですけれども、この点についてどういうふうにお考えであるか。  と同時に、今回のこの全国的な林野災害は農林漁業災害の中でも約三分の一に近い被害を受けておりますけれども、農林災害被害実態とそれから特に林野、崩壊林地または林道等の被害も大きいわけですから、農林災害の中のウエートは一番新しいデータでどの程度になっておるかということを御報告いただきたい。  さらに、いま申し上げました倒木起こしの採択範囲の問題についてお答えをいただきたいと思います。
  94. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  今回の十七号台風によります風倒木の被害でございますが、いままで報告がございますのは、全国いろいろ被害がございましたけれども、熊本県の天草地方でございます。それ以外のところは目下報告を受けてないわけでございますが、もうすでに先生承知のように、一定規模以上の激甚な被害を受けた場合に限りましてこの制度適用いたしておりまして、その指定要件といたしましては、数県にまたがって被害額が三十億円を超えるあるいは一県で十五億円を超えるという場合でございますが、熊本県からの報告によりますと一億七千万円程度でございまして、いまのこの指定要件からいたしますと、助成の対象にすることは困難であろうと思っておるわけでございます。  なお、この点につきましては、県におかれましても現在なかなか実態が十分つかみ切れないというような模様でもございますので、今後県とも十分連絡をとってまいりたいと思っております。  なお、十七号台風による被害でございますが、民有林合計約七百九十三億、国有林百八億、合計九百二億円という膨大な被害でございまして、特に林地荒廃、これが六百三十四億ということで、先ほど御質問ございましたように、山崩れによる被害というものが大方を占めておる段階でございます。
  95. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、時間もございませんので、通告しておりました横島の干拓問題で数点質問申し上げます。  熊本県の玉名郡横島町の横島干拓地については、干拓地の農家八十九戸は、米の生産調整下、米をつくらないことを条件に四十七年末から入植、四十八年から五十年まで三年間は収穫を前提とした米作は認められなかったわけでございます。しかし、営農安定策として米作への期待が大きく、また農地の塩分除去を促進するため、ことしから二戸二十アールを飯米用として栽培することが国、県から認められたわけでございますが、干拓地内には現在約十七ヘクタールの水稲が二、三ヘクタールずつの集団で栽培されております。そして、この栽培団地に対して国、県公認のものに待望の米づくりを始めたわけでありますけれども、実際、ことし喜んでつくったやさきに、先ほど申し上げましたように台風十七号の影響、また有明海からの塩害、風害のダブルパンチを受け永して収穫も皆無に近い惨状になっておるわけですけれども、これについて農林省当局は実情を把握しておられるか、その点お答えをいただきたい。
  96. 岡安誠

    ○岡安政府委員 先生指摘のとおり、この横白干拓につきましては今年度十七・四ヘクタールの水稲の作付が行われたわけでございますが、今回の台風によりまして塩害を受けまして、ほとんどの水稲が収穫皆無に近い被害を受けているということを承知いたしております。
  97. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、この横島干拓は九月十二日未明の台風十七号による雨を伴わない潮風の直撃を受けたわけであります。自家消費飯米、イチゴ、野菜、牧草等一億四千万円の甚大なる被害を一地区で受けたわけでございまして、入植農家は、茫然自失しておる実情でございます。これらの農家に対して、いろいろ借入金を持っているわけですけれども、こういった償還金の延期あるいは低利資金の融資等いろいろ温かい配慮をお願いしたい、こういうふうに私は考えるわけですけれども、この点についてはどういうふうに検討しておられるか、またどういうふうに対策を講じていただけるか、お答えをいただきたい。
  98. 岡安誠

    ○岡安政府委員 それでは、干拓地でございますので私が一括してお答えいたしますが、被災された農家につきましては、一般災害対策同様、すでに借り入れております借金等の償還が困難になったような場合におきましては、農林漁業金融公庫資金、農業近代化資金等の制度資金につきましては、それぞれの法令に従いまして償還条件を緩和する方向で私どもは指導しております。また、ほかの関係金融機関につきましても、実情に応じて弾力的に措置してもらうようにすでに経済局長から通達をいたしたところでございます。  また、再生産のために必要な資金につきましては、天災融資法によります資金の融通のほかに、自作農資金の融通という道があるわけでございますので、それらをできるだけ活用いたしまして、被災農家の再生産の維持、確保、また生活の維持ができるように私どもは援助をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  99. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 横島干拓地の農家は、昭和四十七年入植以来五年を迎えております。米作抜きの営農計画に従い、麦、イグサ、野菜、たばこ等を作付して今日まで意欲を燃やして農業生産に努力をしてきたのが事実であります。しかしながら、干拓地特有の強い塩害と低湿地のために予想外の低収量で、入植農家は精神的、経済的に苦境に陥っているわけです。干拓地にもいろいろ種類があるわけですが、特にここの場合はそういう傾向が強くてまことに気の毒な状態でございます。  そこで、このような状況下にある入植農家が生活と営農に必要な収入を期待するためにはどうしても米作に頼る以外にはないということで、全面的にということになると大変問題もあるわけですけれども、私は、米作の導入ということが実現できるように考えてやるべきではないか、かように思っているのですけれども、いろいろ全国にある干拓地の中でも特殊な状況下にある横島干拓についてどういうふうにお考えであるか、見解を承っておきたい。
  100. 岡安誠

    ○岡安政府委員 これはもう先生十分経緯は御承知のとおりだと思いますけれども、これは昭和二十一年ですかに着工いたしました古い干拓事業地区でございまして、四十九年度に国営事業が完了いたしまして現在地区内の整備事業をやっている。まだこれは完了いたしておりません。五十二年度に全部完了という予定でございます。したがって、非常に古い干拓地で、当初は確かに水稲をつくる、稲作をするというようなことで干拓地の造成を始めたわけでございますが、御承知のような経緯によりまして昭和四十五年開田抑制措置がとられましたので、入植をされる方々、それからもちろん増反もございますけれども、それぞれ、この干拓地につきましては稲作はしない、畑作経営を行うというようなことに御同意をいただきまして、それで私どもは入植を認め、また増反のための土地の配分をいたしたという経緯があるわけでございます。昨年は青刈りということで非常にがたがたいたしました。しかし、お伺いするところによりますと、入植された八十九戸の農家につきましてはすでに背後地に持っておりました既耕地を全部売り払いまして入植をされた。そうしますと、この干拓地の中で一粒も米ができない、飯米も生産できないというのは非常に残念であるというような御意見が非常に強くございましたので、今年度は特例によりまして飯米に必要なだけの米の収穫を目的といたしまして十七ヘクタール余りの米の作付を認めるということにいたしたわけでございます。  それ以上の米作をという御質問でございますけれども、これは、やはり現在国が置かれております米の需給状況等を考えますと開田抑制措置というものは維持せざるを得ないわけでございまして、全国約七万ヘクタールに及びます農用地等につきましてやはり開田抑制ということでがまんをしていただいておるわけでございますので、はなはだ残念ではございますけれども、この干拓地につきましてもやはり米作は御遠慮いただくということにならざるを得ないというように思っております。
  101. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間の関係で最後にもう一点お伺いしておきます。  干拓地内の水田裏作麦作奨励金の問題でございますけれども、この横島干拓は、先ほど申しましたように国、県の営農指導によりまして麦、イグサ、たばこ、野菜等の作付をいたしておりますけれども、自立農家を目指して将来何とか立ち上がりたいということでがんばっていることも事実でございます。特に米作を除いての営農の柱として麦に依存する度合いが最も強いということは当然のことでございます。昭和五十一年度の作付麦は百二十ヘクタールでありまして、配分面積の三分の一に増加しておりますけれども、干拓地の配分圃場は地目が畑地であるとの理由によりまして水田裏作麦としての適用が認められないのであります。そのために十アール当たりの麦作付奨励補助金の交付対象とならずに大きな資金源を失っておるわけでございまして、このような状況下にある入植農家の窮状をよくくみ取っていただいて、何とか裏作麦としての適用を受けて奨励金の交付が実現できるようひとつ御検討いただきたいというわけでございますが、その点についての御見解を承りたい。
  102. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 ただいまのような御意見が地元からも出されておりますけれども、先ほど構造改善局長からお答えしましたように、当地区は開田抑制地区として同意を得た計画に基づきまして畑作経営に利用していただくということで、水田として利用することにつきましては十七ヘクタール以外はやらないようにということでやっております。水田裏作麦の作付奨励補助金というのはあくまでも田の裏作に対しまして麦を作付する場合に奨励金を出すというたてまえになっておりますので、残念ながら交付の対象とすることは適当でないというように申さざるを得ないわけでございます。ただ、畑麦にも出ております麦の生産奨励金につきましては、一俵当たり二千三百円になっておりますけれども、これは同様に交付の対象にすることが適当であるということで現にやっておるわけでございます。
  103. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間が参りましたので、以上で一応質問を終わります。
  104. 湊徹郎

    ○湊委員長 次に、稲富稜人君
  105. 稲富稜人

    ○稲富委員 私はまず質問をいたす前に、実は大石大臣とは特に個人的に親しくいたしておりますので、そういう意味から私は大石農林大臣に特にこの機会に申し上げたいと思うのでございます。今回の冷害あるいは福岡を中心に起こりました塩害、こういうような稲作の災害に対しまして委員会からも派遣があり、また政府としてもこれが実地調査に直ちに行かれたということに対しましては、私たちも政府の被害に対する関心の多いことに対して非常に敬服をいたすのであります。ただ大石大臣に私は特にこの機会に申し上げたいと思うことは、大臣も非常に忙しい中で現地調査に行かれたということに対しては敬意を表しますけれども、宮城県と岩手県と行って帰られた、こういうのでございまして、せっかく行かれるならばなぜもっと広範に行かれなかったのか。宮城県に行かれたというといかにも大臣が自分の選挙区に先に行ったのだというようなことを思われるということは大石大臣のためにも実はおもしろくないんじゃないか、こういう点も私は考えますので、せっかく行かれるならばもっと広範になぜおやりにならなかったのかということ。同じ農林省調査団として塩害被害地に行かれた、これも政府の調査団でございますが、これは山崎政務次官が団長として行かれております。これも主に自分の選挙区の災害調査に行かれておるのでございまして、災害調査なんかに対しましては委員会等では御承知のとおり自分の選挙区はその委員の中にも加わらないというこれほどの考え方を持ちながらやっているのでございますから、調査に行かれることはいいけれども、かりそめにもそういう疑惑を持たれないような態度をとってほしかったと思うのでございます。せっかく大石大臣も行かれたのだから、もっと東北地方を大きく回られるとかあるいは山崎農林政務次官が災害地に行かれるならば、自分の選挙区に行くならばさらに足を伸ばして、ただいま熊本県の被害実態も話がありましたけれども、こういうことに対してはひとつ政府として慎重に今後対処していただきたい、こういうことを私冒頭に大臣のために特に申し上げます。いろいろ事情もあっただろうと思います。しかしこれに対してもいろいろ疑惑を持つ者もおりますので、その点を特にまず大臣のお気持ちを率直に承りたい、こう思うのでございます。
  106. 大石武一

    大石国務大臣 災害なり冷害、そういうものにつきましてはやはり現地を見ることが非常に大事だと私は考えております。もちろんどんなに広範に歩きましたってすべてのものを全部見るわけにまいりませんし、視察に行きましたって農林省の一番の最高責任者である農林大臣が十日も二十日も災害地だけを回って歩くわけにまいりません。しかし直接何がしでもいい、現地に行ってみることが実際にその災害に取り組む心構え、そういうものを非常に厳しくつくりますし、それに対する情熱も強くわいてくるわけでございます。そういう意味で私は自分の災害に対する心構えをできるだけ厳しくしよう。同時に何がしでも大臣が視察に行ったということは被害農民に対するある程度の励ましにもなるという気持ちでいま災害視察を計画したわけでございます。  しかし御承知のように、私は九月十五日に就任をいたしましてからそのような機会を考えておりましたが、ある程度被害実態がわからなければ参るわけにまいりません。参る以上はある程度のどういうことをするという対策の基本的な方針を持たなければこれはやはり行けないわけでございます。それでずっと十日ほど待ちまして一応の被害実態なり、それからこれに取り組む対策の基本的な考え方がまとまってまいりました、それで初めて出かけることにしたわけでございます。いろいろと農林省にどこが一番被害がひどいのか聞きまして、まずとりあえず冷害から回ることにいたしました。冷害の方は余り回っておりませんので、それで冷害を回ることにしましたところは、岩手県と宮城県と福島県と千葉県が一番ひどい被害だということで、ことに岩手県が一番だということでありますので、岩手県をきっかけに宮城、福島と三県を三日間で一応回ってみようということで、土曜は岩手県、日曜は宮城県、月曜は福島県を回る予定を立てました。こういうことで岩手と宮城は各県一日ずつ回ってまいりましたが、御承知のように九月二十七日から総理大臣の施政方針に対する質問が始まりまして、残念ながら福島県には申しわけなかったけれども視察をしないで東京へ戻りました。自来それからずっと御承知のとおりの国会の日程でございます。きのうおたくの民社党の小平君からもぜひ北海道には行ってほしいという御希望がありました。行こうと思っておりますが、ごらんのとおりの朝から晩までの国会活動でとうてい出る暇はございません。福島県に対しましてもまだ行っておらないのです。申しわけないけれども行けないのです。そこで福島県は当然行かなければいけませんので政務次官に頼みまして連絡をとりましたところが、今月の十三日がいいということで政務次官には十三日に行ってもらうわけでございます。そういう意味で広範にもっと見ろということ、実際よけい見た方が結構でありますが、いまのような事情でせいぜい二日しか見られなかったというのが実情でございます。  なお、なるほど宮城県は私の出身地であり選挙区でもあります。しかしそのような選挙区であるからといって遠慮して見ないということも私はおかしいと思うのです。もっと公平な立場で、どこを一応見た方がいいかということで私は計画を立ててもらったのです。そういう意味でいろいろな御観測もありましょうけれども、余りこだわらないでもっと大らかに自分の仕事をやりたい。余り自分の利害に結びつけることもしたくありませんが、またそのように人に見られやしないか思われやしないかということで濶達な仕事ができなければつまらないと思いますので、いろいろな見方もございます、御意見もございますが、私はそのような気持ちで余りこだわらないで、一番能率的な妥当な視察をしたらよかろうという気持ちで参っただけでございます。おっしゃるとおり、自分の利益を図るような利己的なことはできるだけしないということは稲富先生は御存じだと思いますので、その点はひとつ御理解をいただきたいと思うのでございます。
  107. 稲富稜人

    ○稲富委員 いや、私は何もその点あなたを責めているのじゃなくして、冒頭申し上げておりますように政府みずから、大臣みずからが現地の調査へ行かれたことに対して非常に私は敬服いたしております。政府はしかるべくそういうような態度をとるべきである、こういうことを考えております。それに対しては私も決して文句を言っておりません。ただ偶然にもあなたの選挙区が一番ひどかったというわけで、あなたのところに行かれたと思うのです。次官は一番福岡県がひどかったというわけで福岡県に行かれたと思うのだけれども、何だかそういうことだけに主体を置いて行かれると、そういうような誤解を招くようなおそれがある、こういう点からやはり慎重にやって、そこに行くならほかにも行く、こういうようなことをやるべきではないかということを私はあなたのために惜しんで、あなたはそういうけちな根性を持っていないということを私はあなたをよく知っておるから、それだから申し上げているのであって、今後慎重にやっていただきたい。これは次官の現地調査の問題も同じでございます。次官の場合も福岡県の自分の選挙区の調査に行かれるならば、その隣の熊本県も被害をこうむっているのだから、熊本県まで足を伸ばせば非常によかったのではないか、こういう意味から、期せずして大臣の行かれたところ、期せずして次官が行かれたところがその選挙区が中心になっておりますので、私はそういうことを申し上げたまででございますので、今後そういう点をひとつ十分配慮の中に入れておいてもらいたい、こういうことを申し上げたのであって、政府が積極的に被害実態調査に当たられるということに対しては、敬意は表しておりますけれども、私はこの問題に対して何もけちをつけているわけでもないし、悪く言っておるわけでもないのであります。その点だけ申し上げておきたいと思うのであります。  さらに私は、この冷害に対しましては、すでに昨日から関係方面の方々から御質問があっておりますので、今回の十七号台風に対する塩害の問題を中心お尋ねいたしたいと思うのであります。実は、福岡県を中心にいたします塩害の今回のひどさというのは非常にひどいのでございまして、これは一つの干拓地がほとんどやられているのでございますね。これは後で見てもらえばわかりますが、ちょっと見ていただきたい。全面塩害でそういうような穂になっているのでございます。それで、これに対しましては、もちろんすでに冷害地方と同様に天災融資法並びに激甚災害地としての適用指定をしてもらいたい、こういう希望もあっておると思いますし、あるいは農業災害補償法の早期支払いをなすべきであると、こういうことはすでは各地方からも希望が出ておると思いますので、やはりそういうような東北地方災害と同等に、これもひとつ十分取り扱っていただきたい、こういうことをまず希望として申し上げて、これに対する政府の考え方を承りたいと思うのでございます。  さらに、農業災害補償法の保険金の早期支払いをお願いすると同時に、今回のこの干拓地におきまして、共済適用外にあるところがあるのでございます。これは、どうしてこういうことになったのであるか、どういうような指導を今日までなされてきたのであるか、なぜこういう状態になっておるか。この点をひとつ、事情がわかりますなら承りたいと思うのでございます。
  108. 大石武一

    大石国務大臣 災害は、いろんな形で、またいろんな方面に参ります。これにつきましては、やはりどの被害に対しましても平等に、でき得る限りのめんどうを見てあげることは大事だと考えております。台風十七号による塩害の被害につきましても、これは他の災害冷害とかそれと同じような形におきましてでき得る限りの、いま申しましたような共済金早期支払いとか、それからいわゆる制度融資の適用とか、その他いろいろな、いままで申しましたあらゆる制度適用いたしまして、この対策に充てたいと考えおる次第でございます。
  109. 吉岡裕

    吉岡(裕)政府委員 農業共済の御質問でございますが、先生お話しの干拓地は大和町の干拓地ではなかろうかと考えます。この大和町の干拓地につきましては、農災法適用関係を申し上げますと、農災法に御承知のように昭和四十七年度以降に造成された水田等については米穀の需給事情にかんがみ原則として当分の間、農作物共済の引き受け対象としないということにされておるわけでございます。大和町の干拓地の一部にこのような規定の対象になっておる地域があるようでございまして、この地域については水稲の共済の引き受け契約が行われておりませんので、残念ながら水稲共済金の支払いというものは行われないという実情でございます。
  110. 稲富稜人

    ○稲富委員 私が申し上げておりますのは、そういうような指導の点において非常に欠けておったのではないか、なぜそういうような適用外に置かれるような状態になされておったか、この点がどうも私は非常に腑に落ちないので、その点をお尋ねすると同時に、それではその適用外になっておるがために、今回は収穫皆無であるけれども、この農業災害補償法による共済の恩恵には一つも浴せない、こういうような特殊な事情にありますから、この特殊な事情にある分に対してはいかなる方途をもってこれを救済するような方法をとろうという考えを立ててやらなければいけないのではないか、こういう点を考えますので承りたい。
  111. 吉岡裕

    吉岡(裕)政府委員 事情はただいま私から御説明いたしましたような農災法の規定によって、大和町干拓の一部について実際引き受けが行われていないということでございますので、本年度残念ながら共済金の支払いを行える状況にないということでございまして、今後その実態が、現地におきましてたとえば基準収穫量等がどう確定できるかというふうなことを含めまして、現地でいろいろ検討を必要とする問題であろうかと思います。
  112. 稲富稜人

    ○稲富委員 聞くところによりますと、これは何か四カ年で、来年からはその対象になるということになっておったらしいので、ちょうどことし三年目で、三年目であるがゆえにこれの適用外に置かれているというような実情のようでございます。それで、そういうような指導というか、その点がどうも不十分ではなかったか、こういうような感じがいたします。こればかりひっかかっておりますともう私の質問の時間が来ましたので申し上げませんが、こういう問題に対してはやはり特別の対策はこちらとしても考えてやるべきではないかということを申し上げて、これに対する何か特例措置があるのか、その方法がないかということをまず承りたいと思うのであります。  時間が来ましたから、あとはまとめて質問いたします。  まず、今回の干拓地のほとんどというものが収穫皆無の農家が大半でございます。こういう収穫皆無というような農家に対しましては、やはり自家用米もないような状態でございますので、こういう農家に対しては政府米の払い下げとか、あるいは水稲の種子の確保のために将来無償配付をやる、こういうような考えも当然これは立ててやるべきではないかと思いますが、それに対する政府の考え方があったら承りたいと思います。  さらにまた、干拓地の払い下げ代金というものは当然支払いがことしはできません。この支払いの延期を当然やらなければできないと思うのでございます。ことしのごときはもう全然収穫皆無でございますので、その干拓地の払い下げ代金の支払い延期の方法を講じてやるという親心があるかどうか、この点も第二の問題として承りたい。  さらに、これは食糧庁関係でございますが、災害米に対する検査機関、これもやはり相当に考えてやらなくちゃいけないだろうと思いますし、また規格外の設定もいたさなくちゃいけないだろうと思います。この規格外の設定をすると同時に、これに対する政府の買い上げ処置ということもやはり考えてやらなければいけないだろうと思いますので、これに対してはひとつ食糧庁長官からどういう考えを持っていらっしゃるかということを承りたい。  さらにまた、これも食糧庁の関係でございますが、すでに米の予約米の概算金の支払いを出しております。これがもう全然収穫皆無でございますので、これはやはり概算金を返済するなどということになりますと困りますので、この概算金の返済の延期もやってもらわなければ、これは概算金はもらっておりますけれども、概算金を返すだけの金がないのです、全然収穫できていませんから。こういうことに対する考え方もどう考えていらっしゃるか、こういうことを特に考慮に入れていただきたい、こういうことも考えるわけでございます。  いろいろ聞きたいことがありますけれども、時間がありませんから、いま申しましたことに対してひとつ政府の考え方を承りたいと思うのでございます。
  113. 吉岡裕

    吉岡(裕)政府委員 農業共済の水稲の引き受け関係につきましては、現地の事情も十分調査をいたしまして、適切な処置が行われますように関係諸団体等を指導してまいりたいと考えます。
  114. 大河原太一郎

    大河原政府委員 食糧庁関係お尋ねについてお答え申し上げますが、先生の御質疑一つ一つお答え申し上げますが、方針といたしましては、大臣冒頭に申しましたように、冷害等について対応した措置、それに十七号台風関係、塩害関係も十七号台風関係でございますので、これに準じた措置は当然とるべきであるというふうに考えております。  第一点。飯米用に事欠く農家方々に対する政府米の配給等については、従来もそのように扱っておりますが、当然めんどうを見るということにしております。  それから、塩害等については、当然被害米の発生に伴いまして規格外米の問題がございますので、その規格外については出回る被害米の品質に応じた適切な規格を設定いたしまして、買い上げ、その他の措置を遺憾のないようにいたしたいというのが第二点でございます。  第三点でございますが、概算金の返納の問題については、率直に申し上げますが、なかなかむずかしい問題で、昨日来るる申し上げておるところでございまして、やはり延納は一種の金融措置でございまして、農家の金繰りの関係の問題でございますので、天災融資法の経営資金なりあるいは自作農資金あるいは先生も干拓地の払い下げ関係お話ございましたが、各種制度資金、既借入金の償還猶予とか諸般の措置によりまして農家の金繰りの面で手当てするということを第一義といたしておりますので、概算金の返納は予定どおりやっていただかなければならないというふうに思っております。  ただ、この場合におきましても、昨日も申し上げたのでございますけれども、やはり国は、農家方々が予約概算金の返納が困難な場合には、所属農協、あるいはこれは県の経済連、全農というような指定集荷業者、これから代位弁済の制度がございまして、農協としては個々の農家実情に応じて返してもらっていくという制度で従来の大災害措置されてまいっておりますので、今回もそれらの措置を適切に行うことによって対処をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  115. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 来年の稲作再生産のための種子の確保とこれに対する援助の問題についてお答えしたいと思います。  現在、各県を通じまして被害の状況、来年度確保すべき種子の品種別の所要量等の調査をいたしておりますので、その調査の結果を待ちまして、県内で調達できないような場合には、国があっせんをいたしまして、他の地域から導入するということにしたいと思います。  さらに、これに対します援助につきましては、従来の例によりまして、種もみの確保について所要の経費について被害が大きい場合には助成をしてまいりたいということで検討いたしております。
  116. 岡安誠

    ○岡安政府委員 干拓者の土地代でございますけれども、三年据え置き二十二年償還ということになっております。これもはなはだ残念でございますが、なかなかこれを延期するという措置が非常にむずかしいわけでございまして、いろいろ救済関係制度資金等もございますが、そういうことで御返済いただかなければならないだろうと思っております。しかし、実際これも代金は、国に対しましては県から返納していただくことで、県がまた入植者といいますか農民から徴収するかっこうになっております。これは生活に困るならば、別途の資金措置ということで措置をいたしたいと思っております。
  117. 稲富稜人

    ○稲富委員 それじゃもう時間が来ましたから、質問はこれで終わりますが、特に大臣に申し上げたいと思いますのは、実際東北も塩害地も、災害をこうむった農民というものは全くその生産意欲をなくして路頭に迷っておるというような現状でございますので、何とか政府といたしまして農業経営に対する将来の希望を持てるような、こういう親心を持ってひとつ対処していただきたい。法律的にはいろいろむずかしい問題があると私は思います。その点を特にひとつ特段の措置をもって、こういうときにこそ農民に対するひとつ親心としての手を差し伸べて、そうして農民が今後営農に対して希望を持つような措置をひとつ特にやっていただきますように、これは大臣のお気持ちはよく知っておりますので、大臣、どうかそういうつもりで措置していただきたいということを特に私は大臣にお願いを申し上げまして、私の質問を終わることにいたします。
  118. 湊徹郎

    ○湊委員長 この際、午後二時四十分再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時四十七分休憩      ————◇—————    午後二時四十四分開議
  119. 湊徹郎

    ○湊委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。美濃政市君。
  120. 美濃政市

    ○美濃委員 最初にお尋ねしたいと思いますが、近く五十一年産のてん菜、でん粉、大豆、これが決定されると思うのですが、これはもう決定する日にちに入ってきたと思いますが、いつ決定されるか承りたいと思います。
  121. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 先生承知のとおり、芋でん粉は政令上は今月の二十日でございまして、ビート、ビート糖につきましては今月の末までということに相なっております。  なお、サトウキビそれから甘庶糖につきましては十一月末までということに相なっておりますが、芋やビートにつきましてはそろそろ出回りの時期に——芋につきましては出回っておりますが、そういう関係もあり、生産者の方から早く決めてもらいたいという要望がございますので、私たちとしましてはできるだけ早くこれを決定する方針といたしておるところであります。昨年は十月の九日に決めましたので、芋、でん粉、ビート、ビート糖につきましてはできるだけその九日を目途に努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  122. 美濃政市

    ○美濃委員 それでは最初に、その決定されますてん菜について若干質問をいたしたいと思いますが、てん菜につきましては、過般公表されました統計情報部の五十年産てん菜の生産費、これによりますと、最低生産費として生産者価格で告示されました価格で計算をいたしますと、一日当たり家族労賃が三百七円の赤字。それから一トン当たり三千八百六十円の奨励金を入れて計算しても、一日当たり家族労賃が三千七百五十三円、これは大体五人規模労賃から見るとかなり大幅に下回ったてん菜をつくって生計し得る価格ではないということが言えるのですが、なぜこうなるのか、なぜこうなったと考えておるか、それからまた、ことしこういう状態に対してどう措置しなければならぬとお考えになっておるか、これを承りたいと思います。
  123. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 先生指摘のように、五十年度には奨励金を含めまして一日当たり労働報酬が三千七百五十三円ということに相なっております。これは一つは生産資材その他の上昇によるところでございますが、非常に大きい要素は、やはり五十年の反収が非常に低かったということに相なろうかと思います。もし反収を一定の四・五トン程度におきますれば、奨励金込みの現在の水準でもやはり七千円ぐらいに相なるわけでございまして、生産資材の上昇及び労賃の上昇等もございますが、非常に大きい要素は、やはり反収が低かったということにあるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  124. 美濃政市

    ○美濃委員 私の考えは反収だけでないと思うんですね。これは同じく統計情報部が公表しておりますパリティによりますと、昭和四十三年と四年との差は、パリティの上昇は三・三%ですね、きわめて物価上昇率は低かったわけです。言うなら物価は非常に安定しておった。ところが四十六年、特に四十七年から石油パニックの関係が出まして、四十七年と八年とのパリティの差は四七・四ですね。四十八年と四十九年の一年間のパリティの上昇は六六・四、それから四十九年と五十年、この一年間のパリティの上昇は三五・五です。この三年間で一四九・三上昇したわけですね。これがてん菜の価格に反映していない。このパリティの上昇率を四十七年の最低生産者価格八千二百五十円にとにかくストレートに掛けますと、五十一年は除きまして、昭和五十年で二万三百六十七円となるわけですね。  それからもう一つ、同じく公表された生産費の方です。生産費の方で統調の数字をそのまま見ますと、五十年における家族労賃を除いた生産経費が十アール当たり四万七千三百六十九円。家族労賃を一応五人規模以上の所得方式による賃金で計算をいたしますと、十アール当たりの必要労働時間は三十六・五時間ですから、大体三万五千円以上労賃が保障されないと、てん菜をつくっても所得にならない。両方合わすと、私どもの計算ではてん菜の十アール当たりの必要経費は八万四千円。それを基準収量四トンで割りますと二万一千円となるわけです。昭和五十年の収量はヘクタール当たり三十六・七トンですか、それを一応四十トンで計算して二万一千円になるわけです。  ですから、どちらで計算しても、パリティで計算しても、統調が公表している実際にかかった経費で計算しても、どうしても二万円以上でなければ、いわゆる所得にならない。全然ならぬということは申し上げませんけれども、非常に低い所得で、生計し得る所得にならない、こういう結果になると思うのです。それはどういうふうにお考えになっておりますか。
  125. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 先生の積算根処と違うかと思いますが、私たちの計算によりますと、経営パリティで物材費その他をアップいたしまして、家族労働費を米価織り込みの時間当たり労賃をとりまして、雇用労働費につきましては農業の雇用労賃を用いまして計算をいたしますと、反当七万五千百九十円くらいに相なります。  反収をどう見るかということでございますが、反収を一応四・五トンと——これは前五カ年のうち中葉三カ年平均の反収が四・五九一トンでございますから、反収を一応四・五トンと見込んで計算をいたしますと一万六千七百九円というかっこうに相なります。  なおまた、パリティの積み残しの計算を一応いたしてみますと、現在で一万五千九百四十二円というふうなかっこうに相なるわけでございます。したがいまして、私たちといたしましては、基準価格といいますか、最低生産者価格を議論いたしますればいろいろ問題がございますが、いまの奨励金を含めました一万六千円の水準というものについて見ますと、それほど悪い価格ではないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  126. 美濃政市

    ○美濃委員 いま局長の言われたヘクタール四十五トンという収量ですが、これをこれからのてん菜を奨励する基準収量あるいは価格を算定する基準収量とすることは、私は無理であると思います。ということは、これは西ドイツの試験結果がはっきり出ておりますが、西ドイツは現在、化学肥料を十アール当たり八十キロから百キロ使った場合に、ヘクタール当たり六千二百二十キロの砂糖が取れております。同じような計算で、二百キロから二百五十キロ化学肥料を使った場合にてん菜の収量がふえるのですね。しかし、化学肥料の起こす作用で糖分が入らないわけです。ですから、非常に低い根中糖分のてん菜ができて、てん菜の収量は多いのだけれども、そのてん菜で砂糖をつくった場合、ヘクタール当たりの砂糖の取れ高が五千六百九十キロ。もちろん西ドイツでは糖分買いで、目方買いではありません。同様に農家の収益性からいくと、八十キロから百キロの施肥に対してそういうふうに安くしか——売り上げが少なくて肥料を多く使いますから、これは指数で申し上げても収益率が三〇〇に対して二六四。したがって、八十キロから百キロ使った場合のヘクタール当たり基準収量は三十八トンないし四十トンというのが、西ドイツの長年持続した耕作方法でないですか。  四十五トンという収量は、過去において確かにありました。しかし現在、北海道地域においては、すでにもう二百キロ以上の化学肥料を使っておるわけです。二百五十キロも使っておる。ですから、どうですか、その農林省が発表しておる歩どまりを見ても、昭和四十六年は一五・二四でしょう。その前はずっと一四・三三、一四・七八ときておったものが、だんだん金肥を百五十キロから二百キロ、最近では二百五十キロぐらい、十アール当たりに無機質肥料を使いますから、四十八年は一二・四八、四十九年は一三・七一、昨年は一二・七四でしょう。ことしも低温障害はあるけれども、てん菜やバレイショは低温障害に強いですから、収量はかなり見込めます。しかし、どうですか、九月三十日の各糖業が調査した根中糖分が一三%弱でしょう。これから若干根中糖分は充実するけれども、ことしの歩どまりも一三%はちょっと無理ではないか。やはり一二%台へ落ちる。片や西ドイツは歩どまり一六%でしょう。こういうところをきちっとあれしないと、砂糖のないビートをつくらして四十五トンだ、四十七トンだと言うのは、そういう物の考え方はここで改めてもらわなければならぬ。三十八トンから四十トンの基準収量と……。  そしてもう一つは、こういうふうに金肥を使うと地力を破壊してしまうわけです。あの無機質肥料を十アール当たり二百五十キロも使って、そしてペーパーポットで手間をかけて、四十五トン、四十七トンという収量を取った跡へ何をまいても取れません、地力を極端に消耗しますから。地力収奪をやりますから、何をつくっても、その跡へつくったものは満足のいく収穫ができない。こういうてん菜のつくらせ方は間違いだと私は思います。その面から破壊していきますね。四十五トンなどという収量で物を考えるということになると、その面から破壊する。ただし、申し上げておきたいと思いますが、西ドイツはアルカリ性土壌であり北海道は酸性土壌でありますから、今後品種改良やそういう点の注意をしても、西ドイツと同じ根中糖分になるということはめんどうだと思いますけれども、過去においては、昭和四十年から四十五、六年ごろまでは、ちょっと切れても一三・九三ですか、大体歩どまりは一四%台で推移してきたものが、四十八年以降そういう地力障害が目についてきて、いま北海道では、改良普及員も口を開けば土地づくりだと言う。道庁の指導官も土地づくり、土地づくりと、こう言うんだね。やかましく言い出しております。その表現が悪いとは私は言いません。なぜ北海道の畑作地帯に土地づくりという表現が起きてきたのか。ここにあるわけですね。ですから、ことしあたりから、基準収量は一応四十トンとして、そして金肥はもっと施用しない、百キロの方向へ向かって化学肥料を減らしていく指導をしなければこれは持続できません。すでにいま壁にぶつかったてん菜の一つの原因がそこにあると思うのですね。どうでしょうか。
  127. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 ただいま先生の非常な含蓄のありますお説を承りましたわけでございますが、私も、お話のように着実な反収を上げ、しかも糖度の高いビートを輪作体系の中に織り込んで、着実に生産をしていくということが最も大切なことであると思っております。そういう意味合いにおきまして、できるだけ有機質肥料を投用した、糖度の高い、まあさしあたっての目標としては反収は四トン以上というふうなベースの中でビート生産を考えていくことが適当ではないかということはお説のとおりだと思っております。
  128. 美濃政市

    ○美濃委員 そこで、さっきの答弁とちょっと変わってきましたね。局長も同感だと言うのですから、私はそれについては異議がございません。やはり四トンを基準収量とするということになると、この統調の経費から見て十アール当たり八万円——あなたの方の考えは七万五千円だと言う、たとえば七万五千円で、四トン基準で、これからてん菜のそういう地力障害も除去する。問題はやはり砂糖だと思うのです。率直に申し上げますと、もっと歩どまりをよくしなければ、これはもう局長も同意されたのですからそれでいいですけれども、やはり歩どまりということを考えなければいかぬ。一二%と一四%では、一トンから二十キロ砂糖が違うわけですから大変なことなんですね。何ぼ酸性土壌でも、一四%の歩どまりは維持するような指導をしていかなければならぬし、あるいは品種改良その他によってそれ以上の歩どまりを求めていかなければ、一四%あった歩どまりがだんだんと一二%まで落ち込んできて、まだ歩どまりが下がるようなことでは、その面からもやはり問題が起きてくるわけであります。そうすると、この時点でたとえば四トン七万五千円であっても、ことし決めなければならぬ価格はもっと上がるでしょう。そういう価格を支持して、収量ばかり考えぬで、地力の維持と根中糖分を考えてくださいよという指導をしていかなければならぬと思うわけです。それには四十五トンから四十七トンと、無機質肥料を使って糖分の少ない水ビートをつくらして、ただビートのかさだけ上げて、それでコストを下げようとしたって、それは下がらぬわけです、砂糖のコストは下がりませんから。てん菜の、量で変わるコストは量がふえるから多少下がった形になるけれども、肝心の砂糖のコストは、糖分がなければ反対に上がっていくわけですから、結局砂糖が高い砂糖になってくるから、今度は財政負担の問題にもぶつかってくるわけです。ですから、そこを考え合わせて、やはりことしから四トンの基準収量で計算して、局長は七万五千円と言うのですが、七万五千円を四トンで割ったら何ぼになりますか。ここで計算しておったのでは、質疑中ですから、ちょっと計算して何ぼになるか言ってみてください。
  129. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 それを計算しますと、一万八千七百五十円という計算になります。
  130. 美濃政市

    ○美濃委員 そこらを最低として、やはり二万一千円は必要な価格である。しかし、ことし決めるてん菜価格は、いま局長が言われた価格を最低しして、最低でもそこまで持っていって、そして地力維持から糖分の高いビートヘと政策転換をして持っていく、こういうふうに御努力をいただきたいと思います。  次には、若干制度改正の問題に触れておきたいと思います。  そこでもう一つの問題は、これは大臣によく聞いておいてもらいたいのですが、私はEC本部へ行って、一日おりましてECの農政を構造改善局長から聞きました。あのECのベルギーの本部では、こういう政策を立てるときに、ECが気象的にサトウキビがつくれた場合にどうなるかという推定計算をしております。私が行ったのは昭和四十三年ですか、ECでサトウキビが気象的につくれたとして計算したものは、昭和四十三年で二百三十ドルという計算をしておりました。精製糖ではなくて粗糖で二百三十ドル、こういう計算をしておりましたが、ECも同じ資本主義国家ですから、インフレはかなり進んでおります。日本の現況からいけば、四十三年と今日では、このパリティで計算すれば、もう五百ドル超すわけです。四十三年の二百三十ドルにこのパリティを掛けますと六百ドル近くなりますね。そういう計算をして、国際糖価がそれより安いということは、いわゆる砂糖の生産が多少過剰傾向で、自由市場へ流れ出る過剰な砂糖をたたいて買うからそういう価格が形成できる。ですから、ECとしては、そういういわゆる日本で言えば国内産糖の上限、下限目標だと言っておりません。外国から計算しても、四十三年当時で二百三十ドル、これを下回るということは、発展途上国のサトウキビをつくっておる農民を搾取する価格であるから、そういう価格をECは安いというふうには評価をしない。したがって、ECのてん菜糖は、二百三十ドルをもって均衡価格として政策を立てていく。これははっきりしておるのですね。そして二百三十ドルで計算した糖価で支持価格をつくってやっておるわけですね。こういう時代になってくると、日本の政策でもやはりこれは参考にすべきだと思うのです。現時点の国際糖価というものは、サトウキビを一番多く生産しておるのはキューバあたりですけれども、恐らくキューバの国民が合意をしておる価格じゃありません。過剰による異常な安値であって、自由市場におけるたたき合いの価格である。言うなら、ECで言っておる搾取価格である。そういうものを標準に物を考えて高安を論じるようになると、国内生産というものはできにくくなります。また、発展途上国と日本国との生活の差もあるし、文化水準の差もあるわけですから、農民だけにはだしで、裸でやれ、他の職階は別なんですよという社会はあり得ないわけですから、そう考えると、これからそういうことを政策の中に入れて——私自身はやはり砂糖が安いと思うのです。たとえば、国会図書館で、明治初期の米と砂糖の比較をしてみても、今日ほど他の物と比較して砂糖の安い時代は、明治、大正時代を通じてなかったと思うのです。これは異常に安いですね。砂糖といえば私は食品のエキスだと思います。砂糖は玄米より安いのですよ。玄米より安いということは、りっぱな精製糖に仕上げたものが玄米より安いというのは、商品価値から見ても安いと私は思います。玄米よりも砂糖が安いなどということは明治、大正時代にもなかったわけですね。白米よりもずっと高かったわけです。そういうことを考えると、いまは安いと言っておっても、つい昨年、一昨年のように異常に暴騰することもあるわけで、これから食糧危機に入るとまた上がると思う。ですから、日本国において六十万トンの砂糖を自給するという政策を立てるのであれば、やはりいま申し上げたようなことを勘案して、そして糖価安定事業団の機能を強くして、高めて、そして課徴金制度なり——課徴金だけしか問題はないですから、そういうもので価格を調整する機能を持っていく必要がある。  それからもう一つは、聞くところによれば、ことしは精糖業界は三千億円の赤字だというのです。どう見ても輸入原価のコストに合わない過当競争が続いておる。こういうものもやはり整理をしなければ、一時的にそれが安いということで、そのために国内産糖のいわゆる政策目標が崩れていくという面も出てきておるわけです。自給の政策目標が崩れていくわけであります。こういう問題に対して、まあきょうは確たる答弁がなくても、次の通常国会までには検討して、法案の整備、あるいは糖価安定事業団の機能というものを高めて、すぐそういう異常な価格が形成できるものと国内産糖との調整が、全部財政負担ばかりにならぬように、財政負担の限度は一応三百億なら三百億と、一般会計から糖価安定事業団へ繰り入れる限度額というものを決めて、それを超えるような異常価格が出た場合には、課徴金か何かなり関税なりの操作で、財政負担にならない方法の自動調整まで考える必要があると私は思うのです。それをしたからといって、他の物価と比較して、砂糖が国民経済を大きく圧迫するような高いものにならない、こう思うわけですが、どうですか。大臣、そういう考えについては検討する必要があるとお思いになるのか、伺っておきたいと思います。
  131. 大石武一

    大石国務大臣 いまいろいろと御意見を承りまして、参考にいたしたいと思っております。私も現在の砂糖政策は、何と申しますか、言いにくいのでありますが、ちょっと筋から外れているのじゃないかと思うのです。たとえばいまの精糖会社が、いまだに長い間あんなお互いに足を引っ張り合って、糖価をめちゃくちゃにして混乱させるということが、ひいては国内の農民に対するいろいろな圧迫にもなっておるわけでございます。こういうことを考えますと、できるならば、おっしゃるように来国会にでも何かの新しい考えをまとめまして、もう少しいい方向に行きたい、こう考える次第でございます。
  132. 美濃政市

    ○美濃委員 これは大臣、せっかく御答弁いただいても、いまここで確たる答弁は無理でありますから、十分ひとつ、そんなに期間をかけないで、できれば次の通常国会に、そうした法改正が出せるなら出すように御努力をいただきたいとお願い申し上げておきます。  次に、でん粉で若干の質問をいたしたいと思います。  芋、でん粉につきまして、さっき小委員会意見もまとめて、これから本委員会でもいろいろ検討いただくことになると思うのですが、まず第一点として、ことしバレイショでん粉がかなり多いわけですね。しかしこれはこれからも繰り返すと思うのです。ことしの七万二千ヘクタールという北海道のバレイショの作付が、そんなに異常に反別が多くなったわけではないのですが、まあ冷害の中に、幸いにしてバレイショとビートはことしは平年作況をちょっと上回るわけですね。指数で言うなら一〇五になるのか、一〇七になるのか、まだ十月十五日の最終作況がはっきりしませんけれども、一〇〇を超えることには間違いないわけなんですね。そうなりますと、北海道におけるバレイショの半分が食用と種子用です。大体半分がでん粉をつくるでん原用としてつくられておるわけです。ところが、作況がずっとふえますと、食用と種子用が余るわけですね。生産過剰になるわけです。ことし、私の推定からいくと、約二〇%の過剰部分が今度、あれは種として植えませんから、結局その分がでん粉工場へ入ってくるわけですね。ですから、北海道のバレイショでん粉の特質というのは、豊作になると、でん原用につくった芋の豊作だけではなくて、食用、種子用の豊作で作況が平年作を上回った分が、全部でん粉になる性格を持っておるわけです。反対に、芋が非常に高温で、バイラスで木が早く枯れる病気が起きて、凶作になりますと、農林一号などというでん粉と食用と両方に使える品種の芋は、でん粉にならないで食糧芋に変化していって、そのときはでん粉がぐっと少なくて、まあ十四、五万トンぐらいのでん粉しか——同じ反別でですよ。同じ七万一千ヘクタールという反別で、そのぐらいしかでん粉が出てこない、こういう性格を持っておるわけです。ですから、ことし二十七万トン、非常にでん粉が多いからこれを生産調整するといったって方法がないわけですね。生産調整するというんだったら食用芋を減らすのか。減らせば芋が凶作になったときは全然需給がおかしくなってしまいます。ですから生産調整はできないわけです。ですから大体七万一千ヘクタールから二千ヘクタールは北海道における畑作の輪作作物としてこれは農林省の政策としても維持しなければならぬ。それを維持すると、いま言ったような現象が起きてきますから、そのときはやはり農安法によって政府が買って、そして少ないときのでん粉が、コーンスターチの私どもアウトサイダーというわけですね。コーンスターチのアウトサイダーがふえるんじゃなくて、コーンスターチも基本的に計画して、私は六十万トンはコーンスターチでいいと思うのですね。ただしかし、そういう作況によって引っ込んだとき、すぐコーンスターチが自然増加をして、それが実績となって、いまになれば、ことしはバレイショでん粉が多過ぎる、生産調整したらどうかなどという意見が出るということは私はまことに不快な念を持つわけですね。そうじゃなくて、やはり政府だってバレイショでん粉を買えば、それはやはり売る機会がなければ、余ったでん粉を買ったきりでという能力ではだめだと思う。それにはやはりコーンスターチを六十万トンに一応抑制して、そして豊作で買ったでん粉は凶作のときに市場へ出すんだ。農安法によって、北海道のバレイショでん粉について言うならば七万一千ヘクタールないし七万二千ヘクタールつくるバレイショから豊凶によって変化の起きる分はこれは仕方がないんだ。ですから、ことしのようになって十万トン多くとれても、いや御苦労さん、この冷害の中でせめてバレイショでん粉はよくてよかったね、こう言って農林省がその需給を操作する能力を持ってもらいたい、こう思うのです。それを持ったからといって、これからまたでん粉が、芋が輪作計画から見てさらに十万ヘクタールを超えて耕作されるということはありません。ですから、通例七万二千ヘクタールというものは平年作における十四、五万トンのでん粉と食用、種子の国内における需要に対応する反別である。豊作になればそれがふえるんだ。もう一回申し上げておきますけれども、食用なり種子用なりの豊作の量の調整がでん粉に回ってくるから、それはやはり政府としてこれからも農安法の買い上げ措置の中でそれを消化していくということに私はしてもらいたいと思うのです。ですから、当面ことしのでん粉はやはり十万トン、本年度予算と来年度予算にまたがると思いますけれども、十万トンは政府で買い上げて、来年やはり芋作が悪ければぐっと減るということは言えるわけですから、来年もまた十万トンオーバーするということにはなりません。ですから、その機能をきちっと持ってでん粉対策をやってもらいたい、こう思うわけです。これに対して、これは政策問題ですから大臣の所信を伺っておきたいと思う。
  133. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 ちょっと前もって私の方から説明をさせていただきますが、先生お話しのように、ことしは非常な芋の大豊作でございまして、なお作況の最終的な状況はわかりませんけれども、ホクレンその他の話によりますと、芋が豊作であったばかりでなく、非常に歩どまりがいいということでございますので、大体二十七、八万トンのでん粉ができるのではないかというふうに言われております。馬でんの固有用途は十四、五万トンでございますから、どうしても十三万トンぐらいのでん粉が過剰になるというふうに見込まれます。これをどうするかということはなかなかむずかしい問題でございますが、こういう過剰の状態でございますから、これにつきましては政府は所要の買い上げ、その他の措置をもって対応しなければいけないと思っておりますが、昨年も実は五万トンを買いましたものですから、ことしまた七、八万トンないし十万トンという先生お話ですが、それだけ買いますと、一年間の馬でんの需要量に見合う数量を政府が食管特別会計で持つというかっこうに相なるわけでございます。もちろん凶作のときにはそれを出しまして処置をしてまいることは当然のことでありますが、私は面積はことしは千三百ヘクタール程度しかふえてなくて、ふえた要素はもっぱら天候による影響が大きいと思いますが、一つの問題は反収のベースが相当上がっておるというふうなことを考えなければいけないし、それから十勝におきましては男爵だとかメークインだとかいう生産が非常にふえておりまして、先生のおっしゃるように、それがでん粉に回ってくるということがございますから、食用芋としてのバレイショの生産というものも十分念頭に置かなければいけない問題であろうかと思います。  生産調整という言葉を使いますと、米の生産調整がございますから非常に響きが悪いのでございますけれども、私たちとしましては、まあ芋はそういう状況でございますから、芋をつくっていただくよりもできるだけビートをつくってもらう。ビートは御承知のように反収が、面積が減ってきておるわけでございますから芋をつくらないでできるだけビートをつくっていただくという趣旨のもとにそういうビートの生産の増加、それから芋作の生産の調整といいますか、そういうことを考えていかなければいけないのではないかと思っておるわけでございまして、ぜひ北海道農家の方方も芋からビートへという考え方で生産に取り組んでいただくことをお願いしたいと思っておる次第でございます。
  134. 大石武一

    大石国務大臣 去年もことしもたくさん芋がとれて、これは本来なら非常に結構なことで、うれしいことに違いないわけでございますが、それが農民や政府にいろいろな重荷となってくるということは残念なことでございます。こういうことを考えますと、やはり何らかの新しい政策の法律を展開していかなければならないと思います。  いまどういうことをしたらいいか、私には具体的にはわかりませんけれども北海道は何と申しましても広大な耕地がございますし、といってあの土地でこれから無制限に米を生産するというわけにはまいりません。こういうことを考えますと、やはりできるだけ畑作あるいは酪農、畜産というものを中心に発展させることが大事な問題ではなかろうかと思います。一体どういう作物がいいのか。たとえばいまビートの話がございましたが、私はビートも結構だと思います。ただ、そのビートはやはりできるだけ農民の重荷にならないように、つまり政府が無理をして高い値段で買わなければならぬ、何をしなければならぬということになりますと、それは農民には、将来を考えますと決して幸せにはならないと私は思うのです。そのような意味で本当に農民のいい農業経営になり得ますようにビートを中心にして、たとえばこれは輪作作物ですから、いま申しましたような芋とか大豆とかいろいろなものがありましょう、そういうものを中心として総合的な畑作の経営をすることが望ましいと思います。そのことに対しまして、その経営を安定させるためにはいろいろな費用が必要である、あるいは補助金、奨励金が必要であるというならば、これは政府は当然喜んで出したらいい、こう思います。いまのように芋か余るならば、その畑の一部分をビートに変えたり、いろいろ変えていく方法があると思いますから、ばらばらでなくもう少し総合的なものに、いままでもやっておると思いますけれども、これをもう少し積極的に進めなければならぬと考えます。
  135. 美濃政市

    ○美濃委員 きょうはもう時間が限られておりますのでこれで終わりますけれども、あとまだこの会期中いろいろ農林水産振興に関する事項で質疑を交わす日程もあろうかと思いますので、そのときもう少し進んでわれわれの意見を申し上げ、また御意見を承りたいと思います。  きょうはこの程度で終わります。
  136. 湊徹郎

    ○湊委員長 次に、島田琢郎君。
  137. 島田琢郎

    島田(琢)委員 大臣にお尋ねをいたしますが、現時点における砂糖の国内自給率は幾らですか。——いや、私は大臣に聞いているのです。局長になんか、もうようわかっているんだから……。
  138. 大石武一

    大石国務大臣 いま局長に聞きましたら、一五%だそうでございます。
  139. 島田琢郎

    島田(琢)委員 局長、悪知恵をつけたらだめです。私はきょうは大臣とお話がしたいのです。  それじゃもう少し質問をしたいと思います。———局長、そっちのいすに座っていてください。  砂糖の自給に関して、閣議が六十年の目標を決定していますが、幾らですか。
  140. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 数字に関することでございますから、私からお答え申し上げまして、基本的なお考えを大臣にお聞きいただきたいと思いますが、先生の御質問の、閣議決定を見ましたときの甘味資源の生産量に基づきます自給率は、二七%でございます。
  141. 島田琢郎

    島田(琢)委員 大臣にまたお尋ねします。  現在国民は一人どれだけの砂糖を食べていますか。
  142. 大石武一

    大石国務大臣 どうもこれは存じませんので、その専門家から話したいと思います。
  143. 島田琢郎

    島田(琢)委員 大臣、さらに重ねてお聞きします。  北海道がいま大変だと言われているビートは、ことしの作付面積は幾らですか。
  144. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 四万二千ヘクタールでございます。
  145. 島田琢郎

    島田(琢)委員 大臣、私は大変失礼なことをお聞きしました。大臣は腹の底から、何言っていやがるんだ、こう思うかもしれません。  先ほどから大臣が、日本の砂糖政策を見直さなければならぬということをおっしゃった。ところが、基本的に大事なことを一つも御存じなくていて、どうやってこれを今後具体的にやろうとするのか、私は大変残念に思うのです。  大臣が就任されてから以降、私は幾度かお会いをして、またきのうはこの委員会の席でも、大臣の農政への気構えというものをお聞きいたしました。そういう中では、大臣は口をきわめて、農林行政のあり方は、農家がいかに幸せになるか、みんなに喜んで農業に従事してもらうということをまず五〇%はやらなければならぬと思う、あと残りの部分は、大事な国民食糧をどう確保するかにかかっていると、ものすごく明快におっしゃっているのですね。大石農林大臣は農業のベテランと言われて、恐らく自他ともにそういうふうに認めていたと思うのです。  安倍前農林大臣は、攻めの農政ということを言われました。私ども社会党は、安倍さんが本気になって攻めの農政ということをやるのなら協力を惜しまない、ここまで言い切った経過がございます。ところが、二年間にわたる農林大臣の業績とそのおやりになっている姿勢を見ると、攻めの農政なんてどこに吹っ飛んでしまったのかと疑いたくなるようなことばかりでした。  大石農林大臣は、今度は農民の幸せをつくるために、私の大臣としての全手腕を傾けてこの実現のために邁進したい、まことにりっぱな御発言であります。私は、安倍農林大臣のときと同じように、大臣が本気になってそのお考えを推進なさろうとするのなら協力は惜しまないものであります。ところが、一度だまされている。いや、一度ならず二度、三度私はだまされたような気がします。私が国会に出ましてから、農林大臣は数えてあなたで四代目でございます。四人の大臣におつき合いをしてまいりました。  倉石農林大臣のときに閣議決定をした二八%の砂糖の自給率、また北海道が六十年に目標を立てている七万七千ヘクタールの面積確保は可能ですか。このことは両三度にわたって私はお尋ねをしました。具体的には何の返答もなかったけれども、農民の良識に期待をするということで終始いたしてまいりました。もちろん、私どもが身をもってこれを実現できる諸施策が完備するなら、私どもは本当に丸くなってビート生産のために全力を挙げるでしょう。その条件が一つも整わないで私は四代目の農林大臣を迎えたのです。だから私は、ものすごく意地悪い質問だったかもしれませんが——まあ、大臣がそんな細かい数字まで一々覚えている必要はないでしょう。しかし、いま、あす決定をするきょうです。おとといまでは知らなくても、きょうになっても砂糖の自給率が幾らなのか、閣議で決定した目標は幾らなのか、北海道のビートつくり農民が血を吐く思いで幾度となく陳情されたにもかかわらず、北海道のビートの面積がいま幾らになっているかも御存じないとしたら、私はこれ以上議論を続ける勇気さえわかないのであります。どうですか。御所見を承りたいのです。
  146. 大石武一

    大石国務大臣 大分御親切なおしかりをいただきまして、本当に恐縮に存じております。別に意地悪されているとは思いません、あなたの御性格はよく存じ上げておりますから。何らかのいろいろな将来の論説の展開のためにそういうふうに質問されるのだと解釈しまして、決していやみと思っておりません。  ただ、申しわけないことながら、私はいろいろと農林行政についての細かい数字の裏づけがありませんから——観念的な考え方はたくさん持っております。持っておりますが、農林行政にタッチしたのは半月、二十日前でございます。そんなわけで、まず最初に災害冷害問題に取り組みまして、こっちで一生懸命駆け回り、一応のあり方、方針を決定したわけでございます。そんなわけでついいろいろな方面に手が回りかねまして、なるほどおっしゃられてみれば、あしたを目安にビートの価格を決めようというのですから、その最高責任者が反別が一体何ぼあるのか、どうなっているのか知らないというのは確かにうかつかもしれません。謹んでそのおしかりはちゃんとお受けする次第でございます。  そういうことで、言いわけするわけではありませんが、一生懸命にやるつもりです。そして、何もかもに手は回りかねますので、砂糖問題につきましても、先ほど美濃議員に申し上げたのは、いわゆる具体的なこういう考え方があるのではありませんが、実際精糖業界をずっと見ていますと、十五年も六年も飽きずに過当競争をしてお互いに足を引っ張り合って、会社自身も困りながら、国民にも迷惑をかけている。あれは決して国民にもプラスになっておりません。あのようなものはほうっておけないと思うのです。これに何とか手をつけて、あれをきちんと立て直していけばおのずから、たとえばビートやサトウキビの問題につきましてもいい政策を打ち出す土台ができる、こう考えましてそれらの方向に手をつけたいと申し上げたわけでございます。  そういうわけで、ビートにつきましても実は余り深い、細かい知識も確信もございませんが、こういう問題は、衆知を集めましてできるだけいいビートの価格を決めたい、こういう気持ちでおることだけは確かでございます。
  147. 島田琢郎

    島田(琢)委員 私は、大臣のその誠意の部分はよく認めたいと思います。だから、非常に意地悪い質問かもしれないとこっちも断わりました。  ただ、大臣、目を見張ってもらいたいのは、私がいま言ったように、砂糖に関しては政府の方針が、将来の目標は決まっているのです。北海道のビートがどうあるべきか、あるいは沖繩のサトウキビはどうあるべきか、またでん粉を原料にしてつくられるいわゆるブドウ糖のあり方はいかにあるべきか、これも方針は決まっているのです。方針ですから、その方針が若干の変更を来すということについても、私どもはかたくなにそのことを否定するつもりはありません。しかし、大事な基本にかかわる部分について、担当部局の食品流通局を中心にして大臣のお考えとは、あるいは閣議で決定されたこととはうらはらなことが持ち出されてくるようでは困るから、大臣、この基本のところはしっかりとあなたが持っていてくださらぬと困ります。  たとえば一つの例を挙げると、いまお聞きした北海道の六十年目標における七万七千ヘクタールの面積確保については、食品流通局長以下の幹部は、それは無理だ、北海道の適正な面積は四万五千ないしせいぜい五万ヘクタールだということがいま言われているのです。公式にはきょう初めて私が発言するのです。何ぼ高級官僚だって、大臣もお知りにならぬところで閣議決定の方針が覆されるというようなことは、これはいただけないことなんです。ですから、それは大いに合意を得て修正がなされたという時点でならいい、しかしそれは明らかに、先ほどの美濃委員とのやりとりの中でも出されていたバレイショの問題にしても、方針を方針としてきちっとやはり大臣が指示をされて、その方針の範囲でもって担当の局長以下仕事をされる、こういうきちっとした形がないと、そうでなくても日本はいまや官僚王国などと言われているのであります。官僚によってすべてが支配されていると諸外国からさえ指摘を受けているのが、今日の日本の行政の実態であります。砂糖の部分くらいはというお考えをお持ちになると、やがては農林大臣はあっても農林大臣の威信はどこかへ吹っ飛んでしまうということになりかねない。だから私はちょっと時間をかけて、くどくどこのことを指摘をしているのであります。失礼にわたる段は十分ひとつ御理解をいただきたい、こう思うのであります。  さて、今度は数字にわたる部分でありますから、局長お尋ねをします。  これはあるいは担当でないからわからぬと言うかもしれませんが、きょうは官房長はお見えになっていないわけですね。実は、昭和三十年、これを一〇〇として、昭和五十年までのいわゆるてん菜の価格アップ率は一体幾らになっていますか。——私の方でお教えします。一万六千円の農家手取りで計算して三〇四・五%であります。基準価格で、牛尾課長、後ろで後で割ってください。一万二千百四十円で割ると何%になるのか。これもわかっていますが、それくらいそちらで計算してみてください。  さて、そこで私が聞きたいのは、実は大臣、同じ方式で春闘の賃上げの率を調べてみました。同じ三十年を一〇〇として計算いたしますと、昭和五十年でその上げ率は一一三七・九%であります。米はどうか。同じ計算で三八二・八%になります。小麦はどうか。四八八・九%であります。てん菜は、いま申し上げたように三〇四・五、これは昨年の農家手取り価格一万六千円で割り出した計算であります。  これだけ並べてまいりますと、いかにも行政の不公平が目立つではありませんか。春闘の賃上げ率とこのアップ率を同時に並行して比べてみるということは筋違いだと言われればそのとおりであります。しかし、農家の一日当たりの労賃あるいは一時間当たりの労賃の極端に低いのがこのビートであります。米に比べても、そのほかの農産物に比べても非常に低い。この不公平はぜひ改めるべきだというのが私の年来の主張です。少なくとも三木内閣は不公正是正ということを打ち出して、その旗はおろしていないと思うのです。三木内閣の閣員の一人であります大臣もこの考え方を受けて、きのうから、農民の幸せをつくるためにと、こうおっしゃっているのだと思うのです。せめてこうした不公正を是正するという点については前向きに取り組んでもらいたいと思うし、昭和三十年以降からこの方二十年の間、ビートは常に生産費をさえ下回るという状態で決められてきた。しかも昭和三十年以降七年間にわたってビートの価格は据え置きをされてきたのです。そういう面について、私ども生産農民はこれを積み残し部分と言っています。言っていることが妥当かどうかはそれはいろいろの判断があるでしょう。いみじくも前食品流通局長の森さんは、この積み残し部分についていろいろと御発言があった経緯もあります。私どもは、この際やはりその積み残し部分をきちっと整理をするということが必要ではないか、こう森さんにも言ったのですが、そのときには完全積み残し部分を解消するに至らぬまま去年、ことしと経過をしました。ぜひこれはことしはやってもらいたいと思うのです。いまの私のお話の趣旨は大臣おわかりになったかどうかわかりません。もし十分の御理解がないとすれば、局長はよくこのことは御存じですから、局長から答えてもらって結構です。しかし、私のいまお話ししたことは、大臣、ひとつ時間を改めて、もしわからない部分があれば、また私は直接お話もしたいと思っておりますが、時間の関係で先に進ましてもらうので、いま局長から答えてもらいます。
  148. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 お尋ねの三十年から五十年までの告示価格で言いますと二・三倍で、手取りで言いますと三・〇四倍で、パリティでいきますと二・九九倍であります。三十年の五千二百五十円のパリティアップを五十年産で見ますと、一万五千七百二十円ということに相なります。先ほどの積み残し部分の計算によりますれば、四十年の四−八月のパリティを分母といたしまして、五十一年の四−八月のパリティを分子にいたしまして、そのアップ率を掛けてみますと一万五千九百四十二円、こういうことに相なります。したがいまして、私たちといたしましては、基準生産者最低価格につきましては、なかなか先生の御指摘のようにその積み残し部分をこなしていっておる状態にはございませんが、御承知のように、最低生産者価格に奨励金の三千八百六十円を上積みをして農家手取り価格を確保することといたしておる次第でございまして、そういう意味においてできるだけ農家の手取り価格水準を上げるように努力をしてきたところでございます。
  149. 島田琢郎

    島田(琢)委員 糖安法二十一条のパリティによって決めるという方針について、私ども党としてはいわゆるパリティのとり方にも問題があるばかりでなく、今日の生産費を償いやはり再生産を確保するということが一番大事だし、その精神、目的はこの法の中にもうたわれている、したがって、生所方式をもって計算するのが最も公正なやり方だという主張を繰り返ししてきました。しかし、この期に及んでもうあす決定という段階を迎えて法律改正をいま云々してもこれは始まらない、そういうことになろうと思います。したがって、制度改正の問題あるいは法改正の問題はこれからの問題としていまおくとして、ことしも昨年と同じような四−八をもってパリティを計算していくとしたら、現時点のそのアップ率は幾らですか。
  150. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 七・八七%でございます。
  151. 島田琢郎

    島田(琢)委員 この価格決定に当たっていろいろ参酌事項というのがあります。そしてまた「再生産を確保することを旨として」これはパリティの場合でも同じように言われていることです。それは完全に昨年の場合に置きかえて質問をしますが、昨年の価格決定一万二千百四十円はこの法の精神に照らして適正、妥当だとお考えでしょうか。
  152. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 私たちとしましては、一万二千百四十円はパリティをベースにして決定いたしたわけでございますが、昨年の農家手取り価格の水準は一万六千円でございます。したがいまして、一万六千円の水準をどうして農家に維持するか、あるいは農家の手取り水準を確保するかという観点に立ちまして三千八百六十円の奨励金につきましては企業と国で責任をもって支払うということにいたしたわけでございます。したがいまして、今日のような状況のもとにおきましては企業がこれを負担することはとうていできないことは明らかでございますので、六月の末に予備費九十一億円を支出いたしまして、企業が農家に対し支払いました分を国が企業に対して支払ったという状況にあることは御承知のとおりでございます。したがいまして、私たちとしてはそういう農家の手取り価格水準というものの確保ということをどのように考えていくかということによってパリティを基準といたしますけれども、てん菜の価格というものはできるだけ農家の御要望に沿うように処理をいたしたいと考えておる次第でございます。
  153. 島田琢郎

    島田(琢)委員 私は率直に言って、北海道に限定してみてもてん菜の再生産は確保されなかった、少なくともこの三、四年間の経緯を大臣これも御存じないと思うから申し上げます。  四十八年に六万一千ヘクタールあった北海道のビート面積は次の年は四万五千ヘクタール、次の年は四万八千ヘクタール、そしてことしは四万二千ヘクタールと激減をしてきました。再生産ができていないのは、先ほどの二十数%あった砂糖の自給率が現行一五%台に落ち込んだということによっても明らかであります。その大宗をなすものはまさに北海道のてん菜の大きないわゆる面積の落ち込みと収量の落ち込みに原因があるからです。再生産を確保すると定められている法律上の精神からいえば、これはまさに法違反ではないかとさえ思います。大臣いかがですか。
  154. 大石武一

    大石国務大臣 なぜ作付反別が減ったのか、これはやはりその原因というものを十分に分析して考える必要があると思います。なるほどいまの時代は、たとえば農業経営に対しましてもただ収入だけでなくて、むずかしいかやさしいかとか、手がかかるかかからないとか、いろいろ物の考え方もありまして、そのいろいろな要素が農作物の選択にも大きな影響を与えていると私は思うのでございます。したがいまして、いま申しましたようななぜビートが減ったのか、これはいまお話しのように、なるほど生産費を償い得ないからかもしれません。ほかにももっと要因があるかないか、もう少し検討してみたいと思うのでございます。
  155. 島田琢郎

    島田(琢)委員 その要因ははっきりしているのです。まさに再生産を償うことができない価格にある、これは私は何回も言ってきました。きょう改めて断定いたします。まさにその一言に尽きるのであります。だからいま生産者は挙げて再生産確保の最低価格二万一千円を実現してもらいたいということを重ねて強く要求しているのです。大臣のいまお話しの中で、揚げ足を取るような話で恐縮ですけれども、これからゆっくり検討したいではとても間に合わない、ここのところをしっかりとひとつお考え願いたいし、大臣は政務次官時代に北海道のてん菜を手がけられた、そのことを私も承知しておりますが、そのころといまのてん菜の作付の実態はかなり内容に違いが出てきました。いま三月の雪を掘り割ってポットに種を植えつけて、雪がまだあるうちからこの作業に入り、間もなく雪が降るであろう北海道のこの寒空を抱えて収穫に入っていくのです。どんな作物よりも年間の労働の厳しさにおいてはその比較ではありません。それが先ほど局長は手柄顔のようにおっしゃるけれども、わずか一万六千円では再生産が確保されていないということは火を見るよりも明らかです。それならば、去年の四万八千ヘクタールが本当は五万ヘクタールに伸びていなければならないはずなんですが、落ち込んだ。これは幾ら今村局長と私が議論をしてもそこのところがかみ合わない。かたくなに価格だけでないと言い張る。また大臣も、この間の党の申し入れのときにもおっしゃっておりましたけれども価格だけではない。いまおっしゃったように何かほかにも要因があるのだろう。あるのだろうではもう遅いのです。そこのところをしっかりと、私が断定してあえて価格問題にその原因ありと言っていることをよくひとつ検討願いたい。  それと同時に、私の言うことがうそなら、一回でいいから農民要求の二万一千円を実現してみてください、来年は必ず面積はふえる、私はこれを保証いたします。その決意を込めてあすの価格決定をひとつやってもらわないと、来年はまたぞろ横ばいかそれ以下に落ち込んでしまうことは火を見るより明らかです。どうもこんなイロハの議論をきょうするつもりで私はここの質問台に立っているのではないのでありますけれども、残念ながらその辺がいま一つあすを前にしての農林当局の姿勢として私はどうしても納得できないような気がするからこんなことを重ねてまた申し上げているわけです。  大臣、ひとつその決意のほどを——決意を幾ら聞いたって実行されなければこれは何の意味もなしませんけれども、真剣にきょうは大臣は美濃委員質問をお聞きになっていてかなりの認識を深められたと思うし、先ほどから私が本当にこんなにゆっくりと一語一語かみしめるような質問を実はしているのであります。もしも耳に届かない部分があったら大変だから、私はしっかりと一語一語本当に大臣の耳に届くようにお話をしております。お考えをぜひもう一回聞かしてほしいのです。
  156. 大石武一

    大石国務大臣 本当に御親切にいろいろとかみ砕いて聞かしていただきまして、まだ十分に理解できたとは申されませんけれども、非常にいろいろ参考になっております。元来私は余りこっちの方については知識も何もないものですから、一遍ですべてが理解できたと申し上げるわけにまいりませんが、いまのお話、お気持ちはよくわかります。御希望に沿えるかどうかわかりませんが、できるだけいい値段になるように役人方たちとも相談いたしたいと思います。  ただ、御承知のように、農林省というものは実に大きな役所でございます。しかも何十年の長い歴史と伝統を持っておりまして、もう物の考え方あるいは方向が皆決まっております。また役人たちも皆非常に有能な者がそろっております。この役所に新米の大臣が来まして、すべてのことを全部指図するなんて、できるはずはありません。また、それだけ細かい具体的な行政の知識を持っておる者はだれもおりません。やはり入ってきた以上は、大臣の仕事は一つの方向なり物の考え方、あり方を示す、あるいは将来の見通しを立てるということに一番の中心があると思うのでございます。その方向に従って、各役人はその責任においてそのりっぱな仕事をしていくのだと私は思うのです。そういう意味で、やはり各方面のいろいろな専門的な具体的な行政につきましては、役人の意見というものを十分に尊重する必要があると思います。自分の常識で考えてどうかと思うときはやはりいろいろ議論をしますけれども、自分が余り知識もないのにあれやこれや口を出したって、これはどうにもなりません。やはり正しい判断というものをわれわれは信頼する以外にないと思います。  そういう意味で、私は、砂糖の問題につきましてはいままで勉強する暇もありませんでしたし、元来そう知識を持っておりませんので、いままでもずっと役人の方のいろいろな意見を聞いてまいりました。私はその正しい方向に賛成してまいろうという気持ちでございます。ただ、いま島田委員お話を承りまして、やはりできるだけめんどうを見なければならないという気持ちはなお強くなっておりますので、その点に関しましては十分にそういうつもりで相談してまいりたいと思っております。
  157. 島田琢郎

    島田(琢)委員 では、局長お尋ねします。  先ほど美濃委員からバレイショでん粉の問題についてお話があったのです。私は、抱き合わせ販売方式、これは大きく再検討を要する要素がたくさん出てきたと思うのです。幾つかの具体的な例を挙げればありますけれども、まず第一には、私は、国内の全体のでん粉の需給関係というのは絶対量不足の状態にあることは、これはもう間違いない。バレイショでん粉が二十七万トンとれようが、五十万トンとれようが、それでも一〇〇%国内自給の体制ができるとは言えない。足りないのです。それなのに豊作が喜べないという、こうした顔があるということは、私は日本民族の悲劇だと思うのです。知恵を働かす方法を考えなければならないのは、これは当然なんですから、まずその突破口としては、抱き合わせの販売方式に馬でんを加えた検討は、私は必要だと思うのです。価格上の問題というのがあって、これが実質的に具体化するというのはなかなかむずかしいという説明を幾度も受けていますけれども、しかしそのむずかしいところを破っていかなければ、今日のこの状態を前に進めることができないということになると思うのです。このいわゆる方式再検討のお考えをお持ちになっているかどうかをまず伺いながら、コーンスターチの問題にも若干触れてみたいと思います。まず、その考えをお聞かせ願いたいと思います。
  158. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 関税割り当て制度についてはいろいろ問題があることは承知をいたしておりますが、現段階においてこれにかわるべき制度があるかといいますと、なかなかこれにかわるべき制度がないわけでございます。したがいまして、私たちとしましては、関税割り当て制度のできる限り適正な運用を図るという方針で対処いたしておるところでございます。  馬でんにつきましても、前年産におきましては約三万トンの関税割り当て制度の抱き合わせをいたしたわけでございまして、幸いにして、数量について言いますならば、昨年関税割り当て制度改正しまして、一般のコーンスターチ用につきましても一〇%の税率を無税にしまして国内産でん粉の抱き合わせを図りましたために、カンでんはもとよりでございますが、さらに馬でんをも抱き合わせ関税割り当て制度の運用によって三万トンを処理することができたという状況にございます。
  159. 島田琢郎

    島田(琢)委員 それをもっとふやしていくという方法だってあるじゃありませんか。この点はいかがです。
  160. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 要するに関税割り当て制度と申しますのは、一定の国内産のでん粉を使ったものに、要するに高い原料を使うわけでございますから、その高い原料を使うに見合った安いコーンスターチ用のトウモロコシを割り当てるという制度でございます。したがいまして、国内産のでん粉の価格が上がれば上がるほど、その抱き合わせ比率を増大させなければいけないという要素を持っております。したがって、価格が上がりますと、どうしても抱き合わせ比率がふえる、ふえますとコーンスターチがたくさん入ってくるというそういうシステムに相なっておりますので、逆に今度は割り当て比率をそれじゃ下げるということにいたしますと、今度使う方が原料高で使えないという形に相なるわけでございます。その辺の兼ね合いのもとにおける抱き合わせでございますから、カンショでん粉の抱き合わせの上にさらにどの程度バレイショでん粉を抱き合わし得るかということは、十分諸般の状況を見て対処する必要があると考えております。
  161. 島田琢郎

    島田(琢)委員 現行の抱き合わせ比率は幾らですか。
  162. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 一対五・四五でございます。
  163. 島田琢郎

    島田(琢)委員 それは、先ほどのお話の中で、もうぎりぎりで改善の余地ないというところですか。
  164. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 一〇%の関税をまけた金額、その金額よりも相当上回って実は消費する立場の方に負担を強いておるというふうなのが現状でございます。
  165. 島田琢郎

    島田(琢)委員 大臣にお尋ねしますが、その前に、でん粉を生産している農民の立場から言いますと、先ほども申し上げたように、でん粉そのものは国内産完全自給の体制にない、それなのに、ことし少しとれたということになると、先ほどの局長お話じゃないですけれども、もうちょっとビートの方に回してもらわぬと困るという話が出てくる。しかし、つくっている農民のいわゆる感情から言えば、それは外国からトウモロコシを入れてきて、それからでん粉をつくるというそういう操作によって国内のでん粉というものが生産者の段階に大きくしわ寄せされているということについてがまんがならないというのは、私は、いろいろ中身の説明があったにしても、いま一つ釈然としない。こんな不思議なものはない。つまり単純に言えば、外国から入れなければ、二十七万トン、八万トン馬でんがとれたって、何にも心配ないではないかという、これは単純だと言えば単純な理論かもしれませんが、しかし、つくる者の立場で言えば、まさにそれは最も的確に言い得ている表現なんだ。そこのところを受けて立つのが行政じゃありませんか。いろいろいま説明があって、あっちも壁こっちも壁、全くもうわが知恵はこれで、とてももうこれ以上の知恵の働かす余地はないという、そういうことではこれは困るのでありまして、そこのところを、姿勢として国内の農業を大事にするという考えがそこにあるかないかの差によって、私は非常に大きくこれから道を開いていく上の知恵になると思うのです。だから、抱き合わせの方式についても、現行の中の比率をただ変えていくというだけでやってまいりますと、これはなかなか問題がある。やはり根本からこの方式を検討するという時期に来ていると私は思うから、再検討してはどうかと提案をしたのだ。もうこれ以上の名案はないというなら何をか言わんやですが、私はもっとほかに知恵があるように思う。時間がもう五分しかなくなったから私の提案はできませんけれども、これは検討してみてください。
  166. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 検討いたしますが、こういう問題がございます。  実は、国内のでん粉とコーンスターチとを価格の比較をいたしますと、ちょっと私比率は覚えておりませんが、それはアメリカの安いトーモロコシからつくりますコーンスターチでございますから、価格に相当の開きがございます。したがいまして、国内産でん粉を一定の価格で買って、まあ仮に三分の一なら三分の一なり、あるいは四割程度で政府が売り渡すということにいたしますれば、コーンスターチと競争して国内産のでん粉がやっていけるわけでございます。したがいまして、そういうシステムといいますか制度というものをつくるか、あるいはまたコーンスターチは税率は上げまして、関税を上げまして、そしてコーンスターチは入れてくるけれども、国内産のでん粉はたとえば農家の所得確保の観点から不足払いにするという、そういう制度を組み立てませんと、いまの制度の中で幾らでもでん粉を消化するということはなかなかできがたい、そういうふうな制度の変更を必要とするということでございます。
  167. 島田琢郎

    島田(琢)委員 つまり私は、いま例として挙げられたようなことだって今後大いに検討する必要があるのではないか、こう思うのです。  さて、先ほど大臣が美濃委員質問に対しても、また私の質問に対しても、今日の精製糖業界における現象についてお触れになってお考えが示されていたようでありますが、具体的にはなかなかこれは、その再編成というのは簡単にいかぬでしょう。ですから、これから十分検討してという表現にしかならぬのでしょうけれども、しかし、国内の糖価、砂糖の価格というのは、これも先ほど美濃委員からるるこのことに触れておりましたが、私も物の価値観というものの最も大きなしわ寄せを受けてゆがんでいるのがこの砂糖の価格だと思う。まずその砂糖価格をどう見直していくのか、立て直していくのかということが、最も緊急を要する行政上の仕事ではないかと思います。しかし、これとてもなかなか法律規制がない中でありますからむずかしい、こういう答弁局長の段階から幾度か聞かされております。まあきょうはもう時間がなくなっちゃったものですから、これ以上触れることはできないわけでありますが、引き続き私どもは日本の砂糖政策確立のために、これからもこの議論をひとつこの国会の舞台でやっていきたいと思います。今後議論をされるまでに、大臣はまだ考えているなんというふうなことではなくて、具体的に私はこういう手を打っていきたい、こういうことをお示し願うように、ぜひひとついまから御準備をいただきたいのであります。  そこで最後に、官房の小島室長がお見えです。せっかく通告をしておりますから、北海道の畑作研究会の問題にだけ触れておきたいと思います。大変時宜を得たものとして、私はこの研究会の今後の活躍に大きく期待をいたしておる一人であります。そもそも北海道の畑作をどうするかというのは長い間言われてきて、これが一向に前に進まなかったまた大きな壁でもあります。つまり北海道の畑作が確立しなくて日本全体の畑作が確立するはずがないという前提に立つからです。この機構と役割と目的はどこにあるのか、今後どういうスケジュールで北海道の畑作問題を早急に結論を出して確立させる努力をしようとお考えなのかを、まあ時間が参りましたので簡単にお答え願って、私の質問を終わりたいと思います。
  168. 小島和義

    ○小島説明員 御指摘ございましたように、私ども北海道がわが国の畑作の代表的なものでありまして、その発展を図ることが非常に大事であるというふうに考えております。ただ最近、北海道の畑作をめぐりまして、いろいろな論議が各方面から提起されておるわけでありますが、その主なものは畑作物の作付動向をめぐります議論であるというふうに理解をいたしておるわけでございます。具体的な例で申しますと、普通畑作物が全体として減っておりますけれども、これは酪農が少しふえ過ぎたのではないかというふうなお話が一方であるかと思いますと、畑作物の中でも麦が急速にふえたのが問題だという意見があったり、また逆にやはり北海道の輪作を考えますと禾本科類がどうしても必要だ、こういう意見もございます。また、同じ根菜類の中でバレイショとてん菜につきましての議論もあるわけでございます。  そういうことにつきまして、いろいろな議論があるわけですが、今後の畑作政策を運営する上におきまして、関係者がみんなそれぞれ別なことを考えておったのではこれはしようがないという意味で、何よりもまずその北海道関係者を含めまして意見の一致を図っていくということが大事なことではないかと思います。この問題につきましては畑作経営の問題もございますし、それから、全体の物の需給という問題もございます。また、その地力の問題でございますとか農業労働力の問題、いろいろな問題が関係してまいりますので、その意味においていろいろむずかしい検討課題であるということは承知いたしておりますが、そのための非公式な試みといたしまして、農林省、それから北海道庁、北海道の生産者代表の方、それから試験研究機関、学識経験者をもって研究会をつくったわけでございます。従来、この種研究会というのは学識経験者だけで議論を煮詰めてもらうとか、あるいは政府との質疑応答というやりとりとか、そういう形のものが多いのでありますが、初めての試みといたしまして官民合同、役所も入っておるしその関係方々も入っていらっしゃる、こういう仕組みでお互いの議論を通じてコンセンサスづくりをしていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  スケジュールといたしましては、去る九月にその第一回を始めたばかりでございますので、来年の夏ぐらいまでを一応のめどにいたしておりますが、そういう作付動向についての全体のコンセンサスと、それを踏まえての今後の政策運営、こういうことが検討課題というふうに考えております。
  169. 島田琢郎

    島田(琢)委員 終わります。
  170. 湊徹郎

    ○湊委員長 次に、瀬長亀次郎君。
  171. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私は、サトウキビの生産者価格とさらに基盤整備の問題、それから含みつ糖の問題、黒砂糖と言っておりまする含みつ糖の問題、さらに台風災害に対する政府の政策などについて質問申し上げますが、その前に申し上げたいのは、これはもう約八ヵ年ぐらい前の話でありますが、ある大臣が沖繩に参りまして、サトウキビ畑を見て、沖繩というところはススキの多いところだなと言った。あれは収穫時になると花が咲くものだから、ススキに似ております。おまけがついて、沖繩の農民ほど怠け者はいない、これを畑に耕せば収入が上がるはずだが、怠け者ばかり集まっているんだなというようなことを言った高官がいたわけなんですね。大石大臣がそう思っておられるということではありませんが、これはしかし関連があるから、私申し上げるわけなんです。  沖繩におけるサトウキビは他府県における米作と比較されております。ですから、いま農林省関係省もそういったお考えになっていることは確かだと思っておりますが、事実は非常に差別されておるということであります。  これから申し上げますと、これは昭和四十九年度の「サトウキビの収益性と家族労働報酬と米作との比較」があります。米作の十アール一日当たり家族労働報酬は五千六百七十五円、これに対してサトウキビの十アール一日当たり家族労働報酬が三千七百四十一円。これはパーセンテージにしますと六五・九%であります。もちろん、毎年毎年パーセンテージが上がっていることは、私、認めます。ところで、このような同じ労働に対する対価が他府県における米作農家の六五%しかないということは、これはもちろん米あるいは小麦その他いろいろ違いはあると思いますが、余りに開きが大き過ぎる。これは一体どういうことでこうなっておるのか。パリティ方式であるためにこうなっておるのか。いろいろ事情があると思いますが、これから申し上げたいのは、できるだけ他府県並みに——私、そうだからといって、米作農民の生産者価格が妥当だという意味ではないわけなんですが、いずれにせよそのくらいまでは上げてもいいのではないかというふうに考えているわけなんです。これについてお答え願いたいと思います。
  172. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 私の方から数字につきまして御説明を申し上げたいと思いますが、一日当たり家族労働報酬、サトウキビで私の方の数字で申し上げますと、奨励金を含めまして三千八百九十一円ということに相なっております。これは、五十年はまだ出ておりませんから、四十九年でございます。米につきまして同じく四十九年の一日当たり家族労働報酬をとってみますと、全国の米で五千六百七十五円ということに相なっております。したがいまして、先生の御指摘のように、サトウキビの一日当たり労働報酬は米に比べて低うございます。これはサトウキビの生産状況を見てみますと、生産費に占めます労働費の割合が大体八〇%を占めておるわけでございます。しかも、そのうちの全体に占めます収穫労働の割合が六〇%を占めておるという状況にございます。非常に労働過当な作物ということでございまして、それだけ手間をかけて、農家の方は苦労をしてサトウキビをつくられておるわけですが、私は二点あると思います。  一つは反収をできるだけ上げていく。いま大体平均六トン程度でございますが、構造改善とか基盤整備をいたしましたところは悠々八トン、場合によっては十トンまでとれるという状況にございます。また労働時間につきましても、なお収穫機械その他の整備がされておりませんが、そういうふうな導入によりまして急速な短縮が見られる可能性のある作物だというふうに思っております。そういう点が改善されますならば、一日当たり家族労働報酬も非常にふえる余地がある、またそういうふうに努力をいたさなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  173. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いま反収の問題、これは基盤整備の問題もございますが、そのことを話されました。そこで問題は、それと関連して、サトウキビについては第一に基盤整備が必要だという、これはよく聞く話なんです。これは甘味資源特別措置法ができた昭和三十九年、その当時からずっと言われてきたことなんです。サトウキビの収穫面積の推移を見ますと、昭和四十年に三万一千九百七十五ヘクタールあったのが、十年後の昭和五十年には一万九千四百四十九ヘクタールとなって、十年間で約一万二千五百ヘクタール減りました。これは政府のサトウキビ価格が生産費を下回っているため、農民が生産意欲をなくしている結果にほかならない。これは事実そうなんです。もちろん基盤整備が不必要だとは言いません。絶対必要なんです、特に沖繩では。しかし何といっても、このキビ価格を都市労働者並みの労賃を確保できるまでに引き上げることがまず第一に必要だと思うわけなんです。  この基盤整備の問題とサトウキビの価格の問題は不可分に結びついて引き離せません。特に、サトウキビは草取りはしないでもいいだろうということもあります。むろん草取りすればやはり反収も上がります。だが、このような値段では引き合わないとなると、労働力の投下というものを抜きます。だから、反収が減るということもある。     〔委員長退席、菅波委員長代理着席〕 したがって、このサトウキビの価格が十分やっていける、再生産に要する費用も含めてやってい分るということになれば生産意欲は高まる。この生産意欲と基盤整備が両方抱き合って、初めて甘時資源の増産というのが口だけではなくて実際できると思うわけなんです。  したがいまして、これは大臣の方に質問したいのですが、こういったことを考える場合に、きのう島田委員も基盤整備の問題もおっしゃっておりました、私もそれは十分知っております。この甘盤整備に投下される、それが今度予算で組まれておると思いますが、これと、いまのサトウキビの生産者価格を引き合う価格に持っていくということが不可分に結びついている。これをまず基盤整備から、まず反収からということではなくて、結びついているものを引き離さないように、両方ともども解決していけるような対策が当面一番求められておるのじゃないかと思いますが、この点については大臣からひとつ……。
  174. 大石武一

    大石国務大臣 全くお説のとおりでございます。
  175. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それで大臣のお答え、非常にいいと思いますが、その方向でぜひ努力してもらいたい。具体的に言えば、単価はことしは鹿児島も同じであります。トン当たり二万二千五百円を要求しております。去年はたしか一万六千百円、百円しっぽがついて政治加算だといったような形で出ておりましたが、ことしは奄美大島、いわゆる鹿児島県も同じなんです。算定の基準はやや違うようですが、二万二千五百円を要求する。これに対してそこをどう検討されておるのか、一言大臣からお答え願いたいと思います。
  176. 大石武一

    大石国務大臣 実は、先ほど島田委員にも申し上げましたように、私はこの砂糖問題についてはどうも知識もございません。われわれは、この関係局の役人方のいろいろな考え方、それを土台として妥当な値段を決めてまいりたいと考えておるわけでございます。どのくらいになるか、いまいろいろ検討いたしておりまして、われわれも話を聞いておりますが、できるだけ私は気持ちの上では妥当な値段、いい値段にしてあげたいと思います。どのくらいになるかわかりませんが、しかし大幅の値上げは果たしてどこまで可能であるかということについては自信がありませんので、余り大きなことは申し上げません。ただ値段ともう一つ基盤整備が大事でございますから、基盤整備につきましては来年はできるだけ多くの予算を組んで、そして生産性を高めるように進めてまいりたいといま考えております。
  177. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この価格の問題を決められるときに、とりわけ台風被害の問題をぜひ頭に入れてもらいたいと思います。私は、十三号台風のとき、特に宮古、八重山の、離島の離島と言われておりますが、その一番南の西表まで行きました。十三号台風、さらに今度は十七号台風、これは沖繩本島の北をかすめて、それで本土に上陸して水害を起こした、この二つの台風による被害でありますが、時間の関係がありますから全県的に申し上げますと、約一四%減収、価格にして両方で三十二億円の被害を受けておる。ここで三十二億円というのはたとえば河川とか護岸とかあるいは公共施設を含めての台風被害の八〇%を占めております。こういったような被害を受けても、現在の災害救済法では個人個人のサトウキビ、あるいはパインでもいいのですが、農作物に対する補助制度がないわけなんです。そうなりますと、当面この台風被害についてぜひ念頭に置かれて、生産者価格を決定するときにはこれははっきりこれだけの被害を受けておる、被害の問題は沖繩県庁の資料なんです、この点についても十分配慮してくださるようお願いしたいのですが、大臣どうですか。
  178. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 沖繩のキビの被害につきましては、私ども沖繩県の方から十分事情を聞いておるところでございます。また、奄美におきましては沖繩よりも被害がさらにひどいような状況でございます。大臣も災害につきましては非常に全魂を傾けて対処をしておられるわけでございますから、私たちも大臣の意図を受けて災害対策につきましては最善の努力をいたす所存でございます。  キビにつきましてはお話しのように共済制度がございませんですから、米と違ってキビの被害につきましての対処というものは、共済制度がないだけにむずかしいわけでございますが、まず被害農家に対しましては、被災によりまして減収します農家に対して天災資金及び自作農資金の円滑な融通を図りまして営農の維持に努めてまいりたいのでございますが、第一の問題は、今回の災害による被害キビにつきまして見ますと、収穫までになお相当の期間がございますので、今後の回復状況を見る必要がございますが、生産量の減少でありますとかサトウキビの品質低下につきましては糖価安定事業団の買い入れ価格の算定の際の操業率でありますとか製糖歩どまりに適正にこれを織り込むように処置したいと思っております。被害キビにつきましては、一部被害の非常にひどい圃場では夏植えへの切りかえ等も行われております。収穫期において製糖原料となり得る、要するに砂糖の原料となり得るサトウキビの被害キビにつきましては、会社と農家の間で円滑な取引が行われるように県を十分指導してまいりたいと思います。しかし製糖原料になり得ないような被害の著しいキビまでも製糖工場に買えということを言うことはなかなかむずかしいと考えております。
  179. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いま製糖工場の問題なども話されたわけなんですが、私が申し上げたのは、サトウキビが三十二億という台風災害を受けておる、サトウキビの生産者価格を決めるときにこういったものを含めて決めれば、来年の再生産に要する問題——生産意欲をそぐということになると、もうこれは問題にならぬ、そういったことをぜひ配慮してほしいということを言っているわけなんです。それについて大臣答えてもらいたいのです。  もう一つ台風の問題があります。沖繩は台風の道なんですね。台風が来ない場合が珍しい。二十五メートルぐらいであれば雨も伴ってきますからまあまあでありますが、突風四十メートル以上になりますと、もうこれはたまらぬです。だからこういったことになるわけなんで、とりわけキビ、パイン等、農作物に対する台風被害災害補助、災害法という制度化について私検討してもらいたいと思うのです。これはとりわけ沖繩は、本土と違って毎年来て毎年やられる。ですから、そういう農作物に対する台風被害に対して制度化して、法律で救済するような方向で検討してもらいたいと思うのですが、大臣いかがでしょうか。
  180. 大石武一

    大石国務大臣 ただいまの御希望は私はごもっともなことだと思います。しかし現在そういうことはやっておりませんようでございますが、いまのようなことを私は今後は考えてみる必要が十分にあると思います。そういう意味で、これをたとえばどのような制度にしたらいいか、ただ救済の援助資金を出したらいいのか、あるいは共済制度にしたらいいのかわかりませんが、やはり何らかのことを考えまして、そのような台風常襲地帯に対してもできるだけ温かい手が伸べられるようなことはやはり考えていかなければならない、こう思いまして、そのように進めてまいりたいと思います。
  181. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 次に含みつ糖についてでありますが、大臣、含みつ糖を見たことがありますか。——黒砂糖ですが、私聞きますのは、含みつ糖は特徴が二つあります。一つは、沖繩は本土からいえば離島でしょう。その離島のまた離島でつくるわけなんです。ですから、離島だからもう離島になるなというわけにはいかぬ。離島はどうにもならぬわけなんだ。これが一つ。これは離島だけでつくっている問題。  それから、分みつ糖と違いまして含みつ糖は製品です。そのまますぐ食卓に上げることができる。現在五十年度ですが、含みつ糖に対する助成金総額が四億四千六百七十四万三千円。このうち国が三分の二で県が三分の一であります。これは当分の間ということになって、いつ切られるかわからぬようで、含みつ糖生産者は非常に不安に駆られれています。そこで要請ですが、国の補助率、これを三分の二からもっと高めてもらう。できれば全額国で補償してもらうということ。もう一つは、これは制度化してほしい。今度の予算ではまた予算化されることは聞いておりますが、それはしかし、来年、再来年になるとどうなるかわからぬ。いつも不安、動揺に駆られております。その意味でこの黒砂糖に対する、含みつ糖に対する国の助成、補助を制度化してもらいたい。この二つが含みつ糖関係の生産者の非常に大きい要求であります。
  182. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 含みつ糖は沖繩の離島におきまして分みつ糖ができないところで生産されておるのでございまして、そういう離島につきましての特別対策事業ということで、沖繩の復帰をいたしましたときに特別対策措置を講じたところでございます。現在の補助額は国が五億二千万円、県を合わせますと七億八千万円ぐらいを支出いたしております。これを原料のキビに直しますと、大体原料のキビの七〇%は国と県とで補助をしておるというかっこうになっておりまして、他と比べて相当手厚い状況にございます。  これを制度化するかどうかという問題でございますが、これは沖繩復帰の特別な措置の一環として行われてきたということでございますから、そういう形で継続することはだんだん困難になってくるのではないかと思います。しかしながら、そういう分みつ糖ができないというような特別な地域におきまして、農家方々が生産する作物に対する対策でございますから、そういう復帰特別措置ということではなくて、むしろ離島の住民、農家の対応というふうな観点から今後物を考えていく必要があるのではないかと思っておるわけでございます。  なお、補助率を上げてもらいたいという地元の要望はございますけれども、先ほど申し上げましたように、大体キビの七〇%は国と県で払っておるというふうな実情にございますから、これを上げておりますと、大体キビ代はただというかっこうに相なるわけで、なかなか補助率の引き上げは困難ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  183. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この補助率を上げるという問題と制度化する問題について、これはぜひ大臣からお答え願いたいと思うのは、沖繩は本土並み、本土並みと言われたところで、本土並みどころかもう失業率は全国の三倍というような状態、倒産もまた全国一という、これだけ見てもどんなに苦しい生活に追いやられているかということがわかるわけなんですね。ですから、私は三分の二をもっと前進させて、全額でなくてもいい、もっと前進させて、いわゆる国の持つ補助率を高くする問題と、当分、当分というのではなしに、やはり制度化して、甘味資源の保護からいってもこういった含みつ糖生産者の生産意欲を高めることが一番大事じゃないか、こういうふうに思うので、ぜひその点大臣からお答え願いたいと思います。
  184. 大石武一

    大石国務大臣 実は私は、その黒砂糖、含みつ糖ですか、この生産の状態なり補助金がどういう意味でどういう考え方から出されるのか、いま内容がわかりませんので、的確なお答えはできないかもしれませんが、ただ、基本的な考えだけは申し上げたいと思います。  私はこの制度化というものは必ずしもいいと思いません。なぜかと申しますと、なるほど制度化してもらえばこれは安心ができますから、いつまでももらえるという安心はあります。しかし、そのかわり進歩はなくなると思うのです。むしろ私は努力がなくなると思います。私は補助金とか助成金というものは元来余り好きじゃないのです。なぜかと申しますと、助成金や補助金だけもらっていて豊かになれるはずはないのです。ですから、それをもらわなくてもいいようなところまでそのような能率を高めてやる、所得を多くしてやるということに私は本当の農政の意味があるのではないかと思うのです。ですから、含みつ糖のことは知りませんから、そんな一般論が通るかどうかわかりませんけれども、いま私の基本的な考えを申し上げますと。ですから、いま現在どうしても生活上必要な補助金ですか、これはやはりしばらくは続けたらいいと思いますし、農林行政というものは、農民の暮らしを守る、命を守るためにあるのですから、やめるという場合に、やめることによって農民が困るようなことは絶対にしてはなりませんし、しないと思います。させてはならないと思います。そういう意味で、必要な間は必ずその補助金や助成金は参ると思いますから、余り御心配なさらないで、そうして今度は助成金をもらわなくてもいいような、別の意味でいわゆる生産性が上がるとかいろいろほかの方面で所得や生活、仕事がよくなっていく方向で行政を進めることが一番基本ではないかと私は思います。  いまこんなことは観念的なことで、というのは、実は具体的にいまその内容を知りませんから、こんな返事しかできませんけれども、そのような考えでもう少し検討しまして、できるだけお役に立つように働いてまいりたいと思います。
  185. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 大臣は黒砂糖の問題余り知らないという初めからのお話ですが、私きょう持ってこようかと思ったのだが、製品があるのですよ。これはいま申し上げましたように、二つの問題があるので助成金制度になったわけなんだ。離島の離島なんだ、これはどうにもならないのですよ。生産条件がまず非常に厳しい条件がある。したがいまして、国も暫定的にではあるが、復帰に伴ってこういった助成金を毎年やるようになっておる。したがいまして、この点はもう少し検討を加えられて、ぜひ補助率のアップと、さらに制度化の問題は、もちろん基本的に私も何でもかんでも制度化して国が補助するという形を言っておるのじゃないわけなんです。ですから、そこら辺を勘案してその点については対処してもらいたいということを要望いたします。  最後に、時間がありませんので、パリティ方式の問題について御意見を承りたいと思います。  いま沖繩のキビ作農家がことしも県議会、それから生産者代表四回にわたって陳情に来ております。去年、おととしあたりは千人、二千人動員するといったようなことで、一向壁が突き破れないのだといったようなことでありますが、一番農民が要求しているのは、現在のパリティ方式ではなくて生産費の補償方式に変えてほしいという要求ですね。この問題については、甘味資源審議会でも現行のパリティ方式を改めて生産費所得補償方式にすべきであると答申しておりますね。これは実際答申しているのですよ。それで生産費所得補償方式による価格決定はいま申し上げましたように農民団体の強い要求になっております。これは本当かどうかわかりませんが、聞くところによりますと、政府はすでにこの問題について甘味資源問題懇談会を設けて検討をしておるようにいま聞いております、これははっきりはしませんが。一方ではどうも生産費補償方式ではないようで、パリティ方式をあくまで続けていくという考えのようであるが、私この点については、甘味資源審議会の答申もあり、さらに全生産者の要求が生産費を補償する方式に改めよという要求なんです。最後にこの点について大臣の御所見を伺いたいと思うのですが、どうでしょうか。     〔菅波委員長代理退席、委員長着席〕
  186. 大石武一

    大石国務大臣 この生産費補償方式という計算の仕方はいまから二十年ぐらい前でしょうか、米の生産者価格を何とか大幅に上げたいという考え方から編み出された一つ考え方ではないかと私はいま解釈しております。この考え方である期間生産者米価の値上げに相当役立ったと考えております。しかし、二十年もたっておりますから、こんなことを言うと農林大臣としてちょっとしかられるかもしれませんが、私はこの計算方式にももうそろそろ十分検討を加える時期が来ているのではないかと思うのです。その証拠には、たとえば農協団体の要求、政府の、農林省の決めた生産者米価でも、五つも六つも出てまいります。これはみんな生産費所得補償方式によったということなんだ。みんな同じ方式によりながら片っ方では三〇%アップ、片っ方では一〇%アップ、片っ方では五%アップなんというような数字が出るのはおかしいと私は思う。非常にややっこしいと思うのです。こういうことで、これは個人的な考えではありますが、この生産費所得補償方式という考え士はそろそろ限界に来ておるのではなかろうか、新しい方式を考え出すべき時期が来ておるのではないかと内心私は思っております。ですから、この方式が果たしてすべてのいろいろな他の農産物に対して当てはまるかどうかということには全然自信はありません。そのことは全然わかりません。でありますから、これを果たしてサトウキビに適用をして妥当かどうか十分検討しなければならないと思いますし、この方式を私自身は余りいい方式だと実は内心思っておりませんから、賛成であるということも私は申しかねますので、そんなことでごちゃごちゃ迷っている状態でございます。
  187. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間が参りましたのでこれでやめますが、いまの大臣の意見の中で非常に気になるのがあるんですね。一つは米の生産費の補償方式、これは二十年になるので考えなければならぬといったような発言、そうなると米の生産者価格も現在のサトウキビの値段を決めるようなパリティ方式にした方がいいんだというようにお考えなんですか。そこら辺ちょっとはっきりさしてください。
  188. 大石武一

    大石国務大臣 私はパリティ方式がいいとか悪いとか申しません。これは私の個人の意見ですから、いま本当は言っていいか悪いかわかりませんけれども、気持ちだけを言ったのでありまして、この生産費所得補償方式、米の生産者米価を決める方式も何かいい方法がないだろうか、もっと混乱しないでいい方法はないだろうかという気持ちでございます。これは幾ら私がどの方法がいいだろうか悪いだろうかと仮に考えたって、みんなの合意を得てみんながなるほどと納得しなければこれはできないことでございますから、私はいまそのことを公に言い出しているのではありません。ただ、疑問を持っているという内心の気持ちを言っているだけでございます。パリティがいいとかどの方式がいいとかということは、申し上げることはとてもできません。ただ、何か新しいいい方法はなかろうかというのが私の気持ちでございます。そこのところば御理解いただいたでしょう。誤解されますとこれは問題になりますので、十分その点は御理解いただきたいと私思います。
  189. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 最後に、いまの甘味資源審議会でもパリティ方式を生産者の生産費補償方式に変えろと意見が出ておるのです。それから全沖繩県民の、さらに鹿児島も含めて要望が、パリティ方式ではどうもわれわれの生産費を補償できないからこれを補償するような方式に変えろという声は、十分耳傾けて検討しないと、まあ大臣は砂糖のことを余り知らないからということを言われましたが、ぜひ砂糖大臣になってもらうように勉強してもらって、その方向で再検討してほしいのですが、いかがでしょうか。
  190. 大石武一

    大石国務大臣 これは省内でみんなで相談をしまして検討さしていただきます。
  191. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 終わります。
  192. 湊徹郎

    ○湊委員長 次に、瀬野栄次郎君。
  193. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 明日の価格決定を前に、てん菜、サトウキビ、芋、でん粉等について農林大臣に見解を承りたいと思います。  まず冒頭、農林大臣にお伺いいたします。  わが国の食糧確保は、世界における長期的な食糧生産並びに貿易見通しから見て、従来のような外国依存は許されない情勢にあることは十分承知のことと思います。したがって、国内におけるたん白、甘味等畑作農産物の生産回復は、単に畑作農業及び関連産業の振興ばかりでなく、わが国食糧政策上最も重要な課題であります。この場合、特に緊急を要することは、畑作農民にとって相対的にも絶対的にも不利な価格制度を抜本的に改め、他産業従事者との所得格差を是正し、畑作農民の生産意欲を回復し、新たな後継者の確保による労働力の補充と合理的な輪作による畑作の土壌保全、地力培養を通じ、畑作農産物の生産を高めるべきだと考えておりますが、以下いろいろ質問していく前提としてこういった畑作に対する考えをまず就任された農林大臣に、冒頭承りたいのであります。
  194. 大石武一

    大石国務大臣 いまいろいろと仰せられましたが、全く結構な御意見でございます。
  195. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ぜひ大臣もそういった決意で推進を図ってもらいたいと思います。  それで、まずてん菜から質問してまいりますけれども昭和五十年五月閣議決定による「農産物の需要と生産の長期見通し」によりますと、政府は昭和六十年生産の長期見通しにおいて、てん菜については七万七千ヘクタール、十アール当たり収量を五千キログラム、生産量三百八十五万トンという目標を掲げております。この目標については前にも一度私見解をただしたことがありますが、現在も将来も目標を達成するという意気込みで推進していかれるのか、その点当局にお伺いいたします。
  196. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 閣議決定の線ですから、その線に従って努力をしてまいる所存でございます。  問題は、現在減少しつつある面積をどうして回復をしていくかということでございますから、なかなか事態は困難でございますが、私はそういう七万七千ヘクタールという目標を踏まえつつ、当面、この一両年間に、少なくとも反収は四トン以上であり、面積は五万ヘクタールを目指して、そして、そこからまたさらに飛躍をするというふうに考えることが適当ではないかと思っておる次第でございます。
  197. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 反収が四トン、面積は五万ヘクタールとして飛躍していくということでございますが、局長は百も御承知のとおり、北海道におけるてん菜生産は、長期見通しとは全く逆に年々減少しております。五十一年産の収穫面積が四万二千二百ヘクタールと落ち込んでおりますが、四十八年度は六万一千六百八十三ヘクタール、四十九年が四万七千四百八十三ヘクタール、五十年が四万七千九百五十五ヘクタール、五十一年が四万二千二百ヘクタール、こうして年々落ち込んできております。途中で六万台に上がったときもありますけれども、こういったことについて原因をどういうふうにお考えであるか、その点も簡潔にお答えいただきたい。
  198. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 四十九年、五十年は、ビートにとっては非常に気象条件が悪かった年でございます。もちろん農家方々の認識としましては、価格が低いということもございましょうけれども、面積がそこで非常に減少しましたのは、気象条件による影響が非常に大きいのではないかと思っておりますが、もちろん今後は価格の問題あるいは生産対策の問題等を十分踏まえまして、面積の増大を図っていく必要があるというふうに考えております。
  199. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 局長は、気象条件、価格が低いということ等を原因に挙げられましたが、まさしくそのとおりでございます。気象条件もさることながら、価格のいわゆる低さというのが主な原因であることはもうはっきりしておるわけです。これはもう各委員に伺っても異口同音にそのことを言っておりますし、また地元へ行きましてもそうですし、今回の冷害調査北海道へ参りましたが、このことを強く強く訴えておるのを、私たびたび現地で聞いてきたわけです。今年産について見ましても、仮に現行方式で、四ないし八月パリティを用いますと、現在まだ八月パリティは決まっておりませんから、結局七月パリティということで明日は価格が決定するというふうに思いますが、この計算でまいりますと七・九%アップ、現行トン当たり一万二千百四十円が一万三千六十一円というような数字になると思うのであります。昨年同様奨励金三千八百六十円を加えても、現行農家手取り額の一万六千円の五・七五%アップにとどまる、農民の要求しておりますところのトン当たり二万一千円にはほど遠いことになりますが、私は、てん菜の最低生産者価格について、五十年産の行政指導価格トン当たり一万六千円を基礎にして、これに最近における労賃、生産資材等の上昇を適正に加えて明日は決定してもらいたい、かように思うわけです。そうしててん菜農家の再生産の確保が十分できるように措置をしていただくように、大臣にもまた当局にもお願いしたいわけです。私も先日北海道調査に参りました際、冷害についての要請とともにてん菜についての要請を受け、また本日も陳情を受けましたが、政府はこのてん菜価格決定に当たりましてどのような方針で臨まれるのか、この点についても当局から明らかにしていただきたい。
  200. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 農家手取り一万六千円にパリティを掛けることは私は困難であると思っております。そういうふうな法律の形になっておりませんから、やはりパリティを掛けますのは、基準価格にパリティを掛ける。問題は、三千八百六十円をどのようにするかということでございますが、三千八百六十円といいますのは、ちょうど南と北に三千八百六十円をトン当たり出すとしますれば、約百十億を要するわけでございます。今後これを会社が負担するということはなかなか困難でございましょうから、やはり国と企業とで責任を持つという形にせざるを得ないと思っております。問題は農家手取り価格の水準をどうするかということでございますので、ビートにつきましては北海道の輪作作物のうちの基幹的作物であるという地位に十分留意をいたしまして、適正に価格を決定してまいりたいと考えておる次第でございます。
  201. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この点については昨日も小委員会でいろいろ要請をしておきましたが、あすの決定を前に、十分ひとつ、今夜は深夜にわたって検討されると思いますけれども、農民の切なる要望を入れて検討をして、農家の再生産に見合う決定がなされるように重ねて強くお願いをしておきます。  そこで、若干関連してお尋ねしておきますが、糖業メーカーが農民に支払う奨励金、従来から出ているわけですけれども、昨年は砂糖価格の低迷ということもあって、政府が交付金を出して賄っておるわけでありますが、五十年度は九十一億五千万円支払われたわけでありますけれども、これについては糖価の低迷による厳しい情勢から、局長としてはいろいろ困難なようなことを考えておられるやに伺っておるけれども、農民のために十分なる対策をひとつとってもらいたいと思いますが、この点に対する対処方針はどういうふうに考えておられるか、これもあわせて御答弁いただきたいと思います。
  202. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 企業が三千八百六十円をもし負担をするといたしますならば、恐らく糖価水準はビート会社にとりましてはキログラム当たり二百六十円を超えるような水準でなければ、これを負担することはできないのではないか、それから南の方の沖繩、奄美のサトウキビ企業にとりましては、恐らく三百円近いような糖価でなければ、これを払うことが困難なような実情にあると思います。したがいまして、現在のようなキログラム当たり百八十円程度の糖価で推移をするとするならば、これは企業がとても払える状況ではございませんから、その奨励金につきましては国が支出をせざるを得ないというふうに考えておる次第でございます。
  203. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、この奨励金の問題でこの際政府の考えをただしておきたいのでありますが、てん菜の生産奨励金なるものを恒久的に設けてもらいたい、かように私思うわけです。毎年毎年このような不安で、いつこれが切られるかわからないというような奨励金では、農家は明るい営農ができないということはもうしばしば訴えているところでございます。そういったことから、価格制度を抜本的に改めない限り、てん菜の安定した生産振興はないということからしましても、この問題については奨励金を恒久的に設ける、こういうようにしていただきたいと私は思うのですが、そういったことで検討しておられるか、その点もあわせてお考えを伺っておきたいと思います。
  204. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 昨年は初めて国と企業が責任を持つということにいたしたわけでございまして、四十九年のときには御存じのとおり糖価が非常に高うございましたから、企業はこれを負担することができたわけでございます。したがって四十九年は企業がこれを負担した。五十年は、当初、いまごろは砂糖の値段が二百五十五円ぐらいいたしておりましたから、ビート会社の方は全額とはいえないまでもある程度これを企業負担することが可能であると見通されたわけでございますけれども、もしその後糖価が下がるようなことがあれば、これは企業に持たすということにしておきますと非常に危険でございますから、国と企業で責任を持つ、こういうふうにいたしたわけでございます。しかしその方針が決定いたしましても実は金の支出をどうするかということが明確に決まっておりませんものでしたから、企業としても非常な不安感を持ったわけでございます。農家の方に対しましては、ビートを持ってきたときあるいはサトウキビを持ってきましたときに、企業はそれを含めまして一万六千円なり一万六千百円を払ったわけでございますから、農家の方の不安というのはそんなになかったのではないかと私は思いますけれども、企業はそういう金は支払ったが国からは一体金をもらえるのかどうかということで非常に不安感を持っておったことは確かでございます。しかし私たちとしましてもできるだけ早くそれを支出をするという趣旨におきまして、六月三十日までの分の九十一億につきましてはこれを全部予備費をもって支出をするという措置をいたしたわけでございます。したがいまして、そういう事実を踏まえまして恐らく製糖業界も相当安心をいたしたわけでございましょうから、今後これを国と企業で責任を持つといいましても、そう不安になることはないのではないかと思います。  問題は、糖価が非常に上がりましたときの問題でございますが、もし上がって企業が払えるようなことになりますれば、その負担能力の一部において企業に負担してもらうことはこれは当然のことでありましょうから、これを恒久制度化に組み入れるということは必ずしも適当でない。したがいまして、生産者に対しましては、これは国と企業が責任を持つわけでございますから、生産者の方は、もしそういう方針が決まりますならばどうか安心をしておっていただいたら結構なのではないか、かように思っておる次第でございます。
  205. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 沖繩県及び鹿児島県南西諸島のサトウキビの問題について若干お尋ねをしておきます。  ただいまもいろいろとサトウキビの問題について論議されましたが、サトウキビは十月末決定、十一月二十日に告示ということでわれわれ承知しておりますけれども、このサトウキビの問題についても、政局の激動からどういうふうに推移するか先の見通しが立ちません関係で、若干触れておきたい、かように思います。  御承知のように、サトウキビの作付は鹿児島が一万一千四百八十六ヘクタール、沖繩県が二万一千四百七十六ヘクタールと、前年に比べて二千八百ヘクタールの増となっております。これは価格がよいからではなくて、農林省も十分承知しておられますようにサトウキビ以外につくる物がないというのが現状であります。特に沖繩県においては、御承知のようにサトウキビはいわゆる米作にかわるものである、こういうように言われておりまして、沖繩県では羽地に若干米がとれるだけでほとんどサトウキビに頼っているのが実情でございます。五十一年産について昨年どおりの方式でこれまた計算をしてみますと、現行一万二千三百四十円に対し一万三千二百八十円と九百四十円のアップにしかならないのであります。奨励金を昨年どおり三千七百六十円を加えても、昨年の手取り一万六千百円に対し五・八三%のアップにしかなりません。  なお、沖繩は御承知のように台風十七号によって大変被害を受けております。価格の面でも十分配慮して価格を決定してやらなければ、沖繩の県民また鹿児島南西諸島の農民に対しては全く気の毒な状況でございますので、この点も月末決定に向かっていまから十分検討されて、こういった価格決定について地元が生産費及び所得補償方式で要求しておりますトン当たり二万二千五百円でございますが、この要求を入れてやるべく、ぜひともひとつ検討してもらいたい、かように思うわけです。その点について局長考えをひとつお聞きしておきたい、かように思います。
  206. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 サトウキビは南西諸島及び沖繩におきます基幹的作物でございますから、そういう点に着目して十分適正な価格を算定をいたしたいと思いますが、一つ災害を受けたものそのものを今度の価格決定に織り込むということは困難かと思います。それは災害対策その他によって措置をすべき部分であろうと思いますが、サトウキビの置かれました生産上の地位に十分配慮しながら、適正に決定してまいりたいと考えておる次第でございます。
  207. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 昨日の甘味資源小委員会局長お尋ねしておきましたが、サトウキビの五十一年の鹿児島県、沖繩県の収穫量がわかったでしょうか。聞くところによると、奄美大島では二五ないし二六%被害、大島郡が特にひどい、こういうふうにおっしゃっておりましたけれども、もし手元になければいずれお知らせいただきたいと思いますが、もしわかっていれば御答弁いただきたいと思います。
  208. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 鹿児島県について言いますと、全体の被害が、これは九月十六日現在の県報告でございますが、大島郡で二十三億八千一百万、それから熊毛郡で一億五千五百万、合わせまして二十五億三千六百万ということに相なっております。  それから沖繩県でございますが、沖繩の本島及び離島におきましては、被害額が十五億五千二百万、それから宮古島本島、離島におきまして、被害額が十億六千百万、それから八重山本島、離島におきまして七億百万円、合計いたしまして三十三億一千四百万円と相なっております。
  209. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 てん菜並びにサトウキビに対しての問題でお尋ねしておきますけれども、糖価安定事業団の本来の目的である輸入糖と国内産糖との価格調整機能等が十分に機能していないというのが問題になっております。こういった現状に照らして、その機能の充実を図る、こういう意味から、私は需給調整機能を付与する制度を設けるべきである、かように思っているのですけれども、こういったことについて当局は検討しておられるものか、それに対する見解を承りたいのです。
  210. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 いまの糖価安定制度は、輸入糖につきまして波打ち際で課徴金を取るという、そしてまたその取った課徴金を、最高価格を上回るようなときにはその課徴金を出して糖価を安定させるという制度でございまして、要するに波打ち際で価格の調整を図るということでございますから、御指摘のように数量をどういうふうに調整するかということには現在の糖価安定制度は触れてないわけでございます。その意味におきまして、糖価安定制度で本当に糖価を安定させるためには、その価格の調整だけでなく数量の調整を行う必要があるのではないかという考え方がございます。たとえば糖価安定事業団でこれをやるということになりますと、一つの事例としましては、一元的にこれを輸入するという形が考えられるわけでございます。それが一つ考え方でございまして、そのほかにも需給調整にはいろいろな考え方がございます。したがいまして、私たちといたしましては、そういう糖価安定制度全体をどういうふうにするかということにつきまして、幅広く学識経験者の意見も聴取しながら検討いたしておるところでございます。
  211. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 あわせてお伺いしておきますけれども、粗糖輸入の秩序というものを維持するということが問題になっているわけです。こういった秩序維持という意味から、精製糖の過当販売競争という問題も防止せねばなりませんし、先ほどから大臣もこのことについて、何とかしなければならぬ、こういったことが十五年来続くというのは問題であるというようなことをいろいろおっしゃっておりましたけれども、われわれもかねがねこういった問題については何とか調整すべきである、かように考えております。そういったことで、私は、砂糖需給協議会というようなものを設置していろいろ検討したらどうかというようなことも考えてはおるわけですけれども、政府の方ではどういうふうな見解をお持ちであるか、これもあわせてこの機会にお聞かせいただきたい。
  212. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 御指摘のように現段階を踏まえまして考えますと、第一に糖価をできるだけ早く安定させなければいけませんし、お話のように秩序ある輸入ということを図っていかなければいけませんし、それから大臣のおっしゃいますような基本的に糖業構造の改善を推進してまいらなければいけないわけでございます。  需給全体を調整するために需給協議会を設けるということは、仮にこれを法定化いたしますと、それはいいのでございますけれども、需給協議会で全体数量がこれだけだ、たとえば全体の砂糖の消費量は三百万トンである、国内で六十万トンであれば輸入量は二百四十万トンである、これが全体の需給であるというふうに決めましても、これに基づきましてそれぞれ精糖会社が秩序立てて溶糖をする、あるいは輸入商社が秩序立てて輸入をしてくるということの担保がなければ、協議会で協議をするということは一般的認識を統一するという範囲を出ないわけでございまして、需給協議会のみによって需給の安定を図ることはきわめて困難かと思います。したがいまして、需給の調整につきましてどういう手段、方法が最もいいか、あるいはどういう手段、方法が最も効果的であるかという点も含めまして、現在検討を続けているところでございます。
  213. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 さらに、これまたこの機会に伺っておきますけれども、いまや糖価安定法というものは用をなさなくなった、こういう声は、これはもう政府部内からもわれわれは折に触れて個人的に聞いているわけでございます。まさにそのとおりでありまして、制度全体を洗い直してみなければ価格には手がつけられないというのが当局の偽らざる気持ちじゃないか、こういうふうに私は思うのです。糖価安定のために、また税制を守るために、根本的にこれを検討するためには、やはり糖価安定法を洗い直すということが大事じゃないかと思うのですが、来るべき特別国会等においてこういったものに対する提案の用意があるのか、その点もこの機会にあわせてお伺いしておきます。
  214. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 糖価安定法は十年前に制定された法律でございますが、しかし、あの制度は当時として考えてみましても、あるいは現時点において考えてみましても、制度のレベルとしては非常に高いレベルの制度ではないかと私は思います。需給調整の機能が入っていないということは確かにそうですけれども価格の調整面におきます制度の仕組みとしては非常によくできた制度ではないかと私は思っております。しかしながら、それだけでは足りませんで、お話のように、需給調整をどういうふうに進めていくかという点につきましても、あるいはまた現在の価格の調整のやり方につきましてもなお検討すべき余地が多いかと思いますので、今後十分検討してまいりたいと思います。しかし、事は非常に広い範囲にわたり、また制度としても非常に重要な制度でございますので、これは慎重に検討を続けていかなければいけないのではないかと思います。しかし、慎重にということは決してゆっくりということではございませんで、私たちとしましても鋭意その検討を続けているところでございます。
  215. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣、そこでいまいろいろ論議を聞いておられたと思うけれども、時間もございませんので大臣の決意をひとつ承っておきますが、てん菜、サトウキビにしても、北海道、また沖繩、鹿児島、南西諸島、まさに北と南の営農でございます。厳しい中でやっておるわけです。片や台風と暑さ、片や冷害と闘いながら、寒冷地と闘いながらやっておる農民に対して、わが国唯一の甘味資源でございます国内の生産を促進し、さらに自給を高めていくためにも、ぜひひとつ十分力を尽くしてもらいたいと思う。そうして、いまの糖価安定法等について大臣もしっかり勉強していただいて御検討願いたい、こういうふうに思うのですが、その辺のお考えを承っておきたい。
  216. 大石武一

    大石国務大臣 いまの御意見をよく検討しまして、前進的に進めてまいりたいと思います。
  217. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間があとわずかでございますので、バレイショ等について若干お尋ねしておきます。  バレイショは、ことし、平年を上回る二百三十五万三千トンが見込まれて、でん粉用百五十万トンで二十七万三千トンの生産見込みでございます。ちなみに申しますと、五十年は二十万九千トンということでございますが、五十年は五万トンの政府買い入れを行ったわけですけれども、ことしは、先日の小委員会でもいろいろ説明がありましたように、恐らく十万トン以上の買い入れが必要となるのではないか、こういうように言っておられます。そうなりますと、政府は、この買い入れ増を懸念して生産者価格抑制策をとるのではないかというのでえらい心配しておりますけれども、そういうことがないように、冷害で悩む北海道に対して、せめてバレイショについては生産者価格抑制にならぬように原料基準価格を決定してほしい、こういうように思うのです。明日の決定を前に、ぜひともひとつ農民のために要求を満たす価格決定に最大の努力をしてもらいたいと思います。局長の決意のほどを伺いたい。
  218. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 バレイショも北海道の畑作物の重要な作物でございますから、私たちとしましても、そういうことに十分留意をして価格決定してまいらなければなりませんが、現在のバレイショの作柄は、一応非常に天候による豊作である部分が多うございますけれども、しかし、ここでやはりバレイショからビートへ、ビートをつくってもらう。ビートをつくっていただきますことは、同時に北海道の基幹的作物でありますビートを伸ばすことにも相なるわけでございますから、やはりバレイショからビートに作付を移してもらうということが必要なことではないか。もちろん、それだからといって、それを強制的にどうだこうだということではございませんで、道庁や農業団体その他関係者と十分相談をしながら、そういう円滑なる取り進めを行うことが必要ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  219. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 最後に簡潔に二点お伺いして、終わりにいたしたいと思います。  一点は、食糧自給率の維持向上を目標に掲げているわが国農政の中にあって、国内産でん粉の消費がコーンスターチ及び外国産でん粉により著しく阻害されていることは御承知のとおりです。そこで、私は、コーンスターチ等の輸入を極力抑制して、国内産でん粉の優先消化に努めていただきたいと思うのですけれども、この国内産でん粉の優先消化について農林省はどういう対策を持っておられるかということが一点。  もう一つは、在庫が昨年五万トン、ことしはまた十万トンということでかなりの在庫になってまいりますが、在庫をどうするのか、また政府買い入れの方途はどういうふうに考えて対処しておられるか、これを最後にお答えいただいて、質問を終わりたいと思います。
  220. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 国内産でん粉の優先消化を図ることは当然のことでありまして、私たちとしてもいろいろな方法をもってそのように対処してまいりたいと思っております。  それから、でん粉は幸いにしていつまで置いておいても腐るものではございませんから、やはり先ほどございましたように、豊凶によりあるいは足りないというときは政府の在庫を放出をすることはもとよりでございまして、そういう需給調整的な機能もこれが果たしていくというふうに考えております。しかし、余りだまりましてどうにもならぬということになってはいけませんので、私が先ほど申し上げましたように、芋作からビートヘということに努めてまいる必要があるというふうに考えておる次第でございます。
  221. 湊徹郎

    ○湊委員長 以上で質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  222. 湊徹郎

    ○湊委員長 この際、昭和五十一年産いもでん粉原料基準価格等に関する件及び昭和五十一年産てん菜最低生産者価格等に関する件について、いもでん粉及び甘味資源等に関する小委員長から報告を聴取いたします。今井勇君。
  223. 今井勇

    ○今井委員 いもでん粉及び甘味資源等に関する小委員会の御報告を申し上げます。  本小委員会は、去る九月三十日の委員会において設置され、昨日と本日の二日間にわたり、当面するいもでん粉及びてん菜の価格等について調査を行いました。  まず、昨日の小委員会におきましては、政府からいもでん粉及びてん菜等の需給事情及び価格事情等を聴取した後、懇談会に切りかえ、質疑を行いました。  次いで、本日の小委員会におきましては、いもでん粉及びてん菜の価格決定時期が切迫しておりますので、各小委員意見を次の結論として取りまとめ、これを委員会の決議として提案することを決定いたしました。  以下その結論を朗読いたします。    昭和五十一年産いもでん粉原料基準価格等に関する件(案)   食糧自給率の維持向上を目標に掲げているわが国農政のなかにあつて、国内産でん粉の消費はコーンスターチ及び外国産でん粉により著しく阻害されている。   よつて政府はコーンスターチ等の増加を抑制し、国内産でん粉の優先消化を図るための諸般の措置を講ずるとともに、当面する本年産いも、でん粉等の価格決定に当たつては、左記事項の実現に万遺憾なきを期すべきである。      記  一、 甘しよ及び馬れいしよの原料基準価格については、最近における労賃、生産資材等の上昇を適正に織り込み再生産の確保が十分図られるよう所要の措置を講ずること。  二、 甘しよ及び馬れいしよでん粉等の政府買入れ価格については、原料歩留まりを前年並とするとともに、加工経費及び原料運賃の上昇を適正に織り込み実情に合うよう決定すること。  三、 馬れいしよでん粉については、当面の過剰分については、早急に政府買入れの措置を講ずること。   右決議する。     …………………………………    昭和五十一年産てん菜最低生産者価格等に関する件(案)   食糧自給率の維持向上がわが国農政の最重要課題となつている今日、てん菜の作付が年々減少傾向にあることは、極めて憂慮すべき事態である。   よつて政府は、本年産てん菜価格決定に当たつては、左記事項の実現に万遺憾なきを期すべきである。     記  一、 てん菜の最低生産者価格については、最近における労賃、生産資材等の上昇を適正に織り込み再生産の確保が十分図られるよう所要の措置を講ずること。  二、 てん菜糖の事業団買入れ価格については、原料歩留まりを適正に織り込むとともに、製造経費の上昇と原料不足による操業度の低下等の諸事情を十分に反映させ、適正な水準に引き上げること。  三、 てん菜の長期生産目標達成のため、輪作体系の確立、土地基盤の整備、優良種苗の普及、機械化作業体系の確立等の実効ある生産対策を強化すること。  四、 糖価安定事業団がその本来の目的である輸入糖と国内産糖との価格調整機能等を十分に果たしていない現状にかんがみ、その機能の充実を図るため、早急に抜本的な制度改善措置検討すること。   右決議する。 以上でありますが、何とぞ小委員会の結論を当委員会の決議とされますようお願い申し上げます。  なお、サトウキビの価格等につきましては、今月末に決定される見通しでありますが、台風による被害等により、関係者の関心が一段と高まっておりますので、価格決定前に本小委員会を開催し、いもでん粉及びてん菜等と同様の審査を行う所存でありますことをこの際特に申し添えまして報告を終わります。
  224. 湊徹郎

    ○湊委員長 以上で小委員長の報告は終わりました。     —————————————
  225. 湊徹郎

    ○湊委員長 ただいま小委員長から提案のありました両案文のとおり決議することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  226. 湊徹郎

    ○湊委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  ただいまの決議に対し、政府の所信を求めます。大石農林大臣
  227. 大石武一

    大石国務大臣 ただいまの御決議につきましては、十分に検討しまして、適切に対処するよう努力いたします。
  228. 湊徹郎

    ○湊委員長 なお、ただいまの両決議の関係当局への参考送付等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  229. 湊徹郎

    ○湊委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十七分散会