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1976-10-07 第78回国会 衆議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年九月三十日(木曜日)委員長の指名 で、次のとおり小委員及び小委員長を選任した。  いもでん粉及び甘味資源等に関する小委員       今井  勇君    加藤 紘一君       片岡 清一君    染谷  誠君       中尾 栄一君    丹羽 兵助君       浜田 幸一君    角屋堅次郎君       芳賀  貢君    美濃 政市君       諌山  博君    瀬野栄次郎君       折小野良一君  いもでん粉及び甘味資源等に関する小委員長                 今井  勇君 ————————————————————— 昭和五十一年十月七日(木曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 湊  徹郎君    理事 今井  勇君 理事 片岡 清一君    理事 菅波  茂君 理事 浜田 幸一君    理事 井上  泉君 理事 角屋堅次郎君    理事 中川利三郎君       加藤 紘一君    笠岡  喬君       金子 岩三君    吉川 久衛君       中尾 栄一君    松澤 雄藏君       森下 元晴君    柴田 健治君       島田 琢郎君    竹内  猛君       芳賀  貢君    馬場  昇君       美濃 政市君   米内山義一郎君       諫山  博君    津川 武一君       瀬野栄次郎君    林  孝矩君       稲富 稜人君    小平  忠君  出席国務大臣         農 林 大 臣 大石 武一君  出席政府委員         北海道開発庁総         務監理官    黒田  晃君         国土庁長官官房         長       河野 正三君         農林政務次官  山崎平八郎君         農林大臣官房長 森  整治君         農林省農林経済         局長      吉岡  裕君         農林省構造改善         局長      岡安  誠君         農林省農蚕園芸         局長      澤邊  守君         農林省畜産局長 大場 敏彦君         農林水産技術会         議事務局長   平松甲子雄君         食糧庁長官  大河原太一郎君         林野庁長官   松形 祐堯君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      古橋源六郎君         国税庁直税部審         理課長     掃部  實君         厚生省保険局国         民健康保険課長 舘山不二夫君         農林大臣官房技         術審議官    川田 則雄君         農林大臣官房審         議官      杉山 克己君         農林省農林経済         局統計情報部長 有松  晃君         中小企業庁計画         部金融課長   松尾 成美君         気象庁予報部長         期予報課長   青田 孝義君         気象庁観測部長 小林寿太郎君         労働省職業安定         局特別雇用対策         課長      清水 傳雄君         自治大臣官房参         事官      平岩 金一君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 十月六日  辞任         補欠選任   山村新治郎君     愛野興一郎君   折小野良一君     稲富 稜人君 同月七日  辞任         補欠選任   稲富 稜人君     小平  忠君 同日  辞任         補欠選任   小平  忠君     稲富 稜人君     ————————————— 十月五日  北海道昭和五十一年産米の事前売り渡し申し  込み限度数量増枠に関する請願岡田春夫君紹  介)(第二一四号)  同(島田琢郎紹介)(第二一五号)  同(塚田庄平紹介)(第二一六号)  同(芳賀貢紹介)(第二一七号)  同(美濃政市紹介)(第二一八号)  同(安井吉典紹介)(第二一九号)  同(横路孝弘紹介)(第二二〇号)  農畜産物価格決定に対する農民団体交渉権立  法化に関する請願岡田春夫紹介)(第二二  一号)  同(島田琢郎紹介)(第二二二号)  同(塚田庄平紹介)(第二二三号)  同(芳賀貢紹介)(第二二四号)  同(美濃政市紹介)(第二二五号)  同(安井吉典紹介)(第二二六号)  同(横路孝弘紹介)(第二二七号)  養蚕農家の経営安定に関する請願小沢貞孝君  紹介)(第三二九号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第三三〇号)  同(吉川久衛紹介)(第三三一号)  同(倉石忠雄紹介)(第三三二号)  同(羽田孜紹介)(第三三三号)  南方産広葉樹材防虫対策に関する請願小沢  貞孝紹介)(第三三四号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第三三五号)  同(吉川久衛紹介)(第三三六号)  同(倉石忠雄紹介)(第三三七号)  同(羽田孜紹介)(第三三八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(異常低温による  農作物被害状況等)  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 湊徹郎

    湊委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  さきに北海道東北地方における異常低温による農作物減収状況調査のため、北海道及び東北地方にそれぞれ委員を派遣したのでありますが、この際、派遣委員から報告を聴取したいと思います。片岡清一君。
  3. 片岡清一

    片岡委員 私は、去る十月四日から三日間にわたり、北海道における異常低温による農作物減収状況調査のため派遣されました委員を代表して、調査概要を御報告申し上げます。  本委員会から派遣されました委員は、私のほか、芳賀貢委員及び瀬野栄次郎委員でありますが、このほか現地において国会議員三名の参加がありましたことを申し添えます。  まず、調査いたしました被害地を順を追って申し上げます。  まず、十月四日は、札幌において道庁から今回の冷害の総括的な説明要望を、また道議会及び農業団体からの陳情を聴取いたしまして、直ちに現地に向かい、水稲激甚被害を受けた空知支庁管内の南幌町及び月形町の被害地調査いたしたのであります。  翌五日は、旭川市、和寒町、剣淵町、士別市、名寄市及び富良野市に参り、上川支庁管内における被害状況陳情支庁当局から聴取するとともに、現地調査し、関係者からの被害実情と強い要望をお聞きしたのでありますが、この地域は特に著しい被害をこうむった水稲及び豆類耕作地帯であります。  六日は、江別市に参り、石狩支庁管内被害状況陳情を聴取いたしました後、江別市、広島町、恵庭市、千歳市の水稲被害地域調査し、三日間にわたる調査を完了したのであります。  次に、今回北海道各地に大きな被害をもたらしました気象状況について、その概要を申し上げます。  四月上旬は北海道全道にわたり低温であり、道東地方は記録的な大雪に見舞われましたが、その後は月末まで比較的温暖に経過し、五月に入り再び低温になり、中下旬は高温、寡雨、多照乾燥状態が続き、地域的には降雪や降霜が見られたのであります。六月上旬は温暖に経過したが、中旬に入りオホーツク海高気圧が南下したため曇天が続き、月末まで低温日照不足が目立ったにもかかわらず、降水量道南地方を除き全般に少なく、特に道北地方は極端な寡雨状態となり、平年度に比較して六〇%から八五%前後を記録しているのであります。たのため水稲葉数増加が緩慢となり、稲作に異常があらわれ始めたのであります。七月は上中旬とも冷涼高気圧が全道を覆い、天候は概して快晴であったにもかかわらず気温は上がらないまま推移し、この時期が幼穂形成期に当たっていたため幼穂形成に相当のおくれが見られるようになったのであります。下旬に至るや低温から一転して高温異常気象があらわれ全道的に多照寡雨状態となり干ばつ傾向となるとともに、地方により降霜が見られたのであります。しかしながら、水稲に見た場合は日照が多かったことが幸いし冷害を思わせた不稔現象は少なくなり、生育は相当程度促進されたようであります。八月に入るや再び低温となりほとんど全期間にわたり大陸から張り出した冷たい高気圧に全道が覆われ、昭和三十一年以来の強い低温を示し、空知支庁管内地方等には一部に降ひょうが見られたのであります。この時期はちょうど登熟期に当たっており、整粒増加が停滞し、不完全粒が多く見られるようになったのであります。九月は上中旬とも気温はほぼ平年並みに経過したが、下旬に入り山間地帯道東道北地方の一部で降霜を見るといった異常低温気象があらわれたのであります。  以上が現在までの気象概要であります。  このように、低温現象農作物に最も大切なほとんど全期間にわたって起きたため、水稲を初め豆類牧草、その他各種農作物は激甚な被害を受けておるのであります。  今回の冷害等による農作物被害概要を申し上げます。  被害は九月二十日現在で面積にして五十二万五千ヘクタール、金額にして八百四十一億円に上り、このうち水稲は十八万四千ヘクタールで六百五十六億円、畑作物は三十四万二千ヘクタールで百八十五億円となっており、畑作物の主なものは豆類が六万七千ヘクタールで七十七億円、飼料作物が二十四万五千ヘクタールで五十五億円、野菜が一万ヘクタールで三十四億円、バレイショが九千ヘクタールで八億五千万円のほか、てん菜四億円、果樹四億円等となっているのであります。  これを支庁別に見ますと、空知支庁管内水稲被害が特に著しく八万一千ヘクタール、二百六十七億円で、畑作被害と合わせ二百八十一億円となっております。上川支庁管内水稲三万八千ヘクタール、百二十一億円で、畑作被害と合わせまして百五十八億円、石狩支庁管内水稲一万九千ヘクタール、八十九億円で、畑作被害と合わせ百五億円、網走支庁管内は七十九億円、十勝支庁管内は六十八億円等となっているのであります。  この被害額も今後の降霜の有無とその程度によりさらに大きな数字となってあらわれることは必至でありまして、北海道農民にとりましてはまさに未曾有の災害となったのであります。  次に、今回の農作物被害の概況に触れておきたいと存じます。  まず水稲でありますが、水稲生育期の七月中旬、穂ばらみ期の下旬、出穂期の八月上旬までは、何とか日照不足低温程度水稲に強い悪影響を及ぼさずに済む程度に推移してまいったのでありますが、八月中旬に入ってからは、異常低温と著しい日照不足に陥り、その後は一カ月の間連日異常低温が続き、開花受精期という稲作の最も大切な時期がこの異常低温に襲われたのでありまして、出穂し、幾らかの収穫期待されるものでありましても、稔実不良となり、完熟粒はわずかにまざっているという程度地域調査全域に広くあらわれていたのであります。このような受精障害を受けた稲は、手にとって見ればわかりますが、ここに現物がございますが、多くの場合外見で判明することは困難というのが常識であります。さらにこれに加え、穂ばらみ期に一部に発生した葉鞘褐変病は、出穂期に入り全道に広がり、われわれの調査した地域水稲は、ほとんど全部穂は褐色に変色しておりながら茎がいまだに青く、また穂先が真っすぐに突っ立っているという異常現象となっているのでありまして、遠くからながめた限りではその作柄は容易に判別しがたいのでありますが、手にとって見るか近づいて見れば、被害がいかに著しいものであるかに驚かされたのであります。  このような被害を受けた農家は、半作の収穫を得ることも困難であると知りながら、営々辛苦、半年の長きにわたる汗とあぶらとの努力の結晶により育て上げた水稲であるだけに、一粒でも多くの収穫を得るために、重い気持ちにみずからむちを当てて降霜予防に励んでいる姿があちこちに見受けられたのでありまして、切々胸に迫るものがあったのであります。  冷害という特殊な災害は、薫煙による低温緩和という原始的方法が唯一のものであり、これという決め手の防災方法もないため、手の施しようもなく、また災害発生時期も容易に予測できないため、災害対策も結果的にはおくれがちとならざるを得ないものであり、それだけに農家の心残りも多いことと思われるのであります。まことに気の毒にたえないものがあったのであります。  北海道農家内地都府県と異なり、水稲においても耕作北限地であり、豆類バレイショてん菜等に依存せざるを得ない営農条件劣悪下にあり、昭和二十八年、二十九年、三十年、三十九年、四十一年及び四十六年の冷害等による大凶作の後遺症を背負って営農を維持しているのが農家実情であります。このような劣悪な条件下にある北海道農業を維持し、再生産に励まんとする被害農家が、われわれ国政に携わる者に対する救済期待はいよいよ大きいものがあるのでありまして、われわれはこの実情を胸に刻み、限りない同情と必要可能な限りの救済措置を早急に実施すべく勇気を持ってこれに当たり、被害農家期待にこたえるべきであると痛感してまいったのであります。  次に、道並びに地元から異口同音に各種の熱心な要望がありましたが、ここでは要望事項のうち特に重要な点につきまして、調査団の意見を付して申し上げておきたいと存じます。  第一の要望は、激甚災害法並びに天災融資法に基づく天災資金早期貸し付けであります。今回の冷害については、激甚災害法の適用をすることは確実でありますが、被害農家実情を考慮し、早期貸し付けできるよう特段措置を講ずるとともに、北海道農業特殊性からいたしまして、貸付限度額の引き上げ及び金利引き下げを図るべきであると思うのであります。  第二の要望は、自作農維持資金特別枠の設定による貸し付け貸付条件緩和であります。今回のような低温による災害は、公共施設等施設損害を受けていないがゆえに、公共土木事業実施が容易でなく、したがって、被害農家救農土木事業等実施による現金収入の道が少ないのでありまして、現金を得るためには、自作農維持資金の借り入れに頼るほかはないのが実情であります。したがいまして、この維持資金に対する期待が非常に大きいのであります。政府は、この際、十分被害者要望する融資額を確保するよう、これに必要な資金枠を設置し、早急に貸し付けるとともに、金利引き下げについても思い切った措置を講じ、被災者期待にこたえるべきであると思うのであります。  第三の要望は、農業近代化資金等制度資金について、被害農家の要償還額のうち、償還不能分について償還猶予措置を講ぜられたいというのであります。北海道における一農家の要償還額は年百万円以上となっているのでありまして、この実態にかんがみまして、償還延期または償還猶予措置を講ずるにとどまらず、再貸し付けを行う等の措置を講じ、実質的な貸付条件緩和を図るべきであると存ずるのであります。  第四の要望は、共済損害評価基準緩和共済金早期支払いでございます。農業共済における収穫対象となっている損害評価基準のふるいの目は一・七ミリとなっており、これ以上の米はすべて収穫とみなされて共済金支払い額から差し引かれているのであります。今回の冷害米は粒は大きいのがありましても、青米等政府買い入れ米対象とならないものが非常に多く混入しているのであります。この点を考慮し、特別措置を講じて、この基準緩和し、実情に合致した被害の認定を行い、農民の窮状を参酌し、年内といわず一日も早く共済金支払いを行うべきであります。  第五の要望は、低品位米政府買い上げ措置を講じられたいというのであります。現行農産物検査規格によりますと、五等以上の品位に格づけされた玄米を政府が買い入れると規定されておりますが、特例として、被害が著しい特定の地域において発生した規格外米及び等外米についても買い入れることができる道が開かれておるのでありまして、過去において政府買い入れを行った事例もあるのであります。今回の北海道冷害による水稲被害は、生育過程における障害が主であります関係上、青米未熟米の上位すれすれの米が過半量を占めているのであります。この被害実情にかんがみまして、今回の災害についても、品質の規格を大幅に緩和して政府買い入れ制度を早急に決定し、全量買い上げ花実施すべきであると思うのであります。  第六の要望は、他に働く場所を持たない被災農家に対し、現金収入の道を開くため救農土木事業実施されたいというのであります。前にも述べましたとおり、今回の冷害にあっては、施設被害を受けていない関係上、災害復旧公共土木事業がありませんので、今年度実施予定土木事業及び明年度予定事業の繰り上げ実施を行うよう、国及び道は了解事項として実施することが必要であると思うのでありまして、若干の無理がありましても災害実情にかんがみ、鋭意現金収入の道を開いてやるべきであると存ずるのであります。特に地元市町村要望として、積雪下におきましても実施できる事業として、排水溝の清掃、改修及び設置、暗渠排水、客土農道及び林道の補修土地改良砂利採集事業国有林及び市町村有林除間伐事業治山治水事業等があるとのことでありますので、政府においてもこれが実施できるよう万全の協力と措置を講ずべきでありますし、客土事業団地事業となっており、一団地事業面積が二十ヘクタール以上となっておりますのを一事業五ヘクタール以上の分割実施できるよう、条件緩和をすべきであると思うのであります。北海道の今回の災害により収入源を失った被災農家農業維持経営を可能にするかしないかは一にこの救農土木事業の適切なる実施のいかんにかかっているという印象を強く受けてまいったのであります。また、これが実施に当っては、労賃単価の改定を行い、真に救農の効果があらわれるよう努力を願いたいのであります。特に、市町村が行う農道及び市町村道補修事業の実現に強い希望を持っていたのであります。  第七の要望は、越冬用飼料の確保についてであります。牧草及び飼料作物が甚大な被害を受け、越冬用飼料の大半は他から購入しなければならない現状にあるのであります。御存じのように、特に北海道農業酪農に大きなウエートを置いた農業経営でありますので、今回の冷害により受けた打撃は大きく、営農と生活は極度に悪化しているのでありまして、この際、政府は、これら酪農農家救済するため、政府手持ち濃厚飼料を格安に払い下げるとともに、牧草稲わら等飼料購入費に対しても特段助成を行い、酪農の育成に万全を期すべきであると思うのであります。  以上のほか、再生産用種子購入費助成昭和五十一年産米予約概算金の返納の猶予と利子の減免国営土地改良事業負担金徴収猶予豆類について下位等級を設定するよう農産物検査規格特例措置、国及び地方公共団体の税の減免等がその主なものであります。  さらに、恒久対策として食糧自給向上を指向し、農業改良普及制度及び寒冷地農業改善のための諸施策に抜本的な検討を加え、再びこのような惨事を起こさないための農業経営の確立を図るべきであると思うのであります。  以上、調査概要について申し述べましたが、政府は今次災害特異性を考慮し、各要望事項について慎重に検討を加えられるとともに、これが期待にこたえるべく善処されることを強く要望いたしまして、報告を終わります。(拍手)
  4. 湊徹郎

    湊委員長 次に、森下元晴君。
  5. 森下元晴

    森下委員 委員派遣第二班の調査結果の概要を御報告申し上げます。  本班は、去る十月三日から十月六日までの四日間にわたり、青森県、岩手県及び秋田県における異常低温による農作物減収状況調査をしてまいりました。派遣委員は、自由民主党の私森下元晴日本社会党米内山義一郎君、日本共産党革新共同中川利三郎君の三委員でありますが、現地において、青森県では熊谷義雄君と竹中修一君が、また秋田県では川俣健二郎君が参加されました。  まず簡単に調査日程を申し上げます。  十月四日は、早朝青森県に入り、三沢淋代地区八戸市川地区及び階上村赤保内地区水稲被害調査を行った後、八戸市の青森県合同庁舎において、県当局並びに関係市町村から冷害の総括的な説明要望を聴取いたしました。次いで三戸町泉山地区リンゴ腐乱病による被害調査を行った後、同日岩手県に入り、一戸町奥中山地区及び葛巻町小屋瀬地区水稲及び飼料作物等被害調査を行いました。  十月五日は、岩手県庁において県当局並びに関係団体から冷害総括的説明要望を聴取した後、西根町田頭地区及び松尾村で水稲被害調査を行い、次いで同日秋田県に入り鹿角市坂比平地区、田沢湖町鎧畑地区中生保内地区及び西木村上檜木内地区水稲被害調査を行いました。  十月六日は、五城目町杉沢地区恋地地区水稲被害調査を行った後、秋田県庁において県当局から冷害総括的説明要望を聴取し、全日程を終えたのであります。  次に稲作等中心に今回の大冷害をもたらしました気象状況等についてその概要を申し上げます。  まず、五月上旬に異常低温に見舞われ、特に標高の高い山間地帯冷水灌漑地帯において苗代の障害が見られるとともに、一部地区においては田植えのおくれがあり、また六月下旬から七月上旬にかけても異常低温発生により稲の生育が停滞したとのことであります。その後七月下旬には、短期間ではありましたが高温多照天候となり稲の生育は順調に回復するとの期待が持たれたのでありますが、八月に入ってからは、近年に例のない持続的な異常低温日照不足等に見舞われたのであります。特に八月の異常低温は、青森及び秋田では大正二年以来のものであり、また盛岡でも気象台の観測が始まって以来というまことに厳しいものであります。このため稲の生育は、出穂のおくれやその期間が長引き、一部地域においては遅延型冷害により青立ち稲となり、またせっかく出穂した稲についても障害型不稔を随所に発生させたのであります。さらに、九月に入りましても、下旬以降は低温寡照の日が続き、一部高冷地では例年より一週間程度早い初霜が見られる等のこともあって、これが稲の登熟をおくらせ、今回の冷害を一層厳しいものにしております。  以下、各県の被害状況等につき、視察日程に従い御報告申し上げます。  最初に青森県の状況について申し上げます。  まず稲作被害でありますが、県全般被害状況は、九月十五日現在における作況指数で七九から八九となっており、被害額は二百億円を超すものと想定されております。特に被害が大きいのは標高の高い十和田湖を中心とした山間冷涼地帯と下北半島から八戸地域に至る太平洋沿岸地域であります。今回視察した三沢から八戸に至る地域は、八月に入ってからの異常低温に加えて、太平洋から吹き込む冷い風、いわゆるやませの影響により大きな被害を受け、至るところで生理的不稔による青立ち褐変もみが見られ、また一部地域においては、従来北海道にしか見られなかった葉鞘褐変病も散見されたのであります。これらの地域では収穫皆無のところもあり、私たちは視察個所ごとで多くの被災農民から一日も早い国の援助措置の要請を受けたのであります。  米以外の被害ではリンゴ野菜等被害も大きいとのことでありますが、特に特産のリンゴ冷害被害に加えて腐乱病による被害も大きく、関係者からは腐乱病根絶のための試験研究機関充実強化とともに低位生産園再開発事業に対する国庫補助率の引き上げ等につき強い要請がありました。  次に岩手県の状況について申し上げます。  岩手県は今回の冷害では東北六県の中で最大の被害を受けた県とされておりますが、まず稲作被害について見れば、県全体の被害状況は九月二十日現在の作況指数で七四となっており、被害額では三百二十億円余りが想定されております。特に被害が大きいのは県北部と北上山系及び奥羽山系の高冷地帯であり、これら地域においては、収穫皆無ないしは被害率が七〇%を超える個所が随所に見られるとのことであります。今回視察した一戸町、葛巻町等はいずれも標高が四百メートルを超える高冷地であり、県内でも最大の被害を受けた地域とされております。例年なら収穫期を迎えているはずの稲が沿道の至るところに黒褐色に棒立ちし、収穫を全く期待し得ない状況を目の当たり見、調査団一同胸の詰まる思いがしたのであります。さらに、本地域の多くの農家は米と酪農等を結びつけた複合経営を行っておりますが、七月上旬と九月下旬の二度にわたる降霜によりデントコーン等の飼料作物も未曾有の被害を受け、農家の経営はまさに崩壊寸前の状況となっております。かかる状況に対し、調査団は、政府において早急に適切な救済措置を講ずることを督励する旨約束してまいった次第であります。  次に、岩手県においては米及び飼料作物のほかに、豆類野菜、果樹等についても大きな被害を受けており、これら作物被害についても適切な助成措置を講ぜられたい旨の要請がありました。  次に秋田県の状況について申し上げます。  本県も冷害により大きな被害を受けており、稲作被害については現在進行中のため断言はできないものの、作況指数は九〇を割るのではないかと説明がありました。特に被害が大きい地域は奥羽山系及び出羽丘陵を中心とした高冷地となっております。私たちが視察した鹿角市及び田沢湖町等は県内でも被害が最も甚大なところとされており、たとえば田沢湖町管内においては、例年五万俵の出荷をしていたのが本年は五千俵程度になるのではないかとの説明がありました。実らない青立ちの稲を前にして借入金の返済や出かせぎの心配をしている純朴な農民の姿はまことに痛ましいものがあり、調査団一同、救済措置に万全の努力を約束するとともに、今後の農業経営に挫折することのないよう精いっぱいの激励をしてまいった次第であります。  以上が冷害被害調査概要でありますが、ここで各県並びに地元から出されました各種要望を取りまとめ、調査団の意見を付して申し上げます。  第一点は金融対策についてであります。  まず、天災融資法並びに激甚災害法早期発動についての強い要請がありました。すでに御承知のとおり、政府においてはこれら法律の発動を十一月に入ってから行うと言明しておりますが、収穫皆無等の被災農民の窮乏度はきわめて厳しいものであり、早急に資金手当てができない限り今後の営農計画にも大きな支障を及ぼしかねない状況にあります。そこで、政府においてはかかる実情を十分認識し、迅速に被害調査を行い、これら法律の発動を一日も早く行うことを要請しておきます。またこの点と関連し、生活資金としての自作農維持資金につきましても、災害特別枠の確保と貸付限度額の引き上げにつき強い要請がありました。いずれにせよこれら資金については、一刻も早い貸し付けが緊要であり、これが貸し付け体制の整備までの間はつなぎ融資等による適切な救済措置が望まれております。  次に農業近代化資金等各種制度資金の既借入金について償還猶予期間の延長と利子の減免措置を講ぜられたい旨の要望がありました。この点については、被災農家は農機具等購入のための借入金返済に日夜苦慮しているところであり、政府の指導によりきめ細かい緩和措置が講ぜられるよう要請しておきます。その他金融対策につきましては、乳牛等家畜保留のため必要な低利資金の創設等について要請がありましたが、この地方における酪農等は近年ようやく発展の緒についたところであり、今回の冷害により経営が一たん崩壊すればその再建がきわめて困難な状況に置かれることは必然であります。政府におかれては、かかる点を十分認識し、手厚い助成措置を講ずべきものと思います。また畜産問題に関連して付言すれば、霜害等により飼料作物に大きな被害を受けた農家に対し、越冬用飼料の確保に対する国の助成措置につき強い要請がありました。  第二点は、農業災害補償法に基づく共済再保険金の早期支払い共済損害評価事務費の助成措置についての要望であります。政府はその支払いにつき十二月末までに実施すると言明しておりますが、現地における損害評価業務の状況は、事業量が例年の四倍から五倍にも上り、かつ事業費の不足等もあって必ずしも順調に進んでいないのが実情であります。そこで政府は、これら損害評価業務を一層促進する方策を講じ、被害農家に一日も早く共済金支払いを行うことを強く要望しておきます。  第三点は、等外米及び規格外米政府買い入れ等についての要請であります。本年度冷害においては収量の減収のほか大量の低品位米が産出されることが見込まれ、その販売方策が大きな問題となっておりますが、政府においては、早急に規格の設定と価格を決め、農家が安心して被害米の収穫と販売ができる体制をつくることが緊要と思われます。  また、この問題に関連し、米の事前売り渡し予約概算金の返納に係る納期の延長と利子の減免措置、次年度用優良種子、特に種もみの確保に対する助成措置、さらには飯米不足農家に対する配給割り当て枠の拡大措置等についても要望がありましたが、これらについても政府において十分な対策を講ずることを要請しておきます。  第四点は、救農土木事業による就農機会の拡大措置等についての要請であります。  御承知のとおり、今回視察した冷害地帯は、地元における他産業への就業の機会が少なく、従来から典型的な出かせぎ地帯となっております。このため、今回の大冷害により現金収入の道を閉ざされた農民は、従前にも増して出かせぎを余儀なくされる事態になっておりますが、いま以上に出かせぎ者を出すことは、畜産等を中心とした今後の農業経営に大きな悪影響を与えるばかりか、村落運営の日常業務にも支障を来すのではないかと懸念されております。かかる事態に対処し、県当局及び地元市町村においては、地元における就業機会の拡大を図るべく、いわゆる救農土木事業に着手しているところでありますが、いずれの県及び市町村においても財政力が弱く、さらに国による事業をこれら地域に重点的に実施されたい旨の強い要望がありました。  そこで政府に対し、本年度の予備費等の執行に当たっては、これら冷害地域対象とした救農土木事業に対し重点的な配分を行うとともに、早急にその事業規模を明確にし、また事業の内容についても、林業関係の作業等多くの者が就業機会を得られるものにするといったきめ細かい配慮をすることを要請しておきます。  第五点は、被害農作物の病害虫防除のための防除費等に対する助成措置についての要望でありますが、この点につきましても、農薬費及び防除機具の補助等につき、従前の例にとらわれることなく、できる限りの助成措置を講ずべきものと思います。  第六点は、冷害回避のための恒久的対策確立についての問題であります。もちろん今回の被害は、その過半が異常気象に起因することは明白でありますが、そのほか稲作技術体系等のあり方についても幾つかの問題が指摘されております。すなわち、化学肥料多投のための地力の低下、耐寒品種から銘柄品種への移行、水田の灌漑方法、さらには機械田植えの普及による田植えのおくれ等がその主なものであります。そこで国を初め関係者においては、今回の大冷害を契機に、こうした稲作技術体系についても十分反省し、冷害回避のための試験研究の充実等に積極的に取り組むことを強く要望しておきます。  以上、視察に基づく冷害被害状況とその対策につき申し述べました。  申すまでもなく、東北地方北海道とともにわが国最大の食糧基地であり、今後の食糧自給率向上に大きな役割りが期待されております。こうした中での今回の冷害は、これら地域農民に大きな打撃を与えたばかりでなく、わが国農業の将来に大きな試練を与えたものと言っても過言ではありません。  政府においては、かかる実情を十分認識し、冷害に苦しむ農民に対し、あすへの希望をつなぐ手厚い助成措置を早急に講ぜられんことを切に要請し、報告を終わります。(拍手)
  6. 湊徹郎

    湊委員長 次に加藤紘一君。
  7. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 第三班の調査結果を派遣委員を代表して申し上げます。  第三班は、湊委員長を団長に、竹内委員、津川委員、林委員、折小野委員と私の六名から成る調査団を構成し、去る十月三日から五日までの三日間、宮城県を振り出しに、山形県、福島県の順に、今年の異常気象がもたらした農作物被害状況について調査実施してまいりました。  さきに第一班、第二班の報告にもありましたように、本年は実に数十年ぶりという異常気象に見舞われたわけでありまして、このためわれわれの参りました三県におきましても、多くの農作物生育被害をもたらしております。中でも、水稲については、七月以降の低温による発育のおくれに加え、八月に入っても低温日照時間の不足による生育の停滞が見られ、また九月以降においても低温による登熟の阻害があり、例年ならすでに稲刈りの大半が終わっている今日でも、これを刈り取る状態となっていないのが共通した実情でありました。収穫期を迎えた農家では、文字どおり途方に暮れているというのが実情でございます。  われわれが調査に参りました被害地は、三県いずれとも山間部の高被害地のところでありまして、収穫が全く期待できないというところも随所に見受けられたのでございます。このような被害農家では飯米用の米もとれず、あすの生計を維持することさえ困難視されており、きわめて深刻な事態を迎えております。このようなことから、われわれ国会の調査団が来るという知らせが伝わるや、視察地はもとよりでありますが、隣接する村々から被害農家の皆さんが沿道に集まられ、祈るような気持ちでわれわれを出迎え、青立ちの水田を前にしてその窮状を切々と訴えられたのであります。  以上は、調査状況報告でありますが、次に順を追って各県の被害状況を御報告申し上げます。  まず、宮城県でございますが、九月二十四日の調査結果に基づきますと、水稲作付面積十一万九千五十九ヘクタールのうち、いまだ出穂していないものが四十三ヘクタール、出穂しても青立ち状態のものが千七百二十ヘクタール、傾穂してもほとんどもみが黄色とならないものが実に五千六百九十六ヘクタール、傾穂してもみの三〇%から七〇%まで黄色になったもの四万五千四百八十ヘクタールという結果が出ており、五分作以下の市町村がかなり出るとのことでありました。さらに、九月に入ってからのいもち病の発生被害を一層大きくして、二重の打撃を受けている実情であります。例年なら、すでに大半の地域で稲刈りが終わっているか、あるいはいまが最盛期というところでありますが、このような生育遅延で本年は刈り取り割合がいまだ〇%ということに相なっております。また、われわれが調査に入りました川崎町では、青立ちいもち病の二重禍に苦しめられ、どの水田も農業共済損害評価を求める白旗が立ち並び、その光景はまことに惨たんたるものでございました。  次に、山形県の被害状況について申し上げます。  これは、九月二十八日の調査結果となっておりますが、水稲作付面積十万一千八百七十八ヘクタールで、すべてが何らかの被害を受けており、これを被害率別に見ますと、九〇%以上の被害面積一千七百六十三ヘクタール、九〇%から三〇%までの被害面積一万二千八百九十九ヘクタール、三〇%未満の被害面積八万七千二百十六ヘクタールとなっており、その作柄は八五%から九〇%になるということでありますが、豪雪地帯の最土地域では七〇%から七五%という作況指数となっております。以上は県全体の平均的な数字でありますが、地域によっては、収穫皆無、三分作あるいは五分作と深刻な事態となっている町村がかなり予想されているのでありまして、われわれが調査に参りました西川町、朝日町、白鷹町では、このような天候不順による冷害昭和九年以来ということであります。当時は娘を売ってしのいだものが多かったそうでありますが、今年の冷害は、その異常気象による冷害にまさるとも劣らない惨状でありまして、農家被害はまことに甚大なものとなっております。  またちなみに、私たちが参っておりません庄内地方、比較的被害が少ないと言われておりますけれども、いわゆる山間地におきます立川町、羽黒町、朝日村、櫛引町等におきましては、山間部では内陸と同じようにかなりの被害が出ておるということも報告されておりまして、たとえば羽黒町の場合には、昨年度約五百俵を政府に売り渡した農家が、ことしは売り渡し予定がゼロとなるなどの被害が県の農業委員会から報告されておりました。  次に、福島県の被害状況について申し上げます。  福島県では、県全体の作柄予想は平年比八三%ということでありますが、作況指数七〇%以下の地帯は全県下にまたがっており、標高三百メートル以上の山間地の稲作はその高さにほぼ比例して被害を高めている状態でありますが、県内では中通り、浜通りに被害が集中的にあらわれているのであります。また、ここでは通常の防除以上の防除体制をとっていたにもかかわらず、いもち病が発生し、農民は二重の苦しみを味わっている実情にあります。われわれが調査に入りました浪江町、葛尾村、都路村を通じて言えますことは、県の奨励品種はもとよりでありますが、寒冷地向きの品種でさえ目を覆うばかりの惨たんたる成育状況であり、収穫皆無の心配をする農家がきわめて多いのではないかということでございます。被害農家の人々は、もみずりしてみればさらに被害は大きくなるのではないかとの不安でいっぱいであるとの暗たんたる訴えに気持ちの引き締まる思いをしたのであります。  これは山形県、福島県に共通して言えることでございますけれども、農家の人々が、ことしは刈ってびっくり、そしてもみずりしてなおびっくりという言葉が各地で聞こえました。以上から、だんだんその脱穀調製を進めていきますと、被害状況がまた大きくなるのではないかなというのが私たち調査団の一致した気持ちでございます。  以上が、各県の被害状況概要でありますが、今回の調査を通じ、現地の皆様から数多くの要望を賜ってまいっております。これは、第一班、第二班の調査団に伝えられました要望とほぼ各地とも一致いたすものと思います。その主要なものを御報告申し上げてみたいと思います。  まず、金融対策の要望についてでありますが、その第一は、被害農家農業経営の維持向上と、農家経営の安定を図るために、天災融資法並びに激甚災害法早期発動の措置でございます。  その第二は、被害農家の経営を維持するために自作農維持資金災害枠を設定し、必要とする融資枠を配分されるとともに、貸付限度額の引き上げ等、貸付条件改善についての要望でございます。  その第三は、異常気象による被害農家が広範囲にわたり、かつ各種資金の償還残高を有していることが見込まれるので、すでに貸し付けてある資金の条件緩和が円滑に行われるよう特段の配慮をされたいということでございます。  次に、農業共済金の早期支払い及び助成措置要望について申し上げます。  その第一は、各種共済事業にかかる政府の再保険金支払い早期かつ完全に行われるよう財源措置等に万全の措置を講ぜられたいということであります。その第二は、連合会の保険金支払い、組合等の共済金支払いに必要な資金の融通について、農業共済基金が円滑に対処できる措置を講じられたいということであり、その第三は、これは各地でかなり、細かな話だけれども重大な話だといって要望された点でございますが、農作物共済、特に水稲共済損害評価に特例措置を認め、現行一・七ミリのふるいを一・八ミリとして、落ちたものについては共済金支払い対象とするようその基準を改めていただきたいということでございます。第四は、冷害に伴う損害評価に要する経費について、例年にない出動体制をしいておりますので、農業共済団体等に対し損害評価の事務費の追加交付の特別措置を講ぜられたいということであります。  また、収穫皆無田等に対し見舞い金の交付の要望があったことを申し添えておきます。  次に、一般的な食糧対策について申し上げます。  その第一は、等外米及び規格外米について政府において全量買い上げされるよう、しかるべき措置をとられたいということであり、その第二は、米穀の予約概算金の返納に係る利子の減免、返納金の一時凍結の要望であり、その第三は、災害等によって米作農家に飯米の不足が生じた場合の政府米貸付制度の創設の要望でございます。また、稲作の再生産確保のため、種もみの確保に万全を期することが強く要望されたのでございます。  最後になりましたが、救農対策として土木事業等公共事業の増大の要望について申し上げます。  これは被害農家の賃金収入の道を開くための緊急措置要望であり、土地改良事業、林業土木事業及び一般土木事業の公共事業の新規または繰り上げ実施要望であります。特にこれら土木事業の選択に当たっては、いわゆる手作業が多い工事を優先して、一般土工労務費が被害地に十分に渡るように配慮していただきたいとの声が強かったのが私たち非常に印象に残ったところでございまして、特に林道開設等の事業が実際においては被害地において救農土木としてはメリットが大きいのだという声が随所で聞かれたのが印象的でございます。また、山間部では、積雪地帯の地域性を満たした事業実施が強く求められたのでありますが、これもいま述べたことと同様のことでございます。  その他、果樹、野菜、畜産等についての被害対策も強く要望されたのでありますが、余り長くなりますので割愛いたします。  われわれ調査団は、このような要請に対し、冷害対策として過去にとった措置の実現はもとよりでありますが、被害程度地域的な格差もあり、それぞれの事情に応じたきめ細かい対策を練り上げることを現地の皆さんにお約束してまいったのであります。  また、委員会におかれては、北海道東北地方調査結果を踏まえ、十分御相談の上、強力な対策ができるよう強く政府を督励してくださることをお願いし、簡単ではありますが、御報告にかえさせていただきます。(拍手)
  8. 湊徹郎

    湊委員長 以上で派遣委員からの報告聴取は終わりました。  この際、午後零時三十分再開することとし、暫時休憩いたします。     午前十一時二十六分休憩      ————◇—————     午後零時三十四分開議
  9. 湊徹郎

    湊委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。芳賀貢君。
  10. 芳賀貢

    芳賀委員 農林大臣に質問いたします。  本日、午前は特に当委員会において冷害対策のために、まず北海道に一班、東北に二班、これは国政調査の立場で委員会から現地調査に参って、きのう各班が帰ってきたわけです。午前中は各調査団調査結果の報告を行ったわけですが、残念ながら大臣はおられませんでした。ああいう報告は大臣も十分に聞いて、その趣旨を尊重して、間違いのない冷害対策を講ずべきだと思ったわけですが、農協の大会に行って演説しているということでしたのでやむを得ません。  それで、きょうは特に五十一年の冷害に対する政府としての諸対策に対して具体的な質問をいたします。  第一に、今次の冷害に対する激甚災害法とあわせて天災融資法の発動ですが、すでに十七号台風関係については、明日の閣議において激甚災害法天災融資法の適用の発動を行うということはわれわれも承知しておるわけですが、当然十七号台風の中においても農作物災害というものが相当含まれておるわけですから、そうなれば天災融資法の発動も同時に行うわけですね。そうすると、冷害に対する両法の発動というものを急ぐ必要があるわけですが、政府としては冷害に対する激甚災害法天災融資法の適用の決定をいつに予定しておるのか。激甚災害の方は国土庁所管ですから、その点あわせて明快にしてもらいたいと思います。
  11. 大石武一

    ○大石国務大臣 冷害につきましては、やはりいまなお農民にとりましては少しでも天候の回復によって被害を食いとめたいという気持ちで、稲刈りも大分おくれまして、作業が進んでおりませんので、その実態の把握というものはまだ必ずしも完全にできておりません。そういう中で、できるだけ早い機会にこの発動をいたしたいと考えておりますが、いまのところはどうしても十一月にずれ込むという見通しでございます。
  12. 河野正三

    ○河野(正)政府委員 ただいま農林大臣からお答えをいたしましたとおりでございますが、農林省の実態把握を待ちまして、十一月には冷害に関します天災融資法に係る激甚指定ができる見通しでございます。
  13. 芳賀貢

    芳賀委員 激甚災の発動の条件は、冷害被害総額が判明しなければ適用できないというわけじゃないでしょう。激甚災害法第八条の規定は、天災融資法についての特例ですから、ですから、天災融資法の発動を激甚災の指定を通じて特例措置を講ずるというのがこの第八条の規定になっておるわけです。その場合、激甚災の指定基準にA基準とB基準と二つあるのです。今次の冷害が、激甚法第八条に定めるA基準とB基準政府において調査した結果に基づいて該当しているかどうかということがわかれば、それによって指定ができるわけです。  そこで、この基準の発動については、災害が起きた当該年の推定農業所得額というものが基礎になるわけだから、昨年とことしでは推定所得額がおのずから違うわけですね。だから、その所得額を基礎にして、A基準並びにB基準というものを算出して、そうして適用する基準を、物差しですからあらかじめもう決めておかなければならぬのですが、それはどうなっているのですか。A基準、B基準の内容というものはどういうものなのか、国土庁でいいですよ。
  14. 杉山克己

    ○杉山説明員 水害関係冷害関係がございますが、冷害関係につきましては、先ほど農林大臣も申し上げましたとおり、被害の額はまだ確定できない段階でございます。しかし、現在の状況からして、A基準には当然該当するものになるだろうという見込みを立てておるわけでございます。したがいまして、被害の額を確定し次第、私どもは多分それは十一月中になると思っておりますが、できるだけ早期天災融資法を発動するということに予定いたしております。
  15. 芳賀貢

    芳賀委員 私の聞いているのは、A基準、B基準、つまり物差しがもう用意されておると思うのですが、それが金額的にどうなっておるかということです。
  16. 杉山克己

    ○杉山説明員 A基準額で申し上げますと、全国農業所得推定額は五兆二千五百四十八億円、それの〇・五%相当額がA基準の額でございますから、約二百六十三億円ということになります。
  17. 芳賀貢

    芳賀委員 B基準は。
  18. 杉山克己

    ○杉山説明員 B基準は〇・一五%相当額ということで、金額にいたしますと約七十九億円でございます。
  19. 芳賀貢

    芳賀委員 北海道の場合はどうなるのです。——B基準というのは、冷害被害総額、それも必要ですが、冷害を受けた都道府県全体の中の特に著しい一都道府県そのものが一定の被害を受けた場合には、それによってB基準というのが適用になるということになっております。だから、その場合には、北海道なら北海道農業を主業とする農家の戸数が全体の農家戸数の三%以上なければならぬという要件もあるのですよ。こういうのは杉山君だってよくわかっているわけだ。素人が質問しているのじゃないですよ。  B基準はどれだけになりますか。これは金額だけではだめじゃないか。
  20. 杉山克己

    ○杉山説明員 A基準の場合の金額だけを申し上げましたが、先生御指摘のように、Bの場合には、農業を主な業務とするものに対する特別被害農業者の数が三%以上の県、これが発動の基準の内規として定められております。B基準の方は、現在の段階ではまだそういう地域別のことはわかりませんが、少なくとも、私どもが現在の段階で判断しておるのは、A基準で見ましても当然天災融資法発動の対象に今回の冷害は該当するというふうに見ているわけでございます。
  21. 芳賀貢

    芳賀委員 私どもの調査結果によると、北海道を初め東北六県は、一県だけでなく全部B基準に該当するわけですよ、それだけ被害が甚大ですから。だから、それがわかれば激甚指定ができないということはないですよ。つくった物差しに当てはまっておれば、まず今次の冷害は激甚災でございますと進んでやるのがこれは当然じゃないですか。何のために十一月まで延ばさなければならぬのですか。
  22. 杉山克己

    ○杉山説明員 B基準の特別被害農業者の認定は、これは市町村長がするわけでございます。時期的にまだそれが出ていないということもございますが、天災融資法に係る激甚災の適用の問題は、その親になる、もとになる天災融資法自身が発動にならなければ、激甚災法だけをそれに適用するというわけにはまいらないわけでございまして、天災融資法はしかも資金の需要見込額、これをトータルとして政令上にもうたうことになっております。それらをあわせまして、同時に発動するということを考えておるわけでございます。
  23. 芳賀貢

    芳賀委員 だから、それはもう被害を受けた各道や県から上がってきておりますよ。われわれも、北海道へ行っても東北六県へ行っても、まず県を初め調査をした市町村はもう全部、特に激甚災と天災融資法の発動を速やかにやってくれと——大臣だって就任のときからもう宣伝しているじゃないですか。それがいまになって、十一月にならなければできないなんというのはおかしいじゃないですか。歴代農林大臣より一番遅いですよ、十一月にやるということになったら。大体やればやれるのですからね、いつやるのですか、そこだけはっきりしてください。あとはいいです。
  24. 杉山克己

    ○杉山説明員 大体、冷害の場合はいつも、収穫あるいは被害の確定を待ってということになりますと、やはり十一月下旬ないし十二月ということになるわけでございます。今回も十一月下旬には間違いなく発動するということで準備を進めておるところでございます。
  25. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、統計情報部長にお尋ねいたしますが、九月十五日現在の水稲の作況報告が行われましたが、この内容が、われわれ北海道並びに東北の調査を行った道や県別の作況の指数と相当大きな懸隔があるのです。北海道の場合には、農林省の場合には九月十五日現在の指数が平年作に対して八三%、北海道の集計した指数は七三%ですからね。同じ被害農作物対象にした厳密な調査結果が一〇%も開きが出るというのは、これは過去にそういう実例がないのです。どうしてそういう大きな違いが出たのか。実際に全国平均にして九五%の米が収穫できるという確信がそれによってあるかどうか、その点も明快にしてもらいたいと思うのです。
  26. 有松晃

    ○有松説明員 北海道庁の調査いたしました作況指数の積算基礎については私どもつまびらかにしておりませんけれども、先日北海道庁で明らかにされました際には、水稲についての被害面積がどのくらい、あるいは被害量、被害金額、こういうようなものは明らかにされておるようでございますが、この被害面積については私どもも北海道庁の見方はおおむね妥当じゃないか、こういうふうに思っているわけです。  ただ、それにもかかわらず、作況指数については七三と八三ということでどうして違いがあるか、こういうことでお尋ねじゃないかと思いますけれども、これは恐らく、私どもの推測ではございますけれども、作況指数を見る場合の基準のとり方と申しますか、私ども農林省の統計情報部は、作況を出す場合には平年反収を基準にしておりますけれども、農林省でも、被害を出す場合には平年反収ではなくて被害なかりせばという場合を基準にしておりますので、恐らく北海道庁の場合にもそういった被害のなかった場合を想定してではないかと思いますが、それ以上は私どももちょっとつまびらかにしておりません。
  27. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで九月十五日現在ですが、この平年作に対して北海道が八三%の収量が確保されるというふうに、その点は確信しておるのですか。数字が出たからしようがないというものじゃないですよ。
  28. 有松晃

    ○有松説明員 先日公表いたしましたのは、九月十五日現在の水稲の作況をつぶさに観察いたしまして、まあそれ以後の天候については平常に推移するであろう、こういう前提で公表いたしたわけでございますが、実際にはその後の天候はやはりかなり悪くなっておりますので、次回、また十月十五日に調査いたしますけれども、恐らく前回のものよりも若干悪くなるのじゃなかろうかというふうに考えております。
  29. 芳賀貢

    芳賀委員 たとえば、これによると青森県が九二でしょう。岩手八四、宮城が九一、秋田が九四、山形も九四、福島九〇ですね。北海道以外はほとんど、岩手県を除くと全部九〇%台じゃないですか。平年作に対して九〇%以上の作況ということになれば、大石大臣の言うように、四十年来の大冷害なんということにこれは当てはまらぬじゃないですか。  そこで、これは一般の九月十五日現在の作柄概況ですから、災害を受けた場合は、十九号台風であるとかあるいは五十一年冷害農作物被害概況調査というものを適期に行ってこれを公表することになっているのですね。いままでのところ農林省から冷害災害についての作況概況というのはまだ公表されておらない、これはどういうわけですか。
  30. 有松晃

    ○有松説明員 冷害につきましては、先ほど杉山審議官も申したと思いますが、まだ被害も進行中でございますので、もう少し被害状況が確定するのを待って、具体的には十月十五日現在の作柄を調べますときに冷害につきましてもしっかりしたものを調べて公表に持っていく、こういう予定でおります。
  31. 芳賀貢

    芳賀委員 それは定期の調査でしょう。八月十五日、九月十五日、十月十五日、これは災害がなくてもその時期には作柄概況を公表しなければならぬでしょう。災害が生じた場合は、その災害によって農作物がどの程度被害を受けておるかということを緊急に調査して、そうして被害概況の調査結果を公表することになっておるのですよ。  たとえば近くは四十六年の冷害の例を見ても、数度にわたって被害の概況報告をやっておるのですからね。ことしどうしてのんびりしてやるのかなとわれわれ奇異に思っておったのですが、それを十月十五日まで放任して、当然やる定期調査のときにそれで済ませるなんというわけにいかぬじゃないですか。定期調査では種類別の被害状況なんて出てこないじゃないですか。被害状況というのは水稲だけじゃないんですよ。畑作農産物についても全部具体的に、そして被害見込み金額までそれには付せなければならぬということになっているのですからね。それじゃ、それをやっていないのですね。
  32. 有松晃

    ○有松説明員 ちょっと先ほど言葉が足りなかったかと思いますが、十月十五日現在では水稲の作況の調査をいたしますけれども、それだけではなく、これと並行して被害についての応急調査、これは水稲だけではなくて、あらゆる作物について被害応急調査をかける、こういうことにいたしております。この被害応急調査は、もちろん災害の都度被害応急調査を行っておるわけでございまして、台風十七号の被害についてはもうすでに調査をして公表したわけでございますが、冷害につきましてはまだ冷害そのものが進行中である、こういうことで十月の段階では大体確定をいたしますので、その段階であらゆる作物について被害状況をつぶさに調査をして、これで公表する。ですから、これは定期の調査とは別に冷害に関する被害応急調査という形でまとめたい、こういうことでございます。
  33. 芳賀貢

    芳賀委員 しかし、われわれ調査団は、北海道においては農林省出先の北海道統計調査事務所から、一体被害状況調査はどうなっていますかというのを聞きましたところ、本庁の方へは被害内容についてはその都度取りまとめて報告しますという説明をわれわれ聞いておるわけです。したがって、これがまとまらぬと、先ほどの激甚災の指定の問題にしてもあるいは共済金支払いの問題等についても作業が進まぬわけですね。だから、必ずしも最終的に一度の発表でなければならぬということではないのでしょう。まじめにやっておる統計情報部長のときは数度やっておるわけですからね。それが十月十五日が最終的な確定被害額ということであればわかりますが、それまで手抜きをして全然やらぬというのはおかしいじゃないですか。迅速にやりなさいよ。
  34. 有松晃

    ○有松説明員 芳賀先生おっしゃいますように、統計情報部の出張所から上がってまいります九月十五日現在の水稲調査の際にも、水稲については被害状況がどうなっておるかということはもちろんあわせて報告してもらっております。ですから、内部的には水稲に関する被害については報告をとっておりますけれども、冷害についての全体の状況をまとめるのは十月、こういうことで申し上げたわけでございます。
  35. 芳賀貢

    芳賀委員 大臣、いいですか。今回の場合、統計の作業が非常におくれておるわけです。こういう点は農林大臣として的確な指示をして、ほかの部局が進んでおっても一つの局がおくれていれば、これは総合的な対策が進まないですからね。どんどん進んでいるところはいいですよ。おくれているところがどこかということをよくながめて、そういうおくれているところはあなたが鞭撻をするということでやらなければいかぬじゃないですか。
  36. 大石武一

    ○大石国務大臣 芳賀委員のお話の内容、お気持ちはよくわかります。実は私も就任しましたばかりのときは、九月十五日の全体の作況の報告をとる、その次は十月十五日だということを聞きまして手ぬるいじゃないか、もっと十月一日とか、九月三十日ごろにももう一遍中間でとったらいいじゃないかということを申したこともございます。そう考えておりましたが、やはりずっと中に座って様子を見ておりますと、このような正確な数字を全般的に北日本全体でまとめるということは大した作業でございます。ことにこの内容は正確なものでなければなりません。そういう意味でやはり一カ月の間隔というものはどうしても必要なんだ、必要な中間段階のものはとるにしても、一番大事な実態の把握を確認するためにやはり十月十五日——ことにいま稲の刈り入れがおくれている段階でありますから、そういうことで正確な内容にするのにはこのくらいのことでやむを得ないだろう。しかし、その間にもやることは全部整えまして、たとえば激甚災とか天災融資、そういうことにつきましてもこれは何回も発動し得るということは考えておりますから、当然前もって新聞にも、あるいは国会の答弁の中にも、すべての場合においてこれは発動するんだということをはっきり申し上げまして、この方向だけは考えるということだけ皆様に申し上げているわけでありますから、一カ月の間隔で正確な数字をとる統計のとり方は、いまのやり方ではやむを得ないんじゃないか、こう考えるわけでございます。
  37. 芳賀貢

    芳賀委員 これだけ議論してもしようがないんですが、水稲の作況にしても、まず七月十五日から始まって、その次が八月十五日でしょう。九月十五日、十月十五日、それから最終的には実収推定高の発表というのなら、あなたのいうように、一遍でよければ何も途中でやる必要はないじゃないですか。  次に、天災資金の最高限度額を現在よりも引き上げてもらいたいという要望が非常に強いのです。われわれも当然だと思いますが、そこで農林省としては、天災融資法による天災資金貸付限度額をこの際引き上げるという用意があるかどうか。その点はいかがですか。
  38. 大石武一

    ○大石国務大臣 天災融資の点につきましては、昨年倍額に引き上げていただきました。こういうことで、なるほど融資額は多ければ多いほど結構だと私も思います。ただ、全体的に考えますと、共済金、これは六割か五割ぐらいしか入りませんけれども、共済金も手元に入る。それから天災融資も激甚災害によって百万円になる。それから自創資金も百万円ある。そういうことを考えまして、その他いろいろな制度資金の既借入分につきましては延納を認めるとか、いろいろなことを考えますと、一応これで、ことしそれほど生活を落とさなくとも来年までの一年間は持ちこたえられるではなかろうかという一応の見通しを立てておりますので、多いにこしたことはありませんけれども、ことしはこの程度でやっていこうかといま考えておる段階でございます。
  39. 芳賀貢

    芳賀委員 これは大臣の勘だけじゃだめですよ。今回の大災害ですから、これによって来年の再生産に支障のないようにするために天災融資法というのはあるわけですから、つまりこれは営豊資金ということになるわけだから、それは間に合うとすれば、ほとんど被害激甚な農家は限度額満度の貸し付けをやるという方針であればそれは一応わかりますよ。しかし、従来は最低限度額というのは設定されておるが、なかなか満度の貸し付けというのは行われていないわけですから、改正をしないで十分被害農家要望を満たすことができるということであれば、北海道関係については一農家百四十万と百六十万、北海道を除いた県の場合は八十万、百万ですから、そういう範囲で十分な営農をするための資金が充足できるかどうかということが、これが大事なんですよ。これは局長でいいです。
  40. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 大臣の申し上げました、昨年引き上げをお認めいただきました融資限度の考え方といたしましては、農家の経営費の中の現金支出部分というものをカバーをするような限度ということで、昨年の引き上げをお認めいただいたわけでございます。大体農家経済調査などによりまして、全体の七、八〇%の農家をカバーをいたします経営段階の農家をとりまして、その現金支出部分をおおむね賄うような限度が現在のような貸付限度になっておるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  41. 芳賀貢

    芳賀委員 いまのその限度で間に合うかどうかということを聞いておるのですよ。間に合うとすれば、最高限度に近いいわゆる満度の貸し出しを行わないと、これは救済できないということになるのですよ。そういう方針で、ことしは改正を求めないで資金量をできるだけ大幅に設定して、これは政府の金じゃないですからね、農協を中心とした資金に対して国と都道府県あるいは市町村がこの利子の一部に対しての補給をやるわけですから、政府に資金措置が十分講ぜられませんというわけじゃないですよ、わずかな利子補給だけやるわけですからね。だから、やはり実態に合ったような最高限度額の引き上げというものはこの際行うべきでないか。冷害あるいは台風災害で全国的に災害を受けておるわけでしょう。だから、ことしは何とかこれで改正しないで済ませるというのであれば、満度に近い各農家に対する——これは必要のない農家は別として、そういう要求があった場合は、やはり関係都道府県等の需要額というものを基礎にして、その集計額を尊重して激甚法と天災法の発動の時期に融資額というものを同時にこれは決定して示すわけですから、そういう方針で進むのかどうか。その点はどうですか。
  42. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 融資額につきましては、御承知のとおり、原資は農協から出るわけでございますので、それに必要な利子補給額等は十分国で措置をいたしたいと思いますし、もちろん貸し付けの限度は農家の経営の実情ということによるわけでございますが、その実情に応じまして、できるだけ限度の範囲内で農家の需要にこたえるように、適切な金融機関に対する指導をいたしたいというふうに思っておるわけでございます。
  43. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、災害対策の目的の自作農維持資金の貸出方針について、ことしはどう考えておるかという点です。毎回の災害によって自創資金の貸出枠をふやして貸し出しを行っておるわけですが、それも限界があるわけですから、むしろその貸し出しの手法を変えて、たとえば五十一年冷害とか十七号台風災害による被害農家に自創資金の貸し付けを行うというような目的を明確にした自創貸金の貸し出しの方がむしろ効果的ではないかと私は考えておるのです。そういう点については、政府としてどう考えていますか。
  44. 岡安誠

    ○岡安政府委員 確かに自作農資金の貸付限度額につきましては、先生御指摘のとおり、連年災等によって負債を抱えておる農家にとりましては、限度額を満度に利用できないということがございます。ただ私どもは、先生十分御承知だと思いますけれども、従来からもこういう災害に当たりまして自作農資金を貸す場合におきましては、農家の負債、それからその都度受けました被害程度等を踏まえまして、きわめて弾力的にこの限度額は設定をいたしております。先生のおっしゃるとおり、この災害については枠幾らという方法も一つの方法かもしれませんけれども、むしろその方がきわめて機械的になりはしないかという気もいたします。それで、今回につきましては、やはり災害を受けたところが連年災害を受けたところに非常に似ておりますし、負債も相当抱えておるところではあるまいかと思いますので、従来どおり、実情に応じまして弾力的に措置をいたす方向で処理をいたしたいというふうに思っております。
  45. 芳賀貢

    芳賀委員 それじゃ従来方式でやるとすれば、これはやはり区分する必要があると思いますが、十七号台風関係冷害関係と、まあダブリもあるかもしれませんが、大体どういうような目標を考えておるのですか。
  46. 岡安誠

    ○岡安政府委員 これは先生十分御承知だと思いますけれども、農家災害程度に応じまして資金需要が出まして、天災資金法によります天災資金が出る、それを補完する意味で自作農資金が出るわけですから、まだ具体的に総枠も決まっておりませんし、具体的な農家実情もそれに合わして確定しておるわけではございませんが、従来は、これも十分御承知だと思いますけれども、それぞれの風水害とか冷害とかということに応じまして適用の都道府県を決めまして、そういう都道府県につきましては、限度の例外を認めるという方式でやっておりますので、今回も必要に応じてそういう方式でもって対処をいたしたいと思っております。
  47. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、災害を受けた地域収穫された米の全量買い上げの問題ですが、現地調査を行うと、収穫されて調整される玄米が、ほとんど現在の検査等級の四等級、五等級にも該当しないというような米が相当大量に出ると思うのですよ。そうなると当然、前例もありますが、この際特例措置を設けて、たとえば規格外の等級を設定する、あるいはまた等外上の規格を設定するというようなことを早期に行って、これらについてはいわゆる全面的に国が直接買い入れを行う、その他のくず米に類するようなものについては、当然、これはたとえば農協等の系統取扱機関を通じて、農林省が一定の取引指導価格というものを設定して、それによってできるだけ農家の実損を防ぐような、そういう措置が必要になると思うのです。最近は特に各町村に農協の共同利用施設としてライスセンターの施設がふえておるわけですから、そういう点から見ると、従来よりも早目にそうした規格外の数種類の等級を設定して、これに基づいて当てはまるように玄米調整を行って検査を受けてもらいたい、それについては政府として全量買い上げをしますという方針を速やかに発表すべきだと思うのです。  北海道調査の際には、今月四日の日から北海道の食糧事務所においては各被害地域の主たるところの収穫された玄米を集めて、それを基礎にして実態に合った規格外等の等級の見本、標本の作業を始めるということを言っておりましたが、これは一体食糧庁長官として指示してやらせているのか、現地が気をきかしてやっているのか、その辺がどうですか。大臣はただ調査に行っても、宣伝的に全量買い上げにすると言ったって、その後が直接国が買い入れをするものであるか、自主流通米による形でその一部、金利・倉敷ぐらいを出して、そして責任を回避することを考えておるのか、肝心のところがぼやけてわからないのですね。だから、この点はやはり責任のある大河原食糧庁長官からはっきりしてもらいたいと思うのです。
  48. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  第一点の基本的なお答えは、先生の御質疑のお言葉の中にも出ておりますが、本年は冷害に伴って相当ないわゆる等級なり規格に相当しない低品位米が出ることは事実であろうと思います。したがいまして、これにつきましては、従来も農家玉取りのことを考えまして、自主流通で処理できるものは処理する。政府買い入れ価格よりも農家主取りが過去においてもはっきり有利でございましたので処理いたしますが、これで全部片づくわけではございません。したがいまして、それにつきましては政府が買い入れを行うということで、ただいま準備を進めておるというのが第一点でございます。  第二点は、非常に具体的なお話でございますが、いずれにしても買い入れるについては規格の設定を早期にいたせ。しかも、本年出回る規格外米の品質に応じた規格の設定を早期にいたすというようなことでございまして、私どもは北海道、東北等の出先の食糧事務所に対して、本年出回る規格外米に相当するような米の質についてのサンプルの収集なり、それをいかなる規格を設定するかということについて早急の準備を進めておるわけでございますが、はっきり申し上げますと、実は本年は先生御案内のとおり十日ないし二週間、作がおくれておりますので、この地域における代表的ないわゆる規格外米の物はどうかという点について、サンプルの取り方が多少むずかしいという問題がございますが、いずれにいたしましても早期に本年の規格外米の質にかなった規格を設定し、買い入れ条件を決めまして、現地冷害農家のいろいろな御心配にはこたえていきたいというふうに考えております。
  49. 芳賀貢

    芳賀委員 長官、もう少し具体的にしてもらいたいと思います。  収穫が遅延しているのはこれは当然ですけれども、これは幸いといいますか今日まで農家が必死になって——気温が低下した場合、薫煙、古タイヤや青草を集めて薫煙をする、これによって大体二度ぐらいは低下を防げるのですね。零度ないしマイナス二度ぐらいまでの場合は薫煙によって何とか防げるのです。しかしマイナス三度とか五度になった場合は幾ら薫煙をしても、ただ火を燃したって、周囲は熱いが結霜を防ぐわけにはいかぬ。そういうことで、われわれの調査期間中の六日の朝はもう札幌周辺は結霜して、お昼ごろになるとその現象が出てきたわけです。そういうことでみんなもう一日も生育をさせたいということで刈り取りは待っておるが、しかし今度は十月末になれば北海道は降雪がありますから、わずかな期間にこの収穫作業を終わらさなければならぬ。いまほとんど刈り取りも機械化していわゆる大型コンバインですから、もうはざにかけないですから、生もみで袋詰めをしてそして乾燥をする。火力乾燥をして、そして農協のライスセンターへ持っていって集中的な玄米調整をやるということになるから、だから順におくれていくわけではないですよ。半月刈り取りがおくれたから、雪も半月おくれるだろうというわけにはいかぬわけだ。だからいまのうちにちゃんと規格外の検査規格をつくって各食糧事務所、出張所にそれを置いて、そして農家がそれを見てそれに当てはまる規格の玄米に調整をしなければどうしようもないでしょう。それを迅速にやらなければならぬじゃないかということを言っているのですよ。わかるでしょう。だから、それをいままでよりはやはり早くやらねばならぬと思うのです。少なくとも今月中旬ごろまでにはやらなければいかぬと思うのですね。  それからもう一つは、あなたの言うのは歯切れが悪いじゃないですか。自主流通米に乗せるものは乗せて、乗らぬものは買い入れする。それはどういうわけですか。それは農家の選択によって政府に直接売り渡ししたいというものについては全量買い入れする。政府の示した価格よりも自主流通米に乗せた方が幾ばくか有利に販売できるから、そして自分は自主流通米の方に販売したい、そういう場合それも認めるということか。その点が全く不明確じゃないですか。
  50. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げますが、いずれにいたしましても、売れ残ったものは政府が買い入れるということでございますが、農家なりそれの立場に立つ農協としては、自主流通米で販売した場合の方がその手取りが多いという場合があるので、その可能性のある場合には極力自主流通に回すということでございまして、最終は、残ったものについては政府がこれを買い入れる。規格外の規格が設定されて、それに該当するものは主食に配給可能なものとして規格が設定されるわけでございますから、これは買い入れるということでございます。
  51. 芳賀貢

    芳賀委員 それは逆でしょう。規格外の規格をまず設定する。前例もあるが、等外の上なら上もそういう検査規格を設定する、この分については原則としては政府が直接買い入れを行う、ただし農家の選択によって、自分は自主流通米の方が有利と判断されるのでその自主流通米で販売したいという場合にはそれを認めて、そうして農協においてそのルートで販売をさせる、そういうことじゃないのですか。
  52. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  まさに、自主流通米に乗せるかどうかは農協と農家の約束でございまして、農家の同意がなくちゃできないというのはあたりまえのことでございまして、そういう意味では農家の選択によって行うということでございます。  先生は農家サイドから農家の意思で買い入れ可能な規格外米の買い入れについての処理ということで、農家政府買い入れ要望すればそういうふうになるだろうということについてのお話を特に強調されておるわけでございますが、私どももそう思っておるわけでございます。
  53. 芳賀貢

    芳賀委員 長官、どうもいつもより歯切れが悪いじゃないですか。大臣よく聞いていてくださいよ。あなたの宣伝と食糧庁長官の言うことが合致していればいいですけれども、食い違うとなったらこれは重大問題ですから。  私がいま長官にただしておるのは、四等米、五等米の検査規格には恐らく該当しない米の方が半分以上の数量あるのですよ。これは前例があるわけですから、毎回の災害のたびに農林省の検査規定に基づいてまず規格外米規格を、これは一種類じゃないですよ、青米混入とか、未熟粒混入とか、被害粒混入とか、それをまた甲乙丙というふうに親切に数種類の規格を設定する。それから等外についても、等外の上とか中というものを設定をする。そうしてこの規格に基づいて農林省が示した買い入れ値段に基づいて、そうして全量買い入れを今日までは行ってきておるわけです。農林大臣の買い入れしますというのは、そのことを言っておると思うのです。ところが大臣も長官なんかに知恵をつけられて、何か自主流通米に乗るものは乗せてなんということをときどきあなたは言うでしょう。これが非常に被害農民に対して不安を与えておるわけです。とにかく政府の直接買い入れる限度数量というものは足りないでしょう、四等米、五等米の買い入れだけでは。当然そういう特別規格を設定して買い入れをしなければことしの米の需給計画を実行することができないのじゃないですか。とれなくてよかったとだれも考えていないでしょう。だからまず、規格外あるいは等外上等については規格を設定した場合は原則として政府が直接買い入れをする、ただし、被害農家が自分で選択をして、政府に直接売り渡すよりも自主流通米で販売した方が有利だという考えでそういう委託をした場合には、それも政府として認める、こういうことでなければ大事な冷害対策あるいは水害対策に絶対にならないのですよ。一番大事な点をどうしてうやむやにするのですか。何も食管の補正をする必要はないでしょう。食管の買い入れ予算というのは、この分なら余るじゃないですか。しかも高く買えというわけじゃないんだから。これはもう一回長官から、大臣にもわかるように言いなさいよ。
  54. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 ただいま先生のおっしゃるとおりでございますが、私どもは、農家手取りの確保ということから言いまして、自主流通米で販売された方が、地域によって手取りは違いますけれども、過去の災害において有利だった。したがって、そういうものでいけるものはこなしてもらう。もちろんそれではこなせないので、たてまえとして規格外といえども規格を設定する以上はこれは政府が買うということを申し上げたわけでございまして、最後は政府でこれを買い入れるということについては全く先生のお話のとおりでございます。
  55. 芳賀貢

    芳賀委員 その最後がおかしいんだ。どうしようもないときに買うという意味でしょう。だから、最初からこれは政府直接買い入れを——いいですか、長官、にやにやする場合じゃないぜ。たてまえは政府が買い入れをいたします、ただし、農家が選択して自主流通米で販売したいという場合には実態に応じた扱いをします、ここまで明快にしてもらわなければ全然だめですよ。
  56. 大石武一

    ○大石国務大臣 芳賀委員の言われるとおりです。とにかく食糧となる米は、これは全部政府で責任を持って買います。ただし、その前に自主流通米として売ることができて、それが農家の手取りに有利になるならばそれも結構でございます。しかし、いずれにしても、余ったものは全量政府が買いますということは、これははっきりと方針を決めてございます。
  57. 芳賀貢

    芳賀委員 大臣、災害で余らないのですよ。大した間違いを犯しておるでしょう。ことし九十万トン調整したのじゃないですか。いまになればそういう生産の調整をしなければよかったという反省があってしかるべきじゃないですか。何ですか一体、余れば買うとか、大災害によって最終的には米だけでも百万トン以上当初見込みより減収するでしょう、それは足りないということじゃないですか。国民全体に対してことしの需給計画というものはこの災害によって誤りだったということがもう立証されておるわけです。いい米がなければ、農家が好きにそういう規格外の米をつくっているわけではないのですから、だから災害対策とあわせて、食べられる米については一定の規格を設定して、責任を持って予約限度数量の範囲外だってこれは全部買うことができるじゃないですか。一体何をあなた方は言っているんだ。私の言うのは、原則としてはまず政府が直接買うということを明らかにする、しかし農家の選択によって、自主流通米というルートもあるわけですから、その場合にはそれに乗せて有利に販売をするようにします、どうしてこういう明快な答弁ができないのですか。
  58. 大石武一

    ○大石国務大臣 いま、そのとおりでございますとはっきり申し上げておるのです。全くそのとおりでございます。
  59. 芳賀貢

    芳賀委員 それならまあいいでしょう。間違いなく長官、やってくださいよ。  次に、農業共済制度による共済金支払いの問題ですが、時間が余り残ってないので要点だけ申します。  現地をわれわれが調査して、地元農業共済組合やそれからお会いした農家の一番痛切な訴えというのは、もうほとんど北海道においても共済被害認定のための悉皆調査というのは終わっているのですよ。いま連合会段階の確認作業を進めておるわけですけれども、これは担当者は皆わかっておるが、とにかく収穫量の認定については一・七ミリのふるいを使って、ふるいに残ったものが収穫量ということになる。ふるいの下はくず米ですから、これは収量とは認めないわけだから、そこまではいいが、それじゃわれわれが現物を見て、けさも北海道班の片岡団長が現地の現物を持って、そこで皆さんの参考に供したのですけれども、ふるい上の分も、これはいま論議した等級にそのまま入るというものはほとんどないのですね。それではどういうふうな選別をしたらそれが政府の買い入れになるかという問題は、これはいまの規格外あるいは等外米の設定によって買い入れができるが、そうなるとふるい上の分も、あるいは五割とか三割はやはり規格外にも当てはまらないというような事態になるわけですね。そういう実態というものは十分に判断をして、従来も搗精歩合による減収率及び搗精したものを拝見して減収率を控除するとか、共済関係でも皆さんが苦労してやっておるが、ことしは従来にないほど収穫量の認定というのは困難をきわめると思うのです。これは吉岡局長でいいですれども、十分な対応をしないと、せっかくの農済制度というものが被害救済をすることができないということになるわけですね。  それからもう一つ、現地農家は、共済の場合には一・七ミリの段ぶるいを使う。ところがその玄米を調整して、食糧事務所で検査を受ける場合は一・八ミリの米選機を使って、つまり一・八ミリ以上というのは検査等級に入る米の規格ということになっておる。だから、一・七と一・八の間には〇・一ミリというのがあるのですよね。一体これはどうしてくれるんだという素朴な声ですけれども、こういう問題については同じ農林省の中の共済担当の経済局、それから米を買い入れる食糧庁と十全な——今回はどこへ行ってもこの声が強いわけです。片岡委員も瀬野委員も、これは帰ったら農林省に明快にせなければならぬということで話し合ってきたんですけれども、この点を明らかにしてもらいたいと思います。
  60. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 共済組合で一・七ミリ目段のふるいを使いまして収量をはかることはおっしゃるとおりでございますが、このはかり方というのは、先生御承知のとおり、統計情報部の収穫量のはかり方と基本的には一致しておるということでやっておるわけでございます。そこで、ことしのように災害によりまして米の品質が著しく低下をしたというような場合には、その一・七ミリ目段以上の米でございましても被害粒を除くということをやりますほか、搗精をいたしてみまして、その搗精歩合の減少を収穫量から控除するというふうな方向でやりたいというふうに思っておりまして、従来もそのような特例措置をとったことはございますが、特に今次災害におきましてもそのような特例措置を活用いたしまして、適正な損害評価をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  61. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで一・八と一・七の関係、食糧庁どうなんですか、こういう年は。
  62. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  共済損害評価基準におきまして、縦目ふるいの一・七のふるい上、ふるい下という問題はございますが、私どもの検査の場合におきましては、その縦目ふるいの目の大きさというものを制限しておりません。出てきた米につきまして、青米なり未熟米、その他品位等も見まして格づけをいたすというたてまえになっております。
  63. 芳賀貢

    芳賀委員 その点は明快です。  それじゃ、あと項目だけを私から申しますから、それに対して簡潔に答えていただきたいと思います。  特に、先月、九月十六日にわれわれ社会党の冷害対策本部の代表が大石大臣に直接お会いをして、社会党としての対策の具体的な内容をお示しして、大臣におかれても全面的にこうした対策は、緊急対策にしても恒久対策にしても必要である、ともどもに協力して、甚大な被害を克服するためにお互いに努力しようということを言われたので、この内容はよく御承知でありますが、そこで、先ほどまだ触れておりませんところのこの被害農家に対する今年償還すべき制度資金の償還猶予措置、これは当然行われると思いますが、その点。  それから次に、再生産用の種子。これは水稲地帯においても、町村によっては、自分の町では二千五百町歩あるいは四千町歩の健全な種の確保が全然できない。それで北海道の場合には、北海道庁を通じて他の町村に供給を依頼しておる。東北諸県においてもそういう事情があるわけですから、この種子の確保については、農林省としても来年健全な耐冷性、耐病性の種子を確保して、農家が安心して耕作できるようにしてもらいたい。  それから、畑作地帯においても、特に大豆とかその他の豆類の種等についても確保できない地帯もあるので、こういう点については農林省から関係道県に伝えて、健全な種子を確保すべきである。  それから、畜産、酪農地帯も相当大きな被害を受けた地域があるわけですから、これについては越冬用飼料対策を中心にして、まず政府の保管飼料等についてはできるだけ安売り措置で畜産農家に対して売り渡しを行ってもらいたい。あるいはまた粗飼料の確保等についても、できるだけ融資とか助成措置を講ずべきである。  それから、その次はことし政府に売り渡しの予約をした農家が、一俵三千円の予約概算金をもう受け取っておるわけです。百俵の場合には三十万円ということになるわけですが、収穫皆無のような農家はこの予約概算金を返すことができないわけですね。これについても延納措置というものが従来もあるわけですから、農家実情に基づいて、概算金についても先取りをするということでなくて、その概算金の返納の猶予、あるいはまた猶予された期間における金利の免除等についても確実にやってもらいたい。  それから一番大きな点は、先日も大臣の言われたように、被害農家が冬期間現金収入を確保しなければ生活が窮迫するわけですから、これについては重厚な救農土木事業中心にして、地元において被害農家現金の確保ができるような措置を講ずべきだと思うのです。これについてもまず国の責任で仕事を行う。次は道や県の仕事でやる。地方財政が窮乏しておる末端に押しつけてやれと言ったって十分な効果が上がらぬわけですから、どういうような工事が直接農家が参加して就労できるかという点を、現地の道や県や町村の要望を入れて、それに合致した対策を進めていくべきだと思うのです。これは当然農林省、建設省とか、北海道の場合には北海道開発庁とかいうようなところで、まず国主体に積極的にやるべきである。どうしても町村が一部やる場合には、それは起債の措置とかその費用に対する補てん措置等を政府として講ずべきである。  それから健康保険税とか、それから国税とか地方税の減免措置ですが、これについても大蔵省、自治省、あるいはまた健康保険関係は厚生省来ておられますね。その被害農家の国税に対する減免とか地元市町村等の地方税の減免とか——地方税の減免をやれば、自動的に健康保険税の減免措置もやらなければならぬということになるわけですから、これは各省にまたがるわけです。それによってまた予定された市町村地方自治体の税収も落ち込むということになるわけですから、こういう点についてはやはり遺憾のないように重厚な措置を講ずべきである。  それからこれは直接の被害ではないが、大きな冷害地帯の農村等においては、その地元の中小商工業者等も相当経営上困難をきわめるということになるわけですから、こういう点についてはやはり制度に基づいた年末金融であるとか、経営のための資金の融通等については、これは通産当局ですが、農林省からもそれを指摘して、政府総体において十分な対策を講ずるようにしてもらいたいと思う。  あとまだ数点ありますが、同僚委員からの大事な質問もありますので、以上の点について大事な点だけを簡潔に各関係者においても答弁をしてもらいたい。
  64. 杉山克己

    ○杉山説明員 各般にわたる御指摘でございましたが、総括的に御説明申し上げます。  まず、既貸付金の条件緩和の問題でございますが、国からいろいろな制度資金の手当てがなされておるわけでございます。たとえば農林漁業金融公庫資金でありますとか近代化資金、あるいは自作農維持資金、そのほかございますが、そういった既存の貸付金につきましては、償還期間の延長そのほか条件緩和について、これは当然考えているところでありまして、すでに一昨日、五日付をもちまして、農林経済局長名をもって関係金融機関に対してその旨の指導通達を出しているところでございます。あわせて農政局長を通じまして、都道府県に対し、それに関連する指導なり諸措置、できれば都道府県等においても利子補給もしてもらえればというようなことも含めまして、指導方よろしく御配慮願いたいという趣旨の通達を出しております。  それから、種もみの確保対策、これは来年度の再生産のためにきわめて重要な対策であるというふうに考えております。確かに狭い地域の中、あるいは県内だけでもって必要な種もみが確保できないという問題も出てまいります。特に、県間にわたりますような場合は、これは早目に手当てをする必要もありますので、国が一番情報もしっかり持っておるわけでございますから、その調整対策、いますでに事情を聞いておりまして、国がこれを積極的に指導していくということを考えております。また、従来種もみについては助成を行った事例もございます。それらのこともできないかということで検討しているところでございます。  それから、越冬用飼料の確保対策、これはこの冬、越冬用飼料に事欠くということでは畜産農家に非常に大きな影響があるということで、その供給確保などの措置をいろいろ原局において検討いたしております。なお、必要がある場合には政府手持ちの大麦もございますので、これを売却するというようなことも考えておるわけでございます。  それから予約概算金の延納でございますが、これは全体としての農家に対する資金措置天災融資法による経営資金の融通でありますとかあるいは自作農維持資金、さらには既貸付金の条件緩和というようなことで全体の資金手当てを考えているわけでございます。  そういう措置とあわせ考えるべきことかと存じますが、なかなか法律的な性格もありまして、直接これの期間を延期を認める、延納を認めるというのは困難でございますが、利子の減免等の問題と関連いたしまして、利子につきましては、被害の著しい地域被害の著しい農家に対しては減免する制度もございますので、その枠組みの中で措置いたしたいというように考えております。  それから救農土木、これは国中心にやるべきではないかというお話、国としても十分そういった事業をやるという考え方のもとに、ただいま現地でもってどれだけ就労の希望があるか、それをまた実際にこなしていくのにはどのような事業があるかということで、各道県と打ち合わせをしているところでございます。私どもといたしましては、労働力の吸収に役立つような小規模の事業、余り大型の機械を使うような事業は適当でございませんので、そういう小規模の土地改良でありますとか、あるいは林道でありますとか、あるいは造林でありますとか、そういったような事業中心に救農土木対策を仕組んでまいりたいというように考えております。  地方の負担につきましては、起債の問題については関係省庁といろいろこれから協議を一すでに一部協議を行っているところでございますが、最終的な需要額を見た上で、さらに要請するところは要請するということで進めてまいる所存でございます。  健康保険でありますとか税でありますとか、そういった各般の政府全体にまたがる問題につきましては、それぞれ所管の役所もあるところでございますので、今回の冷害状況につきまして、ここは何といっても私どもが一番よく承知しているわけでございますから、その状況を連絡して、適切な対策をとるよう要請をいたしているところでございます。
  65. 舘山不二夫

    ○舘山説明員 被害農家に対しましては、国民健康保険税の減免ということを、住民税の場合と同じく市町村が行うわけでございます。そうしてこの減免措置を行った結果、市町村の国保財政に穴があく、この穴に対しましては特別財政調整交付金の交付を行う、こういうことになっておりまして、市町村の国保財政の運営に支障がないように国としても対処してまいりたいと思っております。
  66. 平岩金一

    ○平岩説明員 お答えいたします。  冷害によって被害を受けられました被災者につきましては、地方税について、御案内のように被害状況に応じて徴収猶予ないし税の減免措置を行い、救済対策に遺憾なきを期すよう地方公共団体に対して指示をいたしているところでございまして、なお特別交付税等の措置につきましては、減免等に伴う減収その他の財政事情を踏まえ、今回の冷害に伴う農作物被害状況等を勘案いたしながら措置してまいりたいと存じます。  なお、いわゆる救農土木事業につきましては、窮迫した地方財政の現状にもかんがみ、国において所要の措置を講じていただくべきであると考えておりまして、国における所要の措置が講じられる場合におきましては、当該事業に係る地方負担については地方債で措置することといたしてまいりたい、かように存じております。
  67. 松尾成美

    松尾説明員 冷害で影響を受けました中小企業に対する金融につきましては、まず資金量でございますが、全体として第三・四半期には九千三百七十四億、当初計画全体、年間の三分の一の金を準備してございますので、資金の量については御心配ないと思います。この中で優先的に配慮してまいります。  個々の貸し出しにつきましては、窓口におきまして、こういう災害に関連するものでございますから、極力弾力的に対処していくということで態勢を整えております。
  68. 掃部實

    ○掃部説明員 お答えいたします。  被災納税者につきましては関係法律をフルに適用するとともに、その運用に当たりましてもきめの細かい配慮をしていきたいというふうに存じております。  被災地における各署に対しましては、すでに被災の状況の実地調査を指令いたしまして、現在被害状況をつぶさに調査の上、その実情に沿った処遇をしていきたいというふうに考えております。
  69. 湊徹郎

    湊委員長 次に、米内山義一郎君。
  70. 米内山義一郎

    ○米内山委員 芳賀委員とセットで質問いたします。  委員派遣として青森岩手秋田の三県を調査してまいりましたが、これにつきましては先ほどわれわれの団長から委員会報告がありましたとおりです。三県を回りましてよく言われたことは、先般大臣がわざわざこっちへ来て、必要なことは何でもやる、こうおっしゃってくれたから、国会としては政府が、少なくとも大臣が言明したことだけは全部やってもらいたい。われわれの団長もわれわれ団員一同も、それは国会議員としての責任でもあるし任務だから、必ずやらせるようにするということをそれぞれの場所で公約してきたわけです。ただ、こういう政策というものは、やりたい、やりますだけでは政策にならぬのです。特に冷害対策においては、時期を失するならば何にも意味のないことがたくさんあるわけです。特にいま芳賀委員が一番重点を置いて質問した規格外米の買い入れの問題です。  これは農家から見ると、被害が大きくなるか軽くなるかの分かれ目なんです。しかも実際問題として、これは早く明確でないと意味をなさない点がある。いま芳賀委員が申し上げたとおり、非常にライスセンターとかカントリーエレベーターが普及しておりまして、これが明確でない限り四等米を五等米に調整することもきわめて困難です。カントリーエレベーターの機能が発揮しないわけです。そうしているうちに時期がずれちゃう。非常に切迫しているわけです。ですから、いま政府が買うということが明らかになりました。そこで、規格外米の格づけですが、どういうものはどういう価格で買う、それを明確にするのがいつごろかということをまずはっきりしていただきたい。
  71. 大石武一

    ○大石国務大臣 ただいまのお話はごもっともでございます。それで、私は先日すでに食糧庁長官に対しまして、十月中にはこの規格基準をはっきり決めて方針を明確に公表すべきであるということを言い渡してございます。いまその方針で鋭意努力いたしている段階だと思います。
  72. 米内山義一郎

    ○米内山委員 次には、制度資金借り入れの償還の問題なんです。昭和初期の凶作と違いまして、あのころは銭を借りたくとも小作人には貸す人がない。売るものがないから娘を売ったという時代をわれわれは経験しているが、いまこの凶作の激甚な地帯では今日の飯米さえない状態があります。来年の十月になれば五百キロの牛に仕立てて売ろうとしている未成熟の肉牛を現在二束三文で売っているわけです。これはなぜかというと、生活資金も必要だし、借金の償還にも迫られている、こういうことなんですよ。ですから、この負債の処理の問題については緊急迫られます。そこで、この各種制度資金は十二月二十日が大体償還日になっていて、農民も農協もこれで頭にきているわけです。これの償還の延期は、ことしは延期は認められるが、来年二年分取られるというのじゃこれは後遺症がさらに深刻になるわけだから、今年度の償還分はその償還期限の最終年次に回してもらいたい、そうしてそれに対する利子の補給もしてもらいたいというのは各県共通の一番切迫した要請なんですが、この償還年次を期限の最終年次の次の年に回す、こういうことについてはどういう御処理をなさいますか、金利の補給とあわせてお答え願いたい。
  73. 大石武一

    ○大石国務大臣 私はただいまのお考えは正しいと思います。来年二年分を取ったのでは余り意味がないと思いますから、やはり延ばすならば最終年度に回すか、二、三年度後に回すか知りませんが、そういうふうに無理のない償還の条件をつけるべきだと思います。  金利につきましては御要望どおりすることが妥当だと思いますが、詳しい法的なことはわかりませんので、できるだけそのような方向に進めてまいりたいと思います。
  74. 米内山義一郎

    ○米内山委員 次には、生活に要する資金というものはきわめて……
  75. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 ちょっとただいま大臣のお話について補足して御説明申し上げますと、公庫資金等について非常に借りております農家が返済に困るというふうな場合に、先ほど先生のお話のございました後年度に不均等償還をするというふうな措置も含めまして、中間据え置き期間を設定するとか、そういう具体的な条件を金融機関が農家とそれぞれ相談の上、実情に即した措置をとる、こういうことになっております。  それから金利の、利子の減免という点につきましては、利子というものはそれぞれの資金の性格に応じてできておりまして、このような償還期間の延長等の措置をとるということによって対応することにし、やはり利子そのものを減免するということは非常にむずかしい問題であると思っております。
  76. 米内山義一郎

    ○米内山委員 次には自作農維持資金災害枠というものを五十一年度災害用という別枠で融資してもらわないと、すでにこの限度いっぱいまで借りている農家がかなり多いわけです。今度の災害に向けまして枠を拡大するという要請がきわめて強い。これはどういうふうに処理される方針ですか。
  77. 杉山克己

    ○杉山説明員 自作農維持資金の枠の問題は二つ、二つといいますのは二段階の問題があるかと思いますが、一つは全体としての総需要の枠を確保できるかという問題と、もう一つは先生おっしゃられたのは多分一人一人の個々の農家貸し付けの限度額ということであろうかと思います。  後者の方について申し上げますと、これは原則として一戸当たり百万円ということになっております。ただ、連年災を受けまして、すでにある程度借りている、百万円の限度額では残るところわずかしか借りられないという者に対しましては、これはその状況に応じて増額できるよう現在その実情調査して検討しているところでございます。
  78. 米内山義一郎

    ○米内山委員 次に、切迫した要請の一つに先ほども申し上げたとおり育成中の家畜を売らなければあすの日が立たない、また家畜を飼育するにえさ代もない、えさも霜害でなくなったという農家のために、緊急に家畜を売らなくてもいいような資金のめんどうを見てもらいたい。これを政府にひとつ要請したいということでありますが、大臣はこれをどうお考えですか。
  79. 大場敏彦

    ○大場政府委員 冷害で家畜を手放さなければならないという事態が懸念されているわけでありますけれども、それに対しましては、いろいろ御答弁がありましたように、共済支払いだとかあるいは天災資金だとかあるいは自創資金、そういった資金の早期支払いという形で対応する考え方であります。  ただ、御指摘になりましたように、その間の、それらの資金が交付されるまでの間のつなぎということがありますので、それにつきましては、先ほど答弁がありましたが、経済局長の方からこの五日でありますけれども、つなぎ資金の融通についての要請を各機関にいたしているところであります。
  80. 米内山義一郎

    ○米内山委員 順序を追って聞きますが、先ほどの芳賀委員の質問もありましたが、予約前渡金の問題なんです。これも被害激甚農家の一番大きな心配なんです。これの延納及び利子補給について、もう一度明確に御答弁願いたい。
  81. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  先ほど芳賀委員の御質問に関連して杉山審議官のお答えしたとおりでございまして、延納はその対象農家にとりましては資金繰りの問題でございます。これについては、共済金支払いがある以外に、天災融資資金なりあるいは自創資金、また、ただいまも御指摘がございました既制度資金等の借り入れと償還の猶予というようなことで対応するのが適切ではないかというように考えております。  ことごとしく細かいことは申し上げませんが、債権の延納等の条件緩和については、いろいろ法律的運用でもむずかしい問題もございますので、それらの全体の資金の措置によってこれを扱ったらいかがかというふうに思っております。  なお、さらに概算金につきまして、農協等の指定団体との約定では、農家がお困りになりまして返せないというときには、代位弁済制度というのが設けられておりまして、農協が代位弁済をして、そして被災農家の資力の実情によって農協が返してもらうというような制度の運用の方が実際に即した制度ではないかというように考えております。
  82. 米内山義一郎

    ○米内山委員 今度の大凶作というものは、もちろん異常気象、異常天候という自然現象によるものであることは明らかなのだが、これをさらに重くした、輪を加えた理由の一番大きい一つに政府の政策があると思う。  第一番には食糧が余った、商品価値の高い、つまりうまい米をつくれ。うまい米というものは例外なしに激甚な冷害を受けていることは、大臣が、御自身の宮城県でおわかりのことだと思う。これは一つの政府の方針転換を迫られている事実問題じゃないか。     〔委員長退席、今井委員長代理着席〕  大体、漁師にマグロよりうまいタラをつってこいと言ったってこれは無理な話だ。うまい刺身を食わせるのは料理人の責任なのだ。百姓にうまい米をつくれと言ったら、母ちゃんの仕事がないのだ。ここらあたりに根本的な間違いがあると思うのだが、これは技術の問題でもあるし、政治の問題でもあるが、大臣は今度冷害地を御視察になって、この点に政府として反省すべき点のあることを感じられなかったかどうかをお聞きしたい。
  83. 大石武一

    ○大石国務大臣 お話しのとおり、政府のいままでの行政と申しますか、その中にも反省すべきものは多々あると考えております。
  84. 米内山義一郎

    ○米内山委員 ただ反省じゃなく、稲の品種の問題ですよ。自主流通米とか、うまい米づくりといって、耐病性のない、耐冷性のない、異常気象が来れば被害を三倍にも五倍にもするようなものを奨励した、その責任についてどう考えるかということです。
  85. 大石武一

    ○大石国務大臣 私は、うまい米をつくるということは間違っていないと思います。何でも品質のいいものをつくるということが、お互いの努力であり進歩であると思います。しかも、いま米がこのように余りまして、非常に農政上の重大な問題になっておりますが、このように米が余った原因はいろいろありましょうけれども、その中の一つには、以前の供米制度が長いこと続きまして、米がうまくなくなった、そういうことにも米の消費量の減退した大きな原因があると私は思います。そういうことで、私は、うまい米、よい米をつくることは決して悪いことではない、正しいことだと考えております。  そういう意味で、御承知のように、農林省でもあるいは民間でもどこでも、よい、うまい米でありながら、同時に病虫害や冷害にも耐え得るような米をつくろう、稲をつくろうということでいろいろ努力してまいっております。たとえば、わが宮城県で申しましても、以前はササシグレという米の品種がおいしいというので大分つくられましたが、これが耐病性が弱いというので改良されまして、ササニシキになりました。そのササニシキも、近ごろはいもちその他の病虫害に弱いというので、今度はトヨニシキというふうにだんだん変わっているというように、お互いに努力をいたしておるわけでございます。この努力の結果、次第次第においしい、品質のいい、しかも強い稲がつくられていくのだ、こういうことで農業の進歩があると私は思うのでございます。そういう意味で、私は、うまい米をつくるということに対しては、そう間違いはなかったと信じております。
  86. 米内山義一郎

    ○米内山委員 私はそういう趣旨で聞いているのじゃないのですよ。うまい米をつくることには反対じゃないが、うまい米でなければならないという奨励方針が間違いじゃなかったか、こういうことなんです。  そこで、今度の冷害凶作を見ると、明らかにそういう行政上からくるしわ寄せもある。さらに技術上の問題があるのです。たとえば極端な、災害のひどい場所に行ってみますと、畦畔一本を境にして、こっちでは作況指数でいうならば九〇ぐらいの稲がある。すぐこっちにはゼロの稲が立っている。これは決して隣の田とこっちの田に別々に低温が来たわけじゃないし、大量の熱や光線が不公平に照ったわけじゃない。ここに行ってみると、第一番に、いわゆる奨励品種といううまい米の方が青立ちになっている、あるいは病害を受けている。こうしてみると、新種をつくり、これを奨励し、さらにこれを奨励品種にするという行政上の問題に、冷害地の実情に沿わないことを国の方針として押しつけた結果が明らかだと思うのだが、これを具体的にお答え願いたいと思うのであります。
  87. 大石武一

    ○大石国務大臣 近ごろの農政は、余り農民に押しつけをやらない方向だと私は考えております。余り押しつけをしてはいけないのだと思うのでございます。たとえば、いま申しましたように、今度の災害におきましては、もちろん異常な天候に対しましては、われわれがどのように努力しましても、これは抵抗できません。しかし、それにしても、ある程度の備えや心構えがあれば、ある程度の抵抗はできるわけでございます。今度の場合は異常な天候でありますが、たとえば、そのような品種をなぜ高いところに植えたかというところにも問題があるわけでございます。私は、この災害の視察で岩手県の南山形という地域に参りました。ここは二百三十メートルくらいの高冷地でございます。ここは全部青立ちであります。聞いてみますと、町長さんはこう言いました。ここなんかは昔は米なんか一つもつくれなかった。馬を中心とした畜産地帯であった。それで生活を立てたんだ。ところが、戦後、米はもうかるもうかるということでみんな米をつくる。つくるなと言っても無理につくってしまったために、四百ヘクタールばかりたんぼはできたけれども、しょっちゅう災害に遭って苦しまなければならぬのだという話をされました。私は、これも一つの、農政のいままでのあり方がこうなってきたのだと思うのです。やはり適地適種と申しますか、お互いに稲の品種は一番適当なところに適当なものを植えることが正しかったと思います。それを、農林省の指導もそういう点は足りなかったかもしれません。そういう点で、われわれは農政の過ちも認めますし、また同時に、高度経済成長のことを考えますと、だれでもやはりできるだけ高い所得を得たいという気持ちは無理もないと思います。したがって、米をつくっては適当でないところに開田をして米をつくったり、いろいろな条件があったと思うのでございます。そういうことがやはり今日の冷害の一つの原因になっているのではないかと思います。  もう一つは、これはちょっと申しにくいことでありますけれども、農民の中に、全部とは申しませんが、必ずしも稲づくりに対して本当に情熱的な働きをしていない人がずいぶんあるのではないかと思うのです。近ごろは—————————米づくりはできると言われております。機械さえ使えば簡単に、八十時間か、何ぼかの金をかければ米はつくれると言われる。金肥をまいて……(発言する者あり)そういうことを言われております。そういうことではいけないと思うのです。私は、言葉が悪ければ取り消しますが、簡単につくれるという考え方が私は間違っていると思う。全り簡単につくれますと、たんぼに対する情熱というものが薄らいでまいると思います。たんぼに対する手入れが少なくなると私は思うのです。そういう意味で、地力が衰え、いろいろなことで冷害に対する抵抗の弱さがあるような気がいたします。そういうことで、そういう正しい指導をできなかった農政の過ちは率直に認めますが、そのようないろいろなことが重なって、今後はやはりもっと適地適産的な物の考え方を中心として農政を進めたいと考えておる次第でございます。
  88. 米内山義一郎

    ○米内山委員 まあ、お医者様から見れば百姓などというものは———————含むと思っているかもしれないが、百姓から見ると、あなたのような人にも———————もいると思っているかもしれないのだよ。そういうことはかりそめにも口から出るものじゃないと私は思う。素人の、医者のあなたと農業の技術問題で議論することはばからしいと思うが、技術の前に考え方の問題があるのです。われわれはその中で生きてきている。冷害地で米をつくるには、考え方の問題として、条件の悪いときにも安全確実に収穫を上げられることが第一の考え。そして条件のいいときはさらに安全に多収できるということ。それができた後に味のいい米もつくるべきなんです。ところが、安全多収というものもできない中に、冷害地を含めてうまい米、うまい米という育種方針をとってきていることは事実なんです。もう多くとれる米はつくるなと言わんばかりの農林省の方針なんですよ。だから、耐冷品種のメッカとも言われるかもしれない青森県に、昭和六年から九年に至る冷害を克服しようとして、当時農林省がつくった冷害試験地というのがある。いまは県立の農業試験場藤坂支場になっているが、これができてから四十年経過しているのです。十年間は地上滑走の時期でしたよ。それが藤坂五号、フジミノリ、レイメイあるいはシモキタというふうになって、フジミノリとレイメイはきょうだいなんだから、日本の作付面積の中で最大を占めた時期がある。その後にうまい米づくりというものが始まって、一種の政治的弾圧みたいなものが下っているのですよ。こういうふうなことから耐冷害技術というものは停滞しております。育種というもの、特に種づくりというものは、これができたからいいというものじゃないのです。われわれ青森県でシモキタという品種ができたときに、これでいいと思ったことがあります。だが、いいものはいつまでもいいものじゃない。稲が弱くなるのか、病菌が強くなるのか、二、三年前からイモチが出てきた。そして、ことしは条件が悪いから一般的にイモチが少ない年でありながら、この品種にイモチがわりあいに多く出た。そうすると、常にわれわれは、欠陥としてはまずいかもしれないが、強い稲の予備軍をたくさん用意しておく必要があるのですよ。これはうまい米づくりのためにこういう技術が抑えられている傾向がある。こういうことを反省してもらわなければいけません。それから冷害地では、この問題に国がもっと力を入れてもらいたいという要請がすべての県から出ております。したがって、同じ品種でも、悪いときでも確実にとれる、条件がいいときはさらに多くとれる、それが片づいたならば今度は味のいい米ということを考えて、国としては寒冷地のための育種に革命的な努力をすべきだと思うのだが、大臣、この程度のことなら、あなたの考えならやりたいとおっしゃるだろうが、やるかやらないか、ひとつ言ってください。
  89. 今井勇

    今井委員長代理 先ほどの農林大臣の答弁につきままして、農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。大石農林大臣。
  90. 大石武一

    ○大石国務大臣 先ほどはつい不謹慎な発言をいたしまして、申しわけありませんでした。これを取り消させていただきます。  それから、まことに恐縮でございますが……(「気をつけろよ」と呼ぶ者あり)はい。これから注意いたします。  それから、ただいまの米内山議員の御意見は、基本的には大賛成でございます。やはり一番確実にとれる、農家被害を少なくするという方針を土台として、それから次第にいい物をつくるという御意見には全く賛成でございます。
  91. 米内山義一郎

    ○米内山委員 そこで、品種がいいだけでは米がとれないことは明らかなんです。今度ずっと見て歩くと、やはり畦畔が崩れたり、さらに水路が不完全であったり、排水の悪い場合には被害を大きくしているのです。そこで、この機会に考えて、災いを転じて福にする方法がある。いまどこの町村でもさしあたり凶作対策土木事業というもの、要すれば食いつなぎのための賃金をもらえる工事を要求しているわけですよ。だから、こういう地域に対して、これは農家が自分の労力で自分のたんぼをよくして、そして出かせぎしないで自分の家で一定の賃金をとれるという一番いい方法なんです。ですから、いろいろな賃金を払うための工事は考えられるでしょうが、まずことしの冷害地の実情から見ると、こういうふうな工事を再優先にしていただきたいというのは、各県の知事さんの要望であり、農家要望であり、農業団体要望ですが、これにこたえることは、金はかかるとしても一番効果的なことじゃなかろうかと思うが、大臣、この点をおやりになるつもりはありますか。
  92. 大石武一

    ○大石国務大臣 ただいまの御意見に私は全面的に賛成でございます。私も土地改良のいろいろな団体の会長をいたしておりまして、御意見は最も効果のある対策の一つだと考えます。
  93. 米内山義一郎

    ○米内山委員 ひとつその問題を具体的に進めていただくことを要請しておきます。  さらに、山村部では基盤整備するといったって三反か五反のたんぼしかない。ここではさしあたり何で賃金をと言うかというと、山の仕事をしてもらいたい、民有林もあるし、特に東北の北三県というのは国有林の中に岩手県があるとか秋田県があるような状態なんです。この山間部の農家をこのときに救援するために、さらに労力不足で国有林といえどもつる切りもされていないし枝払いもされていない、冬の時期を利用して間伐なり山林のこういうことに消化される労力は非常に多いと思うのです。これもいい案だと思うのです。これは私の案じゃなくて三県共通の要望です。これに政府はどうおこたえになるつもりですか。
  94. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  ただいまお話しのような要請というものが北海道、東北六県等に相当出ていることも私ども承知いたしておりまして、国有林につきましても、冬期間あるいは秋早くできるような、単なる間伐ということだけではございませんので、治山、林道等の公共事業等を含めまして現在計画、検討中でございます。  なお、民有林等につきましてただいま間伐というお話がございましたが、例の林業改善資金、ことしから始まりました制度もございますし、いま各県から必要な資金額等について聴取いたしておりまして、現在検討中でございます。  なお、間伐といたしましては、農林漁業金融公庫の造林資金ということで除伐、間伐に対するのがあるわけでございまして、特に県有林、公有林等につきまして、そのような融資を含めまして総合的な検討をいたしておるわけでございます。なお、時期等のこともございますので、おくれないように対処するつもりでございます。
  95. 米内山義一郎

    ○米内山委員 次に、農業技術の改良、普及の問題なんです。  大学の研究、国の試験場の研究あるいは各府県のさまざまな研究があるのですが、これは必ずしも農民と結合してない。改良普及員というものがあちこちに少数いますが、広い地域に対していまの人数では、橋の上から小学生に水泳ぎを教えているようなかっこうにしか見えないのです。これをもっと組織的にやる必要がある。改良普及員が普及所にだけ勤めて、そこからバイクに乗ってあっちへ行ったりこっちへ行ったって、これは大してはかどらない。したがって、技術はひとり歩差しているのですよ、組織的でなく。こういうことがことしの被害を大きくした。それさえ完全ならばもう少し防げるであろうという残念なことがしばしばある。ですから、秋田県の知事さんはそろいうことを実際にやっておられますけれども、各町村に農業技術センターというのがあって、そこに役場の技術員、農協の技術員あるいは普及所の技術員がいる。秋田県の場合は月曜と土曜だけは普及所にいるが、その他の五日は必ず町村のセンターで農協の普及員あるいは役場の技術員と村民と一体になってやっておられる。いま農業の問題は一人一人で片づく問題はもはや残っていないのだ。あとはみんな集団的、組織的にやる以外にないし、そうすることが非常に能率的になると思うのです。そんなことの欠陥があるからみんな人にだまされて農業をやっているようなものです。たとえば今度の問題で田植え機の問題があるわけです。あの研究というものは機械屋のベースなんです。稚苗田植え機を発明すればこれはその会社の特許なんです。中苗といえばそれなんです。まるでこれこそ選択の自由がないのです。それをどれがこの村に適するかという研究がないままに農機具屋ベースで、時代も時代ですよ、労力不足の時代ですから普及したところにも問題がある。こういう農業機械で見たところで、二、三年使うと新しいモデルチェンジをする。修理はすれば使えるが部品もないというようなことなんです。これは農民に対する重大な搾取にもなってくる。農業発展を阻害するゆえんにもなる。こういうことも、そういうセンターがあり、そこに若手の農民が何人でも寄って、一年目はこれとこれを実験してみよう、よかったらこれにしようというような余裕がないままに、農機具屋の展示会へ行って、もう買っているのじゃなくて買わされている傾向がある。これも稚苗と中苗で明らかにもう三日や四日のおくれがあるし、これも今度の被害を大きくしたものの重大な要素の一つだと思う。含めて農業技術の研究をいかに大衆に持ち込むかということ、そうして大衆は無数の実験なり経験をするわけですよ。それを集約してセンターが総括し、さらに上級の試験研究機関がそれに位置づけすれば、しくじればしくじったことにも原因も結果も明らかなんです。まれに成功すればそれにも原因もあるし結果もあるのです。これをまとめてまた農家へ返すという、大衆と試験研究機関、普及機関のキャッチボールのような形にすると、すぐれた進んだ技術ももっと早く農村に普及する可能性があると思うのです。大臣、この考え方に対して大臣の御見解を承って、あとは具体的に機会を改めて聞きたいと思う。
  96. 大石武一

    ○大石国務大臣 ただいまの御意見、私どもごもっともと思います。全く賛成でございます。
  97. 米内山義一郎

    ○米内山委員 まあごもっとも大臣に敬意を表して質問を終わります。
  98. 今井勇

    今井委員長代理 竹内猛君。
  99. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は第三班の調査に加わって山形、福島を調査をしてまいりました。そこで、さきの二人からいろいろな質問がありましたから、それに重複しないように質問をしていきます。  まず第一の問題は、今度の冷害というのをある人は六十年来の冷害だと言われる、あるところでは昭和九年あるいはまた二十八年以降におけるところの冷害だ、こういうふうに言われております。そこでこの問題に対して、先ほどの質問の中では農林省だけではなくて中小企業庁もあるいは自治省も、それからこれから労働省の問題も出しますけれども、そして最後には財政上の問題になってきますから、こういうような農林省だけで処理できないような重要な問題、しかも六十年来と言われるほどのこの冷害に対して、各県ではそれぞれ対応の窓口をつくって、あるところでは地方事務所ごとにそれぞれ窓口をつくってこれに対応しております。中央においても、こういう重大な被害に対して、農林省を中心としてこれに対応する機関をつくって、そして農家の皆さんの心配に対してこたえるようなことを考えておられるのか、もうできておるのか、それをやる意思があるかどうか、まず先にそれをお伺いします。
  100. 大石武一

    ○大石国務大臣 御承知のことと思いますが、冷害がだんだんと表にあらわれてまいりましたので、これに対処しまして農林省内におきましても冷害対策本部をつくりまして、すでにいろいろとこれに対する手はずを整えまして、各省間、各局間の連絡を密にいたしまして、全面的なこれの対策を立てようということで、いま一生懸命に努力いたしております。
  101. 杉山克己

    ○杉山説明員 冷害は非常に広範にわたった問題でございますし、しかも地域的にも東北、北海道、そのほか各地広範に広がっております。そこでこれを農林省の体制としても窓口を整理して、一元的に取り扱うということが必要であると考えまして、各地方農政局、たとえば東北農政局におきましては冷害対策本部を九月十三日に設ける、北陸はこれより若干おくれまして、農作物冷害等対策本部を九月十八日に設けております。それから農林本省におきましても、これは西の方の水害と一緒に扱うために九月十三日に災害対策本部を設けております。
  102. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これはぜひ農林省を中心として、関係省庁の責任者をまとめたそういう窓口を中央につくって、広範にわたる重要なこの問題に対して対応してほしいということを要望します。  続いて、農林省はことしのこの冷害について、いつごろからこれは危険だ、ことしの状況が危険だということを察知され、どういうような予防処置をとられたか、このことについてお伺いします。
  103. 大石武一

    ○大石国務大臣 農林省では、やはり天候が一番大きな問題でございますので、気象庁とは常時密な連絡をとりまして、いろいろな長期予報なりそういうことについて心を砕いておるのでございます。この三月初めにも、やはりことしはどうも天候冷害型であるというような気象庁の通報によりまして、すでに三月に農林省では各県あるいは各農政局、各地方の機関に対しまして冷害に対する、心構えの通達を出しております。それには、冷害のような気候であるから、これに対処し得るような品種の選び方とかあるいはその他の耕作の仕方、施肥の仕方、いろいろなことについて注意したらよかろうという通達を一応は出しておるわけでございます。しかし必ずしもこれが厳重に農民の間に正しく評価されたかどうかということについてはまだ十分な自信はございませんが、それの努力はいたしてまいったところでございます。
  104. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は各地を歩いていろいろ伺う中で、農林省の通達に沿った状態が起きていないということ、これは後で問題にします。  そこで気象庁にちょっとお伺いをしたいわけですが、気象庁はことしのこの異常な冷害を伴うような気候条件についてどういうような見通しと、それが農業に影響するということをどのような形で農家の方に伝える努力をされたか、そしてその結果はどうであるかということについて、気象庁からお伺いします。
  105. 青田孝義

    ○青田説明員 お答えします。  御承知のように、気象庁では、最近の異常気象につきまして昭和四十九年三月に、近年における世界の異常気象の実態把握とその長期見通しについての調査結果の中で、地域的には大雨とか干ばつとか低温とか高温とかいったようなコントラストの大きい天候発生しており、この傾向はまだ続くだろう、そういうふうに予想しておりまして、当面この夏の天候に対しましては、気象庁ではルーチン的に世界に先駆けまして、現在の学問と技術の可能性の許す限り向こう半年間の予報、たとえば暖候期の予報に対しましては三月に、冬の予報に対しましては十月に、あるいは毎月三カ月予報なり一カ月予報を出しております。この夏の天候に対しましては、三月十日に、梅雨季後半ごろから変動の大きい天候が目立つようになります、北日本においては不順な天候の時期があります、そういう予報をしております。その後で逐次三カ月予報なり一カ月予報で、あるいは何回となく出されました低温や悪天情報を発表しております。ただ、その強さの程度については必ずしも十分ではないと思いますけれども、一応北日本の低温と悪天についてはその時点で随時発表しております。  以上でございます。
  106. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は今度の冷害を見た場合に二つの要因があると思います。一つは自然的ないまの気象上の問題からくる長雨あるいは風、それから冷え、これがある。しかも、いまも話があったように、気象がこれから小氷河期に入っていくという形で非常に悪くなるということが言われている。これは気象庁からさらにお答えをいただきたいわけですが、そういう条件で、これはある意味においては耐えられない問題になっているかもしれない。しかし、そういう中でも、ある新聞にも出ていたけれども、努力のしようによれば、なおやはりかなり高いところでも米がかなりできているところもある。そこで、先ほど米内山委員からも話がありましたように、農林省の指導方針というものが、うまい米をつくる、そうしてそのうまい米、銘柄米をつくることによって、これには優遇処置が講ぜられる、こういうようなことで、先ほど大臣から答弁があったけれども、いろいろな通達を出されたと言うけれども、農家自体は米が農作物の中では最も安定をした収入源であるというところから、昨年の豊作ということもあって、そうしてやはり値段の高く売れるいいうまい米をつくるという形で、冷害に弱いあるいは病気に弱い、いもちに弱いものを選んでおります。これは現在の農政の中における問題なんです。それでさっき大臣は、だれでも米はつくれると言ったけれども、そんなものじゃないですね。米づくりも大変な技術が要るし、努力が要るわけだ。そういうところで特に耕うんを機械でやり、しかも田植えは機械植えをする。どこへ行っても機械植えをしたところに問題がある。小さな苗を機械で植えて活着が非常におそい、こういうところから二十日も期間がかかっているという問題、そこへもってきて今度は農薬と肥料によってこれを処理しようとする。特にいろいろ見聞の中で、ある福島県の試験田の中では、四キロの窒素をやったところではかなり実りがあるのですね。ところがその隣では、十六キロぐらいの肥料をやっているところがある。ここは青立ちでどうにもならない。こういう農民の心理というものがある。これには十分な指導が与えられていないというところに一つの問題があるのではないか。だからこれは行政上あるいは政治的な、社会的な原因だと私は思うのです。今後もこういった自然的な状況気象条件の中で農林省のいままでのような指導の方針、これは米価の決定、銘柄米、うまい米というようなことだけに集中をしていると、これからもますますこういう問題が起こる可能性がないとは言えない。だから、いまのうちに反省をすべき点については率直に反省をして、来年度からの指導方針——品種の問題にしても、施肥にしてもあるいは機械の問題にしても考慮する必要があると思うのですけれども、従来のままでいいと思うかどうか。私がいま申し上げた点について大臣なり、この問題について専門に技術的に調査をされている方が農林省の中にもいるはずですね。これはそういうところからぜひ答弁を願いたいと思います。
  107. 川田則雄

    ○川田説明員 ただいま先生からお話がございました冷害の原因、気象条件あるいは立地の問題、そのほか社会的な原因、たとえば良質米品種の奨励、機械田植え、窒素質多施、地力の低下、そういうことについての御質問がございましたので、お答え申し上げたいと思います。  冷害の実態については目下調査いたしておりますから、その調査の結果を見なければはっきりしたことはむずかしいと思いますが、先ほどから御指摘のありましたように、ことしの天候は非常に悪天候でございました。十数年ぶりの低温寡照というような天候が大きな原因であったかと思います。また、冷害程度につきましては、北海道では高緯度地帯、また太平洋沿岸の冷風が吹き込む空知南部、それから東北地帯ではやませの吹き込む下北半島あるいはやませの吹き込む津軽半島の東部、それからそれ以外の県につきましては中央山脈の山間地において障害が見受けられております。  御指摘の社会的原因についての良質米の問題でありますが、品種の問題については、本年の天候が非常に悪かったということに関係いたしまして、きわめて耐冷性の強い品種でも、山間高冷地等においては著しい被害を受けております。また、従来安定多収と言われておりましたトヨニシキあるいはキヨニシキというような品種が安定性にやや難があると言われておりましたササニシキに比べて出穂期間が長く、穂ぞろいが悪くなって、やや不安定な状況を呈しておるというような変わった現象も見られております。  また、生育の主要な期間中ほぼ低温寡照に推移したため、標高の高いところあるいは水温の影響ということによって被害にかなりの差が出ているというようなことがございますので、具体的に詳細に今後検討し、その傾向の中の関連等についてもつかんでまいりたいと思っております。  それから田植え機につきましては、これは田植え技術というのは先生御承知のとおり稚苗を田植え機で植えるということでございます。そういう関係から稚苗を植えるために、どうしても従来の手植えをやるよりもそれだけの期間、前に植えなければいけないというようなことがございます。そういうことからいたしまして、どうしても稚苗田植えをするということには田植え時期に制約がございます。そういうことで、われわれといたしましては、たとえば北海道におきましては稚苗田植えは五月の十五日から二十五日というように期間を指定いたしております。  それからもう一つの問題は、例の稚苗でございますから苗そのものが密植になっております。そういうことで植えつけ時期がおくれますとどうしても苗質が悪くなるというようなことがございます。そういうように田植え機に伴ういろいろな技術の問題というのはやはり正確な精度を期さなければいけない、そういうようなことがございまして、本年の田植え機の稲作について見ますと、適期に良質の苗を植えたというものについては手植えの場合とそう大きな隔たりがないというような結果が出ております。  また窒素肥料の追肥につきましては、先生から福島の試験場で四キロと十六キロのお話がございましたが、こういう生育がおくれるときには、窒素肥料を多く入れたものほど生育がおくれて冷害を著しくいたします。また同時に追肥はさらに生育をおくらす、また穂ぞろいを悪くするというようなことがございまして、追肥の時期というのは非常に重要であると同時に、追肥は低温のときにはやるのがむずかしいということがございます。そういうことからいたしまして、今後施肥の指導については十分徹底いたしまして、元肥と追肥の関係、同時に追肥は天候を見て正確にやるというような方向に持っていきたいと思います。  それから同時に地力の低下につきましては、これは地力という包括的な言葉で表現されておりますが、私たち先生のお話を伺って、たとえば有機物肥料を入れたところ、あるいは土壌改良資材を入れたところ、あるいは排水を改良したところ、あるいは深耕いたしたところ、そういうように土壌の阻害要因を排除したところの成績がよかったのではないかというぐあいに考えております。そういうことからいたしまして、土壌というのはホモでなくてヘテロでございますから、その場所場所の条件について土壌の阻害要因を排除するという技術を今後進めていきたいと思っております。
  108. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 大体今後これは十分に指導に注意してもらいたいということを要望します。  そこで農林省としていつになったら被害が正確につかめるのか、この時期について、これは言えますか。
  109. 有松晃

    ○有松説明員 冷害につきましては、ただいままだ作物の生育が進行をしておりますので、十月半ばには大体被害は固まると思いますので、その時点で正確に調査いたしまして、十一月の初めに公表するという段取りで進めたいと思います。
  110. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 それではさらに気象庁に伺いますが、ことしの気象がかなり異常であった。ではこれからの気象について予見するところの心配するようなことはないかどうか、この点について。
  111. 青田孝義

    ○青田説明員 異常気象につきましては、これからは暖かい年もあれば寒い年もあるというようなことを繰り返しながら、つまり変動の大きい傾向はまだ続くだろうと思います。しかしそういう異常気象がいつどこにどのような形でどの程度の強さでもってあらわれるかということについては、現在の技術では長期見通しはむずかしい問題であります。  先ほど先生がおっしゃった気候変動につきましては、これはいろいろ学説がありまして、国際気象機関でもまだ一定の方向づけをするまでには至っておりません。気象庁では、気候変動調査委員会を設けまして、いろいろな関係機関と密接に連絡をとりながらこの問題と真剣に取り組んでいきたい、そういうふうに考えております。
  112. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 なお気象庁に尋ねますが、農村の今後の問題については、やはり気象の問題は農民の手でもどうにもならないものだ。だから農家に対して適切にそういう変化を、農林省とともに、当然だろうと思いますが、それを伝えて、気象に対する指導、いままでは気象というものは余り問題にしないで、ともかく物を植えればできるんだということで恐らくやってきた。だからそういうふうになったと思うのですけれども、気象というものと農業というものとの関係をしっかり結びつけていくということに対する体制は気象庁としてはできているのかいないのか。
  113. 小林寿太郎

    ○小林説明員 先生の御質問にお答えいたします。  私ども四十九年に、先生御承知のように気候変動に対する長期見通しというものを、いろいろ学問的にかなり困難な点もあったのですが、出しました当時から、農林省の側の大変御協力をいただきまして、その関係の筋の勉強もずっと続けてまいっております。その間にやはり先生の御指摘のような問題をしていかなければいけないんじゃないかということでございまして、全国農業気象協議会というものを、以前にも協議会はございましたのですけれども、やはり新たに発足させまして、全国農業気象協議会、これは農林省と私どもと両方でいろいろ異常の問題があれば御相談しながら対処していくという形で設けてございます。  それから地域につきまして、たとえば東北、北海道というふうなところでは、もちろん四国、九州の関連もございますが、そういった地域につきましては、地方の農政局と私どもの出先の管区気象台が中心になりましてそういった協議会を進める。それには自治体等も入っていただくというふうな形で進めております。  それから県単位でございますが、県単位につきましては従来協議会というものを設けておりました、それを延長、拡充していきたい。そうして私どものつくりました農業に関する情報というものが的確に流れるようにしていきたいというふうに考えて、事実そういった方向で進めております。  以上でございます。
  114. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 もう一度聞きますけれども、今後の小氷河時代に移ると言われているそういう気象異常に対して、気象庁の体制は十分であるかないかということについてだけお答え願いたい。
  115. 小林寿太郎

    ○小林説明員 お答えいたします。  先ほどうちの長期予報課長が申し上げましたように、気候変動につきましては日本は世界に先駆けて一つのコメントを出したわけでございます。これにつきましてやはり世界的にも問題になりまして、先ほど世界気象機構というところで検討をする、それにつきましてやはり問題がいろいろとあるということで、そういった方向で研究推進をしろという勧告がことしの六月の執行委員会で決まっております。日本といたしましてもその方向で鋭意努力していきたいというふうに考えております。  ただ、先生がおっしゃった小氷河期とかいうふうな問題でございますが、これは氷河期のお話をしますと、約一万年前に氷河期が終わって、その後間氷期に入って、この間にいろいろと寒いとき、暖かいときというのがございますが、大体氷河期の周期というのは十万年ぐらいのオーダーでございます。ですから、そういった非常に長い傾向というのは、年々の暖かい気候、冷たい気候、そういった非常に変動の激しい現象の中にそういった長期の傾向というものを見つけるということは非常にむずかしい問題でございます。しかし、さしあたってここ一、二年ないしそういった気候変動の問題というのは、これも世界気象機構で指摘しているわけですが、私ども全く同じ意見なんですが、短期に−短期にと言っても二、三年オーダーあるいは五、六年、その程度の長期見通しというものは何とかしていかないと、いろいろ福祉の問題もございますし、あるいは経済問題もございますし、非常に関係が深いということで重大な関心を私どもも持っております。
  116. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 時間がないので、先へ行きます。     〔今井委員長代理退席、委員長着席〕  ここで農家の皆さんは長期的な問題に対する心配ももちろんだけれども、当面の生活のためにさしあたり先ほどからいろいろ質問があったように、共済金支払いであるとかあるいは借入金の償還延期、利子補給というような問題あるいは前渡金の処置等々、いろいろあります。あるいは救農土木事業という問題やその他生活資金の問題もありますけれども、問題はやはり財政上の問題になってくると思うのです。  そこで、先般の予算委員会でいろいろ財政上の問題が出てまいりましたが、これは農林省としてよりも大蔵省の方からお答えをいただきたいわけですが、予備金を崩すとかあるいはその他いろいろな財政的な処置を講ずるというような答弁がされているけれども、この膨大な被害に対する大蔵省の予算的準備、この処置はどのようになっているのか、その点をお尋ねします。
  117. 古橋源六郎

    ○古橋説明員 お答えいたします。  冷害対策一般につきましては、いろいろな金がこれから出るわけでございます。たとえば共済金支払いでございますとかあるいは天災融資法、激甚災の指定に伴いますいろいろな融資、それに伴う利子補給系統の金が出るわけでございますけれども、これらにつきましては既定予算の範囲内あるいはそれでも足りなければ予備費の使用によって賄うということでございます。  なお、先日十月五日の参議院の予算委員会におきまして、大蔵大臣が共済金関係で本年中に予算手当てについて何かしなければいけないというふうに述べておりますけれども、これは、本年度中に予算手当てをいたしたい、こういうふうに述べておりますので、御了承いただきたいと思います。
  118. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 大臣はたとえば共済の問題にしても、年内に処理をする、こういうふうに言われているのです。その点と年度ということとの差はどうなりますか。
  119. 古橋源六郎

    ○古橋説明員 お答えいたします。  農民の方々に対します共済金支払いにつきましては、年内に共済金が手元に渡るように努力をする。そのために鋭意農林省あるいは共済団体これらが現在被害調査に当たっているところでございます。したがって、このための金をどうするかという問題につきましてはいろいろの考え方がございますけれども、農業共済基金からの借り入れあるいは特会の補正とかございますけれども、これは年度内に予算手当てをする、こういうことでございます。
  120. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 金額の内容は、これは千五百億というようなことが出ておるけれども、この点は明らかにならないですか。
  121. 古橋源六郎

    ○古橋説明員 先生御存じのように、共済金につきましてはいろいろ制度が非常に複雑でございます。さらにまた今回の冷害は規模が非常に広範である、かついろいろ複雑な事情もございますので、その調査に非常に時間がかかっておる。一生懸命現在調べておりますけれども、まだ私どもの段階まで上がってきておりません。しかし先日の十月五日の作況指数というものから見れば、相当の規模の共済金が出るのではないか、こういうふうに思ってはおりますけれども、現在までのところまだ正確な数字は私どものところまで上がってきておりません。
  122. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 やはり一番の問題は財政上の問題でありますから、これは農林大臣にもよく要望しますけれども、ぜひ農林省を中心とした関係の省庁の対策の窓口をつくって、そして財政的な裏づけをつくって、農民に、農家に安心をして来年度生産ができるようにがんばってほしいということを要望するし、大蔵省にもこれは格段の努力をしてほしいということをさらに重ねて要望します。  最後に、出かせぎの問題であります。  福島県田村郡の労働力、農村で働いている方々が三万五千人と言われております。その中で七千人が出かせぎを希望しているという報告であります。そのうち三千人が女性である、こういうことです。このような現象は何も田村郡だけではなくて、各地にこれから出てくるだろうと思う。しかし、その場合に、希望はしていても就業の場所が非常にむずかしい。そこで何としても、労働省なり自治省なり町村が窓口になり、あるいは労働省がそれぞれの職安なり職場を探して、それに対する雇用の機会を与えてあげなければならない。しかし、労働力として見たらこれは単純労働で、余り複雑な密度の高いことはできませんから、こういう点について労働省の努力をやはり要望しなければならないのですが、労働省としてはこの問題について考えていることがありますか。
  123. 清水傳雄

    ○清水説明員 お答えいたします。  御指摘のように、冷害関係で、農外就業、出かせぎを希望される方々がふえてくるのではないかというふうなことが予想されておるわけでございまして、私どもの方で出先の機関を通じて現段階で把握しておりますところによりますと、大体一割から二割昨年よりふえてくるのではなかろうかというふうに把握をしておるわけでございます。  そこで、各県に冷害対策本部が設けられておるわけでございますけれども、そうした中に職業安定機関も積極的に参画をいたしまして、相互に密接に連携をとりながら、求人の開拓、職場の確保という点について努力をいたしておるわけでございます。  幸いにいたしまして、本年度におきましては昨年よりも相当出かせぎ農民に対する求人が増加してまいっております。ことしの八月時点で見てまいりますと、昨年に比べまして全体で八割ぐらいふえておりまして、内容的には、製造業、特に電機関係、そういったところが多うございます。建設関係の出が少し悪かったのでございますけれども、これもお盆過ぎから大分ふえてまいっております。そうした中で御希望についてはこたえられるような形に持っていけるのではないかと思っております。  また、それに加えまして、私どもの方で去る九月にいわゆる冷害地域それから需要県双方に、この関係のために特別に求人開拓を行い、就職あっせんを積極的にやるような体制をとることを指示いたしまして、そうした形を通じまして万全を期してまいりたい、こういうふうに思っているわけでございます。
  124. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 では最後に要望しますが、何しろ当面の生活を続けるということと、それから来年からの再生産に希望をつなげるということにおいて、やはり農林省を軸にして関係各省が連絡する機関をつくって、そしてその中で各地の要望を吸収して、それに十分にこたえるような努力の必要を、私はこの東北地方を見聞した中から痛切に感じました。それで、もしここで農家の皆さんに失望を与えるようなことがあると、あるところではこれから自殺者が出るのではないかというような心配も出るというほどこれは深刻なものでありますから、大臣は東北出身ですからよくわかっているはずですので、そういう点についてぜひ後顧の憂えのないような努力要望して、終わります。
  125. 湊徹郎

    湊委員長 次に、島田琢郎君。
  126. 島田琢郎

    島田(琢)委員 私に与えられた時間が大分制限を受けておりますから、肝心なことだけ三つほど大臣にのみお聞きをいたしますので、ひとつ明確にお考えを述べていただきたい、こう思います。  今次東北、北海道を襲っております冷害は、四十六年を上回ると言われる大災害であります。私どもはともすると冷害というと米の方に大体主力が集中していきがちであります。ところが、私は北海道網走の出身でありますが、大臣と初めてこうやって議論をするわけであります。私は畑作農民の一人でありますから、今回は畑作の問題もぜひひとつ、もちろん認識の中にないというような失礼なことを申し上げるつもりはございません。ただ、ややもすると大きな被害の陰に隠れて、畑作というものがやや対策の後手に回るというような傾向があるわけです。今回、この被害の実態を国政調査の立場で行っていただけなかったというのは大変残念でありますけれども、しかし、受けた被害水稲農民を必ずしも下回るというようなことではありません。むしろ深刻な被害を受けている。特に豆類、そして牧草、さらに残念なことは、せっかく麦類の増産対策に乗って、私のところは麦の主産地を抱えております。この主産地における小麦のいわゆることしのできぐあいというのは、昨年が悪かっただけに、農民のわれわれは大変大きく期待をいたしまして、確かに七月終わりごろまではこの小麦の作況も良好に推移をしていたのですけれども、肝心かなめの八月に入って、収穫期になったとたんに連続の長雨が続きまして、品質は極端に悪くなっちゃった。せっかくの丹精を込めた小麦のいわゆる出荷に当たって、大変大きな悩みにもまた一つぶつかることになりました。これは農民の感情から言うと大変どうも、現行の規格について釈然としないという、こういう意見がたくさんございます。もちろん、公式の場所で、品質の悪い物を売るのも当然だという議論は、これはできないことは私もよく承知をしておるのであります。ところが、大臣御存じのとおり、等外麦の規格というのは、百粒中に発芽粒が二粒以上まじるとこれはだめなんですね。ところが実際問題は、アミロ数値だとかうどんにする場合の問題とか、本当にいろいろありますから、品質の悪いのを承知で出すということは、これは私どもはできもしないし、考えてもいないわけでございますけれども、しかし全体的に、せっかく作った小麦が百粒中にたった二粒がまじっているために価格が三分の一、ひどいのは五分の一にもなってしまうというのは、これは本当に情けない話なのであります。こういう点が、冷災害の陰に隠れて、一生懸命やった農民の上に大きくまた被害となってかぶさってきておる事実があるということ。残念ながらたくさんの量になっているものですから、醸造用に回そうと思っても、醸造用ももう手いっぱい、余り欲しくありません。えさ用にというと、これは極端に下がってしまう。千七、八百円でしか買わない。これは何とかしなければいかぬと私は思うのですが、きょうは規格云々という問題ではなくて、こういう点について大石大臣も、農民の幸せをつくるために農林省は半分の仕事があるのだということをこの間から私どもに言っておるわけですから、まことに同感でありますし、そんな気持ちでおやりいただきたいと思う。その一つの、現地に起こっておる問題を私は提起いたしたのでありますが、具体的にこれはひとつ取り組んでもらいたいと思うのです。いかがですか。
  127. 大石武一

    ○大石国務大臣 先に長官から話をさせていただきまして、後で私より申し上げます。
  128. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  普通小麦等の規格等につきましては、生産地による生産条件の差による品質の差以外に、実需の側から見まして、品種なりあるいは製粉歩どまりとか加工適性とか、そういうものから延長されました容積重とか、あるいは被害粒の混入率とか水分とかいうことになっておりまして、あくまで衣製粉された小麦粉の加工適性というものが非常に大きな問題を持っております。したがいまして、そういう意味で今日の規格が決まっておるわけ下ございまして、なるほど北海道等におきまして穂発芽等に基づく等外上あるいは規格外というものが出ておることは承知しておりますけれども、やはりただいま伸びつつございます北海道産の麦の国内における需要とその実需の方からの規格というものも維持されない限り、今後の麦の振興にかえって問題があるという面もございますので、この規格そのもについてはなお慎重な検討をさしていただきたいというように思っております。
  129. 大石武一

    ○大石国務大臣 先ほど米の問題につきまして経済局長からいろいろと共済の評価に対する心構えについて申し上げたのでございますが、できるだけ農民に対してあのような温かい気持でこの仕事をやるようにという方向でいま進めておるわけでございますが、麦につきましても当然そうあるべきだったと思います。  来年の規格につきましては、規格というものはやはり簡単に変えることはむずかしいと思います。ただ、その規格規格として、どのような気持ちで麦を来年扱うか、来年豊作であれば望ましいことでありますが、不幸にしてもし仮にことしのような不作があったとすれば、これに対してはやはり今度の場合の米のような温かい気持ちでできるだけめんどうを見ようと思えば、ずいぶん私は効果があると思います。  そういう意味で、温かい気持ちで対策を進めてまいるということだけははっきり申し上げたいと思います。
  130. 島田琢郎

    島田(琢)委員 さらに豆類でありますけれども、ことしで四年目を迎えた畑作共済、私どもは今日のこういう事態を予測して、すでに政府が五カ年間の実験共済をやる前に町村によっては積極的に三年間の試験実施をやった経過がありました。そのために、私どもは改めて五年も長い間試験実施をやらなくたって、早急にこれを実施に移すということが一番いま大臣のおっしゃっている温かいやり方じゃないか。ところがまだあと二年、この間から前農林大臣と押し問答を何回もやったんですけれども、あと二年間待ってくれということであります。どうでしょうか、私の言っているやさきに大変な災害が起こっちゃったのであります。これはことしあたり本格実施に移しておけば、私は、豆類にしてもそのほかビート、芋類にしても、こういう災害を最小限に食いとめるいわゆる一つの手だてにもなったでしょうし、それを救済する道としても非常に温かな行政がそこに生まれてきたと思うのです。いまさらそれを言っても仕方ありませんけれども、まだあと二年間もやるなんというようなことをおっしゃらぬで、もうことしの教訓にかんがみて、来年から直ちに本格共済に移すぐらいの決意を持ってひとつ臨んでもらいたいと思うのですが、新任の大臣の共済制度に対するお考えをまず一点聞かしてほしいのです。  さらにもう一つは、牧草被害についても先ほどから前委員の質問の中にずいぶんたくさん出ておりました。北海道は残念ながら、主産地のいわゆる根釧を除きますほかは、私のところの網走も、そして天北、上川も牧草に非常に大きな被害を受けました。昨年と一昨年は十勝地方において大変大きな牧草被害を受けた。言ってみれば、もう三年続きの牧草に対する被害であります。私は、長い間の私の持論でありますけれども、せっかく各種共済制度がこれだけ確立をしてきた。まだ不十分な点、たくさんあるけれども、だんだんよくなってきた。牧草について長い説明をする時間がもうないのですけれども、人間の食べる食糧というのは、これはわりあいに融通し合えるものであります。生活費も何とかかんとか見てもらうということもある程度はできるようになりました。私ども牛飼いが牧草被害を受けて三割しかとれない、あるいは五割しかとれないといったら、牛を売ってしまうか、牛をつないでいくためにはどうしたって粗飼料の手当てをしなければいけません。大麦やトウモロコシの政府の手持ちの放出ということを言うけれども、北海道における私どもの酪農の本流は草酪農でありますから、この粗飼料に重大な被害を受けるというようなことになりますと、まさか毎日トウモロコシや大麦を食わしていくわけにはまいらぬのであります。ですから、お互いにとれたところととれないところと譲り合っていくということをいまやっています。時には友愛牧草なんというようなことで、持っている人はひとつ最低限切り詰めて、ない者に供給せい、ところが残念ながら、供給を受ける体制のわれわれの側には、被害を受けたから牛乳は被害を受けた分だけあしたから高く売れるという仕組みになっていませんから、さあ被害を受けたときの牧草の手当てをするお金をどこから求めてくるかといったら、もうすぐ右から左へお金が必要なんでありますけれども、それが手当てできない。まあ今度の災害資金の中にそれも含めて、貸し出しを温かい考えでやってくれるということでありますけれども、この際私は、やはり牧草被害なしということはもう考えられないのでありますから、あわせて牧草共済のいわゆる制度をつくってはどうかという提案をしたいのであります。この二つの点について大臣の考えを聞かしてほしいと思います。
  131. 大石武一

    ○大石国務大臣 農林省では、いろいろ畑作に対する共済の制度をいま研究中でございまして、三年になるということでございます。これは結構なことでございます。おっしゃるとおり、できるだけ早くこれを進めたいと思います。  ただ、こういう制度はやはり大きな制度で、今後の畑作農民の経済に大きく影響することでございますから、これを実施しても、ああこれはまずかった、これは思いがけなかったというようなことがないように、本当にこれはつくってよかったというものを初めから実施したいものだと思います。そういう意味で、念には念を入れていると思いますが、できるだけ急がせまして、ことし、来年すぐできるかどうかお約束はできませんが、できるだけ早に機会に、一生懸命努力をして少しでも早く実施させるように考えてまいる方針でございます。  それから牧草共済、これは私よくわかりませんが、牧草は非常に大事だと私思います。これから日本の国の将来の畜産を左右するものはどのようにして草をつくるかということにすべてかかっていると思います。そういう意味では牧草に対しては重大な関心がございますし、これを発展させなければならぬと思いますが、共済の制度も結構だと思いますけれども、私はどうも技術的にまだわかりませんので、担当の局長の方からその考えを申し述べさせたいと思います。
  132. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 最初の畑作共済の問題でございますが、いま大臣からお話がございましたように、やはり最低三カ年の試験実施の基礎資料をもとにいたしまして、早速来年度検討会を開きまして、法案の作成それから国会での法案御審議、通過を得まして、具体的な共済関係農家との間に結ぶように極力急ぐことにいたしまして、五十四年度から本格実施に移りたいというふうに考えておるわけでございます。  それから牧草でございますが、先生御承知のように、飼料用作物の基準収穫量の設定あるいは損害評価というふうなことについては、いろいろな他の一般的な作物と違ったむずかしい問題があることとか、あるいは被害統計がほかのものと比べて必ずしも整備されていないというような保険設計上のいろいろの理由によりまして、現在共済目的とはなっておらないわけでございます。しかし、これは非常に重要な農作物の一つでございますので、今後農家からどのような保険需要があるかというふうなことも考慮しながら、今後の検討課題として検討させていただきたいというふうに考える次第でございます。
  133. 島田琢郎

    島田(琢)委員 共済制度の御答弁については、現段階では前向きに検討したいというお考えでございますから、私は了解をいたします。ただ、小麦にいたしましても——麦類ですか、共済制度の方で歓迎されていないのは足切りが非常に高いとか、それから掛金に対して見返りが非常に低いとか、いろいろな欠陥を抱えているわけですね。そしてそれは、畑作共済の実験段階における参加を願った農家の人たちの意見を聞いても、やはり同じことが言える。ですから、こういう点をひとつ改善をして、大臣が何回もおっしゃっているように、農家が本当に喜んでこの制度に参加できるようなそういう改善をしっかりとひとつ局長やっていただきたい、私はそう思っています。したがって、それらの問題については今後の農水のこの場を通して私どもも適時意見を出していきたいと思いますし、早期にこれが実施に移されるように重ねて本日これを要求して私の質問をこれで終わりにさしてもらいます。
  134. 湊徹郎

    湊委員長 次に、中川利三郎君。
  135. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 まず大臣にお伺いいたしますが、今回の冷害を受けた地域はおしなべて山間高冷地帯あるいは沢部です。そういうところの農家はほとんど零細農でありまして、農業それ自体では暮らしていけない、したがって第二種兼業、そういう状況になって手間取り仕事なんかをやっておるわけです。これはあなたが一番よく御承知だと思います。ところが天災融資法、自創資金いろいろ見てみますと、この第二種兼業農家はこれに該当しないわけです。一番冷害を受けて困っていらっしゃる沢部の方々、これが該当しないというのが法律のたてまえになっておりますので、この点は大きい矛盾だと思いますが、この点について大臣はこういう現状にかんがみてどうお考えになるのかお答えいただきたいと思うのです。
  136. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 現在天災融資法におきまして農林漁業者の農林漁業を主な業とする者に対して資金を貸し付けるという規定になっておりますが、この考え方といたしましては、確かに農林水産物の被害というものは一般的に耕地等があればそれに及ぶわけでございますが、やはり天災融資法対象として考えておりますのは農林漁家でありまして、農林漁業収入に依存をしている度合いが高い者ということ、それの翌年度営農資金を確保する必要があるということに対して融資法ができ上がっておるということでございます。したがいまして、一般的には被害のてん補といたしましては保険とか共済とかというふうなことが二種兼農家にも及ぶわけでございまして、天災融資法で考える経営に著しい支障を来すような農林漁業者の経営資金を供給をするという目的から、農林漁業を主業とする者に金を貸す仕組みが今日でき上がっておるというふうに私どもは考えているわけでございます。
  137. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私はそのたてまえはわかっておって聞いているわけです。つまり、今回の冷害を受けた方々は山間部であり高冷地帯の方々でほとんど零細だということです。したがって、農業を主なあれじゃなしに、農林漁業を営む者にはなるわけでありますね。それに対して、今回天災融資法が適用になりましてもほとんどそれが及ばないということになりますと、大変な問題が起こるわけであります。  あなたはもう結構ですから大臣に一言。  したがって、私たちは、この法律そのものを、第二種兼業農林漁業者を融資対象から除外していることを改めて、農林漁業を営む者とするというふうに改正する必要があるだろうと思うのです。これについて大臣はどうお考えになるのか。一言で結構ですからお答えいただきたいと思うのです。
  138. 大石武一

    ○大石国務大臣 主に農業中心として生活を営む者ということが私は条件だろうと思います。林業は林業でやはり別に制度を考えるべきであって、農林漁業とか一括しますと非常な困難もありむずかしい問題になるんじゃないかと考えます。
  139. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 これ以上詰めませんけれども、そうしますとほとんどの方々には、山間部の小さな零細な今回被害を受けた方々には及ばないということになりますよ。  それから、時間の関係があるから次に進みますが、先ほど自創資金の問題で事務当局のお答えは弾力的にやってきた、総枠はまだ決まっていないが天災融資法の適用になった付近については例外措置をとる、こういうお話でありましたね。大臣もかねがねこういう金融制度にもできる限りのことをやるということを言っていますが、今回はこういう大変な災害で四倍の申し込みが私の方の地域でもあるわけです。ですから、具体的に聞きますと、私の方の地域秋田県の雄勝郡の羽後町、ここでは、あなたは天災資金をどれくらい入り用ですか、自創資金は何ぼですかということを農家から集めてみたのです。そうしたら一つの町で天災資金が四億七千万円、自創資金の所要額が三億円というあれが出ました。そこでお聞きするわけでありますが、弾力的に適用するということは、こういう条件を満たすということになると思うのですが、いかがですか。
  140. 岡安誠

    ○岡安政府委員 いまの先生の御質問は、自創資金の総額の御質問なのか、それとも限度額の御質問なのかよくわからないのでございますけれども、先ほど私がお答えいたしましたのは、自創資金の限度額につきまして、これは連年災等によって負債をすでにしょっている農家につきましては、百万円という限度額が支障になる場合があるので、そういう場合には私どもは県単位等を考えまして、例外といいますかその限度を上げるということも弾力的に対応してまいりたいということを申し上げたわけでございます。
  141. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そうすると、自創資金は御承知のように一たん借りている人は借りられないわけですね。したがって、この点は別枠というか限度額を引き上げて借りられるようにするということなのか、その点はっきり……。  それから総枠について、いま言ったようなそういう条件要望を満たすのかどうか。大臣の大変心暖かいお話の中身が本物かどうかということを含めてお聞きしておるわけであります。
  142. 岡安誠

    ○岡安政府委員 限度額につきましては先ほどお答えいたしましたとおり、連年災等によって負債をたくさん抱えておる被害農家に対しましては、その負債の状況被害程度等を考えまして、従来も都道府県別に特定をいたしまして、限度額の例外といいますか、優遇措置を講じておりますので、それは実情に応じて措置してもらいたいと思っているわけでございます。  それからいま自創資金の枠の話で、特定の村で三億円借りられるかというお話がございましたけれども、これはやはり被害額といいますかそれぞれ市町村農家単位の被害額等がある程度固まりまして、それで農家がどれだけ借りる希望があるか、天災資金等によってどれだけ対応できるか、その残りについて自作農資金がどれだけ対応できるかというようなことを調べませんと、いま、御要望のとおり大丈夫でございますというわけにはまいらないと思っております。
  143. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そうすると岡安さん、その一定の条件を満たせばそれは借りられることになることもあるということですね。そういうふうに、あなたがおっしゃったような条件を満たすならば、総枠そのものが、たとえばこの町にもそういう一定の条件を満たすならば借りられるということになりますね。
  144. 岡安誠

    ○岡安政府委員 そういった条件というのはわかりませんけれども、従来やはり条件がございますから、従来のような条件を満たせば借りられるわけでございます。
  145. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 開拓者のパイロット事業とかいろいろやっておりますが、開拓営農というのはもう一般営農の中に含まれましたね。ところがこれに移行する際に、移行時の約束として特例自創資金というものをつくりまして、これは災害その他含まない一般的なあれだということでやったわけですね。そういうことで開拓の皆さん方は全部借り切っているわけですね。そこで今回県の方にお伺いを立てましたら、それは金もないから一般枠の中なんだ、こういうことで、あなたはどうも見込みないようだと切られたという話もあるわけでありますが、こういう特例自創の位置づけがなかなかはっきりしておらないわけでありますが、こういう開拓の方々にも十分な手が及ぶ状況になっているのかどうか、この点をお聞きします。
  146. 岡安誠

    ○岡安政府委員 開拓につきましては、一般農業者並みの扱いをするというふうになっておりますので、私どももちろん負債の状況等は勘案いたしますけれども、開拓者に特別の措置というわけにはまいらないというふうに思っております。
  147. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そうすると、特例自創というものの位置づけは一体どうなっておるのですか。
  148. 岡安誠

    ○岡安政府委員 これは、いま先生御指摘がございましたとおり、開拓者につきまして一般並みの扱いをするに当たりまして、特別の措置が必要があるということで、当時そういう特例措置を講じたわけでございまして、いまの御質問は恐らく今回の災害等にかんがみて、開拓者は特例を設けたらどうかという御質問だと思いますので、これはちょっとそのようなわけにはまいらぬのじゃないかということを申し上げたわけでございます。
  149. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 今度は大臣答えてくださいね。  規格外米の話が先ほど来出まして、規格の設定を早急にやるというお話がありましたね。早急とは一体いつなのか。規格外米の設定を早急にやるということは一体いつなのか。これは、全国農業団体の皆さん方が十月中にぜひともやってくれ、こういうことを言っておりますね。その点がいつなのかということと、あわせてこの規格外米の価格、値段、何ぼで買うかということが、これは一応指導価格というか基準価格というか、皆さんがお示しいただくことも早急にやっていただかなければならぬと思いますので、この点は大臣に、どういう方向でやるのか、お聞かせいただきたいと思うのです。
  150. 大石武一

    ○大石国務大臣 先ほど申しましたように、この規格の設定、買い入れの方針というものは十月中にははっきり決めたいと考えております。  その細かい内容につきましては、これはとても専門家でないとわかりませんので、ひとつ長官からお答えさせたいと思います。
  151. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げますが、規格の設定並びに買い入れ条件、すなわちお話しの価格でございますが、大臣から御指示を受けまして、十月中にこれを片づけたいということで鋭意努力しております。
  152. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 価格は一体どうなのかということの御返事がどちらもなかったようでありますが、それは、なぜ私がこういうことを聞くかというと、このまま早くやらないともうそろそろ稲刈りをしておりますから、業者が来て買いたたきをしてみたり、また取った稲が置き場所がなくなるわけですね、農協にも置かれない、農家の庭先にも置かれないというかっこうで。そういう点で、早急にやってもらわなければなりませんし、そのためにも価格の問題、この点をお聞きしておるわけです。
  153. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、価格そのものも早急に明らかにしたいと思いますが、価格の考え方は、先生御案内と思いますが、例年規格外米についての価格がございます。規格外米について規格を設定して、それに基づく価格を決めておりますので、それと本年度の米価のアップ率、昨年から本年の米価のアップ率、あるいはことし出回る規格外米の品質の前年との差、そういうものをいろいろ勘案いたしまして、適正に決めたいというふうに考えております。
  154. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そうしますと、たとえば昨年北海道冷害米の問題が出まして、こういう前例があるわけでありますが、あのときは一万五百円ということでありました。そうすると、それを一定の基準に置いて、それにいま言ったいろいろな要素を加える、これが一つの今度の価格になる、こういうふうなことに考えてよろしいですね。
  155. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 品質差の問題がございますが、基本的にはそういう前年の価格に対する米価のアップ率というようなものも一つの要素でございます。
  156. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そうすると、いまの問題も出かせぎに間に合う、こういうことに了解したいと思うのです。  次に、借金の問題でありますが、先ほど条件緩和についてそれぞれ御通達を要所、要所にいただいたという話も聞きましたし、また米内山さんの質問の中で、たとえば今年度の借金を一年間延長するというわけで五十二年に延ばしても、これは本当の解決にならない、五十一年、五十二年、両方払わなければならぬ、大変だということで。これに対して大臣は、そういう考え方が正しいと思うという御発言がありましたね。正しいと思うことは結構ですが、それをやるというふうに、最後の償還の繰り延べを一年延ばした、そこに持ってくるということですね。そういうふうに理解していいかどうか。正しいと思うというだけではちょっと物足りないので、これをひとつはっきりしていただきたいと思うのです。
  157. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 それぞれの条件に応じまして、ただいま先生がおっしゃいましたような条件改定もその中に含まれるということでございます。
  158. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 御承知のように冷害の後遺症は三年間かかるといっていますから、ぜひともいま言ったようなやり方をとっていただきたいということを、先ほど大臣の御発言がありましたから安心してはおりますけれども、もう一回申し上げておきたいと思うのです。  次に、同じ借金の問題でも、農協の借金です。農協はそれなりの制度資金を貸したりなんかもしておりますけれども、農協が独自にいろいろ貸し与えている借金がありますね。農協の財政は御承知のとおりふところがそう豊かでないわけでありまして、特に単協はそうです。そういう点でもう冷害を受けた農民の声を聞きますと、さあ、農協の借金、これは大変なんだ、どうしようか。必ずしも公庫資金だとかそういう制度資金ではないのですね。それともう一つは、たとえば農機具やその他の問題でも、農協を通じないで、商系から、商人から借りるのがありますね。農機具なんか銀行ローンで買っておりますから、銀行ローンの場合はもう待ってくれと言ったって、銀行ですからなかなか待てないわけだな。こういう点について、ひとつこうした皆さんの枠にはまらない、こういう早急な、緊急な農民のいまの借金の問題について、そういう手の届く温かい措置期待したいと思うのですけれども、これについてはどのようにお考えになっているか、お聞かせいただきたいと思うのです。
  159. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 先ほど農協系統金融機関についてはお話を申し上げましたが、先生お話しのように市中金融機関、地方銀行等から農家が借金をしている場合がございます。したがいまして、私どもといたしましては、先ほど申し上げました指導通牒の中に、全国銀行協会連合会、全国地方銀行協会といったようなところを同時にお願いをいたしまして、同様の農家の実態に即した条件緩和等の措置を依頼をしたところでございます。なお、今後とも関係機関等に強く要請をしてまいりたいというふうに考えております。
  160. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 ぜひひとつ、その点を手の届くようにやっていただきたいと思うわけであります。  次に、救農土木の問題でありますけれども、今回の事態に対しまして各県ともそれぞれ県単の土地改良事業だとかいろいろなものを起こしながらがんばっていらっしゃるわけでありますが、しょせん県単位の事業なんか見ますと焼け石に水なわけでありますね。どうしても政府にまつところが大きいわけでありまして、そういう点で何とか国に公共事業を大規模にやっていただきたいという願いを持っているわけであります。  ところで、このことは政府も再三言っているところでありますからわかっていると思いますが、これを、政府がいつやるのかということを早く決めてもらわなければいかぬ。なぜ私、こういうことを申し上げるかというと、もう農民の方々は出かせぎに行こうか、それとも行くまいか、政府のこの公共事業の中身がわからないと、これによって決めるわけですね。そういう点で県も国のそうした公共事業の救農事業の予算規模その他がわからないと、これは計画なり対応のできようがないわけであります。これは大臣が大変力づけて言っていただいていますが、とりわけこれがおくれますと冬場になってしまって、もう一月二月になれば何ともかんとも雪が降ってやれないという問題も出てきます。今月中にこれをはっきりしてくれということは各府県の願いでありますので、これはひとつ大臣から明快にお答えいただきたいと思うのです。
  161. 大石武一

    ○大石国務大臣 救農土木につきましては、これはもちろん早急にできるだけ農民の役に立つようにする方針でおりますが、これは農林省だけでも済まない問題でございます。間接、建設省とも関連がございます。ことに予算が一番大きな問題でございます。そこで各地方からいろいろな要望もございますし、できるだけそういう多くの希望なり実態というものを早く把握しまして、これで十分な資金と仕事の内容を決めなければなりません。そこで先日、この前の火曜日にはすぐに大蔵大臣、それから国土庁長官と建設大臣と四人で相談をいたしまして、そしてここで国土庁長官を中心としてどのような仕事をやるか、どのような予算内容でやるかということを早急に、総合的にやることにいたしまして、目下対策を立てております。十月中には結論を出して、十月中にお話のとおりこの内容を発表して仕事をさせたいと考えております。
  162. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 十一月になりますと、出かせぎ者の方々が次から次へと出て行くわけでありまして、いま大臣が十月中にぜひ具体的な構想を発表したいとおっしゃっておりますので、この点はひとつ、何とか一日も早くやっていただきたいということを重ねて申し上げたいと思うのです。  次に、共済の問題でお聞きしたいわけでありますが、農業災害補償法の改正がことしの五月本院で行われましたが、その際、私たち共産党は、現行一筆方式では足切りが三割であるのを二割にしたらどうかという点で修正案を提出した経緯がございます。しかし、残念ながら各党の反対を受けましてこの修正案は通らなかったわけでありますが、いまこの冷害の事態を背景にいたしますと、あのときに三割を二割に通しておけばいまのようなかっこうで農民の方々が多く被害を受けなくても済んだのになあということを、それなりに私はいろんな方面からの述懐を聞いているわけでありますが、ここでお聞きしたいことは、やはりいまの圃場そのものは昔の零細な、小さな圃場、たんぼでなくて、いま三反歩区画だとか五反歩区画になっていますね。それだけに全く様相が変わっているわけでありまして、三割以上の被害といったところで、区画が大きいものですから、普通ならば全部もらえるやつが全然これは被害なしということにされてしまうのですね、いまの共済のやり方からしますと。そういう点で、ぜひともこれはわれわれも法改正に今回の教訓としてもやはり踏み切らなければならないと思いますが、大臣はそういうことをお感じいただいておらないでしょうか。あなたから政治家としての御発言をいただきたいと思うのです。
  163. 大石武一

    ○大石国務大臣 せっかく皆さん方の御努力で前国会において新しい考え方がまとまったわけでございます。われわれはできるだけこれを尊重して実施してみて、そうして、もしいろんな足りない点があったならばこれを直すことにやぶさかではございません。ただ残念なことに、この新しい改正も相当以前よりも農家に役に立つわけでありますが、これはこのたびの災害には適用いたしませんので、非常に残念でございます。しかし、おっしゃるとおり、悪い点がいろいろなよりよい条件になればなお結構なものでございますから、これを少し検討いたしまして、もう少し様子を見た上でさらに改良いたしたいと考えておる次第でございます。
  164. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 共済早期支払い、これは私たちは出かせぎ前にぜひともひとつやっていただきたいという願いを持っているのです。  ただ、ここで心配なのは、せっかく共済金を幾らかもらった、ところが農民の手に入るのかどうかということになりますと、あの概算金を前に一俵当たり三千円もらっていましたな。率直なところ、あれを差し引かれる心配があるのですよ。何でもない、冷害を受けない人が差し引かれる分には私はこれは構わないですが、もっとも、そういう人は共済をもらえませんけれども、共済をもらえる資格のある人、つまり被害を受けた方が、せっかくもらった、手に入る前に概算金を差っ引かれてしまった、こういうことがあったのでは、これはせっかくの大臣の御好意が生きてきませんね。これをぜひともひとつそういうことのないように措置していただけるかどうか、お聞きしたいと思うのです。
  165. 大石武一

    ○大石国務大臣 確かに概算金は納めることになっております。これは御承知のように一俵三千円でございます。したがって、いま一俵一万六千何ぼするわけでございますから、その概算金の支払いというのは五分の一以下でございまして、それほどのと言うとおかしいけれども、払い得ない金ではないと思います。ことに、こういうものに対しまして先ほど申し上げましたように天災融資とかあるいは自創資金の貸し出し融資があるわけでございますから、こういうものでそれに充てていただければ一番やりいい。ただ、この自創資金はそういうことのために融資するわけでございますから、やはりそれを延納するとかなんとかということになるとちょっと制度上やりにくいのではないかと思う次第でございます。  いま申しましたように、もし一俵三千円の前渡金がどうしても返済できにくいとなりますと、農協で代位弁済することができる制度がございますので、それでやっていただきまして、もし金利がかかるならば、その金利については政府の方で考えてもいいということをいま相談しているわけでございます。
  166. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 まあ、それなりに一定の進歩的な御答弁だと評価しますけれども、実際共済が渡って自分の手に入る前に概算金の方にぺろっと持っていかれるということになりますと、やはり農民の受け取る心情というものは私は大変なものだと思うのですね。ほかの制度資金でやればいいのではないかと言いましても、たとえば開拓パイロットのような場合は自己開田ですからそう急に共済に入ることはできません。何年間か入れないのです。あるいは秋田県の能代の東雲開拓なんというところは国営のパイロットをやっているのですが、ここでは仮換地なんだ。まだ本換地になっておらないのですよ。そうすると共済にも加入できない、今回災害をだあっと受けた、さあ何とするかということで大変な状態があるということですね。こういう場合には、個別に何かひとつ手だてを尽くしていただけるのかどうか。それも皆そういう制度資金でやりなさいというようなことになってしまうのでは身もふたもないが、ここら辺はどうですか。
  167. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  今回の概算金返納の問題については、ただいま大臣が申し上げました方針で処理いたしたいというふうに考えております。
  168. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 まさに身もふたもない、味のない、それがあなた方の答弁というものだろうね。わかりました。  ところで、それではお聞きしますが、共済早期支払いということですが、あなた方は一生懸命がんばっていらっしゃる。ところが御承知のように、今回の評価、検査の業務が例年の四、五倍にふえています。せんだって私、岩手県に参りましたら、例年二十万筆ぐらいの調査で済んだのが今回は八十万筆を超えているというわけですね。そうすると、それなりの体制なり人員が要るわけでありますし、しかも年内に早く支払うということになりますと、これは大変な努力が要ると思うのです。そういう点で見ました場合に、一方、予算の方はどうかということを見ますと、平年時の予算しか組んでおりませんね。ですからこれは持ち出しが大変ですよ。これに対して政府が特別の手だてを尽くしてくれ、こういうことがあちこち皆どちらからも言われているわけでありますが、これの対応をひとつお聞きしたいと思います。
  169. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 全国に約二十万人の損害評価員というのが組合で委嘱されておりますが、先生おっしゃいますように、地域によりまして、冷害の実態から見まして例年以上の評価費を要するということがあるかと思われます。その財源につきましては、現在農林省で本年分の事務費の一部を保留いたしておりまして、これをひとつ災害の実態に応じて重点的に配分をしたいというふうに考えておりますが、そのほかに、過去の被害がなかった時代の積立金に、幾つかの種類がございますが、その中に特別積立金というのがございまして、この費用は共済実施に対して使用できるということになっておりますので、組合の実態に応じまして、組合からその取り崩しの申請がございますれば私どもは積極的にこれを認めて、いま先生がお話しのような実態に対応したい、そういうことで十分経費的にも確保できるものというふうに考えておるわけでございます。
  170. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私、お聞きしているところによりますと、この保留財源は何かわずか千万円程度だということを聞いているのですが、これでは問題の外だと思うわけです。そうすると、あなたのおっしゃる特別積立金、これを取り崩せばどれくらいの金が出てくるのですか。これはひとつ、対応できるとあなたおっしゃるけれども、どういう金額になるのか教えていただきたいと思います。
  171. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 五十年度末でございますが、連合会で八十億ございます。それから組合等におきましては、これは四十九年度末の数字でございますが、百億強ございます。
  172. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 本来、あれの評価をするということは、政府の責任ある仕事だと思うのですね。そういう点で、もちろん積立金の取り崩しということもやった場合はやったなりの後の始末をしなければならないと思いますが、それにしても、先ほど十分対応できるんだという御発言がありました。それでお聞きするわけでありますが、評価員の日当、これは大体何ぼの手当でやっておるのですか、国の予算は何ぼ、どうなっておりますか、お知らせいただきたいと思います。
  173. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 共済の評価員というものにつきましては、考え方としまして、やはり相互扶助の考えのもとに組合がそれぞれの部落等に評価員をお願いをしておるということでございまして、本来の考え方といたしましては、やはり地元の相互扶助、地元負担という考え方が基本でございます。ただ、組合の事務費も非常にかかってまいりますので、約二年前、四十九年度からこの評価員に対する事務費というものを支出するようになりまして、現在九百十円というものを単価として予算計上をいたしております。なお、この点は来年度も増額の要求をいたしておるところでございます。
  174. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 もともと相互扶助だというおっしゃり方がありましたが、相互扶助というと九百十円になるんだね、おたくの物の考え方は。いまは子供のアルバイトでも、あなた何ぼもらうと思っておりますか。三省協定の価格でさえも、あれは一番安いところで五千何ぼですね。ですから、来年度これに少し色気をつけるというけれども、そうじゃなしに、業務費の補助をもう少し見直していただきたいということを重ねて申し上げたいと思うのです。  もう二、三分ありますので、種もみの問題でありますが、せんだってある県に参りましたら、県も被害農家にただで種もみをやろうじゃないか、県も金を出そうじゃないか、われわれ農業団体も金を出そうじゃないか、国も全部とは言わないがそれに見合った補助をしてくれないか、そうして被災した農家の来年度の優良種子を何とかひとつただでやれるようにできないものか、こういう訴えを聞いたわけであって、まことにごもっともだと思ってまいりましたが、この点について大臣はどうお考えですか。
  175. 大石武一

    ○大石国務大臣 種もみ確保につきましては、これはきわめて大事なところでございます。そしてこれは県内だけでなかなか処理できない問題もございます。そういうことで、やはり国としてもある程度助成は考えております。
  176. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 ある程度助成を考えているということですね。  それでは、先ほどのどなたかの質問にもありましたが、農林省は世界で一番の統計調査の機構がそろって、最高のものだという評価があります。にもかかわらず、先ほどもいろいろ論議がありましたが、九月十五日の作況が半月おくれのいまごろ、きのう、おとといあたり発表になったりして、実際の物の役には立たないわけですね。したがって、こういうことに対して、秋田県の農協五連の会長の土肥大四郎さんという人がおりますが、この人が十月七日付読売新聞に談話を発表しているのですが、こう言っているのです。一つは、政府作況指数に対する発表は実態と全く違うというんだ。作況は、秋田県は、政府の発表は九四ですか、農協調査は昨年の八一%だ、収量は二割減で、所得は三割減と見込まれる、平野部でもくず米、青米が多く、とても九四どころではないんだ、九月十五日調査で十月五日発表では、もうずれ過ぎて、これは物の役に立たないということを言っているのですね。まあいろいろ事情があるということは私もわかります。わかりますけれども、これだけの調査機構がそろった農林省でまだそういう程度ということは、私なかなか理解しにくいわけであります。端的にこれは何とかならないのか。個別にも中間発表するというような手だては尽くせないのか、お聞きしたいと思うのです。
  177. 大石武一

    ○大石国務大臣 農林省では、そういうお考えでもないかもしれませんが、統計に対して手心を加えるとかなんとか、そういう考えは絶対ございません。またあってはならないわけでございます。その国の文化とか学問の高さというものの一つのあらわれが統計の正確さでございます。そういう意味で、日本の国は統計というものをいいかげんにすることは許されません。そういう意味で、私はあの統計は九月十五日現在では妥当なものだと思います。しかし、さらに十月十五日にはまた全国のあれを集計いたしますから、恐らくこのときはもっと悪い、四十六年の作況に劣らないような数字が出るのではなかろうかと考えておるわけでございますが、そういうことで、この数字に対してはひとつ信頼をしていただきたい。そしてたとえば共済損害の評価というものは、これを土台としていたすわけではございません。一筆ごとの評価員の評価の総計を組合段階、県段階あるいは国段階でいろいろ調整するわけでございますが、この低い統計を土台として無理無理下げようというけちな考えは持っておりませんので、その点はひとつ御信頼願いたいと思う次第でございます。
  178. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 最後に委員長に申し上げますが、冷害による被災農民等の救済に関する決議の案文を先ほど理事会でわが党が提起しておきましたが、ひとつ各党に御審議方をあなたからもよろしく御配慮いただきたいと思います。  これで私の質問を終わります。
  179. 湊徹郎

    湊委員長 理事会でよく相談したいと思います。  次に、津川武一君。
  180. 津川武一

    ○津川委員 大臣、現状をどう把握しているか、どう見るかという一問をまず第一にやります。その後、うちの党で芋、でん粉てん菜、サトウキビで副委員長の瀬長国会議員たちが陳情に参りますので抜けていただきたいと思いますが、最初に第一問。  まず、現状をどう見るかという問題です。閣議で五日の日に大臣が九五と発表した。これは九月十五日現在で仕方ないと思う。ところが、これを受けてみて一体被害農民はどう考えるかということです。この間、八月三十一日の閣議で安倍農林大臣が青森県一〇〇と発表したのです。八月三十一日のときにはまだ穂の出てないのがある。それで農民は逆なでされているわけですよ。今度九五。大臣のところは九四か九二か。それで行政が処置していったらおくれてしまう。青森県が八月三十一日に一〇〇と言われたから、いま災害対策がおくれちゃった。これを杉山審議官が修正したからいいけれども。そこで、速やかに十月五日現在で各県庁から報告をとって、概算でよろしい、正確な統計でなくてもよろしいから、現状はここいらが実態だという把握が必要になってまいりました。これが一つ。閣議に何と報告したかわからぬけれども、岩手県が八四か。ところが岩手県では皆無作が余りにもある。この間阿武隈山脈に行ってみた。皆無作の町村が幾つかある。これを福島が九〇と発表されたら農民がどう思うか。したがって直ちに、九月十五日現在でもよろしい、ゼロもしくは皆無作がどのくらい、三〇%以下はどのくらい、五〇%以下はどのくらいということを補足して発表しないと国民の感情に合わない。そうしなければまた行政も進んでいかない。この点まずお答えいただきます。
  181. 有松晃

    ○有松説明員 ただいまのお尋ねでございますが、九月十五日現在の作柄につきまして大臣から閣議報告をされましたのは、全国の各県については一本でございます。そこで……(津川委員「それはわかっている」と呼ぶ)ただいま申し上げますが、東北農政局で同じ日に、東北の各県別については、その各県の地域内、たとえば青森でございますと、青森、津軽、南部、下北と、この四つに分けまして、たとえば青森は全体では九二だけれども、南部では八七、下北では七〇、こういう発表をしております。  こういうやり方につきましては、私どももそういった県内の細かいところはできるだけ詳細に地域の方にわかっていただけるように今後も努力したいというふうに考えます。
  182. 津川武一

    ○津川委員 だから、その点大臣は物を見るのにどう見るかとぼくは聞いている。九月の十五日で九〇だとか九四だとかいったってこれは始まらないので、もう一回大臣に質問する。  私は、福島に十月四日に行った。福島では、恐らくあした大臣は九〇以上と発表するだろう。福島は十月四日現在で八三ということを発表している。こういう統計は各県が持っているから、これを速やかに電話一本でとれるから、これを大臣は閣議に発表していく。こういう点で、これは統計は正確でなくてもいいから、現状を見るにはある程度まで正しいから、こういう発表をしていただきたい。いかがでございますか。
  183. 有松晃

    ○有松説明員 ちょっとまた私からで申しわけないのですが(津川委員「君に聞いているのではない」と呼ぶ)ちょっと県との関係だけ……(津川委員「だから十月五日現在の報告を各県からとれ、それをわれわれに報告せいと言っているのです」大石国務大臣「それは後でまた話しますから」と呼ぶ)  各県の数字等も私ども聞いておりますけれども、ただ、県の場合には調査の方法が、たとえば昨年の収量を基準にしておる、私どもの場合は平年ということで、過去の被害の年も、通常の被害は織り込んでおる、こういうような違いもございますので、やはり農林省としては農林省の組織で調査し集計したものを報告する、こういうことでやっておりますので、御了解いただきたいと思います。
  184. 大石武一

    ○大石国務大臣 お話しのとおり、十月五日なりなんなりの各県の調査というものは、農林省で集めても結構だと思います。何か参考にはなると思います。ただ、それを公表するかどうかになると別問題だと思います。なぜかと申しますと、いままでずっと長いこと農林省の統計情報部がその方式に従って統計を集めてまいりました。その方向によって、国民にも公表し、みんなに理解してもらっているわけなんです。それと県の統計の仕方とはやはりやり方が違う場合があると思う。そういうものを一緒に途中で入れますと、ごちゃごちゃになって、国民がなお混乱すると思う。そういう意味で、われわれの参考にいたすために取り寄せることはいたしますが、これの公表はやはりすべきではない。そしてやはり九月十五日現在と十月初めの現在で、私は違うのは当然だと思うのです。そういう意味で、十月十五日の一ひそかに、期待しているのではありませんけれども、私は恐らく昭和四十六年度に劣らないような報告になるのではなかろうかというような感じも持っているわけでございます。  そういうことで、この統計というものはやはりおろそかにすべきものでありませんから、そうしてこれによってすべての行政を、評価等をするということとは違いますから、これをやはり大事にしていきたいと思います。  ただ一般の、われわれもくにに帰ってそう思ったのですが、去年豊作であった。ことしは悪いものですから、去年の豊作に比べて、感じの上でなお大被害に  大被害に間違いありませんけれども、よけい強く感ずるのだろう、こう思うのでございまして、いずれ対策に対しては十分に心がけてやるつもりでございます。
  185. 津川武一

    ○津川委員 そこでぼくは農林省に、各県で県庁で調べているだろう、県庁の調査にはこれこれの条件で、試験場で調べているだろう、これこれの条件で、農協が調べているだろう、これこれの条件で、共済も調べている、それを各県がみんな持っているはずだから、その条件をみんな書いて現状を報告せいと言ってもぼくのところに届かないのは、大臣がその考え方があるわけだな。  そこで大臣、これは委員会に出してほしい。われわれはそれがなければ事が進まない。これをあなたに要求して、これはまた後で聞く、瀬長さんが待っているから。  もう一つの問題は、被害がやはり水稲中心に行われている。これはそのとおりだろう。だが、皆さんが複合農政を進めた。東北の皆さんが非常にものすごい力で複合農政をやっている。そこで、複合農政だからほかの農産物がある。大臣のところに行くとコンニャクがある。ぼくも見てきた。福島に行くとコンニャクがある、たばこがある。北岩手から青森に行くとたばこがある。それから、ものすごいのは加工トマトがある。ここいらが世間の、行政の脚光を浴びないから、共済対象になってないから、加工トマトの損害をやるにも、銀行に書類を書くにも困る。こういう形で、今度の北海道、東北の災害は、稲作中心にしながら、全体の農作物で見て、これで発表していく、これで対策を打たなければならない、これがぜひ必要だ。  この点では畜産も同じだ。大臣のところの川崎に行っても畜産がある。北岩手の畜産はひどい目に遭っている。こういう現状をあわせて報告して対策を国民にも訴えるべし、こういう考え方なんです。これはいかがですか、大臣。
  186. 大石武一

    ○大石国務大臣 その物の考え方、これは同感でございます。あらゆる災害につきましても、その実態をできるだけ確認して、これに対する対策をできるだけりっぱに行いたいと思います。
  187. 津川武一

    ○津川委員 大臣がうちの陳情を聞きにいく前に、もう一つ考え方を聞いておきたい。  先ほど大臣は、ことしの気象情報が危ないと警報した。それで農林省でも耐冷性のものをつくれと指導した。きょうの読売新聞の編集手帳におもしろいことが載っていた。四月の中ごろ、神奈川県の山中でトラツグミという鳥が鳴いて、何か宇宙人の怪音ではないかと調査隊が出た。この鳥は渡り鳥で、寒さを追ってくる鳥で、早く来ている。こういうのがことしのスタートだった。気象通報もそうだったのです。北岩手に行ったら、ことしは杉苗が死んでいる。われわれのところに行ったらサワラが死んでいる。腐乱病が多くなってい、る。ここで非常に危ない情報があったので対処すべきだった。  藤坂の試験場に行ったら、シモキタというわせを二〇%植えさせたかった。     〔委員長退席、今井委員長代理着席〕 だが、秋田に行くと、キヨニシキが山を登ったという言葉がある。そこで、標高三百、四百、五百のところで、去年のあのいい作を見たために、ここで中生種から晩生種のものすごい種数を突っ込んだ。大臣は指導したと言っているが、指導が逆に何にも通っていない。こういう点で何らかの反省があるのか。こういう点で、今度は来年の種もみを支度するときに農林省は何をまかせようとしているか。どうこれを受けとめて、どう対処しているかという点で、この受けとめ方を聞いておきたい。この答弁が終わったら陳情を聞きに行ってください。
  188. 大石武一

    ○大石国務大臣 お話は非常に参考になります。実際、三月にそういう予報があり、トラツグミというのは非常に声の美しい朗々たる高い声で鳴くりっぱな鳥でございますが、これは大抵五月ごろですが、四月ごろに来たというのは寒さを追って来たのかもしれません。その三月に農林省は確かに通報を出しておりますけれども、これは必ずしも万全の策であったとは私も申されません。第一、そのころになりましたって、もう農民はすでに新しい農林省からのそのような知らせがあったといったって、急に、では耐寒性の、耐冷性の品質にすぐ切りかえることができるかといえば、それも簡単にはできません、前に種もみを用意してあるのですから。そういうこともありまして、必ずしも連絡、指導をしたといっても、その指導がどれほど役に立っているかということは、やはり十分に考えなければならないと思うのです。そういうことでして、やはり来年はこういうことも考えましてどのような心構えでいるか、またその冷害の来たいろいろな要因というものを、これは分析して検討しなければなりませんが、そういうことも含めまして、来年は一体どのような心構えで種を用意させたらいいのか、どのような営農をやらせたらいいかということは、やはりこの災害を一つの前車のわだちとしていろいろな新しい考え方に立ち返っていかなければならない、こう考える次第でございます。また、農民自体もやはり、たとえば農林省からことし危ないから種もみを気をつけろよと言われたって、いい、よけいとれる品種を、去年とったんだからことしもとりたいという気持ちで、簡単に、じゃ取りかえようかという気持ちにもなれないのは無理もないと思うのです。いろいろな点でやはり至らない点があったと思いますので、これは十分に反省いたしたいと思います。
  189. 津川武一

    ○津川委員 次は、天災融資法激甚災害法の発動に対して伺います。  十月十五日の統計情報部の結果で、十一月五日の閣議に諮って発動になると思いますが、それでは遅過ぎるので、天災融資法、激甚法、現在、基準からいけば発動する分の被害になっておるのかなっていないのか、これを明確に答えていただきます。
  190. 杉山克己

    ○杉山説明員 被害額は確定するのが大分先になるわけでございます。いま先生仰せられましたように、十月十五日の作況のときに、同時に被害調査もはっきりさせて、その結果を十一月の早々にきちんと公表したい、こういうことになっておるわけでございます。その結果を受けまして天災融資法あるいは激甚災法の発動基準に該当するかということを判断するのが正しいのでございますが、私どもこれはその時期まで待つわけにはいかないということで、現在の時点で、いやもう少し早い時点ででございますが、すでに大体の見通しを立てたわけでございます。それは、当然今回の災害の規模から、冷害の規模からいたしまして天災融資法は当然でございますが、激甚災法の要件も満たして基準に該当するというふうに思っております。  なお、時期の問題でございますが、十一月の早々に被害額は確定いたしますが、実は天災融資法の場合は政令上、その資金の需要額、総額を規定することになっております。この資金の需要額は、市町村からそれぞれ積み上げたものを正確にまた集計するという過程もございまして、まあできるだけ早くということでは考えておりますが、十一月早々というわけにはなかなかまいらない。私ども従来は十二月にかかるようなことが多かったのでございますが、ことしは十一月中にはぜひやりたいということで努力いたしておるところでございます。
  191. 津川武一

    ○津川委員 そこで、発動になったときに直ちに必要な融資ができるように事前の準備、いろいろな打ち合わせ、完了しておるまでいけば一番望ましいのだけれども、すでに事前の準備をやっておかなければなりませんが、これはどのくらい進んでおりますか。
  192. 杉山克己

    ○杉山説明員 関連する措置といたしましては、各般の資金上の手当てがあるわけでございます。一番早急にやるべきこととして、既貸付金についての条件緩和措置、これはやかましく申し上げますと、当然天災融資法が適用になるということが決まってからそういう貸付条件緩和なりそのほかのことが決められるわけでございますが、すでに私ども天災融資法につきましてはいま申し上げましたように、はっきり発動するということを予定しているものでございますから、そのことを前提に五日付で農林経済局長名をもって関係融資機関に、さらにまた地方農政局、関係府県等に所要の指導通達を出しているところでございます。
  193. 津川武一

    ○津川委員 そこで、十一月中に発動になる。それ以後でないと天災融資法は借りられない。被害が大きくて農民が待っておれない。つなぎ融資がぜひ必要でございます。宮城県に行ったら、とりあえず二十億円、福島県に行ったら五十億、つなぎ融資を決めておる。このつなぎ融資の関係はどうなりますか。
  194. 杉山克己

    ○杉山説明員 いま私、条件緩和のことを一番先にという気持ちでそれだけ申し上げましたが、実はあわせましてつなぎ融資の点についても同じ通達の中で触れております。それから特に県等に対しましては、そのつなぎ融資の指導、さらにはその助成も含めていろいろ努力願いたいという趣旨の内容になっております。
  195. 津川武一

    ○津川委員 山形県に行ってみました。つなぎ融資の利息が九・三%、とても農民は借りられない。つなぎ融資の利子補助をしてほしい。いかがでございます。
  196. 杉山克己

    ○杉山説明員 つなぎ融資は本来ならその収穫物の代金が入ってくる時期から実際に国の資金手当てが行われるまでの間ということになりますと、期間的に言えば恐らく一カ月か最大二カ月くらいの期間になるかと思います。ただ、そういうこととは別に、冷害でほかの、先ほど先生も言われましたようなすでに収穫時期が来ているような野菜そのほかの農産物等で被害も受けているとか、農家経営全体としてすでに現在資金繰りが苦しいというようなところもあろうかと思います。そういうようなことで、特に苦しいところでは若干早目に期間も長くなるということもあろうかと思いますが、一般的にはそれほどの期間ではない……(津川委員「利子補給」と呼ぶ)そういうことから、利子の総額も、実は対象の件数もそれほど大きなものになるというふうには考えていないわけでございます。  それから国全体の制度としては、まことに申しわけございませんがそういうものについての利子補給をやるということは前例もございませんし、それから……(津川委員「それなら最初からそう答えてくれればいい」と呼ぶ)ただ、理由を申し上げさせていただいたわけでございます。  それから県等でできるところではやっていただいているという実績もございますので、できるだけそういう地方の御努力もお願いするということで対応しているところでございます。
  197. 津川武一

    ○津川委員 もう一つ、山形県北部、最土地方、去年、一昨年と災害を受けている。ことしもまた災害天災融資法借りるにも、貸す窓口が渋っている。借りられない。北岩手、去年はひょう、この間もひょう、それで天災融資法のお金を借りている。融資は天災ごとにあるのだけれども、窓口が出し渋っている。必要な人に届かない。これは届けてくれますか。
  198. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 天災資金につきましては、先生御承知だと思いますが損失補償がついております。したがいまして、本当に返せないという場合に、そのケース、ケースによりますが、損失補償をするということも可能でございますし、たてまえといたしまして天災資金はそれぞれの天災ごとに貸し付けられるという性格のものでございます。
  199. 津川武一

    ○津川委員 既存の借金がかなり多い。北海道農民は特にその点の借金が多い。この間阿武隈山脈に行ってみたら、無理して回転しているからここにも借金が非常に多い。こういう人たちは、系統資金、元利払いではだめだと言うのですよ。二年後に、三年後にことしの分も払えというのはかめだと言う。繰り延べでなければならないと言う、繰り延べもあり得るという返事をしている。農家が求めた場合、繰り延べでなければ事が進またい、繰り延べでなければならないというこの考え方、繰り延べさせますか。これが必要だと思います。これが一つ。  第二番目には、農業近代化資金、十カ年以内の期間で貸している。ところが実際の証書は七年なんだよ。そこで、いま払えなくなった。証書は七年。これを繰り延べて、証書であるものを延ばしていくかどうか。自創資金、二十年年賦。実際の皆さんの処置は十五年証書を書いているのが一番多い。そこで、この繰り延べが、証書にどうあろうが十六年、十七年と繰り延べていかなければならぬ。ここが非常に大事な融資の問題になっているわけです。この点、農林省の方針、聞かしてもらいます。
  200. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 天災資金、それから近代化資金についてそれぞれ制度的に資金の性格からいたしまして一定の法令上の期間があるわけでございますが、それ以下の期間農家が借りております場合に、その範囲内におきまして、それぞれの事情に応じて期間の延長等ができるということでございます。
  201. 津川武一

    ○津川委員 繰り延べを先ほどはあり得ると言った。いまはまた答弁が後退したようだが、これは必ず繰り延べを実際の農家と相談するように要求します。  次に農業共済損害評価特例措置というのが非常に求められておって、去年は通達を出しております。今年は通達を出しますか。
  202. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 共済収穫量につきましての特例措置でございますが、それはその年々の災害の実態に応じて、必要な場合に出すということにいたしておりますが、本年は大変ひどい冷害でございますので、当然特例措置をいたすということになると思います。
  203. 津川武一

    ○津川委員 はい、わかりました。  その次、皆無作、一〇%作で前渡金をもらっている。今度食べる食糧がないのです。去年五十俵を供出している人がことし食べる食糧がない。そこで、農民の間には、米をつくっている農民にせめて米だけでも食べさしてくれということなのです。時間がないので私の方から先に言うけれども、これに対して、昭和四十六年に北海道に対して講ぜられた冷害に対する米代金の延納措置概要、これは食糧庁が知事に売り渡して、知事が地域の食糧事務所長と相談して価格を決めて、必要であれば繰り延べをするというこの措置。これは四十六年に北海道でやった。ことしもこれをやる必要があると思いますが、いかがでございます。
  204. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 該当県がございますれば、県と御相談をいたしましてこれを行いたいというふうに考えております。
  205. 津川武一

    ○津川委員 次は規格外米等外米。大臣、本当にいいことを言ってくれました。あなたは等外米全部買い上げる、いまでもこの方針にお変わりありませんか。何か参議院議員の質問のときには後退したように聞こえたのですが、いかがでございます。
  206. 大石武一

    ○大石国務大臣 食糧に回し得る等外米は全部買います。そういうことでございます。
  207. 津川武一

    ○津川委員 食糧に回らない等外米はどうなさいます。
  208. 大石武一

    ○大石国務大臣 食糧に回らない米は、やはり当然買えないと思います。ただし、これはやはり何らかのいろいろな原料になります。使いますから、その使い道については、できるだけ農民の有利になるように、責任を持っていろいろと世話をする、めんどうを見てまいる、そういう方針でございます。
  209. 津川武一

    ○津川委員 そこで、規格外米等外米はまず自主流通米でやりたいと言っている。まあいいでしょう。  そこで、価格。ことしこんなに多くなるので買いたたかれる心配がある。非常に心配だ。杉山審議官が、買いたたかれないように全力を尽くすと、この間災害対策特別委員会で答弁している。これはいいことだ。農林大臣が全農と相談して速やかに前処置する必要があると思います。下手にすると何かやみの市場なんかつくる心配も出てきますので、この点はいかがでございます。
  210. 大石武一

    ○大石国務大臣 おっしゃるとおりでございます。
  211. 津川武一

    ○津川委員 そこで、常の年であるならば政府買い上げのために規格がある。一等、二等、三等、四等、五等、等外。こういう冷害の場合は、凶作の場合は、それに即応した政府の買い入れの規格をつくるべきだと思う。食糧庁長官が一等、二等、三等、四等、五等、それから等外上だとか、等外多湿だとか、等外不稔だとか、いろいろなものを考えているようですけれども、常の年の価格の体系でなく、冷害時の価格体系をつくるべきだと思うのですが、いかがでございます。
  212. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 規格はそれぞれ実需者その他の検討の結果ずっと続いているものでございますので、規格自体を動かすわけにはまいりません。ただ、本年の米の特質として、規格外米発生する場合に、特別規格をつくってこれを救うということでございまして、これは例年やっているところでございます。
  213. 津川武一

    ○津川委員 次に、収入が減ったので、農外収入を確保する点、この点は大臣がよく言ってくれました。ところが、大臣の言葉を聞いていると心配なところがある。特別交付金は自治省と交渉する、起債は交渉する、こう言うと、農林省自身がおやりにならないのじゃないか、政府自身がこの救農事業をやらないで、地方自治体に全部やらせるのじゃないかという心配がある。そこで、失対事業、ああいう形で政府が音頭をとって、政府が支出してやるべきだと思うのです。この点はいかがです。
  214. 大石武一

    ○大石国務大臣 先ほどもお答えしましたように、これはどういう仕事をやったらいいか、どれだけ予算を獲得したらいいかということで、国土庁それから農林省、建設省、それに大蔵省まで引っ張り込みまして、ここではっきりといろいろな対策を立てております。そういうことで、もちろん農林省としてやるべき仕事は、土地改良その他いっぱいございますから、これはもちろん大いにやります。私たちが逃げて、起債とか財源の面だけで何もやらない、そんなことはいたしませんで、対策の中心の気持ちで一生懸命でやる決意でございますから、その点をひとつ信散していただきたいと思います。
  215. 津川武一

    ○津川委員 そう簡単に信頼するわけにいかないですよ。地方自治体はいま苦しいのだ。三分の一の補助で三分の二地方自治体が持つのじゃやりきれない。そこでこの際だから、政府がこの事業をみずから計画して実施すると地方自治体にふれる。農林大臣の、大石さんのあの気魄で、ここのところは思い切って政府の救農事業をやる、いままでの土地基盤整備だけではなく、救農事業をやるということをここで明言していただかなければならなくなりました。
  216. 大石武一

    ○大石国務大臣 政府中心となって一生懸命あらゆる対策を尽くします。補助事業につきまして、大体補助事業が多くなりますが、ほとんど地元の負担、農民の負担がないような形で、できるだけ実施してまいりたい、こう思います。
  217. 津川武一

    ○津川委員 大蔵省の主計官、済みませんが、時間がなくなりましたので堪忍してください。  そこで、林野庁、救農土木事業で阿武隈山脈をずっと歩いてみました。国有林はまことに荒れています。つるがいっぱい、切らなければならぬ灌木がいっぱい、下が草ぼうぼう。そこで地域の人たちは、営林署と部落が相談して、この下刈りを、この地ごしらえを、間伐を、枝切りを、おいらと営林署で相談してやらしてくれないか、——そうしたら営林署は、自分の施業計画があるから無理だと言うのだよ。これをやらしていく必要がある。これは財政も、大蔵省が援助しなければできませんよ。これが一つ。  次は畜産局です。北岩手に行ってみたら、家畜の屎尿処理を五、六軒部落がまとまってやる。セメントとスコップがあれば、ぼくらでも何か考えて、もう少し技術指導してもらえばつくれる、乙うやると、大石農林大臣のあの温かい気持ちがそっくり実るのだが、こういう話なんです。  この二点、答えていただきます。
  218. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの国有林の施業上の問題等を含めて、  一部救農対策の仕事としてやったらどうだというお話でございますが、もうすでに各営林局を通じまして、その実態あるいは要望等を現在聴取いたしておりまして、単なる間伐、除伐ということだけでなくて、治山、林道等を含めまして、いろいろ現在検討調査いたしておるところでございます。
  219. 大場敏彦

    ○大場政府委員 家畜の屎尿処理につきましては、まだ県から具体的なそういうお話はいままでのところ伺っておりません。よく事情を聞いてみて検討いたしたいと思います。
  220. 津川武一

    ○津川委員 終わります。
  221. 今井勇

  222. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 東日本を中心とした冷害対策について、農林大臣並びに関係当局に質問いたします。  本員は、第一班として十月四日から三日間、北海道調査を行ってまいりました。詳細は団長から本日報告のとおりであります。これに先立ちまして、私は八月二十一、二十二日にいち早く山形、福島県の冷害調査をいたしまして、当時農林省にもいろいろその警告を発したわけです。もうそのころは歴然とした冷害が見受けられました。さらに九月六日から八日にかけて岩手県、青森県、宮城県の調査を党の調査団長として調査をしてまいりました。その結果、九月八日に帰りまして九日に直ちに井出官房長官を通じて三木総理に十九項目の冷害対策の申し入れをいたしたことは、大臣も十分御承知だと思います。  そういった経緯を経てまいりましたが、今回の冷害は四十年ぶりまたは六十年ぶり、生まれて初めてだというようないろんなことを各地で、東北六県並びに千葉県においてもまた北海道においても聞いてきました。私は総じて論ずるならば、特に北海道、東北の岩手県等でも言っておられましたが、戦後最大と言われる冷害である、こういうふうに農民は認識して、大変な不安を持っておりますが、まず大臣は、戦後最大の冷害である、こういうふうに認識しておられるのか、その点大臣の所見をまず最初に承りたい。
  223. 大石武一

    ○大石国務大臣 お答えいたします。  どうも戦後最大かどうかと言われましても、私も余りよくわかりませんけれども、少なくとも戦後の大災害と言われた四十六年度冷害に匹敵するようなものだと考えております。
  224. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 被害調査がだんだん明らかになれば当然これはもう戦後最大になると私は思うのですが、近く農林省も十月十五日現在を十一月の二日ですか、発表するというようなことでいろいろ検討調査を進めておられるようでありますが、それはその調査を待つことにしまして、大変な災害であるという認識に立って、以下、各地を回りまして、いろいろ他の委員からも論議されましたが、私もその農民の一番願っている順序によって、特にこういったことをお願いしていただきたい、また対策を講じてもらいたいということを毎日毎日、それこそ本当に繰り返し繰り返し聞いてまいりましたので、改めて重複をいとわずいまから大臣並びに関係当局に質問いたしますので、全農民のためにひとつ系統立ててお答えをいただきたい、かように思うわけでございます。  まず第一番目に、何と言ってもこれは災害に必要欠くべからざる激甚災害法並びに天災融資法に基づく天災資金早期貸し付けということを各県とも一番強く要請をしているところでございます。これについて、今回の冷害というものは激甚災害法に該当することは、これはもうはっきりしております。八条によってA基準、B基準基準がございますし、大臣もおっしゃっておりますように、もう当然これはB基準には該当しますし、当然A基準にも該当する県が出てくるということははっきりしておりますけれども、そういったことから私は質問してまいります。  今回のこの激甚法と天災融資法に基づく天災資金早期貸し付けは、これはもう一刻も早くやってもらわなければならぬ、こういうふうに思うわけです。冬場を迎えて大変困っております。青刈りまたは全然収穫ゼロのところもあることははっきりしておるわけでございますので、作況指数からいけば九五とか八三とかといっておりますけれども、実際問題、現地へ行ってみると収穫ゼロのところがたくさんございます。そういったことから私は必ず早い機会に——大臣は十一月にずれ込むということでございますけれども、その点ひとつ積極的に一日も早くこれが指定されますように、さらにさらに努力をお願いしたい。その点大臣、最初にお答えいただきたい。
  225. 大石武一

    ○大石国務大臣 お話のとおり、できるだけ早くこれを発動して役に立たせるように努力いたします。
  226. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、これまた貸付限度額の引き上げ及び金利引き下げ。限度の引き上げと同時に金利引き下げもしてもらわなければなりません。そのことについては、ことしは従来のパターンを踏襲してやるような政府の考えのようでございますが、その点についてどういうふうに政府は考えておられますか、お答えいただきたい。
  227. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 天災法の貸付限度につきましては、先生御承知のとおり、昨年倍額に引き上げをしていただいたわけでございまして、当面この金額で本年も対応できるというふうに思っております。  金利の点につきましては、各種金利体系がございまして、いろいろな金利がございますが、たとえば天災融資法について見ますと三分の資金が大体八〇%方融資されておりまして、この三分という資金はほかのものと比べまして非常に低利な金利でございますので、当面こういう金利で対応できるというふうに私どもは思っておるわけでございます。
  228. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いまの件で農林大臣、さらに大臣は農家の需要にこたえるよう努力するということをおっしゃっておりますけれども、昨年の例から見ますと七、八〇%はことしはカバーする、こういうふうなことを政府は言っておるようでありますが、現金支出分をおおむね賄うということで政府も十分検討するというお考えをお聞きしておりますけれども、十分この需要を満たすということからいけば七、八〇%ぐらいでカバーできる、こういうふうに思っておられるのか。それ以上に需要があった場合は当然必要枠はオーバーしても政府としては用意する、こういうふうに理解していいのか、その点も明確にしていただきたい。
  229. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 貸付限度の策定に当たりましては、先ほど先生お話しになりましたように、農家経済調査等の資料を用いまして各階層別にいろいろ農家現金支出、経営費の中の現金支出部分を検討いたしまして、大体七、八〇%程度農家現金支出を賄えるような限度額というものの設定になっておるわけでございまして、そういう範囲の農家にはおおむねこの限度で対応できるというふうに私どもは思っておるわけでございます。
  230. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、農林大臣にお伺いいたしますけれども、農民から今回の調査で次に強い要請が出たのは、何といいましても低品位米政府買い上げの問題でございます。これは至るところ、このことがまず冒頭に要請が強かったわけです。大臣も調査をされてそのことは深刻に理解をしてこられたと思いますが、私もこの点については大臣に強くまたお尋ねもし、要請もしておきたい、かように思うわけです。この低品位米政府買い上げ措置について、現行の農産物検査規格によりますと、御承知のように五等以上の品位に格づけされた玄米を政府が買い入れるというふうに規定されておることはもう御承知のとおりであります。特例として、被害が著しい特定の地域において発生した規格外米及び等外米についても買い入れることができる道が開かれておるわけでございますが、過去において政府が買い入れた事例もあるわけでございます。大臣その点御承知であるかどうかわかりませんが、過去にもそういった例があるわけでございますので、特に戦後最大と言われる今回の北海道を初め東北六県等の冷害につきましては、ちょうど成育する過程において、幼穂期に冷害を受けたり、特に今回は葉鞘褐変病がずいぶんはやりましたし、またいもちも若干入ってきたということでダブルパンチを受けております。そういったことで障害が大変大きいわけであります。     〔今井委員長代理退席、委員長着席〕 今回の米をずっと見ましても、青米が大変多くございます。それと未熟米がたくさんあることも大臣も確認されたと思いますが、こういう青米未熟米が上位すれすれのところにありまして、これらの米がほとんど半分以上になっておるというのが北海道また東北を見ましてもうなずけるわけでございます。もう稲も老化し、すでに霜がおりました関係で、ちょうどわれわれが調査に行っておりました六日の早朝、薫煙をたいたにもかかわらずついに勝負あったと農民はがっくりしておりましたが、降霜によって午後からは稲がだんだん枯れ、また萎縮し出したということで、憤然と農家も立ちすくんでおりました。そういうようなことで、お米はもう北海道なんかにおいては勝負があった、こういうふうに思うわけです。  そうしますと、今後の天候回復、いろいろな手当てをしたにしても、青米未熟米はそう大きく変化は望めない。そうしますと規格にすれすれというのが多くありまして、いわゆる買い入れにもならぬ、共済対象にもならぬという米がたくさん出てくるということはうなづけるところでございます。こういった被害実情について詳しくは申しませんけれども、政府買い入れ制度を早急に決定して、全量買い入れということをおっしゃっておりますが、御承知のように食糧に回る米は買うけれどもそれ以外の米は買わない。食糧に回らない米がこれまた相当出てくると思うわけです。農林大臣は先般来調査に当たって、再三にわたって農林省が責任を持ってやる、こう言っておりますから、農民規格外米等外米以外の米も全部買ってくれるものだと思って大変期待を持っておるわけですけれども、実際はそういうことにはならぬと思うわけでございます。  それで、特別規格外米をつくるということですけれども、どういう特別規格外米をつくる考えなのか。いずれにしても早くやらないと、十月の中旬までにいろいろな方針を決めてもらわないと、いろいろ農家自身の操作があるわけです。それがはっきりしなければなかなか農家がそういった手を打てないということで、本当にこれは焦眉の急務になっておる。とにかく何とか早く決めてくれというので、どこへ行っても泣くような思いでお願いしますという声がいっぱいあるわけです。これを全国農民のためにもう一回、どうするんだ、そしてこの特別規格外米はどういうふうに考えておるという方針をこの場で示していただかなければ全く迷います。その点を含めて、大臣並びに大河原食糧庁長官からひとつ全国農民にお答えいただきたい。
  231. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答えを申し上げます。  本年の冷害に伴いまして発生いたします規格外米等の取り扱いの基本方針は、午前中から大臣が申し上げたとおりでございます。その場合、この取り扱いに必要な規格の設定と、それから買い入れ価格等についても、これは大臣もお答え申し上げましたように、私ども今月中には規格並びに価格等を含めた買い入れ条件について一切の措置を終えるようにというような指示を受けておりますので、ただいまこの点を急いでおるわけでございます。  規格につきましては、お話もございますように、本年流通する本来の等級なり規格に合致しない米の品質の特徴、青米とかあるいは葉鞘褐変病のお話もございましたが、それらに基づく品位規格というものを十分見まして、主食として配給可能なものを頭に置きまして規格を設定したいというふうに進めまして、いま具体的に各県からのサンプル等も取り寄せましたし、地域地域検討を急いでおるというわけでございます。
  232. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣、この問題はもうどこの地点でもそういう要望が強かったので、大臣もよく聞いてきたと思いますけれども、いまの低品位米の問題について今月中にはとおっしゃる。今月中ということは、これは十日も入れば十五日も入るし、三十一日も入るということになるわけですけれども、もうとにかく一刻も早く、一日も早いということを一番農家が望んでいることです。これは本当に理屈なしに望んでおります。大臣も本当にわかってきたと思うけれども、どうかひとつ、今月中ということは十日でも十五日でも今月中でありますから、その点一日も早くやるように農林省を督励して、ひとつ最大の努力を払ってもらうように、農民の父としての農林大臣、手を打ってもらいたいと思うが、その決意を伺っておきたい。
  233. 大石武一

    ○大石国務大臣 お話しのとおり、今月中できるだけ早くこれを決定して発表させるようにいたさせます。  なお、ありがたいことに、きょうはあなたの御発言もありますが、この内容は恐らく全国にいずれマスコミその他を通じて伝わると思いますから、農民もそのことについてある程度安心をすることになるのじゃないでしょうか。とにかくできるだけ急がせてやらせます。
  234. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この点についてはもう農民が異口同音に言っておる問題でございましたので特にくどくお願いしましたが、ひとつできるだけ督励をして、当局も大変でありましょうけれども、こういう戦後最大と言われるこの被害に対して、最大の努力、手当てをしていただくように重ね重ねお願いをしておく次第であります。  次に、農民が強く要望していた問題は、私の参ったところでは次のような要請が強かったのであります。それは農業共済損害評価基準緩和の問題でございます。御承知のように、農業共済における収穫対象となっておるところの損害評価基準のふるい目というのが全国一・七ミリとなっております。これは米選機とかいろいろふるいの機械はありますけれども、特に北海道は消費者に北海道のりっぱないい米を上げようということで、北海道独自で一・八というふるい目を使って、そしていわば自主奨励といいますか、北海道独自でいろいろやっているということは今回の調査で私も十分承知してまいりましたが、この一・七ミリというのは全国一律のふるい目でございます。そこで、北海道の一・八ミリはさておくとしまして、これ以上の米はすべて収穫とみなされて共済金支払い額から差し引かれるわけであります。ところが、一・七ミリ以上の米はそういうふうになりますが、今回の冷害を見ましても、東北、北海道にいたしましても粒は大きいのがある。見本はたくさん私ども持ってまいりましたが、確かに見るとふるいにかかる粒の大きいのがあるわけです。よく見ると中が未熟で、実際に登熟していない米がたくさんございます。そういったことで、結局青米等政府買い入れ米対象とならない、いわゆる粒は大きいけれども、網の目にはかかるけれども内容が充実してない。御承知のように米は整粒でないとなかなか買わぬ。また、農林省は米が小さくても要するに人間の口に食べられるものであれば、これは当然お米として、整粒として見るわけですけれども、今回は整粒というのはほとんど見られないように、胴割れやってみたり、ひび割れやってみたり、青米やってみたり、いろんな米があります。そして、一・七ミリにそれがかかっているというようなことで、これは大変農家も頭の痛い問題で、一・七ミリに泣かされておるのが事実でございます。この点を考慮して特別措置を講じてこの基準緩和し、実情に合致した被害の認定を行って農民の窮状を救う、こういうふうにしていただきたい。  そして、例年ですと、北海道共済金は大体年内、東北六県は年明けてからということでそういうパターンがあったのですけれども、大臣も先日の当委員会では、今年中には全農民共済金を支払う、こういうふうに決意を述べておられますから、よもやそれは間違いないと思いますけれども、これまた今年中ではなく——例年から見ますと十二月の三十日とか大みそかの三十一日にもらうという例が多いわけです。そのころに金をもらっても何にもならない。早くもらわなければ使う時間がない。また、十二月三十一日のお金と一月一日になってからのお金じゃ金の値打ちが違うということで、特に戦後最大のこういったひどい冷害でありますので、早目に早目にひとつ、共済金の評価基準緩和とともに、共済金早期支払いをやってもらうということに対して、農林大臣、これまた最大の努力を払って農民期待にこたえてもらいたいと思うのですが、大臣の重ねての御決意とまた方針を伺っておきたい。
  235. 大石武一

    ○大石国務大臣 瀬野委員のお話、よくわかります。よくわかりまして、結構な温かいお考えだと思いますが、この基準というものはやはり簡単にしょっちゅう便宜的に変えてはならないと思います。基準はいま変えない方針でございます。しかし、温かい気持ちで、やってやろうという気持ちでいろいろな努力をすれば、ずいぶんといろいろな効果が上がると思います。たとえば、午前中経済局長からもお答えしたと思いますが、一・七ミリのふるいで残った米でも、青米とかその他の米につきましては、これを搗精をしてりっぱに白くなって食える米になるかどうかを見て、それでもその一・七ミリに残るものは残すけれども、それ以外のものは全部共済対象にするというようないろいろな温かい方法で考えておりますので、その点でひとつ十分に役立ってまいりたいと思います。  それから共済金支払いでありますが、確かに早いほど結構なことはありません。ただ、どうしても十二月に入ることは間違いないと思います。そこで、どうしても現金が早く欲しいという方に対してはつなぎ融資をいたしたいという方針で、すでに県なり農協、各団体その他にも通知を出しております。そうして、つなぎ融資を回すように、その場合にもできるだけ、せいぜい五分くらいの金利にしたらよかろうということで、ほかのそれまでの金利は補給する。県段階とか何かで補給したらよかろうということで、そのような方針でつなぎ融資もいま考えておるわけでございます。これにつきましては、農林中金からも十分な温かい申し入れがありますので、このことは十分にやり得ると考えております。
  236. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣からいま心を打つような農民に対する温かい、やってやろう、やりたいということをぜひ進めていくということで方針を出されましたので、私も胸にぐっとくるものがございましたから、基準について厳しいこともわかっておりますけれども、どうかひとつ弾力的にいまのような方針でやっていただく、また、大臣がそういう気持ちであるから、大河原食糧庁長官初め各農林省当局も、大臣と同じ心になって今回農民を救っていただくように、この機会に重ねて強くお願いをしておきます。  次に農民要望しているのは、これはどこの県も同じだと思いますけれども、やはり自作農維持資金特別枠の設定による貸し付け貸付条件緩和ということでございました。これも各町村長または道庁の知事からも大変要請が強く出ましたが、今回のような低温による災害というものは、御存じのように公共施設とか諸施設損害を受けていないために、結局公共土木の事業等はないわけです。かといって、出かせぎに行くにしてもなかなかいま仕事がないというようなことで現金収入の道が閉ざされておる。それで、結局農家としては、現金を得るためには自作農維持資金の借り入れに頼る以外にないというのが実情でございます。そこで、政府も十分御承知のとおりでありまして、被害者の要望する融資額を確保することはもちろんでありますが、これに必要な資金枠を設置しまして早急に貸し付けができるように、金利引き下げもぜひやってもらいたい、そして思い切った措置を講じていただきたい、かように思うわけですけれども、政府の考えは従来方式で弾力的にやるというようなことでございますけれども、そうでなくて、いま申しましたように、ひとつこの自創資金に頼る以外にない農家の窮状を思い、年の瀬も迫ってくるわけでございますので、ぜひともひとつこういったことについて最大の努力をしていただきたいと思います。これについて農林大臣からお答えをいただきたい。
  237. 大石武一

    ○大石国務大臣 お気持ちはよくわかります。御承知のようにこの自作農維持資金というものはわりあいに条件のいい融資であります。五分の金利で三年据え置きの二十年でございますから、借金としても非常に都合のいい資金でございますので、これ以上金利を下げるとか何か条件をよくすることはなかなかむずかしいのじゃなかろうかと思います。こういう資金はできるならば今後融資枠を広げるとかそういうことによけい努力したらいいのじゃないかと思います。  なお、先ほどのことにもお答え申し上げましたように、すでに何回かのいろいろな災害に遭いましてこの融資枠が限度に来ている農家もございましょう。そういう者に対してはできるだけよりさらに特別な枠が広げられましてさらにこの融資を利用することができるような方向にぜひ力強く進めてまいりたいと思います。
  238. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に各町村、また現地農民からの要望の強い問題は、農業近代化資金等制度資金の問題でございますけれども、被害農家償還額のうちで償還不能分について償還猶予措置を講じてくれ、これは当然です。農機具を買ったりいろんな資材を買っている、そのお金の償還が大変できない。特に北海道では、やっぱり一農家平均年間百万円ぐらいの償還をなさねばならぬ、こういうようなことで、どこへ行っても最低百万以上の償還に迫られております。こういうことを聞きまして、冷害で米はとれぬ上に、食べる一年間の来年秋までの主食にも事欠く、その上に借金は返さねばならぬということで、こういった近代化によって借りてきた金の償還に困っているというのが実情でございます。こういったことについてはひとつきめの細かい農林省の措置をしていただくようにお願いをすると同時に、償還延期償還猶予措置を講ずること等、早く方針を打ち出してもらいたい。と同時に、再貸し付けを行うことができるような処置もやってくれ、こういう要請が強くあったのであります。そして実質的な貸付条件緩和する、こういうことをぜひやってもらいたい、こう言っておりました。その点についてさらにひとつ政府の方針を全農民の前に明らかにしていただきたい。
  239. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 近代化資金を借りております被害農家が償還を延期をしたいというふうな状況になりました際には、法令で定まっております資金の期限内におきまして個別具体的に金融機関と相談をしてしかるべく均等償還なり何なりの措置をとるということができるわけでございまして、すでに十月の初めに各関係金融機関に対しましてそれぞれ農家実情に応じてそのような措置をとるようにという指導通知をいたしておるところでございます。  なお、農家のさらに融資を受けたいというふうな場合の信用の補完的な仕組みといたしましては、信用保証協会等による債務保証措置というふうなものが講じられておるわけでございまして、そのような債務保証等を受けることによりまして近代化資金を借りることができるということになっておるわけでございます。
  240. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次は救農土木の問題ですが、私もこれに触れて大臣を初め各関係当局にお願いをしたいと思います。  先ほど申しましたように、戦後最大と言われるこの異常冷害に対して、年末を前に農家現金収入のために救農土木事業を起こしていただくということは、すでに大臣も明らかにしておられますが、ぜひお願いを兼ねていまから申し上げたいと思います。  本年度実施予定土木事業及び明年度予定しているところの事業、こういったものを繰り上げてこれを実施して、救農土木ということからも早く仕事に着工するというようなことも考えてもらいたいと思うが、この点どうかということです。というのは、北海道においては雪が降りますので、なかなか林道とか、またいろいろな農道というのは大変なことにもなりますけれども、できる公共事業もあるわけですから、そういったことはどういうふうに考えておられるか、まずそれをお伺いしたい。
  241. 大石武一

    ○大石国務大臣 救農土木につきましては、たとえば土地改良等をやはりできるだけ——予算の問題もありますけれども、来年の分を繰り上げると申しますか、その仕事の分をよけいやることも私は好ましいことだ、そういうこともぜひやりたいと考えております。
  242. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ぜひ今年度実施予定土木事業とか、明年度予定の事業も繰り上げてやるようにひとつ最大の御配慮をお願いしたい。ぜひ大臣のおっしゃるようにお願いしたいと思います。  それから、大臣も視察に行かれたときとか、先日の当委員会でも決意として述べておられますし、せんだっての本会議でも大臣答弁の中に救農土木とかいろいろ言われておりますけれども、特に各地元市町村要望が強かったものは、積雪下における事業として、排水溝、用水溝等に生えている、または小河川に生えている柳切りをさせてくれ、それからアシだとかヨシを切らしてくれ、そして災害防止の妨害になるものを除去して、来年に備えたいというようなことで、排水溝の柳切り、こういったヨシ、アシの除去、または改修とか排水溝の設置の仕事をさせてくれ、それから、暗渠排水、さらには客土農道及び林道の補修土地改良、砂利採取事業、それから治山事業、または国有林及び市町村有林の除伐、間伐、択伐、こういった仕事をぜひこの際やらしてもらいたいというのが地元の要請でございます。これは、地方地方によって一概に言えない。国有林のないところもありますが、いろいろ条件は違うけれども、地元でいま鋭意検討して、自分の町村ではこういったことをぜひやりたいというようなことをいま詰めておるようでありますが、これもぜひひとつ十月中と言わずに早目に発表して農民に安心を与え、いま出かせぎに行こうかどうしようか迷っている人たちに対して、早く方針を決めて、腰を据えて仕事に従事できるようにしていただきたい。これが温かいやり方だ、かように思うわけでございますが、この点について大臣初め関係者林野庁長官等はどういうふうに考えておられるか。特に林野庁長官には、国有林等についての除間伐とか択伐とか治山事業、あるいは林道補修、新設、いろいろあるだろうと思いますけれども、こういった問題について、現在国有林が組んでいる予算の中でそれをどういうふうにされるのか、追加でなさるのか、または予備費から持ってこられるのか。そういった予算を含めてもっと具体的にしないと、国有林は一定予算で、国有林野にはすでに職員もおるわけだから、われわれはなかなか国有林の仕事はもらえない。国有林の間伐もおくれているけれども、なかなか自分たちは国有林に入って仕事はもらえないだろうという不安があって、いろいろ心配をしている向きがたくさんございます。そういったものに対する考えを明らかにしておいてもらいたい、かように思います。
  243. 大石武一

    ○大石国務大臣 この救農土木事業につきましては、確かに非常に要望が多いのでございます。これにつきましては先ほど申しましたように、たくさんの仕事の量、あるいは資金というものを獲得いたしまして、できるだけ出かせぎにいかないでも暮らしが立っていけるような方向に持っていきたいと考えております。いまいろいろお話しのことはまことに結構なことでございます。しかし具体的なことになりますと、これは既定経費だけではもちろん足りませんから、どれだけの予備費を持ってくるかとか、あるいはどのような事業は建設省とか農林省とかでどのような形でやったらいいかとか、いろいろなことがございます。そういうことでこの問題を総合的に進めていこう、予算の問題を含めて総合的に進めていこうということで、先日、先ほど申しましたように国土庁長官を中心として、農林省、建設省、それから大蔵省、こういうものが集まりまして、十分にその対策を立てている段階でございます。一日も早くこれを実行に移させたいと思います。  なおどのような事業をするかということはそのときにいろいろ決めていくわけでございますが、ただいまのお話の中で、水路のアシを刈るとか柳の木を切るような話がございましたが、これはいまの法律ではだめなんだという構造改善局長の話でございますが、もし具体的なこともお聞きになりたければそちらの方からお聞き願いたいと思う次第でございます。
  244. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  先般もお答え申し上げましたように、またただいま大臣からお答えされましたように、私どもも国有林というだけでなく、民有林につきましても、治山、林道あるいは間伐等を含めた総合的な対策を現在検討中でございますし、また国有林につきましては、多少民有林より奥地にございます関係から雪が早く来るとかいうような制約等はございますけれども、おっしゃるような除伐、間伐等がどの程度できるかというようなこと等を、営林局長を通じまして地元と現在打ち合わせをいたしておるところでございます。
  245. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間の関係ではしょっと聞いてまいりますが、救農土木の中で従来客土事業というのがあったわけですが、これは農民は一挙両得ということで大変喜んでいた仕事でございますけれども、客土事業団地事業となっておるところは、一団地事業面積というものが二十ヘクタールだったのですけれども、これを今回の戦後最大という災害でもあるので、ぜひひとつ一団地を五ヘクタール以上くらいに分割して、細切れにして対象にしてもらいたいという条件緩和の問題が出されておるのですけれども、これはどういうふうにお考えですか。こういうふうにやっていただけますか。
  246. 岡安誠

    ○岡安政府委員 私どもも大体救農土木でございますので、団体営クラスの小規模な事業というものを考えておりますが、御承知のとおりそういう場合には二十ヘクタール以上というのが下限でございます。ただやはり団地としての採択に当たりましては、十分実情に合うようなことを考えて弾力的な運営を図りたいと思っております。
  247. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ちょっと途中歯切れの悪いところがあったようだけれども、弾力的に考えるということでございますので、十分考えて対策を講じてもらいたいと思います。  それから労賃単価ですね、これも安くされたのでは困るわけですけれども、これは十分物価の水準、また現状を考えて単価は考えていただけるの一でしょうね。その点もう一点……。
  248. 岡安誠

    ○岡安政府委員 そういうことございますけれども、これは公共事業でございますので、御承知のとおり三省協定単価といいますか、建設その他とも約束した単価がございますので、その単価でやらしていただきたいと思います。
  249. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次には、これは特に北海道で要請が強かったのですけれども、越冬用飼料の確保ということで、きょうもまた陳情の中に地元農民連盟からも要請がございましたが、牧草及び飼料作物が甚大な被害を受けて、越冬用飼料の大半を他から購入せねばならぬという状況にあります。農家は、特に北海道においては、酪農に大きな力が入れられている関係もありまして、われわれも現地を見まして、しみじみその実情を目の当たりに見てまいりましたが、酪農農家救済するためにも、政府手持ち濃厚飼料を格安に払い下げる、それから牧草稲わら等飼料購入費に対しても特段助成を行う、大臣はできるだけ助成をしていこう、こういうふうにおっしゃっておりますが、こういった問題を踏まえて、酪農農家に対する育成の万全を期するための措置をしていただきたいということでございますが、その点についてひとつ御答弁をいただきたい。
  250. 杉山克己

    ○杉山説明員 ことしの牧草生育が悪い、二番草、三番草が予定していたものがとれないというようなことから、越冬用飼料に事欠くという酪農農家も出ていることは承知いたしております。北海道、東北、特に岩手等の地域でございますが、北海道の場合は道東の方から被害の著しかった道北の方へ融通するというようなことも、いろいろ指導し考えているところでございます。それからまた、絶対的に数量が足りない、ほかの代替飼料が必要であるというものに対しては、これは政府手持ちの大麦もございますから、これを売却するということを考えているわけでございます。従来から売却飼料の価格は、これは酪農農家の経営上の収益性ということを考慮して、それなりに政策的な配慮が加えられた価格で決められているところでございます。
  251. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、再生産用の種子購入と確保の問題ですけれども、北海道では、ある町村はすでに当麻町からもらうようにやったというようなところもありましたし、道のホクレンを通じて申し込んでいるから心配ないというのもありましたけれども、旭川市は今回は被害が比較的少なくて、かなり収量もある。また、隣の比布町というところもかなり地形の関係から被害が少なかったというふうに見ております。かなりの種もみがとれると思うのですけれども、今回各町村で奪い合いになったり、または種もみが手に入らぬということがないように、こういったところもよく交通整理をして、十分指導をして、来年の再生産に間に合うように手を打ってもらいたい。そういった意味の種子の確保、それと同時に、大臣はこの種もみに対してはある程度助成はする、こう言っていますけれども、ある程度という、何かえらく言葉が軽かったのですけれども、どの程度助成をするというふうに大体腹づもりをしておられるのか、ひとつお答えをいただきたい。
  252. 杉山克己

    ○杉山説明員 種もみの確保は、来年の再生産を確保するために一番必要欠くべからざるものと考えております。種もみの融通につきましては、できるだけ近傍地域でもってこれを間に合わせるようにしたいというふうには思っておりますが、今回のような場合は、相当広範囲にわたる融通調整が必要だと考えます。県内あるいは道内で間に合わない場合は、他県からこれを入れるということも当然出てまいると思います。いろいろ各県の事情を聞いております。私ども政府が直接これに携わって相当お世話をやくということが必要であるというふうに考えております。これは玄米になってしまいますともう手おくれでございますから、早い時期に大体必要な品種の種もみが、どこでどの程度確保できるかということをきちんと押さえておく必要がありまして、そういう作業をやっているところでございます。  それから助成につきましては、これは消耗的な経費だということで、なかなか助成対象になじみがたいのではありますが、やはり国として来年の再生産を確保したいということから、種子代の一部について助成をした過去の実績もございますので、その例を見ながら、全体の数量がどうなるかというようなことも考え合わせて、これから大蔵省とも折衝をするということで考えております。
  253. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大臣、昭和五十一年産米予約概算金の問題ですけれども、これは当然返すことはなかなか困難でありますから、これも再三農家から不安が出て、ぜひ国会で明らかにして、返納猶予をしていただきたいということの要請が各地でありました。それで私は、返納猶予と、猶予された期間におけるいわゆる利子の減免、こういったことが大事である、こう思うのですが、その点についてはどういうふうにお考えであるか、簡潔にお答えいただきたい。
  254. 大石武一

    ○大石国務大臣 猶予という考え方も、私一つの親切な考え方だと思います。ただ、こういうものを簡単に認めますと——認めることにやぶさかではありませんが、同じようなその目的のための他の制度資金が使いにくくなるということもあると思います。たとえば自創資金なんというのは、そういう場合に備えての一つの融資でございますから、そういう点から考えますと、やはり前渡金を延納するというよりは、むしろ自創資金の方を多く借りて、その中から返済した方がより有利ではなかろうかというようなことで、私は、前渡金は余り大きい金額ではありませんけれども、これはなかなか延納することは、まず制度的にむずかしいのではなかろうかと考えておるわけでございます。その分だけをほかの方のいろんな融資面からめんどうを見たらよりよいではなかろうか。もし、そしてどうしてもむずかしい場合には、先ほど申しましたが、農協も——あれは集荷業者ですかな、農協ですが、これが代位弁済をすることもできるようになっておりますので、そういう方面に対してその手段を利用して、その場合にも農協に対する金利が何ほどかかかるか知りませんが、そういうものは援助してもよかろうと考えておるわけでございます。
  255. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣のおっしゃることも私わかりますが、北海道なんかはもう五町とか、多い人は十五町、さらに大きい人は二十町というような人もおりまして、とても自作農資金なんかでは間に合うものでなくて、大面積の専業農家もかなりおられますので、そういった意味で、一つにはこういった概算金の延納を自創資金で見ると言ったって、とても間に合うものじゃございません。そういった関係もありますから、地域地域によって違う点もありますが、きめの細かいそういっためんどうをよく見ていただくようにお願いしておきます。  次に、私、時間が迫ってきましたのでお聞きしておきますが、今回の冷害の原因、これはいろいろ言われておりますけれども、異常気象と言えばもうそれまでのことでありますけれども、異常気象もさることながら、私は、冷害の原因というものがいろいろある、こういったことを明らかにする必要がある、かように思うのですが、その点について農林省は、今回のいわゆる戦後最大と言われるこの冷害に対して、北海道と東北とまた若干気象条件は違ったりしますけれども、いずれにしても広範囲で、四十六年をオーバーする冷害であることは間違いありませんが、これの原因はどういうことにあるか、時間も迫ってきましたので、簡潔にひとつお答えいただきたい。
  256. 川田則雄

    ○川田説明員 冷害にはいろいろなタイプがございますが、今年の冷害は、七月中旬、この時期は稲が一番弱うございますが、この時期の低温は回避いたしましたので、障害冷害ではないというふうに考えております。そうしますと、八月が非常に低温でございまして、その低温のために生育が遅延したいわゆる生育遅延型の冷害と考えております。  また、冷害の特徴といたしましては、先ほどから先生お話がありましたように、今年は非常に低温であった。特に東北は大正二年以来の六十三年ぶりの低温であった。また同時に、日照が非常に不足した。そういうことから、穂ばらみ期、出穂期以後の生育が非常におくれたというのが特徴的ではないかと思います。  また、被害程度にいたしましても、一つは、北海道では高緯度地帯、あるいは太平洋の風が吹き込む地帯、東北ではやませの吹き込む地帯あるいは山間部というように場所が限られて被害が大きく出ているというのが特徴ではないかと思います。その中でもよく言われることでございますが、十分な管理をやった農家あるいは圃場というところでは被害が軽減されておるという事実もございます。そういうことから、そういうような技術の実際の耕種の面につきまして今後とも普及事業その他を通じまして趣旨の徹底を図ると同時に、また、このような冷害の経験というのは重要なことでございますから、調査を徹底的に行って、分析、検討してまいりたいと思っております。
  257. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いま冷害の原因についておっしゃいましたが、いまおっしゃったようなことはもう当然であります。また、われわれも各町村でもう何日間とそういったことを承ってきました。いずれにしても、私は、この冷害の原因というものは、いまおっしゃったのにプラス次のようなことも——これは今回の調査で私もしみじみ感じましたので、大臣もよく聞いていただくと同時に、この際、この機会にこの冷害に対するいろいろな徹底的な検討をして、農民が安心して今後農業にいそしめるように、教訓として早く教え、PRし、あらゆる手を打たせて、今後同じ過ちは、人為的にできる問題は二度と繰り返さないようにすべきだ、かように申し上げたいのであります。  私は、今回の冷害でしみじみ見ました点は、稲作冷害に弱くなっている、こういうように思うのです。一つには銘柄米が多くなっている。そのために病気に弱くなっている。農林省の奨励によって銘柄米をつくりますから、それで弱くなっている。昔から美人薄命と言われるように、どうしても銘柄米はからも大きいし、味がいいというために弱い。  それから二つには、機械田植えの稲が弱いというのが一つはっきりしております。小さくて植える関係、それから機械化してきた関係でございますが、すでに現在田植えの機械というものは、おととしが一二%、昨年が六二%、ことしはもう七三%と言われるように、急速に普及がなされている。こういったことでこの機械田植え、これが一つの問題になっておるけれども、省力化の関係から今後機械田植えをやめるわけにはいきません。そういったことでこれの技術、また苗をつくるについても、従来は水田でつくっていたのが庭先でつくれるという革命はしたものの、苗そのものが実に弱い。こういったことから相当研究、指導してやらなければいかぬ、私はこう思います。手で植えたものは今回の冷害でも強かったということが言われておりますし、現にまた見てまいりました。もう一つは、化学肥料の多用によって肥料障害で弱くなっている。有機質を使うべきであるということは明らかな事実であります。  時間がないから詳しい説明は抜きますが、さらにもう一点は、兼業農家で作業の適期を逃した、いわゆる帰りたくても仕事の関係で、植えたい時期があっても逃がしたというふうなことで田植えの時期を逸したということ、これが一つの原因になっておることも事実であります。全部とは申しませんけれども、いろいろこういった要素があってこういうふうになっておりますが、その点についてどういうふうな見解を持っておられるか。あと時間が五分しかありませんので、簡潔にお答えいただきたい。
  258. 大石武一

    ○大石国務大臣 お話しのように、今回の冷害につきましてはいろいろな原因があると思います。この冷害の原因となったいろいろな要因を分析いたしまして、それを今後十分に後のために検討してまいりたいというのがいまの方針でございます。いまいろいろとお話しになりましたことは私も同感でございます。そのような点ばかりでなく、土地に対するいろんな努力とか愛情とかいろいろなことがこのような冷害の一つの要因になっているのではなかろうか、私も同じような考えでおるわけでございます。
  259. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間があとわずかしかございませんので、三点はしょってお聞きしますので、時間の範囲内でお答えいただいて終わりにしたいと思います。  今回の冷害でどこでも葉鞘褐変病が多かったのですね。これはどういうような関係で出ているかということも、私たちはずいぶん調べてきましたけれども、全国の農民のためにこれを公開の席で明らかにしてもらいたいということが一つ。  それから、今回の調査で始めて私もわかったのですけれども、福島県の田村郡都路村、これは湊農林水産委員長地元なんですけれども、ここに水稲奨励品種決定調査圃というのがございまして、これは県と国から補助を受けて県の農業試験場から都路村に委託しているものでありますが、標高四百五十メートルのところで試験をやっています。ここに意味があるわけですけれども、この試験場の結果を見てみますと、窒素肥料なんかを三回しかやっていないところは被害が少ない、普通田で五、六回やっているところは相当被害を受けているということで、肥料によって相当影響が出たのがはっきりしております。また管理いかんによっては、同じ品種でも冷害に強くて実りが相当あるのがありますし、試験場のすぐ隣のいわゆる一般の水田で農家が試験場の指導を受けずにやっているところは冷害にまいっているということが同じ品種で明らかになっております。そういったふうにいろいろな品種をつくっておりまして、よいものも悪いものもはっきり成果が出ていますが、その成果はどうかということですね。時間がなければ後でこの成果は資料として出してもらうことにしても結構ですから、大事なところだけでもお答えをいただきたい。  と同時に、こういったことを含めて冷害の原因の総まくり、そうして標高四百五十メートル、しかも農林水産委員長地元である田村郡の都路村でこういう冷害対策のための圃場をつくっておるという実験結果を北海道と東北六県の農民に教えて普及をする、こういったことをやるべきである。これに対して大臣からも強い決意を述べてもらいたい。  最後にもう一点簡潔にお伺いしておきますけれども、今度の冷害気象予報の問題です。NHKラジオまた民放とあるのですけれども、農村向けの気象情報を提供してもらいたいということを申し上げたいのです。一般の気象予報では総まくりでこれはなかなかはっきりしないのです。一部には降霜その他のことも言っていますけれども、こういう異常なときでもありますので、もうちょっと気象予報をいわゆる気象庁あたりともよく相談していただいて、この機会に新しいシステムをつくっていただき、私提案するわけですけれども、農村向けにもつと降霜その他の情報を流して農民の心構えを決めるように、そして半年後の予報とか週間予報をもっと農民向けに教えていただきたい。と同時に農家はそのことによって水をためて保温をしたりいろいろの対策を講ずるわけですから、そういったことも含めて農村向けの予報をもっとしげく、徹底してやっていただくようにお願いしたい、かように思うわけです。そういったことに対して大臣は今回の冷害を機会に強く対策を講じられるようにお願いしたい。  いま数点申し上げましたが、時間の範囲内でお答えいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  260. 大石武一

    ○大石国務大臣 お話の趣旨はよく承知いたしました。委員長にお願いして、その資料もまとめてもらいまして、おっしゃるとおりりっぱな成果を天下に知らして参考にさせたいと思います。  農業気象につきましても十分に心がけてまいる所存でございます。
  261. 川田則雄

    ○川田説明員 ただいまお話のあった葉鞘褐変病は、北海道では古くからございましたけれども、内地で出てきたのはごく最近でございます。北海道についてはこれはバクテリアだということになっておりますが、内地の資料も北海道に送って同定し、対策を立てるように考えております。  それから奨励品種は、いま先生のおっしゃったような試験成績は、これは奨励品種決定審議会というのがございまして、その審議会にかけてその結果、県で奨励品種の可否を決定するという材料に使っております。  それから気象関係につきましては、気象連絡協議会というのを国段階で農林省と気象庁でつくっております。また地方農政局段階でもつくって情報がスムーズに流れるようにいたしております。今後とも努めてまいりたいと思います。
  262. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間が参りましたので、以上で質問を終わります。
  263. 湊徹郎

    湊委員長 次に、小平忠君
  264. 小平忠

    小平(忠)委員 私は、民社党を代表して、冷災害問題にしぼって質問をいたしたいと思うのでありますが、私に与えられた時間は四十分でございますから、重複を避け、特に緊急かつ重要な問題に限定してお伺いしたいと思います。  本年の冷災害は、北海道、東北、関東、甲信越に及ぶ東日本全域にわたる冷害被害でございます。被害額におきましてはまさに戦後最大の冷害凶作だと思うのであります。  私も、過日本院の農林水産委員会冷害調査北海道班に参加させていただきまして、現地被害状況もつぶさに見せていただきましたが、まきに深刻であります。このような大きな被害を受けた現地といたしましては、その災害対策に各道県とも知事を先頭に全力投球いたしておるのであります。大石農林大臣は、早速宮城県、岩手県等に現地視察に行かれたそうでありますが、北海道は現在の調査被害額八百億を超えております。被害は拡大いたしておりますから、今後恐らく一千億を超えるのではなかろうかと思うのであります。そういうような現状から見て、主務大臣として——あなたの選挙区においでになることはあれですけれども、最も被害の甚大である北海道現地調査、視察においでになる御予定はございませんか。
  265. 大石武一

    ○大石国務大臣 やはり何といいましても、直接出かけてまいりまして現場の状態を見ることが一番これは参考になりますし、心構えの大事な基本にもなります。そういう意味で現場に出かけてまいりたいと思っております。先日は、岩手県、宮城、福島が東北で一番ひどい、実際に見ますとどこもいずれ劣らぬ被害でございますけれども、そういう大体の報告でございましたので、この三県を三日間にわたってとりあえず見てこようということで出かけたわけでございます。ところが国会の開会に当たりまして、いろいろな委員会、本会議その他の招集がございまして、土曜と日曜で二県しか回ることができませんでした。北海道にも参りたいと思っておりましたが、このとおり現在まで全然体に余裕がございません。そういうことでいろいろ考えまして、北海道青森秋田、山形、こういう地方には、やはりこれを直接だれかが出かけていって見ることが非常な参考にもなるし、また被害農民に対しても一つの力づけにもなると思いまして、とりあえず片山政務次官にこれを依頼いたしまして、一週間にわたって北海道青森秋田、山形を見てもらいました。こういうことで、折があったら出てまいりたいと思います。恐らくはそのころには稲が刈られて、たんぼにはない状態かもしれませんが、行って何か役に立つことがあるならば出かけてまいりたいと考えております。
  266. 小平忠

    小平(忠)委員 まことに大臣の消極的な発言で、実際遺憾にたえません。と申しますのは、それは稲を刈ってしまってから行ったんではどうにもならないので、北海道も昨朝の全道的な降霜、霜によりましてまさに一斉にかまを入れるという現状でございましょう。そういう状態でありまして、現地に政務次官が行かれたことも結構ですが、われわれ参りまして、特に北海道はことし葉鞘褐変病という病気が蔓延いたしまして、穂がこのように全部赤茶けたこういう状態になってしまう。いわゆる障害型というよりも遅延型、結局穂は出ても寒さのためにいわゆる結実ができない未熟米、あるいは実が入っても、葉鞘褐変病というその色が、からから実にまでついていくというそういう状態で、本当に深刻なんです。それは大臣、行こうと思えば、いま飛行機があるんですから日帰りでも行ってこれる。稲を刈ってしまってからではどうもならないので、私がこれからお伺い申し上げる中身から言っても、ぜひ現地を見て、現地の声を聞いてもらいたい。このことを強く大臣にもう一度お伺いいたします。
  267. 大石武一

    ○大石国務大臣 国会の都合がつきまして、御承知のように今週も、きょうもあしたもまた委員会がございます。このようなことで体を縛られておりますが、体があき次第、幸いにまだ稲刈りが終わっていなければ出かけてまいりたいと考えております。
  268. 小平忠

    小平(忠)委員 一昨々日に北海道の知事室で作況の指数を伺いました。それによりますと、十月四日現在で作況指数が七三%と出ております。ところがその後農林省の発表によりますと、八三%。一〇%の開きがあるのですが、この作況指数地元の道と国の指数がこのように開きがあるのでどういう理由ですか。
  269. 有松晃

    ○有松説明員 北海道庁がどのような方法で調査しておりますか私どもつまびらかにはしておりませんけれども、いろいろ担当の方で聞きましたところでは、私どもはこの作況指数基準になる平年収量というものは、過去の通常の被害年も織り込んだものを基準にして平年収量として、それを基準作況指数を出しておるわけでございます。北海道の場合は恐らくもうちょっと高いところを基準にして、あるいは被害なかりせばというようなものを基準にしておるのじゃないかと思いますが、北海道庁で調査しております被害面積などを聞きますと、私どもの調査しておる感じとそう違いございませんので、そういった基準のとり方の違いではなかろうかというふうに考えるわけでございます。
  270. 小平忠

    小平(忠)委員 北海道庁がどういう調査をしているかわからぬというようなそういうあやふやなことでなくて、一〇%も違うということはこれは非常に重大なことなんだ。国の調査と道の調査がどの点が違うのか、そんなことぐらいは速やかに調査しなさい。別に私はこれは国も道も調査の内容が間違っているとは思ってない。やはりその基準がどこか違うのだから、そのぐらいのことは調べておいて、こういう点が基礎的に違うからこういうデータの数字になるのだということぐらいは把握しておってもらいたい。そうでないと、国の方は八三です。地元北海道では七三、被害地はばかに大きく出すのだな、山をかけるのだ、こういうようなことではいかぬと思うのです。ですから、それはひとつ速やかに道の方を調査して、どういう内容で違うのかということを把握すべきであります。このことを強く申し上げます。  次に、農林大臣にお伺いいたしますが、あなたは過般の本院予算委員会で各質問者に次のように答弁されております。今次冷災害によって相当量の規格外の米が出るだろう。この規格外の米についても全量買い上げいたしますということを言明されておりますが、間違いありませんか。
  271. 大石武一

    ○大石国務大臣 そのとおり申しております。
  272. 小平忠

    小平(忠)委員 これは大臣、あなた非常に言葉が足らないのですよ。規格外を全量買い上げるということは、それは被害農民はそのまま受け取っておりますよ。それは規格外については一定の基準格づけをして買い上げるということではないですか。規格外の米を全部買い上げるのですか。
  273. 大石武一

    ○大石国務大臣 私も素人でわかりませんから、食糧庁長官その他に米の規格のことを詳しく聞きました。そうすると、規格米というのは言ってみれば五等米まで、六等ぐらいなのが大体規格外米だというのだそうです。それ以外のものは等外米です。等外米規格米にも少しまじっているのがある。等外米とかというのは、言ってみれば一番悪い、全面的に悪いのが低品位米ですが、低品位米の中には規格外米というのが比較的上位であって、その下に等外米があるというような形になるのだろうという話でございます。そういう意味で、食糧になる、食糧に使える米、これは規格外米等外米も多少入るかどうか知りません。規格外米はそれに入ると思いますので、それは全量買う、こういう考えでございます。
  274. 小平忠

    小平(忠)委員 それでは規格外の米について、いま農林省としては昭和四十六年の先例もあります。いまどういうような基準を本年の場合採用されると考えられておりますか。
  275. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  本年大量に発生することを予想されております。北海道等ももちろんでございますが、この規格外米につきましてはわれわれといたしましては、四十六年以来毎年未熟粒の混入規格外米を甲、乙等制定しておりますが、本年の規格外米の特質から、葉鞘褐変その他いろいろ御指摘がございましたが、これらの規格外米の出回り等を見ますと、別途の規格等も考えなければならないのではないかというようなことについても、それぞれの現地と打ち合わせて、現在検討をしておるところでございます。青米とか葉鞘褐変病等による玄米というようなものについて、これが主食として配給可能な限度というものをにらみ合わせた整粒歩合その他各種規格基準をつくりたいというふうに考えておるわけでございます。
  276. 小平忠

    小平(忠)委員 農林大臣、規格外といいますと、結局、一般国民でもあるいは被害農家でも、規格に入らなかった米は全部と、こういうふうに考えるものですから、非常にその点は、何だ、結果的には買い入れされるのはこんなわずかかというようなことになったら大変なので、いま食糧庁長官も具体的に指摘されたけれども、やはりその点は明確でなければならぬと思います。  それで、私は具体的にお伺いしますが、四十六年は、この規格外については三段階に分けて買い入れいたしておりますね。いわゆる未熟粒混入規格外の玄米、それから被害粒混入甲規格外玄米、それから被害粒混入の乙規格外玄米、この三段階に分けて政府が買い上げをしているのですが、本年は、この四十六年の三段階に区分したような形の買い上げを目下考えておられますか。
  277. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  私どもといたしましても、本年の冷害に伴う規格外米の品質ということから考えまして、未熟粒混入の規格外米の甲、乙なりあるいは被害粒の混入の問題あるいは青未熟の混入の問題ということについて、繰り返すようで、くどいようで恐縮でありますが、本年の出回りの規格外米の品質に即した規格を設定いたしたいというように考えております。
  278. 小平忠

    小平(忠)委員 長官、四十六年は、未熟粒混入が甲、乙でなくて、被害粒混入を甲、乙に分けたのです。  それで、本年は特に北海道には葉鞘褐変病、これが非常に多くて、すでに収穫をして、食糧検査所に持っていった場合に、色がついておるからこれは買い入れしない、検査しないといって返されたというのが現に起きているわけです。そこで、この葉鞘褐変の、色がついておりますものは、これを精白した場合に色がとれるのですね。現にいま食糧庁の買入課長も、精白して色がとれる場合にはこれは買い入れしていいんだという考え方を持っておられるようでありますから、この点をやはり明確に、特にことしは東北にもこの葉鞘褐変病が出ておりますから、速やかにこの点を検討して決定していただきたいと思うのです。
  279. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げますが、お話しのとおり、少数のサンプルでございますが、北海道食糧事務所から参りました葉鞘褐変の被害玄米を精白いたしましたところ、後に色が残らないというような結果も出ておりますので、被害程度にもよりますが、その取り扱いは御指摘のように慎重にやっていきたいというふうに考えております。
  280. 小平忠

    小平(忠)委員 それで大臣、先ほどの前者の質問を聞いておりますと、この規格外の格づけを今月中に決めたいと、こういう御答弁でありますが、これはだめですよ、そんなことしておったら。なぜかというと、今月いっぱいかかってやっておるうちに、それはもう北海道は従来のようにかまで刈ってはざにかけて時間をかけて乾燥させてなんというんじゃなくて、大臣御承知のように、いまはもう全部コンバインで、中には小型コンバインで、もう刈り取ったらすぐに出荷をする、そういう状態ですから、結局今月いっぱいもかかって、あともう二十日間以上もかかっておったら、もう昨朝の霜で全道的に一斉にかまが入りました。もう一斉に収穫です。そうするとこの規格外が非常にことしは多いんです。したがって、早く格づけを決めないと、結局農家収穫をして、特にその場合ライスセンターを使用する地域、ライスセンターを使用しない地域、いろいろ偏差はありますけれども、とりあえず非常にスピーディーに、すぐ袋に入れて検査所に持っていく、その場合に基準が決まってないとなったならば検査ができない。それを持ち帰って保管する場所はございません。今月いっぱいなんてかかっておったら大変な問題が起きます。したがって、昨日私は長官にももう一週間以内ぐらいにと言ったら一週間は大変だと言ったけれども、それは私は、今月いっぱいというようなことではなくて遅くも今月の中旬ごろまでにはこれを決めてもらいませんと、ことしの場合非常におくれておりますから、このことを再度お伺いいたします。
  281. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 できるだけ急げという御指示でございまして、また、現地の一斉かま入れ等によります出回りあるいは被害米の多い農家の御不満というようなものを体しまして、最大限の努力をさしていただきたいと思います。
  282. 小平忠

    小平(忠)委員 私はその意味から一これはここで論議いたしましても実感が伴わないのです。大臣ぜひ、日曜を利用してもいいですから、もう一斉に始まりましたから、行って見てください。われわれ行った石狩川水系の南幌町六千ヘクタール、その隣の長沼町は九千五百ヘクタール、約一万ヘクタールに近い水田がほとんど棒立ちです。これが一番いいと言ってとってきたそれを見ると、ほとんど青米です。これは全部規格外だというのです。そういうような状態の中で、結局収穫がおくれてきた。冬将車が早くやってくる。したがって、稲を雪の下にしてはいかぬということから急ぐ。そういう切実な現状をやはり大臣は直接行って見て、そして被害農家にぶつかってみて、農協にぶつかってみて、ああこれは急がなければならぬなと、こういうことから私は、日曜でもいいんですから、日帰りできるんですから、行って見てもらうということをお勧めしたのはそういう理由であります。したがって、どうかそんな、今月いっぱいなんておっしゃらないで速やかに決定をいただきたい。  そこで最後に、この規格外についてでありますが、それは特に葉鞘褐変という、従来もあったんですけれども、色がついて、これが精白いたしますととれるというような特殊な米でございますが、色がついておるだけで別に米そのものは未熟粒じゃない、整粒だけれども結局色がついている、こういうようなのがやはり問題なので、どうしてもこの規格を格づけする際、従来の三段階の中に明確にそれを補うことができるという中身を速やかに決定していただきたいと、こう思うのであります。このことを伺いたいと思います。
  283. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 具体的なお話でございますのでお許しを得て私がお答え申し上げますが、先ほどから申し上げておりますように、葉鞘褐変による被害米につきましては、これらのものをその品質に応じて規格外の中に吸収できるような慎重な配慮をいたしたいというふうに考えております。
  284. 小平忠

    小平(忠)委員 次は、未熟粒とか被害粒などの混入によりまして、政府の買入れ対象とならない規格外、われわれ非常に心配をいたしておるのでありますが、買い入れ対象とならない規格外の米が出ないように、最大の配慮を農林省としてもしてもらいたい、こう考えておるのですが、もしそのようなものが設定されてもなおかつ買い入れの対象とならないというものについてはどのようにお考えでしょうか。
  285. 大石武一

    ○大石国務大臣 できるだけ前進的に考えてまいりますが、この食糧にならないくず米につきましては、せんべいとかお菓子、あるいはみそとかしょうゆの原料になるでしょうから、そういうものにつきましても政府ができるだけのめんどうを見まして、そうして買いたたかれないように、できるだけいい値段で処理されるように、全力を挙げて責任を持ってやる方針でございます。
  286. 小平忠

    小平(忠)委員 いまも農林大臣、規格に入らないくず米と言いましたね。その辺がやはりちょっと問題があるので、いま食糧庁長官から具体的に聞いていると、規格外であって政府の買い入れ対象となるものと、規格外であって買い入れ対象とならないもの、これが出てくる。現に四十六年の際も出てきておる。これの取り扱いについて問題があるのですが、四十六年のような取り扱いをなさる考えですか、それとも新たな考えをなさる考えでありますか。
  287. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  本年の出回ります規格外米については、四十六年等の先例にも徴しまして、本年の出回りました規格外米の品質にも十分適応するような特別規格の設定はいたしたいということは先ほど申し上げたとおりでございます。
  288. 小平忠

    小平(忠)委員 ところがその対象とならない米ができたものをどうされますか。
  289. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げましたように、これらの米についてはその用途も従来からもあるわけでございます。飼料用々り醸造用あるいはせんべいなどの米菓用等の用途がございますので、これは系統団体の自主的な出荷と相呼応いたしまして、実需者へのあっせんその他、食糧庁といたしましても全力を挙げたいということを大臣が申し上げたところでございます。
  290. 小平忠

    小平(忠)委員 四十六年には、黒蝕粒混入などのため政府買い入れ対象外となった規格外の米については自主流通米としての取り扱いが認められたというのが四十六年の先例です。こういうことは考えていないのですか。
  291. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  黒蝕米についてのお話でございますが、規格外米でございましても主食として流通可能なものにつきましては、国も買います。あるいはむしろ自主流通として流通し得るものについては特例としてこれを認めるという考え方は変わっておりませんし、今回もそのように扱いたいというふうに思っております。
  292. 小平忠

    小平(忠)委員 本年の場合に、食糧に供し得ない、主食として食べ物に適しないという俗に言うくず米のような米の取り扱い、私は非常に心配をいたしております。本件についても、ただいま大臣が答弁されましたように、そういうものは適当に集荷業者、集荷団体等に任してやればいいんだということでなくて、積極的に国が指導をして、そして処理するということを本年は特に考えていただきたいし、特に四十六年の黒蝕粒混入というような理由から政府の買い入れ対象外となった規格外の米については自主流通米として取り扱った例を結局いま食糧庁長官も本年も考えたいと言っていますけれども、これは四十六年の例に徴してみましても、自主流通米という扱いは価格に非常に開きが出てきまして大変評判がよくなかったということから、やはり規格外については原則として、大臣が何回も主張されましたように、全量政府が買い上げるというその基本方針を貫いてもらいたい。そうでないと、ことしの規格外の米については救済できない、こう私は思うのであります。  同時に、問題は価格でございます。本年の生産者米価の決定を見ましても、やはり春闘相場にも追いつけないような低米価で買わなければならぬというようなそういう現状から見ますときに、それにまた冷害によって規格外の米ができて、価格も踏んだりけったりではこれは大変でございますから、その点もあわせて速やかに決定をしていただきたいと思うのですが、この規格外についての買い入れ価格についてはどのように現在お考えでしょうか。
  293. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  先ほどそれでも遅きに失するというおしかりがございましたが、最大限、買い入れ等に必要な規格外米の本年の規格の設定とともに、買い入れ価格その他の買い入れ条件等も急いで決定したいと思っておるわけでございますが、規格外米の買い入れ価格の考え方は、累年やっておりますように、前年の規格外米の米価のアップ率を加味して、さらに品質の差等も考慮するということで考えていきたいと思って、現在検討中でございます。
  294. 小平忠

    小平(忠)委員 その価格の決定は、規格外、いわゆる格づけの決定と同時に価格決定を行いますか。
  295. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お話のとおりでございます。
  296. 小平忠

    小平(忠)委員 再度申し上げますが、どうかこれは一日も早く決定をしてあげてください。このことを強く申し上げる次第であります。  次は、時間も余りありませんが、食糧検査に当たりまして、とかく従来第一線の食糧事務所の方々が順法闘争に名をかりて、検査事務が結局非常に渋滞、そのために生産農家に多大な迷惑、障害を来している例があるのであります。特に、ことしは実は北海道として霜が早かったわけでないのです。やはり被害を受けて実らない突っ立っている米でも、霜が来るまで刈らないで見守ってきたのですが、いよいよ十月に入って昨朝一斉に霜が結局おりました。そのために検査事務が一斉にふくそうすると思うんだけれども、やはりこういうときは第一線の食糧事務所の検査官も格式張って、時間にあるいは法律に従って順法闘争——それはこういうときこそ被害農民の心情にもなって協力するという態勢をとってもらいたい。この点は特に食糧庁長官から遺漏ない監督、指導を願いたいと思います。
  297. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お話のとおりでございます。例年も本来ならば出回り時期に農家の方々の受検を急がれる状況に対応しなければならないわけでございますが、お話のように、本年は特にその受検については急がれるという事情もございますので、実は今月初め、全国の食糧事務所等に通達を出しまして、応援検査とかあるいはその他の受検体制の整備等について格段の努力を払うというような指示をしたわけでございまして、例年でございますと、一週間のうち土曜日は検査とか代金の支払いとかの事務の整理という庁内事務が多かったわけでございますが、本年は特にこれらについても受検業務を主体にして、検査の円滑化を図るというような体制を整備して、御指摘の点について御批判を受けないような体制についてなお一層努力したいというように考えております。
  298. 小平忠

    小平(忠)委員 最後に、救農土木事業についてお伺いいたします。  先ほど前者の質問に農林大臣は、来年度実施予定土木事業についても繰り上げ実施をしたい、こう答弁されておりましたが、そのとおりですか。
  299. 大石武一

    ○大石国務大臣 そのようにいたしたいと思います。
  300. 小平忠

    小平(忠)委員 救農土木事業というのは、大体災害時に被害農家に労賃収入を得さしめるというのが目的であります。被害農家個々が勤労によって汗して得た賃金を収入とするということからこの救農土木事業ということが強く言われているのでありますから、大型機械を使ってやるような土木工事、基盤整備事業などなるべく差し控えて、それをまず第一に考えなければならない。しかし、だからといって、被害地にそういうような該当事業がない場合は、いかに主張したところで、結局県営とか道営とか、中には機械も使わなければならないというようなものが出てくると思う。ことしの場合は、たてまえはやはり機械によらないで、小規模な、いわゆる労賃によって収入を得るようなことに主体を置くことは当然であるけれども、しかし、被害町村によっては中には機械を使ってやるというような——大臣が先ほど述べられたような来年度に予定いたしております土木事業も繰り上げてやるんだという考え方で、ぜひ拡大をすべきだ、こう思うのです。  それについて、問題は、その財源なんです。この予算はいまどのように考えられておるのか。これは大蔵省とも関係ございますので、大蔵省の考え方をまず伺いたいと思うのです。
  301. 古橋源六郎

    ○古橋説明員 お答え申し上げます。  救農土木事業につきましては、現在、被害状況調査とともに、その事業の内容あるいは規模等につきまして農林省において鋭意検討中でございます。その結果を待ちまして、私どもといたしましても農業基盤整備費等によって措置をするという方向で検討いたしたいと思っております。  そこで、これの財源措置でございますけれども、もし既定経費で賄えない場合におきましては予備費を使わざるを得ないということになると思います。そこで、普通の土地改良事業等でございますれば、災害関連ということで公共事業等予備費を使うことも可能ではございますけれども、公共事業等予備費につきましては、現在も台風災害というようなこともございますし、その進行状況災害全体の額が確定しておりませんものですから、これの使用状況等を待ちまして、今後一般予備費でいくか公共事業等予備費でいくか、これらの点につきまして検討してまいりたい。いずれにいたしましても、規模がわかり次第それにつきましての財源措置検討せざるを得ない、こういうことでございます。
  302. 小平忠

    小平(忠)委員 いま大蔵省に農林省から救農土木事業についての具体的な、額は別といたしましても、大まかな要求がございますか。
  303. 古橋源六郎

    ○古橋説明員 まだ現在農林省の中で検討中ということでございまして、大蔵省の方には来ておりません。と申しますのは、救農土木事業をやります場合におきまして、規模等につきましては、具体的な被害、どういうところにどういうふうに賃金的なものを落としていくか、そういうものにつきましての基準等いろいろ問題がございますので、それを現在農林省が御検討中である、こういうふうに伺っております。
  304. 小平忠

    小平(忠)委員 そのとおりだと思うのです。  そこで、これは検討していますと、北海道はもうすぐ雪が降ってきますと、せっかくやろうと思ってもやれないことになってしまいまして、一日も早く決定することが必要であろうと思うのであります。しかし現に、ことしは補正を組まないものですから、予算委員会でも問題になっておりますのは、一般予備費の三千億も、先般の主計局長説明によりましても、もう残額がよけいありません。そうしますと、本来は景気浮揚策のためにことし特別に組んだ公共事業等予備費一千五百億も全額この災害に充てておるというのですから、これは農林省は早く一応のめどをつけて大蔵省に要求しませんと、枠がなくなってしまう、補正も組まないというのですから。だから大臣、これは東北、北海道、雪の早く降るところは本当に早く決めてやりませんと、救農土木事業はなかなかいい仕事ですけれども、実際にやれなくなってしまうのではいけません。ですから、これはやろうと思えば、ことしは災害地は特に大臣の意気込みのように明年度予定いたしておる事業についても繰り上げてやらしたいという意欲があるならば、たくさんあるのです。したがってこれを速やかに農林省は取りまとめて、被害府県からの要求をとって速やかに大蔵省に要求を出してください。そうしませんと間に合いません。このことを最後に強く申し上げまして、これに対しまする大臣の決意のほどを伺って、私の質問を終わります。
  305. 大石武一

    ○大石国務大臣 私は予算の財源につきましては余り心配しておりません。大蔵省がこれほど理解を持ってくれておりますから、救農土木に対しましては十分に期待していいという気持ちで、できるだけいい仕事を、役に立つ仕事をたくさんやりたいと考えております。  急いでやらなければならぬ、おっしゃるとおりでございます。それで結局は、やはり県なり町村なりでどういう仕事をするかということが問題でございますから、一日も早く彼らの希望なりあり方、そういうものを早く取りまとめまして、できるところから手をつけていきたい、こういう方針でおります。
  306. 小平忠

    小平(忠)委員 終わります。
  307. 湊徹郎

    湊委員長 次に、加藤紘一君。
  308. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 きょう午後、大分長い時間をかけて各委員の方から各種問題が出たようでございます。ほとんどの問題が出尽くしておりますので、重複を避けて二、三点だけお聞きいたしたい、こう思います。  今回、私たち衆議院の農林水産委員会で視察に参りましたが、被害が比較的まんべんなく起こっております福島県なんかですと、多くの農家が散在しておるようなところでもかなり強い被害が出ております。しかし被害の比較的少ない県なんかに行きますと感じるのですが、そういうところでも高冷地に行きますと被害がございます。その被害地を私たちが車でかなり長い時間乗りまして案内されてまいります。そうすると、ああこんなところにもこんな水田があったのか。日ごろ私たち選挙運動を一生懸命やっておる、選挙区の各地を回っている私たちでさえ、こんな高いところに水田があったのかと全く気がつかないでいるほどのところに被害田があるわけです。そこで私たちどうしても感じるのは、こんなところでもやはり米をつくった方が有利な価格になるんだということが一つの問題ではないかなというふうに感じる次第でございます。これは、日本の農政全般の非常に大きな基本的な問題から考えていかなければいかぬところだと思うのですが、たとえば、こういうところだったらたばこ専業になるようにやっていったらどうかなという素人考えも出てまいります。そしてたばこは政府がかなり価格を保証しているわけですから、標高四百メートル以上のところを優先的に契約栽培してもらうというような方途なんかができないものだろうかというふうに感じた次第でございます。  そこで、農林省の方に総括的な考え方をお聞きしたいと思うのですけれども、日本の米作として、かなりぎりぎり以上のところまで米作が上がっているのではないか、緯度の面からいっても標高の点からいっても上がり過ぎているのではないかというような反省とか認識というものはないのか。そしてなぜ余剰米が出ていると言いながらここまで米作が上がる結果になり、そして今年のような冷温になりますとこういう被害がかなり厳しく出るような結果になったのか、その辺について、今回の冷害を通じてどういう基本的認識をお持ちなのか、ひとつお聞きできればと思います。
  309. 杉山克己

    ○杉山説明員 私どもも被害地を実際回りまして、いま先生御指摘のようにこんな沢の奥にも水田があるのかと驚くようなところに水田があって、米の生産にいそしんでおられる。そしてそういったところの被害が大きいというところを見てまいりました。農家が作目として何を選ぶかということは、私は第一はやはり収益性だと思います。一般的には農産物の中で米が一番安全で、かつ収益性が高いということでそういう山の奥でも米が選ばれるということがあると思います。それからもう一つ、これは具体的に私ども現地で話を聞かされてきたところでございますが、そういうところで災害が、今度のようなひどいことはなくてもたまに起こるということがあるにしても、米は自分たちの食う分だけでもぜひつくりたい、一種の農業をやるお百姓さんの魂として昔からの悲願みたいなものがございます。ですから必ずしも収益性ばかりでもない。そういう魂みたいなところもありまして米をつくっているという事情もございます。  そういうことで、どういうふうにこれから稲作のあり方あるいは農業生産のあり方を指導していくかということは問題でございますが、私は、一概に米づくりが過剰だからそういうところでつくるのは問題だ、悪いというふうにはなかなかまいらないと思います。といいますのは、確かに限界的なところは気象条件が悪ければ安全性では万全というわけにはまいりませんが、明治以来の稲作技術の進歩というものを見てまいりますと、これは耐冷品種の開発あるいは作期の早期化ということを通じまして、北限地の前進ということが大きな一つの現象であったかと思います。そういう従来の経緯というものもこれは無視するわけにはまいらない。そう言いながらやはり高冷地には安全性も考えて、高冷地あるいは北限地も同様でございますが、それに適した作物の導入が必要であろうと思いますし、それから背伸びした米作のあり方についてはこれを調整するということはそれなりに、余り大きな地域単位ではなくて、具体的な個々の地域ごとに十分指導していくことが必要であろうかと考えております。米が一概に悪いというわけではなく、かなり狭い地域単位に、その地域地域に適した作目指導ということをやっていきたい。  私ども一番苦しみますのは、米が悪いと言った途端に、では何をつくるかということになりますと、いまたばこを言われましたが、たばこは最近は確かにいろいろ生産性も上がり、作業も楽になって歓迎されている向きはあります。しかし、これもどうやらすでに過剰の傾向が見えているということ、それから今回のような気象のときには、さすがにたばこは若干耐冷性が強いとは言うものの、やはり高冷地では、米ほどではないにしても相当やられているという実態も出ておるわけでございます。そういう中で何を選ぶか。岩手県の山奥の場合は、昔馬産地だったところでございますが、酪農、畜産に精力を出して、それを村民に勧めたいというような村長さんのお言葉も聞いてきました。そういうような苦しみを経ながら、これから農林省全体の課題として受けとめていくというふうに考えております。
  310. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 私たちもその点をこれから考え続けていきたい、こう思います。いま農家のぎりぎりの一つの魂として、米だけはつくっていきたいという気持ちがあるということは私たちもよく心に入れていかなければならぬと思いますが、同時に、それは農家の人の生活の安定という側面もあることをわれわれは忘れてはならないわけで、たとえばかなり山の奥の標高の高いところで、最近農業土木の方が暇になったブルドーザー屋さんにけしかけられて、一反歩十七万円ぐらいかけまして開田して米をつくっているというようなケースもあり、それと同時に、たとえば福島県の阿武隈山中のように、先祖代々ここでは米をつくっていたんだという地域とどういったバランスで考えていったらいいのかということを考えさせられますけれども、その点は私たちもまた十分に考えていきたい、こう思います。  次に、具体的な話で一、二お伺いいたします。  天災融資法及び自作農維持資金関係でございますが、私たちが今度参りまして、大変な被害を受けて私たちもそれなりの手を打たなきゃならぬと思っています、それで、いずれ天災融資法の発動及び自作農維持資金というものが国から低利で貸されるようになると思いますので御利用いただきたい、こういうふうに申しますと、ああ、その話は実はわれわれも聞いておりましたので、早速一週間ぐらい前に役場へ行ってみました、そうしましたら、実は先生、あれはかなり厄介なんですね、それで、聞くところによると、専業及び一種兼業の人でなければ借りる対象になってないようでございます。たとえば、今回被害を受けた私たちのようなところは山の上が多くて、たんぼも少ないものですから主に出かせぎ収入なんかに半分以上頼っておるんだけれども、そういう出かせぎ収入はいわゆる農業収入としては見てもらえずに、結局二種兼業になっているという農家が多いのです、それから、いわゆる土方仕事と称されるもので林道の開設土木工事に常日ごろ出ているというものもやはり農外収入ということになっております。林業にいそしんでいろいろやっておりますと、一般の林業ですが、それも農業収入とは見られていないような節がある、したがって、今回せっかく貸してもらえるということになっても、専業、一種兼業という点で、私たちのところには回ってこない公算が多いのではないかというような話をよく聞いてまいりました。  結局、これは市町村段階、特に市町村長さんたちの認定が最終的に物を言うようですけれども、その前にはやはり農林省が貸し付け基準として幾つかの条件をつけておられると思うのですが、今回それをかなり厳しく適用されますと、これらのまさに融資を受けたいところが実態的には受けられない形になってしまうという危険性があると思います。したがって、法律上は各種問題があってこういう精神をうたったのはわかりますけれども、その運用に当たっては、いま申し上げた点についてかなり弾力的な運用をお願いしなければならぬのではないかというふうに考えますが、その点についてお聞きいたしたいと思います。
  311. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 天災融資法及び自創資金につきましてのただいまの御質問でございますが、これはたしか先ほど中川先生からも御質問のあったところでございます。御承知のように天災資金、まず申し上げますと、貸付対象者と申しますのは制度的には農林漁業を主な業務としておる者ということになっておりまして、原則的にはそれを所得の依存度によって判断をするということになろうかと思うわけでございます。その農林漁業の経営と申しますのは、地域によりましてその形態にはいろいろな形態があるわけでございます。したがいまして、その地域農家の就労状況というものを勘案いたしまして、市町村長が農業を主たる業務としておると認める場合にはその対象にし得るということでございます。  そこで、ただいまちょっと例に挙げられましたような臨時の出かせぎがあるとかその他臨時的な収入があるというふうな場合に、その時点だけをつかまえましてそれが第二種兼業であるというふうには必ずしも決められないわけでございます。その農家の通常の経営状況としてそれが農業を主たる業務としておるというふうに判断されるべき場合には市町村長によってそのように判断をされ、天災融資法の適用の対象になり得るというふうに私どもは考えておるわけでございます。このような考え方は自創資金の場合もほぼ同様に考えております。
  312. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 最後に農業共済の点について若干の御質問をいたします。  共済についてはいわゆる損害評価の特例の話、それから事務費に対するいろいろな要請等については各委員から御質問があったと思いますので割愛いたしますが、ことしは農業共済にとっては、特に水稲共済については言うなれば勝負の年であろうかと存じます。いままで水稲共済についてはあんなものは必要ないというような農家の批判がかなりあったわけですけれども、ことしのような冷害、特に農単方式に対する不満を解消させ、政府が進めております農単方式に対する評価を高めるという意味ではかなりがんばってもらわなければならない年であろうかと存じます。  ただ、ここで少し注意しなければならぬのは、確かにことし農業共済からかなりめんどうを見てもらえそうだという期待感と同時に、かなり額が来てもそれが結局農協等に借りておりますいわゆる各種制度資金、それから農協内の系統から融資してもらっております資金の支払いに消えてしまうんだ、それで生活資金はほとんど残らないという心配があるようでございます。もちろん農協でもその辺はかなり気を配られてまいると思いますし、それと同時に、これは天災融資法自作農維持資金、それからすでに貸し付けしております政府各種制度資金の猶予という問題、それが十分に行われるかという問題と絡み合った問題でございますが、農業共済支払いが農協窓口で行われた場合、あんたのところの口座にこれだけ入ったけれどもあんたは農協にこういうような借金がございますのでまずそれを先に取らせていただきますということを万が一機械的にやられますと、せっかく農業共済から助けてもらったといいますか、その制度があってよかったという気持ちが薄らいでしまう危険性もあろうかと存じます。これはもちろん農協等でも十分注意されていると思いますけれども、政府の方からもひとつ行政指導の形で、そういった農協に対して農民の不満が起こらないような配慮をしてもらうように、それぞれの組織等に対して指導していくべきではないかと存じますが、その点についてお伺いしたいと思います。
  313. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 先生御承知のように、農業共済共済掛金の徴収、それから共済金支払いというのはそれぞれの組合で定款その他の規定で決めておりまして、通常農村の場合、農業協同組合が信用事業をやります関係上、そのような金融機関ということで指定をされておるのがほとんどでございます。したがいまして、この共済組合の共済金というものも農協の口座に振り込まれることになるわけでございますが、ただいま先生御指摘のとおり非常に冷害の厳しい今日、先ほど御指摘のありましたような制度金融につきましての条件緩和等についても農協等に指導をいたしておりますし、また農民の協同扶助組織としての農協のあり方といたしましても、農業共済金をもらう農家に対しまして非常に厳しいことになるということは適当ではないだろうというふうに思われますので、私どもといたしましては、農業協同組合とさらに農業共済団体とが十分その辺をよく話し合いをいたしまして、被災農家にとって非常に厳しいことにならないように、しかるべく運営をしていくように関係団体等を指導するようにいたしたいと思います。
  314. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 以上で質問を終わります。
  315. 湊徹郎

    湊委員長 次回は、明八日金曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十八分散会