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1976-10-19 第78回国会 衆議院 内閣委員会恩給等に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和五十一年十月七日(木曜日)委員 会において、設置することに決した。 十月七日  本小委員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       大石 千八君    加藤 陽三君       木野 晴夫君    竹中 修一君       林  大幹君    三塚  博君       吉永 治市君    上原 康助君       大出  俊君    和田 貞夫君       中路 雅弘君    鬼木 勝利君       受田 新吉君 十月七日  加藤陽三君が委員長指名で、小委員長選任  された。 ————————————————————— 昭和五十一年十月十九日(火曜日)     午前十時十七分開議  出席小委員    小委員長 加藤 陽三君       木野 晴夫君    三塚  博君       吉永 治市君    大出  俊君       中路 雅弘君    鬼木 勝利君  出席政府委員         総理府恩給局長 菅野 弘夫君  小委員外出席者         総理府恩給局次         長       大屋敷行雄君         総理府恩給局恩         給問題審議室長 手塚 康夫君         厚生省年金局年         金課長     高峯 一世君         内閣委員会調査         室長      長倉 司郎君     ————————————— 十月十九日  小委員吉永治市君同月八日委員辞任につき、そ  の補欠として吉永治市君が委員長指名で小委  員に選任された。 同日  小委員林大幹君同月十三日委員辞任につき、そ  の補欠として林大幹君が委員長指名で小委員  に選任された。 同日  小委員三塚博君及び受田新吉君同月十五日委員  辞任につき、その補欠として三塚博君及び受田  新吉君が委員長指名で小委員選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  恩給に関する件      ————◇—————
  2. 加藤陽三

    加藤委員長 これより会議を開きます。  恩給に関する件について調査を進めます。  さて、小委員各位もすでに御承知のとおり、当小委員会は第七十六回国会恩給制度調査を行うために設置をされまして以降、第七十七回、第七十八回国会と引き続き設置されてまいっておりまして、第七十六回国会におきましては恩給審議会答申並びに昭和四十三年以降の恩給法改正案に付されました両院附帯決議に対するその後の改善措置について、政府当局より説明を聴取するとともに、同国会委員会に付託、送付されました恩給関係請願陳情書等についても検討をいたしました結果、とりあえず、昭和五十一年度予算において改善を実現すべき事項を定めまして、これを委員会決議とするよう決定し、委員会報告委員会決議といたしました。  本日は昭和五十三年度予算の編成も間近に迫ってまいりましたので、さきの第七十七回国会における恩給法改正案に対する両院附帯決議についての政府における検討の結果等につきまして、まず恩給局長より説明を求め、その後に小委員各位から御意見をお述べいただくことといたしたいと存じます。菅野恩給局長
  3. 菅野弘夫

    菅野政府委員 それでは御指示でございますので、前の内閣委員会附帯決議が付せられておりますけれども、それについての考え方と申しますか、政府の、私たち検討の進め方あるいは考え方というものを簡単に御報告をさせていただきたいと思います。  第一番目に、給与スライドの点でございますけれども、これにつきましては、御承知のとおり本年から公務員給与平均率だけではなくて、公務員給与改善傾向、最近はずっと上薄下厚傾向が続いておりますが、そういう改善傾向もできるだけ適切に反映をするという方式をつくらせていただきまして、今年はそういう改善がなされたわけでございますけれども、この方式を来年度以降におきましても引き続き採用いたしまして、そういう方式を定着をさせたいというふうに思っているところでございます。  第二番目の実施時期でございますけれども、これもおかげさまで、ずっと十月でございましたのが、九月、八月、そして本年度は七月というふうにさせていただいております。附帯決議年度当初からということでございますので、それは理想、目標でございますが、なかなか一遍にもまいりませんので、さらにそういう歩みをとめることなく前進をさせ一たいということでございます。  それから、最低保障額でございますけれども、おかげさまでこれもずいぶん改善をさせていただいておりますけれども、引き続き、われわれとしてもなお最低保障についても改善を続けたいというふうに思っております。これは従来のいきさつ等もございますが、最低保障考え方もございましょう、共済の最低保障との均衡等もございますので、そういうものを十分考慮しながら引き上げを続けていきたいと思っております。  それから扶助料給付水準ですが、これはいろいろ問題がございまして、従来五割の率を云々という問題がございますが、これにつきましては、本年は、寡婦加算等制度のもとに水準を上げさせていただいておりますけれども、さらに率等につきましても、五〇%を超えるような率がどういうふうにできるかということについていろいろ検討をしているところでございまして、私たちとしては、さしあたってはその中でも、前の最低保障というのに絡むかもしれませんけれども、低い水準の方の率をできるだけ上げていきたいというふうに思っておるところでございます。  以上、衆議院内閣委員会附帯決議に対する総理府としての取り組み方の一端を申し上げたわけでございますが、参議院内閣委員会におきましては、衆議院にないところでは、軍人恩給加算減算率加算関係のことがついてございます。これにつきましては、旧軍人加算制度等が長く制限をされておりまして、いろんな問題が残っております。だんだん改善はされておりますけれども、たとえば加算減算率緩和等につきまして、私たちとしてももう少し前進をするような考え方検討をいたしているところでございます。  そのほか老齢福祉年金のこともございますが、これは総理府というよりは厚生省関係でございますので、私の方からのお答えは御遠慮させていただきたいと思います。  以上でございます。
  4. 高峯一世

    高峯説明員 厚生省年金課長でございます。  附帯決議にございます恩給受給者に対する福祉年金支給制限撤廃の件でございますが、来年度年金関係改善の内容につきましては、現在厚生省において検討中でございまして、まだ具体的な案は固まっておりません。この検討の過程におきまして、支給制限限度額引き上げ、こういったことは検討いたすことになると思いますが、ここに書いてございますような支給制限の完全な撤廃という問題になりますと、これは福祉年金の性格の問題に波及いたしますので、これは現在福祉年金を含めまして年金制度の根本的な洗い直しをやっておりますけれども、その一環として考えていきたいということになるかと思います。  附帯決議につきましては、以上のとおりでございます。
  5. 加藤陽三

    加藤委員長 ちょっと速記をとめて。
  6. 加藤陽三

    加藤委員長 速記を始めて。  これから懇談に入ります。      ————◇—————     〔午前十時二十四分懇談に入る〕     〔午前十時四十六分懇談を終わる〕      ————◇—————
  7. 加藤陽三

    加藤委員長 これにて懇談を閉じます。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。  速記をとめて。
  8. 加藤陽三

    加藤委員長 速記を始めて。
  9. 大出俊

    大出委員 そんな取ってつけたような答弁したってだめだよ、あなた方。調整規定というのは何で調整規定かというと、調整すると書いてあるから調整規定だ。そうでしょうが。調整で、スライドではないというわけだ、二条ノ二というのは。だからその条文調整でなく変えればいいだけのことで、物価が入っていようと給与が入っていようと、みんな入っているんだからいいんだ、そんなことは。その中のどれを中心にして制度化するかということは、予算要求手法として裁量の枠だよ、これは。それじゃ二条ノ二読んでごらんなさい。そんなわけのわからぬ答弁したってだめだ。当時恩給審議会新居会長さんとさんざんぼくらやりとりしてきたんだから、議事録を読み返してください。大体、いまそこに並んでいて、私がちゃんとここに制度化しろと書いてあるじゃないかと言ったら、そんなことは書いてないとみんな言っているじゃないですか。審議会答申がどこに行ったかわからぬで、そこにがん首並べてもしようがないじゃないか。ちゃんと制度化しろと書いてあるじゃないか。それを受けたんならなぜ制度化しない。制度化する中心は何かと言ったら、二条ノ二が調整規定だから、調整規定ではだめだということで審議会議論したんだ。ぼくも意見を吐いているよ、そこで。だから調整規定と逃げたんじゃだめだ。スライドスライドってさんざっぱら運動が起こって二条ノ二へ入れた。入れたら二条ノ二は調整ということで逃げた。だから調整ではだめだ、スライドにしなさいということで審議会議論をした。結果的に「制度化するなど所要の措置を」と、こうしたわけで、つまりスライドというふうに直せばいいわけです、調整規定を変えればいいんだから。それだけのことだ。
  10. 菅野弘夫

    菅野政府委員 どうも私たち勉強で申しわけありません。  先生のおっしゃることよくわかりますが、制度化の問題でございますけれども、いまちょっと話が出ましたけれども、調整規定というのをスライドというふうに変えるということはもちろんでございますけれども、二条ノ二は確かにそういう訓辞規定的なことでございますので、それがすぐスライドになるような条文になればこれは理想だと思いますが、その場合に、従来問題になっておりましたのはいわゆる審議会方式というものの是非、あるいはそれを給与がいいんじゃないかということで、三つ書いてあるけれども給与だということで四十八年から給与にさせていただいておりますし、それから、本年からその給与平均ではなくてそういう改善傾向もということでございますので、そういう変遷がございまして、そういう動きといいますか、いろいろ問題点がずっと出ております。そういう問題を解決しないでこの規定だけが動いてまいりますと、この訓辞規定的なものがたとえばスライドと書いてありますれば、現在給与だけでやっておりますけれども、給与物価その他のことということで、もしもそれがそれぞれ数字的に出るものだとすれば、それが平均といいますか総合といいますか、そういうものによって変わってまいるべきものだと思います。  現在だんだんに、国会で御議論も賜りまして、審議会方式でないんだ、給与なんだ、給与中心なんだ、給与平均ではないんだ、改善傾向を十分反映するような、たとえば上薄下厚なんだというふうに参っている段階でございまして、そういう変遷をたどりながら来たと思います。  そこで その制度化に対する努力というのはなお続けなければいけないと思いますが、そういうものが十分安定をし、さらに実施時期の問題もいろいろ問題がございますが、そういうものを解決した暁においては、理想的な制度化ができるのではないかというふうに基本的には考えておるわけでございます。
  11. 大出俊

    大出委員 この一項というのは、附帯決議に忠実に物を考える限りは「国家公務員給与スライドするようその制度化を図ること。」となっているんだから、あくまでもこれは制度化なんだ。あなた方がやっているのは制度化じゃないんだ。予算要求の仕方を考えているだけだ。だから、この恩給審議会答申で言っているように、将来その実効性を確保するという意味ならば、法律で決めなければ実効性の確保はできない。法律によらずして、便宜予算要求手法としてやっているというにすぎないんだから、何遍でも変わることがあるわけで、したがって、実効性保証するという意味ならば、法律改正しなければならぬということになる。何年たっても改正をしない。私はこの二条ノ二をさんざん議論をして、調整規定だと逃げるから、それでは、調整規定ではなくてスライド規定に本当に法律を直さなければいかぬじゃないかというので詰めていった結果として、新居会長を呼んで質問してみて、皆さん答弁というのは逃げたんだ。総理府には公的年金制度調整連絡会議というのがございまして、そこで議論をさせてくれ、他の関連もあるからというわけだ。片一方だけスライド方式制度化してほかの方を制度化しないわけにいかないというわけだ。だから、スライドという制度化をするについてはどうしても公的年金制度調整連絡会議調整する必要があるというわけだ。それならば、公的年金制度調整連絡会議は一体何をどういうふうにやってきたんだということを何回か私は委員会で聞いている。いま聞いてみたら、総理府にまだあると言う。では、時間をくれと言ってやってきて、今日一体何を総理府公的年金制度調整連絡会議でやっていたのか。その後の審議経過説明してください。
  12. 菅野弘夫

    菅野政府委員 公的年金制度調整連絡会議の主宰は、総理府の中では審議室というところが担当しておりまして、それのメンバーが、たとえば給与局長とか私とか、あるいは人事院の給与局長とか、そういうふうになっておりますので、どうも私はその公的年金制度調整連絡会議の従来の経過をお話しするだけのあれを持っておりませんですが、そこでは従来の調整の方法その他で毎年何回かの会合はやっておるわけですが、私からはどうもはっきり申し上げる自信がございません。
  13. 大出俊

    大出委員 公的年金制度調整連絡会議というべらぼうに長い名前なんですが、名前だけ長くたって、中身がなければ意味がないと言って毒舌を吐いたことがあるんだけれども、私がこの制度化問題を新居会長を呼んで——当時の速記録を見ればわかりますよ、新居さんが答えているんだから。政府が諮問してわれわれが答えたんだから、将来の実効性保証のためには法改正しかないんだ、政府は間違いなくそうやってくれるでしょう、そう私は信じざるを得ない、われわれは諮問を受けたんだからと言っているんだ。だからその問題を取り上げて、どうするんだと言ったら、一恩給だけで物を言うわけにいかない、恩給を法的にスライドするように法改正をやれば、他の公的年金全部に関係が出てまいります、だから、そういう意味総理府には公的年金制度調整連絡会議というものをつくってあるんだ、そこで審議しているんだというわけだ。それから、その翌年か翌々年か忘れたが、審議室長以下みんなに出てもらって聞いたら、三つに分けてこうこうだといろいろなことを言っていましたよ。だけれども、そこで調整を図らなければ制度化できないというなら、一体どうすればいいのだと言ったら、結論を出すつもりでいる。あれから、私も十三年やっているから、もう七、八年たったかもしらぬけれども、これはいつになったってらちが明かないようなことでは困るのですが、総理府公的年金制度調整連絡会議というのはいま何をやっているの。皆さんがそれ全然わからぬというのじゃ、何もやっていないことになるじゃないですか。恩給局長以下おって、何をやっているかわからぬ、そういう公的年金制度調整連絡会議なんというものは、あったってなくたって意味ないじゃないか。恩給局皆さんが知らないのじゃ話にならぬじゃないですか。  小委員長、ほかの方の質問もあるのでしょうし、いつまでやったってらちが明かぬから、皆さんで一遍それをどうなっているのかお調べくださいよ。みんな、いままでせっかく長い議論をしてきて、それきりで何をやっているのかさっぱりわからぬのじゃしようがないので、それは一体有効に機能する会議なのかどうかということもあるから、そこらのところは一遍調べて、どの方でもいいけれども、そういう答弁をしているんだから、結果がどうなったかぐらい言ってくれなければ困るし、やっていないならやっていないと率直に言ってくれなければ困る。  それで、この附帯決議を何遍もつけているが「スライドするようその制度化を図る」ことになっているんだから、やはり制度化を図る努力はしてくれなければ困るじゃないですか。何かいま答弁によれば、えらい先の話をするけれども、軍人恩給なんというのは、いまの恩給もそうだが、恩給というのは一体あと何年あるの。何十年続くと思っているの。いまもらっている連中が死んでしまったらおしまいになってしまうじゃないですか。そうでしょうが。制度化だってそうでしょう。いま適用されている、生きている人たちつまり制度的保証なんでしょうが。実効性保証なんでしょうが。そんなこと言ったって、減る一方じゃないですか。恩給局だっていまに要らなくなっちゃうんだから。みんな年金に行っちゃうんだから。あなた方、いま生きている人たちがいればこそやっているんだよ。恩給局長、そうでしょう。それなら早くやってやらなければ、いま年とった人たちが心配しているんだから。私どもに質問がありますよ、制度化というのはいつやってくれるんでしょうかと。遺族扶助料をもらっている遺族を抱えている人だっているんだから。それをあなた、フランスの話でフランスがこう、生意気なことを言っちゃいけませんよ、私だって、フランスはさんざん調べたんだから。  じゃ、具体的にフランスは一体どうなっているのかここで説明してくださいよ。
  14. 菅野弘夫

    菅野政府委員 いろいろ御質問ございましたけれども、先生のおっしゃることよくわかりますので、私たちまだ勉強が足りないところがございましたけれども、さらに勉強してお答えをしたいと思います。
  15. 大出俊

    大出委員 念のためもう一つ聞きますが、恩給局長、いまアメリカフランス文武官恩給ですね、片一方はそういう名称がついている法律だけれども、法律的には日本流に言えばどういう法律がいまあるのですか。中身はどう違うのですか。アメリカというのは、連邦統計局の指数で決めるんだけれども、その法律的根拠はどこにあるのですか。そんなものは、ひっくり返しているようじゃ困るじゃないの。すぐ出てこなければだめじゃないか。
  16. 手塚康夫

    手塚説明員 手元にございませんでして、先生御指摘のようなこと、端的に御説明できないのが残念でございます。
  17. 大出俊

    大出委員 昔、私行って調べてきたんだから。文武官恩給実施に関する法律とちゃんと名称がくっついているんだ。
  18. 加藤陽三

    加藤委員長 大出さん、よろしいですか。
  19. 大出俊

    大出委員 だから、それひとつ研究してくださいよ。せっかく制度化という大きな課題を抱えて十年にもなるんだもの。そうでしょう。
  20. 加藤陽三

    加藤委員長 中路君。
  21. 中路雅弘

    中路委員 この前の附帯決議と関連して、いまの御説明で五点か六点、要望と質問を一緒にまとめて最初話しますから、答えていただきたいと思います。  公務扶助料の問題ですが、この給付水準についてさらに改善を行うことに基づいて、いまの御説明ですと、扶養遺族がいない場合、六十万二百円を、一つ考えですが、この資料で読みますと七十二万四千円ということで出ていますが、生活保護費との関係でちょっと調べてみたのですが、東京に在住している場合ですね、六十歳の男子でとってみますと、衣食費一類、電灯、水道ガス二類、住宅手当、合計しますと月額五万一千八百七十円になりまして、年額で六十二万二千四百四十円、それに期末手当が六千五百円加わります。六十歳ですと少しそれよりも上回るわけですが、今度は七十歳でとってみますと、一類の衣食住で一万八千七百五十円、二類の電気、水道ガスで一万二千四百八十円、住宅手当が二万一千三百円、老齢加算が八千五百円ありますから、月額が六万一千三十円になりまして、年額で七十三万二千三百六十円、それに期末手当六千五百円プラスしますと、いま恩給局考えておられる改善のあれに比べましても、七十歳以上になると恩給の方が一万四千八百六十円まだ少ないわけですね。それで収入認定されますから生活保護の方がまだ高いということになって、相当改善考えられているようだけれども、生活保護よりもまだ低いということになるわけですから、第四項目の「扶助料給付水準については、さらにその改善を行うこと。」これについてはもっと努力をしないと生活保護をもらった方がいいということにもなると思うのですね。  それから、普通扶助料ですが、まあこの委員会論議でも七割とか八割とかの論議もあったのですが、来年度は五割を幾らか上げるということを考えられているそうですが、厚生省でもたしか昨年七割ということを考えられた経過もありますし、私ちょっと調べましたら、ヨーロッパでは大体扶助料を八割にしている国が多いですね。だから、当然方向としては八割ぐらいを目指していかなければいけないのじゃないか。その点で、この点でも改善の処置がまだ非常におくれているということを感じるわけです。最低保障の問題でも適用年齢が六十五歳以下というのが圧倒的に多いわけで、六、七〇%になるのじゃないですか。だから、年齢検討しなければいけないと思いますし、全体として引き上げ改善がまだまだ不十分だということを痛感するわけです。  それから、いま説明にはなかったので二、三御質問したいのです。いままでもどこかで取り上げてきましたいわゆる一時金で終わっている目症者への年金、軽い人の年金の問題ですけれども、これの調査研究費が今度含まれているのじゃないかと思うのですが、この問題についてどういうお考えなのかということを一つお聞きしておきたい。  それから、一時金支給改善ができましたけれども、あれはたしか連続してですね。だから、たとえば二年して切れてまた二年、それで四年という場合には在職年がこれに入ってこないということで、これは大変不公平な現状になると思うので、こういう問題は直ちに改善しなければいけない。断続した在職年の人にも一時金が支給できるように、これは当然のことなんで、非常に不公平なのでこういう問題もすぐ取り上げる必要があると思うわけです。  それから、参議院には出ていますし、たびたびこの委員会でも論議してきた、今度の国会でも請願がずいぶん来ているのですけれども、いわゆる従軍看護婦皆さんの問題ですね。先ほど説明のように、この問題は非常にほかにも影響が大きいということで引き続き検討となっていますが、当然、他の分野の問題、また大出先生が出されているような点についても十分私たち検討しなければいけないと思うのですが、従軍看護婦さんの問題というのは、また私たちも出しましたように、赤紙で召集されて、それで実際に兵に準じた扱いもされている。いろいろな点で見ても全く軍隊と変わらないという点では、この問題は、他の問題の検討も続けながら、もっと広い範囲検討も必要なんだということだけでおくらせていくということじゃなくて、やはりこれを恩給法適用に入れる、あるいは特別立法考える、いろいろ問題はありますけれども、公務員に加えてやっていっても、これは決して矛盾を起こすとかいうことじゃなくて、十分関係者皆さんを納得させ得る問題じゃないかと思うので、この点について調査——公務員範囲問題等についても調査研究費というのが今度入っていますけれども、検討がどのようにやられていっているのか、こういう点もちょっとこの機会にお聞きしておきたいと思うのですが、余り広げてもあれなので、この決議と関連しまして、二、三御質問をちょっとまとめてお尋ねしたいと思います。
  22. 菅野弘夫

    菅野政府委員 最初の生活保護費との対比でございますけれども、いま先生のおっしゃいました数字でちょっと十分理解できない数字があるのです。現在の額でございますけれども、六十五歳で東京でお一人でおられる方等について調べておりますけれども、その額はいまお示しになられましたような七十万とかそういうふうな額ではないように私たちはつかんでおりますが、生活保護費……
  23. 中路雅弘

    中路委員 七十歳になりますと、そうなりますね。六十歳でとると六十二万幾ら、六十二、三万なんですよ。それだと少し高いですけれども、七十歳でとってみると、老齢加算等がありますからね。
  24. 菅野弘夫

    菅野政府委員 老齢加算の方を入れましても、お一人ですと——扶養親族等がおりますと、これはずっと違うのでございますけれども、六十五歳の男子で大体年額が三十八万ぐらいでございますので、月七千五百円の老齢加算がつきましても、そういう数字にはお一人の方についてはならないのじゃないかという感じがいたしますが、扶養親族のあれによって、何人世帯であるかということによって生活保護の方はずいぶん違いますので、そこら辺いろいろ問題があると思います。確かに生活保護費の問題は直接恩給関係ございませんが、私たちとしましても全然無縁でなくて、やはり当方の恩給というものもできるだけ高いにこしたことはないわけでございますので、十分そこら辺も考えながら増額をしてまいりたいというふうに思っております。  それから、扶助料の問題あるいは普通扶助料の率の問題等々につきましては、先ほどお答え申し上げましたようなことでございまして、本年寡婦加算等制度をつくっていただきましたおかげで、あれは定額でございますので、要するに十万あるいは二十万の金額の方と百万もらっておる方では、同じ二万四千円を加えましても率が大分違うわけでございまして、今度の加算によりましても、人によりましては五割五分とか六割とかいう方もおられます。すでにそうなっておる方もおられるわけでございます。全体の問題としましては、先ほどもお答え申し上げましたように、さらにその率をよくする、あるいは加算の問題についても、将来の問題としては加算制度のいいところもとっていきたいというふうにも思うわけでございます。  それから、一時金の目症者の話あるいは断続した二年、二年と軍隊に行かれた方に一時恩給等が出ない制度になっているじゃないかというお話等につきましては、私たちとしましても十分問題意識を持っております。お配りしておりますのは恩給費でございますので載せてございませんけれども、そういう問題も調査をいたしたいということで事務費の方で調査費の要求をいたしておるところでございます。  それから日赤の看護婦さんのことも、調査の段階で公務員範囲全体の問題として研究をしてまいりたいと思いますが、とりあえずは、先ほど申しましたように抑留期間の通算をやりたいということでございまして、基本的な問題につきましては、先生のいま御指摘になりましたような問題等がございますので、ほかのもの全部をひっくるめてそれでおくらすというつもりはないわけでございますけれども、日赤問題だけとりましても、恩給問題としては基本的な問題でございますので、十分過ちのないように深い勉強をしたいというふうに思っておるところでございます。
  25. 中路雅弘

    中路委員 ちょっと一問だけ。  最初の生活保護の問題ですね、保護費との関係、これは一度資料か何か、必要ならつくっていただけませんか。
  26. 大出俊

    大出委員 属人的に違いますからね、これは。
  27. 菅野弘夫

    菅野政府委員 ずいぶん違うんですね、居住地とそれから……
  28. 大出俊

    大出委員 計算力を挙げて……。  ぼくらも一遍計算したことがありますけれども、最近のことはわからぬものですから、計算してぼくらにもそれをいただけませんか。
  29. 中路雅弘

    中路委員 一つそれだけ。
  30. 大出俊

    大出委員 計算例を出してください。  さっき雑談でちょっと申し上げたのですが、これはお願いしておきたいのですが、郵政省に勤めていた人で、逓信手、通信手という名称の身分の方々が長年勤続されていた時期がございまして、これは私が郵便局に在職しているころだそうでございますけれども、特定郵便局長の期間通算その他全部見ております関係で、やはり長年事業に貢献をした人たちであるために、有利に解釈ができるものであれば、選択権を与えて有利な方向に持っていってあげたいという気持ちがございます。退職者の諸団体が相談をした上での話でございましたが、当初、恩給法適用という形で、つまり恩給公務員期間というものを見て、共済年金方式とも計算方式を変えてやった場合に、三千四百人ぐらいの該当者がいる、つまり有利になる人がいる、そういう資料を郵政省が出した時期がございました。したがって、それならばこれは一遍恩給局と相談をして、恩給法適用となれば恩給局の所管になるわけですから、そういう意味調整をしてくれということを申し上げておいたわけでありますが、その後気になりますので——この数字が果たして正しいのかどうか、疑問があるのです。だから、サンプル調査をしてみてくれぬかといって郵政省に物を言ったわけでありますが、属人的にこのケースはこうなるというのを計算してみてくれと言ったら、千五百名を抽出して調査をしたというわけであります。それで、四%ばかりの方々は、恩給公務員期間という形で計算をし直すとよくなるというわけですね。だから、私がこの三千四百人は少し多くはないかという言い方をしたのですけれども、結果的にこの数はもっと減るということです。  そこで、これは先ほどお見せした、郵政本省厚生課が、東京郵政局を使ったようでありますが、サンプル調査をした資料であります。皆さんのお手元にないようですから、細かい質問は避けますけれども、計算例がここに全部ございますから、郵政本省厚生課の課長補佐の小沢さんという人がこれをやった担当者でございますから、連絡をとっていただきまして、これは一遍正確な数字皆さんの方と郵政省の間で当たってみていただきたい。  そこで、これはそこから先は政策ですからおやりになるならぬという問題はありましょうけれども、私の気持ちとしては、相当老齢な方が多いわけですし、前の計算でいって所要経費が総額一億五千万円ですね、人員が減ればそんなにかからぬわけですから、もちろんこれは郵政省負担でしょうけれども、冷たいと思っておりますので、そこらのところを、結論としては、恩給局の見解が出てまいりませんと、郵政省に負担させるにしても問題がございます。そういう意味で一遍そこのところを次の機会までに詰めた結果をぜひお知らせいただきたい、これはお願いをいたしておきたいわけであります。  それから、先ほど中路さんからお話がございましたが、共済審議会、今井さんのところでやっておられるのだと思うのですが、去年ですかおととしですか、審議会扶助料問題について七割方式ということでたしか議論が行われているわけであります。だからその点は、外国の例はともかく、審議会でそういう集中的議論もあるわけだから、最低保障なんかは恩給の方が積み残して、私は大分怒り狂った時期があったのですけれども、どうも向こうさんが優先をする、こういうかっこうになりそうですけれども、この際、こそくなことでなしに七割なら七割という一つの目標を明確にして、そこへの引き上げ努力をお互いがすべきではないかという気がするのですが、今日の状況として、共済審議会等の扶助料引き上げの雲行きというのは現状どんなふうに動いているのか、どなたか御存じならば知らせていただきたい。
  31. 菅野弘夫

    菅野政府委員 十分に存じておりませんので御説明する自信はありませんけれども、去年いろいろ問題がございまして、結局その結果が、各年金を通じまして加算制度ということで一歩前進をしたわけでございますが、ことしのよその方の動きは十分つかんでおりませんけれども、仄聞するところによれば、そういう率の問題なり額の引き上げという問題は進んでいないように聞いております。それ以上は私存じておりませんので、この場ではお答えできません。  それから、先生が先ほど言われました逓信手その他の問題等につきましては、郵政省と十分連絡をとりまして調査をし、基本的な調査の結果をつかんだ上で考え方を深めていきたいと思います。
  32. 大出俊

    大出委員 最低保障のときに苦い経験があるので、局長の前でしたか、何とおっしゃいましたかちょっとど忘れしましたが、前の局長さんのときに、最低保障がどうも乗りおくれて恩給法改正案に入ってこないという妙なことになって大分私がごねたことがあるのですけれども、またそんなことになっても困るので——実は私の関係の方からも共済審議会に役員を送っているのですよ。そこで集中的にこの問題を詰めると言っていましたから、だから、皆さんの方が先行した、後から片方が決まった、出てきてみたらまたちぐはぐだというのでは困るので、また乗りおくれられたのじゃ、そのときになって文句を言ったってしようがないので、一遍そこのところを、あなたの方はこういうふうな要求方式をお出しになっているけれども、向こうの方はどうなっているのかお調べいただくのが筋だと思うのですが、いかがでございますか。
  33. 菅野弘夫

    菅野政府委員 その点でございますが、これは技術的、事務的な話で、八月の段階で要求いたしますときには、向こうの方は動いていないわけでございます。それで、予算の直前になりまして、あっと言う間に先生お話しのようなことがございまして、かつて、当方が十三万円、向こうが三十何万円ということになりまして、結局一年おくれ。ですから、従来から技術的には一年おくれが多かったわけでございますけれども、あの場合には非常に額も違いまして問題がございました。それ以後は、翌年からは、先ほども御説明しましたように、当方としては推定を交えまして、要するに、結果を全部待って要求しますと要求する暇がないうちに決まってしまいますので、推定を用いましてやっておりますので最近はずっとおくれていないわけでございます。その額が当方の要求よりもさらに多いときには、たとえば昨年の例等がそうでございますけれども、十分調整をしましてさらにプラスをした額で最終的に決めております。今度の動きも十分注意をして見ていきたいと思います。
  34. 大出俊

    大出委員 三公社五現業の最低保障方式といいますか、これは選択の——向こうは選択というような形になっていますから保障の仕方が違うわけです。どう違う、結果的にどうなると考えておられるのですか。
  35. 菅野弘夫

    菅野政府委員 いま御質問のあれは、普通恩給に相当する部分の最低保障の問題でございますか。
  36. 大出俊

    大出委員 はい。
  37. 菅野弘夫

    菅野政府委員 この問題は、向こうの方は結局厚生年金……
  38. 大出俊

    大出委員 厚生年金方式の計算でやった場合。
  39. 菅野弘夫

    菅野政府委員 社会保険という目から見ますと、厚生年金の中の公務員を対象とする一つの分野であるということで、厚生年金の方に引きずられるといいますか、厚生年金との対比が問題になる部分もございます。それがまたもう一つ恩給制度を引き継いだ部分があるということで、引き継いだ部分といいますか、引き継いでおるということで恩給に絡む部分がございまして、共済の方は両方をにらんでやるんだと思いますが、私たち恩給制度の問題は、やはり基本的には全額国庫の公務員年金であるということで、掛金を掛けてやる社会保険一般とはやはり違う部分があるわけでございますので、どうも向こうが変わった場合にすぐに乗り移るということがなかなかできないわけでございます。  ただ、私たちの基本的な考え方としましては、やはりそうは言っても年金制度というグループであるわけでございますので、恩給から見て、最低保障なども一つでございましょうが、そういうものがいい制度をとっている場合には、当方としても十分研究をして、当方に適用するというか、あるいはうまくアレンジをして、取り込めるものは取り込んでいく、そういう基本方針で臨んでいるわけでございます。  最低保障につきましてもいろいろ問題があるわけでございますが、従来なかった最低保障を取り入れ、そうして定額部分あるいは報酬比例部分というものもだんだん改善をし、いま先生が指摘されましたように、実施時期の問題についてもおくれることのないようにということをいたしておりますので、ほぼ現在は均衡がとれているように思いますが、さらに勉強しておくれることのないようにしたいと思います。
  40. 大出俊

    大出委員 計算してみると大分違うんですよ。ここで細かいことを申し上げてもしようがないのですがね、私も時間がありませんから。たとえば、私がいま取り上げているこの逓信手、通信手の期間計算の算出例がここにあるのでありますが、一番上の方に厚生年金方式で計算した方が年金額が高いものの例——というのは選択できるからなんですよ。それからもう一つは、共済年金方式で計算した方が年金額が高くなる例、つまり郵政省の職員であって、過去の勤続年数その他が逓信手の期間、共済旧長期の組合員の期間いろいろあるわけですね。それをいまとり得る向こうの制度で計算をすると、まず厚生年金方式一つ出てくるわけですね。それから共済年金方式が出てくるわけですね。それと今度は恩給期間というものを恩給に入れて計算する方式、三つ出てくるわけですね。向こうはいずれか上二つとれるわけですから、そういう意味で非常な改善なんですね。最低保障という意味で、これは恩給最低保障などと比校にならぬ。だから本当に下の方の連中というのは救われている。そうすると、私に言わせると、これは例に引いただけですからね、ここで細かい数字を挙げてもしようがないから申しませんが、ここに計算がありますけれども、恩給最低保障方式とは基本的に違う。大変に有利であるという解釈を私はしていますし、今度の場合でも、逓信手、通信手の問題でもそういう方式をとっているから、それで計算をし直すと、選択をする、つまり有利になるという数が減っているわけです、厚生年金方式で計算した方が有利の人がふえているわけですから。だから、そういう意味で前の、つまり郵政省が出していた数字と違いがあるわけですね。  したがって、私は、やはりさっき申し上げた公的年金制度調整連絡会議なんというものがあるんなら、それがどうなっているのかさっぱりわからぬけれども、やはりそれは、さっき毒舌を吐きましたが、いま適用を受けている方々というのは数で勘定できるんだから、その方々は減ることがあってもふえないんだから、やがてなくなるんだから、そうだとすればやはりできる限り公的年金の枠の中で有利に解釈をする必要があるという気がするんですよ。だから、そこでいま私が質問したのは、三公五現のこの方式といまの恩給適用者の方式と比べてみて、最低保障に違いがあるでしょう、選択権がある、選択できるわけだから。そうするとその違いというものは、将来に向かって何らかの解決策を考えなければいけないんじゃないでしょうか、こう言っているわけなんです。だから、そこのところを研究してみればいいんだけれども、研究なさるのなら、ついでに計算例を幾つか出してみてもらって、同じような期間で通算をしていって計算をしてみた場合に、片や最低保障でここまで来る、向こうの共済つまり郵政共済なら共済の適用者で最低保障方式、厚生年金方式を採用している、だからこうなっていくというやつをやはり計算例を出してみていただいて、そうしてそこらは、できるものは有利にしていくというのが私はこの委員会の仕事であると思っている。そこらまでひとつ研究をして、研究しついでという言いぐさはないけれども、資料をいただけませんか。
  41. 菅野弘夫

    菅野政府委員 先生の言われましたことは、私たちも大変関心を持っておるところでございまして、いわゆる通老方式などと申しておるわけでございますけれども、これは恩給で実は研究をしてないわけじゃございませんで、私たちも関心を持っているのですけれども、一言で申しますと、恩給制度の中にそれがうまくこなれて入ってくるかということの問題点の第一の点は、現在恩給受給者二百六十万ございますけれども、そのうちの二百四十万ぐらいが軍人恩給でございまして、軍人恩給の場合には十七年と十二年の違い、加算年の問題とか、そういう大部分の者が対象になるその恩給制度の中で大宗を占める部分にそれがどういうふうな形で入ってくるかというのは、これは非常に難問題でございまして、今度文官だけを比較してやれるのか。恩給の中では文官と武官の問題がございまして、そういうむずかしい問題があるということだけ一言つけ加えさせていただきますが、いずれにいたしましても、先生の御趣旨はよくわかりますので、さらに計算例等も十分用意をいたしまして御説明に上がりたいと思います。
  42. 大出俊

    大出委員 局長、同じことをまた二回繰り返すのだけれども、私はちょうどいまから四年ばかり前に、仮定俸給表の一律アップという方式は間違いじゃないか、こんなことをするから、かつて永山さんが内閣委員長をされたときがありますが、内閣委員長当時に調べてみたら、生活保護適用者が九千人いた、恩給をもらっていて。そんなばかな話があるかと言って私は問題を提起したことがある。なぜそうなるかと言ったら、一律アップ一律アップをやるから、たとえば本省の課長補佐見当の方、上下を見ると平均のところでアップしてしまうから、国家公務員のように上落下厚などという傾斜配分をしないからそういう結果になる。だから、公務員並みの傾斜配分をなぜやってくれぬかと言って私はさんざん詰めたことがある。あなた方の答弁は、一貫して、そんな器用なことはできないと言うわけです。やめちゃって現職でない人、仮定俸給でいっている人に現職公務員並みの傾斜配分をしようなんたってできないとあなた方は言うんだ。いかなる比率をどういうふうに持ってきたらいいかなんということだってそう簡単にできない。——できないったって現にやっているじゃないか。以来、四年、五年たって皆さんは踏み切って傾斜配分にしたわけでしょう。一定の、いまここにあるような定額、定率なんということも出してきているでしょう。そうすると、いまおっしゃられたむずかしさというのは、新しいものをつくろうとすれば必ずあるのだから、そんなことは理由にならぬと言うんですよ。有利になるものなら困難があったって、それは官僚の知恵という言葉だってあるんですよ。やはり有利にしてやらなければ、残り少ない方々なんだから、なくなっちゃうんだから、できるだけのことは——言うならば、軍人恩給なんというのは、これは簡単に言えば終戦処理ですよ。戦争なんかやったから遺族がいたりするんだから、そういう意味ではやはりある意味の社会保障でもあり終戦処理でもあるのだから、有利に持っていけるものは筋道を立てて持っていかなければおかしい。最低保障方式だって大変な違いがあるのだから、そのいい方式をなぜ持ち込めないか、同じ公的年金の枠の中ではないか、しかも、公的年金制度調整連絡会議なんて名前のくっついたものがちゃんとあって、スライドと言えばほかの方がなんていうようなことを言っておいて、それじゃ、こっちが不利で向こうが有利だというやつは持っていくのが大変だからというんじゃ筋が通らぬということだ。そうでしょう。だから、いま無理なことを言わぬから計算例を出してみてくれと言っているわけだ。それをみんなで、それじゃどう取り入れるか考えればいいんだから。そうでしょう、それが小委員会の役目でしょう。
  43. 菅野弘夫

    菅野政府委員 いま言われましたことを計算例をつくりまして御説明に上がりたいと思います。
  44. 大出俊

    大出委員 そうしてみてください。
  45. 加藤陽三

    加藤委員長 三塚君。
  46. 三塚博

    三塚委員 ちょうど厚生省が来てますから……。  この附帯決議の第五項、老齢福祉年金等併給制限の理論的根拠を教えてください。
  47. 高峯一世

    高峯説明員 老齢福祉年金の本来の性格から申しまして、公的年金とは併給をしない性格のものであるということで現在の福祉年金ができておるわけでございます。しかしながら、低額の公的年給を受給される方々、こういう方々に併給を禁止することは好ましくないということで、比較的低額の公的年金の受給者の方々につきましては福祉年金を併給するという方針をとっておるのが現在の状況でございます。したがいまして、附帯決議でおっしゃっておりますように、完全にこれを撤廃いたしまして併給をするということにいたしますと、現在の老齢福祉年金の性格というものも変わってくるということになりますので、これは先ほども申しましたように、年金制度の改革の中で福祉年金というものをどう位置づけるかということを検討しておりますので、そういうことの関連において解決していく問題ではないか、そういう考えでおります。
  48. 三塚博

    三塚委員 これは厚生省軍人恩給の場合ですけれども、軍人恩給というのは、大出先生が言われた戦後処理、それから青春の時代を国家目標のために自己の意思に反してというのが多いと思うのですよ。あるいは愛国的至情から行かれた方もおります。いずれにしても国家目標の中で戦地に赴かれ、軍務につかれてやられたわけですね。ですから、これは国家補償という概念が強くあるわけです。だとしますと、七十歳以上老齢福祉年金一万三千五百円、これは法の前の平等という憲法上の規定からいっても、ひとしく支給されるのが当然の権利でありまして、これは軍人恩給でありますからといってそれを除外するという根拠は、法令からいってないと私は思うのです。これをなぜ制限をされるのか。いま聞きましても、あなたのあれではとても納得いきませんし、理論的な根拠が薄い。ただ財政的な点から理屈をつけておるというだけのことにしか聞こえぬのですよ。これはやはり先ほど来議論が出ておりますように、もうだんだんになくなっていくのです。そういう形の中にあって、どこに参りましても、なぜ私たち老齢福祉年金の対象にならぬのでしょうか、こういうことなんですよ。だから、やはりこれは年金制度の充実、福祉国家への前進というようなことで国会政府も動いておるわけでありますから、せめて七十歳以上の対象の方にその制限を取りはずしていく。それで、軍人恩給といっても、もう七十歳以上生きる人というのはそうおらぬのですよ。だから、そういう点からいくと、それだけが楽しみになってきておるのですね。それが、七十歳になって役場に行ったら、あなたは恩給をもらっているから、軍人恩給だからだめなんですよと言われて、がっかりすると言うのだな。これはひとしく出ておる意見です。こういう点で、先ほど局長が言うとおり、これは総理府の所管でありませんから、あなたの方の御決心なんですよ。その辺どうですか。
  49. 高峯一世

    高峯説明員 国家補償的見地から、戦争公務につきましては併給限度額を一般より高くしておりまして、大尉相当の方までは併給するということで優遇をしておるということが実情でございますけれども、いま先生がおっしゃいましたように、七十歳になって福祉年金をもらえると思ったら、恩給をもらっておるからだめだということで、不満の声が大きいということは私ども聞いております。しかしながら、年金の仕組みといいますのは非常に窮屈な仕組みでございまして、そういった御要望にこたえるためには、いろいろな観点から御議論をしまして工夫していく必要がある、こういうことでございますので、そういった御要望を今後の検討の際にも十分考えてまいりたいと思います。
  50. 大出俊

    大出委員 これは内閣委員会として一遍厚生大臣に申し入れなければね。
  51. 加藤陽三

    加藤委員長 これは私も取り上げてやりたいですね。
  52. 大出俊

    大出委員 加藤さん、どうですか、これは矛盾よ。財布のひもを握っている方が出したくないというだけで、出すと言えば厚生省だっていやだなんて言いはしないんだ、これは。だから、少し騒ぎを起こさなければだめだからね。厚生省、大蔵省に物を番おうじゃない、みんなで。
  53. 三塚博

    三塚委員 そうですね。厚生省、よく大臣にも言っておいてくださいよ。これは国会決議で何回も出ておるのですよ。国会のたびに出ておる決議条項ですから、これをやはり前向きにやらなければいかぬです。
  54. 大出俊

    大出委員 ここにいる人だってみんな年とるんだから、課長だっていまに年とるんだから、同じなんですからね。
  55. 三塚博

    三塚委員 それで、特に最低保障額の対象になっている者は下士官のランクの方々ですよ。そういう点で、ほとんど生活といっても、もう目いっぱい、非常につらい立場にあるわけですから、それを、対象を広げていくということがきわめて大事だと思うのです。このことだけ言っておきます。  あともう一つ軍人恩給の場合、十二年という年限の差がありますが、これは一日足らぬでもいかぬのですよ、法令から言うと。十一年と十一カ月と二十九日、たまたまその船に乗るのは戦友が先であった、船に乗るのが一便おくれた、こういうことで、これが外れるわけですね。そうしますと、一緒にやっと帰還して、戦友として戦友会をやる、昨今非常に盛んですけれども、やると、何となく戦友会へ行くのにつらいと言うのですよ。もらわぬ方は一カ月か十日足らぬのでもらわぬのに、会費取る方もつらいと言うのですよ。  これは現実の問題として提起するわけですが、この方法が、一時恩給制度というものでやられましたが、これはむずかしい問題かと思いますけれども、これはさっきも出ておる。だんだん減っていくわけですから、そんな点で、まあいつの時期かやはりこれを改善して、思い切って十年ぐらいに下げていく、こんなことも考慮の中に入れていいのではないだろうか。また十年になれば、局長は、しからば九年十一カ月と二十九日の場合はどうなるのだ、こういうことで、これはとめどもない議論になりますよとたしか言われるはずでありますが、これは人情として大変デリケートな問題で、一日足らぬだけで、いや、厳格に言えば一時間足りないだけでも十二年にならぬわけですから、その辺のところ、恩給局長どうですか。
  56. 菅野弘夫

    菅野政府委員 答えは先生の方が言っていただいたようなことでございまして、大変実情としてはお気の毒の方がたくさんあると思いますが、恩給制度は戦後いろいろな制限をだんだん緩和してきまして、そういうところで入らなかった方も加算が入るとかなんとかということでだんだん救ってまいりましたけれども、最終的に十一年十一カ月二十九日の方をどうするかということになりますと大変お答えしにくいわけでございまして、新幹線が一時間五十九分おくれたときに払い戻しを幾らやるかというような問題とも絡む関係考え方としてはあると思います。お気持ちはわかりますけれども、その辺は、実情としてはそれを法律改正していくというのはなかなかむずかしいというふうに思います。
  57. 三塚博

    三塚委員 まあ、むずかしいと言わぬでいろいろ検討してください。  鬼木先生が来たから……。
  58. 加藤陽三

    加藤委員長 鬼木先生、何かございませんか。
  59. 鬼木勝利

    鬼木委員 来客で遅くなりまして申しわけありませんが、もう御質疑いただいたかもしらぬと思いますけれども、改定時期を年度当初からやるということに対して、もう論議あったのでしょうが、六月実施ということはわかっているけれども、年度当初じゃないから、六月は。
  60. 菅野弘夫

    菅野政府委員 年度当初にすべく附帯決議もございますし、私たちも目標といいますか、理想といいますか、そういうふうに考えておりますけれども、全般的に、改善項目は、ここに配ってございますが、たくさんございまして、どれもみんなやりたいということばかりでございます。実施時期の問題は、しかしながらせっかく十月を七月に上げていただいたわけでございますので、この歩みをとめることなくさらに前進をしたいということで、最低限一カ月の前進を現在要求しておるところでございます。
  61. 鬼木勝利

    鬼木委員 これは、私も恩給受給者の一人だが、受給者の非常に大きい声です。どこへ行ってもこの話が出るのです。これは、委員長にもいつもお願いしているのだが、一カ月とか二カ月というこそくなことをやらないで、ぜひひとつ実現できるようなふうに努力してもらいたい。大体、局長はどういうふうな考えを持っているのですか。これは年度初めからやるということは無理だと思っていますか、みんなの声が妥当であると思っておられるのか。あなた御自身はどう考えていますか。
  62. 菅野弘夫

    菅野政府委員 実施時期の問題でございますけれども、これは他の公的年金制度もいろいろございまして、実施時期がそれぞれ違うわけでございます。  そこで、恩給実施時期が一番前進をしているのが現在でございまして、そういうことでは、他の年金よりはよくなっているというふうに思いますが、ただ、先生からも従来からたびたび御指摘をいただいておりますように、恩給のもう一つの性格は公務員年金制度でございまして、そういう意味では現職の公務員との均衡と申しますか、そういう問題も明らかにあるわけでございます。したがいまして、いまお尋ねでございますけれども、私は、そういうものを総合いたしますと、年度当初から実施したいというふうに考えておる者でございますが、現在一カ月の前進でも、その資料にちょっとございますように、約百七十億の所要額があるものでございますので、理想理想、目標は目標としながら、けれどもしかし歩みはとめないで前進をしていくというのが、私たちの現在の考え方でございます。
  63. 鬼木勝利

    鬼木委員 この百七十億円、そういう予算のことは、予算関係については、これは御無礼なことを言うようだけれども、あなた方がどうだこうだと御心配なさる必要はないのだ。あなたは恩給局長として、当然こうやるべきだ、これだけ予算が要るということを強力に申し出るべきであって、あなたが予算配分で予算を握っておってこれを出されるとか、金がないとか、そんなことは考える必要はないと私は思うのです。予算関係がどうだこうだというようなことは何もあなたじゃない。これは逆に言えばあなたたち努力が足らぬのだ、予算を取り切らぬのだ、私に言わせれば。そういうことじゃなくして、筋論としてこれは年度初めからやるべきだという考えをあなたは持っているのか持ってないのか、それを聞いているのですよ。
  64. 菅野弘夫

    菅野政府委員 先ほどもお答え申しましたように、現職公務員との対比もございますので、年度当初からやりたいというふうに思っております。
  65. 鬼木勝利

    鬼木委員 それはわかりました。——まだようございますか、後から参りましてはなはだ相済みませんが……。  それから「恩給最低保障額については、引続きその引上げを図ること。」と、非常に抽象的ですが、引き続き引き上げをどの程度図るのか、どのようにあなたは考えておられるのか、あなたの腹があるはずなんです。引き続き引き上げると言ったって、これは抽象的でわれわれには何も納得がいかないのですよ。これはあなたを責めているのじゃないけれども……。(三塚委員「これは決議だよ、われわれがやった決議なんだ。だからそっちは一生懸命やりますという答弁なんだ」と呼ぶ)そうですか、ぼくは後から来たものだから、そこが悲しいところだ。まことに申しわけない。いや、わかりました。
  66. 加藤陽三

    加藤委員長 ほかにございませんか。——それでは、次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時四十五分散会