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1976-10-14 第78回国会 衆議院 内閣委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月十四日(木曜日)     午後二時十九分開議  出席委員    委員長代理理事 木野 晴夫君    理事 加藤 陽三君 理事 藤尾 正行君    理事 上原 康助君 理事 大出  俊君    理事 中路 雅弘君       大石 千八君    旗野 進一君       林  大幹君    三塚  博君       箕輪  登君    森  喜朗君       石橋 政嗣君    山本 政弘君       鈴切 康雄君    受田 新吉君  出席国務大臣         外 務 大 臣 小坂善太郎君  出席政府委員         防衛施設庁施設         部長      銅崎 富司君         防衛施設庁労務         部長      古賀 速雄君         沖繩開発庁総務         局長      亀谷 禮次君         沖繩開発庁振興         局長      井上 幸夫君         外務大臣官房長 松永 信雄君         外務省アジア局         長       中江 要介君         外務省アメリカ         局長      山崎 敏夫君         外務省条約局長 中島敏次郎君         運輸省海運局長 後藤 茂也君  委員外出席者         防衛庁防衛局調         査第二課長   冨田  修君         環境庁水質保全         局企画課長   西村 純幸君         運輸省航空局審         議官      山地  進君         内閣委員会調査         室長      長倉 司郎君     ――――――――――――― 委員の異動 十月十三日  辞任         補欠選任   林  大幹君     島村 一郎君   吉永 治市君     坂村 吉正君 同日  辞任         補欠選任   坂村 吉正君     吉永 治市君   島村 一郎君     林  大幹君     ――――――――――――― 十月十三日  恩給共済年金受給者処遇改善に関する陳情  書外二件  (第一  号)  恩給年金通算制度適用範囲拡大に関する陳  情書  (第二号)  傷病恩給等改善に関する陳情書  (第三号)  同和対策事業完全実施等に関する陳情書外一  件  (第四号)  青少年の健全育成に関する陳情書  (第五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務  する外務公務員給与に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第一号)      ――――◇―――――
  2. 木野晴夫

    木野委員長代理 これより会議を開きます。  委員長が所用のため出席できませんので、委員長の指名により、私が委員長の職務を行います。  在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤尾正行君。
  3. 藤尾正行

    藤尾委員 外務大臣、しばらくお待たせをしまして申しわけございませんでしたが、時間も二十分ばかり過ぎましたので、私の質問をできるだけはしょって御迷惑のかからぬようにいたします。  まず、十日には外務省公電が入ったということのようでございますが、御案内のとおりいま中国内部で、江青女史を初めといたしまして、人によっては三十人、人によっては四十人、何人どういうことになっておるのか知りませんけれども、これは非常に大きな問題ですね。私は大変な問題だろうと思います。こういう問題が起こっておるわけでございますが、この問題についてまず所管大臣としてどのように考えておられるのか、あるいは外務省として、これはアジア局長でも官房長でも、だれでも結構ですが、これを一体どのように考え、どのように受け取っておるのか、それをまずお伺いいたしたい。
  4. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 私からまず申し上げまして、後また官房長局長から申し上げさせたいと思います。  去る十日の日に、イギリスの筋からそういうようなうわさがあるがというような内報がございまして、直ちにこちらに公電が入ったのでございますが、何分にも確認しようのないものでございますので、その事態推移を見ておりましたら、デーリー・テレグラフその他のイギリス新聞にそれが出まして、今日のような状態になっておるわけでございます。  これが毛沢東主席以後のどういう事態になるのか、どう判断したらいいのかという点でいろんな見方があるわけでございますが、私ども公式の論評等はしばらく差し控えまして、事態推移を十分見てまいりたいというように思っておるわけでございます。
  5. 中江要介

    中江政府委員 中国内政につきましては、ことしの初めに周恩来国務院総理が亡くなって、そして今度は朱徳委員長が亡くなりまして、今度は毛主席が亡くなったということで、非常に年輩の指導者が次々と亡くなっている。そうすると、やはりここに世代の交代が当然のことですが行われるのじゃないか。特に毛主席が亡くなったということは、いままで毛思想毛路線ということで中国内政、外交を引っ張ってきておられたわけでございますので、この共産党の主席がどういうふうに後を引き継がれるだろうかということが、実は中国内政を見る場合には非常に大きな問題点だったのであります。それにつきましては、毛主席もことしの六月ごろから外国からの賓客に会われないということで健康がすぐれないという状況があったものですから、中国の中でも静かにポスト毛といいますか、毛主席の後の心の準備もまた体制準備もあっただろうとは想像されたわけでありますけれども、いざ亡くなられてみまして、すぐには後継者がだれというのは出てこない。どうもこれはやはり通常一カ月と見られておりました服喪の期間が明けたころには、主席後任者が出てくるか、それとも主席というポストはこの際空席にして、第一書記とか書記長とかいう体制になるだろうかと、いろいろ憶測が行われておりました。私どもは、内政の微妙なところまではとても情報もわかる国柄ではありませんのでなかなかわからないのですが、外に出てくる現象を客観的にフォローいたしますと、ある程度のことはわかるのじゃないか。  その事実関係を見ますと、毛主席が亡くなってちょうど一カ月後の九日の午後に、北京市内華国鋒が、いままで国務院総理でありました、いまも国務院総理ということになっておりますが、華国鋒が党の中央主席あるいは党の中央軍事委員会主席に昇格する、その決定を支持するという壁新聞とかスローガンが出始めまして、そういうところから、どうもこれは華国鋒国務院総理毛主席の後を継ぐのではないかということが公の字になってあらわれてまいりまして、今度は十一日になりますと北京語言学院前に壁新聞が出まして、それには華国鋒党中央政治局全会一致党主席に選任された、こういう壁新聞が出ておる。それからこれは新聞にもよく報道されておりますが、十一日、その日の夕刻、中国政府の招待で北京に参りましたパプア・ニューギニアのソマレ首相の出迎えを華国鋒総理がどういう肩書きで出迎えるだろうかということも注目されましたが、このときはまだ国務院総理という肩書きのままであったわけでございます。ところが副総理といたしまして李先念総理がそのときに夫人同伴で出迎えまして、このソマレ首相の車に一緒に乗って北京に向かった。そういうことから見ますと、どうも張春橋の方が実は筆頭であったはずなのに、張春橋ではなくて李先念首相があたかも通例ならば首相が行うような行事を行った、これも一つの客観的な事実として私どもは注目しておったわけでございます。他方、この張春橋を含めまして、いわゆる文革派グループという人たちが、私どもの見るところ、九月の末以来公の場に出なくなったということか――これはやはりああいう体制の国は、ソ連の場合もそうですけれども、そういった公の席での序列とか、あらわれるとかあらわれないとかいうことも一つ材料ということで注目しておりましたところへ、先ほど外務大臣の言われましたように、十日ごろにどうも文革派の中枢の地位にあった人たちが逮捕されたのじゃないかというような未確認情報が入った。これは北京の大使館もいろいろの情報を、いま申し上げましたような、客観的にだれの目にも映る材料のほかに、そういった聞き込みの情報その他をいろいろ集めておる中の一つにそういうのがありまして、それが十二日でございましたか、ロンドンからの外電が世界に報ずることになってにわかに注目を集めた。これについて中国側は公式には一切ノーコメント、いまだにそういう応対でございますので、公式の立場ではこれが確認されたということはまだ言えない状況であるというのが現状ですが、多くの人の観測では、どうもそういうことがあったらしいというところに至っている、こういうことでございまして、他方、冒頭に申し上げました華国鋒国務院総理がどうも党の主席になったのではないかという点は、これはまだ公式の発表はございませんけれども、大体その点については中国の信頼すべき筋から得ている印象では、ほぼそういうふうに決定を見たと判断していいのではないだろうか。ただ、公表がおくれているということでございますので、いまのところは形式的にはといいますか、公式には華国鋒国務院総理ということで、党主席空席ということですが、華国鋒国務院総理党主席に昇格ということは、相当確度の高い内部決定があったのではないかというのが現状と、こういうことでございます。
  6. 藤尾正行

    藤尾委員 いまはアジア局長から事実を大体並べられたわけでございますな。そこで、そういう事実がもうすでに起こった。多分起こったのでしょう。私もそう思います。そういうことはずっと前からそういうことがあるのではないかということが言われておったわけですな。あるいはこれが一年先になるか半年先になるか、三年先になるかあるいは五年先になるかわからぬけれども、しかし、その上に、二千年に一人出てくるか出てこないかというような大英雄ですな、それが座っておったというときには、いかなる問題が起こったとしても、それは要するに毛沢東という人の指導力というものでおさまってきた。それが亡くなったのですから、いつかはそういうことが起こるかもしれぬという観測幾らでもあった。恐らく外務省でも、いかにあなた方が問題に慎重を期されると言ったって、心の中か、どっか机のそばで話しされるときには、そういうおそれがないのかというようなことは、恐らく勉強の大きな議題になっておったと、私はそう思うのですね。それが現実にどうも起こったらしい、起こったということなんですが、そのことは今後中国というものを卜する上でこれは一体どういう意味を持つのか、今後それではどのように発展をしていく可能性を持っているのか。起こりました、はいそれで終わりでございますというような単純な騒動で終わるのか、あるいはこれが中国八億の方々の心の中に大きな亀裂を起こして、それがあれだけ大きな中国全土でいろいろな問題として今後はね返ってきて、中国内政上に大変に大きな混乱を及ぼし、その混乱に対処する中国内政で一体中国のエネルギーがどれだけ消耗していくものだろうかというようなことは当然考えてなければならぬはずですな。そうですね。この点いかがです。どう考えておられます。
  7. 中江要介

    中江政府委員 藤尾先生もおっしゃいましたように、毛沢東存命中も、御承知のように林彪事件だとか批林批孔だとか、あるいは鄧小平失脚走資派批判というようなことで、中国国内政治を見ておりますと、まあこれはすべての国というわけでないかもしれませんが、国内政治権力の間のいろいろの争い、角逐というのはよくあるわけでございまして、それが毛主席が存在したためにある程度抑えられた。その主席が亡くなったら危ないじゃないかという観測も常識的にはあったわけですし、いまもあろうかと思います。私ども毛主席が亡くなった後その点がどうなるだろうかということを注目しております立場からしますと、少なくとも公に演説で述べたりあるいは人民日報の社説に出たり、そういった公に中国側が意図的に発表しているその筋でいきますと、毛路線を継承する、毛沢東遺志を継いで引き続きいままでの毛路線でやっていくんだ、こういう大筋は恐らくどこを突っついても同じ答えが返ってくるというのが現状で、しかし、その毛路線を継承する、あるいは毛沢東主席遺志を継ぐといってもどういう継続の仕方をするか。つまり実施機関になりますと、党と政府構造がどういうふうにおさまっていくかということが、人間関係としてはやはり注目されなければならぬ。そういう観点からいたしますと、党の主席が、先ほど申し上げましたようにまだ公表できる段階でないというのが一つと、それから党の常務委員の中でも王洪文葉剣英張春橋という人たちがいま言われているように、今度もし外に出されたというふうにいたしますと、もうほとんど空席になってしまうわけです。党の常務委員の顔ぶれがどういうふうに新しく決まるか、そういった人的構成についてまだ公表もされていないし、それについての大体の構図というものもどこからもまだ情報として入ってこないわけでありますので、今後どうなるだろうか。とりあえず毛路線を継承する、対内対外ともいままでの路線を継承するという大筋は一応決まっているけれども、それを実施する機関がどういうふうに決まるかというところは、党主席以下主要人事公表を待とうという段階ではないか、こういうふうに見ております。
  8. 藤尾正行

    藤尾委員 いまあなた非常に簡単に毛路線を継承するであろうということを言われましたですな。確かにそうだと思いますよ、表に出てきているのはみんなそうですから。それじゃ一体毛路線というのは何なんですか。これは本当に逮捕されただけなのか、あるいは林彪事件だとかあるいは劉少奇事件だとかというように、いつの間にか消えてしまうというようなことになるのか知りませんけれども、そういうことになると、いわゆる毛沢東さんが生きておられたときのその夫人や、あるいは起こされた文革運動の中心であった姚文元とかあるいは張春橋だとかあるいは王洪文だとかいう人たちはこれは毛路線とまるっきり関係ないのですか、毛路線でないからそういうことになったのですか。これはいかがです。
  9. 中江要介

    中江政府委員 それは全く私どもによくわからない点なんでありまして、いま中国側で言われていると報ぜられているところによりますと、毛路線をわざと曲げたとかあるいは毛路線と称して別なことをしようとしたとか、そういうことは報道はされておりますけれども、私どもとしてこうだ、こういう理由でこういうことがあったんだということを突き詰めるだけの手段もございませんし、どうもそれの可能なような政治社会構造でないということで、遺憾ながら先ほど来申し上げているような、外に出た事実でもっていろいろと考えてみるというのがいまの考えである、こういうふうに思います。
  10. 藤尾正行

    藤尾委員 私は実りのない議論なんかしたって意味がないと思いますから、これ以上あなたを困らせてみたってしようがありませんから言うつもりもありませんけれども、本当を言うと、これは非常に重大な問題なんですね。なぜかというと、これはとにかく毛沢東さんがずっと進めてこられた中国の中における指導理念、これは革命ですよ。要するに、国の形態、国の様態をつくっていくというようなそういったものは後の後なんだ、末の末なんだ、まず革命なんだ、八億の人間すべてが全部革命しなければだめなんだ、おやじが悪ければ、子供がそのおやじを訴えても、要するにいままでの中国の家という観念あるいは親子の関係、そういったものを犠牲にしてでも革命していくのでなければ、中国は立たぬということでやってきたわけでしょう。そうして、その運動先頭に立って指導してきたという人が江青であり姚文元であり張春橋であり王洪文なんでしょう。そうでしょう。これは違いますか、違いませんか。
  11. 中江要介

    中江政府委員 毛沢東路線というのはプロレタリア革命路線であるということは、これはもう周知のことであると思います。
  12. 藤尾正行

    藤尾委員 その最も革命路線先頭に立ってきたのがその人たちであるということはあなた認めますか、認めませんか。
  13. 中江要介

    中江政府委員 そこのところがなかなかむずかしいと思いますのは、毛路線に沿っていろいろ行われている中でも、いわゆる上海グループとか文革派とか非常にイデオロギー重点を置いた考え方をする人たちと、他方周恩来総理は非常に柔軟であった、現実的であったと言われたり、鄧小平首相も一時は責任ある地位におられたのが、後で走資派といって非難されたり……。ですから、いろんな形の適用段階でいろんな考え方があったんだろうと私どもは推測いたしまして、革命路線イデオロギーに非常に重点を置いた考え方人たちがいわゆる文革派と呼ばれておったということは、私どももそう思っております。
  14. 藤尾正行

    藤尾委員 事実ですね。あなたが言われた、つまり周恩来とか、あるいは周恩来が登用してきた鄧小平とかいう人は、これは走資派ということでやられちゃったんでしょう。追っ払われたわけでしょう。今後どうなるか知りませんけれども、そういうことですね。そのやった張本人が、いま問題になっておる江青であり姚文元であり張春橋であり王洪文なんでしょう。そうすると、それは私はそういった一つかみの人だけの問題ではないと思うのですよ。中国八億の全部に広がっていった文化大革命という大きな革命運動、これは一人や二人の力ではできません。あらゆる学生、あらゆる働かれる人、あらゆる農民、あらゆる兵士、そういった者を巻き込んで非常に大きなドライブをかけてやっていった運動、そういったものが現実に大きな成果を上げて、そしてそいつを毛沢東さんが支持してきて、そうしてそれに反するということで、実体的な国づくりを指導されできたろうと思われる鄧小平とかなんとかという人たち資本主義に走る走資派ということで切られていったんですから。そうでしょう。それは大変なことだと私は思うんですね。いままで正しかった、こうやれ、そうしてそれをやりましょうといって中国全土がそれにずっとなびいてきた。それがいまや、今度は毛沢東の死によって一転して、これはどういうことになるかわかりませんが、罪なんというのは、つけ方幾らでもつきますわな。これはいままで共産主義国家、そういったところで起こっておる事態というものの歴史をひっくり返してみれば、全部そうですね。どんな理由でもその罪名はつく。そういうことで処断されているということになっていったら、八億の人間がよりどころにしてきたものはひっくり返るわけですから、これが動揺なくしてやっていけるかどうかという、その認識ですよ。問題はそこなんです。その認識に立ってかからないと、私どもアジア問題とか中国問題とかいうものを理解するときに、何か切れっ端みたいなニュースだけぼんぼんと出てきて、ああそうかそうかじゃ済まないんですな。その判断の物差しは何かということをはっきりさしておかないと、国民みんな迷いますよ。ここは委員会の場ですから私は申し上げておる。問題はその物差しなんですよ。八億の人間がわあっと言ってやっていったこと、そうしてそれが是なりということで、それは毛沢東語録の真髄だということでやられてきたこと、それがいまや否定的な立場粛清の対象になっているということになっていったら、中国八億の人たち、その運動に参画してきた、一生懸命やってきた中国人民といいますか国民といいますか、そういった者は、一体今後何をよりどころにしていったらいいんでしょう。これは大きな大変なことですからね。それは明治維新だとか、われわれで言えばわれわれの敗戦だとかという大きな転機がありましたけれども、私そんなものじゃないと思いますよ。そういった意識を持っていただかないと、今後中国を考え、アジアを考えていく際に、物差しなしでそのときそのときの場当たりでやられたんではたまったものじゃない。そういったことがあるから私は申し上げておるんです。私の言っていることに大きな誤りがありますか、ありませんか。
  15. 中江要介

    中江政府委員 誤りがあるとかないとかと言う資格は私にはないと思うのですが、一つ毛語録あるいは毛路線というものが今回全く否定されたというわけではないだろうと私どもは思います。先ほど申し上げましたように、毛思想あるいは毛路線を実行してまいりました過去の中国の情勢を見ましても、同じ毛路線を実行するに当たって、考え方の違いというものはいろいろあった。いまのところは、一九四九年建国以来ずっと支えてきた毛路線あるいは毛思想というものは、それはそれとして守っていくという点ではどうもコンセンサスがある。ただそれを実行する場合の考え方実施の仕方の違いというのは、過去にあったように、いまもあるいは中国の中でいろいろ議論があるかもしれない。それは中国人民がお決めになることでございますが、私どもは外から見ております限り、毛路線毛思想というもので引き続きやっていくという大きな枠はまだ維持されている、こういうふうに見ておるわけでございます。
  16. 藤尾正行

    藤尾委員 それでは、いつまでもそういう端々の議論をしていたってしようがありませんから端的に申し上げますが、いま大きな動揺中国内部であると思いますか、ないと思いますか。
  17. 中江要介

    中江政府委員 ちょっとあるとかないとかいうことを言うのはデリケートで、私の口からは申し上げにくいことで御勘弁いただきたいと思います。
  18. 藤尾正行

    藤尾委員 大臣、いかがですか。
  19. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 これは非常にむずかしい問題でございまして、この場ではひとつ御勘弁をしていただきたいと思います。
  20. 藤尾正行

    藤尾委員 これだけのことが起こって動揺があるとかないとかということを申し上げられないというのは、それはあなた方立場がありますから、それは私はわからないわけではありませんけれども動揺がないはずはないじゃありませんか。これは大動揺ですよ。そうでしょう。それをあなた方に否定されるような要素はないでしょう。これは恐らく大変なことになるんですよ。先ほども申し上げましたように、たとえばきょうの報道によれば、もうすでに中国国民軍といいますか、まだ解放軍というのか知りませんけれども、軍隊は、北京清華大学とか北京大学などというところに乗り込んでおるでしょう。何もないのに乗り込むわけはないのですから、学生動揺というのはそれだけ考えたって大変な動揺でしょう。そうでしょう。これは北京の二つや三つの大学の話ではありますまい。中国全土でこの問題がこれから広がっていくんですよ、だあっと。至るところでこれからつかまえられますよ。恐らく何人つかまるかわからぬ、何十万とつかまるでしょう、きっと。大変な大粛清が行われるでしょう。そうして、それに対してまたリアクションが起こってくるでしょう。そういうことを想像したっておかしくないでしょう。それほどの事態である、私はそう思うんですよ。いかがです、大きな間違いがありますか。
  21. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 とにかく毛沢東なり周恩来なりというのは、非常に不世出の傑物だというわけでございます。これががっちりとおります間は、いろいろな問題がありましても何とかこれは切り抜けられてくる。ただよく言われることですが、セカンドがなかなか位置を保てぬということを言われますね。林彪しかり、あるいは鄧小平しかり。ところが周恩来首相というのは、非常にその点の天才的な才能と申しますか、がっちり毛主席と組んでおったわけです。ところが、この二人の傑物が相次いでいなくなった。そこでいろいろな事件が起きるということは、これはあってむしろしかるべきことかもしれません。  先ほどもお言葉にあったように、毛路線というのは、これはだれしもいいんだと言っているわけですね。その毛路線の理解の仕方が悪い。たとえば鄧小平毛路線と言っておった、林彪のごときは毛主席の指示に従え、毛主席の書を読んでやれ、こう言っておったのが、これはいかぬと言う。そういう情勢でございますので、これはなかなかわれわれとして端倪すべからざる問題もあると思うのでございます。そこでもう少し、藤尾さんのようないろいろな御検討は要ると思います。私も、私なりにいろいろ考えておりますけれども、意見発表というのはもう少し私の場合はひとつ後にしていただきたい、こうお願いする次第でございます。
  22. 藤尾正行

    藤尾委員 あなたの立場は、これは一言物を言われますとたちまち相手に波及していくんですから、私はこの場であなたがそういった非常に危険なかけを冒されるということがないようにされるのは、あなたの当然おとりになる態度だと思いますから、それは了解しないでもありません。また、それを追及する意思もありません。  ただ、ここで問題なのはその認識ですな。あなたが言われたように、毛沢東周恩来という非常に大きな者が上にどすんと座っておった、どうにかこうにかそれでかっこうがついていた、それがなくなった、そこに何が起こってくるかわからぬということになるかもしれぬ、こういうことなんですから、そうなってくるとこれからの先行きというものを非常に短期的に物を考えて、そうして中国の物の考え方はこうだとか、多分こうなるだろうとかいうような考え方はいま最も危険だと私は思いますが、この点はいかがですか。どうですか。
  23. 中江要介

    中江政府委員 私どもが見ておりますのは、先ほどの繰り返しになりますが、いろいろいきさつは中国内部ではあり得ましても、外向きにはいままでの毛路線の継承、特に対外関係につきましては、日中関係では日中共同声明の精神にのっとって日中友好を進める、あるいは米中関係につきましては上海コミュニケに従って進展を待つというふうに、またソ連との関係につきましては李先念首相ソマレ首相のための宴会の席の演説を見ましても、いままでどおりの路線で行くということが確認されておりますので、公式にはいま言ったような考え方中国が臨み、そのためのいろいろの手当てを中国内部で努力しておられる段階だ、こういう認識でございます。
  24. 藤尾正行

    藤尾委員 あなた、私が聞かぬことまで言っちゃいけませんよ。私、いまそんなことを言っているんじゃないのです。多分中国は非常に動揺しているだろう、これは当分続くだろう、そういうときに、中国の物の考え方はこうだとか、あるいは中国の政策はこうであるとかいうような非常に固定的な考え方をするのはきわめて危険ではないかということだけを申し上げておるんであって、やれ、米中関係がどうだとか、上海コミュニケがどうだとかあるいは日中友好条約がどうだとか、私、そんなこと何も言っちゃいませんよ。言わないことまで答えられては困る。それはこれからの話で、これからじっくり話をする話でございまして、いままだ話をしてないですから。  そういう公式論の繰り返しじゃ困る。早い話が、たとえば人民解放軍一つとらえてみても、あるいは中国共産党をとらえてみても、それは見方はいろいろありましょう。ありましょうけれども、こういったものが、中国という国をつくるまでの共産党、人民解放軍というものと今日の共産党、人民解放軍というのはまるで性格が違うわけでしょう、国をつくっちゃったんだから。八億の人間を治めなければいかぬのですから、膨大な官僚機構が必要ですよ。人民解放軍はいま中国を守る国防軍になっているのですから、内戦のときの竹やりに毛の生えたような鉄砲を持ってやるわけにいかない。これは国防軍的態様を備えなければいかぬのですから。そういうようにやっていこうという努力をした人たちが、いままで私の知っている範囲では林彪であり、あるいは周恩来であり鄧小平であった。それがあの革命段階でみんなだめだといってちょん切られた。今度はちょん切った方がさっとやられた。そういうことで、論理的に考えてみて、中国の共産党、官僚群、それが動揺していまある者が抜けていく、つかまえられていく、そういう中で動揺がないということを考える方がおかしいじゃないですか。あるいは人民解放軍が国防軍になっていくそのプロセスの中で、どうしてもやらなければならぬという国家的要望がいろいろ出てくるでしょう。それが十二分に満足させられなかった。それがこれから満足させられるかもしれない、そういう希望を持ってきた。ということになってくれば、大変に大きな変革がそこに起こってくる可能性、そんなことはあたりまえのことじゃないですか、だれが考えてみたって。そのあたりまえのことが中国で起こってくるのは、あなた、八億の中で起こってくるのです。人民解放軍四百五十万というのですから、五百万近い軍隊の中で起こってくる。これは津波みたいなものですよ。そういった大きな物の考え方が波になって波打っている。どっちに行くかまだわからぬ。そういう段階で、あなたが言っておられるように、この政策はこれでどうも間違いありませんとか、これはこういうふうに決まっておりますから言っているじゃないですかとかいうことで済むようなことでしょうかね。これから議論になってくる。そんな簡単なことじゃありませんよ。そんな簡単な頭で日本の外交をやられたのではたまったものじゃない。  ただ、それも中国内部の問題だけじゃありませんよ。中国の中でそういう動揺が起こってきたときに、一体その対立をしているいまの中ソというソビエトはどうするんですか。黙って見ているのですか。何するかわからぬじゃないですか。そういうものが何か物を考えたり動いたりするということになっていったときに、アメリカはいま大統領選挙をやっていますから、大統領選挙が済んで新しい大統領ができたら、黙ってそういうものをほうっておくアメリカの大統領というのは私はないと思いますよ。新大統領は必ずこれに対する新政策を展開しなければならぬ。つまりアジア政策というものは、まさに狂乱怒濤の変化をこれから起こすかもしれない中に置かれておるわけですね。その中に日本がある。その中でわれわれの安全保障を考えていかなければならぬ、われわれの国民の安定とわれわれの国民の繁栄を考えていかなければならぬ。この政策を、かっこうとしては外交権という名のもとにあなた方に御一任をしておる。そうでしょう。それならば、あなたが言っておられるように、私はまことに官僚的だと申し上げるけれども北京で発表されたこれとの会見の話はこうでございましたとか、いままであったところは変わりませんと言いましたとかいうことで、はい、さようでございますかということであなた展開できますか。それで一億の国民、あなた方にゆだねて、はい安心だとまくらを高くして寝ていられますか。私はとにかく日本の国会を構成いたしておる一員といたしまして、そんなのんきなこと、はい、さようでございますかと言って聞いているわけにいかない。これは慎重の上にも慎重を期してもらわなければ困る。本当に何が起こってくるかわからぬのだから。そうでしょう。その点いかがです。
  25. 中江要介

    中江政府委員 私、動揺はないとも言っているわけでもありませんし、動揺があるかないかという御質問に対しましては、ちょっとお答えいたしかねると申し上げたわけです。それから他方中国は公にはこういうふうに言っているということまでは申し上げておりますが、それをどう評価して、どう日本として対処するかというのは、これは藤尾先生がおっしゃいますように私どもも慎重に検討し、慎重に見きわめていくという姿勢は変わりはないわけでございます。  ただ御質問の具体的な諸点につきましては、中国内政の中に少し立ち入り過ぎて、この場で言うことがどうかということがあるものですから、少し言葉が足りないといいますか、かゆいところに手が届くほどのところまではなかなか私は言いにくいということを申し上げておるわけでございます。
  26. 藤尾正行

    藤尾委員 そこで大臣、あなたにお伺いをしたいのですが、本当のところそういう状況なんですね。外交の大ベテランであるあなたがそんなことを御存じないはずがない。そういう過程ですから、これからの日本の中国政策、アジア政策あるいは対ソ政策、対米政策というものの中にそういった要素は十二分に織り込んでいかないと、間違えたというわけにはいかないわけですね。よほど御慎重に、まあ本当に石橋をたたいて渡るような指導方針で臨んでいただかないと私はこれは困ると思うのですね。あなたの御所信いかがですか。
  27. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 わが国の国益を十分に踏まえまして、慎重に対処してまいりたいと考えております。
  28. 藤尾正行

    藤尾委員 それは非常にありがたいことで、国民も非常に喜ぶと思いますよ。そこで、御慎重に、これから国益を十二分に踏まえられて今後の政策を展開をせられるということでございますから、いよいよ具体的な問題に入っていきますけれども、あなたが、こんな問題起こっておりませんでしたからいろいろなことがあったわけだと思いますけれども外務大臣に就任をせられまして、いままで皆さん非常にお考えになられて進めようとせられた日中平和友好条約交渉というようなものが今日まで余り実体的にはいろいろなその場その場の問題ができて進んでこなかった、少なくとも今日までは停滞状態にあった、私はそう思います。そういう状況の中であなたが外務大臣におなりになられて、その内容は私は存じ上げませんからそういったところに立ち入る資格もありませんけれども、ニューヨークで喬冠華中国外相と進んでお話しになられたり、あるいはそういったものの前後にこれを日本としてできるだけ早く進めたいんだという意向をお示しになられた。また三木総理大臣は、こんなふうになるとは知りませんから、神ならぬ身の知る由もなしということですか、あなたを場合によっては北京に派遣をしてどうのこうのということを言っておられたわけですね。そういった姿勢、そういったものがいままでの政府のとってこられた外交政策、たとえば非常にいやな――あなたは、おれはおれの考え方でやるんだということになりましょうけれども、たとえば前の外務大臣であられました宮灘さんは、そういったものを進められる過程で同じような喬冠華さんとの話し合いもおやりになられて、そうして相手側が提示をしてきておる、いままでそれが問題になってきた覇権というような問題です。こういった問題についての考え方、この考え方の中で非常に微妙なニュアンスの違い、そういったものがあなたが外務大臣に御就任になられてから今日までの間にやはり国民の間に述べられたと思うのですね。少なくとも新聞にはそう書いてある。これは新聞に書いてあるから正しいとかなんとか言いませんが、その辺のところはどうでもよろしいわけでありますけれども、少なくともそのニュアンスに非常に違いがあるような感じが私はいたします。  そこで、この問題と関連をいたしまして、覇権とは一体何だ。そうして、いままで言われてきた、いわゆる中国側の提唱をしてきた、要求をしてきた、主張してきた覇権というものの内容は一体何なんだ。それについて、それを受け取る側のわが方のこの覇権という問題に対する解釈の仕方、取り上げ方、運び方、そういったものは何なんだ、どこのところがどのように違っておるんだ、それを合わせるためにはどのようなことをしなければならぬのだということをこの機会に私はお述べいただきたい、そう思います。
  29. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 日中間に平和友好条約をつくりたいという考え方は、一九七二年の九月に共同声明をつくりまして、それ以来の考え方でございます。そこで、共同声明の中にありまする貿易とか航空とか漁業とか、そういうような四つの協定は済んだわけで、あとの平和条約を、友好平和条約をつくれということは国会でも……
  30. 藤尾正行

    藤尾委員 ちょっと待ってください。平和条約ではありませんでね。
  31. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 平和友好条約です。
  32. 藤尾正行

    藤尾委員 そこをはっきりしていただかないと、間違いがありますから。
  33. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 それは言い直しておりますからどうぞ。平和友好条約、これをつくりたいということは、国会でも満場一致の決議になっておるわけでございます。  そこで、その内容について歴代の外務大臣がいろいろ御苦心をいただいたわけでございます。一体覇権とは何ぞやということが一番問題になるのでございましょう。当初共同宣言をつくりますときは、とにかくそれに問題なくそう書いてサインしているわけでございますから。しかし、それについて後で問題が起きちゃいけないということでいろいろ考えるわけでございますが、要するに国の場合に覇権というのは、力の強い国が力をもって、実力をもって、ほかの国を支配したりあるいは侵略したりあるいは政府を転覆させたり、内政干渉したり、そういう言ってみれば平和の基礎として考えるべき哲学である、さように私は理解しているわけなんでございます。しかしこの問題については、従来いろんな経緯がございまするので、その従来の経緯を踏まえまして、よく考えながら国益を慎重に図りつつ対処してまいりたい、こう思っております。
  34. 藤尾正行

    藤尾委員 あなた大事なところは――これはお立場がお立場ですから、国益を損なわぬように慎重に扱っていきたいと言われれば、はいさようでございますかということになっちまいますから、それはそれで結構なんですが、しかし肝心かなめの、たとえば宮澤大臣の場合は、ここにこういう資料がございますから申し上げますと、少なくともこの覇権というような物の考え方についても、たとえば中国の方のいままで言われておられる言葉の内容と、それを受け取る日本側の内容との間に違いがあっても仕方がありませんよ、私どもには私どもの平和憲法というものがある、その枠からはみ出すわけにはいきません、われわれの外交方針があります、あなたの方にはあなたの方の外交方針がある、それが一つになるかならぬか、それはやってみなければわからぬことで、もしそれが違いがあれば、どこまでもその違いは違いとして詰めていくという努力はしなければならぬけれども、そうかといって私どもがあなたの方の言うことを聞く、あなたの一方的なことに私どもだけが理解をするというわけにはまいりませんとか、あるいはそういった哲学的な思想といいますものが現実の政治の中に組み入れられて、覇権ということが特定の第三国に向けられておるというようなことになっては、これは私どもの基本的な方針と違ってくるんだから、そういうことは困りますとか、あるいは世界じゅうでいろんなことが行われておりますけれども、あなたの方からもいろいろなこれでなければ困るというような押しつけがあること自体は、そのこと自体がやはり一つの覇権的な意図も持っておるのだから、その点は御反省を願わなければならぬとか、あるいはわれわれは、世界じゅうがそうでございますけれども、国連というものを持って、国連憲章というものを守っていく、そういうこと自体が、あなたの言っておられる覇権というもの、そのもの全体を含んでおるじゃないですかとかいうようなことを言っておられますね。いい悪いは別です。そういった物の考え方と、あなたの考え方との間には違いがありますか、ありませんか。
  35. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 わが国の憲法が平和憲法であって、しかもわが国の憲法もそうでありまするし、全体の姿勢がどこの国も敵視しないということであることは、日本人はみんなそう思っておるわけでございますね。でございますから、それに反した条約というものができるわけのものじゃございません。しかもわれわれ国連中心主義をとっておりまして、国連の中にございまする世界同胞一つの家をつくって兄弟のように仲よくやっていこうじゃないか、人種の差別はないし、そしてお互いに力を用いて抗争することのないような社会をつくりたい、これが日本の一つの理想であることも当然でございます。しかし、私はまだ実は外務大臣になりましてから先方の外務大臣といろいろな話をしたことがないのでございます。先般国連の帰りに会いましたけれども、わずか四十五分の会談でございまして、深くそういう問題について渡り合う機会がないのでございます。したがいまして、話してみないとこれはわからぬというように思っております。私は私として、党の考え方はもちろんございますし、国民考え方というものを背にしていろいろ話し合わなければならぬと思います。しかし、いまの段階でどうだと申しますと、これは新聞等に載りまして先方に伝わるわけでございましょうけれども、これは誤解のもとになってもいかがかというように思う次第でございまして、私の考え方の基本を申し上げるとさようなことであるのでございます。
  36. 藤尾正行

    藤尾委員 そうなりますと、私のこれから申し上げることはただ単なる要望ということになってしまうわけでございますから、ひとつお聞きおきを願いたいわけでございますけれども、たとえば中国は、実態はともあれ、現実に現時点におきましては、中ソ間であれだけの反発をやって大変な敵対関係にあるとはいうものの、中ソ友好同盟条約というものを持っておるわけですね。そうですね。それには明らかにわが国というものを、名前を指摘をして、それに対処してということで、われわれを敵対関係に置いておる。それがとにかく死文であろうが何であろうが、厳と存在しておるわけですね。そういった中で、片一方でおまえは敵だと言っておきながら、片一方で平和友好条約を結びましょうというような物の考え方、その態度、これは十二分におただしをいただいて、それは私ども仲よくするのにやぶさかじゃないというならば、おまえさんの方でも少し顔を洗い直してきてくれいということぐらいは言いませんと、天下に道理が通りません、こいつは。と思いますが、いかがですか、これは。
  37. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 実は、これは私こういう立場になる前に言うたことがございますが、これは書いてあるけれども、いまの関係をごらんになればわかるでしょうというような態度でございました。しかし、それは向こうの考え方でありまして、こちらとしては、藤尾さんのおっしゃることは私どもには非常に理解できることでございます。
  38. 藤尾正行

    藤尾委員 それから、これはえらく古い話を蒸し返してきてあなたは非常に御迷惑になられるわけでございますけれども、私どもはさっき大臣が言われましたとおり、日本の外交の基本方針というものは対米関係にある。その対米関係の基調になっているものは、そのうち非常に重要なものが日米安保条約である、こういうことですね。その日米安全保障条約、同時にその相手国であるアメリカは、現在の中華民国、これとの間に厳然たる防衛条約というものを結んでおる。そうですね。現実にこれから先の話はともかくとして、現実の、現時点においては、アメリカの考えておる中国との間の関係といいますものは、それが生きているわけですね。そういう中で、いまはそんな余裕はないのかもしれませんけれども、その間いろいろと中国の指導層にあられる方々が、ときどき狂ったように中国立場から、台湾、中華民国を解放するのだというようなことを言われるわけです。旗印を掲げている。旗印を掲げるということは、いまできるかできないかはそれは力関係の問題でございますからこれは別でございますけれども、これはやろうということなんですから、やろうということを運んでいかれる過程では、必ずこれは日米安全保障条約、米華防衛条約というものとぶつかるんですな、いやでもおうでも。こういったところはやはり一応整理して考えていっていただかないと、われわれとしてもきわめて迷惑。またこれはアジアの安全のためにも非常な危険な要素をそこに残すと私は思います。この辺のところは、これも何もいまどうのこうの言って私は明言してくださいと、あなたの立場もありますから、これは私は私なりにわかりますから要求をするわけじゃございませんけれども、この点はやはりしかとこういう要請が日本国内に強くあるということを頭に置いて物事を運んでいただかなければならぬ。いかがです。
  39. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 ただいまお述べになりました問題点は、私においてもよく認識をいたしております。
  40. 藤尾正行

    藤尾委員 それで、この問題についていろいろ論議をしておりますと無限にこれは時間が必要でございますし、あとの質問者もおりますし、もう三時十五分を過ぎましたから、あと十五分ぐらいで片づけなければいけませんから簡単にいたしまして、この問題はこの問題として、また後ほど機会がありましたら十二分にお話し合いをするとさせていただきまして、最後に一つ、これは直接この問題とは関係ございませんけれども外務省の外交姿勢という問題と関連をする問題を一つ申し上げたいと思います。  それは北朝鮮人民共和国に関する問題でございます。いま私どもは、この北朝鮮人民共和国との間には国交はありません。ありませんけれども、この間の事実上の貿易関係というものは現に存在をしておる。そうして私どもは、総額にいたしましたならば恐らく三億ドル近いのじゃないでしょうか、という決済関係を持っておる。もうすでにその期限が過ぎたものだけを考えてみましても、約六千万ドルを超える金額となっています。そういう関係にある。この問題の処理を、これはほうっておかれるつもりですか。これはどうなんです。
  41. 中江要介

    中江政府委員 いまおっしゃいました焦げついている債権の問題、これは関係の民間団体の代表の方が日本側の考えを先方に提示し、あるいは場合によっては日本から関係の方が平壌に行かれまして、いま北朝鮮側と鋭意どういうふうに解決していくかということの話し合いをしておられる最中ということに承知しておりまして、これは主管は通商産業省でございますけれども、外交的な観点から私どももその推移を見守っているというのが現状で、これが保険の支払いを申請するような事態になるのか、あるいは新たな解決の方向について合意ができるのか、これはいまのところいずれともわからないというふうに見ております。
  42. 藤尾正行

    藤尾委員 あなた、いま簡単に保険の対象にされるというようなことを言われますけれども、保険の総額は二億ドルですよ。六百億円。はみ出してしまっているのです。全部つぎ込んだって足りない。しかも、その保険というものは何も北朝鮮人民共和国のために積んであるものじゃないのです。全世界の貿易関係の処理を不当に決済するということを避けるために積み立ててあるものですね。それをやたらに、北朝鮮人民共和国との関係のない私どもの国が、そんなものに手をつけて、片っ端から取り崩していくというようなことが容易にできることなんでしょうか。これは大変なことですよ。それが一つ。  もう時間がありませんから、まとめてお答えを願いたい。  これはいままで民間がおやりになった。確かにそのとおりですね。一次、二次といままで二回やっているのです。今度は三回目が行く。そういうことになっている。そのいままでの経緯、第一回目はこうでございました、第二回目はこうでございました、そして第三回目はこういうふうにならんとしておりますということをこの席で明らかにしていただきたい、国民の目の前で。いま巷間、私ども立場の違う方々が、北朝鮮人民共和国との間にもっと友好関係を増進しろとかなんとかと言う方がたくさんおられる。現にいる。それはそれでも結構なんですが、そういった方々もこういったことを本当に承知の上でそういうことを言っておられるのかどうか。相手国である北朝鮮人民共和国というのが、一体基本的な商売の原則、借りたものは払うんだということを守る、そういった姿勢にあるのかないのか。そういったもののない相手だとすれば、これは世の中で商売するときに不渡りを出した人を相手にする人はいないのですから、やはり国民の目の前で、ここのところはいけません、ここのところはよろしゅうございますというけじめをつけておきませんと、国民が誤解を持つ。そして、そのこと自体が私どもアジア政策自体に大きな傷跡を残す、私はそう思います。もうあと五分しかありませんから、そのおつもりでこの点を御回答願いたい。
  43. 中江要介

    中江政府委員 保険の問題は、たまたまそういうことも関係商社の中で考えているけれども、他面、それの持つ重要性というのは、いま藤尾先生が言われましたようなことがあるものですから、累次北鮮側と話をしているというのが現状で、その現状をここで明らかにしてもらいたいと言われましても、私いま資料を全然持ってきておりませんので、至急取り寄せて御説明するよりしようがないと思いますが……(藤尾委員公表してください、そして委員全体に配付してください」と呼ぶ)民間の行ってきた人からの話というのはある程度聞いておりますけれども、全貌がどういうふうになっているかというのはさらに調べてわかるようにしたいと思いますが、北朝鮮が非常に経済的に困っている、そして日本のみならず西欧諸国に対する債務の支払いも滞っておる、この状態というのは私どもも承知しておりますし、それを全く無視して、北朝鮮というものをただ評価する、あるいは考えていくということは私どもはしておらないわけでございます。  資料につきましては、整い次第、委員会の方と御相談して、適当な方法で公にできるものを公にしたい、こう思います。
  44. 藤尾正行

    藤尾委員 私は、相手が金があるとか金がないとか、そんなことはいいと思うんですよ。金がなければ、金がないような物事の仕切りの仕方がある。世界じゅうでこういった例がたくさんありますか。そんなにたくさんありはしませんよ。これはむしろ例外に属する方です。そういう姿勢の悪さを正していきませんと、甘い顔ばかりしてはいられないということですよ、私が言うのは。日本には日本の外交姿勢というものがあっていいんですから、それをわかった上でこうしてくださいというなら、それは話はわかりますよ。のっけからこうしますと言っておきながら、それが全然守られないで期限がどんどん過ぎていった、みんな焦げついてしまった、これでは国民が困るじゃないですか。そうでしょう。だから私は申し上げているんです。わかりますね。――では、そのようにひとつお考えをいただいて、もうあと二分三十秒しかありませんから、二分三十秒でこれは大臣にもお答えいただきたい。
  45. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 北の方へ行く者は、国交がないのだから勝手に行け、商売も勝手だ、これが政府立場であったわけでございますね。その裏には若干ウィスフルシンキングがあって、それを通じて向こうの状況もわかるのではないかというふうに考えておっただろうと思うのでございます。ところが、実はこの期待に反しまして、大焦げつきが出たというのがただいまの状況だと思うのでございます。ただ、これは民間がやっておりますので、その事態を把握するのは、実は商売だものですから、私の社はこれだけ焦げついておりますというのを出すのは実際問題としてみんななかなかいやがるわけです。しかし、お言葉でございますから、十分調べます。調べますと同時に、こういう実態、われわれの常識から言えば、はなはだ信義にもとる状況が行われておりますということを申し上げたいと思います。
  46. 藤尾正行

    藤尾委員 それじゃ中江さん、あなたの方はどうです。
  47. 中江要介

    中江政府委員 いま大臣が御説明になったことに尽きていると思います。
  48. 藤尾正行

    藤尾委員 それでは、実は私はきょうはもう一つ大事な安全保障問題をめぐって、中ソ問題をテーマにして十二分の論議をしたいと思いまして、防衛庁の調査第二課長にもおいでを願いましたけれども、その時間を失しまして、あなたに初めからしまいまで用なしにそこに座らせておいた御無礼をおわび申し上げます。後ほど十二分に時間をとらえまして、この中ソ問題、安全保障問題というのを今度はじっくりやりますから、そのときはそのときでひとつ御足労をお願いをいたします。私の質問はこれで終わります。
  49. 木野晴夫

    木野委員長代理 上原康助君。
  50. 上原康助

    ○上原委員 新しい外務大臣になられてから、いろいろの外交問題が山積しているわけですが、私はきょうは、主に沖繩の施政権返還のときとの関連もありますので、最近日米間で交渉が進められてきたと伝えられております日米航空協定の点について、まずお尋ねをしてみたいと思うのです。そのほか駐留軍の労働問題、あるいは、これも沖繩返還当初からの懸案事項でございますが、VOA施設の移転に伴う従業員の処遇に関する問題、さらに最近沖繩県内で非常に大きなショックを与えている琉球海運の倒産問題など、いま申し上げた約五点ばかりのことについて、時間の範囲でお尋ねをさせていただきたいと思います。  そこで、まず日米航空協定のことについてでございますが、御承知のように沖繩の施政権のわが国への返還後の日米間の航空運送業務に関する了解覚書が沖繩返還のときに取り交わされました。いわゆる那覇空港を米国の航空企業が継続して五年間使用するということが取り決められておったわけです。そこで今回、来年の五月の十四日ですか、十五日までに五年間の米国航空企業の使用というものの特別措置が切れますので、その切れるに当たって航空協定全般について改定をしたいという、またしなければならないであろうということが、航空業界を初め関係者の方から強く出されているように受け取っております。マスコミ関係報道を見ましても、日米航空協定の不平等性をこの際全般的に改定をしてしかるべきだという強い国民的な要求といいますか、声があるということも指摘をされていると思うのです。  そこでまず、これはすでに三木・フォード会談においても取り上げられたと聞いておりますし、せんだってのニューヨークにおける国連総会に御出席の際に、小坂外務大臣もキッシンジャー国務長官とこの日米航空協定の問題についてお話し合いがなされたという報道もなされております。これらのいきさつ、あるいは今年二月ないし五月ごろにも予備交渉がなされ、ついこの間十月四日から八日までですか、約一週間近くこの航空協定の改定をめぐって日米間の話し合いがなされたということも伝えられております。  そこで、政府としてこの航空協定の改定問題にどのような姿勢で臨もうとしておられるのか、まずその基本的な考え方、姿勢を承ってみたいと思います。
  51. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 日米間の航空問題につきましては、わが国は昭和二十七年まで占領下にございまして、その後に航空路をだんだん持ったわけでございますので、そのスタートからして非常に不平等であった。したがいまして、その間の均衡が非常に失われているという面が多いものでございますから、今回の航空協定におきましてはぜひそういう点を直してもらいたいとわれわれも考えているわけでございます。  そこで、日米航空関係全般のあり方につきまして基本的な意見交換を行ったわけでございますが、今回の日米交渉はこれにとどまりまして、明年五月以降のいろいろな話し合いに持っていこうということになっております。  沖繩の問題につきましては、沖繩への運輸権を含みまする具体的な諸問題についても今後引き続いて両国間で話し合っていこうということに意見の一致を見ておるわけでございます。
  52. 上原康助

    ○上原委員 いまの御答弁からいたしますと、明年五月までに協定改定じゃなくして、五月以降にこの改定作業を進めていくということが、今回の話し合いでなされたというように受け取られるのですが、そういうことですか。
  53. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 今回日米航空の問題に関しましてアメリカ側と交渉を行ったわけでございますが、これはいま先生も仰せられましたように、沖繩返還に伴いまして日米航空協定の付表の修正の際に、この付表の付属書において、沖繩返還後五年の期間の満了前、つまり来年の五月十四日に日米間で協議することで合意されていたことに基づいて開催されたものでございます。  今回の交渉におきましては、国際航空関係の環境の変化にもかんがみまして日米間の路線、以遠権、供給力等日米航空関係全般についての総合的な見直しを行うべく日米間で意見交換を行いますとともに、当面の懸案でございますコンチネンタル・ミクロネシア航空のサイパン――日本路線乗り入れ、及び羽田空港のスロット問題といいますか、離着陸の時間帯の調整の問題等についても検討された次第でございます。  今回の交渉におきまして検討された諸問題につきましては、今後引き続き日米間で協議することに合意を見たわけでございますが、次回の交渉をいつやるかということは、まだ決まっておりません。
  54. 上原康助

    ○上原委員 次回交渉をいつやるかまだ決まっていないということですが、沖繩返還のとぎの了解覚書からしますと、来年の五月十五日までには那覇空港の継続乗り入れをどうするかという問題、あるいは航空業務をめぐっての双方の権益問題など、その均衡性について総合的に検討して結論を出さねばいかないというふうになっていると思うのですね。少なくとも政府の姿勢としては、不平等性の是正の問題、あるいは現在の国際的な航空運航業務にマッチした社会の趨勢に相応していく航空体系を確立していくという意味では、いまの協定全般について改定をしていかなければいかないという基本姿勢を当然とってしかるべきだと思うのです。その基本姿勢の上に立って来年の五月十五日までにこのめどをつけるという立場での日米間の交渉を政府は進めているわけじゃないんですか。
  55. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 仰せのとおり、来年の五月十四日までには総合的な利益の均衡について正当化される追加の運輸権を日本側にもらわなければならないことになっておりますし、来年の五月以前にさらに話し合いを行いまして、日米航空関係の全般的な見直しをやって、わが方として獲得すべきものは獲得したいというふうに考えております。ただ、交渉の時間表といいますかスケジュールはまだ決まっていない次第でございます。
  56. 上原康助

    ○上原委員 運輸省来ていらっしゃいますね。――大体とういう形で交渉を進めてこられたかはある程度わかったわけです。また見通しについてはさらに質問を続ける中でお尋ねいたしますが、少なくとも私が前段で申し上げたように、現在の航空協定、それはそもそも協定を締結した段階の日米間の国力の問題など、あるいは航空業界の力量の問題等からして、アメリカ側が有利な立場で締結されたであろうことは、ある程度理解できるわけですね。もちろん、その後今回まで数次にわたって改定も、私もちょっとだけ勉強したのですが、なされているということもわかります。しかし、先ほど言いましたように著しく不平等がある。また、現に航空業界なり国民の海外旅行という面からしても不便をかこっているということからすると――企業擁護とかそういうことを私は申し上げているのじゃないのですよ。少なくとも国民立場に立ってこの協定の不平等性というものを改定すべきであるということは指摘していいと私は思うのですね。  そこで、実際問題としてどのような不平等性なり、具体的にどういう面の改定をしていかなければいかないというふうにお感じになっているのか、運輸省の立場でひとつお答えをいただきたいと思うのです。
  57. 山地進

    ○山地説明員 ただいま上原先生の御指摘のとおり、航空関係は二国間の協定で運営されておりまして、その中身といたしましては、アメリカの指導したバーミューダタイプの協定が世界の主流を占めているのは御承知のとおりでございます。  それで、日米間の航空協定におきまして、われわれが不平等であるということを言っておりますのは三つございます。  一つは地点でございます。相手の中へ入る地点、それから日本に入る地点、これは形式上は非常に平等にできております。といいますのは、アメリカ側の飛行機会社はアメリカじゅうのどこからでも飛んできていい、日本の飛行機会社も日本のどこからでも飛んでいっていい。ただ、相手方の地点について制限がある。しかし、実質的に見ますと、アメリカの航空会社は、いま権益を行使していない地点も含めますと十九地点、アメリカの中から飛んでこられるのに対しまして、日本は未使用のサイパンを含めまして七地点からのみ、アメリカの地点にサービスができる。これが第一の不平等でございます。日本につきましては、アメリカは大阪、東京と両方入っておりまして、日本航空も東京、大阪から利用しておる、これは同じになっておるわけでございます。主としてアメリカ内の地点の問題でございます。  それから第二が、以遠地点と申しまして、アメリカの例をもって見ますと、アメリカのニューヨークから東京を経て香港に行くというようなことが、東京からどこへでも行けるという無制限の以遠権を持っている。それに対しまして、日本はニューヨークからヨーロッパに行けるというのが制限のない唯一の線でございまして、あとはサンフランシスコ、ロサンゼルスから南米、中米の方に行きますけれども、これはその地点と最終地点間のお客はとれない、片ちんばなかっこうになっております。  それから、私どもが第三に不平等だと申し上げておりますのは、供給量、何便ぐらい飛行機を飛ばしていいかということについて、アメリカは御承知のとおり非常に自由主義思想の強いところでございますので、競争原理を大いに働かせるという意味から、幾らでも飛行機は飛ばしていい。それに対しまして、日本はそういうことでは力の強い企業あるいは非常に攻撃的な企業のみが市場を支配するおそれがある、そこで供給量については十分調整し合わなければならない。しかるに、現在は日本のお客の方が太平洋の六割を占めておるのに対して、アメリカの企業は六割の供給量を占めておりまして、日本の企業は四割近くで少ない供給量でございます。これは協定上どれくらいということは決まってないのでございますけれども、実力的にそういうことでおさまってくる。  この三つの点を私どもは不平等とし、これを改善することによりまして日米間の不平等を解消し、ひいては世界的な航空秩序を、使用者の利便を十分考えた上でそれを実現していきたい、かように考えております。
  58. 上原康助

    ○上原委員 いまの三点については、これまでの予備交渉を含め、去る四日から八日までの交渉で米側に、改定したいという日本側の考えを案なり項目として提示なさったのですか。
  59. 山地進

    ○山地説明員 今回文書をもちまして、それらの点、それからさらに、ほかの日本側の今後の航空秩序のあり方につきましては明確に米側の方に伝えてございます。
  60. 上原康助

    ○上原委員 まあ外交交渉ですから、いろいろ差しさわりのある面もあろうかと思うのですが、これに対する米側の反応はどうなんですか。
  61. 山地進

    ○山地説明員 米側は九月八日にアメリカの国際航空政策というのを発表いたしまして、この発表の中で、私どもで言っておりますバーミューダ協定、従来型の世界の航空秩序を維持したいということを明確に言っております。ただし今度の交渉は、ちょうどアメリカとイギリスとの間で破棄という問題もございましたし、それから来年の四月にICAOでそういった国際航空秩序についての国際会議もございますものですから、アメリカ側としては自分のバーミューダ協定は維持したいと強く主張しながらも、そういう新しい航空秩序に対する各国の希望があるということは十分認識し、そういうものを真剣に取り上げて検討したいということが私どもとしては察知できたということでございます。
  62. 上原康助

    ○上原委員 そこで、日米間の航空業、旅客を含めての需要と供給の面ですが、どういう比率になっていますか。たとえばアメリカから年間何名が日本へ入っているのか、日本から米国へ行っているのがどの程度なのか、その収入の比率ですね、貨物収入を含めてどういう割合になっているのか、そこらについてもこの際、公にしておいていただきたいと思います。
  63. 山地進

    ○山地説明員 まず貨物、旅客合わせまして、それから若干技術的になるのでございますけれども、日本からたとえばアメリカの企業が香港へ行くとか、そういった費用を全部含めて計算いたしますと、アメリカの企業が得ている金額といいますのは約千八百億円ぐらいの収入を上げております。それに対して日本の企業は、九百億円を若干切っておりまして、そのバランスは約九百億円、米側が東京を中心に収入を得ている。これは日-米だけではございませんで、日本から香港というものも含めまして、それから貨物も旅客も含めましてそういうことでございます。したがって、日本航空の収入の倍ぐらい、アメリカの企業が日本の周辺で収入を上げているということになるかと思います。  それから、旅客の日米間の積み取り状況でございますが、日米間には二百万ぐらいのお客が動いておりまして、そのうち、五十年を例にとりますと、日本航空が積んだお客は約七十四万人、三六%でございます。それに対しまして米側が積んだお客は九十九万人、約百万人でございますが、四八%のお客をとっております。  それから供給量は、先ほど申し上げましたとおり米側が約六〇%近い供給量を提供いたしまして、日本側は三〇%ぐらいでございます。正確に申し上げますと、アメリカ側の供給したキャパシティーは、旅客については五六%、それから日本航空は三一%でございます。それから、カーゴーにつきましてもほぼ同じような数字で、若干カーゴーの方につきまして米側の供給量が多いというのが数字でございます。
  64. 上原康助

    ○上原委員 いま大臣、著しく不平等性があるということは、大体経済的な面からいっても、あるいは路線権からいっても明らかにされているわけです。  そこで、この協定を改定する主体は一体運輸省なのか外務省なのか、それもまず大臣のお答えいただく前に、政府だから両方一緒にやると思うのですが、外交協定ですから、日米間の取り決めだから、その面では外務省になるかもしれぬけれども、一体どっちが主ですか。そこも明らかにしてください。
  65. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 航空協定の場合、付表と申しますか路線の問題について話し合う場合には、運輸省航空局が相手方と主として交渉されることになります。ただ、今回の場合は、日本側の姿勢としまして、協定の全面的な見直しということも主張しておりますので、その意味においては外務省の問題でございまして、運輸省と一緒になって交渉をやっておるということでございます。
  66. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、これだけ昭和二十七年以降今日までの間に不平等性が出てきたわけです。それを全般的に見直しをしたい、協定改定をしたいということですので、いま運輸省が説明なさったようなことを一〇〇%やるやらないは皆さんの努力いかんにかかると思うのですが、国民的な立場で見てこの線ならばと思うところまで合意が得られないとすると、改定されたということにはならないわけです。それをやっていくにはどういうふうな考え方でやっていかれるのかということが一つです。  もう一つ、私はやはりこの種の不平等性というか、あるいは著しく一方に有利になるような国際的な取り決めなり二国間協定というものはあってしかるべきでないと思うのです。また、先ほどおっしゃったように、現に英国はこのバーミューダ協定そのものを破棄した。イタリアにおいても破棄を申し入れている。国際的に見ても、アメリカが世界の空に君臨して支配をするという時代を私は過ぎていると思うのです。だからよほどの腹づもりで政府がかからないと、この不平等性というものはなくならないのです。大臣、そのことについては、どうも余り歯切れのいい御答弁じゃないのですが、いま出されたほかにもっとたくさんありますが、これらの不平等というか、あるいはわが国にとって著しく不利になるような協定の内容をこの際改定をしていくには、政府としてはそれなりの対応措置を持たなければいかぬと思うのですが、改めて決意を伺っておきたいと思うのです。
  67. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 お聞き取りをいただいたような現状でございますので、われわれは腰を落ちつけてじっくりこの問題に取り組んで、この不平等と申しますか、わが国に対して著しい不利の点を直してまいりたい、こう思っております。年が明けまして、この国会の関係も一段落したようなころからひとつ交渉を始めたらどうかというような意見が省内では強いわけであります。
  68. 上原康助

    ○上原委員 そこで、若干この点と矛盾するかもしれませんが、もし那覇の米側航空企業の那覇空港の使用というものを、乗り入れを廃止したという場合に、一体わが国の航空企業にどういうメリットがあるのか、あるいはまた継続していった場合はどういうデメリットがあると考えているのか。今度の航空協定の全般的な見直しという面で、那覇空港の取り扱いについては政府はどういう考え方でやっていかれようとしているのか、これもこの際明らかにしておいていただきたいと思います。
  69. 山地進

    ○山地説明員 御承知のとおり、協定には七二年から五年たった日に、総合的利益の均衡に立って、全般的な、日本にどういう追加権を与えるかということを検討するために協議を開くというふうに書いてございまして、文章上は明確に那覇空港を廃止するとかどうというようなことは書いてございません。したがって、いまの先生の御質問を仮に廃止した場合というふうに私どもとしては受け取らしていただくのでございますが、私どもとしては、もし那覇空港におけるアメリカの権益を消滅した場合のメリットといえば、当然それらの貨物あるいは旅客が東京経由になる。いまは御承知のとおりノースウエスト、フライングタイガーがアメリカそれから沖繩、香港というような路線を飛んでおりますが、それらの客が日本航空なり、あるいはアメリカの航空の東京経由になるというのが商業的にいえばメリットになるということだと思います。  それからデメリットとしては、これは申すまでもなく沖繩の特殊な地位からくる利便というものが失われるのは当然のことだと思います。  ただ、私どもが交渉しております中で、その点について現在問題が集中はしておりません。と申しますのは、非常に全般的な話をしておりまして、最後の段階になりますとそういう問題が非常に大きく取り上げられると思いますけれども、現在の段階では、これも仮定になるわけでございますが、非常に円満に解決すれば、那覇空港の問題というのはそのまま何も問題にされないで終わるということも仮定としてはあり得ると私は思っております。
  70. 上原康助

    ○上原委員 私は逆から質問しようかと思ったんだが、それを先にお尋ねしたのですが、要するに、航空協定改定に当たって那覇空港の取り扱いが、いま運輸省、おたくがおっしゃるように、重要なネックにはならないように現段階では思われる。それでいいわけです。私もそうあってほしいと思うのです。なぜなら、もちろん協定そのものは改定をすべきであるし、国民的な視野で客観的にも見て判断しなければいかないという立場を私もとりますが、同時に、沖繩の県民の立場からすると、もうこれは革新、保守問わず、県民挙げて観光産業の育成あるいは振興、開発という面で継続乗り入れをやってもらいたいという要求が出されていることは御案内のとおりなんです。したがって、それをまた全般的な見直しをやるからということで、一地域の問題だからということで犠牲にしてはいかぬと思うのです。あくまでも整合性がとれて、納得のいく方向性を確立していかなければいかぬと思うのです。その姿勢は外務省も運輸省もお持ちであるといまの答弁から思うのですが、改めてお答えをいただいておきたいと思うのです。
  71. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 沖繩の県民の方々としましては、那覇空港を国際空港として存続させたいという強い御要望があるということはわれわれは十分承知しております。そういう強い御要望も十分に念頭に置きつつ、日米航空関係の全般的な見直しをやっていくという考えでございます。
  72. 上原康助

    ○上原委員 これは、開発庁にきょうおいでいただいたのですが、特に振興開発計画でも観光産業というのは非常に重要な目玉、柱にしておるわけですよ。したがって直接はいまお答えがありましたように外務、運輸で作業を進めて折衝なさる、交渉なさると思うのですが、そこいらについては十分御配慮して連絡をとっていただいて、私は何もそこだけを重要視しなさいと言っているわけじゃないですよ。最初から申し上げているように、流れとしてはどういう立場でやらなければいけないという私の主張はわかると思いますので、かと言って一地域の問題だからその点はもう犠牲にしてしまえということはいかぬということを念を押しておきたいわけです。あれだけ全体的な要求として出されている、そのことは無視しないということをこの際開発庁としても、特に担当官庁としてひとつ態度を明らかにしておいていただきたいと思う。
  73. 井上幸夫

    ○井上政府委員 ただいま那覇空港から国際線を利用して出入国いたしております人数は日本人が三万人、外国人が三万人、ラウンドナンバーでございますけれども、それぐらいの人数かと思います。それでまず日本人の三万人のうち、これは統計がつき合いませんけれども沖繩県で発給されております旅券の数が大体年に二万人程度でございますので、単純に引き算をいたしますと、沖繩県の県民の皆さんのほかに若干それ以外の地域の人が那覇から出国しておるという勘定になるかと思います。     〔木野委員長代理退席、加藤(陽)委員長     代理着席〕 したがいまして、単に外国人の観光という以外の利用目的が那覇空港の国際航空路線についてはかなりあるというふうに私どもは考えております。それから外国人の三万人、年によっては移動いたしますけれども、その中で相当数の米軍軍人軍属関係のものがございますけれども、それを除きましても約二万人ぐらいの外国人利用があって、そのうち観光目的ということがはっきりしておりますのが大体一万人弱、私どもこういうふうに統計をつき合わせて推定をいたしております。私どもといたしましては、沖繩は非常に東南アジアに近い地域にあるということ等を考えまして、あの路線が国際路線でなくなるということは単に距離的な問題以外に経済的な問題が沖繩にとって非常に負担の出る問題でございますので、われわれといたしましてはあの路線の存続を望ましいことと思っておる、こういうことで各省とお話し合いを進めております。
  74. 上原康助

    ○上原委員 ぜひそういうことも御念頭に入れてこの問題については対処していただきたいと思います。  そこで、見直しをやって、万一どうしても現在の那覇空港使用を継続乗り入れできないということになった場合は、やはり沖繩を地点にしての国際空港としての位置づけを私はやるべきだと思うのです。いまおっしゃる東南アジアとの関係とか、日航なり何が入るかわかりませんが、沖繩から現在ノースウエストとか米国航空企業がやっているような国際空港としての位置づけをやっていくというところも含めて、交渉の過程において最終的な結論を出す。それもやらずに沖繩だけまたちょん切るというとこれまた問題が出ますので、ここはひとつそういうおつもりでやっていただけるかどうか、改めてお答えいただきたいと思います。
  75. 山地進

    ○山地説明員 国際空港ということでございますが、私どもの分類で、空港の整備の方で、第一種空港、第二種空港、第三種空港で、第一種空港というのは国際空港として使う空港ということでございますが、これが東京と大阪だけでございます。それから国際的に使っているという意味では、関税法でございますかそれの開港というのがございまして、これはいま七つでございますか、北海道の千歳、東京、大阪、新潟、福岡、それと那覇があるわけでございまして、そういう意味では那覇の国際空港としての地位は非常に確立されていると私は考えております。  それから、そこに路線としてどういうふうに使うかというのは、各国との関係でまたいろいろと出てくるかと思いますが、十分先生のおっしゃったような意味を踏まえて今後の航空政策をつくっていきたいと思います。
  76. 上原康助

    ○上原委員 そこで、これだけに時間をとるわけにまいりませんので、この件で最後に……。  先ほど大臣のお答えでは、今国会終了後にでもさらに交渉を煮詰めていきたいという御発言、お答えでしたが、恐らく来年の五月といいましてもそんなに時間的ゆとりはないわけですね。もしわが国の、わが方の要望なり提案事項が仮に入れられないとすると、交渉ですから、特に皆さんがおつき合いの親しいアメリカとのことだからこれはすいすいと行くのじゃないかとわれわれは期待しているわけですが、もし入れられないとすると、英国がやったように航空協定そのものを破棄するぐらいの姿勢で臨まねばいかぬと思うのです。われわれの立場は、場合によってはそういうことが必要になってくるのじゃないか。協定をちょっと見てみますと、破棄したって一年後に効力を失うという程度で、いろいろ問題はあると思うのだが、その前段にそのぐらいの腹づもりで大臣は交渉なさるのか、この件についてもちろん煮詰めの段階では大臣もいろいろおやりになると思うのですが、そこのことについても少し明らかにできればしていただきたいと思います。
  77. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 先ほど申し上げましたように、この国会から選挙そして国会ということになりますと、それが終わってからということになりますと来年一月ということになろうかと思うのです。そこで極力精力的に交渉を煮詰めてまいりたいと存じておりますが、じっくり腰を落ちつけて事態を十分に理解せしめるように努力してまいりたいという基本姿勢でまいりたいと思います。
  78. 上原康助

    ○上原委員 仮に航空協定を破棄した場合はどういうことになるのですか、それもちょっとお聞かせしておいていただきたいと思います。
  79. 山地進

    ○山地説明員 航空協定上破棄した場合には一年間は現協定が有効であるということでございます。一年後になりますと全部何らの約束もなくなりますので、従来の例から言いますと、イタリア、アメリカの例等考えますと、無協定ながら飛行機をどうやって飛ばすかということを行政府で、お互いの権限の範囲内で許可し合うというような状態が続きます。その場合にはかなり制限された形の運航が行われるのではないだろうかと思います。
  80. 上原康助

    ○上原委員 それは、できればそこまで行かぬで解決した方が望ましいことは申し上げるまでもありませんが、しかし場合によってはそのぐらいのことをやらないと、いつもアメリカの言いなりになってはいかぬと思うのです。それとあわせて、この問題はあくまで日米間の航空運送の問題に限定すべきであって、少なくとも漁業権の問題とかあるいは対外収支の問題、沖繩返還のときに縄を買って綿を売ったというような繊維の問題があったわけですが、そういうことを米側は絡ませてこないとも限らないわけです。少なくともそういうことはないとは思うのですが、いずれにしても毅然たる態度でこの問題には当たるということでいいですね。これも局長外務大臣にお答えいただきたいと思います。
  81. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 もちろん、われわれといたしましては航空問題は航空問題としてアメリカとの間で話し合ってまいりたいと思います。ただ、日米関係は御承知のとおりに非常に緊密な友好関係に立っておりますから、その友好関係を維持増進するという観点からこの問題は話し合ってまいりたいと思いますし、またそれによって必ずや合理的な解決が得られるものとわれわれは確信しております。
  82. 上原康助

    ○上原委員 次の問題に移りたいと思います。  次は、これはすでに大出先生の方からもお尋ねがあったと思いますので、簡単に要点だけお尋ねをさしていただきますが、駐留軍労務者の賃金改定問題なんです。何回か本委員会でも取り上げてまいりましたし、またこれまでいろいろ防衛施設庁に御要望もしてまいりましたが、一昨年、昨年と賃金改定交渉が非常に長引いて、年を越し、去年のごときは三月に入ってようやく決着がついたといういきさつがあるわけです。  そこで、せんだっての第十六回の日米安保協議委員会で、いろいろ防衛問題あるいは基地問題が話し合われて、了解事項というのかいわゆるメモランダムの第七項で「委員会は、在日米軍に係る最近の労務問題について討議した。双方は、当面の労務問題、なかんずく、給与、その他の労働条件に関する諸問題の解決のために、相互理解の精神に立って引き続き協力を進める必要があることに意見の一致をみた。」と、まあわかるようでわからぬような外交文句なんですが、少なくとも労働問題も重要なので日米政府間の話し合いがなされた、双方とも給与や労働条件のことについてよく話し合いながら解決をしていこうじゃないかという趣旨だと私は受け取るわけです。安保協でこれが入らなければいかなかった理由あるいは背景をぜひ明らかにしていただきたいし、同時に、これの意味するものは外務当局なり防衛施設庁はどう受けとめているのか、お聞かせをいただきたいと思うのです。
  83. 古賀速雄

    ○古賀政府委員 お答え申し上げます。  ただいま上原先生御指摘のとおりでございまして、駐留軍従業員の給与改定問題につきましては、この一両年はその改定の時期が国家公務員の改定時期に比しまして大変大幅におくれた経緯等がございます。そのような経緯等から、先ほど先生おっしゃいましたように、先般の日米安全保障協議委員会がこの七月に開かれまして、その中で一つ議題といたしまして、給与改定の円滑化を図る問題を含めまして、その他雇用条件等について基本的な問題解決を期そうということで、日米両当局が合意を見たわけでございます。さらにその中身を申し上げますと、合同委員会で同様なことが合意を見たわけでございますが、まず在日米軍と施設庁との間でこれらの基本問題の問題点を洗い出立て、そして本年の十一月中に合同委員会に両者の意見を提出するということでございます。そこで、合同委員会ではこれらの問題について必要とあればその解決策を合同委員会の日米両政府間で練る、これの一応のターゲットが来年当月ということでございます。  そういったことでございまして、やはりその中には給与問題以外にも、雇用計画であるとか労働法規の問題であるとかございますが、特に給与問題については、今後その改定が円滑に行われるようにする、そのためにはどうしたらいいかというふうなことを基本問題として掲げまして、現在は問題点の洗い出しに鋭意努力をしているところでございます。
  84. 上原康助

    ○上原委員 大体、内容については私もその程度、と言ったら失礼かと思うのですが、そういう内容の範囲の域は出ないだろうと思ってはいるわけですが、少なくともこれが一項として挿入されたということは、基地労働問題というものが従来の日米間というよりも、いわゆるAB間、雇用主である施設庁、使用側である米側というAB間の関係だけでは解決し得ないいろいろな問題があるということが実態的に出てきたということからじゃなかろうかと私たちは理解するわけですね。  そこで、外務当局にもお聞かせをいただきたいのですが、少なくとも日米安保協議委員会で一定の方向づけをされた、これの拘束力というのもいつか私は問題にしたことはあるのですが、このメモランダムの拘束力の問題もありますが、しかし、少なくとも日米間でこういう話し合いが持たれて、一定の方向づけの了解を得たことは間違いないわけですね、これが文章化されたわけですから。そうであるならば、さっき申し上げたようにAB間の話し合いだけでは解決し得ない問題があるからこそ、ここに取り上げられたと私は理解する。そうであるならば、一つの外交課題として日米政府間で話し合っていかなければいかない側面もあると思うんですね。それに対応していこうとする外務省当局のお考えなり、現段階においてどのような形でこの駐労の問題を解決していくために米側とお話し合いを持っておられるのか、今後また、直接の事務面いろいろな作業面は施設庁が進めるとしても、外務当局としてはどういう方向で基地労働問題解決のためにやろうとしておられるのか、ここいらもこの際明確にしておいていただきたいと思うのです。
  85. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 この基地従業員の方々の給与その他労働条件の問題は、この従業員の方々の生活に直接かかわる問題でございますし、またわれわれ安保条約の円滑な運用を期しておる者といたしましても非常に重要な問題でございますので、外務省としては、これは一つの重要な外交課題であるというふうに受けとめております。したがいまして、現在防衛施設庁と米軍との間で行われております共同検討についても随時御報告をいただきまして、その一応の結論が出る来月には、その結論を踏まえてさらに米側とわれわれとしては話し合ってまいるつもりでございます。  いずれにしましても、給与問題その他の労働条件の問題は、われわれとしてはこの機会に全面的に検討をして、安定した勤務環境をつくるように大いに努力してまいりたい考えでございます。
  86. 上原康助

    ○上原委員 私は、ここで解雇問題などが取り上げられていないのは若干不満ですが、それはまたその問題として別の角度でお尋ねするとして、いまある程度の方向性というものはお二人の御答弁によって明らかにされておるわけですが、そうしますと、いま全面的に再検討をして基地労働の安定的雇用環境をつくっていきたいということで非常に抽象的な面もあるのですが、そういう前提に立つならば、給与の改定ということは、きょうも先ほど理事会でいろいろ給与関係法案の提出をめぐって議論がなされたわけですが、遅くとも来週いっぱいには公務員関係給与法案というものが本委員会に提出をされるであろうと私たちは期待をしているわけです。そうしますと大体月末までには一定のめどが立つかもしらない。国会のことですからいろいろわかりませんが……。  そこで、これまでもしばしば指摘をしてまいりましたように、同時同率というような原則を踏まえるならば、どんなにおくれても年内には駐留軍関係労務者の給与改定についても結論を出さねばいかぬと思うのです。そのために外務省先ほどお答えがあった方向で、また施設庁もそのことを大前提として、日米安保協において取り交わされた合意事項を踏まえてやっているというふうに理解をしていいのか、この点はきわめて重要なことでありますのでお答えをいただきたいし、できれば外務大臣の方から、単なる労働問題ということではなくして外交問題の重要な一課題だと局長の御答弁がありましたし、そういう方向づけでやるということもあわせてお答えをしておいていただきたいと思うのです。
  87. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 この問題は、駐留軍労務者各位の生活問題であるのみならず、日米安保条約上の基地の機能を全うする上からいたしましても非常に重要であると私どもは考えておりまして、そういう角度でこの問題に対処したい、こう思っております。
  88. 上原康助

    ○上原委員 具体的には、先ほど申し上げましたように年内の給与改定をめどづけるということを含めておやりになるということですね。
  89. 古賀速雄

    ○古賀政府委員 駐留軍従業員の本年度の給与改定につきましては、私どもの方から去る九月二十九日に米側に提案をしたところでございます。私どもといたしましては、この件については、先ほど来お話しになっております日米間の共同検討の議題になっておるということを当然踏まえておりますし、また、強いて言えば、これらの中身と給与改定がリンクされるようなことのないように、共同検討は共同検討、それから給与改定は公務員の同時同率の原則を踏まえましてできるだけ早期にこれが実現するように、私どもとしてはそういう決意で現在努力をしておるつもりでございます。
  90. 上原康助

    ○上原委員 できるだけ早期にということが私の申し上げていることとは若干距離があるのですが、できるだけ公務員の給与関係の処理がされた段階においてはおくれをとらない、その姿勢で諸問題解決に当たりたいというふうに理解をしてよろしいですね。
  91. 古賀速雄

    ○古賀政府委員 そのように御理解いただいて結構だと思います。
  92. 上原康助

    ○上原委員 あと二、三点ありますので少し急ぎますが、もう一つは、駐留軍関係離職者等臨時措置法の継続適用問題ですが、現在の臨措法の適用はいつまでですか。
  93. 古賀速雄

    ○古賀政府委員 五十三年だと思いますが……。
  94. 上原康助

    ○上原委員 たしか五十三年の四月じゃないかと思うのですね。そこで、これはまだ先の話ではあるのですが、いろいろ最近失業問題が起きて、首切り合理化されているのは駐労関係だけじゃないんだ、民間の中小零細業にもたくさんあるし、また、もちろんそういう方々に対しても、よりきめ細かい雇用対策なり援護措置というものを推進しなければいかぬと私は思うのですが、ただ、基地労働者が一方的に解雇をされ、しかも中高年齢層が多くてなかなか職業転換も図れない、だからこそこの駐留軍関係離職者等臨時措置法が、たしか三十三年でしたか、制定されたと思うのですね。今日まで延長、延長できているわけですが、少なくとも五十三年段階においても、施設庁としてはその後も継続適用していかねばならないという御判断に立っていると私は思うのですが、そのように理解をしてよろしいかどうか。
  95. 古賀速雄

    ○古賀政府委員 若干先のことになりますので、私どもとしては現在はっきりした方針を決めておるわけではございませんけれども、先生のおっしゃるような事態が当分引き続くということでありますれば、この臨時措置法は労働省の所管でございまして、わが方ももちろんかかわり合いはあるわけでございますけれども、そのように私どもとしては労働省に延長を申し入れるということはやぶさかではございません。
  96. 上原康助

    ○上原委員 この件はまた後日労働省なり、社労でも雇用問題と関連さして取り上げたいのですが、いまのお考えで対処していただきたいと思います。  そこであと一点。これは沖繩返還と関係あるわけですが、私はかねがね、VOAに勤務する従業員の方々の待遇問題についても沖特なり本委員会でもお尋ねをしてまいりましたが、いよいよ来年の五月十四日の時点で現在の施設が移転をされるんじゃなかろうかと思うのです。あと幾らも期限はないわけです。そこで、端的に申し上げて、今年の四月付でもこの「VOAの中継局で働く日本人従業員の会」という代表の方々から要請を受けた要請書の内容を、外務省アメリカ局長にも沖繩開発庁にも労働省にも防衛庁にも、私が直接手渡して要請もしたわけですが、今日まで問題解決がはっきり方向づけられていないわけです。それじゃいかないと思うのですよ。沖繩返還当時にあれだけ問題になった施設なんですね。そこで、どういうふうにこの問題を解決しようとするのか、該当者からの諸要求に対して何らかの形でおこたえをしたいという御意思があると思うのです、あってよいと思うのです。そのことについて、余りゆとりもありませんので、この際もう一度、単なる沖繩振興開発特別措置法に基づく援護措置というだけで事を済ますというお考えなのか、私はそうはいかないと思うのです、正直に申し上げて。現在のこれだけの不況、失業という段階で、しかも中高年齢層が多い。改めて御見解を賜っておきたいと思うのです。
  97. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 沖繩にありますVOAは来年の五月十五日までにその運営を停止することになっているわけでありますが、それに伴いまして、そこに勤務しておられる日本人職員の処遇の問題があるわけでございます。この点に関しましては、ただいま上原委員からもお話がありましたように、本年の四月に、VOAで働く日本人の会から具体的な御要望をいただいております。この御要望の中に書かれております事柄は、われわれ外務省の方で全部受けとめるわけにはいかないような問題も大分あるわけでございますけれども、われわれとしましては、この皆様の生活問題については非常に重大な関心を持っておりまして、関係各省にもお話をいたしまして、内閣を中心にいろいろと話し合っておるわけでございます。とりあえずわれわれといたしましても、この働いておられる方々の雇用保険の問題を取り上げております。これは、この方々に対して雇用保険を適用することについて在京米大使館といろいろ話し合ってまいったわけでございますが、アメリカ側では最近、この方々にわが国の雇用保険の適用をして事業主としての諸手続を行う意向であるということを言ってきております。この手続が済みますれば、VOAの運営停止によって日本人職員が離職した場合には、雇用保険法に定める失業給付を受けることができることになるものと思います。  その他の、他省にまたがる問題に関しましては、関係省庁の間で引き続きいま検討が行われている次第でございます。
  98. 上原康助

    ○上原委員 これも時間が余りありませんから細かく触れるわけにはいきませんが、雇用保険の適用さえまだ定かでないわけですよね。今年四月の段階、あるいはその後、たしか五月でしたか、私も委員会で二回ぐらい取り上げて、雇用保険に加入できるように大使館を通して交渉なさるということですが、あれから半年過ぎても、現段階まで雇用保険を適用するのかしないのか明らかでない。全く踏んだりけったりという表現がむしろぴったりじゃないかと思うのですね。これではいかないのです、実際。しかもVOAの中継局があるのは奥間という国頭村の奥地でしょう。そういう地域で――嘉手納、恩納にもありますし、全部がそうではありませんが、根拠地は奥間というへんぴなところなんで、そこで首を切られたら、現段階で再就職というのはきわめてむずかしいのですよ。しかも、この方々の大方は復帰前は第一種雇用員としての身分があった人々なんです、正直申し上げて。従来、現在のMLCの給与が改定されると、自動的にこの方々の給与も改定されたのが復帰前の給与のあり方だったのです。その後、いろいろな変化が出て、国務省ですかあるいは情報庁ですかの管轄下ということで切り離されてしまった。そういう人々に対しては、少なくとも日米間の取り決めによって廃止をされなければいけないし、また復帰という大きな変化によって雇用というものが失われていくということですから、これに対しては、ただ単にやむを得ないということだけでやるというのは余りにも酷じゃないかと私は思うのです。  そこで、これは大臣にもお聞きになっていただきたいと思うのですが、一従業員の方からのこういう請願書もあるわけですよ、  私は現在六十歳で、VOAのガードとして勤務してから今年で二十五年になります。  その間約十一年間は米軍憲兵隊直属の琉球特別警備隊に所属し、VOAの警備に当ってまいりました。従ってその間は米軍の第一種雇用員としての待遇を受ける事ができました。其の後VOAの都合で第一種の身分からはずされVOAとの直接契約になりました。  契約は一年契約で、その都度更新して事実上は継続勤務をしてまいりましたが、給与等の待遇は米軍の第一種雇用員であるガードより悪く、退職金はもとより退職後の恩典は何一つ受けられぬ現状であります。この状態で若しVOAが予定通り閉鎖される事になれば、私共は其の翌日から生活の糧もなく路頭に迷はねばなりません。VOAが閉鎖された場合、再就職ができる様その間何んらかの生活保障を是非共考えていただきたく、ここに謹んで請願致します。 これは県なり各方面に出されていることなんですね。そういう方々が大分いるわけですよ。したがって、こういうことに対しては余りしゃくし定規で物事をはからずに、何らかの措置をやる方途があると私は思うのですね。そこで、関連して申し上げますと、たとえば沖繩返還のときに通関業務に携っておった人々、通関業務がなくなったものだから、企業が廃止になった、それに対しては一定の処遇を政府は復帰時点ではやったのです。同時に、専売公社に沖繩のたばこ会社が全部包括されて一社しか残らなかった。それにも専売公社は退職金に上積みをして復帰のときに手厚く処遇をした。同時に、MLC、第二種については、先ほど言った駐留軍関係離職者等臨時措置法に基づく雇用主は法律上はもちろん政府であるわけですが、性格、身分は違うけれども、そういう方々に対しても一定限度の日本政府としての処遇の仕方をやってきているわけですね。だからこの点はきょうはこれだけ申し上げるとある程度御理解いただけると思いますので、来年の四月いっぱい、五月十四日までに何らかの形でこの方々の切実な要求にこたえていただきたい。私たちもまたいろいろ御相談もしてみたいと思うのです。その点そういう方向で御検討なさるか、外務省当局の熱意といいますか、いままでいつも安保条約のことでは意見が対立しているのですが、ここまでやらなければこれまた何をか言わんやなので、ぜひ御答弁をいただきたいと思うのです。
  99. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 このVOAに勤務しておられます日本人職員は米国のUSISに属しておりますために、駐留軍とは一応関係がないわけでございます。沖繩返還前におきましては、仰せのとおり駐留軍労務者と同じ待遇であったわけでございますが、沖繩返還後はUSISといいますか米国の公報庁の指揮下にありますために、駐留軍労務者とは別個の待遇になっております。しかし、これはまたある意味では、日本にあります米国大使館の現地職員と同じような待遇になっておるのでございまして、現在においてはその待遇は、その点においては十分確保されておるものと思います。  ただ、この方々が離職されます場合には、駐留軍労務者に適用されるような諸法律がそのまま適用できないというところに上原先生のおっしゃる問題があろうかと存じます。他方、アメリカに聞いてみますと、この離職者の方々の大部分は一定の退職金のほかに年金の支給を受ける資格があるように聞いております。ただ、離職されて直ちに年金を受ける資格が生ずる方は必ずしも多くはないようでありますが、ある年齢に達すれば、年金を受け取る資格はあるやに聞いております。しかしながら、それ以外に日本政府がいろいろと駐留軍離職者についてやっておる措置がそのまま適用できないために生ずる問題があるわけでございまして、この点については、われわれとしては関係省庁にもできるだけ駐留軍離職者と同じような待遇が与えられるようにしてほしいということをかねがね要望してまいっておる次第でございます。
  100. 上原康助

    ○上原委員 ほしいんじゃない、そう実現するようにあなたが中心になって努力しなければいかないのですよ。そういうことでひとつぜひ御検討いただきたいと思います。  そこで、琉球海運の倒産問題を取り上げる前に、せっかく大臣御出席ですので、沖繩の軍用地の問題をめぐって県民の、政府のやり方に対する不満なりいろいろな問題が起きていることは恐らく事務当局から聞いていらっしゃると思うのですね。県道一〇四号線をはさむ実弾射撃訓練に対して刑特法を無謀にも適用するとか、あるいは軍用地をさらに継続使用していくための沖繩県内における駐留軍用地等の確保に関する特別措置法というようなものなど提案される動きにあるわけですが、私は、やはりこれらの問題が依然として解決をされない、基地の態様そのもの、基地の重圧感というものが薄れてこない大きな原因は、日米安保体制、安保条約にあると思うのですが、そのことはきょう一応さておきましょう。  しかし、新しい外務大臣として御就任なされて――事沖繩問題に対しては、私は従来の外務省のおやりになった点については非常に不満を持っております、いろいろな面で。駐留軍問題だって、いまのVOA問題でもしかり、基地の取り扱い。そこで、私は、これらの諸問題について基地の整理縮小云々は言ってきたけれども、少なくとも新しい土地確保法案とか余りにも本土にない法律というものを沖繩だけにごり押しをするという姿勢があってはいかぬと思うのですね。きょうは防衛庁長官も施設庁長官もいらっしゃいませんから、そういう意味で、特に今後の日米間における沖繩問題について外務大臣としてはどう対処していかれようとしておられるのか、その所信だけはぜひお聞かせをしておいていただきたいと思うのです。
  101. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 沖繩の問題につきまして、私大分前のことになりますが、昭和三十七年に沖繩へ初めて外務大臣をやめた直後に参りました。当時キャラウェーという人が司令官でございました。私はキャラウェーと大激論をいたしました。非常に私も興奮して話しました。先方もかなり激しくやり合って、当時の琉球新報あるいは沖繩タイムス等には出て、あるいは上原先生お読みになったかと思うのでございます。それ以来、私は、沖繩の方々の立場に立って、自民党の政治家として考えてきたつもりでございます。  ただ、沖繩の持っておる特殊な地位あるいは過去の不幸な歴史もその中に含めてでございますけれども、これはいまの日本の立場といいますか、極東の安全というものに対して非常に大きな影響がございますので、その立場から沖繩の基地の態様に関しましてはわれわれとしてできるだけのことをいたしますけれども、あの基地は要らないんだ、あるいはあの基地を無価値なものにする方がいいんだということは、どうも私は残念ながら申すことはできないと思うのでございます。その意味で、この基地の確保法案にいたしましても、これは私の担当ではございませんけれども、先般閣議で防衛庁から提案されまして、この国会に出るという話を聞きましたけれども、これはやはりあの基地を確保するということは私ども立場から見てはどうしても必要である、さように思っておりますわけでございます。
  102. 上原康助

    ○上原委員 必要というだけではいかないわけですよ。それあるがゆえに多くの犠牲を強いられているわけですから、それもあわせて解決するということでなければいかないと思いますし、いまの三木内閣であろうが、自民党内閣の姿勢からすると、その程度のお答えしかいただけないかと思うのですが、少なくとも本土にない法律を沖繩だけに強いるということ、あるいはまた御承知のように、日本全国の五三%の基地が厳然として沖繩に居座っている、専用基地だけからすると七三から七五%だと思うのです。それだけの地域というのはないわけでしょう。仮に鹿児島県だけに適用する法律がありますか、国会で審議しなければいかないのが。東京都だけに適用しなければいかない法律というのはないわけでしょう。そういうことは、私は、国務大臣として、特に日米間を担当なさる外務大臣としては、よしんば自民党の範囲であろうが、かつてキャラウェー高等弁務官と激論を闘わされたという経歴の持ち主である小坂外務大臣としては、もう少しこういう問題に対しては県民が理解していけるような姿勢なり方針というものがあっていいと思うのです。改めてこの種の問題に対する見解を聞いておきたいと思うのです。
  103. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 沖繩が過去において受けた非常な災厄、また長きにわたる異民族の支配、そして今日基地をたくさん抱えている現状、そういうものについては私ども十分理解をしていなければならぬと思うのです。その中にある沖繩の県民諸君の気持ちというものに対しては、できる限りの理解を持って、またそれに対して報いるところがなければならない、そういう基本姿勢で考えてまいりたいと思います。
  104. 上原康助

    ○上原委員 きょうは具体的な問題は出しませんでしたので、この程度にとめておきます。また後日いろいろな具体的な問題等を含めてお尋ねをする機会もあると思いますが、少なくとも私たちは、何もすべて反対をするとかあるいは筋の通らないことを申し上げているとは考えていないわけですね。そういう意味で、言葉だけでなくして、具体的な行動なり政策の中で、いまの大臣のお気持ちというものをぜひ生かしていただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。  そこで、時間もあとわずかしかありませんので、これは海運局と沖繩開発庁、来ていると思うのですが、一方においては基地問題が県民生活への非常に大きな圧迫になっておるわけでありますが、復帰後の振興開発なりあるいは経済環境もなかなか思うように運んでいないという現状なんですね。そこで、沖繩の海運業務を預っておった一つの大きな海運会社が倒産をしたという衝撃的なことが現に起きているわけですね。琉球海運でありますが、去る十二日、といいますからおとといですか、那覇地裁に会社更正法に基づく更正手続の開始を申し立てている。何と負債額が、同会社の役員の方々が御発表しているところによりますと、負債総額は百四十六億七千万円も出している。いまのような不況の状況下で、これだけインフレが深刻化している中で、沖繩という非常に経済基盤の脆弱な経済環境の中でこれだけの多額の負債を出して会社が倒産をしたということは、一海運会社の問題じゃなくして、沖繩経済あるいは沖繩振興開発全体に及ぼす影響はきわめて大だと見なければならないと思うのですね。もちろん一企業のしりぬぐいまで政府がやるべきかという、そんな極論はないと思うのですが、少なくともこの問題は社会的にいろいろな面を示唆していると私は見ているわけですよ。これに対して開発庁なり運輸省はどのようにお考えになっているのか、また政府としてどういう手だてをやらなければいけないとお考えなのか、この際、県民も非常な関心があると思いますので、お答えをいただきたいと思います。
  105. 後藤茂也

    ○後藤(茂)政府委員 お答えいたします。  琉球海運が御指摘のように十二日に会社更生法による申し立てをしたということを承知いたしまして、海運業を担当する役所といたしましてまことに残念に存じております。琉球海運の経営に伴うむずかしい問題につきましては、かねてから出先なりあるいは会社の幹部からわれわれも話を聞いておりまして、また時折いろいろと時に応じてその相談に乗っていたわけでございますし、この四月にあの会社の役員がいわば新体制ということで、沖繩の財界を挙げてこの会社の再建に乗り出されるというふうに私どもも了解し、かつその新しい役員の方ともお会いして、これから先のいわば立て直しということについていろいろとお話を伺ったり助言を申し上げたりしておったやさきでございます。会社更生法による申し立てをするということにつきましては、直前に私どもも承知した次第でございまして、そのことに伴う細かい問題については、ただいまの段階では私どもまだ承知いたしておりませんし、詳しく意見を申し上げる段階ではないと思います。裁判所の手に問題が移り、裁判長としての判断がこれから先のこの会社の持っていき方にいろいろとかかわりが出てくるわけでございましょうし、私どもといたしましても、裁判所から求められれば、この会社の更生の方向につきまして意見を申し上げる用意はいたしております。私どもといたしましては、昨年の夏以来、沖繩と申さず、一般に海運会社の倒産というのがときどき新聞種になりまして、そのたびごとに私どもも頭を悩ましているわけでございますけれども、今回の琉球海運のこういった事態というものについては、単なる海運不況だとか国内景気の低迷による貨物、旅客の少なくなったことだとか、そういうことだけで問題を処理しようとは思っておりません。昭和二十六年でございますか、この会社は占領時代から広く沖繩の方の資本を集めて、いまで言う沖繩県のいわばフラッグカンパニーとして長い間の歴史を持ち、かつ本土と沖繩との間の貨物及び旅客の約三割以上をいままで運んできた会社でございます。ですから細かい問題については、今後、更生開始決定というものが裁判所から出されるかどうか、そこいらの方策というものを関係者がお立てになるについて、とりあえず私どもとしてもいろいろと助言を申し上げなければならぬと思っております。また、更生開始が決定の手続に入れば、管財人の方といろいろと御相談をしながらこの会社が何とか立ち直るような方向につきまして方法を模索していかなければならぬと思っております。とりあえずのところ、多くのお客さんを今日ただいまも多くの船がこの琉球海運の旗のもとに運んでおるわけでございますから、まず第一に船の安全運航には問題がないように、また県民のいわば足でございますから、できればこの実際の業務というものがこのような手続によって片時も停滞することがないように、私どもとしては考えていきたいと思っております。
  106. 上原康助

    ○上原委員 開発庁はどういうお考えでこの問題に対処していかれようとされますか。
  107. 亀谷禮次

    ○亀谷政府委員 ただいま運輸省の方から御答弁がありましたように、私どもも十二日付で那覇地裁に更生法適用の申請がなされたことを聞きまして、沖繩における有力な企業でもございますので、事態は非常に深刻に受けとめておるわけでございます。運輸省御答弁のとおりでございまして、今後この申請に基づきまして那覇地裁におきまして再建の可能性についての検討が始まるわけでございますので、現段階におきまして、私どもとしましても、運輸省から御答弁のとおり、具体的にこれについて政府の一部局としての対応を申し上げる段階ではないと思いますが、今後、更生手続開始が決定されまして、会社の再建計画が示されました場合には、御案内のように私ども監督をしております沖繩振興開発金融公庫におきましても、いわば大口の債権者の一人でもございますので、今後運輸省初め関係機関と緊密な連絡をとりまして、できる限り具体的な再建策には協力をしてまいりたい、こういうふうに考えておるところであります。
  108. 上原康助

    ○上原委員 もう時間がありませんから結びますが、これはいずれ開発庁長官がおいでのときに、あるいはまた運輸大臣でも来ていただいて、いろいろとお尋ねしなければいかないことになると思いますが、倒産の理由をいろいろ挙げておりますが、ここだけは指摘しておきたいと思うのです。この理由として会社側が言っておられることには、海洋博に協力する目的で大型船を建造したが、観光客が予想を大幅に下回り、会社の財務を著しく圧迫した。特に海洋博時に向けて四十二億円を投入した「だいやもんど沖繩号」建造のいきさつについて問題があった。ということは、政府や海洋博協会が、那覇から本部までの海洋博会場に行くには陸上では三時間かかる、海路だと一時間で行けるので船舶が必要だということで呼びかけがあり、それを受けて琉海としては海洋博に協力するために「だいやもんど沖繩号」を四十二億という多額の投資をして建造したんだ、これも大きな理由になっているわけですね。そうしますと、前々から経営不振ということは指摘はされておりましたが、先ほど海運局長おっしゃるように、少なくとも沖繩の振興開発なり海洋博ということを必要以上に過大に宣伝をしたゆえに、もちろん先見性がなかったとか企業の計画がまずかったと言えばそれまでかもしれませんが、今日のこの事態政府の政策と無関係ではないわけですね。これはある面では氷山の一角であり、沖繩経済を余りにも圧迫したという背景があるということを私はこの際指摘をしておきたいと思うのです。それだけにぜひこの問題については、先ほど御両人とも前向きの御答弁もありましたが、特に海運局としては、この会社更生法が受理されたという段階で具体的な問題が出た場合は積極的に対処していただきたい。同時に、きょうは国務大臣としては外務大臣しかいらっしゃいませんので、これだけ重要な問題が起きているということを開発庁長官なりあるいは運輸大臣なり通産大臣なりから閣議で提案をされた場合は、沖繩の経済開発、経済振興という面でも外務大臣にも一はだ脱いでいただきたい。このことに対してお答えをいただいておきたいと思うのです。
  109. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 よく承っておきます。
  110. 上原康助

    ○上原委員 海運局長は。
  111. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員長代理 海運局長、簡単に願います。
  112. 後藤茂也

    ○後藤(茂)政府委員 御趣旨の線に沿いましていろいろと努力してみたいと思っております。
  113. 上原康助

    ○上原委員 これで終わります。
  114. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員長代理 中路雅弘君。
  115. 中路雅弘

    ○中路委員 きょうは六時に法案を採決するという理事会のお約束もありますから、短い時間ですので法案につきまして若干御質問して、後、これは外務省関係の問題じゃなくて外務大臣個人に関する問題ですが、最近新聞あるいは雑誌等にも幾つも掲載されている問題でありますので、若干の時間御質問をさせていただきたいと思います。  法案について二、三最初お聞きしたいのですが、今度の在ベトナム日本大使館ですね、新しく設置されます大使館の陣容、それからこれからの計画といいますかお考えですね。それからいままでの旧サイゴンにありましたベトナム共和国の大使館の今後の扱い、こういった点について最初に簡潔にお聞きしておきたいと思います。
  116. 松永信雄

    ○松永政府委員 ハノイにございます在ベトナム大使館は現在定員は九名でございます。しかしながら、現地におきます住宅その他受け入れの体制に非常に大きな制約がありますがために、実際に在勤しております館員の規模はそれより下回っておりまして、大使を合わせますと六名というのが現在の陣容でございます。今後この陣容につきましては、受け入れ体制の整備の状況及びベトナムとの関係の増進の度合いに応じまして逐次増強を検討してまいりたいと考えております。それからサイゴン、現在ホーチミン市でございますが、そこにございます旧大使館の取り扱いは、現在すでに大使館は廃止されておりますから、建物しかないわけでございますが、現在はそこに残っております現地職員にその維持管理をゆだねております。将来の問題といたしましては、同市の重要性にかんがみ総領事館を開設していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  117. 中路雅弘

    ○中路委員 きょうの新聞ですか、あるいは昨日のテレビでも報道されておりましたが、ベトナム社会主義共和国との間で、これは民間ベースだと思いますけれども、先日訪問しました日越貿易代表団とベトナムの商工会議所との間で民間ベースでの貿易、経済協力についての覚書等が発表されております。この団長さんの新聞に出ました談話を見ましても、ベトナムが完全解放されてから一年半近くなりますが、この戦後の復興あるいは新しい社会主義経済の建設が着実に発展してきているということも会談でお話しになっていますし、やはり日本が事実上アメリカのベトナム侵略の協力者の役割りをいままで担ってきたという反省の上に立っても、今後ベトナムとの友好的な外交関係を一層強めていく必要があると思いますし、特にこの復興について、経済発展については積極的な協力が必要ではないかと私は考えているわけです。  ベトナム労働党がことしの十二月中旬に第四回大会を開催するということで、ここで新しい五カ年計画を立てるということが報道されていますが、戦火がありましたから、一九六〇年以来この大会も十六年ぶりの大会ということで、新しいベトナムのこれから発展の出発でもありますし、ベトナムの意向も十分尊重しながら平等の経済友好関係を発展させていく必要があると私は思うのです。大使館の設置と関連して大臣からも、今後の日本とベトナムとの友好関係の問題について一言御所見を伺っておきたいと思うのです。
  118. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 ベトナムが戦火の中から今度は復興に立ち上がりましたわけでございますが、私どもこれとの友好関係を進めたいと考えておりまして、すでに百三十五億円の無償援助を出しておることは御承知のことだと存じますが、さような方向で協力してまいりたい、こう思います。
  119. 中路雅弘

    ○中路委員 もう一点、この出された法案と関連があるのですが、在外公館に勤務の職員の皆さんの待遇改善の問題です。  本省関係にお勤めの職員の皆さんあるいは国家公務員の皆さんについては、私たちも職員団体その他からもお話をお聞かせ願う機会もたびたびあるのですが、海外の在外公館の職員ということになりますと、直接そういう事情についても私たち現状をよく知らないということもあるのです。外地で家族を含めていろいろ苦労されている方も多いと思うのですが、こういう皆さんの日常的ないろいろ要望だとか特に待遇についての問題、そういうようなのを外務省として日常どういうふうに反映させるといいますか、聞いて、改善の処置を検討していく、そういうシステムがどうなっているのか、また、いまその点はどういうふうにいろいろ配慮をされているのか、この機会にこれも一言お聞きしておきたいと思うのです。
  120. 松永信雄

    ○松永政府委員 在外公館に勤務いたします職員の給与、待遇等につきましては、在外職員がその体面を維持し、かつ職務等責任に応じて十分に能率を発揮し得るようにするために適切な勤務条件を整えるという観点から、不断に検討しているわけでございます。  具体的に申し上げますと、在勤諸手当の体系の合理化並びに適正な額の設定については、私ども官房におきまして不断に検討の作業をいたしております。これに加えまして、現在御審議をいただいております法案の名称位置法第七条に基づきまして、全在外公館から定期的に、各所在地の物価指数、為替相場の変動状況その他、在勤手当の額の検討のために必要な事項に関する調査報告書を提出せしめております。また、在勤諸手当の改善に関して随時意見具申を求めておりまして、これを本省で検討するというたてまえをとっております。また、外務公務員法及び外務省設置法に基づき設置されております外務人事審議会が毎月一回定期的に開催されておりますが、同審議会もいま申し上げました諸点につきまして報告を徴し、必要に応じて外務大臣に勧告を行っております。  こういうような体制のもとに、在外職員の給与、待遇等の改善につきましては私ども常時努力いたしておりますけれども、さらに最近は、御案内のように不健康地における在外公館の数が非常に増加してきております。こういう不健康地におきます勤務環境をできるだけ改善するために、現在、健康管理のために必要な旅費を支給するとか、あるいは先進地域に行って医療の手当てを受けるための移送費を支給するとかというような制度を運用、実施いたしておるわけでございますけれども、これらの諸施策を今後ともできる限り整備、改善してまいりたいと考えている次第であります。
  121. 中路雅弘

    ○中路委員 いま現状については御報告いただきましたけれども、特に海外で勤務をされている職員の皆さんの問題ですから、この待遇問題についてはそれぞれの家族を含めての意向が十分に反映できるような方法にぜひとも改善を進めていただきたいということを希望として述べておきたいと思うのです。  時間がありますればミグ25の問題等につきましても御質問したいと思ったのですが、これは改めて防衛問題等の論議の際に行うことにしまして、この点だけ二、三聞いておきたい。先日山崎アメリカ局長にはおいで願ってお尋ねした問題ですが、外務大臣がお見えになっていますのでもう一度直接お聞きしておきたいのです。  ミッドウェーを中心にした問題ですが、外務大臣も地元の神奈川県知事その他から大臣あてに要望書も出ていますから御存じだと思いますが、先日私も御質問しましてお答えにもありましたように、空母ミッドウェーなど横須賀を母港にする三隻の艦船が屎尿の処理の施設を全く持っていない、たれ流しているということがいま大きな社会問題になっているわけです。先日この委員会の席上で計算していただきましたら、三年間でミッドウェーの滞在日数が四百九十五日、第七艦隊の旗艦オクラホマシティーが千三百七十七日ですか、それから最近配属されましたカークが二十八日、これを合計しまして停泊日数でどれくらい屎尿のたれ流しがあるかということを計算いたしますと、概算して約百四十万リットルというお話もありました。当日運輸省からも、これは海洋汚染防止法に全く違法する行為だということも明らかになっておりますし、坂田防衛庁長官も、外務大臣によく伝えて早急に改善を申し入れるという御答弁もされています。また山崎さんは、二回ですか、日米合同委員会の席上でアメリカ側にこの改善についての検討を要請しているという御答弁もいただいています。  しかし、地元の市長あるいは商工会議所等が直接アメリカの司令官等にこの問題で要請した際に、八一年には改善をするというような回答もしているのです。そうしますと、これから五年間このような違法状態がそのまま続くということになりますし、この点では先日九月二十八日に神奈川県知事から外務大臣あてに「空母ミッドウエイ等のし尿処理に関する緊急要望」というのが出されておりまして、この中でも、  これらの軍艦が滞港中に大量のし尿を特段の処  理もせず、そのまま、港内に排出している事実  は、良好な環境の保全のため、県民が一丸となっ  て進めている各種の改善策に全く反するもので  あり、誠に遺憾であります。  環境汚染の防止は、世界各国のコンセンサスの  下に人類共通の目標としてその対策が講じられ  ているものであり、外国の軍艦といえども環境  汚染防止のための必要な改善措置を講ずること  なく放置することは許されないことでありま  す。  米海軍の発表によれば、一九八一年までにすべ  ての軍艦について海洋衛生設備が装置されると  のことでありますが、今後五年間も現状のまま  放置されることは環境汚染の観点及び県民感情  からしても容認されざるところでありますの  で、政府の責任において、直ちに必要な措置を  されるよう強く要望いたします。という趣旨の要望書も出されています。私は、単にアメリカ側に改善を要請するというだけではなくて、もう少し具体的に、五年後というのではなくて、この問題は明らかに法にも違反する問題でありますし、直ちに何らかの必要な措置をとる必要がある、そういう点で直接外務大臣に、この問題についてもっと具体的な改善についてのアメリカの方との話を進めていただきたいと思うのです。  先日も私、お話ししましたけれども、放射能の汚染の問題が国会で問題になったときも、半年間にわたって、あの問題が明確になるまでは原子力潜水艦の寄港を一時取りやめるということも外務省はアメリカとの間で話をされた経過もあります。それ以上にやはり環境汚染の問題では重要な問題なので、単に要望というだけではなくて、もう少し具体的な改善のための必要な措置がどうしてもとられなければいけないと考えるのですが、直接外務大臣から一言この問題についてお伺いしたいと思います。
  122. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 すでにアメリカ局長の方から御答弁申し上げたことでもございますが、私も、海上保安庁からの連絡もあり、また横須賀市長からの陳情等もありまして事実関係を承知しております。  そこで、ただいまのお話のように、政府としましては米軍施設区域内にかかわる環境問題については重大な関心を持っておりまして、環境庁としても昭和四十八年五月以降、在日米軍施設区域十九につきまして環境調査を実施いたしましたほか、右に基づきまして必要な改善策の実施を申し入れておりまするが、これとともに、改善実施のために引き続いて米側と話し合いを行っておる、さように承知しておる次第でございます。また、本年七月八日に開催されました第十六回日米安保協議委員会におきまして、米軍の施設区域にかかわる環境保全は日米双方にとって共通の関心を有する重要な事項であるということが確認されまして、今後とも環境保全につきまして最善を尽くす必要性について意見の一致を見ております次第であります。  こうした見地から、日米合同委員会のもとに環境問題についての分科委員会を設置する方向で目下米側と話し合っておるわけでございます。政府としましては、米軍施設区域にかかわる環境問題につきましてこれまでも合同委員会等の場を通して必要に応じて米側に申し入れを行ってまいった次第でありますが、今後とも米軍施設区域にかかわる環境問題の解決については大いに努力したいと考えておる次第でございます。
  123. 中路雅弘

    ○中路委員 いまアメリカとの間で環境問題での分科会のお話があるということでありまして、これは先日来、私何回もこの委員会で、やはり環境問題での日米の間の協議の機関が必要だということを繰り返し言ってきたわけですが、一応そういう方向でいま折衝しておるというお話なので、そういう機構もぜひ一日も早くつくっていただくとともに、いまお話ししましたように、これは先に延ばすわけにいきません。必要な処置を直ちにとられるように、ひとつ再度具体的な話を詰めていただきたい。  もう一点、いまお話しのときもありましたけれども、環境庁が七三年、七四年にかけて全国の米軍基地の、限られた項目ですが、環境調査を行いまして、先日も私は、七月十四日と二十九日の二回の委員会でそれぞれこの問題を取り上げまして、七月十九日には、外務省を通しまして現地の横須賀基地にも調査に行きました。環境庁の方から、横須賀基地について、三つの点について、大気汚染と、いわゆる住宅からの屎尿処理の問題、それとごみ処理場の問題、大きな指摘がありましたけれども、環境庁お見えになっていますか。――環境庁が指摘をされてからもう相当月日がたっているのですが、指摘された点がいまどのように改善されているか、まず一言お聞きしたいと思います。
  124. 西村純幸

    ○西村説明員 いま先生からお話しございましたように、横須賀海軍施設区域の環境問題の改善に関しまして、昨年の暮れに三点申し入れ、その後も米軍とあるいは日本側関係機関と協議を重ねつつ、対策を検討しているところでございます。  その三点と申しますのは、第一は、ばい煙発生施設にかかわる改善事項でございました。それに関しましては、米軍側の計画といたしましては、現在使用いたしておりますボイラーの燃料、これは硫黄の含有量が約二・七%だそうでございますが、これを来年一月からディーゼル油、その硫黄の含有量は最大一・〇%でございますから、これにかえたい。また来年十月以降は、さらに硫黄含有量の〇・二%以下の燃料に転換したい、こういう計画でおります。  それから二点目でございますが、廃棄物の処分をいたしております埋立地の件でございます。この地区への廃棄物投棄はその後取りやめておりまして、すでにそこを整地しておりまして、今後さらにそこを緑化する計画がございます。当方といたしましては、これらの計画の内容をさらに細かく確認するなどいたしました上、所要の折衝をいたしたい、こう考えておるところでございます。  それから、三番目の排水処理の改善に関しましては、関係施設の管理ないし工事の方法ないし内容とか経費の負担等に関しまして、いまいろいろ問題がございまして、日本側でも、米軍の意向を聞いてからいろいろ相談しておりますけれども、さらにそれらの点協議いたしまして、米軍と折衝を重ねてまいりたい、このように考えております。
  125. 中路雅弘

    ○中路委員 いまお話しのように、特に問題の排水の問題ですね。御報告のように、具体的な改善はまだ見ていないわけですね。米軍の住宅地区から出ている排水、屎尿処理――浄化装置自身がもう旧海軍の時代のもので、私も見てまいりましたけれども、水質汚濁防止法の基準を五倍から百倍以上上回って排出されているということが明るみに出ておりますし、いわば陸の基地から全く法にも反する、はるかに上回る基準の汚水、大腸菌等も検出される、海の方からは停泊しているミッドウエーを中心にした艦船から大変な量の屎尿がたれ流されておるという状態ですから、これでは無法状態に等しいと私は思うわけです。幾ら厳しい公害防止法を国内でつくりましても、このような無法状態が続けば、県民の健康あるいは県民感情からいきましても、大変大きな問題でもありますし、これは政府の責任で必要な改善策がアメリカと検討されなければいけない。この環境庁の調査の結果にしましても、もうすでに十カ月近くになっているわけですから、先ほどお話しの日米の間で今後環境問題での協議の機関をつくる方向で努力したいというお話ですから、この問題とあわせて私は――環境問題というのは、いま事故が起きるたびに問題になるわけですね。パイプラインが破れたとか油が漏れたとか、それでいま関係の市町村長が外務省や防衛施設庁に要望するという状態でありまして、こういう問題を日本政府の責任でアメリカと協議をしていく十分な場がないというのが一つ問題点であったと思うのですが、先ほど大臣からミッドウェーに関して御答弁もありましたけれども、この問題まとめて、特に公害環境問題について今後やはり外務省として関係の施設庁、環境庁その他とも協議をされて、アメリカ政府との間で、やはり全国的にこういう問題については政府の責任でひとつアメリカとの協議がやれるということ、必要な改善措置ができるだけ早くとっていける、安保条約、地位協定によっても国内法を尊重するということは義務づけられているわけですから、この問題について大臣からもう一度お約束をいただいて、一応この質問はけじめをつけたいと思うのですが、いかがですか。アメリカ局長からでも、どちらからでも結構です。
  126. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 日米合同委員会のもとにおきましても、先ほど申し上げたように、環境問題小委員会をつくる方向にしておりますが、環境問題ははなはだ重要でございますから、できるだけ早期にその目的が達せられるように努力したいと思います。     〔加藤(陽)委員長代理退席、木野委員長代    理着席〕
  127. 中路雅弘

    ○中路委員 あと若干の時間ですので、これは外交問題じゃないのですけれども、ちょっと委員会で御質問したいと思うのです。  大臣は詳しく御存じないかもしれないと私は思うので、若干その問題に触れながら御質問したいと思うのですが、最近夏以来東京新聞初め一般の新聞にも報道されておりますし、ごく最近では経済雑誌の財界展望の十一月号というのが「川崎の国際カントリーの謎」という六ページにわたる特集を組んでいます。その中に大臣の顔も写真入りで「小坂新外務大臣が焦点だ」というような記事が出ているわけです。  ちょっと経過を触れますと、川崎にあります国際カントリークラブという、通称生田緑地ゴルフ場という、大臣も会員ですから行かれたこともあると思うのですが、ゴルフ場に関する問題なんですが、このゴルフ場は十五万坪、大変広大なゴルフ場ですが、ほとんどが川崎市の市有地なんですね、市の用地なんです。昭和十六年にすでに市民の緑地公園として都市計画決定をしているところなわけですが、昭和二十六年に当時の神奈川県の内山知事等も中心になりまして、GHQ、米軍へのサービスを目的にして、ゴルフ場として十年間の契約で、川崎林園という株式会社をつくって、そこに貸すという形で、十年間の契約で一応米軍に川崎市がゴルフ場としての目的で貸与をしたという用地なわけです。ゴルフ場として十年間貸しても、返してもらうときに、いろいろ従業員の皆さんの問題やあるいは手続もありますから、その後三年間使用許可を延長して、さらに三年という、三年間二回にわたって使用許可を延長しました。四十二年の四月二十五日に、この許可の期限の満了に伴って正式返還の要請が川崎市から出されたわけですが、そしてなかなか立ち退かないので、当時市の職員がこのゴルフ場に、もう貸している任期が切れています、使用禁止の立て看板やくいを打ちに行ったわけですね。そうしましたら、このカントリークラブがいわゆる暴力団を雇って、自転車のチェーン等も振り回しながらこの所員の作業を妨害する、そして警察官が動員されるという、恐らく大臣御存じないと思うのですが、こういう事態まで起こしたところなんですね。それでやむを得ず川崎市が、当時自民党の金指市長でありましたけれども、市有地を無法に占拠して居座っているということで、市が返還の訴訟を起こしたわけです。市議会でも、これは与党野党を問わず、現在は市長が与党、野党変わっていますけれども、各会派満場一致で当然市民の――市有地ですから、期限も切れていますから、自然公園として都市計画決定もしているということで、これを返してほしいという訴訟を起こして、現在なお九年間証人等で引き延ばされておりまして、訴訟がまだ続けられているというのが簡単に言いますとこのゴルフ場の経過なんです。  先日、このゴルフ場にいわゆるいまのロッキード問題と関連して検察庁が調査に入りました。これはゴルフ場の有力なメンバーに若狭全日空当時社長や、檜山丸紅前会長等も有力メンバーであったということから、税金その他の問題でこのゴルフ場に検察庁が調査に入りました。私もそのことと関連してたまたまこのゴルフ場にいろいろ調査に行きまして、いまの事情も詳しく聞きました。それとともに、このゴルフ場の有力な会員が、若狭あるいは檜山氏とともに、大平大蔵大臣やあるいは河本通産大臣、それから当時の竹下建設大臣、そして小坂さん等もその有力メンバーであり、あるいは私が行ったときは公明党の矢野書記長もそのメンバーであった。あるいはかつて民社党の代議士であった麻生さん、この方も出ていますけれども、これがその後新聞等にも大きく出まして、九年間も返還がおくれて訴訟が長引いているのは、こういう政財界の有力者がバックにいるから返還がおくれているのだというのがもっぱら一般報道等で報じられて、市民の間でも返還が非常に大きな話題になっておる、世論になってきているというのが簡単に言いますと経過ですね。公明党の矢野書記長はその後地元に来られまして、私は全くそういう事情を知らなかった、それから市の方が公明党も含めて満場一致で返還要求しているのも知らなかった、政治家としてはやはりまずいというので、その後一週間ほどしてから、会員も辞退をされる、やめるということで脱会をしております。実は、会員だけではなくて、私はここに会員名簿を持ってきているのですが、会員も川崎市民というのはほとんどいないのですね。一割もいない。ほとんどがほかからゴルフに来ている。会員名簿を見ましたら、この役員に小坂さんが入っておられる。会員だけではなくて、数人の理事の中に小坂さんが名前を連ねられておられまして、麻生さんとともに中心の理事に出ておられるというので、これは閣僚の場合に、こういうところの理事を兼務されるのはどうかという問題もあるのですが、いずれにしても、これは五十一年五月一日現在の名簿であります。それによりますと、小坂さんが理事をやっておられるというので、大平さんや河本さんや皆さんと違って特にこのカントリークラブの中心の理事の一人だということから、最近の一般雑誌等も小坂さんの去就が非常に注目されているというような記事さえ出ているので、私は率直に言いますと、こういう経過等を余り御存じないのではないかというふうに考えていたのですけれども、これだけ名前も出ている問題なのであえて御質問をして御見解もお聞きしておいた方がいいだろうと思っているのですが、このずっと理事だったということはいつごろから理事でおられたのか、その点の経過、いまも理事なのか、その辺の経過から最初にお聞きしたいと思います。
  128. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 実はいまのような川崎国際カントリークラブというのは私の家のわりあい近くなものですから、できるときに頼まれて入りました。その後ずっとメンバーになっておりますが、いつでしたか忘れましたが、大分前からここの理事をやってくれということで、ほとんど出たことはありませんが、名前は貸しております。今度外務大臣になりましたので、どうも理事は不適当だと思いまして、九月十五日付、私の就任の日付で理事辞任しております。しかしメンバーは実はやめるつもりはございません。私が紹介して政治家の方を入れたことはございます。しかし、いまお話しのような財界の方と一緒に遊んだというふうなことは一度もございません。私は近所の者と、何ら関係なく、老人のスポーツとして大いに筋肉を若返らせるべくときどきやっておりますが……(「ハンディは幾つ」と呼ぶ者あり)ハンディは十三でございます。そこで、余りしげく行っておりません。実はここのところ、そうですな、この六月ぐらいからずっと行ってないのではないかと思います。お調べになればあるいは行っているかもしれませんが、記憶にないくらい行っていない、そういうことでございます。  それからその関係でございますが、私が聞いておるところでは、最初に川崎市の方から頼まれて、緑地が要る、しかもその緑地をキープするにはゴルフ場にしておくとみんなが金を出してやる、そのために芝もよくつくし、木の手入れもいいというようなことでやっておった。ところが、何かいつの間にか返せ返せという話になって、そこでいま裁判になっておるという話を聞いております。裁判に私ども口が出せるものでもなし、何かおもしろ半分に私が有力でどうこうと書いたのがあるかもしれませんけれども、私はとてもそんな有力者ではございませんで、何かおもしろ半分に書いた記事だと思いますので、私はそういう行方について影響力を行使するというような立場にもないし、そんな力もございませんということを申し上げておきたいと思います。理事はやめております。
  129. 中路雅弘

    ○中路委員 いま裁判になっているわけですけれども、経過で言いますと、きょう書類は全部持ってきていませんけれども、十年契約で貸したことは事実なんですね。それで返す場合に、いろいろ先ほど言いましたようにゴルフ場に勤めている従業員の皆さんの生活問題もありますし、その他の手続があるから三年延長しようということで、その間に話をしよう。それを二回にわたって繰り返して延長しているわけです。しかもそれはいまの革新市長の時代でなくて、自民党の市長の時代ですから、それで二回延長してそのままということなので、正式に返してほしいという要請をして、先ほど言いましたような暴力問題まで起きて、市の方から訴訟を起こしたという経過になっているわけですね。  当時は川崎市は三十万の人口だったのです。現在百万の人口でありまして、緑地が全く少ない。都市公園法によりましても市民一人当たりの公園面積が最低六平方メートル必要だといわれておりますけれども、それに比べてもわずかその半分しかないという状態なんですね。私はゴルフのことは全然言っているのではないのですよ。ゴルフはやっていただいていいのですけれども、問題は、こういうゴルフ場がいわゆる川崎市の土地であって、それで市の議会が、皆さんの所属の自由民主党も含めてあるいは自由民主党の市長さん自身が訴訟まで起こして、満場一致で返してくれということで、市民の中でも大きな問題になっているところに、ずっと会員でおられて、また、たまにだと思いますけれどもゴルフに来られるということになると、それがしかも閣僚だということになりますと、やはり国民のために公正な政治の推進という政治家の立場からいっても、やはり市民との間で――ますますいろいろ市民感情からいっても問題も起きてくるということで問題になっているのだと思うのですね。それで和解という話も出てきました。その際にカントリークラブから出てきたのは、和解の条件で、あと二十年間使用さしてくれという話ですね。驚くべき条件ですね。そうでなければ、あと八年で六十億円の補償金という話も出ておる。川崎市の方がびっくりしちゃって、こんな和解、とうてい話にもならないということで、いま裁判の促進と早期の返還という方針で市もやっているわけです。余り理事会にも出ておられないという話ですけれども、こういう和解の条件ですね、こういう点もいずれにしても理事の間で話をされるんじゃないですか。そうしないと、だれかが勝手に決めるということじゃないんじゃないですか。だから会員だということでなくて、ことし九月でおやめになったということですが、それまでは理事だったわけです。理事の数はわずかなんですね。だから理事会でこれまでの川崎市とのいきさつ、住民とのいきさつもいろいろ協議をされてきたんじゃないかと思うんです。その辺はどういう事情になっているんですか。
  130. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 何というんですか、余り理事会に出たこともなし、どういうことをしているのか、とにかく訴訟をしているという話は聞いております。私もいろんな方から入会を頼まれますと、あれは訴訟中だからやめておいた方がいいんじゃないかというようなことを言っているようなわけでございまして、これは裁判でございますから、裁判が決定するということではございませんかと思います。
  131. 中路雅弘

    ○中路委員 私も、係争中の問題、裁判の中身にわたって取り上げるつもりは全くないんです。恐らくこういう事情は詳しくは御存じないだろうと思いまして、一般でも大臣理事をやっておられるというところで新聞等は書いておりまして、きょう理事はおやめになったということはお聞きをしました。ただ、会員でおられるわけですし、こういう訴訟中のクラブですから、いま新しい会員を入れないんですよ。だから全く新しい会員が入ってないということで、私がお話ししているのは、こういう形で九年間も地方自治体とクラブの間で問題が長引いているのは、主としていまお話ししましたような財界や政界の方が主要なメンバーに名を連ねているからだということが、一般の報道ではずっといまやられているわけですね。私はそうだという意味じゃないんですけれども、そういう意味では、やはり裁判の問題、中身にわたってお話しするわけではないんですけれども、公明党の矢野書記長もそれを聞いて、ゴルフをやめるというんじゃなくて、そういうゴルフ場についてはやはり控えておいた方が問題の解決にいい。――私は、政治家として普通の常識的な考えじゃないかという気もいたしますし、小坂さんについても、ひとつそういう立場をとっていただけないだろうかという希望をお話しをしているわけなんですが、採決もありますから終わりますけれども、その点についてのお考えどうですか、もう一度……。
  132. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 私はいろいろな方を御紹介しまして、そのために入っている方もあるわけでございますが、中にはただいまお話があったような方もおるわけでございます。なお、よく考えるようにいたします。
  133. 中路雅弘

    ○中路委員 よく考えてというお話なので、ひとつ事情は私お話ししましたので、これは市民感情もありますので、自治体の満場一致の十年にわたる要望ですから、特に川崎の場合御存じのように、終わりに言っておきますけれども、いま公害問題、公害都市ということで緑地ということが大問題になっていまして、ゴルフ場になった時期と今日と全く市の事情も変わっている、環境も変わっているときなので、その点はひとつよく検討していただいて善処をしていただきたいということをお話しをして終わりたいと思います。
  134. 木野晴夫

    木野委員長代理 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  135. 木野晴夫

    木野委員長代理 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がございませんので直ちに採決に入ります。  在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  136. 木野晴夫

    木野委員長代理 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会の報告書作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 木野晴夫

    木野委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ――――――――――――― 〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  138. 木野晴夫

    木野委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十分散会