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1976-10-07 第78回国会 衆議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月七日(木曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 伊藤宗一郎君    理事 稲村 利幸君 理事 加藤常太郎君    理事 志賀  節君 理事 羽田  孜君   理事 三ツ林弥太郎君 理事 阿部未喜男君    理事 古川 喜一君 理事 平田 藤吉君       愛野興一郎君    小渕 恵三君       片岡 清一君    金子 岩三君       亀岡 高夫君    瓦   力君       倉石 忠雄君    高橋 千寿君       坪川 信三君    長谷川四郎君       廣瀬 正雄君    松永  光君       水野  清君    綿貫 民輔君       大柴 滋夫君    金丸 徳重君       久保  等君    下平 正一君       松浦 利尚君    森井 忠良君       土橋 一吉君    大野  潔君       田中 昭二君    池田 禎治君       小沢 貞孝君  出席国務大臣         内閣総理大臣  三木 武夫君         郵 政 大 臣 福田 篤泰君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      味村  治君         郵政政務次官  左藤  恵君         郵政大臣官房長 佐藤 昭一君         郵政大臣官房電         気通信監理官  松井 清武君         郵政大臣官房電         気通信監理官  佐野 芳男君  委員外出席者         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社総務理事   北原 安定君         日本電信電話公         社総務理事   山本 正司君         日本電信電話公         社総務理事   三宅 正男君         日本電信電話公         社総務理事   遠藤 正介君         日本電信電話公         社総務理事   好本  巧君         日本電信電話公         社理事     玉野 義雄君         日本電信電話公         社業務管理局長 川崎鋼次郎君         日本電信電話公         社計画局長   輿 寛次郎君         日本電信電話公         社施設局長   長田 武彦君         日本電信電話公         社経理局長   中林 正夫君         日本電信電話公         社資材局長   小西 一郎君         日本電信電話公         社データ通信本         部長      山内 正彌君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締         役)      笹本  昇君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     —————————————  委員の異動 十月七日  辞任         補欠選任   倉石 忠雄君     瓦   力君   園田  直君     片岡 清一君   長谷川四郎君     綿貫 民輔君   水野  清君     松永  光君   下平 正一君     松浦 利尚君   池田 禎治君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任   片岡 清一君     園田  直君   瓦   力君     倉石 忠雄君   松永  光君     水野  清君   綿貫 民輔君     長谷川四郎君   松浦 利尚君     下平 正一君   小沢 貞孝君     池田 禎治君     ————————————— 十月七日  身体障害者電話料金割引等に関する請願(折  小野良一紹介)(第四二二号)  同(粟山ひで紹介)(第四二三号)  同(多賀谷眞稔紹介)(第五一四号)  電報・電話料金値上げ反対に関する請願(梅  田勝紹介)(第五一五号)  同(石母田達紹介)(第五一六号)  同(柴田睦夫紹介)(第五一七号)  同(津金佑近君紹介)(第五一八号)  同(中川利三郎紹介)(第五一九号)  同(林百郎君紹介)(第五二〇号)  同(松本善明紹介)(第五二一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  公衆電気通信法の一部を改正する法律案内閣  提出、第七十七回国会閣法第八号)      ————◇—————
  2. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 これより会議を開きます。  公衆電気通信法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松浦利尚君。
  3. 松浦利尚

    松浦(利)委員 御承知のように、わが党はすでに電気通信事業あり方並びに料金に関する当面の方針提起をいたしまして、関係向きにこれが実現方をすでに御要望申し上げておるわけであります。しかし、今度の政府提出案件を見ますと、われわれのこうした当面の方針をほとんど挿入されておらない、きわめて問題の多い値上げ法案だと思うわけであります。したがって、わが党の案と対比しながら郵政当局並びに電電公社の御見解を承っていきたいと思うのであります。  そのまず第一点は、御案内のとおりに今日の電電公社事業というのは国鉄等と違いまして全くの独占企業であります。したがって、この事業経営いかんによってはきわめて国民にとって不利益な、そしてまた重大な影響を与える問題点があります。したがって、われわれ社会党といたしましては今日のこうした事業経営独占企業体あり方から見まして、今日の事業経営基本原則というものは、第一点として、現在ある公共企業体制度というものはやはり国民立場に立って堅持をすべきである。二番目に、公共企業原則に立った経営民主化を図っていくべきである。三番目に、国民経済の要請に対応し得る自主性確立が必要である。四番目に、健全な経営基盤確立が必要である。五番目に、不公正排除による料金体系確立が必要である。実はこうした五つの事業経営基本原則というものをうたっておるわけであります。  そこで郵政当局並びに電電公社お尋ねをするのでありますが、われわれ社会党事業経営の今日的な基本原則のこの五項目について、間違いがあれば指摘をしていただきたい、間違いがなければ同意か不同意かを御返事いただきたいと思うのであります。
  4. 遠藤正介

    遠藤説明員 お答えいたします。  いまお述べになりました原則につきましては非常に抽象的でありますから、具体的な問題ではいろいろ御意見があるかもわかりませんが、私ども考えておる点と大差ないといいますか、原則として全く同じであるという意味で私は間違いがあるとは思いません。
  5. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、事業経営基本原則についてはわが党の考え方公社当局考え方というのが、細かいことは別にして、原則的には一致を見たと思うのであります。それではこの一致の上に立って、以下各論について御質問を申し上げていきたいと思います。  第一点は、これほど電話国民生活密着をしてまいりますと、これからの目標としては国民のための電気通信事業、言葉をかえて言えばナショナルミニマム的な発想というものを当然取り入れていくべきである。ナショナルミニマムというものはいろんな意味の形態があります。ナショナルミニマムの取り方によってはいろいろな意見もあります。しかし、原則的に今日のこうした企業体の中でナショナルミニマムの達成というものを優先課題にして取り組んでいくことについては、私は公社当局あるいは郵政当局とも決して反対をなさるはずはない、こういうふうに思うのです。ですから、ナショナルミニマムというものを国民立場に立って最優先課題として取り組んでいくという姿勢については御批判がありますか。そういう方向で進められますか。
  6. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  電電公社といたしまして、国民のために電信電話事業を運営、発展させるというのは基本でございまして、ナショナルミニマムという考え方を取り入れる点については同じでございます。
  7. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、そのナショナルミニマムを達成するということで同意だというふうに総裁から言われました。  そこでまずお尋ねしたいのですが、その場合に私たちが一番考えなければならぬのは福祉、特に身障者等を含めた弱い立場人たちの問題だと思うのであります。この問題はすでに同僚の阿部委員からも御指摘を申し上げまして、それぞれの関係向きから御答弁をいただいておるわけでありますが、これは郵政大臣お尋ねをしたいのです。  これほど電話が普及をしてまいりますと——身障者というのは御承知のようになかなか外に出る機会が少ない。当然吸収する場所としてはテレビとかそういったマスメディアを通じて世間一般のすべてを吸収していくということになってくると思うのです。身障者団体皆さん方からお聞きをいたしますと、電話というのがお互いの日常生活の中にも必要欠くべからざるものとして非常に身障者間で使われておる。あるいは生活の中に溶け込んでおる。こういうふうなことを考えていきますと、一番弱いこうした人たち立場に立って問題を解決していく、その解決をしていくためには、国として、国家的な立場で根本的にその充実というものを図っていく必要があるのじゃないか。ただ単に電電公社独占企業体だからおまえのところでやれということでは解決をしない。国の基本的な政策として行うべきことではないだろうか。当然これは厚生大臣の所管になるわけなんですが、郵政大臣国務大臣でもあります。そういった意味で、こういった人たちに対して国が基本的に、積極的に手当てをしていく、電話というものについても国が率先してその充実を図っていくという点について国務大臣としての御見解を承っておきたいと思います。
  8. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 気の毒な身体障害者の方方、電話という問題はいわば心の支えと申しますか、重要な施策の一つだと考えます。したがって、国としては当然あらゆる努力を払って補助をすべきではないか、とりあえず五十一年度が七千五百台、一億二千万を予算に組んだのでありますが、厚生省ともよく連絡をいたしまして、福祉政策の枠内で、電話という役割りは非常に大きな意味を持つと考えますので、今後も積極的にできるだけ大幅な国庫補助の獲得を考えておる次第でございます。
  9. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は、この問題は大臣にひとつ御確認いただきたいのですが、いまの御答弁で結構なんですけれども、ぜひお願いをしたいのは、これほど、ほとんど充足されてきますと、残っておる部分というのはそういう非常に弱い層だけが残ってくるのです。資金的に非常に不足をする、そういったことでつけられない。ですから、長期的な計画、プランじゃなくて、電話ぐらいはもうほとんどすべての身障者に国が助成してつけてやる。なるほど五十一年度に一億七千万の助成策がありますけれども、それをさらに拡大をして少なくとも五十二年には、そういう人たちが希望されれば全部つけてやるというぐらいの姿勢が必要ではないか、こういうふうに考えるのです。ですから、常に国の計画というのは長期計画長期計画でいくのですが、長期計画の中でも速やかに必要なもの、特に国民生活にとって、弱い層にとって必要なものというのを優先課題として取り組む必要があるように思うのです。電話というものはそういう意味では非常に緊急不可欠のものだというふうに思いますので、五十二年度には一般家庭には全部充足してしまうわけですから、電電公社関係で、ですから、ぜひひとつ郵政大臣のお力で厚生大臣連絡をしていただいて、こういうものについては五十二年度の予算で、希望する身障者のところにはほとんど電話がつくというようなことはこの際明確にお答えをいただいておきたいと思うのです。
  10. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 御説のとおり、積滞解消は五十二年度で完成する見込みでありますから、当然この福祉関係は重点の一つであります。何とか五十二年度中には全部解決いたしたいと考え厚生大臣とも十分協議いたす考えでございます。
  11. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そこで、電電公社お尋ねいたしますが、そうなってきますと、やはり阿部委員指摘をしておったというふうに私は後から阿部委員からお聞きをしたのでありますが、やはり電電公社施設そのものも当然身障者の人が自由に電話を使えるように変えていかなければならぬ。たとえば電話ボックスにいたしましても車で入れるように少し広げてやるとか、あるいはもうすでに国鉄駅等が一部実施しつつありますけれども身障者等が利用できるようにそういった施設充実、改善というものを積極的に電電公社としては図っていく、そして国が行うそういう政策受け入れ体制というものを電電公社がつくっていく、私はそれが本当だと思うのです。だから、そういう意味について電電公社の御見解を承っておきたいと思うのです。
  12. 遠藤正介

    遠藤説明員 お答えします。  ただいま郵政大臣からもお答えがございましたとおりでございまして、私どもといたしましても、債券の免除でありますとか、あるいは優先設置基準を一番に繰り上げるとかというようなこともやっておりますし、あるいはいま先生指摘のように、いろいろ施設面で、電話局の建物の中の状況をそういうぐあいにいたしますとか、あるいはいろんな身障者向けの端末を開発するとか、そういうことにつきましては、公社としてできるだけのことを従来も続けておりました。また、今後も郵政省あるいは政策当局の御指導を仰ぎながらやっていくつもりでございます。
  13. 松浦利尚

    松浦(利)委員 では、次の問題点にまいります。  ところで、今度電電公社値上げを予定されて、いま私たちがここで議論をしておるのでありますが、独占企業体になればなるほど、国民から求められるものはやはりガラス張りである、経営民主化されておるということだと思うのです。一方的にこれが赤字だから値上げをしてくれと言っても、私は国民はなかなか受け入れないと思います。なぜ受け入れないかというと、一体本当に赤字かどうかということが国民の側は一つもわからない。確かに代議制でありますから、国民代表機関である国会を通じてというシステムがあるのでありますが、しかし、そういうシステムがあって、なおかつ国民の間に、料金値上げということになると、非常に反発を受ける。その原因はどこにあるかというと、一方的な値上げだけが主張されて、どうして赤字になるかということを国民が十分わかっておらない。もう独占企業であり、先ほど総裁からもお話がありましたが、地域密着した電信電話事業であるということになっていけばなっていくほど、私は国民皆さん方が、どこに問題点があるのか、電電公社に対してどういう批判を持っておるのか、なぜ赤字に対して反対をするのか、なぜ料金値上げ反対をするのか、そういう点について逐一把握できるということが、独占企業体にとって非常に重要な問題ではないか。そういうものを補完する意味で、御承知のようにこの電気関係については電気事業法という法律の中で、そういうことができるだけ地域の住民にオープンになるシステムが、法律であるいは政令で定められている。ところが、独占企業体である電電公社については、そういうものについて国会承認案件ということで、そういうものが省略をされておるのです。いままではそれでよかったけれども、今日的なこれほど国民密着不可分のものになってきたら、どうしても国民の声を常時吸収すべきだと思うのです。われわれとしては、そういう意味でこれは阿部委員からも指摘をしましたが、電気通信利用者委員会、こういったものをできるだけつくって、あらゆる代表を呼んで、そしてその中で地域的にどこに問題があるのか、どういう点に希望があるのか、こういう点を聞く努力というのを、独占企業であればあるだけに、政令であろうが法律で決めておらないであったとしても私は必要だというふうに思う。そういう点について必要だと思われるかどうか、まずその点をお尋ねしたいと思うのです。
  14. 遠藤正介

    遠藤説明員 お答えいたします。  今回の料金値上げにつきましても、私どもはできるだけいろんな団体消費者団体に対しましても御説明をいたしましたり、あるいは新聞その他でいろいろ、いま先生の御指摘のように、赤字原因というようなことについてもわかりやすく御説明する道を講じてまいりましたつもりでございます。ただ、従来は確かにそういう点が手ぬるかったと思いますし、また料金値上げだけでなくて、ふだんからやはりそういうことをやっていかなければいけないということを、この際私どもも、電話重要性あるいは地域との密着性から、先生指摘のように感じております。  そこで、私どもとしては現場ごとにいろいろ有識者のみならずユーザーの団体あるいはモニター等々と接触を今後もさらに深める。あるいは、いま御指摘のわかりやすい経営状況ですとか、計算の根拠ですとか、あるいはサービスのあり方といったようなものにつきましても、いろんなメディアを使ってお知らせするということが独占企業としては特に必要だということは痛感をしております。そういうぐあいに努力をいたすつもりでございます。
  15. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣、この際お尋ねをしておきたいのですが、法律にないからとかそういうことではなくて、やはり法律になければそういうものを法律的につくるように努力をしていく、そういうことも私は必要だと思うのです。いま電電公社では、法律にないけれどもそういうふうにしていきたいというふうに思うという御提起がありましたけれども、しかしこれだけの独占企業体になってきますと、何らかの形でやはり国民意見を聞く機関というのを私は設ける必要があると思うのです。これは電気事業法そのものがいいとか悪いとかという——もちろん法律的にはまだ問題点もあります。しかしああいったものをやはり法律的なものとして将来つくっていくというお考えがあるかどうか。御承知のように電気事業法では、仮に赤字になりましたときに、一定の基準というもので国民に示されるわけですね。たとえば総原価とかあるいは原価とか、そういったものがすでにオープンになってくるわけですね。それが政令基準が、項目がずっと定められておる。その項目に従って原価がはじかれ、こうだから赤字だというふうに国民の前に示されるのですね。そういうものが満足であるとかどうかという批判は別にして、そういうシステムというのは、これから公社は、やはり国民立場に立った公社を運用していくという意味では、将来展望として必要になってくるのじゃないかという気がするのです。いますぐといえば、これは法律改正を伴うことですから非常にむずかしいと思いますが、そういう将来展望についての大臣のお考え方だけをひとつこの際お聞かせをいただいておきたいと思うのです。
  16. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 御提案の趣旨は十分了解できるところでございますが、何といいましても、現在の電気通信行政基本に触れる問題でもありますので、今後幅広い立場で十分検討いたしたいと考えております。
  17. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そこで、阿部委員質問に対しまして、そういうものを検討する審議機関を設けるということについては、行政管理庁なりあるいは政府方針があって、なかなか設置かむずかしいのだという御説明がありましたが、いま言われたように、これは将来の電気通信事業基本に触れる非常に重要な問題だと思うのです。そのことは逆に言うと、独占企業体のこれからのあり方というものに対して非常に大きな影響を持ってくると思うのです。ということになれば、こういうふうに重要なものがないとすれば、やはり郵政大臣の私的な機関として、こういったものをすべて検討を加えてみる、そういう私的な審議機関といいますか、そういったものを大臣がおつくりになってみて、御研究なさるというのは非常にいいことではないか。何も行政サイドで、行政管理庁なり総理府が、だめだ、こういうふうに言うからだめだというのではなくて、やはり必要なものは積極的に大臣私的諮問機関としてでも持っていく、もちろんそうして公社総裁総裁で、直接事業を運営される立場でどうあるべきだろうかということを、総裁の私的な諮問機関というものをひとつ構成をしていただいて、ここで研究していかれる、そういうことはこだわらずに積極的にむしろやるべきじゃないか、そのことが国民批判にこたえる道に通じていくのじゃないかというふうに思うのですが、ひとつ大臣の御見解総裁の御見解を承っておきたいと思うのです。
  18. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 この問題は先ほど申したとおり、現在の電気通信行政に直接響く問題でございます。しかし私的となりますとこれはまた別の問題で、公的法定の、いわば政府が整理しろといった、むしろ法律と背馳することはありませんので、前向きにこの点もひとつ検討させていただきます。
  19. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  先ほど遠藤総務理事からもお答えいたしましたが、そういうような国民の皆様の利用者意見なり声が十分反映するような組織といいますか、機構につきまして、その御意見を尊重して処理いたしたいと思います。
  20. 松浦利尚

    松浦(利)委員 ぜひそういうふうにお願いをしたいと思うのです。  そこで、関連をして大臣にひとつお願いをしておきたいのですが、これも阿部委員指摘をいたしまして、小佐野委員が病気でやめられましたね。問題は、やはり私はいまの経営委員会あり方国会同意を得て任命をするという経営委員あり方が余りにも形式に過ぎておるんじゃないか。たとえば、私はそのことだけを言うつもりはありませんけれども、何か経営委員皆さん方は忙しいのに出てきて、出てきたら日当をもらって帰るだけ。それじゃ何にも責任ないわけですね。そんな忙しいのにばからしいというようなかっこうでたまたま出ていって日当ぐらいもらったってしようがないな、自分の一生の原価計算してみたらむしろマイナスだ、こういうふうな感覚で経堂委員がやられたんでは何にもならないので、もっとやはり経営委員会というものが少なくともあるからには、もっと権限を持った経営委員会というシステムにしていく必要がある。私は、国会そのものも、われわれも反省しなきゃならぬのは、そういう経営委員を員数に任命してきた、何のことはない、内閣国会承認を求めてきたらもちろん野党も小佐野国際興業社主については任命反対をしたのですけれども、多数で任命されたわけですけれども、やはりこういう任命あり方についても国会自体で反省をしなければならぬ点も多多あると思うのですが、そういった問題についても、やはり私的諮問機関の中で、現行ある制度そのものについても見直していく必要があるんじゃないかというふうに私は思うのですが、これは総裁が直接経営委員会に発議をしていろいろしておられる立場もあり、なかなか言いにくい面もありますので、この際郵政大臣の方から一体これでいいんだろうか、満足しておられるんだろうかどうか、そういう御見解をぜひお聞かせをいただきたいと思うのです。任命されておる人がおる前で非常に言いにくいとは思うんですけれども、この際ひとつ御見解を承っておきたいと思うのです。
  21. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 この制度は御存じのとおり、法律で定められた公的な組織でございます。十分機能を果たしておられるものと私は考えております。
  22. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そこにやはりずれがあるんですね。ですから、さっきから言うように本当に権威あらしめるものなら、やはりそれだけ裏づけをして日当程度のものじゃなくて、旅費程度のものじゃなくて、やはりNHKとかあるいは日銀の政策委員とかという、そんなに高い報酬というようなものは問題があるかもしれませんけれども、しかしそういうふうにまじめにこれからの電電経営企業体あり方について真剣に議論をしてもらうという意味では、それに見合うだけのものを裏づけしておかないと、やはり私はなかなかこれからはなってくれる人もおらぬと思うのですよ。特に小佐野さんの問題なんか出た以上は、私はなかなかこれから任命するのは苦しくなっていくと思うのですよ、お断りしますという人が出てきて。そういう点から見ると、やはりもっと経営委員人たちがやりやすいように、議論しやすいような雰囲気というのをおぜん立てをしてやるということは必要じゃないでしょうか。満足しておる、しないは、これは見解の相違だと思うんですよ。その点、大臣どうですか。
  23. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 法的な正式の機関でございますし、御要望につきましては貴重な参考意見として承っておきたいと思います。十分その機能を、与えられた任務を発揮できるように私ども要望し、また公社側ともよく協議いたしたいと思います。(「そんな任命じゃだめだよ」と呼ぶ者あり)
  24. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま不規則発言もありましたが、やはりあの不規則発言というのは国民の声だと思うのです。だから、そういう点は、いま大臣がそういうことも含めて検討していただけるということで理解を私はしたつもりでおりたいと思うんですが、大臣、首振っておられるからもう御答弁は要りませんよ。首振られたことで御了解されたものというふうに記憶していただきます。  次に、これも阿部委員質問で、私は具体的にここでお聞きをしたわけではありませんから、阿部委員の方からお聞きをしたので、あるいは正確を欠くかもしれませんが、国鉄電電は違うのだ、ですから国の方で助成する部分というのはない、独立採算でやってもらいたい、まあしかし、国の責任が明確になった分だけについては国がめんどうを見なければならぬのだというような、概略して御答弁があったやにお聞きをするのですが、間違いありませんか。
  25. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 やはり原則としては受益者負担という基本を曲げられないと思うわけでありまして、国の責任になりますと、範囲なりあるいは限度といったものの判定、あるいは判断が非常にむずかしいものであろうと思います。原則としてはあくまで受益者負担という原則でまいりたいと思います。
  26. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは大臣お尋ねをいたしますが、御承知のように電電公社は昭和五十年度に料金値上げを予定された。しかし物価政策上、政府が公共料金を抑えられた。そのことはそのことでわれわれは結果としてよかった、こう思っておるのですが、しかし経過としては電電公社が要求されたのを物価政策上好ましくないからと言って公共料金を据え置かれた。そして今度は五十一年度の第七十七国会で継続審議になった後、これは大臣には大変言いにくいことでありますが、自民党の内部紛争によりまして、当然早急に開かれるべき臨時国会が開かれなかった。法律は六月一日からの実施でありますが、結果的に臨時国会が召集時期がおくれたために、ずうっと実施時期がおくれてきた。これはだれの責任になるのでしょうか。そのことによって生まれた赤字はだれの責任だと大臣はお考えになりますか。その点を具体的にお尋ねしたいと思うのです。
  27. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 昨年末の関係閣僚会議で御案内のとおり、電信電話値上げは見送られたことは事実でございます。しかし、それによって国が直接責任を負うべきかどうかという問題はまた別途考えられるわけで、非常に微妙な問題と考えまして、間接的な責任は確かにあろうかと思いますが、直接これが責任があるかどうかという問題は、また別個の問題として慎重に考慮さるべきものと考えております。
  28. 松浦利尚

    松浦(利)委員 五十一年度はどうですか。自民党の内紛による臨時国会召集のおくれに伴った法律の実施時期がおくれた遠因による責任はだれの責任ですか。
  29. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 間接の要素がいろいろございますが、これについては明確にどこまで、またどの程度まで責任があるかということはまた別個の問題、非常にむずかしい問題だと思います。
  30. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私はこのことを強く主張するつもりはありませんが、一方で独立採算制を主張する大臣が、片一方で独立採算に合わないから料金値上げをするという企業に対して、公共料金値上げは物価政策上好ましくないから国の大きな施策上ひとつ協力をしてくれと言って独立採算制を主張する企業側の値上げを抑えるわけですから、それによって赤字というものが生まれてくるわけですよ。これは明らかに国の政策によって独占企業体に押しつけたその責任によって生まれる赤字です。そうすると五十一年度の赤字については、当然六月一日実施のものについて国会の召集がおくれたがゆえに、しかも今日政権を担当しておる与党の皆さんの内紛によって臨時国会の召集がおくれた、その分の赤字というものがここに累積されてきた。内閣と政党というのは別だということであれば、これは別ですけれども、政党政治下におけるわが国においては当然内閣の責任に帰一するものだということになれば、阿部委員質問お答えになった、当然国の責務に帰するものについては国がめんどうを見るということでありますから、昭和五十年度の赤字なりあるいは昭和五十一年度のこのおくれに伴う赤字、欠損金というのは、これは国民の側に負担を強要するのではなくて、むしろそういうことに対して政府側が責任を持つべきではないか、そのことが私は独立採算制という企業会計を主張する側の責任だ、私はそう思うのですがね。そうでなければ、独立採算制を主張する根拠はないわけですから、相手方に赤字だろうが何だろうが上げてはいかぬと言って国家が要求するわけですから。国民代表である国会がそのことを主張するなら別です。国が、監督すべき国の側がそのことを要請して値上げ法案提出を見送らせるわけですから、これは私は明らかに国がめんどう見るべきだ。大臣、これ、私の言っておることが間違いがあったら、あなたの主張はどこが間違いだと指摘をしてください、今度は逆に。どうぞお願いします。
  31. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 臨時国会の召集がおくれたことについては、まことに私ども遺憾に考えておりますが、これはわが党の内紛だけが原因でないことも御承知のとおりでございます。いずれにいたしましても、御指摘の国の責任、政府の責任という問題になりますと、間接責任は確かにその理屈は通ると存じます。ただ現実の問題として、それを直ちに、したがって赤字は国が補うべきであるということになりますと、またいろいろと議論があろうと思いますので、私どもとしては間接的な影響は認めますが、直接これによって国がこれを埋める義務がありという考え方は通らないということを申し上げておきます。
  32. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣が、国の責任によって出てきた赤字については、それは国が負担をすべきであるということを阿部委員質問お答えになっておりますので、ということになれば、当然この問題は国の責任に帰すべきだ。ところが御承知のように国自体が今日赤字だから、赤字債券を発行しなければならぬということで、できないというならこれはまた話は別です。現状処理が不可能だから、その主張はなかなか実現できないと言われるなら、これは別ですよ。しかし、それはもともと直接的な関係はありませんから、これは国民が負担をしてくださいと言われるのと、本来はそうであろうけれども、現状として非常にむずかしいからと言うのとでは大分違うのですね。そのどちらですか。要するに現状不可能だからということじゃなくて、いやもう基本的にそういうものは国の方の責任で見るべき筋のものではないという御判断でしょうか、その点どうでしょうかね。
  33. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 いまの私の立場で言えば、後者の方の立場をとりたいと思います。
  34. 松浦利尚

    松浦(利)委員 後者と言いますと、現状赤字債券を発行しなければならぬように資金が行き詰まっておるから、こういうわけですか。そうじゃなくて、間接的にはあるけれども、直接的にはないということですね。そっちの方ですか。
  35. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 御指摘の第二の後者の方、すなわち責任は確かに私どもは認めますが、それを直ちに国が義務としてその責任上赤字を補てんしなければならぬ、あるいは国が国費をもって出さなければいかぬという点では慎重に考えてみたい、責任は間接的にあるということは認めたいと思います。
  36. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、やはり国鉄赤字というのは、その過去のそういった政策的な累積が今日巨大な赤字を生んで、民間企業ならもう倒産をする寸前という状態をつくり出したと思うのですね。まだ電電公社の場合はそういう事態に来ておらないのですけれども、やはり公共料金政策というのは相矛盾した、独立採算制というものと政府が行う政策というものは相矛盾した経過をたどっていくと思う。しかし、たどっていった場合に、雪だるまになってこういう抜きさしならぬ状態が生まれてくるという経験を私は国鉄を通じて知ったわけですから、ということになれば、この際こういったものについて将来明確にしていく。やはり大臣阿部委員答弁なさったように、国の施策によって起こってきた赤字、国の責任に帰すべき赤字については当然国がめんどうを見るという方針というものをこの際、もういますぐそれをやるという、これは重要な問題ですから、これまた簡単に一個人の大臣としての御答弁は求めませんけれども、将来のあり方としてやはりそういうことは明確にしておくということについては大臣も私の意見に賛成なされると思うのですが、その点についてひとつ大臣、私の言っておることについて賛成ですか。将来そういうふうにやはり検討を加えていく、国の責任に帰すべきものについては当然国がめんどうをみていくのだ、独立採算制を要求する企業に対してもめんどう見るんだという、そういうことについては明確にしていかなければならぬということについての大臣のお考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  37. 松井清武

    ○松井政府委員 先ほど来大臣答弁いたしておりますように、公社といたしましては受益者負担の原則を守るということを第一の原則にしているわけでございます。ただそういう場合に、国の責めに帰すべき赤字についてはどういうふうな処理をなすべきであるかという御意見でございます。国鉄の例も引かれたわけでございますが、国鉄電電公社におきましてはいろんな情勢も異なってくるわけでございまして、やはり個々具体的な問題についてそれぞれそれを考えていかなければならないというふうに思うわけでございます。原則的には公社の受益者負担を原則として貫いてまいりたい。それ以外の個別の問題につきましては個個具体的な例によって処理してまいりたいというふうに考えております。  先ほど来議論になっております四十九年度、五十年度のそういった赤字の問題あるいは五十一年における成立遅延ということによる赤字の増加の問題等いろいろあるわけでございますが、これらの問題につきましては、現段階におきましては公衆法を成立せしめることによってそういった点に対処できるというふうに考えておるわけでございまして、これに対する国の補助ということは考えていないわけでございます。
  38. 松浦利尚

    松浦(利)委員 あなたは私の質問をよく聞いておらないのです。それはそうでしょう。公衆法が通れば受益者負担で国民に負担させて赤字を埋めるんだから、それは通れば埋まりますよ。私は現実的なことを聞いているんじゃない。国の責務に帰すべきものについて、国が政策的に抑えることによって生まれてきた赤字については当然国がめんどう見るべきだ。そういう方向づけをやっぱりしておかなければいかぬのじゃないか、将来展望として。だから、いますぐせよと言うんじゃない。しかし将来そういうことについてやっぱり検討を加えておく必要があるんじゃないかという点について大臣どうですかということを聞いておるので、現実的な処理なんか一つも聞いておらぬです。それは法案通れば赤字が埋まることはだれだって知っているのですよ。人の質問はちゃんと聞いてください。
  39. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 これは繰り返すことになりますが、御説の、いわゆる国の責任並びにそれに対する義務、こういう問題はやはり一応将来の問題として私ども政府側として十分検討すべきじゃないか。ただし、その範囲であるとか、その他細かい具体の問題になるといろいろ議論はあろうと思いますので、方向としては、これは単なる電電公社のみでない、あらゆる問題にも波及いたしますので、十分慎重にひとつ検討さしていただきたいと思います。
  40. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いまの大臣答弁でいいんですよ。あなたが言ったら時間がなくなる。時間に追われておりますので、ひとつ正確に答えてください。  それから次に、余り小さな問題に入り過ぎて、事務当局の方の御答弁で結構でありますが、御承知のように支出の適正化ということが必要になってきておるんじゃないか。ですから、いま税の問題でも、いろいろ国民の間に不満が出ますのは、御承知のように不公正というのがあるからじゃないか。自分の方だけ負担が多くてあっちの方は負担が軽いじゃないか。この税のアンバランスということがやっぱり税に対する不信感というのを国民に助長していくわけですが、私はそれと、やっぱり国民の側に受益者負担でいまのような形で押しつけていくとするなら、その中に不公正があったら非常に国民に不満を助長することに結果的になるというふうに私は思うのです。そういう点について公社当局はそのように思われるでしょう。料金に不公正があればやっぱり国民に対して非常に不満を与えるということについては、そのとおりにお考えになりますか。
  41. 遠藤正介

    遠藤説明員 私は現在の料金の中でそういう具体的なケースはないと思いますが、一般論としてはそういうことがあれば確かに問題だと思います。
  42. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま遠藤総務の方から、あれば確かに問題だというお話がありました。ところが、国会で審議をする料金というのはある程度オープンになって、いろんな意味で議論をされていきます。ただ問題になりますのは、許認可料金、これが非常に国民の間に不満がある。たとえば専用回線の問題あるいは付加使用料の問題、こういった点はどうなっておるんだろうか。極端に言うと、専用料などというのは非常に安いのじゃないか、こういった不満が私は非常に強いというふうに思うのですね。ですから、そういった問題等についてやはり原価というものを明確にする。そしてこういう原価だからこうだ、そして特定のサービスというものについてはそれはもう利用者負担にする。特定の企業に対してサービスを提供するための試行的なもの、あるいはそのために電電公社が扱っておるもの、そういうものについては、全体の国民が負担をするというのではなくて、それを利用する企業が負担をする。そういうふうな原価によるそういうものについての料金体系というものを見直すべきだ。やはり受益者負担であればあるだけに利用者が負担をするという原則は貫くべきだ、専用回線にしろあるいは付加料にしろ。そういったものについて見直すお気持ちがあるのかどうか。先般の阿部委員の御質問に対して、法律にリンクするものについては値上げをしていきたいという公社当局の御答弁があったとお聞きをしておるのでありますが、それ以外の法定料金にリンクしない許認可料金について一体基本的に見直すお考えがあるかどうか、原価主義にのっとって見直すお気持ちがあるか、そしてそれを公表するお気持ちがあるかないか、その点をお聞かせください。
  43. 遠藤正介

    遠藤説明員 ただいま先生指摘のように、法律にリンクいたしますものについては、これは時間的にも急ぎますものですから、現在すでに認可を申請する準備をいたしております。それ以外のものにつきましても、公社全体の財務の関係もございますし、続きましてこの認可申請をしまして一般的に値上げをするということでありまして、いま先生指摘の専用料金あるいは付加使用料等につきましてもその準備を進めております。  その場合に、確かに先生指摘のようなコストあるいは効用、場合によっては負担能力といったようなものも含めて私どもも研究いたしますが、昨日の郵政大臣の御答弁でも、そういった認可料金につきましては、国民生活全体に影響のあるものにつきましては郵政審議会の方におかけになる、こういうお答えをなさっておりますので、その中でそういったことも議論され、場合によってはその根拠も明らかにされ、そして皆様に納得のできる料金が決められていくのではなかろうかと思っております。また私どももその方が望ましいと思っております。
  44. 松浦利尚

    松浦(利)委員 次に、料金関係大臣、そして総裁なり公社当局の皆さんにお尋ねをしたいのですが、料金を決定する場合にいろいろの考え方があると思うのです。電話を利用することによって利益を得るグループと電話そのものを全く生活だけに使っておるグループの二つに電話の利用範囲を大別することが可能だと思うのですが、その点について専門というか、これは簡単なことですが、公社当局の御見解を承っておきたいと思います。
  45. 遠藤正介

    遠藤説明員 抽象的には確かにそういう分け方はできると思います。
  46. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そうすると、抽象的には分けられるとすれば、仮にそのことが抽象的に分けられたと仮定をいたしますと、仮定の論議になりますが重要なことですからお尋ねをしておきますが、その利益を得るグループというのは明らかに電話というものを利用して利益を得ておるわけですから、その人たち料金というのはある程度高くする。しかし、全く生活だけに使われておる電話というのは何もそれで利益を得ておらぬわけでありますから、逆に言うと、国民生活にだけ使われておる電話についてはある程度料金の区別をしてもいいのではないかという発想がおのずから出てくると思うのですが、この点については、そういう発想は技術的に、あるいは理論的にもあり得るでしょう、いまする、しないは別にして。
  47. 遠藤正介

    遠藤説明員 私が先ほど付加使用料等の認可料金につきまして、効用あるいは負担能力ということを一つの要素として加えるべきだという考えを申し上げましたのは実はそのことでありまして、確かにそういうことはあると思うのでございます。現に電電公社料金の中でも基本料などにつきましては、そういう意味から三割の差をつけておるということも言えるかと思うのです。ただ、従量制の料金につきましてそういう差をつけるということは、たとえば鉄道運賃の場合、あるいはほかのものにしましても非常にむずかしいんじゃないかと思います。しかし、理論的にはそういうことも考えられることでありますし、余り世界に例はないようでございますが、私どもとしては、将来問題として十分検討に値する問題でございますから、もうしばく時間をかしていただいて、その技術的なやり方、あるいはそういうことができるかどうかといったような問題について検討を進めさせていただきたいということを昨日の阿部委員の御質問に対してお答えした次第でございます。
  48. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それで、仮に理論的にそういうことが可能だとすれば、それではそれをどういうふうに分けていくかというのはいろいろの議論があるところだと思うのです。それで一つ意見として、阿部委員の百度数以下について料金を据え置いたらどうかという意見に対しては、いや、それは現行法体系では非常にむずかしいという御答弁があったわけですが、いま理論的にそういうふうに大きく区分をしたと仮定をして、逆に言うと電話の利用回数が月に百度数しかない、あるいは百度数以下しかないところについてと、こういうふうに今度は区別するわけですね。今度は電話の利用の頻度によって区別をしていく。そのことを、いま言った理論的なものを科学的に電話をかける通話頻度によって区分をしていく。結びつかないかもしれぬけれども、そういうふうに区分をしていった場合、百度数以下についてはこれは生活に直接関係のある電話だ、これによって利益を得ておるとは思われないというふうには公社当局も理解できるでしょう。中には確かにもうけておる人がおるかもしれぬ、着信があるからね。しかし発信を中心に考えた場合は、月百度数以下というのはこれで利益を得ておるとは考えられないというふうに判断することについての是非ですね。その点をひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  49. 遠藤正介

    遠藤説明員 この問題は実は昨日も御質問がございましたのですが、いまお話しの利益を得ている、あるいは消費に使っているという問題を離れまして、何と申しますか、シビルミニマムというんですか、そういった観点から御質問があったように聞いておったわけです。それで私はそういう御答弁をしたのですが、きょうの松浦先生の御質問ではその二つが渾然一体となった感じでございますけれども、百度数といいましても、百度数が全部シビルミニマムなら、百度数がいいかどうかは別として考えはあると私は思うのですが、消費的か生産的か、科学的なものかどうかということになると、これは非常にむずかしい。いま先生指摘のように着信の問題もございますし、あるいは百度数の中でも、これは小さな例かもわかりませんが、たとえば会社の持っておる寮あたり、別荘あたり、こういったようなものをそういう形で見るかどうかという問題はございます。ですから、そういった点も含めまして、この問題は従量制の場合には非常にむずかしいので、私は、将来の研究問題としては確かに御指摘のように研究はさせていきたいと思いますが、現時点でそれを、そうです、あるいはそういうとらまえ方ができますというお答えはできません。したがって、今日の時点でそれをやることも、私はそういう意味では考えられない、こういうぐあいに思っております。
  50. 松浦利尚

    松浦(利)委員 考えられないということですから、さらにもう一歩角度を変えて、それではナショナルミニマムというものをこれからは公社事業基本考えていきたいというふうに先ほど総裁からも御答弁がありました。ということになれば、いまシビルミニマムという言葉もありましたが、仮に生活に直接必要な度数が一日三度数だ。これだけはどうしても家庭で電話をするだろうというふうに仮に限定をしたとすれば、一カ月九十度数ですね。それについてはそれじゃひとつ据え置くんだ、ほかのものよりも格差をつけてもいいんだというように理解をすれば、またそのことが整理をされていくんじゃないですか。一日三通話、これはやはり必要な回数だ。月にして九十度数。ですから、月に九十度数以下あるいは百度数以下のものについては必要な回数の限度内の加入者だ、こういう加入者についてはこの際料金を据え置くというような発想は、これからの将来展望というよりも現実的な問題として処理は可能なんじゃないですか。そういう点についてはどう思われますか。
  51. 遠藤正介

    遠藤説明員 その点につきましては、シビルミニマムという見地から考えてまいりますと、いまの三度数というものの根拠あるいは四度数なら四度数の根拠、二度数の根拠という問題もございます。それから料金体系としては発信回数でとっておりますけれども、着信が一体そういう面にどれくらいあるかという統計的な処理もしなくちゃいけないと思うのであります。ですから、私はそのシビルミニマムという点では確かに先生のおっしゃったように研究課題であり非常に大事な問題ですから、またある意味では、表現は悪いですが非常におもしろい問題ですから私どもとしても十分研究に値すると思います。ただ、先生の御質問の中で、この際というところから先が、そういう研究もしないでこの際やることは私はお許しを願いたい。
  52. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それじゃ具体的にお尋ねいたしますが、月に百度数以下の加入者というのは何加入ぐらいありますか。
  53. 玉野義雄

    ○玉野説明員 五十年度の資料でございますが、事務用でパーセンテージで申し上げますと約一五%でございます。それから住宅用で約三〇%でございます。これは加重平均いたしますと二五%程度になります。
  54. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そうすると、その加入数は約何加入になりますか。
  55. 玉野義雄

    ○玉野説明員 事務用で約百五十万ぐらいになると思います。それから住宅用で六百万でございますか、ですから、大体両方で七百五、六十万か八百万というふうになると思います。
  56. 松浦利尚

    松浦(利)委員 仮に八百万と仮定をして、その八百万加入について七円に据え置いた場合、予算に比べて年に幾ら減収になりますか。
  57. 遠藤正介

    遠藤説明員 今度の料金法案は、いまの計算では、現時点で非現行かもわかりませんが六月から実施ということではじいておりますが、その場合三カ年計画で立てておりますものに対して大体二百数十億、二百五、六十億の減収というよりは、増収期待分が少ないということになろうかと思います。
  58. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま遠藤総務からお話が出ましたが二百五十億年間見込みよりも減収になる、こういうことですが、そうすると実際に今度出されておる予算の中で二百五十億というものを、先ほど言うように国民生活に必要なものとして仮に認めていったとすると、その分だけを減額措置をすればいい。そうすると、後は増収部分を考えればいいのですが、この増収部分についてはきのう阿部委員から質問があっておりますからもうくどくどと申し上げませんが、御承知のように固定資産の定率を定額に変えていく、あるいは法定外料金等の見直しをしていくということによって、年間二百六十億ぐらいのバランスというのはとれてくるのじゃないか、せめてそれぐらいのことはやってしかるべきじゃないか、私は、できれば与党の皆さんとお話し合いをしてそれぐらいのことはやはり国民の皆さんの立場に立って、せめても法の修正をするというぐらいの気持ちなんですが、一つ問題点としてお尋ねをしておきたいのですが、こういうものについては要するに減免措置として法律によらずに実施できるのではないかというふうに私は思うのですね。そういうふうに考えるのですが、そういうものについて今度の国会で、できればそういうことだけでもせめて国民に報いる道として考えていこうという意味について、法修正をやれば完全にできるのですが、仮に法修正が間に合わないとすれば減免措置として公社内部措置ができるのじゃないか、そういうふうに思うのですが、そういう点についてひとつ公社当局の御見解を承っておきたいと思うのです。
  59. 遠藤正介

    遠藤説明員 ここのところへきて松浦先生と私とはちょっと意見の違うところがございますが、その前に、数字としましては、私の方から申し上げるのはいかがかと思いますが、先ほど二百数十億と申しましたのは三年間でございますから、年間としてはもっと少ないということをお知らせしておきます。ですから、金額的には私は大した問題ではないと思うのでございます。ただしかし、金額的に大した問題でないということとシビルミニマムとして果たして利用者がそういう受け取り方をされるかどうかという問題は、私は、先ほどの不公平な料金体系になりはせぬかということを非常に恐れるわけでありまして、いま営業局長が申しましたように、事務用を含めて加入者の中で二五%近い人が、四分の一がそうだということは、果たしてこの電話というものの——確かに最近電話というものは生活の必需品でございますが、それをつけている人の二五%はそういう恩典に浴して、それがシビルミニマムというものに直結するか、あるいはそれが着信というものもあって、特に着信専門みたいなところもあります、そういったような形で世の中に出ました場合に、逆にユーザーの方々の中で不公平感を抱かせるのじゃないかという点があるので、しばらく研究をさせていただきたい、こうお願いしておるわけでありまして、それが第一点に対するお答えであります。  それから第二点の問題は、本日突然の御質問であります。確かに法律公社総裁で、正確な文面は覚えておりませんが、経営関係のない金額であればそういう措置をすることはできると思うのです。できるという規定がございます。しかし、こういう形でやるということは果たしてできるかどうか、本日突然の御質問でございますので、いましばらく関係御当局、郵政省あたりにもお伺いしなくてはいけませんので、答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  60. 松浦利尚

    松浦(利)委員 ではその点はぜひ御研究いただきたいというふうに思います。  では、次に進みます。現行法の中でこれだけ電話が普及してきますと——実は低所得者層がいま非常に困っておられるわけです。御承知のように東京都で、債券が十五万あるいは設備料が五万円でしたか、現状十五万と五万円の約二十万で、低所得者は非常に電話はつけたいのだけれども、その金が用意できずに電話がつけられない。電話債券は証券会社に売ればいいじゃないかということですが、御承知のように一万二、三千円は減価されるという状況ですから、仮に証券を市場で売買したとしても六万二、三千円の負担が低所得者に強要されるわけです。ですから、公社としては一気に金が入ってくるということ——要するに年間の予算執行でありますから、こういうものについてはある程度分納を認める。ですから、低所得者については、電話債券なり設備料については一括でなくて分納を認めてあげる。だれでも彼でもというわけにいきませんから一定の何か手続をした者については分納というぐらいの措置をしてあげて、低所得者にも、電話をつけたいときにはついていくというような道をあけてやるというようなこともこの際、具体的な問題として余り細かいことですけれども考えてやってしかるべきではないかというふうに私は思うのですが、そういう問題について公社当局の御見解をお聞きしたいと思うのです。
  61. 遠藤正介

    遠藤説明員 この点は、御案内のように、債券につきましてはいま銀行から借りるという道をすでに開いております。しかし、最近の情勢としては、一般的な経済状態がよくなったせいか、その申し込みも少ないのですが、いま先生のおっしゃったのは、要するに無利息で分納する、こういうことでありまして、しかも資格をある一定の、非常に困った方々に限定をされる、それは厚生省の基準か何かがあるのだろうと思いますが、そういう形で分納されるということについては私どもとしては異議はございませんが、郵政省がどう言うか。これは郵政省の問題でございますので、郵政省の方でそういうふうにされれば私どもは結構な話だと思っております。
  62. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは郵政大臣の御答弁を求めます。
  63. 松井清武

    ○松井政府委員 公社からの申請があれば前向きで措置したいと思います。
  64. 松浦利尚

    松浦(利)委員 次に、われわれの内容について、福祉料金という提起をしておるのです。これまた新たな提起で、もう公社当局のお顔を見ておれば、また言った、だめだというふうにお顔を見ただけでわかるのですが、しかし問題は、いま、低所得者の人についても分納を前向きに検討するという御返事が郵政当局からありましたが、今度料金値上げをしていって福祉関係については料金をある程度免除してやる。御承知のように設備料その他については先ほど大臣から、できるだけ国の助成を拡大して五十二年までにはやるようにするという御返事をいただきましたから、その点については再度ここで触れませんが、問題は、電話がついた後の使用した使用料については一定額までは無料にしてあげる。私たちのところはややこしい第一種、第二種、第三種というふうに福祉料金を体系づけて分けておるのですけれども、もう時間がありませんからそれらを一々分けてお聞きするつもりはありませんが、いずれにしても、いままでのような形ではなくて新たに福祉料金というものを認めて、大臣が言われたように前向きで、国がつけてやった電話については、国がつけてあげるわけですから、今度は維持するための使用料等について一定のものについては国がめんどうを見てあげる、それを超える部分については一般の電話料金よりも安く抑えてやる、こういう発想というのは私は前向きにやっていいのではないかと思うのです。そういう問題について、福祉料金というものについて、これは言葉は一つの仮定の問題ですが、身障者なりそういう福祉関係料金は一般よりも安く使用料を認めてやるというようなお考え、これも郵政省御当局のお考えによると思うのですが、こういう点についてひとつ郵政省の方の御見解を承っておきたい。
  65. 松井清武

    ○松井政府委員 現在におきましても、福祉電話につきましては一部地方公共団体で負担している向きもあるわけでございます。これをさらに積極的に国においてその補助を取り上げるようにということでございます。  大臣が冒頭にも申しましたように、こういった福祉政策の問題につきましては、本来的には国の政策として厚生省等を中心として一元的に扱っていくべきものであろうというふうに考える次第でございまして、そういった中で、今後とも各方面に働きかけながら努力してまいりたいというふうに考えております。
  66. 松浦利尚

    松浦(利)委員 結局監理官、いいですか、料金についてそういう者については安くしてあげる、そういうことについてのお考えはあるかないか、こういうことです。使用した料金について、将来の問題として福祉料金ということで安くしてあげる、そういうお考えはあるかないか、そのことをお聞きしておるのです。
  67. 松井清武

    ○松井政府委員 現段階におきまして、料金の決定に当たりましては受益者負担の原則ということを考えておりまして、福祉料金の導入ということを考えておりません。  ただ今後の問題といたしまして、料金体系について今後ともに常に見直していくべきであろうというふうに考えておるわけでございます。そういった中でこの問題も検討してまいりたいというふうに考えます。
  68. 松浦利尚

    松浦(利)委員 公社当局お尋ねをしておきますが、これは公社の減免措置として、仮に国が施策として行って、五十二年度までに福祉電話が低所得者のところにも身障者のところにもずっと大臣の御努力によって、国の努力によってついていく、そしてその料金についてはある程度公社内部で減免措置をとるというようなことについては前向きに御検討いただけますか。いますぐ御返事いただかなくて結構ですよ。
  69. 遠藤正介

    遠藤説明員 お答えします。  法定料金の度数料につきましては、監理官の言われている意味は恐らくこういう意味だと思うのです。公社の財務に負担をかけないで国なり市町村なりあるいは政策担当局でその一部を負担する、御本人は、いわゆる福祉料金で自己負担分が少なくなる、こういう意味だと思うのです。私どもの方は、従来からそうでありますが、端末の付加使用料ですね、そういういわゆる認可料金につきましては、やはりたとえばシルバーホンにしましても、本来五千円のものを千五百円ぐらいは公社が負担するということになりますか、そういう負担能力その他を考えましてあるいは効用を考えて認可をしていただいております。そういう面では今後とも検討していきたい、こういうように思っております。
  70. 松浦利尚

    松浦(利)委員 監理官にもう一遍お尋ねしておきます。  公社も前向きで検討するということですが、ぜひ早急にこういうものについて、福祉料金、言葉は悪いですよ、福祉料金などと言うとかちんと来る向きもあるのですからね。ですから一つの仮定として、そういうものについてはやはり将来展望として差をつけていくというふうなことについてぜひひとつもう一遍積極的に取り組んでいただきたいというふうに思うのです。どうですか。
  71. 松井清武

    ○松井政府委員 先ほども申しましたように、料金体系につきましては今後とも見直してまいりたいというふうに考えております。そういった中でこの福祉料金の問題につきましても十分に研究課題として取り上げてまいりたいと思います。
  72. 松浦利尚

    松浦(利)委員 全体の中というよりも、全体の中から抜き出してでも早急に検討していただきたいという気持ちですから、その点を生かして、全体の枠の中ではなくて、それを取り出してでも急いでやる、そういう意味のことですから、そういうふうに理解してください。もう一遍、イエスかノーかだけで結構です。そういういうふうに理解してください。
  73. 松井清武

    ○松井政府委員 先生の御意見を十分承りまして措置してまいりたいと思います。
  74. 松浦利尚

    松浦(利)委員 次に、公社当局に電報料金関係についてお尋ねをしておきたいと思います。  私は、やはり電報制度というのは公共的な使命があると思うのですね。誤解を受けておるのです。どうも電報はもうからぬからこの際切り捨ててしまえ、確かに電報のコストが高くなることは事実です。しかし郵便というのは手仕事ですから、配達という行為が伴う限り人件費が拡大をしていくのはあたりまえのことです。しかし郵便を届けるという公共的な使命があるから郵便事業は存在しておる。電報というのは人手がかかることははっきりしておるのですね、末端が配達でありますから。いつでも電報が来たら対応するだけの者を用意しておかなければいかぬのです。ということになれば、電報はコストがちょっと高くつくからこの際だんだん縮小していくという発想はとるべきじゃない。仮にコストが上がったとしても、公共的な使命の存在する限り電報事業制度というのは存続をすべきである、原則的には存続すべきである。また、場合によっては科学的に進歩してまいりますから、そういう意味では伝送形態はだんだん変わってくるかもしれません。形は変わっていく過程があるとしても電報制度という公共的な使命は永久に続く、しかも続く限りは存続させなければならぬ、そういう原則的な考え方について公社当局の御見解を承っておきます。
  75. 遠藤正介

    遠藤説明員 これは昨日もお答えいたしましたように、私どもとしては電報の将来について長期の計画を立て、これをもとに、労働問題に関係しますので労働組合あるいは郵便局の関係もございますので郵政省と今後ゆっくり詰めてお話を進めていきたいと思っておるのですが……(「きのうは早くやると言って」と呼ぶ者あり)じっくりですね。公社でできるものは早くやります。ただ労働問題に関係するものについてはそういうぐあいにしなくちゃいけない。  それで、私どもとしてはその中で考えておりますのは、電報を廃止しろという声がずいぶんあることも事実でございますが、私どもとしては電報を廃止するということは一回も申し上げたことはございません。またそういう考えもございません。電報の将来としては、きのう総裁が話をされましたように、テレグラムあるいはメールグラムというのですか、テレメール、そういった形に現在の電報が変わっていくことがあるかもしれません。しかし、それが仮に実現するまでにおきましても、数が非常に少ないかもわかりませんが、やはりチチキトクというような電報がございましたり、あるいは電話がないところの方が打たれる通信としてあるいはまた記録通信としての国民生活に必要なものがあるわけでありますから、そういったものについての扱いをどうしていくかということは一つの問題でございます。そういう意味で、これを廃止するということは一回も考えたことはございません。ただ現在のサービス料金に対してサービスのレベルが少し高過ぎるという点はあるかと思いますが、そういった点は逐次直していかなければいけない。そして将来問題としては先ほど申し上げたように、数年先にこれを基本的に考えたいと思いますが、少なくともそういう意味での電報の効用といいますか、国民生活における効用というものは、私どもも十分認識しておるつもりでございます。
  76. 松浦利尚

    松浦(利)委員 これはまた公社当局お尋ねをしておきたいのですが、電話事業と電報事業を別別に見ますと、電報がコストが高いですから重荷になってくるのですが、電報事業というのは公社事業の中の重大なものですから、国民に最良のサービスを提供するという意味の電報サービスでなければならぬと思う。ところが、いま遠藤さんの御答弁を聞いておりましてちょっと気になりますのは、何か過剰サービス気味だというような意見でありましたね。サービスのレベルが高い、こういうお話ですが、やはり独占企業であればあるだけに競争相手がおらぬわけですから、国民に対してサービスの高いものを供給するというのが当然であって、サービスが高過ぎるから下げてしまえというのでは何か御答弁が逆転しておるような感じです。より優良なより高いサービスを国民側に提供するというのが公社基本でなければならぬと私は思うのです。いまのが本意ですか。いまのは失言ですか、アドリブですか。
  77. 遠藤正介

    遠藤説明員 私はよく失言をするので御迷惑をおかけしますが、いまのは説明不足であります。つまり、電報の中でも、いろいろな種類がございまして、たとえば慶弔電報というものもございますし、いま申し上げた「チチキトク」というものもございます。ただ、現代の電報は、御存じのように、約十三倍に値上げをすれば現在のサービスレベルと合う価格であります。しかし十三倍に値上げをすれば、さっき先生がおっしゃったように、電報を打つ人はいなくなり、電報廃止と同じようなことになります。したがって、現在そんなことは考えておりません。ただ、その中で、私どもがサービスをやはり少しあれじゃないかと思っております点は、たとえば窓口の受け付けの問題ですとか、あるいは配達にしましても夜の配達というものを適正な料金で適正なサービスレベルに維持をする、こういうことは必要なんじゃないか、こういうことを申し上げるつもりであったわけでありまして、そういう意味では料金に見合った一番いいサービスを国民に提供するという本来の趣旨に沿っておるわけであります。
  78. 松浦利尚

    松浦(利)委員 御説明でわかったような気もしますが、問題は、電報を使うという場合は、これだけ電話が普及してくると、過疎地帯の人とか、電話が全然普及しておらぬところとか、あるいは国民の一番弱点ですね、先ほど言われたように危篤とか死亡とか、そういった本当にもう国民立場でいえば一番重要な段階にいくものですから、そういうものについてはレベルを高くしてやる。むしろ諸外国では警察がそういうものについて扱うというところもあるわけですね。そういうふうに、重要な、国民生活に与えるものだから、警察がそれを末端では処置していくというところすらある段階ですから、そういうものはむしろコストが高くても割り安の料金で、国民立場に立って供給してやるという姿勢こそ私は望ましいと思うのです。ですから、電報に関する限り、余り原価原価というふうに原価にとらわれていくと、これは大変高い電報で、まさしく公共的な使命というのはそのことによって終わりになってしまうわけですから、そういう点については、いまの遠藤さんの発言を聞いておると、非常に危ないので、やはりその点は慎重に扱ってくださいね。  やはり公共的な使命は存在をする。しかも初めからもうコストに合わぬことはわかっておる。人手が要るのですから。郵便事業だって、これはコストに合わないのですよ。もう鹿児島からあちらに持っていって、末端がやるのですからね。人手ですから。人手が要るということは、やはりこれはコストが高くなるのですよ。だからといって、どんどん料金を高くしていけば、それだけ、いま言ったように、一番重大な段階で使われる公共的な使命を持った電報という存在価値が失われていくわけですから、その点はやはり電電公社としては十分配慮していただきたい。そのことを基本に置いて電報行政というものを検討してもらいたい。そのことを言ってください。でないと、遠藤さんの話は、何かこううまいように聞くけれども、あなたの答弁、危ないですからね。
  79. 遠藤正介

    遠藤説明員 私は、先生のおっしゃっておるとおりのことをお答えしているつもりなんですが、言い方が下手なので、あれなんですが、電報の中にずいぶん種類がございまして、みそもくそも一緒にしますと、たとえば慶弔電報からいまの「チチキトク」まである。やはりこれによって差はつけなくちゃいけない。それから、最近は電報の性質がずいぶん変わってまいりまして、安いから、サラ金の催促に使うというようなことまであるわけです。そういったようなものもあります。私は、最小限のものについては、昨日も答弁をいたしたと記憶しますが、たとえば例文化して低廉のもので送る、こういうような形も考えるべきで、電報の種類によって違うと思います。そういう意味では、先生のおっしゃるとおりでありまして、決して危なくはございません。
  80. 松浦利尚

    松浦(利)委員 もう時間がありませんから、最後にお尋ねをしておきます。  最後に、御承知のように、きのう阿部委員指摘をしたのですが、あした電電公社の下請企業が総決起大会を開いて、国会、各政党、政府に陳情に行くそうであります。いままで、われわれ野党のところにも、恐らくほかの野党の先生方のところもそうだと思うのですが、中小零細企業の経営者、そこに働く労働者、すべてを含めて、電電値上げについての協力方の陳情が来ておるわけであります。そこでお尋ねをしたいのですが、きのう阿部委員質問電電料金値上げをしなくてもそういう受注について制限を加えた事実はない、九〇%受注しておるし、あるいはそういうことが困らないように措置をしております、こう言っておられるのですが、そうであるとすれば、あしたの決起大会なんというのは私はないと思うのです。これは私は日本の大蔵省当局の最大の欠陥だと思うのですが、何か金がないと一番弱いところにしわ寄せをする。ですから、電信電話料金を上げない、臨時国会なり何なりが開かれないという情勢を国自体が、政府自体がつくっておきながら、そのおくれに伴って金がなくなったから下請企業の発注を抑える。一番弱いところに、一番弱いところにそのしわ寄せをしている。私はこれはもってのほかの姿勢だと思うのですね。現にここに業界の新聞がありますが、「深刻さ増す通信関連産業」「遊休工場の続出も」こういうようなことが出ておるのですね。仮に私たち反対をしても多数の皆さん方でこの法案を通過させる。仮にこの法案が通ってもいままで措置した行為というのは消えないわけですね。現実にここに書いてあるように遊休工場が続出している。工場が倒産をして労働者が路頭に迷っておる。そういう情勢というのは、現実にこの法案が通ってももうもとに戻らないのです。ここに詳しく調査した結果が来ましたけれども、計測器などの取りかえ需要が二〇%近くも落ち込んでおる。基礎工程関連物品でも一〇%から二〇%発注が落ち込んでいる。そういったことが具体的に業界紙で指摘をされておるわけですね。これは本当にやるべきことではない。特に独占企業体である公社がやるべきことではない。国がやるべきことではないのですよ。それは大蔵大臣がどれだけの権力を持っておるか知らないけれども、金というものを力にして弱い者にしわ寄せをしていく、それは私は大変に問題だと思うのですね。  現実にあした総決起大会が開かれるそうです。(発言する者あり)いま不規則発言をしておる皆さん方のところにも現実に陳情が来ておるはずであります。こういう問題について一体どういうふうに大臣は責任をとられるのか。こういう事態が仮にあったとすれば、そういうことに対してもう一遍整理をして、事実そういう中小企業があった場合には過去にさかのぼって手当てをしてやる、善後措置をとってやる、それが私は郵政当局姿勢であり、あるいは公社当局姿勢だと思うのです。中小企業の皆さんのこうした非常に困っておる状況について、法案が通ればすぐ発注で進むのでしょうけれども、法案が通る前にこういう事態が出てきておる。この問題点についてどういう救済措置をお考えになるのか、その点をひとつ公社当局に明確にお答えいただきたいと思います。
  81. 三宅正男

    ○三宅説明員 昨日阿部先生お答え申し上げましたのは、少し私の説明不足であったと存ずるのでございますが、上半期におきましては、昨年度対比で九〇%程度の発注というものを大体確保することが私どもできたわけでございます。ただ、今後下半期の支出にいたします分につきましては、資金の見通しがつかないというようなことで発注を相当抑えざるを得ない。現在私ども考えておりますところでは、九月末現在での資金不足というものを考えてみますと、全体として発注額を昨年の五九%まで落とさざるを得ないであろうという見通しがございました。そのために新規の物品あるいは工事の発注というものが現在相当程度落ちてきておる。これが業界に対して非常に不安感を持たせておる原因であろう、こういうふうに存じます。したがいまして、今後料金改定が成立いたしまして資金の見通しがついてまいりますれば、これに対する措置というものもさらに追加発注という形で相当程度補い得るのじゃないかというふうには私ども考えておりますけれども、現在までのところ資金の見通しがつかないために新たな契約というものは余り行えないという状態、これが非常に問題になってまいるわけでございます。上半期につきましてはある程度の発注というものを確保いたしてまいりましたが、現在時点までではそう大きな影響は出ていないのじゃないかと思います。ただ先生指摘のとおりに、ただいまおっしゃいました計測器といったようなものにつきましては、どうしても金のない場合でございますので、従来のもので間に合わせるというようなこともやらざるを得ないということのために、品種によりますと、相当程度落ちているものもあるというのが現状でございます。
  82. 松浦利尚

    松浦(利)委員 最後に郵政大臣、これは具体的な問題でありませんからお願いをしておきたいのは、大体国鉄の下請とか電電公社の下請というものは特殊部門なんです。専門企業ですから、もう他に転換できないのです。ですからここでしぼられてしまったらよそに移れないのですよ。そういう特殊性を持っておるのです。ですから全体を一般的な不況として今度の料金値上げその他のおくれからどうだこうだというふうに一括してやってしまいますと、一番もろにここにきてしまうわけですね。ですから、むしろそういうところに限定をして、そういうところにしわ寄せをしてどんどんいくということが現実に行われてきたわけですから、そういうことが私は今後も起こり得ると思うのです。金がないと弱いところに来る。この際また新しくなられた大臣にそういう過去の経過を問うても仕方がありませんけれども、少なくともこういう特殊部門であるし、他に転換がきかないという状況ですから、そういうものについては政府の方が、特に郵政省は率先して手当てをしてやる、そういう措置は今後ともに私は必要なことだと思いますので、最後に大臣のお考え方をお聞かせいただいて、時間だそうですから私の質問を終わります。
  83. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 このたびの改定法案の成立を一日も早くこいねがっておる大きな理由の一つは、やはり給与関係と、中小企業を中心とした関連企業を何とかして打撃を少なくしたいということでございます。  御承知のとおり二千四百の関連企業、しかも従業員七十五万、年末を控えて非常に深刻で特に脆弱な中小企業関係——実は私商工会の会長をやっておりまして、私にも陳情が来ております。打撃は想像以上だと心配しておるわけでございます。これについては公社を指導いたしまして万全の策を立てて、少しでも打撃を少なくしたいと考えておる次第であります。
  84. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣、取り違えないでください。私の言っておるのは、値上げ法案が通らないから金がないからといって、下請企業に、弱いところに行ってしまったわけですね、資金がないから発注を抑えたとさっき公社当局が発言したわけですから。そうすると、これは専門でありますから、公社に発注をとめられると行くところがないわけですよ。おまえが悪いと言われてしまえば倒れる以外にない。ですから、過去起こったことについて大臣に責任は問いませんけれども、そういう資金繰りに困ったから下請企業にしわ寄せするというような行政のあり方は、これから改めてくださいよ。少なくともいままでの経過のことについての責任を大臣に問うても仕方がないから、私はそのことは大臣に求めないけれどもと申し上げておる。しかしそういう点をぴしっとしておってもらわなければいかぬ。この法案が通る通らぬと関係ない。この法案が通る以前の問題です。資金繰りが困ったからこちらの方にしわ寄せをする、そういうことだけは姿勢としてやめてもらいたい。そのことに対する大臣答弁です。その点お聞きしておきたい。
  85. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 いわゆる弱い下請方面にしわ寄せはやめろ、これについては万全の策を講じて、そういうことにしないようにこれからも適切に措置するつもりでございます。
  86. 松浦利尚

    松浦(利)委員 終わります。
  87. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時十三分休憩      ————◇—————     午後三時三十二分開議
  88. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  公衆電気通信法の一部を改正する法律案について質疑を続行いたします。土橋一吉君。
  89. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、今回継続審議と相なりました公衆電気通信法の一部改正の法律案についての質問を行う前に、私ども基本的な態度を表明いたしまして質問に入りたいと思うのであります。  御承知のように、この国会は世間でもロッキード国会と申しておりますように、ロッキード疑獄の真相を徹底的な究明をするという重大な使命を負っておる国会であると考えておるのであります。でありますから、ロッキード問題に関するロッキード隠しであるとか、ロッキード幕引きというようなことにつきましては、私ども断じて承服しがたいのでありまして、さような問題についてはあくまでもロッキード事件の真相解明、そのことによって国民が抱いておる非常な不安な状態を一日も早く解消しなければなりません。またいま言われておる灰色高官の発表問題等すべて本院の決議に従った内容で、しかも四月二十一日の五党首会談、特に両院議長の裁定などによりましてきわめて明白な事実であります。  また、御承知のように、今度の国会が持っておる、異常な不況の状態におきまして、同時にインフレが進行いたしております。したがって、国民生活を防衛をするという問題は、これまたまことに重要な問題でございます。われわれは、インフレ状態の克服や公共料金引き上げや物価引き上げの政策に対しましては、国民生活を守る観点から、さような法案とかさような問題については徹底的に反対をし、しかも審議を尽くしてその内容を国民の前にはっきりさせたい、こういう所存でこれから公衆電気通信法の一部改正に関する質疑を進めていきたいと私は思うのであります。  端的に私はお願いをしたいと思いますが、どうか私が質問をいたしました内容についてお答えを願いたいと思うのであります。いろいろ時間等の関係もありますので、冗漫に流れることなく質問の内容についてお答えを賜りたいと思っております。  それでは、次の数点について述べますが、第一の問題は、御承知のように日本の政界の黒幕とも言われ、あるいは昨日の平田議員の質問にもありますように、電電公社経営委員としていろいろやってこられた、いわゆる小佐野賢治氏の問題について、まずお聞きをしたいと思うのであります。  御承知のように、この小佐野賢治氏が国会へ証人として喚問をされまして、そして御本人のいわゆる証言が偽証の疑いがきわめて濃厚であるということも各方面から言われておるような人物でございます。また、小佐野前経営委員の問題について申しますと、小佐野前経営委員電電公社は災害応急復旧用の無線電話をつけた事実があるのかないのか、この点を第一にお聞きしたいと思うのであります。
  90. 三宅正男

    ○三宅説明員 災害復旧用の応急無線電話を小佐野当時の経営委員の自動車につけてございました。
  91. 土橋一吉

    ○土橋委員 まことに奇怪千万な内容でございますが、それでは一体どういう経過によって小佐野賢治氏の自動車に、事もあろうのに災害応急復旧無線電話などをつけたのか、その経過を簡単に説明してください。
  92. 三宅正男

    ○三宅説明員 お答えいたします。  この災害応急復旧用の無線電話、このものは大体移動用のものでございまして、特に災害救助法等の発動されますような大きな地震あるいは水害、こういったような場合に、通信ケーブル等が切れましても、災害復旧に活動する機関電話連絡がとれるようにという形で考えたものでございます。昭和四十七年から公社は、防災計画として、こういったような際に最小限の通信を確保するということのためにいろいろな手を打ってまいりましたが、その中の一つとしてこの電話を取り上げております。この電話は、一番もとを申しますと、将来自動車電話というものが必要であろうということで、いろいろ開発をしておちました中で、四百メガヘルツ帯を使いまして試作をしたものが過去にございました。この防災計画考えます際に、この試作をいたしました電話を、移動可能なものとしてこの防災通信に使ったらどうかということで取り上げてまいったものでございます。これは、災害の場合に、たとえば一般的にこれを配置いたしておりますのは、災害対策法に指定されております公共機関とか中央及び地方の公共機関あるいはその他の公共機関等に設置してございますが、いろいろな場合にこれを移動しても使えるようにということを考えております。したがいまして、これがいざ災害のときに使えなければ意味がございませんので、公社機関の一部と申しますか、公社の幹部の一部の車等につけまして、これをどういう状況で通話ができるか、あるいは常に通話が確保できておるかということのための試験に使っております。この試験の一環といたしまして、先ほど申しましたように公社の幹部の一部の自動車等につけておるわけでございまして、経営委員の車にも一部こういったようなものがついているわけでございます。
  93. 土橋一吉

    ○土橋委員 ただいま懇切丁寧な説明がございましたが、私はそういうことをお聞きしておったわけではございません。つまりどういうふうな経過でつけたのか、実はこういうふうな経過でこうつけたということをお示しくだされば結構でございました。もう一回重ねて聞きます。どういう経過によってかような電話をつけたのか。
  94. 三宅正男

    ○三宅説明員 先ほど申し上げましたように、常に試験をして使えるということを確認しておかなければいけないわけでございます。したがいまして、公社幹部等の車につけているわけでございますが、この災害対策用の電話は、実際に災害の場合にお使いになりますのは決して公社の職員というような電話に相当熟知している人ではありませんで、一般の官庁等の方がお使いになるわけですから、その一部として経営委員にも御希望があればこの電話をつけまして、試しに使っていただくということでつけたわけでございます。
  95. 土橋一吉

    ○土橋委員 申しわけないのですが、あなたのお答えは非常に冗漫に流れて何をおっしゃっておるのか——私がお聞きしたのは、どういう経過によってその電話が元経営委員である小佐野賢治氏の自動車についたのかということを聞いておるのですが、私の方から話しましょう、あなたの答弁は曲がり道をしておりますので。  これは公社から話を聞いたことで、経営委員会において説明をしたときに本人から希望が出てそして設置をした、こういう経過です。それだけ説明をしていただけばよろしいのです。  そこでお尋ねをいたしますが、この電話は現在七百台ございます。この電話は御承知のように、この文字が示しておりますように、災害応急復旧用の無線電話でございます。したがって、いま回答されたのは自動車電話と間違えた答弁をしておるわけで、自動車電話は自動車電話で開発をしておるわけです。これはこれから売り出そうとしている問題です。問題は、これは全国で七百台しかないわけですよ。しかもこれをつけておるところは地方自治団体である町村役場あるいは赤十字社あるいは消防署などの災害対策基本法第二条の規定しておるところ、それによって指定された行政機関あるいは行政機関の重要なところあるいは指定地方公共機関あるいは地方公共団体にのみこれが設置をされるということになっておるわけです。したがって、経営委員であった小佐野賢治氏がそれでは急に消防署あるいは地方公共団体になったのですか。この点をお聞きしたい。
  96. 三宅正男

    ○三宅説明員 この電話を配置いたしておきます場所は、いま先生お話しのとおりの行政機関及び公共機関でございます。しかし、私どもこの電話を常に使えるような形にしておかなければいけない。ふだんほっぽり出しておきますと、いざというときに使えなくなる心配がございますので、常に使える状態にしておかなければいけない。またどういう形で使えるかということを常に確認をしておかなければいけないわけでございまして、その目的をもちましてあちこちへ物を持って歩いてこれをいろいろテストすればいいわけでございますが、その方法の一つとして自動車に積みまして、移動した形でのいろいろなテストをしておる。これを公社の車につけてやっておったわけでございまして、その一つとして経営委員にも御協力を願った、こういうことでございます。
  97. 土橋一吉

    ○土橋委員 私の顔を見てちゃんと答えてください。そんな下を向いたり横っちょを向かないで、私の質問なんですから、あなたの態度は何かこそこそと逃げていって、失礼な言い分ですけれども、ちゃんと私の顔を見て答えてください。私はこの問題について非常な疑問を持っておるわけです。いまあなたのお話でございますと、自動車電話の開発中であって、さような電話はそれは総裁とか副総裁、あるいは話に聞きますと重要な元逓信関係の幹部であったそういう人がつけておられるということは聞いております。しかしながら災害用のいわゆる災害応急復旧無線電話なんというものをつけて走っていいのでしょうか。つまり試験用とはいいながら、これはいま申し上げたように、災害基本法第二条の規定に基づいてそういうような開発をして、しかもあなたの説明によりますと、四十七年からやっておるということです。四十七年、八年、九年、五十年、五十一年、もう五年にもなるわけですよ。まだそういうものをつけて試験をしなければわからぬようなそういう電話をつくっておるのですか。
  98. 三宅正男

    ○三宅説明員 繰り返して申し上げるようでございますけれども、この電話を常に使えるような形になっているということを確認しなければならかいわけでございますので、その確認をいたしますために、常に一部の電話を実用しておらなければならない、こういうことで車に積みましてテストを続けておるわけでございます。
  99. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、あなたの御説明によりますと、いわゆる災害応急復旧用の無線電話、そういうものはまだ試験中だというような説明にしか聞こえないわけです。現に五年間以上もたっておって、その性能、感度はどういうものであるか、たとえばこの電話でございますと、周囲大体二十五キロぐらいある局から、これがちゃんと通話ができるわけです。ところがいまあなたの方で開発をしておる自動車電話というものは、大体五キロ前後しかその通話ができないということも言われて、目下開発中である。これは自動車の後ろの荷を入れるところへそういう設備を入れて、そして聞くという。これはちゃんとサックに入って持って歩くようになっているわけだ。そういう災害応急的なものを何で小佐野賢治氏が持って歩かなければならぬのか、どういう理由があるとあなた方は推定しておるのですか。ロッキード疑獄の黒幕の一人と言われておりますよ。
  100. 三宅正男

    ○三宅説明員 先ほどから私試験という言葉を申し上げておりますので、あるいは先生はまだこの電話がだめなものか、こういうふうにおとりになったのかと思いますが、ちょっと言葉が足りなかったのでございますが、私どもで試験と申しておりますのは、常に使える状態であることを確認していくこと、これを試験という言葉を使っておりますので、部内の言葉を使いましてどうも失礼いたしました。
  101. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、あなたの見解によりますと、これは災害復旧対策をしなければならない地方自治団体であるとか、病院であるとか、あるいはそういうものに類似する公共機関がちゃんと設置をするということになっておるのに、小佐野賢治氏が勝手に自動車で飛び回っておったのは、そういう内容に該当することとしてこれを許したのですか。そういうあいまいな態度でやったのですか。
  102. 三宅正男

    ○三宅説明員 この電話設置いたしますのは、いま先生のお話のとおりに公共機関等でございますけれども公社といたしまして、試験を続けますために公社立場でいろいろ試験を続けてこれを常に使える状態にあることを確認していくことが必要でございますので、公社の一部の車につけた、こういうことでございます。
  103. 土橋一吉

    ○土橋委員 それでは、その電話がロッキード隠し、ロッキード陰謀についてどういう関係を持っておるかを私の方で説明いたします。  御承知のように小佐野賢治氏は、米澤総裁もこの間お答えになっておったように、二月の休日がはさんだときに休んだ。その休んだのはどういうことで休んだのかはわからない。平田議員からきつく質問がございまして、経過の内容はあなたは詳しく説明ができませんでした。この前の質問と同じような内容を、山本総務理事もきのうおやりになったと思います。このとき、小佐野賢治氏は二月の十二日の午後一時、ソウルの金浦飛行場にハワイから到着しておるわけですよ。そうして次の十三日の夕方、金浦飛行場から大阪の飛行場へ飛んで、そして新幹線に乗って小佐野賢治氏の常宿であるところの、有名なダーチャーのようなところでしょうか、結局は箱根の別荘、その名前は何とか申しましたね。そこへ到着して、そこで三日ほど休んでおったようにうかがわれるわけです。それで、十六日のたしか証人喚問で東京へ出てくるときには新幹線に乗ってきた。自分の自動車を、その十三日に、横浜であるか小田原であるかはっきりしないが、その自動車にこれがついておるわけだ。したがって、この自動車の中で彼がどういう通話をしたかということはわかりません。このときは大韓航空の社長の趙さんも乗っておるわけだ。彼の弟も一緒におるわけです。そうしますと、この電話をつけて小佐野賢治氏は自宅の模様もいろいろすぐ調べることもできるし、またロッキード隠しに直接、間接につながるようなそういういろいろな行動をするということが、結果的には十分推定のできる状態であります。そうなってまいりますと、私は当初この発言をいたす前に、ロッキード隠しや幕引きは断じてわれわれは許さない。また、そのようなことに手を貸すような電話をつけてやって、そういうようなことに協力するということは、結局電電公社は小佐野賢治氏のロッキード隠しに手を貸し、しかも彼がそういう点についてぎわめて有利な立場に立つように利用したのではなかろうかという疑惑がきわめて濃厚であります。  そこで、私は米澤総裁にお聞きしたい。こういう一連の事件を考えますと、あなた方は、もう彼はやめました。しかしながら非常に疑惑のある人物でございます。そういう者に、頼めばつけるなんという安易な考えで、しかもこれは災害復旧に関する災害基本法第二条の規定に基づいて、そういうところだけ大体つけるというものをなぜつけたのか。また、なぜそういう安易なことをして、とかくうわさのあった、しかも本会議でもわが党の平田議員が罷免を要求しておったような事態のときに、これをかばってかばってそういうものをつけさせて、ロッキード隠しに手を貸したと言っても私は過言ではないように思うのですが、総裁どう思いますか。
  104. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  小佐野賢治氏が経営委員の一人でありまして、最初ちょっと三宅君が言いましたが、これは旧型の自動車電話の性能を持っておるわけでありまして、並みの四百メガサイクルというのが災害復旧用のものであるので、災害復旧というふうな形になっておるわけなんですが、その自動車無線の話が経営委員会で出たときに——経営委員会で技術的な報告がしばしばございます。それで、そのときはまだロッキードが起こっていないときでありまして、本人がそれをつけてほしいということで、経営委員でありますから、総裁、副総裁経営委員でありますが、私たちの車にもつけております。そういうことで、まだロッキードが起こっていない時点だということでございます。それから、おやめになったすぐ次の日に撤去した、こういうことでございます。
  105. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうすると、やめられたのはいつでございますか。
  106. 米澤滋

    米澤説明員 ちょっとはっきりした日にちは……。たしか八月の二十四日にやめて、二十五日に撤去したのだと思います。ちょっと日にちがずれるかもしれません。
  107. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうするとあなたは総裁として、すでに国会に二月の十六日に喚問をされ、さっき申し上げたようにハワイから帰ってきて三日間、仙石原の彼の別荘に弟の政邦さんという方とそれから大韓航空の趙重勲さんという社長さんと一緒に泊まって、そしてこの趙重勲さんは明くる日の飛行機で大阪からソウルへ帰っているわけです。あなたの御説明によると、そういうとかくのうわさがあって、とにかく国会にも喚問されて、小佐野を偽証罪で訴えようという意見が堂々とやられている中で、知らぬ顔してそれをつけさせておった。これは善良なる総裁が、自分の業務上、管理上の注意が足らなかったと言っても過言でないと思うが、あなたはどう思いますか。
  108. 米澤滋

    米澤説明員 小佐野賢治氏の問題は、たしか前の村上郵政大臣のときも国会質問がありまして村上大臣お答えになっていると思いますが、そのお答え等も考えまして、そういう新聞に記事が出たから直ちに撤去しろと言うのも、これはちょっと公社としては行き過ぎじゃないか。したがって、結果的に見ますとあるいは管理に不十分があったのかもしれませんが、つけたときは、ほかの経営委員にも実はついているわけなんで、経営委員の中でつけたいという方があった場合にはつけたわけでございます。小佐野氏だけにつけたわけじゃない、そういうことでございます。
  109. 土橋一吉

    ○土橋委員 これをつけているのは、私の方の調べた材料によると、大野勝三さんとあなたと副総裁と、そして小佐野賢治君ですよ。あなたがもしそういう疑惑を抱かれて、私は潔白だ、潔白だと言いながら、実はあの男は黒幕だ、田中角榮は逮捕された、これの刎頸の友だとか、世間では虎の門事件だとかいろいろなことが言われておる。なぜそれについて、こういううわさがありますので、これは公の公器ですからどうぞお返しを願いたい、これがあたりまえじゃないですか。それをあなたは、二十四日にやめて二十五日までほったらかしておくというのはどういうわけですか。また、そういうことを補弼をしない電電公社の幹部は一体何をしておるのか。この席上で私にこういう追及をされるようなことを、山本さんやそうそうたる幹部がいて黙ってこれを見ておったというのはどういうわけだ。両名の責任も私は追及しますよ。あなた方は高禄をはんでいて、しかも電電総裁米澤さんは非常にまじめな人だ。その人がここでこういう質問にあって、しかも答弁が満足にできない、その責任が追及されておるという事態を知っていながら、なぜそういう意見を出さなかったのか。この両者の代表の責任について私はもう一回答弁を聞く。米澤さんとだれか代表してきちっと言いなさい。
  110. 山本正司

    ○山本説明員 繰り返しになると思いますが、お答え申し上げます。  先ほども総裁から答弁がありましたとおり、また村上郵政大臣からも答弁がございました。その時点におきましては、小佐野委員の欠席日数その他からいたしましても、経営委員としての適格性についてその当時としては問題はないのだ、こういう御答弁でございまして、その時点においてただいまの災害無線電話を撤去することは、公社といたしましても行き過ぎではないか、いかがなものか、こういうことで、辞任が明確になるまでそのままの形で置いたわけでございます。
  111. 土橋一吉

    ○土橋委員 それではもう一回、山本さんと米澤総裁お尋ねをします。  御承知のように、新聞やテレビをあなた方はよくごらんに相なっておると思うのですけれども、小佐野賢治氏の風評、評判というものは全国的にもはや子供の遊戯にもなるほど、小佐野賢治が言ったように、私は記憶はございませんとか、失念をいたしましたとか、子供の遊戯に使われるほど小佐野賢治というものに対しての全国的な評価といいましょうか、物の見方というものが決まっておる。しかも国会では、この問題について共産党の平田議員とかその他の議員の皆さんがこれを罷免すべきではないかと言っておるのに、国会の言うことを聞かないでおいて、そのことについて郵政大臣にも具申をしないでおいて、本人がやめると言うまで黙ってほおっておくというのはどういうわけなんですか。それでも国会を尊重しておるとあなた方は言えますか。われわれは国民代表として、また共産党・革新共同の代表としてちゃんと筋の通った質問をし、要求しているのであります。要するに、国会法の規定でも憲法でも保障された基本的な行動をわれわれは行っておるのであります。その意見を聞かないでおいて、本人がやめるまで、つまり十月なら十月までもほったらかしておくというような、そういう怠慢な態度を国会に対してとってよろしいでしょうか。委員会の発言をそんなに軽視してよろしいでしょうか。もう一回、これは米澤総裁にお聞きしたい。
  112. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  委員会の御意見は一番大事にするというのが、私の公社に対する指導方針でございます。
  113. 土橋一吉

    ○土橋委員 事実は大事にしていないじゃないですか。本人がやめるまでほったらかしておいたじゃないですか。それも一週間とか十日とか二十日という期間なら、これは忙しいというお互いの関係もあるけれども、二月の十六日に証人として問題を出して、再喚問しろ、偽証罪の告発をせよ、それで小佐野賢治はこんな人間だ、あんな人間だと、もうそれこそあらゆるものが書いて、週刊誌も書いておった。新聞も連日書いておった。それでも、国会で追及を受けたって知らぬ顔をしておる。それこそ何とかの念仏みたいなかっこうをしておいて、そして本人がやめたと言ったら、明くる日そいつを返してくれなんて、こんなとんまなことをやっておるから、電電公社国民の要求にまともにこたえていないじゃないですか。国会のわれわれの質問に対してまともにそれを受けていないじゃないですか。先ほどのあなたさんの御発言だってそうですよ。ごまかそう、ごまかそう、灰色にしようということが、聞いておってありありとわかるような、そういう答弁の仕方をしていらっしゃる。私にはそういうように見えた。私の言ったことについて答えてくださいよと言っておるにもかかわらず。どうですか、福田郵政大臣。あなたも大変ですけれども、いまのような状況下におきまして、これは米澤総裁の責任もさることながら、この電電公社の幹部諸君の全く弛緩をした状態、そういうものに対して鋭敏性を持っていない。こういうことに対してあなたはどういうふうに感じていらっしゃるでしょうか。御所見を承りたい。
  114. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 結果的に見て確かに配慮が足らなかったということを認めたいと思います。
  115. 土橋一吉

    ○土橋委員 重ねて郵政大臣お尋ねをいたしますが、配慮が足らなかった結果はどういうふうになるのですか。ただ配慮が足らなかったというだけでこういう問題が済まされるでしょうか。こういう問題については、やはり信賞必罰の原則に従いまして減俸の処置を講ずるとか、少しきついかもわからぬが降職をするとか、二度と再びこういう事件を起こしてはならない。総理などがよく言うように、災いを転じて福とするというような基本的な体制をとらなければいかぬのじゃないでしょうか。ただ遺憾なことだ、申しわけないというだけで、この場だけの答弁をして済む問題ではございません。  と申しますのは、これからいろいろ質問をいたしますが、電電公社のこれに類似したような問題がどっさりとあるわけです。あにこの問題だけではございません。たとえば米澤総裁の後任問題だって、電電公社はどんなことが書かれておるのか、恐らく幹部の方いろいろお読みになって御承知でしょう、どういううわさが立っておるのか。見るにたえないようなことが書いてありますよ。電電公社の政権争奪戦といいましょうか、自民党さんもおられますけれども、自民党さんの政権争奪戦どころではございませんよ。こういう点をつけ加えて、いま一度大臣の、ただ悪いというのじゃなく、どういう措置をして今後さような体質を直すかという点についての御所見を承りたいと思います。
  116. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 総裁以下に厳重に注意を与え、今後こういうことのないように注意をいたしたいと思います。
  117. 土橋一吉

    ○土橋委員 委員長並びに委員先生方、いま大臣答弁されましたように、これが実行されるよう私どもは厳重に監視をし、また監督をしなければならぬと思っております。この問題については、技術的な問題やあるいはあなたの方で出された資料等でいろいろございますけれども、この程度で一応この問題は私は打ち切らしていただきたいと思います。  次は、先ほどもある議員から質問もございましたが、私は端的にお聞きをしたい。公共企業体等労働関係法規に基づいて御承知のように公労委の裁定が出て今日に至っておりますが、いつ裁定が出て、その裁定案の内容、その金額は何ぼというような、その経過をごくかいつまんでもう一度はっきり聞かしてください。
  118. 松井清武

    ○松井政府委員 公労委の裁定は五月二十二日でございます。その内容は、基準内賃金を四・五%引き上げますことと、プラス一律二千七百五十円のアップを内容としております。
  119. 土橋一吉

    ○土橋委員 パーセントにしますと何ぼですか。
  120. 松井清武

    ○松井政府委員 これをパーセントに換算いたしますと、ベア率は六・六八%でございます。定昇を含めまして電電公社の場合九・二%に相なります。あとは原資の点でございますか。
  121. 土橋一吉

    ○土橋委員 それだけでいいです。五月二十二日に公労委が裁定を出しまして、そして六・六八%の基準内賃金の上乗せをせよという裁定を出して今日に至っておる。  そこで私はお尋ねをしたいのですが、公労法の諸規定、この公労法自体が憲法第二十八条違反の疑いも顕著でありますけれども、いずれにいたしましても、公労委の裁定、すなわちこれは三十五条の規定によって最終的な決定をしておりますね。そしてそれを本来ならば即時完全実施をしなければならない電電公社が、なぜ今日に至るまで遅延をしたのか。五%は従来予算に組んでおりましたから、一・六八%だけ上乗せをすればいいわけなんだ。それだけの金が電電公社はどうしで出せなかったのか、その理由を簡単に説明してください。
  122. 山本正司

    ○山本説明員 お答えいたします。  公社は、公労法三十五条の規定によりまして仲裁裁定に従う義務があるわけでございまして、ベースアップの仲裁裁定につきましては、これを完全に実施したいというふうに考えておるところでございますが、公社の財政状況からいたしまして、資金上、予算上、公社限りでこれを実施することはきわめて困難な情勢にありまして、政府に対しまして必要な措置をお願いしたところでございます。
  123. 土橋一吉

    ○土橋委員 公労法の規定の三十五条で書いておる内容は、いまあなたもちょっと触れられましたが、「委員会の裁定に対しては、当事者は、」つまり電電公社と全電通労働組合は、「双方とも最終的決定としてこれに服従しなければならず、また、政府は、当該裁定が実施されるように、できる限り努力しなければならない。」これは本文です。  郵政大臣にまたお聞きをいたしますが、あなたは自由民主党の幹部としてこの問題を御承知だったと思うのですよ。政府はどういう努力をしたのか、あるいはあなたの現在の心境は、まあ議決案件として上程はしておりますけれども、しかし、現在あなたとしてはどういう努力をする考えでいらっしゃるでしょうか。自由民主党の幹部としてこの問題をどういうふうに努力されたか、また、現在の郵政大臣としてどういう努力をされようとしておるのか、簡単に所信を表明していただきたい。
  124. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 公労法三十五条を基本的に守ることはもう政府の一貫した方針であることは御承知のとおりでございます。また、裁定が行われました後これは直ちに実施するのがもちろん理想的なものでありますが、御承知のとおりの財政状況で資金の目当てがつかず、そういう結果でいままでおくれておることはまことに遺憾に考えておるわけであります。同時にまた裁定を必ず実施するという基本方針、たとえば閣議におきましても、官房長官談話の際に私ども発言しまして、まず料金改定法案を先にうたって、後で仲裁裁定を実施したいというのは間違いじゃないか、まず原則として三十五条実施をはっきりして、その後でやるべきだということを発言したこともございますが、あくまでその基本線は守るつもりでございます。
  125. 土橋一吉

    ○土橋委員 この問題は九月二十日に、御承知のように値上げ法案成立があくまで前提という態度を自由民主党の現閣僚会議でこれを決定して、そして議決案件として国会へ御承知のように上程いたしました。それから二日ほどたって井出官房長官の談話という形式で、運賃、料金関係法案の推移を見ながら政府の態度を決める、こういう発表をして、結局値上げ法案と絡ませなければこの問題の解決をしないぞという態度をとったわけですね。これはきわめて不当じゃございませんか。先ほど申し上げたように、国民生活が異常な物価高、異常な困難な挾撃に遭っておる中において、国民生活を守らなければいかぬということがこの国会の重要な使命であるとわれわれは考えておる。にもかかわらず現内閣においてこういう国民の、何十万という、三十二万近い全電通労働者、国鉄の労働者も恐らくそれ以上の労働者がいると思うわけであります。これに関連をするのはそれだけじゃございません。たばこ専売もあれば、要するに公共企業関係と言われるすべての労働者に影響する。同時に国家公務員にも関係してくる。こういう働く人々の経済を豊かにして、そうして不況克服の一助にもなるわけだ。それを政府自身が自分から拒んで絡めて、そしてこの法案が通過すればいいけれども、通過しなかったときにはまた延ばしてしまう、こういうようなことをやるということになってくれば、これは政治的な犯罪行為と言わなければならない。国民生活を顧みない、自由民主党三木内閣というのは。その一体の原則に立っておられる国務大臣のあなたさんが一体どうするんですか。電電公社米澤総裁もこの間言いました。きのうもあるOという議員の答弁に言われました。私たちはここ十万に余る配置転換を完成した。同時に中継自動化の問題も完成したことは、これは労働者の皆さんが私どもの精神をくんで協力されたものと私は信じておりますという趣旨の答弁を二回ぐらい米澤総裁はこの席上でおやりになった。その米澤総裁がいる中で、それを監督しているあなたが、電電公社には後で聞きますけれども、どういう措置をするのでしょうか。この点を明確に聞かなければ——松井さんはいいですよ。福田郵政大臣のきちっとした態度を聞かなければいかぬ。
  126. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 先ほど申し上げているとおり、あくまでわれわれは完全実施を最大の課題として、これを貫くつもりでございます。
  127. 土橋一吉

    ○土橋委員 そのお言葉を文字どおり私は受けとっておいて、最大の努力をしていただく。  それじゃ米澤総裁お尋ねしますが、あなたの方はそれだけの労働者に対する非常に深い配慮を持った発言をしておられたと思うのですよ。それならば、あなたの方で、五%はもう既定の方針のものです。上乗せしたのは一・六八%ですよ。その金額は大体どれぐらいのものになるのか。それは一体財政上、予算上どうしても捻出ができないというそういう膨大な金額であるかどうかを説明してください。
  128. 山本正司

    ○山本説明員 仲裁裁定によります所要資金の総額は、繰り入れ分を含めまして六百八十億円でございまして、五%分がそのうちの五百二十五億、不足分が百五十五億、こういうことでございます。
  129. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、不足分というのは、つまり一・六八%がいまあなたのお話でございますと五百二十五億になるのですか、百五十五億になるのですか。上乗せするだけしか裁定は出しておらぬわけですから、あなたの方の予定では大体五%上げて予算を組んでおられたわけですから、本当にあなたのところの痛い腹でぎりぎり裁定に服従してやるということになれば、一・六八%しか痛いところはないわけです。後は既定の方針どおりなんですが、その金額は何ぼでしょうか。もう一回。
  130. 山本正司

    ○山本説明員 予算に計上されております給与改善費五%分は五百二十五億でございますが、本年度の公社財政は六月一日の料金法案の成立が遅延いたしておりまして、毎月六百五十億程度の資金欠陥を生じております。したがって、予算に未計上の百五十五億は金額としてはわずかなものでございますが、公社財政全体から見ますと、やはり予算上、資金上実施が困難だ、こういう状況判断がいたされるものと考えております。
  131. 土橋一吉

    ○土橋委員 あなたのいまのお話で、困難だと思ったというふうに答弁になりましたけれども、少なくとも百五十五億であるとかあるいはそのちょっと上ぐらいな金額に当たる、仮に一・六八%の金額はそういうものであるとするならば、大電電公社がそれぐらいの金の捻出が予算上、資金上どうにもできないなんて、そういう内容のものでしょうか。これが一兆円であるとかあるいは八千億とかいうことになってくると、それは予算上、資金上とてもじゃないがやっていけないということが言えるけれども電電全体の総支出なんかから見ますと、そう大量な金じゃないように思うのです。私は、この中には何か政治的な圧力でも加わったのじゃないか、米澤総裁を初めとしてやりたいけれども政府がああいうようなかっこうでやったからどうもやりにくくてしようがないというような面があるのじゃないかということを懸念しておるのですが、どうでしょうか。
  132. 山本正司

    ○山本説明員 電電公社といたしましては、先ほども申しましたとおり、公労法三十五条の規定に従いまして、仲裁裁定の完全実施をしたい、こういう考え方を持っておるわけでありますが、ただいま申しましたような資金及び予算上の問題もございますので、その辺の措置を含めて政府に実施方の措置をお願いいたしたわけでございます。
  133. 土橋一吉

    ○土橋委員 あなたのお話を聞くと、それだけの電電の総支出から見ればわずかなものなんですが、そういうものもできない。政府にこの内容を、自分たちの独断と言っては語弊がありますけれども、自分たちの資金のやりくりその他によって、あるいは借り入れ等によってこれだけの措置をして、そして早く支給してやるという措置がどうしてできなかったのだろうかと私は思う。いま大臣も非常に遺憾だと言っておるわけです。そういうことは非常によくないことであるとおっしゃっている。そういうことから見ると、どうもその間に皆さんの全電通のいわゆる職員、労働者の皆さんに対する相済まないようなことが起こっておるのじゃないかという気が私はしてならない。そういうことで済まされる問題ではないわけですよ。先ほど申し上げた。それを支給することによって不況対策の一助にもなるだろうし、働く労働者に勇気がわくでしょうし、また電電公社の全体のそういう機能を確立するというような観点からも、大臣に、むしろ私どもに出さしてください、何とか工面するからひとつやってくださいというような措置をとるべきではなかったかと考えられてしようがないわけです。  それじゃ総裁に、最後に、そういうことに対する私の所見に対してはあなたはどう考えていらっしゃるでしょうか。
  134. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  電電公社といたしまして、仲裁裁定は一〇〇%守るというのが原則でございまして、その線で私も努力いたしましたが、詳しく申し上げますと、これを実施する場合には、いわゆる給与総額制度というものがありまして、私に自主能力がない。したがってこれがいま延びているということでございます。
  135. 土橋一吉

    ○土橋委員 でありますから、どうか今後、いままでもそういうことをずいぶんサボったり、三十五条ただし書きの規定を適用して、それで十六条の規定にひっかけてきて、そして御承知のように議決案件などと言って、多くの労働者を困らせ苦しめてきました。このことは、日本経済全般においても不況克服の重要な一つのかぎにもなっておるというふうに考えておりますので、今後さようなことのないよう、私はここで重ねて大臣及び総裁の御所見を聞いて、次の問題に移りたいと思います。
  136. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 今後このようなことのないように極力努力をいたします。
  137. 土橋一吉

    ○土橋委員 総裁いかがですか。
  138. 米澤滋

    米澤説明員 先ほど申し上げましたように、仲裁裁定は実施するというのが公社考えでございます。
  139. 土橋一吉

    ○土橋委員 それでは、次の問題に移ります。  これは御承知のように、ここの席にも座っていらっしゃる方で、電電の最高幹部の一人の方でございますが、この方が最近御承知のようにいろいろな週刊誌とかあるいはそういうとこでPRをしていらっしゃるのです。その内容を私もいろいろなもので見ております。傾聴すべき点もたくさんございます。また傾聴すべからざるものも半々、いろいろございます。御本人の発言等から見まして、私も憂慮にたえないようなところもございます。後でまたそういう点も指摘したいと思いますが、ここで特にその方の御説明によりますと、住宅用の電話赤字の根本だ、これがなくなってしまって、営業用の電話にさえなればもう電電は心配ない、そういうことを仰せになっている個所が随所にございます。少なくとも電電の幹部としてそういうことを仰せになることはむしろ自殺行為ではないか。と申しますのは、御承知のようにこれから八〇%も伸びようとする住宅用電話赤字の根本原因で、こんなものをぶち切ってしまえば、営業用の電話さえつけておればもう何のことはない、そういうふうにとれるような節の御発言が出ておるわけですね。  そうなってくると、私は米澤総裁のところに、ちょうど一月の四日でございましたか、あなたのところに参りまして、紺野与次郎議員や山中参議院議員などとともに、住宅用電話赤字ということになっておるけれども、そういう措置についてはできるだけしないように、またそういう法律案を出さないように御配慮願いたいということで、山本総務理事立ち会いで、寒いときにあなたのところの応接間に行きまして、お願いに上がったことがございます。御記憶がございますか。——こっくりしておられるから、そうですね。  そのときにあなたはどういうふうに仰せになったかというと、いや、これから将来の住宅電話は、八割はそういう電話がふえるのです、しかしながら、私はその問題については住宅電話を敵視してはおりません、今後架設の八割は住宅用電話でありますが、将来は公社の増収のかぎとしたい、こういうような趣旨のことをあなたはおっしゃったと思うのです。そのときみんなが、米澤総裁は非常にわかる人だ、本当に赤字電話を敵視をする幹部もおるけれども、それは将来の増収対策の重要な一つ基本であるというような説明であったというように私は記憶しております。これにもちゃんとそういうふうに記録に書いてございますが、この点は間違いございませんでしょうか。
  140. 米澤滋

    米澤説明員 私のあのとき言ったことはそのとおりであるというふうに思います。ただ、先ほども申し上げましたように、この住宅電話というものを公社は決して敵視しているのではなくて、むしろこれからは住宅電話が八割五分ぐらいになるので、住宅電話が今後ふえることにおいても、なおかつ公社の財政が健全化するような、そういう料金体系が必要であるということをつけ加えておきます。
  141. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、総裁はいまおっしゃったような説明で、できるだけ角の立たないように、しかもそういう八割も増強していく電話についてはそういう観点で他の面からカバーしながら、この住宅用電話はけしからぬけしからぬというようなことから一歩ぬきんでておられる説明をされておると私は思うのですよ。  そこで、電電公社が今日までやってきた「住宅用電話の“赤字宣伝”」という題で新聞も報道しておりますが、この内容を見ますと、端的に言いますとこういうふうになっておるのですね。「政府は五十一年度に電話料金を大幅に値上げすることにしていますが、電電公社は“住宅用電話料金収入が少なく経費ばかり食うから赤字になる”として、「電話は使っても使わなくてもかかる費用はあまり変らない。住宅用電話は月平均収入二千六百円だが、これにかかる費用は事務用電話と同じ」などと宣伝しています。」というふうにこの新聞は書いているわけですね。そしてまた「しかし実際の電話の設備は、利用度に応じた規模になっています。したがって費用が「電話は使っても使わなくても同じ」ということはありえません。電電公社は「赤字」だといいながら昨年、大企業などのデータ通信の専用料金を値下げしましたが、この“住宅用は費用ばかり食う”という宣伝も、電話事業の大企業の優遇の実態をごまかそうとする一つです。公社電話設備の実態を東京都内の例でみると、大企業の事務所の集中している千代田、中央区の加入一件当たりの設備は、三多摩・島部の場合の約四倍の規模になっています。このため保守・運用費、設備償却費など諸経費も当然、大きく違ってきます。全国の電話網設備はこうした電話局設備と市外通信路設備からなっています。そして、この市外通信路設備も「電話の使用量」に応じて、大都市、大企業中心に設備されており、全国的にみても一日のうち、ビジネス通話の最盛時(午前九時〜十時がピーク)の通話をこなせるように設備されているのです。一方、住宅用電話も一日のうちピークはありますが、夜間で、しかもビジネス通話よりずっと低いものです。つまり、全国的にみれば、千八百万世帯が加入している住宅用電話は実際上、企業中心に設備された電話網の「使われていない時間」を使って料金を支払う仕組みになっているのです。したがって、料金値上げによって住宅用電話が増収になれば、公社は大きくもうかり、大企業をますます優遇できるわけです。」こういう解説を加えておるわけですが、ここでこういうことを表として挙げておるわけです。「電話加入数」というので千代田、中央区、これは七四年の末のちょっと古い資料ですが、この千代田、中央区では二十七万六千台の電話があるわけです。それから豊島、板橋、北、練馬では五十二万七千台の電話がついておるわけです。そして、三多摩と島のところ、これは八十二万九千台の電話加入数があるといったわけですね。それで、今度「住宅用電話比率」はどうかというと、千代田、中央区は六・八なんです。これが先ほど申し上げた豊島、練馬、板橋、北では六一・八%、三多摩と島部では七五・一%なんです。そして、「加入者当り呼率」というものが千代田、中央区では〇・一六〇なんです。ところが、豊島、板橋、北、練馬では〇・〇四七です。三多摩の場合ですと、〇・〇三五なんです。そして、「一〇〇加入当り交換設備数」を見ますと、千代田、中央区が五・七四くらいです。ところが、豊島、板橋、北、練馬は一・八六の状態です。片方、三多摩と島部は一・五二なんです。これらの事実から見まするならば、これは結局、住宅の多いところには、市外局間における施設の問題あるいは市内局間におけるいわゆる通信の、たとえばA型交換機であるとかあるいはその線路であるとかそういう施設、それから市内局から市外局に至るいわゆる路線ですね。たとえば、いろいろな施設、そういうもの全体から見ますと、どうしても営業用の電話の方が最も忙しい時期においては、その比率は住宅用の電話と比べると大体二二・七%がいわゆる住宅用の電話です。そして、それ以外のパーセントは大体業務用の電話が使っている、こういうことがあらゆる資料に出ておるわけですよ。そうしますと、結局、電電公社がいつも話しているように、自宅から中継する場所及び市内局までの一切の電話機とかあるいは増幅機とか電線とかというものは、営業用も住宅用も全部同じわけです。それから市内局へ入ってきて、交換機からそういう一切の電力とか設備とか建物、それが今度市外局に行く、その間のいろいろな施設、こういうものから見ると、いわゆる自宅につけておる電話の部分というものはごく少数なものであって、大部分を——どういうふうに営業用の電話と住宅用電話をピーク時に使うかという問題が一番大きな問題になりてくる。そうすると、コストの上から言いますと、営業用電話の方が大体七割ぐらいで住宅用電話が三割、正確に言うと二二・七%ぐらいの比率になっておるのですよ。  そうしますと、電電公社のたてまえは、住宅用の電話も営業用の電話も一緒だから、同じように経費がかかっておるんだから、だからその差はない、こういう説明を常にしておりますけれども、実際のコストのそういう重要設備部分を使う割合から見ると、明らかに営業用の電話が七〇%を使用しておる。そうすると、コストの効率関係から見るならば、その重要な部分のすべてのものに対する保守あるいは管理あるいは改善あるいはそれに対する減価償却、そういうものに対する比率は明らかに営業用電話が大きな比重を占めなければならない。そこを同じようについておるんだからほとんどその差は一〇%くらいしかないというような説明をあなたの方でもしておるわけです。これは私は間違いだと思うが、専門家の方で結構です、あるいは総裁でも結構です、どう思うのか。
  142. 輿寛次郎

    ○輿説明員 お答え申し上げます。  ただいまいろいろな資料を御説明されましたが、いま最初に挙げた記事は、恐らく一月四日の赤旗の記事でなかろうかと思っておりますが、ちょっとその辺については私らもよくは存じませんが、いわゆる言っているところに多少一方的なところがありはしないかと思っておるわけでございます。と申しますのは、確かにトラフィックは事務用と住宅用とは違うことは事実でございまして、また、電話設備はトラフィックに応じて設備していることも事実でございます。その点は確かでございますが、先ほどお話しになりましたように、まず電話局から加入者までの線路の設備というものは同じでございます。むしろこれは逆に住宅用の方が広い地域にまたがっておりますから高くなるという要素がございます。  それからまた、確かに市外交換機あるいはその他の交換機類はトラフィックに左右されるものでございますが、これもいわゆるトラフィックがふえるからそれに従って比例するものではございません。やはりピーク時におきましても三分の一程度の住宅用トラフィックがございますから、そういったものもはかさなければならないということでございます。また、市外線路につきましても同様でございまして、そもそも三千万の電話がわれわれのネットワークはどこからでもいつでもつながることになっておるために、大体の確率的なことは予想されても、やはりここはないであろうというようなことで設備を抜くわけにはまいりませんので、そういった意味ではやはりある程度の設備は必要でございます。また、たとえば住宅用でまいりますと、夜間の八時になりますと割引がありますが、そういったためのピークが出るというようなことがありまして、そういった面の交換機の増設等も必要でございます。  そういったことをいろいろ総合的に検討してみますと、先ほど御説明がありましたように、われわれもぴったりイコールとは申しませんが、やはりそれ以外の要素を含めまして住宅用と事務用のいわゆる支出というものはそんなに差がないのではないか、そういう説明をしておるわけでございます。
  143. 土橋一吉

    ○土橋委員 第一、あなたの御答弁の中で、この新聞は赤旗だと、一方的だということをたしか仰せになったと思うのですよ。どこの点が一方的か。それでいまの発言は、赤旗に対する誹謗を含めたような意味を込めて一方的だと言っておるわけだ。どの点が一方的なのか、まずこれを解明してください。  それで、私がるる説明をいたしましたね。つまりピーク時における使い方のコストから見ると、七〇%と三〇%、場合によってはたとえば二二%と七八%ぐらいの比率じゃないか。そうすれば、その比率を占めておる交換、たとえばA交換機であろうとクロスバー交換機であろうと、あるいは市外局から市外局に通ずるそういう施設、それはマイクロウエーブもあれば同軸ケーブルもあるでしょう。しかし、そういう高価なものを使って現にピーク時に備える体制を常にとっておるわけだ。そこで、ピーク時に使うものは営業用電話が七割使っておって、家庭用電話が三割だ、あるいは二割とか言うならば、当然保守とか改良を加えるとか減価償却をするという場合、そのすべての物件を減価償却しなければならぬわけだ。そういう点で、私の言う点がどこが一方的であるか、この点を明確に答えていただきたい。
  144. 輿寛次郎

    ○輿説明員 お答え申し上げます。  ちょっとただいまは言葉が足りなかったかもしれませんが、私、実は前に赤旗の記事を読んだことがございまして、その中に先生のおっしゃったような記事がございましたのでそう申したわけでございまして、いまも一方的と言ったわけではございません、それは多少誤解があるのではないかと申したわけでございます。  それで、確かにおっしゃるようにトラフィックに応じて設備をつくっていることは事実でございます。しかしそれがイコールいわゆる支出について四分の一になるということはないのではないか。先ほど申したように、いろいろな計算がございますけれども、やはり電話というものはいつでもどこでも、市内でも市外でもあるいは住宅用、事務用を問わずかかるという意味から言いますと、そういった計算から申しますと、やはり大体差はないのではないか、こういうことでございます。
  145. 土橋一吉

    ○土橋委員 あなたはそういうことを言って、私どもが心血を注いで研究したものを、ただ同じとか——さっきから私言っておるじゃありませんか。ピーク時において七、三であれ八、二であれ、それを使っておるのは、要するに九時から十一時とか午後の一時から二時とか、そういう時期は営業用電話が明らかに多いわけですよ。あるいは先ほど三多摩の例を申し上げたように、そういうところでは比率が少ないわけですよ。そうしますと、中央、千代田の局は御承知のように大会社がある。これはだれが見ても大会社が多いわけだ。人口はたとえば千代田区なんか七万前後しかないです。私の方の狛江という小さな町ととんとんくらいの人口です、いまは。そういう実態から見るならば、そこに施設をされておる市内局のA交換機であるとか、市外局のたとえばクロスバーであるとか、そういういろいろなものをピーク時に実際使うに耐えられる体制をあなた方はとっておるわけだ。そうすると、そこの一番多く使う営業用の電話というものはどうしても、その減価償却を見る場合にも、あるいはそれに対する、御承知のようにたとえば管理保管であるとか改良をちょっと加えなければいかぬというような費用は、その責任を負わなければいかぬという立場に立つんじゃないですか。しかもあなたの方針は営業用の電話を中心に架設をしていたわけだ。特に御承知のように、池田政府の所得倍増論以来高度経済成長政策の波に乗って電電公社政府と同じように、要するに高度経済成長政策の推進役でもあったし、また先ほどから議員から追及されておるように天下りを多くしてつうつうでやっておるんじゃないか、こういう疑惑を抱かれる中で成長してきた。その成長しておる中で、いま申し上げるようなことがそう大したことではないなんて言われたんじゃ、これは私の質問に対して本当に真剣に、なるほどそういう点ございますよと、私がうそを言っているんなら、土橋さんそこがうそですよ、違いますよと、それを言わないでおいて、それは一方的だとか、それはとんとんであるとか言って説明したって、委員先生方どうですか。皆さん聞かれてどうですか。私が言うことが無理なのか、この局長さんが言っておることが本当なのか。どうですか。
  146. 輿寛次郎

    ○輿説明員 先ほどもお答えいたしましたように、決して全部間違っておるということではないのでございます。確かにおっしゃるとおりにトラフィックというものに差があることは事実でございます。事務用と住宅用というのは性格が違いますから違うことも事実でございます。またピークも違うことも事実でございます。またわれわれが設備としてそういったものに合わせてつくっていることも、これも間違いございません。そういった点では間違いございませんが、ただ、先ほどお話のあったようなことで言いますと、たとえば交換機は、千代田電話局といなかの局と比べれば、千代田電話局は日本の丸の内でございまして、日本では最大の収入を誇っておるところですから、そういった本当にビジネスセンターの交換機は、当然それはトラフィックとしたら多いわけですから、多いことも事実でありましょう。それからまた、いなかの方にいきますれば、トラフィックが少ないので、これは少ないことも事実でございます。しかし、それは例に挙がったような、たとえば市内交換機、そういったものの設備のことでございまして、それがすべてならそのとおりでございますけれども、われわれの電話のネットワークというものは、やはり市内交換機もありますれば「建物もある、あるいはそれを結ぶ線路施設、電柱、マンホール、電話機、全部ございますから、そういったものを全部含めますと、やはり全体の投資の中でそういったものを割り振ってみますと、確かにトラフィックの変動によって変わる部分もございますが、そうでない部分もある、こういうことでございます。たとえば市外通話で申しますと、市外線路はそうじゃないかとおっしゃるかもしれませんが、現在のようにネットワークが普及いたしますと、やはり東京——大阪を例にとれば、そういったところが切れても一大事でございますから、そういった意味では必ずわれわれは予備ルートを持っております。そういった意味では、これはトラフィックに比例するわけではございません。そういった点でわれわれは、全国津津浦々の局に至るまで二ルート化とか多ルート化をやりまして、どこか災害がありましても途絶しないようにしております。そういったものを全部含めて計算してみると、これも粗っぽい仮定でございますが、それほど、先生のおっしゃるように三分の一とか四分の一という差はないのではないか、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  147. 土橋一吉

    ○土橋委員 ここが一番中心のところなんだ。あなた方が住宅用電話を攻撃しておるのは、同じような経費じゃないか、したがって、これには、要するに同じような経費を使って、つまり収入が上がらぬから間尺に合わないじゃないか、この論法を出してきておるわけだ。しかし、いつでも、どこでも電話がかかるというあなた方のスローガンは、同時にはできないわけなんだ。すべての電話が同時にかけておったらパンクしてしまうわけなんだ。それには秘密があるわけなんだ。  いま話したように、トラフィックを中心としてその例を明かしましょう。現在東京にはA型交換機設備は、あなたは御承知でしょうが、約百八十万端子分あります。そうして、このうち、同時発信できる数は約二十五万程度、同時着信もほぼ同じくらいだ。そうすると、百八十万端子分あっても実際には二十五万程度しか稼働できないような状態にしかなってないわけなんだ。クロスバーについても同様に、約二百三十万の設備に対し、同時に通話できる数は四十万程度となっています。つまり全体として交換機に入る段階で六分の一程度に狭められております。こういうふうに説明しておるわけです。そうして、この平常のトラフィックに応じて、東京の場合においても端子の六分の一の容量にしぼっておる、こういう説明等をも見ると、またあなたの方の「経営月報」の五十年の七月を見ますと、また電電の営業局、運用局の監修の「業務必携」によると、「午前繁忙時の通話のほとんどがビジネス通話である」というふうに指摘をしておるわけです。そうしますと、その許容量の、使える限度の最大の設備をしておっても、それはビジネスの電話だ。先ほども申し上げた高度経済成長政策、そういう点でぐっとつくって、そしてそのあきを何とか使ってもらおうというような気持ちは——そうじゃないかもわからぬけれども米澤さんはそういう人じゃないと思うのですけれども、このあきを何とかふさがなければいかぬというような意味も込めて住宅用電話をどんどんつけ出した。これがだんだん高じて、いま六一%を超えている、千八百万台だというような状況においてこの問題が、さっきから言うように、米澤さんも言われるように、赤字だからけしからぬ、これをやめたらいいというような論法では解決しないのではないか。ということは、赤字論を唱えておる諸君は、全くそれはためにする誇大宣伝と、ためにするいわゆる赤字論を主張しておるじゃないかということを私はここではっきりさせたいわけです。つまり、営業用の電話と住宅用の電話を並行してつくったというのは、余り聞こえのいいようなことはそう言えないけれども、初めは事業用の電話をどんどんつくっていって、それがいつでも忙しいときは満杯になって使えぬという体制をとったところが、その機械が非常に優秀なものであるから、何とか住宅用電話もどんどんすき間には使ってもらわないと採算がとれないというようなことすらも推定せざるを得ないような状態で今日に至った、これがだんだん将来八〇%も架設をする電話の中心になってくるということになってきてこういう宣伝をするということだから、この住宅用電話赤字論というものはいかにためにする議論であるか、こういうふうに私は推定せざるを得ないわけだ。あなたが何ぼ言ったって、実際繁忙時のときの八〇%、場所によっては九〇%も業務用電話を使っているわけだ。それで午後とか夜になってくると住宅用電話もふえてくるでしょう。逆に営業用の電話が少なくなってくる、こういうことであるので、結局あなた方は赤字論を唱えて四千六百円の数字も出しておるんです。  ところが、平田議員がついせんだって徹底的に減価償却の問題やあるいはまた諸問題について追及しました。ですから、あなた方がいわゆるこの機能なんとかという名前で書いておる、何といいますか、四千六百円の金が要る、そのうち適正な減価償却しなければならないものがたしか三〇%ぐらいあった、その金利の分がこれまた二〇%くらいあったと思います。上は経営費なんかであなた方がつくったものを出しておるのです。その根本である要するに減価償却の問題だって問題があるわけです。これはもう米澤さんも検討するとかいろいろおっしゃっておった。利子の問題だって、たとえば私が電話をつけた。私はいやだが債券を買わされてしまった。その債券の利子まで私は払わなければならぬわけです。同時に、私は電話をつけてくださるからその手続上の費用だと思って五万円払った。それは全然収入に入らないで資本剰余金なんて何かわけのわからぬところに持っていかれちゃって、それがまた減価償却をされる、こういうばかなことに二重三重になっているわけです。この事実すらも否定をするのかということです。そうすれば赤電話、住宅用電話赤字の根本原因だなんといっていることについては、もっと謙虚に、いま私が申し上げたような点について検討してみる必要があるのじゃないかというふうに私は思うのです。  そこで、私は最後に、そういうことを言ってあなたの方の赤電話論を爆砕してみても、それだけでは解決できない。あなた方の収入をふやしてあげることも考えなければいかぬ。そこで、ここに日本とアメリカの例かございますね。それで日本の昼間の料金と夜間の料金が出ておりますが、夜間料金は午後八時から午前七時まで、これは六〇%ですか、これをアメリカみたいに午前八時から午後四時一〇〇%料金へ午後四時から午後十一時六五%、そうして夜間の午後十一時から午前八時まで四〇%、そうして特に週末などは、夕刻には四〇%くらいにして、段階をつけて、アメリカにすぐまねをするというわけではありませんが、そういうふうにして安い電話をどんどんあいている機械で活動するという体制をとるべきではないか、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
  148. 玉野義雄

    ○玉野説明員 御承知のように、日本におきましても、夜間の午後八時から朝の午前七時まで夜間割引をいたしております。それからアメリカも日本のように夜間割引をいたしておりますが、先生おっしゃいますように、土、日とかあるいは日曜日あたりの割引のやり方が日本と少し違う点がございます。いずれにしましても、内容の相違はございますが、日本も夜間割引をいたしております。ただし先生おっしゃいましたように、施設が夜あいているから割引で使っていただくというのは、まことに私たちもそのとおりだと思うのでございますが、これが自動の場合は機械だけでございますので非常にいいのですが、オペレーターがついてやる交換につきましては、夜になりますと人件費もかさみますので、この夜間割引というのは私の方にとって非常に苦しい点がございます。
  149. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、あなた方の御説明だと、いま自動化は九九%までできておるようなお話でしたけれども、そうじゃないのですか。これは中継自動化のことですか。自動化はもう九九%完成している、ダイヤル式になっているということですか。
  150. 輿寛次郎

    ○輿説明員 お答えいたします。  九九%の自動化と言っておりますのは、全国の加入者のうち九九%がいわゆる自動電話になっておるということでございます。したがって、お客様はかける気になれば自動ですべてかかる、こういう意味で自動化が九九%、こういうことでございます。
  151. 土橋一吉

    ○土橋委員 したがって、私は今後、住宅用電話を目のかたきにしないように、米澤さんも言っておるように、これを育てて、将来八〇%にもなろうとするでしょう。あるいは場合によっては六千万台くらい電話をつけなければならない時代が来ると思います。またそういう時代をわれわれは他の面においてもこれを進歩させる必要があると思うのです。そういう点から、住宅用電話を敵視をするような宣伝はやめてもらいたい。特にそれが二十四億円もかけて雑誌だとか新聞に書かれたのでは、これは非常に問題だと私は思う。  そこで私は、これは余分なことではないのですが、あなたの方の規定を拝見いたしますと、こういう条文のところがあるのです。つまり加入電話加入契約——三十六条付属装置等の設置のところです。つまり加入電話加入契約というようなことを書いて、そうして片方の五十五条の九のところのユーザーとの間、つまりデータ通信については使用契約ということを書いている。私はこれを読んで頭にきたのです。どういうことかといいますと、電話架設契約というのは、いろいろな条件のもとにおいて対等、平等に、日本の法律によりますと民法上の賃貸借契約になるわけです。それに間違いないかどうか。総裁いかがですか。民法上の賃貸借契約を認めないのか認めるのか。
  152. 玉野義雄

    ○玉野説明員 いまの電話サービスにつきましては、電気通信という役務の提供契約でございます。
  153. 土橋一吉

    ○土橋委員 だから加入電話加入契約というのは、要するに公衆電気通信法の第一条の規定にのっとって、電話といういわゆる電波を利用して、そうしてつまり加入者と電電公社の間が取り結ぶところの、平たい言葉で言えば、電話使用契約じゃないですか。そうすれば対等、平等だけれども、その諸条件という、いろいろな制約があるわけです、国家独占企業であるからして。しかし契約面においてはこれは対等、平等で電話を架設をしておるという状態ではないでしょうか。それなのに何でデータ通信回線使用契約というようなことを書いて、電話のところだけは加入電話加入契約なんておかしなことを書いている。原則的には同じじゃないですか、どうですか。わかっている人、だれでも答えてください。
  154. 遠藤正介

    遠藤説明員 お答えいたします。  このデータ通信設備使用契約は昭和四十六年の法律改正で加わったものでありますが、いま土橋先生指摘のように、実態的には同じように見えますが、一つ違う点がございます。それはむしろ加入電話加入契約の方が保護されておるわけです。というのは、使用契約は人に譲ったりあるいはそれが永続的なものではございません。ただ加入権につきましては、御存じのように一遍お入りになりますと孫子の代まで続くし、あるいは東京から北海道に行かれてもそれがそのまま移転という形でいける、そういう点でむしろこちらの方が保護されている、こういうことでございます。
  155. 土橋一吉

    ○土橋委員 遠藤さん、続いてひとつ、あなたは頭がいいのだから。  そうすると、この加入電話加入契約はそういう保護もされておるが、もちろん権利譲渡もできるわけです。したがって、この権利は民法上の債権契約でしょう、どうですか。
  156. 遠藤正介

    遠藤説明員 これは多年にわたっていろいろな学説といいますか、研究がございます。一種物権的な債務契約だという方もおられますし、定説はございません。しかし今日の実態から言うと、やはり先生のおっしゃるように、先ほど営業局長が言いましたようなサービスを提供する、永続的なサービスを提供する債務契約というぐあいに見られた方が正しい面が多いと思います。
  157. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、私は余り勉強がよくできておりませんけれども、普通の債権債務契約なら当然債権債務が生ずるわけだ。したがって、加入契約者なりに対して電電公社は、自分が方針に従っていろいろなことをやって、契約内容に十分違うような内容をやった場合には、当然相手方のいわゆる加入電話使用をしておる人たちに対して承諾を求めなければ——賃貸借契約はみんなそうです。一方的に家主だからといって勝手なことはできないわけだ。したがって、現在の料金を上げるとか、あるいは設備の内容を、たとえば設備料を出した、それを電電公社は勝手に資本剰余金にする。出した方では、これは自分の家に電話をつけてくれる費用を五万円出したからつけてくださると思っているわけだ。そういうことに対して、契約上の原則から言う違法行為や不当なことを強要しているのじゃないかという結果になるが、同時に、料金を上げるという場合には本人の承諾なくしては料金を上げることができない。これは債権法上の基本的な原則だが一体どうしてくれるのか。
  158. 遠藤正介

    遠藤説明員 これは先生承知のように、いわゆる付従契約ということでございまして、債務の内容は公衆電気通信法によって決められておるわけです。したがいまして、その公衆電気通信法に決められている債権債務の内容が付従的にその契約に該当するわけでございますから、私ども勝手にやれば非常に問題がございますが、法律を改正する、つまり契約内容を付従契約として改正をいたしますれば、当然それが適用になるのは合法的といいますか、法律上問題がないことでございます。
  159. 土橋一吉

    ○土橋委員 遠藤さん、近いからそこにすわっていてください。もう少し聞きたいのだ。  そうすると、債権契約だと言った、しかも債権契約は債権の内容をたとえば貸した方が変更するというような事情を訴えた場合には、その規則——電電公社の細則なりその他の規定でその使用契約をしておる、この条文で言えば加入契約者だが、それに対する保護規定がどういう形においてなされておるか。料金値上げしたときに、本人は料金値上げ反対だ、そんなことなら契約は私は絶対承知せぬという場合に、どういう規制があって、どういう条件があってそのことが承諾を得なくても、つまりそういうことをやっても債権債務上の関係では保障されているという規則を具体的に示していただきたい。
  160. 遠藤正介

    遠藤説明員 これは公衆電気通信法というものの全体がそうなっておるわけでございまして、これは加入契約そのものを公衆電気通信法で決めておるということ自体がそういう付従契約としての意味を持っているわけです。
  161. 土橋一吉

    ○土橋委員 おかしいね。だってあなた民法上の債権債務を生じておるということを認めていて、そしてそれが料金を勝手に上げた場合、本人の承諾を得なかったら、その契約はつまり紛争状態になるわけだから、民事訴訟に訴えてどちらが正当かということを争うようになってくる、それを規制するような規則がどこにあるかということを聞いておるわけです。
  162. 遠藤正介

    遠藤説明員 それが公衆電気通信法という加入者と電電公社との契約内容を盛った法律の中身であります。  これは付従契約と申しますのは、御存じのようにたとえばガスにしても電車にしても鉄道にしても同じことであります。一々個々の加入者と契約をしあるいは契約内容をそこで決めるのではなくて、一定の決められた規則に基づく契約内容で個個の契約者と契約をして電車に乗り、水道を供給しているわけです。したがってその場合、私は反対だと言われるのだったらば、まあ加入契約を解除されれば別ですが、加入契約をそのままの状態に置いておかれるならば、当然中身が変わってくるわけであります。したがいまして、法定料金としてのきわめて重大な意味があるわけであります。
  163. 土橋一吉

    ○土橋委員 それは遠藤さん、もう少し検討してみたらどうですか。細則があるというその細則が、社会通念上だれでもそうだ、電電公社電話使用契約をすればこういうふうな制限があるのだ、したがって、そこについてはいちゃもんちゃくは言えないのだというようなものを示さない限りは、勝手に電電公社料金を上げた、おれはいやだ、つまり本人の承諾も得ないで勝手に上げるなんということは、民法の大原則を犯すことになる。債権債務上、契約内容の重大な変更があったときには当然——これは解除はできない、独占企業だから解除したら自分のうちに電話がなくなってしまうのだから、そういう非常に苦しいところはあるけれども、当然それは保障される対象でなければいかぬわけだ。委員長どうでしょう。そうでしょう、民法上の債権債務ですから。そうすると、契約者の意向も聞かないで勝手に上げたら、まあここは法定料金になっておるからいいようなものの、その保障がなかったら困るじゃないですか。(「だから国民代表である先生方の御同意を得てやっておるわけです」と呼ぶ者あり)それは法定料金だからやっているんですよ。その法定料金ということと債権債務上の問題とは別の問題ですよ。そんなことを混同したんじゃこれはもう問題にならない。明確に言いなさい。
  164. 玉野義雄

    ○玉野説明員 一般に民法上いろいろの契約規定はございますが、公衆電気通信役務の提供に関しましては、公衆法は公衆電気通信役務の提供についての特別法でございますので、一般民法契約に優先するわけでございます。したがいましてそれに基づいて決めた料金については守っていただく、それで守らない場合は通話停止、契約解除等の条項がございますが、そこで契約を解除する、こういうふうになってまいるわけでございます。
  165. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうすると、あなた方は、電電公社は、官庁のかつてのいい点と公社事業のいい点を併用してつくった公共企業体でございますと、こう言っておるわけです。自分の都合のいいときは、トラのようになって加入者をおどかしつけてどんどん料金を上げる。自分が不利な立場に立ったときは、民法上の規定を適用して債権債務だと言う。そういう二面性を持った解釈はいけませんよ。これは住宅公団であろうと何であろうと債権契約ですよ。もし汽車の切符ならば、これはいわゆる賃貸借契約じゃない。汽車の切符、寝台券というものは、そのものを買って乗っておる間だけの問題だ。家賃とか電話は孫子の代まで伝えるようなものですから、どうしても民法上の賃貸借契約の基本原則に従わなければならぬわけだ。それは、国家独占企業であるから相手方の言うことが気に食わぬから、じゃやめなさいというようなことをしてはならぬじゃないかということを私は言っておるのだ。同時に、その問題については、債務者の承認を得ないで勝手に料金を上げるなんということはけしからぬことじゃないか。全国三千万の諸君にみな通知を出して承諾を求めたかとすら私は言いたいわけなんだ。どうですか。
  166. 遠藤正介

    遠藤説明員 この付従契約というのは、御存じのように何も官庁だけやっておるわけではございません。民間でもあることでございます。したがって、私どもはこのこと自体が決して官庁的経営とは思っておらないのであります。むしろ三千万の加入者と一々加入契約をいたしますときに、あなたは幾らで入りますか、度数料七円ならやめる、あるいは逆におれは八円払う、そういうようなことの方がおかしいわけであります。付従契約というのは、そういう契約上の多数の契約に対する一つの便宜手段として決められておるものでありまして、したがいまして、これはいま汽車の切符と違うとおっしゃいましたが、確かに機関は違いますが、汽車の切符そのものを買うわけはないんですね。切符を買うということによってお金を払い、それによって東京−大阪間の一つのサービスを受けるわけです。同じようなことは水道にもあるわけでございます。電気にもあるわけです。そのいずれもが付従契約で、いやわしは電気は五十円で買うとか百円で買うとかいう形を一々契約し……(土橋委員「そんなことを聞いているんじゃない」と呼ぶ)したがいまして、私が申し上げますのは、この法律に決められておる契約内容の変更というのは重大なことでございます。三千万の方に皆付従契約でいきますから、したがって法律として提出をし、慎重審議をお願いをするゆえんもここにあるわけでございます。
  167. 土橋一吉

    ○土橋委員 わかりました。  これは日本の法体系の中で、こういう多数の人と結ぶ契約と独占的な事業体との関係において非常にむずかしいものがいろいろあるのですよ。したがって単に民法上の債権債務と言い切っていいのか、私もなかなかこれはむずかしい点があるということはわかっているわけです。だけれども、歯どめがなければならぬじゃないかということを、つまり加入電話を申し込んだ人の地位をやはり保障する体制をとっていかないと、とかく、ときには官庁のようにいばっちゃっておどかしつけるというようなことがあってはならないということを私は言っているのです。この質問はこれで終わります。まだたくさんあるので、委員長、しばらくの間どうぞ御猶予を願いたいと思います。  私は、五十一年から五十二年度までの電話部門の建設投資額と架設台数の新規状態はどういうふうに推移するのか、簡単に台数と金額を示していただきたい。建設投資額何ぼ何ぼ、架設台数何ぼ何ぼ……。
  168. 輿寛次郎

    ○輿説明員 お答え申し上げます。  昭和五十一年から五十三年の三年間の建設投資額は約五兆でございます。また、一般加入電話の架設数は七百七十万を予定しております。
  169. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、それでは四十八年から五十年度までの電話部門建設投資額と架設台数、どの程度になっておるのか。
  170. 輿寛次郎

    ○輿説明員 四十八年から五十年度三年間におきます電話部門投資額は約三兆六千億でございます。一般加入電話の架設数は約九百万加入でございます。
  171. 土橋一吉

    ○土橋委員 前者の方は四兆六千七百億で、あなた五兆円と言われましたから約三千三百ほど多いけれども、まあいいでしょう。後の方も大体いいと思います。  過去三年間、四十八年から五十年と今後三年間と比較してみると、今後三年間の架設台数が百五十五万台も少ないのに建設投資額が多いのは一体どういうわけでしょうか。これはきのうも説明がありましたが、もう一回説明していただきたい。
  172. 輿寛次郎

    ○輿説明員 お答え申し上げます。  きのうも御説明したわけでございますが、いわゆる開通加入電話数で申しますと、確かに異様に高くついておるように見えますけれども、実は、電話と申しますのは開通だけではございません。先ほど申したように、三千万の加入者がございますが、この加入者は毎日電話をお使いになっておりますし、また年々トラフィックもふえております。あるいは設備も更改しなければなりませんので、われわれといたしましてはいわゆる維持改良と言っておりますが、そういったコストはふえてまいるわけでございまして、その費用は現在の加入者に比例するものでございます。したがいまして、ことし三千万といたしますと、これは来年三千三百万になる、あるいは三千五百万になるということでございまして、ベースがふえてまいりますから、そういった単金を掛けますとそれに要する費用というのは年々ふえるわけでございます。また一方におきまして、物価の上昇もございますからそういったものの増もある。こういうようなことで、いわゆる新規増設の分の単金も入りますからこれもふえますけれども、それと先ほど申した維持改良といいますか、そういった分の費用もかかっておるわけでございます。  また、もう一つつけ加えますと、いわゆる四十八年、四十九年、五十年というのは、石油ショック以来非常な物価高に襲われまして、にもかかわらず、いわゆる加入者を増設したというようなことがありまして、いわゆる基礎設備とわれわれ言っておりますが、電話局あるいは線路、交換機その他のいろいろな基礎設備を食いつぶした点もありまして、これはやはり今後にどうしても取り返す必要もある、こういったこともありましてその分もふえておる。そういったことを含めますとやはりいま言ったような建設費用がどうしても必要である、こういうことでございます。
  173. 土橋一吉

    ○土橋委員 それでは時間がなくなって途中をはしょりまして、新規サービスの実態についてお答えを願いたい。  新規サービスについてお伺いしますが、五十一年から五十三年末までの次の各サービスの投資額、創設単金、設備料は幾らか。一つ、先ほど問題になりました自動車電話、新無線呼び出し、新PBX、拡声電話機、ハンドフリーホン、自動料金即知サービス、短波印刷電信方式、不在案内装置、支店代理電話、トーキー案内装置、キャッチホン、着信転送電話会議用テレビ電話電話ファックス、これらの投資額を合計したいのですが、幾らぐらいになりましょうか。  そこで、これは準備がありましょうから、時間もございません。次のやつをちょっとお答えを願いたいのです。  特に公社は、ポスト電話というふうにして非常に電話ファックスに力を入れておりますが、これは設備料はゼロで、基本料金は一万五千円取っております。端末器は五十二万と言われておるが、これはおかしいじゃないか。新しい電話ファックスで五十三万もする機械をつけて料金を取ってない。したがって、一般電話が端末器が五千五百円、基本料金が年間で一万八百円、それに比べると電話ファックスは、末端器は五十二万、基本料金が十八万円になっておる。こういうことから見ると、どうもこの計算がちょっと合わぬじゃないかという点なんですが、その答えをひとつお願いします。
  174. 輿寛次郎

    ○輿説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指示になりました新規サービスにつきましては、中には現在研究開発中でありましたり、あるいは導入方針が確定してないものもございますので、全部はわかっておりません。したがいまして、現在われわれが五十一年から五十三年度の間にサービス開始を予定いたしまして工事費を見込んでおるものだけについてお答えを申し上げます。  まず、トーキー案内サービスは三億円を予定しております。キャッチホンとしては三十九億円でございます。支店代行電話は六億円でございます。自動車電話は三十五億円でございます。不在案内サービスは二十五億円でございます。電話ファックスは百四億でございます。  以上が三年間におきます建設投資額でございます。  それからいわゆる単金でございます。単金はまた先ほどのと違いますが、これはやはり単金作成が問題でございますが、いわゆる五十一年度の予算で計上するときに使った数字だけ申し上げますと、支店代行電話は約七十九万円、トーキー案内装置は約八万円、キャッチホンは約二万円、電話ファックスは約六十二万円、不在案内サービスは約四万円でございます。これも、その他のものにつきましては、やはり緊急開発中でありましたり、導入方針が決まらないということもありまして、単金は作成してございません。  以上でございます。
  175. 土橋一吉

    ○土橋委員 それでは、これは資料を後で書いていただきましょうか。私も書き取れない。  それでは、いよいよ時間でございますので、最後に私は、きょう質問しました四点の問題について、当初申しましたように、小佐野賢治君を通じての、ああいう世間から非常な非難を受けておるような問題について、今後さようなことのないように適切な措置を講じていくことは、今後再びロッキードのごとき問題をなくするためにも、また私たちは、たとえば政治資金は個人からのものに限るとか、あるいはまた国会に、いわゆる行政監視官制度を設けるとか、あるいは審議会などを公開するとか、あるいは情報を公開するなど、知る権利を持っておる国民に事実を率直に伝えるとか、こういうような方法において再発防止をしなければならぬというふうに考えておるわけであります。  次の経済問題についての料金、設備料などの質問は、先ほど申し上げましたように、国民生活を守るのに、今日以上にインフレが促進したり、またこの不景気が克服されないで依然としてこういう状態であっては困り果てるわけです。ですから、どうしてもわれわれは国民を守っていかなければならない、こういう観点から質問をしたのであります。ですから、私はいま申し上げたような観点からの質問でございましたので他意はございません。われわれ共産党・革新共同は今後ともこういう態度で、きょうあたり恐らく電電公社に対する日本共産党の政策の発表もあったんではないかと思っておりますが、そういうものに従って、皆さんの事業についてもいいものはいい、あるいはこうすればいい、しかし間違ったものは糾明をして、二度と再びそういうことがないようにする、こういう態度できょう御質問いたした次第でございます。  答弁の皆さん、大変どうも御苦労さまでございました。これをもって私の質問を終わらしていただきます。
  176. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 暫時休憩いたします。     午後五時二十三分休憩      ————◇—————     午後七時十九分開議
  177. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。大野潔君。
  178. 大野潔

    ○大野(潔)委員 公衆電気通信法の一部改正案、すなわち電報電話料金値上げ案についてお伺いいたします。  これは何といいましても公共料金であり、しかも今回の問題は大幅値上げということであります。ですから、どうしても物価問題との関連から伺わなければならないと思います。きょう昼間に物価問題特別委員会との連合審査がございましたけれども、その辺の物価問題との関連から伺いますので、よろしくお願いします。  最初、話がかみ合うように原則的なことを確認しておきたいと思いますが、まず大臣に伺います。三木内閣が誕生しましたときに、三木総理は物価安定が三木内閣の緊急課題である、また物価安定は三木内閣の最重点政策であるとたびたび強調されたことは、大臣も御承知のことと思います。そこで、郵政大臣は三木改造内閣の経済閣僚の一人として物価安定に対しどのような決意を持っておられるか、まずお伺いしたいと思います。
  179. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 総理もしばしば述べられておりますように、物価安定につきましては最大の関心を払っております。
  180. 大野潔

    ○大野(潔)委員 もう少し明快な御答弁をいただきたかったわけでありますが、その三木内閣の当初の物価作戦というのは、年間の物価上昇率を五十年度は一けた台におさめたい、また五十一年度は預金金利の水準以内にとどめる、これが当初の公約でありました。預金金利といえば、常識的に大体一年定期預金ということでございますので、大体六から七%以内ということであります。ところがいつの間にか五十一年度の上昇率は八%以内というように、その公約が変わっております。この変わった時点ですでに重大な公約違反ということになるわけでありますが、重ねて申し上げますが、経済閣僚の一人として、八%以内に……(「だめだ、大野さんだめです、約束が違う」と呼び、その他発言する者あり)ちょっと整理していただけませんか。
  181. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 大野潔君に発言を許しております。——大野君、どうぞお続けください。発言を許しております。(発言する者、離席する者あり)大野潔君。——大野潔君。
  182. 大野潔

    ○大野(潔)委員 委員会の運営というのは、そのために理事会があるわけでございまして、やはりわれわれの出しております理事が何かもめておりますから、まずその調整を先にやっていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
  183. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 大野潔君、御質問を続けていただきます。
  184. 大野潔

    ○大野(潔)委員 どうも運営の理事会がもめているようで私もとまどうわけでございますが、大臣に最初からまた重ねて伺いますが、三木内閣の当初の物価作戦というのは、まず五十一年度については預金金利の範囲内でおさめるということでありましたが、それがいつの間にか八%ということに変わっております。これはその公約が変わったわけでございますので、その意味でも公約違反ということになるわけでありますが、まず今年度は八%以内におさめられるという見通しがあるかどうか、経済閣僚の一人として明快にひとつお答え願いたいと思います。
  185. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 八%台におさめられる見通しを持っております。
  186. 大野潔

    ○大野(潔)委員 あなたも御承知かと思いますけれども、現在の物価水準というのは、対前年比でどのくらいの数字になっておりますか。私は、消費者米価などの値上げによってすでに九%を超えている、このように承知しておるわけでございますが、すでに超えているものが、年度末にはこれが八%以内におさまるという確信を持って明言できるわけでございますか。
  187. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 その見通しを持っております。
  188. 大野潔

    ○大野(潔)委員 どうも頼りない御答弁でございまして、八%に抑えられるという根拠をお伺いしたいわけでありますが、しかし飛ばしまして、こういう九%をすでに超えているというときに、公共料金である電報電話料金値上げ、特に御承知のとおり、この法案が通りますと基本料金が五割増しになるわけでありますし、また来年四月からは倍額という、ちょっと他に例のないような値上げ率になっております。こういうものを成立させますと、ますます三木内閣の物価作戦に大きな狂いが出てくるのではないか、公約の実現に矛盾するのではないか、このように思うわけでございますが、大臣の見通しについてお伺いしたいと思います。
  189. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 あらゆる努力を払いまして、公約を実行いたしたいと思います。
  190. 大野潔

    ○大野(潔)委員 本当にそのとおりならば私も安心なのでございますが、とにかく国民の側から見れば、いまの政治に対して一番要望されるのは物価の安定ということで、これはもう申すまでもないことでございますが、しかし国民が一番恐れているのは、公共料金値上げによっていわゆる政府主導型の物価値上げが生ずるのではないか、こういう点が一番心配なわけであります。ですから、この電話料の値上げによって物価指数が幾らになる、そういう数字的なものではなくて、物価全体に値上げムードをつくるという点が大きいわけであります。その物価政策立場から見て、この値上げ法案というものをどう考えておられるか、大臣のお考えを聞かしていただきたいと思います。
  191. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 公共料金の特質から考えまして、やはり物価に対しては相当の影響があるものと考えております。
  192. 大野潔

    ○大野(潔)委員 これ以上お伺いしてもあれでございますので、それではちょっと角度を変えまして、これも原則の確認としてお伺いしたいわけでありますが、いまさら申し上げるまでもなく、電報電話料金というものは公共料金でありますが、大臣はこの公共料金の定義づけをどのように考えておられるか、お答え願いたいと思います。
  193. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 公共料金の定義と申しますか、特徴と申しますか、四つの点が指摘できると思います。一つは、生活必需品の価格であるということ。第二は、料金決定に何らかの政府の規制がある。また第三には、独占的事業関係がある。第四には、サービスに近い料金である。この四つを一応定義づけられるかと考えます。
  194. 大野潔

    ○大野(潔)委員 大学ならば九十五点くらいの答えでございますが、電話というのは公社独占企業ですから、この値上げが決定されれば、利用者は選択の余地もなくいやおうなしに新料金を押しつけられるわけであります。この値上げ法案は前大臣時代に国会提出されたものでございまして、福田大臣提出されたものではありません。  そこで大臣に伺いますが、約二倍になる基本料金、また約四割増しになる通話料金、六割増しになる設備料金の新料金を、公共料金の定義、特にいま大臣が言われた四番目、サービスに近い価格というこの原則からごらんになりまして適切であるかどうか、その辺のお考えを聞かしていただきたいと思います。
  195. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 第四の点から見ますとほぼ適正と考えております。
  196. 大野潔

    ○大野(潔)委員 答弁は簡潔ですけれども、しかし本当にかみ合わない答弁でございます。特にこの改正案をずっと見ましても、どうも赤字解消に抜本的な対策が見られないのじゃないか。ただ赤字になったから料金値上げして、そして赤字の埋め合わせをしよう、極言すればこういう単純な点だけで提出されてきたのじゃないか。  そこで、この改正案はあなたが提出されたものではありません。ですから、先ほど言いましたように、物価がすでに前年比九%を超しておるわけですから、思い切って一遍この改正案を引っ込めて、あなたの手で新しい改正案をおつくりになって再提出なさるべきだ、こう思いますが、いかがでございますか。
  197. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 時間的にはとうてい無理であろうと考えます。
  198. 大野潔

    ○大野(潔)委員 もう一遍言ってくれませんか。
  199. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 新しい改正案を出すことは時間的にも無理であろうと考えます。
  200. 大野潔

    ○大野(潔)委員 別にこの国会で何が何でも上げなければならぬということではないわけでございますから、そんな時間がないからということは私は理由にならないと思いますが、これを強調しても大臣は再提出をなさる気はないと見ましたので、次に問題を移します。  次に、電電公社総裁に伺いますが、利用者にこれほどの大幅な値上げお願いする以上、公社といたしましても当然大幅な経営努力というものを計画しておられると思うわけであります。どのような計画を立て、どれほどの経費削減を見込んでおられますか。簡単で結構でございますから、説明していただきたいと思います。
  201. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  電電公社といたしまして、国民の皆さんのために電信電話事業を運営し発展させるというのが基本でございます。そのために、これは国会でも附帯決議あるいはその他御質問の中にも出ておりますが、電話の架設を申し込んだら全国的規模ですぐつけるようにするということ、これに対しましては、昭和五十二年度末におきまして大体平均一月以内につけるということを予定しております。  それからもう一つは、全国の電話をダイヤル即時化する、自動化するということでございまして、これはすでに九九%まで進んでおりますが、昭和五十三年度末には一〇〇%ということになることにしております。  では、この際、生産性でございますが、電電公社事業は独占事業でございますから、日本の中でこれに完全に比較するものはございません。外国の例を引用させていただきますと、その生産性を比べた場合に、昭和四十年ころは西欧のイギリス、フランス、西独等に比べましてむしろ日本の方が生産性はおくれておりましたが、現在はそれらの三カ国を抜きまして、世界で一番サービスもいいし生産性が上がっておりますアメリカのAT&Tとほぼ同じというところまで上がっております。なお詳しく申し上げますけれども、そのようなことでこの際技術革新というものを非常に経営の中に取り入れました。すでに建設投資におきまして一兆一千億の削減をいたしましたし、また、この料金値上げのベースになっております昭和五十一年から五十三年にあたりましては、電話の架設を一つの大きな例といたしますと、積滞解消後もなおそれを継続するということで、七百七十万の加入電話をつける、そしてその際に建設投資におきましてその三カ年間で五千億円の建設投資を節減するということでございます。また同時に、損益勘定の中におきましても、たとえば電話帳の発行であるとかあるいは電報事業の合理化、その他日常の経費の節減等を行いますし、それからまた五千億円の建設投資、これは損益にはね返ってまいりまして、約二千億円の損益勘定における三カ年間の節減が行われますので、合わせて約四千五、六百億円の三カ年間における損益勘定の中の節減が図られるということでございます。そういうことにおきまして、今後とも経費の節減、サービスの向上ということについては努力することにいたしております。
  202. 大野潔

    ○大野(潔)委員 この改正案が通る、通らないにかかわらず、いま総裁からお話のあった経営努力については、十分ひとつやっていただきたいと思います。  そこで、次にサービスの問題について伺うわけでありますが、その総合電話局のエリアといいますか、単位料金区域というのでしょうか、について伺いたいのですが、私が問題にしたいのは、三分間七円の使用料を払って通話できる範囲ということですね。これは電話数というのですか、地域の総合電話局によって余りにも差別があるということ。負担が不平等であるということですが、私はかねがねこれは指摘してまいりまして、時分制が取り入れられましたときに若干の広域化というものが確かに行われました。しかし、まだまだこれは不平等なんですね。私が手元に持っておりますこの資料に基づきますと、東京二十三区でございますと、三分七円でかかる範囲の電話というのは全部で三百四十万本がかかるわけです。ところが、私、東京でございますので、その地元の例をもって申し上げますと、武蔵野三鷹総合電話局ですとこれが二十四万三千本、国分寺総合電話局が十九万一千本、立川局が二十一万四千本、相模原が十八万六千本、八王子がたったの九万七千本、そして青梅が二万六千本。ですから、これを二十三区の三百四十万本かかるというこれと比べますと非常に格差が目立つわけであります。この辺の是正というものについてどう考えておられますか、ひとつ総裁お答えお願いしたいと思います。
  203. 遠藤正介

    遠藤説明員 お答えいたします。  確かに現在全国に数百ございますMA、単位料金区域と申しておりますが、そのグループの分け方あるいはその格差という問題につきましては、いろいろな問題があることは私どもも十分承知しております。それで先般いわゆる広域時分制をしきましたときに、一応一段階的にはそれを是正いたしたのですが、それでもなお引例されました三多摩あたりと東京との間には通話で二倍以上の格差がある、こういうことでございまして、この問題はやはり非常に大きな問題だろうと思うのであります。その問題の解決方法といたしましては、私は将来は広域化の問題を広域時分制の時点からずっと計画的に研究をしておりまして、いろいろな方法で格差を是正していく方法があると思います。当面一番簡単なのはMAの境界を直すということでありますが、これはどこを直しましても必ず次にまた不満が起こるというので、そういうMAの境界線を直すということよりは、現在の十三段階の区分というものをだんだん段階を減らしていくとか、あるいはこの前この委員会で参考人の意見がございましたが、逆に東京のように非常に広いところはこれを四つに分けてアメリカ式にする、こういったような行き方もあろうかと思うのであります。しかしいずれにいたしましても、この問題は私どもの今回の財務の基盤が確立しました上で、次の段階の問題として早急に解決をし、また全国画一でなくとも、たとえば東京と大阪というような大都市並びにその周辺のベッドタウン等については、これは特例措置をしましても何か考えていかなくちゃいけない問題じゃないか、こういうぐあいに思っております。その点につきましては私どもとしてもいろいろのやり方のあることも承知しておりますし、また研究をしておるわけでございまして、次の段階にはそういうことに向かって進みたい、こういうぐあいに思っております。
  204. 大野潔

    ○大野(潔)委員 お断わりしておきますが、私は東京二十三区が三百四十万かかるから小さくしろという意味じゃないのです。すでに運用されているわけですから、それはいいんですから、これはひとつ誤解のないように申し上げるわけでありまして、二十三区はそこまでできておるのだから、ほかの方もそういう広域化を図るべきじゃないかと主張しておるわけですから、誤解のないようにお願いしたいと思います。たまたま私は郵政大臣と同じ選挙区でございますが、いま私の地元のことを言ったのですから、大臣からその辺どう監督し、進めるか、一言お伺いいたします。
  205. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 大野先生と同じ選挙区で、同様の陳情を承り、格差につきましてはいかにして解消するか、重大な関心を持つ一人でございます。公社に前向きに格差是正という点から研究をさせる考えでございます。
  206. 大野潔

    ○大野(潔)委員 申しわけないけれども大臣も余りそう長くおやりにならない予定ですから、研究じゃなくて、ひとつどんどん進めていただきたいと思います。いずれにしてもこういうものは、決して冗談ではなくて、とにかく電話料金が上がれば、基本料では若干差がありますけれども、要するに利用する度数の多い人がますますこれが高くなるということでありまして、これは非常に重大な問題でございますので、どうぞひとつその点は十分に前向きに、しかも早急に検討し進めていただきたい、こう思うわけであります。  何か大分時間の制限があるようでございますので、料金に関する問題、また基本料に関する問題、また架設料等に関する問題、これをやっておりますと遅くなるようでございますので、若干先に進めます。  そこで、次に建設投資について伺いたいと思うのですが、まず四十八年度から五十年度の三年間の建設投資額及び五十一年度と五十二年度の予定額、これがおわかりならばお示し願いたいと思います。
  207. 長田武彦

    ○長田説明員 お答えいたします。  四十八年度でございますが、この年度は電信電話拡充第五次五カ年計画の初年度でございます。それで建設勘定予算といたしましては、一兆一千九百四十億円をもちまして一般加入電話三百十万加入を架設をするという工事を実施をいたしました。ただこの年は後半オイルショック等の問題がございまして非常に物価高騰等もございましたので、それに従いまして政府の総需要抑制策というものが行われまして、約千二百五十億円を四十九年度へ繰り延べをいたしております。  次に四十九年度でございますが、これは一兆二千五百四十億円でございます。これは前年度対比一〇五%ということに抑制されております。一般加入電話三百二十万加入の増設を中心として工事を実施をいたしました。この年も公共事業等を繰り延べるという政府方針がございまして、九百三十億円ほどを五十年度へ繰り延べてございます。  次に五十年度でございますが、前年度に引き続きまして当初建設勘定予算は、前年度対比一〇五%、一兆三千百七十億円に抑制されております。しかし、年度後半に至りまして不況対策等のため補正予算が編成されまして、公社の建設勘定予算は、三百億円が追加されまして一兆三千四百七十億円に相なっております。  以上がすでに決まった分でございますが、五十一年度につきましては、一兆五千億円の建設勘定予算が成立をいたしておりまして、五十二年度末で電話の積滞をなくすということを目標とするための基礎設備の充実ということを考えて、前年度対比一一一%の伸びに相なっております。しかし、今年度のこの予算の執行上非常に問題が出ておりまして、現在建設勘定予算としては成立を見ておるわけでございますが、これに伴います支出面におきまして大幅な削減を余儀なくされるという状況でございます。  なお、五十二年度につきましては、一般加入電話二百六十万加入の増設を予定しておりまして、年度末では積滞解消という条件を達成することを目的にいたしまして、一兆七千百億円の建設勘定予算の概算要求を出しております。  以上でございます。
  208. 大野潔

    ○大野(潔)委員 ではついでに、建設勘定工事に係る業界別の支出状況、これは資材メーカーと通信建設業者、この二つに分けて、四十八年度から五十年度までの支出額及び五十一年度の見込みについてお示し願いたいと思います。
  209. 三宅正男

    ○三宅説明員 はなはだ申しわけございません。ただいま手元に五十年度と五十一年度しか数字を持っておりません。  五十年度につきましては、関連業界への支出が総額で一兆一千百二十億になっております。このうち資材メーカー関連が五千八百十億、それから通信建設工事業者関連が四千二百十億、それから建築業者関係が一千百億という内訳でございます。  それから五十一年度につきましては、先ほど施設局長が申し上げました予算に伴いますものは相当な金額が昨年よりふえるような形になっておりますが、現在までのところ資金の欠陥等がございますために予算どおりに実行ができておりませんので、大分支出額が下回ったような形になっておりますが、この数字も申し上げましょうか。——資材メーカー関連は、上半期におきまして二千六百六十億。これは九月末まででございますので相当概算でございますが、これだけを支出したことになっております。それから通信建設業者関係が二千二百八十億、建築業関係が六百二十億、こういう数字が上半期の支出でございます。  昨年の同期に比較いたしまして、資材メーカー関連では九二%、それから工事業関係では一〇九%、建築関係では一一三%と、上半期においては工事関係は昨年同期よりも多少多いぐらいになっております。ただ、下半期が資金の見通しがつきませんために、現在相当大幅に発注を抑えてまいっておりますので、九月末までの資金欠陥というものを考慮いたしましても、資材関係では、昨年の下半期に比べまして今年下半期には五六%、工事業関係では同じく六三%、建築関係では六五%というふうに相当支出額が減ってまいる見込みを現在立てておるわけでございます。年間といたしましても資材関係で昨年の七三%の四千二百七十億、建設工事関係で八六%の三千六百億、建築関係で九百八十億の八九%、合計で八千八百五十億の八〇%、大体このように私ども一応現在見込みを立てておりますが、十月に入りましてもまだ料金改定が済んでおりませんために、さらにこれより削減をやっていかなければならなくなるのじゃないかということを私ども心配しておるわけでございます。
  210. 大野潔

    ○大野(潔)委員 最後に言われた数字というものは、私の手元にいただいている資料では、仮にこの法律が十月一日から施行になった場合ということでいただいているようでございまして、いま申された四千二百七十億円というのはどうもさらに下回るし、通信建設業者の方の三千六百億というのも下回るのではないかと思いますが、その点いかがですか。
  211. 三宅正男

    ○三宅説明員 ただいま申し上げました数字は、先生の御指摘のとおり九月末までに生じました資金欠陥というものに合わせて年間を見通した額でございます。したがいまして、現在もうすでに十月でございますので、さらにこれを抑制していくということをやらなければならないという事態になっております。
  212. 大野潔

    ○大野(潔)委員 なお、あらかじめいただいている資料によりまして、資材メーカー関係と建設業者関係をいま私ちょっと申し上げますので、もしこれと照合する資料があれば確認していただきたいのですが、四十六年が資材が四千五百億、通信建設の方が二千二百七十億、四十七年度が資材が五千百四十億、通信建設が三千億、四十八年が資材関係が五千三百十億、また通信建設が三千三百八十億、四十九年が五千四百二十億と四千二十億、これはどうでございましょうか。ちょっと後の質問に関連して確認しておきたいわけでございます。
  213. 三宅正男

    ○三宅説明員 まことに申しわけございません。ほかに資料がございました。ただいま先生のおっしゃいましたとおりの数字でございます。
  214. 大野潔

    ○大野(潔)委員 そうしますと、いまお伺いした数字を照らし合わせてみますと、私はちょっとおかしいことに気がつくのです。五十一年度の建設投資の発注、すなわち資材メーカーと通信建設業者に対する仕事の発注が大変急激に下がっている。  もう一遍いま伺った数字を五十年度と五十一年度に比較いたしますと、資材関係では五十年度は五千八百十億に対し、五十一年度は、これからこのまま発注したとして四千二百七十億。しかもこれは十月に施行されたとして、それは若干のところですから、そのままの数字を使わせていただくことにして。そうしますと、前年度に比べて資材関係で二六・五%減っている。また通信建設関係で言いますと、四千二百十億に対して、五十一年度は三千六百億ですから一四・五%減っているということであります。総裁、これは何か特別年度計画の変更というものがあったのですか。
  215. 三宅正男

    ○三宅説明員 ただいま先生の御指摘になりました五十一年度の数字は、先ほど申し上げましたように、予算は、六月一日からこの改定が実施されるものとして立てられました予算でございます。料金改定がおくれておりますために資金欠陥が出てまいっております。この資金の欠陥額が全体で三千八百億ございます。これは一般の経費の節減その他等をやりました上、最後にどうにもならない金額でございます。この業界関連で三千三百五十億というものの工事費の削減というものを私ども現在覚悟をして仕事を進めてまいっております。この結果が、ただいま申し上げましたように、昨年よりも相当業界へ支出いたします、これはまだ発注もいたしておりません予定分も含めた先ほどの数字でございますけれども、昨年に比べて二〇ないし三〇%落ちる、こういうような数字になっているわけでございます。
  216. 大野潔

    ○大野(潔)委員 そういう御答弁ならばもう一つ数字を伺いたいと思うのですが、その収支決算についてでありますけれども、四十八年度から五十年度までの収支決算及び五十一年度の見込み、これはどうなっておりますか。
  217. 中林正夫

    ○中林説明員 四十八年度は二百九億円の黒字でございます。四十九年度は千七百五十三億円の赤字でございます。五十年度も二千八百十二億円の赤字でございます。以上が、これは決算の数値でございますが、五十一年度は予算上は四百八十九億円の黒字となっておりますが、これは六月からの料金値上げというものを見込んでおりますので、この料金値上げが遅延しておりますので、現在は損益収入だけですでに三千億近い収入欠陥が出ておりますので、かなり大幅の赤字になるかというふうに考えております。
  218. 大野潔

    ○大野(潔)委員 そうしますと、その出た数字をいま伺いましておかしいことは、先ほど、資金欠陥がことし出たからそれだけメーカーに対する発注、また建設に関する発注が減ったんだ、こういう答弁をいただきましたけれども、四十九年度も五十年度もこれは資金欠陥が生じているんじゃないですか。なぜことしになって急激にその発注をおとめになったのですか。さっきの答弁では全然これは合わないと思うのですが、いかがですか。
  219. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  詳しくは関係の局長から申し上げますが、一言に申し上げますと、四十九年、五十年におきましてはその資金欠陥を政府の借入金によって処理した、こういうことでございます。本年度におきましては五千二百二十五億円、これは損益勘定で資金が欠陥がある。それから一方設備料の関係では約六百億円の資金を予定しておるというわけでございますが、十月一日の時点におきまして、先ほど申し上げましたように、両方合わせますと毎月六百五十億円の差が出てくる、こういうことでございまして、その点が違っておりますが、数字につきましてはいま局長から説明させます。
  220. 好本巧

    ○好本説明員 四十九年度、五十年度、それぞれ予算そのものが赤字予算でございまして、四十九年度におきましては一千五百二十億円、五十年度におきましては四千二百七十七億円、損益勘定におきまして赤字予算を御承認いただいたわけでございまして、その赤字は資金上の手当てが、予算上、資金計画上借入金で賄うというふうな内容の資金計画予算が成立しておったわけでございます。五十一年度は御案内のようにそういう黒字の予算を組んでおりました。ところが、その黒字の一部分でありますところの電報電話料金値上げによる増収分というものが予算執行上欠陥を生じてきた、こういう状況に相なっております。
  221. 大野潔

    ○大野(潔)委員 どうもいまの答弁は納得できないのですけれどもね。私はずっとこれを見ますと、その五十一年度の発注が急激に減ったということがどうも納得できないのです。一つの見方をすれば、四十九年度、五十年度は収支が赤字になるという見通しでありながら、いままでの経営を続けてきた。あえて放漫経営と言うならば、その放漫経営を続けてきた。しかし、五十一年度になって急激にこれが大変だと気がついたのか、それとも五十一年度に改正案が国会提出されたから、意識的に工事の発注を減らしたのか。まあ意地の悪い言い方をすれば、どうも電電公社の新手の国会対策じゃないか、こういう声もあるわけでございまして、全くこれは納得いかないわけであります。  私、先ほど出ました数字を表にしますと、大体こういう表になってくるのですよ。これ、一枚総裁ごらんになってください。——おわかりですか。一番上が建設投資額、五カ年計画でずっときているわけですね。それで二番目のラインは収支決算です。これを見ますと、四十九年度には赤字でありながらこれだけのあれがあった。ところが五十年度は、前年赤字でありながら、五十年度もやはり投資している。しかも上回って投資しているわけですよ。五十一年度は今度はがくっと落ちている。しかも、法案が提出されれば、残念ながら自民党さんが数多いということなんですから、いずれは通るということはわかっていながら、これだけ数字が落ちている。これは私は非常におかしいのじゃないかと思うのでございますが、この図表をごらんになって総裁の御感想を承りたいと思います。
  222. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  先ほど御説明いたしましたが、この建設投資額はこのとおりでございます。これは予算額でございます。五十二年度はまだ未定といいますか、概算要求してまだ成立しておりませんから、これはちょっと別といたしまして、収支決算につきましてはこの数字でございますが、先ほど申し上げましたように、これはもともと赤字決算の形の予算赤字になるということの決算の予算を組んでおります。したがって、これは先ほど申し上げましたように、政府の借入金で処理する。ですから、これは金は補てんされておる、しかし収支決算は赤だ、こういう予算でございますから、建設は資金として満足するようにできておった、こういうことでございます。  それから五十一年度につきましては、これは先ほど申し上げましたように毎月——六月一日から料金値上げというものを、これは予算関係法案でございますから、予算と並んで出ていったわけでございますけれども、まだ成立していない。したがって、損益勘定の中で五千二百二十五億円、それから一方資本勘定の方で、これは設備料五万円を今度は八万円にする分、これが約六百三十億ぐらいあると思いますが、その影響で毎月、法案成立が延びていることによって六百五十億円、結局資金欠陥を生じておる、こういうことでございます。そのために、実は六月のボーナスも出せるか出せないかというような問題も事実ありましたが、これは資金手当てができましてボーナスは出すことができたのでありますが、先ほど総務理事が言いましたように、そういった資金欠陥が十月一日の時点まですでに起こっておりますから、それに対しまして三千五百億円ぐらい金が、穴があいてきた。しかし、公社の中の節約によって約百五十億円くらいそれをカバーしてきた。したがって、この時点というものを考えておりますと、資材の発注がこうなる見込みである、こういうことでございまして、私たちとしては一日も早く法案が成立することをお願いしておりますが、それができた時点においてこの問題をどう措置するかということは、また別個な問題として考えられるということでございます。公社といたしまして資金がないのに発注、物を買うわけにはいきません。したがって、もしも資金が減ってくれば、この一兆五千億の建設投資が結局このままでいけば減ってくるということになるわけでございまして、それに対する数字はもっと詳しくはまた関係の総務理事から説明させます。
  223. 大野潔

    ○大野(潔)委員 電電公社の関連業者というのは、資材メーカー並びに通信、建設業者を分けてどのくらいおられますか。
  224. 三宅正男

    ○三宅説明員 資材メーカー関連が直接公社へ納入いたしておりますものは約二百社でございます。それからそのほかにこの関連の下請、これははっきりした把握ができませんが、恐らく約四千社程度あるであろう、こういうふうに考えられます。それから、工事関係は、元請は六十九社でございますが、これにいろいろな仕事をやりますための下請を公社が登録させておりますので、登録業者を全部勘定いたしてみますと、約二千百社ございます。そのほかにポケットベルあるいは船舶電話等の委託等をやっております関連の業界の会社が七十社ございます。合計いたしまして二千四百社程度というふうに把握をいたしております。
  225. 大野潔

    ○大野(潔)委員 最終合計の数字が二千四百と言われましたけれども、さっき資材メーカー、下請を入れれば四千社と言われたわけですから、七千社近い中小また零細企業の方がおられるわけですね。そうしますと、恐らく従業員が百万近い人たちがおられると思うのです。私が問題にしているのは、いま、いわゆる不況対策ということで国会でも大変な論議になっている。この国会も、何となく値上げ法案だけが注目され、また、ロッキード問題が注目されておりますけれども、やはり国民の期待というのは不況対策ということじゃないかと思うのですよ。政府の方としても、何次かにわたっての不況対策をやっておられます。また、中小企業に対しましては、いわゆる政府関係中小企業金融三機関の貸付契約の枠を広げるとかそれからまた、民間金融機関からの中小企業向け融資についてもこれを強化するとかいろいろ指導を行っているわけです。しかし、こういうことをやっても、何ぼお金を出しても、仕事がなければこれはどうしようもないわけでしょう、仕事が出るまでの食いつなぎ資金を貸しているにすぎないのですから。そういうときに当たって、政府機関である電電公社がいわゆる政府資金の借り入れも図らずして、それで去年また一昨年と赤字が続いているときにはやり繰っていたものを、法案が出てからばたっとどうも発注が減ったということ。ですから、私は先ほど申し上げたように、どうも新手の国会対策を電電公社がおやりになられているんじゃないか、こう言いたくもなるわけなんです。  大臣、いまのこの論議をお聞きになっていて、こういう時点であなた郵政大臣になられましてどうなさいますか。本当に各機関が不況対策、ましてや中小零細企業に対する対策をやらなければならないときに、電電公社がただ赤字になるから仕事をとめる、こんなばかげた話はないだろう。まして私が腹立つことは、いかにもこの改正案を野党が反対しているからいけないのだというようなことが言われているような、そういう空気があることが私は非常に腹立たしく思うのです。その点について大臣のひとつ御感想をお聞かせ願いたいと思います。
  226. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 この法案の成立を一日も早くわれわれ念願している大きな一つ原因は、いま御指摘の中小企業、特に関連企業の重大な打撃を何とかして救いたいというのが一つの大きな要因でもございます。こんな意味で、いま御指摘の発注その他について公社は十分な配慮を行い、そして特に脆弱な中小企業に対する倒産だとかあるいは雇用関係の不安というようなことは、あらゆる努力でこれは払わなければならぬと考えて今後も公社を指導したいと考えております。
  227. 大野潔

    ○大野(潔)委員 総裁、私が申し上げたいのは御理解いただけたと思うのですけれども、そういう情勢下にあること、その点を十分踏まえまして、そして国の施策に反することのない、いわゆる出入り業者いじめというようなことのないように十分配慮していただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  228. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  ただいま時間があれば詳しく申し上げますけれども、いまの御趣旨に沿うように、中小企業がそういうことにならないようにいろいろな方法を今後講じていきたいというふうに思います。
  229. 大野潔

    ○大野(潔)委員 時間が余りないという話なんで、次の問題に入ってまいります。  次にデータ通信の建設投資、これについて伺いたいわけでありますが、年度別に五カ年計画の投資額をお示し願いたいと思います。
  230. 山内正彌

    ○山内説明員 お答えいたします。  データ通信の投資額は、四十六年度が五百三十三億、四十七年度が六百五十二億、四十八年度が六百七十億、四十九年度が六百四十五億、五十年度が六百七十億、それで五十一年度は七百十八億という予定でございますが、これもただいまのお話と同じ理由によりまして相当大幅な削減が予想される、こういう状況でございます。
  231. 大野潔

    ○大野(潔)委員 そのほかデータ通信関係の開発研究費、これは五十一年度は百十二億と伺っておりますが、大体五十一年度までの総額はどのくらいになっておりますか。これは大体の、アバウト幾らで結構でございますか……。
  232. 山内正彌

    ○山内説明員 お答え申し上げます。  大変申しわけないのですが、いま手元に資料がございませんので、ただいま申されました先生の御数字、五十年度の数字でございますか、百十二億、その数字は確認しておりますけれども、それ以前の数字は、大体それと大差ないのがここ数年続いておるのじゃないかというふうに考えております。
  233. 大野潔

    ○大野(潔)委員 そうしますと、大体百億近い金は出ていたろうということでございましょう。  次に、四十八年度から五十一年度までの四年間でデータ通信建設の投資額、これは二千七百億ぐらいになるわけでありますが、このデータ通信の収支はどうなっていますか。
  234. 中林正夫

    ○中林説明員 部門別収支につきましては、決算の数字を一定の前提を置いて分計したものでございますが、データにつきましては、四十八年度から申し上げますと、四十八年度が二百四十三億の赤字で、収支率は一七六%でございます。四十九年度が三百五億の赤字で、収支率は一六四%でございます。それから五十年度は三百六十億の赤字で、収支率は一五七%というふうになっております。
  235. 大野潔

    ○大野(潔)委員 五十一年度の見込みは。
  236. 中林正夫

    ○中林説明員 五十一年度は決算の数字が出ておりませんので、ちょっと見通しはわかりません。
  237. 大野潔

    ○大野(潔)委員 五十一年度はわからぬということでありますが、大体年間三百億ぐらいになるわけだと思います。そうしますと、これは投資額に比べてこれだけの、毎年三百億という赤字が出てくるということ、これは今度の電話全体の赤字の大きな原因になっているんじゃないですか。しかも赤字になっていながらこの料金改正が見込まれていないというのはどういうわけでございますか、御説明お願いします。
  238. 山内正彌

    ○山内説明員 お答え申し上げます。  データ通信につきましては独立採算を前提として実施しておりますけれども、前々から御説明をいたしておりますとおり、システムごとに八年間で収支の均衡を図るようにということで現在運営しておりますので、サービス開始間もないシステムが多いというような理由でもってこのような赤字が現在出ておる、こういう状況でございます。これは先ほど経理局長から御説明いたしましたとおり、収支率という点でまいりますと毎年好転しておりまして、年数がたつに従ってこの赤字は解消していって黒字になる、やがてその黒字によって前回の赤字を埋めていく、こういう形で推移していくものと考えてやっているわけでございます。  それから、なお人件費等の上昇によりましてこの料金等改定せざるを得ないことにあるいはなるかもしれませんが、この点につきましては認可料金でございますので、この国会にお出ししておりませんけれども、そういう状態になりましたら直ちにこの料金を改定をいたしまして赤字が生じないようにいたしたい、こういうふうに考えております。
  239. 大野潔

    ○大野(潔)委員 このデータ通信の建設投資資金というのは、そうすると別勘定で出てるわけですか。たとえば政府からの援助資金というような形でございましょうか。
  240. 三宅正男

    ○三宅説明員 公社の建設勘定財源の中に外部からの借入金、特に政府保証債あるいは特別債、こういったようなものが毎年相当な金額がございますが、この中でこの借入金といいますか債券の一部をデータ関係の投資に充てているわけでございます。
  241. 大野潔

    ○大野(潔)委員 いま言われた債券というのは、電話を架設するときの債券などが主たるものじゃないですか。
  242. 三宅正男

    ○三宅説明員 いわゆる電電債と言われております加入者債、これは別でございまして、そのほかに政府保証債及び政府からの財政投融資、さらに特別債という形で公募等をいたします債券がございます。
  243. 大野潔

    ○大野(潔)委員 この点を時間があればもっと突っ込んで承りたかったのですが……。  データ通信というのは一般家庭で将来も使うものではありません。これはいわゆる特殊な企業、職業において使うと予想されるわけでありますが、こういうのは思い切って——政府のそういう多少のあれはあるかと思いますが、大臣に伺いますが、こういうものは全額政府資金でやられたらどうかと思うのです。その赤字の方だけが電電公社の一般の電話赤字と一緒くたになったような感じになって出てきたのではたまったものじゃないと思うのですが、その点、いかがですか。
  244. 佐野芳男

    ○佐野(芳)政府委員 お答えします。  いま公社当局から御説明があって少し重複するかもしれませんが、短期ベースで見ますと、確かにデータ通信は営業間もないといいますか、まだ八年たつかたたずかで収支が相償っておりません。しかし、サービス開始をするシステムがだんだん多くなって、既設のサービスの方が多くなりますと、全体的に見ましてもやはり収支がだんだん償ってまいりまして、いまの説明にありますように、五十三年度からは単年度ベースで黒字になる、それがさらに進みますと累積的にも黒字に転向することが目に見えております。もちろん何でもかんでも公社がやるというのではありません。あくまでもデータ通信というのは、いつも公社当局が申し述べておりますように、技術先導的なものあるいは公共的なシステムあるいは全国的なネットワークを組むようなもの、そういう三原則にのっとってやることにしておりますわけで、そういうものは公社が率先してやるべきではないか。ただし、いま先生お話しの資金の関係がございますが、これも三宅総務から話がありましたように、これはデータ通信ユーザーによる受益者債券あるいは設備料等いわゆる外部資金の調達、それから先ほど話がありました公募あるいは非公募債の特別発行による外部資金、こういうもの等によって十分賄っていけるというふうに考えております。
  245. 大野潔

    ○大野(潔)委員 私は、もっとこういう開発的なものは前向き政府資金の導入ということを図るべきじゃないか、こう考えるわけでありますが、その点、大臣お答え願いたいと思うのです。
  246. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 いま事務当局から御答弁ございましたように、将来収支償うという見込みがあるようでございます。同時にまた、近く値上げの申請が公社から来るということも聞いておりますので、その場合にはこの申請を許可する考えでございます。
  247. 大野潔

    ○大野(潔)委員 結論を急げと言われますけれども、大体九時ごろまでいいんじゃないですか。——それでは伺いますが、一般会計の話が出たのですが、寝たきり老人を対象にしたシルバーホンというのを大臣は御存じですか。これはどのように利用されているか、簡単に御説明願いたいのです。
  248. 玉野義雄

    ○玉野説明員 現在シルバーホン「あんしん」は、しばらく皆さん方に試行で使っていただきまして、改造すべきところがあるかどうか見ていただいて、七月から実施に入ったわけでございます。  それで、現在まだ実施期間が短いものですし、ついておりますのが大体百七十台ぐらいでございますが、これは大体六十五歳以上ぐらいでございまして、寝たきり老人等についてはパーセンテージは少のうございますが、一応一人暮らし老人とか、そういう方についております。これは大体市町村で福祉事業としてつけておられます。ですから、基本料とか度数料、基本料はほとんど市町村で持ちまして、度数料をある一定部分持つということでございますが、なお、シルバーホン「あんしん」の付加使用料につきましても、現在ついておりますものは市町村で御負担いただいておるということで、本人負担にはなっておりません。
  249. 大野潔

    ○大野(潔)委員 これは一個セットすると大体どのくらいかかりますか、現状、大体どういう形になって利用されているか、御説明願いたいのです。
  250. 玉野義雄

    ○玉野説明員 通話につきましては一般の電話と同じでございますので、度数制のところは度数料金でいただきますが、シルバーホン「あんしん」だけの付加使用料につきましては毎月三千五百円になっております。これにつきましては、ある程度もう少しかかるわけでございますが、物が物でございますので、少し値段を切りまして三千五百円ということにいたしております。
  251. 大野潔

    ○大野(潔)委員 このシルバーホンに二種類あるようですね。非常にこった「あんしん」とかいう、その辺も三千五百円ですか。
  252. 玉野義雄

    ○玉野説明員 私がいま御説明申し上げました三千五百円というのは、シルバーホン「あんしん」でございまして、いろいろなダイヤルを回さなくても、ボタンを押しただけで自分の子供さんのところへかかるとか、こういう特殊な装置がたくさんついておりますが、もう一つシルバーホン「めいりょう」というのがございまして、これは難聴者の方、たとえば耳元で言わなければ聞こえないというような方につきましては、受話器を調整しまして聞こえるようになっております。したがいまして、これは音量調整だけでございますので、値段がずっと安くなっておりまして、毎月の使用料は百七十円でございます。これは大体千個程度ついております。
  253. 大野潔

    ○大野(潔)委員 そういったものは公社でサービスとしてやっておられるのですか。それともどこかが出資しておるのですか。
  254. 玉野義雄

    ○玉野説明員 「あんしん」の方は毎月の使用料が三千五百円ということでございますので、個人でつけておられる方はほんの数名でございまして、ほとんどにつきましては市町村につけていただきまして、市町村で補助していただくということで全部市町村で補助していただいておりますので、三千五百円は本人負担にはなっておりません。
  255. 大野潔

    ○大野(潔)委員 そこで大臣電電公社に詳しい状況を聞いても無理だと思うのですけれども、これについては地方自治体で相当負担しているわけですよ。地方自治体といえば大変財政が乏しいわけでございますが、これはひとつ郵政大臣が音頭を取られて、直接の担当である自治省、また福祉関係を担当している厚生省とも協議しまして、公社がどの程度負担するのか、また所管の省がどこまで負担するのか、一遍協議なさるべきじゃないかと思いますが、その点、いかがですか。
  256. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 この点は政府としての社会福祉政策の枠内で考慮さるべきでございますが、御指摘のようにこういう寝たきり老人あるいは身体障害者のようなまことに気の毒な方に対しては、やはり国が積極的に国庫補助を捻出して処置することが適当と考えまして、すでに四十九年度以来厚生省とも協議いたしまして予算を獲得いたしておりますが、とりあえず五十一年度は一億二千万計上したわけで、今後もこの枠をふやして、一台でも多く架設いたしたいと考えておる次第でございます。
  257. 大野潔

    ○大野(潔)委員 設備料金が現在の五万円から八万円ということで、いままでの五万円といっても、これを一遍に支出することは家庭に大変な負担がかかるわけでありますが、これが八万円になれば、ますますつらいわけです。まして老人家庭や母子家庭、また身障者の家庭にとっては大変な経済的負担がかかる。またそういう人ほど、いざという場合には電話がほしい、こうなるわけであります。そこで、今回の値上げとは関係なく、この設備料の分割払いについては考えられるべきじゃないかと思いますが、その点、いかがですか。
  258. 玉野義雄

    ○玉野説明員 非常に電話の必要な方で家計の苦しい方もおられますし、先生おっしゃいますように、そういう要望もかなりあると思いますので、私たちも郵政省等とも御相談いたしまして、分割払いの方法等について研究していきたいと考えております。
  259. 大野潔

    ○大野(潔)委員 私の後、久保さんの質問があり、総理が出るからなるたけ早くやめろという指示がありますので、私は料金関係とか基本料金を大分突っ込みたかったのですけれども突っ込まないできたわけでありますが、いずれにしても、先ほども言いましたように、とにかく公共料金値上げ、しかもすでに前年度対比九%以上に物価が上昇しているという点を考え、しかもその内容的にどうも値上げだけでもって赤字の穴埋めをするという、この辺のことを考えますと、どうも今度の法案というものは納得がいかないわけであります。  そういうことで、私は最初大臣に、この法案を撤回すべきではないかという意見を申し上げたわけでございますが、ひとつ今後の審議で大臣も十分お考えいただきたいと思います。  では、以上で終わります。      ————◇—————
  260. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として国際電信電話株式会社取締役笹本昇君の出席を求めるに御異議ございませんか。
  261. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  262. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 この際、福田郵政大臣より発言を求められておりますので、これを許します。福田郵政大臣
  263. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 先ほどの逓信委員会物価問題等に関する特別委員会連合審査会における森井忠良委員の御質疑に対する私の答弁中、郵便料金の問題に関する部分はいささか舌足らずでありまして正確を欠くところがありましたので、この場をおかりしておわびを申し上げますとともに、もう一度私の考えを申し述べさせていただきます。  郵便料金は、御指摘のとおり本年初頭値上げしたばかりでございまして、私としては引き続いての再値上げは極力回避したいと考えておりますことは申し上げるまでもありません。五十二年度につきましては、現在予算編成途中の段階であり、最終的な結論を得るに至っておりませんが、料金の改定は極力回避するよう努力いたしたいと考えております。  また五十三年度以降の処置については、五十二年度における推移をなお見きわめる必要もございますので、今後慎重に対処いたしたいと存じます。
  264. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 久保等君。
  265. 久保等

    ○久保(等)委員 今回、公衆電気通信法の一部を改正する法律案が提案をせられ、その審議を連日深夜に及んでやっておるわけでありますが、今回のこの法案の中身は料金の大幅値上げ問題を含んでおりますだけに、国民も非常に大きな関心を持っておりますし、また私ども、この法案に対してそういう意味合いで非常にこれを重要視し、中身についていろいろ検討を加えてまいりました。結論としては、したがって私ども、今日の高物価の社会情勢の中でさらにこれが実行せられますことにつきましては、とうてい賛成するわけにまいりません。  顧みますと、昭和二十八年第十六特別国会ですが、公衆電気通信法の一部改正が行われ、通話料一通話五円を七円に改正することを中心にして法の改正が国会に提案をせられてまいりました。当時、私もその審議に加わった経験を持っておりますが、今日、二十三年たって出てまいりました公衆電気通信法の一部を改正する法律案は、いまも申し上げましたように、きわめて大幅な改正案になっておるわけであります。したがって、問題点が非常に多いわけです。特に、電話料の改定問題にいたしましても、いろいろな意味ですっきりしない面があるわけでして、そういったことにつきましては、今後の問題としてやはり真剣に取り組んでいただかなければならぬ問題ではないかと思っております。  簡単なことですが、ちょっと考えてみましても、市外通話、長距離通話は、七百五十キロ以上の長距離地点につきましては、例の一通話二・五秒という一度数になっておるわけですが、ここらあたりはやはり常識的に素人が考えてみましても、一通話、すなわち一度数わずかに二・五秒、こういう単位の計算の仕方は、一般の利用者立場から言っても、非常に不可解な問題だと思うのです。  これはたまたま現在の公衆法の中の別表をちょっと拝見して感ずることだと思うのですが、そのほかいろいろ問題がございます。  先ほどもいろいろな御質問がありましたが、結局、東京等における通話区域と地方における通話区域のアンバランスの問題、とれらについては、半径五キロ以内については同一加入区域とするといったようなことで、加入区域の拡大を現在公社当局の方でおやりになっております。しかしこれも、現実に進行中でありますが、仮にこれが実現をしたとしても、東京あたりと比べれば問題にならない状況にあると思うのです。したがって、この現行電話料金体系の問題についての是正、これも、けさほども、私どもの同僚議員であります松浦委員質問に対して、今後前向きで検討しようという御答弁があったと思うのですが、この点、きわめて重要な問題でありますので、もう一遍確認をする意味で簡単に御答弁願いたいと思うのです。
  266. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  本日もこの委員会お答えいたしましたが、ただいま御指摘の遠距離の通話料金の問題、あるいは先ほど御質問がございました近距離における問題、いろいろございます。これらの料金体系につきましては、今後の問題としてこれを前向きに検討したい、このように思います。
  267. 久保等

    ○久保(等)委員 そこで、さらに一歩を進めて、そういう全体的な問題については、いま総裁から御答弁があった方向で、これは今後の検討課題としてぜひひとつ検討いただきますと同時に、実現を願いたいと思っておるのです。  ところで、当面の問題としては、これまたけさも松浦委員の方から質問がございまして、それに対して遠藤総務理事の方からお答えがありました。それは要するにシビルミニマムの問題についてでありますが、遠藤総務理事の御答弁で、何か二百五十億ないし二百六十億、金額の面では三カ年その程度の金額で実行できるのではないかというお話だったのですが、それが果たして、通話度数が一カ月六十度数なのか、あるいは百度数なのか、そこらの答弁もちょっと不明確だったと思うのですが、この二百五十億ないし六十億と言われる三カ年にわたっての金額は一体何度数を言っておられたのか。同時に、この程度のことは、いま申し上げたように、これをさらに三等分いたしますと大体七、八十億程度の金額であり、金額からいえば大したことではないのじゃないかと思うのですが、そういった点から言ってもこれはぜひ——これだけの大法案で、これだけの公共料金値上げの一環でありますこの公衆電気通信法の改正をこの際実行しようとするのならば、せめてこういった具体的な問題で十分に配慮をしておるのだという態度を示される必要があるのじゃないかと思うのです。そういう点で、けさほどの答弁で、このことについてはある程度賛意を表した答弁だと私は理解しておるのですが、なお若干、いま言ったように実は何度数のことを指しておるのか、そういった点も明確でなかったように考えますので、その点を明確にお答えを願い、この程度のことはシビルミニマムの一環としてこの際ぜひ実行するのだという御答弁を明確にいただきたいと思います。
  268. 遠藤正介

    遠藤説明員 お答えいたします。  ただいまのお話はきょうの午前中社会党松浦先生の御質問に対する御答弁を指しておられるのだと思いますが、二百何十億と申しましたのは、一カ月に百度数までしか使わない人の料金を仮に七円に据え置いた場合に三カ年間で二百数十億、こういうことを申し上げたわけでございます。  なお、それにつきましてはさらに、それをいかなる形で実行するかということについて、あの席で御質問の中で、公社総裁の臨時減免措置でできないか、こういうお話がございまして、これは突然の御質問でございましたので、私も、研究をさせていただきたい、それからなお、法律の有権的な解釈をしておられます郵政省とも御相談をさせていただきたい、こういうことをお答えいたしまして、やるということはあのときに必ずしも御答弁いたさなかったのでありますが、臨時減免措置の問題についての解釈がはっきりいたしました場合に、百度数がいいかどうかは別といたしまして、臨時減免措置でできる範囲内においてはやれるのじゃないか、こういうぐあいに思っております。
  269. 久保等

    ○久保(等)委員 それでは、その度数、百度数がいいのかあるいは若干その度数を下げるといったようなことか、そこらの具体的な結論については若干相談をしなければならぬ、政府部内での問題も当然あるでしょうし、けさほど提起された問題ですが、いまの遠藤総務理事の御答弁で、ぜひ近日中に結論をお出し願いたい、明確な結論を出していただきたい。しかも、いまの御答弁でも前向きというよりもほぼ八、九分どおりこれに対して賛意を表したふうな御答弁と理解をするのですが、この場で百度数必ず実行するのだという答弁まで至らないとしても、とにかくここ数日中にこのことについて前向きで結論を出していただく、こういうふうに理解したいと思うのですが、よろしゅうございますか。
  270. 遠藤正介

    遠藤説明員 確かに前向きに検討すべき問題だと私は思っております。ただ、八、九〇%やるというようなことは私は申し上げてはおらないのですが、前向きの形で検討して、できるだけ早く結論を持つようにいたします。
  271. 久保等

    ○久保(等)委員 そのできるだけというのがきわめて不確定な話で、だから私は数日中にということを申し上げておるのですが、よろしゅうございますか。
  272. 遠藤正介

    遠藤説明員 数日中とここでお約束することは無理かと思いますが、一遍十円に上げてしまってから七円に下げるというのは全然ナンセンスに近いですから、もしやるとすればそれまでには実行できるようにしなければ意味がございません。したがって、二、三日という時間は私もちょっとお約束できませんが、せいぜい一週間か十日ぐらいの間には何らかの方針を皆様と御相談して決めるようにいたしたいと思います。
  273. 久保等

    ○久保(等)委員 一週間前後、私その程度のことにこだわるつもりは毛頭ございませんが、結論としては、そういったことが具体的に実行せられるように最善の御努力を願い、私の申し上げておるとおりの結果になりますように重ねてお願いをしておきます。  次に、私、住宅電話の共同加入の問題についてお尋ねをしたいと思うのですが、いろいろこの委員会での電電公社の御答弁等を聞いておりましても、これからますます住宅加入電話がふえてまいる、現にすでに六割以上の住宅電話が普及をしてまいっておるという現状で、さらに先ほど来総裁の御答弁の中でも、さらに行く行くは八〇%を超えるであろうというような御答弁もありますが、したがって、今後余り頻繁に利用しないいわば低利用の電話、これをどう普及してまいるか、どんどん増設をしてまいるかという問題が非常に大きな問題だと私は思うんですね。しかもよく言われるように、つければつけるほど赤字になるなどというようなことが言われるような住宅電話の問題、この問題については、一つの方法として、共同加入の問題、これを具体的に考える問題だと私は思うのですが、すでに二共同の加入者も相当あるわけでありますし、この二共同の加入者が現在どの程度ございますか。簡単にひとつお答え願います。
  274. 玉野義雄

    ○玉野説明員 大体二百万程度でございます。
  275. 久保等

    ○久保(等)委員 さらに公社の資料で見たのですが、多数共同の問題、いろいろあるわけですが、たとえば地集の問題、これはよく言われておりまするように、平均すると六コンマの幾らかの加入者が一つの回線にぶら下がっておるという問題、あるいは二共同もいまお話がありましたように二百万を超える共同加入、こういうものが現存しておるのです。たとえば地集なんかの問題にいたしましても、この地集を利用者立場から言えば、非常に不便だ、かけようと思ってもなかなかかからない、そういった苦情が絶えないわけです。そういったことから、これを機会を見て逐次単独加入に切りかえてまいっておるようでありますが、問題は、そういう地集なり、あるいはまた五共同加入だとか、あるいは四共同加入、そういったような多数共同加入、これらの問題については、確かに一般の利用者の方々から見れば、不便な、急の役に立たない電話といったような非難が非常に強いわけです。私はそういう意味で、ここらあたりで一カ月六十度数程度くらいしか利用されない向きには、そういう二共同の電話を架設をしていっても、利用者立場から言えば余り不便をかけなくて、現実に十分に電話としての効能を発揮していくのじゃないかと私は思うのですが、いまお話があったように、二百万を超える二共同の加入電話が現実に稼働しておるとすると、そういったものの実績は一体どういうことになっておるのか、そういう方面から、なかなかどうも思うように十分に電話が使えないといったような苦情があるのかないのか。二共同あたりは一番共同加入としては少ないわけですから、その場合における実際の利用者立場から見た意見というものは、一体どういう意見かお聞きしたいと思うのです。あるいは三共同の問題についても、特別支障があるというような批判があるのかないのか、お尋ねしたいと思います。
  276. 玉野義雄

    ○玉野説明員 二共同の問題につきましては、いろいろ場合によってニュアンスがございますが、たとえば同一敷地内で親子で住んでいるとか、こういうようなときは割合スムーズにいっております。それから、他人ですと、やはりかち合うときもございますのできらわれる場合もありますが、いまございました地域集団電話の一般電話化の場合には、これも場合によってはわりあい地域集団電話は朝晩に集中する場合がございますが、それでもやはり単独でなくて二共同で結構だというようなものもございまして、おおむねニ共同でやっておられる方はスムーズにいっておるのではないかというふうに考えております。
  277. 久保等

    ○久保(等)委員 だから、これはもう少し積極的に——現在もうすでに二百万を超える二共同の加入電話があるわけですから、そういったものの利用状況、それからまた、実際の利用者意見あるいは実際使った経験、そういったようなものを十分に掌握をして、私はやはりできるだけ——せっかく貴重な通信器材を使ってつくった電話ですから、これがせっかく設置をされたが、客観的にながめた場合に、一カ月に一日一ぺんも使わない、六十度数というと、これは東京都内の場合あたりですと、一日に二回程度の数になりますが、先ほどちょっと申し上げましたように、長距離の通話ということになれば、特に七百五十キロ以上通話したとするならばわずか二分三十秒くらいしゃべれば、もうそれでとにかく六十度数になってしまうわけです。     〔三ツ林委員長代理退席、委員長着席〕 そういうことを考えてみますると、六十度数という度数も、一カ月に六十度数というものの中身をよく検討してみると、一日に一通話にはもちろんならない場合がむしろ多いのじゃないかと思うのですよ。そういうような稼働状況電話をどんどんふやしていく。これは言いかえれば、また、一般の利用者の方々に大変な負担を強いることになるわけです。例の設備料にしろ、あるいはまた電話債券の購入問題、非常に金額が高くなって問題になっておるわけですが、そういう点を考えると、結局貴重な器材、通信設備というものを有効に経済的に使っていく、こういうことは私は非常に大きな問題だろうと思うのです。その二共同で電話をつける場合と、あるいは単独加入電話でつける場合と、私は経費の面でも相当違ってくると思うのですが、そのあたりの見解をひとつ金額の面でお示しを願いたいと思います。
  278. 輿寛次郎

    ○輿説明員 お答え申し上げます。  いま二共同のお話がございまして、確かに電話をかける率の少ないところにはいい方式かと思います。そういった点では私も賛成でございますが、ただ、現実の話を申し上げますと、お使いになる方が、時間さえずらしていただければいいわけですが、やはり朝晩というようなことで大体かける時間は同じでございます。たとえば団地電話というのがございまして、これは二共同でございますが、やはり最近は、団地電話をおつけになっている方からはかなり苦情も出ているわけでございまして、やはり相手を選ばないと問題ではないかと思います。  それから建設費でございまして、これはなかなかむずかしゅうございます。と申しますのは、確かに電話をつけます場合、電話機はそれぞれ別でございますが、これはむしろ共同電話は高うございます。安くなるのは、実は電話局から加入者に参ります線路でございます。線路は、たとえば全部二共同であれば、百対のケーブルを引っぱれば二百軒につく、こういう意味では非常に安くつくわけでございます。これは、たとえばその方が初めそういう形でお入りになりましても、途中でやはり単独がいい、いろいろなことがありますとそういう面もありますので、いわゆる設計する立場、建設する立場から申しますと、余りいっぱいにつけるわけにもまいらないわけであります。そういった意味で、これはそのときにまたケーブルを引っぱればいいじゃないかとおっしゃいますけれども、やはり二重工事になる。そうすると、ケーブルなり工事費が高くなるということがありまして、必ずしもたとえば半分でつくというわけにはまいらないわけでございます。そういった点がございますので、いろいろ場所によって違いますので、私、いまここでは幾らになるとは申し上げられませんが、少なくとも言えることは、大ざっぱに言って、実際の話から申しますと、せいぜい八割ぐらいの価格ではなかろうか、こう思っております。
  279. 久保等

    ○久保(等)委員 いま言う線路の共用問題が経済的な面では一つ挙げられると思うのですが、いま二割程度節約になるだろうという話なのですが、それもどうも私もすぐ信用できない。もう少し経済的なのじゃないかという感じもするのですが、仮に二割程度の節約ができるとしても、これはやはり相当な金額になると私は思うのですね。いままでのものを切りかえていくというようなことについては、これはもう何といったって加入者が納得をしない。そういうものはやるべきじゃないと思うのです。ただ、将来つけるに当たって、できるだけこの通信器材の経済的な有効利用という立場から勧奨していく。その方法としては、たとえばそれこそ一割程度通話料を安くする、そういうことも一つの勧奨の方法だと思うのですが、問題は、実際使おうと思ったときに使えない電話では困るわけです。だから、そういう面で実際支障があるのかないのかということを、二共同あたりの問題については、私は、そうかけようと思ったときになかなかかからないというようなことは、先ほども申し上げたようにきわめて利用度数の低いところについて申し上げておるわけですし、たとえば一カ月わずかに六十度数というのは、先ほどもちょっとお話ししたように、どこか遠くへかければ一遍で一ヵ月分の通話度数は超えてしまうわけですし、そういう点ではかける度数から言ったらきわめてわずかだと思うのです。六十度数とは言いながら、遠いところでは、いま言ったわずかに二・五秒をもって一度数とするのですから、そういうことを考えると、そういった低利用者の方方には実際不便もかけない、そしてもちろん設備料は安い。さらにまた、私がいま申し上げたのは、これは経済比較なりいろいろ検討しなければわかりませんけれども、その許す範囲内において、この通話料等についても若干の割引を行う。そういうようなことで、問題は、資源の乏しい日本で、とにかく山間僻地のところまで、最近地団なんかの場合ですと単独加入電話を増設したりなんかしていることを考えると、これは少し行き過ぎじゃないかという感じも一面からするとするわけでありまして、決して利用者、加入者の方々に不便をかけるべきだなんということは、私毛頭申し上げておるわけじゃないのですが、こういったことも各地域の実際の利用者の方々に、現実もし不便をかけるとすれば一体どういうことになっているのだろう。だから画一的にやってもらいたいとは思わないのですが、実情をもう少しよく把握をせられて、すでに二百万を超える二共同加入の加入者がおいでになるなら、それらの方々の利用状況等を十分に調べていただいた上で、ぜひもう少し有効利用ということを考えるべきだと思うのです。そうしなければ、とにかくすべて単独加入、しかも線路部分が東京都内のようなあるいは大都市のような密集地帯じゃないところに電話をつける問題であるだけに、線路部門の施設費としての負担というのは相当大きなものがだんだん出てくるだろうと私は思うし、壁頭に申し上げましたように住宅電話に、しかも地方にこれから住宅電話をどんどんつけてまいろうというやさきでありますだけに、それこそシビアな経営考えてまいるのには、こういった面について——しかも技術はどんどん伸びておるというのに、昔ながらに二共同、三共同になったら——隣の通話が盗み聞きされるのじゃないかといったような心配は技術的にも問題はないわけなんですが、そういったことの周知を図ることによって、そういった理解をもちろん十分にしていただく、御理解をいただいてそういう方向にできるだけ有効に、経済的に使ってまいる。こういうことを極力今後推進をしていくべきではないかというふうに考えるのですが、特に技術屋さんである総裁の方からお答え願いたいと思うのです。
  280. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  多数共同加入等に対しましてこれを二共同に直すということも一つの重要な課題だと思います。ただいまの御意見、十分取り入れて進めたいと思います。
  281. 久保等

    ○久保(等)委員 それでは次に参りますが、私有線放送電話の問題についてちょっとお尋ねしたいと思うのです。有線放送制度が生まれて今日相当年月が経過をいたしておるわけです。もちろん電話の事情の十年、二十年の経過は、私が申し上げるまでもなく大変な進歩発展をし、量的な面でも特に電電公社発足当時の加入者わずかに百三十五万程度であったものが今日では三千百万あるいはこれをさらに上回っておると思うのです。そういう状況の中で、もちろん地方における、農村等における電電公社の加入電話も当時と比べれば今日隔世の感があると思うのですが、そういうことを考えますると、有線放送電話が生まれた当時の状況というものは、電電公社電話がなかなかそういった農村地方にはつかない、要するに申し込んでもつかない。そこで一つの便法として有線放送電話が生まれてまいったと私思うのですが、それが最近特にどういう傾向に置かれておるか。時間的な関係もございますから余り詳細な御報告は要りませんが、きわめて簡単にその傾向についてお尋ねしたいと思うのです。
  282. 松井清武

    ○松井政府委員 申し上げます。  過去五年間の傾向で見てみました場合、数字を丸めて申し上げますが、約千九百の施設数が五十年には千二百に落ち込んでおります。年々減少の傾向でございます。末端の設備数におきましても昭和四十六年約三百十三万でございますが、昭和五十年には二百二十八万ということで逐年減少の傾向をたどっております。
  283. 久保等

    ○久保(等)委員 それは当然の趨勢だろうと存じます。先日もちょうど閉会中に当委員会の方から九州の山鹿市の方に視察に参りまして、山鹿市の農協の有線放送電話を拝見したわけですが、山鹿市の農協でやっております有線放送電話もやはりいまの全国的な概括御説明と同じような状況に置かれております。  と同時に、時間がございませんから私質問をする中で申し上げたいと思うのですが、特に有線放送の経営と申しますか運営、その面からながめて見た場合、何といっても、有線放送電話そのものが決して営利を目的としてやっておるものではありませんが、同時に経営的にはきわめて苦しい、いわば赤字経営ということになっておるようです。この資料を拝見しても、最近三年間における経営状況ということで、その収支状況が全国的なもののまとめとして出ております。これを見ても、事業外収入、これは恐らく他の一般会計からの繰り入れ等を示しておるのだろうと思うのです。そうだとすると、四十八年で約四十億、四十九年で四十四億、五十年で四十億、これが事業外収入という形で繰り入れられてどうにか収支とんとんという形で運営をしているようですが、いま私が申し上げたことに間違いがないかどうか、監理官から確認願いたい。
  284. 松井清武

    ○松井政府委員 そのとおりでございます。
  285. 久保等

    ○久保(等)委員 山鹿の場合について申しますると、年間約五千万円余りの規模で予算がつくられ、これが五十年度の収支報告として出ております。この場合にも一般会計からの繰り入れが約八十万五十年度の場合にありますし、五十一年度の場合にはさらに約八百万程度の赤字になっておりますが、五十一年度はさらにこれが一千万円になるだろうというお話でした。そういった点を見てみますると、有線放送電話経営そのものが、全国それぞれ大変な御苦労をされながら運営をしておるのが実情だと思いますし、それから人員の面でも、この資料に出ておりますのは、私かねがね聞いております人員数からまいりますと若干下回っておるようでありますが、私の聞いておる限りでは一万数千名、二、三千名ぐらいの従業員の諸君がいろいろ苦労して保守、運用に当たっておるようであります。そういったこと等も考えてみますると、従業員の給与その他の賃金問題等調べてみますると、これまたきわめて低位に置かれておるようでありますし、あれこれ考えますると、とにかくこういった問題が、時代の背景の中で生まれてきた制度ではございますが、だんだんだんだんと加入者そのものももちろん減少しておりますし、施設もだんだん逐次縮小されておるといったようなこと等もありまして、経営がますます苦しくなってまいっておる、こういう状況に置かれておるわけです。本来公衆電気通信、一般の方々が利用する公衆電話というものはこれは電電公社が一元的にやることに法律でなり、独占的な企業として法律の定めるところでありますが、問題は先ほど申し上げましたように時代的な背景で、いわば電電公社電気通信事業の補完的な意味で生まれた制度です。したがって今後の展望考えますると、ますますこういった問題の解決のため公衆電気通信について公社が一段と努力をしなければならぬ問題があると思うのです。これは先ほどの住宅電話の問題とも実質的には関連すると思うのです。したがって、今後の展望等についても監理官の方から簡単に御説明願いたいと同時に、日本の通信政策という立場から有線放送電話あり方について簡潔にひとつ監理官の方から御答弁願いたいと思うのです。
  286. 松井清武

    ○松井政府委員 ただいま先生からのお話もございましたが、有線放送電話は放送と通信とを一体として運営する通信手段でございます。しかし、近年におきましては、公社電話の普及に伴いましてその通信機能、特にその地域社会外への通信手段としての意義は弱まりつつあるわけでございまして、今後の有線放送電話の将来を考えました場合に、その放送機能を中心として地域社会の役割りを果たしていくだろうと考えている次第でございます。  したがいまして、そういった農村地域あるいは過疎地域に対しましては、公社電話の普及を今後とも一層進めていくことは御指摘のとおりでございますが、その他につきましても農村公衆電話設置による無電話集落の解消、電話局の自動化、普通加入区域の拡大、地域集団電話の改善等々、現在公社といたしましても鋭意努力をしているところでございますし、郵政省といたしましても、今後ともそういった推進に力を注いでまいりたいと考えております。
  287. 久保等

    ○久保(等)委員 公社公衆電気通信法の第一条にも明記されておりますように、あまねく、そして公平に通信施設国民一般に提供しなければならぬことになっておるわけでして、そういう立場からもぜひひとつ一層の御努力を願いたいと存じます。  次に移りますが、次は経営委員会の問題についていろいろお尋ねしたいと思うのです。  電電公社経営委員会は何といっても最高の意思決定機関であり、きわめて重要な機関になっておるのですが、その運営を見ますと、必ずしも十分にその機能を発揮しておるかどうか、私は疑問を持っております。大臣はけさほどの御答弁で機能を発揮しておるというような御答弁があったのですが、たとえばこれほどの重要法案が出ておりますが、私ども、恐らくここにおいでになる同僚委員の方々も経営委員の諸君の顔を余り見たことがない。これだけの重要法案が出ていながら、国会に来られた総裁、副総裁経営委員でおられるし、当然経営委員の言貝ではありますが、一般の経営委員の顔は見たこともない。こういう経営委員が、電電公社の重要なそれこそ二十年あるいは二十年以上にわたった中で特筆すべき重要法案が今回国会に出されておる中で、経営委員の方々はもちろん議決せられて、その議決に基づいて郵政大臣のところに原案を出され、さらに政府の方からこの国会に提案せられたものと思うのですが、そういう意味で非常に形骸化をしておるという事実は否めないと思うのです。  ところでこの経営委員の問題については、小佐野賢治氏の問題等も出ておりますが、近々また二名ばかりの方がおやめになる。一人は小佐野賢治氏ですが、その補充等が行われるようですが、その顔ぶれを見ても果たして経営委員として十分お仕事をやっていただけるかどうか疑問を感じます。これは個人的な能力とかなんとかということではなくて、たとえば現に非常に大きな会社の社長だ、しかも十数個のとにかく役員を兼ねておる、しかも西の方のところで現在お勤めになっておる、こういう方を経営委員として任命して、果たして経営委員として十分能力を発揮していただくことができるかどうかを考えると、これまた多分に疑問を感じざるを得ないのです。  そういったことを申し上げれば切りがないのでありますが、とにかく経営委員会について、本当に動ける、しかも法律で定められた経営委員としての任務を十分に果たし得る人材を任命することに政府自体が十分にお考えを願いたい。  ところで、経営民主化ということは当然なことですし、もう少し本当に国民密着した形の電電公社経営あり方であってもらいたいと念願をするのですが、そういう立場からまいりますと、やはり何といっても公社利用者なりあるいは地域の住民の方々の声を企業の中に生かしていくことが必要だろうと思うのです。そういった立場からいって、これはきわめて具体的な提案ですが、たとえば公社の収支状況あるいは財務諸表といったものを、値上げのときだけではなくて平時五大新聞あたりに公表する、そして国民一般の御意見等も聞くことに平素から十分に努められる必要があるのではないかと思うのです。いまのはきわめて具体的な提案ですが、せめてこういったことでも手始めにおやりになる意思があるかどうか。最近、この値上げ法案をめぐっては大変いろいろと御努力をされたり、あるいはまた新聞広告等もやっておられるようですが、いま申し上げた程度の最低限の公表、商業紙、五大新聞あたりを通じて国民の前に公表する、こういうことについて総裁の方からひとつお答え願います。
  288. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  この問題につきましてはきょう御質問がございましたときにも申し上げましたが、そのような利用する国民の皆様の意見が反映するような仕組みにつきまして、前向きに実現するように図りたいと思います。
  289. 久保等

    ○久保(等)委員 それでは次に通話停止問題について若干お尋ねしたいと思うのです。  今度の改正法案の中に、KDDすなわち国際電信電話株式会社も電電公社と同じように通話の停止ということができるということが盛られております。電電公社の場合にももちろん通話に対する通話料の滞納問題があるわけですが、しかし資料等で拝見する限りにおいては、金額等の点においても比較的納入状況がいいように見受けられます。しかし国際電電の場合にはかねがね問題がありまして、非常に多額の通話料がなかなか支払われない、こういうことで、私ども何とかもう少し能率的な滞納の解決方法はないかということで国会でも問題にしたことがあるわけでありますが、今回、いま申し上げたように法案の中で改正案も提案されております。  目下の状況について簡単にお答え願いたいと思うのですが、滞納期間が一年以上に及ぶもの、あるいは六カ月以上、三カ月以上のものについての金額、件数が最近の状況においてどういうことになっておるか。それからこれらの通話対地別の滞納状況もあわせて国際電電関係者の方からお答え願いたいと存じます。
  290. 笹本昇

    ○笹本参考人 お答え申し上げます。  国際電電の回収状況そめ他について申し上げます。現在のところ法的措置によりまして回収した金額でありますが、四十八年度には六十三件、二千六百万円を実施しまして八百万円を回収しております。四十九年度には千七百八十九件、一億三千五百万円について実施いたしまして二千三百万円、五百七十二件を回収いたしました。五十年度には一万六千六百三十件、九億七千四百万円について実施いたしまして二億四千三百万円、七千六百五十件を回収いたしております。  現在回収しました率は、滞納額で申し上げますと、五十一年三月におきまして十七億三千三百万円、回収率九九・五七%ぐらいになっております。一年ほど前の逓信委員会におきまして御報告申し上げました額は十五億七千四百万円の滞納、九九・三二%の回収率になっております。  以上でございます。
  291. 久保等

    ○久保(等)委員 それから主要通話対地別の御答弁お願いします。
  292. 笹本昇

    ○笹本参考人 お答え申し上げます。  対地別の滞納状況につきましてはちょっと調査が困難でございまして、いまのところ手元に資料がございませんので、後ほどまた先生の方へ提出したいと思います。
  293. 久保等

    ○久保(等)委員 草々の間で笹本取締役の手元にないのかもしれませんが、私はけさほどちょうだいしているのですがね。——では申し上げますが、私の申し上げることが当たっておるかどうかをひとつお答え願いたいと思うのですが、滞納額中に占める割合で、対地通話というのは、国際電電のことでありますから外国になりますが、韓国が四九・六%、金額にして四千七百万円。これは昭和五十年の十二月に請求をし、そうしてその後本年の六月まだ未納であるもの、したがって、請求をしてから半年ばかり納まっておらないと言われるものであります。その第二位になりますのが台湾、一〇・三%で一千万円。その次がアメリカあるいはフィリピン、香港というような順序になっておるのです。非常に目立つのは何と言ってもお隣の韓国の約五〇%に及ぶこの滞納の割合です。そういう点から考えてみますると、滞納金額の中で占める比率が韓国の場合非常に多いわけです。こういったところについては私は、売り上げた品物であるならそれに対する代金の徴収を図るのは当然のことでありますが、そういう点で、ぜひ、この回収に一層努力を願いたいと同時に、今度は法律をつくったから法律解決するんだということじゃなくて、もう少し、最大限の御努力を願う。また、KDDの場合には従来営業部門の点で若干手薄であった面についていろいろ手を打たれておるようなお話も聞くわけですが、ぜひひとつ今回の改正と相まって、非常に金額的にも目立つところがあるわけですし、一層の御努力を願いたいと思っております。ひとつ簡単にそのことについての考え方をお聞きしたいと思います。
  294. 笹本昇

    ○笹本参考人 最初にちょっとおわび申し上げます。  先ほど、手持ち資料としてございませんと申し上げましたが……
  295. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 御静粛に願います。
  296. 笹本昇

    ○笹本参考人 いま先生が御説明申し上げましたとおりの、外国、特に韓国、台湾、アメリカ等が中心になりました各国別の通話料の滞納がございます。したがいまして、私どもとしましては、すでに社内におきまして、先生の御指摘のように、料金関係組織と要員の拡充強化あるいはそのほか、請求書の直接発行でありますとか、通話取り扱い停止措置の強化、あるいは法的処置の強化といいますような、社内的に私どもが企業努力をやればできる範囲のことは極力やってまいりまして、今後も鋭意その辺につきまして一層の努力を重ねたいと思いますが、何分通話取り扱いの停止というものあるいは法的処置の強化というようなもので滞納金額を追及し、これを回収する努力は、ある程度のところまでは行きますが限界がございまして、決め手になるものではございませんので、その点におきましては、今回の法改正によりまして国際電話料の滞納につきましても通話停止ということがもし法として成立いたしますと、私ども国際電話の最近の通話料の滞納がかなりの程度、減少整理されまして、非常に経営状態も改善されましてありがたいことになると思いますので、何分先生方の御配慮、御指導をよろしくお願いしたいと思います。
  297. 久保等

    ○久保(等)委員 この通話停止の問題については、実際その通話停止の衝に当たりまする従業員にとってはいろいろ困難な問題があるわけでして、先般も各商業紙が大々的に報道いたしておりましたが、問題は通話停止ではなかったようでありますが、福岡市内において七月十六日でしたか、これは相手が暴力団だったということで、局長初め局関係の六名の方々が重軽傷を負う大変な惨たんたる被害を受けたようでありますが、結局、通話停止に現場に出かけてまいります従業員にとっては非常な問題であります。したがってそれだけに、電電公社それから国際電電、その間における十分な事前の連絡協議、打ち合わせ等を行われて、ひとつ円滑にまいりますように、それからまた、通話停止に至るまでには当然最大の交渉によって、話し合いによって滞納料金の収納を図ってまいる、こういうことは当然だと思うのです。そういう点では、今度法改正によって新しくそういう条項が設けられるわけですが、そのことについて格段の御配慮と御尽力を願わなければならぬと思いますが、これは電電公社側、国際電電側、双方から一言簡単にひとつお答え願いたいと思います。
  298. 笹本昇

    ○笹本参考人 ただいまの先生の御意見はまことにありがたく承りました。  私ども国際電電といたしましても、最後の決め手でございます通話の停止ということが法的に実現いたしますと、経営状態の改善、特に通話あるいは国際通信料金の滞納が改善されまして非常に大きく役立つことと思いますので、御指示のとおり今後電電公社の方と十分協力いたしまして通話停止問題にそごなきよう努力し、業務の改善等に努めたいと思います。
  299. 遠藤正介

    遠藤説明員 私どもの方も、いま先生指摘のように通話停止というのは最後の手段でありまして、それまでの間に督促手段をとりましたり、九州の例なんかはその一つの極端な例でありますが、ほとんどそれで回収しておりまして、通話停止というようなものは本当に最後の伝家の宝刀のような形のものにいたしております。  私、率直に意見を申し上げますと、KDDの現在までの滞納に対する営業活動というものは、私どもから見ると非常に不十分であります。したがってこのままでは私どもは非常にあれなので、KDDの方にもお願いいたしましてその方を十分強化をしていただいた上で、この法律が、できれば伝家の宝刀としてKDDの経営に役立つように私どもは非常に期待をいたすところであります。目下そういう見地でKDDと十分打ち合わせ中であります。
  300. 久保等

    ○久保(等)委員 いま遠藤総務理事お答えもありましたが、当然、最大限平和的にこの料金の徴収を図ってまいることに努力を願いたいと思います。  この問題についてはそれで終わりまして、最後に電報の問題について、これも個々の細かい問題ではなくて、電報自体が大変な赤字で運営され、いろいろ御苦労いただいておるわけですが、これは宿命的な点もあるわけでして、やむを得ない面もあると思うのですが、ただ、長い間電報業務に携わってまいった職場の職員の気持ちから参りますると、非常に自分の将来に対して希望が持てない、非常に雇用の不安といった問題が痛切にあるわけです。総裁おいでになりますが、日本の電気通信事業は何といっても電信から始まったわけですし、電信が電気通信の元祖でありますが、それだけに昔は技術屋さんにしても、従業員にしても電信にむしろ優秀な人材が集まっておった。それがだんだんと電話に移行し、さらに最近になりますとデータ通信といったようなものに発展をしてきておりますが、とにかくいまから三十年あるいは四十年という昔に職を奉じて、逓信省当時であったと思いますが、入られて、今日なお電報業務に携わっておられる方々が非常に多いわけですが、そういう方々の立場からすれば、やはり電報の中に人生の大半を送り、そしてまた生きがいを感じて働いてこられた人たちです。そういった人たちが、今度も料金値上げも二倍ないし三倍行われ、また利用者もどんどん減ってまいる、そういった中で非常な雇用不安にそうでなくてもおののいておる実情にあるわけです。そこで私は、そういった雇用不安の問題については絶対にそういった方々に心配なり特別な苦労をかけることのないように、これはひとつ十二分に配慮の上にも配慮を重ねて、今後ひとつそういう業務の縮小に伴う雇用不安の問題を、何と言いますか、起こらないようなふうな持っていき方をぜひひとつしてもらいたいと思いますし、このことについては十分にそういうことに配慮を願っておると思いますけれども、なお私念を押し、重々その点は職場のそれぞれの空気等も具体的につかんでいただいて雇用不安のないようなことにひとつ最善の努力を願いたいと思うのですが、総裁の方から、当然のことではございますが、私は特にくどいように申し上げておきますけれども、実際問題としていま申し上げたように、三十年、四十年あるいはそれより以上長く、十何歳ごろから勤めて定年まで同じ電報の職場で働いておられる従業員の気持ちからすると、自分はもうそれ以外に生きる道がないという形で働いてまいっておりますだけに、大変いろいろ、この動きだけに非常に敏感で、電報は赤字赤字だと言われること自体が何か自分の身を切られる思いで受け取っておる従業員の方々が多いわけです。そういうことを考えて、ぜひひとつそういった方々に不安のないように御配慮を願いたい。総裁からその点、明確にお答えをいただいて私の質問を終わります。
  301. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。  電報事業の近代化に当たりまして、ただいまの御意見、十分尊重いたしまして処理いたしたいと思います。
  302. 久保等

    ○久保(等)委員 じゃ終わります。     〔田中(昭)委員委員長、言い残した質問がある」と呼ぶ〕
  303. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 田中昭二君に対しては認められる範囲で十分質疑時間をお与えしておりますので、この際御遠慮願います。——この際御遠慮願います。(田中(昭)委員「いや、いや説明が違うから。ちゃんと速記録残っておるはずです。私はその質問ができなかったのです」と呼ぶ)もうこれ以上委員長としてはお認めできません。御遠慮願います。(田中(昭)委員「それじゃ、会議録調べなさい。議事録調べなさい」と呼ぶ)お認めできません。  これより三木内閣総理大臣に対する質疑を行います。総理大臣に対する質疑時間は各党十五分以内にとどめるよう御協議いただいておりますので、委員長はそのように取り計らいます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部未喜男君。
  304. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 総理に伺いますが、日本電信電話公社の経営委員に小佐野賢治氏を任命する際に、野党がすべて反対をしたにもかかわらず、政府は強引に提案をして、多数を頼んで任命をし、その後田中金脈問題が起こったので、再任についてもわれわれは非常に強い反対の態度を示したのに、さらにこれを再任をして、そして私は本院における公衆電気通信法の一部改正の質問に当たっても、総理に対して、ロッキード事件の非常に大きい疑惑を受けておる小佐野氏のごときが電電公社経営委員であることは不適格であるということを御忠告申し上げましたけれども、それも聞き入れることなく、小佐野氏はしばしば経営委員会を欠席したのみならず、今日ついにみずから退任をなさったようでございますけれども、この間の総理、責任者としての責任をどうお感じになっておるか、反省をなさっておるかどうか、まずお伺いしたいんです。——早く答弁してもらわぬと、時間ありませんから。委員長、注意してください。
  305. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 三木内閣総理大臣
  306. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 野党側の意見承知をいたしておったわけでございますが、経営委員長の意見ども徴しまして……(発言する者あり)
  307. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 御静粛に願います。
  308. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 当時はそういうことになりましたのですが、本人が自発的にやめたということで更迭をいたしたわけでございますが、そのときの事情は皆さんの反対もよく承知しておったわけでございます。
  309. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私がお伺いしておるのは、総理として不明であったと申しましょうか、そういう点について国民の皆さんに対して反省あるいは遺憾の意を表するお気持ちがありますか、これだけですから。
  310. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 その当時としましては、小佐野君に特にいろんな、うわさはありましたけれども、特別にこういう点があるからという具体的な問題もございませんでしたので、従来からの引き続きということで、したわけでございますが、経営委員というもののこれからの任命については十分に注意をしなければならぬと考えております。
  311. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これからは特にわれわれ野党の意見についても十分耳を傾けていただいて今回のようなことを繰り返すことのないように特に総理にお願いをします。  次の質問に移ります。  このたびの公衆電気通信法一部改正の内容は、総理も御案内のように電話料金基本料についてはこれを二倍に、また通話料については従来一度数七円であったものを十円に、さらに設備料については五万円であったものを八万円に、その上、電報についても二倍、三倍という大変大幅な値上げになっておるわけでございますが、総理はかつて就任をされたときの施政方針の演説で、物価の安定を図ることが総理に課せられた緊急な課題であるというふうに本会議で所信を述べられました。この大幅な公共料金の引き上げが諸物価の上昇の引き金になって国民生活に非常に大きい影響を与えるであろうということをわれわれは懸念をして、本委員会において議論をしてきたところでございますけれども、総理としてこの大幅な公共料金の引き上げが諸物価に与える影響についてはどういう判断をなさっておるか、承りたいと思います。
  312. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 まあ公共料金の引き上げということができれば避けるべきだと思うわけでございますが、しかし電電公社経営というものはもうすでに今年度においても多額の赤字が出ておるし、これをまたそのままにおきますともう経営の基盤というものは、崩れてくるわけですから、どうしてもこの際、電信電話というような国民生活に重要なかかわり合いを持つこの事業を、経営の基盤を崩壊さすようなことはできませんので、この際にその料金を引き上げることをお願いをしておるわけでございますが、しかし政府は消費者物価というものを年度末に八%以下にするということを政策の目標に掲げておりますから、こういう料金値上げ、電信電話ばかりでなしに、ほかの公共料金の引き上げもございますけれども、その引き上げというものはいわゆる政府政策目標の八%以下という中におさめられるということで御提案を申し上げておる次第でございます。
  313. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それではいま総理がおっしゃった年度末に至って対前年度比の物価の上昇が八%を超えるような事態が生じたときには、これはいま総理のおっしゃったこととまるっきり違ってくることになりますから、そのときは相当な責任をとってもらわなければならないと思いますが、よろしいですか。
  314. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 八%台ということで、私は以下ということでなく、八%台、この政策目標に対しては、政府はしばしば申し上げておることですから、今後消費者物価の推移を見て万全の策を講じて責務を果たしたいと考えております。
  315. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 次に、総理にお伺いしたいのですが、電信電話事業公共企業体として日本電信電話公社に運営させておる。この点についての公共企業体に運営させるという理由についてどのようにお考えになっておるか、簡単にひとつ御答弁願いたいと思います。
  316. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 私企業というような場合もあるのでしょうけれども、日本の今日の情勢からして、これは私企業というようなものではなくして、やはり公共企業体として非常に公共性の高いものでございますから、日本の場合は——アメリカあたりでは私企業でやっておる例もございますけれども、日本の国情からして公共企業体の方が適当であるという判断でございます。
  317. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 先ほど総理は、国民生活に深いかかわり合いがある電信電話事業と、こうおっしゃいましたし、私はその意味公共企業体に運営をさせたと理解するのですが、それであるならば、国民生活に深いかかわり合いがあるだけに、いろいろな努力の結果、なおかつ赤字が出るようなことがあった場合においても、公共企業体という性格上、国民生活を防衛する立場から場合によっては国が出資をするとか、赤字の補てんをするとか、そういうことがあり得てしかるべきものだと思いますが、どうでしょうか。
  318. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 公共企業体というものも、もし赤字が出れば、公共企業体の事業というものは全部国の財政で見る、そういうことにいたしますと、何かこう自主的な責任体制ということもおかしくなりますし、また一面から言うと、利用する人としない人と不公平も起こりますね。一般の国民から負担をするということは、一面から見たら不公平な面もございますので、やはり公共企業体自体の合理化というものに対しては、これは絶えずやらなければならぬ責任はありますけれども、やはり利用者が負担をしていく独立採算制という原則の上に立つことが公共企業体の経営の健全化のためにはその方がよろしいという判断でいま申したように利用者の負担を願う、こういう原則の上に立っておるわけでございます。
  319. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ですから、私は申し上げたように、いわゆる独立採算制という原則は認めますけれども、たとえばいま議論のある国鉄のように、どうにもならないような赤字が生じたような場合には国がやはり相当な手当てをする、そういう性格を持つものではないか。公共企業体というものは本来そういう性格を持っておるのではないかということをお伺いしておるのです。
  320. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 国鉄のような場合は御承知のように、今回の国鉄運賃の引き上げは国鉄の再建案の一環でございますから、国家財政の負担、累積赤字に対する、たな上げに対する国家の財政的援助というものがあるわけでございますが、電信電話のような場合においては、一応独立採算制の中で今後三年間の間に一つのバランスがとれる。もっとも、料金の引き上げがおくれたことは、やはり工事費の削減などによらなければなりません。けれども、そういうことで計算を立てることが電電公社経営の健全化のためによろしいという考えでいたしておるわけでございます。
  321. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 総理、何もあなた逃げを張ることはないんだ。私が聞くのは、公共企業体に運営をさせるというその本質がどこにあるかということを聞いておるのです。それじゃ、たとえば今度の国鉄のように、やむを得ず再建案をつくらなければならないときには政府が手当てをする、そういう性格を持った運営ではないのかということを私は聞いておるのであって、今度の電信電話料金値上げを直ちに政府が負担せよと、そういうことを私はいま言っておるのではなくて、公共企業体に運営させるということの理由の本質はどこにあるのか、それは場合によっては国民生活を防衛するために国が手当てをする場合もある、そう私は考えるがどうか、これだけ答えてくれればいいのです。
  322. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 電話のごときものは、全国津々浦々までにその利便を与えるということが必要です。国民生活に重要な関係を持ちますから、最低のコストで最大の便宜を与える、非常に社会的な使命を持っておるわけですから、採算だけというわけにはいかない。たとえば個人の電話というものは、やはり採算から言えば、これは非常な赤字原因でもあるわけですから。しかし、電話を普及するということは、国民生活にとって非常に好ましいことですから、個人電話二千万個というふうな普及を示して、五年ごとに倍々になってきておるわけで、これなどもいろいろなコストの点から言えば問題ございますけれども、やはり国民生活に対してできるだけ普及したいという、そういう意思が働くということも公共企業体の持っておる使命であるし、そういうことで公共企業体ということにいたしておるわけでございます。
  323. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 答弁をずらしちゃいけません。私が聞いておるのは、公共企業体で運営をするという理由の中の一つには、今回の国鉄の再建のように、やむを得ない赤字が生じたような場合には国が手当てをするというふうな性格も含まれておるのではありませんかと、こう言っておるのですよ。——よその方へ行かないで答弁してくださいよ。私はこんな答弁では約束の時間守れませんから。言うておきますよ。のらりくらりと横の方ばかり行っておって。当然じゃありませんか。
  324. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 国鉄の場合は、阿部君も御承知のように、赤字路線の問題にしましても、いろいろな割引などに対してもやっぱり問題があると思いますが、電電公社の場合は国鉄とは事情が違いますけれども、しかし、絶対にやらぬということは言えないので、将来そういうことが起これば考えなければならぬ場合も生ずると存じます。
  325. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それを早く言うてくれればいいのだ。だから私は電電公社と言ってないのですよ。公共企業体として運営するその理由は何かということを聞いておるのですから、それを早く言えばいいのに、あなたは言質をとられるかと思って逃げ回っておるからだめですよ。わかりました。  次の問題に移りますが、次に、さっきもおっしゃったように、われわれは電信電話事業というのは今日国民生活にとっては電気や水道と同じように生活の手段として欠かすことのできないものであるというふうに理解をしております。この点は総理も同じであると思いますから答弁を求めませんが、そうであるとするならば、たとえば電気とか水道についてはいわゆるシビルミニマムと申しますか、ナショナルミニマムと申しますか、最低生活に必要な一定の限度までは非常に安い料金で提供する、こういうことが考えられておるわけですが、私は、この電話等についても、そういう最低必要なものについては、ある程度の配慮が払われていいのではないかという考えを持つのですが、いかがでしょうか。
  326. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 電話の度数制などにしましても、昭和二十八年ですか、それ以来据え置いたわけですからね。大変にそういう配慮があったればこそ諸物価の値上がり、人件費、物件費などの値上がりの中においても据え置いたということも、電話というものが持っておる国民的な役割りを配慮いたしたためにそういう料金の据え置きということも行われたものでございます。
  327. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 総理は余りよく知らぬようですが、電話はもうけ過ぎて困ったのですよ。昭和四十九年ごろまでは大変もうけて困ったのです。だから値上げしなかっただけなんですが、それは総理が知らぬのですからやむを得ませんけれども、私が聞いておるのはそういうことではないのです。私が聞いておるのは、国民生活の手段として欠かすことのできないものになってきた、そうであるとするならば、電気や水道と同じように日常生活に最低限欠かせないものについては、その料金についても何らかの配慮をしてやる必要があるのではないか。逆に言えば、電話を利用することによって膨大な利益を得ることができる、あるいはその使用料等を必要経費で落としていくことができるというようなところで電話を使っておる者もおる、日常生活に欠かせなくて電話を使っておる者もおるとするならば、電話を利用してどんどんもうける人間と日常生活に欠かせない電話を使っておる人間を同じに扱わずに、最低限のものについて配慮が将来加えられていいのではないか、こういうことを言っておるのです。いますぐどうこうしようというのではないのですよ。そんな逃げぬでいいからはっきり言いなさいよ。
  328. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 いまシビルミニマムという一つ考え方として阿部さんの言うことはよくわかりますが、これは将来の課題だと思います。
  329. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは私は、さっきの独立採算というものと絡んでくるおそれがありますので、本来ならばこういう福祉的な施策については国が手当てをして、公社の運営そのものには余り影響を与えないようにしていった方が、電話を利用する一般の人たちから考えた場合正しいのではないかという気がします。幸い総理が将来の課題としてそういうことを考えてみたいとおっしゃいますので、その点私非常に評価をいたします。  そういう意味合いから、今日的な課題として寝たきり老人とか独居老人、あるいは重度の身体障害者、こういう方々が電話をお使いにならなければならぬわけですけれども、これについてもいま地方自治体等でもある程度の施策を講じておるようでございますけれども政府としても何らかの考慮を払っていくということが必要ではないかと思います。大筋で結構ですが、どうでしょうか。
  330. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 御承知のように、そういう身障者電話施設に対しては、公共企業体や地方の自治体が負担をしているわけですね。相当の負担をしている。これはやはり政府としても考えなければならぬということで検討いたします。
  331. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 阿部君、時間が経過いたしました。御協力願います。
  332. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 後の二点については非常に前向き答弁でございましたので、非常に私は評価します。前の方は余り総理逃げられて、そんなに警戒をする必要はありません。思ったとおりのことを言ってもらわなければ、せっかくこっちが質問しておるのに横の方にそれてしまうから、委員長から注意をされるほど時間がオーバーしなければならない。後の答弁については特に注意をしていただくようにお願いをしまして、私の質問を終わります。
  333. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 平田藤吉君。
  334. 平田藤吉

    ○平田委員 私は初めにこの委員会について、私は理事会でとにかく夜中までやるのじゃなくて、次の定例日で十分やり得る時間がある、そのために十分な国会の時間をとったのだから、次の定例日に質問を移し、さらに多くの国民意見を聞くという意味で中央、地方の公聴会を開き、その上で総理の質問を行うという道筋を当然通るべきであるということを主張しました。ところが自民党は職権で開会しますということで、委員会の開会を強行してしまいました。  さらに、総理に対する質問時間をめぐる問題でも、まだ私が検討し、相談をしようと言っている間に、私が出席できない時間の間に理事会を強行して質疑時間まで決めてしまう。まことに今度の国会、当委員会の運営は非民主的で、強行に次ぐ強行が行われてきた。私は委員長並びに自民党がこうした強行策をとったことに対して強く抗議を申し入れます。  同時に、三木総理にお尋ねいたします。あなたは総理であり、自民党の総裁です。この重要な、国民に重大な影響を与える値上げ問題、しかも公共料金値上げ電電公社値上げ問題をこういう形で強行するということは、あなたはいいと思っておられるのかどうなのか、御答弁を願いたいと思います。
  335. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 国会が深夜まで御審議を願っていることに敬意を表しながら私は出席をいたしたわけですが、この委員会は前国会からの継続審議ということもございまして、そういうことで今回ひとつ決着をつけようということでございますので、国会の会期も限られておりますから、そういう意味で御審議の促進を願ったわけでございまして、国会の審議をおろそかにするという意図は持ってないわけでございます。
  336. 平田藤吉

    ○平田委員 あなたがおろそかにする意図を持っていないと言ったって、とにかくきのうきょうの実質審議ですよ。これでこの重大な値上げ法案を上げてしまうというのですから、これがおろそかでなくて何なんです。私もまだ質問すべき事項が残っている。しかも、電電公社が当然出さなければならない国会審議に必要な資料をサボリにサボってきているわけですよ。ひどいものは二月に要求したものがおととい出てくるというような始末ですよ。こういうふうにして審議が促進されるのを阻害してきているのですよ。ですから、あなたが何と言われようとも、現実にこの委員会での審議を阻害し、しかも慎重審議をやりましょうという五党の国対委員長会談での確認事項まで踏みにじって強行されているのですよ。つもりはないと言ったって、現実にやられているのですから。もう一遍答えてください。
  337. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 平田君にそういう誤解を与えたとすれば残念でございますが、自民党としてはそういうふうに……(「むちゃくちゃだ」と呼ぶ者あり)むちゃな国会運営をしようという意図はないわけでございますから、ひとついろいろ御質問を願って、私もお答えをいたします。
  338. 平田藤吉

    ○平田委員 委員長、そういう意味でこれだけよけいな時間ですよ。ですから、それはひとつ進行上で十分配慮していただきたいと思う。  まず初めにお伺いしたいのは、今度のロッキード事件の中心人物の一人であると言われている小佐野賢治氏は、この八月二十四日まで公社経営委員でした。日本最大の公社経営委員でした。わが党は、四十九年六月の小佐野氏の経営委員任命に当たって反対しました。また、五十年九月に三木内閣によって再任されたときにも、田中金脈問題の中心的な人物であり、金権政治と深く結びついている人物であり、年間約四兆円に上る金額を動かす事業をやってきている電電公社経営を任せるには全くふさわしくない人物であるというふうに、一貫して反対してきたわけであります。本年三月五日の衆議院本会議で、小佐野氏を公社経営委員から罷免すべきであると私が質問しましたけれども、三木総理は、いまは小佐野氏を罷免することは適当だとは考えていません、いま少し事態の推移を見守りたいと述べましたけれども、その後どのように調査し、対処されてきたのか。小佐野氏はロッキード疑獄事件の中心人物だと言われているのですから、ここではっきりお聞かせいただきたいと思います。
  339. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 特に、その当時において小佐野氏の容疑事項と申しますか、それが具体的には出てまいっていなかったわけでございますが、今後こういう重要な経営委員任命については十分な注意を払わなければならぬと思っております。
  340. 平田藤吉

    ○平田委員 問題が十分明らかになっていなかったと言ったって、私が国会質問する前に彼は国会で証人喚問されて、偽証の疑いを持たれていた人物なんですよ。にもかかわらず、あなたはこれに対して正しい態度をとってきていないのですよ。だから私が聞くのですよ。どうしましたと言って、本会議の席上から私が質問しているんだから。しかも、あなたはそうおっしゃるけれども、ロッキード疑獄事件をめぐる問題でも、中間報告は九月二十二日の五党国対委員長が確認されて、口頭であるけれども、この報告の中にはいわゆる灰色高官の公表を含むとはっきり確認されているのですね。国民が期待している高官名の公表は政府がみずからの責任で国民に対して行わなければならないはずなんですよ。ところが、ここのところ物の言い方がだんだん変わってきているんですね。八日に報告するというのが、どうも十五日ごろになりそうだといううわさまでが言われている状態ですよ。あなたがだんだん後ろへ下がっていって、そうしておいて、電電公社値上げだとか、国鉄値上げだとか、国民生活に重大なかかわり合いのある問題については、慎重な審議もしないで、ロッキード問題を明らかにしないままどんどん後ろへやっておいて、値上げ問題だけを急いでいる、こういう態度は許されないと思うのです。三木総理はこのいきさつを一体どう考えられるのか、なぜこんなことをされるのかお答え願いたいと思います。
  341. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 ロッキード事件の中間報告は遅くとも十五日までにはやりたいというような線に沿うていま準備を進めておるわけでございます。そしてまた四月の両院議長裁定の線に沿うて国会の国政調査権に対しては最善の協力をいたす所存でございます。
  342. 平田藤吉

    ○平田委員 ところが、あなたは八日ごろには発表したいと言っていた話が、十五日ごろというふうになって、しかも高官名については発表しないということまで言い出しているのですよ。しかも、きょうの報道によりますと、総理はきのう都内のホテルであいさつした際に、歳入法案の処理をしてやがて解散というふうに述べたそうです。もしこれが事実なら重大問題だと思うのです。ロッキード疑獄事件をあいまいにしたまま解散に導こうとする態度と言わざるを得ない。これは国民に対するペテンでしょう。こういう態度は許されないと思うのですけれども、あなたはこんなでたらめをやっているのかどうか、はっきりさせてくださいよ。
  343. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 でたらめなどを一切やってはいないわけで、ロッキード事件の解明というものを急いでいることは御承知のとおりでございます。できる限りロッキード事件の真相を究明して、国民の判断の材料を与えなければならぬと考えて、鋭意努力をいたしておることでございます。ぺテンなどにかける意図は毛頭ございません。そんなことは、かけるという、そんな国民に対して背信的な行為をする意図は私は全然ない。
  344. 平田藤吉

    ○平田委員 私が聞いていることに対してあなた……。このきょうの報道で、都内のホテルで、あいさつに際して、歳入法案の処理をしてやがて解散というふうに述べたそうですけれども、ロッキード疑獄事件をちゃんとしないまま解散するつもりですか。
  345. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 ロッキード事件を解明して、しかる後に総選挙ということが好ましいことで、そういうことに向かって努力をいたしたいと考えておるわけでございます。
  346. 平田藤吉

    ○平田委員 だけれど、あなたは、値上げ法案をまずやってからと言っているでしょう。ロッキード疑獄事件より、これを強行して上げちゃうという腹なんじゃないですか。誤解をされては困るとかなんとか言っていますけれども、そういう態度としか思えないでしょう。こういうやり方というのは、幾らあなたが詭弁を弄して言いわけをしたところで、隠すことはできないものでしょう。大体政治家は言ったことはちゃんと守らなければだめだと思うのです。あなたの方は何とか言い逃れをしようということですから、時間も迫っていますから私も次へ移りたいと思うのです。  公社赤字は収入の落ち込みによるというふうに言われております。その赤字は、償却前の赤字なのか、その点について御存じかどうか、お聞かせいた一たきたい。
  347. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 平田君も御承知のように、なぜ赤字が出たかということは、料金の収入に対して、それは据え置かれたわけです、昭和二十八年から。物件費とか人件費の値上がりもございますし、また、いろいろな、個人の電話というものが非常な急激な勢いで普及して、電話の構造といいますか、そういうものに対して大きな変化も起こっている。そして赤字が出たということで、償却後の赤字でございます。
  348. 平田藤吉

    ○平田委員 ところが、実際に七千五百億円もの減価償却を行っているところから二千八百十二億円の経理上の赤字になっているのですよ。この減価償却費は全支出の実に三一・四%に当たるのです。莫大なものですよ。公社企業体が支出の三一%も占める減価償却をするのは、それは余りにも過大じゃないか、私はそう考える。これについては、公共企業体である公社の建設投資、いわば社会資本、社会投資なんですけれども、これは当然償却しなくともよいという説もあるわけです。民間企業の場合、最大限利潤の追求という目的で減価償却をふくらませるということを行っているわけです。しかし公社の場合にはその必要はないわけですよ。いわば、一つは、一般的には競争企業の相手よりも剰余価値を生み出すためにたゆまざる技術革新を求めてくるということ、もう一つは、利益を実際よりも過少に見せるということが通常行われている経理上の操作になるわけです。しかし公社公共企業でしかも独占企業なんですね。だから、過大な償却を行う必要は全くないわけです。この点について総理は一体どのようにお考えになるか。一般の企業ならば絶えず最大限の利潤を追求していくということからこれはやるわけです。公社の場合はその必要がないのだというように考えるのだが、どうですか。
  349. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 電話事業のような通信機器と申しますか、これは非常に技術の進歩というものが早いものですから、やはり償却というものは事業の性質からしてある程度する必要がある。これはいままでの償却というものは電電公社としても適正な償却であると言っておるわけで、大き過ぎると平田君は言われるのですが、こういう事業の性質から適正な償却であったということが電電公社としての一つの確信でございまして、この点は、平田君の大き過ぎるということについて、いままでも恐らくずいぶん質疑応答があったと思いますが、いまだに御理解を得られないことは残念に思います。
  350. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 平田君に申し上げます。  お約束の時間が経過しております。結論をお願いいたします。
  351. 平田藤吉

    ○平田委員 総理は、いままでよく論議してきたようだけれども、御理解をいただいていないようだ、こうおっしゃるけれども、私は、総理がやはりまともになって考えてもらわなければ困るのだと思うのです。たとえば設備料として国民の皆さんから納めてもらったお金が五十年度で千六百五十二億円あるのです。これは別にちゃんとしてあるのです。これを収入に入れさえすれば、たとえば五十年度の赤字だと言ってきた二千八百十二億円だって残りは千百六十億円になってしまうのです。ところがこれは別会計にしておいて、そして赤字をつくり出して、わざわざ操作しているのです。しかも設備料として皆さんから取り立てたお金は資本剰余金として別会計に入れてあるわけですけれども、一兆一千四百四十二億円あるのです。
  352. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 平田君、ぜひ結論に入るようお願いいたします。
  353. 平田藤吉

    ○平田委員 ですから、そういう意味では、あなたが言うように、一二%の減価償却が過大過ぎるというわれわれの指摘に対して、よく理解されなかったようだというようなものの言い方をしているのでは、国民の当面する物価値上げ、公共料金値上げの中で苦しんでいる苦しみがわからないと言って差し支えない。しかも五十年度減価償却の方法に若干の改善を加えるならば道は開けるのです。たとえば公社は定率法を採用しているわけですけれども、定率法による減価償却で見ますと、五十年度は七千五百億円なんですね。ところがこれを定額法に改めたら三千五百十八億円の減価償却で済むのです。そうしますと、これは五十年度の赤字が二千八百十二億円ですから、当然のことながら定額法をとれば千百七十億円の黒字になるわけです。
  354. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 平田君、ぜひ結論に入るようお願いいたします。
  355. 平田藤吉

    ○平田委員 耐用年数にいたしましても、この耐用年数を昭和二十八年当時の耐用年数に戻して、あるいはこれに準ずるならば四十九年度は千四十八億円の黒字になり、五十年度は四百五十八億円の黒字になるのです。
  356. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 平田君、ぜひ結論に入るようお願いいたします。
  357. 平田藤吉

    ○平田委員 委員長、私は結論に入ろうと思っているのです。だけれども、総理が、平田君がいままで討議されたのをよく理解していないと言うから、総理が理解していないから、そうなっているのだから、全部を言おうとは思いません。あらましの問題点だけをお話ししているのです。  総理、具体的にはいま申し上げたような状況なんですよ。私は電電公社提出した資料に基づき、大蔵省の資料に基づき言っているのです。あなたはどう考えられるのか。こういう事実を突きつけられてもなおかつ値上げは当然だというふうに考えられるのかどうか、ひとつ聞かせていただきたい。
  358. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 先ほども私が申したように、通信機器は、非常に技術革新の多い事業であることは、平田君も御承知でございますから、定率法で減価償却をやる方が適当であるというのがわれわれの判断でございます。
  359. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 平田君の時間は経過いたしました。
  360. 平田藤吉

    ○平田委員 それでは最後に一言申し上げ、結論にしたいと思うのです。総理、高度成長を強行されていた時期には、それは一般的に定率法をとられた。どんどんどんどん資本の蓄積を図っていった。しかし低成長だと言われる時期に入った今日段階では、一般的に減価償却方法が一番問題だ。物価を押し上げていく重要な要因になっており、これは考えなければならぬということが言われ始めている状況なんですよ。それを総理があたりまえだなんて答えていたのでは話にならないと思う。国民の苦しみをいかにして軽減するか、この立場から、当然総理が検討さるべきであると思う。私はこのことに対する総理の答弁を最後にお願いします。
  361. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 先ほども申し上げておるように、繰り返すようでございますが、電気の機器については非常に技術革新による進歩の早いものですから、定額法を適用いたしますけれども、建物とか工作物については、定額法について一、二年中に検討をいたしたいと考えております。
  362. 平田藤吉

    ○平田委員 とにかくよく理解されていないということはわかりました。私は総理が国民のことを考えて検討されることを要求して、質問を終わります。
  363. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 いま申した中に定額法と言ったのは定率法の誤りでございますから、訂正いたします。
  364. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 田中昭二君。
  365. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 まず委員長に強い抗議を申し上げます。  この重要法案に対しましては、きのう、きょうとたった二日間の審議で値上げ法案を上げようとする、その中で私たち反対立場から慎重審議ということだけを頼りにいろいろな慎重審議の条件を申しましたけれども、全部踏みにじられた。きのうの委員会での私の質問も、全部委員長が御存じのはずです。私はうそは申し上げません。委員長はこの場で——議事録に残っております。だけれども、私先ほど委員長に対して質問お願いしましたけれども、打ち切られました。  こういうことを言っておりますと、せっかくの総理に対する時間がなくなりますから、その意味質問を続けます。  総理、細かい問題でございますけれども、大体郵政大臣等にも御質問申し上げたことでございますから、御答弁は簡単になるようなことを私、質問を申し上げるつもりでございますから、よく聞いておっていただきたいと思います。  昭和四十七年当時でございますけれども、廣瀬郵政大臣、ここにもいらっしゃいますが、物価がどんどん上がるという日本の国の特殊な状態の中で、予算委員会におきましても、この逓信委員会におきましても、廣瀬郵政大臣の御答弁によりまして、電電公社の認可料金というのは重要なものであるからへ物価上昇に配慮して、郵政審議会にかけて今後やっていきますという明確な答弁があっているのです。にもかかわらず——総理、聞いておってください。私がことし郵政大臣の所信表明でこの問題を指摘しました。ところが、その指摘をするまで認可料金が数十件認可されておりますけれども、一件も郵政審議会にかけられていない。こういうことでは何のための国会審議か。私も国民代表として出てきております。端的に言えば、行政は国民のためになければなりません。もう一つ言えば、国民に対する重大な約束であります。約束違反を行っておったのです。これは政府の怠慢であります。行政の怠慢であります。ですから、結論は簡単です。ここで総理から、郵政審議会にかけてやっていくという強い御決意をお聞きしたいと思います。
  366. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 これから重要なものに対しては、郵政審議会に諮ることにいたします。
  367. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いま総理から郵政審議会に認可料金はかけていくというように言われましたが、もう一つ公社料金について、御存じかと思いますが、認可料金と法定料金に分かれております。認可料金も大事でございますけれども国民生活密着した姿から言えば、法定料金も重要なものである。でありますから法定料金になっておるわけでありますけれども、これは当然、法定料金もともに郵政審議会にかけるべきであると私は思います。  そこで総理、大事なことでございますから、お読みになってからで結構でございますが、先日、この逓信委員会で、有識者を迎えて参考人の意見聴取をいたしました。その中でも、認可料金はもちろん、法定料金も郵政審議会にかけるべきであるという強い御意見がありました。私もそれは当然だと思います。総理の御所見をお願いいたします。
  368. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 今後この問題については研究をすることにいたします。
  369. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 研究をしてもらうことはいままで議論されまして、そこで、参考人の意見聴取でも、認可料金をかけるぐらいならば当然法定料金もかけるべきだ。いいですか総理、少し勉強が足りなかったというと失礼になるかもしれませんが、国民から見れば、認可料金をかけるぐらいならば当然法定料金もかけるべきだ、これが通常の国民の持っておる感じでございます。もう一歩前向きの御答弁を願います。
  370. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 研究ということは非常に消極的に田中君に響いたかもしれませんので、それでは、前向きに検討いたしますということでいかがでしょうか。
  371. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 三木総理が総理になられまして三つの公約をなさいましたが、それに関係あることを申し上げます。  いま社会的な問題の中で所得の格差の実態がございますね。特に税の不公平というのはさらに拡大しておる。このような社会的不公正の是正は、総理の公約の第一番にあったと思います。三つですから三番目になっておるかもしれませんが、とにかくやるとおっしゃった。そういう施策を行い、総理としてそれをどんどんやりたいというところだと思います。しかしながら、この不公平の是正はなかなか解決できないことがございまして、公社の問題の中にもそういうものがございます。ですけれども、そういう意味からは、やはり小さなことでも当然だと思われることは積み重ねることが私は公平に持っていくことだ、こう思うのです。  そこで申し上げますが、所得の低い人たちに対する配慮が、いまの公社料金体系の中では打ち立てられておらないのです。特に総理がいつも口にされます老人や身障者や母子家庭、生活保護世帯等の人々には、電話は特に必要欠くべからざるものでもあります。したがって、電話料金の減免、分割払い等の処置を政策料金として導入していただくことに対する御決意をお述べいただきたいと思います。
  372. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 田中君の言われる意味もわかりますが、どうでしょうかね、そういう所得の低い人というもの、まあ所得というものをいろいろ調査をして個々の料金を決めるということは、実際問題としてなかなか容易でもございませんから、やはりこういうものは利用者に御負担を願う。しかしそういう弱い立場にある人に対しては、社会保障の面でこれを充実、拡充することによって、そういうものからくる不公正というものを是正することが一番適当ではないかというふうに考えて、政府はそういう政策をとりたいということで、社会保障の面の充実、限られた財政の中においてもできるだけのことをやろうという態度をとっておるわけでございます。
  373. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 それは余りいただけない御返事ですね。私もロッキード疑獄につきましては、徹底解明、政治の信頼を取り戻す——先ほどから出ております小佐野氏の問題につきましても、この委員会でも所信をただしまして、私も言いたいのです。そういうことを言わなくて省いて、小佐野さんが一通話かける電話も、いいですか、わずかな生活保護をもらっておる人がかける電話も七円なんです。もうそういうことを十分総理わかっているはずですからね。  それじゃ、もう一回具体的に申し上げます。総理、電話の発明の根底の発想には、歩けない人のために情報を交換しよう、こういうことがあるそうです。電話の発展してきた生い立ちを考えてみても、電話を足のかわりとして、寝たきり老人や車いすの身障者の人々には無償で電話を使ってもらいたいという、そういうものが政治的になされなければならない。また御本人たちになってみれば、先ほどの小佐野氏と生活保護者と比べた場合、経済的なことからも配慮が行われてしかるべきであります。ちなみに、車いすの身障者の方々が電話料金を幾らかでも安くしてもらいたくて、最近統計を出して見ております。そうしますと、いま私が電話発明の発想について申し上げましたが、その裏づけになりますのは、一般加入者以上に電話を使う、一カ月平均八千円にもなっておるという事実が出ておるのです。経済的な余裕のないところから八千円は大変な厳しいものであることはおわかりいただけるでしょう。このことを考えるならば、何らかの措置を公社料金体系の中で、社会的責任を果たす上においても、国の福祉政策が完全じゃないために、両方相またなければ、姿勢が変わらないじゃないですか。これはどうしても総理の一歩前進のお答えをいただかねば、私はもうやめるわけにいきません。
  374. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 老人や心身障害者の料金は、シビルミニマムという問題ともにらみ合わせて、今後行政措置の範囲内で検討をしたい。ただ設備費の分割払いについては、十分検討したいと思っています。
  375. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 この問題については、私は、まだ不十分なものですから、本当はもっと聞きたいのです。ということは、公社でもこれは大体考えておると思うのです。ですから、私が重ねて質問しますと、総裁からメモがいってやっと一歩前進した答弁がありました。しかしへきょうはせっかく総理の御出席をいただいたわけでしょう。私は大体三木総理は好きだったんだけれども、だんだんこういうことになると——いや、本当に私は三木総理はいいと思っておりました。しかし、それは過去のことでございまして、いまどうもそれが裏切られたような形で、残念に思っておるのです。  それでは最後に、もう時間が来ておりますが、これはちょっと専門的になりますが、意味をとっていただいてお答え願いたいのですが、公社事業計画は、第五次五カ年計画で総額七兆円というのを予定しておりました。これは四十八年から五十二年です。しかし、これは高度経済成長期に策定されたものでございまして、現在の経済事情に適応したものではないことは、もう当然です。ところが、今回の料金改定に当たりまして、公社は五十年に五カ年計画を見直したということで、五十一年度から五十三年度までに総額五兆四千億です。これは三年間ですよ。前のものは五年間です。だから、単純に割れば、この五十一年から五十三年は相当大きいということです。その投資を行おうとしておるのです。第五次五カ年計画の四十八年から五十年の投資総額が三兆七千億、五十一年から五十三年に相当する年数の分でいけばですね。その三兆七千億と比較してみますと、これは明らかに過大な投資と言わざるを得ません。しかもデータ通信とか、これはいま使っておるのはほとんど大きい企業なんです。これはだいぶ指摘がありました。それからファクシミリとか、そういうものの過大投資がいままでずっとなされてきて、それがどんどん赤字なんです。その赤字が加入電話にしわ寄せになっていないかという議論もしました。そういうことで公社経営が悪化しておるという事実は、もう現時点でも当然なんです。それを赤字が今度のこの計画ではさらに拡大していくんです。経済情勢にもそぐいませんし、過大な投資計画を根本的に改めませんと、その過大投資の財源確保のために、さらに電話料金の大幅値上げというのが国民生活を苦しめる、こういう実態もあります。これはどうしても見直してもらわなければならない。いまからでも遅くありません。公社に総理の決断で——権力というのはそういうときに使うにははなはだよくできておるそうでございますから、ひとつその御決意を聞きまして終わりたいと思います。
  376. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 田中君のいろいろ御心配でございますが、政府が五十年度前期の経済計画というものを発表したわけですが、その投資額はそういう計画とも整合性を持っておるものでございますが、これから予算編成などを通じて、御発言の趣旨も体しまして十分検討はいたすことにいたします。
  377. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私、まだこう用意してきております。
  378. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 田中君、もうお約束の時間はすでに経過をしております。御質疑はおやめください。
  379. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 こういうふうに強行して少数野党の意見を圧迫するという、これに私は強く反対の意思を表し、これでは日本の政治はよくなりませんということを申し上げて、終わります。
  380. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 小沢貞孝君。
  381. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 先ほどの議員の質問の中の減価償却のことについて、これは非常に重大な要素であります。途中で訂正したりしてよくわからないわけであります。  総理は細かい数字を申し上げても大変これはわかりにくいと思いますが、大体公社の直接事業費は一兆二千億、ごくアバウトで。人件費が一兆。それから金融費及び償却費、これは合計資本費と称せられるもの、これが一兆二千億、こういうようになっているわけです。直接の事業費が一兆二千億、人件費が一兆、金融費用と減価償却合わせて資本費用が一兆二千億、こういう構成になっているわけです。したがって、この値上げを防ぐためには、これは直接事業費というものにはなかなかメスを加えられないから、残った二つに検討を加えなければならない、こういうことです。ところが電電公社は通信機械建設公団みたいなもので借金はするわ、どしどし投資はするわ、そして定額法でなくて定率法でどしどし償却するわ、こういうことをやっていることが値上げの一番大きな原因になっているわけです。電電公社計画によれば、五十二年度で第五次五カ年計画が終わるわけであります。そのときには積滞なんというむずかしい言葉を使うと総理はわからないかもしれませんが、とにかく申し込めばすぐつくという状態まで普及すると、こういうわけであります。そうすると五十三年以降はそう投資をしないでいい時期が来るのではないか、そういうことが一つ。  いま一つは、NHKのような技術革新の激しいところでも、これは技術革新の激しいところは定率法で早く償却しなければいけない。技術革新の激しくないところは定額法でよろしい。これはもう原理原則であります。NHKみたいな技術革新の激しいところも、去年だかおととしだかさだかには覚えておりませんが、いままで定率法でやっておったものを定額法にして、値上げを極力抑えようというように努力をしてきました。それから電電公社もかつては昭和三十五年までは定額法でやっておったわけであります。だから定額法でいけない理由はないわけであります。  以上の三つの理由によって定額法に変えていく、変えていくことによって幾ら節約できるかというと、大体償却費がこの二、三年の推移を見ると、四十八年五千六百億、四十九年六千四百億、五十年七千四百億、五十一年八千四百億、年々一千億ずつ償却費がふえているわけであります。したがってこのペースでいくならば、来年は一兆に近い償却費になるわけであります。一兆に近い償却費の中で定率法と定額法とを比較すれば、これはわれわれの一般の質問の中で電電公社答弁がありましたが、二割節約できるわけです。一兆の償却費の中で二割節約できるということは、二千億に相当するわけであります。今度の電電公社値上げは年間六、七千億であります。だから償却を定率法から定額法に直すことによって二千億来年浮くわけであります。だから、私たちは定率法にするか定額法にするかということは非常に重要なことであります。  以上の理由によって、もう一回総裁からきちっとメモをもらって、これは定額法に直して国民の負担を防ぐ、どうです。
  382. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 メモをもらわないでお答えをいたします。  技術革新の早い面については、やはり定率法によりたい。しかし先ほども申し上げましたように、建物とか工作物はやはり定額法にするための検討をいたしたいと考えております。
  383. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは後で電電公社にきちっと総理から言っていただきたいが、定額法に直して、もう投資という山は越えるわけですから、だんだんだんだん償却していけばいいわけですから、これを明確に定額法に直して年間二千億、今度の値上がりの三分の一に相当するわけだ。それを節減することができるわけだ。それが一点。  それから、これは本会議のときに総理に質問したのだが、電報をやめたらどうだろうか。ことしの予算で幾ら赤字になるかというと一千百三十億、約一千百五十億、こういう膨大な額になっているわけです。だから、定額法に直すことと、電報を廃止して一千二百億ぐらいなものを節約すれば、もう六千億、七千億の値上げの約半額というものは値上げしなくて済むわけであります。ただ、これを急激にやめるということは職員の配置その他でいけないから、もちろん漸進的に廃止していかなければなりませんが、総理、とにかく電報というものは、公社の言明によればいまの十三倍に上げなければペイしないというわけであります。そしてもう一つの理由は、「チチキトク」というような電報はもはや二%以下になってきた。あとは不急不要の電報だけであります。したがって——総理よく聞いて、これは大事なところ。郵政大臣、そんなに私語しなくてもこれは常識でわかることだ。年間一千二百億ぐらいな赤字。それから、いま一つは「チチキトク」という忙しいものは二%程度しかありません。それから、公社の言明によれば、外国の制度の中には駐在所かなんかに配達してもらう。あるいは日本には簡易郵便局が幾らでもありますから、そういうものに緊急なものは配達してもらう等考慮をするならば、この一千二百億の赤字を三カ年計画ないし四カ年計画で節約できると思いますから、これは総理、電報を廃止する方向に向かって検討する、明確に御答弁いただきたい。
  384. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 小沢君の御指摘のように、私も電報の役割りというのは大分変わってきたと思いますね、慶弔電報がほとんどでございますから。しかし、まだ緊急性が全然ないとは言い切れないですね。したがって政府は、小沢君の御指摘のようにこれをすぐ廃止してしまうという考え方には決心がつかないのですよ。まだ緊急性も残っている。したがって、電報料金などについては今後十分検討しなければならぬと思いますが、いますぐ廃止ということにはいきませんが、電報の役割りというものは昔と大きな変化があるということは言われるとおりだと思います。
  385. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 いや私は、緊急性があるからそのことをすぐやめろとは言わないわけで、末端の駐在所に配達してもらう、あるいは簡易郵便局があるからそういうものに配達してもらって、緊急性に限定して残していくということを考慮しながら、三年計画、四年計画で廃止していくべきではないか、こういうことを言っておるわけです。
  386. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 小沢君の御意見、私はやはり非常に傾聴すべきものがあるというように思いますよ。だから電報事業の近代化ということについては、公社において今後十分検討いたさすことにいたします。
  387. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 先ほど申し上げたように、事業費が一兆二千億、人件費が一兆、資本費用が一兆二千億です。この人件費が、これは事業が拡大していくから人がふえていくのはやむを得ないことだと私は思う。しかし毎年一万人ペースで、電電公社はこの間まで二十万人くらいだと思って聞いておったら、いまや三十二万人になるわけであります。電報制度を廃止することによって二万人、郵政省は八千人、合計三万人近いものをだんだん配置転換しなければいけないという問題が出てくるので、そういう労使問題を防ぐために、これはやはり人をむやみに採用していくといういまの安易な制度というものにメスを加えなければならないと思うわけです。いま三十二万人です。どうです。
  388. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 お説のとおりだと思います。やはり電報事業というものは、メールグラムなどの採用という問題もあるのでしょうが、この事業の近代化というものに対しては、ぜひともそういう問題と取り組まなければならぬ必要があるということはお説のとおりだと思います。
  389. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これはことしの七十七国会の冒頭で、わが党の春日委員長提起した問題があるわけです。というのは、公営企業合理化審議会というものをつくって、そういう議を経てから値上げその他は提起してこい、こういう問題があったわけです。私は電電公社経営を見て、企業努力というものが十分でないと思う。これは細かいことをここで言っている時間がありませんが、そして総理の来る前に社会党の久保議員の発言を聞いておると、いまの電電公社経営委員は形骸化している、何の役にも立たない——まあそう極端なことではありませんが、形骸化しておるというわけであります。わが党の春日委員長提起したときに、総理はこういう答弁をしているわけです。既存の審議会、委員会、こういうものがあるので、その機能を十分見守っておいて、それで十分でない場合には公営企業合理化審議会という御提案のものを考えましょう。私の質問したときもたしかそういうようにお答えがあったわけであります。われわれがこの委員会の中で、電電公社経営の内部あるいは今度の予算の内部、値上げの内部を詳細に検討してみると、私は十分な企業努力がなされたとは見られない。たとえば電報制度についても、十三倍上げなければならない、そういうものをただ安易に残しておくだけ。あるいは人もただ年々一万人もふやしていくだけ。その他、細かい経営努力というものを私は見ることができないわけです。したがって総理、これは民間のそういう企業経営等に十分堪能な人を含めて合理化審議会というようなものをつくり、国鉄とか電電というものについて大所高所からチェックしなければならない、こう思うのですがどうでしょう。
  390. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 小沢君も御承知のように、いま中山伊知郎氏を議長にして、公共企業体全体について見直しの作業を精力的にやっておるわけであります。その中にはみな部門がございまして、電電公社の問題も全体として扱うわけでございますが、小沢君の御提案は、公共企業体も企業体自身の中でそういう合理化の審議会のようなものを置いたらどうかというお話でございます。われわれの方もやはり内閣にそういうものがございまして、非常に大きな委員会で、ここで公共企業体そのものについて、いま御指摘のような経営の内容あるいはまたいろんなあり方に根本的な検討を加えたいということで審議が始まっておるわけですが、個々の企業体の中にも合理化を促進するための何らかの審議会を置いたらどうかという御提案で、私の考えておることとは、関連はありますけれども、多少趣が違うようでございますが、そういう私的なものは公共企業体自身の中にも置いていいのではないかという感じがいたしますので、これは検討さしてください。全体のものは、いまこれは非常に膨大な委員会で検討を始めておることは御承知のとおりでございます。御趣旨がある程度そういう点で生かされておることは事実でございます。
  391. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 一言でいいから、その中山伊知郎さんの公共企業体何とかというのは電電公社経営について何かチェックしたことがありますか。これは総裁からちょっと一言。
  392. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 これは公共企業体等基本問題会議というのがございまして、その中に部会があるわけです。電電公社部会というのがございまして、各企業体ごとに部会を持って、これが今後掘り下げた検討をいたすことになっております。
  393. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それは性格が違うことから発足したものでしょう。私がここで言っている経営の近代化、合理化、生産性向上、そういうことを図る目的でつくったものじゃないわけで、だから春以来提起しているわけです。今度の値上げを見ても、私が二、三の例を提起したように、全然そういう努力が見られないわけです。だから、そういう大所高所から見る合理化審議会、そういうような種類のものをつくって、国鉄も見る、電電も見る、こういうことをやらなければ国民は納得しない、こう言っているわけです。どうでしょう。
  394. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 だから、先ほど小沢君にお答えしたように、そういう私的な合理化を検討するための審議会的なものは、私はそういうものをつくる必要性というものは大いにあると考えますので、検討さしていただきたいと思います。
  395. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 小沢君、お約束の時間が経過いたしました。御協力をお願いいたします。
  396. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 時間がないので先へ進めたいと思いますが、一言、二間だけ質問いたします。  歳入法案を処理したら解散をするみたいなことが先ほどの御質疑の中にもあったわけです。それで新聞の伝えるところによると、この十二日の日に閣議でもって十一月十日の天皇在位五十年記念式典のことについて決定をしよう、こういうことなんですが、そのときには三権の長、言うならば総理、衆議院議長、最高裁長官、こういう者がそろって出席しなければ式典にならぬ。そういうことになると、その式典中に解散、総選挙中であってはならない、こういうことになるが、総理はそういうことを考えながらやっているわけですか。それが一点と……。まあそれだけでいいです。
  397. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 即位五十年という式典でございますので、この式典を簡素の中においてもできるだけ厳粛なものにしたいと、いまいろいろの場合を考えておる次第でございます。
  398. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 小沢君、お約束の時間が経過いたしました。結論を急いでください。
  399. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それは総理、直接は答弁していないわけです。簡素にして厳粛なものだけじゃわからぬ。私の質問についてもう一回答弁してもらいたい。
  400. 三木武夫

    ○三木内閣総理大臣 その五十周年の記念に……(小沢(貞)委員「三権の長が出ていなければ式典にならぬだろう、こう言っているのです」と呼ぶ)それはやはり最初からそういうことも、どういう方々を御招待するかというときに、三権の長ということも当然御招待の中には入るべきものだと思います。
  401. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  402. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 ただいま、本案に対し、委員長の手元に自由民主党を代表して志賀節君より修正案が提出されております。  この際、提出者から趣旨の説明を求めます。志賀師君。     —————————————  公衆電気通信法の一部を改正する法律案に対する修正案     —————————————
  403. 志賀節

    ○志賀委員 私は、自由民主党を代表して、本修正案について、その趣旨を説明いたします。  修正案の案文はお手元の印刷物のとおりであります。修正の趣旨は、原案附則第一項の本法の施行期日、本年「六月一日」はすでに経過しておりますので、これを「公布の日の翌日」に改めるものであります。何とぞ御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  404. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  405. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 これより討論に入ります。  原案及び修正案を一括して討論に付します。  なお、討論は各党十分以内でお願いいたします。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。羽田孜君。
  406. 羽田孜

    ○羽田委員 私は、自由民主党を代表して、本法律案に対し賛成の意を表するものであります。  公社は、わが国の国民福祉充実と経済の効率化並びに情報化社会の発展に大きく寄与してきたのでありますが、最近における経済情勢の変動、収入構造の変化等により、発足以来の経営危機に直面していると言わねばなりません。かかる公社の財政状況の現状にかんがみ、国民の福利向上を図る上にあって、この改正法律案は妥当であると考え、速やかに成立を図るべきものと言わねばたりません。  なお、委員会審査の経過における各委員の意員については十分尊重し、今後の施策に活用されるよう要望して、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  407. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 古川喜一君。
  408. 古川喜一

    ○古川委員 私は、日本社会党代表して、公衆電気通信法の一部を改正する法律案に対し反対の討論を行います。  政府は、さきの第七十七回国会において、この電報電話料金値上げ法案提出してきたのでありますが、私は、わが党の電気通信事業あり方並びに料金に関する方針を述べ、本改正法案に反対の理由を明確にし、政府並びに電電公社に対し猛省を促すものであります。  電気通信事業の目的は、言うまでもなく真に国民のための電気通信の不断の実現にあり、その料金の決定はもちろん、設備の建設、事業経営など事業運営の全般にわたって国民の納得によって支えられたものでなければならないのであります。  今日、日本経済の高度成長が破綻し、産業、経済のあり方が根本的に問い直されているとき、電気通信事業においても、その基本から見直さなければならない時期にあると考えるのであります。  そのためにわれわれは、電気通信事業あり方について、国民的次元に立って再検討し、その抜本的改革を推進しようとするのであります。特に、事業の実態がほとんど知らされていないという現状を改めるための制度的改革を行い、経営の徹底した民主化を図り国民に開かれた事業にするとともに、ナショナルミニマムの達成を最優先課題とするのであります。その上に立ってサービスのあり方料金等における不公正を是正し、大衆負担の増大を回避させることにしております。  これが、わが日本社会党電気通信事業あり方並びに料金に関する基本方針であります。  私は、このわが党の考え方と対比しながら、改正法案の問題点反対理由について、以下申し述べます。  まず第一は、今回の電報電話料金値上げは、その理由がきわめて薄弱であり、国民ひとしく納得できないものであるということであります。  電電公社は、今後の事業収支の見通しを試算して、五十三年度までの三年間で一兆七千二百億円の赤字、これに四十九年度、五十年度の赤字四千九百億円を加え、赤字合計額は二兆百億円になると見込み、さらに改良費三千億円を加えて二兆五千百億円を料金改定必要額と推計しております。しかし、利用者である国民公社経営の実態について全然知らされていないのであります。  電信電話事業は、国民のために存在するものです。しからば、事業の運営に広く国民の理解と協力を得るため、公社運営の実態と経理の内容を明らかにすべきであります。  電電公社料金改正案は、五十一年度から五十三年度の三カ年間を試算しておりますが、五次五カ年計画とのずれをどうするのか明らかでありません。  しかも、今回改正案の基礎になる事業収支見通し、すなわち料金改定必要額それ自体がもはや根拠を失っております。電電公社は、長期計画の見直しをすべき時期に直面していると思うのであります。  電気通信事業は今日まで目覚ましい発展を遂げ、その技術水準はすでに世界的レベルにあります。これからの事業はこれまでの産業優先のあり方をやめ、技術進歩の成果を国民生活に生かしていく、ナショナルミニマムの達成、国民福祉の向上を最優先の課題として取り組んで、国民生活の質の向上、福祉社会実現のための情報通信の推進、不公正の是正、地域住民の要望にこたえることを基本に、国民のための電気通信の実現をしなければならないのであります。  しかるに、今回の改正案は料金体系の合理化及び制度の改善策について何ら見るべきものがなく、ただ安易に料金値上げによって経営収支のつじつまを合わせようとするものであって、納得するわけにはまいらないのであります。電電公社は、赤字原因が住宅用電話の普及のためだと宣伝しておりますが、言語道断と言わねばなりません。公社公共企業体としての役割りを認識し、ナショナルミニマムとしての事業使命に立ち返るべきであります。  個別料金の決定に当たっては、サービス価格を基礎とし、サービスの質、量、価値並びに利用者の負担能力その他政策的配慮に基づいて決定すべきであります。電話の一定度数までは現行料金に抑え、福祉施設などについては割引料金とするなど改正すべきであって、また、寝たきり老人、心身障害者等に対する電話料金に対しては、国の社会政策できめ細かい処置をし、地方自治体の負担などについて統一基準を設け、積極的に推進すべきであります。  また、経営民主化を具体的に実現するため、現在の経営委員会を発展的に解消させ、新たな国民の監視、査照の場として電気通信監理委員会電気通信利用者委員会設置すべきが至当と考えるのであります。  電々公社の健全な経営基盤確立のためには、公共企業体としての自主性を確保する立場から、財政的に自主採算の立場原則とするが、公共性確保のために必要な資金については、最終的に国が責任を負うべきであります。  次に、しばしば論ぜられている減価償却のあり方でありますが、支出の適正化と負担の公平化を図るため、抜本的に見直すべきであると思うのであります。  減価償却の算定方法については電気通信事業公共企業体であるということから、定率法を採用する必然性は存在せず、少なくとも加入電話の完全充足を達成した時点においては抜本的に改め、定額法を基本とすべきであります。当面、建物、工作物について定額法を採用し、また耐用年数を全面的に見直すべきであることを強く主張するものであります。  次に、設備料の大幅引き上げでありますが、これまた理解に苦しむものであります。加入者に電話債券と二重負担を強要し、その収入について資本勘定に繰り入れていることであります。  以上、主な問題点反対理由について申し上げましたが、これらの諸点は、先般来の委員会審査並びに参考人の意見にもありましたとおり、国民大半の主張であります。  私は、改正法案が無定見かつ不合理である点を指摘して、反対討論を終わります。(拍手)
  409. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 土橋一吉君。
  410. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、日本共産党・革新共同を代表し、本法案について反対の討論を行うものです。  まず、最初に指摘しなければならないのは、今回の電報・電話料金値上げ理由についての公社の言い分であります。  政府公社は、値上げの理由として四十九年度から始まった赤字の累積額が五年後の五十三年度までに、二兆二千百億円になると強調し、しかも、この赤字原因は、低収入の住宅用電話が増加したためだと宣伝しているのであります。  しかし、このような根拠や言い分は、電話利用者国民を偽るきわめて悪質なごまかしであり、大企業奉仕の立場から犠牲を国民に強いる口実にすぎないのであります。  現在、全国の電話設備や回線は、一日のうちで企業用通話が最も集中する最繁忙時の通信量をさばくことを基本につくられており、しかも、この通信量の中で電話台数の六一%を占める住宅用電話の通信量は二二・七%にすぎず、残りは企業用通信によるものであります。  したがって、住宅用電話は全部合わせても事務用電話の三、四分の一程度しか共通設備を使っておらず、むしろ、日曜、祭日、夜間など事務用電話の閑散時に遊休している設備を使って収入減を補う役割りを果たしているのであります。このことは、わが党が審議の中で明らかにし、公社自身も認めざるを得なかったものであります。  このことを見ても、公社の言う住宅用電話赤字論がいかに不当なものであるか、きわめて明らかであるのであります。  第二に指摘しなければならないのは、わが党が審議の中で明らかにしたように、大企業に対して、不当に安い料金で出血サービスをしている問題であります。たとえば全国銀行協会のデータ通信システムなどの各種システムは一システム当たり、月四千三百六十万円もの赤字になっており、このように大企業に対して不当に安いサービスを行っているということであります。全体では、四十九年度、データ通信で三百四十五億円、テレックスで四十九億円もの赤字を出しており、この年度の赤字総額の二〇%を占めているというありきまであります。  また、公社電話加入者から架設費として取り立てている設備料は、一般電話の場合、実際の架設費が一万六千円しかかからないのに設備料を五万円取っているのであります。大企業が使うデータ通信全体では、架設費五千億円に対し設備料は五十一億円しか取っていないのであります。  しかも、そればかりでなく、電話設備料は、本来、収入に計上すべきものにもかかわらず、資本剰余金に繰り入れるという会計上の利益隠しの不当な操作を行っておるのであります。  赤字の解消を値上げの理由とするならば、これらの大企業優遇の料金・設備料体系を適正にするのが当然であると言わなければなりません。  第三に指摘しなければならないのは、大企業本位のための莫大な設備投資計画を進めてきた問題であります。  公社は、大企業本位の立場から経営規模に比べてきわめて過大な設備投資を続け、大きな負債を抱え込んでおり、このため、年々莫大な金利を負担しているという状況であります。  しかも、政府公社は、データ通信・画像通信などのサービスと、これらを結ぶ電子交換機の大量導入を中核とする総合通信網づくりを進め、大企業に安上がりで効率のよい通信手段を提供し、情報列島の再編成を行おうとしているのであります。  経営能力以上の、このような過大な設備投資が財界全体の利益のための景気対策としても強行されていることは、わが党が再三、指摘してきたところであります。  借入金による過大な設備投資を行えば、金利負担が一層重くなることはきわめて明らかであります。  第四に指摘しなければならないのは、高資本蓄積、利益隠しの過大な減価償却費を計上しておるという問題であります。  公社は、昭和二十八年以来、設備の耐用年数を順次短縮し、電話設備の平均耐用年数は、それまでの二十四、五年から現在の十三、五年に縮めた上に、昭和四十一年から建物を含む全施設に償却のテンポを速くするための定率法を採用してきたのであります。  その結果、昭和四十九年度の減価償却費は六千四百八十三億円となり、この年度の事業支出の三二%を占めるに至っておるのであります。電話の自動化がほぼ完了した今日、このような急速な償却をする口実は成り立たないのであります。  公社電話部門の減価償却費を、定額法をとっているアメリカ電信電話株式会社の方式で計算しただけでも五十年度の減価償却費は半減し、データ通信や電報の赤字を補っても、なお、八百四十六億円の黒字になることは、わが党がすでに指摘したとおりであります。  以上述べたように、今回の公社赤字は、大企業向けの通信を保障するための莫大な設備投資による金利負担の増加、高資本蓄積、利益隠しの過大な減価償却費、さらには、大企業に対し不当に安い料金でサービスを提供するなどによってつくり出されたものであります。  このような高度経済成長型の財政、経営政策を温存したまま出されてきた、国民負担を強いる電報電話料金値上げは、断じて認めるわけにはいかないのであります。  最後に、私は、電報電話料金値上げを抑え、公社の財政、経営を民主的に改革するため、第一に、利益隠しの財政、経理にメスを入れ、つくられた赤字をなくすこと、第二に、料金値上げをやめ、大企業に有利な料金を適正化し、料金体系国民本位に改めること、第三に、公社経営を圧迫している大企業奉仕の設備投資を再検討し、国民本位に改めて投資規模を適正化すること、第四に、公社経営、人事、管理、運営を民主化すること、以上のことを強調し、あわせて、ただいま提案をされました一部を改正する法律案に対する修正案を込めて、反対の討論を終わります。(拍手)
  411. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 田中昭二君。
  412. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました公衆電気通信法の一部を改正する法律案並びに同修正案に対し、強く反対するものであります。  法案の審議を通してはっきりしましたことは、赤字補てんのために単に料金値上げだけを図り、経営の改善、制度の改正など重要な基本的事項について抜本的検討が何ら加えられておらず、その上、値上げの根拠がより不明確であることが明らかとなったからであります。このようなことで国民及び利用者に十分なる納得と理解を求めることは不可能なことであり、かえって政府及び電電公社当局の姿勢を疑わざるを得ないのであります。  反対する第一の理由は、事業計画の規模が現在並びに今後の経済事情に適応したものでないということであります。  公社事業計画は、第五次五カ年計画で総額七兆円を予定しておる。しかし、これは高度経済成長期に策定されたものであり、現在の経済事情に適応したものとは言えないのであります。  今回の料金改定に当たり、公社は、五カ年計画を見直したものとして、五十一年度から五十三年度までに総額五兆四千億の投資を行おうとしておるが、第五次五カ年計画の四十八年から五十年の投資総額三兆七千億と比較しても明らかなように、これは過大投資と言わざるを得ないのであります。  経済情勢にそぐわない過大な投資計画を根本的に改め、過大投資の財源確保のための電話電報料金の大幅値上げは絶対に避けるべきであります。  第二に、減価償却費が過大であるということでございます。  このことは、すでに述べましたように、公社は典型的な設備産業であり、減価償却費が他の産業に比べて大きな割合を占めるのは当然としても、余りにも過大過ぎるからであります。  第三に、料金体系の抜本的改正が何もなされていないということであります。  公社の現行料金体系は、最近の都市構造の変化、技術革新によるコストの低下、通信回線の有効利用などの料金面への反映が十分とは言えなくなっており、今回の値上げ案は、料金を単に一律値上げしたにとどまり、サービスの価値、サービスにより生ずる受益の度合い、利用者の負担能力による見直しは全くされていないのであります。ということは、公衆法第一条の「合理的な料金で、あまねく、且つ、公平に提供することを図ることによって、公共の福祉を増進することを目的とする。」という精神が全然生かされていないということであります。  そこで、一つには、広域均一料金制の導入を図る必要があります。それは、昭和四十六年に広域時分制を導入したが、生活圏、経済圏をカバーし切れず、大都市周辺の利用者料金格差の意識が強い上に、道路一本隔てますと区域外通話になる。そして長距離電話料金が高過ぎる。このような日本の最低、最高料金の比率は七十二倍、イギリスは十五倍。こうした問題点を解消し、利用者サービスの向上を図るため、最低料金でかけられる通話区域を拡大するグループ料金制の導入を推進することが必要であります。  それに、さらに専用料金、データ通信料金の改正が必要であります。  公衆通信回線の専用料金及びデータ通信料金は、郵政大臣の認可事項であるが、今回改定は行われておりません。その理由として、一、専用・データ通信料金は昨年値上げしたばかりである、二、専用料金は黒字である、三、短期間の再値上げはユーザーに過重な負担となり、需要が減ると公社説明しておりますが、しかし、専用料金については、一、今回の通話料値上げにより料金格差が縮まり、専用料金の方が割り安となる、二、昨年の改定はダイヤル通話料との調整、短長距離間の料金格差の是正が目的で、増収のためではない、またデータ通信についても、一、全体の事業収支率が赤字である、二、各システムごとに八年間で収支相償うことを目標にしておるが、公社赤字収支の現状からは期間が長過ぎる、これらのことから公社説明の理由がなくなり、これらの料金の改定は当然行うべきであります。  また、電話設備料の性格等を明確にすべきであります。  設備料は、電話に関する料金のうち、利用の対価としての基本料や通話料とは性格を異にしております。設備料の基本的性格はいまだあいまいでありまして、新規架設の際、加入者債券を引き受け、さらに電話設備料を負担する理由が見当たらず、また今回五万円から八万円に引き上げる理由も、前回改定時の昭和四十六年から現在までの消費者物価指数、卸売物価指数の上昇率に合わせたということは、まことに論拠の薄弱なものであると言わざるを得ません。  また、福祉料金体系を導入すべきであります。  所得格差や税の不公平が問題となっておる今日、所得の低い人に対する何らかの配慮がなされていないのであります。特に老人、身障者、母子家庭、生活保護世帯の方々には、電話は必要欠くべからざるものであります。したがって、経済的、社会的に弱い立場の人々には減免、分割払い等の政策料金制度の導入は早急に行うべきであります。以上の四点、料金体系の是正に触れましたが、これらを見直すことによってまさに適正な料金体系と言えるのであります。  次に、第四の理由として、住宅用電話の収支の悪化の問題でありますが、その根拠がないということが明らかになったからであります。  次に、電報料金については、電報事業の全体の改善を図るべきであります。  反対する理由の最後に、料金制度国会審議にかけない法定主義の廃止をもくろんでおるということであります。  今回の改正案において専用料金の最高限度額を法律から削除されることになっておりますが、これは法定料金となっているのを認可料金とすることであり、このことは法定料金をなし崩しにする政府当局の姿勢が如実にあらわれているものであります。それに、認可料金を郵政審議会にかけると政府は約束しておきながら、四十七年以来一度も実行されなかったことや、今回の値上げ案そのものを郵政審議会には諮らず、専門家における十分なる審議を尽くさなかったことをあわせて見ますと、料金制度をすべて認可料金にする意図ととれるわけであります。このようなことは断固許すことはできません。  以上、何点かを指摘しましたが、今回の値上げに断固反対し、この際、政府当局が本法案を撤回することを要求いたしまして私の討論を終わります。
  413. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 小沢貞孝君。
  414. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 民社党を代表して、ごく簡単に反対の討論をいたしたいと思います。  先ほど来私の質疑を通じても明らかなように、一番大きな問題は償却の問題であります。  年々一千億ずつ償却がふえてまいっておるわけです。来年は一兆円になんなんとするわけであります。これを定率法から定額法に直すことによって二千億浮いてくるわけであります。今回の値上げは年間六、七千億だとするならば、この償却の仕方だけで二千億すでに浮くのではないか、三分の一は値上げの理由がないのではないか、こういうことが一番大きな一点であります。  第二点は、これまた先ほど来申し上げているように、電報制度というものについてすぐやめろとは言わないが、これは緊急のものを除いて合理的な体制を整えることによって、年間一千ないし一千二百億赤字になっているものが浮いてくるわけであります。  以上の二つを合わせただけで三千数百億に二、三年後にはなっていくわけであります。したがって、今回の料金値上げが六、七千億でありますから、その半分はこの二つだけですでに値上げの必要性がない、こういうことがわかると思います。  そのほか、質疑等を通じて保守体制、こういうものの合理化が十分行われておらない。あるいは料金収納制度に対して十分な合理化が行われておらない。料金体系についても遠距離がきわめて割り高になっている問題等についての法案の修正がなされておらない。及び、法定でなくて認可料金の中には三倍も値上げしよう、こういう問題が含まれておる等々、詳細についてはまた本会議の討論に譲りますが、大まかに以上だけ申し上げて反対討論といたしたいと思います。
  415. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 これにて討論は終了いたしました。     —————————————
  416. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 これより公衆電気通信法の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、志賀節君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
  417. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。
  418. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  419. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、三ツ林弥太郎君外二名より、自由民主党、日本社会党及び公明党の三党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。三ツ林弥太郎君。
  420. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員 私は、提案者を代表して、ただいま議題となりました附帯決議案について御説明申し上げます。  案文は、ただいまお手元にお配りしてあるとおりでございます。  この附帯決議案は、自由民主党、日本社会党及び公明党の三党共同提案にかかるものでありますし、また、案文も当委員会における質疑等を勘案して作成されたものでございますから、その趣旨につきましては改めて御説明するまでもないと存じますので、省略させていただきます。  何とぞ全会一致御賛同くださるようお願いする次第であります。(拍手)     —————————————   公衆電気通信法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  この法律の施行に当たり、政府並びに日本電信電話公社は、次の各項の実施に努むべきである。 一、電信電話事業公共企業体として国民に対し、より開かれた事業とするため、利用者意見が反映する体制について新たに検討しその実現を図ること。 二、電信電話料金体系については、経営努力に期待することは勿論大衆負担の増大を来さぬよう配慮するとともに、サービスの効用、負担能力等を総合的に勘案し、公平な料金決定方式を確立すること。 三、寝たきり老人、心身障害者などの生活維持に必要な電信電話の利用については、設備料、通話料の減免及び設備料の分割払いの方法を検討する等、積極的な福祉施策の措置を講ずること。 四、ナショナルミニマムの観点から、一定度数以下の利用者通話料の減免措置について検討すること。 五、国民の緊急通信手段としての電報制度については、その公共的使命に基づき存続を図るために、積極的な施策を講ずるとともに、今回の法改正に伴い、当該労働者の雇用不安を惹起せしめないよう労使間で十分協議すること。 六、電信電話事業の円滑な運営のためには、労使間の信頼関係確立が不可欠の条件であることにかんがみ、一層の努力を行うこと。 七、関連企業並びにその労働者の雇用不安を惹起せしめないよう具体的措置を講ずること。 八、加入区域の拡大について検討すること。  右決議する。     —————————————
  421. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  本動議について採決いたします。  三ツ林弥太郎君外二名提出の動議のとおり本案に附帯決議を付するに賛成の諸君の起立を求めます。
  422. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 起立多数。よって、本動議のごとく附帯決議を付するに決しました。  この際、福田郵政大臣及び米澤日本電信電話公社総裁から発言を求められておりますので、これを許します。福田郵政大臣
  423. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 このたびは大変熱心な御審議をいただきまして、ただいま公衆電気通信法の一部を改正する法律案の御可決をいただきましたことを厚く御礼申し上げます。  この委員会の御審議を通じまして承りました御意見、御議論されました点につき、ことごとくわれわれに対する深い教えとして拝聴いたしました。これらの点を今後の電気通信事業の運営面に十分反映させまして、当委員会の御審議におこたえ申し上げたいと存じます。  さらにまた、ただいま附帯決議が出されましたことにつき、政府といたしましては十分にその御趣旨を尊重してまいる決意でございます。  まことにありがとうございました。(拍手)
  424. 伊藤宗一郎

  425. 米澤滋

    米澤説明員 このたびは大変御熱心な御審議をいただきまして、ただいま公衆電気通信法の一部を改正する法律案の御可決をいただきまして、厚く御礼申し上げます。  附帯決議の御趣旨を尊重いたしまして、最善の努力をいたすつもりでございます。(拍手)     —————————————
  426. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 なお、ただいま修正議決いたしました本案の委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  427. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  428. 伊藤宗一郎

    ○伊藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後十一時二十八分散会      ————◇—————