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1976-10-29 第78回国会 衆議院 商工委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月二十九日(金曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 稻村佐近四郎君    理事 近藤 鉄雄君 理事 武藤 嘉文君    理事 綿貫 民輔君 理事 上坂  昇君    理事 佐野  進君 理事 神崎 敏雄君       大村 襄治君    粕谷  茂君       塩川正十郎君    塩谷 一夫君       谷垣 專一君    深谷 隆司君       三原 朝雄君    森  美秀君       保岡 興治君    板川 正吾君       加藤 清二君    野坂 浩賢君       田中美智子君    米原  昶君       松尾 信人君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     澤田  悌君         経済企画庁調整         局長      青木 慎三君         通商産業政務次         官       山下 徳夫君         通商産業大臣官         房長      宮本 四郎君         通商産業大臣官         房審議官    織田 季明君         通商産業省貿易         局長      森山 信吾君         通商産業省産業         政策局長    濃野  滋君         通商産業省機械         情報産業局長  熊谷 善二君         通商産業省生活         産業局長    藤原 一郎君         資源エネルギー         庁長官     橋本 利一君         中小企業庁長官 岸田 文武君         中小企業庁計画         部長      児玉 清隆君         中小企業庁小規         模企業部長   岸  薫夫君  委員外出席者         大蔵大臣官房審         議官      乗富 光義君         国税庁間税部消         費税課長    沢口 成利君         文部省初等中等         教育局中学校教         育課長     白井  實君         農林省食品流通         局商業課長   堤  恒雄君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ――――――――――――― 委員の異動 十月二十六日  辞任         補欠選任   玉置 一徳君     稲富 稜人君 同日  辞任         補欠選任   稲富 稜人君     玉置 一徳君 同月二十七日  辞任         補欠選任   米原  昶君     金子 満広君 同日  辞任         補欠選任   金子 満広君     米原  昶君 同月二十九日  辞任         補欠選任   小川 平二君     谷垣 專一君   栗原 祐幸君     保岡 興治君   島村 一郎君     森  美秀君   田中 榮一君     塩谷 一夫君   竹下  登君     三原 朝雄君   中村 寅太君     大村 襄治君   渡辺 三郎君     野坂 浩賢君   野間 友一君     田中美智子君 同日  辞任         補欠選任   大村 襄治君     中村 寅太君   塩谷 一夫君     田中 榮一君   谷垣 專一君     小川 平二君   三原 朝雄君     竹下  登君   森  美秀君     島村 一郎君   保岡 興治君     栗原 祐幸君   野坂 浩賢君     渡辺 三郎君   田中美智子君     野間 友一君     ――――――――――――― 十月二十五日  大規模小売店舗における小売業事業活動の調  整に関する法律の一部を改正する法律案加藤  進君外二名提出参法第六号)(予) 同日  中小企業事業分野確保法早期制定に関する請  願(東中光雄紹介)(第七一一号)  同(村上弘紹介)(第七一二号)  中小業者経営安定に関する請願荒木宏君紹  介)(第七一三号)  同(三谷秀治紹介)(第七一四号)  同(瀬崎博義紹介)(第八三八号)  和装品韓国からの輸入制限等に関する請願外  一件(竹村幸雄紹介)(第七八四号)  同外二件(近江巳記夫紹介)(第八三九号)  同(田中伊三次君紹介)(第八四〇号) 同月二十六日  中小企業者経営危機打開に関する請願(安井  吉典紹介)(第九五三号)  和装品韓国からの輸入制限等に関する請願外  一件(竹村幸雄紹介)(第一〇九一号) 同月二十七日  和装品韓国からの輸入制限等に関する請願(  玉置一徳紹介)(第一一〇八号)  同(竹村幸雄紹介)(第一一七四号)  同(木島喜兵衛紹介)(第一四二一号)  特許管理士法制定に関する請願福田篤泰君紹  介)(第一一七二号)  同(高沢寅男紹介)(第一三四六号)  中小商業経営安定等に関する請願(石母田  達君紹介)(第一一七三号)  中小企業者事業分野確保に関する請願(鈴  木善幸紹介)(第一三四四号)  家庭用灯油及び液化石油ガス安定供給に関す  る請願鈴木善幸紹介)(第一三四五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  中小企業に関する件  資源エネルギーに関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ――――◇―――――
  2. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、中小企業に関する件、資源エネルギーに関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐野進君。
  3. 佐野進

    佐野(進)委員 きょうは、十月二十七日の新聞に「中小企業分野調整法案 自民党も今国会提出へ 業種特に指定せず「主務大臣中止勧告」」こういうような見出しでその内容が報道されている点について、かねて本委員会においては、前国会最終日に五党共同提案による分野法成立に関する決議を行っておるわけであります。したがって、この決議に基づいて今国会においてこれを成立させる、これが五党共同の責任ということになっておるわけでございまするから、理事会ごとに、この法律案成立について、特に政府案提出については強く要求を続けてきたわけであります。したがって、それらの点について、この自民党案というものの内容と関連しながら政府見解をただし、今国会におけるところの成立をぜひ期していきたい、こう考えて、きょうは質問をしてみたいと私は思うわけであります。  しかし、その前に、当面する景気対策について通産大臣見解を承っておきたいと思います。  ここ数週間、景気中だるみ説落ち込み説等等その前途に対して悲観的な見解が、いろいろ新聞や雑誌、あるいはまた経済界、各界の人たち発言等々の中で見られておるわけであります。そういうような経過の中で、過日もこの点について質問をいたしましたが、福田経企庁長官は、心配することはない、通産大臣も、若干の心配はあるけれどもそう大きく心配することはないというような答弁をなされておるように私は聞いたわけでありまするけれども、これまた昨日の新聞でありましたか、一昨日の新聞でありましたか、通産大臣は、景気中だるみ状況になり、急速にこれに対するてこ入れを行わざる限り、今年末におけるところの景気情勢がきわめて悪い状態になる、したがって二段階構え景気対策をとることが必要である、こういうような新聞記者会見における発表をなされておるようでありまするが、通産大臣がそのように今日の段階における景気状態を深刻に受けとめるようになったその条件は一体どこから発生してきたのか、この点をひとつ具体的にお答えをいただきたいと思います。
  4. 河本敏夫

    河本国務大臣 御案内のように、八月、九月、十月と若干景気停滞をしております。停滞というよりも、やや下降ぎみである、こういうことが言えると思います。ただしかし、先般通産省がまとめました十一月の予測では、若干回復するのではないか、こういう数字も出ておるわけでございます。そういうことから、大勢としては心配をすることはないと思いますが、やや経済活動が鈍っておりますので、当面政府として直ちになし得る若干の景気対策が必要じゃないだろうか、そしてさらに十一月の動向を見きわめた上で十二月にも第二段階についていろいろ具体的に考えていく、そういうスケジュールで今後考えていくのがよろしかろう、こういう趣旨の発言をしたわけでございます。
  5. 佐野進

    佐野(進)委員 経済界では、大体景気の先行きについてそう心配すべきではないという意見を底流に置きながら、しかしこの落ち込み相当悪い影響を将来とも与える、その落ち込みにつながるのだ、こういうような見解が一般的であるように私ども承っておるわけでございまするし、特にそれぞれの業界の代表からお話を聞く段階の中で、そのような印象を深くするわけであります。もちろん跛行性がございまするから、いい業種、悪い業種等があることは、これは当然であります。     〔委員長退席武藤(嘉)委員長代理着席〕  しかし、そこの中で、たとえば今回ヨーロッパ諸国を訪問された土光経団連会長等経済使節団が、この将来の日本経済動向をもちろんよく知った上でのことであろうと思うのでありまするけれども輸出規制日本の国がそれぞれの国へ輸出する問題についてはそれを自主的に規制する、この形の中で諸外国要望を受け入れるということを言明し、日本政府と強力な交渉をする、こういう発言をしておるやに伝えられておるわけであります。片やアメリカの景気も一時ほどの伸びもないというような形の中で、わが国輸出停滞も将来の見通しとしては伝えられざるを得ない状況の中で、諸外国は自国の経済を守るために輸入ということに対してきわめて神経を使い、それぞれの国の景気対策ということに対して真剣に取り組んでおるとき、そういう状況の中で、わが国は、通産大臣の発表せられた諸施策の中においても、金融あるいは二段階構えの中においても応急的な措置についてのみ言及せられておる。  しかし、各業界におけるところの実際的な情勢を見ると、たとえば繊維産業の一部に見られるように、この落ち込みの理由は、外国からの輸入品の圧迫によって結果的に生産停滞する、生産停滞するのに在庫はふえる、つまり在庫がふえ、生産停滞するわりに消費が伸びない、したがって、結果的に景気落ち込みにつながる。これはある一つ業種でありますが、単にこれだけでなくして、全体的にそのようなことが言い得るわけであります。  そうすると、たとえばいま言ったような形の中で諸外国がそれぞれ対策をとっておる中で、わが国は相変わらずいままでと同じような形の中で対応する、むしろ外国に対する輸出規制に協力する、そういうような制約を受けることについて積極的になるとするならば、わが国経済が破局的な段階を迎えるというような状況に至ることもあながち単なる悪い想像だけではないというようなことも考えられるわけでありますけれども大臣は、諸外国、特にヨーロッパ諸国におけるところの経団連会長の話し合いの中で出された結論と対比して、わが国経済界におけるところの要望を具体化する――輸入規制というような措置は具体的な形の中では言い得ないとしても、どういうような方向の中で景気落ち込みを防ぐ政策一つとしてお考えになられるか、この際お考えを示していただきたい。
  6. 河本敏夫

    河本国務大臣 輸出動向について申し上げますと、ことしの上半期は前年度に比べましてほぼ二三、四%の伸びになっております。しかるに一方、輸入の方は、伸びてはおりますが、前年度に比べまして二二、四%という伸びでありますから、その間に相当数字の開きがございまして、そこに諸外国で若干の摩擦が生じておる原因がございます。ただしかし、下半期におきましてはこの数字はだんだんと改善をされまして、輸出の方も前年に比べまして大体一七、八%の伸びぐらい減少するのではないか。逆に輸入の方はさらにふえまして、輸出伸びにだんだん近づいてくるのではないか、こういうふうに私どもは見込んでおります。  そういうことでございますから、上半期のような情勢が続きますと、若干のトラブルあるいはまた摩擦が起こるわけでございますが、下半期にはだんだんと修正の方向に向かっておりますので、その間の事情各国ごとに十分詳しく納得をいただけるように説明をすれば、大部分の問題は解決できる、私はかように考えております。したがいまして、各国で起こっておりますトラブルも、政府が中心になりまして積極的に解きほぐすようにしなければならぬと考えております。
  7. 佐野進

    佐野(進)委員 そうすると、先ほど申し上げました輸入規制ということ、わが国がそれを防ぐということについては、特に東南アジア諸国、いわゆる韓国、台湾等々の品物に対する対策、これはいつも言っておるわけでございますが、これらについては何ら手をつけないでいくということでございますか。さらにまた、そういう情勢の中で、十一月の景気に対する予測はどう判断されておるか、この点を一緒にお答えいただきたい。
  8. 河本敏夫

    河本国務大臣 東南アジアとの貿易は、昨年に比べまして非常によくなっております。いま御質問東南アジアからの輸入がふえておるということに対して、それを規制する考えはないかということでございますが、そういう考えはございません。なぜかと申しますと、昨年十一月のランブイエ会議、ことし六月のサンファン会議等におきましても、世界主要国が相寄りまして、自由貿易原則を守っていくということが世界経済の繁栄につながる最大の道であり、一番強力な道であって、各国とも自由貿易原則を堅持するということにできるだけ協力して、それを曲げないように、よほどのことがない限りこの原則は守っていこうじゃないか、こういう申し合わせをしたばかりでございますし、私はこの原則はあくまで守っていかなければならぬと思いますし、特に日本としては、この原則が破られますと、非常に大きな打撃を受けることになります。そういうことから、東南アジアからの輸入品に対して輸入規制をする、そういう考えは毛頭ございません。  それから、先ほど十一月の景気予測について若干申し上げましたが、この十一月の予測相当よくなっておりますのは、一つは、三カ月間続きました景気下降停滞の反動だと考えます。特に十一月からは災害対策も始まりますし、東北では救農土木事業も始まります。それからさらに、まだ未確定な要素はございますが、国会におきまして電電、国鉄の値上げ等を通していただければ、それによってストップしておりました工事も始まるわけでございますから、十一月の指標が明るくなっておるということもそういうことに基づくのではないかと思います。  ただしかし、これだけではまだ決して楽観できないと思うのです。と申しますのは、ことしになりましてから予測が非常に高く出たことがございます。たとえば一月などは五・一%と出ておりましたが、実際の数字はそれよりも相当低い数字になりましたし、四月もたしか四・九という予測数字が出たのです。これは生産活動でございますが、これも実際は相当減っておる、こういうことでございますから、十一月の予測数字が若干明るくても、それがそのまま実現するというふうに考えるのは楽観に過ぎるであろう、こういうふうに思いますけれども世界経済の一部には暗い要因もありますが大勢としては世界経済は回復に向かっておりますし、世界経済の中に生きておる日本経済は、そういう世界の明るい経済の将来に支えられて、昨年と比べて決して心配すべき状態ではない、ただしかし、何らかの景気対策は研究してしかるべきである、かように考えておるわけでございます。
  9. 佐野進

    佐野(進)委員 冒頭に申し上げましたとおり、きょうは分野法の問題で質問するわけでございますから、この問題で長い時間をとることはでき得ませんが、結局大臣答弁を聞きながら景気対策に積極的に取り組むという姿勢はよくわかるわけでありますけれども輸出入の問題、さらにはまた国内におけるところの諸政策等との関連で景気が下降していくのか、あるいは横ばいか、さらには上昇かということになっていくわけでございますが、その中でいろいろな政策をいまおとりになっておられる、いわゆる二段階構えというような形の中でのてこ入れを行うということになっておるわけでございます。これに時間をとることができ得ませんので、それらの具体的な質問は省略いたしますが、いずれにせよ、中小企業三機関に対する対策、あるいは住宅投資、あるいは長期金利の引き下げ等々の具体的な景気対策については、ひとつ積極的に対応されるよう要望を申し上げておきたいと思います。  さて、先ほど申し上げました中小企業分野法についての質問をしてみたいと思うわけであります。  総理大臣自身もそうでございますが、本会議の席上、大臣はこの委員会の席上におきまして、たびたび分野法政府提案として提出するということを言明されておりました。しかるに、もはや会期あと一週間にも足らない状況になってまいりました。実質的に商工委員会が開かれるのはきょうと二日、この二日間しかない、こういうような状況の中で、法案提出がいまだ行われていない。結果的に、今国会においてこの法律案提案されることは不可能ではないか。とするならば、前国会会期末において五党で決議したように、今国会において五党による議員立法を行うという作業に入らなければならない、そのタイムリミットはきょうである。こういうようにわれわれは判断せざるを得ないわけであります。  したがって、この判断に基づいて議員立法作業に五党が入るとするならば、政府提案というものは結果的に言えば幻の法案ということになってくる可能性もあるわけでありまして、結果的に言うならば、政府議員立法にゆだねるために、今国会提出せよという前国会会期末におけるところの決議を無視してその努力を怠ったのだというふうに、意地の悪い質問ということになればそういうことになろうと思うのでありますけれども、これに対して大臣はどのように取り組まれ、現在どのような心境であるか。中小企業庁長官は、総理大臣ないし大臣発言を受けながら、なぜこのような状況の中に会期末に追い込まれながら提案をすることができ得ないのか、その事情について見解を明らかにしていただきたいと思います。
  10. 河本敏夫

    河本国務大臣 前国会における委員会の御決議を受けまして、去る七月以来、政府の方では積極的に法案作成作業に取りかかっております。その作業の模様及び現状等につきましては後ほど中小企業庁長官から答弁をさせますが、そういう精力的な作業を続けました結果、現段階は最終的にまとめ上げる段階に来ておるわけでございまして、何とか今国会、残す会期もわずかでございますが間に合わせたいということで、いま最後の努力を振りしぼりまして一生懸命に作業を進めておるというのが現状でございます。  詳細につきましては、長官から答弁をいたします。
  11. 岸田文武

    岸田政府委員 先回のこの委員会で、この問題についての審議経過のあらましを御報告を申し上げましたが、先回にも申し上げましたように、七月七日に第一回のこの問題に関する特別の小委員会の会合を持ちまして以降、今回まで八回にわたって集中的に審議を進めております。いままでの審議によりまして大体問題点についての一わたりの議論が一巡をいたしまして、いわばこれから取りまとめ段階に入るところでございます。私どもの心づもりとしましては、あと一回か、それでまとまらなければ二回ぐらいで大体全体の方向というものを固めていきたいと思っておるところでございます。  次回の予定といたしましては、これは委員の方方の御都合もございまして、十一月一日を予定をいたしております。その席におきましては、従来いろいろ議論をしていただきました論点をある程度整理をいたしまして、その議論から出てくる具体的な方向づけということを少し行いたいと思っておるところでございます。もし一回でそれについての皆さん方コンセンサスが得られますれば、これによって私ども立法についての方向づけ決定をするわけでございますが、このような非常に大きな問題、またむずかしい問題につきましては、やはり委員の方々にいろいろの御意見がございます。しかし、御意見はあっても、その意見の幅を少しでも縮めましていわゆるコンセンサスのような形に持っていくことが、事の性質上大切なことではないかという感じがいたしております。したがいまして、私、先ほど一回ないしは二回ということを申し上げましたわけでございます。  いずれにいたしましても、国会の御決議によりましてなるべく早く政府提案をまとめるようにという方向につきまして、私どもとしてもできるだけこれに応ずることが大切なことであると考えておる次第でございます。せっかく政府として何らかの案をまとめろという御指示をいただきました以上は、その御期待にこたえまして、この問題について考えられるあらゆる角度から、そしてまたいろいろな経緯等も十分踏まえて、世の中の人にある程度納得していただけるような答えを出すことが責務である、またそれを期待してそのような決議をいただいたのだというふうに理解をしておるところでございます。時間が御期待のようにいっておらない面は、逆にそういう面で私どもができるだけ慎重にやったということもその反面としてあることを御理解いただきたいと思います。  しかしながら、いずれにせよ、この問題について中小企業業界を初めとして関係筋が非常な関心を持っており、一日も早く答えを出してほしいという期待を持っておることは十分身にしみて感じておるところでございまして、従来も努力をしてまいりましたし、これから入ります取りまとめ段階でも、一日も早く方向を出すということについて、私ども精力的に取り組みたいと思っておるところでございます。
  12. 佐野進

    佐野(進)委員 大臣から基本的な考え方、長官からさらにそれを敷衍する意味においての説明を受けたわけでありますが、私は、何と言っても時間がないということでこの問題が処理されることは大変残念だと思うわけです。時間がないのではなくて、結果的に各方面との調整のために時間をかけた方がいいだろう――時間は十分あったわけです。たとえば小委員会における会議を月に二回あるいは一回、こういうようなテンポでいくならば半年ぐらいすぐたってしまうわけでありますから、結果的に二回を三回にするとかというような形の中でやれば、今日までの状況の中で、時間がないといういまの長官答弁で今国会を終わろうとするようなことは断じてなかったと考えるわけです。  したがって、その点についてはむしろ私はこういうように理解してもいいのではないかと考えるのですが、この点、長官見解を聞いておきたいと思うのであります。たとえば、いま自民党案商工部会において決定された、そしてこれから政調会あるいは総務会の議を経て議員立法として提案するのかどうするのかという態度決定が迫られておる。そうすると、中小企業庁当局としては、この自民党案のまとまるのを待つために時間をかしたのではないか、そう判断してもやぶさかではないような感じがするわけであります。これはもちろん長官の立場から言ったら、そんなことはありません、私どもは私ども独自でやっておりますと言うだろうけれども、客観的に、そしてまた私どもがこの法案をつくりたいという条件のもとに中小企業庁当局努力の跡を追ってみると、そういうようなことに受けとめても差し支えない個所が幾つかあると私どもは思うのであります。  そこで、私は、この新聞に出された自民党の今国会提出する調整法案、これはかつて武藤試案と称せられた要綱を基礎にして法律案という形になっておるわけでありますが、その法律案内容を分析してみるとますますその感を強くするわけでありますけれども長官はいま私の言ったことについてどうお答えになるか、いわゆる自民党案政府案との調整のために時間をとったのかどうか、この点についてひとつ御見解を示していただきたい。
  13. 岸田文武

    岸田政府委員 この分野の調整の問題は、中小企業にとりまして非常に重大な問題でございます。それなりに関係の業界の実情をよく踏まえて、その悩みにいかにこたえるかということについて十分慎重に審議しなければいけません。ただ、それだけではなくて、この問題を考える際には、一方で消費者の利益をどう確保するか、あるいは技術革新の進展ということとの絡み合いをどう考えるか等々の、やはり幅の広い角度からの検討を踏まえて、それらを総合した上の判断というものが同時に要請されるような気がいたしております。しかるがゆえに、私どもはこの問題を検討いたします際に、十分実情の調査もいたしましたし、さらにそれに加えまして、この問題に具体的に取り組むための幾つかの柱について、逐次検討を進めてまいったわけでございます。  申し上げますと、法律の規制の態様をどうするか、あるいは対象となる事業の範囲をどう考えるか、具体的な調整のやり方は、どういうやり方をやるのが一番ふさわしいであろうか、また事業活動の範囲として、どういう範囲を対象とするように考えるべきであろうか、さらにまた、紛争といいましても各種の紛争があるわけでございまして、法律的に取り上げるべき紛争というものをどういうふうに限定していったらいいだろうか、さらにまた、この分野の問題をめぐって大企業についての活動をある程度調整するに際し、他方で中小企業自身の自己努力というものをどういう形で考え方の中に取り入れるべきだろうか、さらに加えますと、消費者の利益との調整ということがよく言われておりますが、具体的にどういうことが課題であり、どういう方向を望んでおられるのであろうか、こういった各種の諸点について、一つ一つ議論を進めていくことが必要であったわけでございます。  一つの問題を取り上げてみましても、やはり勉強すべき問題がたくさんございます。従来の先例はどうか、また、従来各方面から出されております各種の案では、この問題についてどういうことが取り上げられており、どういうことが要望されておるか、こういったことについての吟味が必要でございますが、それだけではなくて、将来の中小企業のあり方あるいは日本経済のあり方に照らして、一つの新しいルールができていく、そのルールをどうしたらいいのかということについて、委員の方々共同で一緒に悩み、一緒に答えを導き出すということを続けてまいったわけでございます。私、決して時間がないからというようなことを申し上げるつもりはないわけでございまして、私どもなりにできるだけのことをやったという気がいたしておるところでございます。  やはりこういう問題につきましては、一つ答えを出しましても、どうせ関係方面からいろいろの意見が出てまいります。それらの方々について、全体として見て、まあこれだけよく勉強したのだからということで納得していただけるような勉強ということが必要であると考えまして、ある程度時間を要してしまいました。この間、従来各党からいろいろな御意見をちょうだいしておりますことは、審議の中でも参考にさしていただきました。  ただ、私、申し上げたいのは、先国会政府に対してあのような決議が行われましたのは、いろいろな問題の複雑さに対して、やはり政府なりに一生懸命考えてみろということを言われたと理解をいたしております。そういう御期待にこたえるべく一生懸命やった次第でございまして、その辺のところはひとつ御理解を賜りたいと思います。
  14. 佐野進

    佐野(進)委員 私ども決して、中小企業庁当局がサボタージュをしてこの法律案提案をおくらせたということを言っているのじゃないのです。ただしかし、間に合わせろということならば間に合わせることができたのではないか、少なくとも五十日の会期の中でこれを審議し、決定をすることは不可能ではなかったのじゃないか、それを不可能にしたのは、自民党態度決定がおくれたから、それを横目に見ながらやってきたのじゃないか、こういうことを質問しておるわけです。商工部会長がいま委員長席に着いているわけですから、そうではないとかどうだとかと言うのかどうかわからぬけれども、私は、そういうぐあいに中小企業庁自民党案に非常に気がねをしておったのではないか、こう考えるわけです。  そこで、この自民党案なるものを検討してみると、大体基本的な考え方は、大企業が中小企業の分野に進出し、実際トラブルが起きてから、これに対して調整を行うのだ。本来大企業が中小企業の分野に入ってくるであろうと予測され、その入ってくるであろうという予測に対して、それを防ぎとめる、分野を確保する、守る、そして調整するというそれよりも、むしろいま行っておる行政指導に対して、法律的な条文の中でそのことを明記した、それが一つの前進だとするならばそれが前進でないとは私は言いませんが、そういうような感じしかこの自民党案なるものについては感ずることができないわけでございます。これでは法律案としてきわめて不十分だと考えるわけですが、この点についてまず第一点。  それから第二点は、この原案をよく見てまいりますと、中小企業者は常に大企業の進出の既成事実を容認させられておるわけでありまして、入ってきた、入ってきたということは現実の問題として入ってきたのだから、これを認める、それ以上何とかならないか、それを下げるについてももう少し何とかならないかという程度の調整――現在の行政指導もそうでございますが、この法律案内容からいたしますとそういうような感じがいたすわけでありますけれども、そういうような感じからいたしましたとき、この法律自民党原案なるものを見た場合において、それではちょっと足りないのじゃないか。最小限この法律案をそのまま認めるとしても、業種の指定などによる事前のチェックの方法、いわゆる具体的な業種の指定をすることがなかなかむずかしいとしても、概括的な業種の指定等々によって事前のチェックをすることがこの際必要最小限度の措置ではないか、こういうように感ずるわけでありますが、この点が第二番目。  それから第三番目は、すでに大企業の進出が既成事実化しておる業種、あるいは現在行政指導の行われておる業種についての措置が、この法律が施行された後においてどういうように行われるのか、こういう点がこの法律の中においては明らかにされていないわけであります。したがって、既成事実化しておる業種について、それに対して一定の条件の中においてはその進出について歯どめをかけるのだということも、法律の精神としては当然必要になってくるのじゃないか、こう思うわけであります。これが三点目であります。  こういうような問題点がたくさんあるわけでありますが、これらについて、検討する過程の中で政府はどう考えておられるか、そしてまた政府は、いま私の指摘したこれら最小限度の不満に対して、自民党案を検討された経過の中でどういうお考えを持っておられるか、この際ひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
  15. 岸田文武

    岸田政府委員 いま御質問の中で自民党案についてお触れになられましたが、私どもは、自民党案内容がどういう内容になるか、あるいはそれをどういう形でおまとめになるか、この辺のところについてはお答えをいたす立場にないことは御了承いただきたいと思います。むしろいま御質問がございましたのを契機として、多少審議会で議論をされた問題、あるいはその経過に触れてお答えをさせていただきたいと思います。  いま御質問になりました諸点は、中小企業政策審議会の分野調整委員会でもいろいろ活発な御意見のあったところでございます。御質問の第一点、事前チェック体制はどうか、第二点、むしろ政令指定をしてはどうかという点、これは二つ関連をしておる問題かと思います。  分野調整の小委員会におきましても、実はいろいろな議論の中でこの問題が特に活発な意見交換が行われたところでございます。こういう分野の問題について抜本的に問題を解決するためには、むしろ特定の業種を指定して、その分野には一切大企業が入っていってはいけない、あるいは入るときには特定の行政行為を前提として入るようにする、こういった方がむしろ明快であるという意見が一方でございます。ただ、他方で、これに対する別の意見としまして、分野の問題というのは実は大企業が進出したことによって中小企業が非常に大きな打撃を受ける、そういったことを極力避けようということが基本的な精神であるはずだ、そうだとすると、中小企業が大きな影響を受け打撃を受けるということは、いわば大企業の入り方いかんにかかっているところであって、特定の業種を指定したところで、さらにその中でどういう形で入っていくかというところまで見きわめないと適当な答えが出しにくいのではないかという意見が別途ございました。  特に技術的な問題といたしまして、業種を指定するときに一体いかなる業種を指定するかということが一つの問題でございます。さらにまた、分野をあらかじめ確定をいたしまして、ここの分野は大企業分野、ここの分野は中小企業分野というような明快な区別をいたしますことは、全体としての経済の効率性との関係という点でいかがなものであろうかというような意見も、席上いろいろ出されておりました。  したがいまして、この点はいわばこれからの取りまとめ段階答えが出されることになろうかという感じがいたしますものの、私どもが従来審議経過を見ておりました感じといたしましては、政令で指定をして特定の業種を予約をし、そこについて入ってきてはいけないというような規制の仕方については、なかなかむずかしいのじゃないかという感じ意見の方が強かったような気がいたします。これは私の判断が正確であるかどうか、次の審議会のときに篤とまた最終的な取りまとめ段階で御議論いただきたいと思っているテーマでございます。  それから第二にお話のございました、従来の行政指導の結果あれで満足できるようなやり方になっていたのだろうかという御懸念につきましては、私どもも従来取り上げられました各種の問題につきましては、各原局あるいは関係各省の御協力をいただきながら何とか平穏におさめていきたいということで努力を重ねてまいったところでございます。取り上げられました問題の中でほとんどの問題につきましては、一応大企業の方々も調整に応じ、中小企業の方々もまあこの程度ならということでおきまっておりまして、その後も新しい問題が再発せずに済んできておるところでございます。ただ、そうは申しましてもまだ一部に調整が済んでいない案件もございますし、それから新しい問題も次から次へ出てきております。こういった事態に対してどういう調整の方法をするかということがやはりこの分野調整法を取りまとめるときの一つの課題であるということは、御指摘のとおりでございます。  調整の方法につきまして、主体を通産省自身が行うのか、あるいは特別の委員会のようなものを設けてやるのかというような問題、それからそれを担保するためにどういう措置で処理するか、勧告という方法、あるいは公表という方法、命令という方法、どういう形を組み合わせるのがいわば一番大人の解決であるかという点は、まだ従来の議論でもかなりいろいろニュアンスのある発言が行われておりまして、私自身も、どういう形におさまるのか、まだいまの段階では予測しにくいような感じがいたしておるところでございます。これも従来の議論をもう一度整理をしまして、次回で方向づけをしていただきたいと考えておるテーマでございます。
  16. 佐野進

    佐野(進)委員 長官、時間がないので、これから質問いたします点については要点だけひとつ答えてください。  いま長官がそれぞれ審議会の議論経過を踏まえながらお話しになって、それで法案をつくっていくということですから、議論としてはあり得ることだと思うのですが、できるだけ長官としての立場に立った見解をひとつお示しいただきたい。  次に、いわゆる自民党案なるものの個々の条項をそれぞれ分析してまいりますと、たとえば第四条の「調査」、これは実際に大企業が進出してからでなければ実施されない。事態が発生して速やかに対処しなければならないような状況の中においても、事実上の問題としては一定の条件が発生しなければ調査が行えないということで、これは有名無実の条項のような気がいたします。  さらに、第五条第四項、第六条第二項における「公表」というのは、社会的制裁が大企業の進出の歯どめになり得るというようにあなたはお考えになりますかどうか。いわゆる公表ということがとかくほかの法律でも言われるわけでありますけれども、その公表という形式以上のものをお持ちにならなければ、その行政を行う上についてそう大きな効果がないように判断いたしますが、この点はいかがですか。  第三番目は、第七条の「中小企業者の団体の申出」、この申し出において進出の影響度について具体的な摘示をしなければならない。申し出をする場合、中小企業者にそれだけの調査能力があれば別でございまするが、不足しておる場合においては、申し出をすることすらその一定の条件の中において行い得ない、そういうような場合がこの中においては当然予測されるわけであります。したがって、この条文が、全く特定の中小企業団体というもの以外はこの法律の恩恵に浴さないというような感じすらこの中においては判断されるわけでありまするが、この点についてはどうですか。  第四点、中小企業者が影響度を調査している間に大企業の進出が既成事実として行われた場合。これは調査というのは時間がかかるわけであります。三月なり半年なりかかる。その間に進出しようとして準備をしていた大企業がどんどん進んでくる、これに対して具体的な歯どめがない、法的措置がない、結果的にそれを許してしまう、その既成事実を認めてしまわざるを得ない、こういうようなことになるわけでありまするが、こういう点はどうお考えになりますか。  さらに、第九条、事業活動調整審議会の審議中小企業者意見が正当に反映されるよう公開で行われ、また中小企業の真の代表が審議会の委員に加えられることが必要だと思うのでございますが、これはそれを設けると自民党原案の中には示されておりますので、もしこれらのものが設置された場合どういうぐあいにお考えになるか、この点をひとつ明らかにしていただきたい。  第六点、特に問題になるのは消費生協の問題であります。消費生協と農協とをこの対象の業種でなくして大企業の中に加えるのかどうかということについて、それぞれ議論のあるところでございますが、自民党原案の中にはそれが示されておりますが、これは監督法規自体の検討の中で対処すべきものであって、いわゆる生協法を所管する官庁、たとえば厚生省であるとかあるいはその他それぞれの監督官庁自体の法規の中でそれぞれの問題として処理すべきである。分野調整法の中に入れるということは木に竹を接ぐの感を免れないと思うのでありますが、政府はそれについてどのように判断されておるか、以上六点にわたって、要点だけで結構ですから、具体的にひとつお答えをいただきたい
  17. 岸田文武

    岸田政府委員 繰り返しでございますが、私は自民党案内容についてお答えをする立場にございませんので、審議会の経過を振り返って御報告をさせていただきます。  御質問の第一点の、一定の紛争が起こらなければ調整がスタートしないというのは遅きに失するのではないかという点につきましては、私どももなるべく早く問題をキャッチし、そしてそれに対する的確な手を打っていくということが大切だと思っております。現に今年度から調整官がスタートいたしましたし、それからモニター制度も発足いたしました。私どもは、やはりこういうような形で問題を早く発掘して対応していくような形に持っていきたいと思っておるところでございます。  それから第二点の、公表が社会的制裁になり得るかということでございますが、従来の例では勧告段階でかなりの効果を上げてきております。さらに公表というような手段が加われば、他の法規の運用例からいたしましても、実質的にはかなりの程度の影響を担保できるのではないかと考えておるところでございます。もっと一歩進めて命令にというような意見も私ども聞いておりますが、命令というような形までいきますと、命令の発動要件というものをよほどしぼっていかなければならない、そういった窓口を狭めたようなやり方がいいのか、もっと広くフレキシブルに動けるのがいいのかというような点が一つのポイントではないかと思います。  それから三番目に、仮に中小企業団体から申し出をするというようなルートを置いた場合に、その当事者をどう考えるかという点につきましては、従来から紛争調停のために商工組合が申し出をする特殊契約という制度がございまして、これが余り現実の発動例がないということから、審議会におきましても、もう少し当事者の範囲を広げていったらどうかという意見が強かったように私も記憶をいたしておるところでございます。  それから第四点、既成事実の問題につきましては、これはまさに御指摘のとおりでございまして、問題が発生をし、行政当局も入って問題を解決しているときに既成事実だけがどんどんずるずると進んでいくというような形は、やはり好ましくないことであろうと私も考えておるところでございます。  それから、審議会を設けるかどうか、これは法律をつくります際のいわば一種の技術的な問題でございますが、なるべく実態を明らかにし、そして適切な解決が図られ、それが中小企業のためにもなるという形を担保するために、審議会という制度を置くことは十分考え得ることではないかと思っておるところでございます。  それから、最後に御指摘がございました生協の問題につきましては、一部それを取り入れるべしという御意見がございまして、審議会でもこれをどう考えるかということをいろいろ議論をしていただきました。現実に生協についていろいろな問題が出てきておる。さらにまた広げて言えば、農協なども同じような問題が出てきておる、こういった事実の指摘があります反面、それぞれについて別途法律が用意をされておりまして、員外規制の制限がある。むしろその体系でどう考えるかというアプローチをするのが正道ではないかという別の反論もあったわけでございます。この辺は、最後の取りまとめ段階でもう一議論していただきたいと思います。
  18. 佐野進

    佐野(進)委員 あと、最後に要望大臣にいたしますが、公正取引委員会にこれに関連して質問してみたいと思います。  きょうは、先ほど来大臣長官質問していることをお聞きになっておられるように、会期末でこの法律をどうしても成立させなければならぬ、そういう段階の中で自民党案が出されたということで、われわれは自民党案を検討し、この法律案がよければ、政府案がもし間に合わなければこの自民党案と一緒になってでも今国会議員立法として成立さしたい、われわれはこういう願望を持っておるわけです。したがって、今日出されておる自民党原案というものの持つ意味も、非常に大きな意味があるわけであります。もちろんすり合わせが不可能である場合は、それは通りません。そういう意味において公正取引委員長にお尋ねをいたすわけでございまするが、この原案をお読みになったかならないかはわかりませんけれども、私どもが読んだ上で判断する点を質問してみたいと思います。  独占禁止法は事業支配力の強い大企業の横暴を排除し、弱者たる中小企業や一般消費者を擁護する立場をとっておると思うのであります。このために、下請代金法や不当景品表示法が補完法として存在しておりまするし、この理念から言えば、大企業が不当に中小企業の分野に進出して競争市場を混乱させ、ひいては一般消費者に迷惑を与えるような行為を排除するための分野確保法は、独占禁止法体系ないし政策の一環としても必要なのではないかと思うわけであります。これについてはたびたび議論し、政治問題でありますと前の公取委員長もお答えになっておられるわけでありまするが、この点についてどう御判断なされているか。  もう一つは、公正取引委員会は巨大企業に対する構造規制は必要であるといまでも考えているはずであります。そのようにいままでずっと答弁をされておるわけでございまするが、そうであるとするならば、事業者の不当な行為を規制するにとどまらず、経済に悪影響を及ぼすおそれのある企業構造を規制する機能を持つところの分野確保法の制定に対しては進んで賛成すべきであると考えるわけであります。  冒頭申し上げましたとおり、いま御質問申し上げるのは、法律案がまさに成立をする状況が刻々と近づきつつある、こういう段階の中で、以上二点、確認を含めた意味において質問してみたいと思うわけであります。
  19. 澤田悌

    ○澤田政府委員 第一の御質問の御趣旨は、そのとおりごもっともと考えるわけでございまして、独占禁止法あるいは独禁政策の立場から申しましても、大企業に対して弱い立場にある中小企業保護ということは、これはもう重大関心を払っている問題でございます。したがいまして、この分野の問題につきましてもそういう意味からの立法考えられるという考え方は、理解のできるところでございます。  第二の問題と関連いたしますが、企業行動を独禁法の立場からも規制すべきではないか、これは、独禁法の定められておりまする立法の趣旨及び規定のあり方、それに該当する面におきましては当然のことでございます。ただ、ここで非常にむずかしい問題は、御承知のことでございまするけれども、独禁法の立場といたしますると、端的に申しますと、大企業が不当な、あるいは不公正な手段をもって中小企業の分野に進出するというようなことにつきましては、当然法のたてまえ上これを規制いたします、そういう方針で臨んでおることは申し上げるまでもないのでありますが、今回の問題を客観的に見てまいりますると、不当不公正というような問題を離れて、あるいは非常にそのけじめが不明確な問題をも含めて、大企業が中小企業の分野に進出することそのことが問題であるというニュアンスがかなり強く入っておる問題でございます。こういうことに相なりますると、独禁法のたてまえからむしろ次元が少し違ってまいります。大きい国の政策なり立法政策の問題ということになる面が生じてくるのでございまして、その点はわれわれも十分理解してこの問題に取り組んでおるつもりでございます。
  20. 佐野進

    佐野(進)委員 最後に、大臣は、この問題が論議せられるとき、常に本法律案日本の産業政策について一大転機というか、変化をもたらす重要法案である、したがって慎重にこの問題の処理に当たっておるのだ、このように繰り返し答弁をされておるわけであります。私も、この法律案がいままでの日本経済の中における産業政策として重要な意味を持つ法律案であるということは、大臣と同じ見解であります。それは、安定成長に至った日本経済現状の中において、この法律案中小企業関係者に熱望されているということからもよくわかることだと思うのであります。そしてまた、大企業の経営者もこの法律案については当初考えられていたほど激しい抵抗を示さず、ある程度の理解を示す経営者も多くなりつつあることも事実だと思うのであります。したがって、この機においてこの法律案を通すことの持つ意味は、通産行政の中においても非常に重要な意味を持ってきておると思うわけであります。  そこで、大臣に最後にその見解をお伺いしたいわけでありまするけれども、冒頭質問申し上げましたとおり、五党共同による委員会決議は、今国会において政府案提出がせられぬときは、委員会において議員立法をもってこれを成立させる、こういうことになっておるわけでございまして、その後、五党のそれぞれの案が二日の日に出そろおうとしておるわけであります。したがって、本委員会は二日の午後一時から理事会、一時半から委員会を開催して本問題の最終的決着を図ろうということを理事会において決定いたしておるわけです。きわめて事態は切迫しておると思うのであります。  政府案でこの法案を通すのか、議員立法をもってこの法案を通すのか、われわれはそのいずれかをとらざるを得ない立場に置かれていると思うのであります。私どもは、政府案審議する経過の中で本法律成立させたいというのが第一の願いであります。やむを得ざるとき第二の道をとろうとしておるわけであります。大臣は、この事態の中において本法律案成立についてどのような決意を持ち、どのように対処されようとしておるのか、時間との争いであるということは冒頭申し上げたとおりでありますが、最後にその決意をお聞きしておきたいと思うわけであります。
  21. 河本敏夫

    河本国務大臣 当初に申し上げましたように、政府といたしましても、何とか今国会に間に合わせるように懸命にいま作業しておるところでございます。産業政策を左右する非常に重要な大法典でございますので、各方面の意見を聞き、あらゆる角度から検討するのに若干の時間を要しておりますが、なお懸命に促進をする所存でございます。
  22. 佐野進

    佐野(進)委員 終わります。
  23. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員長代理 加藤清二君。
  24. 加藤清二

    加藤(清二)委員 委員長のお許しを得まして、私は、今国会の最後の質問にふさわしい応答をしてみたいと存じます。すなわち、不況のしわによって大変苦しんでいる中小零細企業がございます。倒産は次々と過去のレコードを破っている、こういう状況下にあって、特に繊維、次には工作機、繊維機械、この三つにしぼって私は政府対策を承ると同時に、要望を申し上げ、勧告を申し上げたい、こう思っております。  そこで、まず通産大臣にお尋ねいたしますが、過ぐる夏前、業界もさることながら、全国の工作機の労働組合、これは総評もあり、新産別もあり、同盟系もございますが、それがすべての過去の恩讐をなげうって大同団結をしました。不況を切り抜けるためでございます。政府対策を要求するためでございます。幸い通産大臣も、経企庁の福田大臣も会ってくれました。各党の幹事長にも代表が面会をして、こもごも不況の状況を申し上げました。また、機械情報産業局長には懇談という形で長時間にわたって実情を申し述べると同時に、具体策を要求いたしました。大臣もまた、八月から九月にかけてまでに大体この調査を終えて至急対策を練る、具体策を実現する、こういうお約束でございました。  さて、もう十月もおしまいでございます。その間にも工作機メーカー、繊維機械メーカーはどんどんと苦境に追い込まれております。大手メーカー五社といえども、社内留保をほとんど食いつぶしたり、あるいは会社が持っていた土地を売って上期の帳じりを合わせ、下期にはもう売る物もない、一体どうしたらこの冬が越せるだろうか、こういう陳情がございます。八、九、十と三カ月も御検討をいただいたのですから、もういいかげん具体策を出していただいてしかるべき時期だと思います。大臣のこれに対する対策を聞きたい。
  25. 河本敏夫

    河本国務大臣 通産省ではこの春以降、景気動向調査をいたします場合に、これまでのようにマクロの立場からだけではなく、ミクロの立場からも調査をいたしております。と言いますのは、企業ごと、業種ごとの調査を精細にするということでございますが、その結果、三月、七月、十月と三回にわたる調査をいたしましたが、いずれも非常にいい業種と、回復過程にある業種と、なお依然として非常に悪い業種と、三通りに分かれておりますが、いま御指摘の工作機械並びに繊維機械は、依然として一番悪い状態に属する業種でございます。  業界の方々からいろいろな陳情も受けておりますし、御意見も聞いておりますので、その後若干の対策を立てておりますが、その具体的な内容につきましては局長から答弁をさせます。
  26. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 お答え申し上げます。  工作機械製造業につきましては、最近対前年同月の受注の面ではある程度増加してまいりまして、在庫も最近は前年対比約三割の減少というような状況になってまいりましたが、生産水準は依然として低迷、前年水準並み、こういう状況でございます。先般、御指摘の御陳情がありました後、私ども種々検討いたしまして、工作機械工業につきまして今日まで不況対策としてとりましたものを概略申し上げたいと思います。  第一は、中小企業信用保険法に基づきます不況業種の指定につきまして、今年の十二月まで引き続き業種指定を行って対策を講ずることにいたしてまいっております。  第二は、民間金融機関によります中小企業救済特別融資制度に基づく融資あっせんを、工作機械業種につきまして本年の四月に約五億円融資あっせんをいたしております。  第三に、雇用保険法に基づきます雇用調整給付金の支給対象業種への指定並びに再指定を行いまして、本年の十二月まで継続されております。  それから、業況が悪うございますので常時監視をする体制を省内にとっております。その対象業種としまして、工作機械を指定してウォッチをいたしておるわけでございます。  なお、五番目には、本年度限りでございますが、特別償却制度を新たに設置いたしまして、高精度の産業機械についての措置を講じました。これは今年度設置されるものにつきまして限りの特別措置でございまして、需要の喚起にかなりの効果があるというふうに考えておるものでございます。  それから第六には、従来試用貸し制度という制度がございますが、これにつきまして今年度一億円の補助を行っております。また、国際見本市への補助も今年度五千万円行っております。  最後に、工作機械工業の先行きをいろいろ議論いたしまして、今後どういう施策を講ずべきかということにつきまして業界並びに私ども一緒になりまして勉強したしまして、工作機械工業白書というのが最近発表されまして、これを私ども今後十分行政の面でも参考にして対策を講じていきたいというふうに考えておるわけでございます。  次に、繊維機械工業でございますが、繊維機械は……
  27. 加藤清二

    加藤(清二)委員 繊維機械も一緒にお答えいただいても結構ですが、そこでちょっと工作機のことについて伺いたい。  せっかくそういう具対策をなさいましたが、その工作機を購入する方々、新しく設備を増設しようとしていらっしゃる方々が、いまあなたがおっしゃられた内容の、特に減価償却をことしは特別余分に見るというようなことを果たして知っておられますか、おられませんか。
  28. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 本件の創設は、昨年の暮れの税制改正要求時から、関係の業界にはそれぞれ工作機械業界の方からいろいろPRをいたしておるはずでございますし、また今年に入りまして法律が施行され、四月から実施されました以後につきまして、具体的な商談のベースでこの制度の普及に努めているというふうに聞いております。
  29. 加藤清二

    加藤(清二)委員 ロッキードなら隠さなければならぬかもしれません、また隠そうとするその意図もわからぬわけでもございません。しかし、せっかくの救済策、これが本省ではわかっているけれども一般の対象の方々にわかっていないとか、工作機械メーカーに融資をしている銀行にはわかっていない、あるいは材料の関係で取引先にはわかっていないとか、こういうことが、工作機メーカーも繊維メーカーもそうですか、一層苦境に追い込みつつあるわけです。したがって、せっかくあなたが六項目にもわたり、あるいはその他一般には言いにくいようなことまで御親切になすっていらっしゃるならば、これは大いにPRしてしかるべきだ。さすれば、なるほど、さすが三木内閣の大黒柱河本通産大臣だけあるわいなということで、大臣の人気も上がるというものなんです。商工委員でさえもこれを知ってはいないでしょう。  大臣、このせっかくあなたがなさった対策を、最低限関係業者や関係業者の取引先にわかるようにPRする必要があると思う。私は、つい最近自分の手元で、某工作機、定価五千万余する工作機でございますが、それを購入する、ついては金を国家から貸してもらえないだろうか、こういう要望を受けました。話に聞くと平均の売買値段は大体定価の六掛けと聞いておるが、あなたは一体何掛けで買うつもりだ、それでは幾ら政府に要求するつもりかという詰めをいたしましたが、減価償却などという、これは工作機を仕入れて設備を改善しようとする人にとって大変ありがたいことなんですが、それを知らないのですよ。したがって、大臣、せっかくの宝が持ちぐされになってはいけません、ぜひPRをなさる必要があると思いますが、そういう用意がございますか、ございませんか。
  30. 河本敏夫

    河本国務大臣 やはりいろんな対策を立てましても業界の方に徹底しませんと効果がありませんので、その点につきましては、どうすればよいか、関係者の間で至急に検討させます。
  31. 加藤清二

    加藤(清二)委員 政府みずからも、せっかく手当てをなすったことなんです。その手当てが大いに活用されることを望んでいらっしゃるのでしょう。出し惜しみじゃないでしょう。ロッキードじゃないでしょう。さすれば、これは最低限業界紙あるいは新聞その他、あなた、方法は幾らでもあるのです。通産局に動員をかけて講習会をするという手もあるのです。ぜひこれをやっていただきたいと存じます。それをいつごろまでにやられますか。
  32. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 ただいま大臣のお言葉がございますので、再度この制度の周知徹底を早急に図りたいと思います。  私どもも従来いろいろな機会に、業界の総会あるいは集会等の場で、本制度を創設いたしましたこと並びにこれを利用するようにということをたびたび申しておりますが、先生御指摘のように、まだまだ徹底してないところもあるかとも思います。再度点検いたしまして、周知方を早急に図りたいというふうに思います。
  33. 加藤清二

    加藤(清二)委員 それでは、引き続いて繊維機械不況対策を承ります。
  34. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 繊維機械につきましては、最近受注の動向は、昨年の同月比約二割ぐらいの増になってまいっております。生産も対前年同期で見ますと大体一割増ぐらいになってまいっておるわけでございまが、内需、それから輸出動向も依前として低迷いたしておりまして、業況はかなり苦しい状況がなお続いているというふうに考えております。  繊維機械工業につきましては、従来までとりました措置を概略申し上げますと、第一は、先ほど工作機械の場合に申し上げましたと同じように、中小企業信用保険法に基づきます不況業種の指定、それから民間金融機関によります中小企業救済特別融資制度に基づきます救済融資のあっせん、これは本年四月に四億円融資あっせんをいたしております。  それから三番目に、雇用保険法に基づきます雇用調整給付金の支給対象業種への指定、年末まで行うことになっております。  それから中堅監視業種への指定。最後に、先ほど工作機械の場合も同様でございますが、試用貸し制度への補助、今年度一億円を行っておるわけでございます。  今後繊維機械につきましては、内需の低迷状況等を考えますと、やはり輸出で活路を求める以外にない、こういう状況かと存じます。その場合につきましては、さらに市場開拓その他につきましてできる限りの助成を考えたいというふうに思っておるわけでございます。
  35. 加藤清二

    加藤(清二)委員 工作機と繊維機械との不況に対する共通点もございますけれども、これもせっかくの宝を持ちぐされにしないように、よく関係業界に知らしめるということが必要だと思うのです。いわんや大臣と会見を許され、陳情をし、局長と長時間にわたって懇談をした関係労働組合の代表、ここへはせめて手紙の返事ぐらいは出してしかるべきだと思いますが、それをやられますか。
  36. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 先般陳情のございました団体の方々には、何らかの形で御連絡を申し上げ、内容についての説明をする機会を持ちたいというふうに思っております。
  37. 加藤清二

    加藤(清二)委員 それはいつやられますか。
  38. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 先方の方には直ちに連絡をいたしまして、内容について御説明をするつもりでございます。
  39. 加藤清二

    加藤(清二)委員 結構です。この件はぜひ早急にやっていただきたいと存じます。  繊維機械について特にわれわれが考慮をしなければならぬ問題は、内需が非常につかえてしまっている。仮にまた売れても、機屋の関係が不況のゆえに機械代金をなかなか思うように支払うことができない。そのために勘定合って銭足らず、倒産、すでに北陸機械は御案内のとおり倒産しました。この労働組合、首を切られた、職を失った方方の世話までわれわれはしなければならないのだ、したがって、ぜひひとつ早く知らしめることが、やがて将来に希望を持ってことしの冬を越すことができる、正月を迎えることができる、繊維機械業界にとっても、そこに働く労働者にとってもこれはまさにせめてもの福音であると思います。ぜひひとつ早く知らしめていただきたい。油にまみれ、鉄粉にまみれて働いている労働者のうめき声を少しでも救ってやってもらいたい。同時に、四苦八苦しているその業界経営者たちの身にもなって、わらをもつかむ気持ちでいる関係者を早くほっとさせてやっていただきたい、これが私の要望でございます。  一つだけ提言しておきますが、内需と外需を比較してみますと、繊維機械にあっては輸出の方が多いようでございます。ある会社のごときは、その生産の七割以上を外需に頼っているところもございます。が、これがオイルダラーの援助を受けて発展途上国が軽工業すなわち繊維産業に飛びつこうといたしますと、世界じゅうの入札競争でございます。関係するイギリスも、イタリアも、ドイツも、スウェーデンの新鋭機も、日本の繊維機械メーターにとってはさほど恐ろしい相手ではありません。品質においても価格においてもひけをとらないからでございます。にもかかわらず、入札においてなぜ負けるかと言えば、大臣、ここが大切なんです、なぜ負けるのですか、それは時間の関係上私ははしょって話を申し上げますが、クレジットの問題なんです。  オイルダラーをただでもらえる国はいいでしょうけれども、それといえどもキャッシュ・オン・デリバリーではない。イギリスのごときは十年あるいは十五年のクレジットを平気で国家が代替して行っておるのだ。日本の場合にはそれが非常に難渋するようで、その原因を承りたい。
  40. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 従来の繊維機械の輸出につきましては、案件にもよりますが、通常ベースにおきますと、延べ払いについては一定の期限の中で納めるということを一般的な指導といたしておるわけでございますが、たとえば最近パキスタンにおきます入札に成功いたしまして、一部追加をいたしておりますが、いまおっしゃいましたように、各国が非常に長期の延べ払いを繊維機械について行っておるという状況については必ずしも確認はいたしてないわけでございまして、私ども各国状況とそうかけ離れた範囲での条件を固執しているというようなことはないつもりでございます。
  41. 加藤清二

    加藤(清二)委員 大臣に承りたい。  クレジットの要求がありましたら、大臣は受けて立たれますか。
  42. 河本敏夫

    河本国務大臣 延べ払いをします場合には、各国間で一定の条件ということについて申し合わせがありますけれども、しかし競争相手が別の条件を出す場合には必ずしもその限りではない、そういうことになっておりますので、相手国の実情を見まして、相手国がもしこういう条件でやりますということであれば、それに負ける条件を出せば日本も当然とれないわけでありますから、臨機応変に考えてまいります。
  43. 加藤清二

    加藤(清二)委員 陰の声があって、繊維の輸出ならば賛成だけれども、その繊維をつくる機械を輸出することは、敵に鉄砲玉を贈るようなものである、さなきだに内需の繊維工業が不況のやさきに、外地にその製造設備を売るということは、遠き将来をおもんばかるとこれは不幸な結果になるから、そういうものに対して、輸出振興のための、あるいは輸出をしやすくするためのクレジットはすべきでない、こういう意見がございます。  私は、これは小児病的な近視眼論だと存じます。なぜかならば、発展途上国が軽工業に飛びつきたいという精神は、物にたとえれば日本の明治初年における文明開化、これと同じなんです。日本がもしそれに相呼応して提供しなければ、発展途上国は日本以外のところから買うだけのことなんです。さすればあとは部品も売れなくなってしまう。日本しかできないという繊維機械ならばその手も考えられるでしょうけれども、繊維機械はもう世界共通に、先進国ならばどこでもつくっているものなんです。それを日本だけが輸出をしないからというので、発展途上国が軽工業に飛びつくことをとめることができるなんという論は、これは全く小児病的な病人の言うことであると思いますが、大臣、これについての所見を承りたい。
  44. 河本敏夫

    河本国務大臣 やはりそれに似たような意見がたくさんあるのです。たとえば日本の近隣諸国、東南アジアの国々に対する経済協力、産業建設に協力すれば、そういう商品が日本へ逆流してくるおそれがあるのではないか、あるいはまたアメリカの市場その他で日本商品と競合するのではないか、だから少し考えたらどうかというふうな意見等も時には出ますが、やはりいま議論をせられましたその御意見と似たようなことでございまして、東南アジア方面に対する経済協力に日本が応じなければよその国が応ずるわけでございますし、同じ結果になるわけでございますから、余り視野の狭いことは言わないで、やはり大局的な判断が必要であろうと思います。いまお述べになりました意見と私も全く同意見でございます。
  45. 加藤清二

    加藤(清二)委員 次に、繊維産業の構造改善を図るために、いま審議会でいろいろ論議が交わされていると聞いておりますが、その中に一部大変懸念される向きがございまするので、大臣の所見を承っておきたいと存じます。  いままでの構造改善、第一回乙竹案に始まりまして、第二回、第三回と、今度で四回目でございます。何度構造改善を行い政府の予算を裏づけても、一向に構造改善が前進しない。一体その原因はどこにあると思われますか。
  46. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 お答え申し上げます。  先生の仰せになりましたように、数回にわたりまして構造改善をやってきたわけでございますが、それはそれなりに各段階ごとにその状況に対応していろいろ構造改善の方策を用いてまいったものだと思っております。  ただ、客観情勢がどんどんと変わりまして、戦後の復興期、日本繊維産業が国際的に非常に発展をいたしました時期、それから最近の国際情勢下におきますような時期というように、どんどん客観情勢が変わるということもございまして、次第に何回も変わった方法でやらざるを得ない、このたびはまた新たな状況に応じまして縦型の構造改善ということに進まざるを得ないということで、四十八年の新しい改正法案を通していただきまして、それに基づいて現在やっておるということであろうかと思います。
  47. 加藤清二

    加藤(清二)委員 最大の原因は、かっこうはできても骨がないということです。具体的に言うと、スクラップ・アンド・ビルドと言いながら、アンド・ビルドだけはできたけれどもスクラップダウンができていないということです。だから、制限したはず、なくなったはずの機械が半農半工の田舎地区へ行って、幽霊になって生きて出てきているということなんです。これが最大の原因であり、過剰設備の原因なんです。     〔武藤(嘉)委員長代理退席、綿貫委員長代理着席〕  また、今度は紡績の関係で、せっかく内地はある程度制限したけれども、同じ関係の業者たちが台湾へ、韓国へ、香港へ企業進出をして、そこで設備をして逆にその製品が日本輸出シェアを荒らしたり、もっとひどいのは敵前上陸で日本へ逆流させておる。ここに何度先の見通しを、数字を設定しても崩れてしまう原因がある。いまや国内だけの問題ではない。大所高所に立って、日本の企業が関係している近隣諸外国、特に韓国、台湾、ここらあたりも、設備制限をするならば同時に枠をかけるか、それとも輸入数量はこれだけであるとはっきり数を決めて、その上に立って内地の設備制限をすれば、それは不可能ということはあり得ない。それが行われずに、つまりこっちの穴は詰めたけれども、こっちの穴は詰めずにだら漏りであるということなものですから、何度繰り返したってだめだ。こんなことは私は二十年来言うてきておる。それがいまだに行われない。  かてて加えて、今度は憂さのやり場所をどこへ持っていったかというと、三品市場がいけないなんということを言い出した。まことにこれも奇妙きてれつな論理です。この審議会において、聞くところによると、三品市場、商品市場を将来抹殺するという前提に立って答申を書くの書かぬのと、こういう話を新聞でちらほら見たり漏れ承りますが、それは本当ですか。
  48. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 繊維取引所の問題でございますが、いま繊維工業審議会の政策委員会におきまして繊維政策全般について御審議を賜っておるわけでございます。取引所につきましても基本的な検討をしようということにはなっておりまして、  いろいろ賛否両論が現在あるわけでございますが、私ども承知いたしております限りでは、これを先生のお言葉によりますれば抹殺するというふうな前提で議論をしておるということはございませんで、これの利害得失を検討いたしておるという段階でございます。
  49. 加藤清二

    加藤(清二)委員 答申は一部業者や一部学者の個人的意見であってはならぬと思う。民意を反映すべきだと思う。特に消費者の立場に立って物を考えるということが一番大切なことだと思う。消費者の立場に立った場合に、商品市場がどれだけ消費者に対して悪影響を与えたのでしょうか。特にコットンもウールも、これは世界的商品です。世界じゅうで相場が立つのです。三品市場は、それはあるときには過熱したこともあるでしょう。あるときには場外の資本をある程度入れ過ぎたということもあるでしょう。だからというて直ちにこれを抹殺論に結びつけるということは、これは木を見て森を見ざるのたぐいと言わざるを得ません。  そこで、大臣に、特にウールに例をとって承るが、きのうの引け値はウールは幾らでしたか。
  50. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 お答え申し上げます。  名古屋取引所のきのうの引け値は二千十円でございます。二十一円高ということでございます。
  51. 加藤清二

    加藤(清二)委員 それは何月限ですか。十月値ですか、十一月値ですか。
  52. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 十一月限でございます。
  53. 加藤清二

    加藤(清二)委員 十一月値ですか。引け値ですか。
  54. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 はい、そうでございます。
  55. 加藤清二

    加藤(清二)委員 それは四八ですか、三六ですか。
  56. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 四八でございます。
  57. 加藤清二

    加藤(清二)委員 大体当たっていますけれども、十月限は落ちですからね、十一月以降になって六カ月先のところへいくと二千円を出ているのですけれども、きのうの相場は二千円を割っていますよ。それは総まとめのあれをごらんになっているでしょう。前場一節、二節、後場一節、二節と分けて調べてごらんなさい。二千円を割っているですよ。  そこで、このトップはそうなると千八百円台ですね。これは高いということが言えますか。大手の紡績でも大体採算ベースは二千二百円ぐらいでなければならぬ。四八の糸質だったら二千二百円というところがいいところです。それが二千円を割るということになりますと、これは出血生産になるのです。しかも六カ月先まで売買しているのですから、六カ月先がようやく二千円をちょっと上回っている、これでも採算ベースに合わない。これで三品市場が横暴ということが言えますか。  ただし、皆さん、消費者の場合は一体これはどうなると思いなさる。これを加工して生地にした場合に、九十六インチ幅一メートルでどんなに高いものでも五千円以上なんというものはほとんどありませんよ。三メートルあればあり余るわけだ。三つぞろいをつくっても一万五千円以下で話がつくはずなんです。これは三越で買うと幾らになりますか。英国屋で買うと幾らになりますか。十四、五万から二十万しますよ。一体、垣内さんやら吉忠やら、直接輸入商がイギリスから幾らで買っておるのですか。あれこれ税金も入れて、卸すときにはメートルでせいぜい六、七千円ですよ。それがデパートへ行くと、あるいは英国屋へ行くと、どうして二十万円近くになるのですか。もし消費者の立場から言って洋服が高過ぎていけないというならば、どこを抑えたらいいのですか。三品市場は六カ月先まで売買するのですから、どうしてもヘッジをしなきゃならぬ。加工業者はつなぎの場として、いわゆるタンクですね、自分のところの倉庫だ、これが抹殺されたら業界は一体どういうことになるのですか。どうしても消費者の立場から考えて暴利をむさぼるところがあるといけないと言うなら、むしろデパートやスーパーを調査すべきだ。どう思われますか。
  58. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 いまウールに限っての御質問でございますが、糸から織物になりましてそれが消費者に渡る段階におきまして、その値づけの態様につきましては先生がおっしゃいましたようなことに現実になっておると思います。現実に消費者に渡ります際に非常に高価になりますにつきましては、やはり織物段階以降いろいろ流通段階にやはり一番大きな問題があるであろう。卸、小売、非常なチャンネルを重ねるといいますか、そういうところにも大きな問題があるかと思いますし、私どもその辺につきまして取引上のいろいろな条件とか流通経路の短絡とか、そういうふうな問題について大いに検討しなければならぬ、かように思っております。したがいまして、その織物がデパートその他に出ますということと取引所の関係は、直接には私もないように思っております。  また、先ほどお話がございましたように、現在の相場が非常に異常なものであるというふうには全然考えておりません。ただ、従来の経緯でいろんな場面があったということはまたこれ事実でございますけれども、したがいまして、いまおっしゃいましたような御趣旨におきまして取引所をどうこうということはないのだろう、かように思っております。
  59. 加藤清二

    加藤(清二)委員 私に与えられた時間がもう来てしまいましたので、私は最後にはしょって申しますが、もしこの三品市場を抹殺するということになりますと、大臣、産構審の流通部会、商品取引所部会の答申と矛盾することが出てきますね。二律背反になります。ここは御承知のとおり、六項目十六件にわたって商品取引所のえりを正すということをさきの本委員会でして、今後一層指導、育成強化をしよう、こういうことになっておる。それに今度別な審議会が答申を出して、これを抹殺した方がよろしいと持ってきたら、これは二律背反になる。これはどうするつもりなんですか。答申が同じ案件について、一つは育てよ、一つは殺せと言ったら、どっちをとられるか、大臣に承りたい。  それからもう一つ、ついこの先の国会で委託者保護のために委託者の救済資金制度までつくって、そこへは農林省も通産省もお役人が入ってきておるでしょう。それを抹殺したらどういうことになるか。二律背反もはなはだしいことが行われようとしている。どうなさるか。むしろこの前の審議のときには、名古屋にトップ上場も開設しようということになっておる。このトップ上場は一体どうなったのか。世界じゅうが行っていることだ。日本にだけない。これは一体どうなるか、これをひとつ明快にお答え願いたい。  それから、御存じのとおり構造改善を行うには輸入輸出が問題なんです。輸出振興ということをどう考えてみえるのか。合繊の場合は約四〇%が輸出されております。コットンの場合は約二〇%が輸出されております。ウールの場合は一〇%以下でございます。なぜウールが、世界相場で世界一安い、世界一上質な日本の糸、あるいは毛織物が売れていかないのか、ここらを本当は詰めて質問したいが、きょうはもう時間がありませんからこれで終わりまするけれども、以上述ましたように、私がちょっと触れただけでも問題点が非常にたくさんあるし、煮詰めなければならぬ点があります。  急いで事をし損じてはいけません。答申を十一月に出す、こういうことを聞いておりますが、煮詰めもせぬ先から、さきに本委員会で通した法律に違反するような答申をどうしてそんなに急がなければならぬのですか。もっと慎重に考えていただきたい。これが最終の答申だという話だから、最終にふさわしくもうそう何度も何度も改定しなくてもいいような答申を出すには、大臣、もっと検討が必要だと思う。私も本委員会で実はもっとやりたいところで、与えられた時間が参りましたからこれで終わりますが、質問が終わったわけではありません。本日終わったのです。
  60. 河本敏夫

    河本国務大臣 取引商は、私はそれなりに与えられた機能というものを発揮しておると思うのです。たとえば流通の円滑化、あるいは価格形成において果たす役割り、さらにまたヘッジ機関としての役割り、それなりに役割りを果たしてきたと思います。  いまおっしゃったような議論があるということは聞いておりますが、私は、その機能から見ましてこれを廃止せよという答申が出るということは聞いておりません。もし行き過ぎの点がありとするならば、それはその管理を気をつけてやればいいわけでございますので、幾らでも対策はあろうかと思います。  残余の問題につきましては、局長から答弁をいたします。
  61. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 繊工審の政策委員会の方でございますが、これは実は大臣から諮問はいたしておりませんので、答申という形にはならないわけでございますが、昨年いろいろ問題がありましたときに、繊工審の総合部会として、自発的にといいますか、政策委員会を設けて検討しているということでございますので、その方からの提言という形になろうかと思いますが、いろいろお話がございましたように現在問題点もたくさんございますので、提言の期日は、当初十一月いっぱいということで昨年スタートはいたしておりますが、延びるかと思います。多分一月ぐらい延びるような感じでございます。
  62. 綿貫民輔

    ○綿貫委員長代理 野坂浩賢
  63. 野坂浩賢

    野坂委員 私に与えられた時間は約四十分でありますが、この間に、ここ数年の間に大衆化が非常に進んでまいりました、われわれに余り縁がないのでありますけれども、宝石の取り扱いについて問題点を提起しながら、通産省や公取あるいは国税庁の皆さん方にお尋ねをしたいと思うのであります。  総選挙も目前に迫りまして私どもよく結婚式に出るのでありますが、若い男女が指輪の交換をしているほほ笑ましい姿を四六時中見ます。皆さんもそうであろうと思うのでありますが、この結婚の指輪が交換されておるのは七八%にも上っておりますし、この七八%のうちの四二%はダイヤだと承知をしておるのであります。日本のダイヤモンドの需要は全体の二一%で、邦貨に換算をいたしますと四百五十億。加工された指輪として小売価格に直しますと二千億円というものが市場に出回っており取引をされたというのが実績と言われております。業界では日本は第二位だというふうに評価されておるわけでありまするから、ダイヤの問題に絡んでは非常に重要な要素を持ち、税額でも大体三百四十七億円の物品税、輸入税等を取っているというふうに承知をしております。  したがって、まず一番初めに私が通産の方にお聞きをしたいと思いますのは、この大衆化に伴って宝石類が消費者に入るまでの組織形態は一体どうなっているかという点であります。
  64. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 お答え申し上げます。  装飾用のダイヤモンドでございますが、御承知のとおりダイヤモンド原石は日本にはほとんどございませんので、また、研摩業といいますか、カットする業態も日本にはほとんどございませんので、ほとんどが輸入になるわけでございます。輸入いたしましてそれを指輪その他にセッティングいたしまして小売へ出てくる、こういう形でございますので、輸入商、それからそういうセッティングをいたします製造卸売業、それから小売業小売業にはいろいろ百貨店その他を含めまして非常に多数の店がある、こういう形態であろうかと思います。
  65. 野坂浩賢

    野坂委員 それでは、この宝石類、特にダイヤについて税の仕組みはどういうぐあいになっておりますか、国税庁の方から御答弁いただきたい。
  66. 沢口成利

    ○沢口説明員 国税の場合にはすべて小売課税になっておりまして、最終消費者に売られる段階でもって一五%の税率で課税されるわけでございます。それから輸入品の場合は輸入段階で保税地域から引き取る際に課税になるわけでございますけれども、その業者が税務署長の販売業者であるという証明を持っている場合にはそれは免税になっておりまして、そのまま流れていって最後の小売の段階で課税される、それがほとんどすべてでございます。
  67. 野坂浩賢

    野坂委員 小売の場合は物品税としては一五%ですね。輸入の場合は税務署長の証明書を持っておれば――輸入税はかかりますね、輸入税は四%かかるというふうに承知しておりますが、これはどういうふうにしてかけるわけですか。
  68. 乗富光義

    ○乗富説明員 お答えいたします。  お尋ねのように、輸入につきましては、ダイヤモンドの場合は四%を輸入の場合の課税標準価格に対して課税をいたしております。
  69. 野坂浩賢

    野坂委員 その課税標準価格というのは申告によるものということに解してよろしいわけですか。  それから、輸入税と、物品税は一五%だと思うのですが、そのほかには何も税金はかからない、こういうふうに理解してよろしいか。
  70. 乗富光義

    ○乗富説明員 税関で輸入についてどういう税金をかけるか、四%をかける基準でございますが、関税定率法四条に、輸入貨物の課税価格はどういうぐあいにして算定するかという規定がございます。その規定に基づきまして課税をいたしておりますが、具体的には輸入者の仕入れ書がございまして、その仕入れ書の価格を基礎にして評価を行う、この一般の規定と同様に、貴金属、貴石、ダイヤモンド等につきましてはこの仕入れ価格を基礎に評価をしまして課税をする、こういうことになっております。ただ、仕入れ価格が必ずしも適当でないとか、あるいははっきりしないというような場合におきましては、同種の物品の過去における輸入の実績とか、あるいは税関で持っております価格の算定資料、こういったものを参考にいたしまして課税標準価格を決めるということになっております。     〔綿貫委員長代理退席、武藤(嘉)委員長代理着席〕  なお、輸入物品につきまして、ダイヤモンドの場合には、四%の関税のほかに、税関長に対して販売業者が物品税の免税の手続をとらない場合、これは非常に例が少ないわけでございまして〇二%ぐらいしかないのですが、この場合には一五%の課税をするということでございまして、その関税と物品税、それ以外には課税はございません。
  71. 野坂浩賢

    野坂委員 いまの仕入れ書を基本にして輸入税をかけるということでありますが、いま加藤清二さんが質問した普通の洋服とかくつとかいうものとは違って、こういう小さなものでも高価なものでありますから、その仕入れ書が不適当であるというふうに見られる場合もある、だから調査をするのだ、だからいままでの実績に基づいて標準価格というものを設定をするということでありますが、それは関税官といいますか、国税庁の職員の皆さんはそういう眼識はないと思うのですよ。鑑定といいますか、そういう力量は不足しておると思うのですが、その点についてはどのようにしてその評価をされるわけですか。
  72. 乗富光義

    ○乗富説明員 お答えいたします。  お尋ねのように、貴石、貴金属等につきましては相当専門的な知識を要するわけでございますが、税関におきましては、通関の部門にそういったベテランの職員を配置いたしております。なお、通関の審査部門で十分自信が持てない、そういう場合におきましては、輸入部門に特殊鑑定部門というのがございまして、さらにそこには専門家を配置いたしておりますので、そこで鑑定をする、こういうことにいたしております。
  73. 野坂浩賢

    野坂委員 その鑑定をされる専門家というのはどういう方式で鑑定をされるわけですか。たとえばアメリカ方式のGIAとか、スカンジナビア方式とか、いろいろあるようですけれども、どういう方式ですか。それとも勘ですか。
  74. 乗富光義

    ○乗富説明員 お答えいたします。  特別の方式はございませんが、かねて税関でいろいろと蓄積いたしております技術といいますか、それによりまして、その色とかあるいは傷がついておるかついてないかとか、その他内部の鑑定資料がございますので、それをもとにして鑑定をいたします。なお、それでもなかなかむずかしいという場合には専門の鑑定家に依頼をする、こういうふうにいたしております。
  75. 野坂浩賢

    野坂委員 時間がありませんから多くを追及することはしませんけれども、その辺からもすでに問題点が出されておるというふうに私は思っております。  これは五十一年の五月二十七日の文春なんです。これは週刊誌ですが、一億八千万円の指輪をタクシーに忘れておるのです。そして運転手が届けると、拾ってきたお礼をしなければならぬわけですから、これで問題になって、鑑定書は一億八千万、実際価格は二千五百万、こういうかっこうで百万のお礼で終わっておる。こういうふうに、指輪一つ見ても大変大きな差があります。私がこの際聞いておきたいのは、評価をどうやってするのだということであります。  いま大衆化をして、若い諸君たちは月給を十万円ぐらいもらっておって三十万、四十万の結婚リングを交換をしなければならぬ。平均二十四万円と言われております。月給の二、三カ月分は飛んでしまうわけです。それならば、消費者行政の立場でどう考えてやらなければならぬか。適当に全部そういうものを店頭に並べておる、それを買っておる。消費者はそれを信頼をしておる。しかし、輸入の問題一つにしても、国税庁というのは勘に頼っておる。いままでの経験でやっておるのだ、こういうことでありますが、その辺が私は一番の問題点を出しておると思うのです。  たとえばポーランド駐在特命全権大使であった根本さんの本を見ますと、「一・〇〇キャラット最高品質のダイヤモンドの小売価格――各店別比較表」というのがあります。一番高いのは松坂屋、一千万円ですね。一番安いのは三越で二百八十万から二百九十万、上野の松坂屋というのは六百万から七百万、ずっと書いてあります。十ばかり書いてありますが、こういうようなことでは安心をして若い諸君たちが買うことはできぬじゃないか、こういうふうに思いますが、これらの点については、通産省としては、あるいは国税庁としてはどのようにすべきであるというふうにお考えでしょう。もうほうりっ放しだ、何にもやらぬ、こういうことですか。
  76. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 お答え申し上げます。  ダイヤモンドの値段が販売店によってまちまちでありまして、間々消費者の利益を損なうケースがあるという御指摘でございますが、確かにそういうケースがあるようでございます。しかしながら、ダイヤモンドの価格を決めます際の前提となります鑑定の方式につきまして、先ほどから御質問がございましたが、客観的に一律になかなか律しがたい点があるようでございまして、国際的にも、先ほど先生お話しのようにアメリカ方式とかイギリス方式とかいろいろありまして、統一的な基準をつくるのが非常にむずかしいという状況にあるようでございます。  ただ、最近お示しのように非常にそういうふうな大衆化という傾向もございまして、大きな問題であると思いますので、宝石、貴金属類の販売を営みますところの事業者団体におきましても、最近に至りまして鑑定方法とか鑑定機関というものの統一化というふうな動きも出始めております。したがいまして、私どもといたしましても、国際的な動きも配慮しながら適切にそういうふうな業界団体を指導いたしまして、鑑定方法等の統一化の方向に向けてまいりたい、このように考えておるわけでございます。ただ、値段そのものにつきまして、政府が入る、あるいは基準をつくるというふうなことは望ましくないのではなかろうか、このように考えております。
  77. 野坂浩賢

    野坂委員 鑑別とか鑑定の機関に、通産省が指定をしたとか、あるいは大蔵省が指定したとか、そういう公的機関がありますか。
  78. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 いまお答え申し上げましたように、いまだ国際的に統一されたものというものもないわけでありまして、私どもとしても公的に指定したというふうなものは一つもございません。
  79. 野坂浩賢

    野坂委員 ここに日本宝石鑑定協会というのがありますが、「公的に鑑定評価する唯一の機関です」こういう広告が載っております。これは違うのですか。公取委員長は御承知ですか。
  80. 澤田悌

    ○澤田政府委員 いままでのところ、そういう機関のあることを存じておりません。
  81. 野坂浩賢

    野坂委員 こういう広告は、あなたから見て不当表示だということになりませんか。
  82. 澤田悌

    ○澤田政府委員 仮にいま御指摘の鑑定協会なるものが存在いたしまして、対価を取って宝石の鑑定をしておる、鑑定を業としておるというものでありますれば、景品表示法の規制対象であります事業者に当たります。その事業者がいたしております広告が事実と反するということであれば、不当表示になるというふうに考えられます。
  83. 野坂浩賢

    野坂委員 これをちょっと渡しますが、これに「推薦のことば」というのがあるのです。自由民主党の衆議院議員の田中榮一さんが顧問になっておられまして、「あらゆる方面から要望されていた事で国内に於ける宝石類の鑑定が此処で初めて統一されることは非常に喜ばしき事であり、ひいては国家経済安定の一因に寄与するものであると信じ大いに賛同するものであります。」「田中栄一」と、ちゃんと書いてあります。だから、不当表示である、不当広告物であるということであれば、直ちにそういう点については処理してもらいたいということを言っておきます。  それから、日本銀行から戦後ダイヤを放出したことがありますね。放出の際、これはだれが鑑定したのですか、そうしてだれが値段を決めたのですか。ちょっとさかのぼっておりますけれども、次の質問に関連があるのでお聞きをしたい。たくさん出ておりますからね。通産省で結構ですよ。大蔵省でも結構です。――それでは、後で御答弁をいただければいいと思うのです。  それで、いま申し上げましたように、評価、鑑定によって非常に違う、公的機関がない、いろいろの評価、鑑定の方法がある、こういうことは非常にはっきりしてきました。     〔武藤(嘉)委員長代理退席、綿貫委員長代理着席〕  いま問題になって、死んだふりして寝ておられます児玉譽士夫という人がおりますね。昭和五十一年三月八日の朝日新聞の朝刊の第一ページに、その児玉の資産の問題が出ております。強制捜査で書画骨とうから預金、有価証券、現金、ほとんど出されておるという中で、宝石類がたくさんあった、こういうことが新聞で報道されておりますね。国税庁はこれに税金をかけておるわけです、脱税その他で。税金をかけるにはダイヤモンドを評価しなければならぬわけですね。だれが評価されたわけですか。何個あったのですか。
  84. 沢口成利

    ○沢口説明員 児玉譽士夫氏がどういう金で買ったかというのは、所得税の問題でございます。それで、ダイヤそのものは、これは納税者は販売業者でございますから、その段階で販売業者が納めてあればそれで済んでしまうということでございます。したがって、たとえば評価額が五十万円のダイヤを仮に児玉譽士夫なら児玉譽士夫が四十万円で買ったという場合には、四十万円に対して課税するというのが税法のたてまえでございます。
  85. 野坂浩賢

    野坂委員 それは所得税との関係ですが、持っておるそういうものについての評価をしたというふうに新聞は報じておるわけですが、そういう宝石類については全然評価はしていないわけですか。
  86. 沢口成利

    ○沢口説明員 それは所得税の方の問題として当然調査しておると思います。私は消費税だけやっておりますので具体的なことは存じておりませんが、所得税の問題として当然いろいろ調べ上げる、あるいは徴収の問題として調べておると思います。
  87. 野坂浩賢

    野坂委員 調査をしたわけですね。
  88. 沢口成利

    ○沢口説明員 はい、直接担当しておりませんので具体的にはわかりませんけれども、していると思います。
  89. 野坂浩賢

    野坂委員 その結果は後で御報告をいただけますか。
  90. 沢口成利

    ○沢口説明員 それは帰庁いたしまして相談したいと思います。
  91. 野坂浩賢

    野坂委員 よくわからなかったのですが、そういう評価はだれがした、幾らであったということを文書にして御報告をいただきますようにお願いしておきます。いいですね。  それから、時間がありませんが、昭和四十八年六月六日の朝日新聞の宮城版というのに、「サファイア「東洋の青い巨人」国税局が行方追う」こういう見出しで、四億八千万円のサファイアの行方を追っておる。これは仙台の藤崎デパートがスリランカの宝石業者から買い入れたものです。  そこで、これは一億円ぐらいで売れたということですけれども、そのことを追及しようと思っておるわけじゃないのですが、鑑定は四億円の鑑定をした、しかし売ったのは二千万円だった、こういう場合だってあり得ますね。その場合には鑑定をした金額と売った金額とは非常に差がある。そして一五%の物品税ということになると、たとえば四億円の一五%というと物品税は六千万円ですね。それが五千万円で売られたということになると七百五十万円になるわけですね。物品税についてはそういう大きな差が出てくる。これはもうやむを得ない、こういうものなのか。しかし、その価値なり値打ちというものは鑑定をするわけですから、その差額というものについて大蔵省当局としてはどういうふうにお考えでしょうか。
  92. 沢口成利

    ○沢口説明員 非常に極端な場合ですけれども、四億円のものが五千万円で売られたという場合には、明らかに五千万円で売られている場合には五千万円に対してしか課税できないということでございます。
  93. 野坂浩賢

    野坂委員 五千万円で売ったらやむを得ぬということですね。課長は非常に簡単にお答えですが、だれもが鑑定し、だれもが見て、これは三億円のものだ、こう思った、店頭にもちゃんと書いてある、それが値切られて五千万円で売られたということになって、それはもうやむを得ない、こういうことについては、私は非常に不可思議な、また不快な念に駆られますね。おかしいという疑惑が残る。  私は、業界にはそういうことが多いのじゃないかと思うのです。店に売られておるたとえば一億のものが、話のしょうによっては二千万にもなるかもしらぬ。しかし、後は裏の方で取引されるかもしれない。本当にまじめにダイヤに対する物品税を払っておるのは結婚をする若い青年たちで、それが三百七十四億円というもののほとんど大半なんですよ。その辺を通産なり大蔵はもっとはっきりしてもらわなければならぬのじゃなかろうか。  そこで、私の提言ですが、宝石類は、たとえば天然のダイヤというのは無傷だということがよく出ておりますが、天然のダイヤに無傷なんというものはない。必ず傷がある。そのダイヤというものは換金性があるかというと、銀行は担保に取らぬ、質屋だ。質屋ということになれば、一千万のものでも最高五十万ぐらいにしか見ない、こういうのが今日の状況です。そうすると、まず消費者を守っていくという立場で、通産省は全部の業者に宝石類は品質の表示をさせる必要がある。そのことがやはり信頼性を高め、物品税というものに対しても、あるいは消費者を保護するという立場に立っても、安心をし安定をして買える、こういう商行為になることが可能だと私は思うのです。したがって、そのような行政指導をしてもらうことが確認できるかということであります。
  94. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 ダイヤの品質表示ができないか、こういう御趣旨かと思います。確かに望ましいことかと思いますが、先ほどお答え申し上げましたように、鑑定方法自体につきまして国際的にも一定した方式がまだ確立していないということでございますし、わが国におきましても、ちゃんとしたといいますか、権威ある鑑定の団体というものもまだできていないということでもございますので、なるべく統一したものになるような指導をしてまいりたいと思いますが、直ちに品質表示まで行けるという自信は現在のところございません。
  95. 野坂浩賢

    野坂委員 局長、いま百貨店の一千万円から二百八十万円の名前を挙げてまで言ったし、あるいは自動車の中の物忘れの問題についても申し上げたし、鑑定についても勘でやるようなお答えをいただいたが、それではやはり消費者行政の立場からして悪と無知が横行し、現実に一億円のものでも五百万で売られたら国も損失じゃないですか。だから、本当に消費者行政の立場なら、できるものからやっていく、品質表示をやれというくらいの行政指導がなぜできぬか、私は理解できません。  それから、鑑定の方法はいろいろあるということですけれども、本当の値段は減点方式をとればいいじゃないですか。一番採用されているのはアメリカのGIAじゃないですか。あるいはスカンジナビアでやられておる方式、英国でやられておる方式、三つぐらいしかないじゃないですか。そうすれば、とりあえず減点方式で、角度の問題とか透明度の問題等があって、これで減点方式になれば、はっきりそういう点は黒い霧というものを追い払っていくことができるのじゃないかと私は思う。その方式を、通産省が具体的に行政指導に乗り出す時期だ。  それに、あなた方がいろいろと御心配になっておるかもしれませんけれども、全国宝石学協会というのがあって、この会長さんは椎名悦三郎さんです。自民党の副総裁ですよ。だから、こういう人がやっておられるのなら、もっと具体的に進める方法が幾らでもあるじゃないですか。特に宝石についてはいろいろな問題が投げかけられて、政界と業界とは問題点がまだたくさんあるというふうに私どもは聞いておるわけです。たとえばいまの日本宝石鑑定協会とか全国宝石学協会とかそういうことから、副理事長である渡辺さん等の問題点もいろいろ出てくる。だから、これらを明確にしていくために、そういう点については通産省は今後の問題としてきちんとやはり行政指導すべきだ。そのためには品質表示をする、鑑定協会というものをもっと強く指導して、GIAなりそういう方式できちんと指導する段階に来ておる、こういうふうに私は思います。そういう点について検討して早急に行政指導に乗り出すべきだ、こういうふうに思いますが、どうですか。
  96. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 その点につきましては、最初にお答え申し上げましたように、確かにむずかしい業界の問題でございますので、現在業界団体あるいは宝石商の間で何らかの統一的な方法をとりたいというふうな動きが出かかっておりますので、その方も促進してまいりたい、このように考えております。
  97. 野坂浩賢

    野坂委員 あなたは、そういう業者の自主的な動きというよりも、こういう一連のいま申し上げたようなことがあるということでありますから、通産省が積極的に業界の諸君たちを集めて、そういう疑惑がないように、消費者の方の立場から私が申し上げた諸点についてやるように指導したらどうですか。それはできぬのですか。なぜできないのですか。
  98. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 いまお答え申し上げましたように、業者を集めまして、あるいは業界団体を通じまして指導してまいりたい、このように思っておりますが、その鑑定方法その他について技術的に私どもで自信があるわけではございませんので、この鑑定方法でやれとか、あるいはこの鑑定団体によるというふうなこと、あるいは品質表示というふうなことをやるというところまでまいるのは行き過ぎであろうかといま思っております。
  99. 野坂浩賢

    野坂委員 時間が参りましたので、これ以上質問をすることをやめますけれども、結婚をする若い諸君たちはそういう点については非常にお店を信頼しておりますし、高いものは値打ちがあるものだと思っておるのです。しかし、実質的にいろいろなお話を聞き、文献等を読みますと、たくさんの疑惑を私自身が持つわけです。話してみるとみんなもそうなんです。だから、店の権威なりあるいは鑑定の権威を保つためにも、店頭に販売されるものについては品質の表示はぜひ必要だ、そうすればみんなが安心をすることができる、それがやはり行政の立場ではないか、こういうふうに思います。だから、鑑定方法はこれから皆さんと集まって検討されるとして、品質表示の方向で行政指導を進めてもらいたいと思いますが、再度御答弁をお願いしたい。
  100. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 御趣旨の点は、先ほどから申し上げますようにごもっともだと思います。ただ、その品質表示といいますものは、現在家庭用品品質表示法というのがございますが、法的な根拠その他いろいろあるかと思いますし、物が物でありますだけに、慎重に検討する必要があろうかと思っております。
  101. 野坂浩賢

    野坂委員 慎重に検討して善処していただくように要望しておきますので、御検討いただきたい。よろしいか。検討してもらうということでいいですね。――それでは、これで終わります。
  102. 綿貫民輔

    ○綿貫委員長代理 米原昶君。
  103. 米原昶

    米原委員 時間が非常に限られておりますので、大臣の御出席の間に約十分間ほど質問させていただきます。  明治以来、長年にわたって日本の印刷産業、印刷文化の発展を支えてきた印刷機械業界の有力なメーカーが、ここ数年相次いで倒産ないし破産して、そこで働く労働者が非常な深刻な困難に陥っていることは、大臣も御存じだと思うのです。すでにこの点に対して印刷機械関係の労働組合協議会やそういうところから何回か通産省に対しても要請が届けられ、抗議が行われたと思いますが、この業種を所管している通産省として、最近の数年間に相次いで有力メーカーが倒産しておる、この点に対してどのように考えておられるか、またその責任と対策をどうされるつもりか、そういう点について大臣にお聞きしたいのです。
  104. 河本敏夫

    河本国務大臣 昭和四十六年以降、印刷業界では、いま御指摘がございましたように、経営上の若干の問題を生じた企業が相当ございます。その実情、原因、対策等につきましては政府委員の方から答弁させます。
  105. 米原昶

    米原委員 私もこの問題でいろいろ労働組合の方から話も聞きまして、通産省に対しても何度か事情をお聞きしたのですが、通産省の担当の責任にある方から、倒産した企業のめんどうを通産省が一々見ていられないなどという言葉も聞かれました。いわばどうにもしようがないという態度であります。すでに関係の労働組合からは、この問題について訴状が総理大臣通産大臣あてに昨年の十一月二十日付で出されています。大臣はこれを読んでおられるかどうか、私、知りませんが、そこで通産省の産業政策、行政の責任、こういうことについて具体的に問いただしている。こういう問題に対してどう答えられるつもりか、お聞きしたい。
  106. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 組合を中心といたしました要望その他、十分私ども聞きまして、お話し合いもいたしたわけでございますが、四十五年以降の倒産件数がやや多くなっておりますのは、印刷機械に対します需要の停滞というものが基本的な背景だと思います。私どもは、倒産なされた組合の方々につきましてはできるだけ親身になりまして御相談に乗っておるつもりでございます。ただ、実際問題として、金融その他の措置につきましてはそれぞれの制度に乗る場合、乗らない場合、いろいろございますので、最大限の努力をいたしておるのですが、今日までお申し越しの案件につきましてはまだ融資その他の実現を見ていないというのが実情でございます。
  107. 米原昶

    米原委員 細かい点については後で各部門の方にお聞きしますが、大臣に、お席をお立ちになる前にちょっとこの点だけはっきりしておいていただきたい。  浜田精機を初め多くの倒産、破産を生んだ重大な責任が三菱独占にあることは明らかであります。三菱重工は誠意を持って組合の交渉に応ずべきだ。大臣も、中小企業を含めたわが国の機械産業の振興を考えるなら、三菱重工や銀行など三菱独占に対して誠意を持って交渉に応ずるように指導していただきたい。印刷機械産業に三菱が介入して中小企業を圧迫してきたことを放置した責任は通産省にもあることは、これまでのいろいろの経緯で明白であります。だから、問題が紛糾しております。行政指導や指示等で三菱に対して大臣みずから話してもらいたいと考えているのでありますが、大臣の意向を聞いておきたいと思います。
  108. 河本敏夫

    河本国務大臣 印刷業界のことにつきましてはすでに十分御案内のことと思いますが、四十五年までは非常に順調に来たわけです。ところが、四十六年以降、いわゆるドルショック、ニクソン・ショック等がございましてから、全体としての経営相当おかしくなる、こういうところが出てまいりまして、若干の倒産が続いております。  三菱重工のことにつきましては、三菱重工が印刷機械をつくり始めましてからすでに十数年たっておりまして、昭和三十年代の前半であったと思います。したがいまして、昭和四十六年以降の倒産に対して三菱重工がどういう関係があったのか、どういう責任があったのか、そこらあたりは明確ではありません。しかし、いずれにいたしましても大企業が中小企業の分野にみだりに無制限に出ていきましてそれを撹乱するということは好ましいことではございませんが、三菱重工のシェアにつきましては、最近さほど急激に上昇しておるということは聞いておりません。
  109. 米原昶

    米原委員 では、その問題については、後で私は具体的な数字を上げてもらって明らかにしたいと思うのです。  とにかくわが国の産業政策、産業構造の転換ということは大問題であります。私たちもこの点は非常に重要だと思っている。特に付加価値の高い、多くの中小の雇用人口を抱えている機械産業の振興、これは私たちも産業構造の転換の上でも最も重大だと考えております。そういう点で、ただ、いままでのやり方、政府がこれまでとった高度化政策、近代化政策あるいは知識集約化政策というものが、実際上は中小業種の切り捨てになっているのじゃないかという問題がある。この点は、そうやらない形で産業構造を変えていく必要がある、私はこう思っておるのであります。細かい点は後で聞きますが、とにかく国の産業政策に責任を持つ通産大臣として、しっかりやっていただきたい。この点についてもう一度通産大臣意見を聞きまして、私の質問を終わりたいと思います。
  110. 河本敏夫

    河本国務大臣 すでに昭和三十年代の前半から日本の近代的な産業の建設が始まりまして、四十年代に入りましてから特に高度成長がずっと続いたわけでございますが、それが、先ほど申し上げましたように四十六年以降のドルショック、ニクソン・ショックがあり、さらに四十八年にはオイルショックが起こってくる、こういうことで、ここ数年間、経済界に非常に大きな影響を及ぼす重大事件が相次いで起こっております。そういう波乱の経済界のことでございますから、印刷業界に限らず、幾つかの企業が困難に遭遇しておるわけでございますが、そういう場合には、通産省に事前に相談がありますならばできるだけ御相談に乗る、金融面や経営面でもできるだけ御相談に乗る、倒れてしまってからではなかなか適当な手がありませんので、事前にできるだけ御相談に乗るというふうな態度によりまして、被害を受ける企業が少なくなるように努力をしてまいりたいと思います。
  111. 米原昶

    米原委員 細かい点は後で質問することにしまして、私の質問を終わります。
  112. 綿貫民輔

    ○綿貫委員長代理 松尾信人君
  113. 松尾信人

    ○松尾委員 非常に時間が限られておりまするので、お答えも要領よく大臣にお願いしたいと思います。  まず最初に、現在の景気動向、これをどのように大臣は認識されておりますか。
  114. 河本敏夫

    河本国務大臣 要点だけを答弁させていただきます。  私は、大勢としては心配はいたしておりません。ただ、八月以降ここ三カ月間ばかり生産の減退その他景気の後退が見られますので、やはり何らかの景気刺激の対策が必要であろう、かように考えております。
  115. 松尾信人

    ○松尾委員 一般に言われておりまするのは、設備投資の回復のおくれ、それから個人消費の停滞、こういうものが現在景気の中だるみというものを招いておる大きな点であると言われておるわけでありますけれども、この点いかがですか。
  116. 河本敏夫

    河本国務大臣 設備投資も昨年に比べると確かにいいのですけれども、しかし政府期待しておったほど伸びておりません。設備投資が活発になるということはこれはもう非常に大きく景気動向に影響がございますので、私は、もう少し設備投資が盛んになることを期待をいたしております。また、消費活動、これももう少し盛んになることを私は期待をいたします。
  117. 松尾信人

    ○松尾委員 では、具体的な問題に入りますけれども輸出動向であります。  いままで景気回復の大きな原動力と言われるような輸出が盛んな業種、これは自動車、電気製品、鉄鋼等でありますけれども、これが欧米でだんだん輸入制限の動きが起こっておる。土光経団連会長も欧州でそういう問題に出くわしておって、いろいろ自主規制等の発言をされておるようでありますけれども、もう輸出もだんだんここで頭を打つのじゃないか、輸出を主力にした景気回復というものはできないのだというような観測も行われておりますが、このような日本のいままでの輸出、それに対する欧米の動き、そして最近経団連会長等が発言しているような内容等を見まして、大臣はそういう点をどのように考えておるか。そして、輸出が前年に比べて今年最終的には結局どのように終わるであろうかというお考えはいかがですか。
  118. 河本敏夫

    河本国務大臣 ことしの上半期は、輸出は昨年に比べまして二三、四%伸びております。輸入の方も伸びたのでありますが、その伸び率は比較的少なくて一三、四%でございます。そのギャップのゆえに世界各地で若干の摩擦を生じておりますが、下半期輸出は若干減ると私どもは思います。それから、逆に輸入の方は相当伸びると思います。したがいまして、上半期に起こしましたような世界各地での摩擦はだんだん減ると考えておりますが、若干の誤解等も世界各国にまだ残っておりますので、そういうところに対しては相手がよく理解できるように十分説明する必要があろうと思うのです。そのために政府はさらに努力しなければならぬと考えます。
  119. 松尾信人

    ○松尾委員 いまお答えがなかったのは、欧米における日本輸出に対する規制の動き、それに対しての大臣見解はいかがですか。
  120. 河本敏夫

    河本国務大臣 それは大体お答えしたと思うのですが、上半期には若干の摩擦がございましたが、しかし下半期輸出輸入動向を見まして、私はその摩擦は少なくなると思います。なお残っておる誤解に対しては十分相手方に納得してもらうように説明する必要があると考えます。
  121. 松尾信人

    ○松尾委員 大臣は最近、景気てこ入れ対策意見を述べておられるわけでありますけれども、特に、年内にでもすぐできるという五項目が言われております。中小企業向け年末融資枠の増加の問題、それから住宅金融公庫の追加融資の問題、電力の設備投資の促進の問題、石油精製の設備投資の凍結解除の問題、それから長期金利の引き下げの問題でございますけれども、この五項目について、大臣はそれぞれ必ず実現する、このようなあなたの確信は裏づけされるものであるかどうか、簡単でありますけれども一応その点を聞いておきます。
  122. 河本敏夫

    河本国務大臣 いまお述べになりました五項目のほかに、私はプラント輸出の拡大ということを考えておるわけでございますが、そのうち、通産省の判断だけで直ちに強力に推進することのできるものもありまするし、あるいは他の省と話し合いをする必要のあるものもございますが、政府の判断でやろうと思えばやれることばかりでございまして、景気対策上それを実現するということが必要であると私は考えますので、関係方面と十分話し合いをしたいと思います。
  123. 松尾信人

    ○松尾委員 必ず実現していかなくてはいけないと思いまするのは、中小企業問題、住宅金融の問題ですね。それから電力の設備投資、これは先般いろいろ法律改正等もございまして、電力会社の資金枠の増加ということがなされたわけであります。  私がその中で心配なのは、石油精製の設備投資の凍結解除の問題でありますけれども、これはよくよく慎重にやりませんと、結果的に大きな問題が起こるのではないか。OPECのいろいろの動き、それから予定されておる値上げの問題がある。それで、むしろ世界の油の需給を逼迫させる要因というものは余りいまとらない方がいいのではないか。需給を緩和していく、そしてむしろ消費規制というものを打ち出しておいて、OPECの方のいろいろの材料とかなんとかを与えない。それを、凍結を解除する、日産百五十万バレルとか百万バレルはすぐできるとかというような問題をどんどん提起する、これは設備投資の一環として、景気回復のてこ入れの方策としては理解できますけれども、大きな影響というものが国際的にありまするので慎重にする必要がある、私はそのように思うのでありますけれども大臣のお考えはどうであるかということであります。  それから、大型のプラントの問題ですが、これはいままでの輸出実績、それから承認の内諾を与えたもの、それ等で四十五億ドルぐらいの実績しかないのではないか。あなたの方は百二十億ドルの当初の目標。そうしますと、今後このプラント輸出についてはどのようなお考えがあるのか、年度内の百二十億ドルの目標というものはどのようにして達成されるか、こういうことをあわせて聞いておきます。
  124. 河本敏夫

    河本国務大臣 石油の精製設備は、過去三年間、すでに許可を与えたもの、あるいは石油審議会の了解を得たもの等、全部凍結をいたしております。しかし、年度内に今後五カ年間の需給動向を十分調べまして、先ほど御指摘がございましたように、年度内には着工できる、つまり土地の問題のない、あるいは資金の問題のないもの等については解除する方針でいま作業を進めておりますが、およそ百五十万バレルのうち三分の二の百万バレルぐらいになると思います。その完成時期は五十四年以降になるわけでございますので、いま直ちにそれが完成するというわけではございません。やはり今後五カ年間の推移を見まして、十分慎重に配慮しながら凍結解除の方向に持っていきたい、かように考えておるわけでございます。  それから、プラント輸出につきましては、いま御指摘のような数字でございますが、なお工夫し努力をすれば年度内の目標を達成する可能性は十分残っておりますので、関係方面を総動員をいたしまして、目標が実現できるように積極的に努力をしていきたいというのが、一昨日中し述べました内容でございます。
  125. 松尾信人

    ○松尾委員 もう時間がありませんので、これで最後にいたしますけれども、設備投資の回復のおくれ、また個人消費の停滞、こういうものが現在景気中だるみの大きな要因と指摘されております。何としても個人消費を刺激するということが大切なことであろうと思うのであります。これはあなたの方の考えは第二段の構え、所得減税の問題でありますけれども、これこそ第二段ではなくて早くからあなたの方でやはり言うて、そしてこれを大蔵省に実現させて、この大きなウエートを占める個人消費を活発にするという方向が基本的には一番大切だろうと私は思うのでありますけれども、この点についてひとつ大臣の決心を聞いておきたいと思うのであります。
  126. 河本敏夫

    河本国務大臣 現在のところ実質所得が減るという傾向にございますので、これはやはり政治の課題としても真剣に検討しなければならぬ問題だと私は思います。そこで、第二段の課題といたしまして、党や関係方面と十分検討いたしまして、十二月中には何らかの結論を出す必要があろうかと考えております。独断で結論を出すことはとても不可能なことでございますので、関係方面と十分意見を交換したい、かように考えております。
  127. 松尾信人

    ○松尾委員 質問を終わります。
  128. 綿貫民輔

    ○綿貫委員長代理 米原昶君
  129. 米原昶

    米原委員 先ほど一般論だけ大臣に聞きましたが、印刷機械の関係の労働組合が総理大臣通産大臣にあてた訴状が出ておりますが、その中にも明確に述べられております。今日の事態を招いた重大な原因は、従来から中小企業のいわば専業分野であった印刷製本機械で、特に枚葉オフセットなどで三菱重工が六十カ月割賦販売という大企業の資金力に物を言わせて強引に市場制覇を図り、いまや国内シェアの三〇%以上を占めるというような、中小企業分野への侵食、中小企業つぶしをしている点にあります。また、いまや枚葉オフセットで国内需要の五二・七%を占めるに至った、自由化に伴う外国機のわが国市場への進出の問題があります。丸紅などの商社が外国機械のメーカーと結託して、この日本の伝統的な中小企業の産業である印刷機産業の荒廃をもたらしているのを何ら規制しようとしないのは、私は重大な問題であると思う。通産行政の責任、失政が問われております。機振法以来の通産の産業政策と行政はこういう傾向を促進したのではないかと私は考えるのでありますが、この点についてまずお聞かせ願いたい。
  130. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 お答えいたします。  機械工業振興臨時措置法におきまして、印刷機械について業種指定をして合理化を進め、国際競争力をつける、こういうことで昭和三十九年と四十一年に指定をいたしまして、四十五年でこの基本計画は終了しているわけでございますが、当時、四十五年ぐらいまで印刷機械の需要がかなり順調に伸びておりました。ところが、四十六年以降は、先ほども申しましたように、台数ベースで見てみますと、たとえば印刷機械全体で見ますと、四十五年には七千六百台の印刷機械の生産がございましたが、四十六年は四千七百台、四十七年は四千五百台、四十八年もほぼ同じの四千七百台、四十九年は四千三百台、五十年は四千百台、こういうふうに需要自身が停滞をいたしております。従来非常に順調に伸びていたものですから、需要の予測を過大に見積もって、その結果停滞状況に対応し切れない企業というのが出てまいった面もあろうかと思っております。  私どもは印刷機械の国際競争力をつけるということで引き続き指導いたしてまいりたいと考えておりますとともに、三菱重工という御指摘がございましたが、三菱重工の国内メーカーの生産に占めますシェアは、四十九年の暮れ以来、今日かなり減ってまいっておりまして、五十年におきましては大体二割をちょっと超える程度のシェアになっておろうかと思います。先ほど大臣からも御説明しましたように、三菱重工は昭和三十六年ごろから印刷機械の製造を開始いたしまして今日に至っておるわけでございますが、その国内に占めますシェアがはなはだ大きいというような状況にはないというふうに考えておるわけでございます。  他方、輸入の面につきましては、御指摘のように四十八年、九年ごろからやや輸入がふえまして、五十年にはまた下がったわけでございますが、これは枚葉平版印刷機械を中心としての輸入でございまして、これにつきましては私ども、不当な販売条件等で商社が国内販売を行って中小企業等に対する圧迫となるようなことがないよう、個別の商社につきましては取引条件等について十分指導をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  131. 米原昶

    米原委員 それでは、次のような数字を報告願いたいのです。  一番目に、機械産業、産業機械における中小企業生産に占めるシェア及び中小企業の従業員数。二番目に、機振法で指定された業種の中の中小企業の数、その割合、生産シェア、従業員数。それから三番目に、機振法制定期間中の政府系資金援助のうち、大企業、中小企業向けの割合、実績、それから印刷製本機械が指定業種になっていた期間における大企業、中小企業向け資金援助の割合、実績。四番目に、機振法当時の開銀、中小企業金融公庫の金利、貸付条件。五番目に、指定による印刷製本機械業界への中小企業金融公庫の融資の実績。六番目に、開銀が印刷機械に融資した例はあるか、三菱重工の場合はどうか、またそれらの貸出実績はどうか。七番目に、機振法による印刷製本機械の指定業種期間における三菱重工のシェアの推移、一九六四年には三菱重工は、特に枚葉オフセットでどのくらいのシェアを持っていたか、以上の数字を簡単に説明していただきたいのです。
  132. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 機械産業におきます中小企業生産シェアは、四十八年の工業統計表産業編が一番最近のものとして手元にございますので、これで申し上げますと、出荷シェアは中小企業のシェアが三四%、従業員数で五一%でございます。  それから、機振法で指定されました業種の中で、中小企業の数、割合、生産シェアはどうかという点につきましては、これも手元にございますのは四十一年三月当時の私どもの資料がございますのでそれで申し上げますと、機振法の対象業種の企業のうちで中小企業は七千九百六十三企業、全企業に占めます割合は八六・四%でございます。生産のシェアは三二%でございます。  それから、機振法の制定期間中の政府系資金援助のうちで大企業、中小企業向けの割合がどうかという点につきましては、承諾ベースで見ますと、機振法関係全体で申し上げますと、三十一年から四十五年までの間に開発銀行から約七百七十二億の融資を行っております。それから中小企業金融公庫からは三十六年から四十五年の間に約三百六十七億の融資を行っておりまして、合計千百三十九億の資金融資を行っておるということになっております。  なお、印刷製本機械につきましては、これも承諾ベースでございますが、三十九年から四十五年までの間に開発銀行から三億四千万の融資、それから三十九年から同じく四十五年まで中小企業金融公庫から九億一千五百万の融資を行っております。合計いたしますと、印刷製本機械ではこの間に十二億五千五百万の融資を行っておるという状況でございます。  なお、その場合の開銀、中小公庫の金利、貸出期間、融資比率はどうかという点につきましてちょっと御説明いたしますと、まず開銀でございますが、昭和三十一年から三十六年までの間は金利が六・五%、貸出期間が五・七年、融資比率は実績ベースで三〇%でございます。三十六年から四十年までは金利が七・五%、貸出期間が五・六年、実績融資比率は三〇%でございます。四十一年から四十六年までは金利が七・五%、貸出期間が六年、実績融資比率が二三%というふうに承知をいたしております。それから中小企業金融公庫でございますが、三十六年から四十一年までは金利は七・五%ないし七・六%、貸出期間は三年ないし七年、四十一年から四十六年までの間は金利が七・五%で、貸出期間は三ないし十年ということでございます。  なお、三菱重工に対しまして開銀融資があるかという点でございますが、私どもいま手元で確認はできないわけでございますが、私の考えでは、恐らく推薦は通産省としてもしていないと考えておりますので、融資は受けていないものと考えております。  なお、三菱重工の枚葉平版印刷機生産に占めますシェアでございますが、先ほど私は約二割をちょっと超えるという、これは五十年の状況が大体そういうことになっておりまして、四十九年にそれを若干上回るようなシェアを占めたことがございますが、大体二〇%台でございまして、この数年間は四十九年の一時期を除きましてはそう大きな変化はない、こういうふうに考えております。  以上でございます。
  133. 米原昶

    米原委員 機械産業、産業機械などで中小企業の占める比重がかなり大きいし、雇用人口も多いにもかかわらず、政府施策や資金援助が、いま聞いておりましてもどうしても大企業本位になっていることは明らかだと思います。通産大臣は機振法の指定業種の振興基本計画、実施計画を定めることになっておりますし、印刷製本機械製造基本計画、実施計画を見ても、年間の生産金額、品質、性能、合理化、適正規模など、実に細部にわたる指示が定められております。ところが、この計画が実施されていく中で、われわれの調査では、指定業種になった時点で当初数%にも満たなかった三菱重工のシェアが三〇%にもなり、また結果的には多くの中小メーカーが倒産ないし経営の圧迫で人員を削減し打撃を受けているというのは、どうしたことでしょうか。  印刷機械の指定業種期間中の機振法指定業種資金援助総額四百八十八億のうち中小企業は約三割で、低利、長期の開銀融資がすべて大企業に与えられております。機振法による機械産業行政が結局大企業本位、中小企業の整理、切り捨てに終わったことは明白ではないでしょうか。あのような基本計画を定めた通産省として、このような結果にどう責任をとるのか。労働組合が通産省に機械を買い上げろと要求しているのも、私はもっともだと思うのです。繊維機械の買い上げなどはすでにやっておるのでありますから、できない話ではない、こういうふうに思うのですが、この点いかが考えられますか。
  134. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 最後におっしゃいました印刷機械の通産省による買い上げという問題につきましては、そういった予算措置もございませんし、また国がそこまでのことを行うということは必ずしも適当ではないというふうに私ども考えておるわけでございます。  先ほども申しましたように、機振法の計画は、貿易の自由化並びに資本の自由化が進められてくる、こういう国際競争の波に対抗するために、一日も早く印刷機械の専門生産体制の推進を通じます合理化を促進するためにつくられた計画でございます。もとよりこの計画は、印刷機械業界が今後数年間に向けて目標とすべき一つのガイドラインでございまして、印刷機械業界がその企業責任とまた基本的な判断の上に立ちましてその目標を遂行しよう、こういう動きに対応いたしましてつくられたガイドラインでございます。  この過程におきまして、先ほどの政府関係機関融資もございますけれども、私どもはそれなりの効果はあったものと思いますが、四十六年以降の需要の停滞という状況は、倒産になられた各企業の方々から見ますと恐らく予想がかなりはずれたのではないかというふうに思いますが、何せ需要がこの数年間停滞しており、そういう情勢に対応していかなければならない。私どもは、その対応に対してできるだけお手伝いを申し上げたい、特に中小企業関係の諸機関の融資を通じまして、できるだけお手伝いをするということで従来対処してまいっておりまして、先ほどもちょっと申しましたが、お申し出のあった社につきましても、私どももたびたび関係の方とお会いをいたしまして、金融機関へのあっせんの労をとったのでございますが、いろいろな金融上の問題等もございまして実現しなかったことは大変残念だと思っておりますが、私どもとしましては、印刷機械業界の発展という観点から、できるだけ関係の業界の指導をいたしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  135. 米原昶

    米原委員 非常に細目まで定めたこういう指導で、実際はこういう結果になっております。機振法で指定業種とし、政府で定めた振興計画を実施させながら、大手独占や外国機の大幅な介入を容認して、伝統的に中小の専業部門である印刷機械業界を危機に直面させ、数多くの倒産、解雇を出させた通産省の責任は重大であると考えます。それにもかかわらず、現在まで三菱に長期割賦販売の自粛を要望するにとどまって、実効のある規制をほとんどしていない。浜田精機の倒産などでは、会社更生法の申請内容をその当日まで当の社長自身が知らないというように、三菱銀行などが絡んだ計画的な独占による中小企業の乗っ取り、組合つぶしであることは明白であります。このような独占の横暴に何ら規制を加えない通産省は、三菱独占と癒着して中小企業を壊滅に追い込んだ、そういう責任があると思います。この通産省の失政を糾弾されても仕方がないと思いますが、どう考えておられますか。
  136. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 いまのお話の中で、三菱重工業がその大企業の資本力を利用しての長期の割賦販売をやって、不当に中小企業を圧迫した、こういう御指摘がございましたが、私ども、この割賦販売の長期化につきましては、すでに四十八年に当時の重工業局長名で業界に自粛するよう通達を出しておるわけでございますが、昨年の三月にさらに主要の各社、それから輸入業者に対しまして、四十八年の通達の遵守方をさらに徹底するよう指導をいたしました。引き続きまして昨年の十二月に、三年を超える割賦販売の自粛をするよう通達を出しまして、個別に指導をいたしてまいっておりまして、三菱につきましても特に昨年の暮れから本年にかけまして改善は非常に顕著でございまして、この三年を超える割賦販売というのは相当改善されてきているというのが実情でございます。  これはアメリカ側からの売り込み競争からくる販売期間の長期化という問題もございますが、同時にユーザーでございます印刷業界そのものが非常に中小企業でございますので、その面からの割賦販売長期化の希望もございまして、一概にこれを急激に圧縮はできないわけでございまして、私どもは一応三年をめどといたしまして今日まで指導いたしております。これからも指導してまいる考えでございます。
  137. 米原昶

    米原委員 現在倒産した中小企業、破産宣告まで受けた浜田精機、倒産に瀕しておる多くの中小印刷機メーカーは、再建、振興のために労働者が中心になってがんばっております。ところが、政府中小企業信用保証協会の保証すらめんどうを見ないという事態が生まれております。通産省は口を開けばユーザーとかニーズとか言いますが、それに対応して企業の再建のためがんばっている企業や労働者に援助の手を差し伸べるかどうか、ここで通産省がみずからの産業政策にどこまで責任を持つかが問われております。  ここで通産省が手を差し伸べないなら、日本の中心的な産業の一つである機械産業を担う多くの中小企業の、通産省の産業政策に対する不信は決定的なものになります。多くの労働組合が通産省の産業政策、行政を糾弾するところまで問題は発展せざるを得ない。倒産を放置せず、再建を援助し、みずからの政策と行政に最後まで責任を持っていただきたいと思いますが、この点どうでしょう。
  138. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 先ほど大臣も申し上げましたように、倒産になった各企業の再建につきましては非常にむずかしい問題でございますが、私どもとしましてはできる限りの努力を今後とも続ける覚悟でございます。  御指摘のありました企業につきましては、私ども中小企業庁の方ともお打ち合わせをしながら、信用保証協会等に対しまして特段の配慮方の要請もしたわけでございます。しかし、信用保証協会の方のそれぞれの保証なり、あるいはまた金融機関の方の融資の判断が別途またございまして、当時の状況としては実現ができなかったと承知をいたしておりますが、状況が大きく変わってまいりますと、たとえば再建の方向につきましての需要開拓が明らかになってきた、こういうようなめどがついてくる段階になれば、それに対する支援というのも非常にしやすくなるだろうというふうに考えます。  非常にむずかしい問題ではございますが、私どもとしましては、政府が持っておりますいろいろな制度を活用して、救済その他の支援措置については今後ともできる限りの努力をしてまいる考えでございます。
  139. 米原昶

    米原委員 ニーズに対応し、ユーザーに対応するためにも、開発のため資金が要ります。特に倒産した企業を初め多くの中小メーカーは運転資金に困っております。金融機関との関係で、信用評価は決定的であります。通産省が、倒産したか倒産に瀕している中小印刷機メーカーの再建に手をかして、また責任を持つ程度に応じて、信用評価も大きく変わると思うのです。労働組合の共同事業会社などの構想も含めて、再建の道を探しております。通産省としても具体策を検討して、労働組合や業界の声も聞いて、中小企業の再建、振興の施策を検討する用意はないでしょうか。
  140. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 私どもは関係の企業並びに従業員の方々からのそういった話につきまして、常にいままでも話を聞く姿勢でおりましたし、またこれからも、そういった問題についてあきらめて、今後もう話を聞く必要もありませんというようなことは毛頭申し上げるつもりはございません。状況の改善を心から願っておるわけでございますので、そういったお話につきまして、私どもは御相談に乗ることは今後とも考えてまいりたいというふうに思っております。ただ、実際問題としまして、従来までの実績ではなかなかむずかしい周辺の事情がございまして実現されていなかったわけでございますが、気持ちは従前と今日も変わってないということを特に御理解いただきたいと思います。
  141. 米原昶

    米原委員 中小企業庁にも聞きますが、販売にどうしても必要な運転資金、あるいは設備資金、信用保証協会の保証、中小三金融機関の融資など、中小企業庁としても機械情報産業局とともに個別の中小企業の相談に応じ援助をするよう、中小企業庁も強力なバックアップをしてもらいたいのであります。中小企業庁見解を最後に聞きたいと思います。
  142. 児玉清隆

    ○児玉政府委員 ただいま機械情報産業局長からお話がございましたように、特に不況等によりますところの経営基盤の悪化しております中小企業につきましては、まず第一に政府三機関の機動的な運用によりまして特に実情に即したきめの細かい配慮をしていくということで従来もやっておりますが、いま御指摘のような個別の問題につきましても、当然手厚い配慮をいたしながら指導に当たっていきたいと思っております。また、特に御指摘のありました信用保証協会に対しましても、信用補完という面から保証がスムーズに実行されることによりまして機動的な金融というものが実現するわけでございますので、その際の担保の徴求等につきましても、従来も細かく対処するよう指導してきておりますけれども、もちろんいろいろなルールもございまして限界はございますが、御指摘のような点につきましては所管原局と十分連携をとりながら実情に即した配慮をしてまいりたい、このように考えております。
  143. 米原昶

    米原委員 終わります。
  144. 綿貫民輔

    ○綿貫委員長代理 田中美智子君。
  145. 田中美智子

    田中(美)委員 質問いたします。  まず、昭和四十九年の三月に大店舗法が施行されましてから、さまざまのスーパーが進出して、その周辺の商店や小売市場が大きな影響を受けています。私どもがいろいろなところの調査を聞きましたところによりますと、これは名古屋市ですが、小売業者三百店を対象にして調査をしてみましたところが、名古屋市の西区にありますジャスコという六千八百平米のスーパーが進出してきたとき、売り上げが下がったというのが六七%出ています。それから、このジャスコができましてから、その近辺にあります市場ですけれども、一年の間に、名塚ストアというストアが二十店舗あったわけですが、十三店舗つぶれて七店舗しか残っていない。それからジャスコから一キロ以内にある香呑市場というところは、十六店舗のうち十二店舗がつぶれまして四店舗しか残っていない。それから万代市場は八店舗のうち四店舗しか残っていない。平六ストアは十六店舗のうち十店がつぶれまして六店舗しかない。こういうふうに、わずか一年で、六千八百平米のスーパーが来ましたらこの近辺の市場はつぶれているわけです。こういう状態を通産省は御存じかどうか。  私はくまなく歩きまして写真を撮ってまいりました。これをちょっと見ていただきたいと思うのです。  このつぶれた方たちというのは、もちろん自分の努力が足らなかったからとか、商売のやり方を誤ったからこういう状態になったのではないのですね。スーパーが来たという、自分とは全く関係のないことでこのような悲惨な状態になっているわけです。こういうことを通産省にもうちょっとよく知っていただきたいと思いまして写真を持ってきましたので、きょうは大臣が園遊会とかで出席がなくて非常に残念ですけれども大臣にかわって、また大臣にこれを伝えて、この写真も見せていただきたいわけですけれども、責任あるまじめな回答をしていただきたいと思います。  その次に、いまのは民間が調査した問題ですが、愛知県でも調査をしております。これはこのジャスコの周辺ではありませんが、スーパーが入ってきた半径二キロ以内というところを調査しましたら、七〇・二%が売り上げが下がっているという調査結果も出ております。写真、ごらんになりましたでしょうか。――こういうことを見まして、私としては、通産省がどの程度こういう状態を知っているのか、知る努力をしているのか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
  146. 織田季明

    ○織田政府委員 お答えいたします。  私のところでも昭和四十九年度からそのような調査をやっておりますが、ただ地域が非常に限定されておりまして、四十九年度二カ所、五十年度二カ所でございまして、その調査にあらわれた結果によりますと、いま先生がおっしゃいましたほどの状況にはなってないわけでございますが、ただいまお話のありました名古屋につきましては、大変申しわけないのでございますが、そのような調査をいたしておりませんので、先生のお話の点につきまして、私の方には現在のところ資料はございません次第でございます。
  147. 田中美智子

    田中(美)委員 昭和四十九年に調査しても、四十九年三月に施行になったわけですから、それからばたばたと大スーパーが入ってきているわけですね。ですから、五十年度に二カ所やっただけではこうした状態はわからないはずです。そういう点で、私は名古屋だけとは言いません、あちこちの大都市には特にこういうものが出てきておりますので、至急調査をしていただきたいというふうに思いますけれども、やっていただけますでしょうか。
  148. 織田季明

    ○織田政府委員 五十一年度につきましてはただいまいろいろ検討しておりますが、もう少し広い範囲にわたりまして調査をし、またその調査結果に基づきまして、学識経験者と一緒になって分析をし、今後の問題も考えるようにしたいと思っております。
  149. 田中美智子

    田中(美)委員 それはいつですか。
  150. 織田季明

    ○織田政府委員 いま計画をしておりますから、少なくとも今年度中にはそういうことをやる予定でございますので、準備を早速いまから始めまして、来年の三月までには終わるようにするつもりでございます。
  151. 田中美智子

    田中(美)委員 いまごろからやるということ自体がもう遅いというふうに思うわけですけれども、大至急これをやりまして、その調査結果をきちっとして報告していただきたいというふうに思います。  次に、名古屋市の千種区というところですけれども、ここに売り場面積が二万五千八百五十五平米というスーパーができるのではないかといううわさが出ています。もう敷地が決まりまして、いま商調懇で問題になっているという時点まで来ていますが、このことは御存じでしょうか。
  152. 織田季明

    ○織田政府委員 直接の窓口は通産局になっておりますが、本省の方にも連絡がありますので、大体のことは承知しているつもりでございます。
  153. 田中美智子

    田中(美)委員 それでは、これだけの大きなスーパーは、日本のどこかにありますでしょうか。
  154. 織田季明

    ○織田政府委員 ただいまちょっと資料がございませんので、しかとは存じませんが、あってもそう多くはないのではないかというふうに考えております。
  155. 田中美智子

    田中(美)委員 何しろこれは常時六百台の自動車の駐車場があるわけですから、実際にはこれが回転いたしますので、デパートなど多いところでは十回転するということになりますと六千台です。そこまでいかなくても、三千台から五千台の自動車が常にこの前を動くわけです。ですから、商店街の問題だけでなくて、自動車公害、排気ガス、交通事故。それも、このスーパーは名古屋市にとっては郊外の方に向けていっているわけです。人口百三十万を商圏にした大きなスーパーです。名古屋市民だけが買うわけではないのです。瀬戸だとか、ずっと郊外の方からも車でやってこられるようになっているわけです。そうしますと、自動車がだあっと入ってくるわけですから、商店街がつぶされるという問題だけでなくて、自動車公害も非常に大きくなる大きなスーパーになるわけです。  そこで、いま日本で一番大きいスーパーというのは何々か、資料がないとおっしゃるならば、至急調べて、後で御報告していただきたい。二万五千八百五十五平米以上のスーパーがあるのかどうか、あるならば幾つあるのか、それをいま資料がないとおっしゃいますので、すぐ後でお調べになって私に御報告していただきたいと思いますが、いかがですか。
  156. 織田季明

    ○織田政府委員 調べた上で御報告いたします。
  157. 田中美智子

    田中(美)委員 私が聞きましたところでは、ないのではないかというふうに聞いています。ということになりますと、これは日本一の大スーパーではないか、オーバーに言えば、人によっては東洋一だ、こういうことを言う人もあるわけです。その点を、日本一の大スーパーがそういうところに来るということを、通産省は十分に頭の中にしっかりと入れていていただきたいというふうに思います。  その次に、通産省の方にも聞いていていただきたいわけですけれども、文部省の方に主にお答え願いたいというふうに思います。  いま、スーパーがどんどんふえましてから、スーパー周辺に万引きが非常にふえているという状態があちこちから報告されています。五十一年度の犯罪白書を読んでみますと、大体こういうことが書いてあります。最近窃盗が非常に多くなっているというのは、不況の影響よりも――いろいろ生活が苦しいとかそういうものではない、こう書いてあるわけですね、不況の影響よりも、スーパーなどセルフサービスの店の普及や自転車台数の増加につれて盗みの機会がふえている、こういうことが数字にも出て白書に載っているわけです。スーパーの数に比例してその周辺に万引きがふえているわけです。全国的に見ましても、犯罪白書はそうなっています。  それから、愛知県の千種警察署防犯協議会少年補導委員会というのが出しました「千種の犯罪と少年補導のあらまし」こういうものがあります。この中に町別に、万引きがどれくらいだとか、いろいろ暴行だ、傷害、恐喝だと、ずっと出ているわけです。これを見ますと、窃盗がトップで七四・一%、その手口は、スーパーなどが各所に点在しているところから万引きが圧倒的に多く、窃盗犯のうち五九%を占めております。一警察署の調べでも、スーパーの周辺にはこうした万引きが多く出ているということが書かれております。  これについて、私はスーパーの周辺の学校の先生とか父兄とか、いろいろな方に直接に当たって調べてまいりました。そうしますと、これはある小学校の二年生の担任の先生に聞いた話です。この先生が、お店屋調べの学習、こういう授業のときですが、子供たちに、目をつぶって下を向きなさい、スーパーには欲しいものがたくさん並んでいるよね、こう聞きますと、子供たちは、うん、こう言った。先生が目をつぶって下を向かせて、黙ってそこにあるものをもらってきた人は手を挙げてごらんなさい、こう言いましたら、三分の一の子供たちが手を挙げたと言っているわけです。後で、どうやってもらってきたのか、これを手紙に書いて先生にください、名前は書かなくてもいいですと言って子供たちに書かせたそうです。そうしたら、小学校二年生ですから、チョコレートなどをポケットに入れてきたというのが非常に多かったわけです。それで、先生方はこういう話を生活指導会に提出しまして、お店の仕組みというものを教えなければならないという結論を出して、これを指導していこうということで指導しているという話を聞いたわけです。私はぞっとするような思いでした。  それから、近所のお店の方やお母さんや父兄の方たちに話を聞きましたら、あるうちの子供がスーパーに入ってチョコレートをとって食べる。そうすると、レジのところに行くまで広いわけですから、お母さんが、早く食べろ、早く食べろと言う。食べてしまって、レジに行くときにはもう計算しなくていいわけですね。そこまで来ているものもある。  それからまた、子供が万引きしてつかまって、親が警察に呼び出された。そうすると親が、何だ、そんなことか、もっとひどいことをして呼び出されるのかと思ったら、何だ、万引きか、こう言って、親さえもスーパーの周りでの万引きというのは犯罪だとは思っていない。親までこのように毒されてきているということがあるわけです。  それから、もう少し子供が大きくなりますと、自転車が何千台も並んでいます、子供は自転車のボデーじゃなくて、これについているバックミラーだとか、私、よく機械の名前を知りませんけれども、いろいろなものをつけるわけですね、ボデーは親に買ってもらえるけれども、そういうものはなかなか買ってもらえない、そこで、何人組という組になってそういう自転車の付属物を盗む、こういうこともスーパーの周辺では非常に多くなっているわけです。  それから、まだ恐ろしいことには、スーパーの一番上にゲームセンターを置いているところがたくさんあります。いま、パチンコと一緒にカジノだとかというような名前でいろいろなゲームセンターが町にあふれていますが、ああいうものがスーパーの上にある。スーパーに遊びに来て、そこでチョコレートを盗み、そしてお母さんの財布からお金を盗んでこのゲームセンターで遊ぶ。子供の遊び場がないということもありまして、そういうところがそういう犯罪の場になっているということをPTAのお母さんや先生方から伺ったわけです。  それから、これは通産省の方にもよく聞いていただきたいのですが、西区のジャスコの経営者がこういうことを言っています。ジャスコが二千億円売りますと、二十億円というものは万引きでとられるのです、だから、これは必要経費なんだ、社会が悪いからそうなっているのであって、どこのお店にでもこういうことがあるのでしょう、だから、会社としてはこれは必要経費なんだという形で、この二十億円はそういう考えでいるわけです。一体、この二十億円は会社にとっては必要経費かもしれません。しかし、これによって日本の子供や大人たちまでがどんなに毒されるかということ、これについては文部省としてはどうお考えになりますか、御見解を聞かせていただきたいと思います。
  158. 白井實

    ○白井説明員 児童や生徒がそういった万引き等のことで毒されますことは、非常に不幸なことでございます。文部省といたしましては、そういったことはいわゆる生徒指導の観点から指導してまいっておるわけでございまして、児童生徒相互間の人間関係あるいは教師と児童生徒相互の人間関係の育成というようなことを考え、また教師に対しましては、警察御当局もそういった万引き対策等についてはいろいろと積極的な施策を講じられておるわけでございますので、そういった協力体制に十分協力していくようにということを伝えておるわけでございます。  なお、そういったことに対応できるように、施策といたしまして生徒指導主事の講座とか、あるいは生徒指導の研究推進校の指定、あるいは直接的に生徒に当たりますときの対応のいわゆる実技的なことでございますが、カウンセリング実技指導講座というようなことを設けまして、教師の専門的な知識の育成をしております。
  159. 田中美智子

    田中(美)委員 ちょっとふざけないでくださいよ。そんなことは決まっていることじゃないですか。それで文部省はできると思っているのですか。この写真を見ていただきたいと思うのです。子供がスーパーのものを勝手に、こんなに小さい子供がとっている。こんなところまでどうして学校の先生が、どれだけできるのですか。文部省は本気でできると思っているのですか。カウンセリング制度をつくるということも、ほんの一部です。これをどうやって防ぐかということを私は聞いているのです。何も文部省の全体の子供の補導の問題をどうするかと私は聞いているのではありません。  いま私がここで長々と話したことを、文部省の方はまじめに聞いていらっしゃるのですか。私が言っているのは、スーパーのこういう売り方、万引きを必要経費にまでしている売り方が犯罪をつくっているのをどうしているか、文部省聞かせてほしいと言っているのですよ。文部省全体の少年犯罪についてどうするかということを聞いているのではありません。この写真を見てください。これは四つか五つの子じゃないでしょうか、勝手にこうやって物がとれるのです。万引きなんという意識なしにやっているのです。  それから、これを見てください。みんなこれは私が撮ってきた写真です。これはお店の中の通路ですが、この真ん中に百円のチョコレート、それも紙に包んでいない、透き通った袋に入っているわけです。ですから、だれが見ても一目でチョコレートと見えるのです。そして、大人がとるためには、こういうふうに体を曲げなければ低いですからとれないのです。満一歳になってよちよちとおしめをしながら歩く子供がこれをとれるのです。これを必要経費――これで人集めをしているのじゃないか、お母さんたちはそう言っていますよ。ですから、この前を通るときに子供をどうしようか、スーパーに入るときには子供を保育所に預けていきたい、そういう保育所が欲しい。ここでこれをとってしまうわけですね。親が知らなければ黙ってとって食べているわけですね。こういう状態を文部省はどうするのかと言っているのです。  おわかりにならないのなら、通産省に文部省がこれを勧告したらどうですか、こういう商業は通産省の方で何とかしてもらえないか。別の国じゃないでしょう、通産省と文部省は。同じ日本の国の同じ政府じゃないですか。その中でこういう状態を無視しておいて、そしてカウンセリングだとか、やれ学校の先生を指導するだとか、そんなことをやってどうしてできますか。文部大臣が五〇%の子供が学校についていけないと平気で言っているような日本の教育のあり方です。私はいまそれをとやかく言おうとはしていません。そういう中でどうしてこれを学校の先生の責任にできますか。この写真を見ていただきたいと思います。子供たちをこんな環境の中に置いているというこのスーパーの営業のやり方というものは、日本の将来にとって憂うべき問題になります。これを野放しにしている通産省は、まだ調査もしていない、こういう問題に対して私は強い怒りを感ずるわけですけれども、文部省、もう一度お答え願いたいと思います。
  160. 白井實

    ○白井説明員 スーパーの指導そのものは通産省のおやりになっていることでございますので、われわれの方は特にそれについてとかく申し上げる筋のものはございません。文部省の方は、そういったことを未然に防止するという観点で児童生徒を指導していかなければいかぬということで申し上げたわけでございます。
  161. 田中美智子

    田中(美)委員 全く文部省はわかっていないのですね。あなたのような政府委員がいるから、日本はよくならないのですよ。とかく申し上げる必要はないと。あなたの子供が万引きをしたらどうなるのですか。あなただって子の親じゃないですか。とかく申し上げる筋合いはないと言って済ませることではないでしょう。通産省に対して、文部省として教育上困るという中での話し合いさえもできないという文部省では、もうあなたにお話を伺っても仕方がないと思います。最低の人物だと思います。  次に質問させていただきます。  小売商業調整特別措置法というのがありますが、生鮮産品を含む十店舗以上が一つの建物の中に入ったときには知事の許可が要るというふうに聞いておりますが、そのとおりでしょうか。
  162. 岸薫夫

    ○岸政府委員 お答え申し上げます。  貸付条件その他政令指定の問題がございますが、都道府県知事がこれをやるということは先生御指摘のとおりでございます。
  163. 田中美智子

    田中(美)委員 そうすると、いま申しました汁谷というところに来ます東洋一と言われているスーパーですが、その中に五十店舗、店舗が入るわけです。ユニーを入れますと五十一店舗入りますね。そういうものができるときには知事の許可が要るわけですね。
  164. 岸薫夫

    ○岸政府委員 お答え申し上げます。  いまお答え申し上げましたように、小売商業調整特別措置法におきましては、小売市場の相互間並びに小売市場と周辺小売商の過度な競争を防ぐという趣旨でございまして、その小売市場にテナントとして入居する小売商が小売市場の家主から不当に高いテナント料等を徴収されることを防止するために、名古屋等政令で指定する地域におきましては、一つの建物であって、野菜または生鮮魚介類の販売を含む十以上の小売商の店舗の用に供するものについて、その建物の全部または一部を小売商に貸し付けたりあるいは譲渡する場合は都道府県知事の許可が必要となっておるということでございます。
  165. 田中美智子

    田中(美)委員 汁谷のスーパーはそういう五十店舗入った場合ですが、五十店舗入った場合には許可が要るわけですね。
  166. 岸薫夫

    ○岸政府委員 適用いたします。
  167. 田中美智子

    田中(美)委員 わかりました。  その次は、このスーパーの場合、先ほども言いましたように、郊外型というふうに言われているわけですけれども、商圏が百三十万、千種区という名古屋の真ん中にあるようですけれども、これがずっと外へ行くわけです。守山というのは後から名古屋にくっついたところです。それから瀬戸というところから主にずっと来るわけですね。そうしますと、名古屋の真ん中にあります名古屋商工会議所の中にあります商調協で、スーパーの進出が果たして商店街をつぶしたり市民にとってよくないものであるかどうか、こういう話し合いをするわけですが、そのときに守山と瀬戸はその中に入っていないわけですね。こういう場合はどうなるわけですか。
  168. 織田季明

    ○織田政府委員 お話のありましたように、商調協は都市単位で商工会議所あるいは商工会に設けられてありますが、商圏の範囲、あるいはスーパー、百貨店の影響する範囲はその都市に限らない場合がございますので、そういう場合は意見を述べたいということを申し出れば意見を述べる機会を与えるようにしてあります。
  169. 田中美智子

    田中(美)委員 意見を述べることができる。そうすると、守山の商調協や瀬戸の商調協は、名古屋商工会議所の中にある商調協に意見を述べることができるわけですね。  それから、意見を求めることはできるのでしょうか。
  170. 織田季明

    ○織田政府委員 意見のある者は意見を述べることができるということでございますから、意見があります旨を商工会議所または商調協の方に連絡をすれば、出席をして意見を述べるようにという連絡があるということになろうかと思います。
  171. 田中美智子

    田中(美)委員 そうすると、名古屋の商調協の会合に守山や瀬戸の商調協の委員が出席をして、そこで意見を述べる、そしてみんなの意見を聞くということはできるわけですか。
  172. 織田季明

    ○織田政府委員 商調協の場で意見を述べることができるということでございます。
  173. 田中美智子

    田中(美)委員 会合の場でですか。
  174. 織田季明

    ○織田政府委員 そうでございます。
  175. 田中美智子

    田中(美)委員 わかりました。  その次です。この商調協に対して市民は期待をしているわけですね。しかし、残念ながら名古屋市の商調協にはいま業者や市民の皆さんからの不信感がごうごうと巻き起こっています。それは、この間の私の意見書、五月でしたかの意見書でも通産省の方は大体のことは御存じだと思います。  それはなぜかといいますと、この商調協の委員の一人、これは名古屋市商店街振興組合連合会理事長という人で、商店街の人ですが、この人が、商店街振興資金をつくるためにユニーやダイエーというところから千二百万円のお金をもらったわけですね。これが、商調協の委員がもらうとは何事だということで大変問題になりまして、このお金が非常に不明だということになったものですから、現在これを公的な金にするのだということで何かやっている。通産省もそれは認めているのだというような話を聞いているわけですね。  これに対して、「中部財界」という雑誌があります、この雑誌の一部分ですけれども、こんなことが書いてあります。「敵スーパーの「塩」に一般小売店のカンカンガクガク」「名商連内ゲバ事件の内実とコトの本質」というような形で出ている。こうした商調協の委員がスーパーから金をもらって、これが私的なものであるのか、公的なものであるのか、中間的なものであるのか、一部分の人のグループのものであるのか、あいまいな金があるということで、このように書いています。「商調協の委員には、デパートやスーパーなど大手小売業者や特殊な利害関係のあるものを選んではいけないことになっている」。とすると、これは山本勝一さんという人ですけれども、山本勝一氏の場合は完全にこれに抵触する、こういうふうに書いています。  それからまた、ことしの五月十二日の朝日新聞の夕刊でも、「この基金に多少でも公的な性格を持たせようと苦慮している。」ということが書かれているのです。こうした不信感が持たれている商調協、こういうものに対して、市民の感情とすれば、金を贈ったユニーの会長の高木久徳さんが商調協の委員になっているわけです、この商店街の山本勝一氏が委員になっているわけです、金を贈った方の人ともらった方の人が同じテーブルについて、さてこのユニーの進出はいいか悪いかということを決めるという、これで正しい結論が出ないということはだれが考えても疑いの余地のないところだというふうに思います。  国民の、市民の不信を解くために、通産省はこれをどう解明するか、私は解明していただきたい。そのためにも、この汁谷のユニーの進出に対して、社会的な責任があるわけですから、商調協にかける前にユニーに対して、こんな大きなスーパー、弊害のあるスーパーを持ってくることについて通産省に指導をしていただきたいということと、それから商調協の委員のあり方についてもう一度よく検討していただきたいというふうに思うわけですが、簡潔に、明快にお答えしていただきたいと思います。
  176. 織田季明

    ○織田政府委員 二つ御質問があったかと思いますが、前の指導の問題につきましては、三条の届け出が現在出ている段階でございまして、先ほど先生もお話がありましたように、事前商調協といいますか、懇談会をやりましていろいろ調整をしている段階でございますが、私の方といたしましては、地元ととことん話すことが先決問題だということで、いまそういう面からいろいろ指導をしております。  第二番目の問題でございますが、お金の性質がどういう性質かということにつきまして、私の方が承知している限りでは、財団法人をつくりまして当該地区の商店街の近代化に役立つような有志の基金にするということで受け取ったというふうに承知しております。そういうことでございますと、まあ地元の商店街と進出大型店舗との共存共栄という関係から考えてそういうことをしたのかというふうな考え方もできるわけでございますが、先生のおっしゃるような私的なお金であるということでございましたら、これはゆゆしい話でもございますし、商調協の委員選出の問題にも触れてまいりますが、私の方が調べた限りでは、いまお話のありました利害関係のある者という感覚ではなくて、商店街の近代化を図っていく過程における出来事の一つというふうに考え、当該委員が不適格とかあるいは不適当な形で選出されたというふうには考えていない次第でございます。
  177. 田中美智子

    田中(美)委員 私は、何もこの人が適格か適格でないか、これはよくわかりません、調べていませんから。だからおたくに頼んでいるわけです。朝日新聞などでも、「名商連 高まる山本氏批判」という題まで出しているわけです。ですから、こういうことで国民が不信感を持っているわけです。私は、これは私的なものであるかどうかわかりません。しかし、いま公的なものにすると言っているけれども、まだなってないわけですね。ですから、これはあなたはそういうふうに大丈夫だと思うとおっしゃるのですけれども、もし大丈夫でなかったらどうするのか、そのときは織田さん、責任をとっていただけますね。
  178. 織田季明

    ○織田政府委員 私の方で調べた限りではいま申し上げましたようなことでございますが、なお調べてみたいという気持ちは持っております。責任の問題は、責任をとるべきときにはいつでもとる気持ちでおります。
  179. 田中美智子

    田中(美)委員 みたいと思うじゃなくて、これは厳重に監視し、厳重に調べていただきたいというふうに思います。それを要求いたします。  それから、ユニーに対する問題ですけれども、地元ととことん話すといまおっしゃいましたが、地元というのはだれですか。
  180. 織田季明

    ○織田政府委員 私の方がいつも受ける問題の地元という場合は、影響のある地元の小売商店、中小商業者を主に考えておる次第でございます。
  181. 田中美智子

    田中(美)委員 その地元ととことん話す保証がどの程度ありますか。
  182. 織田季明

    ○織田政府委員 保証という言葉がどういう意味かよくわかりませんが、私の方といたしましては、話をするように指導しているわけでございます。
  183. 田中美智子

    田中(美)委員 実は西区のジャスコの売り場面積を広げるときに、商店街の百何軒のうち七十何軒、約八十軒、七〇%以上が反対をしたのです。それをこの山本勝一さんという人が完全に握りつぶして商調協に出さなかった、こういう事実さえあるのです。こういうことがありますので、どうして地元ととことん話すことができるかという心配をしているわけです。ですから、今度の汁谷の場合、地元ととことん話すように、こういう御指導を通産省としてぜひやっていただきたいと思います。もう一度はっきりとお答え願いたい。
  184. 織田季明

    ○織田政府委員 地元と話をする指導はいたしますが、ただ、いまお話のありました、山本さんが、七〇%の反対で、にもかかわらずというような話につきましては、私の方は承知しておりませんし、そういうことでございましたら会長としてどうかというような話にもなろうかと思いますが、私の方としては承知していない問題でございます。
  185. 田中美智子

    田中(美)委員 私のいま言っておりますのは、西区のジャスコのときに、商店街の人たちが、自分たちが署名を集めたのに、これだけたくさんの反対を無視された、こういうふうに言っているわけです。ですから、私はいまこれをどうしてくれとあなたに言っているのじゃないのです。こういうことが過去にもあったようだから、今度のユニーの汁谷への進出というものがないように地元ととことん話し合ってほしい、こういうふうに言っているわけです。
  186. 織田季明

    ○織田政府委員 地元ととことん話すように指導してまいりたいと思います。
  187. 田中美智子

    田中(美)委員 次に、農林省の方に聞きたいのですが、いま総合食料品小売センター設置補助というのを農林省でやっておられるようですけれども、物価も非常に上がってきていますし、いまるる述べましたようにスーパーによって商店街が脅かされておるわけです。それで、公設市場、民営市場というのが非常に脅かされておりますので、まずこの補助金の率を上げていただきたいということと、限度額が一番大きいところで五千二百万円ということになっていますと、物価も上がっておりますので、どうしてもこれでは実情には合わないのではないか、だから、補助金というものを実勢価格の何%というふうにしていただきたいと思いますが、この点いかがでしょうか。
  188. 堤恒雄

    ○堤説明員 お答えいたします。  食料品の小売センターに対する助成につきましては、五十一年度の予算につきましては定額補助でやっておりますものですから、いま先生の御指摘のような実情があるわけでございますので、適用の基準面積を引き下げるというかっこうでその矛盾をいささか緩和したわけでございます。  それから、基本的にはそれでは解決されませんので、五十二年度予算、来年度予算については目下大蔵省に、定率補助、実勢価格の何分の一というふうなことで助成してほしいということで要求中でございます。
  189. 田中美智子

    田中(美)委員 パーセントを上げる予定はありませんか。
  190. 堤恒雄

    ○堤説明員 一応いまのところ三分の一補助でいきたいということで考えております。
  191. 田中美智子

    田中(美)委員 実勢価格は必ず成功させていただきたいと思います。パーセントも上げる努力をしていただきたい、これを要求します。前の年には二億六千七百万円ですか、お金を余しているということですので、やはりPRも足らないのではないかということも考えられますし、また補助金が少ないために借りてもしようがないということもあるのだと思いますので、ぜひやっていただきたいというふうに思います。  いまの点ですけれども、私が不思議に思いますのは農林省がやっていること、どうして通産省がやらないのか。こういうことをむしろ通産省が主になってやっていただきたいというふうに思うわけですけれども、通産省の御意見を聞かしていただきたい。
  192. 岸薫夫

    ○岸政府委員 お答えいたします。  中小企業庁といたしましては、確かに先生御案内のとおり、中小小売商業の近代化、合理化のためには、金融診断指導その他いろいろなことを従来やっておりまして、私どもといたしましては、それなりに実績がかなり上がっておる、こういうふうに考えております。
  193. 田中美智子

    田中(美)委員 実績が上がっている、こう言うのですが、これは融資の問題です。補助金は一銭もやってないじゃないですか。補助金は何もなしで融資が上がるはずはないというふうに思いますけれども、この点はぜひ通産省が補助金制度というものをつくっていただきたい、これを要請しますが、その点、一言だけお答え願いたい、時間がありませんので。
  194. 岸薫夫

    ○岸政府委員 補助金につきましても、上司と相談いたしたいと思います。
  195. 田中美智子

    田中(美)委員 きょうは大臣がいなくても、上司に相談するという答えはしないという約束を取りつけてあるはずです。そういういいかげんな答えをしないでください。
  196. 岸薫夫

    ○岸政府委員 補助金につきましては、いまのところ各種金融助成制度がございますので、いまのところは考えておらないというのが実情でございます。
  197. 田中美智子

    田中(美)委員 ぜひこれは考えて、検討していただきたいと思いますが、検討はできますでしょうか。
  198. 岸薫夫

    ○岸政府委員 来年度は一応もう予算の請求が決まっておりますので、その後においてあるいは考えるかということでございます。
  199. 田中美智子

    田中(美)委員 ぜひ考えていただきたいと思います。  最後に、家庭用の灯油について簡潔に答えていただきたいと思うのですが、五十年十二月の参考価格、A重油が現行五十一年の九月では幾ら上がっているか、軽油が幾ら上がっているか、C重油が幾ら上がっているか、灯油が幾ら上がっているか、この数字だけお答え願いたい。
  200. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 ただいま御指摘になりました品種のうち、A重油が、昨年の十二月の元売の仕切り価格三万一千八百円が現在価格で三万一千六百円でございますから、元売価格では二百円ほど下がっております。家庭用灯油は三万六百円でございますが、現在三万二千六百円、約二千円上がっております。軽油は三万二千三百円が三万二千九百円、約六百円の上昇でございます。
  201. 田中美智子

    田中(美)委員 そうしますと、A重油は下がっている、軽油は六百円上がっている。どうして家庭用だけが二千円も上がるのですか。なぜ家庭用だけをこんなに上げたのですか。
  202. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 家庭用灯油につきましては、通常原則といたしまして、工業用灯油、軽油、A重油、これは中間留分と言っておりますが、これの価格とのバランスを維持するように指導しておるわけでございます。と申しますのは、いま申し上げた中間留分の中で灯油が品質といたしましては一等いいわけでございますが、これがむしろそういった他の中間留分よりも安いということになりますと需要の転換が行われまして、いままで軽油とかA重油を使っている人たちが灯油を使うことになり、需給が混乱して供給不足を来すおそれがあるということで、原則としてはそういった中間留分との価格バランスを維持しているわけでございますが、ただ冬場、特に需要期におきまして、家庭用灯油が大幅に値上がりするということになりますと、家庭生活に影響を及ぼすということからいたしまして、そういった場合には抑制的な指導をいたしているわけでございます。  ただいま先生御指摘の昨年の十二月というのは、OPECの値上げの後を受けまして、標準額をナフサ、ガソリン、C重油等について設定したわけでございます。その時点で計算いたしますと、御指摘の灯油についても相当大幅の値上がりが予測される、そういう試算数値が出てまいったわけでございますが、ただいま申し上げましたような冬場需要期のさなかにおいて二千円も三千円も上がることは適当でないということで抑えてきたわけでございます。(田中(美)委員「わかっていますので、簡潔にお願いします」と呼ぶ)そこがちょっとポイントでございますので。申しわけございません。  そして、この六月になりまして、いつまでもさように凍結しておきますと、むしろ灯油の供給が不足してくるおそれがございまして、六月以降通常の原則的な指導方針に戻しておる。その結果、他の中間留分に対して後追い的に値段が戻ってきた、こういうふうにわれわれは認識いたしております。
  203. 田中美智子

    田中(美)委員 その点はよくわかっています。わかっているからこそ――石油というのは米と同じです。ですから、もうかるところだけをつくっていけばそうなるのはあたりまえです。灯油が安くなれば、重油の方がどんどんそっちへ流れていって灯油が不足する、あなたはこうおっしゃっている。石油はダイヤモンドやミンクのコートとは違うわけです。だから、これには行政指導が要るわけです。そうしなければ、北海道や東北の人たちはいま石油をたいているのです、これをどんどん上げられてはそれこそたまったものではない。  きょう私が言いたいのは、十月十八日に部長通達が出ています。六月に凍結を取って自由価格制にした、そしてバランスを堅持するという形で、いまおっしゃった行政指導をしていたものを外したわけですね。ですからこれが大幅に上がったわけじゃないですか。行政指導がもともと要るものを外しておいて、そうしてばあっと上がったところで、さんざん上げさせたところでこういう通達を出して、はい、そこでストップ、もうこれより上げてはいけません、こういう言い方。さんざん上げさせて、ストップ、そして通産省はストップしているのだ、こういうポーズは、基本的に石油が国民生活にどれだけかかわり合う大切なものであるかということを全く無視したやり方です。これは米と同じです。まさに水と同じです。ですから、これは行政指導が絶対要るので、私は六月一日の時点に戻してほしい。  十月十三日の共産党の野間議員の質問の中身を見てみますと、大臣が下げる方向に持っていきたいということを言っています。それはいつなんでしょうか。
  204. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 先ほど来おっしゃっていますように、私たちとしても非常に重要な家庭用灯油であるということで指導しているわけです。ただ、御理解いただきたいのは、価格も安定的に指導する必要がございますが、まさに米だとか水に匹敵するものでございますから、量の確保もしなくちゃいけないということでございます。としますと、必要以上と申しますか、他の中間留分より安いとそちらの方に需要がとられてしまう、あるいはその生産が不足ぎみになるということもございますので、量と価格両面から安定的に供給しなくちゃいけないという立場で日夜指導しておる、こういうことでございまして、決してわれわれとしては軽く考えているわけではございませんので、その点は御理解いただきたいと思います。  それから、大臣がお答えいたしました価格引き下げにつきましても、検討はいたしております。ただ、先生も御承知のように、為替レートというのは非常に不安定なもので、現に一昨年八百億以上の為替差損が出ております。昨年も二百億の差損が出ておる。あるいはこの十二月にOPECで原油価格が値上がりするのではないかといった不安定要素もございます。かたがた冬場に向かえば向かうほど量的確保も必要である。そういった情勢を総合判断して、現在まだ検討を続けておるということでございます。
  205. 田中美智子

    田中(美)委員 石油会社の重役のようなことをおっしゃらないでくださいよ。円高によって大分もうかっているじゃないですか。これは私、日生協の調査をいただいてきたわけですけれども、この調査によりましても、五百六十六億というものがもうかっているじゃないですか。そして、これから上がるかもしれない――上がるかもしれないからといって、上がりもしないうちから、さんざんもうかった分はそのままにしておいて、そして値下げをしないということはおかしいと思うのです。そういう石油会社の重役のような言葉をお使いにならないで、石油というのは米と同じなんです。だから、米だって食管法があるわけで、こうして行政指導をしているわけです。それで、そのために農民はいろいろお米がないときにでも苦しめられているわけです。そういう点で石油というのは、石油会社はこれだけもうかっているのです。ですから量確保、量確保とおっしゃいますけれども、きちっとした行政指導をすれば、国がちゃんと関与をすれば量は確保できるはずじゃないですか。そのための国でしょう。国民の命と財産を守れないような国というのは国ではないはずですよ。  いま北海道や東北では冷害で食べる米もないという苦しみの中で、たく石油もない。これが非常に高くて絶対下がらない、やみカルテルの疑いさえある、それさえもほうってあるという状態では、国民を本当に殺してしまうのか、私はこう言いたい。この通達は、まさに通産省が石油の値上げを後から追認したということだと思いますので、もう時間がありませんから、六月一日の時点に戻すということを強く要求して、質問を終わりたいと思います。
  206. 綿貫民輔

    ○綿貫委員長代理 松尾信人君。
  207. 松尾信人

    ○松尾委員 これは先ほど大臣にも質問したのでありますけれども、大型プラントの輸出の問題であります。四-九月で承認額が三十五億ドル、それから内諾を与えたもの十億ドル、計四十五億ドルというのが大体実績に連なってまいるわけでありますけれども、これはかなり目標に遠い数字であろうと思うのですが、私がいま言っていることが正しいかどうか、それから今後の見通しはどうか、年間百二十億ドルという目標でありますけれども、その達成が可能であるかどうか、どのようにして今後目標を達成していこうとするのかということについて最初に伺っておきます。
  208. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 ただいま松尾先生から御指摘のございましたプラント輸出、今年の上期の数字輸出承認ベースで三十五億ドルございました。このほか、いわゆる内諾ベースと称するものが十億ドルございまして、合計四十五億ドルということでございます。  そこで、昨年の実績と対応いたしてみますと、昨年のちょうど同じ時期が約十八億ドルでございまして、年間が五十二億ドルございました。本来プラント輸出の場合は上期より下期の方に成約が集中する傾向がございまして、いま申し上げましたように昨年もそういう状態であったわけでございまして、先ほど先生の御指摘のございました四十五億ドルという数字を昨年と対比いたしてみますと、約二倍ぐらいのペースで進んでおるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、五十年度が五十二億ドルでございますので、いまのテンポは必ずしも私どもは低いというふうには考えてないわけでございます。四十五億ドルはまあまあの成績ではないか。下期により多くのプラントが成約される、輸出が承認される、こういうふうに期待しておるわけでございます。  それから、今後の見通し、いま申し上げたことと関連があるわけでございますが、先生御指摘のとおり、百二十億ドルという目標を立てておるわけでございまして、この上期のペースから見ますと確かに低いようなお気持ちをお抱きになるという感じはいたしますけれども、先ほど来るる申し上げておりますように、下期の方に集中するという傾向がございますので、私どもはある程度この百二十億ドルが達成できるという見通しを持っておりまして、もちろん政府ベースでも大いに促進をしてまいりたいと思いますし、またプラント輸出を担当しております民間の企業の方々にも一層の努力期待しておる、こういう次第でございます。
  209. 松尾信人

    ○松尾委員 この鉱工業の生産でございますけれども、八-十月通じまして連続して落ち込んでおる、稼働率の指数も相変わらずやはり悪い、こういうことでありますが、この鉱工業関係企業の収益状況は、大まかに言っていかがですか。
  210. 濃野滋

    ○濃野政府委員 お答え申し上げます。  企業の収益状況の御質問でございますが、私ども今回、十月十日現在で二十業種ばかりを拾いまして現在の実態調査をいたしました。その中で、企業収益の動向一つの項目として調査をいたしました。生産が、先ほど大臣の御答弁にもございましたように、あるいはいまの御指摘にもございましたように、八月から九、十と若干落ち込みを示しておりまして、今回の調査におきましても、そういう数字が示しておりますと同じように、実態は大変気迷いと申しますか、中だるみと申しますか、そういう声が各企業から出てまいりました。  ただ、その中で、企業収益は徐々に回復基調にございます。もちろんまだ収益の回復が不十分なところもございますが、全体としては回復基調にございます。ただ、それはこの不況の中で、各企業が主として余剰労働力、補充をしないというようなこと、あるいは経費の節減という、いわばぜい肉を取るというかっこうで、やっと企業収益面での好転が見られた。もう一つは、御案内のようにことし価格面での新しい調整がそれぞれの分野で進んでおります。この二つをあわせまして、企業収益が好転の動きを見せております。もっとも、これまた水準は非常に低い水準でございまして、この前の四十六年度の不況の一番底のところの水準にもまだ及ばないという、こういう感じでございます。
  211. 松尾信人

    ○松尾委員 この個人消費の伸びでございますけれども、これがなかなか進まない、こういうことが現状でありますが、今後の個人消費というものをどのように見通していらっしゃいますか。
  212. 青木慎三

    ○青木(慎)政府委員 個人消費関係の指標は、勤労者家計調査、あるいはことしの夏のボーナスが低い水準であったというようなことがございまして、指標としては弱い指標が若干ございますけれども、年度を通じて見ますと、雇用者所得そのものは後半やや盛り上がりを示すので、大体私どもの想定した数字になるのではないかというふうに考えております。したがいまして、いますぐここで何か特に刺激を必要とするというふうにただいま現在は考えておりませんけれども、いま申しましたように弱い数字もございますので、今後そういう指数あるいは数字の動きを追って注目して見てまいりたいというふうに考えておるのが現在の態度でございます。
  213. 松尾信人

    ○松尾委員 それに関連するわけでございますけれども、年末のボーナスにどのくらい期待をかけていいかということでありますが、どうも企業収益関係からもそう大きく期待できぬのじゃないか。そうしますと、現在このような中だるみで消費が伸びない、そして年末ボーナスの期待も大してできないとすれば、当面この消費刺激というものが何によってなされていくか、年末に向けてどこにどういうふうなことをやればこの個人消費が伸びるか、こういう点について私の質問を通じてお答え願いながら、そういう見通しもあわせてお知らせ願いたいのであります。
  214. 青木慎三

    ○青木(慎)政府委員 年末のボーナスがどれくらいになるかというのは、いまから見定めるのは非常にむずかしい問題でございますが、昨年の水準が非常に低いものでございますので、昨年に比べました場合に、企業収益その他から言いまして本年度の方が若干の伸びを示すのではないかというのが大方の予測のようでございます。もちろん、企業収益の水準が非常に低いからそう伸びないのじゃないかという予測も一方でございますが、大多数の人は、去年の水準に比べればやや伸びるのじゃないかというような予測をしておるようでございます。したがいまして、雇用者所得というものは、今後景気が基調的には上昇していくものと思われますので、そういうものも含めて考えますと、ほぼ私どもが予想したような数字までは行くのではないかというふうに現在では考えております。  それも、先ほど申し上げましたようにいろいろ指標がございますので、今後ずっと経済の動きを追ってまいらなければならないという点ではそう考えておりますが、ただいま現在のところ、それほど消費が落ち込んで、それが景気の足を引っ張るということになるであろうとは予想してないわけでございます。
  215. 松尾信人

    ○松尾委員 引っ張ったら大変で、少しでも前向きにふえていくというような方向でなくては景気が脱出できないわけでありますが、どうもいまのところで個人消費というものが伸び悩んでおる。伸ばす方法は何か。いろいろ鉱工業生産等から見ても大した業績の好転はない。企業の収支の点から言うても余りもうかっていないようであるし、そういうところから出てくる年末ボーナスというものも結局は大きく期待できない。そうしてどんどん物価が上がる、賃金収入はある程度あってもそれ以上に上がっているとすれば、家計は毎月毎月実質上の赤字になる、こういうことが根本にあるわけですから、どうしてもこれでひとつばんと景気を変えていくとすれば、消費者の消費というものを何か刺激していくような考え方、プランというようなものは全然お持ち合わせないのですか。
  216. 青木慎三

    ○青木(慎)政府委員 消費そのものをじかに刺激するということは、現在の段階では考えておりません。ただ、景気全体が非常に中だるみが長く続くようですと、経済そのものを刺激してそれが勤労者の家庭の収益をふやし、それが消費をふやしていくという方向考える必要があるかどうかという点は今後の問題でございますけれども、いましばらく指標の動きを追いまして、必要があれば景気対策全般としてとるべきものだというふうに考えております。
  217. 松尾信人

    ○松尾委員 これで最後にいたしますけれども、先ほど通産大臣は、景気対策の第二段階といたしまして所得税減税、物価調整の減税の関係も含めましてのことでございますけれども、そういうことが必要であろう、これは当然そういう基本的なことをやらないとなかなか消費者の方に購買力というものがつきにくいのですね。これはあなたの方もいろいろ研究もされ、勉強もされていると思いますけれども、きょうは長官がいろいろの都合で御出席できないということでありますから、経済企画庁としての基本的な考え方だけを私はあなたに聞いておくわけでありますが、そういう面において、何としても十二月までにはそのような第二段階景気刺激策も関係方面と話し合いをつけてめどをつけたいというのが通産大臣答えでありました。そこで、経済企画庁としてはどのようにお考えですか。
  218. 青木慎三

    ○青木(慎)政府委員 景気対策として所得税減税を行うべきかどうかという点につきまして、私どもの方の見解は、現在のように財政欠陥が生じ、赤字国債を出さなければならないというような経済状況におきましては、もし景気のためだけを考えるならば、同じ金額であるならば所得税減税をやりますよりも公共事業をふやす方が、雇用をふやし景気全体の方を上げていくという波及効果がございますので、効果があるというのが現在の定説であると思います。ただ、国民生活を充実させる、あるいは消費そのものが非常に落ち込んだ場合にどうするかというような問題になりますと、景気全体に対する対策というよりは、別個の見地でそういう税制が必要であることもあり得るというふうに考えております。  長官がよその委員会で御答弁なさっておりますのはそういうことでございまして、所得税減税、一般減税でするということは現在の財政状況では考えられないけれども、財政状況が許すならば、部分的な手直しと申しますか、特別な調整的な減税ということは考慮に値するというような御答弁になっておりますので、私どもも同じように考えております。
  219. 松尾信人

    ○松尾委員 いまの議論は前々から承っているわけでありますけれども、やはりGNPの五〇%以上を占める個人消費の問題ですね。片や公共投資、片や個人消費、これは兼ね合いの問題でありますけれども、非常にいま差し迫ってどうかといえば、公共投資はことし上半期で六十何%発注されているわけであります。今回なお残りを早急にやるという姿勢はあるわけでありますけれども、これをなお百何十%という考え方はないわけでありましょうから、これは当然おやりなさるべきであるわけであります。同じ公共投資でも、これは大衆の幸せにつながるものと大企業に偏るものとございますから、われわれは、公共投資の内容を厳選してやりなさい、これがかねがねの主張であります。そこで、いまどうしても家計の中から余り買うことができないで個人消費というものが伸び悩んでおる、これが景気停滞の主因である、この辺のところが指摘されておるわけでありますから、ひとつ観点は一切の所得減税でなくて、せめて物価調整という減税をして、そして少しでも個人消費を刺激していくという方向をしっかりとってもらいたいというのが一つ。  それから、住宅建設のための公庫の融資の枠の増大がございますけれども、これも経済企画庁としてどのようにお考えになっておるのか、両方あわせて簡単にお答え願いたいと思います。
  220. 青木慎三

    ○青木(慎)政府委員 個人消費の刺激につきましては先ほど御答弁したとおりでございますが、住宅につきましては、経済状況いかんによってはある程度の積み増しということも考えられないことはないと思います。それも今後の経済の動き、あるいは住宅の財政投融資といたしましても財政投融資の財源というものが要りますので、そちらの方との兼ね合い等がございます。今後の成り行き次第、経済動向次第によっては、私どももそういうことを考えなければならぬ時期が来るかもしれないというふうに考えております。いずれにしましても、ただいまそういうことを考えておるというよりも、今後の経済の動き次第で今後検討していくべき問題だというふうに考えております。
  221. 松尾信人

    ○松尾委員 景気中だるみをどのようにして是正していこうか、このようなことが共通的な悩み、問題と思うのでありますけれども、どうも通産大臣考え方、そしてきょう述べられたような答え、それとあなたのきょうここでの考え方とその答えというものと、同じ経済関係として相当食い違いがあると私は思うのです。基本的な認識の相違もあります。ですから、いま何が大切かということでございますから、何とかして金を持ち寄って、そして同じ経済関係の省庁として同じ気持ちになって景気を伸ばしていこう、その中でも個人消費というものがいま非常に問題になっておるからこういう点にも力を合わせていこう、このように少し方向転換をしてもらわなければなりません。  これは福田さんと通産大臣がおれば相当ひょんな議論がここで交わされるようになっていくのではないかと思いますが、これ以上のことは申し上げてもしようがありませんので、それはひとつ見解の相違等でなくて、がっちりあなたの方の事務当局は通産省の方とよくお話しし合って、だんだんとそういう間隔を狭めて、同じ立場で景気対策というものを進めてもらいたい、これを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  222. 綿貫民輔

    ○綿貫委員長代理 次回は、来る十一月二日火曜日午後一時理事会、午後一時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時八分散会