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1976-10-20 第78回国会 衆議院 商工委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月二十日(水曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 稻村佐近四郎君    理事 近藤 鉄雄君 理事 松永  光君    理事 武藤 嘉文君 理事 綿貫 民輔君    理事 上坂  昇君 理事 佐野  進君    理事 神崎 敏雄君       小川 平二君    越智 通雄君       奧田 敬和君    粕谷  茂君       志賀  節君    塩川正十郎君       塩崎  潤君    塩谷 一夫君       田中 榮一君    八田 貞義君       林  義郎君    深谷 隆司君       藤井 勝志君    三塚  博君       宮崎 茂一君    森  美秀君       森下 元晴君    板川 正吾君       加藤 清政君    加藤 清二君       勝澤 芳雄君    竹村 幸雄君       中村 重光君    野間 友一君       米原  昶君    近江巳記夫君       松尾 信人君    玉置 一徳君       宮田 早苗君    小林 正巳君       西岡 武夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     澤田  悌君         公正取引委員会         事務局経済部長 吉野 秀雄君         通商産業大臣官         房長      宮本 四郎君         資源エネルギー         庁長官     橋本 利一君         資源エネルギー         庁石油部長   古田 徳昌君         中小企業庁長官 岸田 文武君         中小企業庁計画         部長      児玉 清隆君  委員外出席者         国税庁間税部消         費税課長    沢口 成利君         厚生省環境衛生         局水道環境部参         事官      三井 速雄君         資源エネルギー         庁石油部流通課         長       宇田川治宣君         消防庁危険物規         制課長     矢筈野義郎君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ――――――――――――― 委員の異動 十月二十日  辞任         補欠選任   海部 俊樹君     塩崎  潤君   木部 佳昭君     志賀  節君   栗原 祐幸君     森  美秀君   島村 一郎君     奧田 敬和君   田中 榮一君     塩谷 一夫君   竹下  登君     宮崎 茂一君   中村 寅太君     森下 元晴君   萩原 幸雄君     三塚  博君   深谷 隆司君     藤井 勝志君   小林 正巳君     西岡 武夫君 同日  辞任         補欠選任   奧田 敬和君     島村 一郎君   志賀  節君     木部 佳昭君   塩崎  潤君     海部 俊樹君   塩谷 一夫君     田中 榮一君   藤井 勝志君     深谷 隆司君   三塚  博君     萩原 幸雄君   宮崎 茂一君     竹下  登君   森  美秀君     栗原 祐幸君   森下 元晴君     中村 寅太君   西岡 武夫君     小林 正巳君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  揮発油販売業法案内閣提出、第七十七回国会  閣法第六五号)  中小企業事業転換対策臨時措置法案内閣提出、  第七十七回国会閣法第四六号)      ――――◇―――――
  2. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 これより会議を開きます。  第七十七回国会内閣提出揮発油販売業法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。勝澤芳雄君。
  3. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 前回に引き続きまして質問を続行いたしますが、まずエネルギー庁長官にお尋ねいたします。  十四条の品質管理者というのを決めてあるわけでありますが、従来は品質管理者というのはなかったわけでありますけれども、特別に品質管理者というものをつくった必要性と、品質管理者というものはどういう基準で指定されるのか、この点について御説明いただきたいと存じます。
  4. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 ただいま御審議いただいております法案目的一つに、ガソリン品質確保という命題があるわけでございます。粗悪な揮発油販売を防止いたしまして品質管理を万全にいたすために、人的面から法令を遵守する体制をつくる必要があるというところから、品質管理者選任を義務づけたわけでございます。この品質管理者資格につきましては、今後なお検討していくつもりではございますが、現在考えておりますのは、高校卒程度化学知識を持っており、かつスタンド事業に従事しておる経験が一年以上、こういったところの資格を有する者を考えておりまして、特に国家試験といったようなものは考えておらないわけでございます。     〔委員長退席近藤委員長代理着席
  5. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 従来は別にこういうものがなかったわけでありますけれども法律をつくることによってなぜこの必要性があるのか、必要性という点について理解に苦しむわけでありますが、これと同時に、十六条の分析設備というものでありますけれども、いままでなかったものがどうして必要になってきているのかということです。品質管理者の問題と分析設備現状はどうなっておるのか、なぜこれは必要であるのか、いままではなぜ必要でなかったのか、こういう点についてあわせて補足しながら説明していただきたいと思います。
  6. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 昨今、灯油などを混入いたしまして粗悪なガソリン販売するケースがふえつつあるわけでございます。これは本来ガソリン税が高率であったところに加えまして、この七月一日からキロリットル当たり八千六百円増徴されるようになってきておるといったようなことから、粗悪ガソリンの発生の可能性がそれだけ増大してきておる、こういう実情でございます。いままで概して申し上げますと、個々のスタンド業者はそういった品質分析のための設備を持っておらなかったわけでございまして、そういったこともございまして、通産省といたしましては、社団法人全国石油協会に国から補助金を出しまして、この補助金をベースにいたしまして、全国スタンドを二年に一回の割合で試買検査を実施するというような形でしままで品質確保に対処してきておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように ますます品質確保重要性消費者利益侵害を未然に防止するという要請も出てまいっておりますので、今回それぞれのスタンド業者が常時使用する体制において分析設備を活用する、そういう方向で対処したいと考えておるわけでございます。
  7. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 現状では別にそんなに差し支えないのに、この法律ができることによってこういう設備をつくらなければならぬし、こういう資格者を置かなければならないという点が、いつも法律ができた後に実は問題になるわけであります。伺いますと、この分析設備でも一台三十万円から五十万円ぐらいかかる、こういうことでありますけれどもガソリンスタンドの全体的な設備投資から考えればわずかな金だとは言われておりますけれども法律ができることによって、法律効果とそれについての支出というものから見ると、どうも余りすっきりしないような気がいたすわけであります。こういう点については十分業界に説明をされて、納得のいくような解決の仕方を考えなければならないと思うわけであります。特に、前回も説明されておりましたように、零細企業が七五%もあると言われておるわけでありますから、そういう点についての配慮を特に私は要望いたしておきます。いかがですか。
  8. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 まさに御指摘のとおりでございまして、特に中小零細企業に対して過重な負担をかけないということに配慮いたしたいと思います。そのためにも、事業所ごとに持つ必要はございませんで、地域として共有するとか、あるいは他の設備を借用して分析し得るという体制にあればよろしいということで考えております。  それから、いま申されました三十万ないし五十万という資金につきましても、昨年ガソリンスタンド業界を近促法の対象業種にいたしておりまして、近代化計画を現在策定中でございますが、その中で対象設備にいたしますといわゆる近代化貸付金対象になりますので、そういった方向で極力ロードを軽減いたしたいと考えております。
  9. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 次に、十九条の関係で、「揮発油の標準的な販売価格と著しく異なる価格揮発油販売している」、こういうことでありますが、「標準的な販売価格」とは現状において幾らなのか、あるいは「著しく異なる価格」とは一体どういう価格なのか、具体的に数字を挙げて御説明いただきたいと思うのです。
  10. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 まず、「揮発油の標準的な販売価格」ということでございますが、この意味は、需給関係等を反映いたしまして、市場において実際に成立している通常小売価格、こういう考え方でございまして、したがいまして、時期によりまして あるいは同じ時期でも地域によりまして、あるいはまた取引形態が大口であるか小口であるかといったようなことで、ここで言うところの標準的な販売価格というのは異なってくるものでございます。さようなところから、十九条で勧告対象とする場合には、当該地域ごとにその都度標準的な販売価格ということを算定することにいたしておりまして、全国平均的な価格をもって標準価格というように考えることにはいたしておりません。     〔近藤委員長代理退席委員長着席〕  それから、著しく異なるとはどの程度のものかという御質問でございますが、これはやはりガソリンのそのときどきの価格水準あるいは需給状況等から総合的に判断するということになろうかと思いますので、あらかじめ一定の乖離の幅というものを決めておくわけにはまいらないのではなかろうかというように思うわけでございますが、強いて申し上げますと、最近のレギュラーガソリン価格水準はかれこれリッター当たり百十円から百二十円というようなことになっているのじゃなかろうかと思いますが、こういった価格水準を前提といたしまして、リッター当たり五円以上違うとかなりの影響が出てくる、あるいは十円以上違ってくるとほとんど決定的に、他のブランドだとかあるいはサービス等で対抗しても、かなり顧客が入れかわってしまうといったような話も聞いております。  こういったことからいたしますと、これは必ずしも確定的なものではございませんが、標準的な価格に対して一〇ないし二〇%の乖離という場合に、ここで言う「著しく異なる」ということに大体該当するのじゃなかろうかというのが、現段階における考え方でございます。
  11. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうすると、小売段階で標準的な価格とかあるいは著しく異なる価格ということをやっているわけでありますから、小売段階でなくて、その上の元売なり、その上の蔵出しですか、こういうところはどうするのですか。
  12. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 ただいま申し上げたような著しく異なる場合に価格是正のための勧告が行われるわけでございますが、スタンド業界に対する勧告だけで目的が達成できない場合、特にその原因が御指摘元売あるいは特約店という段階にあると認められる場合には、さかのぼりまして元売あるいは特約店対象といたしまして価格是正勧告をいたすというのが、十九条の規定の要旨でございます。
  13. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 これは一番出先の小売価格調整をするというよりも、なぜ元売なり特約店価格調整をするということをお考えにならないのですか。
  14. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 御指摘の点につきましても法案作成段階でいろいろ検討いたしたわけでございますが、一つは、元売あるいは特約店から、価格調整と申しますか、勧告をしてまいりますと、再販価格的な効果が発生するおそれがあるといった懸念がございますので、まず第一次的にはスタンドから是正を図るということにいたしたわけでございます。  それからいま一つは、元売なり特約店がいわゆる業転玉あるいは押し込み販売をやっておるといったような情報は耳にいたすわけでございますが、具体的にどの社がどの程度の量をどの程度価格押し込み販売しておるかということの実証的な把握というのは非常にむずかしいわけでございますので、第一次的にスタンド業界から遡及して実態を把握していきたい。こういった二点からいたしまして、現在十九条のような構成を考えたわけでございます。
  15. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この考え方というのは、どうも高値に安定するという危険性が多いじゃないでしょうか。消費者利益を守るという価格になるような気がしないわけでありますけれども、これはどういうようにお考えになりますか。
  16. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 十九条による価格是正方向は二つあると思います。著しく高い場合の引き下げ勧告、それから著しく低い場合の標準価格への是正勧告、こういった二つがあると思います。  前段の高い場合の引き下げにつきましては、全国を通じて引き下げ勧告をやるという考え方をとっておりますが、著しく低い場合の勧告は、指定地域内に限りまして、かつはその指定地域内の相当部分スタンド業者事業の継続が困難になる、そういった事態において特に必要がある場合というふうに、要件を非常にシビアにして考えておるわけでございます。そういったところから、戻すといたしましても高値というよりも標準的な価格に戻すというのがせいぜいのところであろうかと思いますので、そういった面からは消費者利益に不測の侵害を与えることはないというように考えておるわけでございます。
  17. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この二項で、勧告に従わないときにはこの旨を公表することができる、安値で売っている場合の公表の効果というのはどういうふうに考えるのですか。
  18. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 安値という場合にもやはりいろんな原因があるかと思います。非常に企業努力をいたしまして、その合理化効果価格に反映しているという場合と、いわゆる業転玉等の一時的な押し込み販売によりまして、しかもそれが伝えられるところではキロリッター当たり五千円から一万円ぐらい通常のものより安いのじゃないかと言われておるわけでございますが、こういったものによって市場を混乱させるというようなことはあってはならないわけでございます。そういう立場でこの問題を考えていきたいと思うわけでございます。
  19. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 公取委員長にお尋ねいたしたいのですけれども、この標準的な販売価格と著しく異なる価格勧告が行われるわけでありますけれども、どうも私は百二十円で売っているのを高過ぎるから百十円にせよなんという勧告はないような気がするわけであります。それよりも、結局百十円で考えられているのが百二十円で売られている、どうしても高値でやられるような気がしてならないわけでございますけれども、この問題についての公取としてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  20. 澤田悌

    澤田政府委員 標準的価格と著しく異なるというその度合いの問題等、これは運用として非常にむずかしい点でございますが、独禁法あるいは独禁政策の観点から原則論を申し上げますと、そういう行き方はとかく行き過ぎますと、価格をいわゆる標準価格の線で固定して競争制限的な動きになるというおそれがありますので、この点はよほど慎重に運用しないと問題があるというふうに考えるわけでございます。
  21. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 私もいま公取委員長が言われましたように、独禁法の上から言ってこの法文というものはいかがなものかなという気が実はするわけであります。  エネルギー庁長官ガソリンスタンドに行きましてカードで買う場合と現金で買う場合と、カードで買う方が安いのですね。現金売りが高い。これはどういう原因なんでしょうか。そういうシステムというものはあるのでしょうか。
  22. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 スタンド業界ではできるだけ固定客を引きつけたいというところから、現金よりはカードカードよりは掛け売りの方を安くするという慣習があるようでございまして、その結果、御指摘のような現金買いと申しますか、フリーの客が相対的にその店の関係では高くなると申しますか、むしろ掛け売りの方が安くなると申し上げた方がいいかもしれませんが、そういうことになっているようでございます。
  23. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 私はどうもそれが理解できないのですよ、掛け売りが安くて現金が高いというのが。とにかく何となくわかりにくいシステムになっているなという気がするのです。  そこで、法案とはちょっと離れまして、最近公取がまとめた主要産業生産集中度調査というのが発表されましたが、われわれ国民が認識しておった、不況になれば物が下がる、これがいままでの常識であったわけでありますけれども、どうも不況でも物の値段が下がらない、むしろ値段が上がっている物がある、おかしいじゃないかという点が今度のこの調査によって明らかにされたわけであります。四十六年の不況時には二十七品目であった硬直品目というものが、今度は四十一品目もある。これは明らかに私は、通産省行政指導の問題なのか、あるいは独禁法上における欠陥があるのか、こういうことだと思うわけでありますけれども、これについての公取委員長の御見解を賜りたいと思うのです。
  24. 澤田悌

    澤田政府委員 昨日公表いたしました企業集中度に関する調査についての御質問でございますが、その企業集中度価格との関連をどの程度まで原因別に整理して体系づけ得るかという問題は、実は非常にむずかしい問題でございます。     〔委員長退席武藤(嘉)委員長代理着席〕 いろいろな条件がございます。しかし、私どもはそれを一応大胆に割り切りまして、集中度の面から一応の観察をいたして公表した次第でございますが、その限りにおきましては、やはり集中度価格というのはかなり関連が深い。ただ、前回不況と今回の不況の場合におきましては、たとえば石油問題等客観情勢に著しい違いがございますので、私どももこれは一つのある意味では大胆な試みとして大方の御批判をいただきたい、そしてさらにこれを検討を深めていきたい、こういう点もございます点は御了承願いたいと存ずる次第でございます。
  25. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 公取現状をとにかく発表した。現状を発表した中で、結果的に集中度価格というものについて相当関連がある、資料としてはこういう結果になった、そこで、独禁法上こういうものにどうこれから対処していくことができるのか、そしてこういう行動をして、実はこういう集中寡占企業と言われるものについての値上げを防ぎ、現実的な競争に基づく値下げをさせる、こういう効果を出していかなければ、この報告自体もちょっと生きてこないじゃないだろうかと思うのですが、その点どうなんでしょうか。調査を発表して情勢を見るということじゃなくて、調査の結果こうだったから公取としてはこうやるのだ、そして一つ一つについて勧告するなり何かしていく、こういう方向づけというものがなされていいじゃないかと思うのですが、その点いかがですか。
  26. 澤田悌

    澤田政府委員 御趣旨は全くそのとおりでございますが、私どもとしても、これと独禁政策との関連をどうするか、また現行独禁法によってどれだけの対応ができるのか、そういう面もこの調査の結果と対応させまして今後十分検討してまいりたいと考えております。
  27. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 委員長調査の結果これから対処するという間に、実は不景気であるのにかかわらず寡占企業減産需給調整をやり、価格を維持したりあるいは値上げさせたりして、結局収益を上げているわけです。その反面、減産政策をやればそこで労働者の犠牲が起きているわけです。そこで片一方、企業人減らしをして、依然として値が上がってもうけは十分確保しながら、今度は大衆は高い物を買わされている。ここを緊急な問題としてやらなければ何も価格政策にならないじゃないかと私は思うのです。大衆利益が守られないじゃないかと思うのです。それで、独禁法上どこに問題があるのか、それはできないのか、やればできるのか、独禁法の改正問題というのが相当議論されてきているわけでありますから、そういう点で突っ込んで、ここまでやってきたけれども、こういうふうに法律改正すればできたけれども、その法律改正ができないからだめなんだと言うなら言うで、そこの辺をもうちょっと歯切れよくはっきりしてもらいたいと思うのです。
  28. 澤田悌

    澤田政府委員 現実にカルテルなり、あるいは不公正な取引方法なり、そういうことが価格硬直原因になっておるという場合には、日々監視をいたしまして、場合によっては摘発し勧告を行うということは、われわれ日常の行政事務として行っておるところでございます。  問題の寡占業種における価格の問題ということに相なりますると、実はなかなか歯切れよく申し上げるだけの独禁法上の手段が乏しい、これは御承知のように現行独禁法の弱点でもございます。そういう意味におきまして、先ほども申しましたように、実態をまず把握し、それに対応する今後の行き方なりその実態動きなりを十分検討してまいりたい、こういう姿勢でございます。
  29. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 先ほどのガソリンスタンドの場合でも、小売段階においてはわりあいと独禁法上の適用というものがさっとやられるわけでありますけれども、その上の段階に来ると、どうも目こぼしといいますか、いや、証拠があるとかないとかいうことで、とかく手おくれがちなんです。ですから、ガソリンスタンドの場合でもなぜこうなってきたかと言えば、元売なり特約店なり、その上の方からやっていけば問題は解決するのですけれども、わざわざ下の方にたくさん自由競争さしておいて、下は資本主義自由競争だと言いながら、上は官僚統制寡占体制になっている。下ばかりいじめている。これがいままでの産業政策なんですよ。ですから、これを何とかしなければならぬ。  寡占企業不況下でもとにかく値上げをして利益を得ている、こんなにしっかりした証拠があるわけでありますけれども、これに基づく取り締まりが、いま言いましたように裏づけがどうとかこうとかと言って、なかなか証拠がない。証拠があるようなやり方をやってないわけでありまして、証拠がないようなやり方をして結果的に出ている現象ですから、そうすると、結果的にこういうことが行われているということはどこかに原因がある。その原因調査というのは法律じゃないと私は思うのですよ。公正取引委員会がやる気があるのかないのかということだと思う。通産省に気がねしているのかどうなのかという問題だと思う。  そこで、通産大臣にちょっとお尋ねしたいのですが、大臣不況下で物が下がらない原因というものがここにはっきり公取調査結果によって出ているわけでありますけれども、そこで言われているように、安定成長のもとにおいてはどうしても協調的な企業行動というものが避けられない、そこに寡占価格の形成とか新規参入の阻止などというものが出てくる、産業政策としてこれから十分考えなければならない問題だ、こう言われているわけでありますが、大臣の御見解を賜りたいと思うのです。     〔武藤(嘉)委員長代理退席委員長着席
  30. 河本敏夫

    河本国務大臣 まず第一番に、御参考までに申し上げたいと思いますが、政府は去る六月までは若干の業種に対しまして減産指導をしておりましたが、これは六月いっぱいで全部中止をいたしております。価格に対する影響等を考慮したということにもよりますが、もはや景気がある程度回復いたしましたのでそういう必要はない、こういう判断に基づくものでございます。  それからなお、寡占業種についての御意見につきましては、いま公取委員長が何回か御答弁になりましたが、大体あれで尽きているのではないかと私は思います。
  31. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 大臣行政指導減産をしてきた、その減産の結果、あるいは減産はやめたけれどもその流れとして今日の状態が続いている、それが価格影響している、そして減産をしておる、不況だ、しかし物が下がっていない。これはやはり物を下げるためにもう少し大英断をやらなければならぬと私は思うのですけれども、こういう結果が出たのを受けて、四十六年に二十七品目硬直品目であったのが、いま四十一品目も拡大しているということから見れば、やはりこの報告を受けた通産大臣としては、実態について十分洗い直しをして、値下げできるものは値下げさせるという指導をすべきだと思うのですが、これはいかがですか。
  32. 河本敏夫

    河本国務大臣 いま経済の回復期にございますので、企業経営としましてはある程度やりやすくなったと思いますが、しかしこの景気の回復期に乗じまして不当な利益を上げるということは許せないことでございますから、各業種ごとにつきまして十分監視をし、また調査をいたしまして、不当な利益を上げるということのないように十分行政指導をしてまいります。
  33. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それは、大臣、不当な利益を得ているという証明だと思うのですよ、この公取のきのう発表された中身というものは。ですから、この生産集中度価格影響したかどうかという点については、公取委員長一つの見方だと言われておるわけでありますけれども、しかし現実にそれが価格影響していることは間違いないわけでありますから、これは当然、大臣もいま言われましたように、早急な善処によって、こういう寡占企業に伴う寡占価格というものあるいは価格の硬直といいますか、こういう問題については特段の消費者利益を守るための手だてをしていただきたいと思うわけでございます。  次に、大臣、この八月の鉱工業生産動向確報によりますと、景気が中だるみの状態になってきて、この対策が必要だと大臣は言われておるわけでありますが、私も大体大臣と同じような感じを受けるわけでありますけれども、この対策について大臣の御所見を賜りたいと思います。
  34. 河本敏夫

    河本国務大臣 八月の経済指標は一昨日発表いたしましたとおりでございまして、予定よりも相当落ち込んでおります。九月、十月もどうも芳しくないのではないかと考えております。なぜかといいますと、それ以降、西日本では大水害が発生をしておりますし、東日本では大きな冷害が発生をしております。さらに電電、国鉄のおくれ等もございますので、内需は予定よりも低い状態にある こういうことでございますから、九月、十月も期待どおりの成果は上げられない、こう思います。  そういうことで、通産省といたしましても事態を深刻に受けとめまして、今月の十五日現在を期しまして全国的な景気の動向調査をしたわけでございます。その集計が二十六、七日ごろにでき上がりまして判断の資料が整いますので、その資料を見た上で、やはり何らかの対策が必要になる、こういう結論が出ましたときには、必要な景気対策というものを考えていかなければならぬと考えております。いずれにいたしましても、正確な判断材料が整いませんと、いまここの場所におきまして具体的な対策を申し上げるのはやや時期尚早かと思いますので、もうしばらくお待ちをいただきたいと思います。
  35. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 政治動向というものが経済の動きについて余り政争論議にされてしまって、私は対処の仕方が不十分だと思うのです。いま大臣が言われている二十六、七日ごろというのも、これはやはり政治動向をそろばんをはじいた結果、この辺になって物を言ったってまあ大体問題がないだろうということで物を考えられているようでありまして、特に三木内閣の中で経済のわかるのは河本通産大臣だと経済界の皆さんから言われておるわけでありまして、それがいまの三木内閣の政治全体の流れの中から、経済というものを考えずに政治が動いている、その不満がずっと出てきておるわけであります。ですから、政治との関係もあるかもしれないけれども、やはり経済的に物を言わなければならぬときには、時期の判断よりもずばずば言っていかなければ、なかなかいまの景気に対処できないのではないだろうかと思うのです。  いま大臣が言われた、景気中だるみだから対策が必要だと思うけれども、その裏づけがきっちりするまで待とう、片方の福田経済企画庁長官は一時的な現象だと言われておるし、それは大蔵省を見ても、金を出すのはいやだからできるだけサボタージュをしていこう、できるだけ選挙前の今日で物を言わない方がいいだろう、しかし金のかからぬことで空手形ならいいだろうということで、選挙の近くになると大幅の減税を言ってみたり、あるいは福祉予算だとかなんだとか言うのでしょうけれども、それは空手形ですから、現実に生きている中小企業の最近の状態を見てみましても、私は、もっと早い対策というものを打ち立てていかないと間に合わないのじゃないだろうか、まだまだ倒産が続いていくし、中小企業には大変なはね返りが来るのではないだろうか、こう思うのです。もう一度、大臣、もっと積極的な方向というものは、二十六、七日ごろまで待たなければ無理なんでしょうか。
  36. 河本敏夫

    河本国務大臣 問題は、現在は中だるみにあることはもう確実でございます。しかし、この中だるみ現象というものが、いろいろ細かい数字を調査いたしまして、ほっておいても一、二カ月のうちに再び活力を回復いたしましてことしの一‐三月のようなああいうしっかりした経済の状態になるのか、あるいはほっておいたのではなかなか自力で活力を回復することがむずかしいのかどうか。たとえば外国の経済なども若干中だるみの傾向にございますから、そういう影響も当然出てくるわけでございますので、そこをいま調べておるわけでございまして、やはり何らかの手を打たなければ活力が回復しないという判断であれば、当然何らかの対策というものが必要でありますし、それから、ほっておいても自然に活力が回復するということであれば、これはまたそれなりにそれでいいと思います。  そこらあたりをいま調べておるわけでございますが、残念ながらただいまの私の勘といたしましては、最終の結論は申し上げるわけにいきませんが、どうも少し中だるみがひどいのじゃないか、こういう感じがいたしますので、現在の段階では何らかの対策が必要ではないか、こう思っておりますが、それに対する具体的な結論はこの二十六、七日、もう一週間もたてば出るわけでございますから、その上にしたいと考えておるわけでございます。
  37. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 これ以上質問してもあれですから、時間もないようでありますので、一応私の質問はこれで終わります。
  38. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 板川正吾君。
  39. 板川正吾

    ○板川委員 石油販売法案について質問いたしたいと思います。  まず第一に、本法案が巷間自民党の総選挙対策法ではないかということを言われております。確かに業界が自民党本部で九月二十一日に自民党議員二百名を集めて業者大会を開くとかなんとかという報道などもありましたし、その疑いはずいぶんあるのであります。これは、独禁法上問題のある法案をこのように自民党の総選挙対策法案だというなら、われわれはどうもこれに賛成するわけにいかないし、それは選挙後ゆっくり審議しましょう、こういう声が起こるのは当然だと思うのであります。私どもは、石油販売業者の実態を見ますと、これはまさに零細企業であります、小規模事業者であります、この小規模事業者の安定のため、その育成法と理解したいのでありますが、大臣、一体これは自民党の総選挙対策法でありますかどうか、その点ひとつ答弁を願います。
  40. 河本敏夫

    河本国務大臣 今度お願いをしておりますこの法律案は、前国会から継続のものでございまして、お願いしておりますその第一の理由は、御案内のようにガソリンスタンド業界が非常な過当競争になっておりますので、この過当競争を防止して経営の安定化を図りたいということ、それから第二は、最近は粗悪ガソリンが出回っておりまして、消費者に非常に迷惑をかけておる、これを何とか防がなければならない、こういうことで、前国会以来この法律をぜひ通していただきたいということでお願いしておる法案でございますので、おっしゃるように、選挙目当ての法律である、そういうことでは絶対ございません。
  41. 板川正吾

    ○板川委員 前国会から出ておるというのはわかっておるのです。ただ、この立案の発想点が自民党の総選挙対策法案だというなら、これはわれわれは絶対に通すわけにはいかない、こういう気持ちがあったわけであります。そこに一部の業界の動きなどがあったものですから、そういう疑いを私どもは濃厚にしたわけでありますが、大会も途中で取りやめたし、反省の色もあるようであります。われわれは法案の内容を見て、これは小規模事業の安定のための法案だ、こういうふうに理解して、これから以下質問に入りたいと思います。  そこで、本法案を提出するに至った背景について、提案理由を見ますと、その第一は揮発油販売業者間の過当競争の弊害だ、こう言っており、第二は不良ガソリンの防止だ、こういう二点を言っておるのですね。私は、提案をするに至った背景というのはもっとその前にさかのぼっておるのじゃないかと思うのです。たとえば、石油危機以来、低成長経済時代を迎えた、それで高度成長経済を前提とした従来の石油業法による届け出では、スタンドの乱立による経営の不健全化、流通秩序の混乱から、悪質業者の発生を防止できない。だから登録制をとり、新規参入を調整し、そして安定供給と消費者の利益を守る、こういうふうに私は理解すべきじゃないだろうか、こう思うのですね。ただ単に過当競争の解消と不良ガソリンの防止というだけでは提案理由として十分じゃない。現状の石油業法による届け出制では、この新しい事態、低成長時代における石油行政というのはうまくいかないから、改正しよう、こういうことじゃないのですか、この点はどうお考えですか。エネルギー庁長官でいいです。
  42. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 ただいま御指摘の点は、私は全く同感でございます。  成長が適正化してまいりますと、ただでさえ過当競争的な業界でございますので、その過当競争の弊害が高度成長のときよりも著しくあらわれるという点、特にこれはオイルショック以降の是正を図るべき問題の一つかと思います。  それといま一つは、従来よりも精製段階に寄せられておる期待が、製品コストの八〇%までが原油代ということになってきておりますので、今後はやはり流通段階の合理化、近代化に期待するところもまた大きくなってきておると思います。この方につきましては、本法案と申しますよりも、中小企業近代化促進法の指定業種として、その面から流通面、販売面での近代化、合理化を図っていく、いろいろな法案、いろいろな対策を総合いたしまして目的を達成していこうと思っておるわけでございます。
  43. 板川正吾

    ○板川委員 次に、本法について、前の勝澤委員も触れましたが、憲法違反ではないかという説があるわけであります。本法で登録拒否の条項がありますが、これは憲法二十二条の職業選択の自由イコール営業の自由を侵すことにならないかという説であります。昨年の五十年四月ですか、最高裁で、御承知のように薬局の距離制限が営業の自由に反する、こういう判決があったわけでありますが、この登録拒否の条項、登録制の条項というのが憲法違反の疑いがないかという説に対してどうお考えですか。
  44. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 薬局の距離制限に関する最高裁判決の内容等についても私は承知いたしておるわけでございますが、この法案について申し上げますと、揮発油販売業につきまして、登録制等、若干規制的な措置を規定いたしておるわけでございますが、これは揮発油販売業者の健全な発達と揮発油品質確保のために必要最少限、かつ合理的な範囲で規制を行おうといたしておりまして、その限りにおいて憲法に保障する営業の自由を侵害するものでないという考え方に私たちは立っておるわけでございますが、若干敷衍いたしますと、ただいま御指摘がございました、指定地域内におきましてスタンドの建設調整をやる条項を規定いたしておるわけでございますが、この場合におきましても、全国すべての地域について指示を行うことにせず、規制を必要最少限のものとするために指定地区制度を採用しておる、しかも関係者に予測可能性を与えるために、法律施行後指定地区というものを採用いたしましてこれを公表したいと思っております。  それから、地区の指定に当たりましては、石油審議会の意見を聞き、かつ期間を定めるということにいたしております。それから、建設調整にかかわる指示の内容といたしましても、事態を回避するために必要最小限の範囲内で行うことにいたしております。それから、指示に対しましては異議の申し出の機会を認めまして、手続の公正さを期しておる。極力国民の負担を必要最小限のものにして目的を達成いたしたい、さような配慮も規定いたしております。  われわれといたしましても、本法案が憲法違反でないというふうに考えておるわけでございます。
  45. 板川正吾

    ○板川委員 憲法二十二条は、公共の利益に反しない限り職業選択の自由、営業の自由を保障しているわけです。だから、いまの話じゃなくて、これこれであってこれは公共の利益に反しない、だから憲法二十二条の違反ではない、こういう説明でなくちゃおかしいのじゃないですか。変な末梢的な手続のことを言って、その根本問題に対する回答がないというのは何だかおかしいじゃないか、だから、公共の利益に反しないのだという根拠を示してくださいと私は言っているのですよ。
  46. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 この法案目的といたしましては、揮発油販売業の健全な発達を図りまして安定供給を確保することと、粗悪品を追放いたしましてガソリン品質確保を図るというところに直接の目的を置いておるわけでございまして、それを達成するために必要最小限の登録制その他の規制を導入いたしておるわけでございます。そういった観点から、われわれといたしましては憲法違反でないという確信に立っておるわけでございます。
  47. 板川正吾

    ○板川委員 だから、公共の利益に反してない、こう言うべきなのに、どうもその辺こだわって、自分で言い忘れたらそれにひっかかって言わないというのは、官僚的な答弁だな。  次に伺いますが、公取委員長は本法案に反対の見解を前に表明したと新聞は伝えております。現在、この提出された法案に対していかなる見解を持っておられるでしょうか。それから、もし問題があればどういう点にあるか、こういう点が第一点です。  第二点として、登録制を行う、新規参入を調整をする、そして実際的には系列化が図られる、しかも、将来石油産業の再編成というのが進めば、事実上石油製品は再販価格的な体制になるのではないだろうか、そして消費者の利益を不当に害するおそれもあり得る、こう思うのでありますが、本法運用に対して公取としていかなる対策を持つか、この点を伺います。
  48. 澤田悌

    澤田政府委員 まず、最初の御質問でございますが、私ども考えは終始一貫、考え方としては現在も変わっていないわけであります。と申しますのは、先ほど来いろいろお話がございますように、この法案かつくられました背景、いろいろ事情がございますが、たとえばいわゆる無印スタンドの問題でありますとか、業転玉の問題でありますとか、石油混入によるガソリンの粗悪化の問題でありますとか、いろいろ問題があり、それに対する評価もいろいろございますけれども、いずれにしても、先ほど通産大臣も申されたように、揮発油販売業者の営業の安定ということ、また粗悪なガソリンの排除というようなことは大事なことであります。しかしながら、それに対する対応の仕方について、公正取引委員会の立場、独禁法独禁政策考え方というのは、この法律考え方とまず異なるということが第一点でございます。  この法案はいわゆる統制法に属すると私は考えるのであります。私どもの立場は独占禁止法体系、申すまでもないことでありますが、競争法、競争秩序維持によって事態を改善していくという立場でございます。したがいまして、当然のことでございますが、そういう立場からこの法案を見ますると、いろいろな問題があるということであったわけでございます。したがいまして、法案作成の過程におきまして関係当局といろいろそういう観点から接触をし、交渉を重ねまして、若干の条文の修正、それから法文の解釈、運用の基準に関する心構え等につきまして十分打ち合わせ、検討いたしたのでございまして、そういう結果、まあまあこの法案は、私どもの立場としては好ましいとは言えないがやむを得ないものという結論に達したような次第でございます。  それから、第二の問題につきましては、これは今後の問題でございますが、この法の運用につきましては、先ほどもちょっと触れましたように、非常に運用によって左右される点が多いのでございまして、したがいまして、たとえば六条につきましても、その他必要な措置というようなあいまいな文言を削除するとか、十九条の勧告の発動につきましても、特に必要がある場合というような発動の要件の厳格化を求めるとか、そういうことをいたしたのでありますが、それにいたしましても、運用という面に係る点が非常に多いわけでございます。それで、先ほど御指摘の石油販売体系の中での再販価格問題等、いろいろな問題が予測されまするけれども、この法の運用とそれから公正取引委員会独禁法運用の立場との調和を図りまして、そういう懸念のないように持っていきたいと考えておる次第でございます。
  49. 板川正吾

    ○板川委員 こういうことですね、これは規制法である、われわれ競争確保するという独禁法の面から言うと好ましくない、しかしまた一面、悪質な業者を抑えるとか中小企業政策上の問題もあって、現在の結論としては好ましくないがやむを得ないというのが公取見解。しかし、この法律の運用いかんでは独禁法上まさに問題のある点もあるので、十分公取としてはこの運用を独禁法上の立場から監視をしていきたい、こういうことであると思いますが、よろしいですか。
  50. 澤田悌

    澤田政府委員 そのとおりでございます。
  51. 板川正吾

    ○板川委員 次に、エネルギー庁長官でいいですが、本法が仮に成立をしますと、石油業法、石油需給適正化法一この二つの法律とどういう関連を持つことになりますか、本法の位置づけというものについて伺っておきたい。
  52. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 先生御承知のとおり、石油業法なるものは、平常時におきまして石油の安定供給等を確保するということを目的といたしております。それから石油需給適正化法は、かつての石油危機のときのように石油の大幅な供給不足が発生したような緊急時において需給の適正化を図るための法律でございまして、その意味合いにおきましては、現在御審議いただいております揮発油販売業法は石油業法の系列に入ろうかと思います。  ただ、それで法律目的も違ってまいりますし、それから本法案におきましては揮発油販売業者の登録あるいは揮発油品質確保に関する多くの手続規定を必要といたしておりますので、石油業法の改正という形をとらずに、別個に新法の制定という形でお願いいたしておるわけでございます。
  53. 板川正吾

    ○板川委員 ある意味では石油業法の一つの補完的な法律だ、こういうふうに位置づけをしておるようであります。  次に伺いますが、政府は本法案立案に当たって、過当競争で流通秩序が混乱している、こういう現状認識に立っておりますが、過当競争実態といいますか、その原因はどこにあるか、これをひとつ言ってもらいたい。
  54. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 揮発油の流通末端段階と申しますか、ガソリンスタンド業界における混乱の原因一つは、やはりスタンドが乱設されておるということと、いま一つは、いわゆる業転玉による安売りの事態、これらが流通秩序混乱の原因になっておるかというふうに思っておるわけでございます。
  55. 板川正吾

    ○板川委員 その業転玉が出るという原因は、どういうところにあるのですか。たとえば、低成長経済下、需給の停滞、昭和四十八年には二億八千万キロリットルの需要が、この二、三年二億七、八千万のところを低迷しているわけですね。こういう需給の停滞が生じて、生産はふえるが需要が少ない、足踏みしておる。そこで元売が商社を通じてでき過ぎたものを系列外に流す、そして系列外に安売りするものですから、スタンド業者の中では、対抗上灯油を混入して価格競争をする、そういうところに流通秩序の混乱、経営不振というケースがあるのじゃないですか。そうしますと、この過当競争原因というのは、結局スタンド業者でなくてその大きな原因元売の方にあるのじゃないですか。これはどうお考えですか。
  56. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 いわゆる業転玉の流通の一つ原因が、元売あるいは特約段階における販売政策と申しますか、ただいま御指摘のようなことからする押し込み販売が大きな原因一つになっておると理解いたしております。
  57. 板川正吾

    ○板川委員 結局、元売が商社などを通じて横流しするというのが、私は流通秩序を混乱させている大きな原因じゃないかと思う。しかし、元売の方に聞きますと、こう言うのですね。現在の通産省の方針は、原油処理の枠、得率の枠、すべて実績主義だ、だから、販売力が足らないが、生産の実績だけは挙げておかないと縮小生産になり、好ましくない、結局、販売力が不足している会社が、通産省の実績主義のために実績だけ挙げておかなくちゃならないから生産を減らさないのだ、そしてそれを商社等を通じて横流しをするのだ、だからこの通産省の実績主義というところに問題がある、こういう説をなしておるのですが、この実績主義に対して再考する気はありませんか。実情に合わしたように石油業法の生産計画のあり方を再検討する気持ちはありませんか。
  58. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 先生御承知のとおり、現在石油業法に基づきまして、供給計画を策定してこれによって指導をいたしておるわけでございますが、この供給計画の方はどういたしましてもマクロ的にならざるを得ない。ところが、現実の経済面におきましては、企業あるいは地域によりまして一時的な需給アンバランスが出てくる、それが有力な業転玉発生の原因になっておるというふうに実情を理解いたしておるわけでございますが、われわれといたしましては、今後とも実績主義をどういうふうに持っていくか、これはメリットもございますし、いま御指摘のようなデメリットもあろうかと思いますが、私たちといたしましては、やはりこの供給計画を適正に運用していくということと、それから場合によりましては十九条後段の規定によりまして、そういった乱売と申しますか、押し込み販売安値販売をするような元売あるいは特約店に対しても、その是正のための勧告措置を適切に行っていくということで対処いたしたいと考えておるわけでございます。
  59. 板川正吾

    ○板川委員 実績主義に対するそういう一部の問題があるということだけ念頭に置いてもらいたいと思います。  次に、公取と通産に伺いますが、無印の安売りが流通秩序を混乱させる原因だと言われておるわけであります。しかし、一方、無印に言わせると、現金仕入れ、現金販売、経営の合理化によるものであって、安売りは不当でないという主張もあります。これに対して、通産、公取見解を伺っておきたいと思います。
  60. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 できるだけ低廉な価格で最終消費者に製品を供給するということは必要なことだと思います。これはひとりガソリンに限らず、あらゆる消費財等についても同じことだと思うわけでございますが、ただその安く売れる根拠と申しますか、そこに問題があるのじゃなかろうか。企業の合理化努力によりまして、その努力の結果を消費者価格に反映させるということはきわめて好ましいことであり、またそういった方向に指導すべきだと思いますが、それが一時的な需給アンバランスから、しかも特定の者に対して著しく安い価格販売する。それを受けてスタンド業界が安売りをした場合には、その他中小企業が大半を占めておりますスタンド業界が混乱に陥る。ということは、結局安定供給がなし得ない、あるいは品質確保もなし得ないということで、一時的にはいいかもしれませんが、長期的、継続的に見た場合に、決して消費者利益を守るものではないというような問題意識もございまして、単純に安いからということだけで判断するのではなく、いかなる理由、いかなる原因でそういった安売りができるかというところに焦点を合わせて判断すべき問題ではなかろうかと考えるわけでございます。
  61. 澤田悌

    澤田政府委員 独禁法の立場から申しますと、無印とか無印でないとかいうことは特別に問題はないわけであります。また、それが安い価格で売られるということ自体は特に問題はないのでございます。ただ、そこに、それが不当廉売でありますとか、差別価格でありますとか、あるいは不公正な取引に関連するということになりますると、これは当然取り締まりの対象になる、かように考えております。
  62. 板川正吾

    ○板川委員 次に、通産に伺いますが、本法案の立案の根拠となった全国スタンド業の実態というのをひとつ計数的に示してもらいたいと思います。スタンドの数、企業数、従業員数、一店当たり石油販売量、ガソリン、灯油、軽油等。それから販売金額、こういうものを明らかにしていただきたいと思いますが、どうですか。
  63. 古田徳昌

    ○古田政府委員 最近時点につきましての私ども調査によりますと、全国の給油所の数は約五万二千八百カ所ございます。この内訳としまして、固定式が約四万五千九百、可搬式が約六千九百でございます。これに対しまして、販売業者数は約三万六千五百ということになっております。それから一給油所当たりの平均従業員数は約五人ということになっております。  一給油所当たりの月間平均売上数量でございますけれども、これも全体の平均をとってみますと、自動車用揮発油が五十・二キロリッター、灯油が約十一キロリッター、それから軽油が約十七キロリッターというような形になっておりまして、これに対応しましての一給油所当たりの年間売上平均は約一億円ということになっております。この利益状況でございますけれども、一応の仮定を置きまして、ガソリンにつきまして平均仕入れ価格リッター当たり九十七円、それから平均販売価格を百十五円、それから灯油、軽油につきましてもそれぞれ仮定を置きました計算をして合計しますと、年間の=利益が約二千四百万円という計算になります。この二千四百万円の荒利益に対しまして人件費がちょうどその半分ぐらいという計算になっております。それから固定費、これは設備の償却費を中心にするものでございますけれども、これが約八百万円、それからスタンドの運営経費としまして三百ないし四百万円というふうな数字になりまして、差し引きしまして純利益というのは非常に小さいというような形になっております。
  64. 板川正吾

    ○板川委員 お話のように、スタンド数が五万二千八百、企業数が三万六千、一企業についてスタンドが一・五店ぐらいの小規模経営である。しかも、一スタンドについて従業員五人としますと一企業七、八人程度の零細業である、こういうふうなことであろうと思います。この過当競争で経営不振だという実態も、いま話がありましたように、自動車揮発油を月間五十キロ売り、灯油を十一キロリッター売り、軽油を十七キロぐらい売り、その他を売って、年収粗利で約一億ぐらいになるが、仕入れ価格を差し引くと残りが二千四、五百万円ぐらいだ、この二千四百万で人件費がその半分、年間で千二百万、固定費八百万、その他の費用が三、四百万、そうしますと利益率というのは非常に少ないという。スタンド業界利益は大体どのくらいになるのですか。それと一般の企業との利益率の比較というのは、どの程度の差がありますか。
  65. 古田徳昌

    ○古田政府委員 中小企業庁で調べました中小企業の経営指標によりますと、四十九年度の売上高対営業利益率は、小売業総平均が四・二%になっております。これに対しまして、石油小売業は二・八%という数字になっております。
  66. 板川正吾

    ○板川委員 そこに石油小売業の経営の実態がある、こういうふうな数字でありますね。  それはそれとして、次にいきますが、将来この法律ガソリン以外、たとえば灯油などにも適用拡大するおそれがあるのじゃないか、こういう説をなす者がありますが、これは通産省、どうお考えですか。
  67. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 灯油についてはガソリンに発生しているような問題が出ておりませんので、現在のところ、規制を及ぼす考えは持っておりません。
  68. 板川正吾

    ○板川委員 全くありませんか。
  69. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 はい。
  70. 板川正吾

    ○板川委員 それでは、法案の審議に入りたいと思いますが、法案の逐条についてひとつ説明を願いたいと思います。  「目的」の第一条で、「健全な発達」を図る、こう言いますが、この健全な発達の状態というのはどういうふうな状態を考えておられるのですか、伺っておきたいと思います。
  71. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 健全な発達というのは、定量的に申し上げるのは非常にむずかしいわけでございますが、ガソリンを安定供給できるような業界に持っていきたいということでございます。強いて申し上げますならば、一般の小売店の売上高利益率は四・二%ぐらいでございますが、ガソリン業界におきましては現在二・八%と、はなはだ低いレベルにございますので、定量的に強いて申し上げるとするならば、一般的な小売業の利益率のレベルまで高めたい、こういうことになろうかと思います。
  72. 板川正吾

    ○板川委員 次に、四条にいきますが、この四条の二項で、「通商産業省令で定める事項を記載した事業計画書及び通商産業省令で定める書類を添付しなければならない。」これは「登録の申請」の中にあるわけであります。この通産省令で定める書類を添付する、この書類の省令の案というのを私は持っていますが、それを見てみますと、六に「揮発油の継続的購入が可能であることを説明した書類」を添付することになるわけでありますが、この六の「継続的購入が可能であることを説明した書類」というのは、内容はどういうことになるのですか。たとえばその供給ルート、どこから買い入れるかということを明示するということになるわけでありますが、これはまた後の条項で、変更があった場合には届け出する条項にもなっているわけであります。この継続的購入先を明示するということは系列化を不当に強化するおそれはないか、全くスポット物も何も買えないのかどうか、こういう点が一つあるわけでありますが、この省令案の六の内容について明らかにしていただきたいと思います。
  73. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 まず、第四条第二項における事業計画書の内容でございますが、これには揮発油の月間販売予定数量、給油所の増設予定計画等を内容として考えております。  それから、申請書に添付する書類の内容でございますが、具体的内容といたしましては今後さらに検討を続けてまいりたいと思いますが、たとえば申請者の履歴書、品質管理者の履歴書、それから経理的基礎の有無を判断するに必要な書類、こういったものを考えておるわけでございまして、ここでいま御指摘の経理的基礎と申しますか、継続的に仕入れるかどうか、それをどういうふうにチェックするのだというお話でございますが、具体的には購入契約の写しといったようなものを提示していただければどうかと思っておるわけでございます。ただ、こういった仕入れ先の変更につきましては、これは変更届け出は不要でございまて、変更登録の場合には、増設分についてどこから仕入れをするかという写しは要りますが、単純に仕入れ先を変更するだけでは変更登録の必要性はございません。  それから、そういったことによって系列化を促進するのじゃないかという御指摘でございますが、私たちがここでチェックしたいのは、安定的に供給する前提としての継続的購入ということでございまして、その場合に、特定の一社、元売あるいは特約店等につきまして一社に限定する意味ではございませんで、複数でも結構でございますし、あるいは販売政策等について意見が合わないということで仕入れ先を変更することも結構である、こういう立場でございますので、いやしくも系列化、固定化するおそれはない、またさように運営してまいりたいと思っておるわけでございます。
  74. 板川正吾

    ○板川委員 これは、相手方が複数でもいいし、またスポット物を買っちゃいけないという禁止の規定でもない、そういう内容を持つものではない、こういうわけですね。それでいいのだろうと思うが、いいのですか。
  75. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 いまスポット物に触れられたわけでございますが、安定供給のためには大半のものがスポット物ということでは困りますので、たとえばこれと同種の法律でLPG法がございますが、これは、大体継続的に購入できる、仕入れができるというものを販売予定量の三分の二というふうにして運用いたしておりますので、ガソリンについても大体そのあたりがめどのつけどころではないかと思っております。
  76. 板川正吾

    ○板川委員 次は、六条関係、登録の拒否の条項で伺いますが、一項の五号、六号についてわれわれは修正の意見を持っております。実は一項の一から四まではいわば例文であって、運用したいところは五、六であります。この五と六の中に、「技術的能力」「継続的に行うに足りる経理的基礎」、こういった条項が入っております。われわれの方は、この五、六の条項を乱用すると不当に新規参入を抑えられる、こういう気持ちがするわけであります。したがって、この条項は表現を変えるべきだという修正案を用意しているわけでありますが、この項目の修正の趣旨は、本来立法府としては、こういう「技術的能力」とか「継続的に行うに足りる経理的基礎」とかいう運用の基準を削除することは好ましくないわけなんであります。行政の裁量に一任するということでありますから、好ましくないのでありますが、しかしこれを置くことによって不当にこれが乱用されて新規参入が不当に抑えられていくというおそれがある、こういうことから、修正したいと思っておるわけであります。個々の運用については、私はエネルギー庁としては石油審議会等に年間集計して資料として報告して、この運用を間違いなくしてもらいたい、こう思うわけでありますが、この六条一項の五、六の修正について、お考えはいかがですか。
  77. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 御指摘の「技術的能力」というのは、品質確保のため、経理的基盤と申しますのは、狭い意味での金銭的な問題のほかに、安定供給を確保するため、そういった法律目的に照らしましてこういった措置が必要であるということで規定いたしておるわけでございますが、御指摘のとおり、これを乱用することによって新規参入者を必要以上に抑え込むといったようなことは考えておりませんで、目的に照らして適正に運用してまいりたいと考えております。
  78. 板川正吾

    ○板川委員 われわれの方はそういう見解で修正を用意しております。こういうことだけを言っておきましょう。  次に、六条の二項で、「当該事態を回避するため必要な最少限度の範囲内において、その事業の開始の日を繰り下げ、又は設備の規模を縮小すべきことを指示することができる。」こういう規定がございますが、開始の繰り下げ、設備の縮小、この限界というのはどこまででありますか。繰り下げが無制限に続くのかということと、規模の縮小がゼロまで至るということがあるのか、この解釈について伺っておきたいと思います。
  79. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 事業の開始の日の繰り下げにつきましては、当然期間を定めて行う必要があろうかと思います。ただ、その期間の長さについては、法律上明示的な規定はございませんが、少なくとも指定地区の指定期間を超えるということはできないと思いますし、また、五年を超えてといったようなことも長過ぎるというふうに思っております。ただ、ケースによりまして状況が違いますので、一概に何年間ということをあらかじめ申し上げることは困難かと思いますが、たとえば近く工業用団地が造成されるとか、あるいは高速道路が開通するとか、将来の展望においてかなり車の走行もふえてくるであろうといったようなことが現実の問題としてある場合、そういった団地の造成時期あるいは高速道路の開通時期といったような期間の切り方も可能ではなかろうかと思います。  それから、設備規模の縮小につきましては、その具体的な運用方針についてはさらに検討を続けたいと思いますが、現在のところ、固定式のものから可搬式のスタンドへの切りかえと申しますか、具体的にはそういった形での縮小というのが適当ではなかろうかと思います。  それから、設備の縮小は設備をゼロにする指示もあるのかというお尋ねでございますが、これはいま申し上げたような、あるいは先ほど来申し上げておるような必要最少限という立場からいたしましても、あるいは事業開始の繰り下げという別の指示もございますので、設備規模の縮小に当たっては、ゼロということはまずないということでございます。
  80. 板川正吾

    ○板川委員 そうしますと、この期間の問題は、その前に通産大臣は石油審議会の意見を聞いて、指定地区の指定は期限を定めて指定すると言っているわけですね。この石油審議会の意見を聞いて期限を定めるというのは、最長何年ぐらいまで考えておられるのですか。
  81. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 指定地区の指定期間についても、あらかじめ一般的に申し上げることはむずかしいかと思います。ただ、期間を設定しました理由は二つございまして、一つは、その地域内にあるスタンド業界における自助努力を促したい、その期間中に安定し得るように企業努力をしなさいということと、いま一つは、やはり先ほど先生も触れられました、新規参入をむげに抑制しない、そういった二つの点から期間を設定することにいたしておりますので、そのそれぞれの実情に応じて定めてまいりたいと思っております。
  82. 板川正吾

    ○板川委員 そうすると、実情を見てやるというのですが、大体の限界というのは、たとえば五年も十年もということは現在のところ考えていないのでしょう。いま少しその点、期間の問題だけ明らかにしてください。
  83. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 非常にむずかしい御質問でございますが、少なくとも五年を超えてというようなことは適当でないと思っております。
  84. 板川正吾

    ○板川委員 わかりました。繰り下げする場合にはその五年の範囲内であると、こういうことですね。  それから、これはある程度わかるのですけれども通産大臣設備の規模を縮小すること、期限を繰り越すことを指示することができる、異議があれば異議の申し出をしなさい、通産大臣はそれについて決定をして通知する。決定する場合には、聴聞会を開いてやるということに間違いないわけですね。その異議の申し出があった場合にはそれを受けて決定をするという条文があるわけでありますが、この指示と決定の関係の手続的な問題だけ明らかにしてください。
  85. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 御指摘の点につきましては、本法案め第二十一条と第二十二条の規定によりまして聴問会を開くことになります。
  86. 板川正吾

    ○板川委員 異議があれば、聴聞会を開いて利害関係人の意見を聞いた上で、通産大臣は再考して決定する、そして通知するということですね、わかりました。  実は、この六条の運用というのが本法案の十九条と並んで一番重要な骨子だと思うのですね。この運用いかんによって揮発油販売業法が生きるか死ぬかということになるわけであります。この過当競争を解消し、企業の健全な発展を図る、これが法案目的でありますが、もちろん不良ガソリンを防止するということもありますけれども、この目的を果たすために新規参入も若干の調整をしようということになるわけで、現在全国平均でガソリン販売が一スタンド当たり五十キロリットル、大都市で七十か八十キロリットル、農村地区で四十五キロリットルぐらいというふうに指定地区を指定する場合の基準として考えておるようでありますが、一体この六条を運用して、将来、たとえば販売量が一店どのくらいになったならばこの法案目的を達したから緩めていこう、その間は若干厳しく運用をしようという、この調整の基準を将来はどういうところに持っていこうとしておりますか。
  87. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 一スタンド当たりどの程度販売量になればいいかというお尋ねでございます。これは地域なりあるいはその時点における需給状況等で非常に異なってくるわけでございますが、やはり一つには、先ほどもお答えいたしましたように、一般の小売業並みの売上利益率が立ってくるような段階ということになろうかと思いますが、一方、昨年近代化促進法に業種指定を受けまして、現在その計画を策定いたしておるわけでございまして、その計画策定の過程において大体のめどと申しますか、目標が設定されるわけでございますので、その目標が設定された時点というのも一つの見方になるだろうかと思います。現在それはなお検討中でございます。
  88. 板川正吾

    ○板川委員 近促法による近代化促進委員会でその目標の設定を研究中だと言われますね、根拠ある目標を立ててもらいたい。いつでもこの六条を厳しく運用すれば消費者の利益を害することになりますし、またこれを緩めていけば本法の目的が達せられない、こういうことになると思います。  外国では、一スタンド当たりガソリン販売量はたとえば西ドイツなどでは月間六十六キロリットル、イギリスでは五十七キロリットル、そういう程度販売らしいですね。そうしますと、日本が現在平均で五十キロリットルでありますから、まあ六十キロリットル見当までいけばこれは緩やかに運用するというような見当になりますか、どうですか。
  89. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 イギリス、西ドイツにつきましてはいま御指摘のような数字になっておりますが、それは一つのメルクマールになろうかとも思いますが、また一面、その国の事情によりましても経済情勢あるいは企業のあり方というものがいろいろと異なっておりますので、全くそのままというわけにはまいらないと思います。法律要件的に申し上げますと、平均販売量を著しく下回っていない、あるいは相当部分事業者が事業継続が困難になっていないといったような、非常に抽象的な言い方でございますが、そういったものをかみ合わせて総合的に判断せざるを得ないかと思います。
  90. 板川正吾

    ○板川委員 一つのめどとして示唆しておくにとどめます。  次に、十三条の粗悪ガソリン販売の禁止にいきますが、この十三条で「通商産業省令で定めるものに適合しない物を、燃料用揮発油として販売してはならない。」この粗悪品か否かを認定する基準は、どういう基準でありますか。
  91. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 この規格の内容についても今後検討を続けていかざるを得ないと思いますが、粗悪品の発生が主として灯油の混入によっておるという実情からいたしまして、灯油の混入割合と申しますか、揮発油の中に占める灯油留分の割合、こういったものを中心といたしましてこの規格を考えていきたいと思っております。
  92. 板川正吾

    ○板川委員 灯油を一割混入すれば一リットルについてガソリン税四円三十銭を脱税して利益を上げる、いわば脱税するということが可能なんですね。いまの状況ですと、一〇%ぐらい入れたとしても専門家でもなければエンジンの調子はわからぬ、こういう程度だそうであります。  そこで、大蔵省に伺いますが、大蔵省では、業者が灯油などを混入して脱税しておるのに対して、その脱税防止にどのような措置をとってきたのでありますか。また、摘発した件数やその実態などについてちょっと説明をしていただきたい。
  93. 沢口成利

    ○沢口説明員 過去三年分の摘発件数を申し上げますと、石油販売業者関係、BTX混和が二十三件ございます。それから、灯油の混和が十八件でございます。合計四十一件。税額にいたしまして十一億四千万円になっております。  税額の面から見ますと、BTXは大変金額が大きく出まして、BTXを一件摘発いたしますと灯油混和の百件分以上が税額として出てくるということで、私どもといたしましてはBTXに重点を置いて当然やってきたわけでございます。ただ、先般の租税特別措置法の改正によりましてこの面の手当てがある程度できましたので、今後は相当程度灯油の方にも調査の比重が移っていくということが言えると思います。
  94. 板川正吾

    ○板川委員 その四十一件というのは、一年間ですか。
  95. 沢口成利

    ○沢口説明員 三年間でございます。
  96. 板川正吾

    ○板川委員 この三年間に四十一件の摘発をされたそうですか、その資料を後でひとつ届けてもらいたい、こう思います。  そこで、今度は、石油協会が、これは通産省の補助団体でありますが、年間二万件近い試買検査をしておるわけでありますが、この石油協会の試買検査の状況はどういうふうになっておりますか。     〔委員長退席、松永委員長代理着席
  97. 古田徳昌

    ○古田政府委員 石油協会の抜き取り検査につきましては、昭和五十年度において最初に一万九千八百五十三件を対象として行っておりますが、そのうち七十八件が不適合という結果になっております。さらにこの七十八件につきまして再検査をしまして、最終的には八件が不適合というふうな結果が出ております。
  98. 板川正吾

    ○板川委員 粗悪ガソリンというのは、実は、これは時間ないから言いませんが、私の選挙区で昨年大騒ぎをいたしました。岩槻地区で、五十店中十八件がペーパークロマト試験の結果疑いあり、こうなった。しかし、蒸留試験をやったならば実はその中で二件しか不適正なものがなかった。当時新聞等では、三割の灯油を混入して不良ガソリンを売っていると大騒ぎした。その中でペーパークロマト試験にひっかからなかったと言われる事業者たちが、われわれはインチキをしておりません、ほかの業者は全部灯油を混入していますぞと大騒ぎをした事件がありましたが、その蒸留試験の結果、実はこれは二件しかひっかからないと言っておるのでありますが、この昨年の岩槻地区における不良ガソリン実態をもうちょっと説明していただきたいと思います。
  99. 古田徳昌

    ○古田政府委員 ただいま先生の御指摘のありました岩槻市の粗悪ガソリンの問題につきましては、昭和五十年三月に全国石油協会が五十事業所について当初ペーパークロマト試験によって実施したわけでございますが、その結果十八件の不適合ということでございます。この十八件についてさらにJISに基づく蒸留試験を行いました結果が二件の不適合ということでございますが、これにつきましてはさらに再度本年六月に石油協会が混入灯油の検出試験を実施しました結果、最終的にはいずれも適合という結果が出ております。
  100. 板川正吾

    ○板川委員 最初に五十件試買検査して、十八件がペーパークロマトで疑いありとした。そのときに大騒ぎしたのが、灯油入りガソリン、カクテルガソリン、最高一リットルに三割、在庫増しで悪質な客寄せである、しかし私のところは入っていないと岡田鉱油店以下が言っておったのです。しかし、実際蒸留検査をやってみたらば一件も不適合なものはないという。どうも粗悪ガソリンというのは言われるほど悪質じゃないのじゃないかという感じがいたしますが、粗悪ガソリン販売実態というのはどの程度でありますか。
  101. 古田徳昌

    ○古田政府委員 石油協会が昭和五十年度の品質検査を全国で一万九千八百九十五件実施しましたが、最初にペーパークロマト試験によりますと不適合の件数が五百七件でございます。それにつきまして蒸留試験に基づきましてもっと精密な検査をしました結果、最終的に八十六件の不適合という結果が出ております。
  102. 板川正吾

    ○板川委員 悪いことをやった者に証拠を挙げろというのはなかなかむずかしいと思うのですが、どうも何か大騒ぎするほど粗悪ガソリンが出てないという感じがするが、この資料自体にあるいはごまかしがあるかもしれません。  時間がありませんから先へいきますが、この品質管理者、先ほど説明がありましたから私は余り言いませんが、「通商産業省令で定める資格を有する者」というのは具体的にどうかと言えば、国家試験はない、高校を卒業して一年ぐらいの経験を持った者でよろしいということを言われておりますが、この給油所ごとに品質管理者選任して置けということは事業者の新たな負担とならないかどうか、この点だけをひとつ質問します。負担になりませんか。
  103. 古田徳昌

    ○古田政府委員 品質管理者資格につきましてはなお今後検討することにしておりますが、私どもとしましては、その職務の内容から判断しまして、決してそう厳しいものにするつもりは持っておりません。したがいまして、実情から判断しますと、給油所ごとに一人選任するということは十分可能だと思います。  それからなお、御参考までに申し上げますと、給油所につきましては消防法の第十三条によりまして危険物取扱者の設置が義務づけられておりまして、各スタンドには必ず一人はその危険物取扱者がいるということになっておりますので、実質的にはこの方が品質管理者を兼務するというふうなケースが多いのではないかと考えております。
  104. 板川正吾

    ○板川委員 消防庁、おりますか。――消防庁に伺いますが、全国スタンドにいま消防法十三条によって危険物取扱責任者を置くことが義務づけられております。全国スタンド業者にその危険物取扱責任者が欠落しておるというような事態はありませんか。
  105. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 ただいま通産省の方から御説明がありましたように、消防法に基づきましてガソリンスタンドには必ず保安の監督をする危険物取扱者というものがいますが、これは市町村長等に遅滞なく届け出るというシステムになっておりまして、消防機関が実態を把握します。届け出ておりません場合は必ずそれに命令をかけるというふうになっておって、現実はすべて設置されておるという実態でございます。
  106. 板川正吾

    ○板川委員 どこにもいるはずだ、こういうことですか。給油所ごとに必ずおりますと、こういうことですね。
  107. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 給油所ごとに必ずおります。
  108. 板川正吾

    ○板川委員 そうしますと、この品質管理者というのは消防法で義務づけられております危険物取扱責任者を選任すれば、したがってスタンドにとっては新たな人を雇うというような負担にはならない、こういうふうに取り扱うということでいいですね。
  109. 古田徳昌

    ○古田政府委員 実態的にはそのとおりでございます。
  110. 板川正吾

    ○板川委員 それでは、十六条の「揮発油の分析」にいきますが、分析の設備を使用して分析をしろ、こういうことになっております。この分析の設備は三十万ないしは五十万かかる、こう言われておりますが、これは新たな負担になりますから、これに対して金融上何らかの措置をとる考えがあるかどうかという点と、揮発油の分析をさせるという、その分析の精密度というのはどの程度考えておられますか。
  111. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 先ほど触れましたように、昨年ガソリン業界は近促法の指定業種になっておりまして、計画を策定中であります。この対象設備に入れることによっていわゆる近代化貸付金対象にいたしたい、そういう方向でやっておるわけでございます。現在考えております分析設備は蒸留装置あるいはガスクロマトグラフというものでございまして、御指摘のように一台大体三十万から五十万円程度でございますが、通常品質チェックはこれで十分なし得ると思っております。
  112. 板川正吾

    ○板川委員 制限の時間が来ますからはしょって先にいきますが、十七条で、「揮発油販売業者は」「通商産業省令で定める事項を表示しなければならない。」こういう規定がありますが、省令で定める事項という中に価格の表示はないのですね。
  113. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 第十七条の表示事項といたしましては、品質管理者の氏名、登録番号、こういった法定事項のほかに、登録の年月日等を表示させるように考えておるわけでございますが、御指摘販売価格を表示させますと、共同行為等の問題も発生するおそれもございますので、それは表示させることにはいたしません。
  114. 板川正吾

    ○板川委員 公取に伺います。  せっかくいろいろの表示をするなら、定価を表示して、私のうちではガソリンを幾らで売ります、こういう表示をした方が消費者には便利かと思うのです。しかし、表示すると、一面、いまお話があったように暗黙の協定価格が実現するのじゃないかという心配があると言っておるのですが、公取はこの点をどういうふうにお考えですか。
  115. 澤田悌

    澤田政府委員 一般に、どのような商店でも販売品の価格を表示することは自由であります。したがいまして、石油の場合でも原則はそうでございます。しかし、そういう書面に書くとかいうことになりますと、ただいまの長官の話のようにいろいろな問題がございます。各販売店が個々に自分のところの販売価格を出すこと自体、それは問題ないと考えます。
  116. 板川正吾

    ○板川委員 ガソリンを幾らで売りますという表示をすることは公取としては問題はない、こういうふうに解釈しておりますね。――わかりました。  次に、十八条の帳簿の保存、これは何年間ぐらい帳簿の保存をしなければいけませんか。
  117. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 まだ最終的に決定いたしておりませんが、少なくとも一年は保存していただきたいと思っております。
  118. 板川正吾

    ○板川委員 わかりました。  十九条について伺いますが、この十九条というのは問題の条項なんですね。これが一歩運用を誤ると独禁法に触れることになると思いますが、まず公取に伺います。  この十九条の大臣勧告、これはもちろん独禁法の適用除外規定ではありません。この大臣の改善の勧告ですが、たとえば前段と、後段にもありますが、「これらの事態を改善するため必要な措置をとるべきことを勧告する」、こう言っておるのであります。この必要な措置をとるべきことを勧告した場合に、その勧告の内容が独占禁止法に抵触をするという場合にはどういう態度をとられるか、わかっておると思いますが、これが第一点であります。  それから、指定地区の安売りは不当廉売、不公正取引の一般指定の五で取り締まることができないのかどうか。  三点として、通産大臣勧告を出す場合に事前に公取と協議をするのか、また、協議をしてきた場合には公取はノーかオーケーかの返事をするのかどうか。  四点が、十九条の前段の勧告と後段の勧告で、これは前段で効力がないという場合に後段をやると言っているのですが、しかしその時期を接続をしてやるということになれば、結局再販価格指定と同じようになるおそれがあるのではないだろうか。  また、第五として、十九条一項の後段の事態は、差別価格、一般指定の四で取り締まることができないかどうか。時間がございませんから、この五点について公取見解を先に承ります。
  119. 澤田悌

    澤田政府委員 この法案独禁法の適用除外でないことはおっしゃるとおりと考えております。それで、通産大臣勧告独禁法との関連において問題であるというような場合、これは先ほどの三番目の御質問、協議があるかどうかという問題と関連いたしますが、運用といたしまして、そういうような場合には当然御相談があるもの、そこで折衝の上適正に処理したい、こういうふうに考えるわけでございます。  それから、前段の場合不当廉売というようなことで取り扱えないかということでありますが、これが条文にありますように非常な影響がある、それで不当廉売と認められるというような場合には、独禁法のたてまえから当然取り締まりの対象に相なります。  それから、前段と後段が接続して行われたというような場合に再販的な事態を生じないかという御指摘、ごもっともだと思いますが、そういうことのないように、これも先ほどの協議の問題と関連いたすかと思いますが、特に後段の運用につきましては一層慎重な処理が必要であるというふうに考えておるので、実際上そういう再販問題というようなことにはならないようになるのではないかと考えられるわけでございます。  それから、後段についての独禁法上の対応の仕方ですが、これがここに規定されているような、あるいはそれ以上の影響のあるような事態でありますれば、当然独禁法といたしましても差別価格等で取り締まることができるのは申すまでもないところでございます。
  120. 板川正吾

    ○板川委員 通産大臣に伺いますが、この勧告を出す前に、六条二項にもありますが、石油審議会の意見を聞くというのが私は妥当だと思うのです。この勧告をする場合に石油審議会の意見を聞く必要があるのじゃないかと思いますがどうかというのが第一点であります。  第二点として、指定地区内で「事態を改善するため必要な措置」とは、具体的にどういうことになるのでしょう。その地区内で過当競争が行われている、そして経営の安定が著しく危殆に瀕している、そして一店当あたりの売り上げが全国平均より非常に少ない、こういう六条によって指定された指定地区がありますね。そういう安売りをしておる場合に、大臣勧告を出すか、その事態を改善するために必要な措置というのは、金額を示すことになりますかどうか、私は、この金額は示すことができないだろう、こう思う。金額を明示するならば、これはもう独禁法の領域に入るのじゃないかと思うのです。差別価格等の方向にいくのじゃないか、あるいは不当廉売の方にいくのじゃないかと思うのですが、第二点として、金額を示して改善するのかどうか伺いたい。  第三点として、勧告の領域というものと独禁法の領域というものの区分というのは、その法域の区分といいますか、どういうことになるのでしょう。独禁法はいわば強行法規になるのですから、通産省がどう行政指導をやっても、それに関係なく、適用除外の規定がない限り独禁法は優先する、こういう解釈でありますが、しかしそういうことになりますと、同じ行政の間で大変混乱を来します。この法域の区分というものをどういうふうに考えておられるのか。この最後はひとつ公取からも見解を伺っておきたい。両方から伺いたい。通産省にはその三点伺います。
  121. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 まず第一点でございますが、十九条につきましては、原案では石油審議会の意見を聞くことにはなっておりませんが、やはり価格に対するある意味での介入という重大な問題でもございますので、審議会の意見を聞いた方が適当ではなかろうかと思います。  それから、第二点の勧告の出し方でございますが、これは現在考えておりますのは、個別事業者ごとに勧告を出すという考えでございまして、価格引き下げの場合と引き上げの場合があるわけでございますが、いずれの場合にもある水準を一義的に示すということではございませんで、たとえば、現在の揮発油の標準的な販売価格リッター当たり〇〇円から〇〇円程度となっている、当該揮発油販売業者の販売価格はこれを著しく上回っておる、あるいは下回っておるので、消費者利益を阻害しないように、あるいは揮発油の安定的な供給の確保を阻害しないように是正されたい、こういった形である程度是正すべき価格の幅というものを示しまして、個別事業者ごとに勧告することになる、そういう方向で現在検討いたしておるわけでございます。     〔松永委員長代理退席近藤委員長代理着席〕  それから、第三点の独禁法との関係でございますが、一応十九条と独禁法との関係考えてみますと、三つの場合があるのじゃなかろうかと思います。一つは、コスト割れに至らないまでも、指定地域内の販売業者の相当部分事業継続が困難になっているような場合、これは独禁法の適用の範囲外でございますので、本法が直に適用されるということになろうかと思いますが、あと、先ほどもお話が出ました不当廉売あるいは差別価格といったような不公正取引の事項に該当するものにつきましては、これは独禁法と本法と両方が適用される。それぞれ目的なりあるいはその目的を実現するための手段を異にいたしておりますので、競合と申しますか、抵触の問題はなく、それぞれの立場に応じて両方が適用されていく、こういうふうに考えております。  ただこの十九条の運用につきましては、われわれといたしましても法律上明文の規定はございませんが、公取とよく連絡をとりながらやってまいりたいと思っております。
  122. 澤田悌

    澤田政府委員 御指摘のように、この十九条は独禁法の適用を排除するものではございませんので、したがいまして、不当廉売とか差別価格などいわゆる不公正な取引方法に該当する行為がある場合には、当然独禁法で規制してまいりたいと考えておりますが、先ほどの長官のお話のように、同じ対象に対して法律目的、趣旨が違って対応するということでございますから、二重行政になって国民が迷惑するというようなことのないようによく注意してまいりたいと考えております。
  123. 板川正吾

    ○板川委員 最後でありますが、いずれにしろ、この十九条の勧告独禁法上からも問題を持っておるわけでありまして、ひとつその点は通産省も協議をするものと思いますから協議をして、二重行政あるいは行政の混乱を来さないようにやってもらいたい、こう思います。  最後で行きがけのだちんというわけではありませんが、石油販売業者が非常に零細企業で、収益も平均小売業者から見ると非常に少ないし、困っているというときに、実はこの元売、精製業者が非常に収益を上げているという新聞、ニュースもございます。  たとえば一例を挙げて言いますと、ことしの八月十八日の新聞でありますが、東亜燃料は通期経常で前年よりも二・六倍の利益を上げて、その金額が二百数十億である、もうかってもうかって仕方がないから和歌山の製油所の設備を除却損失として損金で落として利益を減らしておる、あるいは最近は後入れ先出し法――後入れ先出し法というのは、御承知のように後から入ってくる原油が高いものですから、高いものを先に出して、先に入っている安いものを後に処理する、こういうことも報道されていますし、創業以来の黒字決算だ、外資系のこういう精製会社はもうかってもうかって仕方がない、利益の隠し場がない、こう言われる石油業界の現状ですね。  こういう点は、私は前に八月二十四日の当委員会で指摘しておいた。それは石油の得率の関係、あるいは得率の配分の関係、それからガソリン価格関係、その他原油割り当て実績主義の関係、こういった点を考慮して、とにかく外資系に利益が全部集まるのじゃなくて民族系も同じように均てんするように、悪いときは一緒に悪い、いいときは一緒にいいということになるような行政上の検討をすべきだ、こう示唆しておいたのでありますが、余りいい返事はないのです。しかし、このことを再び強調しておきます。こういう問題点があるということを強調しておいて、私の質問をきょうはこれで終わります。
  124. 近藤鉄雄

    近藤委員長代理 加藤清二君。
  125. 加藤清二

    加藤(清二)委員 お許しを得まして、ただいま審議されております揮発油販売業法案について二、三質問をしたいと存じます。  すべての法律は国民の利益を守るためにあらねばならねと存じます。この法案が通過いたしますと一体だれが得するのでございましょうか、それをまず大臣に承りたい。
  126. 河本敏夫

    河本国務大臣 この法案を御審議をしていただいておる目的でございますが、一つは、現在のガソリンスタンドの過当競争を排除いたしまして、その経営をできるだけ安定化するということと、それから粗悪ガソリンが出回っておりますので、これを規制をいたしまして消費者の利益を図っていく、こういうことでございますので、この法案が成立をいたしました暁におきましては、その目的がほぼ実現されるのではないかと考えております。
  127. 加藤清二

    加藤(清二)委員 私が要求しました大蔵省は来ていらっしゃいますか。それから、自治省はよう来ないのですね。すでにいま一時を越えています。お互いに生理的現象があるけれども、それを無視して、お昼抜きで一生懸命に審議しようというわけなんです。呼んでおいた人に早く来ておいてもらわぬと議事進行に支障を来すわけですので、呼び寄せておいてください。  次に、大臣に御質問します。  いま、これを通過させると国民が得すると、こうおっしゃられました。そうあらねばならぬと存じます。しかし、国民の方から、あるいは消費者の方から、この法案を通してくれという陳情は一人もなかったのです。ただ、ガソリンスタンドを経営していらっしゃる側から、是が非でも、是が非でもという陳情がございました。それだけならまだわかるのですけれども、これを通すことによって――通すたけじゃない、強行採決もあえてすることによってこれは通すのだ、そうしてその結果、今度の選挙にこれが利用されるといううわさがもっぱら広がっている。新聞にまで出ている。業界紙までこれを大々的に報道している。  突き詰めていけば、ここで私、だから自治省に来てもらいたかったのですが、法案を通すときに、一般国民のためとか全体のためということなら話はわかりますが、一つの党の利益になる、一つの党の選挙に有利になる、そのように仕組むのだということであると、これは公職選挙法にも触れるおそれが出てくると存じます。さような趣旨がこの立法の過程において、あるいは審議の過程において行われているとするならば、私どもは黙ってこれを認めるわけにはいかない、こういうことになる。大臣の所見を承りたい。
  128. 河本敏夫

    河本国務大臣 ガソリンスタンド業者から陳情があったことは事実であります。しかし、そういうことに関係なく、国民経済全体の立場からこの法律案をつくりまして御審議をお願いしておるわけでございまして、選挙目当てであるとか、一党の利益のためであるとか、そういうことは毛頭ございません。
  129. 加藤清二

    加藤(清二)委員 それでは、あなたは新聞記事を否定なさいますか。
  130. 河本敏夫

    河本国務大臣 どういう新聞記事が出ておったのか、私はそれは見ておりませんが、国民経済全体の立場からこの法律案をつくりまして、審議をお願いしておるわけでございます。
  131. 加藤清二

    加藤(清二)委員 「臨時国会で優先審議 揮発油販売業法」「今期中成立の機運高まる “賛成多数”で採決強行へ」「自民議員二百名集め 全石、二十一日に総決起大会」、大きい見出しだけを読みました。うそじゃありません。見てください、二ページにわたってありますから。これを否定なさいますか。――まあ見てください。
  132. 河本敏夫

    河本国務大臣 この新聞を見るのは私は初めてでございます。「日刊燃料油脂新聞」という新聞でございますが、この新聞の見出しには「自民議員二百名集め 全石、二十一日に総決起大会」、こういう記事がありますが、この大会は私の承知しておる限りでは中止されたというふうに聞いております。  しかし、いずれにいたしましても、先ほど説明をいたしましたように、国民経済全体の立場から考えまして、二つの大きな目的を持って法案を作成しておるわけでございますので、どうかそういう立場から御審議をお願い申し上げたいと思います。
  133. 加藤清二

    加藤(清二)委員 まさか天下の河本通産大臣がさようなことを計画なさったなどとは思いません。また、思いたくない。また、エネルギーの担当のエネルギー庁の長官や関係政府委員がそんなことを企てたなどとは、夢にも思いたくない。しかし、これははっきり言えばクーデターなんだ。そうでしょう。強行採決すると書いてある。同時に、自民党の議員だけ二百名集めて促進大会をやる、こう言っている。この法案を材料に、一党一派の選挙のためにこれを利用しようというわけなんだ。まさに利益誘導と言わざるを得ない。あるいは関係筋で資金も集めたという話も漏れ承っているが、そうなれば受託収賄の問題が発生することは当然のことなんだ。そういう疑いがある法案に対して、われわれとしては手を汚したくないわけなんです。ですから、大臣が、これは全部うそであった、夢物語であったとおっしゃるならば、審議にも応じましょうけれども、これが前提となっているということであれば、もはや審議に応ずることはできません。もう一度大臣の所見を承りたい。
  134. 河本敏夫

    河本国務大臣 いまの新聞に書いてありますような大会の計画があったことは事実だそうでございます。しかし、それは反省の上中止をした、こういうふうに理解をしております。私どももそういうことは絶対にあってはならぬと考えておりまして、先ほど申し上げましたように、純粋に国民経済の立場からこの法案をつくり、また審議をお願いしておるわけでございますから、どうかそういうふうに御理解を賜りたいと思います。
  135. 加藤清二

    加藤(清二)委員 通産大臣の答弁たるやまさによしであります。しかし、私はうちの党の商工部会長として、衆参両方の委員からも、あるいは関係の政審その他からもいろいろ意見を受けております。そのうちの一つにこういうことがございます。  わが党の衆議院の今度の候補者、現役でございます。このお方は商工委員として実はもう十五年も務めた人です。その人が地元で国会報告の演説会を開こうというので、ポスターをつくって、ガソリンスタンドの店へこれを張らしてもらいたいと言ってお願いに行った。そうしたら、そのガソリンスタンドのお店の主人いわく、あえて名前は言いません、今度は某党をやることになりました、したがってあなたの党のビラを張るわけにはまいりません。  しかも、その人が一体どういう人かというと、新人なんです。まだ議員になったためしがない人なんです。商工委員会へ来て何か功績でもあったかというと、全然ないのです。全然ないけれども、所属が与党である。野党であれば、五年、十年、十五年も、中小企業育成のために、国民経済発展のために、昼飯も食わぬで、きょうがそうでしょう、審議している。にもかかわらず、その人に対してはビラも張らせない、こう言うのです。それはその一商店の社長の作り事ではないはずなんです。どこかから指令が行かなければそんなことを言うはずはない。名前を挙げてもいいですよ。こういう具体的事実にかんがみて、大臣はどうお考えですか。     〔近藤委員長代理退席、綿貫委員長代理着席
  136. 河本敏夫

    河本国務大臣 この法律案をつくりました経過並びに目的につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、いまいろいろ御指摘のように、幾つかの誤解を招くようなことがあったとすれば、大変遺憾でございます。
  137. 加藤清二

    加藤(清二)委員 過去のことは大変遺憾であった、それで今後はどうなさいますか。
  138. 河本敏夫

    河本国務大臣 個々の選挙運動の具体的な事項については、私が申し上げる立場にありませんので申し上げませんが、ただ、この法律目的というものが国民経済全体の立場からつくられたものである、そういう観点に立って私どもも公正な運用をしていかなければならぬと考えております。
  139. 加藤清二

    加藤(清二)委員 念を押しておきます。私も二十何年、商工と予算をひたすらに務めてきた。その間、国民経済の発展と、特に弱きを助け強きをくじくという基本理念に基づいて、中小零細企業のためによかれかしと思うて務めてまいりました。いま私はわが党の商工部会のまとめ役なんです。そのまとめ役のところへ、参議院からも衆議院からも、関係の政審その他からもどんどん苦情が来ている。あなただったらこれをどうなさるのですか。あなたの立場が逆だったら、どうなさいますか。この法律を通すために社会党だけやるのだ、そういう指令が末端まで行って、あなたの方の党の国会報告のビラも張らせないということに直面なすったら、あなたはどうなさるのですか。  声あっていわく、戦争前に敵に鉄砲弾をつくって渡すほどのばかがどこにおるか、そんなことならやめておけ、こういう声が非常に強うございます。私としては、この法案が通って業界が安定し、国民が幸せになるということであるならば、少々のことは目をつぶってでもこれは通したいと思っているけれども、その通すことによって大変な被害を同志が受けるということになるならば、これは何をか言わんや。大臣、あなたの私の身になっての所見を一遍聞きたい。
  140. 河本敏夫

    河本国務大臣 法律というものは一党一派のためにつくられるというふうなものでは絶対ございませんし、もしそういうことがありとすれば絶対排撃しなければならぬことであると思います。繰り返して恐縮でございますが、国民全体の利益のために、国民経済全体の発展のために考えられなければならぬと思います。したがいまして、当初にこの法律目的について主たる点を二つ申し上げましたが、この法律案が成立をいたしました暁におきましては、あくまで公正な運用をいたしまして、その二つの目的が実現をいたしまして業界が安定するように指導してまいりたいと考えております。
  141. 加藤清二

    加藤(清二)委員 そういう行政指導をなさるというお約束ができますか。
  142. 河本敏夫

    河本国務大臣 約束をいたします。
  143. 加藤清二

    加藤(清二)委員 結構です。私はこの問題で深追いしようとは思っておりません。大臣の公正無私なその信念を行政指導の上に表現し、実行に移していただきさえすれば、それで何をか言わんやでございます。  では、大臣の言たるやまさによしとして、私は審議を進めたいと存じます。質問を続けます。  制度ができ、法律ができれば、だれかが得をして、だれかが損をする。まあ損をする人がない場合もあるかもしれません。今回のこの法案は、もし通過したら一体だれが得するのですか。
  144. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 先ほど大臣からもお答えいたしましたように、本法案は、揮発油販売業の健全な発達を図って安定供給を確保するということと、粗悪ガソリンの追放と申しますか、品質確保を図るということを直接の目的といたしておるわけでございますが、それによりまして消費者利益確保あるいは国民経済の健全な発達に資するということも考えておるわけでございまして、だれが得をするか、だれが損するかという問題としてではなくて、ガソリン業界の経営安定化あるいは品質確保をベースにいたしまして国民経済に資するように持っていきたいということが本法のねらいでもあり、われわれの本法運用の基本的な姿勢であろうかと思います。
  145. 加藤清二

    加藤(清二)委員 ガソリンを使用する国民が得をし、ガソリンスタンドに朝から晩まで働かれるそこの労働者が幸せになり、その経営者も経営が安定するということであれば、何をか言わんや、そんな結構なことはございません。  しかし、問題は、第一条の目的の第一にございますように、登録その他の規制をする、こういうことでしょう。いままではこれは届け出制でしたね。届け出と登録ということになりますと、登録の方が今後発生する業者には手続がむずかしくなる、こういうことですね。同時に、既設の業者は権利が発生してくる、こういうことですね。  そこで、登録制度ということについてもう少しうがって聞きますが、この登録制度は、すでに許可を得ていま営業している人にはどうなるかということと、新しく営業をしようとする人にはどうなるか、ここのところをはっきりしてもらいたい。
  146. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 まず既存業者との関係でございますが、登録申請をしない場合におきましても、本法施行後六十日間は販売業を実施することが可能でございます。それから、その期間中に、本法の施行後六十日以内に登録を申請いたしました場合には、登録または登録の拒否がない限り従来どおり営業を続けておっていい、こういうことになるわけでございます。これは経過措置の附則第二条で規定されておるわけでございますが、いずれにいたしましても新旧を問わず登録制の対象になることは当然でございまして、本法によるところの経過措置では、その無用の摩擦を避けるという立場においてやっておるわけでございます。したがいまして、既存業者といえどもこの法案に規定しております要件を具備しているかどうかということをチェックすることになるわけでございまして、その限りにおいても、登録が拒否される場合も、観念的には、あるいは法律上はあり得るわけでございます。  ただ、一つ違うのは、いわゆる指定地域内における建設調整につきましては、既存業者はすでに事業を開始しておるわけでございますのでこの点は及ばないわけでございますが、その他の点については、新旧を問わず本法案に規定しておるところの要件を具備するかどうかをチェックする、こういうことになるわけでございます。
  147. 加藤清二

    加藤(清二)委員 いまの長官のお話によると、この法案が通過した場合には、既存、新旧を問わず全部登録のチェックを受けなければならない、そしてそのチェックによって不当と認められたものは営業を停止される、こういうことでございますか。ないしは、新規のものは停止でなくて、認められないで終わるだけでいいですけれども、現在営業している既設業者といえども不適格であった場合には営業を禁止される、こういうことに受け取ってよろしいのですか。
  148. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 法律のたてまえ論といたしましてはそういうことになりますが、現実の問題としては、まずまずさようなものに該当するものはないというふうに考えております。
  149. 加藤清二

    加藤(清二)委員 そこらがだんだん答弁がおかしくなっていくね。法律は原則として既往にさかのぼらずですね。特に国民の利益にかかわる法律の場合は既往にさかのぼることもあり得るけれども、規制をする、制限をするという場合の法案について既往にさかのぼるということが前例としてございますか。
  150. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 御指摘でございますが、さかのぼるということでございませんで、この法律ができることによって、第三条の規定によりまして新たに登録を受けるという手続が必要である、こういうことでございます。
  151. 加藤清二

    加藤(清二)委員 では、具体的に申し上げます。これは想定でございます。もしも通産省のチェックによって営業停止を命ぜられたという店が出来したといたします。この店の固定資産は、ガソリンスタンドを経営している人の資産ではない方が多いのです。ガソリンスタンドの土地代金、設備代金、これはほとんどが系列の産元の方が持つのです。もちろん自己資金のある販売業者、というよりスタンドと言った方が早いから、スタンドの方は、それは自己資金でおやりになるでしょう。しかし、それといえどもなお産元の方から設備資金が加わっている。そうすると、途中において営業停止を命ぜられた場合のその借金の返済の義務はどうなりますか。あなたたちがスタンドを克明に調べてごらんになるとよくわかる。スタンドで働いている人が所有権者ではないのが多いのですよ。
  152. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 ただいま御指摘のように、スタンドの多くはその資金を元売あるいは特約店から借り入れている場合、あるいは借り入れていない場合も債務保証をしてもらっている場合、特に昨今の土地代金あるいは建設費の上昇からいたしますと、ごく概算いたしまして六千万から一億数千万かかるだろうということでございますので、御指摘のような場合はむしろ一般的と申し上げてもいいぐらいに例が多いのではなかろうかと思います。  ただ、私が先ほど申し上げましたのは法律論としてのお話でございまして、六条の拒否要件に該当するかどうかということをチェックいたすわけでございますが、現在平穏無事にその業を営んでおるというのが実態でございますので、現実問題としては登録が拒否されるケースはまずまずないというふうに先ほど申し上げたわけでございまして、そういった意味合いにおきまして、そういった借入金あるいは債務保証問題について不測の影響を与えることはないというふうに考えております。
  153. 加藤清二

    加藤(清二)委員 いまの長官の親心があればまずまず間違いないだろう。しかし、その親心は必ずしも末端に徹底するとは限らない。いたずらに平和な中に波紋を投げかけるようなことは避けた方がいいではないかと思いまするがゆえに申し上げているのです。  ガソリンスタンドというのは、たんぼの中や山の中につくるのではございません。みんな道路沿いでございます。その道路も、交通頻繁な盛り場の道路沿いが多うございます。それは必ず地所代が高いのでございます。その地所も、地下に固定した設備をしようとすれば、これは永久設備になる。永代借地権を設定しなければならない。あるいは買い取りとしても一年や二年でその土地代金が返済できるなどというようなことは、都会地においてはまずない。五年十年の分割払いが行われている。そういうやさきに営業を停止されたりなどしたら、これは目も当てられない。  そこでお尋ねする。では、チェックする人は一体だれなのですか。
  154. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 通産省の職員が、大臣の命を受けて、所管区に応じてやるわけでございます。
  155. 加藤清二

    加藤(清二)委員 職員というと、本省のお役人さんですか、それとも通産局のお役人さんですか。
  156. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 両方でございます。と申しますのは、本法の規定によりまして、通産大臣の権限とされておるものを地方の通産局に委譲する規定もございます。ただ、現在段階でどの程度まで通産局長に委任するか決めておりませんが、全国的にバランスをとらなくてはいけないような問題だとか、あるいはきわめて重大な事項等については、通産大臣権限として存置しておく方向で検討いたしております。
  157. 加藤清二

    加藤(清二)委員 それでは次に、「品質の管理を適確に行うに足りる技術的能力を有しない」と認めたときには登録を拒否するものとすとございますね。この「品質の管理を適確に行うに足りる技術的能力」はだれが判定するのですか。技術者を養成するのですか、それとも現在の店員を教育するのですか。
  158. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 その判定も通産省の職員がやるわけでございますが、具体的には品質管理者選任する、それから品質を分析するための設備を常時利用できるようにする、その結果を帳簿に記載する、大体こういったところが品質確保に関する本法案の中の規定でございます。  まず、品質管理者につきましては、その職務内容からいたしまして、さほど厳格な要件が要らないのではないかという判断に立っておりまして、学歴で申しますと高校を卒業した程度化学知識を持っておることと、スタンドに従事すること一年以上の経験を持っておる人、こういった程度考えております。あるいはさらに講習会等を実施いたすことによりまして、いまの二点について要件を備えていないような人に対してもその講習会に参加することによって資格を持ち得るようにしたいと思っておりまして、特段の国家試験といったようなものは考えておりません。現に、御承知のように消防法によりまして危険物取扱者というものが決められております。これは、それぞれのスタンドに必ずおるわけでございますので、場合によってはその人が兼務するということもよろしいかと思います。  それから、分析設備につきましては、蒸留設備あるいはガスクロマトグラフといったようなものを考えておりますが、これも単価三十万ないし五十万円程度のものではございますが、必ずスタンドごとに持たなければいけないということはございませんで、常時利用できる形になっておれば、それも結構である。それから分析の内容につきましても、その設備を使ってやれば比較的容易にチェックができるということでございますので、そういった要件を具備しておれば御指摘の技術的能力ありという判断になるかと思うわけでございます。
  159. 加藤清二

    加藤(清二)委員 先ほどの長官の答弁で、固定、移動合わせてガソリンスタンドは五万余ある、こういう話。通産省の検査官を動員いたしたとしましょう。何年がかりでチェックができますか。何年がかりでやる予定ですか。
  160. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 具体的にはやはり計画書だとか、あるいはそれに対する添付書類等の提出を求めるわけでございますので、第一次的にはその書面審査で処理するという考え方でございます。登録制を考えましたのも、むしろ一定の基準のもとに画一的に処理できるような、要するに行政コストを低減しながら簡易迅速にやれるということも、登録制を採用した理由の一つでございます。
  161. 加藤清二

    加藤(清二)委員 何ですか、書類審査だけで事を済まそうとなすっていらっしゃるのですか。その結果、法文によれば許可の延期だとか取り消しという、これはあなた、倒産一歩手前の罰則が付せられているわけだが、それを書類審査だけでおやりになるおつもりですか。
  162. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 いま申し上げましたように、第一次的にはということでございまして、御指摘のようなケースの場合には、もちろんこれは書類審査ではわかりませんので、現地の通産局を使うとか、あるいは本省から担当官を派遣するとか、実情把握の上でないと、そういう権利義務に直にかかわるような問題については裁断する気持ちは毛頭持っておりません。ただ、一次的にざっと書類を見て判断する、そして問題のあるものについては具体的にチェックする、あるいは状況によってはやはり石油審議会の意見を聞くといったような措置も必要かと思っております。
  163. 加藤清二

    加藤(清二)委員 長官、私が何でこんなところで念を押すかと言うと、通産省のエリートの方々はみんな東大出で頭のいい人ばかりなんですよ。ところが、失礼なことを言いますが、その道にかけると素人が多いのです。それはそのはずですよ、同じポジションに三年、四年といないのだから。頭はいい。知ることも早い。記憶することも早い。もうすべて結構ずくめなんです、通産省のエリート官僚は。  それじゃ承りますが、火力発電所で重油がたかれる。その重油は当該県ないしは市と公害協定を結んでいる。その結んでいる数字が、〇・三だとか〇・五だとかきわめて僅少なザル含有量を協定書にうたっている。果たしてそんなにローザルの重油が日本にあるのか。輸入関係、ザル抜きの設備等々、マクロの立場からいったら、コンスタントにそれを使うなどということはとうていでき得ないことである、ゆえに抜き取り検査をすべきであるということを私はもう十年来言ってきておる。ところが、その抜き取り検査が一度も行われていないのです。だから申し上げるのです。一片の書類審査で許可延期だとか取り消しだとか、中小零細企業の倒産にかかわるようなことをされてはたまったものではない。橋本さんのような中小企業に親切なお方がお調べになられれば、それは間違いないでしょう。しかし、末端へ行くと、そうばかりは言えませんよ。通産局の事務官の方々は、そうばかりは言えないのです。この点、いたずらに混乱が起きないように御善処を切に要望しておきます。  次に、十三条から十八条にかけて、粗悪な揮発油販売の禁止、これは当然のことですね。これは国民の利益を守るためにも、危険防止のためにも、あるいは大気汚染を防止する立場からいっても、特に都会においてはスモッグの影響でがんぜない学童までが迷惑をこうむっているというやさきですから、粗悪な重油やガソリンをたいて道路にまき散らしてもらっては困る。だから、これはまことに結構なことですが、ここで法文に言うところの「粗悪な揮発油」というのは、一体どういう内容のものでございましょうか。
  164. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 通常の場合と申しますか、粗悪ガソリンとしてチェックされたものは、灯油を混入しておるという例が一般でございますので、粗悪性の判断は、灯油がどの程度混入されておるかというところにポイントを合わせてチェックいたしたいと思っております。
  165. 加藤清二

    加藤(清二)委員 なぜ灯油がガソリンに混入されるか、一体その混入される場所は、精製過程で行われるのか、あるいは元売のところで行われるのか、スタンドで行われるのか、それをどうキャッチしてみえますか。
  166. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 まず、灯油が混入されるのは、ガソリンが石油製品の中でも数少ない採算油種であり、かつ他の製品に比べますと六万円以上もの価格差がある。御承知の、この七月一日からキロリットル当たり八千六百円ガソリン税が増徴されました。現在四万三千百円という高率の税金が課されておるわけでございますので、そういったことから灯油を混入して不当利得を得ようとする動き可能性が高まってきておるというふうに理解いたしております。  それから、それでは灯油がどの段階で混入されるかということでございますが、製油所を出る段階ではまずまずJIS規格に定められた以上の品質のものが出荷されておるようでございますが、陸上あるいは海上の輸送途中あるいはスタンドにおける地下タンク、そういったところで混入される事例が多いというふうに承知いたしております。
  167. 加藤清二

    加藤(清二)委員 わが党の調査においても似たり寄ったりの結果が出ております。いまの長官のお答えと大同小異でございます。  そこで、私は大蔵省にお尋ねしたいのですが、ガソリンとナフサと灯油と軽油、これはともに税金が違うのですね。この今日の明細をまず知らせていただきたい。
  168. 沢口成利

    ○沢口説明員 揮発油税が一キロリットル当たり三万六千五百円、地方道路税が一キロリットル当たり六千六百円、いまの長官のお話は、両方込みにしてお話ししたわけでございます。軽油引取税、これは地方税でございますが一キロリットル当たり一万九千五百円。それから石油ガス税、これは国税でございますが一キログラム当たり十七円五十銭、一キロリットルに換算いたしますと九千八百円でございます。
  169. 加藤清二

    加藤(清二)委員 航空機は……。
  170. 沢口成利

    ○沢口説明員 航空機燃料税は一キロリットル当たり一万三千円でございます。
  171. 加藤清二

    加藤(清二)委員 これは据え置きですか。
  172. 沢口成利

    ○沢口説明員 据え置きでございます。
  173. 加藤清二

    加藤(清二)委員 そこで、税制問題については審議をする場所が別でございますから、いずれこれについては別なところで慎重審議をしたいと思いますけれども、大蔵省さん、よく聞いておってくださいよ。先ほどエネルギー庁の方から言われたように、混入したりして粗悪なものが売られるようになる、こういうことでございますが、その原因一つに税金の相違があるのです。大衆がたくさん使うガソリンには四万三千円余の税金がかかる。ところが、大衆が直接消費しないガソリンになると、似たり寄ったりの航空機の方は一万円以下である。まさに三倍余の税金がかけられておる。軽油の場合、灯油の場合には、消費者連盟が常にクレームをつけますから、そう簡単に上げるわけにはまいらぬと言って、ガソリンにだけむやみやたらとおつけになる。世界じゅうで日本ほどたくさんつけているところがほかにございますか。
  174. 沢口成利

    ○沢口説明員 私は国税庁の課長をしておりますので、税制そのものは直接担当いたしておりません。ただ、各国でも自動車関係、一般乗用車を見ますと、アメリカを除きまして大体同じぐらいの負担率になっておるわけでございます。
  175. 加藤清二

    加藤(清二)委員 私は世界の石油会議に日本代表として出て、各国のデータを細かくとっておるのです。これほどガソリンに税金をかけている国はほかにない。電気料金も今度は世界一高くなりました。ガソリンも世界一高いのです。しかし、航空機は別ですよ。なぜ航空機だけが安いかというと、これは国際プライスでなければ外国の飛行機が承知しないからなんです。日本の内地におけるガソリンの値は、世界に通用しない高値が横行しておるということなんです。安い税金のものをこれにまぜればその利幅をいただけるものですから、ブレンドしたりミックスしたりして、あの手この手でもうけを考えるのは理の当然なんです。  そこで、大蔵省に申し上げておきますが、ひとつこの点は、国民の利益を守り粗悪のガソリンは停止を食らうという法律を通すやさきですから、大蔵省でよく検討しておいてください。いずれ私は大蔵委員会に行ってこの質問をいたしますから、準備しておいてください。  次に、分析をするとかどうとか言っておりますが、粗悪であるかないかを分析するのは、だれがやるのですか。
  176. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 品質管理者の当然の業務になるわけでございます。品質管理者でございます。
  177. 加藤清二

    加藤(清二)委員 ここらあたりもよほどきめ細かにしておかれませんと、分析する人が事を間違えますよ。  そこで、もう一つ大蔵省にお尋ねしたいが、この税金は蔵出し税でしょう。いま陳情の中に、無印の油を売っている店がたくさんある、これを征伐してもらいたいというのがあるのです。そこで、大蔵省にお尋ねする。無印のものを売っている場合の蔵出し税はだれが払うのですか。
  178. 沢口成利

    ○沢口説明員 蔵出し税とおっしゃいましたけれども、結局製造所から出す場合に製造者が納税義務者になるわけでございます。したがって、製造段階で納税されておれば、それは無印であろうとそれ以外のものであろうと関係ないわけでございまして、つまり蔵出しというのは製造所から出る段階でございます。
  179. 加藤清二

    加藤(清二)委員 それはあなたの立場から言えば関係ないかもしれぬけれども、いいですか、私が消費者ですよ、私はガソリンスタンドへ油を買いに行った。ガソリンをくれと言った。その中に粗悪品があるというのでしょう。軽油や灯油が入っておったとする。軽油の方は税金が少ないはずでしょう。ところが、私はガソリン税をそのまま取られるのですよ。そうでしょう、あなた。五万も六万も税金を取られるのです。考えてみてください。代議士諸公だったらみんな車を五台や六台持っていますよ、宣伝カーその他を入れると。毎月毎月ガソリン代を五万や六万はみんな払っているのです。そうしたら、小売で税金の安いはずの、また価格も安いはずのものをガソリンだと言って売ったら、大変な差益があるでしょう。この税金はどうなるのですか。蔵出し税だから聞いておる。小売税じゃない。だれがポッポに入れるか。
  180. 沢口成利

    ○沢口説明員 ガソリンスタンドでもって他のものを混和して作製しても、それはブレンドガソリンとして密造になるわけでございまして、その分の脱税については摘発して課税しておるわけでございます。
  181. 加藤清二

    加藤(清二)委員 あなたにそういう質問をするのはちょっと無理で、方向違いかもしれませんから、いずれこれは大蔵委員会で質問をするということにします。  では、今度は通産省に聞きます。  無印のものを販売する、つまり無印が不正とは言いませんけれども、疑われてもやむを得ざるものを売っているという店が日本じゅうにどのくらいあるかと私が質問しましたら、業者いわく、ある人は七百五十軒の余あると言いました。同じグループの人に聞きましたら、いや、それは一%程度で四百五十軒ぐらいだと言われました。しかし、一%というと五百軒の余でなければならぬのに、それからまた同じグループに聞きましたら、ある人は、いや、三百五十軒ぐらいですという答えでございます。エネルギー庁は一体どうキャッチしてみえますか。
  182. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 わが省で調査いたしました三月末の無印店舗は、四百五十でございます。
  183. 加藤清二

    加藤(清二)委員 私が業界からもう一度と言って取り寄せてみましたら、四百九軒となっております。それはどっちでもいい。三百五十でも四百でもそう大した違いはないが、これがやみの油を売っておるとなりますと、先ほど質問にもありましたが、この供給源はどこでございましょうか。
  184. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 先生のおっしゃったやみという意味はどういう意味か、私、よくわからないのでございますが、無印だからといって、必ずしも粗悪なガソリンを売っているということにはならないと思います。そういった場合、一般的にはいわゆる業転玉を安く買い入れて、それを通常販売店よりも安く売ることによってその領域をふやしていこうとする傾向もないとは申し上げられないと思います。
  185. 加藤清二

    加藤(清二)委員 この点も本当は究明したいところでございますが、本日の結論として、エネルギー庁の行政姿勢を承りたい。  やみが行われるという場合は、大抵品物はあるということなんですね。そうでしょう、品物がなかったらやみに流れないのだから。品物はある。銘柄を持っている、たとえば、名前を言っては悪いかもしれませんが、共同石油とか出光とかというところは、テレビやら新聞にまで自分のマークを宣伝しておるでしょう。そして自分のマークをたくさん売ろうとしておる。そういうやさきに、やみで流すばかがどこにありますか。お酒でもそうですよ。大蔵省、みえるでしょう。お酒でもたる買いということがあるが、知ってみえるかな。武藤さん、よう知っておるでしょう。無名のものを買ってきても、自分のところの月桂冠だと言って売るのですよ。  そういうやさきに、どうして自分のところのものを無名で売るのですか。宣伝しまくって、自分のところの銘柄はたくさん売れるように、たくさん売れるようにと努力するのが普通なんです。それが不思議でかなわない。ということは、ある精製会社は販売能力よりも精製能力の方が多いということか、ないしは輸入商社が別途特別輸入をしているということなんです。特別輸入したって、通関実績で調べたらすぐわかるはずなんです。もし自分のところで精製したものが、精製能力の方が大きくて販売能力が小さいという会社があるとするならば、そこへ精製を許す必要はないでしょう、やみに流すようなところに。にもかかわりませず、通産省は今度は精製設備をふやそうという計画があるやに聞いておりますが、それは本当ですか。
  186. 古田徳昌

    ○古田政府委員 現在わが国の石油精製設備の能力は五百九十四万バレル・パーデーでございますが、それに対しまして百四十数万バレルの設備の増強計画がありまして、これにつきまして石油審議会から一応の答申を得ているわけでございますが、昨年九月、この設備の新増設に関しましてしばらくの間見合わせるというふうなことで石油審議会の意見をいただいておりまして、現在設備の新増設は差しとめているという状態でございます。この解除につきまして、現在なおいろいろな事情、先生のおっしゃいましたような問題点等も含めまして検討中でございまして、まだ結論が出ておりません。
  187. 加藤清二

    加藤(清二)委員 検討中ですね。実施はいつですか。
  188. 古田徳昌

    ○古田政府委員 設備増設の前提となります石油の供給計画との関係もございまして、実施時期につきましてもまだ全く検討中ということで、結論は出ておりません。
  189. 加藤清二

    加藤(清二)委員 大臣に要請をして結論とします。  小売業の方は、一つ間違うと許可延期だの取り消しだの、過去の権益までも奪われるという厳しい行政の仕方でございます。しかし、小売屋さんは手でつくるわけにはいきませんよ。お酒でもそうなんです。小売屋さんで勝手につくるというわけにはいかぬのです。やみ品があったとすれば、それは元売があったからです。あるいは運転手からの横流しをポッポへ入れたという場合もあるでしょうが、そんなものが合わせて四百軒も堂々と店を張るはずはない。今度精製設備を許可なさいます折にぜひ注意していただきたいことは、いままでの販売業績をしっかりと調べて、やみのもとをつくっているような精製会社は、小売が厳罰に処せられる以上にはっきりと罰則を与えるべきである。これが法のもとにおいて平等なあり方だと存じます。  大臣の所見を承って、終わります。
  190. 河本敏夫

    河本国務大臣 いまお述べになりました御趣旨の点は、十分注意をいたします。
  191. 綿貫民輔

    ○綿貫委員長代理 午後三時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後二時五分休憩      ――――◇―――――     午後三時八分開議
  192. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  第七十七回国会内閣提出中小企業事業転換対策臨時措置法案を議題といたします。  本法に対する質疑は、昨日終了いたしております。  これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  中小企業事業転換対策臨時措置法案について採決いたします。  本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  193. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  194. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 次に、本法律案に対し、近藤鉄雄君外五名より、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党、民社党及び新自由クラブ六派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。上坂昇君。
  195. 上坂昇

    ○上坂委員 ただいま提案をいたしました附帯決議案につきまして、提案者を代表して、私からその趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     中小企業事業転換対策臨時措置法案に対する附帯決議(案)   政府は、最近の厳しい経済環境において、中小企業者がその意志に反して事業転換に追い込まれることのないよう、中小企業振興育成政策の拡充強化を図るとともに、本法施行にあたり、中小企業の実情に十分配慮しつつ、本法の弾力的運用と指導の万全を期するため、次の諸点につき適切な措置を講ずべきである。  一 事業転換に必要な資金の貸付については、できる限り低利とし、その他の貸付条件の改善を図るとともに、事業転換を行う企業の新製品、新技術開発等に対する技術改善費補助金につき配慮すること。  二 事業転換計画の認定申請手続きについては、その簡素化を図ること。  三 事業転換にあたつては、従業員及び下請等の関連企業の意向が十分反映され、これらの理解と協力が得られるよう、転換計画に関する指導及び認定につき十分配慮すること。  四 事業転換に際し、従業員に対する職業訓練及び企業に対する指導を適切に行つて、雇用の安定に努め、特に中高年齢者の雇用安定に考慮を払うこと。  五 事業転換に伴い離職者の発生のやむなきに至つた場合においては、雇用保険制度の活用を図りつつ、きめ細かな就職指導、職業訓練等を実施して、早期再就職に努めること。以上であります。  附帯決議案の各項目の内容につきましては、案文及び審査の過程により十分御理解いただけると存じますので、詳細な説明は省略をさせていただきます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
  196. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  直ちに採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  197. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、附帯決議について政府から発言を求められておりますので、これを許します。河本通商産業大臣
  198. 河本敏夫

    河本国務大臣 ただいま議決をいただきました附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして、万全を期する所存でございます。     ―――――――――――――
  199. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 お諮りいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  200. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  201. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 第七十七回国会内閣提出揮発油販売業法案を議題といたします。  質疑を続行いたします。神崎敏雄君。
  202. 神崎敏雄

    ○神崎委員 まず最初に、揮発油関連してお聞きしますが、十三日、総合エネルギー調査会石油部会が開催され、この中で石油備蓄等の財源問題について小委員会を持って検討することになったと伝えられておりますが、この点は相違ございませんか。
  203. 河本敏夫

    河本国務大臣 そのとおりでございまして、石特会計が来年の三月で切れますので、その後のあり方等について研究をしておるところでございます。
  204. 神崎敏雄

    ○神崎委員 石油石炭特別会計の五十一年度予算、五十二年度概算要求と歳入見込みは、それぞれ幾らになっておりますか。
  205. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 石炭及び石油対策特別会計の五十一年度の歳入は千五百三十五億円でございます。五十二年度は千五百二十八億円と予定いたしております。
  206. 神崎敏雄

    ○神崎委員 そうしますと、来年度の特別会計の歳入不足約千二百二十億は、今後の見通しから、石油の備蓄や開発のための支出増になるのに、政府としてはどのようにして財源を確保しようとしておられますか、お伺いしたい。
  207. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 要求原案からいたしますと、御指摘のように、約千二百億円の財源不足になるわけでございますが、この財源不足をどういうふうに処置するかということにつきましては、現在政府部内でいろいろと検討いたしておる段階でございます。
  208. 神崎敏雄

    ○神崎委員 検討中だということですが、いずれにいたしましても約千二百億円の財源不足を穴埋めするには、一般会計から捻出するか、揮発油税から振りかえるか、あるいは原重油関税を引き上げるしかない。ところが、いわゆる財政危機の折、一般会計からの捻出というのは非常に困難である。また、揮発油税からの振りかえも、地方自治体の道路財源を削減することになり、そう簡単にはできることではないと思います。さらに、関税引き上げについては、石油メーカーなど石油連盟が強力に反対している。そうすると、政府としては、近く開かれる石油部会の財源問題小委員会に一体どのような案をもって臨まれるのかを聞きたい。
  209. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 まさに、いろいろな方法論についてはそれぞれのむずかしい問題がございます。したがいまして、当分の間は、現状がどうなっておるか、あるいは対策としてどういうことを考えておるかということを中心にいたしまして御説明申し上げまして、並行して、どのような財源対策を講ずるかというのは引き続いて検討してまいりたいと思っております。
  210. 神崎敏雄

    ○神崎委員 私の調査によりますと、当初事務当局は、石油の開発、備蓄、構造改善にかかわる石油開発公団への約千五百億円の出資を産投出資で賄うとしていたが、その実現は無理だと判断して、抜本的な財源対策をとるため、総合エネルギー調査会の主なメンバーに、調査会の開催前にあらかじめ根回ししていますが、それに相違ありませんか。
  211. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 現在予算要求は運用部資金からの借り入れという形で要求を出してございます。  それから、総合エネルギー調査会の石油部会は主として開発問題を取り上げる、その関連において財源問題ということで考えておりますが、根回しということについては実はまだ実態の報告を受けておりませんが、いずれにいたしましても備蓄と並んで自主開発原油の確保というのは非常に重要な問題でもございますので、開発投融資に充てる資金の質と量を拡充し、改善していくということも必要かと思っておるわけでございます。
  212. 神崎敏雄

    ○神崎委員 いまの段階では長官はそういう答弁をされると思うのですが、しかし、当局はこの抜本的財源対策についてはもうすでに一定の具体案を持っておられるのではないかと思うのです。また、持っておらなければならないと思うのですが、その内容はどうです。
  213. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 具体案と申しますか、いろいろな案について検討はいたしております。先ほども指摘がございましたように、それぞれの案についてメリット、デメリットがございますし、かたがた実現可能性を前提として考えなければなりませんので、いまの段階でどの案でどのようにやっていくかということをまだ決定しかねておる段階でございます。
  214. 神崎敏雄

    ○神崎委員 いまの段階では決定しかねるということでは、いろいろ考えておられる中身はどんなことかということは言えないのですか。いろいろこういうことでこういうことを考えたが、いまの段階ではだめだ、いまは何もない、こういうことに理解していいのですか。
  215. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 それぞれの案が機微にわたる問題でございますので、この段階では申し上げづらいわけでございますが、ただ、いま御指摘の財源不足のほかに、来年の三月末で石炭石油特別会計が期限が来るという問題がございます。今後の石炭石油政策を従前どおり続けていくといたしましても、必要最小限これの延長という問題がございます。そういった意味合いにおいては、少なくともその限りにおいては現行の関税制度というものは維持してまいりたいということまでは申し上げられるわけでございます。
  216. 神崎敏雄

    ○神崎委員 それでは、私の方から申し上げたいと思います。  私が調べましたところ、当局は財源対策として五つの方式を考えておられる。第一に第二ガソリン税方式、第二に三つの石油消費税方式、第三に原重油関税の引き上げであります。  第二ガソリン税方式では、自動車用ガソリン対象に石油安定供給税を創設し、揮発油税とともに徴収する石油安定供給税法を立法化することになっています。石油消費税方式は、全石油製品を対象に新税を創設することとしています。そして、関税引き上げについては石油業界や関税率審議会の反対が強いと見ており、石油消費税方式については、物価問題や灯油問題として世論対策上問題があり、石油業界や需要業界の反対も強いと見ている。そして、第二ガソリン税方式は石油業界の反対もそう強くなく、世論対策上も最もよい案と見ている。  いずれにしても、これによって国民に一層大きな負担が強いられることになる点に変わりはありません。特に、第二ガソリン税方式では揮発油キロリットル当たりの税率は五千円にもなり、石油消費税方式でも一キロリットル当たり揮発油で千円余り、灯油で六百二十円ほどになると見込まれております。これらの点について相違があるのかどうか、お答え願いたい。
  217. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 いろいろ御指摘がございましたが、私が先ほどいろいろな案について検討している、それぞれにメリット、デメリットがあるということを申し上げたわけでございますが、まだそういった段階でございまして、法案をつくるとか、あるいはキロリットル当たりどの程度の第二ガソリン税考えているかといったようなところまでは詰めておりません。ただ、いま挙げられた三つの方式も、われわれの検討の対象になったことはございます。
  218. 神崎敏雄

    ○神崎委員 そういうふうな答弁では、私は行政当局として無責任だと思うのです。千二百億がマイナスだということは明らかになっているのです。その段階で何にしようかというお話はされる。それで一定の落ちつく先といいますか、結論に近づいてきて、その結論はもうこれしかないのだ、これがメリットだ、こういう形で話を進められているということは事実なんでしょう。しかし、いまそのことを言えないと言うなら無理に言えとは言いませんが、そういう形の作業というものが進んでおらなければ、私は行政当局としてはきわめて無責任であると思うのです。そこで、いま挙げているようなことまで、内部ではそういう方向で進んでおるのだろうということを具体的に事例を挙げて申し上げているわけなんですが、そういう方向でやられておることは事実なんでしょう。いまの段階ではそういう内容のところまで行っているということを認められるのか認められないのか。
  219. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 お言葉を返すわけではございませんが、いまおっしゃった三つはそれぞれ方向が違うわけでございまして、一つ方向じゃないので、それぞれの案についての検討はいたしております。ただ、その中からどのように取捨選択して、どの案で行くかということは、いまの段階ではまだ決まっておらない、こういう意味でございます。
  220. 神崎敏雄

    ○神崎委員 第二ガソリン税でやるということが決まっているのでしょう。それで大蔵省当局と交渉しているのでしょう。そうじゃないのですか。
  221. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 エネルギー庁長官といたしまして、さような折衝はいたしておりません。
  222. 神崎敏雄

    ○神崎委員 では、第二ガソリン税という形で後日出てきた場合は、どういうふうになるのですか。
  223. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 現在時点でどの案をとるかということを決めておらない、また言われるような第二ガソリン税で大蔵当局とコンタクトをとっておらないということでございまして、先ほど来申し上げておりますように、検討中でございます。検討中でございますが、第二ガソリン税でお願いするかどうかは、いまの段階ではまだ明確に申し上げかねます。
  224. 神崎敏雄

    ○神崎委員 その答弁がさっきあったらよかったのです。いま言われる前にそれを言われたら、いまのことは言わなくてよかったのです。後で言われるから、先のようなことを言わなければならぬ。そういう形のところまで来ておるということは、客観的には認めておられるということになるのです。いろいろな方法を考えているが、第二ガソリン税だという結論には到達はしていない、しかしそのことも含めて考えているのだ、エネルギー庁長官の立場からはいま言えない、こういうことなんでしょう。いろいろなことを考えた中でそういう方向へ行くということについては、結論がずっと近づいているということであるけれどもエネルギー庁長官としてはここではそれを答えられない、いまの答弁ではこういう答弁というふうに理解していいのでしょう。
  225. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 いまの段階で、そこまでのウェートを置いて考えているというわけではございません。
  226. 神崎敏雄

    ○神崎委員 では、何にウエートを置いて考えているのですか、いまの段階で。
  227. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 それぞれの案にそれぞれのメリット、デメリットがございますので、イーブンと申しますか、等分に検討いたしておるという段階でございます。
  228. 神崎敏雄

    ○神崎委員 いまのは官僚答弁の典型的なものだね。もう少し率直に言われたらどうなんですか。それはいろいろメリットもあるし、デメリットもあるから、すべてどんなことにでも現象上はそういうことが出てきます。しかしながら、一つ方向が決まり、その結果が消費者やら国民全般に大きな影響を与えるという立場からわれわれはこの問題を問題にしているのであって、政府当局は第二ガソリン税方向に向かって詰めていっているということだけは、われわれは調査の結果握っている。首をひねっておられるが、いいですか。まだ何も考えていなかったら、何もないのだ、心配せぬでよろしい、千二百億は別にどこからか持ってきて穴埋めしますからと言われるなら別ですよ。
  229. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 何度も繰り返すようでございますが、私が先ほど申し上げた問題は将来の問題でございますから、絶対に出さないのだということをいまの段階で申し上げてないだけでございまして、かといって第二ガソリン税を具体化する方向で作業し、あるいはそういった根回しをやっておるという意味では全くない、こういう意味でございます。
  230. 神崎敏雄

    ○神崎委員 持っているのは持っているのですけれども、ニュースソースを大事にしますからいまは出しませんが、そういう形で答弁をしておられたら、私は後で大変なことになるということだけは言っておきます。そういうことも長官がタッチしていないということであったら、長官が知らなければそれを知っておられる方と交代して答弁してもらってもいいのですが、本当にまだそこまでいっていませんか。もう一回、あなたも何遍も繰り返すようだと言うけれども、私も国民の利益の立場から何遍も繰り返さなければならない。
  231. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 先ほど来繰り返しておるようなことでございまして、第二ガソリン税についてどういうふうにするか、あるいはどういうふうな税額にするかといったようなことを私の部屋で議論したことはございません。ただ、当初の段階で、いろいろな案についてのメリット、デメリットの検討をやったことはございますが、それを具体化するための方向においての検討はいまだやっておりません。
  232. 神崎敏雄

    ○神崎委員 では、後日そのことが出てくる時分に、長官が長官でおられるかどうか知りませんけれども、もう一回ひとつこの問題について、あなたの下でやっておられるのか横でやっておられるのか知らないが、早速尋ねてもらったり、調査してもらって、その点については国民の前に明らかにしてほしい。そのことを約束できますか。
  233. 古田徳昌

    ○古田政府委員 石炭石油特別会計の千二百億円の資金不足の対策につきましては、先生がおっしゃいましたように、幾つかのやり方があるかと思いますが、それにつきまして、現在私どもとしましてもいずれかに傾斜した形での検討は全く行っておりません。
  234. 神崎敏雄

    ○神崎委員 政府は本年度七月に揮発油税を引き上げたばかりであり、その上来年度からさらに五千円も積み上げるというのは、揮発油販売業者の営業を脅かすものになるのはもちろんのこと、ドライバーである多くの国民に一層過酷な負担を強いるものとなることは明らかであります。当局が現在考えている案、何も考えていないと言うならいいですが、考えておられる案というものがここで明らかにならない、こういうことになれば――わが党が七十六国会で石油備蓄法案に反対しましたが、将来このような事態が生じることを予期していたのも、その理由の一つでもありました。  大臣かつて本委員会で私に、物価問題は三木内閣の政策の重要な柱である、こういうふうに明確に答えられたのですが、こういう歳入減から新たなものを考えなければならぬということについての方向だけはわかった。その方向がどのような名称になるのか、形態になるか、いまの段階では明らかにできない。しかしながら、結局は千二百億というものを財源として獲得しなければならない。そうすると、その名称、その形態がどうあろうとも、いま私が申しましたような形で国民にしわ寄せになる。そういうことに関連して、三木内閣の方針あるいは河本通産大臣の先般の答弁等から考えて、大臣は、これについてどういうような方向に指導していったらいいか、あるいは落ちつけたらいいか、いまの時点ではその歳入減に対してどういうふうにお考えになっておられますか。
  235. 河本敏夫

    河本国務大臣 石炭石油特別会計の来年の財源が約千二百億円不足をしておりますことは、いまお述べになったとおりでございます。その財源をどうするかということでございますが、一応は財投から金を出すようにということで要求はしておりますけれども、しかしこれではコストが高くつきますので、コストのかからない、あるいはもっと安くなるような資金調達を考えなければならぬのは当然でございまして、実はいまいろいろな角度から検討しておるところでございます。とにかく千二百億の金は何とかしなければなりませんので、一番いい方法はどうしたらいいかということをあらゆる角度から知恵をしぼっておるというのが現段階でございまして、各方面の意見も聞いております。しかし、いま長官と部長が答弁をいたしましたように、一つの案に内定してそれを進めておるという段階ではございません。
  236. 神崎敏雄

    ○神崎委員 いや、それではなしに、それから以降の答弁を大臣に求めておるのですが、一般国民や消費者にそのしわ寄せがいかない方向考えられるのかどうか、物価問題とも関連して、そういう形で考えをまとめていく方向大臣は指導していこうとされておるのか。まだまとまってないのだからと言われてしまえばしまいですが、一般国民や消費者にそういうしわ寄せのいかないような方向で指導されるのかされないのか。三木内閣の方針や河本大臣の先般来のここでの発言等から関連して、当然一般消費者や国民にしわ寄せがいかないようにあるべきだと思うのですが、その点、大臣の指導方向を私は尋ねておるのです。どっちにしていいかまだ考えているのだと言っておりますが、たとえばAの場合は国民に負担がいかない、あるいはBの場合は負担がいくようだったら、A案の方へ行ってほしいというような立場から、また、三木内閣や河本大臣の発言等からはA案の方に当然行くべきであるという立場で大臣考えを聞いておるのです。
  237. 河本敏夫

    河本国務大臣 いや、これは全く白紙の状態でございまして、いま五つ、六つの案が実はあるのです。それを比較検討いたしまして、どうすべきか、また相手もあることでありますから、相手の意見も聞かなければなりませんし、その作業をしておるところでございまして、いまはそういう段階でございますから、いまの段階で具体的に方向を申し上げるのは御容赦をいただきたいと思うのですが、もうしばらくいたしますと大体の方向が固まってくる、こう思います。
  238. 神崎敏雄

    ○神崎委員 では、第二ガソリン税というような形になってこないというふうに理解してよろしいですね。
  239. 河本敏夫

    河本国務大臣 たとえばいま石油の税金はガソリン税を中心にして一兆六千億ぐらいになっておりますが、理論上から言いますと、それの九割までを道路財源に回さないで、一部を石炭石油特別会計ということが一番望ましいと思います。しかし、そういう案に対してはもちろん強い反対が出ておることも事実であります。でありますから、いまどうするということについて何も案がないわけでありますし、あらゆる角度から利害得失を検討しておるということでございますから、いまの段階でどうするこうする、この案はやるとかやらぬとか申し上げるのはちょっと時期尚早である、こう思うのです。     〔委員長退席近藤委員長代理着席
  240. 神崎敏雄

    ○神崎委員 一問一答でいろいろと御相談されたこともあるのです。こうやった場合はこういうところから反対が出てくる、こうやる場合は大蔵省がこう言うというような形からいろいろおやりになっているのですが、いまの段階では言えないということであればこれ以上深追いはしませんが、第二ガソリン税というような形の方へぜひ結論をしないように強く要望をしておき、同時に、もしそういうところへ落ちつくなら、いまの段階ではそういう方向に行かざるを得ないだろうとか、話はこの段階まで来ているとかいうように率直な答弁を期待しておったわけなんです。しかしながら、がんとしてそれを答弁にならないということになれば、そのとき改めて今日ただいまの答弁について批判もし、究明もしていきたい、このように思います。  次に、法案の中身について質問いたします。  まず、第六条の第二項、いわゆる給油所の過密地区での建設整備の問題であります。わが党はすでに修正案を発表し、各党にも御検討をお願いをしていますが、この中で第六条二項を修正し、大企業の給油所を規制することとしています。この点に関する政府見解を伺いたい。
  241. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 本法案第六条第二項の指定地区におけるスタンドの建設調整につきましては、御指摘のように元売特約店といった大企業が行うスタンドの新増設をも当然に対象にいたしております。ただ、御承知のようにスタンド業界は三万六千企業もございまして、その九三%までが中小零細企業でございます。したがいまして、そういった大企業の直営するスタンドを調整するだけでは目的を達成し得ませんので、第六条第二項によりましては、大企業、中小企業を問わずすべてを調整の対象として考えておるわけでございます。
  242. 神崎敏雄

    ○神崎委員 それで伺いますが、政府は昭和四十年ごろより過当競争を理由に給油所の建設を行政指導で調整してきました。この背景には、昭和三十六年から三十九年までの間に、揮発油の需要が五ないし八%しか伸びていないのに、元売が系列下のスタンドを競い合って建設した、そのことによりスタンドが二二ないし二四%も増加したという事情があったことはすでに周知のことであります。政府は石油危機以後の四十八年十二月からは新規建設を凍結し、現在もこの処置がとられているのです。元売はこれを守っておりますか。
  243. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 当然元売あるいは特約店の直営するスタンドについても同様に指導いたしております。
  244. 神崎敏雄

    ○神崎委員 あなたのやっておられることを聞いているのじゃないのです。元売はこれを守っているかどうかということを聞いておる。
  245. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 指導に従っております。
  246. 神崎敏雄

    ○神崎委員 もう一回聞きますが、事実ですか。全部守っていますか。
  247. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 その間、いわゆる無印と称するものが四百店ほど行政指導に従わずにやっておるケースがございます。
  248. 神崎敏雄

    ○神崎委員 長官、もう少しまじめに答弁をしてもらいたいと思うのです。一回前の答弁では、指導に従っておる、本当に従っておるかと重ねて聞くと、そうじゃないのだ、こういうようなことでは、私は議会軽視もはなはだしいと思う。  こちらの方で具体的な例を出します。  全石商の調査結果を見ますと、元売はこの行政指導に従っていない。これはことし七月末にまとめた全国の給油所建設の行政指導違反件数ですが、この中に元売のマークをつけたものが三十二件もある。これは「石油文化」五十一年九月号に所載されている。こういうのはどういうことになるのですか。
  249. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、詳細承知いたしておりませんので、十分調査いたしたいと思います。
  250. 神崎敏雄

    ○神崎委員 長官は、全石連調べの雑誌「石油文化」等についてはお読みになったり聞いたりはしないのですか。あなたの方は守っていると思っているのに、ここに三十二件も出ていると書かれたら、これを見られて守っておらなかったということになったら、これはどういうことになるのですか。無責任な答弁じゃなしに、こちらは具体的な事例を挙げて言っているのだから。  それなら、このときにどういうふうに対処されたのですか。
  251. 宇田川治宣

    ○宇田川説明員 お答えいたします。  先ほど長官が申しましたように、昭和四十八年の十二月以降、ガソリンスタンドの新増設につきましてはこれをできるだけ遠慮していただきたいということで、先生御指摘のような行政指導を現在続けているわけでございます。しかしながら、その間、五十年二月から一部手直しを行いまして、やむを得ない事情のある場合には新規の設置というものも認めるという方向で若干の部分的な手直しを行っております。具体的に申し上げますと、スクラップ・アンド・ビルドといいますか、廃棄したガソリンスタンド、それの代替という形でガソリンスタンドを設置する、あるいは新しく団地等ができましてそこにガソリンスタンドがどうしても必要だというような場合には、例外と申しますか、そういうことでガソリンスタンドの新設というのは結構でしょうということを行っております。  そういう私のただいま申し上げましたような廃止代替の件数というのは実際上出ておりますけれども、先生御指摘の三十二件というのが、そういうものにかかわらず、全く行政指導を無視して元売のマークをつけましてガソリンスタンドが新設されたというケースにつきましては、私、担当でございますけれども、存じませんでした。その点につきましては、できるだけ早急に実態を調べまして、当該元売に対して十分な指導を徹底させていきたいというふうに思っております。
  252. 神崎敏雄

    ○神崎委員 御存じなかったら、これを差し上げますから、これは北海道から九州まで全部載っておりますよ、後でとりにいらっしゃい。件数まで、どれだけ工事中で、既設が何ぼで、いま計画中が何ぼだ、元売マークをつけたものが三十二件。それは手直しをしたというのは、元売の方でそういうことをやってもいいというような方に手直しをしているのであって、これじゃ一般の給油所はどういうことになるかということの関連もありますから、なかったらあとでとりに来なさい、ここにありますから。  これだけではないのですね。すでによく知られているように、最近この元売間で給油所の激しい引き抜き競争が行われております。各通産局に届け出されている毎月の移動報告から、系列移籍給油所の数を見ますと、ことし四月で七件、五月で十五件、六月十一件、今年度第一・四半期で三十三カ所になっておる。給油所の系列移籍問題が業界内で大きく取り上げられたのはこの七、八月ですから、実際にはこれを大きく上回る件数になると考えられます。  以上で明らかなように、元売は新規建設の行政指導に従わないばかりでなく、その上他の系列の給油所を一店でも多く引き抜き、揮発油販売シェアを高めるために血眼になっているのが実情です。このように中小販売業者を犠牲にして、直営店や大手特約店などを通じて給油所を乱設している元売を規制することこそがいま求められていることではありませんかと言いたいのです。これについてひとつ意見を聞かしていただきたい。
  253. 古田徳昌

    ○古田政府委員 先生の御指摘になりましたガソリンスタンドの転籍、いわゆるマークがえの問題でございますけれども、これはこの二、三カ月非常にその傾向が著しくなったということで、私どもの方としまして本年七月に各元売から事情を聴取しまして、その結果によりますと、昭和四十八年四月以降本年の六月までの間に、転籍件数が約九百に達しております。三年半の間に約九百ということになっておりまして、そのうちことしの四月から六月までの間の三カ月で約百六十ということで、確かに件数としては増加傾向にあったということでございます。こういう事実を踏まえまして、私どもとしましても、元売に対して、そういう転籍あるいはマークがえというふうな行動をできるだけ自粛するように強く行政指導をしたところでございます。
  254. 神崎敏雄

    ○神崎委員 行政指導ということについて私はいつも意見を持つのですが、その行政指導という名で常に小さいものが抑圧され、大きいものが助かっていく、それが政府行政指導の性格でもあり、いままでやってきたことなんです。いまあなたが言われたような形の中で、強力に行政指導してきました、こうおっしゃったのですが、具体的にはどういうことになるのですか、その行政指導は。どんどんつくってくることを、あなたの方では、つくらしてはいけないという立場から行政指導するのでしょう、そうじゃないのですか。どういう行政指導をするのですか。
  255. 古田徳昌

    ○古田政府委員 各元売別に、各スタンドの過度な引き抜きはやめるようにということで強く行政指導したということでございます。
  256. 神崎敏雄

    ○神崎委員 その過度な引き抜きをやめろという行政指導をされているのに、どんどんとふえていっておるのは、基本的に矛盾するのと、同時に、行政指導の威令がないというのか、それは知っていて逃がしておるのか。だから、その行政指導の中身と成果というものが、政府の指導の方向に成果が上がっているのか、とにかく言っておくことは言っておく、警告だけはしておりますと言って、言う段階にとまっているのか、その結果がどうだということを聞いているのです。
  257. 古田徳昌

    ○古田政府委員 ただいま申し上げました行政指導は、九月に実施しまして、十月以降の実績につきまして毎月通産省に報告を出すようにということで、その結果を踏まえてさらに次の指導の仕方あるいは時期というものを考えたいと思っているところでございます。
  258. 神崎敏雄

    ○神崎委員 九月に出して、十月から報告せいというのたったら、いままた何も――これはことしの九月のことでしょう。
  259. 古田徳昌

    ○古田政府委員 その問題が大きく取り上げられ始めましたのがことしの四月、五月ごろからでございまして、その実情調査のために、七月に私どもの方で元売から事情を聞いた。九月になりまして、具体的にこれ以上のそういう転籍、引き抜きといったものをやめてくださいということで元売に対します行政指導をしまして、現在その成果を報告という形で待っているところでございます。
  260. 神崎敏雄

    ○神崎委員 従来からこういうものについては当局は厳しく行政指導しているというようなところから話がこういうことになってきて、そして本当にそうかと言ったら、そうじゃなくてこういうものがあるということをお答えになって、具体的にこちらの方では、それだけじゃないのだ、「石油文化」でもこれだけ発表している。これもわからない。では、こちらの方でこれを言いましょうと言って、通産局への元売届け出分というものが燃料油脂新聞の十月五日付を見てもわかりますが、そこで四月に七件、五月に十五件、六月に十一件、第一・四半期でこれだけだ。大きく取り上げられたのは、あなたの言うように七月、八月にこういう問題が非常に大きな問題になってきた。そこであわてて九月に行政指導に入った。そして十月になってそれの届け出を知るのだ。知らなくても、こうして燃料油脂新聞では数まで書いているし、所在地の行政区まで書いて、全部メーカーの名前も出ているのですね。そうだったら、いま手元には、あなたの方では何もないということなんです。九月に言うて、十月に報告さすというのでしょう。そうすると、いま十月でしょう。いまは何もないということです。ですから、行政指導の成果とかあるいは効果というものは、あなたの方ではまだ一つも掌握されておらない。
  261. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 現実にここで集計した数字を持ち合わせておりませんが、それぞれ最寄りの通産局でそういった行政指導に従わないで設置されたスタンド等につきましては、招致いたしまして事情を聞き、あるいはそれに対して指導を続けておるというふうに私は報告を受けておるわけでございますが、ただ御指摘のような移籍問題が起こってまいりますのは、いろいろな理由があろうかと思いますが、先ほど御指摘のように、四十八年の十二月以降、省エネルギー的な観点に立ちまして原則として新設を凍結するといったような方向で指導いたしておりますので、そういった中において移籍と申しますか、既存のスタンドを自分の系列の方に移しかえていっている、そういった事情もあるのではなかろうかと思います。  いずれにいたしましても、行政指導というのはおのずからやはり限界がございますので、現在御審議いただいております法案によりまして、登録制を前提といたしまして秩序の維持を図りたい。特に、その段階において元売あるいは特約店等については流通秩序を乱さないように強力に指導してまいりたい、かように思っております。
  262. 神崎敏雄

    ○神崎委員 具体的な事実を示して、そして質問をしているわけで、われわれはやはり中小零細なスタンド屋さんの営業と権利を守っていく、特にそこに働いておられる人たちの生活がかかっている、こういう問題の立場から言うのだが、この大企業の系列が、あなたの方では行政指導していると言っておるのに、割り込んできてどんどんやっていく。しかもその数も具体的に何月は何件、何月は何件というのは、これは長官、通産局への届け出の分なんです。これがこれだけ届けられているということは、九月二十四日の燃料油脂新聞、あるいは十月五日付の燃料油脂新聞に、これは東京石商の調べですが、業績から名前からみんなきちっと出ているのです。  あなたの方では、エネルギー庁の行政指導とは違った現実がどんどん出てきているということになれば、すぐ手を打ってやらぬと、何のためにあなたの方ではそういうことをやめさそうという指導をやっているかということが生きてこないでしょう。問題になってきて、それからそういうことのないようにせよ、そして十月になったら報告せよ、まあこれはいわゆる官僚独特の仕事の仕方でしょうが、そういう形でやっているから、いまだに何も掌握されてない。その間にその周辺ではどんどんと営業と権利が圧迫されていく。もうちょっとやはりそういう零細なスタンド屋さんの立場に立ってやるべきである。だから、政府の言う行政指導というものは、常に大きいもの、強いものが有利で、弱いもの、力のないものが抑圧されていくという結果しか残らない。これはひとりこのスタンドの問題だけじゃない、すべてそういう形になっていく。  そこで、次に第十九条の小売価格に対する勧告の問題ですが、「揮発油の標準的な販売価格と著しく異なる価格揮発油販売していることにより、揮発油の消費者の利益が害される」場合、改善措置をとるよう「勧告することができる。」となっております。  そこで伺いますが、標準価格というのは具体的にはどのように考えられておるのか。私は、当然原油の輸入価格、精製費、適正な流通費、マージン等を勘案した妥当と思われる価格であるべきだと考えておりますが、政府も同じように考えておられるのか。  それとまた、「著しく異なる価格」とは、具体的にどれくらいの幅を持ったものを指して「著しく異なる価格」と言うのか、これのカテゴリーをひとつ明らかにしてほしい。
  263. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 本法案の十九条で言っております「標準的な販売価格」という意味は、需給の実勢を反映いたしまして現実に市場において形成されておる価格、こういう意味合いでございまして、したがいまして、企業によって、地域によっていろいろ違ってくるわけでございます。そういうことからいたしまして、十九条の価格是正勧告をやる場合には、その都度その地域にある需給状況等を勘案いたしまして、またその地域での標準的な販売価格考えられるものを算定していく、こういうことでございまして、全国的に平均した販売価格といったようなものは採用しない、こういう考え方でございます。  それから、「著しく異なる価格」の幅はどの程度かという御質問でございますが、これにつきましては、やはり価格水準あるいは需給事情等、総合的に判断いたしまして、その段階においてその著しい幅というものを決めていく、こういうことになろうかと思います。  ただ、一般の市場における状況などを聞きますと、現在のレギュラー価格、百二十円前後になっておるかと思いますが、この価格を前提といたしまして五円程度の差がある場合に、かなりの影響がある、十円以上違ってくると、ブランドだとかそのスタンドのサービスのいかんにかかわらず客が移動するというような状況にあるということを聞いておるわけでございますので、著しく差のある場合ということの判断をする場合に、ただいま申し上げましたマーケットにおける実情といったようなものも参考にいたして判断することにしたいと思っております。     〔近藤委員長代理退席委員長着席
  264. 神崎敏雄

    ○神崎委員 ここで問題であるのは、勧告しても従わなかったときはその旨を公表するということであります。わが党の修正案では、勧告に従わない場合は命令できるとしておりまして、こういう罰則を設けておりますけれども、こういうふうに公表するというだけでなくて、命令というふうに罰則をされた方が実効性を持つのではないかと思うのですが、これについてはどうですか。
  265. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 この法案におきまして、価格是正の手段としては、いま御指摘のように勧告、公表という手段をとることにいたしておりますが、こういう手段にとどめましたのは、やはり価格介入というものは極力必要最小限の範囲にとどめるべきだということと、また、こういう勧告、公表によっても十分効果が期待できる。特に元売あるいは特約店といったようなものに対しましては、こういう形で公表された場合に世間的批判にさらされるということがある意味においては非常に強い抑止力になるのではなかろうかという判断に立っておるわけでございます。
  266. 神崎敏雄

    ○神崎委員 そこで長官とは意見が違うわけなんですが、元売について言えば、独禁法違反で摘発されても、カルテル価格引き下げずにがんとして応じなかった実績も過去には持っているわけなんですね。また、公表ぐらい巨大企業にとっては痛くもかゆくもないということは広く知られていることなんです。  そこで、もう一回、そういう過去の実績から見ても、当然公表、警告程度のものでとどまるように思っていらっしゃのかどうか。過去にはそういうことが何回もあったわけです。そういうことで、いま長官のおっしゃるように、公表されたら世間体が悪いからといってすぐ改まるような実績は過去にはなく、堂々とやっているというのが巨大企業の性格でもあり、今日までのありようでもある。どうですか。
  267. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 御承知のように、スタンドにおきましては非常に過当競争が行われておるわけでございますから、本人がどう思っていようと、そういう立場の問題よりも、ユーザーサイドの方で選択を変えていくということもあろうかと思います。  それから、改善命令ということになりますと非常に強い形になりまして、独禁法との調整問題も当然出てくるであろうというようなことも勘案いたしまして、この案では勧告、公表という手段をとるにとどめたわけでございます。
  268. 神崎敏雄

    ○神崎委員 なかなか素直に一遍考えてみようというようなことは言わぬ人ですね。  そこで、十九条では、価格つり上げとともに安売りをも規制することにしています。この点については、六月二十九日の「ぜんせき新聞」で宇田川課長は、「十円以上差のある業転玉でまわりが疲弊してしまうという時に、おかしいじゃないかという価格介入をやりたい。いうなれば、できるだけ避けたいが避けられない場合は断固としてやるというのが十九条の勧告です。」と政府当局の考え方を明確に述べている。  そこでお聞きしますが、独禁法においては価格の原状回復は価格介入になると言明されていた同じ政府当局が、いまも答弁されたが、揮発油販売業法では断固価格介入するというのはきわめて矛盾したことだと思うのであります。大臣、この点いかがですか。
  269. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 十九条における本法案独禁法との関係は、三つの場合に分けてお話しした方がいいかと思います。  一つは、著しく低い価格で売っておる場合にも、コスト割れになっておらない、ただ、指定地域内の揮発油販売業者の相当部分事業継続が困難になるような場合、この場合には独禁法対象になりませんので、本法案の十九条で価格是正を図りたい。  それから、不当廉売あるいは差別価格といったものに該当するような場合には、独禁法上の不正取引に該当するわけでございますので、独禁法の立場からの是正のための手段と本法案における手段とを併用される場合があり得ると思いますが、その場合、独禁法あるいは本法案目的なり、その目的達成のために採用いたしております手段が異なっておるというところから、抵触問題は起こってこない、かように考えておりますが、そういった場合に公取と協議するという規定は法文上人っておりませんが、事実上よく連絡をとってそごを来さないようにいたしたいと思っております。
  270. 神崎敏雄

    ○神崎委員 宇田川課長さんはこういうふうに断固として介入をやると言うているのですが、これはどういうことなんですか。
  271. 宇田川治宣

    ○宇田川説明員 先般、米原先生からの御質問にもお答えいたしましたけれども、「ぜんせき新聞」に載っております記事につきましては、私の責任と判断によりまして私の考えている内容を御説明申し上げたということでございます。新聞に書いてございます一字一句が私の発言どおりであったかどうかという点はあるいはあろうかと思いますけれども、先生の御指摘の点につきましては、本法が施行された場合におきましても、十九条の勧告規定の発動というのはできるだけ避けるようにしたい、しかし法律の要件にも書いてございますような事態が起こりましてどうしても避けられない場合には勧告規定を発動する、そういうかっこうで極端な高売りあるいは極端に安いことによりまして過当競争区域、六条二項の指定区域におきます揮発油販売業者の相当部分について事業の継続が困難となるというふうな事態を避けたい、そういう趣旨で御説明申し上げたかと承知しております。
  272. 神崎敏雄

    ○神崎委員 あなたの言われたことは、ここの記事とは少し違うということですね。あなたの趣旨がここには正確に書かれていないということをいま言われているのですね。どうなんですか。
  273. 宇田川治宣

    ○宇田川説明員 私の申し上げたい趣旨は、ただいま御説明したとおりでございます。
  274. 神崎敏雄

    ○神崎委員 「十円以上差のある業転玉でまわりが疲弊してしまうという時に、おかしいじゃないかという価格介入をやりたい。いうなれば、できるだけ避けたいが避けられない場合は断固としてやるというのが、十九条の勧告です。」こういうふうに活字になっているのですね。それを挙げていま聞いているのです。それでは、あなたはこのとおりじゃないと言うのですね、十九条は。
  275. 宇田川治宣

    ○宇田川説明員 先ほどもお答え申し上げましたように、新聞の記事と私の説明する趣旨と一字一句同じであったかどうかという点はあるいはあるかと思いますが、私の申し上げたい趣旨は、この十九条の規定に書いてございますように、著しく高い場合と著しく低い場合がある、それで、著しく異なるという点につきましては、るる私どもから御説明しているような実態判断に基づいて判定するわけでございますが、そういう著しく異なる価格販売が行われている、かつ法律に書いてございますような要件に該当するという場合にはこの勧告規定を発動する、その勧告規定の発動というのはできれば避けたい、しかしながら、避けられないような事態が起こった場合にはこの条項を適用して勧告をいたしたい、そういう趣旨で申し上げたわけでございます。
  276. 神崎敏雄

    ○神崎委員 私は、価格介入そのものを一般的に否定するものではありません。国民生活にとって基礎的な資材や重要な商品などについては、大企業の横暴な価格政策に当然民主的規制を加えることが必要であると考えております。このように広範な国民が望んでいる価格規制については絶対に認めないとしながら、他方では断固介入するというのは、だれが聞いても矛盾していることではないのか。  そこで伺いますが、一部の業者にだけ安値業転玉を流す行為を現行法では何ら規制することができないのです。これについて、できるのですか。
  277. 古田徳昌

    ○古田政府委員 石油業法においてはできない形になっております。ただし、この前の石油危機のような緊急事態におきましては、国民生活安定緊急措置法において実施できるということになっております。
  278. 神崎敏雄

    ○神崎委員 公取委員会に伺いますが、揮発油販売業者の中の一部の者が、ほかに正当な理由がなく、揮発油を他の業者より著しく有利な価格で、あるいはまた相手方により差別的な対価で卸売販売をすることは、不公正取引に該当するのではないかと思うのですが、委員長、どうですか。
  279. 澤田悌

    澤田政府委員 その程度いかんでございますが、著しく差別的な価格で一部に販売する、あるいは不当な廉売をするということでございますれば、独禁法に抵触するおそれがございます。
  280. 神崎敏雄

    ○神崎委員 では、通産省に伺いますが、安値業転玉に玉を流しているのは一体だれなのか。元売が大手特約店などを使って流しているのではないか。また、昨年ナフサがだぶついたとき、これを揮発油に加工したのは精製メーカーではなかったのか、この点どうなんですか。
  281. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 業転玉発生の大きな原因といたしまして、元売あるいは特約店押し込み販売的なものと申しますか、その販売政策に起因するところも大きいかと思います。それから、ナフサを改質いたしまして容易にガソリンが得られる、そういった面からもガソリンが過剰ぎみになる可能性はございます。
  282. 神崎敏雄

    ○神崎委員 私は、業転玉によって多くの業者が経営を脅かされていることはよく承知しています。しかし、だからと言って主として販売業者に規制を加えるというのは、本末転倒もはなはだしい。独禁法の運用を強化して、安値業転玉を流している大もとの元売の差別的な取引にメスを加え、他の業者にもこれまでより安く卸すようにさせるのが本筋ではないのか。現に、いわゆる無印スタンドと激しい価格競争がやられている地区では、系列下の販売業者の突き上げを受けて、元売は特価と言われる特別価格を認めているのではないのか。このような元売の巧妙な価格政策にメスを入れないで、流通段階で適当に処理しょうというのであれば、結局この十九条は実際には値崩れ防止条項になり、国民の負担を増すばかりであると考えます。この点について政府はどのように考えておられるのか、伺いたい。
  283. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 差別価格については、独禁法に言う不公正取引で規制できる面もあるわけでございますが、一方、不当廉売に至らない、コスト割れに至らないが、著しく値段が下がりまして、そのために指定地区内のスタンド業界相当部分事業継続が困難になるといったような場合には、これは独禁法で対処できないといったところから、十六条を起こしているわけでございます。これとても決して高値に維持するためのものではなくて、ただいま申し上げましたように、相当部分スタンド業者事業継続が困難になるような事態にありまして特に必要と認める場合に是正のための勧告を行うということでございますので、先ほど申し上げました標準的な販売価格に持っていくというのがせいぜいのことであって、これを高値に維持するということは、事実上とうてい考えられないことであろうかと思います。  それから、御質問の初めの方でございました、第一段階としてスタンドを規制して、元売あるいは特約店を放置しておるのはいかがという御意見でございますが、これにつきましては、一つ元売段階から価格規制をかけてまいりますと、いわゆる再販価格的な効果が発生するといったような問題に対する配慮もございますし、それから業転玉と言われるものにつきましても一般的な情報としてはあるわけでございますが、個別具体的にどういった元売がどの程度の量をどのような価格押し込み販売しておるかといったような実態が必ずしも十分把握できないといったところからいたしまして、第一次的には揮発油販売業者に是正勧告をいたしまして、これでなお問題が解決せず、しかもその原因元売特約店にあるというときには、法律で言うところの特定販売業者に対しても勧告をする、こういう二段階の方式をとっているわけでございます。
  284. 神崎敏雄

    ○神崎委員 いまの長官の答弁についてもまだ議論はあります。しかしながら、約束の時間が参っておりますので、またそれは別の機会にしたいと思うのであります。  最後に、これは大臣に伺いますが、わが党は、政府案を十分に吟味し、販売業者の経営安定と消費者の利益を守る立場から、修正案を提起しております。これをよく御検討を願い、政府案に盛り込んでいただきたいと考えるのでありますが、改めてこの点について大臣見解を伺って、私の質問を終わりたいと思うのです。
  285. 河本敏夫

    河本国務大臣 共産党の御意見は、参考にさしていただきます。
  286. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 中村重光君。
  287. 中村重光

    中村(重)委員 法案審議に入る前に、通産大臣に伺います。  OPECが近く原油の価格を引き上げるということが伝えられているのですが、見通しとしてはどうなんですか。
  288. 河本敏夫

    河本国務大臣 十二月にカタールでOPECの総会が開かれる予定になっておりまして、この総会で価格の問題が議論されるようであります。ただいままで伝えられるところでは、慎重派であったサウジも値上げに傾いておるという報道がされておりますが、しかしこの油の価格というものは、これまでも経済原則すなわち需給関係を考慮しないで、政治的に引き上げられてまいりました。したがいまして、現時点におきましても、世界の石油の事情というものはまだ相当余っておるというのが実情でございます。すなわち、OPECの能力は三千八百万バレルでございますが、昨年は二千七百万バレル、ことしはずいぶんふえましたが、それでも約三千百万バレルぐらいの操業度でありますから、需給関係からいきますと値段は上がらないということになりますが、政治的な判断でこの結論が出ますので、現時点では何とも申し上げかねるわけでございます。日本といたしましては、三億キロ近い大消費国でございますから、価格の上がらないことを期待しておりますが、現在のところ何とも言えないと思います。
  289. 中村重光

    中村(重)委員 好ましいことかどうか別として、石油輸入国がそうした原油価格の引き上げに対してそれぞれ対応策といったものを講ずることもあり得るわけなんですが、各国のそうした値上げ動きに対する対応はどういうことなんですか。
  290. 河本敏夫

    河本国務大臣 消費国はもちろん原則的には反対である、こういう立場であると思いますが、日本は何とか値上げを避けてほしい、こういう感じでございますし、伝えられるところでは、アメリカも何とか値上げを避けたい、こういう考え方のようであります。ヨーロッパの各国の事情については承知しておりませんが、世界の二大消費国でありますアメリカと日本がいま申し上げましたような事情でありますけれども、その見通しにつきましては、いまの段階では何とも申し上げかねるという実情でございます。
  291. 中村重光

    中村(重)委員 そうした産油国の政治的な価格引き上げということもあり得るかもしれないという段階で、メジャーがどういう動きを示しているのかという点と、それから、製油メーカーであるとかあるいは元売の中で価格の引き上げといったような動きが出ないのかどうかという点は、これは非常に警戒をしなければならぬと思うのですが、それに対しては通産省としてはどのような監視体制と申しますか、対応策を講じておられるのか。
  292. 河本敏夫

    河本国務大臣 メジャーの判断は、どうも値上げがあるという判断に立っておる気配が強いと思います。最近のいろいろな言動から推しまして大体そういうふうに判断できるわけでありますが、わが国といたしましては、昨年の六月のときもそうでありましたが、一応一〇%の値上げということがOPECで決まったのですけれども、しかし、支払い条件、それから油の種類ごとの取引条件等の改善によりまして、実質上は六、七%ぐらいな値上げに終わったわけでありますが、いかなる事態になりましても、わが国といたしましてはできるだけ安定的に、かつ、できるだけ条件のいい油を継続して確保するということが大事でございますので、そういう観点に立ちまして今後ともこの動きを慎重に見守っていきたいと考えております。
  293. 中村重光

    中村(重)委員 灯油価格が非常に上がったというので、特に需要期であるという関係もあって、さらに値上がりがあるのではないかという警戒心も伴い、また生活不安もありまして、消費者が、石油メーカーというのは為替差益で非常にもうかっているのだから、灯油価格を引き上げるということは納得できない、これは引き下げるべきだというので、通産大臣に対しましても、消費者団体等から引き下げの指導をしてもらいたいというような陳情等をお受けになったと思うのですが、これに対してどのように対応しておられるのかという点が一点であります。  それから、いままで石油価格が非常に値上がりをしたりあるいは値下がりをしたり、そういった場合に標準価格というのをお決めになったことも実はあるわけなんですね。先般の石油価格の引き上げに際して、石油メーカー、元売競争をやってなかなか石油価格を引き上げることができない、むしろそういう元売を救済するという形の中で標準価格を決めた、元来標準価格というものは値上がりを抑えるために考えられるけれども通産省値上げをさせるために標準価格を決めるということはけしからぬことだと言って、私も当委員会において大企業を過当に保護するものであるということを指摘をしたことがあるわけですが、そうではなくて、非常に灯油の価格が値上がりをするとかあるいはプロパンの価格が値上がりをするということを防止するという面から標準価格を決めるということ等も、これは考えられることなんですが、それらに対して通産大臣としてはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  294. 河本敏夫

    河本国務大臣 答弁が相前後いたしますが、まず第一に、昨年十二月一日から発足いたしました標準価格制度でありますが、この制度を採用いたしまして石油価格の修正を指導いたしました最大の理由は、一昨年、昨年と石油価格が人為的に低い水準に抑えられておりましたために、石油業界の経営が非常に悪化いたしまして、昨年度、五十年度の決算は、表面は約千二百億の赤字でありましたけれども、なおそのほかに数千億のこれまでの蓄積を使い果たしまして、内容も非常に悪化をいたしました。そのような状態が続きましたならば、石油の安定的な確保という大きな役割りを果たしておりますわが国の石油業界に倒産の危険性が出てまいりましたので、これでは大変だということで標準価格制を設定いたしまして行制指導いたしました結果、ほぼこの目的は達成をいたしました。そのために石油業界の経営は著しく改善されたと思います。  なお、そのときに標準価格制を為替レートを三百二円と想定をいたしまして設定をいたしました関係で、円高になりましたのでさらにその分が上乗せされまして、石油業界の体質は非常に画期的に改善されたわけであります。たまたまこの冬の灯油価格の問題がやかましくなりまして、消費者の方々から、石油業界の経営は著しく改善されて余裕もできたことであるから、灯油価格を、これは国民生活に非常に重大な影響のあるものであるからこれ以上上げないように、できるならば下げられるような方向通産省の指導を要請されたわけであります。通産省といたしましてもいろいろ事情を承知しておりますので、現時点における石油業界の経営状態ではとりあえず現在以上に上げないようにするということは可能であるという判断のもとに、先般そういう趣旨の通達をしたわけでございます。  なお、今後、OPECの値上げ問題であるとか為替レートの問題、そのほか中間留分とのバランスの問題等、いろいろな流動的な要素がありますので、そういう事情を勘案をいたしまして、なお下げられるような条件が整いましたならば、さらに第二弾といたしまして行政指導によりまして価格引き下げを指導してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  295. 中村重光

    中村(重)委員 時間の関係がありますので法律案の中身に入ってまいりますが、各同僚委員の諸君から、今回の業法制定に当たって、業法をつくるために決起大会を開くということで自民党に対する申し入れをやるとか、あるいは自民党の支持体制を強めていくといったような動きに対して、非常に批判が強くなっている。当委員会においても大臣見解をただすといったようなことが実はあったわけですが、石油業界の場合におきましては、特定政党を支持するという場合におきましても、法律に禁止されているものではないということで、法的な問題というものは起こってこない。ただ、好ましいかどうかという点については、これは私どももそれぞれ意見がありますし、また、業界においても当然考えられるところであろうと、このように思うわけです。  ところが、法的根拠による組織でありますところの、たとえば商工会であるとかあるいは中央会であるとか、こういうところは特定政党を支持してはいけないということが法律でもって禁止事項ということになっているわけですが、そうした団体で特定政党を支持するというような動きはないのかどうか、そういう事実はないかどうか、通産大臣調査をしていらっしゃるだろうと思うのでありますが、いかがでありますか。
  296. 河本敏夫

    河本国務大臣 商工会議所、商工会などは法的根拠によって設立された団体でございますから、これは特定政党を支持するということはあってはいかぬと思います。ただしかし、これと別に政治団体を有志が寄りましてつくりまして、その政治団体が特定政党を支持する、こういう活動をするということは私は一向差し支えないことだと考えております。
  297. 中村重光

    中村(重)委員 大臣、あなたは少なくもきわめて良心的な大臣として、私はあなたを尊敬をしているのです。有志によって政治連盟をつくる、私もそれは否定いたしません。しかし、現実を全く無視した態度というもの、現実をあなたがよく御承知になっていらっしゃってあえてそういうお答えをされる、あるいは見解をお述べになるということになってくると、私は抵抗を感じます。  商工会議所あるいは商工会、そうしたところにおきまして、商工会の総会なら総会に出席をしておる全員が、個人の意思ということではなくて、直ちにこれから政治連盟の総会に切りかえるのだという形で、そして自由に特定政党を支持する、あるいは候補者の決定をするといったような行為というものは、私は許されてはならぬと思う。有志がそれをやるのだということではない。商工会なら商工会という法的根処によるところのそういう総会の中でやることは問題があるから、これを政治連盟ということに切りかえていくのだというのであって、決して加入、脱退の自由はないし、私はそれは反対であるということで退場できるような雰囲気ではございません。ただ形式的に正規な総会を政治連盟の総会に切りかえるということにすぎないのであります。その現実を御承知になるのであるならば、そのようなことが好ましいのか好ましくないのかというようなことを、少なくともあなたは見識を持って私の質問にはお答えをいただきたい。いかがですか。
  298. 河本敏夫

    河本国務大臣 具体的にもう少し詳しくお聞きしませんと何とも判断ができませんが、やはり商工会の活動と政治連盟の活動は別個のものである、あるいはいまおっしゃったような事例であれば誤解を招くおそれ等もあろうかと思いますので、やはりそこは誤解を招かないように区別をして活動されるということが望ましい、こう思います。
  299. 中村重光

    中村(重)委員 その商工会なら商工会が、中小企業のために情熱を傾けて取り組んでおる、私はいままで特定政党ということを申し上げましたが、自民党以外の政党の国会議員がいる、それを支持したい、支持しなければならぬと思う、思うけれども、自民党でないがゆえに、その商工会なら商工会の政治連盟は自民党以外の政党を支持するということについてはやはり問題があるのだ、それは中央からも認められないのだ、そういうことで、自民党以外の政党を支持したいけれども支持することができないという、この実態をあなたは御承知になっていらっしゃるだろうと私は思うのです。  私の問いに対して、その実情を十分知らなければ何とも言えないのだと、こう言われるのですけれども、単なる仮定論で私は申し上げておるのではないのです。全国の商工会のほとんどが、商工会議所もそうであるかもしれませんが、私が指摘をしたような実態であることは間違いありません。少なくともあなたは通産大臣であります。商工会に対するところの行政指導、あるいは中央会あるいは商工会議所にあなたは責任と権威を持ってその指導に当たっていらっしゃる。ところが、現実には私が申し上げたように、法に禁止しておるにかかわらず、単に形式的な装いをもってそういう脱法行為をやっているということを私は見過ごしてはならぬと思うのです。そういうことであっては、私は円満な行政を行うということにはなり得ないと思う。今後どのような指導方針を持ってお臨みになりますか。
  300. 河本敏夫

    河本国務大臣 全国で数百万の中小企業者がございまして、それが主として町村では商工会というものをつくっておるわけでございますから、商工会の加盟率、組織率というものはもちろん全部ではありませんので、その一部でありますけれども、しかし相当数の中小企業者が参加しておるということは、これはもう事実でございます。その中には、自民党を支持する者もあれば社会党を支持する者もある、あるいは共産党を支持する者もある、種々雑多だと思うのですね。だから、いろいろな政治団体が私はあると思うのです。単に自民党を支持する政治団体だけでなく、また他の政党を支持する政治団体もできておる、こういうふうに承知しています。でありますから、自民党を支持する政治団体のほかに、他の政党を支持する政治団体ができましても、それは当然のことだと思います。
  301. 中村重光

    中村(重)委員 あなたのお答えは、それは任意団体はいいのですよ。おっしゃるとおり任意団体があるのです。それは共産党を支持する中小企業の任意団体、社会党を支持する任意団体がある、あるいはその他いろいろな専門業種の集まった中小企業団体が無数にあります。そういうものはそれぞれあなたがお述べになりましたような形をとっていると私は思う。ただ、問題は、法に禁止された、商工会であるとかあるいは中央会であるとか商工会議所、それが脱法行為をもって政治連盟というものをつくるという、これは法的な団体と違うのだという装いをもって脱法行為をやっているというそのことに対して私は申し上げたわけであります。だからして、形式論で議論をしてもこれはどうにもなりません。やはり実態の上に立って正しい行政、あなたの良心に恥じないような指導をおやりいただきたいということを私は申し上げておるにすぎないのであります。     〔委員長退席武藤(嘉)委員長代理着席〕  時間の関係もありますから、法律案の中身についてお尋ねしていくわけですが、この業法に私また同僚諸君も大変心配をしておりますのは、業法というのはもろ刃の剣になるのです。やはりガソリンスタンドの業者の方々が、橋本長官からお答えになりましたように、三分の二程度は非常に零細性の強いスタンド業者である、私もそのとおりだと思っております。そういったような人たちは、メーカーの系列が非常に強い。過当競争もある。ガソリン消費税というものは上げられた。ところが、スタンド業者はこれの徴収義務者になっておる。実際は消費者からもらうのだけれども、現実には過当競争の中ではみずから負担をしなければならないという、そういう実態の中にある。これではどうにもいけないのだ、そういうことで、おぼれる者はわらをもつかむというような気持ちで業法の制定に大きな期待をお持ちになるということはわかるのです。わかるのですけれども、申し上げたようにもろ刃の剣になって、大企業、その元請の締めつけは非常に強くなっていく、また通産省官僚統制というような形が強められてくる。  私は端的に申し上げますが、通産省は大企業に対しては非常に保護的な、過保護だと思われるような行政をおやりになる。中小企業には非常に厳しい。この業法の内容を見てまいりますとき、従来通産省がやってまいりましたような方向がさらに強められてくる可能性があるというところに、私どもは非常に心配をしておるわけなんです。また、公正取引委員会独禁法上からどうこれを見るのかということに対しましても、これは法の内容は内容、たてまえはたてまえといたしまして、私どもが懸念をいたしておりますような方向に進むことを恐れる余り公正取引委員会はこの点に対してはどうお考えになるのかということを申し上げるのは、ただいま私が指摘をいたしましたような点にあるということをまず御理解をいただきたいと思うのであります。私は冒頭から、その点、もろ刃の剣になって、非常に零細な石油販売業者を守るというのではなくて、むしろこれをいじめる、そして大企業を擁護するという方向にこの法律が役割りを果たすようなことにならないように、そのことを強く求めておきたい、このように考えます。  まず、基本的な問題でございますから、この点に対して大臣のお答えをいただきまして、具体的な内容に入ってまいりたいと思います。
  302. 河本敏夫

    河本国務大臣 今回お願いをしております法律目的は、国民経済全体の立場に立って、業界の過当競争を排除いたしまして経営の安定化を図っていくということと、それから同時に、粗悪品が消費者の手に渡らないようにするための行政指導を強化する、そういうたてまえで審議をお願いしておりますので、国民経済全体の立場に立って、この法律をつくっていただきましたならば、十分留意をして指導してまいりたいと思います。
  303. 中村重光

    中村(重)委員 この法律案の各条項のどの点が石油業界の要望に沿うことになるのでしょうか。
  304. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 業界の要望に沿うか沿わないかという観点からのお尋ねでございますが、少なくとも私たちといたしましては、国民経済的な立場に立って、この法案の中のどういう条項が重要な条項であるかという立場でお答えいたしますと、一つは、やはり登録制の問題でございます。それから、指定地区内における乱設を防止するための若干の建設調整の問題でございます。それから、価格が標準的な販売価格と著しく異なる場合の是正のための勧告でございます。さらには、品質確保のための諸規定でございまして、こういった各条を中心といたしまして、法律第一条の目的に掲げてございます揮発油販売業の健全な発達と揮発油品質確保を図ってまいりたい、こういう立場でございます。
  305. 中村重光

    中村(重)委員 それでは、具体的に尋ねますが、業界は三つのスローガンを掲げているのですね。業法の即時成立。これはお答えは要りません、これはわかるのですから。第二点として、一兆七千億円の石油諸税の徴収者を救済せよ。第三点として、流通市場の混乱を招く二重価格を撤廃せよ、こういうのがあるのです。それはそれぞれ報道された新聞等によって違うのだろうと思うのでありますけれども、私が見たのにはこの三つがあるのですが、この二点と三点についてどういう実情にあるのか、この業法の制定によってこの二点と三点は解消することになるのか、この点いかがですか。
  306. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 現在、石油関係製品に対しまして一兆六千億の税金がかかっておる、これは原重油関税も含めてでございますが、そのうちいわゆるガソリン税はかれこれ一兆を超える程度になっておろうかと思いますが、そういった立場からいたしますと、その各種の税金が確実に消化できるようにしてもらいたいというのがその希望ではなかろうかと思いますが、私たちの立場といたしましては、過当競争を排除することによって揮発油販売業の健全な発達を図る過程において そういった問題も解決していくべき問題ではないかというふうに考えておるわけでございます。  それから、第二点の流通面における二重価格という意味でございますが、私なりの理解は、あるいはいわゆる業転玉の排除ということを言っておるのではなかろうかと思います。これにつきましても十九条による価格是正勧告によりまして解消できるものと考えておりますので、そういった方向からは、本法案は結果としてその要望に沿うことになるかもしれませんが、目的意識といたしましては、あくまで国民経済的な観点に立って、消費者の利益を守り、かつは安定供給あるいは品質確保といった諸目的を実現するための法体系というふうに理解し、またそういった考え方で御提案いたした次第でございます。
  307. 中村重光

    中村(重)委員 国民経済的立場に立って消費者の利益を図っていくのだというお答えであります。当然なことでなければなりません。消費者の利益ということになってまいりますと、端的には価格が上がらないようにしてもらいたい、消費者は価格が下がることが一番よろしいですけれども、これは中小企業が成り立って初めて消費者の利益というものも守られることになるわけでありますから、安いだけがよろしいというものではない、それからやはり保安とか安全とかというような面もあるわけでありますから、その点も確保されていくのでなければ、広い意味において消費者の利益は守られない、こういうことになるのです。  ところが、保安、安全の面、これは何も設備の面だけではなくて、取り扱い上の注意であるとかといったようなことにおいてその安全確保というものもあり得るわけなんですけれども、この業法によりましていろいろな設備が要求されてくるわけでありますが、またそれだけではなくて、この法律が業法であるという点から、業者の利益というようなものも守らなければならぬというような思想の上にあることは、これは言うまでもないと私は思うわけであります。この法律の制定によって揮発油のある程度の値上がりというものはあり得るのだろう、こう思うわけでありますが、その点に対してはどのような見解をお持ちになりますか。
  308. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 御指摘の点は、販売価格が標準的な販売価格に対して著しく低い場合の是正勧告の結果高くなるのではないかという御趣旨かと思いますが、これは十九条でも要件はきわめてシビアにしておりまして、指定地区内におきまして相当部分事業者の事業継続が困難になるような場合、特に必要と認めた場合に勧告を行うことにいたしております。したがいまして、その勧告のラインは、標準的な販売価格の線に近づけると申しますか、その線を実現するというのが目的意識でございまして、決して高値に安定させるといったような方向で問題を処理しようとしておるわけではございません。
  309. 中村重光

    中村(重)委員 私の質疑は、十九条の著しく価格の安い場合ということのみをとらえて申し上げたのではありません。しかし、それはよろしいです。  この登録制度のねらいでありますが、いろいろあるのだろうと思います。また、法律案を読んでまいりましても、登録制度の必要性ということについてうたわれているわけですが、その中でも登録制度の最大のねらいというものがあるわけなんですが、その最大のねらいは何ですか。
  310. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 第一条の目的の中に、「揮発油販売業の健全な発達」ということは、揮発油の安定供給の確保ということになるわけでございますが、それと並びまして揮発油品質確保、いわゆる不良ガソリンの排除という目的を掲げておるわけでございます。こういった目的を達成するために、揮発油販売業者がそういったものを適確に実現し得る一翼を担い得る、こういった資格があるかどうかということを事前にチェックしておこうというのが、登録制を採用した一つの大きな理由でございます。
  311. 中村重光

    中村(重)委員 それだけではなくて、やはり過当競争を防止するというようなものも柱でなければならぬ、またそうであろう、こう私は思っているのです。私もざっくばらんに質問しているのだから、答弁の方もざっくばらんにお答えをいただきたい。やはり過当競争というものは安全供給と保安の確保というようなものの阻害要件になることも私は否定できないと思うのです。そういうことからいたしまして、スタンドのある程度の規制というものもやむを得ないのではないかという考え方の上に立ちます。そうでないのかどうかということをお答えいただきたいのと、いままで届け出制という形において、これは供給証明は行政指導という形でやっておられたわけでありますけれども、今回は法律の中に出てくるわけでありますが、あるいは政令にゆだねられるという点もあるわけでござます。そこで、ガソリンスタンドは当然禁止はしないわけでありますけれども、ある程度スローダウンをしなければならぬというようなお考えの上に立っておられるのかどうか、その点お答えください。
  312. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 先ほどお答えいたしましたことは、具体的に申し上げますとただいま先生の御指摘になったような過当競争防止、要するに四十年あるいは四十八年から実施しております設備調整についての行政指導におのずからの限界があるということから、登録制を採用して過当競争を防止しよう、こういうことでございます。  ただいま御指摘のどの程度の新規増設が必要かということにつきましては、現在時点でまだ計算をいたしておりませんが、かつてやりました方法は、自動車用ガソリンの需要の伸び等を勘案いたしまして一年間に二千六百地点あるいは千五百地点といったようなことも決めておりますが、この法案が施行されるに当たってどの程度のものを予定するかということは、現在時点ではまだ算定いたしておりません。
  313. 中村重光

    中村(重)委員 時間の関係もありますから、質問したいのを割愛していかなければならないのですが、あなたはこのスタンド業者の三分の二程度は非常に零細だとおっしゃった。その残りの三分の一というのは商社が設備をするスタンドというものに、全部か全部ではないでしょうけれども、相当数それに当てはまるのではなかろうかというように私は思うのです。この商社が、なかんずくその中では総合商社が多くなるわけでありますけれども、これが小売販売をやるということは私はチェックしなければならぬと思う。  中小企業庁長官もお見えになっていると思うのでありますけれども、私どもは中小企業事業分野の確保ということでぜひ法律を制定したいと考えている。大企業は余りにも中小企業分野に進出をし、資本力その他優位な条件を乱用して中小企業を圧迫している。そういう総合商社がスタンドの経営までやる必要はないじゃないか。これは中小企業庁は、中小企業事業分野を守るという観点からエネルギー庁に対しましても申し入れするぐらいの気構えというものがなければならぬと私は思う。この業法制定の中に私がいま申し上げておりますようなことが当然あってもよろしい、私はそのように考えるわけであります。  スローダウンするならば、まず第一にメスを入れなければならぬのは、商社が設備をするスタンドを抑える、こういうことであってよろしいと思うのでありますが、それらの点に対してはどうお考えになられるのか。この点は重要でありますから、大臣からひとつお答えをいただきます。中小企業事業分野の確保という観点も含めて、長官も後でお答えがあれば結構でありますけれども、それも含めて大臣からひとつお考え方をお示しいただきたい。
  314. 河本敏夫

    河本国務大臣 中小企業の分野確保ということは非常に大事な問題でございまして、このために、国会で御決議になりました御意思を受けまして、目下通産省でも法律案作成の作業を進めておるところでございます。そういう立場から考えて、この商社のガソリンスタンド経営はどうなるのか、あるいはまた石油業界、元売業者等の系列が一体どうなるのか、こういう問題はもう一回よく根本的に検討してみなければならぬと思いますので、中小企業分野法の策定の作業の進行とともに、もう少し具体的に研究さしていただきたいと思います。
  315. 中村重光

    中村(重)委員 では、私の具体的な質問に対して、具体的にそれぞれ両長官から答えてください。
  316. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 いわゆる大商社の揮発油流通分野への進出の問題でございますが、一般的に卸活動を中心にいたしておりまして、みずから末端におけるスタンドを経営している比率と申しますか、例は、きわめて少ないようでございます。全体の四%前後じゃなかろうかというふうに思っておるわけでございます。むしろ流通面での商社の問題は、いわゆる業転玉によりまして流通秩序を乱しておるという点の方が問題としては大きいのではなかろうかという気がいたしております。さようなところから、本法案の十九条の規定によりまして、そういった場合には所要の勧告も行うようにいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  317. 岸田文武

    ○岸田政府委員 大企業と中小企業の分野の調整の問題につきましては、先ほど大臣からお答えいたしましたとおり、私どもとしてもこの問題については何かいいルールをつくるようにということで一生懸命勉強いたしておる最中でございます。一生懸命まじめに仕事をしてきた中小企業の中に突如として大企業があらわれたためにあしたからの生活に困るというようなことは、私どもから見ましても気の毒なことでございますし、何らかやはり円満な解決を図れるようないいルールをつくりたいと思っております。  お尋ねのガソリンスタンドの問題につきましては、私ども一般的な立場からとかく見ておりますので、余り細かい事情は承知をいたしておりません。ただ、私ども街で見ておりましても、すでに大企業ガソリンスタンドというのもいろいろあるようでございますが、そこで大企業が入ってはいけないという一般的なルールがつくれるものであろうかどうであろうか、また、その中で特に商社は困るというようなことが言えるのだろうかどうだろうか、これはもう少し私自身も実態をよく調べてからでないと答えが出しにくい問題ではないかと思っておるところでございます。ただ、別の面から申しますと、大商社が一々末端の小売店を直接経営するというのは、能率からいってどうも余りそうどんどん広がるようにも思えないような気もいたします。  ただ、そういった問題は別にいたしましても、すでにガソリンスタンド業界でいろいろ過当競争の問題が現に起こってきておることは事実でございますし、もっと体質を改善しなければいけないということで、御承知のとおり先般近代化促進法による近代化計画対象業種として取り上げることにし、目下具体的な計画づくりをいたしております。こういったことの勉強を通じまして、さらに私ども実態に即した対応策を考えてまいりたいと思っております。  なお、商社等のいろいろの活動の状況が結果として業界に混乱を巻き起こすというようなことについては、私どもからも、もし事態が明らかになりますればエネルギー庁の方に申し入れをしたいと思います。
  318. 中村重光

    中村(重)委員 あなたは中小企業庁長官であるという認識はいつも頭から去らせないように対処してもらいたい。むしろ余り中小企業に傾斜し過ぎるという非難がされるくらいにやってまだ足りないという状態なんだから、それだけは強く要求しておきます。  次に、橋本長官、このノーマークや押し込み販売について防止をするという態度で臨みますか。
  319. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 無印だからといって、差別的な別途の扱いをすることは考えておりません。要は、継続して安定的に揮発油を供給し得るかどうかということでございまして、そういった立場から判断いたすために経理的基礎も判断することといたしておりますが、これは安定供給する前提として、継続的に仕入れが可能であるかどうかという必要最小限度のチェックをいたしたいと思っておるわけでございます。  ただ、冒頭にも先生から御指摘がございましたように、いささかたりとも系列化あるいは固定化しないような配慮はいたしたいと考えておりまして、その引取先、購入先が特定の卸売あるいは特約店一社に限るというものではございませんで、数社であっても結構でございますし、販売政策等で考えが一致しない場合はその仕入れ先を変更してもいいという方向考えておるわけでございます。
  320. 中村重光

    中村(重)委員 押し込み販売についてお答えがなかったのですが、これは抱き合わせ販売ということだろうと思うのです。私はそういう理解で質問しているのですが、元卸から仲卸に卸しますね、その場合に、仲卸は売りたくないという製品を、元卸は強引にこれも買ってくれなければ困ると言って押しつける。仲卸にしてみると、小売もそういうことがあり得るだろうと思うのですけれども、非常に迷惑なんだ。そういうことは、私は、優越的な地位を利用した元卸あるいはメーカーの押しつけである、これは許せないと思うのです。これをどうお考えになるのかという点、公正取引委員会委員長からもこの点に関しての見解をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  321. 澤田悌

    澤田政府委員 ただいまお挙げになりましたような例、元卸が自分の優越した力を利用して押し込み販売を強行するというようなことにつきましては、不公正取引の疑いがあります。そういう具体的な例がありますれば、調査して厳重に対処すべきものと考えております。
  322. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 独禁法上はただいま公取委員長からお答えがあったとおりでございますが、私たちといたしましても、さようなことのないように元売あるいは特約店に対して厳重に指導してまいりたいと思います。
  323. 中村重光

    中村(重)委員 これはノーマークの問題なんだけれども、私はノーマークの油が小売販売段階においてどの程度小売価格戦争に影響しているのかということがわからないので、その弊害のほどがわからないままお尋ねをするわけなんですけれども、ただ常識的に考えてみますと、このノーマークというものがあることで元売業者あるいはメーカーの価格協定を防止をして、公正競争というものに役立つような一つの面もあるのではなかろうかという気がするのですね。ですから、カルテル防止という観点からはある程度ノーマークも役割りを果たしているのではないかという気がする。ところが、それが余り度が過ぎて、小売段階においての価格競争ということになってくると、小売段階では悲鳴を上げるという形になってくるわけなんで、ここのところがどの程度かということを私もつかんでいない。だから、確信を持って意見を申し上げるところまでいかないわけなんだけれども、私の常識的なことが間違っているのかどうか、どの程度までこれが役割りを果たし、あるいは弊害につながっているのか、これはそれぞれ簡潔にひとつお答えいただけますか。
  324. 澤田悌

    澤田政府委員 一定の商品が、それがノーマークであろうとマークがついておりましょうと、自由公正に流通いたしますことは、独禁法のたてまえ上は一向差し支えないことでございます。ただ、それが先ほども申しましたような不公正な取引方法、不当な取引を伴うということになりますと独禁法上問題になる、こういう趣旨でございます。
  325. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 御指摘のような点であろうかと思いますが、問題は、やはり中小企業全体に値崩れを起こさせるようなことになるかならないかというところが問題点だと思います。これははっきりしたことを申し上げづらいわけでございますが、レギュラーガソリンで現在大体百二十円ぐらいかと思いますが、そういった価格を念頭に置きまして、五円差があるとかなり影響が出、十円ぐらいの差が出てまいりますと、ブランドのよしあしだとか、そのガソリンスタンドのサービスのよしあしといったものを離れて、ユーザーサイドが安い方に行く、あるいは高い方を避けていく、こういう傾向にあるようでございます。
  326. 中村重光

    中村(重)委員 この点は常識的な運営が望ましい、いずれにしてもノーマークそのものを否定するものではないという考え方であるわけですから、十分私も勉強して、その上に立ってまた意見を申し上げることもあると思うのです。  それから、本委員会で同僚諸君から要求もあったわけですが、登録申請書に義務づけられる省令の内容、それから第四条二項の省令で定める書類の添付を義務づけるその省令の内容、これは資料として提出をしてもらいたいということであったわけですが、提出をされましたか。
  327. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 提出いたしております。
  328. 中村重光

    中村(重)委員 次に、揮発油の継続的購入が可能であることを説明した書面が要るわけです。いわゆる供給証明ですが、継続的という期間はどの程度か、その期間も政令に明記するのかどうか。
  329. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 チェックの方法といたしましては、その購入契約の写しといったようなものを提示していただければと思っておるわけでございます。  それから、期間とか安定性の問題でございますが、液化石油ガスの場合には継続的購入ということで期間は申請のときから一年以上、購入量は予定販売数量の三分の二以上ということで運用いたしております。大体同じような業種でもございますので、本法案につきましても、継続的取引という数量のめどを大体三分の二ぐらい、あとはスポット手当てでもいい、こういうふうに解釈いたしております。
  330. 中村重光

    中村(重)委員 供給証明の相手方は元売、仲卸、小売、その他いまあなたがお答えになったような範囲内で、そういうところから継続的に購入し得るものであればよろしい、そのいずれかであればよろしいという理解をしておりますが、そのとおりであるのかどうか。
  331. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 御指摘のとおりで考えております。
  332. 中村重光

    中村(重)委員 それから、登録申請に対して設備の縮小、開始日の繰り下げを指示することになるわけですが、これは通産局長の一方的な判断でやることは適当ではないのではないか、これは石油審議会の意見を聞く必要があるのではないかというのが私の考え方であります。これはいずれにいたしましても通産局長の一方的判断でやるのではなくて、大臣が決定をする、こういうことであるべきであると考えますが、いかがですか。
  333. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 二つ御指摘がございましたが、第六条第二項の指示につきましては、特定地区の指定等と並びまして非常に重要な事項でございますので、本法の二十三条の規定による通産局長への委任ということは必ずしも適当ではないのではなかろうかと考えております。  それから、指示についての問題でございますが、指定地区の指定に当たりましては審議会の意見を聞くことにいたしておりますが、具体的な指示につきましては、それが個別問題であるということと、それから法律上申請を受理した日から一月以内に指示を行うという迅速性の問題もございます。これは、相手方と申しますか、申請者を不安定な状況に置くことを極力避けたいということで、石油審議会の意見を聞くことにいたしておらないわけでございますが、ただ事の重要性からいたしまして、一般的にどのようなケースの場合にいかなる指示を行うかといった基本的な考え方については、石油審議会の意見を聞いておきたいと思います。
  334. 中村重光

    中村(重)委員 いま聞き漏らしたのですが、私は設備の縮小であるとか開始日の繰り下げという指示は通産局長の判断でやるのではなくて、大臣の判断においてこれをやるべきである、こう思うが、どうかということを尋ねたのですが、その点はお答えになりましたか。
  335. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 御指摘のような方向で対処するとお答えしたわけでございます。
  336. 中村重光

    中村(重)委員 それから、いま審議会の問題が出てきたわけですが、審議会の構成はどうなっておりますか。この審議会が果たす役割りというものは非常に大きくなってくる。私どもは十九条を修正をしてチェックしたいと思っているのです。審議会の意見を聞いて勧告をしなさいということで修正をするつもりですが、そうなってまいりますと、審議会の果たす役割りは非常に大きいわけなんだから、これは公取の不当廉売であるとか、あるいは差別対価といったものをチェックするというような点についても非常に重要性があるわけなんですね。それから、官僚統制を防止するという点からいっても、私はきわめて民主的な審議会の構成をやって、公正にここをチェックさせるということでなければいけないという考え方を持っています。  そのためには、消費者もできるだけ多くこの審議会の中に入れていくということでなければいけないと思うのでありますが、現在の審議会の構成はどうなるのか。ただいま私が申し上げましたように、そうした消費者あるいは中小企業の方々もできるだけこの審議会の構成員にするということが必要であるということについてのお考え方はどうなのかということをお答えいただきたい。
  337. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 法文上「石油審議会」となっておりますが、現実には流通小委員会でやることになろうかと思います。  その流通小委員会のメンバーは現在十四名でございまして、学識経験者等を含めまして構成いたしておりますが、その中に消費者代表は四名現在委嘱してございます。
  338. 中村重光

    中村(重)委員 だから、現在の構成と、私がこうあるべきだということを申し上げたのだから、それに対してはどうお考えになるか、またどう対応するかということをあわせてお答えください。
  339. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 流通小委員会の構成につきましては、さらに本法の趣旨に即するように検討を加えてまいりたいと思っております。
  340. 中村重光

    中村(重)委員 大臣、この点ひとつ大臣考え方をお聞かせください。私は、審議会に十四名、その中に消費者が四名ということで、学識経験者というお答えがあったのだけれども、残り十名が全部学識経験者ということじゃないのじゃないか、大企業の代表なんかも入っているのじゃないかと思うのだが、消費者であるとか、あるいは中小零細企業、労働問題に関係するような問題があれば労働者代表といったようなものも好ましいのではないか、こう思うのだけれども大臣見解はいかがですか。
  341. 河本敏夫

    河本国務大臣 これはできるだけ各方面の意見を幅広く聞いていく、こういう方向で対処いたします。
  342. 中村重光

    中村(重)委員 それから、異議の申し立てがあれば聴聞会を開くことになるのですが、審議会の意見を聞かないで直ちに聴聞会をお開きになるのかどうか。それから、聴聞会の意見はどの程度尊重することになるのか。
  343. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 この法律の規定による処分に対しまして異議申し立てがあった場合は、原則として聴聞会を開くことになっております。このためには適当な予告期間ということが必要ではございますが、できるだけ早く聴聞会を開くようにいたしたいと思います。  それから、聴聞会におきましては、処分を受けた人やあるいは利害関係人から証拠提出や意見陳述を受けることになると思いますが、こういった聴聞会を設けました趣旨に即しまして、そういった意見を十分に尊重してまいりたいと考えております。
  344. 中村重光

    中村(重)委員 第六条の一項五号、六号、これは厳し過ぎるし、また実情に合わない。それは私が何回も指摘をいたしましたように、余りあなた方はうれしくはお聞きにならないのだろうけれども、役人の判断というものによって左右する範囲が非常に広くなってくるというような点から、私どもはこれを修正をしたいというふうに考えているわけであります。  修正をいたします場合に、揮発油販売業を適確に遂行するに足る能力のある者というようなことではいかがであろうかということも考えているわけです。これは液化石油ガス法の中にあるわけでございますが、エネルギー庁長官として、液化石油ガス法にある「その事業を適確に遂行するに足りる」「能力を有するもの」ということに対しての運営等についてはどうなされているかということについてお答えください。
  345. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 第六条第一項の五号、六号に「技術的能力」あるいは「経理的基礎」ということを置きました趣旨につきましては、いろいろと答弁をいたしておるわけでございますが、要は品質確保と安定供給ができるということであればよろしいわけでございますので、現在LPG法で運用しているような形で、同じような形式で運用していって十分であろうと思います。
  346. 中村重光

    中村(重)委員 それから、第八条二項によると、第六条の規定は第八条第一項の変更登録に準用する、こうあるわけですが、この変更を拒否された者は異議の申し出は可能かどうかという点が一点。  もう一つは、変更登録の際は供給証明は必要ないであろうと思うのでありますが、そのとおりであるのかどうかという点です。
  347. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 第八条では、所在地、規模あるいは役員について変更がある場合に変更登録をすることになっておりますが、いまお尋ねの供給証明の問題につきましては、たとえば新しい給油所を増設するといった場合には、そこでの品質管理者、あるいはどこから仕入れをするかという仕入れ先との契約の写しはやはり出していただくことになろうかと思います。  ただ、その場合に、従来の取引先と変更する場合には、これは変更登録の事由になっておりませんので、少なくとも新設についてどこから仕入れるかという証憑書類を出していただければよろしい、こういうことになるわけでございます。  それから、第一点の方の質問をちょっと聞き漏らしたのでございますが……。
  348. 中村重光

    中村(重)委員 登録に対して変更の申請をしなければなりませんね。第六条の規定を第八条一項の変更登録に準用するとあるわけなんだから、したがってこの場合はいまあなたがお答えになったような点を変えてもらわなければいけないのだ、こういうことなんだけれども、いまあなたが言われた供給証明とかいろいろな点について、そういう変更の申請をそれではいけないのだということで拒否をするようなことはあるのかないのか。     〔武藤(嘉)委員長代理退席委員長着席〕 その拒否が申請者にとって大変不利であるといったような場合は、当然これは異議の申し立てというものがなければいけないのだけれども、それをお認めになるのかどうかという点です。
  349. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 いま二つの問題があるかと思います。  一つは、当初の登録の際に出してありました仕入れ先を変更する場合、これは変更登録を必要といたしません。  二つ目の問題は、新増設する場合、新増設するスタンドに対する仕入れをどこから持ってくるかという契約書の写しは必要になってくるわけでございます。もしその写しが入手できない場合には、新設分についてはやはりそれなりのチェックが必要になってくる、こういうことでございます。
  350. 中村重光

    中村(重)委員 運営でまたそれをチェックしていく、そして非常に不利であるという場合に異議の申し立てを認めないということになってくると、不公平という形になるのだけれども、そういった事態は起こってこないのか、どうですか。
  351. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 その場合、異議の申し立てば当然できます。たとえば新設する場合に仕入れ先がはっきりしていないというときにも、そのスタンドについて登録を拒否することもあり得るわけでございますから、それに対しましては当然異議の申し立ての手続は開かれておるわけでございます。
  352. 中村重光

    中村(重)委員 それでは、時間が参りましたから、あと二点ぐらい質問をして終わりますが、現在すでにスタンド設備が完成をしている、完成をしているけれども消防法上の問題等で紛争が起こってきている、それで実は営業することができないでいる、こういうものの取り扱いはどうするのかという点であります。  それから、今度分析設備をすることになるのでありますが、これは当然共用が可能であろうというふうに思うのですが、この設備は一個当たり三十万円と言われている。そうすると莫大な資金量というものが必要になる。業者の数は三万六千とか、あるいはスタンドの数は五万六千とか言われているのだが、これが共用設備ばかりではなくて、それはそれぞれつくろう、設備をしようというような業者だって出てくる。その場合、やはり近促法によって中小企業金融公庫から貸し付けをするということになるのだけれども、かと言って、おのずから中小企業金融公庫の資金枠というものがあるわけなんで、それで余りにこれに融資枠をとられるということは、中小企業全体の資金枠に影響をするという形になってくるわけなんだ。だから、その点どの程度の資金枠を必要だとお考えになっているのか、大丈夫なのかどうか、それから利率といったようなものをどの程度考えになるのかという点をひとつお答えいただきたい。  それから、品質の分析をすることになるのだけれども小売段階においての品質の分析というものの必要はないのじゃないか、むしろこれは元売段階において分析をさせるべきで、その分析表をなぜに元売につけさせようとなさらないのか。これは恐らく小売段階で灯油をまぜるといったようなこと等は、万々ないとは私は言わないのだけれども、きわめて少ないのではないか。粗悪なガソリンだということを長官はずいぶん強調なさったのだけれども、むしろ元売段階、メーカー段階において分析表をつくらないということはサボっているのだ。だから、これを厳しくやる必要があるというふうに思うが、そういうお考えはないのかどうかという点をお答えください。以上三点です。
  353. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 質問は三つあったと思います。  一つ目の紛争云々の問題につきましては、それがすでに届け出があって既設のものであるか、それとも届け出のない新設のものであるかによって若干は違ってくると思います。既設のものであれば、附則の第二条に掲げてございますように、本法施行後六十日間は従来どおりに事業を続けてよろしいということになっております。その間、登録の申請を出しまして、登録もしくは登録の拒否があるまでは従来どおりやっておる、こういうことになろうかと思います。  それから、二番目の分析設備についてでございますが、これは現在考えておりますのは、常時使用可能な体制にあればよろしいのでございまして、スタンドごとに設置する必要はない。事業者ごとあるいは地区ごとの共同利用ということも可能であるということでございます。それから蒸留装置あるいはガスクロマトグラフを考えておるわけでございますが、これに要する資金についてはできれば近代化貸付金対象にしたいということで現在計画策定中でございまして、このためにどれだけの資金が要るかということについてはまだ計算いたしておりません。ただ、大多数のものは共用することになるだろうと思いますので、その点からの経費節減もかなりのものがあるだろうと思っております。  それから、三つ目の品質との関連で、小売段階での分析ではなくて元売段階でいかがかという御指摘でございますが、これは御承知のように、その元売から末端のガソリンスタンドに至る陸上、海上等の輸送過程において灯油が混入されるというケースがむしろ一般的であるわけでございます。そういった意味合いからいたしまして、その流通過程においてチェックするということは事実上非常にむずかしゅうございますので、むしろ末端のスタンドにおいて品質の分析をやって不良品を排除する、こういう方法をとらざるを得ないと思います。ただ、その流通過程においてもできるだけのことはやる必要があると思っておりますが、現実問題としては、どうしても末端のスタンドでということがむしろ実態に合う方法じゃないかと思っております。
  354. 中村重光

    中村(重)委員 これで終わりますが、先ほど言った、すでにガソリンスタンドを建設している、もう開業するばかりになっている、しかし消防法上問題があるという消防庁との間に紛争が起こって裁判中のものがあるわけなんだ、具体的なことで申し上げているのだが。もう設備をやってしまっているのだから、そういう点を配慮しないでそれをまたしゃくし定規にやっていくということであってはいけないので、そういった点は実情に十分即して対処してもらいたいという点ですね。  それから、メーカー、元売段階のチェックはおやりになる必要があります。液化石油ガスの場合でも同じなんですね。ともかくだれが考えてみても元売段階で分析をさせなければならぬのに、やらない。小売段階で、いまあなたがお答えになったような事実上輸送段階において混入するといったことがあるのだったら、それはそれなりにチェックしていく必要があるだろうと私は思うのだけれども、ともかく元売段階においてやるということになってくると抵抗が非常に強いから、どうも大企業に遠慮をして、やらなければならぬことをやらないでいるということが事実ある。だから、そういう点は、今後いま申し上げた点を十分ひとつ検討してもらって、そういう大企業過保護という形にならないように、そうして中小企業ばかりいじめるのだというような批判が起こらないようにやってもらいたいということを強く要求しておきます。  それから、昭和四十五年だったと思うのだけれども、ガス事業法の改正、いわゆる簡易ガス事業の創設が行われた際に、解説書を発行するという約束を私との間になされたのだけれども、この解説書を発行なさったかどうかという点、もし発行していなければどうするのかという点をひとつお聞かせください。  これをもって、お答えをいただいて私の質問を終わります。
  355. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 簡易ガスの解説書につきましては、すでに発行いたしております。  それから、先ほどの紛争のケースは新設の場合に該当いたしますので、本法の規定に従って申請していただければ、実情に即して審査いたしたいと思います。  それからもう一つ元売段階においてというお話、われわれもこれに対して十分チェックいたしたいと思いますが、LPGと若干違いますのは、LPGの場合は密封した形で輸送するということでございます。したがって、その間に他の夾雑物を混入するという機会がないわけでございますが、その点がガソリンの場合と違うということも御理解いただきたいと思います。
  356. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 近江巳記夫君。
  357. 近江巳記夫

    ○近江委員 まず、給油所の経営実態というものにつきましてお聞きしたいと思うておりますが、このガソリンスタンドにつきましては、わが国のモータリゼーションの進展とともに昭和三十年ごろから急激に増加してきておるという報告を受けておるわけでございますが、昭和三十年ごろにはわずか二千足らずであったということを聞いておりますけれども、昨年十二月末現在では実に四万八千店という報告を聞いております。これは元売会社にとりましても、軽質油、特にガソリンが収益性の高い商品であるために熾烈な販売競争が展開されてきたためじゃないかと思うわけですが、こういう結果、約四百店を除きまして大多数が元売会社の系列店になっておるということを聞いておるわけであります。これらの給油所は大多数が中小業者の人が多いということも聞いておるわけであります。  そこで、その経営の実態、すなわち平均的な売上高あるいは収益率、系列元売会社との資金的、人的関係など、最近のいわゆる経営状況について簡潔に要点をお聞かせいただきたいと思います。
  358. 古田徳昌

    ○古田政府委員 先生の御指摘になりましたように、揮発油販売業者につきましては、そのほとんど、比率にしますと九三%以上が中小零細企業でございまして、従来から過当競争というふうなことで経営の悪化に悩んできたところでございます。  最近の経営指標を御紹介しますと、中小企業の経営指標による売上高対営業利益率を見ますと、四十九年度は一般の小売業総平均が四・二%となっておりますが、これに対しまして石油小売業は二・八%ということで、この利益率の水準がかなり低くなっております。それから売上高といいますか、売上の量は、一給油所当たり昨年の平均で言いますと五十・二キロというふうな数字になっております。  なお、これは一般の給油所の現況でございますが、元売特約店と、先生のただいま御指摘になりました末端の揮発油販売業者との関係につきましては、詳細は不明でございますけれども、その資金の関係を見ますと、特約店が自己の取引先の揮発油販売業者に対しまして、増改築資金とかその他設備資金について、直接融資、あるいは元売が金融機関からの借り入れの債務保証をしているというふうなケースが多く見られます。  なお、経営実態につきまして、先ほどの中小企業の経営指標のほかに、昭和五十年の実績でございますけれども、東京総合計算センターの経営指標を見ますと、調査対象企業数、給油所の場合、五百五十八のうち、百四十二、すなわち全体の二五%が欠損企業というふうな姿になっておりまして、これは同時に行いました小売業全体の欠損企業の比率二二%より若干上回っておるというような形でございます。
  359. 近江巳記夫

    ○近江委員 大体状況についてわかりました。  それから、この揮発油税の納入との関係の問題でございますが、御承知のように、ガソリンには揮発油税あるいは地方道路税が賦課されておるわけですが、これが本年度で約一兆円に達しておるということを聞いておるわけであります。こうした税というものはわが国の道路整備費に充当されておるわけでございますが、これらのいわゆるガソリン税元売会社の蔵出し税ということも聞いておるわけであります。直接給油所が納入するわけではないわけでありますが、実際は仕入れ価格の精算におけるメーターセール方式の導入等により重要なかかわり合いを持ってきておるということも聞いておるわけであります。  このガソリン税が本年七月一日から二五%引き上げられ、揮発油税が三万六千五百円、地方道路税が六千六百円、合計四万三千百円というものがキロリットル当たりの納入額になったということを聞いております。そこでお伺いしたいことは、この引き上げ分の価格転嫁の状況はどうなっておるか、ストレートに価格転嫁できない分はどのように処理されておるのか、これが一つであります。まずその点をお聞きしましょう。
  360. 古田徳昌

    ○古田政府委員 ガソリン税につきましては、本年七月一日以降キロリッター当たり八千六百円、リッターに換算しますと八円六十銭の増税となったわけでございますが、実際それがどの程度最終小売価格に転嫁されているかということにつきまして、総理府統計局の物価統計指標によって確かめてみますと、ガソリン税が増徴になる前、五月ないし六月の時点では、東京都の区部でガソリン値段リッター当たり百十五円でございましたが、これが現在、ガソリン税の増徴後リッター当たり百二十二円になっておりまして、その差額は約七円ということになります。したがって、この価格水準で見る限りは、増税分が完全に転嫁されている状態ではないわけでございます。
  361. 近江巳記夫

    ○近江委員 一説によりますと、このガソリン税引き上げの代償として経営基盤を守る本案が用意されたということも聞いておるわけですが、本案とのかかわり合いがあるかないか、お伺いしておきたいと思います。
  362. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 揮発油販売業界におきましては、たとえば酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律、こういったような強力な立法措置を望んでいたということも事実のようでございますが、私たちが本法案を準備いたしましたのは、かねがねガソリン販売業の健全な発達を図りまして、安定供給をどういうふうにして実現すればいいか、あるいはいわゆる不良ガソリンを排除するためにどのような方法をとったらいいかといったようなことを新たなる課題として検討しておったわけでございますが、本年の一月、消費団体を含む各方面の意見を広く徴すると同時に、二月以降、石油審議会に流通小委員会を設けまして、この場で消費者、ユーザー並びに中立委員の意見を求めまして、ガソリンスタンドのあり方というものをまとめたわけでございます。本法案は、こういったガソリンスタンドのあり方といった意見を法案にまとめまして提案し、御審議を賜っておるということでございます。
  363. 近江巳記夫

    ○近江委員 本年度ではこの税金が一兆円に達する。きわめて大きな額になるわけでございますが、大蔵省にちょっとお聞きしますが、こうした油関係で脱税というものはあるのですか。いままでにどういう調査があったか。また、あるとするならばどういうような方法で行われておるわけですか。また、それに対してどういう対策をとっていますか。
  364. 沢口成利

    ○沢口説明員 さきにお話がありましたように、製造場移出課税でございますので、通常の場合ですとそこで税金関係が済んでしまうわけでございます。  しかし、流通段階で課税原因が発生するのは、混和した場合でございます。一つは例のBTX混和、もう一つが灯油の混和の問題でざいます。過去五年間にBTX混和が三十八件、灯油の混和が十八件ございます。  税額から申しますと、圧倒的にBTX混和の方が大きいわけでございます。一件当たり百倍以上の大きさの金額になっておるわけでございます。それで、主としてブローカーや運送業者がBTX混和を行っておりまして、それから灯油の方はガソリンスタンドで行われておるというのが通常の形でございます。
  365. 近江巳記夫

    ○近江委員 それなら、そういうことに対してどういう対策をとってきたか、また今後とろうとしているのですか。
  366. 沢口成利

    ○沢口説明員 BTXにつきましては先般の租税特別措置法の改正によりまして手当てができておりまして、ほとんどもう課税の問題は出てこないのじゃないかと思います。もちろん問題点は残っておりますけれども、一応それでもって法的な措置がとられておるということでございます。あと灯油の関係はいままでむしろ通産行政の問題というのが主体でありまして、脱税額から申しまして一件当たり三十六万円ぐらいしかないということで、むしろ私どもとしてはBTX中心に調査をしておったのでございます。そういう関係で、今後若干灯油関係の方に調査の重点を移していくということになると思います。
  367. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、次にお聞きしたいのは、いわゆる独立経営の給油所、これは通称無印給油所と呼んでおるようでございますが、これらは安いガソリンを自力で購入してきて消費者に安く提供しておる。この無印の商法に対しまして、系列店は、経営圧迫の原因をなしているとして強く指摘をしておるわけでございますが、実際の小売価格でどの程度の値幅があるわけですか、まずこの価格実態についてお伺いしたいと思います。
  368. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 御指摘の点はいわゆる業転玉と申しますか、押し込み販売対象になっておるガソリン価格かと思いますが、これは実態がなかなかつかみづらいわけでございまして、通常言われるところは、キロリッター当たりにいたしまして五千円から一万円ぐらいの差があるのではないかというふうに聞いているわけでございます。
  369. 近江巳記夫

    ○近江委員 ですから、直接消費者が購入する場合、リッター当たりどのぐらいの値幅で普通やられているのですか。
  370. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 大体五円から十円ぐらいということになろうかと思います。
  371. 近江巳記夫

    ○近江委員 あなた、それはキロリッター当たりから五円、十円というのを出しておるのと違いますか。キロリッター当たり五千円から一万円だからリッター当たり五円から十円、そういう線で当てずっぽうに言っているのじゃないですか、実際にそういう実態というのを調べているのですか。
  372. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 先ほど申し上げましたように、無印の実態というのはなかなか把握困難でございますが、通常五千円ないし一万円程度安いと言われておりますので、それから逆算してリッター当たり五円から十円ぐらいではなかろうかと申し上げたわけでございます。
  373. 近江巳記夫

    ○近江委員 だから、逆算してリッター当たりならこうなるということでしょう。私は、政府の姿勢としてそういう実態をよく把握しなさいということを言っているわけですよ。逆算してなんていうそんなことは、赤ん坊でもできることですよ。そんなことはわかっています。実際のことを聞いているのですよ。そういうことをあなた方は勉強しておるかということを言うているのだ。勉強していないならしていませんと、つかんでいるならつかんでいる、何店か当たったときにはこうでしたと、そういう答弁をしなさいと言っているのです。
  374. 宇田川治宣

    ○宇田川説明員 お答えいたします。  ただいま長官が申し上げましたように、無印のガソリンスタンドにおきます販売価格、これは地域によってもまちまちでございますし、それから同じ地域でも店によって違う。それからまた、業転玉価格と一般の品物の価格との価格差というものがやはりガソリンの全体の需給関係を反映いたしまして、緩和しているときには業転玉がたくさん流れて、したがって業転玉と一般玉との価格差が広がるというふうな、そのときどきに応じての業転玉価格差というものもございますので、一概に申し上げることはなかなか困難でございます。  したがいまして、先ほど長官が申し上げたようなことになるわけでございますが、たとえば一例とか二例というようなかっこうで申し上げますと、これは実地にということではございませんが、最近まで私が伺いました範囲内でお答えいたしますと、中国地方の方でまだ百円以下のガソリン販売している、たとえて言いますと九十八円とかというふうなことがあると伺っております。それから、これは卑近な例で恐縮でございますが、私は世田谷に住んでおりまして、世田谷のある店ではガソリン一リッター九十五円というような金額も出てまいります。これはいろいろ極端な例、そうでもない例があるかと思いますけれども地域によってまちまちだということを御理解いただければと思います。
  375. 近江巳記夫

    ○近江委員 初めからそういうように報告すればいいのですよ。五円から十円とえらい開きがあるでしょう。要するに、あなた方は実態をよく把握しなさいということを言っているわけです。  それから、無印給油所がこうした商行為ができる背景には、元売会社における精製量と販売量の格差、すなわち製販ギャップが存在するためではないかということが言われておるわけですが、これがいわゆる安売り物、通称業転玉を生む原因ではないか。ガソリン小売価格にこうした二重価格が生ずるようになったのは、こういう元売会社の経営姿勢に問題があるのではないか。給油所の業界に混乱ありとするならば、その原因をつくっておる責任は元売会社にあると考えるわけですが、政府見解はいかがですか。
  376. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 揮発油の流通末端段階におきまして混乱を来した原因一つといたしまして、御指摘のように元売特約店等の販売政策と申しますか、製販ギャップから来る押し込み販売というのも事実であるというふうに認識いたしております。
  377. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、この責任というのはどこにあるのですか。いま聞いたように、元売ですか。この責任はどこに一番あるのですか。
  378. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 責任ということになりますかどうか、やはりガソリンというものは他の油に比べまして採算性が高いというところから、えてして精製段階におきましてもガソリンの得率性を高めようとし、あるいはナフサを改質してそれをガソリンに持っていくといったような動きがございまして、そういったところから往々にして企業的に、あるいは時期的に実際の需要量よりも多くなるということがあるわけでございまして、そういった部分がいわゆる業転玉として一段と安い価格で供給されておるというのが実情ではなかろうかと思います。
  379. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、本法が仮に成立した場合、既存の給油所も含めてすべて通産大臣に登録しなければならぬわけであります。この場合に、第四条第二項で定める事業計画書等の添付書類の内容の問題でありますが、この中に給油所の取引関係を明記することになるようでありますけれども、この取引関係は複数でもいいのか、またこの登録の要件は第六条第一項になるのかどうか、この取引関係はどこで読むことになるわけですか。
  380. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 いまの取引先の問題は、御指摘のとおり、第六条第一項第六号の「揮発油販売業を継続的に行うに足りる経理的基礎を有しない者」、ここで読むわけでございます。  この場合、購入先は特定の元売あるいは特約店である必要はございませんで、複数のものでもよろしゅうございますし、あるいは状況によってはその取引先を変更することも自由でございます。
  381. 近江巳記夫

    ○近江委員 この書類に明記していない取引、スポット物、いわゆる業転玉などの臨時的な取引が元売会社と行われた場合、違法行為になるわけですか。
  382. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 ガソリン仕入れの安定性を図る基準といたしまして、大体予定販売数量の三分の二ぐらいがそういう形で手当てされておればよろしい、その他のものについてはスポット物でも適格であるというふうに判断することにいたしております。
  383. 近江巳記夫

    ○近江委員 第十九条関係でございますが、第十九条の発動は前提に地区の指定があるのか、あるいは指定地区にとらわれず必要な場合に発動が可能であるのかどうか、それが一番です。  二番目は、標準的な販売価格と著しく異なる価格揮発油販売している事態が存在することが発動の要件となっておりますが、この場合の「著しく異なる価格」とはどの程度価格差を指しておるのか、以上二点についてお伺いしたいと思います。
  384. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 十九条につきましては、著しく高い場合と著しく低い場合と想定いたしておりまして、御指摘の指定地区が絡んでくるのは著しく低い場合の是正勧告のときだけでございます。  それから、標準的な販売価格との著しい差、その幅は幾らかという御指摘でございますが、これにつきましてはそれぞれ地域の事情あるいは需給事情等によって異なるわけでございまして、あらかじめどの程度乖離があれば著しいとみなすかということについては、現在の段階では定めておりません。  それから、標準的な販売価格と申しますのも、全国的な平均販売価格ということではございませんで、その地域における需給の実情を反映して、現実に行われておる一般的な販売価格、こういう意味合いで考えておりますので、その標準的な販売価格というのもその都度算定することになろうかと思います。
  385. 近江巳記夫

    ○近江委員 地域の事情で異なるから定めていない、こうおっしゃっているわけですが、たとえば経営の合理化によって何とかよそよりも何円でも安くと、これはお互いに商売だからやるわけでしょう。その辺、地域の事情で異なるから定めてないとおっしゃっていますが、常識的にはどのくらいの価格考えているのですか。これはきわめて合理的に、何とか消費者に安くしようとしておる業者にとっては大きな問題ですよ。
  386. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 スタンドが合理化努力によりましてコストを低減して、それを消費者価格に反映していくということは、本条の対象としては考えておりません。むしろ、さような方向こそわれわれとしても指導していくべき方向だろうと思います。ここで想定いたしておりますのは、いわゆる一時的な押し込み玉によりまして価格が混乱し、それが大多数の中小企業者に影響を及ぼす、そういったことによりまして長期的に安定供給が阻害される、あるいは品質確保ができないというような事態を回避するために、是正措置として考えておるものでございます。
  387. 近江巳記夫

    ○近江委員 考え方はわかったわけですが、そうしますと、その「著しく異なる価格」というのは大体どのぐらいが想定されるわけですか。
  388. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 これにつきましても、先ほど申し上げましたように、あらかじめどの程度というのは非常にむずかしいわけでございますが、現在のレギュラーガソリンの店頭売りが大体百二十円といたしまして、百二十円前後であるときにリッター当たり五円違ってまいりますとかなりの影響が出てくる。十円以上の開きになってくると、その店のブランドだとかあるいはサービスのよしあしのいかんにかかわらず安い方にユーザーが移っていくというのが実情のようでございます。そういたしますと、大体一〇%から二〇%ぐらいのところがそういう現象を引き起こす誘因になるかというふうにも考えられますので、将来の問題として、大体そういったところをわれわれの判断の根拠といたしたいと考えておるわけでございます。
  389. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、この条文中の「消費者の利益が害され」という言葉の意味は何ですか。
  390. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 これは著しく高い場合のことでございまして、この場合には著しく低い場合と異なりまして、全国的なベースにおいて引き下げ勧告をいたしたいと思っております。
  391. 近江巳記夫

    ○近江委員 給油所におきまして二重価格が存在しますのは、もっぱら元売会社に原因があるということが明らかになったわけですが、本条におきまして特定卸売業者に対しても同様の措置を講ずることになるわけでありますが、省令で定めるこの特定揮発油卸売業者の範囲はどの程度考えておられますか。
  392. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 元売特約店考えております。
  393. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、この十九条と独禁政策との関係でございますが、本条は、揮発油販売価格の上下に著しい格差がある場合で、明らかに行政の価格介入じゃないかと思われるわけですが、不当廉売に対しては独禁法で対処するのが筋であるように思うわけです。この点で、通産省公取とどのような調整を行ってこられたのか、調整の内容と考え方をこの際明らかにしていただきたいと思います。
  394. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 十九条と独禁法との関係は三つのケースに分かれるかと思います。一つは、コスト割れを来さないまでも値段が著しく下がりまして、それによって相当部分事業者の事業継続が困難になるおそれがある場合、これは独禁法では対処できませんので、本法案の十九条で対処いたしたいと思っております。あとの二つは、御指摘の不当廉売あるいは差別価格、こういったことでございまして、これはいずれも不公正取引の対象として独禁法でも当然にこれに対する規制、是正措置が講ぜられると思うわけでございますが、本法においても、そういった事態にある場合にはケースに応じて是正勧告をいたすことにいたしたいと思っております。その間、公取とは、法文上協議の条項は書いてはございませんが、事実上十分連絡をとっていきたいと思っております。
  395. 近江巳記夫

    ○近江委員 行政というものがこうした一部地域におきまして価格に介入するということは、これは公正、自由な競争を阻害することになるのじゃないかと思うのですが、公正取引委員会としましては、独禁政策の立場からこの点につきましてはどのようにお考えですか。また、独禁政策の立場から通産省の行政執行に介入することもあり得ると考えていいのかどうか、この二点についてお伺いしたいと思います。
  396. 澤田悌

    澤田政府委員 十九条に関しましては、これは独禁法を排除するものではございません。したがいまして、独禁法のたてまえから対処すべき事態が起こりますれば、その立場から厳正に臨むわけでございます。その場合に、いわば二重行政的な感じが出てまいる場合があり得るかと思います。これにつきましては、先ほど長官の話もありましたように、十分打ち合わせをいたしまして善処してまいりたいと考えておる次第でございます。
  397. 近江巳記夫

    ○近江委員 この不良ガソリン販売は、これは商道徳の問題でもあるわけですが、本法の実施で絶滅することができると思うかどうか、その辺についてはどのようにお考えであるかということを一点お聞きしたいと思います。  それから、品質管理者資格は省令で定めることになっておるわけでございますが、その内容はどういうものであるか、これが二点であります。  三点は、揮発油の分析はどういうような方法で行うのか、また第十七条の「表示」には分析の結果を表示することも含まれているのかどうか、含まれるとするならば、その表示の仕方は、技術的、専門的なものばかりでなく素人が一目でわかるようなものでなければならない、このように思うわけですが、その点についてはいかがお考えであるか、以上三点につきましてお伺いしたいと思います。
  398. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 この法案におきましては、ガソリン品質確保というのは大きな目的一つでございます。そのために本法では十三条に粗悪ガソリン販売を禁止いたしておりまして、これに違反する場合には業務の一部もしくは全部の停止、あるいは状況によっては登録の取り消しといったところまでの対策を考えておりまして、またそういった対策を前提といたしまして、それぞれのスタンドでは品質管理者選任を義務づける、あるいは分析をし、分析した結果を帳簿に記載しておくといった事項について義務づけをいたしておるわけでございまして、こういったものが十全に行われるならば、十分に粗悪ガソリンを排除できるものと考えておるわけでございます。  それから、二番目の品質管理者資格でございますが、現在なお検討はいたしておりますが、たとえば高校卒業程度以上の化学的知識を持っておる、あるいは一年以上揮発油販売業に従事しておった経験がある、こういったことを前提として考えておりまして、新しく国家試験を行うということは考えておりません。  それから分析につきましては、現在蒸留装置あるいはガスクロマトグラフを使って分析することにいたしておりますが、この分析結果につきましては、先ほどお話のございました表示することを義務づけるということは、現在のところは考えておりません。それは、ただいま申し上げましたような一連の品質確保の措置が十全に講ぜられるならば、品質管理も十分に行われるという判断に立っておるためでございます。
  399. 近江巳記夫

    ○近江委員 この第六条第二項関係ですが、指定地区とは、給油所当たりの販売量が基準を下回って、かつ過度の競争が行われているため経営が不安定となっている地区ということでありますが、これは運用いかんによりましては新規参入並びに自由な競争を阻害することになりかねないと思うわけでございますが、本条の考え方及び運用の基準というものを明らかにしていただきたいと思います。
  400. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 六条第二項の地区指定につきましては、御指摘のように非常に慎重にやる必要があると思います。まず全国の平均販売量を出しまして、それに基づきまして大都会、中都市、あるいは農漁村、あるいは観光地域といったふうに地域別に、その地域の平均販売量と申しますか、基準販売量を実態調査の上把握いたしまして、こういった地域ごとに設定いたしました数量を著しく下回る地域でございまして、かつそのために過度の競争が行われておる、こういう地区を、石油審議会に付議いたしまして、かつは期間をつけて指定する、こういう手続を考えておるわけでございます。
  401. 近江巳記夫

    ○近江委員 その次にお伺いしたいのは、いわゆる廃油の処理の問題でございますが、スタンドではオイルの交換等でかなりの量の廃油ができておるわけですが、この処理についてどういうようになっていますか。完全に処理できているのですか。実態をまずお伺いしたいと思います。あからさまに報告することを希望いたします。
  402. 古田徳昌

    ○古田政府委員 給油所から排出されます廃油につきましては、専用のタンクを設けましたり、あるいはドラムかんに保管するという形でまず処理するわけですが、ドラムかんで保管するのが八五%程度、専用タンクで保管するのが一五%程度という比率になっておりますが、保管しました廃油をほとんどの場合は廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づきます許可を受けました廃油処理業者に委託しまして処理してもらう。それから、兵庫県の場合では共同処理場を設けまして別途独自の処理を行うというふうな例もございますが、いずれにしましても、給油所からのたれ流しの事例で特に問題になったというふうな報告は、最近においては受けておりません。
  403. 近江巳記夫

    ○近江委員 全国スタンドから出る廃油量というのはどれだけであるか、またそれを処理する処理場の能力は現在どれだけあるか、これについてお伺いしたいと思います。
  404. 古田徳昌

    ○古田政府委員 全国で年間に排出されます廃油の全体の量は、約四十万キロリッターでございます。
  405. 近江巳記夫

    ○近江委員 だから、処理施設ではどれだけのものを処理する能力があるのか、機械には皆能力があるわけでしょう、それを聞いているのです。全国にどれだけの能力があるのですか。
  406. 三井速雄

    ○三井説明員 私どもガソリンスタンドのみにつきましてその廃油の処理の実態につきまして調査したことは実はございませんので、詳細に申し上げられませんけれども、廃棄物処理法上、処理、処分を行う業者の数、収集運搬を除きまして約千五、六百程度ございます。  それから処理施設につきましては、廃油の場合は油の焼却施設というのがこれに当たるわけでございますが、同じく全国で五百強ございます。この場合の処理能力でございますけれども、残念ながら私どもの方で承知いたしておりません。ただし、ただいま通産省の方からもお話がございましたように、ガソリンスタンドから出る廃油に関しまして事故が起こったということは私ども聞いておりませんし、それからなお、聞き及びますところでは、ガソリンスタンドから出るエンジンオイルの廃油と申しますものは、廃油の中でも大変質のよろしいといいますか、処理の容易にできるものであるというようなことから、特にトラブルが起こる可能性も大変薄いというふうに考えております。  それから、局地的な問題といたしましては若干の需給のアンバランスというようなこともあるかとも存じますけれども、また他の地域におきましては、処理施設が大変たくさんございまして十分な処理ができておるという地域的な例もございます。
  407. 近江巳記夫

    ○近江委員 これはひとつ通産省なり厚生省がよく連携をとって――交換オイルの廃油のことだけを言うのじゃありません、それは廃油というのはたくさんあるわけだから。しかし、それぞれよく調査をして、スタンドからはどれだけ出て、それがどう処理されておるか、また工場から出るのはどうか、こういうことをきちっとやらなければ、幾ら公害対策だ何だと言ったって、いろいろな不法投棄とかそういうことはやはりあるわけですよ。数年前にもそういう実例も新聞に載っておったわけでしょう。そういうことで、われわれが守らなければ海や川は汚されていく。こういうことにつきましては、どういうようにそれが処理されておるかということを十分よく掌握してもらいたいと思うのです。処理業者に渡せばそれでいいのだということでなく、十分ひとつよくチェックをしていただきたい。また次の機会でも一回厚生省と通産省を呼びますから、そのときには、調査した結果こうなったということをよく報告していただきたいと思うのです。  それから、最近いわゆる持ち帰りのオイルというものが、スーパーであるとか、一部ではデパートでも出ておる。これには、処理施設のところで交換するようにと小さく書いてある。これは各家庭へ持ち帰って、実際にそういう処理施設のところで交換をやっているのですか。あれは四リッターかんでしょう。各家庭で全部処理施設のところでやっているのですか、実態をひとつお聞きしたいと思うのです。
  408. 古田徳昌

    ○古田政府委員 最近ガソリンスタンド等におきまして、いわゆる持ち帰りオイルということで、スタンドで交換せずに自分の家へ持って帰って、自分で自動車のオイルを交換するというようなケースがふえていることは、先生の御指摘のとおりでございます。  これにつきましては、消費者がガソリンスタンドでオイルを交換するか、あるいは持ち帰りオイルの形でみずから交換を行うかということは、基本的には消費者の選択ということになると思いますけれども、消費者がみずから交換を行います場合には、廃油の処理の問題が当然ながら出てまいります。これにつきましては、先ほど私が言いました廃棄物の処理及び清掃に関する法律の中で投棄の禁止の規定もございますので、消費者に十分それを周知させる必要があるかと思います。私どもの方としましては、元売を指導しまして、かんにラベルを張らせる、あるいは全国石油協会にその点についての注意を喚起するポスターをつくらせまして、全国スタンドに張らせるというふうなことで、その指導徹底を期しているところでございます。
  409. 近江巳記夫

    ○近江委員 指導徹底しても、たとえば処理施設のところで入れかえをやっているのは何%ぐらいあるのですか、ほとんど家庭でやるのでしょう。家庭で抜いた廃油はどうするのですか、どういうようにあなた方はそれを聞いているのですか。
  410. 古田徳昌

    ○古田政府委員 できるだけ買いましたガソリンスタンドへバケツにでも入れて持っていって、そこで引き取ってもらうということで指導しているわけでございます。
  411. 近江巳記夫

    ○近江委員 それは一例でしょう。それでは、みんながそうやっているのですか。あなたは一例を話しているだけじゃないか。廃油なんか持ってきてない人の方が多いのですよ。たとえばそれを近所の下水であるとか、あるいは土を掘って埋める。雨でも降りますとその廃油が流れ出すのですよ。大変な汚染になってくるでしょう。そういうことをきちっとさせなければだめじゃないですか。そんなことをただPRしただけでこれは済むのですか。どろどろの油をわざわざスタンドに持ってくる人が何人おりますか。処理施設のところでちゃんと交換するように、しかも小さな字で書いてある。あなた方はもっと環境問題公害問題ということに真剣になりなさい。これはどうするのですか。
  412. 三井速雄

    ○三井説明員 現行の廃棄物処理法におきましては、一般家庭におきましてその物を下水に入れるとか、あるいはその物を地面に埋めるというような行為をしても、法の趣旨からいたしまして大変好ましくない方法でございますけれども、特にこれを禁止するような規定にはなっておらないという状況でございますが、私どもの立場からだけ申しますと、大変好ましくないものであるというふうに考えております。
  413. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは一遍抜きかえしたら四リッター要るのでしょう。各家庭といってもばかになりませんよ。それでは、あなた方厚生省はそういうことを放置しておくのですか。法令でそうなっているから、現実にこういうことが行われておるのを放置しておいていいのですか。大変な量になりますよ。
  414. 三井速雄

    ○三井説明員 実は私ども必ずしも十分実態を把握しておりませんでしたので、しかるべき方法を考えまして実態調査の上、しかるべき措置をとりたいというふうに考えております。
  415. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは通産省、エネルギー庁も非常に重大な問題ですよ。大体、政府は公害問題に対していいかげん過ぎますよ。これは厚生省とよく相談をして、そういうことがたれ流しにされないように、ひとつ十分な対策を立てていただきたい。具体的にどうするこうするということは、私自身も考えを持っていますが、あなた方自身が責任ある立場ですから、よくお考えになっていただきたい。こういう大事なことをほっておいて、石油製品等の値上げとかそういうことについては非常に熱心なんです。特に一つの大きな宿題として申し上げておきます。  それから、石油協会ですね、これは政府から四十八年、五十年それぞれ十億ずつ出しまして二十億円、この利子で運営しておるわけですが、ここは何やっておるのですか。
  416. 古田徳昌

    ○古田政府委員 先生御指摘のように、全国石油協会に対しましては、国の補助が二十億円、基金の形で入っております。この基金による収益を基礎にしまして特定の事業を実施しているわけでございますけれども、先ほど言いました、たとえば持ち帰りオイルにつきましての消費者に対する注意のポスターをつくって全国に配るというふうなことなんか、その事業の一環でございますが、項目別に言いますと、一つは、品質の保全対策事業というふうなことで、一番中心になっておりますのは全国体制による品質検査の実施でございます。これは試買によりまして、五十年度においては年間約二万件実施しておりますが、毎年品質検査を精力的にやるという形になっております。それから新しい分析なり試験方式の開発をやるというふうな事業も入っております。  二番目に、環境対策事業としまして、ただいま御指摘になりましたような廃棄物の処理体制の整備についての必要な地域に対する指導を行うとか、あるいは啓蒙活動を行うとか、あるいは給油所の汚水、汚泥の含有物の検査を随時実施するとかいうふうなことをやっております。  三番目の大きな仕事としましては、調査統計事業というふうなことで、全国の石油販売事業実態調査といったものを必要に応じて行う。それから消費者対策事業ということで、これは先ほどの環境対策にも結びつきますけれども、もっと一般的な形での啓蒙活動も実施する。それから、教育事業ということで講習会を実施するというふうなことをやっております。
  417. 近江巳記夫

    ○近江委員 本法律案が通過したとした場合、品質検査ということがうたわれておるわけですが、協会もこれは非常に力を入れてやっておるわけですね。これとのかみ合わせ、この協会の有機的な活用といいますか、これはどういうような生かし方をするのですか。
  418. 古田徳昌

    ○古田政府委員 ただいま御提案させていただいております法律では、みずから管理責任者を置きまして品質検査を実施するわけでございますけれども全国石油協会によります品質検査は、いわば第三者機関による抜き取り調査というふうな形になりますので、両方相まって品質管理がうまく行われるというふうになるかと思いますし、そういう観点から、この全国石油協会におきます品質検査につきましても、今後ともなお充実強化の方向で指導したいと思っております。
  419. 近江巳記夫

    ○近江委員 この協会につきましては、大事なわれわれの血税二十億円を与え、そしてその利子の運用で独自の事業もやっておるわけでございますが、こういうような協会というのはえてしていろいろな項目はうたうけれども中身は薄いということもあるわけです。何もここがそうだとは言いませんけれども、そういうことで十分政府としても協会の活動につきまして監督をして、十分機能を発揮できるように見てもらいたい、このように思うわけであります。  時間が来ましたので、一応これで終わりますが、最後に、大臣、本法が成立した場合、消費者の利益ということに本当につながりますか、またどういう決意で本法の成立に臨みますか。
  420. 河本敏夫

    河本国務大臣 法律を成立させていただきましたならば、業界の過当競争の排除、さらに消費者の利益を守るための粗悪品の追放、こういう点に取り組みまして、国民経済全体の立場から本法を運用してまいりたいと存じます。
  421. 近江巳記夫

    ○近江委員 では、終わります。
  422. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 佐野進君。
  423. 佐野進

    ○佐野(進)委員 私は、ただいま審議されております揮発油販売業法案につきまして、大臣並びに関係者に質問してみたいと思います。  すでにわが党から五人の方々が、それぞれの立場において、法案の内容につき厳しい審議、追及を続けてまいりました。したがって、党の立場に立っての内容の質疑はほぼ十分尽くされておると思いますので、最終質問者といたしまして、総括的な意味において、あるいはわれわれの考えを集約した意味において、幾つかの点にしぼって質問をしてみたいと思います。  まず第一に、大臣質問をしてみたいと思うのでありますが、大臣はこの法案の提案理由の説明といたしまして、「近時、一般にガソリンスタンド業者と呼ばれております揮発油販売業をめぐって幾つかの重要な問題が生じております。その第一は、揮発油販売業者間の過当競争の弊害の問題であります。」こう述べております。そして、この現状を放置しておくと、中小企業者が大宗を占める揮発油販売業者の健全な経営の確保が著しく困難となるばかりでなく、揮発油販売業者の経営の安定が損なわれ、結果的に約一兆円に及ぶ揮発油税の保全に大変悪い影響を与える、こういうようなことを前段にお話しになっておられるわけであります。  いま申し上げましたことが大臣の提案説明の趣旨であるといたしますならば、結果的に過当競争を排除し、中小企業対策を充実し、揮発油販売業者によるところの経営の安定の中で税金を多額――多額ということになるのでしょうね、多額に取ることが第一の目的だ、こういうように感ぜられるわけであります。第二の点はしばらくおきまして、この第一の点について質問をしてみたいと思うのであります。  先ほど来わが党の先輩議員からそれぞれ質問が行われておったわけでありますが、私どもの立場からすると、この法案につきましては大変疑問点が多い。したがって、この法案については今国会で議了することについては疑問がある。したがって、慎重審議を続け、次期国会においてさらに検討を加えた上本法案の成立を図るべきであるというのが、当初この法律案が提案されました第七十七国会における大部分のわが党議員の方々の見解でありました。第七十八国会に至りましてもその見解はそのまま持続せられ、本法律案を審議する商工委員会所属の委員といたしましては、その党全体の見解と、法案を審議する立場に立つ者として法案の内容を知り、実情を把握する者としてどう調整すべきかということが最大の難関事であり、課題であったわけであります。  そこで、私どもはそのように反対的な空気が多い状況がどこにあるのかということを分析いたしました場合、すでに多くの方々から見解が表明されておりまするけれども、この法案が結果的に大企業に利する法案になるのではないか、消費者の利益を損なう法案になるのではないか、ガソリンスタンド経営者の経営基盤をますます弱化させるようになるのではないか。すなわち、大臣が提案理由の説明として表明せられておりまするその理由と全く相反する形の中において、心配が幾つかの点において指摘されておったわけであります。  そこで、私は第一に質問をしたいのでありますが、いま私どもが懸念いたしております三つの問題について、大臣はそのようでないという立場に立って法律案を提案されておるわけでございまするけれども、具体的にこれに対して答弁するそのお考えはどのようなものか、この点を原則的な立場でひとつ御表明をしていただきたいと思います。
  424. 河本敏夫

    河本国務大臣 今回この法律案を御審議をしていただいております過程におきまして何回か申し上げたわけでございますが、この法律目的の第一は、やはり過当競争の排除ということでございます。それから、第二が粗悪ガソリンの追放、そのことによって消費者の利益を保護していく、こういうことでございまして、私どもはこの法律によりましてこの二つの目的が達成される、かように考えておりますが、何分にも全国に五万三千からガソリンスタンドがあるわけでございますから、国民経済全般の立場から公正にこの法律を運用し、法律目的を達成するように今後とも配慮してまいりたいと思います。
  425. 佐野進

    ○佐野(進)委員 大臣の答弁でありますからそう多くは期待しておりませんでしたが、きわめて紋切り型でございます。いま私が質問しておりますことは、この法律案を通した結果、結果的に大臣が趣旨説明をいたしておるその考え方と逆の結果が出るようになったのでは大変だぞ、そうしてそういうことを多くの人たちが心配しておるのだぞ、したがってその心配する経過の中でこの法律案を早期に通すことはまずいのじゃないか、こういう見解が非常に根強くあるということを前提にして質問をしておるわけであります。  大臣が紋切り型の答弁しかでき得ないということはそれなりの事情があろうと思うのでありますけれども、私どもはこの法案について幾つかの問題点を提起いたしておりまするが、その問題点が解消されるならば、党内あるいはその他の関係の中において非常に多くの疑問点があり、本法律案について慎重審議をすべきであるという見解があるにもかかわらず、本委員会に所属する部会長初めわが商工委員は本法律案に賛成して、もちろん修正をいたしますが、修正し、賛成して通そう、こういう態度決定をいたしておることを前提にして質問をいたしておるわけでございますから、大臣はひとついま少しく熱意を持った答弁をしていただきたいと思います。  そこで、第一の問題でありまするが、いわゆる過当競争の弊害で結果的に中小企業者が大宗を占める揮発油販売業者の健全なる経営の確保が著しく困難になる、したがってこの法律案が必要だと、冒頭述べておられるわけであります。といたしますると、私どもは、この法律案が必要だということの前提は、中小企業対策、中小企業者の利益を守るために、多少問題があるとしても、その問題点については十分これをチェックし、是正する努力を行政当局に求める形の中において、いま冒頭申し上げましたような態度を決めておるわけでありますけれども大臣は本問題について、大部分が零細中小企業者であると言われておるその答弁の上に立って、中小企業問題としてこの問題に対して通産省法律制定後においても積極的に取り組むという決意において、この法律案が通るまでは中小企業対策だと言って、通ったとたんに大企業元売業者のための法律にならない、そういうような決意を持って本法律を運営していく、こういうお考えがあるかどうか、この際ひとつ明らかにしていただきたい。
  426. 河本敏夫

    河本国務大臣 もちろん中小企業者が非常に多いわけでありますから、そういう立場からも今後法律を運用していかなければなりませんし、それから同時にエネルギー政策という面からも運営していかなければならぬと思います。それからガソリンというものが国民経済に非常に大きく影響するという問題からも運営していかなければならぬと思うわけでありまして、中小企業対策だけでこの法律をお願いしておるということではございませんで、いろいろな目標の一環として中小企業というものも十分考えていく、こういうことでございます。
  427. 佐野進

    ○佐野(進)委員 エネルギー庁長官、いま私の質問している趣旨と、大臣の答弁にちょっとずれがあるわけですね。このずれは、運営をする立場に立つ者がその見方を変えると大きなずれになって、結果的に大企業元売企業、経営者の利益に奉仕することになる。もちろんこれは、三木内閣はそうだということで河本さんがそう言うなら別ですが、私はその点、河本さんはまだ十分理解されないでいまの答弁になったのではないかという気がするのですが、行政当局者として先ほど来質問している私の質問に対してどう判断されますか。私は、何も中小企業対策だと限定した上で言っているのではない。中小企業対策が非常に大きなウエートを持つものであるというこの法律の認識に立って、賛成するもやぶさかでないという態度を先ほど来表明しているわけです。その点をあなた、補足する意味で答弁してください。
  428. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 ガソリンスタンド業界は九三%まで中小零細企業で占められておるわけでございますから、ガソリン業界自体の経営安定のためにも、そういった中小零細企業である個々のガソリンスタンドの経営の安定化ということも意識しないと、本来の目的も達成し得ない関係にある、そういう認識に立ちまして本案施行に当たりたいと思うわけでございます。その場合に、特に元売あるいは特約店等との関係における系列化あるいは関係の固定化といった弊に陥らないように、自由濶達なスタンド業界が育成されるように、そういう観点に立ち、かつ大臣が申し上げましたような、エネルギー政策の一環を担うスタンド業界であるといったようなプライドを持って事業に精進するように指導もしてまいりたい、かように考えるわけでございます。
  429. 佐野進

    ○佐野(進)委員 第二番目に、大臣質問します。大臣、私の質問していることについてちょっとずれがあるようですから、真意をひとつ理解しながら答弁してください。  第二番目の問題は、いま大臣も、昨日の質疑を通じても表明されておりましたし、私どもが最大の課題としておりますのは、今国会において分野法を通そうということで鋭意努力をいたしておるわけであります。私どもがこの法律案を通す形の中で最も心配しておるのは、消費者の利益が損なわれないかということも当然でございますけれども、いわゆる系列化その他の形の中において、この法律が通ったがゆえに大企業の支配が強化される、いわゆる無印の業者の新規参入よりも、その人たちを締め出した形の中において系列化の波が大きく押し寄せてくるのではないか、こういうようなことを大変心配しながら議論が展開されておるわけです。これは各党とも同じだと思うのです。  そういうような形の中において、現在の通産行政の中における最大の課題である分野問題というものは、これまたこの業界においても当然考慮せずして通過することのでき得ない課題になってくるであろうと思うのであります。私はまたそうでなければならないと思うのであります。何も大企業であるからいけない、元売業者がいけないなどと私どもは言っているのじゃないのであります。ただ、そういう危険性がこの法律の中にもしあるとするならば、そういう芽を少しでもなくしていくことが必要ではないか、こういうぐあいに主張をしておるわけであります。  そこで、分野調整の問題と関連いたしまして、先ほども議論がございましたけれども、この業界の大部分、九三%を占める中小企業者に対するところの分野を守ってやるという行政的な努力について大臣はどう判断されるか、この際ひとつお聞かせをいただきたい。
  430. 河本敏夫

    河本国務大臣 分野調整の問題は、これは国会の御決議もございまして、いま政府は鋭意立法化の作業を進めておりまして、最終の段階に来ておることは何回も御報告を申し上げたとおりでございます。そういうことで、分野調整問題は中小企業政策の中でも最大の課題と私どもは心得ておるわけでございます。ただ、このスタンド業界は、先ほど長官も申し上げましたように、大部分が中小企業者によって占められておる。しかし、業界自身の特殊性によりまして、大企業を全部排除できるかどうか、これはなかなかの大きな問題だと思います。先ほども答弁いたしましたように、よほど実情を調べてみませんと軽々には言えないと思います。ただしかし、この法律ができましたために中小企業者が圧迫を受けるとか、あるいは大企業の系列化がこの法律によって著しく促進されるとか、そういうことがあってはいけませんので、そういうことのないようには十分配慮していかなければならぬと思います。
  431. 佐野進

    ○佐野(進)委員 この問題はさらに今後論議をされる問題でありますから、この分野が果たして分野調整の対象になるかどうかという点についてはなおひとつ検討を続けていきたいと思うわけでありまするが、私はその対象に当然なり得る業界であると判断をいたしております。  次に、税金問題であります。  御承知のとおり、この税金は、今春、いわゆる五十一年度予算編成に関してガソリン税の増徴に端を発してこの法律案の構想が出てきたととかく言われておるわけであります。したがいまして、この経営の安定は一兆円に及ぶ揮発油税の保全のためにもぜひ必要であります、こう言っておられるわけでありまするが、この法律ができたがゆえにさらに揮発油税をふやすという懸念もなきにしもあらずだと思うのであります。私は断じてそういうことがあってはならないと思う。ことし多くの負担を業者にかけ、さらにまた消費者にも影響を及ぼしておる段階の中で、この法律が制定された直後において再びそのような措置を行わせないような歯どめが絶対必要であると考えるわけでありまするが、通産当局を代表する大臣見解、大蔵省の見解、両者からあわせてひとつお答えをいただきたい。
  432. 河本敏夫

    河本国務大臣 この法律を成立させていただきましたならば、ガソリン税確保という面から言いますと、事務的にはやりやすくなると思います。  ただ、この法律ができたから、また引き続いて増税するのではないか、ガソリン税を上げるのではないか、こういう御質問でございますが、ことし大幅に上がったばかりでございますし、現在のような経済事情のもとにおきまして引き続いてガソリン税を上げるということは、私どもは反対であります。
  433. 沢口成利

    ○沢口説明員 私はでき上がった税を執行する立場にありますので、税制そのものについては答える立場にございません。御容赦願います。
  434. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そこで、第四番目の問題は、この法律が成立し、施行せられた場合、消費者の利益がどうやって守られるか。粗悪品の販売が行われなくなる、そういうような形の中でいろいろ議論がなされておるわけでございますが、私もそれらについては当然、この法律が厳格に執行される場合そのような措置が行われ、結果的に消費者の利益が守られるものである、こう判断するわけでございますが、消費者の立場に立って見る場合において、この法律そのものがむしろ消費者の利益を損なう形の中において価格高値に安定する、あるいはまた粗悪品がなくなるという名のもとに高い油が売られる、こういうような操作が行われるのではないか、こういう心配が根強く残っておるわけでございますが、このような心配に対してどのような決意を持って対処されるか、これまた通産大臣にお伺いをいたしたい。
  435. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 御指摘のように、本法案目的となっておりますガソリンの安定供給ということと品質確保ということ自体が、消費者の利益に結びつくもの、あるいは消費者の利益侵害を未然に防止するものという解釈に立っておるわけでございますが、現実にこの法の運用に当たりまして、たとえば第十九条におきまして価格是正勧告措置がございますが、これにつきましても、著しく高い場合には全国ベースにおいてさほどの要件を規定せずして発動し得るようにいたしておりますが、反面著しく低い場合の是正措置につきましては、指定区域内に限り、かつ大多数のスタンド事業経営が困難になるといったような特に必要のある場合に限って是正するように処置しておるのも、消費者に対する不測の利益侵害を配慮してのことでございます。  また、第六条の後段におきまして、指定地区内におきましてスタンド建設についての若干の調整措置を講じておりますが、これにつきましても必要最小限の調整にとどめるよう運用してまいりたいと考えております。
  436. 河本敏夫

    河本国務大臣 いま長官が申し述べたとおりであります。
  437. 佐野進

    ○佐野(進)委員 これで大臣に対する質問は大体終わりまして、長官並びに公取委員長に対して若干質問をしてみたいと思います。  先ほど来質問をいたしておりますように、この法律が施行せられた場合、元売会社等がどのような措置に出、その結果がどのようになってあらわれるか、こういうことが大変懸念されておるわけでございまして、その懸念に対して具体的な対策を立てておくことは最も必要なことであろうと思うわけであります。私は、本法が検討されるに至った背景には、元売会社を初めとする石油業界全体に構造的な問題点とそれをめぐる過当競争、こういうものが存在していることが挙げられると思うのであります。特に、揮発油は石油業界にとって唯一の採算油種と言われており、現状においても、販売シェアを確保するために元売各社による給油所の引き抜きが激しく行われておるようであります。したがって、本法による末端販売店の規制だけでなく、石油元売業の構造改善を促進し、さらに石油業法にも再検討を加えて、業界全体を秩序あるものにする必要があると思うのでありますが、この点に対する政府見解を伺っておきたいと思います。
  438. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 ただいま御指摘のとおり、わが国の精製元売企業が、過当競争を中心として構造的な問題を持っておるということも事実でございますし、こういった事実が揮発油販売業者間の過当競争を生み出す大きな一つ原因になっておるということもまた否定できないことかと思います。さような観点に立ちまして、本法案によると同時に、元売業界の体制問題と申しますか、再編成問題にも積極的に取り組むべきであると考えておりますし、前の国会におきまして石油開発公団法にも所要の改正をいただいたわけでございますので、こういった両面から体制的な問題としてその解決に当たりたいと思うわけでございます。  それから、御指摘の石油業法につきましては、四十九年の七月二十三日の石油部会の答申におきましても、石油の需給逼迫という情勢を踏まえて、石油業法がいかなる機能を果たすべきか検討すべきであるという御指示もいただいております。ただいま先生からもお話がございましたように、こういう事態の中において石油業法の果たす役割りにつきましても、引き続いて検討を進めてまいりたいと考えております。
  439. 佐野進

    ○佐野(進)委員 二番目の質問は、第四条関係についてであります。  私どもは、先日来、第四条第二項の省令案を審議の過程で明らかにするよう求めてまいったわけであります。このチェックで無印給油所が不当に排除され、さらに第八条第二項の変更登録に準用する場合には系列の転籍がチェックされ、結果として系列化が促進されるおそれがあると判断したがゆえであります。この点について、政府考え方を確認しておきたいと思います。
  440. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 第四条の運用に当たりましては、いわゆる継続的に揮発油を供給し得る経理的基礎云々という条項をどのように解釈し、どのように運用していくかというところにポイントがあるかと思います。私たちといたしましては、安定供給の前提としての安定仕入れが可能であるかどうかという必要最小限のチェックをいたしたい。その場合に、相手方が特定の元売あるいは特約店一社に限るわけでございませんで、数社であっても結構である、あるいは状況によってはその仕入れ先を変更することも結構である。要するにそれによって系列化が進まないように、むしろそれを排除していくような方向で運用してまいりたいと思っております。  第二点の、八条第二項の変更登録等の準用に関するケースでございますが、これにつきましても、従来からの仕入れ先を変更する場合には変更登録を必要といたしておりませんので、問題は、新増設する場合に変更登録が必要でございまして、その際にこの準用規定によりまして一定の添付書類を提出していただくということになるわけでございます。この時点におきましても、第四条で申し上げたと同じような形で、少なくとも系列化が進まないような方向で仕入れ先の証明などもお願いすることにしようと思っておるわけでございます。
  441. 佐野進

    ○佐野(進)委員 次に、法第六条関係について質問します。  この際、時間を節約する意味もありますので、六条関係を四点に分けて質問をいたしますから、一括ひとつ答弁をしていただきたいと思います。  第六条第一項第五号の「技術的能力」について、長官の答弁では、一年程度の経験があればよいということでありましたが、現在行われている蒸留式またはガスクロマト式にしても、特に資格はなくとも簡単に操作ができるもので、危険を伴うものでないと聞いております。特に条文で明記する必要がないと思いますが、この点どうか、これが第一点です。  第二点は、第六号の「経理的基礎」については、経済的な基礎と安定的な仕入れ先ということでありますが、現実には元売会社からの設備貸与などによって開業は可能であります。また、通常、安定的な仕入れ取引関係を持たずに開業することはむずかしい、開業するはずもないわけでございますから、これを登録拒否の要件として明記する必要はないと考えるが、これについての見解を明らかにしていただきたい。  第三点は、第六条第二項の指定地区の指定は、現況において直ちに指定する必要のある地域があるかどうかということであります。その経営状況は他と比較してどうなのか、指定の要件は営業利益率で判断することになるのか、判断の基準、程度をひとつこの際明確に示しておいていただきたいと思います。  第四番目は、事業開始日を繰り下げた後なお事態が好転しなくても、設備を縮小して登録を認めることになるのかどうか、指示以後の措置は一体どういうぐあいになっていくのか、この四点にわたり、明確に答えておいていただきたい。
  442. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 第六条第一項第五号の「技術的能力」でございますが、これは品質管理者選任できるかどうか、それから品質分析設備を利用できるかどうかといった点にチェックのポイントがございますが、資格につきましては、ただいま先生御指摘のように、一年以上の在籍経験あるいは高等学校卒業程度の化学的知識ということを前提といたしまして、またその程度の者で十分分析設備を利用できるものと考えておるわけでございます。  それから、第二点目の「経理的基礎」でございますが、御指摘のように、大半の事業者につきましてはあらかじめ安定的な仕入れ先を確保しておるのが通常かと思うわけでございますが、ごく少数の例外的な販売業者においてこのような要件を欠いておる場合には、その限りにおいて消費者に対する安定供給が阻害されるということもございますので、必要最小限のチェックとして第六号の登録要件を準備することにいたしたわけでございます。  それから、第三番目の直ちに指定地区を指定する必要がある地域はどうかという御指摘でございますが、これにつきましては、本法施行後石油審議会で十分意見を徴しまして、その上で決めたいと思っております。したがいまして、現在時点で予定的なリストをすでに持っておるということではございません。  それから、判断の基準といたしましては、平均的な販売量をベースにいたしまして、それよりも著しく販売量が下回っているかどうか、あるいはそれによってその地域内の事業者の多くが事業経営が困難になっているかどうかといったような線で判断いたすわけでございまして、必ずしも売上高、利益率から判断するものではございません。  それから、第四点は開始日を繰り下げた場合でございますが、第六条第二項の指示は、一度その指示を出した限りにおきまして、相手方の不利になるような形で変更することは適当でないと考えております。したがいまして、指示の期間が過ぎまして、その時点で事態の改善が見られなくとも  スタンドの設置を認めざるを得ないと申しますか、認めることになるわけでございまして、そういった意味合いにおきまして、指示をするに当たりましては十分状況を把握いたしまして、慎重に検討した上で指示は出したいと考えております。
  443. 佐野進

    ○佐野(進)委員 第四番目の質問は、品質の管理についてであります。  まず第一に、品質管理者による品質管理の実効はどのようにして確保されるのか、具体的にどういう措置が予定せられ、その効果をどのように発表し、それに基づくところのどのような対策を立てられるのか、以上三点についてお答えをいただきたい。
  444. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 粗悪な揮発油の排除と申しますか、品質確保のための本法上の措置といたしましては、十三条におきまして粗悪品の販売を禁止することを規定いたしました。それに基づきまして、事業者に品質管理者選任と一定の分析設備による揮発油の分析、その結果を帳簿に記載すること等を義務づけておるわけでございまして、こういった事項に対しまして違反行為がある場合には、事業の全部または一部の停止命令をかけることにいたしております。その停止命令に従わない場合には登録の取り消しもあり得るといったような形で、法的に担保いたしておるわけでございます。
  445. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そういう品質の管理をする場合、実際上の問題として、この品質がいいのか悪いのかということは一般消費者にはわからないわけですね。わずかな混入の場合、第三者である消費者にはその分別がほとんど困難であるわけであります、私どもが現実に購入してもそうでありますが。したがって、こういうような場合に一体どういう形の中においてその品質のよしあしを判別するのかということになりますれば、結果的に第三者機関を設けて厳正な品質検査体制を確立すべきではないか、こういう意見もあるわけであります。私どももそういう意見については大いに考えるべきではないか、こう判断しておるわけでありますが、当局はこの品質の判別についてどのように措置をされようとしておるのか、この際明らかにしておいていただきたいと思います。
  446. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 本法案に規定いたしております品質の自己検査と並行いたしまして、第三者機関による厳正な品質管理体制というものは非常に必要なことだと思います。現実の問題といたしまして、社団法人の全国石油協会なるものが二年に一回それぞれスタンドをチェックできるようにということで、現在一年に約二万カ所のスタンドにつきまして試買検査をやっておるわけでございます。いまの能力からいたしますと、これがもうぎりぎり精いっぱいのところではなかろうかと思うわけでございますが、第三者チェックの必要性からいたしまして、この全国石油協会の機能を拡充することによりまして、定期的な検査のほかに、随時必要に応じてチェックする機能も持たせていくように指導したいと思っております。
  447. 佐野進

    ○佐野(進)委員 第五番目に第十九条関係について質問をしてみたいと思います。この関係は大変いろいろ議論のあるところでございまして、本委員会における審議の経過の中で必ず取り上げられてきた問題であります。と申し上げますことは、この関係におけるいわゆる勧告、公表ないしそれに基づくところの措置というものが、本法律案の中において非常に大きな意味を持っておるからだと思うわけであります。  以下、私は何点かにわたって質問をいたします。  まず第一に、勧告発動の要件に、標準的な販売価格と著しく異なる価格と、当該地区内の相当部分事業継続が困難となる場合とありますが、「著しく異なる価格」とはどういう程度を指すのであるか。サービスの提供、経営の合理化などで若干の価格の差のあるのは、通常の場合当然と思うが、この場合の許容範囲はどの程度考えておられるのか、この点をこの際ひとつ明確にしていただきたい。
  448. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 著しく異なる幅なるものをあらかじめ決めておくということは、非常にむずかしいことだと思います。ガソリンのそのときどきの価格水準、あるいは需給状況等から総合的に判断することになろうかと思うわけでございますが、ただ実態的に申し上げますと、現在の店頭売りの価格からいたしますと、大体一割から二割程度乖離しておるときにかなりの影響を与えるというふうに承知いたしておりますので、そういった線も将来ケースについて判断する場合の一つのめどになるのではなかろうかと思っております。  それから、合理化努力等の結果コストを低減し、それを消費者に還元するということは、むしろきわめて好ましいことでございますので、そういった場合には十九条によるところの是正勧告ということは考えておりません。
  449. 佐野進

    ○佐野(進)委員 十九条関係における第二番目の質問ですが、それでは、著しく異なる価格があり、しかも同一地域の他の給油所の事業継続が困難になるほどの影響を与えるようなケースは、当然独禁法の不当廉売、差別対価など不公正取引の発動要件にも該当すると思うのでありますが、公正取引委員会はこれについてどのような見解をお持ちか、この際明らかにしていただきたいと思います。
  450. 澤田悌

    澤田政府委員 同一地域の他のスタンド事業継続が困難になるほどの影響を与えるような安売りが行われている場合には、その価格は恐らくコストを割るか、あるいはすれすれというようなケースが多いのじゃないかと思います。コストを割り込んでまで廉売するというようなものは、当然不当廉売という不公正取引の範疇に属しますので、独禁法違反になると考え、これを取り締まるのは当然でございます。まあすれすれのようなところをどうするかという問題は、ケース・バイ・ケースで判断するということになろうかと思います。  それから、元売の差別価格によって御指摘のような事態が起こった場合、これも同様に独禁法に違反するものと考えるわけでございます。
  451. 佐野進

    ○佐野(進)委員 それでは、このような場合当然独禁法の領域を侵すことになると判断されますが、通産当局の考え方はどうであるか。
  452. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 本法案の第十九条と独禁法との関係を三つに分類して申し上げますと、コスト割れに至らないまでも著しく価格が低下いたしまして、相当部分事業者の事業継続が困難になるような場合、この場合は独禁法で対処できませんので、本法十九条で是正勧告をいたしたいと思っております。  それから、ただいま公取委員長からお答えになりました不当廉売あるいは差別価格といった問題につきましては、当然に独禁法に言う不公正取引に該当するわけでございますから、独禁法の立場での是正あるいは規制措置ということもあろうかと思いますが、反面、本法案におきまして独禁法目的あるいは手段を異にいたしまして御審議をいただいておるわけでございますので、ケースによりましてはやはり本法の十九条によって対応することもあり得る。いずれにいたしましても、二つの法律の間には抵触関係がないというふうにわれわれは考えておるわけでございますし、法文上は協議の規定を置いておりませんが、事実上よく緊密な連絡をとってまいりたいと思っております。
  453. 佐野進

    ○佐野(進)委員 次は、二つの問題について同時に質問をいたします。  したがって、この勧告を実際に発動することはほとんど困難であり、むしろ予防的な行政指導の後ろ盾となるもので、この場合はガソリン価格高値安定をもたらす効果しかないと考えられるわけでありますが、その点についてはどうお考えになられるか、その見解を明らかにしていただきたい。  次は、この条文は行政の価格介入であり、その運用は慎重の上にも慎重でなければならない。したがって、単に行政当局の判断だけでなく、石油審議会など第三者機関の意見を聞いて慎重に行うような体制にすべきだと思いますが、その見解をお聞きしておきたいと思います。
  454. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 十九条の勧告は、著しく高い場合の是正措置と、著しく低い場合と、両方あるわけでございます。特に、著しく低い場合につきましては、指定地区内における問題であり、かつ相当部分事業者の事業継続が困難で、その結果としてガソリンの安定供給が懸念されるといったような事態において発動するわけでございますので、高値安定と申しますよりは、むしろ標準的な販売価格に落ちつけるための措置として御理解いただきたいと思います。  それから、二つ目の御質問でございますが、原案の上では個別、具体的な問題であるということで石油審議会の意見を聞くことになっておらないわけでございますが、やはり価格への介入という事柄の重要性からいたしますと、むしろ石油審議会等の第三者機関の意見を徴するというのも適当ではなかろうか、かように考えるわけでございます。
  455. 佐野進

    ○佐野(進)委員 以上、私は質問を続けてきたわけでございますが、本法律案は、冒頭申し上げましたとおり、幾多の問題点を含んでおるわけであります。質問はまだまだあるわけでございますが、一応この質問を終わるわけでございますが、さらにこの際、大臣にその所見をお伺いしておきたいと思います。  ここ数日にわたって、この法律案については慎重な審議が行われました。各委員見解もほぼ同じような見解であったと思います。したがいまして、本法律の運用に当たりましてはいろいろな角度から慎重に配慮をしなければならぬ問題、特に、先ほど申し上げましたとおり、いわゆるガソリンスタンド業界の置かれている立場、中小企業者としての立場に立って、きわめて厳しい情勢下に置かれながら高い税金を払わせられ、あるいはその他過酷ないろいろな条件の中でその業務を運営しておるわけでございますから、これらに対しては本法が施行せられた際、そのことによってより以上犠牲が転嫁されることのないよう、特に大手企業に対するところの、その行き過ぎた行動に対しては厳重にこれに対応していく、そういう姿勢が必要ではないかと考えるわけでありますが、大臣のそれらに対する見解について、いま一度確認をする意味においてお答えをいただきたいと思います。
  456. 河本敏夫

    河本国務大臣 御趣旨を体しまして、今後の運営につきましては万全を期していきたいと思います。
  457. 佐野進

    ○佐野(進)委員 以上で質問を終わります。
  458. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 以上で本案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  459. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 本法律案に対し、綿貫民輔君外三名より、自由民主党、日本社会党、民社党及び新自由クラブ四派共同提案に係る修正案、日本共産党・革新共同神崎敏雄君外二名提出の修正案及び公明党近江巳記夫君外一名提出の修正案が、それぞれ提出されております。  この際、各修正案について、提出者より順次趣旨の説明を求めます。まず、上坂昇君。     ―――――――――――――  揮発油販売業法案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  460. 上坂昇

    ○上坂委員 ただいま提案をいたしました修正案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  修正の第一点は、登録制の実施により、元売会社の揮発油販売業者に対する系列化が促進され、あるいは新規参入が阻害されるようなことがあってはなりませんので、登録拒否の要件に関する第六条第一項のうち、第五号及び第六号を併合して、「揮発油販売業を適確に遂行するに足りる能力を有しない者」と改めることであります。  修正の第二点は、通商産業大臣揮発油販売業者等に対する事態を改善するための勧告によって、揮発油販売価格高値に安定して、消費者の利益を損なう結果を生ずることがあってはなりませんので、第十九条に、勧告に当たっては、消費者代表の参加している現行の石油審議会の意見を聞いて行うものとする旨の規定を加えることであります。  以上であります。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  461. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 次に、神崎敏雄君。     ―――――――――――――  揮発油販売業法案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  462. 神崎敏雄

    ○神崎委員 ただいま提案されました日本共産党・革新共同の修正案につきまして、提案者を代表して、私から提案の趣旨を御説明申し上げます。  修正案はお手元に配付されているとおりでございますが、修正の第一点は、法律目的で、石油元売会社等の事業活動を規制し、消費者の利益販売業者の経営安定を図ることを明確にしています。  第二は、石油元売会社などによる不当な価格つり上げに対して、改善措置を命ずることができることとしています。  第三は、給油所の過密地区に属する大企業の給油所の新増設を規制することとしています。  第四に、石油元売会社等は揮発油販売業者の揮発油の入手先の自由な選択を妨げてはならないこととしています。  第五は、揮発油販売業を継続的に行うに足りる経理的基礎を有しない者は登録を拒否するとあるのを削除しています。  第六は、揮発油品質管理のための分析設備の購入等に際して、国が助成措置を講じることとし、また品質管理者については、十以内の給油所を一括して管理できることとしています。  第七は、石油需給調整審議会を民主的に強化することとしています。  以上が、修正案の趣旨であります。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  463. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 次に、近江巳記夫君。     ―――――――――――――  揮発油販売業法案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  464. 近江巳記夫

    ○近江委員 ただいま議題となりました揮発油販売業法案に対する修正案について、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  修正案はお手元に配付してあるとおりであります。  最近の揮発油販売業者を取り巻く環境は、石油危機以来の揮発油価格の著しい高騰及び不況影響による節約等によって、大変厳しい状態に置かれているのであります。  しかしながら、揮発油の購入者である消費者もまた物価高や不況によって生活は大きく圧迫され続け、これ以上の物価高には耐えられない限界に追い詰められております。すなわち、貯金金利を大幅に上回る二けた台に近い物価高、さらには家計収入はここ数カ月実質所得がマイナスになっております。  したがって、国民生活を物価高から守り、一方、揮発油販売業者の経営の安定を図るためには、系列化をてこにして、優越的な地位にある元売会社の規制をまず行うことが必要であるにもかかわらず、政府提出の法案には、この観点からの取り組みがほとんど見られないのであります。  本修正案は、これらの見地に立って、消費者の利益侵害することなく、また、揮発油元売会社の市場支配的な事業活動を規制し、揮発油販売業者の経営の安定を図ろうとするものであります。  以下、この修正案の主な内容について、その概要を御説明申し上げます。  まず、この法律目的の中で、特定揮発油卸売業者の事業活動を規制する旨を明確にしました。  第二に、第六条一項六号の「揮発油販売業を継続的に行うに足りる経理的基礎を有しない者」を削除いたしました。  第三に、第六条二項について、大企業者が揮発油販売業を営もうとする場合において、大企業者の指定地域における進出が既存の揮発油販売業者の経営を著しく圧迫することとなる場合は、主務大臣が、揮発油販売調整審議会の意見を聞いて、開始の日の繰り下げ等の指示をできることとしました。  第四に、第十九条について、主務大臣勧告することができる場合としては、特定揮発油卸売業者に起因して、揮発油販売業者が標準的な販売価格を著しく超える価格販売している場合において、主務大臣が、必要があると認めたときは、揮発油販売調整審議会の意見を聞き、これらの事態を改善するために勧告することができることとし、勧告は、特定揮発油卸売業者に対してのみ行うこととしました。  第五に、揮発油販売業者の仕入れ先の選択に関し、特定揮発油卸売業者の妨害を排除するようにいたしました。  最後に、本法律の規定により、その権限に属させられた事項を処理するため、資源エネルギー庁に揮発油販売調整審議会を設置することにいたしました。  以上が、揮発油販売業法案に対する修正案の主な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  465. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 以上で各修正案の趣旨の説明は終わりました。     ―――――――――――――
  466. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 これより、原案及び各修正案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。佐野進君。
  467. 佐野進

    ○佐野(進)委員 私は、日本社会党を代表して、自由民主党、日本社会党、民社党及び新自由クラブの共同提出の修正案及び修正部分を除く原案に賛成し、日本共産党・革新共同提出の修正案及び公明党提出の修正案に反対の意を表明するものであります。  言うまでもなく、揮発油販売業者はその大部分が中小零細業者であり、私どもは、揮発油販売業者の健全な発達を図ることは、中小企業対策の観点からも、また石油製品の円滑な流通を図り消費者の利益を守り抜く観点からも、きわめて重要な課題であると考えるものであります。  本案は、揮発油販売業者の直面している実情に対処して、揮発油販売業者の登録制を実施するものでありますが、現在揮発油販売業者の大半が石油元売業者の系列下にあり、揮発油販売業者に対する営業政策等によって経営が左右される実情を直視するならば、基本的には、石油政策の見直しを行い、国民経済的観点からする消費者の利益確保とあわせて、石油販売業者の経営安定の施策が必要であります。  私どもは、原油の九八%が海外依存であり、国民生活に必要なガソリン、灯油等を価格と量の両面において安定的に供給するため、広く石油業法の再検討を早急に図り、石油政策の充実を図るべきであると考えます。  具体的な石油元売業者の揮発油販売業者に対する不公正取引については一公正取引委員会を強化し、独占禁止法による取り締まりを一層強化するとともに、通産省としては、石油元売業者の揮発油販売業者に対する営業姿勢について厳しく指導すべきであります。  以上の観点から、本案についても、登録制の実施により、石油元売業者の揮発油販売業者に対する系列支配が強化されたり、新規参入が阻止されたりすることがないよう、登録申請の際の事業計画書の省令事項の内容を確認するとともに、登録拒否の要件に修正を加えることとし、また第十九条の勧告によって、高値安定となって消費者の利益が損なわれる結果にならないよう、勧告に当たっては石油審議会の意見を聞くことにしたのであります。  日本共産党・革新共同提出の修正案及び公明党提出の修正案は、その趣旨においては理解できる点もないではありませんが、大企業の進出に対してだけ建設規制を行い、中小揮発油業者の給油所開設は放置するという点は、揮発油販売業者の実情を全く無視するものと言わなければなりません。大企業の進出規制は、本来中小企業分野確保法案の成立によって行うべきであります。また、登録拒否の要件のうち第六号を削除するという点は、石油元売業者の系列支配の強化、新規参入の阻止を図るものでないことを確認することによって足りると考えます。  さらに、第十九条の勧告に従わなかった場合に命令するという日本共産党・革新共同の修正案は、価格に対する直接の行政介入を認めるものであり、独占禁止法との関係においても問題があると思います。同じく、公明党提出の第十九条の修正は、独占禁止法との関係において賛成しがたい内容のものであります。  以上申し上げましたとおり、日本共産党・革新共同提出の修正案及び公明党提出の修正案には賛成できません。  本案も必ずしも十分満足すべきものではありませんが、社会党は、揮発油販売業者の実情を考慮し、消費者への安定供給を図る立場から、必要な修正を加え、賛成することにいたした次第であります。  最後に、私どもは、本案の登録制により、揮発油販売業者が石油元売業者と対等の立場に立ち、自主的な事業運営ができるよう、政府として本法の運用を図るよう特に要望して、私の討論を終わります。(拍手)
  468. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 野間友一君。
  469. 野間友一

    ○野間委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、揮発油販売業法案政府原案並びに自民党、社会党、民社党及び新自由クラブ四派共同提案の修正案と公明党提案の修正案に反対し、日本共産党・革新共同の修正案に賛成の討論を行います。  今回の政府原案は、石油元売会社や大手特約店の供給契約がなければ揮発油販売業についての登録を拒否するなど元売の系列支配を一層強化するとともに、揮発油の値崩れ防止条項を含むなど価格つり上げを保障するものとなっています。  同時に、四派共同提案の修正案についても、一部表現が変わってはいるものの、政府原案と本質においては変わりはありません。  そもそも、今日、中小揮発油販売業者の経営を脅かしているものが、石油元売会社や大商社などによる給油所の新増設と、だぶついた揮発油の乱売にほかならないことは周知の事実であります。しかも、石油製品の価格について、国民生活用の灯油や揮発油を高くつり上げながら、産業用の重油やナフサは低く抑えてきた政府の大企業本位の価格政策が、中小業者を犠牲にした石油元売会社などの過当競争を助長してきたことも明らかであります。  しかるに、今回の政府原案並びに四派共同修正案は、主として揮発油販売業者を規制し、石油元売会社などに対しては何ら実効力ある規制を加えていません。  また、大手石油会社は、政府標準価格設定により、五十年度下期は黒字に転じたにもかかわらず、この六月に再び値上げを強行し、円高による多額の為替差益をも含め、五十一年度下期の利益水準は石油危機前の二倍余りにも達する見通しであります。このような不当な価格つり上げをこの政府原案は一層やりやすくするものであります。  中小販売業者の経営を守り、消費者の利益確保する方向揮発油の流通秩序を適正化するためには、日本共産党・革新共同が提案しているように、元売や大手商社などの系列支配の弊害を排し、その横暴な事業活動を民主的に規制できるよう、政府原案を修正すべきであります。  なお、公明党提案の修正案については、価格つり上げに対して、揮発油販売業者を規制対象から除き、また元売、大手特約店などに対する是正措置に関し命令権がないなどの問題を含んでいることから、反対であります。  以上のような理由で、今回の揮発油販売業法の政府原案並びに四派共同提案は揮発油販売業者の経営安定を保障できないばかりでなく、国民生活をも圧迫するものであり、ぜひとも日本共産党・革新共同が提案しているように修正すべきであることを強調して、私の討論を終わります。(拍手)
  470. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 近江巳記夫君。
  471. 近江巳記夫

    ○近江委員 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました揮発油販売業法案につきまして、自由民主党、社会党、民社党、新自由クラブ共同提出の修正案及び日本共産党・革新共同提出の修正案に対して反対の討論を行うものであります。  反対理由の第一は、中小零細企業者が大半を占める揮発油販売業者の経営の安定を図ることは当然のことでありますが、むしろ、揮発油販売業者の経営の安定を害する大きな要因は、元売業者に求められるべきであります。  それは、給油所網を拡大しさえすれば揮発油販売量が増加し利潤が上がるという給油所拡大至上政策をとっている元売業者の姿勢にあります。そして、元売業者は、系列化、融資等を活用し、卸売価格、マージン等の取引条件を圧迫し続け、その結果、販売業者は必然的に競争激化に追い込まれているのであります。したがって、大企業である元売業者を販売業者との関係で規制せずして、真に販売業者の経営を安定することはできないのであります。この点がこの法律案には見られないのであります。  反対理由の第二は、揮発油小売価格高値安定に通産省が手をかそうとしていることであります。すなわち、揮発油販売業者が標準的な販売価格と著しく異なる価格販売した場合、通産大臣価格に対し勧告できるとしています。この異常な価格とは、高い場合と低い場合とを想定しておりますが、著しく高い価格販売している場合は、勧告をしなくとも消費者は購入しないと考えられます。地域的に多数の業者が著しく高い価格揮発油販売を行っている場合は、やみカルテル的な疑いが濃厚であります。したがって、この著しく異なる価格とは安売りをさせない、または安売り防止の規制にほかなりません。この場合の安売りも、不公正な取引方法によって公正取引委員会が判断できるのであり、揮発油販売業者が経営の刷新、合理化努力によってコストを引き下げ、それを消費者に還元しようとする場合でも勧告対象になるとも考えられるのでは、実質的なカルテル的環境をつくることをねらいとしていると言わざるを得ないのであります。  以上が、反対する主な理由であります。  なお、わが党は、政府案の採決に先立って修正案を提案いたしたのでありますが、ただいま申し上げましたような点について修正し、揮発油販売業者を守るとともに、消費者の利益確保を図ることをねらいとしたものであります。  また、自由民主党、日本社会党、民社党及び新自由クラブの共同修正案につきましては、わが党とかけ離れておりますので、反対せざるを得ません。  日本共産党・革新共同の修正案については、いささか意見を異としますので、反対せざるを得ません。  以上をもって討論を終わります。(拍手)
  472. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 以上で討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  473. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 これより採決に入ります。  この際、念のため、採決の順序を申し上げます。  近江巳記夫君外一名提出の修正案は、神崎敏雄君外二名提出の修正案と共通の部分がございますので、まず、両修正案の共通部分について採決し、次に、共通部分を除く近江巳記夫君外一名提出の修正案及び神崎敏雄君外二名提出の修正案について順次採決いたします。次に、綿貫民輔君外三名提出の修正案について採決し、最後に、原案について採決することにいたします。  近江巳記夫君外一名提出の修正案と、神崎敏雄君外二名提出の修正案の共通部分は、第六条第一項第六号を削る点であります。  それでは、順次採決いたします。  まず、近江巳記夫君外一名提出の修正案と、神崎敏雄君外二名提出の修正案の共通部分について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  474. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 起立少数。よって、この共通部分は否決されました。  次に、共通部分を除く近江巳記夫君外一名提出の修正案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  475. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 起立少数。よって、近江巳記夫君外一名提出の修正案は否決されました。  次に、共通部分を除く神崎敏雄君外二名提出の修正案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  476. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 起立少数。よって、神崎敏雄君外二名提出の修正案は否決されました。  次に、綿貫民輔君外三名提出の修正案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  477. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 起立多数。よって、綿貫民輔君外三名提出の修正案は可決いたしました。  次に、ただいま議決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。  修正部分を除く原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  478. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 起立多数。よって、本案は、綿貫民輔君外三名提出の修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  479. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 次に、本法律案に対し、松永光君外三名より、自由民主党、日本社会党、民社党及び新自由クラブ四派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。佐野進君。
  480. 佐野進

    ○佐野(進)委員 ただいま提案いたしました附帯決議案について、提案者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     揮発油販売業法案に対する附帯決議(案)   政府は、最近の石油情勢にかんがみ、石油業法の果す機能について検討する等石油政策の改善に努めるとともに、本法の施行にあたり、特に次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 揮発油販売業者の登録制の実施により、石油元売業者の揮発油販売業者に対する系列化が促進されないよう配慮するとともに、新規参入業者、特にノーマーク業者が不当に排除されることのないよう十分留意すること。  二 通商産業大臣揮発油販売業者等に対する勧告は、独占禁止法の運用との適正な調整を図りつつ実施するとともに、当該勧告により揮発油販売価格高値に安定する結果を生じないよう配慮すること。  三 揮発油品質確保するため、第三者機関による品質検査体制の確立を図り、不良揮発油の取締りを一層強化するとともに、品質管理者制度の運用にあたつては、揮発油販売業者の経営の実態を十分考慮すること。 以上であります。  附帯決議案の内容の各項目の詳細につきましては、当委員会での審査の過程及び案文によりまして十分御理解いただけると存じますので、説明を省略させていただきます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  481. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  482. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、附帯決議について、政府から発言を求められておりますので、これを許します。河本通産大臣
  483. 河本敏夫

    河本国務大臣 ただいま議決をいただきました法律案に関する附帯決議につきましては、その趣旨を尊重いたしまして、万全を期する所存でございます。     ―――――――――――――
  484. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 お諮りいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  485. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  486. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時四十三分散会      ――――◇―――――