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1976-10-15 第78回国会 衆議院 商工委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月十五日(金曜日)     午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 稻村佐近四郎君    理事 近藤 鉄雄君 理事 松永  光君    理事 武藤 嘉文君 理事 綿貫 民輔君    理事 上坂  昇君 理事 佐野  進君    理事 神崎 敏雄君       小川 平二君    越智 通雄君       奧田 敬和君    粕谷  茂君       木部 佳昭君    志賀  節君       塩川正十郎君    塩谷 一夫君       島村 一郎君    田中 榮一君       戸井田三郎君    葉梨 信行君       萩原 幸雄君    深谷 隆司君       藤井 勝志君    山崎  拓君       板川 正吾君    岡田 哲児君       加藤 清政君    加藤 清二君       勝澤 芳雄君    竹村 幸雄君       中村 重光君    野間 友一君       米原  昶君    近江巳記夫君       松尾 信人君    玉置 一徳君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     澤田  悌君         公正取引委員会         事務局経済部長 吉野 秀雄君         通商産業政務次         官       山下 徳夫君         資源エネルギー         庁長官     橋本 利一君         資源エネルギー         庁石油部長   古田 徳昌君  委員外出席者         大蔵省主税局税         制第二課長   水野  勝君         国税庁間税部消         費税課長    沢口 成利君         資源エネルギー         庁石油部流通課         長       宇田川治宣君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ――――――――――――― 委員の異動 十月十五日  辞任         補欠選任   小川 平二君     戸井田三郎君   越智 通雄君     山崎  拓君   栗原 祐幸君     塩谷 一夫君   竹下  登君     藤井 勝志君   中村 寅太君     葉梨 信行君   八田 貞義君     志賀  節君   林  義郎君     奧田 敬和君 同日  辞任         補欠選任   奧田 敬和君     林  義郎君   志賀  節君     八田 貞義君   塩谷 一夫君     栗原 祐幸君   戸井田三郎君     小川 平二君   葉梨 信行君     中村 寅太君   藤井 勝志君     竹下  登君   山崎  拓君     越智 通雄君     ――――――――――――― 十月十三日  中小企業に対する助成措置に関する陳情書  (第九二号)  中小企業信用保険法に基づく特別小口保険制度  の貸付範囲拡大に関する陳情書  (第九三号)  小規模事業対策の拡充に関する陳情書  (第九四号)  中小企業者事業分野確保に関する陳情書外十  五件  (第九五号)  大規模小売店舗進出に対する調整措置に関す  る陳情書外三件  (第九六号)  尼崎市に大型店舗進出計画反対に関する陳情書  (第九  七号)  私立大学の電気、ガス等使用料金優遇措置に  関する陳情書  (第  九八号)  家庭用燈油及びプロパンガス価格抑制等に関  する陳情書外七件  (第九九号)  自動販売機安全確保に関する陳情書外一件  (第一〇  〇号)  ダウ・ケミカル社北海道進出阻止に関する陳  情書外二十二件  (第一〇一号)  物流近代化に関する陳情書  (第一〇二号)  休廃止鉱山鉱害防止対策に関する陳情書  (第一〇三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  揮発油販売業法案内閣提出、第七十七回国会  閣法第六五号)      ――――◇―――――
  2. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 これより会議を開きます。  第七十七回国会内閣提出揮発油販売業法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。勝澤芳雄君。
  3. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 まず、委員長に申し上げておきます。  きょうは、商工委員会一般質問の日であるわけでありますけれども理事会の決定で法案審議ということになったようでありますので、法案について審議をいたしますから、せめて法案審議中は定足数を守っていただきたいと思います。定足数がなければ質問を保留して中止いたしますから、その点、委員長、御承知おきを願いたいと存じます。  私は、この法案に対しまして実は多くの疑問を持っているわけであります。この法案を提案された理由について、全国石油商業組合連合会の要望によりますと、政府自民党は「ガソリン販売業者経営の破綻は、国家的要請である石油安定供給基盤を脅かし一兆二千億円に及ぶガソリン税の保全を困難にする」こういう理由で、この石油販売業体制整備が急であるとしてガソリン税増税を決定したためにこの法律をつくったものだ、こういうように言われておるわけでありますが、その点、大臣、この法律を提案された趣旨について御説明いただきたいと思うのです。
  4. 河本敏夫

    河本国務大臣 今回のいわゆるガソリンスタンド業者と呼ばれております揮発油販売業にかかわる法律を御審議いただいております第一の理由は、過当競争の排除ということでございます。業界は御案内のような事情になっておりまして、非常な過当競争に陥っております。幾つかの弊害が出ておりますので、これを防止するためということが第一でございます。それからさらに、そういうことになりますとどうしても品質に問題が生じまして、粗悪であるガソリンが販売され、いろんな弊害が起ってくる、こういうことを防止するという趣旨で今度の法律案を提案いたしまして、御審議をお願いしておる次第でございます。
  5. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この法案の促進をするために、九月二十一日に自民党会館におきまして、全石商油政連の合同の揮発油販売業法成立決起大会が開かれる予定であった。これは大臣御存じですか。
  6. 河本敏夫

    河本国務大臣 ただいま長官に聞きますと、そういう計画があったが、予定が変更されてそこでは開かれなかった、こういうふうに承知しております。
  7. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 予定が変更された理由は、稻村商工委員長が、どうもこの法律国会審議をする上からいって適当でないということで、この大会中止になった、こう報道されておりますが、大臣御存じでしょうか。
  8. 河本敏夫

    河本国務大臣 実は私はその間のいきさつについては知りません。
  9. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この法案成立のために自民党関係議員にいろいろなうわさが出されている、こう言われておりますけれども、私はこの業法そのものについていろいろの点から十分な審議をしてこういう疑惑を解かなければ、政治の名誉のためにも大変残念なことだと思っているわけでございまして、油議員が油虫になっていると、まことにこのようなうわさすら流れているわけでありますけれども大臣御存じですか。
  10. 河本敏夫

    河本国務大臣 いや、実は私はそういうことは聞いておりません。
  11. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この法案に対しまして、大臣、こんなにたくさん私のところに電報が来ております。この法案成立を促進してもらいたいということであります。しかし、こんなにたくさん来ておりますけれども、打ったところは三カ所でして、この電報を見てみますと、これは同じ日に同じ局で同じ時間に出している。これもそうなんです。これもそうなんです。そして、一人一人の個々発信をした業者に聞いてみますと、私は出した覚えがない、こういうことなんです。そして、こういう電報を出させるように指導したのはどうも業界じゃないだろうかと私は思うのですけれども、こういうことまでして政治に圧力をかけるといいますか、あるいはいかにもこの法律成立を希望しているといいますか、こういう点について、大臣、御感想をお聞かせ願いたいと思うのです。
  12. 河本敏夫

    河本国務大臣 よくこういうことをしてもらいたいという希望を述べた電報等を、あるいはまたはがき等を多数私どもも受け取ることがございますが、いまお述べになりました電報のことについては、実は私は承知しておりません。
  13. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 これは通産省が命令した、通産省の命令によってどうもこの電報を出したのじゃないかということがうわさされておりますが、大臣、いかがですか。
  14. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 御指摘のようなことは全く承知いたしておりません。
  15. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この大会経過について、そして中止されたいきさつについて、この新聞によりますと、資源エネルギー庁の古田石油部長もよく御存じになっておるようでありますが、この経過について、古田さん、いらっしゃったら御説明してください。
  16. 古田徳昌

    古田政府委員 後でそういうことがあったということを伺いましたけれども、その時点では全く存じませんでした。
  17. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 お伺いするところ、エネルギー庁長官部長さんもかわったばかりだというお話ですから、まあやむを得ないと思いますけれども、しかしこの新聞によりますと、稻村商工委員長のところで業界皆さんといろいろお話をされた、こう書かれておるわけでありまして、書かれておるから書かれておるまま話しておるわけであります。そのことがまた、このいろいろな経過の中から見ると、この法律というものは読んでいけば読んでいくほど、聞けば聞くほど、どうも余りいい法律じゃない、私はこう思うわけでありますが、大臣自民党本部自民党議員二百名を集めて、そして決起大会をやる、これはどう思いますか。
  18. 河本敏夫

    河本国務大臣 それは、そういう計画があったが中止になったということをいまお述べになったと思いますが、やはりやめた方がいい、こういうことになったのじゃないでしょうか。
  19. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 やめた方がいいというのは、具体的にどういう理由なんですか。
  20. 河本敏夫

    河本国務大臣 私はその理由はわかりませんけれども、想像するのに、やはり誤解を生ずるおそれ等もある、こういう判断が出たのじゃないか、これは私の想像でございますが、そういうことで中止になったのではないかと思います。
  21. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 自民党会館自民党関係大会をやるということなら、これは別に何と言っても差しつかえないように思うのですけれども自民党会館でいま出ている揮発油販売業法成立のための総決起大会自民党議員を集めてやる、それが選挙政治資金と絡み合っている、こういううわさすら出ているわけであります。  実はこの法案審議というのは大変やりにくい。ですから、どうでしょうか、この法律はひとつ選挙後の国会で再提案をして十分審議した方が、ロッキード事件でいろいろうわさされているいまの時代でありますから、見送りにした方が、政治の浄化のためにも、あるいは特にクリーン三木内閣の一番の中心である河本通産大臣の所管である上からいっても、その方がよりベターだと私は思うのですけれども、無理ですか、それは。
  22. 河本敏夫

    河本国務大臣 これは先ほど私が申し上げましたように、第一は非常な過当競争になっておりまして、そのために業界の大部分は大変な赤字になっておる、こういうことも承知しておりますし、さらにまた粗悪な製品がずいぶん出回りましていろいろ支障を来しておる、こういうことも承知しております。そういうことでございますので、一刻も早く成立をお願いしたいわけでございまして、前国会以来お願いをしておる継続法案でございますから、どうかひとつ今国会成立をいたしますようによろしく御配慮をお願い申し上げたいと思います。
  23. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この法案は、政府自民党と、ガソリン税値上げの代償として法制化約束したと言われておりますが、そういう法案ですか。  そうして、その約束をしてこの法案をつくったけれども大会をやって自民党各候補に選挙の応援を決めて、それに基づく裏づけがきっちりできた、いや、するまではどうもこの法案は手がつかなかったけれども、そういう万般の問題というものが解消したので積極的にこの法案審議されるようになった、こう言われておるわけですけれども、そんなことはないですか。
  24. 河本敏夫

    河本国務大臣 そういうことはございませんで、先ほど来繰り返しておりますように、やはり業界が大混乱に陥っておりまして、こういう状態が続きますと、倒産するものも相当出てくるのではないか、それからまた非常に粗悪なガソリン等も出回っておる、こういうことのために消費者にも大変迷惑がかかっておる、こういうふうに承知しておるわけでございます。そういうことでございますから、やはり一刻も早く成立を見ませんといろんな支障を来しますので、特に今国会におきまして成立するようにひたすらお願いするわけでございます。
  25. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 業界が大混乱となっているその原因というのは、一体何なのですか。ガソリンスタンド業者の責任ではないわけであります。大手の商社を初め、大企業がいろいろな網をくぐってこの中に入り込んでいる。そういう言うならばルールの方に手をつけずにおいて、下だけ手をつけて、そして問題が解消する、こういうふうに物を考えていること自体が私は大問題でありますけれども、それでは、この揮発油販売業法という法律ができますと、この法律ができた途端にその業界混乱原因が除去されて、零細企業のこういう人たちについて経済的負担はこの法律によってかからない、かけることはしない、こういうことで理解できますか。
  26. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 先ほど大臣が申し上げておりますように、この法律は、過当競争を防止いたしましてガソリン安定供給を図るということと、不良ガソリンを追放するということを目的といたしまして、登録制その他若干必要最小限規制措置を講じてその目的を達成することを意図しておるわけでございますが、御指摘の点につきましては、むしろ現在九三%までが中小零細業でございますので、こういった人たち立場を十分理解し、少なくとも系列化といったようなことにならないように、自由な営業活動のもとにその経営を安定させる方向法案でも考えておりますし、また実際の運用に当たりましてもさような観点に立って実施してまいりたいと考えております。
  27. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 大臣、私がこの法案を言いにくいことを言いながらしつこく質問している原因というのは、かつて社会労働委員会管理美容師法律を満場一致で成立させたことがあるわけであります。しかし、この法律成立した途端に、この法律について反対だという意見業界から起こって、まさに真っ二つになって大変な争いになり、この法律自体憲法違反であるということでいま訴訟で訴えられているわけであります。私は本会議でこの法案に、わが党も賛成しましたから賛成いたしましたけれども、明らかに憲法違反だ。憲法違反法律国会末期のどさくさ紛れにとにかく通ってしまった。いまでも大変残念に思っているわけであります。  ですから、この法律が真に消費者の利益につながるのか、あるいはまた石油業界人たちが真に望むのかという点でこの法律をもう少し掘り下げてみることによって、本当にこれでいいのか、いや、方向としてはこれでいいけれども、こういう点、こういう点、こういう点はやはり直してもらわなければ何ともならぬというものがあるのかどうなのか、そういう点で実は大変疑問を持っておるわけであります。ですから、業界皆さんにも、この法律を通すことに性急にならずに、この法律をもう少し全体的に議論をして、議論をした結果、選挙が終わった後で、お互いが冷静な立場に立って、この方向については各党ともそう異論がないと私は思うわけでありますから、そういう立場でこの法律をもう一回手直ししてみたらどうだという話を実はいたしておるわけであります。  皆さんの方は、いや、零細企業の救済だと言っておりますけれども、この条文ごとに詰めていきますと、そして実際にこの法律が適用されたらこんなに金がかかるようになったのか、こんな講習を受けなければならなくなったのか、いや、こんなつもりではなかった、賛成をして政治献金だけすれば後はうまくやってくれると思ったけれども、金だけ取られて、票だけ取られて何にもやってくれなかったじゃないか——自民党だけが評判悪くなるなら結構ですけれども政治全体が不信を持たれてはかなわないと私は思うのです。ですから、そういう点でこの法律について、出した大臣に撤回する意思があるかと聞くこと自体、これは無理かもしれませんね、しかし、とにかくこの法律には問題があるのだという点を大臣に知っていただいて、中の具体的な問題に入りたいと思うわけであります。  現在行われている行政指導で、いま言われている業界の大混乱というのがどうして解消できないのか、一体どこに問題があるのか、その点の御説明を願いたいと思うのです。
  28. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 現在揮発油業界に対しましては、昭和四十年以降過当競争を防止するという観点からスタンド建設調整を実施いたしております。それから、いわゆる石油危機の後、四十八年の十二月以降でございますが、さらに省資源、省エネルギー、こういった観点から原則としてスタンドの新設を凍結してきておるわけでございます。  こういった行政指導は、一応それなりの効果も上がっておるものと私たちも考えてはおります。しかし、やはり行政指導には行政指導としての限界があるということがまず申し上げられるかと思いますし、そのほか新しい問題といたしまして、いわゆる不良ガソリンと申しますか、灯油等を混入いたしました粗悪なガソリンが出回って消費者に多大の迷惑をかけておる、こういう事態もあるわけでございます。  特に、先生も御承知のように、スタンド業界と申しますと三万六千企業スタンドの数にいたしまして五万三千と非常に多くの企業が、しかも先ほど申し上げましたように、そのほとんどが中小零細企業である、こういったことを意識いたしますと、単純に従来の行政指導だけでは十分効果が達成できない。特に、御承知のように、原油代金が上がりましてから石油製品の八割までが原油代に占められておるということでございまして、流通段階における合理化に今後とも大いに期待していかなければいけない。  反面、消費者に対しましては、粗悪ガソリンを追放し、かつは必要に応じて安定供給できる体制をつくっていかなければいけない、こういう立場にございまして、本法案を御審議いただいておるわけでございますが、その際といえども規制必要最小限にとどめていく、その過程におきまして消費者あるいは中小零細企業に対する配慮に十全を期していくというたてまえで考えておるわけでございます。
  29. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 行政指導でやったけれども行政指導限界があるということならば、それではエネルギー庁長官の管轄ではございませんから大臣にお聞きいたしますけれども、いま中小企業分野確保法律について、われわれは盛んに行政指導では限界だ、法制化しなさい、こう言っておるわけでありまして、その約束がされてこの臨時国会になってきておるわけでありますけれども中小企業分野確保法律は、大臣のいま言われた行政指導限界をもう乗り越えておる。まさにこれこそ中小企業人たちが望み、与野党一致をしてこの法律をつくるべきだ、つくりましょう、こういう約束をしたのでありますが、それはどうなっておりますか。
  30. 河本敏夫

    河本国務大臣 前国会の終わりに本委員会で、五党の共同決議として分野調整法立法化すべしという御決議がございまして、それを受けまして中小企業庁で審議会をつくりまして、各方面から権威者に集まっていただきまして、七月以降夏休みを返上いたしましてずっと審議を続けていただいております。これまで八回審議をしていただきまして、大分結論に達しつつありますが、あと一、二回はやはり開く必要があろうかと思います。答申をいただきまして、それを受けて立法化作業もいよいよ最終段階に入るわけでございますが、何とか今国会に間に合わせるべく懸命の努力をしているところでございます。
  31. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうすると、大臣、今国会中に出しますか、どうですか。
  32. 河本敏夫

    河本国務大臣 審議会結論あと一回で出ますか、あるいはもう二回ぐらいやる必要がありますか、そこらあたりの若干流動的な要素等もございますので、ただいまのところは何とか今国会に間に合うようにまとめ上げたいということを目標として努力しているところでございます。
  33. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 自民党の中では、この分野確保法というのは業界の望むような法律は無理だ、どうも業種指定まではできそうもない、こういう法律を出したとしても、中小企業者にどうも自民党はやる気がないということで選挙前だから余り効果がない、だから何とかきっちりやるようなかっこうだけして、選挙が終わってからの方がいいのじゃないか、こういう話をいたしておる人もありますし、また現にそのように動いているような気がいたします。法律をつくっても効果のないような法律をつくれば選挙の票にはならないし、選挙の後には目玉のスローガンとして確保法を確実にやりましょう、こういう話が出ているわけでありますけれども大臣自民党所属でありますから、選挙の前に評判の悪い法律を出すよりも、選挙が終わったらいい法律を出すようなかっこうにした方がいいということで、通産省自民党と一緒になって進んでいる、こういうふうに理解をされているのですが、そんなことはないですか。
  34. 河本敏夫

    河本国務大臣 決してそういうことではございませんで、中小企業政策というのは通産行政の中でも最大の課題である、こういうふうに心得まして、私ども中小企業政策というものを進めておるわけでございます。この中小企業政策の中でも分野調整というのは長年の大きな課題でございまして、やはり私は一番大きな問題じゃないかと思うのですね。法律をつくります場合も簡単な法律ではない、非常に大きな法典である、そういうことからやはり各方面権威者意見を十分聞かなければならぬということで、先ほど来繰り返して恐縮でございますけれども夏休みも返上いたしまして懸命な作業を続けまして、ようやく結論に近づきつつあるというのが現状でございまして、決して選挙を意識して云々ということではございません。
  35. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それはそうだという答弁はするわけにはまいりませんから、そのような答弁になると思うわけでありますけれども、現実の進みぐあいを見ていれば、選挙前に出すよりも選挙後に出すような姿勢を示した方がいい、こういう見方というものを一般的に私は感ずるわけであります。  それでは、エネルギー庁長官、具体的な問題で、飛び飛びになりますけれども、第六条の関係になります。登録拒否等関係ですけれども、「揮発油品質管理適確に行うに足りる技術的能力を有しない者」とか、あるいは「揮発油販売業を継続的に行うに足りる経理的基礎を有しない者」、これは具体的にはどういうことなんですか。
  36. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 まず、第六条第一項第五号の品質管理を行う技術的能力ということでございますが、これはこの法律の大きな目的一つでございます品質確保不良ガソリンの追放ということに対しまして、品質管理者を置く、あるいは分析検査をやる、その結果を帳簿に記載しておく、こういったことを法律上担保いたしまして、品質確保ができるような人を登録いたしたい、こういうことでございます。  それから、六号の方の経理的基礎という問題でございますが、これは一般的に言われる、あるいは狭い意味で言われます金銭的な意味に加えまして、これもこの法律の眼目の一つでございます、安定供給をどういうふうに確保するかという点に着目いたしておりまして、この点につきましては、要は継続的に消費者に対しましてガソリンを供給できるかどうか、こういうことを考えておるわけでございます。
  37. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 次の給油所の所在地の指定地区の決め方、それから具体的に、指定地区ではない地区というものは実はあるのかどうなのか、この点について御説明いただきたいと思います。
  38. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 指定地区として指定する要件といたしましては、一つは、ガソリンスタンド当たりの販売量が基準販売量を著しく下回っているということと、いま一つは、過当競争がその地域内で著しく行われておりまして、相当部分の事業者経営が著しく不安定になっている、こういう事態がある段階におきまして、石油審議会意見を聞きまして期間をつけて指定する、こういうことになっております。  いま少し具体的に申し上げますと、まず全国平均の販売量というものを基礎にいたしまして、全国の地区を、たとえば大都市あるいは中小都市、農漁村あるいは観光地域といったふうに分類いたしまして、その分類に応じましてそれぞれの基準販売量というのをはじき出すわけでございます。その基準量に対して、先ほど申し上げましたように一店舗当たりの販売量が著しく下回っておる、その結果数多くのスタンドがその経営に不安定を感じておる、こういう手順で考えておるわけでございます。指定地区になったときの効果といたしましては、十九条で価格是正の勧告をいたしますが、その場合、著しく低い場合の是正勧告につきまして、この指定地区内においてのみやる、こういったことを法律は考えておるわけでございます。  それから、第二の御質問の非指定地域はどうなるかということでございますが、これは具体的にどういった地域を指定するかということはまだ決めておりませんが、ただいま申し上げましたような指定地区の設定基準あるいは指定地区そのものの性格からいたしまして、そう多くならない。むしろ非指定地域の方が大半であるというふうに御理解いただければよろしいかと思います。
  39. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この法律の中で、通産省令で定めるという規定がいろいろあるわけでありますけれども、この法案審議に当たって通産省令はどういうことをどういうふうに決めるのかということについて何ら出されていないわけであります。これは重要な事項でありますから、その通産省令で定める案について委員会に提出していただきたいと思うのですが、いかがですか。
  40. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 現在まだ検討を続けておる段階でございますが、現在段階においての考え方をお出しいたしたいと思います。
  41. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この法案審議している中で必要ですから、できるだけ早く出していただきたいと思うのですけれども、いつ出していただけますか。
  42. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 きょうの午後でも、審議が再会されるまでにお出しできるように準備いたしたいと思います。
  43. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 通産省令に関する部分だけは、私、資料がありませんから、また資料が出たときに追加の質問をさしていただきたいと思いますが、委員長、よろしゅうございますか。
  44. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 それは結構だと思います。
  45. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そこで、この中に出ている「その申請を受理した日から一月以内に限り、申請者に対し、当該事態を回避するため必要な最少限度の範囲内において、その事業の開始の日を繰り下げ、又は設備の規模を縮小すべきことを指示することができる。」これは具体的にどういうことなんですか、抽象的でなくて、もっと具体的に言いますと。
  46. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 まず、御指摘のように、指示の内容といたしましては、事業の開始の日の繰り下げと設備規模の縮小というのがあるわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、私たちといたしましては、目的を達成するために必要最小限規制にとどめたい、こういう気持ちがございまして、したがいまして、事業の開始の日の繰り下げも何月ぐらいあるいは何カ年ぐらいということは、これは具体的には申し上げかねるわけでございます。たとえば、その地域は今後どういうふうに発展するかといったような問題もございますし、当該地域における需給事情等もございますので、一律にあらかじめ申し上げるわけにまいらないと思いますが、乱設による過当競争スタンド業界に多大の影響を与える、経営を不安定にしておるといったような趣旨配慮して考えたいと思います。  それから、設備規模の縮小につきまして一つ考えられますのは、御承知のようにスタンドには固定式のものと搬送式のものがございますが、そういった場合に、たとえば搬送式であると必然的にこれは六百リットル程度の小規模のものでございますから、当面そういった固定式のものではなくて搬送式の設備でやっていったらどうか、こういったことで指導してまいりたいと考えております。
  47. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうしますと、「必要な最小限度の範囲」というのは、一カ月の場合もあるし、二年や三年や五年の場合もある、こういう意味ですか。
  48. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 一つには、過当競争の防止ということがございますが、一方では、やはり消費者に対する利益ということも考える必要があるかと思います。そういったところから、繰り下げの期間というのはそれほど長く、たとえば御指摘のような五年といったようなところまで繰り下げを指示するということは、これは事実上あり得ないことだと思います。むしろそれよりも短い期間で繰り下げの日を設定する。一方では、やはりその地域内にあるスタンド業界におきましても、みずから経営を改善していくといったような自助努力も必要でございますので、さほど長い期間の繰り下げを指示するということは事実上適当ではないのじゃなかろうかと考えております。
  49. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうしますと、新しく申請をした人が、いままでは届け出制でよかったわけですけれども、今度は登録制になったということで登録をしようとする人は、あらかじめ登録を拒否されないような条件というものをいろいろ具備して、そうしてここならいいだろうということで相談しながらやると思うのですけれども、結局、いままでの行政指導による届け出と今度の登録とは具体的にはどう違うのですか。いままでは行政指導であったからこうだったけれども、今度は登録制になったからそれはこういうかっこうでチェックできるとか、そういう点、どうですか。
  50. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 先生のおっしゃいましたのは、現在やっておる行政指導と、それから石油業法による届け出制の問題と、今回の登録制との関係についてどうかという御質問であろうかと思うわけでございます。  石油業法における届け出と申しますのは、これは石油製品業の実態を把握いたすために、名称だとか住所だとかそういった一定の事項を書面に記載して出せば、その事実に誤りがない限り自動的に受理される、こういう姿勢のものでございます。それから、いままでやっておりますいわゆる行政指導におきましては、特にそういった書式をもって云々ということではございませんが、ただこれは罰則というものがございませんので、現に四十八年十二月以降原則として新設を禁止いたしておるわけでございますが、すでに四百前後のスタンドができ上がっているといったような事態、これに対して行政指導では何ら担保する措置がないということでございます。  そういったところから、今回登録制を採用いたしまして、先ほど指摘がございましたような技術的能力あるいは経済的基盤といったようなものも事前にチェックいたすことにいたしておるわけでございまして、やはり法律に基づく登録制でございますので、登録を受けずして事業を行うというような場合には法律上罰則が適用される、要するに法的に担保される、こういうことになるわけでございます。ただ、その場合にも、先ほどお話が出ておりますように、必要以上に新規建設を希望する者に対してロードを負わせないように配慮してまいりたいとは思っております。
  51. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この法律を見る限りにおいては、届け出制と登録制については法律の上からの効果というものはそうない。ただ、あなたの方が行政指導の上で、いま言いましたように、いま届け出制になっているけれども行政指導の上で原則的に新設禁止をやってきた。罰がないからやられてきている。ですから、あなたの方は法律上届け出制になっていながら、行政指導で原則的に禁止の措置をとってきた。だから、私は法律を問題にしているのです。ここでつくった法律が現実にあったときに、勝手に原則的な禁止が行われてきた。この登録を見る限り、この登録法律に従ってやられるであろう、こう期待しておっても、法律以上にやられておる。これは明らかな行政の行き過ぎじゃないですか。大臣、どう思いますか。  いまの話の中で、届け出制であったにかかわらず原則的に禁止をやってきました、こう言っている。それでも罰則がなかったから、とにかく皆実際にはやられてきていました。今度は登録制で、原則的な禁止じゃなくて全面的禁止になるのですか。——これはエネルギー庁長官、あなたじゃない。法律をわれわれつくっているのだから、その法律できっちりしていることが守られずに、行政措置がそれより前に先行している。どっち向きに行っているのか。あなたの方はどうも大企業の方ばかり向いていて、零細企業を何も救おうとしていないじゃありませんか。どうぞ長官、仕方がない、御答弁ください。
  52. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 私の答弁に言葉の足らないところがございまして、凍結と申しましたのは、凍結の指導と申しますか、協力を依頼するというかっこうでございまして、命令的に措置をしておるわけではございませんので、補足させていただきます。
  53. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうすると、この届け出制というものはとにかくやられても何も抑える方法はなかった。しかし、今度は登録制になれば抑える方法がある。一番登録制の中で抑える方法というのは、いま言うように技術的能力とか経理的基礎、後の方はこれはあたりまえのことなんですけれども、そこが一番中心になるのですか。
  54. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 登録申請がありました際に、いろいろな点について検討するわけでございますが、ただいまお話がございましたように、技術的能力あるいは経理的能力というところがやはり一つのポイントになろうかと思います。  ただ、これにつきまして若干説明させていただきますと、技術的能力と申しましても、その目的意識は品質管理ということでございますが、それに選任されます品質管理者の資格をどう設定するかという問題がまずあろうかと思います。これにつきまして現在考えておりますのは、高等学校卒業程度で経験が一年ぐらいという程度の資格を考えておりまして、改めて国家試験をやるといったようなロードをかけるつもりは毛頭ございません。かたがた、御承知のとおり、消防法におきまして危険物取扱責任者といったものがこういったスタンドにはおるわけでございまして、大半の場合、事実上そういった人が品質の検査に当たるということになろうかと思います。  それから、経理的基盤の問題につきましては、先ほどお答えいたしましたように、金銭的な面もございますが、それ以上に安定的にガソリンを供給できるかどうか、ということは、裏を返せば安定的にガソリンの仕入れができるかどうか、こういうところにポイントがかかってくるわけでございますが、この場合も、若干補足的に申し上げておきますと、この段階におきましてのチェックは安定供給ができるかというところがポイントでございまして、無印だからといって区別するわけでもなく、また特定の特約店あるいは元売に直結してない限りだめだということではございませんで、安定供給が可能だと判断される限り、複数の特約店との仕入れ契約でも結構でございますし、あるいはそれが気に入らない場合には他の特約店あるいは元売と購入契約を変更してやられても結構だということで、われわれもこの案を検討する際一番懸念いたしましたことでございますが、いわゆる元売あるいは特約店に対して系列化を進めるとか、あるいは固定的な関係をつくっていくということは極力排除する立場で考えておるわけでございます。
  55. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そういたしますと、いままで届け出制を行っておった、その届け出をした中でこの第五、第六に該当して登録を拒否するような業者というものはどの程度出てくるのですか。
  56. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 どの程度出てくるかということにつきましては、これは予測の問題でございまして、かつて四十年当時行政指導による建設調整をやっておりましたころは、年間二千数百カ所をガイドラインとして設定しておったわけでございますが、今後こういう情勢下においてどの程度の希望が出てくるかということもございますし、その希望する人がいま申し上げたような技術的あるいは経理的能力を持ち合わせておるかということを事実上チェックした上でないと、これは判断できません。  ただ、安定供給ができないような、たとえば大半の製品といいますか、あるいはすべてをその場でスポットで購入しておるというような場合には、これは先ほどの経理的基盤と申しますか、安定供給の可能性という観点からいたしますと、登録はできないのではなかろうか、かように考えております。
  57. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 長官、さっきあなたが、品質管理というのは高校を卒業して一年ぐらいの経験だと言ったでしょう。ガソリンスタンドをやろうとする人が、高校を卒業して一年以上の経験のない人が申請するなんというようなことは考えられませんよね。それから次の、安定供給が可能か、あるいは安定的に仕入れられる、それができるからこそガソリンスタンドを皆申請するわけです。ですから、具体的にいままでは行政指導をやってきたけれども、とにかく一方的な届け出制だったから年間にどれだけふえた、しかしこの法律登録になって拒否することができることになったためにどれだけ減るのだ、こういうことにならなければ、この法律のメリットがないのでしょう。また、業界もそれがあるからこそ、この法律政治献金までして、選挙運動までしてやろうというのでしょう。だから、そのメリットがやってみなければわからぬという、そんな不安定な法律じゃないはずですよ。あなたの方が行政指導を何年もやってきているのですから、もっと具体的に出してみなさいよ。どこにこれは登録を拒否する一番のポイントがあるのか、そして届け出制よりもこれの方がこの業界の大混乱を防ぐことができるのか、具体的に数字を挙げてみてください。
  58. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 いまの六条関係登録の拒否にどういったケース、あるいは具体的にどの程度該当するかというお尋ねでございますが、先ほど来申し上げておりますように、どの程度という数字を挙げて申し上げることはなかなかむずかしいわけでございますが、ただ、少なくともここで規定いたしておりますのは、品質確保安定供給できる能力があるかどうかということをこの段階でチェックいたすわけでございます。それから、品質管理の点につきましては、先ほど例といたしまして品質管理責任者だけを御説明いたしましたが、品質管理につきましてはそういったいろいろの規定がございますが、その品質管理のそれぞれの規定に違反した場合には、状況によっては事業の全部または一部の停止を命ずることができるといった担保措置がございますし、さらにそういった命令に従わない場合には登録を取り消すことができる、こういった点が従来の行政指導ではなし得なかった点であろうかと思います。
  59. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 ですから、業界が大混乱となっているけれども、この法律をつくって届け出制から登録制になれば、具体的に、言うならば業界がこれだけいままでふえたものがそんなにはふえないのだ、それを説明してくれればいいのですよ。それが業界としての希望なんでしょう。それがいま話を聞いていると、どうもこの法律ができたからといって、技術的能力経理的基礎、こういうものがない人が申請するわけはないのでありますから、チェックのしようがないと私は思うのです。この法律の六つ以外に、どういうことでチェックできるのですか。この六つ以外にチェックできるとするならば、具体的にそれはどういう法律に基づいて、どこで決めておやりになるのですか、御説明ください。
  60. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 第六条には第一項でいま御指摘のような点がございます。これにつきましては、私たちといたしましては何も認可を無理に抑えようという立場で考えているわけではございませんで、人的要件と申しますか、ガソリンスタンドを安定的に経営していく能力をここでチェックするわけでございますが、第二項の方で先ほど質問の「指定地区」という規定がございまして、この指定地区内で新設を希望する場合には、先ほどもここでも触れました若干の調整と申しますか、いわゆる事業の開始の日の繰り下げあるいは設備の規模を縮小すべきことを指示することができる、こういうことになっておりまして、指定地区内では、六条第一項の規定によりまして適合する場合でも、第二項の規定によりまして調整の対象になり得る、こういうことでございます。
  61. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この通産大臣が指示したことについて異議の申し立てが出たら、またそれを通産大臣審議する、これはどういう意味なんですか。
  62. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 この法案の六条第二項におきまして、一定の条件のもとで通商産業大臣より事業開始の日の繰り下げ等に関する指示が行われた場合に、いまお話しのようにその指示を受けた人がその指示に不服があるときには通産大臣に異議を申し出ることができる、かように規定されておるわけでございます。このことは、大臣指示に対して違反した場合には登録を拒否する事由になっておるわけでございます。この法案上そういう構成をとっておるわけでございまして、現実に登録拒否がなされた場合には、さらにその申請者は行政不服審査法に従いまして行政訴訟手続をとれる、こういうふうになっておるわけでございます。さほどに慎重に構えておるわけですが、反面、そういう場合、それだけに時間も経費もかかるということでございますので、一言で申し上げますと、指示した大臣にもう一度再考をしてくれ、こういう形で事の複雑化を避けると申しますか、手続を簡素化するという意味で、指示をした大臣に異議を申し立てる、こういう形をとったわけでございます。
  63. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうすると、通産大臣が指示したけれども、異議の申し立てをすれば通産大臣がその指示を取り消すこともあり得る、そういうことですね。とりあえずだれがやるのですか。エネルギー庁長官がやるのですか。
  64. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 法文上は通商産業大臣でございます。
  65. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 通産大臣登録拒否の指示をして、そして異議申し立てが出たら通産大臣がそれを審査する、これは私、よくわかりませんけれども法律の書き方でこうなるのですか。それとも、何か第三者機関とか、そういうものじゃないのですか。これはどういうわけでこういうことになるのですか。
  66. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 特にこの法案で新たにこのようなシステムを考えたというわけでございませんで、同種の法令の前例に従っておるということでございます。
  67. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 ですから、私よくわからないのですよ。通産大臣が決定したものを、異議申請が出たらまた通産大臣が取り上げる。それでは、この指示する機関と審査する機関とは同じものなんですか、別のものなんですか。どういうことになっているのですか。
  68. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 いま先生が機関と言われたのが行政機関という意味でございましたならば、同じく通商産業大臣でございます。
  69. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうしますと、通商産業大臣登録についての指示をした、そして異議があったらまた通産大臣がそれを審議するという意味は、どういう意味があるのですか。通産大臣が、これこれこれこれだ、こうやりなさいと指示をした、それについて、指示を受けた人が異議の申し立てを通産大臣にした、そうしたら通産大臣がそれをまた審議をする、それは一体どういう意味があるのですか。  指示をしたことについてもう一回考え直してくれというだけの効果ということならば、こんな長ったらしく法律に書いてあるけれども、実際には通産大臣の指示というものは別の方法でなければできない。書いてある法律によれば、通産大臣しかできない、こういうことになってしまうじゃないですか。そうすると、通産大臣がやった行為を通産大臣が変えることにはならぬでしょう。これに異議が出てきた。むしろ異議の申し立ての方は全然別個にした方がいいのじゃないですか。こんな法律の中に入れることによって、うちの中で起きた事件だからうちの中でまあまあやろうということなんでしょうけれども、実はこの法律効果というのは私はよくわからないのです、ほかの法律にこうあるからこうなったのだということならば、ほかの法律と比較をしてこれだけなぜこうしなければならぬか。
  70. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 御指摘のお気持ちもわからないわけではございませんが、先ほど来申し上げましたように、当然これは最終的には行政訴訟まで申請者は持っていけるわけでございますが、それに最悪の場合持っていくといたしましても、あらかじめ指示の段階でその指示をいたした行政庁に対して再考を促す、簡易迅速な手続で行政の適正な運営を確保するということが趣旨でございまして、むしろ申請者の便宜のためということであろうかと思います。  おっしゃるように、一度決定したものをまたというお話もございますが、一度決定いたしましても改めるべきところがあれば改めるべきであって、必ずしも最終的に行政訴訟手続まで持っていくということは申請者のためにもよろしくないのではなかろうか、簡易な手続をとった方がよろしかろう、こういう趣旨でございます。
  71. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それでは、さっき委員長に申し上げましたように、定足数が足りませんので、この辺でひとつ質問中止させていただきまして、定足数がそろってからやるようにしていただきたい。
  72. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止
  73. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 速記を始めて。  この際、暫時休憩いたします。    午後零時一分休憩      ————◇—————    午後一時三十八分開議
  74. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。岡田哲児君。
  75. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 この業界新聞を見て思うのですけれども、非常に不明朗なことが耳に入ってくるわけであります。先ほど澤委員からも話がたくさんありました。やはり不明朗だという点をはっきりさしたいと思いますので、その点からお伺いをしていきます。  その一つは、ガソリン税の増税を決めたときに、自民党がその見返りとして全石連に、ガソリン税分を消費者に転嫁させる、さらにスタンド登録制というもので規制を強化するというように約束をした、こういうふうに聞いているのですけれども、もしそうだとするとこれは完全な利権法案ということになると思うのです。その点をはっきりさしていただきたいと同時に、この政府提案の出方の経緯を見ておりますと、政府が出さない以上議員立法で出てくるのじゃないかということを心配して政府提案になったというふうに思われる節があるわけであります。いろいろのことがあるのでしょうけれども、そういう経緯の中で自民党が議員立法で出してきたということになると、より一層性格がはっきりする。そういう隠れみの的な気持ちもあるのじゃないかとも思うのでありますが、その辺の提出に至った経緯をはっきりさせていただきたい。
  76. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 揮発油の販売業界から、かねて高率の揮発油税の十分な転嫁を担保するために、たとえば酒税の保全に関する法律、こういった立法措置を希望しておったということは事実のようでございます。ただ、先ほど来申し上げておりますように、私たちといたしましては石油製品、特にガソリン安定供給品質確保という課題に対しましていままでもいろいろ手を打ってきたわけでございますが、この段階で法律の形でその根拠を得たいということになったわけでございます。  本法案につきましては、ことしの一月に消費者団体を含みます各方面意見を広くお聞きいたしまして、その上で石油審議会に流通小委員会を設置いたしまして、ここで消費者揮発油のユーザー並びに中立委員からも率直な意見をいただきました。そういった各界の意見を踏まえましてガソリンスタンドのあり方という作文がつくられたわけでございまして、これを法案化した、こういうことでございます。われわれといたしましては、スタンド業界の意向を強く反映したということではございません。まして、業界の圧力によってこういった法案を準備したということではないということを申し上げておきたいと思います。
  77. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 いや、私の言っているのは、業界からでなしに、言うならば政府提案になった経緯の中で、議員立法で出そうという動きがあったことは御存じでしょう。それをやられるとどうもまずいのじゃないかということで政府提案になったというふうに受け取っているのですが、その辺を聞いているのです。
  78. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 政府といたしましては、ただいま申し上げましたように、現在ガソリン業界が置かれておるあるいは消費者との関係における問題をどのように是正していくかという立場において検討し、審議をお願いいたしておるわけでございます。
  79. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 どうもそれだけでは不明朗ははっきりいたしませんが、次に進んでいきたいと思います。  大体この業界がスローガンとして掲げております一つは、この法律を即時成立させたい、二つ目には一兆七千億円に上る石油税の徴収者を救済せよ、それから三つ目に、流通市場を混乱させておる二重価格を撤廃せよ、この三つがスローガンにうたわれているわけであります。  そこで、問題はこの一兆七千億の石油税徴収者を救済するというこの点について、一体通産省はどういうふうにお考えになっているのですか。
  80. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 ただいま御指摘のスローガンの一つとして掲げられた納税者を救済せよという意味は、私、ちょっと理解しかねるわけでございますが……。
  81. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 それでは、お伺いをいたしますが、業界の強い要望は御存じでしょう。いま言いましたように、この石油税でかけられた分だけを何とかしたいということ、同時に、市場の混乱を防止するために、言うならば過当競争が行われているのを規制をかけてふやさないということを業界が要望しているわけでしょう。そこで、いま私のお尋ねをしたのは、この増税分をどういうふうにすることが救済に通ずるのかという点をあなたの方は一体どうお考えでいられるのかという点を聞いておるのです。
  82. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 ガソリン税について消費者に転嫁すると申しますか、価格に反映すると申しますか、そういった意味合いでの業界の希望というものはいま先生のおっしゃったとおりだと思いますが、ただ、御承知のように現在原油コストが上がりまして、製品コストの中に占める原油代が八〇%にもなっておる、こういうことでございまして、みずから流通段階で、あるいは元売段階でこの増税分を全部吸収するということは、現実問題としてなかなかむずかしいと申しますか、やはり限界があるのじゃなかろうか、そういったところから、究極的には価格に反映せざるを得ないのじゃなかろうかということでございます。  ただ、現実の問題といたしまして、最近の東京都区部における調査結果なども見ますと、必ずしもまだ価格に完全に反映されておらない。具体的に申し上げますと、七月一日からの増税分は八千六百円でございますから、リッターに対して八円六十銭ぐらいになりますが、五、六月時点と比較いたしまして七円ぐらいが現状での転嫁価格ではなかろうかと思っております。
  83. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 いまの話を聞きますと、現在でももうその増税分がある程度転嫁されている。しかし、まだまだそれでは足らないので、問題はこの一兆七千億分を全部消費者に転嫁をする以外にはこの要望を入れる道はない、こういうふうに考えておられるのですか。
  84. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 私の申し上げておるのは、必ずしも完全転嫁という意味合いで申し上げておるわけではございません。もちろん企業努力によってどこまで吸収できるか、あるいは価格にどこまで反映させ得るか、これは一に需給状況あるいは企業の経理内容といったような問題との関連で自然と価格形成がなされていくその過程における問題というふうにも思うわけでございますが、ただ、先ほど申し上げましたのは、原油代がコストの八〇%まで占めておるというところにある程度の限界というものをやはり考えておかなくちゃいけないのではなかろうか、こういう意味で申し上げたわけでございます。
  85. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 この増税分は、現在の価格の中に大体どの程度占めておるのですか。     〔委員長退席、綿貫委員長代理着席〕
  86. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 先ほど申し上げましたように、七月一日から揮発油税が八千六百円増徴されております。その結果、現在蔵出し税として四万三千円、これはキロリッター当たりでございます。したがいまして四十三円程度が税額になるわけでございますが、現在の価格がリッター当たり平均いたしまして百二十円というふうにいたしますと、かれこれ四割弱というところではなかろうかと思います。
  87. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 そうすると、本法が成立をする時期を見ながらさらに価格が上がっていく、こういうふうに見て間違いないですか。
  88. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 これはやはり一に需給事情あるいは企業経理との関連で価格が形成されていくと申しますか、あるいは消費者価格に反映されていくということになろうかと思います。  ただ、ひとつここで御理解を得ておきたいのは、全く消費者価格に反映できない場合にはますます企業経理がきつくなってくる、それによりまして安定供給をなし得なくなるおそれもございますし、また、牽強付会でしかられるかもしれませんが、灯油などをまぜることによりまして品質を悪化させると同時に、ケースによっては脱税的な行為にならないような配慮もやはりしておく必要があるのではなかろうかと思います。
  89. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 石油業界というところは非常におかしなところだということが言われておるのですけれども、マークがえ、これがいま非常に激しく行われておる。そのためにメーカーが手当を出して多額な一時金を支給したり、さらに卸価格を安くする、そういうような裏の手を使いながらマークがえをしている。言うならばスタンドの分捕り合戦だというふうに言われているのはお聞きだろうと思うのです。石油メーカーでもうかっているのはガソリンと潤滑油だ、そういうふうに言われているために、いまのうちにスタンド確保して、ガソリンスタンドを自分の地盤の中に組み込んで販売地盤を拡大させておかなければならぬ、こういう競争だというふうに思うのですけれども御存じですか。
  90. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 私どもで最近行いました転籍の調査でございますが、四十八年四月以降本年の六月までの転籍の総数は約九百件になっております。特にことしの四月から六月まで最近三カ月間では約百六十件と、増加傾向にございます。これは先生御指摘のように、法律施行前の駆け込みであるということであれば問題でございますし、われわれとしましては、できるだけそういった駆け込みの発生しないように強力に指導してまいりたいと思いますが、ただ、債務の肩がわり等のお話がございましたが、それにつきましては、私の方としては実態をまだ十分把握はいたしておりません。
  91. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 私の申し上げているのはスタンドのマークがえなんですよ。駆け込みだとかなんとかというのじゃなしに、それが非常に激しく行われている、こういう実態を御存じかと聞いているのです。
  92. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 マークがえの点は、ただいま申し上げた九百件と百六十件、こういうことでございます。
  93. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 そういうことよりも、なぜこのマークがえが激しく行われているのか、その原因ですね。その原因は、私がいま申し上げたように、非常にもうかる、うまみがある、こういうことだから、精製したメーカー、元売がその市場をいまのうちに確保したいというために激しく競争している、そういう実態を御存じか。そうだとすると、今後のこの法案審議の中にも出てくると思うのですけれども、問題の本質をはっきりしておかないといかぬのじゃないか、こういうふうに思うので聞いているのです。
  94. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 その点は、先ほど先生からもお話がございましたように、石油製品の中でもガソリンというのは数少ない採算油種である。各石油企業がこれに依存度を高めていくその過程において、転籍と申しますか、あるいはマークがえといったようなケースが増大してきておるというのが事実だろうと私は思います。ただ、これは一つには、おっしゃるように新しい法律ができれば窮屈になるのではなかろうかということのほかに、すでに四十八年の十二月以降原則として新設をやらないように行政指導いたしておりますので、そういったことからも既存のスタンドについてのマークがえが行われているのじゃなかろうかと思います。したがいまして、できるだけ早く本法によりましてルールづくりをやって、その新しいルールの中での調整という措置が必要ではなかろうかと思います。  それから、かたがた、御指摘のような元売なりあるいは特約店がマークがえによって自分のシェアをふやしていこうということに対しましては、この法案とは別途、前の国会石油開発公団法の改正などもお願いいたしましたように、いわゆる元売面における体制問題と申しますか、構造問題といいますか、そういった面からの接近によって、本法案と両々相まって秩序づくりをしていくということになろうかと思います。
  95. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 この業界の再編成の一環として考えられておるというのがいまはっきりしてきたわけで、それと同時に、そういうふうに物を考えますと、いま前面にはガソリンスタンド業者が激しく過当競争を演じている、それを解消していこうということなんだが、実際はこれは、前面にそれが出ているのだが、本音は実は元売、メーカー、こういうところの競争、けんかではないか。だから、業界の再編成とあわせて、この法案の中で規制をかけていこう、こういうことなんですか。
  96. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 本法案は、ガソリン販売業を対象にいたしまして、安定供給品質確保を図っていくという構え方でやっておるわけでございます。一方、元売等につきましては、別途予算措置等によりまして、あるいは財投措置によりまして、その再編成あるいは構造的問題の解決を側面的に支援していこう、こういう構え方になっておるわけでございますが、御承知のようにガソリン石油製品の中でも採算油種になっておるものですから、ここでの経営不安定あるいは過当競争ということになりますと、石油企業あるいは石油産業全体が経営不安定になると申しますか、体質が脆弱になるというようなことも兼ね合わせまして、先ほどもお答えいたしましたように、本法案によりまして主としてガソリン業界の秩序を維持する、一方、元売等につきましては、業界の自主的な再編成と申しますか、それを国が側面から支援していく、こういう形で考えておるわけでございます。
  97. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 長官、どうも私の質問とあなたの答弁が違うのですよ。私の聞いているのは、マークがえだとか無印だとか、非常にいま前面に出ているスタンドが激しく過当競争をしている、しかしそれは目の前にはそういうふうに見えるのだが、本当のけんか、競争というのは、メーカー、元売、こういうところの問題じゃないか。だから、恐らく、その業界の再編成とあわせて、スタンドの販売の方まで一つの編成をしていこうという意図があるのではないかということを聞いているわけなんで、いまあなたの言っているようなこととは違うのですよ。
  98. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 御趣旨よくわかりました。  私たちの考え方といたしましては、御指摘のように元売業界からの影響と申しますか、元売業界での過当競争というものも反映していることは否定いたしませんが、ガソリン業界自体がもともと過当競争を引き起こしやすい体質と申しますか、環境にあるということでございまして、企業の数にいたしまして三万六千企業スタンドの数にいたしまして五万三千、そのうちの九%までが中小零細企業であり、本来的に非常に企業の数が多くて、小さいものがその中の大宗を占めておるといったようなところから、激しい過当競争が行われておるということも事実でございます。したがいまして、本法案では主としてガソリン業界過当競争の現状、あるいは粗悪ガソリンの発生というところに焦点を合わせて対策を考えておるわけでございます。
  99. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 それでは、ガソリンスタンド経営が非常に悪くなっている、この原因を一体どこだと考えているのですか。
  100. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 その原因は幾つかございますが、一つは、ただいま申し上げました揮発油の販売業界というのはそのほとんどが中小零細企業である、加えて数少ない採算油種であるといったところから、激しい過当競争によりまして経営の悪化を来しておるということが一つございます。それから、いわゆる石油危機以降、業転玉なるものが安売りの一つ原因になって、さらに過当競争というものを激化させておる。いま一つは、先ほどお話もございました七月一日から増税、それを価格に十分転嫁し得ないために企業経理を圧迫しておるというものも事実でございまして、そういった事情からガソリンスタンド経営が悪化してきておるものと理解しておるわけでございます。
  101. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 今度それでは無印の点についてちょっと聞きます。無印スタンドができた原因というのは一体どこにあるとお考えですか。
  102. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 無印スタンドが発生いたしました原因は、大きく分けて二つあろうかと思います。その一つは、販売政策あるいは取引条件の点で元売あるいは特約店と考えが合わずに無印になった場合、それからいま一つは、石油危機後、先ほども申し上げましたように省資源、省エネルギーといった観点から、ガソリンスタンドにつきまして新設を凍結するような方向で指導をしてきたわけでございますが、この指導に従わずに建設した場合、こういう二つだと思いますが、後者につきましては、必ずしも好ましくないものでございますので、今後ともさようなことのないよう説得あるいは指導に努めてまいりたいと考えております。
  103. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 この無印と並んで、先ほども話がありましたが、いわゆる業転玉と言われているものの発生でございますが、この業転玉の発生もどこに原因があるのですか。
  104. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 何度も申し上げて恐縮でございますが、やはりガソリンが数少ない採算油種だといったところから、石油各社はガソリンの得率を高める、あるいは販売を増加していくと申しますか、ガソリンに対する依存度を高めようとしておるのが実情かと思います。そういったところからいたしまして、結果として適正な需要量あるいは自分の販売能力を超えてガソリンを増産するといったようなことが一つの大きな原因になっておるのじゃなかろうかと思います。われわれといたしましては、御承知のように石油業法に基づきまして供給計画を作成し、需給を適正化する方向で努力はいたしておりますが、この供給計画というのはマクロ的なものでございますので、企業によりまして、あるいは地域によりまして、こういった線に即応せず、いわゆる業転玉を発生させるといったようなことも出てきておるのじゃなかろうかと思います。これに対しましては、先ほど申し上げましたように、やはり元売面における体制問題として対処していくことも必要かと考えておるわけでございます。
  105. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 いま言われたように、マークがえといい、業転玉といい、無印といい、これは一言で言うと販売流通面を混乱させている。その犯人はだれだと見ているのですか。これは業界過当競争というより、その裏にあるものではないのですか。
  106. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 どちらかという問題でございますが、両面の問題ではなかろうかと思います。いわゆる業転玉と申しますか、あるいは押し込み販売をする側とそれを受け入れる側との両方の問題でございまして、そのためにもガソリンスタンド業界といたしましてもそういったことにならないような秩序形成が必要ではなかろうかと思います。
  107. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 そうすると、それを解決する方法とすると、政府権力で系列化をさせ、その登録制度で規制をする、それで価格にも介入する、そういうことをしなければこれは直らぬ、こういうふうに判断をしておられるのですか。
  108. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 御指摘のようなことではございません。本法で登録制その他必要最小限規制によりましてガソリン安定供給品質確保を図ろうということでございまして、決してさような系列化を進めるためというものではございません。ただ、登録に当たりまして、継続的に安定供給ができるかということ、安定的にガソリンを購入し得るかということは、やはりチェックする必要があろうかと思いますが、この場合にも単一の特約店あるいは元売との関係に結びつけようということではございませんで、状況によりましては、安定供給の可能性がある限り、複数の特約店あるいは元売、あるいは場合によっては小売から買い取ることもよろしかろうと思うわけでございまして、決して系列化を進めるとかあるいは流通面での硬直化を招くことのないように考えておるわけでございます。
  109. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 相当商社が進出してきているという実態を御存じですか。
  110. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 商社と申しますか、特約店あるいは卸と称するものがみずからスタンド経営しておることも承知いたしております。
  111. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 公取委員長にちょっとお伺いしたいのですけれども、’先ほどから話をしてきまし無印あるいはマークがえに当たって自分のところのマークに切りかえるためには、多額な一時金を手当として出したり、あるいは卸値をうんと安くしたりして進出しよう、こういうのは公取の立場でどういうふうにお考えですか。
  112. 澤田悌

    ○澤田政府委員 取引先の移動が自由に行われるということ自体は、自由な、しかも公正な競争秩序の主要な要素でございますから、これそのものには問題はございませんが、しかし御指摘のようないわゆるマークがえに関連する行為が行き過ぎた場合を考えますと、独禁法上の不公正な取引方法、たとえば不当な顧客誘引と申しますか、あるいは差別対価による差別的な取り扱いというものによってお客なり取引先を獲得しよう。そういう行き過ぎが行われますと、ただいま申したような不公正な取引方法に該当いたすおそれがあるわけでございまして、もしそういうことで独禁法に触れるおそれのあるような事実がございますれば、私どもとしては厳重に調査して対処するということになろうかと存じます。
  113. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 この事実が現在あるものだから私はいま言っているわけで、そういうことが事実だとすればやはりよろしくないということになるのですか。
  114. 澤田悌

    ○澤田政府委員 そのとおりでございます。
  115. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 問題は、いま申し上げたように、マークがえといい、業転玉といい、無印といい、これがいままで言われておりますように非常にガソリンにうまみがある、だから進出したいということでありますが、販売能力以上に生産がされるものだからこういうものが出てきて、通常なルートを通らずに別なルートで販売するというところに原因があると思うのですね。そういうことでございますから、この問題は、この法律案が仮に通ったとしてみても問題解決にはならぬ、この混乱は直らぬというふうに私は思うのですけれども、どうですか。
  116. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 それに対しましては、石油業法による供給計画を適正に作成し、適正に運用していくということがまず前提になるかと思います。  それからいま一つは、御指摘のようなそういった事態を発生させている原因は何かということでございまして、これにつきましてはいろいろ言われておるわけでございますが、やはり元売あるいは特約店における過当競争ということもございますので、その面に対しましては、先ほど来申し上げておりますように、この法案とは直には関係ございませんが、主として元売面での体制問題と申しますか、再編制問題と申しますか、そういった方向での対処も必要であろうと思います。     〔綿貫委員長代理退席、委員長着席〕
  117. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 現在石油業界法による行政指導によって運用されてきているのですけれども、この行政指導による実績と評価をどういうふうにいまされているのですか。
  118. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 昭和四十年以降、ガソリンスタンド過当競争を防止するという観点からいたしまして、建設調整を行ってまいりました。それから、石油危機の後、昭和四十八年十二月以降、省資源、省エネルギーといった観点から、原則として当分の間スタンドの新設をしないようにという指導をやってきておるわけでございます。この指導につきましては、それなりの効果はあったかと思います。
  119. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 それなりの評価じゃなしに、あなたの評価している点を聞いているのですけれども、それなりのというのは何ですか。
  120. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 行政指導をやるに当たりましては、まず第一次的には自動車用ガソリンの需要の伸びといったものを検討いたしまして、それに基づきまして年間のガイドラインと申しますか、どの程度事業にミートした供給が必要かという計算をいたしまして、四十六、七年ごろは二千六百カ所のスタンド、その後は千五百ぐらいに抑制をしてきたわけでございますが、先ほど申し上げましたように四十八年の十二月以降は原則としてとめるように指導してきておるわけでございます。そういったところから、これを野放図に放置しておきますとそれ以上に乱設いたしまして、過当競争はもっと激しくなっておったのではなかろうかというふうに思います。
  121. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 そうすると、いままでの行政指導だけではいけない、本法がどうしても必要だという、そこら辺はどういうことになるのですか。
  122. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 やはり行政指導といった場合には、行政指導としての限界というものがおのずからございます。それから、石油危機の後、特に石油製品の供給の安定ということが強く要請されてきておるわけでございます。特に最近に至りまして、灯油を混入しましたいわゆる不良ガソリン粗悪ガソリンというものが発生してきておりまして、場合によってエンジントラブルを起こすといったようなことで消費者の利益を侵害しておるといったような実態も見受けられますので、そういった問題意識に立ちまして、従来の行政指導では足りない、やはり何らかの法的根拠による対策が必要であろうか、かように考えたわけでございます。
  123. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 それほど過当競争が激しくて経営が悪い、その中にさらに進出しようと考えている人たちがいる。私どもの常識から言うと、これは少しもわからぬわけですが、大体常識的に見て、こんなぐらいの需要供給がある、もういまでも過当競争が激しい、その中にさらに割り込んでつくろうということは、当然経営ができなくなるのじゃないかと思うのですけれども、なぜそれがさらに進出してくるということになるのですか。
  124. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 一つには、やはり過去のような一〇%台の成長は無理といたしましても、経済というものは年々成長していくものでございまして、その成長の度合いに応じてやはり需要がふえてくるであろうという見通しあるいは期待というものがあるだろうと思います。それからいま一つは、やはり地域によりましてその地域の発展可能性等も考えまして、中小都市がだんだん大きくなっていく、あるいは高速道路が通ることによって自動車の走行もふえてくるといったようなことを見込んで、新しくガソリンスタンドをつくりたいという気持ちになるのだろうと思います。これはやはり企業の自由と申しますか、そんなことを考えちゃいかぬということをわれわれは言うわけにまいりません。ただ、そういった私企業として自己企業だけの立場の問題と、それから地域を含めまして全体の需給という問題とやはり乖離するといいますか、必ずしも意見が一致しない場合があるだろう、そういうことがむしろ現実ではなかろうかと思うわけでございます。
  125. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 私が先ほどから言っておりますように、これだけ混乱を招いてきている。その中にマークがえで乗り出してくる、あるいは業転玉が出てくる、無印が出てくる、それに商社まで相当進出をしてくる、こういう実態だと思うのですね。ですから、問題は、やはり業界混乱させているのは商社であり、そういう卸、元売、精製メーカーというのが裏にあるのではないかと先ほどから何回も言っているのですけれども、そうではないのでしょうか。いま言っているように、これから進出してくるという点を考えて、いまのうちにシェアを確保しようとするねらいがあっていま混乱を起こしているのじゃないでしょうか。
  126. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 おっしゃるような場合もあろうかと思います。かといって、そういった商社等と関係のない中小企業スタンドを始めようということもあろうと思うわけでございます。そういった場合に、本法案の六条の二項におきまして地区指定をいたしまして、その指定された地区内におきまして過当競争が行われる、多くの企業が事業継続が困難であるという場合に、若干の建設調整を図ることにいたしております。この中には当然大企業も含まれるわけでございます。したがって、その段階での調整によりまして過当競争を引き起こさないように処置したいと思うわけでございます。
  127. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 先ほどからも、本法の中で一番強く言われておる不良ガソリンですけれども、この発生の原因はどこにあるのですか。
  128. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 普通、ガソリン以外の石油製品と比べまして、ざっと申し上げましてキロリットル当たり六万円程度の値段の差がございます。そういったところから、灯油を混入する等によって不良ガソリンが発生してくるのじゃなかろうかと思います。
  129. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 どうして不良ガソリンをつくるのか、その原因を私は聞いているのです。
  130. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 ただいま申し上げましたように、その他の製品と比べてキロリットル当たり六万円ぐらいの差がある。その場合に、灯油につきましては、ガソリンほどのキロリットル当たり四万三千百円といったような高率の税金がかかっておりませんので、そういったいわば無税の灯油を混入することによって利益を上げよう、不当な利益と申し上げるべきだと思いますが、そういった気持ちがベースにあるのではなかろうかと思います。
  131. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 そういたしますと、本法で抜き取り検査や品質管理をするということで規制をする点はわかるのですけれども、取り締まりだけでそのもとの原因を排除しないと、今後も発生する可能性がある、こういうふうに思うのですが、その辺はどうお考えですか。
  132. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 御質問意味が、私、十分理解できないのでございますが、現在高率のガソリン税というものは法律で決められておりまして、所定の目的のために使われておるわけでございます。これをいまの段階でなくするというわけにもまいらないと思いますので、そういった意味合いでは、やはりこのガソリンスタンド事業に携わる人の良心の問題であるということと、われわれといたしましては、本法にもいろいろ規定してございますような品質の悪いガソリンの販売を禁止する、状況によっては事業の停止なりあるいは登録をやめるといったような措置によって法的には担保していかざるを得ないのじゃなかろうかと思います。
  133. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 いまお話がありましたように、ガソリン税がかかっている。それに税金のかからない灯油をまぜてもうけよう、そういうことだと私も理解をしているのでありますけれども、問題は、そういうことは脱税にひっかかりますね。そういう点についてはどういうふうにお考えですか。
  134. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 脱税かどうかについて私の方でお答えするのは適当かどうかという問題もございますが、ケースによっては脱税になる場合もあろうかと思います。
  135. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 いや、長官、税金が一方はかかっておる、だからもうけるために灯油を混入しているのだと先ほど言われたわけです。そういう行為は脱税行為ではないかと聞いておるのです。
  136. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 その点につきましては、国税当局あるいは主税当局でございませんので、私の方からお答えいたしかねるわけでございますが、法的にはどうなるかちょっと私、存じませんが、少なくとも実体的にはそれに近い行為ではあろうかと思います。
  137. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 民生用の灯油が混入される、混入されただけ民生用の灯油が少なくなるわけです。そうすると、再び灯油の価格が上がる、こういう方向に進んでいくのじゃないかと思うのですけれども、どうですか。
  138. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 観念的にはおっしゃるようなことかもしれませんが、現実には、全然ないとは申し上げませんが、いろいろな調査、試買検査等の結果からいたしましても、ケースとしてはさように多くないわけであります。したがって、せっかく需要期に備えて準備してある家庭用灯油がガソリンの方に、全部といいますか、かなりの量が食われて、その結果供給不足になり、あるいは灯油の価格を押し上げる、そういったふらちなところまでは現実には至っておりません。
  139. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 大蔵省は来ていますか。——この税金が蔵出し税であるということで元売が税金を払う、その税金を価格に転稼してくる、そしていま言ったように不良ガソリンの発生が起こってきておる。私どもから見るとやはり脱税行為だ、こういうふうに思うのですが、どうですか。
  140. 水野勝

    ○水野説明員 そういった場合は脱税になると私どもは考えております。
  141. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 そこで、問題は、確かに法律規制をかけて取り締まっていくということですが、もうけよう、もうけようと考える点から見ますと、不良ガソリンを徹底的になくしてしまうのには、その原因を排除しない以上なかなかできにくいというふうに私は考えるわけです。そういたしますと、言うならばガソリン税といいますか、その税金についてやはり見直す必要があるのじゃないか、こういうふうに考えるのですけれども、大蔵省の方、どうですか。
  142. 水野勝

    ○水野説明員 揮発油税の税負担と脱税との関係でございますが、いろいろなものをまぜて使うということは先般の税率の引き上げ前にもあったことでございますし、昭和四十年代でございますと、現在よりも負担率としてはもっと高い時代もあったわけでございますので、必ずしも脱税なり、ほかのものを混入するということと税金とは直接には結びつかないのではないか、こんなふうに考えております。
  143. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 不良ガソリンの取り扱いですが、これはいままでどういうふうに対処されてきたのですか。
  144. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 いままで不良ガソリンに対してとってまいりました措置を申し上げますと、社団法人全国石油協会というのがございまして、この協会が国から補助金を受けまして、全国の営業用ガソリンスタンドに対しまして、二年で一巡する割合と申しますと、昭和五十年度におきまして大体二万件でございますが、これを対象といたしまして揮発油の試買検査を実施いたしております。  その検査の方法といたしましては、まず試買いたしましたガソリン全体につきまして混入灯油の検出試験、ペーパークロマト試験と言っておりますが、こういった試験を行いまして、不適合となったものにつきましては、さらにJISに定められておる蒸留試験を行ってきておるわけでございます。検査結果はそれぞれの給油所に通知いたしますと同時に、不適合となったスタンドに対しましてはその原因の調査と改善指導を行っておる。五十年度におきまして、先ほど申し上げました約二万件の試買検査をやったわけでございますが、そのうち最終的に不適合と判断されたものは八十四件ございます。  こういった試験のほかに、昨年ドライバー約千九百人の方につきましてモニター調査も実施いたしております。自動車の故障と不良ガソリンとの関係というのはなかなか判断はむずかしいわけでございますが、一応そのモニター調査の結果によりますと、粗悪ガソリンによって迷惑をこうむったと答えた方がこの千九百名の中で七十七名ございます。これは全体の四%ぐらいでございます。同じくそのアンケート調査におきまして、いま申し上げたような事情から品質検査の必要性があると回答いたしておるのが約八九%ございます。
  145. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 本法の中で「目的」のところで言っているのですけれども、「揮発油販売業の健全な発達及び揮発油品質確保を図り、もって揮発油の安定的な供給の確保消費者の利益の保護」こういうふうになっているのですけれども、この「消費者の利益の保護」というのは一体何と何に当たるのですか。
  146. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 ただいま先生がお読み上げになりました本法案目的である安定供給品質確保ということ自体がやはり消費者の利益につながるかと思います。そういったことでありますが、さらに本法案の中で消費者に対してどういう配慮をしておるかという点を一、二申し上げますと、たとえば十九条の価格の勧告の点につきまして、著しく高い場合には全国ベースで引き下げの勧告をすることにいたしておりますが、一方、著しく低い場合の勧告による是正措置といたしましては、まず指定区域内に限っておるということでございます。そういった配慮をいたしておりますし、それから六条二項によりまして建設調整をやる場合に、事業開始の日の繰り下げあるいは規模の縮小という問題でもございますが、こういった点につきましても必要最小限の強制ということをいたしまして、消費者に不測の利益侵害を及ぼさないように考えておるわけでございます。
  147. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 価格体系のあるべき姿といいますか、そういう点について考え方を聞いておきたいのでありますが、石油製品は連産品だから個別の原価が出てこない、出にくい。悪く言えば全体のどんぶり勘定になっている。そして、この原価の上昇等のコストアップを各石油製品に対して配分する、こういうことだというふうに言われているわけですから、個々の商品についての価格というものは非常に理論的根拠がないのじゃないか。そこで、国の財政政策や産業政策や福祉政策などの反映するものとしてとらえるべきだという考えがいま一部にはあるわけですが、エネルギー政策上から見まして、石油製品の価格体系のあるべき姿、考え方、あるいはどういうふうに指導をしようとしているのか、その辺、できたら大臣にお伺いしたいと思うのです。
  148. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 なかなかむずかしい問題でございますが、一般的に申し上げますと、各国ともガソリン高、重油安となっておる傾向のようでございます。ただ、いま言われましたように、個別原価計算というのは非常にむずかしい。結局振り掛けの問題ということにもなろうかと思いますが、一つには、やはり需要面との関係もあろうかと思います。たとえばわれわれといたしましても、こういう冬場需要期に入りますので、家庭用灯油につきましては極力値上げを抑制しておる。抑制し過ぎますと、これはまた反面、われわれの心配しておりますのは、いわゆる中間留分との関係で、最も良質の油が最も安いということになりますと、工業用灯油あるいは軽油等に向かっておった需要がこちらに向かってくるということがございまして、やはり関連製品とのバランスということも考えざるを得ないという問題もございます。  だから、そういったところは国の産業構造あるいは産業以外の利用面での関係をどうとらまえるかということも非常にむずかしい問題がある。一方でやはり消費者物価政策といったようなものとの絡みもございますので、なかなか一概に政府としてどう持っていくのだということにつきましてはお答えしづらいわけでございます。  ただ、一言申し上げられますのは、よく民族系、外資系ということを言われるわけでございますが、民族系と外資系の格差拡大の一つ原因といたしまして、やはり外資系の方がガソリンの得率が高い、ということは、ガソリンに対する依存度が民族系より高いという現実がございます。これは一つには外資系の方が持っておる設備がかなり古くなっておる。ということは、資本費等について非常に安くなってきておる。それだけに少々無理をしても得率を上げることができる。一方、民族系の方は、設備自体が新しいところへ持ってまいりまして、公害対策といたしまして新しい設備に全部脱硫設備を付設さしておるわけでございますが、この脱硫設備に必要な投資が大きくなることと、しかもその脱硫設備は必ずしも稼働率がよろしくないといったようなところがございます。そういったところにも一つの価格体系上の問題があろうかと思うわけでございます。
  149. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 通産大臣は、登録申請した者が欠格条件に該当するとき、または品質管理適確に行うに足る技術的能力を有しないと認めるときは、登録を拒否することができる、こういうことでありますが、これをちょっと具体的に御説明願いたいのです。
  150. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 この法案一つの大きなねらいは品質確保であるということは、何度か申し上げたわけでございまして、この法律の中の十三条でも粗悪なガソリン製品の販売を禁止しておるわけでございますが、そういった関連から、品質管理者の選任、あるいは分析、あるいは帳簿記載といったような、必要最小限ではございますが、そういった義務づけをいたしておる。そういった義務を実行し得るに足る能力があるかどうか、これがない場合には本法案のねらいの一つである品質確保ができないという点がございますので、そういった点に着目いたしまして、技術的能力を有しない者は登録を拒否するということにいたしておるわけでございます。
  151. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 この十九条と独禁との関係についてお伺いしておきたいのですけれども揮発油の標準的な販売価格より上下に著しく異なる販売価格で揮発油の販売を行っている場合、必要な措置をとるよう勧告できることになっているが、これは非常に行政介入じゃないかというふうに見られる点でありますが、この点について通産大臣と公取委員長にちょっと見解を聞いておきたいと思います。
  152. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 十九条の著しく異なる場合というのは、著しく高い場合と低い場合があるわけでございます。独禁法との関係でございますが、たとえば不当廉売だとか、あるいは相手方あるいは地域によって価格差別をつけるといったような差別価格だとかいう問題になってまいりますと、これは本法の適用も可能でございますが、一方、独禁法による不公正取引の対象として十分規制をし得るわけでございます。ただ、著しく低いわけでございますが不当廉売という事項に該当しない程度の段階でも、指定地域内の相当部分の事業者経営が苦しくなりまして、事業継続が困難になるような場合、こういった場合におきましては、本法十九条の規定によりまして是正のための勧告措置がとれる、こういうふうにわれわれ理解しております。
  153. 澤田悌

    ○澤田政府委員 十九条の勧告制度に関しまして、これが行き過ぎますと競争制限的になるおそれがあるわけで、標準の価格と違った価格を排除するということに相なりますると、価格が標準価格の線に固定されるおそれもあるわけでございます。そういう観点から、法案作成のときも関係当局と種々話し合いをいたしました。結局、発動要件に「特に必要があると認めるときは」というような厳格化の用語が入ったわけであります。それでも必ずしも独禁法の立場から申しますと満足すべきものではございませんが、要は運用が非常に大事でございます。独禁政策の趣旨に反しないような厳格な運用に格別配慮してもらいたい、かように考えておる次第でございます。
  154. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 先日の委員会で玉置先生からの質問があった、そのときに、初めは公取はこの法案について意見を出しておったにもかかわらず、途中からずっと賛成の方向に動いてきたというふうに思うのですが、その経緯を報告願いたい。
  155. 澤田悌

    ○澤田政府委員 考え方は変わらないわけです。変わらないわけですが、一つ法案の作成でございますから、話し合いの結果この辺でということに相なりますと、形の上でごらんになると変わったのじゃないかというふうに御観察になるのはごもっともでございますけれども、経緯を詳しく申しますと長くなりますが、最近の揮発油問題の背景は、先ほど来通産御当局からいろいろお話がございましたように、無印安売りとか、あるいは不良ガソリンであるとか、業転玉の問題で二重価格の問題であるとか、いろいろな背景があったのでありますが、こういう事態に対処して、ガソリン販売業者経営の安定化、あるいはガソリン品質の向上というような目的法案が考えられた次第でありますが、こういう事態に対応する行き方として、私は二つの考え方があると思うのです。一つは統制法によってこれを考えていく、もう一つは競争法によって考えていくという行き方だと思います。本法案は、いわば統制法的な考え方と理解できるわけであります。  独禁法及び独禁政策は、競争秩序の維持促進という背景から物を考えておるわけでございます。したがいまして、一般論、原則論で申しますと、独禁法なり独禁政策の立場からこの法案を見た場合に、いろいろと問題点が出てくるのは自然のことでございます。したがいまして、そういう点からいろいろと意見を申し、調整に努めておったことでございまして、それが私どもの態度として伝えられ、皆様の耳にも入っておった、こう考えるわけでございます。  問題は、要するに独禁法の立場からながめますと、登録制度の問題とただいまお尋ねの勧告制度の問題、この二つになると思います。  登録制度につきましては、結局いろいろと調整をいたしました結果、営業の自由を制限したり、新規導入を阻止するものではない、また無印スタンド等を締め出すものでもなく、自由に購入先を選択できる、また不当な系列化を促進するというようなものでもないことはもちろんだというふうに解釈、運用を明確化するということで一応改善されたものというふうに理解できるかと思うのであります。  それから、第二の勧告の点につきましては、先ほども申しましたように、独禁政策との関連においていろいろ問題がございます。それで、先ほど来のように発動要件を厳格化するという修正もお願いをしたわけでございまして、要するに、この法案は独禁法、独禁政策の立場から見ますと考え方が違う面からの接近でございますから、いろいろそこに違った考え方があるのでありまして、全部が好ましいと申せるものでないことは率直に申してやむを得ないところかと思いますけれども、要は、先ほども申しましたように、運用に当たってどうするか、独禁法の理念に合うような運用に十分気を使っていただくということであればまあまあこの辺でやむを得ないのではないかというふうに考えておる次第でありまして、それが現実に態度が変わったじゃないかとおっしゃられればあるいはそうかもしれませんが、考え方は変わっていないということは御了承願いたいと存ずる次第でございます。
  156. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 考えが変わってはいない、しかし何か通産省の運用に任してうまくやれというように最後は聞き取れるのですが、そういうことですか。
  157. 澤田悌

    ○澤田政府委員 うまくやれとおっしゃられると、これはそうではないのだ、独禁法の精神をくみ取って、それに反しないような厳正な運用をしていただきたい、こういうことでございます。
  158. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 言うならば通産当局の運用にかかってくるような気がするのですけれども、運用にかかればかかるほど、言うなら行政の介入といいますか、通産省の権限が非常に増大をしてくるのではないか、こういうふうに思うのですが、その運用に当たられる当局の方はどうですか。
  159. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 私たちといたしましては、独禁法なりあるいは本法案の立法趣旨が違っておりますし、それを実行に移す手段も異なっておるわけでございます。そういった意味合いから、先ほど申し上げましたように、抵触問題が起こってこないとは思っております。しかし、われわれもこの法案を運用するに当たりまして、特に公取とも十分連絡をとり、協議しながら、御懸念のようなことのないようにいたしたいと思います。
  160. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 「著しく異なる価格」とあるのですけれども、これは具体的にはどういうことになるのですか。
  161. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 著しく高い、あるいは著しく低いという幅の問題を御指摘かと思います。しかし、これは一律に、一概にあらかじめ決めておくというのはなかなかむずかしい問題だと思います。と申しますのは、その価格水準がどの程度になっているか、あるいはそれぞれの地域の事情がどうなっているかといったような問題もございますので、あらかじめどの程度になればということは申し上げづらいわけでございますが、私の承知しておりますところでは、五%と申しますか、たとえば現在の価格で考えますと五円ぐらいの差が出てまいりますと、ブランドだとかあるいはサービスよりも顧客の誘引力が強くなる、あるいは十円ぐらいになるとか、かなりそれは決定的なものになるというふうに承知いたしております。そういったところを頭に置きながら、それぞれの事情に応じて判断すべき問題ではなかろうかと思います。
  162. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 大臣、いままでずっと御質問をしてきたのですけれども、どうも私は質問をしている立場から見ますと、不明朗な点はまだ解消しないし、この法案ができたとしてみてもいろいろな問題が起こってくる、その問題を本質的になかなか解決できるような気がしないわけであります。先ほどからも触れておりますように、このマーク転換、あるいは無印、あるいは業転玉というものを見ていきますと、どうも市場を混乱をさせている。過当競争のようなものが前面に出てきているのだが、実際には精製メーカー、元売、そういう連中と同時に、商社までがこれに加わって、零細な石油スタンド業者の中へ割り込んで混乱をさせている、こういうふうに思えて仕方がないわけであります。ですから、今後この法案が仮に通っていくにいたしましても、そういう点について十分中小零細のスタンド業者を保護しながら、あるいは消費者の利益を確保しながら進めていくということでなければならぬと思うのですが、大臣、全体的なあなたの考え方をお聞きして、終わりたいと思います。
  163. 河本敏夫

    河本国務大臣 いま幾つかの問題点を明らかにされながら御質問がございましたが、やはり何と申しましても、過当競争を排除いたしまして、また粗悪なガソリン消費者の手に渡らないようにするという本法の目的からいたしまして、中小企業者立場の保護、消費者の利益の保護、こういう点については最大限気をつけなければならぬ点であると思います。いまの御意見の御趣旨に沿いまして、今後ともこの法律成立をいたしました暁におきましては運用していきたいと思います。
  164. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 終わります。
  165. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 米原昶君。
  166. 米原昶

    ○米原委員 今日では、ガソリンなどの石油製品は国民生活に欠かせない重要な商品になっております。したがって、ガソリン販売業者の方々が負っておられる社会的な役割り、責任はきわめて大きいと考えます。この意味で、私は、ガソリン販売業の登録制そのものには反対ではありません。  しかし、問題はその中身、法案の第六条第一項で登録の拒否が定めてありますが、その六号では「揮発油販売業を継続的に行うに足りる経理的基礎を有しない者」が拒否要件になっております。「継続的に行うに足りる経理的基礎」とは何のことかさっぱりわからないと、私のところに多くの業者の方々から問い合わせが来ております。この「継続的に行うに足りる経理的基礎」とは具体的にはどのようなことか、まずこの点を明確にしていただきたいと思います。
  167. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 この法案におきまして直接的な目的を二つ掲げておりまして、そのうちの一つガソリン安定供給ということになるわけでございます。安定供給をするためには、金銭的な意味での経理的な基盤も必要でございますが、安定供給するための前提として、安定的に購入し得る体制と申しますか、可能性がやはりチェックされなければならないのではなかろうか。特に、かつての石油危機のときのように、供給が非常にショートしてまいります場合に、安定供給できない限りその範囲内においてやはり消費者に迷惑をかけるということもございますので、そういった意味経理的基礎という言葉を使ったわけでございます。
  168. 米原昶

    ○米原委員 そうしますと、要するに、継続して事業を営めるようにガソリンの入手先を明らかにする、こういうことですね。しかし、商品を仕入れる当てもないのに商売を始めるというようなことがあり得るでしょうか。それをわざわざ法律で規定するというのは実に不可解なことであります。私はこのような不必要な条文は削除すべきだと考えますが、どうでしょう。
  169. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 一般的にと申しますか、通常は、先生の御指摘のように、そういった仕入れ先を十分確保してでないと事業を始めないというのが多いかと思います。ただ、ケースによりまして、いわゆるスポット買いをやった方が安うございます。したがって、それだけその陰においては収益率が高くなる。反面、安定性というのは失われるわけでございますが、しかし国民の立場と申しますか、冒頭に御指摘になりましたように、消費者の利益という立場からいくと、やはり安定供給をしてくれなくちゃ困るという問題もございます。そういった意味合いにおきまして、必ずしも数の多い問題ではないと思いますが、しかしそういった安定供給のできないような人にガソリンスタンドの営業をお任せするということは、やはり消費者対策としても適当ではない、安定供給が阻害されるという認識でございます。
  170. 米原昶

    ○米原委員 そうしますと、ガソリンスタンドを新規に建設するには、設備投資の資金はおおよそどのくらいになりますか、大体を聞かしていただければいいのです。
  171. 古田徳昌

    古田政府委員 地域、規模等でかなり差があると思いますが、最近の情勢で言いますと、六千万円から大きいところになりますと二億円ぐらいかかるというふうなことでございます。
  172. 米原昶

    ○米原委員 私も、大体都市部では普通土地代を含めて一億から一億五千万円にもなると聞いております。いまおっしゃった六千万円というのは若干都市から離れたあたりでそういうのじゃないかと思いますが、どちらにしましても多額の設備投資が必要だということは明らかです。そういう多額の設備投資が必要だ。都市部以外のわりあい安いところでも六千万円、高いところでは二億円かかるというふうにいまおっしゃいました。そういうような多額の設備投資が必要であるのに、肝心のガソリンの仕入れ先を確保していないというような冒険を一体だれがするのか、こう思わざるを得ないのです。そんな冒険を一体だれがするというのでしょうか。それとも、この条文については政府として何か別に考えておられることがあるのですか、この点を聞きたいのです。
  173. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 私といたしましても、先生の御指摘のように、そういう多額の投資を必要とするものについて仕入れ先を安定的に考えてない人がないことを期待するわけでございますが、しかし先ほども申し上げましたように、そういう可能性もないとも言い切れないといったようなところから、かような規定も置いておるわけでございます。そういったような意味合いにおきましてこの規定は必要かと思いますが、ただ何か他意があるのじゃなかろうかというような御質問にも受け取れますので、若干申し上げますと、これによって系列化が進むのじゃないか、あるいは特定のと申しますか、単一の元売あるいは特約店との系列を進めようとしているのじゃないかという御疑問がなければ幸いでございますが、それに対して私たちの考え方は、継続的、安定的に仕入れの可能性がある限りにおきましては、卸売なりあるいは特約店は複数であっても結構である、あるいは状況によってはそういった特約店あるいは元売との関係でうまくいかない場合にはまた別の仕入れ先を考えてもらっても結構である、いずれにいたしましても、安定供給の前提としての安定仕入れ可能性ということをチェックしたい、こういう意味でございますので、御理解いただきたいと思います。
  174. 米原昶

    ○米原委員 系列化の問題はもっと後でお尋ねしたいのですが、この法案を直接担当しておられる宇田川流通課長が、ことし全石連事務局の責任者会議に出席して、法案の逐条説明を行ったことがありますね。
  175. 宇田川治宣

    ○宇田川説明員 お答えいたします。  日にちははっきりいま記憶しておりませんが、全石連の事務局長会議にいわば講師という資格で、政府提案の揮発油販売業法、これは関係業界ということで内容を知りたいのでということで説明を求められましたので、私の責任と判断におきまして、私が考えております内容を御説明申し上げたという経緯がございます。ただ、御指摘のような逐条解説といいますか、そういう趣旨で申し上げたわけではございません。
  176. 米原昶

    ○米原委員 おっしゃるとおりだと思うのです。全石連の機関紙の「ぜんせき」に六月二十九日付で掲載されておりますが、六月二十六日に行かれたのだと書いてあります。そして、そこで法案の逐条説明を行われた詳しい内容がすでに掲載されております。これを読んでみますと、課長はここで、「継続的取引については、事業を継続的におこなうことができることを証明できる書類」「例えば基本契約が元売と特約店、特約店と三者であるらしいですが、その写しを出してもらうことになるか、石連がいっているように、元売が供給証明を出すのでその供給証明でチェックしていくのか、その辺は全石連、石連、あるいは元売の意見も聞きながら決めていきたいと思います。」こう述べておられますが、この点はこれで間違いありませんか。
  177. 宇田川治宣

    ○宇田川説明員 当時私が行いました説明の一字一句がいま先生がお話しになったとおりであるかどうか正確には記憶いたしてございませんが、私が申し上げた趣旨は、六条一項第六号を具体的にどういう考え方でチェックするのかという点については現在検討中である、まだはっきりしていない、それでその点について、これは消費者のことももちろんそうでございますが、関係業界としてのそれなりの希望がいろいろあるであろう、そういうものを参考にしながら、政府として今後の問題として決定していく、そういうことを説明申し上げたと記憶いたしてございます。
  178. 米原昶

    ○米原委員 確かにガソリンの仕入れについて継続的取引を証明するものと言えば、宇田川課長がこの新聞で言っておられるように、元売の供給証明以外には考えられません。しかも、この法律では契約書や供給証明書がなければ登録が拒否されるのであります。言いかえれば、ガソリン販売業を営めるかどうかは、一に元売が供給証明書を出してくれるかどうかにかかっているわけで、元売の系列下にある大手特約店が販売契約を結んでくれるかどうかにかかっているわけであります。そこで、私たちも、さっきおっしゃいましたけれども、これではやはり元売の系列支配を一層強化することになるほかないではないか、こう考えるわけです。  まあ、いまおっしゃったように、継続的取引と言っても、その中身は、主要な取引先とそれ以外の取引先があってもよい、主要な取引先も複数であってもよい、したがって系列支配にはならない、こういう論旨のことがさっきの話であったようですが、それでいいのですか、そう理解されるのですか。
  179. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 お言葉を返すわけでございませんが、昨今の情勢からいたしますと、石油企業ガソリンへの依存度を高めようといたしておるわけでございます。そういった段階でございますから、よほどのことがない限り、元売といたしましては契約の証明といいますか、契約の写しを拒否することはまずないのじゃなかろうかという気がいたすわけでございます。仮に拒否するような場合には、先ほどもお答えいたしましたように、取引先と申しますか、購入先を切りかえてもよろしいわけでございますし、あるいは複数でもよろしいわけでございます。ある場合においては小売からでもいいわけでございますので、御指摘のような系列支配を高めるようなことには万々ならないと考えるわけでございます。  それから、経理的基礎についてのお話でございますが、現在液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律という法律がございます。この中にも同じような要件がございまして、「その事業を適確に遂行するに足りる経理的基礎及び技術的能力を有するもの」こういった要件を掲げておりますし、その場合のチェックの仕方といたしましては契約書の写しを取っておるといったような先例もございますので、われわれといたしましても、そういった方向で十分対処できるのではなかろうかと考えておるわけでございます。
  180. 米原昶

    ○米原委員 いろいろおっしゃいますが、この法律によって、元売や大手特約店はガソリン販売業者に対して少なくとも登録の成否にかかわる書類を出すという非常に優位な立場を与えられることは、だれの目にも明らかではないか、こう思うのです。これまでも特約店や副特約店の中小販売業者は、元売の系列支配によってさまざまの横暴な仕打ちを受けて泣かされてきたのであります。  たとえば一、二の例を挙げてみますと、石油危機のときも、元売や大手特約店は原油の輸入が減っていないにもかかわらず、系列下の中小販売業者への供給を削減して価格のつり上げを行ったのであります。そして、被害者である業者も含めて、国民から白い目で見られるという状況に置かれたのであります。さらに、今回の不況期でも、元売が系列内では価格維持を図りながら、だぶついたガソリン石油メーカーがナフサをガソリンに添加したものを、大手特約店や商社を使って大量に安値で系列外に押し込み販売し、需要不振で苦しんでいる系列下の業者経営を一層深刻な状況に追いやったのであります。  この法律によって、中小販売業者は元売や大手特約店に対してこれまで以上に不利な立場に置かれることになり、元売の横暴を助長するものになりかねません。したがって、この条文はぜひとも削除すべきであります。私は、この条文は結局不必要じゃないか、こう考えるのですが、改めてもう一度聞きたい。
  181. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 ただいま御指摘のようなことは、当然これは排除する方向で日夜努力を続けるべきだと思います。そういった意味におきましても、たとえばいまおっしゃいました押し込み販売ということはよく言われておるわけでございますが、一体だれがどういうスタンドに押し込み販売をやっておるか、しかもその価格はどの程度標準的な価格と差異があるかということについては、率直に申し上げてなかなかつかみ切れないというのが現状でございます。     〔委員長退席、近藤委員長代理着席〕  したがいまして、こういったことから、取引先といいますか、購入先がわかっておりますと、それから追跡調査ができるという利点と申しますか、取っかかりができるということもあるわけでございます。そういった意味合いにおきまして、先ほど来申し上げておる理由に加えまして、われわれとしてはやはりこういった条項は残しておくべきだという立場でございます。
  182. 米原昶

    ○米原委員 言っていらしゃるような立場から言えばそういうことになるでしょう。宇田川課長も、「要するに、ガソリンスタンドを開いていて、どこからともなくタンクローリーが現われてそれにお金を払って商売している業者さんは困ります、ということです。逆の極端なことをいえば、どこの元売のどこの特約店からキチンと玉が入っています」ということだとも言っております。  結局、この条文の本当のねらいは、どの系列にも属していないいわゆる無印スタンド規制することであります。しかし、それでは本末転倒もはなはだしいのではないか、問題はむしろそこにあるのです。  いまも申しましたように、系列外に安値ガソリンを横流ししているのは、大手特約店や商社を通じて石油メーカー、元売がやっていることであります。規制すべきなのは販売業者ではなくて、これらの元売や石油メーカーではないか。規制すべき対象を間違えておるのじゃないか、こう思いませんか。
  183. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 価格の問題に関連して、いまの業転玉と申しますか、あるいは押し込み販売の点についてお答えいたしたいと思いますが、十九条では、御指摘のように、第一次的には是正のための勧告をスタンド業者に対してかけることになっております。その後、その原因が元売あるいは特約店にあるという場合、しかもスタンドに対する勧告だけでは効果がないという場合には、まさに御指摘の元売あるいは特約店といったものに対して勧告をかける規定になっております。  こういうような形をとっておりますのは、いわゆる再販価格との関係、第一次的に元売あるいは特約店といったものに対して勧告をかけてまいりますと、結果として事実上再販価格になるということを恐れまして、まず一つはそういう書き方をしたということでございます。  それから第二の理由は、先ほども申し上げましたように、実情とか原因というのはいまの形のままでは把握できないといううらみがございますので、そういった意味合いにおきまして、スタンドの方から法律で言うところの特定の販売業者に勧告を及ぼしたい、こういうことでございます。ただ、その場合に、われわれといたしましても、そういったことによってスタンド業界が不利な立場と申しますか、いわゆるしっぺ返しを受けないように、われわれとしては十分企業秘密を守りながら対処いたしたいと思っております。
  184. 米原昶

    ○米原委員 本年一月二十三日付の新聞「ぜんせき」を見ますと、宇田川課長自身が、二重価格問題は安売りを目的としたいわゆる業転玉の出回りによって惹起された問題であり、まず生産の段階で需要に見合った適正な生産が行われることが先決である、こう言っておられる。この石油業法に基づく供給計画に照らして各社の生産計画をチェックし、ガソリン及びナフサの得率について指導するということが当面必要であろう、こういうことを宇田川課長自身が述べておられます。ですから、問題が流通段階だけではなくて、主として石油メーカー、元売にあることを課長自身が明確にされているのです。  それにもかかわらず、同じ政府当局が主として販売業者規制することによってこの問題に対処しようとしているのは、国民や販売業者を愚弄するものと言わざるを得ないのです。もし政府石油業法だけで解決する自信がないというのであれば、大もとの元売や石油メーカーを規制できるような法制化を行うべきじゃないか、この点に関してひとつ大臣の明確な答弁をいただきたいのです。販売業者だけをやるというのは、どうもおかしい。
  185. 河本敏夫

    河本国務大臣 そういうお考えもあろうかと思いますが、しかし先ほど長官答弁しておるような実情でございますので、やはり原案のように取り計らっていきたいと思います。
  186. 米原昶

    ○米原委員 この条文に関する問題はこれだけでありません。「経理的基礎」などというわけのわからない表現にするのではなくて、なぜ明確に、ガソリンの仕入れ先を証する書類、こう書かなかったか、この点を説明していただきたいのです。
  187. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 これは先ほどもお答えいたしましたように、いわゆるLPG法に同様の表現がございますので、それを採用いたしたいということでございます。
  188. 米原昶

    ○米原委員 私が言います。そうしますと、ガソリンの仕入れ先を証する書類という言葉は、たとえば液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律の許可基準を決めた第五条三号で使っているのです。この言葉を使えばいいじゃないですか。
  189. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 先ほども読み上げましたように、LPGにおける許可要件の一つといたしまして、法文上は「その事業を適確に遂行するに足りる経理的基礎及び技術的能力」という表現をとっておるだけでございまして、私がたとえば契約書の写しと申し上げましたのは、事実上の問題としてさようなことをチェックしておる、こういうふうに申し上げたわけでございます。
  190. 米原昶

    ○米原委員 普通「継続的に行うに足りる経理的基礎」こう言いますと、安定した経営力を持っていることと理解するのが常識です。したがって、将来政府の運用次第で、元売にとって優良な販売業者に集約して、小さい零細業者を切り捨てることにもなりかねません。この意味でも、第六号の条文は削除すべきだと思うのです。こういうあいまいな書き方よりも、むしろ削除した方がよろしい、こう考えます。
  191. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律の第五条、許可基準の中の第三号に「その事業を適確に遂行するに足りる経理的基礎及び技術的能力を有するものであること。」という、実定法上かような規定がございますので、御意見でございますが、これと同じような表現をとったということでございます。
  192. 米原昶

    ○米原委員 ガソリン販売業は、従来から政府ガソリンスタンド建設調整行政指導してきたように、乱設ぎみだと言われております。この点からも、政府がこの条文を口実に一部の販売業者の切り捨てを図るということが絶対にないという保証は何もありません。私たち消費者利益と中小業者の営業を守る立場から、私たちの修正案を各党に渡して後の検討を願っておりますが、その中で、第六条第一項六号を削除するということにしております。最後に、大臣から再度この点についてお考えを伺って、私の質問を終わります。
  193. 河本敏夫

    河本国務大臣 たびたび長官から御説明をいたしましたように、私どもは原案でお願いをしたいと考えております。
  194. 近藤鉄雄

    ○近藤委員長代理 松尾信人君。
  195. 松尾信人

    ○松尾委員 この揮発油販売業法案でありますけれども、この質疑に入ります前に、ちょっと大臣一つ二つの問題で確認しておきたいと思います。  まず一つは、この石油業界の設備投資が近く一部凍結解除になるという見通しだ、こういう報道があるわけでありますけれども、この点はどうでしょうか。
  196. 河本敏夫

    河本国務大臣 三年前にオイルショックが起こりましてから、当時すでに許可を出しておりました石油精製設備、あるいはまた石油審議会から推薦を受けておりました石油精製設備の計画、こういうものを全部凍結をしておったことは御案内のとおりでございます。しかし、ようやくオイルショックもおさまりまして、経済も軌道に乗り始めまして安定成長が今後期待される、こういう状態になりましたので、今後数年間における石油事情等を勘案いたしまして、ただいま御指摘の問題につきましてはいかにすべきかということについて目下検討中でございます。
  197. 松尾信人

    ○松尾委員 目下検討中だということは、大体そのような報道を確認されたと思います。しかし、考えていかなければなりませんのは、現在石油精製の稼働率がどのくらいあるのか。なおこれはフルに稼働していない。これは長官から、何%ぐらいいま石油精製の稼働率があるかということをお答え願いたい。  そうしますと、七五%程度というような報道があるわけでありますけれども、仮にそれが事実とすれば、また近く石油審議会が開かれていろいろ答申が出る、大臣もそういうものによって決定するということになりますると、この過剰設備の上にまた上積みになるというような問題が起こってくるわけでございます。それが一つ。  それから、たびたび私はここで質問するわけでありますけれども、精製設備等を一生懸命になってふやしていくよりも、やはり一番大事なのは、あの石油ショックのときに非常に苦しんだ、そして骨身にこたえて、消費を節約していこう、これで通産省も一生懸命になってやってきていますよ。私もここで質問しました。そういうことが近ごろはなおざりになっておるのじゃなかろうか。むしろあなた方がしっかりやっていくべきことは、この消費の節約という面であらゆるものを動員して、そしてそれに励む、これは本筋であって、稼働率の点はお答え願っていくわけでありますけれども、そういうところでよく反省していきませんと、間違った方向に進むおそれがある。これをあわせてお答え願いたい。
  198. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 石油精製設備の現在の稼働率は約七〇%強でございます。現在能力としましては五百九十万バレルございますので、凍結されておる百四十五万バレルにつきまして、現在、先ほど大臣がお答えいたしましたように、慎重に検討いたしておる、こういう段階でございます。これは今後の需給動向、あるいは稼働率の向上といったようなことも頭に入れて検討いたしておる、こういう段階でございます。  それから、オイルショック当時の経験を踏まえて、やはり対処すべきものは十分措置すべきであるという御指摘でございます。ただいま御指摘の消費の節約、あるいはエネルギーの効率的使用といったようなことも非常に大切だと思います。反面、備蓄の増強あるいは自主開発原油の確保ということもきわめて重要な課題でございますので、その方向に即して現在鋭意努力をいたしておる段階でございます。
  199. 松尾信人

    ○松尾委員 ひとつしっかりこの問題は対処していただきたい。  それから、大臣のお答えがありまして、灯油の値段を上げない、こういうお答えの翌日に、通産省の調べで非常に上がっておるということで、あわててこの九月の値で凍結を通産省業界に要請した、こういう経緯と思うのでありますけれども、これはがっちりひとつ抑えていくかどうか。この通達だけできちっといきます、こういう確信のある答えを、これは大臣から聞いておきたいと思います。
  200. 河本敏夫

    河本国務大臣 石油業界経営も、この春から比べますと非常によくなったと思います。まだ完全に立ち直ったとは言い切れないかもわかりません。しかし、大勢としては相当な余力ができたと思います。そういうやさきのことでございますから、これからの灯油価格の問題につきましては、九月末の元売価格を基礎といたしまして凍結をするように指導をしていくつもりでございます。その趣旨の通達を一両日中に出す予定をいたしております。  それからなお、御案内のように、石油業界には若干流動的な問題が残っております。たとえば十二月のカタールのOPECの総会の値上げ問題とか、あるいはまた今後の為替レートの動向、こういう幾つかの流動的な問題が残っておりますが、こういう諸問題の動向を見きわめました上で、なお余力あり、かように判断をいたしましたときには、さらに値上げを指導していく、こういう二段構えの方針を持って指導しようと考えております。
  201. 松尾信人

    ○松尾委員 この石油業界でございますけれども、いま大臣からも触れられました為替差益の問題と、それから彼らのいろいろの値上げの動きを、ただいま国民が非常に注視をしておるところでございます。そして、ここはかつて諸悪の根源であると指摘もされた業界でありますし、たびたび独禁法違反の事実もございます。このような問題の多い、そして行政指導というものがしょっちゅう通産省によってなされておるという問題の業界、疑惑の多い業界、特にそういうことをたびたびやって実績のある法律違反の業界、こういう業界から政治献金というものがなされてはいけない、こう思います。  かつて私はこの問題について前通産大臣にも質問いたしましたら、それは電力値上げの問題でありましたけれども、慎んでまいりますという明快なお答えがありました。新しい大臣になって、政治資金の問題を取り上げて聞くのは私は初めてでありますけれども、この石油業界というものからは、今後ともにいろいろの問題がございますので、そうして現在問題をいっぱい抱えておって国民がいろいろ見ておる、そういう中から、一切これはもうもらわないという態度をはっきりとおとりになるように、心から私はそれを勧めるわけでありますけれども大臣の考えを聞いておきます。
  202. 河本敏夫

    河本国務大臣 この問題につきましては私は直接お答えする立場にはありませんが、ただしかし、石油業界は先般の法律の改正によりまして利子補給等を国から受けるということになっておりますので、その面で当然幾つかの制約があろうかと思います。従前のように自由に仕事をしておったという時代と、国からめんどうを見てもらって利子補給を受けておるという時代とは、当然立場は異なっておるわけでございますから、やはりそれぞれ従わなければならぬ規則というものもあるのではなかろうかと思います。そういう意味から、私は当然自粛しなければならぬと思います。
  203. 松尾信人

    ○松尾委員 結局業界が、電力業界でも一緒でありますけれども政治献金をするということは、それは全部料金になって、または価格になってはね返ってくるわけであります。その負担者というものはとどのつまりは国民である、消費者である、この一語に尽きると私は思いますので、特にこの問題の業界は自粛をするということを堅持していただきたいのであります。  法案の問題に移ります。  ガソリンスタンドのいろいろの問題ですけれども、従来からあなたの方はこれを距離制限ということによりまして行政指導で制限されてきたわけでありますが、これが、薬事法の違憲判決が出ております。それで、いままでの距離制限のような行政指導というものの根拠が怪しくなってしまった。だから、疑えば、今回このような法案を出しまして、そして行政指導ではなくて法案による裏づけというものによって規制していこう、このような考えがあるに違いないと私は思うのでありますけれども、いかがですか、長官
  204. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 薬事法による薬局の距離制限につきまして、最高裁判決が出たということは承知いたしております。しかし、ただいま御指摘のような形で本法案を考えたわけでございませんで、やはり従来からやってきておる行政指導というものには限界があるということと、それから新しい問題といたしまして、粗悪ガソリンと申しますか、不良ガソリンの排除、品質確保の問題が出てきておるといったようなところから、本法案を準備して御審議をいただいておるわけでございます。
  205. 松尾信人

    ○松尾委員 問題をいまから提起してまいりますけれども行政指導限界があるという問題、または不良ガソリン等の問題で、政府法案を整えてやっていこうとすることが本当に妥当であるかどうか、これをいまから質疑してまいります。  ちょっと問題はそれるようでありますけれども、これは公取に聞きますが、石油協同組合とか石油商業組合がいろいろ公正取引委員会にやみカルテル行為で摘発されておる。それで、あなたの方で大体どのようなことでどのような件数があるか、お答え願いたい。
  206. 澤田悌

    ○澤田政府委員 ここ数年来の各地の石油商業組合に対します年度別の勧告の件数を申し上げますと、四十六年度が七件ございます。府県別に申しますと、北海道が二件、東京が二件、新潟、福岡、大分各県がそれぞれ一つ。それから四十七年度に二件ございまして、宮城県と山梨県の各一件。それから四十八年度は若干多うございまして、十五件勧告をいたしております。熊本が二件、あとは北海道、青森、岩手等一件ずつの府県でございます。それから四十九年度はございませんでしたが、五十年度と五十一年度九月まで、それぞれ北海道におきまして一件ずつございます。これらは皆勧告を応諾いたしまして、問題は解決いたしております。
  207. 松尾信人

    ○松尾委員 やはりいろいろ事件を起こしておるわけですね。ですから、それにも関連するわけでありますけれども、この法案で非常に納得できがたいのは、六条一項の六号でございます、「揮発油販売業を継続的に行うに足りる経理的基礎を有しない者」、これは既存業者の中にこういう者がありますか。
  208. 古田徳昌

    古田政府委員 現在、ガソリンスタンドにつきましては、先生御承知のとおり、石油業法による届け出を受けているだけでございまして、詳細が判明いたしませんが、まずほとんどないものと考えます。
  209. 松尾信人

    ○松尾委員 そうだと思います。そうしますと、今後新たにスタンド経営する者の中にこの条項に該当する者が出てくる、このように考えておるわけですか。
  210. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 必ず出てくるといったような感触で置いてあるわけではございませんで、やはり安定供給ということが一つの大きなねらいでもございますので、安定供給支障を来すようなものであってはならない、こういう立場でございます。
  211. 松尾信人

    ○松尾委員 過去にもそういうものはないのだ、今後も出てくるとはわからぬ、予測はできない、ただこれは安定供給というような立場から頭の中でつくった条文である、こう言えるわけです。過去にもない、今後起こってくるかどうかそれはわからないというようなことで法文をつくる、まことに非現実的な物の考え方でありましょう。まことに不自然であります。だから、私は疑うのでありますけれども、結局は、この六条一項六号のような規定では、無印スタンドの排除をねらっておるものである、私はこう定義づけるのでありますけれども、いかがでありますか。
  212. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 私たちといたしましては、無印だからということで排除する気持は毛頭ございません。     〔近藤委員長代理退席、委員長着席〕 先ほど申し上げましたように、安定供給のための安定仕入れが可能であるかどうかという観点に立ってチェックするわけでございまして、たとえ無印であっても、ということは特定の一社でなくとも複数の卸売あるいは特約店等から購入する場合にも、それが安定的なものとみなされる限り、当然登録の対象とすべきだと考えております。
  213. 松尾信人

    ○松尾委員 そうしますと、ただ安定供給安定供給と言いますけれども、このことをやったから安定供給ができる、このようなことはどこにも保証はありませんし、もう関係ないと思います。六条一項六号はまことに不要の規定である、こう私は思います。でありますから、これは削除すべきである。これは当然のこととわれわれは思うのでございます。  時間の都合で小さなことは省いてまいりますけれども、この六条二項の問題であります。指定地区の指定、その要件としましては、過当競争である、それから当該地区のスタンド経営が著しく不安定となっている、この二つの条件が必要でありますが、この過当競争、それからまた経営の不安定、この二つの判定をだれが納得できるようにできるのかという問題。この判断が甘ければ公正な自由競争を阻害しましょう。そして、結果的には既得権益の保護になりかねない。この二つの判断をする場合、その根拠を明確にお示し願いたい。いかがですか。
  214. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 指定地区の要件は、いまお話しになりましたような二つの実質的要件から判断するわけでございますが、その公正を期するために、本法では、石油審議会意見を聞いてやるということと、それから期間を付してやる、この二点で公正さを期したいと思います。  期間を課するのは、やはりその間における事情の進展もございましょうし、あるいはその指定地域の中におる事業者がそれだけの企業努力をやって、そういう調整を必要としないようなところまでの努力も必要であろうか、こういう観点からさように考えておるわけでございます。
  215. 松尾信人

    ○松尾委員 この二つの条件は、一面では密接な関係があるわけですね。結局はこの過当競争だとか経営の不安定はどういう方法で立証していくのかということは、非常に問題点が多くて、審議会なんかで決められて、あなたたちがうのみにしていったりするようなことが仮にあったら、これは大変なことであります。これはよくよく心していかなければならない条項であります。  長官先ほどからスタンドは五万三千とかなんとか言っておられますけれども、この経営内容がどうかということ、それから欠損企業というものがどのくらいあるかということでありますが、いかがですか。
  216. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 揮発油の販売業者というのは、先生御承知のとおり、非常に数が多くて、その九三%まで中小企業であるということから、本来的に過当競争の潜在性を持っておるわけでございますが、また現実にも地域によって激しい過当競争が行われておるという状況でございます。そういったところから、一般的に揮発油販売業者というのは相当苦しい状況にあるわけでございますが、昭和四十九年におきますところの売上高対営業利益率を一般の小売業と比較いたしますと、一般の小売業が四・二%でございますが、それに対しまして石油製品の販売業の方は二・八%というかなり低い水準になっております。  それから、欠損企業につきましては、これは東京総合計算センターというところで五十年度について五百五十八社を対象にいたしまして調査いたしておりますが、それによりますと、欠損企業は約四分の一に当たる百四十二社でございまして、これら欠損企業だけの売上高対営業利益率を見ますとマイナスの〇・八七%。御参考までに、五百五十八社全体の平均はプラスの一・九%というのがその調査結果でございます。
  217. 松尾信人

    ○松尾委員 次に、このスタンドの倒産実績でありますけれども過当競争というものによって倒産したものがどのくらいあるか、おわかりですか。  それからもう一つ、あわせて聞いておきますけれども、この過当競争地域ですね、指定区域でのガソリンスタンド経営状況は、他の地域と比較してどう違うか、この二点、お答え願いたい。
  218. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 ことしの一月から七月まで、廃業届が出ておる数が九百三十七企業でございます。廃業理由はいろいろでございますが、その中で、営業不振と答えておるものが四十九社、全体の五・二%でございます。  それから、過当競争の具体例でございますが、たとえば東京周辺だけで見ますと、半径一キロメートルの中に二十三カ所のスタンドが乱立している千葉県、あるいは国道十七号線の高崎バイパスの約十キロメートルの間に四十一カ所が林立しているといったような例が見られます。高崎バイパスに立地する平均的なスタンドの昨年、昭和五十年度における売上高対営業利益率はマイナス三・九%でございまして、一般地区のプラス二・一%に比べましてかなり大きな隔たりがあるというのが実情でございます。
  219. 松尾信人

    ○松尾委員 次に移りますけれども、この過当競争による経営の不安定を回復する方法の一つとして設備の縮小ということが挙げられておりますけれども、これは何を縮小させるのですか。大体ガソリンスタンドというものの設備はどこも決まっておるのじゃないのですか。特別に大きいとか小さいとかいうのがあるのですか。何を一体縮小させようとするのか。それから、なおここで私、問題に思うのでありますけれども、どの程度縮小させれば過当競争の回避になるのか。ガソリンスタンドの収益というものは設備の大小によるのじゃないと思います。お客さんがたくさん来るか来ぬかということは、設備が大きいから来る、設備が小さいから来ないという問題ではないでしょう。結局、値段とサービスというものがその店の一つの特徴というものを示しまして、客が寄ってきたり離れたりするという関係と私は思うのでありますが、何を一体縮小させるのですか。
  220. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 大臣指示の中で、設備縮小の場合どういうふうにやるのかというお尋ねでございますが、いま考えておりますのは、固定式の給油所から可搬式の給油所へ縮小させる。固定式の場合は大体十キロリットルのタンク二基というのが通常のケースでございますが、可搬式にいたしますと約六百リットル程度のタンクが一基でいいということでございますので、手段、方法としてはそういった固定式のものでの申請を可搬式にしたらどうだろうか、かように考えておるわけでございます。  それから、設備の大小によるわけじゃないという御指摘、これもごもっともでございますが、ただ設備の能力と申しますか、それによって乱設による結果としての過当競争の大きな原因を形成しているということもやはり否定できないのじゃなかろうかと思いますので、指示の内容といたしまして、事業開始日の繰り下げとあわせまして設備の縮小ということを考えておるわけでございます。
  221. 松尾信人

    ○松尾委員 商売をやって余りもうけもないような大きな施設を申請するような者はいないと思いますけれども、一応あなたのそのようなお答えを私は承っておきましょう。  結局、設備の縮小という点については可搬式にするとかということでありまして、さほど大きな効果というものは特別に期待できがたいとすれば、営業開始日の繰り下げということに非常にウエートがかかってくると思うのであります。これは法案から言えば無期限にできるわけでありますけれども、ケース・バイ・ケースでしょうね。しかし、その中で短いもの、長いものというものがあると思うのですけれども、こういうことをどういう認定で決めるのですか。
  222. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 事業開始の日の繰り下げにつきましては、当然のことでございますが期間を定めて行う必要があろうかと思います。ただ、その期間の長さにつきましては法律上明示的な規定をいたしてはおりませんが、指定地区を指定するに当たりましてはその指定期間を設定することにいたしておりますので、少なくともその指定期間を超えることはできないわけでございます。また、これは例示的でございますが、五年とか十年とかいったような長期の期間というものも、これは問題にならないと思います。したがいまして、これも基準というのはケースによって違うわけで、なかなか明確に申し上げづらいわけでございますが、たとえば高速道路の建設工事が始まっておる、あるいは始まる予定であって、それがいつごろになったら完成するだろうというような場合には、それだけ自動車の走行台数もふえてまいるわけでございますから、そういったことも一つのめどにしたらどうだろうかと思っておるわけでございます。
  223. 松尾信人

    ○松尾委員 実際問題を考えるのでありますけれども、この登録申請はどういう状態になったときにするかということであります。建設の計画を立てたときに出すのか、または建築の許可も消防法の認可等もとってからするのか、いつごろそれを出すのか。そして、この申請開始の時期から登録受理、審査、営業開始、こういうプロセスがあるわけでありますけれども、これは実務上よくわかるように御説明願わないといかぬと思うのでありますが、こういう点はどうですか。
  224. 古田徳昌

    古田政府委員 この法律案に基づきますと、登録の申請は揮発油販売業を開始する前に行うことが必要になってくるわけでございます。したがいまして、販売業の開始の準備が先生のおっしゃいますように相当進んだ段階で申請がなされました場合には、ケースによっては御指摘のような問題が生ずるというふうなおそれもございますので、私どもとしましても、この法律が制定された場合には十分その趣旨を説明、普及し、そのような事態が生じないように万全の準備をいたしたいと思っております。
  225. 松尾信人

    ○松尾委員 はっきりしない点がたくさんある、われわれも万全の準備を整える、こういうわけでありますけれども、申請する方としてはやはり明確な基準とかというものがなければ困るわけであります。結局ごちゃごちゃやられて、スタンド経営を断念せざるを得ないというようなおそれがたくさん出てくるのじゃないのですか。そういう心配は要りませんか。
  226. 古田徳昌

    古田政府委員 そのようなおそれが生じないように、私どもとしても十分な準備をしたいと思っております。
  227. 松尾信人

    ○松尾委員 いまはそのくらいの答えしかできないわけでありまして、新規参入しようという人はこれは非常に困ることであります。そして、実質的には新規参入というものが厳しくなる、阻まれる、そしていつまでも引き延ばされる、開始ができない、こういうようなことになりますと、これは非常にやりづらい法案になってまいります。でありますから、過当競争であるからという理由でいろいろ規制するということは問題がたくさんあって、無理なことがいっぱいあるということを私はここで指摘しておきたいのであります。  それから、結局一部地域にガソリンスタンドが偏在しておる。乱立する。それで業者間に過当競争が起こっている。その結果で一部業者経営不安定となる、そういうことはわかるわけでありますけれども、しかしそこにガソリンスタンドの建設を規制する、それが具体的には登録の拒否というものにつながる場合もあるというところが、どうしてもその必要性と合理性というものが一体全体どこにあるのかと疑問に思うわけでありますけれども、その点をお答え願いたいのであります。
  228. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 この法律の直接的ねらいといたしておりますところはガソリン安定供給品質確保という点にあるわけでございまして、これを担保いたしますために登録制その他必要最小限規制措置をここに規定いたしておるわけでございまして、一言で申し上げれば、この法律を動かしていく第一段階ということになろうかと思います。
  229. 松尾信人

    ○松尾委員 長官安定供給ということをたびたび答えておられる。非常に重要視しておられることはわかりますけれども、この安定供給という問題、こういう地域においてそのように建設を規制していくということがどのくらい安定供給に影響があるかということを考えますと、私はこういうことによってガソリン販売業界の中におけるガソリン安定供給が大きく阻害されるとは思いません。むしろそういうことよりも問題として取り上げられると思いますのは、営業の自由というものがあるわけであります。新規参入が非常に苦しい、妨げられる。それは安定供給の大目的があるからだと言われますけれども、その安定供給を阻害するという要素がどのくらい出てくるかということは非常に疑問がある、繰り返しこれは言うわけでありますけれども。そして、公正かつ自由な競争というものをこの法律の規定によって阻害していくのじゃないか。これは結局、一条の目的では消費者の利益をうたいながら、逆に一般消費者の利益というものを阻害する結果を招来するだろう、こう思うのでありますけれども、いかがですか。
  230. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 やはり安定供給ということ、あるいは品質確保ということ、そのこと自体消費者の利益につながるものだと思います。仮に放置いたしまして、スタンドが乱立した。その結果、経営が不安定になってくる。そのための悪あがきと言うと語弊があるかもしれませんが、品質の悪いガソリンを、たとえば灯油を混入したような阻悪ガソリンを供給するというようなことになりますと、むしろ非常に大きな消費者の利益侵害になる原因をつくることにもなりますので、お言葉ではございますが、やはり本法の目的といたしておりますところのガソリン安定供給あるいは品質確保という点は、直に消費者の利益につながっていくものであるというふうにわれわれは考えておるわけでございます。
  231. 松尾信人

    ○松尾委員 品質の問題はいまから論じます。これは大事な点でありますから、これはあなたのお答えをそのまま私は認めます。しかし、この安定供給という点でこの規定はまことにおかしいということを指摘をするにとどめておきましょう。  これはあなたの方の調査でありますけれども、あなたはどういうガソリンスタンドを利用しておりますか、どういうわけでそこを使いますかということを調べていらっしゃるところによりますと、近くにあるからだというのが三〇・二%、従来からの取引関係があるというのが三六・九%、これを両方合わせて六七・一%、それからよその店に比べて安いというのが一三・八%しかないわけであります。結局安売りによる影響というものは、あなたたちが神経を立てるほど心配するには足りない。また、他面、この安売りというものをながめてみますと、これはいろいろの理由でそこでは安くなっておるわけでありまして、これを目のかたきにする必要は全然ない、このように思うわけであります。  これはあなたの方の答えはもう時間がないから省略して、次に進みますけれども、どの店で買っても同じだという回答は七二・二%もあるわけであります。結局スタンドの利用者の意識からしますれば、安売りというのをねらってそこへどんどん行くというような意識は少ないわけであります。でありますから、過当競争云々というのはむしろ既存業者の被害妄想的な意識によるものじゃなかろうか、このようにあなたの方の実態調査から判断するわけであります。これは私は指摘するにとどめておきます。  いよいよ問題の十九条でございますけれども、この「標準的な販売価格と著しく異なる価格」、これで標準的価格とは一体何か、その計算式は何か、また「異なる価格」とは安い方か高い方か、どちらを想定しておられるのですか。
  232. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 著しく異なる場合というのは、著しく高い場合と低い場合の両方がございます。  それから、標準的価格と申しますのは、一律に全国的にこうである、特に著しく低い場合には全国的にこうであるということでございませんで、いわゆる指定地域内における価格がどうなっておるか、その時点におきまして需給状況等を勘案いたしまして、別途その都度算定することになるだろうと思います。
  233. 松尾信人

    ○松尾委員 高い方もあろう、安い方もある、こういうお答えでありますけれども、実際問題としまして、高い方というのは現実的に想像できません。よそよりも高ければ売れないわけであります。そのようなスタンドは当然消費者からちゃんと排撃されていって、自然淘汰されていくべきものでありましょう。ですから、結局この十九条が想定しておるのは、そして実効を上げようとしておるのは安売り防止じゃないのか、このように思うのですけれども、実際問題としてもそうでありましょう、いかがでありますか。
  234. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 一般的にはおっしゃるようなところも多かろうかと思います。ただ、地域によりましてはあるいは季節によりまして著しく高くなる場合があるわけでございまして、石油審議会の流通小委員会で検討いたしておる段階におきましても、消費者代表の方から、そういった著しく高いときに引き下げ勧告ができるような規定を置いてもらいたいといったような強い御意見もあったわけでございます。
  235. 松尾信人

    ○松尾委員 先ほどのお答えの中で、著しく異なる価格の安い価格という方でありますけれども、これはいろいろ段階があると思うのですね。二、三円から七円、十円あるいはそれ以上、いろいろのものがあると思います。これは実態を調べればわかるわけでありまして、いろいろございます。ですから、この安売りの問題でございますけれども、これは現金で仕入れる、現金で販売する、または車を洗ってやる、窓をきれいにしてあげるというサービスをするところと、サービスをしないところがあります。それで、うちはサービス抜きの値段だけで競争しよう、これは一つの商売のあり方でありまして、その店の経営方針によっていろいろ、現金仕入れしたからあとは現金販売しているのだ、それで今度は車を洗ってやる、人件費はこちらで持ちましょう、いろいろ商売でこういうことをやっていくのでありまして、五円違ったから十円違ったからというようなお金の計算だけでこの問題は判定できぬのじゃないか、それはあたりまえじゃないか、商売する以上は、当然このような値段の差はあってもいいじゃないか。それをあなたの方は、どういうところまでいけばこれをだめだという判定を下すわけですか。
  236. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 著しいという程度をいわゆるパーセンテージ等で申し上げることは非常に困難でございます。それはその時点における石油需給あるいは価格水準といったものを勘案しながら検討しなければいけないと思いますが、ただいま御指摘のサービス等によりまして顧客を誘引している、あるいは現金売りよりも掛け売りを有利にしておるということ、これは一つには長期継続的な取引先を持ちたいというスタンド企業努力の結果でもございますので、そういった場合の値段の安いというケースは十九条で対象としては考えてはおりません。
  237. 松尾信人

    ○松尾委員 そうしますと、いまの答えはまことにいい答えであります。商売のやり方がそれぞれ違う。それでまずかったからうまくいかぬ、非常によかったから消費者が喜んでついてくる、こういうことでありまして、そういうことの結果は何もこの十九条で考えていないとおっしゃいますけれども、それは単純に私はそうかと思ってしまうわけにはまいりません。結局、そういうものが安売りしている、それで、あそこはこういうことをやっているとかいろいろなことを言って、あなたの方では十九条のそれを適用していくおそれが十分あるわけでありますから、あなたが、このような商売の常道の行き方は当然そういう価格差があってもしかるべきである、一体全体それ以外に、その安売りをあなたたちがそれは困るという程度にするというのは、どういうわけがあるのですか。
  238. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 御指摘の十九条の問題でございますが、この著しく低い場合の勧告による是正は、やはり指定地域内に限られておることです。それから、相当部分の事業の継続が困難になる、そういった場合において特に必要がある場合と、きわめて条件はシビアにしておるわけでございます。この間、公取ともよく事務連絡をとりながら遺憾なきを期したいと思います。  かたがた、いま一つは、十九条の後段にございますように、一般のガソリンスタンドに対する勧告だけで十分改善されない場合には、元売あるいは特約店にまで改善のための勧告をかけることをいたしております。これは一つには、いわゆる押し込み販売等の話は耳にいたしておるわけでございますが、現実にだれがどの程度の価格で、どの程度の量をだれに押し込み販売をしておるかといったようなことになると、なかなか挙証性が現在のところないわけでございます。そういった場合に、まずここを第一段の手がかりといたしまして、元売業者あるいは特約店に対しても勧告によりましてそれを是正したい、こういうねらいもあるわけでございます。
  239. 松尾信人

    ○松尾委員 実際の販売価格というものはいろいろあるわけですよ。ですから、何を私が言わんとするかと言えば、結局ここは明確にしておかなくちゃできない。価格介入になっては相ならぬということが一つ。それから、結果的には既存のガソリンスタンド業者が高値安定というようなかっこうで温存されていく、それを政府の手で、法律の手でかばっていくようなかっこうになる、そのおそれが十分ある、これを私は指摘しておくにとどめておきましょう。  ただ、実際問題としまして、あなたの方で、安い価格で販売しておることについて、どういう手段でこれを把握するのですか。
  240. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 本省及び地方の通産局の職員をもって実態を把握させます。
  241. 松尾信人

    ○松尾委員 時間が大分迫ってまいりますのでこれでとめますけれども、この安売りの原因であります。その中で業転玉、これはどういういきさつでこのようなものが出てきたか、現在その実態はどうか、この点をひとつ時間がありませんから簡略に、わかりやすく説明してください。
  242. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 ガソリンはその他の石油製品に比べますとかなり採算性がいい製品ということになっております。そういったところから、各社ともにガソリンへの依存度と申しますか、これの生産あるいは販売のシェアを高めようとする動きが現実としてあるわけでございまして、そうした結果が往々にして供給過剰になる。それを押し込み販売あるいは業転玉といったような形で安値で供給するというのが原因ではなかろうかと思います。
  243. 松尾信人

    ○松尾委員 結局供給過剰になる、それを安く売る、これはだれが悪いかと言えば、やはりもとは売る方があるから買うのであって、両方悪いと言えばそうでありますけれども、やはりもともとこれは売る方が悪い。売る者がいなければ買えないわけです。これははっきりしていますね。だから、これは流通段階、特に元売の需給関係の中にメスを入れるべき問題であって、こういうところで安売りだ、安売りだ、その元凶というものは業転玉だ、これが一つの大きな主因である、こう見るならば、売る方、そういうものを出す方、それをとめるという方向に行くべきであって、十九条で取り上げるのは全くこれは筋違いである、こう思うのでありますが、いかがですか。
  244. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 御指摘の点も確かにそういう面があろうかと思います。これに対する対策といたしましては、石油業法に基づく供給計画を適正に運用してまいりたいということと、やはり元売が数多く、かつは過当競争を展開しておるということでもございますので、元売の販売段階における体制問題構造問題に対する対処も必要かと思います。前国会成立いたしました石油公団法、あるいは開発銀行等を通じて政府といたしましても側面からこれを支援する、本法案と両々相まって体制整備を進めていきたいと思っております。
  245. 松尾信人

    ○松尾委員 筋違いの方向でやられないように、やはりもとを押さえるというかっこうで、これは当然いまお答えのとおりしっかりやっていけば問題が解決すると思います。  それから、品質管理の問題、大事なことでありますが、これは税の保全の関係で税務署等がいろいろ調査した結果がございましょう。粗悪ガソリンの販売、これは脱税関係につながっておる。これもまた簡単な御説明をひとつ願うということと、分析機器の問題でありますけれども、これはだれに持たせるのかということ、それからすべてのスタンドに持たせるのか、こういう問題が一つ。また、これはお金がどれくらいかかるのかということと、苦しい、余りもうかっていない業界で、また大きなお金を使ってこういう機器を設けてやるということは、品質管理上はいいでありましょうけれども業界はますます苦しむような結果になりますので、何か負担を軽減するというような委託検査の問題と、あわせて一括してお答え願いたい。
  246. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 現在分析設備として考えておりますのは蒸留装置あるいはガスクロマトグラフィーでございまして、これは一台当たり大体三十ないし五十万円程度ということでございます。  それで、御指摘のように、必ずしも個別のスタンドが持つ必要はございませんで、常時使用し得る体制にございます場合には、事業者ごとあるいは地区ごとに共同利用ということもよろしいかと思います。  それから、三十万ないし五十万の資金につきましては、現在、ガソリン販売業界は昨年の中小企業近代化促進法の指定業種になっておりまして、その近代化計画を策定中でございますが、その中で対象指定機械といたしたいという方向で検討いたしております。その場合には政府関係金融機関からの融資も実現する、こういうことでございます。
  247. 沢口成利

    ○沢口説明員 ガソリンスタンドに限って申し上げますと、最近五年間の混和密造が三十件で、BTX類の混和が十二件、灯油が十八件、計三十件ということになっております。  それから、追徴税額が一億五千万程度となっております。
  248. 松尾信人

    ○松尾委員 これで終わります。
  249. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 次回は、来る十九日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十三分散会