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1976-10-08 第78回国会 衆議院 商工委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月六日(水曜日)委員長の指名で、 次のとおり小委員及び小委員長を選任した。  エネルギー・鉱物資源問題小委員       小川 平二君    越智 通雄君       海部 俊樹君    木部 佳昭君       近藤 鉄雄君    塩川正十郎君       島村 一郎君    田中 榮一君       林  義郎君    深谷 隆司君       綿貫 民輔君    板川 正吾君       加藤 清二君    勝澤 芳雄君       上坂  昇君    渡辺 三郎君       野間 友一君    米原  昶君       松尾 信人君    玉置 一徳君  エネルギー・鉱物資源問題小委員長                 綿貫 民輔君  流通問題小委員       粕谷  茂君    栗原 祐幸君       田中 榮一君    竹下  登君       中村 寅太君    萩原 幸雄君       八田 貞義君    前田治一郎君       松永  光君    武藤 嘉文君       岡田 哲児君    加藤 清政君       佐野  進君    竹村 幸雄君       中村 重光君    神崎 敏雄君       野間 友一君    近江巳記夫君       宮田 早苗君    小林 正巳君  流通問題小委員長       松永  光君 ————————————————————— 昭和五十一年十月八日(金曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員   委員長 稻村佐近四郎君    理事 近藤 鉄雄君 理事 松永  光君    理事 武藤 嘉文君 理事 綿貫 民輔君    理事 上坂  昇君 理事 佐野  進君    理事 神崎 敏雄君       栗原 祐幸君    八田 貞義君       深谷 隆司君    板川 正吾君       加藤 清政君    加藤 清二君       竹村 幸雄君    渡辺 三郎君       野間 友一君    近江巳記夫君       松尾 信人君    玉置 一徳君       宮田 早苗君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     澤田  悌君         公正取引委員会         事務局経済部長 吉野 秀雄君         公正取引委員会         事務局取引部長 後藤 英輔君         公正取引委員会         事務局審査部長 野上 正人君         経済企画政務次         官       西銘 順治君         経済企画庁調整         局長      青木 慎三君         経済企画庁物価         局長      喜多村治雄君         経済企画庁総合         計画局長    宮崎  勇君         経済企画庁調査         局長      岩田 幸基君         通商産業政務次         官       山下 徳夫君         通商産業省通商         政策局長    矢野俊比古君         通商産業省貿易         局長      森山 信吾君         通商産業省産業         政策局長    濃野  滋君         通商産業省基礎         産業局長    天谷 直弘君         資源エネルギー         庁長官     橋本 利一君         資源エネルギー         庁石油部長   古田 徳昌君         資源エネルギー         庁公益事業部長 服部 典徳君         中小企業庁長官 岸田 文武君         中小企業庁計画         部長      児玉 清隆君  委員外出席者         科学技術庁原子         力安全局原子炉         規制課長    松田  泰君         大蔵省主税局総         務課長     梅澤 節男君         通商産業大臣官         房審議官    織田 季明君         通商産業省基礎         産業局化学製品         課長      平河喜美男君         資源エネルギー         庁公益事業部業         務課長     篠島 義明君         日本電信電話公         社建設局長   山口 開生君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 十月七日  合成洗剤の製造・販売・使用禁止等に関する請  願(大橋敏雄君紹介)(第四五八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐野進君。
  3. 佐野進

    佐野(進)委員 きょうは今国会における最初一般質問だということで、福田経済企画庁長官河本通産大臣澤田公正取引委員長御三方に質問しようと思って準備をしてまいりましたところ、特に経済動向あるいはまた物価問題等について質問しようとした福田経済企画庁長官が発病のため欠席ということなので、質問する立場としては大変残念ですが、この質問については後日に譲らざるを得なくなりました。  体が悪いのを無理して出てこいとも言えませんけれども、きょう委員会があるということでそれぞれ準備をしている立場に立つ者のことも考えて、将来の問題として、やはり開会劈頭国会における商工委員会最初質問戦には、ひとつ十分健康に配慮してぜひ出てもらうよう、委員長からも大臣に強く要請をしておいてもらいたい。さもなければ委員会の権威が問われるということにならざるを得ないと思うので、この点、委員長に強く要望して質問に入りたいと思います。したがって、全般的問題についての経済企画庁長官に対する質問については遺憾ながら割愛せざるを得ないわけでありますが、経済企画庁長官質問しなければならなかったこととの関連の中から通産大臣質問をしてみたいと思うわけであります。  過日の所信表明の中で、通産大臣は、今日の情勢の中で景気動向については比較的順調に推移している、総じて明るさが見え始めてきておるという形の中で、その所信の冒頭において見解を表明いたしておるわけでありまするが、去年、ことし、いわゆる景気回復がどの程度進行しているかという目安については、操業度といいまするか、国民総所得の中におけるところのいわゆる六%程度安定成長下における企業操業率がどの程度回復したならば景気回復したという言葉をもって言い得るのだ、こういうことを福田さんはたびたび言明いたしております。そういうふうな経過の中で、通産大臣はこの点についてはそれほど強く指摘はいたしておりませんけれども、それに関連した指摘があったわけでありまするが、鉱工業生産問題等いろいろここにお述べになっておられるわけでございますので、この際、企業全体の操業率というものがどの程度回復し、その回復した結果として明るさが見えている——跛行性はあるとしても明るさが見えている、そう感じておるという見解でございますので、この点を明らかにしていただきたい。もし大臣がいますぐここでの質問ではちょっと無理だということであれば、関係者の方から説明があっても結構であります。
  4. 河本敏夫

    河本国務大臣 三年前にオイルショックのために日本経済は大混乱に陥ったわけでありますが、その悪い影響が一番強く出た時期は、私は昭和四十九年の年末から昭和五十年の初めにかけてであったと思います。そのころの操業率は七割を若干割り込んでおった、六〇%台であった、こういうふうに記憶をいたしておりますが、その後世界景気回復し始めましたことと、日本政府におきましてもいろいろ積極的な景気回復対策というものを打ち出しました結果、だんだんと景気回復いたしまして、現時点では、いわゆる稼働率指数と称せられる統計におきましては九割を少し割っておる状態である。また、操業率全体から見ますと八割をやや超えておる状態である。八割強。稼働率指数は九割弱、こういう現状だと思います。ここ一、二ヵ月若干回復が足踏みをしておりますが、大勢としては心配ない、かように考えております。  ただ、この程度操業率では、大勢としてはよくなりつつありましても、なお個々の業種あるいはまた個々企業では、一部のものを除きまして好況感というものが出てこないのは当然でございます。やはり本当によくなったという感じが出てくるのは、九割前後の操業率ということになれば非常によくなったという感じが出てくる。したがって、操業率を九割ぐらいまで回復させるということが当面の大きな目標であると考えております。
  5. 佐野進

    佐野(進)委員 そこで、以上の原則的な立場に立つ質問に引き続きまして、具体的な質問をひとつ続けてまいりたいと思うわけでありまするが、本年一月から三月にかけて、いわゆる景気は急角度に回復を見せたわけでありまするが、四月以降その伸び鈍化している、こういうぐあいに見られておるわけであります。こうした景気実態について、政府はいまのお話にもありましたように九〇%程度にぜひ持っていきたいということでございまするが、そう持っていくためにどういうような実態分析を行っておるのか。  その実態分析が、九〇%にいくという形の中において、現在はやや景気回復に対する伸びにブレーキがかかっている、いわゆる停滞傾向が見られておるということが一部に指摘されておるわけでありまするが、その原因はいろいろあろうと思うのでございますが、こういうような景気が当初の見通しより多少落ち込むのではないか、いわゆる伸びについて落ち込むあるいは停滞が続いていくのじゃないかということについてどういうような見解を持っておられるのか、そしてこれに対してどのような対策を立てようとしておられるのか、その点について見解をひとつお示しをいただきたい。
  6. 河本敏夫

    河本国務大臣 現時点の詳細な分析につきましては、けさ月例報告が発表されておりますので、これは経済企画庁の方から答弁をしていただく方がいいのではないかと思います。
  7. 青木慎三

    青木(慎)政府委員 ただいまの景気状況でございますが、けさ月例報告で報告いたしました文案を簡単でございますので読み上げてみますと、「最近の経済情勢をみると、生産にやや増勢一服の気配がみられるなど、このところ景気回復のテンポはやや緩慢化しており、卸売物価の騰勢も鈍化を示している。しかしながら、最終需要は全体として増加基調にあるため、景気は引続き底固い回復過程をたどっている。このような状況の下で政府は、今後とも物価動向に注意しつつ、景気の着実な回復を図っていくこととする。」というのが結論でございまして、政府判断はそういうことでございます。
  8. 佐野進

    佐野(進)委員 いわゆる事務的な答弁をいま求めておるわけではないので、所信表明に対する質問ということですから、政治性を加味した答弁をあなたに求めることは無理かもわからぬけれども、見解を示していただかないと私がこれから質問することと結びつかないので、ひとつあなたが答弁する場合においても、できるだけそういう形の中における答弁をしてもらいたいと思う。  ということは、今回の景気回復の柱は、輸出の増進によって、大部分そこに乗っかって景気回復が図られている。いわゆる消費であるとか設備投資であるとか、本来景気回復における重要な柱の部面におけるところの伸びはそれほどでない。その形の中で回復過程がたどられている経過の中で、輸出鈍化しつつある傾向の中あるいは諸外国のこれらに対するところの傾向の中に景気停滞のかげりを感じている。その反面、個人消費伸びであるとか設備投資であるとか、こういうものが十分なる対策が立てられていないがゆえにこういう状況になってきているのだということが指摘されているわけです。  そこで、通産大臣、いま経企庁の方で言われたのは、私もそれぞれ新聞を読んだりその他で大体理解はしておるわけでありまするが、こういうような形の中における景気停滞実態なのか、あるいはそうでないのかということを私は聞きたいわけでありますので、この点についての指摘所信表明関連してひとつしていただきたい、こう思います。経企庁長官がいればいいのですが、いないので、あなたのところにいくということを冒頭言っているわけですから。
  9. 河本敏夫

    河本国務大臣 いまお話がございましたように、今度の景気回復一つの大きな柱になりましたのは輸出伸びであります。大体の最近の状況を申し上げますと、上半期輸出が二一%ぐらい前年に比べまして伸びております。それに反しまして、輸入伸びは一三、四%であります。したがって、ここに若干の国際的な問題が起こっておるということであります。  しかし、いま企画庁の方からもお話がございましたように、輸出伸びは若干鈍化しつつございまして、下半期は一七、八%ぐらいまで下がるであろう、こう考えております。逆に輸入の方は伸びまして、ほぼ一七、八%に近い水準までふえてくるのではないか、こういうふうに想定をしておるわけであります。しかし、鈍化という傾向には間違いありませんので、上半期景気回復を引っ張ってきましたような大きな牽引車的な役割りというものは若干弱まるであろう、かように考えております。  それと同時に、最近やや景気がもたついておりますのは、一つは、先般の大きな水害、これが被害総額が八千億前後である、公共土木農業災害、それから中小企業関係、全部入れますとそれくらいになるという大変大きな災害でございますし、それから東日本全体の冷害も非常に大きなものがございまして、この二つを合わせますと、水害冷害による損害は一兆を超える、しかもそのことによって経済活動が相当足を引っ張られておる、こういうことは当然言えると思うのです。  さらに、電電国鉄の値上げ問題の解決がおくれました関係で、八月まではさほど大きな影響は出ていなかったのですが、九月になりましてから急速に、非常に大きな影響が相当広範囲に出ております。そういうことが私は一面大きく現在の景気影響しておると思うのでございます。  そこで、通産省といたしましても手放しで楽観はできない、こういう観点に立ちまして、十月の中旬を期しまして大規模景気実態調査をしようと考えております。マクロの面、ミクロの面、さらに中小企業、全体を通じて景気の動きはどうなのか、こういうことについて実態調査を十分いたしまして、その分析が今月の下旬にでき上がりますので、その分析を待ちまして適当な方法を考えなければならぬ、かように考えておるわけでございます。
  10. 佐野進

    佐野(進)委員 大臣、きょうの質問所信表明に対する質問でありますから、あといろいろありますので、個々景気動向だけに関係しておるわけにいきませんが、いまの説明はそのまま受けるとして、結果的に景気をよくしてもらいたい、景気をよくしよう、これは国民全体の願いであろうと思うのですね。党派の差あるいは立場の相違があったとしても、景気が悪くなっていいなんて思う者は一人もいないと思うのです。野党であろうと与党であろうと、その点について変わりはないと思うのです。  そこで、私がいまお聞きをしておるポイントは、要するに景気がよくなりつつあるという政府発表ないしそれぞれの形の中においてそう言われておりながら、跛行性があるとか、あるいは停滞しているとか、あるいは下降しているのじゃないとか、いわゆる景気回復ということに対して政府が、特に福田さんが楽観的に報道されておるわりに、案外前途に悲観的な要素もあるような気がする。あるいはないのかわからぬ。しかし、あるような気がすることをなからしめるところにわれわれの努力をしなければならない目標があろうと思うわけです。そういう点でお聞きしているわけです。  そういう点で幾つかの心配する点と、災害であるとかその他の条件があったとしても、経済全体の運営の中においてもやはり心配すべき点があるということは大臣もお認めになっておられると思うのでありますが、そうすると、これからいわゆる経済動向の中で景気対策に取り組んでいくという形になってくると、いつもどこでもそれぞれ指摘をされておるのですが、大臣は、いわゆる総需要抑制策が行われておる最中でも、景気浮揚については非常に熱心に取り組んでおられたわけです。その中で今日的課題として、景気をよくしていかなければならぬということについて幾つかの問題があろうと思うわけです。たとえばよく言われておるように、消費をふやすために減税をなすべきではないかとか、あるいは設備投資に対してもう少し積極的な対策を行っていくべきではないか、こういうような点がいろいろあるわけであります。  五十二年度の予算編成の作業がいま進められておると思うのでありますが、当面五十二年度を見越した段階の中で大きな柱は一体何になるのですか。よく言われておるように物価調整減税の実施であるとか、その他いろいろな見解があろうと思うのでありますが、大臣は、いまの段階の中で景気を浮揚する、景気をよくするという形の中において、通産省としての立場で何が当面必要な対策であるとお考えになっておるか、この点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  11. 河本敏夫

    河本国務大臣 先ほども申し上げましたように、ことしの景気回復の一番大きな柱は輸出伸長でありますが、こればかりに大きく将来も頼っていきますと国際的な摩擦等が起こりますので、やはり私は、これからは輸出伸長と同時に内需振興ということを積極的に考えていく必要があろうかと思います。でありますから、五十二年度の経済運営を展望しましたときに、輸出振興とあわせていかに内需をふやしていくかということは最大の課題になるのであろう、こう思います。しからば内需をふやすために一体どうしたらいいのかということは、これからの議論だと思います。
  12. 佐野進

    佐野(進)委員 大臣、肝心なところなんで、もう少し質問してみたいと思うのですが、内需をふやすためにどうしたらいいかということはこれからの問題ではなくて、今日的課題じゃないのですか。いま何をなすべきかということについて構想が明らかになっていなければならないのではないかと思うのですが、大臣政治的発言がむずかしいとするならば、事務当局の方から、産業政策局長ですかだれですかわかりませんが、お答えできますか。できなければ、大臣に次の質問をしますけれども。
  13. 河本敏夫

    河本国務大臣 私がこれからの課題だということを申し上げましたのは、いま御質問で、五十二年度の予算編成関連してと、こういうお話がございましたので、五十二年度の予算編成というものはこれから詰めていくわけでございますから、そういう意味でこれからの課題であると申し上げたわけでございます。
  14. 佐野進

    佐野(進)委員 そうすると、いま大臣が言われた当面の景気対策と称するものは、五十二年というのは離して、この所信表明に基づいての質問であるとすると、内需をふやす、それから、そういうことを原則にしながら当面値上げ二法案の問題だとか、あるいは先ほどお話しになったような災害復旧であるとか、そういうような形の中で景気回復について努力をしているということですか。当面の緊急対策として何をなすべきかということについては、それ以外の判断はございませんか。
  15. 河本敏夫

    河本国務大臣 五十二年度の予算編成との関連におきましては、これからということでございますが、しかし、当面の課題ということになりますと、これまた別でございまして、やはりいろいろしなければならぬことがたくさんあると思います。  一つは、何と申しましても緊急に災害対策を実施していくということだと思います。先ほども申し上げましたように、この災害だけで八千億という大きな損害でございますから、それに対して本日も激甚災という手続をしたわけでございますので、それに基づきましてことしの災害対策事業がこれから決まるわけです。十月いっぱいで多分査定等が終わると思いますので、それに従って災害復旧費が出される。予備費等から出されるのだと思いますが、これはやはり相当な金額になると思います。  それから同時に、東北方面冷害等につきましては、救農土木事業を興さなければならぬということで、国土庁、建設省あるいは農林省等が中心になりまして、いかなる規模救農土木事業を、いかなる範囲で興すべきかということにつきまして、いま積極的に相談が進められておるわけでございまして、近くこれも具体化すると思います。相当な規模になるのではないかと思います。  それから、先ほども触れましたように、電電国鉄関係事業に非常に大きな影響が出始めておりまして、通産省といたしましては、とりあえず緊急対策といたしまして、このうちの中小企業関係だけに対して特別の手を打たなければならぬということで、いまいろいろな手配をしておるわけでございますが、やはり法案を一刻も早く通していただきまして、この方面でのおくれた手当てというものを至急にしていただくということが肝要だと思います。  それから同時に、繰り返して恐縮でありますが、景況調査も十五日、中旬を期しまして行いまして、それに基づいての必要な案も考えていかなければならぬと考えておるわけでございまして、緊急にしなければならぬ対策もたくさんございますので、そういうものを関係方面と十分打ち合わせをしながら、総合的に進めていかなければならぬと考えております。
  16. 佐野進

    佐野(進)委員 この問題ばかりに時間をとるわけにいきませんが、最後に、景気動向等の問題に関係して、当面落ち込み中小企業者の倒産が非常に多くなっている、そういう層に対する対策を含めて、いまあなたが言われた国民生活を向上させるという形の中においても、補正予算を組まなければ、公共事業費のいわゆる予備費支出という形の中だけでそれだけの膨大な事業を行うということは、実際上非常に消極的な対応策でしかないような気がするわけです。これは三木内閣一員としては、公共事業費だということで予備費支出という形の中でやられるということについては、それがいけないということはあなたは言われないと思うのですが、しかしこの際、財政全体の見通しの中に立つことは当然としても、補正予算を組むということは景気浮揚のために絶対必要じゃないかという気がするわけです。あなたが通産大臣としての立場に立って、閣内の一員であるということはもちろん私も肯定しますけれども、この際、相当大幅の財政支出をすることによって、景気に対するてこ入れというか、将来の布石を打つ、そういうことは当面必要ではないかと考えますが、この点いかがですか。
  17. 河本敏夫

    河本国務大臣 大蔵大臣のこの点についての説明を聞きますと、予備費が御案内のように三千億ありますし、公共事業等予備費、いわゆる千五百億の特別予備費でございますが、これもそのままになっておりまして、特にこの千五百億の使い方については最終的には決まっておらぬようでありますが、事態推移を見て善処する、そういう表現をしておられますが、ただいまのところは補正予算を組まなくても、こういう予備費及び公共事業特別予備費というものを活用することによって当面の対策は可能である、そういう説明を聞いておるわけでございますが、もう少し事態推移を見ませんと、この段階で決定的なことを申し上げるのは早いのではないか、私はこう思います。
  18. 佐野進

    佐野(進)委員 これだけでもまだまだ聞きたいことがあるのですが、他の問題がありますので、一応この問題を終わって、次に物価問題に入りたいと思います。  九月の東京都区部の消費物価指数は、前月に比較して二・八%も上昇している、これは狂乱物価の四十九年四月以降二年半ぶりの大幅な上昇である、また卸売物価も速いテンポで上昇している、こういうように二、三日前の新聞はそれぞれ報道をいたしておるわけでありまするけれども、この物価動向というものは景気動向に対して非常に大きな影響を与えるということはもう当然でありまするし、同時に、これは景気だけでなくして国民生活に対してもはかり知れない大きな影響を与えてくるわけでございまするが、今日言われておるような情勢に対して、通産当局としては、消費物価の上昇、卸売物価の連騰、こういうようなものに対してどう考え、どう対応されておるか、この点ひとつ原則的な御見解をお示しいただきたい。
  19. 河本敏夫

    河本国務大臣 経済の本格的な回復のためには物価が安定するということがどうしても前提条件になるわけでございまして、そういう意味で物価問題というものはきわめて重大な課題だと思います。  そこで、消費物価動向でありますが、いまお話しのように、東京都の区部につきましては先般の統計では二・八%という非常な上昇が九月に起こっております。しかしこれは、後で経済企画庁の方から御説明をしていただきますが、特別な理由がありまして、必ずしも大勢としては心配は要らない。だから、年度間を通じて八%台の消費物価を維持するということは可能である、こういうふうに私たちも理解をしております。九月における特殊な原因による騰貴である、かように考えております。  それから、卸売物価動向につきましては、通産省におきましては、上半期はやや高目の上昇をするのではないか、しかし下半期は安定してくるであろう、したがって心配は要らない、こういうふうに言っておったわけでありますが、ただいまの状態は、七月がピークでございましてやや心配な騰貴をいたしましたが、その後ずっと落ちついてまいりまして、特に最近は海外の物価がむしろ下がっていっておる、こういう影響等も受けまして、卸売物価動向はそう心配した状態ではない。だから、消費物価卸売物価とも、政府見通しどおり年度間を通しては動いておる、こういうふうに判断をしております。
  20. 佐野進

    佐野(進)委員 通産大臣大臣立場で、これは経企庁も当然それ以上確信を持った答弁をなさると思いますから答弁は要りませんが、われわれから判断いたしまするとそうではなくて、これからタクシーの料金が上がる、国鉄あるいは電電、その他いろいろな公共料金が上がる、あるいは価格再編成といいますか、そういう形の中で諸物価が上がってくる、これは大変なことになるのじゃないか。たまたま景気がよくないという形の中で、それぞれかえって萎縮した形があってむしろ物価を抑える役割りを果たしているけれども、これは、景気がよくなるよ、先行きは明るいよ、こういうムードが出てくると、さらに一挙にそれぞれ物価の上昇にはね返ってくるのではないか。景気をよくするということがいけないという意味ではないのですが、そのような心配をする要因が至るところにあろうと思うのです。したがって、そういう要因を一つ一つ具体的な施策をもって抑制する、そういう抑制する措置も同時にあわせて行わなければ、これは大変なことになると思うわけであります。  したがって、公共料金の問題等についても、たとえばこの前行われた電力料金値上げあるいはガス料金値上げもあり、通産関係においても相当努力をしてもらわなければならない。電灯に対してもそれぞれ値上げの認可が行われているわけでありますが、そういう問題について私ども大変遺憾に思うわけであります。それは過ぎた問題といたしまして、特にこれから灯油を初め、通産関係が行政指導を行っていくことのできる業界の中においてそれぞれの物価の値上がりに関連する品物がたくさんあろうと思うわけであります。そういう点に対していまから具体的な対策を立てておかなければならないと思うわけでありまするけれども、そういう点についてどのような措置を講じられておるか。  特に灯油の問題等については、この委員会においても、あるいは予算委員会においても、円高傾向の中で輸入される油の値段の差額で非常に大きな利益を得ている製油会社等に対して厳しい行政指導をする中で、灯油の値上げを抑えるだけでなく、値下げすら指導できるのではないかということが指摘されているわけでございますが、これらの問題を含めて、通産省としていま行いつつある物価安定に対する具体的な対策があるなら、ここでひとつお示しをいただきたいと思うわけです。
  21. 河本敏夫

    河本国務大臣 消費物価卸売物価動向につきましては、大勢としては心配ない、政府計画どおり進んでおるということを申し上げましたが、しかしこれに対してきめの細かい配慮をしていく、努力をしていくということはどうしても必要でございます。  ただいま灯油についてのお話がございましたが、先般も予算委員会でこれについて御質問がございました。御質問の要旨は、最近円高傾向になっておって石油会社の経営も相当余裕が出ておるじゃないか、国民生活上非常に重大な影響のある灯油は下げるように指導すべきである、こういうお話であったわけでありますが、私はそれに対しまして、とにかく値上がりしないようにいたします、しかしできることならば値下げをするように指導していきたいと思います、こういうふうな二段構えの答弁をしたわけでありますが、そういうふうに、とりあえず値上がりを抑えていく、できれば値下げするように指導していきたい、そういう二段構えの答弁をいたしました理由は、円高傾向というものはございましても、しかしやはり石油業界というのは流動的な要因が幾つかあるわけですね。  たとえば一つは、十二月に開かれますOPECの総会ですね、ここで若干の値上げをしようという強い動きがございます。最終段階まで、値上げがあるかないかということを決定的に申し上げるのは私は少し軽率だと思いますので申し上げませんが、しかしそういう強い動きがあることは御承知のとおりでございます。  それからもう一つは、なるほど石油の標準価格を昨年の十二月に決めましたときに、為替レートは三百二円というふうに基準を置きまして採算価格をはじいたわけでございます。石油業界の話によりますと、一円違いますと一月に十七億、一年で二百億の相違がある、円が上がればそれだけプラスになるし、下がればマイナスになる、そういうお話であったわけであります。そのころから比べますと十五円の違いがありますから、現状においては年間にいたしまして三千億からの相違が出ておる。それだけ採算がよくなっておる、こういうことも言えるのですが、しかし先ほども私が申し上げましたように、貿易の動向上半期は非常に大幅な黒字であったわけですね。しかし、下半期は輸出伸び鈍化をいたしまして、輸入が逆にふえる、こういう傾向になってまいりますので、国際収支は上半期よりも相当悪くなるのではないか、こういう感じもいたしますので、果たして現在の円高傾向がずっとどこまで続くのか、こういう問題ももう少し経過を見ないと最終的な判断ができないと思います。  それからさらに、石油業界の言い分を聞きますと、なるほどいまは標準価格制度によりまして大幅に採算は改善された、現在は廃止しておりますけれどもね、さらにこの円高傾向ということで経営は見違えるようになっておるけれども、しかしことしの三月期は千二百億円という大幅な赤字であったし、それから過去二、三年の間に企業の蓄積を数千億円食いつぶしておる、それによって決算を整えて、しかもなお千二百億という赤字である、そういう状態であるから、経営全体としてはまだよくならないのだ、苦しい、こういう言い分もあるわけです。  そういう幾つかの要素がまだ残っておりますので、特に円高傾向、OPECの値上げ等、こういうものをもう少し様子を見まして、最終的にこれならばなおさらに引き下げすることが可能である、こういう判断ができれば、年末にでもOPEC等の決定があった段階において第二段階の値下げの行政指導をしてもいいのではないか、私はそういうふうに思いますので、二段構えのことを申し上げたわけであります。  やはり現在の灯油の消費というものが、特に東北、北海道におきましては主食よりもむしろ負担が大きいというぐらいまで大きな負担になっております。そういう意味から国民生活上非常に重大な影響があるということを勘案しますと、とりあえずは値上げしないようにしなければいかぬ、それだけはぜひ実行しなければならぬ、こういうふうに考えまして、値上げしないようなさしあたりの行政指導をしておるわけでございます。くどいようでありますが、もうちょっと様子を見た上で第二段階の値下げの指導をするかどうかということを決めたい、かように考えておるところでございます。
  22. 佐野進

    佐野(進)委員 エネルギー庁長官は来ていますか。——それでは、いまの大臣答弁を聞いたわけですが、エネルギー庁当局としてこの問題についてどう対応されておるか、どうそれに対応しながら準備を進めておるか、簡潔で結構ですから、ひとつ見解を示していただきたい。
  23. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 ただいま大臣から申し上げましたように、家庭用灯油というのは家庭生活に非常に関連の深いものでございますので、かねがねその安定供給あるいは価格の安定ということに努めておりまして、すでにこの九月に関係の元売企業に対しまして指導通知を出しております。主たるねらいは、いわゆる中間三製品、軽油あるいは工業用灯油あるいはA重油等との価格バランスが適正に保たれるように努力するようにというふうに出しております。また、契約改定に当たりましては誠意を持って対処するようにということで指導いたしております。  なお、灯油につきましては、ただいま申し上げました中間三製品とのバランスをよほどうまく考えませんと、せっかく九月末六百万キロリットル以上の家庭用灯油として備蓄いたしておるものが、品質はよく価格は安いということで他の用途に充当されるというようなことがあってはなりませんので、そういった点も含めて現在なお検討を続けておるということでございます。
  24. 佐野進

    佐野(進)委員 それじゃ次の質問に入ります。  次は通貨問題ですが、これも大変むずかしい問題で、具体的に質問を続けていくと大変時間がとられるわけでありますが、きわめて簡単に、いまIMF総会が開かれておる、こういうような経過の中で、国際通貨基金の問題として世界銀行総会が開かれているという時期において、一応質問だけをしておきたいと思うわけです。これは通産大臣になるかあるいはどなたになるか、答弁はその衝に当たっておられる方からしていただければ結構だと思うわけでございます。  まず第一に、全般の論議を通じて私どもの受けとめることは、景気回復物価の急上昇と世界経済の今後の運営、変動相場制の監視機構の強化と今後の通貨制度の運営、世界銀行、第二世銀の資金確保の対策等、三点を中心に論議の焦点がしぼられてきたとの見方が強いわけでありますが、政府はこれまでの経過を通じてこの会議をどのように認識し、どのように対応せられようとしているのか、この点についてひとつ御説明をしていただきたいと思います。
  25. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 IMFと世銀の合同総会がただいまマニラで行われていることは先生御承知のとおりでございまして、まだ閉幕いたしておりませんので最終的なコミュニケその他を見た上でないとはっきりしたことは申し上げかねるわけでございますが、現在までのところ、IMFの暫定委員会、あるいはIMF、世銀の合同開発委員会等の審議状況を見てまいりますと、まず世界景気見通し等に関連いたしまして通貨問題をどうするかという議論は、実は平行線であったというふうに私どもは了解いたしております。  もう少し具体的に申しますならば、いわゆる管理フロート的なやり方、あるいは完全クリーンフロート的なやり方、これがある程度並行した議論が行われたというふうに了解いたしておりますし、また黒字国責任論と赤字国責任論が、ひとしく双方において努力すべきである、こういうコミュニケも途中段階で出されておりますので、これまた平行線ではないかということでございまして、私どもが当初懸念いたしました黒字国にすべての責任を押しつけるというやり方は一応回避できたのではないか、現段階ではそういうふうに認識いたしております。  それから、先生御指摘経済協力の関係でございますが、世銀及び第二世銀に対する増資の問題、これはIMF、世銀の合同開発委員会におきまして相当慎重に議論がなされておりまして、いわゆる開発途上国からの第二世銀に対する増資要求という問題がこの委員会において相当慎重に取り上げられたというふうに了解いたしておりますが、その結論につきましては、先ほど申し上げましたようにまだ閉幕いたしておりませんので、その様子を見守りたい、このように感じておる次第でございます。
  26. 佐野進

    佐野(進)委員 引き続いてこの問題で質問します。  いまの説明も、そういう経過の中で一番心配されておった問題がそう強くあらわれてこなかったということであるわけであります。そういたしますると、わが国の価格政策における基本姿勢と関連して、今後の円レートの先行き、あるいはアメリカなどによる円安批判の実情、あるいはその批判に対する対策、こういういろいろな課題が出てくると思うのでありまするが、国際通貨制度の安定化と世界経済の立て直しに対するわが国の責任というものは非常に大きな意味を持っておるということはこの会議においても指摘されておるわけでございますので、今後通産当局としては、この会議経過を見ながらと言ってもいいと思うのでありまするけれども、これから質問することに関連いたしますので、貿易問題全体にどう対応していくか、いま大臣お話では、国際収支も後半はいまのような黒字でなくして赤字になっていくのではないかというような見通し説明されておりましたけれども、それらの関連の中でこの通貨問題に対してどう対応していかれるのか、この点、大臣でもいいし局長でもよろしいですから、ひとつ見解を明らかにしておいていただきたいと思います。
  27. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 いわゆる変動相場制における円レートの問題につきましては、これは経済の実勢に対応したレートであればそれに対応して処置をする、こういう考え方が基本でありますことは先生御承知のとおりでございまして、昨年の末に一ドル当たりの円レートは三百四円から三百六円でございましたが、現状におきましては一ドル対比が二百八十七円、あるいはきょう現在では二百八十八円台になっておりますけれども、そういう状況で円高基調に推移いたしております。  これは先ほど大臣から説明のございましたように、ことしの上期におきまして日本輸出がかなり好調であったということの反映でございまして、円高基調をとったわけでございますけれども、今後の見通しを見ますと、下期は上期ほどの輸出につきましての増勢はないという判断でございますし、また一方、輸入の方につきましては上期より下期の方がふえてまいるという予測をいたしておりますので、国際収支バランスは当然黒字幅は減ってくるだろう、こういう見通しでございます。  冒頭に申し上げましたようにフロート下でございますから、その国の経済実態なりあるいは国際収支の状況なりを反映した円レートが実現するというふうに考えておりまして、私どもはその推移を見守っていきたいという感じでございますが、ただ、ここで一つ問題な点は、円に対する投機が行われることによりまして不当に円高になっていく、こういうことにつきましては厳重に防止をしなければいかぬ。これは大蔵、日銀当局においても、不当な乱高下に対しましては介入をする、こういう政策を現在もとっておりますので、この政策につきましては特に変更する必要はないのではないかということでございまして、先ほど説明いたしましたように、IMFの総会におきましても、わが国の代表はそういう趣旨の演説をしたところでございます。
  28. 佐野進

    佐野(進)委員 通貨問題は結果的に貿易問題につながっていく、国内の景気動向その他いろいろな問題にも関連をするわけでございます。したがって、IMF総会や世界銀行総会の持つ意味は非常に大きいわけでありますので、これは通産だけの問題じゃないわけでございますけれども、これに対する積極的な対応をひとつ通産当局もしておいていただきたいと思うわけです。  そこで、具体的に貿易問題に入りたいと思うわけでございますが、これは原則的な問題ですから大臣に御答弁を願いたいと思うのですが、先ほど質問を続けておる経過の中で、黒字国責任論や円安批判の中で現在の貿易収支の黒字はいつまで続くかということについては、先ほどお話しのように、下半期はそう楽観を許さない、楽観を許さないという表現が適切かどうかわかりませんが、黒字が続くということではないということでございますけれども、しかしいま続いておるという形の中で、欧米、特にアメリカ等々におきましては対日輸入規制の動きが非常に顕著にあらわれておる、そのことは結果的に今後のわが国の輸出に対して非常に悪い影響を与えるのではないか、こういうことが心配されておるわけでございますが、この点についてどのように判断せられ、どのように対応しておられるか、このことをひとつお答えをいただきたいと思います。
  29. 河本敏夫

    河本国務大臣 国際収支の黒字の問題からいろいろな国際的な問題が起こるのは間々あることでございますが、日本の場合に特に注意しなければならないのは、貿易外の赤字が非常に大きいということでございまして、ことしは大体六十七億ドルぐらいになるのではないか、かように想定をしております。したがいまして、ほぼその前後の貿易上の黒字が出ませんと結局総合収支は赤字になる、こういうことになりますので、その点を諸外国は十分認識をしてもらわなければならぬと私は思います。特に、アメリカは貿易外収支の赤字が二十億ドルを超えておりまして、一番大口でございます。そういうことも十分説明をしなければならぬと考えております。  それから同時に、日本の対米貿易が伸びました大きな理由は、アメリカの景気日本よりもほぼ十ヵ月ぐらい早く回復しつつあるということでございまして、そのことのために先方では需要が非常に激増した、日本品がその機会に伸びたということでございまして、その景気回復のずれによって貿易上の黒字が一時的に非常にふえたのだということについては、アメリカに対しても十分説明しております。現在のところ、対米貿易で一番問題になりますのはカラーテレビの問題だと私は思いますが、この問題については後でまた貿易局長から説明をいたしますが、全体として対米貿易の関係は心配すべき状態ではない。ただしかし、将来においてはいろいろ細かい点についてもよほど気をつけていく必要があろうと思いますが、大勢としては何ら心配すべき状態ではないと思います。  対ヨーロッパの国々等につきましても、国ごとに十分気をつけまして貿易を進めるように指導しておりますので、現在のところ、いろいろなニュースは伝わりますけれども、いずれも問題になっておるという状態ではございません。  しかも、先ほど来申し上げますように、ことしの第三・四半期以降、特に第四・四半期におきましては貿易のバランスがほぼとれるというところまで、場合によっては若干の赤字が出るのではないか、こういうことも想定をされますので、私は、現在新聞で報道されるようなことは、ややオーバーな感じ、先走ったような感じがあるのではないか、しかし十分気をつけなければならぬと考えております。
  30. 佐野進

    佐野(進)委員 それでは、次の問題に入りたいと思います。  所信表明の中で、景気動向の次に通産大臣中小企業対策を挙げて、この面における現時点におけるところの重要性を強調されておるわけであります。私もその点については全く同感でありますので、以下、中小企業問題について若干質問をしてみたいと思います。さらに、この問題につきましては、公正取引委員長に対しましても質問をしてみたいと思います。  まず、全体的な情勢でありまするが、中小企業問題は連日新聞に報道されておるように、今日の情勢の中で、景気が上向きつつあるといいながら、倒産の水準は相変わらず高水準を続けている。特に、数日前は、環境衛生方面に相当大きな役割りを果たしている中堅のメーカーが倒産しているというようなことも報道されておるわけでございまして、景気がよくなったというのは一部大企業であって、全体的には中小企業は特に悪いのだということが一般的に言われておるわけでございまするが、こういう情勢に対してどう受けとめておられるか、原則的な面について、大臣見解をひとつお聞きしたいと思います。
  31. 河本敏夫

    河本国務大臣 中小企業対策は、通産省では、通産行政の中で最大の課題だと心得ております。そういうことで、五十二年度の予算要求におきましても、やはり最大のウエートをこの中小企業対策に置いて進めておるわけでございます。  現在の大勢を申し上げますと、ことしになりましてから回復傾向にはございますが、やはりかつての最盛時のような状態ではございません。まだそこへいくのには若干の時間がかかるという状態でございますし、跛行性が見られます。そういうことがございまして、中小企業全般としてはまだまだ楽観はできないという大勢でございますので、特に金融対策、それから官公需から仕事を回していくということ、こういう面で特別の配慮を払っていかなければならぬと考えております。  特に緊急を要しますことは、先ほども御質問にございましたように、災害冷害あるいは電電国鉄等に対する緊急対策、これはもう何よりも大切ではないかと、こういうふうに考えながら中小企業対策というものを進めておるわけでございます。
  32. 佐野進

    佐野(進)委員 長官にお尋ねします。  先ほど来、一般論の中で、大臣と私とで、いろいろな経済見通しあるいは景気動向の中で、今後の景気をよくするために、台風十七号対策あるいは当面する企業倒産に対する対策、さらにはその他電電国鉄の下請問題等々、いろいろな質疑応答があったことは、あなたもお聞きになっておられたと思うわけでございますが、現時点の中で、これらの対策について具体的にどのような措置をとっておられるか、ひとつ、これまた簡単で結構ですから説明をしてください。
  33. 岸田文武

    ○岸田政府委員 ただいまの中小企業の景況につきましては、大臣からお答えいたしましたとおりでございます。私自身いろいろ中小企業の方々にお目にかかっておりましても、ようやく明るさが見えてきたという感じがしながら、なおかつ業種別にいろいろ格差があるとか、あるいは多少生産水準が上がったといっても、過去のピークに比べればまだ低い水準であるとか、また倒産が高い水準であるとか、いろいろ不安の材料を持っておるようでございまして、これらの中小企業の方々が何とかこの不況の後遺症を乗り切っていくようにするということを私どもとしても最大の課題として考えておるところでございます。  基本的には、やはり金融をつけていくということによって局面をしのいでいくということがまず第一の課題であろうと思いまして、金融の面では政府系三機関におきましても大体所要の資金をいま確保いたしておりますし、またこれらの状況推移して、もしさらに必要であるということであれば、私どもとしても十分検討するということで、機動的に対処いたしたいと思っているところでございます。それから、これを補完する信用保証の面におきましてもいろいろの制度を用意をいたしましたが、それらの制度を大体できる限り使ってまいったつもりでございます。  さらにまた、雇用面につきましても、雇用調整給付金等においていろいろの応援をいたしました。さらにまた、関連倒産の防止という面では、保険で特別の制度がございまして、これは問題が起こったならば機動的に指定をいたしまして、一つ企業が倒れたために他の企業がばたばたと関連をして倒れるということのないように配慮をいたしてまいっておるところでございます。  その他災害の問題につきましては、金融面での対応策をいま現にできるだけの措置をとってきておるところでございますし、国鉄電電のおくれに対しましても、早速国鉄電電に対しまして中小企業への配慮を要請するほか、金融的な面でも、問題が起こる都度、機動的に対処できるよう通産局に窓口を設けるなどの対応策を講じておるところでございます。
  34. 佐野進

    佐野(進)委員 長官、私はいまあなたのお答えになったようなことは大体わかっておるわけです。したがって、大臣に総括的な質問先ほど来しておるわけですが、これもわかっておるわけです。私がいまあなたにお聞きしておることは、具体的にどう対応しておられるかということをお聞きしているわけですね。  そこで、これからも何回も議論することですから、ここで余り時間もないのに長く質問することは差し控えますけれども、ひとつこの点だけはいまここで明確に答弁をしておいてもらいたいと思うのですね。たとえば倒産が起きる。倒産が起きると、関連企業が倒産をしてはいけない、これに対して防止する対策を立てる、そしてそれに対して金融面であるとかその他の面でいろいろのめんどうを見る、これはわかるのですね。わかるのだけれども、倒産が起きつつある段階の前に何を処置するかということが一番大切なことだと思うのです。これはこの場所において常にわれわれは指摘し続けてきておるわけなんですけれども、毎月一千件を超える、一千万円以上の負債を持って倒産する企業が存在するということに対して、きめ細かにやりなさいということを幾ら言っても、それはあなた方のいまの体制からして無理であるということはわかるにしても、倒れた後どうするかということじゃなくして、倒れる前にこうやりました、やるためにこう努力していますという具体的な答弁を欲しいと私はいま言っておるわけです。  それから、台風十七号の災害対策についてもそのとおりなんですが、たとえばわれわれの聞いている範囲内では、中小企業の被害が六万件余、約七百億円だと先ほど大臣も言っておられるわけでありますけれども、それがその後ふえているのか、ふえていないのか、ふえているとするならば、それに対してどういう対策をとっておられるかということを実は聞きたかったわけです。そのほかいろいろ地域的な状況がありますけれども、その中で特に影響の深い、岡山県では窯業関係、愛知、香川、愛媛等では繊維関係というような特殊な産地が、この災害において非常に大きく影響を受けている。それが大部分中小企業者であるということに対して、どう対応をしておられるかというようなことを実はお聞きしたかったわけであります。  先ほど申し上げましたとおり、ことし第二番目の倒産を伝えられている中小企業からちょっと毛のはえた程度の、中堅企業になっておるのですか、資本金が一億以上ですから。こういう企業についても倒産が起きて、関連業者がいま大変な苦労をしておる。こういうことについてどう対応しておられるかということを実は聞きたかったわけですが、これは時間もございませんので、私がいま言った点だけについて、原則的な点だけでも結構ですから、ひとつこの際明らかにしておいていただきたい。
  35. 岸田文武

    ○岸田政府委員 倒産の問題と災害の問題、二つの問題をちょうだいいたしました。  倒産の問題につきましては、私も非常に件数が多いことを心配いたしております。過去の不況の立ち直りの時期と比べましても、今回は倒産の後遺症が非常に長く尾を引いておりますし、最近むしろ多少件数としてはふえておるということは、今回の不況が非常に根が深かったということを物語っておるように思います。いままで、何とかもう少ししのげば先が明るいということで金融をどんどんつけてきた。それがある程度限界に達してきて、これから先、貸してもなかなか回収できないというようなところまできておる事例がいろいろあるように思いますし、また原因をいろいろ調べてみましても、やはりどうも不況の影響ということが原因でありまして、放漫経営とかなんとか言う前に、景気の立ち直りということが課題であるというケースが多いような感じがいたしております。  私どもとしては、これからの景気が、輸出だけでなくて、内需の幅広い需要に支えられるようになるということが一番基本的な課題であると思っておりますが、やはりその前に、私どもなりにやれることとしては、金融の道を少しでも円滑にしていくということであろうと思っております。私ども知っております限りにおいて、非常に苦しいということで事前に相談がありました場合には、その問題を一つ一つ取り上げまして金融機関とも相談し、何とかそれが再建の道が立つようにということで、個別に指導をしてまいっております。また一般的にも、中小企業三機関に対しましては、少し長い目で見て対応するようにということを指導いたしておるところでございます。  それから、第二番目にお話のございました災害の面につきましては、今回の災害が不況の尾を引いておるところにさらに加えて起こったものでございますから、打撃もひとしお大きいわけで、中小企業対策としても、特に的確に迅速に手を打っていく必要があるだろうと思っておるところでございます。御承知のとおり、災害対策融資は災害の直後にすぐ発動いたしておりまして、三機関とも積極的な活動をいたしておりますが、さらに今般激甚災害法の指定が受けられましたことによって信用補完の道も拡大されましたし、また金利の面でも優遇されることになりました。これらの措置をいかに機動的に、一番効率のいいかっこうで組み合わせていくかということが課題になろうかと思っておるところでございます。  私どものところにも、いまお話のございました岡山県であるとか香川県、高知県、次から次へといろいろの方がお見えになりまして、現地の実情を私自身もいろいろ承っておるところでございます。こういった実情を踏まえた対応策を講ずるということが肝要であると思いますので、聞きました実情、さらにまた政府調査団の報告等を関係機関に流しまして、それらに対応するような機動的な手を打つように今後とも指導してまいりたいと思っております。
  36. 佐野進

    佐野(進)委員 次に、中小企業問題としては分野問題があるわけです。前国会の会期末に、本委員会が全会一致をもって、分野法の制定について、政府がもし今国会に提出しないならば議員立法をもってこれを成立させるという決議があるわけであります。これについては、政府も立法化について大変努力をされておるということは私どもよく知っておるわけでございますけれども、今国会十一月四日までの間に提出せられ、審議し、これを決定するということが前国会における本委員会の決議でありますので、この点について大臣から、本問題に対する取り扱いの経過について、その見解を承っておきたいと思います。
  37. 河本敏夫

    河本国務大臣 前国会の終わり、五月の下旬に委員会での御決議がございまして、その決議を受けまして通産省では立法化の作業を始めたわけでございます。まず審議会を設けまして、中小企業に関する権威者の意見をそれぞれ聞き、調査をする、そういうことで作業を進めておりますが、現在まで七回その審議会を開いております。しかし、なお数回やはり開く必要があろうかと考えておりますが、その後で直ちに立法化の作業に入るわけでございますが、若干の時間がなおかかる模様でございます。そういうことで、極力急がしておりますが、今国会の会期末、十一月四日というのにはあるいは間に合わない場合も出てくるのではないか、極力間に合うように急がしておるところでございます。
  38. 佐野進

    佐野(進)委員 分野調整の問題につきましてはすでにたびたび本委員会で議論しておりますので、私はその内容についていまここで詳しく触れることは避けたいと思うわけでありますけれども、大臣がいまお答えになったように、なお数回審議会の議を経なければならないから本国会に間に合わないかもしれないというような御見解が明らかにされるということは、大変残念なことでございまして、私は、本国会においていかなる努力をしてでも成立させるという前国会の約束をぜひ通産当局挙げて努力をしていただきたいということを、この機会に要望をしておきたいと思うわけであります。  そこで、それに関連して、公正取引委員会が本問題に関して、「公正取引委員会委員長の発言」として十月六日に当委員会において申し述べられた件があるわけであります。その件は、第二番目として、「中小企業分野調整問題につきましては、先般の国会決議の趣旨を尊重して、政府において新たな立法措置を検討するため」云々という形になっておるわけでありますけれども、この最後の方に、「ただ、企業の合理化努力を萎縮させ、ひいては消費者の利益を害するようなことにならないよう希望するものであります。」と、こう書かれておるわけでありますが、この二点についてその具体的な内容がどのようなものであるか、この際明らかにしていただきたいと思います。
  39. 澤田悌

    澤田政府委員 ただいま御指摘のとおり発言をいたしたわけでございますが、独禁法体系全体から考えますと、独禁政策の理念の中で中心の柱であります公正な競争秩序維持ということのほかに、弱者保護、社会的不公正の排除というような考えが入っていることは、これはもう御承知のとおりでございまして、いわゆる下請法あるいは不当表示法等が独禁法体系に組み込まれておることは申すまでもなく、その点からも明らかでございます。したがいまして、この中小企業分野調整問題について大企業中小企業の調和を図ることが大切であることは申すまでもないことでございます。  私の発言が非常に簡潔に申しましたので、御指摘のような御質問はごもっともでございますが、大企業中小企業の調和を図りますと同時に、中小企業もまた一般消費者に対する事業者でございます。それで、私ども独禁政策の運用をいたしております者から考えますと、大企業中小企業及び消費者、三者の真の調和が図れるようなそういう立法になっていただきたいというのが中心的な考えでございまして、そこで競争が制限されるとか、企業努力が減退するとかいうようなことがあって、結局大企業の面でも中小企業の面でも消費者の利益に触れるようなそういう傾向が出ることを絶対防止していただきたい、そういう意味でこの三者の調和が図れるような立法をぜひお願いしたい、こういう趣旨でございますので、御了解を願いたいと存じます。  なお、公正取引委員会といたしましては、大企業が不当な不公正な手段をもって中小企業事業分野に進出するようなことに対しましては、独占禁止法を積極的かつ厳正に運用いたしまして、これを排除する政策をとっておりますことは、申すまでもないところでございます。
  40. 佐野進

    佐野(進)委員 中小企業庁長官にお尋ねします。  いま大臣の方から、あと数回審議会の議を経なければならないので、今国会中に提案されるかどうかわからない、こういうようなきわめて不確かないわゆる予想的な見解が表明されておるわけです。中小企業庁は本問題に対する所管の庁として審議会と十分連絡をとりながら対処しておられると思うわけでありますが、この対処する経過の中で、絶対的なタイムリミットが決められている形の中で答申を求めなければならないのだということになりますれば、必然的にその審議を急いでもらう。審議を急ぐ中で早く結論を出していただき、その作業が間に合うようにしていただく。  当然この委員会において審議しなければならない法案でありますので、その意味においては十一月四日ということは、「次期国会」という言葉からするならば今臨時国会ですが、今臨時国会はきわめて遅くまで開催されておるし、あるいは報道等によれば若干の会期延長も見込まれているということが報道されているわけで、これはわかりませんが、会期は十一月四日ですから、そういう形からするならばきわめて怠慢のそしりを免れないと思うのでありますが、相変わらず中小企業庁は本問題に対して消極的な態度をもって対応しているのか、あるいはそうでないのか、この際ひとつ明快にその見解を表明していただきたい。
  41. 岸田文武

    ○岸田政府委員 先国会の決議におきまして、分野調整問題について早急に立法化を図るべしという御決議をいただきましたことにつきましては、私どももこれは誠意をもって尊重しようという態度でおるわけでございます。先ほど大臣から申し上げましたように、七月七日以降、中小企業政策審議会の中に特別の小委員会を設けて審議をいたしておりますが、これはもう夏休みを返上して審議をいたしているわけでございます。すでに七回議論をいたしましたが、やはり勉強してみればみるほど、これは大変広い角度から慎重に考えなければならない問題がたくさんございます。しかし、同時に急がなければならないという要請もよく心得ておるつもりでございまして、私どもとしても、あと一回ぐらいで議論を、一わたり問題点の討議をしていただきまして後、なるべく早く取りまとめの作業に入りたいと思っておるところでございます。
  42. 佐野進

    佐野(進)委員 次に、エネルギー関係に入りたいと思います。  まず第一に、石炭及び石油対策特別会計のあり方について質問してみたいと思います。  石炭石油特別会計は本年度末で期限切れとなることになっておりますが、これはその後においてどう処理をされる考えであるかということであります。期限を延長するということであるならば、来年度の予算概算要求というものが当然出されてくると思うのでありますが、それらの措置を含めて、まず第一に、この特別会計のあり方についてお伺いをしておきたいと思います。
  43. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 石炭政策あるいは石油政策につきまして、ますます重要な段階に入ってきておるわけでございます。特に石炭につきましては二千万トン体制の維持、あるいは石油につきましては備蓄、探鉱開発の推進といった要請が強くなってきておるわけでございますので、そういった観点からいたしまして、ぜひとも来年度以降も石炭石油特別会計の延長をお願いいたしたい。また、このために必要とする法律改正につきましては、次の通常国会に提案いたしたいということで準備を進めておるわけでございます。
  44. 佐野進

    佐野(進)委員 ですから、その準備を進めておるという形の中で、具体的にどのような措置をお考えになっておられるかということをお聞きしたいわけです。
  45. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 御指摘の点は、いわゆる石炭石油特別会計における約千二百億の財源不足対策をどう処置するつもりかという御趣旨かと思います。  これにつきましては、当面運用部資金から借り入れるという形で予算要求は出しておるわけでございますが、良質の資金を確保するという立場からいろいろの対策を考えておるわけでございます。たとえば現在の原重油関税の引き上げ、あるいは石油消費税の新設、その他できれば一般会計からということもあろうかと思いますが、そのいずれにいたしましてもなかなかむずかしい問題がございまして、いまの段階におきまして、なおどの財源対策でお願いするかというところまで確定いたしかねておるというのが実情でございます。
  46. 佐野進

    佐野(進)委員 ですから、一般会計から繰り入れるか、新税を設けてその財源をつくるかどうかということは、その措置は決めかねている、こういうようなことの説明があったわけでありますが、しかしこれがいずれも大変むずかしい、こういうことになりますと、この特別会計はそのまま延長はしたい、しかし財源的な裏づけはなかなか図ることができ得ない、そういう形になりますと、結果的にどこにそのしわ寄せを持っていくのかということが非常に大きな課題になってくると思うわけであります。しかもそれはもう来年度で期限切れということでありますから、いまからその折衝は行われていなければならない、当然の問題であろうと思うのですね。したがって、その影響するところは大変大きいわけであります。  そういうことでいまお聞きしているわけですが、大臣、あなたの行かれなければならぬ時間が迫っているようですが、この特別会計の問題につきまして、いま長官から御説明がありましたけれども、大臣としてはこの財源確保の問題についてどのような処置を御検討になっておられるか、どれが最も適切であると御判断なされておるか、この点、ひとつこの際明らかにしておいていただきたいと思います。
  47. 河本敏夫

    河本国務大臣 いま長官が答弁をいたしましたように、石炭対策、それから石油の備蓄、開発対策、こういうことに必要な資金を調達する会計でございますから、これはどうしても必要なだけの財源を確保しなければならぬと考えておりますが、三つ、四つの方法をいま考えておるわけでございまして、関係方面と目下折衝中でございます。いまの段階で何とも申し上げかねるわけでございますが、各方面の御理解をいただきまして、一番いい方法で何とか解決したいというのがいまの目標でございます。
  48. 佐野進

    佐野(進)委員 では、長官、もう一回伺います。  いまあなたが言われたような形の中で、新税や原重油関税の引き上げというのはいろいろなかなかむずかしい手続が必要である。したがって、それがこの特別会計の延長と関連して無理であるということでいま苦慮をされておると思うのであります。そうすると、一番安易な方法は揮発油税の一部繰り入れということになってくる、そういうぐあいに考えがいかざるを得ないと思うのですね。しかし、そういかない、いま考え中であるという大臣答弁もあります。しかし、この税金といえども五十一年度の当初予算では九千七百七十億円、ほぼ一兆円に達する膨大な額になっておるわけでございますから、これもなかなか大変だということが予想されるわけでありますが、これらの問題に関していま少しく、検討しておる内容について、いま答弁できないというか検討中だということだから言えということは無理だと思いますが、この特別会計を残すという形の中において、あなたがこう処理していきたい、こう対処していきたいというその気持ちをはっきりここで明らかにしておいていただきたいと思うわけであります。
  49. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 ただいま先生から揮発油税の一部を繰り入れたらどうかと、きわめて直接的な御意見を承ったわけでございます。ただ、先生御承知のように、この問題は主として財政当局を含めまして他省庁の問題でもございますので、私からは明確なお答えは差し控えさせていただきたいと思います。  いずれにいたしましても、事の重要性あるいは時間の制約もございますので、できるだけ早く財源対策についてまとめてみたい、かように思っておるわけでございます。
  50. 佐野進

    佐野(進)委員 それでは、最後に、公正取引委員長質問をいたしたいと思います。  あなたの所信表明というか発言の中で、一番最初に「まず、独占禁止法の改正につきましては、本国会に二つの法案が継続審査となっております。一つは、第七十五回国会の衆議院において全会一致で修正可決されました改正案と同様の内容の改正案であり、他の一つは、第七十七回国会において政府の提出した新しい改正案であります。公正取引委員会としましては、前者の案の内容が基本になるべきであると考えておりますが、後者の案につきましても」云々と、どっちでもいいから早く通してくれ、こういうような言い方のお話であったわけであります。  前委員長は、独禁法の改正に対しては執念を持って対応をしておられた。三木総理は、いまなお、やる気があるのかないのかちょっとわかりませんけれども、あるがごときポーズをとっておられる。そうすると、あなたはどちらでもいいということになってくると、それぞれ、三木さんもあなたも、どちらでもいいからともかく何とかしてくれぬか、こういうような印象しか受け得ないわけでございますけれども、この説明された、意図するところはどういうことなのか、この際、その見解を明らかにしていただきたいと思います。
  51. 澤田悌

    澤田政府委員 どちらでもいいじゃないかというふうな御印象では少し真意と違うわけでございますが、ただいまお話しのように、第七十五回国会におきまして全会一致で修正可決されました案、これが望ましいということは、終始一貫した私並びに公正取引委員会の意見でございます。しかし、それが御承知のような経過を経まして、同じ国会の参議院において審議未了で廃案に相なりました。そういう事実を踏まえて、政府・与党におきまして、これも御承知のような経過をたどって、いわゆる山中調査会において非常に真剣な討議、検討が行われ、それによって新しい政府案が前国会に提出され、しかも前の案は、先ほどお話しのように、野党の方々から提案されて、両方とも継続審査になっておるというのが現実でございます。  その新しい政府案ができます過程におきまして、私どもは終始全力を挙げていま申しましたようなわれわれの希望を実現すべく努力いたしたのでありますが、結局独占状態の是正に関する条項が全面削除されたという結果に相なりましたことはまことに残念と申さざるを得ないのでありますが、私どもは現行独禁法の弱点をよく知っております。それから、この経済情勢推移にかんがみましてそれを補うことが非常に必要だということを身にしみております。  したがいまして、いまのどっちでもいいのだという意味では毛頭ないのでありますが、一つ落ちたから全部だめだというのは、われわれ、日々独禁政策を遂行しております者の立場から申しますとはなはだ残念なのでありまして、国会の御審議がいかに進められるかわかりませんが、前の案がだめであっても、新しい案であっても、この際通していただきたい。われわれはそれを削除された部分についてはなお政府において真剣な検討を続けてもらいたい、こういう姿勢をとっておる次第でございますので、その辺の気持ちを御了察願いたいと存ずる次第でございます。
  52. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 午後一時十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     正午休憩      ————◇—————     午後一時十一分開議
  53. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。上坂昇君。
  54. 上坂昇

    上坂委員 いま中小企業の権益を守る運動が非常に大きく展開をされつつありますが、先ほど質問にもありましたが、やはりなかなか政府自身がおみこしを上げないというところから、そこをねらって大企業中小企業の中へどんどん進出をするという傾向が出てきているというように思います。その点で、具体的な例を挙げてこの問題についての見解を承りたいというふうに思います。  いまの書店業界への大企業の進出についてでありますが、書店業界というのは、現在、日本書店組合連合会、日書連と言っておりますが、これに加盟している店舗は一万二百七十ばかりあります。アウトサイダーを含めますと、一万七千店程度になるようであります。全体として、従業員、家族を含めても五、六名の零細の企業になっているのが多いわけであります。この一万七千店余りで大体一兆円に満たない売り上げであります。多種少量生産というふうに言われておりますが、委託される商品の形態をとっているわけです。それともう一つは定価販売の商品であるというところから、競争条件というのが普通の企業とは非常に違った面を持っておるわけであります。業態を伸ばしていくために必要なのは、何といっても立地条件が一番重要になってくるというふうに思います。その立地条件の中で、特に人の集まる場所というのは非常に重要になってくると思います。  そういうことを踏まえて、最近鉄道弘済会あるいは私鉄、電鉄が経営するデパート、スーパー、こういうところが非常に大型の書籍部を持って、民間の小さい書店を圧迫をしているという事実がたくさん出てきているわけであります。鉄道弘済会が鉄道の公共用地を使って書店を開設してこれがどんどん広がっていくというような問題は、やはりその公共性からいって民営圧迫という形で問題があるのじゃないかというふうに考えるわけでありますが、このことについてどういうふうな見解を持っておられるかをお聞きしたいと思います。
  55. 織田季明

    ○織田説明員 書籍販売につきまして、大企業が進出をいたし問題となっている紛争がかなりあるということは御指摘のとおりでございまして、そのうちには、お話のありました鉄道弘済会であるとか、あるいは私鉄等スーパー関係がありますが、鉄道弘済会につきましては、私の方からも折折話をしておりますが、鉄道弘済会は財団法人であるという趣旨にもかんがみまして、民営を圧迫しない方向でいろいろ書店の開設その他をやるということでございます。  また、その他の電鉄スーパー等につきましても、よく話し合いをして地元と紛争が起きないようにということで問題を解決し、新店舗開設に当たってはスムーズにということで私の方から話をしている次第でございます。
  56. 上坂昇

    上坂委員 民営を圧迫しない方法というように言われたのですが、民営を圧迫しない形での販売方法というのはどんなものがあるのですか。
  57. 織田季明

    ○織田説明員 この点につきましては、鉄道弘済会の方からそういう話を聞いてまだ十分に詰めておりませんが、現在のところは雑誌とか新聞とか週刊誌とかというたぐいでございまして、そういうものについては余り民営圧迫ということはないのではないか。また、そのほかのものにつきましては、場所の立地条件その他から考えまして民営圧迫ということはないのではないかという場合もあるかと思いますが、そういうことを考慮しながらということではないかと思う次第でございます。
  58. 上坂昇

    上坂委員 こうした実態について、通産省として調査をされたことがありますか。
  59. 織田季明

    ○織田説明員 抽象的に問い合わせただけでございまして、細かいことについては問い合わせたことはございません。
  60. 上坂昇

    上坂委員 それでは実際はわからないわけですね、どんなことをやって、どんなふうに民営を圧迫しない方法をとられているのか。  有楽町の駅に行って改札して中に入りますと、その真っすぐ前にあるのです。そこでは雑誌類だけじゃないのです。文庫本から何から全部売っているわけですね。ああいう店舗が鉄道の敷地を使ってどんどん広がって大きくなっていったら、これは大変な問題になると思うのです。何といっても地方に行けば一番人の集まるところというのは駅なんですから、駅の構内を使ってやられるということは大変な問題になってしまう。そういう実態をやはり調査をして、そして具体的にここがこうなっているじゃないかという形での指導をしないと、単に抽象的に電話なんかで聞いただけでは、とてもこれは防ぎ切れるものではないというふうに思うのです。そういう点をひとつ要望をしておきます。  具体的な例はたくさんあります。ひとつ今度は地方に起きた具体的な例を申し上げますが、福島県の郡山市にスーパー、デパート、大型店舗が六店あります。そのうちの西友郡山店、これが最近郡山西武というふうに変更して本格的な百貨店経営に入るということであります。昨年の九月に開店をしたわけでありますが、現在売り場面積が三千坪余あります。そこへ最近増床しまして九百坪が認められたのですね。そのうちの二百坪を書籍売り場に当てるということを決定をいたしまして、その方向にいま作業を進めているわけです。  郡山市には二十六の店舗があります。この二十六の店舗全部合わせても六百坪程度しかないのです。これらの二十六の店舗に対して西友が手みやげを持ってぐるっと回ったのですね。その日にちが九月の二十七日なんです。つい最近なんです。開設は十一月の六日からやることになっておりますから、五十日にも満たない日数の間にそういう計画をどんどん進めてしまった。そこで地元の書店は本当にびっくりしてしまって、死活の問題だということでいまこれに対する反対の運動が展開をされているわけであります。この問題は新聞にも出ておりましたけれども、通産省ではこの問題をつかんでおりますか。
  61. 織田季明

    ○織田説明員 本件に関しましては、一昨日でございましたか、私自身が福島県からお見えになりました陳情の方々にお会いしまして、いろいろ事情も聞きまして承知しているつもりでございます。
  62. 上坂昇

    上坂委員 この西友がもし二百坪の書籍売り場を開設しますと、ほかの店舗に連鎖反応を起こすわけなんです。すでに、「うすい」というところがありまして、その百貨店ではいま三十坪ばかり持っているわけですが、もし西友でやるならば私のところもこれに負けないように二百坪以上売り場を広げる、こういうことも堂々と言明しているわけなんです。それからダイエーが進出して、ダイエーもこれをやりますということを言っているわけですね。そうしますと、この三店が始めるとすればそれだけで五百坪から六百坪の売り場面積になってしまう。そうなりますと、現在の二十六店のいわゆる売り場面積と全く同じになってしまう。こうなったらとてもこれはかなうものではない。しかも、この三店は全部郡山の駅前にあるわけであります。人はたくさん集まります。こうなりますと、もうえらいことになってしまうのですね。この点で、こうしたやり方について何ら規制の方法がないのかどうか。  私たちの考え方では、どうも分野法の制定の問題が出てきて、早晩これは制定されるだろう、その前にこれはやってしまわなければだめだということで、駆け込みでこういう計画をどんどん立てているのではないかというふうに思うのです。それからもう一つは、先ほども言いましたように、デパートとか何かがたくさん書籍販売に手を広げているわけでありますが、これは最近書籍の販売も少しずつ安定的な企業になってきたということで、そこへ飛びついてきているのじゃないかというふうに思っております。  ですから、これは中小企業の分野を守るために早く手を打たなければいかぬ、こう思うわけでありますが、一体これはどういう手を打ったらこういう点を防げるとお考えになりますか。
  63. 織田季明

    ○織田説明員 分野調整法の所管は私ではございませんので、別途またお答えいただきますが、私の方が昨日会いまして事情を聞きましたところ、まだ西友ストアの方とも会ってないということでございましたので、まず第一にはお会いしてよく地元の実情を話し、また向こうのお話を聞いていろいろ結論をその過程で出していくべきではないかということでございまして、私の方からも西友に対しましてよく地元の書籍商の方々とお話しするようにということを伝えた次第でございまして、その成り行きを見ながらということで考えております次第でございます。
  64. 上坂昇

    上坂委員 もし話し合いがつかない場合には、そのまま認めざるを得ない、こういう立場になるわけですか。
  65. 織田季明

    ○織田説明員 店舗面積の方につきましては、先生も御承知だと思いますが、昨年九月に認めました場合に、来年の十一月ですか、店舗面積の増加を認めるということになっておりまして、今回新しく認めたわけではございませんで、その昨年から認められておりました六百坪のうち二百坪ということでございまして、その二百坪に書籍部ができる、そのことにつきまして二百坪が適当なのか、あるいはもうちょっと縮小した方がいいのか、そのほかいろいろな問題について話をしてくれということを私から西友の方に伝えたわけでございまして、その話の結果を見て対処したいというふうに考えておる次第でございます。
  66. 上坂昇

    上坂委員 連絡をとったのはいつですか。
  67. 織田季明

    ○織田説明員 おとつい陳情を受けまして、おとつい早速連絡をとりました。
  68. 上坂昇

    上坂委員 これは話し合いがつかないで、もし西友の方で強行してしまう、こうなりますと、先ほど言ったように、ほかの百貨店、スーパーに連鎖反応を起こしていくわけです。ですから、ここのところをきちっと、やめるように、書籍を全部売らないというわけにいかないでしょうから、これを小さくする、いわゆる民営を圧迫しないような程度にしていくという形のものにしていかないと大変なことになる。スーパーとか何かでは、お客さんを呼び寄せるのに最近書籍というのは非常にいい手段であるというふうに言われているわけですね。したがって、これに手をつけることはどこでもやる。だけれども、やはり地元の在来の百貨店は、これは地元の業者との競合をなるべく避けるという形の中から広げないでいるわけですね。それだけやはり協調しているわけです。  こうした百貨店が最近郡山にはたくさん進出して、地元でもこれは大問題になったわけなんです。しかし、商調協の問題とか何かあっても、結果的には認める形になってしまった。したがって、百貨店がたくさんできればそれだけお客といいますか人はたくさん集まるから、そういう意味では専門化していけばある程度ほかの中小企業の中にも客が流れる、こういう結果は多分あるのだろうと思うのです。しかし、いまの書店の場合は近代化していくとかなんとかということが非常にむずかしい業種ですね。もともと書籍といういわゆる販売の一つの専門部門でありますから、非常にむずかしい。そういうところにこうした大きな店舗が出ていく。全部本を並べられたら、そこへ人が集まるのは当然であって、とてもこれはやっていけるものじゃない。  したがって、これは単に話し合いをしろと言うだけではなくて、行政指導として、大型店舗としての一つの自分たちの道義というのですか、そういうものを守ってやるような、商業道徳といいますか、そういう面での指導というものをする必要があるのではないか、私はこう思うのです。その点はどうですか。
  69. 織田季明

    ○織田説明員 法律面での介入というようなことはいまはすべきでないし、またそういう手がかりも非常にむずかしいわけでございますが、いま先生がおっしゃいましたような商業道徳面のことにつきましては、私はかねがね百貨店、スーパー、大型小売店舗に対しまして言っているところでございまして、先般西友ストアーに話し合いをするようにと言ったときも、地元とトラブルを起こすような新しい拡張はなるべく避けるようにという前提で話し合いをしてもらいたいということを申し上げたわけでございまして、先生の御趣旨は十分体しているつもりでおります。
  70. 上坂昇

    上坂委員 私は、この前、三越が葬祭を始めたということについても質問したわけでありますが、こういうかっこうで、いろんな形で中小企業の分野を侵している、非常に困る問題がたくさん出ているわけですね。したがって、そういう面で中小企業が期待しているところは、やはり分野法の制定ということを非常に大きな期待を持っている。そして、この法律化によるところのこの法律の運用によってそういうものをなるべく避けていくという形のものがいま急速に要望されているというふうに思うのです。したがって、一日も早くこの分野法等の制定に取りかかってもらわなければならないし、その点でこれは大臣にお聞きいたしますが、いま申し上げましたようないろいろな具体例がたくさん出ておりますので、分野法の制定についての決意のほどをひとつ承りたいというふうに思うのです。
  71. 河本敏夫

    河本国務大臣 分野法の制定につきましては、前国会の最後にこの委員会で決議がございまして、その決議を受けまして通産省の方では審議会を設けましてずっと作業を進めております。すでに七回の審議会を開きましていろいろ検討していただいておりますが、なお数回開く必要があろうかと思います。非常に重大な大法典でございますので、なかなか作業も、議論すればするほどいろんな意見が出てまいりまして時間を若干要しておるわけでございますが、できるだけ早くまとめたいということで作業をしておるところでございます。
  72. 上坂昇

    上坂委員 もう一点審議官にお尋ねしますが、この話がつかない場合にはオープンしないというようなところまで指導できませんか。
  73. 織田季明

    ○織田説明員 話し合いをとことんした前提で対処をしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  74. 上坂昇

    上坂委員 そうすると、その話し合いがとことんまでだから、ずっと続いていっているうちはオープンできない、こういうふうに判断をするわけですが、どうですか。
  75. 織田季明

    ○織田説明員 話し合いがつかなければというような前提で私の方から書籍側あるいはストアーの方に話を伝えますと、話が解決すべきものも解決しない場合もありますので、私の方としては話し合いをした上でということで考えておりますので、あくまで話し合いをしてもらいたい、話し合いをとことんしてくれという態度で臨みたいと思っております。
  76. 上坂昇

    上坂委員 なお、この問題については仙台の通産局の方にも十分連絡をして、そこからも現地で実際的にそうした面の監視をすると言ってはおかしいけれども、十分見守るようにしてもらいたいというように思います。  それから、先ほど一番先に申し上げた鉄道弘済会以下の問題については十分な指導をしてもらいたいと思うのです。これはやはり公共事業体でありますから特に必要だと思いますので、その点もあわせてお願いをしておきます。  次の問題に移りますが、電電公社の工事の問題についてお聞きいたします。  電電公社が行っている年間の工事量を、ひとつ金額で示していただきたい。
  77. 山口開生

    ○山口説明員 お答えします。  金額で申しまして約四千億でございます。
  78. 上坂昇

    上坂委員 四千億ですか。これは何年度ですか。
  79. 山口開生

    ○山口説明員 五十年度でございます。
  80. 上坂昇

    上坂委員 これらの工事をやらせている会社、これは何社ぐらいあって、一番大きい会社の資本金と、それから工事請負金額、これを教えてもらいたい。
  81. 山口開生

    ○山口説明員 工事の認定をしております会社が全国で六十九社ございます。そして、一番大きな工事業者は二十五億の資本金を持っております。一番大きな会社で年間に約五百億前後の工事をやっております。これも五十年の実績でございます。
  82. 上坂昇

    上坂委員 この六十九社を認定して、これの認定の基準があるわけですね。この基準について御説明をいただきたい。
  83. 山口開生

    ○山口説明員 先生御承知のように、私どもの電気通信設備は全国的なネットワークになっておりまして、一ヵ所の工事でも故障が起こりますと全国的な影響がございますので、品質的に大変重視をしております。したがいまして、その工事を請け負います業者につきましても厳格な基準を設けておりまして、きわめて大まかに申しますと、技術能力と工事能力を勘案いたします。  技術能力といいますと、たとえば技術者が何名いるとか、あるいは工事用の機械器具、測定器、こういったものをどういうものを持っておるかというようなことを勘案しておりますし、工事能力といいますと、全体のいま言いました技術能力並びに経営能力でございます。これは、何年間こういった仕事をやっておるとか、それから資本金がどうであるとか、こういったことを考えまして一級から四級までランクづけをしております。
  84. 上坂昇

    上坂委員 一級、二級、三級、四級の各級の会社の数を教えてもらいたい。
  85. 山口開生

    ○山口説明員 一級が二十六社ございます。二級が二十三社でございます。三級が十九社、四級が一社でございます。
  86. 上坂昇

    上坂委員 最近この会社の認定を変更したことがあったら、それは何年にどういう変更をしたか。
  87. 山口開生

    ○山口説明員 認定につきましては二年ごとに評価がえをしておりまして、最近ではこの五十一年の七月に認定をいたしております。
  88. 上坂昇

    上坂委員 五十一年の七月にやった認定では、何社ぐらい認定から外れたり、または新しく加わったのですか。
  89. 山口開生

    ○山口説明員 今年度の認定に当たりましては、新規の参入もありませんし、認定から外れたのもございません。
  90. 上坂昇

    上坂委員 これは認定を一応形式的にするだけで、もうずっとそういう変更したり新規参入というようなことはやっていないということではないのですか。その点はどうですか。
  91. 山口開生

    ○山口説明員 お尋ねのような全然変わらないということではございませんで、厳密に申しますと、格づけがたとえば二級から一級に上がるとか、あるいは下がるとか、こういうことはございます。過去十年ほど前には二、三百社ございまして、それがだんだんと規模を構えまして現在のような数字になっております。
  92. 上坂昇

    上坂委員 各級の工事請負会社のいわゆる下請といいますか、あるいは関連会社といいますか、そういうものは総体で何社ぐらいありますか。
  93. 山口開生

    ○山口説明員 下請業者、いわゆる元請業者に登録をさしております下請業者の総体は、全国で約二千社ございます。
  94. 上坂昇

    上坂委員 そこで、今度は具体的にお聞きしますが、下請業者の経営の問題であります。  いま電信電話料金の問題があって工事の発注が非常におくれている。これはほかの委員会でやっているわけでありますが、倒産関連事業体というような認定を受けて証明をもらって、そして金融機関に行っているわけです。大臣所信表明にも、「国鉄電電公社に大きく依存している企業への対策が当面の差し迫った問題であります。」そして「国鉄電電公社に対して関連中小企業への配慮を要請し、政府中小企業金融機関の弾力的活用を図る」というふうに言っているわけでありますが、実際に私の知っている下請の業者では、政府系の金融機関から金を借りると利子が高いのですね。なかなかめんどうくさくて借りられないのです。保証人を二人つけるとか、それから担保を入れるとか、非常にむずかしくてなかなか借りられないのです。  ところが、民間金融の方へ行きますと、市中銀行の方ですと保証協会の保証をとれば借りられるのです。聞きますと、政府系金融機関では九・三%から九・五%ぐらいになっている。ところが、市中銀行ですと、この会社は八%程度で借りられる。こういうことになりますと、「関連中小企業への配慮を要請し、政府中小企業金融機関の弾力的活用を図る」なんて書いてあっても、これは言葉だけにすぎないのじゃないか、こういうふうにわれわれは考えざるを得ない。  そこで、非常に問題になるわけでありますが、三兆円ほど政府三機関に対して手当てをしている。一体こうしためんどうな審査、担保あるいは保証人、それでもなおかつ利子が高い、こういうようなやり方の中で、果たして中小企業がいま非常に苦しい中で生きられるのかどうか、ここのところをどういうふうにお考えになっているのか。単にここに言葉で書いてあるだけでは済まない問題です。大臣、こういう点について御見解をいただきたいと思います。
  95. 河本敏夫

    河本国務大臣 通産省といたしましては、いま通産行政の中で中小企業対策を最大の課題と心得ております。景気が大分よくなってまいりましたので、その影響中小企業大勢としてはよくなっておりますが、やはり何と申しましても一部の業種は非常に悪い、いいのは一部である、こういう状態跛行性がございます。そういうことがありますので、年末を控えましてやはり金融面から援助をすることが必要でございますので、第三・四半期は九千四百億円という枠を政府系三機関で用意しておりますが、これは事情によりまして追加融資をするつもりでございます。  それからさらに、返済期限が来たものに対しましても返済を延ばすとか、あるいはまた担保切れ等の問題が起こっておりますので担保の見直しをするとか、そういう点につきましても弾力的に配慮するように三機関に対しては指導をしております。  それから、信用補完制度等につきましてもきめの細かい配慮をしておるわけであります。  同時に、あわせまして仕事の面を確保するということも大事でございまして、仕事の量を確保するためにはやはり景気回復しなければなりませんが、とりあえずは官公需の中からできるだけ仕事を回していくことが大事だと思います。毎年一、二%ずつパーセンテージをふやしておりますが、ことしは三四%を目標にしております。三四%は少ないじゃないかという議論もあるのですけれども、これは順を追ってふやしていきたいと考えております。  それから、仕事の確保、金融面での配慮ということを中心としていま対策を立てておるわけでございますが、これからは安定成長の時代に入りますとどうしても業種の転換ということが起こってまいりますので、業種の転換を図るためのいろいろな制度の整備拡充ということも積極的に考えまして、国会にも御審議のほどをお願いしておる法律も御案内のようにあるわけでございます。
  96. 上坂昇

    上坂委員 公社の局長にお伺いします。  下請の会社でありますが、親会社というのは大体管理部門だけを担当して、実際に仕事をしているのは下請である、こういうふうに私は聞いております。調べたところでもやはりそのようであります。ところで、親会社から下請が仕事をもらう場合、親会社が請け負った金額の五〇%程度しか下請には渡されていない。下請の方で仕事をする、その仕事に、いわゆる工事の監督の人たちが必ず親会社からは派遣されて、その人が工事全般を見ることになっている。仕事によってはそんな人がいなくてもいいのだけれども、これは法律上そういうふうにしなければならぬということで派遣をする。ところが、派遣をした人の費用は一切全部子会社が負担するような形になってしまう。したがって、下級にいきますと、二級、三級の方へいった場合には大体七〇%から八〇%まで下請の方にお金が渡る、ところが一級の形になってきますと、それが半分しかいってない、こういう問題がある。これはどの業者も一様に言っているわけです。それで非常にまいってしまうということなんですね。  ですから、私は思うのですが、ボーナスにしてもあるいは給料にしても大分違う。たとえば百万の仕事をした場合に五十万しかこない。親会社の方は一人の工事長を派遣しただけで五十万はそっくり持っていってしまう。残りの五十万のところでは、これは実際に仕事をするのですから、三人なり四人なりこれに対して人を出す。したがって、大変な苦境のところで仕事をさせられているわけです。  これが非常に金額が大きい場合はいいですよ。何千万とか何億というような大きな場合には、それでもあるいは五千万の仕事だったら二千五百万円になるのだから何とかなるかもしれない。しかし、こういうふうなやり方をしていったのでは、やはり工事のやり方の上で問題が出てくるおそれがなきにしもあらず。そんなことになったら大変だから、監査を強化して、そして、先ほど局長が言われたように、これは全国ネットでありますから、どこかで故障したら大変だから、そういう点は遺漏のないようにしているのだと思いますが、それだけに中小企業の方はしわ寄せがひどい。こういうやり方の実態というものを公社は御存じですか。
  97. 山口開生

    ○山口説明員 お答えいたします。  最初の、五〇%なり七〇%で下請に流れていく、こういうお話がございましたのですが、元請業者から下請業者にいく場合には、工事に要します材料の提供を元請が持つ場合がございます。それから、機械器具類でも最近は大型化してまいりましたので、たとえば大型機械などは下請業者が持ち切れないというようなこともございまして、親会社が貸与する、こういうことなどもございますので、一概には申し上げられませんけれども、大体五〇%前後で下請にいってもそうおかしくはないのじゃないか、こういうふうに考えております。  それからまた、まる投げも全部元請が下請に投げてしまうじゃないか、こういうようなお話がございますが、実はやはり工事にあたりましては品質を確保する意味から下請禁止工程というものをつくっておりまして、ある工程につきましては下請してはいけない、こういうことも実はつくっております。したがいまして、そういう意味からいきましても、数十%元請が取り上げて、下請にえらいしぼっているのじゃないかということはないものと私たちは思っております。  それからまた、かねがね私どもも、中小企業の仕事を確保する意味からも、あるいは雇用問題から申しましても、元請が下請を適正に指導しなさいというようなことを公社からも元請業者に常日ごろ指導しておるところでございまして、先生がおっしゃいますようなことがございますれば、なお具体例など、ただいま私、聞いておりませんけれども、もしありましたら今後とも適正な指導をしていきたい、このように思っております。
  98. 上坂昇

    上坂委員 もう一つお伺いしたいのは、いまの下請の登録会社ですね、これは登録されているというふうに言われているのですが、これについて聞きますと、いま言ったようないろいろなことを言うわけです。実際その苦衷を訴えるわけですよ。そういうことを調査をしなければならぬじゃないかと私は思うのです。その調査をするといっても、本当のことを言うかどうか、電電公社の方に本当のことを言うとそれが漏れて外されてしまうなんというおそれがあっては困るから、そこのところは非常にむずかしいだろうとは思うのですが、やはり実態を把握してもらって、こうした苦情というものが出されるというようなことのないようにしてもらいたい、これは要望しておきます。
  99. 山口開生

    ○山口説明員 下請からもそういった苦情を公平に情報として受け入れるように、全国に十一通信局ございますが、その各通信局の窓口に、これは直接には契約課という課が担当しておりまして、そこに業者から特に下請問題などについて公社に話のできるようにしてございます。ただ、いまおっしゃいましたように、下請になりますとやはり元請に気がねをしまして、なかなか言いにくいこともあろうかと思うのでございます。私どももなるべく公平な立場で処理をするということで従来からもそういうふうに窓口を設けておりますし、今後もやはり指導してまいりたい、このように考えております。
  100. 上坂昇

    上坂委員 もう一つお聞きしたいのは、認定をする場合ですが、その元請会社の方は実体的には余り完備をしてない会社であって、しかし従来のいきさつからずっと来ていて工事はもらっている、ところが下請の方は非常に充実した会社であって、その下請がほとんどその元請会社の仕事をしていっている。聞くところによると、線路ですか、それから土木あるいは機械ですか、大ざっぱに言って三部門に分かれると思いますが、この三部門をほとんどその会社が受け持ってやっている、しかし、その会社がいつまでたっても認定業者にはなれない、したがって、いつまでたってもいま言ったように頭金ははねられてしまう、こういう形の会社が実際ある。そういう実態を御存じですか。
  101. 山口開生

    ○山口説明員 お答えします。  私ども、認定につきましては別に新規認定会社を拒否しているものでもございませんので、それなりの基準を満たしておりますれば、一般に新規認定ということはあるわけでございます。ただいま先生の御指摘のようなどうしても認定になれないというような会社があるということは、私、寡聞にしてまだ聞いておりません。
  102. 上坂昇

    上坂委員 では、確認しておきますが、そういう資格条件が整えば、それはなるべくふやさないようにしているのでしょうけれども、これは認定に入ることもあり得る、こういうことですね。
  103. 山口開生

    ○山口説明員 業者の能力に応じて、あり得ます。
  104. 上坂昇

    上坂委員 次の問題に移ります。  最近、家庭用品の品質表示法の改正が行われるということになっているようでありますが、これはもう終わったのですか。
  105. 織田季明

    ○織田説明員 お答えいたします。  告示はきょうでございまして、施行は一年後、物によっては若干違うのもありますが、大体において一年後でございます。
  106. 上坂昇

    上坂委員 きょうが告示なんですね。
  107. 織田季明

    ○織田説明員 そうでございます。
  108. 上坂昇

    上坂委員 この中で石けんと合成洗剤が今度表示がえになりますね。いままで石けんについては表示の品目に入ってなかったわけですが、合成洗剤は入っていた。この改正はどういうふうな趣旨で改正することになったのですか。
  109. 織田季明

    ○織田説明員 この点につきましては、実は消費者の方からも誤解をされたような面もございまして、私の方としてはまことに申しわけないと思っている点もあるわけでございますが、どういうところからそういう間違いが起きたかということでございますが、従来石けんと申しますと、全く純粋な純石けん分だけでできているというふうに思っていた向きが多いのでございます。しかし、従来の石けんというものも、製造装置の問題その他の関係で純石けん分以外の若干の界面活性剤を使っておりまして、そういう意味では従来石けんは純石けん分だけでできていると思っていたとこるに誤解があったのではないかというふうに考えているわけでございます。  今回、先生がいまお話しなされましたように、洗たく用石けんにつきまして洗たく用石けん、洗たく用複合石けん、石けん系洗たく剤、その三つに分けましたし、また合成洗剤につきまして、洗たく用合成洗剤、洗たく用複合合成洗剤合成洗剤系洗たく剤、この三つに分けたわけでございますが、この分類の名称が、日本工業規格、JISに従ってつけたものでございますから言葉がむずかしい。しかも、石けんの方に洗たく剤というような言葉を使ったものでございますから、石けんと合成洗剤がこんがらかってくるではないかというお話もあったわけでございます。しかし、つくりました趣旨はいま述べたとおりでございまして、今後もう少しよくPRをし、誤解のないようにしていきたいと思っている次第でございます。
  110. 上坂昇

    上坂委員 従来の石けんにはいわゆるまぜ物がなかった。油脂と苛性ソーダが主体になっていた。そうすると、それに入っていたというのは何が入っていたのですか。
  111. 織田季明

    ○織田説明員 洗ってきれいになるものといたしましては、純石けん分と純石けん分以外の界面活性剤というのがあるわけでございます。石けんをつくる業者は全国で四十幾つございますが、そのうち大部分が中小メーカーでございまして、中小メーカーは石けんをつくった装置を使って洗剤もつくっているわけでございます。そうしますと、石けんをつくった装置をよく洗ってつくったつもりでも、先につくったものの原料が残っていたりしまして、石けんという場合でも界面活性剤が残っていたり、また界面活性剤を純粋に使ってつくったと思っても純石けん分が残っていたりしまして、純粋に一〇〇%というのは、中小メーカーの場合は製造装置その他の関係からむずかしい。したがって、先ほど申し上げましたように、従来石けんといえば純石けん分だけでできていたと思っていたのが一般の消費者の方々の感覚ですが、そうではありませんということをはっきり表示するようにして、石けんと合成洗剤につきましてそれぞれに三つの分類をしたわけでございます。
  112. 上坂昇

    上坂委員 いま合成洗剤については問題が非常にたくさんあって、人体に影響があるということが出ていることは御承知のとおりだろうと思います。したがって、洗たくの場合粉石けんを使え、純粋の石けんを使えということで、ABSあるいはLAS、これらが非常に大きな問題になっているわけであります。  そこで、本来ならばそういうものが入らないようにしていくということで指導することが一番大切なんじゃないかと私は思うのですが、そうでなくて、いまの界面活性剤にしても何でも、入ることを暗黙に認めている、こういう態度ではないかというふうに思うのですが、そういうように考えていいのですか。
  113. 織田季明

    ○織田説明員 入らない場合でも全然入っていないわけではないということを申し上げたわけでございますが、今回の表示におきましては、三%未満のものとか、あるいはそれ以上のものとかということで表示をすることにいたしておりますので、純粋の洗たく石けんというものは界面活性剤が三%未満ということでございますから、そう害がないということになるのではないかというふうに考えておるわけでございます。したがって、おっしゃるようにゼロが一番いいのかもしれませんが、三%未満でございましたらこういうふうに使えばいいということで、使用上の注意にもなるということに相なるわけでございます。
  114. 上坂昇

    上坂委員 いままでの品質表示では合成洗剤だけが載っていたわけですね。いわゆる石けん類はなかったわけですね。それを、石けんの中にはとにかく多少なりともいろいろな不純物が入っている、したがってこれは登録させなければならない、表示にしなければいけない、こういうふうになったということなんですか。  それで、合成洗剤はほとんど大企業がつくっているのですが、最近合成洗剤を使わない運動というのが各地区で非常に盛んになってきていますね。これは地方へ行きますと婦人会等が先頭になってやっています。特に漁業界は、これは海を汚さないようにということで、漁業協同組合の婦人部などがこれを使わない運動を盛んにやっております。したがって、洗たくについても純粋の石けんを使え、こういう運動を展開しているときに、合成洗剤と並べていわゆる洗たく用石けんであるとか複合石けんであるとか、そうした名前のものをわざわざ登録させるということになると、消費者は非常に混同してしまいますね。  そして、あなたは誤解をしているというふうに言われておりますが、これは誤解をしているのではなくて、知らないわけですね。そうすると、知らないのをそのままほうっておいて、合成洗剤に入る部分が純粋の石けんに入ってもいいのだ、それはもう入っているのだ、こういうふうに最初から認めているというところに私は問題があるのじゃないかと思う。そうじゃなくて、大企業に対しても、実を言うと合成洗剤というのは非常に危険なんだから、これは将来いろいろな奇形児が生まれないとも限らないということまで言われている、魚はどんどんいなくなってしまう、こういう危険なものはなるべくつくらないようにして、そして、幾らかは入っているかもしれないけれどもなるべく純粋のものをつくる。純粋のものでつくれば今度は本当の純粋になって、合成洗剤の部分が流れ込むということはなくなるわけでしょう。そういう指導をしなければならないのではないか。その点はどうなんですか。
  115. 織田季明

    ○織田説明員 まことに申しわけないのですが、私は科学的な知識が余りないものでございますので、いまの点は基礎産業局の方から答えさせていただきます。
  116. 平河喜美男

    ○平河説明員 御説明いたします。  合成洗剤につきましては、御指摘のように大企業を中心に生産をいたしております。それから、石けんにつきましては中小企業が中心でございます。もちろん一〇〇%純石けん分だけのものもございますけれども、ごく一部には製造工程で多少の合成洗剤が入り得る。もちろん量的に非常に少量のものでございますけれども、消費者が使います場合にその辺をはっきりさせるために今回表示法に載せた、こういうことでございます。生産段階におきましてまじらないように技術的な指導その他をやることは可能でございます。
  117. 上坂昇

    上坂委員 生命に非常に異常を来すような、そういう洗剤をつくらせないようにしていく、そして生活環境をよくしていく、それから人体に対する被害というものもなくしていく、こういうかっこうで進めていく、これがやはり本来の趣旨じゃないのですか。もうかれば何をつくってもいい、そして将来私たちの子供や孫がひどい目に遭っても構わないのだというふうに言われている合成洗剤を、一挙になくすということは経営上非常に問題でしょうから、したがってこれはできるだけ少なくしていく、そして、従来の石けんをつくっている部門、これに助成をし、これを育てていく、そういうやり方をすることが正しいのではないかと私は思うのですね。  ところが、そうではなくて、この表示ではあくまでもそういう考え方がないわけです。そして、むしろ、誤りがあってごく一部に入った、純粋のものにごく一部入っている、いまごく一部というふうに言われましたが、ごく一部入っているものを認めて、そしてここへわざわざ登録をさせて混乱を起こすというような形にするということについては、これはなかなか納得がいかない。いまの点をもう一度伺いたい。
  118. 織田季明

    ○織田説明員 今回の品質表示の問題は、いま先生がおっしゃいました政策の問題とは少し別なというふうな感じを持っておるわけでございますが、従来あったもの、また使われていたもの、いま言われた洗たく石けんというものの中にも界面活性剤が入っていることは明らかでございますから、そういうこともはっきりさせて、洗たく用石けんというものも三種類に分けてその内容を表示する方が消費者には親切ではないかという観点からのものでございまして、いま先生からお話のあった点につきましては基礎産業局の方から答えさせていただきます。
  119. 平河喜美男

    ○平河説明員 お答えいたします。  合成洗剤の毒性等につきましては私どもの方の担当ではございませんけれども、前に科学技術庁及び厚生省におきましてかなり精細な試験をいたしております。その結果、通常に使用している限りにおいて問題かないというふうに私どもでは聞いておりますので、それに従って生産をいたしております。
  120. 上坂昇

    上坂委員 おたくの方の調査では、これは人体に影響がない、そういう結果が出たということですか。
  121. 平河喜美男

    ○平河説明員 昭和三十七年度の科学技術庁の研究及び昭和四十八年度からことしにかけましての厚生省の研究の結果では、そのようであると聞いております。
  122. 上坂昇

    上坂委員 この改正案の表示例を見ますと、「使用上の注意」というところに、「幼児の手が届くところに置かないこと。」とか、「シャボン玉遊び等の幼児のいたずらに注意すること。」とか、それから「原液等をスポンジ等につけて使用する場合、荒れ性の者が使用する場合又は長時間にわたって使用する場合」は手袋をかけろとか、こういうふうにちゃんと出ているのですね。それから、使用後は必ず水洗いをちゃんとしろ、こういうふうに出ているのです。それから、万が一少しでも飲み込んだ場合には水を飲ませて吐かせろ、こうなっているのです。これは危険だからではないのですか。
  123. 平河喜美男

    ○平河説明員 合成洗剤も石けんも食品ではございませんので、これを過って飲み込むことがありますと確かに有害でございます。そういうことのために、念のため注意をしております。
  124. 上坂昇

    上坂委員 「万一飲み込んだ場合には」というのは、一番最後の方に書かれているのです。実際は飲まないようにした方がいいのです。これは飲んだら大変です。こんなことはあたりまえだ。問題は、その前に、炊事用の手袋をかけろとか、こういうことがあるわけです。それはアレルギー性の人が使った場合には荒れるかもしれない。しかし、こういうふうにいろいろ出ているということは、ごく少量の場合は人体に影響がないかもしれないけれども、しかしやはり合成洗剤そのものは問題がある、こういうふうに解釈すべきではないかと思いますが、どうですか。
  125. 平河喜美男

    ○平河説明員 非常に濃度の濃いもので手を洗いますと、確かに脂を取りますので荒れるかと思います。そういう点からの注意が一つでございます。それから、飲み込みますと確かにおっしゃるとおりに有害である、その点は注意を要するかと思います。ただ、普通の洗浄剤として使っている限りにおいて特に有害ではない、かように考えております。
  126. 上坂昇

    上坂委員 もう一点、最後にお聞きしますが、これはきょう告示してしまうのですから、きょうから入ってしまうのですね。いまからは訂正することはできない、こういうことになりますか。
  127. 織田季明

    ○織田説明員 石けんにつきましては来年の四月一日から施行でございます。
  128. 上坂昇

    上坂委員 そうしますと、いまからもう一度十分検討して、そこのところは改正なり何なりできるようなことはあり得るということですか。
  129. 織田季明

    ○織田説明員 施行までに時間を置いておりますのは、現在在庫のものがあるとか、そのほかの事情でございまして、私の方はこの告示については自信も持っておりますし、ただ、PRが行き届かないために誤解を受けている面もありますから、そういう方に誤解を与えないような努力をしなければいけないという期間も含めて、そういう期間をとった次第でございまして、この審議会といいますか、審議に当たりましては消費者の方々も入っておられますので、もうちょっとよく御説明、PRをすれば御理解いただけるのではないかというふうに思っておる次第でございます。     〔近藤委員長代理退席、綿貫委員長代理着席〕
  130. 上坂昇

    上坂委員 いま非常に自信を持ってやっているということでございまして、これはこちらで幾ら言っても自信が崩れないわけでございますから、訂正をしないのだろうと思いますが、やはりいま申し上げました生活環境的な問題の中から、政策的にもう一度再検討をしてもらいたい、私はこれは要望をしておきます。これに対する質問は終わります。  次の質問は、原子力問題についてお伺いをしたいと思いますが、最近、八月半ばの新聞でありますが、アメリカの原子力委員会が新しい原子力発電炉をつくることについてそれを停止した、こういう記事が出ております。これは御承知のようにラルフ・ネーダー氏の裁判の結果そういう形になったというふうに言われておるわけでありますが、発電所への免許発給に際して、自然保護にも、それから放射性廃棄物の処理にもほとんど関心を払わないでやってきた。アメリカの原子力委員会は、日本の原子力委員会と違って非常にきちんとしたやり方をしている。これは安全性の問題についても、それから行政的な問題についても、日本よりは格段に違った厳しい条件を付している、こういうふうに言われておるアメリカの原子力委員会ですら、この裁判の結果はこんな形になって免許の発給を停止した、こういうふうに聞いているわけでありますが、これについて通産省で知っている情報をひとつ教えていただきたい。
  131. 松田泰

    ○松田説明員 お答えいたします。  去る七月二十一日に、アメリカのアピール・コート・オブ・ディストリクト・コロンビア、翻訳すればコロンビア特別区の控訴審といいますか、そういうところでアメリカの自然保護団体から出ておりますある発電所の裁判に関しまして、主としてアメリカにおきます規制業務の手続問題につきまして不十分であるという判決が出されました。これはいま先生のおっしゃいましたように廃棄物の処理、それから再処理問題が中心になっておるわけでございますが、判決を読みますとわかるのでございますけれども、アメリカの裁判所が米国の規制当局のやっております規制の内容それ自体、あるいはアメリカにおきます再処理の政策と申しますか、そのこと自体について不十分であるという判決をしているわけではございません。  ただ、アメリカの法律体系は日本と違うところが幾つかあるわけでございますが、アメリカにおきましては規制の手続そのものを決める法律があるわけでございます。いま現在、アメリカのNRCが決めております、個別の原子炉をいわば最初に許可をする際に、主として環境政策法からの要請を受けておるわけでございますが、核燃料サイクル全般について環境に及ぼす影響の報告書というものをつくって発表するということを義務づけておるわけでございます。その報告書の作成を義務づける際に、アメリカのNRCにおきましてこういうような報告書をつくればいいということが規則の中に、もちろんその根拠になっている研究もあるわけでございますが、一応出ておるわけでございます。その規則の内容というよりは、その規則を決めた手続がどうも不十分である、訴えている各種団体が出しているような疑問について十分こたえた形でその規則が制定されていないのではないか、したがって、どうも問題点がよくわかっていないという趣旨の判決をしたわけでございます。  それに基づきましてNRCが八月に声明を発表いたしまして、NRCとしては少しその手続の改正を考えたい、なお、その基礎になっておりますいろいろな分析についても、最近の知見を入れたものをつくり上げたい、そういう手続上そのような環境影響報告書というようなものが必要になるような許可は、その手続ができるまでは差しとめるという声明を出したわけでございまして、アメリカの法体系ではいろんな許可がございますが、通常考えられておりますような大きな発電所を新しくつくる場合の最初の建設の許可でありますとか、あるいは運転に入る前とか、そういう場合には一応環境影響というものをやりますので、そういう場合のものは当分差しとめるということになったわけでございます。  ただし、NRCの声明によりますと、主として手続問題でございますので、見通しは余りはっきりとは言えないと思いますけれども、一応、たとえば十二月とかあるいはもう少々先、来年の初めぐらいまでにはそのような手続をそろえて、この許可を差しとめた問題も解決をしたいというふうに声明を発表しております。
  132. 上坂昇

    上坂委員 もう一つ説明をいただきたいのですが、アメリカの再処理工場でこれが爆発をしたというニュースがあるわけです。これについて御存じならば教えてもらいたいのですが……。
  133. 松田泰

    ○松田説明員 現在手元に資料を持っておりません。記憶でやや不正確だと思いますが、爆発をしたというふうに報道をされておりますけれども、アメリカのハンフォードにあります再処理工場のある一部のパートにつきまして、一種の化学的な、爆発という表現は正確かどうかわかりませんけれども、事故を起こしたという報道を聞いております。その場合、もちろん環境に対する影響はなかったというふうにも聞いております。
  134. 上坂昇

    上坂委員 この再処理工場について、通産大臣が団地を建設するという構想を発表されているようでありますが、これは内容は固まってきたのですか。
  135. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 先生御承知のとおり、現在わが国で再処理をやれるのは動燃事業団だけになっておるわけでございます。ただ、将来核燃料サイクルをどう持っていくかという問題の一環といたしまして、従来どおり動燃事業団でやるのがいいのか、それともまた別途民間を主体として考えていった方がいいのかといったような検討はいたしておりますが、いずれにいたしましても、そういった再処理のまだ勉強中というか、検討段階でございますので、具体的にどのような立地をするかといったような段階までには至っておらないわけでございます。
  136. 上坂昇

    上坂委員 原子力の問題、原発についてはいわゆる下流部門というのですか、廃棄物の処理とか、使用済み燃料の問題とか、それからプルトニウムを取り出す再処理とかいろいろありますが、そういうものは全く置き去りにされて、イギリス等に委託をする。いま申し上げましたように、動燃でようやく取りかかるというような状況の中で、原発の建設だけはどんどんどんどん進んでいっている。どうにもならなくなってきている。片一方でどんどんどんどんやって、その後始末をするものは何ら手を打たれていないということでは、これは住民の不安が増してくるのは当然だと思うのです。その辺のところはどういうようにお考えですか。
  137. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 御指摘のように、核燃料サイクルのダウンストリーム、いわゆる再処理と廃棄物処理の点につきましては、整合性のとれたものに持っていくということは当然必要でございます。先ほどお答えいたしましたように、現在われわれとしても早急に対策あるいは実行に移すための準備作業を始めておるわけでございますが、現在までの段階では、外国に委託する、その範囲内において現有能力と大体一致いたしておるわけでございます。
  138. 上坂昇

    上坂委員 いまの原子力の計画でいくと、これはもう大変な、六千万キロワットですか、六十年になると。そこまで持っていくというような状況の中で、どんどんどんどん進められている。私は非常に不安に思うわけでありますが、早くそうしたものの整合性といいますか、そういうものをやはり出す必要があるのじゃないかと思うのです。むしろそういうものができないうちは、原子炉の建設は中止をしていくということが必要であろう、こういうふうに私は思うので、そういう方向でひとつ検討してもらいたいというふうに思うのです。  もう一つお聞きしたいのは、核燃料税ですが、福井県で課税をしたいということでありますが、これについての通産省としての御意見をいただきたいのです。
  139. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 いまの御質問にお答えする前に、現在の昭和六十年を目標とする原子力の発電計画が四千九百万キロワットになっております。これを達成するためにも、安全性を第一にいたしまして、重々自重してまいりたいと思います。  それから、いまの核燃料税の問題でございますが、具体的には福井県がこの九月の県会に提出いたしまして、十月六日に条例として可決したケースについてのお話だと思いますが、本件につきましてわれわれが承知しております内容は、原子炉に装荷する核燃料を対象といたしまして取得価格の五%を五年間徴収する。大体計算では八十億円程度というふうに言われておるわけでございます。この核燃料税に対しましては、通産省立場といたしまして、原子力発電の立地促進のために県が必要とする財源を手当てをするという点におきましては、その趣旨にはわれわれ賛成であるわけでありますが、率直に申し上げまして、その具体的な方法として、法定外普通税がいいのか、それともいわゆる電源三法による交付金の活用で考えていくのがいいのかといったようなこともわれわれ内部ではいろいろと議論したわけでございますが、結論的には立地促進のためにやむを得ない。ただ、そのかわりに、福井県の場合には原子力発電所が県内に集中的に立地しているという特殊事情、あるいはこういった財源を電源立地促進のために有効に活用してもらいたい、こういう配慮を自治省に求めることによって、われわれといたしましても一応やむを得ないことと了承したわけでございます。
  140. 上坂昇

    上坂委員 この核燃料税でありますが、いわゆる電源開発促進税からいくところの交付金ですね、これと重複して、原発を持っている地域は特別な税が持てるというかっこうになりますと、地方財政の均衡の上からいっても、原子力発電所を持っているところだけは電源三法の方からの交付金は来るわ、税金は取れるわ、こういうかっこうになっていけば、バランスの上で非常に問題が出てくるのじゃないか、こういうふうに私は思うのです。そういう点では、こうした税金が重なっていくということは非常に問題があるのじゃないか。これは普通税でありますから、本当のことを言うと何に使ってもいいわけですね。一般財源として使えるわけです。そうなりますと、目的として最初は使い道はこれとこれにしましょうというように考えていても、いつの間にかこれは一般財源の中に組み込まれてしまって、そしてそれが普通に使われていくというような状況になってくると思うのです。  これは税法上にも非常に問題があって、自治省が何でこれを許可したのか、自治省に聞かなければわからないのでしょうけれども、これは問題だと思って、きょうは自治省を呼んでいませんから自治省から伺うことができないのでお聞きしているわけなんですが、通産省といたしまして、これは立地上やむを得ない、それから原発をどんどんつくることについての促進のためにやむを得ない、それから集中したところにはこれを認める、こういう行き方というのは、それならば集中してやった方がいいという問題が今度は出てくる。ぽつんぽつんと建てるより集中してどんどんいっぱいつくった方がいい、こういう問題が出てきますと、これは当然安全性の問題と絡んできて、いま一番恐ろしいのは、余りにも大規模になってきているということ、大型化されているということ、それから集中化されているということです。私の住んでいるところなんかでは、大体二十キロぐらいの間に一千六百万キロワットの計画が立てられているというような状況の中で、非常に危険が出てくる。  したがって、こういう税金は通産省の方から、いま言ったような安全性とか、それから集中化を避けるとか、そういう面からチェックをしていく必要があるのであって、通産省がやむを得ないとか、集中のためにはいいのだとか、立地促進のために大変いいのだというような考え方をされては大変困るのです。そういうふうに私は思うのですが、いかがですか。
  141. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 確かにただいま御指摘のような問題点はあろうかと思います。ただ、本件につきましては通商産業省としては何ら権限がございませんので、先ほどのようなお答えを申し上げたわけでありますが、福井県で考えております核燃料税と電源三法による交付金と比較いたしますと、対象といたしましては当然核燃料税は原子力だけということになるわけですが、特に電源三法による交付金では、新設と申しますか、発電所の工事期間中に適用しているわけでございますが、核燃料税では既設と申しますか、発電所の運転開始後を対象として考えておるということ、それといま一つは、電源三法による交付金では主として市町村が対象になるわけでございますが、核燃料税の方は主として県の収入として考えておる、こういった差異があるわけでございまして、半面そういった差異を必要とする福井県の実情であったのではなかろうかというふうに推測いたしております。
  142. 上坂昇

    上坂委員 この問題については、いま言ったように権限がないのにこっちで幾ら言っても始まらないので、この辺でやめますが、これは連鎖反応を起こしてあちこちでやるような状況が出てくるわけですね。したがって、これは自治省とも合議をして、これについてはやはりやめさせるような方向に進むことが必要じゃないか、こういうふうに私は思います。そうでないと、先ほど申し上げたような状況というのはどんどん出てきます。  電源開発の交付金については、御指摘のようなことは私も知っております。しかし、それは地域におりるわけですが、今度の場合には県全体に使う、うまいことを言っているけれども、実際には全体に使ってしまうのです。そういうふうなものを便宜的にどんどん認めていって、それによって原子力をどんどん促進をしていくというようなやり方については、私たちとしては非常に納得がいかない、そのことを申し上げて、質問を終わります。
  143. 綿貫民輔

    綿貫委員長代理 神崎敏雄君。
  144. 神崎敏雄

    神崎委員 私は、いま問題になっているインドネシアのLNGの開発輸入をめぐる問題について質問をいたします。  ことしの八月中旬から、インドネシア国営石油会社のプルタミナと英国のパーマ石油、アメリカのゼネラル・ダイナミックス社、それに日本側のユーザーの関西電力など五社、この四者による価格交渉が行われました。この交渉は九月一日に合意に達したと伝えられています。その内容は、プルタミナ社と日本側五社が一九七三年に結んだ販売契約の改定を行うことを決めたと言われておりますが、その内容を明らかにしていただきたいのであります。
  145. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 日本のユーザーであるJILCOとプルタミナとの間の契約では、毎年LNG七百五十万トンを今後二十年間にわたって日本輸入するというのが主たる内容と記憶いたしております。  改定の内容について申し上げたいと思います。  幾つかの点で改正がなされておりますが、主な事項だけを申し上げますと、売買契約に関する修正事項の一つは、アメリカ向けの価格との調整でございます。将来プルタミナからアメリカ向けにLNGが輸出されることが正式に決定された段階におきましては、LNGのアメリカ向けの船積み価格と日本向けの船積み価格とを等しくするように調整するというのが第一点でございます。  それから第二点は、テーク・オア・ペイ条項というのがございまして、これは現実にLNGの輸入が契約どおりにいかない場合にも、少なくなった分、実績と契約との差額についても代金を支払う義務があるという条項でございますが、LNGの取引のように大量に、かつ長期にわたって行われるものにつきましては、いわゆるテーク・オア・ペイ条項というのは普通ついておるわけでございます。したがって、本件においてもその点は変わりないわけでございますが、問題は、その契約の引き取り量と実際の引き取り量との差と申しますか、許容量、アローアンスをどう見るかという点が問題であったわけでございます。当初の案では、四半期別には若干のアローアンスが認められておったわけでございますが、年間を通じての許容量がなかった。そういったわが方にとって不利な点を改正して、通常の契約並みにしたということが第二点でございます。  それから第三点は、立ち上がり期間の数量調整ということでございまして、年間七百五十万トンと申し上げましたが、この平年度の引き取りに至るまでの期間、この期間におきまして引き取り数量を調整した、これは二番目に申し上げましたテーク・オア・ペイ条項とも関連するものでございます。  販売契約の関係について申し上げるとそういうことでございますが、これに関連いたしまして輸送に関する部分でございます。これは直接的にはプルタミナと輸送を担当するパーマ・オイルとの間の契約ということになるわけでございますが、安定的に日本に供給されるために当方としても強い関心を寄せておったわけでございますが、その輸送に関する修正事項の第一は、船価、船の建造費でございますが、船価の上昇をそのまま輸送費に反映させないようにした。具体的にはフレートのエスカレーション条項の内容といたしまして、人件費、燃料費といったような運営費と、それから政府による仕様変更に伴いまして船を改造する場合の費用、こういったものに限定いたしたわけでございます。  二つ目は、タンカーの安全性を確認するために日本側ユーザーも随時造船所に立入検査ができる、あるいは報告の聴取を受けることができるという修正でございます。  それから第三点は、現在LNGのタンカーの建造がややおくれておるわけでございますが、来年の三月の輸送開始に間に合わせるために短期の用船をするというような話し合いであったわけでございますが、日本側といたしましても、安定確保という立場から、あるいはフレートの上昇を極力抑制するという観点からいたしまして好ましい方向であるということで、これに同意いたしております。
  146. 神崎敏雄

    神崎委員 結局、項目としては五項目ですか、六項目ですか。
  147. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 計算の仕方によりましては項目数はかなりなものになると思いますが、ただいま申し上げましたのは、その中でも特に主な事項として、販売契約について三点、輸送に関する事項として三点申し上げた、こういうことでございます。
  148. 神崎敏雄

    神崎委員 私の方の調査では、まず第一にアメリカ向けの価格との均衡化、それから二番目は買い主間のLNGの相互融通、三番目はタンカーフレートの値上げの抑制、四番目はテーク・オア・ぺイ、引き取らない場合でも支払う義務というものですね。それから五番目は数量変更について。もう一つ何か改定点があったように聞いているのですが、これ以外にはないのですか。
  149. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 いま全部の資料を持っておらないわけでございますが、これ以外にも、先ほど申し上げましたように、マイナーと言うといかがかと思いますが、ただいま例示的に申し上げた主な事項に比較するとややウエートの低いものがまだ幾つかございます。
  150. 神崎敏雄

    神崎委員 それでは、後でその改定点を具体的な項目にして、資料としていただきたいと思います。いいですか。
  151. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 ある場合において私企業の契約という部分もございますので、帰りましてその資料をもう一度点検いたした上で、出し得るものについてはできるだけ提出いたしたいと思います。
  152. 神崎敏雄

    神崎委員 これによりますと、「主たる改訂点」となっています。そのことは、これ以外にも改定点があるのか、また本契約のどこがどのように変わったのか、こういうことで全貌を知りたいから資料として提出をしていただきたい、こういうように申し上げたのですが、調べた上でできるだけ資料として出せるものは出すと言われたのですが、そのことは出せないものもあるということを意味するのですか。
  153. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 本来販売契約は民間における私契約でございますので、私契約と申しますか、民間企業の秘密をどこまで出せるかということにも関連してくるわけでございまして、決して問題があるから隠すといった意味で申し上げているわけではございません。本来これは私企業間の私契約ということでございますから、その点は御了承いただきたいと思います。
  154. 神崎敏雄

    神崎委員 では、この本契約の訂正は、通産省の指導、指示または意向に沿って行われたものですか、それとも当事者の完全な自主的な判断による交渉によって実現した改定なのかどうか、この点どうですか。
  155. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 通産省といたしましても指導はいたしましたが、やはり当事者といたしましても不利なものはできるだけ修正したいという気持ちが合致して実現を見たものだと理解いたしております。
  156. 神崎敏雄

    神崎委員 くどいようですが、通産省として指導したということを確認されますね。
  157. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 通産省といたしましても指導いたしました。
  158. 神崎敏雄

    神崎委員 この改定によってLNGの輸入価格は引き下げられることになると判断してよいのでしょうか。改定されない事態よりも安くなるというふうに理解していいのですね。
  159. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 具体的な数字については、今後の国際的な取引との関連がございますので差し控えさせていただきたいと思いますが、先ほど申し上げました幾つかの修正点のうち、将来インドネシアからアメリカ向けに輸出されるLNGの価格調整を行うということに合意した点、並びに輸送費についてエスカレーション条項の対象を限定した、こういった点からいたしまして、旧契約のままの状態が継続した場合よりもCIF価格が下がることと期待いたしております。
  160. 神崎敏雄

    神崎委員 そのことは、とりもなおさず、通産省の指導によって当初見通しよりも安くなった、こういうふうに確認していいですね。
  161. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 結構でございます。
  162. 神崎敏雄

    神崎委員 では、次に進みます。  次は、少し角度を変えて伺いますが、政府は先般、九電力会社及び東京瓦斯の料金値上げを認可されました。ところで、東京電力、中部電力、関西電力、九州電力、それに東京瓦斯は、その値上げ申請の中で、LNGの価格を五十一年度、五十二年度、それぞれ一トン当たり幾らで申請しておりますか。
  163. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 東京電力は五十一年度につきましてトン当たり三万二千七十円、五十二年度は四万一千七百八十二円、平均いたしまして三万七千九百三十六円。中部電力は五十二年度だけでございまして、四万七百九十五円。関西電力は五十一年度四万七千五百五十一円、五十二年度四万三千五百十九円、平均四万四千二百十六円。九州電力、五十一年度四万四百二十円、五十二年度四万一千三百八十三円、平均四万一千三百五十六円。東京瓦斯、五十一年度三万四千三百二十円、五十二年度四万一千七百三十円、平均三万九千二百九十四円でございます。
  164. 神崎敏雄

    神崎委員 東京瓦斯の五十一年度は三万四千幾らといまおっしゃいましたね。三万一千八百四十六円じゃないですか。
  165. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 東京瓦斯は三万四千三百二十円でございます。
  166. 神崎敏雄

    神崎委員 東京瓦斯以外は、いまお答えになったのは合っております。東京瓦斯が少し違いますが、これはまた、関連があれば後で申し上げたい。この申請はまことに不可怪な点が多いのです。  そこで、幾つかただしておきたいのですが、関西電力の五十一年度のLNGはブルネイ産です。東京電力が買っているのはアブダビ、アラスカ、ブルネイ産です。アラスカ、ブルネイの価格はほぼ同じであります。アブダビ産はブルネイ産の約一・七倍です。これに相違ございませんか。
  167. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 ただいまおっしゃいましたように、東京電力はブルネイ、アラスカ、アブダビ、それから関西電力はブルネイ、ただしこれは大阪瓦斯から買っておるわけでございますが、ブルネイとネシアということになっております。
  168. 神崎敏雄

    神崎委員 価格は……。
  169. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 個別輸入ソースごとの価格につきましては、やはり国際的な取引の関係もございますので、先ほど申し上げました五十一年度の平均値で御了承いただきたいと思います。
  170. 神崎敏雄

    神崎委員 関西電力は大阪瓦斯から買っているとおっしゃいましたね。しかし、これはブルネイ産であるということは確認されておりますか。
  171. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 御指摘のとおり、関西電力が大阪瓦斯から購入はいたしておりますが、そのソースはブルネイのものでございます。
  172. 神崎敏雄

    神崎委員 そうしますと、五十一年度については、関西電力は東京電力よりも安くなっているはずなんです。ところが、その申請価格は関電の方が高い。それもトン当たり一万五千円以上も高く申請しているのです。これはなぜですか。
  173. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 おっしゃる趣旨は、関西電力が四万七千五百五十一円、東京電力が三万二千七十円、この差額だと思いますが、関西電力はただいま申し上げましたように大阪瓦斯から購入いたしておるわけでございますが、これはガス化したものを購入しておるわけでございます。したがいまして、申請価格もLNGの輸入価格のほかに、気化に要する経費、輸送に要する経費を含めてこのように申請しておるわけで、その分だけ見かけ上、高くなっているわけでございます。御参考までに、東電の場合はLNGの単価とそれから気化経費、輸送経費を別項目で整理しておるというところから、結果として、数字づらではこういうかっこうになってきておるわけでございます。
  174. 神崎敏雄

    神崎委員 東京瓦斯の井上副社長は、雑誌「電力新報」九月号で、「国際的なエネルギー価格の動向は、五十二年度いっぱいは自信をもって予見できる。LNGは、この一年半で三割あまりのアップ率になる」こう語っております。そうして、申請は五十一年度トン当たり三万一千八百四十六円、五十二年度は四万一千七百三十円と、三割アップになっているのです。ところが関西電力は、五十一年度四万七千五百五十円、五十二年度は四万三千五百十九円と、逆に下がっているのですね。しかも関西電力は、五十二年度からその価格の高いことが問題となっているインドネシア産のLNGを購入することになっているにもかかわらず、五十一年度よりも安くなっているというのはどういうことなんだろうか。  さらに、九州電力の場合、五十二年度からインドネシア産が入る。ところが、五十一年度四万四百二十円、五十二年度四万一千三百八十三円であり、アップ率は二・五%である。また、九州電力の五十二年度単価は東京電力や東京瓦斯よりも安くなっているのも、これは一体どういうことなんでしょうか。東京電力、東京瓦斯の申請は不当に高い申請となっているとしか言いようがないと思うのですが、この点はどういうふうになるのでしょうか。
  175. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 先ほどお話しになった記事については、私、存じ上げませんが、やはりLNGというのはだんだん高くなる傾向にございます。と申しますのは、オイルショックの後、特に五十年の六月のOPECガボン会議におきまして、ガス産出国はこういった天然ガスも原油価格と同じようにしたらどうだ、スライドさしていこうじゃないかというような話が出ておりまして、そういった線から、かつてLNGに対する需要も少なかった時期あるいはいま申し上げたガボン会議以降ということで情勢も変わってまいりまして、必ずしも好ましいことではございませんが、だんだん上昇する機運にあるということは御了解いただきたいと思います。  それから、具体的にいま関西電力の五十一年度と五十二年度の価格についてお話がございましたが、これは五十一年度におきまして、先ほど申し上げました大阪瓦斯からブルネイ産のLNGを気化して買うところからこういう数字になったわけでございますが、五十二年度におきましては、インドネシアのLNGが来年の三月から第一船が到着するということを前提として計算しておりまして、その結果、一部は気化したものを使いますが、一部はLNGのままで使うという関係から安くなっておるのだと思います。  それから九州電力につきましては、現在ブルネイのLNGを使っておりませんので、五十二年度の方がやや高くなる。  それから東京電力、関西電力あるいは九州電力の差異につきましては、一部、これはやはり申請時点における為替レートをどう読んだか、具体的に申し上げますと、東京電力の場合は為替レートを三百一円として計算しておりますし、関西電力も同じく三百一円、九州電力は三百五円、そういった為替レートを幾らとして計算したかということも、こういった差異を招来したものだと考えます。
  176. 神崎敏雄

    神崎委員 先ほども触れたのですが、東京瓦斯の井上副社長が、まだ「電力新報」の九月号をお読みになっていなかったら読んでいただいたらいいのですが、三割アップだということを言っているわけですね。そうすると、五十一年から五十二年については全部そういう形で三割アップになるわけですよ。ところが、大阪瓦斯から買ったとおっしゃっているが、関西電力の場合は、四万七千五百五十円が今度は逆に四万三千五百十九円に下がっている。東京電力や東京瓦斯は副社長の言うように約三割アップしているのですね。一番高くて、大阪瓦斯から買ったから、いろいろなものが作用したからというような説明先ほどあったのですが、これが逆に下がっているのですね。だから不思議だというように思うわけなんです。これはなぜ下がったのですか。
  177. 服部典徳

    ○服部政府委員 先ほど長官が答えましたように、関西電力の場合は、インドネシアとそれから大阪瓦斯と両方が購入先になっているわけでございます。五十一年度につきましては大阪瓦斯だけでございまして、数量は六万トンでございます。それから五十二年度につきましては、大阪瓦斯は同じく六万トンでございますが、そのほかにインドネシアから二十二万七千トン購入予定でございます。  それから大阪瓦斯は、先ほど長官から答弁いたしましたように、原料費のほかに気化費、それからLNG基地費、導管の費用あるいは管理費といったような費用を加算したものがLNGの価格になっているわけでございまして、気化費は大体五千円、それからLNG基地費も約五千円、その他が五千円ということで、大体一万五千円東京電力の購入金額よりも関西電力の購入金額が高くなっているということでございます。
  178. 神崎敏雄

    神崎委員 どうも不思議で納得できないのですがね。五十一年度は大阪瓦斯から買ったから、いろいろなものがあって高いのだ、聞いていないことを先走って答弁していただかなくても、後でまたそのことは聞きます。ところが、五十二年度は高いインドネシアから二十二万七千トンも買うのだ、こう言っているのに、逆にここでは下がっている。関西電力は五十一年度も、先ほど挙げた関西電力、東京電力、九州電力、中部電力、東京瓦斯、この五社のうちで最高だった。ところが、五十二年度は逆に五社のうちで関電だけが下げているのです。ところが、五十一年度と五十二年度と対比したら下がっているのだけれども、その下がっている中でも、三割アップすると言って三割近くアップしているその他の四社と比較すると、やはり関西電力が一番高い。こういうようなことは皆そちらの方で指導された。通産省の行政指導もし、指示もしたことを確認をとっておる上で質問しているのですが、こういうようなことは御存じなのですか。
  179. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 先ほどから申し上げておりますように、関西電力の五十一年度につきましては、大阪瓦斯を経由して買っております分しかLNGを使っておらないわけでございます。ということは、五十一年度では一〇〇%大阪瓦斯から提供されたLNGを使っておる。五十二年度になりますと、それをそのまま使うと同時に、インドネシアのLNGが入ってまいりますので、それとの加重平均からいたしまして、むしろ五十一年度よりは下がる、これが現実でございます。したがいまして、会社で申請してきたものをそのまま申請単価として申し上げたわけでございまして、そのままこれを気化したものとしからざるものとを比較するというところに、御指摘のような誤解を呼ぶ点があるのじゃなかろうかと思うわけでございます。
  180. 神崎敏雄

    神崎委員 通産省は関西電力だけ指導しているのじゃなしに、五社全部を指導されているのでしょう。そうすると、東京電力の場合は四万一千円だ、ところが関西電力のときは四万三千円だ、あるいは中部電力の場合は四万円だ、トン当たり三千円も違うのだ、こういうようなことがそちらの方で掌握された場合は、それは申請したとおりを認めて、これに対しては何ら指導もされないし、不思議にも思わないし、言ってきたとおりをそのままごらんになったままでおられるのかどうか。何を指導されているのかということにもなってくるので、この点は責任ある答弁をしてください。
  181. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 これはあくまで会社側の申請でございまして、申請段階では当方としては指導はいたしておりません。ただ、この申請に基づきまして、われわれといたしまして、現行契約の価格等をベースにいたしまして、競合燃料の価格を参考にいたしまして、厳正に査定いたしておるわけでございます。その査定結果を申し上げれば御理解いただけるかと思いますが、反面、そういった査定結果を公表いたしますと、今後の国際的な取引におきまして非常に不利になるということで、発表は差し控えさせていただきたいと思いますが、先ほどからのお話はあくまで申請でございまして、この申請を受けとめて、われわれといたしましては、それぞれの燃料につきまして厳正に査定しておるわけでございます。
  182. 神崎敏雄

    神崎委員 その範囲の答弁しかできないということになれば、また後でそれに対する関連的疑惑の点を申し上げたいと思うのですが、申請書によると、燃料費とは別に、助燃費というもの、それから港から発電所への運送費などは、それぞれ別にちゃんと計上している。そういうことを計上されて申請されているのじゃありませんか。したがって、燃料費の中でのLNG単価は、正味のLNGの単価ではないのか、助燃費だとか運送費だとか、そういうものもこの中に含まれておるのかどうか、純粋にLNGの単価というものは、正味のものはつかんでいらっしゃらないのか、あるいはこういうものが複合されているものか、この点どうですか。
  183. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 きわめて技術的な問題でございますので、業務課長からお答えさせていただきたいと思います。
  184. 篠島義明

    ○篠島説明員 ただいまの御質問でございますが、LNGにつきましては、申請の燃料費の中にはCIFベースで入ってきております。それから、先ほど長官が申し上げました気化費等につきましては、運炭費の方で整理してございます。したがいまして、輸送費等につきましては一応CIF価格でございますので、燃料価格の中にLNGの場合は入っているというふうに御理解いただいて結構でございます。
  185. 神崎敏雄

    神崎委員 何をおっしゃっているのやらちょっとわからないのですが、もう一回大きな声できちっと教えてください。
  186. 篠島義明

    ○篠島説明員 燃料費の中でLNGの燃料費と、それから項目といたしまして運炭灰捨て費というのがございますが、LNGの燃料費の中に入っておりますのはCIF価格でございます。したがって、輸送経費も入っております。それから、先ほどから問題になっております気化のための設備費、一般管理費等につきましては、これはLNGの価格の中ではなく運炭灰捨て費という項が別にございますが、その中に設備償却あるいは一般管理費あるいは水道代、電気代等、LNGをガスにするための費用が入っております。
  187. 神崎敏雄

    神崎委員 それほど詳しく分類しておわかりなのに、純粋の単価は言えない、こういうことですか。
  188. 篠島義明

    ○篠島説明員 全体平均して、どこの地域からということでなければよろしいわけでございますが、申請ではそれぞれどこの地域からLNGはCIF幾らという形では出てきておりません。
  189. 神崎敏雄

    神崎委員 では、その申請に対して当局の査定結果はどうなっていますか。
  190. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 先ほど申し上げましたように、申請価格の方は一応の申請でございますが、査定価格となりますとこれはそのまま実効価格になるわけでございますので、今後の取引あるいは価格交渉において非常に不利になるということもございますので、発表は差し控えさせていただきたい、こういうことでございます。
  191. 神崎敏雄

    神崎委員 全部差し控えておったら質問しておっても何にもならぬのですが、差し控えられることをあえて強引に言ったって差し控えるでしょうが、差し控えるところが聞きたいのです。  そこで、それなら差し控えなくて言えることを聞きましょう。燃料費全体の査定率はどうなっていますか。
  192. 篠島義明

    ○篠島説明員 先生の御質問は関西電力でございますか。(神崎委員「そうです」と呼ぶ)関西電力につきましては、合計で燃料費七千八百五十三億七千六百万になっております。
  193. 神崎敏雄

    神崎委員 つまり、ほとんど申請どおりで認可しているということなんです。ところが、インドネシア産LNGの契約の修正を指導して、価格を引き下げさせたのであります。     〔綿貫委員長代理退席、委員長着席〕 片一方では申請どおりの高い価格を認め、片一方では電力会社、ガス会社の買い入れ価格は安くさせる指導をしている。この結果、電力会社などは今後の交渉によっては百億円以上の利益が出ることになるのです。まさに大企業本位の資源政策、エネルギー政策と言わなくてはなりません。政府が申請どおりでやる、われわれから言えばずさんな、きわめて無責任な施策によって高価格のLNGを買わされることによる負担は、結局国民生活の犠牲でこれを賄っているというほかはありません。  インドネシアのLNGのナショナルプロジェクトは、ロッキード事件と違って現在も進行中であり、かつ、国民生活に直接結びついている点に特徴があると思うわけであります。電力、ガスの料金値上げと本契約の訂正、同じ時期の同じ通産大臣の矛盾した行政についてどう処置をされるのか、これは責任のある答弁をひとつ大臣から求めたいと思うのであります。
  194. 河本敏夫

    河本国務大臣 電力会社の電力料金の値上げ申請に際しましては、これは産業活動にも重大な影響がございますし、また国民生活とも密接した関係にありますので、あらゆる角度から厳重に査定をしたわけでございます。もちろん燃料費等につきましても厳重に査定しておるわけでございますが、ただ、先ほど来話が出ておりますように、当時の為替レートと現在の為替レートが相当変わっておりますので、その点で電力会社に若干の余裕が出た、こういうことが言えるのではないかと思います。  さらにまた、石炭とか石油とかLNG、こういうものの価格につきましても、やはり実際の価格交渉に当たりまして当初予定しておったよりも高くなる場合もありましょうし、あるいはまた安くなる場合もあろうかと思います。たとえば石油につきましては来年の一月から、つまりことしの十二月のカタールのOPECの総会からある程度の値上げの傾向にあるわけでありますが、まず値上げは必至じゃないかというふうに言われております。私はここで断定的なことは言いませんが、そういう動きにありますけれども、値上げは認めない、仮に値上げがあってもそれは合理化努力によって吸収せよ、こういう非常にシビアな指導をしながら石油の価格に対しては対処しておる、こういうことでございまして、査定そのものが後日もう一銭一厘も絶対狂わぬ、そういうことはないわけでございまして、多少の増減はあろうかと思いますが、それはすべて合理化努力によって吸収するように指導しておるわけであります。  でありますから、基本的な原則といたしましては、要するに少しでも低く値上げの水準を抑えていかなければならぬ、こういう基本方針に従って査定をしておるわけでございます。
  195. 神崎敏雄

    神崎委員 そこで、大臣に聞いてもらいたいのは、先ほどからの答弁の中で、大体これについては申請どおりなんだ、こうおっしゃって、そして申請どおりだったということになれば、査定基準の根拠は何であったのかということが横へ寄ってしまうわけです。そうしたら、その申請時に高く単価を見積もって申請する、その後交渉した結果それが下がる、しかしその高く申請した時点を基準にして電力代は上げておる、そういうようなことになって、先ほどから言ったように約百億に近いものが出てくる、それが全部国民のところにしわ寄せになっていくというところに、この問題の私が聞いている重点もある、こういうことを言っているのです。  それはそれでひとつ頭に置いておいてもらって、さて、本来の問題に戻りますが、一九七三年、当時のインドネシア中央銀行総裁ラディウス氏が来日し、両角通産次官と会談し、覚書メモを交わしたと伝えられています。その内容はどんなものであったのか。プロジェクトの出発点となったとされているのですが、それだけに明らかにされることが重要であります。このことが問題になって以降、この覚書の内容を公表するためにインドネシアと交渉しているということを聞きますが、その経過は、大臣、どういうふうな結果になっておりますか。
  196. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 いまの御質問にお答えする前に、私どもの聞き間違いかもしれませんが、申請どおりにというお言葉がございましたが、われわれの方は総括原価につきましても厳正に査定をいたしたということで申し上げておったわけでございますので、その点、念のために申し上げておきたいと思います。  それから、いまの御質問でございますが、当時両角次官は通商産業事務次官としての職責からラディウスと会ったわけでございまして、その間、討議の結果と申しますか、お話しした事項につきましてメモにいたしております。しかし、これは今後の交渉のためのたたき台ということでございまして、特に外国との交渉途中で作成されたものでございます。かたがた、公表には相手方の同意が必要であるということでもありましたので、改めてラディウス大臣に外務省を通じて照会いたしましたところ、ラディウス大臣も公表は差し控えてほしいということを回答いたしてきておりますので、私たちといたしましても公表するわけにはまいらないということでございます。
  197. 神崎敏雄

    神崎委員 その後交渉をしておられますかということ、交渉の過程がありますかということも聞いているのです。何も交渉していないのですか。
  198. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 せんだって九月三十日の衆議院の予算委員会で、河本大臣から相手方の了承を得る努力をしてみるということでございましたが、十月一日に外務省が在インドネシア大使館を通じてラディウス大臣の意向をただしましたところ、ラディウス大臣は、交渉の過程における文書であり公表には反対であるということを回答してきておるわけでございます。
  199. 神崎敏雄

    神崎委員 先ほど聞いたら、相手方があって発表できぬと言っておいて、いま言ったら、相手方は断ってきたという中身を言ったじゃないか。だから、先ほどから九月三十日から十月一日の間の交渉経過大臣に聞いたわけです。そうしたら、早速問題になったので相手と相談したところ相手は断ってきた、こういう中身をいま発表されたのですね。これは明らかにしておきましょう。相手が断ってきた。  この覚書メモ、すなわちラディウス氏と両角氏との会談以前に、通産省に対してモービルやハフコなどアメリカ系メジャーからの何らかの働きかけがなかったのかどうか。私の調査では、プルタミナとモービル、ハフコの協議で、プルタミナを事業主体に日本、アメリカとの三者による事業体制が計画されたという報道などもあります。つまり、インドネシアLNGに限って日本政府が民間ベースとは違ったナショナルプロジェクトとすることに決意をするという背景には、アメリカ系メジャーの意図が強く働いたことがあるとも考えられるのですが、この点はどうであったか、これをただしておきたい。
  200. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 御指摘のようなアメリカ系のメジャーから通産省に働きかけがあったということは聞いておりません。ただ、当初日商岩井がプルタミナとの間で東カリマンタンあるいは北スマトラにおけるLNGプロジェクトについて話し合いをしておったわけでございます。このガス田はハフィントン、モービル、こういったところがコンストラクターになっておりますので、その限りにおいては日商岩井との間には話し合いがあったかとは思いますが、政府としては聞いておりません。
  201. 神崎敏雄

    神崎委員 四十八年八月二十九日に、日本興業銀行の中山氏が関西電力など日本側のユーザー五社と東京電力の木川田氏や東京瓦斯の安西氏、日商岩井、それにファーイースト・オイル・トレーディング社の代表に対して経過説明をした、また、インガソル・アメリカ大使からアメリカ側のこのプロジェクトに対する考え方を聞いたという報道もあります。このことは事実かどうか、そして、このとき何が決められたのか、これをひとつ明らかにしていただきたい。
  202. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 御指摘の点については聞いておりません。
  203. 神崎敏雄

    神崎委員 通産省はこういう問題について指導したりいろんなことをやっておられて、このようなメンバーがこのような重大な問題を話をされているという事実を通産当局では掌握も何もしていない、何も知らない、通産省は存じませんということですか、いまの答弁は。
  204. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 四十八年八月十五日から二十二日までにプルタミナからミッションが日本に参りまして、そこでいろいろ事情聴取したようでございます。あるいはいま先生の御指摘会議は、そういったプルタミナ・ミッションからの事情聴取の結果についてそういう会合が持たれたのではなかろうか、これは推測でございますが。
  205. 神崎敏雄

    神崎委員 長官、初めに聞いたら、知らぬと言ったりわからないというようなあいまいな答弁をしておいて、具体的な実例を挙げると、そういうものもあったようなことも聞いておるとか、何か感触もあるような答弁に変わるのですが、ここにこの問題に関する疑惑がますますあるわけなんです。  そこで、この会合は政府当局と無関係なのか、当局は事前にも事後にもこれは知らなかったのか、推測いたしますところといま言われたのですが、推測しますところというと広範になるのです。推測いたしますところというのは、前から推測されておったのですか、済んでから推測されたのですか、あるいは知っておられるのかおられないのか、はっきりとしようじゃないですか。
  206. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 当時その職にあった者はいまここにおりませんので、当時の関係者によく確めた上でお答えいたしたいと思います。
  207. 神崎敏雄

    神崎委員 大臣、御存じないのですか。
  208. 河本敏夫

    河本国務大臣 私もその昭和四十八年ごろのことは知りません。
  209. 神崎敏雄

    神崎委員 では、委員長に聞きますが、当時の関係者に聞いて文書にして答弁をいただきたいと思うのですが、いいですか。
  210. 河本敏夫

    河本国務大臣 調査をいたしまして、報告をいたします。
  211. 神崎敏雄

    神崎委員 私は、こういうものになぜアメリカ大使の意見を聞く必要があったのかどうかということを問題にしたい。先ほどからずっと大臣はそこで座っていらっしゃってお聞きのとおりですが、こういうものがなぜアメリカ大使の意見を聞く必要があるのかどうか、大臣、どう思いますか。
  212. 河本敏夫

    河本国務大臣 そのアメリカ大使の意見を聞いたのかどうか、そういうことも確認をいたしまして報告をいたします。
  213. 神崎敏雄

    神崎委員 では、聞いておったら適当だと思われますか、大臣は。
  214. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 確認した上でお答えいたしたいと思いますが、一つの問題は、先ほど申し上げておりますLNG計画につきましては、バダクとアルンと二つの地域があるわけでございまして、そのうちアルン地区はモービルの鉱区になっているわけでございます。そういった事情もあるいは関連があるかと思いますが、いずれにいたしましても、当時の事情をよく確認した上でお答えいたしたいと思います。
  215. 神崎敏雄

    神崎委員 確認した上で文書でいただくことになりましたので、深追いは一応ここでとめます。  そこで、次に四十八年九月二十三日、プルタミナはバーマ・タンカーズと運送委託契約を結んでいます。  そこで伺いますが、運輸権がプルタミナにあることを日本側が認めたのはいつですか。いつ、どこで、だれがそのことを認めたのですか、これについてお答えを願いたい。
  216. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 四十八年の十一月ごろではなかろうかと思います。
  217. 神崎敏雄

    神崎委員 もうちょっと親切に答弁してください。バーマ・タンカーズと輸送委託契約を結んだ、そして輸送権がプルタミナにあることを日本側が認めたのはいつだと言うたら、それは四十八年の十一月だといま言った。これはいつ、どこで、だれがこういうことをお認めになったのですかと言うているこの最後のところは、おっしゃったらぐあい悪いですか。
  218. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 いま御指摘になりましたように、プルタミナとバーマストが輸送契約を結んだのは四十八年九月二十三日でございますが、その後両角顧問とラディウス商業大臣との間に、十一月の末ごろ話し合われたのではなかろうかと思います。
  219. 神崎敏雄

    神崎委員 わかりました。  当局は、日商岩井が当初からLNGの輸送も自分の手でやりたい、やろうとしていたことを承知しておられたのかどうか。これは大臣に聞きたいのですが、大臣は三光汽船の前の社長さんでもあったので、特にこういう問題には関心も高かったと私は思うのですが、これは大臣は御存じなかったですか。
  220. 河本敏夫

    河本国務大臣 その問題については私は全然承知しておりませんが、普通外国からそういうふうにまとまった荷物を買う場合には、売る方の国と買う方の国が輸送を半々にするとか、あるいはまた、売る方の国が運ぶ船がなければ買う方の国が全部引き受けてやるとか、そういう例が多いようであります。ただ、これは私も後で聞いたのでありますが、LNGの輸送につきましては、日本側もまだ当時十分な体制ができていなかった、そういうこともありまして、インドネシア側が全部引き受けるようになった、こういうふうに承知しておるのでありますが、細かいことについては政府委員の方から答弁させます。
  221. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 このプロジェクトの当初、日本側もインドネシアからLNGをFOBで購入いたしまして、輸送を日本側で行うということも考えておったようでございますが、最終的にCIFで購入することになった。このような理由は幾つかございまして、一つはLNGの購入者である電力会社あるいはガス会社等がFOBでLNGを買いまして、輸送を日本側で行うということについて全く経験がなかったということ、それからいま一つは、造船国日本ではございますが、LNG船につきましては技術的にまだ緒についたばかりである、日本の造船業界におきましても経験がない、あるいは日本の輸送会社もLNGの輸送に自信がない、こういった事情がありまして、最終的にはCIF契約になった。  なお、御参考まででございますが、先ほどお話が出ておりましたアラスカあるいはブルネイ、こういったところからもLNGを持ってきておりますが、これはすべてCIF契約でございます。
  222. 神崎敏雄

    神崎委員 バーマ・タンカーズとプルタミナの契約は四十八年九月二十三日です。しかし、バーマはこれより半年早い四十八年の三月に、日本へ輸送するタンカー建造をアメリカのGD社に発注しているのです。この同じ月の三月に、通産省は日商岩井に対して、インドネシアLNGの開発船入はナショナルプロジェクトとすることを通告している。このときから民間ベースの交渉が中断されたのです。つまり、通産省当局、いわゆる政府は、輸送権を日本が持つなどということは全く考えていなかった。または何らかの理由で日本側が輸送権を持つことを抑えたとしか考えられないのですが、この点の真相は一体どういうことになっておったのか。  時間がありませんから、続けて言います。これは初めから完全にもう権利を放棄するという方針であったのか、それとも抑えたのか。
  223. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 プルタミナとバーマストの輸送契約は、御指摘のとおり四十八年九月二十三日でございますが、バーマ社側からのゼネラル・ダイナミックスに対する最初のタンカーの発注は四十八年十月一日と承知しております。先生は三月とおっしゃったわけでございますが、私が承知しているのは十月一日でございます。最初のタンカー発注は四十八年十月一日、こういうことになっております。  日本側として輸送権を放棄した云々という御指摘の点につきましては、先ほど申し上げましたような日本側のユーザー、あるいは日本側の造船業界、あるいは輸送会社といったものがLNG船について経験も自信もなかったということでございます。
  224. 神崎敏雄

    神崎委員 通産省は、日商岩井に対してそのとき何も物を言わなかったのか。
  225. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 先ほどお話がございましたように、四十八年三月の末からいわゆるナショナルプロジェクトとして取り上げることになったわけでございますが、その前後において日商岩井とどういう関係があったかということは承知いたしておりません。
  226. 神崎敏雄

    神崎委員 その日や月まで言っておって、その中身は承知いたしてないというのは、何か意味があるのですか。それとも、またこれも古いから中身は聞かぬとわからぬと言うのですか。私の言っているのは、これは初めから完全に権利放棄をやるような政府の態度であったのか、抑えたのかということも言っているのです。おわかりでなかったら、これも文書で答えを出していただきたい。わかっていて言えないのか、まだわかってはおらぬのか、知らないのか、はっきりしてください。
  227. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 調べた上で御報告いたします。
  228. 神崎敏雄

    神崎委員 バーマ・オイル・タンカーズとプルタミナの運送契約がどういう内容であるかということは、日本のLNG購入価格にかかわる重要な問題なんです。こういうことが日本側に相談もなく、また日本の意向が何ら反映することなく決まるということ自体に疑問を持つものであります。当局はプルタミナとバーマの契約の内容を事前に承知していたのではなかったのか。もしもこれがわかっておらぬということになれば、私は、やはり通産当局として重大な問題だと思うのですよ。これはわかっておったのですか、わかっておらなかったのですか。
  229. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 当時の事情を調べた上で御報告いたします。
  230. 神崎敏雄

    神崎委員 こういうようなやりとりをやっておったら、国民の前にこの疑惑は明らかにならない。私がきょうこれに関しての質問をするということは当局もよくおわかりであって、ずいぶんそれについてはあれこれと配慮もされ、準備をされたと思うのですが、わかっておらないということは、やはりいま問題になっているように疑惑をさらに深めるものであります。しかし、文書で速やかに出してもらうということになれば、その文書を見た上でまた問題を次の機会に明らかにしたいと思うのですが、最後に一点、さきにも申しましたように、河本通産大臣は前の三光汽船の社長さんでもありましたので、大臣は、大手海運会社の社長時代に、インドネシアのLNGの日本向け輸送をどの海運会社が引き受けるかという、これをめぐっての業界の争いといいますか、競争といいますか、こういうことがあったということを御承知なのかどうか、また、イギリスのバーマ・オイルの重役などに河本大臣はお会いになったことがありますかどうか、この二点を最後に大臣からお聞きしたい。
  231. 河本敏夫

    河本国務大臣 私は、LNGの大きなプロジェクトの進んでおるということについては了承しておりましたが、この輸送問題が外国の手で行われるのか、あるいは国内の手で行われるのか、それについては実は余り関心がなかったのです。と申しますのは、いま長官が説明しましたように、当時まだ日本はLNG船をつくって自分の手で輸送をするという体制ではなかったというふうに思いますので、あるいは日本の海運界全体としては余り関心がなかったのではないか、こういうふうに感じます。  なお、最後にお尋ねのバーマ社の社長に会ったかどうかというお話でございますが、私は会った記憶はございません。
  232. 神崎敏雄

    神崎委員 最後に、長官、先ほどから、わかっておらない、後で報告する、あるいは文書で報告する、こういうふうに言われたのですが、これはいつごろいただけますか。
  233. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 できるだけ急ぎたいと思いますが、一週間から十日ぐらいの余裕をいただきたいと思います。
  234. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 近江巳記夫君。
  235. 近江巳記夫

    ○近江委員 このインドネシアのいわゆるLNG問題は非常に大きな問題になってきておるわけでございます。今日まで、戦後の賠償あるいは経済協力等の問題におきましてはとかくのうわさがあったわけでございまして、今回のこのLNGの問題につきましても、そうした疑惑が非常に指摘されておるわけであります。  まず初めにお伺いしたいと思うのですが、こういう民間ベースで話が進められておった。それが突如ナショナルプロジェクトに変更になる。確かに非常に大規模なプロジェクトであるということもわかるわけでございますが、その間のいきさつにつきまして簡潔に御報告をいただきたいと思います。
  236. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 インドネシアのLNGプロジェクトにつきましては、当初四十六年ごろから、関西系の電力会社あるいはガス会社が、LNGをどこから持ってくるかという輸入ソースを探しておったわけでございます。ちょうどそのころ、日商岩井がインドネシアにおきましてプルタミナとLNGのプロジェクトを進めようという話し合いをしておった。そこへもってまいりまして、ちょうど当時の公害対策といたしまして、クリーンエネルギーとしてのLNGを大量に輸入したいということと、またこのプロジェクトには多額の資金も必要だというようなこともございまして、一方インドネシア側からも、経済開発のためにもLNGを開発したいということからいたしまして、資金協力、経済協力ということで要請がございました。そういった事情が、ナショナルプロジェクトとして検討することになった端緒であると思っております。
  237. 近江巳記夫

    ○近江委員 一部は伝えられておりますが、総額どれだけの規模になるのか、それと、いままでわが国としてどれだけの額を融資したのですか。
  238. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 インドネシアのLNGプロジェクトに対する資金貸し付けは、第一次と第二次に分かれておりまして、第一次が十億九千八百万ドル、第二次が三億二千百万ドルで、契約べースでは合計十四億二千万ドルになっております。
  239. 近江巳記夫

    ○近江委員 現在まで契約ベースで十四億二千万ドル、これは政府の考えは今後どういうように推移するのですか。
  240. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 このディスバースがどの程度になっておるかということは、私の方から申し上げるよりも適当な所管官庁があるかと思います。ただ、今回の第二次の追加借款を与えるに当たりましては、今後コストオーバーラン等の問題があった場合にも必ずインドネシア側の方で資金調達をし、かつは日本に対する安定供給は契約どおりにするという保証を得ております。
  241. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでは、適当な所管の官庁の人が答えてください。
  242. 青木慎三

    青木(慎)政府委員 私どもの所管しております経済協力基金に関して申し上げますと、LNGに関しまして借款額が合計で五百六十億円でございますが、ことしの七月末現在で実行しました額が二百九十五億八千七百万円ということになっております。これは基金分だけでございます。
  243. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、エネルギー庁長官がおっしゃっています二億九千万、三億二千百万、これは経企庁は一部分でしょう。総合的なそれはどこがとられているのですか。
  244. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 大蔵の方から協調融資についてはお答えすべきでございますが、いまおりませんので、これはまだ私の方の推測程度の数字でございますが、第一次の融資につきましては、十億九千八百万ドルのうちかれこれ六割程度がディスバースされておるのじゃないかと思います。追加融資の三億二千百万ドルにつきましては、約四分の一程度というふうに承知いたしております。
  245. 近江巳記夫

    ○近江委員 こういうナショナルプロジェクトでやるわけですね。しかもLNGにつきましては、これは特に電力会社が中心にクリーンエネルギーとして入れているわけでしょう。そうしますと、少なくともエネルギー庁、通産省が全容をつかみ、そういうことを常に追跡をしていく、こういうことが非常に大事じゃないですか。これだけ問題になってきているのでしょう。  きょう大蔵省は来ているでしょう。その辺はどうなっていますか。
  246. 稻村佐近四郎

    ○稻村委員長 来ていないそうです。
  247. 近江巳記夫

    ○近江委員 結構です。  それでは、長官、これを総括的に、総額十四億二千万ドル、これは巨額ですね、これをきちっと掌握をしてやっておる一番の元締めというのはどこになるのですか。
  248. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 計画自体といたしましては通産省で見ておるわけでございますが、いまの融資の問題につきましては、それぞれに応じまして大蔵省、経済企画庁が所管しておるわけでございます。ただ、私の方から答弁を差し控えさせていただいておりますのは、それぞれの省においての問題でもございますので、先ほどラウンドで申し上げたわけでございますが、われわれといたしましてはそういう問題には常に関心を持って、どの程度ディスバースされておるかということもトレースはいたしておりますが、私たちの立場としてお答えする立場にないということでございます。
  249. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、どこが答弁するのですか。計画というのは一番のかなめでしょう。そして、融資は実践でしょう。計画を常に握っておらなければ、どこがチェックするのですか。どこが答弁するのですか。
  250. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 まずまずこの数字で間違いはないかと思いますが、第一次融資につきまして、九月末までの実行額は五億六千七百七十万ドルになっております。追加融資分につきましては八千七百九十万ドルになっておりますが、さらに確認した上で、まずまず間違いないと思いますが、もしこれで間違っておる場合には訂正さしていただきたいと思います。
  251. 近江巳記夫

    ○近江委員 この第一次、第二次で六億五千五百六十万ドルになりますね。そうしますと、計画の総額十四億二千万ドルから六億五千五百六十万ドル引きますと、七億六千四百四十万ドルまだ残るわけでしょう。これはどういうようにしてやるのですか。こういうような問題が起きておるわけですけれども、これは予定どおりこのままどんどんやっていくわけですか。
  252. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 この対償行為といたしましては、バダク、アルン、二つあるわけでございまして、現在バダクの方が進捗と申しますか、主としてこのバダクの製品は全部日本に持ってくるということでございまして、とちらの方の工事はかなり進捗いたしております。それから、アルンにつきましてはバダクよりも若干工事進捗がおくれておる、こういうことでございますが、年間七百五十万トンと申しましても、立ち上がり期間ではせいぜい百数十万トンずつ受け入れることになりますので、現在の進捗状況で来年の三月以降順調に入着するものと思っております。
  253. 近江巳記夫

    ○近江委員 一つはいまこういうような問題が出てきておるわけですが、エネルギー庁として、通産省として、やはり計画を立て、そして実際の融資等のことはいまお話のあった大蔵省なり経企庁なりそれぞれの管轄のところでやっていく。しかし、きちっとしたことを掌握していかなければだめですよ。第二、第三のこういうような、まだはっきり私は黒とは、そこまでのことはわからないから言いませんけれども、しかしこれは灰色であることは事実でしょう。こういう疑惑は、特にいま問題になってきている。その一つの原因として、通産省エネルギー庁が、こういうようなナショナルプロジェクトに乗り出していくという限りにおいては、なぜもっときちっと掌握しないのですか。その辺が官庁のセクトといいますか、何かこうおどおどして、ほかの省の管轄することについてはという遠慮があるようだが、そういう責任の柱というものをこれからきちっと決めなさいよ。大臣、どう思いますか、そういう何か責任を分散したような感じは。
  254. 河本敏夫

    河本国務大臣 あるいはこの大プロジェクトについての金の出し方、いろいろなソースがあるようでありますから、それぞれその資金を監督する官庁があるのだと思います。いま長官が言いましたように、二、三に分かれておるのだと思います。そういうことからああいう答弁をしたのだと思いますが、しかしやはり何と申しましてもエネルギーに関するナショナルプロジェクトでございますから、通産省が全貌を常に正確に掌握しておくということは当然のことであろうと思います。今後は御意見のように十分掌握をいたしまして、正確に事が運ぶようにしたいと思います。  なお、御参考までに申し上げておきますが、このLNG全体の代金というものは、これは若干のスライド等もついておりますので、正確な金額は二十年間のことでありますからわかりませんが、百五十億ドルとか、二百億ドルとか、そういうふうな非常に膨大な金額になると思います。そのLNGの代金の中から支払いを受ける、こういうことになっておりますので、私どもは償還につきましては一切心配はしておらないということを御参考までに申し上げておきます。
  255. 近江巳記夫

    ○近江委員 今後はそういうようにきちっと、いま大臣の御答弁があったわけですから、ひとつ通産省エネルギー庁で全貌をきちっと掌握していただきたいと思うのです。  それから、いわゆるLNGの輸送につきましてバーマストが七月に休眠状態に入ってしまった、バーマ・ガス・トランスポートにかわった。これはあなた方はプルタミナの問題であると恐らくおっしゃるのじゃないかと思いますが、少なくとも日本がナショナルプロジェクトとして取っ組んでおる大きな仕事ですよ、このLNGの輸送等につきましてプルタミナの責任だと任しきりでいいのですか、どういういきさつでこういう会社にかわったのですか。
  256. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 おっしゃいますように、輸送についても重大な関心を持っておるわけでございますが、契約当事者がやはりプルタミナとバーマ・オイルとの関係になっておりますので、私の方からどうしてかということは申し上げかねるわけでございますが、アメリカの融資制度なども勘案して判断しておるのじゃなかろうかという、これは推測程度しか申し上げられません。
  257. 近江巳記夫

    ○近江委員 少なくとも、これは非常に重大な関係があるわけですよ、そうであるなら、当初はバーマストですよということをあなたの方も報告を聞いていた、こういう会社にかわっている、なぜかわっていますか、こんな報告を受けるのはあたりまえじゃないですか。ユーザーとしては、日本としては強いわけでしょう。いまエネルギー資源というものについては非常にむずかしい情勢にあることもわかりますけれども、そんな聞くことくらいも、報告を受けることすらも遠慮しがちに聞かなければいけないのですか。この問題は取引として今後長い間続くわけですよ。それをそんな弱い、報告一つも受けることに遠慮しなければならぬということであるならば、これは問題ですよ。なぜそういう弱い姿勢になるのですか。
  258. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 輸送問題につきましては、日本側のユーザーと申しますか、JILCOからその進捗状況等についても聞いておるわけでございますが、民間の相手方プルタミナ、日本側JILCOという民間企業ベースの話し合いでございますので、間接的に報告を受けるという形になっております。
  259. 近江巳記夫

    ○近江委員 では、間接的にもきちっとした報告は受けておるのですか。あなたはいま推測したところという答弁があったですよ、どうなんですか。
  260. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 日本側のユーザーがプルタミナとの間にCIFベースでLNGの売買契約を結んでおるわけでございます。このプルタミナが輸送業者であるバーマ・ガス・トランスポート社と契約を結ぶ、これはLNGの輸送契約になるかと思います。造船業者といたしましてはアメリカのゼネラル・ダイナミックス社、こういう経路をたどっておるわけでございます。
  261. 近江巳記夫

    ○近江委員 それは現在そうなっているということであって、私が言うておるのは、バーマ・ガス・トランスポートに変わったわけでしょう、なぜそういうように変わるのか、その変わった報告をしなさいと、こう言っているのです。これはなぜ変わったのですか。
  262. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 アメリカ側の融資制度の対象としてどういう仕組みがいいかということで考えたのではなかろうかと、先ほど申し上げたようなことでございます。
  263. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは同じことを聞いても同じ答弁しか出てこないと思いますが、と思われますということではなくして、先方からこういう報告を聞いておりますと、あなた方がきちっと掌握しておればそういう答弁が出るはずですよ。要は、そういうように掌握をしてないというところからそういう答弁しか出ないわけです。  それから、アメリカ向けと比べて約二倍の価格である。確かにFOBとCIFの違いはあろうかと思うのですが、なぜこれはアメリカと同じようにFOBでやらないのですか。そうすれば運賃だってはっきりするわけですよ、向こうの船積み価格だって幾らと。日本はこれはごっちゃになっているわけでしょう。この辺の中に、何かからくりがあるのじゃないかといまいろいろ言われておるわけです。そういう契約方法については政府はどういう指導をしていますか。
  264. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 日本側といたしましても当初FOB契約ということで検討いたしておったようでございますが、日本側の購入者である電力会社あるいはガス会社がFOBでLNGを購入いたしましてこれを日本側で輸送を行うという経験がなかったということと、それからLNG船自体、技術的にも緒についたばかりでございまして、日本の造船業界に経験がない、また日本の輸送会社も輸送に自信が持てない、こういった事情がございまして、御指摘のようにFOBで購入すれば非常にはっきりしたわけでございますが、結果としてCIFで購入することになったということでございます。これより前に先発いたしておりますアラスカあるいはブルネイのLNGプロジェクトにつきましても、日本向けはすべてCIF契約で行われておるというのが実情でございます。
  265. 近江巳記夫

    ○近江委員 しかし、アメリカとの価格というものにつきましてこういう疑惑が持たれているわけですよ。これはやはり、はっきりしていく上におきまして、運賃は幾らと、アメリカと同様の、いわゆる船積み価格では幾らと、そう国民にわかるような措置をすべきと違いますか。
  266. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 アメリカとプルタミナ側の契約につきましては、いろいろ報道されております。当方といたしましても、両国間の私企業の私契約の問題ではございますが、できるだけこれを入手して実態を確かめたいということで努力しておりますが、一方、仮に御指摘のようにアメリカの方が安い場合をも想定いたしまして、今回の追加融資を行うに当たりまして、アメリカ向けFOB価格と日本向けのFOB価格とを等しくするようプルタミナ側との間に契約を修正いたしておりますので、その点から御指摘のような弊害は排除できるものと思っております。
  267. 近江巳記夫

    ○近江委員 こういう問題がクローズアップされてきた中でそれは契約を変更したわけですか。アメリカのSEC等でも調査に着手をした。その契約をしたのはいつですか、契約変更になるのかどうか知りませんが、契約したのは。
  268. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 販売契約についての修正につきましては、事実上六月末に実質的な合意に達しております。ただ、契約上の文書等の関係もございまして、現在まだ作業中でございますが、でき上がった段階で八月末にバックデートして修正されることになると報告を受けております。
  269. 近江巳記夫

    ○近江委員 これはぜひ国民にはっきりわかるようにきちっとしていただきたいと思います。  それから、この契約のそういう変更といいますか、それはどういう中身になっているのですか。きちっと答弁してください。
  270. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 幾つかの事項につきまして修正することに合意いたしておりますが、そのうち販売契約につきまして主要な点を申し上げますと、一つは、ただいまも申し上げましたアメリカ向け価格との調整でございます。将来プルタミナからアメリカ向けにLNGが輸出されることが正式に決定された際に、LNGのアメリカ向け船積み価格と日本向けの船積み価格とを等しくするように調整するということでございます。  第二点は、いわゆるテーク・オア・ペイ条項でございまして、これは契約どおりに引き取らない場合にも代金を支払う義務があるという条項でございますが、こういった条項は、LNGの取引が御承知のように大量かつ長期に継続的に行われるものであるということから、かような契約には常にあるものでございますが、問題は、契約引き取り量と実際の引き取り量との間にどの程度の許容量をつけるか、アローアンスを見るかということでございます。当初の契約では、四半期ごとの許容量はあったわけでございますが、年間を通じてのものはなかった。それを今回年間を通じて許容量を認めるように修正したわけでございます。  第三点は、立ち上がり期間における数量の調整でございまして、平年度ベース年間七百五十万トンに至るまでの期間におきまして、日本の需要動向に合わせて引き取り数量を調整した、こういうことでございます。  販売契約の面での主な修正合意点はいま申し上げたようなことでございますが、これに関連いたしまして、先ほどから御指摘になっておりますLNGの輸送につきまして、これは本来的にはプルタミナとバーマとの間の問題でございますが、この点につきましても主な修正点について申し上げますと、一つは、船価の上昇をそのまま輸送費に反映させないように、フレートのエスカレーション条項を限定的に修正した。  二つ目は、タンカーの安全性を確認するため、日本側ユーザーも随時造船所への立入検査、報告徴取等ができることに改めた。  第三点が、LNGタンカーの建造がおくれておるわけでございますが、来年三月の輸送開始に間に合わせるためにバーマ社側が短期に用船する、こういう点でございまして、この点につきましても日本側のユーザーといたしましては安定供給という観点あるいはフレートの上昇を抑制するという観点からこれを歓迎いたしておりまして、同意を示しております。
  271. 近江巳記夫

    ○近江委員 こういう修正の合意に達しておるようでありますけれども、こういう問題が出てきて初めてこういう修正も行われる。私が言いたいのは、何もこういう問題が出なくても、わが国の利益を守り、疑惑を受けないように、あらゆる追跡、監督、調査ということをやって、一歩一歩やはりそうしたところを詰めていく、こういう姿勢が一番大事だと思うのです。問題が出たから、政府としてはえらいこっちゃということで先方と交渉する、こういう姿勢は本当に改めてもらいたいと思うのですね。  そのほか、いまあなたからそれぞれ三点ずつお話があったわけですが、特に何か変更なり修正なり、あるいは文書にしなくても、先方との交渉の結果、こういう前向きのことが話し合われた、合意に達したというようなことはないのですか。
  272. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 なおただいま申し上げましたほかに幾つかの点についてございますが、その代表的なものをいま六項目お話ししたわけでございます。そのほかの問題として大きな問題は、今後コストオーバーランの事態が発生しても、日本側に融資を期待することなく、インドネシア側で自己調達する、かつ、日本に対する供給を契約に従って保証するということなどを言っておりますが、こういった点は日本側にとってやはり大きなプラスになる点かと思います。
  273. 河本敏夫

    河本国務大臣 先ほど質問の際に、問題が起こったからあわててこういう契約を修正した云々という意味の御質問がございましたが、これはそうではございませんで、もう少しいきさつを簡単に申し上げますと、昨年の春、インドネシア・プルタミナ側から、ボルネオ島とスマトラ島におけるLNGの開発借款につきまして追加融資の申し入れがあったわけであります。金額は約五億ドルと想定しておりますが、その追加融資に関連をいたしまして、通産省でこのLNGの輸入契約をいろいろ検討させましたところ、昭和四十八年、オイルショックの前後にこの契約が結ばれた関係等もございまして、やはり売り手市場である、なかなかLNGの入手がむずかしい、こういうふうな関係等もあったのだと思いますが、日本側にとりまして幾つかの点で非常に不利な条項がたくさんございましたので、これはどうしても修正させなければならぬ、こういうことに着目をいたしまして、コストオーバーランの問題と関連いたしましてワンパッケージでこれを処理するように指示をいたしまして、約一年半の間、JILCOといいまして日本企業五社が輸入の窓口をつくっておりますが、そのJILCOを通じまして精力的に交渉をさせるように指導をしたわけでございます。  コストオーバーランの問題につきましては、五億ドルという先方の申し出に対しまして、先ほど指摘がございましたように三億ドル余りの金額で妥結をいたしましたが、同時に、いま長官が申しましたような幾つかの問題点につきまして合意に達しまして、理想的ではありませんが、問題点だけは修正された、こういうことでありまして、一年半がかりの継続的な交渉によりまして問題の解決を見たということでございまして、ここ二、三ヵ月の間に急に問題の交渉が起こった、こういうことではございません。その点、ひとつ御理解を賜りたいと思います。
  274. 近江巳記夫

    ○近江委員 何回も申し上げておりますが、こういう協力の問題につきましてはそれぞれ担当部門もあろうかと思いますが、特にエネルギー等につきましてはエネルギー庁、通産省が責任を持って細部にわたるまでよく掌握をしていただきたいと思います。後日またこの問題等につきましては質問をしたいと思います。  次に移りたいと思います。  一つは、景気動向と今後の経済運営の問題でございますが、景気を見てまいりますと、ここへ来まして若干の中だるみ現象を来しておるような観があるわけですが、通産大臣としましては、この景気動向につきましてはどういうようにごらんになっておりますか。
  275. 河本敏夫

    河本国務大臣 ことしの前半は景気は順調に回復してきたと思いますが、夏場になりまして回復のテンポがやや遅くなっておると思います。しかし、きょうも月例報告会がございましたが、その報告等詳細に点検をいたしますと、大勢としては心配ない、こういう状態だと思います。ただしかし、通産省といたしましては、もう少し景気現時点における詳細な実情を掌握いたしますために、今月の中旬を期しましていろいろな角度から景気動向調査をしたいと考えておる次第でございます。
  276. 近江巳記夫

    ○近江委員 今日まで非常にどん底にあった景気が若干の立ち直りがあったかのように思うわけでございますが、その主力はいわゆる輸出であった。ところが、この輸出面におきまして相手国との間で非常に摩擦現象が起きてきておる。こういうことをそのまま、ただ企業輸出競争に任しておいていいのかどうか。この辺、どのようにお考えになっておるか。たとえば、欧州、アメリカにおきますカラーテレビあるいはテープレコーダー、自動車なんかそうですね、その辺につきまして大臣はどのように見解をお持ちですか。
  277. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 ただいま近江先生御指摘のとおり、ことしの上半期におきまして日本輸出はかなりなテンポで伸びていったわけでございまして、そのうち輸出の好調を支えました業種は、御指摘のとおり自動車、あるいはカラーテレビ、テープレコーダー等のいわゆる電子産品であったわけでございまして、これがアメリカを中心にいたしましてある程度のフリクションが起こっているということも事実でございますが、私ども考えますのに、自動車につきましては、特にアメリカにおきまして今年度相当国内需要が発生しているということの反映というふうに考えておりますし、また先ほど申し上げましたカラーテレビ、テープレコーダー等のいわゆる電子産品につきましては、アメリカの景気需要に支えられまして、特にオリンピックに対する需要あるいはアメリカ建国二百年祭に対する需要、こういうものが重なりまして輸出伸びていった、こういうふうに解釈いたしております。  なお、今後の見通しでございますが、下期におきまして上期ほど出ていかないというふうに私どもは考えておりますが、その根拠といたしましては、先ほど申し上げました上期に伸びました理由がほぼ終わりまして、在庫もかなり一巡いたしておりますので、今後の輸出見通しは上期ほどのテンポでは進んでまいらない、こういうふうに考えておりますので、特にいましかるべき措置を講ずることは考えてないわけでございます。
  278. 近江巳記夫

    ○近江委員 考えてないということをおっしゃっていますが、そういう批判もいま非常に起きているわけですね。いま、オリンピックの問題であるとか建国二百年祭であるとか、そういうことでアメリカの需要が伸びたから、後は鎮静化してくるだろう、自然待ちといいますか、実際そういう方向に行くのですか。いま現実に起きておるそういう批判等につきまして、何も考えなくていいわけですか。
  279. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 カラーテレビの問題につきましては、先生御承知のとおり、九月二十二日にアメリカの電子産業保護協議会がITC、つまり国際貿易委員会に提訴したわけでございます。この問題につきましては、アメリカ政府における問題の取り上げ方が今後注目されるわけでございますけれども、公電によりますと、昨日公聴会も開かれたようでございますが、これにつきましてアメリカ政府内部でのいろいろな問題点も提起されております。つまり、ITCで審議することがよろしいかどうか、財務省の所管ではないかというような問題もございまして、この成り行きにつきましては私どもは見守ってまいりたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、在庫がかなりたまっておりますし、今後の先行指標であります輸出信用状の発行状況でございますとか、あるいは大手商社の成約状況等から見ましても、下期の輸出はかなり鎮静化するものと考えているわけでございます。
  280. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういうことは特に通産省が中心になってよくそうした調査等やっていただいて、いたずらなそうした批判を受けないように、秩序ある体制、指導というものを十分よくとるべきじゃないか、このように思うわけです。具体的に今後日本としては、確かに資源のない国ですから、貿易立国として生きていかなきゃならぬわけですね。基本的に、特にどういう点に今後力を入れていこうと政府としては考えているのですか。そういうような摩擦現象であるとかいうことも含めて、今後基本的にどういう面で特に力を入れていけばいいか、どういうようにお考えですか。
  281. 河本敏夫

    河本国務大臣 貿易の動向につきましては、先ほど局長が申し述べましたように、輸出の方は私は下半期はある程度鎮静化すると思います。逆に輸入の方が日本景気回復に従ってだんだんと伸びていく、こういうふうに考えておりまして、一番大きな議論の対象になっておりますカラーテレビの問題等も順次落ちつくのではないか、こういうふうに考えておりますが、ただしかし、ことしの上半期に見られましたように、二、三の商品が集中豪雨的に一地域にどっと出てきますと、やはりどうしても外国との間に摩擦を生じますので、今後はやはりこの貿易の一番の中心をプラント輸出伸長ということに置きたい、かように考えております。昨年は五十億ドルばかりの実績でございましたが、ことしは百二十億ドルという目標を設定いたしまして、懸命な努力をしております。  来年度はさらにそれを上回る相当大きな目標を設定いたしまして努力をするつもりでございますが、プラント輸出伸びますと、これは国内の関連産業に非常に大きな好影響がございますし、それから輸出する側の外国におきましても、そのことによって経済建設が進んでいく、こういう両方にとりまして非常に大きなプラスがある貿易でございますから、それを中心に伸ばしていきたい。  それから同時に、貿易全体といたしましては、個々の国ごとにきめの細かい対策をやはり立てていく必要があろうかと考えておりまして、いろいろ国ごとの貿易の進め方等についても検討を続けていかなければならぬ、戦略、戦術を進めていかなければならぬ、かように考えておるところでございます。
  282. 近江巳記夫

    ○近江委員 対ソ貿易につきましては、ミグ25の事件等もあって、たとえば根室沖ですか、北海道においては大型の漁船百五十隻が日本近海で操業しておる、あるいは拿捕が続いておるというような問題があるわけですね。いまこの貿易面、経済関係におきましてはそういうような心配は出ておりませんか、それが一つ。  それから、中国におきましては毛沢東主席の死去があったわけですが、その後経済関係においては影響は何も出ておりませんか、状況について御報告をいただきたいと思います。
  283. 矢野俊比古

    ○矢野(俊)政府委員 まず対ソ貿易でございますが、現在のところ大きい変化は出ておりません。一部新聞あたりでは、この十一月に開かれます日ソ経済委員会、これは民間ベースでございますが、ここに対して問題がないかということがございますが、現在向こうからこれを取りやめるとかあるいは延期したいとかいうような意思表示はないわけでございまして、この対ソ貿易に対する対応と経済委員会に対する対応は、私どもは従来のベースで準備をしておる、こういう実態でございます。  それから中国でございますが、私どもも毛主席が亡くなられたことに伴っていろいろといわば商談がおくれるのじゃないかという感じでございましたが、幸いこの四日から鉄鋼交渉団が北京に参っておりますし、逐次肥料の交渉団も申し入れが出てきています。具体的にはまだ期日は決まっておりません。しかしながら、こういう交渉をしようという話がございますので、現在非常に安心しておりまして、いわゆる安定した貿易関係が続いている、こう解釈をしております。
  284. 近江巳記夫

    ○近江委員 物価の問題でありますが、この九月の東京都区部の消費物価指数が前月に比較しまして二・八%上昇しておるわけですが、これは狂乱物価の四十九年四月以来二年半ぶりの大幅上昇なんですね。御承知のように、公共料金のメジロ押しの引き上げがいま行われようとしておるわけであります。卸売物価は若干鎮静化してきたようでございますが、こういう点からいきますと、消費物価指数八%と政府は言っておりますが、これは本当にいけますか、こういう状況で。
  285. 喜多村治雄

    ○喜多村政府委員 最近の物価動向でございますけれども、まず卸売物価は昨年十二月以降比較的速いテンポで増加いたしてまいりましたが、海外要因の影響等もございまして、先生いま御指摘のように、八月以降はやや騰勢が鈍化いたしております。  消費物価につきましては、このところ九月はいま仰せになりましたように大きな暴騰になりましたけれども、これは中身をよく検討いたしますと、二・八のうち一・〇は衣料でございます。これは夏物から秋物への調査品目が変わるということもございますし、それから野菜、果物、生鮮魚介が上がりましたが、これも台風、冷夏の影響がございました上に、季節的な関係もございましたので、〇・九ばかり上がりました。そのほかに、いま仰せの電気料金、消費者米価の関係が〇・六ばかり出ておりますので、これを考慮いたしますと、全体的には消費物価も基調として落ちついていると私どもは判断いたしております。  これから先、卸売物価動向がどうであるかということには非常に注意をしていかなければなりませんし、消費物価につきましても非常にきめの細かい対策を講じなければなりませんけれども、私どもは是が非でも八%目標を達成していきたいと考えておりますし、現在のところ、その可能性は十分あると見ております。
  286. 近江巳記夫

    ○近江委員 公共料金の引き上げにつきましては、非常に国民は神経をとがらしておるわけですね。大蔵省としては、現在非常に財源難であるというようなことで増税をする、どうもそういう姿勢にあるように思うわけです。また、公共料金等もさらに引き上げようかなというような感じを持っておるように私、感じるわけでありますが、大蔵省としては、今後公共料金なりあるいはまた増税等につきまして、非常に国民が心配をしておる問題でありますが、どういう考えを持っていますか。
  287. 梅澤節男

    ○梅澤説明員 ただいま御質問の点でございますが、御案内のとおり、現在、税制につきましては政府の税制調査会におきまして中期税制の御審議をお願いしておるわけでございますが、その前提といたしまして、御承知のように政府が先般策定いたしました昭和五十年代前期経済計画、そういった展望に立ちまして、しかも御承知のように現在特例公債に依存しているという財政体質から一日も早く脱却する、そういうふうな前提に立ちますと、今後中期的に見ましても、税負担はもとより、各種社会保険料、公共料金等につきまして相応の負担増をお願いせざるを得ないのではないか、そういう展望があるわけでございます。  それで、冒頭に申し上げましたが、現在政府税調では、そういった展望を御参考にされながら、税制面で申し上げますと、所得課税、資産課税、消費課税の税制全般につきまして今後のあり方を鋭意御審議いただいておるわけでございまして、たとえば税制に問題をしぼりまして今後どういう方向になるかということは、現時点で具体的にお示しできる段階ではございませんけれども、ただいま申し上げましたような展望なり背景に立ちますと、ある時期にある程度の何らかの意味での負担増はお願いせざるを得ないのではないか、そういうふうに私どもは率直に考えております。
  288. 近江巳記夫

    ○近江委員 それはあなた方の考えだから率直に考えてもらうのはいいとしても、それにしても国民はたまったものじゃありませんよ、賃金は上がらない、所得減税はゼロ、実質所得は下がっておるわけでしょう、これは正木議員が予算委員会でも追及しておりますが。今度たとえば未来を担う子供たちの教科書等を一部有料にする、育英資金返済に利子をつける、こういうことまで手をつけるのですか、いかがですか。
  289. 梅澤節男

    ○梅澤説明員 ただいま御指摘になりました個々の点につきましては、これは歳出の問題でございますので、それぞれ主計局の各担当の分野でいかなる検討をいたしておりますか、具体的に私、申し上げる力はないわけでございますけれども、全般的に、ただいま申し上げましたように、税負担はもとより、社会保険料も含めまして各種の受益者負担をある程度の負担増の方向でお願いせざるを得ないのではないかという基調のもとで、私ども現在仕事を進めておるわけでございます。
  290. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは政府全体の問題ですから、あなたにばかり言っておってもしようがないわけでありまして、これはひとつ大臣、特にこういう教育の問題であるとか、とにかくいまもう上げることばかり考えているわけですよ、こういう問題は重大問題として閣議にでもかけて、こういう大蔵省の考え方があるわけですから、そういうことを打ち消しさすようによく諮っていただきたい、これを特に要望いたしておきます。伝えていただけますか、大臣
  291. 河本敏夫

    河本国務大臣 先ほど輸出貿易の問題に関連して、さらにただいまは景気全般の問題についての議論をしておられるわけでありますが、私は、やはり本当の意味での景気振興というものは、貿易も伸びなければなりませんが、同時に内需というものが盛んにならなければならぬ、こういうふに考えておるわけであります。内需を盛んにするのには一体どうしたらよいかということは、これまた幾つかの問題点がございまして、議論しなければならぬ問題がたくさんございますが、そういう意味で景気対策というものは総合的に考えていかなければならぬと考えておりますので、そういう角度から今後とも発言してまいりたいと思います。
  292. 近江巳記夫

    ○近江委員 大分時間も迫ってまいりましたので、急ぎたいと思います。  わが党の正木議員が予算委員会大臣質問しまして、いわゆる円高の問題から為替差益が非常に出ておるということで、たとえばエネルギーの問題におきましても、灯油については引き下げるべきじゃないか、大臣も引き下げるよう指導するとおっしゃったわけですが、これは具体的に業界に対して指導なさっているわけですか。
  293. 河本敏夫

    河本国務大臣 これはもう少し正確に申し上げますと、引き下げますと、それだけを言ったわけじゃございませんで、一つはまず上げないようにしなければならぬ、できれば引き下げる方向に努力をいたします、こういう二段構えの答弁をしたわけであります。  なぜそういう二段構えのことを言ったかと申しますと、一つは、昨年の六月に灯油の指導価格制を廃止いたしましたのは、冬場を前にいたしまして、どうも軽油であるとかA重油あるいは工業用の灯油、そういうものに家庭用の灯油がどんどん流れていく気配がある、ストックが次から次へ減っていく、こういう傾向が非常に顕著になってきたわけであります。それでは昨年の冬の家庭用の灯油の絶対量を確保することが可能かどうか、こういうこと等を大変心配いたしまして、どうしても先ほど申し上げましたような中間留分とのある程度のバランスというものは必要じゃないだろうかということで、御案内のように昨年の六月一日から灯油の指導価格制というものを廃止したわけでございます。でございますから、原則を申し上げますと、ある程度の中間留分とのバランスはやはり保たれておるということが必要だと思います。  それと同時に、御承知のように石油業界には不安定な要素が若干残っておりまして、たとえば十二月にはカタールでOPECの総会が開かれまして、若干の値上げが行われるかもわからないという有力な報道等も流れておるわけであります。仮に値上げがありましても、それをもちろん消費国の方に全部吸収しなければならぬということはありませんので、昨年のようにいろいろ交渉いたしまして、一〇%の値上げがありましても六%、七%におさめるということも可能でありますから、そういう努力もしなければなりませんが、そういうOPECの値上げの動き等もございます。  それから、為替も確かに、標準価格を設定いたしました当時は三百二円でございましたが、現在は二百八十七、八円ということでございますから、相当高くなっておりまして、その点は石油業界は非常に有利であります。ただしかし、ことしの後半、貿易の黒字がだんだんと少なくなりまし七赤字傾向でも出てまいりますと、果たして現在の円高傾向がいつまでも維持できるかどうか、こういう問題もございますし、それから石油業界自体の体質改善がまだ不十分である、こういうような幾つかの流動的な要素等がございますので、そういう流動的な要素をもう少し見きわめながら、いけそうだということであれば第二段階の灯油の引き下げの行政指導をしたい。  こういうことで二段構えの答弁をしたわけでございまして、とりあえずはとにかく値上げをさせない、東北、北海道では現在は家庭の負担が主食以上に大きな負担になっておりますから、とにかく値上げをさせないということをとりあえずは主眼点にいたしまして、第二段階の行政指導による値下げはもう少し様子を見てから決断をしたい、かように考えておるところでございます。
  294. 近江巳記夫

    ○近江委員 もう時間がありませんから、あと一問だけお聞きしますが、公取委員長所信表明におきまして鋼材値上げについて任意調査を実施しておられる旨表明されたわけですが、この調査目的につきましては、同調的値上げ問題のほかに、鉄鋼会社が値上げ交渉を有利にするために行ったと言われる減産強化問題も対象にされておるのかどうか、これが一つ。それから、任意調査はどの程度時間がかかるのか。また、調査結果がシロかクロかにかかわらず公表されるつもりであるのかどうか。鉄鋼に関しましては以上でございます。  それから、大阪製鋼と大谷重工が今月中にも合併の調印をするのじゃないかということも伝えられておるわけですが、これらについては問題がないのかどうかというような点、お答えいただきたいと思います。
  295. 澤田悌

    澤田政府委員 今回の鋼材値上げ問題、前年度の値上げと比較いたしますと形の上で改善された点も認められますが、なお同調的なものと考えられますので、独占禁止法上問題がないかどうかについて調査に着手いたした次第でございまして、九月からユーザー、商社等のヒヤリングから始めまして、現在メーカーに及んでおります。全体で二カ月はかかるという見当でございます。その結果につきまして、どういう結果が出ますか、独占禁止法上問題があるかないかは調査の結果によらないとわかりませんけれども、必要と認めた場合は公表いたしたいと考えております。  それから、平電炉メーカーの合併につきましては、そういう動きがあることは承知いたしておりますが、具体的にまだ正式な接触がございませんので、それがありましたら独占禁止法に照らして対処したいと考えておる次第でございます。
  296. 近江巳記夫

    ○近江委員 終わります。
  297. 松永光

    松永委員長代理 次に、宮田早苗君。
  298. 宮田早苗

    宮田委員 経企庁長官が不在ですが、通産大臣がお見えでございますので、民間企業設備投資動向等から、今後の経済政策をいかに推進していくかについて少し質問をしたいと思います。  本日の経済企画庁の発表を見ましても、好調だった輸出鉱工業生産出荷指数の対前月比ダウンという指標を見ましても、景気回復はいま一つというのが企業マインドだと思います。年率六%程度の低成長経済への移行が徐々に定着しつつある過程かとも思います。過去わが国経済は大幅な景気変動を繰り返してきたわけですが、減速経済下における景気変動は国民経済及び国民生活にどのような影響を与えることになるとお考えですか、その点からお聞きをいたします。
  299. 河本敏夫

    河本国務大臣 景気動向を左右するものといたしましては、貿易、それから民間の設備投資、在庫投資、あるいはまた国民消費、いろんな要素があるわけでございますが、いま幾つかの事例を挙げて御意見をお述べになりましたが、確かに御指摘のような趨勢にはありますけれども、私どもは大勢といたしましては心配をいたしておりません。しかし、ここ一、二カ月の間やや景気回復が沈滞ぎみにございますので、この十月中旬を期しまして景気動向等につきまして十分詳細な調査をしてみたいと考えております。それによりまして、適当な対策というものを場合によっては考えていかなければならぬのではないかと考えておる次第でございます。
  300. 宮田早苗

    宮田委員 従来のような一〇%を超える高度成長下でしたら、少々の景気変動でも将来に対する期待があることから、特に民間の設備投資意欲は旺盛だったわけですが、しかしこれからは景気変動の幅を極力小さくしていくために、変動要因に着目をして適切な対策を講じていく必要があろうかと思うわけですが、既存の政策手段では不十分ということははっきりしているわけですから、これからそういう問題について何らかの対応策を考えなければならぬと思いますが、その点はどうですか。
  301. 濃野滋

    ○濃野政府委員 私からお答えを申し上げます。  ただいま先生御指摘のように、減速経済下に入りますと経済の先行きに対します成長期待感というのは薄れてまいります。そういたしますと、景気が落ち込んだときには経済の縮小化の傾向というものを一層強めることになりますし、なかなか停滞から脱せられない。また、何かのことがございまして景気が過熱をするということになりますと、これまた設備投資意欲が衰えておりますために、需給面から見まして供給力の不足という事態も起こりかねないということでございまして、そういう前提に立ちまして私どもは今後とも景気変動の幅をなるべく小さくしていきたいというふうに考えておりますが、その手段といたしましては、従来から行われておりますような種々の金融政策あるいは財政政策、それだけでは足りないのじゃないか。特に、従来景気変動の中で一番大きく動いておりました民間設備投資の変動の幅をなるべく平準化をしていこうということから、ただいま投資を平準化をしていく、そのための税制の新設ということを検討いたしておるわけでございます。
  302. 宮田早苗

    宮田委員 これまでの景気の主要な撹乱要因の一つでございました民間設備投資について、その波をなだらかにするといいますか、いまもおっしゃいましたが、通産省としてはこれに対してどのような対策を必要と考えておられますか、その点をお聞きします。
  303. 濃野滋

    ○濃野政府委員 ただいま申し上げましたように、一つの投資をなだらかにしていく方策といたしまして、来年度税制改正におきまして、私どもといたしましてはいわゆる投資平準化税制という税制の新設を考えております。  この税制につきましては、企業会計上のいろいろな技術的な問題がございますし、また、税法という面から見ましてもいろいろ技術的な問題もあると思いますし、また、その持っております効果等についてもいろいろな御意見等があると思いますので、その辺を踏まえましてこれから内容を詰めてまいりますが、私どもの現在の考え方の骨子をここで御説明を申し上げますと、各企業経済の平常時等におきましてはいわゆる投資平準化のための準備金を積み立てる。この積み立てた積立金につきましては、その積立額を税法上損金算入にするということ、これが一つの柱でございます。なお、この積立額につきましては、いわゆる過剰流動性の問題、そういう観点からの御指摘等もありますので、この積立額の一定割合はあるいは流動性を凍結をするというようなことも考えなければならないのではないかと思っております。  第二に、今度は不況期になりまして、そこで設備投資をある程度促進をする必要が出てまいりました場合には、新規の設備投資企業が行いましたときに、その設備の償却限度額を一定割合拡大をいたしまして設備投資の促進を図ったらどうか。なお、その拡大された分に相当いたします金額につきましては、最初に申し上げました積み立てました準備金を取り崩しまして、その場合、益金に算入をする、こういう骨子の新しい制度をつくったらどうかということで検討を進めておるわけでございます。
  304. 宮田早苗

    宮田委員 実は、私ども民社党としても、中小企業の不況抵抗力を高め、長期的な経営の安定を図るために、年所得の一〇%を無税で積み立て、不況時にこれを取り崩せるような中小企業基盤整備準備金制度の創設を提唱しているところでございます。通産省のただいま御説明がありました投資平準化税制構想ですか、これもいま前段に言いました中小企業も含まれるという構想ですか、この点をお聞きします。
  305. 濃野滋

    ○濃野政府委員 ただいま私が御説明申し上げました制度におきましては、これは景気調整、いわば景気変動の幅を少なくする、そして投資を平準化をしていこうという趣旨から考えたものでございますので、当然でございますが、大企業中小企業の区別なく全部に適用するということで考えておるわけでございます。
  306. 宮田早苗

    宮田委員 中小企業の場合は、設備投資資金ということよりも、不況時には運転資金でもって行き詰まってしまうケースが非常に多いわけであります。そのような観点から、調整基金の必要性を痛感しているのですが、この点についてはどうですか。
  307. 濃野滋

    ○濃野政府委員 ただいま先生御質問の不況時における運転資金の問題でございますが、運転資金の問題と申しますと、いわゆる不況対策時における一般的な金融対策という面にウエートが置かれるのではないかと私は思います。  ただ、中小企業全般につきまして、その自己資本の充実を図り、あるいはこれから減速経済下でそれだけ困難が増してまいりますので、当省といたしましては、来年度、五十二年度の税制改正におきまして、そういう意味での政策の充実という観点から、たとえば小規模事業者の税負担の軽減を図るとか、あるいは納税事務の簡素化ということのほかに、自己資本の充実を図るための措置、たとえば中小法人の軽減税率の適用対象所得の限度額の引き上げ等々、そういう面での中小企業に対する税額の緩和を通じまして、そういう体力の充実ということについては多くの項目につきましてこれから検討し、実現を図っていきたい、こういうふうに考えております。
  308. 宮田早苗

    宮田委員 次に、エネルギーに関して若干の質問をいたしますが、まず第一点は、最近の報道によりますと、アメリカは原油の買い占めをしているとのことでございますが、その報道の真意とわが国の対応策についてまずお伺いいたします。
  309. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 最近OPEC諸国での原油生産も若干ずつふえてきておりますが、一方でアメリカの原油輸入量が増加しているというのは事実でございます。これは、一つには景気回復に伴いまして需要が出てきたということと、一方ではアメリカの天然ガスあるいは原油の生産が少しずつ落ちてきておりまして、そういった面が輸入依存度の高まりというようなかっこうでふえてきているのではなかろうかというふうに見ておりまして、必ずしも先高を見越しての買い占めといった性格のものではないのだろうというのがわれわれの解釈でございます。  なお、わが国への原油の輸入量は、予定どおり着実に行われております。
  310. 宮田早苗

    宮田委員 次にお伺いしますのは、石油製品価格の問題でございます。  政府は、去る五月中旬に製品の標準価格制を廃止をされたわけでございます。その後の価格の動きについて、どうなっておるか、お聞かせ願いたいと思います。
  311. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 昨年十二月に設定いたしました石油製品の標準額につきましては、ほぼその目標を達成したということでございまして、ただいま御指摘のように、本年の五月十三日をもって撤廃いたしたところでございますが、その後の製品価格の推移をざっと申し上げますと、八月時点の元売仕切り価格で、ガソリン、ナフサにつきましては、それぞれパーキロリッター五万三千五百円、二万九千二百円でございまして、標準額に比べますと、ガソリンはマイナス〇・四%、ナフサはマイナス一・七%、標準額を若干ながら下回っております。それから、C重油につきましては二万五千二百円でございまして、標準額に比べますと二%。御参考までに全部の油種を平均して申し上げますと三万一千九百円でございまして、標準額に比べまして二・九%ということでございます。
  312. 宮田早苗

    宮田委員 そこで、この九月期の中間決算はまだとは思いますが、精製各社の経理状況はどういうふうになっておるか、もし掌握されておるならばお知らせ願いたいと思います。
  313. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 まず、石油各社の経営状況の現状でございますが、御承知のように石油危機後原油代が大幅に値上がりした、かつ反面、景気が非常に停滞したということでございまして、一時大きな経営危機に直面したわけでございますが、昨今次第に回復過程に向かっておる。  ただ、今後の見通しといたしましては、ただいまもお答えいたしましたように、標準額が浸透してきた、あるいは為替レートが円高である、景気回復が持続した場合にはかなり改善されるのではなかろうかという予測もできるわけでございますが、反面、石油産業におきましてはいままでかなりの累積赤字を抱えておる、為替レートが常に変動する、不安定なものである、それから本年度末にOPECの総会がありまして、その場でも原油価格についていろいろ討議される、あるいは一部では強硬に値上げを主張する国もあるやに聞いておりますので、さような不安定要因がございますので、必ずしも楽観的に物を申し上げるわけにまいらないのではなかろうかということでございます。  若干数字的に、本年の三月末の決算で申し上げたいと思いますが、経常損益はマイナス千百二十一億でございます。黒字企業は十二社、うち外資系は九社、赤字企業は二十四社でございまして、うち民族系は十三社でございます。それから、累積損益と申しますか、繰越損は九百七十三億円になっております。黒字を出した会社は十四社ございますが、赤字企業数は二十二社で、うち民族系は十三社。概して申し上げますと、五十年度の上期が最悪期で、下期ではようやく回復しつつあるというのが現状と見ておるわけでございます。
  314. 宮田早苗

    宮田委員 通産大臣は、さきの予算委員会ですか、最近の円高基調を背景にした為替差益をとらえて、灯油価格の引き下げ意向を表明されておりますが、ただいままでのようなエネルギー庁の答弁内容からしますと、本当にこれを指導できるのだろうかという疑問も出てまいるわけでございますが、この点はどうですか。
  315. 河本敏夫

    河本国務大臣 実は先般の予算委員会で灯油価格の問題が出まして、それに対して私が答弁をしたのですが、その答弁が必ずしも正確に伝わっていないものですからいろいろ議論を生んでおるわけでございまして、もう一回申し上げますと、質問の要旨は、円高傾向が続いておるので石油会社の経営は楽になったはずだ、だからその余力をもって民生に非常に大きな影響のある灯油価格を引き下げるべきではないか、またそれは可能ではないか、こういう趣旨の質問があったわけであります。それに対しまして、私は、とにかく値上げをさせないようにしたい、値上げの傾向があるのでとにかく値上げをさせないようにしたい、そしてできることならば引き下げる方向で行政指導をしたいと考えておりますという、二段構えの答弁をしたわけであります。  なぜ二段構えの答弁をしたかといいますと、とりあえず引き上げないようにこれを指導するということは、これはもう現時点におきましても絶対にしなければいけませんし、それは可能であると当然考えております。ただしかし、これを引き下げるということになりますと、やはり昨年の六月一日に灯油の指導価格制を廃止いたしましたのが、軽油、それからA重油、それから工業用の灯油、これとのバランスの関係がございまして、家庭用の灯油を余り安くしますと、品質がいいものですから、そういう中間留分の方へどんどん家庭用の灯油が流れていってしまうわけです。それに代用される。そうすると絶対量が確保できなくなりますので、かえって値段が上がらざるを得ない。こういうことになりますので、冬場を前にいたしまして、六月一日に指導価格制を廃止いたしまして必要量を確保する、こういう政策に切りかえたわけでございます。  そういうバランスの問題も基本的にはあるのですけれども、しかしそれもさることながら、なおこの石油業界には流動的な要因が相当残っておりまして、たとえば先ほどお話のOPECの値上げの可能性、それから、現在は円高基調でございますが、貿易がバランスがとれるようになった場合に果たして現在の円高基調が続くのかどうかという問題、それから石油業界の体質改善の問題がどういう形で今後進むか、こういうふうな流動的な問題が幾つかございます。これもこの年末までもう二ヵ月も様子を見れば大体見当がつきますので、その段階におきまして可能な条件が整いますと、第二段階である重油の引き下げということを強力に進めていきたい、かように考えておるわけでございまして、そういう意味でこの二段構えの答弁をしたわけでございますが、後段の方だけが伝わってしまいまして、前段が伝わらぬものですから、やや誤解を生んでおるということでございます。
  316. 宮田早苗

    宮田委員 次に、原子力発電についてお尋ねをいたします。  資源エネルギー庁は去る五日に「原子力発電所の運転状況について」というものを発表をしておりますが、それによりますと、今年一月以降、上期の各社の施設の稼働率がかなり向上しているということでございます。四十九年度から五十年度にかけての事故の続出による低い稼働率の例から見ますと喜ぶべきことでございますが、ただ一点気がかりなことがございますのは、関西電力美浜一号炉の四十六年の運転開始以降の実績、これをまず示していただきたいと思います。
  317. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 関西電力の美浜一号は四十五年十一月二十八日から運開いたしまして、四十六年の稼働率は七四・三、四十七年が四五・二、四十八年が四七・二、四十九年が一二・九、五十年以降ゼロでございます。
  318. 宮田早苗

    宮田委員 答弁されましたように五十年以降は全く運転をしていないということなんですが、この経緯と、再開の見通しはどうなっておるか、お聞きします。
  319. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 現在美浜一号機が停止いたしておりますのは、四十九年の七月十七日に蒸気発生器の細管漏洩事故が発生したわけでございます。このために運転を停止いたしたわけでございますが、当省といたしましては特別委員会を設けまして、その細管が減肉した原因を究明いたしたわけでございます。その結果、原因といたしましては細管上部の支持板部分における燐酸塩の濃縮によりさようなことになったという結論が出てまいりましたので、その後、この燐酸塩を取り除くために蒸気発生器二次側の温水洗浄を本年の二月二十日から約七十五日間実施してまいりました。  現在、難溶解性の燐酸塩の付着物を除去するために、サイクリング運転と申しますか、試験運転の準備を進めており、この試験運転の結果を見て再稼働をする日を決めることになろうかと思います。
  320. 宮田早苗

    宮田委員 もう一つは、原油の備蓄増強計画のその後についてお聞きいたします。  五十二年度におきます五日の積み増し策の具体的な問題を示してほしいということと、備蓄基地建設促進のための交付金制度の概要を、五十二年度予算要求として百八億円ということでございますが、交付のために電源三法のような新法を考えておいでになるのかどうか、こういう問題についても御説明願いたいと思います。
  321. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 御承知のように、現在、五十四年度末を目標にいたしまして九十日の備蓄増強計画を推進いたしておるわけでございます。わが国といたしましては一次エネルギーの七五%までを石油に依存しており、しかもそのうちの九九・七%を輸入いたしておる。将来石油に対する依存度を下げていく必要がありますが、当分の間は依然としてやはり石油に依存するところが大である。こういうことでございまして、この備蓄の問題は、国際的約束である以上に、日本経済にとりまして安全保障措置といったような観点から積極的に推進し、かつ、目標を達成すべきものだというふうに理解いたしておるわけでございます。  ただ、そのためには現在実施しております対策では必ずしも十分でない。と申しますのは、資金量にして一兆五千億、土地にいたしまして五百万坪もの多くの土地を必要とする。特に、四十五日まではコマーシャルベースを在庫と言えるわけでございますが、さきにこれを六十日まで持っていき、現在さらにこれを九十日まで持っていく。先ほど来出ておりますように石油企業の経理内容も必ずしもよろしくない。しかも、目的としては国家経済的な意味を持っておる。かような点からいたしまして、五十二年度予算におきましては抜本的に備蓄推進のための対策を強化いたしたい、かように考えておるわけでございます。  大きく分けまして、三つのポイントがございます。  一つは、備蓄原油購入資金は現在四%の利子補給をいたしておりますが、来年度以降無利子まで持っていきたい、こういうことでございます。かたがた、現在政府保証によりまして市中からの借り入れに依存しておるわけでございますが、安定的に確保するためには、別途石油開発公団で約千三百億の公団債を発行いたしまして、これをもって備蓄資金に充当させたいということでございます。  それから、二つ目の共同備蓄会社につきましては、現在総工事費に対しまして一〇%までを出資で見ておる。石油開発公団から五%、関係企業等民間で五%、こういうことになっておるわけでございますが、少なくとも土地代金に相当する二割までを出資で賄いたい。民間の負担は従来どおり五%といたしまして、石油開発公団による出資を一五%まで高めたい、こういうことでございます。  三つ目が石油備蓄施設立地促進交付金制度でございまして、これにつきましては、先生御承知のように、備蓄基地としては非常に広い土地を必要とする反面、現地における雇用効果が少ない、あるいは関連産業に対する振興効果が少ない、こういった点もございますので、来年度からは新しく立地促進のための交付金を実行に移したいということで考えておりまして、その石油備蓄施設を立地する市町村とその周辺市町村に対しまして一定額の交付金を支給したい、こういうことでございます。ただいま御指摘の百八億と申しますのは、一キロリットル当たり立地市町村に千三百円、周辺市町村にも同じく千三百円、仮にこれを十万キロリットルに換算しますと、それぞれ一億三千万の交付金を出したい、こういうことでございます。  これに関連いたしましての法律改正でございますが、少なくとも現在の石炭及び石油対策特別会計法の改正は必要でございます。あと電源三法と同じような法律が必要であるかどうかということにつきましては、現在なお検討の段階にございます。
  322. 宮田早苗

    宮田委員 次に、中小企業者の事業分野調整立法について政府の考え方をお聞きをいたします。  中小企業の経営苦境の実態については、ここでるる申し上げるまでもございませんが、それだけに第七十七国会で当委員会で全会一致決議をいたしました中小企業者の事業分野の確保に関する法的措置の確立についての中小企業経営者の関心は非常に強いものがございます。政府がこの決議によって立法措置の検討に、たとえば関係審議会開催ということで取り組んでこられましたことは理解できるわけですが、同法促進の協議会の方々の陳情を拝聴するまでもございませんが、次の通常国会での政府提案を待てない段階、こういう時期に来ておると思うのです。大臣または長官のお考えをまずお聞かせ願いたいと思います。
  323. 河本敏夫

    河本国務大臣 前国会の最後にいまお話しの国会決議がございましたので、それを受けまして一刻も早く立法化をしたいということで、いま作業を進めておるところでございます。  作業の現段階及び今後のスケジュール等につきましては、長官の方から答弁をいたします。
  324. 岸田文武

    ○岸田政府委員 ただいまお話のございました国会の決議を受けまして、政府といたしましても立法化の方向で具体的な検討に入っておるところでございます。  お話の中にございましたように、中小企業政策審議会の中に分野調整小委員会という特別の組織を設けまして、その小委員長には政策審議会の会長自身に当たっていただくということになりました。審議は七月七日に第一回を開きまして、いままでに、きょうだだいま開いておりますので、それも加えますと八回の審議を重ねておるところでございます。夏休みも返上して、できるだけこの問題についてはよく実情を見きわめ、そして多くの人に納得のしていただけるような結論を導きたいと思って一生懸命努力をしておるところでございます。  審議の経過を大体簡単に御報告いたしますと、第一回目から第四回目までの間に、分野調整をめぐって従来どういう問題があったのか、全貌をつかむことに努力をいたしました。その際には、関係中小企業者の方々、あるいは問題となった大企業の人、さらには消費者の代表等から実情の聴取も行った次第でございます。第五回目以降が具体的な法案の問題点についての検討でございます。  ただ、これは単に中小企業立場からだけで問題を考えるわけにいかない非常に大きな問題でございます。国民経済との関係いかん、また消費者との関係いかんというような角度から、問題を一つ一つ勉強いたしております。一体規制の方法をどうするのか、それから対象業種をどうするのか、また紛争の範囲をどうするのか、研究しなければならない問題がたくさんございますので、それらを順次一わたり議論をしておる段階でございます。問題はそれぞれ関係がございますので、一つ一つ結論を出すというやり方ではなくて、一わたり問題を議論した後に、最後に取りまとめの段階に入って方向づけをするというような考え方で作業を進めておるところでございます。お話にもございましたように、私どもとしても極力急ぐという心持ちで取り組んでおりますので、御了承いただきたいと思います。
  325. 宮田早苗

    宮田委員 私どもはこの委員会での決議を踏まえて、今臨時国会での議員立法化を意図したのでありますが、この立法化に関しまして、公正取引委員会澤田委員長の発言が新聞紙上で報道されたことがございます。立法化が競争の制限、ひいては消費者利益の擁護に反するおそれがあるという、おおよそこのような発言だったと思いますが、その点について公取の見解を承りたいと思います。
  326. 澤田悌

    澤田政府委員 この問題につきましての私の発言、必ずしも正確に真意が伝えられておりませんけれども、先ほどお話しのように、国会の決議を尊重してただいま政府が立法化の方向で努力をいたしておるのでありまして、大企業中小企業の間の調和が図られなければならないことは、これはもう申すまでもないところでございます。  ただ、独占禁止法からの希望と申しますか、独禁法の精神、趣旨からの要望という点を率直に申し上げますと、企業のほかに消費者というものがございます。それで、私どもの立場から言いますと、大企業中小企業の調和はもちろん大切でありますが、そのほかに消費者を考えた三者の調和が図られるような立法の方向が望ましい。そのために競争制限的になったり、あるいは企業努力が萎縮するとかいうことのないような方向で、企業の活力を維持しつつ、消費者の利益にもなるような三者の調和を考えた方向で立法していただくことが望ましい、こういうことを望んでおるわけでございます。
  327. 宮田早苗

    宮田委員 最後でございますが、分野調整問題を専門に担当いたします中小企業調整官の配置と活動状況、この点について御説明をしていただき、私の質問をこれで終わります。
  328. 岸田文武

    ○岸田政府委員 御存じのように、昨今の不況を背景にいたしまして、大企業中小企業の分野をめぐる問題が次々に出てきております。こういった状況に対応するために、昭和五十一年度からいまお話のございました中小企業調整官の制度を発足させました。具体的には、中小企業庁に一名、それから各通産局、八カ所ございますが、それぞれに一名配置してございます。なお、そのほかに、全国の主要な商工会議所、商工会及び中小企業団体中央会におきまして、分野調整指導調査員という制度を設けております。これは後で詳しく御説明いたしますが、通産大臣の委嘱のモニターでございまして、人数が合計で三百九十二名ございます。  中小企業庁及び通産局に設けてございます中小企業調整官の主な仕事は、分野の調整に関する紛争が起こりました場合に、相談に乗ったり、あっせんをしたり、調停をしたり等、いわば広い意味での行政指導に当たるほか、先ほど申しましたモニターとの連携によりまして、紛争事例に関する事情の聴取ないし情報の収集ということに当たっております。それから商工会、商工会議所等に設けられております分野調整指導調査員の任務といたしましては、主として地区内の中小企業事情を把握いたしまして、もし紛争が起こりましたというようなとき、あるいはそのおそれがありますというようなときには、中小企業調整官に迅速に連絡するということによって、問題を少しでも早く解決するような努力を重ねておるところでございます。  発足以来いろいろの件が持ち込まれておりまして、かなりの成果を上げたのではないかと思っております。持ち込まれた事例を少し御紹介いたしますと、たとえば生菓子の製造の問題、あるいは書籍の販売の問題、それから小型造船の問題、葬祭業の問題等が主なものでございます。
  329. 松永光

    松永委員長代理 次回は、来る十二日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十分散会