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1976-10-26 第78回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月二十六日(火曜日)    午後零時二分開議  出席委員    委員長 兒玉 末男君    理事 今井  勇君 理事 越智 伊平君    理事 島田 安夫君 理事 野田  毅君    理事 金丸 徳重君 理事 柴田 健治君    理事 柴田 睦夫君       志賀  節君    羽田  孜君       宮崎 茂一君    村田敬次郎君       井上  泉君    斉藤 正男君       坂本 恭一君    芳賀  貢君       栗田  翠君    瀬崎 博義君       山原健二郎君    瀬野栄次郎君       高橋  繁君    広沢 直樹君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 天野 光晴君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       河野 正三君         国土庁長官官房         審議官     紀埜 孝典君         国土庁水資源局         長       飯塚 敏夫君         農林大臣官房審         議官      杉山 克己君         建設省河川局長 栂野 康行君  委員外出席者         科学技術庁研究         調整局生活科学         技術課長    久武 啓祐君         国土庁長官官房         災害対策室長  山本 重三君         大蔵省銀行局特         別金融課長   藤田 恒郎君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       萱場 英造君         文部省学術国際         局審議官    澤田  徹君         文部省学術国際         局学術課長   七田 基弘君         厚生省環境衛生         局水道環境部環         境整備課長   森下 忠幸君         厚生省社会局施         設課長     水田  努君         運輸省港湾局防         災課長     寺尾  健君         気象庁観測部地         震課長     末広 重二君         建設省都市局下         水道部公共下水         道課長     遠山  啓君         建設省河川局治         水課長     小坂  忠君         建設省道路局企         画課長     山根  孟君         国土地理院地殻         調査部長    原田 健久君         消防庁防災課長 永井 浤輔君     ————————————— 委員の異動 十月二十六日  辞任         補欠選任   川俣健二郎君     井上  泉君   津川 武一君     栗田  翠君 同日  辞任         補欠選任   井上  泉君     川俣健二郎君   栗田  翠君     瀬崎 博義君 同日  辞任         補欠選任   瀬崎 博義君     津川 武一君     ————————————— 十月二十五日  台風十七号による愛媛県の災害対策に関する請  願(越智伊平君紹介)(第七四一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件      ————◇—————
  2. 兒玉末男

    兒玉委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高橋繁君。
  3. 高橋繁

    高橋(繁)委員 私は、まず最初に、最近騒がれております駿河湾地震について、住民の側に立って素朴な質問をいたします。いままでそれぞれ新聞等に出ておりますが、確認をする意味でも質問をさせていただきたいと思います。  まず、浅田学説あるいは石橋学説、若干ニュアンスが違います坪川学説、こうありますが、そういういろんなことが新聞紙上に出、あるいは地元ではそういう学者、先生を招いて講演会を開いており、いま大変な反響を呼んでおります。乾パンが売り切れたとか、ずきんがなくなったとか、トランジスタラジオが大変売れるとか、あるいは伊豆半島に日曜に旅行に来ておった人たちが、まるで地震の起こっておる真っただ中に来たような感じで、旅館へ着いてからうちの方へ、いや何も揺れてないよという電話をしておる、そういうような感覚で旅行にも来ておる、こういう状況であります。また、あの駿河湾地震新聞紙上で騒がれてから、特に観光地でありますので、旅館によっては百名、二百名、突如としてキャンセルが続いておる、こういうように生活自体にも大変影響しておるような状況であります。したがって、その両者の学説について気象庁ではどのような理解をし、あるいはどのような観点をとられて考えているのか、この辺についてまず説明を願いたい。
  4. 末広重二

    末広説明員 御説明申し上げます。  将来起こるかもしれない地震につきまして検討し、かつそれに対する見解を発表いたします場は地震予知連絡会でございますが、いま御指摘地震は、決してきのうきょう問題になった地震ではございませんので、過去すでに検討されたわけでございますから、そういったものに対して私ども気象庁がどう理解しておるかということを御説明することで御了承をいただきたいと思います。  ただいま駿河湾地震とおっしゃいましたが、私どもは以前から東海地震というふうに受けとめておったわけでありまして、この東海沖における地震の歴史的な事実、これは過去繰り返しこの地域地震が起こっているけれども、一八五四年の安政の大地震から現在まではむしろ一つも大きな地震が起こっていなくて平静な状態が続いているということ、また最近の明治に入りましてからの地殻変動観測あるいは地震活動観測を見ますと、大地震は同じ場所で同じように繰り返して起こるという事実と一緒にいたしまして、この東海沖は大地震の起こる可能性のある地域であるということで、昭和四十九年の二月に地震予知連絡会において観測強化地域指定されたわけでございます。自来、文部省に所属いたします測地学審議会等でもこの地域観測を実質的に強化すべきであるという建議も出ましたし、またこれを受けまして、地震予知研究推進連絡会議等でも各省庁問連絡調整が行われまして、私ども気象庁もこの地域相当強化を行いましたし、また現在も行いつつあるわけでございます。  ただ、昨今急に駿河湾ということが言われるようになりましたのは、一番最近起こりました安政地震につきましてさらに詳しい調べをしたところが、この安政地震震源域、大きな地震震源は決して一点ではございませんで、相当の広がりがございますが、その東の端は駿河湾の中に相当入り込んでいたと推定されるような材料が見つかったわけでございます。したがいまして、前にも申し上げましたとおり、大地震は同じような様相で繰り返すという過去の事実から踏まえまして、将来いつの日にかは起こるであろう東海沖地震は、駿河湾の方にも相当伸びているのではないかという可能性が高まりましたために、昨今また急に話題になったと理解しております。
  5. 高橋繁

    高橋(繁)委員 安政地震のいわゆる古文書によって石橋さんや浅田さんが駿河湾地震が起こるであろう、こういうように発表したわけですね。ところが、坪川教授駿河湾ではなくて東海沖に起きるであろう、こういうようなことを発表したわけです。同じ予知連絡会先生方ですから、その辺の違いといいますか、それは那辺にあるのか、それは気象庁としてはどう理解しているか。
  6. 末広重二

    末広説明員 この坪川教授学説は、ごく最近御発表になられたものでございまして、まだ私ども十分に学問的検討等は経ておりませんが、坪川先生のおっしゃるところは、駿河湾一帯地震の起こり方と東海沖地震の起こり方とは、過去の事例を見ますと、多少頻度に差があるのではないか。したがいまして、東海沖に起こる地震、これは過去何回か起こっておりますが、そのたびにいつでも駿河湾の方まで巻き込んで地震が起こっているかどうかは若干疑問ではないか、また最近の大地震の起こる頻度等を勘案すると、将来東海沖に起こるかもしれないと言っている地震は、東海沖だけに限られて、駿河湾まで巻き込む可能性余りないのではないか、もし駿河湾まで巻き込んで起こるとすれば、それは今度起こり、さらにその次に起こる東海地震のときではないかということが坪川先生の御学説の主な点であろうかと思います。  こういったことも含めまして、私ども現在、駿河湾を巻き込むにせよ巻き込まないにせよ、いつ起こるかということに対してしかとした証拠は何もないわけでございます。したがいまして、これにお答えする、また地元国民皆様の御心配を取り除く唯一の道は、やはり観測強化して、そこから情報を引き出すという以外に手はございませんので、私どもはいずれにせよその方向に進むべく努力するつもりでございます。
  7. 高橋繁

    高橋(繁)委員 そうしますと、坪川教授はいわゆる安政宝永、過去の古文書によらないと駿河湾まで巻き込んだ地震というものはわからない、石橋学説駿河湾まで含む、こういうふうに言われておりますが、そのように理解してよろしいですか。
  8. 末広重二

    末広説明員 いまも申し上げましたとおり、過去のあの地域で起こった大地震がどういう起こり方をしていたかということを調べるのは、御指摘のとおり大変なか書になることでございまして、実は一八五四年の一代前の地震が一七〇七年の宝永地震でございます。この地震が、果たして安政地震で言われているように同様な規模で駿河湾の内部までを巻き込んで起こっていたかどうかということを知ることは、先ほど説明申し上げました駿河湾が毎回東海沖と同時に同じ地震として活動する可能性が高いかどうかの一つの決め手になると思いますので、現在、静岡県庁その他の御協力を得まして、一七〇七年、宝永地震のときの記録を鋭意調べている最中でございます。
  9. 高橋繁

    高橋(繁)委員 その古文書のことはそれを待つとして、昭和四十九年ですか、二月に観測強化地域指定をされました。その後観測強化しておるわけですが、新聞などを見ますと、気象庁が発表いたしました幾つか、石廊崎、三島、静岡御前崎あるいは三ケ日というふうにひずみ計を埋めて測定をいたしておる、その中で御前崎のひずみ計が十万分の一・五、百メートル当たり〇・一五センチの異常値を記録しておるというふうに出ておりますが、いわゆる観測強化地域指定をされた以後、そういうひずみ計あるいはその他地震観測機器にあらわれた徴候は新聞に報道された御前崎のみであって、ほかにはあるのかないのか、その辺について。
  10. 末広重二

    末広説明員 私ども気象庁で行っておりますのは、いま御指摘地殻ひずみの連続観測とそれから地震活動観測でございますが、地震活動推移につきましては、たとえばその空白域と言われているところに新しく地震が起こり始めたとかいったような異常は現在のところ見つかっておりません。この連続観測も、御前崎の測器が、これだけを見ますと異常と思われる値を示しているわけでございますが、これに対する地球物理的な判断はなかなか現時点では下しにくい点がございまして、国土地理院のなさる測量と比べてみるとか、あるいはこういった測器を増設するとかいったような方法をとりまして、果たしてどこまで地球物理的な意味があるのか、早急に突きとめるべきだと思っております。  なお、測地測量のことにつきましては国土地理院にお尋ねいただきたいと存じます。
  11. 高橋繁

    高橋(繁)委員 国土地理院の方で何かそういうデータが出ておりますか。
  12. 原田健久

    原田説明員 国土地理院では、この地方におきます昔の観測、一八九〇年代の値、それ以後約五回にわたって行われました水準測量の結果と、今年度行いました水準測量の結果、そういったものを全部総合して判断いたしますと、駿河湾の西岸すなわち静岡市寄りのサイドは、駿河湾方向に平行するような状態で約八十年間にわたりましてほぼ均一な速度で年間約五ミリメートル沈下を続けているということが判明しております。  それから、駿河湾をまたぎます横の距離水平距離でございますが、これがやはり非常に長い年月にわたりましてほぼ一様なスピードで距離が縮まりつつある、そういうような結果が観測されております。
  13. 高橋繁

    高橋(繁)委員 そのことによって四十九年、一九七四年の二月二十八日に予知連絡会観測強化地域指定をしたんです。指定をされたその後の観測によって、新たないわゆるデータというものは出ているのかどうか。進んでいるのかどうか。進んでいるというか、そういう地震についてのですね、その辺について。
  14. 原田健久

    原田説明員 地殻のひずみ、上下方向のひずみと水平方向のひずみ、両方でございますが、そのひずみの進行速度は特に最近になってから早まったということは観測されておりません。過去の観測並び東海地域観測強化地域指定されました以後の国土地理院における観測、そういったものの総合的な解析並びに解釈の結果では、昔からひずみの速度はほぼ一様な速度推移している、かように考えられます。
  15. 高橋繁

    高橋(繁)委員 そういう状況のもとに、ここでちょっと若干緊急的なことですが、けさ、下田であるとか、震度二ぐらいの地震があった。放送では、東海沖地震あるいは駿河湾地震と直接関係はないと気象庁は見ておりますが、ここで気象庁の一応のまとまった見解をお聞きをいたしておきたい。
  16. 末広重二

    末広説明員 今朝三時三十三分と四時八分に、静岡市の付近で体に感ずる地震がございました。ことに四時八分は、震度二でございまして、こういった状況下におありになります地元地域皆様、大変お驚きになったと思います。緊急に調べまして、直ちに静岡地方気象台を通じましてその状況を発表いたしましたが、この二つ地震以後は体に感ずる地震は起こっておりません。ただ、体に感じない小さな地震は、恐らく余震だと存じますが、約七、八回起こりまして、五時半ごろに最終の小さな地震が起こったわけでございますが、その後は現在まで一つも起こっておりません。  この起こりました震源地は、焼津のやや西の陸でございまして、陸の下の約二十キロの深さであります。この地方は、もちろん東京あるいは関東付近ほどは地震頻度は高くございませんが、最近四、五年間もある程度地震活動は示している場所でありまして、先ほど申し上げましたとおり、いわゆる空白域というところに新しく地震が起こり始めたというたぐいのものではございません。こういったその後の余震も約四、五時間を経まして鎮静し、この程度地震余震といたしましては順調な減り方をしましたので、これが東海地震の前ぶれであるということはまずあるまいと解釈しております。  ただ、問題の場所でございますし、私どもここを監視する体制といたしまして、松代の高倍率観測所、それから新設いたしました伊豆鎌田観測所、それから静岡地方気象台地震計、それから御前崎等にも観測所がございまして、常時監視体制をとっておりますから、当分は厳重にこの地震推移を見まして、恐らくこのままおさまるとは存じますが、監視体制は緩めないつもりでございます。
  17. 高橋繁

    高橋(繁)委員 問題は、先ほどからもお話がありますように、また萩原予知連絡会会長も、統計的な方法だけで地震可能性を考える段階ではなくて、具体的にどのような方法観測をするか、また、そういう観測強化ということが大変叫ばれております。地元静岡県でもそういうような観測体制強化、できれば予知センターというようなものをつくってほしいという要望もございます。  観測強化地域指定されて、何点か基点を置いてひずみ計を埋めて観測強化しておりますが、この観測程度でよろしいのか、あるいは測地審議会がいろいろと観測強化のための方策を考えているようでありますが、将来気象庁として、きょう地震課長おりますので、どの程度観測強化していくことで、こういういわゆる騒がれております東海沖地震駿河湾地震とかいろいろな説がありますが、これを観測することができるのか、あるいは測地審議会でいま検討されておる中間的なものについてどのように進んでおるのか、あるいは静岡県に予知センターをつくっていくことでこの予知をある程度つかむことができるのか、それは気象庁でできるのか、その辺の問題についてお答え願いたい。
  18. 末広重二

    末広説明員 御説明申し上げます。  最初に、私ども気象庁の現在の分担であります大中小地震監視でありますが、これはすでに該当地域には相当数観測所と各種の地震計を配備しておりますが、問題となる地震は恐らく海の下で起こるであろうと思われておるわけでございまして、この直上で地震観測をするということが非常に大切であるということは、前から御指摘のあったところでございます。これにこたえまして、私ども昭和四十九年から海底地震計常時観測システムというものの開発に着手いたしまして、現在、鋭意開発を進めております。これはもちろん  一日も早くつけるべきでありまして、私ども開発のテンポを見つつ、あるいはその成果を踏まえつつ、できるだけ早くこの海底地震計を敷設したいと存じております。これができますと、該当地域に関します地震監視は一段と強化されると存じます。  また、問題となっております五地点における埋め込み式ひずみ計も増設してはどうかというお声が高いようでございますので、これは測地学審議会等の御検討あるいは御建議を受けまして、真剣に取り組みたいと存じております。  また、全体の体制というような御質問でございましたが、これは私ども聞き及んでいるところによりますと、そういった現在の強い国民皆様のお声を受けて真剣に検討が進められていると聞いておりますので、この点につきましても近く政府の側から回答が出るであろうと存じております。
  19. 高橋繁

    高橋(繁)委員 東海沖地震が起きるということで、予知センターをつくったらどうかという要望が強いわけですね。私たち素人ですから、そういうものをつくってやることがきわめて効果的だと思うし、またそれはいまいろいろな自動化装置によって非常に進んでおりますので、これは気象庁一本でできるのだという考えなのか、その辺もう一度ちょっとお聞きしたい。
  20. 末広重二

    末広説明員 この問題につきましては、こういった推進体制、あるいは皆様のそういった強いお声にどういう行政対応を示すかということを検討いたします地震予知研究推進連絡会議でいま討議が重ねられておりますので、私のキャパシティにおきまして、ここでこういうことが望ましいということを申し上げ切るのはいかがかと存じられますが、御指摘の、どこかが、こういったある程度多方面にわたった省庁で時々刻々とられているデータを一括して監視することが必要ではないかという声は強いように伺っておりますので、この点は真剣に検討されるものと存じております。
  21. 高橋繁

    高橋(繁)委員 測地審議会国土地理院ですか。——文部省ですか。文部省が来ておりませんので、後でまた……。  そういういろいろな観測強化ということで、各省庁にまたがっているこの地震対策について、国土庁としてこの際プロジェクトチームをつくり、政策の決定なり具体的な措置というものを考えて実施をしなければならない時期に来ておりますし、また防災対策も含め、それを本格的に取り上げていかなければならないと思うのですが、国土庁としてどのように考えているか、その点についてお答え願いたい。
  22. 紀埜孝典

    紀埜政府委員 お答え申し上げます。  地震につきましては、予知とそれから防災対策二つの面があるわけでございますが、予知関係につきましては、先ほどから気象庁地震課長さんからるる御説明していただきましたとおり、ただいま現在、科学技術庁の手元におきまして、関係省庁相寄りまして、ともかく予知体制推進をしようというので、いろいろいままで持っている連絡会議をさらに強固なものにしたいという形で検討を進められておるわけであります。近日の閣議にかけて仕事を進めたい、かように科学技術庁からお聞きをいたしておるところでございます。  次に、防災対策関係でございますが、常々御説明申し上げておりますとおり、ただいま現在は中央防災会議におきまして関係十八省庁からなります連絡会議を持ちまして、その下に問題点ごとに、たとえば避難対策などなどの六つの分科会を設けまして、そこでそれぞれ専門の立場から御討議願いまして、そこで国土庁としては総合調整役割りを果たさしていただきまして、政府意思統一を行うというふうな形で進めさしていただいておりますので、しばらくこのような形でなお地震防災対策に向かって邁進していきたい、かように考えているところでございます。
  23. 高橋繁

    高橋(繁)委員 国土庁が来年度、ちょっと遅きに失しますが、地震予知社会経済に与える影響に関する調査あるいは警報体制整備とか、いろいろなことを考えているようでありますが、それは事実ですか。
  24. 紀埜孝典

    紀埜政府委員 お答え申し上げます。  地震予知につきましては、いろいろ技術的な予知推進の問題と、もう一つたち立場から考えますと、防災立場から、一番常識的に申しますとパニックその他の人間心理状況、どういうふうに動くものであろうかというふうなことをいささか調査いたしてみたいというので、来年度の予算といたしましてその方面の調査費を要求いたさしていただいておるところでございます。
  25. 高橋繁

    高橋(繁)委員 もう一つ地震課長に、伊豆半島地震についていろんなことが言われております。火山性は認めがたいとか、あるいは今後マグニチュード五から六あるいは五ないし七程度地震予知できるが、大地震可能性は薄いとか、いろんな説が出ておりますが、いまの観測結果から見て、南伊豆沖河津地震が続いて起きたわけでありますが、これもその地元に対する影響というものはきわめて大きいので、簡単に現状における伊豆半島地震の……。
  26. 末広重二

    末広説明員 御指摘伊豆東部におきましては、地殻異常隆起が見つかりましたことと、昨年十月ごろにはこの遠笠山の近所で、これは非常に小さい地震でございますが、一日に百五十回ほど地震が起こっていたわけでございます。その後、この十月一日から私ども伊豆の伊東の付近鎌田に高倍率地震計を設置いたしまして、東京で連日看視しておりますが、この問題の地震活動は大変減りまして、去年の十月、百五十であった地震の数は、現在一けた台でございます。でありますから、地震活動の面から見ますと、大変活動が減ったわけでございまして、これは現在横ばい状態でございます。また、隆起の方も、国土地理院から詳しい御報告があるいはあるかと存じますが、これもいわゆる横ばいに近いかと伺っております。  そういうことを総合いたしますと、急にまたこれが大きな地震活動に発展するという懸念は余りないのではないかと思っておりますが、これはすべての材料を次回の地震予知連絡会に提出いたしまして御検討願うわけでありますが、とにかく緊急の連絡会を開くというような環境でないことは事実でございます。
  27. 高橋繁

    高橋(繁)委員 それでは、地元の問題で大変恐縮ですが、伊豆半島特に南伊豆下田について、三年連続被害をこうむりました。つい最近もまた下賀茂については床上浸水等があった。問題は、南伊豆青野川、下田稲生沢川蓮台寺川を含めまして、県の方からもいろいろと被害あるいはこの改修について建設省の方に参っていると思います。青野川については五カ年計画で四十五億円、稲生沢蓮台寺については五十五億円ですか、しかも連続して災害が起こりますので、五年以内にこの改修をやるということがほぼ決定をしているように見えますが、問題は、五年以内でなくてもっと年数を縮めて三年以内とか四年以内、そういう問題が一つと、この二つ河川の今後の改修の見通しについて、いまわかっている範囲内でお答えを願いたい。
  28. 小坂忠

    ○小坂説明員 お答えいたします。  ただいま先生のおっしゃいました青野川、手生沢川でございますが、これにつきましては県から激特の採択について申請を受けております。現在、財政当局と協議を重ねておるところでございます。早急に結論を出したいと思っております。  特に、青野川につきましては、いまお話しのように、十月九日でございましたか、再びひどい災害を受けたという実態でもございますので、ほかのグループ、たくさん全国にございますのですが、それと同一に扱っておりますと機を失するということもございますので、これだけはひとつ特別に早く扱っていただきたいということで財政当局の方へ申し入れしまして内諾も得ておりますので、特に早く処理したいというふうに考えております。  ただ、いまの五カ年を縮めるという問題、これは用地買収等の今後の仕事の進捗とも絡みまして、私どもなるべく早くやりたいとは考えております。
  29. 高橋繁

    高橋(繁)委員 稲生沢川についてはどうですか、蓮台寺川を含めまして。
  30. 小坂忠

    ○小坂説明員 同様でございます。
  31. 高橋繁

    高橋(繁)委員 同じ考えですか。——そういうことで、一年に三回も水につかっておるところでありますので、今後の進捗をできるだけ促進して、早めて工事ができるように対処を強く希望いたして、私の質問を終わります。
  32. 兒玉末男

    兒玉委員長 斉藤正男君。
  33. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 高橋委員の後塵を拝して、同種の問題でありますけれども、角度を変えてお尋ねをいたしたいと思います。  まず第一に、気象庁に伺いますけれども、いまの問題になっております駿河湾地震といいますか、東海地震といいますか、東南海地震といいますか、呼びようはいろいろあるようですけれども、いろいろな学説の中で、今日ただいまから、先になっても三十年以内には、大小は別として、かなりの地震が起きるだろう。この答弁はむずかしいんでして、わかりませんと言えば、それが一番無難な答弁ですけれども、起きますと言えば、これはまたかなりの衝撃をさらに与える。幾ら地震専門家のあなたでも、起きませんとは断言もできないと思う。結局、浅田学説、それを受けた石橋説などは多くのこの道の権威に支持をされていて、少なくも今日ただいまから三十年以内にはかなりの規模の地震駿河湾なり遠州灘にかけて起きるということが言われているわけですけれども、最近の新聞、週刊誌、特にNHKのごときは、過日スタジオ102で三日連続この特集をやった。関係地域の住民はもちろんのこと、全国民が注視をしている問題であって、いまや世論はロッキードよりも、自民党の内紛よりも、総選挙よりも地震に集中してきた。特に関係地域では関心が高いわけでありますけれども気象庁として一言で言うならば、現在ただいまから三十年以内に、規模の大小や地域のずれはあるにしろ、地震が起きるということを断定できますか。
  34. 末広重二

    末広説明員 大変むずかしいお尋ねと存じますが、現在から三十年間の先まで、その時間の間に必ず地震が起こるということを断言することは、現時点ではできかねると存じます。ただし、地震学者の一致した考えといたしまして、御指摘のとおり、規模の大小、場所が多少左右にずれる、西、東にずれることはあっても、あの地域にいつの日にか必ず大きな地震が起こるということは一致した認識でございまして、私どもそれに対しては全く同感でございます。  先生の御質問にお答えするには、一に観測強化し、データを精密に分析すること以外にないと存じております。
  35. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 観測強化し、データを正確につかむ以外に方法はない、そのとおりだと思いますけれども、率直に言って、何十億かかろうと、何百億かかろうと、気象庁はできることならこの程度観測機器なりシステムなり担当官なりが欲しい、予管外がとれる、とれないは別ですよ、最低限この程度の機器、それに伴う予算、人員、あるいは機構等で、率直に言って欲しいものは何ですか。
  36. 末広重二

    末広説明員 御説明申し上げます。  これは私ども気象庁にとりましては、責任分担部門であります地震活動監視をさらに高めること、それからまた高めるだけではなくて、それが即時わかるようにすること、また最近私どもで始めました連続ひずみの監視をさらに強化すること、それからこの地震は恐らく海底で起こると思われておりますので、その直上における海底地震計の敷設等々を計画どおり進めることがいま先生の御質問にお答えする体制を進める道であろうと思います。  ただ、こういった予知に関しますことは、一種類あるいは二種類の観測ではなかなか正しい答えが得られないのでございまして、測地測量地殻の変動の連続観測、あるいは地磁気、地電流、それから地下水の動向等、非常に多種目にわたって観測強化して、一種の包囲作戦をとらないと答えが出てこないわけでございまして、この点に関しましては、私どもも含めて関係省庁が現在鋭意協議しておりますので、そう遠くない将来、いや近い将来と申し上げてもいいかと存じますが、相当思い切った観測強化案が出ると理解しております。
  37. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 私の質問に答えてくれればいいので、私は総合的なことは後から全部聞くのですから、いいんですよ。気象庁として、観測強化地域指定をされ、設置した機器が作動し、かなり濃密な測量も行われているわけなんで、たとえばひずみ計の問題等はあのままでいいのかどうなのか、そういうことを聞いているんですよ。総合的なことはまた総合的な役所がありますから、そこからも聞きますけれども、あなたの管轄内では現状で十分なんですか。
  38. 末広重二

    末広説明員 私どもといたしましては、地震活動に関しては、この海底地震計の敷設が非常に役立ちますので、これに全力的に取り組むのと同時に、ひずみ計増設等も非常に強い御要求がございますので、これも真剣に検討する所存でございます。
  39. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 この海底地震計の設置につきましては世界的に初めての試みであり、承りますれば、御前崎の南方二百キロ、深さ二千メートルの地域地震計をおろすということであって、きわめて困難な作業だ。科学的に先進国であるわが国をもってしても、ただいま現在、電電公社に海底電線敷設の技術をフルに活用していただいて、予備的な仕事に入ったかのごとく聞いております。その予備的な仕事が成功した上で、いよいよ本格的な敷設に入る。しかも、それは今年度中に予備行動を行って、その成功の上に海底地震計御前崎南方二百キロ、水深二千メートルの地域に完全に敷設を完了するのは昭和五十三年ということを承っておりますが、そのとおりですか。
  40. 末広重二

    末広説明員 御指摘のとおり、私ども各種のテストを重ねて、この世界で初めての企画が成功すべく現在努力中でございますが、いつの時点でこれが完全に成功裏に海底に敷設できるかということは、やはり今年度、来年度の仕事を踏まえてでこざいませんと、しかとお約束いたしかねる点もございますが、御指摘のとおり、私ども現場の努力目標といたしましては五十三年度ということで努力している次第でございます。
  41. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 今日ただいまから三十年以内に、ほぼ間違いなくこの地域に大地震が起こるだろうと言っているんですよ。それを、いま準備中であって、何とかして昭和五十三年までには終わりたい、こういうことですけれども、できないものはしようがないですね。これは金があろうが何があろうが、できぬものはできぬということで、いささか開き直ったような感じに受け取らざるを得ないのですけれども、やはり大変なんですか。予備というか、いまの調査段階での金、それから実際実験が成功をして敷設に入るというときの金はどのくらいになっているのですか。
  42. 末広重二

    末広説明員 正確な数字をただいま持ってまいりませんでしたので、多少違う点はお許しいただきたいと存じますが、これから地上施設その他を含めまして約十五億強のお金が要ると存じます。  また、時間的な制約でございますが、二百キロに及びます海底ケーブルの製作、それから海底ケーブルが、海底の地形の、ほぼ同じ深さ、あるいは深さが変わっても傾斜のなだらかなところに沿って敷設されませんと、宙づりのようなことになっては大変でございますので、該当海域の海底地形の調査等にもどうしても時間がかかります。ただ、これは非常に大事な仕事であり、一日も早くやるべきであるという点は、私ども非常に厳しく受けとめておりまして、いまの五十三年というのも、できればおくれないように、これを目標として励みたいと思っております。
  43. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 金額にしてみれば、十五億というようなわずかなものでございますから、これはマグニチュード八、震度七といったような地震が起きて、しかも現時点におけるあらゆる社会情勢、社会資本、あるいははかることのできない人心の不安といったようなものを計算に入れれば、まさにお話にならぬ金額であります。技術的に非常に困難だということもわかりますけれども、この深海における海底地震計の果たす役割りといったようなものを考えましたときに、焦眉の急務という言葉もありますし、いろいろな言葉が急がなければならないというときに使われておりますけれども、私は、何はさておいても、全力を投入してこの機器の設置に物心両面の努力をいただきたいと思うのです。もう一遍見解を述べてください。
  44. 末広重二

    末広説明員 私ども先生指摘の点は、地元国民皆様の非常に強い御要請と真剣に受けとめて、努力目標を達成すべく全力を尽くすつもりでございます。
  45. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 浅田先生石橋先生等の多くの書き物あるいはお話を聞きましても、一致して言われることは、観測綱の強化、そしてそのデータの解析なり積み重ねによる迅速な予報、予知の徹底ということが言われているわけです。防災センターその他いろいろな考え方がありますけれども、問題は、事前に十分な観測が行われ、正確なデータが集積をされ、それを解析し、予知、予報に生かしていくというシステム以外にこの対策はない、地震学者はもちろんのこと、われわれ素人でもそう思うのです。  そこで、地震の元締めというのはどこなのか。一応科学技術庁が元締めのような形になっていると思いますけれども科学技術庁に来ていただいていますけれども、一体科学技術庁というのは、いまの地震対策でセンター的な役割りを本当に果たしているのかどうなのか。この機構の図面の上ではちゃんとあらわれていますけれども、実際の活動としてセンター的な役割り科学技術庁は果たしているのかどうなのか。もし不足だというならば、人員においてどうなのか、あるいは金においてどうなのか、御意見があったら承りたいと思います。
  46. 久武啓祐

    久武説明員 お答えいたします。  現在の地震予知研究につきましては、文部省に設置されました測地学審議会の建議に基づきまして、各省庁が協力してそれぞれの研究、調査観測を実施いたしております。  一方、その研究、調査観測の成果として出てきましたデータにつきましては、建設省国土地理院に設けられております地震予知連絡会におきまして、情報の交換、専門的判断が行われております。  測地学審議会の建議に対します各省庁の行政上の措置、及び先ほど地震予知連絡会検討されました結果、緊急に対応する必要がある場合の行政上の措置につきましては、科学技術庁事務次官が主宰いたします地震予知研究推進連絡会議の場におきまして協議されまして、その推進を図ることとなっております。  したがいまして、科学技術庁におきましては、地震予知研究の内容あるいはデータの解析、判断等については直接的にはタッチしておりません。
  47. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 機構のことについては、私、知っているのですよ。いまもあなたがいみじくも最後に答弁されたように、いや、観測とか予知とか予報ということには私の方は関係ないのだ、その一言で、地震対策における国の機構あるいは各省庁の考え方のセクトを私は感じるわけなんです。しかし、事地震に関してはおたくが元締めでしょう、間違いありますか。
  48. 久武啓祐

    久武説明員 お答えいたします。  科学技術庁は、科学技術に関します各省庁総合調整をいたしますのを主たる任務としております官庁でございまして、地震につきましては、地震予知研究に関します各省庁総合調整、そういう役割りを担当いたしております。したがいまして、地震の元締めという表現は、科学技術庁の場合には必ずしも当てはまらないのではないかと考えております。
  49. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 国土庁はいらっしゃっていますね。−科学技術庁地震の元締めでないことがわかった。そうすると、国土庁になるかとも思うのですけれども国土庁紀埜審議官、いかがお考えですか。
  50. 紀埜孝典

    紀埜政府委員 お答え申し上げます。  地震予知関係は、中央防災会議でもその事務を進めるような守備範囲にはなっておるわけでございますが、ただいま現在のところですと、先ほど来るる御説明いただきましたように、国土地理院地震予知連絡会、それからさような行政の推進を図っていただくための科学技術庁連絡会議、この二本立てでいわゆる専門的、技術的なことは政府としては処理していただく、防災政策の関係でいろいろ政策を立てますのは私らと関係省庁でまた御相談させていただく、こういうふうな形に相なっているかと思います。
  51. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 ますますわからなくなってきた。私のところが地震に対しては元締めですという省庁、積極的に発言してください。−やはり私が心配していたように、わが国は残念ですけれども世界的な有数の地震国なんです。そしてまた、大変な地震が近いうちに起こるであろうと言われている。にもかかわらず、どこが一体地震の元締めなのか、一体どこが総括して地震対策をやっているのか。多くの学者の先生方も言っていますし、私どもも、どうも御答弁で明らかなように、観測の上では私の方です、防災の上では私の方です、予知ではこういう会議があります、やはりさっぱりわからぬのですね。元締めはだれか、それは三木内閣総理大臣と言えば間違いないだろうけれども、何も知らぬ三木さんが、ただでさえ行政には大変疎く、数字にも弱い三木さんが、権勢欲は強くても、地震に対する認識なんかありゃしないですよ。私は早急にこの地震対策の統括的な役所といったものが必要だと思うのです。  災害の一種だからと言えば、これは国土庁であることは間違いない。しかし、それは地震が起きて大災害が出たときに国土庁がおやりになることであって、起きるまでは守備範囲がうちですというのは、やはりちょっと無理でしょうね。ここに私は行政のむだといいますか、あるいは反国民的といいますか、非常に心配するものがあるわけであります。  きょうは、不幸にして大臣が一人も出てきません。みんな選挙運動や派閥の仕事や大会対策で狂奔しているんだろうと思いますけれども、きょうの災害委員会ではそれぞれの委員地震質問をするということは知っているはずなんです。そのこと自体が、きわめて残念な、地震に対する認識の足りなさだというようにも思わざるを得ないわけであります。  通産省に地質調査所というのがありますね。——文部省は、さっきもお話がありましたけれども測地学審議会、緯度観測所等々を所管すると同時に、東京大学の付属機関である地震研究所を含めて、純学問的に地震と取り組んでいる役所がありますね。この文部省の所管する地震関係の機関は、一体どの程度わが国の地震対策に貢献されているんですか。特に伺いたいのは、東大の地震研が地震学者の仲間にも入れないほどのごたごたが続いていて、最近ようやく予知連絡会議等へ入ってもいい、入れてもらえたというようなことを聞いているのですけれども文部省地震学に対する、あるいは地震に対する役割りというのはどうなっているんですか。
  52. 澤田徹

    ○澤田説明員 お答え申し上げます。  文部省は、先生指摘のように、学術研究サイドから地震予知研究に参加して御協力しているわけでございますが、先ほどもお話がございましたように、各省の連絡会議でございます地震予知研究推進連絡会議、これに文部省としては二つの角度から参画しておるわけでございます。  第一は、先ほどお話がございましたような、大学における研究所、観測所等における地震予知研究を推進する所管の省としまして、大学サイドでの研究の面から、それから第二点は、これまた先ほどお話がございましたが、文部省に測地学審議会がございまして、この測地学審議会におきまして地震予知を含めた事業の計画及びその推進方策を審議いただいておりますので、その結果をこの連絡会議でフォローしていただく、この二つの面から文部省が参画しているわけでございます。  そこで、第二に、大学等における地震予知研究でございますが、これは主として文部省、大学研究サイドにおきましては、微小地震観測あるいは地殻変動連続観測、こういった基礎的な研究面での協力をいたしているわけでございます。  さらに、第三点の東京大学の地震研究所の問題でございますが、先生指摘のように、東京大学地震研究所はわが国唯一の地震学の研究所でございまして、地震予知研究に果たす役割りは大きいものと存じます。ただ、不幸なことに、昭和四十五年以来三カ年有余にわたりまして紛争状態にございましたので、先ほどの測地学審議会が計画しました第三次の予知計画、これは四十九年度から五十三年度までの予知事業計画でございますが、ここには研究所としては現在正式には参加いたしておりません。ただ、その研究所の地震予知関係の研究者あるいは先生方は個別に研究に御参加いただいておりまして、特に今年度の南関東の観測に必要な経費についても措置している次第でございます。ただ、これも先ほどお話がございましたように、地震予知研究の進展に伴いまして、大学における基礎研究というものの役割りが非常に大切なときになっておりまして、東大地震研究所の将来構想につきましても、早急に大学における地震予知研究の中枢としての地震研究所のあり方、それから、こういった中枢機能が完全に実現されるまでの間の全国の大学等の研究者の有機的な連携を果たすようにこの東大地震研究のあり方を検討するための地震予知研究連絡会議を今年設置したわけでございまして、すでにこの研究連絡会議先ほど申し上げましたような事項についての具体的な討議が開始されている次第でございます。
  53. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 東大地震研は、お話にもありましたようにようにわが国唯一の研究所なんですね。それが何が理由であったかしれませんけれども、三年も五年も内紛で学問はそっちのけだというようなことにつきましては、きわめて遺憾です。事のいかんにかかわらず、監督官庁である文部省は断固たる措置をとるべきであった。思想信条の違いから研究もおろそかにされるなんということはもってのほかだ。幸いにして内紛もおさまったかのごとく聞いております。東京大学が——浅田先生にしても石橋先生にしても、東京大学がいい意味震源地だ。研究所がごたごたしているようじゃ困る。ぜひひとつ一刻も早く正常な姿に戻って、わが国地震研究の泰斗としてがんばってもらいたいと思うわけです。  国土地理院からいらっしゃっていただきましたけれども、学者、専門家の言うことに、やはり国土地理院がこの際十分な金を使って、五年に一遍の全国の調査を短縮してもらいたいということを盛んに言っているわけなんです。国土地理院としては、地震政策に対して側面的にきわめて有意義なウェートを占めているわけでございまして、むしろ側面的と言ったのは大変失礼なのであって、その中心にいると言ってもいいと思うのですよ。現状と決意のほどを伺いたい。
  54. 原田健久

    原田説明員 国土地理院は明治以来の伝統の上に基づきます三角測量水準測量、そういったものの新旧の観測の比較から、わが国土の水、平と上下の変動をつぶきに追跡してまいりました。それをより正しくより詳しくはかるために、水準測量もそれから水平の方の精密測地網測量も五カ年周期で全国を一巡するということを最大の基本方針にしております。水準測量の方は、昭和四十五年度でその目標に到達いたしました。水平の精密測地網測量の方は、従来行われておりました一等三角測量、それを検討した結果、一等三角測量三百点ではいかんせん三角網の粗さが粗過ぎるということから、一、二等三角点六千点から成ります精密測地網測量に切りかえましたのが昭和四十九年度でございます。そのときから今日まで、少しでも早く六千点割ることの五イコール一千二百点、年間一千二百点の観測目標に到達するよう、地理院もまた本省も、また大蔵省も深い御理解をいただきまして、いまその作業量は急速に伸びております。  以上でございます。
  55. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 四十九年以来大変観測点をふやしていただいて取り組んでいるということで、大変力強く思うわけですけれども、御承知のように、地震にはある周期があるということも明らかだ。それから、空白地帯であって、今後百年、二百年、三百年、全く地震はないという地域もほぼ明らかになっている。反面、いま当面しているような駿河湾とか伊豆半島とか遠州灘沿岸というような地域もあるわけです。私は、やはり濃淡を区分けして、特に必要な地域国土地理院としての測量、測地といったようなものができないだろうか、それでは意味ない、やはり総合的なデータが出て解析しなければならないのだということなら別ですけれども、重点的な測量地域というようなものが非学問的なんでしょうか、考えられないんでしょうか、それは素人の考えだということでありましょうか、いかがですか。
  56. 原田健久

    原田説明員 ただいま申しました全国的な五カ年周期の観測は、わが国のどこに地震が起こりそうであるかという地域を発見しますためのいわば長中期予知に役立つものでございまして、そのたてまえから、これは地震があるなしにかかわらず、全国をローラーでなでていくようにやる方針でおります。  ところが、それでは現に地震の危険性がかなり迫っていると考えられます駿河湾等いわゆる観測強化地域に対しましては、さらに観測の密度を上げるという要請におこたえすることができませんので、先ほど申しました観測システムとは別に特定観測経費というものがありまして、これは特定観測地域、なかんずく観測強化地域に的をしぼりまして、そこのみ大地の水平並びに上下の運動を詳しく追跡していこうという目的で、この特定観測経費というのを実行しております。たとえば、これは昭和五十年度の予算に対しまして昭和五十一年度の予算は二・八九倍の伸びを認めていただいておりまして、この経費により観測強化地域に強力な観測の繰り返しを行っております。
  57. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 その強力観測区域というのは、たとえば伊豆半島とか駿河湾とか遠州灘は入っているのでございますか。
  58. 原田健久

    原田説明員 入っております。ただいま観測強化地域と申しますのは、関東南部と東海地域でございます。
  59. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 消防庁からお出かけをいただいておりますが、中央防災会議に占める消防庁の地位というのはきわめて重要であって、特に消防庁の次長は、事務局の中で官房長とともに次長を務めているというような立場にあり、特に地方公共団体の防災指導あるいは防災実務については最高の責任者であろうというように思うわけであります。  私は、こうした国会の論議が流言飛語というような形で国民に伝わることを一番恐れております。ありもしないことをあったかのごとく言ったり、あるいは起こり得ないことを起こりそうだと言ったりといったようなことは厳に慎んでいるつもりでおります。しかし、やはり当面、いろいろな先生方の意見あるいは国会のたびたびの参考人の意見聴取、あるいは本委員会を通じてのやりとり等からいたしましても、決してこのことは流言飛語ではないし、世論を惑わすような発言や記事ではない。転ばぬ先のつえという言葉がありますけれども、いつの日にか大きな地震が起きるというようなことになりますれば、この防災体制については特段の指導、そして各自の自覚、そして自信を得るまでの訓練といったようなものが必要であって、それは物心両面にわたる啓蒙宣伝あるいは訓練が必要だと思う。消防庁の見解とこれらに対する対策について伺いたい。
  60. 永井浤輔

    ○永井説明員 お話ございましたように、消防庁は中央防災会議のいわゆる一端を担いまして、地域防災計画あるいは地方防災会議に対する連絡といいますか、窓口を受け持っておるわけでございます。そういった意味におきまして、私ども地震対策といたしましては、従来から災害対策基本法に基づくところの、地方団体で設置する防災会議には地震部会というものを設置して十分検討するように、それから地域防災計画にも地域の実情に即した震災対策計画というものを織り込む、さらに防災訓練というものを積極的に行うように指導している次第でございます。  特に私ども消防庁の立場からいたしますと、地震によりますところの災害には、いわゆる直接的な災害という、地震動による家屋の倒壊というのがございますが、さらに第二次災害、いわゆる火災等による第二次災害というのが非常に危ないわけでございまして、この火災が発生して大火になりますと、非常に多くの人命なり財産的損害が多い。こういった関連から、かねがね出火防止、要するに火を出さない、さらに火が出てもすぐ消していただく初期消火、あるいは延焼処置、さらには避難対策、こういったものを中心として地方団体に対しまして指導しておるわけでございます。  今回、駿河湾地震の危険性というものが言われておりますので、こういった従来の方針をさらに詰めまして、さらにはこういったものの充実のために自主防災組織の育成であるとかあるいは地域住民に対する広報の積極化、さらには消防水利等の充実による消防力の強化、こういったものに力を入れて指導してまいりたいと思っております。
  61. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 これは言葉の上では何とも言えるし、方針はどんなにも立てられるわけですね。しかし、いまどき戦争中の防空ずきんをかぶって、学童で言うならば、しばらく机の下にもぐって、それから先生に誘導されて校庭なり近くの避難所へ避難をする、あるいは最近デパートではヘルメットがものすごく売れるというようなことがいろいろありますよ。だけれども、ストーブは全部石油ストーブにかわっている。燃料は全部と言っていいほど都市ガスあるいはプロパンガスにかわっている。自動車の保有台数は三千万台を超える。新幹線は千数百人の人を乗せて五分ヘッドで上り下りが東海道一帯を走っている。あらゆる角度から考えて、大震災の起きたときの被害というのは身の毛もよだつような予想がされるわけですね。ですから、そうした意味で防空ずきんも結構、非常携帯食も結構、ヘルメットも結構、しかし抜本的に日本の社会像を変えていくような形の指導と助成がなければこの対策は万全ではないというように思うわけです。  そこで、最後に一問だけ伺いますが、もし不幸にして起きた場合の震災対策への助成制度がございますが、東京、大阪、名古屋の三大都市は大震火災対策施設整備費助成という制度の適用地域にすでに指定をされているわけですね。なるほど東京、大阪、名古屋というのは日本屈指の密集大都市ですから、もし仮に震災が起きた場合の対策としてはいまから組み込んでおいても聞違いないと思う。しかし、東海道といえどもいわゆるメガロポリス地帯であります沼津、清水、静岡、浜松等、これが壊滅的な打撃を受けるということになりますれば、当然そうした地域として事前に指定を受けるべきだ。今日ただいまから三十年以内には大体九五%は来ますよとわかっているのですから、それこそ地域指定にすべきだと思うのです。  もう一つ、これはだれからでもいいですけれども、自衛隊が次期主力戦闘機として使うFXすなわちF15は一機六十億と言われておる。最近、練習機を三十機、複座のやつを買いますが、大変な金額であります。間もなく対潜哨戒機P3Cは海上自衛隊が百機購入をする。最近カナダとアメリカの間で取引が行われましたけれども、邦貨に直して百六十五億円であります。FX二機で、対潜哨戒機一機で防災センターもできれば関係諸官庁が要求する観測予知、予報の機械もシステムも全部できるというのに、これに関する予算がつきにくいということはきわめて遺憾であります。この答弁はどなたがしてくださるのですか。やはり統合機関がないから、私が答えますというのがないはずだ。なければ、委員長において委員会としての決意を表明していただきたい。  以上。
  62. 永井浤輔

    ○永井説明員 私ども消防庁では耐震性貯水槽とそれから可搬式小型動力ポンプといったものを震災用に補助いたしておりまして、これは先生指摘ございました大都市圏に現在行っております。しかしながら、駿河湾地震が非常に危険であるということで、私ども地元要望を取りまとめまして、現在財政当局と、こういうようなのは補助対象にしてもらいたいと協議中でございます。
  63. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 せっかくの答弁ですから、私ども微力でありますけれども、予算獲得には努力をするつもりです。がんばってください。
  64. 久武啓祐

    久武説明員 現在、科学技術庁におきましては、地震予知推進につきまして体制整備を図るために、現在ございます科学技術庁事務次官が主宰する地震予知研究推進連絡会議をさらに充実強化する方向検討しておりまして、地震予知推進本部というようなものを内閣に設置する案について、現在、関係各省と協議中でございます。
  65. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 終わります。
  66. 兒玉末男

    兒玉委員長 栗田翠君。
  67. 栗田翠

    栗田委員 私も引き続いて地震の問題で質問いたします。  前回の十月八日に私はすでに駿河湾地震の問題でいろいろ伺っておりまして、その中で感じましたことは、これだけ地震がいろいろと取りざたされているのに、予知体制防災体制も非常に貧弱なものだということを感じたわけでございます。特に駿河湾地震がもし起きたとすれば、静岡県ばかりでなくて東京都を初めとする首都圏にも大きな被害があるでしょうし、新幹線網、そして高速道路網などずたずたになれば、その影響も非常に大きいわけで、これは全国的な問題として考えなければならないというふうに思います。  まず最初に、地震予知を強めていくための観測網の強化のことですけれども、先ほども気象庁は前の方の質問にお答えになって、ただ一に観測強化する以外にないということを言っていらっしゃいます。前回伺いました中で、まず水平観測の問題ですけれども先ほどもちょっとお答えになっておられましたが、この観測強化地点の対策として、昭和四十八年に観測塔を静岡県下に四つつくって五十年にも観測をしているという御答弁が前回あったと思います。  ところで伺いますけれども、この四地点の観測塔以外に一般的な一等三角点、二等三角点などの観測は、ここ何年かはどうなっておりますでしょうか、静岡県についてお答えください。
  68. 原田健久

    原田説明員 観測塔のこと以外でございますと、精密測地網と申しまして、全国を地震のあるなしにかかわらず五年置きに繰り返すという目標を掲げております水平変動を追跡する測量が、伊豆半島駿河湾沿岸、御前崎、浜名湖、渥美半島、その辺にかけまして昭和五十年度の観測がそこを通過してちょうど終了しております。
  69. 栗田翠

    栗田委員 それでは次に、水準測量の問題でございますが、これも前回の御答弁で、その水準測量はことし海岸線一帯を行ったということをおっしゃっています。御前崎周辺の海岸線の沈下が速まっていることが指摘されたということをおっしゃっておりますけれども、これは海岸線の測量です。いわゆる縦線の測量の方はどうなっていますでしょうか。
  70. 原田健久

    原田説明員 ことし駿河湾西岸一帯にかけまして、過去のデータと比較して沈下傾向が依然として続いているということを見出しました測量は、これはいわゆる旧東海道線並びに御前崎岬にかけまして三角形に突き出した水準路線並びにその御前崎の突端から掛川を通りまして赤石山脈の方に延びております路線、そういうところの水準測量を行って見出しました結果でございます。そして、さらにその水準測量のみでは海岸線に水準測量が偏り過ぎており、山地にかけての大地の上下変動をつまびらかにするのにいささか不足と考えまして、森町三倉から榛原郡川根町を経て静岡市黒俣から静岡市手越に至る、太平洋戦争のときにいわゆる第二物資輸送路ということで計画されました山越しの路線八十キロメートルに着目いたしまして、ここにことしの春から水準標石を埋設いたしました。そして、来る十一月下旬から来年にかけましてここに水準測量を実施して、さらに上下変動の観測網を強めるつもりでおります。
  71. 栗田翠

    栗田委員 縦線の観測網ももっと密度を高くつくっていく必要があるのではないかと思いますが、その点はいまので十分だとお考えですか、いかがでしょうか。
  72. 原田健久

    原田説明員 これは観測推移を見守りながらということもございますが、やはりさらに水準路線を密にしなければならないという見解に到達すれば、当然もう少し濃密にしたいと思います。しかしながら、いま申しました路線の新設などを得ますと、伊豆半島とこの地域は、他の地域に比べますと約二倍から三倍くらいの感じの水準測量縄の濃さにはなっております。
  73. 栗田翠

    栗田委員 さきの水平測量の問題にちょっと戻りますけれども、去年、五十年におやりになったということでしたね。それで、次にされますのは五年後なのでしょうか。
  74. 原田健久

    原田説明員 この精密測地網が戻ってくるのは大分先になると思いますが、ここは観測強化地域でありますので、特定観測経費を使いまして、伊豆半島から駿河湾西岸にかけましては、水平の大地の変動を追跡する観測は、来年度も再来年度も非常に密度を濃く実施していく予定でおります。
  75. 栗田翠

    栗田委員 いまの点はわかりました。ぜひとも密度を濃く、特に観測強化していただきたいと思います。  次に、伊豆観測の問題なのですけれども伊豆半島隆起はいま中心が冷川峠から西方に向かっておると言われております。ところが、現在測量が行われているのが伊豆の中部で、そこのところで特別調査費が予算切れになってしまって、伊豆全域を測定する必要があるけれどもなかなかできないでいるということを私は調査の中で知りました。実際そうなっているのかどうかという点と、それからもしそのようになっていましたならば、この特別調査費をどうしてもふやして実施していかなければならないと思いますが、その辺のことについてのお考えを伺います。
  76. 原田健久

    原田説明員 伊豆半島測量につきましては、今年度、科学技術庁の特別研究促進調整費をいただきまして、自省予算もこれに加えまして水準測量を大分広範に行いました。しかしながら、さらに隆起中心部の西南方向への移動傾向ということも絡めまして、なおさらに上下変動を追跡する必要があるとわれわれ判断いたしまして、科学技術庁に対しまして五十一年度の特別研究促進調整費、これを伊豆半島に対しては第二次として国土地理院にぜひ使わしていただきたいということをお願いし、科学技術庁の方でも御内諾を得ておりますので、この冬にかけましてさらに伊豆半島の南部、西部、そういったところを中心にして観測を行う予定でおります。
  77. 栗田翠

    栗田委員 次に、ひずみ計の問題ですが、これも前回伺っておりますが、いまひずみ計は五カ所につけられております。けれども、専門家のお話ではぜひとも倍ぐらいにしてほしいという意見が強く出ております。この点についてはいかがでしょうか。
  78. 末広重二

    末広説明員 御説明申し上げます。  私どもこの四月から始めました東海五カ所の観測点の記録のうち、御前崎が大変大きなひずみの進行を示しておりますことがきっかけとなりまして、各方面でいろいろ御検討をいただき、私どもももちろん、この値がどういうことを意味するのか、計器の動作に間違いはないか等検討いたしました。計器の動作には間違いないと思っておりますが、何分観測期間が短うございますので、すぐこれからどういう意味があるかということは即断はいたしかねるのでございますが、調査を進める方法といたしましては、異なった方法で同じ地域のひずみをはかるということが一つと、もう一つは御指摘のとおり、この数をふやすということでございます。現在、文部省の測地学審議会におきまして、このひずみ計の増設も含めまして東海地域における観測強化が審議されておりまして、近い将来建議のような形で御発表になると思いますので、これを受けまして真剣に検討いたしたいと存じております。
  79. 栗田翠

    栗田委員 次に、民間の協力の問題について伺います。  この地震などの場合には、民間の協力というのが観測にも非常に必要ではないかと思います。中国あたりではずいぶん、井戸水の水深をはかったり、その他いろいろ民間が協力をして予知をやってきているという話もすでに聞いておりますし、またこれは中国の例を挙げるまでもなく、日本でもかなりそういう協力をしている方たちがいらっしゃるということを知りました。たとえば先日の伊豆に起こりました河津地震の場合なんですけれども伊豆に温泉の温度を絶えずはかっていらっしゃる方があったそうでございます。これは自噴温泉で、引いた温泉ではだめです、直接出ている温泉ですけれども河津地震が起こります前に温泉の温度がぐっと下がったそうです。何日間か下がり続けて、地震が起きたらまた温度がもとに戻った。その方は地震が起こるのではないかということでずいぶん予測をして、自分は不安も感じていたらそういう事態になったということが言われておりまして、これなどは数がまだ少ないですからデータとして使えるかどうかわかりませんけれども、たくさんの人たち伊豆の温泉地帯などでそういうものをはかっていったならば、集計されていけばデータとしての価値が出てくるのではないかと思うのですね。それから、神奈川県や、また静岡県でも伊東あたりでは「なまずの会」という民間の会ができておりまして、井戸の水深をはかっているそうです。これもやはり先日の河津地震の前に水深がいろいろと変化をして、下がったところ、上がったところ、かなり出てきまして、相当遠くまでこの井戸水の水深の変化というのがあったということを聞いておりますし、またラドンの測定などについても民間の協力というのがどうしても必要だと思いますが、こういう民間の協力体制をつくるということについてどんなふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  80. 七田基弘

    ○七田説明員 先生からいまお話がございました民間の協力を得る、あるいは民間の資料を使うということは、中国の地震予知におきましても非常に大きな役割りを果たしたようでございます。日本の場合にそれをとるかどうかは、国民性の違いもございます。それから現在いろいろなデータを得なければならない状態でございますし、どういうデータを集めればそれが地震予知の研究の推進あるいは地震予知理論の確立に役に立つかという状況でございますので、そういう問題、民間の協力も頭に入れながら、全体としての体制を測地学審議会で御検討いただきたいと考えております。
  81. 栗田翠

    栗田委員 ぜひともいまのような、すでに民間でいろいろやっておられます例も十分に検討されて、使えるものは前向きに使っていくという方向でやっていただきたいと思います。
  82. 原田健久

    原田説明員 「なまずの会」について一言申し上げてよろしいでしょうか。——国土地理院地震予知連絡会の事務局を担当しております責任上、「なまずの会」につきましては、「なまずの会」の主宰者がわれわれと面識もあるサイエンティストでありますことも考慮いたしまして、「なまずの会」の会長さんに連絡をとりまして、地震予知連絡会データを提供していただいて御見解を述べてくれるわけにはいかないかと申しましたところ、会長からは、「なまずの会」はまだアマチュアの段階であって、観測等の技術もまだ未熟であるので、ここ当分はアマチュアとして活動を続けていきたい、そのような御返事をいただいております。
  83. 栗田翠

    栗田委員 主宰者の側のお考えもいろいろあると思いますので、そういうことであればそれは無理にどうというわけにはいかないと思いますけれども、しかし、いまのお話でもデータの提供まで要請されているということを伺いましたので、民間の協力については大変積極的な姿勢でいらっしゃるということもわかりましたから、そういう体制をぜひ有効につくっていっていただけたらというふうに思います。  それでは次に、東海地区地震予知防災センターの設置の問題ですが、これもすでに前回のときに質問しております。あのときに、こういう総合的なセンターが必要であり、そういうことについては努力をしていくという大変前向きな御返事でございました。     〔委員長退席、柴田(健)委員長代理着席〕 しかも、これは参議院の予算委員会でもすでに問題になっていて、そのときにも積極的な検討をしていくつもりであったということも十月八日にお答えになっておられます。もうあれから半月たっておりますけれども、この東海地区地震予知防災センターについてはどのような検討をされましたでしょうか。
  84. 七田基弘

    ○七田説明員 東海地区のセンターにつきましては、東京大学の石橋助手からそういうものをつくるというような御提案もあるようでございます。現在の段階におきましてこういうデータをどう取り扱うかというのは非常に重要なことでございますし、それが地震予知推進に非常に役に立つということは確かでございます。ただ、それをたとえば地区的につくるのか、あるいは現在ございます各官庁のいろいろな非常に有効なデータを集めます機構及びそれを解析する機能、そういうようなものとの関連で考えていかなければならないということで、これにつきましても、これは純粋に学問的な立場でございますけれども、測地学審議会の地震予知特別委員会の方で検討させていただいております。
  85. 栗田翠

    栗田委員 中間段階だとしても、どのような検討をされたかということを伺っております。
  86. 七田基弘

    ○七田説明員 現在検討中ということでございますが、何らかのそういうデータを集める、どういうデータが集まり得るのか、それからそれをどういうように集めれば非常に有効なのかというようなことでございます。それで、結論はまだ小委員会の段階で出ておりませんが、この結論を早急に何らか出していただきたいということでやっております。
  87. 栗田翠

    栗田委員 次に、東海地区の地震想定対策ですが、前回の質問では国として余り具体的に持っていらっしゃらないということがわかりました。そして、これは災害対策基本法に沿って地方に積極的にやらせていくようにしたいということもお答えになっていたと思います。  ところで、実際にどんなことになっておるかといいますと、いま静岡県だけでも、防災計画を持っております市町村というのは七十五市町村のうちたった二十四市町村でございまして、残りの七〇%近くが防災計画を持っていないというのが実情なんです。ですから、積極的にやれ、こういいましてもなかなか進んでいないという実態がここにあります。地域防災計画とともに、やはり国でも東海地方の総合的な防災計画を立て、しかも援助をしていく必要がどうしてもあるということがこの実態の中からますますはっきりしてまいりましたが、その辺についてぜひとも積極的にやっていただきたいと思います。そのお考えを伺いたいと思います。
  88. 紀埜孝典

    紀埜政府委員 お答え申し上げます。  地域防災計画の策定の指導につきましては、先ほども消防庁の課長が申されておりましたとおり、消防庁が意気込んで将来に向かって十分な指導をしていただけるものと思います。  それから次に、被害想定の問題でございますが、前回お答え申し上げましたとおりでございまして、私らの方としては、十分なデータなどいまのところ手持ちがございませんので、将来に向かって検討させていただきたい、かように思っております。
  89. 栗田翠

    栗田委員 これも早急な御検討が必要だと思うのです。将来に向かってというのですけれども、急いでやっていただきませんと、市町村で計画を持っていないままにもし地震が起こりましたときにはやはり災害が大きいと思います。ぜひとも早急にお願いしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  90. 紀埜孝典

    紀埜政府委員 将来に向かってひとつ十分検討させていただきたいと思います。
  91. 栗田翠

    栗田委員 次に、いろいろな危険地域がすでに想定されているところがあります。これは地震が起こるという危険地域でなくて、起こった場合に大変被害があるだろうと思われるところなんですけれども静岡地震対策基礎調査報告書というのがここにございます。これは県の消防防災課が七五年に出したものです。これを見ましても、の施設とか、それから運輸省に関係します港湾のようなところでかなりの問題があるわけです。ちょっと例を挙げますと、たとえば津波などは、清水港や下田港が一番危険であるというAランクに入っているわけです。それから、国道、道路、橋梁の危険度などがAランクとされているのは、一々読み上げませんけれども、この中で二十三カ所あるわけです。こういうふうな県の調査が出ておりますけれども、これをすぐ調査して、そして補強その他の対策をぜひともとる必要があると思います。この点について運輸省と建設省に伺います。いかがでしょうか。
  92. 寺尾健

    ○寺尾説明員 お答えいたします。  現在、清水港につきましては、港湾構造物の耐震性につきましては、過去の地震の経験により設計されておりますが、さらに地震対策といたしまして、安政地震等を対象といたしまして、東海地方各地区の震度を推定するなどの調査を進めております。また、清水港の津波対策についてでございますが、チリ地震津波等の経験によりまして、貯木場の改良工事を実施いたしましたが、さらに津波の襲来時に清水港におきまして予想される水位を想定するための調査を進めることとしております。これらの調査結果を見ながら、また地震予知の進展等も勘案いたしまして、今後静岡県及び関係機関と十分連絡をとりながらその対策を考えることとしたいと思っております。  また、下田港につきましても、津波対策の関係でございますが、東南海地震津波の際も浸水百八十六戸の被災を受けておりますが、その後港口に防波堤等の施設もできております。現在は、津波来襲時の下田港におきまして予想される水位を想定するための調査を進めることとしておりまして、これらの調査結果を見ながら、地震予知の進展等も勘案いたしまして、清水と同様、今後静岡県それから関係機関と十分連絡をとりながらその対策を考えることとしたいと思っております。
  93. 山根孟

    ○山根説明員 お答えいたします。  道路、橋梁等の構造物につきましては、大体関東大震災級の地震に対しまして、局部的な被害を受けることはありましても、全面的な倒壊あるいは落橋といったようなことのないような、そういう設計なり施工なりをとってきているところでございます。しかしながら、老朽いたしております橋梁でございますとか、あるいはかなり高い盛り土の区間等につきましては、被害の発生が想定をされる場合がございますので、実は昭和四十六年に地震に対する所管施設の総点検を実施いたしました。これに基づきまして逐次対策を実施してきておるところでございますが、実は本年七月十九日付で再度これらを含めまして全面的な再点検を実施しております。現在その資料の検討、取りまとめの作業中でございまして、今後この成果をまちまして必要な対策を考慮してまいりたい、このように考えております。  ただ、国道一号線あるいは東名高速、こういつた幹線中の幹線につきましては、既設の、とりわけ一号線の既設の橋梁につきましては、三十メートル以上といったようなかなり長い橋梁が静岡県にはちょうど二十四橋ばかりございます。したがいまして、この落橋防止対策については本年度中に完了させたい、かように事業を進めているところでございます。
  94. 栗田翠

    栗田委員 以上で私の質問を終りますが、地震予知防災には非常に大きな予算がかかります。しかし、これはたくさんの人命を守るという立場にかかわっておりますから、ぜひともそういう意味で各省庁積極的に必要なことを進めていただきたいということを最後に要望いたしまして、私は終わります。  残り時間は、関連質問の方に回させていただきます。
  95. 柴田健治

    柴田(健)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午後一時五十三分休憩      ————◇—————     午後二時三十五分開議
  96. 兒玉末男

    兒玉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続けます。山原健二郎君。
  97. 山原健二郎

    ○山原委員 ただいまも本会議で決議になりました問題の中で、個人災害の補償の問題について質問をいたします。  ちょっと私の関係しておる経過を議事録で見てみますと、九月三十日のこの災害委員会におきまして、個人災害被害の推計を出せということを提案をいたしました。そうしますと、江藤政務次官の方から、事務当局は困難だが、政治的判断を要する、今後の教訓として、推計をするのがたてまえだ、したがって各省間において具体的に相談をしてまいりたい、こういう答弁をしております。  さらに、十月六日、柴田委員質問で改めて提案がなされています。災害援護資金の貸し付けの申込書の調査事項は、三十数種類にわたって調査をしている、たんすから目覚まし時計に至るまで調査を市町村の事務でなされているということがありまして、これをまとめて個人災害補償の資料にせよという意味の提案がなされておりますが、議事録を読みますと、これに対する答弁が少し不明確になっておりまして、この点についてお尋ねをしたのです。  まず第一番に、国土庁の方へお伺いをいたしますけれども災害対策本部の総合調整機関として具体的に調査を進める用意がありますかどうか、伺っておきたいのであります。
  98. 山本重三

    ○山本説明員 先回私どもの政務次官から御答弁申し上げましたように、個人災害の問題につきましては、今回も相当大きな問題に取り上げられ、私どももこの実態についての把握というのはやはり必要であろうと痛感いたしております。  そういう意味で、個々具体的な被害を集計するという作業は、非常に時間もまた労力も要することで非常にむずかしい問題があろうかと思いますが、何らかの形で推計ができないかどうか、今後十分検討したいと考えております。
  99. 山原健二郎

    ○山原委員 厚生省の方へ伺いますが、先ほど言いましたように、災害援護資金の貸し付けの申込書の調査事項によりまして、市町村が持っていると思うのです。もし、政府の方でこの推計といいますか、災害被害額を出すという場合に、政府がそれをやる場合、厚生省として協力をする用意があるかどうか、伺っておきたいのです。
  100. 水田努

    ○水田説明員 お答え申し上げます。  個人災害のいわゆる補償制度を創設します場合には、基礎データが当然前提条件として必要となるわけでございまして、この調査国土庁を中心に関係省庁が協力をしてやる、こういう関係に相なろうかと思いますが、国土庁の方で災害援護資金の借入申込書を基礎データ一つとしてお使いになるという御方針があります場合には、国土庁の実施されますところの調査について、私ども、県の関係民生部に国土庁調査に協力するよう指示をいたしますことはやぶさかではない、このように考えております。
  101. 山原健二郎

    ○山原委員 個人災害の補償の出発点はそこのところでございますので、これはぜひ積極的に進めていくべきであると思っております。  次に、ダムの問題について建設省に伺いたいのです。  この委員会でも、私は二回、今回の台風十七号によります高知県にあります早明浦ダムの放流問題その他について質問をしてまいりました。御承知のように、八十年に一回来るであろう豪雨に対して耐え得る早明浦ダムが、昨年、本年と二回にわたって異常放流をするという事態が起こっているわけです。そこで、このダムの問題については当然、相当論議をしなければならないことですが、現在高知県でさらに大渡ダムというのが仁淀川に建設されつつあるわけでございます。早明浦ダムの経験から何を学ぶかという点でございますけれども、恐らく大渡ダムができましたならば、また吉野川と同じように仁淀川も死の川になるのではないかと私は心配しております。計画高水流量が毎秒六千トンでございまして、そのうち二千二百トンをカットするという効果を否定するものではありません。しかし、計画高水量を超えたとき、洪水調節の限界を超えたときは大量の放水が不可避と考えられまして、その点でまた大きな災害が起こるのではないかと心配をいたしておるわけであります。  しかも、この大渡ダムの計画を見ますと、早明浦ダムと比較をいたしまして、早明浦ダム以上に・心配が予想されます。まず、集水面積は早明浦の一・五倍の広さを持っております。また、ダムは早明浦ダムに比べまして小さくて、約五分の一のダムでございます。洪水調節容量も約二分の一にすぎません。さらに、そのほか、早明浦近辺で起こっておりますダムサイト及び上流の崩壊の状態などを見ましたときに、この大渡ダムが果たして早明浦ダムの教訓に学んだものになるかどうか、こういった点がいま住民の論議になっておるわけであります。さらに、大渡ダムが計画をされました時期は、いわゆる高度成長の時代でございまして、開発優先ということがこの当時のダム計画の主軸であったと思うわけでございます。  こういう点から考えまして、建設省としまして、この早明浦ダムの今回の異常な放流、またそれに伴う災害、これを見ました場合に、この大渡ダムについていま一度見直しをする必要があるのではないか、あるいは少なくとも検討する必要があるのではないかというふうに考えるのでございますが、この点についてお答えをいただきたいのです。
  102. 栂野康行

    ○栂野政府委員 まず、仁淀川水系の全体の治水計画でございますが、今回の台風十七号の降雨にかんがみまして、治水計画全体につきまして見直していきたいというふうに考えてございます。  それで、大渡ダムの問題でございますけれども、大渡ダムというのは、ほんのわずか上水に使うという程度で、ほとんどが治水を主体にしたダムでございます。したがいまして、ダムの諸元を変更するということはいまのところ考えてございません。しかしながら、ダム直下のいわゆる減勢工といいますかエネルギーを落とす工事、あるいは河道の整備、それから貯水池周辺の地すべりその他の周辺の防護というものにつきましては、一層充実を図って、十分検討していきたいというふうに考えてございます。
  103. 山原健二郎

    ○山原委員 このダム問題は、防災、治水について信頼し得る専門家たちによる科学的調査が私はどうしても必要になってきたと思うのです。時間がございませんからこれ以上申し上げませんけれども、早明浦ダムのときにも、多目的ダムであるけれども決して災害は起こりません、水は濁りません、これは何遍も繰り返されたことなんです。そして、地域人たちは賛成をしまして、ダムができ上がってみると、三年間に二回も災害は起こるし、水は全く見るにたえないような川になってしまう、濁らないなどということをだれが言ったのかということさえ問題になっているぐらいですね。  そういう点から考えますと、この大渡ダムというのはかなり巨大なダムであります。しかも、仁淀川といえば、四万十川とともに高知県に残されたただ二つのきれいな川でございまして、そういう意味で、相当十分な検討をしていく必要があると私は考えておりますが、そういうまさに住民の立場に立った専門的な、しかも科学的な検討を加えていく用意があるかどうか、最後に伺っておきたいのです。
  104. 栂野康行

    ○栂野政府委員 台風十七号にかんがみまして、大渡ダムそのものの利用の仕方につきましては、これは洪水調節がほとんど大半でございますので、変更する余地はないと思います。しかしながら、先ほど申し上げましたように、いわゆるダム周辺、貯水池周辺の問題、あるいは減勢工の問題、あるいは下流の河道整備の問題、こういう問題につきましては、十分検討してまいりたいというふうに考えます。
  105. 山原健二郎

    ○山原委員 終わります。
  106. 兒玉末男

  107. 瀬崎博義

    瀬崎委員 まず、建設省の方に伺いますが、長良川の安八での堤防決壊の原因は、今日明らかになっているわけですか。
  108. 栂野康行

    ○栂野政府委員 長良川の、安八の破堤でございますけれども、上流部に、いわゆる水源地域に千ミリ以上の雨が降った、しかもその雨の山が三つないし四つ、しかも時間雨量強度が大きかったということから、いわゆる長良川におきます洪水というものも、計画水位に近いピークが三つの山で長時間にわたって来たわけでございます。したがいまして、警戒水位以上の高い水位が七十時間も続いたというのが今回の洪水の特徴でございます。それと同時に、当該地域におきまして八百ミリ以上の雨が降ったということで、いままでの経験を超える大幅な、異常な気象条件が重なったわけでございます。したがいまして、こういうものが複合した結果、安八町におきまして不幸にも堤防が切れたというふうに考えております。
  109. 瀬崎博義

    瀬崎委員 直接的な堤防決壊の原因についていろいろ指摘されておったわけですが、それについては、建設省として責任ある突きとめ方はしてあるのですか。
  110. 栂野康行

    ○栂野政府委員 今回の長良川の破堤ということにかんがみまして、建設省としましては、今後ああいうふうなタイプの洪水、同時に、当該地域における雨の降り方というものが起こった場合に、堤防がどういう大きさであればいいか、また堤防を余り大きくしない場合にはどういう方法をもって対処できるか、そういうことを現在土木研究所を中心に検討中でございます。そうしまして、今後の堤防のあり方という検討の中におきまして、安八における破堤の機構というものも検討してまいりたいというふうに考えております。
  111. 瀬崎博義

    瀬崎委員 堤防の危険度評定基準では、Cの地点で決壊をしているわけでありますけれども、これはその評定そのものがいいかげんなものであったのかどうなのか、答えていただきたいと思います。
  112. 栂野康行

    ○栂野政府委員 お答えいたします。  危険度をA、B、Cというふうに三つに分けてございます。これはいわゆる既往の洪水、長良川におきましては昭和三十四年、三十五年、三十六年と非常に大きな洪水があったわけでございますが、そういう経験を踏まえましていわゆる危険度のA、B、Cのランクというものが漏水の場合にはついておるわけでございます。それで、この地域におきましては、三十六年の六月の大洪水におきましても漏水の現象も見えなかった、しかしながらやはり不安があるということでCというランクをつけた次第でございます。
  113. 瀬崎博義

    瀬崎委員 普通一般に国民の目から見れば、切れていいということではないけれども、切れるんならばAの地点が切れるであろう、まさかそこが切れずにCが切れるであろうなどというようなことは考えられない。そうなってくると、建設省のこの危険度評定自身がいいかげんではないか、こういうことになりますね。この点について、建設省としての一定の責任は感じているわけですか。
  114. 栂野康行

    ○栂野政府委員 いままでの洪水の経験によりますとCということでございまして、このような今回のような異常な長雨あるいは異常に続いた洪水ということでございますので、これは異常な気象が重なって破堤したということでございます。
  115. 瀬崎博義

    瀬崎委員 異常が重なったであろうとしても、Aの地点よりもCの地点で切れる、このことについての矛盾については、やはりこれはその評定自身がある程度ずさんであったと言われても仕方がないのではないか、このことは率直に認めるべきではないかと思うのですが、いかがですか。
  116. 栂野康行

    ○栂野政府委員 結果的にはそういう結果になったわけでございますけれども、評定の時点におきましては、いわゆる既往の洪水、その他いろんな面から考えましてベストを尽くしておったというふうに考えております。
  117. 瀬崎博義

    瀬崎委員 結局、既往の洪水を基準にしてベストを尽くしたけれども、現実に起こった結果から見ればやはり外れておったということにならざるを得ないと思うのですね。  そこで、いまのお話では、結局、予想以上の雨量が長時間続いた、ほぼ計画高水量に近い流量が長く続き過ぎたから堤防決壊もやむを得ないというふうに私には聞こえたわけなんです。そこで、もしこうした長時間の高水位が続くという事前の予知があったとしたら、漏水防止とかあるいは緊急の補強工事等、いわゆる水防活動ですね、こういうことを早目に開始することによってあの全面的な決壊というものは防げたのですか。
  118. 栂野康行

    ○栂野政府委員 水防活動によって防げたか防げないか……(瀬崎委員予知が早ければ」と呼ぶ)予知が早ければ防げたか防げないか、これは水防に対してもベストを尽くして、その結果がどうなるか、ちょっと判断しかねます。
  119. 瀬崎博義

    瀬崎委員 じゃ、当初は、この高水位の持続時間をどの程度と考えておったわけですか。
  120. 栂野康行

    ○栂野政府委員 長良川におきましては、いままで昭和三十六年の洪水が一番雨も多いということでございまして、そのときの継続時間が約四十時間ということでございます。
  121. 瀬崎博義

    瀬崎委員 とすれば、既往の既往のとよく言われるんで、結局今度の場合も、まあせいぜい持続して四十時間ぐらい、こういう判断であった、そういうことなんですか。
  122. 栂野康行

    ○栂野政府委員 今度の洪水が四十時間とかそういうことでございませんで、計画としまして四十時間には耐えられるような堤防をつくりたいということでございます。
  123. 瀬崎博義

    瀬崎委員 今度はどれだけ予想したの。
  124. 栂野康行

    ○栂野政府委員 それは結果的に七十時間以上続いたということでございまして、長良川、揖斐川金川におきまして堤防が危険な状態になったということでございます。
  125. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それは結果の話があって、私が聞いているのは、十七号の影響による集中豪雨の降り始めた時点においては、建設省はこの異常な高水位が何時間持続すると考えておったのかと、これを聞いておるわけなんです。
  126. 栂野康行

    ○栂野政府委員 まず当初におきましては、今後どの程度雨が降るか、上流におきます雨のパターン、その程度が現在の科学ではまだ十分わかっておりませんので、今後何十時間高い水位が続くかという見通しは持っておりませんでした。
  127. 瀬崎博義

    瀬崎委員 総理大臣が議長をしております科学技術会議が、ことしの二月十九日の報告書で、「豪雨災害防止対策の確立に際しては、まず、豪雨やそれに伴う洪水が、いつ、どこで、どの程度の規模で発生するか、将来起りうる最大値はどれほどかに関する基礎的研究が緊急に必要である」、このように指摘しているわけなんですが、こういう研究は、一体政府のどの機関が責任を持って、どの程度現在進めているわけですか。答えは長官ですか。
  128. 栂野康行

    ○栂野政府委員 お答えいたします。  建設省におきましては、河川の治水計画を立てる場合に、いわゆる河川の流域の大きさあるいは流域の経済の発展性といいますか、重要度といいますか、そういうものを総合的に見まして、大きな川でいきますと、いわゆる百年に一回の洪水あるいは二百年に一回の洪水というものを対象にしまして、上流におきましてはダムをつくったり河道を改修したり、あるいは中流におきましては貯水池をつくったり、そういうふうに計画を進めておる次第でございます。
  129. 瀬崎博義

    瀬崎委員 政府の科学技術関係の最高方針を決めた指摘に対して、あなたまともに答えてないのです。  もう少し具体的に尋ねましょう。五十年の八月、台風六号で石狩川が洪水を引き起こしていますね。このときにも堤防の決壊が起こった。しかも、このときの洪水も計画高水位を超えるものではなかったわけじゃないのですか。
  130. 栂野康行

    ○栂野政府委員 その水位の大きさはいまここではっきりわかりませんけれども、当時の破堤は、堤防をオーバーフローしまして温水破堤ということでございます。
  131. 瀬崎博義

    瀬崎委員 このときも石狩川は計画高水位には達していないわけなんですね。しかも、異常高水位の時間も長良川のようにもちろん長くはなかったわけです。この石狩川のときの教訓というものは、当然その後の堤防の保全とかあるいは改修に生かしているのでしょうね。
  132. 栂野康行

    ○栂野政府委員 石狩川の破堤は、堤防を洪水がいわゆるオーバーフローして決壊したということでございまして、建設省としましては、いわゆる河川の施設、堤防の大きさとかあるいは護岸とかいうものをできるだけ早くスピードアップして整備するということが石狩川の大きな教訓だと思います。
  133. 瀬崎博義

    瀬崎委員 国立防災科学技術センターが「主要災害調査」というものを出していますね。御存じだと思うのですよ。この中ではこういう指摘があります。石狩川の洪水について、「計画高水位に近い出水の場合、堤防の維持、水防活動の上から、例えば最高水位の予報は十二時間以前にプラスマイナス十センチメートル以内の精度が必要であろう。」この点について建設省はどう考えます。
  134. 栂野康行

    ○栂野政府委員 できればそういうふうにありたいと思います。しかしながら、いわゆる水源地域におきます雨の降り方、または洪水の出方というものは地域によってもまちまちでございますし、望むべくはそうありたいのが理想でございますけれども、現実はなかなかそうならないと思います。
  135. 瀬崎博義

    瀬崎委員 せっかく過去いろいろな災害に対しては政府研究機関等もそれなりの調査をして、それなりの教訓的な指摘をしているわけなんです。ところが、ちっともこれは生かされてないということ、私は今回の災害から学んでおく必要があると思うのです。この中には、時間がありませんから申し上げませんが、そのほか堤防の土質、断面形状の考慮、洪水時の浸透、こういうものにも十分注意して、盛り土幅、土質、護岸、のり面の保護等を再検討する必要があるというふうなことが出ているのです。当然、こういうのが何らかの形で生かされておれば、長良川についても同じような土堤ですから、一定の検討はあったと私は思うのです。  さて、特に土堤の場合には、除草を中心とした河川の維持管理は、漏水の早期発見にきわめて大切だと言われているわけなんですが、長良川の場合ですと、河川の維持管理費は今年度の場合は幾ら庭ついているわけですか。
  136. 栂野康行

    ○栂野政府委員 お答えいたします。  今年度でいきますと、長良川の維持修繕費でございますが、約一億九千九百万でございます。
  137. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それで、実際、堤防そのもののいわゆる維持管理に使われた費用は幾らになりますか。
  138. 栂野康行

    ○栂野政府委員 いまのは昨年のでございまして、五十一年度でいきますと二億六百万でございます。
  139. 瀬崎博義

    瀬崎委員 この直接的な堤防の維持管理費というものは、そのうちのきわめて限られた費用であるわけでしょう。こういうふうな点を、堤防の今後の事前の危険を予知する上で十分にやるべきである、こういう点での考えは持っているのですか。
  140. 栂野康行

    ○栂野政府委員 いわゆる河川の維持管理の費用でございますけれども、これにつきましては、建設省としましても、その重要性にかんがみまして毎年非常に伸ばしておる次第でございます。しかしながら、全体の予算の中におきましていわゆる改修、堤防を大きくしたり、あるいは護岸をつくったりするものとの関連におきましてどうあるべきかということでございます。その維持管理費につきましては鋭意伸ばしてはおりますが、そういう関連におきまして今後とも重点を置いて進んでまいりたいというふうに考えます。
  141. 瀬崎博義

    瀬崎委員 特に要望なんですが、六月九日に滋賀県で、きわめて短時間だったけれども相当ひどい集中豪雨があって、琵琶湖周辺の天井川が相当あふれたり、あるいは堤防決壊したりしたわけなんですね。こういうふうなのは全国的にも相当例は多いと思います。こういう主として一級河川であっても、県が管理しているような場合の中小河川について、特に川底が流出土砂で浅くなる、しかも富栄養化している関係もあって、草木の繁茂がはなはだしい。これが川の流れを阻害して、水をあふれさせたり堤防を破壊する。こういう例が多くて、この中小河川の維持管理費、つまり川ざらいをしたり堤防を掃除したり、こういう費用の大幅な増額が望まれているのですが、こういう点に対しては建設省はどうですか。
  142. 栂野康行

    ○栂野政府委員 中小河川の維持管理でございます。いわゆる川ざらいあるいは草木の除去というものにつきましては、建設省におきましても重点を置いているわけでございますが、本年度におきましても二級河川についても維持管理というものを新しく制度をつくりまして、重点を置いて今後ともやってまいりたいということでございます。  一級河川につきましては、すでに維持管理という補助制度をつくりまして現在でもやっておる次第でございます。
  143. 瀬崎博義

    瀬崎委員 その額が少な過ぎて、一つ河川でたとえば百万とか二百万単位の金しかついていないというのが現状ですね。実際問題としては、ほんの数百メートルいらえばそれでしまいという状況なんですが、こういうものを思い切って増額して打開してほしいということなんですが、やってくれますか。
  144. 栂野康行

    ○栂野政府委員 先生のおっしゃる意味はよくわかります。私たちとしましても、また今後とも重点を置いてやってまいりたいと考えます。
  145. 瀬崎博義

    瀬崎委員 治水工事もさることながら、大事なのは国土政策がそれと一体になっていないと、これが別々の方向を向いておったのでは、結局効果は上がらないと思うのですね。今度の長良川を中心とした大水害も治水工事のおくれによることはもう指摘されたとおりでありますし、予算委員会で中島議員が、明治以来の治水に投資された総額十二兆円、道路の五カ年計画だけで十九兆円、こういう指摘もしてあるわけであります。こういう点で決議も出ておりますことですから、当然治水予算を大幅に下さると思います。しかし、一方で洪水を激しくするような原因を人工的につくり出しておったのでは、これは結局ざるで水をすくうような話になると思います。これは木曽川上流工事事務所の所長さんの話を伺っておるときにも出ておりましたが、やはり治水対策というのは自然の理にかなって行うのが一番いい、つまり集中的に降った雨をできるだけ時間をかけて川なり湖なりに流していく、そのためには結局森林を保全するとか、あるいはたんぼなどの一時的な遊水機能のある自然の保水機能を大いに生かすことが大切だ、こういうわけですね。今度の災害を大変大きくした原因の一つとして、こうした国土政策にも誤りがあったのではないかと思うのですが、長官、いかがですか。
  146. 天野光晴

    ○天野(光)国務大臣 誤りがあったと言われれば、ないとは申し上げかねますが、こういう災害が起きて、その起きた原因をより反省をして改めていくという以外に方法はないんじゃないでしょうか。たとえば今度のような場合も、予期せざる以上の長期にわたる豪雨でございましたから、そういう点でこれ以上また大きく来るのではないかということで対処をしていく以外に方法はないと思います。この点については十分努力してまいりたいと考えております。
  147. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私も岐阜、愛知へは二度行っているわけなんですね。ふだんはたんぼではあるけれども、もともと遊水地の役割りを果たしているような、そういう低い土地を宅造している場合が多いのですね。岐阜市の城田寺団地であるとかあるいは大垣市内及びその近辺にたくさんそういう団地を見ました。これは今回ほどの豪雨でなくても浸水常襲地帯になっているわけだし、相当機械力を使った排水も常時やっているわけでしょう。こういうところをいいかげんな宅造をして、そこに民間の住宅だけではなしに、公営住宅あるいはそれに準ずる宅地分譲等も行われている。こういうことは、私は国土政策上検討を要する問題だと思うのです。  だから、まず第一には、そういう遊水地の役割りを果たすようなところはできるだけ開発を規制すること、それから、やむを得ず一定の宅地にしなければならない場合は、きちんと水につからないような必要な地上げを義務づけること、こういうことがなければならない。すでに住宅の建ってしまっているところについては、この機会に特別な排水対策というものを国も責任を分担してとってやらないと、また繰り返すと思うのです。こういった点について、国土庁の方では何か対策なり今後の行政指導を考えているわけですか。
  148. 天野光晴

    ○天野(光)国務大臣 いままでこういう問題が数多くございますので、そういう点で、いま瀬崎先生指摘されたような地域は、都市計画法に基づく調整区域に編入がえをする、そして、そういう地域には住宅等は建てさせないというような指導をいままでしてきたようでございます。私もこの役所へ入ってまだ日なお浅いものでございますから、はっきりしたことは申し上げかねるのですが、そういう指導をしてきた。  しかし、今度の災害によりまして、何らかの措置を今後講じなければいけない、これはいま御心配のあったとおりでございます。そういう点で、各省にまたがっておりますので、そういう意味では、その措置を土地利用基本計画の中に織り込むという考え方で今後善処したい、こう考えております。
  149. 栂野康行

    ○栂野政府委員 ただいまの先生のお話でございますけれども建設省におきましても、いわゆる総合治水対策というものを現在検討すべく準備中でございます。それで、降った雨をゆっくり川に出すにはどうすればいいかとか、あるいは先ほどおっしゃいましたいわゆる低い土地、遊水地におきます適正な土地利用のあり方、あるいは洪水に強い都市づくりとか、そういう問題につきまして、河川審議会に建設大臣が諮問しておりまして、昨日、計画部会というものを開き、その結果、小委員会をつくってそういうものを検討していくというふうに現在進めております。その結果、建設省の中におきまして、まず河川局でそういう検討を行いまして、建設省の内部におきますコンセンサスを得る、そして最後におきまして、国土庁にお願いしまして、いろいろ国全体としての総合的なあり方というものを検討していただきたいというふうに考えております。
  150. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私は後手後手になっていると思うのです。  さっきちょっと紹介しましたこの主要災害調査報告を見ますと、台風六号で、石狩川と同時に、北海道の国道五号線が森町地域で、大変な斜面崩壊の影響で、実に千三百メートルもの不通区間を出した。これについてもその原因を、この中に、災害を大きくした原因として、標高六十〜七十メートルの宅地造成地の影響があげられる。造成地端の雨水排出等、一言で言えばずさんな造成工事をやっておった、これが決定的な要因になっている。したがって、この宅造について何らかの法的な規制が必要ではないかと考えるという結論まで出している。御存じであるかどうかは別にして、これが出ているのはことしの三月ですから、こういう点では、科学者は宅造の場合の危険性というものは相当真剣に皆考えておったと思うのです。だから、一方においてはそういう規制をしながら、どうしても宅造する場合にはその宅造の仕方について、いま言いましたように、絶対に水につからないように排水は完全なものにしておくというふうなこともちゃんと制度化される必要があると思うのです。そういう点は具体的にやってほしいと思うのですが、いかがですか。
  151. 河野正三

    ○河野政府委員 御質問にお答えいたします。  具体的におっしゃるような治水上の条件を宅造等にしっかり徹底させるべきだという御質問でございますが、まことにそのとおりでございまして、政府関係各省におきましても、過去十年間ぐらい漸次整備を重ねてきているわけでございます。たとえば建設省の宅地開発等に関しましても、都市計画法上の開発許可条件がございますが、その中の一つとしての排水施設の整備状況という条件につきましても漸次充実をさせてきております。また、国土庁におきましても、ただいまのところ、たとえば住宅地としての利用のためにどういう地形、どういう地域が最も望ましいかというような自然条件を踏まえました分級をやっておりますので、今後も漸次充実させていくつもりでおります。
  152. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そういうまだるっこしい話だから、結局また来年も起こるということになるので、ここはやはり相当思い切った、法律によるのか政令によるのかあるいは行政指導によるのかは別にして、対策が必要だ。過去そういうことをやっておって、実際、現在災害が起こっておる、こういう点に留意してもらいたいと思うのです。  同じく、御存じだと思いますけれども、今回水害を受けた愛知県の津島市並びにその周辺地帯、これは日光川の改修等が激甚指定でやられておりますけれども、しかし問題は、この辺がマイナス六十センチのいわゆる海面下地域であり、かつ現在も、多少緩慢になったとは言いながら、地盤沈下が続いている。これが何とか解決しない限りは常時災害の危険は去らないと思うのです。そのためには結局工業用水とかビル用水の地下水くみ上げの規制ということになるし、そのためには水の循環使用とか塩水の淡水化など、多少コストは上がっても他の水の利用方法を考えないと解決を見ないと思うのです。これも国土行政の重要な柱になると思う。  時間がありませんので、あわせてもう一つ質問しておきますが、琵琶湖総合開発計画が現在見直し中ですね。これはいずれ、大体県の方で決めて、その後総理大臣の決定になるものでありましょうけれども、当然のことながら国土庁と県当局との事前協議が行われていると思うのです。あの琵琶湖の水位を一・五メートル上げたり下げたりする、つまり人工的な水位変動で下流の大企業の水を賄おうというわけでありますが、このような人工的操作が治水上きわめて危険であることを今度の災害が教えていると思うのです。だから、われわれとしては、下流のそういう工業用水などの節水等をむしろ十分に指導してもらって、上位計画の方をこの際見直して、このような特別過重な負担を琵琶湖にかけるような水位変動も見直せるような幅というものを政府側から与えてやってほしいと思うのであります。  この二点についてお答えをいただいて終わりであります。簡単にやってください。
  153. 天野光晴

    ○天野(光)国務大臣 地下水のくみ上げによる問題だけ、私お答えいたします。  地下水をくみ上げさせないようにするためには代替用水を見つけてやらなければいけない。それを見つけることによってこれが行い得るわけでございまして、これはいろいろな意味で、私の方の所管している事項だけでできるわけではなくて、他の所管省に及ぼす影響が非常に大きいものでございますから、いまこれに対する措置を講じようというので立法化について鋭意連絡をとりつつございます。要するに、地下水くみ上げによる地盤沈下を防ぐための措置として、できるだけ早い機会にその措置を講ぜられるように努力をいたします。
  154. 飯塚敏夫

    ○飯塚政府委員 お答えいたします。  琵琶湖の用水について工業用水等からの需要が非常に大きいわけでございますが、これらにつきましては、現在通産省とも協議を重ねながら、工業用水の合理的な利用、循環利用という問題につきまして、通産省を通じまして行政指導をするように今後やってまいりたいと思っております。
  155. 瀬崎博義

    瀬崎委員 大事なのは琵琶湖総合開発の見直しの作業の中で、今度の災害を教訓として、人工的な、しかも極端な水位変動を避けられるような見直しの可能な幅というものを政府側で与えるように、上位計画の方を考えてくださいよ、こう言っているのです。そういうことを織り込みますね。
  156. 飯塚敏夫

    ○飯塚政府委員 そのように関係省庁と連絡して措置させていただきます。
  157. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それじゃ、あと柴田委員の方で関連質問いたします。
  158. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 時間が迫っておりますので、端的にお伺いしますが、長良川の破堤したところ、この場所において、これは増水が原因になるわけですけれども、この破堤した場所における計画高水流量、それから計画高水位、これを上回ったというような事実があるかどうか、まずお伺いします。
  159. 栂野康行

    ○栂野政府委員 破堤地点におきましては、今回の洪水は計画流量あるいは計画高水位を上回っておりません。
  160. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 ところで、堤防ですけれども河川法の十三条で河川管理施設は「水位、流量、地形、地質その他の河川状況及び自重、水圧その他の予想される荷重を考慮した安全な構造のものでなければならない。」こういう規定があるわけですけれども、本来、堤防というのはこの計画高水位、計画高水流量、そうしたものに耐えられるということでつくられるというように見なければならないと思いますが、要するに計画の水量、計画の高水位というものには耐えられるものとして堤防はつくられているんじゃありませんか。
  161. 栂野康行

    ○栂野政府委員 おっしゃるとおりだと思います。しかしながら、いわゆる堤防の断面の決定というものは、通常考えられる洪水に対して安全であるということでございまして、今般制定されました河川管理施設等構造令におきましても、いわゆる堤防というものは水制あるいは護岸と一体となって、完成した場合でございますけれども、一体となって計画高水位に耐えられるように、しかもそれは通常の流水に対して安全でなければならないというふうにうたってございます。したがいまして、今回の台風十七号によります気象条件あるいは洪水条件といいますか、これは非常に異常なものでございまして、まことに残念でございますが、あそこは破堤したという次第でございます。
  162. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 異常なものであっても、この計画を越えていないものであるということであれば、堤防というのは本来それに対して、越えないものに対しては安全な堤防でなければならない、こういうように考えるわけです。  それで、聞くところによりますと、この堤防については改修計画もあった。この破堤地域における改修計画は、どういう改修をしようとするものであったか、お伺いします。
  163. 栂野康行

    ○栂野政府委員 まず、堤防の大きさでございますけれども、いわゆる堤防の幅をあと五メートル程度広げるというふうに、堤防の大きさが残っております。  それから、護岸でございますけれども、護岸の計画はございましたけれども、いわゆる長良川全般の安全度といいますが、これを見まして、まだ手をつける段階に至ってなかったという次第でございます。
  164. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 結局、堤防ができ上がると、その付近の住民というのは、その堤防を越えない水かさの場合は安全だということでみんな生活していると思うのです。ですから、いまこれを改修しなければいけない、護岸をしなければいけない、それから堤防を大きくしなければいけないというのは、やはりこの計画高水位や流量に対してまだ十分でなかったということを意味するのじゃないかというように考えるのです。  ちょっと時間がありませんので結論的に申し上げますと、いろいろな問題があって、土地の人たちも国家賠償を要求するというような決議が町民大会などでなされているわけですけれども、いままで河川関係の国家賠償について見ますと、結局裁判によらなければ結論を出さないというのが建設省の考えであったと思うのです。そういう意味で、この重大な問題について調査委員会——多摩川の場合は調査機関に委嘱されるというようなことがあったようですけれども、本当の決壊の原因などを調査委員会あるいはそうした客観的に原因が調べられるものを設けられて、そうしてやはりこの河川管理についての落ち度があるということになれば、裁判を待たずに、まさに生活が侵害されたわけですから、進んで国家賠償をやるべきだ、こういうふうに法律のたてまえからいっても思うのですけれども、そういう考え方についての見解をお伺いします。
  165. 栂野康行

    ○栂野政府委員 被害に遭われました地元の皆さん方に非常にお気の毒に感ずるわけでございます。しかしながら、今回の破堤というものは、いわゆる異常な豪雨に起因しておりまして、私たちとしましては、河川管理の瑕疵によるものじゃないというふうに考えてございます。しかしながら、いわゆるああいう異常な豪雨といいましても、ああいうものがあったというのは事実でございますので、ああいうふうな異常なタイプの洪水に対しましても、どういう堤防の大きさであればもつのであるか、たとえば土堰堤のように現在の幅を二倍にするとか、そういう方法もあろうかと思います。あるいは堤防の幅は現状程度にとどめておきまして、別の対策によってああいう洪水に対しても耐え得るようにするにはどうすればいいかとか、そういう問題につきましては、現在、土木研究所を中心としまして純技術的にいろいろな角度から検討してまいりたい、その中におきまして当然破堤の機構につきましても検討を加えていきたいというふうに考えてございます。
  166. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 もう時間が来ましたけれども、結局、河川局長の方は瑕疵がないという前提でおられますけれども、これは堤防の法律的な意味から考えてみましても、やはり越えていないもので破堤するような堤防をつくったということについては、理論上も瑕疵の推定が成り立つというように言われるような問題がありますし、そういう意味では、客観的に物を見る人たち、いろいろな原因について言われている人がありますけれども、本格的な調査をされて善処される、これが正しい態度であると思いますので、そのことを申し上げて終わります。
  167. 兒玉末男

    兒玉委員長 柴田健治君。
  168. 柴田健治

    柴田(健)委員 十七号台風に関連をしてお尋ね申し上げたいのですが、まず農林省の関係で、農業施設の中でため池と農地復旧、この二点にしぼってお尋ねしたいと思うのですが、ため池が全国にたくさんあるが、今度の十七号台風の関係被害県の中でどの程度のため池が破損したのか、まず数をひとつ明確にしてもらいたい。
  169. 杉山克己

    ○杉山政府委員 今回の十七号台風により、全国でため池が個所数にして約五千六百カ所、被害額にして百二十五億円が被災しております。そのうち岡山県におきましては、補助申請予定の被災個所は六百二十七カ所、十七億五千万円、こういう状況になっております。
  170. 柴田健治

    柴田(健)委員 農地の方はどの程度被害面積になっていますか。     〔委員長退席、金丸(徳)委員長代理着席〕
  171. 杉山克己

    ○杉山政府委員 総被害額は施設等全部でもって二千五百四十六億五千百万円でありますが、そのうち農地関係は三百二十三億九千八百万円、個所数にして六万三千八百六十五カ所ということになっております。(柴田(健)委員「面積」と呼ぶ)五千八百七十八ヘクタールということになっております。
  172. 柴田健治

    柴田(健)委員 五千六百のため池が被災した。このため池の五千六百というのは、被害状況で分類した場合には、どういうぐあいになっているのか。五千六百の中身はどういう形になっているのか。
  173. 杉山克己

    ○杉山政府委員 そのうち決壊いたしました分が四百三十三カ所でございます。
  174. 柴田健治

    柴田(健)委員 杉山審議官はもう少し親切な人だと思っておったのだけれども余り親切でもなさそうなんですが、堤防決壊が四百三十三、しかし放水路であるとか、漏水であるとか、また池が埋没したとか、そういう被害の種類があると思う。その種類を聞いたのです、分類したものの。それはまたいずれ後で明細に報告を願いたいと思います。  とにかく、このため池に関しては、明年度の灌漑用水として、いまのこの災害復旧計画、三、五、二の三カ年復旧計画というのを適用というのは、私はどうも疑問がある。ため池についてはもう初年度で全部復旧すべきだ、こういう考え方を持っておるのですが、この点についていかようにお考えですか。
  175. 杉山克己

    ○杉山政府委員 災害復旧は早急にこれを行わなくちゃいけないということは一般的に言える話でございますが、特にため池につきましては、翌年の用水源として不可欠のものであるということがしばしばあるわけでございます。ほかに用水源を持たないというような場合。そういうことも考えますと、翌年の再生産を確保するためには、単年度で復旧を実現するということもしばしば考えなければいけないというふうに考えております。
  176. 柴田健治

    柴田(健)委員 総論的なことを言われたのですが、個々の具体的に入った場合、堤防が決壊した、道路も破壊される、河川も破壊される、そしてまた下流の農地も埋没、破壊ということになる。一つのため池が決壊したために、それぞれの関連施設が全部いかれてしまう。そういう場合には、ため池だけは農林省の管轄だから、ため池だけ直したらいいのですか。それから、農用地、農地の復旧も農林省の管轄だから農林災害として直せばいいのだ、道路と河川はこれは別です、こういうことになる可能性がある。原因はため池が決壊したために関連被害を起こした。これらの点についての復旧はどういう方法でやるか。
  177. 杉山克己

    ○杉山政府委員 農林省関係被害につきまして、これを総合的に見て、全体を一連の考え方のもとにできるだけ早く復旧するということは当然でございます。  そのほかに、御指摘のように、建設省関係河川関連のこともありますし、他省にいろいろ御相談申し上げなければならない事業もあるわけでございます。そういった問題につきましては、従来十分協議調整をやって、総合的かつ合理的な復旧計画を樹立するということで進めてまいっておりますが、本年の九月二十七日付の共同通達をもちまして、五十一年台風十七号につきましての事業の実施について、一層そういった総合性を確保するように県等にも指導しているところでございます。
  178. 柴田健治

    柴田(健)委員 私は老朽ため池の査定のあり方について聞きたいのですが、岡山県は六百二十七カ所災害を受けたということで申告をしておる。ため池の場合は、早急に、まあ半ばどちらかというと、緊急査定というような意義を持っておると思うのですが、この査定の日程を見ると、緊急査定の方はもうほとんど済んだのですが、第一次十月十二日から十六日、十月十九日から二十九日ということで、最終は十二月十四日以降という七回にわたって査定をする。その中で、ため池は第一次のこの査定に全部入れるべきじゃないか、ため池だけは早急にやるべきじゃないか。それが、分類されて期間を置いていくというのは、それは被害状況にもよりましょうけれども、ため池だけは、明年の植えつけに間に合うというのじゃないですよ。もう年内に復申しないと、この流域面積によっては水がたまらないという、雨量が、うんと降る時分には三日ぐらい降るのだから安心してればいいということも言われるかもしれないが、降らないといったら何カ月も降らないわけですから、ため池だけは年内に工事を完了するぐらいな敏速なやり方をしてもらいたいという、地域住民、農民が要求しているわけです。なぜため池の査定を三回も四回も分けて査定をしなければならないのか。道路だとかその他の農業施設については、それは人員の問題なり査定の設計の問題その他がありましょうが、ため池だけは県なり市町村を督励して早急に査定を完了すべきじゃないか、なぜあんなことを分けるのだろうか、私はため池に対する根本的な認識がわれわれとは違うのではないか、こういう気がするのですが、どうですか。
  179. 杉山克己

    ○杉山政府委員 ため池につきましては、柴田先生指摘のように、緊急査定を九月の二十日から九月二十二日まで、これは四十八カ所につきまして第一班が行っております。その後も、人員等も極力やりくりをいたしまして最大限急いで行うようにしております。     〔金丸(徳)委員長代理退席、委員長着席〕 七次に分けまして、最終は十二月二十五日にはこれを完了するということで、とにかくすべて年内に査定は完了し、完了し次第復旧工事に着工するということにいたしております。  ため池の重要性については十分私どもも認識しておるつもりでございまして、そういう日程の中でもなおできるだけ急いでやるという心構えでおるわけでございます。
  180. 柴田健治

    柴田(健)委員 今度は具体的な問題で聞きますが、岡山県の赤磐郡熊山町というところ、そこの奥に、一番奥の方ですが、峠池という池があり、その下に常池という二つの池がある。この二つの池は余り大きい池ではないけれども、その二つの堤防が決壊した。この間、見てくれと言うので見た。査定を受けておるかと言うと、査定は受けておりません。なぜ受けないのだ、ここは緊急中の緊急じゃないか、早く復申しなければどうにもならぬところじゃないか、道路も河川も農地の埋没、それも大変だが、このため池の被害というのは、ちょっとやそっとでそう簡単に補修というか、補強程度災害ではないじゃないか、なぜ査定を受けないのかと言うたら、設計ができないんです、まあ後回しですわと、こう言う。それならおくれてもしようがないじゃないか、県は何も言わないのかと言うと、まあ順番がありますと言う。ため池は順番がないと思う。みんな早急に、緊急にやらなければならぬところだ。いまだに設計でもたもたするというのは、指導が悪いのかどこが悪いのか。この点は杉山審議官、どうしたらいいのか。
  181. 杉山克己

    ○杉山政府委員 先生いま御指摘の峠池、それから常池につきましては、確かに設計書の作成がおくれておりましたために緊急あるいは早い時期の査定の対象に入っておりませんでした。十一月十六日からの査定の対象として、現在予定いたしております。現在の段階では、すでに設計書も九〇%完了しておるということでございますから、これはそう遠くないうちに私どもも十分打ち合わせて査定には間に合わせられるようにできるというふうに考えております。
  182. 柴田健治

    柴田(健)委員 査定についてはその程度にしておきますけれども、ため池だけは今後の参考に、どんな場合でもため池だけは緊急中の緊急という認識の上に立って査定を早急に完了し、そして工事も早急に着工し、それで、ため池については三ヵ年計画などで三、五、二でなしに、もう初年度でやってしまうという、そういう心構えで予算措置をすべきじゃないかと思うのですが、審議官どうですか。
  183. 杉山克己

    ○杉山政府委員 心がけとしてはまさにそうあるべきだと思います。ただ、およそあらゆる全国のため池を全部初年度でというわけにもなかなかまいりませんので、そこはその地域の実情に応じ、ほかの用水源があるかないか、実際にどういう壊れ方をしているか、そういう状況を十分把握した上で、できる限り先生指摘のような考え方のもとに、予算もできるだけ配分して、早急な復旧を図りたいというふうに考えております。
  184. 柴田健治

    柴田(健)委員 次に、農地復旧なんですが、これもため池と関連をして、どうしても早く復申しないと明年の植えつけが——池よりか多少おくれても、植えつけが五月二十日過ぎから植えつけになる、それまでに大体完了すればいいわけだが、ため池の方はそうはいかない。早く水をためておかなければ肝心なときに灌漑用水として使えないですからね。  農用地の復旧については、河川のはんらん、堤防決壊ということから農地が破壊されたのですが、これは建設省との関係もある。今度の被害状況を見ると、河川なり道路なり橋梁なり、要するに市町村管理の河川が四〇%くらいあるだろう、こう言われておる。道路については五五%が市町村道ということになり、橋梁については市町村道の方が七五%くらいだと、こういうのでありますから、河川の管理上から言うと、建設省河川局の方がそれは一番主として責任があるのではないか。  その河川の破壊から、農用地の被害というか埋没というか、もうたんぼがきれいに流れてなくなってしまった、その流れてきれいなところへどこから表土をとってくるのか、これはちょっとやそっとの復旧というか、そう簡単にブルでかきなでてやるような調子にはいかない。この点について、早くこれも復申しないと明年の植えつけというのができない。営農に影響する。各農家の生産単位というか生産規模というのは、やはり農地が一つの基準になっている、基軸になっているんですから、農地をつぶすというわけにいかない。けれども、一方では河川改修がある。河川改修で、要するに原形復旧ならいざ知らずも改良ということを考えると、河川付近は農用地を河川敷地として提供しなければならぬ。用地を提供しなければ河川の改良復旧というものができない。原形復旧か改良復旧かという、その点は農地の復旧との兼ね合いというものが非常にあるわけです。個々の個所別において実態が違いますが、そういう農地の被害がたくさんあった。  建設省と農林省は、河川災害についてもう協議を始めておるのか、この点の協議の結果、早急にやらなければならぬのですが、その点、杉山審議官河川局長にお尋ねをしたい。
  185. 栂野康行

    ○栂野政府委員 先生おっしゃいますように、いわゆる農地復旧と河川の改良復旧というものが調和をとれなければ意味がないということでございまして、ああいう災害を受けました場合におきましては、現地におきまして農林担当部局と土木担当部局と十分打ち合わせして、その復旧の調整を図っておる次第でございます。
  186. 杉山克己

    ○杉山政府委員 河川局長の言われたことと全く同じでございまして、単に中央でもっての話ではなく、現地において十分協議して、総合的、合理的な復旧計画を立てるということで進めております。
  187. 柴田健治

    柴田(健)委員 農地復旧については、先ほどの数字五千八百七十八ヘクタールとあるのですが、これについてはやはり三、五、二の比率で復旧するという計画なんですか。
  188. 杉山克己

    ○杉山政府委員 全体的な予算の配分、原則としてはそういうことになりますが、地域によりまして災害状況によりまして、個別の事業としては必ずしもそうではない、中には単年度であるいは二年度で完了するというような農地復旧事業のあり方もあるというふうに考えております。
  189. 柴田健治

    柴田(健)委員 まあケース・バイ・ケースで、その災害の個所によって、いろいろそれは弾力運用というか、工事の工法というか、そういうものは変わると思いますけれども、この農地の復旧も農民から言うとぜひ早急にやってもらいたい。今度の災害は何としても雨量が多い多い言うて皆さん方は逃げるのですけれども、本当は建設省、国の責任というか、関係住民から、被災農民からいうと非常に不満がある。理由は何かというと、河川を早く直してくれ、改修をしてくれと、こう言うて要求し続けてきたが、国の方は予算措置をしてくれない、採択してくれない、何年たっても直してくれないというところに今度の被害、農地を破壊したという農民の声がある。建設省は予算がないんだから仕方がないんだと言えばしまいだけれども関係農民から言えばそうではない。建設省は毎年、都道府県知事を使って、各河川の悪いところ、危険個所というものは雨期に入る前には明示するわけでしょう。その明示をしておきながら、何年たっても直さないという理由は、局長、何ですか。
  190. 栂野康行

    ○栂野政府委員 先生のおっしゃるとおりだと思います。今回の災害後、大臣に随行して被災地を回ってみましたけれども、小豆島におきましても砂防ダムがあるところは山崩れがなかった、また中小河川におきましても、いわゆる改良復旧をやっているところは被害は非常に少なかったということで、治水施設の整備の一刻も早きことを私たちも痛感しておる次第でございます。したがいまして、今後ともそういう中小河川あるいは大河川の治水施設の整備の水準を上げることに最大限の努力をいたしたいと思います。  先ほど先生おっしゃいました要望個所は非常に多いけれどもなかなか予算がつかないということは、やはり全国でまたそれだけ、至るところにと言っては語弊がありますけれども、非常に多くの個所におきまして非常に要望が多いと、いうことで、その中から緊急を要するところからやむを得ずやっておるということで、全部につきましてなかなか手が回らないということで、今後とも治水施設をできるだけ伸ばしていきたいというふうに考えております。
  191. 柴田健治

    柴田(健)委員 河川局は名前のごとく河川の管理、基本は防災、治水、利水ということでしょう。だから、河川の管理の基本は防災というものをまず基軸に置いて管理体制強化をしていかなければならない、これが河川局の任務じゃないですか。
  192. 栂野康行

    ○栂野政府委員 先生おっしゃるとおり、いわゆる水害あるいはがけ崩れから地域住民の方々を守るということは河川局の任務でございます。
  193. 柴田健治

    柴田(健)委員 そういう任務を持ちながら、それで地方の公共団体には、雨期に入るとどの個所が危険個所でありますから水防対策をしっかりやりなさいよというハッパだけかける。水防法は建設省が持っている。その水防法に基づいて——水防法に関係することはこの次の委員会でまたやりますけれども河川管理の責任を持っておる建設省河川局が、危険個所が十分わかっておりながら、毎年毎年わかっておりながら、何年たっても直さないというのが今度の災害を受けた関係農民の非常に強い不満だ。私は消防団をやっておるが、消防団の幹部会でもわれわれはつるし上げを食うのです。あなたのかわりになって私はいつもしかられておる。河川局長を呼んでこいというけれども、なかなかそうはいかぬ。身近な者をしかるというのが日本人の癖なんです。われわれはしかられ通しなんですよ。今度災害地を見て、建設省というところは本当にルーズなところだな、こういう気がする。  この前、私は増岡河川局長に、もっと平素の河川管理をしっかりやりなさいよ、柳が生えたら切りなさい、竹が生えたら切りなさい、金を出しなさい、消防団が責任を持って掃除をしてあげます、三年に一遍ぐらいやりなさい、こう言うた。予算もつけない。河川はもう荒れほうだい。それは都道府県知事がやるでしょう、こう言う。地方財源はありゃしない。市町村管理だろうと県管理だろうと、国の直轄河川であろうと、水利権、水に関する限りは建設省の、建設大臣の判がなければ、どんな河川でもダムの建設もできやしない。水の権限だけは全部建設省が握って、管理体制の指導も強化も、予算もつけないというのはおかしいと私は思う。局長どうですか。
  194. 栂野康行

    ○栂野政府委員 河川の日常の管理につきましては、私たちも十分その重要性を痛感しておる次第でございます。したがいまして、河川の中におきます繁茂した木の伐採あるいはたまった土砂の取り除き、あるいは老朽した護岸の復旧というものにつきましては、直轄河川におきましては直轄河川の維持費をもって現在それに対応しておる次第でございます。それで、府県の河川につきましては、いわゆる一級河川につきましてはすでに維持修繕費の補助制度を設けまして、そういうふうな管理の万全を期しておるわけでございます。二級河川につきましては本年度からそういう補助制度を新しく設けまして、やはり同じように管理の体制を整えていきたいということでございます。  今後とも、先生おっしゃいますように、いわゆる河川管理の万全を期すように、予算面におきましても十分手当てしてまいりたいというふうに考えております。
  195. 柴田健治

    柴田(健)委員 局長にお尋ねするのですが、県なり市町村の方は、河川、道路その他交付税制度があることは御承知のとおりだと思う。交付税の中で投資的経費、消費的経費と分類されて、河川管理についての積算単価がある、基準財政需要額の単価がある。御承知ですか、単価があるでしょう。
  196. 栂野康行

    ○栂野政府委員 覚えておりません。
  197. 柴田健治

    柴田(健)委員 そういうことだから、河川管理を十分しておるとは言えない。そういう財源のことを一つも知らずに、河川管理が十分できると思うのが大きな間違いです。だから私は、建設省は重大な誤りを犯しておる、今度の災害で十分反省してもらいたい。これ以上あなたをいじめてもいけぬから遠慮しておくが、とにかくもう少し勉強していただいて、各省と連絡をとってこの河川管理体系の抜本的な計画を立ててもらいたい。  それから私は、まず直轄河川——岡山県の熊山町にある小野田川、これは上流は県管理ですからわれわれ一生懸命に直しておる。結果的には今度の災害を受けてみて、直轄河川のところは建設省が直さない、県管理のところだけは直しているから被害を受けなかった、これは明らかに建設省の責任です。同じ水系で下流は直轄河川、自分のところだけなわ張りで区域をとっておいて直さないというのはおかしい。長年の懸案です。用地買収がむずかしいとか何がむずかしいとかで、逃げの一手に使う。そう簡単に個人財産の話し合いに応じるという者ばかりいない。むずかしいことはわかっている、用地買収は。どんな場合でもそれはもう覚悟をして取り組まなければならぬ。そんな安易な考えで、ただちょろちょろ職員を入れて、そんな価格じゃだめですよとけられたら、もうそれっきり、その後半年、一年も顔ものぞかせない。こんなことだったら何年たっても、むずかしい、むずかしいという先入観が頭に入って解決しない。こういう小野田川のあの下流の二キロの間の直轄河川区域、これはもう早急に改修しなければならぬと思う。もう十年以上ほったらかし、これは早急にあなたの責任で、この席で何年までに完了しますということを明確にしてもらったら、次の質問に移ります。
  198. 栂野康行

    ○栂野政府委員 先生おっしゃいますように、吉井川の合流点から約三キロが直轄でございまして、その上が補助河川で、補助河川が順調に進んでおるということで、直轄河川におきましては昭和四十七年に用地交渉に入りまして、現在までいわゆる難航してきた次第でございます。しかしながら、最近の情勢を見てみますと、家屋が約五十戸ございますが、大半が賛成に傾いてきておるということで、建設省としましては今後とも全力を挙げていわゆる用地交渉の妥結に向かってまいりたいというふうに考えます。
  199. 柴田健治

    柴田(健)委員 局長、何年間でやるかという計画を示してもらいたい。
  200. 栂野康行

    ○栂野政府委員 いわゆる用地交渉の妥結と、それからもう一つお金の面と、両面からございますけれども、用地につきましては二、三年では何とかいたしたいというふうに考えます。
  201. 柴田健治

    柴田(健)委員 まあ悠長なことなんですね。金を少しつければすぐできるわけですよ、あんなちっちゃなところは。そう大きな難工事じゃないですね。今度の災害で、建設省がしてくれないから相当被害をこうむった。個人被害、農地被害、あらゆる被害をこうむっている。建設省の責任だ、こう言うのです。建設省、そういう点を十分責任を感じて、いま局長の言う、まあ三年はうそでしょう。二、三年が五年かかるということなんです、二と三を足せば。二年で区切ってある、そういう判断をしてよろしいな。
  202. 栂野康行

    ○栂野政府委員 二年でやるべくベストを尽くしてみたいと思います。
  203. 柴田健治

    柴田(健)委員 それで局長、いままでの河川改修の雨量、降水量というか、時間で五十ミリというのが大体、それで六百ミリ、これを基軸にして河川改修をやって、堤防の高さなりまた工法もそれに合わせてやっている。今度のを見ると、七百ミリも八百ミリも九百ミリも降った。これは別だというところで、いままで降ってないから六百ミリを基準にしてやる、今度現実に降ったんだから、これは将来の河川改修の降水量の基礎に、多少従前とは考え方を変えるのか、依然として五十ミリを単位で将来河川改修をやっていくのか。今度要するに関連事業であろうと災害助成であろうと、改良という立場は雨量を基準に考えなければならぬと思うのですが、これは依然としていままでのものをやるのか、弾力運用でケース・バイ・ケースでその河川河川において思い思いのことをやっていくのか。五十ミリを基準にやるのか、今度の雨量を基礎に置いて今度は七十ミリに考え方を変えて改修していくのか、この点どうですか。
  204. 栂野康行

    ○栂野政府委員 現在、建設省が、中小河川につきましては、一時間五十ミリ相当の雨を対象に五カ年計画あるいは長期計画を立てておるということでございます。と申しますのは、五十ミリ相当というのは五年ないし十年に一回の降雨でございまして、各中小河川におきましては、いわゆる十年ないし三十年に一回の雨を対象に計画は立てておるわけでございます。しかしながら、当面五十ミリに対応するように河川のレベルを上げていきたいということでございまして、個々の川におきましては六十ミリあるいは七十ミリというふうに、地区地区の実情に応じまして、確率によりまして十年ないし五十年に一回の雨を対象にして現在計画を立てておるわけでございます。したがいまして、今回こういうふうな大量の雨が降ったということでございますので、降った地区に応じましてその雨の量を見ながら計画を立てたい。しかしながら、中小河川の置かれた位置づけ、たとえばその重要性、都市部であるか、あるいは農村部であるか、あるいは山間部であるかというふうに、その位置づけによりまして、たとえば七十ミリ降っても五十ミリ程度改修を進めざるを得ないという場合もございます。と申しますのは、いわゆるネコの額ほどの平地がなくなるとか、そういうことを勘案して計画を立ててまいりたいと考えます。  それから、改良復旧をやる場合におきましても、実際に降った雨、大きい雨を基準にして考えていきたい。しかしながら、やはり下流部におきます河川の安全度といいますか、流下能力といいますか、そういうものも勘案して計画を立てていきたいというように考えてございます。
  205. 柴田健治

    柴田(健)委員 岡山県は、今度の被害で千町川、干田川、庄内川、三本を激特で採択してくれ、こういうことで申請をしておるのですね。これは激特にしてもらえる、こう思っておるのですが、この点が第一点。  それからもう一つは、長年の懸案の百間川、この百間川が一つのがんになっておる。この百間川に関連する倉安川だとかいろいろあるわけですが、これらの百間川の改修をやらない限り、岡山県の最大地域の三千戸ほどが水にばっさりつかった、こういうことですが、これは床上、床下含めてですが、とにかくこの百間川の改修の見通しと、それから庄内川、そして千町川、干田川、一級河川なんですが、これらの激特の採択、この点をひとつお答え願いたい。
  206. 栂野康行

    ○栂野政府委員 千町川、干田川、それから庄内川でございますけれども、激特の採択の問題につきましては、現在大蔵省と協議中でございます。  それから、百間川でございますけれども地元皆様方の非常な熱意によりまして用地関係はほとんど解決したということで、五十年から築堤工事に着手しておりまして、本年度から付帯工事に入っていきたいということでございます。この百間川の改修というものは、いわゆる一級水系旭川の目玉といいますか、水利事業のいわゆる中核的な事業の一つでございます。したがいまして、昭和四十六年から用地買収に着手したわけでございますが、今後も工事を促進いたしまして、早期に改修を完成するように持っていきたいというふうに考えております。
  207. 柴田健治

    柴田(健)委員 国土庁の長官見えておるのですが、今度の災害は、関係住民から言うと、原形復旧というものでなしに改良復申してくれという声が多いのですが、改良復旧ということになればいろいろ財源問題、そして被害を受けたそれぞれの河川体系の率の問題、ある程度の基準というものがいろいろある。そうすると、建設省だけでは解決しないという判断だ。それは国土庁が総力を挙げて協力してやらなければいかぬのじゃないかという気がするわけです。だから、大蔵省に対して、国土庁防災の最高責任を持っておる省でありますから、長官みずから大蔵省へ、ひとつ全面的に協力するというお気持ちを持ってもらいたい。この点を長官から聞いておきたい、こう思います。  それから、ダムの問題ですね。ダムをどうしてもつくらなければならぬと今度の災害で思うのですが、岡山県もいろいろな形でダムの予定地がある。難航しておるところもある。苫田ダムという難航しておるところがあるのですが、これはヘビの生殺しみたいに、やるのかやらぬのか建設省がわけのわからぬ予算をちょちょっとつけて県にハッパだけかけている。本当にやるなら建設省がもう少し熱意があってもいいなという気がするのですが、余りに熱意がないというこの二点。  それから、今度の災害の査定官ですが、農林省でも建設省でも、われわれ地方議員をしておるときに、災害査定を一週間も十日もやると、随行も大変だが、査定をせられる農林省や建設省の査定官大変なことなんですが、これらの査定に関する手当ですね。地方公共団体に負担させぬように十分見てやらなければいかぬじゃないかという気がするのです、旅費であろうと宿泊料であろうと被服費であろうと。この特別手当、査定官がどれだけ苦労しておるかということをもう少し理解をしてやらなければ、本省の方でハッパだけかけて気の毒だと思うのですが、これらの待遇改善、待遇の処置について建設省と農林省の見解を聞いておきたい。  この三つの点をお尋ねして、私の質問を終わりたいと思います。
  208. 天野光晴

    ○天野(光)国務大臣 私のお答えする分は、原形復旧でなしに改良復旧にすべきだという点だと思います。  きょう本会議で、災害対策委員会の決議が採択されております。事前に総理からも相談にあずかっております。その中の一項目に原形復旧でなしに改良復旧にすべきだということが盛られております。私は、私自身が災害にずいぶん長く関係しておりました関係から、当然原形復旧で可能なもの、問に合うものは原形復旧でいいと思うのですが、どうしても改良復申しなければならないものが数多くあるわけでございますけれども、これが予算の関係等に縛られまして原形復旧をするところに再びまた災害を呼ぶという結果が起きてくるわけでございますので、この点は、原形復旧が基本で特殊な場合が改良復旧するのではなくて、これを逆にしまして、改良復旧を主力にして特定な地域だけが原形復旧にいくんだというような方向に持っていきたいと思っております。この点につきましては、私自身もいままで委員会で勉強させてもらっておりましたので、一生懸命努力をしてまいりたいと思っております。きょうの決議にのっとりまして、委員会からもひとつ今後とも強力に御支援をお願い申し上げておきたいと思います。
  209. 栂野康行

    ○栂野政府委員 まず、多目的ダムの建設でございますけれども、これは洪水調節の面におきましてもまた水資源開発の面におきましても非常に重要でございます。したがいまして、第五次治水事業五ヵ年計画、来年度から発足します五カ年でございますが、これにおきましてもダムの建設につきましては重点を置いている次第でございます。  それから、先生おっしゃいました苫田ダムの建設の問題でございますけれども、これもやはり治水上、利水上非常に重要なダムでございます。現在、実施計画ということで、実施計画調査を実施中でございます。このダムにつきましてはかねてからいろいろ用地問題がございまして、岡山県の知事さんといいますか、岡山県の御協力を得まして、現在のところ地元との交渉を鋭意行ってきておるわけでございます。しかしながら、現在まで地元への立入調査というものにまだ至っていないということまことに残念でございます。今後は地元住民の生活再建対策といいますか、そういうものを具体化することによりまして、いわゆる地元住民の理解と岡山県知事さんの御協力を得まして、的に事業の推進を図ってまいりたいというふうに考えます。  それから、災害査定官の待遇の問題でございますけれども先生がおっしゃいますように、夜遅くまで、また家庭を離れて、ずっと災害査定に没頭しておるわけでございまして、建設省としましてもその被服の問題あるいはくつの問題、そういうふうな対応をいたしておりますし、また日常的な旅費の面におきましてその労に報いておるということでございます。
  210. 杉山克己

    ○杉山政府委員 査定する立場の事情、それに携わる人間の苦心のほどお察しいただきまして、大変ありがたいと思っております。  建設省河川局長から答弁がありましたように、農林省としても考えております。
  211. 柴田健治

    柴田(健)委員 終わります。
  212. 兒玉末男

    兒玉委員長 井上泉君。
  213. 井上泉

    井上(泉)委員 きょうは国会で災害対策についての決議がなされ、三木総理からもそれに対する見解が表明されて、国民としてはまことに結構なことだと受けとめるわけでありますけれども、そのされたことが実際の面で実行されておれば災害というものはもっともっと防げておったのではないかと私は思うのです。国会の中で論議をされたときには、よく検討し直す、二度と災害は繰り返しませんと、こういうことをもう通り文句のように言っておるわけですけれども、今度の十七号災害では、高知県では、百年に一遍の災害だ、雨量だと言って昨年の五号災害で経験をした、その百年に一遍がまたことしも来た、来年もどうなるかわからない、こういうふうな不安な状態の中に置かれておるので、私はこの点からもいろいろな問題について質問をしたいと思います。  まず第一番に、今度の災害で高知市あたりで床上浸水が二万戸出ておるわけですが、その二万戸の床上浸水者はいろいろな形で災害保険に加入しておる。ところが、その床上浸水をして畳がだめになり、家具什器がだめになっても、これが二階があるために保険金の支払いの対象にならない、こう言って多くの被保険者の方から文句が出ておるわけです。私、その辺の事情は承知をしないのですが、そんな不合理なことがあるのか、一階だったら床上浸水でもそれに対する一定の保険金が支払われるのに、その家がたまたま二階があるがために床上浸水になっても保険金が支払われない、こういうようなことがあってしかるべきことか、その点ひとつ大蔵省の保険二課長に説明願いたいと思います。
  214. 萱場英造

    ○萱場説明員 お答え申し上げます。  御指摘の事例は恐らく住宅総合保険の内容に含まれております風水災についての担保の仕方に関するものかと思われますが、現在の風水災についての担保の仕方におきましては、一応損害額が建物といいますか、保険価額の三割を超えた場合に担保する、そういう仕組みになっておりまして、御指摘の事例、一律には申し上げかねるのですけれども、恐らくは平家の場合は、同じ床上浸水でも三割を超えたけれども、それが二階になった場合には、その計算上三割を超えなかったというふうなことかと思われます。  ただ、これは具体的査定に当たっての一応の目安でございますので、個々の事例につきまして実態に即さないような処理がございますときは、個別に再調査その他をいたして、実情に沿うような措置をいたすよう指導しておるところでございます。
  215. 井上泉

    井上(泉)委員 いまの課長の説明によると、二階だからだめだ、こういうわけじゃないのですね。
  216. 萱場英造

    ○萱場説明員 二階だからということではございません。三割に達するか達しないかという問題でございます。
  217. 井上泉

    井上(泉)委員 私、そういう事例というものをずいぶん聞くわけでありますし、保険会社の説明というものも、おたくは二階だからだめだ、こういうことで保険の支払いがされないという訴えを耳にするわけでありますから、そういう点について、いま課長の言われるようなことはひとつ十分保険会社の方に注意を喚起して、被災者の気持ちというものをもっとくんで——保険に入ってもらうときには一生懸命勧誘しておいて、払う段にはなかなか払おうとしない、そういう保険会社の悪い癖というものをひとつ警告をしてもらいたいと思うのですが、どうですか。
  218. 萱場英造

    ○萱場説明員 先生おっしゃいますように、目安にいたしましても、これはあくまで目安でございまして、しゃくし定規にそれを保険契約者の理解を十分得ることなしに適用するということは実情に即したやり方とは申せませんので、その辺、もしそういった事情がございますれば個別に役所の方から調査いたしまして、十分御趣旨のような趣旨の徹底を図りたいと思います。
  219. 井上泉

    井上(泉)委員 了解いたします。  次に、大蔵省の特別金融課長がお見えになっておりますのでお伺いしたいと思いますが、大体、災害救助法が発動され、そして災害資金が出されて、それが実際災害援護資金を支給した市町村に行くまでどれくらい日数がかかっていますか。たとえば昨年の五号災害で、高知市あたりでずいぶん災害援護資金の支給を受けたわけですが、政府から金が来るまでの日数がどれくらいかかっていると思っていますか。
  220. 藤田恒郎

    ○藤田説明員 お答え申し上げます。  先生いま御質問の件につきましては、われわれ正確な日数はつかんでおりません。これは各公庫、すなわち私どもが所管しております中小三機関、国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工中金、あるいは住宅金融公庫、あるいは農林公庫、こういったものによってまちまちでございますが……(井上(泉)委員「厚生省の災害援護資金だけでいいですよ」と呼ぶ)厚生省の災害援護資金につきましては、これはわれわれの所管でもございませんので、日数を正確に把握しておりません。
  221. 井上泉

    井上(泉)委員 所管でないけれども、あなたのところが金を出さなければ、厚生省出せぬでしょう。
  222. 水田努

    ○水田説明員 お答え申し上げます。  私ども災害援護資金の貸し付けは、それに要する原資というものは一般会計予算から出しておりますので、いま大蔵省の課長が御答弁なさったのはいわゆる財投の資金枠で、確かに所管外じゃないかと思いますので、私からお答えをさしていただく方が適当ではないかと思いますので、私から高知の八月十七日の災害に基づく貸し出しについての、いわゆる一般会計からの県に対する財源の支給の状況を御報告申し上げたいと思います。  高知県につきましては、四回にわたりまして国庫金の支出をいたしたわけでございます。私ども、高知県の方から資金の交付を早くやってくれという御要請がございましたので、いわゆる貸し付けの決定した都度にそれをまとめてお支払いしましょう、全部まとまるまで待ったのでは非常に時間がかかるので、市町村単位で貸付決定額が確定したものに応じてお支払いしましょうということにしまして、第一回の貸し付け、これは十月の二十日付で約五千万円ほど支出をしております。第二回目が、十二月の二十四日に約二億六千万ほど出しております。それから三回目が、翌年の一月十九日、県の申請を待ちまして、これも同じく約五千万ほど支出いたしております。最後の第四回目の申請が約六億出ているわけでございますが、この申請分につきましては、高知県の方から一月の下旬に参りまして、この関係分につきましては私ども、当初予算に計上いたしておりました枠を超えましたので、二月の二十七日、予備費使用の閣議決定を受けまして、直ちに高知県に対して資金の交付をいたした、こういう状況に相なっております。
  223. 井上泉

    井上(泉)委員 昨年の災害の資金でもそういう状態ですが、昨年、市町村に金が来るのが非常におくれた、そのおくれた原因は大蔵省が金をなかなか出さない、こういうふうなことが言われておったわけですし、ことしの場合におきましても、私は、災害を受けて援護資金の貸し出しを受けるのは緊急を要するわけですから、もう市町村には金を出していると思うのですが、それをいま厚生省の方の答弁によりますと、県の方から要請が来て、その要請に基づいて順々に払ったと、こう言っておりますが、別に予備費から支出しなくても、厚生省の持っておる予算の枠でこのたびの十七号災害の援護資金は間に合いますか。
  224. 水田努

    ○水田説明員 今回の十七号災害、全国的な規模にわたっておりますため、貸付原資は約四十四億程度と見込んでいるわけでございます。その三分の二を国で補てんをすることに相なるわけです。この二十九億という金額の中には、今回の二割アップをいたしました改善分の原資枠が約五億入っております。私ども、当初予算に計上いたしております額は五億でございますので、約二十数億というものを一般会計の予備費から流用しなければならない、こういう関係に相なっておりまして、私ども財政当局の方に、県から交付申請があり次第、ひとつ流用についてはよろしくお願いするということで話してございます。  なお、私ども現在の手持ち資金といたしましては、すでに二億使っておりますので、三億が現在の手持ち資金と相なっている次第でございます。
  225. 井上泉

    井上(泉)委員 時間が限られておりますので、多くを詰めていくわけにはいかぬわけですが、もう被災者には早く渡さなければならぬ、援護資金だから年度末とかというようなことにならない、被災の直後にこれが支払われるということは、これは常識として判断できると思うわけですが、大蔵省の方としてはそういうふうな要求が厚生省から出された場合に、これを早急にいつでも支払っておるのかどうか、その点いま承っておきたいと思います。
  226. 兒玉末男

    兒玉委員長 主計局でないとわからないそうです。
  227. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは、後でそれを呼んでください。  次に、私はこの間の日曜日に、高知市の浸水地域をその後の状態がどうなっておるかということでずっと回ったところ、鏡川の河川等についても、決壊個所等については応急の工事もなされておるわけであります。住宅地へ行きますと、まだ畳も敷いてない。そして、きょう畳屋日曜日だから、きょう畳が入ったからというようなことで、本当に被災地の実情というものは、これは被災をされた者でないととても想像のできないような苦しみの中に置かれておるわけであります。そして、そのことは、高知市におきましても、鏡川南岸を守る住民の大会というようなものもされて、千数百の市民が県や市の行政当局をつるし上げをしておった。その憤りの声というものは、これはもっともだ、こういう判断をされたわけであります。  そこで私は、その会へ出ておった雰囲気の中からも、これは来年こそは二度と繰り返さないということでなしに、来年こういうようなことがあったら三たび繰り返すことになるのですから、三たび繰り返さないように、高知市の鏡川のそういう溢水個所等についての災害復旧並びに温水しないような防災措置というものが来年度間に合うようにとれるかどうか。これは鏡川と、もう一つは同じように溢流をしたがためにたくさんの浸水地域を出した紅水川という川があるわけですが、これも河川改修がなされておって、いま中断しておるような状態の中で、上流地域の宅地開発が進んで、その受け皿の紅水川が非常に狭いために、改修がなされていないがために、この紅水川から大量の水が溢水をし、その流域一帯を浸水しておるわけですが、そういう二つ河川についての、来年度またこういうことがあると三たび繰り返すことになるのですが、そういう状態を三たび繰り返さないような、そういう措置というものを建設省河川局の方では当然考えるべきではないか、こういうふうに私は思うわけです。  知事やあるいは市長等を住民がつるし上げても、市長もそしてまた知事も、できるだけ努力します、できるだけ努力しますということでただ頭を下げる以外に何ら明るい展望というものを市民に与えることがないわけなので、私はこの際、この点について建設省河川当局の御意見を承っておきたいと思います。
  228. 栂野康行

    ○栂野政府委員 鏡川につきましては、五十年それから五十一年と、二度にわたりまして大きな災害が起こったわけでございます。したがいまして、早急に抜本的な、恒久的な治水計画を樹立しまして、激特事業などによりまして改修工事の大幅な促進に努めてまいりたいというふうに考えます。  ちなみに、五十年の激特事業によりまして、昨年度の予算が約一億三千万でございますが、本年度は約五億六千万というふうに伸ばしておりまして、今後とも事業の促進に向かってまいりたいというふうに考えます。  また、来年洪水期までの応急的な対策としましては、地元の協力を得ないとできませんけれども地元の協力を得まして、いわゆる河川水位の低下を図るための掘削につきまして河床掘削を行っていきたい、あわせまして、洪水時の水防活動にも万全を期してまいりたいというように考えてございます。  それから、紅水川の方でございますけれども、紅水川は昭和四十三年以来、中小河川改修事業ということで鋭意改修を促進してきたわけでございます。現在、計画区間の大体真ん中付近の石神橋まで概成している次第でございます。しかしながら、その上流につきましては、家屋が密集しておるということで用地交渉が難航して、現在、円滑な改修の促進が阻まれておるわけでございます。しかしながら、今後ともこの用地買収を地元の協力を得まして促進し、改修工事の一層の促進というものを図ってまいりたい、努力していきたいというふうに考えてございます。
  229. 井上泉

    井上(泉)委員 その鏡川の点について、これは一応激特関係でことし五十一年度五億六千万というような金額、そうするとこれは五十二年度あたり、これまでの金額でどうなるのですかね、鏡川水系の関係で。  それとあわせて、紅水川の場合も、あそこの地域人たちが言うのに、川幅を広げていくということも必要だが、やはり土砂が堆積をしてきておるし、川幅の改修と同時にそういう堆積した土砂の取り除きということも流水をよくする道ではないか、こういうような意見も出されておるわけですが、その辺の地元の意見等も聞いて、いわゆる抜本的な改修と応急的な防災措置、そういうようなものはやはり考えねばならぬのじゃないかと思うわけなんで、あわせて御説明願いたいと思います。
  230. 栂野康行

    ○栂野政府委員 まず、鏡川の方でございますけれども、五十年に比べて五十一年度に大幅に伸ばしたということで、今後とも十分鏡川の促進につきましてはもうベストを尽くしていきたい、努力していきたいというふうに考えます。  それから、紅水川につきましては、先生おっしゃいますように、抜本的な対策と応急的な対策ということで、よく協議しまして、その対策につきまして十分検討してまいりたいというように考えます。
  231. 井上泉

    井上(泉)委員 それから私、目に見える川はそれでいいが、やはりそういう目に見える川と、そうでない、目に見えないけれども非常に浸水防除に重要な役割りを果たす下水道の関係、持に高知市のようなゼロメートル地帯の多いところでは下水道工事というものを促進せねばならぬ、こういうように思うわけなのですが、その下水道工事の中での二つの地点で、一つは、江ノロ川の下水工事が完了すれば、私はこの地域の浸水というものも大幅に解消されると思うわけですが、それが全体計画と予算の伸びぐあい、そういうようなものを見ると、来年も再来年も一体どうなのであろうか、こういう不安がしてならないわけなんです。現在、本管のいわゆる下水道工事もしておる、一方ポンプ場の工事もしておるわけなんですが、これらを早く利用できるような状態にまで持っていくことができないかどうか。少なくともこれは五十二年なりあるいは五十三年ごろまでにはポンプ一基ぐらいの稼働ができるような状態にこの下水道工事というものを進める必要がありはしないか、こういうことが一点。  それからもう一点は、やはり今度の大規模な浸水地域を出した小石木、河ノ瀬、これら同和地区が約千世帯あるわけですが、この地域におきまする通称小石木というところの下水道計画にいたしましても、今年やっと一億一千万の、まあ市の当局に聞くと、建設省の方からも要望どおり満額予算も配分がされて、工事にも着手をした、こう言われておるわけですけれども、五十一年度一億一千万の工事費であったら、五十二年、まあ予算のつきぐあいによるわけですけれども、いまの普通のペースでやればとても二年、三年先じゃない。そういう点からも、この間の住民大会でも、下水道工事の早期完成ということがこの地域の排水をよくするためのかなめだ、こういうように言われておるわけですが、この二つの下水道工事について、私はなるべく早く、そして少なくともこれが普通のペースでこの工事をするのではなしに、こうした災害常襲地帯であるし、ゼロメートル地帯であるというところから、なお突き進んで取り組んでいただきたいと思うわけですが、その点についての建設省見解を承りたいと思います。
  232. 遠山啓

    ○遠山説明員 お答えいたします。  まず、江ノロ川でございますが、先生おっしゃいましたように、現在、ポンプ場とそれにつながります幹線の工事をやっておりまして、私どもは五十三年度までにはポンプ場を稼働させたい、こういうふうにいま事業を促進しておるところでございます。  それから、小石木でございますが、これは都市下水路事業で行っておりますが、五十年度から事業に着手いたしたものでございまして、現在そのポンプ場の土木工事を施行いたしております。先生いまおっしゃいましたように、私どもも、こういう浸水のひどいところでございますので、なるべく早くこれが使えるようにということで努力してまいりたいと思いますが、現在、ただいま申しましたような土木工事をやっておりまして、この次に上屋を建て、それからポンプを据えるといった工事が続いてまいります。これらの工事を急がせまして、一日も早く浸水の解消に努めたい、こういうふうに思っております。
  233. 井上泉

    井上(泉)委員 一日も早くそういう工事が完了するように督促をしていただくということはありがたいことですけれども、しかし、やはりそれについては予算的な裏づけというものもなされなければならぬし、五十三年度じゅうに仕上げるといっても、五十三年度の末になるのと五十三年度の初めになるのと大変な違いですが、これはその工事の状態によって、金を早くつけて遅くても五十三年度の初めには工事が完了できるような、つまり五十二年の七月、八月の雨期ごろにはそのポンプが稼働できるような状態をつくるということは、私は非常に金が生かして使われるし、工事の効果というものも生かすことができる、こういうように思うので、そういうふうな努力をなされてはいかがかと思うわけですが、御見解を承りたいと思います。
  234. 遠山啓

    ○遠山説明員 先生おっしゃるとおりでございまして、私どももポンプ場をつくるからには洪水期までに間に合うようにしたいというふうに思っております。ただいま申しましたように、工期もございますので、市の方とよく協議いたしましてなるべく早く、たとえば五十三年度の雨期までに間に合うようにいたしたいと思っております。
  235. 井上泉

    井上(泉)委員 ぜひそういうふうにお願いしたいと思うわけです。  そこで、私はこの機会に伺いたいのは、建設省でこの間、鏡川ダムの問題についての特別委員会をつくって、ダムの問題について御検討に入られたという話を聞いたわけですが、ああいう組織をつくることは結構であるし、必要であろうと思うのですが、ああいう組織をつくってそれに逃げ込んでしまってずっとおくれるようなことがあっては、これは組織をつくった意味がないと思うのですが、大体、委員会としては結論というものをいつまでに出す予定でやっておられるのか、この機会に承っておきたいと思います。
  236. 栂野康行

    ○栂野政府委員 特別委員会をつくりまして鏡川水系のあるべき姿を現在検討しておるわけでございますが、おとといでしたか、第一回の会議が持たれましたが、知事さんが主宰した会議でございまして、今後できるだけ早期に結論を出していきたいということでございます。
  237. 井上泉

    井上(泉)委員 いや、早期だとかなんか言っても、百年計画の中で五年先に仕上げれば早期ということになるのですけれども、早期と言っても目標はあなた持っておるでしょう。大体いつごろまでにその目標があるか、言葉だけで早期と言うのじゃ、どうも納得しかねるのですが、およその目安くらいは持ってやらないと、ただのんべんだらりと会議を持ったから、会議を持ったからということでは、これは意味をなさぬじゃないですか。
  238. 栂野康行

    ○栂野政府委員 知事さんが主宰しております会議でございまして、私から何とも申し上げられませんけれども、恐らく一年から二年くらいかかるのじゃなかろうかというふうに思われます。
  239. 井上泉

    井上(泉)委員 私、その点、知事が主宰をしておるということであるならば、なおこれは知事にもそのことを強く申し入れて、ダムの問題についてはいろいろと意見もあるところですけれども、私も何もダム無用論者ではないわけで、ダムの効用というものは十分認めて、そしてまた、水道関係等から考えてもダムというものは必要なものでありますが、しかしそのダムによって被害をもたらされることのないような、そしてダムによって河川が荒廃をしないような、そういうダムでなくてはならないと思うので、その点については、知事が主宰をしておるといっても、現実に鏡川のダムによっていろいろな問題が生じておるわけですから、その点はやはり建設省も積極的に、知事を督励してでも一これは知事の管理河川と、こう言いましても、重要な河川であるわけなので、都市河川としての重要性を持っておるので、建設省の方としても知事をもっと督促をして、知事に依存をするというのじゃなしに、知事を指導していくというくらいの姿勢を持ってもらいたいと私は思います。  この間、鏡川の南岸を守る会で、与党の大西代議士が、鏡川を今度は直轄河川にするようなことになっておる、一級河川に格上げをすることになっておる、こういう話も住民にしておるほどの重要な川でありますので、そういうふうなことがありとするならば、そのこともあわせてこの機会に承っておきたいと思います。
  240. 栂野康行

    ○栂野政府委員 先生のおうしゃるとおり、鏡川水系の検討というものは非常に重要でございます。したがいまして、建設省としましてもやはり知事さんに協力しまして、できるだけ早く結論を得るように持っていきたいというふうに考えます。  一級河川につきましては、この鏡川の改修の延長の長さ、あるいは現在激特でやっておりますように、できるだけ早く事業を推進していくという上におきまして、今後とも二級水系としてその促進にできるだけ全力を挙げていきたいというふうに考えてございます。
  241. 井上泉

    井上(泉)委員 河川関係建設省関係はもういいです。  そこで、厚生省の方に戻るわけですけれども災害資金の貸し出しについての災害援護資金が、今度皆さん方の努力によりまして、災害弔慰金と援護資金の貸し付け等の政令案が新しくできたわけですが、三十万円が三十五万円になった。それから、四十万円が五十万円になった。まあ百二十万、八十五万、七十万と、こういうふうに段階があるわけですが、おしなべて三十万のようであるわけですが、あれだけ個人被害を受けたのに三十万とは一体どういうことですか。今度三十五万になるのでしょうけれども、どういうわけであれだけの被害を受けておるのに三十五万になるのですか、最低に。
  242. 水田努

    ○水田説明員 お答え申し上げます。  災害時の各被災者の方に対しましては、政府としては各種の融資制度が用意されているわけでございます。たとえば住宅金融公庫からの復興資金、中小企業者の方については中小企業金融公庫その他の融資制度があるわけでございますが、私どもの分担いたしておりますのは、いわゆる災害時における政府の各種の融資制度の中で、いわゆる低所得者を中心とされました方の被災時における生活の立て直し資金としての福祉資金という性格が法律上付与されておりまして、それに基づいてお貸しを申し上げておるわけでございまして、これは先生、専門家でございますので御承知のとおりでございますが、厚生省が所管しておりますところの世帯更生資金や母子福祉資金あるいは寡婦資金と同様のいわゆる低所得資金としまして人的保証だけでお貸しをし、しかも償還期限あるいは連年災におけるときの据え置き期間の延長、それから返済能力がない場合における猶予、その間の延滞利息はつけない、いわゆる低所得者の方の被災時における生活の立て直し資金という形のものでございまして、私どもはそれぞれの状況に応じまして、いま申し上げました厚生省の所管する福祉資金とのバランスを保ちながらこういう貸付制度を行っているわけでございます。
  243. 井上泉

    井上(泉)委員 そういうことでやっておるけれども、今度それが段階をつけておるけれども、厚生省の方としては三十万円にもう決めつけておるのかどうか、今度の改正で三十五万ですけれども、別に百二十万だとか七十万だとかいう、そういう段階は必要ないんじゃないか、私は、こういう段階があるにもかかわらず、実際この資金の貸し出しを受ける者はほとんど最低の額だから、それが非常に不思議でならぬ。りっぱなごちそうはたくさん出しておるけれども、食べるものはこれだけしか食われぬぞよと、こういうやり方じゃないかと思うわけです。その点はどうですか。  これはたとえば連年災害、昨年も災害を受けて、昨年災害を受けてから買うた——いまテレビなんか持ってぜいたくなと言えばそれまででしょうけれども、去年はテレビを買うた、あるいは電気冷蔵庫を買うた、あるいは畳も新しく買うた、またことしも買わなければいかぬ。それで、ことしはそういう旧債の支払いもあるし月賦の支払いもあるから、ことしは連年災害のところは、三十万だけれども五十万にしてやるというようなことはできないものかどうか、その点、厚生省の見解を承りたいと思います。
  244. 水田努

    ○水田説明員 お答え申し上げます。  井上先生から上げ幅が低いんではないかという御指摘もいただいているわけでございますが、私どもは、衆参の災害対策特別委員会の強い御要請に基づきまして財政当局と強力に交渉いたしまして、先ほども御説明いたしましたように、今回の改善によりまして、一般会計からさらに五億の手当てをし、さらにそのほかに二十五億の財源手当てをしなければならぬという中で、しかも先生の御指摘のように、県から申請があった場合には早急に予備費の使用をお願いするという条件のもとで精いっぱいの努力をいたしたつもりでございますので、その点御理解をいただきたい、このように思う次第でございます。
  245. 井上泉

    井上(泉)委員 その点、私は同じく厚生省の環境整備課長にお尋ねするわけですが、災害のごみというもの、これはごみと呼ぶことは非常に酷な呼び方でありますし、いわば災害廃棄物ですが、この災害廃棄物は一般ごみと同じような形の補助の仕方ではなしに、やはりこれは補助率をアップするなり何なりの処置をしてやらないと、これは被災地の自治体は大変ですよ。その点、環境整備課長の御見解を承りたいと思います。
  246. 森下忠幸

    ○森下説明員 お答えいたします。  通常の廃棄物処理事業、清掃事業につきましては国庫補助の制度は実はございませんで、施設をつくりますときに国庫補助をいたしております。災害の場合に限りまして二分の一の補助をいたしております。  今回の台風十七号の場合は、被害の範囲が非常に全国的でございます。二十一の道府県で百五十三の市町村に及んでおるわけでございますが、それぞれの被害を見てみますと、被害程度とか態様につきましては、若干の例外はございますけれども、従前の災害と大体似ておるというようなことで、これらの災害につきましても従前どおり二分の一という国庫補助でやってまいりたいと思います。  しかし今後、来週からでございますけれども、私どもから係官を派遣いたしまして現地で査定いたすわけでございますけれども、この段階でできるだけ市町村の負担を軽減するように考えてまいりたいと思います。  それから、若干の市町村では大変問題はあるということも私ども承知しておりますし、市町村の規模とか財政力に比べまして大変負担が多いところは検討しなければならぬということも、私ども、先日のこちらの委員会の御指示もありますものですから、ただいま全国的なこういった状況を調べておりますし、それから来週から出てまいります査定のための調査、この結果をあわせまして、先生指摘のようなことも検討してまいりたいと考えております。
  247. 井上泉

    井上(泉)委員 時間がなくなりましたので、私は、委員長に、もうわれわれの任期も間もなくなくなるわけですから、こういうことを注文してもどうかと思うわけですけれども、きょうも本会議でああいう特別議決をされるほど災害という問題については国政上非常に重要な課題として取り組んでいかなければならないと思うわけですが、なお連年災害、たとえば去年もやられ、ことしもやられるという、こういう連年災害地域については、災害援護資金の問題にいたしましても、あるいはいわゆる災害ごみのなににしても、これの国の補助の対象というものは見直すべきではないか。その点は先般の災害特別委員会で、私は、連年災害地域における災害援護資金の百八十五万の枠を解けよ、こういうことを言ったときに、国土庁の政務次官は、これはぜひ検討しなければならぬ問題だ、こういうふうな見解も言っておったわけですが、そういう連年災害地における災害援護資金の貸し出しのあり方、貸し出しの金額の問題、そうしてまたいわゆる災害ごみの処理の問題、こういうふうなものについて、この特別委員会でその方向というものを検討していただけば、やはりそれが行政に対する力にもなり、また行政もその委員会の方針に従った対処の仕方をされると思うのであります。  その点が今度の、いまの特別委員会におけるいろいろな災害に対する緊急な対策、あるいはまたいままでの対策を改正した条項によっても明らかでありますが、その点についての委員長見解を承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
  248. 兒玉末男

    兒玉委員長 ただいまの件については、先般の小委員会でも種々検討された問題でございますので、今後さらに最終的な委員会でもその辺のことも十分御協議して対処したい、こういうふうに思います。
  249. 井上泉

    井上(泉)委員 どうもありがとうございました。
  250. 兒玉末男

    兒玉委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十七分散会