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1976-10-06 第78回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月六日(水曜日)委員会において、 次のとおり小委員及び小委員長を選任した。  災害対策の基本問題に関する小委員       今井  勇君    越智 伊平君       島田 安夫君    竹中 修一君       野田  毅君    羽田  孜君       宮崎 茂一君    金丸 徳重君       兒玉 末男君    柴田 健治君       柴田 睦夫君    高橋  繁君       宮田 早苗君  災害対策の基本問題に関する小委員長                 今井  勇君 昭和五十一年十月六日(水曜日)     午前十時四分開議  出席委員    委員長 兒玉 末男君    理事 今井  勇君 理事 越智 伊平君    理事 野田  毅君 理事 金丸 徳重君    理事 柴田 健治君 理事 柴田 睦夫君       大村 襄治君    加藤 六月君       佐藤 文生君    戸井田三郎君       中尾  宏君    宮崎 茂一君       武藤 嘉文君    村田敬次郎君       田中 武夫君    美濃 政市君       山本 幸一君    浦井  洋君       津川 武一君    山原健二郎君       高橋  繁君    広沢 直樹君       宮田 早苗君  出席国務大臣         農 林 大 臣 大石 武一君         建 設 大 臣 中馬 辰猪君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 天野 光晴君  出席政府委員         防衛庁防衛局長 伊藤 圭一君         国土政務次官  江藤 隆美君         国土庁土地局長 松本 作衛君         文部省社会教育         局長      吉里 邦夫君         厚生省医務局長 石丸 隆治君         建設省河川局長 栂野 康行君         消防庁長官   林  忠雄君  委員外出席者         国土庁長官官房         審議官     紀埜 孝典君         国土庁地方振興         局過疎対策室長 近岡 武男君         大蔵省主計局主         計官      西垣  昭君         厚生省環境衛生         局企画課長   新津 博典君         厚生省医務局整         備課長     吉原 健二君         厚生省社会局施         設課長     水田  努君         農林大臣官房審         議官      杉山 克己君         農林大臣官房審         議官      渡邉 文雄君         農林省構造改善         局建設部長   岡部 三郎君         食糧庁業務部長 戸塚 金郎君         林野庁指導部長 藍原 義邦君         中小企業庁計画         部金融課長   松尾 成美君         気象庁観測部長 小林寿太郎君         郵政省電波監理         局無線通信部陸         上課長     楠  正暢君         建設省都市局都         市計画課長   台   健君         建設省都市局公         園緑地課長   三好 勝彦君         建設省河川局防         災課長     井沢 健二君         建設省道路局企         画課長     山根  孟君         建設省住宅局住         宅総務課長   吉田 公二君         自治大臣官房参         事官      平岩 金一君         消防庁防災課長 永井 浤輔君     ————————————— 委員異動 十月五日  辞任         補欠選任   津川 武一君     浦井  洋君 同月六日  辞任         補欠選任   古川 喜一君     山本 幸一君   山本弥之助君     美濃 政市君   浦井  洋君     津川 武一君 同日  辞任         補欠選任   美濃 政市君     山本弥之助君   山本 幸一君     古川 喜一君 同日  理事田村良平君同日理事辞任につき、その補欠  として越智伊平君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  小委員会設置並びに小委員及び小委員長選任の  件  参考人出頭要求に関する件  災害対策に関する件      ————◇—————
  2. 兒玉末男

    兒玉委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任及び理事補欠選任についてお諮りいたします。  理事田村良平君から理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 兒玉末男

    兒玉委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次に、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 兒玉末男

    兒玉委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  それでは、理事越智伊平君を指名いたします。      ————◇—————
  5. 兒玉末男

    兒玉委員長 災害対策に関する件について調査を進めます。  この際、小委員会設置の件についてお諮りいたします。  去る二日の理事会の協議に基づきまして、災害対策の基本問題について調査を行い、必要な対策を樹立するため、本委員会に小委員十三名より成る災害対策の基本問題に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 兒玉末男

    兒玉委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次に、小委員及び小委員長選任の件についてお諮りいたします。  小委員の各会派割り当ては、自由民主党七名、日本社会党三名、日本共産党革新共同一名、公明党一名、民社党一名とし、小委員及び小委員長委員長において指名いたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 兒玉末男

    兒玉委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  それでは、災害対策の基本問題に関する小委員に       今井  勇君    越智 伊平君       島田 安夫君    竹中 修一君       野田  毅君    羽田  孜君       宮崎 茂一君    金丸 徳重君       兒玉 末男君    柴田 健治君       柴田 睦夫君    高橋  繁君       宮田 早苗君 以上十三名を指名し、小委員長今井勇君を指名いたします。  なお、本委員異動等に伴う小委員及び小委員長辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 兒玉末男

    兒玉委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————
  9. 兒玉末男

    兒玉委員長 台風第十七号による災害対策について質疑申し出がありますので、順次これを許します。今井勇君。
  10. 今井勇

    今井委員 今回の台風十七号のことにつきまして、若干の質疑をいたしたいと思いますが、私どものおります愛媛県のことについて伺いたいと思います。  愛媛県は、台風十七号によりまして、東予地方中心といたしまして、現在わかっております範囲内では、死者が十名、行方不明一名、重軽傷者三十五名ということでございまして、被害総額が現在わかっておりますもので約六百十八億でございます。標準税収約三百億という愛媛県にとりまして、六百億に余る被害を受けたわけでございますから、本当に古今未曽有といっていいほどの災害でございます。  この災害は、九月八日から九月十四日にわたりまして、異常とも言われます雨によりまして、概略で申しますれば、この一週間に年間雨量の二分の一以上が降ったということでございます。そういうことで、至るところで災害が起こりましたが、これは地質が大体花崗岩の風化地帯でございまして、そういうところで山腹の崩壊あるいは、カン山などが崩れまして、土砂を流出させまして、河川はんらんあるいは決壊を随所に招いたわけでございます。  そこで、この災害について以下各大臣お尋ねをいたしたいと思いますが、国土庁長官がお見えでございますので、まずお尋ねいたしたいと思います。  この災害激甚災害として御指定になるということをテレビで承りまして、激甚災の、第二条に基づきます御指定を十月八日になさるということでございますが、それで間違いがないのかどうか、まずお尋ねをいたしたいと思います。
  11. 天野光晴

    天野(光)国務大臣 今度の三木内閣の改造で国土庁長官を拝命いたしまして、災害を担当することになりました。どうぞひとつ皆様よろしく御協力お願い申し上げます。  ただいまの今井君の質問でございますが、激甚災指定は、明後日金曜日の閣議でいたす予定でございます。
  12. 今井勇

    今井委員 続きまして天災融資法のことについて承りたいのですが、天災融資法発動を速やかにしてくれというのが非常に強い要望でございます。これは農林大臣であろうと思いますが、天災融資法発動をいつごろなさるのか。それから同時に、激甚災の中で、第八条によります激甚地指定、すなわち特別被害地域として県を御指定になるというのが八条にございます。これはいつごろなさるのか、御答弁を願いたいと思います。
  13. 大石武一

    大石国務大臣 お答えいたします。  今回農林大臣を拝命いたしまして、一生懸命やる決意でございますので、よろしくお願いを申し上げる次第でございます。ことに、最初仕事がこの災害対策でございます。これは非常に大事なことでございますので、一生懸命に努めまして、何とかできる限りのよい仕事をしてまいりたいと考えております。  天災融資法発動は大体今月中、できますならば二十日前後と考えておりますが、大蔵省との話し合いもありますので、今月中にはこれを発動いたす予定でございます。
  14. 天野光晴

    天野(光)国務大臣 農林省と並行してこれを行います。
  15. 今井勇

    今井委員 次に、国土庁長官にお伺いしますが、今度の災害を振り返ってみまして、原形復旧ではなかなか再度災害を防げないという感を強くいたしております。そのいい例が愛媛県にもありますが、実は石鎚山という山があります。そこに有料道路をつくったわけであります。それが数年前の災害を受けまして、大変崩れました。それから県が学者、研究者に依頼をいたしまして、抜本的な防災対策というものを決めまして、そして相当な県費をつぎ込んで直しました。そうしたら、今度一千ミリを超える雨が降りましてもびくともしていない。いかにそういった防災の面を十分配慮することによって災害が防げるかということを如実に示したわけでございます。それから考えましても、災害被害の大きかったところについては改良復旧でぜひやってくれという声が非常に強いわけでありますが、災害に対します長官の基本的な認識をひとつお示しいただきたいと思います。
  16. 天野光晴

    天野(光)国務大臣 今井議員は、私より専門家ですからよくおわかりであろうと思いますが、もとより災害復旧は、原形復旧ではまだ災害の起きる可能性が非常に強いわけでありますから、できるだけ改良復旧に持っていくというやり方はいままでも建設省で現実にやっているところであると思います。そういう点で、これからの災害復旧考え方は、原形復旧を基礎としてではなしに、改良復旧中心として原形復旧でいくんだというような逆なかっこうに持っていきたい、こういうように私、予算委員会答弁しているのでございますが、できるだけ改良復旧でいくように、建設省も見えておりますが、建設省当局とよく話し合いをいたしまして、そういう方向に持っていくように努力をいたします。
  17. 今井勇

    今井委員 いまの国土庁長官の御答弁、まことに力強く感じます。建設大臣もお聞きでございますが、同様な趣旨でよろしいと承ってよろしゅうございますか。
  18. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 今回、建設大臣を仰せつかりました。微力ですけれども全力を尽くして御期待にこたえたいと思いますから、皆様方の御支援をお願いいたします。  ただいまの改良工事につきましては、国土庁長官と全く同様でございます。
  19. 今井勇

    今井委員 農林被害も非常に強うございましたが、農林大臣も同様な趣旨と承ってよろしゅうございましょうか。
  20. 大石武一

    大石国務大臣 全くそのとおりでございます。
  21. 今井勇

    今井委員 もう一つ国土庁長官にお伺いしますが、ただいまこの委員会の冒頭に、基本問題に関する小委員会というのができまして、不肖私が小委員長を仰せつかるわけでございますが、そこでいたします大きな問題は、理事会等で議論しました中では、個人財産災害の補償でございます。土木にいたしましても農業にいたしましても、それぞれ被害を受けました場合には何らかの救済措置がございますが、残念ながら個人財産を失った場合には、それを適確に補償するといいましょうか、そういう措置がないわけでございまして、この問題を深く掘り下げてみようじゃないかということで小委員会が発足いたしました。鋭意やりたいと思いますが、いずれにいたしましても、この問題を解決するためには相当な財政負担を要することだろうと思いますので、ひとつ政府の方においても積極的な御協力を賜りたいということでございます。これは各省にわたりますが、ひっくるめて国土庁長官の御決意のほどをお伺いしておきたいと思います。
  22. 天野光晴

    天野(光)国務大臣 個人災害の問題は、いつも災害の起きるたびに問題になる一番深刻な問題でございます。  私も災害関係はずいぶん長く勉強させてもらっておったのです。昭和四十五年ころだと思いますが、いわゆるお見舞い金制度という共済制度をつくりたいと思いまして、総理府に予算を計上していただいて、三年間調査をしてもらった経験がございますが、いろいろ問題がありまして、どうしてもできなくなりまして、やむを得ず最初五十万という  これもいろいろ問題があったのですが、踏み切ったのが、おととし改正になりまして、いま百万になったわけであります。  人命の損傷と相まって物件の方もやはり考えてやる必要がある。人間の方は生命保険というのがありますが、物件の方は総合保険になりまして、非常に保険料金が高いのでございまして、なかなかむずかしいと思います。特に二、三年前の多摩川の水害のように、屋敷ごと、家ごと流れてしまった。いまの小豆島土砂崩れのように、屋敷も家も何もなくなってしまったという者の生活の基盤である家屋敷復旧をするのは、なかなか容易な問題ではございませんので、その点までも小委員会がひとつ考えてほしいと思います。私の方では、とれるかとれないかこれからでありますが、調査費を計上いたしまして、私の方は私の方で勉強させてもらいますから、できることなら小委員会でタイアップしてこの問題の究明をしてもらうように私の方からもお願い申し上げておきたいと思います。
  23. 今井勇

    今井委員 天野長官の大変心強い御答弁でございました。われわれも小委員会の中で鋭意努力をいたしたいと思いますので、ぜひ御協力を賜らんことを重ねて要望いたしておきます。  次に、建設大臣に数項目お尋ねをいたしたいと思います。  災害を受けましたときに査定を受ける設計書をつくるわけでありますが、県でもそうでありますが、特に各町村になりますと財政力が非常に弱い、また技術者が少ないということで、自分でつくれないものですから設計を表に出すということでございます。いわゆる設計を外注するわけであります。外注をいたしますと当然お金が要るわけですが、そういった設計委託費といいましょうか、それが相当な額に上るわけでありますが、これは何とかして各町村に、あるいは県の財政力をカバーしてやらなければならぬと思いますが、今回の災害に対して、設計委託費補助というものを考えておられるかどうか、御答弁願いたいと思います。
  24. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、当然補助を考えております。また、補助以外の分については特交といいますか、それを充てたいということで、いま自治省と話をいたしております。
  25. 今井勇

    今井委員 ぜひひとつこの補助の問題は御配慮をいただきたいと思います。  それから、災害が非常にひどいものですから、再度災害を防止するという意味で、本年度から激甚災害対策特別緊急事業、要するに激特という事業をやっております。これは非常に喜ばれておりますので、ひとつ激特という事業を幅広く、広域にわたって実施をしていただきたいと思いますが、この激特についての基本的な考え方、そういうものをひとつ建設大臣からお伺いしたい。
  26. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 私も先般各地被害地調査いたしたわけでありますが、激特についてはもう非常に大きな期待と希望があるようでございます。建設省におきましては、極力幅を広げた解釈をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  27. 今井勇

    今井委員 ちょっと具体的なことですから事務当局の方から御答弁願いたいと思いますが、荒廃渓流につきましては砂防の激特に、それから急傾斜崩壊発生地域につきましては緊急急傾斜崩壊対策事業、あるいは河川被害については河川激特に、また地すべり現象の激しいところについてば地すべり激特に、それぞれ採択を願いたいというのが県の要望でありますが、ひとつ事業の内容をよく見ていただいて、極力採用をしていただくようにお願いをしておきたいと思いますが、河川局長どうですか。
  28. 栂野康行

    栂野政府委員 被害実態に応じまして、極力激特とかそういう制度を採用しまして、改良復旧に持っていきたいというふうに考えております。
  29. 今井勇

    今井委員 そのときに、特にお願いしておきますが、やはり範囲を広くとりまして、広域的なそういう防災措置をとりませんと効果がないということでありますので、広範囲にわたっての激特事業採択ということをぜひお願いをしておきたいと思います。  次に、建設大臣にもう一つお伺いしたいのは、今度私も、愛媛県の災害のみならず、岐阜の方にも行ってまいりましたが、洪水の防御としましてはダムをつくるということが非常にてきめんに効いております。ダムのあるところはそれだけ災害が防げておりますが、なお非常に下流部の方につきまして土砂が異常に堆積をしておる。それによって水の流れをとめておるんじゃないかと思われるものがたくさんあります。そういうことで、今後治水上、異常堆積土砂による洪水はんらんを防ぐために、そういう土砂をとりまして、砕石のかわりに土木工事用砂利に大いに使うべきじゃないか、一挙両得だと思うわけです。これをひとつ大いに進めていただきたいと思いますが、基本的な考え方大臣から承りたいと思います。
  30. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 私も実は香川県の小豆島に参ったところが、あそこは土砂が流出して大変被害の大きいところでありますが、あの小豆島におきましても、ダムのあるところは全然決壊していないという著しい差異があるわけでありますから、ダムについては積極的に考えなければいかぬと思います。  また、下流土砂掘削等につきましては、どっちかというと、従来建設省乱掘削をしてはいけないということで、許可についてはいろんな権利が錯綜しておりまして、しばしば訴訟が起こったり裁判ざたがありまして、建設省ではどっちかというとやや慎重に取り扱ってきたような感じがいたしておりますが、建設省自体の金でなかなか土砂の排斥ができないものですから、今後はそういうことにつきましては、早速協議して積極的に活用を図りたい、こういうふうに考えております。
  31. 今井勇

    今井委員 ぜひひとつ、どんな川でも砂利をとれと言っているわけじゃございません、異常な堆積によって治水上非常に支障のある川については、積極的に、大臣の御答弁のとおりそれを掘削することによって、それをさらに土木用砂利に利用するというのは一挙両得だろう、こう思いますので、積極的な御指導お願いいたしたいと思います。  次に、農林大臣にお伺いをいたしたいと思います。  被害農家に対する資金の問題でありますが、たとえば天災融資法発動になる。それから、自作農維持資金等が貸し付けになる。これは各地からそれぞれ相当な額の御要求があろうと思いますので、そういった枠の確保は大丈夫なのか。せっかくそういういい制度がありましても、申し込んでも借りられないということでは非常に困るわけですが、まずその枠の確保についての御決意のほどを承りたい。
  32. 大石武一

    大石国務大臣 お話のとおり、ことしはそういう制度融資の枠を大幅に広げねばならない状態だと思います。現在でもある程度の枠は用意してございますが、当然これは足りないと思います。そういうことで、これは予備費からできるだけ多く要求する決意でございますが、その実態を把握しないとなりませんので、いまそれを急いでいるわけでございます。
  33. 今井勇

    今井委員 さらに、農民諸君にとっては、すでに借りているお金が相当あるわけです。そういうものが返済の時期になってくるようなものがあるわけですが、何さま今度の災害で収入がとだえるわけでありますから、そういったすでに借り受けている制度資金、そういったものの返済等条件緩和、これはぜひやっていただきたいと思いますが、これはいかがでしょう。
  34. 大石武一

    大石国務大臣 おっしゃるとおり、たとえばさらに延納を認めるとか、いろいろな条件緩和をいま考えて、そのようにいたしたいと存じます。
  35. 今井勇

    今井委員 愛媛県はミカンの産地でありまして、今度の被害地でもずいぶんそのミカン園崩壊をいたしております。国の施策の一つとして、温州ミカンが余るものですから、温州ミカンを他の品種に切りかえなさいということで、高接ぎをして品種更新をしております。ところが、せっかく高接ぎをした木が今度の災害でべらりやられてしまって、元も子もないわけです。そうすると、もう一度そういうことをしなければならないわけですが、補助金は二遍やるわけにはいかぬというようなお話もあるようでありますが、元も子もないものですから、これはひとつ特別な措置で次の品種更新ができるような特別なことをお考えいただきたいのと、それから品種更新をいたしますと、何年間かは実がなりません。そうすると、農民が困るものですから、何年間かのそういった経営のための資金をもらっているわけですが、今度新しくそういう改植等をいたしますと、さらにその期間がいままでより先に延びるわけでございますね。そうすると、そういう資金もさらに貸してもらわなければならぬということになりますが、これはどうでしょう、やっていただけますか。
  36. 大石武一

    大石国務大臣 たとえば補助金を二回出すことですね、これは何かむずかしいようでございますが、これは研究はします、できるだけそういう農民が助かるようにいろいろ努力いたしますが、まだ具体的なことがよくわかりませんので、個々の事例を集めまして、それについて前進的にこれは検討いたしたいと思います。
  37. 今井勇

    今井委員 急な質問で、大臣も御答弁にお困りなようですが、現にあるものなら私は二遍くれと言わないのですよ。せっかく木を切りまして、新しく接ぐわけですね。違う種類にやるわけですね。元も子もなくなってしまったものですからね、また新しく一から始めなければいかぬわけですね。だから、これは補助金の二重取りにならないと私は思うのですよ。また新しくやるのですから、その実のなるのはまた二、三年先になるわけですね。当然、その間の生活資金というのは貸してもらわなければいかぬわけですから、ひとつ大臣の御決意のほどをもう一度はっきりしていただきたい。
  38. 大石武一

    大石国務大臣 いまいろいろのお話がありますが、一、二の例でございますが、そういうことにつきましては、実際にそれが可能であるかどうか、いろいろな法的な根拠は私にはわかりませんので、もう少し考えさせていただきたい。前進的にやってまいることは間違いございません。また、新しい制度が必要な場合には、新しい制度をつくることにやぶさかでございません。もう少し検討させていただきたいと思います。
  39. 今井勇

    今井委員 大臣の誠意ある答弁であると認めますが、ひとつ御研究くださいまして、私は無理じゃないと思いますので、ぜひ実現方のお骨折りをいただきたいと思います。事務当局大臣をよく補佐して、できるような段取りにしてもらいたいと思います。  もう一つ、救農土木のことで農林大臣に伺いたいのですが、収穫皆無の農家等については、現金収入の道がばったりないわけです。予算委員会等でも前向きの答弁をされておりますが、救農土木の基本的な考え方大臣いかがですか、再度承りたい。
  40. 大石武一

    大石国務大臣 やはりことしから来年の収穫時期までの一年の間の生活の維持ですね、これは生活を余り落とさないように、何とか生活を守ってやることと、それから次年度以降の再生産に対する準備だけはさせなければならないと思います。そういう意味では、まず現金の収入を確保しなければなりません。その中では、救農土木的な事業はやはり一番効果があると思います。そういう意味で、こういう罹災農民の方々が別に出かせぎに行かなくても、自分のうちにおってもそのような収入の道があるような事業をいろいろと考えてやりたいというのが願いでございます。  ただし、その前提となりますものは、できるだけ罹災者に現金を多く、国のいろんな事業に使われる金が多く農民の間に行くことが一番望ましいと思います。そういう意味では、余り大規模な機械を使うとかいう事業ではなくて、人手を多く要するような事業が望ましいと考えているわけでございます。そういう意味で、たとえば町村道を直すとかあるいは農道をつくるとか、あるいは林業関係の林道とかいろいろなことがございます。そのような仕事中心としてできるだけの現金が農民の間に届くような方向で進めてまいりたいと考えております。
  41. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 昨日の参議院予算委員会で御答弁申し上げたのですが、救農というのは、結局農民を救うということであって、決して農林省専属の土木事業だけではない、こういうふうに考えております。したがって、いま農林省実態調査を進めておりまして、各市町村、府県あるいは北海道、そういう地方団体でどういう仕事が適当であるか、災害の規模はどれぐらいであるかということについての調査ができ次第、農林省と協議して並行的に進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  42. 今井勇

    今井委員 大変ありがたいと思いますが、そのときに大事なのは、すでにもう個所が決まっている予算を削って救農土木をやられたのでは、何のための救農土木かわからないのですから、プラスアルファでやる。いままでのものはいままでどおりやって、そのほかにさらに救農土木を起こすのだという精神でなければいけないと思いますが、これはよろしゅうございますか。
  43. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 もちろんそういう方向でやるつもりです。
  44. 今井勇

    今井委員 次は、細かい問題ですから農林省政府委員の方から答弁を願いたいと思います。  農地災害復旧事業の反当たり限度額を引き上げてくれという要望が実はあるのですが、これはどうなりますか。
  45. 岡部三郎

    ○岡部説明員 農地関係の復旧事業には、御承知のように農地それ自体の復旧と、それからそれに関連します排水路とか承水工あるいは擁壁だとかいうふうな農地保全施設の復旧とあるわけでございますが、施設の方の復旧についてはいわゆる限度額はないわけでございまして、農地それ自体の復旧について、これは復旧の効果的な施行ということを考慮いたしまして基準限度額が決められておるわけでございます。これも毎年その時点の単価の動向等を参酌して改定が行われておるわけでございまして、従来の例でございますと、全国的にごく特殊な地区を除きましては、この限度額の範囲内で復旧ができるという状況でございます。  しかしながら、特に地形的条件等が特殊な場合、この限度額の範囲内で農地自体の復旧が非常にむずかしいという場合もございますけれども、そういう状況は十分調査いたしまして、それに適したような工法で災害復旧事業が十分行えるようにこの限度額の範囲内で施行いたしたい、そういうふうに指導してまいりたいと考えております。
  46. 今井勇

    今井委員 そうすると、こういうふうに理解していいですか。農地の復旧は限度額で何とかおさまるようにするが、それでなお足りない場合、特殊な場合、多分私は施設だと思うのですが、施設については別途ちゃんとめんどうを見るから、農地の復旧については心配はないのだというふうに理解していいですか。
  47. 岡部三郎

    ○岡部説明員 おっしゃるとおりでございまして、非常に限度額が問題になるようなところは、急傾斜地等でこういう農地保全施設に金がかかるというふうな場合がございますので、そういうものにつきましては、再度災害を起こさないという観点から十分な施設を復旧いたしたいと考えております。
  48. 今井勇

    今井委員 もう一つ、これは林野庁の方見えておられますか。——ずいぶん林地がやられました。そこで、林地内におきます荒廃渓流あるいは山腹崩壊、これにつきまして緊急の治山事業あるいは林地の崩壊防止事業等をぜひやってくれという声が強いのですが、これはよろしゅうございますか。
  49. 藍原義邦

    ○藍原説明員 お答えいたします。  山地の崩壊につきましては、緊急なものにつきましては緊急治山事業、あるいは小規模なものにつきましては林地崩壊防止事業等で早急に実施するべく現在検討いたしております。
  50. 今井勇

    今井委員 もう一つそれと関連いたしまして、先ほど激特の話を建設省にも聞きましたが、林野庁の方にも激特事業があるわけでございます。したがって、その緊急治山事業と同時に激特事業というものを併用して改良復旧をやってもらいたい。これはよろしゅうございますか。
  51. 藍原義邦

    ○藍原説明員 先生御指摘のように、当然激特事業に対応できるものは激特事業として対応すべく検討いたしております。
  52. 今井勇

    今井委員 以上で私の質問は終わりますが、最後に、今回の災害に対しまして、県と言わず町村と言わず、財政的に非常に困窮するであろうと私は思います。いまは災害復旧あるいは改良工事等に精いっぱいですから、何でも金を持ってきてやろうという意気込みに燃えておりますが、さあ仕事をやってみて、後で財政の面で相当な苦労をするだろうと思います。  これは国土庁長官にまとめて御答弁願いたいのですが、そういった財政の面のめんどうをひとつ十分見てやっていただきたい。これはよろしゅうございましょうか。
  53. 天野光晴

    天野(光)国務大臣 とりあえず特交でできるだけのめんどうを見ると、この間から自治大臣答弁いたしております。そうですから、起債その他めんどうを見られるものは最大に見る予定でございます。
  54. 今井勇

    今井委員 私の質問は、以上で終わります。
  55. 兒玉末男

  56. 柴田健治

    柴田(健)委員 限られた時間内でありますから簡潔に質問申し上げますから、答弁側の方も簡潔に明快な答弁を願いたいと思うのです。  もう同僚議員から、あらゆる角度から十七号台風に関連をしていろいろと対応策について質問がございましたから、私は前口上は省いて、簡潔に問題点をしぼってお尋ね申し上げたいと思います。  まず、国土庁長官お尋ね申し上げたいのですが、八日に激甚法の指定をするという方向が明確になったわけでありますが、この激甚法が制定されてもう相当の期間がたつわけでありますが、要するに指定をする場合、都道府県なり市町村の現行の標準税収、それに対して都道府県の場合は二〇%、市町村は一〇%と、こういうことになっておるわけですが、指定基準の、要するに採択基準というか、標準税収に対する割合を二〇%というのは私は疑問がある。これを五%下げるべきではないか、一五%に下げるべきではないか、こういう考え方を持っておるわけですが、この点について国土庁長官の見解を聞きたいと思います。
  57. 天野光晴

    天野(光)国務大臣 お答えいたします。  自治省、大蔵省との関連性等もございまして、私のところでこうするという結論は出しかねますが、標準税収の問題から考えてみて、でき得るだけの処置は講ずるように、この機会ですから努力いたしたいと思います。
  58. 柴田健治

    柴田(健)委員 私は二〇%というのを、いつまでもこれが基礎になるというのはいろんな形で矛盾がある、不公平が出てくる、こういう気がいたしますので、今後の検討をしてもらいたい、こう思うわけであります。  次に、長官お尋ねしたいのですが、どうも全国総合開発計画を読んでみると、治山治水という面で非常におくれておる。今度は第三次の総合開発計画が、もう九月だと、こう言いながらいまだに発表ができない。いろいろ自民党の内輪もめ等があってなかなか前にいかないということで、明年一月か二月ころに発表されるのではなかろうか、こういうことで、総合開発審議会のそれぞれのブロック別の委員会で検討を加えていま集約されておると思うのですが、今度の総合開発計画のこの大綱の中でも、どうもこの治水計画について、まあ微増というか、やや前進という形になっておりますけれども、思い切った国土保全、災害防止という立場から申し上げると、まだまだ治水計画というものは政府自体取り上げ方が弱いと思うのですが、この点について見解を聞きたいのです。いままでの治水計画の投資額を見ると、五カ年計画で道路の方は十九兆円、治水計画の方は四兆七千億、四分の一程度で、こういうことを続けていく限り、今後何回となく災害を起こすという可能性が強いと私は思うのですが、国土庁長官として今度の総合開発計画の中でどういう考えで改めていこうとするのか、まず見解を聞きたいのです。
  59. 天野光晴

    天野(光)国務大臣 五十年代上半期経済計画で公共事業百兆としぼられております。来年、治山治水の五カ年計画を新たに計画されております。その計画の中身は、五兆五千億という金で大体割り当てられているようでございますが、私もずいぶん長い間建設行政に関係してきた者の一人として、こういう話をしてはちょっとまずいかもしれませんが、下水道が七兆幾らになっているわけで、下水も大切でありますが、今度の台風災害等から考えてみて、治山治水が少しではない、大幅に手おくれになっておるという感じでございます。  それで、この災害を契機といたしまして、画期的にこの来年度の新五カ年計画を伸ばそうという話し合いをいたしまして、どんなに少なくとも八兆以上にしたいということでいま鋭意交渉中でありますし、それだけはどうしても確保したいと思っております。いろいろ災害が起きますと、人災ではないかという要するに批判が相当強く出てまいりますが、いついかなる場合でも、災害が起きた後から見れば確かに人災的な部面が相当あるわけでありますから、完全にいかなくても納得のいく程度くらいまでは事前に処置すべきだと考えております。  そういう点で、第三次新全総は、ちょっと出すのが来年の二月か三月では、いま私が引き継ぎを受けたりいろいろ検討しているのですが、いろいろ問題点もございますものですから、もうちょっと延びそうな感じでございますので、十二分にこれは検討いたしたいと思っております。
  60. 柴田健治

    柴田(健)委員 災害が起きて、住民から人災だ、こういう意見が出てくる原因というものは、いま長官が言われたように、国の基本姿勢の中で治山治水の取り組みの姿勢の中から出てくる言葉だと思う。今度の災害、いままでの災害を含めて、災害に対して国がもっと抜本的に姿勢を変えない限り、人災だという言葉が消えていかないだろう、こう思うのです。十分配慮して、新全総の第三次計画のときに抜本的に計画を改めてもらう、これを強く要望しておきたいと思います。  次に、そういう基本的なものを変えていくという発想の転換とともに、具体的には河川改修であるとか湛水防除事業であるとか、排水改良事業であるとかいうような、下水道工事もそれは都市政策の中では一番重要な問題でありますけれども、やはり治山治水という立場からいうとまず山の問題、治山というのが最優先でなければならぬ。この治山対策が非常におくれておる。それから治水対策もおくれてくる。治山が第一義だ、第二義が治水ということになるわけでありますが、それらの基本的なものを支えるためには、私がいま申し上げるような治山対策なり河川対策なり湛水防除政策なりというものに総合的に取り組んでいくという姿勢がなければならぬと思うのですが、そういう特別的な総合対策事業というか、関連的なものはやはり国土庁がコントロールというか調整をとるという、そういう姿勢がなければならぬと思うのです。長官としてはそういうものについてどういう考えを持っておられるか、お聞きしておきたいと思います。
  61. 天野光晴

    天野(光)国務大臣 治山治水対策は、きょう臨席されておる農林大臣並びに建設大臣が実質的にはその作業に当たっておりますが、その計画は私の方ではっきりしたものを立てたいと思っております。ですから、私たちの計画にのっとって農林省なり建設省が治山治水対策を完全にやりやすくなるように、そうしてその基本的なものが完全に打ち込まれるような状況のもとに新全総というものをつくり上げたい、そういうように考えております。よろしくお願いします。
  62. 柴田健治

    柴田(健)委員 次に国土庁長官に、これは厚生省との関係もあるのですが、長官の考えを聞いてから厚生省にお尋ねしたいと思うのです。  いま災害援護資金の問題で、所得基準の問題、貸付限度額の問題、いろいろ論議の対象になっておるわけですが、どうも厚生省がいま所管をしておるために、厚生省には別に生活援護資金であるとか世帯援護資金、いろいろ制度がある。それに見習うというか、それを超すわけにいかない。たとえば、災害援護資金は所得基準額が百八十五万円ということになっている、それを二百五十万円にしてくれとか三百万円にしてくれというのがわれわれの願いであります。ところが、厚生省の方は災害といえどもほかの制度からはみ出すわけにいかないという考えがある。災害は別なんだから、ほかの生活援護資金とかその他とは違うのだから、災害というのは特殊な事態なんであるから別に考えたらどうかというと、それはなかなかできない。それなら国土庁へ移管しなさい。国土庁は災害対策基本法の総元締めなんだから、災害関係弔慰金を含めて全部国土庁へとって、災害援護資金は厚生省から切り離して国土庁へとって、災害は所得基準を大幅に引き上げてくる、貸付限度額も大幅に引き上げてくる。こういうふうに災害関係は国土庁が一本で取り扱うべきではないか、こういう気がするのですが、国土庁長官の御意見を聞いてから厚生省に聞きます。
  63. 天野光晴

    天野(光)国務大臣 いろいろ御意見をお伺いいたしたのでありますが、いままでずっと厚生省が担当してまいりました。それですから、その作業その他施行上にいろいろ問題があるとすれば、それはその点で改めていけばいいんじゃないでしょうか。これは私の方の役所に引き取ったからすぐ、腹が減った、飯を食ったというようなわけにはいかないと思うのですが、災害救助法を中心災害に関係するいろいろな諸法規の中身をやはり一応見直す段階に来ているんではないかと私思います。そういう点では、きょうこの委員会で新設された小委員会でこれらの問題等をひとつ議論していただいて、そしてよりよくという言葉を使ったらいいのか、新しき方向に持っていくようにすべきであって、いまここで私、国土庁長官が、厚生省の仕事を私の方で受け取ってやったら大変うまくできますなどとはちょっと言いかねますので、その点よろしく御理解を願いたいと思います。
  64. 柴田健治

    柴田(健)委員 厚生省に聞きます。厚生省はいまの私の質問に対してどういう見解を持っておられるのか。——厚生大臣来てくれと言っておいたんだよ。それなら、改めて厚生省には後からその答弁を求めます。  それでは次に、いま国土庁長官はどうも自分の一人考えではいかぬように言われるのだけれども、やはりこういう問題については人心に安定を与えていくということが一番当面の緊要な課題です。災害救助法というのはもう日にちを限定されて救援体制だけですからね。救援体制だけなんだから、救援物資の供給体制、そういう災害救助法が厚生省の管轄だから、災害援護資金、弔慰金等は国土庁がとるわけにいかないというのはどうも勉強足らずであって、これはもう少し閣議で方針を決めてもらえばすぐできることだから、この点ははっきり将来ひとつ検討してもらいたい、こう思います。  厚生省にお尋ねしたいんですが、御承知のようにハンセン氏病の療養所が全国十三カ所あるわけですが、その中で九州なり香川の大島、岡山県の長島愛生園、光明園というのが大変な被害額、特に愛生園、光明園の二つの療養所、これは面積でざっと百万坪の面積ですが、その中で、われわれが現地調査をしてまいりますと、がけ崩れが両園合わせて百七十カ所ぐらい出ておる。道路崩壊が三十何カ所も出ている。全壊が二十戸、半壊が三十二戸、土砂流入など大変な被害を受けているのですが、これに対して、どういう復旧計画というものを持っておられるのか。たとえば、もう査定が始まっていると思いますが、査定がいつごろ終わって、そして復旧の目標というか計画がいつ示されるのか、この点の見解をひとつ聞きたいのですが、厚生省お願いします。
  65. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 長島愛生園、邑久光明園の今回の水害によります被害状況、ただいま先生御指摘のとおりでございます。  この被害復旧の計画でございますが、災害復旧は原則といたしまして原形復旧という形をとるわけでございますが、先生御承知のように、この両園の立地条件というものが非常にもろい状況にあるわけでございます。したがいまして、今回の復旧に際しましては、復旧困難な場所あるいは非常に危険な個所等もあるわけでございまして、そういった意味におきましては必ずしも原形復旧が妥当でないわけでございまして、そういった意味におきまして、別の土地に建物等の効率的な復旧整備を速やかに実施いたしたいと考えております。
  66. 柴田健治

    柴田(健)委員 今度のこの災害は雨量が多い。あの辺は九百六十七ミリ、約千ミリ降ったわけですが、いままでのあそこの厚生省直轄の行政財産全般の管理状態、いままでの整備五カ年計画とこれからの災害復旧に対する原形復旧の面もありましょうが、思い切って改良というものを考えないとどうにもならぬのではなかろうか。この臨時国会で、あそこの処置についてはどういう予算措置をされるのか、これが第一点。  それからもう一つは、ああいう災害が起きた時分に、通信網というものが全然完備されていない。警察無線が入っていないし、都道府県からの行政無線、そういうものが全然入っていない。半ば別天地というか完全に隔離されたような島で、災害が起きて自衛隊を要請しても出てこないというように、まことに血の通うていないというかお粗末な体制だ、こういうことが言えると思うのです。ああいう通信網の整備または道路網の整備、また水道というか給水施設の整備、総合的に考えて、私は災害が起きるべくして起きた、こういう気がするのですが、厚生省のいままでの管理のあり方、そしてまた防災に関しての対応策というものについて手落ちがあったのかなかったのか、この点を反省してみる必要があると思うのですが、厚生省はどういう受けとめ方をして、それに今後どう対応してどう整備していくのか、その見解を聞いておきたいと思うのです。
  67. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 まず最初に、今回の災害復旧予算措置の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、単なる災害復旧としての原形復旧にとどまらず根本的な復旧作業に入りたいと考えておるところでございます。したがいまして、今回の災害復旧のための予算と、また従来からございます整備費等を合わせまして十分な措置をとってまいりたいと考えておるところでございます。  なお、従来の管理あるいは今後の復旧に関連いたしまして申し上げますと、らい療養所は普通の医療機関と異なりましてやはり患者さんの生活の場にもなっておるところでございまして、そういった意味におきましては、患者さんの意向等も十分参考にしながら今後の復旧に対処してまいりたいと考えております。  さらに、通信網の問題でございますが、今回の災害に際しまして通信が途絶いたしたわけでございます。これは邑久町の電話中継所が浸水のためにそういった事態になったわけでございますが、幸い警察の無電等をお借りしまして、この災害復旧中の処置については十分な処置をとったわけでございますが、今後の問題といたしましては、今回の教訓を生かしまして、さらに関係当局とも相談をしながら今後の災害復旧時等の通信の確保等に努力してまいりたいと考えております。
  68. 柴田健治

    柴田(健)委員 もう二点ほどお尋ねしたいのですが、特に危険住宅、いま危険になってもうどうにもならない、早く復旧というか手当てをしてもらわないとどうにもならないという危険住宅にいま生活しておる人が百人ぐらいおられるのですが、これに対する処置、見通し、いつごろまでにこれは解決しよう、早急にしてやらなければいけないのですが、この対応策、これが第一点。  第二点は、今度の災害で墓地——個人墓地、共同墓地、墓地の被害が非常に大きい。この墓地に対する助成措置も融資制度も何もない。これに対してどういう助成措置を講じようとするのか、全然講じようとしないのか。  その二点、厚生省にお尋ねします。
  69. 石丸隆治

    ○石丸政府委員 患者さんの危険住宅の復旧の対応策でございますが、ただいま大蔵省の方と鋭意その計画を詰めておる段階でございまして、できるだけ早急に計画を設定いたしたいと考えております。
  70. 新津博典

    ○新津説明員 ただいま御質問のございました墓地の件でございますが、今度の災害ではかなり墓地も被害を受けております。先生御指摘のとおり、全国に九十万ぐらいの墓地があって、その九五%が個人墓地であるというような関係もございまして、現在のところ特に墓地の復旧についての制度がないわけでございますが、相当の被害でございますし、それを復旧いたしますにはかなりの経費がかかるようにも承っておりますので、ひとつその辺の実態を関係いたします県当局から十分聞きまして、検討してまいりたいと思います。
  71. 柴田健治

    柴田(健)委員 今度は建設省お尋ねしますが、査定は年内に終わる見通しのようでありますが、今度は農林と建設、両方で二十六万件ぐらい個所があると思うのです。これに対して全部現地査定というのは大変だと思うので、机上査定というものもやらざるを得ないのではないか、それから地方移管またはいろいろな査定方式を簡素化していく、そういうことを努力しないと、年内に査定が終わるということはちょっと困難ではないかと思うのですが、机上査定というものは何%ぐらい許していくのか、そういう具体的な方法があれば、査定方式について聞かしてもらいたい。     〔委員長退席、金丸(徳)委員長代理着席〕
  72. 井沢健二

    ○井沢説明員 お答えいたします。  建設省の場合は今年度、十七号並びに前のものを合わせますと、十四万件、五千億を超すような状態になっております。昨年は八月の災害でありましたし、四十九年は七月の災害でありましたが、今回は九月の災害ということで、年末までにやるとしますと一カ月半ということで、昨年あるいは一昨年に比べますと一カ月ないし二カ月ぐらい時間が少ないという状態になっております。  そういうわけで、今後査定官を動員するだけでも約八百人に及ぶ査定官を動員しなければいけないというふうな現状になっております。したがいまして、先生の仰せのとおり、机上査定であるとかあるいは総合単価方式といいますか、そういう査定の簡素化を行いまして事務を非常に促進をするように考えて実施をいたそうというふうなことにいたしております。
  73. 柴田健治

    柴田(健)委員 それで、この災害査定について大蔵省の財務局が立会人なのですが、これは大蔵省が立ち会う理由は何ですか。これは建設省大蔵省は来ていないのですけれども、建設でも農林でもですが、昔は大蔵省の財務局が災害の査定に立ち会うなんということばなかった、それが昭和三十三年ごろから立ち会うことになってきて、それで大蔵省はいまよっぽど人が多いんだな、暇人が多いな、こういう気がするのですが、何であんなもの立ち会わなければならぬのか、理由を建設省に聞いておきたいのです。いずれまた大蔵省にも聞きたいのです。
  74. 井沢健二

    ○井沢説明員 災害の査定につきましては、現在、災害国庫負担法並びにそれに基づきます査定の要綱というのがございます。そういう問題は、現在まで長いことかかりまして積み上げました実地上の条件と申しますか、そういうものが事細かく規定されております。そういうふうな規定によりまして災害の査定をやるわけでございますが、その辺そういう条項によく合っておるかどうかというふうなことで、そういうものをチェックするということになるわけでございます。したがいまして、そういうことで現地で極力意見を調整いたしますが、現地で調整できない場合にはこれが保留事項というふうなことで本省に上がってまいりまして、建設省の場合であるならば私のところと大蔵省と折衝していわゆる保留を解除するというようなことをやっております。
  75. 柴田健治

    柴田(健)委員 こういう制度をつくり上げたことは、結局建設でも農林でも信用してもらってないということなんだ。一々、口も出すが、金も出すが、何もかにも出して、そして講釈を受けなければ自主的に主体性が確立できないなんておかしい。建設省はもうそれだけ大蔵省に不信感を持たれておるのか。農林省だってそうだと思う。たとえば、原形復旧ならもう決まっているのだから、そういまごろインチキするような者は役人におらぬと思うのです。そんな大ぜい、てんぷらをするような人はおらぬと思う。まじめにやっておると思うのです。それを大蔵省が立ち会わなければならぬ。立ち会う限りは個所を決めるべきだ。特に助成事業であるとか関連助成であるとかいう改良を含めたところ、原形復旧以外、改良を含めたところ、これはもう共同謀議をしていくということは適切な処置かもしれない。しかし、それ以外は大蔵省の立ち会いは要らぬのではないかという気がする。それほど立ち会ってもらわなければ仕事ができぬなんというのは、もう建設省、何をしておる。建設大臣農林大臣、明確に答弁してもらいたい。
  76. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 非常に組織の根幹に触れる問題でございますから、いま即答ができませんので、しばらくひとつ御猶予願いたいと思います。対大蔵省との関係もあるし、いろいろ過去のいきさつもございますから、いますぐ即答はできかねます。検討いたします。
  77. 大石武一

    大石国務大臣 いま聞いてみますと、農林省では半分くらいは机上査定だそうでございます。したがって、全部が全部大蔵省の立ち会いを受けているというわけではございません。  何のために立ち会いを受けているのかと聞きますと、大体原形復旧でなくて改良復旧までされては多く金がかかって困るという心配から立ち会いに来るんだというような話でございますが、これはつまらぬ心配だと思います。  しかし、考えてみますと、たとえばわれわれもそうですか、実際に現地を見ることによって、現場を見ることによって大いに物の考え方が違ってまいります。やはり現場を見ますと、どうしてもこれはやっていかなければならない、こうしなければならないという気持ちが強くなります。そういう意味で大蔵省がよけい金を出したい、よけいめんどうを見てあげたいという気持ちでついてくるならば、これはもう大いに歓迎したらよかろうと思う次第でございます。
  78. 柴田健治

    柴田(健)委員 査定の時分よりか、本当に大蔵省が見たいのなら、災害が起きた時点で、農林大臣が行く、建設大臣が現場へ行く時分に大蔵省がついていくべきじゃないですか。査定はもう技術屋に任せたらいいのではないですか。何も事務屋の、地方の財務局の若い、何が何やらわからぬ者が、ただ鉛筆だけ持って個所別だけ明細表をもらってチェックだけして回るくらいならだれでもしますよ。あんなものは要らない。地方公共団体は大迷惑しておる。それで雑費がたくさん要るだけだ。その雑費なんか全部地方公共団体の負担じゃないですか。そういうことはもう将来閣議で方針を決めてもらいたい、事務分掌を明確にしてもらいたい、これをつけ加えておきます。  次に、私は今度の災害復旧で、原形復旧というのは原則としてやめてもらいたい。改良復旧にしてもらいたい。特に農地に災害を与えた地域、これは農地復旧河川改修とはうらはらというか、同時にやってもらわなければ、農地復旧は急がなければ明年の植えつけが間に合わない。ところが、農民の側からどう言いますかといったら、河川から砂利一坪、石一つとるのでも建設大臣もしくは都道府県知事の許可がなければとれないのですよ。それを今度は、堤防を完全に直すのは国や県の責任です、これを直さずにおいて堤防を決壊させて、そしてたんぼの中に砂利を入れて、それで君ら気の毒であったなというのはおかしいじゃないですか。平素、川の石一個をとるのも許可がなければもらえない。それを勝手にたんぼへ入れておいて、災害だからおまえらあきらめろなんというのはおかしいのですね。  こういう農地復旧については、国は全額持って、思い切って改良を加えて完全にやるべきではないかと思うのですよ。これは建設省農林省と共同で同時に早急に着工して、農地災害を与えた地域については明年の二月なら二月、三月なら三月までに完成してしまわないと明年の植えつけができない、農家の営農計画に根本的に影響を与える、こういうことになるので、この点について最優先的に改良を含めてやる、その点をひとつ農林大臣建設省と話をしていただいて十分配慮してもらいたいと思うのですが、どうですか。
  79. 大石武一

    大石国務大臣 お話のとおりだと私も考えております。とにかくどんなことがあっても、災害を受けて非常なみじめな状態になっているのですから、来年の生産にも間に合わないということではまことに申しわけないと思います。  そういう意味では、たとえばどんなむずかしい事情があっても査定を早く終えるとか、査定ができなければ査定前の工事もやるとか、とにかく応急の対策でも何でもやって来年の生産に間に合わせなければならないという覚悟でやってまいります。それにつきましては、もちろん建設省その他とも十分に連絡をとりまして、そしてスムーズにいくように計らってまいる所存でございます。
  80. 柴田健治

    柴田(健)委員 次に、急傾斜地崩壊対策事業に関連をしてお尋ね申し上げたいのですが、この事業は受益者負担が基礎になっているのですね。ところが、今度の災害を見ていると、地すべりだとか急傾斜地であるとか、全国に危険個所が六万個所ぐらいある、こう言われているのですが、それに対する事業費が非常に少ないのと、要するにこの事業が進まぬ理由に受益者負担というものがある。     〔金丸(徳)一委員長代理退席、委員長着席〕 今年度の予算の中でもこの地元受益者負担の額が十五、六億円見込まれておるわけですが、結局十戸だとか五戸だとか採択基準があるわけですが、この五戸や十戸のところで膨大な受益者負担が取れるかどうか、常識の問題だと私は思うのです。これは全額国と県が持ってやるべきだ。都道府県というものの位置づけをして、府県に対して急傾斜事業費の地元負担については起債を認めていく、それから受益者負担というものはなくしていくという、この受益者負担をなくする一つ事業に切りかえるべきではないかと思うのですが、建設大臣ひとつ見解を聞きたい。
  81. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 ある一定規模以上のものについては、たとえばがけ下とか急傾斜地区の家屋については集団移転の制度ができておりまして、かなり全国的に先年から実行されております。ところが、戸数が非常に少なくて移転についての地元負担、受益者負担というものが困難であるという地区が実は問題でございまして、大変心配をいたしております。  現在のところは、大体地元の市町村がこれを負担するというふうに一種の慣例が各地でできておるようでございまして、その分については特交でいままではめんどうを見ておるということでございます。
  82. 柴田健治

    柴田(健)委員 この特別交付税とか交付税制度というのは、ちょいちょい誤るというから、ごまかされる可能性があるから、やはり急傾斜事業に対する地元負担、補助残は全額起債を認めるという方向を明確にすべきではないか。これをつけ加えておきます。いずれこれはわれわれも直していきたい、こう思っておりますから、災害委員会の方で検討を加えていきたい、こう思います。  次に、建設省の平素の河川管理体制というものは、もう少し検討を加えないと、これは災害が起きるたびに大変なことになる。いままでの河川管理の体制を見ると、お粗末の限りだ。いま河川の河床がどんどん上がって、もう時間雨量三十ミリ以上になったらはんらんするという可能性河川が多い。問題は、しゅんせつと河川の掃除というものを平素から考えなければならぬ。この際、しゅんせつを兼ねて、あらゆる建設事業というか、生コンの原材料に当分川砂利を使う、砕石を使わないで、二、三年、川のしゅんせつとあわせて工事の材料には川砂利を使うという方向に変えたらどうか。これは、私は提案を含めて、ひとつ見解を聞いておきたい。
  83. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 実は先年からそういう考えがあったのでありますが、従来では河川の砂を使うと堤防が決壊をするという消極的な姿勢の方が多くございましたけれども、もうすでにこういう時期になってまいりましたから積極的に方向転換すべきであろう、こういうふうに考えます。早速検討いたします。
  84. 柴田健治

    柴田(健)委員 それから、これから河川の堤防の決壊のところを直していくわけですが、危険度の高いところの堤防について工法を変えたらどうか。たとえば、道路とも関連するわけですが、日本の場合は河川のへりは大体道路が多いのですか、そういうところは床掘りを完全に——いままでは一・八とか二メートルだとかいう基準があるのですが、これをもう少し、道路の路肩と堤防との兼用のところはこの床掘りを一メートルよけい掘らしていく、そういう設計に変えていく。それから、堤防には、砂利をかき上げただけでいいのでなしに、真ん中に、ちょうどため池をつくるように中心羽金を入れていく、コードを入れていく、そういうローラーコード方式で締め上げていく、そういう工法に変えなければ、ただ、いまのような時間雨量五十ミリを基準に置いて流量調整、要するに水位、これだけを基準に置いた堤防の工法というのは、これは危険性が高い。今度は水圧というものを考えて、水位が何メートル上がったらこの圧力がどのくらい出てくるという水圧を考えて堤防の構築を考えたらどうか。その工法の検討をすべきではないかと思うのですが、建設大臣どうですか。
  85. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 ただいまおっしゃるとおり、検討の時期が来ておりますから検討さしておりますが、詳しい専門的なことは河川局長から答弁いたします。
  86. 栂野康行

    栂野政府委員 今回の洪水は非常に異常な現象でございまして、先生がおっしゃるように、高い水位が長時間続いたということで、水圧その他いろいろな面から問題があったわけでございます。したがいまして、今回の災害にかんがみまして、堤防はどうあるべきかということを早急に検討してまいりたいということでございます。
  87. 柴田健治

    柴田(健)委員 それから、時間も参りましたから簡潔に申し上げますが、消防庁にお尋ねしたいのです。  今度の災害、十七号台風で、この間の国土庁の発表を見ると、警察官が延べ十二万三千人、そして自衛隊が延べ五万二千七百人、こういう救援体制の出動なんですが、消防団、一つも書かない。これは消防庁は何をとぼけておるんだ。消防団というものは、今度の十七号台風で見て、岡山県の方は県議会で消防団には感謝決議までした。何日も何日も、毎日毎日消防団が何百何千と出てやっているのですよ。消防庁、それらを何にも把握してない。消防庁は何をするところだという気がする。ふざけちゃいかぬという気がするのですよ。今日、災害が起きたときに消防がおらなんだらどうなるんだという気がするわけですよ。遠方から自衛隊を引っ張ってきたって、地理不案内で、一々説明して水先案内をつけなければ何もできないというのとは違う。この点をよく考えて、ひとつ認識を改めてもらいたいということ。  それから、防災無線を早く都道府県に皆完備させなければならぬのに、消防庁は何をしておるんだ。補助率は低いわ、起債は少ないわ、これで防災無線が計画どおり進めると思ったら大間違い、この点について消防庁の見解を聞きたい。
  88. 林忠雄

    ○林政府委員 お答えいたします。  まず、実態といたしましては、関係地区の消防団は全員出動しております。もちろん御承知だと思います。ただ、それは地元の問題でございますので、消防団はまず災害が起こりますと全部出動してしまう。警察なり自衛隊なりはそれぞれ指揮系統がございまして、何名出ろというような命令で出ますものですから、その情報は中央にも早く参りますけれども、消防団自体は地元で自発的に出てしまって、そういう情報はやはりともすればおくれがちでございますので、最初の報告あたりには自衛隊何名、警察官何名という報告もありますけれども、消防団の方はどうしてもその報告がおくれるというだけでございまして、現実には消防団が一番早く、しかもまず関係者全員出ていることは間違いございません。  したがって、いまお話もございましたように、災害地でもどこでも、消防団はよくやってくれたということは後になって十分聞くわけでございます。情報がおくれる点は今後改めまして、できるだけ早く情報をとって、そういう場合の当初の発表にも間に合わせるように努めたいと存じております。  それから、防災無線の問題でございますが、確かに当初は補助制度も何もなく、四十八年度からやっと補助制度ができましたが、そのときも総額二十億近くかかるものに対して、当時は二十億かかるとは計算できませんでしたが、一億しか補助がない。昨年度からこれを四億に改めてもらっておりますけれども、なおこれが不十分であることはもちろんでございます。今後、この補助率の増加、さらに起債の方は従前まで七〇%充当でございましたが、これを九〇%に改めておりますので、逐次改良を図ってまいっておりますが、現在まだ約半数ぐらいの県が未整備でございます。これを一刻も早く整備するよう、今後も及ばずながら努力を続けてまいりたいと存じております。
  89. 柴田健治

    柴田(健)委員 時間が来ましたけれども、今度は地元のやつを一口言うておかぬと……。  農林省建設省ですが、岡山県の邑久郡の長船町と邑久町という両町が、一週間近く冠水をして大変な被害を受けたのです。これはそもそも吉井川の流域で、千町川、墨田川という二つの一級河川がある。この改修をやってくれという陳情を長年続けてきたわけですが、建設省採択しない。そして、低位でありますから湛水防除事業をやってくれ、それに関連する水門の改善ということで長年要求し続けてきた。それを一つもやろうとしない。それで今度の災害を受けて、いま地元の皆さんからは国に対する行政不信、政治不信というものとして大きく盛り上がった。これを早く解消するためには即刻これは採択をして、災害復旧と合わしてこの改良をやっていかなければならぬのではなかろうか、こう思うのですが、これを早急に採択する意思があるのかないのか、両大臣にお考えを聞いておきたい、こう思います。  それからもう一つは、都市政策の中で住宅、個人住宅がどんどん建っていくわけですが、今度の災害地を見まして、海抜ゼロ地帯また海抜二メートル、三メートルの高さ、要するに十メートル以内の地域については、建設省は、たとえば国土庁でもよろしいが、都道府県に対して、ここの地域は海抜何メートルですよという標識を立てさせる。そういうものを立てさせておけば、災害の時分には水がつくのだ、浸水を受けるのだということで屋敷を高く上げるだろう。屋敷を高く上げたらまた固定資産税をよけいかけるのだから、これは考え方を変えなければならぬと思うのですが、とにかく屋敷を高くさせるように考えていかなければならぬ。たとえば、岐阜県の住宅供給公社がやった住宅団地を見ると、あんな遊水地で、合流点で、あんなところに何と住宅団地をつくったものだなと私は見てびっくりしたのですが、県自体がそういうお粗末な、海抜の非常に低いところに住宅団地をつくっていく。もう災害が起きますよ、当然水をかぶりますよというようなやり方をしておるのですから、当然受ける。こういうことで低地域については海抜に対する標識を立てさせていく、こういう考え方で行政指導したらどうかと思うのですが、この二つの点を聞いておきたいと思います。
  90. 栂野康行

    栂野政府委員 前半の湛水排除の問題でございます。水門をつくったりあるいはポンプをつくって湛水を排除するという問題でございますが、建設省におきましてはすでに従来からそういう事業につきましても積極的にやっております。今回の災害にかんがみまして、そういうふうに被害の非常に大きなところは、またそういう面も採用してまいりたいというふうに考えます。  それから次に、低地部にその標識を立てたらどうかという問題でございますが、建設省に関係することを申し上げますと、現在建設省では洪水はんらん予想区域の調査というのをやっておるわけでございます。これは低地部に当てはまるわけでございますが、たとえばこの川は五十ミリ降ったら洪水はんらんする、そしてどの地域に水がたまって、どの程度水がつかるということも今後検討してまいりたいというふうに考えております。
  91. 岡部三郎

    ○岡部説明員 邑久町の農地の湛水被害を防止するために、現在実施しております国営の吉井川農業水利事業の中で、千町川の河口部の一・五キロほどの狭窄部の改修が含まれておるわけでございます。また、千町川上流部四・五キロメートルの改修につきましては、国営付帯の県営事業で実施するように計画されております。  また、長船町の農地の湛水被害を防止するためには、将来、これはまだ現在採択しておりませんが、国営付帯の県営事業で排水機場の改修を実施する計画でございます。  これらの計画はいずれも河川と非常に密接な関係がございますので、河川担当部局と十分打ち合わせをしまして、当該地域の農地保全のための万全を期していきたいというふうに考えております。
  92. 柴田健治

    柴田(健)委員 厚生省、追加答弁を。
  93. 水田努

    ○水田説明員 災害援護の貸付金の制度は、御承知のとおり、世帯更生資金という低所得者に対する融資制度の中の災害援護資金条件を有利にするために立法化されたものでございまして、現在私どもはおおよそ国民の三分の二程度をカバーできる所得制限を課しておるわけでございまして、これを撤廃するということになりますと、私どもは法律の性格が変わるのではないか、このように判断をいたしております。
  94. 兒玉末男

  95. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 台風十七号による災害とことしの冷害に関する質疑を二日間にわたって行っているわけですが、私は衆議院から岐阜県に派遣され、そして共産党の調査のために愛媛県に参りました。また、私の住む千葉県では台風十七号による被害は免れましたけれども、冷害による農業の被害というのはきわめて大きいものがあるわけです。すでにほかの委員から質問がありましたことについてはできるだけ重複を避けますが、激特法あるいは天災融資法などの救援関係法の速やかな、そして適切な適用と、激特事業に対する補助率の引き上げなど万全の措置を私も要望して、これを前提として質問したいと思います。  最初に、冷害の問題ですが、千葉県では水稲だけで百五十二億円の被害となっております。被害農家実態を見てみますと、まず少しでも多く実をつけたいということで、刈り入れを一カ月間ぐらいおくらしたわけです。そのことで、一つは国の早出し奨励金は出なくなる。そして、出かせぎも一カ月分おくれる。そうしている間に台風十七号による雨となりまして、稲刈りの機械が使えないので大きな労力が必要になる。刈り入れてみたら反当やっと五俵しかとれない。その中の四分の一ぐらいが規格外米になってしまっております。ところで、共済は三割の足切りで補償がきかない。こうしてみますと、最初から実に六重の打撃を受けているわけです。  この冷害に対する激甚指定、天災融資の発動、それから規格外米の買い上げ、種もみ確保、こうした問題についてはさきの質疑の中で約束されましたけれども、重ねて善処を要望いたしたいと思います。  そこで、農業共済の損害評価員の事務費の問題ですが、これについてもこの冷害のために特別の補助が約束されました。そこで、新たなこの特別の補助予算枠は幾らであるか、農林省の方にお伺いいたします。
  96. 渡邉文雄

    ○渡邉説明員 お答え申し上げます。  損害評価員につきましては、組合の事務費の一部助成の一環といたしまして、現在助成をいたしておるわけでございますが、現在手元に約一千万円のまだ未配分の額もございますので、その配分等につきまして実態に応じた配慮をしてまいりたい、かように考えております。
  97. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 一千万円ということですが、私は千葉県の夷隅郡の夷隅農業共済組合で事情を聞いたのですけれども、普通の年なら延べ六百人目で間に合うんですが、ことしは千六百人目もかかっているわけです。このために、組合では新たに約六百万円の持ち出しになっております。そうしますと、一千万円では一つの県の一つの郡の組合だけで大半がなくなってしまうということになるわけです。そこから見ますと、新たな予算枠をとらなければ決して全国要求にこたえられないということが明らかになると思うのですけれども、どうする考えであるか、この問題を解決する考えがあるのか、お伺いしたいと思います。
  98. 渡邉文雄

    ○渡邉説明員 先ほど申しましたのは、現在留保してございます金額を申し上げたわけでございます。それと、御指摘のように、千葉県の一部の組合で、今回損害評価の事務がふえるということで評価員を追加してお願いをしているというような実態も承っておりますが、本来この評価事務評価員の手当のみならず事務費全般を通じて言えるわけでございますが、国の方としましては基本的な人件費助成を中心にした事務費の助成をやっておりまして、総額で現在約四百億円の事務費助成を全国に対してやっておるわけでございます。  一方、その範囲内で人件費あるいは各種の調査等の事務費が賄われておるわけでございますが、ここ数年来、幸いなことに水稲関係につきましては事故がございませんでしたので、全国で約百億円を超します金が、各組合に特別積立金と申しまして、こういった際に使うための準備金が積み立てられております。  千葉県につきましても、ただいま調べましたら、連合会、組合両方合わせまして約五億五千万円以上の積立金もございますので、こういったものの活用につきましても十分関係者と協議をしてまいりたいというふうに考えております。
  99. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 この枠をふやす、あるいは組合間の問題の調節というようなことが考えられているようでありますけれども、評価員の日当に対する政府補助基準というのが一日九百十円という計算になっております。ところが、実際には千葉県でも一日三千八百円が実勢価格であるわけです。持ち出し分については組合員から賦課金を取ってやっているということであります。補助基準が実際の四分の一程度しかない、こういう現状はちゃんと改められなければならないと思うのですけれども、補助の基準日当を実勢に近づけるという考えを持っておられるかどうか、お伺いしたいと思います。
  100. 大石武一

    大石国務大臣 損害評価員の問題でございますが、これはいまの共済制度の中におきましては、大体組合がこれを責任を持って運営に当たるべきものだとわれわれは考えております。そういう意味で、組合員の農家の中からその評価員を組合が委嘱して、そうして部落の一つの奉仕的な働きとしてやっておるものと私は考えております。  そういう意味で、従来はこれは手当は国から出ておりませんでした。それは当然いろいろな御苦労賃とかお茶代とか代金のようなことで組合から出ておったと思いますが、それが昭和四十九年度から国もそういうことに対して多少めんどうを見てあげたらよいではなかろうかというので手当を出すようになったわけでございます。やはり私は自分の組合は自分の組合で運営していくのだという方針が一つ大事ではなかろうかと思います。そういう意味で、この手当につきましては、増額はある程度結構でございますが、根本の考えはそのようにいたしたいと思います。  ただし、事務費はいろいろかかりましょう、その事務費につきましては、国からもいままで相当の費用は出しているはずでございます。今回もなおこのような災害に当たりましては、こんな大災害があると思っておりませんでしたから、ある程度の——さっき一千万円と申しましたか、準備はしておきますが、これも十分重点的に配分する計画でございます。もし、これでも足りなければ、今度の大災害ですから——組合には、近ごろしばらくの間災害が少なかったので、相当の特別積立金がございます。これをそのような事務費の一部に充てるように使用を指令しようかということをいま政府では考えておる段階でございます。
  101. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 考え方はいろいろあると思いますけれども、今回の冷害はきわめて重大な問題でありますので、特に積極的な対策要望したいと思います。  次は、長良川の問題ですけれども、この長良川の破堤というのは重大な問題をはらんでおりますし、いずれは建設常任委員会で深めた論議をしなければならないと思いますが、今日、長良川の安八町における右岸の破堤について原因調査建設省ではされていると思いますけれども、現在の把握した決壊の原因についてお伺いしたいと思います。  というのは、計画高水位を超えていないのに堤防は決壊しているわけですけれども、この堤防は計画高水位までは耐えられるということでつくられているのだと考えるのです。  そういう意味で見ましても、河川管理の落ち度、巡視体制の不備あるいは維持管理予算などの面から見ての落ち度といいますか、原因につながるものはなかったか、その辺を含めて、現在の検討段階をお答え願いたいと思います。
  102. 栂野康行

    栂野政府委員 長良川の今回の洪水におきましては、上流部で千ミリ以上の雨があった。そうしまして、その雨の降り方も、いわゆる大きな山が四つ降りまして、計画高水位に近い水位が四日間に三回も生起した。それが今回の洪水の特徴の第一点であります。  第二点としまして、したがいまして警戒水位以上の水位が七十時間も継続したということでございます。  また、当該地点に、岐阜におきましては八百、リを超える降雨量があったというふうに、いままでの経験を大幅に超えます異常な外的条件、これが重なって破堤したというふうに考えられます。  日常の河川巡視あるいは河川管理施設の点検、こういう河川の保全に関する状況につきましては、専門の巡視員によりまして河川パトロールというものを毎日実施しておりまして、見回りにつきましても万全を期しておったという次第でございます。
  103. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 一応の説明を聞きましたけれども、この問題をやっておりますと長時間が必要になりますので、きょうは、別な機会にいたしまして、この決壊によりまして、安八町、墨俣町ではまさに農民の人たちは再起ができるかどうかというようなことを心配しなければならないような重大な被害が生じております。そして、この破堤の原因から考えてみまして、国に損害の賠償を要求するという考え方も出てきているわけです。現地へ行ってみますと、農地は完全に土砂に埋まって、農地として使えなくなっております。農地が破壊されたという意味で見ますと、ミカン山が流失するということが愛媛県の災害ではたくさん出ておりまして、これが愛媛県の災害一つの特徴になっているわけです。そこで、農地の復旧ということでは、こうした破壊された農地の復旧について農林省はどういう方向でやっていくのか。特にその場合の復旧費について、所有者の負担がどうなるのか、お伺いしたいと思います。
  104. 岡部三郎

    ○岡部説明員 長良川の堤防破壊によりまして、安八町、墨俣町約千六百ヘクタールという広大な農地が湛水をしたわけでございますが、この土砂の流入等による農地の損傷は比較的少なく、約五万八千立米の土砂が流入しまして、二十ヘクタールの水田が被災したという状況でございます。この地域は、基盤整備といたしましてはまだ圃場整備が十分にできていないというようなところでもございますので、この災害復旧の工法につきましては、これは関係農家とも十分協議をしなければいかぬことでございますが、いわゆる区画整理方式によりまして、この際に区画の形質も一緒に改善するというような方式をとりまして、効果的な復旧を図るように指導したいというふうに考えております。  なお、愛媛県の被害でございますが、今回の災害によりまして愛媛県では五百九十ヘクタールの農地が被災をいたしております。この中には、昭和四十年前後にいわゆる構造改善事業で造成したミカン園等も相当含まれておるわけでございます。この地域は、先ほど建設省からの御説明もありましたように、いわゆる花崗岩の風化した真砂地帯という特殊な土壌条件にあるわけでございまして、これの復旧に関しましては、通常のところと若干状況が異なるということもございますので、県におきまして現在災害対策調査団というものをつくっておりまして、これには国の関係技術者等も参加し、各方面の専門家を集めまして、その復旧工法、安全対策等について検討いたしておりますので、その結果を待ちまして、これを十分取り入れ、再度災害を受けないような適切な工事を実施いたしたいというふうに考えております。  なお、どうしても農地を従前の位置に復旧することが困難だというふうなことも考えられますので、いわゆる代替開墾等の処置もあわせて検討するよう指導いたしております。  なお、災害復旧費につきましては、これは通常の率は五〇%でございますけれども、こういう激甚な災害でございますので、各種のかさ上げがございます。実際の地元負担は、これは各農家の受けました被害額によって異なりますけれども、ほとんど地元の農家の方の負担にならないような処置がされますし、また農家の負担につきましては融資等の制度がございますので、当面、現金支出を伴うというようなことにはならないよう指導いたしてまいりたいと思います。
  105. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 個人負担がたびたび災害などで重なって、そしてそれが融資ということになっていたのでは、現在の状況から見て本当の農家の援助にならないのじゃないか、そういう意味で、個人救済の問題も当然考えてこなければならない問題が出てくると思うのです。  もう一つ愛媛県では、過去に災害の経験が乏しかった東予地方が大きな被害を出しているわけですけれども、ここで鉄道や道路や橋梁の大きな被害が出ております。東予地方中心になります今治市、そしてその中心にあります国道百九十六号線にかかる蒼社橋も橋脚がつぶれて通行ができなくなっております。この蒼社橋も含めて、愛媛県の道路復旧の見通しと対策について、建設省からお伺いしたいと思います。
  106. 山根孟

    ○山根説明員 お答え申し上げます。  一般国道百九十六号、今治市の蒼社橋の復旧でございますが、上部工、下部工、並行して工事を現在進めておりまして、来年の三月末までには工事を完了して供用をいたす予定にしております。  なお、道路全般につきましては、災害査定その他の結果を待ちまして、鋭意この復旧に努めてまいりたい、かように考えております。
  107. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 次に、岐阜市や大垣市などではっきりしているわけですけれども、しかもこれはもう全国的な問題になるわけですけれども、水害によって廃棄物と化する家財、ごみになるわけですけれども、この処理が自治体にとって大変な負担になっております。先日厚生省は、このごみも救助法で全部処理できるような説明をされておりましたけれども、家の中に入った廃棄物で救助法の対象になるのは、床上浸水世帯数の一・五割、一五%までであるわけで、そのほかは清掃法による以外にはないということになろうかと思います。清掃法は家庭から出されたごみを処理する法律であるわけで、補助率も救助法と違って二分の一である。このごみは直接災害によって生じ、しかも緊急を要する事業であるわけですから、救助の対象にすべきであると私、前から主張しておりますけれども、現在どう考えておられるのか、廃棄物と化したものに対する救済に対する現在の考え方を厚生省の方にお伺いいたします。
  108. 水田努

    ○水田説明員 お答え申し上げます。  家屋の中に入りました障害物の除去につきましては、柴田先生御指摘のとおり、一応一般基準では床上浸水以上の被害を受けた世帯の一五%ということに相なっておるわけでございますが、現実に私どもが災害救助の指導を各県に対していたしておりますと、一五%に来たら残念でしたという打ちどめは現実問題としてできませんので、一応、家屋内に入った障害物の除去につきましては、一五%の枠にこだわらずに特別枠を設定して全部除去するようにいたしておりますので、その点御理解をいただきたいと思います。
  109. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 全部処理できればもちろんいいのですけれども、現実に調査に行ってもわかるように、大変な問題になっているということで、もし全部できるということであればそれを徹底的に指導してもらいたいと思います。  最後に、個人災害の補償ということが真剣な問題になっているわけですが、先日の委員会で、政府個人災害は調べにくいということを言われました。特に災害の最中の個人の家財の損失については調べることが非常にむずかしい、こう言われました。しかし、災害援護資金の貸付に関する条例準則というのをつくっておられますけれども、災害援護資金借入申込書には、家財の被害を、たんすから目覚まし時計に至るまで三十種類の家財を書き出すようになっているわけです。これを取りまとめれば個人被害調査はできるわけになると思うのです。そういう意味で、昭和四十八年七月以降の分について、それらの申込書に書かれたものを調査して個人災害補償の検討資料にすることができるし、またそれをしなければならないと思うのですけれども、そのことについての見解をお伺いいたします。
  110. 天野光晴

    天野(光)国務大臣 これは私の方でなさそうなのですがね、厚生省だと思うのです。私の方の答弁では余り御期待は……。
  111. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 天野長官の方には浦井委員から……。
  112. 天野光晴

    天野(光)国務大臣 それでは、私は下がって、厚生省から答弁させます。
  113. 水田努

    ○水田説明員 お答え申し上げます。  ただいまの柴田先生の御質問趣旨は、市町村が実際に窓口で災害援護貸付金の貸し出し事務を行う場合に、その書類に被害を受けた家屋あるいは家財の記入があるかないか、事実関係の御確認ではないか、このように思いますので、その事実関係についてお答えをさしていただきたいと思います。  先生の御指摘のとおり、災害援護貸付金を借りる場合には被災家屋あるいは被災財産の被害を出しまして、その被害の状況に応じて災害援護資金を市町村が貸し出すようにいたしております。
  114. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 要するに、個人災害の補償ということで個人の家財の損失ということが問題になっているわけですから、そうしたものについてもちゃんと調べられるという前提もあるし、調べられないというようなことを言わないでちゃんと調べて、個人災害補償の前提をつくっていただきたいということを要望いたします。  あと、浦井委員から関連質問をいたします。
  115. 兒玉末男

    兒玉委員長 浦井洋君。
  116. 浦井洋

    浦井委員 関連で質問をさしていただきますが、主に兵庫県の河川の問題についてであります。  ちょっと読み上げてみますと、台風十七号によるところの兵庫県の被害というのは、死者、行方不明十九名を含めて人的被害が五十八人、被災家屋が七万二千六百三十五戸、被害総額が一千百五十億円、いずれも一戦後最高であります。その内容も、非常に著名になりました一宮町の山津波あるいは大河川であるところの千種川の決壊、そのほか数知れない中小河川の決壊、溢水、それから都市水害、姫路や赤穂、こういうところの特に内水の浸水、それから家島、急傾斜地の住宅損壊、こういうようなかっこうで、考えられるすべての災害のパターンが兵庫県では発生をしておるわけです。  建設大臣国土庁長官、よく聞いておっていただきたいのですが、やはり究極の原因は、自然のバランスを崩すような乱開発、これの野放し、さらには河川改修であるとか治山事業であるとか、あるいは都市の水害対策、排水事業というようなものを軽視しておる。こういう点で建設大臣国土庁長官の責任も重大だと私は思うわけでありますが、その中できょうは千種川の問題を取り上げてみたいと思います。  たとえば千種川の下流にございます赤穂市では、床上浸水が千七百十八戸、床下が八千九十戸、公共土木被害額が県関係で十六億八千万、市関係で十一億三千万、農林関係で十一億二百二十万というふうに、一つの市を取り上げても相当膨大な被害を受けておるわけであります。その原因は、もちろん赤穂市内を流れておりますところの二級河川である加里屋川であるとか大津川、それから準用河川であるところの塩屋川、こういうものの溢水もあるわけでありますが、やはりこの際問題にされなければならぬのは、県の主要河川といいますか、兵庫県で第四位の長さであります、集水面積も非常に大きい千種川、これは二級河川でありますが、これの問題だと思う。  この千種川というのは、四十九年災でパイピング現象を起こしまして、かなり浸水被害を出したわけであります。ところがこれが、国土庁長官もよく御存じのように災害復旧の対象にならない。そのまま放置されて今日に至っておる。だから結果としては、明治二十五年七月に大洪水があって、その後一次改修をされて、そのまま今日に至っておる。一向に本格的な改良工事が行われておらぬ。二級河川ではありますが、しかし二級河川といえどもやはり知事は国の機関として管理をしておるわけでありますから、国の責任は重大だと思う。  ところが、そういう状態のところで今回の十七号台風、またパイピング現象が起こる。そして、今度は左岸が、国鉄赤穂線との交点であります上高野、下高野、それから富原、こういうところで三カ所にわたって破堤をしておる。赤穂市の既成市街地といいますか、大部分があるところの右岸の方も、堤防ののり面崩壊が三百三十メートルにわたって目坂というところで起こっておる。あるいは約百メートルにわたって木津というところでやはりのり面の崩壊が起こっておる。これはもし決壊をしておれば大惨事を招くところであったわけであります。だから、いまも長良川の話が出ましたけれども、計画高水流量、これが正規のものがないわけなんです。この目安として県が考えておるのは毎秒三千三百トンですが、それ以下の出水であるわけなんです。であるにもかかわらず、こういうような多大の被害を与えておる。だから、やはりこういう実情を取り上げても、この際、二級河川といえども本格的な改修をやるべきではないか。地元の市町村は強くこれを要望しておる、こういうことなんですが、ひとつ建設大臣の御意見をお伺いをしておきたいと思います。
  117. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 私も先般現地に参りまして、一宮町と赤穂市を視察さしてもらったわけであります。  一宮の場合は、全く油断大敵といいますか、想像もできない山が崩れてまいったわけでございまして、その点の対策は後で申し上げます。  千種川の場合は、ゼロメートルの地帯でございまして、川自体の排水も非常に悪いのじゃないかと思います。それにいまおっしゃるように、川の合流点がございましたけれども、あの付近の改修が全くおくれておるということが大きな原因ではないかと思っておりまして、詳しいことは局長の方からひとつお願いいたします。
  118. 栂野康行

    栂野政府委員 千種川は二級水系でございますが、その工事実施基本計画の策定でございます。この件に関しましては、兵庫県をよく指導しまして、できるだけ早く策定してまいりたいというふうに考えております。  それから、千種川の抜本的な改良復旧計画でございますが、今般の災害実態にかんがみまして、災害関連事業などによりまして早急にやってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  119. 浦井洋

    浦井委員 建設大臣にお伺いをしたいのですが、いま河川局長は工事実施基本計画をできるだけ早くつくり上げたい、こういう答えでありました。そうすると、二級水系に関していま全国的にかなりの数の本数があると思うのですが、工事実施基本計画ができ上がって、しかも、これは河川法第十六条でありますが、その河川法施行令五条で、現況台帳図面、こういうものが備えられておる河川というのは一体どれくらいあるのですか。
  120. 栂野康行

    栂野政府委員 お答えいたします。  二級水系につきましては、これは県知事さんが管理するということになっておりまして、建設省はそれを行政指導するという立場にございます。現在におきます二級水系の工事実施基本計画の策定でございますけれども、大体二十水系が策定されてございます。
  121. 浦井洋

    浦井委員 何河川のうちですか。
  122. 栂野康行

    栂野政府委員 現在工事をやっております水系でございますが、全体で大体九百水系ぐらいじゃなかろうかと思います。そのうちでございます。
  123. 浦井洋

    浦井委員 建設大臣、よく聞いておっていただきたいのですが、九百河川のうちで、一番改修工事の基本になるところの工事実施基本計画ができておるのが二十河川、こういう状況であります。そのほかは、たとえば災害を受けたところの災害復旧であるとか、それの助成であるとか、関連であるとか、こういうことで、いわば継ぎはぎでやっておられる。こういうところに今度の大きな被害を生んだ根本の原因があると私は指摘せざるを得ないわけでありまして、こういう点で、せっかく四十年に河川法が改正をされ、そこではこの工事実施基本計画を定めなければならぬというふうに言われておるのにこんな状況では、河川法というのは全くざる法ではないかと言わざるを得ないわけなんです。  こういう点について、いま局長は県の管理だと言われた。しかし、先ほど私言いましたように、国の機関としての知事が責任を持つ、最終的には国が持つわけですから、そういう点で建設大臣のこれからのやり方、考え方、こういうものについて大臣からひとつお聞きしたい。
  124. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 九千というのはちょっと多いのじゃないですか。九百ですね。日本に九千も川があるはずないですからね。  しかし、それにしても二十というのは少ないですよ。そこで、この間から問題にしておるのですが、五十二年度から始まる治水五カ年計画、これをどうしても八兆円の計画に乗せたい。これはしかし非常に容易でない金額なんですけれども、これでもやっと一級河川が、いま五二%改修ができておるそうですから、六〇%になる。さらに、あと五年たつと九〇%になる。一級河川についてあと十年で九〇%改修ができるという程度でございます。これも、ここで話は簡単ですけれども、その八兆円の計画を策定するということも、実は大蔵省の非常に強い抵抗がありまして、大変心配をいたしております。二級河川についてはまだ私自身案が固まっておりませんけれども、いまのところ一級河川はどうしても八兆円の計画をぜひつくりたいということです。もちろん、八兆円の中には一級河川もあれば二級河川もあるし、またダムもあれば遊水地もあるという状況でありまして、大変心配はいたしておりますが、いまから漸次詰めてまいりたいと考えております。
  125. 浦井洋

    浦井委員 大臣、八兆円というようなことを言われましたが、建設省ではもうすでに新五カ年計画として八兆という数字を出されておるわけで、それを今度の台風十七号で見直しをしなければならぬ。ある新聞によりますと、九兆になるだろうといって新聞記事になっておるのに、後退した答弁をされたらぐあいが悪いと思う。やっぱり積極的にやらなければいかぬ。  そこで、そういう方向で、私は、千種川については工事実施基本計画をつくって本格的な改修工事に取りかかる、それと同時に、いま災害を受けておるところの災害復旧にはできるだけ努力をする、こういうことでやってもらわなければ困るというように指摘をしておきたいと思うわけです。そこで、具体的な点を二点ほど聞いておきたいのですけれども、千種川の支川に長谷川というのがあるわけなんですが、これは四十五年災で被害を受けて、護岸が飛んでしまった。それで、これは災害の助成事業になって四十八年に竣工しておる。ところが、四十九年にまた同じところの護岸が飛んでしまう。これは全国至るところでこういう現象が見られるわけでありますが、それの一つの原因として、いま災害復旧一、助成が一、一対  一の割合でやられておるわけなんです。しかし、用地費も高くなってくるというようなことで、どうしても助成の方が相対的に工事量が少なくなってくる、そのためにこういうような現象が出てくるのではないか。  そこで、私、要望したいのですけれども、経済効果、人口が密集しておるようなところにはかなりこれもやらなければいかぬ。しかし、過疎地のところでこういうような手抜きが起こると、そこはもちろん、下流の方も全部困る、こういうことになるので、災害関連あるいは災害助成、一対一の比率をもっと緩めて、県なら県で充実した仕事がやれるように国として配慮すべきではないか、このように思うわけですが、この点についてどうですか。
  126. 栂野康行

    栂野政府委員 関連事業あるいは助成事業につきましては、現在一対一というのが原則でございます。しかしながら、災害実態にかんがみまして、一対二あるいはそれ以上というふうにいままでも財政当局といろいろ打ち合わせをしながらやってきたところでございます。  いま先生おっしゃいました長谷川につきましては、災害実態にかんがみまして、再度災害が起こらないように、十分やってまいりたいというふうに考えております。
  127. 浦井洋

    浦井委員 最後にもう一つ。  今度は、これは一級水系そのものでありますが、揖保川の支川についてであります。揖保川の沿岸の揖保川町というところは、床上浸水が六百三十七戸、床下が四百四十戸ということで、床上の方が床下よりも多い。こういう異常な現象を生んでおるわけです。その原因は、揖保川の支川で県の管理であるところの馬路川であるとか前川、これが本川に比べて低水位であるために樋門を閉めるというかっこうになった。そうすると、今度のようなかなり長期にわたる集中豪雨では必ず馬路川、前川が溢水、はんらんをするということになっておる。  そこで、馬路川については、これは八年前から地元から要望が出て、建設省としては調査費を数年間、四年ですか、続けて出して、強制排水をする必要があるということになっておるのですけれども、肝心のポンプアップ施設の事業計画が全然できておらぬ、だから今度のような被害を生んだ、こういうように地元では怒っておるわけであります。  それから、これはどっちも合流点の排水施設については国がやるという約束になっておるようでありますが、前川については、国は四十九年に樋門を改築したので、これでもう済みだ、こういうことでほったらかしておるわけです。それで現実には前川が溢水し、はんらんをして大きな被害を起こしておる。ここもやはりポンプアップ施設、排水施設を備えるべきではないか。これを私は要望したいと思う。  少し答えをいただいて終わるか、あるいはその答えにまた何かあるか……。
  128. 栂野康行

    栂野政府委員 お答えいたします。  まず、馬路川の内水対策でございますけれども、かねてから調査をやってまいりまして、今回の災害実態がわかりますので、早急にその結論を出したいというふうに考えております。  それから、前川の湛水被害の軽減でございますけれども、これにつきましては、昭和四十七年度から小規模河川改修事業ということで県の事業で改修を開始したわけでございます。  この目的を申し上げますと、前川の支川の瀬戸川流域を河川トンネルによりまして、トンネルを掘って流量の一部を播磨灘へ流すという計画でございます。こうしますと、この前川の関係の内水被害というものはほとんど救われるという現状でございます。しかしながら、このトンネルを掘って播磨灘に洪水を流すというのはいろいろ問題があります。したがいまして、今回の災害実態にかんがみまして、いわゆる地元関係者の協力を得まして早期にトンネルを抜くことの実現を図ってまいりたいというふうに考えております。
  129. 浦井洋

    浦井委員 要するに、被害が生まれておるわけなんで、その計画があるとか、あるいはトンネルを掘る計画があるとかいうようなことだけでは、また来年の豪雨期にはこういうような被害を生むことは間違いないわけで、早急に決定的な仕事を金をつけてやっていただきたい。このことを要望して私の質問を終わりたいと思います。
  130. 天野光晴

    天野(光)国務大臣 五十年代上半期経済計画によると、治山治水の五カ年計画は五兆五千億にしぼられている。そこで、来年度の建設省の計画している計画は八兆である。その差は非常に大きなものがあるので、今度の災害を契機として少しでも災害を抑えるためには、五兆五千億などではだめだから八兆以上にしろというのでいまやっているのであって、決して後退ではないということだけひとつ御理解願っておきます。
  131. 兒玉末男

    兒玉委員長 広沢直樹君。
  132. 広沢直樹

    ○広沢委員 今回の記録的な豪雨を伴った第十七号台風災害につきましては、政府さらに当委員会におきましても早速被災地へ調査団を派遣し、つぶさに被災状況を調査、掌握されたわけであります。そして、数多くの陳情を受けられて、それに対する早急な対策を約束されたわけであります。私も委員派遣としては岡山、兵庫県に派遣になりましたし、さらに党の調査班として香川県、徳島県に参りましてつぶさに被災状況を掌握いたしました。したがって、ちょうど被災を受けてから早くも一カ月がたたんとしておりますが、被災当初はその対応策に追われておりましたけれども、いまやその後の復旧をどうするかというふうに、被災者はもとより関係市町村におきましても一日も早いその復旧に対しての強い要望がございます。  そこで、数多くの陳情をいただきましたけれども、それを整理をいたしておりますと、地域によりましては多少地域、地域の事情がありますから違う面もありますが、共通されている面は、激甚災害地の指定あるいは天災融資法の適用、また災害復旧の早期完成と改良復旧の大幅な採択、あるいは被災町村に対する大幅な財政援助、また被災者に対する手厚い援助、復旧工事のための測量、設計のいわゆる全額の国庫補助、あるいは河川の改修、急傾斜地の対策等々、これはどの地域におきましても共通した問題であります。これにつきましては、一すでに当局におきましても十分なる対応をするということで取り組んでいるようでございますので、私もこれに対しましては早急に対応策を講ぜられて、具体的な施策を講ぜられるように強く要望申し上げておきたいと思います。  そこで、今回の被災地を回りまして状況を見て感じますことは、やはり河川改修あるいは地すべり、急傾斜崩壊等、治山治水対策が大変おくれているということを感ずるわけでありますが、今後どのようにこれに対応していかれようとしておられるのか。これまでの計画やあるいは予算、そういった感じでは、これはもう徐々に直していく以外に方法がないのであって、これまで多くの陳情と要望を受けたのはすべて財源的な援助を図ってもらわなければならない、町村財政が非常に逼迫している事情から見ますと、この復旧は国に大きく依存しなければならないということで要望されているわけであります。したがって、抜本的な見直し、あるいは予算の大幅な増額、こういうことを考えていかなければならないと思いますが、きょうは大臣が御出席でありますので、それに対する基本的な考え方をまず簡単に農林、建設両大臣にお伺いいたしておきたいと思います。
  133. 大石武一

    大石国務大臣 このたびの災害は大変な災害でございます。これにつきましては被災農民——われわれの関係は農民でございますが、被災農民につきましてはできるだけの手当てをいたしまして、そして十分にこの災害を切り抜けることができるように、来年からの生産並びに発展のために一生懸命働くことができますように協力をする決意でございます。  一番大事なことは、台風十七号について申せば、やはり何といっても来年からの生産に従事できるような基盤をまず早く復旧することが一番大事だと思います。その他の生活の問題、生活をできるだけ落とさないようにこれを維持していくということにつきましては、他の冷害その他と同じでございますから、これにつきましては、いろいろな考え方、後で申し上げますけれども、まず耕地復旧ですね。耕地をできるだけ早く復旧して、あるいは農業施設災害もできるだけ復旧して、来年の作付、生産にとりあえず間に合わせるということにまず全力を挙げてまいりたいと思う次第でございます。これを基本的な考えといたしております。
  134. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 御要望につきましては、私どもも全く同感でございまして、すでにその準備をいたしております。  また、財源につきましては、十分これにこたえる用意がございます。
  135. 広沢直樹

    ○広沢委員 大蔵省から西垣主計官に御出席をいただいておりますが、大蔵省としても、この予算問題については十分こたえられるような対応を考えていただかなければならない。いままでのように、予算編成に当たって、大体前年度の伸びに一律上積みして何%か伸ばすというような形ではなくて、やはり被災状況から考えましても、改良復旧等大幅に予算は必要とするわけでありますから、抜本的にこのことは取り上げて考えていただかなければ、いままでのような概念の予算編成では十分要望にこたえられないと思いますので、大蔵省考え方をひとつ基本的に伺っておきたいと思います。
  136. 西垣昭

    ○西垣説明員 治山治水事業予算を十分配慮するようにという先生の御趣旨には全く同感でございます。私どもも従来からもそういうことで努力してきたつもりでおります。四十九年度、五十年度の異常な物価情勢のもとで総需要の抑制をせざるを得なかったときは別でございますけれども、その後の五十年度補正予算、五十一年度当初予算におきましては、一般の公共事業の中でも特に治山治水については相当な配慮をしたつもりでございます。来年度につきましても、これは来年度の予算というのは非常に厳しい財政状況でございまして、私どもはその厳しい制約のもとで作業をせざるを得ないわけでございますけれども、その制約の中でできるだけのことはしたいというふうに考えております。
  137. 広沢直樹

    ○広沢委員 参考までに申し上げておきますが、兵庫県の新宮町へ参りましたときに、そこの川辺町長は土木の専門の立場の人であったので、特に申しておりましたけれども、その新宮町の被害は大体十億だ。ところが、これは専門的な立場から見てみますと、防災として金を入れるとしたら、大体五億ぐらい入れておけばこういう十億の被害を受けなくて済んだと思う。これはわれわれ調査団にはっきりと言ったことなんです。したがって、当然財源には限度がありますから、すべてを一遍に直すわけにいきませんけれども、少なくともいままでよりもプラスして、急速に防災予算もつけていく、あるいは危険個所もふえていくことでありますから、それに対応する予算も適切につけていくという姿勢でなければならないので、強くこれを要望しておきたいと思います。  次に、今回の災害に当たっては、市町村関係者あるいは地区の住民は不眠不休でこの対応をいたしたわけで、それによりまして未然に被害を防いだ、被災を免れたというところも多く感じられたわけでありますけれども、中には御承知のように痛ましい犠牲者を出す、あるいは甚大な被害を受けているというところもあるわけであります。  これは建設、農林両大臣に伺いたいと思いますが、俗に備えあれば憂えなしと、こう申しております。したがって、やはり防災に当たっては、日ごろから地域の状況を十二分に掌握しておかなければならない。そして、その関係者はもとより地域住民に対して十二分にその地域の現状というものを徹底して、住民が万一に備えての万全な考え方を常に持っておく必要があるのではないか。  そこで感じますことは、今回の調査に当たりましても、すでに建設省あるいは農林省、林野庁において、四十七年に危険個所の総点検をやっております。それ以来、年々数字的にはふえていっているでしょう、改修されたところもありますから、ふえたり減ったりして、実体的にはふえていると思いますが、今回感じましたことは、危険区域の指定を受けていない、あるいは危険個所とも思われなかったところが大きな被災をした。特に私どもが派遣された兵庫、岡山においては、そのほとんどが指定個所じゃなかった、こういうふうなお答えが出ておりました。したがいまして、これは先ほど中馬建設大臣からもお話がありましたように、治水計画を見直す、あるいは当然治山計画も、五カ年計画は大幅に見直すということでございましょう。それならば、その前提としては、もう一遍これを総点検して詳細に状況をつかんだ上で、それに対応できるだけの計画を立てるべきではないか。四十七年から総点検を行われて、部分的な手直しはあったというふうに当局から聞いておりますけれども、いまここでもう一遍これを見直してみる必要があるのではないかと思いますが、建設省農林省、いかがでしょう。
  138. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 個々の具体的な個所づけにつきましては、いまここでお約束できませんけれども、全国大変な数でございますから、御指摘の点につきましてはよく検討させてください。
  139. 大石武一

    大石国務大臣 現在、国土のいろいろな利用なり開発がたくさん行われておりますが、これにつきましては、私はやはり全面的に総点検をして、そのあり方を決めることが大事だと思います。たとえば、私はことしの五月にある地域、有名な国立公園でありますが、地域内を歩いてまいりました。それは大きな渓谷であります。そうすると、そこにはりっぱな工事がしてありまして、札が張ってある。砂防何とかモデル模範地区とかなんとか張ってある。まことにこれは自慢の砂防工事だと思います。しかし、何のために砂防工事をしなければならなかったかというと、これは山の木を皆切ったからです。全部切り払って坊主山になっている。植林をしてもろくにいい木が育っておらない。そういう現状でありますから、木を切らなければ当然そんな砂防工事なんか要らなかったのです。それを木を切ったがために、砂防工事をして、何十億か大きな金をかけて、そしてその結果がまことによくできたといって自慢をするような現状なんです。  こういうことは、わが農林関係だけではなくて、すべての役所にあると私は思います。これはやはり今後厳重に戒めて、ここに幸いに国土庁長官がおりますが、国土庁長官がその方の音頭取りの中心となって——国土庁というのは、ただ建設省の手先ではだめなんです、環境庁の手先でもだめ、日本の国土全体をどのようにしていくか、全部の役所の総合的なまとめ役、世話役ですから、こういうことを中心となって総点検をして、長期的な日本の将来のあり方を考えることが一番大事ではないか、こう考えております。
  140. 広沢直樹

    ○広沢委員 国土庁長官の名前が出ましたが、長官もいらっしゃるので、防災の音頭取りだというわけですから、一言御意見を伺っておきたいのですが、いまもお話がありましたように、この総点検については四十四年にもやっているのですね。そのときは、建設省関係の急傾斜地の関係では一万三千カ所だったのが、四十七年の調査では六万件を超えている。さらにその後ふえているはずでありますね。それから、林野関係も、四十七年の山地災害危険個所の調査では五万六千カ所ということになっておりますが、これもいま大臣がおっしゃったように、その後の木を切ったりいろいろな状況で変わってきていると思います。したがって、これは防災の見地からは、いま前段申し上げましたような趣旨から、やはり国土庁長官防災会議ではひとつ音頭をとって・早急に点検した上で、次の五カ年計画、さらにもっと詳細な計画を実態に適応して立てるべきである、御意見を簡単にお伺いします。
  141. 天野光晴

    天野(光)国務大臣 今度の災害で危険区域でないところが被害を受けたという状態ですから、本当に危険なのはどこかという問題点は相当むずかしいと思います。そうですから、建設省の方でも六万カ所と言っておりますが、それが果たして本当に危険なのか、それ以外にはないのかという再点検をやはりすべきだと思います。御承知のように、非常に狭い国土を利用するわけですから、開発その他との絡み合い等もこれあり、いろいろな関連性を考えてみまして、最小限度に災害を食いとめるような措置で国土計画を立てていきたい、そういうように考えております。
  142. 広沢直樹

    ○広沢委員 それから、次は自治省にお伺いしますけれども、やはり防災の関係でいきますと、人命、財産を守るということが災害対策の一番基本であります。そこで、災害対策の体制について二、三感じたところを申し上げておきたい、こう思います。  それは、災害対策本部、この設置は非常に地域によってアンバランスで遅いところがあるのじゃないか。具体的には申し上げませんが、これは総合的にどこでもそういう問題があると思うのですが、われわれが参ったところでも、すでに町村で救助法が適用になっている、その後で県に対策本部ができているというようなところもありましたし、すでに浸水が始まって大変な状況があるのにもかかわらず、災害対策本部がまだ設置されていないというようなところもありました。基本法によれば、いわゆる災害時ないしはそのおそれのある場合には、災害対策本部を設けてこれに十分な対応をしなければならぬというのが基本法の精神であります。したがって、やはり備えあれば憂えなしでありますから、早急にその体制をとるべきではないか。後で私は具体的な問題を質問いたしますが、それもしょっちゅう災害があるわけじゃありませんから、事前に対策本部ができ、日ごろ不備になっているものをその時点において適切な調査をしておければ、連絡が不備であったとかいろいろな問題がある程度カバーできたのではないかと思われる面もあるわけであります。したがいまして、その点をどういうふうに考えていくか。  それから、時間もありませんので自治省にまとめて聞きますが、前から問題になっております連絡の方法であります。この連絡につきましても、いろいろな問題がありましょう。情報の提供はラジオとかテレビとかいろいろな問題もありますが、きょうは特に被災した後の連絡の問題、それについて申し上げておきたいと思います。  これは具体的な例を申し上げますと、徳島県の穴吹町古宮という地区で大被害を受けております。これは調査団が行かれたところでありますけれども、それも連絡がとだえて三日間ほとんど連絡がつかない、道路もずたずたでありますから、そういう状況がありました。しかし、そこにはたまたま郵政省の所管のいわゆる孤立無線があったわけです。しかし、これを使って何とかその地域の連絡をとろうとしたのだけれどもなかなか連絡がとれない。私も現場におったわけですが、一回連絡をとるのに約五時間かかる。そういうことであれば、せっかく孤立無線というものをつくっておきながら、これはまずい。それは電波法にも災害時には協力しろとちゃんと決められておりますが、この問題、どうしてそういうふうにかかるのか、これじゃ役に立たないと思います。そのために、ここの町長は、連絡がつかないから仕方がないということで、車で行けば一時間もあったら十分行くところを徒歩で二日がかりで連絡に行ったというような状況も出てきたわけであります。これは郵政省から、どういう事情でそういうようになったのかということを簡単に説明いただきた  それから、さらにそれに関してもう一つ申し上げておきたいのは、こういう問題がありますからこそ防災無線というのを考えていかなければならぬという要望が多くあるわけです。しかし、いま考えられているところは、県と市町村の関係の防災無線は、国が補助制度を設けてこれをやろうということで、大体四十七都道府県で半分くらいの県がいま実施している、あるいは検討中である、あとはまだやってないということでありますが、順次これも計画的に進められるでしょう。しかし、町村から一番必要であるそういう連絡がとりにくい集落に対する連絡が非常にまずいということで、確かに形としては郵政省の孤立無線があってみたりあるいはいろいろな方法がありますけれども、それに対して十分なる考えを持っていくべきであろうと思いますが、それに対する考え方を、時間の関係がありますので要点をしぼって簡単にお答えください。
  143. 永井浤輔

    ○永井説明員 お答え申し上げます。  市町村及び都道府県で災害対策本部を設置いたすということは、それぞれ災害の緊急性において各地方団体の判断で行われるということでございますが、台風等による災害ということが予想される場合には、やはり情報連絡等、そういった総合的な防災体制というものをできるだけ早くとるということが必要であろうかと考えておりますので、そういった御趣旨を体しまして今後ともそういうふうに指導してまいりたいと考えております。  それから、市町村と集落を結ぶ防災無線でございますが、御質問にもございましたように、ただいま県と市町村を結ぶ防災無線をできるだけ早急に整備したい。市町村と集落の問題は、これは非常に具体的に市町村の面積とか集落の数とか地形あるいは設備の内容によりまして大幅に事業費が変動いたしますので、一律に補助制度というのはなかなかむずかしゅうございます。  現在当面の問題といたしましては、こういった災害時における通信網につきましては、消防用無線というのが全国で大体三万近くございます。無線局でございます。それから、あるいは辺地対策事業、それから過疎対策事業あるいは山村対策事業、こういったものでそれぞれ整備された通信網というものをできるだけ有効に活用するよう指導いたしておりますし、また災害時には、アマチュア無線、こういうものも積極的に御協力いただいて活用できるように地域防災計画で織り込むように指導はいたしておるわけでございますが、今後ともそういったいろんな通信網を活用するようにまた指導をさらに徹底してまいりたい、かように考えております。
  144. 楠正暢

    ○楠説明員 台風十七号の豪雨によりまして、穴吹町の役場とそれから古宮地区の間の電信電話公社がやりました市外ケーブルが断線いたしまして、九月十一日の八時二十五分ごろから通信ができなくなりました。そのために、古宮地区の母子健康センターというところにあらかじめ配備してありました日本電信電話公社の孤立化防止用無線局を八時三十五分ごろから使用を開始いたしております。この孤立化防止用無線局は高松の市外交換台に収容されておりまして、そこから先の通信網は正規の機能を発揮しておりましたものですから、母子健康センターのこの無線局からは通常の市外通話をやるのと同様の方法で穴吹の役場とも連絡することができる状態にございました。それで、この孤立化防止用無線局を使用いたし始めましてから市外ケーブルの障害が復旧いたしまして無線局の使用を終了いたしますまでの九月十五日十一時十五分ごろまでの間に、約九十回の通話が行われております。  非常に長時間かかったということでございますが、過去の例で申し上げますと、昨年の高知県下の豪雨災害の際に、このような孤立防止用無線局が二十数カ所一斉に通話を始めましたために二、三時間でしょうか時間がかかった例がございますが、今回の場合には古宮の無線局を含めまして数カ所の無線局を活用した程度でございますので、連絡に長時間を要したことにつきましては理由はちょっとわかりかねますが、なお実情について調査を進めていきたいというふうに考えております。
  145. 広沢直樹

    ○広沢委員 いま自治省からも防災無線のことについてお答えがありましたけれども、おっしゃるように地域、地域が全部アマチュア無線だとかいろいろなものが入っておりまして、それが災害時にはきちっと連携がとれてというふうに日ごろからできておれば、こんなことにならぬのですよ。いまも郵政省が答えておられるように孤立無線があるのですけれども、現実は九十何回発信と着信をやっていることもわかっているのですが、しかし一回の発信に五時間も四時間もかかっている、そんなにかかるわけないだろうということで、私もその現場を見たのですが、実際かかっているのです。だから、そういう机上で考えていることと現実とが違うわけですから、やはりこれはよく点検して検討願いたいし、さらにはいま言う町村と集落の防災無線について国で、もっとも町村財政ではできませんから、十分配慮していただきたいと思います。これは強く要望しておきます。  それから、今度は厚生省、これは同僚委員から質問もありましたから、確認の意味でもう一度申し上げておきたいのですが、災害救助法の救助基準額ですね。これは実態に即するように見直しはしていると思いますが、やはり地域、地域においてはもう少しこの基準を引き上げてほしいという要望がたくさん来ております。  それから、先ほどありました援護資金の貸し付け問題も、所得制限ですか、前年度の課税所得金額の百八十五万、これは総所得に直すと、確かにおっしゃるようにたくさんの人に、三百万くらいか四百万くらいの収入ということになるのでしょう。しかしながら、被災をされた方が立ち直っていくために唯一に頼っていくところはやはり資金なんです。そのために設けられた制度でありますから、これもやはりこの貸し付け限度を引き上げる、あるいはいまの制限枠を拡大するという方向でこれは取り組んでもらわなければいかぬ、この災害からその考え方をもってやってもらわなければいかぬと思うのですが、その点簡単にお答えください。
  146. 水田努

    ○水田説明員 お答え申し上げます。  災害基準の単価引き上げにつきましては、少し施設課長、オーバーヒートし過ぎているんじゃないかという批判を受けるくらい私やっているつもりでございます。ことしも改定いたしましたし、また先生のただいまの御指摘の点を体しながら、今後もさらに改善には努めてまいりたい、このように考えております。  第二番目の所得制限の緩和の問題でございますが、これは災害時には各種の融資制度というものが被災者に総合的に機能するように相なっているわけでございまして、私どもは福祉資金としてその役割りを分担さしていただいているわけでございます。厚生省は、この災害援護資金以外にも母子であるとか寡婦であるとか、いろいろな福祉の貸し付け制度を持っておるわけでございますが、それらとの均衡から見て、やはり所得制限の緩和をこれ以上図るということは無理ではないか、このように考えているわけでございます。  なお、限度額の引き上げの問題につきましては、世帯更正資金等があわせ借りられますので、そこらあたりの指導を十分図ることによって、福祉資金としての役割りを十分果たせるように積極的に関係市町村指導をさせていただきたい、このように思っておる次第でございます。
  147. 広沢直樹

    ○広沢委員 とにかくこの問題は、災害を受けた方々が一番頼りにする問題でありますから、実態に即するように絶えず考えていただかなければならない、これを強く申し上げて、いま余り前向きのお答えじゃないので、後日、具体的に詰めてみたいと思います。  次は、建設省にもう一度お伺いいたしますが、今回の集中的な豪雨、これは非常にいろいろな問題がありますが、内水の排除の対策ということが急がれなければならぬという問題があります。徳島県においては、今回の豪雨の中でも、約千八百から二千ミリという、それこそ川が天から降りてきたという表現がなされたほどの雨が降ったわけであります。毎回徳島県、特に四国は水害にやられるわけでありますが、徳島県の吉野川沿線、いま吉野川は一級河川として堤防も百九十二号線沿いに改修され、今後もまた続けられるわけでありますが、それと同時に今度は冠水、いわゆる湛水の排除の問題をどうするかということを一元的に考えていかなければならぬ、こう思うわけです。  そこで、この吉野川沿線の湛水防除についての計画がどういうふうに具体的になされているか、これは一つ一つ個所別にいま聞いていると時間がございませんので、その計画がちゃんとできているかどうかということをひとつお答えいただきたい。  その中で、これは調査団が行かれた地域でありますから特に地元から要望がありますが、鴨島町、これは毎年水が出るたびにつかっているわけです。そして、この鴨島町にはポンプがない。いま浸水の原因になっております江川あるいは飯尾川、この関係の流末のところに一カ所十トンくらいのポンプがついているだけですから、どうしても町内に、河川の改修と同時にポンプをつけてほしいという要望があります。  ですから、この問題だけにしぼっておきますが、この計画があるかどうか、その計画がきちっとできているかどうか、そして、その計画の中で、毎年受けている、調査団が特に調査した鴨島町についてはどう考えているか、簡単にお答えください。
  148. 栂野康行

    栂野政府委員 お答えいたします。  吉野川の内水問題でございますが、ここは昔から内水地帯でございまして、建設省におきましては重点を置いてポンプ排水をやっておるわけでございます。ちなみに、本年三月までにポンプ場としまして八カ所が完成してございます。そして、現在工事中の個所が三カ所というふうになってございます。そうしまして五カ年計画に基づきまして、順次内水排除対策をやっておるという次第でございます。  それで、現在、鴨島町でございますけれども、この地区につきましては、先生おっしゃるとおり下流にはございますけれども、鴨島町内にはないということでございます。本年度の大内水、鴨島町が大きく内水を受けたわけでございますが、こういう実態にかんがみまして、ポンプ排水計画につきましては今後十分検討してまいりたいというふうに思っております。
  149. 広沢直樹

    ○広沢委員 次に、これは国土庁にお伺いしますが、今回被災地における救助あるいは復旧、これはどの地域についても当然のことでありますけれども、特に過疎地域における災害町村の存立にかかわる重大な問題になっているわけであります。徳島県では木屋平あるいは一宇あるいは神山、こういう今回調査団が調査された地域は、つぶさに政府調査も入っておりますからよくおわかりになっていただいていると思いますが、大体過疎現象というのは、御承知のように生活が不安定であるということが最大の原因であります。したがって、経済的な理由、収入の問題、仕事の問題、そのほかにいま言う災害に対する不安があるわけであります。ですから、こういう部面にかけての過疎対策、国土庁にも過疎対策室がありますけれども、やはり過疎が進んでいくことになろうかと思います。したがって、これに対する対応をどういうふうに考えていかれようとしているのか。  時間の関係もありますから続いてお伺いしますが、特に集団移転、こういう方法もあるからこれも考えたらいいとか、いろいろなことを言われているわけであります。しかし、これもやはり過疎地域の実情に合ったようなやり方に考え直してもらわぬと、いまの法律ではどうも困る面があるわけです。それば木屋平村あるいは一宇村というのは、御承知のように、集団移転法によって移転する地域をつくろう、団地をつくろうとしても、その場所がないわけですね。集団移転法によって、たとえば十戸以上の基準を決めておりますから、それだけの団地をつくることができない。それじゃ、三戸でも五戸でもという形でつくっていきたいということになるわけでありますから、それについては、建設省のがけ地近接危険防止事業ですか、その関係で二戸でも二戸でもやればいいじゃないかというと、これはまた条件が違う。ですから、やっぱり町村の財政としてやらなければいかぬということになると、これはやっぱり集団移転法も特例を設けて、その地域に対しては、それが少数であろうとも、ここに五戸、ここに三戸というふうに地形を利用して安全なところを検討してからつくるわけでありますから、それを認められなかったら離村する以外にない、町村の存立にかかわる問題であります。そういったところも含めてひとつ考えていただきたいのですが、いかがでしょうか。
  150. 近岡武男

    ○近岡説明員 お答え申し上げます。  御指摘のように、災害は過疎地域におきましては非常に打撃でございまして、町村財政も窮乏化いたしますし、住民生活にとりましても多大な影響を受けるわけでございます。また、再度災害が襲来するという非常に危険の高い地域におきましては、やむを得ず、お話のございました防災集団移転の事業を余儀なくされるという地域もございます。そのために過疎化に一層拍車がかかるという傾向はお話のとおりでございます。  過疎市町村におきましては、人口の定着あるいは地域の振興を図るために、何といいましても農林業の振興が第一でございまして、そのための生産基盤の整備あるいは生活環境の整備を図らなければならないわけでございます。その方策としまして、議員立法でおつくりいただきました過疎対策緊急措置法をいま進めておりまして、五十年度を初年度としまして、いま五兆円を上回る規模の振興計画を進めております。  集団移転のための住宅団地が適当な個所になかなか見つからないということもございますので、かつては林野などを割愛していただいて、同じ町村の地域内に団地をつくった例もございますので、関係各省庁の協力を得ながら、できるだけ人口の流出がないような形で集団移転の事業も進めてまいらなければならないというふうに考えております。  もとより災害復旧事業とか、あるいは防災関係の災害関連事業も当然重点的に進めなければならないわけでございますので、関係各省庁の御協力を得ながら、過疎地域の振興計画の中で総合的に施策を展開しまして、何とか過疎化の防止に努めてまいりたいというふうに考えております。
  151. 広沢直樹

    ○広沢委員 天野長官、いまおっしゃっているように、ひとつ地域の実情に対して考えてもらいたいのですが、片っ方では過疎対策を進めて町村の維持ができるように考えていこうという施策を講じながら、現実に今度は災害を受けて全村がほとんど地すべり地域で危ないのですよ。だから、ここに五戸とかここに三戸というのが町村の実情でしょう。それを集団移転法で十戸当たりというようにやられちゃったらできないわけですね。そして、やっぱり町村が音頭取らないとどうにもならないわけです、こういう問題は。ですから、特に過疎地域については検討をいただきたい。ちょっとひとつ御意見を伺いたい。
  152. 天野光晴

    天野(光)国務大臣 いま室長から答弁したのでありますが、法律の範囲内で行うということになればちょっと問題がありますが、法の運用上やれる——私はよく勉強しておりませんが、法の運用上やれるというものであるならば、その地域の住民の期待に沿うような形で持っていくというのは当然だと思いますから、地方自治団体の意向等も参酌して扱うようにいたします。移すのが目的ですから、移す場合に、要するにいまの固定した問題で動かせないということになりますと問題がありますから、そういう点でもしも法改正が必要だとすれば、それについても考慮はいたします。
  153. 広沢直樹

    ○広沢委員 時間も参ったようでありますが、最後に一言だけ聞いておきたい問題がありますので申し上げます。  それは治山治水事業の関係で、今回の甚大な被害の状況から見ましても、すべて一遍にというわけにいきませんから、一番大事なのは、やはり今回の河川の問題についても、土石流によってたくさんの住家が流された、あるいはがけが崩れたことによって痛ましい犠牲を出した、こういう問題がありますから、そういうところは早急に予算をつけてもらわなければいかぬし、工事をしてもらわなければいかぬ。  そこで、今回、徳島県、高知県に行かれた調査団の方々が行かれた地域で、これはどうなるかということを特にいま要望されておりますから、具体的にお伺いして終わりにしたいと思います。  これは、一つは穴吹町でありますが、一つの集落が壊滅的な打撃を受けておりますが、二次災害を防ぐ、あるいは残った家があります。そこで、これを全部移転することは不可能でありますが、この河川の改修はどういうふうにお考えになっておられるか。  さらに、木屋平村にも行かれましたわけでありますが、そこは穴吹川の上流であります。それが土石流で埋まってしまって、二十七戸が流されたわけでありますが、この河川改修についてはどういう考えを持っておられるか。  それから、一宇村にも行かれて、ここでも陳情を受けられておりますが、これは役場、いわゆる災害対策本部として災害時に設置された基本のところが後ろのがけ崩れでやられております。したがって、その一宇村役場の機能回復のためにもすぐこれは対策を講じてもらわなければいけません。これは建設省所管だろうと思いますが、その役場付近あるいは大野地区、明谷地区、赤松地区、これについて早急にいまやってもらわなければもう大変なんだということで強い要望がございますが、これについてどうお考えになっていらっしゃるか。  あるいは、この一宇村との境に貞光町というところがありますが、ここにも数十戸の住家があって、それがもう地すべり地帯の上に乗っている。私も現場を見てまいりましたけれども、これが崩れることによって河川をせきとめ、大被害を起こす懸念もあるし、あるいはそこが断絶しますと、奥にある何十戸、何百戸という部落が孤立してしまうという状況があります。それは猿飼地区と、それから平野地区であります。これについても具体的な対策要望してございますが、どういうお考えでありますか。  以上、お伺いをいたしまして、お答えいただいて、終わりにいたしたいと思います。
  154. 栂野康行

    栂野政府委員 まず、穴吹川上流域と内田谷川流域でございますけれども、まず千八百ミリにも及びます豪雨が降ったということで、地すべり性の大崩壊を含みます山地崩壊が多発しまして、各支川からの土砂の流出が非常に激甚でございます。したがいまして、特に緊急に対策を必要とする個所につきましては、緊急砂防事業あるいは緊急地すべり対策事業によりまして措置することにいたしたいというふうに考えてございます。  それからまた、この流域におきましては、災害の非常に激甚な地区につきましては、再度災害の防止という見地から、激特事業としても積極的に取り組みたいと思っております。  それから、先ほど地名が一々挙がりました地点でございますが、まず一宇村の役場裏でございます。これにつきましては、五十一年度は緊急急傾斜地事業をもちまして対処する予定でございます。来年度以降におきましてもさらに促進を図ってまいりたい。  次に、一宇村の大野でございます。五十一年度の地すべり対策事業費を緊急を要する部分に振りかえて施行いたしたい。そして、来年度以降につきましてもさらに促進を図ってまいりたい。  次に、一宇村の明谷でございます。本年度は緊急地すべり対策工事をもちまして対処するということでございまして、来年度以降につきましても促進を図ってまいりたいという次第でございます。  次に、貞光の猿飼先でございますが、本年度は同じく緊急地すべり対策をもちまして処理いたしたいと思います。  それから、一宇村の赤松でございますが、これにつきましては農林省所管というふうに調整がとれまして、また貞光の平野でございますが、これにつきましては林野庁所管ということで県から報告を受けてございます。
  155. 兒玉末男

    兒玉委員長 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。     午後一時休憩      ————◇—————     午後一時三十三分開議
  156. 兒玉末男

    兒玉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  台風第十七号等による災害対策について質疑を続行いたします。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。大村襄治君。
  157. 大村襄治

    ○大村委員 私は、第十七号台風に伴う諸問題について、若干の質疑を試みたいと存じます。時間が制約されておりますので、各省庁ごとに取りまとめてお尋ねいたしたいと存じますので、なるべく簡明に御答弁お願いいたしたいと存じます。  まず、災害問題を統括する国土庁の長官、政務次官御出席のようでございますが、国土庁関係事項についてお尋ねいたしたいと存じます。  今回の台風被害の特徴と申し上げますると、台風がスローモーションでありました関係もございまして、時間がかなり長くかかった、その間に全国各地に集中豪雨による被害が多発した、これが今回の台風被害の主な特徴ではないかと私は考えておるわけでございます。  そこで、これに対応する措置がどうであったか。私は兵庫県、岡山県両県下の状況を視察したのでございますが、その調査の状況によりますると、気象台から県、市町村への連絡、そういったものはおおむね適切に行われているようでございます。また、被害発生直後の措置につきましても、地元の消防団あるいは県警察、あるいはひどいところは自衛隊の応急出動、そういった連係プレーもかなりよく行われているんじゃないか、そのように受け取っております。  しかるにかかわらず、死亡者の数が多い。きょう配付されました資料を拝見いたしましても、死者、行方不明を合わせまして百六十七名というとうとい人命が失われておるわけでございます。県別に見ましても、香川県五十人、岡山県十八人、兵庫県十六人、広島県十六人等を初め、瀬戸内海沿岸の各県でたくさんの人命が失われているのでございます。  こういった異常な気象による災害に対する対策を今後さらにどう改善強化したらよいか、国土庁長官の御所見をお尋ねいたしたいと存じます。  次に、寒さを控えて、対策を急いでやっていただきたい。特に激甚災の早期指定天災融資法の早期発動、これは各府県から熱心な要望が出されておるわけでありますから、その点についての見通しをお尋ねいたしたいと思います。  第三に、今回の災害が集中豪雨で非常に被害が多かった。また、低地帯の農村、都市、そういったものに広域的な被害を及ぼしておるわけでございます。そういたしますと、今後の復旧事業を進めるに当たりましても、建設省所管の河川改修事業、湛水排除事業、あるいは農林省所管の灌漑排水改良事業、湛水防除事業等を一貫した計画のもとに、またタイミングも歩調を合わせて行なわないと、実効を上げることができないのではないか、そういう感じがいたすわけでございます。私が実地に見ました岡山県の吉井川の東岸の地域、これは岡山市、邑久町、長船町と一市二町の広範な区域にまたがるわけでございますが、そこを流れております吉井川の支川であります千町川、干田川等が一斉にはんらんいたしまして、二千ヘクタールに及ぶたんぼの数日間の冠水、あるいは数千戸に上る家屋の浸水を来しておりまして、これを今後引き起こさないようにするためには、広域的かつ一元的な処理が必要ではないか。全国知事会からは、いま申し上げましたような事業を一元的かつ総合的に行えるような制度を検討してほしいという要請も出ているようでございますが、この問題につきまして、国土庁の御見解をただしたいと思う次第であります。  以上三点につきまして、国土庁長官お願いします。
  158. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 大村先生からただいまこうした台風災害の経験にかんがみて御質問をいただきましたわけでありますが、台風並びに集中豪雨の災害の発生が予想されておるときには、これは測候所が精力的に動いてこの情報を伝達するということは当然のことでありまして、関係機関がそれに対する対応策を実は考えるのですが、今回は非常に特異な形の台風であった、あるいは雨量であったというために、思わぬところに災害が発生をいたし、その範囲もきわめて広いものがございました。  そこで、こうした情報の伝達及び警戒態勢を確立するために、一体今後どうしたらいいかということが議論をされるところでありますが、現在、実はまだ県と市町村との連絡体制も必ずしも十分でない面がございます。したがいまして、まず県と市町村とのこうした連絡体制というものを早急に整備していくということが必要であろうと思います。  同時に、今回一番の問題は、山間僻地の各部落に至る通信網が途絶して、情報が全く伝わることがなかったということであります。そういうところに非常な戸惑いと災害の発生というものによる不安が生じてきた、こういうことがございます。しかしながら、今後全国の部落に至るまでのそうした情報網を整備していくということは、いまの段階でもってしては、なかなか実際問題として困難ではなかろうかというふうに考えております。しかしながら、中央非常災害対策本部の会合におきましてもこれらの意見が各省から出てまいりまして、今後部落間のそうした連絡についてどういう体制をとったらいいのか、たとえばいままである、すでにいろいろなところで無線装置等も持っておりますから、そういうものを市町村のいわゆる地域防災計画の中に組み入れてある程度しのいでいけるものかどうか、あるいはまた、それでは全く不十分であるから別途な方法を講ずべきであるのか、そこいらのことは今後各省間の連絡において十分に検討してまいりたい、こういうふうに考えております。  第二番目の激甚災指定でございますが、中央防災会議におきまして、実は各省の取りまとめが済みました。天野長官は、できることならば九月の三十日には激甚法の指定をしたいものだ、なるべく一刻も早くやって関係の皆さんの御安心を願おうということで、各省間のそういう調整をしていたところでありますが、中小企業関係の集計が、いろいろと調査段階が公共事業といささか違いまして、厄介な問題もございまして、四日でなければ集計がまとまらない、こういうことがございましたので、実は少しくずらしまして、昨日決裁が全部終わりましたから、八日の閣議にかけましてこれを政府として正式に決定する、こういうことになろうかと思います。  天災融資法の点につきましては、農林省において十分御検討いただいておりまして、十一月のなるべく早い時期にというふうに承っておりますが、せっかく大臣がお見えでありますから、また必要がございましたら農林大臣の方にお尋ねくださればありがたいと思います。  第三番目は、全国知事会から要請もあっております災害防除事業を一元化してやるべきではないか、たとえば河川改修と湛水排除は建設省である、灌排と湛水防除は、同じような名前でありますが、これは農林省であるというふうに、おのおの分かれておるから、こういうものを一元的にやらないというと、お話のように、吉井川水域のように二千ヘクタールも急に冠水するというときに対応が十分でないじゃないかという御意見でありますが、いま私どもは、国土庁としてもこの問題は非常に関心を実は持っておりまして、大臣の御指示もいただいて検討いたして、そういう体制を——一体事業を新たに起こした方がいいのか、これは起こさないでも、たとえばその地域の市街化の状況あるいはまた農地の状況、そういうものを十分勘案をしながら農林省建設省双方の分野を調整して、十分現制度でやっていけるのではないか、こういうふうにも実は考えております。しかしながら、各省に、二省以上にまたがりましていろいろと事業分野の調整が必要であるとするならば、私どもは積極的にこれに取り組んで、御心配がないように今後取り計らっていきたいと思っておるところでございます。
  159. 大村襄治

    ○大村委員 次に、建設省関係の事項をお尋ね申し上げたいと思います。数項目ございますので、一応一括してお尋ねいたします。大きな問題については大臣から、細目については政府委員からお願いしたいと思います。  まず、災害復旧事業費の査定の早期実施と災害復旧関連事業災害復旧助成事業採択及び事業計画の早期確定についてでございます。  先ほど申し上げましたように、今回の災害は個所が非常に多いわけでございます。それから、もう秋も深まりつつありますので、災害復旧費の査定の早期実施をお願いしたい。また、個所によりましては単なる原形復旧では不十分である、あわせて関連事業、助成事業も同時に見通しをつけていただきたい。そういう要請が全国各地で高まりつつあるわけでございます。限られた人数でなかなか大変だと思うのでありますが、ひとつ関係要員を有効に配置されまして、そういった地方の要請をできる限り満たしていただきたいと思うのであります。  それから第二に、河川激甚災害対策特別緊急事業の実施についてでございますが、これも先ほど申し上げましたように、小さい川が大変あふれまして、被害が大きい、これはひとつ建設省に特別事業として緊急に取り上げていただかないと地元の要請を満たし得ないのじゃないか、その点でこの点も促進をお願いいたしたいわけでございます。  また、現在の採択基準を見ますと、一河川二千戸以上、一かたまり五十戸以上というのがおおむねの基準になっている、そして家屋以外については家屋の換算率等も定められておるようでございますが、今回の災害実態が非常に複雑でありますので、いままでの基準を形式的に適用されるのでなく、実情を勘案して実効の上がるように事業採択お願いいたしたいと思うわけであります。  それから第三番目は、中小河川改修事業の促進と施行予算確保の問題でございます。  率直に申し上げまして建設省の直轄河川、これはかなり改修が進んでおります。ところが、それに注ぎ込む中小河川の改修がおくれている。そこへ三日間に一千ミリ近い雨が注ぎ込むということになりますと、堤防のあるところは破れたり、それを越します。ないところはもうどんどん遠慮なく突破していくということで、今後この中小河川の改修事業を大幅に促進していただかないと、今回のような集中豪雨による被害をとうてい防止できないと思うのでございまして、大臣としてひとつこの中小河川の問題について一体どういう態度で取り組まれるか、その点をお尋ねしたいと思うのであります。  その次に、急傾斜地崩壊対策事業採択基準の緩和と地すべり対策事業、砂防事業予算確保についてでございます。  瀬戸内海沿岸の市街地、あるいはこれは農地についても同様でございますが、がけが多いのでございます。そこへ三日間に一千ミリ、あるいは時間雨量七十五ミリなんというのが降り注ぎまして、各地にがけ崩れを起こしております。一部落がもう全部立ち退かなければいかぬ、そういうような個所も多いわけでございまして、この急傾斜地崩壊対策事業、地すべり対策、これは農林省所管もございますが、建設省所管につきましても一段と促進を図っていただきたい。いままで仕事をやっていただきました個所は安全であった、非常に評価が高いのであります。ただ、惜しむらくは、まだごく一部しかできておりませんので、残された個所を今後積極的に速やかに取り上げていただきたい。  また、採択基準につきましても、角度が三十度、高さ十メートル以上、家屋が五戸以上という基準があるようでございますが、場所によっては五戸以上という点も少し実情に適しないのではないか、そういう点もございますし、高さ十メートルというのは五メートル以上ぐらいに改めていただいた方が実情に合致するのではないか、そういう声が地方に多いわけでございますので、そういった点を今後どうするか、お尋ねをいたしたいと思います。  最後に、建設省所管の事項といたしまして、住宅金融公庫の災害復興住宅資金確保と二戸当たり貸付限度額の引き上げについてお尋ねいたしたいと思います。  現行の基準額が木造の場合五百四十万円、耐火建築の場合六百十万円というふうになっておるようでございますが、物価その他も上がっておりますから、七、八百万円程度に上げていただいてはどうか、こういう声も地方にあるようでございます。こういった点につきましての当局のお考えをただしたいと思います。  以上、建設省所管事項について御答弁お願いします。
  160. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 大村先生の御質問が七つあったと思いますから、私が四つか五つ答えます。  第一の査定の早期実施でございますけれども、目下建設省としては第一線の諸君が昼夜兼行で準備努力をいたしてくれておりまして、大体年内には完了すると考えております。  第二の改良工事の問題でございますが、これは国土庁長官から参議院、衆議院の予算委員会並びに本日の災害委員会でも言明があったし、また私もその点については十分考慮いたしておりますから、極力改良工事が加味できるようにというふうに考えております。  第三のいわゆる激特法の認定でございますけれども、今度私も各地を回ったところが、非常にこの問題の要求が多く出ておりまして、これもできるだけ考え方の枠を広げて対処してまいりたいというふうに考えております。  採択の基準は、専門家の方で答えてもらいます。  それから、中小河川の改修の問題でございます。  御承知のとおり、大河川、中小河川、いろいろ問題が山積いたしておりまして、今度の災害復旧は何とか、予算が十分ではございませんけれども、財源の問題は別としても、大体ことしは賄えるという見通しを持っておりますが、長い目で見ると、治水計画の策定ということが最も大きな問題ではないかと考えております。  住宅金融の問題でございますけれども、これはおかげさまでことしは一兆円という大きな枠が確保してございますから、特に災害の住宅につきましては、一戸当たりの金額の引き上げとかあるいは利子の引き下げとかあるいは据え置き期間が三年あるとか、優遇と言っては少し言葉が過ぎますけれども、かなり配慮がしてあるというふうに考えておりまして、今回の場合は、申し込みがあり、それを市町村の方で査定をして申請してきたものは全部これを認めるという方針を持っておるわけでございます。  あとのことはひとつ専門家の方にお願いをします。
  161. 栂野康行

    栂野政府委員 急傾斜地崩壊対策事業採択基準緩和の問題でございます。  この採択基準につきましては、事業発足以来、漸次実態に応じまして緩和が図られてきたところであります。たとえて申し上げますと、五十一年度、本年度でございますが、通常の対策事業につきましては、従来家屋が二十戸であった、それが十戸に緩和されたということでございます。  それで、高さ十メートルを五メートル程度に緩和したらどうかとか、あるいは五戸以上の問題を五戸よりかもう少し下げることができないかという問題でございますが、十メートル未満の事業につきましては、従来県単独事業で実施しております。それで、まだ十メートル以上の危険個所が非常に多うございますので、今後とも建設省ではこういう個所につきまして、急傾斜地の防止工事あるいは地すべり対策の防止工事の促進につきまして、一層その促進を図ってまいりたいというふうに考えております。
  162. 吉田公二

    ○吉田説明員 住宅金融公庫の災害融資の貸付限度額でございますが、これはことしの八月二十日に、実は昨年からことしにかけましての物価変動等を見込みまして引き上げを行った結果でございまして、先ほど先生御指摘がございました数字のとおりでございますけれども、一般貸し付けに比べますとかなり高いレベルでございますし、従来の線に沿いまして、ことし見直しを行ったというところでございますので、御了承いただきたいと思います。
  163. 大村襄治

    ○大村委員 引き続きまして、農林省御所管事項についてお尋ね申し上げたいと思います。これも六項目ほどございますので、主な点について大臣から、その他の点については政府委員から御答弁お願いしたいと思います。  まず第一に、災害復旧事業の査定の促進あるいは採択基準の緩和建設省所管事項について申し上げましたのとほぼ同様な点でございますが、たとえば農地、農業用の施設の災害復旧採択基準としましては、一戸当たりの地元負担額が二万円以上といまの基準ではなっているようでありますが、これを一万円以上に基準を改めていただきたい。あるいは補助率につきましても、現在は十分の七から十分の九と段階的に刻んでありますが、これを十分の八から十分の九・五ぐらいに、今回の農地、農業用施設の災害は相当個所が多く広範囲にまたがっているというような関係からも、そういった要望が地方側から出ておるようでございますが、そういった点について農林省としてどう対処するお考えであるか。  林道につきましても一メートル当たり百八十円以上となっておりますのを、できれば百十円以上に改めてほしい、こういう要望が出ておりますが、そういった点についての御見解をお尋ねいたしたいと思います。  第二点は、農地、農業用施設の災害復旧事業の査定設計の作成に要する経費の問題でございますが、個所が非常に多いので、また市町村あたりは専門の技術者がおりませんものですから、外部に委託します。それがもうばかにならぬ、それが心配で発注がおくれるというようなことがもしあっては申しわけない、そういうことをよく各地で耳にするのでございますので、そういった査定設計委託費について、何か国の方でめんどうを見ていただくとか、そういった点につきまして、農林省の御見解をお尋ねいたしたいと思います。  その次に、老朽危険ため池、これは毎年改修に農林省も力を入れていただいている点は感謝にたえないのでありますが、今度のように大雨がどか降りいたしますと、なかなか追っつかぬわけです。岡山県下でも要整備地域が三百一カ所ある。いまどうやら進んだのが百カ所で、あと二百カ所も残っている。そこへどろがたまり、古い堰堤が雨でぬれるということになりますると、付近なり下流に住んでいる人は生きた心地もしなかったという声が多いのでございまして、老朽危険ため池の要整備地域をなるべく早く一掃するための予算確保につきまして、一段の御努力を要請いたしたいと思うのであります。これについての御意見を伺いたい。補助率の引き上げとか、そういった要望も出ておりますが、要は、事業が早急に進捗できるようにお取り計らいを願いたいわけでございます。  第四番目が、やはりがけ崩れ関係でございますが、農林省関係の治山事業費につきましては、これは山村僻地が多いわけでございますから、高率補助採択基準の緩和お願いいたしたい。たとえば、緊急治山事業の場合には十戸以上という基準があるようでございますが、できればこれを五戸以上ぐらいに改めていただきたい、こういう要請が出ているわけでございます。これについての御意見。  第五番目は、農業共済保険金の早期交付についてでございます。  大臣よく御存じのとおりですが、冷害を含めまして災害による被害が大きいのでございまして、この共済保険金が年内に農家の手元に入るように特別の御配慮をお願いしたい。この見通しについて御見解をお聞きいたしたいのでございます。  第六番目に、被害農作物に対する緊急防除用農薬費の国庫補助についてでございます。  非常に区域も広く、被害も大きいのでございますので、水につかった後の対策に農薬が非常にたくさん使用されておるわけでございます。これについての国庫補助を仰ぎたいという声が高まっておりますが、これについての当局の御意見をただしたいと思う次第でございます。  以上、農林省関係について御答弁お願いいたします。
  164. 大石武一

    大石国務大臣 いま、六項目についてのお話でございますが、その中で私の話のできる範囲だけお答えいたしたいと思います。  第一項の改良復旧基準を緩和せよということでございます。これはまことに当然な御要望だと思います。できるだけわれわれとしましても、その基準を緩和することが被害農民にとりましては喜ばれることでありますから、そうしたいと思います。しかし、これはやはりどこかに線を引かなければならないと思うのです。これは結局はどこかに線を引いて——何でも国でせい、何でも公なことでやれということになりますと、とうてい国では持ち切れなくなります。やはり自分に関する財産なり自分の利害に関することについては、ある程度の自分の責任なり負担をするということが全体としての考えとしては望ましいと思います。そういう意味ではどこかに線を引きますが、おっしゃるとおり、被災農家が負担にたえられないような問題については、十分に考慮いたしてまいりたいと思います。  それから、それはそういう考えでありまして、結局みんな緩和の問題がありますが、山地崩壊等につきましては、いまの大村委員の御意見は私は妥当ではないかと思います。大事な生命が危殆に瀕するような場合には、やはりこれは小さなものであってもこれを救うような基準であってほしいと考えます。  それから、農業共済金を早期に支払えということでございますが、確かにこれは年内に支払うことにいたします。そういう方針でおりますから、いまいろいろな評価を急がしておるわけでございます。  それから、六番目の農作物に対する緊急防除用の農薬費について助成せよ、これはいまのところ国では補助しない方針になっております。これにつきましてはどうしたらいいかわかりませんが、これはいままでは毎年そうやってきておることなんです。そういうことで、これはもう少し検討させていただきたいと思います。  あとはひとつ関係局よりお答えをいたします。
  165. 岡部三郎

    ○岡部説明員 ただいまの大臣の御答弁を補足させていただきます。  第一の採択基準でございますが、農地、農業用施設の採択基準といたしましては、一件十万円以上の災害復旧事業の対象にいたしております。なお、補助率につきましては、普通率は、農地は五〇%、農業用施設は六五%でございますが、農家負担の額によりましてまず暫定法によるかさ上げがございます。それでなおかつ激甚地域の指定を受けた場合には激甚法によるかさ上げがあるわけでございまして、ちなみに五十年の実績で申しますと、激甚地域の場合には、農地は九三%、施設は九六%というような高率になっております。  次に、ため池の整備でございますが、御指摘のように、老朽ため池が非常にたくさんございます。岡山県内でも約一万カ所のため池があるというふうに言われておりまして、このうちで今回約一割が被災をしたわけでございます。農林省といたしましても、これらの老朽ため池の整備につきましては、農地防災事業の中で最も力を入れて推進しておるところでございまして、今後もなお一層事業の推進に努めてまいりたいというふうに考えております。  それから、順序が逆になりましたが、査定設計書の外注の経費でございますが、これにつきましては、五十年にこの査定設計書の組み方、内容につきまして極力簡素化を図るという処置を講じまして、さらに本年度もそういうふうな処置を講じまして、少ない労力でできるような処置をとっておるわけでございますが、なお外注を免れないというものも相当あるやに聞いております。これらにつきましては、早速調査をいたしまして、その実態を踏まえまして関係機関とも協議をいたしまして、その補助について前向きに検討いたしてまいりたいというふうに考えております。
  166. 藍原義邦

    ○藍原説明員 治山事業についてお答えいたします。  先生はただいま、治山事業採択基準十戸以上とおっしゃいましたが、治山事業については確かに人家につきましては十戸以上になっております。そのほかに採択基準といたしまして、県道あるいは国道あるいは迂回路のない市町村道、こういうものがありました場合にも採択基準になりますし、そのほか公共施設でございましたときにも採択基準として取り上げることにいたしております。  そのほか、これに満たないものにつきましては、激甚災指定を受けますと、林地崩壊防災事業というものがございまして、これでは人家二戸以上のものについて採択するということになっておりますので、そういうものを運用いたしまして対応してまいりたいというふうに考えております。
  167. 杉山克己

    ○杉山説明員 病害虫の防除費のことについて補足して御説明申し上げます。  病害虫の発生、その予察事業、あらかじめいろいろ調査するというような予察事業、それにつきましては、従来から適切な防除が行われるように、都道府県の病虫害防除所を通じて指導しておるところでございます。その経費については国としては助成を行っておる。そのほか、組織整備費等についても助成を行っておるところでございます。  今回の災害の場合、通常の年に比べて防除をよけいやった、個々の農家なり地元の団体において防除をよけいやった、そのためにもろもろの経費がかかって、特に個々の農家にしてみれば農薬代がよけいにかかったということがあるのかと思います。その農薬代について補助してもらいたいというお話でございますが、これは実は率直に申し上げまして、一軒一軒の農家にしてしまいますと実に零細な金額になって、零細補助になるということと、それから、何と言いましても国の補助でございます。実際の確認ができるかどうかということになりますと、すでに使ったものを、どれだけ使ったかということを役人の仕事として確認するのは事務的にきわめて困難であるというようなこともありまして、全体の資金の中でそういったことも措置できるように手当てをすべきではないか。むしろ、天災融資法に基づく経営資金とかそのほかの融資措置等もあることでございますから、その中で賄っていただく。むしろ、そういう指導のために県等で全般的な経費がよけいに要ったというなら、それは従来からやっておりますところのそういう助成を、特によけいやった県に配分を手厚くするというようなことで考えてまいりたい。農家の負担した経費につきましては、個々の農薬はむずかしいものでございますから、いま申し上げましたように、全般的な融資上の手当てなりあるいは種もみ等のそのほかもっと大事なところでもってできるだけの手当てをしようではないかというようなことで、いろいろ検討しておるところでございます。
  168. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 先ほどの大村先生の御質問に補足をして少しく訂正させていただきます。  北日本の冷害についての天災融資法の適用は十一月をめどにただいま進めております。こういうことでありまして、台風十七号については今月の二十日ごろをめどにして、その前後には何とかしたいということで関係各省でいま鋭意努力をいたしております。  台風十七号は十月の二十日前後をめどに、それから冷害については十一月、こういうふうに御了承いただきたいと思います。
  169. 大村襄治

    ○大村委員 答弁趣旨はわかりました。  時間が少なくなりましたから、ちょっと急いでやります。  次は、厚生省関係でございますが、災害救助法の補助対象枠の拡大、補助基準額の引き上げについて地方から要請が出ておりますので、これについての御見解。  それから、今回、水につかった墓地が各地に多いのでありますが、少なくとも市町村が管理し、あるいは部落が共同で管理しているようなものは、ほっておきますと付近に迷惑が大きいので、何らかの災害復旧の助成を国において考慮すべきじゃないかと思いますが、この点についての御見解。  それから、今回の災害によりまして、瀬戸内海に浮かんでおります長島愛生園と邑久光明園の二園が甚大な被害をこうむっております。調べによりますと、両園合わせて二十億円を超えております。施設災害だけでも四億円近い。全国のハンセン氏病の療養所の施設整備費が二十億円程度という現状で、これだけの災害復旧を早急にやるとしますと、どうしても別枠で処理しなければいけないと思うわけであります。そういった点についての厚生御当局の御見解を伺いたいと思います。  以上、厚生省関係の御答弁お願いします。
  170. 水田努

    ○水田説明員 第一点の災害救助法の関係についてお答え申し上げます。  災害救助の補助枠あるいは単価が実情に合うようにというのが御質問趣旨かと思います。私どもは、今回の災害の規模が大変激甚であることにかんがみまして、できるだけ地方の負担が過重にならないように、まず先月の二十二日までに災害を受けました各県に連絡をとりまして、補助実態をできるだけ掌握して、われわれが配慮すべきものは配慮したいということで報告を求めたわけでございます。一応各県とも現段階ではおおむね現行基準の中でおさまるという中間報告は受けておりますが、なお、現行の基準で賄えないものについては、運用面で各県それぞれきめ細かく御相談して対処してまいりたい、このように考えております。
  171. 新津博典

    ○新津説明員 御質問にございました墓地の関係でございますが、現在のところ、全国の墓地の大部分がいわゆる個人墓地ということで、特別な災害復旧に対する助成策がないわけでございますけれども、お話ございましたように、市町村営等の公営墓地についてまず何かできないかということでございますので、実情に詳しい、市町村や住民の意向にも詳しい県当局が明日か明後日上京してくる予定になっております。県当局と十分協議をいたしまして、どのように対処すべきか検討してまいりたいと思います。
  172. 吉原健二

    ○吉原説明員 先生のお尋ねにございましたように、今度の災害で長島愛生園及び邑久光明園が大変大きな被害を受けたわけでございますけれども、現在、関係の機関において本格的な復旧費の見積もりについての実地調査をやっております。その結果を待ちまして、大蔵省と協議しつつ必要な財政措置を講じてまいりたいというふうに思っております。
  173. 大村襄治

    ○大村委員 次は、中小企業融資の問題について通産省にお尋ねいたしたいと思います。  中小企業政府三金融機関の特利対象限度の引き上げ、金利の改定についての要望が出ておりますので、特に二点だけお尋ねをします。  一件当たり四百万円を六百万円、また災害貸し付けの金利を八・九%から七%に引き下げてほしいという要望がありますが、この点についての見通しはどうであるか、簡単にお答え願いたい。
  174. 松尾成美

    ○松尾説明員 お答えいたします。  第一点の特利の限度の問題でございますけれども、この四百万円というのは、実は昨年の十月に天災融資法の関係とあわせまして国会で法律改正をお願いいたしまして、その前の二百万円からその後の物価上昇を考えまして倍に引き上げたところでございまして、かなり大幅な引き上げをやった直後でございますから、ちょっと困難であろうかというふうに考えております。  それから第二点の金利の点でございますが、八・九%というのは中小公庫、それから国民公庫の金利だろうと思いますけれども、実はこれは一般には八・九%でございますが、ただ、いまの激甚災害指定がございまして、その適用がある場合に、これは六・二%で、法律で書いておりますのは三年でございますけれども、これは経過後も現在六・七%で運用しておりまして、その部分については三年経過後も特利でやっております。ただ、そのほかの部分につきましては、政府の二機関の金利自体が八・九%というのは市中に比べまして一種の特利になっておりますので、これを全体として引き下げるのはちょっとむずかしいかと思います。
  175. 大村襄治

    ○大村委員 ちょっと超過いたしましたが、最後に一問だけ簡単にお伺いします。  自治省にお尋ねいたしますが、災害復旧事業に対する起債枠の大幅な増額と起債充当率の引き上げ、特別交付税における災害対策経費の算入に関する特別の措置について、地方団体側から今回の災害にかんがみ熱心な要請が出ていると思います。それに対するお考えを伺いたいと思います。
  176. 平岩金一

    ○平岩説明員 お答えいたします。  災害復旧事業にかかる地方債につきましては、御案内のとおり、本年度は七百五十一億円の枠を予定いたしておりますが、現年災分につきましては五十一年度中における災害発生見込み分として、とりあえず前年度と同額を計上いたしておるものでございまして、年度中における災害発生状況及び必要度に応じまして枠を拡大いたしてまいる予定でございます。  充当率についてでございますが、地方債の充当率は、御案内のとおり、国庫補助金その他の財源措置などとの関連におきまして定めているところでございまして、災害復旧事業につきましては、災害による財政負担を軽減するため充当率を高くいたしておりまして、現在のところまず妥当なものであろうと考えている次第でございます。  最後に、特別交付税につきましては、御案内のとおり、災害によります特別の財政需要を一定の算定方法により算出された額の合算額を措置する、いわば一括算定をいたしておりますが、いろいろ地方公共団体の意見も聞き、実情等を勘案いたしながら対処してまいるよう努めたいと存じます。
  177. 大村襄治

    ○大村委員 終わります。
  178. 兒玉末男

    兒玉委員長 加藤六月君。
  179. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 私は、今回の十七号台風に伴う災害、いろいろ政治家として反省させられる点がたくさんあったのですが、その中で一番身にしみて国の行政あるいは政治の中での矛盾を感じましたのは、亡くなられた御遺族を一軒一軒お見舞いに歩いたわけですが、そのときに非常に厳しい意見を聞きました。その最たるものは、うちの主人が死んだんだが、災害弔慰金は幾ら出るんだという話からきまして、私の知っておるところ百万円でございますということでいろいろやったのですが、ここに農林大臣建設大臣がおられますが、国務大臣として、私、まず意見を申し上げておきたいと思いますのは、たとえばこういうことがあったのです。  私の生まれた郷里の笠岡市が災害が大変激しくなったということで、ずいぶん離れた倉敷市から車二台に乗って  後ろの山か崩れてきそうなんだ、何とか手伝いに来てくれと電話がかかってきたから、頼みに来たからというので、三十キロほど離れたところから車二台で親戚や縁者が行って手伝いをしておった。全然行政地域は違うところです。こちらのAという市からBという市に手伝いに行った。そこでたまたま手伝いをしておる最中に、手伝いに行った人が二人亡くなった。一人は五十歳、一人は三十八歳ぐらいの人です。三十八歳の人のお宅にお見舞いに行きますと、小学校五年生を頭に三人の子供がおる。奥さんがおる。ところが、もうこれが悲嘆に暮れて、今後の生活をどうするといういろいろ相談から何からにあずかったときに、一体幾ら金が入るんだろうかという計算等をしたら、百万円と、それから弔慰金、これは市町村によって違いますが、十万円ぐらい、まあ百十万円になるのじゃないだろうかという御説明等を申し上げた。そうしたら、同じお父ちゃんが死んでもらうんなら、交通事故で死んでもらいたかった。自賠責強制保険で千五百万ある。道を歩いておって自動車にはねられて死んだ場合は千五百万円最低限もらえる、いろいろ計算すると。さらに任意保険がある。二千万入っておれば、少なくとも三千万や三千五百万もらえる。災害で、手伝いに行って亡くなって、そういうことでわずか百万円ということはどういうことですかと言われたので、私は、生活扶助料の手続の申請とかいろいろなこと等を一生懸命御指導申し上げて、あるいは今後の生活設計等についてもやった。そうしたら、子供のことを言われて、自賠責の、自動車で殺された場合には子供に育英資金がつく。政府がすでにやっておるじゃないか。災害で亡くなった場合には、子供の育英資金というのは小学校、中学校には何もないじゃないかということまで出てこられて、両大臣御存じと思いますが、交通事故で亡くなった場合には、小学校から大学を出るまでのそれぞれの相当額の育英資金がいま出るようになっております。  これは一たんこちらへおいて、一家の主人が死んだ場合に、災害で亡くなられた場合に、百万円と最低限千五百万円との違いという問題を激しく御遺族の方から追及されて、私は大変な矛盾を感じたのです。  これと同じことは、実は私は労災保険と自賠責保険の問題についても予算委員会の分科会で御質問申し上げたことがある。職場で働いておって、先般改正されて、通勤途上も入るようになりましたが、亡くなったり、けがをされた方と、それから道を散歩して、歩いて亡くなった方と、どちらが年間、生涯、遺族を通じてたくさんもらえるかという計算  まあ金だけではありませんけれども、特に今回の場合は、災害弔慰金というものと自賠責その他で交通事故で亡くなった者の差が、同じ国の立場から見た場合に違うではないかと責められたときに、何とも言えない気持ちになったわけです。本来、これは労働省あるいは厚生省から御意見を承るのが正しいのではないかと思いますが、ひとつ農林大臣国務大臣としてこの点についてどうお考えになるか。そうして後から、これは厚生省の新津さんでも水田さんでも答弁できないのじゃないかと思いますので、私は、あるいは意見だけにとどめる必要があるかと思いますが、所感を承っておきたい、こう思います。
  180. 大石武一

    大石国務大臣 いまのお話は、よく身にしみて感じます。いろいろと災害に遭われまして、急に亡くなられるということは、これは大変なことなのです。ことにいろいろな扶養家族が多い場合には本当に大変だと思います。  ただ、この場合、国からそれをいろいろ生活の立つような多額の金を補償としてやることが必要であるかどうかということになりますと、これは非常にむずかしい問題であると思います。私は、そういうことよりも、いま三木総理を初めみんなが言っていることは、福祉国家をつくることだということなんです。福祉国家ということは、つまり、もっと具体的に申しますと、いまのような災難に遭った場合でも、家族が人並みの生活がしていけるように、子供が人並みの教育が受けられるような、どのような天災あるいは世の中の変化がありましても、それに対処して人間としての生活が保てるような日本の国全体をつくることが一番希望でございますから、そういう方面に一番の力を注ぐべきだと私は思います。  たとえば、災害で亡くなった場合、確かに気の毒と思います。しかし、災害で亡くなった人と病気でおやじが死んだ場合と、どれほど一体後の家族にとって不幸の違いがあるのでしょうか、こう思います。災害だからその人間が特に哀れだ、病気で死んだから哀れでないということはないと私は思うのです。そういうことを考えますと、このような不幸な場合には、やはり何とかその家族がこの世の中において人並みの生活を保っていけるような世の中にしなければならぬということが一番中心であって、いまの自賠責の問題、自動車の事故の災害とか病死の場合とかと一緒にこれは考えたくない。それは自動車でよけいもらうのは、事故で死んだ場合に、これは悪いのは、いまの権利義務の問題が中心となりましてそのようなことに発展したと思うのです。  そういうことで、これは果たしていいか悪いかは別として、その金を、しからば、このような災害では百万しかもらえない、自動車では二千五百万もらう、不公平だからといって災害に遭った者をすべて二千五百万に上げるわけにいきません、いまの時代では。また、そういう必要もないと思うのです。もっと別な方法でその家族がりっぱな生活が立っていくなら、私は必要ないと思う。だからといって、逆に自賠責が多過ぎたからこれは減らせというわけにもいかないと思うのです。  そのような、制度上いろいろな矛盾はたくさんありますけれども、それはなかなか一挙に解決できませんで、結局はやはり福祉国家をつくるということ以外にこういう問題の解決はないと考えております。
  181. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 同僚議員が災害全般のいろいろな基準あるいは補助率あるいは基準緩和の問題等については相当お触れになっておると思いますので、先ほど大村議員もちょっとお触れになりましたが、私はまずそういうものをなるべくダブらないように御質問申し上げたいと思うのですが、その中で墓地の災害ということについて、これは建設、厚生あるいは国土庁等についても御意見を承りたいと思うわけであります。  これは私の調査によりますと、今回の災害におきましては、墓地は相当あちこちで激しく災害をこうむっております。被災規模等を見ましても、大変大きい。六百三十平方メートル百基以上、四百平方メートル墓石数は不明、百平方メートル、各地区で猛烈な災害が起こっておるわけであります。そうしてまた、これは個人墓地であったり寺院墓地であったり部落営墓地であったり、いろいろ墓地の形態等は変わっております。特に今回の災害で目を覆わしむるものがありましたのは、土葬による墓地であります。土葬による墓地で大変激しい被害が起こります。島の上の方にある土葬による墓地が大災害をこうむって、途中の民家を墓石が貫き、海岸線まで百何十メートル落ちてくるというようなこと等があって、そしてこれは、こういう席で申し上げるのはどうかと思いますが、三年前の土葬、五年前の土葬、まだ骨だけに完全になっておりません。ももや肩の一部やいろいろなところに、腐敗したいわゆる肉の部分がついたものまで流れ出るということで、目を覆わしむるものがあります。  問題は、まず私たちが政治家の立場として判断する場合には、火葬か土葬かということ、そして墓地の地域指定というものは一体どうやるのかということ、こういう問題等も出てくるわけでありますが、調べてみますと、この墓地の災害復旧に対する制度というものが、はっきりしたものがない。いろいろ検討はしていただき、融資がいいか、あるいは助成がいいか、しかもそれが個人墓地あるいは部落営墓地、寺院墓地等についていろいろ内容が違うという問題等で、先ほども大村議員に対して厚生省の方からお答えがありましたけれども、私が調べますと、三十ぐらいの遺体が出てきた。流れてきて、それがわからなくなった。そこで、これではいけないというので、焼却場へ持っていって改めて三十遺体に対して火葬してもらって、その遺骨を三十世帯の方々が配分せられて新しい葬式をやらねばならなかった。こういう事態もありますし、それ以外にも、私、ここへ膨大に墓地に関係する写真をそろえて、墓地ばかりを中心に持ってきておるのですけれども、これは大変な被害が起こっております。しかも、救済制度がない。それから、御存じのように、無縁墓地、無縁仏が相当あります。  こういう問題で、私は、墓地に対する災害救助の制度がないという点を今回の災害で特に強く感じたわけです。いろいろな災害復旧に対して先輩、同僚議員が御質問になられ、先ほども私、触れましたが、基準の緩和とか補助率、採択基準が一番中心か、あるいは中身の質の問題か、量の問題かという問題がありましたが、最近の一連の問題を通じてしみじみ感じますのは、こういう墓地、仏に対するいまの政治、いまのわれわれの気持ちというものが、いいかげんなところにあるのではないだろうかという気持ち等も、この災害を通じて補助制度その他を調べてみますと、感じたわけであります。  まずお伺いしておきたいのは、厚生省においてはこの墓地に対する災害復旧制度というものをどう考えておられるのかというのが第一点であります。  それから、その次は建設省にお伺いいたしたいのでありますが、これは公園緑地課が正しいと思うのですが、墓地公園を建設省の都市局公園緑地課を中心に進められております。しかし、古い墓地を新しくつくる墓地公園の中に収容できるようになっておるのかいないのかという点が二点であります。  第三点は、墓地というものは、一体市街化区域、市街化調整区域、こういうもので制限できるのかできないのかということであります。  第四点は、国土庁に御質問申し上げたいと思うのですが、一体墓地というものをいままでのような個人、寺院あるいは共同あるいは市町村営の墓地というようなかっこうで、ばらばらのままでほっておいていいのかどうかという問題であります。これに対して今後どういう方針を打ち出されるのかということであります。  第五点は、火葬と土葬というもの、これは今日わが国の法律で一体どのようになっておるのかということを厚生省関係にお伺いしまして、私の意見を申させていただきたいと思います。
  182. 新津博典

    ○新津説明員 墓地につきまして基本論も含めたお尋ねでございますが、第一回とりあえず簡単に申し上げますと、私ども環境衛生局の企画課で、墓地、埋葬等に関する法律という法律を所管しております。この法律は、埋葬という神聖な行為が国民の宗教的な感情に合うようにということと、衛生上の見地から墓地自体の組織運営を認可制にしている、あるいは埋葬に関する市町村の許可制をしいておるということでございまして、そういういわば衛生立法でございますが、このたびの災害で墓地があちらこちらで非常にひどい被害を受け、その復旧に問題があるという点は十分に承知をしております。  それで、先ほども御答弁申し上げましたように、やはり従来災害で墓地が被害を受けるケースがあったわけでございますが、全国に九十万ぐらいございます墓地の大部分が、基本的にはいわゆる個人墓地で、形態は、一家族だけのものとか親族一同のものとか、ある地域の共同のものとかいろいろあるわけでございますが、いわゆる先祖代々の伝統的なもので、いわば自然発生的にそこにお墓があるというのが多うございます。そういうことで、災害に当たりましては、言葉が適当かどうかわかりませんけれども、いわゆる個人被害に準ずるようなものということで、その復旧について、従来特別な融資その他の制度もなかったわけでございますが、現時点では、先ほども大村先生に御答弁申し上げましたように、私ども知っている限りでは、特に岡山県のケースに大変ひどいケースが多いようにも伺っておりますし、岡山県の衛生部関係の課長等を呼んでおりますので、早速県から十分実情を聞き、協議をいたしまして、どのように対処すべきか検討してまいりたいと思います。  最後に、第五点の方でございまして、便宜一括お答えをさしていただきます。  戦前から戦後のある時期までは衛生的という観点だけから、どちらかというと火葬の方が望ましいというような行政指導の姿勢もあったわけでございますが、現時点では、先ほども申し上げましたように、衛生の見地だけでなく、この問題は国民の宗教的な感情とか、その地方の伝統とかいうものがございまして、行政が出過ぎた形をとるのが適当かどうかという点もございますので、実情だけを申し上げておきますと、現在では、亡くなられた方を葬ります場合に、火葬によっているものが八五%程度、土葬によっているものが一五%程度というのが実態でございます。  また御質問を受けまして、お答え申し上げます。
  183. 三好勝彦

    ○三好説明員 お答えいたします。  第二点の、古い墓地をまとめて都市施設である墓園におさめることはできないかという御指摘であったかと思います。  御承知のように、日本の各都市におきましては、市街地の内外にわたりまして古い墓地がたくさんございます。それで公園緑地行政の一環といたしまして墓園事業という事業を行っておりますが、これは都市におきますところの総合的な土地利用を考えました上で、いわゆる墓地にふさわしい場所を選び、都市計画の施設として定めまして、その上で都市計画事業として実施しておるという状況でございます。そういう中には、当然に在来ございました古い墓地等を移転することは可能と考えております。
  184. 台健

    ○台説明員 第三番目の市街化区域あるいは市街化調整区域等におきまして、墓地の開設が制限できるかできないかという御質問でございます。  都市計画法上におきます墓地は、法律におきましては墓園と呼んでおりますけれども、墓地と同様の趣旨でございますが、二種類ございまして、都市計画施設として設けます墓園と、それから開発許可を受けまして設けます墓園の二通りがございます。  都市計画施設として設けます墓園につきましては、その位置といたしましては、都市の総合的な土地利用計画に基づきまして静寂な環境にその位置を選定することといたしまして、原則として市街地に近接しないで、かつ将来の発展を予想し、市街化の見込みのない位置であって、市街地からおおむね一時間以内に到達できる位置であることということで行政指導いたしております。したがいまして、原則としては市街化調整区域に設けられることとなると思います。  次の開発許可を受けて設ける墓園でございますが、これにつきましては許可基準がございまして、環境の保全上あるいは防災上支障がないことという要件がございますので、その要件を満たしますれば、いずれの地域におきましても開発許可は可能なようになっております。  以上でございます。
  185. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 農林大臣、何か御用がおありだそうで、私の質問は結構でございますから。  いま厚生、建設から意見を承ったのですが、国土庁はどういう指導をするかというのを承りたいのですが、ちょっと先に私の意見を申し上げます。  それについて承りたいと思いますが、お互いは必ず死ぬのです。それが先ほど厚生省の答弁のように、伝統がある、あるいは宗教的情緒、感情がある、こう言われるわけでありますが、先ほども私ちょっと触れたわけでありますけれども、この墓地の位置づけというものが軽く扱われておるのではないだろうか。人間として一番厳粛な、そして必ず遭遇しなくてはならないこの墓地に対する位置づけというものが、国の行政において、建設省の御説明、厚生省の御説明もありましたけれども、どう言いますか、ややもすると中心的都市計画事業中心的厚生事業ということから離れておるのではないか。それが今回の墓地の災害復旧についても、制度の現状を見ても、あるいはまた災害復旧の問題等これから勉強してもらわなくてはならないということについても非常に問題があると思います。  それで私、国土庁にお願いし、申し上げてみたいと思うわけですが、たとえば道路やあるいは鉄道やその他をつくるときに遺跡が出るということになると、これに対してはいろいろな処置が講ぜられ、また住民問題、住民パワーの問題としてもいろいろ起こってきております。どちらを優先するかということ等がありますが、墓地という問題こそ遺跡以上の問題でなくてはならない、国の行政の中心に置かなくてはならぬのではないか。もちろん先ほど大石農林大臣がおっしゃいました、生きておる人間の福祉というものが最優先するというのはあたりまえでございますけれども、それ以外の施設や公共事業の問題が起こった場合に、一番中心に置かなくてはならないのは墓地問題ではないか。その墓地問題がなおざりにされておるから、今回こういうような災害が起こった、こうも考えられるわけでありますが、江藤政務次官、あるいは国土庁の審議官で結構でございますけれども、国土の総合的利用の立場から考えた場合の墓地の位置づけというものをどうお考えになるか、ひとつ御答弁いただきたい、こう思います。
  186. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 今回の災害で墓地が非常なそういう被害を受けて、あり得べからざる、私どもの想像を絶する事態が起こって非常に御心配になり、また今後の対策について重要なる関心をお持ちであるということについて、私どもも傾聴に値することであると拝聴しておりました。  墓地は人の永久に眠るところでありますから、これはもう民族の伝統からいっても最も大事に、しかも平和にしておくべきところであります。今後こうした災害一つの契機にいたしまして、私どもは国土の総合利用計画という中で——先ほど建設省からもお話がありましたが、私はこの墓地公園などという発想が建設省の中にあるということは、全く墓地というものを粗末にした考え方から出てきておる発想ではないと思うのです。墓地を公園化して、みんながそこで憩いながら祖先の霊を弔っていこうという一つの方向だけはやはり行政の中に出てきておるものである。また、その傾向は今後火葬の普及、すでに八五%といいますが、火葬の普及、それから都市の膨張、地価の暴騰、そういうものによるいわゆる墓地敷地の確保が非常に困難になるに伴って、今後墓地の位置づけ、墓地のあり方というものは、当然これは行政の中でさらに一段と重要な関心を持って進めて、取り組んでいくべきことであろうと思います。  今回貴重な御意見を拝聴いたしましたから、私どももせっかく勉強させていただいて、御期待に沿うように努力をいたしたいと思います。
  187. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 厚生省の方にもう一度お伺いしますが、もう少し具体的に御答弁いただきたいわけです。  先ほどの答弁で、災害が岡山県が一番激しかった、岡山県の担当者に出てきてもらって何とかこの問題について考えたい、こういうお話がございましたが、具体的にどういう考えがあるのか、そしてその場合、個人墓地、寺院墓地あるいは部落営墓地というものについてどうしてくれるのかということについてもう度御答弁お願いして、私は次の問題に移りたいと思います。
  188. 新津博典

    ○新津説明員 大変つらい答弁なんでございますが、先ほども申し上げましたように、現状では一般的な墓地の災害復旧に対する補助制度とか融資制度がないわけでございまして、新しい制度をつくるというのは、当委員会でも先ほど出ておりましたが、たとえば個人被害の救済問題の制度なんかも十数年の歴史があってやっとできたというような経緯もございまして、今度の災害に間に合うように新しい制度制度としてできるかどうかは、率直に申し上げて自信ございません。しかし、そんな悠長なことを言っておられない事態だということはわかりますので、とにかく県から実情を聞いて、具体的には既存の制度の中で、たとえば融資を受けてお墓の復旧を図りたいというようなケースについてどういう応援ができるのかとか、なお具体的には詰めたいと思っておりますが、現在、ここでこういたしますというふうな具体的な制度としての応援は考えられておらないので、まことに申しわけございませんが、よく実態を聞いて、現地の実情に合わせてできるだけのことはしてまいりたい、かように考えます。
  189. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 新津さん、もう答弁は要りませんが、たまりかねていろいろな市はずいぶん無理をしておるのです。その無理の中で、たとえば、これはここで申し上げていいかどうかわかりませんが、更生資金の活用、これはもちろん融資ですが、そういうものでもやっておるのです。ところが、御存じのように、墓石一つが二十万、三十万する、あるいは囲いをつくろうと思うたら四十万、五十万するというんで、更生資金の活用というのがずいぶん枠が少ないとか、いろいろの問題があるので、やろうと思うたら、具体的に市町村でもそこまでもうやらなければいかぬかというので、燃え上がってきておるのです。燃え上がってきて何とかしょうというところまで来ておるんで、厚生省の方が今回、相談してみます、検討してみます、新しい制度ができるには、今回間に合いそうもありませんからというんでは困るのです。  私が端的に言いたいのは、人の魂、人の葬儀、お墓、遺骨、こういうものをいかに大切にする行政が行われるか、政治が行われるかということが大切なんです。そういうときにはお互い知恵をしぼり、今日の制度の中でも直ちにできるものは何とかこれとこれぐらいは出すんだというところまでいかないといけないのですが、きょうはそこまで私、答弁を求めません。よくお考えおきいただきたいと思います。これは絶対やってもらわないと困る問題です。  それから次に、これは建設、農林、国土庁にお伺いし、あるいはこれは林野庁も関係するのではないかと思うわけで、同僚議員からすでに質問があったのではないかと思いますが、今回の河川中心とする災害を見た場合に、農林省で行ってもらっております湛水防除事業が完全に行われておる地帯は非常に災害が少なかった。また、建設省でやってもらっておる河川改修事業が完成しておるところは案外災害が少なかった。また、昭和四十七年の災害改良復旧をやっておるところは災害がゼロに近い状態であった。ところが、河川の改修もおくれている、湛水防除事業もおくれておるというところは、これが複合的に作用して災害を非常に大きくしたという問題があるわけでございます。  そこで、これらに関連して、建設、農林で協議して一定の地域の河川と農地との湛水防除事業というものが計画的にできるものかできないものかというのが一点でございます。  そして第二点としては、これに伴う堤防とか取りつけ道路その他のいわゆる関連事業というものを合わせて、こういうことでできるかできないかという点が二点でございます。  ここら辺の問題について、たとえば建設省農林省河川改修と湛水防除事業が一緒にできるかできないか、災害復旧に関連しても一緒にできるかできないか、具体的な場所を言えとおっしゃるなら具体的場所も申し上げますけれども、まず抽象論としてお伺いしたいと思います。
  190. 栂野康行

    栂野政府委員 河川改修と湛水防除事業建設省農林省との総合的な実施の面でございます。  まず、湛水防除事業にしましても、建設省が実施する湛水防除事業農林省が実施する湛水防除事業がございます。それらの分野につきましては両省でよく協議して現在とも実施してまいっております。今後ともその辺十分協議して、総合的な効果が発揮できるようにやってまいりたいと思っております。  それから、河川改修とまた農林省の湛水防除事業との総合性の問題でございますが、これはおのおのその事業の効果といいますか目的といいますか、そういうものがございますので、それらの点をお互いに持ち寄って協議しながら全体の効果を上げるように進めてまいりたい、そういうふうに考えております。
  191. 岡部三郎

    ○岡部説明員 農業関係の排水事業、たとえばただいま先生が御指摘になりました湛水防除事業等はいずれも河川と密接な関係がございますので、その実施に当たりましては十分河川管理者とも協議いたしまして、両者の計画にそごを来さないように実施していく所存でございます。  なお、災害復旧事業につきましても、これは農地の災害復旧河川堤防の災害復旧とは相互に非常に関係がございますので、両者で十分協議をいたしてこの復旧に当たることはもちろんでございまして、特に今回の十七号台風に際しましてはそういうふうな個所が非常にたくさんあるというふうなこともございまして、農林省、運輸省、建設省の三省で共同通達を出しまして、総合的かつ合理的な復旧計画が樹立され、被害地の速やかな復旧を図るように指導いたすことになっております。
  192. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 余り時間もございませんので、次に簡単に承っておきます。  これは林野庁だと思うわけでございますが、同じく同僚議員から林道の問題についての補助率のアップあるいは規格等について御質問があり答弁があったと思いますので、余り触れませんが、この中で自動車道、軽車道あるいは牛馬道、木馬道、いろいろ基準があり、補助の内容等もあるわけでございますが、今回の災害で案外大きい被害をこうむって地域住民が一番難渋し、どうやって復旧しようかと考えておる林道の中にいわゆる無籍道、籍のない林道、あるいはわれわれの関係で言いますと生活林道、江戸時代、明治時代、大正時代、昭和の初期時代に踏み固め踏み固めてきたそういう無籍道あるいは生活道路というものが林道として存在しておるわけであります。これに対して何か災害復旧として採択できる方法があるかないか、簡単に承っておきたいと思います。
  193. 藍原義邦

    ○藍原説明員 お答えいたします。  林道につきましては、現在、国の補助あるいは融資、個人等でそれぞれ作成されておりますけれども、林道のそれぞれの規定がございまして、勾配あるいは傾斜、そういうものがございますので、そういうものに該当いたすものはそれぞれの県で林道台帳に載せております。この林道台帳に載っておるものでございましたら、国の補助を受けないで自力でやったものにつきましても災害の対象にするということにいたしておりますので、その辺、県と具体的なものにつきましては十分詰めて検討してまいりたいというふうに考えております。
  194. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 時間が来ましたのでやめたいと思いますが、これは全体的に要望しておきたいと思います。  たとえばわが岡山県というのはいままで災害がないので有名というか、安定しておったわけでありますが、昭和四十七年と今回とで痛烈な打撃を受けたわけであります。そこで、きょうこの席に政府の国土庁、建設省農林省、厚生省とおられますが、私は気象台と地方団体との連係動作という問題について、これは気象庁に対し別の場所でずいぶんお願いしておきました。一つの問題は、これは総雨量というのとその日の雨量というのと時間雨量というものがばらばらにテレビ、ラジオを通じて伝えられておるということと、地方の気象台というものと都道府県との連絡という問題が一つあります。この問題について、気象台というものと地方公共団体、主として警察、消防も入るわけでありますが、ここらとの連係動作というものをいままで以上に厳重にやっていただきたいし、その資料等についてもはっきりしてもらいたいと思います。中小河川の水位の増大ということと雨量との関連関係、因果関係というもの等もより正確なデータをそろえておくということが必要ではないかと思いますので、こういう点、要望しておきます。  それから、東京中心の大都市の場合は、地震に対していろいろ議論されて、避難場所の設定とか取り扱いがずいぶん研究され、PRされております。災害地帯における今回の避難場所の設置あるいは取り扱い、こういう問題については率直に申し上げまして十分でなかったのではないかと思われるところもあります。したがって、今後こういう災害があっては困るわけでありますけれども、ひとつ各省庁、地方公共団体と十分なる連絡をとっていただいて、この避難場所の取り扱いについて十分に住民にPRし、いざという場合に備えるように、備えあれば憂えなしでございますから、ぜひしておいていただきたいというのが二番目の要求であります。  三番目は、これは国の予算との関係もあるわけでございますが、わが県では、今回特に老朽ため池問題等で、地域住民が、崩壊の寸前というところまでいって、非常に苦悩いたしました。また、改修のおくれておる中小河川の問題でもこれと同じ問題があったわけであります。  そういうときに、土のう、いわゆる袋を調達する問題と常備する問題があります。ここら辺の問題で、県が持っている土のうというものと市町村が持っている土のうというもの、大雨が降り出してからあわてて調達する土のうで、後々いろいろな問題等が起こります。これは現物で返す、あるいは金で清算する、いろいろな問題がありまして、私は、市町村ごとに平時備えておった土のう、県が持っておった土のう、これは災害が済んだ後どういう処置をしておるかという問題等も、調べて歩いてデータは持っておりますが、そういうことではなしに、こういう災害に対して絶対に要るべきものに対して、県と市町村との関係というものをより明確にして、災害に備える備蓄的ないろいろのものに対しての方法、財源、設置場所、こういう問題について今後よろしく指導していただきますようにお願いしまして、答弁は要りません、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  195. 兒玉末男

  196. 山本幸一

    山本幸一委員 時間も余りありませんし、いろいろ他の同僚の皆さんから詳細な質問がございましたので、きょうのところは、ほんの二、三点だけ重要な点を御質問申し上げておきたいと思います。  質問に入る前に、けさの朝日新聞を見ますと、「東海地震」という見出しで大変な記事が出ております。  気象庁御出席ですか。——新聞をごらんになったと思いますが、記事を詳しく読み上げることは時間の節約上省きます。  簡単に申し上げると、関東大地震級の巨大地震の発生が東海地方に懸念されている、これを東大の理学部の石橋先生が福岡における地震学会で発表いたしております。つまり、いままで国は駿河湾に大地震は起きたことがない、起きないという定説を主張いたしておりましたが、この論文によると、明らかにこれが覆されております。いわば地震はこれまで言われた遠州灘ではなく、陸地の一部まで巻き込んだ駿河湾地震になる公算が強い、この地震は大体マグニチュード八の最大規模のエネルギーを持つ上に、直下型という最悪タイプである、したがって空前の惨事を起こすであろう、こういうことを発表いたしまして、他の学者連中もほとんどこの論文には同意をいたしております。  このアカデミックな学会で防災組織上の問題まで含めた警告論文が出たことは異例でありますが、私たちはこれを軽視するわけにはまいりません。しかも、中身を拝見すると、あらゆるデータをそろえて論文を出しております。したがって、この際、質問の前に、一体こういうことを予知せられておるのかどうか、あるいは予知についての研究をなすっておられるのかどうか、ないしはこうした問題についての対策をいまお持ちであるかどうか、これを気象庁に伺いたいと思います。
  197. 小林寿太郎

    ○小林説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。  先生御指摘のように、新聞でけさほど石橋先生が発表されておりますが、実は学会は明日から始まるわけでございまして、まだ学会で討論されておりませんけれども、内容につきましては、地震予知連絡会というのがございまして、それで、地震予知連絡会では東海の問題がかなり問題があるということで、地震予地連絡会の中に東海部会というのを特別に設けまして、しかも石橋先生のいろいろな研究がございますもので、さらにそれも拡大して先月の二十九日に拡大東海部会というのを設けて議論したわけでございます。  その席では石橋先生にも特別に御参加いただきまして、そして大学も北海道、東北等、九州からも先生方わざわざおいでいただきまして、それで石橋先生の見解についてどうかということで御議論なされたようです。私たまたまその会に出ておりませんでしたけれども、私どもの末広地震課長及びここに参りました関谷検測センターの所長が同席しておりまして議論に加わりましたものですから、その内容等について聞いた範囲で先生へお答えをしたいと思います。  実は駿河湾におきましては、先生ただいま御指摘いただきましたように、地震が一回も起こっておりません。それで、気象庁の昔からの地震のデータ、それから国土地理院でやっております測量のデータ、そういったものをにらみ合わせましたときに、東海沖と駿河湾、その辺が地震の空白地帯になっているということは問題があるということで、地震予知連絡会におきましては、あの辺の地域を東海地域といたしまして観測強化地域に指定したわけでございます。  それで、観測強化地域に指定されました関連において、私ども気象庁におきましても、あの辺の地震観測というものを強化していこうということに相なりまして、地震計の設置も含めまして、御前崎の沖に海底地震計も設置したい、それから石廊崎ではひずみ地震計と申しますか、ひずみ計というのですか、体積ひずみをはかっていくということも先生方等の御協力をいただきまして、常時監視をするようになっている。それから、あの辺では先ごろ伊豆で地震がございましたけれども、鎌田というところにも最近では一万倍の地震計を置きまして、それを気象庁の本庁で常時監視するというふうな体制をとって進めてまいっているわけです。そういったデータも含めまして二十九日の会議で諸先生方に御議論いただいたわけです。  その結果を申しますと、石橋先生のおっしゃっているのは一つの仮説でございまして、大方の意見はやはり東海地域だ。東海地域に地震の起こる可能性はある。起こった場合に、それに引きずられて起こるという可能性はあり得る。したがいまして、先ほど来強化地域として指定いたしました東海地域、これは間違いないのだという結論を地震予知連絡会では持っておるわけでございます。私ども気象庁といたしましても、同様に考えております。  ただ、確かに私どものデータも含めまして、やはり予知という問題につきましてさらにもう一歩進める必要がある、ましてや空白地帯であるからなおのこと常時監視を強める必要があろう、あるいは測量の観測も、これは国土地理院がやるわけでございますが、そういった観測も回数をよけいする。そういった観測強化ということで、さしあたって行くのが必要じゃないかという結論が得られておるわけです。  それで、さらにもっと集中して観測したらどうかという御意見もあろうかと思いますけれども、集中観測するまでには、それを徴候として見られるような現象をまだつかんでいない。したがって、つかまれた段階では集中観測ということも考えるけれども、現段階においてはまだその徴候まで出ていない。むしろ現在の観測体制をもうちょっと強化したらどうだろう。大学等におきましても、地下水とか、あるいはラドンの量をはかるとか、そういった観測項目を強化したらどうだというのが、先般設けられました東海部会の結論でございます。
  198. 山本幸一

    山本幸一委員 御説明よくわかったのですが、あなたの御説明に言われているように、確かに石橋さんの仮説である、しかしその危険性はあるんだ、こういうお説ですから、いま御答弁なすった以上に、それぞれの対策を今後早急に立てていただきたい、これだけ要望いたします。  それから次に、本論に入るのですが、今度の水害で自衛隊が救援活動なすって、大変地元も感謝しておりますし、私も心から御苦労さんだと、こう思っております。  ただ、私がお尋ねしたいのは、自衛隊がせっかく救援活動をやってくれた、ところが、その努力にもかかわらず、被害地の安八町や墨俣町では、自衛隊の派遣をめぐってかなり大きな疑いを持っている。町民が激高を高めておる、こういう事情にあります。したがって、私はこの際、当時の自衛隊の作業経過、これについてちょっとお尋ねをしたい、こういうことです。  内容を簡単に申し上げると、これは先般この委員会からも特別に御調査なすって、委員の皆さんもお聞き及びだと思いますが、堤防の決壊した安八町をはさんで下流に輪之内町という町があるのです。上流に墨俣町という町がある。安八町の下流に隣接する輪之内町には安八町との間に俗に言う輪中堤防、内堤があるわけですね。それで両町を通じる道路が堤防の下にある、こういうことですね。ところが、その道路を、安八町が決壊した後、約二時間後に自衛隊が土のうを積んで封鎖された、こういうことですね。したがって、この封鎖によって輪之町は被害を免れた。これは効果があったということですね。ところが、上流の隣接墨俣町へ安八町の水が逆流して、安八町以上の被害を受けた。軒下まで水をかぶるという非常な被害を受けた、こういうことでございますから、どうも住民感情としては安八町、墨俣町が大変に感情を高めつつある、こういう状況であります。  私は、この輪中の堤防が封鎖されたことについて、その善否を問おうとは思っておりません。いま経過説明で申し上げたように、一方においてはそのために災害が免れた、一方においては災害を受けた、こういうことですから、その善否に触れようとは思っておりませんが、問題は、自衛隊の派遣要請は知事にあるわけですね。私が言うまでもなく知事にある。ところが、その派遣要請をした岐阜県知事、副知事は、その堤防の封鎖の派遣については全然関知してない。全然知らないということです。いわんや安八町の町長も、気が転倒しておって、命令書の命令だけは見たけれども、中身は見ない。したがって、町長も派遣のケースについては全然知らない。私の常識でいけば、要請をした知事が被害地町村長と連絡をとり、それぞれ重点地域を決めてケース別に派遣先を決める、これが私は常識だと思うのですね。ところが、要請した知事も知らない、あるいは町村長も知らない。こうなりますと、一体だれがその具体的ケースの派遣要請をしたのか、それとも自衛隊が独自の判断で動いたのか、これはかなり問題があると思うのです。これは災害の救助でございますからまずともかくとして、将来、総理大臣が出動命令をする治安出動に対してかかわる問題ですから、これは非常に大きな問題だと思うのです。したがって、その経緯を明らかにしていただきたい。  第一点は、具体的に申し上げると、派遣要請をした知事は、いま申し上げたように、当然市町村長と相談をして個々の派遣先を決めていく。ところが、知事も町村長も知らない。そうなると、自衛隊の指揮者の独自判断で作業個所を決めたのかどうか、これが具体的にお尋ねする第一です。  それから第二は、指揮者の独自判断でなければ、だれの要請でやったのか、これが第二です。  第三は、堤防封鎖の指揮者の地位と氏名がおわかりなら教えてもらいたい。  この三点を具体的な問題として私はお尋ねいたします。
  199. 伊藤圭一

    ○伊藤(圭)政府委員 ただいまの御質問につきまして、先般来先生の方からそういう問題があるというお話がございましたので、私の方でも、今回の十七号台風災害につきましては、全国にわたりまして延べ五万人以上の自衛隊員、百隻以上の自衛艦、それから八千両以上の車両を出しまして全国的に救援活動をいたしました。その中で、そういった問題がもし仮にあったとしたならば、これはいろいろな意味で問題であると考えまして、十分調査をいたしました。いま先生が御疑問として提示されました点について、具体的に御説明申し上げたいと思います。  私どもの方の判断といたしましては、現場に派遣されている隊長以下忠実にその職務を行い、地元の方々とも十分話し合った上であの作業をやったというふうに理解いたしておりますが、その点につきまして具体的に御説明申し上げたいと思います。  十一日に知事からの要請がございまして、岐阜に対しまして守山から三十五普通科連隊の三百三十人が長良川の忠節橋の堤防補強に出かけております。翌日の午前中までこの作業を続けておりましたところが、十時二十八分に長良川の堤防が決壊したという連絡がその作業現場に入ってまいりました。そのときに、建設省の中部地方建設局木曽川上流事務所長さん、この方は県の防災委員の方でございますが、この方から、川が決壊したようだから、その現場に一部の者が行ってもらえないかというお話があったようでございます。そこで隊長は、当時の隊長は蒲田一佐という人でございますが、その人がこの要望を受けまして、四十人の者をその決壊場所に派遣をいたしました。それで、十一時半ごろその現場に到着いたしましたが、この堤防の決壊が非常に激しく、とても四十人の作業ではできないという判断をいたしたようでございます。そこに、現地の状況を連絡するために、その事務所の副所長さんが来ておられまして、ここはとても四十人では何ともできないから、中村堤といいますか、輪中堤だそうでございますが、そちらの方に行ってみてくれないかというお話があったようでございます。  この時点で、確かに先生おっしゃいますように、その輪中堤の作業というものはまだ知事からの要請があったわけではございません。しかしながら、前日、その長良川の堤防補強のために要請を受けておりましたその部隊の者が行きましたところが、その中村堤では、地元の方が、百人から百五十人ぐらいだったと聞いておりますが、土のうを積んで作業をやっていたようでございます。そこで、その地点で副所長さんから所長さんの方に連絡をとりまして、県の担当官の方にも了解をとったというお話がございましたので、ここで手伝ってもらいたいということでございました。御承知のように、水が流れており、地元の方が働いておられる、そして県の方にもお伝えしたということで、その四十人の者はそこで作業に当たったわけでございます。  その後、知事の要請が、十一時ごろ、長良川決壊に伴う人命救助と被害拡大防止ということで出されております。十師団長はそれを受けまして、一時五十五分に久居におります部隊をこの決壊地区に派遣をいたしまして、その後、前からおりました四十人と交代いたしまして、あの決壊場所の堤防の補強に努力したというのが、私どもが受けております報告でございます。  ただ、御承知のように、現場の様子というものが瞬時にしまして、ああいう緊急のときでございますから、知事さんのところまで正確に伝わっておったかどうかということは私どもも承知いたしておりません。そしてまた、要請というのは大抵口頭でまずなされまして、現場に行ってよく調整してくれということがございます。  なお、その久居の部隊が着きました後、輪中堤をこのまま補強を続けるかどうかというのは、地元の安八、輪之内、墨俣町長さん、安八は助役さんだったそうでございますが、それに西濃県事務所長の四者が話し合いまして、そしてこれをやってもらおうというお話もありまして、あの中村堤の補強に本格的に取りかかったということだと思いますが、そういう一連のやりとりもあったようでございます。  しかしながら、現実の問題といたしまして、結果的には墨俣町の方々が非常にお困りになったというようなことは、今後そういうようなことのないように、まあ緊急のときではございますけれども、地元の方々とよく話し合って必要な御協力を申し上げるように努力したいというふうに考えております。
  200. 山本幸一

    山本幸一委員 説明はわかったのですが、どうも説明を聞いておっても、指揮命令系統が明らかでないということだけははっきりした。私が言ったように、功罪相半ばですから、それを問うのじゃないのですよ。ないのですが、少なくとも災害対策本部というものがあるのですから、よろしゅうございますね、岐阜県にあるわけです。しかも、被害地の安八であろうとどこであろうと電話は通じたのです、その時点では完全に。したがって、そういう指揮命令系統を明らかにしておかぬと、独断で動いたり、幾ら緊急だからといって、勝手な判断でやられたのじゃ、今後誤りますよ。せっかく自衛隊が感謝されておる、だったら、やはりそういうことを今後は大いに注意してもらいたい。これ以上時間がないから申し上げませんから、答弁の必要はありませんよ。しかし、よく注意してもらわぬと、今後もこうした問題が起きかねないおそれがありますから、その点をひとつ頼んでおきます。  それから、建設大臣、長く座っておってしりが痛いだろうが、ちょっと簡単にやりますから。  もちろんあなたが大臣に就任してからの問題じゃありませんが、かねがね歴代大臣は一級河川、国の管理河川は絶対に心配ないと豪語しておったのですね。ところが、その豪語はみごとに今度はぶち破られてしまった、こういうことなんですね。  私は現地の調査を前後二回やりました。やった結果について伺いたいのですが、第一は、堤防の決壊原因が、お調べになってはっきりしたかどうか。私は、堤防決壊にはいろんなケースがあると思うのです。四点も五点もケースがあると思うのです。今回の安八町の堤防決壊は、そのうちのどのケースに当たるのか。もうすでにお調べだと思いますから、それをちょっと答えていただきたいと思います。
  201. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 その前に、先ほどの地震のことについて私の方からちょっと意見を申し上げてみたいと思います。  国土地理院の中に地震予知連というのができておりまして、これは専門家の方々の準備研究のための連絡会議でございまして、行政の実体ではございません。地震を研究するという東大とか各大学、あるいは地理院とか地震研究所だとか、いろいろな役所、学校がございますから、そこの専門家の方々が集まって地震についての研究をまとめるというのが予知連だと思っておりますが、それは建設省の所管でございますから、きょうの御要求はまことに緊急なものであると考えておりますから、早速地理院の責任者を呼んで意見を聞きまして、その予知連の方々が今後どうすれば積極的に活動ができるかというようなこと、たとえば予算の問題があれば緊急に内閣に対しまして予備費を流用してもらうとか、そういうことについて早速検討させてもらいたいと考えております。  それから、いまの長良川の決壊でございますけれども、私も現場を見せてもらいまして、大変気の毒であるし、また申しわけがないと、こう考えておりますが、その原因については、いまだはっきりとした報告は受けておりません。私が現場で聞いたところでは、あるいはダムがないとか、あるいは乱開発等によって水量が非常に一時にふえたとか、あるいは木曽の奥地に雨が降ったとか、あるいは現場においても八百ミリの雨が降ったとか、いろんなことを聞いておりますが、具体的にどの原因が最も大きな事故のもとであるかということについてはまだ聞いておりません。
  202. 山本幸一

    山本幸一委員 建設大臣、この際、直截に簡単に伺います。  あなたにも調査してもらって大変御苦労さまでした。私は、先ほど申し上げたように、現地を二度にわたって見ておりますが、第一は、あの河川内に直径二、三十センチくらいの大きな桑の木が一面に植えられているのですよ。その桑の木が堤防から頭を出している。私はいささかびっくりしたのですが、それについて町当局あるいは住民代表からたびたび建設省に向かって、それは地建を指していると思いますが、地建あるいは長良川の上流所長に向かって、何回となくあれを切ってもらいたい、前に行ったときに、あれによって何%かの増水を助けることになる、伐採してほしいという要求をたびたびしているわけです。また近くは、ことしの四、五月にしているわけですね。ここでも三、四回しているのですよ。ところが、建設省側は、所有者の合意が必要だとか、伐採については補償金が要るとか、全くけちな理由で取り合わなかった。これは一体どういうことなのか、なぜそういうものを真剣に検討しなかったのか。陳情があったことは事実です。それはあなた、どう思われますか。
  203. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 実は、私の選挙区等におきましても一級河川がございまして、御指摘のような、そういう桑が植えてあったりしております。私は素人ですが、しかし非常に心配しまして、これはない方がいいなという感じはいたしております。  いまの長良川の問題につきましても、恐らく堤防を幾ら強化しても、そういう邪魔者といいますか、少なくともその水の流れについてはプラスにならないという存在であることは事実でありますから、もしおっしゃるようなことが、地建の方で積極的にこれを解決するという努力がなかったとすれば大変遺憾なことである、こう思います。
  204. 山本幸一

    山本幸一委員 大臣、率直に遺憾の意を表されて、大変私もその点は評価いたします。  その次は、これもやはり町当局あるいは住民から具体的な問題として提起されておりますのは、あの決壊個所は過去三年間にわたって漏水があったというのです。これは現認しているわけですね。この漏水について何回となく、やはり地建に何とか手当てをしてくれと陳情した。これも全然放任されているのですね。したがって、私は、そういう漏水が、指摘された漏水問題が今度の原因の多くのファクターになっているんじゃないか、こう感じるのですが、あなた、どう思われるのですか。
  205. 栂野康行

    栂野政府委員 お答えいたします。  まず、河川改修のあるべき姿というものは、いわゆる全線が一様の安全度で強くなっていくということが基本でございます。一カ所を強くしましてもほかの個所が弱ければそれが破堤の原因になるということで、各事務所におきましては漏水の問題あるいはその堤防の低い問題を総合的に勘案して工事をしてやっておる次第でございます。しかも、現在の破堤した地点におきましては、過去昭和三十六年とかあるいは三十四年、大洪水を経験しておりますけれども、まだその大洪水におきましては安全であった、非常に危険ではなかったという実績があるというふうに聞いております。したがいまして、漏水個所がそういう原因であるというふうにはいま考えておりません。
  206. 山本幸一

    山本幸一委員 それは、恐らく否定されるということは思ったのですがね。何回も陳情していることはあなたは知ってますね、申し入れていることは。一言でいいのです、あったかなかったか。
  207. 栂野康行

    栂野政府委員 私自身は、そう記憶しておりません。
  208. 山本幸一

    山本幸一委員 記憶していない。私は恐らく否定するだろうということは最初から考えておったのですが、後ほどまたこれについての真偽を明らかにするチャンスをつくりたい、こう思います。  もう一つお尋ねしたいのは、あの堤防を築堤するときに、堤内外にまたがった大きな池があります。これは中馬さんもごらんだと思う。それから団長さんもごらんだと思う。あの池の真ん中に築堤したわけですね。ところが、私はどう考えても、素人ですよ、素人でわかりませんけれども、あの現状を見てみると、池の埋め立てが不完全である。それからいま一つは、決壊の跡を見ると、砂が多くて、肝心な粘土性が非常に少ない、こういうことがはっきりわかるのですよ、素人が見ても。したがって、この問題も常に何とかしてもらいたいということで陳情があったというのですね。河川局長あるいは御存じないかもしらぬけれども、そういう陳情があるんですよ。  そうすると、地建の返ってくる返事では何を言うかというと、あなたみたいな説明はしないのですよ。金がないからできぬのだと、こう言うわけだ。こういう答えですよ、私どもが聞いておるのは。それはどう思われますか。
  209. 栂野康行

    栂野政府委員 お答えいたします。  河川工事をやる順序としましては先ほど述べたとおりでございまして、事務所の方で金がないという一言で申したということは、いわゆるそういうことをあわせまして、金があれば早く工事が進捗するということだと思います。
  210. 山本幸一

    山本幸一委員 いまの返事で初めてはっきりしたのですよ。私は、こういうような自分の目で見た事実、それから地元の人の証言、町当局の証言等からいって、あの堤防の決壊は天災とは言いがたい、いわば人災である、政治災害である、こう自分では認識しております。  しかし、私がこう言ったってあなた方は認めぬだろうから、そこで、よりこれをはっきりさせるために、この際、委員長お願いしたいのです。つまり、その陳情をした御本人、しかも堤防の下におって常にそれを心配した人、その人がおられます。それはしかも区長会の会長ですね、連合会長、町で言えば広報会の連合会長です。その人がちゃんと自分で確認して、自分が陳情に一緒に伴っておる。こういうことでありますから、その人、富田初次という人ですが、これを次の機会に参考人として呼んでいただいて、その証言を聞いてもらいたい。この点を明らかにしませんと将来に問題が残ると思いますから、それを委員長お願いしたいと思います。
  211. 兒玉末男

    兒玉委員長 ただいまの件は、正午の理事会でも御協議しまして、後でこの委員会の席上で明らかにしたいと思っておりますが、参考人として呼ぶことに決定いたしております。
  212. 山本幸一

    山本幸一委員 ありがとうございました。  もう時間がありませんから、結論的なことだけ申し上げますが、御承知のように、今度の水害は前後五日間、時間にして八十時間前後の雨が降ったわけですね。そこで私は、理屈抜きに、堤防のいわゆる護岸工事が完全でなかった。完全でないところはここだけではありません、何十カ所とも言われておりますが、ともかく完全でなかった。そこで、水が引くときに、その引く力で弱い個所が破れていった。これは私は今度の堤防決壊の最大の原因だと思っております。そう思いますと、完全な護岸工事が行われておる、つまり鋼矢板を打ち込んで、堤防の両面にそれぞれ技術的に必要と思われるコンクリートブロックの護岸工事をやっておれば切れなかったんじゃないか、こう思っておるのですが、それは素人考えで間違いですか。
  213. 栂野康行

    栂野政府委員 このたびの長良川の洪水というものは、いわゆる上流におきまして千ミリ以上の雨が降った。しかもそれが大きな雨の山が四回も起きた。したがいまして、河川におきます洪水も、ハイウォーター、計画高水位に近い大出水が三回起きたわけでございます。したがいまして、高い水位の洪水が七十時間にわたって流れたわけでございます。また一方、当該地点、岐阜市におきましては八百ミリ以上の雨が降ったという、そういうふうな近来類のない異常な天然現象というものが複合して、ああいうふうに堤防が切れた。しかも、長良川におきましては、全線にわたり非常に危険な状態で、自衛隊のおかげによりましてほかのところは助かったという次第でございまして、当該地点が破堤したという次第でございます。したがいまして、護岸があったら破堤しなかったかどうか、この点は、あういう異常な天然現象が起きまして、現在十分調査してみないと、破堤を免れたかどうかは言えません。  以上でございます。
  214. 山本幸一

    山本幸一委員 河川局長、コンクリート護岸をやる場合に、一メートル幾らぐらいかかるのですか。
  215. 栂野康行

    栂野政府委員 七、八年前でございますけれども、一メートル大体五万円から十万円ぐらいだったです。
  216. 山本幸一

    山本幸一委員 河川局長答弁では、いろんなファクターを総合したのが原因になっておるのだ、こういう説明ですが、そういう抽象論ならだれでも答弁します。今日に至るもまだ原因が明確でないということは、これは私に言わせれば、あなた、怠慢ですよ。  同時に、私がたびたび言うように、一言で言うなら、堤防の頂上と最大の水量との差は当時メートル五十とか二メートルとか言われているのです。したがって、溢水等の心配がなかったということは、これではっきりしますね。こういうことは希有なことであって、今後たびたびあるとは私も思っておりません。しかしながら、もしコンクリートによる完全護岸が行われておれば、水が引くときに堤防が崩れるはずがない。したがって、今後必要なことはコンクリートブロックによる護岸を全面的にやることじゃないか。その意味で私は一メートル幾らかかるのだといって聞いたら、四、五年前に大体五、六万円、私も調査してみると、現行の価格で大体二十五、六万円でできるそうです。長良川の例をとると、堤防の片面で二十五キロ、長良橋から一番下流に至るまで。両面で五十キロないしは六十キロ。そうすると、百二、三十億円で大体護岸工事が完成する。そうすることによって今度のような被害は防げる、こう思いますから、私はやはり護岸工事についてあなた方は関心を持って検討をされて、それをひとつ至急にやってもらうことが必要じゃないかと思います。これ以上あなたと議論したってしようがないのだから。
  217. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 私は、南九州という毎年災害のある場所なものですから、非常に心配しているのです。  それで、早速この間事務当局に対して、さしあたり全国の一級河川の健康診断をしなさい。全面的な改修は、口で言っては簡単だけれども、そう言うべくして簡単ではない。だからして、ここでは二千万使ったらどうだ、ここは五千万あれば大丈夫だという、完全なものはなかなかできませんから、そういう一つの川の中で一番危ないところが何カ所かあると思うのです。そういうところは優先的に処置しなければならぬだろう、こういうことでいま健康診断を要求しているわけです。
  218. 山本幸一

    山本幸一委員 えらい時間を超過して申しわけないのですが、最後にちょっと要望だけしておきます。本当はまだたくさん聞きたいことがあるけれども、次の機会に譲りますが、これは中馬さんに特に要望しておきます。  今度の水害で、しゅんせつ問題が緊急な課題として出てきているわけです。私はもちろんこのしゅんせつを否定するものじゃないです。ところが、長良川については、お聞き及びだと思う、私もかつて建設委員会質問した記憶がございますが、要するに、このしゅんせつは、前提となる河口ぜきの建設が問題になっているわけですね。御承知だと思うのです。この河口ぜきの建設については、多数の住民、漁民が反対をいたしまして、そこで、いま岐阜地方裁判所で係争中なんですね。私は河口ぜきの建設を前提とするしゅんせつ、それをいま直ちに結びつけるということがかなり問題があると思うのです。私もいま申し上げたように、その前にやることは護岸の強化である、それの方が優先して取り上げられるべき問題だ。したがって、しゅんせつは否定はしませんが、河口ぜきに短絡的に結びつけるような、そういうやり方はこの際慎重を期してもらいたい、これをあなたに御要望申し上げる。  もう一つだけついでですが、同僚の皆さんから、中小企業、個人災害等々いろんな質問がございましたが、私は恐らく手形の問題が出ていないのじゃないかと思うのです。  今度の災害を受けた中小企業者で手形の期日が来て、もううろうろになっているのですよ。岐阜県は手形の不渡りの取り扱いについては銀行協会、つまり地方の銀行協会に連絡をして、そうして相当程度手形の不渡りを猶予してもらっておる。岐阜県はこういう対策をとっておるのですね。これは中小企業庁の方がおいでだと思うのですが、中央ではこういうことをどういうふうに扱っておるのか、これもついでに最後の御質問だけしておきます。最初要望です。
  219. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 お答えします。  私は素人ですけれども、堤防の改修と河口ぜきと二者択一ではなくて、やはり改修はしながら、強化しながら同時に河口ぜきの方も進めていきたい。  そこで、この間も知事と二人、記者会見に応じまして、最終的には、いま裁判中でございますけれども、裁判中だから絶対に手をつけないとか、あるいは裁判が済んだら翌日やるとか、そういうしゃくし定規ではなくて、知事が判断を下して河口ぜきにゴーというサインをくだされば直ちに建設省としては着手しましょう。ですから、それは住民の一人が反対すればやらぬというわけじゃなくて、五十五人ならやるのか五十六人ならやらぬのか、そういうしゃくし定規なことは抜きにして、知事が諸般の事情を勘案して、裁判中であるからやらぬとかやるじゃなくて、これならやれる、大体住民の腹もわかったということで知事が認定を下したら、直ちに建設省としては河口ぜきには着手しましょう、こういうことを私の方で記者会見したわけです。それに対して新聞社の方が、いま大臣がこう言ったけれども知事はどうだと言ったところが、知事も、いや、おれの責任だ。だから、知事も私と同じようなことを言いまして、百人反対だからやらぬとか九十九人だからやるとか、そういうことはないけれども、大体社会情勢、県民の事情を調べてみて、大体行けるというときがあったら建設省に対して正式に申請しましょう。そのときはよろしくとおっしゃるから、そのときは直ちに河口ぜきについては私どもは着手しましょう、こう申しておるわけです。
  220. 松尾成美

    ○松尾説明員 ただいま、災害の際に期限の来る手形についての問題の御指摘がございましたが、これは何しろ非常に広範な地域にわたるものでございまして、それぞれ実情も異なりますので、先生御指摘ございましたように、それぞれの県で実情に即して個別には御指導いただいておる、一々には私どもちょっと手が届きかねますものですから、個別には県でお願いしております。  中央では、私ども政府系の三機関につきましては、災害の都度、それぞれの貸し付けについては返済猶予を迅速に行うようにとか、あるいは緊急にお金が必要な方については、活動ができるようになり次第、緊急融資と申しておりますが、それをやるようにというようなことを指導しております。大蔵省の方でも、それぞれの民間の金融機関につきまして、貸し出し手続の範囲で極力迅速にやるとか、あるいは融資相談所をすぐ開くとか、あるいは審査手続を極力簡単にするようにというような指導をいたしております。
  221. 山本幸一

    山本幸一委員 どうも時間を超過して恐縮ですが、大臣、私は建設委員会質問したときに、まだ私の疑問は解けてないのです、河口ぜき問題は。私が納得する答弁をいただいてないのですよ。だから、その点は改めて建設委員会でひとつあなたといろいろ意見交換をしてみたいと思います。あなたの答弁答弁で了解します、それでいいです。  それから、中小企業庁の方は、政府の三公庫だけではなしに、市中銀行にも償還延期を指導するようなことをやってくださいよ。そうしなければいかぬですよ、あなた。市中銀行に一方で攻められてはどうにもならぬから、その点頼んでおきますよ。  それでは、超過して恐縮でした。      ————◇—————
  222. 兒玉末男

    兒玉委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  災害対策に関する件、特に台風第十七号による災害対策について、来る十月八日、岐阜県安八郡安八町区長会長富田初次君に参考人として御出席願い、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  223. 兒玉末男

    兒玉委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次回は、来る八日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十一分散会