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1976-09-30 第78回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年九月三十日(木曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 兒玉 末男君    理事 今井  勇君 理事 島田 安夫君    理事 野田  毅君 理事 金丸 徳重君    理事 柴田 健治君 理事 柴田 睦夫君       越智 伊平君    戸井田三郎君       中尾  宏君    羽田  孜君       松本 十郎君    水野  清君       宮崎 茂一君    武藤 嘉文君       森下 元晴君    井上  泉君       井上 普方君    川俣健二郎君       久保  等君    坂本 恭一君       芳賀  貢君    湯山  勇君       津川 武一君    山原健二郎君       新井 彬之君    瀬野栄次郎君       高橋  繁君    広沢 直樹君       宮田 早苗君  出席政府委員         国土政務次官  江藤 隆美君         国土庁地方振興         局長      土屋 佳照君         大蔵政務次官  高鳥  修君         農林政務次官  山崎平八郎君         中小企業庁長官 岸田 文武君         建設政務次官  梶山 静六君         建設省河川局長 栂野 康行君         自治政務次官  木村武千代君  委員外出席者         国土庁長官官房         審議官     紀埜 孝典君         国土庁長官官房         災害対策室長  山本 重三君         国土庁地方振興         局過疎対策室長 近岡 武男君         大蔵省主計局主         計官      古橋源六郎君         大蔵省主計局主         計官      西垣  昭君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       萱場 英造君         国税庁直税部所         得税課長    田口 和巳君         文化庁文化財保         護部記念物課長 横瀬 庄次君         厚生省環境衛生         局水道環境部環         境整備課長   森下 忠幸君         厚生省医務局整         備課長     吉原 健二君         厚生省社会局保         護課長     入江  慧君         厚生省社会局施         設課長     水田  努君         農林大臣官房審         議官      杉山 克己君         農林大臣官房審         議官      関根 秋男君         農林省農林経済         局保険業務課長 大塚 米次君         農林省構造改善         局農政部長   渡邊 五郎君         農林省構造改善         局建設部長   岡部 三郎君         農林省農蚕園芸         局果樹花き課長 北野 茂夫君         食糧庁業務部長 戸塚 金郎君         林野庁指導部長 藍原 義邦君         中小企業庁計画         部金融課長   松尾 成美君         気象庁予報部長         期予報課長   青田 孝義君         建設省都市局街         路課長     渡部與四郎君         建設省河川局河         川計画課長   稲田  裕君         建設省河川局治         水課長     小坂  忠君         建設省河川局開         発課長     佐々木才朗君         建設省河川局防         災課長     井沢 健二君         建設省河川局砂         防部砂防課長  中村 二郎君         建設省河川局砂         防部傾斜地保全         課長      大工原 潮君         建設省道路局地         方道課長    三野栄三郎君         自治大臣官房参         事官      平岩 金一君         日本国有鉄道施         設局長     鈴木 秀昭君     ————————————— 委員の異動 九月二十五日  辞任         補欠選任   奧田 敬和君     戸井田三郎君 同月三十日  辞任         補欠選任   中尾 栄一君     水野  清君   斉藤 正男君     湯山  勇君   田中 武夫君     久保  等君   古川 喜一君     井上  泉君   山本弥之助君     井上 普方君   広沢 直樹君     新井 彬之君 同日  辞任         補欠選任   水野  清君     中尾 栄一君   井上  泉君     古川 喜一君   井上 普方君     山本弥之助君   久保  等君     田中 武夫君   湯山  勇君     斉藤 正男君   新井 彬之君     広沢 直樹君 同日  理事高鳥修君同月二十日委員辞任につき、その  補欠として竹中修一君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  災害対策に関する件(台風第十七号及び異常低  温による災害対策)  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 兒玉末男

    兒玉委員長 これより会議を開きます。  まず、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  理事高鳥修君が去る二十日委員辞任しましたので、ただいま理事が一名欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 兒玉末男

    兒玉委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  それでは、理事竹中修一君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 兒玉末男

    兒玉委員長 次に、災害対策に関する件について調査を進めます。  台風十七号による被害状況調査のため、本委員会から、九月二十七日から二十八日まで第一班岐阜県、九月二十七日から二十九日まで第二班兵庫県、岡山県、第三班高知県、徳島県にそれぞれ委員派遣を行いましたので、現地に派遣されました委員から報告を聴取いたしたいと存じます。  第一班、今井勇君。
  5. 今井勇

    今井委員 第一班について御報告を申し上げます。  第一班は、九月二十七日から二日間、岐阜県における台風十七号による被害状況調査のため派遣されました。委員を代表して、私から調査概要を御報告申し上げます。  派遣委員は、柴田健治君、柴田睦夫君、高橋繁君及び私、今井勇で、ほかに地元選出議員の御参加を得て調査いたしてまいりました。  まず、被害をもたらした気象条件について述べますと、台風十七号は、日本列島に上陸する以前、九州の南海上に数日間停滞したまま、厚い雨雲を本州に送り込み、本州上には縦に前線が横たわり、その影響で暖湿な空気が伊勢湾から北上し、美濃平野部中心に雷を伴うすさまじい豪雨を降らせました。その豪雨は、九月八日から十二日までの五日間は、ほとんどやむことなく全県下に降り続いたのであります。  その雨量想像を絶するものがあり、県内各地最大時間雨量が七十ミリから八十ミリに達し、五日間で総雨量年間の総雨量に匹敵するほどで、岐阜市で八百三十二ミリ、高富町で千百九十七ミリ、大垣市で七百五十六ミリ、洞戸村で千二百五十三ミリ等を記録いたしました。このため、県内河川はんらん山崩れなどが次々に発生し、まれに見る悲惨な大被害をこうむりました。  県当局説明によりますと、八日からの継続的に降る豪雨のため、県においては、九日夜半いち早く災害対策本部を設置し、警戒に当たっておりましたが、九日夜半から警戒水位を突破していた長良川水位は、忠節では七時に、墨俣では八時四十分に、それぞれ木洪水中の最高水位五・五メートル、七・三一メートルを記録し、それ以後継続的に危険水位を突破していましたが、ついに九月十二日午前十時二十八分、安八町の大森地内の右岸堤防が延長八十メートルにわたって破堤しました。  その破堤した濁流は、森部輪中内、北側は犀川右岸堤まで、南側は安八町と輪之内町の境界まで、東側は長良川堤防まで、西側は牧輪中堤まで湛水し、その堤内に流れ出した水量は約四千二百万立方メートルに達し、安八全域墨俣町のほぼ全域浸水し、最大水深四メートル余という湛水状態を生ぜしめるところとなりました。  台風十七号によるこのような異常事態が発生し、県当局地元消防団水防団県警機動隊自衛隊及び地元民が一丸となり、夜を徹して被災住民の救出、保護と救援物資輸送等応急対策に万全を期したにもかかわらず、県の受けた被害想像を絶するものでありました。  岐阜下全般被害でありますが、人的被害は、死者五名、行方不明二名、重軽傷二十一名に達しました。災害の大きさを考えますと、人的被害が少なかったことは不幸中の幸いであります。  家屋につきましては、全半壊が六十世掛、床上浸水二万三千五百六十二世帯床下浸水五万一千七百二十四世帯農業関係では、田畑流失冠水一万六千百九十ヘクタール、家畜等十九万六千四百六十九頭羽、林業関係では、山地及び治山施設千百八十二カ所、土木関係では、河川の破堤、決壊が二千三百七十七カ所、道路橋梁破損が二千四百カ所、社会福祉医療施設が百七十カ所、その他もろもろの施設被害を受け、総額一千億の被害をこうむりました。  県からの、要望事項は、被害を受けました関係市町村要望事項が共通しておりますので、後述してまいりたいと思います。  次に、派遣日程に従いまして、順次報告してまいります。  まず、派遣団は穂積町に参りました。当町は、東は長良川、西は揖斐川に囲まれた低地に位置し、本巣郡全域の雨水が天王川・香川・中川新堀川犀川等に集まって当町に流れ込み、町内全域溢水はんらんし、その被害は甚大なるものでありました。  人的被害は、床上浸水二千五百九十六世帯床下浸水千三百二十二世帯と、町民の七〇%が被害をこうむり、さらに農作物においては、水稲は収穫皆無に等しく、また公共土木等施設においては、橋梁流失二カ所、排水機の水没二カ所等の被害をこうむりました。  町当局の、要望事項は、激甚災指定はもとより、犀川水系河川早期改修及び築堤補強、また排水機の増設並びに排水機整備技術者の雇用の促進でありました。  次に、大垣市でありますが、当市は七百六十八ミリという雨量があり、市内を流れる揖斐川杭瀬川、大谷川その他の河川はんらんし、市の三分の二が浸水し、農地の九四%が冠水しました。幸いにして人的被害はありませんでしたが、床上浸水四千五百四十一世帯床下浸水九千七百二十五世帯農地冠水が二千八百五十八ヘクタール、その他公共教育施設等に多大な被害を受け、市全体の被害総額は約八十九億円に及ぶとのことであります。  市の要望としましては、激甚災指定揖斐川杭瀬川早期改修湛水防除事業及び排水機増強等要望がありました。  派遣団は、市内を流れる大谷川、揖斐川崩壊現場を視察した後、安八町に参りました。  安八町は、十二日に一級河川である長良川が思いもよらず破堤し、濁流が町に流れ込み、瞬時にして全面泥海化してしまいました。決壊の模様を見ていた当町の古老の話によりますと、当日は危険水位を断続的に超えていたため、破堤防止作業を徹底的に行いました。作業員水位をはかろうとしたとき、堤防亀裂が生じた瞬間、堤防決壊し、作業員数人がその濁流に巻き込まれ、人的被害をこうむりました。  町に浸水した濁流は、深いところで軒下まで浸水し、家屋農地公共施設等に激甚な被害を与えたものであります。  われわれ派遣団が当町を視察したときは、すでに水は完全に引いておりましたが、長良川河川敷を利用して捨てられたごみが小山のように積まれ、また町にも至るところにごみが散乱しておりました。  水稲家畜については壊滅的打撃を受け、また個人被害農耕地公共施設等にも機能不能の被害をこうむりました。その被害総額は、余りにも多額のため、現在つかみきれないとのことでありました。  安八町からの要望は、まず早急な激甚災指定長良川揖斐川河川早期完全補強農地及び農業用施設復旧のための全額国庫負担農作物等に対する政府援助ごみ屎尿処理及び上水道復旧に関する援助中小零細企業に対する無利息融資町税減免等について町当局から強く要請がありました。  次に墨俣町でありますが、五日間に総雨量一千ミリ近くを記録し、床上浸水千二百四世帯床下浸水百五十三世帯農業関係、特に水稲安八町同様の被害を受けました。また、同町は八〇%がサラリーマンであり、大部分は家財道具が水に浸り使用できない状況がいまも続いているとのことでありました。同町被害総額は、電話局等不明部分を除き約五十五億とのことであります。  同町の、要望事項安八町と同様で、個人の力ではどうしようもなく、国に対して強力な援助要請されました。  翌日は岐阜市内城台寺団地を視察しましたが、同団地鳥羽川その他二河川合流点に位置しており、連日の豪雨のためはんらんし、団地全体が五日間浸水しておったとのことであります。団地住民から早急に鳥羽川伊自良川等改修要請されました。  次に派遣団は、山県福祉事務所に向かうバスの中で関係市町村被害説明を聴取しながら山県事務所に向かい、同事務所高富町、英山町、伊自良村の町村当局者から被害状況説明を聴取いたしました。  まず高富町でありますが、当町では千六十七ミリという集中豪雨に遭い、山林が至るところで崩壊し、その土石流鳥羽川に流れ込み、その結果、同河川が至るところで決壊し、町全体に流れ込み、家屋浸水田畑冠水流失等住民生活に甚大なる被害を与えました。  家屋の全半壊十二世帯床上浸水七百四十二世帯床下浸水九百三十四世帯田畑冠水流失等六百七十ヘクタール、その他公共施設土木施設等にも被害を受け、その被害総額商工関係を含まないで約十九億円とのことでありました。  次に美山町でありますが、やはり五日間に千百ミリの降雨量を記録したため、中小河川が随所で決壊し、家屋床上床下浸水道路の損壊、橋梁流失、耕地の冠水など、住民生活を脅かす被害をこうむりました。  同町は、災害の発生と同町災害対策本部を設置し、精力的に防災活動をしたにもかかわらず、土木災害中心に約二十二億円の被害をこうむりました。また、同町山間地に位置するため、道路の寸断は住民生活の死活につながるため、早急な復旧事業が望まれます。  次に伊自良村でございますが、同村を流れる伊自良川は、堤防河底しゅんせつ作業によってできたものが多く、非常に軟弱なところに五日間に千百四十九ミリを記録し、このため堤防の破堤一カ所、その他五十七カ所が決壊いたしたのであります。  また、伊自良川に合流する平井川、三吉川に同様の被害を受け、村全体に土石流が流れ込み、床上床下浸水が二百五十世帯農耕地農作物公共土木等被害をこうむり、その被害総額は約十七億円とのことであります。  前記三町村要望は、激甚災指定公共施設及び公共土木等災害早期復旧に関する財政援助措置伊自良川の一級河川への昇格及び中小河川抜本的改修要望されました。  次に中濃総合庁舎に参りまして、武儀地方被害状況説明を聴取いたしました。  同地方を流れる長良川板取川武儀川、その他中小河川が五日間の記録的な豪雨のため至るところで決壊し、人的被害公共施設農業施設等あらゆる分野で被害を受け、同地方被害総額は八十四億円とのことでありました。  次に、順次武儀地方の各市町村被害を御報告いたします。  まず美濃市でありますが、七百七十七ミリという記録的な豪雨のため、同市を流れる長良川板取川は幸い破堤は免れ、護岸の決壊、内水の浸水にとどまりました。しかし、同支派川は堤防決壊はんらんが相次ぎ、加えるに山地崩壊により土石流が発生し、各地に多大の被害をこうむり、被害総額約二十五億円とのことであります。  次に関市でありますが、千ミリに達する降雨量のため、美濃市同様、中小河川はんらんし、人的被害はもちろん、公共土木施設農耕地等被害をこうむり、約十三億円の被害を受けました。  次に武儀郡の関係市町村、すなわち洞戸村、板取村、武芸川町、武儀町、上之保村から被害状況説明を聴取いたしましたが、美濃市同様、本流、支流のはんらんのため関係住民に激甚なる被害をこうむり、その状況は言語に絶するものとのことでありました。  武儀地方被害を受けた市町村要望は、災害地激甚指定災害原形復旧ばかりでなく、抜本的な改良復旧砂防事業促進長良川を含む大小河川早期改修、特別な財政援助等の強い、要請がありました。  最後に、今回の被害に対する所感を述べますと、災害現場を視察してその生々しさに心を打たれ、また被害復旧に立ち上がっている地元関係者の生の声を聞き、政治の上でこれを実現していくことが急務であるとともに、今回の災害中心である長良川の破堤の原因究明、また長良川水系等抜本的改修個人被災に対する何らかの援助措置等が、国及び関係市町村に与えられた責務であると痛感いたしました。  終わりに、今回の調査に御協力を賜りました県当局初め地元関係者の方々に深く謝意を表しまして、派遣報告を終わります。  なお、岐阜県及び被災市町村からの詳細な要望事項等につきましては、これを本日の会議録の末尾に参照として掲載いたしたいと存じますので、委員長においてよろしくお取り計らい願いたいと存じます。  以上。(拍手)
  6. 兒玉末男

    兒玉委員長 どうも御苦労さまでございました。  次に、第二班の派遣委員を代表して、便宜私がこの席から御報告いたします。  派遣委員は、島田安夫理事油川武一委員広沢直樹委員宮田早苗委員、それに委員長の私、兒玉末男で、ほかに地元選出議員の御参加も得て、去る九月二十七日から昨二十九日まで三日間にわたり、兵庫県及び岡山県における台風第十七号による被害状況等について調査をいたしてまいりました。  第二班は、昨夜飛行機で帰京いたしたばかりでありますので、以下その概要等につきまして簡単に御報告申し上げることをお許しいただき、詳細は、被害両県及び市町村からちょうだいした要望事項等を本日の会議録参照として掲載するよう取り計らいたいと存じます。  調査団は、まず兵庫姫路市において、県当局から今次台風第十七号による全般的な被害状況及びその対策要望などを承り、次いで姫路市を初め周辺高砂市、社町、城崎町、日高町、香寺町、夢前町、家島町など二市六町の市長町長から説明を聴取するとともに、災害復旧に対する要望を承りました。  それによりますと、兵庫県の今次台風による被害の特徴は大雨でありまして、この大雨は、台風九州の南約九百キロの海上にある九月八日昼ごろから始まり、九月十三日まで約六日間に及んだのであります。この間の総雨量は、最も多い家島年間雨量の八〇%となり、一時間雨量最大は八十五ミリもの集中豪雨となりました。大雨地域はほぼ全県を覆い、このため、県下全域にわたって災害が発生しました。県の報告によります九月二十二日現在の被害状況は、山崩れ、がけ崩れによる死者十六名、行方不明三名、重軽傷者三十九名であります。また、家屋被害は、全壊百十八戸、半壊二百四十戸、一部破損六十八戸、床上浸水一万四千七百五十戸、床下浸水五万七千四百五十九戸、このほか公共土木施設農林水産業等広範にわたる被害があり、その総額は実に一千五十三億七千万円となっております。  県当局は、九月十四日正午に災害対策本部を設置し、本部員を招集し、被害県民の救済のため関係市町等とも協力し、応急対策に全力を挙げて取り組むとともに、高砂市、家島町、姫路市を初め六市十五町に次々と災害救助法を発動し、罹災者救援に当たったのであります。また、自衛隊災害派遣要請し、延べ八千四百名の応援を得て、多くの人々が救出されたとのことであります。  県当局及び関係市町要望事項を集約いたしますと、  一、激甚災害指定  二、特別交付税交付など災害対策財源措置  三、中小河川早期改修  四、緊急砂防事業など対策事業早期採択など十五項目となっております。  次いで、われわれ調査団は宍粟郡一宮町にお赴き、すさまじい山腹崩壊による災害現地を視察してまいりました。  台風のもたらした集中豪雨により、九月十三日旧下三方中心部を襲った山崩れは、一瞬にしてとうとい人命を奪い、四十数戸の家屋を倒壊、埋没させ、道路橋梁を破壊し、災害の比較的少なかった同地方人々の夢想だにしなかった大災害となったのであります。災害現地は、いまもなお十五メートルから二十メートルの高さの土砂で埋まり、鉄筋づくり三階建てのりっぱな校舎が二百メートルも流されて土砂に埋まり、屋上部分のみが波状にゆがんでわれわれの目前にあるという異常な状態であります。  災害現地において、一宮町長は、「再びこの地で生活ができるようにしたい。そのために、二度と山津波が起きないよう徹底的な地質調査を実施し、国の手で土地利用計画を立ててもらいたい。また、山腹が崩壊した山の左側に縦に七十メートルの亀裂が走っており、二次災害が心配であるので、復旧工事を急ぎ完全な治山工事をしてほしい。一日も早く学校の校舎が再建できるよう特別の配慮をしてもらいたい」と切々と訴えられました。この大災害復旧にはどうしても国の力が必要であると考える次第であります。  なお、この災害現地において、周辺の安富町及び山崎町の両町長からも説明を聞き、要望を承りました。  翌二十八日、調査団相生市に至り、同市を初め竜野市、御津町、新宮町、太子町、揖保川町の二市四町の市・町長からそれぞれ説明を聴取した後、相生坪根地区災害現地を視察いたしました。  ここも昭和四十九年の集中豪雨をはるかに上回る未曾有の降雨量によりまして、河川はんらん堤防道路決壊等により土木農業施設等にはかり知れない被害を受けたのであります。特に相生湾突端坪根地区では、山崩れにより全集落の半数が全半壊したとのことで、住民はようやく生気を取り戻しているものの、一刻も早い復旧が望まれるところであります。  次に赤穂市に参り、同市長から被官状況説明を聴取いたしました。それによると、九月八日から降り始めた雨は、九月十日未明から集中豪雨となり、同市を流れる千種川は一気に増水し、高野地区堤防決壊し、付近の住宅、工場は濁流の荒れ狂うに任せる惨状となりました。また、市内のすべての河川溢水決壊個所が続出して、市域一帯浸水し、一面どろ海となり、中心市街地水深は約七十センチメートルに達したとのことであります。  これにより死者二名、土木農林公共施設に甚大な被害を受け、住家農地農作物の損害もまた甚大となりました。ただ、千種川右岸堤防が危険となったため、地元消防団を初め住民等、さらに自衛隊救援出動により、辛くも右岸決壊を防ぎ得たということで、これは地域住民の結束のたまものと感銘いたしました。同市変電所浸水したため、停電で暗やみの生活電話の不通を余儀なくされ、これが住民の不安を一層つのらせたとのことであります。  次いで調査団は、千種川堤現地を視察しながら上郡町にと移動いたしました。ここでは上郡町のほか周辺の佐用町、上月町の各町長からそれぞれ説明並びに要望を承りました。  この地域も、町始まって以来の大豪雨を記録し、消防団員を中心に全町民総出で連日連夜水防活動を実施したが及ばず、ついに各町全域に甚大な被害が続出したのであります。目下応急対策復旧計画に全力を挙げているが、町財政は極度の財政危機に直面しており、何とか国の援助をと、激甚災害地域指定を初め、数項目の要望がなされたのであります。  ここで兵庫県の視察を終了、われわれ調査団岡山県に入りました。  岡山県におきましては、まず備前市三石支所におきまして、県当局並びに備前市長及び周辺の日生町、吉永町、和気町、熊山町の各町長から説明並びに要望を承り、その後、日生町寒河の被災地を初めとして、吉永町、和気町日笠の被災地を視察いたしました。  各市町の被害状況を申し上げますと、まず備前市でありますが、中小河川はんらん道路決壊等が各所に発生し、全地域にわたって甚大なる被害を受けております。住家の全半壊破損四百五十二戸、浸水家屋は千六百五十四戸に達し、住民は避難命令により付近の小学校、お寺等へ避難しておりますが、それでも間に合わず三石及び伊里地区において死者三名が生じたことは痛ましい限りであります。  日生町においては、小河川はんらんと鉄砲水で濁流が町の中心街に流入した結果、道路河川のごとくになり、一方洪水で田が埋まり、たんぼは河原のような状態でありました。川そのものがずたずたになっており、すでに河川の形態をなしておらず、その惨状は目を覆うばかりであります。同町においても死者が三名発生しております。  和気町、吉永町においても金剛川のはんらんにより家屋浸水し、住民は付近の高台あるいは小中学校に避難しております。いずれにしろこの地区は、昭和四十九年七月に災害をこうむり、激甚災指定を受け、度重なる災害住民はおののいておるとのことで、この不安を取り除き、二度と災害の起きることのないよう、中小河川、ため池、がけ崩れ等の災害復旧について格段の努力が必要であると痛感いたします。  昨二十九日は、まず岡山県自治会館において県当局から全般的な被害状況を聴取いたしました。  県の報告によります九月二十七日現在の被害状況は、死者十八名、負傷者九十二者という多数の人的被害を初め、住居の損壊千百戸余り、浸水三万五千七百余戸の家屋被害のほか、農林土木等の公共施設の損壊はもとより、農林業、商工業等全般にわたって甚大な被害をこうむり、また備前市を初め三市十一町について災害救助法を適用するなど、被災の範囲、人的被害等は、岡山災害史上初めての大災害となっているとのことであります。なお、被害総額は四百九十億七千二百万円であります。  今次災害の特徴を挙げてみますと、兵庫県と同様、大雨による被害でありまして、一、中小河川が急激に増水し、はんらんしたこと、そのため堤防決壊道路の損壊、橋梁流失等被害が続出しております。二、県下各地で記録的な集中豪雨があったため、各地でがけ崩れ、山地崩壊などが相次いで発生したこと。三、県下に数多くあるため池が被害を大きくしたこと。四、県下各地の低地一帯が湛水状態となり、その排水がきわめて緩慢なため、住居、水田等が長期間冠水し、被害が増大したことなどであります。  県当局は、九月十日災害対策本部を設置するとともに、各地方振興局にもそれぞれ同本部を設け、直ちに本部員会議を開催し、防災対策に万全を期するとともに、自衛隊の派遣を要請するなど救援体制を整えたのであります。  そして、被災地の現地調査を行い、救援物資の確保、輸送、防疫対策、飲料水の確保など民生の安定に努め、商工関係では金融対策等に万全を期し、農林土木、文教その他県民の救済に全力を挙げているが、国の大きい力をかりなければどうにもならないとのことで、概略次のような要望事項が示されました。  一、激甚災害指定。  二、災害救助法に係る特例措置。  三、積極的な改良復旧の実施。  四、災害復旧事業費に対する財政措置。  五、中小河川改修、急傾斜地崩壊防止等の事   業の飛躍的な促進を図るための予算措置。  六、被災者に対する金融措置。などであります。  次いで、岡山市、邑久町、長船町、牛窓町、美作町及び作東町の各市・町長より説明並びに要望を承りました。  そして、委員各位との協議懇談に入り、ここでは国立ハンセン氏病療養所の被害状況、また土葬墓地の被害対策などが取り上げられ、県当局から説明がありました。  次いで、各市町の災害現地の視察に出発いたし、真備町小田川左岸堤防の視察を行ったのであります。ここは九月十二日早朝から小田川の水位が上がり、危険状態になったのでありますが、消防団を中心とした地元民が、専門業者の応援で辛くも決壊を免れたとのことで、視察団が訪れたときも住民堤防の土盛り等補強に汗を流しておられました。  次いで、矢掛町役場に赴き、真備町、矢掛町、笠岡市の当局からこもごも説明を承ってまいったのでありますが、住民の納得が得られるような真に抜本的な治山治水対策が早急に必要であることについて、強い要望がなされたのであります。  次いで、矢掛町高妻林道の崩壊現場を視察した後、笠岡市大島地区のがけ地、急傾斜地の崩壊現場に参りました。  われわれは急な山道を徒歩で登り、説明を受けたのでありますが、それによると、九月十二日午後三時過ぎ、予想を絶する集中豪雨のため、標高二百四十八メートルの山が中腹より幅十五メートル、長さ百メートルにわたり崩壊し、鉄砲水となって下の民家を襲い、九戸が全半壊して土砂に埋もれてしまったのであります。まさに電撃的災害であります。これにより一名行方不明となり、災害発生後五日目になり、ようやく百名余りの自衛隊の手で遺体となって発見されたとのことであります。  われわれに対し、住民の方々から安心して住めるようにしてもらいたいとの訴えがあり、防災上の見地からいま一歩何とか手だてはないものかと感じてまいったのであります。  最後に、今次災害調査を終えて、その被害の激甚なる状況に身をもって接してまいりました立場から、一、二申し上げてみますと、まずいずれの県、市町に参りましても、関係者はもとより、報道陣も含めて、異口同音に激甚法の早期発動について熱烈なる要望がなされたのでありまして、政府におかれましては、一日も早くこれが指定を行い、被災現地の方々の復旧の意欲を高揚せしめるよう特段の御努力をお願いしておきたいと存じます。  次は、自衛隊を初め、地元消防団等の目ざましい活躍についてであります。これらの方々は、いち早く救援活動に、応急復旧にと昼夜を分かたぬ活動を展開し、被災地を守り、罹災者の感謝を受けたのでありました。  終わりに、今次災害で亡くなられました方々の御冥福と、負傷されました方々の一日も早い御全快をお祈りいたしますとともに、本調査に御協力を賜りました兵庫県、岡山県の関係各位に心から感謝し、お礼を申し述べ、報告を終わることといたします。(拍手)  次は、第三班の野田毅君。
  7. 野田毅

    ○野田(毅)委員 高知県及び徳島県を視察いたしました第三班について、派遣団を代表いたしまして、若干の所見を交えて、被害の実情等その概要を御報告申し上げます。  派遣委員は、斉藤委員、瀬野委員及び私、野田の三名と、それに地元選出議員多数の参加を得て、現地の実情をつぶさに調査してまいりました。  まず、高知県でございますが、同県の被害状況は、死者、行方不明者九名、被害住宅五万二千戸、被害総額は、土木農林、水産、商工等の各般にわたって六百七十八億円に達しているとのことであります。  以下、視察の日程に従いまして、順次御報告申し上げます。  南国市奈路では、山崩れが発生し、直下に居住する多数の住民がいまもなお公民館や親戚等に避難を続けておるとのことであります。また、による増水は、市内各地家屋浸水による被害を与えたのであります。  市当局から、稲生地域については、特に高潮対策が急務である旨の強い要望がありました。  高知市内は、一日に五百二十五ミリにも達する気象台開設以来の集中豪雨に見舞われ、そのため鏡川その他の河川はんらんし、市の半分にも及ぶ四万五千世帯浸水したのであります。  市内介良に設けられております三十三ヘクタールの面積を擁する廃棄物棄却地は、市内各地から運び込まれた十万枚の骨を初め、三万トンに及ぶいわゆる災害廃棄物が山積みされており、この膨大な量は、同市の約半年分のごみにも相当するとのことであります。  これらごみ処理及び屎尿処理に要した費用は二億円を超え、市当局としても、財政難の折から補てんに苦慮している状態にあり、国庫補助率の引き上げ等について強い要請がありました。  人口の都市集中化は、高知市においても他の地域同様でありまして、この十年間に七万人が増加したとのことであります。愛宕山周辺の造成地域の崩壊を初めとして、無秩序な宅地開発が本来の遊水地帯を失わせしめており、今後は災害対策の面から、宅地造成の規制についてもさらに検討を加えるべきであります。  市内鏡川にかかる沈下橋を視察いたしましたが、その際、沿岸住民から河川堤防整備等、抜本改修について要望がありました。  また、筆山頂上に至る公園道路及び山腹は、一見地震の跡を思わせる亀裂や地すべりが随所に生じており、水害の事後処理のみでは解決がむずかしく、この際長期展望に立った改良工事が必要と思われます。  久万川上流地域の円行寺地区の山崩れは、谷合いから流出した三万平米の土砂によって住宅八戸が埋没し、農業を専業とするこの地の住民生活の糧とする三ヘクタールの田畑等の耕地が、一夜にして跡形もなく流失したのであります。  鏡川上流地域山地崩壊により流出した土石によって、鏡村の中心部は大被害をこうむったのでありますが、村当局からは、河川の本支川に堆積した土砂の除去について大幅な国庫補助と、鏡ダムについても、今回の雨量を考えるとき、ダムそのものの規模について再検討願いたいとの強い要望がありました。  また、同じく鏡川上流の山合いに住家が点在する土佐山村は、八日から十二日までの五日間に千九百四十ミリの降雨量を記録し、このため道路、通信等が途絶し、四日間にわたって全村が孤立したのでありますが、現在もなお全面開通はされていないとのことであります。  伊野町と日高村は、仁淀川をはさんで位する町村でありますが、支川の宇治川は毎年豪雨のためにはんらんし、今回も水位は二メートルを超え、同河川流域の伊野、枝川周辺住家の大半が軒並み二階まで浸水したとのことであり、また日高村は、伊野町同様に浸水は各戸に及び、一時は平野部全村が水没する事態に至ったとのことであります。  次に、国道三十二号線経由で入りました徳島県について御報告申し上げます。  徳島県の被害状況についてでありますが、は昨年の台風第五号及び第六号により甚大な被害を受けたのであり、その災害復旧の完了を見ないうちに、再び死者、行方不明者十名、重軽傷者十四名、家屋被害三百二十戸、その他田畑冠水、主要道路の各所での寸断等、その被害総額は三百二十四億円に及んでいるとのことであります。  とりわけ穴吹町、一宇村、木屋平村の三町村は、昨年に引き続き大きな被害を受け、全壊家屋合計百四十戸は、県全体の八八%をも占めるとのことであります。  一宇村の中心部である役場周辺には、いまだに復旧作業にいそしむ消防団員の姿が見られ、また急傾斜地危険地域として県から指定されていた庁舎横の地すべり現場は、当時の状況も生々しく赤土が露出しておりまして、ブルドーザーを使っての復旧を急いでおりました。  ここで、実際に家屋の全壊により家財家具一切を失った罹災者から、個人の能力では回復は不可能であり、公的機関の援助を仰ぐほかないとの切々たる訴えがありました。  鳴門市内大谷川の破堤個所周辺は、山腹崩壊による流木や土石流によって、河床が上がり、そのため道路河川よりも下にあるという、通常では考えられない状況でありました。また、同河川流域にある樋門近くの決壊個所についても、仮復旧はしているものの、見るも無残な状態でありました。  神山町川又地区では、住民代表多数の方々から、鮎喰川上流河川改修と周囲に多発する地すべりについて、何とか早急に防止策を講じてほしいとの強い要望がありました。  川井峠から展望する木屋平村は、山奥の秘境を思わせるのどかな集落でありますが、今回の豪雨によって、村始まって以来の大きな被害をこうむったのであります。  滝の宮地区周辺は各所に大きな地すべりが点在しており、また滝の宮橋付近の河床は六メートル近くも上がっておりまして、すでに廃家となった川沿いに立つ民家は、軒下まで埋没しておりました。  さらに上流の川上地区は、周囲至るところに山地崩壊がみられ、また、かつてこの場所に建って  いたといわれる公民館や消防団詰め所が、流出した土石や巨木によって、跡形もなく完全に流失し  ておりました。  穴吹町は山地崩壊、地すべりによる被害中心でありまして、そのため山の中腹に建つ住宅が災害を受けたのでありますが、小谷川流域の古宮地区では、山崩れによって谷が埋まり、鉄砲水が同地区を襲って、民家二十八戸と高校の分校が流失したのであります。古宮中学校周辺河川は、上流からの巨石や流木によって荒廃し、原始河川と化しておりました。  鴨島町は一年分の降雨量に匹敵する千三百十二ミリの豪雨により、通称、新開地と言われる江川地区の住宅が床上及び床下浸水したのであります。同河川の下流は、近年進んでいる宅地造成によって川幅が急激に狭まり、その結果、今回の大被害をこうむったとのことであり、町当局並びに地元住民から、飯尾川を含めて、河道改修されるよう要望がありました。  高知、徳島両県は、昨年の台風第五号及び第六号によって壊滅的な大被害を受けており、その復旧を待たずに再び大災害をこうむったのであります。こうしたことから、公共施設復旧に要する各自治体の財政負担はもとより、個人罹災者についても昨年の災害による借り入れ資金の返済等、いまだ解決されておらない面が多々あります。  各地における昨年から連続しての被害の実情にかんがみ、早期に激甚災害指定を行う等の緊急対策を初めとして、集団移転についても条件を緩和するなどして、防災対策全般に万全を期するとともに、個人災害に対する救済制度の拡充強化については抜本的な大改革を断行して、地域住民生活安定寄与に大英断をもって具体的施策を進めるべきであります。  終わりに、今回の調査に御協力を賜りました高知県及び徳島県並びに関係市町村の関係各位に対しまして、心から感謝申し上げるとともに、両県及び市町村から提出されました要望事項等につきましては、本日の委員会議録に参照として掲載されるよう委員長にお願いし、派遣報告を終わることといたします。(拍手)
  8. 兒玉末男

    兒玉委員長 これにて派遣委員からの報告を終わりました。  派遣委員各位にはまことに御苦労さまでございました。     —————————————
  9. 兒玉末男

    兒玉委員長 なお、ただいま各班より報告がありました各県等の詳細な要望事項につきましては、これを会議録の末尾に参照として掲載いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 兒玉末男

    兒玉委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————     〔要望書は本号末尾に掲載〕     —————————————
  11. 兒玉末男

    兒玉委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本十郎君。
  12. 松本十郎

    ○松本(十)委員 このたびの台風第十七号に基づく集中豪雨によりまして、悲惨なる大災害がありましたことは、先刻当委員会の各視察団の団長からの報告のとおりでございまして、ただいま見ました国土庁の集計によりましても、全国で八千億になんなんとする被害額に達しておりますし、私の兵庫県におきましても、最近の数字で千百億円を超えております。しかもこれは、県の西部の数市数町に集中的に被害が出たわけでございまして、中には千ミリを超す大驟雨、一年間降雨量の三分の二を超すような雨があったわけでございまして、皆様御承知の一宮町のあの山崩れを初め、市の大半の戸数が浸水を受けたような赤穂市、その他各市町にわたって想像を絶する惨状を呈したわけでございます。  そこで、各市町当局あるいは被災者の方々から、私も調査団現地参加の一員として、あるいはまた各班の視察団の中に加わりまして、両三度にわたりまして現地をつぶさに見てまいりましたが、そういう方々からの要望として、いろいろありましたが、一口に申せば、一刻も早くこの災害復旧をしていただきたい。そしてまた、再びこのような惨事が起きないように平素から万全の措置を講ぜられるような治山治水の事業を行ってほしい、これに尽きるわけでございます。  そういう観点から、政府当局に対しまして、要望を込めまして質問をしていきたいと存じますが、時間の制約もあるようでありますので、簡潔に、しかしながら被災者の気持ちを十分くみ取っていただきまして前向きの答弁をお願いする次第でございます。  まず、国土庁に質問申し上げますが、このたびの災害、当然、激甚災害指定が行われるものと期待しておりますが、そのように確信していいものかどうか。しかもまた、この指定が一日も早く、一刻も早く行われることが関係市町被災者の気持ちでありますので、大体いつごろをめどにこの指定を行えるか、これについてお伺いしたいと思います。
  13. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 御答弁に先立ちまして、ごあいさつを一言この機会にさせていただきたいと思います。  国土庁の政務次官を拝命いたしまして、中央防災会議の事務局長をも来任することになりました江藤でございます。  よろしくお願いいたします。  ただいま松本委員から御質問がありました激甚災指定につきましては、先ほど現地視察の報告にありましたように、被災地の強い熱望でもございます。ただいま各省において鋭意この集計といわゆる調整を進めておるところでありますが、一刻も早くいたしたい、こう考えております。ただ、中小企業関係の集計がまとまりますのが十月の四日と聞いております。通産省でも非常に急いでおるわけですけれども、この関係が少しおくれますので、できるならば来週中、ぎりぎり十月の四日に通産省関係の中小企業をまとめまして、十月の八日の閣議でもってこれを決定するようにいたしたい、こういうことでただいま各省間、努力をいたしておるところでございます。
  14. 松本十郎

    ○松本(十)委員 ありがとうございます。一日も早く指定をお願いいたします。  次に、査定が一刻も早く期待されるわけでございますが、この査定事務の迅速化について関係各省の御努力をお願いしたいと思いますし、同時にこの災害が広範囲にわたりまして、件数が多いということもございましょうから、査定事務の簡素化と申しましょうか、総合単価を採用いたしまして、そういうことによる簡素化によって査定事務が一刻も早く終わりますようにお願いいたしたいと思いますが、いかがでございましょうか、建設省あるいは国土庁。
  15. 梶山静六

    ○梶山政府委員 このたび建設政務次官を命ぜられました梶山でございます。  委員各位の格別の御指導をお願いしたいと思います。  松本委員の質問の第一の激甚災害指定、この問題はすでに国土政務次官からお答えになりましたけれども、建設省の報告ではすでに被害額が指定基準に達しておりますので、主務官庁である国土庁と協議をいたしております。  それから、査定事務の簡素化、迅速化、この件については確かに数万件に上る査定書を作成するわけでありますから、総合単価制度の枠を三百万から五百万に拡大を図り、小規模工事等においては、災害が明瞭でかつ適正工法と思われるものについては机上査定を実施いたしまして、査定事務の迅速化と簡素化を図るように各省と協議をいたしております。  以上です。
  16. 松本十郎

    ○松本(十)委員 なお、査定を受けます場合に、何としましても災害の現況、その改良の目途等を立てる目的で技術者がいろいろ調査しなければならぬわけでございますが、これほど災害が多くなってまいりますと、県とか市町の担当者をもってしてはなかなかこの作業が進まない、どうしてもコンサルタントあるいは設計者に将来の改良あるいは復旧計画の事務を委託しなければならない。激甚災害指定を受けますと、事実上ある程度の委託料についての予算措置は講ぜられておるように聞いておりますが、いまだ制度としてこれが動いておりませんので、実際問題としてなかなか円滑に進まない。こういうことがありますので、こういったコンサルタント料等を制度として災害予算で見てやる、こういうことをお願いしたいと思うのでありますが、これについての建設省あるいは国土庁の御意見はいかがでしょう。
  17. 梶山静六

    ○梶山政府委員 お答えをいたします。  災害査定の設計については、四十七年、四十九年の災害並びに五十年の災害が激甚であったことにかんがみまして、早期復旧をするために地方自治体の負担の軽減を図らなければならないということから、臨時特例措置として一定の条件のもとに約二分の一の補助を行ってきたわけであります。今後とも、大規模な災害が発生をしている現況にかんがみまして、地方公共団体の実情を勘案いたしまして、設計委託の実態を調査し、財務当局と協議をして、この問題については前向きに検  討をしてまいりたいと思います。
  18. 松本十郎

    ○松本(十)委員 これまでもある程度は見ていたようでございますが、なかなかその条件がむずかしく、実情は市町村が相当部分を負担しなければならぬという現状でございますので、この点につきましては大蔵省その他とも十分連絡をとっていただいて、まるまる見ていただく方向で御努力を願いたいと要望しておきます。  次に、各事業の災害復旧対策としての採択基準でありますが、当然これは基準としての目安は必要なことはよくわかります。しかしながら、現地をつぶさに見ますと、この基準にこだわっておってはなかなか実情に合った復旧計画ができない、こういうことでありますので、この採択基準の運用に当たりましては、実情を十分見た上で弾力的な運用を図られたい、こう存じますが、この点について建設省あるいは農林省の御意見を伺いたいと思います。
  19. 梶山静六

    ○梶山政府委員 採択基準については逐次改善をいたしておりますが、例を申せば、緊急砂防事業等においては、五十一年度に、人家五十戸以上というものを二十戸以上に、実情に合わせるという改定をいたしております。  今後とも災害対策の万全を期してまいりたいと思います。
  20. 山崎平八郎

    山崎(平)政府委員 先ほど来国土、建設両政務次官からもごあいさつがございましたが、私も同様新任でございますので、委員各位のお引き回しをお願いいたします。  ただいまの松本委員の採択基準の問題でございますが、建設省同様農林省も、現地の実情に即しまして、今回の特殊災害にかんがみ、特に入念なそごのない方法をとってまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  21. 松本十郎

    ○松本(十)委員 災害対策は原則として原状回復ということがあるのでありましょうが、しかしながら、たとえば兵庫県の西部の場合には、本年の災害の二年前に災害を受けておりますし、さらにその三年前、昭和四十六年にも受けておるわけでございまして、五年間に三度というふうに大災害を連続して受けておるわけでありますが、現地を見ますと、災害で手当てしたところは、このたびのような大驟雨にもかかわらずほとんど被害を免れておる、こういう現状でもありますので、何としましても災害復旧と同時に改良復旧と申しましょうか、二度とこういうことが起きないようなスタンスで、立場で、この災害対策を講じていただきたいと思いますが、そういう改良復旧について思い切った措置を特に建設省、農林省で考えていただきたい、こう思うわけであります。いかがでしょう。
  22. 梶山静六

    ○梶山政府委員 確かに災害復旧は原形で復旧することを原則といたしております。そしてその中では、さらに再度災害が発生をしておるところもあるわけであります。ですから、特に被害の激甚なものについては、一定の計画によりまして改良復旧をするほか、特に災害復旧費に改良費を加えて、いわゆる災害関連事業等として抜本的な改良事業を実施してまいったわけであります。今後ともその積極的な活用を図ってまいりたいと思います。
  23. 山崎平八郎

    山崎(平)政府委員 ただいまの御説明の建設省とほぼ同様でありますけれども、元来、災害復旧事業は原形で復旧することを原則といたしておりますが、それだけでは不適当な場合には実態に応じた復旧を実施することとしておりまして、特に被害の激甚なものについては、一定の計画により改良復旧するほか、災害復旧費にさらに改良費を加え、災害関連事業等として抜本的な改良事業を実施してまいったところでございまして、今後ともその積極的な活用を図ってまいりたいと存じます。
  24. 松本十郎

    ○松本(十)委員 再びこのような災害が起きないようにという意味において、思い切った改良復旧ということを特にお願いしたいと思いますが、なかんずく農林省関係のため池とかあるいは井ぜき、林地崩壊、こういったものについては、このたびの災害においても前に直したところは助かっておるが、その隣がごっそりやられておるという情勢でございまして、改良復旧という立場で思い切った施策をとっていただくように重ねて要望しておきたいと思います。  次に、農林省にお伺いいたしますが、このたびの災害で、すでに実を結んだ早い米はある程度被害が助かっておるのでありますが、おくてなりモチ米というものはまだ刈りかけでありましたので完全に被災しておるわけでありまして、こういったものについて共済等で十分の配慮をお願いしますと同時に、早い米につきましても、等外品ではありましょうが、何らかの形で品質の低い米の買い上げについて格段の御配慮をお願いいたしたいと思いますが、いかがですか。
  25. 山崎平八郎

    山崎(平)政府委員 お答えいたします。  まず、共済の問題でございますが、冷害につきましては、その被害状況農林省の統計情報部でただいま調査をいたしておりまして、その結果を待っておりますが、なるべく速やかに措置することといたしたいと存じます。私のめどといたしましては、十一月矛中には天災融資法の発動ができるべく、したがって、十二月、年内にはできるだけ共済金の支払いというところに結びつけたいと存じておる次第でございます。  なお、林地崩壊につきまして御質問がございましたが、これは昭和四十一年から実施要綱をもって、これに基づいて行っておるところでありますけれども、その事業の採択基準、これは二戸以上の人家または公共施設に直接の被害を与えるおそれがあると認められる崩壊林地を対象としております。ただし、この場合、人家と申しますと、人の住居の用に供しておる家屋でございますが、これは作業場その他家屋と一体となっている物、工場等を含んでおります。さらにまた、家屋にございましては一世帯を一戸と算定いたしておりますから、二世帯は二戸という感覚、それらのいろいろの考え方をもって弾力的に活用してまいる所存でございますので、念のためお伝えいたします。
  26. 松本十郎

    ○松本(十)委員 特に林地等につきましては、たとえば瀬戸内海に家島群島というのがありますが、小学校がちょうど急傾斜地の前にありまして、前回の災害で三分の一ほど直してもらったところは大丈夫なのですが、その隣の山が崩れたり、学校に土砂が入って、幸いにして休校でありましたので人災がありませんでしたが、これまた目を覆うような惨状でありました。そういった採択基準なりあるいは改良復旧なりについては、格段の御配慮を重ねてお願いしておきたいと思います。  それから、建設省に戻りますが、このたびの災害でまたまた強く感ぜられましたことは、人口密集地帯を流れております中小河川あるいは準用河川等が思いのほかの水量のために堤防決壊したりあるいは温水をして、住宅が浸水したという実情もありますし、それから海岸地帯の方の諸般の公共施設なり民間の工場その他の建設によりまして内水の排除が思うに任せませんで、そのためにこれがあふれて一帯の人家を水に浸したというような状況でございますので、中小河川改修につきましては、災害と関連するものは思い切ってやっていただく。さらにまた、幸いにして激特制度というものが発足しまして、年とともにこれが拡充されておるわけでございますので、この激特制度というものを思い切って実施をいたしまして、この中小河川等についての改修、二度と災害を起こさないような予防策というものについて万全の措置を講じていただきたいと思うのでございますが、建設省の御見解はどうですか。
  27. 梶山静六

    ○梶山政府委員 確かに中小河川の水害が恒常化をいたしておりまして、梅雨期の集中豪雨台風十七号等により各地中小河川はんらんによる激甚な災害が発生したわけであります。中小河川改修を治水事業の重点施策として位置づけながら、今後ともその改善を図ってまいりたいと思います。   五十一年度予算においても、河川事業費全体の伸び率一八%のうち、中小河川においては一九・四%、約一千九百三十億円を計上いたしております。今後ともその重点的な推進を図ってまいりたいと思います。  激甚災害対策特別緊急河川事業、これは一般災害が発生した河川に対し、一定の計画に基づいておおむね五カ年程度で事業概成をさせようとするものでありまして、五十一年度においては四十九年度災、五十年度災の災害河川、特に中小河川においては十七河川を対象として実施いたしております。  五十一年度の梅雨前線及び十七号の豪雨による被害も、激甚であった河川についてはこの激特事業の対象河川として採択するように極力努力をして、抜本的な河川改良を中小、準用河川等に向かって進めてまいりたいと存じます。  以上です。
  28. 松本十郎

    ○松本(十)委員 次に、自治省に質問したいと存じますが、災害復旧事業債の充当率の引き上げ、あるいは災害関連事業費に係る起債の充当率を災害復旧事業債並みに引き上げる、こういった起債について格段の配慮を願いたいと思うわけでございます。もちろん、交付税の繰り上げ実施、これは決めていただいたようでありますし、将来特別交付税でいろいろとまた要望したいとは存じますが、それとあわせまして地方債につきまして格段の配慮をお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  29. 木村武千代

    ○木村政府委員 お答えをいたす前に、ごあいさつを申し上げます。  私、このたび自治政務次官を拝命いたしました木村武千代でございます。  どうぞよろしくお願いいたします。  それと同時に、このたびの災害につきまして、当委員会委員長様を初めといたしまして各委員の方々におかれましては、早速関係県、市町村を御調査いただきまして非常にありがたく、また、その災害の実情を深く御認識なされましたことを、自治省といたしましても、また関係県、市町村からよろしく皆さんに申し上げてくれということでございましたから、この席をおかりいたしまして厚く御礼を申し上げる次第でございます。  次に、松本委員からの御質問でございますが、災害復旧事業につきましては、国庫補助、また負担金、特別交付税というようなものを勘案いたしまして災害復旧事業債の充当率を考えておるわけでございます。現在のところまでではそれで大体いけるのじゃないかというような気持ちを持っておる次第でございます。  さらに、災害関連の事業債につきましては、今年度におきましては特に国庫負担事業に関係のあるものは九五%充当させていただきたいというっもりでやっております。  以上、御報告申し上げます。
  30. 松本十郎

    ○松本(十)委員 格段の配慮をお願いしておきます。  あわせまして、災害が起きました場合に当然自衛隊の応援がいただける、あるいはまた関係各省から応急措置についての援助があるわけでございますが、何といたしましてもこれほど広範囲にわたって大きな災害がありますと、さしあたり孤立したような市とか町において、あるいは孤立はしておりませんでも十分の応援の求められない市とか町においては、市当局、町当局が自己の負担において当面の応急措置を講じなければならない、こういう現状でございます。地方財政がある程度ゆとりのある時期でありますと、そういう場合にも思い切った手が打たれるわけでございますが、現在のような地方財政窮乏の時期には、先立つ金についての心配まで市長なり町長がしなければならぬ。こういうことを考えます場合に、このたびの場合には間に合わぬでありましょうが、将来に備える意味におきまして、何かそういう応急処理のために必要な金を暫時貸し出すと申しましょうか、当座使っておっていいというような形で出せるような資金制度、こういったものを創設しておく必要があろうかと思うのでありますが、これに対して自治省はどういうふうなお考えでしょうか。
  31. 木村武千代

    ○木村政府委員 お答え申し上げます。  それにつきまして、私、九月の十三日から各地の方へ、特に香川県でございましたが参りまして、その実情を見ましたところ、まことに松本委員が申されたとおりでございます。  そこで、私、早速自治省の方へ帰りまして、この応急の費用についてどういうぐあいにするかということを相談をいたしたわけでございます。そうしますと、自治省の方におきましては、現行制度といたしましては、地方公共団体において積立金があるところがあるだろう、また歳計現金のやりくりをしたらどうかというようなこともございますし、それが二つともできていないところにおきましては、一時借入金で、しかも借入金も、町議会なり市議会を開くことができない場合には、市長なり町長の専決事項としてやってよろしいということの話になりまして、そのことを直ちに市町村に連絡したような次第でございます。  しかし、それは一時の応急措置でございまして、それのやりくりの金をやはり最後には精算をしなければならないわけでございますから、そういうことにおきまして交付税のいわゆる繰り上げ交付をいたすわけでございます。それはこの十月二日に、自治省といたしまして一般交付税の中で五百七十五億円交付をするという腹づもりでいたしております。これは大蔵省とも話し済みでございますので、御報告申し上げます。  さらに、私も実情を見まして、いま松本委員が申されたようなそういう応急対策の基金というものが必要でないかと存じますので、このことにつきましては十分将来検討させていただきまして、これから応急の処置に万遺憾なきような処置をとらしていただきたいと思うわけでございます。  以上、お答えいたします。
  32. 松本十郎

    ○松本(十)委員 前向きでの検討を特に切望いたしておきます。  次に、文部省にお伺いしたいと存じますが、文化財が災害を受けました場合には、これは災害復旧制度の中で復旧が図られるのかどうか、たとえば播州赤穂のあの城壁がこのたびの災害で崩れたわけでございますが、いろいろ聞いてみますと、なかなか文化財については復旧制度に乗せることがむずかしいというふうな感触を受けたわけでございますが、これに対してどういう実情になっておるか。しかし、何としましてもこの復旧は急ぐわけでございますので、文部省としては、文化財所管省としてどのように対応していただけるか、この辺についてお答えいただきたいと思います。
  33. 横瀬庄次

    ○横瀬説明員 お答え申し上げます。  赤穂城の城跡の被害につきましては、本丸の南すみやぐらの石垣が幅十数メートルにわたって崩壊したという報告を赤穂市から受けております。文化庁といたしましては、早速この被害状況を把握いたしまして対策を立てるために、十月の上旬でございますが、五日から被害の大きいところを回っていきたいということで、文化庁の専門の技官を派遣することにしております。赤穂城跡につきましても十月の九日を予定しておりますが、参るつもりでございます。  その際に、具体的な措置について十分検討したいというふうに思っておりますが、文化財の災害復旧につきましては、法律的な制度は、対象が非常に区々であるためにそういう制度がございませんけれども、従来から文化財保存事業費の中に補助金を計上しておりまして、その補助金の適用によって対処してきております。したがいまして、赤穂城跡につきましても、当然その適用が検討対象になると思います。赤穂市、兵庫県と早急に具体的な検討ができるように対処したいというふうに考えております。
  34. 松本十郎

    ○松本(十)委員 補助金で早急な復旧を図るようにしていただくのは結構なんですが、市としてはいろいろ災害に基づく負担が多いわけでありますので、できるだけ当該市の負担が最小限で済むように、これは災害復旧制度に乗らないかと思いますが、格別の配慮を特に文部省に要望しておくわけであります。  それから、先ほど林地崩壊の関係で農林省に伺いましたが、家島等のあの学校裏の急傾斜地に山崩れがあったような場合、所管はもちろん農林省でありましょうが、学校の公共文教施設の所管省である文部省としても、十分林野庁あるいは建設省にお願いをして、これが円滑に復旧工事が実施されるように、これまた強く要望しておきたいと思うわけであります。  時間もございませんので、あとは一般論としまして、災害復旧をやります場合に、河川改修と井ぜき、あるいはため池と中小都市河川、あるいは農業用水路と中小河川、あるいは林地と急傾斜地あるいは砂防、こういった関係で、農林省と特に建設省との間で権限の積極的、消極的な論議があることが実情としては多いと聞いておりますが、どちらが担当していただくにしろ、災害の後始末をし、将来二度と災害が起きないようにやってもらえばいいわけでございますので、そういった点については十分に連絡をし、協調していただきながら、地元の市とか町あるいは地域住民が困ることのないように、これまた十分の配慮をもって復旧計画なり関連事業を行っていただきたい、これが要望でございますが、この際、農林省あるいは建設省の御意見も伺っておきたいと思います。
  35. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 ただいまの御意見につきましては、これほどの大災害でありますから、当然各地において御意見のような問題が出てくることを予測しておりますので、各省連絡会議、防災会議等におきまして、事前にこれらの問題については十分お互いの意見の交換をいたしております。御心配がないように、国土庁におきましても十分にその間の調整をしてまいりたい、このように考えておるところであります。
  36. 松本十郎

    ○松本(十)委員 いま一つ、これまた各省にわたるわけでございますが、災害復旧の場合には、原則的に初年度三割、次年度五割、第三年度二割と、三、五、二の割合で三年計画で復旧工事を行うというのが原則のように聞いておりますが、おととしあってまたあったような地域から見ますならば、運よく工事が早期に進捗したところは災害を受けないで、免れてよかったわけでありますが、もう一息やっておいてもらえば事なきを得たのに、それが残っておったためにがしゃっと崩れてしまって大被害を受けた、こういう例も多いわけでありますので、実情に即して、そのような原則は原則でありましょうが、早期に繰り上げて一刻も早く災害復旧工事が終わりますように、関連事業もあわせて行いますように、これまた格段の要望をしたいわけでありますが、国土庁かあるいは建設省からお答えを願いたいと思います。
  37. 梶山静六

    ○梶山政府委員 確かに、公共土木施設にかかわる災害復旧事業については、直轄事業においてはニカ年、補助事業については三、五、二の割合で三カ年、これで復旧を完了する方針のもとに現在まで行われてきております。しかしながら、災害復旧事業は民生の安定を図る上にも一日も早く完成をさせる必要がありますので、国庫債務負担行為を活用して、さらにこの促進を図ってまいりたいと思っております。  特に、激甚な災害を受けた府県等については、災害の実情と工事実施面における施行能力等を勘案して重点的に復旧を図ってまいりたいと思います。総枠で三、五、二の割合でございますから、特定の地域を選んで早く復旧ができますように格段の努力を払ってまいりたいと思います。  特にこの際、われわれ行政官庁といたしましては、建設省を初め各省庁協議をいたしながら努力をしているわけでありますが、いずれにしても最終的には予算の問題が関連をするわけであります。ですから、各種補助率、それから基準のアップその他の努力をいたしますとともに、また一般的な、建設省で言えば建設行政に支障のない別個な意味での一般的な予算を確保しなければならないわけであります。災害はいつ、どこに発生をするかわかりませんので、特に委員各位の大蔵当局に対する根回し等御協力を心からお願いをいたしまして、お答えにいたします。
  38. 松本十郎

    ○松本(十)委員 これまで建設省を初め関係各省に質問申し上げ、要望してまいりましたが、同時に、こういった各省の諸対策が完全、円滑に行われますためには、何としましても財政当局である大蔵省が温かい気持ちで対処してもらわなければなかなか画竜点睛が望めないということでありますし、したがいまして地方財政の問題、あるいは基金創設の問題、あるいは査定事務の迅速化、簡素化等の問題、あるいは原形復旧プラス関連事業の大幅な実施等、あるいは災害の場合には三、五、二の比率ではありますが、できるだけ実情に合った早期の実施等々を考えれば、これはすべて、一面では大蔵省の考え方にも弾力性なりあるいは温かい気持ちがなければならぬと思うわけでございまして、特にこの際大蔵政務次官から、このたびの災害についてどのようなお立場か、ひとつ伺っておきたい。
  39. 高鳥修

    高鳥政府委員 大蔵政務次官を拝命いたしました高鳥修であります。  つい先日までは、当委員会理事といたしまして、もっぱら災害問題に一緒に取り組ませていただいてまいった次第でございまして、今回の災害に際しまして、委員各位に大変熱心にお取り組みをいただいておりますことを心から感謝を申し上げ、敬意を表します次第であります。  ただいま松本委員から、最終的に総括して大蔵省の見解を求められたわけでございますが、一応順次簡潔に申し上げますと、最初の災害復旧に対応する資金の問題につきましては、自治省から御答弁がございましたように、市町村あるいは都道府県の対応策についてはそれぞれ所管において御配慮いただいておるところでありますが、大蔵省といたしましては、災害復旧に要する資金につきましては、とりあえずは災害復旧費現年度分計上が二百億ほどございます。     〔委員長退席、金丸(徳)委員長代理着席〕 これに不足いたしますものにつきましては、予備費等を使用いたしまして遺憾なきを期してまいりたい、このように思っておる次第であります。  二百億につきましては、実は過去に起こりました災害実績の最低の額に対しまして、それの進度実績を勘案をいたしまして算定をいたしてございます。したがいまして、過去五年間の平均で申しますと、八百八十億ほど計上しなければならないような形になるわけでありますが、災害は決して多きを望まない、できるだけ少ない方がいいわけでありますから、最低を計上いたしておきまして、必要な場合には予備費をもって措置をするということはいたし方ないことではなかろうか、このように思っておる次第であります。  それから第二に、災害の査定事務の簡素化と総合単価主義につきましては、関係各省において御答弁がございましたが、大蔵省でも適用範囲の拡大等につきまして前向きに、積極的に打ち合わせをいたしておりますので、御質問の御趣旨を実現してまいりたい、このように思っておる次第であります。  原形復旧改良復旧等の問題につきましては、当然のことでございますので、そのように措置いたしてまいる決意でございます。  それから三、五、二の災害復旧費に関連をいたしましては、すでに松本委員も御指摘がございましたが、特に非常に危険な場所につきましては、応急工事を直ちに着工していただいて速やかに進めたい、このように考えておりますし、その他危険個所につきましては、三、五、二の比率にかかわらず復旧を急いでまいりたい、このように考えておりまして、各省の要求に応じまして大蔵省といたしましては十分対処をする決意でございます。  大体、以上が大蔵省側に対する御質問の要旨で、あったかと思いますが、いずれにいたしましても、今次災害は非常に激甚でございますので、私どもといたしましては全力を挙げてその復旧に対処をいたし、民生の安定を図ってまいりたい、このように思っております。  以上であります。
  40. 松本十郎

    ○松本(十)委員 時間が参りましたので、あと質問したいこともございましたが、これで終わりたいと思いますけれども、以上のような土木農林等の公共施設のほかに、やはり個人災害を受けまして、個人の力で復旧をしたりあるいは営業上の損失をカバーしなければならないような実情でもありますので、これに対する援助なり融資なりについても、これまた格段の配慮を政府側に要望しておきます。  何と申しましても、政治の要諦は、まず水を治めることであり、山を治めることであって、治水治山こそ政治の第一の課題でございまして、このような災害が二度と起きませんように、格段の施策を各省、政府一体となって実施していただきますことを特に要望するわけであります。  一言申し上げますならば、ある町長が、自分の町ではこのたび十億円を超す災害がありましたが、仮にこの両三年間で五億程度の予算を執行していただいておれば、こういう災害は起きないで済みました、こういうことをしみじみと告白しておりましたが、まさに日本の治水治山の現状はそのようなものであろうと思います。災害が起きてからこれの復旧に努力するのはもちろんでありますが、起きない前にこれを予防することこそ政治の第一の要諦でありますので、政府側の万全の措置につきまして重ねて強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  41. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員長代理 次に、井上泉君。
  42. 井上泉

    井上(泉)委員 今次の災害に対して災害対策室からの報告によりますと、七千五百十七億の被害額が計上されておるわけでありますが、この七千五百十七億という被害は、これは河川決壊だとかあるいは農地被害だとかいうような公的な性格のものばかりでありますが、この被害によって受けた住民個人被害というものをどれだけに推測をしておるのか、把握をしておるのか、その点をまず承りたいと思います。
  43. 紀埜孝典

    紀埜説明員 お答えさしていただきます。  ただいま私たちが地方団体から報告を受けておりますものに、人的、物的被害についてはその被害額をとっていないのであります。とっていないのは、災害が起こった時期に、たとえば家屋を例にとりましてどういうふうな形で被害額を確定していくのかというふうな問題等々いろいろ問題があります。そうして、加えまして、国としてはただいま現在、直接それに対する救済制度も持ち合わせておりませんので、一応とらないことにしておる、こういうふうな形になっておるわけでございます。
  44. 井上泉

    井上(泉)委員 こういう公共事業というものはだれのためにあるのか、こういうことをまず第一番にお考えになったら、これはもうおわかりでしょう。公共事業がおくれたがために、去年も水害で浸って、そうして家財道具一切どろ水につけてしまった。今朝、岐阜の今度の長良川決壊災害を受けた被災者の方の陳情も聞いたのでありますが、いわゆる公共事業というものは国民の幸せを守るためにある。その公共事業がおくれたために個人が莫大な被害を受けた。その莫大な被害を受けたことを、ここで総理府なりあるいは国土庁なり、それが掌握をして、これだけの被害を国民に与えたのだから、だからこれだけの金は早く計上して、堤防の強化やあるいは防災工事とかそういうようなものをしなければならぬという考えになるのが、私は政治としては当然の姿ではないかと思う。個人被害を受けたことに、今日余りにも目をつぶり過ぎてきておる。いつも個人被害者というものは泣き寝入りである。本当にそういうふうなことについて災害対策室なんかも冷淡じゃないかと私は思うわけですが、それはどうですか。  個人被害についてそれを詳細に調査をし、一体どれだけ国民が被害を受けたのか。たとえば高知市におきましても、二万戸の世帯床上浸水で、畳の枚数だけでも十二万を超えておるという。十二万を超えておるとすれば、個人の受けた被害だけでも、昼だけでも一万円として十二億になる。そういう莫大な個人被害を考えますならば、今次の災害によって七千億というこの被害報告は、私は、個人被害を計上すれば、これは一兆五千億以上のものになるのじゃないか、こういうように思うわけです。およその推測としてもそのことは成り立つと思うし、やはり個人被害をなくする、国民の被害をなくするために災害復旧がなされ、防災工事がなされ、治山治水の工事がなされるのが本来の姿ではないでしょうか。  その点からも、個人被害に対する把握を災害対策室の中でせずして、抜本的な、そして早急な復旧対策というものが立ち得ようはずがないわけであります。個人がたくさんの被害を受けておることに対して、行政が手落ちである。長良川でも、行政の手落ちのためにそれこそ何千億という財産が消滅をしたと私は思います。わが高知県の高知市におきましても、昨年も一万五千戸のものが床上浸水でどろ田になった。ことしも二万戸以上のものが浸水した。それも鏡川の工事やあるいは神田川の改修工事、そういうようなものが早急に行われておったならば、決してこういうことにならないわけであります。そういうことをしないからいつも個人が犠牲にされておるわけです。  そういう個人災害に対する政治としての対策というものを考えるべきであると私は思うわけですが、これは政務次官、ひとつどうですか。
  45. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 私どもも、さきの災害におきまして現地調査もし、またいままでの慣例から申しましても、しばしば国会でも議論をされましたように、個人災害についての救済をどうするかということは、政治が抱えておる大きな課題である、こう思っております。  今回の十七号台風についての個人災害について詳細な調査がなされてないということについては、御意見のとおりであります。  そこで、これらの問題を考えてみますと、総理府において、御案内のように、個人災害共済制度をやってはどうかということが実は三年間にわたって検討をされまして、この要綱に基づいて各市町村の意見を聞いたこともあるわけであります。ところが、この制度についてはまことに結構なことであるという答えが約八八%であります。それならば、あなたは加入をいたしますか、こういうことについては、加入をするであろうと言ったのは  一〇%か多くて二〇%だ。災害というものはそういうふうに不特定でありますし、その形容も著しく異なりますので、必要性は十分お互いに感じながらも、なかなかそういうふうには、災害補償制度というものに強制加入させるというわけにもまいりませんものですから、なかなかうまくいかない。さらば一体、国の予算でもって全部それをめんどう見ていくかということになりますと、これは財政上の問題との関連もございまして、膨大な予算を要するであろう。  こういうふうなことも実はありまして、いま各党間におきまして、さきに昨年度改正を見ましたいわゆる弔慰金制度についてもいろいろと御検討をいただきまして、いろいろ御相談が進められておるというふうにも承っております。したがいまして、こうした弔慰金制度等の改正についても、私どもは十二分に国会の御意見を拝聴しながら対処してまいりたい。  それからもう一つは、私が先ほど申し上げましたように、全くやってないわけではありませんで、一番急ぐのは、一つにはやはり中小企業対策であると思っております。したがいまして、中小企業の関係のまとまるのが四日と聞いておりますから、もうぎりぎりの十月八日に、中小企業のまとまるのを待って激甚災指定をしたい。というのは、一にかかってこれらに対する手当てをしていきたい。  もう一つは、政府のいわゆる制度資金というものがかなり各業界に対して貸し付けが行われておるわけでありますから、当然これらの償還等についても、必要なるものについては償還延期の措置を講ずる、あるいはまた、新たなる貸付金制度あるいは見舞い金、弔慰金制度もございますから、あわせてそういうふうなことでもって当面しのいでまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。  しかし、御意見の全体的な個人災害の把握については、当然今後政治が取り組むべき課題である、このように受けとめて十分検討してまいりたいと思います。
  46. 井上泉

    井上(泉)委員 こうした災害個人が受けた被害がどれだけのものであるかということは、やはり政治が取り組むためにも必要なことであるわけなので、国土庁がその所管ならば、国土庁の方でその個人の受けた被害調査をやるのかどうかということと、さらには、この個人の受けた被害については、いま政務次官は中小企業者やいろいろなことについて最大限の努力を払うということを言われたわけでありますが、中小企業者には中小企業者としてのそれぞれその企業者に対する救済措置がある。ところが、月給取りにはその救済措置がない。新しい団地浸水した方は零細な給与所得者が多いわけであります。これらに対する救済措置というものが何らないわけですから、個人のこうした方に対する救済措置を、単なる融資の形でやるとかあるいは二分の金利で金を貸すとかいうようなことではなしに、こうした個人の受けたものに対しては、一定の期間はやはりその被害状態に応じていわゆる動労所得税を減免するとかいうような措置も当然なされてしかるべきだと思うわけでありますが、その点についての見解を承りたいと思います。
  47. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 今回も実を言いますと、個人災害調査について各省関係で十分と議論をいたしたわけであります。ところが、公共災害が非常に発生をいたしまして、各都道府県あるいは各市町村におかれましても、限られた人員でもって緊急災害復旧の把握について全力を挙げておる。あるいはまた、けがをした人あるいは亡くなった人、そういう方々が発生したところにおいては、ますますもって行政事務が繁雑になっておるわけでありまして、その直後に一軒、一軒の家財道具に至るまで調査をするということはなかなか容易ならざることである。これは十二分に各都道府県を初め関係団体と相談をしなければ、必要はあることでありますけれども、どうしても今日災害の直後にそれだけのことをやることはなかなか困難だ、こういうふうな議論を実はいままでいたしてきたところであります。  したがいまして、今後十分に、これらのことがやれるとするならばやらなければならないことであると私どもも受けとめておりますから、一体どうしたならばやれるのか、問題点はどういうことなのか、あるいはそれをやるがためにはどういう体制を整えたらいいのか、全体的にわたっていま少しく検討させていただきたいと思います。  それから、勤労者の所得税の減免等につきましては、国土庁の所管ではございませんが、これは一つの御提案だと思いますので、大蔵当局とも御相談をしてみたいと思います。
  48. 井上泉

    井上(泉)委員 大蔵省からも来られておるでありましょうから、大蔵省の見解も承りたいと思います。  そこで、個人災害被害の額というものも課題としてこれを調査する方向で取り組むということは、私はまことに適切なことだと思うし、そのことがなされないから災害復旧に対する真剣さが忘れられて、今度こそまたと再びこのような災害が起こらないようにということを、きれいごとで事を済ましておるわけである。けさも岐阜町長があの陳情の中でも、ごみじゃないわけですから、大事な家財道具である。たとえば高知市におきましても、約五万トンというものはごみでないわけですから、これが畳であり、あるいは電気冷蔵庫であり、あるいは洗たく機であり、家具であり、布団であり、それはもう大変な財産ですから、その被害を取り返すというようなことは、いまのサラリーマンの給与の状態の中で、これが一年や二年で取り返せる状態ではないわけです。だから、このごみの現状を見た場合には、災害で発生したところの個人財産の消滅の状態を見た場合においても、これだけのものをこの災害が与えたか、これに対しては何らかのことをしなければならぬ、これだけの気持ちというものが行政当局にあってしかるべきだと私は思うわけであります。  そこで、個人災害のことについては、共済制度とかいろいろなことも検討されてきておるが、まだ具体的な成案も出ていないということでありますけれども、やはり衆議院のこの委員会におきましても、昭和四十六年までは個人災害救済制度に関するいろいろな論議がなされて、その論議の中でも、いま大蔵省と折衝しておるというようなことが言われておったけれども、大蔵省との折衝の中で災害による弔慰金のことが解決をしたから、その問題について国土庁にしても予算要求をやめた、こういう話を聞くわけでありますので、個人災害に対する補償制度については大蔵当局にも予算要求をし、この制度の確立に向かって努力をしていただきたいと思います。  そこで、いま質問をした中での大蔵省の勤労者に対しての所得税の減免に対する見解と、あわせて担当の課は違いますけれども、天災の場合における保険制度というものがないわけでありますが、損害保険の関係において、これだけ災害の多い日本の国土の現状からして、やはり災害に対する保険制度というものはあってしかるべきだと私は思うわけですが、その点についての大蔵省の見解を承りたいと思います。
  49. 田口和巳

    ○田口説明員 御説明申し上げます。  勤労者など個人の納税者が大きな被害を受けられた場合には、国税当局といたしましても、被害者の方々の立場に立って可能な限りの救済措置を講じなければいけないと痛切に考えている次第でございます。  納税者が災害により大きな被害を受けられました場合の救済措置といたしましては、いろいろございます。たとえば、生活用の資産について受けた災害の損失でございますれば、所得税法に雑損控除という制度がございまして、所得の一割を超える損害部分というものを所得控除として限度なしに所得から控除できる。それだけ税金が安くなる制度がございます。また次に、所得が余り多くない、四百万円以下の方の場合には、災害減免法という法律がございまして、税の免除なり軽減がなされるような制度になっております。この所得基準四百万というものは、一昨年の改正で二百万から倍に、大幅に引き上げたところでございます。  しかし、こういう制度がございますこと、またこの適用を受けるための手続の仕方、こういうことを被災をされた方々に十分お知らせする、また親身になって被災者の立場に立って適用していくということが一番肝心だと思います。そういう点で、被災地を管轄しております国税局なり税務署ではきめ細かくお相手をするようにいたしておりますが、なお一層きめ細かく注意をいたしてまいりたいと存じます。
  50. 萱場英造

    ○萱場説明員 お答え申し上げます。  風水害危険に対します損害保険といたしましては、現在の制度としても各種の商品としてはあるわけでございますが、その中で、一般的なものといたしましては、住宅総合保険とか店舗総合保険、さらには長期総合保険、いわゆる火災保険に加えましてその住宅を取り巻くもろもろの危険に対処するような保険がございます。  ただ、それにつきましては、先生御指摘のように一定の条件、それから金額の制限その他があるわけでございますが、そういったものにつきまして今後保険制度として、御指摘ありましたような包括的な危険に対してどういうようなサービスを提供できるかにつきまして、御趣旨を体しまして今後十分検討を続けてまいりたいと考えております。
  51. 井上泉

    井上(泉)委員 大蔵省の両関係者の答弁、私も非常に満足であります。これが行われるように、ぜひひとつ努力をしていただきたいと思います。  そこで、時間がありませんので、問題点について各省ごとにお尋ねをするわけですが、昨年も高知市で水害を受けた地域の中小企業者は、激甚災害法の適用を受けなかった。隣の伊野町あるいは土佐市は受けられたけれども、受けられなかった。同じような水害で同じような条件の中でも、町村が違うために受けられなかった悩み、苦しみを味わっておるわけです。たとえば高知市における今次の中小企業者の災害にの現状から見て、当然、激甚災害の適用を受けるべき被害だ、こう思うわけですが、中小企業庁としてはどういうふうに把握をしておるのか、この際、承っておきたいと思います。
  52. 松尾成美

    ○松尾説明員 お答えいたします。  先ほど国土庁の方から御答弁がございましたように、激甚災害指定につきましては現在検討中でございますが、実は昨年の災害の際には、いわゆる局地激甚でございましたので、先生御指摘のように、たしか周辺市町村は対象になりましたが、高知市につきましては全体としての所得が非常に大きいものですから、基準に達しないということで対象にならないという問題がございました。  今回の災害につきましては、現在時点での調査でございますが、全体で六百十四億という非常に大きな全国的な被害になっておりますので、これは全体として激甚災害になるのではないかということで検討が進められておりますので、今回に関しましては御指摘のような問題は恐らく起こるまいというふうに考えております。
  53. 井上泉

    井上(泉)委員 そこで、私はこれは厚生省にお尋ねするわけですけれども——厚生省来てないね、呼んでください。  それじゃ、自治省にお尋ねします。  いま前の質問者も地方財政の問題を言われておったわけですが、こうした被害を受けた地域町村というものは非常な財政負担がかかるわけであります。その財政負担がかかる上にもっていって、税金がよけい入らないわけですから、それを金融機関に言うて借り入れとかいうようなことをしてでも——やはり借り入れは借り入れとして残るわけです。この際、自治省としては、たとえば特別交付税が年度末に計算をされて支給されることになっておりますけれども、今度の被害町村に対しては、この十一月ぐらいには特別交付税の一部前払いというか概算払いというか、そういうふうな手だてがとれないものだろうか、そういうことを考えるわけですが、自治省、どうですか。
  54. 平岩金一

    ○平岩説明員 お答えいたします。  ただいま御質問のように、災害が発生いたしました場合に、地方自治体におきまして、各種の応急対策その他でまず当座の各種の資金等が必要となってまいります。したがいまして、今回の台風十七号によりまして災害を受けました地方公共団体に対しましては、まず当座の資金繰りを円滑にいたしますために、普通交付税の一部を繰り上げて交付することといたしまして、総額で約五百七十五億円が十月二日に関係自治体に交付される予定でございます。まず当面の資金繰りについてはそのようなことでございます。  次に、御質問の特別交付税の件でございますが、特別交付税につきましては、被害状況とか当該団体の財政事情等を勘案いたしながら、本年度の特別交付税の配分において十分配慮いたしたいと存じておりますが、地方交付税法の改正によりまして、従来は特別交付税は二月に配分いたしておりましたが、十二月に特別交付税総額のうちの三分の一以内、それから三月に三分の二というふうな改正が行われたのは御案内のとおりでございます。災害関係につきましては、できるだけ早期に御質問の趣旨のように配分し、被災団体の財政運営に寄与するべきであるということはおっしゃるとおりでございますので、可能な限り十二月交付分において配慮できるようにいろいろと検討いたしてまいりたい、かように存じております。
  55. 井上泉

    井上(泉)委員 そこで、もう一点自治省にお尋ねするわけですが、今度の災害では、町村関係あるいは市、県にしてもそうですか、かなりな資金というものが必要でありますが、そういう点については町村が負担能力にたえられるだけの配慮というものは当然なさるべきだと私は思うわけです。そこはひとつ事務当局において、そういう点について突き詰めた見解を申し述べることができないとするならば、やはり政務次官がおいでなら政務次官からそれについての見解を承りたいと思います。
  56. 平岩金一

    ○平岩説明員 御質問の趣旨のように、被災団体のたとえば地方債の調達でありますとか、そういった面について、たとえば政府資金を充当するというふうな措置により、当該団体の財政運営に支障を来すことのないよう努力してまいりたい、かように存じております。
  57. 井上泉

    井上(泉)委員 個人災害の救済についても、自治体としては相当な持ち出しをせねば、これはとてもできないと思います。それは住民に対して、自治体としてはどうしてもなさねばならない義務があるわけですから、国のように直接住民と接触してないと、そんなことを自治体が出してもおれは知るかというような形で冷淡にあしらうとかいうことのないように、公共事業の立ちおくれのために受けた個人被害を救済する自治体のやった単独措置についても、自治省がしゃくし定規にこれを律することのないようにぜひともしていただきたいと私は思うわけですが、その点についての御見解を承りたいと思います。
  58. 平岩金一

    ○平岩説明員 お答え申し上げます。  被害の実態とか当該団体の財政事情等を十分勘案いたしまして対処してまいりたい、かように存じております。
  59. 井上泉

    井上(泉)委員 次に、私は河川関係で建設省にお尋ねするわけですが、高知県の早明浦ダムが昨年の災害のときにも一時放水をして、下流の住民に大きな被害を与えた。そして、それと同じように鏡川のダムも、集中豪雨雨量が多くて鏡川の水位が高まっておるときに、危険だからといって放水をした。そのことによって堤防のなされてない鏡川が溢流をして、昨年を上向る大きな被害をもたらしたわけでありますが、この早明浦ダムにしても鏡川ダムにしても、操作の方法なりあるいは安全の方法なりに問題がありはしないか。昨年の当委員会におきましても、早明浦ダムの問題については操作規則を改定するなり何なりして安全対策を十分にやる、こう言っておきながら、ことしもああいう災害が出ておる。鏡川ダムにしても同じことが行われておるわけです。  今次の災害状況というものは報告があったと思うわけですので、私はその災害現地の実情についてはここでは時間がありませんので申し述べません。ただ、鏡川ダム、早明浦ダム、これに対する対策というものをいつまでにやるつもりなのか、いつまでもあの危険な状態の中に下流の住民を置いておくのかどうか、そのことについて建設省の御見解を承っておきたいと思います。
  60. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  いま御指摘のありました二つのダムの洪水の操作状況でございますが、御案内のように非常に異常な大きな雨が降りまして、計画放流量をそれぞれのダムについて上回りました。ただし、流入量も非常に多うございまして、それぞれのダムにつきまして洪水の調節が行われました。  早明浦ダムについて申しますと、四千七百トンの洪水が入ってまいり、三千五百トンの放流をいたしました。そういった連年にわたりましていろいろ異常事態が出ておりますので、われわれの方といたしましても、早明浦ダムにつきましては今年度中に操作規則の見直しをいたしまして、もう少し広く申しますと、吉野川全体の工事実施基本計画の見直しをいたしまして、ダムの放流量を定めまして、そのダムの放流量に対応いたすように下流の地域の整備をいたすつもりでございます。  鏡川につきましては、県の方で、学識経験者あるいはわれわれの方も参画いたしまして、川全体といたしましての抜本的な見直しを知事さんの方でやるというお話を受けておりますので、その中で検討いたしまして対処するようにいたします。
  61. 井上泉

    井上(泉)委員 そこで、河川関係で、高知県の災害調査団の団長の報告の中にもあったように、宇治川の水も仁淀川へ流すようにする、あるいは日高地域の水も隧道を抜いて仁淀川へ流す、こういうことになると、さなきだに水量が多く、そして堤防が弱い、そういう中で仁淀川に多量の水が入ってくる、その多量の水が今度は逆流して波介川という川から土佐市内全体に浸水をするわけなので、そこで土佐市の市民の人たちは、そういう水を受ける。そういうところの排水施設をすることは、これはしようがないことだけれども、それをやることによって仁淀川の水量がふえて、そこで逆に波介川に逆流が来て浸水をされるということになると、これはたまったものでないから、多年の懸案である小野の樋門というものを早急に改修をしてもらいたいという陳情がこの間の災害視察団にも申されたわけでありますが、それについての見解と、さらにはまた、鏡川の方が激特地域として指定をされておるところが、ある線で区切られておるわけであります。その下流はどうしてもやらなければならぬわけでありますので、今次の災害の現状に照らしましても、鏡川における激特事業区域というものは延長すべきだと思うわけですが、それについての見解を承っておきたいと思います。
  62. 小坂忠

    ○小坂説明員 お答え申し上げます。  第一点の仁淀川支川の波介川の小野水門のことでございますが、この水門は五十一年度の水害によりまして波介川の激特事業にすでに採択になっておりまして、ただ設置個所等でまだ決定を見ていないというような状況と聞いております。今後、地元等の協力も得まして五十二年度には本体に着手いたしたいというふうに考えております。  それから、鏡川でございますが、鏡川につきましても現在、激特の採択が五十一年度から行われております。その区域について申し上げますと、鏡川本川の右岸、これが約千七百メートル、それから神田川というのがございますが、これの合流点から上流へ二千百メートル、それからそのまた支川の吉野川が千メートルというふうに現在採択になっておりますが、今回の災害はこの地域に限りませず、さらにまた激甚な災害が生じておりますので、それを踏まえまして、この十七号台風による浸水被害をこうむったという県の報告に基づきまして、激特事業の採択を十分検討いたしたいというふうに考えております。
  63. 井上泉

    井上(泉)委員 厚生省来られたですか。——質問の時間がありませんので、厚生省にはいろいろと申し上げたいことがたくさんあるわけですけれども、次の機会にして、多くは申し上げません。  今度の災害による異常なごみというか——ごみと言うことは、被災者に対しては、非常に残酷な言葉であるわけです。これは国民の貴重な財産がいわゆるごみとして捨てなければしようのないような状態になってきておるわけであります。そういう災害におけるごみ処理についての厚生省の対策というものは非常に冷淡である。そういう点から考えましても、私は、この災害におけるごみの処理については、従前のような通り一遍な自治体のごみ処理についての補助規定ではない特例を設けるべきであると思うが、その点についてどうか。  来ていなければ、時間がないので、これは災害の総元締めの国土庁の政務次官にその見解を尋ねて、国土庁の政務次官から厚生省にきつく申し入れてもらいたいと思うのは、いま災害によって生じたごみというものは、これはごみではないわけですから、これは個人の非常に貴重な財産というものがごみ化しておる、そのごみ化したものを自治体は処理をしなければいかぬわけです。自治体はそれを処理しなければいかぬわけですから、普通のごみ処理の経費とは違ったたくさんの経費というものが要るわけなのだから、これを通り一遍の厚生省のごみ処理の経費のやり方、補助の中でやるのではなしに、こういう災害によって生じたごみ処理については特別な補助制度というものをつくるべきである、こういうように思うわけでありますが、これについて政務次官の見解をお聞きして、災害に泣く国民の願いをかなえてやっていただきたいと思います。
  64. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 これはひとり厚生省だけではなくて、大蔵省、自治省その他とも関連が深いと思いますので、御質問の意を体しまして、十分検討させていただきたいと思います。  なお、厚生省には、御質問のありました旨、十分その意を伝えることにいたします。
  65. 井上泉

    井上(泉)委員 そこで、私はもう時間がないので終わりますが、私がいま申し上げたこのごみ問題等についても、政務次官は、検討される、こう言われたわけですけれども、その検討は通り一遍の検討であってはならないと思いますし、また通り一遍の検討で政務次官も答弁をしたものではないと思うわけですが、私の言ったことが不都合な、無理な言い方であるかどうか、そういうことを言うことに対する見解も織りまぜて、前向きな対策というものと、さらにはまた今次災害で、私が前段申し上げましたように、個人被害というものを救済するのが公共事業のあり方であります。たとえば、高知市におきます愛宕山等の山崩れの中で、どうしても山崩れするからそこらの人たちは集団移転をしなければならぬ。そこで、集団移転をするためにも金がたくさん要るわけですが、そういう集団移転等に対する国の制度というものを、防災の見地からも災害に対する制度というものが不十分であるので、この点につきましてももっと整備をし、そうした被災者が山崩れによる危険から脱却できて新しい住居地で生活のできるような、そういう行政の姿勢を進めていただきたいということを要望し、最後に政務次官の見解を承って、終わります。
  66. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 先ほど自治省からも一部答弁がございましたが、普通交付税のほかに、これらの問題については災害の形態、形容等を十分勘案して、そして特別交付税等についても処置いたしたい、これらの旨の御発言も実はございました。  そういうこともございますから、今後、災害全体の問題として、私どもは、今回の教訓を生かして、民生の安定に十分寄与することができるように、その責めを果たすべく努力してまいります。
  67. 井上泉

    井上(泉)委員 終わります。
  68. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員長代理 次に、山原健二郎君。
  69. 山原健二郎

    ○山原委員 今度の調査で、高知県、徳島県を回りまして、昨夜帰ってきたわけですが、この二つの県の特徴、これは昨年に引き続いての連続の被害であるということ、この点を特に強調しておきたいのです。いわゆる台風常襲地帯における被害に対する特別な見解をもって私は質問をいたしたいと思います。  高知市の場合、十二日の午後八時に非常事態の宣言が市長よりなされました。そして、テレビ、ラジオを通じまして、生命、財産は自分で守ってもらいたいという悲痛な放送がなされたわけであります。そして、県知事は、直ちに一番近いところにある鉄筋コンクリートの家に逃げろという放送をされたわけであります。夜の八時でございます。全く恐怖の極限に達したというのが、高知市民全体の置かれた立場であります。そして、ある家族は全員が綱で体を縛って逃げる。また、泳ぎのできない奥さんを夜の濁流にほうり出す、そして向こうの木にかきつけというような状態で、逃げ惑ったわけです。気象台長が後で発表しておりますけれども、まさに逃げの勝利であったということが言われています。したがって、人命の損傷は比較的少なかったのですけれども、しかし、まさに市民が命をかけて逃げた、そして財産も失ってしまったというのが、今回の高知市における被害の実態であります。  全地域が水没しました。小石木、大原、朝倉、旭、神田、吉野、石立、潮江、福井などという地域全部、床上浸水どころではありません、ひどいところでは二階にまで水が来まして、二階六十センチ、八十センチと水が来るわけです。全く財産の防ぎようがない、こういう状態であります。  さらに、山崩れは、愛宕山、比島山、長尾山、筆山、五台山、徳島県におきましては神山町、一宇、木屋平、穴吹、先ほど報告がありましたように、全くつめでかきむしられたような状態の中で住民は逃げ惑ったというのが今度の実態であります。  これを踏まえまして、いま井上議員からも言われました個人被害に対する補償の問題はどうしても考えなければならぬ。去年も財産を失った、ことしもまた失った、こういう認識を江藤政務次官、ぜひ持っていただきたいと思うのです。そして、個人災害についての少なくとも生計費ぐらいは出す必要があるのではないか。私は、高知市だけをとらえましても、少なく見積もって約三千億円の個人の財産が消滅しておると思うのです。これは床上浸水で二月当たり大体五十万、六十万失うのはあたりまえなんです。そういう安い単価で押さえても三千億円の被害が出たのではなかろうか、こういうふうに思っているわけです。したがって、今度の台風十七号についてぜひとも一これは完全なものはもちろんできません。しかし、およその推計は、高知市においてはこれだけ、あるいは徳島県の穴吹においてはこれだけの個人の財産が消滅したというぐらいの推計は新聞その他に発表していいのではないか、その基礎のもとに制度化の問題が前進をしていくのではないかと思いますので、この十七号台風につきましても、おくれるかもしれませんが、ぜひこの推計は出していただきたいと思いますが、国土庁の見解を伺いたいのであります。
  70. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 このことにつきましては、専門家である各省の担当官が数年にわたりまして検討を加え、かつまた国会でもしばしば議論を賜りながら、なかなか成案を得なかったことであります。ということは、台風の発生の直後の異常な混乱の中でこれが詳細な調査をするということは、人的にも物的にも非常に困難である、こういうふうなことが一つありますのと、もう一つは、それらの被害に対して一体国が何かなし得ることがあるか、いまの制度ではないではないか、ないものに対して調査をしてもどうだろうか。これらのこともありまして、今日まで実は各個人被害調査がなされてない、こういうことでありますが、ただいま先生御指摘のとおり、私ども政治に携わる者は、これは事務当局と違いまして、政治的な判断を要すると思います。  したがいまして、事の正確であるかどうかは別にして、今後の資料、今後の教訓としてできるだけのことをして、私はやはりそういう推計調査でもいいからするのがやはり行政のたてまえであろう、このように考えます。したがいまして、今後各省間においてこのことにつきまして具体的に相談をしてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  71. 山原健二郎

    ○山原委員 私は、これは基礎の数字になると思うのですね。推計でありましても、これはこの際、ぜひ実現をしていただきたいと思うのです。  二つ目の問題は、たとえば中小業者の場合、昨年も被害を受けて、機械あるいは商品が消滅をして、融資を受けています。またことしも同じ被害を受けるという事態が重なっている中小業者がたくさんおるわけでありますが、これにつきまして一番大きな声は、担保を要さないで融資をしてもらいたい。一度受けて、担保ももう出ているわけです。またことし受ける、こういう状態で、この融資の、面についての改善の要求が非常に強いわけでありますが、これについて通産省の見解を伺っておきたいのであります。
  72. 松尾成美

    ○松尾説明員 ただいま御質問の、連年災害を受けられた場合に融資がダブるという問題でございますけれども、現在、政府関係の中小企業金融三機関におきましては、ダブった場合、その前の融資について、既往債務の償還猶予につきましてかなり弾力的な措置を講ずるということで運用しております。それから、国民金融公庫の貸し付けにつきましては、大体三百万までは原則無担保ということをやっておりまして、あと中小企業金融公庫なども、保証協会の保証などをもってこれを担保にかえるということも考えたり、極力、災害融資につきましては弾力的に担保条件も勘案するということで対応してまいっております。
  73. 山原健二郎

    ○山原委員 三番目の問題ですが、高知市を流れております鏡川水系のはんらんの問題であります。先ほども御答弁をなされておりましたが、具体的に申しますと、たとえば今回最大被害の一つであります小石木、大原地区、ここはもう惨たんたる情勢に置かれております。昨年も同じでございましたが、ここの地域の場合、鏡川に流入する小石木川、神田川の河口の間が激特から除外されているのです。これはぜひやってもらいたい。これは調査団に対しましても、先ほど野田団長から報告がありましたが、切なる要求として出ておりまして、県、市の意見を聞きましても、それは全く当然のことである、ここが除外されることは許されないことだと言っておりますが、ここに対して激特を適用するお考えがあるかどうか、伺っておきたいのであります。
  74. 小坂忠

    ○小坂説明員 お答えいたします。  鏡川水系につきましては、先ほど申し上げましたように、神田川付近は昨年度の災害にかんがみまして激特に現在採択されておりますが、今回の十七号台風による浸水被害は、その昨年の被害をさらに上回るというような現状でございますので、もちろん私どもといたしましても見直しまして、県の報告等も勘案しながら、この激特の区域拡大について検討いたしたいと考えております。
  75. 山原健二郎

    ○山原委員 これはぜひ実現をしていただけるものと思っておりますが、もう一回お聞きしますけれども、大体確信を持っておられますか。これは一番の被害地はなんです。
  76. 小坂忠

    ○小坂説明員 現在まで私どもの県からの報告によりまして得ている資料では、激特の採択の条件は十分にあろうかと思います。ただ、先ほども開発課長から申し上げましたように、上流のダムとの絡みもございます。鏡川水系全体の計画を見直すということもいたしますので、それとも絡めて検討いたしたい。したがいまして、激特には、要件は十分現在ございますので、私どもとしては、採択は十分希望は持てると思いますが、そのようなことで処置したいと思っております。
  77. 山原健二郎

    ○山原委員 この件に関してもう一つ、現在存在しております沈下橋でございますが、かつては効用があったのですけれども、これが流木その他をせきとめるダムの役割りを果たしまして、これが最大の元凶になっておると住民は言っております。これを通常橋に早くやってもらいたいという要求が出ておりますが、このことも検討されておると思いますが、そういうお考えかどうか、伺っておきたいのであります。
  78. 小坂忠

    ○小坂説明員 細部につきましては、県と相談いたしまして、善処いたしたいと考えております。
  79. 山原健二郎

    ○山原委員 恐らく県の方は、県の、要請によりまして、調査団に対してこれはやる計画も持っておりますので、早急に、実現をするように要請をいたしたいと思います。  ただいまダムの問題がありましたが、今回の被害の中で最も県民の憤激を買いましたのが、鏡ダムの操作と早明浦ダムの操作についてであります。鏡ダムの場合は、小さなダムでありますから、治水効果というのはそれほど期待することはできません。しかし、最大限の努力はすべきであると私は思うのですけれども、今回、計画洪水水位が七十七メートルでありますが、それを洪水期に水位を六十三メートルまで下げているのです。しかし、ダムには下のオリフィスゲートがあります。これをあらかじめ予備放流するならば、この水位は五十七メートルまで下げることができたと思うのです。そこまでの努力がされておるならば、全面的に被害を消すことはできないといたしましても、ダム操作についての操作の努力というものについてはある程度理解ができるわけです。ところが、この水位を下げないで六十三メートル、今回は六十一メートルぐらいまで下げてはおりますけれども、しかし、なぜこの下のゲートをあけて予備放流をしなかったのかという疑問が第一であります。  第二の問題は、これは早明浦ダムの問題でございますけれども、早明浦ダムについて先ほど井上議員に対する答弁の中でお話をしておりましたが、何しろ流量が多いのだと言うのですけれども、昨年の最高の流入量は七千二百トンであります。今回はそれを下回る四千七百トンであります。これは私の入手しておる資料でありまして、この資料は建設省を通じていただいたものでありますし、また、ダムの管理事務所においても間違いのない資料でありますが、ことしは四千七百トンの流量です。にもかかわらず、去年は最高の放流量二千トンを上回って二千五百トン、五時間にわたって異常放流したのです。ことしはどうかというと、流入量は少ないにもかかわらず、三千五百トンを六時間にわたって放流したわけであります。そのために直下の大又地域の人たちは、怒濤のごとき波に襲われて逃げ惑うという状態があらわれてまいりました。しかも、ダムの上流、土佐町、大川村におきましては、至るところ崩壊が生じているわけであります。  これは鏡ダムの場合も同じでありまして、二十二カ所に崩壊が起こっているわけです。ダムの管理事務所に言わすと、水を急激に流したならば、ダムの堰堤の上流が崩壊する、だから流すことができないのだなどということを言われますと、この鏡ダム、早明浦ダムという多目的ダムは、治水に対しては全く欠陥ダムであるというのが県民の怒りの声なのであります。  この点につきまして、私は前の台風五号のときにもこのダム問題については申し上げたのでありますが、まず第一番に大又地区の人々に対する移転補償、さらにはこの周辺におけるこのダム放流によって被害を受けた補償の問題、さらには防災の完備ということが絶対に必要になってまいりました。  同時に、ダム操作につきまして、河川の形態も変わっています。鏡ダムはすでに十年たっています。早明浦ダムは三年ですけれども、三年のうちに、八十年に一遍の洪水を調節すると言いながら、二年にわたって異常放流が行われて被害が起こっているわけでありますから、これについてのダム操作規定の改正、あるいはこのダム操作について住民参加あるいは公開ということが絶対に必要になってまいりました。住民はダムを破壊せよとまで要求しておるのが現状でございますが、この場所では私はそこまでは申しませんけれども、このダムの操作について欠陥がなかったのか。特に早明浦ダムの場合は、この放流量から見まして、第二回目のピークのときにもつと予備放流をしておったならば、第三回目のピークのときに完全に調節ができた資料になっているわけであります。なぜしなかったのか、こう言いますと、第三回目のピークがもし来なかったならば、過剰放流だという責任を負わなければならぬ、こういうことで放流を控えておるんだ。そのために被害が起こっているわけであります。こんなことは断じて許されないわけでございまして、この操作の問題についても操作規定の改変、これを行う必要があると思いますが、これについては十分検討されておると思いますので、お答えをいただきたいのであります。
  80. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 お答え申し上げます。  もっとうまい操作ができなかったのかという御指摘が一つあるわけでございますが、鏡ダムにつきましては、御案内のように、規定の制限水位より二メートル七十低い水位で洪水を迎えたわけでございまして、もう少しできなかったかという御指摘についてはなお検討いたしますが、それなりに努力はして洪水を迎えたのだということを一つ申し上げたいと思います。  早明浦ダムにつきましては、確かに去年の洪水は七千二百トンの流入であり、本年の洪水は四千七百トンの流入でございます。ただ、流域に降りました雨量を調べてみますと、昨年の台風六号のときは七百ミリ程度でございます。今度は千七百ミリの雨が降っております。そういう意味で、洪水の流出総量、倍以上の量が池へ入ってきたわけでございます。その調節を、現在定められております操作規則に基づきまして操作を一生懸命やったわけでございます。その結果、四千七百トンの流入に対して三千五百トンの放水をしたということでございまして、確かに下流地域に御案内のように災害があったわけでございますが、もしダムがなければもっと大きい災害があったというふうに思っておるわけでございます。  ただ、御指摘のように、いずれのダムも二年続けていろいろ計画を上回るような実態が出てまいり、われわれもこれを機会に早明浦ダムの操作規則、あるいは宵野川全体の改修計画の憲法でありますところの工事実施基本計画、こういったものを来年度の出水期までには見直しをいたしまして、ダムの放流量、これは将来にわたってこれならやれるという放流量を定めまして、その放流量に対応するように直下の地域の整備や家屋の移転あるいは護岸の復旧、かさ上げ、そういったことを精力的に緊急にやっていくつもりでございます。  また鏡ダムにつきましては、知事さんの諮問機関としまして鏡川の計画協議会というようなものも学識経験者を中心につくられるという話を聞いておりますので、その中で十分検討いたしまして対処していきたい、こういうふうに思っております。
  81. 山原健二郎

    ○山原委員 私の質問はこれで終わりますが、ダムの問題についてはまだまだ検討すべき問題がありますので、今後これを取り上げていきたいと思います。  津川議員の方から関連質問がありますので、私の質問を終わります。
  82. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員長代理 関連して、津川武一君。
  83. 津川武一

    ○津川委員 私も、今度災害特別委員会現地調査参加して、兵庫岡山調査してまいりました。東日本の冷害については独自の調査をしてまいりましたので、その二つについて、一つは長島のハンセン氏病施設復旧について厚生省に、十七号と東日本の冷害について農林省に、今度の十七号被害の特質について国土庁に質問してみたいと思います。第一の、岡山県の長島愛生園でございますが、被害は皆さん存じ上げておりますから繰り返しませんが、余りにもひどいらい予防法で差別扱いをして、邪魔君扱いをして、四百人のベッドのところに千人からを詰め込んで、無理やりにその人たちの生活や人権を無視して詰め込んだ結果が、今度の恐ろしい災害となっておるのであります。  そこで、復旧でございます。応急復旧だと、昔の、人権を無視して詰め込んだそのまま、ぜひ、この際なので改良復旧しなければならぬ。差別して邪魔者扱いをして詰め込んだので、土地の条件の悪いところに家屋などが建っております。したがって、今度は整地をして、新しい土地の上に彼らの生活の住宅などをつくらなければならないと思います。この必要について、ぜひそうしなければならないと思いますが、いかがでございます。これが一点。  第二は、らい予防法で一人四万一千円、御夫婦で八万二千円、これが今度大きな被害を受けて、畳がだめ、家財道具は流失、入ってくるお金はほかにない。ほかに仕事に出ていくわけにいかない。収入の道がとだえている。とすれば、失われた財産分だけ彼らは生活を詰めなければならなくなる。したがって、この四万一千円、常の日であるならばやる、そこいらまで援助を、収入を補ってやらなければ、彼らの生活はもとに戻らない。この必要があると思います。  この二点、厚生省から答えていただきます。状況はわかっているから、二つ、対策だけずばり。
  84. 吉原健二

    ○吉原説明員 簡単にお答え申し上げたいと思います。  長島愛生園につきまして、先生お話のございましたように、大変大きな被害が起きたわけでございますけれども、この復旧につきましては、原形復旧という考え方にとどまらず、復旧困難な場所あるいはそこに復旧することが危険な地域につきましては、別なところに整備をするという考え方もあわせまして復旧工事をやってまいりたいということでございます。  それから、被災者の財産の補償につきましては、現在のところ特別な救済措置というものはないわけでございます。これにつきましては、一般的な災害被災者の救済制度といたしまして、世帯更正資金によります災害援護資金の貸し付け等の道があるわけでございますけれども、こういったものの適用ができるかどうかにつきまして、関係当局とも協議をして検討してまいりたいというふうに現在考えております。
  85. 津川武一

    ○津川委員 第一段階はよろしいです。  そこで第二段階、生活援助資金、いろいろな資金を出す道を検討すると言っているが、ないのです。そこで、やはり特別に考えてあげなければならない。お金を借りても一定の期間で利子をつけて返さなければならぬ。この返す分だけ生活を詰めなければならぬ。こういう状況にありますので、江藤次官に特別の配慮をお願いして、この答弁は後で一番展後にまとめていただきます。  次は、農林被害に対してです。台風十七号で農産物にかなり被害が及んでおります。農林省の発表だと一千八十億円、十七号被害でも千百億円からすでに想定されております。とすれば、天災融資法、激甚災害法を発動する被害の基準には達しております。台風十七号でこの二つをいつ発動するのか、それだけ具体的に答えていただきます。
  86. 杉山克己

    ○杉山説明員 台風十七号の被害はまことに大きく、先生おっしゃるような被害額に達しております。それは当然、天災融資法、激甚災害法の対象基準を満たすものと考えております。  激甚災法の問題につきましては、これは国土庁と歩調を合わせまして、施設のできるだけ早期な復旧を図るために一緒に発動するということを考えております。  それから、天災融資法の農産物被害の問題につきましては、これはできるだけ早くということで考えておりますが、被害額のみならず、資金需要額の算定を必要といたしますので、十七号台風については若干おくれますが、十月中には発動するということで考えております。
  87. 津川武一

    ○津川委員 そこで、北海道、東北の農産物の冷害、これはまだ流動的であるけれども、きょうも農林省が発表しているように、かなり大きな額になっているし、天災融資法、激甚災害法を発動する分の額、基準には達しておる、こういうことであります。そこで、まだ流動的だから、きょう農林省は十一月中には発動したい、こう言っている。それでいいのか、そのとおりなのか。十一月発動になると、岩手県、青森県ではすでにもう冷害が決まって刈り取っております。間に合いません。したがって、ここでいま直ちに発動する必要があると思います。しかし、被害金額を確かめる必要があるとすれば、それもわかります。とすれば、地方自治体や農業団体がこれに対応できるように、きょうは十一月に発動すると言った、それを通達なり告示なりで日本国じゅうに宣言する。そこで初めて自治体や農業団体はこれに対応する準備ができるわけです。単に発動するということで大臣があちこちに行ってしゃべったんじゃ、ならないのです。この席で公式に発動を言明していただく。十一月中旬でもよろしい。そうすると、地方自治体や農業団体はこれに対応できます。いかがでございます。
  88. 杉山克己

    ○杉山説明員 先生おっしゃられるように、被害額が確定できないと、天災融資法にいたしましても激甚災法にいたしましても正式な発動、指定はできないわけでございます。しかし、私ども、現在の段階ですでに東北、北海道の冷害は当然その基準を満たすものになるというふうに判断いたしております。したがいまして、そのつもりで現在まで各関係機関にも接触してまいって、その旨を表明しておるわけでございますが、改めてこの席でそのことを繰り返して申し上げます。
  89. 津川武一

    ○津川委員 次に、岡山でも兵庫でも東北でも北海道でも、冷害、水害のために政府買い入れの規格に合わないお米ができる、現にできてしまっている。この全量買い上げを必要とするのでございますが、農林省も農林大臣も食糧庁もこれは買い入れると言っている。手続上としては、まず集荷業者に自主流通米として買い取ってもらってこれに補助金を出す、それでも余ったのは規格外米として政府で買う、こういう方針を出している。私も何回か食糧庁や農林省と話して、こう言っています。これをこの席ではっきり言明できましょうか。
  90. 杉山克己

    ○杉山説明員 東北、北海道の冷害に伴いまして、品質の悪い米がかなり出回るのではないかというふうに予想いたしております。先生御指摘のように、こういう米についてはできるだけ農家に有利なように処分するということを考えますと、まだ政府が買うと決めているわけではございませんが、買う場合の価格はある程度低くならざるを得ない。そこで、できるだけ有利に、自主流通米で売れるものは売るようにということでいろいろ指導、あるいは場合によってはあっせん等も行っているわけでございます。しかし、それでも売れ残った場合はどうするかということについて、私どもは、政府としては買い入れについて検討することになるというふうに考えております。  ただ、およそ出てくる米全部ということではなくて、やはり食糧庁は食糧を預かっているわけでございますから、主食に適しない米については、これは直ちに買い入れるというわけにはまいらないと思います。そういったものについても農家が買いたたかれないよういろいろ指導なりあるいはあっせん等の政府の努力も必要かと思いますが、いまの段階ではそのように考えておるわけでございます。
  91. 津川武一

    ○津川委員 そこで、規格外米を自主流通米でやってもらって、それで余った分は政府が買い上げることを検討しておる。そのときの価格は、先般の周知、北海道の場合は五等米の七割で政府が買い上げていますが、こういう価格で買い上げるというふうな方針なのか、重ねて、一点。  第二番目。規格外の米は買うと言っているが、等外米は買うのか。きょう農林大臣は等外米の米を買うと言うので私も安心しているわけです。杉山審議官は規格外米を買うと言っているが、等外米も買う必要があると思います。この二点。
  92. 杉山克己

    ○杉山説明員 正確には規格外米、これも一極の規格でございます。その主食に適するものとして決められたものを買うという考え方でおるわけでございます。農林大臣がどの席で言われた発言をおっしゃっているのかわかりませんが、私どもとしては等外米、およそ規格外米もあるいはくず米も含め、正規に流通あるいは政府に買い入れられる以外の米について何らかの形で政府としてはめんどう見るといいますか、措置するということは必要だと考えております。しかし、先ほど申し上げましたように、主食として買えるものは規格外米という、まさに主食に適する程度のものまでということになるわけでございます。
  93. 津川武一

    ○津川委員 食糧庁のこれまで繰り返した、等外米は買わないということを、きょうの農林大臣の言明といまの審議官の言明で、検討するというように私は受け取って、次に進めます。  農業共済、稲作共済の金を年内に支払う、こう言っているが、年内に支払えるかどうか、これが一つ。  二つ目には、台風十七号で一千億円を超した、東北、北海道で一千億円も超す、払う原資が足りないのじゃないかと心配されてきた。この原資は確保してあるのか、心配なく年内に払わせられるのか。  三つ目は、この評価体制。たとえば岩手県では、いままで例年であれば十三万筆検査している。今度は百万筆。これで年内に間に合う分を評価して、年内支払いができるのか。この点、ずばりと、こうだということだけ答えていただきます。
  94. 杉山克己

    ○杉山説明員 共済金は年内に農家のお手元に届くように必ず支払います。  それから、予算措置につきましては、確かに既定の計上額あるいは積立金をもっては不足するのではないかと思われます。予備費等をもって措置するよう、これはまだ額が決まっておりませんが、確定次第大蔵省と接触するということにいたしております。  それから、評価調査の事務、これが非常に西の方の被害と合わせ、分量的にもふえる。事務の方もはなはだ大変だと思います。そこで、私ども早い時期から、共済の関係者に対しまして、評価を急ぐよう協力をお願いいたしております。政府としても万全の体制をとっておりますので、何とか、いま申し上げましたように、年内の支払いに間に合わせるように評価を済ませたいと思っております。
  95. 津川武一

    ○津川委員 次に、中国に行ってみて、東北に行ってみて、飯米が足りない。いままで食糧庁は、飯米を知事などに売り渡して、知事がそれを飯米に事を欠いた農家に年賦払いで食べさしたことがあります。これをおやりになるのかどうか。これをあいまいな形でおやりになるんじゃなくして、通達でずばりといくと、この道が開かれます。これがどうであるか、一点。  第二点は、種もみの支度、非常にこれも問題が出てきている。幸い、国には種苗確保事業というのがあります。これを全面的に発動して、種もみの確保に当たらせる。心配ないのかどうか。現に、山形県からは青森県にいもちに強い耐冷性、多収穫の種もみの注文が殺到している。県は応じられない、農業団体は勝手にしたがいい、こんな態度になっているので、これもまた、われわれも農業団体を説得しますが、こういう点で、飯米、種もみの確保についてお答えいただきます。
  96. 杉山克己

    ○杉山説明員 飯米につきましては、自家飯米がなくなって、配給によらざるを得ないという農家に対しては、一般配給のルートでもって、これは配給いたします。ただ、それについて延納を認めるかどうかということについては、実は全体的に資金的な手当て、融資上の措置、そのほか政府としては講じているところでございまして、それらをもってしてもなお払えないような場合に該当するかどうかということについては、実態をなおよく見る必要があろうかと思っております。  それから、種もみにつきましては、これは翌年度の再生産のために絶対必要な、きわめて重要な物資であります。農家の種もみの確保には、単に県だけの間でなく、国としても県間のあっせんも必要であろうかと考えております。やはり一番情報をたくさん持っておりますのは国でございますので、すでに千葉県の冷害の際に、これは早場米でございますから、千葉県で必要な種もみを福井県から調達するようにあっせんしたということがございます。そのようなことを今後とも努力してまいる所存でございます。
  97. 津川武一

    ○津川委員 最後に、今度の十七号被害に対してでありますが、未曾有の降雨量、長い期間にわたって降った量、一日量、こういう状況であったので、あらゆる種類の被害が起きておる。いままでの国の河川の基準などというのでは間に合わなくなった。そこで、私は国土保全の開発の根本義を見直さなければならないと思いますが、この点、政府はどう考えているか。  この点では、岡山県、兵庫県では堤防の破壊が余りにも多過ぎた。山崩れ、がけ崩れが相次いでいる。たとえば、岡山県の笠岡市などというものはがけ崩れ、山崩れ、ため池の崩れで三千百からの復旧工事の設計をしなければならなくなっている。  その次は、内水湛水の多かったこと。この湛水を起こしたものに新産都市、工業開発、山陽線、国道二号、中国縦貫道路がそこでみんな湛水、水をとめておって、これが出て今度のあのひどい湛水になった。  その次には、たとえば兵庫県の千種川、ほかの河川よりも大きいのに、これが二級河川で手当てしていないためにはんらんしてしまった。そこで、地元の町長は何と言っているか。等しからざるを憂えると言っている。こういう形でひどく出た。  その次は、内地に孤島ができた、瀬戸内海の離島ができた。この離島に対する対策はいまのあれでは間に合わない。天災融資法の救助物資もみんな考え直さなければならない、こんな状況が幾つか今度の災害に出ております。  もう一つは、ダムをやる、大規模の土地基盤整備をやるという、高度経済成長で農業を粗末にしたために、ため池が今度は恐ろしく被害を起こしている。  こういう幾つかの特徴がありますが、これについて根本的な検討をし直して、関係諸法律を手直ししなければならぬと思いますが、江藤さんの御答弁をいただきます。
  98. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 今回の台風十七号の災害については、多くの教訓を私どもに与えたと思っております。私も実は台風常襲地帯の出身でございますが、今回を振り返って考えてみますと、われわれが常識で考えられないような災害というものが今日は発生する余地が非常に多い。それは土地開発が進んだということ、あるいはまた生活の形態が変わりまして、いろいろと住宅が立て込んできたということ、それから大河川改修は進んできましたが、中小河川はんらんというものが非常に多くなってきたということ、山崩れが多いということ、それらのことをひっくるめてみますというと、われわれがいままで災害が起こるであろうと考えておったところが意外と災害がなくて、災害が起こり得ないであろうと油断をしておったところに災害が多く発生をしておるということも、一つ私は大きな特徴ではないか、こういうふうに実は思っております。  したがいまして、今後私どもは国土利用計画法の趣旨にのっとりまして国土利用計画を進めていくわけでありますが、これらの教訓を十分踏まえて今後の国土保全、国土開発というものに取り組んでまいりたい、このように考えておるところでございます。  それから、当初御質問のございましたいわゆる個人災害、あるいは低所得者に対する貸付金の償還をゼロにすべきではないか、こういう御意見をいただいたわけでありますが、本日の委員会でもしばしば議論をいただきましたことでもあります。いまの現状ではなかなか御期待に沿い得るところまでまいっておりませんが、しかし大きな問題でありますので、今後ともに私どもは十分その意を体してこの問題は研究、検討を重ねてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  99. 津川武一

    ○津川委員 終わります。
  100. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員長代理 午後一時三十分より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時十九分休憩      ————◇—————     午後一時三十四分開議
  101. 柴田健治

    柴田(健)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長が所用のため出席できませんので、指名により私が委員長の職務を行います。  災害対策に関する件について質疑を続行いたします。新井彬之君。
  102. 新井彬之

    新井委員 質問に先立ちまして、今回の台風災害により多くのとうとい生命と財産が失われましたが、被災者及びその御家族の皆様に対しまして心より御冥福をお祈りいたしますとともに、また災害に対し、その救済に当たられた関係省庁の職員並びに県、市町村の職員、消防、警察、自衛隊関係者、そして多くの市民の皆様方の日夜にわたる活動に対し、心より感謝の意を表する次第でございます。  今回の災害につきましては、いろいろ報告がございまして、非常に多大な被害を与えたということでございます。御承知のとおりでございますが、特に政府の各省も、査定等の事業、現地視察等に参加をいたしまして、あるいはまた災害対策特別委員会委員長を初めといたしまして各地を見ていただいたわけでございますが、いろいろな要望につきましては各市町村あるいは県から要望が上がっておるわけでございまして、そういうような一つ一つの要望について今後それを実現化していかなければ、今回のこの災害においても一体何しに視察に来たんだというようなことになるわけでございます。  そこで、私は具体的な問題にしぼりまして一つ一つの事例についてお伺いをいたしたい、このように思うわけでございます。  国土庁が来ておりませんから、初めに建設省からお伺いいたしたいと思いますが、今回の千種川決壊におきまして、赤穂市におきましては多大な被害を受けたわけでございます。この千種川決壊については、ちょうど明治二十五年に決壊をいたしまして、その当時に復旧をしたまま非常に老朽化いたしておりまして大変であるということで、赤穂市を初めとして上郡町あるいは上月町、佐用町、その関係の町村がこの河川改修については期成同盟会をつくって何とかしなければならない、こういうときの非常な災害であったわけでございますが、この千種川決壊について今後どのような復旧工事をされようとしておるのか、お伺いしておきたいと思います。
  103. 井沢健二

    ○井沢説明員 お答えいたします。  今回の災害で、特に兵庫県の西の方を占めております千種川が非常な被害を受けたわけでございますが、赤穂市に面しております堤防につきましては、漏水等で決壊寸前の状態まで至ったわけでございますが、何とか持ちこたえることができたというふうな状態で、かなりひどい被害になっております。  私どもといたしましては、現在この地域災害調査いたしておりますが、そういう災害の査定と同時に、やはりこれは改良復旧をしなくちゃならないんじゃないかというふうなことで、そういうふうな計画のもとに現在検討を進めております。
  104. 新井彬之

    新井委員 千種川は何カ所にもわたって決壊をいたしておるわけです。決壊右岸におきましてようやく食いとめたということもございますけれども、左岸におきましてもあるいは右岸におきましても決壊個所がございまして、御存じのように、ユニチカの工場のあるところにおいては、女子の宿舎の寮が二階の床上まで浸水をしたというような状態になっておるわけです。そういうことで、この千種川の改良につきましては、まだ今後検討ということでございますが、私の聞き及んでおるところでは、これは全面改修しましょうというようになっておるようでございますけれども、これを直さずして今後の災害対策はないわけでございまして、ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。  それから、私も赤穂市にちょうど災害のときに胸までつかりながら行ったわけでございますが、加里屋川の改修事業あるいは準田河川の塩屋川、こういう川が非常にはんらんをいたしておるわけでございます。これについても、いままで多少の予算がついておるわけでございますが、現在の状態におきましては、これは早急にやってもらわなければならぬということでございますが、この件についてはどのような検討をされておりますか。
  105. 小坂忠

    ○小坂説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘の仮屋川でございますが、この二級河川仮屋川は、昭和四十九年にも出水をいたしておりまして、それを契機といたしまして昭和五十年度から中小河川として改修事業を進めていたわけでございます。しかしながら、この加里屋川の赤穂市内の市街地は非常に密集地でございますので、単純な拡幅が非常にむずかしいということもございまして、上流で千種川ヘショートカットしようというような計画になってございます。  それから、いまお話のございました二級河川大津川の支川でございます準用河川塩屋川、これは今度の十七号台風で非常なはんらんをいたしまして、赤穂市内激甚災害発生の一つの原因になっておるということでございますが、これにつきましては、従来、準用河川として補助事業が行われておったわけでございますが、その程度じゃとても間に合わないと私どもも認識いたしております。この十七号台風にかんがみまして、ただいま県におきまして緊急的あるいは抜本的な改修計画を策定中でございます。その改修計画あるいはその実施をどういうふうにいたしていくかというような順序、それにつきまして結論が出次第、私どもと協議いたしまして、早期に実現できるように努力いたしたいというふうに考えております。
  106. 新井彬之

    新井委員 もう一つは、災害助成関連事業として、普通河川でございますが馬路川、それから砂防河川の折方川、これが県からも市からも要望が出ておると思いますが、この件についてはどのように検討されておりますか。
  107. 井沢健二

    ○井沢説明員 お答えいたします。  先生御指摘の河川につきましては、地元の方から希望が出ておるようでございます。普通河川と申しますのは、市町村長が管理しておる河川でございまして、これにつきましては災害助成というのは適用いたしませんで、適用するとすれば市町村長の実施する市町村関連事業というふうなことになろうかと思います。  それから、砂防河川の折方川でございますが、これは砂防でございますから、兵庫県知事の行います砂防関連事業というふうなことになろうかと思います。現在、関連事業として改良復旧計画が適用できるかどうか、これにつきましても検討中でございます。
  108. 新井彬之

    新井委員 現在は非常に自治体の財政は逼迫いたしております。したがいまして、結果的にはそういうところをきちっとやってもらわないと次の災害、いつ来るかわかりませんけれども、また同じようなことになるということが明らかであるわけでございまして、そういうところを先ほどからの委員会で、何とかしていただきたい、何とかしなければならぬ、改修をしなければならぬというようなことが言われておるわけでありまして、ひとつよく検討していただきたいと思うわけでございます。  それからまた、大きく被害をこうむりました上郡町というのがございますけれども、これも赤穂市と同じように四十九年災とかあるいは五十年災で再三にわたってやられまして、それで一部の復旧工事等ができているわけでございますけれども、そのやってないところがまたずたずたにやられた。そういうことで、多くの方が避難をされておるわけでございますが、安室川が今回も非常に決壊をしたわけでございます。この安室川について今後どのような手当てをしていくのか、お伺いしたいと思います。
  109. 井沢健二

    ○井沢説明員 お答えいたします。  安室川は千種川の上流に位置する支川でございますが、これにつきましても非常に大きな被害が出ておりますので、地元の方としては改良復旧を検討していただきたいというふうな申し出があるようでございます。これを改良復旧をやるとしますと、やはりこれにつきましては助成工事というふうなことになろうかと思います。現在、災害調査をやっておりますし、これから査定を始めるわけでございますが、御承知のように、こういう改良計画につきましては、災害費の確定とそれからこういう改良計画の確定が要るわけでございますので、その辺あわせて現在これも検討中でございます。
  110. 新井彬之

    新井委員 それから、鞍居川の河口付近でございますが、ここには建武橋という橋がかかっているわけですが、洪水のときに非常に排水の障害になるということで、これは調査費等がついているわけでございます。今回のこの災害におきましても、ここから温水するというようなことがございまして、これが非常に問題になっているわけでございますが、これについては、なるたけ早く工事をしなければならないということと、それともう一つは、建武橋の架橋工事とあわせて堤防のかさ上げ工事をしなければならぬということがあるわけでございますが、こういう問題についてはどのようになっておりますか。
  111. 小坂忠

    ○小坂説明員 お答えいたします。  ただいまの鞍居川の千種川合流点付近の問題でございますが、そこの国道三百七十三号線の建武橋というのは、これはすでに道路単独事業といたしまして着工いたしております。現在、橋げたの間隔が非常に狭くて障害になっておるわけでございますが、この橋梁ができますと、ただいま十径間ありますものが四径間になりまして、水の流れは非常によくなるということでございますが、それとともに、先ほども申し上げましたが、千種川全体につきましても、やはり県で、現在、今回の出水を対象にいたしまして抜本的な改修計画の見直しをいたしております。その一環といたしまして、本川あるいはその合流点付近を含めまして、堤防のかさ上げ等必要な処置につきましては、計画ができ次第、私どもと協議いたしまして処置いたしたいというふうに考えております。
  112. 新井彬之

    新井委員 今回の災害で山陽本線が三日間ほどとまったわけでございますが、非常な出水のためということと、それからやはり鉄橋が非常にやられたというようなことがございますが、前回の四十九年災のときにおきましても、高田川の河口に山陽本線の釜島鉄橋というのがかかっておりますけれども、この鉄橋を改良しなければならないということで、前回の災害のときからいろいろ計画が練られまして、本年度から三年計画でこの鉄橋を改良しよう、これは国鉄が、不通になるという問題と、それから地元の溢水とかいろいろな問題を抱えているわけでございますが、これの進捗状況はいかになっておりますか、国鉄にお伺いしたいと思います。
  113. 鈴木秀昭

    ○鈴木説明員 お答え申します。  先生御案内のとおり、四十九年七月の災害以来、この河川を管理しております兵庫県と国鉄の間におきましていろいろ技術的な詰めを行ってまいりました。と申しますのは、川を横切る鉄橋の角度が非常に斜めになっておりますので、そうしたもので技術的の検討を県側と国鉄側とでいろいろ協議を進めてまいりました。  現在、ボーリングをやっている最中でございまして、この十月の上旬にはボーリングの結果が出ます。そういたしますと、すっかり設計条件が整いますので、即刻、本年中には兵庫県との協定をできるだけ詰めまして、早速着工したいと思っております。そのような予定になっております。
  114. 新井彬之

    新井委員 農林省にお伺いしておきたいのでございますが、今回上郡町地区におきまして千世帯ぐらいの方が避難をしたわけです。その理由というのが、上にやはり大きなため池がございまして、これは山ノ里大池と言うのでございますが、それが決壊した場合は千世帯全部が流失してしまうということで、前もって避難をしたわけでございます。このため池の水が非常にたまった場合に、余水吐けという除水口がついているわけでございますが、それが非常に小さいために、今後同じような大雨が降った場合においては、また決壊なり温水なりする危険性がある。そのために除水口を大きくする工事をしなければ危ないわけでございますが、それを改良することに対する補助等がないわけでございます。そういうことで、こういう問題も全国至るところにあろうかと思いますが、そういう問題について今後どうするのかという問題。  それから、やはり同じ町内の赤松、岩木地区の山地におきまして相当な亀裂を生じておるわけでございます。これは林地崩壊のおそれがあるわけでございますが、こういう地域の防災対策、これは安富町という町がございまして、この地域におきましても七百メートルにわたって林地が非常に崩壊をする。まだ下までは落ちてきませんけれども、そのために五十戸がほっといたらやられる、こういうような問題があるわけでございます。これはもうテレビ等で御存じの一宮町にも劣らないぐらいの災害になるだろうというようなところがあるわけでございますが、こういうところについてどのようにやられるのか、お伺いしておきたいと思います。
  115. 岡部三郎

    ○岡部説明員 最初のため池の問題につきまして、私からお答えいたします。  農業用のため池または農用地の防災用のため池で、ただいまお話がありましたように、非常に老朽化しているために決壊するおそれがあるというようなものに対しましては、堤体の補強であるとかあるいは御指摘の余水吐きの改良等を目的といたしまして、老朽ため池等整備事業という制度が昭和二十八年からできておるわけでございます。これは土地改良法によります申請事業でございますから、地元からの申請をいただきませんとできないわけでございますが、そういう事業もございますので、ただいま御指摘の地区につきましても、県と十分協議をいたしまして、これらの事業により対処をしてまいりたいというふうに考えております。
  116. 藍原義邦

    ○藍原説明員 先生いまお話しございました上郡町の赤松、岩木地区につきましては、山腹の崩壊や亀裂が発生しました個所につきましては、早急に緊急治山事業等によりまして復旧工事をしてまいろうというふうに考えておりますし、また安富町につきましては、直ちに警報機等を早急に取りつけまして、今後の動きを十分警戒しながら人身の被害を防止するような指示をいたしております。  また、試験場からも担当の係官を派遣いたしまして現地調査を行い、復旧対策につきましては万全を期していこうというふうに考えております。
  117. 新井彬之

    新井委員 先ほども出ましたけれども、災害査定に伴う設計業務委託費に対する国庫補助制度の創設ということがございまして、これはさっき梶山政務次官が、そういうことについてもある程度見ておるというような答弁でございましたが、一つの例を挙げまして言うと、上郡町においてはこういう設計委託業務がどのようになっているか、こういうことについては余り御存じないと思うわけですね。これは設計業務の職員が六者程度しかおりませんし、大体千カ所にわたっていろいろなそういう作業をしなければならないことになっているわけでございます。したがいまして、なかなかそれで手が回るわけございませんし、予算的にも十二億ほどかかる。確かにいままでの災害においても一部負担ということはあったわけでございますが、それはもう少額でございまして、これがやはり災害復旧の中で大きな費用を占めるというようなことがあるわけでございますから、この点については、そういう実態をまたよく掌握をしていただきまして、そういう予算についても緊急な予算としてやっていただきたい、このように思いますが、いかがですか。
  118. 井沢健二

    ○井沢説明員 お答えいたします。  災害の査定のための設計書をつくるためのこういう測量及び試験費的なものが最近非常に大事な費用になってまいったわけでございまして、特にこのような大災害のあったような年、たとえば四十七年、四十九年、昨年の五十年、こういうときには二分の一を補助いたしたわけでございます。その後これを恒久的な補助制度にしてくれというお話があるわけでございますが、ことしは全国的な大災害が発生している状況でございますので、地方公共団体の災害の実情であるとか、あるいは設計委託の実態等よく調査いたしまして、関係各省及び財政当局と協議をいたしまして、前向きに検討をいたしてまいりたいというふうに思っております。
  119. 新井彬之

    新井委員 それに関連をいたしまして、一宮町の場合は百万立米に及ぶ土砂の流出があったわけでございまして、町長としても、あるいはまた町の職員といたしましても、鋭意その復旧についてはいろいろ検討しておるところでございますが、何しろ余りの災害の大きさのために河川も全く別のところに押し流されておるような状態でありますし、道路原形復旧するといっても、もう十メートルないし二十メートル埋没しておるというようなことでございますから、なかなか計画が立てられないわけでございます。したがいまして、これは町から県にも言っておりますし、皆さん方にもいろいろと要望があったと思いますが、全体の復旧計画を何とか立てていただきたい。  こういうようなことになっておりますが、この全体復旧計画、いまいろいろ検討しておるところと思いますけれども、そのときの河川とかあるいは道路ですね、それから抜け山の抜けた地域土砂等について林野庁ではどのような考え方をしておるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  120. 藍原義邦

    ○藍原説明員 一宮町の災害につきましては、災害発生当初直ちに係官を派遣いたしましたし、また試験場からも専門家を派遣いたしまして二次災害の防止のために緊急治山によりまして早急に復旧工事を講ずるということにしておりまして、ただいますでに埋没土どめ工事を行いましてこれを施行いたしております。  いま先生お話しございました全体の復旧計画につきましては、いろいろな関係省庁がございますし、また山地の崩壊というものを防ぐためにも林野庁の立場からも十分検討いたしますが、その方面と今後十分調整をとりまして万全の対策を講じてまいりたいというふうに考えております。
  121. 新井彬之

    新井委員 余りたくさん問題があり過ぎますので、簡単に言ってきましたが、全体的な問題としてはやはり個人災害、先ほどから議論がありまして、これも時間がかかるのでやりませんけれども、この個人災害の問題であるとか、またもう一つ大きな問題としては、当時雨が非常に降りまして、県とか市町村までの連絡はわりかた密に行っているようでございますが、それから消防団員が各地域に対して避難命令を出すというようなことで連絡が行くわけですけれども、実際は水につかったり、河川決壊等によってなかなか行けないような状態になる。このときには一体どのように周知徹底するかということについては非常に抜けている問題があると思うわけでございます。したがいまして、消防庁としてもいろいろ検討されておるようでございますが、こういう問題については当然やはりラジオ等を通じて言わなければ、町とか、ある程度の拠点までは連絡が行っても、住民の皆さん方に対してそういうことを周知徹底することは不可能である。ひどいところでは消防団員がたくさん出たので、決壊ではないかというのでみんなが避難して行ってしまったというような地域もありまして、みんなが大変な状態になるわけでございます。  いろいろ今回要望がありましたこと、いろいろな問題についてはひとつ政務次官、鋭意それをまとめていただいて解決をまた図っていただきたい、このように思うわけです。  関連質問がございますので、私はこれで交代いたします。
  122. 柴田健治

    柴田(健)委員長代理 瀬野栄次郎君。
  123. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 災害対策特別委員会委員派遣第三班として高知県、徳島県について去る九月二十七日から三日間の予定で、詳細台風第十七号による被害状況調査してまいりました。膨大な調査でございますので、個々にわたっての問題はその都度現地に随行しました政府委員にもいろいろと意見を申し上げ、対策を迫ってまいりましたので、時間の制約もあることでありますし、全部をここで申し上げることはできませんけれども、一口にして言えば、私たちもいまだかつて経験しないまさに大災害であった、かように印象をもって帰ったわけでございます。地元民の、緊急な対策、そして一日も早い生活の安定というものを願っている姿を見ましたときに、ただここで論議をして、いろいろと施策を講ずるというような通り一遍の答弁ではなく、地元の被災状況をよく把握して早急な、弾力的な対策を講じていただきたいというのが私の冒頭申し上げたい所感の一端であります。  そこで、時間の関係もございますので、はしょって申しますが、何と申しましても激甚災害に早く指定をしてくれというのがどこでも言っていることでございます。聞くところによると、十月八日には閣議決定をするやに聞いておりますけれども、この激甚災害指定は間違いなく十月八日にできるのか。その点もう一回念を押しておきたいと思います。
  124. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 間違いなくできるように、ただいま準備を整えておるところでございます。
  125. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、高知県、徳島県は、五号、六号台風、引き続きことしの台風第十七号とダブルパンチを受けて、連続災害によって大変な痛手を受けて、五十年災の復旧が途中のまま今回の災害をまた受けたという災害地がたくさんございます。一々申し上げる時間がございませんけれども、地元の皆さん方、特に今回の両県にわたる災害調査の中でも徳島県の穴吹町及び一宇村の災害はその最たるものであります。特に一番ひどいのが穴吹町でございましたし、二審目に災害のひどいのが一宇村であることはだれが見ても当然うなずけるところでございました。  そこで、特に穴吹町においては町長初め議員または地元代表と全員そろった上で異口同音に言っておられたことは、もちろん道路災害復旧または何とか交通が早く通れるように、さらには林地崩壊の復旧をということもさることながら、何としても、住むに家がないということで、穴吹町においては八部落が全部集団移転をしなければならぬ、また一宇村においては九部落が集団移転をしなければならぬことになっておりますけれども、その中には、一名か数名の方がやはり先祖伝来の土地から離れがたい、何としてもその土地で農耕を営まなければ、将来町へ出てもさしずめ仕事がないということで、どうしても移転をしない、したくないという方もおるわけです。そういったことでいろいろ地元も苦慮しておりますけれども、御承知のように、議員立法ででき上がりました防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律施行令、いわゆる集団移転の議員立法ができたわけでありますけれども、この中身を見ましても、ご存じのように「移転しようとする住居の数に応じ十戸を下らない範囲内で総理府令で定める戸数の住宅を集団的に建設することができる規模とする。」こういうふうに書いてございまして、実際これを実情に合わせてみましたときに、集団移転をしようと思っても、若干の移転を拒否する人がおればなかなかこれが該当しない、しかし地元は現実に困っているという状況を見ましたときに、私は、この戸数十戸以上という問題については弾力的に考えなければならぬ時期が来ている。たとえば五戸以上にするとかあるいは極端に二戸以上でもやるとか弾力的に考えることを検討する、と同時にこの集団移転の財政的援助、これも少ないわけですから増額をしなければならぬ時が来ている。年々災害が厳しくなっている現状を見ましたときに、こういったことをしみじみ感ずるわけですが、その点について国土庁はどういうふうに考えておられるか、住民のためにひとつ明るい今後の検討を約束してもらいたい、かように思うのですが、御答弁いただきたい。
  126. 近岡武男

    ○近岡説明員 お答え申し上げます。  防災集団移転促進事業の制度は、被災地の住民が防災上安全な住宅団地へ集団で移転をするという場合に設けられた制度でございまして、そのめどを十戸というふうに置いたわけでございます。当時この制度が発足します際に、建設省所管のがけ地近接危険住宅移転事業というものがございまして、それと調整を図りながらこの事業の運用のめどを定めたわけでございますが、十戸未満、一けたの移転につきましては当該がけ地近接危険住宅移転事業に沿うものはその事業の適用を図りまして、支障のないように進めてまいりたいというふうに考えております。
  127. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間の関係で余り詰めることはできませんけれども、この点については十分ひとつ当局も検討していただきたい。われわれ議員の方でもこの検討を進めるということでいま相談を持ちかけておりますが、今後住民の不安をなくするために十分検討していただきたいと思います。  それでは次は、徳島県の美馬郡の穴吹町及び一宇村等で特に今回の災害要望が強かったのは、とりあえず年末を控えて生活をどうするか、とにかく生活保護に何とかなるように、三カ月ないし五カ月ぐらいの期間でもいいから生活保護世帯として扱ってもらいたい、そうしなければとても生活ができないということで、市町村の財源も少ないし、こういったことを国に訴えて、財源の援助をしてもらいたいという声が強かったのですが、これについて厚生省の見解を承っておきます。
  128. 柴田健治

    柴田(健)委員長代理 瀬野栄次郎君に申し上げます。厚生省入江保護課長はまだ見えておりませんが……。
  129. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 それでは、次の問題で、個人災害の問題でございますけれども、御承知のように、個人災害にはただいま弔慰金と貸付金の二つがありますけれども、今回の災害では高知県だけでも畳が十万枚と言われますように、一枚六千円としても相当な額になります。家財道具を入れまして約三千億近いものがあるであろう。ところが、この家財道具が流れておるけれどもこれらに対する手当てが全然ないということで、これは高知県のみならず徳島県も、全国的にそうでありますが、この個人災害を見直すときにきている、かように思うわけです。去る九月十七日、天野長官にも私申し入れをいたしまして、小委員会をつくって今後検討するので、国土庁としても十分検討していただきたいということで申し上げておきましたが、個人災害に対する今後の検討の用意があるか、お答えいただきたい。
  130. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 個人災害については、本日もしばしば各党から御意見がありましたことでもありますし、現実としましては実態の把握あるいは今後の運用についてなかなか問題点もありますが、政治が抱えておる当面した重要な問題と心得ますので、十分に今後検討してまいりたいと思っております。
  131. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 建設省に一点伺っておきますけれども、公共土木施設災害復旧についてでありますけれども、これまた四国の各県初め全国的に要請があることでありますが、地質の軟弱な地すべり地域については再度の災害発生を防止するために、災害復旧助成事業の補助率の引き上げ及び災害復旧事業の期間を従来よりも縮めて二カ年で復旧を完了できるよう予算の大幅増額をやってもらいたい、そうしないと例年災害に遭って大変である、これは各自治体の深刻な要求でございますが、これに対して建設省はどういうふうに対処されるのか、見解を承りたい。
  132. 井沢健二

    ○井沢説明員 お答えいたします。  災害復旧事業の中で、改良復旧する一つの方法としまして、災害復旧の助成事業というのがあるわけでございますが、現在助成事業につきましては二分の一の補助になっております。私どもとしましては、来年度予算で一級河川については三分の二の補助率にし、中小河川と同じようにしていただきたいというふうなことで予算要求には出しております。それから、その残りの地元負担分につきましては起債で処理することにいたしておりますが、初年度は、現在では財政力の関係で九五%の起債になっておりますが、これが通常の年でございますと初年度は八割であるけれども二年目から二割に落ちるということになるわけでございまして、これにつきましても、これを改定するよう自治省に申し入れております。  それから、災害復旧事業の年度の関係でございますが、災害復旧事業につきましては初年度を三割、翌年度五割、最終年度二割というふうないわゆる三、五、二ということでやっておりますが、これにつきましては、そのほかに、国庫債務負担行為というふうなことで、それをさらに詰めるというふうなことも実際にやっております。したがいまして、初年度——これは年度で計算しますと三年でございますけれども、いわゆる継続的に考えてみますと、満で計算いたしますとまる二年ちょっとぐらいで大体完成するという状態になるわけでございます。非常に大災害のときでございますと、やはりそういう復旧工事に対します地元の施行能力といったような問題もございますので、私どもとしましては、そういうふうな問題であるとか、あるいは改良復旧する場合には用地の問題もございます。したがいまして、そういうふうな問題を考えながら、現在以上にできるだけ進めるようにいたしております。これは全体の予算額でございますから、その中で非常に急ぐものがあるわけでございます。そういう急ぐものにつきましては、それぞれ個々の問題につきまして、そういうものを非常に早くやるように努力いたしております。
  133. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 林野庁に一、二点伺っておきますけれども、今回の台風十七号で、農林災害の中でも林野災害が、荒廃林地を初め治山施設、林道等、全被害の約三割近い被害額が出ております。九月二十七日の被害を見ましても、農林省の三千百九十三億二千二百万のうちで林野関係が六百五十八億千三百万に達しております。四国初め全国各地、今回の災害の特徴でもありますが、この治山施設及び林野災害について、林地崩壊等について、去る九月二十二日、林野庁長官にも申し入れておきましたが、十分対処していただきたい、かように思うのですが、どういうふうに対処されるのか、概要、簡潔で結構ですから、意見を述べていただきたいと思います。
  134. 藍原義邦

    ○藍原説明員 先生ただいま御指摘のように、林野被害は、九月二十五日現在で、林地荒廃が六百二十億、林道が九十二億、その他合わせまして民有林だけで七百三十四億、これに国有林を加えますと八百二十九億の多きに上っております。この被害額は近年にない被害額でございますので、林野庁といたしましても、緊急な個所につきましては、早期に対応し得るよう、万全の努力を払ってまいるつもりでおります。
  135. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間がございませんので、それでは、はしょって二、三点簡潔にお聞きしますので、お答えをいただきたい。  林野庁にもかねがね申し入れをして申し上げておきました桜島の問題でございますけれども、今回の十七号台風で、御承知のように、桜島も大変な打撃を受けております。桜島町及び鹿児島市の一部でありますが、特に桜島町においては、九本の河川のうち六本、すなわち長谷川、古河良川、初崎川、深谷川、半分園川、アミダ川と、大変な災害を受けておりますが、上部は林野庁の直轄河川になって、治山工事、砂防堰堤等行われておりますけれども、土木関係の下流のほうの拡幅をしなければ、上部だけではどうしてもうまく流量がはけないということになります。詳しくはもう申しませんが、そういった意味で今後十分な対策をしていただきたい。これに対する考えを簡単に承っておきたい。それが一点。  それから、桜島町の問題で、先日、九月二十二日、農林省にも申し入れておきましたが、ミカンの災害または桜島大根等の被害が、十七号台風で大変起きております。そこで、桜島町の場合に、果樹共済の基準収穫量の算定と料率算定は、降灰被害の年を除いた平年の収穫量で策定していただきたいという要望がありますが、これに対しての見解。  さらに、農業経営を維持する観点から、自作農創設資金の貸付限度額をぜひ上げていただきたいという要望に対する見解。  もう一つは、活動火山法の防災営農施設整備計画に基づいて実施するところの防災営農施設整備事業について、特に被害の甚大な地域についてはさらに補助金の引き上げをしていただきたいというのがあったのですが、時間もございませんから、この問題についてはかねがね申し入れをしていろいろ検討を願っておったわけでありますので、この点簡潔にお答えをいただきたいと思います。  なお、厚生省はさっきおいでにならなかったけれども、さっきの問題について一言最後に答弁を願いたい。  以上です。
  136. 藍原義邦

    ○藍原説明員 お答えいたします。  桜島の問題につきましては、四十九年に調査いたしまして必要な工法をやってまいったわけでございますが、今回の被害もまた発生しておりますので、再度調査いたしまして万遺漏のない工法をやってまいりたいというふうに考えております。
  137. 大塚米次

    ○大塚説明員 要点についてお答えいたします。  果樹共済の桜島のミカンの基準収穫量でございますが、実は制度開始以来連年、火山等によります被害を受けておりまして、基準収穫量が減少しつつありますが、平年的に見た場合の収穫量を基礎にするというのが制度のたてまえでございますので、被害の程度に応じまして基準収穫量が減少傾向をとることはある程度やむを得ないことでございます。ただ、組合で平均いたしました基準収穫量に対しては一〇%の許容が与えられている。それから、引き受けた樹齢の構成割合が組合の樹齢構成と著しく違うという場合は若干の補正を行う余地が残されておりますので、この点については具体的な指導を行ってまいりたいと思います。  それから、料率でございますが、これは算定のルールがございますので、それに従って改善を図っていきたい、このように考えております。
  138. 渡邊五郎

    ○渡邊説明員 自作農資金についてお答えいたします。  連年災害等によりまして負債過多となっております被害農家に対します貸付限度の引き上げにつきましては、大規模な風水害については従来引き上げた例もございますので、今回もそうしたことが予想されますので、被災農家の負債なり被害の程度等を踏まえた上で本件に対処することにつきまして検討いたしたいと考えております。
  139. 杉山克己

    ○杉山説明員 活動火山周辺地域防災営農対策事業、これに対する補助率は、昭和四十九年度までは国庫補助率三分の一または二分の一の個別の既存事業で実施しておったわけでございます。これを総合的に実施するため昭和五十年度から新たにこの防災営農対策事業を実施させ、その際、国庫補助率を一律に二分の一に引き上げたものでございます。さらに、桜島の場合、県の補助率がこの上に二五%上積みになっております。それから、市町村ごとに何がしかの補助を実施している。大体平均して七%程度というように承知いたしております。  そういうことからいたしますと、すでに現在、同種のほかの事業に比べまして桜島地域に対してはかなり高率の補助になっている実態にあるわけでございます。私ども、いまの体系で本事業は円滑に実施されているというふうに考えておりますが、先生のいまの御質問でもって、今後支障を来すかどうかというようなこと、さらに実態をよく調査した上で検討してまいりたい、県の意向なども伺っていきたいというふうに考えております。
  140. 入江慧

    ○入江説明員 御質問の中身につきましてまだ報告を受けておりませんので、具体的にお答えできませんけれども、御承知のように、生活保護は一定の基準に基づきまして、生活に困っておる方がおられれば、当然適用されるわけでございますので、遺憾のないよう万全に福祉事務所を指導してまいりたいと思います。
  141. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 以上で終わります。
  142. 柴田健治

    柴田(健)委員長代理 宮田早苗君。
  143. 宮田早苗

    宮田委員 今回の台風十七号がもたらした被害は、かつての伊勢湾台風に匹敵する規模に達しております。私ども民社党は、全国的に被害がひどかったことから、早速災害対策本部を設置し、救援活動を展開しているのでございますが、この機会に復旧活動に取り組んでおられます全国の被災者の皆さんにお見舞いを申し上げますとともに、その復旧事業をより円滑に推進するための政府の施策について、若干の質問をしたいと思います。  そこで、まず第一は、今回の各地におきます被害の特色の一つは、四、五日間に半年から一年分の降雨量が集中して被害が大きくなったことだと思います。西日本地方でのこの異常な集中豪雨、東北、北海道地方の農村を襲撃しておりました冷害等、日本列島を取り巻く異常気象の原因や、秋から冬にかけての長期予報を、気象庁の担当官の方にお伺いいたします。
  144. 青田孝義

    ○青田説明員 お答えします。  気象庁では、四十九年に近年における世界の異常気象の実態把握と、その長期見通しについて調査結果を発表しましたが、その主な点は三つあります。  第一点は、北半球の気温は年々変動しておりますけれども、特に極を中心にして寒冷化が進んでおるという点であります。  第二点は、この傾向はまだ十数年は続くだろう、これが第二点であります。  第三点は、このような気候変化に伴って、地域的には大、雨とか干ばつとか、あるいは異常高温とか低温とかいうような、コントラストの強い天気分布が発生しておる、この傾向はまだしばらく続くだろうというふうに考えております。  したがって、世界的にもそういう異常現象が発生しておるので、日本でもその影響を受けるだろう、ただし地域的にいつ、どこで、どのような形の現象がどの程度の強さであらわれるかということについての長期見通しは非常にむずかしい、そういう統一した見解を持っておりません。ただ、いま先生の御質問のように、ことしの秋から冬にかけての予報は、いま一生懸命検討しておるのですが、十二月までの予報を申し上げますと、ことしの冬は早く来るだろう、したがって霜とか初氷とか初雪といったような季節現象は、例年より早くあらわれるだろう、そういうふうに考えております。  台風については、十月に恐らく一つぐらい日本に接近するおそれがある、そういうふうに予想しております。  以上です。
  145. 宮田早苗

    宮田委員 引き続いて気象庁の方にお伺いいたしますが、四十九年の災害、また今回の災害、これは素人でよくわかりませんが、降雨量のあり方といいますか、山間部と平野部では相当に変化をしてきたように見受けられるわけですけれども、今後の降雨量がさらに平野部に集中をするというような傾向というものは考えられないものかどうか、その点お聞きします。
  146. 青田孝義

    ○青田説明員 最近の傾向としましては、低温と干ばつが大雨と異常高温よりも頻度は多く起こっております。ただ、いま先生のおっしゃったような、地域的に山に多いか、平野部に多いかという問題になりますと、これはまだいろいろ調べないと何ともお答えできませんので、いまそのようなことも一生懸命やっております。
  147. 宮田早苗

    宮田委員 気象庁の方につきましてはこれで質問を終わりますが、せっかくおいでになるものですから、ちょっと要望を……。  私、このたび兵庫岡山を見て回って特に感じましたことは、この災害には直接関係はございませんけれども、もし地震が起きた場合に、いまは都市方面が中心対策が立てられておるようですけれども、やはり山間部ですか、そういう面について十分に対策を立てておかないと、地震の場合は今度の災害より以上に大きな災害になるんじゃないかということを率直に調査の過程の中で感じたわけでございましたので、こういう点は直接の関係ではないかと思いますけれども、地震予知連なりあるいはまた建設省の方々なり、十分に今後研究をしていただきたいということを要望しておきます。  そこで、昨日までの被害地の現地調査で再三再四陳情を受けたわけであります。また、各地からの陳情書を拝見いたしまして特に強調されておりますのは、激甚災法の適用を早急にというのが被災者の集約した声だと思うわけでありまして、これまでの質疑でも出ておりますので重複を避けるため、政府の速やかな対応を要望して、これでとどめておきます。  さて、激甚法の適用を受けなければならないような災害がどうして起きたのかを考え、今後の対策を検討しなければなりません。ただ単に異常気象、不可抗力ということでは問題の解決にはならぬと思います。全国六万カ所に及ぶがけ崩れ危険個所、調査では約五千カ所の急傾斜地危険区域が指定されてきたわけでございますが、今日まで危険個所が放置されてきたために、今回の集中豪雨で物的、人的被害が生じたケース、調査の過程の中で危険個所という指定のしてないところが大半だ、こう見受けたわけでございました。  ついては、この五千カ所に対する災害防止工事の進捗状況、それと今回の大災害を契機に危険区域の指定促進を図るべきだ、こう思うわけでございますけれども、この点についてどのようなお考えを持っておられますか、お聞きします。
  148. 大工原潮

    大工原説明員 今回の集中豪雨によりまして、各所で非常にがけ崩れ災害が多発して人家、人命に非常な被害があったわけでございます。  いま先生御指摘のように、全国で約六万カ所の危険個所ということで建設省といたしましては把握いたしておりますが、指定地の業務といいますのは、都道府県の知事が地元事情に詳しい市町村長の意見を聞いて行うということでございまして、ただ、そこで問題がございますのは私権の制限が伴う。といいますのは、急傾斜地の崩壊危険区域の指定につきましては、有害行為の規制をするということによりまして崩壊を防ぐ。消極的ではございますけれども、防止工事のみならず、そういった効果があるわけでございます。そういった意味から私権の制限があるということで、ややもすれば一部に指定がおくれておるという実態がございます。いまお話ございましたように、約五千カ所程度しか指定が進んでいないのが実態でございます。  四十二年から予算補助制度で出発いたしまして、四十四年にこの法律ができまして法律の補助制度によります現在までの施行実績でございますが、五十年度末におきまして約千八百カ所の竣工を見ております。  そういった状況でございますが、今回の災害等近年の災害の実情にかんがみまして、指定につきましては各都道府県を強力に指導いたしまして、現在、五十二年度を初年度といたします計画的な指定促進を図りたいということで強力に指導しておるところでございます。  なお、対策事業等につきましても前向きで検討して積極的な姿勢で取り組んでまいりたいと思いますし、今回災害がございました個所につきましても、緊急急傾斜地崩壊対策事業ということで積極的に取り組みたいというふうに考えております。
  149. 宮田早苗

    宮田委員 この危険個所の指定の問題について、いま答弁の中で計画を立ててということでございますけれども、一体これを全部消化するためにはどのくらいの日数、どのくらいの費用がかかるものですか、その点をちょっとお知らせ願いたいと思います。
  150. 大工原潮

    大工原説明員 まず、指定をいたします場合には、先ほど申し上げましたように私権の制限があるために、地域の範囲を決めるということでいろいろの調査をいたしております。特に、法律によりまして指定の範囲は必要最小限ということで、規制をかける範囲はできるだけ小さくするというふうな考え方でございます。したがって、それらの調査あるいはその指定地域に対しましては、法律事項でございますが、表示をするということで、看板の表示をするとかというふうなことがございます。そういった測量あるいは区域の調査あるいはそれらの表示の施設等を合わせますと、全国的に平均いたしますと、やはり一カ所三十万程度の費用がかかっておるわけでございます。そういった実態でございますので、各県におきましてもそういった財政事情を勘案いたしまして、現在のところ緊急を要するものから順次計画的にやっていこうという姿勢を持っておるわけでございます。  先生御承知のように、昨年行政監察局の監察がございまして、指定促進という指摘も受けておりますので、それを踏まえまして、今回の災害の実態からできるだけ促進していきたいということで都道府県を指導してまいりたいと思っております。
  151. 宮田早苗

    宮田委員 災害の抜本的な防止を図るため、治山治水事業五カ年計画を再検討する必要があるのではないかと思います。また、治山治水事業の徹底並びに自然環境の保全など思い切った災害対策予算をつけるべきだと思いますが、建設省は皆に前段の五カ年計画の見直し、この点についてどうお考えになっておりますか、お聞かせ願いたいと思います。
  152. 稲田裕

    ○稲田説明員 お答えいたします。  先生御指摘のように、ただいま第五次五カ年計画を五十二年度からということで要求いたしております。  今次の災害にかんがみまして、特に今度の災害被害の大きかった中小の河川並びに都市部周辺河川、これを最重点的に対策を実施していきたいということが一点でございます。  それから第二点は、土石流対策でございますが、これは特にまた人命に影響するところが多うございますので、土石流対策について五カ年計画で重点的に事業を促進していくということ。  それから、国土保全上、国民経済上重要な主要な河川の特に主要な区間につきましての堤防の補強等の事業を実施していくというふうなことを重点に五カ年計画を現在策定しまして、総額八兆ということで現在要求いたしております。  なお、今次の災害にかんがみましてさらに検討する必要があるのではなかろうかということで、現在その再検討を行っているというふうな状況でございます。
  153. 宮田早苗

    宮田委員 公共土木施設災害復旧に当たっては、原形復旧にとどまらず改良復旧を積極的に行う措置が必要と思います。この点をお伺いをするわけであります。特に注釈を加えますと、調査をした段階の中でとても原形復旧はできかねるのではないかというところも見受けられるわけであります。ところが、地元の皆さんはもとのままにしてほしいという期待が非常に強い。その調整をまずどうされるかということが一つ。  それから、河川の関係についても、やはり相当に荒れておりますので、幅を広げるとかあるいはまた直線にするとかということになりますと、個人の財産といいますか、これに非常に大きな関係を持つわけでございまして、そういう関係も十分に考えてやらないと、何といいましても災害防止の完全な復旧ということにはならぬと思うわけであります。原形復旧ができかねて、いま申し上げましたようなことをやらなければならぬという事態、今度の災害で非常に多いと思いますが、そういう面についてどうお考えになっておりますか、お聞きいたします。
  154. 井沢健二

    ○井沢説明員 お答えいたします。  災害復旧事業の査定の段階でございますが、災害復旧事業というのは本来、原形復旧主義をとっております。その原形復旧と申します中に、いわゆるみなし復旧あるいは効用復旧という考え方がございます。もとどおりにどうしてもできないというふうな場合には、そういうものの効用を果たすまでやるものも原形復旧とみなすんだというふうなことで、かなり幅広い考え方をとっております。  それは一つ一つの工事でございますが、そのほかにある区間を限って申しますと、一キロとか二キロとか、あるいは場合によっては十キロ、二十キロというふうな場合もございますが、そういう場合に、約半分ぐらいが壊れた場合は、さらに改良費を足しまして、その災害に対応するような規模で改修工事を進めるというふうなことをやっております。あるいはまた八割以上も壊れた、非常に激甚であるというふうな場合には、災害復旧費でもって全部、壊れてないところも一緒にその災害に対応するように直すというふうなこともやっております。これは一定災と言っておりますが、前者の場合には災害助成工事あるいは関連工事というふうに言っております。  こういう場合に、先生いま御指摘のように、最大の問題は、そこに住んでおる、あるいはその施設河川等でございますけれども、そういうものにかかわり合いを持っておる人たちの意思が一番大きなことでございます。私どもとしましても、その辺に住んでおられる方々の大多数の人がそういうことを望んでおるんだというふうなことを、その地域をおさめておるたとえば町村長さんであるとか、あるいは有力者であるとか、そういうふうな人といろいろ話をしながら、そういう意見を聞きながら、そういうものを考えていくというふうなことがまず第一の段階でございます。  そういうわけでございますが、この事業というのはやはり災害関連事業であれば三年、それから助成事業であれば四年ないし五年ぐらいでやってしまうというふうなことでございますから、そういう場合に、非常に問題が出る場合には、たとえば用地買収などに応じないというふうな例も中にはあるわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、やはり災害助成事業、何々河川助成事業の協力会といったような会をその地元でつくっていただきまして、そういうものを通じていわゆる現場説明をするとか、あるいは用地の問題を話をするとか、あるいは計画の説明をする、そういうふうなことで、大方の理解を得ながら進んでまいるというふうなことにいたしております。  それから先ほど、原形復旧ができない場合の調整をどうするかというふうなことでございますが、こういう場合にも、やはり地元の意見というふうなものをまとめるというふうなことが最大の問題でございますから、やはりその地元の意見が調整できるのを待ってというふうなことになるわけでございます。しかしながら、そういうふうにいまそのままにしておいてはどうなるかわかりませんので、やはり現在の状態から大きく増破をしないように、応急工事と申しますか、仮工事はちゃんとやります。あるいは道路の一応の仮道はとにかくつけて、何とかできるようにしておいて、極力早く、地元のそういう意見をまとめていただくというふうなことを進めております。
  155. 宮田早苗

    宮田委員 今回の調査の結果、特に岡山県でよく見られたわけでございますが、例のため池の問題についてでございます。  今度の災害の特徴の一つとして、ため池が老朽化しておるために、これが決壊をして災害をさらに大きくしたというような傾向もあるわけでございます。この点についての復旧改修、これは当然ですけれども、いまございます老朽のため池の補修ということも当然考えなければならぬわけでございまして、これもさきの質問に出ていたわけでございますけれども、聞いてみますと、歴史的な背景ということもあるようでございますが、あのままで今後放置しておくことの方がよろしいか、あるいは抜本的にあれにかわる何らかの方法というものを考え、恒久化をするか、こういうこともやはり考えてしかるべきじゃないか、こう思っておるわけでございますが、そういう点についてはどういうお考えを持っておられますか、お聞きします。——それでは、もう一度申します。老朽ため池が各地にたくさんあるわけでございますけれども、非常に老朽化しているから、補修をしましてもこれを永久にそのままにしておくことの方が是か、あるいはまたこれにかわる抜本的な、ダムならダムというようなものは考えられぬものかどうかということ、率直に私感じましたので、建設省の方のお考えがもしありましたら、お聞かせ願いたいと思います。
  156. 岡部三郎

    ○岡部説明員 農業用のため池は、四十七年に全国の総点検をやったわけでございますが、その際に全国で大体二十七万七千カ所と非常にたくさんあるわけでございまして、この中には徳川時代あるいはもっと前にできたというふうなものも相当ありまして、したがいまして百年以上も経過しておるというようなことで、相当老朽化しているものもあるわけであります。ただいまお話がございましたように、そういうものがほかの大きなダムの築造によりまして必要がなくなるような場合には、これは土地の有効利用といった面から申しましても、当然そういうものに統合した方が効率がいいわけでございますが、ただいま申しましたように全国に二十七万もあるというふうなことで、大部分のものは農業生産を継続するためにもこれを残しておかなければならぬということでございます。  したがいまして、その中で非常に危険なものにつきましては早急に改修工事をしなければならぬわけでございまして、四十七年の調査では大体五ヘクタール以上の受益面積を持っておるものだけでも、改修しなければならぬものが約一万カ所あるというようなことでございまして、私どもとしましても農地防災の事業の中では最もため池の改修整備に力を注いで、予算等も一番伸ばして整備を進めておるわけでございますが、何せ非常にたくさんのため池でございますので、早急な実施はなかなかむずかしい点もございますが、鋭意努力をいたしておる現況でございます。
  157. 宮田早苗

    宮田委員 ただいまの質問は感じたままということでいたしたわけでございますが、特にもう一遍言わせていただきますと、土質の違いというのを聞いておるわけでございますので、そういう面も十分含めて今後ひとつ検討していただきたいということを要望しておきます。  それから、今度の災害被災者は、早急に復旧をしてほしいというのは当然なことでございます。ところが、災害査定のための人員あるいは費用、こういう問題について大変お困りのようでございますので、こういう点も質問があったかと思いますが、ございましたら簡単でもよろしゅうございますから、お答え願いたいと思います。
  158. 井沢健二

    ○井沢説明員 災害の査定には、確かに設計をつくる者もあるいは査定をする人も要るわけでございます。それから、設計書をつくる費用も要るわけでございますが、ことしは非常な激甚災でございますから、やはり例年どおり設計委託費といったようなものにつきましてはできるものというふうに思っております。それから、設計をつくる場合でございますが、今回の災害につきましては非常に大きな県が多かったというふうなことで、たとえば兵庫県であるとか岡山県であるとか、そういうものの全部じゃなくてその一部の土木事務所が非常なひどい目に遭っておるというふうなことございますから、県内からその土木事務所の方に職員を派遣いたしまして、現在進めておるようでございます。いまのところ各県では大体何とか県内で処理をいたしたいというふうなことでございますので、私どもの方としては全国的な応援はまだ考えておりません。これが町村になりますと非常に困っておりますが、町村につきましてはそれぞれの県が職員を派遣して応援をいたしておるようでございます。  何分にもことしは約十二万件に及ぶ災害の査定になりますので、いずれにしましても非常に大きな問題になるわけでございますので、現在その推移を見まして、さらに応援すべきであるということになるならば、全国的な規模でよその県からでもどんどん技術者を投入いたしまして、そういうものの円満な進行を図りたいというふうに思っております。
  159. 宮田早苗

    宮田委員 建設省関係はこれで終わりますが、次に、今度の災害対策を急がなければならないと痛感いたしましたのが中小企業対策でございます。国土庁の資料によりますと、中小企業関係の被害額は約六百億となっております。ただでさえ経営の苦しい時期での災害で、設備や製品の損壊、冠水等で多くの企業が経営のピンチに立たされておるわけです。また、このような直接被害のほか、鉄道、道路被害によって原料や製品の輸送手段を断たれているといった間接的な被害も相当あるわけでございます。  通産省としても被害の実態把握に全力を挙げておいでになると思いますが、この際対策を急がなければならないのは中小企業に対する緊急融貧でございます。いま申し上げましたように被害が六百億円にとどまらないわけですが、三公庫の融資態勢、これは一体どうなっておりますか、お聞きします。
  160. 松尾成美

    ○松尾説明員 中小企業の災害関係緊急融資態勢でございますが、今回の台風十七号の被害がありまして、水が引きました後、直ちにとりあえず中小企業関係の政府系三機関の窓口におきまして、融資条件あるいはその融資の限度等々に特例を設けました緊急融資をすでに早速発動しております。それから、既往債の返済猶予等についても、窓口で弾力的に対応するということで、すでに開始をしております。  それで、今後激甚災害指定になりますと、これに加えまして、金利の特例でございますとか信用保険の特例等々が発動できることになりますので、これらの措置を動員いたしまして、中小企業の金融対策に遺漏のないように期してまいりたいというふうに考えております。
  161. 宮田早苗

    宮田委員 これに関連をいたしましてお聞きするわけでありますが、問題はこれから年末にかけての資金需要との兼ね合いが当然起きてくると思うのです。災害融資が大きくなったために年末資金へのしわ寄せが懸念されるわけでございまして、この点はどういうお考えを持っておられますか、お聞きします。
  162. 松尾成美

    ○松尾説明員 中小企業関係の三機関の第三・四半期の融資枠というのがこのほど決まっておりますが、全体で九千三百七十四億ということになっております。年度プラン、当初計画が二兆九千五百五十二億でございますので、三一・七%、大体三分の一をこの年末金融を控えたところへ割り振っております。さしあたりはこの中で災害関係の融資というのは優先的に充当するということをやっておりますのでまず支障はなかろうと思っておりますが、今後の全体の資金の動向を見まして、もし全体として不十分ということになりましたら、その際、年末不足のないように十分配慮してまいりたいというふうに考えております。
  163. 宮田早苗

    宮田委員 これで終わりますが、最後に要望を申し上げておきます。  やはり今度の災害のみにかかわらず経済情勢も中小企業、大変困っておるわけでございますので、今後中小企業対策については万全のひとつ措置をしていただきますように要望いたしまして、終わります。
  164. 柴田健治

    柴田(健)委員長代理 武藤嘉文君。
  165. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員 まず、国土庁から承りますが、きょう政務次官から激甚指定は早急にやるという御発言がありましたけれども、正直、たとえば私の出身県であります岐阜県だとか、あるいは岐阜市、大垣市というところは、どうもいまの基準のままでございますと、せっかく全国一律の激甚災害指定を受けましても、かさ上げの対象になる部分が少ない場合があるわけであります。確かに財政がある程度裕福だから、その地方公共団体でやればいいじゃないかということかもしれませんけれども、経済の成長が非常に停滞をしてまいりますと、税収の伸びも期待できません。そうすると、これは全く予期しない災害でその地方自治体に多くの財政負担がかかってまいりますと、結果的に地方自治体の財政状態が非常に不健全になる、こういうことでもありますから、いろいろ事情はございましょうけれども、ぜひこの際、指定基準の緩和をお願いをしたい、こう思っておるわけでございますけれども、国土庁から前向きの御答弁がいただけることを期待をするわけでございます。
  166. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 たとえば岐阜県の場合には標準税収が非常に高いということで、激甚の指定を受けても補助率のかさ上げにならないではないか、こういうことの御心配からの実は御発言であります。  そこで、いまの自治省の考え方では、仄聞いたしますと、大体かなり財政的に裕福なところであるから、この程度でやれるのではないかという考えが一部にあるやとも聞いておりますが、私はやはり政治家の一員でありますから、こうした天災においては、たとえ富裕な県であろうがあるまいが、何らかの平等な措置をしていくというのが、やはり災害に対する一つの物の考え方でなくてはならない、こういうふうに思っております。しかしながら、いま制度あるいはその他各省の考え方があるわけでありますので、そこいらを十分踏まえまして今後鋭意相談をしてみたい、こういうふうに思っております。
  167. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員 この問題は、大臣をしのぐ実力者である政務次官ですから、ぜひ、いまの言葉を十分ひとつ体していただきまして、その実現に努力をしていただきたいと思います。  次は、建設省へ参ります。先ほど宮田さんの御質問も聞いておりました。私、午前中の質問は、ほかの会合に出ておりまして聞かなかったので重複するかと思いますけれども、正直、従来ややもすれば災害復旧原形復旧でなく改良復旧もやりますと言われておりましても、案外、原形復旧が現実にあるわけでございます。また、改良復旧と申しましても、どうも金の関係もあるかと思いますが、根本的なというか、抜本的な、いわゆる改良事業にまで進んでいない現況が現在までの実態だと私は思っております。  特に今度の長良川決壊を見ましても、たまたまあそこが決壊をいたしました。しかし、あそこよりももっと悪い危険な場所があると言われておった。あの決壊をした場所は、建設省御承知のとおり、あれはC地区でございますか、ABCのCになっておるはずでございます。AなりBなり、たくさんまだ危険個所があったのが、たまたまあそこが切れた、こういうことで、けさも理事会に対して地元から陳情がありましたのも、自分たちのところよりももっと切れるところがあったのに、わざと計画的に切ったんじゃないかというような表現まで地元からは出てきておるわけでございますね。  ですから、そういう点からいけば、本当に長良川という一つの川だけ考えてみても、この災害を機に思い切ってそういう災害復旧という、その決壊場所あるいはその周辺にとどまらずに、やはり全部を点検して、この際、思い切った改良をしていかないと、また同じような災害が二度三度と繰り返されないとも限らない。たまたま百年に初めてというような雨が降ったから今度起きたということですけれども、こういう千何ミリという雨がこれから二年先、三年先、また百年は降らないという確証はないわけですから、そうすると、いまのような場合でございますと、結局また雨が降ればどこか切れる、こういうことにもなりかねないわけであります。そういう面において、たとえばああいう盛り土だけの堤防だけじゃなくて、コンクリート壁その他によるしっかりした護岸工事をやるとか、あるいは川床のしゅんせつをやるとか、あるいはそれに伴って中小河川改修もやるとか、あるいは洪水調節ダムをつくるとか、いろいろ総合的に計画を立てて、この災害復旧を機に長良川堤防そのもの、あるいは長良川の川の流れそのものを調節しなければいけないのじゃないか。こうしていかないと、本当にまた同じようなことを繰り返すのじゃないかと私は大変心配をするわけであります。そういう意味においての思い切った改良事業をやっていただけるのかどうか。  また、それをやろうとすれば、先ほどはっきりお答えがなかったようでございますが、五十二年度からの予定の新治水五カ年計画は約八兆円と言われておりますが、とても八兆円では、それらの仕事は幾らここでおやりになるとおっしゃっていただいても、たとえば長良川に重点を置いてやっていただければいいわけですけれども、そうはいかないわけであります。やはり今度だって、全国にそういうことで思い切って根本的に川の改修をしなければならぬところがたくさんあるわけでございます。もちろん下水道計画、これも大変大切であります。しかし、下水道計画が約八兆円、それで治水計画が約八兆円。私から考えると、全国流れが整ってから下水の計画で処理するものが流されるのならいいですけれども、どうも下水の計画で思い切って処理したものを流した、その川の方が十分でなければ、この間の長良川のように、たとえば屎尿とどろ水とがごっちゃになってしまうということになるわけであります。そういう面からこの治水五カ年計画の八兆円というものは、少なくとも十何兆にするような気持ちで再検討するということにしないといけないのじゃないか。もちろん、これは財政当局と相談をしていただかなければなりませんけれども、建設省としては、少なくともいまの八兆円というものは前向きに思い切って大幅にふやさなければいけないという考え方であります、このくらいの答弁をされないと、私はなかなかこの災害に遭った人たちは納得しないのじゃないか、こう思うのでございます。たまたま私は先ほど宮田さんの質問に対するお答えを聞いておって、どうもその辺、私としてはいささか不満な答弁でありましたので、重ねて御質問して大変恐縮でございますけれども、財政当局の方のことは、またわれわれも思い切ってお手伝いをしてふやせばいいのでございますから、建設省としては、ぜひ前向きに思い切った計画のつくり直しをやりたいという御答弁を願いたいと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  168. 稲田裕

    ○稲田説明員 ただいまの御質問でございますけれども、おっしゃるとおり、長良川の直轄の部分並びにそれに関連いたします中小河川部分とも今度の大災害を受けておりまして、一貫した計画をやらなければいかぬというふうなことでございまして、これにつきまして現在検討を重ねております。  なお、五カ年計画につきましても当然長期の目標を立てまして、その目標を達成すべく五カ年の要求をいたしておるわけでございます。一応私どもの目標といたしましては、今後十年間を目途といたしまして、大河川にございましては戦後最大の洪水に対して安全にする、中小の河川並びに渓流に対しましては、一応時間雨量五十ミリというものに対しまして安全にするということを目途といたしまして五カ年計画を組んでおります。その中で特に緊急を要するものにつきまして計上いたしましたというのが、現在財政当局に要求いたしております八兆円でございます。  先ほど私が答弁いたしましたように、今期災害にかんがみまして、当然いままでの五カ年でも十分、配慮いたしておったわけでございますけれども、中小の河川災害並びに都市周辺部の河川災害、それから国土保全上、国民経済上重要な主要河川の主要区間の築堤等の補強、それから土石流に対する対策というのをまたさらに重点的にやらなければならぬということで、現在再検討を行っておる最中でございまして、まだその結論を得ておりませんが、可及的速やかに結論を得まして必要な措置を講じたい、かように思っておるわけでございます。
  169. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員 こういう委員会ですから、大変慎重に御発言になることは私どももよく理解できますけれども、これはやはり災害地被災者から見ますと、またああいうことが二度と起きたらどうだろうという気持ちを持つのは本当に当然だろうと思うのですね。だから、いまの時間当たり五十ミリというのも、正直、五十ミリじゃ、この間ぐらいの雨ではだめなわけでございますから、もちろんいますぐここで八兆円を十何兆円にするとは言えないのですけれども、ただ八兆円でいま出していただいているわけですね、大蔵省へ。いま折衝していただいておるわけでしょう。そうすると、八兆円に一応なりますと、まさか八兆円のうち四兆円を一年でやってしまうというわけにもいかないと思うのです。やはり大蔵省は、決まったから八兆を五分の一ずつでいいじゃないか、また逆に初年度は少なくてもいいじゃないかというように言うに決まっているのです。だから、私はこういう災害を機会に、建設省で、役所の中で、まずひとつそれは御検討いただかなければならぬと思います。ああいう災害があった、しかも直轄河川がここ二、三年連続して切れている、こういう観点からいけば、いまの治水五カ年計画、まず六十年までの第一期と申しますか、その五カ年だと思うのですけれども、いずれにしても、これではどうもまずいのじゃなかろうか、こういう積極的な局議なり省議をもう一度やっていただいて、そしてこれを見直すべきかという検討をやるという姿勢だけは建設省は約束していただいてもいいのじゃないかと私は思うのです。その辺はどうでしょうか。
  170. 稲田裕

    ○稲田説明員 御趣旨のとおり、現在、抜本的な対策をやるにつきましてはいかにあるべきかということを局議等でも十分検討しておるところでございます。さらに今後ともその方針に沿えるように検討を続けてまいりたい、かように思うわけでございます。
  171. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員 時間がないから余りきょうは詰められませんけれども、ひとつよろしくお願いします。  それから、建設省の関係では、今度、激特事業ですか、ああいう制度ができ上がりましたが、また私の選挙区の話になりますけれども、たまたま岐阜市とか大垣市とか、あの辺の湛水をしました地域は、湛水はしていたけれども中小河川の方は、これは公共事業で見ていただけますが、それ以外に、ああいう莫大な雨量があったものですから、それによる湛水が非常に多かったわけでございます。激特制度をせっかくつくっていただきまして、たしか大垣市で幸い一つ地域指定をして取り上げていただいておりますけれども、これを機に、これは大変なところだということがおわかりいただいたと思いますので、そういうこれは大変だという地域、たとえば農林省の湛水事業に匹敵するような地域だと思うのですけれども、そういうものの都市化したところ、これはひとつ思い切ってこの際、これも大蔵省との間の問題はありますが、せっかくつくっていただいた事業をぜひ来年、五十二年度においては思い切ったひとつ予算をとって、今度災害でそういう問題の起きたようなところで、しかも災害公共で拾えないようなもの、これはその事業でひとつ思い切って拾っていただきまして、でき得るならば補助率のかさ上げもしていただきたいと思うのでございますけれども、この点について建設省の方からお答え願いたいと思います。
  172. 小坂忠

    ○小坂説明員 お答えいたします。  ただいまお話しの激甚災害対策特別緊急事業、これは五十一年度から新しく発足いたしました制度でございまして、その制度が発足いたしました初年度に、台風十七号による大変な災害が出たというようなことでございます。私どもといたしましては、この制度をフルに活用してやりたいと思っております。  ただ、いまお話にございましたように、湛水防除のための、あるいは都市浸水のためのポンプ、こういったものも大いに促進する必要はございますが、ただその受け入れ側であります本川、これがこの間は破堤したというような現状でもございます。したがいまして、その全体の調和をとりつつ施行の順序等もよく考えまして、それで積極的に採択をいたしたいというふうに考えております。私どもといたしましては、当然この制度をフルに使ってやりたいというふうに考えております。
  173. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員 もう一つ建設省でお聞きしておきたいのは、街路課長お見えになっておりますので、これは街路課長さんの方になるかどうかわかりませんが、都市局の関係で、せっかく整備していただいた都市公園とか、それから下水道施設とか、こういうものが今度非常にやられているわけであります。これについては思い切った高率補助をしていただきたいと思っております。従来、こういうものがわりあい新しい施設である、だけに、たしか思い切った高率補助がなかったように私記憶いたしておるのでございますが、今度のような激甚災害になりました場合、そして、その市町村が対象になった場合、どのくらいの補助率にかさ上げをしていただけるのか、お答えが願えればお答えいただきたいと思うのであります。
  174. 渡部與四郎

    ○渡部説明員 お答えいたします。  都市災害復旧事業につきましては、実は公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の対象事業になっておりませんので、従来、下水道を除きまして三分の一でやっております。下水道につきましては、下水道法の改正のときに三分の二の補助率が適用されまして、公共下水道、流域下水道、都市下水道について適用がされたわけであります。  いま先生おっしゃったように、都市発展といいますか、市街化の拡大に対応して、都市施設の整備をやらなければならないということでやっておりますので、そういう関係で、公園とか街路とか他の都市施設とか、そういう問題についても災害が今回も非常に多かったわけだし、今後も多くなるではないかというふうに懸念しておりまして、これについては、さらにこの復旧事業促進を図るよういろいろ努力してまいりたい、こう思っておるわけであります。
  175. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員 その率はまだ言えませんか、大体どこ並みという率を。
  176. 渡部與四郎

    ○渡部説明員 これについて財政当局といま協議検討しておりますので、ひとつよろしくお願いいたします。
  177. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員 きょうは予算委員会が行われて、こっちが言いたいことを言おうと思っていた人たちがお見えにならぬものだからあれなんでございますが、ひとつよろしくそれぞれお願いします。  厚生省の関係で二、三承らしていただきたいと思うのであります。きょう井上さんからですか話があったと思うのですけれども、けさの調査団のあれでもそういうことを言っておりましたが、結局、自分たちの家財道具がみんな水浸しになってしまって、ごみが物すごくふえた。ごみというか家財道具というか、そういう使い物にならなくなったものがあって、それはどこへも持って行き場がないものだから、たまたまためた。しかし、ためたといっても、こういう環境衛生の非常に厳しいときでございますから、これは困るということで、それをどこかに持っていかなければいけない。持っていかなければいけないけれども、その金さえ一体どこから来るかわからないものですから、そのまま放置してありまして、この間、私の選挙区でもいろいろ問題になったのでございますが、こういうごみを処理するための思い切った費用、従来はごみ処理施設がやられた場合は、たとえば新潟地震の場合なんか十分の八になっておった。だから、今度もこれは十分の八にどうもしていただけるようでございますけれども、そういうごみを処理する、どこか運んでいかなければならない。いわゆる処理場が破損したのじゃなくて、ごみそのものの処理の事業、これはいろいろ大変むずかしいようでございますが、これも余りここで期待するような率をどうも御発言いただけないかもしれませんが、これもひとつ厚生省としては、やはり特に環境衛生をよくしなければならぬというお立場なんですから、いまの建設省と同じように、財政当局がにらんでいるものだから、ここで余りいい返事ができないのだろうとは思うのですけれども、やはり厚生省のお立場としては、前向きに、当然そういうものも同じような考え方でやらなければならぬと思いますというような御答弁が願えるものと期待をしておるのでございますけれども、ひとつ厚生省の方からこの問題について御答弁が願いたいことと、あわせて、私先ほど申し上げましたが、新潟地震のときのように施設がやられた場合は十分の八やっていただけると思いますが、それも確認をさせていただきたいと思いますので、それについてもお答えを願いたいと思います。
  178. 森下忠幸

    森下説明員 お答えいたします。  順序が逆になるかと思いますけれども、施設の方からお答えをいたします。  今回の十七号台風で全国で二十四カ所の施設、すなわち、ごみ処理施設あるいは屎尿処理施設被害を受けました。その後、順調に仮復旧ないしは復旧が進んでおりまして、本日現在、六カ所が運転をとめておりますが、明日以降は運転をとめますのは三カ所ということになると思います。これにつきまして、これは予算補助で二分の一ということでやっておりますが、現地調査に当たりまして、基準の許します限り対象経費を取り上げていくということ、それから一カ所当たりの被害額あるいは被害状況、たとえば私どもの場合は施設冠水いたしましてモーターがぬれてしまった、これを乾かして線を巻きかえるとか、あるいは取りつけ道路が一部崩壊したとかいうふうな被害状況でございまして、そういったことを見ますと、従来の例と大体同じ程度であるというようなこともありまして、施設に対します補助は従前の例によって対処をいたしたいということでございます。したがいまして、二分の一ということになろうかと思いますが、新潟地震の場合に十分の八というふうなお話がありましたけれども、それは施設自体がコンクリート部分が非常に破損したというふうなこともございまして、特別の例がありましたけれども、今回、機械の一部が冠水した、これを乾燥すれば、あるいは巻きかえれば使えるというふうなことで、ここ数年間被害状況と似たような形でございますので、二分の一の補助ということで脅えております。  それから、集めましたごみを処理する話でございます。  全国で百六十ほどの市町村がまだ災害の清掃事業を継続しておりまして、最終的な事業費が固まっておりません。十九県のうち三県が清掃事業を終わったという段階でございますので、まだこれから事業が続きますし、先ほど先生おっしゃいましたように、一度出しました廃棄物が仮置きされまして、さらにこれが最終の処分地へ動くというふうなことで、かなりな経費がかかろうと思いますが、できるだけ状況を把握の上、可能な限り市町村の負担が軽減できるよう考えますけれども、これもやはり従前の二分の一という補助、これは法律補助でございますが、この範囲内でやらしていただきたい、こんなふうに考えております。
  179. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員 いまのごみ処理の事業そのものは、いろいろ従来の前例も高率のものはないのですけれども、いまの新潟地震の場合、コンクリートの基礎がやられた、私考えるのに、基礎がやられようが機械がやられようが、やられたことは同じことであるので、これは時間の関係がありますから、森下課長にぜひその辺もう一度、機械がやられようが基礎がやられようが同じであるという考え方で財政当局とぜひ折衝していただいて、十分の八になるように、ひとつ御努力いただきたいことを重ねて要請をしておきまして、次に移らしていただきます。  中小企業庁の関係でございますが、中小企業庁では二つばかりちょっと提起をしたいと思います。  一つは、農業の場合ですと農業共済制度というものがありまして、稲が取れなくなっても約五割ぐらいは大体いただけるようでございますが、中小企業の場合は全くそういう共済制度というものがないわけです。そのために、実際、たとえば四百万円、やれ六分二厘あるいは三分で貸してやるよといいましても、借りた金は返さなければいかぬですね。しかも、私はちょっと申し上げたいのですけれども、いま現地では借りに行きますと、おまえのところはもう災害でやられちゃって非常に信用上危険な状態だ、だから金も思うように貸してやれない。四百万と申し込んだら、おまえのところは三百万だ、おまえのところは二百万だと言われているらしいのですね。そういうばかげたことはないと思うのですよ。自分の経営が間違っておって悪くなったのなら、これはわかるのですけれども、全く自分はまじめに経営していた。ただ天災によって、そういう災害で自分はやられた。予期しないことでやられたわけなんで、おまえのところは将来返せる能力がないとか、そんなばかげたことでやったら、私は本当にこれはけしからぬことだと思うのですが、そういう声がたまたま私どもの耳にも入ってまいります。これはぜひそういう姿勢は、貸し付けの現在の態度は、きちんと本当に担保がなくても、この際、気の毒だということで貸してやって、そして、その企業努力に期待をしなければいけないのじゃないか。余り厳しいことをやれば、逆に企業努力がなくなっちゃって、よけいだめになっちゃうだろうと思う。だから、ぜひ温かい目で、企業努力を促進するような形で貸し付けをしなければいけない。  しかし、それはそれとしても、もっと本当に大変なのは、そういうことが言われるくらい信用度がなくなるわけなんです。そういう場合の何か保険制度というものを、この際、毎年災害がどこかで起きているわけなんですから、ひとつ中小企業庁としても、そういう貸し付け態度を改めるとともに、何か信用保険制度みたいなものを、現在の信用保険公庫でやっているような保証協会の枠をふやすとか、そんなものじゃなくて、いわゆる共済的な保険制度をひとつ考えられないか。これをやはり研究してもらいたいと思いますが、それが第一点。  時間がございませんので、お答えは一緒にしていただきたいのでございますが、もう一点は、三%と六・二%があるわけですけれども、この四百万も、これは去年改正したばかりですから、こちらも責任がありますけれども、これも六百万なり八百万なりに本当は上げるべきだと思うのですが、いずれにしてもその四百万の三%というのは非常に認定基準が厳しくて、結果的にそう大ぜいが活用されていない。私ども、そういう面で詳しいことは申し上げませんけれども、何かひとつ認定基準を緩和していただいて、せっかく三%という——しかも、いろいろあちらこちらへ出ているビラを見ると、六・二または三%と書いてあるので、やはり被災者から見ると、おれは三%もらえるんじゃないかと思う人が、ああいうのを見ていると多いと思うのです。ところが、実際には何かややこしいことを言って六・二だということでは何か欺瞞的にもとられますから、私は思い切って、ほとんどの方が三%になるように、やはり仕組みを考えていただくべきじゃないか、こう思いますが、その二点についてお答えを願いたいと思います。
  180. 岸田文武

    ○岸田政府委員 今回の災害は、不況で中小企業が大変弱っておるところに追い打ちをかけるような形で来ましたために、非常に多くの中小企業の方が困っておられる、私どもとしても非常に心配もし、できるだけの手を打たなければならないと思っておるところでございます。  いま御指摘になりました第一点の共済制度ないし保険制度について何かいい提案はできないだろうかという点、私もこの話を聞きまして、実は部内でいろいろ勉強をいたしてみました。農業の場合でございますと、風水害あるいは冷害それから病虫害、さまざまな事故が全国的に起こり得る。そういったことを背景にして広いすそ野で共済制度ができ、また保険制度ができておるわけでございますが、これを仮に中小企業に同じような考え方でやるといたしましても、やはり中小企業の場合には、もっぱら災害が対象になる。しかも、その災害の起こる地域がわりあいに限られる傾向がある。こういう点が一番問題なのではないかと思っておるところでございます。したがって、仮に制度を起こしましても、非常に事故の起こりやすい人たちだけが共済をし、保険をする。一遍事故が起こると、その制度がつぶれてしまうということにもなりかねない。もっと広い全国的なすそ野でできれば、その問題は解決できるわけですが、そういったような機運にまで本当に中小企業全体が進んでいけるかどうか、ここがポイントになるのではないかと思っておるところでございます。私どもも、せっかくの御提案でございますから、いまの火災共済制度の応用問題という意味で、一度研究させていただきたいと思っておるところでございます。  それから、現地において保証の態度が厳しくて、中小企業の方々の本当の困った声にこたえられないというケースがもしあるとすれば、私どもとしてもやはり気にしなければならないことだと思います。かねがね、こういう災害というのは一般の場合とは違う特殊の事情があるのだから、特別な配慮をするようにということを指導してまいりまして、私ども、いまのような点を頭に置いて、やはりこういう点については機動的に、かつ弾力的に対応できるように、もう一度私どもも実情を調べてみたいと思います。  それから、激甚災害法の融資について二種類ある、六・二%と三%。この三%の適用をもっと広くする工夫はないかという点でございますが、実はあの指定要件につきましては、一般の方々は、とかく現在の資産の七割が被害を受けたという点を頭に置いて、どうも厳し過ぎるのじゃないかというようなことを言われておる傾きがあるような感じがいたしますが、実は、あるいは御承知かと思いますが、要件は二つございまして、いまのように資産に対する七〇%以上の被害が起こった場合という要件のほかに、前年度の所得の一割以上の被害が起こった場合と、この二つの要件をあわせて考えてみますと、非常に問題の多い中小企業については安い金利を適用する道もある程度あるのではないか。この辺は、今度の大きな災害を実際に経験をいたしまして、なお私どもとしても実情を調査いたしたいと思いますので、この辺、よろしくお願い申し上げたいと思います。
  181. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員 農林省へ移ります。  農林省では食糧庁の関係でございますが、杉山さんかどなたかから御答弁願いたいと思うのでございますが、米の事前売り渡し申し込み、これで金をもうもらってしまっている者が相当いるわけであります。しかし、災害を受けたものでございますから、これは正直、金を払えないわけです。特に長良川決壊したところなどは、もう全滅でございますから、幾ら共済でもらったって、とてもそれを払うだけの金はないわけでございますから、これは恐れ入りますが、ぜひひとつ来年の米の収穫によってそれはお返しをする。そうして、それまではひとつ金利も取らないということを御確約を願いたいのでございますが、それが一つ。  それからもう一つは、畜産の関係で、わりあい、稲作農家と比べるとでございますけれども、畜産の関係は多少やはりつらいところが、現実にこういう災害が起きた場合あるのじゃないかと私は思うのです。いろいろな制度を見ておりますと、そういう感じを受けるわけです。そこで、そういう畜産農家にいま温かい手を差し伸べてやれる一つの方法は、私は、政府の持っていただいておるえさですね、政府の手持ちのえさを思い切ってひとつ安く払い下げてやっていただくと、やはりこれが一つの非常に彼らが元気になる要素にもなるのじゃないかと思いますので、これはぜひお願いしたいと思うのでございますが、農林省、この二点だけひとつお聞きしたいと思うのです。
  182. 杉山克己

    ○杉山説明員 概算金の返納時期の延長、それから利子の減免という問題でございますが、概算金は、これは実は確定した国の債権ということになっておりまして、法律上、延納はなかなかむずかしゅうございます。そこで、そういった支払いができるだけ損なわれないようにということで、私どもとしましては共済金の支払い、あるいはその所要資金のために天災融資法、激甚災法の発動をして経営資金を融通するというようなことを考えているわけでございます。そういうことをして、なおかつ支払いができないかどうかということは、これは個別になお検討する必要があろうかと思います。  利子の減免の問題につきましては、これは制度がございまして、被害の程度、態様に応じて、ゼロからその程度に応じた減免ができることになっております。安八町の場合なども含めまして、全般的にどう該当するかということを調べました上で、その制度にのっとって減免を図ってまいりたいというように考えております。  それから、飼料の問題でございます。確かに米が一番大きゅうはございますが、そのほかの野菜だとか果実だとか飼料作物も被害を受けております。特に自家飼料を期待しておった向きは、これから別途その飼料を購入しなければいけないという問題が生じてまいっていると思います。そういう農家に対しましては、やはり資金的な手当てをするということが第一でございますが、政府といたしましても確かに手持ちの飼料はございます。政府の場合は大麦でございます。代替飼料、大麦がどうしても必要だ、適当なものがないから政府のものを売ってほしいという向きには、その売却も十分検討いたします。  価格等につきましては、これはもう農家経営の成り立つようにということで、そういったことは十分配慮される価格になっておりますので、できるだけそういう方向で処理したいと考えております。
  183. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員 もうちょっとやりたいのですけれども、時間がないようでございますが、最後に一つ。最後というか、もう一つありますが、これはいろいろ大変言いにくいことを率直に申し上げて恐縮ですが、私ども、いろいろ地元——きょうも陳情に来ておりましたが、これは建設省に耳が痛いと思うのですけれども、あの長良川堤防決壊は、決して偶然な天災ではない、これは人災である、しかも計画的なものであるというような表現まで地元ではとっておるわけであります。その理由としては、堤防の管理が非常に不十分であった。結局あの決壊場所などは全部雑草が生い茂ってしまって、そういう漏水しておるところはなかなか発見ができなかったという問題が一つ。それから、先ほど申し上げましたが、長良川揖斐川で危険個所が非常に多いわけであります。そして、あそこも正直、危険個所の一つになっておりました。それを早くその堤防の補強をしてもらいたいと言っておったにもかかわらず、現地の上流事務所では、これはどうしても五十三年の計画に入っておるので、どうにもできないということである。言ってみれば、金さえあればできたものが、やっていなかった、こういう理由になると思います。  それからもう一つは、これは建設省の責任ではございませんが、御承知のとおり、上から参りますと、墨俣町、その南が安八町、その南が輪之内町、その南が海津郡、こういつておりまして、あそこは長良の輪中というのがありまして、ちょうど切れたところの安八町とその南の輪之内との間に輪中という一つの堤防がある。低い堤防ですけれども、堤防があります。その堤防の間、ところどころに通路がありまして、そこを自衛隊が出動して締め切ったわけです。だから、当然下流へ流れるべき水が流れないで逆流をして、安八の北部なり墨俣が水につかった。だから、御承知のとおり十時半ごろ決壊したにもかかわらず、墨俣町は、その朝の十時半から八時間後の六時過ぎに水につかった、こういうことなんですね。言ってみれば、おれたちは本当は水につからないんだけれども、結局はあそこでせきどめをされたために水が逆流して、おれたちはつかったのだ、こういうことなんです。  だから、そんな人災なのに、おれたちのところはみんな連絡も遅かったということもあるし、仏壇からテレビから何もかも全部やられちゃった。一体、個人的な家財道具をなくしたことに対して何をしてくれるのかというのが一番大きな要望だと私は思うのです。  だから、確かに公共事業関係は、いまいろいろお話ししておって、これから補助率を幾らにしていくかということと、自治省からの特交その他でどうするかということで、これは相当できるのじゃないかと私は思っておるのですけれども、そういう個人の財産を喪失した者に対しての補償というものが何らいまのところ決められていない。大蔵省も来ていただいたと思うのでありますけれども、これは何か考えないといけないのじゃないか。委員会でも何かそういう小委員会をおつくりいただけるようでございますから、この委員会でもぜひ皆さんで研究していただきたいと思いますが、そういう点を本当に何か考えなければいかぬと思うのでございます。きょう、どなたか大臣がお越しをいただいて御答弁いただきたいと思いましたが、果たして御答弁いただけるかどうか存じませんので、先ほど申し上げました実力者政務次官がいらっしゃいますから、ひとつ政務次官会議あたりでも関係政務次官で御協議をいただくなり、あるいは国土庁が災害の窓口でございますから各役所をひとつお集めいただいて、こういう問題に対してどう対処するのか、やはり御協議をいただくのが至当ではなかろうか。そして、何らかの措置を考えないと、災害に遭った人たちの気持ちは、公共事業で直してやるくらいでは正直、とてもおさまらない。非常に険悪な空気になっておるわけでありますから、社会的な不安を醸し出さないためにも、それからまた将来に備えて、そういう災害に遭ったら、やはり国がある程度めんどうを見てやる。それは何も金額の多寡じゃないと私は思うのです。国が温かい気持ちをそういう者に差し伸べるかどうかというのが私は問題だと思いますので、これはぜひ政治的な問題としてお取り上げをいただきたいと思うのでありますが、実力者政務次官、江藤さんからひとつ御答弁を願いたいと思います。
  184. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 けさほどから御意見があったわけでありますけれども、現在、個人の家財その他についての補償制度が実はございませんで、今回の災害については、各地において、これに対して何とか措置をすべきだという御要望が非常に強いということは、諸先生方の調査団の御報告でも、それぞれけさほど来拝聴さしていただいたわけでありますし、また御意見も賜ってまいりました。  したがいまして、まず今回の災害につきましては、個人のそうした災害に対する調査が完全に行われておるとは言えませんので、これは物理的にはなかなか困難だということもありまして、できなかったわけでありますが、しかし、いまからでも遅くはありませんから、推計でもひとつやってみたらどうだろうか、どの程度の個人被害があったのか。それから、個人災害共済制度をつくったらということで、三年ほど総理府で検討した時代もあったわけでありますけれども、とうとう物にならずに今日に実は至っております。  しかしながら、これは公共災害についての対策は適切に行われても、一人一人の生活が脅かされるという今日でありますから、何らかの方途を講ずるのが政治家の責任ではないか、このようにも考えておりますので、各省とも連絡の上、この問題は今回の教訓を十二分に生かして検討してみたい、このように思っております。
  185. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員 ぜひお願いをいたします。  これで終わります。
  186. 柴田健治

    柴田(健)委員長代理 森下元晴君。
  187. 森下元晴

    森下委員 台風十七号につきましては、早速、当委員会より被害地でございます南四国の高知、徳島へ委員団を派遣していただき、非常に精力的に詳細に調査をしていただきまして、心から御礼を申し上げたいと思います。  私も現地参加をいたしまして、つぶさに調査をいたしました。  そこで、まず国土庁の江藤政務次官に御質問をしたいと思います。  国土庁は、いわゆる国土の保全、防衛、国の安全保障問題を担当する非常に大事なお役所でございまして、災害大国と言われておりますわが国におきまして非常に重要な役目を持っておる、民生安定上非常に大事なところでございます。     〔柴田(健)委員長代理退席、金丸(徳)委員長代理着席〕  今回は、御承知のように、オホーツク海商気圧の冷温によって東北、北海道では非常な冷害のために被害を受けております。また、台風十七号によって、ただいま質問がございました武藤さんの地域の中京地域、また兵庫県、それから南四国が実は大きな災害を受けております。  そこで、まずお伺いしたいのは、国土の防衛、保全、同時に国の均衡ある発展を図っていくためにも、災害の常襲地帯、特に台風の銀座と言われております九州の宮崎県とか鹿児島県、四国の愛媛県、周知県、徳島県、こういう地域はもう台風災害復旧のために地方の財政も非常な圧迫を受けておる。それだけ他の地域に比べて格差がますます増大をしておるわけです。それにつきまして、ただ災害だけの問題じゃなしに、やはり国土の均衡ある発展という点から考えましても、国土庁としては、この災害復旧に全力を挙げていただくと同時に、そういうハンディを背負った地域のために、かなり他の省とも連絡をしてやってもらわなくてはいけないというふうに私は思うわけです。  そこで、江藤次官に、国土庁としてのそういう意味の使命感と申しますか抱負について、一言御所見を伺いたいと思います。
  188. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 ただいま森下先生から御意見がございましたが、たしか昭和三十三年ごろでしたか、台風常襲地帯の災害防除に関する法律とかなんとかいう長ったらしいむずかしいものができまして、その当時は、御意見のように、鹿児島県とか、私の宮崎県とか、あるいは四国とかいうようなところが台風常襲地帯だということで、ああいう特別立法措置がなされたわけでありますが、大変幸いなことに、私どもの南九州なかんずく宮崎県というのは、この十年近く実は台風がやってきませんで、あの特別措置法が魔よけの役を果たしたのではないか、こういうふうに、その効用というものを違った意味で大変評価をしておるわけであります。しかしながら、最近こういう台風の常襲地帯の形が変わってきたということと、思いがけない地帯に台風があるという中で、高知、徳島、こういう県は二年にわたって大被害をこうむるという実に痛ましい状況になりました。私ども同じこうした関係の地域に生をうけた者として胸の痛む思いがするわけであります。  こうした建設事業あるいは災害復旧事業等につきましては、天野長官はことのほか堪能な方でもございます。先ほど武藤先生から、治水五カ年計画の八兆円というのも少ないではないかという御意見があったのでありますが、天野長官は、社会投資の百兆円というものの中で八兆円という治水事業が、こうした台風の教訓等を生かして、一体これから十分治水の役割りを果たし得るかどうかという全体的な検討を一回してみる必要があるということを今回特に申されておりまして、国土庁としても、今後国土を守っていくという立場から、そういうことは積極的に一回建設省とも御相談をしながら研究を重ねてまいりたい、こう思っておるわけであります。  なかんずく、お尋ねの例年災害を受ける、それがきわめて激甚であるという地帯の国土の保全、そして災害復旧、恒久的な安全のいわゆる保障というものについては、今後、治山治水あるいはその他の総合政策を通じて、私どもは各省とともに緊密な連絡をとって取り組んでいかなければならない、こういうふうに考えておるところでございまして、今回いろいろと直接に地元でこういう災害にお遭いになられたわけでありますから、今後ともに私どもに対しても貴重な御意見を率直にお聞かせをいただき、また御叱正等も賜って、われわれ行政府も国会も一体となって今後の台風災害に備え得るような体制固めをするために、ひとつお力添えを賜りたいと思う次第でございます。
  189. 森下元晴

    森下委員 災害は忘れたころに来るとか、のど元過ぎれば熱さ忘れるとかいう言葉がございますけれども、今回のこの四国を襲った台風、特に徳島県の場合は、昨年の五号、六号台風で大きな痛手を受けた地域でございます。昨年に引き続いて本年も甚大な災害を受けたものですから、地域住民の方々は、もうこの土地には住めないと、非常な不安感が地域に満ち満ちております。  そういうことで、私も今回調査いたしまして特に感じましたのは、去年の災害はいわゆる水災害、非常に降雨量も多かったし、河川はんらんして川の流域にある家屋がかなり被害を受けた。しかし、今回のこの十七号台風による被害は、どろ台風と申しますか、土台風、いわゆる山の崩壊というよりも、むしろ山が溶けるような状況で、やはり急傾斜地域に住む山村の方々が、この土地には住めない、何百年間も先祖伝来住んでまいりました土地というものに非常な不安感を覚えるような結果を実は及ぼしております。  そこで、この治水計画とかまた治山計画、いわゆる治水治山という問題がございますけれども、治水五カ年計画で努力はされておりますけれども、治水もさることながら、やはり治山の効果を上げることによって治水の効果も上がるのだ。どうも治水に比べて治山の方がおろそかになっているような感じを今回の災害で受けたわけです。山が溶けて流れるわけですから、幾らりっぱな堤防をつくったり、また護岸工事をいたしましても、埋まってしまえばそれまででございます。また、山が崩れて川をせいてダムのような障害物になっている。それが一挙に決壊した場合には甚大な影響を下流に及ぼしておる。それで今回の災害が土災害であるというふうに私は感じます。   そこで、建設省それから農林省の方にお伺いしたいのは、やはり地すべり地域とか治山をやっておる地域状況を見ました場合に、農林省と建設省がばらばらに、その地域で多少なわ張り争いをやっているのじゃないかと思うような地域がございます。建設省の方が川の上流で一生懸命事業をやっておる、林野庁関係の方が下の方でやっておるとかいうことがありますが、やはり国土庁あたりがその仲介役になって、この地域は林野庁のなわ張りである、この地域は建設省のなわ張りである、そういうふうにする。同じ砂防堰堤をやるにしても、林野の砂防堰堤と建設省の堰堤は多少技術的な感覚が違うと私は学んだことがございまして、そういう点もひとつ国土庁の方でも御調整を願いたいと思うわけなんです。恐らく私の心配するようなことはないと思いますけれども、建設省の方の係、また林野庁の方の関係者の方から、建設、農林の方で協調してやっているのだということの御発言をひとつお願いしたいと思います。
  190. 中村二郎

    ○中村説明員 お答えいたします。  砂防事業と治山事業の所管につきましては、先生御指摘のふうに、施行個所がきわめて近接しておるということと、もう一つは工法が、これもきわめて類似しておるわけでございます。こういう関係で、従来からややもするとその所管区分について不明瞭な点もあったわけでございますが、昭和三年に、そういうことに関しまして、砂防工事と荒廃復旧等に関する事務の権限整備に関する閣議決定がなされておりまして、それによって現在までやってきたわけでございますが、昭和三十八年に、さらに両事業の調整を密にいたしますために、両省におきまして中央及び都道府県に砂防治山連絡調整会議を設けまして、十分、事業の計画、実行、管理面につきまして調整を図っておるつもりでございます。また、災害が起こりました場合には、現地におきましても調整を行いますし、また中央におきましても十分そういう重複につきましても調整を図ってまいりたいということでやっておりますが、今後もこういう方針で十分慎重にやってまいりたいと考えております。
  191. 藍原義邦

    ○藍原説明員 ただいま建設省の方からお答えございましたけれども、林野庁におきましても全く同じような考え方で、今後とも円滑に推進し、流域単位の保全が効果を十分発揮するように対応してまいりたいというふうに考えております。
  192. 森下元晴

    森下委員 河野一郎先生が建設大臣をやっておったときに、ちょうど建設省と林野庁で砂防課長を交換して、意見の調整を図ったことがあったように思います。それをちょっと思い出しました。実は私もその方の技術を多少学んだことがございますので、建設省と農林省では砂防堰堤にしても多少ニュアンスが違うようなことを聞いておりましたので、その点十分建設と農林の方で治山工事等についても連絡調整をしていただきたいと要望をいたします。  実は、今回調査に参りました徳島県の山村でございますけれども、木屋平村とか穴吹町、一宇村、それから神山町、いずれも過疎地域でございまして、町村財政も非常に貧弱なんです。木屋平村なんかは、村の財政が九億月で、そのうちで税収がわずか千五百万しかない。問題にならぬぐらいの貧弱な財政の中で大変な被害を受けております。そういう地域に参って、冗談も出ましたが、ちょうどあの地区は全国的に有名になりました剣山のオロチの出たところでございます。オロチ退治隊を編成してどうこうという話が新聞紙上をにぎわしましたけれども、とにかく本当の山間僻地でございます。特に今回の災害で山が動き出した。家はりっぱに建っておりますけれども、大きなクレバスができまして、いつ山そのものが崩壊するかもわからない。そういう場合の集団移転の問題を真剣に関係の村長さんや町長さんは考えておりました。ただ問題は、そういうような地域でございますから、適当な土地を造成する場所がございません。したがって、やはり三十キロも四十キロも下流に下がったところに土地を求めなくてはいけない。そうなりますと、中には少々危険でも、どうしても先祖の墓のあるところに残りたいんだという方もあるし、またいろいろ急傾斜地域でたばこをつくったり、また養蚕、お蚕さんをつくったり、またコンニャクをやっておる。そういう自分の仕事と住居がかわるものですから生活に困る、急に都市周辺に出て、他の産業に従事するわけにいかないというようないろいろな悩みがあるようでございます。だから、そういう意味で、集落の集団移転で結局一〇〇%同意しなければできない、対象にならぬとか、いろいろわれわれも聞きましたけれども、その点につきまして国土庁の係の方に、災害等による部落集団移転についての具体的なお考え、またほんの一握りの方が反対するためにできない場合にはどういう方法でやればいいかということをひとつお教え願いたいと思います。
  193. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 お答え申し上げます。  ただいまお話がございましたように、災害があったところは、そこで完全に復旧が可能であれば、それはまたそれにこしたことはないかもしれませんが、いろいろお話がございましたように、再びまた災害が起これば生命、身体、財産について保障ができないといったようなところもございます。そういったものについては、できるだけ集団的に移転をしていただくということで、そういった問題に関する財政特例法もあることは御承知のとおりでございまして、事柄が生命、身体、財産、そういったものにかかわるわけでございますから、集団移転の場合は全部引っ越していただくということが一番いい方法だと思うのでございます。  ただ、いまお話しのように、長い間住んでおったところで、なかなか離れがたいというようなこともございましょうし、また近いところに適地が見つからない。全部で移転するということでございますから、かなり広いところであり、また再び災害が起こらないような、そういった適地が必要になるわけでございますから、近いところになかなかないということになりますと、かなり遠隔なところにそういった集団移転のための土地を整備していくということになるわけでございます。そうなると、今度は就職の問題等も心配であるというようなこともございまして、なかなか一遍に移転ができないといったような問題がある事例も承知いたしておるわけでございます。  しかしながら、ただいま申し上げましたように、事柄が生命にかかわることでもございますので、私どもとしてはできるだけ集団で移転をしていただくということでございまして、就職等で難があるというような方々につきましては、そのいろいろな計画の中でそういった対策を十分織り込み、また計画にはそういうことを織り込むようになっておるわけでございますが、それと同時に、具体的に都道府県、特に地元の市町村と相談をいたしまして、その方の就職のあっせん、あるいはまた就職のための職業訓練、いろいろな問題がございましょうが、そういうものを含めて、できるだけ御本人の同意を得るように努力をいたしまして、再び災害が起こって問題が起こるような地域は、集団的に移転していただきたいというように指導してまいりたいと考えている次第でございます。
  194. 森下元晴

    森下委員 次に、林業問題について、ちょっと林野庁の指導部長さんにお伺いしたいと思います。  急傾斜地域の林道、これは農道なども同じでございますけれども、一定の幅員がなければ非常に補助率が違います。しかし、急傾斜地域では一メーター幅員を広げるということは大変な経費がかかるし、またそれによって山の崩壊の原因になる。だから、実情に合ったような、たとえば三メーターの道路でもよろしい、しかし地形によってはところどころに待避所をできるだけ多くとる。そういう方法でできるだけ補助率の高いものに、林道とか農道の基準というものを地形に合ったように直していただきたい。無理をしてずいぶん広い道を全面的につくりましても、かなり崩壊の原因になるし、かなり単価も高うございますので、われわれが現地を見ましても非常に不合理な点があると思います。  それから、もう一つの問題は、林業の被害調査が非常におくれております。公共的な被害についてはかなり早く結論が出るんですが、また住宅なんかも早く出ますけれども、林地の被害とか、特に立木の被害は三年もたった後で山へ行って初めて大きな損害があったことがわかる、こういう例がございます。特に今回災害を受けました木頭村とか、また神山町とか木屋平村、また穴吹町とか一宇村、こういうところの林業家は、そういう不時の災害に備えて林業をやっておる、また森林を持っておるという方が非常に多いわけです。それがかなり災害を受けたわけでございまして、残った山を売って家を直したり、またいろいろ後の仕事のためにそれを使わなくてはいけない。だから、早く災害調査ができて、できるならば町村被害証明というものを早く出していただけば、所得があった場合でも税務署でいわゆる減免措置がある。そういう手続が非常におくれるし、また地方の行政指導が非常におくれておるようなきらいがございますので、この点特に林野庁の方からも森林組合等を通じまして御指導いただけるようにお願いしたい。  それから、五年以下の植林の場合には、これは保険にかかっておりますが、実は昨年の災害に対してもまだ調査ができておらない地域があったようでございますので、こういう点もあわせて、山村においては収入の根源でございますこの林業問題についても、やはり林野庁が積極的に取り組んでもらいたいと思います。  この林道の問題と両方あわせて簡明にお答えを願いたいと思います。
  195. 藍原義邦

    ○藍原説明員 お答えいたします。  林道の問題につきましては、先生御指摘のように、地形によりましては、国土保全上の問題あるいは地形の急峻なために、幅員が一定の規格以上にならないものもあろうかと思います。これらの問題につきましては、今後、林道の種類もいろいろございますので、そういう中で対応できるようなことを十分検討してまいりたいというふうに考えております。  それから、森林の被害でございますけれども、森林の被害につきましては、保険に入っておられる方は保険が出るわけでございますが、先生御指摘のように、徳島県におきましては、昨年、一町の例でございますけれども、百件に対しまして四十件が未調査であって、それがまた被害を受けるというような事例もあったようでございます。私どもといたしましても、県からそういうものの調査が出てまいりましたら早急に対応いたしますし、県の方でもそういう調査を早急に行い得ますよう今後指導してまいりたいというふうに考えております。
  196. 森下元晴

    森下委員 次に、内水の災害、いわゆる一級河川堤防内の冠水、湛水と申しますか、それの内水排除の問題について申し上げたいと思います。  これもやはり徳島県の例でございますけれども、鴨島町という町と石井町という町、ここに江川という小さい川がございます。その川と飯尾川という川がございまして、これはかなり有名な川で、いつも大水のために冠水をしておる。内水排除が非常にむずかしいという問題なんです。古野川、四国三郎という大きな川がございまして、りっぱな堤防ができておりますけれども、一面やはりりっぱな堤防のために内水が排除しにくい、いわゆるポンプアップをしてくださいというような陳情も実は受けまして、建設省の方でもこの問題には非常に頭を悩ましておるようでございますけれども、将来ともやはり一級河川はりっぱな堤防ができると同時に、支流等のはんらんによる内水排除の問題が出てくると思うのです。やはり川をいかにして治めるべきか、昔のように家が流れるとか家畜が流れるような大きな災害はなくなりましたけれども、やはり副次的にそういう悪い意味の副作用も出てくるわけでございますし、こういう点、どういう対策があるかどうか、これも簡明に建設省からお答えを願いたいと思います。——それでは、政務次官にお答え願いたいと思います。内水排除の問題もいろいろ共通の悩みでございますので。
  197. 中村二郎

    ○中村説明員 砂防課長でございますが、治水課長が席を外しておりますので、かわりに答弁いたしたいと思います。  内水排除につきましては、河川局におきましても重点的に実施しておるところでございまして、ただいま先生から御指摘のありました中小河川、一級河川を含め重点的に実施しておるところでございますが、この点につきましては、担当課、局長にもただいまの御質問の趣旨を伝えたいと考え  ております。
  198. 森下元晴

    森下委員 それでは最後に、また政務次官にお尋ねしたいと思うのです。  その前に、これは質問でございません。今回の災害について、数日間も山村僻地は孤立いたしました。そのときに、やはり一番民生安定のために役立っていただいたのは、実は自衛隊でございました。全国各地災害がございまして、自衛隊の方も非常に引っ張りだこだったと思うのですが、徳島県の方は大阪の信太山の部隊が参りまして、  ヘリコプターを使ったり、率先してレンジャー部隊が道のないところにワイヤーを張って人命救助、また物資の補給、食糧の補給、そういう意味で、われわれが回っていきましても、自衛隊防災活動、救助活動には非常な感謝を実はしております。そういう意味で、恐らく国土庁の方も将来こういう災害に対して自衛隊の方との連絡を非常に密接にされると思うわけでございますけれども、やはり一番地域住民が安心したのは、自衛隊に来ていただいて、それで初めてほっと安心したんだという生の声をわれわれは聞いたわけでございます。これは感想を申し上げるわけでございます。そこで、先ほども江藤政務次官も言われましたけれども、今回の内閣の改造で、いろいろこの内容はあると思いますけれども、国土庁の人事というものは、私はまことにすっぱりしたと思います。やはり国土庁の仕事というものは、文句じゃなしに、決断と実行ここにありという面で、天野長官にしても江藤政務次官にしても、決断と実行の権化のような人でございます。天災融資法の発動の問題、激甚地の指定の問題も早急にひとつ調査をしていただいて、早急に指定をしていただきたい。  実は昨年の家屋流失、崩壊等に対しましても、激甚地の指定等が非常におくれまして、家を建てたくてもなかなか金が借りられない、また同じ五分五厘ですか、それと三分五厘ではかなり金利の差もあるということで、関係地域はやきもきした例もございます。そういうことでございますから、この前よりも災害家屋等についてもかなり多いようでございますので、この点ひとつ天災融資法の発動、また激甚地の指定について早急に指定をしていただくようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。  最後に政務次官から、ただいまの問題について御決意をお聞かせ願いたいと思います。
  199. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 午前中の兒玉委員長からの視察の報告にも、自衛隊とそれから消防団が非常に活躍されて住民の感謝の念を集めておるという旨の御報告が実はありました。私どもも、この非常防災対策本部に実は防衛庁の出席もレギュラーとして求めまして、今災害に対するいわゆる取り組み方、なお今後に対する反省、これは消防庁、警察庁、各関係機関ともどもに、今後の予算措置等のこともございますから、いろいろと話を承って、今後国土庁でもってこうした非常対策に備える措置というものはもう万全を期していかなければいかぬ、それはまた一省だけでできることではございませんから、各省の連絡調整を密にして、これはもう政府全体が火の玉となって取り組んでいく、こういう姿勢をひとつ示していこう、実はこういうふうに話し合ってまいったところでございます。  つきましては、この激甚災指定については、こういうさなかでありますから、各関係者の御安心を願うためにも、本来ならば、これは九月中にでもやるのが本当でありまして、これは建設、農林、関係省、非常に急いで、体制が整ったわけでありますけれども、中小企業関係のが形態が少し違いますのと、取りまとめに若干時間を要しまして、十月四日ごろでないと実はこれがまとまらない。せっかくやるならば一緒にやった方がいい、こういうこともございまして、ぎりぎりの十月八日の閣議でもって正式決定をしよう、実はこういうふうに取り運んでまいっておるところでございます。  今後ともに、国土庁の設置された目的からいたしまして、懸命に大臣を補佐して取り組んでまいりたいと思いますので、一層のまた御叱正を賜りますようにお願いを申し上げて、御答弁といたします。
  200. 森下元晴

    森下委員 終わります。
  201. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員長代理 次に、久保等君。
  202. 久保等

    久保(等)委員 今回の台風十七号災害、たった——たったといいますか、ただ一つの十七号台風自体によって、全国的にきわめて大変な激甚災害をもたらしたわけなんですが、その中で、先ほどお話がございましたように、従来から台風常襲地帯と言われておったそのパターンから最近きわめて特異的な現象が出ておりますことは、私の郷里になりますが、四国の香川、従来から最も災害の少ない県だと言われておったのですが、すでに国土庁の方からの御報告によって見ましても、特に死者等が、全国一多い五十名といったようなものが出る、まことに惨たんたる災害に見舞われたわけです。しかも、その中心的な、非常に災害を受けました例の小豆島ですが、これはつい一昨年の例の台風によって死者が実に内海町で二十九名という多数に及んだのですが、また今回の台風によって、この地域におきましても、これまた大変な死者を出し、小豆島全体で見ましても、実に三十九名に上る死者が出るといった惨害をもたらしたわけなんですが、それだけ台風災害に対する対策が従来余り行われておらなかった。そもそも台風のパターンも最近少し様子が変わってきたのじゃないかと思うのです。台風に直接襲われたわけではないのですが、御承知のように、一昨年のあの台風八号でしたかにいたしましても、九州の西の方を通って日本海の方へ入って右ヘカーブする、そういう台風によって小豆島が集中的な豪雨に襲われる。本年のこの台風十七号も大体同じようなコースをたどった台風で、いま申し上げましたように、香川で五十名の死者を出す。もちろんその他の災害もかつてない大変な被害を受けたわけなんですが、こういうことについては、私は、台風そのものに対して根本的にもう少し日本そのものが科学的な研究、たとえば気象観測等の問題についても十分に考えていかなければならぬ問題が最近出ているんじゃないかと思うのでして、台風といえば大体風と雨が同時に来るのが一般常識であったと思うのですが、今回の場合は、御承知のように、風はほとんど吹かないが集中的な豪雨が降った。こういったようなことによって、いま申し上げたようないわば大変な死亡者を出すというような結果になったと思うのですが、そういう点を考えると——きょうは私はそのことについてはお尋ねしようと思ってないのですが、気象観測等の問題について、国としても国土保全の立場からもう少し根本的な対策、予防、こういったことを考えるべきじゃないかと思うのです。いつも台風その他の災害も忘れたころにやって来ると言われておりましたが、最近では忘れない、実はまだそのつめ跡が残っている状態の中でまた同じような形の災害に見舞われる。そういうようなことについては、まずそういった台風を未然にできるだけ的確に察知をして、その被害についても予想するというようなことを考えてまいりますならば、死亡あるいはまたその他の被害をある程度事前に、予防によって食いとめることができるんじゃないかというふうに考えますので、その点については国土庁の政務次官もおいでになっておりますから、ぜひひとつ政府としてそういったことについてもう少し、何と言いますか、科学的な立場から、災害防止について力を入れるということに意を注いでいただきたい、そんなふうに考えるのですが、その点一言お答えを願いたいと思うのです。特にいま申し上げたように、災害予防の以前の気象観測等を中心にした科学的な研究、調査、こういったことをひとつ政府として、内閣全体として、これは各省庁に関係いたしますので、一省二省といったことではなくて、非常に広範な関係があると思うのです。運輸省ももちろん非常に大きな関係があると思うのですが、国土庁は直接国土保全の立場で関係はもちろんあるわけですから、一言お答え願いたいと思うのです。
  203. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 的確な気象観測なくして災害対策というのはあり得ないと私どもも思っております。したがいまして、気象衛星の打ち上げによってこれらに果たしてきた役割りはきわめて大きいと思いますし、いま気象庁でも今後の気象観測、この災害対策等についてどうしたらいいかということを、予算要求を含めて鋭意検討しておると承っております。  そういうふうないわゆる予防体制を整えるということと、もう一つは、やはり日本の国土そのものが七割が山でありますから、いつでも災害が起こり得る可能性がある。ひとり台風常襲地帯であるという考え方ではなくて、日本全体が台風にいわゆるさらされる地帯であって、こういう災害を生む可能性がある。こういうこと等も念頭に置きまして、今後の災害対策等に取り組んでまいりたいと思います。
  204. 久保等

    久保(等)委員 連日連夜関係当局の皆さん方が、今回の台風災害に対する復旧あるいは援助、そういったことで大変御努力になっている点は心からその御労苦を多としたいと思うのです。  ところで、早速災害関連事業に関係したことで一、二お尋ねしたいと思うのです。主として建設省あるいは農林省に関係があると思うのですが、土石流だとか浸水等によって災害を受けた、当然これは緊急に復旧しなければならぬわけでして、緊急砂防事業の実施だとか、あるいは激甚災害対策特別緊急事業、こういったようなことを指定いたしまして実施をしてまいると思うのですが、その場合に、やはり従来の経験にかんがみて、基準を緩和するというか、あるいは指定地域を従来より広げるとか、そういったようなことが——年々歳々災害を経験いたしておるわけで、そういう立場から、今回大変な激甚災害を受けたことによってそういったことについての検討をしておられると思うのですが、そういったことについてのお考えをひとつお示し願いたいと思います。  それから、同時に、激甚災害対策特別緊急事業につきましては、前々から各地方自治体あたりからぜひひとつ補助率を四分の三くらいに引き上げてもらいたい、あるいは緊急対策事業という性格からいっても三年以内くらいにそれが完成するようにしてもらいたい、こういった要望等が予算編成時のあたりに出ておったと思うのですが、そういったことに対して、私は、こういう機会をとらえて、今後の再発防止という観点からいっても、基準の引き上げだとかあるいは範囲の拡大というようなことについてお考えをいただかなければならぬのじゃないかと思うのですが、こういったことについてどういうことをお考えになっておるのか、ひとつできるだけ具体的にお答えを願いたいと思うのです。
  205. 中村二郎

    ○中村説明員 お答えいたします。  緊急砂防についてお答えいたしたいと思います。緊急砂防事業の採択につきましては、けさほども政務次官がこの席で御答弁申し上げたわけでございますが、大蔵省とも十分協議の上、逐次採択基準を現実に即した形に改めながら実施運用しておりまして、現在の採択基準も相当大幅にとれるようになっておりまして、採択の点については、われわれといたしましては特に支障がないと考えております。  なお、補助率の引き上げでございますが、緊急砂防につきましては、現時点におきましては他の事業との関係もございまして非常にむずかしいわけでございますが、たとえば本年起こりました香川県の小豆島の災害等につきましては非常に激甚な土石流による災害でございまして、われわれといたしましては激特事業によって対処いたしたいということで現在調査をいたしておるわけでございます。激特事業になりますと、現在は補助率が三分の二でございますが、五十二年度より補助率を上げるよう現在財政当局と折衝中でございます。  なお、復旧の期間でございますが、緊急激特事業になりますと、災害が起こりました当該年度を含みまして三年の間に復旧するということでやっておるわけでございますが、残念ながら小豆島につきましては四十九年災の激特事業につきましては、工事施行能力という点におきまして、また県財政の都合もございまして、実は一カ年延期をしておったというのが現状でございます。しかしながら、本年の災害におきましては非常に激甚な災害でございまして、県も全力を挙げてやるという体制にございますので、できるだけ早く事業を実施いたしたいと考えております。  以上でございます。
  206. 久保等

    久保(等)委員 それから、御承知のように、特に香川の場合ですと、大きな山があるわけではないのですが、しかし小さいながら傾斜が比較的急で、しかも土質、地質が非常に大きな問題だと思うのです。あそこは大体花崗岩地帯なんですが、その花崗岩が風化して小さな砂のようになっている、いわば砂地といったようなところが非常に多いわけです。そういった関係があって、急傾斜地の崩壊対策事業の面から見て、従来おやりになっている実績は、けさほどからもちょっとお話があったように、四十七年にお調べになった六万カ所というのも長さが五メートルですか、角度三十度といったようなところを対象にしてお調べになったようですし、現在やっておるのは距離の面では十メートル以上といったようなことで手をつけて実施に移されておるようですが、その五メートルに至らない、あるいは十メートルに至らないといったような長さのところではあるけれども、今回、現実に海岸線あたりのところで、随所で崩壊を起こし、同時にもちろん人家もあるわけですから死者が出るということが現実に被害として出ておるわけですが、こういったことにかんがみて、この急傾斜地の、いま言う緊急対策事業について現行の基準を再検討しなければならぬという問題に直面しておると私は思うのですが、このことについてどんなふうにお考えになるか。特にこの地帯における問題については、早急に解決してまいりませんと、それこそ一昨年とにかく大惨害があって、また本年もすぐ隣の町で、小さな島でありまするが、すぐ隣の町、池田町あたりで大変な人命を失っておるわけですが、こういったことを考えると、この点についてはぜひ私は現状を十分に把握していただいて、現地状況にマッチした形で緊急対策事業を施行していただきたい、こんなふうに考えるのですが、どんなふうに判断しておられますか、お考えをお伺いしたいと思うのです。
  207. 大工原潮

    大工原説明員 お答え申し上げます。  現在の採択基準は、先生御承知のように、十メートル以上三十度以上ということでやっております。現実に六万カ所の調査の時点では五メートル以上ということでございましたが、一応補助対策といたしました十メートルの決定根拠といたしましては、過去の災害の事例をいろいろ分析いたしまして、そして被災の度合い、激甚さというものから判断いたしまして、一応十メートル以上というのは、対策等におきましても非常に大規模になる、それから死者等が発生する、あるいは人家等が全壊に至るというふうに、被害の程度の判断かち一応十メートル以上に対しまして国が補助しようということでいまやっておるわけでございます。  十メートル以下のものにつきましては、全然被害がないということではございませんけれども、激甚な被害に及ばないということと、それから非常に規模が小さいということで、現在のところ各都道府県等で単独費でもって処置していただいておるというのが実態でございます。  私どもといたしましても、それらの基準につきましては、従来から財政的な面、あるいは人家戸数の面で、実は本年度から五戸まで緊急の場合は採択するというふうに拡大してきたところでございまして、一応対策事業の規模の面から現在のところ十メートル以上を補助対象として考えております。  将来にわたりましては、先生御指摘のように、現在六万カ所というふうに個所数を非常に多く抱えておりますので、経済効果等の面から、そういった地域に対しまして重点的に、積極的に対策事業を実施してまいりたいというふうに考えております。
  208. 久保等

    久保(等)委員 その御答弁は大体一般論の御答弁なんですが、私、具体的にお尋ねをしておりますように、小豆島の場合について、現地ももちろん関係の方がおいでになって状況を把握しておられると思うのですね。これは先ほど来申し上げておりますように、人命をなくしたといったような非常な被害が出ておるところですから、六万カ所のすでに調査をされたところ、この中にも小豆島の場合も相当含まれておるのではないかと私は思うのです。したがって、そういったところについては、これは現実に災害が起きたのですから、そいう立場から重点的に取り上げて、対策を具体化して実施していくような方向でお考え願いたいと思うのです。  これはもちろん中央官庁で直接やることではなく県がやるわけですけれども、しかし県、地方公共団体と連絡なり、あるいは一体になって、これは財政的な問題もあるわけですから、そういった点については先ほどもちょっと申し上げておりますように、できるだけ財政援助の面でも中央は中央なりの御協力を一層いただいて解決していただかなければならぬじゃないかと思うのです。  そういう点で、いま具体的な例でお尋ねしているのですが、小豆島の場合について、特に今度の惨害にかんがみて、計画にのっけなければならぬとか、あるいは具体的に検討しなければならぬとかお考えになっておるのかどうか、そこらをもう少し突っ込んだ御答弁を願いたいと思うのです。
  209. 大工原潮

    大工原説明員 小豆島の災害につきましては、四十九年にもかなり大災害を受けておる。特に例の橘地区等につきましては、従来から急傾斜地対策事業をやっておったわけですけれども、その範囲を超えます非常に高いところから崩壊が始まったというようなことで、ああいった実態を踏まえまして、私どもといたしましては急傾斜地崩壊対策事業以外の事業でもとれるものはできるだけ積極的にとっていこうということで、橘地区につきましても緊急砂防等で対応して、流路等の整備を図ったわけでございます。  今回の場合も、小豆島災害につきましては、急傾斜地そのものよりもむしろ土石流災害的な被害が多うございます。急傾斜地の対象の個所につきましては、もちろん積極的に対策事業を実施する予定でございますけれども、そういった土砂災害の実態を踏まえまして、土石流対策としての緊急砂防事業等と、あるいは治山事業等と調整を図りながら万全の策をとっていきたいと考えております。
  210. 久保等

    久保(等)委員 いま橘地区というお話が出たのですが、確かに一昨年はあそこでもって約二十九名の死者が出て、内海町では大変な被害が出たところなんですが、今度の池田町というのはまたすぐ隣の町でして、例の谷尻といわれる地区でやはり約三十名近い死者等が出ておるわけです。     〔金丸(徳)委員長代理退席、柴田(健)委員長代理着席〕 だから、もちろん急傾斜地で救えるというか、それでやれるところはやる、あるいは土砂流の関係で救えるところは救う。そういった形で、要するに結論としては、何らかの形で災害がそれこそ二度と起こらないような緊急対策事業を実施していく必要があるのではないかと考えます。  特に、いま土砂流の問題でお話が出ましたが、それに関連して、これはあるいは厚生省にも関係するかと思うのですけれども、一般個人の住宅の中に土砂流が流れ込む、そして家の方はとにかく現状のままで別に流れたわけでもないし、壊れたわけでもないのですが、屋内に土砂が一メートル、二メートル、ひどいところは三メートル、もちろん流れてきたどろは上の方の公共用地、逆に言えば道路あたりの土砂が流れ込んできて、家の中がほとんど詰まってしまうほど入ってくる。これを排除する、除去するということもなかなか容易なことではないわけでして、例の法律の中には、一般の道路その他の公園等には、先ほどもお話があったですが、土砂流の場合には国あるいは地方団体が共同して排除することにもなっておりますが、個人の家に入ってきた土砂流の排除については、これまた全然何らの財政的な援助も行われないわけです。このことについても、いまの話にも若干関係するのですが、とにかく土砂流が大変な量で入ってきて、いっぱい詰まってしまった。何日間にもわたって大変な人手を煩わし、あるいはまた特に香川の場合にもひとり小豆島あるいは本土側東部のみならず西部の方でも詫間町あたりではやはりそういった問題があったわけですが、遠く東京の方から何か聞きつけて帰ってきて、これは家族ではないのですが、知人が災害救助というような意味で非常な善意でもってかけつけてこの仕事に参加しておるという現場を私も見たのですが、とにかくそういったものについて一銭の金も政府は知らないんだ、あるいは地方自治体もこれに対しては一銭もめんどうを見ないんだということでは、私は非常に手落ちではないかと思うのです。入っておる土砂はむしろ公共用地から流れ込んできた土砂、それが道路の上に堆積しておれば国なり地方自治体が排除するけれども、個人の家に入ったものについては個人が勝手に排除しなさい、除去しなさいというたてまえになっておるのですが、これも現実から考えると、現状を見ますと、非常に何か不公正なような感じがすると同時に、大変な被害だと思うのです。もちろん土砂を排除したからといっても後の家は大変汚れているわけですから、仮に全然家が傾かなかったにしても後の復旧をするためには大変な労力も要するし、金もかかるわけですから、せめて土砂だけでも排除することについては少し枠を広げて、考え方によっては公共用の土砂が流れ込んできたということで、例の激甚災害の特別援助法の三条第一項第十二号ですか、これを若干拡大したというような理解のもとに現行法の上からいっても考える必要があるのじゃないかと思うのですが、もしこれでどうしても無理だというのなら、法改正を行ってでもこういった点についてある程度の援助をすべきではないかというふうに私は考えるのです。もちろん程度にもよりますけれども、わずかばかりどろが入ってもこれを排除するのにという意味ではなくて、私が申し上げておるのは、とにかく家の中がほとんど土砂で埋まってしまっておる状態、そういう土砂排除について小し財政的な援助を行うべきじゃないかというふうに、現地を私も見て痛感したのですが、このことについてひとつ何かお考えをお聞かせ願いたいと思うし、今後の問題としてはぜひひとつ御検討願いたいと思うのです。
  211. 渡部與四郎

    ○渡部説明員 お答えいたします。  先生おっしゃられましたように、住宅内に堆積した土砂については、市町村長がこれを放置することが公益上近大な支障があると認めて直接排除する事業については、従来堆積土砂排除事業というのがございまして、その中で都市災害復旧事業として補助率二分の一をもって採択しております。今回の災害激甚災になった場合には、この堆積土砂排除事業につきましては、さらに特別の財政援助を受ける対象事業となりますので、国庫補助額はかさ上げされることになります。この事業につきましては、市町村の区域内の被害地において堆積した土砂の総量が三万立米以上であるもの、あるいは一団の堆積土砂が二千立米以上であるものを市町村長が排除する事業を採択するものでございまして、従来も、都市災害の実績で見てみますと、この基準で大体やっていけるということであります。  今回の十七号台風による災害として報告されました堆積土砂排除事業の報告を見ますと、大体この基準でも十分対応できるということでありますので、この方法でいまの先生がおっしゃる事業について対応したい、こう考えておるわけであります。
  212. 久保等

    久保(等)委員 ちょっと確認したいと思うのですが、いま言った住宅内に流入した土砂の排除について、財政的な若干の援助が行えるというわけですか。
  213. 渡部與四郎

    ○渡部説明員 はい。一般の場合は二分の一の補助でありまして、激甚災指定があればさらにかさ上げがあるということになるわけです。それで、いま二千立米とか一三万立米とか、そういういわゆる量としての枠はございます。そういう枠に合格した土石流については、いま言った二分の一の補助が従来あります。
  214. 水田努

    ○水田説明員 被災地におきまして個人の住宅の中に入りました土砂につきましては、災害救助法は御承知のとおり応急対策ということになっておりますので、障害物の除去は救助法の救助活動の中に対象として取り扱ってあります。
  215. 久保等

    久保(等)委員 それは救助の対象には当然なるのでしょうが、家の中にいっぱい土砂が入っている、それをだれか来て——だれか来てというのは、たとえば地方の自治体から人が来て排除をするというよりも、実際問題としては、そんなところまで手が回らない、したがって個人の住宅内の土砂の排除はやっぱりその家庭の人たちがやるわけですね。じゃ、その場合に、そういった仕事に従事をしたその家族の方々に何らかの形で補助金といったようなものが手当といったような形で現実に出ることになるのですか。
  216. 水田努

    ○水田説明員 自己救済した分は費用の対象といたしませんが、他の労働力をかりなければならないほどの障害物を除去した場合には、その雇い上げ労務賃は補助の対象といたしております。
  217. 久保等

    久保(等)委員 わかりました。  それから、あるいはお尋ねになったかと思うのですが、厚生省の方へちょっとお尋ねしたいと思うのです。  災害弔慰金とそれから災害援護資金の問題ですが、今回のこの災害にかんがみてこの金額の引き上げだとか、あるいは貸付幅の拡大といったようなことについて検討をされておるのかどうか。金額は逐次引き上げてはきているものの、死亡の場合における弔慰金ですが、世帯主で百万円ですか、家族で五十万円、これもでき得べくんばもう少しやはり金額を引き上げる。あるいは災害援護資金の限度枠につきましてもそうですか、この点についての厚生省のお考えをお聞きしたいと思うのです。
  218. 水田努

    ○水田説明員 災害弔慰金についてまずお答えを申し上げます。  この災害弔慰金は、超党派の議員立法で制定された、こういう経緯を持った制度でございまして、全額公的資金をもっていわゆる社会的な見舞い金として支給する、こういうたてまえになっているわけでございます。いわゆる公的資金によって全額賄われるという点と、それからいわゆる社会的な見舞い金である、二重の性格を持っているわけでございまして、この社会的見舞い金の額がどの程度が妥当であるかはきわめてむずかしい問題があるわけでございまして、この額の改善は過去においてもいわゆる超党派の議員立法で修正が行われてきた、こういう経緯を持っている制度でございます。今回も香川県を中心に相当の死者が出たわけでございまして、弔慰金の引き上げにつきましては、超党派で何らかの検討を行おうではないかという動きがあるやに仄聞をいたしておりますが、この問題が具体化してまいりました段階におきましては、財政当局とも十分調整をとりながら私どもは対処してまいりたい、このように考えているわけでございます。  次に、災害援護の貸付金でございますが、これは、被災者の救済につきましては、いろいろな角度からの救済の融資制度が特別にいろいろ設定される中で、いわゆる福祉資金としての位置づけを持っております。そこが厚生省の社会局が所管しているゆえんではないか、このように思っているわけでございます。と同時に、やはり福祉資金としての限界というのもおのずとあろうかと思っているわけでございます。この災害援護貸付金につきましては、同じく福祉資金として別途世帯更生資金というものがございまして、この世帯更生資金は最高限度百万円まで借りられるようになっておりますので、これを福祉資金両方活用しますと二百万円まで、いわゆる被災者の方の、特に低所得者を中心とされた方の生活の立て直し資金ということで活用が相図られるわけでございまして、私ども今回の被災を通じまして非常に愕然としましたことは、被災県の民生部長さんがこの両方の貸し付けができるということすら御承知がないというような、私ども大変行政側として責任を感じているわけでございます。  そういうことがございますので、私ども、一応県の救援活動が一段落しましたので、来週の八日に主要な被災県の担当課長を招集いたすことといたしておりますので、両資金の効率的な貸し付け、迅速な貸し付け等を指導してまいりたい、このように考えております。
  219. 久保等

    久保(等)委員 時間がありませんから、では最後にお尋ねをしたい問題は、やはり特に香川県特有の灌漑用のため池の問題、この点についてお尋ねしたいと思うのです。  香川県は、昔の弘法大師の当時からため池というのは有名になっておるのですが、非常に老朽ため池が多いわけなんです。したがって、今回の台風でもって大変数多くの被害を受けまして、決壊したもの百四十カ所を含めまして約千五百カ所程度のため池の堤防が崩れたり、あるいはいま申し上げたように、百四十カ所ばかりの決壊老朽ため池があったわけなんです。これまた余りほかには見られない灌漑用水用のため池がほとんどなんですが、年々この老朽ため池の整備事業はもちろん進めておるわけなんですけれども、きわめて小規模に遅々として進めつつあったところ、今回の大災害を受けたわけなんです。これまた農林省あるいは建設省にも関係あると思いますが、特別にお考えを願わなければならぬと思うのですけれども、このことについて災害復旧という立場からこ・の問題をどう、従来の整備事業だけではもちろん問題にならないわけですし、しかもこれまた長期にわたって災害復旧の工事をやっておったのでは、直ちにまた災害をもたらす可能性もありますし、また明年の植えつけその他を考えますと、水を早くためなければならぬわけですから、そういう意味からも緊急性を要する問題なんでして、このことについて農林省当局あたりでどういうようにお考えになっておりますか。
  220. 岡部三郎

    ○岡部説明員 先生御指摘のように、香川県は非常に農業用のため池の多いところでございまして、今回の十七号台風によりましても約千五百四十六カ所という被害を受けました。うち決壊したものが百五十九カ所に上るというふうなことでございます。  これらのため池等の農業用施設災害復旧につきましては、全体としましては初年度三〇%、あるいは次年度は八〇%まで、そして第三年度に完了するという進度で進むことになっておりますが、来年度の作付等に支障を来すということで、どうしても早急に復旧を要するような工事につきましては、初年度あるいは次年度に完了するというふうな処置も講じていきたいと考えております。  また、最近におきますため池の流域の開発が進んでおるとかあるいは土地利用の変化、異常な集中豪雨によりまして流出量が非常にふえておりまして、また一方、管理者である農民側におきましては、兼業化等による管理体制の弱体化というふうな問題もございまして、危険にさらされているため池が増加しているのは事実でございます。防災上の観点からも、こういった老朽ため池の改修補強は大いに推進しなければならないと考えております。従来も農地防災事業の中ではこの老朽ため池の整備事業というのは最も力を注いで、予算の伸び率等も高く進めてきた事業でございますけれども、今後なお一層その事業の推進に努力をしてまいりたいと考えております。
  221. 久保等

    久保(等)委員 ちょっともう一つ。  それで、特に今回土砂がこれまたため池にもずいぶん流入をして、さらにまた問題が大きくなったと私は思うのですが、従来からため池に流れ込んだ土砂のしゅんせつ工事について、これをぜひひとつ整備事業の中でやはり見られるようにしてもらいたいという要望がかねがね出ておったと思うのですが、今回またああいった大集中豪雨ですと、恐らく大変な土砂が流れ込んで、ほとんど底上げになっちゃって、水が余り十分に、効果的にためられないというような事態になっていると思うのですが、これをぜひ従来からの懸案になっておりました整備事業の中にしゅんせつ工事の部面も入れるようにお考えを願いたいと思うのですが、どうでしょう。
  222. 岡部三郎

    ○岡部説明員 今回の災害によりましてため池に土砂が流入して、そのためにため池の機能が著しく低下しておる、こういうものにつきましては、当然災害復旧事業としてその土砂の搬出等を考えてまいりたいと思いますし、それからまた、一般の圃場整備事業等のいわゆる客土の土取り場として、ため池内に堆積している土砂というのは非常に肥料成分も高いというふうなものもございますので、そういうもので利用できるものにつきましては圃場整備等の用土の土取り場として利用していきたいと考えております。
  223. 柴田健治

    柴田(健)委員長代理 水野清君。
  224. 水野清

    水野委員 当委員会で冷害の質問をさせていただきたいのでございますが、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございました。  私の質問の対象は、本年の夏の全国的な日照不足とか雨天の日が多かったとか低温とか、こういうような問題から、主として東北大県、青森、岩手、宮城、山形、秋田、福島、それから関東で私の出身の千葉県、それからその他富山県とか石川県の一部地方で、水稲中心とした冷害が広範に発生している。これは新聞紙上で御承知のとおりだと思います。それらについて伺いたいのでございますが、最初に、これは農林省でしょうか、天災融資法の発動が可能かどうか。すでに農林大臣が可能だというようなことを言っておられるということが新聞紙上で伝えられていますが、承りたいわけです。
  225. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 天災融資法の適用については、ただいま農林省の方とよく連絡をとりながら鋭意詰めておる段階でございます。御案内のように、激甚災指定を早目にしたい、できるならば天災融資法の指定も早くということでありますが、稲の現在のいわゆる冷害による影響その他、これは途中でやらなければならないいろいろな手はずがございますから、ほぼ指定は間違いない、また指定をする方向に持っていこう、こういうことでやっておるわけでありますけれども、激甚災指定とすると若干おくれる、こういうことであります。けさからの農林省側の答弁としましては、十一月には何とか指定ができるようにしたい、こういう方向で現在取り進めておるところです。
  226. 水野清

    水野委員 いま政務次官に伺ったのは天災融資法の発動のことなんですが、激甚災の問題までお話が及んで、それは結構なことなんですが、まず天災融資法の発動は十一月中にはできるであろう、こういうふうに理解をいたします。  実は余り時間がないものですから、各省の方々も大変お忙しいと思いますから、簡単に一つずつ、十何問ありますから、答えていただきたいと思うのです。  そこで、激甚災害の問題もいま政務次官からお話がありましたが、新聞紙上に伝えられるところによると、農林大臣がやりたい、これは岩手県の場合でございますが、そう言っておられます。なるべく早くやっていただきたい。どうせやることならば、全国的な被害額から見て可能性があると、こうわれわれも見ておりますし、当然だと思っておりますが、同じ指定をされるならば手続を急いで至急にやっていただきたい、それがこれから申し上げるいろいろな諸施策に全部影響をしてまいることは先刻御承知のとおりです。ひとつその点をお願いを申し上げておきます。十一月中には天災融資法の発動並びに激甚災害指定が可能である。これは県によって若干の違いがあるでしょうが、そういうふうに理解をしてよろしゅうございますね。
  227. 杉山克己

    ○杉山説明員 農林省といたしましてもその被害調査、それから資金需要額の確認を急ぎまして、十一月中には天災融資法並びに激甚災法の適用を発動するという考えでおります。  それから、いま御指摘のように、正規の手続を待って最終的な形式的な発動はその時期になるにいたしましても、事実上いろいろ対策はその間にも用意をいたさねばなりません。その関係からいたしましても、その考え方を都道府県等各関係機関に明らかにして、十分事前の準備をさせるように指導してまいりたいと考えております。
  228. 水野清

    水野委員 その場合伺いたいのですが、たとえば私が現地を見てまいりました岩手県の災害などは、どう見ても激甚災害指定が間違いないというふうに私も思ってまいりました、たとえば、私の出身県の千葉県の場合などは水稲災害が百五十億、こうなっておりますが、千葉県の場合はどうでしょうか。それからさらに、これは私は現地を見たわけではありませんが、富山県の山奥のようなところに小さいけれども町村単位ではかなり大きな水稲の冷害が出ておる、あるいは石川県の能登半島にも出ておる、こういうことを聞いておりますが、こういうところも激甚災害の網をかぶせられますか。
  229. 杉山克己

    ○杉山説明員 天災融資法は一つの災害を対象として指定することになりますが、その場合、は全国的に北海道、東北、さらには関東地方、北陸地方に広がっておるという話でございます。ですから、天災融資法の対象としては当然その関係の冷害が一本の災害として指定されることになりますが、その中で特別被害地域指定できる都道府県というのは、これはその特別被害農業者がどのくらいおるかというような状況によって、個別にその状況によって指定されることになります。
  230. 水野清

    水野委員 具体的にはどうなんですか。千葉県の場合、富山県の場合、石川県の場合はどうなんですか。
  231. 杉山克己

    ○杉山説明員 先ほど申し上げましたように、まだ被害額が確定しておりません。したがいまして、その特別被害農業者の状況というものもまだわからないわけでございますが、千葉県の場合はかなり時期も早うございましたし、被害のある程度の推定もできております。私のこの席での判断でございますが、千葉県は対象になるというふうに考えております。
  232. 水野清

    水野委員 それでは次に伺いたいのですが、これは岩手県からと宮城県からも要望書が出ておりますが、岩手県の要望書を中心に伺います。  自作農維持資金の災害枠の拡大を期待している。それから限度額の引き上げ措置も願いたい、こういう陳情が来ておりますが、これについてはいかがですか。
  233. 杉山克己

    ○杉山説明員 経営資金につきましては、天災融資法の発動、さらには激甚災の発動によって百万円まで融資できます。さらに、経営上安定を害するおそれのあるような場合は、自作農維持資金を融資できることになっておるわけでございます。この額につきましては一件百万円ということになっておるわけでございますが、連年災を受けて、百万円では、既存借入金等を考えるとどうも十分でないというような場合もあり得ますので、そういったものについては額の増額も検討しているところでございます。一般的ないまの基準額そのもののベースを引き上げるということはなかなか困難かと考えております。
  234. 水野清

    水野委員 次に伺いたいのですが、これまで土地改良その他で近代化資金とかいろいろな系統資金を借り入れている農家が非常に多いわけです。こういう借入金がことしは支払いができない、こういう状態になっている農家が岩手県の場合などでは非常に多いように私は聞いてまいりました。  こういうことに対して、これまでの借入金、すでに借り入れた金の支払いの猶予期間を繰り延べるとか利子の減免措置をやってほしい、こういう要請を受けておりますが、こういうことはできますか。
  235. 杉山克己

    ○杉山説明員 被害を受けた農家が借入金を多額にしている。これらにつきましてはそれぞれ融資機関の問題ではありますが、単協あるいはそのほかの融資機関におきましても、災害状況に応じてそれなりに対応しているところがございます。現に岩手県等を回ってまいりましても、単協等がみずからの負担においてかなりのそういう償還条件の緩和を図っておるところがございます。ただ個別にそういうことにゆだねているということだけではいけませんので、私どもといたしましては制度資金、これは農林漁業金融公庫資金とか近代化資金が中心になりますが、これらについては業務方法書その他によって災害等の場合は支払い条件の緩和ができることになっておりますので、そのような措置をとるよう指導してまいりたいと考えております。
  236. 水野清

    水野委員 その場合はどのくらいですか。ことしの災害の期間だけ延ばすのですか、たとえば一年とか二年とか。
  237. 杉山克己

    ○杉山説明員 各被害農家の営農計価を徴しまして、それによっていつごろまでに償還できるかという見込みを立ててやるわけでございますから、一義的に何年というふうには決められないのでございます。
  238. 水野清

    水野委員 次に、実は私もこの冷害全体を調べてみますと、非常に広範囲の問題です。自作農維持資金、自創資金、自制資金と言っているこの資金のことしの農林省の災害枠というものがあるはずですね。その災害枠はどのくらいあって、てみるとこれは各県奪い合いになりますよ。そうでしょう。自創資金をわが県にもわが県にもということになって大変なことになると思うのですけれども、どのくらいの災害枠を持っておられますか。その配分計画というものは出しにくいかな。
  239. 渡邊五郎

    ○渡邊説明員 お答えいたします。  天災融資法の発動に伴いまして、自作農資金の災害関係の融資枠を特別に設定するというふうに今回の場合も恐らくなろうと思います。これらにつきましては、先ほど杉山審議官からもお話がありましたように、被害状況等を見まして、現在の手持ちの保留額で足りない場合には公庫内での調整を図るように、私ども関係機関の方に話をつけて資金需要を確保するように努力したいと思っております。具体的な数値等はそれらの被害額の確定等を見まして、それから資金枠の設定をいたすようにいたしたい、こう考えております。
  240. 水野清

    水野委員 重ねて伺いますが、そうすると、被害額を全国的に取りまとめた上で災害の自創資金の枠を決めるわけで、これは予算上この範囲でというような境目はないわけですね。
  241. 渡邊五郎

    ○渡邊説明員 予算上の公庫全体の資金枠の中で、私ども被害の実態と天災融資法によります融資規模、これら等を調整して充足を図るように枠を設定したい、そういうふうに考えております。
  242. 水野清

    水野委員 これからやるわけですか。
  243. 渡邊五郎

    ○渡邊説明員 これからでございます。
  244. 水野清

    水野委員 ありがとうございました。そうすれば、各県とも非常に期待ができるわけですね。  次に、今度は農業共済金の支払いについて伺いたいのですが、御承知のように水稲は農業共済の対象になっております。そこで、農業災害補償法に基づいて共済金を払う、これはあたりまえのことですが、それをことしは米がとれない、米代金が入ってこないから早急にもらいたい。それも、これはわれわれからいえば簡単なようなんだけれども、年内で結構ですから農家の手取りにしてもらいたい。県の共済連に年内に来てもしようがない。何とか年内に農家に手渡したい。これは各県の共済の幹部が、私の場合、岩手県の共済連の会長からも頼まれましたし、私の出身の千葉県の共済連の会長からもそう言われているわけです。それがなかなかうまくいかないのだそうです。  いかない理由を簡単に申し上げますと、農林省の農林統計がきわめて遅いので、その被害額が確定しませんから、なかなか共済金は支払いできない、こうあなた方は答弁をされるわけです。それを大体年内には必ず共済金は農家に、これは仮払いで結構なんです。仮払いですから七掛けとか八掛けでもいいから、ともかく現金を差し上げられますということがおっしゃれますか。  それから、もう一つ重ねて申し上げますが、岩手県の場合はこういうことを言っているのです。被害の実態を調査するのに、各市町村災害の評価員というのがいる、評価員の出動を求めなければならないけれども、余りにも広範囲なので評価員の人件費がございません、そこで評価員の人件費について農林省から格別の御配慮を賜りたい、こういう依頼を受けております。この二つの問題についてあわせて御答弁をください。
  245. 杉山克己

    ○杉山説明員 共済金は年内に必ず農家のお手元に届くように措置いたします。  なかなかむずかしいと申し上げましたのは、統計情報部の調査ということより評価員の損害評価、この仕事が非常に時間がかかる。ことしは災害の件数も多く、また被害の態様も、北の被害もあれば四の被害もある、さまざまでございますので、恐らくその評価に時間を食う。特にふだんの年に比べまして生育がおくれている、収穫時期もおくれるというようなことから、相当おくれるのではないかという懸念があるわけでございます。その意味では、単に国だとか都道府県だけではなく、直接関係する各共済団体の努力、早期評価ということをやっていただく必要があると思っております。それに関連いたしまして、いま先生御指摘のような、人間がたりない、金がたりないという話が出てまいることかと思います。そういう損害評価の経費は、総額三百数十億かの経費の中で賄うことになっております。いままで比較的災害の少なかった年は余裕があったわけでございますが、ことしなどはかなり窮屈であるということは承知しております。そこで、国としても、若干配分額について手持ちに留保がございますので、それらも重点的に被害県に対して配分してまいりたいというふうに考えております。
  246. 水野清

    水野委員 次に、食糧庁おられましたらお願いします。  御承知のように、こういうふうにこれなど全然米が実っていませんが、若干実っているんですよね。そこで、等外米あるいは規格外米——規格外米及び等外米と言った方がいいでしょう、これを買い上げてくれという要望があります。これについてはいかがですか。
  247. 戸塚金郎

    ○戸塚説明員 冷害等によりまして被害を受けた規格外米等につきましては、自主流通でなるべく売っていただく方が、被害農家にとりましても手取りの面から有利になるケースが多いものでございますので、そのように指導はしておりますが、被害激甚地域でたくさんそういうお米が出て、なかなか販売が困難だという向きにつきましては、被害農家の立場に立ちまして買い入れ措置等について検討していきたいというふうに考えております。
  248. 水野清

    水野委員 ちょっとお話があいまいなところがある。要するに、規格外米は買える、こういうことですか。ことしは買うつもりだ、こういうことですか。
  249. 戸塚金郎

    ○戸塚説明員 まだ被害の実態が十分把握できておりませんので、どのように出回ってまいりますか、量にもよると考えるのでございますが、昨年などは一部の被害県で被害米が出ましてもほとんど自主流通で消化できたというケースもございますし、そういうことでございますのであれでございますが、被害米のそういうものが相当量ございまして、いま申し上げましたようなことで販売残が出ますれば買い入れ措置を考えるという心構えでございます。
  250. 水野清

    水野委員 非常に前向きな考え方でやりたい、こういうふうに理解してよろしいのですな。その際に、数量の制限をするようなことはありませんな。全国的に非常に規格外米が多い。
  251. 戸塚金郎

    ○戸塚説明員 いずれにいたしましても、いま申し上げましたことは限度数量の範囲内の米についてでございますが、限度数量の範囲内の米でございますれば、一応、特に数量を制限してということは考えておりません。  ただ、いま先生がおっしゃられました規格外米と等外米との関係で、最近は規格外米の方は買っておりますけれども、等外米の方は被害県についても買っておりませんので、なおもう少し被害の実態で検討させていただきたいと考えておるわけでございます。
  252. 水野清

    水野委員 これは漏れ承るところによりますと、ことしは円高で、それから外国の小麦の価格もわりあいに安くて、食糧庁は思ったよりもふところぐあいがよろしい、こういうふうに聞いておりますから、こういう災害の時期ですから、ひとつぜひとも規格外米を中心にして数量制限などはせずに、特に東北六県などはこの冬に向かって非常に困っておられるようですから、これは前向きにしっかりと買うようにお願いをいたします。  次に今度は、これも食糧庁ですね。米の限度数量の予約概算金を生産者に渡しております。それが、たとえばこれは収穫皆無のやつです。あなた方の方にもどうせ各県から来ているでしょうが、参考までに岩手県の金ケ崎でもらってきたんですが、これは収穫皆無ですから、予約金を返せと言われたって返せないわけです。そうでしょう。そういう場合は一体どうするのですか。これは何とか繰り延べてくれということを言われているのです。
  253. 杉山克己

    ○杉山説明員 概算金の返納の問題は、農家の経営全体の資金繰りの問題の一環かと思います。  私ども、農家の資金繰りを全体として考えるということで、まず先ほど申し上げましたように共済金の年内支払いを実現する、それから天災融資資金を御融通する、さらには自作農維持資金もお貸しする、既貸付金についても条件緩和についてできるだけ考えるといういろいろの措置をとることにいたしております。それらの措置をとれば、もちろん苦しいには違いありませんが、農家としても資金繰りは何とかやっていけるのではないか。そういう中で、概算金は契約上の債権にもなっていることで、お返しいただく。どうしてもそういう措置をとっても返せないものがあるかどうかという実態につきましては、さらによく調査する必要があろうかと思います。  ただ、制度的に申しますと、予約概算金の返納につきましては、災害の場合、その災害の程度が著しいときはその程度に応じまして金利を減免できるという制度がございます。その制度にのっとってそれらの措置はとってまいりたい、かように考えております。
  254. 水野清

    水野委員 次に、これは二つ一緒に伺いますが、被害農作物に病虫害が発生している。君手県の場合はいもち病が発生しておりました。この病虫害駆除の費用は、もともととれなくなっているものの病虫害ですから泣き面にハチみたいなものなんだけれども、ともかくこの防除の費用、それから来年の稲作の種もみがないわけです。こういうものに対する助成措置あるいは確保、これについては遺漏はないですか。
  255. 杉山克己

    ○杉山説明員 病虫害の防除につきましては、都道府県が行う病害虫の発生予察事業、それから病虫害防除所の指導経費、こういったものに対して助成を行っております。  今回の異常低温に関連しまして、病虫害防除につきまして従来より一層濃密な指導を行う必要が生じておりますので、これに要する経費については重点的に配分することを検討いたしております。  なお、個々の農家が使用した農薬についてその薬代を助成しろというお話もございますが、これは率直に申し上げまして、補助額が零細になるとか、それから実際に使ったかどうかの確認が、国の補助金でありますのできわめてやかましくなり、むずかしいというようなことにかんがみまして、従来からそれについては補助対象としておらないわけでございます。  ただ、いま先生のおっしゃいました種もみ、これは農薬だとか肥料と同じように消耗的な経費ではございますが、何分にもその翌年の再生産を確保するための基礎的な資材でございます。これにつきましては、私どもその各県閥の需給の調整、あっせんに努力する、さらには全体としてあります種子確保のための予算の中で、できるだけ措置をしてまいりたいというように考えておるわけでございます。
  256. 水野清

    水野委員 次に、御承知のように、ことしは不況下で、主として東北六県、私の県もそうですか、稲を刈ったら出かせぎに行くという形が農村ではかなり定着しているわけです。東北六県の人たちは、岩手県の場合特にそうでしたが、出かせぎに行きたいということですが、意外に都市が不況ですから臨時の労務者であるとかあるいは土木事業とか、そういったものも少ないし、非常に出かせぎの先の雇用能力も狭まっている、こういう状態なわけです。そこで、地元に救農土木を起こしてもらいたいという声が、これは岩手県だけではありません、私の県もそうですし、ほかの県も、聞くところによると、恐らくこれは十七号台風の問題でも質問が出たと思いますが、全国的に出ていると思います。それについて、農林省はどういうふうに考えておられますか。ほかの質問もあるので、簡単でいいですよ。
  257. 杉山克己

    ○杉山説明員 お話のような事情があることは、私どもも県そのほか関係方面から聞いて承知いたしております。現地におきます農家の現金収入の機会を確保するため、これはなるべく労働力の消化に貢献するような小規模の公共事業、これを起こしたいというふうに考えております。
  258. 水野清

    水野委員 いまあなたのお話があったように、余り大きなパワーショベルでやるような土木を幾ら持っていっても余り救農土木にはならないのです。ですから、それも新しく起こすというとなかなかめんどうですから、たとえば農林土木みたいなもので継続事業というのが各県たくさんあるはずですね。これをひとつ積極的に追加予算ですか、追加で予算の割り当てをして、地元で、しかもたとえば業者にやらせる場合も、大手業者が不況で地方へ来て細かいのまでさらっていこうというような傾向がありますから、地元の業者にやらせる、こういう指導をとってもらいたいのです。  それから、これは冷害だけではありませんが、たとえば岐阜県の場合なんかでは湛水被害の問題、それから有明海では塩害の問題とか、いろいろな問題が出ているそうですか、これについて、これは大蔵省から主計官が来ていらっしゃいますから、ひとつ伺いたいのですが、救農土木の財源確保については心配はいらないでしょうな、ひとつしかと承りたいわけです。
  259. 古橋源六郎

    ○古橋説明員 お答えいたします。  御指摘の救農土木事業につきましては、現在、いま杉山審議官、御答弁がありましたように、農林省において必要性あるいは規模、いかなる事業内容かというようなことについて御検討中というふうに聞いております。農林省からその内容等につきまして御協議がありますれば、私どもも検討いたしますし、実施するというような場合におきましては、現在の既定予算をどういうふうに重点的に配分するかということがまず第一、それから必要に応じて予備費を使用するということも検討しなくてはならないのではないか、こういうふうに考えております。  いずれにいたしましても、農林省から協議があり次第検討いたしたいというふうに考えております。
  260. 水野清

    水野委員 その財源確保については少し議論したいんですが、余りここで数字を詰めちゃうと後の交渉に差し支えますから余り詰めないことにします。  そこで、ひとつこれは農林省及び大蔵省によく御理解をいただきたいんですが、これまでの救農土木というのは三〇%以上減収した市町村の中に土木を起こさねばならない、何かこういう内規があるんだそうですね。だから、隣の町へ働きには行けない、こういうことですよ。たとえばある私の見てきたところなら、金ケ崎なら金ケ崎という町で継続事業がありましたが、隣の町にはたまたまいま農業土木をやっていない。そこにも冷害の、稲作の収穫皆無みたいなところがあるわけですな。そういうところの人がよそへ働きに行きたいんだけれども、それは何かままならぬような規定になっている、そういうふうに聞いていますが、そういうことはあるのですか。
  261. 杉山克己

    ○杉山説明員 まあどの程度に実施するかという一つの大局的な判断の問題かと思います。特別に法律等でもって制限しているわけではございません。今回実施するに当たりましては、いま古橋主計官の方からお話がありましたように、各県の状況をいろいろ聞いておりまして、どういう形でやったらよいかということをいま詰めている段階でございます。いま申されましたような、そういう必ずしも過去の基準だけでなく、新しい観点から全体を検討して、やり方を決めてまいりたいと考えております。
  262. 水野清

    水野委員 自治省来ておりますか。——自治省に聞きたいんですが、こういう救農土木の事業をやるに際して、国の金は、大蔵省が心配するな、こう言ってくれましたから心配しませんが、地方自治体、県並びに市町村のいろんな負担金があります。義務負担もあるし、その他いろんな事務負担とかいろんなものがありますが、こういうものについては、自治体が、御承知のように財源難で困っています。結局起債に頼るしかないわけですね。この起債の枠の準備については遺漏はありませんか。
  263. 平岩金一

    ○平岩説明員 お答えいたします。  国庫補助負担事業の裏負担に係る地方債につきましては十全の措置をとってまいりたいと、かように考えております。
  264. 水野清

    水野委員 私に関しては、大蔵省と自治省はもうお帰りになっても結構ですよ。  次に、これは畜産局の方来ていますか。——これはかなりむずかしい問題なんですが、岩手県の場合、越冬用の飼料確保のため特段の措置を講ぜられたい、こう言っています。現に牧草をつくっているところも見てきましたが、牧草をつくっているんですが、雨が多いんで乾燥できないでしまっている、こういう事情もあります。越冬用の家畜のえさがない、こういう問題が起こっています。少し湿っぽい話ですが、岩手県の場合を見ますと、これは昭和九年来の、あるいは大正十二年来の冷害だ、こういうことでした。昔は娘を売ったけれども、ことしの冬は牛を売らなければならない、こういう訴えを各地で聞いてきました。  一つは、その飼料の問題です。それからもう一つは、家畜保留のため必要な何か資金援助をしてもらいたい。できれば無利子の金でも貸し出しをしてもらいたい、こういうことなんですが、この二つについてどういうふうに検討しておられますか。
  265. 関根秋男

    ○関根説明員 東北地域で飼料作物にかなりの被害がございまして、越冬飼料が重要な問題になっておるということは承知をいたしておるわけでございますが、この越冬飼料の確保につきましては、私ども現在のところは、先ほど来お話がございましたけれども、天災融資法等の発動によります経営資金の枠の中で一応対応していただきたいというふうに思っておるわけです。ただ、そういうようなことを通じましても具体的に飼料がない、こういうような問題につきましては、地元の方から御要望がありますれば、政府操作飼料というものもございますので、こういうものの売り払いというようなことも考えておるところでございます。  それから、家畜を手放さざるを得ない、こういうお話がございましたが、家畜を手放すというのは、経営資金なり生活資金なり、そういうものにお困りになって手放すということ、だろうと思います。先ほど来お話がございましたけれども、今度の災害につきましては、農業共済の共済金の支払いあるいは天災融資法によりますところの経営資金の貸し付け、さらには自作農維持資金による資金の供給というようなことが行われるわけでございますから、そういう面では、農家の経営資金なり生活資金なりについての一応の対応は可能なのではないかというふうに私ども考えておるわけでございます。そういう意味では、そういうことが円滑に行われますれば、家畜を手放すというような事態は回避できるのではないかというふうに思うわけです。ただ、そういう制度資金なりが直ちに出るというわけにもまいらないわけでございますから、そういうものが出るまでの間、いわゆるつなぎ資金というようなものが円滑に供給されるように、関係部局とも相談をしながら指導をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  266. 水野清

    水野委員 余り時間がありませんからまとめて最後に伺いますが、いまお話があったように、天災資金なり自創資金なり、あるいは共済の仮払いなり、こういうものが来るところにはかためてくるわけです。ところが、さっきのお話のように、予約金をそこから差っ引いていく、家畜の保留資金もそこからやれ、こういうことなのですが、結局こうなってくると、問題はその融資のやり方、窓口の問題なんですね。これはいつの災害でもそうなんですが、どっちかというと、たとえば私なら私が農協に三十万円なりなんなり貯金を持っていて、それで自創資金を借りに行きますと、おまえ三十万円持っておるのだから、百万円貸すところなんだがその三十万円を差っ引いて七十万円にしてくれ、必ずそういうふうに農協ではおっしゃるのです。農協はかなり金があるのです。あるのですが、要するに貸し渋るというか、そういう傾向があります。それから、天災資金と自創資金をあわせて借り入れようとすると、これも需要が多いからというようなことで、どっちか少し削ってくれとか、半分にしてくれとか、こういうようなことが末端に行くと非常に多いわけです。そういう形でやっていくと、ここでは、いろいろな面から金が出ます、御心配なく、救農土木もやります、こういうことですから、大変よくなった話なんですけれども、末端に行くと心ずしもそれがうまくいってないのです。この点はくれぐれも各機関がよく留意をして、たとえば共済の金と自制資金や天災資金の貸し出しのところとは担当が違いますから、その辺で実はかなり縦割り行政の欠陥がそういうところに出てくるわけです。  話がついでで縦割り行政の話ですが、たとえばこの稲をとってきた町なんかでは、岩手県は何か畜産公社をつくったりいろいろ一生懸命やっておられる、畜産基地をやって上の方に牛がたくさんいるんですよ。で、下の方で稲をつくっておる人たちは、もういまから一月見ておったってとても米は実りはしませんが、これを青刈りして上の牛に食わせたらどうだと言うと、なかなかそれの流通がうまくいっておらないのです。片っ方ではもう早刈りをして牛に食わせるなりしたらどうなんだと言うけれども、まあ農業をやっている人の気持ちというのは、これでも少しは残るのじゃないだろうかということでもう二週間でもたんぼに置いておきたいという気持ちなんでしょうけれども、私はその辺は行政指導で、これならこれを青刈りしてえさとして少しでも金にかえる手はないだろうかとか、そういうような方法を少し検討してごらんになったらどうですか。  これはひとつ国土政務次官、あなた大政務次官だから、前に農林政務次官をやっておられたから、あなたから総合的にお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  267. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 最後に畜産の飼料の問題についての御意見で締めくくられたわけでありますが、私どもも実際政治家をやっておりますと、国会で議論をして決めたことと、それから末端の実際の生産者の段階に至った場合との違いというものに実はしばしば直面をして、ずいぶんとびっくりする場合があるわけであります。やはりこの辺は、こうした近年まれに見る大災害でありますから、ひとり公共事業の災害復旧ということだけではなくて、こうしたじんわりと将来に深刻に影響を及ぼしてくる冷害というものに対してのいわゆる今後の営農対策、あるいはまた当面しておるそうした資金の問題、あるいはまた種もみの問題、あるいは将来のそうした畜産の問題等について、これは真剣に取り組んでいく必要がある。私もあれをどんどん青刈りをしているのをテレビで見まして、全くもったいないな、これを全部畜産基地に運んで、乾かすなりあるいはまたサイロに詰めるなりすれば相当りっぱな飼料になるんだがな、まあこういうふうなことを感じたわけであります。  私も国土庁にはおりますが、もともと農政をやってきた立場にもございますし、国土庁は災害全体についての調整を図る役所でもありますから、農林省ともよく相談をいたしまして、それらの問題についても今後十分取り組んでみ、また研究もさせていただきたい、こういうふうに考えます。
  268. 水野清

    水野委員 終わります。  どうもありがとうございました。
  269. 柴田健治

    柴田(健)委員長代理 井上普方君。
  270. 井上普方

    井上(普)委員 先ほど高知県、徳島県に派遣せられました第三調査団でございますか、その団長さんの御報告に、川井峠から見た木屋平あるいは穴吹町のことについて、まことにのどかな山村である、こう申されました。まことにこの地帯は非常に峻険なところであります。山が非常に峻険である。しかし、そういうところでございますから、仏教渡来によって蘇我氏に敗れた忌部族が引きこもっておるというような家もございます。あるいはまた屋島の壇の浦で敗れた平家の公達が入ったところ、そしてそこは、女の足ではもうこれ以上入れないためにそこで恋しい女房と別れたということで恋人峠というまことに風雅な名前のあるところでもあります。しかし、このところに、御承知のように通計しますと、何ですか千八百ミリとか千九百ミリという雨が降りましたがために、非常な災害が起こっておる。  これは川べりに住んでおられる方は土砂によって押し流されるし、山腹に住んでおられる方々は地すべりでやられるというような非常に甚大なる被害を受けておるので、先般も参りました際に、四国地建の連中は、ここは人命の損失が非常に少なかったので、小豆島のように人命が非常にたくさん失われたところと違って宣伝ができてないような感じがする、むしろ災害自体は小豆島よりも大きいんじゃないかとすら申されておったのであります。  そこで、災害地の穴吹町の町長さんとかいう方々にいろいろお聞きいたしますと、道路は全部寸断されておる。この町長さんなんかは、朝の八時に役場の吏員二人を使って、大体千メーターの山を越えて、車で行けばわずか十分で行くところを十二時間かかって災害地へ行った。この穴吹町というところは穴吹、古宮、口山と三町村が合併しておるところですけれども、行ってみたけれども、古宮地区でございますと、二十二の部落があるうちで全然連絡のつかないのが十七カ所、十七の部落が連絡がつかなかったという状況なのであります。それが災害が起こって二日目です。先ほどの車で行けば十分というのは、距離にしますと大体十五、六キロのところです。朝出て、夕方の五時か六時ぐらいに着いて、そして帰ろうとしても帰ることができない。そこで通信連絡がとだえてしまって、村一長さんが行方不明になった、災害に遭ったんじゃなかろうかといって大騒ぎをした一幕もあったぐらいであります。  そこで、昨年からたしかあると思うのですが、災害無線をつくったらどうだ。国土庁が関係しておるのですが、県にその点につきましての話をしますと、県当局では、十五億円負担金が要る、設備費が要るんだと。しかし、こういうような町村は税金にいたしましても非常に——木屋平村でございますと、年間予算が大体七億で、そこで税金が一体幾ら取れるんだと言いましたら、千五百万ぐらいしか取れない。税金が一割に満たないような貧弱な町村に、こういう無線の町村負担金を持つことができるだろうかという問題があるのであります。これについては、各部落と部落との間に連絡がつくような災害無線というものの負担金を、やはり国がもう少し多く持つべきではなかろうか、このように考えるのですが、どうでございますか。国土庁の方、どなたでも結構です。
  271. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 私の存じております限りにおいては、建設省は各都道府県とは水防無線で結び、それから各都道府県は市町村災害無線で結ぶ。ところが、先生おっしゃったように二十二部落のうちの十七部落までが孤立して連絡がとだえるというような状態になりますと、各部落まではそういう体制にないというのが今日の情勢であろうと思います。  そこで、実はこの前も第三回の非常対策本部の各省関係の連絡会議をやりまして、各省庁から、今度の災害について救援活動をやりあるいは災害復旧をやる場合にどういう点が問題であったか、今後いろいろな体制を完全に整えていくためには一体どういう予算措置が必要であり、どのような施設、どのような装備、どのような体制を整える必要があるか、そういうことをお互いに持ち寄りまして、いま検討を進めておるところであります。
  272. 山本重三

    山本説明員 これは消防庁の所管でございまして、私は聞きましたところで御説明いたしますが、現在までは各都道府県の中の市町村役場等を結ぶ消防防災無線につきまして補助金を出して事業を実施しておりますが、五十年度に市町村役場と集落を結ぶ防災無線を整備するための調査費を計上しておるようでございます。この調査費によりまして、現在、標準システムを検討中だと聞いております。
  273. 井上普方

    井上(普)委員 私が言うのは、災害無線というのはやはり各町村役場と各部落との間の無線ができることなので、ちょっと次官は就任間もないのだから御存じないことはわかっておりますけれども、片方は、水防無線というのは建設省が所管してやっております。しかし、災害無線というのは、やはり予算か調査費は出ておるけれども、その負掛金補助率が非常に低いがために、町村の負担が耐えられるかということなのです。先ほども申しましたように山村で、過疎村でありますから、木屋平村でございますと年間予算規模七億、そこで自分のところで持っておる税額は千五百万円しか入らないというような過疎村です。貧弱な村です。そういうところに災害が起こっておる、たくさん起こるのですから、それらに対しての災害無線に対する補助制度について、補助金をもう少し上げるべきではないだろうか、こう思うのですが、どうです。
  274. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 今回の経験にかんがみまして、これは前向きに、積極的に検討してみたい、こう思っております。ただ、何せ全国に、これは部落の集落というと無数にあるわけでございますから、一挙に行きますのにはいろいろと問題点もあろうかと思いますけれども、とにもかくにも、今回のようないろいろな教訓を受けたことでありますから、十分勉強させてください。
  275. 井上普方

    井上(普)委員 特にこの災害が起こるところ、私どもの山地崩壊が起こるところはひどい過疎地で、財政も非常に貧弱だというところが非常に多いので、特に町村の負担率、これをひとつ下げるように御努力をお願いいたしたい、こう思うのであります。  それから、先ほども申しましたが、これも恐らく、だれか御質問になっておられるとは思いますが、古宮村といったところは、背はりっぱな村長さんがおられまして、勤倹節約を村民に教えること三十年、ために植林も十分にできておる。わりに個人資産も豊かなところだと、こう言われたところなのです。しかし、やはり過疎の波には逆らえずに、現在、旧古宮村というのは四百戸から四百五十戸ぐらいになっております。その中でこの災害で四十月が流失してしまった、それも十七部落というのはほとんど地すべりに遭っておる。ですから、あるところでは、地すべりが起こっておりますところは朽ち果てて崩壊しておるところがほとんどなのですから、村長さん、このうちの大体どれくらい移転するのだ、部落で家屋を移転しなければならないところがあるかと言うと、約三百戸を超すと言うのです。そうなりますというと、三百戸移転するというと、これはその敷地がございません。これは先ほどだれかも聞いただろうと思うのですけれども、敷地が非常に少ない。いままで山林経営をやっておる方々でございますから、都市生活をやっておる者とはちょっと違いまして、敷地三十坪だの五十坪だのというような家ではちょっと生活がしにくい、これがまず第一です。やはり七、八十坪の敷地がなければならぬというのがまず第一です。これが田舎の人の通常の考え方なのです。それから、三百戸を移転さすということになりますと、その地点から十四、五キロ離れなければともかく移転ができない、でございますので、そこらあたりは村長さんも非常に悩んでおりました。  もう一つは、これらに対する財政措置ですね。特に防災移転について防災何とか法という法律で、集落ごと移転する法律がございましたが、しかしこの中で、集落ごと移転するといいましても、すべっておらぬところの連中がおるのです。やはり二十五戸なら二十五戸のうちの二十戸はどうも危険だけれども、あとの五戸は大丈夫なのだという方々は、全戸移転することを拒むのは人情の常と思います。そこで私らが聞いておりますというと、そこには少なくとも千年近く住んでおる方々がほとんどなんでございますから、望郷の念捨てがたく、やはり安全な、動いていないところの人たちは、私は行くのいやだというようなことが数多くて、せっかくつくった法律も実らないというようなことがあるのでございますが、ここらあたりの処置を、そういうような例外処置をひとつ認めることはできませんでしょうか、どうでございます。運用の上で。
  276. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 災害の集団移転事業につきましては、御案内のように十戸以上ということになっておりまして、国土庁で実はやっております。それから、もう一つやっておりますのが、いわゆる過疎移転というのでありまして、いわゆる山の中におるのを一カ所に集めるというのですね。ですから、今回のようなそうした特殊の場合には、おのおの単独でやった方がいいのか、それとも両方をかみ合わしてやった方がいいのか、これはまた県を通じて町役場とも十分相談をしてみたいと思っております。  それから、当初に補助率のことをお尋ねになりましたが、補助率を上げろというお話がありました。いま、御存じのように三分の二であったと思います。補助率は三分の二、残りが実は過疎債で、そういう過疎地帯であれば過疎債で、あとは交付税で見ていく、こういう制度になっておることも御存じのとおりであろうと思います。
  277. 井上普方

    井上(普)委員 先ほどの過疎地帯の移転と、災害十戸以上のと両方かみ合わしてやっていくのだと、まことに臨機応変にやっていただきたいと思うのです。これは実際町長さんからも、全部でなければ災害移転ができないんだ、県の指導もそうなっておるので、実は困っておるのですというお話もございました。したがいまして、そこらあたりはひとつ臨機応変に、しかも何と申しますか、法律で人間を縛ってしまってもしようがないのですから、ここらの運用をひとつ十分図っていただきたいということをお願いいたしたいと思います。  それから、特に敷地の買収につきまして、町長さんは非常に悩まれておりました。これは木屋平あるいは穴吹あるいは木頭、いずれの村においても、敷地難に悩んでおられました。したがって、国の基準の標準価格といいますか、標準価格よりもはるかに土地が高くなる。これはどうするか、うっかりしておったら、これは補助金適正化法にひっかかるし、困るんだというようなことも申されておりましたが、四百五十戸のうちで大体三百戸ぐらいは移転しなければならぬだろうというような現状、これをひとつお考えいただきまして手厚い処置を講じていただきたい。これは国土庁よりもむしろ自治省の——自治省おられますか。国土庁の方におきましても十分ひとつ処置していただきたいと思います。  それから、先ほど申しましたように、この村は個人資産は、山林に植林をするということで非常に豊かに見える村であります。しかし、何といいましても小山林地主が多いのでございまして、たとえ移転しても十五キロ、十六キロ離れますというと、その森林の管理がなかなかむずかしいというような問題も出てまいります。あるいはまた、そう出ていくこと自体についても抵抗があるでしょう。しかし、いずれにいたしましても、この移転をしなければいかぬ際に、これは林野庁関係にありますが、ここらの、どう言ったらいいですかな、非常に生活に苦しんでくる、単に職業紹介なんかではもう済まないんじゃないかという感じが私はしてならないのであります。したがいまして、抜本的な林野行政のあり方、すなわち小さいやつはひとつまとめるんだというような——小山林地主で、恐らく五町か三町くらいの山持ちが非常に多いところなんです。ですから、ここらあたりは災害で手放すというときの適切なる処置をひとつ講じていただきたいと思うのですが、林野庁、いかがですか。
  278. 藍原義邦

    ○藍原説明員 ただいま先生御指摘の、小山林所有者が山林を手放すときというお話でございましたけれども、私どもといたしましては、森林資源も非常に大事なものでございますし、できるだけ共同いたしまして施業ができるような方途、さらには森林組合等がそれの維持管理を受諾してやっていくとか、いろいろな方法がございます。できましたら、そういう方法等を十分県とも打ち合わせをいたしまして対応していきたいというふうに考えております。
  279. 井上普方

    井上(普)委員 林野庁、この山村の人たちは林野庁を信用してないんだ。森林組合を信用してない。こういう話がございました。植林する際には保険金を取られて、ともかくおととし出したんだけれども、去年の災害の際に一度も調査に来てないんだというような話も聞いております。したがいまして、あなた方は森林組合とかあるいはまた県の指導を強化いたしましてなんて言ったって、信用する人は一人もいないのです。むしろそれよりも隣の人にひとつ見てくれぬかというような部落共同体的な互助精神に頼ろうとする傾向が非常に強いのであります。ここらは林野庁の行政それ自体につきまして十分反省していただきたいと思います。と同時に、部落全体が、昔からあった部落共同体の中で処置ができるような方法は考えられませんか。その方がずっとスムーズにいくと思うのですが、どうでございます。
  280. 藍原義邦

    ○藍原説明員 ただいま私申し上げましたのは一例を申し上げたわけでございまして、部落によりましては部落が共同で施業するという方法等もとっておるところもございます。したがいまして、先生いま御指摘のございましたような地区につきましては、今後十分県とその辺の実情を調査いたしまして対応してまいりたいと思います。
  281. 井上普方

    井上(普)委員 ともかく県と相談するというのは、もういつも逃げ口上になって責任がどこにあるのかわからなくなる例が非常に多いので、この点は注意していただきたいと思います。  それから、もう一つは、そのように半壊あるいはまた家がねじれて、もう家に住めないという一この表には出てきていませんよ。全壊、半壊の中には入ってないけれども、実際上危なくて家に住めないという方々が非常にたくさん出てきているのです。したがって、これらを解体してよそへ持っていこうとする。そうすると、昔からの部落共同体でございますから、二十戸なら二十戸の方々は、これは出かせぎに行っている人たちがほとんどであったのでございますけれども、今後この年末までは恐らく部落の仕事にかかって収入が途絶してしまう、収入が皆無というような家庭が非常に多くなるのであります。したがって、生活保護をここらあたりでひとつ適用していただけないかという問題も出てきておるのですが、厚生省、こういうような点については考えられますか、どうですか。
  282. 入江慧

    ○入江説明員 お答えします。  いまお話しのように、出かせぎ者が帰ってこられたような場合でございますけれども、現にその世帯に収入がなくて、要するに生活困窮というふうに認められるということでありますれば、生活保護の適用ということは考えられます。
  283. 井上普方

    井上(普)委員 これは役人の通り一遍のお話ならまことに結構なんです。しかしながら、何を言いましても、独立心の強い人間は生活保護を受けるというようなことにつきましては抵抗を感じています。しかし、これについてもせざるを得ないような立場に追い込まれながら、出かせぎに行くといっても、近所の草刈りだのあるいは土工に行っているだの、ほとんどそういう人たちなんです。したがって、たとえ本人が拒否しても、村長さんは、あれは生活保護を受けさせなければならないというような場合も非常に多く出てくるのです、こういう地帯では、プライドの高いところでは。そういうようなところがございますので、特にこの点はひとつ考えていただきたい。収入はほとんどございません。この年末まではないということが予想される。それは生活保護の申請をすればいいじゃないかというようなことがございますけれども、しかしたちまちの問題としては非常に困っておるようであります。恐らく年末までは部落の共同作業のために収入がないというような事態ができてくる。もう目に見えているのですから。では、どうやって生活するのかというので非常に苦しんでおるようであります。それに対する対策に村長さんは苦慮いたされております。特にこの点につきましては生活保護の適用を考えざるを得ないのじゃないか、こう思いますので、この点お願いいたしておく次第です。  それから、土石流で木屋平地区で河床から大体六メートル、古宮地区では大体十五メートルから十六メートル土砂が堆積しています。ですから、橋をかけましても前にあった橋に満杯になっているのです。後、大きい雨が来ればこれは一体どうなることかなといってみんな心配しておるのですが、この土石流に対する対策はあなたの方で考えておりますか、まだありませんか。それが一つ。  それから、もう一つは、山地崩壊でありますが、砂防堰堤あるいは砂防事業をしておるところは比較的助かっておるように見られます。全面的に助かっておるとは私は申しません。でございますので、特に急傾斜地、地すべり常襲地帯に対する対策をもっともっとやる必要があるのじゃなかろうか、このように思いますが、この二つのことについてお伺いいたしたい。
  284. 大工原潮

    大工原説明員 徳島県の特に穴吹川水系等につきましては、非常に激甚であるということは、県の報告をいろいろと資料等で見せていただいておりまして、承知しておるところでございます。  いまお話がございました河床堆積土砂が非常に高くなり、公共施設等復旧についても非常に問題があるというふうな御指摘でございます。私どもといたしましては、いわゆる土砂対策というふうな面であの流域をとらえまして、本年度から発足いたしておりますいわゆる激特制度等を勘案いたしまして、そういったものに乗せて積極的に事業を実施していこうというふうに考えております。いずれにいたしましても、下流に対しますあれだけの堆積土砂の移動というふうなことにつきましても十分配慮した計画ということで、公共事業の復旧とあわせて対策を検討しようということで、現在県と打ち合わせ中でございます。  それから、二番目の地すべり常襲地帯といいますか、あの地域全体につきまして、いわゆる結晶片岩の地すべり地帯といいますか、そういった地域に、さらにいわゆる日本の構造線が通っておるというふうなことで、非常に破砕されておるという地帯でございます。したがって、従来から地すべりの危険個所というものを全国的に把握いたしてみますと、個所数からいきますと、建設省所管分だけでも全国の第三位の県でございますし、それから面積的にも第二位というふうに、地すべり常襲地帯はあの地域に非常に集中しておるというふうなことは承知しておるところでございます。いろいろと復旧の面で、地すべり対策事業も激特対応の地すべり対策というふうなことで、積極的に緊急計画を立てまして実施していこうということの計画を、いま県と調整中でございます。  さらに、地すべりの対策につきましては、先生御承知のように、三省庁共管でございまして、林野庁所管のもの、建設省所管のもの、それから農地局所管のものというふうな三本立てでございますが、それらにつきましても、地域の調整を十分図りまして、対策事業促進を図っていきたいというふうに考えております。
  285. 井上普方

    井上(普)委員 あなた調べておるようなことを言いながら、何も調べておちぬじゃありませんか。土石流対策については、あなたいま何をおっしゃったのか私たちはさっぱりわからない。あるいはまた、急傾斜地の地すべりについての対策を三省がやっておるのだというふうなことは知っていますけれども、国有林は一体どれだけあるのですか。国有林があるところを林野庁がやっておるのでしょう。それ以外は、耕地があるところは農林省がやる。ほとんど建設省主管の土地と言っても差しつかえないところばかりなんです。徳島県はほとんどと言っていいくらい、全面積の三%くらいしか実は国有林のないところなんですから。もう少し的確なる御説明をお願いしたい。  ともあれ、ああいう常襲地帯でございますので、地すべり対策というのは、やっておるところは、一〇〇%とは申されませんが、かなり効果があったように見受けられるので、特に常襲地帯についての御配慮をお願いいたしたい。  それから、堆積した土砂、これはどういうふうな対策を講ずるか検討中だとおっしゃいますけれども、あれが下流に及ぼす影響なんというものはものすごいものだろうと思う。あれはどうされますか。何万立米ぐらいあるのですか、大体計算つきますか。まだつかないでしょう。いやいやつかないのはあたりまえなんだ、まだ調査官が入れぬところがあるのだから。それはもうわかり切っておるのだ。だから、この点は聞いても意味がないからやめますけれども、ともかくあそこの災害対策で、工事を起こしたことによって災害がまた起こる、二次災害が起こるということのないように御注意を願いながら、慎重にかつ緊急にやっていただきたい。  それから最後に、町村道の道路幅を、四メートル以上なかったらいかぬということなんですが、どうも山の上につくる場合、四メートルの道路をつくると、それが地すべりの大きな原因になるんじゃないだろうかという疑問も素朴に村民の間から出ています。これはせめて軽自動車がいっぱいに通れるような道路幅、二メートルでもいいのですとまで申す村民もおりました。ところが、建設省は道路幅が大きくなければ、四メートル以上なければ、あるいは四メートル五十なければ補助金を出さぬというようなことが町村道についてはあるようです。しかし、急傾斜地については、地すべり常襲地帯については特に勘案してほしいと思うのですが、どうでございますか。
  286. 三野栄三郎

    ○三野説明員 市町村道の補助につきましては、私どもの、改良いたします場合に道路構造令という、政令でございますけれどもございまして、それの最小幅員が車道幅三メートルでございます。これを補助をいたします場合の最小幅員として実施をいたしておるわけでございます。三メートルと申しますのは、御承知のように一車線でございまして、私どもといたしましては、その三メートルという考え方は、非常に交通量が少なく、しかも急峻な地形の場合にそういうふうな最小の幅員でやっていこうというような考え方になっているわけでございます。  いま二メートルという幅員について補助をしたらどうかというお話でございますけれども、私どもの道路の整備の考え方といたしましてはやはり交通の安全、それから余り幅が狭うございますと消防車も通らないというような問題も出てまいりますので、そういうことから三メートルという幅員をいま最小幅員としてやっているわけでございます。  私どもそういう幅員でやりましても、やはりああいった急峻な地形につくります場合には、のりをカットいたしますので、そういう場合には、ああいった集中豪雨があります場合に災害が起こらないように、その改良工事の中で極力災害防除の観点に立って工事を進めていくというふうな基本的な姿勢に立っています。
  287. 井上普方

    井上(普)委員 せっかく国が補助金を出してつくった道路が、あれが原因でなかっただろうかなんというような気持ちを住民に持たせたら大変であります。しかも、この地帯は急峻な地帯であって、しかも中国の有名な方がこの地に見えられて、耕して天に至る、ああ勤勉なるかなと言ったそうです。そういう土地なんです。したがいまして、そこの耕地の面積、まあおたくにすれば道路構造令なんというくだらぬ政令をたくさんつくって、それに縛られて身動きができぬでしょう。しかし、実際問題としてはこんな政令だの法令だのというのは住民、国民のためにあるのですから、そこらあたりを十分考えられて応用問題は解決していただきたい。  先ほども政務次官の方から申されておりましたが、どうも国会での答弁と末端へ行ったときとが違うことが多いというのは、再々私らはそれを体験いたしております。したがいまして、どうかそういう国民の立場に立った、住民の立場に立った道路行政あるいは林野行政等々をひとつやっていただくことを強くお願いいたしまして、私の一質問を終わります。
  288. 柴田健治

    柴田(健)委員長代理 湯山勇君。
  289. 湯山勇

    湯山委員 おそくなって恐縮でございますが、しばらく一質問をお許しいただきたいと思います。  すでにもうたくさん質問があったことと思いますから、できるだけ重複を避けるつもりでお尋ねいたしますから、御答弁の方もそのようにお願いいたしたいと思います。  大蔵省の主計官お見えでしょうか。まず第一点、今次台風あるいは本年以前に起こった災害等を含めて、予備費から大体千六百億ばかりを支出するということが先ほど予算委員会でも主計局長から御答弁がありました。私が考えますのは、今度の場合は、時期が彼岸近くであったためにまだまだ農作業等秋のをやれば間に合うという条件にあります。そういうことを考えますと、従来二〇%というのですか二二%というのか、当年災の予備費の支出、それをもっとふやして間に合うように考えてしかるべきではないかということを考えておりますが、その点はいかがでしょうか。
  290. 西垣昭

    ○西垣説明員 お答え申し上げます。  先ほど大蔵大臣から予算委員会でもお答えいたしましたように、災害復旧のための追加の必要額といたしまして私ども大体千六百億円程度、こういうふうに考えております。その前提として考えておりますのは、従来までに判明いたしました被害額と、この後追加で報告になるであろう額と、それから十月から十二月までの間、今後発生するであろう額を大体過去の傾向から推計をいたしまして、一応ことしの発生被害額を見込んだ上で、大体過去において初年度、つまり今年度必要な国費額としての割合がございますので、それを掛け合わせまして一応千六百億、こういうふうにしておるわけでございまして、これは多少動く可能性はもちろんございます。  その際に、大体二二%ぐらいということで計算をいたしておりますが、これは被害報告になりました後、いざ工事ということになりますと、実際には目減りするということもございますし、それから道路等につきましては今年度中に復旧を終えてしまいますが、河川につきましてはやはり施行能力等ございまして、直轄の場合には二年復旧が普通であるとか、それから補助の場合には三年復旧が普通であるというふうなことでございまして、これは無理にそういうことで抑えているということじゃございませんで、実際の過去の経験の中から施行能力等からそういう姿が出てきているということで、一応推計しているものが千六百億ということでございます。
  291. 湯山勇

    湯山委員 過去の状況等から判断してということ、それはそういう二二%という数字が出た根拠になるということはよくわかりました。ただ、いま申し上げましたように、今度の場合は、農地等の災害についてはいま大急ぎでやればことしの作付に間に合うというような場合はかなり無理してやる場合ができてきまして、それらに要する費用というものは通常の場合よりも多くなるということが多々あると思います。そこで、そういうものに対する配慮というものがあるかどうか、なされるかどうかという点だけもう一度御答弁願います。
  292. 西垣昭

    ○西垣説明員 結論といたしましては、弾力的にいままでも対処しておりますし、今年もそのように対処するつもりでございます。
  293. 湯山勇

    湯山委員 これはたびたび御質問に出たと思いますが、中小河川改修が大変おくれていて、そのことが今度の災害を拡大したというところもたくさんございます。私どもの見た範囲におきましても、今度はどこの川とどこの川が切れるだろう、それからどの川ではあそこの部分が切れたからあの下は大丈夫だけれども、あそこは今度改修すればその次はどこが切れるだろうというようなことがもうちゃんと予想されるという状態にあります。したがって、特に今度の場合の改修というのは、ただいま御指摘のありましたような土砂崩壊等による水路の大きな変化等もありまして、橋梁のつけかえ等も必要になってくるというような点もありますので、単に災害復旧というのは原形復旧がたてまえではありましょうけれども、特にそういう中小河川に関しては改良復旧あるいは関連工事、そういうものを相当大幅に見ていかなければ再度災害の出てくるおそれがある。中には、ある小さな河川ですけれども、いま決壊した場所を改修するのには一千万なら一千万でいい、しかしそうやって弱いところを全部直していけば二百億ばかりかかるのではないかというようなのもありますが、そういうのは別といたしましても、大体いまのように、ここを復旧すれば次にはあそこがいくだろうというような予想のつくような場合、それらについては当然原形復旧ではなくて改良復旧を認める。むしろ改良復旧促進するということでなければならないと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  294. 栂野康行

    ○栂野政府委員 お答えいたします。  災害復旧原形復旧が原則でございますが、先生がおっしゃいますように、いろいろまた問題があろうかと思います。原形復旧が不適当な場合に、実態に応じた改良復旧をやっていく。それからまた、災害が非常に激甚な場合に、改良復旧をやっていく。また、あるいは災害復旧改良復旧をあわせまして関連事業ということで現在でも積極的に改良復旧を推進しております。今後とも前向きに、積極的に改良復旧に持っていきたいと考えております。  以上でございます。
  295. 湯山勇

    湯山委員 その点よくわかりましたが、まだ末端までそういうことが届いていないと思うのです。ある県道ですけれども、地元の人は早く通れるようにしたいというので直せる方から直していたら、これは災害調査にも困るし、こんなことをしておって、もし事故でもあったらだれが責任を持つかというのでしかられて、地元の人が大変困っていたような例もあります。  そこで、この点については、いまおっしゃったような趣旨を早く自治体、県、市町村に通知してやるということが大事だと思うのですが、そういう御配慮がありますか。
  296. 栂野康行

    ○栂野政府委員 その点につきましては、現在でもよく地方自治体と本省と打ち合わせてやってございます。今後ともそういうことをまた積極的に進めていきたいと思います。
  297. 湯山勇

    湯山委員 特に今度の災害について、いまのような措置を、あるいは通知をなさいましたか。
  298. 栂野康行

    ○栂野政府委員 文書での通知はしておりませんけれども、電話連絡その他で対処してございます。
  299. 湯山勇

    湯山委員 それでは、やはり役所ですから、後でもいいですから文書でぜひやっていただきたいと思います。いいですね。——御了承いただいたものと見まして……。  次に、今度の場合、農地被害の中で、特に私どもの愛媛県などは柑橘園を開発した、そのことが原因になって土砂崩壊、埋没、そういう被害が大変たくさん起こっております。水稲等の場合は共済その他の方法もあるのですけれども、ミカンの場合は、共済制度はありますけれども、加入率が非常に低い。これは農林省の方、どれくらいになっておりますか。
  300. 大塚米次

    ○大塚説明員 果樹共済には収穫共済と樹体共済と二種類がございますが、収穫共済の方が一八・五%、樹体共済の方が八%の全国平均の加入率でございます。
  301. 湯山勇

    湯山委員 共済というのは、こういう災害のときに役に立つのが本来、共済の役目であって、いまお話しのように、収穫共済で一八・五%、つまり五分の一にも足りない。それから、樹体共済の方が八%で、これも一割にも足りない。こういうことだと、この共済制度というものはほとんど役に立っていないということになるわけですね。
  302. 大塚米次

    ○大塚説明員 果樹共済は発足いたしましてまだ日が浅うございます。それから、果樹は、農作物共済等に比べますと種類がたくさんございます。それから、地域によって、農家によって栽培方式あるいは技術水準がきわめてまちまちでございまして、画一的な指導に実は困難を感じております。それで、従来どおりのいわゆる普及徹底を図りますと同時に、来年度からは一部の事故を除外して加入しやすくする、保険需要に応じた果樹共済に選択的に加入できる、こういう道を開きましたので、今後は加入が非常に推進しやすくなる、加入しやすくなる、このように考えております。
  303. 湯山勇

    湯山委員 私もその点指摘したいと思っていたわけですが、一つは制度の欠陥ですね。発足の早い、遅いはありますけれども、共済制度自体に大きな欠陥があるということは否めないと思うのです。  そこで、私どもの調べたところでは一一・七%という数字が出ておりましたが、これらにつきましても、ある組合が特に奨励してこういう数字になっているのだということでした。  そこで、今度の場合、ミカンの場合はちょうど収穫直前です。そしてそれが、いまのように共済はまだ制度的に熟していないというようなこともあって、加入していない。そうすると、そのミカン農家は全く収入の道が閉ざされるということになって、生活にも困るわけです。この問題が一つ。  それから、いま一つは、土砂崩壊というのはいまのミカン園のような傾斜地で起こっていますから、そこで流出した土砂をもとのところへ張りつけるということもできない。実際は復旧困難ということになります。斜面を流れて土砂と一緒になって埋没した谷へ、新たに平地ヘミカン園ができておるような景観、そういうふうにもなっておりまして、これはとても復旧できないという状態、そういう場合、ほうっておくわけにもいかない、なお農業を続けていこうという人には、その場で復旧ができなければ今度は替え地というようなことも指導してやらなければならないということが考えられますが、今度の災害対策としてそういうことをお考えになっていらっしゃるかどうか、お伺いしたいと思います。
  304. 岡部三郎

    ○岡部説明員 今回の十七号台風によりまして、愛媛県内でも五百九十ヘクタールほどの農地被害がございました。  この中には、いま御指摘のありましたように、樹園地が相当含まれておるわけでございます。これは今回八百ミリあるいは場所によっては千九百ミリを超すような非常な記録的な豪雨がありまして、これによって既成の樹園地が被災したというものでございますが、これらの復旧に当たりましては、叫び災害が起きないように、いろいろそのメカニズム等も研究いたしまして災害復旧工事をいたしたいと考えております。  ただ、御指摘のように、非常に急傾斜地に造成されている農地でございますので、再び崩壊のおそれがある、そういう危険地域も相当ございます。また、急傾斜地に土を上げて復旧工事をすることが技術的にも非常に困難だというようなところもございます。そういうふうな、前の位置に復旧することが著しく不適当な場合には、ただいまお話がございましたような代替開墾といったようなことも制度的にはできることになっておりますので、あわせてそういう方法も検討するように指導してまいりたいというふうに考えております。
  305. 湯山勇

    湯山委員 それから、そういうかなり大きい急傾斜地の崩壊した場所の復旧については、緊急急傾斜地崩壊対策ですが、これは農地じゃなくて宅地の場合ですか、大体適用は。そういったような方法はとれないものですか。
  306. 大工原潮

    大工原説明員 急傾斜地の法律によります対策事業につきましては、下に人家があるという条件、それから裏がけが三十度以上という法律条件がございまして、現在補助対象として考えておりますのは、十メーター以上のがけを対象にいたしております。一応自然がけということで枠を決めておりますが、ただいまお話しのような、ミカン園、その他県からの報告によりますと、一部沢状の地形をなしておるというふうなことを聞いた地域がございます。そういった個所につきましては、別途緊急砂防事業等によります沢の処理というふうなことを含めまして検討していきたいと考えております。
  307. 湯山勇

    湯山委員 続いて、同じく果樹についてですが、いま温州ミカンの非常な値崩れその他で、温州ミカン農家は困っております。正常な状態においても困っておって、相当摘果をやらなければならないというような指導をしておられますし、同時にそういう状況を解消するために、品種更新ということについて農林省は補助を出してやっておられるわけです。ところが、今年の三、四月に品種更新、根接ぎをしたものは今度で大変傷みまして、恐らく被害面積は一千ヘクタール以上になるんじゃないかと思うくらいあります。これは技術的に、いまそれはだめになったから来年その横へまた根接ぎをするということは不可能であって、非常に困っているという状態ですが、これはただその点で困るだけじゃなくて、実がとれるようになって、生活がそれで維持できるという年数がまた一、二年延びるということにつながってまいります。この人たちもまたさっきの共済に入っていないミカン農家と同じように、一体生活をどうしていくかというような問題が出てくるわけで、そういう農家の生活をどうやって一体支えていくか、これについてどういう対策を持っておられるか、お伺いいたしたいと思うわけです。
  308. 北野茂夫

    ○北野説明員 現在、農林省ではミカンの生産調整をやるために改植あるいは高接ぎ等をやっているわけでございますけれども、改植、高接ぎをやりまして災害に遭ってしまったという農家につきましては、改植、高接ぎをやった当年から高接ぎにおいては三年、改植については五年間、経営資金といたしまして十アール当たり八万六千円、あるいはそれの利子等によりまして、三分の二でございますけれども、その低利融資をやっておりますが、災害に遭って流失あるいは全くだめになった場合には新たに高接ぎ、改植をした時点におきまして、さらにそれから五年間新規採択をしてやったということで、経営資金が引き続き借りられるようにただいま検討中でございます。
  309. 湯山勇

    湯山委員 検討中というのはちょっと困るので、そうするならする、やってもらいたいというのは、いまそういう災害に遭った農家はすでにそれで一回やってもらっているわけです。補助も別にもらっているわけです。そこで、そういうところがもう一遍接ぎ直すかあるいは改稿するという場合には重ねて補助が出るかどうか。それから、いまの生活資金、それはいままでそういう資金を受けておったことは条件としないで、それについては二重になってもまた貸すんだ、あるいは出すんだということになるのかどうか、これは非常に大事な問題で、これらの農家はたちまち生活に困るわけですから、ひとつできるだけはっきり言ってください。
  310. 北野茂夫

    ○北野説明員 再度、改植あるいは高接ぎをしたものに、また同じ圃場について助成が可能であるかどうか、非常に補助事業の本質にかかわる問題でございますと同時に、予算的な措置を伴うものでございますので、現時点ではっきり結論は申し上げられない、そういうことでございますが、前向きに検討したいということでございます。  それから、いままでに借り入れております資金のいろいろの返済上の問題につきましては、先般からいろいろ御質問、御答弁がございましたけれども、ケース・バイ・ケースで処理する道が開かれておりますので、その線で指導していきたいというふうに考えております。
  311. 湯山勇

    湯山委員 これはちょっとくどいようですけれども、いまのように高接ぎなんかした分ですね、これはもうどうにもならなくなっている分もあるわけです。それは生き残ったのを育てて、また枝をふやして、それでもつのもありますけれども、それができないという場合には、こういうのが災害ですから、以前に補助が出ておっても、また新たに補助を出すということでなければ、これは災害対策にならないと私は思いますし、そうしなければ、これはもうやめるしかないわけです。廃園にするしかないわけで、それでは立っていかないということですから、ひとつその実現方については大きい立場から、なおまた別な機会にも申し上げますけれども、災害対策を総括して引き受けておられる国土庁の政務次官、そういうことのないように、ぜひひとつ実現に御尽力願いたいと思います。いかがでしょう。
  312. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 私は果樹議員連盟の事務局長もやってまいりまして、ミカンのことについては、いささかいままで関係をしてまいりましたので、非常な関心を実は持っていま拝聴してまいりましたわけであります。  農林省の申し上げますのも、これは補助事業の本質にかかわる問題でございますから、それはそれなりに当然のことであろうと思います。しかしながら、今後さらにミカンを本当に生涯の仕事としてやる人たちが、十分に生計が成り立って、生産に励んでいくことができるように、今後ともにこの問題については取り組んでまいりたい、農林省とも十分相談してまいりたい、こう思っております。
  313. 湯山勇

    湯山委員 それから、これもお尋ねがあったかと思いますけれども、いま申し上げましたように、ミカンが取れなくなった農家あるいは予定どおりに品種更新ができなかった農家等は、いまおっしゃったような金が、八万幾らがあったにしても、生活自体にもかなり困る者が出てくると思います。それらの自創資金ですか、それらについては特別な配慮がなされるかどうか、それはいかがでしょうか。
  314. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 さきにお答えを申し上げたわけでありますが、今回はこのような災害でございますから、十月八日の閣議で激甚法の指定をすべく、ただいま準備を整えておるところでございます。したがいまして、そういたしますと、今度は天災融資法の適用をする。天災資金の貸し付け、自制資金の貸し付け、それからまた各種の政府資金の、必要に応じては償還の延期あるいは場合によっては新たなる貸し付けということもあり得るかと思います。そういうことを総合的に検討して、遺憾のないように配慮してまいる所存でございます。
  315. 湯山勇

    湯山委員 いま政務次官お答えになった制度資金、系統資金、これらの措置、それは当然そうあってしかるべきだというように考えます。ただ、返還期日の来たようなもの、返済期日の来たようなものについては、借りかえか何かでつないであげないと、そのまま延長というのはなかなかむずかしい問題もあるかと思うのですが、それはどうなりますか。
  316. 杉山克己

    ○杉山説明員 農林省の関係の制度資金のことにつきまして、江藤国土政務次官からお答えいただきましたが、そのとおりでございます。  それから、旧分貸付金の償還条件の猶予の問題につきましては、私ども、今回の冷害それから台風十七号の被害者に対しましては当然そういう措置をとる必要があると考えて、近くそういう具体的な指導を通達をもって出すことを予定いたしております。
  317. 湯山勇

    湯山委員 終わります。
  318. 柴田健治

    柴田(健)委員長代理 次回は、来る十月二日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十一分散会