運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1976-10-26 第78回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月二十六日(火曜日)    午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 吉田 法晴君    理事 葉梨 信行君 理事 深谷 隆司君    理事 島本 虎三君 理事 木下 元二君       越智 伊平君    林  義郎君       阿部未喜男君    岩垂寿喜男君       田口 一男君    米原  昶君       有島 重武君    岡本 富夫君       坂口  力君    折小野良一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 丸茂 重貞君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       金子 太郎君         環境庁企画調整         局長      柳瀬 孝吉君         環境庁企画調整         局環境保健部長 野津  聖君         環境庁自然保護         局長      信澤  清君         環境庁大気保全         局長      橋本 道夫君         環境庁水質保全         局長      堀川 春彦君         国土庁地方振興         局長      土屋 佳照君         厚生省環境衛生         局水道環境部長 国川 建二君         通商産業省立地         公害局長    斎藤  顕君         資源エネルギー         庁公益事業部長 服部 典徳君  委員外出席者         経済企画庁総合         計画局電源開発         官       飯島  滋君         厚生省環境衛生         局水道環境部参         事官      三井 速雄君         通商産業省基礎         産業局非鉄金属         課長      原木 雄介君         資源エネルギー         庁公益事業部火         力課長     早川 正彦君         運輸省港湾局計         画課長     小池  力君         海上保安庁警備         救難監     山本 了三君         建設省道路局有         料道路課長   宮崎 昭二君         消防庁危険物規         制課長     矢筈野義郎君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 十月二十六日  辞任         補欠選任   坂口  力君     有島 重武君 同日  辞任         補欠選任   有島 重武君     坂口  力君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公害対策並びに環境保全に関する件      ————◇—————
  2. 吉田法晴

    吉田委員長 これより会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島本虎三君。
  3. 島本虎三

    島本委員 伊達発電所パイプラインに関する統一見解、これが環境庁が中心となって経済企画庁通商産業省それぞれ、ここに知恵をまとめて出されたようであります。これは小沢長官の時代で、いまの長官は、その当時はこれに関していなかったわけでありますが、この統一見解は前回われわれの方にちょうだいすることができましたが、これに対して環境庁長官責任を持って、この統一見解を出されることを指導されたのですか。
  4. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 統一見解をまとめるまでの経緯については先生すでに御承知だと存じます。そのとおりの経過をたどりまして、そういう統一見解が出たわけであります。
  5. 島本虎三

    島本委員 この統一見解は、いろいろまだ疑義な点がたくさん残されたままに、ふわらっと真綿で包んだような見解のように受けとめられます。順次この問題に対しては解明さしてもらうことにして、まず本年の十月十一日に伊達火発反対胆振西部連絡会代表斉藤稔氏の名によって、通産省経済企画庁環境庁それぞれに、伊達火力発電パイプラインに関する要求書、この要求書を送付した、速やかに回答願いたいということで、二点にわたって質問書が出されましたが、これに対して処理いたしましたか。
  6. 服部典徳

    服部政府委員 ことしの十月十一日に、代表斉藤稔さんから私ども火力課長と、それから経済企画庁環境庁それぞれに対しまして、伊達パイプラインに関する要求書の提出を受けております。  その内容といたしましては、電源開発調整審議会を再度、開いて伊達パイプラインについて審議をすべきではないか、こういう御要求でございますが、これは政府統一見解に書いてございますとおり、電調審におきましては基本的な事項だけを審議するということになっておりまして、個々電気工作物についての審議は行わないということでございます。  なお、要求書に対する回答につきましては、関係各省で寄り寄り検討中でございます。したがいまして、まだ回答は出しておりません。
  7. 島本虎三

    島本委員 これは、なぜ回答を出せないのですか。この要求書内容統一見解内容にも重大な関係があるわけでありまして、統一見解は出せたけれども要求書回答は出せないということが、まず第一番に私はちょっとひっかかりますが、この点はいかがでしょうか。  この要求書には電調審了承事項として一定審査基準というものがあり、昭和四十五年十二月二十八日付「火力・原発の立地円滑化について」昭和四十六年五月二十四日付「新規着手地点に係る立地基準について」右の二つの審議手続が全くなされていないにかかわらず伊達火力発電所電源開発基本計画に組み入れた、これは重大な違法行為ではないか。また電気事業法第八条にかかわる書類不備があるにもかかわらず許可するという二重の違法行為を犯している、こういうように指摘してございまするけれども、これは、まだ回答していないとすると、これらの点を認めているということにつながりますが、この点いかがでございますか。
  8. 飯島滋

    飯島説明員 ただいま御指摘の点でございますが、統一見解でも先週、御提出いたしましたとおり、電調書におきましては発電所の基本的な事項について審議するということになっておりまして、基本的な事項と申しますのは、促進法政令で決められておりますように、発電所の位置だとか原動力種類最大出力等、こういったものに係る基本的な事項についての審議をするということでございまして、そういった範疇について、いま御指摘立地基準等審議会として、そういった審議をするに当たっての運用指針ということで審議会自体が定めたものでございまして、そういう範疇審議をしているということで、ここの要求書にございますように法令違反というようには私どもとしては考えておりません。
  9. 島本虎三

    島本委員 その辺がちょっと、おかしいのじゃありませんか。「火力原子力発電所立地円滑化について」という昭和四十五年十月二十八日付で、これは一定審査基準というものが示されてございましょう。それから四十六年五月二十四日には「新規着手地点に係る立地基準について」というようなものも設けてございましょう。もうすでに、こういうものが発動して発効しているのに、そういうようなものを全然考慮に入れない、与えられたものだけしか考えないのだ。これでは少し余りにも行政先行の、いわば環境破壊につながる行為を堂々とやっていることになるじゃありませんか。そう言われても言葉がないでしょう、肝心なものをやってないのだから。この点においても次の点とあわせて答弁してください。  昭和五十一年の三月二十六日に北海道議会がございました。その予算特別委員会で道の答弁は、本件についての知事同意は正当である。立地基準については知らなかった。経済企画庁通産省立地基準については知りながら、また道知事同意書内容承知の上で電調審で処理した、この時点の国の処理の仕方には問題があるのじゃないか。あるいは、処理しなければならない新たな判断が出るのであれば、私どもも今後やらざるを得ない。次に、国の統一見解が出ることが先決である。これらの一連の発言がもうすでにあるわけです。したがって電源開発関係省庁の、電源開発促進法上の立地基準についての手続これは全く無視している事実、こういうようなことが明確に示されているじゃありませんか。第一の問題では全然それに触れない。同時に北海道議会、肝心のそれが全然知っておらないし、これはもう国の方が統一見解が出るのが先決であって、そして、われわれの方はそういうようなことは知っていないのだ、こういうようなことであります。これは立地基準が明記しておる住民の合意それと電調審への道知事伊達火力同意、こういうようなこと、これもまた全部すりかえが行われているじゃありませんか、同意ということが。そういうようなことで住民には、まことに不可解だ。そして、これは住民の不信を買っている問題です。これについても、やはり間違いないですか。
  10. 飯島滋

    飯島説明員 先ほども申し上げましたように、電調審におきましては、各種の計画だとか、あるいは権益との調整を図るというようなことが大きな目的でございまして、発電所個々許認可事項がすべて終わらないと計画決定をしないという性格のものではございません。したがいまして基本的な事項にかかわる、たとえば排煙の問題だとか、そういったような環境問題につきましては電調審の場で審議をいたしますけれどもパイプラインを用いる計画であるということにつきましては、審議会の場で検討いたしておりますけれども、それの環境問題についてまでは、この段階では検討しておりません。こういった問題につきましては個々法体系がございますので、たとえば安全問題でございましたら消防法体系、あるいは環境問艇でございましたら電気事業法体系といったようなところで、許可あるいは認可という段階で十分審査されるものだと考えております。  それから地元同意の点でございますが、私どもといたしましては一応、電調審に付議するに先立ちまして地元知事の御意向というものを伺っております。その際、知事が十分、地元動向等も勘案した上で判断してください、こういうお願いをしているわけでございます。私ども電調審事務当局といたしまして地元市町村意向を聞いたらどうかという御指摘もあるかと思いますが、やはり地方行政責任者である知事に総合的な判断をしていただくというのが、私どもとしては適切な方法ではないかという考え方のもとに、知事さんの御意見を伺った上で、それを審議会に報告し、御判断いただいているというかっこうをとっております。それから先ほどの立地誰の内容でございますが、立地基準というのは、先ほど申し上げましたように、審議会審議する内容法律政令で決められておりますので、その範疇についての運用をいっているものでございまして、したがいまして、排煙だとか温排水等につきましては十分審議をしておりますし、そういうことも含めて知事さんの御意見を伺うというかっこうにしているわけでございます。
  11. 島本虎三

    島本委員 いまの御答弁を聞けば、知事意見を聞けば全部、住民代表しているから、それでいいのだというふうにとられます。知事が先行して、この開発を進めておる、こういうような事態を全然認識もない、こういうような官庁がございますか。それが住民意向と一致する、全く短絡的な考え方です。小沢環境庁長官は前に「全体的な印象を環境庁から見ますと、環境影響事前評価については不十分だと思うのです、いまのパイプラインも含めまして。」こういうように発言されているのでありますけれども、この環境影響事前評価こういうようなものを関係各省庁は、これによって、どのように考えたのですか。環境庁はどのように、この長官言葉を実施させたのですか。
  12. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 パイプライン環境影響評価につきましては、通産省電気事業法に基づく四十一条の電気工作物審査をする際に、あわせて、そこで環境影響評価を行うことになっておりまして、その行う際に私どもも必要な資料通産省から求めまして、その内容を検討して、その結果に基づいて意見通産省に申し上げる、その段階環境影響評価をきちんとやってもらうというふうに考えておるわけでございます。
  13. 島本虎三

    島本委員 まあ大体わかりましたが、そのほかに昭和四十八年九月十二日に資源エネルギー庁が「発電所立地に関する環境審査強化について」これを提案してございますね。これをはっきり提案するのでありますから、いま環境庁が言った環境影響事前評価については、きちっとこの問題は対処させなければならないのじゃないか、こう思っておったのですが、この点等についてはいかがなものなんですか。
  14. 服部典徳

    服部政府委員 ただいま御指摘のございました四十八年九月の私どもの「発電所立地に関する環境審査強化について」という文書でございますが、これは環境問題の重要性が年々高まってきているという状況を踏まえまして、通産省といたしまして電気事業法に基づき発電所立地に伴う環境保全につきまして電気事業者を監督する立場から環境審査体制強化する、そうして環境保全に対して万全を期するという観点から、環境審査体制強化するという意味で、環境審査顧問資源エネルギー庁長官の委嘱によりまして設けまして、そこの意見を聞いて発電所設置に伴う環境審査を行う、こういう体制を固めたわけでございます。
  15. 島本虎三

    島本委員 それでは、この統一見解これが出されましたが、これに入って内容に少し触れさせていただいて御答弁をはっきり得ておきたいと思います。  伊達火力発電に伴うパイプライン、この環境問題に関して、いろいろ言われておりますが、昭和五十年の十一月二十日公害環境特別委員会、これは私の質問にはっきり答弁してございます。五十一年の三月二日、同じくこの特別委員会で、私と岡田券夫議員質問に対して、これもはっきり答弁しております。それと五十一年の六月四日には、答弁書を出して、この問題にも触れておるのであります。また五十一年十月二十二日、同じ答弁書にも、この問題をはっきり答えておるのであります。今回の統一見解これも出されたのでありますが、関係法令等関係で、いろいろな矛盾、それから環境保全のために妥当ではない、こういうような点がちょっと目立つのであります。そのままにしておくことは、統一見解そのものに尾を引くことになりますので、この際きちっとしておかなければならないと思います。伊達火力発電に伴うパイプライン環境への悪影響に関する問題点として、少し今後の行政の進め方についても明確にしておかなければならない問題だと思います。それと、いままで、いろいろと御答弁を承りましたが、電源開発について、その発電所立地等についても特に留意すべきいろいろな問題があるからであります。  それで、このパイプラインに関する政府見解のまとめ、これでありますけれども環境審査強化について」という昭和四十八年九月十二日の通達の、それは対象事項ではない。電源開発促進法二条の「電源開発」ではない、こういうような御答弁があったと思いますが、この点はそのとおりですか。
  16. 飯島滋

    飯島説明員 ちょっと、いま聞き漏らしたのですが、パイプライン促進法の二条の「その他の工作物」でないということでございましょうか。
  17. 島本虎三

    島本委員 本年の六月四日の答弁の中に「環境審査強化について」という昭和四十八年九月十二日の通達対象事項ではないのだ。そして電源開発促進法二条の「電源開発」ということには直接関係はないのだ、こういうような答弁があった、この点についてはいかにお考えですか、このとおりですか。
  18. 飯島滋

    飯島説明員 ただいまの先生の御指摘は、企画庁から六月に発言したものでしょうか。
  19. 島本虎三

  20. 服部典徳

    服部政府委員 四十八年九月の私どもの「環境審査強化について」という文書で言っております環境審査、これは発電所発電機、ボイラー、タービンといった、いわゆる主機についての環境審査についてでございまして、いま問題になっておりますパイプライン環境審査につきましては、この対象ではないという解釈でございます。
  21. 島本虎三

    島本委員 同時に第六十回の電調審、ここでは環境影響評価ということはやっていましたか。
  22. 服部典徳

    服部政府委員 第六十回の電調審におきましては、ただいま申し上げました主機につきましての環境関係資料は提出いたしております。
  23. 島本虎三

    島本委員 いわゆる法八条の許可ということを言われておりますが、この八条許可に含まれていますか。
  24. 服部典徳

    服部政府委員 電気事業法第八条の許可内容でございますが、発電所設置場所原動力種類周波数出力、この四点が八条許可対象でございまして、ただいま御指摘のございましたパイプラインにつきましては、八条許可内容には入っていないということでございます。
  25. 島本虎三

    島本委員 そうすると、これまた法二条第七上項の「電気工作物」である、こういうようにして昭和四十八年十月三日、北海道の方へ回答してございますが、そのとおりですか。
  26. 服部典徳

    服部政府委員 電気事業法の第二条第七項におきましては「この法律において「電気工作物」とは、発電変電、送電若しくは配電又は電気使用のために設置する機械器具、ダム、水路、貯水池、電線路その他の工作物をいう。」というふうに定義をされておりまして、電気使用のために設置される工作物総称を「電気工作物」と言っておるわけでございますが、また同時に、所、変電所等につきましては、総合的な設備といたしましても「電気工作物」でございますし、また、それを組成いたします機械あるいは器具につきましても「電気工作物」であるということでございます。
  27. 島本虎三

    島本委員 「電気工作物」である、このことは大体わかりました。そうすると「発電所に係る個別工作物」という統一見解意味と「電気工作物」という意味は同じですか、違うのですか。
  28. 服部典徳

    服部政府委員 同じでございます。
  29. 島本虎三

    島本委員 法四十一条三項一号に該当するということで、これは「法八条一項の許可を受けたところによるものである」こういうようなことに当然、含まれておるようであります。いま、いろいろと答弁を承りましたが、やはり、これは少し矛盾があるのではないかと思われますので、この統一見解とあわせて、この点だけは今回この場所で、きちっとさせておいたらいいと思うのです。いわゆる法解釈上の矛盾と思われます。  「電気工作物」これは法二条七項で定義しておりますが「個別工作物」というような言葉もまた出てきているのであります。「電気工作物」と「個別工作物」の内容は同じだというのでありますが、これは表現が「電気工作物」と「個別工作物」では違うんじゃないか。したがって言葉定義法的根拠は、これはどういうようになっているのか、この点について、きちっと伺っておきたいと思います。
  30. 服部典徳

    服部政府委員 先ほど答弁いたしましたように「電気工作物」は発電所変置所等設備総称と同時に、また、それを組成する個別の設備も包含する概念であるということでございますが、特に統一見解書では、その中の「個別工作物」というふうに断って書いたわけでございます。
  31. 島本虎三

    島本委員 そうすると「電気工作物」法二条七項、これによるところの定義がございます。それと「個別工作物」これは内容は同じだけれども表現が変えられておりますが、もし土地収用法がかからなければならない場合には、この内容が同じでも、その表現が違うと、この土地収用法は当然かけるための法的根拠がない。これが「個別工作物」になってしまうじゃありませんか。こういうような点は、どういうようなことで内容は同じで表現だけ変えるのでしょうか。
  32. 服部典徳

    服部政府委員 法律的な用語といたしましては「電気工作物」ということでございますが、第八条と第四十一条との関係につきましては、八条の方は発電所全体をとらえまして、その設置場所あるいは原動力種類周波数出力といったような点を許可内容として考える。四十一条につきましては、その工作物のうちの個々の、それを組成する工作物につきまして工事計画の適否を審査する、こういう意味合いで「個別工作物」という用語を使っているわけでございます。
  33. 島本虎三

    島本委員 同じ用語で言ったら一番間違いがないんじゃないですか、内容は同じなんですから。それをどうして個別とか、あるいは電気だとか、内容は同じなのに表現を変えなければならないんですか。同じだったら同じ言葉でいいんですよ。黒い犬だったら黒い犬と言えばいいんですよ。白でもなく赤でもなく青でもなく、そして白の反対の包だ、こんな表現なんか必要ないですよ。本当に「電気工作物」なら、はっきり初めから「電気工作物」でいいじゃありませんか。内容が同じなのに表現だけ、なぜ変えなければならないのかということです。
  34. 服部典徳

    服部政府委員 電気事業法四十一条の趣旨から申しまして「電気工作物」のうち個々の、それを組成するそれぞれの工作物について審査を行うという意味合いから「個別工作物」という言葉を使ったわけでございますが、法律的には御指摘のとおり「電気工作物」でございます。
  35. 島本虎三

    島本委員 この見解の中に、そういうような紛らわしい言葉を使うところが問題なんです。それならば、このパイプラインそのものは「立地基準」の対象ではない。電源開発促進法第二条の該当ではない。そして法二条第七項の「電気工作物」である。文言が一つであって、こういうような見解になるわけでありまして、何か、この辺では私どもは理解に苦しむわけであります。  そして、これで次に、ちょっと聞きますけれども、そのパイプラインは法第四十一条三項一号に該当しながら法八条に含まれないというのは、これはちょっと見解として、いただけないのでありますけれども、この辺も、この機会に明確にしておいてくださいませんか。
  36. 服部典徳

    服部政府委員 電気事業法第四十一条第三項第一号におきましては、電気事業の用に供する工事計画につきまして「八条一項の許可を受けたところによるものであること。」というのが要件になっておりますが、この「八条一項の許可を受けたところによるものであること。」ということは、先ほど来、申し上げております八条一項の許可内容でございます発電機設置場所原動力種類周波数出力、この四項目につきまして許可を受けたところの内容と抵触をしないものであることという意味で書かれているわけでございますので、許可証記載事項と一致するかしないかということが四十一条三項一号の基準でございます。
  37. 島本虎三

    島本委員 それならば結局は「電気工作物」という、これには二種類あるということにならないでしょうか。その誤解を起こさないために一つでいいのじゃないかと言うのでありますが、依然として、あなたが主張するようなことだとすると、結局は「電気工作物」には二種類あるということになりませんですか。一つは法八条、規則六条これが必要なもの、この十五種類の添付というやつですね。それと不要なものと、こういうようなことになってしまうのじゃないでしょうか。なぜ法二条七項で区別しないのでしょうか。法の不備なんですか。これは法の運用上の混乱なのですか。この点あたりは、やはり、はっきりしておいた方がいいのじゃございませんか。統一見解は出ながら依然として、こういうふうな疑念を残すということは、私どもとしては、いただけないのであります。  発電所のいわゆる付帯設備によっては法八条の出力であるとか燃料であるとかという記載事項に変更が必要だというのに、本体と付帯設備を強いて分離しようとしていることに、ちょっと無理があるのじゃありませんか。そのことによって法の不備であるとか解釈誤り、また運用上の誤り、こういうようなことを犯していると思われるし、したがって現在、行政上の混乱を発生さしている、こういうようなことにつながるのじゃありませんか。住民反対、この理由とする延期申請、これが二度も出されております。それから多数の公開質問状や行政不服審査請求が出されております。それから法七条の五年間の期限が昭和五十二年十一月二十四日に切れようとしていますね。こういうようなのと合わして「正当な理由」というのは一体どういうことを指すのでしょうか。また、こういうようなことも住民に対する不信を与えることになるじゃありませんか。この点、明確にしておいてください。
  38. 服部典徳

    服部政府委員 最初の御指摘の点でございますが、縮り返しの答弁で恐縮でございますけれども、八条で言っております「電気工作物」というのは、発電所自体をとらえまして、それが需給上に必要であるものかどうか、また過剰にならないかどうかということで、発電所本体につきまして概括的、総括的な判断を行うための許可ということでございます。四十一条の方は、個々電気工作物につきまして、それぞれ、その他の技術基準に該当するかどうかという点を審査するということでございます。  それから、事業開始までに指定期間の延長をなされているではないかという御指摘でございますが、伊達発電所の建設工事につきましては、地元住民の建設阻止行動がございまして着工がおくれたということがございます。また、パイプラインの建設につきましても、いろいろ環境審査等を慎重に行う必要があるということで、発電所の事業開始の時期が、当初は三年でございましたのが、それぞれ一年ずつ延期を行いまして、現在は五年ということで、五十二年十一月二十三日事業開始ということで期間延長を行ったわけでございます。
  39. 島本虎三

    島本委員 ただ、こうやったという、その経過報告だけではだめですよ。こっちが指摘している内容をよくわかっておらないじゃありませんか。この統一見解に基づいて、ちぐはぐな理解に苦しむ点を挙げて言っているのです。あなたたちがやったことを、そのまま報告させているのではないですよ。  それで、パイプラインだけ離して再度、電調審にかけろ、このことを岡田委員は強く主張いたしました。そういうようにする意思があるかどうか。また、四十一条に該当するものとして、審に準ずる厳密な環境審査をもう一度、行う必要があるのではないか。そうでなければ、これだけ切り離して電調審にもう一度かける、こういうような必要があるのではないか、こう思われますが、この点、環境庁ではどのように判断されますか。
  40. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 統一見解に書いてございますように、パイプラインを含めて個々工作物設置に伴う環境、安全等の問題につきましては、開発基本計画決定後に、関連法規に基づく許認可の段階審査を受けることとなっております。関連法規というのは、先ほど申し上げております個々電気工作物につきましては、電気事業法の四十一条の審査の際に、これとあわせて行うというふうに考えておるわけでございます。
  41. 島本虎三

    島本委員 もし、それを環境庁がやるというのなら、これはもう厳重な環境審査を行う、これでなければならないと思います。  安全性の問題こういうようなものは、きちっとされていると思いますが、このパイプラインの場合は本当に安全性は確立されているのですか。この問題について消防庁それから関係省庁から、一言でいいのです、イエスかノーかでいいのですが、御答弁を願いたい。
  42. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 パイプラインは、パイプライン事業法に基づきまして四省庁で種々、技術的な基準を検討いたしましたが、それに準拠いたしまして、消防法に基づく当該伊達パイプラインについても同じ基準を適用しておりまして、安全性を確認しております。
  43. 島本虎三

    島本委員 安全性がそのように確認されているならば、なぜ山の中を通し、川を越え、町の中を通して、そして最も地震多発地帯と言われる昭和新山の付近まで、人のいない方をぐるっと回らなければならないのですか。安全性性がそれほど確立しているならば、直線で真っすぐ行った方が効率が一番上がるじゃありませんか。なぜ、これをやらないのですか。結局、安全性が確認されないという証拠ではないのですか。この点はだれがやっているのでしょうか。
  44. 服部典徳

    服部政府委員 安全性の審査につきましては、ただいま消防庁の方から答弁があったとおりでございまして、私どもといたしましても、北海道庁から安全性の内容について十分、説明を聴取いたしております。  それから、安全ならばルートを直線で通したらどうか、こういう御指摘でございますが、ルートの選定に当たりましては、安全性の確保はもとより第一でございますが、そのほかに、やはり環境保全の問題でございますとか、土地利用の問題でございますとか、あるいは工事施行上の問題といった諸問題もございますので、それを総合勘案してルートを決めるということになるわけでございます。
  45. 島本虎三

    島本委員 総合検討して、一番昭和新山に近く、そして地震の起きやすい、地すべりの多い、そうして地下水に対していろいろ障害のあるところ、そして室蘭に入ってきて崎守地区では町の中を真っ二つに割って通っていく。そして住民運動では、そこを避けてくれというのを聞かないで真っ二つに割くようにして通っていく。そうして、その距離は直線距離の何倍になるのですか。五、六倍になるじゃありませんか。環境保全のためだと言って、環境について何もアセスメントをやっていないじゃありませんか。うそを言うのもいいかげんにしないといけませんよ。何が環境保全のためなんですか。保全のためならば、安全性のためならば、直線距離を、海岸並びにその近くを真っすぐに行ったら一番、経費も安い、効率も上がる、そして、なおかつ安全性の立証にもなる。それをやらないで遠回りをして、経費をよけいかけて、効率を下げて、環境を破壊していながら、いまのような答弁は何ですか。少し考えて答弁してください。いまの答弁をやり直してください。
  46. 服部典徳

    服部政府委員 伊達パイプラインのルートでございますが、北海道電力では三つのルートを対象として勘案をしたということで、われわれも、その三ルートにつきまして……
  47. 島本虎三

    島本委員 その報告だけを求めているのじゃない。あなたが指導し許可してやらせている、それが一番便利なのは、あなたの言っていることを立証されるのは直線だと言っていいのです。それをやらないのは安全性を欠くからじゃないかと言うのです。簡単に、それを言ってください。
  48. 服部典徳

    服部政府委員 先ほど答弁申し上げましたように、そのほかに土地利用の問題とか、工事施行上の問題がございます。たとえば既存のトンネルの中を通すとか、あるいは交通量によりまして道路に対する掘削をどういうふうにするとか、そういった工事施行上の問題あるいは土地利用の問題がございますので、その辺を総合勘案して、先ほど申し上げた山側のルートというのを採用するということでございます。
  49. 島本虎三

    島本委員 何回言っても、それしかできないなら、あなた、もう答弁しなくてもいい。そのことを言っているのじゃないのです。消防庁も言われるように安全だ、それは確認された。それほどならば、環境の保全を考えながら最短距離をやったらいいじゃないか。なぜ最短距離を行く五倍も六倍も七倍も、それも火山地帯の地すべりの多いと言われている、そういうような人のいないところばかり通るのですか。それがなお環境破壊になっているのだと言っても、あなたは道庁の考え方は二つあるとか三つあるとか、もうそんな答弁は要りません。  結局これも食い逃げじゃありませんか。いま環境保全のためにやったとして旧トンネルを使ったと言う。旧トンネルを使ったがために、町の中を二つに断ち切ってしまって住民反対運動が起きているのです。そこをやめてくれと言うのじゃない。そこを避けてくれという、こういう声さえも聞かないで強引にやっているのです。これは環境保全のために十全、万全を期したと、こう考えられますか、どうですか環境庁
  50. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 私ども環境影響評価内容につきまして十月、今月の十六日に資料をいただいたわけでございまして、現在それを慎重に検討して、できるだけ早く結論を出したいと思っておるわけでございますが、安全性の問題につきましては、これは消防法に基づきまして、その許可が必要でございまして、その面で安全性について検討をしていただいているというふうに考えております。
  51. 島本虎三

    島本委員 環境庁答弁、もう少し大胆な答弁したらいいじゃありませんか。なるべく失言しないようにということばかり考えて、環境庁の初々しさは全然ないじゃないですか。だめだ、そんな答弁は。  環境影響に万全の対策を考えたい、こういうようなことを言っておりますが、それでは環境審査でありますが、これは電調審や法四十一条の問題点でしょうか。これは北海道電力から昭和五十一年五月に資料編を含めて「環境保全対策」という分厚いものが出ているのです。環境審査資料として、これは十分でないと思うのであります。  まず、この六月四日の答弁誰の五「地下水に関する資料については、整備することとしている。」統一見解でも「北竜から調査資料を提出させ十分検討することとしている。」そして十月二十二日の答弁書の四「本件と関連して石油パイプラインに関する環境保全上の技術基準につき、今後関係法令を全般的に検討する必要」があります。あるいはまた十月二十二日の答弁書の二ですが、資料は、これは「道知事が北竜から提出を求めたものであり、通産省行政指導によるものではない。」大体こういうように言っておられるわけであります。みんなこれは未来形で書いているわけですね。現花こうだという、こういうようなものではないのであります。したがって、十月二十二日の答弁書の四末尾の、環境庁通産省から送付を受けた報告書の資料、これによって上記のこの対策以外に何か環境保全対策というものがあるのですか、ないのですか。環境庁、この分厚い北竜から出された「伊達発電所パイプライン設置に係る環境保全対策」というのがあります。付属資料も分厚いのがあります。これ以外に何か環境保全のための対策があるのですか。また調査があったのですか。
  52. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 現在、通産省から送付を受けて検討中の環境審査報告書には、環境保全上重要な検討事項というのが、たとえば加温による地温の上昇とその影響とか、あるいは地下水の影響とか、農地等の物理的な改変とか、加温ボイラーによる大気の汚染とか、あるいは廃油による水質の汚濁とか、そういう重要事項については一応、記述されているものと考えておりますが、なお詳細について今後、検討してみたいというふうに考え  ております。
  53. 島本虎三

    島本委員 ちょっと急ぎますけれども、この三月の二日やはり公害環境特委で小沢環境庁長官が、道庁に命令して、いろいろなことをやらせます、こういうように言っておりましたけれども、その結果が出ましたか。何を命令しましたか、あるいは完了したのかしていないのか。これは知事が北電から提出を求めた関係資料、こういうようなものは「通産省行政指導によるものではな  い。」こういうようになっておるのでありますから、したがって、通産省行政指導によるものでないとすると、これは、いままで示された対策に含まれない、それ以上のものがあるのかないのか。これは通産省じゃございませんか。
  54. 服部典徳

    服部政府委員 私ども環境審査に当たりましては、北電から伊達発電所パイプライン環境調査資料という資料書の提出を求めまして、それに基づいて審査を行っておるわけでございますが、調査資料だけでは十分でございませんので、さらに補足した資料、たとえば地下水の賦存状況の調査資出料でございますとか、その他二十数種類にわたります補足資料の提出を求めまして検討を行っている次第でございます。
  55. 島本虎三

    島本委員 その検討資料が皆さんの手元に答申されましたか。あなた受け取っていますか。
  56. 服部典徳

    服部政府委員 通産省で受け取りまして、環境庁の方にも御相談申し上げておるところでございます。
  57. 島本虎三

    島本委員 それでは環境庁の方では、それをどういうふうにしているのですか。
  58. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 通産省から資料をいただきまして目下、検討中でございます。
  59. 島本虎三

    島本委員 目下検討中、検討はしているのですか。それならば検討している内容について、この後から聞かしてもらいます。これは小沢長官も、この前には、この問題のためには、道庁に命令して十分に環境影響評価をさせなければならない、こう言っていたわけでありますが、これについては石油パイプラインに関する環境保全上の技術基準、今後の関係諸法令の検討によって、このパイプラインに問題が生じた場合には対処する方法、こういうようなものについても十分検討されていると思います。いろいろな疑念がある。本当に安全だと言いながらも、さっき言ったように、やや直線に近い距離、方法をとらないで、迂回、迂回また迂回、一番人のいない、そうして地すべりの多い火山地帯さえも通している。よけい効率を下げるようなやり方、経費のかかるようなやり方をしているのであります。問題の起きた場合の対処、こういうようなものも重要でありますけれども、こういうようなものに対して十分考えておりますか。
  60. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 現在の消防法とか、あるいは電気事業法等では石油パイプラインに関する環境保全上の技術華準というものが定められておらないわけでございまして、そのほかに石油パイプライン事業法とか、あるいはガス事業法とか、いろいろな法令に基づいてパイプラインの問題も関連してくるわけでございますが、いまのように技術基準というものが定められておりませんので、今後そういういろいろな諸法令を全般的に検討して、技術基準をできるだけ早く定めるように検討を進めてまいりたい。これは環境影響評価の法制化とも関連のある問題でございまして、どこまでを、いわゆる、どういう法体系のもとで処理していくかというようなこととも関連がありますので、そういうものを含めまして全般的に今後、検討をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  61. 島本虎三

    島本委員 いま資源エネルギー庁では「伊達発電所パイプライン設置に係る環境保全対策」以外にも地下水脈等に対しても資料をとって環境庁でも調査している、こういうようなことであります。そうしたならば現在のデータたとえば四十一条認可申請書添付のものですけれどもパイプラインの工事中あるいは完成後に沿線の地下水の枯渇または低下の事態が発生しない、こういうようなことを明確に判断することができるでしょうか、できないでしょうか。この点についていかがですか。
  62. 服部典徳

    服部政府委員 地下水の影響でございますが、三十七カ所にわたりまして観測井を設けまして、去年の九月から観測を実施をさしているわけでございますが、その結果、埋設の方法、埋設の深さ、それから外径等を考え合わせますと、設置個所周辺の地下水の影響というのはまずない。地下水を遮断したり、あるいは地下水位や水量に影響を及ぼすことはほとんどないというふうに考えられるわけでございます。  なお、工事後の地下水の状況につきましても十分監視をする必要がございますので、ルート近傍十カ所以上にわたりまして観測井を設けて監視させるという方向で指導したいというふうに考えておるわけでございます。
  63. 島本虎三

    島本委員 当然、指導すべきであります。  六月四日の答弁書の五に、地下水データに関する質問に対しては「北海道電力から提出を求め、整備することとしている。」こういうような答弁があるわけであります。しかし、そのデータの必要を認めているということ、六月四日以降に入手する、こういうように思われるのでありますが、すでに入手しておるのですか、まだ示されておらないのですか。まだであるならば予定期日、調査項目、これらについて伺いたいのであります。
  64. 服部典徳

    服部政府委員 ことしの六月二十六日付で北海道電力から、四十一条の工事計画の認可申請と並行いたしまして、先ほど申し上げた環境調査資料というのが私どもの方に提出されております。その内容に、いわゆる水文学的特性についての資料として、地下水の流方向でございますとか、あるいは地下水の流速、それから地下水の層の厚さ等に関するデータというのが、そこに取りまとめて盛り込まれているわけでございます。
  65. 島本虎三

    島本委員 それならば成田空港、あれらの問題もパイプラインで大分、大きい問題を起こしておりますが、あの空港公団でさえも、成田市内の暫定ルートに関しては水文学的データを詳細に調査しておりましたね。それと同時に、伊達においては工事に関連して地下水の枯渇した事故を現実に発生させた実例もありますね。そして、この水文学的なデータ、これは環境審査の前提として不可欠なものでありますけれども、この問題については環境審査の中に入れて十分、考慮しているのですか、この点は答弁できるでしょう。
  66. 服部典徳

    服部政府委員 先ほども答弁申し上げましたように、その調査資料をもとにいたしまして、地下水の影響ということを私どもとしては検討いたしたわけでございます。
  67. 島本虎三

    島本委員 この土中の温度の植生への影響調査、これをやりましたか。
  68. 服部典徳

    服部政府委員 いたしました。
  69. 島本虎三

    島本委員 どういうふうにやりましたか。
  70. 服部典徳

    服部政府委員 一つは、実際にモデルを使いまして土中温度の分布の測定実験をやった。それからもう一つは温度のシミュレーション計算というのをいたしまして、その結果からも判断をした。この両方の調査結果に基づきまして、植生への影響はほとんどないというふうに判断いたしております。
  71. 島本虎三

    島本委員 まことに結構であります。しかし地下水の影響のない地点に試験所を設けて試験したものではありませんか。その点はきちっと答弁できますか。水による熱の伝達、こういうようなものも十分考えてやっておりますか。それから、セクト管を用いないで六十度Cの温水を循環させたものではありませんか。なお、セクト管を使用した試験は本年の八月三十日から開始したものだと言われておるのですけれども、これは結論出るまで、わからないはずでしょう。別な試験の方法をとっているでしょう。そうして、このパイプラインの埋設道路から田や畑がそれよりも低い部分、その部分では、この結果は当然適用できないでしょう。  こういうふうにして、やはり影響のないところばかりを調査し、それによって、これは植生への影響は皆無である、こういうふうなことをしておるという、この実態を、あなたは知っておるのですか。いま私が指摘したような点は全く間違いだ、このことを通産省としては言えますか。私のデータは現地からの、はっきりした調査なんです。あなたの方は、ただ下から上がってきたデータでしょう。いま言った件について通産省として、はっきり、ここに証明してください。
  72. 早川正彦

    ○早川説明員 御説明申し上げたいと思います。  ただいま先生、御指摘の実験でございますけれども、北電は前後二回に場所を変えてやっておるわけでございます。最初に行いました実験は発電所構内でやっているわけでございますけれども、その後の調査では萩原町というところでやっておるわけでございます。この萩原町は地下水位が十メートル以上、低いわけでございまして、地下水による熱の伝導が一番悪いところ、つまり地中温度に及ぼす影響は一番シビアなところの実験でございます。なお、北電としましては、全ルートにつきまして地層あるいはその土壌等いろいろな条件を加味しましたシミュレーションの計算をしておりまして、この実験との対比をしているわけでございまして、実験の方が計算よりも、むしろ緩やかに出ているということで、全ルートにつきまして、そのシミュレーションの結果からしますと、土中温度に与える影響というのは、その実験と同程度の影響であるということを、われわれはチェックをいたしております。  以上でございます。
  73. 島本虎三

    島本委員 そのような試験の結果は少し粗雑ではございませんか。この粗雑な試験結果と判定するのに、まず第一に田村専門員は、三月三十一日の報告書においては深さ五十センチの地点で四十度C以下ならばよい、こういうような基準を採用して、植生への影響はありません、こういうふうに言っておるわけであります。この基準は養分吸収の点に着目して出されたものであり、最適温度ではありません。植物の各成長段階を考慮すれば、明らかに有害な作用があると考えられるのでありますけれども、そういうような点に対しては何ら考慮されておらない。植生に影響しない、こう判定する基準は、だれが、どのようにして作成するのですか、これは専門具なのですか、それとも通産省なのですか。だれが、これは植生に影響ない、この判定をしたのですか。この機会に、統一見解をせっかく出したのでありますから、この点もはっきりさせておいてもらいたいと思うのです。
  74. 早川正彦

    ○早川説明員 先生のただいまのお話の植物への影響の問題でございますが、四十度の件につきましては、北海道庁の環境対策のレポートではないかと思います。私ども判断といたしますと、パイプラインによりまして土壌が加熱されるわけでございますが、敷地境界におきまして、ほぼ一度とか二度の程度でございます。かつ、その深さはかなりの深さがございまして、その程度であれば私どもは影響がないだろうという判断でございまして、四十度以下であるから安全であるとか、あるいは影響がないとかいう判断は、私どもはいたしておりません。
  75. 島本虎三

    島本委員 これはもう一回、議事録にとどめておきますが、北海道庁の判断ですか、学者の判断ですか。
  76. 早川正彦

    ○早川説明員 私どもが聞いておりますのは、北海道庁の最終的判断だというふうに考えております。
  77. 島本虎三

    島本委員 したがって、いま出されたこの伊達発電所パイプラインに関する統一見解、この中でも、文字はそれぞれ文言としてつながっているのでありますが、その内容をいろいろやってみると、まだまだ不十分なものが多いのであります。未来形で書かれている部分が多いのであります。したがって、これらの四十一条認可これに当たっては、まさに慎重でなければならないはずであります。そういうような点からして、今後これだけを切り離して再び電調審にかける、これができないならば認可に際しては一層厳密に、電調審にかける以上に厳密な環境審査を行う、こうでなければこれを許可しない、こういうようなところまで踏み切らなければならない。これはもう統一見解だと思いますが、この点については事、重大でありますから、これを進めようとする事業官庁ではなくて、史上、最も厳密に環境そのものを保全するための官庁、環境庁、これあたりははっきりしないとだめだと思います。したがって、いままで小沢環境庁長官も、この問題に対しては、あるいは道庁に命令して、これをやらせるとか資料をとるとか、いろいろなことをやってきたわけであります。しかし今後も、もし認可する場合でも、まさに、これは電調審に差し戻して再びやる以上に厳密な環境影響を評価しなければならない、こう思うのでありますが、環境庁見解、これはあいまいな見解は許されませんが、はっきりした見解を、この際、伺っておきます。
  78. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 先ほど来しばしば申し上げておりますように、すでに資料をこちらへいただいて検討中でございます。その検討の結果を踏まえまして慎重に対処をいたします。
  79. 島本虎三

    島本委員 そうじゃないのですよ。その結果をとらえてではなく、結果を出す前に、この問題は重要であるから十分踏みはずさないように、これは大臣としても対処しておいてもらいたい。結果が出てからでは遅いんだ。出す前に、そういうようなことを十分考えてやりなさい、このことです。やはり大臣は、これが出るまで待つのですか。出す前に、これは慎重に、この問題を考えて対処するというのでなければだめなんです。大臣、これはもう一回言い直しておいた方がいいです。
  80. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 環境庁を預かる者といたしまして、所定の手続を踏みまして、すでに資料がわが方へ来ております。したがって、その資料を慎重に検討いたす、こういうことを申し上げたわけであります。
  81. 島本虎三

    島本委員 環境庁長官の決意としては私は少し不満足。しかし、十分やるというところに一縷の望みだけはかけておきます。  次に、私は廃油船の高共丸の入港問題等についての政府の責任について伺いたいのであります。  これは新聞にも、いまでも出ているのでありますが、廃油を積み込んだ高共丸が、香川県から入港を拒否されて長期間、沖どめされておって、今度は北海道に目を向けて釧路港へ向かった。そして釧路港から反対されて寄港不能となり、今度は室蘭港の方へこれが回った。北海道では、この問題については、その施設が不十分であるから陸揚げはできない、こういうようなことで、いま陸揚げを拒否しておるような実態であります。これは一体どういうことなのですか。これを許可し、これを現在、指導している官庁はどこなのですか。この問題について、ひとつ経過もあわせて報告してもらいたい。
  82. 三井速雄

    ○三井説明員 水道環境部の参事官でございますが、事実関係が大変、錯綜しておりますので、まず事実関係から申し上げたいと思います。  現在、高共丸に積まれておりますのは廃油と称しておりますが、この内容は泥油、いわゆる廃油と、それからどろのまじったものでございますが、その泥油と、それから溶剤でございます。この廃棄物は、東京都でかつて許可を受けておりました三基実業、これは収集、運搬の許可でございますが、三基実業という会社が東京都周辺におきまして東京都を含めまして収集した物でございます。  この辺のところ、私ども必ずしも十分につまびらかに実体を把握できていない点もございますけれども、その物を東京都周辺において集積しておきましたところ、その後、具体的に時間的に申し上げますと五十年の七月になりまして、宮城県の女川町というところに、これは、その三基実業の従業員が、たまたま個人的に知っておる人が土地を提供してやろうというようなことがございましたので、そこへ搬送いたしたわけでございます。     〔委員長退席、木下委員長代理着席〕 それでこの段階で、その三基実業といたしましては、収集、運搬の許可を東京都において受けておりましたので、宮城県まで持ってまいりましたのは許可を得ないで行った行為ということになるわけでございます。宮城県におきまして、その事実を把握いたしましたので、この三基実業と連絡をとりまして、それを撤去するように、いろいろ指導したわけでございますけれども、相当、時間を要しまして五十一年の九月になりまして、ようやく物を運び始めたというようなことでございます。この場合、三基実業代表者は穴吹という人でございますけれども、この人が、自分みずから責任を感じまして船を雇ってまいりまして、その物を運ばせたということでございます。この船が高共丸でございますが、山本海運というところに所属しておる船でございます。山本海運は処理業者でも運搬業者でもございませんけれども、穴吹氏の責任におきまして物を運び事実行為を行ったということでございます。  当初、その運搬先は、穴吹氏は宮城県に対しましては広島に持ち込むということを言っておったわけでございます。実は、若干細かくなりますけれども、この穴吹氏、三舞実業の持っております許可内容と申しますのは、東京都で物を収集いたしまして、それを広島に運んで、瀬戸内タンククリーニングと申しますけれども、そこへ持ってまいりまして処理をするという内容許可を持っておるわけでございます。宮城県におきましては、そういう許可内容を見まして、広島に持っていくということでありますものですから、それでよろしかろうという判断をいたしまして船の出港を認めたということでございます。ところが女川港への出港届けを見ますと、行く先地が今治となっております。すでに、この段階で大変、奇妙であったわけでございますけれども、宮城県から愛媛県に連絡をいたしまして、愛媛県といたしましては、どういう処理をするかということを穴吹氏に聞いたわけでございます。そういたしましたところ、最終的な処理について必ずしも十分な当てがあるわけではなくて、当面のところ、はしけに物を載せまして若干の期間、保管しておくというようなことを申し立てたものでございますから、それは物の保管としては大変不適当でもあり、かつまた愛媛県におきまして、そういう保管をするという内容許可を持っておりませんので、愛媛県はこれを拒否したということでございます。  そしてさらに、その次に広島県に船を寄せたわけでございますが、この辺のところは全部、穴吹氏が高共丸に指示をして船を動かしておるわけでございます。広島県に物を持っていったわけでございますけれども、広島県におきます瀬戸内タンククリーニングと申しますのは、これは油水分離を行う施設でございます。ところが物の内容が先ほど申し上げましたように泥油と、それから溶剤でございます。瀬戸内タンククリーニングでは、ここでは処理できないということで、広島県におきましては、その処理業者たる者の態度としては大変不適当であるということで、これを拒否したということでございます。  それから、さらに香川県に行ったわけでございますが、香川県におきましては豊島という、これは小豆島のすぐそばにある小さな島でございますが、ここに、たまたま空き地がございまして倉庫がございます。そこへ物を入れておこうということだったわけでございますが、これも処理業者たる穴吹氏の行為といたしましては、許可を得ていない場所で、そういう最終的なめどもなしに保管をしておくというのは、きわめて不適当であるという意味で、香川県がこれを拒否いたしまして、相当、長期間滞在しておったというわけでございます。  なお、許可業者という申し上げ方を、いままで、してまいりましたけれども、これも若干いきさつがございまして、この業者が策京都において許可を得ましたのは四十九年の十二月でございます。その段階におきましては収集車、自動車でございますが、自動車を持っており、それから東京港に津壁を持つ運搬船も持っておりました。これは東京都当局において確認しておるわけでございますけれども、その後、五十年の夏ごろまで確かに実体がございまして、そういう収集活動をしておったわけでございますが、その後、実体的な活動がなくなってまいりまして、東京都におきまして追跡をいたしましたところ、オフィスもなくなっておる、いつの間にか自動車もなければ何もないというようなことになりましたので、もう実体がないという判断をいたしまして、東京都におきましては五十一年の七月十五日で許可の取り消しをしております。したがいまして、その時点以降、具体的に申しますと、宮城県から物を運び出した行為、瀬戸内海を転々といたしました行為許可を得ていない行為になるわけでございますけれども考え方といたしましては、その許可を得ていた期間に収集した物につきまして最終的な責任をとるというのは、これは当然のことでございますから、処理業者の行為として私ども認識をいたしてまいったわけでございます。  私ども、そういうことでございますので、物そのものにつきまして特にその処理が困難であるとか、あるいは危険であるとかという認識は全然持っておりません。通常のルートで収集され処理されるならば、きわめて容易に処理できるものであるというふうに考えておりますが、この穴吹氏の行為が、こういうふうに最終的に処理をする意図が果たしてあったのかどうかということを大変疑わせるような行為の結果、こういうふうになったということでございますので、私どもといたしましては、あくまで、この穴吹氏の責任において、この処理を完全にせよということを直接に提示し、穴吹氏に何回も会いましたけれども、そういう指導もいたしました。いろいろ具体的な指示もいたしました。それから宮城県、東京都、広島県その他の関係県等におきましても、穴吹氏に対していろいろな指示をしたり助言をしたりということをやっておったわけでございます。その後、穴吹氏も若干のことをやったようでございますけれども、いずれにいたしましても十分なことではございませんで、一方、山本海運の方、山本さんというこの高共丸の船主、これはチャーターをしておられる船主でございますけれども、いつまでたっても物がおろせないということで大変困られまして、山本氏の責任において、この物を運搬し処理をするという決心をされて、北海道へ向けて出帆されたというふうに聞いております。  その出帆されました時点、それから、そのときのいきさつ等、これは実は厳密に申しまして、私どもに十分な御連絡をいただいておりませんので、その辺の事情、必ずしもつまびらかに存じ上げておりませんけれども考え方といたしましては、この山本さんという方は排出事業者でもなければ処理業者でもない。むしろ、その船に廃棄物を積み込まれて困っておられる方である。この方が物を自分の責任において撤去し、それからまた最終処理をする業者に持ち込まれるということにつきましては、これは廃棄物処理法上、何ら、とがめ立てをすることではございませんので、そのことにつきましては私ども異存ございません。  そういうことで北海道に行かれたわけでございますけれども、十月の二十四日になりまして低気圧が近づいてまいりましたので、室蘭港に緊急避難で入港されたというようなことでございます。釧路港であるとか、あるいは私ども聞いておりますところでは苫小牧港であるとかという名前も挙がっておりますが、私ども、間違っておりますと大変恐縮でございますけれども、推測を交えて申しますと苫小牧港に入港される予定であったというふうに考えております。  それで現在のところ、北海道庁も言っておられますように、北海道サイドにおきまして現在の段階では、受け入れる処理業者がいまのところ決まっていない、それからまた荷役をする業者も決まっていないという段階でございますので、こういうことになりますと基本的に、やはり民間企業同士での契約ということが中心になります。それによって事を運んでいただくということになりますので、まず、それをお決めいただきまして、それによって事をお運びいただきたいというふうに当面のところ考えておる次第でございます。  大変長くなりましたけれども、いきさつは、そういういきさつでございます。
  83. 島本虎三

    島本委員 一番近いところに座っていてください。  これは山本海運そのものは何でもないというのですが、委託した企業はどういう企業ですか。調べてあるはずですから、その企業の名前を知らせてもらいたい。  それと同時に、この責任はどこにあるのですか。  それと同時に現在、海洋汚染防止法、油濁防止法、それぞれ法律がありますが、釧路や苫小牧や北海道まで、処理能力のないところまで、うろついておるということは、海洋投棄を考えていたのじゃないかと思われますが、これは海上保安庁、これに対して対処してございますかどうか、この点を手短に。あんまり答弁が長過ぎる。最後は責任がないようなことを言ってしまって、いけませんよ。簡単に言ってくださいよ。
  84. 三井速雄

    ○三井説明員 最初の、委託した企業でございますが、これは複数の企業でございます。その企業が、どういう考え方で何を委託したかということにつきましては、現在、調査中でございます。なお、この件につきましては宮城県の県警が捜査をしておりますので、その点につきましては具体的な名前を挙げるのは、ちょっと御遠慮させていただきたいと思います。     〔木下委員長代理退席、委員長着席〕
  85. 島本虎三

    島本委員 県警が調査しているといっても、これはロッキード問題じゃないんだ。なぜ名前を挙げられないの。こういうように迷惑をかけていながら名前を挙げられないなんて、厚生省のそういう態度こそ問題です。なぜ名前を挙げられないの。
  86. 三井速雄

    ○三井説明員 この委託をいたしました時点におきましては、三基実業という企業は東京都の許可を得て物を収策した処理業者でございます。したがいまして、委託をいたしますれば、これは合法的な委託になりますので、その限りにおいて責任は解除されておるということになるわけでございます。
  87. 島本虎三

    島本委員 この委託した企業がどういう企業だか、あなたは調べて知っているはずです。なぜ国会のこの場で言えないのですか。調べていないのですか、調べているのですよ。
  88. 三井速雄

    ○三井説明員 正確に申し上げますと一部、名前を聞いておりますが、それが果たして確実に出したものであるかどうかということについての確信を持っておりません。その点につきましては、宮城県警の捜査を待って、はっきり申し上げられるようになるかと思います。
  89. 島本虎三

    島本委員 責任は。
  90. 三井速雄

    ○三井説明員 責任でございますが、法律的な責任と申しますと、これはあくまで許可を得て処理をいたしまして、その後、無責任に、この物を放棄したのは三基実業という処理業者の責任でございます。  それから海洋投棄の点でございますが、これは海上保安庁から私ども聞きましたことを申し上げるわけでございますが、船の構造からいたしまして、現在、船倉の中にドラムかんに詰めて入れてあるわけでございます。船自身に荷揚げ装置がついておりませんので、船倉から物を洋上において出すということは事実上、不可能であるというふうに伺っております。
  91. 島本虎三

    島本委員 不可能なことが現実に起こっているのが環境破壊であり公害なんですよ。だからといって一木ずつ投げられないという何の保証がありますか。  それで保安庁あたりは、どういう対策をとっているか。あなたに聞いているのじゃない、保安庁ですよ。
  92. 山本了三

    ○山本説明員 いま厚生省から一部、御答弁がございましたけれども、船の構造は荷役設備がないということ、それから船倉に格納されているということ、それから、その中身はどういうものかということにつきましてはサンプルをとって一応、検討してあります。そういった基礎の上に立ちまして、停泊中は巡視船艇によって監視し、航海中は必要に応じて、不法投棄がないようにということを監視いたしております。現在、室蘭港に入港いたしておりますけれども、現在の時点で積載されているものは変化はないということを確認いたしております。
  93. 島本虎三

    島本委員 これは、そういうようなことで責任がない、責任がないと言う。そして、それを委託した大企業の名前は言えないと言う。そういう行政の態度のもとでは、やはり、ここに法があっても、いつの日にか、これも無視されるような結果を招来するのです。責任がなくて、こういうことが起きるのですか。起きていることは、どこかに責任が欠除しているからじゃありませんか。今後、関係者、業者、これらの者を告発することも考えてもいいと思うのであります。厚生省では、こういうようなことを考えないのですか。
  94. 三井速雄

    ○三井説明員 告発の点につきましては、実は、そういう検討をいたしております。この穴吹氏に対しまして、一応、物の処理が済み、それから先ほど申し上げました事実関係がすべて明らかになった段階で、私どもも告発をし、それから関係都県におきましても、それぞれ告発をするという準備を、いま現在、整えておるわけでございます。なお、宮城県警におきましては独自に捜査をしておられるというように伺っております。
  95. 島本虎三

    島本委員 まことに残念でありますが時間の関係で、きょうは、これでピリオドを打ちます。やはり告発すべきは毅然としてすべきですよ。前から態度が甘いから、こういうことが、平気で行われるのです。国際的にも指弾されるのです。今後そういうことのないように、きちっと告発すべきものはして、そして行政の姿勢を正してください。これを心から要請しておきます。この問題はこれで終わります。  次に、瀬戸内海環境保全臨時措置法それと新産工特地域の基本計画、この関係について多分、私の後からは阿部未喜男委員質問すると思われますから、私はその前段の問題について、ひとつ環境庁並びに通産省関係省庁意見を聞きたいのであります。  昭和三十七年に制定された新産業都市建設促進法それから三十九年の工特、工業整備特別地域整備促進法、これらの法律に基づく基本計画、これは、さきの国会で成立した、いわゆる財政特別措置法の五年延長に伴って、現在、国土庁を中心にして新たに五十五年を目標時とする改定作業が進んでいるわけであります。ところで、これらの法律昭和三十年代の後半から四十年代の半ばにかけて、全国総合開発計画のもとに高度経済成長を実現させた開発万能時代の典型的な開発優先法であります。したがって、開発優先法の結末は各地で公害そして環境破壊、こういうようなものを発生させたわけであります。自然環境を破壊し、いまや、わが国土の環境はすでに瀕死の重症状態に陥っている、こういうふうに言っても差し支えないのであります。その痛ましい例が四日市公害であり、川崎ぜんそく、こういうようなことによってあらわれているのでありますが、これは公害の事前予測を怠ったり、工業開発一辺倒でばく進した一つの結末であります。二度とこういうような誤りを繰り返さないためには、公共事業はもちろんのこと、各種工業開発などの開発計画の立案、具体化に際しては環境保全に細心の注意を払い、事前に環境アセスメントを実施することが、いまや必須条件になっているはずであります。  新産工特の基本計画の改定も例外ではないはずでありますが、二十四道県、二十一地域の基本計画の改定は、五十五年時点における生産関連施設及び生活基盤施設の整備を進めるのがねらいであります。そのための財政特別措置法の対象事業を網羅することでもあります。地域によっては工業開発拡大計画に国がお墨つきを出す形になるわけであります。特に、まだ開発途上の段階にある鹿島、大分地域あるいは大規模工業開発計画を進めている北海道道央地域、それから秋田地域の基本計画の改定では、そうした傾向が顕著にあらわれております。本来であれば、この新産工特法を環境保全優先の観点から全面的に洗い直して、工業開発至上主義の姿を、これから是正していくのでなければならないはず。したがって、基本計画の改定作業は、その後で、これはやるべきであろう、こう思うのであります。法律を改正しなくても環境保全優先の方針は、三十九年当時とは、いま全く違う段階であり、そのために環境庁もできているのでありますから、もうそれと同じような考え方で進めることはピリオドを打つべきはずであります。しかしながら依然として、これと同じような行き方をとるのか、とらないのか、これはまことに重要でありますが、これは環境庁並びに通産省、運輸省、この三省から簡単に承ります。
  96. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 先生お尋ねの、開発と瀬戸内海地域の環境保全との関係でございますが、瀬戸内海環境保全臨時措置法が制定をされまして、先生の御言及になっております問題は海面の埋め立ての問題と存じますが、これにつきましては同法の十三条におきまして、環境保全上の見地から、瀬戸内海の特殊性に十分配慮して埋め立ての免許等の手続を行うべきであるということが明確に示されており、かつ、その埋め立てについての基本的な方針につきましては、瀬戸内海環境保全審議会の議を経て決定すべきものということに決定をされておりまして、この規定に基づいて私ども、瀬戸内海環境保全審議会の慎重な御審議を経て、自然環境保全上あるいは海域環境保全上あるいは漁業資源保全上の三つの観点からする埋め立ての基本方針を制定していただいておるわけでございまして、これに基づきまして、お話の諸開発計画、特に海面の埋め立て計画につきましては慎重に、その観点から審査をいたしまして、その可否について意見を述べるということにしておるわけでございます。
  97. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 ただいま、お示しのございましたように、新産都市等については財政特例法も延長措置がとられまして五年間延長されておるわけでございますが、お話のございましたように私ども、この過去の実績を見ますと一応、着実にこれが進展をして、地元住民に潤いを与えていることも事実でございますが、一方、生活関連施設等が非常におくれておるという点も目立つわけでございまして、今回の改定作業を進めるに当たりましては、特に、そういった点を重視をして新しい項目を設けて、環境保全等について十分注意を払ってやってもらいたいということを指示しておるところでございまして、全般的には法律の目的もあるわけでございますが、改定作業に当たって、特にその点を重視をしてもらうように指導いたしておるところでございます。
  98. 斎藤顕

    ○斎藤(顕)政府委員 通産省は、工場立地法に基づきまして従来、大規模工業地帯につきましては総合事前調査を進めてきたわけでございますが、今後は、ますます環境の整備というふうなことから、アセスメントにつきましては御指摘のとおり、なお一層の努力をしてまいりたいと思っております。
  99. 小池力

    ○小池説明員 新産業都市基本計画に基づきまして事業を実施いたします場合、先ほどお答えございましたとおり、埋め立てを伴うことが多うございます。埋め立てを実施いたします場合は、埋め立ての必要性につきまして十分留意いたしまして、また公有水面埋立法四条に規定しております免許基準に合致しているかどうか十分審査をいたします。瀬戸内海環境保全臨時措置法に基づきまして、瀬戸内海の特殊性について十分考慮の上、免許をおろすというふうに考えております。
  100. 島本虎三

    島本委員 そうすると、その場合には昭和五十五年の開発目標を国が承認する場合に、大気汚染、水質汚濁などについては、現状の汚染を改善させるのはもちろんでありますが、現状以上に少なくとも環境を悪化させないという、この原則だけは貫くべきが当然だと思うのでありますが、この点についてはいかがお考えですか。
  101. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 新産都市建設促進法に基づきます基本計画の改定に際しましては、私どもといたしましては従来、新産都市の建設の途上におきまして、いろいろな公害問題とか環境問題を生じているということも十分留意いたしまして、その改定に際しましては、環境保全上必要な措置がとられているかどうかということを十分チェックしたいというふうに考えております。
  102. 島本虎三

    島本委員 それは当然、環境庁としてはやらなければならない。国土庁、やはりこれは現状より悪化さしてはならないし、そういうようなことを今回のこの法の改正のために、してはならないはずでありますが、この現状より悪化させない、こういうようなことは考えておりますか、おりませんか。
  103. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 先ほども申し上げたような方針でございますので、今後、悪化させる方向であってはならないということで考えております。
  104. 島本虎三

    島本委員 特に鹿島、大分、北海道の道央地域、それから秋田地域など、五十五年度までには、さらに工業用地の現状よりも拡大または大幅に造成しようとする地域があります。四十七年六月の、あの「各種公共事業に係る環境保全対策について」という閣議了解事項があるのであります。そして公害対策基本法十七条に明記されてあるところの地域開発施策における公害防止に対する配慮、これもはっきりしているのであります。また四十九年六月の、中公審防止計画部会環境影響評価委員会、ここでまとめた「環境影響評価運用上の指針」これを見ても、計画立案の過程でアセスメントをすべきことを明記しているのであります。いやしくも新産工特の基本計画の改定、こういうようなものは最終的に内閣総理大臣が承認し、国の財政上の特別措置の恩典を受けるという点から見れば、地方自治体に対して、地域ごとに一通りのアセスメントを実施させる、環境保全の見直しをさせる、地域ごとの環境保全目標を明示させる。この点に対しては当然、配慮すべきだと思うのでありますが、国土庁、環境庁通産省それと運輸省、いま言った点について的確な答弁を願いたい。
  105. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 今後、新産都市計画の改定を行うに当たりましては、先ほども申し上げましたけれども、これまでに講じてきました環境保全対策、それから今後、講ずる必要のある環境保全対策について、地区の実情に即して、いろいろと計画の中へ盛り込んでもらいたいということも具体的に指示をいたしております。必要に応じて防災対策、産業廃棄物処理対策等についても述べてもらいたいというようなことを指示しておるわけでございまして、いま、お話のございましたように、現実に仕事を進める上において、閣議了解の線もございますように、十分環境保全に配慮していくべきことは当然のことだと思っておるのでございます。  そういった点から今回の新産計画において、どう扱うかということになるわけでございますが、御承知のように、この新産計画というのは全般的な土地利用計画等を含めたマスタープランでございまして、たとえば埋め立て等の問題にいたしましても、個々場所を記述しておるわけではございませんで、全体的に、その埋め立てとして何ヘクタールを造成するといった程度の大綱でございます。そういった意味から、基本計画に含まれる事業は、現地点では必ずしも、その位置、形状その他、具体的に定まっておるわけでもございません。そういった意味で、現地点で前もってアセスメントをやってということについては、現実問題としては、どうであろかということでございます。ただ、実施に当たっては、いま、おっしゃいました趣旨は当然のことでございますので、その時点における客観情勢を踏まえて、関係省庁と相談をしながら、それぞれ個別事業の実施計画に従って行うことが、どういつだ影響を与えるかという意味での環境アセスメントを必要に応じて進めながら、いかなければならないだろうと考えております。今回の改定計画の中でも、その環境保全についての方針と申しますか、その点を十分織り込んで明らかにして持ってきてもらいたいということを述べておるわけでございます。
  106. 島本虎三

    島本委員 いま私が言ったのは、それを含めて三つに集約したのです。地域ごとに一通りのアセスメントを実施させる、環境保全の見直しをさせる、それから地域ごとの環境保全目標を明示させる。これはもうすでに法によって決まっていること。したがって、これをやるか、やらないかと聞いているのです。
  107. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 いま御説明を申し上げましたのは、事前にやるかという点につきましては、私どもとしては実施に当たりまして客観的情勢を踏まえて、それがどういう影響を与えるかという、その時点において検討をする、そういった意味では環境アセスメントを進めながら、やっていくということになろうと思います。その点は基本計画にも、はっきりしてもらいたいという考えをとっておるわけでございます。
  108. 斎藤顕

    ○斎藤(顕)政府委員 先生の御一質問の中に出てまいりました各地域につきましては、通産省は従来、総合事前調査を実施してきた地域でございます。御指摘のように今後とも地域ごとの環境目標の中に環境が守られるように、厳重な指導をしてまいりたいと思っております。
  109. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 基本計画の改定に当たりましては、先ほど申し上げましたように環境保全上、必要な措置がとられているかどうか十分チェックしなければならぬと思っております。  それからアセスメントの問題は、その計画内容個々の熟度に応じて、埋め立てなら埋め立ての計画につきましては、その実施に至りますまでに十分なアセスメントが当然とらるべ、きものと考えておるわけでございます。
  110. 小池力

    ○小池説明員 計画が具体化いたしまして、埋め立てというものが実施されます場合は、公有水面埋立法に基づいて免許の申請が上がってまいります。免許庁は、公有水面埋立法の四条の免許条件の中に「其ノ埋立が環境保全及災害防止二付十分配慮セラレタルモノナルコト」「埋立地ノ用途ガ土地利用又ハ環境保全二関スル国又ハ地方公共団体ノ法律ニ基ク計画二違背セザルコト」というような免許の条件がございますので、こういった段階環境保全に関しまして所要の審査を行うということになっております。  また、免許庁から運輸大臣の認可の申請が出ました段階では、運輸省といたしましても環境に対しての配慮を十分行ってまいりたいと考えております。
  111. 島本虎三

    島本委員 国土庁と運輸省、これもイエスかノーかでいいのですが、新産都の北海道の道央地区には大規模工業基地計画の苫小牧東部開発計画が地域として存在する。新たに石狩新港の開発地域、こういうようなものが含まれているのですか、いないのですか。これらの開発計画の整備事業と、新産工特基本計画改定による整備事業との関連はどうなのか、この点を明確にしてもらいたい。苫小牧の場合には五十三年を目途としてやっている。新産都の今回の場合には五十五年までだ。そうすると、そのまま六十年まで流れ込むおそれも当然あるわけでありますが、これらの関連で国土庁、運輸省、ちょっと、この点をはっきりお知らせ願いたい。
  112. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 苫小牧の問題につきましては、まだ公式に私どもの方へ計画は出てないわけでございます。御承知のように、ほかの地域と違って北海道の場合は、北海道開発庁がこれは認めてもいいということを添えて、こちらへ出されてくるわけでございます。そういった意味で、具体的な問題としては事実上いろいろ事務的な相談はしておると思いますが、市だ計画の中身それ自体は聞いてないわけでございます。ただ、私個人として聞いておるところによると、石狩港は含まれておるように聞いておるわけでございます。総体の計画が何年まで、どうなっているという具体的なことは、残念ながら、まだ私、承知をいたしておりません。
  113. 小池力

    ○小池説明員 道央新産都市建設基本計画の改定案に石狩湾新港周辺の計画があるかどうか、ちょっと、つまびらかにしてございませんが、石狩湾新港につきましての港湾計画はすでにでき上がってございまして、この目標年次は昭和六十年でございます。
  114. 島本虎三

    島本委員 大体わかりました。  それで私は、本来の瀬戸内海環境保全臨時措置法、この法律に準拠して、次の点をはっきりさしておきたいと思います。  これは以前から問題になっておるのでございますが、いわゆる大分の八号地の埋め立て計画のことであります。瀬戸内海環境保全臨時措置法の目的は、新たな埋め立て、こういうようなものは認めないことを原則として立法されているのであります。しかし、いままでは、これがもう認められるかのように答弁が返ってくるのであります。まして四十八年には住民の強い反対もございまして中断になっているはずであります。当時の、現総理の三木環境庁長官答弁の中にも、船後環境庁事務次官の答弁の中でも、計画の中断ということになっているのであります。これは当然であります。しかし、何かこの辺が実施の中断というふうに強弁しており、それが地域で悶着をはらんでおるようであります。私は、公有水面埋立法に基づく申請を法的な手続としてとられても、当時とは全く事情が変わってきた現時点を考えて、大分の新産都市の全体を含めた形で環境影響事前評価、こういうようなものは毅然としてやらせないとだめだと思うのです。なぜ、これを実際にやらせないのですか。これはやらせないといけません。環境庁、国土庁、こういうような問題では、もう少し毅然とした態度をとってもらいたい。このことを心から要請する次第です。  この問題の中には、もうすでに「大分地区大気汚染予測調査結果の概要 昭和5〇年9月」の大分県、大分市両方から出されている資料によっても「第8号埋立地については、諸般の情勢から現在は計画を中断している。」と、はっきりこれに載っているのです。計画を中断すると載っているのです。これが実施の中断だというふうに考えて、逆に国土庁は、これを進めようとしておられるようです。環境庁、ぐらついてきているように承ってきております。これはおかしいじゃありませんか。瀬戸内海環境保全臨時措置法、これは当時の議論として、新たな埋め立てば認めないという強力なる方針のもとにやって、現在、行っているものに対しては、これはやむを得ずと認めるものは知事の認可によって認めざるを得ない点もある、これを含んでおったのであります。ところが新たに、こういうようなことをやろうとするならば、何のために瀬戸内海環境保全臨時措置法ができたんですか。国土庁、もう少し、この点を考えないといけません、答弁を承ります。
  115. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 いわゆる八号地の埋め立てにつきましては、いろいろな経緯がございまして、四十八年度に中断をされたということは、もう周知のとおりでございます。その際、いまお話がございましたように、言葉の上の問題になりますが、計画の中断であるのか、あるいは実施の中断であるのかというようなことをめぐりまして、いろいろ議論がございました。大分県の方では、新聞報道その他、話によりますと、この計画は一応……(島本委員「これを見てから言ってください。大分県はこれを出している。これにはっきり載っているじゃないか。これを見て言ってください」と呼ぶ)そこの言葉の上で、この資料によりますと「第8号埋立地については、諸般の情勢から現在は計画を中断している。」ということでございます。私ども当時の当事者ではございませんが、大分県においては、先ほどお話がございましたように、これは計画を進めるについての中断である、実施の中断であるといったようなことを言っておられる。そういうことで、いまおっしゃいましたように、どちらの中断であるかということで話が分かれて、意見が分かれておるというようなことでございます。  そこで、いま申し上げましたように私ども当時の当事者ではございませんので、客観的に、どういつだものがあるかということで、いろいろ調べてみたわけでございます。私自身が前に国会の御質問があったときも、その点は十分詰めてみなければわからないということをお答えしたこともございまして、一番客観的に残っております資料は、当時の大分県議会における中断の際の提案理由あるいは質疑応答の中身でございます。そういった中でも八母地計画は一時中断をするということが提案理由に入っております。そういった点で実施の中断であるかどうかについては必ずしも明らかではないわけでございます。  ただ、この問題をめぐって、いろいろ中身のやりとりとりを見ておりますと、計画と申しましても実施計画とか、いろいろな言い方はあるわけでございますから、念を入れて中身を見てみたわけでございますけれども、その点については「住民もよく考えてもらう、県も十分検討していこうということでこの期間を置いたわけでございまして、計画そのものとしては決して中止したつもりではございません。どこまでもこの建設計画というものは県民の、大分県の百年の計であるということで県議会にもおはかりして立てた計画でございます。」云々といったようなことで、その基本方針は決して変わってございませんといったような言い方を述べて、当時の提案されたときの答えとして述べておられますし、「漁協の紛争が解決され、町の合意が得られ、環境に適合し得るという見通しが立った時点で計画を既定方針どおり推進していく」というようなことが書いてあるわけでございます。そういったことから勘案をいたしますと、どうも計画そのものを中止したものではなくて、これ以上、実施を進めることを中断したといったような県の説明が必ずしも間違ったことではないんじゃないかというようなことが説明の中から受け取れるわけでございます。  ただ、いろいろ示されました資料の中あるいは提案理由の中には、計画という言葉が使ってございますけれども、その実質的な中身はどうかというのは、いまも申しましたような質疑応答等からも判断する以外にはない。ただ、いずれにいたしましても、私は当時の当事者ではございませんので明確には申せませんが、いまのような感触を持っておるわけでございます。しかし、それはそれといたしましても、先ほどから、たびたび、ございましたような意味において、私ども計画自体で十分環境保全の方針を明らかにされたいということは特に申しております。さらに、これを実施するということになりますと、いろいろな法律の趣旨もございます。必要に応じてアセスメントを行う等の十分の手段が尽くされるべきであろうという考えは、私どもとしても持っておる次第でございます。
  116. 島本虎三

    島本委員 言葉のやりとりをしているんじゃないのです。当時、いまの総理大臣、三木環境庁長官計画の中断と言っているんです。そうして大分県も市も昭和五十年九月の「大分地区大気汚染予測調査結果の概要」この調査の中にも、きちっと計画の中断とうたっているんです。実施だとかなんとか、ぐじゅぐじゅ、ぐじゅぐじゅ言うのは、あなた一人ではありませんか。国土庁はそういうふうにして環境破壊してもやらせる庁なんですか。ことに三木総理が、このことを環境庁長官のころ言っているんですよ。あなたも反三木派ですか。冗談じゃないですよ。これにもはっきり番いていないならいい。大臣も明言している。事務次官も明言している。そして大分県、大分市も文字によって具体的に出している。それをいつの間にか、実施の中断であるかのように振る舞う。これはあなたは本当に一官僚でありながら、国会に対する重大な侮辱ですよ。これは許せません。これはあくまでもこうなっているんですから。瀬戸内海環境保全臨時措置法、この精神をあなた知っていますか。いま少しよくなってきただけでしょう。この十一月を期して、これは廃案になるのを二年間延ばした。計画をきちっとやってないからです。そういうのをやらせないものこそ、あなたたちなんだ。そういう態度だからだめです。まさに環境庁は重大なる挑戦を受けているのであります。環境庁の存在価値がいま世に問われている、国土庁に問われているのであります。もうすでに三木総理も、こういうように明言しているのであります。これを、やはりいままで言ったことは、そのままと認めますか、認めませんか、環境庁の決意を伺います。
  117. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 計画という言葉がいろいろ使われておりますので、そこで混同というか混乱が起こっているんじゃないかと思います。新産業都市建設促進法でも基本計画あるいは基本計画の改定というように計画という言葉が使われておりますし……
  118. 吉田法晴

    吉田委員長 時間がないから簡単に願います。
  119. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 それから例の中断問題も、これは県がおつくりになった大分地区の全体の中で、いわゆる個々の埋め立て等の開発事業を、どういうふうに実施していくかということの実施の手順を決めた計画でございまして、第一期にはどこをやるか、その後は第二期として、どこをやるかというふうな実施の手順を決めた計画でありまして、それは大分県がつくられたものでありますから、その大分県がつくられた実施の手順についての第二期計画、その中の八号地についての地域の埋め立ての計画を中断をしている、そういうふうに理解しておるわけでありまして、したがいまして、県のつくられた計画でございますから、その計画がどういうものであるかというのは県が判断なさるべきものだと思います。
  120. 島本虎三

    島本委員 環境庁さん、すでに私が言ったことは資料に基づいて言っているんですよ。毅然として、もう計画の中断ということが答弁として出ているんですから。それを環境庁自身があいまいにすることはだめです。これはやはり計画の中断ならば計画の中断、間違いならば、これは取り消したらいいではありませんか。それをあいまいにするということは最も悪いことです。文字として、はっきり出ているんです。まして、この地域に対しては八号地は計画段階でアセスメントをやるということは、中公審からもいろいろ言われているでしょう。まして瀬戸内海環境保全臨時措置法の原則は埋め立て禁止ですよ。それを現行のものと、いろいろ実施中のもの、こういうようなものの勘案があって、いまのような法体系になったんです。新たにやるのまで無制限にこれを認めるというのじゃないのです。どうも国土庁はおかしい。少しでも埋め立てして国土がふえればうれしいのですか。もう、それは許されないのです。そこをきちっとしないといけないと思うのです。環境アセスメントをやる必要もあるのにやらないで、そして今度は計画の変更を実施の変更だ、こういうふうに羊頭狗肉の策を講じたり、これは許せません。この問題だけは、はっきりここに示されたとおりにやらないといけないのです。環境保全臨時措置法を何のために二年間延長したのですか。こういうようなことに対して野方図に許可しないためですよ。これは全然、法の精神にも、あなたは沿わない。やはり総理が前に言明しているとおり、そして県や市の調査結果これにもあるとおりこの際は、きちっとしておくべきであります。この計画の中断は計画の中断であって、実施するための、いままでの猶予ではなかったのだ、中断ではなかったのだ、このことだけは命にかけても、きちっとしておかなければならないのであります。私は、ここに環境庁の存在価値があると思うのであります。この点で、やはり大臣の決意を、この際ですから、きちっとさせませんか。大臣にこれを要請いたします、聞いていてわかったでしょうから。
  121. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 この問題は中断をいたしましたときに三つの条件を指摘して中断してあるはずであります。したがって、この条件が解決されない限りは、その状況はいまでも続いておる、かように認識しております。
  122. 島本虎三

    島本委員 これで時間がたってしまいましたから、大臣を含めて皆さん、私は不十分なうちに、この質問を終わるのです。苦労して苦労して、そして行政官庁ができないので議員立法としてつくり上げたこの瀬戸内海環境保全臨時措置法、環境庁が、これをもって自分の力を世に問わなければならない、この臨時措置法が、いま足げにされようとしているのです。ですから、この際きちっとして、やるものはやり、計画の中断、こういうようなことを言っているならば、その辺に焦点を合わせて瀬戸内海環境保全臨時措置法の精神をあくまでも生かして、そして、それを実施させるのが環境庁の使命です。そして、これを踏み外さないで環境保全と地域開発、これを両立させるようにするのが、いわゆる四十七年六月の閣議了解事項です。開発優先、この時代は終わったのです。この辺を強く私は指摘し、一歩も後退する態度は断じて許されない、このことを心から訴えまして、私の質問はこれで終わるわけであります。しかし、これで了解したのでは断じてありませんから、これで国会も終わり解散になってしまえば安心だ、こう思ってはなりませんぞ。
  123. 吉田法晴

    吉田委員長 島本君の質問は終わりました。  次は、阿部未喜男君。
  124. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いまの長官島本委員に対する御答弁を伺いまして、もう私、質問することがなくなったような気がしたわけでございます。とりわけ長官は国会が解散になっても影響のない長官でございまして、いま最後に長官の決意をお伺いしたが、私の理解に間違いがあるといけませんので、いまの長官の御決意は、三つの問題があったから中断したのであるから、その三つの問題が解決しない限り、この計画は中断をされておる、そのように長官のお考えを披瀝されたと思います。そう理解してようございますか。
  125. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 そのとおりでございます。
  126. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これはもう私は質問することがなくなったんでございますが、ただ、その場合、問題になりますのは、実は、この前この委員会で確かに、いま長官のお考えのようなことを柳瀬局長からもお伺いしたわけでありまして、私は各省庁の大臣、長官がお見えにならなくとも、ここにお見えになっておられる局長さんなり課長さん方の御答弁が、そのまま国の意思を代表するものだというふうに理解をしておるわけでございます。それで、私は十九日の日に質問をさせていただいて、答弁に若干のニュアンスの違いはあったにもせよ、いま環境庁長官がお答えになったような意思が国の意思だというふうに理解をしておったのでございます。したがって、もうすでに、われわれの間での意思のそごはない、認識の違いはないというように考えておったのに、郷里の方に帰ってみましたらハンガーストライキが行われて県庁の前に座り込みができておる、こういう状況になっておったので、びっくりしまして、いろいろ聞いてみますとマスコミ等の報道によれば、柳瀬局長が何と言おうと、中断を決めたのは大分の県知事だから、国の言い分がどうだろうと、私は私の思うとおりにやるのだ、こういうことがちゃんと新聞に載っております。もし、そうであるとするならば、環境庁なり国土庁の地方行政に対する指導というものは一体どうなるのだろうか、私はそのことを行政の乱れとして非常に気にするわけでございますが、その後、聞くところによると大分県側からも上京されて担当の局長さん方と、いろいろお話し合いをしたやに伝えられておりますが、いま長官から御答弁のあった内容ならば、私はそれは聞く必要もないと思うほどでございますけれども、その後どのような指導をされて、県側の意向はどうであったのか。もし、お話し合いがあったとすれば、その経緯を御説明願いたいと思います。
  127. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 この前、御答弁申し上げましてから以後は、県の方からは幹部はおいでになっておりません。  それから、ちょっと補足して申し上げさせていただきたいのでございますが、先ほど長官が申し上げましたとおり、それは中断になるには中断になった理由があるんで、その理由が解除されなければ、そういう埋め立て計画を進めていくということは適当でないということは、そのとおりでございますが、計画という言葉がいろいろに使われておりますので、たとえば、さっき鳥本委員にも申し上げましたように、新産都市の建設促進法では基本計画とかあるいは基本計画の改定というようなことで、計画という言葉を使っておりますし、それから大分の場合には一期計画、二期計画というように計画という言葉が使われておりまして、これは大分地区の具体的な埋め立て等の開発事業を実施するために、どういう順序で実施をしていくかという手順を決めるための計画でありまして、それが第一期にはここをやろう、第二期にはここをやろうということで、そういう実施のための手順を決めた第二期計画の中の八号地の地域の埋め立ての計画を中断したということになっておるわけでございます。そこで、新産都市建設促進法に基づく基本計画の改定の問題で、この八号地問題をどう処理していくか、どう対処していくかということは、これは所官庁である国土庁が御判断なさるべき問題というふうに考えております。
  128. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 柳瀬局長さんの答弁では何か少し後退したような印象を受けるのでございますけれども、大分県がどういう理解をしておろうと、環境庁としての理解は、この前、御答弁をいただきましたように、栗原環境保健部長が上京した際にも、これまでの経過から、三条件が取り除かれない限り中断解除は無理ですよということを、国の意思として県にお伝えになったはずでございます。したがって県が、何か中断がどうだこうだと、先ほど島木委員もおっしゃったように言葉のあやでいろいろ言おうとも、現実は、この三つの条件が満たされないから中断をされたわけでございますから、したがって、計画をつくるに当たっては、この三つの条件が当然、解決されなければならないという大前提がある。私は、これは常識の問題であると思うし、この前、柳瀬局長がお答えになったとおりだと思うのですが、いまのお話は非常にわかりにくいのですけれども、常識的に考えて、何にも問題のなかったところで、いま計画をつくる。その計画の実施に当たって問題が出てきたということであれば、これはいわゆる試行錯誤とか、いろいろな問題がある、その時点で解決を図らなければならない問題だと思います。大分県の八号地の問題は、すでに問題が起きたがために中断をしたわけでしょう。したがって今度、計画をつくるためには、その問題点を取り除かなければ計画ができないというのは、もう常識ではないでしょうか。どうお考えですか。
  129. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 先ほどから申し上げておりますように、埋め立ての計画は中断をするには、それに至った条件があるわけですから、その条件が満たされない限りは中断が解除されるということは適当でない、これはそのとおりなのでございます。そこで、新産都市建設促進法で八号地問題をどう対処していくかということは、国土庁の御判断によるべきものと考えておるわけでございます。
  130. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 柳瀬さん、大体、趣旨がわかりました。いま私どもの問題にしているのは、その八号地の埋め立ての問題なんです。ですから八号地の埋め立てについては、いま柳瀬局長がお答えになったように三条件が満たされなければ計画が中断されておる、こういうことでございますね。その点も間違いございませんね。わかりました。  それでは、国土庁の方は今度の基本計画の改定について、どういう理解を持っておられますか。
  131. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 先般もお答えをしたわけでございますが、八号地の埋め立てについては、これが中断をされておるということは群雲でございますが、先ほど、ちょっと言葉が足りなかったかと思いますけれども、中断をされておりますのは、この八号地埋め立てについて、これを第二期計画から分離して中断をする、こういうことでございます。新産都市計画というものは御承知のように、すでに県から協議会を経て出されて内閣総理大臣の承認を得て決まっておる計画でございます。したがって、それを実際に運用していく場合に県として、こういうかっこうでやろうという、その二期計画の部分の八号地の埋め立てが中断されておる、こういうことだろうと思うのでございます。  そこで、その計画を立てる上において今回の改定作業の中でも、八号地の埋め立てとか、どうとかということを一々、計画の中にうたうわけではございません。ただ、その基礎になるものとして何を取り上げるかということでございますが、その際、大分県としては、これは港湾計画等もあるわけでございますから、一応、計画の中には、それを想定して取り上げておられるようでございます。まだ私の方は公式には、それを受け取ったわけではございませんけれども、いまの計画を中断という場合、私は当事者として当時おったわけではございませんので、大分県の方に、その後よく確かめましたところが、県議会あたりの説明ということからいきますと、計画を中止してしまったわけではなくて、これは計画を進めていくことを中断をしておるのだということであり、かつまた、その背後にあるのは、よく言われます、いわゆるこの三条件がどうなるかということでございまして、私ら自身も、その三つの条件というものが、いま完全に満たされておるとは決して思っていないわけでございまして、こういうものを実施される場合には、十分そこのコンセンサスをとり、条件等を片づけてやってもらいたいということは常に言っておるわけでございます。
  132. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いまのお話で私も、ちょっとわかりにくいのですが、したがって、八号地の中断をした三条件が満たされない限り、八号地の埋め立てを含む基本計画というものは認められないというのが常識ではないでしょうか。県がおやりになる分は勝手ですが、あとは出てきた上で検討しましょうというのでは、国が何を行政指導しているのか、わからないのであって、すでに国の意思として、八号地の埋め立てば三つの条件が満たされない限り計画中断だということについて、これははっきりしておるわけでございましょう。それが入った新しい計画なんというものは、それは間違いですということを指導するのが行政指導であり、環境庁から言うならば、いうところの環境アセスメントといいますか、そういうものだと私は思うわけです。したがって、この前の議論の中から当然、国の意思として、基本計画の改定については計画中断になっておる八号地を除くか、もし八母地が入るとするならば、事前に三つの条件を解除をして持ってきなさい、こうならなければならぬと私は思うのです。  大体そういう問題があったところに計画をするわけですから計画段階で、その問題の解決を図ってくるのは常識であって、初めてやることならば、これは私はやむを得ないと思うのですよ。しかし、問題になって中断しておるものを、また、そのまま計画に織り込む。それでは、いまの議論からいけば当然、国は八号地を含む埋め立てば承認することはできないでしょう。そうなると、また、これは県に返ってくる。何のために県はそういう愚劣な計画を繰り返さなければならないか。一体、行政指導というものはどこに存在するかということになります。したがって行政指導で、これは当然いままでの意思統一からするならば、八号地の埋め立てを含む計画は間違いである、もし八号地の埋め立てを含む計画であるならば当然、事前に、問題になっておる条件が取り除かれてこなければならない、こう理解をするのが常識ではないでしょうか。長官長官のお考えは非常にりっぱだと私、思うのですが、いまの点どうお考えになりますか。
  133. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、八号地埋め立てにつきましては、もうすでに三つの条件が整わなければならぬということですから、それを整えるかどうかが、わが方で認定する基準になる、こういうことでございます。
  134. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 非常にいいのですが、ちょっと一言だけ。認定する基準ではなくて、計画段階において、そういうものを含む計画はやっぱりよくないのではないか。計画段階において、その条件を取り除くべきではないか、このことを私お伺いしているわけです。
  135. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 私が先ほどお答えしたのは、繰り返すようですが、八号地が中断に至りまする経緯は、三つの条件がありましたので中断をいたしました。その後、県がどういうふうな具体的な計画をお立てになっているかどうかは、つまびらかにいたしておりません。しかし、八号地埋め立てということに関しては、その三つが整わなければ、これはだめだということは県も十分、承知してはおるはずだ、こういうことを申し上げておるはずであります。
  136. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 さっき国土庁の方は何か県の方からも連絡があったやに聞きましたが、いまの長官のお話を聞いて、国土庁、その後の県との折衝はどうなっておりますか。
  137. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 公式の話というわけではございませんが、先般ここで、いろいろとお話もございましたので、私もいろいろ事実確認というようなこともいたした次第でございまして、そういった意味で、当事者でない者が先ほどの、たとえば計画の中断の中身の問題までも明確に言うことができなかったので、当然、参考として当時の大分県の事情等も聞くというようなことにいたしたわけでございまして、その後の三条件の状況というものも、いろいろ聞いたわけでございます。ただ、こういう言い方はなんでございますが、これは公式に大分県から計画が持ってこられておるわけじゃございませんから、いま、それを明確にどうというお答えをする段階にはございませんけれども、提出されれば、その段階関係省庁と協議をして、それを承認するという場合は、いま申し上げましたように関係省庁がみんな合意しなければならないわけでございますから、十分、客観情勢を踏まえて相談をするということにはなるわけでございます。  ただ、いま議論になっております八号地の埋め立ての問題は、大分の県としての進め方の二期計画でございますが、そのものについては先ほども、ちょっと申し上げましたように一応、運輸省としての港湾計画等もできておるわけでございますから、そういったものを踏まえて、いろいろ計画を検討されておるのを、これはいけないと言うわけにはまいらない。ただ先ほども、たびたびおっしゃいますように、いろいろもめた三つの条件が満たされないままに、どんどん実施をされるということはよくないわけでございますし、私ども環境保全を十分考えなければ、ただいたずらに、それは埋め立てていけばいいのだというわけではございませんので、そういった点が十分保障されるような形で計画の中にも方針を明確にし、そしてまた、進めるに当たっては具体的には港湾計画の埋め立てといったような形になりますが、その点が十分アセスメント等、必要に応じてやりながら保障されなければ、実際には移せないだろうということで、ただむやみに、やれやれという意味で私、申し上げておるわけではございません。そういった経緯があるということを申し上げておるわけでございます。
  138. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 土屋局長のお話も、いま計画をつくるという段階であれば、おっしゃるとおりだと思うのです。ただ、いまから新しい計画をつくるのに、どこか、よその方の地域で、いろいろな計画があって出てきた。そこで検討されて、これはやはり無理ではないかというお話が出てくる。それは私は普通の行政として当然だと思うのですが、大分の八号地の問題は違うと思うのです。なぜ八号地の埋め立てを中断したかという前提があるわけだと思います。八号地の埋め立てを中断をしたのは三つの条件が整わないから中断をされたのでありますから、したがって、その八号地の埋め立てを含む計画をつくるとするならば、それはもう八号地の埋め立てを含む計画をつくる前に三つの条件が除かれた計画でなければならない、私はそう思います。大分がつくるのですから、それは勝手ですというのは、一般の理論としてはあり得ても、八号中断に至った経緯を考えてみるならば、いまも長官もおっしゃっておるように、これは八号地の埋め立てを含むものであるならば三つの条件が解除されなければだめですよと、はっきり国の意思として表明をなさっておるわけです。それにもかかわらず大分は強引に八号地の埋め立てを含む計画を提出しようとしておる。それは県のやることですから私の方は知りませんと言うならば、今日までの経過というものを一体どう、とらえたらいいのかという問題になってくると思います。その意味で、八号の埋め立てを含む計画をつくってみても、事前に三つの条件が解決されていなければ全く無意味なものになってしまうではないか。そういう、むだであることを知りながら放置しておくわけにはいかぬのじゃないでしょうか。それが国の行政指導というものでなければならない。その経緯を踏まえて、ひとつ県の方に、八号の埋め立てを含む計画であるならば、この三つの条件が解除さるるような努力が先に行われるべきである、こう指導さるるのが国の立場ではないのでしょうか、どうでしょうか。
  139. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 ただいま、おっしゃいましたことは十分理解できるわけでございまして、私どもとしても、こちらへ計画を持ってこられるまでに従来からのそういう経緯を踏まえて、なるべく地元のコンセンサスを得て問題を片づけて持ってきてもらいたいということは十分期待もし、かつお願いもしておったわけでございます。そういった意味で、ある意味では大分の計画というのは若干ほかよりおくれておるというのが事実でございます。そういった形で、お願いはしてきておりますが、いよいよ持ってこられるのが、どういう中身かは、それは、いま私が断言はできませんけれども、先ほど申しました港湾計画等も具体的にあるわけで、そういうものを無視して、つくられるということではないだろうと思います。そういうことで一応の計画、マスタープランという形で、どれくらいの埋め立てを将来したいということで、個々のものは載ってないわけでございますが総体的に、これくらい埋め立てをしたいということで持ってこられる場合に、そういった港湾計画等を踏まえた上で持ってこられた場合に、私どもとしては、それは絶対いけないと言い切るというのは、なかなか容易ではないわけでございます。ただ基本に、いまおっしゃいましたような、そういった問題があることは十分認識しておりますし、それを無視してやるということについては、私どもも明確に、困るということを言っておるわけでございますから、その点は形式的に何ヘクタールという中に入れるか入れぬか、そこの問題だろうと思うのでございますが、各省庁計画との関連もございます。提出された段階で十分、関係省庁とももう一回、協議はするということにいたしたいと思っております。
  140. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 お考え、よくわかりましたけれども、繰り返すようですが、まことにむだなことになるおそれがあると思います。八号の埋め立てを含む計画をつくってみても、結局いまここで議論をしておりますように、三条件が解除されない限りは八号の埋め立てばだめですよということになるわけですから、計画全体がだめになると私は思うわけです。それから八号の埋め立てを含まない計画ならば、持ってきた上で検討すればいいわけです。八号の埋め立てを含む計画ならば、三条件が解除された上で、つくらなければ意味がない、こう私は思うわけです。しかし、これはおっしゃるように、県の地方自治としての問題もありましょう。したがって、ここで国会のやりとりの中で国の意思として明確なのは、いま議論されたように、八号地の埋め立てを含む計画であるならば、たとえ県から、そういう計画が出されても八号地の埋め立てについては三条件が満たされない限り、これはだめであるから、そういう計画意味がない、このことについては確認ができますか。
  141. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 私どもは、港湾計画等もあることでございますから、そういった過去のいきさつを踏まえて県でも努力をされているということで、三条件が満たされたというような、これはもちろん仮の、仮定のことでございますが、そういった場合には埋め立て計画等も実施ができるということになるわけでございます。それは将来どうなるか私ども、わかりませんけれども、事を進めるには、すべて地元の大方のコンセンサスのもとに円満に進むということが必要でございます。そういった事態になって実施するというわけでございますが、その保障がなければ全然いけないというか、というわけにも、ちょっと私ども、いまの立場ではまいりません。やはり満たされれば、それは進められるということも言えるわけでございますから、そういった意味で広い全体の、個々のものを触れてない、これくらいやりたいという埋め立て計画の中で一々それを取りなさいというのは、ちょっと国としても言いにくいということでございます。
  142. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 環境庁長官の意思としては明確に、八号地の埋め立てを含む計画は三つの条件が整わない限りだめですよ、こう、さっきから繰り返し長官がおっしゃっておられるわけですから、したがって私は、環境庁の方が、特にその問題は中心になると思うのですけれども、県に対して、この前、私がここで議論したことについて、もう一度改めて、そのことを指導してやることの方が親切ではないかという気がするわけです。もし、いま県がつくろうとしておる基本計画の改定が八号地の埋め立てを含むものであるならば、それは事前に三つの条件を解決するように努力をすべきですというふうな指導は、これは当然と思いますが、どうでしょうか。
  143. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 三条件を整えてから埋め立て計画を進めるなら進めなさいということは、もう、かねがね申し上げておるわけですが、いまの計画の中断というのは、県のおつくりになった二期計画、いわば大分地区の開発行為を実施していくための手順を決めている計画の中の八号地の計画を中断しているわけなんでありまして、新産都市建設促進法計画を中断しているわけではないので、新産都市建設促進法に基づく基本計画の改定の中で、そういう埋め立て問題をどう対処していくかは、これはその所管庁である国土庁の方に御検討をいただくことになるわけでございます。
  144. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 環境庁、えらい逃げ回っておるようですけれども長官から、もう、はっきりとした答弁をいただいております。ただ環境庁は、前、中断をした際にも環境庁として、いろいろな行政指導をなさったいきさつがあるはずでございます。これは、ちょうど私も当時、同じこの委員会におりまして、先ほど島本委員からもお話があった三木環境庁長官が、いろいろなお話をしてくださいました。県の方に中断に至らしめた経過についても私ども伺ったわけでございます。それほど環境庁として環境の保全のために、地域の住民の皆さんなり、あるいは漁協の問題もあれば、いろいろあったと思いますけれども、努力をされた経緯がある。そして中断になって今日に至っておるわけですから、その経緯から考えて当然いま、おっしゃったように、あとは計画を出す、出さぬは国土庁でございますというようなことでなく、事前に大分県に対して、もう一度改めて八号の埋め立てを含む計画については、これは前の経緯からしても当然、事前に解決をすべきですということを行政指導なさる御意思はございませんかと、こう伺っておるのです。
  145. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 新産都市の問題は別といたしまして、八号地の埋め立てを推進していくためには三条件をきちんと整えなければいけません。それから、その中には当然アセスメントをきちんとや、っていただく。アセスメントをきちんとやっていただくというのは、八号地だけじゃなくて大分地区全体が、まだ既存のところが汚れているところも、ずいぶんあるわけでございますから、そういうものも含めて環境上、悪影響を生じないような計画でなければいけませんよということを指導しているわけでございます。
  146. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これは結局、計画が出た段階でというのが国土庁の方の一番の言い分になっておりますが、計画は県から出された段階で検討してみましょうということで、事前に県に対して行政指導をいたしましょうという姿勢が、どうも見えないのですけれども、しかし先ほどから私がるる申し上げておりますように、八号地を含む計画であるならば、三つの条件が解決されない限り、これは全くむだな計画になるおそれがあることは間違いがありません。そうであるとするならば、問題になった中断をするに至った経緯を当然、事前に解消した上で計画を持ってきなさいというので、何も私は八号が絶対悪いと申し上げているのではないのですよ。少なくとも三つの条件について話し合いをつけて持ってきなさい、これが私は国の地方自治体に対する指導でなければならぬと思うのです。  そこで、こういうことをひとつ考えてもらいたい。これは長官もお聞き願いたいのですが、国土庁の方で県が早く計画を出せ、これは全国的な関係もあると思いますから、わかります。わかりますけれども、そのために大分で非常な紛争が起こっておるとするならば、たとえば三条件についての地元のコンセンサスが得られるまで話し合いをさせる時期を置いてやって、大分の問題については別に扱ってみたらどうか、こういうことは一体どうでしょうか。
  147. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 私どもも過去の経緯もございましたので、これは慎重に扱うべきだということもございまして、ある意味では大分は事務的に若干おくれても、それはしようがないから十分話し合ってくれということは、いままで言ってきたわけでございます。ただ、これも時間的にも限度がございまして、御承知のように今度、可決いただきました財特法については、その年度、年度、後追いで措置をしておくということでございまして、余り計画がおくれてしまうと、その措置がとれないということもございますから、おのずから限度があると思いますが、できるだけ、そういった時期を見ながら私どもとしては、ほかの地区も申しわけないのですけれども、あわせて、ずっと実は送ってきておる状況でございまして、いまでも、なおかつ地元といろいろ折衝もあるように聞いておりますが、なるべく、そこらを詰めて早く持ってきてもらいたいとは思っておりますけれども、いつまでという指示は、まだ、していないところでございます。
  148. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これは、きょうの局長答弁の中で私は最高だったと思うのです。そういうことは余り、だめを詰めることはいかぬのですけれども、しかし、だめを詰めておかぬと、すぐ大分は地元でまた荒れるものですから、少し、だめを詰めさせていただきますが、基本的なお考えとしては、八号埋め立てをやりたいというのならば問題の三つの条件については解決をしてきなさいよというお気持ちがある。したがって全国的には、なかなかむずかしい問題だけれども、その話し合いを詰めさせるために大分については若干、時間がおくれても、国土庁に提出する時期が若干、下がっても、いいと言えないまでもやむを得ないぐらいなことになりますか。
  149. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 全然、別でいいという前提では、ちょっと申し上げにくいわけでございますが、御承知のように他の地区と合わせて、審議会もたびたび開くわけにもまいりませんので、できれば、そろえてやりたいということでございますが、折衝の期間はある程度、余裕を、いままで待ってきておりますから、そこは考えております。ただ、われわれとしては全般的なあれから見て、なるべく早くやっていただきたいという気持ちを持っておることは事実でございます。
  150. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 だめ詰めはしませんが、私の理解として会議録にとどめておいてもらいたいと思いますので、いまの局長さんの答弁は、いいと言い切るわけにはいかない。国全体の計画もあるが、大分には、そういう特殊な事情もあるので、大分が若干おくれるようなことがあっても可能な限り三条件についての話し合いを先行させてもらいたい、そういうふうに理解をいたします。間違いがあれば訂正してください。
  151. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 無視して進めるという意味でやっておるわけでは、ちっともございませんが、全体の進め方があるものでございますから、おのずから限度があるということでございます。事務的に財政特例法が後追いするのに困る時期では、われわれとしてもやりにくいわけでございますから、許される範囲内まで待って、できれば、みんな一緒にそろえて審議会にかけたいという気持ちでございます。
  152. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 むずかしくなりましたが、できればそろえたいというのを、私は逆に大分が若干おくれてもやむを得ない、こう理解をすると申し上げたのです。いいですね。
  153. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 そのようにおとりいただいてもやむを得ない場合もあろうかと思います。
  154. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私の理解では実際問題としては、やはり大分は話し合いが先行する、したがって、おくれることがあっても、特例法による財政措置の問題が期限切れになるようなことがないように、その点は気をつけてもらうが、全部がそろわなければだめですということにもならないということですね。
  155. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 そういった趣旨を含めて申し上げたつもりでございます。  ただもう一つ、ここだけはお聞きを願いたいのでございますが、先ほどからるる申し上げておりますように、一応、県が協議会の意見を聞いておつくりになるわけでございますから、そこらのところは私どもが事前にどうだこうだと言うわけにはまいりません。ただ精神的には、いろいろおっしゃいました意向を含めて円満にいくべきであると思いますので、そういったことで、いろいろ相談をしておる最中でございますから、できるだけの調整期間というのはあってもいいというふうに希えております。しかし、それも限度があるということでございます。
  156. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこで柳瀬局長、あなたの出番です。国土庁は、いまお話があったように国全体の基本計画改定の問題はあるけれども、大分は前からの問題もあるので、地元で、この三つの条件が整うような話し合いをやはりやってもらいたい。そのために実際問題としては、大分からの計画の提出が若干おくれるようなことがあっても、それはやむを得ないというふうな理解に立った。今度は環境庁の出番でございます。どうでしょうか。そういう趣旨に立って大分県に対して三つの条件について計画前に十分話し合いをするように指導なさる、これはいかがでしょう。
  157. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 基本計画の改定は県がおつくりになるものでございますから私どもの方で、どうせい、こうせいという性質のものじゃないと思うのですね、新産都市促進法に基づく基本計画というのは。ただ私どもは、たびたび申し上げておりますように、埋め立て計画を進めていく場合には、中断になった事情を考慮して、その条件が整わない限りは埋め立て計画を進めるということは適当でありませんよということを申し上げているわけでございます。
  158. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私は、いままで、あなたがおっしゃってきたことを繰り返してお聞きしておるわけではないのです。あなたは先ほどから、それは国土庁の所管ですということを何度もおっしゃったから、国土庁のお考えについてもお伺いしたところ、国土庁の方としては、繰り返しませんが大分については、いきさつ上ある程度の特異事情があるので、計画の提出がおくれてもやむを得ないとは言わないが、大体そういう含みがあるというふうに私は理解したわけです。したがって環境庁の出番で、そういう国土庁の考え方を踏まえて、八号地埋め立てについては中断に至った経過にかんがみ、その条件が解除されるように話し合いを進めなさいということが、国として、なぜ言えないのでしょうか。どうです。
  159. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 その三条件をいつまでにやれということは、私どもの方としては、県には県の方のいろいろな事情もおありでしょうから、進めていく段階で、どういう時期に、どういうふうに、それを満たしていくかということは県自身がお考えになるべき問題だと思います。
  160. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それは局長おかしいですよ。それはおかしな答弁じゃありませんか。先ほどから長官もはっきりとおっしゃっておるように、八号の埋め立てについては三条件が満たされなければだめだということになっておるでしょう。これは明確でしょう。どこにも、この点については意思の違いはないのです。それならば、いま改定計画をつくるに当たって環境庁として、八号の埋め立てが入るのならば三条件を先に解決をしなさいという指導をするが何がおかしいんですか、どこが過ちですか。
  161. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 埋め立て計画を進めていくためには三条件が必要でございますが、新産都市の促進法に基づく基本計画の改定の前にやらなければならぬのかどうかは、これは国土庁で御判断なさる問題だというふうに申し上げているわけでございます。
  162. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これは環境保全の問題であり、経緯からしても中断に至った経緯は、これは環境庁が深く関係してきたのです、先ほどから申し上げているように。当時の環境庁長官の三木さんが深く関係をしてきた経緯があるわけですよ、私はこの前ちょっと口が滑って悪口を言いましたが。そんな出てきた計画をチェックするだけ、あるいは、この前のように県がおやりになったことだからというのなら、環境庁なんか初めから要らないのです。なぜ一体、国が環境庁というものを設けたのか。その趣旨にかんがみて、すでに八号の埋め立てについて中断に至るまでには相当関与したことは事実ですし、また関与すべきだと私は思っておりますが、いま、その八号の問題が再燃してきて、この改定計画の中に八号の埋め立てが含まれようとしておる。それならば、八号の埋め立てを含む計画であるならば、その経緯を踏まえて三条件については解決をした上での計画でなければならないですよということを国が行政掲導することが、なぜ過ちなんですか。私は八号地の問題を除いて言っておるんじゃない。八号が入るから言っておるのです。八号を除いての計画ならば出た段階で結構でしょう。しかし八号が入る以上は前の経緯があるから、あなたの方から行政指導なさるべきだということが、どうして悪いのでしょうか。
  163. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 新産都市建設促進法基本計画というのは一体どういう性質なり性格のものなのか、具体的な個々の事業計画内容まで、すべて、びしつと詰めた内容でなければ、基本計画というものは成り立たないのかどうかという問題に絡んでくるわけでありますから、それは所管庁である国土庁の方で御判断をいただかなければならぬ問題だと申し上げているわけでございます。
  164. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 どうも長官、お聞きになっておわかりのように、新聞報道によりますと、柳瀬局長が大分県からねじを巻かれた、そういうふうに出て、私はまことに不都合な話だと思うのですが、それで柳瀬局長が後ずさりをしているのかもしれませんけれども、きわめて常識的に考えても、環境庁の立場から、八号の埋め立てについては問題があるということを示唆されて、そして大分県が八号の埋め立てを中断をしたわけなんです。ところが、いま基本計画の改定に当たって、また、その八号地の埋め立てを含む計画をつくろうとしておる。それならば、いままでの経緯から考えて当然この八号の埋め立てが含まれる計画ならば、その三条件を先に解決すべきですよ、こうおつしゃるのが私は国の立場ではないかと思うのですが、長官どうお考えでしょうか。
  165. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 前回も先生の御質問に、その点があったと思います。私は、三条件が解決しなければ八号埋め立てばだめだということは、環境庁はいまでも姿勢や態度を変えておりません。それは県も十分承知でございましょう。したがって、特に行政指導はしておりません。する必要はありませんという含みで申し上げたのですね。そこで、その後で、実は事務サイドでやっておるということで安心しなさいと、あなたから言われたのを私よく承知しておりますが、私は基本線さえ、きちっとしておれば、それは改めて行政指導する余地はない。ただ問題は、八号地の埋め立ても含めてと先ほどからおっしゃいましたが、環境庁といたしましては埋め立て以外の問題は、これは容喙するたてまえではないですね。したがって事、八号地埋め立てに関しましては、三条件が満たされない限りは環境庁としては、これをオーケーするわけにはまいりませんよ、この姿勢はいささかも狂っておりません。ただし、それを含む他の部分については、私はいささかも言及しておりません。これはひとつ厳格に区分けをしておいていただきたい、こう思うわけであります。
  166. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 長官のお話は終始変わりません。私も、そのとおりに受け取っております。ただ私が申し上げておるのは、八号地中断に至った経緯の中には、環境庁の方からも、いろいろな県に対するサゼスチョンがあって、そして県の方も、そういうものを踏まえて中断をしたいきさつがございます。したがって、そのことも理解の上で国土庁の方でも、その計画の提出の時期等については若干の考慮を払ってもいい、ということは、なるべく事前に、八号を含む以上は三条件の解決に努力をしてもらいたいという国土庁の意思もある。そうなってくれば、八号を含まなければ私は長官のおっしゃるとおりだと思います。八号の埋め立てを含むとなれば、その経緯を踏まえて環境庁の方から、どうしろ、こうしろということは別ですが、あの三条件については解決をするような努力をしなさい、こうおっしゃっていただいても少しもおかしくないように、いきさつからして思うのですが、どうでしょうか。
  167. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 私が先ほど申し上げましたのは、これだけ国会で議論になって、恐らく、それは即日、大分県の方へいっているのじゃなかろうかと私は思います。そこで、おっしゃるとおり新産都市計画をおやりになるならば、仮に八号地を含むならば、ネックはここにあるのだぞよということを、恐らくそれを知らないで計画を立てるということは、ちょっと私は常識上考えられないわけですよ。そこで、より親切にするならば、いま、あなたがおっしゃるようなことを県当局に言えばいいかもしれませんが、私のたてまえは、その必要はない、三木環境庁長官のときからいささかも変わっておらないのですから。したがって、計画をどういうふうに立案するか、それはわが方の環境庁といたしましては直接関係を持ちませんが、事、八号地埋め立てというふうな計画を、いつ、いかなる場合でも、お立てになるならば、中断をされたときのいきさつを踏まえて三条件はきちっと解決しておいてもらわなければいけませんなと、こういうことでございます。
  168. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 長官もおっしゃるように、これだけの議論があるんですから、本当は県当局がはっきり、そのことを踏まえてやるべきだと私も思うのです。思うのですけれども、この前ここの国会で議論した、その翌々日の二十一日の新聞によりますと、柳瀬局長が県に言ったことと、国会で言ったことは違うのだぞということを新聞に発表しています。これは大分の県知事がちゃんと発表しておるわけでございます。新聞記事に誤りがない限り、こういうことを言っておるのですよ。「知事は「八号地の中断は柳瀬局長がしたのではなく、私が行ったものであり、私の決断にかかわる問題」だ」こういうふうに前置きして、そして非公式に柳瀬局長と県が話したのと、柳瀬局長が国会で答弁したのは違うのだなどということをぬけぬけと言っておる。私は国会の権威にかけても、まことにこれは不都合な話で、柳瀬局長さん自身の名誉にもかかわる問題だとも思っておりますので、したがって私は長官の真意は十分理解ができます。できるだけに、県がこれだけの議論があるのに、なおかつ、いろいろな字句上の因縁をつけて強行しようとすることは、これはまことに不都合な話なので、環境の立場から、出てきて三条件が満たされておりませんからだめですよとはねつけられる前に、親切なあり方として教えてやるべきではないかということをお願いしておるのですけれども長官の決意が非常にかたいようですから、私はむしろ、この会議録を県知事によく見てもらうことによって、その間の事情を理解してもらいたいと思っております。  そこで、いま基本計画の問題が出てきたので、きょう運輸省お見えになっていただいておりますが、この「新産都市計画の区域及び建設基本方針」の中に当初、県が計画として挙げておるのは、大分川及び大野川の河口を埋め立てて、これを土地利用という計画に出しておるわけですけれども、この大分川及び大野川の河口というのは、いま問題になっておる佐賀関のところが入っていないのですが、これはどういうふうにお考えになっておるか、運輸省の方にちょっとお伺いしたいのです。
  169. 小池力

    ○小池説明員 お答えいたします。  港湾計画と新産都市基本計画との関係でございますけれども、港湾計画は港湾の開発利用それから保全に関します、あるべき姿を定める長期的な計画でございます。たとえば新産都市基本計画、この大分地区では昭和三十九年にできてございますが、港湾計画昭和三十七年に一遍つくってございまして、目標年次を四十五年にしてございます。その後、昭和四十五年に海湾計画を改定いたしまして、六号地以東の埋め立ての計画を定めたわけでございますが、この目標年次は昭和五十五年でございます。やはり地域の総合計画でございます新産業都市基本計画等といったものと十分対応はしてございますけれども、港湾の計画は、その実施の時期、内容等について必ずしも一致するものではございません。
  170. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いま、おっしゃられましたように昭和四十五年に海湾計画は変更されて、このときに佐賀関の地先に当たる八号地が含まれたことになっておると思うのですが、港湾計画のこういう改定、変更が行われる場合は、地元の意思といいますか、そういうようなものは全然無視して、国の計画として、どんどん行われていくわけですか。たとえば地元の意思というようなものも十分くみ取っておやりになるわけですか。
  171. 小池力

    ○小池説明員 港湾計画の策定の手続でございますけれども、この大分港の港湾計画のできました昭和四十五年、それから七号地の一部の計画を変えてございます昭和四十八年の時点では、港湾管理者であります大分県が港湾計画をつくりまして、そして運輸大臣に上げてまいりまして、運輸大臣は港湾審議会に諮問いたしまして、この計画を認めているというようなことでございます。  ただ、四十八年に港湾法が改正になりまして、先生、御指摘のとおり地元の意思を十分に体することというような趣旨から、地方港湾審議会を設けることになりまして、四十九年以降の港湾計画になりますと、地方港湾審議会に諮問いたしまして、そこで意見を聞いた上で運輸大臣に上がってまいり、先ほど申しました中央の海湾審議会にかかるというような運びになっております。
  172. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこで、このいわゆる八号地問題ですが、仮に、それまでの計画にあったとしても八号地問題が中断をされた。中断をされた後また、この埋め立ての問題が新たに起こってくるとすれば、港湾計画それ自体も、一応、港湾責任者である知事の方で中断したわけですから、中断されたというふうに理解をして、新たにまた計画が出し直されなければならないのではないかとも思うのですが、こういう点はどうでしょうか。
  173. 小池力

    ○小池説明員 お答えいたします。  海湾計画、先ほど申しました八号地の埋め立ての部分は、四十五年の港湾審議会第四十三回計画部会で審議がなされてございますが、先ほど、お答えいたしましたように港湾計画は、やはり長期的な計画でございまして、八号地の実施の問題になりますと、さらに、これを踏まえまして公有水面埋立法に基づきます埋め立ての免許の申請が上がってまいることになろうかと思います。先ほど島本先生にもお答えいたしましたとおり、その段階で法に基づきました、あるいは瀬戸内海環境保全臨時措置法に基づきました環境への配慮等を十分検討することになっております。
  174. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 具体的に、いわゆる佐賀関の地先に当たる八号地の問題について、これは非常に微妙なのです。時期がはっきりしませんけれども、いま、おっしゃったように瀬戸内海環境保全臨時措置法との関連があるわけですが、中断されたのが、やはり四十八年の五月ごろだったと私は記憶しておるのですけれども、仮に四十八年の五月に中断があって、その後に、あの埋め立て免許の問題等の法改正が瀬戸内海の関係で行われましたね。この方が後ではなかったかと思うのですが、どうですか。
  175. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 瀬戸内海法の施行は四十八年十一月でございます。
  176. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そうしますと、いま、お答えがあったように、中断されてから後で瀬戸内海の臨時措置法が施行されたことになるわけですから、したがって、これは法的に明確にどうなるのか、私は法理論は詳しくはわかりませんけれども、きわめて常識的に考えて、中断をされた後で瀬戸内海環境保全臨時措置法ができたわけですから、当然、瀬戸内海の環境保全臨時措置法について、この八号地の埋め立てば十分な配意がなされなければならない。それは法的に、どういう拘束が起こるか、私も不勉強でわかりませんけれども、少なくとも港湾の管理者である知事は、その辺についても配慮すべきではないのかという気がしますが、この辺は運輸省どうお考えでしょうか。
  177. 小池力

    ○小池説明員 どうも、たびたびお答えを繰り返すようで恐縮でございますけれども、四十五年と申しますか、港湾計画は、港湾の開発、利用、保全に関します長期的な計画でございまして、その計画の策定は、あくまで港湾管理者、地方公共団体でございますが、港湾管理者が案を立てて、先ほど申しましたような手続を経て、運輸大臣の承認を求めるということになってございます。  で、先ほどの瀬戸内海環境保全臨時措置法との関係でございますけれども、八号地の港湾計画は工業用地ということになってございまして、これを実施するに当たりましては、先ほど来、繰り返して申しております公有水面埋立法に基づいての免許の申請が上がってくるわけでございます。この埋め立て免許に当たりましては、瀬戸内海環境保全臨時措置法に基づきます。特に埋め立てに関します基本方針がございますが、それに十分照らして処置をするということになろうかと思います。
  178. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 ちょっと、これを見ていただけますか。これは県知事いわゆる大分県の港湾管理者が昭和四十八年十二月に一部変更でお届けした分だと思いますが、これには八号地というのは計画の中にないのです。これはどういうふうに理解したらよろしゅうございますか。
  179. 小池力

    ○小池説明員 御指摘は四十八年十二月の大分港港湾計画の一部変更でございますが、この図面に八号地が載っていないのはどうかという御質問でございます。  この四十八年十二月に行いました港湾計画は一部変更でございまして、すでに四十五年にやっております港湾計画のうちの七号地の部分、それをA、B、C、Dという四つの区域に分けたものだけでございます。
  180. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 その中にA、B、C、D、というのがないでしょう。これがいわゆる七号地になっている。これからこっちが八号地になっている。そうすると法線上に上がっていない計画などというものが認められるものかどうか、その点はどうでしょう。
  181. 小池力

    ○小池説明員 この四十八年十二月の港湾計画でございますが、これは七号地の法線の変更でございまして御指摘のとおり図面に確かにD地区というのは上がってございませんが、このD地区に関します法線については変わりがないということで上がっていないわけでございます。
  182. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それはちょっと、おかしいじゃないですか。ほかのところが全部載っていて、一番大きなところだけが外れているというばかなことがありますか。それはちょっと牽強付会といいますか強弁に過ぎはしませんか。ほかのところは全部載っていて、一番大事な法線のところが載っていない計画なんというものが常識上ありますか。
  183. 小池力

    ○小池説明員 どうも強弁という御指摘でございますけれども先生からお示しいただきました、この計画の平面図でございますが、これは七号地の法線計画の変更をしたものだけでございまして、たとえば、こちらのすでに埋め立て免許があり、実施しております六号地等の図面は、これには載せてないわけでございます。
  184. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 だから、その一番法線の大事な、いま、あなたがおっしゃったD地区の方ですね。なぜ、それは載らないのですか。私の理解では、そこはもう中断されたから載らないと、そう理解できる。ちょうど、それが五月に中断されたわけでしょう。それで、これは十二月の計画なんですね。だから、それはもう県の方でも初めから抜けておった、そう理解すべきだと思うのです。それが計画があるならば、私は法線にそこは載せるべきだと思う。だから県の理解では、少なくとも昭和四十八年十二月の時点では八号の埋め立てについては、あきらめていたと言いましょうか、計画はなかったと理解すべきじゃないか。その意味で私は、その資料を見ていただいているのです。
  185. 小池力

    ○小池説明員 私、当時、県から出ました港湾計画審査する立場にございませんでしたから、その問の事情、必ずしも、つまびらかにいたしておりませんが、従来、港湾計画の一部変更をやりますときには、その関係します部分だけを載せるというのが通例でございます。先生、御指摘のとおり中断等の事情があって故意に図面に載せてなかったというようなことにつきましては、ちょっと私、事情を存じてございません。
  186. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これは国土庁の方にもお見せしましようか。いま申し上げましたように昭和四十八年の十二月というのは、いわゆる八号地の計画の中断があった後の県が出した港湾計画でございます。そして、いま運輸省のお答えでは、どういう理由かは明確にはわからないという御答弁ですけれども、この中に、いま問題になっておる八号地、いわゆる県に言わせれば七号のDですね。この地域は全然上がってないのです。こういう基本計画になっておったわけですから、それがまた生き返ってきたというのは、県がいま言っておる八号の埋め立てば基本計画にあったから云々というのは、まことに私は強弁に過ぎるような気がするのですが、その辺について国土庁はどう理解されておりますか。
  187. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 港湾計画上の呼び方は別といたしまして、いわゆる八号地の埋め立てについては、これは港湾審議会の議を経て決定しておるものだと聞いております。したがいまして現在でも、それは残っておるということで私どもは理解しておるわけでございます。ただ、いまお示しの図面自体がどういったものかは、まだ拝見しておりませんが、県から出したものでございますから、それは見ようと思えば県の方にもお願いして入手はできると思いますので、それは後ほど拝見いたしたいと思っております。
  188. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 もう一点、国土庁の方に基本計画についての考えをお伺いしたいのですけれども、先ほど、あれしました「新産業都市区域及び建設基本方針」この中に、さっき運輸省に申し上げましたように、これは昭和三十九年につくったものでございますけれども「土地利用の構想」の項では、これは大分川及び大野川河口の埋立地に重化学工業団地を置くという計画になっておって、この基本計画の中に八号地がないわけです。八号地という計画基本計画になかったものが今度の改定で上がってくるということは、これは基本計画との関連からすれば県の大きい間違いではないかという気がしますが、どうですか。今度の改定は、もともと基本計画に基づくものであって、基本計画になかった構想が上がってくるというのは過ちじゃないでしょうか。
  189. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 先ほども申し上げたわけでございますが、この基本方針に基づく建設基本計画というのが決定されておるわけでございまして、この工場用地のところに書いてございますのは、全文は省略をいたしますが「臨海工業用地及び内陸工業用地の確保を図る」ということでございまして、これが要するに新産都市計画のマスタープランとして決められたものでございます。それについて具体的に、どういった形で進めていくかということになりますと、港湾でございますと運輸省というのが関係してまいりますし、具体的な中身については、その都度、詰めながら実施計画を立てて、やってきておられるわけでございまして、そういった中で港湾計画等を変えるということになってまいりました場合に、極端に申しますならば千二百五十ヘクタールとは、およそかけ離れた問題が出てくれば別といたしまして、具体的な中身は具体的に新産計画をつくられた県が、港湾計画管理者としても、いろいろ計画を立てておやりになるわけでございます。そういった中の変更について一々この計面を変えるといっても、形の上では、この千二百五十ヘクタールしか出ておりませんから、一々、計画を変えるということはしていないわけでございます。
  190. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 たとえば、どちらになるのかわかりませんけれども、いま私が申し上げました、いわゆる昭和三十九年新産都建設基本計画それから基本方針がございますね。これらをよく読んでみますと当初、昭和三十九年に出された基本方針、これを受けての基本計画の中では、これは大分川及び大野川河口の埋立地を土地利用の構想に挙げておるわけでございますが、その後この言葉が変わってきまして、大野川右岸というふうに変更されてきておるのですよ。こういうふうに計画が勝手に河口の埋立地から右岸というふうに変更されてきたことについて、運輸省なり国土庁は承知をしておりますか。
  191. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 計画の中身は先ほど申し上げたことでございますが、いま大野川右岸とおっしゃいましたが、計画の中のどの部分でございますか、ちょっと、いま港湾の場所とか造成地の場所を見たわけでございますが、その言葉が見当たらないわけでございますが、恐縮でございますが、お教え願いたいと思います。
  192. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これ大分県が国土庁に出した、これまでに提議した素案の中で大野川右岸という表現に直しておる。もう少し詳しく言いますならば、建設基本方針では大分川及び大野川河口の埋め立て、これが基本方針なんです。     〔委員長退席、島本委員長代理着席〕 ところが、いわゆる基本計画ですか、このところに入ってきて、だんだん大野川右岸というふうに変わってきておる。ついでですから、もっと具体的に言わしてもらうならば、八号地というのは、もともと私の郷里の杵築の地先になっておったのだ。杵築の地先が八号地であったのが、たまたま運輸省の方の大分港の港湾計画ができたものですから、勝手に佐賀関の地先に変更しておる。これは基本方針とは全く逸脱したものになっておるのですよ。その辺御承知ですか。
  193. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 当初における方針は大分川、大野川河口というような形で示されております。計画についても当初は、おっしゃるようなことで違う場所であったかと思いますが、途中で港湾計画の変更によって変わってきたということは承知をしております。
  194. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 したがって、私が問題だと思うのは、その当初の基本方針というものがあって、それに従って新産都計画が進められてきた。その途中で四十五年に、いわゆる港湾計画の変更があったので、八号地が杵築の地先であったものを今度、佐賀関の方に勝手に変えていった。そういう大きい変更が、そう勝手になされていいのかどうか。国土庁はその後できたわけですかね。どうなりますか、ちょっと、その辺わからないので、その責任の所在がわからないのですが「そんなふうに、どんどん変えられるものだろうか。基本方針がどんどん変わっていくということでは、これは地域の住民も困りますし、おたくの方でわかっておりますか、その変更の経緯が。
  195. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 いまの計画ができたのは三十九年でございますので、その当時どういう形で変っていったかという経緯は私、存じません。ただ全般的には先ほど申しましたように、これは総合的な意味でのマスタープランでございますから、基礎には、いろいろなことを想定しておったと思います。ただ具体的に進める段階で、同じく計画の当事者である県が、港湾計画その他、具体的に詰める段階で、いろいろと中身について関係各省調整をして進められたものであろうというふうに思っておるわけでございまして、具体的にこうこう、こういう経緯で、こうやったということは、古い時代でございまして、私どもは存じないわけでございます。
  196. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これは長官、お役所のことですから私もわからないわけでないのですけれども、いま申し上げましたように、当初の基本方針によれば大分川と大野川の河口を埋め立てる、こういうことだったのです。そして八号地の計画というのは、それよりもずっと北の方に八号地をつくる、こういう計画になっておったのです、国土庁は新しいから余り詳しく知らないと思いますけれども。それが港湾計画ができたものですから、八号地の位置を南の方に勝手にずらしてきてしまったわけです。そういうことを運輸省、知っていますか。
  197. 小池力

    ○小池説明員 いまの港湾計画にございます八号地の埋め立てと新産計画との経緯につきましては必ずしも、つまびらかにしてございません。
  198. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 時間も来たようなので非常に残念ですけれども、したがって、いま私が申し上げた点について御調査をいただきたいわけです。  まず私がお願いしたいのは、昭和三十九年の建設基本方針には、先ほど局長さんからも御答弁いただきました大分川及び大野川河口の埋め立て、こうなっておったのが、だんだん県が勝手に変えてきて大野川右岸というふうに変わってきておる。そして大野川右岸だから佐賀関の地先も含まるのだというふうに勝手に変更してきておるが、どうして、そういうふうに変わってきたのか、その経緯について御調査を願いたい。これが第一点目です。  それから二点目は、基本方針の中では杵築の地先が八号地の予定地になっておったのが、これまた、いま申し上げましたように、いつの間にか佐賀関の地先が八号地に変わってきておる。なぜ、こういう変更をしてきたのか。その間、可能であるならば、その地元の了解を得ていたのかどうか。そういう点についても、ひとつ御調査をいただいて資料の提出をいただきたいと思いますが、ようございましょうか。
  199. 島本虎三

    島本委員長代理 資料の提出を求めたいと思います。
  200. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 国土庁だけの資料では、わからないと思いますが、できるだけ関係方面の資料あるいは経緯等を調べまして、お答えをするつもりでございます。
  201. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 最後に、くどくなりますが、長官の御決意を私は十分了解ができましたし、ごりっぱだというふうに考えます。したがって、八号地の埋め立てについては国としても確固たる方針がある。そのことは特段、県に伝えなくても国会でこれだけ議論した以上は、県も当然それを踏まえて措置をすべきであるという長官のお考えが述べられたわけでございまして、私はそれについて、できるならば国土庁あるいは環境庁の方からも、この国会の審議の模様について県の方に連絡をしてやっていただけるならば、なお幸いだということを、つけ加えお願いをして、質問を終わります。
  202. 島本虎三

    島本委員長代理 なお、阿部未喜男君の要請のとおりに十分に、それを下知してもらいたいと思います。  以上によって、阿部未喜男君の質問は終わりました。  この際、午後二時三十分まで休憩いたします。     午後一時五十四分休憩      ————◇—————     午後二時三十五分開議
  203. 吉田法晴

    吉田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行します。米原昶君。
  204. 米原昶

    ○米原委員 私も前回の委員会に引き続いて、大分の新産都市八号地問題、これに関連して質問したいのです。  すでに本日の委員会で二人の同僚委員が、この問題については質問されておりますから、できるだけ重複を避けながら要点だけ聞きます。  ただ、先ほど阿部委員質問された最後の点ですが、政府の方の答弁でも基本方針は変えないということを言ってこられたのです。ところが阿部委員指摘されました「大分地区に係る新産業都市の建設基本方針」これを見ますと、基本方針には確かに「大分川および大野川の河口の埋立地」とありますが、これをこのまま残して現在の八号地の埋め立てを認めるというのは矛盾するのではないか。この基本方針を変えない限り、いまの八号地の埋め立てを認めることは基本方針に反するのではないか。できないのではないか。この点について、ひとつ回答していただきたいと思います。
  205. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 先ほどもお話があったわけでございますが、この基本方針については「土地利用の構想」のところで「大分川および大野川の河口の埋立地における工業開発を主軸とし、」というようなことで「都市的諸機能の体系化および人口の適正配分を図りつつ、地区全体の秩序ある土地の利用を計画するものとする。」こういった書き方でございます。したがいまして、大分川、大野川の河口の埋立地における工業開発が主軸であるということは、そのとおりであろうし、また、その基本方針は、そのまま来ておるわけでございます。それに関連して具体的な細かい計画を進める過程において、ただいまお示しのように大野川の右岸の方というのがはみ出しておって、この基本方針から反するのではないかというのが御質問でございますが、いま、お読み申し上げましたとおり、この土地利用の大まかな概要を書いてあるわけでございまして、細かく申しますならば、そういった点も、きちっと整合性があった方がいいとは思うのでございますけれども、こういったマスタープランでは、いままでも、これに基づく基本計画において、先ほど午前中にも話があったわけでございますけれども、途中で千二百五十ヘクタールの埋め立ての過程で、いろいろ港湾計画等も変わっておる、そういう形態もございます。したがいまして、当時のことは私わかりませんけれども、そういった細かい点が変われば、それに応じた字句の修正というのも、あるいは考えなければならなかった時期があったのかもしれませんけれども、現実問題としては、いまお読みしたような基本方針の形で進んできておるわけでございます。  そういった意味から、今回の改定というものが、御承知のように生活基盤等がおくれておる、そういったことも含めて、今後の作業を進める上での改定計画をつくったものでございますから、まあ、いままでの基本方針と、そう大きく乖離するものではございませんので、過去の経緯はともあれ、今回の改定作業で特に基本方針と大きく離れて問題があるというふうには私どもは考えていないわけでございます。
  206. 米原昶

    ○米原委員 それでは、その点、後で経過を調べましてから、さらに調べることにします。  八号地の埋め立てを中断した四十八年当時、中断を解除するためには三条件が必要だ。第一に漁民の同意、第二に住民のコンセンサス、第三に環境アセスメント、この三条件を満たす必要があると言明して、最近も大分県が、中断の解除には、この三条件を満たすことの必要性を言っておりますが、この点については先ほどの環境庁長官の発言に照らしても問題ないと思う。私も、この八号地の埋め立て計画の中断を解除するに当たっては、少なくとも、この三条件を満たす必要があると思うのです。この点は異論ないと思いますが、この点を、私の質問の前に、まず確認しておきたいのです。三条件を満たさなければ中断の解除はできない、こういうふうに理解していいですか。この点、異論ありませんか。
  207. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 たびたびお答え申し上げておりますように、やはり中断に至るには、その理由があるわけでございまして、先生おっしゃる三条件というのが満たされなければ、それを解除することは適当でないと考えております。
  208. 米原昶

    ○米原委員 それでは三条件を満たした上で中断を解除する、いま述べましたように、これは大分県自身も明快に述べているところで異論はないと思う。ぜひ、そうしてもらわなければなりません。  そこで、この三条件の三つ日に環境アセスメントを行うということをうたっておるわけですが、これも前回の委員会で環境庁が述べましたように、また、この三年の間に瀬戸内海保全の臨時措置法が制定された経緯からしても、中断の解除に当たっては、どうしても、このアセスメントが必要であるということだと思いますが、環境庁に、この点を改めて明確に確認したいと思うのです。よろしゅうございますか。
  209. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 埋め立てを行うには当然アセスメントが前提になるわけでございまして、いわば関所のようなもので、その関所を通らなければ、そういう計画を進めていくことはできないと考えております。
  210. 米原昶

    ○米原委員 そこで大分県当局は、この八号地の埋め立て計画を今回の改定の基本計画へ入れると言っております。そういうことであれば、これは大分県当局の言うような中断解除の三条件をそろえた上で、すなわち中断を解除した上で基本計画へのせるべきであろうと思いますが、この点どうでしょうか。それとも中断を解除しないままでよいのかということです。八号地埋め立て計画基本計画へ入れるについて、中断の解除が行われないままでも基本計画を認めることがあるのかどうか、この点を明確に答弁していただきたいと思います。
  211. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 アセスメントは計画の熟度に応じてなさるべき性質のものでございまして、この新産都市建設促進法基本計画という段階で、どういうことが必要であるのかは、それの所管庁である国土庁の御指導なり御判断によるべきものだというふうに考えております。
  212. 米原昶

    ○米原委員 そうしますと、これは国土庁の方に聞かなければなりません。もう一遍、繰り返しますが、中断の解除が行われないままでも、基本計画にこれを入れるのを認めるつもりなのかどうかという点なんです。この点ひとつ聞かしてください。
  213. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 いわゆる八号地の埋め立てについて計画が中断されておるということをめぐって、これはいわゆる計画そのものが、もう中止になったのか、あるいは実施が中断されておるのかといったようなことがあるわけでございますが、そういった点につきましては、大分県としては計画そのものを全部、中止したわけではなくて、言うならば一時的に、実施計画を進めていくのを中断しておるのだ、こう言っておられるわけでございます。私、けさほどもお答えしたわけでございますが、当時の当事者でもございませんから断定的に申し上げるわけにはまいりませんが、大分の議事録等から見て、大分県としては計画そのものを全部、中止したのじゃない、こういうことを言っておられるので、どうも、それを否定する根拠もないというふうに私自身は考えておるわけでございます。  ただ、いずれにいたしましても、この三つの条件が出されております。そういったものが詰められなければ、現実問題として埋め立てにかかるということは、やはり問題があると私は思うのでございます。そういった意味で現段階において、それが全部、済まなければ計画そのものを改定してはいけないのだということにつきましては、この計画自体はマスタープランでございますから、具体的な環境アセスメントというものは、現実に工事にかかるときの客観的な情勢、形状その他どういった大きさでやるかという具体的な実施計画を立てるわけでございますから、それに応じて判断をさるべきものだと思いますので、前もってアセスメントをやってということよりも、その時点において、そういう点について十分配慮が行われた後で実施をされるべきだというふうに考えるべきではなかろうかというふうに考えております。
  214. 米原昶

    ○米原委員 いまの御意見を聞いていますと、中断を解除しなくても基本計画の改定に入れていいのだということにとれますが、そうだとすると、これは大変なことだと思う。中断したままの計画、そんなあいまいな計画を含む基本計画を総理大臣が承認するのかということになります。しかも、この八号地計画は大分の基本計画にとって重要な部分であります。その重要な部分が中断解除されてない状態のままで一体、基本計画と言えるのかどうか。また、そんなものをいやしくも総理大臣が承認するなどということがあるのかどうか。こんなあやふやなものを総理大臣が承認するのかしないのか、明確に答弁していただきたいと思うのです。
  215. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 私は、いま大分県から計画が提出されていないわけでございますから、最終的な結論を申し上げるわけにはまいらないわけでございます。ただ、先ほどから申し上げておりますように、新産都市の計画というものは三十九年以来ずっとあるわけでございまして、その中には埋立地についての記述もございます。ただ、その埋立地が約千二百五十ヘクタールという計画のもとに実施をされてくる、その段階で県としての計画を立てられて、一期計画、二期計画というかっこうで進めてこられた。その二期計画についての八号地埋め立てという問題が中断をする。その中断については、いろいろ考え方がございまして、私としての考えは申し上げたわけでございますけれども、その二期計画の八号地埋め立てが中断されておるというわけで、極端に言うならば、新産都市計画そのものが中断されておるわけではないわけでございます。  そこで、そういうことではありますが、今度その新産都市計画というものを改定するという際には、いまの点を十分踏まえて考えたらどうかということでございまして、私ども、その点は、できれば地元のコンセンサスが十分得られた上で持ち上がってくることを期待もいたしておりますし、そういう努力をたびたびお願いもしてきたわけでございますが、御承知のように、財政特例法が五年間延長されまして、それが毎年、毎年の事業計画の後追いをする。この計画が決まらなければ特例措置もとられないということもございまして、なるべく計画自体は早く進めておかなければならぬという要請もあるわけでございます。しかし、のったから、それは当然にどんどん進めていいという意味ではございませんで、そこは具体的な問題として地元にいろいろな問題があるわけでございますから、そういう点を十分踏まえ、そういったことが解決されるめどがつかなければ、具体的な埋め立てというものはできないであろう。また同時に、その段階においては当然、関係各省庁と協議をしなければ進められないわけでございますから、十分その方面とも相談をするということになろうかと思います。
  216. 米原昶

    ○米原委員 聞いていますと依然として肝心なところはあいまいですが、とにかく、その実施計画にしろ何にしろ三条件で中断をしているわけです。ですから計画改定を基本計画に入れられるとなりますと、この三条件を満たさなければ中断解除ができたことにならないですよ。だから改定の基本計画の中に、その計画を出す前に、当然もう環境アセスメントを終わって、それが計画に入らぬと、そんなあいまいな中断が解除されたかされないかわからぬようなものを総理大臣が承認するというようなことは絶対に認められないと思います。基本計画として法の趣旨にもかかわることになってきます。この八号地計画基本計画へのせるというなら、当然これは三条件を満たして中断を解除した上で入れるべきだ。再度、確認しますが、こんなもので総理は基本計画として承認するなどということになっては大変だと思う。その点をもう一度、確認をしたいと思います。     〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕
  217. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 公式に協議会の議を経て計画が提案されたわけではございませんから、私としても公式のお答えはできかねますが、大分県からマスタープランが提出された段階で、客観的情勢を踏まえて関係省庁と十分検討はいたしたいと思っております。ただ、このいわゆる八号埋立地というものについては、これは港湾計画それ自体もあるわけでございますから、県が、そういった現在ある港湾計画を踏まえて計画の中へ入れられるということは、こちらから、けしからぬと言うわけにはまいらない。それは県自体が計画をつくられ、いろいろな階層の方を集めた協議会の議を経て、こちらへ持ってこられるわけでございますから、現にある港湾計画等も無視して、それはいけないということを前もって言うわけには、私どもはまいらないわけでございます。しかし、いずれにしても環境保全その他、重要な問題があることは承知しておりますから、出されたものが最終的に、どういうことになるか、それを踏まえて十分関係省庁とも協議をして結論を出したいというふうに考えております。
  218. 米原昶

    ○米原委員 もう一点、聞きますが、前回、私が大分県当局の秘密主義を指摘した際に柳瀬局長は、基本計画案について近い将来、当然、公開されるものと期待している、こう答弁されましたが、この近い将来というのは当然、新産都協議会などにかける前ということを意味するものと思います。これは前回、私が指摘しましたが、協議会にかかるというのは、もうレールに乗ってしまうことになるので、これでは話になりません。局長の言う近い将来というのは、環境庁から大分県に対し、あれこれ言うか言わないかは別にして、当然、局長は協議会にかかる前ということを期待していると思いますが、この点どうでしょう。
  219. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 政府に上がってくる前に、当然その計画がないしょで上がってくるということは、もう考えられないわけでございまして、したがいまして、しかるべき時期には公表されるべきものだと思うのでございますが、私の聞いておりますところでは、協議会にかかる前に公表をしたいというふうな大分県の意向を承っておるわけでございます。
  220. 米原昶

    ○米原委員 さらに港湾計画について少し聞いておきたいのです。  この八号地を含む第二期計画、これはそもそも何年何月に決められたんですか。
  221. 小池力

    ○小池説明員 八号地を含みます埋め立て計画と申しますか、大野川の右岸側、六号地から八号地に至る間の埋め立て計画でございますが、昭和四十五年八月の第四十三回港湾審議会計画部会で審議されております。
  222. 米原昶

    ○米原委員 それでは現在の八号地が港湾計画として決められたのは何年何月ですか。
  223. 小池力

    ○小池説明員 先ほどお答えいたしましたとおり、昭和四十五年八月の第四十三回港湾審議会計画部会で計画ができておるわけです。ただ、その後、七母地につきましては四十八年に一部変更がございました。七号地の部分は変更がございますが、八号地の部分は、そのままになっております。
  224. 米原昶

    ○米原委員 ちょっと質問を間違えて答弁をされたんじゃないのですか。新産都市の第二期計画の方ですよ。これで八号地の埋め立てという計画が最初に決まったんですね。これが何年何月かということです。  それと、港湾計画の方の計画が四十五年八月に決まった。八号地の方の最初の新産都市の埋め立て計画は、いつ決まったか。
  225. 小池力

    ○小池説明員 港湾計画でございますけれども、たびたびお答えしているわけですが、大分港の港湾計画昭和三十四年に立てまして、その後、昭和三十七年に計画の改定をやってございます。それは昭和四十五年を目標にいたしました港湾計画でございます。その後、昭和三十九年十二月に新産業都市建設基本計画が定まりまして、その辺の事情を受けまして、先ほどお答えいたしましたとおり、昭和四十五年八月に八号地を含みます計画をつくりました。この目標年次は昭和五十五年になってございます。そのように港湾計画は港湾の開発、利用、保全に関します空間利用のあるべき姿を定める長期的な計画であるということになってございますので、新産計画と必ずしもタイミングその他が一致してはございません。  それで御指摘の大分県の立てました新産の二期計画がいつかというのは、ちょっと私、存じておりませ。
  226. 米原昶

    ○米原委員 それは国土庁の方はわかっていますか。新産都市の第二期計画で八号地の埋め立てが計画として決まったのは、その前ですね。四十五年の八月じゃなくて、その前に、もう決まっているわけですね。
  227. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 御承知のように新産都市計画は三十九年にできたわけでございまして、その中には、マスタープランとして臨海地あるいは内陸地等について約千二百五十ヘクタール埋め立てるという方針はございますが、どこどこというものはないわけでございまして、それは大分県の計画としての第二期計画として取り上げられたわけでございます。それが時期が何年であったかということは、ちょっと、いま正確には承知しておりません。
  228. 米原昶

    ○米原委員 それは私としても調べてみましたから後で指摘しますけれども。  そこで、ちょっと環境庁の方に聞きたいのですが、四十五年八月に港湾計画として決められたときにアセスメントがやられたかどうか、この点聞かしてください。
  229. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 四十先年の八月に港湾計画が決められているわけでございますが、その当時、環境庁がまだできておりませんので、環境庁は協議にあずかっておりません。
  230. 米原昶

    ○米原委員 そのとおりだと思うのです。ところが、この前から答弁を聞いていますと、この港湾計画が新産都計画の上位計画であるというような条文が港湾法なり新産都建設法にあるかどうか。つまり港湾計画と新産都計画、この二つの計画のどっちが上位で、どっちが下位だなんということがあるのかどうか、この点、簡単にちょっと聞かせていただきたい。
  231. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 港湾法も新産都市建設法も、それぞれの目的に応じた立案がされておるわけでございまして、その間に、どちらが上位といったような文革はないと存じます。
  232. 米原昶

    ○米原委員 そのとおりだと思います。  そこで新産都建設法の第十八条をちょっと読み上げていただきたいのです。国土庁、お願いします。
  233. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 第十八条を読み上げます。   国の行政機関の長、都道府県知事又は港湾管理者の長は、新産業都市の区域内の土地を、建設基本計画を達成するために必要な工場用地、住宅用地、工業用水道、道路、鉄道、港湾等の輸送施設、水道及び下水道、教育施設及び厚生施設並びに職業訓練施設の用に供するため、公有水面埋立法、農地法その他の法律の規定による許可その他の処分を求められたときは、新産業都市の建設が促進されるよう配慮するものとする。
  234. 米原昶

    ○米原委員 そのようになっていると思うのです、いまの条文のように。だから上位とか下位とかという議論を、もし、するとしたら、これは新産都建設法の方が、むしろ中心になってくるのじゃないか、上位になってくるのじゃないかというぐらいに感ずるのです。  そこで第一に、大分新産都市二期計画を受けて八号地が港湾計画として決められたこと、私の調べでも四十五年三月に二期計画が大分新産都協議会で決定されて、その年の八月十日に港湾計画の申請があり、十八日に港湾審議会の決定が行われております。この点はっきりしております。  第二に、このときは、まだ港湾法改正前なので、それから環境庁もできておりませんし、アセスメントは全然やられてないのであります。  第三に、港湾計画が新産都建設基本計画の上位計画であるというような法的根拠は全くなく、逆に新産都建設法十八条によると、むしろ反対関係にあります。  したがって国土庁や県が、港湾計画で八号地が決まっているから基本計画に入れるなどというのは、経過からしても、法律的にも、おかしいのであります。前回の運輸省の答弁のように、この二つの計画が整合性を持つべきであるというのはわかりますが、何も無理に港湾計画に合わせる必要はない。八号地中断解除の三条件がそろわなければ、港湾計画から八号地を削ればいいと思うのです。この点、国土庁の見解はどうか、聞きたいと思います。
  235. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 先ほどからお話がございましたが、この新産都市の建設基本方針とか基本計画というものは、非常にある意味では大まかなマスタープランがあるわけでございまして、この基本方針の「土地利用の構想」のところは、先ほども申し上げましたように「大分川および大野川の河口の埋立地における工業開発を主軸とし、」というふうに書かれ、そしてその中の「工場用地」のところには「将来の工業開発の目標を達成するために必要な工場用地を確保し、大分地先等に所要の工場用地を造成整備する。」ということで、「大分地先等」ということで、ある意味では湾の全体を、どういつだところに立地するかという具体的な形でなくて大ざっぱに書いてあるわけでございます。それを受けて実は、この基本計画の中でも先ほど申し上げましたような形で、総体的な「約千二百五十ヘクタールの工業用地の確保を図る」ということにされておるわけでございまして、そういう基本方針に従って、やるわけでございますが、御承知のとおり、たとえば、いまのこの港湾計画一つをとりましても、港湾法で言う港湾が、ここで書くことによって決まるというわけではございませんで、その中身については、道路にしても何にしても、それぞれの関係法律に従って建設、整備をしていくわけでございます。そういった意味では、やはりそれぞれの関係省庁意見そしてまた、そこにある、審議会等の議を経て決まっていくわけでございますから、そういうところで決められたものと整合性を保っていくということに結果的には、ならざるを得ないということでございます。
  236. 米原昶

    ○米原委員 それでは、ただいまの答弁で、港湾計画で八号地が決まっているから、だから基本計画に入れるなどというような議論は成り立たない。それは、それぞれの場面で今後、考慮していけばいいことであって、そういうふうに理解していい、こういうふうに私はいまの答弁を理解しましたが、それでいいですか。
  237. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 いわゆる八号地に係る港湾計画というものは、これはすでに港湾計画としては存在しておるわけでございます。だから県としては、それは無視はされていないということだろうと思います。したがって、むしろ今後の実施上の問題というふうにとらえておられるのではなかろうかというふうに考えております。
  238. 米原昶

    ○米原委員 問題は基本計画としては、確かに港湾計画があるわけです。しかし、これがあるから、もう、いま言った三条件なんか問題にしないで、港湾計画として八号地が決まっているから埋め立てするんだ、こういう論旨は成り立たない、こういうことは言えますね。
  239. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 三条件が現段階において全部、満たされておるとは私らも考えていないわけでございます。ただ、基本計画をつくる場合は、いま申しましたように、一々のものは何号地、何母地と響いてございません。マスタープランをつくっていくわけでございますから、その場合に積み重ねの中には、国のそういった、ほかの省庁等の計画等もあるから、それを計画そのものとしては入れられるということであろう。それについて県が関係方面の方が集まってつくられた審議会を経て正式に決められて持ってこられます場合に、それはいけないんだというところまで私どもとしては、どうも言いにくいということでございます。  したがいまして、そういう形で仮に出てきた場合において、どう扱うかということは関係省庁と十分協議をいたしますが、特に、いま問題があることは十分承知しております。それがどういうふうに合意が得られるか、計画を立てておっても、いつ合意がとられるのかどうかということは、時期はわかりません。あるいは案外近くなるかもしらぬし、ずっと長引くかもしれませんが、そういったペンディングはあるにいたしましても、一応、計画として取り上げておっても、具体的な問題としては十分慎重に対処せざるを得ないということは十分考えておるところでございます。
  240. 米原昶

    ○米原委員 それでは大分八号地埋め立て問題は以上で一応、終わりまして、次に、別の問題について質問します。  来月、開通が予定されている日本道路公団の日光−宇都宮道路、この開通に伴う諸問題について、環境庁及び建設省に見解を伺いたいのであります。  この日光−宇都宮道路は、宇都宮から日光までの国道百十九号線のバイパスとしてつくられたものでありますが、いま、これをめぐって日光市民の間で大きな問題が起こっております。というのは、この開通によって日光の市街地における混雑、特に従来、生活道路であったものまでが車でいっぱいになるということであります。  そこで、まず環境庁に聞きますが、この日光−宇都宮道路については、ことしの七月二十六日付で日本道路公団への照会を行っておりますが、その中で日光市街地の混雑対策についても公団に質問をしておられます。これに対して、どういう回答をもらって、その回答について、どのような見解を持っておられるか伺いたいのであります。
  241. 信澤清

    信澤政府委員 いまお話しの日光−宇都宮間のバイパスでございますが、現在、先生が問題にされている区間というのは国立公開に関係のない部分の問題でございます。むしろ、その後の問題として私どもに問題が出ておりますので、それに関連する問題として、仮にいま、あそこの日光インターというものをあけた場合に市内交通はどうなるか。つまり市内交通の緩和のために、あの先にルートを延ばす必要がある、こういう説明を向こうはしておるわけでございますので、その問題に関連して質問いたしたわけでございます。  これに対する一応の公団側の回答といたしましては、御承知のように日光市内の渋滞の原因といいますのは、太郎杉それから東照宮のあたり、あのあたりが渋滞の先頭になるわけでございます。したがって、その前のところに、かなりの駐車場をつくるということによって若干の交通緩和ができるはずだと思いますが、そういうようなこと。それからまた、具体的には明示されておりませんが、警察等とも御相談の上、適当な交通規制をやる、こういうようなことを申してきております。
  242. 米原昶

    ○米原委員 七月二十六日付の環境庁の照会は、現在の日光市民の不安、疑問、心配をよくつかんでおられるのです。「日光ICから国道百十九号に至るまでの間は新たな交通渋滞を惹起することとなる」「清滝まで開通した時点にあっても、我国屈指の観光名所である三社一寺が、日光市街地内に位置する以上、現状のままでは根本的な混雑解消にはならないおそれがある」こういうふうに環境庁では響いておられる。ところが、これに対する公団側の回答、特に日光インターから国道百十九号に至るまでの交通渋滞対策では、せいぜい道路の一方通行などの交通規制だけで、これだけでは住民が納得できないのは当然だと私は思うのです。  道路騒音の環塩垂準、これは全国の幹線道路などでは至るところで、あってなきがごとしの状況でありますが、ここも、これが開通すると交通景の多さからして、日光インターから国道百十九号に至る閥でも環境基準を上回るおそれがあると思いますが、大丈夫かどうか、環境庁に伺いたいのであります。
  243. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生の御質問のございました件につきまして、私どもの方で、いま聞いております話は、日本道路公団の方で排気ガスによる汚染と騒音の問題について調査検討を実施しておるということでございます。
  244. 米原昶

    ○米原委員 環境庁が心配しておられる点、市民は、いろいろ市長の見解などを聞いておりますが、先日も上京してきました市民の方は、いままでの説明で全然納得しておりません。公団からの環境庁への回答を見ても、私も、これではだめ、だと思うのです。環境庁としましても、この開通に当たっては、さらによく検討をして、必要ならば環境庁設置法第六条に長官権限もあるのでありますから、勧告などの措置をとるべきことを検討する必要があると思いますが、この点どうでしょうか。
  245. 信澤清

    信澤政府委員 どうも私自身の所管で、すべてお答えをいたすわけにいかぬと思いますが、先ほど申し上げましたように、日光インターをいま、あけるという問題のほかに、あの先、清滝まで道路を通ずる、これは今度は国立公園の特別地域にかかるわけでございます。したがって、いままで地元で、このルートを推進する立場の方あるいは県、公団から聞きましたところでは、一時的に、そういう日光インターをあけることに伴う混雑現象はあるだろう。しかし、清滝まで通すことによって、むしろ、いろいろな施策が講ぜられる、こういうふうに言っておられるわけでありまして、私どもは、一体そういうことで混雑解消になるのかどうか、全体的に含めて考える必要がある、こういうふうに考えているわけでございます。
  246. 米原昶

    ○米原委員 そこで建設省の方に伺いたいのですが、日光−宇都宮道路、ここには何カ所かのインターチェンジがありますが、取りつけ道路がないのは、この日光インターだけであります。この点どうして、こうなっているのか、建設省に伺いたいのであります。
  247. 宮崎昭二

    ○宮崎説明員 お答えいたします。  日光のインターチェンジから国道百十九号線に至る間のところでございますが、この間につきまして、日光のインターチェンジから市道に至るところにつきましては公団の方で施工いたしまして道を取りつけたわけでございますが、その市道の区間あるいは、それから直角に曲がっております区画整理街路がございまして、いま問題になっておりますのは、この区画整理の方でございますけれども、概観的に申しますと、幅員からいいましても十分な幅員があるものでございますのと、私どもは第一期計画と第二期計画との間が、こんなに何年もあくとは思わなかったものでございますから、きわめて短期間の間、この道路を利用することができるというふうに考えていたわけでございます。
  248. 米原昶

    ○米原委員 いまも、ちょっとお話にありましたが、この日光インターから国道百十九号へ至るまでの間、区画整理の道路を通すというのが日本道路公団そして日光市当局の考え方です。この区画整理道路は十五年前に日光市が行った区画整理事業によってつくられたもので、当時、町のために生活道路として無償で町民が提供した土地によってつくられたものです。ところが、この九月三十日になって突然、日光インターから出た車を、この図画整理道路に通す、そして十一月三十日に開通予定と日光市と公団側が言い出したので、そのときになって初めて知って住民はびっくりした。生活道路として無償提供した土地でできた道路に高速から出た車が入り込んでくる。これでは住民が怒るのは当然だと思いますが、建設省の見解を、この点について聞きたい。
  249. 宮崎昭二

    ○宮崎説明員 先ほども、お答えいたしましたように、私どもといたしましては日光インターチェンジがメーンのインターチェンジになる期間というのはきわめて短期間だと考えておりまして、そのために当初の計画としては区画街路を通さずに国道へ直結できるのではないかと思っていたわけでございますけれども、この区画街路を使わなければならなくなってきたという事態が起こりまして、昨年から県、市と公団とで、いろいろと打ち合わせを行っていたわけでございますけれども、先線の方がなかなか進行いたしませんので、現在のところ、やむを得ず区画街路を通したい、こういうふうに思っているわけでございます。
  250. 米原昶

    ○米原委員 予定がすっかり変わっちゃったわけですからね。実情は大変なことになるので、この点をよく検討してもらいたいのです。この地区は、まず児童公園、学校、保育所、図書館、こんなものが並んでいるところなんです。この道路は本当に市民の道路、生活道路となっているところなんです。この点でも、わずか十二メートルの道路ですが、ここに一日一万五千台以上の市が入り込むなどというのはやっぱり大問題だと思うのです。  そこで、建設省が開通の予定は十一月三十日と聞いておりますが、これはぜひとも延期すべきではないか。こんな重大なことを、わずか二カ月前に予告して開通を強行しようとしていることについては住民は大変怒っております。市長が開こうとした説明会も流会となるような事態であります。この地区の住民のほぼ全員の人たちが署名して日光市議会、栃木県議会へ陳情書も出ているので、少なくとも、これらの陳情書が議会で審議され結論が出るまで開通は延期すべきだと、実情を聞いて私はそのように思うのですが、どうでしょうか。     〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕
  251. 宮崎昭二

    ○宮崎説明員 私どもの方といたしましても、区画街路に長期間いまの通過交通を通すということは大きな問題だと思いますので、極力、早い機会において国道まで直結する道路の整備を行いたいと、いろいろと研究しております。これにつきましては、まだ結論が出ておりませんが、これは日光の杉並木の問題その他がございまして、なかなか結論が出にくいものでございますが、いま至急にまとめつつありますので、早急に結論が出るかと思っておりますが、そういった対策を講じますとともに、この区域をどういうふうに使ったらいいか、住民の方々と十分協議したいということでございまして、いま市長を初めといたしまして県、市その他が住民の方々と、いろいろと協議を行っているところでございまして、開通までには、まだ一月半ぐらいございますので、その間になるべく早く御理解をいただけるように努力したいというふうに思っております。
  252. 米原昶

    ○米原委員 先ほど清滝までの開通がおくれているということがありましたけれども、実際は住民としては、きちんとした取りつけ道路をつけて国道とつないで、生活道路に車が入らないようにと希望しているわけです。たとえ日光インターから清滝までが開通したとしても、この点は解決しない、こう言っているわけなんですよ。公団から環境庁への回答の中で、昭和六十年になると、このバイパスが清滝まで開通していたとしても市内交通量が一日二万二千台、このうちバイパスを通るのが七千台で、市街地を通るのが二万五千台。この一万五千台というのは現在とほとんど変わらない。だから、この取りつけ道路はつける必要があるし、しかも、できるだけ早くやる必要がある。住民にとっては半年、一年でも苦痛なことであります。この点、至急検討して取りつけ道路をつくることを約束していただきたいのです。どうでしょう。
  253. 宮崎昭二

    ○宮崎説明員 先生、御指摘のとおりでございまして、先線ができましても日光インターチェンジの利用交通量というものはかなり多いと考えられますので、国道への取りつけについては、これから直結する道路を含めまして、いろいろと検討をしていきたいというふうに思っております。
  254. 米原昶

    ○米原委員 この道路公害については、ここの区画整理道路は生活道路として住民の無償の土地の提供によってつくられたという経過があるのでありますから、ぜひ、その点を十分踏まえて対策をとることを要望します。  次に、日光インターから清滝までの問題についても若干、聞いておきたいのです。今回、開通するのは宇都宮から日光インターまでで、この先、清滝までは国立公園の特別地域にも当たりますし、また、この予定地にある東京大学の植物園や日光の自然を守る会の反対もあって、環境庁もまだ、これを許可していないのでありますが、環境庁の現段階での考え方を伺っておきたい。
  255. 信澤清

    信澤政府委員 お話のように先線の建設につきまして道路公団から私どもの方に本年三月に協議がきております。それについて現在、審査をいたしておるわけでございますが、これにつきましては、先ほど先生お触れになりましたように、私どもでも、先線を通すことによって一体、市内渋滞というのが本当に緩和できるのかどうか。それからまた、さらに私どもが一番心配いたしますのは、道路が通ります鳴虫山というのは、これは率直に申し上げて公園の核心的部分じゃございません。中禅寺から奥というのが、やはり一番問題だと思いますが、そういう奥に対するインパクト、ということは具体的には、いろは坂に対する負担がどうかかって、それをどう解消するか、こういう問題があるわけでございます。そういうこと等の問題も十分見きわめた上でないと、ひとつ、この問題についての結論が出せないということがございます。  それからもう一つは、いまも、ちょっとお触れになりましたように地元で、いろいろ御批判なり御意見があるわけでございます。したがって、そういう地元での話し合いというものを、それなりに済ましてきて問題点の整理をして、最後、環境庁判断をする、こういう運びにすべきじゃないか。たまたま日光市議会では、すでに、おやりになっておりますが、建設の主体でございます道路公団なり、あるいはいわば、この道路の必要性を考えておる県は、十分そういう方々ともお話し合いもしていると聞いておりませんので、まず、それをやるべきだ、そういうことを踏まえた上で私ども判断をいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  256. 米原昶

    ○米原委員 この問題では私は二つの問題点指摘しておきたい。  第一に道路公団は、このバイパスで交通公害や交通渋滞が解決されるかのように言っております。また一部の市民の間でも善意から、このバイパスで現在の国道の交通渋滞や公害が少しでも解決するのではないかと思っておる人がおります。ところが、これは全くの一時しのぎでしかあり得ない。先ほど述べましたように、道路公団自身が環境庁の照会への回答で、昭和六十年時点まではバイパスがあったとしても、一日一万五千台が現在の国道を通るとしている。これは昨年の一日一万六千台とほとんど変わりない。確かに一時的には交通は緩和されるかもしれないが、昭和六十年時点で見ると、バイパスがふえた分だけの車を吸収するだけで、十年たってみたら、もとに戻るということです。これでは昭和六十年になると、もう一本バイパスをということになってしまいます。何ら解決にならず、ますます日光の自然の破壊が進むだけ。したがって、これは今後やはり市街地に入る前に大きな駐車場を設置して、そこから先はバスなどの公共交通を充実させる以外にないのではないか。こうしない限りバイパスをつくっても、ふえる車とイタチごっこで、交通公害も解決しない、自然破壊も進むという乙とになります。ぜひとも、こういう方向で検討すべきだと思いますが、この点、建設省の見解を伺いたい。
  257. 宮崎昭二

    ○宮崎説明員 先生、御指摘のとおり昭和六十年度になりますと、交通量はいまよりもふえますものですから、休日の交通量というものは大変なものになるかと思います。それで現在でございますと、日光市内の混雑というのは秋と夏の休日に集中をしておりまして、それ以外の季節は、わりとすいているわけでございますが、昭和六十年度まで現在のままで道路を放置しておきますと、これが年がら年じゅう込んでいるという状態になってしまうかと思うのでございます。日光のバイパスをつくりますことによりまして、休日の交通量というのは、あるいは飽和に達したままかもしれませんが、その他の日にちにつきましては、日光市内については、かなり交通混雑が緩和できるものと期待しております。
  258. 米原昶

    ○米原委員 もう一点、第二に指摘しておきたい問題があります。現在、公団から環境庁へ出されているアセスメントについてです。私は日光−宇都宮道路環境調査報告書というのを持っておりますが、これは全くなってないです。一つ二つ指摘して環境庁見解を伺っておきたいのです。  この中で、たとえば自然に対する影響で言う、と、動物に関しては、生息している動物が列挙してあるだけで、このバイパスの建設で、どういう影響が出るかについては、ただの一行も書いておらない。また生活環境に対する影響についても「計画道路を供用することにより現道周辺市街地における騒音は大幅に低減される」などと、先ほど私が問題にした区画整理道路の問題を無視するなど、全く全体として非常にずさんなものであります。一体こんなアセスメントでいいのかどうか、また環境庁はこんなものでも許可などというのがあるのかどうか、環境庁答弁をお願いしたい。
  259. 信澤清

    信澤政府委員 御指摘のような問題があるわけでございますので、先生のお言葉にもございましたように、まず足りない資料について、こういうものが不足しているが、これについてどうかということで、先般、私の名前で照会をいたしたわけでございます。したがって、出ております環境影響調査報告書、これについての評価については、あるいは先生と違うかもしれませんけれども、十分なものとは考えておりません。
  260. 米原昶

    ○米原委員 以上で終わります。
  261. 吉田法晴

    吉田委員長 米原昶君の質問は終了いたしました。次は、有島重武君に願います。
  262. 有島重武

    有島委員 お時間をいただきまして、きょうは六価クロムの問題について少し質問をさしていただきます。  御承知のように昨年七月に日本化学工業の六価クロム鉱滓が大量に投棄されておった。そうして、これに伴いまして江戸川区から江東区で環境汚染がありまして地元住民の訴えがございました。これは全国的に波及いたしまして社会問題となった。国会におきましても本委員会におきまして集中的に取り上げられた。これは長官もよく御承知のことであると思うのですね。それで、このときに問題になりましたのが、クロムの製錬工場で従事しておる方々が肺がんでもって死亡されたということが明らかになった。それから産業廃棄物の処理の体制が非常に不備であるということが明らかになった。そして、これを改善しなければいけないということが明らかになった。もう一つは労働安全行政不備ということも指摘された。こういうことがあったわけでございますけれども、実は六価クロムの問題は、昭和四十六年の春に本院の決算委員会におきまして、わが党の同僚議員が指摘しておった問題でございました。これが数カ年を経て昨年、取り上げられたという経緯があったわけです。こうしたことは騒ぎ出すと新聞も週刊誌も非常に書き立てて一時、大変難やかに問題視されましたけれども、これはやはり息を長く努力を持続していくべき問題であるというふうに私などは思うわけでございますが、最初に長官の御見解を承っておきたいと思います。
  263. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 公害の排除というような問題は、それは世論の支持等を得なければ十分な成果は上がらないのですが、御指摘のように一時ぱあっと華やかになった問題に、それっというので全力を挙げて集中する。下火になると、また顧みられない、そういうことは公害排除行政には一番いかぬだろうと思います。御指摘のとおり息を長く、じみではあっても確実にやってまいらなくちゃならぬ、そういうふうに考えます。
  264. 有島重武

    有島委員 これは最近の報道でございますけれども、クロム鉱滓の投棄地区である江戸川区堀江町の住民対象にして、抗原というか抗体というか、反応の有無を調べるためのパッチテストを行った。これが陽性の反応が出てしまった検診者が二六%であった。これは毎日新聞の十月十四日付に報道されておりました。それから、もう少し前の六月末の報道でありましたけれども、東京都の公害研究所の発表では、六価クロムの化合物が、使用禁止になった合成殺菌剤のAF2と同様に、遺伝に対しての悪い影響があると判断できるというようなことが報道されておりました。これは御承知でいらっしゃいますか。
  265. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 不敏にして、つまびらかに存じておりません。どういうふうなメカニズムで遺伝子に影響を与えるか等を私ども、まだ十分承知しておりません。
  266. 有島重武

    有島委員 二つのこと、これは余り大きく報道されたものではございませんけれども、御研究いただいておくと大変ありがたいと思うのです。お願いいたします。  それじゃ事務官の方に、どのように評価なさるか、ちょっと承っておきましょう。
  267. 野津聖

    ○野津政府委員 ただいまの遺伝子の問題と、さらに新聞で報道されました一部の方にパッチテストで陽性率が高かったということにつきましては、詳細につきましては東京都から具体的な話を私ども聞いておりません。私どもが知っておりますのは、報道によって知っているという程度の中身でございます。
  268. 有島重武

    有島委員 環境庁長官、いまの野津さんのお答えなんですけれども長官お忙しいから、あるいは新しく御就任になったわけでございますから、これは仕方がないという面もあるでしょう。ただ庁内の専門家の方が、目にはしておるが、別に東京都から何にも言ってこないから新聞に書いてある程度だ、これはいかがでございましょうか。やはり積極的に問い合わせるというようなことがあってもよろしかろうと思う。
  269. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 ただいまの六価クロムが人身の健康あるいは遺伝等にどういう影響を与えるか、疫学調査に基づくものでしょうから、これは主として役所としては厚生省マターになるというふうに感じられますが。
  270. 有島重武

    有島委員 所管外だから、その程度も仕方がない、そういうことですか。
  271. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 いま先生が御指摘のように役所で専門家を集めて研究せよということだものですから、いろいろ関連がありますから、することにやぶさかでありませんが、主たるものは厚生省だと存じておる、こういうことでございます。
  272. 有島重武

    有島委員 それは、いま御説明を承ったのだけれども、役人を集めて、また人を集めて専門に研究させるというふうに積極的なところまでいくかどうかは、これはまた別問題といたしまして、あれだけ騒がれた問題、いま長官がおっしゃったように息長く見守っていかなければならないし、努力を積み重ねなければいけない。もうちょっと深刻に受けとめていただければありがたい。これは所管違いだからと、こう何か突っぱねられると、ちょっと、まずいと思うのですよ。  じゃ次の問題にいきます。  六価クロム鉱滓問題の技術検討委員会というのがございまして、六価クロム鉱津の捨てるときに無害化といいますか、どうしたら安定したものにするかということを研究しているのだということになっております。これが恒久対第の基本になろうかと思うのでございますけれども、これはどの程度、進んでいるか、どんな御認識を持っていらっしゃるのか。
  273. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 六価クロム問題が大きく取り上げられまして、私ども、この問題を解決するためには、過去に投棄をいたしました鉱津の処理をいかようにして進めていくかということにつきまして、技術的な問題が多々ございますので、いま先生おっしゃいました技術検討委員会を専門の方々に御委嘱をいたしまして開きまして、それは昨年の九月のことでございます。早速まず現状の把握を正確にしなければならないということから、このクロム含有物の鉱滓を投棄してある場所、それから投棄の状況、そういったものを正確に把握する必要があるというようなことから、環境関係を含めましての調査に早速、取りかかる必要があるということで、この技術検討委員会に、その環境汚染の調査のやり方につきまして御検討をいただきまして、これは昨年、調査のやり方を決めていただきまして、関係の自治体に御通達申し上げ、さらに予算措置を調整費をもちまして講じまして、環境汚染調査のために国費で約四千三百万、地方公共団体分全体を入れますと約八千万ぐらいになろうかと思いますが、環境汚染調査を実施いたしたわけでございます。これにつきましても、この技術検討委員会で結果につきまして評価をしていただく必要があるというふうに考えておるわけでございます。  なお、御指摘の処理のやり方でございますが、この問題も技術上の問題が多々ございますので、この委員会にお願いをいたしまして、処分方法の検討をしていただき、概略、撤去法、還元処理法、遮断法、その他これは、もう少し分けていきますと、もう少し細かく分かれるわけでございますが、そのやり方と長所ないし短所というようなものを御議論をいただきまして取りまとめをして、これは参考に関係の地方公共団体に御送付済みでございます。これについて、なお御意見があれば関係の地方公共団体からも御意見を聞くという姿勢を持っておりますが、現在までのところ格段に御異論というような話を聞いておりませんので、これにつきましては、先ほど申し上げました環境汚染の調査結果を現在、取りまとめをしておる最中でございますので、これらと合わせまして近日中に公表をいたすことにいたしたいと思っておるわけでございます。
  274. 有島重武

    有島委員 結構だと思います。近日中とおっしゃったけれども、大体いつごろになりますか。今年じゅうにはできますか。
  275. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 十一月に入りますれば、そう遠くない時期に公表できるのじゃないかと思っております。
  276. 有島重武

    有島委員 次に、それじゃ六価クロムの鉱津の投棄地区の健診ということですけれども、これは一回やっていけば大体これでもっていいものか、これは毎年やはり繰り返して、何といいますか波及状態というか、そういったことをやっていかなければならない問題なのか、その辺はどうなっているでしょうか。
  277. 野津聖

    ○野津政府委員 六価クロムによります一汚染によって、健康に影響がどう出ているかという問題があるわけで、それにつきましては一番大事なことは一体、環境の汚染がどのようになっているかということが、まず第一の問題になっていると思います。したがいまして、その環境の汚染と、それに合わせまして健康の調査ということを実施することによりまして、一つの断面としての健康の状況というものはわかってくるというふうに私ども考えているわけでございます。  ただ、その環境の汚染の状況に応じましては、ものによりましては毎年繰り返した形での健診を行う必要がある。たとえば労災の方になりますけれども、相当、濃度の六価クロムでございますと、いわゆる肺がんのおそれというものもあるわけでございますので、そのような問題でございますと、毎年繰り返しての健診というものが早期発見には必要だろうかと思っておりますが、現在の環境の汚染の状況から見ました場合には、果たして毎年のいわゆる定期的な健康調査というものが必要であるかどうかというのは、問題があるのじゃないかと思っております。  ただ、この健康調査の方式につきましては昨年、打合会を設けまして各都道府県に示してあるところでございまして、それに基づいての結果というのが、いま環境庁におきまして取りまとめているところではございます。その場合に特に何を指標とすべきか、暴露を受けている状況について何を指標とすべきかということも、いろいろな議論があったところでございます。したがいまして現在の考え方としましては、特に労災の問題を中心としますと、やはり尿中のクロムを一つの指標と考えて、暴露がどの程度あったかということを考えるべきではないか、こういう御意見をいただいているところではございます。したがいまして、この尿中のクロムというふうなものを検査していくことによって、どの経度、暴露されているかということを見ながら、毎年やるのがいいのか、あるいは状況に応じては断面でいいのかという判断も出てくるのではないかというふうに考えておるところでございます。
  278. 有島重武

    有島委員 結構でございます。いろいろ考えていただく、考えていただくけれども実際問題として、その健診は環境庁がみずから行われるわけではない。各地方自治体にやらせるということにもなろうかと思いますけれども、それを促進させる方向に推進するという努力をしてくださるかどうか、その辺はどうですか。
  279. 野津聖

    ○野津政府委員 先ほど申し上げましたように、健康調査の方式等につきましては十分、各県に徹底するような形で処理をしているわけでございます。ただ、一つの問題としまして昨年、大きな問題になってきたわけでございますけれども、これにつきましては一体、汚染の状況と、それから健康の問題というものを断面的に把握する必要があるということを前提といたしまして、先ほど水質保全局長も御答弁申し上げましたように調整費をもちまして、昨年、行われました健康調査につきましては環境庁から助成をしたところでございます。したがいまして、一つの断面としての状況はわかったわけでございますけれども、ただ、その汚染の状況と合わせて見まして、しかも、この断面の結果を見まして各地方自治体として、どのように、これらの地域に住んでおられる住民に対応するかということの判断が、そこで、あるだろうというふうに考えておるわけでございます。  また、健康の問題でございますので第一義的には、やはり地方自治体というものが考える形ではないかと思っておりますが、私どもの立場としましては、打合会の御報告にもありますように、現在の知見では、こういう健康調査がいいのではないかという御意見がございまして、それをもって各都道府県に指導したところでございますが、その後のいろいろな技術的な問題につきましては、現在も打合会を存続しているわけでございまして、いろいろ新しい知見を踏まえて、さらに健康調査の方式はこれでいいのかどうかというふうな問題につきましても十分、都道府県に対しての指導はできるのではないかというふうに考えております。
  280. 有島重武

    有島委員 それでは短期的に都道府県の関係者と、この種の問題でもって、特に健診の問題で打ち合わせをやっていらっしゃる、そういうふうに承ったのですけれども、それでよろしいですか、違いますか。
  281. 野津聖

    ○野津政府委員 定期的に打ち合わせを実施しているのではございませんで、各都道府県において問題が起こりましたときに私どもとして十分、助言、指導できるような体制を整えているということでございます。
  282. 有島重武

    有島委員 そうすると向こうから言ってこなかったならば、とだえてしまうというようなことになりやすいのだろうと思うのですけれども、特に全国都道府県といっても、問題が非常に深刻化しているところというのは限られておりますから、そこに対しては、やはりこちら側、環境庁の側からも一声かけてくれるくらいの、そういうことを、ひとつお願いしたいわけなんですね。御承知のように、いま地方自治体としては、財政が非常にピンチになっておりますから、なるべくならば、ちょっとでもお金のかかるようなことは余りやりたくないような気風もあろうかと思うのですね。ですから、むしろ、こちらからひとつ声をかけてあげるというように、こういったいろいろな報道がある、あるいは、こうやって、そのために私がここでもって問題に取り上げたわけでございますけれども、それをひとつお願いしたいのです。積極的に取り組む姿勢をリードしてもらいたいのですが、いかがですか。
  283. 野津聖

    ○野津政府委員 六価クロムの問題につきましては、毎年の、ことしも行われました工管部局長会議等にも私どもの方から問題として指示をしているわけでございまして、それにつきましては各都道府県とも十分な認識を持って対応しているというふうに御理解いただきたいと思うわけでございます。  実例でございますけれども、琵琶湖周辺でも若干、問題が出たところもございますが、これにつきましても、この健康調査方式を中心としまして、これに対処してきているというふうな実態があることも申し上げられるのではないかと思っております。
  284. 有島重武

    有島委員 これは長官へのお願いだけれども、地方自治体任せだけではなくて、できるなら健診に補助も出していただくというようなことにすれば、額の多少にかかわらず補助を出しているということになりますと、この問題はずいぶん促進されるのではないかと思うのですけれども、それはひとつお考えいただきたいのですよ。  それから、さっきも申しましたけれども、パッチテストの結果なのですけれども、それで反応が出てきてしまったような方々が三六%もいらっしゃった。体が汚染されている、だから、その反応が起こったというようなことなのですけれども、労働科学研究所の佐野主任研究員という方、こちらに私、問い合わせをしたのですけれども、これはやはりクロム鉱滓の人体被害をかなり明確にしたものだ、こういうふうに評価していらっしゃいました。別に、この佐野さんという方が、このパッチテストをやったわけではないのですよ。それで、この住民の身体調査の結果、汚染者が大変、高率だったということは、やはり、その地域または、その体が濃厚に汚染されているという有力な証拠であるということが言えるでしょうというふうに言っていらしたわけです。ですから、そういったことが地方でもって出てきたわけですから、ひとつ、その後追いを国でまたバックアップしてあげるということ、これはぜひとも必要なのではないだろうかというふうに思うのですけれども、;日、長官から。
  285. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 おっしゃる必要性はよくわかります。そこで、行政のいろいろな仕組み等がありますので、ひとつ研究させていただきたいと思います。
  286. 有島重武

    有島委員 こうした症例といいますか、こういった症状が出てきた。これがふえてきて、それでデータがはっきりしてくれば、これは公害病として認定するということが次の問題になろうかと思うのです。これは公害病として認定され、扱われる可能性を本当に持っていると私ども思うのですよ。こうした問題について積極的に出てくれるか、あるいは、そういったものはなるべく避けて通ろうというような消極的な態度を見せるか、こういうことがこの環境行政といいますか、公害行政のかなめになってくるのじゃないか。ちょっとしたことが先にいって大きく響いてくると思いますから、ぜひともひとつ積極的に、そんなに大した大きな補助をしなさいということではございませんけれども、姿勢を示していただきたい。お願いします。  それから通産省、来ていらっしゃいますか。現在のクロムメッキは六価クロムが用いられている。それで、この処理については中小企業の方々が大変、苦労していらっしゃるわけですね。このクロムメッキにかわって、何かもっと優秀な技術が開発されるかどうか、そういった点について通産省はどういうふうにしていらっしゃいますか。
  287. 原木雄介

    ○原木説明員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。  クロムメッキにかわるメッキ法はないかということでございますけれども、現在、行われておりますクロムメッキは、御承知のように実用化以来すでに三十年というものがたっております。三十年もたちました理由と申しますのは、耐蝕性、耐摩性、硬度等、非常にほかにかえがたい優秀な性質があるということで使われているわけでございます。ただ、御指摘のように六価クロムというものが排出するという問題が伴う難点がございます。したがいまして、このために技術的には、メッキシステムのクローズド化という問題ともあわせまして、三価のクロムによるメッキというものを一部の企業で、これはいま調べたところでは、まだ大体、実験中程度でございますが、一部の数社で行われておりますけれども、いまのメッキ方法に比べますと、性能的に、まだ非常に問題がございまして、実用化にはちょっと、ならないということで、こういった面からの技術開発については、なお民間企業の指導等も含めまして今後、努力してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  288. 有島重武

    有島委員 今後の努力とおっしゃるのだけれども通産省としては、こうした新しい技術を開発させようとするための努力というと、具体的に、どんなような処置をとっておられるのですか。
  289. 原木雄介

    ○原木説明員 メッキ関連の技術開発といたしましては、昭和四十六年度からでございますが、いろいろな中小企業関係の技術開発費補助金あるいは重要技術研究開発費補助金といったものの補助金によりまして、民間企業の研究開発を促進するという方法をとっておりますし、あるいは県、国の研究所におきましても、こういった観点の研究を行ったこともございます。そういったものを使いまして技術の推進に努める、こういうことでございます。
  290. 有島重武

    有島委員 次に、これに関連してですけれども、クロムメッキのクローズドシステムといいますか、外には公害ゼロ、これは工場の中でもって回してしまって出さぬ。そういったことの開発はどの程度、進んでいますか。
  291. 原木雄介

    ○原木説明員 最近におきましては、特に昭和五十年度に重要技術研究開発補助金の対象といたしまして、電気メッキ工程における工程改善に伴う省資源化及び排水のクローズド化技術の研究というものを取り上げまして、予算の規模といたしましては補助金の額で約五千万円でございますが、昨年始めまして、この六月に一応、中間的な終了をいたしたわけで、後いろいろ成果を研究いたしておりますが、その中身といたしましては約八つにわたる項目、すなわちクロム結晶の回収あるいは水の回収といったものもございますけれども、残念ながら、まだ民間企業につきましてこの補助金を出したものについて、クロム結晶の回収といった問題は、クロム酸の回収自体に、ある程度の効果はございましたけれども、その廃酸の処理が、まだ問題があるといったようなことがございます。ほかに回収液の濃縮精製といったものにつきまして、まだ実用化にはなかなか達しないといったようなことでございます。もちろん、これは相当程度わりに大きな企業に対する補助金でございまして、これ以外の中小企業のメッキというのは、御存じのように全国で約三千近い企業がございますし、従業員も平均いたしますれば十数人というかっこうの企業もございます。そういったものについては、こういった技術がまだ、とても普及するわけにはまいりませんということで、現在のところでは電気めっき排水処理研究委員会というものを設けまして、いろいろな技術指導に努めておりますけれども、いま御指摘のクローズド化技術という問題については、これから相当程度、熱心にやっていかなければならない、こういうように考えております。
  292. 有島重武

    有島委員 それでは、もう一つ、やはり関連してお聞きしますが、六価クロムの鉱滓の再生利用といいますか、これは厄介者だというように扱うか、一つの資源だというふうに扱うかということでございますけれども、こうした再生利用する技術の開発、この研究はどうなっていますか。
  293. 斎藤顕

    ○斎藤(顕)政府委員 六価クロム鉱滓は、従来から三価に還元焼成いたしまして、これを人工骨材として利用しております。それにより無害化されたものを埋め立てに使っておりまして、人工骨材として利用されるものを除きましては、その他の部分は三価に還元いたしまして無害にいたしました後、埋め立てに使っておりまして、現在は、すべて六価クロム鉱滓の還元焼成されたものは骨材としてでなく、埋め立てに使用されておるというのが現状でございます。
  294. 有島重武

    有島委員 この資源として再生利用するということですね。これはどこが開発してやりましたか。どこで実際にやっておるか。
  295. 斎藤顕

    ○斎藤(顕)政府委員 従来、日本化学工業の徳山工場で人工骨材として利用したことはございますが、現在は、これも工場内への埋め立てに使っておるような現状でございます。
  296. 有島重武

    有島委員 こうした技術開発について、これも補助が出ているのですか。
  297. 斎藤顕

    ○斎藤(顕)政府委員 御指摘の研究そのものにつきましては、まだ特に研究補助金等の助成策をとったことはございませんが、一般的には、研究の対象になる場合には、そういう制度で、これを見ることは可能でございます。
  298. 有島重武

    有島委員 いまの資源再生の問題は、環境庁行政をはみ出しちゃうようなことになるかもしれません。だけれども、やはり環境行政の一環になろうかと思うのですね。いま伺っておりますと、六価クロムを別のものに変えてしまうとか、あるいはクローズドシステムをするとか、そういった技術開発の方は、いろいろ補助が出て研究を進めておる。これは一つの資源として使っていく、これも、そういった技術を国なり、あるいは通産なり、あるいは科学技術庁なりが進めさせるということで、お金を少し出してやる、そういうことをなさったらいかがかと思うのですけれども、最後に、そのことを長官から承って質問を終わりたいと思うのです。
  299. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 六価クロムというのは御存じのように厄介なやつですから、いまのように無害化して骨材にして埋め立て等に使う、これは本当にいいことですよ。環境をよくする上からも非常にいいことだと思います。ただ、それの研究開発に対する補助金、助成金というようなものを具体的に環境庁でどうこうというのは、いまの私の頭では、ちょっと、ひらめきませんが、それは非常にいいことだと思いますので、これはあわせて、そういうふうなことを刺激し、向上させるようなことを環境庁としても、ひとつ研究させていただきます。
  300. 有島重武

    有島委員 それでは長官からお答えいただいたので、それは期待いたしますし、それから、ある場合には、ここには通産大臣来ていらっしゃらないから、閣僚のお一人としてのお答えとして、別に環境庁からのお金でなくとも、何かの形でもって、そういうことを積極的に、むしろ推進していただきたいとお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。
  301. 吉田法晴

    吉田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時七分散会