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1976-10-12 第78回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月十二日(火曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 吉田 法晴君    理事 田中  覚君 理事 羽生田 進君    理事 葉梨 信行君 理事 島本 虎三君    理事 土井たか子君 理事 木下 元二君       越智 伊平君    住  栄作君       萩原 幸雄君    八田 貞義君       前田治一郎君    田口 一男君       岡本 富夫君    坂口  力君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 丸茂 重貞君  出席政府委員         環境政務次官  今泉 正二君         環境庁長官官房         長       金子 太郎君         環境庁企画調整         局長      柳瀬 孝吉君         環境庁自然保護         局長      信澤  清君         環境庁大気保全         局長      橋本 道夫君         環境庁水質保全         局長      堀川 春彦君  委員外出席者         環境庁企画調整         局環境保健部長 野津  聖君         運輸省航空局飛         行場部長    梶原  清君         郵政省電波監理         局放送部業務課         長       田代  功君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 九月二十日  辞任         補欠選任   中山 正暉君     越智 伊平君   橋口  隆君     笠岡  喬君   渡部 恒三君     坂本三十次君     ————————————— 九月十六日  公害対策基本法案中島武敏君外一名提出、第  七十一回国会衆法第一八号)  大気汚染防止法の一部を改正する法律案中島  武敏君外一名提出、第七十一回国会衆法第一九  号)  水質汚濁防止法の一部を改正する法律案中島  武敏君外一名提出、第七十一回国会衆法第二〇  号)  騒音規制法の一部を改正する法律案中島武敏  君外一名提出、第七十一回国会衆法第二一号)  公害委員会法案中島武敏君外一名提出、第七  十一回国会衆法第二二号)  環境保全基本法案島本虎三君外四名提出、第  七十一回国会衆法第四三号)  公害に係る事業者の無過失損害賠償責任等に関  する法律案島本虎三君外四名提出、第七十一  回国会衆法第四四号)  環境保全基本法案岡本富夫君外一名提出、第  七十一回国会衆法第四五号)  環境影響審査に基づく開発行為規制に関する  法律案島本虎三君外四名提出、第七十七回国  会衆法第一六号) 十月五日  大和川河川敷自然保護及び公害防止に関する  請願久保田鶴松紹介)(第二三六号) 同月七日  本州シカ、ニホンカモシカによる農林業被害に  対する国家補償制度確立に関する請願鈴木善  幸君紹介)(第四五四号)  公害防止施設整備のための融資制度拡充等に関  する請願鈴木善幸紹介)(第四六一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公害対策並びに環境保全に関する件(公害対策  並びに環境保全基本施策等)      ————◇—————
  2. 吉田法晴

    吉田委員長 これより会議を開きます。  この際、丸茂環境庁長官及び今泉環境政務次官より発言を求められております。これを許します。丸茂環境庁長官
  3. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 このたび環境庁長官を仰せつけられました丸茂重貞でございます。ここに就任のごあいさつを申し上げますとともに、環境行政に関しまして抱負一端を申し述べたいと思う次第であります。  環境問題は、とりわけ国民の健康と生活に密着した重要な政治的課題であります。私は、環境庁長官といたしまして、この環境行政に取り組むことに大きな誇りと意義を覚えておるところであります。それとともに、また責任の非常に大なることを痛感しておるものであります。  環境行政は、国民の健康の保護生活環境保全を第一義として、清浄な大気や水、美しい自然など、豊かで恵まれた環境を確保し、これを後世の国民に伝えていくことを、その最大の任務とするものでなければならないと存じます。  私は、境環行政に取り組むに当たりまして、まず国民の声に率直に耳を傾け、その理解と協力を求めながら行政を行っていきたいと考えておるものであります。  ところで、環境庁発足以来、満五年を経過しておりますが、これまでに環境庁を中心に政府国民一体となって、公害を防止し、環境保全を図るための真剣な努力が続けられてまいりましたが、今日これらの努力の成果は着実に上がりつつあると認められるものであります。  しかし、一方におきましては、最近におけるわが国の環境問題は複雑多様化する傾向を見せておりまして、このような情勢に有効適切に対処するためには、環境行政はさらに新たな展開が必要と考えられるのであります。  私は、これからの環境行政は、公害の発生と環境破壊を未然に防止するという基本的態度に立って、科学的かつ長期的、総合的視点から計画的に推進することが何よりも肝要であると考えております。  私は、このような観点から、環境保全長期計画を早急に策定するとともに、環境影響評価制度化を急ぐなど、時代の要請に即応した新しい環境行政確立に努めてまいりたいと存じております。  以上、環境行政に関し抱負一端を申し述べましたが、委員各位におかれましては格段の御指導と御鞭撻と御協力を賜りますよう切にお願い申し上げまして、私のごあいさつを終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手
  4. 吉田法晴

  5. 今泉正二

    今泉政府委員 私は、このたび環境政務次官に任命されました今泉正二でございます。  ただいま大臣がおっしゃいましたように、人間の生きていくために一番自然な大事なこの環境行政一端を受け持たせていただくことになりました。  私は、下手ではありますが書道が好きでございます。歌人の会津八一先生が、書を始める最初の心構えといたしまして、自然を心の手本にして字を書け、こうおっしゃったと聞いております。私も、まだ五年有余の役所ではありますけれども、二十一世紀にかかる、あらゆる省庁と連絡をとります非常に新しい時代役所だと思っております。その中で、大臣の意を体しまして、微力ではありますけれども懸命に、委員の方々のお力を賜りながら進んでいきたいと思っております。  今後とも、よろしくお願いを申し上げます。(拍手)      ————◇—————
  6. 吉田法晴

    吉田委員長 公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島本虎三君。
  7. 島本虎三

    島本委員 大臣並びに政務次官就任につきまして、今後の活躍を心から期待するものです。たとえ短期でありましても、人間死ぬときに一番その直前には光を放つものであります。ちょうどいい時期に大臣になり、政務次官になったのではないか。いままでの生命の火、世紀生命の火でありますから、これを高々と掲げて後世にまで、その業績は残してもらいたい。  さて、そのためには最近の環境行政、これを見ますと、大臣、精彩を欠いておるように見えませんですか。不況を理由にして公害規制の緩和を迫る産業界の攻勢に、たじたじのていたらくであります。一方、住民運動側からは、被害者立場に立って行政をするという環境庁発足当時の意気込みは、まだ何ら見られないような状態に追い込められてきているのであります。これは、本来の大臣が言ったこの決意と相反する傾向が、いま環境庁内部に発生しておることだと思います。これ、重要です。この環境庁行政沈滞の原因については、大臣としては、どのようにお考えでございましょうか。ひとつ御所信を承りたいのです。
  8. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 まず最初に、斯界の大先達であります島本虎三先生から大変ありがたい御激励の言葉を賜りまして本当にありがとうございました。私も御指摘のとおりの所信環境行政を全きを期すために全力を挙げるつもりでおります。  なお、いま、最近沈滞しておるという御指摘がございましたが、短い間ですが、私が庁内にありまして事務当局並びに職員等のいろいろな努力、精進しておるありさまを見ますと、私はさような印象は実は持っておらないのであります。しかし、いま御指摘のような点が仮にあるとするならば、私といたしましては大変残念でございますので、いま申し上げたような所信で邁進して、そのような御批判がかりそめにも出ないように、また出たとされます批判があったならば、一日も早く、そういう批判がなくなりますように全力を傾けたい所存でございますので、何分よろしく、ひとつお願いする次第であります。
  9. 島本虎三

    島本委員 その意味に立って大臣としても、こういうような問題はおろそかにしないで十分検討してもらわなければいけないのです。そういうことは絶対ないというふうに確信を持たれておられるようですが、自動車の排気ガスの五十一年規制の問題で大気保全局長のとった態度は、これは万人の認めるところであって、その言っていることが、もうすでに当たらない情勢になってきたのも歴史の必然であります。そういうようなことから、沈滞はしてないんだ、大丈夫なんだという考えは、少し甘きに過ぎるのではないかと考えますから、もっと厳然として環境行政を進めてもらいたい。大臣としてはこの点はどう考えるか。  まず環境庁の幹部の現状認識積極性、これについてでありますが、やはり局長を初め各課長まで、かつては若干の汚職さえも出たような状態の中にございますけれども、これは厚生省、通産省農林省その他の官庁からの寄り合い世帯、こういう傾向環境庁にあるのです。それで一つのりっぱな業績をおきめようとするやさきに、また通産省へ戻って地方へ進出して局長をやっておられるという総務課長もいるのでありますから、そういうふうにして見る場合には、これはやはり各省庁間の寄り合い世帯であり、それに対する指導性に問題があるのではないか。そうすると大臣指導性という点は、これから環境庁では大きなポイントを占めるのです。みんな寄り合いなんですから、生え抜きという人はまだいないのですから。それでまた自分のポストに戻る、こういうような局長も、いままでたくさんいたのです。課長もいたのですから、この点、大臣としても、きちっとしていかないといけないと思うのでありますが、同感でしょうか。
  10. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 ただいま御指摘の点、なるほど環境庁高級職員は庁ができましたときのいきさつ上また仕事の性格上、御指摘のとおりの構成になっております。しかし、一たび各省から環境庁に参りました役人は、いずれも環境庁役人に本当になり切って、環境行政を全うするために全力を挙げておると私は信じております。しかし、いま御指摘のとおりの構成ですから、さようなことがないように、大臣といたしまして、これはきちんと指導、監督をいたしてまいりたいと思います。
  11. 島本虎三

    島本委員 そういうような考えであるなら、環境庁設置法がありまして、環境庁長官として、やろうと思えば総理大臣に次いでの強力なる権限があるのです。逆に、やらないと思えば各省庁の中で最も無力な存在になるのであります。環境庁のそういうような状態でありまして、今後の長官考え方、やり方ということは、事、環境行政公害行政については、かかって大臣の気持ちにあるわけであります。ひとつ自信を持ってもらいたいのは、環境庁長官のころに、なかなか評判よかった人が総理、総裁にいくチャンスにもなるのです。三木総理大臣はクリーンである、濁ってもグリーンだろう、こういうことからして、ついに環境庁長官から総理大臣、こういうような道が開けたのでありますから、あなたとしても、ここにチャンスがないわけではないのであります。したがって、もう少し奮起をしなければならないのであります。  この点で私は一つだけ提案しておきたいのですが、環境庁設置法、この第四条のうちの二号に「関係行政機関環境保全に関する事務総合調整を行なうこと。」が載っているのです。これは関係行政機関全部ですよ。それから第六条で、あなたは総理大臣に次いでの強力なる権限を、この行政の中で発揮できるのです。すなわち第六条の二項には、「関係行政機関の長に対し必要な資料の提出及び説明を求めることができる」のです。大蔵省に対してもできるのです。それと、第三項に至っては、「関係行政機関の長に対し環境保全に関する重要事項について勧告」もできるのです。勧告ですよ。それから第四項には、長官は、「関係行政機関の長に対し勧告をしたときは、当該行政機関の長に対し、その勧告に基づいてとった措置について報告を求めることができる」のです。それよりもっと大きいのは五項、これでは「内閣総理大臣に対し当該事項について内閣法第六条の規定による措置がとられるよう意見を具申すること」もできるのです。内閣法第六条「内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督する。」結局は総理に次いで、このような権限があなたにあるのです。これは大きいのです。したがって、あなたはやろうと思えば何でもできるのですから、この際ひとつ奮発して、やらなければならないわけです。これはおわかりだろうと思うのであります。やろうと思えば強力権限代表になり、逆に、やらないと思えば無力な省庁代表にもなるものでありますから、ここに十分活を入れて、ひとつがんばってもらいたいのであります。  昭和四十七年に決まった閣議了解事項があるのです。これには、国の公共事業自体は、事前に必要あると認めた場合、環境評価をすることになっているのですが、最近、これが結局は免罪符的な役割りを果たして、どんどん何でも進める役割りを務めてきている。あってないようなものになってしまっているわけです。このたびは筋を通すだけでも大したものでありますが、この点についても長官としては、はっきり閣議に対して物を言わぬとだめだと思うのです。ちゃんと了解事項があっても骨抜きになっているのです。この中には必要と認めるならばという言葉一つあるからなんです。こんなのは取ってしまったらどうですか。それで閣議に提案するような、こういうような御決意をお持ちでしょうか。ここが大事なところですが、ひとつ御高見を拝聴したい。
  12. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 ただいま段々といろいろ御親切な御注意、ありがとうございました。  設置法にありまする条項は、大臣といたしましては必ず守らなければならぬことですから、きちっと守ってまいりたいと思う次第でありますが、ただ、いまの四十七年の閣議了解、当時いかなるいきさつで、どうこうという細かいことを私、存じませんが、私の基本的な所信は、就任の際にも申し上げましたが、環境庁というのは任務大黒柱二つあると思うのです。一つ自然環境保全するということ、一つは健康に害あるあらゆる公害をできる限り少なくする、この二つが大きな大黒柱だと思います。したがって、この二つの目的を達成するために、環境庁大臣以下、一致結束いたしまして、いろいろな条件をよくする、これは私どもの決心であります。したがって、これを基点として環境行政をきちんとやってまいりたい、こういうことでございますので、御了解いただきたいと思います。
  13. 島本虎三

    島本委員 次にまた一つ環境庁長官は十分この問題に対しては知っておられると思いますが、昭和四十九年六月五日、これはNHK大ホールで自然保護憲章が採択されているのですが、その当時は三木総理環境庁長官として出て、自民党、社会党、共産党、公明党、これらの代表も全部出て、この問題に対して賛意を表し、今後、行政の中にこれを取り入れるということを三木総理は、はっきりと誓ったのでありますが、最近これもさっぱりだめになっているのであります。その第三項が問題になる。「開発は総合的な配慮のもとで慎重に進められなければならない。それはいかなる理由による場合でも、自然環境保全に優先するものではない。」この問題をはっきり行政の中に取り入れる、これを約束したのは総理なんです。それと同時に、自民党も大々的にそれをやらせるということを言って万雷の拍手を浴びたのです。ところが最近は反対ではありませんか。これはやはり国民の前で、はっきり言いながらも、それに反対のことをやるというのは、国民を瞞着することになると思うのです。この点については大臣としても十分関心を持っておられると思うのでありますが、この点に対して、いかがお考えでしょう。
  14. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 ただいま御指摘自然保護憲章については、成立のいきさつ等、すでに承知しておるつもりであります。その中で、いかなる開発自然保護に優先するものではない、これもよく承知しております。  そこで、このごろは、これは逆行するというような御指摘がありましたが、必ずしも逆行とは思っておらないのですが、環境庁といたしましては民意を十分伺います、その一環として各種審議会でいろいろな御意見を承っております。その審議会意見を尊重しながら、前長官までずっとやってきた、私はまあ確信を持っておるのですが、そのいろいろな経緯の中で、御指摘になったようなことがないではないという印象もないわけではないようであります。したがって、私に一体どうするのだということになりますと、先ほど申し上げましたように自然環境の保持と、それから公害を防除する、これはもう二大使命でありますので、これをできるだけ徹底させてまいりたい、こういうことでございます。
  15. 島本虎三

    島本委員 総論はよろしゅうございます。  各論に入って、じゃスーパー林道に対する考え方、大規模林道も大体同じでありますが、いま公社、公団事業団、こういうのがたくさんありまして、それぞれ機能しているのでありますが、機能するがゆえに、どうしても問題の道路をつけたり、あるいはまた破壊につながるような行為をせざるを得ないような状態になっているわけでありますけれども、これらの存在について、いま一度、見直さなければならないような状態になっていると思いませんかどうか。  それとスーパー林道長野県のビーナスライン、これについては、事実上の初代環境庁長官である大石農林大臣ストップをかけた。それが今度、九月ですけれども環境庁の方でゴーサインを出して、不完全な環境影響評価のもとに、これらが発足することになったようであります。現大石農林大臣も、農林大臣という立場だけれども私は反対だと意思表示があったかのように聞いております。これはむしろ環境庁長官の方で、これをやらなければならないのじゃないかと思うのでありますが、丸茂長官の方で、これをやらない。いや、それ以上の心意気を持っておられると思うのですが、農林大臣の方が、逆にそれをやる立場の人が、これに対して一考を要するのじゃないかという考えです。そうすると、これは以前にはストップをかけたはずの環境庁長官でありますから、これに対しては、おくれをとってはならないのじゃないかと考えられますのですが、これはいままでの総論から具体的な各論に入ったわけでありますが、この点等、具体的にどのように対処するつもりですか。
  16. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 ただいま御指摘ビーナスライン、これにつきまして大石農林大臣が最近、反対だという声明をされたということは、不敏にして聞いておりませんが、御指摘の点が、もし大石大臣が最近反対を表明されたというならば、南アルプススーパー林道の件じゃなかったかと思いますが、この点、再確認をさしていただきたいと思います。
  17. 島本虎三

    島本委員 これはビーナスラインを初めスーパー林道を含めて、この問題は自分開発する立場だけれども、これはもっと慎重でなければならない、こういうようなことでありますが、これを含めていると私どもは存じておったんです。ところが、やはりこの問題は、どうしても環境庁長官として、はっきり態度を表明しなければなりませんので、いまここにビーナスラインの件について、はっきり態度を表明してもらいたい。
  18. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 ビーナスラインにつきましては、私が就任以前に、御存じのような経過自然環境保全審議会にかかりまして、工法の変更、路線の変更等が再度申請になりまして、すでに答申がございました。それで審議会といたしましては、そういう三条件注意をいたしまして、植生、動物あるいは地形、地質等を十分注意してやるならばよろしい、こういう審議会答申がございました。環境庁長官といたしましては、審議会審議をずっとお願いしてございますから、その審議会答申が出た以上は、やはりその答申の線に沿って、これを処理する以外にはない、こういうふうに考えております。  もう一つ長野スーパー林道ですが、これは大石農林大臣がはっきりと反対意向を表明されたようであります。この点についても、いま自然環境保全審議会自然公園の部会で御検討いただいております。まあ私から申し上げますと、これは森林開発公団から協議があった問題なんですね。その協議を受けまして、環境庁審議会諮問をしている、こういう段階なんです。ところが森林開発公団というのは、これは農林省管轄下であります。その責任者でありまする農林大臣が、つくる必要がない、こういう意向を発表のようであります。だとすると、協議を取り下げていただくのが一番いい筋合いのものだと私は思っております。しかし、これは公式に農林省から何も言ってまいりませんので、そこで、せっかく審議会諮問をしておりますので、その諮問途中でどうこうというのは、いろいろまた恐れ多いことでありますので、その点について、いろいろ事務当局を督励いたしまして、でき得る限り早急に結論を出す方向へ持っていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  19. 島本虎三

    島本委員 きょうは大臣あいさつに対しての考え方を聞くので、余りきめ細かいような質問ができないのは残念なんです。  したがって私は端的に、また一つ聞いていくのですが、四十七年、八年のころは、瀬戸内海高度経済成長影響を受けて死の海になる。そして環境庁長官は当時いまの三木総理だったのですが、瀬戸内海環境保全臨時措置法、これは閣法としては壁が厚くて、どうしても出すことはできない。したがって議員立法として出してもらえないか、こう言ってきて、自民党やわれわれは各党寄り集まって議員立法として、これを出したのが瀬戸内海環境保全臨時措置法、三年間の時限立法だった。それに対して万全を期することを誓ったはずなのに、三年たったこの十一月一日で切れるような状態になったときに、何らこれに対する基本計画も決めない、何ら受けざらに当たる実体法も決めない。そして総量規制に移行する、こういうような方針も決まらないままに、ただ三年間、漫然と経過したのです。これはもう国会に対して重大な背信行為にも似たような問題ではないか、こういうふうに思います。そして十一月の一日になったら、これは廃案になりますから、とりあえず二年間だけの延長を図っておいたのであります。今度は一歩も引かれない段階ですから、いま言ったようにこの基本計画、それから受けざらに当たる実体法、それから総量規制に移行するための準備、こういうようなものをきちっとしなければならないはずですが、これはもう国会に対する重大な冒涜だと私どもは思っているのです。これに対して、これをやっているのは、あなたの部下ですか、あなたの中ですから、今後再び、このようなことがあってはならないように注意はしてありますが、もう一回この機会に大臣から、その決意を申し述べてください。
  20. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 いま御指摘瀬戸内海水質浄化につきましては、お話のような経過がありました。その点につきまして異論は申し上げませんが、前国会で前長官小沢長官が御答弁も申し上げておりまするように、今度はひとつ、しっかりした体制を整えて、この二年間の間にやっていかなくちゃならぬ、こういうつもりでおるのですが、御指摘のように、この前の会期延長に際しまして申し上げているのですが、今後は、これまで、この法律がいかなる成果をもたらしたかという、その調査を徹底的にやって、瀬戸内海にふさわしい排水規制のあり方をさらに検討していきたい。同法の延長後の期間であります昭和五十三年——御指摘のことしの十一月でありましたが、五十三年十一月までには、二年間いただいたのでございますので何とか成案を得たい、こういうふうに考えております。  また同法で瀬戸内海環境保全基本計画につきましては、目下その基本的な考え方につきましては、瀬戸内海環境保全審議会において審議をお願いしている段階でございます。法改正とともに表裏一体をなします関係にありますので、改正法を提案する以前に、なるべく速やかに、その策定が行われるように審議をお願いしておるところでございますので、できるだけ御趣旨に沿うようなかっこうでやってまいりたい、このように考えております。
  21. 島本虎三

    島本委員 時間ですので、これは最後の質問になりますが、これも大臣として重大な問題ですから、的確にお考えをお示し願いたい。  それは公害並びに環境破壊というものを考えると、もしものことがあったら災害につながるのではないかと思われるのは大型原子力発電なんです。これはもう安全性をはっきりさせるまでの間、この問題に対するいろいろな声が世界的に上がっておりますから、いま日本でも、そういうような問題が大きい焦点になっているでしょう。したがって予算を見ましても、何か官主民従型と思われるような傾向が最近出てきておりまして、原産会議原発規模検討委員会、こういうようなところでは、すでにもう昭和五十年から六十五年の間はプラント建設費が二十四兆五千億である。それからウラン探鉱費であるとか濃縮再処理工場建設を含む先行投資が約五兆円であるとか、それから核燃料サイクル費十兆三千億円であるとか、合計三十九兆八千億、こういうような計画を立てておられるようです。それと東北電力と東京電力が共同計画として、青森県の下北原発基地に総出力二千万キロワット、こういうようなものも計画しておると聞いております。それの建設費は約四兆円である、こういうようなことであります。そして東北電力では電通の方に請け負わして、地域住民対策を今度は一切請け負わせる、こういうような情報があるのでありますが、地域住民対策まで請負によってやらせるというような計画、これはまさに住民をなめたやり方じゃないかと思われます。  それだけじゃございませんで、最近は原子力発電の事故が続発しておるのでありまして、全体としての設備利用率が、昭和四十五年で七一・八%だったのが、五十年度は四一・九%にも落ちていますから、もうこれ以上どうにもできないところまで来ておるわけでありまして、これは大事件になるおそれさえあるわけであります。まだ、この原子力発電は日本では実験室の段階で、もっともっと、これの安全性を考えなければ実用に供してはならない段階なのでありますけれども、しかも財政危機だと言われておる、いまのこの中でさえも同じに、いまのような状態からして、政府自身でも大型原子力発電所の促進のための来年度の予算要求がもう行われておりまして、通産省が財投で九百億、一般会計、特別会計で二百五十億、それから科学技術庁が原子力開発利用の推進費として千二百億、それから日本原子力開発事業団二十二億、こういうようなものを予定し、いろいろと請求しておられるようでありますが、これこそ、まさに環境庁として一番考えなければならないポストロッキード、ロッキード問題以後の重大な多国籍利権の最たるものなのでありまして、これが環境破壊によって行われるということになったら、環境庁何するものぞ、いまや世界の笑い物にさえなる危険を私は身に感ずるのでありますが、この問題に対しては、やはり大型原子力の発電、それも安全性を確立しないままに、これを大挙して行うという、高額予算を競うような段階であるということ、これは考えなければならないのではないかと思うのです。  長官としても、第二のロッキード事件にしないためにも、安全性を明確にするまでの間は、この点は実験室にとどめておいて、そして環境保全を守り、公害の絶無を期してやるのが、今後のあなたの未来の大きい一つの使命じゃないかと思うのです。現在、動いている日本の原子力発電、これは危険に向かって突進しているような気がします。なぜ安全性を先に確かめさせないのか。それをやった上でないと、小型のやつはありますが、このような大型のものを、効率が上がるからといって、これをやることは、最大の環境破壊につながるのではないかと思います。行政の点で再考を要するのではないかと思いますが、長官のひとつ高道なる意見を最後に聞かしてください。
  22. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 ただいま原子力発電についての御指摘でございますが、わが庁が関係いたすとするならば、直接的には放射能汚染ということでしょうし、第二は基地建設地の環境破壊されやせぬかという御心配だと思います。  これはわが庁だけでなく、特に安全性あるいは放射能の漏出等は御承知のように主として科学技術庁の所管であります。といって、環境破壊という意味では無関係というのではございません。こういう御指摘のような点は(島本委員長官、どこであっても、みんなあなたの方に関係するようなことになっているんです」と呼ぶ)ですから安全性は、やはり科学技術庁の所管だと私は存じておりますので、といっても無関係ではありません。そこで、これからも関係各省庁と連絡をとりながら、御指摘のような点がないように、できるだけの努力をしてまいりたい、かように考えるものであります。
  23. 島本虎三

    島本委員 これで私は、もう所信表明に対しての初めての意見は聞いたことになります。しかし、さすがにやはり一言一句を皆さんは慎重に考えておられるようですが、内容そのものは、これからもっともっと勉強しなければならない大きい問題を抱えておると思います。今後ひとつ、そんなことのないようにがんばってください。  ことにあなたは総理府の社会保障制度審議会委員として一緒だったが、あなたはサボってばかりいて、さっぱり出てきていない。環境行政にはサボることは絶対許されませんから、これは強力なる忠告を発しまして、私の質問を終わる次第であります。
  24. 吉田法晴

  25. 土井たか子

    ○土井委員 本日は、まず冒頭に長官政務次官、お二方から御就任のごあいさつを承ったわけですが、そのごあいさつの中には並々ならぬ意欲のほどを、私どもはまずお伺いをすることができたわけです。  そこで、その中に長官がお述べになった「環境行政は、国民の健康の保護と」というので始まる部分、これは長官御自身がお医者さんであるというお立場も、われわれはやはり期待をかける一つのよりどころになるわけでございますが、最近、公害健康被害補償不服審査会の委員の方の中に、任期が満了いたしまして、また新たに、これは補償法の規定に従いまして議院の同意事項になりますから、議院で、この新しい委員の方々に対しての同意が求められるという案件が出てまいりました。もちろん、この不服審査会の委員の方々の御意見をいろいろ聴取なさるということも大切でございますけれども、本日のごあいさつの中に「環境行政に取り組むに当たっては、まず国民の声に率直に耳を傾け」という文がございます。  そこで一つお伺いしたいのは、この健康被害補償の問題なんです。これは字に書いて、そのとおりでございまして、補償というのは補うというのと償うという意味がございますね。この補う償うというふうな意味の中身を考えてまいりますと、本来この健康被害補償については、健康回復のために使えるものでなければならないという意味があると思いますが、健康被害補償ということについて具体的に、どういう中身を長官自身はお考えになっていらっしゃるか。     〔委員長退席、島本委員長代理着席〕  つまり、この被害補償ということに割り当てられるお金というのは、万事やはり健康を回復せんがための治療費であり医療費であり、そうして、その他の生活の部面に本来は割り当てられていっては困るという内容を持っているものだというふうに一般には認識してよかろうと私は思うのですが、その点はどのように長官はお考えになっていらっしゃいますか。
  26. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 ただいまの御質問の内容が、ちょっと私はっきりしなかった点があるのですが、健康被害補償法の補償する内容は何じゃ、こういうことでございますか。それでよろしいのでしょうか。
  27. 島本虎三

    島本委員長代理 土井たか子君、もう一回。
  28. 土井たか子

    ○土井委員 それで、まずお答えくださいませんか。
  29. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 それでは、もう十分御承知の点でございましょうが、念を入れて申し上げます。  まず療養の給付、これは御指摘の医療費でございますね。それから障害補償費、これは読んで字のとおりでございます。逸失利益等に対する補償でございますね。それから遺族補償費、被害者の遺族に対する補償でございます。それから遺族補償の一時金、遺族補償費を受けられない遺族に対します一時金でございますね。それから児童補償手当、被害児童に対する補償。それから療養手当、これは通院に要する費用でございます。それからあとは葬祭料、不幸にしてお亡くなりになった場合の葬祭料。  以上、七つに分けて支給をしております。
  30. 土井たか子

    ○土井委員 それは法文に従っての御説明でございますけれども、すべて、いまの御答弁の中身というのは、この障害補償というのは本来、健康被害に対しての損害賠償という意味を持つ。それも、公害のもたらした結果、公害に原因を持つ健康被害に対しての損害賠償という意味を持つというふうに理解してようございますか。
  31. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 御指摘の点は、ただいま読み上げたとおりでございます。まあ、こういうふうに決められておりますので、この決めに従って給付する、こういうことになっております。
  32. 土井たか子

    ○土井委員 それは条文を読めば、だれにでもよくわかることでございまして、そのことに対して、どういうふうな認識を持って、その条文自身を具体的に実施されるおつもりであるかという、やはり、この気構えによって中身が大分違うんですよ。したがいまして、その持っている意味というものはどういうものであるか、それぞれ決められている中身というものは、どういう性格を持っているかということを、端的に言えば、いま私が申し上げた損害賠償ということになりはぜぬかという質問なんであります。したがいまして、そのことについての御答弁をひとつお願いします。
  33. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 ただいまの御質問ですが、医療給付の次に障害補償というのが挙げられております。この補償というかっこうで、いまの御質問にこたえるかっこうで給付しておるということでございます。
  34. 土井たか子

    ○土井委員 必ずしも、いまの私の質問に対しての御答弁とは私は受けとめられないわけでありますけれども、そういうことのやりとりをやっていたって、これはらちが明かないような御答弁でありますから、ひとつ端的に申し上げたいと思いますが、御承知のとおりに公害健康被害補償法というのが四十九年の九月に施行されております。これでまる二年なのですが、その間、施行されてから、いろいろな問題点が出てまいっております。たとえば年齢別にこれが等級が決められる、あるいは男女別にこれが考えられる。そこで、いろいろな点での不公正というものを、どうして是正していかなければならないか、これには関係の部局の皆様方、非常に苦労をいままで重ねてきておられる問題でありますけれども、いま、ここで一つお尋ねしたいのは、こういう問題なのです。  この補償法が実施されましてから、公害被害者の御家庭の中で、そのために働き手を失って生活保護の適用を受けなければならないという家庭が出てまいります。この生活保護の適用を受けるということになると、いまの公害健康被害補償法の御承知のとおり十四条のたてまえからすると、保護費がカットされるというかっこうになるんですね。保護費がカットされる。したがって、その実態はなかなか切実な問題でございまして、生活自身が非常に悲惨な状況に陥る。本来、生活保護費でまいりますと、これは長官は、説明を申し上げるまでもなく、よく御承知だと思いますけれども、家族の医療費、子供の義務教育費、住居扶助、そういうものが適用の範囲力であるわけですね。ところが、それがカットされるために、この健康被害補償を生活費に割り当てていかなければならない。ところが、健康被害補償で受ける額の方が生活保護で受ける額よりも下回るために、ずいぶん生活に難渋する。本来は生活費に充当すべきでない、こういう健康被害補償費を生活費に充当して、しかも生きていくということがなかなかむずかしくなる。こういう状況があたりで引き起こっているわけです。そうして、とうとう大阪の場合なんかは、この健康被害補償を受けたくない、これの申請を見送る。こういう実態を見た場合に、このことに対して、むしろ受けた方が生活が苦しくなるから、公害認定患者さんでありながら、この補償を見送るというケースが出てきているんですよ。こういうケースは大阪ばかりじゃございません。大気汚染で悩んでいる川崎であるとか兵庫県の尼崎等々においても、こういう例が出てまいっております。  そこで、こういうものについては、いつまでも、いまの生活保護法と、それから、いまの公害によるところの健康被害補償法というものが現行どおりであっていいということでは、どうもないようでありまして、いずれかの手で、これを手直ししていくという必要に迫られているのじゃないかと私は思うのですが、この点について長官は聴取なさったことがございますか。実情に対して、どういうふうにお考えでいらっしゃるか、もし御存じならば、ひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
  35. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 ただいま土井先生指摘の点は私も聞いております。実は、その生活保護との重複につきまして、こういう問題が原爆の場合も初期にあったようでございます。いま御指摘のとおり、おっしゃる点はようわかります。したがって、そういうようなことがあっては、これはせっかく健康被害補償法の意義が失われる。したがって、住民の中の生活保護を受けておられる方々が、さようなことにならないようにする必要は、どうしてもあると私は考えます。  そこで、これはひとつ、役所一流の逃げ言葉ではありませんが、検討課題として、宿題とさしていただきたい、かようにお願い申し上げます。
  36. 土井たか子

    ○土井委員 長官、検討課題、お言葉でございますが、すでに、これは延々この法が制定される審議の途上で検討課題だったのですよ。御承知だと思います。この法律については附帯決議がちゃんとついています。それも御存じだと思いますが「補償給付と生活保護における収入認定との関係については、公害被害者の実態と特殊性を十分に配慮して、その調整を検討すること。」と、ちゃんと附帯決議がついているのですよ。したがって、検討課題とおっしゃいますが、この法律がつくられるときから、国会内では検討課題として、ちゃんと附帯決議につけているのです。いま、なおかつ検討課題とおっしゃるのは、どうも、いつまでも検討課題でございまして、検討を重ねておりますというのを永久に聞かされるような気がしてなりません。何か、しかとした御答弁を下さいよ。いかがですか。
  37. 野津聖

    ○野津説明員 御指摘ございましたように、もし被認定者ということに現在の健康被害補償法でなりました場合には、その方が生活保護法の何らかの適用を受けておられる場合に、これは生活保護法のサイドで収入の認定という形が行われているわけでございます。ただ私どもは、被認定者になられる患者さんが生活保護の適用を受けておられるかどうかではなくて、この補償法に基づきます被認定あるいは認定患者という形がとられるわけでございます。     〔島本委員長代理退席、委員長着席〕 したがいまして、むしろ現在の流れでまいりますと、生活保護法の受けとめ方というのが大きな問題ではないかと私ども考えておるわけでございます。したがいまして、私どもの方の補償給付の改定が行われるとき、あるいはその中間におきましても、厚生省の担当部局に対しましては、この収入認定としての控除額についての増額ということにつきまして常に申し入れを行ってきているところでございまして、厚生省の担当部局におきましてもこの辺の理解を示しながら、少しずつ増額はしていただいているというふうな現実の問題があるわけでございます。  ただ御承知のように、現在の補償給付の額が非常に大きい方と、それから少ない方とおられます。少ない方におきまして、同一の形で、いわゆる収入認定の形で計算をされました場合に、その家族にとっては大変な状態があるのではないかというふうにも考えております。したがいまして、先ほど申し上げておりますように、厚生省に対しましては常にこの改定があるたびには、必ず上げる、控除額を上げてもらいたいということを申し入れをして進めてきている段階でございまして、私どもの方の補償法のサイドからは、この生活保護に対します問題というのはタッチできない面があるわけでございますので、基本的な生活保護法の問題ということで、常に問題を提起しながら進めてきているというのが現実でございます。
  38. 土井たか子

    ○土井委員 いま、おっしゃったように、生活保護法の認定のあり方ということにも問題点が、それは必ずあるに違いないのですが、片や環境行政として、なすべきことがあるかどうか、これは私は、いまのままであってよいとは思っておりません。たとえば、いまもおっしゃるように、この補償費というのを収入というふうに認定をされるから一つは問題なのじゃないですか。厚生省はこれを収入と見ていますよ。したがって、補償費そのものを収入から外す、収入とはみなさない、そういう行き方を環境庁がおとりになることによって、ずいぶん違ってくると思うのです。ただ、環境庁がおとりになる以前に、現行法に従っての環境行政ですから、法律が一体その点をどう見ているかというのは、これは問題でしょう。  そこで、もう一度繰り返しになりますけれども、返っていく先は公害健康被害補償法十四条の条文ですよ。十四条の条文を、このままで置いておいた限りは、いまの体制から脱却することはできないのです。相も変わらず厚生省の方に、増額をしてください、生活保護のあり方について、もうちょっと考えてもらえないかというふうな注文つけをするのが精いっぱいだろうと私は思う。したがって、公害健康被害補償法の十四条に対しての手直しを必要とお認めになるかならないかということが一つの問題点であろうと思うのですが、いかがでございますか。つまり収入から外すということですよ。
  39. 野津聖

    ○野津説明員 公害健康被害補償法というのは、民事責任を踏まえました健康被害の補償という形をとっておりますことは御存じのとおりでございます。ただ、十四条の適用でございますけれども、これは、ほかの制度におきましての補償給付との関連において「義務を免れる。」こういう形をとっておるわけでございまして、生活保護法と直の問題じゃございませんで、補償給付としての金品が補償給付という形で給付されるわけでございますので、結局は生活保護法のサイドから見れば、それは収入というふうに見ざるを得ないという形になっておるわけでございます。少なくとも、いまの生活保護法の制度そのものの根幹の問題とも大きな関係があると私は考えております。
  40. 土井たか子

    ○土井委員 したがって、それはいまの公害健康被害補償法の十四条と片や生活保護法の四条との関係の問題になってくると思うので、その点は、ひとつ厚生省との間で詰めていただいて、法の中で、より適切な方法で、この問題を解決していくための、いわば改正の必要がないかどうか。それをひとつ御検討願えませんか。  現行法のままで、いま私が申し上げたような矛盾は十分に解決できるというふうに自信を持って言い切れる問題であるかどうか。これは、いろいろ実態を当たってみますと、法律の壁があって、どうにもならないということを自治体はおっしゃいますよ。環境庁が幾らがんばられても法律を乗り越えることはできないだろう。厚生省に幾ら注文をつけられても、生活保護法という法律が大きな壁になって行く手を阻む。やはり究極は法律の改正だろう、この声は大きいですよ。長官はどうお考えになりますか。
  41. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 私が先ほど検討させていただく宿題と申し上げたのは、こういうことなのですね。附帯決議に、もうすでに検討とあるじゃないか、何しておったのだ。その検討と少しニュアンスの違った意味を私は持たしたつもりであります。ただ、もう申し上げるまでもなく先生が御自身でおっしゃるように、公害健康被害補償法の給付だけではなく、生活保護法と横並びの問題があるのですね。したがって、必ずしも厚生省の肩を持つわけじゃありませんが、横並びの問題が幾つか入ってくる、こうなってまいりますと、これはまた厚生省だけでも始末はつかぬのだ。先生おっしゃるように当然、大蔵省と最後のあれになりますから、ひとつ附帯決議の検討の枠を飛び出て勇往邁進してみたい、こういうつもりで検討課題にさせていただきたいと申し上げたのでありまして、できるかできないか私もここで確答できませんが、何とか御趣旨に沿うような形で、できる道があるかどうかを、できるだけ模索して検討していく、こういう意味で申し上げたわけでありまして、御理解いただきたい。
  42. 土井たか子

    ○土井委員 その意欲は了といたします。したがって新長官のもとで、こういう健康被害に悩んでいる公害病患者さんの家庭の実態というものを、ひとつ十分に認識をいただいた上で、この法律の改正の問題にも取り組んでいただきますように、この点は再度、申し上げさせていただき、さらに先に進みたいと思います。  もう一つ私が、きょう質問させていただくのは大阪国際空港の例の航空機公害の問題です。通常ならば豊中の上を通って着陸をするわけでございますけれども、大阪空港の場合には、逆風の場合つまり南風の場合には、六甲や長尾連山のふもとを旋回して、宝塚の上空を通って大阪国際空港に着陸をするという姿勢になりますね。この節、逆着陸の航空機の騒音が実は大変にひどいのです。恐らくは宝塚市が、これの被害地としては最たるものと申し上げなければならないと思います。もう運輸省も御存じでいてくださるはずでありますが、大阪空港事務所の騒音対策課と宝塚市が協力をいたしまして、この逆着陸による騒音の影響を調べております。ただ、調べたことは七月−九月の間で三日間、共同測定をしたという中身でございまして、この共同測定をした中身の地点も五地点というかっこうです。ところが、そこを測定しただけでも、七十ホン以上が二十秒以上続く騒音を測定したということにもなっておりますし、地点によりましては最高値が九十五ホン。八十ホン以上は十五機も連続というふうな状況も把握されたわけですね。  ところで、お尋ねをしたいのは、運輸省にこの問題を聞きますと、機数の計算でいくと、逆風の場合、逆着陸の騒音について言うなら大体、全体の五%程度だから、まあまあ、そういうことは頻発はしない。散発はするけれども頻発はしないという意味で、いままで端的に言うと見送られてきた感があるのです。ところが、これは年間五%ということですけれども、月によっては風が変わって、それこそ午前中は豊中から着陸をしていたのが、午後になって宝塚からということがよくあるのですね。それも全部計算の中に入れますと五%ではおさまらないのです。日数計算でいくと大体、一五から一六%にもなるのですよ。したがいまして、この七十ホン以上が二十秒以上も続くという問題は、私はそう軽い問題じゃないと思う。大変深刻な問題です。  そこで、時間の関係がありますから端的にお尋ねをしたいのですが、自治体とも協力をしながら、単に出先の大阪空港事務所の騒音対策課ではなくて、運輸省がじきじきに、この逆風の場合の着陸に伴う騒音測定を、地点をもっとふやしながら計画的にやっていただかなければ困ると思うのですが、このことに対しての御用意がありやなしや。そして、このことに対しての今後の対策を、どのようにお考えになっていらっしゃるか。ひとつ、それをお聞かせいただきたいのですが、いかがでございますか。
  43. 梶原清

    ○梶原説明員 お答えをいたします。  大阪国際空港における逆発着の問題につきましては、関係の地方公共団体あるいは地元の方から、たびたび御指摘をいただいておるところでございます。私ども四十九年三月に告示をいたしました第一種区域、民家の防音工事をします区域につきましては、この逆発着による騒音の影響も十分考慮して対策を講じておるわけでございます。  先生いま御指摘のとおり、私どもの出先あるいは関係市が協力をして騒音の測定をしたことは承知しておるわけでございますが、その結果につきましては、まだつまびらかにいたしておりません。今後、私どもよく出先と相談をいたしまして善処をいたしたいと考えるわけでございますが、私どもが、いままで承知いたしておりますところでは、大阪国際空港におきましては、逆発着というのは統計的に見まして先生指摘のとおりの四、五%にとどまっておるわけでございまして、騒音対策をいたします対策区域は、年平均で処理をいたしておるわけでございまして、そういう関係もございますので、今後とも測定等につきましては前向きの姿勢で取り組んでまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  44. 土井たか子

    ○土井委員 お役所というのは、どうも数字によって事をお考えになるという傾向が強いので、これがきょうの長官の御発言の中にある、じかに率直に国民の声に耳を傾けるという点からすると、住民の方々から、いろんな批判やいろんな不平や、いろんな不満が出てくる理由になるわけです。いま五%、四%ということをおっしゃいましたけれども、これはいかがですか。宝塚市の公害課が調査した計算だけでも、四十九年で五十七日、五十年で五十九日もあった。特に、これは季節風によるところの影響で着陸が変わるという部面が多いわけでありますから、夏場が多いのですね。夏場の場合には一五から一八%の飛行機が逆着陸をしているという実態ですよ。そうすると全部を延べで平均したら年間五%という数字は出るかもしれません。しかし、そこに住んでいらっしゃる方々からすると、五%とはお考えにならないだろうと思う。特に南風が連続吹く季節になりますと、毎日これは逆風なんですから、したがって着陸地点が毎日、自分の頭上というかっこうになってくる。これは数字の上の問題じゃないのです。生活の実態からお考えいただくと、連日、自分の上を大変な轟音を発しながら着陸態勢に入って非常に低いところに、ずっと迫ってくる地域にいらっしゃる宝塚市の方々からすると、五%と言われると、恐らくはそんなこととおっしゃると思いますよ。したがいまして、そういう実態も踏まえながら、やはり測定に対して熱意を持ってやっていただかないと、これは困る問題だと私は思うのです。いままで、その五%ということで、どうも逆着陸の場合に対しての調査や検討や対策というものは、おくれがちであったように私たちは受けとめておりますから、したがって、それに対して、いま申し上げたようなことも一つは理解をしていただき、十分に、ちゃんと対策の中で生かしていただかなければならぬと思いますよ。まず、それを申し上げたいと思います。  そうして、これは市の方がいま独自の調査をやった結果と、運輸省の出先の大阪空港事務所の騒音対策課と協力をしたときとは大分差が出ておりまして、市が測定した場合には地点も多うございますし、それからやはり測定地点の上を通っておるものを正確にキャッチをして測定をするということでなければ本当の測定にならないというふうな意味からすると、やはり、もう少し測定点をふやしてやらなければ実際問題、意味をなさないじゃないかという声も出しておられる。だから、こういう要望に従って運輸省としては乗り出していただかなければ困るのです。よろしゅうございすまね。
  45. 吉田法晴

    吉田委員長 梶原飛行場部長、質問の趣旨に答えてください。
  46. 梶原清

    ○梶原説明員 お答えをいたします。  騒音の実態の把握等につきましては先生指摘のとおり、できるだけ地元の関係市とよく御相談をして適切な騒音調査をするように努力をいたしたいと存じます。
  47. 土井たか子

    ○土井委員 続けて具体的なことを聞きますが、空港周辺の子供たちの中に鼻出血の実態があるということは、かねがね御承知のとおりであります。そして、先日、裁判所に釈明を求める書類が出されておりますが、その中にも、この鼻出血について環境庁と大阪府と兵庫県が寄りまして、昭和四十九年の七月に空港周辺の鼻出血調査をする、もう少し正確に言いますと、環境庁が大阪府と兵庫県の委託を受けて鼻出血調査昭和四十九年の七月から実施しているはずなんですが、その調査結果というものがどういうことになっているかというのが、どうも明らかじゃないのです。この結果の内容の公表は五十年度公表予定ということで進んでいるのですが、おくれたままになっているので、現状がどういうことなのか、一体いつごろ公表は具体化するのか、それをひとつお聞かせくださいませんか。
  48. 野津聖

    ○野津説明員 これは環境庁が大阪府と兵庫県に委託をして実施いたしました調査でございます。それで現在ほぼ報告書の案がまとまった段階でございますが、ただ、委員会をつくりまして、いろいろ御議論いただいているところでございまして、各委員の御意見というものを盛り込みました報告書でございますけれども、若干、字句等につきまして各委員から御意見が出ておりまして、その御意見を整理をしているところでございます。私ども考えとしましては、できれば今月中には発表できるというふうに仕事を進めている段階でございます。
  49. 土井たか子

    ○土井委員 昨年十一月二十七日の大阪高等裁判所の判決後、九時以後の国内便も、国際便も発着陸を禁止するという措置を、運輸省自身が行政措置としておとりになりまして、現にそれは実行中であるはずでありますが、いまだに九時以後に飛行機が着陸をするという件数が数件やはり出てまいっております。このことに対して事情を把握された上、どのような措置を、いま現に講じられつつあるかを、ひとつお聞かせくださいませんか。
  50. 梶原清

    ○梶原説明員 大阪国際空港の発着制限につきましてでございますが、九時以降発着することのないように、国内線、国際線ともダイヤの調整をいたしたわけでございますが、現在、国際線で九時以降にまたがって発着をしておる事例が間々、見受けられるわけでございまして、私ども該当の航空会社に対しまして指導をいたしておるところでございます。
  51. 土井たか子

    ○土井委員 常に指導されては、そのとおりにいかないという実態に悩むのは住民でございまして、このことに対しては、かなりきつくやっていただかないとだめなんですよ。  それで、九時という、もうぎりぎりいっぱいのダイヤでは、九時以後着陸をするということは、諸事情から考えて十分にあり得るわけでありまして、やはりダイヤ編成を、九時にはもう、ぱちっと発着陸はさせないという措置を講ずるという点から、再検討をお願いしないと、どうにもならないんじゃないかと私は考えております。その点いかがなんですか。もう時間がありませんので、端的にお答えください。
  52. 梶原清

    ○梶原説明員 国際線でも日本航空などは的確に守っておるはずでございますが、外国から参ります外国航空会社につきましては、路線の事情等によりまして、ダイヤを守ることが非常にむずかしい状況にございます。そういうダイヤ編成も含めまして、検討なり指導なりをいたしておるところでございます。
  53. 土井たか子

    ○土井委員 そのダイヤ編成の点は、十分にひとつ具体化を進めていただかなければならぬと思います。  それで、現に昨年のあの行政措置を講じられて以後、九時以後の発着陸をやった件数がどれくらいあるかというのは、もう聴取されておるはずでありますから、資料を要求したいと思いますが、委員長、それはひとつお願いをいたします。よろしゅうございますね。  それから最後に、これだけは聞いておきたい。  いろいろ騒音の対策については、やはり先立つ費用が問題になってくる。予算計上がどれくらいやられるかというのは、年々やはり大阪空港にどれくらい、羽田空港にどれくらい、国際空港を第一に考えていった場合には、これはやはり気にかかる問題なんですが、最近もう新聞にも大きく出ましたけれども、外国航空会社が、ジェット騒音対策料に充てんがための特別着陸料、これを納めることをボイコットするという動きが出まして裁判になっておりますが、この事柄からすると、日本の運輸省の方も反訴をされるという非常に強い姿勢で臨まれるということですが、裁判ざたは始まりますと大変時間がかかる問題でございまして、このことに対して、たとえ、わが国の側に有利に事が展開をし、運輸省が勝訴したとしても、それまでの間、これに充てられる騒音対策料がカットされるということであったら、住民側にその累が及ぶというかっこうになると思うので、来年度の空港対策の中の、特に公害対策に充てられている中身に、この問題が波及しないかどうかということは非常に気にかかる問題なんです。この点、大丈夫なんでしょうね、いかがですか。
  54. 梶原清

    ○梶原説明員 端的に結論だけをお答えをさせていただきたいと思いますが、外国航空会社から予定いたしております特別着陸料収入というのが、それほど大きな比率を占めていないわけでございまして、仮に、この裁判が長引きましても、それによる収入減というものが、騒音対策事業を遂行していきます上において、それほど大きな支障が生じない、恐らく本年度は影響がないと考えております。で、来年度以降につきましても、その影響は大きくないというふうに考えておるわけでございまして、騒音対策事業を適確に推進することにつきましては、全力を投入して努力をいたしたいと考えております。
  55. 吉田法晴

    吉田委員長 土井君、結論をお願いします。
  56. 土井たか子

    ○土井委員 はい。最後に、これを一つだけ、だめ押ししておきますが、大したことはないとおっしゃいますが、試算をしたかげんでも、これは滞納額というのは昨年と今年度、合計すると十二億二千五百万円という状況が出ております。そうして、この予定収入額二百四億二千五百万円の中の一二%に当たる、きわめて深刻な歳入欠陥だというふうなことが出ております、試算の上で。これは当たっているか当たってないか、どうですか。もし当たってないとすると、新聞記事がでたらめだということですか。
  57. 梶原清

    ○梶原説明員 本年度の騒音対策事業費は三百三十億でございまして、そのうち外国航空会社に係る特別着陸料収入は十五億程度だと記憶いたしております。全体の五%だと記憶しておるわけでございます。
  58. 土井たか子

    ○土井委員 したがって結論から、その納入をボイコットされたとしても、支障は全くないというふうに理解しておいてようございますね。
  59. 梶原清

    ○梶原説明員 本年度並びに来年度以降、この特別着陸料問題につきましての訴訟の関連いかんにかかわらず、騒音対策事業は円滑に推進していきたい、かように考えております。
  60. 土井たか子

    ○土井委員 わかりました。その騒音対策に必要な予算並びにそれに対しての内訳、こういうことについては、きょうは時間がありませんから、また次回にひとつ具体的に質問をさせていただきます。そういう方面にカット分を持っていく、そういう方面にしわ寄せを持っていくということは絶対ないという御答弁で、きょうは終えたいと思いますが、それは確認しておいてようございますね。——わかりました。  終わります。
  61. 吉田法晴

    吉田委員長 次は、木下元二君。     〔委員長退席、島本委員長代理着席〕
  62. 木下元二

    ○木下委員 環境庁長官就任あいさつをいただきましたので、きょうは、このあいさつに関連して質問をいたしたいと思います。  先ほどのあいさつの中で、環境影響評価制度化を急ぐと言われました。これは現在どういう段階でございましょうか。
  63. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 私ども環境影響評価制度の制度化ということにつきまして、これは公害防止の観点からも大変重要なことでございますので、昨年から中央公害対策審議会にも御検討をお願いしてまいりまして、また関係各省庁とも調整をとりまして、先国会に、できればその法制化を行いたいということで努力を続けてまいったわけでございますが、残念ながら先国会では関係各省庁との調整が、まだ、つきませんでしたので見送らざるを得なかったわけでございます。したがいまして、その後、関係各省庁と連絡協議会を持ちまして、この構成メンバーは主要な大規模開発事業に関係の深い省庁省庁構成しておるわけでございますが、建設省、通産省、運輸省、それから国土庁、農林省、自治省それから環境庁と、この七省庁の連絡協議会を持ちまして、引き続き環境影響評価制度化に必要なバックグラウンドを固めていくということの作業を続けてまいっておりまして、現在まで数回の会合を持ちまして検討を進めているという段階でございます。
  64. 木下元二

    ○木下委員 さきの国会では、前長官が何とか法案を出したい、その情熱でいっぱいだというように述べながら、ついに提案をされなかったわけであります。一体どうなっておるのか。前国会が終了して、すでに四月以上経過をしておるのです。連絡協議会でいろいろ調整をしておるということでありますが、この間、一体何をしておったのか、非常に私は疑問に思うのです。この制度化を急ぐと言われましても、どうもこれまでの経過から見まして、額面どおりに信じがたいのであります。本当にやる気があるのかどうか、私は疑わしいと思うのです。このアセスメント法を本気でつくる気があるのかどうか、そして、この提案の具体的なめどはどうなのか、この点の所信を私は大臣に承りたいのです。
  65. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 ただいま御指摘の点につきましては、先般の衆議院の予算委員会で私の方から、すでに申し上げてあります。  環境庁といたしましては、どうしてもアセスメント法案をつくらなくちゃいかぬ、こういう立場でやっておりますが、いま局長から説明しましたように、関係各省庁と連絡協議会で、とにかく骨子をまとめようということに話し合いがなっております。そこで、後から局長から報告しますが、連絡会議では密接に協議をやっておるところであります。私の所信といたしましては、ぜひとも来国会に仕上げたい、こういうことでございます。来国会までには、ぜひともこれを仕上げたい、こういう所信でおります。
  66. 木下元二

    ○木下委員 一応そういうふうに聞いておきますが、前長官は、さきの国会で、またこういうふうに言われたのです。法案を出す出さないにかかわらずアセスメントは十分にやっていく、こう言われました。どうも実際は十分やっていなかったと思われるのですが、少なくとも国会答弁としては、そういうふうな姿勢を示されたのであります。新長官は、この点はいかがでしょうか。つまり、法案が出されなくともアセスメントは十分しっかりやっていく、これは言葉ではなくて実際にそういう姿勢で臨むと、こういうふうに受け取ってよろしいでしょうか。
  67. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 ただいま御指摘のとおり、法案が通ろうと通るまいと、とにかく自然環境保護する、そのたてまえは、やはりアセスメントを忠実に堅実にやらなければ、保護する立場は強固になりませんので、いまでも、それはしっかりやっておるつもりでございます。
  68. 木下元二

    ○木下委員 そこで一つ二つ具体的な問題を聞きますが、大分県の新産都市二期計画をめぐる問題です。  先般、住民が環境庁に陳情もいたしましたが、問題は、この二期計画の八号地埋め立てでありますが、これは四十八年五月、県によって、その計画が中断をされていました。ところが佐賀関町がこの計画を復活をさせまして、これを柱に佐賀関町長期総合開発計画を発表しましたことから反対運動が再燃してきております。環境庁としては、この問題について、しっかりアセスメントをやらせるように指導をする考えはありましょうか。
  69. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 大分県の八号地問題につきましては、先生御承知のように、いろいろな経過がございまして、この実施を中断しておるわけでございますが、その中断の理由の大きい一つの問題といたしまして、環境影響評価の的確なる実施ということがあるわけでございます。したがいまして、この八号地の埋め立て実施問題につきましては十分なる環境影響評価を実施することが前提でございますので、そういうことが行われない限りは、この中断を解除する理由にはならないというふうに考えております。
  70. 木下元二

    ○木下委員 この八号地の埋め立て総面積は約百二十万坪です。そこに石油コンビナートが立地をしますと、まさに公害直撃地域になるわけです。ことに、ここの地形は平地が海岸部にわずかに帯状に連なっておりまして、その背後は山岳地帯です。工場の排煙が拡散する余地もないのです。神崎、馬場、大平の住民の健康被害は甚大であることが容易に予測されます。これは四日市の二の舞であります。漁業も大打撃を受けることは明らかであります。環境庁は、こういう開発計画が進行することを手をこまねいて見ていては困るのです。事前にしっかりと行政指導をしてアセスメントもやらせる、こういうふうにしてもらいたいと思います。大臣、よろしいでしょうか。
  71. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 大要は、いま局長が返答いたしたような次第でございますが、大規模開発には、どうしても環境庁といたしましてはアセスメントをしっかりやらなければならない、こういう立場はいささかも変えておりません。
  72. 木下元二

    ○木下委員 県の方で、そのアセスメントが十分にやられるように環境庁としての行政指導を強める、こういうことで、よろしゅうございますか。
  73. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 そういうふうに御了解いただいて結構であります。
  74. 木下元二

    ○木下委員 もう一つ、兵庫県の姫路のLNG基地建設の問題でございますが、これも住民の方から、すでに環境庁の方に陳情がいっております。LNG問題はロッキードに次いで黒い疑惑の霧に包まれているわけでありますが、その基地建設は公害、災害問題の上からも重大であります。この基地建設の前提として、環境庁指導環境アセスメントを十分にやってもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  75. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 姫路のLNG基地の問題につきましては、天然ガス化するということは、方向としては、あるいは公害を非常に少なくするというメリットもあるわけでございますが、ただ具体的な内容につきまして、やはり十分な検討が必要になると思うわけでございますが、現在あそこで火力発電所の関係と大阪瓦斯の方の関係の二つの基地の内容を含んでおりますので、一応の環境影響評価といたしましては了承しておりますけれども、ただ大阪瓦斯の関係の地域につきましては、それがどういうふうに供給されていくのかというようなこととの具体的な関連もよく確かめませんと、最終的に、そのとおりでいいのか悪いのかを判断するわけにはいきませんので、そういう点について今後とも十分その計画を詰めてもらうように、私どもも大阪瓦斯あるいは兵庫県を指導してまいりたいというふうに考えております。
  76. 木下元二

    ○木下委員 この前も住民が陳情に来ましたときに環境庁と話し合いまして、その事実認識の点についても、環境庁の方はどうも不正確なきらいがある、認識の上においてずれがある、そういう問題もあったわけであります。大臣、私はこれは環境庁から人を派遣して現地を十分に見てもらいたいと思うのです。現地をよく見て、住民の声もよく聞いて進めていくということが、私は一番大切なことだと思うのです。陳情の際も、これは要望したわけでありますが、そのままになっておるわけであります。ぜひ、これは実現してもらいたいと思います。よろしいですか。
  77. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 御意見は十分承りました。慎重に対処さしていただきます。
  78. 木下元二

    ○木下委員 慎重に対処されるのは結構です。きょうは、あいさつに対する問題提起でありますので、詳しく触れません、改めて質問したいと思いますが、私いま言いましたように、ひとつ現地の状況をよく把握してもらいたいと思うのですよ。これ、いかがでしょうか、できませんか。
  79. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 現地の状況につきましては、たしか先月の中ごろでございましたが、私の局の環境管理課長を派遣いたしまして現地を十分調べさせておりますが、なお調査の必要があれば、さらに調べるということもやりたいというふうに考えております。
  80. 木下元二

    ○木下委員 ぜひ、これはやってもらいたいと思います。そして、来られるときは、こっそり来られるのではなくて、非常に利害関係の深い住民と会って、住民の声も聞くというふうにやってもらいたいと思います。  次は、NOxの問題でありますが、この窒素酸化物対策ことに固定発生源に対する第三次規制についての環境庁考え、これを新長官に伺いたいと思いますが、どのような規制考えていられるか。その時期はどうなのか。いかがでしょうか。
  81. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 窒素酸化物の総量規制を行うために必要な汚染予測手法を確立する、固定発生源に対処いたしますのには、これが御指摘の中で一番大事な点だと思います。そこで昭和四十九年度から委員会を設けて調査検討を続けておることは御承知のとおりでありますが、この汚染予測手法の確立のためには、固定発生源のみならず当然、自動車等の移動発生源あるいは群小低煙源、そういうふうなものから排出される窒素酸化物の拡散の状態を把握しなくちゃならぬ、こういう状態があるわけです。そういうふうな解決しなければならない問題がいろいろあるのですが、これらにつきましては、検討の成果を近く中間報告をさしていただく段階にまいっております。これは本年といいますか、相当早くできるのではないか、こういうふうにいま考えておるところであります。また来年度には規制方式などにつきましても検討を行う予定になっております。窒素酸化物の総量規制の実施に向けて、ただいま努力を続けておるところであります。
  82. 木下元二

    ○木下委員 昨年十二月に第二次規制が行われましたが、このときは期待に反して、ごく小幅の線にとどめられたわけであります。それは技術未開発理由規制を渋ろうとする業界の言い分を認める形になったと思うのです。まあ業界の巻き返しが認められたと私は思っております。そのかわりに環境庁では来年度には、つまり、ことしの末でありますが、ことしの末には必ず脱硝技術の進歩があると見込んで、第三次の厳しい規制を行うという予定が立てられたはずであります。それが第三次規制の時期が近づいて、被害住民からも成り行きが注目をされておる、こういう現在におきまして再び後退をするというようなことは許されません。すでに公害企業などを対象とした聴聞会もされたはずであります。その聴聞会を踏まえて第三次規制をどうしようという考えなのか、その考えを聞いておるのです。
  83. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 先生の御質問に対しまして、大局的な方向として大臣がお答えになりましたが、より細かな今年内の三次規制をどうかという御質問に対して、私の方から事務的にお答えいたしたいと思います。  御指摘のように、昨年の十二月に第二次規制をやりまして、第二次規制といいますのは、昨年の夏以来、脱硝技術につきましての技術評価をいたしました成果に基づいて、できる範囲内で最大のものをやるということになったわけでございます。残念ながら実際のカットの割合としては少なかったということは御指摘のとおりでございますが、一部の施設については、部分脱硝もしなければならないというような厳しい基準が新しいものに入ったことは事実でございます。  今年になりまして、これは私どもも今年内に三次規制を実現をいたしたいということで、この夏以来、脱硝技術につきまして昨年度から今年度に至って、どれだけの進歩を見たかということにつきまして、メーカーから全部細かく聞き、またユーザーからも意見を聞き、あるいは現地を幾つか視察をしてみるということを、行政サイドが中心となっておりますが、また専門の先生方にも一緒に協力をしていただきまして現在、進めておる段階でございまして、大体十一月いっぱいぐらいで、脱硝の今年度におけるプログレスにつきましての技術検討は終わるのではないかと思っております。これは脱硝技術だけではございませんで、低NOxバーナーとか、いろいろほかの窒素酸化物に対する防止技術の評価は、すべて費用効果をあわせながら評価をいたしておりますので、その進歩のあった部分は、どの辺まで入れられるかということは、現在まだ何とも申せませんが、十一月いっぱいに大体わかる予定だということでございますので、それが明らかになれば、一般に公表もし、また、それに基づいてできる最大限の規制を第三次といたしたい、こういうことでございます。
  84. 木下元二

    ○木下委員 簡単にお答えいただきたいのですが、そうすると第三次規制を年内にする、こういうふうに聞いてよろしいか。
  85. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 年内にしたいと思って最善の努力をいたしております。
  86. 木下元二

    ○木下委員 そこで、するとして一体どういう規制をするのか、その方向はどうなのか。これは結局のところ、まだ煮詰まっていないということですか。
  87. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いまの御指摘の問題は、ヒヤリングの結果が全部まとまった段階で初めて明らかになるということでございまして、現在の段階では、まだ煮詰まったところには来ておりません。
  88. 木下元二

    ○木下委員 この第三次規制というのは、環境基準達成に向けた総量規制移行へのステップとしての重要性を持っておるわけであります。これを後退させるようなことがあってはならないと思うのです。小幅にとどまった二次規制経過を踏まえて、そしてまた健康被害を受けている国民の期待にこたえて、厳しい規制を進めてもらいたいと思います。大臣、よろしいですか。
  89. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 いま局長から報告いたしましたように、私どもといたしましては後退という印象を与えないような規制をやってまいりたい、かように考えておるわけであります。
  90. 木下元二

    ○木下委員 その問題に関連しまして、通産大臣諮問機関である産業構造審議会の産業公害部会にNOx汚染防止対策小委員会が発足をいたしました。これは通産省が窒素酸化物環境基準の緩和ないし達成年次の延期を求める方針を固めて、その具体的内容を検討するためだと言われておるのです。この小委員会は来年六月をめどに結論を出したいと言っておるようであります。これはまさしくNOx骨抜きの動きが本格化したものではありませんか。公害対策基本法から削除された経済発展との調和条項の復活を進めるものではありませんか。環境庁は、この通産省側の動き、通産省側の行動に協力をしておるのでしょうか。あるいは、これと軌を一にして進む考えなのでしょうか。この点いかがですか。
  91. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 いま通産省にどういうふうな委員会ができるか関知しておりません。ただ基本的には環境庁といたしましては、NOxの環境基準を緩める科学的な根拠、一つもわれわれは納得できませんので、いまのところ、この環境基準は揺るがないという所信でおります。
  92. 木下元二

    ○木下委員 ところが、同じ政府の中で通産省がこういう動きをしておるということなんです。環境庁としては、そうするとNOx環境基準の緩和や達成年次の延期を進める考えはないと断言されますね。大臣に聞いているのです。
  93. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 ただいま申し上げているとおり、環境基準を緩める何らの科学的な根拠も現在われわれは認めておりません。
  94. 木下元二

    ○木下委員 達成年次の延期についても、いま考えていないということですね。
  95. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生の御質問で通産省審議会の件がございましたが、私は大臣には、この件はまだ詳細なお話はいたしておりませんでしたので、事務的に、この点に対してお答え申し上げます。基本的な姿勢は、大臣のおっしゃったとおりでございます。  この問題につきましては、窒素酸化物対策といいますのは、きわめて広範で複雑で、いろいろな対策が組み合わされなければ、とうてい達成できないということは明らかでございます。そういう点で、第二次規制をいたしますときに、環境庁大気保全局長といたしまして通産省の立地公害局長と数カ月にわたりまして徹底的に話をいたしまして、環境庁の施策を進めていく上において、通産省としてエネルギーや中小企業や構造的な問題として、どのように対応するのかという問題、これは環境庁自身が触れることのできない問題でございますので、そういうことで達成を確実に進めていくために、通産省としての産業政策としての問題を検討してほしいということを通産省に申し入れて、やっておるわけでございます。いろいろな解釈はあり得るかと思いますが、権限環境庁自身が持っておるわけでございまして、環境庁自身が判断することでございますが、産業政策の中で、いかにそれを効果的にちゃんと達成をしていくようにするのかということは、通産省も一緒に参加していかなければならぬというふうな観点のもとに立っておるわけであります。  期限の問題でございますが、五年から八年と告示に出しております期限は、現在まだ変える考えは毛頭ございません。それは、そのときまでに最大の努力をして達成を努力するという期限を明示しておるわけでございまして、まだ最大の努力をしておる最中でございまして、NOxについては工場に関しては、まだ最大の努力とは決して言えないと思います。そういうことで私どもの方といたしましては、どういうぐあいに組み合わせるか、三次規制はまだ一つ段階でございます。来年度の後半において徹底的な議論をいたしまして、五十三年からは徹底的に軌道に乗せようということでございまして、そのときに場所によっては五年から八年がむずかしいというものがあるということは、すでに前国会において私は正直に申し上げたところであります。そういう問題につきましての検討は、来年の秋の検討を経て五十三年度の初めには、まず明らかにすることができるであろう、こういうことでございます。
  96. 木下元二

    ○木下委員 いまのところは達成年次を延ばす考えはない、こういうふうに聞いたわけですけれども、それでは、総量規制を見送る方針を固めたというふうに一部で言われておるのですが、この点はいかがですか。
  97. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 さような事実は全くございませんので、その新聞を見た途端に、早速その当該新聞に対しまして、私から直接に抗議を申しました。
  98. 木下元二

    ○木下委員 五十三年度から予定をしておるNOx総量規制の実施は困難になった。そこで、総量規制の実施が困難になるということは、環境基準を遅くとも五十五年度末までに達成するための措置として総量規制の実施があるわけでありますが、したがって環境基準の達成も大きく狂うわけでありますが、環境庁では、この汚染予測手法の完成を待つ方がよいという統一見解を内部でまとめた、五十三年度からの総量規制を見送る方針を固めたというふうに新聞は報道しておるのでありますが、さような事実は一切ない、こう聞いていいのですか。
  99. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 さような事実は一切ございません。
  100. 木下元二

    ○木下委員 そういうふうに一応聞いておきますが、どうも環境庁の姿勢が、きょう私が質問したところでは、はっきりと後退という形では、お答えになっておりませんけれども、どうも私の受ける印象から申しますと非常に消極的で、環境庁が総力を挙げて、ベストを尽くして、この問題に取り組むという気魄に欠けておるように思うわけであります。この点は私の感想として申しておきます。  それから、もう一つ聞いておきますが、この問題に関連したことですけれども、自動車沿道の問題です。この自動車沿道の健康影響ないし環境調査が五十年度に行われました。国道四十三号線と東名高速道路の一部についてであります。この中で当然NOxの調査も行われております。ところが、すでに一年経過をしておりますが、いまだに結果の公表がありません。これは一体どうなっておるのですか。どうしておくれておるのですか。いつこれは公表されますか。
  101. 野津聖

    ○野津説明員 この調査につきましては、川崎市と兵庫県に委託をして実施したわけでございます。それで流れといたしましては、川崎市それから兵庫県におきまして、それぞれまとめていただきましたのを委員会にかけまして、御議論いただいて結論を出す、こういう流れになっておるわけでございます。  各種のデータにつきまして若干抜けている点等がございましたので、現在それらのデータにつきましての川崎市及び兵庫県につきまして補足ということをお願いしていただいておりまして、概要につきましての各川崎市及び兵庫県からのまとめは、ほぼ出てきておりますけれども、こちらで打ち合わせ会を健康の問題と環境の問題に分けて行いまして、そのデータ等を検討していただいたわけでございますけれども、どうも専門家の立場から若干データの欠測があるのではないかというふうなことがございまして、それらのデータの補足を、いま行っていただいております。それで両方まとめまして私どもは公表いたしたいと思いますし、特にデータの問題につきましては相当分厚いものでございます。したがいまして、資料編という形で、それもきちんと公表したいという点があるわけでございますので、慎重にそれらのデータの欠測等も詰めておるわけでございます。(木下委員「公表の時期は」と呼ぶ)時期につきましては、現在そういう段階でございます。したがいまして、私どもの感じとしましては、できるだけ早くとは思っておりますけれども、十一月いっぱいはかかるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  102. 島本虎三

    島本委員長代理 木下君、理事会で決まった時間はちょっと過ぎております。結論を急いでください。
  103. 木下元二

    ○木下委員 イ病の問題ですが、環境庁の委託でカドミウムの人体影響の研究結果を取りまとめていました重松国立公衆衛生院疫学部長ら十三人の専門家グループが、報告書を環境庁に出したとのことであります。これには「イタイイタイ病の発生には、カドミがなんらかの役割を果たしていることを否定する根拠は見当たらない」と述べて、カドミ原因をはっきり肯定しております。イ病をめぐる原因論争に、これによって決着をつけるものだと言われておるわけであります。この報告書が提出されたことは間違いありませんか。
  104. 野津聖

    ○野津説明員 この報告につきましては、まだ私ども正式にはいただいておりません。
  105. 木下元二

    ○木下委員 正式にはもらってないけれども、見ておるというのですね。
  106. 野津聖

    ○野津説明員 見ておるということでございませんで、現在まで、この委員会におきましての流れにつきまして聞いておるということでございます。
  107. 木下元二

    ○木下委員 これも、すでに報告書が出ておるように新聞は報道しておるのですが、どうもこの点は私もわかりませんので、これ以上聞きませんが、このような流れになっておるということは、おわかりだと思うのです。こういう結果が出るとすれば、これは汚染地域でのカドミ腎症の調査に取り組むべきではないかと思うのです。あるいはまた土壌汚染対策も積極的に進める必要があると思うのです。この点はいかがですか。
  108. 野津聖

    ○野津説明員 ただいまの研究をお願いいたしましたのは、昭和四十年以降、現在までの各種の研究発表あるいは学者の業績につきましてのおまとめをお願いしたところでございます。したがいまして、それは過去の四十四年以降、現在までの各種の研究調査がまとめられるわけでございますが、環境庁といたしましては、御案内のとおり、今年度からカドミ腎症の問題につきまして各三地域につきましての健康調査を実施するという形で仕事を進めているところでもございますし、またカドミの腎に対する影響につきましても、今年度からサルを使いました動物実験も始めていくということで、すでに今年度から仕事は始めているところでございますし、これを将来も続けて実体の問題につきまして明確にしてまいりたいと考えておるところでございます。
  109. 島本虎三

    島本委員長代理 木下君、結論を急いでください。
  110. 木下元二

    ○木下委員 幾つかの問題を聞きましたが、どうも私は全体として答えは消極的だと思うのです。あいさつの中で環境行政は「新たな展開が必要」として「科学的かつ長期的、総合的視点から計画的に推進する」と言われました。この言葉の国語辞典的意味はわかりますけれども、一体どんな環境行政をやろうとしておるのか、これはこの言葉を聞いただけではわからぬわけです。それが私は、この具体的問題を聞いていく中で、どうもわかったような気がするわけであります。「新たな展開」とかあるいは「科学的かつ長期的、総合的視点」などというのは結局、余り積極的にやらない、健康や環境を守るために積極的に乗り出すことは控えよう、こういうことではないかと思うのですが、そうではありませんか。
  111. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 どうも、ただいまの御発言、納得が実はいかないのであります。これは抽象論で言っては、どうにもなりませんから、たとえば具体的に言いますとNOxの総量規制でございます。NOxというのは、先生御承知のように、これは大変むずかしいものなんですね。これに対するいろいろな学問が、知見というのは最近になって、ようやく表へ出ました。しかも空気中に放散されたNOxの挙動というのはなかなかつかめない。あるいは低減技術も、まだ十分じゃない。そういういろいろなむずかしい因子を、われわれは十分承知しながらも、何とか厳しい規制をかけよう、固定発生源についても厳しい規制をかけよう、こういうことですから、どうも先生、消極的だとおっしゃられると、私どもはそうかなあと思えないのであります。私どもはやはり、こういう問題を責任を持って推進する官庁ですから、やはりそれにはそれにふさわしい根拠を、しっかりつかまなくちゃいかぬ、こういう立場がありますので、ある時期は、いまおっしゃるような見方が出るかもしれませんが、私どもは一貫した中においては、私の所信で申し上げたとおりの姿勢で臨んでおるという自信を持っておるわけであります。
  112. 木下元二

    ○木下委員 これで終わりますが、健康と環境を守るための環境行政に、総力を挙げて積極的に取り組んでいくということをはっきりとお約束されますか。
  113. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 はっきりとお約束いたします。
  114. 木下元二

    ○木下委員 終わります。
  115. 島本虎三

    島本委員長代理 岡本富士夫君。
  116. 岡本富夫

    岡本委員 先国会からも議題になっておりました環境アセスメントにつきまして、いま長官の方から来国会には必ず出すというお返事であったようでありますが、そこで来国会に出すこの法案につきまして、環境アセスメントにつきましては、われわれ野党の方も出しております。そういうものを参考にして、私どもが特に法案に出しておりますのが住民参加の問題なんですが、住民の代表を参加させるという考えはあるわけなんですか、この点ひとつ。
  117. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 私どもアセスメントの法制化につきましては、公明党からお出しいただいている法案等も十分参考にして検討を進めていきたいと思っておるわけでございまして、住民参加問題は環境アセスメントの重要な部分でございますから、その制度化に当たっては、それを盛り込むという方向で考えていきたいと思っております。
  118. 岡本富夫

    岡本委員 もう一つだけ聞いておきたいのですが、われわれ考えておりますのは、政府サイドと申しますか、それでは、どうしてもアセスメントの手法、いろんなものがゆがめられる場合が、いままで非常に多かった。したがって三条機関、要するに公正取引委員会のような委員会にして、中立な立場から検討をするということを要求しておるわけですが、この点についてはいかがですか。
  119. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 行政機関である委員会方式というものも一つ考え方ではございますが、長短あるわけでございまして、アセスメントは実施主体が十分これを行って公開をし、また十分内容を説明し、住民の意見もよく聞き、関係行政機関意見もよく聞いて、最終的には、そういう許認可の権限を持っている官庁が総合的に判断をいたしまして、これを決定していくということが一番好ましいやり方ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  120. 岡本富夫

    岡本委員 長官は今度はからずもか、はかったか知りませんが、なられたのですが、この点について方向をはっきり、あなたの任期の間に、きちっと決めておいてもらいたいと思うのですね。いままで、どうしてもほかの官庁といいますか、特に通産省あたりから、いろいろ横やりが入り、また財界から横やりが入って、住民参加というものが非常に問題で、できないということもあったわけですが、いま御答弁いただいたように、やはり住民も参加して、そしてきちっと決めれば、後でごたごた、いろいろなことが起こらなくて、いろいろなことも推進もできるということがありますから、この点はひとつ強力に進めてもらいたい、これをお願いしておきたいと思うのです。あなたの決意をひとつ承っておきたい。
  121. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 アセスメント法というのは、もう先生、法案を提案されておられますから十分御承知でありますが、環境庁といたしましては、アセスメント法をつくる以上は最大の効果を上げる形でつくりたい、こういうことであります。そうしますと、やはりそれには土台といたしまして、アセスメントに関係する各省庁の完全なコンセンサスの上に立ちたい、これもまた、お認めいただけるだろうと思うのです。そういうコンセンサスをつくり上げる過程で、私どもの主張をできるだけ生かすようなかっこうで法案をつくりたい、こういう気持ちでおるものでございますから、御趣旨はよくわかっておりますので、全力をその方向で挙げたい、かように思います。
  122. 岡本富夫

    岡本委員 そこで環境アセスメントですから、いい環境を保持していくということでありますから、いままでのような公害対策といいますか、公害が起こってから、それに対して、いろいろと対策していくというものではないわけですね。ですから現在の公害対策基本法というものから出発しますと後追い行政になってしまう。少なくとも環境アセスメントをつくるのには、まず事前評価するわけですから、そのことを考えると、根本の理念と申しますか、これが公害対策基本法ではぐあいが悪いのではないか。したがって、私どもが提案して、もうずいぶんになりますが、環境保全基本法というようなものを制定して、そこから出発しなければならないのではないか、こういうように考えるのですが、この点いかがですか。
  123. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 御提案の趣旨はよくわかりますが、私どもといたしましては、アセスメント法をつくる以上は、自然環境破壊しない、これが最大の基本でございますから、現行法律でもアセスメント法の構成次第によっては十分効果がある形でいける、かように考えておるわけであります。
  124. 岡本富夫

    岡本委員 政務次官は一遍もここで答弁してないから、お尋ねします。あなたもわざわざ出てきて、あいさつしたわけですが、あなたは先ほど自然に沿った書道ですか、師匠さんから、いろいろ、そういう話があったという非常にうんちくのあるお話がありました。環境行政を進めるについて公害対策では後追い行政になる。したがって先ほども、ここらで飛躍した二十一世紀に向かっての環境保全だというお話があったのですが、そうすると、やはり公害対策基本法でなくして環境保全、その基本から出発しなければならぬのではないかと思いますので、あなたの高説というか、一席お伺いしたいと思いますが、いかがですか。
  125. 今泉正二

    今泉政府委員 私も余り人前でしゃべったことがありませんので、先生の御質問の趣旨をよく把握して慎重にお答えを申し上げたいと思います。  私は環境庁に回されましたことを非常に喜んでおります。ほかの省庁へ参りますと——私ども自分で車を運転して国会へ通っておりますオーナードライバー議員といたしまして、いろいろNOxも排出しながら私自身ハンドルを持って国会へ通っております。そして私も警視庁の交通モニターを二十年近くやっております。そして私自身、身体障害者で足のびっこな男でございます。そういう自分自身の日常生活と個人的な肉体的なことを含めまして、環境問題というものに対して、国会議員であるからどうのこうの、あるいは与党であるから野党であるからということではなく、一人の人間として、私自身の配置されるべき役所に回されたという宿命を、長官にも私ごあいさつに伺ったときにも申し上げたわけでございます。     〔島本委員長代理退席、委員長着席〕  そして具体的には、いろいろ省庁の連絡系統も、先ほど先生方御指摘のようにございますけれども環境庁という、まだできて五年ばかり、人間で言うと五歳になったばかりの子供ではございますけれども、底のしんに流れておりますものは、これを解決しなくては日本の政治はあらゆるものが解決できないという波及的な原因を持っている役所であるということに対しまして、私自身、任期は短かいかもしれませんけれども、その中に一片の光芒を残して、大臣とともに、やはり歴代の中ではよかったということを、人間でございますから、自分に幾らか功名心というものを持つとすれば、それを具体的な形に出していきたいという中で、私は幹部職員とともに、微力ではございますけれども、ミーティングを受けながら、現地もなるだけ見て、私も前身は人中で仕事をしていた商売でございます。ですから体でもって部屋に閉じこもらずに行ってみたい。そして、先生方の御指摘とあわせて私たち、矛盾も解決していきたいという念に燃えておりますので、今後とも御教導を賜りたいと思います。
  126. 岡本富夫

    岡本委員 どうもあなたの話を聞いていると、口で言って、それで現実のことをしないというのでは、これは話にならない。話の上だけでは、やはり話にならないわけでございまして、少なくとも環境庁政務次官と言えば、それだけの地位があるわけですから、副大臣とも言われる、まあ、中には盲腸と言う人もいますけれども、いずれにしましても、この環境保全基本法を、あなた、いま、それだけの決心をしたのですし、また大きいことを言うたわけですから、私の任期の間にひとつ前向きにと長官が今度は言うかわからぬわけですが、私の力で前向きに制定できるようにしていこう、これぐらい、あなた、ここで決心しなければ、先ほどから一席ぶったのは何にもならないのですよ。
  127. 今泉正二

    今泉政府委員 私は、そのことを申し上げたんでござますけれども、少し話が長くなりましたので、冗漫になりましたきらいは訂正をいたしますが、その趣旨を貫いてのいまの答弁でございます。
  128. 岡本富夫

    岡本委員 じゃ、あなたがひとつ、どろをかぶってでも、これをやると……。  そこで長官、いま政務次官がえらい前向きの答弁をいたしましたが、それに協力する心構えはありますか。
  129. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 何か逆になったようでありますけれども、私の答弁は先ほど申し上げたとおりでございますので、御了解いただきたいと思います。
  130. 岡本富夫

    岡本委員 どうも政務次官大臣との間で、こういう意見の食い違いがあっては話にならないですね。この裁定はだれがやるのかな。あなたが裁定するのはおかしい、二人で分かれておるわけですから。  それで長官、実際の話をしまして、公害対策基本法というのは、昭和四十二年にあわててつくったようなものなんです。ぼくら、やかましく言うて初めてつくった。それはその当時は本当に高度成長政策でして、そういう経済だったから、あわてて早く公害対策をしなければ、どうにもならないということだったんですね。ここで、いよいよ低成長時代に入っているわけですね。しかも、その後追い行政では非常に無理がある。お金もかかる。あるいはまた、できなくなる。あるいは立ち退きさせなければならぬ。こういうようなことで、結局いま環境アセスメントもやろう。そうしなければ、これからの開発あるいはまた行政ができないというところに来ているわけでしょう。ですからこの際、思い切って、それはもう来国会というわけにもいかないかもわかりませんけれども、あなたが環境庁長官として、しかもお医者さんですから、人の健康を守るというのは、これは人後に落ちないだろうと私は思うのです。そのときに、それではその方向で将来、検討して、つくっていこうという環境庁の強い姿勢がなければならない。その点、政務次官の方がちょっと上なように感じがするのですけれども、文句があったら、ひとつ言ってください。
  131. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 いま御指摘公害基本法ですが、おっしゃるとおり背景は高度経済成長で非常に産業が大活躍した時代にできたものですね。ところがその後、経済も低成長時代に入ります。高度経済成長時代には主として公害の発生源が民間企業に多かったと思われるわけですね。ところが今後、経済低成長時代に入ると、民間企業は当時ほどは、いわゆる公害を発生する率は少なくなる可能性がある。しかしながら、そのかわり国民生活によって起こる公害あるいは交通によって起こる公害、これはもう低成長時代でもあると思うのですね。したがって、そういう公害発生源を出した背景を考えると、おっしゃるとおり公害基本法については見直す必要があるかと私も思います。そういうような必要はありと認めた場合には、私の方で中公審の御意見を承って、それに沿って施策を進めてまいりたい、かように考えております。
  132. 岡本富夫

    岡本委員 なかなかよろしい。そういうように前向きになってこなければいけないですね。前の小沢長官はなかなかなじまないとか、自分の頭がなじまないだけで、国民は要望しておるわけですね。非常に前向きの姿勢をいただいたために、お二人とも一つ考え方になった、こういうように了承いたしまして、後は環境庁はその方向に向かって、ひとつ進んでもらいたいと要望しておきます。  次に、瀬戸内海環境保全臨時措置法というのは先ほど話がありましたが、これができた。これは一つの何と申しますか、瀬戸内海を、このまま、ほうっておいてはならないということで臨時なんですね。これを伸ばして将来、伊勢湾だとか、あるいは東京湾だとか、あるいは日本の各周辺のこういうところの水質汚濁の総量規制をしていかなければならぬという一つの手始めだったと思うのです。それが約三年から四年たちまして大体の方向が決まったと思うのですが、水質汚濁防止法総量規制のめどについて、あるいはまた、その作業について、ひとつお聞きしておきたい。
  133. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 総量規制の問題につきましては、もう先生十分御承知でございますが、私ども環境庁の基本姿勢といたしまして、排水規制の方式として望ましい方式であるから、これをなるべく早期に導入をいたしたいという考え方で、いろいろの問題を詰めておるわけでございます。  この問題を解決いたすためには、先生御案内のとおり、許容汚濁負荷量をどのように把握するか、それからまた各事業場等にその汚濁負荷量をどのようにして割り当てるか、それからまた発生源から汚濁因子が出てまいりますのを、どのようにしてはかるか、またモニタリングをどうするか、こういったような一連の問題を解決する必要がございまして、そのためには広域水質汚濁調査でございますとか、あるいは工場ごとの汚濁因子の排出の原単位調査でございますとか、そういう基礎的な問題がわかっていないとできませんので、そういう問題を真剣に詰めます一方、これはやはり、この方式は閉鎖性水域に最も適用する値打ちのある方式であるということになりましょうから、具体的な海域を想定し、あるいは水域を想定をいたしまして、そういうところで、どのような当てはめ方ができるかということも、あわせて予算を要求をいたし、調査を続けておるわけでございまして、この結果を待ちまして私どもできるだけ早く結論を得たいというふうに思っております。  御指摘瀬戸内海法は期限延長の二年以内に改正ということになるわけでございますので、その際には瀬戸内についてはどうするかという問題もあわせて解決しなければならないというふうに考えております。
  134. 岡本富夫

    岡本委員 これは長官、大事なことなんです。やはり専管水域の二百海里ですか、あれとか、いろいろなことで遠洋漁業もできなくなってくるわけでしょう。たん白源、要するに漁業のたん白源がどんどん諸外国から締め出されていく、こういうふうになりますと、日本の国土の周辺でどうしても養殖漁業といいますか、これに切りかえなければならない。その点につきまして、特に、この瀬戸内海なんかは赤潮で養殖ができなくなってくる、こういうことで、どうしてもこれは環境庁として一番取り組まなければ、日本の大事なたん白資源というものが、もう壊滅してしまう。したがって私は、この点は非常に大切な問題であろうと思います。ですから、いまは非常にわけのわからぬような答弁だったから、もう一つ瀬戸内海環境保全基本法と、同じような総量規制を日本全国の地域に、閉鎖性の湾でなくして、ほかもやはりやっていかなければならぬ。それには相当研究もしなければなりませんけれども、ひとつ前向きの積極的な対策、これは長官、あなた個人の意見としても、いかがですか。
  135. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 ただいま先生指摘された二百海里専管水域、これはもう、わが国の漁業にとって大きなダメージを与えると思います。やはりその代替を考えなければなりません。それには、もうおっしゃるとおり瀬戸内海は最大の閉鎖地域でしょう、これがきれいになって養殖に適ということになれば、ずいぶん代替措置としては有効になると思う。そういう意味では全く先生と私、意見を同じにしております。  そこで、いま局長が申し上げて、大変長い説明でございましたが、あの中に詳細をきわめておると思うのであります。先ほど私は、どなたでしたか木下先生か土井先生の御質問にお答えしたとおり、瀬戸内海の水質の清浄化というものは非常に重要な問題であります。したがって、重要な問題に取り組む基本的な姿勢につきましては、私が冒頭に申し上げたとおりでありますが、それにはやはり技術的にいろいろな過程、手続がありますので、そういう問題を慎重に踏みながら、しかもできるだけ早い時期に効果が上がるような手を打つてまいりたい、こういうふうに考えております。趣旨は私も全く先生と同趣旨であります。
  136. 岡本富夫

    岡本委員 瀬戸内海だけじゃなくして、いまここに田中先生も見えていますが、この三木派は関係ないんだが伊勢湾、それから東京湾、そういう日本国全部の海域に、そういうことをしなければならぬ、こういうように私は提案しているのです。
  137. 丸茂重貞

    丸茂国務大臣 どうも恐れ入りました。ちょっと落としました。もちろん閉鎖水域これに類するところ、これはもう日本の将来を考えれば当然たん白資源、漁業資源の大事なところですから、瀬戸内海がそうなりましたら、逐次そういうふうなところにやっていくようなことを環境庁はやらないと、画竜点睛を欠くような気がいたしますので、そういう方針で私も指導してまいりたい、かように考えております。
  138. 岡本富夫

    岡本委員 次には、これも懸案だったのですが、健康被害補償法をつくったときに同時に財産被害、この補償もできるような制度にしてもらいたいということで、これはたしか、いまから二年ほど前の予算委員会でも財産被害、生業被害の補償、こういうことも検討して、入れるということを、たしか、これは三木さんでしたか、三木さんという人がおりますね総理大臣に。あの人が答えておるわけなんですね。ところが、その後二年間、もうほったらかしになっておるのですよ。ですから、この健康被害に対するところの補償法と同時に、今度は生業被害の補償法、これを今後どういうように織り込んでいくか、この検討についての方針をひとつ明らかにしてもらいたい。
  139. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬政府委員 健康被害が重要なことは、もう言うまでもないことでございますが、生業被害といいますか物的な被害についても、これはやはり十分検討していかなければならぬ問題で、昨年、環境庁といたしましては、いろいろな物的被害がございますので、そういう物的被害にどう対処していくかということにつきまして、専門家の方々にお集まりをいただいて、どうあるべきかということについて基本的な考え方というのをまとめていただきまして、その考え方に基づいて、個々のいろいろな物的被害がございます、油濁の問題とか、あるいはカドミの被害の問題とかございますので、その基本的な考え方に基づいて、物的被害の中でも加害者と被害者がはっきりしている場合には、これは、それぞれが話し合うなり、あるいは裁判なり調停なり、いろいろなことで、いままでも解決してまいっておるわけでござますが、特に加害者がわからないとか、あるいは加害者がおったけれども、いまいなくなっちゃったとか、あるいは加害者がおるんだけれども補償できるような資力を持ってないとか、そういうことについて、どうするかということの考え方をまとめまして、各省庁にそれをお渡しいたしまして検討をお願いしたわけでございまして、それに基づいて、特にいま問題になっておるのは、先生おっしゃいましたような瀬戸内海等の油濁の問題が一番大きい問題でございまして、その件につきまして農林省、水産庁の方で、ことし一年、十分調査をしていただきまして、来年、制度化を図る方向で、現在、水産庁で、そういう方向で予算要求等もやっていこうという方向にいっておるわけでございます。
  140. 岡本富夫

    岡本委員 時間がありませんから私、最後に大阪空港の問題で空港騒音の問題をちょっと聞いておきたいのですが、航空局長来ていますね。これは先国会でもやりましたのですが、テレビの減免地域の拡大について検討してもらえるかどうか。たとえば西宮の甲子園二番町ですか、これは一つずつ言うのもおかしいからあれですが、まずテレビの減免地域の拡大を今後検討できるのかどうか、これをひとつお聞きしておきたいと思うのです。
  141. 梶原清

    ○梶原説明員 テレビの受信障害対策につきましては逐年、拡充強化をいたしてまいりまして、昨年度からWECPNL七十五以上の地区につきまして四分の一の助成を始めたわけでございます。その区域につきましては、関係市と御相談をいたしまして、一応の御了解を得て現在の区域を指定したわけでございます。  その後、区域拡張につきまして強い要望もいただいておるわけでございまして、私どもとしましては、騒音の実態、予算規模、それから関係地域の調整等をよく検討いたしまして、その微調整といいましょうか、部分的に調整することにつきまして、いま作業しておるわけでございますが、何せ、なかなかむずかしゅうございますので、できるだけ早く結論を出すように努力をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  142. 岡本富夫

    岡本委員 そんないいかげんな答弁じゃ話にならぬけれども、時間がないから、この次にまた聞きましょう。  そこで、テレビの助成地域で確かに助成金がその契約家庭にいっているのかいってないのか、これが非常に問題なんですよ。伊丹あるいは尼崎をちょっと例にとりますと、契約数が約三千二十件に対して助成金の未着が二千二百七十件。要するに、ぼくの調べたところによると助成の完了したところは七百五十件ということなんですね。このことについて郵政省は御存じなんですか。それと、この解決策はどうするのか。これは本当はNHKに来てもらえば、もっとよくわかったのですが、きょうは来ていないのですが、ひとつ、あなた答弁できますかね。
  143. 田代功

    ○田代説明員 郵政省でございます。  空港周辺の家庭に現実に助成金がいっているかどうか、確実に届いているかどうかという調査は、私どもの方ではしておりません。  ただ、従来の助成の仕方は、本来ならば家庭からは全額NHKが徴収して半額をその家庭に届けるシステムでございますが、実際のやり方としては、各家庭から半額だけ徴収して、残りの半額は航空公害防止協会から直接NHKの方に入っている、こういうふうに聞いておりますので、いまのような心配はないかと思いますが、先ほどお話がありました四分の一助成の分が、五十一年度になって五十年度分にさかのぼって措置されたということでございますので、その間に各家庭への助成金の交付がおくれたりしたのではないかと思っております。
  144. 梶原清

    ○梶原説明員 先ほどお答えをいたしましたように、四分の一地域の助成につきましては五十年度から始めたわけでございますが、区域の設定をいたしましたのが年度末近くになったわけでございます。したがいまして、各聴視者からは全部NHKさんの方へ聴視料を納めていただいておったわけでございます。したがいまして私どもは、公害防止協会を通じて、四分の一に相当する金額を各戸の受信者の方に払い戻すという作業をしたわけでございます。その間、私どもの承知いたしておるところにおきましては、郵便で全部お配りをしたわけでございますが、住所等が非常にはっきりいたしませんで、また戻ってきたというような事跡もあるようでございます。私ども、その割合がどのようなものであったかということは、いまここに、つまびらかにいたしておりませんが、そのような手続をいたしたために、いまのような結果になったのではなかろうか、かように考えておるわけでございまが。
  145. 岡本富夫

    岡本委員 要するに、あなた、おっしゃったように公害防止協会から金を送るのだけれども着かない、あるいは未着、要するに返っているとか、いろいろと問題があるのです。これはやはり一軒一軒、一番よく把握しているのはNHKなんですから、公害防止協会から送るのではなくして、NHKから渡せば、これは皆、一軒一軒に渡るのですよ。この点は改革を要求いたしまして、きょうは時間ですから終わります。
  146. 吉田法晴

    吉田委員長 次回は、来る十五日金曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十三分散会