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1976-10-27 第78回国会 衆議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月二十七日(水曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 渡辺 栄一君    理事 内海 英男君 理事 小沢 一郎君    理事 村田敬次郎君 理事 井上 普方君    理事 浦井  洋君       奧田 敬和君    塩谷 一夫君       田中  覚君    中尾  宏君       松野 幸泰君    佐野 憲治君       渡辺 惣蔵君    瀬崎 博義君       新井 彬之君    北側 義一君       渡辺 武三君  出席国務大臣         建 設 大 臣 中馬 辰猪君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 天野 光晴君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       河野 正三君         国土庁土地局長 松本 作衛君         国土庁地方振興         局長      土屋 佳照君         建設大臣官房長 粟屋 敏信君         建設省計画局長 大富  宏君         建設省都市局長 中村  清君         建設省河川局長 栂野 康行君         建設省道路局長 浅井新一郎君         建設省住宅局長 山岡 一男君  委員外出席者         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部監         理課長     松村 義弘君         日本国有鉄道施         設局土木課長  野沢 太三君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ————————————— 委員の異動 十月十九日  辞任         補欠選任   奧田 敬和君     船田  中君   塩谷 一夫君     岸  信介君 同月二十七日  辞任         補欠選任   三枝 三郎君     塩谷 一夫君   田村 良平君     奧田 敬和君   谷川 和穗君     綿貫 民輔君 同日  辞任         補欠選任   奧田 敬和君     田村 良平君   塩谷 一夫君     三枝 三郎君   綿貫 民輔君     谷川 和穗君     ————————————— 十月十八日  一般国道一九号の改築に関する請願小坂善太  郎君紹介)(第六二二号)  同(小川平二紹介)(第六五三号) 同月二十五日  日光いろは坂無料化適用地域拡大に関する請  願(森山欽司紹介)(第七一七号)  福岡県岡垣バイパス早期建設に関する請願(  大橋敏雄紹介)(第八五七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  派遣委員からの報告聴取  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 内海英男

    内海(英)委員長代理 これより会議を開きます。  去る二十一日、二十二日の二日間、長良川吉野川千種川水系等における治山治水事業実情調査のため、岐阜県、徳島県及び兵庫県に委員を派遣いたしました。  この際、派遣委員から報告を聴取いたします。渡辺栄一君。
  3. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 去る十月二十一日、二十二日の二日間にわたり、長良川吉野川千種川水系等における治山治水事業実情調査のため、岐阜徳島及び兵庫の各県について調査を行いましたので、その概要を御報告申し上げます。  まず、長良川水系について申し上げます。  長良川等、いわゆる木曾三川につきましては、明治二十年に直轄事業着工以来、おおむね九十年にわたり、昭和五十年度単価にして累計約千五百億円の投資が行われてきたのでありますが、当局の試算によりますと、同じく昭和五十年度、単価で、その残事業費は、昭和五十一年度以降なお約五千億円に上り、これにダム事業費中の治水分約二千億円を合わせますと、約七千億円を上回るものと推定されているのであります。  昨年の揖斐川の大出水、今回の長良川の大出水にかんがみましても、これらの改修事業の大幅な推進が要望されているのでありますが、木曾三川匠対する改修事業費木曾上流下流事務所分を合計いたしましても、年々六十億円程度にとどまっているのが実情でありまして、このままに推移いたしますときは、単純に計算いたしましても、改修事業の竣工までに今後なお百有余年を要するものと試算されているのであります。  このうち長良川につきましては、昭和三十四年、三十五年、三十六年の相次ぐ大出水から十数年を経て、その間、狭窄部引き堤弱小堤の補強、水衝部護岸水制、さらには内水排除のため揚水機設置等事業を実施してきたのでありますが、今般の十七号台風に伴う前線の活動により、警戒水位を突破すること延々七十時間余にも及ぶ洪水により、安八大森地先で破堤したほか、全川にわたりのり崩れ、のり亀裂漏水等被害をこうむるに至ったのであります。  これが対策として、災害復旧事業等を早急に実施する一方、恒久対策として、今回規模の洪水を安全に流下させるための長良川改修計画の再検討が急がれているのでありますが、われわれが調査いたしました中流部におきましては、一、岐阜市の鏡島及び合度地区大幅引き堤、二、支川伊治良川の全面改修、三、岐阜周辺堤防漏水対策及び内水対策、四、羽島市、安八郡の一部及び本巣郡一帯堤防漏水対策支川犀川等河道修正及び内水対策等中心改修計画検討されている模様でありまして、地元におきましては、早急な改修事業の実施に多大の期待を寄せているのであります。  特に内水排除につきましては、今回の出水に際し、一部地区におきまして、既設の排水機三台が同時に一時運転不能となったことにかんがみまして、排水機の完全な運営管理体系の確立と、専門技術職員の配備について、強い要請が行われているのでありまして、いま直ちに排水機場のすべてに専門職員を常時配置することにつきましては、種々解決すべき問題が残されている模様でありますが、最近における技術の急速な高度化に伴い、当然考慮すべき問題を含んでおるものと考えられるのでありまして、今後、全国的な内水排除問題の一環として、その具体化について検討する必要があろうかと思われるのであります。  なお、今回の庄川水系最上流御母衣ダムの満水時における放流問題につきましても、今後、電力ダムダム操作規程の再検討等を十分考慮する必要があるものと考えられるのであります。  次に吉野川水系について申し上げます。  吉野川水系につきましては、明治四十年に直轄事業着工、自来、主として高水工事を重点とした第一期改修事業下流部河口部岩津間四十一キロの区間について行われ、昭和二年に一応の概成を終了、現在、内水対策高潮対策事業等が実施されているのでありますが、一方、上流部につきましては、吉野川総合開発事業に関連して、岩津池田間三十七キロの区間における無堤部の解消にようやく努力が払われようとしているのが現状であります。  もともと、吉野川水系一帯の地質は、東西に走る中央構造線、みかぶ構造線と称せられる二本の構造線により三層に分割されている、全国でも有数の破砕帯地すべり及び崩壊多発地として知られているのでありまして、このため明治十八年には、すでに支川曾江谷川ほか三渓流に対し、直轄砂防事業が開始され、その後補助砂防として明治三十四年に支川高瀬谷川に着手以来、主として左岸渓流において補助事業が継続的に実施されてきたのでありますが、さらに、昭和四十六年は支川祖谷川が新たに直轄砂防事業施行区域となり、昭和五十一年現在、直轄、補助合わせて百十八渓流において荒廃対策が行われてきたのであります。  しかるに、このたびの台風十七号に伴う前線による記録的な連続降雨によりまして、吉野川下流デルタ地帯におきましては、吉野川本川水位の長時間にわたる上昇により、これに流入する左右の支川群は、その流出機能が極度に低下し、そのため内水が広域かつ長期にわたって湛水する等の被害が続出したのでありますが、一方、上流山間部につきましては、徳島県の西南部に位置する剣山とその周辺山地部を初めとして、至るところで数え切れないほどの大崩壊を生じ、その土石が穴吹川等に流入し、延々四キロ余にわたり河道を埋塞し、溢水は耕地、公共施設はもとより、人家等を埋没、決壊あるいは流失せしめる等の惨状を惹起するに至ったのでありまして、ちなみに砂防施設被害状況のみに例をとりましても、徳島県全体における被害個所数百十四カ所中、実にその九三%に当たる百六カ所を吉野川水系が占めているのを見ましても、その状況は容易に想像できるものと考えられるのであります。  また、今回調査を行いました兵庫県の揖保川におきましても、その中流部に当たる一宮町におきましても、山地崩壊により、町の中心部に壊滅的な打撃をこうむっているのでありまして、国土面積の七五%を山地が占めているわが国におきましては、たとえ危険の多い山間部においてさえも、そこに生業を求めて在住せざるを得ないという地理的、地形的な特殊事情を勘案いたしますとき、今後における強力な治山砂防対策必要性が痛感されるのであります。  最後に中小河川千種川水系について申し上げます。  千種川水系は、明治二十五年七月に未曾有の大洪水に見舞われ、激甚な被害をこうむるに至りましたため、抜本的な改良工事を実施することとなり、翌二十六年より三十年間の長期にわたり、明治二十五年当時の八十余万円の国庫補助金と、赤穂内町村費負担に属する河川に対し堤防修繕工費として十五万円余の費用が投ぜられて、延長十八・二キロの間について築堤工事が行われたのでありますが、その後におきましては、本格的改良工事は実施されないまま、災害発生に伴い支川中心改良復旧事業が、また同じく支川に対して小規模河川改良事業あるいは局部改良事業を部分的に実施して今日に至っているのであります。  このため、今回の連続降雨に際しましては、赤穂市内における千種川左岸堤三カ所の破堤及び右岸堤三カ所の漏水による裏のり面崩壊を初めとして、各所にはんらん、浸水を続出して、沿川の赤穂、上郡、上月、佐用等の市町村に甚大な被害を与えたのでありまして、いみじくもわが国における中小河川の豪雨に対する脆弱さを露呈する結果となったのであります。  このように、近年のわが国における中小河川水害恒常化の傾向を示しているのでありますが、昭和五十年度末における中小河川整備率を見てみましても、都市河川において二四・五%、一般河川において一〇・七%、したがいまして、中小河川全体としての整備率一二・八%という数字は、第五次治水事業五カ年計画において、中小河川整備事業の位置づけをおのずから示唆するものとして注目すべき数字であろうと考えられるのであります。  一方、未曾有連続降雨であったにせよ、大河川である長良川吉野川等に大災害を惹起いたしましたことは、近来言われていた災害に強い大河川という概念を破ったものとして注目されたのでありますが、いま、昭和五十年度末におけるわが国大河川整備率平均について見まするに、中小河川整備率平均一〇・七%をはるかに凌駕してはいるものの、ようやく五〇%に達したにとどまっているのが現状でありまして、この数字から見ましても、災害に強い大河川という概念が必ずしも実情をあらわしたものでないことを如実に物語っているものといえるのであります。  また、整備率五〇%という数字について、第五次治山治水事業五カ年計画の策定に当たって、特定財源等をも含め飛躍的な総事業量の増加を図る一方、地方公共団体財政事情をも考慮して、いわゆる激特事業補助率の引き上げ、設計委託費補助全面採用等につきましてもきめ細やかな行政を推進されんことを希望いたし、御報告にかえることといたします。  以上。(拍手)
  4. 内海英男

    内海(英)委員長代理 これにて派遣委員報告は終わりました。     〔内海(英)委員長代理退席委員長着席〕      ————◇—————
  5. 渡辺栄一

    渡辺委員長 次に、建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上普方君。
  6. 井上普方

    井上(普)委員 私は、ただいま十七号台風による被災状況調査委員の一員といたしまして、三県にまたがる視察をしてまいりました。気づいた点について御質問いたしたいと思います。  どうもこの昭和三十年から二十年間の間に、日本国土は非常に変化をしてまいりました。特に人口移動と同時に、それに相応した都市施設等々がかなり行われてまいりましたけれども、あるいは道路も行われてまいりましたけれども、それに対する水の対策という点において十分な施策が行われていなかったんじゃなかろうかという気がしてならないのであります。  たとえて言いますならば、道路ができた。しかし道路はできたけれども、道路によって大雨のときに遮断されて、それから上流部の方が水浸しになるというようなケースがかなりあるし、また戦後御承知のようにダムがたくさんできたけれども、そのダムによる貯水ができて、しかし放流する時間がかなり長くなってまいりましたので、したがって長良川におけるがごとく水かさが増しておる時間が非常に長くなってきた。したがって、今度の長良川決壊原因を聞いてみますというと、長くなったので堤防が弱くなったのだ、こう言うけれども、ダムから、貯水してそして放流するということになると、当然予測される事柄であります。あるいはまた、ダムをつくったために下流部におきましては本川水位が高くなるので本川堤内地の水はけが悪くなる。したがって滞水時間というものが非常に多くなり、床上浸水というような洪水被害がかなり出ておるように思われるのであります。  そこで、ここはやはり治山治水と言いますか、治水対策の総合的な見直しがいま行われる必要があると思うのですが、いかにお考えになりますか。この点、戦後いままで三十年の土木工事と特に水害との関係について考える必要があるのじゃないか、こう思いますので、この点お伺いしたいと思います。
  7. 栂野康行

    栂野政府委員 お答えいたします。  いままでの洪水による被害都市環境変化とか国土開発とかそういうものを含めまして、治水というものをどういうふうに見直しておるかという御質問でございますが、これはハードな面とソフトな面と二つございます。  まず治水施設整備でございますけれども、今回の災害にかんがみましても、治水施設整備あるいは砂防ダム整備というものができておるところは非常に被害が軽減されたという地元皆さま方の声を現地で聞いたわけでございます。したがいまして、どうしてもまず第一には治水施設整備を強化していく、一日も早く促進していくということが第一であろうかと思います。  と同時にまた、今回の長良川の破堤で見ますように、また先ほど先生もおっしゃいましたように、長時間の異常な洪水の継続というものあるいは地元における雨、そういう複合によって堤防がうんで切れたということにかんがみまして、やはり堤防設計そのものにつきましても、そういう場合にはどういう計画であるべきかという点の純技術的な見直し、再検討というものもやっていきたいというふうに考えてございます。  と同時にまた、私たちとしましては、いわゆる治水施設というものをまず整備していくということが第一でございますけれども、現状のいわゆる治水施設整備水準、あるいは将来も考えてみまして、そういう施設整備とあわせましてやはり流域の適正な利用といいますか、あるべき姿といいますか、そういうものの検討も必要じゃなかろうかというふうに考えてございます。  たとえて申し上げますと、雨が降った場合に、いわゆるその雨が川に出てくるのをいかにおくらすか。たとえて申し上げますと、山地部の森林の保全ということによって水の出方をおそくする、あるいは平地部におきましても、いろんな方法によりまして水の出るのをおくらす。遊水地などもその一つでございます。またその流域土地の適正な利用、たとえて申し上げますと、水に強い都市づくりといいますか、町づくりといいますか、そういうものも必要じゃなかろうかと思います。仮に百年に一回の洪水の場合にはあふれても、それが床上浸水に至らないためにはどうすればいいかとか、あるいは家が流されないためにはどうすればいいかとか、そういうもののいわゆる町づくり一つ問題になってこようかと思います。  と同時にまた、各地域の住民の皆さん方に、自分が住んでいる土地がどういう土地であるか、浸水に対してどういう土地であるかというふうな浸水予想区域といいますか、あるいは土石流から生命を守るために土石流危険区域の設定とか、そういうふうな総合的な治水対策というものが必要になってこようかと思います。  これらにつきましては、今回の台風後、うちの建設大臣から命ぜられましていろいろ検討しておる次第でございます。そうしまして、河川審議会におきまして学識経験者先生方に集まっていただきまして、こういう問題を十分検討していただいて、それを一つ建設省統一意見とする。と同時にまた、各省と関連します問題が多うございますので、国土庁あたりにいろいろお世話になって、いわゆる都市の適正な土地利用というものにつきまして向かってまいりたいというふうに考えます。
  8. 井上普方

    井上(普)委員 私は、国土改良事業といいますか、改造事業にマッチしたような治水対策ができていなかったのではないか、これは大いに反省をしなければいかぬ点ではなかろうかと思います。たとえば国道二号線あるいは高速自動車道ができておる兵庫県におきまして、道路上流には水がたまるというような現状を見ております。したがって、ここは当然それだけの暗渠をつくっておかなければならないんだけれども、それの計算ができていなかったのではなかろうか。それには、あるいは宅地開発もありましょう。そのときそのときの様子からいたしまして、計算をやり直す必要があるのではなかろうかという気がしてならないのであります。同時に、国土改造事業が行われた一環といたしまして、それによる弊害がかなり出てきておる。総合的な対策ができていなかったのではないか。  一例を申しますと、吉野川上流に早明浦ダムができまして吉野川の水が非常に濁ってまいりました。その後、調整ダムといたしまして池田ダムができたことは御承知のとおりであります。けさ私のところに電話がかかってきたのでありますが、台風が過ぎましてもう一カ月以上になりますけれども、現在におきましても池田ダムが濁っておる。池田町という町があるのですが、これは人口大体三万ぐらいありますが、そこの中心部をなしております商店街あるいは集落、約一万人の人口がそこにありますが、そこの周辺の井戸水それから上水道全部が濁って、現在使うのが困難ということになって、きのうも町議会で大問題になっておるようであります。これは御存じないかもしれません。知っておりますか。——こういうような問題に対してどういうような対処をするのか。この点ひとつお伺いしたいのです。  それからもう一つは、ダムができたけれども、ダムのおかげでダム上流において堆積が非常に多くなってきている。ために河床が上がって、そして水位が上がるがゆえに水没するというケースもかなり出ておるようであります。  それから、こういうような一面がある反面、前前から過疎地帯になりますと、そこらの砂防あるいは施設というものがおろそかになりつつあったのではなかろうかと思うのであります。私、この間も申し上げたかもしれませんが、私の生まれた徳島県というところは非常に山が峻険であります。峻険でありますにもかかわらず、その七、八百メートル高いところに人家が張りついておるという状況であります。その中で前々から有名な砂防工事をやっておるところは今度は助かっています。しかし、やっていないところというのは全部崩れたと言っても過言じゃございませんでしょう。昔、古宮村という村がございましたが、そこでは過疎現象が起こりまして、いまでは人家が四百五十戸に減っております。大体半分になっております。その四百五十戸のうちで、この間の台風によりまして川っ縁にあるものは全部流された。被害をこうむった。山の上にある部落、住家はほとんど地すべりによって傾いておるという状況で、現在四百五十戸のうちで三百戸が移転をしなければならないという、全村壊滅状況になっておるのであります。これは、治山事業が非常におくれておったこと、これはもちろんでありますけれども、今後の対策としてどうすればいいかということを真剣に考えなければならない時期が来ておるのじゃなかろうかと思います。  過疎対策事業あるいは災害対策事業で新しく集団移転する際には大体国庫補助でできるのだというようなお話がございますけれども、これは国土庁の方でもあるいは建設省の方でも。しかし実際問題として、四百五十戸のうちで三百戸が動くということになったら、その敷地が手に入りません。敷地がまず手に入らない。大体その古宮村から二十五キロないし三十キロ離れたところでなければ平たん部に出られませんので、これはもう大変なことになる。村としての存立がどうだろうかというところは旧古宮村のみならず、現在の一宇村でもそういう現象が起こっておるのであります。これらに対して一体どうすればいいか。そしてまた集団移転の場合国庫補助の対象になるというお話が再三あるのでございますけれども、地元の町長さんに聞きますと、やはり県の指導によって、それはできない、これはできるというケースがかなり起こっておるようであります。こういうような点についてどうするのかという方針をひとつ国土庁としてお考え願いたい。総合的な対策をひとつ考えていただきたい。  あるいはまたもう一つ申しますと、昨年にも被害がございました。災害復旧費をひとつ早急に査定しなければならぬということで、調査設計を各村々はやっておるわけであります。ところが、全県的に傷んでおりますので、調査設計をする技術屋が村の中にはおらないことは御存じのとおりですが、県の役人も人数が少なくてそこに派遣することができないというケースがかなりあり、民間に委託して査定を受けるための調査設計をやっておるというケースがかなりあるのであります。しかし、その調査設計費につきましても補助規定がございませんので、私の方の美郷村なんかを見てみますと、税収が三千万円ぐらいしかないところで調査委託設計費が一億三千万円要ったというケースもあるのであります。村財政としてはこれはもう持ち切れぬというので、悲鳴を上げておるのがあるのですが、ここらあたり対策についてもひとつお伺いいたしておきたいと思います。  それから先ほど委員長からも申されましたが、激特災害一般改修費の中から出されておるようであります。これはやはり項目を新たにして激特災害というものに対する対策を講ずる必要があるのじゃないか。予算処置としてやる必要があると思うのですが、この点の対策はどういうようにやられておりますか。  以上、飛び飛びになりましたけれども、お伺いいたしたいと思います。
  9. 栂野康行

    栂野政府委員 お答えいたします。  まず第一番目の池田ダムの濁水による上水、飲み水の支障の問題でございます。  今般の台風は千七百ミリあるいは二千ミリという非常に多くの雨が降って、水源地におきまして各所においてがけ崩れ、地すべり土砂崩壊というものがあったわけでございます。そういうことがいわゆる濁りの基本的な原因になろうかと思います。     〔委員長退席村田委員長代理着席〕 したがいまして、こういう濁りを除く上におきましては、まず第一にいわゆる山地部におきます治山治水というものをさらに進めていく必要があるんじゃなかろうかというふうに考えるわけでございます。それで当池田町におきましても、やはり上流における山地部の治山対策とあわせまして、なお具体的には、早明浦ダム上流にあるわけでございまして、現在、表面取水ということでできるだけ濁水を取水しないような操作をやっておるわけでございます。しかしながら、こういう表面取水の技術的な問題につきましても、もっときめの細かい、あるいはどうすれば濁水がもっと下に流れるのを少なくできるかとか、そういう面につきましてもさらに検討を加えてまいりたいというふうに考えます。また下流の浄水場におきます濁りなどにつきましても、一体となってその対策について検討してまいりたいというふうに考えます。  それから第二点の、ダムの堆砂に伴う河床上昇あるいは過疎対策ということでございますが、前段についてのみお答えいたしますと、ダムヘの土砂の流入というものは貴重なダムサイトの資源、容量というものを食いつぶしていくということで、建設省としましても、ダム上流部におきます砂防ダムあるいは砂防施設というものにつきましても、従来からも重点を置いておりましたけれども、今後ともそういう面にも重点を置いて治山治水整備を図っていきたいというふうに考える次第でございます。  それから第三点の、災害復旧する場合の設計を民間に委託した場合に市町村に非常な財政上の負担が来る、それに対する補助の問題でございます。  これにつきましては、昭和四十七年それから四十九年、五十年と、非常に大きな災害の年におきましては、応急の措置としまして、一定要件のもとに市町村が払ったお金の二分の一を補助するということを臨時的な特例としてやってきた次第でございます。しかしながら、そういうことではいけませんので、ことしの台風十七号による設計委託も含めまして、今後は制度化してやっていきたいということで現在財政当局と折衝中でございます。  それから第四点の、激特事業というものが一般改修費の中から支出されておるということで、激特が多くなればほかの方にしわが寄るという問題で別項目にする必要があるのじゃなかろうかということでございます。  この点は全く同感でございまして、建設省としましては、来年度につきまして別項目にすべく現在財政当局と折衝中でございます。しかしながら、これもいろいろ問題がございまして、治水事業費の予算が非常に多く伸びればこういうことは必然的に解消していく問題でございます。その点、来年の五カ年事業も含めまして、よろしくお願いいたしたいと思います。
  10. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 お話のございましたように、穴吹町のみならず一宇あるいは木屋平、こういったところで大変大きな被害を受けておるわけでございますが、ここらは地形的にも災害復旧というのがなかなか容易でないところもあるやに聞いております。したがいまして、長く住んでおられたところでございますから、現地で復旧ができるところは、建設省あたりでもいろいろと御検討をいただいてそういった方途もお考えいただけるのではないかと思いますが、町長さんあたりともお目にかかって話を聞いてみますと、最終的にはどうも集団移転ということも相当考えなければいけないのではないかというようなことでございます。  そこで私も、これは地元の皆さんの御意見を十分調査をなさって対応されたらいかがでしょうかということで、急逝住民の方々の調査をされたようでございます。昨日その調査の結果をいただいたわけでございますが、回答が四百七十一世帯ぐらいございましたが、肝心なところだけ申し上げますと、移転を希望するというところが二百四十七世帯あるということでございました。そのうちで、町内で自分でめどがある、あるいは町外でもめどがあるということを除きますと、大体百九十七世帯ぐらいがいまのところ移転はしたいがめどがないというような感じでございます。特に集団移転を希望するという方々が百二十七世帯あるというようなことでございます。今後やっていくうちに、長い間住んでおられるところでございますから、いろいろな理由でこの数字はいろいろ変動することはあろうと思いますけれども、かなりまとまった数になっております。  いろいろお話を伺いますと、また近いうちに県とも合同で十分説明会もされるそうでございます。そこで私どもとしても、その結果等も聞きながら、この集団移転の際は十分相談に応じて対処したいと思っております。率直に申し上げまして、ことしの予算で考えてみましても、いま私どものところへ来ておるのは、全国で百三十世帯ぐらい移転したいというのが、ほかの地区からもございます。そういうものを含めてみましても、いまの程度なら予算的には対処できると思っておりますが、具体的に移転するとなると、いまお話がございましたように、土地は一体どこへ確保するのか、行った先で一体農業が営めるのか、あるいは転職するとすれば就職あっせんをどうしてくれるかとか、そういったことがございますので、かなりきめ細かい対策を講じないと、土地だけつくってもなかなか移転しにくいということがございますので、その点はひとつたびたび相談してくれということで地元には申し上げております。特に地元の方が一番よく事情は御存じでございますから、県と町で相談され、そして私どもが助力できるところは十分それに助力して対処してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  11. 井上普方

    井上(普)委員 それぞれ御答弁がございましたが、池田ダム濁りにつきましては、表面取水をやってダム濁りを少なくするのだ、これは早明浦ダムができてからいままで言われておることなんです。今度の場合、災害が起こってからもうすでに五十日もたっておるわけです。そこで、池田ダムのあるところの池田町において上水道が飲めないという状況になっておる。これは今後検討いたしますというような問題ではないのです。たちまち処置しなければならぬ問題だと思います。     〔村田委員長代理退席委員長着席〕 きのうから町の中で署名運動が起こるし、町議会でも非常に大問題になっておるようです。これにもう少し迅速なる処置をしていただきたいと思います。処置は早明浦ダムの表面取水でいいでしょうなんというお話ではこれは済まぬと思います。それに対する具体的対策、お考えを現在お持ちになるならばお知らせ願いたいと思います。  それから、ダムの堆積によって河床が上がった問題につきましても、砂防堰堤、砂防ダムを数多くつくることによって解決できるだろうとおっしゃいますが、来年の梅雨のころあるいは台風の時期にはもう間に合わないですね。河床が大体五メートルから七メートル、ひどいところになりますと十七メートル上がっているのですから、これはもう問題にならないと思います。これは処置を一体どうするかということを早急にお考え願いたいと思うのです。  それから、調査設計委託費の問題につきましては、早急に制度化されることを強く要求いたしておきたいと思いますし、それから激特の面につきましても、大体私が申した方向で進められておるようでございますので、なお一層の御努力をお願いいたしたいと思います。  集団移転の話ですが、いま詳しいお話を承りましたけれども、いま数字を挙げられたことを見ましても、いかにひどいかというのがわかると思うのです。昔の運命共同体的な部落の存在、それが根本から揺り動かされておるということであります。いわゆる村、共同体的な村というものが崩壊寸前になる。大体半分ぐらいが動いたらそうなってしまいます。徐々にではなくてここ一、二年のうちに動くのですから。そういうようなことになりますので、適切なる処置をひとつとっていただくよう強く要望しておく次第でございます。
  12. 栂野康行

    栂野政府委員 池田町におきます飲み水の濁りの問題につきましては、現在具体的なあれは持っておりませんけれども、やはりそういう住民の方方と一体となって、同じ気持ちでいろいろ検討してまいりたいというふうに考えます。  それからダム上流のバックサンドによる、河床が上昇しまして家がつかったりあるいはたんぼが水につかったりする問題でございますが、これにつきましては、具体的な問題につきましては、いわゆるダムの管理者に対しましてよく行政指導をし、川を掘るとかあるいはパラペットをつくって水が入らぬようにするとか、そういうことを行政指導していきたいと思います。
  13. 井上普方

    井上(普)委員 ダム堆積の問題につきましては、早急にやっていただきたい。  それから、池田ダムの上水道の濁りですね、飲めないのですよ。みんな飲んでないのです。その上水道は五十日間飲んでないです。これから冬に向かいます。いままであった井戸水なんかを使いながらやっておるのが現状であります。村の住民の皆さん方の気持ちになって対応するのは、これはまことに結構な話だけれども、それではどこに申し出たらいいのですか。対策をするのは公団でしょう。水資源公団ですね。水資源公団だけれども、具体的にどういうふうにやるのか、これをひとつお伺いしたいのですが、これはもう五十日になるのですけれども、どうやられます。
  14. 栂野康行

    栂野政府委員 水資源公団とよく連絡をとりまして、どうすべきかということを早急に検討いたしたいと思います。
  15. 渡辺栄一

    渡辺委員長 浦井洋君。
  16. 浦井洋

    ○浦井委員 まず最初の問題は都市水害でありますが、この間委員会として調査視察に行きました姫路でも、いまも話が出ましたが、市長から「暗渠災害改良事業 今次災害実情に鑑み、災害の防止を図るため、公共施設と交差する水路の暗渠改良事業に対し、特別の公共事業ないし、財政援助制度の新設と、施工等の簡略、迅速化について、格別のご配慮を賜わりたい。」こういうことでありますが、確かにそうでありまして、河川と他の公共施設が交差をして、これが原因で、特に新開地といいますか、新しく開けた市街地で今回非常に大きな湛水などの災害が発生しておるわけです。姫路なんかでも、国道二百五十号と山陽電車、こういうものが東西に走る、天川もそうでありますし、市長が言っておりましたように、的形地区あるいは広畑というようなところで浸水がひどかったわけであります。  そこでお尋ねしたいのですが、適用河川といいますか、一級、二級河川の場合にはそれなりの対応があるわけなんですが、普通河川の場合には非常に対応しにくい問題が多いということで、この姫路市長の陳情になったのだろうと思うわけでありますけれども、ひとつ実情がどうなっておるか、それぞれのところからお答えをいただきたいと思うのです。  まず、そういう普通河川、水路と、それから建設省関係、国道あるいは高速自動車道、こういうようなところとの実情がどうなっておるか。  それから、国鉄やら運輸省に来ていただいておると思うのですが、その普通河川と国鉄あるいは私鉄との交差の場合、河川の拡幅というようなことで改修をぜひ必要とするという場合に、費用は一体どうなっておるのか。河川側が持つのか、それとも国道側が持つのか、鉄軌道側が持つのか、この辺をそれぞれのところからお答えを願いたいと思うわけです。
  17. 栂野康行

    栂野政府委員 まず、普通河川と構造物との接点の問題が一つございますが、その前に、普通河川でない下水路あるいは農業用水路との接点もございます。  それで、まず普通河川の場合についてお答えいたしますと、普通河川の場合はまず市町村がその対策を講ずるということになってございますが、被害が大きい場合には適用河川あるいは準用河川に指定して、事業を実施していくというふうな筋書きになると思います。  その場合の道路あるいは国鉄との費用の分担でございますが、まず国鉄との交点におきましては、いわゆる建国協定、建設省と国鉄との協定に基づきまして、準用河川の場合にはそれを準用するわけでございますが、大体二分の一と二分の一というふうに持つような姿になります。  それから私鉄の場合は、その河川の改修に基づいて私鉄の橋をかけかえるとかいうような場合には、その大半をほとんど河川管理者が持つという姿でございます。  それから道路との関連でございますけれども、道路との場合は、建設省内部に道路局長都市局長、それから河川局長の三局長通達がございまして、おのおのがその実態に応じましてお金を分担して改築工事を行っておるというのが実態でございます。
  18. 野沢太三

    ○野沢説明員 国鉄の場合についてお答えいたします。  一、二級河川につきましては、先ほど建設省の方でお答えいただいたとおりでございますが、普通河川につきまして、河川管理者側あるいは用水の管理者側との明確な取り決めはいまございませんが、費用の負担につきましては、国鉄側の施設に対する防災上の受益がある場合につきましては、ただいまの規定を準用いたしましてやることができることになっております。ただし、私どもの方でも二万一千キロの各線路につきまして多数の一般普通河川がございまして、これらの費用につきまして十分な応答がいたしかねております関係で、国の御負担等につきまして関係方面にお願いをいたしておるところでございます。
  19. 松村義弘

    ○松村説明員 私鉄の分についてお答えいたします。  ただいま建設省の方から御説明のありましたとおり、大部分は河川管理者が負担しております。ただ、私鉄の方におきましても受益する範囲内において私鉄が負担しておるというのが実態でございます。
  20. 浦井洋

    ○浦井委員 いろいろお答え願ったわけでありますが、実際上はそううまいことはいっていないといいますか、たとえば姫路市なんかで聞いてみますと、まず国鉄の場合、普通河川あるいは小さな細かい水路は、協定その他は何にもない、費用はすべて末端自治体持ちで、設計協議はやってくれるし、工事はもちろん国鉄がやるが、しかしなかなかやってくれない、こういう実情であります。     〔委員長退席内海(英)委員長代理着席〕 それから、私鉄の場合で言ったら、国鉄とほとんど同じで、むしろ国鉄よりもまだなかなか話が進まないということでありまして、建設省内部の話はそれはそれなりにわかるわけでありますが、県道なんかの場合でも、まれに暗渠改良を県がやってくれることがあるけれども、そのほかはすべてほったらかしで末端の自治体持ちだ、こういうことだそうであります。ところが、そうなってまいりますと、これは財政困難の折から市町村はなかなか金が負担できない。そうすると工事もできない。そして今回のように都市災害というかっこうで被害が繰り返して反復して起こってくるということであります。  だから、私この際、一つはいまも建設省言われたように、全部とは言いませんけれども、必要な場合には積極的に普通河川を準用河川に指定していくような、そういうもっと意識的な行政指導がなされなければならぬのではないか、一応そういうふうにすれば、国の補助事業のルートにも乗るわけですし、国鉄との間の話もいまよりも進むだろうしというふうに思うわけですけれども、この辺の問題についてもう一遍建設省の方から御意見をお伺いしたい。
  21. 栂野康行

    栂野政府委員 先生のおっしゃる意味はよくわかります。しかしながら、いわゆる普通河川を準用河川にする場合に、未改修の河川が非常に多うございますので、普通河川であっても被害の実態に応じまして必要なものは準用河川に持っていくというふうにいたしたいと考えます。
  22. 浦井洋

    ○浦井委員 受益の範囲内においてということで国鉄も運輸省の方も言われたわけでありますけれども、都市の様相が変わってきておるわけです。確かに国道にしてもそうでありますが、国鉄、私鉄、これが通ったときにはそれでよかったかもしれない。しかし、いまではそれがネックになっておるということでありますので、そういう点では相当根本的に概念を転換をさして、自治体が河川改修を必要としておるから市町村が財政負担せいというような形でなしに、少しこれは国鉄あるいは私鉄の側も考え直さなければならぬのではないか、こういうふうに私は思うわけであります。  けさちょっと聞いたわけでありますけれども、これは水路ではありませんが、京都の宇治では高架にして近鉄が徐行しておる。そうすると電力を非常に多く食うので、その超過した消費量の費用を宇治市に負担をさしておるというような例もあるわけでありますから、ひとつ運輸省の方としても国鉄の方としても十分に建設省と相談をして、私鉄などに指導していくべきではないか、やはり私はそう思うのですけれども、どうですかもう一遍。国鉄あるいは運輸省。
  23. 松村義弘

    ○松村説明員 私鉄の分についてまずお答えしたいと思います。  河川改修が必要になって生じた鉄道の橋梁かけかえその他の費用につきましては、やはり河川管理者の方で御負担いただきたいと私たちは考えております。また、鉄道としましても、新しい橋梁になりますと橋梁の寿命が延びるわけでございます。その面で多大の利益を得ますので、その点については応分の負担をしていただきたいと思います。     〔内海(英)委員長代理退席委員長着席
  24. 野沢太三

    ○野沢説明員 都市の開発等に伴いまして出水がふえまして、私どもの方もしばしばそれに基づく災害を受けております。その場合、いわゆる河川管理の管理者が明確になっているところは、いま申しましたルールを適用しまして御協議を申し上げておりますが、先ほどのような小さな川あるいは用水路につきまして問題がいつも非常に難航いたして、私どもも大変困っておるわけでございますが、いま御指摘のございました点につきましては、当方といたしましても必要のあることがしばしばございますので、関係の主管されております官庁あるいは自治体と十分協議いたしまして、できるだけこういった災害が起こらないように努力をいたしたいと考えております。
  25. 浦井洋

    ○浦井委員 国鉄の方がまだ脈があるようなんでありますが、運輸省の態度は私は解せぬと思うわけです。私鉄であるわけなんですが、河川改修が必要であるならばこれは市町村で持つのが当然だ、こういう割り切り方でありますけれども、ことしの委員派遣のときに三重県に行ったときに近鉄の横暴の問題が出ておったのは委員長も御承知のとおりでありますけれども、私、先ほど申しましたが、町の様相が変わってきて、そして明らかにそこに改修改良しておらないところのそういう施設があるために災害が起こっておる、こういう状態であるわけなんですから、その辺を、それもすべて河川改修をしようとするのは市町村だから、市町村が原因者だから原因者が負担せよというような突っ放し方は、私はこれはとうてい納得できないと思うのですが、もう一遍運輸省の回答をお願いしたい。
  26. 松村義弘

    ○松村説明員 河川改修につきましてはすべからく費用がかかると思っております。問題は、その費用をどういうふうに負担するかという問題であろうかと思いますが、私鉄が費用を負担した場合には、それらの費用というものはほとんど大部分は運賃で利用者に負担していただくということになろうかと思います。どの程度利用者で負担していただくか。また、河川改修を市町村でやっていただく場合には税金で負担するということになります。どの程度税金で負担すべきか。その辺をどう均衡をとるかというのが問題だろうと思います。私たち運輸省としましては、現在でき上がっております慣行で十分であると考えております。
  27. 浦井洋

    ○浦井委員 それは話にならぬですよ。どない言うていいのか、運輸省の態度というのはこれは御しがたいと私は指摘をしておきたいと思うのです。これは、せめて国鉄のような態度でひとつ運輸省も私鉄に対して十分な行政指導をやっていただきたい、このことを、時間もないので要望しておきたいと思います。  それから、その次の問題は内水排除の問題、排水機の問題でありますが、これは具体的に申し上げますとこういうことなんです。  この間委員会で視察をしたわけでありますけれども、瀬戸内北岸の場合には、姫路の市長からも陳情があったように、高潮対策事業というかっこうで排水機場が設計をされ、ポンプが置かれておる、こういうことであります。したがって実態が、樋門が非常に高くてしかもポンプの能力はそう高くないという場合が多いわけであります。ところが、瀬戸内北岸の場合には、台風なり低気圧がその地区の北を通りますとかなり雨も降る、豪雨の被害が出てくる。ところが、その地区の南側を通ると、これは高潮になる。この具体的な例は昭和九年の室戸台風あるいは二十五年のジエーン台風、三十六年の第二室戸、すべて阪神、大阪辺を直撃をしておるわけでありますが、この場合にはやはり姫路は、明石海峡以西の瀬戸内北岸は高潮に襲われておる。それで高潮対策事業というかっこうでそういう設備のものがつくられたと思う。ところが、今回のように十七号の場合はいわば豪雨型である。そうすると、せっかく高潮対策事業ということでかなり整備をされても、ポンプの能力が不足でどないもしようがない、こういう状況が出てきておるわけであります。だから、住民の側の素朴な意見としては、高潮対策事業も結構だけれども、やはり今回の場合のような豪雨型の場合、内水の排除も、強制排水もかなり強力にできるようなものにしてほしい、行政効率から言ってもその方がよいわけでありますし、こういう要望を持っておるわけであります。だから、二つのパターンをリンクさせるような実態のものにしてほしいというのが大体いまの住民の要望であります。これをひとつ御意見を伺っておきたいと思います。
  28. 栂野康行

    栂野政府委員 お答えいたします。  いわゆる高潮対策でつくる場合のポンプの規模につきまして、内水いわゆる堤内地の排水もできるような、兼用といいますか、そういうことにしたらどうかということだと思います。  堤内地のいわゆる内水排除の場合に、そこに河川がありますと、堤内地につきましてポンプをつくって川に吐くということも河川の方としてできるわけでございます。それで、先ほどおっしゃいました兼用の問題でございますが、これは各川の立地条件を見てみないと何とも申し上げられませんけれども、できればそういうふうにした方が好ましいと思います。ですから、今後ポンプをつくる場合には、いわゆる現地の実態に応じましてできるかどうかということも検討してまいりたい。と申しますのは、堤内川と両方ポンプによって水を吐くようにしましても、そこに水路がなくて、降った雨が集まってこなければ意味がないものでございますので、そういうのを立地条件と申しておりますけれども、その点を含めまして、今後新しく高潮でつくる場合には検討してまいりたいと思います。
  29. 浦井洋

    ○浦井委員 これは要望しておきます。  それから次は、激特でありますが、これはぜひとも別枠で項目を新たにしてやる、こういうことでありますが、補助率も今度五十二年度の概算要求では、一級が三分の二から四分の三に、二級を二分の一から三分の二にと要求をされておるようでありますけれども、これはぜひ実現をさせていただきたい、このことを要望しておきたいと思います。これが第一点であります。  それから、具体的にこの間姫路市長なども要望をしておりましたけれども、姫路市内の水尾川を、県の方は現在の計画からさらに山陽本線を越えて姫新線の線までやりたい、ところが市の方は山陽本線から姫新線を経て辻井というところまでやってほしい、これをこの間も姫路市長がかなり強く要望しておったわけでありますが、私は姫路市の立場というのはもっともだと思うわけであります。県のいまの計画では、肝心の姫路の市内の中枢部の排水ができない。法線の変更もやるわけでありますから、これは、いまのところ用地買収についても市の方は協力をすると言っておるわけでありますから、時期が遅くなればなるほどますます事業は困難になるのではないか、こういうふうに思うわけでありまして、この二点について建設省の御意見を伺っておきたい。  それからもう一つは、これも出たわけでありますけれども、要望でありますが、査定のための設計業務委託費の国庫補助の問題であります。これもすでに数年にわたってかなり実績があるわけですから、ぜひ制度化をして確立をしなければならぬ、このことを言っておきたいと思います。その三点であります。
  30. 栂野康行

    栂野政府委員 お答えいたします。  まず第一点の補助率のアップでございます。やはり大規模な投資を短年月で集中して投資するということから、補助率アップにつきましても、建設省としては来年度要求すべく現在財政当局と折衝中でございます。  それから第二点の、水尾川の区域の延長でございます。  県としましては、現在、先生おっしゃいますように、姫新線まで延ばしたいということでございます。まず、水尾川の激特事業につきましては現在財政当局と検討中でございますが、その事業を実施すべき区間につきましては、長ければ長いほどいいというのはよくわかるわけでございます。しかしながら、やはり激特事業というものにも一定の枠がございますので、いわゆる改修効果を含めまして現在いろいろ調査検討中でございます。できれば、長ければ長いほどいいのでございます。しかしながら、やはりその効果ということ、あるいはいろいろな制約というものが絡みまして、今後とも検討していきたいというふうに考えます。  それから第三点の、査定のいわゆる設計委託の制度化でございますが、前向きで今後とも財政当局と検討してまいりたいというふうに考えます。
  31. 浦井洋

    ○浦井委員 水尾川の場合でありますけれども、効果は必ずあるわけでありまして、いろいろな制約を取り除く努力をしていただきたいというふうに要望しておきたいと思います。  それから最後に、先ほどの河川局長のお答えの中にありましたように、流域土地利用の問題でありますけれども、今度委員会調査に参りました上郡町、一つの例を申し上げますけれども、この場合に、委員長も安室川とか梨ケ原川とか、そういう名称を覚えておられると思うのですけれども、ここの場合、町長さんはあの場ではその点については触れておられなかったわけでありますけれども、明らかに乱開発、特に梨ケ原川と安室川に囲まれた地域にあるところの播磨興産というところが開発したゴルフ場、別荘地帯、こういうものがあの災害を大きくしておる原因になっておるわけであります。  実情を申し上げてみますと、そのゴルフ場、別荘地域千二百ヘクタールの中で道路というようなものが一体どれくらいあるかといいますと、延長すると上郡から名古屋ぐらいまで長さがあるような非常に密度の高い道路をつくっておる。しかも道路の構造が全く不十分で、排水も不十分である。だから、そのために土砂流も起こるし、のり肩が崩壊するしというようなことで、特にこの安室川の災害を起こしておる、こういうことであります。  そこで、ゴルフ場の問題については、私のおります神戸でも、四十二年災の市ケ原のゴルフ場ののり肩の崩壊という例もあるわけでありますし、やはり厳しく規制をしなければならぬと思うわけであります。その対策をお聞きしたいということでありますけれども、この播磨興産などの場合には確かに森林法などで規制をした上で許可をしておるということであるそうでありますけれども、実際には余り実効がない。しかも兵庫県の開発規制要綱が昭和四十八年にできておる。要綱ができたときにはすでにゴルフ場はできておったというようなことでいろいろ問題があるわけなんです。こういう場合には一体どういうふうに遡及適用といいますか、すればよいのか、ひとつお伺いをしたいと思うのであります。
  32. 大富宏

    ○大富政府委員 お答えいたします。  ゴルフ場の規制につきましては、お述べになりましたように森林法に基づく保安林規制とか、あるいは砂防法に基づく砂防指定地という規制はあると思いますけれども、おかげさまで都市計画区域内のゴルフ場の規制につきましては、この五十年四月の改正で開発許可の対象になりました。したがいまして、ゴルフ場をつくる場合には、都市計画法に基づく第二種特定工作物ということで、開発許可基準によりまして厳しく規制をいたしております。  それから、新しい都市計画法の改正以前におきましても、宅地造成等規制法に基づきます宅地造成工事規制区域の中のゴルフ場につきましては、これも同じように厳しい技術基準がございまして、これに基づきまして排水路の問題なり、あるいは擁壁の問題なり、地盤改良の問題なり、災害を起こさないような厳しい許可基準をもってやっているわけでございます。
  33. 浦井洋

    ○浦井委員 現実にはそういうかっこうで災害原因になっておるのはだれも認めざるを得ないわけなんでありまして、やはり今後開発許可をするときには厳しく審査をして、災害が発生しないという保証のない限り許可すべきでないと思うわけであります。  それから、お答えがなかったわけでありますが、すでに許可をされたりあるいはすでに開発されておる、こういうところについては点検をもう一遍やって、防災上問題のあるものについては改善させるような指導が必要だと思うのですが、ちょっとその点。
  34. 大富宏

    ○大富政府委員 完成したものにつきましても、そういう災害のおそれのあるものにつきましては、宅造規制法に基づきまして改善命令及び監督処分はできることになっておりますし、非常に心配なところはパトロール等もよくやりまして、未然に災害を防止するような措置をとらなければならないということで指導いたしております。
  35. 浦井洋

    ○浦井委員 最後に、これも項目だけお尋ねをしておきたいと思うのです。  全国的に言えることでありますが、都市周辺の過去遊水地的な存在であった低い部分、低地が開発されて住宅地となった、それが災害原因になっておる、そういう点でこれから国がどうしていくのかということを一般的にお伺いをしたいと思います。  それから第二点は、その一環として多目的遊水地というような構想なり制度ができておるようでありますけれども、これについての展望をお聞きしておきたいと思います。  それから第三点は、先ほどもちょっと河川局長からお話がありました洪水はんらん予想区域、これの設定などは私は賛成でありますけれども、なかなか具体的な作業が進んでおらないようであります。これは一体どうなっておるのか。進んでおらないとすればどこら辺に問題点があるのか。  以上三点を聞いて私の質問を終わりたいと思うわけであります。
  36. 栂野康行

    栂野政府委員 お答えいたします。  まず第一点の、いわゆる低湿地に住宅を建ててそれでいろいろな災害が起きておる、これをどうするかという問題でございますが、こういう地域につきましては、できるだけポンプ排水あるいはその他によって被害を軽減していくように図ってまいりたいと考えます。  それで、こういう低湿地におきまして、遊水地に使える場合は、先ほど先生おっしゃいましたように、多目的遊水地という構想で進んでいきたい。と申しますのは、都市河川におきます河川改修は、河道改修で川幅を広げるということもほとんど不可能に近いということでございますので、遊水地をつくって洪水を調整していくということが非常に有効な方法だと思います。しかしながら、いわゆる都市部におきますそういう非常に利用効率の大きい土地でございますので、遊水機能を損なわない範囲で、いわゆる当該土地都市施設をあわせ持った多目的遊水地にしていきたい。都市施設というのは、たとえて申し上げますと高層住宅団地とか公園、そういうものを遊水地の中に一緒に併存するということで多目的に遊水地を使っていきたいということで、来年度から新しい構想のもとにこれを発足すべく現在折衝中でございます。  それから第三点の、洪水はんらん予想区域の問題でございますが、各住民の皆さん方に自分が住んでいる土地がどういう土地であるかということをやはり十分知っていただく、そうして、いわゆる台風時に十分にニュースを聞いておって、避難体制その他の面におきまして水害の軽減を図るということにしていきたいということでございます。  同時に、こういうはんらん予想区域調査しますと、それに基づきましていわゆる建築の様式の問題とかあるいは適正な土地利用とか、そういうものにも大いに使っていけるのではないかと考えておるわけでございます。現在、すでに本年度からこの調査に入るべく大蔵省の理解を得まして、新しい予算のもとに、どういう調査方法でいくべきかということを検討中でございます。それで、とりあえず三大都市圏から全国に及ぼしていくわけでございますので、三カ年ぐらいのめどをもちまして持っていきたいというふうに現在考えてございます。
  37. 浦井洋

    ○浦井委員 終わります。
  38. 渡辺栄一

    渡辺委員長 北側義一君。
  39. 北側義一

    ○北側委員 今回の視察に当たりまして、まず岐阜県庁で白川村の村長さんからの陳情があったわけでありますが、それによりますと、御母衣ダムは今回の豪雨に対しまして、「ダムに対する雨水の流入量が減少し、そして千五百トンの放流で済みましたが、千八百トンの設計洪水量が流されたら、また支流の大白川が増水していたらと、ぞっとします。」このようなことが陳情書に書かれてあるわけです。この千五百トンの放流でもかなりの被害が出ておるようでありますが、設計洪水量いっぱいの千八百トンが放流されますと、これはもう相当大きな被害が出たのではないか、このように私は考えるわけです。  この御母衣ダムは建設されて現在すでに十五年たっておると聞いております。そうしますと、このダム上流部分の開発、森林の伐採等で、豪雨の際など特にダムに流入する水量が非常にふえてくると思うのです。また下流部におきましても御存じのとおり河川の河床が非常に高くなったり、また財源関係もあるのでしょうが、いわゆる護岸工事とか防災工事が非常におくれておるわけです。また内水にしましても、宅地開発等によりまして、いままで遊水であったものが全部河川へ排水される。いわゆるダムの上下流ともに変化してきておるわけです。そういう場合に、この因果関係というのは非常に大きな問題が出てくるんじゃないかと私は思うのです。その点をどのようにダムの放流について考えておられるのか。特に、このダム御存じのように中部電力のダムなんですね。電力というのは水をいっぱいためておかなければならない。一挙にこれを放流する、こういうようになりますと、全国でずいぶん多くのダムがあるわけですが、やはり思わぬ災害が出てくるのではないか、こういう心配を私自身しておるわけですが、これについてどのようにお考えになっておられますか。
  40. 栂野康行

    栂野政府委員 まずダムの放流、いわゆる電力とか、そういう利水ダム災害対策ということにつきましては、四十七年に全国的な水害がありまして、それに基づきまして、いわゆる利水ダムにつきまして見直しをやったわけでございます。そうしまして予備放流の確保とか、そういうふうにルール化しまして指導を現在やっておる次第でございます。  それから、上流部における開発あるいは下流部における開発の川に及ぼす影響でございますけれども、そういう問題につきましても今後とも十分検討していくとともに、そういう開発がどうあるべきかということもあわせて検討していきたいというふうに考えてございます。
  41. 中馬辰猪

    ○中馬国務大臣 私も実は一回経験があるのですけれども、ダムと放水の関係、たとえば電力会社は非常に水が欲しいものですから、多少利害関係を異にする点がありますから、先般、四十七年にいろいろ方針が変わって、厳重にやっておりますが、やはりマンネリにならぬように、その都度その地区の最高責任者、地建の局長とかあるいは河川事務所の所長とか、そういう方々に対しては、今後いつも緊張してそういう問題を研究するようにということを私の方からも改めて申しておきます。どうしても電力会社の方は水が欲しいものですから、多少抵抗といいますか、あと一キロワット欲しいということでしょうから、その点よく気をつけて注意します。
  42. 北側義一

    ○北側委員 この点ひとつ大臣も気をつけていかれるということでありますので了解いたしますが、たとえばダム河川の下流なんかは、河床を掘り下げていくとしても全部橋をかけかえなければならないような状況になりますから、やはりこういう豪雨のときにはダムの放水量というものをよほど厳重にチェックしなければならないんじゃないか、こういう考えを私は持っておるわけです。     〔委員長退席、小沢(一)委員長代理着席〕  次に、兵庫県の一宮の山崩れですが、山崩れが起こりましてその翌々日ですか、現地へ行ったわけです。行方不明三名、負傷者三名、家屋全壊四十世帯。地すべりで一番大きな被害が今度の災害で出たのじゃないか、こう思うのです。  私、行って山崩れを見まして直感しましたことは、一体どうして復旧するんだろうということをまず最初に考えたわけです。たとえば、一体この地すべりした土砂をどうするのか。小さな山崩れじゃないんです。土砂が幾らぐらいあるか私わかりません。百万トンというふうに言われておりますが、中心部の村ごと押し流して、三階建て鉄筋も押し流して、道もつぶして、河川を変えてしまってきているわけです。土質を私現地で見たとき、あれは非常にやわらかい土砂ですね、これが非常に多いように感じたわけです。これを一体具体的にどうやっていくかということは、建設省建設省計画なりお考えがあろうと思うのですね。地元地元のお考えがあろうかと思います。建設省の考え方としては一体あの土砂をどうするのか、また、流れの変わった河川道路をどうするのか、こういう復旧計画ですね、要するにこれをどうするのか、まずそれをお伺いしたいと思うのです。
  43. 栂野康行

    栂野政府委員 一宮の山崩れでございますが、先生おっしゃいますように非常な膨大な土砂量が押し出されたわけでございます。それであの土砂量を処分するといっても、あれだけの大量でございますので、現地におきまして、たとえばでございますが、いわゆる階段的に平地をつくっていくというふうにあのまま処地していくということも一つの方法じゃなかろうかと思います。しかしながら、あの後いわゆる町をどうするかということは、やはり町民の人々の町づくりの意見も聞きながら、基本的にどうあるべきかということからまず検討していきたい、それに基づいてその対策を講じていきたいというふうに考えます。  川にしましても、現在右岸側に押しやられたわけでございますが、あれを真ん中に持ってこようとしましても、非常に時間も金もかかりますし、果たしてそれがいいかという問題もございますので、現在におきましては、一応現状のまま洪水に対処するようにやってございます。  それから道路の復旧にしましても、いわゆる押し出された土砂の上に道路をつくり直して、そして応急的に交通を確保しておるという実態でございます。
  44. 北側義一

    ○北側委員 これは新聞なんかで報道されているわけですが、あの山は、災害が起こりましてちょうど二日ほどたって行ったときに、昔からあの山は抜け山や、こう言われておった。現地ではそう言っておりました。何か三百年ほど前にもそういうような事故が一遍あったらしいのですよ。神戸大学の防災工学の権威と言われる田中教授、この人は、この山崩れは普通の山崩れじゃない、こうおっしゃっているらしいのですね。というのは、山と山がこうありまして、その真ん中に断層がありまして、この分が花崗岩で非常に弱い、そこへ水が入って一挙に流された、こういう説明をなさっておられるわけですよ。私、この説明を聞きまして、なるほどそうかもわからぬなという考えを私自身も持ったわけです。というのは、普通の急傾斜で崩れていく山の崩れ方と違うのですね。これは山全体の半分ががさっといっているのですよ。だから、この説明は正しいんじゃないかという考えを私は持ったわけですが、全国的に見てこういう山は、ここでも死者は三人ですが、土砂崩れによる人命の被害というのは一番大きいわけです。たとえば今度の台風でも、ちょっと見ますと、建設省の十月二十六日の調べですが、死者が四十九名出ておるわけですね。非常に死者が多いわけです。そういう点で、いわゆる急傾斜地法によりましてなさっておられますが、これと同じような個所が全国的に出てくるのではないかという心配があるのですが、その点の調査とか、またこれから調査なさるようなことがあるのか、その点どうなんでしょうか。
  45. 栂野康行

    栂野政府委員 四十七年にやはり大災害が全国にございまして、がけ崩れによる死者が多かったということでございまして、それに基づきまして当時総点検をやったわけでございます。それによりますと、全国で約六万カ所ががけ崩れの危険個所であるということでございます。それでその総点検は、その後いろいろ台風実情に応じまして補正して現在進めておるわけでございます。  それで、先ほど先生がおっしゃいましたように、抜け山の断層があってどうなるかというところの調査でございますが、現在そういうところを表面から見つけるのは非常にむずかしゅうございまして、そこまで至っておりません。
  46. 北側義一

    ○北側委員 非常に、表面から見るとわからない内容ですが、一宮のあの山崩れを見ますと土砂の流量が多い。死者、行方不明三というのは、聞くところによりますと、一回の土砂崩れで全部そこへ寄ってきたらしいのですね。そうして二回目、上の方がこう揺れたんで避難したから皆助かったというのですよ。あれが一挙に来たら相当な——一時私が聞いたときには、あそこの村はほとんどやられたのと違うかということであったわけです。そういうことで、もしそういうあれがあるならばやはり調査する必要があるのじゃないか、こういう考えを持っているわけです。  それと、大体前の委員が具体的に聞いていかれましたが、先ほど浦井委員も少しおっしゃっておられたようですが、特に都市とか都市周辺部、ここは御存じのとおり猛烈に開発が進んでおるわけです。そういう開発の進んだところは、いままで空き地とか農地とかあって、相当量の雨量があっても全部遊水で一挙には河川へ入らなかったのですね。ところがいまはもう全部宅地化されて、一挙に河川へ入ってくるのですよ。特に私のおります大阪あたりはそういう傾向が非常に強いわけです。たとえば昭和五十年、去年も一時間三十ミリの雨が降ったわけです。     〔小沢(一)委員長代理退席委員長着席〕 そうしますと、三回にわたりまして約二万戸が浸水しておるわけです。それで、大阪の場合ですと平野川とか恩智川、いわゆる寝屋川水系ですね。ここらを早急に整備しなければ、あれだけの大きな雨量は河内平野には降らないでしょうが、しかし仮に今度相当量の雨量があった場合には、これはもう膨大な被害が出てくると想像されるわけです。それについて現在具体的にどのようにやっておられるのか、また今後やっていかれるのか、それをお聞きしたいと思います。
  47. 栂野康行

    栂野政府委員 お答えいたします。  寝屋川につきましては、大阪市内のど真ん中を流れる川でございまして、建設省としましてもこの改修につきましては、いわゆる河道改修で第一寝屋川とか第二寝屋川を整備してきたわけでございます。と同時に、河道改修だけではどうしようもない川でございまして、太間地区あるいは毛馬地点におきまして、合わせまして約五百トンに近いポンプを使って淀川に吐くこともあわせて計画し、現在工事もやっているわけでございます。と同時に、先ほどもお話に出ましたけれども、いわゆる洪水調節地というものを恩智川水系に二つほど計画してございます。これにつきましては、いわゆる多目的遊水地としまして来年度からぜひ発足させたいというふうに考えるわけでございます。この点につきましては、やはり地元民の皆さん方土地に関します御理解をぜひ得たいというふうに考えてございます。  それで、寝屋川の現在の整備率等でございますけれども、昭和四十七年の七月と九月と相次ぐ大きな災害があったわけでございまして、大阪府におきましても、この寝屋川の改修というものは最重点施策としてそのスピードアップに努めてきたわけでございます。それで国におきましても、この寝屋川水系におきましては、中小河川改修だけではなくて、地盤沈下対策事業あるいは先ほど申し上げました治水緑地事業等、多角的な治水対策で何とか対処したいということで現在指導をしておるわけでございます。  それで、この寝屋川水系の要改修延長は、二十六河川で百二十キロの長さがございますが、現在の整備率を申し上げますと、時間雨量五十ミリに対しまして約五〇%弱という整備でございます。今後の五カ年におきましても、寝屋川の重要性にかんがみまして、重点を置いて改修の促進に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
  48. 北側義一

    ○北側委員 来年度から新治水計画が発足するわけで、これにおいて強力に進めていただきたいことを要望しておきます。  では新井君に。
  49. 渡辺栄一

    渡辺委員長 新井君。
  50. 新井彬之

    ○新井委員 二、三の点につきまして関連質問をさせていただきたいと思います。  先ほども少し出ましたが、都市化がどんどん進んでまいりまして、いままでの河川はたくさん雨が降るとどうしても溢水をいたしまして、多大な被害を受けるようになっております。先ほど話が出ました姫路市の船場川あるいはまた水尾川も、御存じのように、この前の十七号はもとよりでございますけれども、本当に浸水が多くなっておりまして、これに対して先ほども、改修効果をいろいろ検討し、長ければ長いほどいいんだ、今後検討するというお話でございましたけれども、やはり船場川については山陽電鉄の下流から月見橋まで、また水尾川につきましては玉手橋から辻井地区内まで、これは当然やらないといつも浸水してしまうというようなことで、姫路市といたしましてもいろいろやっておるようでございます。建設省の方も非常に御協力いただいておるわけでございますが、たとえて言いますと、水尾川につきましては、玉手橋から辻井地区内まで事業費は大体九十億円ぐらいかかる。ところが現実はまだ半額ぐらいしか認められていないようでございます。これについてはいま検討中だということでございますが、ぜひとも激特事業で、まあ採択されると思いますけれども、そういうことでやらないとこれは解決しないのではないか、こういうぐあいに思うわけでございます。  また、それに伴いましてよく問題になりますのは、用地買収がなかなか進まなくて、予算がついても事業が進まないということがあるわけでございますが、この地域につきましては、住民の方も、これは大変だ、とにかく自分たちの人命、財産を守るためにやはり極力協力しようということになっているようでございまして、先ほども御答弁いただきましたが、そういうことについてはひとつよく検討いただいてやっていただきたいと思います。  それから上月町もこれまた百年来の災害を受けまして、これは二級河川でございますけれども、向こうに四本の二級河川があるわけです。大日山川とか幕山川とか桜山川とか熊井川とあるわけでございますが、それがほとんど溢水等をいたしまして、これも部分改修だけでは、原形復旧だけではどうしようもないというような現状でございまして、関連災にしてもらってこの際きちっとしておかないとまた次の雨のときには間違いなくやられてしまう、こういうような現状でございます。これもいま査定官が行かれていろいろやっているということで、結論的には御返事できないと思いますけれども、そういうことについてもひとつよく検討していただきたいと思います。  それから、今回のこの災害におきまして一つ問題になっておりますことは、急傾斜地域内において山地崩壊とか林地崩壊が起こった場合に、宅地復旧の制度というのがないわけでございます。これはないと思いますが、それでよろしいですね。——それで今回、先ほどの一宮町につきましてもそういうことで多くの人家が失われて、宅地そのものがなくなってしまっている現状です。あるいはまた上月町におきましても、またほかの地域におきましても、わりかた人家がやられまして、宅地がないような現状になっております。それを復旧するために、やはり何らかの予算をつける制度をつくってもらわないことにはなかなか解決しないわけです。だから、災害が起こりまして、住宅金融公庫等の特別の融資があったりいろいろなことがあるわけでございますけれども、家を建てようと思っても宅地が復旧されない、こういうような現状がございますけれども、この件についてはどのようにお考えになっているか、お伺いしておきたいと思います。
  51. 大富宏

    ○大富政府委員 お答えいたします。  私どもの所管している部分でございますけれども、災害に伴いまして地方公共団体集団移転用地のために宅造する場合には、金融公庫からの融資の道が開かれております。
  52. 新井彬之

    ○新井委員 だから、それは集団移転とかそういうことのときにはありますけれども、現在確かに集団移転をするというのはわりかた話がまとまるときでございまして、今後そういうことについてはひとつそういう制度を創設していただくように検討していただきたい、このように思うわけでございます。  それから時間がございませんので、もう一、二点だけお話を聞いておきたいのでございますが、砂防堰堤の予算が今回非常に少ないのではないかということを思うわけでございます。たくさんの問題がございますから、全体的に予算が少ないということは指摘されるわけでございますが、特に砂防堰堤をやっておけばとめられているようなところでも、なかなかそういう予算がないためにできなかったということがありますので、今後次の五カ年計画等においてもこれはひとつ検討していただきたいということが一つ。  もう一つは、建設省の方は、こういう状態だからやってくれと言うと、本当にそうだということで比較的協力もしてもらうし、検討もしていただけるわけでございますが、大蔵省の方が予算を切ってしまう。時間があれば、本来ならこんなことは大蔵省を呼んで大蔵省に言わなければならぬ問題でございますが、そこら辺の兼ね合いでございますね。この問題については建設大臣の方にひとつ御努力願いたいと思うわけでございます。本当にこれはやってあげなければいけないという問題でもやはり予算によって切られてしまうという問題が多々あるようでございますので、その問題についてひとつ御努力願いたい。  この二点について御返答いただきまして、質問を終わりたいと思います。
  53. 栂野康行

    栂野政府委員 まず砂防ダム施設のスピードアップを図るべきじゃなかろうかということでございますが、砂防堰堤など非常にじみな仕事でございまして、そういうように先生におっしゃっていただくということは非常に心強く感ずるわけでございます。  それで、建設省におきましては、現在におきましても、山における砂防事業というもの、これは砂防ダムあるいは流路工含めましてございますが、重点を置いてやっておる次第でございます。今後とも、先ほどもお話ありましたように、いわゆるダムの貯水池に流入を防ぐとかあるいは僻地における部落を守るとか、そういう意味におきましても砂防事業につきましては重点を置いて進めてまいりたいというふうに考えてございます。
  54. 中馬辰猪

    ○中馬国務大臣 ただいま局長が申したように、私どもも、大蔵省に対しましては必ずこういう予算が取れるように努力いたしたいと思います。
  55. 新井彬之

    ○新井委員 終わります。
  56. 渡辺栄一

    渡辺委員長 次回は、来る十一月四日木曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十五分散会