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1976-10-15 第78回国会 衆議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月十五日(金曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 渡辺 栄一君    理事 内海 英男君 理事 野中 英二君    理事 村田敬次郎君 理事 井上 普方君    理事 福岡 義登君 理事 浦井  洋君       田中  覚君    谷川 和穗君       中尾  宏君    松野 幸泰君       三原 朝雄君    佐野 憲治君       清水 徳松君    中村  茂君       渡辺 惣蔵君    柴田 睦夫君       瀬崎 博義君    新井 彬之君       北側 義一君    渡辺 武三君  出席国務大臣         建 設 大 臣 中馬 辰猪君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 天野 光晴君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       河野 正三君         国土庁計画・調         整局長     下河辺 淳君         国土庁土地局長 松木 作衛君         国土庁水資源局         長       飯塚 敏夫君         国土庁大都市圏         整備局長    山東 良文君         国土庁地方振興         局長      土屋 佳照君         大蔵政務次官  高鳥  修君         建設政務次官  梶山 静六君         建設大臣官房長 粟屋 敏信君         建設省計画局長 大富  宏君         建設省都市局長 中村  清君         建設省河川局長 栂野 康行君         建設省道路局長 浅井新一郎君         建設省住宅局長 山岡 一男君  委員外出席者         大蔵省理財局特         別財産課長   松岡  宏君         住宅金融公庫総         裁       淺村  廉君         建設委員会調査 川口 京村君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 渡辺栄一

    渡辺委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中馬建設大臣
  3. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 さきの当委員会において福岡議員及び非上議員から強く要請のありました本四架橋に伴う港湾及び関係労働者雇用に関する問題については、すでに関係省庁と総評との間で本州四国連絡架橋に伴う港湾陸上運送関係雇用問題等協議会を設置して協議しているところでございますが、今後ともこの協議会及び今回設置した本州四国連絡橋旅客船問題等対策協議会において最重要課題一つとして取り組み、問題の処理に遺憾のないようにいたしたいと思います。また、旅客船問題については、今回設置した対策協議会のほかに、対策の検討に資するため、関係者学識経験者等から成る懇談会を開催する所存であります。  なお、今回設置した対策協議会の名称についても、事態の進展に応じ近い将来検討してまいりたいと存じます。
  4. 渡辺栄一

    渡辺委員長 質疑の申し出がありますので順次これを許します。新井彬之君。
  5. 新井彬之

    新井委員 私は、住宅それから河川道路、こういう問題について順次お伺いをしてまいりたいと思います。  初めに住宅の問題でございますが、建設省が昨日、国土建設施策長期構想、これを発表しておりまして、その内容については本年の末に具体的な成案を得るということになっておるわけでございますが、柱といたしましては、人口の地方分散・定住を促す。それから地方経済自立性を高め、大都市並み生活施設を確保する。三番目に巨大都市の活力をよみがえらす。それに対して大体五十一年度から六十年度に百兆円から百十兆円の公共投資を行う。こういうぐあいになっております。  住宅の問題におきましては千七百五十万戸を建設して、四人家族標準世帯最低居住水準は三LDKに、半数は三LDKに住めるようにする。こういうぐあいに言っておるわけでございますが、現状からいきますと、非常にこの住宅問題というのは立ちおくれておる。九畳未満、これは住宅と呼べるかどうかというような問題でございますが、そこに二人以上住んでいるところ、十二畳未満に四人以上も住んでいる世帯が百九十万世帯。また、住宅困窮者は全世帯の三五%の一千万世帯に上ろうというような現状になっているわけでございますが、こういうような状態の中で第三期住宅五カ年計画ができておるわけでございますが、今後こういう状態で、五カ年計画を改正しないで進めていって、十分この構想に合うようになるのか。まず基本的なことをお伺いしておきたいと思います。
  6. 大富宏

    大富政府委員 冒頭に御指摘になりました長期構想の件につきましてお答えいたしておきたいと思います。  ただいま建設省で持っておる長期構想は四十七年に作成したものでございまして、その後の経済状況の変化に合わせましてこれの見直し作業をやっておるのは事実でございますけれども、新聞に書いてございましたように、総投資額その他の成案を得るにはまだ至っておりません。御指摘のように、住宅問題については、長期構想については大変重要な項目とは考えておりますけれども、まだ、一体どのくらいの投資額でやるというところまでは至っておりませんので、その点御了承願いたいと思います。
  7. 山岡一男

    山岡政府委員 先生の御質問の後段にございました最低居住水準達成は第三期五カ年計画の予定どおりできるのかということでございます。現在までのところ、これを解消するための方策といたしまして、具体的に申しますと、水準以下住宅建てかえを行うこと、それから水準以下住宅増改築を施すこと、それから小住宅に多家族世帯が入っていらっしゃるような場合には多家族世帯に大きな家に移っていただいて、当該住宅には少家族が入るというような住みかえを励行すること、この三方法考えられるわけでございますが、これらのものを組み合わせて施策を講じてまいりますれば、最低居住水準達成は十分可能であると考えております。  数的に申しますと、昭和四十八年の住宅統計調査現状によります新しく決めました最低居住水準以下の住宅といいますものは、現在九百八十万世帯ほどございます。それに対しまして、今後供給いたしてまいりますものを五十一年から六十一年までを目標にいたしまして相当大きい家の供給をしていきたい。質の向上に重点を置いてまいりますので、十分目標達成できるというふうに考えておる次第でございます。
  8. 新井彬之

    新井委員 建設白書の中で、最低居住水準については「適正な負担では自力でこれを実現することができない者に対しては、適切な公的援助によってこれを確保させるように努めるべきものである。」こういうように書いてあるわけです。そこで、住宅問題というのは一つはやはり戸数の問題です。戸数が足らなければいけない。しかし今度は、戸数の中でも低所得者あるいはまた民間自力で十分建てられる人、そういうような内容もよく検討しなければいけない。また居住水準の問題、それからまたそれに伴っての家賃という非常に大事な問題が出てくるわけでございますが、この家賃居住水準をアップさせていくときにおいてどのような形でそれを補うのか。それが建設白書に出ているこういう問題になろうかと思いますが、そういう問題についてはいかがお考えになっておりますか。
  9. 山岡一男

    山岡政府委員 閣議決定をいたしました第三期の五カ年計画の中には明示いたしておりませんが、この委員会でも御説明したことがあると思います。その基礎となりました住宅問題に対する住宅宅地審議会答申の中に、先生がいまお触れになりました最低居住水準達成の問題と所得の問題ということが触れられておりました。その要点を申し上げてみますと、賃貸住宅につきましては比較的所得の低い、たとえば第一分位、公営住宅入居階層でございますけれども、第二種の入居階層方々のうちの標準世帯夫婦子供二人の四人家族のところを標準にとりまして、そういうところの皆さん賃貸料所得の一五%程度にすべきである。それからさらに持ち家をお持ちになる方につきましては、第三分位、所得のちょうど中位ぐらいのところでございますが、その方々所得の二五%程度を基準にして、人数、家族数所得等に応じて調整すべきであるというような提案がございました。したがいまして、それを十分下敷きにして第三期五カ年計画を作成いたしております。したがいまして、将来の所得伸び等もいろいろ検討いたしまして、総数八百六十万戸のうちから、そういうふうな公的な応援がなければそういう所得範囲水準を全うできない方々に対しまして公的な住宅供給を行うということで積算をいたしまして、八百六十万戸中の四一%、三百五十万戸を公的住宅で応援するということを計画の骨子にいたしておるわけでございます。
  10. 新井彬之

    新井委員 いまお話ございましたが、大体収入の二五%ということを目標に置いた場合、高額所得者の場合はある程度それで生活は問題ないと思いますけれども所得水準というものを一体幾らに見積もって大体このぐらいの家賃になるんだ、それが十万なのか十五万なのか、それの二五%、そこら辺に大きな違いが出てこようと思います。現在の住宅問題についても、家賃がどんどん上がっている。これが非常に生活を圧迫している。世界各国の例を見ましてもやはり非常に高家賃状況にあるわけでございまして、その問題を解決しなければ、戸数ないし居住水準、それは解決できても、また住宅問題は引き続き問題になってくるというぐあいに考えているわけです。こういう問題については、きょうは時間が短いものですから、また後の機会にいろいろ議論したいと思うのです。  そこで、いま民間建設状態が非常に狭小に向かっているというような状況にあるわけでございますが、こういうことについては把握しておりますか。
  11. 山岡一男

    山岡政府委員 最近の住宅建設動向建築着工統計によって見ますと、民間資金によります住宅の割合は、景気上昇期においてはその比率が高く、景気下降期において低くなっているというのが実情でございます。  全体といたしましては、民間住宅の方が、計画でも実績でも公的資金による住宅戸数としては上回っておりますが、先生おっしゃいますとおり、若干規模としては下がっておるわけでございます。  その実情を申し上げてみますと、昭和四十七年度の民間資金によります住宅の平均は七十二・三平方メートルでございました。それが四十八年には五平米ほど上がりまして七十七・五平方メートルになっております。その後四十九年に八十二・五平方メートル、五十年に八十二・八平方メートル、全体のトータルといたしましてはある程度着実にふえておるということが言えますが、その内訳を見ますと、特に借家等につきましては、四十八年が四十九平方メートル、それから四十九年は少し小さくなりまして四十六・四平方メートル、五十年は若干大きくなりまして四十七・六平方メートルというふうな状況になっておりますが、五十年の水準がいずれも四十八年の水準を少し下回ってきているというのが実情であろうかと承知いたしております。
  12. 新井彬之

    新井委員 国土庁でもミニ開発ということの実態調査をしておるようでございますけれども、四月から六月の全国の土地取引状況を見ましても、これが非常に狭くなってきているというような実態があるようでございまして、建設省はこれから六十年を目指す居住水準を確保するために今後どうするかということについては、現実的にはなかなか大きな問題ではないか、こういうように思っているわけでございます。     〔委員長退席野中委員長代理着席〕  そこで、話がもう一遍もとへ戻るわけでございますが、居住水準達成されたときの家賃の問題については、先ほどもある程度援助はする、こういうことでございましたけれども内容的なものについてはまだ余り決まっておりませんですね。いかがですか。
  13. 山岡一男

    山岡政府委員 家賃あり方の問題がわれわれに残された住宅問題の一番大きい問題と考えております。公的住宅それから民間住宅を含めまして、今後の家賃制度あり方はいかにあるべきかということで鋭意住宅宅地審議会で現在試算をいたしております。先生お話の中に出ておりました将来方向はどうかということでございますが、住宅宅地審議会答申によりまして応能家賃ということの提唱がなされております。これはすでに諸外国にも先発制度があるわけでございますけれども、これをわが国らしく活用いたしますためには幾多の問題がございます。現在までのところ、公的住宅はすべて国民の皆さん税金を入れて、単なる原価だけではなくて政策的に低くした家賃でございますけれども、今後規模を大きくし、土地も近くに持ってくるということになりますと、単価としてはどうしても高くならざるを得ない。それを解決するには、そういうふうな税金の投入をふやすか、さもなければ全体の単価を安く建設するように努力をするか、さもなければ応能的にやるか、それらのものをかみ合わせるしか方法はないと思います。したがいまして、そういうことにつきましてもこの計画期間中に大いに検討いたしまして、日本らしい応能家賃制度の確立を図りたいと思っているのが現在でございます。
  14. 新井彬之

    新井委員 住宅金融公庫の総裁が見えておりますのでお伺いしたいのでございますが、五十一年度の申し込み内容をいただいたわけでございますが、既存住宅、これは二千戸割り当てをしたわけでございますが、五十五戸しか申し込みがなかったというような実態になっておると思います。なぜこのような実態になったのか、それをどのようにお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。     〔野中委員長代理退席委員長着席
  15. 淺村廉

    淺村説明員 ただいまお尋ねがございましたとおり、私どもで初めて中古マンション購入資金貸し付けという制度を今年から始めまして、いろいろ調査をしました結果、二千戸くらいの枠でよかろうということで八月十日から九月九日までの間申し込み受け付けたわけでございます。ところがその結果、ただいま先生が御指摘なさいましたとおり五十五件でございまして、予想外申し込みが少ないという事態に相なったわけでございます。  現在、そういう事情をもとにいたしましていろいろ調査をいたしておりますが、私ども考えますのに、この制度はことしから始めた新しい制度でございまして、私どももいろいろな方法皆さんによくわかるように努力はしたつもりでございましたけれども申し込みの手続であるとか貸付条件等が従来の貸し付けと同じようなわけにはまいらない、そのように、周知が図れなかったという点が一つあったかと思います。これは私ども今後十分考えなければならぬと思っております。  それからもう一つ中古住宅と申しますのは、新しい住宅の販売とちょっと異なりまして、十分な流通市場というものができ上がっておりませんので、そういう点で私どももう少しこれから研究をしなければならぬかと考えておるようなわけでございます。
  16. 新井彬之

    新井委員 いまいろいろの説明がございましたが、融資対象マンションは四十一年の四月から四十六年三月末の間に登記した物件である、こういう条件がありますね。それから購入価格が千五百万以下のもの、こういう条件です。それから六階建て以上、こういう条件。この三つがそろわないと購入できない。だから、流通市場でいろいろ探しましても、こういう物件というのは全体でもごく少数である、こういうことになろうかと思います。したがいまして、こういう貸し出しをする場合において条件をつける場合においては、借りられないような条件をつけてやっても何ら価値がないわけでございまして、ここら辺の条件というものを今後見直さなければならないのではないかと思うのでありますが、いかがでしょうか。
  17. 淺村廉

    淺村説明員 ただいま御指摘がございましたとおり、大変厳しい条件で私どもはスタートをいたしております。考え方としては投機売買の手伝いをするようなことになっては大変だということから、少しく憶病に過ぎたような感じを持っております。ただ、これは私どもといたしましても今後十分監督官庁とも御相談をいたしますが、どの点が非常に厳しかったのかというようなことはひとつもう少し慎重に検討させていただきまして、せっかく始めた制度でございますから、これがもっと活用されるように今後とも努力をいたしてまいる所存でございます。
  18. 新井彬之

    新井委員 住宅金融公庫というのは現実に申し込みが非常に多いけれども、それだけの融資がないわけですね。融資予定の数が少ないわけでございます。そこで、この既存住宅ということについては非常にいい発想だったと思うのでございます。本来ならばそういう問題について殺到してくるというのが現状ではなかったかと思うのでございますけれども、これは内容的には当然条件的に見誤っている。したがいまして私の考えからいきますと、住宅金融公庫貸し付けは必要なところ、希望のあるところにはどんどんふやしてあげる、希望のないところは当然減らして結構だと思うのでございますけれども、そのつける条件をよく考えなければ、当然そういうことは出てこないということになろうかと思いますので、その点はやはり早急に検討していただきたい、このように思うわけでございます。  それからもう一つは、公庫融資あり方についてお伺いをしておきたいのでございますが、現在は年二回融資を行っておるわけでございます。したがいまして、土地資金の準備についてはその時期に限られたものがある。申込者からしますと、制限が与えられたり不便な実情というものが一つはあるのじゃないかと思います。  それからもう一つは、公庫融資への依存度が高まっているために、受け付け後二カ月たったころに着工戸数が非常に急増して、それ以外の月は極端に住宅着工というものは減っている。年間における着工戸数推移増減等に非常に波がありまして、業界関連業界に与える影響というものが非常にある。忙しいときにはばかに忙しいわけでございますが、その間非常に波があるようなデータが出ておるわけでございます。  三番目には、本来なら景気上昇への波及効果があるわけでございますけれども、それが年二回のために非常に制約されてしまうというような、借りる側にとってもいろいろな意味において融資が年二回ということが非常に問題ではないかと思います。  したがいまして、これはいろいろ提言等も出ておりますけれども融資を年四回にするとかあるいは六回にするとか、いつも用意ができた段階で申し込みができる、こういうぐあいに変えるべきではないかと思うのですけれども、いかがですか。
  19. 淺村廉

    淺村説明員 ただいまの個人住宅建設資金申し込み受け付けの問題でございますが、これは、住宅金融公庫が始まりましてからいろいろな経過をたどっておりまして、四十三年ごろから申し上げますと、約六、七年の間無抽せんで年一回というような時代もございました。大変穏やかに推移いたしておりましたが、四十八年末の石油ショック当時から非常に事態が変わってまいりまして、極端なときは申し込みが余りに多くて一日で締め切るというような事態も生じたことは、先生御承知のとおりでございます。  そこで私どもは、五十年度から需要の動向ともう一つ融資を平準化した方がいいという二つの考え方に立ちまして、春と秋と二回の受け付けを始めたわけでございます。それでも五十年度はまだいろいろ問題がございまして、しかも下期からまた抽せんという制度も入れましたりいろいろいたしましたものですから、ちょっとごちゃごちゃいたしましたが、今年度に入りまして初めて春と秋の二回、いずれも抽せんでということで落ちついて申し込んでいただいて、私ども十分審査の上、処理をさしていただいております。  申し込みは、もちろん枠を少しオーバーいたしますが、それも大して多いわけでもございませんので、春の場合は大体五割程度当選、それから、いま作業をやっておりますけれども、今回もおおむね六割かそれ以上当選じゃないか、こういう非常に落ちついた穏やかな姿で推移をいたしております。やっとこういう事態にまで参っておりますので、私どもといたしましては先生のおっしゃることも十分わかりますけれども、しばらくこの形で続けさせていっていただきたい。こうやって一つの形ができてまいりましたので、この形をしばらく動かしていって、また先の問題としてはいろいろ事態にぶつかって研究をさしていただきたい、こういうふうに考えております。
  20. 新井彬之

    新井委員 これは建設省にも同じようにお伺いしておきたいのでございますが、いまの住宅問題を解決していくには、どうしても六〇%が民間自力建設ということになるわけです。したがって、いままで家を持てる人はもう前から持っている。ところが、今後建てなければいけない人というのは、やはりどうしても住宅金融公庫とかそういうところに依存をしないとなかなか建てにくい方がおられるわけでございます。したがいまして、百人の申し込みがあった中で五割、五十人は当たるのですよ、こう言われますけれども、残った方で、どうしても住宅に困って、ある意味では一生住宅ローンを払うために働いているような方もいらっしゃるわけでございまして、この住宅の解決ということは一つの大きな問題になっているわけでございます。したがいまして、それに条件をなるたけつけないで、たとえて言うと、申込者についてある一定の条件に当てはまればこの人はいけるのだ、そういう人は全部融資対象にしてあげるのだ、そういう方向に向かわなければいけないと思います。  それからもう一つは、日にち的にも二回しかできないために、悪く言えば半年間待つということがないように、本来ならばいつでも受け付けてあげるというのが当然じゃないか、こういうふうに思うわけです。そういうわけにもいかないでしょうから、二回を四回ぐらいにされたらいかがでしょうか。そしてまた、条件さえかなっていれば貸し出す戸数をアップしていく、そういうような形にしていかなければ、幾ら昭和六十年を目指した長期構想を言っても、なかなかできないのではないか、こういうぐあいに一つ考えるわけです。  それからもう一つは、現在住宅ローン会社銀行関係で合わさってできていると思いますが、これは一〇%以上の利子がついておるわけですね。こういう問題についてどのようにお考えになっておるか、お伺いしておきたいと思います。
  21. 山岡一男

    山岡政府委員 先生おっしゃいますとおり、公庫等貸し付けにつきましては、銘柄ごとに常時受け付けというのが本当は一番望ましいとわれわれも思っております。ただ、予算の執行ということで、公庫も国会でお決めいただいた予算範囲内で予算を執行するという点が一つございます。それから公庫は、お申し込みの相手の方によりまして年度内で二度も三度も計画を変更しまして、できるだけそういうふうな方に近づけてまいっておりますけれども、すべての御要望にこたえ切れていない。したがいまして、今後われわれの努力目標といたしまして、住宅ローンにつきまして、公的資金につきましても大いにふやすように努力するということが一番大事であろうと思っております。  それから、民間住宅ローン会社ができております。おっしゃるとおり金利が非常に高うございます。われわれは、金利引き下げ等について監督しております大蔵省もときどきお願いいたしておりますけれども銀行からの二度目の貸し出しということになる点がございまして、どうも金利が高くなっておる。しかも中に生命保険だとかいろいろなものの手数料等も入っておるということでございまして、現在のところ引き下げになかなか応じていただけないというような現状でございますけれども、今後とも、一般金利状況等を見ながら引き下げについては十分お願いしてまいりたいと思っております。ただ、最近非常に新しい銘柄と申しますか、二代で償還するとかいろいろ新しいアイデアをお出しのところがございます。そういう住宅専門のローン会社でございますので、われわれも関心を持って十分協議をして、いい貸し付けができるように促進してまいりたいと思っております。
  22. 新井彬之

    新井委員 次は、時間がありませんから、河川のことについてお伺いしておきたいと思うのでございますが、一級河川が今回の十七号台風によって決壊をした。これは三年連続決壊というような記録も持っております。河川行政につきましては、戦後の初めごろには予算もわりかたついておったわけでございますが、現在に至りますと非常に予算的にも少なくなってまいりまして、昭和四十八年から五十二年の五カ年計画では、道路が十九兆で二一・一%、治水事業は四兆七千億円で五・二%というように、予算的には非常に少なくなっておるのじゃないかと思うわけでございます。  そこで、今回のこの災害で改めて河川というものが見直されて、一級河川、二級河川あるいは準用河川、普通河川、いろいろあるわけでございますが、一級河川が五二%、それからほかの河川が一三%程度しか改修ができていない。だから今回の災害は全く人災であって、天災ではないのではないか、こういうぐあいに言われておるわけです。これは予算をつけて河川を改修するだけでは解決ができない。後で議論いたしますが、そういう問題はあろうかと思いますけれども、今後、河川を国民の皆さんの命と安全を守るために一体いつまでにどのようにやるのか。現在五兆五千億の見直しで、昭和五十年度単価で五兆五千億ですか、それが七兆二千億になる、それを八千億プラスして八兆円の予算ということでございますけれども、そんな程度でいいのかどうか、これをひとつお伺いしておきたいと思います。
  23. 栂野康行

    ○栂野政府委員 治水事業の長期目標といいますか、めどでございますけれども、現在大河川におきましては、戦後最大洪水、再度災害を防ぐという意味におきまして、およそ十カ年くらいに一つのめどをつけたい、そういうふうに考えております。中小河川に対しましては、一時間五十ミリくらいの雨でございますが、これは五年ないし十年に一回の洪水でございますが、こういう雨に対しまして極力推進していくというふうに考えております。
  24. 新井彬之

    新井委員 総点検等を実施されておるわけでございますが、今後総点検等によって改修を図っていただきたいことがまず一つです。  それからもう一つは、建設省でやられておりますが、降雨量が何ミリになるとこの川は危ないですよという警報的な問題も考えておられるようでございますが、そういうこともやっていただきたいということ。  いろいろございますけれども、どちらにしても一番問題なことは、災害において被害をこうむらないようにしていただきたいということが強い要望でございます。  具体的な問題は、きょうは時間がありませんから余り申し上げられませんが、それはまた追って個々に申し上げていきたい、このように思います。  次に、急傾斜地についてでございますが、今回の台風でもそうでございますけれども、いままでの台風の中でやはり多くの方が亡くなっておられるのは、急傾斜地の崩壊、土砂崩れということ、これが非常に多いわけです。これに対しては、調査した結果、危険区域が全部で六万七百五十六カ所ある。これは人家が五戸以上ありまして、そして十メートル以上にわたって崩壊するおそれがあるところ、こういうことが出ているわけでございますが、その中で危険な急傾斜地であるといって指定されたのが、六万七百五十六カ所の中でたったの千八百カ所。これは三%しか指定されてない。その三%指定された千八百カ所の中においてすら、今度は予算がなかなかないために事業がそんなにはかどっていない、こういうような現状になっておりますけれども、こういうことについてはいかがお考えになっていますか。
  25. 栂野康行

    ○栂野政府委員 がけ崩れ、急傾斜地崩壊でございますけれども先生おっしゃいますように、人命の犠牲の一番大きいのがこのがけ崩れ、あるいは土砂流、山津波でございます。  それで、急傾斜につきましては、現在におきましても予算は重点的につけてございます。ことし、五十一年度におきましても約三〇%増しの予算をつけた。しかしながら、六万カ所もありましてなかなか整備がはかどらないということでございます。したがいまして、今後いわゆるこういう人命の犠牲を防ぐためには、急傾斜地の対策、事業の実施を急ぐとともに、いわゆる危険区域をできるだけ多く指定して、そして避難態勢あるいは住宅の移転とか、そういうものとあわせまして被害の軽減を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
  26. 新井彬之

    新井委員 災害が来ると、これだけの個所の中でどこに来るかわからないということが一番問題でございますけれども、また被害が出るということで、簡単な答弁でいくような問題ではないと思います。これも早急になお一層よく点検をしてやっていただきたい、こういうぐあいに思います。  それに伴いまして、激甚災害の指定については、これはベテランの天野国土庁長官が控えておるわけでございまして、災害対策特別委員会においてもあるいは建設委員会においても前向きかつ非常に熱意ある答弁をいただいておるわけでございまして、非常にありがたく思っておるわけでございますが、激特の災害基準の緩和、これについて建設省の見解を伺っておきたいと思うのでございます。  今回の災害地もいろいろございましたけれども条件にかなうというのをもう少し緩和をすべきではないかということを考えるわけでございます。たとえて言いますと、浸水家屋数が二千戸以上である。しかし小さな一つの村は、全部やられても二千戸ないところもあるのです。現在の三千六百ぐらいの地方公共団体の中でいろいろ見ましても、ないところもあるわけでしょう。村全体がやられたんだ、それでもなおかつ激特にかからないという実情があるわけでございまして、そういうところについては当然激特事業としてやってあげなければならないと思うのですけれども、こういうことについては、緩和について一体大臣いかがお考えになりますか。
  27. 栂野康行

    ○栂野政府委員 激特事業につきましては、現在浸水戸数二千戸以上というのが一つのめどになってございます。それで、この事業は本年度発足した事業でございまして、河川改修費の中からこの激特事業をやっていくということで、一般の改修との兼ね合いもございまして、現在におきましてはしぼっておるという実態でございます。  それで、今後、先ほど先生おっしゃいましたように、非常に狭い地域で大きな災害を受けた、二千戸に達しないという地域などにつきましては、改修費の中でできるだけ促進していくようにやって対処してまいりたいというふうに考えてございます。
  28. 新井彬之

    新井委員 これもあと時間をかけてまたゆっくりしたときに詰めたいと思いますが、国庫負担法の適用基準に満たないもの、これは救済方法は全然ないですね。たとえて言いますと、道路、二メートル幅に満たないもの、これは道路法上の道路でございますね。それから河川については、深さ一メートル未満のもの、十万以下の事業費のもの、こういうものは国庫負担法の適用基準にないわけでございますから、災害になろうが何になろうが一切の救済措置というのがないと思いますが、何かございますか。あったら言ってください。なければないで結構です。
  29. 栂野康行

    ○栂野政府委員 現在のところ公共事業ではやれませんけれども地方単独の災害ということで、またその起債の措置がございます。それで対処していくのが一つございます。
  30. 新井彬之

    新井委員 その起債の措置というのはあるわけでございますが、その場合の内容においてすら、ある程度の経済効率がなければだめだということになっておるわけですね。違いますか。それから、とにかく地方債のこの問題においても、大体三万から十万、これにおいて認める。この二つの条件がまたついているわけです。  したがいまして、二メートル、極端に言ったら一・五メートルの道路幅がありまして、災害を受けたけれども、余り人が通っていないじゃないか、公共性がないじゃないか、そこら辺の判断というのは非常にむずかしかろうかと思いますけれども、そういうところで逃げ道をつくって結局は負担をしない、こういうことがあるわけでございますね。しかし、十万円以下の事業費でありましても個所が百カ所になれば一千万円になるわけです。したがいまして、そういう災害のときにおいての救援措置というのは、なるべく引いたり遠慮するのではなくて、国民の皆さんのために一歩でもできることならやってあげよう、そういう解釈のやり方がないとこれは進まないのではないか、こういうぐあいに私は考えるわけでございまして、今後この問題につきましても、ひとつ激特の採択基準の緩和とともに、そういう抜けている面についても御検討いただきたい。このことはお願いをいたしておく次第でございます。  その次に、設計委託費の国庫補助の強化の問題でございまして、たとえて言いますと、兵庫県の上郡町でございますが、今回の災害について千カ所やられているわけでございます。職員がたった六人しかおらないわけでございますから、設計をするのに設計のしようがありませんから県に頼む。県の方は、自分の方もあちこちに配置をしておりましてなかなか手が足らない。したがって神戸市に頼みまして、神戸市の職員の方が来られているわけですね。ところが、その設計委託料だけで一億二千万かかっているわけです。ところが、これに対して幾らの助成金が、国庫補助があるわけですか。
  31. 栂野康行

    ○栂野政府委員 災害査定、設計のための調査あるいは測量のための費用でございますけれども、四十七年災、四十九年災、それから五十年災でございますけれども、この三年につきまして災害が非常に激甚であったということで、臨時特例措置としまして、一定の条件もとに二分の一を国が補助するということでやってきたところでございます。本年も全国的に非常に大きな災害でございますので、いわゆるこの設計委託の実態調査しまして、関係省庁あるいは財政当局と前向きで協議しまして、前向きで処置してまいりたいというふうに考えてございます。
  32. 新井彬之

    新井委員 本当に前向きでひとつお願いをいたしたいと思います。あくまでも起債というのは借金でございまして、特別交付税とか交付税が来ますけれども、これは全然返さなくてその分見てもらうような交付税ならありがたいのでございますけれども、やはりある程度借金として残る。そうすると、来年度においてまたそういう災害が来るためのいろいろな施策、町単独、市単独ありますけれども、なかなかそれが進まない。悪循環になるようなことになるわけでございまして、こういう問題については全面的に見てあげるというのが当然ではなかろうか、このように思うわけでございます。  それから、今度はちょっと具体的な問題でございますが、災害災害と言いますけれども、いろいろな状態があるわけです。たとえて言いますと、姫路市に天川という川があります。大して大きな川じゃないのでございますが、河川改修をずっとやってきておりまして、そしてあるとき突然、河川改修が進まないで、一部残して十年間ほったらかしているわけです。あとの堤防は大体十メートルになっているのにそのところだけ二メートルでございますから、雨が降るたびにそこからどんどん流れてしまう。普通少々の雨なら大丈夫なんですけれども、ちょっと大雨があるとそこが漏る。それで、地元の方々がそれを何とか直してくれ直してくれと言っているうちに今回の大災害ですね。こういうような、いままでやってきて十年間もほったらかしておるようなところにおいても――初めから堤防がなかったのですから決壊とは言いませんよ。水が人家の方へどんどん流れて、つかってくださいという形になっているわけですから、見に行っても別にどこが傷んだんですかというぐあいで、個人の家は傷んでも河川はどうということはないかもわかりませんけれども、そういうところもひとつよく見ていただきたい、こういうぐあいに思うわけでございます。  それから、兵庫県に揖保川町というところがございますが、揖保川は一級河川で、ここの下流の方に袋尻、市場というところがございます。これはよく御存じだと思いますが、この区間で未改修の部分がありましたために、そこから非常にはんらんをしたということで、これをやってもらわないと、また、揖保川本流そのものがそこから決壊するということは危ないわけでございますので、これを早急にやっていただきたい。調査とか測量は全部完了しておって、もうやってもらっていれば問題なかったのがそういうことになったというような現状でございます。  それから馬路川の改修でございますが、この揖保川町の面積の五〇%くらいを流れているのが馬路川です。ここのところもゼロメートル地帯でございますから、雨が降ると河川道路か何かわからなくなるくらいにいつもあふれておる。これについては大分工事もやっていただいたわけでございますが、何とか早急にこれもやっていただきたい。それから、ここはやはり潮が満ち潮になりますとゼロメートル地帯で逆流してくるわけでございますから、樋門に対してポンプアップの排水施設をつくっていただきたい、こういうことになっているわけです。ところが、これは再三にわたってお願いしてもできなかったような現状だそうでございますが、ポンプ排水のやり方もあるし、いろいろと技術的には考えられるかもわかりませんけれども、やはりその中で、当然ある程度ゼロメートル地帯というのはポンプ排水を考えなければいけない、こういうぐあいに思うわけでございます。これはどうなっているのか、時間がありませんので、後でまた答弁いただきます。     〔委員長退席、村田委員長代理着席〕  それからもう一つは、前川という川がございまして、ここの樋門の排水ポンプの設置のことでございますが、ここもやはり同じように逆流現象がいつも起こっているわけです。したがいまして、揖保川からの逆流が来ますといつも大変なことになっておるわけでございまして、当然揖保川と前川との合流点で樋門にポンプアップ排水施設をつけなければこれは解決しない、こう思うわけでございます。  以上申し上げたようなことについて、もし御答弁いただけるならいただきたいと思います。
  33. 栂野康行

    ○栂野政府委員 お答えいたします。  まず揖保川下流の市場、袋尻地区でございますけれども、これにつきましては、本年度から用地買収に着手してございまして、できるだけ早く改修促進をしたいというふうに考えてございます。  それから馬路川でございますけれども、まずいわゆる川からのはんらんを防ぐため、小規模河川改修工事というもので現在治水事業を促進中でございます。先生おっしゃいました内水対策の問題でございますけれども、これはかねてから調査検討しておりますが、ことしの水害の実態にかんがみまして、できるだけ早く結論を出したいと思っております。  それから前川でございますけれども、これは昭和四十七年から小規模河川改修というもので着手してございます。この川につきましては、現在揖保川に合流しておりますけれども、これを放水路、トンネルを掘りまして直接播磨灘に抜きたいということで、現在事業実施中でございます。これが抜ければ、本川に影響がなくてほとんど内水が除去されるのじゃないかと見てございます。したがいまして、今回の災害の実態にかんがみまして、地元関係者の協力を得てトンネル工事を円滑に軌道に乗せたいと考えてございます。  以上でございます。
  34. 新井彬之

    新井委員 今回の災害については、たとえて言いますと、千種川については全面改修をしてくださいというような要望がたくさん参っておると思います。千種川は、赤穂市、上郡町、上月町、佐用町、南光町、それから千種町、こういうところをずっと流れているわけでございますけれども、いままでの陳情と違いますのは、町議会等で議決をしたり、あるいは議員の方だけが言うのじゃなしに、もう地域の方々全員が、今回は本当に命があったのがおかしいくらいであると言っておるわけです。ということは、一つの例を挙げますと、千種川の国道三百七十三号線沿いに与井新部落というところがございます。そこの部落の前のところに竹やぶがありまして、まあ木があってここは大丈夫だと思っておったわけでございますが、どういうかげんか、そこへ水がものすごく当たりまして、どんどん堤防を削ったわけですね。だから、地域の消防団の方も住民の方もとにかく逃げなければいけない、土のうをほうり込まなければいけない、災害が終わってみればどうということはないのですが、そのときは一つ間違えれば濁流にのみ込まれるか、あるいは決壊して命を失うかという本当に大変な状態になったわけです。そこで、そういう本当に大変な目に遭って、えらいことだというので地域の方が全部署名を集めて、建設省なりあるいは国土庁にもお願いしますということで行っておると思うわけでございますが、こういうところの改修ですね、これは上郡でございますが、赤穂その他いろいろなところにもそういうようなことで大変だったところがあるわけでございます。したがいまして、部分改修なんということをやって、改修からちょっと下がったところ、あるいは外れたところがまたもろくてやられてしまうようなことがあってはならない。特に千種川というのは明治二十五年に決壊をいたしましてから余り河川改修に力が入っていなかったのではないかということを聞いておるわけでございますが、与井新部落の前の堤防を早急にやっていただきたいと思います。井ぜきとか農地の問題等もあるように聞いておりますけれども、とにかく地域の住民の方は皆団結して建設省にも協力します、県にも協力します、こういうぐあいに言っておるわけでございますので、どうかひとつそういうことも御配慮いただきたい。あるいはまた、安室川でも自治会の人が町を挙げてこっちへ来たいというようなことになっているわけですね、代表だけが来られたようでございますが。そういうわけで、そういうところについては各市町村、県からも要望がよく上がっていると思いますけれども河川関係についてはよく聞いて万全を期してやっていただきたい、このように思うわけでございます。     〔村田委員長代理退席、委員長着席〕  最後に、せっかく言ってあるわけでございますので、道路の問題についてお伺いしておきたいと思うのでございます。災害が起こりまして、今回第二国道は大分とまりましたですね。特に相生から岡山の間におきまして土砂崩れとかありまして、そのときに車が大分停滞をいたしましたね。そのときにどのような処置をとられておったか、それをちょっとお伺いしてみたいと思います。
  35. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 お答えします。  今回の十七号台風で船坂峠を中心にしまして二十数カ所の崩落がありまして、そのために二号線が交通どめになったわけでございますが、御指摘のようにちょうど船坂峠の手前の上松地区で土砂崩壊の危険が非常にあるので、交通どめした関係から、いわゆるせっちん詰めの形で千五百台が渋滞したわけでございます。そのときに農道それから一部県道を利用しまして、その上松地区の崩壊地区を迂回させて逐次排除いたしました。その間、約二日間ぐらいかかって排除したわけでございます。
  36. 新井彬之

    新井委員 私はその当時その国道を、まあ通してもらえなかったのですけれども、お願いをいたしまして何回も行き来をいたしまして災害地に行ったわけでございますが、すぐに近畿地建の方から部長とか責任者の方が姫路の地建の方へ参りまして、道路のことについて本当に全力を挙げて努力をされておりまして感謝にたえないわけでございますが、私がこの交通渋滞のところへ行きますわね、ところが運転手は、いつこれが通れるのか、一体どうしたらいいのかというような情報連絡が何もないわけですよ。これが一つ大きな問題点だったですね。  それからもう一つは、これは考えていただきたいことですが、災害救助法が発令されて、そんなような状態のところというのは店も何も閉まっておるわけです。そうすると、市町村におきましては災害救助法発令と同時に避難場所と、それから炊き出し等をして弁当が渡りますね。建設省の方も非常に気を使いまして、その運転手さんに弁当を持っていかなければいかぬということで、その数の中の六〇%ぐらいは持っていっていただいたようでございますが、本当にそういうところの配慮はすごかったと思うのでございます。とにかく交通がとまったときに、長距離トラック等が通る第一、第二あるいは国道の百号までの道路については、食糧も避難場所もやはり災害救助法に合うような何かができるようなことを考えなければならないのじゃないか、とめておくだけがいいんじゃない、こういうぐあいに非常に思ったわけでございます。  したがって、これは国土庁長官にまた考えていただくといたしまして、そういう点がございますので、道路を早く復旧するということと、それからそういう現場における手の打ち方、そういう面でも建設省として予算がとれるように、ひとつまたお願いをいたしておきたいと思うわけでございます。  これで質問を終わります。
  37. 渡辺栄一

    渡辺委員長 渡辺武三君。
  38. 渡辺惣蔵

    渡辺(武)委員 時間の関係がございますので、私は道路問題、しかも基本的な問題のみに限って二、三御質問を申し上げたいと思います。  御承知のようにわが国の道路状況は、その整備状態が非常におくれておるというふうに私は見るわけでございますが、しかし最近の工事の進捗状況を見てまいりますと、その道路の整備がおくれておるということに見合った仕事が行われているかどうかということについては若干疑問が残らざるを得ないわけでございます。特に道路財源そのものは、御承知のように昭和四十九年度さらには五十一年度の税制改正によりまして、自動車関係税が相当大幅に増徴されておるわけでございます。しかしながら最近における道路関係の予算は、過去に比べて非常に著しく低い伸び率にとどまっておると言うことができると思います。そういう面から考えまして、予算面から見ればわが国の道路整備は一応ほぼ一巡したのではないか、こういうふうに言われる方もおるようでございますが、しかし私ども自身の生活実感、さらにはわれわれのところに来る各地からの陳情等を勘案いたしますと、とてもそのような状態ではない、こうわれわれは見るわけでございますが、建設省として現在のわが国の道路の整備状況をどのように評価をしておられるのか、まずこの点からお聞きをしたいと思います。
  39. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、わが国の道路の整備状況昭和三十年当時、二十年前と比べますと、かなり改善を見たわけでございますが、その間わが国の経済社会の著しい発展によりまして、幹線道路並びに地方道の整備の促進とか交通安全対策、それから環境対策の充実といった新しい国民の量的質的な需要が飛躍的にふえまして、これからも道路事業についてはもっともっとやっていかなければならぬと認識しております。  特に、国道、県道につきましては約二分の一がまだ車が満足にすれ違えないというような道路でございます。それから、日常生活の基盤となっております市町村道の改良率にいたしましても約二〇%ということで、大部分がなお未整備のままにおかれておるという実態でございます。それからまた、整備の進んだ地域とおくれた地域では非常に格差がございまして、国、府県道の改良率を見ましても約四〇%ぐらいの開きがございます。こういった地域格差が非常に大きいという実態も問題だと思います。  それからなお、自動車交通が非常に急増したわけで、これに対する対策に追われたために、従来歩道とか自転車道あるいは植栽帯といったような道路の環境空間的な整備が非常におくれまして、今後こういった面の整備を大いにやっていかなければならないというようないろいろな問題がありまして、日本の道路水準を見ますと、達観的に考えまして、まだ欧米の水準の二分の一程度のものではないかというぐあいに認識しておるわけでございます。
  40. 渡辺惣蔵

    渡辺(武)委員 道路局長の認識の程度は私もほぼ間違いはないであろうと思う。ところがそのような御認識にもかかわらず、近年道路整備費用が著しく伸びていない、ここに問題があるわけでございまして、特定財源は確かに増徴されておるから非常に伸びてはおるのですが、その伸びた以上に一般財源投入が実はマイナスされておる。したがって全体的には非常に低い伸び率、言いかえれば特定財源そのものを道路建設に使わずに、あるいは道路の整備に使わずに、他に流用されている面が非常に多くなってきておる、こう言わざるを得ないと思うわけでございます。  特に来年度は第七次道路整備五カ年計画が最終年度に当たるわけでございますけれども、御承知のように、従来この道路整備五カ年計画というのは、五カ年計画ではあっても大体三カ年でその目標を完遂して、ほぼ五カ年間の予算を投入してしまって、そして新たな五カ年計画が策定をされてきておったわけです。五カ年計画というよりもむしろ三カ年計画と言った方が適当なくらい進捗がされておったわけです。最近の経済情勢が反映をされた結果そういうふうに伸びてきたと言うことができるかもしれませんが、しかし現状を見ていきますと、特定財源の増徴にもかかわらず一般的に同じように抑制をされている、こういうふうに私は見るわけでございますけれども、それでは第七次五カ年計画が一体どの程度進んでおるだろうかと調べていきますと、実際には最終年度に至って実は累計の進捗率は八〇%に満たないということでございまして、しかもこれらは事業費ベースであって、実際に事業量ベースで見るともっと低くなっているのではないかというふうに思うわけですが、そういう評価の仕方は結構ですけれども、その評価の現実に立って、その整備の推進のおくれをどのように取り戻していこうとなさっているのか、この辺を少しお聞かせを願いたいと思います。
  41. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 道路整備のおくれの実態はただいま御説明しましたとおりでございまして、第七次の五カ年計画の進捗等につきましても、先生指摘のように非常に大幅におくれております。第七次の五カ年計画は四十八年から五十二年まででございまして、五十一年度末で四年を達成するわけであります。その達成率はわずかに六〇%ということでございまして、来年、五十二年度は最終年度になるわけでございますが、現在要望しております予算が全部つきましても八割をちょっと欠けるぐらいの達成率に終わるという見通しでございます。そういうようなことでございまして、従来の五カ年計画先生指摘のように三年ごとに拡大回転されていた。それに対して、今度は五カ年を全部やりましてわずかに八割に達しないというような状況でございまして、今後新しい五カ年計画を五十三年度から考えるわけでございますが、それにつきましても試算してみますと、現在五十年代前期経済計画道路投資の総額が十九兆五千億というふうに一応セットされておりますが、仮にこれを名目で達成するといたしまして、現在、揮発油税等の特定財源、それから運用上道路整備の特定財源とされております自動車重量税の国分の八割、これを全額投入するといたしましてもなお大幅な財源不足が生ずるというふうに見込まれておりまして、今後、この重量税並びにガソリン税を十分活用すると同時に、十分充実させながら道路整備を促進してまいらなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  42. 渡辺惣蔵

    渡辺(武)委員 特定財源を全部投入してもなお不足を来す、こういう御意見ですけれども、本来道路そのものはすべてその目的の特定財源だけで行うものではなくて、当然やはり一般財源の投入ということが考えられなければならないわけでございまして、特にわが国の場合は諸外国に比べまして一般財源投入率というのはきわめて低いわけです。これは統計を見ればすぐわかるわけですけれども、そして比較的目的を持った特別税が過度に徴収をされているというきらいがある。そのために逆に一般財源の投入率が低くなってしまっておるという状況であろうかと思いますので、そういう面から見れば、最近とみに国民の要望として出てまいりました歩道、自転車道等々、これはやはり自動車の保有者にそのまま道路税すべてが課せられるという範疇からは外れてくると思いますし、さらに沿道住民の生活環境を守るという点、そういう新たな要請に基づく道路の質的な変化というものに対応していくためには、当然やはり一般財源投入というものが相当考えられていかなければいかぬ、こう考えるわけです。  そういう意味では、従来の割合をそのまま是として比較的財源に難点があるんだという考え方ではなくて、むしろ要請の多様化に基づく対応のためにそういう方法考えられるべきではないか、またそういう要請を建設省大蔵省に対して強くやらなければいけないんではないか、こう考えるわけですが、しかし、建設省が概算要求をお出しになっております来年度のこの要求書を見ますと、そういうお考え方が十分に入っているのかどうか、どうも非常に疑わしいと思うわけです。したがってその辺の整備のおくれの評価、その辺まではいいとして、その整備のおくれを取り戻すためにどうあるべきか、あるいは財源を確保するためにどういう姿勢をとるべきか、こういう点から見ていきますと若干問題があるような気がするわけですが、この辺はどのようにお考えでしょうか。
  43. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 先生指摘のように、道路事業の中には歩道とか自転車道とかあるいは環境対策とかいうようなことで、ガソリン税を財源としたいでむしろ一般財源として手当てすべき性格の中身があるわけでございます。そういうことで、従来ガソリン税創設の当初から、ガソリン税による特定財源のほかに一般財源を十分投入して道路整備を促進するという姿勢で、そういう推移でやられてきたわけでございますが、ガソリン税もかなり伸びたということもあり、それからまた、国全体の経済情勢が非常に逼迫したというようなこともありまして、逐次一般財源の投入の率が落ちてきておりますのが実態でございます。昭和四十八年が第七次道路整備五カ年計画のスタートの年でございますが、その時点でも一般財源は三千七百六十億投入されておりました。それが逐次一般財源が減ってまいりまして、逆に自動車重量税がふえてきた関係がございます。そこで昨年五十一、二年の両年度の特別措置としてこれらの自動車関係税の税率アップがあったわけでありますが、そのときにはついにガソリン税プラス重量税の国分の八割の合計額が道路予算をオーバーするような形になりまして、オーバーした分を一時一般財源に一部投入せざるを得ないような形になっております。しかし先ほど御説明いたしましたように、道路整備の需要は先ほどの十九兆五千億の枠組みで考えましても、今後ここ二、三年のうちにかなり大幅な財源不足になるというような実態でございますので、そういったオーバーフローをするのはここ一、二年のことと考えておりまして、長期的に見ますると、重量税とガソリン税を充当して、なお相当の一般財源を入れてやっていかなければ道路整備が十分にできないというふうに考えておりますし、また先ほど言いましたように、質的な面で一般財源として整備するべき道路の事業の内容があるわけでございますから、今後も一般財源の投入につきまして関係方面に強く要請していきたいというふうに考えております。
  44. 渡辺惣蔵

    渡辺(武)委員 道路局長の決意と実態とが若干食い違っておるように思います。一般財源の投入を強く要請していくとおっしゃるのだけれども、五十二年度の概算要求書を見ますと、昨年度に比較いたしまして一般財源は約百五十億の減少をしておるわけですね。これは建設省自身が概算要求の中でそうおっしゃっているわけですから、いまの御決意とはうらはらな関係にございまして、一般財源投入を充実さしていきたいという決意を持ちながら、実態を見ると実は要求そのものが百五十億も少なくなっているというのは、これは一体どういうことでしょうか。
  45. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 まことに残念な次第だと考えておりまして、今後十分道路整備促進のために財源の強化をお願いしてまいりたいというふうに考えております。
  46. 渡辺惣蔵

    渡辺(武)委員 それでは大臣に決意のほどをお聞きしておきたいと思いますが、いまお聞きになっておりましたように、わが国の道路整備というのは非常におくれておる。しかも、関係特定財源というのはいろいろ増徴されてまいりまして、現状道路整備にほとんど見合うくらい、それ以上の税金が課せられて徴収をされているわけですが、道路の整備がおくれているにもかかわらず一般財源の方に特定財源が回されていってしまっておる、そういう現実ですね。そういう中にもかかわらず、建設省自身が五十二年度の概算要求の中で一般財源投入率を下げて前年度に比べて百五十億減少しておる、こういうことですが、この辺について大臣は今後どうされていくのか、ちょっとお考えをお聞きしておきたい。
  47. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 予算は確かにそういう実態だと思いますが、いまのところすぐ予算編成に取っ組むという段階ではなくて、ただいま私の頭の中には治水と災害復旧ということが非常に大きなウエートを占めておりまして、遺憾ながらまだ建設省全体のバランスを考え予算編成というところまで実は頭がいっていないのです。しかし、おっしゃるように道路の問題はまだ欧米に比べて非常におくれておるということは事実でありますから、今後ひとつ当局ともよく相談しながら進めてまいりたい、こう考えております。
  48. 渡辺惣蔵

    渡辺(武)委員 建設大臣道路はその大部分が特定財源によってやられているということは御承知ですね。すべてが一般財源でやられておれば他とのバランスその他でそれはいろいろな御下問があるでしょうけれども道路をつくったり道路を直すために特別に税金を取っているのですよ。それが、そういう整備がおくれているにかかわらず他の方に流用されているという現実の中では、実際、他とのバランスも何もあったものじゃないと思うのですよ。だから、むしろそういう目的で取られている税金はしっかりと建設省が握って、よりおくれている分野だから当然整備に力を入れなければいかぬ、こういうことだと思いますが、いかがですか。
  49. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 おっしゃるとおりです。ただ、私の現段階では、任期もあることだし、災害復旧と治水計画が非常に大きな問題で、私も一〇〇%能力があるわけじゃないから、この二つだけでも実は大変な大事業でございまして、日夜頭を痛め、努力をしているのです。おっしゃることはよくわかりますから検討させてください。
  50. 渡辺惣蔵

    渡辺(武)委員 ひとつ現状を十分に御理解をいただいてやっていただきたいと思います。  そこで、具体的な問題を一つだけお聞きをしたいと思うのですが、具体的な問題の前にもう一つお聞きいたします。  実は道路法なり道路構造令というものがございますが、これはいろいろ調べていきましても、いま、多様化してきておる国民の要求する問題をすべて網羅しておるとは言えない状況だと思うのですね。たとえば、住環境を保全をするための騒音防止のための道路構造はどうあるべきか、あるいは交通安全上からくる構造はどうあるべきか、これは平面交差その他で当然考えられてもいい問題点が私はたくさんあると思います。ところが、道路法なり道路構造令なりを見ていきましても、特にそういう点に配慮をされた条文というのは実は見当たらないわけですよ。ただ交差の場合、鉄道と道路が交差する場合は四十五度以上でなくてはいかぬとか、その程度のことが書かれておるだけであって――たとえば相当長年にわたって叫ばれてきた交通安全上の問題などを見ていきましても、実際交通事故によっていろいろな問題が起こっております。それらが道路の構造に起因すると考えられるものも当然あるわけでございますね。したがいまして、それはどういうことかと具体的に言えば、やむを得ず幅員の狭い道路は交差点のすみ切りを行うとか、あるいは右折車両その他等等がありまして交通の流れを阻害する場合にはその交差点付近の幅員を広くしようとか、いろいろなことがあると思います。東京都内ではほとんどそのまま道路に白線によって無理に右折車線をつくっておるようでございますけれども、まあ、あれは気持ちの上だけであって、実際にはあのためにスムーズな交通そのものが阻害をされておる面も私はたくさんあると思う。むしろ逆に、そういう平面交差するときには、その交差点から五十メートルなり百メートルは、たとえばその幅員が六メートルの道路であればその交差点付近は九メートルにしなければいけないとか、そういう観点から一回見直しをする必要があるのではないか、こう考えるわけですが、その辺、道路法なり道路構造令なりの見直しは考えておられますかどうか。  さらに、先ほども言いました環境問題を考えてもそうですね。いわば騒音という問題がある。この問題を解決するためにやはり緑樹帯を設けるとか、いま過渡的にトラックの通行をセンターラインに寄せて運行させるというようなことがとられておるわけですけれども、むしろ長期的には、そういう道路構造そのものを考え直していかなければならないときがもうすでに来ていると思うのです。それが、旧態依然たる法律がそのまま施行されておるわけですから、そういう意味では新しい法律に直して、それからまた、予算要求がそこに根拠が置かれて出てくるのではないだろうか、こう思うわけですが、いかがでございましょう。
  51. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 御指摘のように、道路の一般的な技術的な基準というものは道路構造令に定められておるわけでございますが、これはもうすでに十数年たつわけでございます。その後やはり道路をめぐる情勢は大分変わってまいっておりまして、先生指摘のように、交通安全の問題あるいは道路の環境の問題、いろいろ考慮しなければならぬ問題が逐次出てきております。それに対して構造令の改正は、内部的にはいろいろ検討しておるわけでございますが、その間のつなぎというような意味で、種々通達の形で一般的な適用あるいは新しい考え方を補足してまいっております。  たとえば道路の幅員構成等につきましても、道路構造令の中では一応最小限の幅員のこれ以上という形で表現されておるわけでございまして、それ以上の適用の仕方についてはいろいろ幅があるわけでございます。そういう際に、これから質的に十分いい道路をつくっていくためには幅員構成の考え方を、この適用をこういうふうに考えるべきだというようなことで、標準幅員というようなこと、新しい時代に即する道路標準幅員というものはこういうものだということで、道路構造令の適用の解釈の形で通達を流しているというようなこともやっております。  それから、いまの構造令で内容的に特に十分配慮しなければならないのは環境に対する考え方だと思います。この点は近い将来やはり構造令を補足改正する必要があろうかと思います。これにつきましても、それまでの間いろいろな環境施設帯の通達とかというようなことで現実に合った構造にするような通達はいろいろ出してやっておる次第でございます。
  52. 渡辺惣蔵

    渡辺(武)委員 環境に応じて通達や行政指導も結構でございますが、やはり構造令そのものを明確に改定する必要があるのではないだろうか、こう思いますので、ひとつ早急に整備をお願いしておきたいと思います。  それから、具体的な問題で一点のみお聞きいたしますが、先ほど申し上げておりますように、道路の環境問題が非常に問題になっておりまして、特に私の選挙区でもその問題が出ております。国道一号線が二十五万都市の岡崎を通過いたしておるわけでございますが、通過車両も非常に多くて沿線住民の生活環境に非常に悪影響を及ぼしておる。現在どういうふうになっておるかといいますと、夜間のみ信号によって規制をしておる。どういうやり方かといいますと、赤信号の時間を長くするということなんです。それによってどの程度騒音が減るのか、私、よくわかりません。わかりませんが、強い国民の要望に何か対応しなければならぬということで、市内の信号をすべて赤信号を夜間だけ長くして、三十秒なり二十秒なり余分に停車をさせておる。そして少しでも騒音を少なくしよう、こういう努力をしておられるようでございます。過日交通安全委員会が視察をいたしましたときに、建設省の一国課長が同道されたと思いますが、沿線住民からも早く一号線のバイパス建設をという陳情がございました。すでにあれから半年以上たっていると思いますから、その後その問題について建設省としてどのような対策を立てられたか、御説明願いたいと思います。
  53. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 国道一号線の岡崎市内の実態は、先生指摘のようにかなりひどい状況だと思います。交通量が一日大体四万台近くございまして、何らかの対策が必要だというふうに認識しておるわけでございますが、現道は、御承知のように非常に人家が連檐しておりまして、しかも交差点の数が非常に多いというようなことから、現道のままでいろいろ防音壁だとか環境施設帯をやるのはなかなかむずかしいということで、やはり通過交通を別に流すことをいろいろ考えていかなければならないのではないか。そのための手段としては、一つには一号線に並行しております県道の岡崎刈谷線、それからやはり県道の名古屋岡崎線、この二つを強化することが当面の対策としては一番適当なのではないかということで、この両線の整備をできるだけ促進するという方向考えていきたい。それから抜本的には、豊橋から知立に至る名豊道路でございますが、これはかなり大きな道路で、ちょっと時間がかかりますが、これと東名道路のインターチェンジとをつなぐ道路を整備いたしまして交通流をここで大幅にさばくということが抜本策として必要だと思います。これらの道路の整備を大いに推進いたしまして岡崎地区の一号線の問題に対処していきたいというふうに考えております。
  54. 渡辺惣蔵

    渡辺(武)委員 いろいろ対策考えてやっていただけるようでございますが、その見通しについてお聞きしたいと思います。
  55. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 これは道路の全体予算とのからみもございますが、かなり集中的にこの事業をやりましても、やはり相当日時がかかると思います。いまの刈谷岡崎線につきまして、一応の目標としては、一部名豊道路等を利用いたしまして、大体五十四年に二車線でつなぎたいというふうに考えております。それからもう一本の方は、まだ現道の状況等調査いたしておりまして、具体的な計画はもうちょっとかかると思います。
  56. 渡辺惣蔵

    渡辺(武)委員 沿道住民が日々大変な生活上の苦労を強いられておるわけでございますから、それらを勘案されましてできるだけ早くこの方策が確立できますように要請をいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  57. 渡辺栄一

    渡辺委員長 一昨日の委員会における福岡義登君の質問に対し、大蔵政務次官から発言の申し出がありますので、これを許します。高鳥大蔵政務次官
  58. 高鳥修

    ○高鳥政府委員 一昨日福岡委員から公共事業予備費の使用の問題に関しまして御質問がございまして、私どもの西垣主計官からそれぞれ事務的な問題につきましては御説明、御答弁を申し上げたところでございます。  問題は、公共事業予備費につきましては、当初予算委員会等におきまして大蔵大臣あるいは三木総理からも御答弁申し上げているところでありますが、予見しがたい経済情勢の推移に弾力的に対処するために、公共事業予備費をいわば使途を特定したものとして設ける、こういう御趣旨の御説明を申し上げているところでございます。  そこで、この予見しがたいいわば経済情勢の推移に対処するという中には今次災害が入るかどうかということでございますが、率直に申しまして、今回の十七号台風災害はまさに史上空前の大災害でございまして、私どもといたしましては、このような大災害があるということをとうてい予見、予測をいたしておりませんでした。かつまた予備費の性格からいたしまして、災害が公共事業であるかどうかということにつきましては、法律的には災害も公共事業の中に含めて考えるということは予算総則等においてもこれを定めているところでございます。  かつまた現在の大蔵省のいわゆる手持ちのふところのぐあいから申しますと、公共事業予備費の約一千五百億、それからまたいわゆる一般予備費の三千億、合わせまして四千五百億というのがいわば現在の予算上一応保留をいたしております手持ちのお金でございます。そういうことからいたしますと、今回の非常災害に対しまして対処をするいたし方といたしましては、使途を特定されました公共事業予備費からこれを支出せざるを得ない、こういう考え方に立ちまして、すでに御承知をいただいておりますように、公共事業予備費の中から九十二億五千三百万円を支出することを措置をいたしておるわけでございます。  そこで、いわゆる公共事業予備費を今後公共事業に使えないのかどうかということなのでありますが、いまの情勢におきましては、私どもといたしましては、この公共事業予備費は、経済に対してどうしても公共事業予備費を支出をしててこ入れをしなければならないという事態になりました場合にはこれを使わざるを得ない、こういうことで実は国会の御承認を得ておるところでございます。十月八日の月例経済報告というのが経済企画庁から提出をされておりますが、この経済報告によりますと、「このところ景気回復のテンポはやや緩慢化しており、卸売物価の騰勢も一鈍化を示している。しかしながら、最終需要は全体として増加基調にあるため、景気は引続き底固い回復過程をたどっている。このような状況の下で」云々ということで、経済企画庁といたしましては、政府の財政支出の形で特別に景気のてこ入れをすることが必要であるという見解をいま現在は示しておらないわけでございます。そういうことからいたしまして、今日公共事業予備費を災害に使うということはまことにやむを得ない事態であると同時に、御質問、御主張の御趣旨については私どもといたしましても十分理解をいたしておりますが、いま現在のところ、残念ながらいますぐ一般公共事業予備費を公共事業にそれぞれ配分して使うという状態にない、こういう認識に立っておるということを申し上げたい、こう思うわけでございます。
  59. 渡辺栄一

    渡辺委員長 井上普方君。
  60. 井上普方

    ○井上(普)委員 高鳥政務次官から大蔵省見解を承りましたけれども、こういうのをへ理屈と昔から言っておるのであります。それは後で質問いたすことといたしまして、私は建設大臣の政治姿勢についてお伺いいたしたいと思います。  建設大臣は、就任時のテレビの放送におきまして、このたび建設大臣に任命せられたのは、私が航空運輸族であるけれどもクリーンだからなんだと総理がおっしゃった、こういう旨のことをお述べになったと思うのであります。私も、建設行政というものがいろいろと問題を含んでおることを率直に認めなければなりませんし、また過去におきましてもいろいろ問題があった。ああ、いい大臣が来た、せっかくいい大臣がああいうような気持ちでやっていただければ建設行政というのは非常によくなるのだろう、さぞやりっぱな政策をお持ちであろうと思って、この間の委員会のごあいさつを承ったのであります。     〔委員長退席、村田委員長代理着席〕 ごあいさつだけだというときに、私はあえて大臣の所信表明をしていただきたいということを要求いたしましたのも、建設行政をクリーンにする、清潔にする、いままでとかく世の中から見られておった汚い面をなくしていく、こういう決意のほどを大臣がおっしゃって、それの具体的な方策をおっしゃることだと思って私は期待いたしておったのであります。しかしながら、あなたの先日の所信表明と申しますか、ここでのごあいさつは全然そのことには触れていない。ただ経済情勢の変動に従いまして公正に予算執行に当たりたい、こう言うのみであります。テレビでおっしゃって全国民が期待しておることにつきましては全然お触れにならなかったのであります。私はあのごあいさつを承りましてはなはだ失望を感じざるを得ませんでした。国民の諸君にテレビで放送するのと、国会において行動するのとのちぐはぐは三木内閣の特徴ではありますけれども、あえて建設大臣がこのたびの委員会においてそのことにお触れにならなかったことについて、私ははなはだ残念に存ずるのであります。大臣の御所見を承りたい。
  61. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 私の所信表明でどういう点が御不満であるかちょっと理解ができないのです。私は実は実行によってこれを証明しようと思っておるわけであります。たとえば先般道路公団の総裁が参りまして、十億円以上の工事については大臣と協議をするというので、書類をたくさん持ってまいりました。私は、そういう書類を見る必要はない、それは道路公団総裁の権限と良識によって入札工事をやってほしい、一切私に見せる必要はないと申しました。  また、首都高速道路公団の鈴木理事長と菊池理事ですか、前の建設省技監でございますが、このお二人が参りまして、たしか十億円以上の工事については従来建設大臣と――協議と言ったのか、はっきり覚えておりませんが、要するに全部書類を持ってきて――入札の名簿でございます。相談するとおっしゃったか協議とおっしゃったか、そこははっきりしておりませんが、要するに大臣と協議して決めることになっておるといって私の部屋に来ましたから、一切そういうものを見る必要はない、それは首都高速道路公団総裁の良心と責任によって一切判定してほしいということで、私は私の政治姿勢を具体的にケース・バイ・ケースで実行しておる、こういうふうに考えております。     〔村田委員長代理退席、委員長着席
  62. 井上普方

    ○井上(普)委員 大臣、あなたはいま行動を持って示すのだ――きょうの毎日新聞を拝見いたしましても、行動派と自称する柔道六段の薩摩隼人、こういうふうなことを書いてございます。私もひとつ行動をもって示していただきたいと思うのです。しかし、それにはあなたみずからが正しいことをやっているのだ、これだけでは済まない問題であります。いままでの建設省の組織、あるいは建設省における仕組みそれ自体にいままでの金権体質があり、あるいは権力体制があったのではないか、ここに問題があるからこそ幾多の問題が過去において出てきた。少なくともこのたびの大臣あいさつにおいて、入札制度ぐらいはひとつ改善するのだというお考え方が示されるものだと私は期待しておった。竹下前建設大臣も、入札制度についてとかくの問題があるから、この問題についてひとつ検討したいというようなお話もございましたけれども、これは私がお聞きいたしますとそういう趣旨のことをおっしゃいました。任期末でございましたので、恐らく事務当局にその検討をなさしめておると存ずるのであります。現在の制度あるいは組織は、たとえばいま申されましたが、十億円以上の入札については公団の総裁が大臣と協議すべしという慣例か、あるいは政令になっておるかもしれません。大臣が協議せられて、自己の主張、清潔なる方法を堂々とおやりになることは私は結構だと思う。しかし、事務当局が勝手におやりなさい、それを私はながめております、こういうことでは、私は清潔なる政治は行われぬと思うのであります。むしろ大臣がみずからをもって清潔なる範を示すために堂々と協議されるのが至極当然であるし、そのことによって協議した責任はあなたにあるのだ。当然責任をとってしかるべきだと私は思うのであります。私が申したいのはそうではなく、制度あるいは法律、法制上の欠陥があるのじゃなかろうか、このように考えるのであります。したがいまして、行動派の大臣でありましたならば、清潔を話されております以上、当然そういう問題に目をつけてしかるべきだと私は思うのでありますが、いかがでございますか。
  63. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 私は、建設省が過去にどうであったかということは知りません、今度初めて来たわけでございますから。ただ、とかく疑惑を持たれては、役所としては大変信用に関することであります。私は、問題は二つあると思うのです。一つは大臣というものの政治姿勢、もう一つはおっしゃるような制度の問題、二つあると思います。そのうちたとえば全国の道路公団の入札等について、私がとやかく検討したり口を出すということは、逆に大臣の政治姿勢に傷がつく、こう私は考えておるわけであります。一々私が全部北海道から鹿児島まで道路公団の入札をチェックするなど、とてもそういうことはできるものじゃないと思いますよ。大臣がみずから姿勢を正せば、必ず部下は姿勢を正してくれる、私はこう思っております。  また、制度については、まだ入札等については素人でございますからよくわかりませんけれども、検討さしてください。
  64. 井上普方

    ○井上(普)委員 それは大臣の逃げ口上だと私は思うのです。(中馬国務大臣「違いますね」と呼ぶ)大臣の逃げ口上にすぎません。大臣の権限というのは、協議したならばその協議した責任を負ってもらわなければならないのであります。もし公団に不祥事件が起こったならば、それは実質上協議をしておらないから免れて恥なしというお考え方になると私は思うのです。(中馬国務大臣「断じて違います」と呼ぶ)違うとおっしゃるのでありましたら、それでは協議する権限を法令上お削りになるのが至当じゃありませんか。
  65. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 政令ではないと思います。それは慣例だと聞いております。大臣が入札を一々チェックをしたりすることはないですよ。それは公団の権限なんです。道路公団の総裁の責任と権限でやっているのですよ。それを従来、いつからかわかりませんけれども、入札は大臣のところへ持ってこいということになったからそうなっているのであって、持ってくることは私はおかしいと思うのです。総裁の良心と責任で厳正、公正にすべきものである。またそうあるべき人が総裁になっているのです。私は、あなたのおっしゃることはよくわからないのですよ。
  66. 井上普方

    ○井上(普)委員 十億円以上のものについて大臣が協議することは慣例でございますか、どうですか。どうです、官房長。
  67. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 お答え申し上げます。  直轄工事につきましては、五億円以上のものについては大臣の承認を得るということになっておりますが、これは地方建設局の処務規程という省令によって決まっておるわけでございます。ただ、いま御議論になっております公団関係の工事の問題につきましては、慣例によりまして処理をしておるわけでございます。
  68. 井上普方

    ○井上(普)委員 その点につきましては、協議する権限が法令上ないことで、私の思い違いでございましたので、その点は率直におわび申し上げます。しかしながらあなたが、ともかく政治姿勢、いままでの政治を直そうという考え方でありますならば、まず目を向けるのは、法令上あるいはまた制度上の欠陥に当然目をつけなければならないと思うのであります。これが第一点。  それから、就任に際しての大臣のテレビ放送につきまして私は疑問を一、二持っておるのであります。もし三木総理が、あなたは運輸航空族であるけれども、君は清潔だからこの際建設大臣をやっていただきたいということでありましたならば、これはゆゆしき問題を含んでおるのであります。すなわち三木総理は、いわゆる灰色高官なるものが盛んに論議されました際に、特に総理自身は司法当局からは全然灰色高官の名前も聞いておらず、報告も受けておらないと申されておったのであります。にもかかわらずあなたにそういうようなことを申されたとするならば、三木総理はロッキード事件の内容それ自体の御報告を受けておるとしか私どもにはとれないのであります。非常に大きい問題を含んでおると私は思います。これはいずれ他のところでこの問題を取り上げたいと思いますが……。
  69. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 ちょっと私にも言わせてください。おっしゃることの意味がよくわかりかねるのですが、三木総理がおっしゃったのは、君はクリーンな政治家である。それから週刊誌、新聞等にも一回も――私は、自民党に航空対策特別委員会ができて、初代からずっと今日まで副委員長を務めたものでありますが、それにもかかわらず週刊誌、新聞等に一つも私の名前が出なかったということを総理はお感じになったのだろう、こう考えております。ロッキード事件と私の関係、そういうことをおっしゃることは私としては非常に納得できないのです。週刊誌その他が当時の航空族をずいぶん追っかけたのです。朝から晩まで追っかけた。私に関しては、一回も新聞記者の方から質問もなかったし、追っかけられもしなかったし何ら関係なかった。私の名前がマスコミに載らなかった、また事実一回も私には電話もマスコミからは来ませんでした。ですから、そういうことが三木総理から高く信用されたのだろうというふうに考えておりまして、三木さんの責任をここでおっしゃることは私としては当を得ていない、こう考えます。
  70. 井上普方

    ○井上(普)委員 私は、あなたが長い間航空対策委員長をやっておられたというのはいま初めて聞くのです。そのさなかにおいて、あなたをクリーンな清潔な政治家であるから、新聞あるいは週刊誌に名前が出なかったから清潔であるというようにおっしゃいます。しかし、実際考えてごらんなさい。けさほど灰色高官十三名であるということを司法当局は公式に発表になったようであります。しかし、この中にはどのような人物がおるかもわからない。でございますので、ただいまの大臣の御発言ではございますけれども、新聞記者あるいは週刊誌が幾ら追っかけても、あなたを追っかけなかったし、あなたの名前が出てこなかったからあなたがクリーンであるというように総理が思ったということは、私にはどうも解せないのであります。  この問題はほかのことですからおいておきますが、しかしいずれにいたしましても、一昨日行われました大臣の所信表明に、あなた自身自分だけ清ければいいという考え方ではなくて、少なくとも建設省の中にあるかもしれない諸問題について、法令上あるいは制度上の問題にメスを加える決意があってしかるべきであったと思うのです。今後そういうような方針で臨まれますか、どうでございますか。
  71. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 私は、建設省に灰色とか黒とかそれがあるということは考えておりません。全く白紙の状態で大臣として就任してきたわけです。全く灰色ではない、黒でもない、公正にいっておると思いますけれども、念には念を入れて、大臣みずから公団等の入札に関与するということは世間の疑惑をこうむるから、それぞれの学識のある方々、経験のある方が総裁に任命されておるわけです、りっぱな方々が。この方々を信用するということが一番いいことであって、おっしゃるように大臣は自分だけクリーンだということを強調する、そうじゃありません。私は文字どおり役人を信用しているし公団を信用しているから、そういう信用されるべき方々に私があの入札はこうせい、これはこうだ、こうだ、こうだというようなことを言うことはかえって世間から見て疑惑をこうむる。しかも法令でもないし、慣例だということですから、その慣例は私としては従うわけにいかない。私はその慣例を尊重しないということで直ちにお引き取りを願った。私の部屋に一分か二分おられまして、かばんから出そうとしたから、もう帰りなさいと言ってすぐ私も立ち上がって、お茶の一杯も出してないのです。だから私としては、大臣だけクリーンで逃げたなんということは私に対する重大な侮辱だと思って私は本当に情けないですよ、こういうことをおっしゃると。  そこで制度の問題ですが、制度というものはどんなにつくりましても、やはりこれを執行する人が姿勢が曲がっておるといろいろなことが生ずるわけです。恐らくいまの日本の法律は明治以来いろいろなことを考えた結果できていることであって、建設省といえどももちろん真っすぐな道を進むような行政になっているわけです。ただ、どの役所でもそうですけれども、ときどき人によって間違いがあるだろうということは仕方のないことでありますから、その仕方のないことはなるべくないようにというのが大臣としての方針でありますから、入札制度その他についてもし御意見があればひとつよく検討させてもらいたい、こう考えます。
  72. 井上普方

    ○井上(普)委員 特に入札制度につきましては、御承知かもしれませんが、昭和三十年当初に、実は慣行でございますかあるいは規則でございますか、つくりましてやっておるのであります。しかしながら、この入札問題につきましてはかなりな何と申しますか、特に金力、権力を用いるやからもなきにしもあらずと思います。でございますので、それらをシャットアウトするには一体どういう方法がいいかということは考えられなければならない事態だと思うのであります。この点につきましては大臣も、先般福岡議員の御質問に対しまして、地方建設局の中においては多少そういう不届きな所員もあるというような御発言がございました。私もそれから週刊誌を読みまして、そしてまた他の週刊誌も読みまして、そしてなるほどなという感を実は私は深くいたしておる一人であります。しかし、これについて大臣がいかなる処置を今後講じられるかというのは、クリーンを自称せられる中馬大臣としては私は興味の的であったのであります。みずからの姿勢だけが正しいのだということでは事は済みません。それは大臣の姿勢が部下に及ぼす影響はありましょう。ありましょうけれども、これはやはり制度を一体どういうように改革するのか、少なくともこれらの問題についての真剣なる大臣の態度をひとつ私は望みたいのであります。いかがでございます。
  73. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 真剣に検討させてください。ただ、どうも先生は私を初めから、あれは自分だけクリーンで逃げているんだという先入観がありますが、私はそれが一番侮辱だと思うのですよ。私はまじめな人間なんですよ。やりますよ、いろいろなことは。やります。やります。だから部下に聞いてみなさい。非常に私をいま信用して仕事がしやすいと言っていますよ。新聞記者もあそこにたくさんおりますがね。私はなって一カ月目ですよ。それを、あれもせぬ、これもせぬというようなことを言われましても、私は本当に日夜やっているつもりですよ。本当にやっているつもりです。お願いします。
  74. 井上普方

    ○井上(普)委員 大臣が国民の前に就任の際にお述べになったこと、これとこの間の所信表明とが違っておるから私は言うのです。当然国民の皆さん方もあなたの新聞記者会見を見、聞いて、さていよいよこれから建設省の仕事というものは清潔なものにしていただけるのだな、こういう期待を持っておったのであります。私もその一人であります。しかし、このたびの所信表明についてはそのことは全然触れておられない、ここに私は大きな不満を持つし、落胆をいたしたのであります。だから、私があえて申し上げるのは、いかにすれば公正なる予算執行ができるか、これは行政の基本でなければならないと思うのでありますが、あなたのこの間の所信表明にはなかったので、はなはだ私はこの点は遺憾に存ずるのであります。したがってあなたは、所信表明にはなかったけれども、今後どういうような方針で建設行政に対して臨まれるのかということをお伺いしておるのでありますが、しかし、その点についての大臣の明確なる――協議をしなかったと言うから私はあえてこういうように申し上げるのです。行動で見てくれとおっしゃる。行動で見てくれと言うのであるならば、行動の指針というものがなければならぬです。そこで、一体どういうような方針をもって今後行われるのかということを私はあなたにお聞きしておるのです。この点、ひとつお伺いしたい。
  75. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 行動で示す以外にないと思いますがね。おっしゃるように、どんなうまいことを言ってもやらぬ人もおるわけですよ。いろんなことがある、世の中にはね。私は公約どおり厳正に行政をやっておるつもりですがね。どこが悪いですか、ちょっと教えてくれませんか。本当に私はぴんとこないのですよ。
  76. 井上普方

    ○井上(普)委員 しかし、行動で見てくれというのはあなた一人の事柄なんであります。建設省全体をそういうような方向に従わせるならば、当然あなたの姿勢はもちろんのこと、いろいろの法制上あるいは制度上の問題として考えなければならないのじゃございませんか。
  77. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 これは建設省のことじゃなくて、従来やはりいろんな問題がありました。その都度内閣や政府は厳正な予算執行をやるとか汚職を防止するとかいろんなことを言いましたよね。しかしそう言ってもなかなか、建設省じゃありませんよ、ほかの役所の場合、各地方団体でもとにかく厳粛にやると言いますけれども、やはり次から次へいろんな事件があるわけですよ。しかしそれには、そういう厳粛にやるという声明とか制度よりも、長たる者がまず姿勢を示すということだと思うのですよ。恐らく私の政治姿勢は公団や局にはぴんといまきていると思いますよ。私がおる間は絶対事故がない、従来もありませんでしたけれども、今度もない、私はこういう確信を持っています。
  78. 井上普方

    ○井上(普)委員 従来もあったのであります。またことしは四十七都道府県のうち四十四県までが下水道汚職をめぐりあるいは建設省関係の工事において汚職が起こっておるのであります。でございますので、私はあえて申すのです。もちろんこれには長い間の一党独裁の政権のよどみというものが出てきたのは間違いございませんけれども、もう一つ申し上げますならば、このようにほとんどの地方自治体において汚職が生まれてきておる。しかも建設省関係の仕事であります。でございますので、その制度上の問題をひとつ考えるべきじゃないかと私は申しておるのです。
  79. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 どんな時代が来てもそういう事件がないことを当然考えなければいかぬです。私もいまからひとつ勉強して考えます。しかし地方自治体のことまで私を責め立てることはちょっと私としては残念ですが、私がいま建設省でやっておることは、公団と直轄の工事は確かに責任がありますけれども地方自治体のことまで私にそう言われても、もちろん政府だからもとはつくりますよ、つくりますけれども、府県の汚職まで私に言われたんじゃ、私は死にきれぬですわね、実際。
  80. 井上普方

    ○井上(普)委員 違うんですよ。建設行政に絡んでの汚職があるのです、しかも制度上の問題として。Aランク、BランクとかCランクとかいう制度をつくってきたのです。それは建設省が指導して各地方自治体の土木部あるいはこういうところに指令をおろしてつくらせてきておるのです。そこに問題があるので私は申し上げておるのです。あなたは地方自治体の汚職については責任がないとおっしゃいますけれども、そのとおりです。直接にはございません。しかし、指導する建設行政に絡んだ汚職事件というものに対しての指導の不足について、私は建設大臣に責任なしとは思わないのであります。たとえて言うならば、入札制度についても建設省が全部指導して、大体方針というものを、入札はかくあるべしということを実は決めておるのであります。だから大臣、あなたの建設行政に対するお考え方は少し甘過ぎるし、御勉強になっておらないのは無理からぬことではありますけれども、そこまでは考えていただかなければなりません。いかがですか。
  81. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 制度の中身は、AとかBとかということは私はよく知りません。ただ、事故がないように法律とか制度とか指導方針とか、それをやることは当然なんですよ。就任早々の私を、あっちこっちの事故まで私の責任みたいにおっしゃいますが、私を信用してくれませんか、井上先生。私みたいな実行力のある清潔な政治家はいないと私は思っております。一〇〇%私は偉くないわけですが、私を信用して助けてください、本当にお願いしますから。
  82. 井上普方

    ○井上(普)委員 だから、私はお助けするために、清潔なる政治をやるには制度上の問題をやらなければならない、こう申しておるのです。そしてあなたがいままで建設行政に携わっておらなかったし、いままでも知らなかったことは私も認めるのです。白紙の立場であなたは建設行政に臨んでおるから、しかもあなたはテレビの放送においてああいうことをおっしゃったがゆえに、私は期待をするがゆえにあなたにあえてこういうことを申しておるのです。どうでございます、制度上の事柄について考えますか。
  83. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 私はどんな制度をつくっても、さっき言ったように人を得なければ運営はうまくいかないと思うのです。恐らく日本の偉い連中がつくった法律でしょう、制度においても。それを正していくのが大臣であり局長であり、知事とか市町村長なんですから、ですから私としては、いまここでどうつくれとか、そういうことはなかなか制度の根幹の問題でありますから、いま即答はできませんけれども、検討さしてください。
  84. 井上普方

    ○井上(普)委員 私は、最初の所信表明にそれがあってしかるべきで、制度を検討すべきであるということをおっしゃっていただきたかったのであります。それはともかくといたしまして、いずれにいたしましても、自治体における建設行政の指導まで建設省には責任があるのですから、その点はひとつ腹の内におさめていただきたいと思うのであります。自治体における建設省関係の諸問題については、建設省も指導の責任があるということはひとつ考えていただきたいのであります。しかも、それが先般の自治体汚職のうちのほとんどの自治体、なかったのは二、三県なんです。これは大臣も御存じだろうと思うのです。でございますので、私どもはあえてこういうことを申し上げるのであります。この点ひとつ御理解のほどお願いいたしたいと存じます。  それから、時間もないようでありますが、高鳥政務次官がただいまの公共事業予備費について御説明になりました。これは予見できない経済情勢の状況において使用する、こういう当初の目的であったのだ、こう申されました。しかしながらこの問題は、経済情勢――大蔵大臣あるいは三木総理の予算委員会における発言を見ましても、すべて景気が回復しなければこれは使うのだ、こういうので一貫しておるのであります。先日主計官がそうじゃないのだ、こんなことも言っているこんなことも言っているというようなこともおっしゃいましたけれども、これは全く話になりません。われわれはそういう説明を聞いて、当委員会においても説明を聞いて、景気回復を待っておったのであります。ただいまのお話によりますと、経済企画庁の見方が、底がたいものがあるから心配要らぬのだ、こう申されましたけれども、私はそれは少し責任を他に転ずるたぐいじゃなかろうかと思います、いま日本の状況を見てみますと、経済は決して回復しておりません。庶民大衆の生活というのはより苦しくなっているのです。その上にもってまいりまして、御承知でもございましょうが、消費者物価というのはどんどんと上がっておる、実質賃金はどんどん下がっておる、こういうような状況の中で、景気回復をいかにして図るか。あなたはただいま最終需要は伸びつつある、こう申されましたけれども、私どもにはそう感じられない。高鳥さん、あなたは選挙区でそんなことを言えますか。あなたもやがて、ここ一カ月か二カ月以内には選挙しなければならぬ身だ。最終需要は伸びつつある、日本の経済は安定しました、好況にも向かっております、国民の皆さん、選挙民の皆さん安心してくださいなんてあなたは言えますか。どうです。
  85. 高鳥修

    ○高鳥政府委員 ただいま先生指摘のように、政府の予算委員会における答弁等におきましては、今後の経済情勢の推移を見ながら、予見しがたいような経済情勢の非常に切迫した状態の中ではこれは使わざるを得ない、そういうことで弾力的に対処をする、このようにいろいろとお答えをしているところでございますけれども、いま経済企画庁から提出をされましたいわゆる月例報告によれば、底がたい回復基調をたどっておる。こういう見解が出されておりまして、政府といたしましては、経済企画庁はこうであるが大蔵省はこうであるというわけにはまいりませんので、経済企画庁のこういう見解を十分尊重しながら財政運営を考えていかなくてはならない、こういう状態にあると思うのでございます。特に公共事業予備費につきましては、諸先生から、参議院の決算委員会あるいは衆議院の予算委員会、数多くの御質問が出されておりまして、財政法二十四条の関係から、あるいは憲法八十七条の関係からいろいろな御論議をいただいているところでございますが、災害に全く使わないという御答弁を申し上げておるわけではないのでございまして、たとえば二月十四日の予算委員会におきまして、安井委員の御質問に対しまして、吉瀬政府委員から、災害等まで含めて不測の事態に備える、こういう御答弁を申し上げているところでございます。  そこで、今後のことについてでございますが、いまお話ございましたように、景気の回復につきましては非常にばらつきがある。それからまた、一時非常に回復をしてきたようであるけれども、最近はまた停滞している状況も見受けられる。こういうふうな現実がございますので、これらの現実を踏まえながら、今後さらに景気の刺激策を講じなければならないような場合には、このいわゆる保留をされておりますところの一般公共事業予備費にかかわらず、総体的な見地で対策を講じなければならない。これはもちろん政府の財投あるいは民間の金融、これらを含めまして景気対策というものを講じてまいらなければならないのではなかろうか。そのような場合には、十分これに対処するために、公共事業予備費のあるなしにかかわらずこれはやらなければならないことは当然である。こういう認識に立っておるものでございます。
  86. 井上普方

    ○井上(普)委員 次官、あなたの御答弁はどうもちぐはぐだらけです。いまの最後のお話なんというのは、予備費は三千億あるのです。なぜ今度の場合二つの予備費をつくったか、そこのところを素直に考えていただきたいのです。これは景気回復の必要が起こったならば必ずやるのですということでつくった予備費なんであります。この問題については、御承知のように財政法上問題がある。問題があって煮詰めが行われないままに変則な予算案の採決が行われましたので、徹底的な論議ができておりません。しかしながら、当委員会におきましても公共予備費の性格については御説明のあったところなのであります。あなたのおっしゃるようなのであれば、一般予備費と何ら性格が異ならぬじゃありませんか、最後におっしゃったようなことであれば。私どもには納得いたしかねます。これは時間がございませんのでこの程度にしておきますが、私どもには納得できない。このことを強く申し上げておきます。  もう時間が参りましたので、ひとつ簡単にお伺いいたします。  災害が起こった場合の復旧でございますけれども、これは災害復旧ということで原形復旧というのがどうも占領軍当時からずっと続いた悪因習であったと思います。この問題について、近ごろは改良をかなり加えておりますけれどももともと改良を中心にした復旧でなければならなかったのであります。しかしながら、この三十年間にわたる大蔵省当局あるいは官僚機構の壁というものは非常に強くて、これがなされておらないのははなはだ残念であります。この際、改良を中心にした災害復旧をやっていただきたい、と申しますよりも、改良を原則とした災害復旧をやっていただきたいと思うのですが、その点いかがでございますか。もう時間がございませんのでお伺いいたしておきます。  それから、治水五カ年計画が来年度第五次でございますか、発足するのでございますけれども、三木総理は、この間も災害が起こると、治水問題で一生懸命やるんだ、初めて治水問題の五カ年計画をつくるんだのごとき印象を国民に与えるがごとき言動をされておりました。私もこの点、三木さんという人はいままで治水五カ年計画が何回も重なったのを知らぬのかなという感じを持ちながら実は聞いておったのであります。しかしながら、この治水問題で特にいま重要なことは、都市の水害の問題あるいはまた大河川の決壊の問題等等たくさんの問題はあります。しかし、先日、私のくにで起こった災害の一例を申し上げまして御参考に供したいと思うのであります。  私の方には、町村合併までは古宮村という村がございました。そこは、村が開けてから大体千二百年から千三百年たっておるのであります。御存じのように山村でございますので過疎でございまして、もう人口は半分に減りました。現在四百五十戸あるのでありますが、この間の災害によりまして川辺にある家というものは全部流れてしまった。山の上あるいは山の中腹にあるものは地すべりで、全壊家屋は少のうございましたけれども実際問題として地すべりの上におる、不安でたまらない、でございますので、四百五十戸のうちの三百戸が実は移転しなければならないということを言っておるのであります。ところが、これに対する対策といたしまして、集団移転は考える。この間、江藤政務次官からは、私、災害対策特別委員会でお伺いしましたところが、過疎対策の問題と災害対策の両方でひとつその問題は処置しよう、こういう御答弁がありましたので一応は安心したのでありますけれども、実際問題として四百五十戸のうちの三百戸が移転しなければならぬというと、もう敷地がありません。それは合併いたしまして穴吹町古宮地区と申しておるのですが、昔の生活共同体としての古宮村というものはもう完全に消滅せざるを得ぬものではないだろうかと私どもは思うのであります。ここらに対して、三百戸を移転させるにいたしましても、五里も六里も離れたところに持っていかなければ平地がございません。ところが地価が高い。もう町村長さんは非常な御苦労をなさっておるようであります。こういうような問題について、少なくとも国としては例外処置を講じなければならないのじゃないか、このように思うのでございます。これについての大臣のお考えを承りたいと思います。  それから続いて、盛んにいま東海地震が論じられております。この間、参議院の予算委員会におきまして、地震問題を取り上げて参考人を招致していろいろ御勉強になったようでありますが、その後、週刊誌あるいは新聞にもたくさん書かれおりまして、国民は、特に東海あるいは東海道ベルト地帯に住む人間としては不安は隠せないものがあります。いままでの地震予知については科学技術庁の対策になっておりますけれども、しかし災害が起こったら、これはもう国土庁の方に責任は移る。したがって、ここらの災害において、特に建設省においては、もう私が申し上げるまでもなく、高速自動車道路あるいはまた一般災害というものは非常なものになって、あるいは新幹線も脱線転覆するでしょう。これらに対する対策をいまのうちから私はあらかじめ考えなければならない問題でないかと思いますと同時に、これは所管外ではありますけれども、地震予知には二百億くらいの金さえあればできるんだと学者先生は申しておりますので、国民の諸君の不安を解消するためにも、ひとつせっかくの御努力国土庁におきましてもとられることをお願いいたすのであります。  それからもう一つは、これは河川課になると思いますが、私のくにの災害を視察してまいりました。いかにもひどい災害でございました。五日間に二千七百ミリ降ったところに、実は四、五日前に私参ったのであります。ともかくすごい山崩れで、ここは人間の犠牲者が出ておりました。ひどいものだなと思ったのでありますが、その下流のところを見てまいりますと、川底がともかく上がっている。何で上がっているんだと言いますと、ダムのバックウォーターの地点、ここから土砂は非常に堆積いたしまして三メートル、四メートル大体たまっておるのであります。ひどいところでございますと、十七メートル土砂が堆積いたしておるのであります。そしてその村の人たちの言うのには、あんな砂防ダムがなかったならば、あるいはまた発電ダムがなかったならば、私のところは水がつかりませんが、今後は雨が出ますと私の方はつかってしまいます、どこがこれらの対策を講じていただけるのでしょうかということを申しておるのであります。これもダム災害の一つじゃなかろうかと思います。国の御方針を承りたいと思うのであります。  以上、飛び飛びの問題でございますが、ひとつ御答弁をお願いいたします。
  87. 天野光晴

    ○天野(光)国務大臣 地震の問題ですが、予知をされましてその対策を講ずるときどうするかという問題につきましては、私の方の所管になっておる中央防災会議の中に、この対策に関する扱う場所をこれから――けさ科学技術庁長官から話がありましたので、私の方で防災会議の中にこれを設けてその処置をするように努力いたしたいと思います。  それからもう一つ、災害復旧の原形か改良かという問題でございます。これは本来なら建設大臣所管でございますが、私、今回の災害に関する本部長を仰せつかっております関係で、予算委員会でも答弁をしておいたのでありますが、建設大臣も異存はないようでございますので、これは原形復旧という措置はいろいろな問題でやはり数多くの問題を残します。そこで改良復旧を重点的にやる、こういう方向に今後の災害の後始末は考えてまいりたいと思います。ともすれば予算の問題も伴ってきますが、建設省の方とよく詰めまして、原形復旧ではなくて改良復旧を基本としてやるんだというような方向に持っていけるように努力いたしたいと思います。
  88. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 実は、この間東海地方の直下型地震というショッキングな記事が出たものですから、衆議院の災害委員会で社会党の山本幸一先生から御質問がありまして、早速私の方でも対策を講じたいということで、国土地理院というのが建設省の所管になっておりまして、ここに各大学、それから役所の予知連というのがあるんだそうです。そして、予知したものを今度は科学技術庁の方に持っていって、そこで対策を講ずる。いろいろ名前は違っても実際は地震予防のための研究機関が大学とか役所にあるわけでございまして、いまのところそれを一つにまとめようということなんです。  問題は、予知連や国土地理院等が、どれぐらい金があれば井戸が何カ所掘れるとか、大体の予知ができるとか、そういうことについていま詰めておりまして、今度の予算編成には強く大蔵省に要求したい、こう考えております。
  89. 栂野康行

    ○栂野政府委員 地震に対する防災対策につきまして具体的にちょっとお話ししたいと思います。  まず、大都市地域におきましては、大震災あるいは火災に対処するために防災地域の指定、それに道路、公園等都市施設の整備、それから市街地再開発事業等によります建物の不燃化、それから避難のための空き地の確保、その他公共施設の点検整備を行いまして都市の安全性の向上も図っておるわけでございます。  それから避難地あるいは避難道路、それに緩衝緑地、そういう整備を内容とします防災対策緊急事業計画というものを現在策定中でございまして、各地方公共団体の地域防災計画の中に定めるよう現在指導中でございます。  次は道路関係でございますけれども昭和四十六年に道路と橋梁、そういう建設省所管施設の耐震性に関する総点検を実施したわけでございます。その後の都市化の進展あるいは沿道状況の変化に対応しまして震災対策の一層の強化を図る必要から、また本年の七月に点検調査を実施しているところでございまして、現在その結果をヒヤリング中、集計中でございます。今後はこういう調査結果をもとに、さらに震災対策の一層の拡充強化も図ってまいりたいということでございます。  河川関係につきましては、いわゆる地盤沈下対策事業あるいは河川敷地におきます避難地、避難道路の整備造成、また東京の江東地区におきましては、河川堤防、護岸の耐震性の強化を現在図っているところでございます。  一方、建築物の地震に対する安全性の確保でございますけれども、関東大震災あるいは十勝沖地震のような大きな地震力に対しましても構造上重大な障害が生じないように、現在建築基準法の規定によりましてチェックしているところでございます。その中には、建築物の耐震性の基準を強化した昭和四十五年改正後の法令規定に適応してない既存不適格建築物というものもございますので、こういうものに対しましては、耐震診断基準の策定等耐震改修を促進するための施策を講じてございます。  そのほか主要道路の交通確保並びに人員、資材、機材の確保に関する検討、それから通信網の整備拡充を図ってございます。  それから、先ほど先生がおっしゃいました砂防ダムとか、そういうダム堆砂による、バックウォーターによる災害の問題でございますけれども、必要に応じまして緊急砂防事業とか、そういうもので対処してまいりたいと思いますし、またよその所管に関係するダムにつきましては、いろいろ協議したりあるいは行政指導しまして、そういう被害を減らすように今後持ってまいりたいというふうに考えております。
  90. 渡辺栄一

    渡辺委員長 清水徳松君。     〔委員長退席野中委員長代理着席
  91. 清水徳松

    ○清水委員 時間が大分経過しておりますので、一点だけにしぼりまして御質問を申し上げたいと思います。  大蔵省は、米軍より返還された基地の跡地の処分について、統一的な基準を定めて処理をしようというようなことで国有財産中央審議会に諮問をいたしまして、去る六月二十一日に大蔵省案として、おおむね大蔵省案が認められたわけでありますが、その内容のものが答申をされたわけでございます。それがいわゆる三分割・有償方式という方式でございます。  この中身についてはもうすでに建設省国土庁も御承知だとは思います。そこで、返還地である国有地の利用について、これは明らかに利用者に対する制限あるいは利用時期などに制約をしておるわけでございます。注文をつけておるわけです。この注文は大蔵省から出された一つの要望にすぎないものとは思っておりますが、この三分割案については、国土利用計画の実施あるいは都市計画の実施の立場にある建設省あるいは国土庁としてどのような位置づけで考えられておられるか、その点最初に両大臣にお伺いをいたしたいと思います。
  92. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 三分割案というのは大蔵省等の方針でございまして、個々の場合はやはりケース・バイ・ケースだ、こう考えております。一つの方式で全国の基地を律せられるものじゃない。三分割がいいときもあるだろうし、二分割がいいかもしれぬ、あるいは一分割がいいかもしれぬ、私はケース・バイ・ケースだろう、こういうふうに考えております。
  93. 清水徳松

    ○清水委員 国土庁の方、大臣でなくてもいいですから……。
  94. 山束良文

    ○山東政府委員 ただいま建設大臣からもお答えありましたようなことでございます。  国土庁の方といたしましても、仮に三分割というようなことでありましても、国土庁の立場からいたしますと、すべての基地跡地についてということではなくて、首都圏整備の上で非常に重要な地点につきましては総合的な計画を立ててこれを要請していくということでやっていけるものと考えております。
  95. 清水徳松

    ○清水委員 この三分割方式については、建設大臣もこれはケース・バイ・ケースであるというようにおっしゃっておりますから、絶対的なものではない、一分割の場合もあるのだというぐあいに言っておられますから、建設大臣、その点は確認していいわけですね。
  96. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 さように思っております。
  97. 清水徳松

    ○清水委員 念のためにお伺いするわけでありますが、国有地は国土利用計画、これは全国計画、都道府県の計画あるいは市町村計画とあるわけですが、この計画の上からどのような扱いを受けられるものであろうか。国有地だからといって別に差別的な扱いを受けるといったようなことはないわけですね。私有地であろうと国有地であろうと、とにかく計画をする場合は全然そういった差別といったようなものはないわけですね。ここは国有地だから何か特段の配慮をするとか、ここは私有地だから特別の何といったようなことは全然なくて、全体の土地として一応計画が立てられるものかどうか、恐らくそうだろうと思いますが……。
  98. 中村清

    中村(清)政府委員 お答えを申し上げます。  国土利用計画法の関係は後刻国土庁の方からお話があるかもしれません。私の方は都市計画という立場に限ってお答えを申し上げますが、都市計画につきましては、御存じのように市街化区域と市街化調整区域を分けるということになっておりまして、各地域につきましてそれぞれ整備、開発、保全の方針を決める、こういうことになっておりますので、たまたまそういう地域の中に国有地が含まれておりますれば、特に国有地であるからということではなくて、ただ市街化調整区域であるかあるいはそうでないかという面からの判断が優先するであろうかと思っております。
  99. 清水徳松

    ○清水委員 特別な扱いを受けることがないならば、国土利用についてはその市町村計画あるいはいまお答え願いました都市計画の場合に、その返還跡地も当然組み入れられてそこで計画がされるものである、というふうに認識してよろしいですね。
  100. 中村清

    中村(清)政府委員 お答え申し上げます。  都市計画の面につきましては、私どもはそういうふうに考えております。
  101. 清水徳松

    ○清水委員 きょうは大蔵省の方から松岡課長が来られておりますので、この見解についていかように考えられているかちょっとお伺いをいたしたいと思います。
  102. 松岡宏

    ○松岡説明員 先日来のお尋ねの際に大蔵省は欠席いたしておりまして、まことに申しわけございませんでした。  三分割方式は、先生すでに十分御存じのところでございますが、いわゆる大口の返還財産につきまして殺到する需要を調整するためのいわば調整手法でございますから、これによって具体的な跡地の利用内容がどうなるということが固定的に決まるものではなくて、今後関係者全員が十分話し合って決めていこう、こういうものでございます。  ところで、十万平米以上の大口の米軍基地跡地は原則として三分割方式の対象にする、こういうことになっているわけでございますが、中央審議会の答申書の中におきましても、特別のものを除く、こういう留保はついているわけでございます。もうすべての大口返還財産をしゃくし定規に一つの例外もなしに全部三分割、こういうことではないわけでございまして、特別のものは三分割の対象から除かれるわけでございますから、何が特別のものであるかということは、一つ一つの跡地についてそれなりに判断しなければならない。そういう意味で、ただいま建設大臣からもケース・バイ・ケースというふうな表現がなされたのだと思いますけれども、そういうことで特別なものを除きました以外は、やはり統一基準を決めたわけでございますから、統一の基準によってすべての返還基地に対しては公平に三分割という形で処理してまいりたい。その場合に関係者がお互いに公平に譲り合うための調整の手法である、こういうことでございますので、内容的な問題は、今後関係者がよく相談し合うということでございまして、都市計画あるいは国土利用計画、そういったもろもろの観点を含めましてよくお話し合いをしてまいりたい、こういうことでございます。
  103. 清水徳松

    ○清水委員 その場合の主導権と申しましょうか、どちらが責任を負わなければならないかという問題だろうと思います。三分割案というのは、結局は、三分の一は地方自治体が使ってよろしい、三分の一は国が使うのだ、あとの三分の一は五年なり十年なり待ちなさい、こういうような中身のものなんです。ですから、明らかにこの土地の利用について、利用者の面で制限を加える、それからまた、時期的に一時保留するわけですから、時間的な制約を加える、こういったような面があるわけであります。国土利用計画なりあるいは都市計画は市町村長あるいは知事、大臣等の責任において行われる。この計画が実際実行される場合、非常に権限が複雑になってくるのじゃないかと思われるわけです。たとえば、都市計画やそれに基づく地域指定、用途指定といったような場合、これは大きな障害となってくることは事実だろうと思うのです。そのときに大蔵省の意見が優先するのか、それとも、国土利用計画法あるいは都市計画法においてそれぞれ市町村長なり県知事、建設大臣あるいは総理大臣なりが責任を持っておるわけなんですが、こちらの責任が優先するのか、その辺のところを明確にしていただきたいと思います。
  104. 中村清

    中村(清)政府委員 返還跡地をどういうふうに利用するかという問題につきましては、実はいろいろな問題があると思います。といいますのは、いまお話がございましたように、A、B、Cと三つに分けていろいろな利用区分を考えるといった問題がございます。それから、大きい目で申し上げますならば、国土利用計画といった観点から、その返還跡地を一体どういうふうに利用するかという問題が大前提としてまずあると思います。それから次に、私どもが担当しております都市計画の面につきましても、市街化調整区域であるか、あるいはそうでないか、あるいはこういう跡地があった場合に、その跡地を一体どういうふうに利印するのが都市の合理的利用に資するか、こういった問題がございますし、また関係各省も絡んでぐるところがいろいろあると思いますので、そういうところと総合的に相談いたしまして、長い目下見て合理的な計画にしたいというふうに考えております。
  105. 清水徳松

    ○清水委員 長い目で見るといったようなことでよろしいですか。たとえば、都市計画なんというものは早急につくられなければならぬものですよ。少なくとも、いろいろな調整の余地があるならどんどん変更もしなければならぬ。いわゆる町の発展のためには絶対に必要なものなんです。ですから、それをどちらが責任を持ってやるのかといったようなことがあいまいな中で、果たしてそういう重大なる都市計画が遂行できるかどうかということをお伺いしたいわけなんですよ。そんな長い目でやっていいのかどうかですね。
  106. 中村清

    中村(清)政府委員 私が長い目でと申し上げましたのは、たとえば都市計画法でいきますと、市街化区域というのはおおむね十年以内に計画的に整備する地域ということになっておりますので、一応そういうめどで長い目でというそういう文句がございますので、そういう意味合いで目先のことだけを考え計画をしないということで、長い目で見てという言葉を使わしていただいた次第でございます。
  107. 清水徳松

    ○清水委員 それでは何か十分御理解願えていないような気がするものですから、具体的にひとつ御質問を申し上げたいと思います。  そこで、今度の跡地利用で非常に問題になっておるところは、立川、入間、狭山、朝霞等うんとあるわけです。その基地の跡地の利用を除いては、都市計画なんというものは絶対あり得ないというような場所です。立川にしても非常に広大なる面積が町のど真ん中にどっかり跡地として残っているわけです。入間、狭山にしてもジョンソン基地の跡地が残っているわけです。いま都市計画の中に入らないで残っているわけですよ。朝霞でも同じです。その利用をめぐっていろいろといま問題になっているわけです。  それで、この三分割案というのはいろいろ折衝の中で出てきた大蔵省一つの案なんです。ところが、この跡地というものを計画の中に入れないで都市計画というものは絶対にこれらの都市ではあり得ないというような状況です。これは皆さん御承知だと思いますよ。その場合に三分割をばんと打ち出されますと、少なくともこの地域において都市計画を行う場合、これは絶対に自治体が使うのだ、これは国が使うのだ、これはしばらく保留しておくのだ、しかも五年、十年、こういったふうに言われておるわけでありますが、その場合、そこを空白にしての都市計画というのは全然できないのですよ。だからその場合、大蔵省の言ういわゆる使用者に対する制限あるいは時期に対する制約、こういったようなものが都市計画を不可能にしていくのではないかということを非常に心配しておるわけであります。都市計画が不可能だということは町の百年の大計が出てこないということにもなるわけです。そういう場合に、この三分割案といったようなものは、大蔵省の単なる意見として扱っていいのか、それともこれは絶対的に都市計画の中に実行しなければならぬものであるか、その辺のところは、建設省としても十分指導していかなければならぬところではなかろうか。ぼくらはさっき言ったとおり、大臣が言ったようにこれはケース・バイ・ケース、しかも責任は建設省にある、このように思っております。都市計画の責任というものは最終的には建設省、そして知事にあり、市町村長にあると思っております。ですから、大蔵省の三分割案というものは単なる希望にすぎない、このように思っておるわけなんですが、その辺のところを国土庁としても、建設省としても、もう少しちゃんとした理解を持って指導していただきたい、このように思います。
  108. 松岡宏

    ○松岡説明員 三分割方式に従いまして、三分の一の面積を留保地として残しまして、五年ないし十年様子を見る、こういうことでございますが、この留保地を残すということが都市計画策定の技術面において特段の支障があるものではないというふうに私ども考えております。この点は建設省あるいは国土庁も全く同意見でございまして、ここら辺の問題は関係各省の実務者レベルで従来から十分話し合って、特に留保地が都市計画の妨げになるものでないということははっきりいたしております。  ところで、具体的にキャンプ朝霞にいたしましても、ジョンソン飛行場の住宅地区にいたしましても、もうすでに返還になって三年以上その身の振り方が決まらずに、関係各方面で争奪戦を繰り返しているわけでございます。この跡地の具体的な利用方法ということについて関係者の合意が達成されない限りは、都市計画というものが立てられないわけでございます。そこで、いつまでたってもまとまらない話し合いを、何とか譲り合いによってまとめようというのが三分割方式でございます。これによって適正な都市計画も推進されることになるであろうというふうに私ども考えている次第でございます。
  109. 清水徳松

    ○清水委員 むしろこの三分割方式というものは、都市計画というものをより早く立てさせるためのものであるといったような意味に、実はいまの松岡さんのお答えが聞こえたわけでございますが、この三分割案で利用者に対する制約あるいは期日、五年なり十年なりをしばらく保留しようといったようなことは、都市計画上これは非常に障害になりはしないかということを、現地なんかを見ましてぼくらは非常に心配をしておるわけなんです。ですからその点について、国有地の処理について、都市計画を立てる場合に責任を負うのはどちらであるかということをはっきりさせていただきたいということを、建設省ひとつお答え願いたいと思います。
  110. 中村清

    中村(清)政府委員 都市計画をだれが決めるか、都市計画の所管についてどこが責任があるかというお尋ねでございますれば、それは私どもの系統でございます。
  111. 清水徳松

    ○清水委員 そうすると、都市計画が立てられた場合、そうして地域の指定が行われた場合、用途指定が行われた場合は、大蔵省の方は、たとえ国有財産なりといえども、その都市計画には従う、そのような使用に応ずる、値段は別ですよ、値段は別ですが、それははっきりさせていただきたいと思います。
  112. 中村清

    中村(清)政府委員 国の計画として都市計画を決めるということでございますし、計画を決める際に、もちろん関係各省等の調整というものを終えた後で計画を決定するわけでございますから、いま後段の御質問の部分は、私どもはそのとおりであるというふうに考えております。
  113. 清水徳松

    ○清水委員 では大蔵省の方、ひとつお答えください。
  114. 松岡宏

    ○松岡説明員 三分割方式を個々の基地跡地につきまして具体的に適用していく手法といたしましては、返還財産処理対策連絡会というものが関係機関の話し合いの場として設けられておりまして、国の側からは大蔵省国土庁建設省等の関係機関、それから地元側からは都、県でございますね、地方公共団体が出ているわけでございまして、そこの実務者レベルで具体的に、この跡地の三分の一について地元はどう使うのか、三分の一について国、政府関係機関はどう使うのかということを十分話し合いをいたしまして、結論が出るわけでございます。その出たものを踏まえて都市計画が円満に樹立されるわけでございますから、決まった都市計画に全員が従うということは言うまでもないところでございます。
  115. 清水徳松

    ○清水委員 そうすれば、この五年ないし十年間は全然利用方法を決めないでそのままにしておくというようなことで、それでもって都市計画というものが実際立てられるかどうか。特に先ほど申し上げましたようなところは、立川にしても、入間にしても、狭山にしても、朝霞にしても、こういうことであってはもう都市計画ができない、こう言っているのですよ。ですから、その点を建設省はどのようにお考えになっておられるか。単に三分割案というものは大蔵省希望意見にすぎないのだ、そういうふうに扱いまして、そうして必要あればどんどん大蔵省の意見というものは、もちろん尊重はしても、それに拘泥しないで都市計画というものは場合によってはどんどん立てるというような方向で指導されるのか。その辺のところをお答え願いたいと思います。     〔野中委員長代理退席委員長着席
  116. 中村清

    中村(清)政府委員 都市計画決定と、それからいまお話がございました基地との関係でございますが、基地が返還になりまして、その跡地利用の関係で、それが仮に計画が決まっておりました場合、都市計画と適合しないというふうな場合にたりますと、これはいろんな調整をしなければいけないというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても関係の省庁と十分、あるいは地元公共団体とも十分連絡をとりまして、その跡地が十分に活用されるように計画の方を考えていきたいというふうに考えております。
  117. 清水徳松

    ○清水委員 これは、渉外関係主要都道府県知事連絡協議会ですか、ここから出てきた文書でありますが、五十一年四月に基地返還跡地利用計画に関する緊急要望書というものが提出されておるわけです。その中で、「画一的な三分割処分方針は、地域の実情を理解しないものであり、合理的な論拠が薄弱であるので改められたい。」「理由」として「基地跡地の利用計画は、長期的展望に立って、道路、上水道、下水道等の公共施設の整備など、地方公共団体の整合的、体系的な街造りの一環として策定されるべきものと考える。」というふうに言っておるわけであります。大蔵大臣や建設大臣国土庁長官、このことについてどのようにお考えになっておるか、お伺いしたいところでありますが、ここでは大臣としては建設大臣だけでございます。お伺いして、後は局長に、また松岡さんにお答え願いたいと思います。
  118. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 先ほどもお答えいたしましたけれども、私どもは、あくまでも三分割というのは一定の大蔵省の方針でございまして、これが命令でもないし決定でもない、ケース・バイ・ケースで実情に応じてよく地元と相談しながら、また学識経験者の意見を聞きながら一これは国民の財産ですからね。ですから、国土利用からいっても最も有効適切な使用方法になるようにやりたい、こう考えております。
  119. 清水徳松

    ○清水委員 国土庁の方の重点事項の説明のときにも御説明受けたわけでありますが、その中で、総合的土地対策の推進という欄で、これから市町村を主体とする望ましい土地の利用の転換に必要な施設の整備等に関する計画の策定を推進するということが重点施策としてうたわれまして、市町村の計画がすべて指導的な役割りを果たすようになるから、これをやりやすいように予算的な措置もこれから講じていくんだということで、一億二千万円ほどの予算の要求をしておられるようでございます。こういったようなことに見られるように、土地の利用というものはやはり市町村が主体にならなきゃならぬということでありますから、これは都市計画法でもやはり市町村が一番基盤になっているわけですから、そういったようなことを考えたときに、いま建設大臣がおっしゃいましたように、あくまでこれは地元の意向に従ってというような意向でございますが、この点については、この三分割案というものもあくまで該当する地元の意向というものは一番重点的に扱われるものであるかどうか、その辺のところはもう一回大臣及び局長の方にお考えを聞きたい。
  120. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 私は、地元の意向に従ってとは言っていないのですよ。地元の意見を尊重し、これは国民の財産でございますから、地元並びに全国民が有効適切に使える。特にまた地元ですから、それはもちろん尊重しなければいかぬですよ。しかし、地元の言うとおりというわけにいかぬですね。やはりこれは国民の財産ですから、だれが見ても納得のいく使い方という方向が当然だ、こう考えております。
  121. 清水徳松

    ○清水委員 もちろんこの土地利用計画についても都市計画についても、それぞれ市町村が独断でやるものじゃありません。やはりそれぞれ知事なりあるいは大臣の監督を受けながら、それぞれ市町村計画あるいは国の計画に整合するような案が立てられるわけでありますけれども、これからは地元の該当地域の利害関係というものを一番尊重しながら、計画というものが積み上げられてこなければいかぬというような考え方でございますから、それはわれわれとしては大いに歓迎するところであります。ですから、ぜひひとつ地元の意向というものを尊重する、もちろんそのとおりになるというところまでわれわれは要望しません。しかしながら、尊重するということは、この国土庁の概算要求のときに説明を受けたわけでありますが、その方針というものは、今後土地利用計画についてもあるいは都市計画についても貫かれるものであるということだけはひとつぜひ確認を願いたいと思います。
  122. 山束良文

    ○山東政府委員 総合的な土地利用を立てるというような場合におきまして地元の意見を尊重しなければならないというのは、これは当然のことであろうと思います。  ただ、先ほども私申しましたように、その地域が非常に貴重な財産をどう処理するかといいます場合に、広域的な立場からもまた考えなければならないというようなこともございまして、国、県それから市町村、それぞれ一体になりまして、それぞれの意見を調整していくというような方向でもって総合性を確保していきたいというふうに考えているわけであります。特に国土庁の方といたしましては、すべての跡地と申しますよりは、比較的規模の大きい、また首都圏整備のために非常に重要な地位を持っているそういうような地点について、そういう意味から総合的な対処をしていきたいというふうに考えております。
  123. 清水徳松

    ○清水委員 時間がありませんので、一応締めくくりたいと思います。  少なくとも三分割方式は、国土利用計画法、都市計画法等に基づく土地利用の決定について、市町村長、知事、建設大臣、総理大臣の権限と責任が明確化されておるわけでありますが、法的な根拠が何にもなくて大蔵大臣があえて国有地の払い下げについて三分割案を固執することは、土地の行政の面でその整合性を失わせ、混乱を引き起こす結果となるということは、いままでの経過からして、また現実起こっておる問題からして明らかでございます。大蔵大臣に再考を促したいところでありますが、大蔵大臣にかわりましてというのはちょっとあれですが、これはぜひ大蔵大臣に強く伝えていただきたい、そのように思います。
  124. 松岡宏

    ○松岡説明員 米軍基地跡地は国有財産でございまして、国有財産の中で普通財産でございます。普通財産の管理処分は大蔵大臣の専権事項でございます。国民全体の立場から、返還されましたきわめて貴重な大口の米軍基地跡地が有効に活用されますように、この三分割方式に基づいて具体的な運用を図ってまいりたいと存じます。
  125. 清水徳松

    ○清水委員 最後に、もう一度建設大臣にお伺いをいたしたいと思います。  この三分割方式というものは、あくまでこれは国有地の払い下げについて大蔵省から出された一つ希望であるというふうに解釈してよろしいですね。建設省としてはそのように扱っていますね。
  126. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 私は法学博士じゃありませんからそこまではわかりませんが、私どもとしては、国民の貴重な財産でございますから、これを一片の法律や政令で決めないで、よく納得ずくめで決めたい。だれが見てもいい案だなと地元も納得する、そういう線で最終に方針を決めたい、こう強く考えております。
  127. 清水徳松

    ○清水委員 そうすると、都市計画、国土利用計画上、計画を打ち立てる場合の障害になってはならないということもお考えになっておるわけですね。
  128. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 そこまでいろんなことありましょうけれども、要するに納得ずくめでやりたい、決して無理はしない、こう考えておるわけです。都市計画というのはなかなかむずかしい法律のようでして、私はここで、こうするああするということはちょっと越権行為でございますから、三分割だけをにしきの御旗にしてこれを強行するということは絶対にしない、こう考えております。
  129. 清水徳松

    ○清水委員 三分割方式というものをにしきの御旗にしてこれを強行するということは絶対しないということは、これは建設省としての考えなんですね。
  130. 中馬辰猪

    中馬国務大臣 大蔵省が三分割をにしきの御旗で来た場合でも、私どもは納得のいく場合は賛成するし、いかない場合は修正を求める、こう考えているわけです。
  131. 清水徳松

    ○清水委員 先ほどから言っているように、この三分割案については、関係の市町村、都道府県の方から、国土利用計画法上あるいは都市計画法上、また全般の土地行政上非常に整合性を欠くということでその撤回を求めておられるわけでありますから、その点について建設省としては、国土庁もそうですが、あくまで土地行政の責任者として、国土利用計画あるいは都市計画の円滑なる推進のためにも、この三分割案については、みずからの責任ということを十分踏まえながら対処してほしいということをここにお願い申し上げまして、そしてまた、あくまで三分割方式というものは単に大蔵省の持っておる国有財産の払い下げについての一つ希望であるというような意味に解釈をされまして、今後、本来の建設省あるいは国土庁の任務を全うされていくことを強く希望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  132. 渡辺栄一

    渡辺委員長 この際、委員長から大蔵省当局に一言申し上げます。  公共事業等予備費の設置の趣旨は、景気動向に応じ、機動的に一般公共事業に充当し、景気の順調な回復を図るためのものと理解している。  最近の景気動向については、一般的には順調な回復過程にあると言われるものの、業種別、地域別に見れば依然として景気沈滞の機運はぬぐえず、さらにまた、今次の激甚な台風災害、異常な気象による冷害等もこれに拍車をかけ、各方面から公共事業等予備費の一般公共事業への追加支出が強く要望されているところである。  これについては、さきに福岡、井上両議員からの強い要望があったところであるが、委員長としても同感であり、改めて大蔵当局の善処を強く要望する。  大蔵省当局において発言があれば、これを許します。高鳥大蔵政務次官
  133. 高鳥修

    ○高鳥政府委員 委員長のただいまの御発言並びに委員会における審議の過程で承りました御意見の御趣旨は、大蔵省といたしましても十分理解いたしまして、大蔵大臣に御趣旨を伝えまして十分検討させていただきます。
  134. 渡辺栄一

    渡辺委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時四十三分散会