○浦井委員
国土庁長官がおられる。
——厚生省は来ておられますか。厚生省が少し参議院の方の用事もあるので、先にこの問題、
災害救助法の問題をひとつやらしていただきたいと思います。
長官は本
国会の
予算委員会で、
災害救助法は
かなり不十分なところがある、だから改正も
考えるというようなことを言われた。そこでよく聞いておいていただきたいわけですが、こういう問題点があるのです。
災害救助法では、救護班なんかを出す場合に日赤に協力義務がある。だから、日本赤十字社の方ではふだんから何個かの班をすぐ編成できるようにして、そして要請があればすぐ出動できるという体制があるわけなんですが、ところが過去の例から見まして緊急の場合にどうしてもおくれておるようであります。
たとえば二、三例を申し上げてみますと、一九七〇年の四月八日に例の大阪の天六でガス爆発事故があった。このために死亡者が七十八名、重軽傷者が三百九十六名。これは
災害救助法が発動されなかったわけでありますが、ここで知事の要請を受けて大阪の大阪日赤が出動した。ところが現地に到着をしてみると、死亡者の
処置あるいは負傷者の
処置についてはほとんど近所の医療機関なり医療従事者がてきぱきとやってしまって、大阪日赤
かなり急いで行ったのだけれ
ども、救護班が扱ったのは負傷者一名だけであった、こういうことであります。さらにその少し前に、やはり大阪で南海電車が大阪府と和歌山県の境くらいで鉄橋の宙づりになりました。これも
かなりの大きな人身事故を起こしたわけでありますが、これも大阪の日赤が出動した。行ってみると、この天六の事故と同じように軽傷者一名を
処置しただけである、こういうようなことが例として挙げられると思うわけであります。
今回の台風十七号の場合に香川県の小豆島、ここは土石流で
かなりの大きな被害を受けたわけでありますが、この場合をちょっと調べてみますと、日赤の救護班は高松日赤が出動したわけなんです。これはいろんな余儀ない事情もあっただろうとは思うのですが、
災害救助法が発動されたのが九月の十一日、これは
地方によって時間はずれますけれ
ども、ところが高松日赤が小豆島に上陸をし、
仕事に従事したのは九月十四日、三日間あるわけです。もちろんまだ風も吹いておったし、離島でありますから、いろんな船のチャーターの問題などあったと思うのですが、しかも府県の知事さんの打つ手がおくれたかと言ったらこれは命令を下すだけでありますから、
かなり早くやっておる。日赤の準備もふだんから、特に大阪日赤などは日赤病院としては
かなり整備がされておるので、すぐに出動してしかもなおこういうような現状である。だから、ふだんは病院の従事者は一般の診療業務に携わっている、こういう問題もあるだろうし、やはり本源的な体制上の問題だろうというふうに思うわけであります。だから、結局
災害救助法の場合に日赤の救護班が出動しても、相当長期にわたって、たとえば過去で言えば伊勢湾台風であるとかあるいは新潟の地震であるとかこういうようなときには
かなり役に立っておる。ところがそうでない急の場合には間に合わない。ところが
災害救助法の第一条では「この法律は、
災害に際して国が
地方公共団体、日本赤十字社その他の団体及び国民の協力の下に、応急的に、必要な救助を行い、」
——急にこたえなければいかぬわけですよね。だから、そういう点で
かなり問題があるというふうに思うわけです。
人命救助というのは何をおいても大切なことであるし、いままでの例からいくと近所の医療機関などあるいは医療従事者などが駆けつけてやっておる。ところがここで問題が出てくるわけだ。というのは、費用弁済の制度が全くない、こういうことになる。小豆島の場合に香川県に聞いてみますと、日赤、済生会、県立中央病院、こういうところがそれぞれ業務命令であったりあるいは従事命令であったりあるいは要請を受けて小豆島に行っておる、これは費用弁済の方法はあるわけなんです。ところが簡易保険病院、そのほか民間の医療機関な
ども自発的に行っておるわけなんです。これについては県は費用を弁済する方途がちょっとございません、こういう返事であります。今回私ちょっと調べてみますと、十七号台風の場合、これに類するようなことが、私のおります兵庫県でも岡山でもあるいは高知でもあるいは岐阜というようなところでも、
かなり民間の医療従事者なり医療機関がそういうことをやっておる。だから私、厚生省に要望したいのですけれ
ども、ひとつ少なくとも今回の台風十七号に限っても、そういう点の実態
調査を一遍やってほしい。そうして、こういう大きな被害を生んでおるわけなんですから、費用弁済という点でも
かなりの額になっておるはずです。これはひとつ手を打たなければいかぬのではないかという
感じを強く持っておるわけなんですが、この点について厚生省の御
意見を……。