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1976-11-04 第78回国会 衆議院 外務委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十一月四日(木曜日)     午前十一時四分開議  出席委員    委員長 藤本 孝雄君    理事 石井  一君 理事 塩崎  潤君    理事 竹内 黎一君 理事 水野  清君    理事 毛利 松平君 理事 河上 民雄君    理事 津金 佑近君       安倍晋太郎君    坂本三十次君       塩川正十郎君    正示啓次郎君       長谷川 峻君    松永  光君       三池  信君    川崎 寛治君       三宅 正一君    正森 成二君       渡部 一郎君    永末 英一君  出席国務大臣         外 務 大 臣 小坂善太郎君  出席政府委員         外務政務次官 小此木彦三郎君         外務省条約局外         務参事官    村田 良平君  委員外出席者         外務省経済局外         務参事官    溝口 道郎君         外務省経済協力         局外務参事官  大鷹  正君         農林省食品流通         局食品油脂課長 吉田鉄太郎君         食糧庁業務部輸         入課長     山田 岸雄君         外務委員会調査         室長      中川  進君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月二日  辞任         補欠選任   渡部 一郎君     矢野 絢也君 同日  辞任         補欠選任   矢野 絢也君     渡部 一郎君 同月四日  辞任         補欠選任   粕谷  茂君     塩川正十郎君   原 健三郎君     松永  光君   金子 満広君     正森 成二君   竹入 義勝君     大久保直彦君 同日  辞任         補欠選任   塩川正十郎君     粕谷  茂君   松永  光君     原 健三郎君   正森 成二君     金子 満広君     ――――――――――――― 十月三十日  日中平和友好条約締結促進に関する請願(塩  谷一夫紹介)(第二二三九号)  同(山口敏夫紹介)(第二二四〇号)  同(渡部一郎紹介)(第二二四一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月三十日  日中平和友好条約締結促進に関する陳情書外  七件(第一  一五号)  朝鮮自主的平和統一促進に関する陳情書外四  件  (第一一六号)  韓国に対する外交政策確立に関する陳情書  (第一一七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  千九百七十一年の国際小麦協定を構成する小麦  貿易規約及び食糧援助規約有効期間の第三次  延長に関する議定書締結について承認を求め  るの件(条約第一号)(参議院送付)  千九百七十六年の国際コーヒー協定締結につ  いて承認を求めるの件(条約第二号)(参議院  送付)  請 願   一 国際労働条約第百十一号、第百三号及び    第八十九号の批准等に関する請願木原実    君紹介)(第五七号)   二 同(佐藤観樹紹介)(第五八号)   三 同(平林剛紹介)(第五九号)   四 日中平和友好条約締結促進に関する請願   (關谷勝利紹介)(第八七〇号)   五 国際労働条約第百十一号、第百三号及び    第八十九号の批准等に関する請願田中美    智子君紹介)(第一〇七六号)   六 朝鮮自主的平和統一促進に関する請    願(關谷勝利紹介)(第一三五六号)   七 日中平和友好条約締結促進に関する請願    (唐沢俊二郎紹介)(第一三五七号)   八 同(羽田孜紹介)(第一三五八号)   九 日中平和友好条約締結促進に関する請    願(石野久男紹介)(第一四四二号)   一〇 同(田川誠一紹介)(第一四四三    号)   一一 同(川崎寛治紹介)(第一四四四    号)   一二 同(岡田春夫紹介)(第一五七二    号)   一三 同外一件(枝村要作紹介)(第一五    七三号)   一四 同(村山富市紹介)(第一五七四    号)   一五 同(八木昇紹介)(第一五七五号)   一六 同(米内山義一郎紹介)(第一五七    六号)   一七 同外六件(吉田法晴紹介)(第一五    七七号)   一八 日中平和友好条約締結促進に関する請     願(小川平二紹介)(第一四四五号)   一九 同(中澤茂一紹介)(第一四四六    号)   二〇 朝鮮自主的平和統一促進に関する     請願小川平二紹介)(第一四四七    号)   二一 同(唐沢俊二郎紹介)(第一四四八    号)   二二 同(中澤茂一紹介)(第一四四九    号)   二三 同(羽田孜紹介)(第一四五〇号)   二四 同(吉川久衛紹介)(第一八一二    号)   二五 同(小坂徳三郎紹介)(第一八一三    号)   二六 同(下平正一紹介)(第一八一四    号)   二七 同(中村茂紹介)(第一八一五号)   二八 同(原茂紹介)(第一八一六号)   二九 同(小沢貞孝紹介)(第二〇七七    号)   三〇 日中平和友好条約締結促進に関する請     願(吉川久衛紹介)(第一八一七号)   三一 同(小坂徳三郎紹介)(第一八一八    号)   三二 同(下平正一紹介)(第一八一九    号)   三三 同(中村茂紹介)(第一八二〇号)   三四 同(原茂紹介)(第一八二一号)   三五 同(小沢貞孝紹介)(第二〇七六    号)   三六 日中平和友好条約締結促進に関する     請願井岡大治紹介)(第一八二二    号)   三七 同(佐々木更三君紹介)(第一八二三    号)   三八 同(坂本恭一紹介)(第一八二四    号)   三九 同(下平正一紹介)(第一八二五    号)   四〇 同(鈴切康雄紹介)(第一八二六    号)   四一 同(田口一男紹介)(第一八二七    号)   四二 同(楯兼次郎君紹介)(第一八二八    号)   四三 同(辻原弘市君紹介)(第一八二九    号)   四四 同(広瀬秀吉紹介)(第一八三〇    号)   四五 同(塩谷一夫紹介)(第二二三九    号)   四六 同(山口敏夫紹介)(第二二四〇    号)   四七 同(渡部一郎紹介)(第二二四一    号)      ――――◇―――――
  2. 藤本孝雄

    藤本委員長 これより会議を開きます。  これより請願審査に入ります。  今国会、本委員会に付託されました請願は合計四十七件であります。  本日の請願日程第一から第四七までの各請願全部を一括して議題といたします。  まず、請願審査方法についてお諮りいたします。  各請願の趣旨につきましては、請願文書表によりまして、すでに御承知のことと存じます。また、先刻の理事会におきまして慎重に御検討いただきましたので、この際、各請願についての紹介議員よりの説明等は省略し、直ちに採否の決定をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 藤本孝雄

    藤本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  採決いたします。  本日の請願日程中、第一ないし第五、第七及び第八、第一八及び第一九及び第三〇ないし第三五の各請願は、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 藤本孝雄

    藤本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 藤本孝雄

    藤本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  6. 藤本孝雄

    藤本委員長 なお、今国会、本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付してありますとおり、日中平和友好条約締結促進に関する陳情書外六件であります。念のため御報告いたします。      ————◇—————
  7. 藤本孝雄

    藤本委員長 千九百七十一年の国際小麦協定を構成する小麦貿易規約及び食糧援助規約有効期間の第三次延長に関する議定書締結について承認を求めるの件及び千九百七十六年の国際コーヒー協定締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。  まず、政府よりそれぞれ提案理由説明を聴取いたします。小坂外務大臣。     —————————————  千九百七十一年の国際小麦協定を構成する小麦貿易規約及び食糧援助規約有効期間の第三次延長に関する議定書締結について承認を求めるの件  千九百七十六年の国際コーヒー協定締結について承認を求めるの件     〔本号末尾掲載〕     —————————————
  8. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 ただいま議題となりました千九百七十一年の国際小麦協定を構成する小麦貿易規約及び食糧援助規約有効期間の第三次延長に関する議定書締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  千九百七十一年の国際小麦協定は、本年六月三十日まで有効期間延長されていましたが、この議定書は、同協定有効期間をさらに二年間延長するもので、本年二月ロンドンで開催された関係国政府間会議において採択されたものであります。     〔委員長退席石井委員長代理着席〕  千九百七十一年の国際小麦協定は、小麦貿易規約食糧援助規約との二部から成っており、小麦貿易規約は、従前の国際小麦協定に比し、価格帯供給保証等のいわゆる経済条項を欠いておりますが、小麦の市況の安定化のため加盟国情報交換、協議を行うこと等を規定し、食糧援助規約は、開発途上国に対する食糧援助について規定しております。この議定書は、この両規約の実質的な内容に変更を加えることなく、その有効期間をさらに二年間延長することを定めており、小麦貿易規約有効期間の第三次延長に関する議定書食糧援助規約有効期間の第三次延長に関する議定書との二部から成っております。  この議定書締結することは、小麦貿易に関する国際協力促進期待されること、開発途上国食糧問題の解決に貢献することとなること等の見地から、わが国にとり有益であると考えられます。なおわが国としては、食糧援助規約有効期間の第三次延長に関する議定書に基づく食糧援助を米または農業物資で行う方針であるので同議定書にその旨の留保を付しました。  よって、ここに、この議定書締結について御承認を求める次第であります。  次に、千九百七十六年の国際コーヒー協定締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  この協定は、一九七四年九月に採択された議定書によって延長された千九百六十八年の国際コーヒー協定に継続する協定として、一九七五年の十一月から十二月にかけてロンドンで開催された国際コーヒー理事会において採択されたものであります。  この協定実質的内容は、大綱において千九百六十八年の国際コーヒー協定を踏襲するとともに、現状に即した改正が加えられております。すなわち、各加盟輸出国に対し主として輸出実績及び在庫量を基礎として輸出割り当てを配分した上で、一定の価格を基準として輸出割り当て制の実施及び停止の操作を行うことにより、コーヒーの需給の均衡及び価格の安定を図ることを主たる目的としております。また、常に各加盟輸出国輸出量及び在庫量確認を行う等十分な供給を確保する仕組みについても規定しております。  一九六二年以来国際コーヒー協定に参加してきたわが国が引き続き千九百七十六年の国際コーヒー協定に参加いたしますことは、コーヒーが重要な輸出品目である多数の開発途上国経済発展に協力する積極的な姿勢を示す意味からも、また、コーヒー消費国であるわが国としてはこの協定のもとでの国際協力コーヒー安定的供給に資すると期待できることにもかんがみ、きわめて望ましいと考えられます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  以上二件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
  9. 石井一

    石井委員長代理 これにて提案理由説明は終わりました。  引き続き両件に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河上民雄君。
  10. 河上民雄

    河上委員 ただいま御提案になりました小麦協定コーヒー協定につきまして、若干技術的な点も含めてお尋ねをいたしたいと思います。  小麦協定審議するに当たりましてひとつお伺いいたしたいのは、昨年の八月、安倍農林大臣アメリカバッツ農務長官会談をいたしまして、穀物安定供給について約束を取りつけておりましたが、その内容はどういうものであったのか。また、バッツ農務長官もこの前やめられましたし、安倍農林大臣もすでにその職を去られておるのでありますが、この約束は現在も効力があるのかどうか。一部には、最近この約束が御破算同様の状態に陥っているということも伝えられておりますだけに、その点政府確認をいただきたいと思います。
  11. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 ただいま御指摘の点は、安倍農林大臣が、日本アメリカから大量の穀物及び大豆輸入を必要としている点を指摘いたしまして、これらの産品について今後三年間、すなわち昨年の八月以降三年間にわたりまして、その間の取引目標を設けてはどうかと提案いたしまして、おおよその年間数量として小麦三百万トン、飼料作物八百万トン、大豆三百万トンというのを示したわけでございます。これに対してアメリカバッツ農務長官は、アメリカ日本をその農産物の市場として高く評価している旨を強調して、この日本輸入必要量を明らかにしたことに対して謝意を表するとともに、アメリカ側としてもこの取引目標日本に対して供給する意図であるということを確認いたしたわけでございます。  いま申し上げましたように、この両国大臣合意共同記者会見で発表されたという形になっておりますので、これが一九七五年から三年間のわが国アメリカからの小麦飼料穀物大豆輸入量の予想を述べたものであって、現在に至りまするも有効であると考えておる次第であります。すなわち両国大臣の資格での約束事でございまして、これは今日でも有効であるというふうに存じております。
  12. 河上民雄

    河上委員 いまのお話のように、わが国アメリカから輸入する小麦の量というのは大体三百万トン、一九七五年の実績も大体そうでありますけれども、これはわが国外国から輸入する小麦の量、つまり五百七十万トン前後の中で非常に大きな部分、半分以上を占めておるわけでございます。こういうことを考えますときに、日本食糧におけるアメリカへの依存度というものは非常に高いわけでございます。  御承知のとおりアメリカでは大統領選挙が十一月二日にございまして、その結果現職のフォード大統領が敗れて民主党のカーター候補が当選をいたしました。カーター政権が発足をしますのは来年の一月二十日でございますけれども食糧問題一つとらえましても日米関係というものはかなり重要な意味を持っておるわけですし、食糧だけではなく、広くカーター政権の性格というものを見きわめるというか、今後どういうことになるかということは国民の等しく関心を持っておる点だと思うのであります。外務大臣はその点につきまして、カーター政権に対してどういうような評価といいますか期待を持っておられるか、この機会にお考えを承りたいと思います。
  13. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 ジミー・カーター氏、正確に言うとジェームス・E・カーター氏でありますが、この人が今度大統領になられたということにつきまして、わが国としては総理大臣の名前をもちまして祝電を発しておるわけでございます。  カーター氏につきましては新聞等において非常に詳しく報道されておるわけでございますが、非常に純粋な正直なりっぱなお人柄のようでございまして、特に道義を重んずるということを大変強調しておるようであります。日本との関係につきましては非常にこれを重く見ておられる。昨年でございますか日米欧委員会というものの一員として日本においでになりましたりしておる関係もあって、従来余り外国旅行をなさらない方であったようでありますが、その中で日本に来られたということで、特に日本に対する関心を強くお持ちになっているように理解しておるわけでございます。対外的な問題についても、日本とヨーロッパとの関係については特に重要に考えるということを言っておられますので、私どもは引き続き日米の間に良好な友好関係が持続されていくものと期待し、またわれわれとしてもそうなるように努力をしたいと考えておる次第でございます。
  14. 河上民雄

    河上委員 昨日選挙の結果がわかった段階でございますから、外務大臣としてもなおこれから詳細な検討をなさることと思いますけれども、御意見を承ることができまして幸いに思っております。われわれとしてはアジアにおけるアメリカ外交は今後どうなるか、特に朝鮮半島の問題に対してどうなるかというようなことについて非常に深い関心を持っておるわけですが、きょうは小麦協定審議でございますので、大臣の御感想、コメントを伺って、小麦協定の少し技術的な点について話を進めていきたいと思います。  事務当局で結構でございますけれども、この小麦協定有効期間は、毎年協定が出てくるのでありますが、昨年、一昨年とそれぞれ一年間延長でございましたのが今回二年間延長にしたというのはどういうことであるか、何か特別な理由があるのかということ、それから、穀物安定供給を確保するために二国間協定を結んでいる例がほかにあるかどうか、また二国間協定を結ばない方がいいとお考えになっておられるのかどうか、それをまずお伺いいたしたいと思います。
  15. 溝口道郎

    溝口説明員 最初の御質問でございますが、御指摘のとおり、今度の延長は従来の二回の延長と違いまして、二年になっております。これは小麦貿易の状況が、ここ数年小麦価格の変動などでかなりの混乱がございますが、実は、日本は昨年も一年よりも二年の延長でいかがだろうかと提案いたしましたが、昨年はECの反対で一応従来どおり一年と延長されましたが、今度はECもこれに同意いたしまして、二年間延長いたしまして、この間に新しい価格条項を含んだ協定の交渉が可能であるかどうか、大いに加盟国間で検討を進めるということが申し合わされております。  それから、第二の二国間取り決めでございますが、小麦事務局調査によりますれば、ただいまアルゼンチンと四つ輸入国の間に四つ協定がございます。     〔石井委員長代理退席委員長着席〕 また、豪州と四つ輸入国との間にそれぞれ協定がございます。カナダと五つの輸入国の間に二国間協定がございます。それから、米国につきましてはソ連との間の取り決め一つございます。  このように二国間協定がたくさんございますが、わが国といたしましては、わが国は非常に大きな小麦輸入量でございますので、その安定供給を図ることが非常に大事なことでございますが、それが二国間協定の方が適当であると判断される場合はそれも一つ手段だと思いますし、現在アメリカとの間に行っておりますバッツ・安倍会談の了解のような方式一つ方式であろう、いずれにしても、日本としては安定供給を得るためにあらゆる手段を尽くすというような考えでおります。
  16. 河上民雄

    河上委員 そうしますと、二国間協定日本としてはそれも一つ方法だけれども、いまのところはそういう方法をとっていない、安倍バッツ会談というようなものは両国政府担当者合意だから効果の上で協定に近いようなものである、     〔委員長退席毛利委員長代理着席〕 そういうような判断でおられるように受け取られるのでありますが、食糧というものがいま非常に大きな問題になりまして、石油戦略というようなことが言われておるのと同じような意味で、食糧戦略というようなことが言われるようになっておることは御承知のとおりで、特にフォード政権キッシンジャー長官はそういうことを公然と言っているわけです。食糧のような人類の生存に死活的な価値を持つものを、何か一国の政治戦略の道具に使うということは、非常にわれわれ人類立場としては許してはならないと思うのでありますけれども、それにはやはりある程度対抗手段というようなものを講じなければいかぬ、その意味で二国間協定というものもある意味では重要でありましょうし、また食糧自給度というものを高めることも非常に重要であろうと思うのでありますが、そういう点について政府はどういうお考えを持っておられるのか、大体食糧自給度をどの程度にしようとしておられるのか。先ほどの小麦お話ですと、もう過半をはるかに超えるパーセンテージをアメリカ一国に依存する、こういう状態で果たしてよいのかどうか、こういう点について最後に御意見を承りたいと思います。事務的なあれというのではなかなか意見が出ないと思いますが、外務大臣、そういう点はどういうふうにお考えになっておられますか。
  17. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 これは本来農林省守備範囲だと思うのでございますが、国務大臣立場で申し上げますならば、わが国の米の自給度というものは一〇〇%であるわけでございます。小麦の場合、四%内外かと思うのでございます。大豆が二%程度、これはしかしいかにも少ないのでございまして、これをもう少し上げていかなければならぬ。そこで、いまお言葉がございましたように、アメリカに依存する分が非常に多いわけでございますけれども、しかし日本でできるだけ自給する方法はないものかということになりますと、やはり価格政策の面で、小麦ないし大豆に対する価格をどうも余りに不遇な地位に置いているという問題があるわけでございます。今年の予算からはこういう点が若干改められまして、かなり自給度が上がっていく、せいぜい六%ぐらいのところまではこの両三年来に急速に上がるのではないかという期待があるわけでございます。     〔毛利委員長代理退席委員長着席〕 一方、大豆等についても、畦畔大豆をつくることは可能なんでございまして、こういう点はやはり価格によって相当操作し得る面でございますので、われわれといたしましては、自給度を、米ばかりでなくて、一般の国民食糧が非常に小麦に多く依存するあるいは大豆に多くの需要があるという面からして、これらの自給度をもっと高めるという政策をとるべきであるというふうに存じております。
  18. 河上民雄

    河上委員 外務大臣には、もう少し食糧戦略ということについて、政治的な角度から今後とも取り組んでいただきたいと思います。  なお、国際コーヒー協定につきまして、私もコーヒーを愛飲する多数の日本人の一人でございますので非常に関心を持っているわけでございます。この委員会には私ども同じ選挙区の同僚諸君もたくさんおられるわけですけれどもコーヒー豆輸入問屋が一番多いのは神戸市なんでございまして、したがっていわゆるコーヒー店も、人口比率でも全国で一番多いというようなことも聞いておりますので、そういう角度からちょっと伺いますと、南米諸国で、たとえばグアテマラなどで地震があるとか、あるいはコロンビアで洪水があるとか、あるいはブラジルで霜の害があるとかいうようなことで、いまコーヒーが非常に減産している。したがってコーヒーの相場が大変上げ足が急であるということが伝えられております。これはやはり日本に対して値上げという形で必ずあらわれてくるのではないかと思いますけれども、その見通しはどうなるのか。また、この協定輸入割り当てを決めた条項とかいろいろありますけれども、こういう中で価格の上昇を抑えるような具体的な方法があるのかどうか。言いかえますと、国際コーヒー協定にそういうメリットがあるのかどうか、この点について伺いたいと思います。
  19. 溝口道郎

    溝口説明員 御指摘のとおり、ブラジルの昨年の霜で木の四分の三ぐらいがやられましたし、そのほかにコロンビアの洪水とかその他で、現在コーヒー豆の相場は非常に高く推移いたしております。ただ、同時に、この長期的な見通しといたしましては、また、いま相場が高いこともございまして、コーヒー生産国はどんどん生産をふやしておりますので、八〇年代に入りますと、また相場はかなり下落するんじゃないかという見通しもございます。コーヒー取り決めは、価格の安定をいたしますメカニズムといたしまして、価格が下がったときには輸出割り当てでそれをてこ入れする、価格が上がったときには、それに直接対応するメカニズムではございませんが、非常に緩い形でございますが、輸出クォータが存続するという形になっておりましたが、今回の新協定では、輸入国の主張によりまして、価格が高くなりましたときは一切輸出クォータを撤廃するということになっております。また、各輸出クォータ、価格が下がったときの輸出クォータの決め方にいたしましても、その在庫水準をそれに反映するというようなことも今度の新協定に入っておりますけれども、こういうことを通じまして、常時コーヒー生産国が生産をふやし、在庫をふやすことにインセンティブを与えて、価格が高くなりましたときにも世界の需給がバランスするようなメカニズムになっております。
  20. 河上民雄

    河上委員 いわゆる喫茶店でコーヒーを飲む場合、ブラジルの高値というものはやはりかなり影響がありますか。それとも、いろいろなプロセス、段階で手を打つことによってそれほど値上がりしないで済むというように見通しを持っておられますか。
  21. 吉田鉄太郎

    ○吉田説明員 いま先生の御指摘の原料がわりと高くなってまいっておりますので、国内につきましても逐一現在高くなりつつあるということは御指摘のとおりでございます。ただし、農林省といたしましては、関係の業界に対しまして合理化、また先ほど御指摘のレギュラー業者に対しましても近促法の適用、共同化等々進めまして、できるだけ値上げを抑えていくように指導している最中でございます。
  22. 河上民雄

    河上委員 やはり若干上がるような感じでございますけれども、最後に一つだけ、コーヒー協定審議に際して少し調べますと、国連の中に国際コーヒー機関分担金というのを日本は予算で出しているようでございますが、一体日本から職員をこの機構に送り込んでおるのか。何人ぐらい送り込んでおるのか。外務大臣は、先般の国連総会の演説の中で、この国連職員の配分の問題について言及されておるのでありますけれども、そういう点について外務大臣の御意見、あるいは外務省としていまとりあえずこういうことをしたいというような点を、コーヒー機関だけでなしに、国連職員全体についても御意見を賜れれば幸いと思います。
  23. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 御承知のように、今日国連全体で二千六百名職員総数があるわけでございますが、それから見ますと、望ましい数と申しますか、それは百六十二名ないし百十七名、そのくらいの職員を出すことが、わが国のような分担率を持った国から見ると望ましい形じゃないかというのでありますが、実際出ておる職員数は七十名でございます。これはいろいろな障害がありまして、語学上のハンディキャップあるいは労働慣行の相違とか、あるいは大体国連に入るスタートがおくれておりますので、われわれが入ったときにはすでに一応事務機構ができておるとか、そういうようなハンディがあるわけでございますが、先ほどおっしゃっていただけましたように、私としてはそういう不均衡を今後できるだけなくしていくようにという提唱を強くやっておるわけでございます。また、それも相当効果が出てくるであろうというような期待を持っておるわけなんでございます。  それから、なお国際小麦協定コーヒー協定コーヒーの方の御質問でございましたが、国際コーヒー機関事務局というのがございまして、これは事務局長がございまして、その下に次長があり、総務部があり、統計部がございまして、職員数は五十五名あるわけでございます。日本人はその中にはおらぬというように承知しております。ちなみに一九七六年から七七年度の予算は二百二十二万米ドルでございます。
  24. 河上民雄

    河上委員 終わります。
  25. 藤本孝雄

    藤本委員長 次に、津金佑近君。
  26. 津金佑近

    ○津金委員 時間の制約もありますし、小麦協定については参議院の段階でかなり聞いておりますので、きょうはコーヒー協定の問題にしぼって若干質問をいたしたいと思います。  最初に、一般論としてちょっとお聞きいたしますが、開発途上国の輸出を第一次産品から工業製品の輸出に比重を高めるべきであるという問題点や、また一次産品の現地加工を高めるべきであるという問題について、政府は基本的にどういう態度をとっておられるか。まず、その点について最初にお伺いしておきたいと思います。
  27. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 LDCの国々が自分の国の産品を一次産品から加工度の高いものにしていく。すなわち付加価値の高いものを重点に変えていこうという気持ちは、われわれとしても十分理解できるところでございまして、そういう意味で、できるだけ経済協力もいたし、技術協力もいたして、それらの国の要望にこたえるような姿勢をとっておるわけでございます。しかしながら、やはり何と申しましても一次産品国に共通する問題は、人材不足の問題もございますし、技術協力をやるにしましても、やはり教育の問題等もございます。そういうことで、われわれの体験からしてもまず農業を完璧にやる、そしてその農業から次の二次製品産業の方へいくというような過程をとって日本は経済的なテークオフに成功したんだというような話をやりながら、それらの国との友好を深めていくという態度をとるのが適切ではないかというように思っておるわけでございます。
  28. 津金佑近

    ○津金委員 この現地加工に関する規定は、いつから、どこの国の要求で規定されたのですか。
  29. 溝口道郎

    溝口説明員 この規定は輸出国の中でも特にブラジルがインスタントコーヒーの生産及び輸出に熱心でございまして、ブラジルが主張し、米国がこれに賛成を表して入ったものでございます。
  30. 津金佑近

    ○津金委員 いまのは、この規定の新設をブラジルが要求してアメリカが賛成したということですか。ブラジルはこの規定の新設に賛成をしておりますか。
  31. 溝口道郎

    溝口説明員 ブラジルはコーヒーの世界最大の輸出国でございますが、コーヒー豆と同時に、インスタントコーヒーに現地で加工いたしまして、インスタントコーヒーの輸出にも最近非常に力を入れております。ブラジルの主張でこの規定が協定に入ったものでございます。ブラジルは賛成いたしております。
  32. 津金佑近

    ○津金委員 この場合に、日本はどういう態度をとられましたですか。
  33. 溝口道郎

    溝口説明員 日本も、御指摘のとおり、こういう一次産品の加工度向上ということは基本的に発展途上国の経済発展に資するという角度から、この規定に賛成いたしております。
  34. 津金佑近

    ○津金委員 日本がこれに対して賛成をされた場合に、日本にはどういう影響というものが事実上あったのか。それからまた、そういう場合、日本はすず協定の場合でも、一般論でも現地産品の現地加工に賛成する態度をずっととってきたわけですが、この場合、現地加工を制限するという方向に日本は賛成されておるという、むしろそういうニュアンスを持っておられたのではないですか、そんなことありませんか。現地加工を制限する規定、その点はどうですか。事実関係をもう少し正確にお願いしたいのです。
  35. 溝口道郎

    溝口説明員 日本は現地加工をできるだけ促進するという立場から、この六八年協定以降の規定に賛成しております。それを歓迎するという方の立場でございます。
  36. 津金佑近

    ○津金委員 アメリカがやはりこの規定の新設に賛成し、これを要求したわけでありますが、この場合のアメリカ代表団の中にはインスタントコーヒー製造会社の代表も参加しておったというふうに理解しておりますが、その点の実情はどうですか。
  37. 溝口道郎

    溝口説明員 御指摘のとおり、米国はコーヒー豆の大輸入国でございますが、同時に豆を米国内で加工してインスタントコーヒーを生産する点におきましては大生産国でございまして、その関連から、このコーヒーの交渉会議には業界の代表としてそういうインスタントコーヒーの会社関係の人も代表団に参加していると承知しております。
  38. 津金佑近

    ○津金委員 その実態、たとえば一九六七年の八月二十一日から九月八日までロンドンにおいて第十回理事会議が開催された、これは六三年コーヒー協定の満期を明年に控えての会議の開催だったというふうに思うわけですが、このときの米国の代表団の構成の中で、インスタントコーヒーの会社の代表などが代表団に占める具体的な比重、そういったものについておわかりですか。
  39. 溝口道郎

    溝口説明員 業界代表の名前はただいまちょっとつまびらかにいたしませんが、こういう商品協定会議に業界の方から代表が出て、顧問として代表団を補佐するということは非常に間々あることでございます。交渉におきまして種々専門的な知識を要する場面がございますので、そういう場合に政府の代表からなる交渉団を補佐するということで、アメリカの代表団も通常、たとえば国務省、必要に応じまして商務省とか農務省とか、各省の代表が中心になりまして、業界の代表は顧問という形でこれに参加するのが通例でございます。
  40. 津金佑近

    ○津金委員 私どもがいろいろ調べたところによりますと、この会議の中で米国の要請もあってブラジルのインスタントコーヒー問題についての問題が特に重視をされ、アメリカが大変これを重視しておったということは、その代表団の首席代表がジョルジュ・ジャコブス国務次官補であったわけでありますが、このもとで十三名の代表団のうち六名までが米国コーヒー協会の代表者が入っておったというふうにわれわれの調査では明らかになっている。この事実関係はそう間違ってないというふうに思いますが、そういう形で非常に重視をしてアメリカ側がこれに臨んだわけでありますが、この問題は最終的にはブラジルとアメリカの間でどういう解決を見たのですか。
  41. 溝口道郎

    溝口説明員 先生御指摘のとおり、六八年協定ではこのインスタントコーヒーの問題が大変問題になりましたが、その後七〇年に米国とブラジルの間でインスタントコーヒー問題に関する二国間取り決めができまして、その結果両国の間に了解が成立いたしまして、その後円満に問題は推移いたしております。
  42. 津金佑近

    ○津金委員 いまのお話では円満な解決ということでありますが、必ずしもブラジル側として十分満足のいく解決であったというふうには思っていない、そういう側面がかなりあるんじゃないですか。
  43. 溝口道郎

    溝口説明員 ブラジルのインスタントコーヒーの輸出は年々増大いたしておりまして、たとえばわが国でもブラジルからのインスタントコーヒーが統計によりますと増大しておるようでございます。
  44. 津金佑近

    ○津金委員 それではもう一つほどお聞きしておきたいと思いますが、日本開発途上国に対する貿易の依存度というのは五十年度五〇・二%であり、アメリカは二一・六五%だ。こういう点から見ても、わが国開発途上国との貿易を重視し、その関係を改善する方向が今後重視されることは、私、日本の経済の発展にとっても非常に重要な問題ではないかと思うのです。今後一層その開発途上国立場に立った判断、そういうものをもってこういうものに対処すべきであるというふうに考えるわけでありますが、今後開発途上国との貿易促進ということに関する政府の基本的な考え方を、これは最後にひとつ外務大臣に総括的にお伺いしておきたいと思います。
  45. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 仰せのとおり、開発途上国との貿易は非常に大切でございまして、ことに日本は石油の大きな輸入国でございます。また、農産品につきましてもさようでございますが、そういう点がことごとく資源のないわが国といたしまして、この資源が輸入され、そしてそれが輸出されるということにおいて国民のなりわいが向上しているわけでありますので、基本的に開発途上国との関係は重要であるということでございます。したがいまして、われわれとしてはあらゆる問題を考えるに際して、やはりその開発途上国の気持ちになって、それに十分な理解を示しながら貿易を増大させていくという姿勢が必要である、かように考えておる次第でございます。
  46. 津金佑近

    ○津金委員 私はこれで終わります。
  47. 藤本孝雄

    藤本委員長 次に、永末英一君。
  48. 永末英一

    ○永末委員 コーヒー協定について伺いますが、わが国におけるコーヒーの各国別輸入の主なものをひとつ知らしてください。
  49. 吉田鉄太郎

    ○吉田説明員 コーヒー豆の主たる輸入国は、一、ブラジル、二、インドネシア、三、象牙海岸、四、ウガンダ、五、コロンビア、こういう順序ではないかと思います。
  50. 永末英一

    ○永末委員 そのシェアはどういう比率でございますか。
  51. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 私のところにあります資料で申し上げまするが、コーヒーを生産している国はいま四十五カ国ということになっています。そして、その輸出の額は七五年に約四十億ドルでございまして、その国はほとんど発展途上国でございますが、その途上国の輸出収入に占めるコーヒーの割合は非常に高いわけでございまして、たとえばブラジルが七八%、ウガンダが六〇%、コロンビアが五二%、エチオピアが五〇%などが大きなものでございます。ただ、いまの御質問はわが国に対する輸入の割合というようなことでございましたので、これは他の方から御説明申し上げます。
  52. 吉田鉄太郎

    ○吉田説明員 ブラジルにつきましてはおおむね一五%、それからウガンダにつきましては、年によりましては大体一五、それからインドネシアが一割、一〇%、象牙海岸が九、コロンビアが八%、大体こういうシェアでございます。
  53. 永末英一

    ○永末委員 パプア・ニューギニアはどのぐらいですか。
  54. 吉田鉄太郎

    ○吉田説明員 三%でございます。
  55. 永末英一

    ○永末委員 外務大臣お話によりますと、発展途上国が輸出いたす第一次産品の中でコーヒーは非常に重い比重を占めておる、こういうことでございますが、わが国は発展途上国に対する経済協力をそれぞれの姿で行ってまいっておりますが、コーヒーについて何か特に経済協力的な関係を結んでいる例がございますか。
  56. 大鷹正

    ○大鷹説明員 コーヒーについて特に経済協力関係はございません。
  57. 永末英一

    ○永末委員 外務大臣、この二つを結びつけたらどう考えられますか。わが国が発展途上国に単なる貿易関係としてコーヒーを媒介にする関係を持っておる。しかし、発展途上国としてはコーヒーを主たる自分の方の輸出品目にしておる。そうしますと、コーヒー生産、集荷等々につきましていろいろな問題があるわけであります。したがって、もし相手方が望むならば、このコーヒー産業についての経済協力というものも考えられはしまいかと思いますが、いかがですか。
  58. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 この協定に参加すること自体は一つの協力であるわけでございますが、しかし、いま永末さんのおっしゃいました、パプア・ニューギニアとの間に少し経済技術協力をして、先方のコーヒー生産も助けるし、そして一種の開発輸入のようなことでわが国の増大するコーヒーの需要にこたえるということは、非常に結構な意義のある御提案だと思いまして、研究をさせていただきたいと存じます。
  59. 永末英一

    ○永末委員 外務大臣は、私は一般的な問題をお聞きしましたが、パプア・ニューギニアのコーヒー生産に関するわが国の経済協力の可能性を探求しようということでございまして、私にとりましてははなはだ結構な御答弁でございました。  さて、この機会に、パプア・ニューギニアのコーヒーがどういう経路でわが国に入ってきておるか、その経路をひとつ明らかにしていただきたい。
  60. 吉田鉄太郎

    ○吉田説明員 パプア・ニューギニアの豆につきましては、生産から輸出に至るまでパプア・ニューギニア・コーヒー・マーケティング・ボードで全部管理いたしておりまして、それからいわゆるシッパーといいますか輸出業者は限定をしております。それ以外の取引条件につきましては他の国と同様な取引を行っております。
  61. 永末英一

    ○永末委員 パプア・ニューギニアは新しく独立をした国でございまして、独立前は大体コーヒーの輸出業務はオーストラリアの企業がやっておったと思うのでございます。独立後は少し形は変わっておると思いますが、オーストラリアの企業が関与している度合いはどういう形になっておりますか。
  62. 吉田鉄太郎

    ○吉田説明員 私の方では豪州の企業の関与がどの程度あるかということはちょっと不明でございますので、この点につきましてはよく調べてみたいと思います。
  63. 永末英一

    ○永末委員 外務大臣は先ほどパプア・ニューギニアのコーヒー産業に関するわが国の経済協力を研究しようとおっしゃったが、ぜひやっていただきたいと思います。しかし、同時に、いま農林省の方から、現実にはどういう形でどういうルートで来ておるかわからぬ、こういう話ですから、せっかくひとつこれは御研究を願いたい。パプア・ニューギニアは、南アメリカやアフリカ等の遠い発展途上国とは異なり、わが国に非常に近いところにあるコーヒー生産国でございますので、そういう意味合いでも真剣にひとつ御検討願いたいと思います。よろしゅうございますか。
  64. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 国連でも私はキキ外務大臣とも非常に意義の深い話し合いをいろいろいたしたようなわけでございまして、ただいまの永末さんの御提案は非常に私も同感でございますので、せいぜい研究をし実りあるようにさせていただきたいと思います。
  65. 永末英一

    ○永末委員 コーヒーの問題は大体以上で終わりまして、次は小麦でございますが、小麦協定に関して、これは一体わが国食糧にどういうメリットがあるのでしょうか、そのメリットのところを伺いたい。
  66. 溝口道郎

    溝口説明員 この延長された協定のもとでは主なメリットが二つございまして、一つは、統計の入手とか、小麦理事会の場で各主要輸出国、主要輸入国が集まりますときに、わが国も加わりましていろいろと需給見通しなどについて意見交換をする、こういうことと、もう一つは、この協定のもとで新しい価格条項を含んだ交渉が可能かどうか検討をすべしということになっておりまして、それに基づきまして昨年からロンドンで準備会議が開かれておりますが、わが国協定のメンバーといたしましてこの準備グループに加わりましてわが国立場から種々主張を行っております。この二つがこの協定に参加するわが国食糧政策あるいは外交政策のメリットと考えられます。
  67. 永末英一

    ○永末委員 この協定経済条項について触れていないのでありますから、その面ではメリットの一番重要なところが欠けているのじゃないか。わが国にいたしますと、たとえば数年前でございましたか、アメリカとソ連との間に多量の小麦の買い付けが契約をされまして、そしてそれが実施される、そしてアメリカ小麦がソ連に行くということになりますと、アメリカの動物の飼料がなくなる、その飼料に大豆が回る、ところが、その大豆の主たるアメリカからの輸入国であるわが方の大豆価格にそれが影響を及ぼして、非常な大豆価格の高騰を呼ぶ、それがみそ、しょうゆ等にまで及ぶというような事件を経験したわけであります。だといたしますと、小麦協定も他の商品協定と同様に経済条項が含まれてくる、そして、それによって何らかの小麦価格の安定やその国際的な小麦の移動について規制が加えられるということにならなければ、ごく最近のことでございますが、われわれが経験したようなことが平然とまた行われないとは限らない。しかも、去年からことしにかけて、再びアメリカ小麦のソ連に対する大幅の輸出が企てられていると伝えられております。そういう点について、外務省はどういう見通しをお持ちですか。
  68. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 四十八年のソ連の不作が原因となってのわれわれの食糧関係の高騰による被害、これはもう非常に深刻なものでございまして、ああいう点は何とかして避けられねばならぬということから、先ほども議題になりました安倍・バッツの合意というようなものもなされたのだというふうに思うのであります。あの点にかんがみまして、アメリカの方は、ああいうことはもう二度としないようにうまい方法考えよう、こう言っているわけでございまして、アメリカ日本との間においては、小麦に関して今後安定的な供給を確保するという話し合いはできるというのでございます。  ただ、全般にこの小麦協定に入りますと、いろいろな情報の資料等を入手するということでございますので、わが国としては、やはり常に世界の生産需給の情報をキャッチして遺漏なきを期するという利点はあるということでございます。
  69. 永末英一

    ○永末委員 小麦わが国はそれほどではございませんけれども、他の国の国民にとってはこれは主たる食糧でございまして、そういう意味では、この小麦の国際的移動というのはきわめて戦略的な物資として扱われている傾きがございまして、ひとつ共産圏諸国が輸入している小麦の動き、主なものを報告を願いたい。
  70. 山田岸雄

    ○山田説明員 お答え申し上げます。  いま先生御指摘のソ連、東欧、中国等の小麦輸入量でございますが、これらの国は輸入を正式には発表してなくて、なかなか把握しにくい点がございます。  しかしながら、国際小麦理事会におきまして発表しておるところを申し上げますと、七四年度から七五年におきまして、まずソ連から申し上げますと、二百八十万トン、七五から七六年におきましてソ連一千百万トン、それから七六−七七年におきまして六百万トンから八百万トンぐらいになるのじゃなかろうか、こういうふうに伝えられております。  なお東欧につきまして、同じように最近の三カ年で申し上げますと、三百七十万トン、四百五十万トン、四百五十万トン、このようになっております。  それから中国につきましては、三カ年について申し上げますと、五百五十万トン、二百五十万トン、二百五十万トンから三百五十万トン、大体このような数字が報じられております。  以上でございます。
  71. 永末英一

    ○永末委員 小麦需要につきましてもそれぞれの国の事情によって動くわけでございますが、自由圏の方からの小麦の移動が、共産圏の理由によって価格が上がったり下がったりするということは、小麦に非常に大きく依存している他の自由圏の小麦輸入国には重大問題である。こういう点をならす何らかの工夫はございますか。
  72. 溝口道郎

    溝口説明員 御指摘のとおり、非常に小麦は天候に左右されまして、ソ連などが不作でございますと大分世界の需要のパターンが変わって、ここ数年来混乱が起きた例もございますが、小麦協定に入っております一つのメリットは、先ほど申し上げましたとおり、そういう、ソ連もメンバーでございますが、ソ連あるいは米国、各国がそれぞれのその年の自分の生産の見通しあるいは消費の見通しを持ち寄りまして、その年の需給関係がバランスしているかしていないか、これは絶えずスタートの月に一度ロンドンで小委員会が開かれましてそういう状況を検討しておりまして、危険信号が出るとすぐ各国が集まって対策を講ずるというような非常なメリットもございます。基本的には、先生も御指摘のとおり、さらに国際小麦協定経済条項を加えたものができまして、そこで、わが国のような大輸入国といたしましては、供給の安定が図られるような条項をその協定に盛り込むことが基本的な解決策ではないかと思います。
  73. 永末英一

    ○永末委員 この小麦の動きは、小麦のみならず、関連穀物に影響を及ぼすのでございまして、外務大臣は先ほど、アメリカとソ連等との小麦の移動いかんにかかわらず、わが国アメリカとの間には安定的な小麦輸入を図っていきたいとおっしゃったが、この前起こった問題は小麦そのものではなくて大豆である。新しいアメリカ大統領にピーナツのジミー・カーター氏がなるようでございますけれども大豆その他の穀物、メーズ等——メーズはほかの国でございますが、トウモロコシ等々のいろんな関連穀物輸入についても安定的な供給が図られるよう御努力を願いたいと思いますが、御方針を伺いたい。
  74. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 まことに仰せのとおりでございまして、さように努力してまいりたいと存じます。
  75. 永末英一

    ○永末委員 質問を終わります。      ————◇—————
  76. 藤本孝雄

    藤本委員長 この際、委員長から一言申し上げます。  先日、河上委員から、金大中事件に関する件について決議されたいとの提案がなされました。  理事会においては、各党から種々の御意見が開陳されましたが、現段階においては意見の一致を見るに至りませんでした。  委員長といたしましては、河上委員の御提案の趣旨に沿い、今後とも努力いたしたいと存じます。      ————◇—————
  77. 藤本孝雄

    藤本委員長 次に、水野清君より発言を求められておりますので、これを許します。水野清君。
  78. 水野清

    ○水野委員 去る十月八日、小委員長外十二名からなる外務委員会多国籍企業等国際経済に関する小委員会が設置されましたが、その小委員会における調査の概要について申し上げます。  まず、十月十三日及び十五日に小委員会懇談会を開会し、当小委員会の運営に関する基本方針について種々懇談を重ねた結果、各党の合意を得た小委員会調査運営事項等について協議決定した次第でございます。  この運営基本方針に基づき、十月二十日小委員会を開会し、まず参考人として、一橋大学教授小島清君、横浜国立大学教授神代和俊君、大阪市立大学助教授一ノ瀬秀文君、神戸商科大学教授吉田寛君を招致し、多国籍企業等国際経済に関する一般的問題について意見を聴取し、質疑を行いました。  次いで、十月二十七日には、多国籍企業による国際経済に及ぼす影響、多国籍企業に関する規制問題、インドネシア液化天然ガス輸入に伴う各種の問題点並びに韓国マグロ漁船等の便宜置籍船に関する問題などについて、政府に対して質疑を行った次第であります。  なお、特に、各党から次期国会においても、当小委員会を設置し、多国籍企業に関する調査を進めるべきであること。また、小委員会調査機能を円滑にするため、予算、人員などの拡充強化等について渡部一郎君から強い発言がありましたことを申し添えます。
  79. 藤本孝雄

    藤本委員長 午後一時より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時十分休憩      ————◇—————     午後一時十三分開議
  80. 藤本孝雄

    藤本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  千九百七十一年の国際小麦協定を構成する小麦貿易規約及び食糧援助規約有効期間の第三次延長に関する議定書締結について承認を求めるの件及び千九百七十六年の国際コーヒー協定締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。  質疑を続行いたします。渡部一郎君。
  81. 渡部一郎

    渡部(一)委員 千九百七十一年の国際小麦協定並びに千九百七十一年の国際小麦協定を構成する小麦貿易規約及び食糧援助規約有効期間の第三次延長に関する議定書について、最初に申し上げたいと存じます。  当委員会におきまして、公明党を代表し、私はしばしば暫定適用についての憲法上の取り扱いというものがきわめて微妙である点を指摘いたしてまいりました。すなわち行政府による立法府の権限に対する干犯が非常に恐れられているわけでありまして、この暫定適用を制限する場合には、条約に基づいて暫定適用をするほか、少なくとも立法府に対する、衆参両 院に対する事前の説明あるいは了解あるいは実質的な承認というものを得るために、政府はこれを慎重に取り扱うべきであるということを再三再四にわたって申し上げてまいったわけでおります。近年に至りまして、これら食品協定群に対する暫定適用に関しましては、理事会あるいは本委員会等におきまして政府側から御説明をいただき、そうした点の憂えは比較的減少してまいったわけでありますけれども、改めてお伺いするわけでありますが、この千九百七十一年の国際小麦協定を構成する小麦貿易規約及び食糧援助規約有効期間の第三次延長に関する議定書説明書の中に「一九七六年八月二十三日現在、小麦貿易規約の第三次延長議定書の締約国及び暫定的に締約国とみなされる国」の中には日本国が暫定適用した旨記されており、「また、食糧援助規約の第三次延長議定書の締約国及び暫定的に締約国とみなされる国」の行に、日本国が同じく暫定適用宣言を行った国として記されているわけであります。これらの行動が行われている際、少なくとも政府側は当委員会に対して、どういう説明とどういう了解を得るべく努力をされたのか、そこを明瞭に明示していただきたい、こう存ずるわけであります。
  82. 村田良平

    ○村田政府委員 この国際小麦協定を構成いたします貿易規約及び食糧援助規約に関しましては、わが国の署名は四月五日に終わっておったわけでございますけれども、認証謄本が着かないというふうな理由がございまして、前通常国会においては、これは御提出して御審議をいただく準備が整わなかったわけでございます。  しかしながら、この規約が、それぞれ機構関係の条文については六月十九日、それから実体の条項につきましては七月一日から発効するということでございましたので、私の記憶では、たしか前国会の一番最後の理事会であったかと思いますが、伊達政府委員から、そのような事情になっておるので暫定適用の宣言をやらしていただく、しかしながらその次のできる限り早い国会に御提出して承認をいただく意図であるということを申し上げて、御了承を得た次第でございます。
  83. 渡部一郎

    渡部(一)委員 今後におきまして、暫定適用の宣言に対しては、このような外務委員会委員長に対する説明、あるいは外務委員会理事会における説明あるいは了承等を事前にとるようにする、今後もそういう方針でいくという御方針と理解してよろしいかどうかについて承りたい。
  84. 村田良平

    ○村田政府委員 今後もそのように取り進めるつもりでございます。
  85. 渡部一郎

    渡部(一)委員 この問題は重大な問題でございますので、大臣に、重ねてで恐縮でございますが、御見解を述べていただきたい。
  86. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 ただいま参事官が答弁申し上げましたとおりの方針でまいりますことを確認いたしたく存じます。
  87. 渡部一郎

    渡部(一)委員 この説明書の中に、「食糧援助規約の第三次延長議定書については、我が国としては、開発途上国に対する食糧援助の必要性が認められること、我が国が従来行ってきた食糧援助が開発途上にある国から高く評価されていること等にかんがみ、これに参加することにより、引き続き開発途上国食糧問題の解決に大きく貢献することができ、広く国際協力の観点から有益であると考えられる。」と述べられておりましたが、このわが国開発途上国に従来行ってきた食糧援助が、開発途上にある国から高く評価されているというのは、どの国からどのようにして評価されているのか、また開発途上国食糧問題の解決に貢献していると自画自賛されているわけでありますが、どういうふうに貢献しているのか、その辺を御説明いただきたい。
  88. 溝口道郎

    溝口説明員 わが国が、この援助規約に基づきまして、過去におきまして、インドネシア、パキスタン、バングラデシュ、アフガニスタンなどに、そのときの相手方の要請にも応じまして、日本米、タイ米あるいは肥料、農機具など提供いたしておりまして、これは東南アジア諸国などの食糧不足のときに非常に感謝されております。
  89. 渡部一郎

    渡部(一)委員 「開発途上国食糧問題の解決に大きく貢献することができた」と言われているけれども、本当に貢献しているのかどうか、もう一回丁寧な御説明を求めます。
  90. 溝口道郎

    溝口説明員 過去の例を申しますと、たとえば七三年の十月にネパールのパンディー大蔵省外国援助担当次官補は三回にわたり、日本食糧援助によりネパールの食糧増産は多大の寄与を受けて感謝にたえない。あるいは七四年に、秋田衆議院副議長に対してバングラデシュのラーマン首相が、日本食糧援助に対してきわめてタイムリーであったと謝意を表明した。あるいはフィリピンの穀物庁長官がわが方の現地の大使に対して、日本食糧援助に対して感謝の意を表すという例がございます。
  91. 渡部一郎

    渡部(一)委員 この国際小麦協定は牛場さんがサインをされているわけでありますが、「第二条の規定に関する留保を付して」となっておりますが、この留保を付せられました理由と、わが国立場について御説明いただきたい。
  92. 溝口道郎

    溝口説明員 これの経緯は一九六七年のローマで行われました交渉会議以来でございますが、小麦貿易規約でございますので援助は小麦で行うことになっておりますが、わが国といたしましては小麦の大輸入国でもございますので、また東南アジアに対する援助はよく米が好まれるということなどもございまして、わが国としては、米または農業物資で援助を行うということを可能にするために二条に留保をいたした次第でございます。
  93. 渡部一郎

    渡部(一)委員 この国際小麦協定の六十五ページのところに「中華民国のために」「千九百七十一年四月二十七日」となっておりますが、かかる協定締結の際、中華人民共和国あるいは中華民国、この両者の関係から言うならば、わが国が日中友好を促進するために日中共同声明を受諾している立場から言うならば、本協定において中華人民共和国の名がなく、中華民国の名が存在するというこの形は、今後において問題を生ずることになりはしないか、こう思うわけでありますが、その点をどう理解されておられるか。
  94. 村田良平

    ○村田政府委員 小麦協定は、かつては中華民国、台湾がその締約国であったわけでございますけれども、中華人民共和国が国際連合に加入いたしまして後に中国代表権の問題が小麦理事会でも問題になりまして、一九七四年の二月二十一日、二十二日に行われました理事会におきまして本件が討議されました。で、その結果、中国を代表するのは中華人民共和国であるという決議が採択されましたので、小麦理事会としては中国の問題はそのように取り扱うということを決めたわけでございます。ただし、中華人民共和国は進んでこの締約国になっておりませんけれども協定上の中国というのは、したがいましていまや中華人民共和国でございます。
  95. 渡部一郎

    渡部(一)委員 その討議の際に、日本政府はどういう態度をおとりになったのか、また各国のその問題に対する討議の御様子はどうであったのか、今後のために伺っておきたい。
  96. 村田良平

    ○村田政府委員 わが国は、中華人民共和国が小麦理事会において中国を代表すべきであるということに賛成をいたしております。で、その討議の過程におきまして、アメリカそれから一部の中南米諸国から、中華民国の籍を奪うのは妥当ではないのではないかという意見が表明されましたけれども、最終的な決議は先ほど申し上げましたように中華人民共和国を中国の代表とみなすということで決着を見た次第でございます。
  97. 渡部一郎

    渡部(一)委員 いまあなたは最後のところで、中華人民共和国が中国を代表するものということで決着をつけたとおっしゃいますが、それならどうしてここに中華民国を代表するサインが入っているのですか。
  98. 村田良平

    ○村田政府委員 七一年協定の当時は、まだ中華民国が締約国でございましたのでそういうふうになっておるわけでございます。いまの決定は、七四年に行われたものでございます。
  99. 渡部一郎

    渡部(一)委員 そうしますと、中華人民共和国側からこの協定に参加したいというお申し出がありますと、その七四年の決議に基づいて、加盟国の中には中華人民共和国が中国を代表して入るという可能性はきわめて高い、こういう状況になっている、こういう意味に解してよろしいのでしょうか。
  100. 村田良平

    ○村田政府委員 そのとおりでございます。
  101. 渡部一郎

    渡部(一)委員 本年度の世界の穀物の生産状況、特に本年の世界の小麦の生産状況について御説明をいただきたい。といいますのは、本協定審査等において、本協定がどういうふうに動作するかということをテーマにいたしたいからであります。
  102. 山田岸雄

    ○山田説明員 お答え申し上げます。  本年度におきましては、主要な生産国いずれもおおむね豊作でございまして、アメリカにおきましては昨年が史上最高の豊作、本年も大体昨年に変わらないような豊作でございます。なお、カナダにつきましては史上最高の豊作、このように報じられております。それから豪州につきましては、昨年よりは若干収穫は落ちておりますけれども、在庫が相当ございますので輸出等については全然異常がない。なお、従来大量に買い付けたことのございますソ連につきましては、今年大豊作だ、このように伝えられておりまして、おおむね小麦の国際需給は緩和状況にある、このように見てもよかろうかと思っております。
  103. 渡部一郎

    渡部(一)委員 先日、外務省の招きでジョン・H・パロット国際小麦理事会事務局長が十月十四日、霞が関の外務省におきまして「世界小麦情勢」という題で説明された際、本年は四億トンを超える大豊作になるかもしれないという見通しを明らかにされましたが、そのときに、主要小麦輸出国の生産余剰はますます大きくなる反面、発展途上国及び社会主義国の小麦不足は一層深刻になるとの見通しを述べられたようでありますが、そうした見方についてどうお考えであるか。特に発展途上国及び社会主義国の小麦不足が一層深刻になるということは、国際政治の観点から言いましても大きな問題というか、将来の禍根になるのではないかと思われますが、こうした点をどういうふうに評価されているかを伺いたい。
  104. 溝口道郎

    溝口説明員 先生御指摘のとおり、発展途上国におきましては、所得の水準の向上に伴って消費が増大すること、あるいは人口が増大していることに伴って食糧需要が年々高まっておりまして、世界的には生産の方も伸びておりますが、発展途上国におきます非常な需要増大が将来の食糧の需要、供給のバランス上、大きな問題になっております。御指摘のとおり、発展途上国におきまして、所得の向上に伴う消費増大あるいは人口の増加によりまして、農業生産自体も伸びておりますが、やはりかなり食糧事情はタイトに推移するというふうな見通しでございます。
  105. 渡部一郎

    渡部(一)委員 現在の小麦の国際価格の水準というものはどういう状況であるかお伺いしておきたい。価格条項を決めるに当たって、消費者国といいましょうか、消費国にとってよい環境にあるといってよいと思うわけでありますが、その辺、どういうふうに考えておられるか。
  106. 山田岸雄

    ○山田説明員 御質問の第一点でございますが、最近の小麦の国際価格状況はどうか、この点につきまして私からお答えさせていただきます。  今年初めにおきましては、価格はトン当たりで大体百三十ドル程度でございました。これはすべてアメリカのシカゴの相場でございますが、それが冬小麦の不作というふうなことも報じられまして、一時は百三十五ドルと、このような高騰をしておったわけでございますが、その後、先ほど申し上げましたような国際的な豊作、このような傾向を反映しておりまして、最近におきましては、八月におきましてトン当たり百十一ドル、九月におきましてトン当たり百十五ドル、十月におきまして百一ドル、このような相場で推移しております。
  107. 渡部一郎

    渡部(一)委員 こういう状況でありますと、価格条項を含む新しい協定を成立させるいいチャンスではないかと思われるわけでありまして、その意味では本協定に——いつも商品協定審議の際にこの問題は問題になっているわけでありますが、小麦こそまさにこの点で、ひとつわが国はリーダーシップをとられて、がんばるべきチャンスが来たのではないか。特にその点を要望したいと思いますが、どうお考えでございましょうか。
  108. 溝口道郎

    溝口説明員 ただいま農林省の方から説明がございましたように、価格は、どちらかというと、いま弱含みでございます。これは、先ほど申し上げましたような生産が非常に順調であるということを背景にしておると思いますが、確かに先生御指摘のとおり、こういう環境におきまして、消費国にとって価格条項を決める一つの有利な条件になると思いますが、さらに、今後、政府といたしましては現在の価格あるいは今後の需給見通し、そういう要素を絡めて、交渉が今後始まりました段階におきまして、安定した価格での供給の確保ということを眼目に交渉することになろうかと存じます。
  109. 渡部一郎

    渡部(一)委員 小麦が下がっているときには輸出国がこうした価格協定に反対するし、価格が上がっているときには輸入国が反対するというような嘆きが常にあるわけでありますけれども価格条項を含まないということは、結局においては本協定の存在価値というのを非常に薄くするものだという、かねてからの問題点指摘が当委員会においても何回か行われているわけであります。小麦は、特にわが国にとってはお米のような意味合いではないために、関心も薄いかと思うのでありますけれども、少なくとも大豆相場とは重大な絡みを生じているものでもありますし、また、間接的にもわが国外交を左右する強大な力を持つものでもありますから、こうした点については、いま述べられた原則的な意見のほかに、もう少し、対策としてもっと一生懸命な取り組みが必要ではないか、こう思うわけでありまして、重ねて御意見を承ります。
  110. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 やはり需給状況を見まして、供給国と需要国との利害を調整するということが必要であると思うのでございますが、さしあたり価格帯というものが設けられぬものだろうかということで、価格帯を設けて、それに対して供給国と輸入国との間の権利義務の関係をバランスさせてはどうかというようなことをわが方としては考えまして、さような線で努力をしたいと考えております。しかし、一般的に、また、いろいろ生産費も上がっておるというようなこともございまして、その点でなかなか難航するということもあるわけでございます。しかし、御意見の点は十分考慮いたしたいと思います。
  111. 渡部一郎

    渡部(一)委員 国際小麦理事会、IWCでございますか、これにおいて、昨年九月の二十九日、三十日の両日、ロンドンで新協定策定のための第三回準備会議が開かれた際、アメリカ側から備蓄問題について三千万トンという提案があり、現在技術グループにおいて検討されていると承っているわけでありますが、その検討の状況あるいは備蓄問題に対するわが国外務、農林両当局の御見解を承りたいと思うわけであります。  恐縮でございますが、これは外務省と農林省意見が違うというふうに私は伺っているものですから、外務省の方からまずお伺いしたい。その次に農林省から正解を承りたい。よろしくお願いします。
  112. 溝口道郎

    溝口説明員 昨年の春以来、ロンドン小麦理事会のもとに交渉準備グループができまして、わが国もそれに参加いたしまして、将来の経済条項を伴った協定の姿について意見交換に参加しております。  そこにおきまして、御指摘のとおり、米国は食糧の安全保障という見地から三千万トン、小麦二千五百万トンの米五百万トンの備蓄という提案を出しております。これにつきましてはさらに、各国の間の分担率がどうなるかとか、どこにどういうふうに保管されるかとか、あるいはどういう場合に備蓄から放出を行ったり備蓄に積み増しを行ったり、いろいろそういうことにつきまして意見交換をしております。  わが国は、欧州共同体などの輸入国とともに、そういう備蓄はやはり貿易の安定に寄与する、したがって、たとえば価格との問題とリンクいたしまして、世界価格が上がったときに備蓄から放出するというような、価格と貿易の安定というものとともにこういう備蓄のことを考えるべきではないか、あるいは発展途上国は、そういう備蓄は、それを行う場合には発展途上国への食糧援助のためにその備蓄を用いてほしい、こういうふうに、いろいろな国の意見が対立しておりまして、まだ意見を交換中の段階でございます。  なお、こういう会議に臨みます場合には、外務省、農林省その他関係各省と十分意見を調整して臨んでおりますので、私の承知いたします限り、関係省の間に意見の差というのはないと考えております。
  113. 山田岸雄

    ○山田説明員 いま外務省の方からお答えいただきましたとおり、農林省といたしましても、私食糧庁でございますが、日本立場といたしましての備蓄の考え方には相違はございません。
  114. 渡部一郎

    渡部(一)委員 その際のわが国立場としてはどういうものであったか、また、この備蓄問題に当初は非常に意欲的なような立場をおとりになっていたけれども、各国が自主的に備蓄する方がいいという考え方がFAOの事務局長のパーマ氏の提案としてあるそうでありますが、わが国考え方はむしろ当初のアメリカ提案とは違って、そのパーマ提案と近いものであるというふうに承っているわけでありますが、わが国側の態度をもう一回明示していただきたい。
  115. 溝口道郎

    溝口説明員 御指摘のとおり、FAOのバーマ提案に基づきまして、各国は自主的に備蓄を積み増していくということが申し合わされております。片方、今度アメリカ提案は、これも各国が、備蓄は物理的には各国の中に置かれまして、その備蓄から放出を行うあるいはその備蓄に小麦の積み増しを行う場合は、これは国際的に合意されたルールに基づいて行うというようなことで、ただ、どういうルールでこれを行うか、資金負担はどうするか、そういう細かいことにつきましてなおいろいろクラリフィケーションを要するということで、アメリカ、欧州共同体、わが国あるいは発展途上国の間で議論をいたしておる段階でございます。
  116. 渡部一郎

    渡部(一)委員 この備蓄問題に対するわが国の現在の国内における備蓄状況というものはどういうところが目標になっており、かつ現状はどういう状況であるか承りたい。
  117. 山田岸雄

    ○山田説明員 私食糧庁でございまして、全部の穀物を担当しておるということになりませんので、食糧関係の米麦について申し上げますと、米は御案内のとおり国内において十分賄えるということではございますが、なお二百万トン以上の備蓄がすでに、まあ備蓄といいますか在庫を持っているようなわけでございます。  それから麦につきましては、現在二・三カ月の政府手持ち、これも食管物資でございますので全量政府が持っておるわけでございますが、政府手持ちを、過去におきましては一・七カ月ぐらいであったものを最近におきましては二・三カ月に高めておるわけでございます。十分な在庫に余裕を持っておりまして、国民に対する食糧供給ということにつきましては遺憾のないようにということで努めております。  なお、今後につきましては、民間の貯蔵施設、サイロ等の建設状況とも関連するわけでございますが、三カ月程度には増大したい、一応このような希望は持っておるわけでございます。
  118. 渡部一郎

    渡部(一)委員 備蓄に対してはいろいろな議論が農林委員会においてもお話があったのだと思いますし、当委員会でそれを余り詳しく言うのもあれなんですが、世界的な備蓄在庫状況というものはどれぐらいのものであるか、また各国がやっておるものはどれぐらいのものであるか、また実際にどれぐらいあれば国際的な備蓄というものは足りているという考えに立っておられるか、そのあたりわが国の見解をまとめて伺いたい。
  119. 山田岸雄

    ○山田説明員 国際的な適正備蓄数量がどれくらいかということにつきまして、私十分なる資料及びそのようなデータを見たことはないわけでございますが、過去におきましてアメリカの余剰農産物等がございました節には、小麦につきましては大体在庫率といいましょうか、分子に輸出量と国内の消費量をとりまして、それを在庫でもって割ってみますと、おおむね二〇%程度という在庫を持っておったわけでございますが、国際需給が逼迫した段階におきましてはそれが一〇%を割る、こういう段階まで落ち込んでおりました。それが最近におきましてはだんだんと取り戻してまいりまして、一〇%以上の在庫率、一二、三%以上上がってくるのではなかろうか、このように見られております。  全体の在庫がどれくらいか、穀物の総消費量が十二億トンないし十三億トン、このような数字も言われておりますし、定かなところがはっきりわからないので、ちょっとそれ以上の数字を申し上げることができないわけでございます。
  120. 渡部一郎

    渡部(一)委員 この穀物の備蓄については、一年分を備蓄するのが必要であるとかあるいは二年分必要であるとかいうような議論が昔はございました。今日、流通体制の非常に円滑な状況の中にありましては、必ずしもそういう巨大な備蓄というのが各国ごとに要求されるものではないと思いますが、最近における気象条件の変化あるいは国際情勢の急変あるいはエネルギー需給の問題等を考慮いたしますならば、この点は十分の御検討をいただいて、それで国民の中に周知徹底させていただきますようお願いしたいと思っているわけであります。  といいますのは、その辺があいまいなまま外交、エネルギー、貿易、人口問題その他に取り組むわけにいかないからでありまして、私は、基本的な政策を樹立する場合にいつも問題になりながら、いつもあいまいなこの問題についての政府側のきちっとした決着をお願いしなければいかぬ。むしろこれは大きなテーマとして、至大テーマとして上げてくる必要がある。今国会ではこの辺で論議を終息させなければいかぬのでありましょうけれども、次期国会についてはすべからくそうした基本的問題についての政府、行政側の明快な方針をひとつはっきりさせていただきたい。十分その辺をはっきりさせていただきたいと思うわけであります。  本委員会におきましても人口問題について私が発言いたしました際、人口の適正規模は何ぼかという質問に対して外務省も農林省も厚生省もみんな答えられませんでした。人口の適正規模を論じられないで食糧問題の適正規模を論ずるわけにいかない。食糧問題の適正規模を論じないで輸出入量を確定するわけにいかない。輸出入量を確定することなくして経済の基礎構造、数年計画、年次計画を樹立するわけにいかない。私は全部関連した問題だから申し上げておるわけであります。その辺、十分の御検討をいただきまして、御研究いただくことを熱烈に要望しておきたいと存じます。
  121. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 ただいまのお話はよく傾聴をいたしまするが、ただ御承知のように、今日のこの資本主義体制下におきましては、やはり価格の問題というのが常について回るわけでございまして、幾ばくの備蓄をいずこの国かが要請する、それに対して供給はこういうことであるということになると、その関係価格が非常に上がったりするわけでございますので、そういう点はなかなか公開の問題として論議ができない点があろうかと思うのでございます。しかし御要望の点は十分大事なことと承りまして、研究させていただきたいと思います。
  122. 渡部一郎

    渡部(一)委員 それでは、千九百七十六年の国際コーヒー協定締結について承認を求めるの件の方につき御質問いたします。  わが国は今日まで貿易立国を国是とする政策を進めてまいりましたが、輸入資源への依存度は石油を初めとして鉄鉱石、ボーキサイト等々一〇〇%近いものばかりであります。資源の安定輸入なくして貿易立国はもはや成立しない。したがって、従来の輸出一本やりの政策は再考慮すべきときが来ているのではないかと思いますが、基礎的な問題でありますが、ひとつ御意見を承りたいと存じます。
  123. 溝口道郎

    溝口説明員 石油危機がございまして、そのときこれは石油パワーだとうわさされましたけれども、その後の世界経済の発展に伴いまして明らかになりましたことは、石油輸出国の利益は結局世界経済の安定した発展の中にあるということで、やはりどの商品をとってみましても輸出国、輸入国ともに世界経済の繁栄の中で利益を生み出す、そういうことが痛感されております。確かに先生御指摘のとおり、日本もただ輸出するばかりでなくて輸入面でも十分努力をいたしまして、先進国、発展途上国を問わず、日本の輸出あるいは輸入、双方の利益をバランスさせていくことが非常に大切だと考えます。
  124. 渡部一郎

    渡部(一)委員 本協定の四十七条に消費振興基金設立の条文があるわけでありますが、基金の構成員は何カ国でどのような国になるのか、基金の総額はどの程度の規模を想定しておられるのか、その辺を承りたい。
  125. 溝口道郎

    溝口説明員 御指摘の四十七条の消費振興基金は、加盟のすべての輸出国がその輸出量に応じて課徴金を出しまして、二年間それを積み立てることになっております。そのほかの国も任意拠出ができる仕組みになっておりますが、全体としてどのくらいの規模になるかまだ決まっておりません。今後、その資金の規模あるいはその使用方法などが決定されていくと思われます。
  126. 渡部一郎

    渡部(一)委員 非常に妙なことでありますが、消費振興基金とあるわけですが、国際的にいってこうした国際的な流通経路を持つものについて消費を振興するというのはどういう意味合いを持つか、私は少し解しかねる点があるわけであります。といいますのは、何も無理に消費を振興しなくても、逆に消費を抑えた方がわが国にとりましては輸入量の増大にブレーキをかけることになるという一面も簡単に言えばあるわけでありますし、消費を振興するための基金を設立することについては、わが国が認めるからにはそれ相応のプラスがなければならないと思うわけですね。この協定のこの項目を認めるに当たってどういう考えでおられるのか、承りたい。
  127. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 御承知のように、コーヒーは発展途上国にとりまして非常に大きな財源であるわけでございまして、コーヒーの輸出額は一九七五年で言いますと年間四十億ドルと言われております。途上国の収入に占めるコーヒーの割合、すなわち輸出依存度は、たとえばブルンジは七八%、ウガンダは六〇%、コロンビアは五二%、エチオピアは五〇%と非常に大きな割合を占めておるわけでございまして、コーヒーの消費を振興することがLDCの国に対する一つのわれわれの行き方として適当である、かように考えておる次第でございます。
  128. 渡部一郎

    渡部(一)委員 この基金の資金は輸入国の消費振興運動のために使用されることになっておりますが、わが国においてはこの資金はどういうふうに使用されるのか、その辺をお伺いしたい。
  129. 溝口道郎

    溝口説明員 この基金に基づく支出につきましてはまだ計画は未定でございます。どういう国に対して資金を拠出するかという点もまだ決まっておりません。
  130. 渡部一郎

    渡部(一)委員 日本コーヒー振興委員会にかつて五十万ドルの資金が提供されたと聞いておりますが、その数字的なあるいは時期的な経緯についてお伺いしたい。また、日本コーヒー振興委員会に賦与されました五十万ドルの資金はどういうふうになっておるか、それも承りたい。
  131. 吉田鉄太郎

    ○吉田説明員 一九六二年及び六八年の国際コーヒー協定に基づくわが国コーヒーの消費振興事業につきましては、六六年から七三年までの七年間にわたりまして国際コーヒー機関から総額十一億二千万の援助がありました。それにわが国関係業界から三億五千万を拠出いたしまして、十四億七千万で消費振興の事業を行ったわけであります。  その事業計画の内容は、テレビ並びにラジオ等を媒介として消費振興を全国的に展開する及びカレンダーをつくる、そういうようなことをいたしまして、六五年の約二万トンの輸入に対しまして、七五年には約十万トンということで、この消費振興事業そのものにつきましてはなかなか成果があったのではないか、こう理解いたしております。
  132. 渡部一郎

    渡部(一)委員 五十五条に特別基金についての規定がありますが、その特別基金はどの程度の規模を予定されておられるか、お伺いします。
  133. 溝口道郎

    溝口説明員 この規模も未定でございますが、輸出国は輸出一袋について二セントという拠出でございますから、そう大きな規模にならないだろうと思われます。
  134. 渡部一郎

    渡部(一)委員 先ほどから伺っておりますと、規模とかその他について未定の事項が多過ぎまして、当委員会審議になじまないと私は思うのです。こうした資料は事前に出していただかなければどうしようもないのであって、基金の資金の規模が未定だとか加盟国が未定だとか、先ほどから未定未定が続いておるわけですね。こういう協定を出すというのはどういうことなんですか。
  135. 溝口道郎

    溝口説明員 この二つの基金は加盟輸出国協定上の義務として拠出するわけでございます。したがって、加盟国がほぼ出そろったところで、それらの国がロンドンで会合をいたしまして、具体的にどれだけの金が集まるかという計算ができていくわけであります。ただいま、輸出規模から申しますと大体六千万袋ございますので、六千万袋の輸出国はすべて一袋二セントずつ出すということでございますれば、六千万袋の二セントでございますから百二十万ドルという規模になるかと計算されます。
  136. 渡部一郎

    渡部(一)委員 輸出国側は消費振興基金と特別基金の二本立てで賦課金を払うことになり、コーヒー価格はこの両者の額を加算した額に決められるのではないかと思います。したがって、輸入国側は高いコーヒーを買わされることになるのではないかと思いますが、その点はどうですか。
  137. 溝口道郎

    溝口説明員 先生御指摘の点は非常にむずかしい点でございまして、これは輸出課徴金一般につきまとう問題でございますが、果たしてその輸出課徴金は経済的に輸出国が負担しているのか、輸入国に肩がわりされているのか。いろいろな学説がございまして、両方で負担しているのだという説もございますし、いや、それは輸入国が負担しているのだという説もございます。いずれにいたしましてもこういう消費振興基金あるいは特別基金は輸出国が拠出する、輸入国は拠出しないということになっておりまして、表面上は輸出国負担、経済的には、御指摘のとおり、実際上回り回って輸入国も一部負担していると言えないことはないかと存じます。
  138. 渡部一郎

    渡部(一)委員 七六年協定では多角化基金の条文がなくなってしまっておりますが、これはどういう理由によるわけでございますか。作付の転換とかコーヒー園の整理とかという目的に対して十分成果を上げたというように見れば見れるのでありましょうが、このような問題はどうなっておるのか、こうした項目は本協定ではどういう形で織り込まれておられるのか、どういうように評価されておるのか、その辺を承りたいと思います。
  139. 溝口道郎

    溝口説明員 生産の多角化基金につきましては、これが輸出国の間で一つの財政負担になるということもございまして、現在では生産の多角化基金よりも規模を縮小いたしまして、特別基金で生産の多角化について研究開発を行う、そのために特別基金を用いることができるというふうに規模を縮小しております。
  140. 渡部一郎

    渡部(一)委員 それでは以上で終わります。
  141. 藤本孝雄

    藤本委員長 これにて両件に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  142. 藤本孝雄

    藤本委員長 これより両件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  まず、千九百七十一年の国際小麦協定を構成する小麦貿易規約及び食糧援助規約有効期間の第三次延長に関する議定書締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  143. 藤本孝雄

    藤本委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、千九百七十六年の国際コーヒー協定締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  144. 藤本孝雄

    藤本委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  この際、小坂外務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。小坂外務大臣
  145. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 ただいま国際小麦協定の第三次延長議定書及び国際コーヒー協定締結につきまして、本委員会の御承認を得ましたことは、小麦及びコーヒーの国際貿易の安定並びに開発途上国への協力の観点から喜ばしい次第でございまして、また、このような商品協定締結手続を完了して、暫定適用をできる限り短期間にとどめるという趣旨にも合致いたすものであります。  他方、かねてより御審議をお願いいたしておりました日韓大陸棚協定につきましては、残念ながら今国会でも御承認を得るに至らず、結果として、後から提出した商品協定におくれをとることになりました。  政府といたしましては、日韓大陸棚協定を一昨年国会に提出して以来、本協定国会での御承認を得るべく鋭意努力を重ねてまいりました。自来、当外務委員会でのこれまでの御審議時間は、通算いたしますと二十時間を超えるものとなりました。当委員会の御審議に当たりましての各委員の御協力につきましては、本日ここに所官大臣として改めて感謝を申し上げたいと存じます。  ただ、本協定の御承認を今回も得られないまま、本日今国会会期での外務委員会審議を終える結果になりましたことは、政府といたしましてはまことに残念であると言わざるを得ません。審議の過程において、対韓外交のあり方について種々貴重な御意見が開陳せられました。政府としても謙虚にこれに耳を傾け、正すべきは正し、筋の通った日韓関係を確立すべく、今後とも努力をいたす所存であります。  しかしながら、この大陸棚協定に関する限り、私どもといたしましては法的にもまた政治的にも十分国会の御承認を受けるに足る協定であると確信をいたしております。エネルギー供給源の多様化と安定的確保を緊急課題とするわが国にとりまして、本協定を一日も早く発効せしめ、共同開発対象区域の開発に着手することは、わが国の国益に合致するゆえんでありますし、最近における海洋法会議の趨勢にかんがみましても、本協定締結をおくらせることは、決して国益に資するゆえんではありません。  以上の諸点に照らしまして、本協定の一日も速やかな国会承認を望む次第でございます。  以上であります。
  146. 藤本孝雄

    藤本委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両件に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  147. 藤本孝雄

    藤本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  148. 藤本孝雄

    藤本委員長 今国会における本委員会の議事を終了するに当たり、委員長から一言あいさつ申し上げます。  本委員会におきましては、委員各位の特段の御協力により終始円満に運営することができました。この際、委員各位に厚く御礼を申し上げます。(拍手)  これにて散会いたします。     午後二時六分散会      ————◇—————