運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1976-10-29 第78回国会 衆議院 外務委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月二十九日(金曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 藤本 孝雄君    理事 石井  一君 理事 塩崎  潤君    理事 竹内 黎一君 理事 毛利 松平君    理事 河上 民雄君 理事 津金 佑近君       粕谷  茂君    正示啓次郎君       三池  信君    安宅 常彦君       江田 三郎君    小林  進君       正森 成二君    渡部 一郎君       永末 英一君  出席国務大臣         外 務 大 臣 小坂善太郎君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局経済部長 吉野 秀雄君         警察庁警備局長 三井  脩君         外務政務次官 小此木彦三郎君         外務省アジア局         長       中江 要介君         外務省アジア局         次長      大森 誠一君         外務省条約局長 中島敏次郎君         外務省条約局外         務参事官    村田 良平君         大蔵省国際金融         局次長     北田 栄作君         国税庁次長   山橋敬一郎君         水産庁長官   内村 良英君         水産庁次長   佐々木輝夫君         資源エネルギー         庁次長     大永 勇作君  委員外出席者         法務大臣官房審         議官      竹村 照雄君         通商産業省貿易         局輸入課長   齋藤 成雄君         資源エネルギー         庁石油部計画課         長       田口健次郎君         資源エネルギー         庁石油部開発課         長       箕輪  哲君         日本輸出入銀行         理事      林  大造君         参  考  人         (国際協力事業         団総裁)    法眼 晋作君         外務委員会調査         室長      中川  進君     ————————————— 委員の異動 十月二十九日  辞任         補欠選任   赤松  勇君     安宅 常彦君   川崎 寛治君     小林  進君   金子 満広君     正森 成二君 同日  辞任         補欠選任   安宅 常彦君     赤松  勇君   小林  進君     川崎 寛治君   正森 成二君     金子 満広君     ————————————— 十月二十八日  日中平和友好条約締結促進に関する請願(石  野久男紹介)(第一四四二号)  同(田川誠一紹介)(第一四四三号)  同(川崎寛治紹介)(第一四四四号)  同(岡田春夫紹介)(第一五七二号)  同外一件(枝村要作紹介)(第一五七三号)  同(村山富市紹介)(第一五七四号)  同(八木昇紹介)(第一五七五号)  同(米内山義一郎紹介)(第一五七六号)  同外六件(吉田法晴紹介)(第一五七七号)  日中平和友好条約締結促進に関する請願(小川  平二君紹介)(第一四四五号)  同(中澤茂一紹介)(第一四四六号)  朝鮮自主的平和統一促進に関する請願(小  川平二君紹介)(第一四四七号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一四四八号)  同(中澤茂一紹介)(第一四四九号)  同(羽田孜紹介)(第一四五〇号) 同月二十九日  朝鮮自主的平和統一促進に関する請願(吉  川久衛紹介)(第一八一二号)  同(小坂徳三郎紹介)(第一八一三号)  同(下平正一紹介)(第一八一四号)  同(中村茂紹介)(第一八一五号)  同(原茂紹介)(第一八一六号)  同(小沢貞孝紹介)(第二〇七七号)  日中平和友好条約締結促進に関する請願(吉川  久衛紹介)(第一八一七号)  同(小坂徳三郎紹介)(第一八一八号)  同(下平正一紹介)(第一八一九号)  同(中村茂紹介)(第一八二〇号)  同(原茂紹介)(第一八二一号)  同(小沢貞孝紹介)(第二〇七六号)  日中平和友好条約締結促進に関する請願(井  岡大治紹介)(第一八二二号)  同(佐々木更三君紹介)(第一八二三号)  同(坂本恭一紹介)(第一八二四号)  同(下平正一紹介)(第一八二五号)  同(鈴切康雄紹介)(第一八二六号)  同(田口一男紹介)(第一八二七号)  同(楯兼次郎紹介)(第一八二八号)  同(辻原弘市君紹介)(第一八二九号)  同(広瀬秀吉紹介)(第一八三〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  日本国大韓民国との間の両国に隣接する大陸  棚(だな)の北部境界画定に関する協定及び  日本国大韓民国との間の両国に隣接する大陸  棚(だな)の南部共同開発に関する協定の締  結について承認を求めるの件(第七十五回国会  条約第六号)      ————◇—————
  2. 藤本孝雄

    藤本委員長 これより会議を開きます。  日本国大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の北部境界画定に関する協定及び日本国大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の南部共同開発に関する協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安宅常彦君。
  3. 安宅常彦

    安宅委員 私、声をつぶしておりまして、変な声で聞き取りにくい面があると思いますが、御了承願いたいと存じます。  まず、私、山形県の田舎に二、三日帰っておったのですが、この間予算委員会でいろいろ問題点だけは提起しておいたわけですけれども、私から見れば売国的なこういう協定が何かきょう上がるみたいだといううわさがアンテナに引っかかったものですから、実はふっ飛んで来たのです。  私、冒頭に藤本委員長にお伺いしたいのです。  たとえば議会としての手続上は現地調査もあることだし、連合審査もあることだし、それからまた韓国との関係においては、これは締結をするときにいろいろな問題がありましたね。第六回日韓閣僚会議のときの結論や何かというものは閣議にも諮られていないような部面がございますし、また与党である自民党さんの中で、調印をするときに普通は外交部会なりそういうところにかかるのですけれども、かかっていない。そういう手続が非常におかしくなっている。これは最近まで自民党議員であった宇都宮さんが指摘していますね。そういういろいろな手続上の問題からいってもおかしいし、私どもはこの問題を取り上げれば取り上げるほど疑惑に満ちたものと私は考えざるを得ないのです。藤本委員長はこういうことについての専門家でありますから、しかも将来あなたは日本政治をしょっていく、こういうような将来有望の政治家ですから——どうもこの問題で議論をうんとはさんでおった人の多くは、三木さんのグループに属する人が大部分なんですね。そのほかの人も、こんなものは相当おかしいではないか、こういうふうに思っている人が多いのです。  この間十月に入ってからの外務委員会質問ですか、水野先生までが、どうもガルフとの関係や何かでいやな感じがする、これはマックロイ報告というものを手にしているけれども朝日ジャーナルからの抜粋を基本にして質問されておるのですね。朝日ジャーナル抜粋じゃなくて全文を出したのは実は私なんですよ。私のところから出た資料で、非常におかしい、こういうことはいやな気持ちがする、こういうことを水野先生自体がおっしゃっているようだし、政府にいろいろ資料を要求してもまだ提出してもらえない点もございます。何かうわさによればきょう何とかするという、もし間違っていれば幸いですが、仮に衆議院の外務委員会を通ったとしても、本会議をいつ通るかわからないでしょう、こんなものは。それから参議院の方も通らなければならない。そうしますと、解散とか何かは別にして、今度院の構成が変わるのですから、われわれはもう任期がないのですから、藤本委員長のところに今度はだれが座るか、これは不確定要素です。安宅常彦なんというわけにはいかないかもしれませんけれども、だれかわが党の人が出るかもしれませんね。こういう院の構成が変わるのですから、こんなことは全部もとに返るわけです。  それで、私は想像で申し上げるのですけれども、何か外務委員会にはいつも韓国外交当局も傍聴なさっておるそうですか、何も悪いという意味じゃございませんけれども、そういう方々にメンツを立てるために、外務委員会だけ何とか通そうなんという空気があるとするのは、はなはだ遺憾だと私は思っておるのです。ですからそういう意味なのかどうか、非常に私疑惑がある。もし院の構成が変わるということがはっきりわかっておって、結果的に委員会だけ通したなんということになれば、そういうことは議会史上初めてのことのような気がいたします。どうかひとつ委員長、こんな採決がもし強行される——要求があったとしても中立をきちっと守る委員長としてはやってはならない、こういうふうに私は思うのですが、委員長の所見をまず第一番目に聞いておきたいと思うのであります。
  4. 藤本孝雄

    藤本委員長 安宅議員にお答え申し上げますが、この条約の今後の処理につきましては、十分理事会で協議をして処理をいたしたいと考えております。御意見は十分拝聴いたしました。わが国の国益上まことに大切な条約でございますので、十分審議は尽くさなければならぬというふうに私は考えております。
  5. 安宅常彦

    安宅委員 十分に審議を尽くさなければならぬということは、きょうは審議を尽くして、後は、もうそのときは採決で終わってしまったというんじゃ話にならないわけですが、そういう意味じゃないわけですね。
  6. 藤本孝雄

    藤本委員長 お答えいたしますが、そのようにお考えいただいて結構でございます。
  7. 安宅常彦

    安宅委員 それでは、次の質問に入ります。  アメリカでは、いまアメリカにおけるKCIA活動ということで、いろいろレイナード証言その他が出ておるわけです。この間秘密公聴会がございました。そのときの秘密会議議事録、これも私ども持っておるのですが、その当面話題になっております朴東宣、この人が、話題人物夕べ日本に入った、こういうふうに私どもは理解しているのです。これは通過ビザで入ったのか、あるいはどういういきさつで、どういう入国理由があって、何日間日本におられるのか、その後はどこに行かれるのか、どこから来たのか、こういうことについて、これは入管当局法務省で調べておられるならば、あるいは外務省が知っておられるならば、どちらでも結構ですから答弁願います。
  8. 竹村照雄

    竹村説明員 朴東宣、一九三五年三月十六日生まれ、この人が昨十月二十八日二十一時十八分着の大韓航空羽田に到着して上陸を許可しております。出発は、この大韓航空便名からソウルでございます。  在留資格は、入国管理令第四条第一項第三号の「通過しようとする者」という在留資格でございます。この在留資格は、在留期間は十五日以内ということになっております。  出入国記録カードによりますと、これから先どこへ行くかは記載されておりません。  以上でございます。
  9. 安宅常彦

    安宅委員 これは通過ビザですからね、どこへ行くかということは、本来記載されているのが本当じゃないでしょうか。どうなんですか。
  10. 竹村照雄

    竹村説明員 通過しようとする者という在留資格を付与する場合に、行く先も確認することにはなっておりますけれども出入国記録カードにはその記載を必要としないことになっております。  以上でございます。
  11. 安宅常彦

    安宅委員 そうしますと、一般通過ビザを持っている人がどこに行くかということは調べることになっている、原則はそうですね。そういうことはこの人の場合調べないでもいいという何か法律的な手続省略事項でもあるんですか。
  12. 竹村照雄

    竹村説明員 調べた結果を必ず記録にとどめておくかどうかということと、そのことを確認して在留資格を付与するということとはちょっと別でございます。  なお、この出入国記録カードというのは世界的になるべく内容を簡略にしよう、省略化していこうという傾向の中でございますので、ここで通過しようとする者という在留資格を付与したということによって、航空券その他によって一貫した確認をしておるというふうに理解していただきたいと思います。
  13. 安宅常彦

    安宅委員 入国を拒否する場合の法律的な条項がたくさん列挙されておりますね、これには当てはまるのか当てはまらないのか。それから、その場合には記録にとどめるとあなたは言いましたけれども羽田だったら羽田でその係官が聞いたことは事実なわけですからね。そうでしょう。それはどういうようになっているかということを法務省は、行き先は書いてないけれども、知っておるのか知ってないのか。これはそうすると、一般のいままでの簡略化の方針で、韓国大使館なりそういう日本における在外公館が、十五日になろうかあるいはまた滞留期間を延期するか、そういう自由もあるわけですから、このことについてはどこに行くかということも実は記載する必要がないといって、あなたの方で調べたと調べないとではあるいはまた別だと思うのですが、それをはっきりしてください。
  14. 竹村照雄

    竹村説明員 「通過しようとする者」という在留資格というのは、まさにあるところから日本へやってきて、日本から他のところへ行く、たとえばソウルからやってきましてソウルへ帰るという者は「通過しようとする」在留資格はもらえないわけです。したがって、上陸審査をするときに、これに「通過しようとする」在留資格を付与する場合は、まずそういうビザを持っておることですね。それとともに、まさにそのビザに相応するような、たとえば航空券を持っておるというようなことを確認すれば、そういう在留資格を付与するわけでございます。したがって、その確認の結果を、たくさん列をなしてやってきているのを審査するときに一つ一つ記録にとどめておくということはしない。だから、それは審査官確認してやっておるということでございます。
  15. 安宅常彦

    安宅委員 この人物アメリカでどういうことになっているのか、アメリカ陪審の対象になって、そしていろいろと議会でも論議されている。議会だけじゃありませんね、日本で言うならばあなたの方、それから最高裁、こういうところで問題になっておる人物だということは知っているわけでしょう。日本のことに関係がないとおっしゃるけれどもKCIA活動に関する日本政府態度というのは一体野方図に許しているのかどうか、これは外務大臣から聞いておきましょうか。
  16. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 担当局長から答弁させます。
  17. 中江要介

    中江政府委員 わが国におけるKCIAの存在及びそのメンバー、さらにその活動については、従来、国会その他いろいろの場面で疑惑が提出されておりまして、私どももそれに対して明確にお答えできるべく努力はしておるわけでございますけれども疑惑はあってもそれをはっきりとKCIA人物である、あるいはKCIA機関がこういうふうになっているということについて、いままでのところ確証が得られないというのが現状でございまして、日本政府としてはそういう団体なり個人の活動日本国内法に触れましたときには、その国内法に抵触した部分についての真相は明らかにできるという限度でございます。
  18. 安宅常彦

    安宅委員 金大中事件のときに指紋まで残しておった人がいるでしょう。車だれ使ったかまで皆わかっているでしょう。当時、そういう局面にあったものですから、大平さんが外務大臣だったと思いますが、私の質問に対して、KCIAの組織、活動、その他の状況、人数をわかる限り報告しろと言ったら、報告しますと言ったですよ。警察当局は後でそういうことは捜査いたしておりません、したがって警察当局協力がなければ外務省はわかりません、こういう答弁でごまかされているのです。いまアメリカであんなに問題になっておることを、あなたの方では定かでないなんという答弁外務省アジア局長がやるなんというのは少しポンスケじゃないかな。そんなばかな話ありますか、あなた。そのために金大中さんいま何になっているのですか、どんな状態になっているのですか。日本主権を侵されて、そして国辱とも思わないで、KCIAがどんな活動をしているか確定がつかないなんて、そんなことありませんよ。日本外事警察や何か、公安調査庁あたりは全部そんなことはわかっておるのです。わかっているくせに、あなたの方はわかっていないというたてまえ。そんなばかな話はないでしょう。どうですか。
  19. 中江要介

    中江政府委員 これは政府としてはっきり公に説明するなり、あるいは事実を述べるに当たっては、やはりそれだけの十分な根拠がないとできないことであるということで、外務省では、先ほど申し上げましたように、その疑惑のあることは十分承知しておりますものですから、その真相がはっきりと証拠に基づいて把握できて、そして国民の疑惑にこたえ得るようなそういう説明ができればと思っていろいろ調べておりましたわけでございますけれども、いま安宅先生もおっしゃいましたように、日本捜査当局なり警察なり、そういったところから、日本国内法に触れた形でKCIAの実態がだんだんと浮き彫りにされてくるというような状況にまだなっていないというのが一つと、表からこれをはっきり韓国側に聞きましても、これは在日韓国在外公館の中の人間はすべて外務部の中に編入されておって、KCIAのエージェントとして日本にいる者はない、そういう説明しかいただけないわけでございます。
  20. 安宅常彦

    安宅委員 しつこいようですけれども、きょうは警察当局を私は呼んでいないのですが、外務大臣、どうですか。事件捜査する、指紋残っておった、指紋以上に重大な証拠があるんでしょうかね。それでさえもはっきりしないなんという結論になるのでしょうかね。常識です。どう思いますか。金東雲という人間をなぜぶん投げてしまったのですか。こういうことは後で田中さんかだれかが行って適当に決めてきましたね。  それからもう一つは、韓国大使館員の中で、名前を変えて、信任状なりあるいは外務省とのいろんな外交官としての承認をする場合、本名でないもので入ってきた実績というのは相当あるんじゃないですか。これだけは確認できるのじゃないですか。どうですか。
  21. 中江要介

    中江政府委員 御質問の第一点の金東雲指紋につきましては、これはもう先刻御承知のように、日本側からその指紋韓国側捜査機関に公に示しまして、その捜査に有力な証拠として提出したわけでございますけれども、それに基づいて韓国がさらに金東雲元書記官について捜査した結果というのは、起訴にたえ得ない調べしかできなかったというはなはだわが方から見ますと不満足な回答ではあったわけでございますが、それはそこでとまっておるということが一つ。  それから、在日大使館在外公館貝の中に偽名の者がいるんじゃないかというお話でございますが、これはいままでのところ、私ども、どの人が本名が何で偽名が何だというようなことについては確証は持っておりません。
  22. 安宅常彦

    安宅委員 これは領事、総領事まで含めて、韓国の戸籍とは違った名前で入ってきている人がおるでしょう。外務省確認してないのですか。それは後で、きょうはこんなところであなたと大論争を始めようと思いませんから。それだったら、私はわかっている資料を後で出しますよ。あなたの方で確認してないなんというばかなことがありますか。そういうことはありますよ、ちゃんといるんです。こういう問題は非常に重要なことなんですよね。  外務大臣、もう一回聞きますけれども、いまアジア局長答弁したのでは、指紋は有力な証拠である、だから私らの方で何とかしようと思ったら逃げてしまっていない、韓国政府に取り調べさせた、そうしたら証拠が出なかった、あたりまえですよ向こうは、そんなことはそうするに決まっている。ですから、私はあの場合、指紋以上に有力な証拠というのはあり得るかということを聞いているのですよ。どうです。これは確定的じゃないですか。
  23. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 金東雲の問題については、当時大平外務大臣でございましたが、非常に苦心をされたと思うのでございます。すなわち、おっしゃるように指紋はあるということでありますが、本人がすでにもう韓国へ行っておるということで、韓国側をして調査してもらう以外にない。ところが、調査の結果、先ほどアジア局長答弁いたしましたような結果であったわけでございまするので、わが方としては捜査を継続するということになっておるわけでございます。
  24. 安宅常彦

    安宅委員 だから、指紋があったら指紋が一番有力な証拠確定的じゃありませんか。向こうに逃げていったから向こうにやらせたら、そんな返事が来て不満だ。不満だということは何かというと、イコール日本主権を侵害されたということなんですよ。そのことを聞いているのです。どう思いますかと言っているのです。
  25. 中江要介

    中江政府委員 あの事件が起こりましたときに、日本主権が侵害されたという疑いが濃厚であるということは、われわれも含めまして認識したわけでございます。
  26. 安宅常彦

    安宅委員 わかった。だったら、向こうに調べさせたり、外交上のいろいろな関係があるから適当なところで手を打つなんというばかなことをする方がおかしいのではないのですか。有力な、濃厚な容疑がある、この人を直ちに日本で調べるとか、向こうに行って調べるとか、そういう抗議とか、相当きつい態度に出るのが本当なんですよ。何を言っているのですか。金大中さんはいまぶち込まれて——選挙違反だなんて、そんなことは前からわかっていることじゃないですか、一応やられているのですから。別件逮捕でやられたと同じことで、いま死ぬか生きるかわからない、こういうことなんでしょう。あなた方、カエルの面に水をかけたみたいなもので、けろっとしてよくいられるものだと思うのですが、まあそれはいいでしょう。  それでは、私は聞きますけれども新聞報道しているところによると、アメリカでは、韓国朴大統領が、アメリカに住んでいる韓国人実業家KCIAを通じて、韓国政府への援助を拡大するために、アメリカ議員に賄賂を送ったという事件は、連邦陪審初め、司法省、FBI、国務省国税庁などが調査に乗り出して、ウォーターゲート事件に次ぐ大きなスキャンダルとして大問題になっている。こういうことは日本の方で知っているのか。これが一つ。  このことについて、きのうの参議院外務委員会でわが党の田英夫さんあるいは寺田さん、これが取り上げまして政府に注目するよう強く注意を喚起しているのでありますが、外務省としても、米国内での問題の動向について、出先機関を通じ資料の収集など事態把握のために活動を当然行っていると私は思っています。当然行うのが正しいと思っているのですが、大臣はこの問題についてどのような認識を持っていられるのか、また、報告を受けておられるのか、聞きたいです。
  27. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 これはアメリカという他国の中におきます問題でございまするが、目下、わが方は情報入手に努めておるわけでございます。いままでの報道等によりまする情報については、関係局長から答弁申し上げます。
  28. 中江要介

    中江政府委員 この事件につきましては、十月二十四日付のワシントン・ポストの報道というのが皮切りでございまして、その報道入手いたしまして、早速、いま大臣が言われましたように、在米大使館その他にこれについての情報をいま入手中でございます。公の経路からはまだ確認その他についての報告は参っておりませんが、新聞報道その他スポークスマンの発言あるいはアメリカ国務省の声明その他については、客観的な事実としては入手しております。
  29. 安宅常彦

    安宅委員 ウオーターゲート事件特別検察官、それから連邦陪審でこれは明らかにされているのです。公式な報告がなぜ来ないのですか。こんなもの秘密でこそっと情報をとれなんてぼくは言っているのじゃないですよ。ワシントン・ポストもへったくれもないじゃないですか。そんなこと言ったら日本の共同電でも何でもじゃかすか入っているじゃないですか、そんなことは。何やっているの、大使館は。ただ飯食っているのかよ。
  30. 中江要介

    中江政府委員 在外公館からの報告には二種類ございまして、いまおっしゃいましたような向こうの言論機関報道機関等によって明らかにされたもの、あるいは国務省が公に言明したもの、そういったものは当然来ておるわけですが、さらにそれとは別個にもう一つ通常やりますのは、向こう政府機関に直接当たりましてそれについての背景その他についてどの程度情報入手できるか、この方は本来の外交情報収集活動としてやっている、こういうことでございます。
  31. 安宅常彦

    安宅委員 それで、アメリカの上院議員のスコットという人が、上院総務委員会で、ガルフ石油会社から五千ドル、約百五十万円の不法献金を受けた事件に関連して、少なくとも六人の共和党の上院議員が事情聴取されたと、こういうことがワシントン発で出ておるわけです。それから九月四日の外電でAP電によれば、アメリカの共和党副大統領候補のドールという上院議員は、ガルフ石油会社の不正政治献金に関連して、ことしの二月大陪審に出頭した事実を認めた、こういうように伝えられていますね。それからニューヨークの九月六日のUPI電によりますと、ニューヨーク・タイムズ紙は、ガルフ石油会社の議会工作責任者クロード・ワイルド氏が、ことしの一月開かれたワシントンの大陪審で、ドール・アメリカ副大統領候補に対して五千ないし六千ドルの献金をした、こういうふうに伝えているという報道がありますね。それからワシントンの九月八日APの共同電では、アメリカ・ガルフ石油の元政治工作担当者のクロード・ワイルド氏は、八日、共和党副大統領候補のドール上院議員にかつて違法な政治献金をしたことがあるということを語った。しかし、この前言を翻して、私は間違った発言をしてドール議員に大変な迷惑をかけたと声明を出している。ただし、その声明の内容は、このワイルド氏は、七〇年にドール議員にガルフ社からの金二千ドルを渡したのだ、金額は間違っているけれども渡したことは事実なんだ、こういうことなんですよね。どうなんですか、これは。レイナード証言でいろいろと公聴会や何かで出ている。外務省から秘密公聴会議事録をもらいましたけれども、こんなのは全部秘密につき削除。全部削除が多いですね。あなたの方は削除をしていない本文が入っていると思うのですが、これを私に渡したってしようがない話で、そういう点はどうなんですか。入っておるのですか。入っておるはずだ。
  32. 中江要介

    中江政府委員 秘密公聴会記録については、私ども入手したものがすでに、セキュリティー・リーズン、つまり安全上の理由とでも訳すのでしょうか、そういうことで削除されたものしか入手されておらないわけでございまして、そのどういう部分がどういう理由で削除されたかということについては、これはアメリカ政府としてもわれわれには言えない、こういう立場であります。
  33. 安宅常彦

    安宅委員 報告は入っているけれども政府の立場としては言えない、こういうふうに向こうが言っている、こういう意味ですか。
  34. 中江要介

    中江政府委員 削除される部分についてはそういうことだ、こういうことでございます。
  35. 安宅常彦

    安宅委員 つまり、削除をされた部分はあなた方は知っている、しかし、アメリカ政府筋からこれは秘密な問題だから発表しないでもらいたいと言われている、こういうふうに理解していいですか。
  36. 中江要介

    中江政府委員 削除されている部分については私どもは承知していないわけです。
  37. 安宅常彦

    安宅委員 それでは、この問題で私非常に疑問に思うのですが、六十九ページから七十三ページにかけて、あなたの方で翻訳していると思うのですが、これをちょっと読んでみていただけませんか。これは書いてあるんですよ。どういうことをフレーザー氏がレイナード氏に対して聞いて、レイナード氏がどういう答弁をしているか、ちょっと読んでください。
  38. 中江要介

    中江政府委員 安宅先生、大変恐縮でございますが、六十九ページから七十三ページの中のどの部分という御質問でございますか。
  39. 安宅常彦

    安宅委員 全文。
  40. 中江要介

    中江政府委員 全部のレイナードの証言の部分でございますか。
  41. 安宅常彦

    安宅委員 はい。フレーザー氏の質問がありますね。そこからレイナード氏の答弁だな。
  42. 中江要介

    中江政府委員 これは英語であるわけですが、それを日本語にして全部……。
  43. 安宅常彦

    安宅委員 日本国会では質疑応答は日本語でやることになっておりますから……。
  44. 中江要介

    中江政府委員 それは承知しておるのですが、正確な翻訳は……。
  45. 安宅常彦

    安宅委員 わしは英語で読まれたってわからないもの、あんたと違って東大出ていないもんだから。
  46. 中江要介

    中江政府委員 これは非常に長文でございますので、それでは要訳を大急ぎでつくりまして、後刻御報告するということにさせていただいてよろしゅうございますか。
  47. 安宅常彦

    安宅委員 あんた方はそういうことについて——これはガルフと関係がある、大陸棚協定関係があるんですよ。だからその部分を摘出して読んでくれと言っているんですよ。そういうことについて何ら関心持ってなかったんですか。何やっているんですか、そんなものは。  たとえば、その部分で局限して言えば、私どもの翻訳では、フレーザー氏がレイナード氏に対して質問していますね。「あなたは、朴東宣KCIAと共同し、かつまた、KCIAのために働いているとの結論をどこから引き出しますか。」という質問をしています。レイナード氏は答弁しているんですが、最初の方が「秘密のための削除」こうなっていますね、これはそうでしょう。「いうならば、」ここから出てまして「私は、朴東宣が多大な資金を持っている点判断します。一〜二%の利益で五千万ドル分の米の取引が成立した場合、かなりの額の金が朴東宣に流されるでしょう。さて、KCIAは商事や取引に関係して非常に大きな役割りを果たしています。部分的に、これは個人の汚職の問題として人目を引くが、これはやはり経営資金の大きな財源であります。アメリカの商社マンは、韓国と取引しようとする初めに、KCIAのだれかと話をすると、まるで通産省の役人と話をしているような気がしてくるというのが実情です。KCIAは外国貿易に深いかかわりを持ってきています。ちょうど先日、韓国内での石油の採掘調査関係する情報はいまやKCIAの手に握られていることを伝えるレポートが、ソウルから届き、目を通したばかりです。」云云と書いてあるのです。それは認めますな。
  48. 中江要介

    中江政府委員 ただいま先生のお読みになりました部分は、七十一ページにそのように書いてあるということはそのとおりでございます。
  49. 安宅常彦

    安宅委員 それで、外務省が三月二十五日の非公開の公聴会ですね、これを、こっちの方は穴だらけ、あなたの方も穴だらけのものしかないと言うのですけれども法務省の安原刑事局長は、参議院の法務委員会で、わが党の佐々木静子さんの質問に答えて、金大中事件の犯人告発に関連して外務省を通じてレイナード氏の秘密証書を入手している、こういうふうに答えていますね。われわれが入手しているものは秘密証言の全文ではないのです、これは。安原さんが入手したのは秘密の部分が入っているから外務省と相談しないと公表できない、こういうように答えているんではないんですか。こんな穴だらけのものだったら、どだい私は持っているのですから、大したことはない、わざわざ外務省からもらわなくとも、これは公表したものではないですか。だから、秘密証言の議事録をそのまま公表できないのはわかるとしても、外務省の調べとして事実を明らかに知っているはずだから、ここで日本大陸棚協定に関する問題も含まっているのですから、明らかにするのが本当じゃないですか。安原刑事局長がそういう答弁をしているのですね。きょう、法務省の出席を要求したのですが、ロッキードの方に皆出ているというのですが、課長でも何でもいいから、そのときの答弁の事情をわかる人をここへ連れてこいと言ったのですが、来てますでしょうかな。法務省、来てませんか。——その当時の議事録について、それでは外務省は、後で議事録の内容を調べて、安原さんがどういう答弁をしたのか、秘密のことだから、外務省と相談しないと金大中さんに関するその部分などは発表できないと言っているのですから、どういうことなのか、事情、いきさつをはっきりさせていただけませんか。
  50. 中江要介

    中江政府委員 その部分は、レイナード証言新聞報道されましてから私ども非常に注目しておりましたところ、その秘密公聴会議事録が公表されましたので、それを入手いたしまして、その部分を調べたわけでございますが、先ほど来おっしゃっておられますように、安全上の理由で削除された部分については承知の限りではありませんけれども、書かれているところで金大中事件に関する部分はこういうふうになっております。金大中氏……。
  51. 安宅常彦

    安宅委員 ちょっと待ってください。そういうことを言っているんじゃないのです。安原さんが佐々木静子さんの質問に対して、秘密証言を入手している、こういう答弁をして、われわれが入手しているものは、秘密証言の全文はこっちはないのですが、安原さんがそういう、以下申し上げるような、たとえば外務省と相談しないと公表できない、こういうふうに答えているのですから、これは全文があなた方の方に入っていて、法務省外務省が協議しなければ公表できない、こういう筋合いのものだと私は理解しているのですよ。ただそれだけ事情をはっきりしてもらえばいいのです。
  52. 中江要介

    中江政府委員 刑事局長が御答弁になりました段階では、外務省がこの公聴会の議事録法務省に渡したわけでございまして、その扱いについてはまだ相談がなかったのでそうお答えになったと思いますが、その後この公聴会の議事録を公表したということは御承知のとおりです。
  53. 安宅常彦

    安宅委員 私に対する答弁はそれでも切り抜けができると思いますが、事実そうだったとしても、委員会で正式の発言を安原さんはなさっておるのですから、どういう事情でそういう答弁をしたのか、あなたの方でよく調べて、後で——これは保留しておきます。重大な問題ですからね。あさってでもやなあさってでもいいわ、ぜひこれを明らかにして、また論議をするときに、私ども、ここをつきますからね、保留にしておいてもらわなければならぬ。あなたの方、両方協議して、そうして議事録の前後、言葉の流れから全部調査をして、そうしてこちらからつつかれないようにちゃんと準備しておいてくださいよ。いいですな。きょうの場には間に合わないでしょう。間に合いませんな。間に合うか間に合わないか、ちょっと聞かしてください。
  54. 中江要介

    中江政府委員 これは大至急刑事局長との連絡をとってみまして、後刻御報告いたします。
  55. 安宅常彦

    安宅委員 それから伺いますけれども、これは私どものアンテナへ引っかかった部分で、外務省のある高官が新聞記者との懇談の中で、今後六カ月ぐらいの長期的な見通しに立った場合、日韓間にロッキード事件のようなスキャンダルが表面化する可能性があるということを認めたというふうに私は聞いているんですよ。私はいろいろ聞いてますよ、高官はだれだか——私は言いませんけれどもね。これはまだ公表されていない部分が、いずれ時間がたって公表されたときのことを考えて言っているのだと思うのですが、そういう受けとめ方をしているのか。私はそういうふうに受け取っていいのか、どうなんですか、これは。新聞記者との話し合いですからね。私はある程度それは仄聞しているわけですね。きょうここでこう言ったじゃないか、ああ言ったじゃないかということを私は言いたくありませんけれども外務省としては、こういう問題について、そうした高官が新聞記者との懇談の中で発言するような、ある程度のそういう触覚というものを持っているのですかね。それから予想というもの、大体そういう事件が起きるだろうということを、たくさんロッキードにまさるようなスキャンダルが出てくるのじゃないか、こういう感触を持っているのですか。
  56. 中江要介

    中江政府委員 第一点の、外務省高官が新聞記者との懇談でどういう話が出たかということについては、私のところに来ております報告の中からは、いま先生のおっしゃいましたようなことは出ておりませんので、私は事実を承知していないということを言うほかはございません。  それから触覚としてそういうのを持っているかどうか。これは、やはり大事な隣国との関係でございますので、軽率にはなかなか言えない、こういうふうに思います。
  57. 安宅常彦

    安宅委員 これも、削られた部分というのは非常に重要なんですよ。私どもいろいろ調査をしているのです。それで、伝えられるところによりますと、このレイナード氏の秘密証言の中では、田中角榮、日本金大中事件の収拾に当たって、うやむやにするために、具体的には田中さんだというように私は聞いているのですが、朴政権から百万ドルの賄賂を受け取った、こういう部分がある。それは削除になっているのだけれども、あるのだ、こういうふうに聞いているのです。私自身が見たわけではないのですから、日本外務省が、削られたところについて、こういう、大陸棚協定やそういうものと賄賂のやりとりというのは、アメリカ大統領にもやったとか朴大統領の指図でこういう人がアメリカ活動しているということですから、これに類したいろいろなことが日本にないという証拠はない。非常に関心を持たなくてはならないと私は思っているのです。これは当然のことではないかと思うのですが、どうなんですか。この秘密の部分について、全然情報も入ってこなければ、伝えられるところによればと私が言った、そういうことをにおわすような情報も入ってこないということですか、外務省には。
  58. 中江要介

    中江政府委員 私どもといたしましては、金大中事件に関連して、三億円の金が当時の総理に流れたのではないかというようなことが再三指摘されるのが非常にわからないことに思われますのは、第一点といたしまして、レイナード証言の中にあるというふうに言われますけれども、先ほど来話題になっております秘密公聴会議事録の中にはそういう部分は全くないというのが一つと、それから削除された部分についてわれわれは何も承知させられていないということが一つ、それから、当時の金大中事件が起こりましてから、これに外交的決着を見るまでの間にそのようなことがあったということは、私どもは全然承知しておらない、こういうことでございます。
  59. 安宅常彦

    安宅委員 このやり方は、朴東宣のかわりに趙重勲を使って小佐野さんやそういう者まで絡ませた賄賂の出し方だ、いろいろそういうふうに言われているのですね。  それで、金大中事件は、きのう国会議員の辞任を認められた自民党の宇都宮さんが主張しているように、日本主権にかかわる問題だ。アメリカ政府は、朴大統領アメリカの国会議員に対して賄賂を贈るように面接指示した電話の録音テープまで入手している、こういうふうに言われているのです。これは、もうはっきり公然の秘密みたいになっているのですよ。日本政治の、有力な人人に関する証拠を持っているかもしれぬわけです。外務省はこの問題について全然関心を持たないですか。秘密の部分、消された部分、言葉の前後、やりとりから言って、こういう部分が入っているのじゃないか、これはクイズみたいななぞ解きになりますけれども、そういうことまで研究しておかなければならぬと私は思うのですが、どうですか。
  60. 中江要介

    中江政府委員 これはおっしゃいますように、その部分がどういうものであるかということを私どもは全く研究してないわけではございませんけれども金大中事件に関連します部分では、いままでのところ、この真相究明に役立つようなものというものはまだ見出せない、こういうことでございます。
  61. 安宅常彦

    安宅委員 幾ら聞いてもあなたの方はそういうことになるのでしょうが、言うなれば、朴東宣ですか、これはKCIAのために働いているというふうに証言したレイナード氏、この人はアメリカ国務省韓国部長ですね。言うなれば、あなたと同じみたいなものよ、日本外務省の。そうよ。それより下だというのだったら、北東アジア課長クラスかな。こういう人なんですよ。こういう人が韓国に非常に精通しておられるわけですが、北東アジア課というのは、こういう問題について、アメリカ国務省韓国担当の部分と同じようなことについて本当は知っていなければならないですよ。こういうことを堂々と証言しているのです。国会でもあるいは大陪審でも全部やっているのですよ。あなたは恥ずかしいと思わないですか。その中で、レイナード氏がガルフ社とのことを言っている、そういう部分はあるでしょう。どういうことを言っているのか、あなたの方の、それを翻訳したり読んだりした部分についてどんなことを書いてあるか明らかにしてください。どうですか。  それから、大陸だなの石油採掘とKCIAとの関係について、先ほどちょっと話が出ましたけれども、これは言及しているんですね。この部分はいいとして、どうなんですか。
  62. 中江要介

    中江政府委員 レイナード氏の証言の中で、朴東宣について証書しております部分は……(安宅委員「ガルフ関係」と呼ぶ)ガルフ関係でございますか、失礼しました。  ガルフの政治献金問題につきまして証言しております中の日本関係部分といいますのは、「日本の会社に対するリベートの支払いというのは、日本の為替管理制度をくぐるためのものであって、政治活動に関連して支払いがなされた証拠はない、」こういうふうに、これは本文百九十ページの中のわずか二ページ部分でございますが、そういうふうに触れられているというふうに承知しております。
  63. 安宅常彦

    安宅委員 明らかに政治的に利用されて、政治家に献金をやったかどうかということは、向こうが、これは米国の利益のためにあるいはガルフ社の利益のためにいろいろと隠すところは隠すでしょうからね。私はそういうふうに理解している。これはマックロイ報告に出ている部分ですから、そういうことを言ったとしても、政治的に利用されたかどうかは別として、リベート商法を行ってリベートを取っているということは明らかですね。その証言ではっきりしていますね。どうですか。
  64. 中江要介

    中江政府委員 この部分に関する限り、為替管理制度をくぐるためにそういうリベートを取ったということははっきりしている、こう言えると思います。
  65. 安宅常彦

    安宅委員 リベートを取っていることについて、このことについて私は、ことしの二月二十六日の予算委員会並びにこの前の九月三十日の予算委員会で、これに関する政治的な献金があるかないかは別として、リベートを取っている、そういう状況について全部報告をしてもらいたい、通産大臣なんかはこれについて調査をいたします、大蔵大臣は出せるものは出すという話でしたが、実際は通産省から相当のいろいろ詳しい報告も一部出ているのですけれども、全然出ていないでしょう。これは一体どうなんですか。きょうまでにそういうことは出せるような状態になっているはずです、半年以上もたっているのですから。これは九月三十日のときにも、この問題でその後調査したかと言ったら、私のところに来た係官は大蔵省も資源エネルギー庁も、安宅先生質問がわかったのでゆうべから一生懸命動いています——そんなことはないですよね、二月から言っているのですから。一体、議会質問を通り抜ければあとは安心だ、その次また出たらそのときはそのときだ、こういうことで調査一つもしてないのじゃないですか。通産省、それから大蔵省答弁願います。——ちょっと待ってください。やってるんだったら、この前出した報告とは違ったものが出ているはずなんです、あれから調査を厳重に言ったわけですからね。出せますか。
  66. 大永勇作

    ○大永政府委員 お答え申し上げます。  先生から資料の御要請がありまして後、省内におきましても、それから大蔵省等とも現在なお相談中でございます。企業機密等との関係もございますので、どの程度のものがお出しできるかということにつきまして現在鋭意検討中でございます。
  67. 安宅常彦

    安宅委員 これは、この問題が二月の段階で問題になったときに、通産省はガルフの関係で言うならば、ペーパーカンパニーを利用してマックロイ報告で言われているように、違法と思われるそういうマネークリーニングを行ったり何かしている、そういう会社として出光興産をたった一社挙げたんですね。それで今度私が、この前、九月の三十日に富士石油はどうかと言ったら、富士石油のどういうことを御質問なさるのでしょうかと言って事前に聞きに来た。その分、今度富士石油を出す。まるでウサギのふんみたいにぼろりぽろりと、こちらから質問予定をすると出してくる。全部調査済みなんですが報告できないのか、こちらがわかればあわ食って出すのか。そうだったらみんな全部出してもいいんですけれども、こちらも作戦上小出しに出しているだけの話で。  これはどうなんですか、全部調べがついておるのですか。マックロイ報告に言われているような政治的に利用されているかどうかは別として、リベート商法を行っている、リベートが返っているとするならば、いつどういう手段でどういう形で返ってきているのか。国税当局はこの問題について正式に課税の対象としてどれくらいを掌握しているのか、そういう報告を全部出すのが本当じゃないですか。それではあなたの方、全部出さない、こちらから言われれば出す、こういう態度なんですか。わからないから出さないのですか、わかっているけれども出さないのですか、どっちですか。
  68. 大永勇作

    ○大永政府委員 これは、ただいまお答え申し上げましたように、企業機密との関係がございますので、どの程度の資料がお出しできるかということにつきまして、現在省内及び各省とも連絡中ということでございます。
  69. 安宅常彦

    安宅委員 大蔵省と公取、全部答えてください。いまの答弁ではだめなんです。いいですか。それはわかっているんですけれども企業秘密との関係で出せませんとおっしゃるならば、なぜ富士石油。質問もしないのに一番先出した出光興産。これだけは企業の秘密をあなたの方で暴露されて、あるいは出光興産は不公平だと言っているかもしれませんよ。なぜあれは聞きもしないのに出したのですか、出光の場合は。おもしろくないんですか、通産省あたりと仲が悪くて。だから出光は出されたのですか。こんなばかな話はないでしょう。なぜそれじゃ出光は出したのですか、聞きもしないのに。そしてあとの会社は企業の秘密だ、こんなばかな論理がありますか、どうですか。それを加えて大蔵省、担当は国際金融局ですね、これは大蔵大臣来てないから仕方がない。公取委員会、全部出してください。
  70. 齋藤成雄

    ○齋藤説明員 二月の予算委員会で御指摘がありました時点で通産大臣から概要について御説明するのとあわせて答弁を申し上げておりますが、その当時、その時点で出光の話が出ておりますのは、マックロイ報告の中でバミューダにある銀行を通じてリベートが払われているという指摘がございますので、それに該当するようなものがあるのかどうかということで調べましたところ、そのリベートと申しますか、当事者間ではりファンドといったような言い方をしておりますけれども、その受け取りとして、出光の場合にはバミューダの法人アポロ・インターナショナルを通して受け取っていた時期が一時ございますので、そういう意味マックロイ報告との関連でその名前大臣から出たわけでございます。それ以外にバミューダに法人があるのは事実でございますけれども、それらの法人につきましてはリベートの送金上、全く関与してないということが判明いたしておりましたので、それらの法人については名前を御披露してないというのが当時からの経緯でございます。
  71. 吉野秀雄

    ○吉野政府委員 公正取引委員会といたしましては、ガルフと取引のある国内の会社につきまして、その間に取りかわされた国際契約の内容を改めて検討いたしました。検討の結果、独禁法上の問題はございませんでした。なお、契約上リベートに関する条項はございません。
  72. 安宅常彦

    安宅委員 リベートに関する条項はありませんと言っても、片一方ではあると報告して、あなた方公正取引委員会は何を調べているのよ。あるじゃないですか、ありませんとは何ですか。あるじゃないですか。いまリベートかリファンドかどっちかだけれどもあると言う。あなたの方は全然それはわかりません、ありませんと言う。そんなことがありますか。
  73. 吉野秀雄

    ○吉野政府委員 契約の表面上、リベートに関する条項は記載されておらなかったということでございます。
  74. 安宅常彦

    安宅委員 大変めんどうくさいことになりましたから、まあいいでしょう。  これで、たった一つだけ聞きますが、富士石油の場合、これはこの間も言ったとおりRESOURCESあるいはグレート・ヒル、こういうペーパーカンパニーを持っている。ところが、これはガルフからの分には利用してない。どういうやり方をしているかというと、富士石油が在外法人として持っているのですが、アラビア石油の取引の場合にこれは利用しているのであって、富士石油がやっているのじゃないと、こういう説明なんでよ、いいですか。だから関係がない、私のところにはそういう答弁が来ているのですが、要するに私は関係があるかないかは別として、そういうガルフと関係のある会社に限ってでもいいから、全部出せとは言わないから、そういうバミューダ島やバハマ諸島あたりに在外法人を持っている、そういうペーパーカンパニーを持っている会社を報告しろと、こう言っただけの話なんです。ところが、そういうリベート商法をやっているかやっていないかは別として、そういう会社を報告してもらいたいと言った、だけれども報告しないんですね。これはどういうわけなんですか。
  75. 大永勇作

    ○大永政府委員 その時点で若干、御質問の趣旨につきまして十分よく理解してなかった面があるかと思いますが、当初われわれといたしましては、リベートの送金に関係のあるペ−パーカンパニーといいますか現地法人というふうに理解いたしましたので、富士石油のケースにつきまして出さなかったわけでございますが、そのほかの会社の分についても出せというお話でございましたので、それらにつきまして先ほど申し上げましたように現在どういう形で出すか検討中でございます。
  76. 安宅常彦

    安宅委員 在外法人のそういう会社なりあるいはそういうものは、東洋経済社ですか何かが出している公表されたものに、税金を免じるためにこの会社をつくったとか、税金の優遇のためにつくった会社だとか、各会社ともいろいろ堂々と発表しているのですよ。なぜあなたの方は、リベート商法を行ったか何かは別として、それを公表できないのですか。出ているでしょう、雑誌にみんな。何で政府はそれを発表できないのですか。会社が自分で発表しているものもあるのに。
  77. 大永勇作

    ○大永政府委員 これは一般論でございますが、やはり統計目的で調査いたしました資料とか、あるいは外為法上の権限に基づきまして許認可を行う際の申請書等に記載されております事項については、守秘義務と申しますか、行政官としては一般的に出す性質のものではないと思うわけでございますが、われわれがそういう権限行為とは関係なしに任意に調べまして、どの程度のものが調査でき、どの程度のものがお出しできるかという事柄につきまして、現在検討中であるわけでございます。
  78. 安宅常彦

    安宅委員 そうすると、日本の支店なり子会社というのは公表してもいいけれども、外国にある——きょうなんかも新聞のトップでしょう、三井物産のアメリカ三井がどういうことをやったかということについて。外国に支社なり子会社を持ったものはなぜ守秘義務なんですか。日本の支社は守秘義務でなくて外国に持ったものは守秘義務なんですか。そういうばかみたいなことを考えているからいろいろな事件が起きてあわ食うんだ。
  79. 大永勇作

    ○大永政府委員 お答え申し上げます。  内容自体よりも、その内容を知る過程が、先ほど申し上げましたように外為法上の許認可等の権限行使の過程におきまして知り得たような事項につきましては、やはりこれは外部に公表すべきでない、こういうことでございます。
  80. 安宅常彦

    安宅委員 なぜ外為法が守秘義務になるの。
  81. 大永勇作

    ○大永政府委員 これは先ほど申し上げましたように一般論でございます。一般論といたしまして、そういった許認可をする際に、申請書等に記載されております事項あるいは統計目的で調査いたしました事項等につきましてはやはり公表すべき性質のものではなかろう。ただ、先ほど申し上げましたように、そういうことを離れまして、一般的な任意調査の形で調査したものにつきましては、これは一応関係がないというふうに……
  82. 安宅常彦

    安宅委員 ちょっと、そんな質問してないのです。国内の子会社は発表して、守秘義務でも何でもないでしょう、大臣、そうじゃないですか。それで、在外法人だけなぜ隠しておかなければならないかと聞いているのです。それはどういうことなんです。
  83. 大永勇作

    ○大永政府委員 許認可とかそれから統計の過程で知り得た事項につきましては、国内の子会社につきましても同じでございまして、先生御指摘のように、国内と海外とを区別する理由はないと存じます。
  84. 安宅常彦

    安宅委員 それでは、その守秘義務の範囲というのはどこまでを基準にしているのですか。その法律的な根拠はどうですか。
  85. 大永勇作

    ○大永政府委員 国家公務員法上の守秘義務の問題であると存じますが、私もその辺につきましては専門家でございせんので詳細承知しておりません。
  86. 安宅常彦

    安宅委員 説明できる人おりますか。——説明できる人いないのですか。
  87. 齋藤成雄

    ○齋藤説明員 御存じのとおり、国家公務員法に、職務上知り得た秘密はこれを漏らしてはならないという条文がございまして、その適用につきましていろいろ検討いたしまして、現在のところ、権限などに基づいて調べたものは職務上知り得た秘密である、逆に言えば、職務上の立場でなければ知り得なかったものというのは漏らしてはならないと解しているわけでございます。
  88. 安宅常彦

    安宅委員 そうすると、企業の活動の中で支店を設けたりあるいは出張所を設けたり、下請会社というかそういうものを設けたり、子会社を設けたりすることはすべて守秘義務の中に入る、国内、国外を問わない、こういう結論になるのですかね。発表できないということになるのですか。
  89. 齋藤成雄

    ○齋藤説明員 支店等の設置につきまして法律の許可を要するような場合には、明らかにその法律の権限に基づいて知り得た内容というふうに理解しているわけでございます。国内の支店などにつきまして、それが権限に基づいて調査したものでなければ、それは問題ないだろうというふうに考えております。
  90. 安宅常彦

    安宅委員 そうしますと、スーパーなんかいろいろな許認可の関係がありますね。床面積がどうだとか販売面積がどうだとか、皆許認可だな。そうですな。そういうものを浦和に設ける、大阪に設ける、皆許認可だね。デパートだって皆そうですね。そういう支店なんかできたのは、堂々と町の中にでかい建物があって、庶民はみんな知っているけれども政府は、これも許認可の中だから、どこにどういう支店があるかというのは、国民に対しては、国民みんなわかっておっても、それでも国家公務員法上公表できません、守秘義務です、こういうものなんですかね。
  91. 齋藤成雄

    ○齋藤説明員 御指摘のデパートの例で申しますれば、現在大規模小売店舗法では届け出ということになっているわけでございます。これは私のところの所管している問題ではございませんけれども、その場合に、その届け出の内容についてすべて公表していいかどうかというと問題でございまして、やはりその中に適当な線があるであろう、公知の点については、これは問題ないというのが通常の解釈でございます。先ほどの許認可にかかわる問題につきましても、許認可の申請書にあるものがすべていけないというわけではございませんけれども、いろいろ企業活動に影響がある場合がございますので、その部分については公表することは許されないというふうに解しているわけでございます。
  92. 安宅常彦

    安宅委員 許されないことをあなたの方で許しているわけだ。たとえば、こういう資料が私のところに来ています。先ほど出光興産の例だけ言いましたけれども、鹿島石油はバミューダに資本金三千万米ドルの一〇〇%出資の会社を持っています。富士石油はRESOURCESというものを持っています、グレート・ヒルというものを持っています。それから日本鉱業は、これも一〇〇%出資のやつをバミューダに持っています。出光興産のほかにこういう三つ四つほど、私がぎゅうぎゅう言ったら出してきましたね。これは守秘義務違反だな、あなたの方は。どうですか。
  93. 大永勇作

    ○大永政府委員 これは先ほどから御説明しておることでございますが、資源エネルギー庁におきまして、外為法上の権限行使とは関係なく、会社から任意に事情を聞きまして、協力を得て出しておるものでございます。
  94. 安宅常彦

    安宅委員 本当ですか。富士石油の場合もそうですか。
  95. 大永勇作

    ○大永政府委員 富士石油につきましても同様でございます。
  96. 安宅常彦

    安宅委員 通産省はことしの二月ごろ、これ以外ありませんと言っていたのですよ。それはガルフからバミューダ局の銀行に振り込まされたそういうものに該当しないからない、こういう答弁が初めからあればよかったが、そうじゃなかったでしょう。私からぎゅうぎゅう言われたから出てきたのじゃないですか。どうですか。
  97. 大永勇作

    ○大永政府委員 先ほどもお答え申し上げましたが、われわれといたしましては、リベートの送金にかかわりのある現地法人ということで理解しておりましたので、富士石油のバミューダにあります子会社はリベートの送金に関係がないということで出さなかったわけでございます。
  98. 安宅常彦

    安宅委員 国会議員は、いろいろリベート商法があったり、そしてどういう値段で灯油やそれから揮発油やそういうものが値上げされるか、その基準はどの価格で、リベートをもらった部分であるのか、表面の価格を基準にしてあなたが決めるのか、国民というのは知る権利があるのですよ。私ども会議員というのは、そういう人々を代表して来ているのですよ。そのときにどういう基準でやっているのか。実際にバーレル当たり十一ドル半で石油が入ってきているというけれども、そのリベートは一〇%ないし一三%、一五%ぐらい全部リベート商法でまけてもらっているわけでしょう。石油が冬になって上がるというそういうときに、どっちの価格で決められるのか、国民は知らなければならない、知る権利があるのですよ。そういうことは企業活動の秘密だから申し上げられません、通産省はどの価格でやったのだと言ったら、リベートはちゃんと入ってきています、それで安い方の値段でやっていますと言う。その証拠が全然ないでしょう。ですから、そういうガルフとの関係において取引をやっている会社の部分でもいいから、どれぐらい実際に入ってきているのか、そのリベートというのはどういう処理をされているのか、国税庁はこれに対して幾らぐらいの課税対象として把握できているのか、この資料を出していただきたいのです。これを出さなきゃおかしなものですよ。
  99. 大永勇作

    ○大永政府委員 ただいま御指摘になりましたリベートの額、あるいはその基準等につきましては、個々の会社間の契約で取引関係でやっているものでございますので、これはわれわれ内容も十分承知いたしておりませんし、またこれをお出しするということはできないかと存じております。
  100. 安宅常彦

    安宅委員 わかりました。あなたは事情がよくわからないのだそうですね。そうすると、輸入課長さんですか、そこにおられるのは。あなたそんなことはみなわかっておる。だから、通産省でもそういう価格でやっているとか——あなたは資源エネルギー庁としてのそういう立場。今度は通産省では、私のところに来た人は、それはわかっていますよ、安宅さん、だからちゃんと安い方の値段でやっているのだと言う。安い方の値段は一体どれくらいになっているのか、どこの会社はどのくらいの値段で輸入しているのか、こういうことをはっきりしなくちゃだめじゃないかと言ったら、わかっているけれども発表できないと言う。あなたは知らないと言う。どっちが本当なの。——まあいいや。どっちが本当だなんと言ったら時間を食うばかりだから、さっき言った資料国税庁はリファンドなり、リベートなり返ってきた部分に対してその会社はどういう価格で入っているのか。この部分はバミューダを経由して、銀行を経由して、在外法人を経由して入っているのか、入っていないのか、真っすぐ外為銀行に入っているのか、それの区別と、それからこれによるところの、向こうに消えてなくなってしまったら課税の対象にできませんから、国税庁は課税の対象としてどういう部分についてどういうやり方をして課税をしているのかという資料を出してくれ、こう言っているのですから。出せますか、出せませんか、これだけでいいです。
  101. 山橋敬一郎

    ○山橋政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、わが国の石油会社の場合には海外に子会社を有しているものが非常に多うございます。また、商取引の面でリベート収入がある場合も非常に多いわけでございます。税務調査の場合におきましては、子会社との取引とかリベート収入などを調査の重点にすることが通例でございます。御指摘の点につきましても、調査の段階で鋭意検討しておりまして、その税務上の処理を適正に行っているところでございます。ただ、その処理の結果、申告の内容、調査の結果につきましては個別の内容にわたることでございますので、ひとつこれを公表することは御勘弁を願いたいと思います。
  102. 安宅常彦

    安宅委員 そうしてロッキード事件みたいな大きな事件になるとあわを食って調査するのですか。私は、具体的に聞きますが、この間、九月三十日私が質問した。その後、富士石油に調査に入りましたね、どうですか。
  103. 山橋敬一郎

    ○山橋政府委員 お答え申し上げます。  先生から御指摘がございましたガルフ・オイル社からの石油輸入の問題に関連したいろいろのリベートの受け入れ状況につきましては、税務調査上の当然の重点事項でございますので、その点については国税当局としては調査をしております。
  104. 安宅常彦

    安宅委員 富士石油に調査に入りましたかと聞いているのです、私の質問の後。
  105. 山橋敬一郎

    ○山橋政府委員 お答えいたします。  個別の会社のどこをどう調査をしたかというふうな問題につきましては、ちょっと御答弁をいたしかねるわけでございます。
  106. 安宅常彦

    安宅委員 つまり国会議員が問題にするとあわてて調査するのです。それであわを食うのです。そうして事件が起こるのです。国税庁というのはそういう不正があるかないかというのは、常に国会で問題になろうがなるまいがやってなければならないのですよ。ばかみたいなことを言うな。  それでこの富士石油のことですけれども、ガルフ社から裏金を受け取っておるのです。これらの会社の存在はもちろん少数の人しかわからないようになっておるのですね。出光興産の場合なんか輸入課長さん知らなかったのですから。そういうことで言うならば、大体どこの会社でも原料部長やそういう人が輸入の担当をやっておる。そうしてごく限られた人々が欧州なんかに出張する。寄るところは、大体香港であるとかジュネーブであるとかに必ずどこに行くのにも寄るようになっておるのですよ。これはスイスの銀行です。外換銀行かどこか知りませんよ。こういうところにちゃんと裏金を受け取りにあるいは操作に行っているのだ。これはもっぱらそういう会社の社内の公然の秘密になっておるじゃありませんか。そうしてこの間言ったように、この富士石油の場合には、現在の石油鉱業連盟の水野惣平、この人がよく知っている、こういうふうに言われているのです。そうしてRESOURCESなりそういうものとは関係なしに、富士石油が具体的にマネークリーニングした分は、当時は、最近は別として、水野惣平氏の個人口座にそれが入っておったのではないかという濃厚な疑いがあるのですね。しかもRESOURCESというのは、富士石油の企業とは関係ないんだとあなた方は言う。どこでやったんだと言ったら、アラビア石油の石油の販売のために、富士石油の名義で在外法人をつくっておるのですよ、バミューダに。おかしいじゃありませんか。ますますこの水野さんとの関係おかしくなるのですよ。この人は政治家ともうんと関係がある人で、財界人として小林さんだとか有名なそういう人の長い間秘書をした人でしょう。この人は水野成夫さんの養子に入った人で、小林さんの言うならば隠れた子供さんですよ。こういう方がそういう役割りを、原料部長など担当部長を通じて、その利益というものは、会社の正式の帳簿に乗らないで、この人の個人口座にもとはなっておったということはいまや明らかなんです。みんな言っております。これは、ただどこから仕入れてきたかと言われたらえらいことですから、私は言いませんが、こういうことは出光だって皆あるのです。そういう意味で言うならば、これは調査をする必要があると思うのですが、どうですか。これは通産大臣に聞きたいと思ったのですが、大臣がいなければきょう出ておられる最高の責任者が答弁してください。
  107. 大永勇作

    ○大永政府委員 RESOURCESという会社がありまして、これがカフジ原油の第三国への輸出促進の役目をしているというふうなことは、富士石油から聞いておるところでございます。ただ、先生がいまおっしゃいました水野さんの口座の問題、そういったところまでわれわれといたしまして立ち入って調査をするというふうなことは考えておりません。
  108. 安宅常彦

    安宅委員 国税庁……。
  109. 山橋敬一郎

    ○山橋政府委員 お答えいたします。  石油会社並びにその子会社の関連の調査に当たりましては、その資金の流れ等につきましても、十分調査をしているわけでございますが、個別のどの口座をどのように調査をするというふうな点については、答弁をいたしかねるわけでございます。
  110. 安宅常彦

    安宅委員 調査をする必要があるのではないか、会社の中では公然の秘密になっているのですから、そう私は言っているのです。調査を必要とするのじゃないかと聞いておるのですよ。そういうことが私から出ても、調査をする必要がないという答弁ですか。どっちです。
  111. 山橋敬一郎

    ○山橋政府委員 お答えいたします。  税務調査の資金の流れの調査の過程におきまして、その資金がどのような口座に流れたかということは、当然調査の対象になるわけでございますし、また必要性もあるわけでございますけれども、個別の事項をお挙げになりまして、この口座をどうするかというふうな点につきましては、お答えをいたしかねるわけでございます。
  112. 安宅常彦

    安宅委員 こういうことなのですよ。本当は民族資本みたいのばっかり取り上げてぐあい悪いのです。ガルフと関係あるのは残念ながら民族資本よ。だけれども、これはメジャー系の日本石油から何からみんな言い出したら、大変なものになるのですよ、あなた。だから私はそれを心配して言っているのです。具体的に例を挙げていま言っておるのですが、あなたの方では、リベートあるいはリファンドというものはどこを経由してきたかは別として、全部日本に入っています、こうなっておるのです。入っているのだということならば、はっきりそれは入っているように、金の流れをはっきりつかんでいるはずですね。しかし、私が言うように、水野惣平なる人物の個人口座に入っているということを私は指摘しているのですが、そういう公然の秘密がある。私はここで立証しろと言われればやってもいいのですよ。だけれども、相当影響のある人が出てきますからね。だから、そういうことについて明確な調査をしているのかいないのか、やったけれどもなかったというのか、やる必要がないというのか、それを聞いておるのですよ。そういう会社はいっぱいあるはずなのです。わからないようにして個人の口座にほうり込んでいる会社はいっぱいあるはずです。あなたの方は、全部正式に入っています、全部いままでの質問の中ではそういう答弁ですから、入っていないのを具体的にいま私、指摘している。疑わしいという立場を私はまだ飛び越しては質問していませんが、もし私からそういうことを言われたら、全会社について本当にいままでの報告は正しかったのか、実際個人口座に入っていたりなんかしていないのかどうか、これを調査するという気は起こさないのかと聞いているのです。
  113. 大永勇作

    ○大永政府委員 通産省といたしましては、先ほど申し上げましたが、個別の個人の口座まで立ち入りまして調査する権限もございませんし、そういう調査は考えておりません。
  114. 安宅常彦

    安宅委員 あなたに聞いているのじゃないよ、国税庁に聞いているのだよ。何言っているの。
  115. 山橋敬一郎

    ○山橋政府委員 お答えいたします。  先ほどもお話し申し上げましたように、資金の流れ、そのリベートというものがどういう経路をたどってその会社に入ったかということは、当然税務調査の対象になるわけでございまして、必要があれば十分その点も調査をするのは当然だとわれわれは思っております。
  116. 安宅常彦

    安宅委員 先ほど、私の九月の質問の後に富士石油には調査に行った。ということは、いま言ったようなことを含めてもう一回調査をなさる意思があるか、こういう質問なんですが、どうですか。
  117. 山橋敬一郎

    ○山橋政府委員 再々申し上げておりますように、税務調査の段階では、資金の流れその他も重要な事項として調査の対象になるわけでございまして、通常の税務調査の段階では、そういう点も十分念査をし、調査をしているものと私たちは考えておるわけでございます。
  118. 安宅常彦

    安宅委員 その問題については後で私どもは逐次この問題、ガルフと重大な関係がありますから暴露していく時期があると思います。きょうはこの程度にしておきましょう。  それで、大陸棚条約の問題についてこういう疑惑がある。レイナード元韓国部長が、ガルフとの関係KCIAがこの石油の採掘権に関していろいろな権限を持っておる。KCIAと話をすれば、通産省の役人と話していることと、ついその気になってしまうほどうまくいく、こういう証言をしている。アメリカではそういうことになっているのですね。だから、非常に大きな疑惑がある。  この協定の具体的な問題について今度私は入らせていただきたいのですが、この協定がどのようないきさつで成立したか。きょうは詳しいことは聞きませんが、具体的に聞きますけれども、具体的に一つ一つ部分部分で聞きますが、エカフェのアジアの沿岸海底鉱物資源の共同調査委員会、つまりエカフェの機構が東シナ海の調査を行ったのはいつごろからいつまでだということになると、一九六八年からですか、その年度中ですか、そういうことになっていますが、どういう科学者が何名どこの国から来て、日本の科学者が何名で、名前あるいは経歴がわかっておったら、日本部分はそういう人の名前。それからさらに、報告書はいつ出されたのか、ちょっと聞きたいのです。
  119. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 エカフェの調査は東シナ海全般でもって調査が行われたというふうに承知しておりますけれども、期間は四十三年の十月から十一月の間にかけて実施されております。その結果は、四十四年の五月に報告書が出されております。  それから、だれがやったかということは、私現在承知しておりませんので、御了解いただきたいと思います。
  120. 安宅常彦

    安宅委員 御了解できません。それはこれが非常に重要なんじゃないですか。きょうは大陸棚協定審議ですよ。少なくとも日本の科学者はだれが出たか、その経歴、これぐらいわからないのですか。——わからなかったら後で結構です。
  121. 大森誠一

    ○大森政府委員 一九六六年、エカフェによりまして東アジア沿岸海底に潜在する鉱物資源の一次的探査を支援する目的をもちまして、アジア海域沿岸海底鉱物資源共同調査委員会というものが設立されました。     〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕 この委員会の当初のメンバーは日本韓国、台湾、フィリピンでございましたが、当委員会の最初の活動の一環としては、ドイツ、フランス、イギリス、米国が技術顧問グループのメンバーとしての参加を要請されたという経緯がございます。その後、この委員会と技術顧問グループの会議によりまして、東シナ海及びその近辺の浅海域において、石油及び天然ガスの存在にとって好適な位層及び構造が存在するということを……
  122. 安宅常彦

    安宅委員 そんなことは聞いておりませんで、どこの国の科学者が何名出て、その名前を、特に日本の場合わかっておったら経歴も答弁してくれ、こう言っているのです。そんなこと、わかっておることを言うな。
  123. 大森誠一

    ○大森政府委員 先ほど申し上げましたような経緯を経ましてその調査が実施されたわけでございますが、この調査に参加いたしました科学者は、日本韓国、米国の科学者でございます。
  124. 安宅常彦

    安宅委員 台湾は入っていますか。
  125. 大森誠一

    ○大森政府委員 失礼申し上げました。台湾の科学者も参加いたしております。
  126. 安宅常彦

    安宅委員 これは当初のメンバーとしては韓国は入ってなかったでしょう、あなたが答弁したとおり。
  127. 大森誠一

    ○大森政府委員 委員会の当初のメンバーとしては韓国も入っておりました。
  128. 安宅常彦

    安宅委員 さっき入ってない、数えてなかったじゃないですか。入っているのですか。
  129. 大森誠一

    ○大森政府委員 はい。委員会の当初のメンバーとしては韓国も入っておりました。
  130. 安宅常彦

    安宅委員 そうですか、フィリピンは言ったけれども韓国はさっきあなたは言わなかったじゃないか。
  131. 大森誠一

    ○大森政府委員 日本韓国、台湾及びフィリピンと申し上げたわけでございます。
  132. 安宅常彦

    安宅委員 韓国は入ってないじゃないか。日本、フィリピン、台湾、並びに……
  133. 大森誠一

    ○大森政府委員 日本韓国、台湾及びフィリピンということでございます。
  134. 安宅常彦

    安宅委員 じゃ日本からだれが出ましたか。
  135. 大森誠一

    ○大森政府委員 即刻調べて御報告申し上げます。
  136. 安宅常彦

    安宅委員 林良和という人が出ていませんか。
  137. 大森誠一

    ○大森政府委員 ただいまのところ承知いたしておりませんので、直ちに確認いたしたいと存じます。
  138. 安宅常彦

    安宅委員 名前と経歴と、きちっとやってください。これは保留だ。  それから、韓国政府がいつごろから東シナ海の海底を開発しようと計画していたのか。あるいは、この国は海底鉱物資源開発法というのを一九七〇年の元旦に公布しているのですが、この動きはいつごろからあったのですか。
  139. 大森誠一

    ○大森政府委員 昭和四十三年ごろより韓国による開発の動きというものがありまして、結局四十五年に海底鉱物資源開発法という国内法が制定されたと承知いたしております。
  140. 安宅常彦

    安宅委員 それでは、そういう動きに対して日本政府はどんな手段——たとえば抗議は行いましたか。重々内容を知っているでしょう、あなたの方で。
  141. 大森誠一

    ○大森政府委員 先ほど申し上げましたように、昭和四十四年ごろから韓国におきまして立法の動きというものがございましたので、まず、昭和四十四年四月、わが方から、韓国で現在法案を準備中とのことであるが、この立法については隣国として日本は多大の関心を有しているということ、それから立法を行う場合に際しては、その内容を通報願いたいという趣旨の申し入れを行いました。  さらに、四十五年に至りまして韓国国内法が制定されました後に、四十五年六月、わが方から韓国側に、韓国政府がこの法律に基づいて外国企業に租鉱権を与えるという動きを知りまして、わが国韓国との間でこの問題について話し合いをしたいということを提案いたすとともに、韓国側で設定した鉱区のうちで、わが国大陸だなに及んでいるものにつきましては、韓国側の権利を日本としては認めることができない、こういう趣旨の申し入れを行いました。  さらに、同じ年の七月には、当時の愛知外務大臣から韓国側に対しまして、本件について科学的な、あるいは専門的な見地も含めて日韓間で話し合いをしたいということを申し入れました。  そのほか、いろいろ動きがございます。
  142. 安宅常彦

    安宅委員 わかった。それはいい。ただ、あなたの方で話し合いを申し入れたというのですが、一九六八年が調査だわね。そして、七〇年の一月に一方的に制定した、あなたの方の資料はこうなっているのです。「一方的に」。ようございますか。その間二年間、話し合いを申し入れたり、どういうことになるのか内容を通報してほしい、それに対しては韓国からは何にも来ないのじゃないですか。昭和五十年の一月二十三日、外務省北東アジア課で出した「経緯」というのがある。それには、通報してほしいと申し入れたというのです。十分に通報してほしい、「しかしながら」と書いてあって、その間は回答がないという意味でしょう。「しかしながら一方的に制定した」こういうことになっていますね。これに対して抗議も何にもしないというのはどういう意味ですか。
  143. 大森誠一

    ○大森政府委員 韓国側がその国内法をもって一方的に韓国側の鉱区を設定したということに関連いたしまして、その鉱区が日本側の考える、わが国大陸だなの範囲にまで及んでいる部分については、これは認めるわけにいかないという強い申し入れを行ったわけでございます。
  144. 安宅常彦

    安宅委員 返答はありましたか。——返答はありましたか。
  145. 大森誠一

    ○大森政府委員 その時点では特段の返事はなかったと承知いたしております。
  146. 安宅常彦

    安宅委員 こんな無礼なことをされて抗議もしなかったのですか。情報を欲しいという意味ではなにですが、たとえば大陸棚条約に関連して——もちろん日本は入っていませんよ。いまとは違ってそのころは自然延長説なんというのは一部の意見にすぎなかった。そうでしょう。こういうやり方を「一方的に」とあなたの方で公文書で出しているのですから、どういう申し入れをやったのか。認めることができないならば、なぜこんな協定ができたのですか。
  147. 大森誠一

    ○大森政府委員 韓国側が、わが国大陸だなと考える部分についてまでも一方的に鉱区を設定したということについて、これを認めることができないというのは、ある意味日本側の抗議の申し入れと解されるわけでございます。
  148. 安宅常彦

    安宅委員 抗議の申し入れはいつ撤回をして共同開発になった、非常にここの部面がおかしいのです。抗議をした、ある意味では抗議だとあなたは言った。では、抗議の内容はどういうことですか。さっき私が言ったように、何か一方的にわが国の分まで入ってきているからとあっさり言いましたが、理論的な、法理論的な、そういうこと全部含まって抗議したのですか。その抗議した文書があったら資料として出してください。
  149. 大森誠一

    ○大森政府委員 わが国としては、一般国際法上、わが国主権的な権利を有すると考えられる大陸だなの領域にまで、韓国が一方的に鉱区を設定したという点について、われわれとしてはそれは受け入れるわけにいかないという申し入れをしたのでございまして、わが国としてはわが国の考える国際法上の根拠に基づいて行ったわけでございます。
  150. 安宅常彦

    安宅委員 つまり、わが国の考えるというのはどういう——中間線をとるとか、あるいはいろいろあると思いますね。どういう理論的な抗議をしたかと聞いているのです。
  151. 大森誠一

    ○大森政府委員 わが国といたしましては、日本韓国という相対する国の間に横たわっている大陸だなは、一つ大陸だなであって、その境界画定については、わが国としては中間線の立場に基づいて境界が画定されるべきである、そういう一般国際法上の考え方に基づいての申し入れでございます。
  152. 安宅常彦

    安宅委員 それは返事がなかった。一方的に法律を公布した。しかも、外国の、主にアメリカの石油開発会社に租鉱権を譲渡した、これはけしからぬ。日本で当然採掘できるはずのところまで侵略してきた、けしからぬ、こういうことですね、公布してからは。     〔竹内(黎)委員長代理退席、委員長着席〕
  153. 大森誠一

    ○大森政府委員 わが方の申し入れの趣旨としては、そのようなことと存じます。
  154. 安宅常彦

    安宅委員 その理論がなぜ向こうでは聞き入れられないのかということについて、簡単に答弁願います。向こうの反論を含めて。
  155. 大森誠一

    ○大森政府委員 韓国は、大陸だなというものは自国の大陸が領海を越えて自然に延長していっている、その延長の外縁までが自国に属する大陸だなであるという、いわゆる自然延長論の立場に立っているわけでございます。
  156. 安宅常彦

    安宅委員 たとえば、黄海なり東シナ海というのは、特に日本の奄美大島に近い部分などというものは、あなた方は中国の大陸だな、自然延長説をとるにしても、そっちの方が正しいのではないかということについて、気がつかなかったのでしょうか。
  157. 大森誠一

    ○大森政府委員 わが国といたしましては、相対する国の間の大陸だなの境界画定は中間線によるべきであるという立場をとっている次第でございます。
  158. 安宅常彦

    安宅委員 自然延長説というものを主張している韓国の理論を爆砕するためにというのでしょうか、きつい言葉で言えば、そういう立場からもし見ても、韓国からずっと続いているというよりも、東シナ海の特に沖繩に近い方とか、九州の西南部というのは韓国からの自然延長というよりも中国からの方が正しいのではないか。向こうの揚子江の水あたりがざーっと沖積してできたもの、こういうふうに理解するのが当然ではなかったのか。このことに気がついておったか、おらなかったかと聞いておるのです。
  159. 大森誠一

    ○大森政府委員 わが国といたしましては、中国との間の大陸だなにつきましても、わが国はあくまで中間線が境界画定として用いらるべき基準であるという立場をとっております。なお、日韓大陸棚共同開発協定において対象といたしております共同開発区域につきましては、わが国韓国との間にまたがる大陸だなの部分に限ってこれを共同開発区域として定めたものでございます。したがって、わが国の立場といたしましては中国の権限を侵していない、こういうふうに考えているものでございます。
  160. 安宅常彦

    安宅委員 権限とか何かじゃないのです。そんなこと聞いていません。あなたはごまかしてはいけない。まあ、いいけれども。  それでは聞くけれども、シェルとかいろいろなところに租鉱権を、鉱区を全部売ってしまったわけですね。韓国が一九七〇年の一月一日以前に鉱区をすでに売っておった会社はなかったのか、これを聞きたい。
  161. 大森誠一

    ○大森政府委員 韓国は一九六九年四月十五日にガルフ社に対して租鉱権を与えております。
  162. 安宅常彦

    安宅委員 不思議だと思いませんか。さっきの答弁は、一方的にそういう法律を出して租鉱権をみな売っ払ったとあなたは一般的に答えた。私から聞かれて、それ以前に売ったやつがあるかと言ったら、ガルフ社があります。そこが問題なのです。不思議だとも何とも思わなかったの。どうなんです、そこは。
  163. 大森誠一

    ○大森政府委員 この点につきましては、私ども韓国政府がその行政権に基づいてそのような措置をとったと了解している次第でございます。
  164. 安宅常彦

    安宅委員 何を言っているのです。何言っているのですか。そんなばかなことがありますか。それでも外務省の役人か、あなたは。知らないふりして聞いたら、法律ができてから全部売り渡したと言っている。その以前にやったやつがあるかと言ったら、あわてて今度はあると言う。一番問題になっているのはガルフ社でしょう。なぜ行政権で売り渡した、それが不思議に思わないかと聞いておるのです。
  165. 大森誠一

    ○大森政府委員 韓国政府はガルフ社に租鉱権を与えるに際しまして、韓国政府とガルフ社との間で契約を結んでいるわけでございまして、韓国政府が契約の当事者たり得たという点については、先ほど私が申し上げましたように韓国政府の行政権の行使として行い得たものと考えている次第でございます。
  166. 安宅常彦

    安宅委員 そうすると、当時からそれを容認しておったわけですね、抗議をしたのではなくて。どうですか。
  167. 大森誠一

    ○大森政府委員 先ほど申し上げましたように、わが方からはそういう動き、またその後の動きにつきまして何度か申し入れを韓国政府に対して行ったわけでございます。  なお、ただいまの御質問とは直接関連ないわけでございますけれども、先ほどのエカフェの共同調査に参加した日本の科学者の氏名がわかりましたので、ここで御報告させていただきたいと思います。  わが国から参加いたしましたのは三人でございまして、いずれも肩書きは当時の肩書きでございますが、一人は東京水産大学教授の新野弘氏、一人は石油資源開発株式会社探鉱部の林良和氏、もう一人は同じく石油資源開発株式会社物探部の小林和夫氏でございます。
  168. 安宅常彦

    安宅委員 それでは聞きますけれども、百歩譲っても、あなた方が承認した大陸棚協定の中に、すでにそういう鉱区を持っている権利者を、協定が批准も調印もできてないうちから事前に割り当てておくという条文はどこにあるのでしょうか。
  169. 中江要介

    中江政府委員 大陸だなに対する主権的権利につきましては、日本韓国も独自の判断で鉱区を設定してしかるべき会社と契約するということは基本的にはできるわけでございますが、それがたまたま先ほど来のお話のように、国際法上の権利が重複いたしましたので、この重複したということが明らかになった段階で交渉が始まったのが今度の協定である、こういうことでございます。
  170. 安宅常彦

    安宅委員 そんなこと聞いているのではありません。大陸棚協定、本協定の中にあらかじめ、たとえば協定を見ると、この協定が結ばれてから何カ月以内にそういう鉱区権者を設定し、何カ月以内に云々といろいろ書いてありますね。大陸棚協定そのものができる前から、あるいは調印する前、批准の前から、どこの会社がどこを掘るということを決定しておいてもいいなんということはどこに書いてあるのかと聞いているんです。
  171. 中江要介

    中江政府委員 そういうことは協定にはもちろん書いてないわけでございまして、協定が発効いたしますと、この協定の条項に基づく開発権者の指定というのが改めて行われる、こういうたてまえでございます。
  172. 安宅常彦

    安宅委員 あなたの方の公式な資料によって、共同開発会社の日米韓の割り当てまでみな書いたものはどんどん出ているでしょう。これはたとえば学校を建てる予定だけれども、初めから請負会社を決めておってやるのと同じことではないですか。それは法律的にどこに書いてあるかということです。あなたの方ではそれはおかしいと思わないのかね。
  173. 中江要介

    中江政府委員 いま結果として協定の対象になった大陸だな部分につきまして申請しております会社の名前が出ておりますのは、この協定の発効を待たずにそれぞれの国が国内法に従って、あるいは契約を結びあるいはそういう会社から申請が出ているという実情を述べてあるものでございまして、当然これが協定に基づく開発権者ということにはならない、こういう認識でございます。
  174. 安宅常彦

    安宅委員 それはおかしいじゃないですか。  それでは聞きますが、日本石油開発株式会社並びに西日本石油開発株式会社の設立年月日を言ってください。
  175. 大永勇作

    ○大永政府委員 お答えいたします。  日本石油開発の設立は四十三年十二月、西日本石油開発の設立は四十三年六月でございます。
  176. 安宅常彦

    安宅委員 つまりこの協定を予想してつくられたんじゃないんですか。しかもアメリカ資本と組んで。
  177. 大永勇作

    ○大永政府委員 大体四十年ごろまでは日本の石油開発は陸上部分が中心でございますが……。
  178. 安宅常彦

    安宅委員 そんなことは聞いてないのです。この協定が準備される、いろいろな話し合いが行われる、その過程でこれが急遽設立した、おかしいじゃないかとぼくは言っているのです。そしてしかもはっきりしないうちに、すでにあなたの方では資料として、ガルフとどこ、西日本とどこ、堂堂と全部公表をしているでしょう。こんなばかなことがあるかと聞いているのです。
  179. 大永勇作

    ○大永政府委員 お答えいたします。  協定の成立を前提としてつくったものとは考えておりません。
  180. 安宅常彦

    安宅委員 なぜ急遽つくったのですか。なぜそういうものがどんどんできたのですか。それでは何のためにできたのですか。考えてないとは何ですか。
  181. 大永勇作

    ○大永政府委員 先ほどちょっとお答えしかけたわけでございますが、四十年以降はこの大陸だな地域におきます開発が非常に着目されまして、企業によりましては音波探知等によりまして有望な油層を調査しておったわけでございまして、そのような状況からいたしまして、このころにつくったわけでございます。
  182. 安宅常彦

    安宅委員 そういう答弁で通ると思っているのですか。そんなばかな話、ないでしょう。じゃ、その西日本開発という会社がずっと前からここをやっていたのですか、会社がないうちから、会社が設立されないうちから、日本石油開発株式会社という会社ができないうちから。だれがやっていたのですか。
  183. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 ただいま次長答弁いたしましたことを、少し丁寧に申し上げます。  先ほど申し上げましたように、西日本石油開発株式会社あるいは日本石油開発株式会社と申しますのは、四十三年の六月ないし十二月に設立されておりますが、時系列を追って申し上げますと、四十四年ごろに韓国で法案が準備中であるという情報が実はあったのが現状でございます。それから、先ほど来話がございますエカフェの調査というのが四十三年に行われておるわけでございまして、日韓の共同開発ということを前提といたしまして、これらの会社が続々とつくられたというふうには考えておりません。
  184. 安宅常彦

    安宅委員 同じ時期でしょう。同じような時期に急につくられた会社じゃないですか。
  185. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 実は四十年ごろまでは陸域の探査が多かったわけでございますが、四十一年に、石油及び可燃性天然ガス資源開発審議会というのがございまして、この審議会におきまして、海域の探鉱に移行すべきことを建議したという時期がございます。その後、海域における探鉱活動が非常に活発化してきた、その一環として両社がつくられておるというのが、時間の経過から言うと事実でございます。
  186. 安宅常彦

    安宅委員 もう一回言ってください。
  187. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 昭和四十一年に、石油及び可燃性天然ガス資源開発審議会というのがございまして、そこでの建議で、今後、海域の探鉱に移行すべきだということがされておるわけでございます。その建議を受けましたころから、海域におきます探鉱活動が非常に活発化してきたというのが事実でございます。したがいまして、四十三年に至りまして、その二社が続々とできたという時間の経過になっております。
  188. 安宅常彦

    安宅委員 官僚答弁というのであります、それは。だから、ちょうどエカフェの問題が問題になる、そういう動きで二年間あなた方は抗議をして、一方的に韓国で法律が公布される、一九六九年にはガルフにはすでにごそっと売り渡している、こういう経緯をみんな全部知っておって、あわてて日本の方でもそういう会社をつくった、こういうふうにしか国民は受け取りませんよ。私はそれを指摘しておきます。  それで最後に私は言いますが、この問題はある民間人が非常にうまく動いて調印にこぎつけたのだということを堂々と発表しておられる人がおりますね。矢次一夫さんです。これは東洋経済の当時の「わが戦後記」というのに堂々と書いておりますね。これは通産省なり外務省で知っているでしょうね。どうですか。
  189. 中江要介

    中江政府委員 矢次さんがそういうことを書いておられることはもちろん知っておりますし……。
  190. 安宅常彦

    安宅委員 それをちょっと読み上げてください。昭和四十八年四月七日号です。
  191. 中江要介

    中江政府委員 「わが戦後記」という連載物の二十回目に当たりますが、国策研究会常任理事矢次一夫の名前のもとに「日・韓・華連絡委員会を設立」というタイトルのものの中に出ておる、こういうことでございます。
  192. 安宅常彦

    安宅委員 だからその発言の内容を読んでくださいよ、あなた。たとえば「たしか昭和四十五年じゃなかったかと思いますが」、その辺からで結構ですから……
  193. 中江要介

    中江政府委員 「たしか昭和四十五年じゃなかったかと思いますが(一一月、日韓華連絡委員会設立)、設立の直接のねらいは、日本韓国日本と台湾との貿易上の大きなアンバランス、これは今日もなお続いているが、このアンバランスを三国貿易の上でなんとかうまくやる方法はないかということ。もう一つは、日、韓との間に、大陸棚をめぐる領海問題の紛争があり、しかもこの紛争にアメリカのおかしな、あまり好ましくない石油利権会社が絡んでいるのが目ざわりだったんでね。領海問題は一応タナ上げしたうえで、日韓共同開発という方式で解決の途を探ろう、という考えで韓国側の有力者とひそかに懇談したり、外務省や通産省の担当官とも話しあうとか、大いに根回しをやったんです。そのうえで、これはやれると見当がついたから、アメリカ大使館の知人にも相談をもちかけ、陰ながらの協力を取りつけたりしたんです。台湾との問題も同様で、とくに尖閣列島の問題ですが、いろいろと責任者にあたってみると、日本側は強硬で、国際司法裁に訴えてもがんばるという。ユネスコの調査が、このへんの海底に大油田層があるなどと前ぶれするものだから、台湾も強腰でしてね。日本が訴えるというなら受けて立つ、という強い姿勢だった。私は石油のことはわからないが、故人となったけれども石油資源開発社長の三村起一が五十余年の交友なもんで、いろいろと知恵を借りた。そしてこんなものを国際裁判ざたにするなどおよそ下の下だということで、これも日台間で領有問題はタナ上げのうえ、共同開発方式でまとめようと、まあこんな考えを胸中に秘めたまま下話を進めたわけですよ。それともう一つ考えていたことは、近ごろやかましい問題となっている〃海洋汚染防止〃です。日・韓・台が協力して、これについての必要な協定をするとか、条約を結ぶとか、いまから早手回しで対策を考えておくほうがいいだろうと、こういうことをいろいろ考えたすえ、三国連絡委を設けたわけです。」こうなっております。
  194. 安宅常彦

    安宅委員 まだその後もあるのですけれども、結局後宮さんあたりの手に回して外交ルートに乗せてやって、帰国後通産省にも話の内容を伝えた、後は私は関係してないけれども、こう書いてあるのですね。ですから、あなた方が言ういきさつと大変違うのです。  これは結論になるのですが、この矢次一夫さんというのを本委員会に証人として喚問して、その当時のいきさつというものを明らかにしなければならないと私は非常に強く感じているのです。ぜひ委員長においてお取り計らいを願いたいと存じます。
  195. 藤本孝雄

    藤本委員長 安宅君に申し上げますが、ただいまの御要望につきましては、後刻理事会を聞きまして協議いたします。
  196. 安宅常彦

    安宅委員 私何か時間の割り当てを間違って聞いておって、大変迷惑をかけているようです。  これで終わりますが、最終的な結論として私ぜひ申し上げたいのは、このような疑惑にあふれた時期、これはちょうど韓国朴大統領の主宰する民主共和党に三百万ドルの政治献金をした、ちょうどその選挙があった、そしてレイナード証言その他でその辺のいきさつがどうもおかしいということが明らかになっている、こういうことがどんどん明確になってまいっております。こういう時期にわが国が急いで議会でこれを批准しなければならないという理由はどこにもない。先ほど言ったように、この外務委員会を通ってみたところで、どうせ院の構成が大きく変わるわけでありますから、継続審議にも何にもならない、こういうことです。疑惑をすべて晴らして、矢次さんが一生懸命動いたと言っている日本石油開発株式会社がどのようないきさつでできたかということも、もっと追及をしなければならない。そしてアメリカでは、この問題が非常に大きく取り上げられて石油の開発に関していろんな疑惑が述べられている。この間、韓国政府の長官の張という方が、アメリカ以外の第三国ともこの問題について話し合わなければならない時期に来ている、こういうふうに言われています。しかも共同開発地域になっているところは、この間私が予算委員会で言っているとおり、韓国からいってもわれわれ日本の側からいっても、鉱区の中で第八と第九などという、どこからも文句を言われる筋合いでないものまで共同開発区域に入れたのですから、ますます国民は疑惑を深くしている。こういう協定をいま急いで批准をしなければならない理由はほとんどない。  この間水野清さんが質問をしたら、ガルフの権限が及ぶのは少しの地域でありましてなどということをいま答弁された次長さんが言っておるようでありますが、それこそかえっておかしいんですよね。すでにガルフの権限が及んでいる地域だからこそ、鼻くそほどの地域を、共同開発区域にガルフを入れないとこの協定共同開発区域というのは成立しなかった。日本側は許してはならないということをある意味で抗議をしたものを、いつの間にかそういう日本主権といいますか、そういうものを侵してまで妥協せざるを得なかったというところに大きな疑惑があるのですから、この協定は批准はすべきではない、私はこう考えておるのですが、最後に外務大臣の意見を聞きたい。
  197. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 御説はいろいろ拝聴いたしましたが、政府といたしましては当協定を批准願いたいということで提案いたしておるわけでございます。
  198. 安宅常彦

    安宅委員 ちょっと待ってください。そういういきさつがいまある。それでも批准しなければならないという根本的な理由、政治家としての、外務大臣の見識にかかわりますから、それでは一つでも二つでもあなたがどういう理由でということをはっきり言ってください。
  199. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 いろいろ御指摘の点につきましてはそれぞれまた政府から御答弁をいたしておるわけでございますし、政府といたしましてこの協定を結びましたる理由は、資源問題といたしまして日本のエネルギー資源をここに求めるということは必要である、しこうしてこれが協定ができましてからすでに二年半以上も経過しておるのでございまして、やはりこういうものは決着をつけるべき性質のものである、バイラテラルの協定におきまして、かような長い期間放置してあるというのはいままで例を見ないところでございますので、この協定を御支援願いたいということで提案をしているわけでございます。しかしながら、委員長も先ほど仰せられましたるように、本委員会としてはできるだけ審議を尽くすということでございますから、十分御質疑があってしかるべし、さように考えております。
  200. 安宅常彦

    安宅委員 では、たった一つ最後に言いましょう。  いままでこういう自然延長説とか何かということは関係なしに中間線をとってこういうことをやった協定が世界で二十四ほどありますね。それは認める。そして日本韓国だけがこういう共同開発区域、こんな協定になっている事実も外務省は認めておられるのですかどうですか。国際常識では考えられないような協定だということ、私はそういう意味で理解しておるのですが、その上に立っても政府はどうしても、いま国際慣習法になっているこういうことを飛ばしても、国際的にもおかしいと思われるような例外の協定を結ぶということについて、非常におかしいではないかということを言われるのを覚悟でやる、こういうことですか。
  201. 中江要介

    中江政府委員 安宅先生御指摘のように、世界に例を見ない共同開発制度というものがこれに導入されておることは、私どももそのつもりでやっておるわけでございます。     〔委員長退席、塩崎委員長代理着席〕 日韓間にまたがるこの地域の大陸だなの性質、条件から見まして、現在の国際法制度のもとで求め得る一つの解決策としては、これが日本の国の利益に沿う、こういう判断でございます。      ————◇—————
  202. 塩崎潤

    ○塩崎委員長代理 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  日本国大韓民国との間の両国に隣接する大陸だな棚(だな)の北部境界画定に関する協定及び日本国大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の南部共同開発に関する協定締結について承認を求めるの件審査のため、本日、国際協力事業団総裁法眼晋作君を参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  203. 塩崎潤

    ○塩崎委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、御意見の聴取は質疑応答の形で行いますので、さよう御了承願います。  小林進君。
  204. 小林進

    小林(進)委員 法眼さんそこに座っているから、あなたにひとつ質問しましょう。  例の済州島の開発の問題で、第七閣僚会議か第六閣僚会議で日韓協力で済州島の開発をやるということを決定をして、それであなたのところと運輸省あるいは通産省等関係省が共同して済州島の開発の調査に着手せられたはずだけれども、一体その後の調査の結果はどうなったのか、ちょっとひとつお聞かせを願いたいと思う。
  205. 法眼晋作

    ○法眼参考人 この済州島の問題は、実は私が事業団を引き受ける前のことでございまして、私はその意味で詳細承知しておりません。しかし、調査の結果、まだ動いておらぬわけでございまして、当時しばしば新聞その他でも議論されたことは御存じのとおりでございます。
  206. 小林進

    小林(進)委員 あなたの前だからといって、事業は引き継いでいるんだろうから、人がかわったから知らぬといって、機関一つだから。大分国費を使って、そして閣僚会議に基づいて調査をして、それでその中には、何か無税にすればよろしいとか、キーセンパーティーをつくったらよろしいとか、ナイトライフをもっと楽しいものにせいとかという中間の報告書類が出て、この国会委員会で大変問題になったことがあるけれども、これは日韓閣僚会議一つの大きな議題で決定事項だから、その後また調査は進められたと私は思う。その調査をしたあの済州島に資本を投じてやる中には、いわゆる大韓航空の趙重勲等も関係をしているし、国際興業の小佐野君あたりも関係をして、この一連のいわくつきの諸君が日韓両国政府を背景にして、そして済州島のナイトライフだとか、キーセンパーティーだとかを中心にした開発の計画を進めている、こういうことが明らかになったんだけれども、一体その後の調査の結果はどうなったのか、結論が出たのか。それはもちろんあなたの前の田付君等が大変力を入れてやった問題であるんだから、あなたはその事業を引き継いでいられるんだから、私の前任者のことですからわかりませんじゃ話にならぬ。ちょっとお答えください。
  207. 法眼晋作

    ○法眼参考人 私は、当時これが広く議論せられたことを承知しておりまするし、われわれは実施機関でございますから、政府関係機関の御決定に基づいて実施をするわけであります。調査もその一環でございます。したがいまして、これは政策の決定がなければわれわれは進めないわけでございます。したがいまして、当時私は新聞紙上で詳細関係官庁の方々から御説明があったことを承知いたしております。
  208. 小林進

    小林(進)委員 私はその当時の中間報告は受けている。けれども、その後の調査が最終的にも完了したことは受けておりませんから、いまのあなたの答弁では満足できません。その調査資料ができているはずです。お帰りになりまして調査して、最終的な調査書類、報告書類は日韓両国政府に出されているはずですから、なかったら、それに準ずべきものを書面をもってひとつ私のところへ御提出を願いたいと思います。——外務大臣まだ来ませんか。ずいぶん長いトイレだな。早く呼んできてください。そんなに長いトイレということはないでしょう、何をやっているんだ。
  209. 塩崎潤

    ○塩崎委員長代理 小林さん、外務大臣が来られるまで待たれますか。
  210. 小林進

    小林(進)委員 それでは輸銀いますか、輸銀の総裁。一体委員長、私の要求した各省大臣と各総裁、参考人が来ていますか。
  211. 塩崎潤

    ○塩崎委員長代理 輸銀の総裁は都合がつきませんので、林理事が来ております。
  212. 小林進

    小林(進)委員 私はそんな者を要求していませんよ。そんな吹けば飛ぶような者を要求していませんよ。私は輸銀の総裁の出席を要求しているのです。
  213. 塩崎潤

    ○塩崎委員長代理 総裁の都合がつきませんでしたので、林理事がかわりに来ておりますから、できる限り御質問をお願いします。
  214. 小林進

    小林(進)委員 あなたは簡単におっしゃいまするけれども、われわれ立法府が調査に必要があって総裁を要求しているものを、断りなしに林理事が来て、しかもあなたは権威ある委員長の席に座りながら、総裁が都合が悪いから林理事が来ています、質問してください、そんな権威のない答弁はありませんよ、あなた。いけません、そんなことは。ちゃんと来れないなら来れないで、文書をもって来れない理由を明らかにして、こういうふうな事故で来れないから了承願いたいという、いま少し権威のある院の運営をしなさい。だめです、そんなことは。こっちがちゃんと正式に国会、国民の名において要求している者を、勝手に入れかわって勝手にあらわれてきて、総裁が都合が悪いからこれでがまんしてくれなんて、そんなことで立法府の権威が保たれますか。あなたは長く行政官をやっているから、立法府のことは知らないんだ。権威がない。そんなばかなことじゃだめですよ。理由を明らかにしなさい、理由を。
  215. 塩崎潤

    ○塩崎委員長代理 林理事から総裁が来れない理由を御説明してください。(小林(進)委員「なめちゃいけない、こんなものは。何だ、吹けば飛ぶような者が一人前の顔をして」と呼ぶ)
  216. 林大造

    ○林説明員 現在総裁は外国のさる機関の代表と輸銀の融資の調印の式典を挙げておりまして、そこに出席しておりますので出席できないということでお届けしてございます。
  217. 小林進

    小林(進)委員 大体われわれが国会に要求しますと、外国のさる方だとか、さる権威の表敬を受けているとか、あるいは輸銀の貸し付けの話をしているとか、あるいは調印中だとか、外国の使臣や外国の貴賓の名前でも言えば国会なんかどうでもいいという答弁をしている。けしからぬですよ、そんなことは。こんな者は、役人は外国の使臣に買われているんじゃないんだ、総裁は。日本国民に買われているのです、主権者たる国民に買われているのです。われわれは国民に成りかわって質問をしているんだ。そういう主権者たる国民に対する尊厳を冒涜するようなやつは、民主主義を論ずる資格はないです。そういう間違いをみんな行政が犯している。私が呼んだ各省大臣や各人の中で一体だれがここに来ている。朝から聞いているけれども、何かわれわれが呼ぶと、やれ宮中の用事でございますの、やれ外国の使臣でございますのと言って、国会に来て国民の前に、国民を代表しての質問に答えることが余分なことでもやるような考えでおる。国会へ来て国民の前に、国民の質問に対して答えるということは何よりも一番重要なことであるという考え方が一つもない。そういう不心得なやつがいるから汚職が起きたり、ロッキードが起きたり、賄賂が起きたりするんだ。けしからぬですよ。委員長はいま一回、私の要求した大臣あるいは関係人の中で来ているやつと来ないやつを、ここで明らかに発表してくださいよ。そんなことでは質問も何もできやしない。
  218. 塩崎潤

    ○塩崎委員長代理 小林委員の御要求は、総理大臣外務大臣、大蔵大臣、通産大臣のほか、第六回日韓定期閣僚会議出席の大臣、つまり農林、運輸、経企でございますが、その大臣にかわりまして参っておりますのは、大蔵大臣にかわりまして大蔵省国際金融局北田次長、それから通産大臣にかわりまして大永資源エネルギー庁次長、田口計画課長、箕輪開発課長、農林大臣にかわりまして内村水産庁長官、それから法務省から竹村官房審議官、石山公安課長、それから海上保安庁から今吉海図課長が、各省大臣にかわって参っております。
  219. 小林進

    小林(進)委員 何々という課長が大臣のかわりが勤まるのかね。われわれは国会をやっているんだ。国会には各省に対する政府委員というものがちゃんと登録してあるはずだ。課長なんというものは登録してないよ。そんな者は責任ある答弁ができぬよ。そういう者がいやしくも大臣を代表して来ておるとは一体何事だ。思い上がるもはなはだしい。先ほども言っておるけれども、法務大臣やそれから企画庁とか大蔵省とかは、参議院とか他の委員会に出て重複をしているから本委員会に出れない、私はその大臣の主張はもっともだから認めますよ。行政万般の中でこの国会へ来て国民の質問に答えなくちゃならぬほど重要な仕事はないと私は判断しておるんだ。それをいみじくも、大臣も来れない、その下にいるいわゆる政府委員も来れないで、吹けば飛ぶような何とかという課長だ、それをよこしておいてわれわれの質問に答えようなどというのは、国会軽視もはなはだしいですよ。委員長、直ちに呼んでください。そんな課長なんか、みんな帰してください。われわれの相手になるやつじゃないですよ。そんなものは魑魅魍魎に等しい。帰してください、そんなものは。そういう権威のない、国会を侮辱するようなことを一つ一つ言っているから、ああいう思い上がった官僚どもが、あしたに一城夕べに一塁ということで、こういう国会における答弁なんかだんだん軽視してくるのです。そして民主主義の根幹を揺すぶってくるんだ。悪いやろうどもです、こいつらは。早く呼んでください。ひとつ処置してください。
  220. 塩崎潤

    ○塩崎委員長代理 小林さん、私からは、大変重要な御注意でございますから、内閣を通じて厳重に注意いたすことにいたしたいと思います。それについて、外務大臣からひとつ内閣の一員として御返事をいただきたいと思います。
  221. 小林進

    小林(進)委員 ちょっと待ってください。私は外務大臣にはたくさん質問を持っております。きょうは、外務大臣と私とは初見参ですから、ひとつ真剣勝負をしなければならぬと思いますから、大臣にはゆっくりお伺いいたします。  私は、その前に、いまも言ったように、閣僚を全部呼んだのは、むげに呼んだわけじゃないのです。いま私どもはこの大陸棚協定承認するか否かという問題をやっているんでしょう。これは日本主権にも関する問題であり、日本の領土にも関する重要な問題なんですよ。そういう大陸棚協定を、わが日本の中間線から見れば、まことにこれはわが日本の固有の領土にも等しいようなところを、第六次の日韓会談の中でいみじくもこれを決めておる。それを決めた関係大臣一つ一つ当時の模様とその心境を聞かずして一われわれはこれは売国の協定だと思っている。日本を売るようなこういうものに、簡単に賛成できないから、私は全閣僚を呼べと言っているのです。しかしお見えにならない。お見えにならないで、一番重大な関係をした大臣の意見も聞かないで、われわれがこういう重大な協定に賛否の決定をしたということになれば、後世に汚名を残すことになります。そこでいま一度いつの日か、解散の前に外務委員会が開かれて、そこへみんなが出席してくれればよろしいが、残念ながらそれができないならば、選挙の済んだ後の新たなる国会、それは私は落選してもいいです、私の代打の者に出てもらうから、そのときに全閣僚、いま申し上げました第六次の、この協定を決定いたしました大臣を全部呼んで、大臣一人一人の心境と当時の模様を承って、われわれの納得できるまではこの協定の決定をされることは延期を願いたい、これを私は謹んで提案をいたしますから、委員長、この問題についてひとつ御答弁を願いたいと思います。もし私の提案に対して、いやいや、それとは関係ないなどとおっしゃるならば、私は了承できませんから、責任を持ってひとつお答えを願いたいと思います。
  222. 塩崎潤

    ○塩崎委員長代理 本日の閣僚の出席については、小林委員のおっしゃる点はごもっともな点がございますので、内閣を通じまして厳重に注意いたします。
  223. 小林進

    小林(進)委員 委員長、注意だけ願っているんじゃないのです。最後に衆議院でこの大陸棚協定の賛否の結論を出す前に、いま、関係した閣僚に全部その当時の心境、模様を承っておく必要がありますから、その行事が済むまでは、選挙に関係なく採決はおやりにならない、こういうことを委員長はお約束できますか、私はそれを聞いておるのであります。
  224. 塩崎潤

    ○塩崎委員長代理 きょうはひとつ、私は審議を進める役割りを仰せつかっておりますから、審議を進めていただくことにして、その御趣旨は理事会に諮って協議いたしたいと思います。
  225. 小林進

    小林(進)委員 そうですか。理事会に諮って協議するとおっしゃれば、やむを得ません。あなたも余り権威のある委員長でもないのですから、それはやむを得ません。  それじゃ次に質問いたしますけれども外務大臣、私は先ほども申しましたように、あなたと初めて——外務大臣小坂何と言いましたかね、兄弟がいらっしゃいますから、弟の方ではないだろうが、兄貴の方は何一郎と言いましたか知りませんけれども一郎ではなくて太郎でしたね、その外務大臣と私は初見参しますので、私はあなたの外務大臣としての姿勢を知りたいわけなんですよ。  この大陸だなの問題に対してわれわれが基本的に反対をいたしますには、大まかに言って二つの理由がある。  一つの理由は、いま申し上げましたように、この協定の中にはもろもろの矛盾がある。だからその内容にわたって賛成できないということは一つの大きな理由でありますけれども、いま一つのもっと大きな理由は、日韓の癒着の問題なんだ。いわゆる朴政権と残念ながらわが自民党歴代の政府当局者の中に含まれる高官、その間に黒い霧の癒着がある。その癒着の中からこういう協定ができ上がったということに対して、国民は非常に不信感を持っておるのですよ。それだからこういう協定はやめてくれ。その不信感は、何も私が言うだけじゃない。現に自民党の中におけるそうそうたる幹部であり、三木総理大臣とはまさにいわゆる盟友であるとも言われた宇都宮徳馬氏みずからが公言している、日韓大陸棚協定は反対だと。その反対の理由は、いまも言うように内容に多くの矛盾があると同時に、黒い霧がついて回っている、日韓の黒い癒着があるから私は反対である。あなたの足元からそういう声が出ている。それは宇都宮徳馬氏だけの声じゃない、国民全般の声です。  そこで私はあなたにお伺いしたいのだが、その黒い霧の問題は、単に大陸だなだけの問題じゃないのです。金大中の問題あり、文世光の問題あり、あるいはきのうあたりから新聞をにぎわしております朴東宣の問題があり、あるいはハーバード大学のコーエン教授の問題あり、国民の耳の中には、日韓の問題には不明な問題、不愉快な問題、疑惑な問題が幾つもあるのであります。  で、私は、これらの問題について、予算委員会外務委員会や決算委員会を通じて歴代の外務大臣に、この国民の疑惑の解明を得べく執拗に質問を続けてまいりました。その歴代外務大臣の中で、われわれの聞かんとする国民の意思に沿うてやや良心的な答弁と行動を示してくださったのは、これは名前を言いましょう、あなたの前々回の外務大臣の木村さんでありました。木村さんは、われわれは野党におりながらも、この人に期待すればやや国民の要望するような線に日韓問題の方向がいくのではないか、実にかすかながらも朗らかな光を感じたのでありますけれども、これがやめさせられて、かわってあらわれたのが宮澤何がしであります。この宮津何がしも、われわれは初めは期待したのでありまするけれども、期待するだけ裏切られたことが多かった。これくらい反動的にしてこれくらい悪い外務大臣はおりませんでした。そして最後には、中国を怒らせ、行かぬでもいい北方の視察にまで行ってソ連を怒らせ、むちもて追われるがごとく去っていったのであります。われわれはこういう者に期待するところは一つもなかった。その後にあらわれてきたのが小坂さん、あなたなんであります。  そこで、あなたに私が言わんとすることは、ただ一つあなたにいいところ、いいところと言うわけじゃありませんけれども一つ期待するところがある。それは、対台湾問題でも対韓国問題でも対インドネシア問題でも、われわれの調査能力をずっと出してみても、いいも悪いも黒い霧の中に小坂善太郎というあなたの名前がないということなんだ。これは野党のわれわれから見れば一つの救いです。あるいはまた、これは間違いで出てこないのかもしれません。だんだん押していったらあるいは出てくるかもしれませんが、いまのところはない。あなたはお笑いになるけれども、真剣に国政を考え、国家の外交を考え、国家の将来を考えるわれわれからすれば、それは腹の中で本当に飛び上がるほどの喜びなんですよ。願わくはこのままの姿で、永久にこういう黒い霧の中に小坂善太郎名前が出ないことをわれわれは祈っている。実際祈りたい気持ちなんであります。  そこで、そういう形の中でひとつあなたにこれをお伺いするのでありますけれども、あなたは金大中事件、文世光事件、それからきのうから追われている朴東宣事件、コーエン事件等について、一体どの程度に了承をしておられるのか、どの程度に事件の内容を知っておいでになるのか、それだけひとつ承っておきたいと思います。
  226. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 尊敬する小林さんに申し上げたいと存じますが、まず第一の点でございまするが、この協定は調印されてから二年半そのままになっておりまして、国会の御審議を煩わすこともなかなか少ないという状況のままでまいりましたので、政府といたしましてはこれを提案して御賛成を得たいということで出しておるわけでございます。ただし姿勢といたしまして、この委員会においてはできる限り審議を尽くす、そういう御方針のようでございますから、私ども十分審議をしていただきまして、誠意を持ってこれにお答えして、いろいろな御疑問の点についてはこれを解明してまいるという考えでおる次第でございます。  第二の御質問でございまする、この法案の審議を通していろいろいわゆる癒着の問題等について言われておるが、これはどう思うかという点でございまするが、私はそういういわゆるいやらしいことはできぬ素性でございまして、もう性格的にそういうのを聞くだけでもはなはだ不愉快になるという気持ちでございまするので、さようなことがあってはならないし、あればこれを明快に剔抉して処断をすることが望ましいという態度で考えていくつもりでございます。
  227. 小林進

    小林(進)委員 あなたはこの協定については十分審議をして納得の上で賛否を決めてもらいたいと言うのですが、ここにも「アジアの海を汚されてたまるか」というのがあったり、日韓大陸棚協定について宇都宮徳馬氏等の実に高尚な論文もあります。この内容を見ると、実にこれは筋の通ったりっぱなものでございまして、そこら辺からでも質問すれば法案の審議には非常によろしいのであります。よろしいのでありまするが、いまも繰り返して申しますように、その法案の審議よりもっと大事なのが、対韓国との協定あるいは韓国との経済交流。対韓国との問題に対しては、もう国民は頭から信頼をしていない。その信頼をしていない点を解明をしていかなければ、仮に大陸棚協定がりっぱなものであろうとも、とても賛成できない、信用できないという国民の一般の空気にこたえていただかなければならぬ。その意味において、私は大陸だなの内容の問題に触れる前に、国民が疑惑に思っている問題を、外務大臣は新しく就任されたのだから、その外務大臣にひとつ徐々にお尋ねをしていきたいと思います。  時間がもうありません。私は十二時からやるつもりだったのが一時になりましたから一時間しかありませんから、はしょって申します。  まず第一番に、きのうアメリカで行われた朴東宣から質問いたしたいと思うのでありますけれども、彼は、わが日本へは三十一回も訪れているという。きのうも大韓航空に乗られて夜の九時ごろ羽田の飛行場へおりられたという。  私は、アメリカ政府か、アメリカ議会か、この朴東宣という一人の実業家ですか、民間人が、政府高官に対して賄賂を送ったということについて、それを調査のために動いている機関——どんな機関が動いているかというと、連邦陪審、司法省、連邦捜査局、FBIだ、国務省国税庁連邦準備制度理事会というふうに、これほどの政府機関あるいは政府に準ずべき機関が全部動いて、アメリカの良心とアメリカの清潔さを求めるために探求をしているという。こうした一民間人の賄賂問題に対するアメリカの取り組み方です。私は、実にりっぱだと思うんだ。しかし国民は、いまアメリカのこういう、いわゆる朴東宣の問題をながめて、あれはアメリカの問題じゃない、日本の問題だと理解しております。韓国からは、日本はこれ以上の、もっと醜悪なものがいつも日本の国内に行われていると国民は見ている。それに対して、一体わが日本関係機関がどんなぐあいに動いているか。それを思うと、実に悲しみにたえない。まず、朴東宣羽田の飛行場に着いたことに対して、日本捜査当局はどの程度に調査されたのか、これからまず承っておきたい。外務省捜査当局、簡単でよろしゅうございますから御回答をいただきたい。
  228. 中江要介

    中江政府委員 外務省としては、面接承知しておりません。
  229. 三井脩

    ○三井政府委員 警察におきましても、捜査調査いたしておりません。
  230. 小林進

    小林(進)委員 これは調査をしていないことが明らかになりました。     〔塩崎委員長代理退席、委員長着席〕  いま一つ次にお伺いしますが、先ほど安宅君の質問の中で、日本の高位高官が、百万ドル、三億円の金を金大中事件に絡んで、一九六八年某日、これを受けている、レイナード発言の中にも明らかになった、こういうことを言われておるのでありますが、これに対して、日本外務省捜査当局、特にこれは、国税庁、どういうふうな捜査をおやりになったか、承っておきたい。
  231. 中江要介

    中江政府委員 外務省といたしましては、金大中事件との関連で三億円という金が動いたということは、一切承知しておりません。  もう一つ、レイナードの証言の記載されております秘密公聴会議事録の中にも、そういった趣旨は発見されません。
  232. 山橋敬一郎

    ○山橋政府委員 お答えいたします。  国税庁といたしましては、新聞報道以上の情報資料は持っておりません。したがいまして、捜査をしておりません。
  233. 小林進

    小林(進)委員 ことしの十月ですから、いままだ十月だ、初旬です。アメリカの上院議会に自由に出入りをしている有力なジャーナリストです。名前を言えと言えば、私はここでも申し上げますがね。そのジャーナリストが日本へ参りました。日本に滞在をいたしました。非常に有力者でありまするから、われわれはこの人から話を聞こうじゃないかということで、与野党の議員一緒になりまして、第一議員会館の、いわゆる第二号ですか第三号の部屋でその話を聞きました。そのときに、このジャーナリストは、責任を持って言います、金大中事件に関連をいたしまして、三億円の金を日本のいわゆる政府高官に差し上げました、その使いをなした者は大韓航空の趙重勲である、私はこの公の席で、権威ある国会議員の先生方の前で申し上げるのだから、この問題について、真否、本当かうそかということで私をもし証人にお呼びいただくならば、日本国会でもどこでも私は証人にあらわれます、いつでもお伺いいたします、こういうことを言明をしていった。これは秘密の会談じゃありませんから、私以外に政府・与党の中でもこの話を聞かれた人は数名おるのであります。このことに対して、まだ国税庁外務省警察当局も、知りもしなければ手もつけない、こうおっしゃるのかどうか、いま一回ひとつ承っておきたいと思うのであります。
  234. 中江要介

    中江政府委員 外務省にとりましては、いまのお話は初耳でございます。
  235. 三井脩

    ○三井政府委員 警察といたしましても存じておりません。
  236. 山橋敬一郎

    ○山橋政府委員 国税庁といたしましても、そういう事実関係については存じておりません。
  237. 小林進

    小林(進)委員 だから、それを私は言うんだ。そうして、こういうことは巷間伝えられて、国民の間でこれは常識になっている。そういう風潮があれば、先ほども言うように、アメリカではこうやって司法省、連邦捜査局、国務省国税庁、それぞれの省が、一つ疑惑があればと言えば、精力的に問題の調査をやっている。なぜ一体やらないのですか。日本は、われわれ庶民階級や大衆のためには、税務署は一銭の税金もまけないで、強欲非道と思われるくらいの税金の取り立てをやっているじゃないか。警察庁は、われわれ野党その他大衆のことに対しては、名刺一枚でも違法行為があればやかましく追及しているじゃないか。こういう政府高官や国の根幹に関するような問題になったら手をつけないのか、私はこれが不思議でたまらない。行政の不公平と言うけれども自民党という一党の政府が長い間国家権力を握っていると、そういうものに手をつけないことが行政の正しい姿勢だと考えるような風習ができ上がっている。なぜやらないのですか。国民がみんな疑惑を持っていることを、国民の疑惑が、いつ問われてもちゃんと答え得るようなそういう捜査をなぜやらないのですか。なぜ、税金をいわゆる目標にして調査をしないのですか。だから私は、この前も予算委員会で言ったように、児玉譽士夫のうちなんか、四十九年の一月一日に完成しているものだ。ことしの二月の一日にロッキード問題が起きて、初めて五十一年の三月に固定資産税をかけたり、国税庁がその他の税金を調べに行ったり、そういう権力者や、権力はなくても暴力団の親方や何かにはそういうことを平気でやっていて、それが行政の正しい姿勢だと考えている。あなた、なぜやらないのですか。これは国民を代表してこの疑惑を私は問うている。国民はみんなそう思っている。なぜやらないのです。なぜ調べないのです。一体、調べるだけの暇がないと言うのか、疑惑疑惑で確かな証拠がないから手をつけないと言うのか、どういう事情でこれをやらぬのか、お聞かせ願いたいと思う。
  238. 中江要介

    中江政府委員 御承知のように、外務省としてはこういった問題にかかわりまして調査をするとか捜査をするという権限はないわけでございますが、一般論といたしまして、外務大臣が言われましたように、日韓間に疑惑のないようにしたいという基本的な姿勢については変わりはないわけでございます。
  239. 三井脩

    ○三井政府委員 警察といたしましては、犯罪捜査が重要な任務でございますが、犯罪捜査を発動するにつきましては、それを発動するだけの心証といいますか、資料といいますか、そういう疑いが必要でございます。  本件の、ただいまお聞きした段階でございますが、本件につきましても、たとえば告訴、告発等がありますれば警察としては当然それを手がかりとして捜査をいたす、こういうことになろうかと存じます。
  240. 山橋敬一郎

    ○山橋政府委員 お答えいたします。  国税庁といたしましては、そのような事実関係がもし税務処理処理を必要とするものであるということでございますれば、当然税務上の調査を行うわけでございますけれども、現在までのところわれわれの方にそのような資料がございませんので、そういう点では今後のいろいろな情報というものに対して十分関心を持ってまいりたいと思っております。
  241. 小林進

    小林(進)委員 あなた方は専門家だ。そのために国民は月給をくれて雇っているのだ。後は、大衆は素人だ、第六感で疑点がある、怪しいのがある、けれども、それから先はわれわれは権力もなければ捜査能力もないから証拠もつかめない。しかし、そういう素人の国民の疑惑に対して、その国民に雇われて、しかも専門的知識と調査能力と権力を持っている者が、それから先は積極的にやって事の真相を追及するのが、それがあなた方の商売じゃないか。それを素人の国民から証拠を提供しない限りは、あるいは素人の国民がもっと具体的なものを持ってこなければ、捜査もしなければ疑惑も解かないなどということは、実にいわゆる美名に隠れてやはり権力者の方向に従属をしていこうというような、本当に国民の、市民の願いにこたえようとする姿勢が一つもないということになる。それが基本的には間違いなんだ。私は了承できません。  それから、外務大臣にお尋ねします。  金大中事件について、四十八年の十一月二日に金鍾泌さんが来られて政治的折衝をされた。五十年の七月にまた宮澤外務大臣が行って、この問題はすでに調査しないと言ったけれども、これは私はわが日本外交史の上に永久に残る屈辱だと思う。あなたは、この問題を原点に返っていま一回やり直す気持ちがあるかどうか、お尋ねをいたします。
  242. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 お話しのように、この問題につきましては、金大中氏の身柄は出国を含めて一般本国人と同様であるということにおきまして政治的な決着がついておるわけでございます。われわれは、あの金東雲氏の残した指紋の問題等につきましてはなお捜査は続けるという考えでおりまするが、政治的な決着がついたということでございますので、それをまた改めて問題にするということは不適当であると考えております。
  243. 小林進

    小林(進)委員 その政治的決着が国を売った決着であって、まことに残念にたえない。しかし、それを売った者が、田中内閣の時代であり、田中総理大臣大平外務大臣であるということは世間周知の事実です。しかも、その陰に実に不明な金が動いたということも国民は推定をいたしております。けれども政治的に決着がついたからあなたはできない、できないがしかし捜査は続けているとおっしゃった。  そこで警察庁にお伺いします。  一体、金大中事件のあの特別捜査本部は解散されたのかどうか、あわせてその捜査の進展がいまどんな状況になっているのかどうか、お聞かせを願いたいと思います。
  244. 三井脩

    ○三井政府委員 ただいま外務大臣お答えのとおり、捜査を続けております。捜査の体制につきましては、当初の特別捜査本部、現在も引き続き維持をしてやっておりますが、人数は縮小いたしまして、ただいま二十三名で継続捜査をやっておるということでございます。  それで、捜査の内容につきましては、国内で起こった事件でございますので、いろいろ関係者その他の点につきまして依然捜査を続けておるという段階でございます。
  245. 小林進

    小林(進)委員 二十三名でおやりになっているとすれば、捜査の内容は言われないとおっしゃるならば聞きませんけれども、新しい事実が出ましたかどうか。二十三名で捜査されたがいわゆる四十八年の十二月以降、そのまま何ら新しい事実は出ないのかどうか。それくらいは御回答を得てもいいでしょう。いかがでございますか。
  246. 三井脩

    ○三井政府委員 その後、特にここで申し上げるような事態、捜査の発展というものはございません。
  247. 小林進

    小林(進)委員 あなた方はこの国会における追及がおっかないから、何にもやらないで、ただ二十三名いるという表面をつくろっただけの捜査体制じゃないのですか。正直に言ってください。
  248. 三井脩

    ○三井政府委員 捜査については、時間の経過とともに困難は加わるという面もございますが、同時に、またいままで捜査をやって捜査対象といいますか、捜査事項も狭まってまいりましたので、それなりに捜査としてはやっておるというように考えております。
  249. 小林進

    小林(進)委員 毎日、一体二十三名、朝八時に出勤されるか九時に出勤されて、どういう行動をとっていられるのですか、捜査のために。それは具体的にお聞かせいただいてもいいと思うのですが、どういうような行動をおとりになっているのか具体的にひとつお聞かせ願いたいと思います。
  250. 三井脩

    ○三井政府委員 一つ継続的な業務といたしましては、いままで捜査いたしました各種資料がございますので、これを再検討するということがございます。  それからまた当時の関係者等もおりますので、それから得た内容につきましてさらに深めていく。自動車で関西に行ったというふうに言われておりますので、そのコースに当たる各種の調査事項、捜査事項というのがございます。
  251. 小林進

    小林(進)委員 その二十三名は金大中だけの専門の二十三名なのか、ほかの方の用もかけて兼務でおやりになっておるのかどうか、それもお聞かせ願いたいと思います。
  252. 三井脩

    ○三井政府委員 専務でございますが、特に新たに事件が発生をしてそれに従事しなければならないというときには、それに応援をすることはございますが、原則として専務でございます。
  253. 小林進

    小林(進)委員 専務で二十三名の方がこのことをおやりになっているということは、私はこれは答えとしてひとつ記憶にとどめておきます。二十三名が金大中の問題を専門になお捜査を続けておいでになる、これは確かに答えとして私はちょうだいいたしました。これほど二十三名が専門におやりになって効果があらわれないわけはないですから、後日、選挙が済んで、幸いにして私が当選しましたらまたこれをお尋ねいたしますから、そのときにはひとつ成果のある御答弁を願いたいと思います。  次にお伺いしますけれども、まだ対韓国問題でどうしても国民が納得しないのは文世光です。日本の大阪で生まれて朝鮮語も知らない、しかも生活も貧しい者がどうして一体韓国へ行って、あの警備の厳重な八月十五日のいわゆる韓国の国慶節みたいな、何とかいう名前ですけれども独立記念日、朴大統領が演説されるという貴賓、いわゆる著名人しか入れないその会場へ、しかも入場の切符がなければ入れないものがどうしてすくすくとそこへ入っていって、それで朴大統領が演説するその三歩、四歩前までのこのこ出かけていって、そしてピストルを発射して、陸夫人を射殺できたのかという問題。神戸から韓国へ入ったことも、京城のホテルにのうのうと滞在をしていたことも、その祝祭日にそういう厳重な会場の中に入っていったことも、これは全部不思議であります。日本人の中でだれ一人この問題を解明している者はいません。その不思議をあなたに聞くのでありますけれども、あなたの方から明快な回答を得ていません。その後この問題が明らかになりましたかどうか。これも日韓癒着に基づく一つの謀略だということを国民はみんな考えております。こんなことはまともに文世光によってできたものではないと国民は考えておる。国民の納得するような回答が出ているかどうか、お聞かせ願いたいと思うのであります。
  254. 三井脩

    ○三井政府委員 この文世光事件についての警察の立場あるいは責任の範囲ということになろうかと思いますが、私たちが文世光事件として考えておりますのは、わが国内においてであります。つまり、いまお話しになりました大統領夫人を射殺したという行為は、わが国外において発生した事案でございますので、警察としてはこれを担当するというか、捜査する権限を持っておりません。したがいまして、警察で言う文世光事件というのは、彼が前段に派出所から拳銃を盗み出し、それを持って韓国へ出国をした、その中における犯罪行為ということでありますから、殺人について言いますと、殺人の予備というところまでが警察の担当範囲でございまして、それから先は外国の仕事ということでございます。したがいまして、いまお話しの、外国でどのようにやったかという詳細については、われわれとしてこれを調べる立場にない、こういうことでございます。
  255. 小林進

    小林(進)委員 文世光は日本に生まれて日本にいる韓国人だ。その韓国人があなた方警察のピストルを二丁も盗んで、韓国へ行って、いわゆる陸夫人を射殺したということになる。あなた方はピストルを二丁盗まれた被害者だ。その被害を一体どんなふうにして韓国政府に救済を求められたか、参考までにお聞かせ願いたいと思います。
  256. 三井脩

    ○三井政府委員 拳銃を窃取されたという事件につきましては、窃盗事件としての捜査を終わりました。その結果、たとえば大和川を川ざらいいたしまして、拳銃についておった他の部品、帯革その他を発見するというようなことで、窃盗事件としては完結しております。  拳銃につきましては、韓国側において殺人事件証拠品として処理をされておるというふうに聞いております。したがいまして、被害者であるわれわれがそれを返してもらったという段階ではございません。
  257. 小林進

    小林(進)委員 こちらはピストルを盗まれて、密出国されて、自分の母国へ行って犯罪を犯した。それを日本のいわゆる政府自民党は謝りに行っておる。当時の椎名副総裁をして陳謝使節とさえしている。悪いことをしましたと言って謝りに行った。謝りに言った方はいいかもしれないけれども、国民の側からは何が何やらさっぱりわからない。何を一体日本は悪いことをしたのだ、何も悪いことをした覚えはない。ただ不可解な問題だけであります。こういうところにも日韓の黒い癒着があるという割り切れない問題が残っているだけだ。  外務大臣、こういう問題も新大臣として、国民が納得するように処置をされる考えがあるかどうか、国民の前にこういう事件を明確にするというお考えがあなたにあるかどうか、お尋ねをしておきたいのであります。
  258. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 小林さんのお気持ちはよく理解いたしまするが、先ほど警察庁の三井局長の方から申し上げましたように、この事件韓国の中で起きた事件になっております。さようなことで、われわれの捜査し得る範囲がおのずからあるものでございまするから、その範囲内においてできるだけのことをいたしたというように申し上げるほかはないと思うのでございます。
  259. 小林進

    小林(進)委員 依然としてあなたは何もやる気はない。しかし、日本国民を代表する形で謝りに行っている。われわれはなぜ謝らなければならぬのか、その理由がまだわからないのであります。それではどうも外務大臣、あなたに期待するところ大きいけれども、残念ながらだんだん期待は少しずつ薄らいできます。  第三番目の問題をお伺いしましょう。第三番目の問題としまして、ハーバード大学教授のジェローム・コーエンという人、ハーバード大学というのはエリート大学ですが、この教授が、しかもワシントンのプレスクラブで、このワシントンのプレスクラブというのは非常に権威がある。これは世界の権威あるジャーナリストが集まっている。そこの昼食会に出席をして、日本では田中首相並びに佐藤前首相、岸元首相らは朴政権と密接に結びついていて、これらの政治指導者は対韓援助のリベートで莫大な産をなしているとの趣旨の発言をしたものだ。これは天下周知であります。新しい話じゃありませんから、みんな知っていると思います。  これに対して、生前の佐藤前首相だけが、迷惑至極だ、おれは告訴もする、こういうことも言われたのでありますが、それは新聞の発表だけで告訴もなさらないうちに亡くなられてしまった。あとの前首相、元首相ともに、この問題に対しては一言も発言をされない。それで今日に至っているのであります。これは非常に日韓癒着の問題として、世界中はこれは既成の事実だと思っている。日本の高位高官とかあるいは総理などという超一流の高官は、みんな韓国からリベートをもらっているのだというふうに、もはや世界の世論が定着しつつある。これに対して外務省は一体どういうことをおやりになったのか、あるいは外務大臣はこの問題に対してどういう御所見をお持ちになっているのか、お尋ねをしておきたいのであります。
  260. 中江要介

    中江政府委員 コーエン教授の発言というのは、全くアメリカの一市民の発言でございますので、政府としてその個人の発言について外交的に何かするということはないわけでございます。ただ、この中に名前の出ておりました佐藤元総理は、御自分については潔白であるということで、そのことを非公式な形でアメリカ側に、この発言を遺憾とするということを伝えた、こういうことはございます。
  261. 小林進

    小林(進)委員 私人としての発言ならば、日本の公人たる総理あるいは公人に準ずべき前総理、元総理がいかなる侮辱を受けても、いかなる真実と相反するようなことを流布されても、政府としてもあるいは政府機関としてもこれを放任して顧みない、こういうことですね。
  262. 中江要介

    中江政府委員 ただいま申し上げましたように、対象になっておりますのはそれぞれ個人の名前でございますので、その名前を挙げられた方の中で、名誉棄損と感じられた方についてはそういう措置をとられた、こういうことでございます。
  263. 小林進

    小林(進)委員 個人じゃありません。肩書きがついております。首相田中角榮、前首相佐藤榮作、元首相岸信介と書いてあるじゃないですか。この日本のいわゆるただ一人しか持てない肩書き、その肩書きをつけて、しかも片一方はハーバード大学、しかも極東担当の部長教授だ。その教授の言を私人だということで、いわゆる日本のトップレベルの肩書きをつけたこの人たちがこういうことを言われても、それは個人の関係だから政府並びに政府機関関係がない、こういうことか。いま一度ひとつ君言ってみたまえ。これはしかし重大問題ですよ。
  264. 中江要介

    中江政府委員 関係がないということではございませんが、これは日本においてもそうでございますが、アメリカにおきましても言論の自由が大きく保障されております。日本の国内でも私人あるいは公人についていろいろの批判なり批評なり、そういう発言はございますが、それを一々どういうふうに取り扱うかというのは、そのときの状況に応じて対処するわけでございますが、このコーエン教授の発言に関しましては、先ほど申し上げましたようなことを外務省としてはとった、こういうことでございます。
  265. 小林進

    小林(進)委員 いま一度聞くが、総理大臣の肩書きをつけた者が、いわゆる外国の権威ある私人に、そういうような賄賂や、いわゆる収賄の行為をして巨万の富をつくったというようなことを言われても、外務省としては何もしないということだな。これは私人に対する言論の自由だから何も処賢をしない、こういうことですな。ケース・バイ・ケースか。
  266. 中江要介

    中江政府委員 そのとおりでございます。ケース・バイ・ケースでございます。
  267. 小林進

    小林(進)委員 外務大臣、それでよろしゅうございますか。
  268. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 言論が自由であるということは、それに対してやはり言った者は責任を持つということだと言うのです。そこで、その言われた方がそれに対してどういう態度をとるかということによるものであって、その本人が何も言われないのをまたいろいろするということもいかがかという考慮もあったのでございましょう。いずれにしてもこれは過去の問題でございます。(小林(進)委員「過去じゃありません」と呼ぶ)いや、過去です。あったのは過去です。そこで、私がやっているときにそういうことが起きたらどうするかというのは、そのとき判断をいたします。
  269. 小林進

    小林(進)委員 何もしないというならば、これは当時の安川駐米大使の名の抗議をする表明をしたが、外務省筋は一応担当官から文書で遺憾の意を表することにしたとか、何か駐米大使館の何とか参事官だか書記官だか知らぬけれどもコーエン教授のところに行ったんだろう。話を聞きに行ったんだろう。何もしないことないじゃないか。何かやったじゃないか。その結果を具体的に説明してごらん。
  270. 中江要介

    中江政府委員 ですから、先ほど私が申し上げましたように、この件については、アメリカ大使館で遺憾の意を先方に伝えるという措置をとった、こう申し上げたつもりでございます。
  271. 小林進

    小林(進)委員 もっと具体的に、アメリカ大使館のだれがハーバードの、いわゆるボストンかどこまで行って、どういうような抗議をして、どういうような回答を求めたのか、具体的にもっと説明してもらいたい。
  272. 中江要介

    中江政府委員 主管がアメリカ局でございますので、いますぐ電話で確かめて、後刻御報告いたします。
  273. 小林進

    小林(進)委員 これは文書で、事の前後の関係をひとつ詳しく報告してもらいたい。外務大臣は、そんなのは一個人の場合の言論の自由だなどと言う、私はそれこそ言論の自由の履き違えだと思う。履き違えです、そんなことは。
  274. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 私の申し上げたことを理解していただけないのでそういう御発言だと思いますが、私は、そのコーエンなる者が何を言ったか知らぬけれども、言ったら、そのコーエンは自分の言論に対して責任を持つべきであろう、そういうことを言っているつもりです。
  275. 小林進

    小林(進)委員 もちろん彼も、何も大学の教授だからといったって別にりっぱなわけじゃない。日本だって、判事みたいのだって鬼頭何がしみたいな判事もいるんだから。だから、肩書きをもって人を律するわけにはいかないけれども、しかし大学の教授の、しかも極東関係の権威のある人が、しかも公の場所ですよ。ワシントンのプレスクラブという中で彼が公然と発言して、日本の総理大臣も、前総理大臣も、元総理大臣も、韓国から莫大な賄賂をもらって栄耀栄華な生活をしているなんて言ったら、それの及ぼす影響の甚大さを考えたら、一私人の発言だから政府関係ありません、外務省関係ありませんなどという、そんなことで一体済まされる問題であるかどうかということです。それが、言論の自由だから、私人の言ったことに対して政府は何の関心もないなどと言うことは、それこそ私は、民族の権威も日本国民の立場も顧みざる売国的官僚である。そういう官僚が外務省に多いから、だからミグ25なんか飛んでくるとあわてふためいて、すぐ返せの返せぬという結論も出ないようなぶざまな姿をするのです。  われわれは社会党であろうと自民党であろうと、日本人であることに変わりはない。日本国家の一員であることに変わりはない。こういうばかなことを言われておりながら、一言も抗弁も言いわけもできないところに、国民はそこに日韓の癒着があると思っている。外務省のへっぽこ役人も含めてみんな、賄賂とは言わぬけれども、そういうような霧の中に包まれた不愉快な関係にあるから、言いたいことも言えないんだ。みんな泣き寝入りしているんだ、こういうふうに考えている。そういう泣き寝入りをしている黒いやつどもが、また自己の利益やその他の関係で国民を犠牲にしながらこういう大陸棚協定などというものを結んで、北の方は中間線をとって、南の方はわが日本の九州のそばまで侵害をされるような屈辱的こういう協定を結んでいるんだ。国民は腹の中で煮えくり返るような憤りを感じているのであります。  いいですか、あなた、過去の問題なんて言わないでくださいよ。こういう日本国民の独立と名誉に関するようなものは、去年の問題であろうとおととしの問題であろうと、きちっとけじめをつけてください。つけませんか、外務大臣
  276. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 ただいまの協定の問題でございまするが、大陸だなの自然延長論という議論と中間線論という議論があるわけでございますが、わが方の沖繩海溝というものがございますので、両方とも同じような大陸だなでございますれば話は簡単でございまするが、その間の折衷説と申しますか妥協と申しますか、そういうものをとった結果があの共同開発ということになっておる点を御指摘申し上げたいと思います。
  277. 小林進

    小林(進)委員 私はその北部とか南を言っているんじゃないのです。言っているんじゃないが、この条約の矛盾、こういうばかげた条約をつくるのもそういう黒い癒着だ。国民が納得できないような黒い癒着に結びついているから、こういうようなばかげた条約を権力者が国民不在の協定を結ぶに至ったんだということを言っているんで、しかし、幸いなるかな、小坂善太郎はそういうばかな協定を結ぶときの政府関係者にいなかったのが国民にとっては救いなんだ。国民にとっては救いだから、せめてあなたに一つの期待を持つから、そのためにも国民の疑惑をいまここで明らかにしてくれないか。  その明らかにしてもらいたい一つに、コーエン教授のこういう発言に対して、日本政府日本国民の立場できちっとしたけじめをつけてもらえないか、これを私はあなたに質問しているわけだ。過去の問題なんて言わないで、これはきちっとけじめをつけてもらえないか、こういうことを言っているのです。いかがですか。
  278. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 条約の問題にお触れになりましたので御説明をしたわけでございます。  なお、小林さんいろいろ仰せられる中に、非常に韓国に対する不信感があるわけでございますが、私は、そういうことは、なるたけ疑惑の点は明らかにして不信をなくせねばならぬと思いまするけれども、ただ、日韓両国というものは隣り合った国でございまして、その間にただでさえいろいろな問題が起きがちであるわけでございます。そこで、大陸だなの条約などというものは、これはやはり一度決めたことは実行して、そして解決すべきものは解決しておきませんと、後世にいろいろな災いを残す。これはいずれ日本も石油を開発したい。そこで、せっかくできた大陸棚協定による開発をうやむやにしてしまうということになりますと、将来、また石油開発をめぐって新しい別な問題を起こすということになることを私は心配するのでございます。そういうことでございますので、ただいまの韓国に対するいろいろなお気持ちというものは承りますけれども、どうぞこの条約の持つ意味というものを十分御理解いただきまして、この条約について徹底的に御審議をいただきまして、できるだけ早い機会に御賛成あらんことをお願いしておる次第でございます。
  279. 小林進

    小林(進)委員 あなたの言われることはわかるのだけれども、この協定が結ばれるその発生の源から、コモンセンスとコモンセンス、正常な国と正常な国の間で、正常な関係者と正常な関係者の間でできた話ならば、あなたのおっしゃるとおりです。お互いに国際的な信義を重んじ、一たん決めたことは正しく行う。この日韓関係というものが正常な関係じゃない、まあ、俗な世間の言葉で言えば、気違いと気違い、悪者どもと悪者ども、賄賂の欲しいのと賄賂の欲しいの、そういうのが不正常な形でやった条約だから、われわれは、むしろこんなものは原点へ返して、なくなった方がいいという立場で私は質問している。  いいですか。いまも言うように、きのうあたりから韓国の朴政権のいわゆるKCIAの問題と賄賂の問題がアメリカ議会で火を噴いているのは、私は、本当にわが日本にとっては実に天の恵みだと思っているのです。ロッキード事件日本では火を噴かなかったけれどもアメリカの上院で火を噴いた。まさにこれは神風です。しかし、いまこのロッキード問題でも——いいですか、大臣、聞いてくださいよ。ロッキード問題でも四つの山があるということを国民はみんな知っている。一つは丸紅の山。一つは全日空の山。一つは児玉と小佐野と中曽根康弘の山。これがなかなかいま出てこない。この山まで出ると、三木内閣はぶっ飛ぶんだ。中曽根前幹事長が出たりするものだから、なかなか出てこないが、これが三つの山。国民がいま一番腹の中で疑惑を持っている四番目の山が、この韓国の山なんですよ。ロッキードの最後の究明と最後の真相は、韓国問題のこの黒い霧が明らかにならなければ、本当のロッキード問題の究明にならない。けれども、この問題はやはり日本の力ではどうにもならない。何しろ政府高官の中には、韓国と結びついている者が余りにも多過ぎる、こう言って国民が半ばあきらめかけているところに、いみじくもアメリカにおいてこの問題に火がついた。だから、きょうあたりから国民の目が光っていますよ。ああ、またアメリカに火がついて、日本へ流れてきて、いよいよ第四の一番大きな山の韓国問題も、わが日本で火を噴くぞ、火を噴く一つの曙光が見えてきた、こう言っていま国民は期待している。これをあなたはひとつよく考えていただいて、いまあなたが私に答弁していることが、やがて一月もたつと、これがみんなあなたがうそを言ったことになりますよ。ようやく日本でも日韓の癒着の問題、日韓の賄賂の問題、日本におけるKCIAの問題が、またアメリカから今度日本で火を噴くのです。  いいですか。私はここで予言しておきますから、あなた、それを頭に置いて私の質問答弁してください。そうすると、この大陸棚協定なんというものは、野党のわれわれが反対してこれを結ばなかったことがやはりよかったということが明らかになりますから、私は予言しておきます。  そこで、あなたに申し上げますけれども、朴政権といわゆる勝共連合というのがある。これまた私はひとつ聞いておきます。これも日韓癒着の中の重大問題。勝共連合とKCIAが結びついているということは、日本政府当局は何も言わない。けれどもアメリカでは、これは大変な疑惑があるということをちゃんと言っているのです。この会長が有名な韓国人の文鮮明であることは皆さん方御承知のとおりでありますが、この関係についてどの程度の調査をされておるのか、私はまず警察庁にお尋ねをしておきたいと思う。
  280. 三井脩

    ○三井政府委員 勝共連合の関係でございますが、私たちは、過去に犯罪を犯し、また違法行為を行っておるというものについては関心を持つわけでありますけれども、勝共連合について格別そういう関係にございませんので、特に調査をしておるというようなことはございません。
  281. 小林進

    小林(進)委員 調査していないのですね。いませんね。  一九七二年の十一月、兵庫県警、これはわが党の尊敬すべき河上民雄先生の郷里であります。その兵庫県警が一年がかりで摘発をした韓国船員の密輸事件捜査過程で、それまでの二年間に四億円もの資金が韓国の原理運動本部に送られている事実が解明をされた。これは警察の捜査当局でありますから、警察庁、御存じないとおっしゃるのでしょう。この点はどうですか。
  282. 三井脩

    ○三井政府委員 いまお話しの件につきましては、私は存じません。先生そうおっしゃいますので、あるいは他の局で扱ったのかと思いますけれども、ただいま私は存じ上げません。
  283. 小林進

    小林(進)委員 こういう日本の根幹に関するような問題になると、警察庁も国税庁も本当におやりにならない。吹けば飛ぶような、本当にしがない庶民が生きるためにやむを得ず犯したいろいろな小さな罪だけは実に厳重に取り締まる。本当に生きるか死ぬかの境目にいるような人の税金は、血も涙もないようにふんだくることにおいては日本国税庁は世界一だけれども、こういうような問題になってくると実にやらない。本当に憤激にたえない。  いいですか。いまの兵庫県警の問題で言いますと、朝鮮ニンジンなど勝共連合のメンバーが売っていた収益や街頭カンパの資金等を、東京渋谷の統一原理運動日本統一協会を通じて、自己あて小切手(百万円単位)でひそかに韓国に持ち込むという手段が講ぜられている。これは国税の問題であり、捜査当局の問題であり、為替法違反の問題でもあります。これをどういうふうにとられているのか、全然知らないのか、手もつけないのか、それぞれ関係各省ひとつ御答弁をいただきたいと思うのであります。
  284. 三井脩

    ○三井政府委員 ただいまの事件は、又億萬の事件だと思いますが、この件につきましては共犯を逮捕しておりますけれども、この又本人が現在逃亡中でございますので、金自身は、外国へ持ち出されたそのことが外国為替管理法違反事件として捜査の対象になっておるわけでありますけれども、金を送った目的その他につきましては、本人が逃げておる、並びに共犯三名が全面否認をしておるために、ただいまの段階ではその目的等判明しておらない、こういう状況でございます。
  285. 山橋敬一郎

    ○山橋政府委員 お答えいたします。  先ほど御指摘の点については、国税庁としてもその情報は実は私まだ報告を受けておりません。したがいまして、先生のお話の情報は関心を持ちまして、今後の材料としてまいりたいというふうに考えております。
  286. 小林進

    小林(進)委員 私は、輸銀の総裁が来ておれば、大陸だなの試掘や採掘に関する費用についてお伺いしたいけれども、これを試掘するとカリフォルニア沖における一つの採掘台の建設費だけでも五千万ドルを要する、大変な金がかかる。大陸だなの開発費用は韓国の開発権者と日本とで半分ずつ支払うことになっているけれども韓国なんかにそんな金があるわけじゃない。韓国の借金は大体六十億ドルぐらいになっている。毎年毎年払う利息だけでも約六億ドルぐらい払うのであって、まさに韓国の財政は破産に瀕しているような状況だ。その中で、折半折半で出していく、こんな掘る金が韓国にあろうなんてだれも考えていない。考えていないと言ったら、日本政府はちゃんと公団法の改正を行って、韓国側にも日本からその開発のための金を貸し付けられるようなそういう懇切丁寧な準備までやった。また、その後ろにはきっと黒い霧がついて回るのでございましょうが、そういうことをやっている。仮にこの協定が成立して、フィフティー・フィフティーでこの開発をやるときになったら、輸銀はこれに対して金を貸し付けるような準備をしているのじゃないか。事のついでに、輸銀は一体どれだけの金を韓国投資に出しているのか。あわせて、韓国に投資した各企業、その貸し付けの金額、それを全部出していただきたい。
  287. 林大造

    ○林説明員 お答えいたします。  御質問の点、二点ございまして、一つ大陸だな開発について輸銀に融資の用意ありや、あるいはその話を聞いているかということでございますが、本件につきまして、輸銀はまだ何も話を聞いておりません。それで、将来の話は、輸銀の業務は融資の申し込みがありまして初めてこれを審査し、融資するか否かを決定するわけでございますから、まだ具体的なお話が何も来ておりません以上、この段階で何もお答えすることはできないわけでございます。  それから、輸銀の韓国関係の貸し出しにつきましてはいろいろの形態がございます。日本の輸出業者に対する貸し付け、あるいは日本の関連会社への投資の関係の業者に対する貸し付け、それから韓国政府関係機関あるいは政府に対する貸し付けというようなものがございますが、合計いたしまして今年の三月末で約二千四百億円ございます。
  288. 小林進

    小林(進)委員 時間が来ましたから、最後に、外務大臣、これは後で書類でお願いしたいと思うのでありますが、どういう功績があったのか、大韓民国から一等樹交勲章をおもらいになっている国会議員が大分多いようであります。ちょっと申し上げますけれども、一等樹交勲章、元総理大臣の佐藤榮作、衆議院議員椎名悦三郎、外務事務次官牛場信彦、衆議院議員岸信介、衆議院議員船田中、衆議院議員石井光次郎、矢次一夫、衆議院議員田中龍夫、参議院議員、外務委員長長谷川仁、経団連会長植村甲午郎、特命全権大使鶴岡千仭、特命全権大使金山政英、自由民主党幹事長橋本登美三郎、これがみんな一等樹交勲章、二等樹交勲章、児玉譽士夫、同じく日韓親和会会長鈴木一、同じく防衛政務次官土屋義彦。  三等樹交勲章、在韓国大使館参事官、防衛駐在官海将補塚本勝一。  産業勲章、新日鉄名誉会長永野重雄、新日鉄会長稲山嘉寛、帝人社長大屋晋三、日本専売公社総裁北島武雄、通産省重工業局長赤沢璋一、国際電信電話KK副社長板野学、日本鋼管社長植田久生、韓国南産業KK日本人代表田中義郎、川崎製鉄顧問上野長三郎、新日鉄生産管理部副部長有賀正三。  国民勲章、孤児院経営永松カズ、韓国戦災孤児援護会会長小山武夫。  同じく一等樹交勲章、衆議院議員中川一郎、同じ(小佐野賢治、同じく宇野宗佑。  こういう人たちが、これは韓国側の判断に基づいてやったのでございましょうけれども日本国民としては、韓国に対してどういう功績があってこういう勲章がきたのか、参考までに知っておきたいと思いますので、外務省は御調査の上、その理由などを文書をもって御提出願いたいと思います。  外務大臣、また初めに戻ります。この大陸だな自体が持つ矛盾の前に、私どもは日韓の関係を、金大中から文世光から、あるいはコーエン教授の言われる問題から、すべての前段を明らかにしていただかなければ、われわれはそういう大陸棚協定には賛成するわけにはまいりません。それほど日韓の関係疑惑に満ちているのです。そのうちにまたロッキード以上の問題が火を噴きますから、それが噴いて、基盤がきれいになるまで、日韓大陸棚協定締結はどうかひとつ無期延期をしていただきたい、そのことを私は強く要望いたしまして、残念ながら私の質問を終わることにいたします。
  289. 藤本孝雄

    藤本委員長 午後三時より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後二時十八分休憩      ————◇—————     午後三時開議
  290. 竹内黎一

    ○竹内(黎)委員長代理 休憩前に引き続き会議を再開いたします。  委員長所用のため、私が委員長の職務を行います。  質疑を続行いたします。正森成二君。
  291. 正森成二

    ○正森委員 それでは私は日韓大陸だなについて若干質問させていただきたいと思います。  前回は、通産関係政府委員に来ていただきましたのに時間の関係でお聞きしませんでしたので、きょうは通産関係の方に少しお答え願いたいと思っております。  そこで、この問題の共同開発区域でございますが、主として第五と第七鉱区に出願をいたしました西日本石油開発というのは、いつごろ設立された会社でございますか、そしていつごろどこに鉱区についての出願をされましたか、そして許可されましたか。
  292. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 いまお尋ねの西日本石油開発株式会社は、四十三年六月二十七日に設立されております。共同開発区域におきます試掘権の出願は、実はこれは前年から引き続いた会社でございまして、四十三年六月に名称変更しておりますので、その前身時代でございます四十二年の秋に出願を行っております。現在、試掘権の出願が行われておるわけでございますけれども、まだ許可は行われておりません。西日本石油の出願しました地区は、現在の共同開発区域から申しますと、南の方が少し第七鉱区にかかっているようでございますけれども、主として対馬の周辺、それから隠岐、佐渡というふうに裏日本の側に鉱区出願を順次行っております。
  293. 正森成二

    ○正森委員 私もちょっと勘違いしておりましたが、共同開発区域の割合でいきますと、一、二、三、九の関係でございますね。たしかそうだと思います。  それでは、日本石油開発はいつ設立されましたか。
  294. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 日本石油開発株式会社は、四十三年十二月十日でございます。
  295. 正森成二

    ○正森委員 その日本石油開発は、本件共同開発区域内、先ほど私が少し間違えて申しましたが、第五と第七鉱区を中心に鉱区の出願をしたと思いますが、それは大体西暦紀元で言いますと、何年の何月ごろに出願しておりますか、そして許可されておりますか。
  296. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 西暦紀元で申しますと、試掘権の出願をいたしましたのは、一九六八年十二月から一九七三年一月の間に数鉱区行っております。この試掘権の出願につきましても、許可はまだ行われておりません。
  297. 正森成二

    ○正森委員 この共同開発区域が石油で非常に有望であるというのは、大体世間に周知されるようになったのはいかなる経緯からですか。
  298. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 一般的に申しますならば、エカフェの調査が四十三年十月から十一月の間に行われまして、この間スパーク調査でございますから、精度は余り高くないと思いますけれども、その結果非常に広く堆積分布が認められているということからであると存じます。
  299. 正森成二

    ○正森委員 私は手元にエカフェの報告を持っておりますが、これが公刊されましたのは一九六九年のメイと書いてありますから五月であります。その序文を見ますと、二月ごろに書かれております。これは西暦紀元ですから、昭和の年号で言いますと、昭和四十四年の初めのことであります。  ところが、日本石油開発株式会社はその直前の、西暦紀元で言いますと、一九六八年の十二月に設立されて、直ちにまだ市場には知られていない、つまり公刊されていないエカフェの報告を先取りするような形で試掘関係の出願をしておるということになりますと、これは公にされた情報に基づいてやったのではなしに、これらの情報を非常に早く知り得るメジャー等から情報をもらって、そうしてこの出願を行ったものではないかというように思われます。特にその会社設立が一九六八年十二月という時期であるということは、そういう情報をいち早くつかんで会社そのものも設立したというように見るのが常識的であると思うのですね。  この日本石油開発というのは、私の承知しておりますところでは、日石の一〇〇%出資の子会社であるというように聞いておりますが、その日石が一番密接な関係があるメジャーというのはどこどこですか。
  300. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 米国系のメジャーでございますテキサコとソーカルと存じます。
  301. 正森成二

    ○正森委員 そのテキサコなどは結局親会社の日石とは非常に密接な関係があったわけですが、この米国系のメジャーのシェブロンとかテキサコから、まだエカフェではこういうようなことが公刊されていないのにいち早くメジャーが先取りしてつかんでおりました情報に基づいて、日石が一〇〇%出資の日本石油開発を設立し、そしてこの日本石油開発の名前でもって試掘を出願した、つまり出願の経緯そのものからメジャーの影響を受け、メジャーの意を受けて出願したというように見られるのではありませんか。通産関係ではその辺のことを当然のことながらよく承知していると思いますが、いかがです。
  302. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 いま先生御指摘のような点につきましては、実は正確にこうだという事実は存じておりません。
  303. 正森成二

    ○正森委員 正確にそうだということは存じていないというのは、文理的に言いますと、それほど正確ではないが存じておるということになると思うのですね。それでそれほど正確でなくてもよいから、通産ではどういう情報を持っておるかお答えください。
  304. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 率直に申しまして存じておりません。
  305. 正森成二

    ○正森委員 いろいろ聞いてみると、思わせぶりなことを言っておりましたが、存じておりませんということだそうですか、この前もそういう種類の答弁があったわけですが、きょうは余り荒立てないことにいたしますけれども、しかし、本当は私は全然知らないことはないと思うのですね。明敏な箕輪課長でございますから、非公式に言えるくらいのことは知っておるはずであるというように私は思います。また、事実そういう情報交換がなければ、この時期にわざわざ石油開発の会社を一〇〇%出資で設立をして、その会社がその後数カ月たったら公刊される書物に書いてある最も有望な地域を中間線の内側でがっぽりと試掘その他の出願をするということは、およそ考えられないことであります。ですから私は、私がいま申し述べたことは決して当たらずといえども遠からずのことであるというように考えるわけですね。  そこで、もう少し伺いたいと思いますが、この日石開発というのは開発をする上では、海洋における石油の試掘、採掘でありますから、あるいは探査にいたしましても非常に技術的な困難が伴うと思うのですね。それで現在世界でそういう関係の技術を一番持っておるのは一体どこでしょうか。
  306. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 探査及び開発と申しますと、いろいろな企業があると思いますけれども、国で申しますと、やはり探査、開発ともにアメリカはすぐれていると思います。そのほか探査技術につきましては英国あるいはフランスというのはすぐれている企業があるというふうに聞いております。
  307. 正森成二

    ○正森委員 いまお話がありましたように、おおむねアメリカ系のメジャーが最もすぐれているというのは世界の常識であります。  そこで、日石開発といいますのはいろいろメジャーと提携をするわけですが、その提携に絡んでは、どういうような条件に基づいて提携するかという契約書を交わすはずであります。そうでなければ世界的に相当大きなメジャーというものが自分の権利を守ることもできないし、自分の義務はどれほどあるかということをあらかじめ承知することもできないわけであります。通産省はそういう日石開発とメジャーとの間の契約書について当然のことながら知り得る立場にあると思いますが、日石開発はシェブロンあるいはテキサコとそういう契約書を結んでおりましょうか、それとも結んでおりませんか。
  308. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 御指摘のようにテキサコ及びシェブロンと四十五年の十二月に共同事業契約を結んでおります。
  309. 正森成二

    ○正森委員 それは西暦紀元で申しますと一九七〇年ですね。私の承知しておりますところでは、この前通産省の事務官がおいでになりまして、後ほど電話で一九七二年十二月十日であるというようにお答え願ったように思いますが、それに間違いありませんか。
  310. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 私、先ほど申し上げましたのは、実は正確ではございませんで、共同事業契約は二カ所について結ばれております。それで一カ所は西九州沖、つまりいまの共同開発区域の方でございますが、これが西暦紀元で一九七〇年の十二月でございます。それから四国沖につきまして一九七二年六月に共同事業契約が結ばれております。
  311. 正森成二

    ○正森委員 私が申しましたのはその一九七〇年十二月の分についてであります。  そこで伺いたいと思いますが、この契約書の内容というのは、本協定を理解する上で非常に重要な意味を持っております。それは後ほど、この前、村田参事官と多少議論になりました韓国の法令の中に韓国政府と開発権者とが結んだ開発契約を含むというように合意議事録に書いてある問題についても関連して触れたいと思いますけれども、契約書には大まかに言ってどういう点が規定されているわけですか。
  312. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 詳細については申し上げられませんけれども一般的に申しまして、その探鉱開発に必要ないわゆるリスクマネーの負担割合、それから開発に成功しまして産油に至ったときの負担費用に応じた割合のその引き取り分、それから日本におきます販売を行うということが書いてございます。大体一般的に言いまして、現在日本の企業が外国糸企業と結んでおります協同開発契約というのはそういう内容になっております。
  313. 正森成二

    ○正森委員 いまごく概略お話しになりましたが、それ以外にその契約書には運営委員会や技術調整グループについての取り決めもございましょうか。
  314. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 御指摘のような点は通常入っておると承知しております。
  315. 正森成二

    ○正森委員 それでは、きょうは現在の段階ではその程度にとどめておいて、別の論点に移った上、最後に時間がありましたらその問題について詳細に質問さしていただきたいと思います。  そこで、別の問題に移りたいと思いますけれども日本の鉱業法に基づきますと、鉱業権を設定することができるのは、私どもの承知しておるところでは、原則として日本国の管理下にある区域についてであろうと思うんですね。どれだけこれは有望だと思っても、まさかアメリカ国内、中国国内に日本の鉱業権を設定することはできない、そう思うのですが、いかがでしょうか。
  316. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 先生の御指摘のとおり、鉱業法の立場で申しますと、日本主権的権利のあると思われるところまで及ぶというふうに考えております。
  317. 正森成二

    ○正森委員 いま主権的権利のあると思われるところまで及ぶと考えているとおっしゃいましたが、それは現在のあなた方の解釈であって、鉱業法の本来のたてまえというのは、日本国の管理下にある区域内において鉱業権を設定するということであって、主権的権利なんというようなあいまいなことは鉱業法の法文の中からは出てこないと思うんですね。今度の場合には全部公海上に、日本国をはるかに隔たる、領海三海里外であります。外務大臣がいろいろ御心配になり、農林大臣との間で十二海里にするかどうかということすらまだ決着がついておらない。その場合に、領海を隔たる百海里ないし二百海里の公海上に鉱業権を設定する、あるいは出願させるというようなことは、通常現在の鉱業法の予想しておらないところであります。それがいつから公海上についても鉱業権の出願を認めるというように変わったのでしょうか。それについてどういうような省令といいますか、あるいは通達といいますか、明記といいますか、そういうものをつくりましたか、もしそれが何年何月ということではっきりしているなら御提出を願いたいと思います。なお説明してください。
  318. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 いつごろからそういう扱いをしているかということにつきましては、ちょっといま記憶がございませんですけれども、先生御指摘の省令、通達というのはあるかというお尋ねに対しましては、現在出しておりません。
  319. 正森成二

    ○正森委員 外務大臣、目薬をお差しになって鋭意御答弁の御準備のようでありますが、本当は通産大臣に聞くべきことかもしれないのですが、大臣がおられませんので事務当局ではどうかと思われますので、外務大臣にお聞きしたいと思います。  それで、今度のこの区域の鉱業権の出願についても、鉱業法に基づいて処理されているわけですが、いま箕輪開発課長も言いましたように、公海上に鉱業権の出願を認めるというようなことが法の明文にもない、これは領海外なんですからね、省令も通達もない、何となくそういうぐあいにやっておるというような話であります。私の部屋で説明を受けたところでは、いまから約八、九年前からそういうのを認めるようになった。しかし、それは省令もなければ通達も何もないということなんですね。これは統一的な法体系を持った国家としては、非常に不備な点であるというように思われますね。主として陸上を予想した、日本の領域内の鉱業権の問題を扱う鉱業法、それにはいろいろなことが決めてあります。それと非常に広大な公海上のところに鉱業権、あるいはそれにまつわる権利義務の問題を規制するというものが一緒に規制されたままになっておるということは、いかに大陸だな概念が最近発達してきたとは言い条、これは決して近代国家としてはほめた話ではないというように思われるのです。これはやはり新しい法律を制定するか、あるいは鉱業法のその関係についての抜本的な改正を行うか、それを行うのが政府として当然であると思いますが、外務大臣としてでなしに、国務大臣として、閣議に参与される小坂大臣としての御見解を承っておきたいと思います。
  320. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 海洋に関するいろいろな考え方が出てまいりまして、お話にもございましたように、大陸だな資源という考え方、それからまた最近では深海資源という問題も出ているわけでございますが、それをどういうように扱っていったらいいかということは、どうも私も専門でございませんので、その方の村田参事官に答弁させます。
  321. 村田良平

    ○村田政府委員 鉱業法に改正を加えた方がいいかどうかという先生の御質問に対して、外務省人間として直接お答えするのはいかがかと思いますけれども、先生御存じのように、大陸だなと申しますのは、沿岸国がその海底におきまして資源を探査、開発する主権的権利を持っておるという地域でございます。したがいまして、これは国の主権が全面的に及ぶ領海の海底というふうな、その国の領域、領土でないということでございまして、その意味で恐らく先生の先ほどの御指摘があったのであろうと思います。しかしながら、他方、その大陸だなにおきます鉱物資源の開発、探査という点についてその主権的な権利があるということは、これはもう国際法上確立された原則でございまして、その大陸だなの範囲がどれだけかという点は議論がございますけれども、そういった主権的権利があるということについては異論のないところでございます。したがいまして、大陸だなの開発という問題がわが国にとりましては比較的新しい問題ということで、従来の鉱業法とか、あるいはその他の恐らく関税法等の法令もあるかと思いますけれども、解釈の問題として、天然資源の探査、開発に関する限りは、その国内法令を適用できるというふうな考え方で行われたものではないかというふうに私としては考えておったわけでございます。今後それをどういうふうにされるかということは答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  322. 正森成二

    ○正森委員 前段にあなたがお話しになったことは私もそのとおりに思っているわけで、それではお答えいただく必要はないわけですね。今後どうするか、あるいはこれまでにやってきたことが不十分ではないかということを言っているわけで、私も、主権的権利があるから現行の鉱業法で賄えないわけではない、賄ってきたことが絶対に違法であるというようなことを言っているわけではない。しかし、対象として考えていたところが違ったのだから、あるいはずっと広がったのだから、それについては、鉱業法にそれに合うような改正を施すか、あるいはそういう特殊な問題を扱った新しい法律を制定するということもひとつ考えてみるべきことではないかという問題提起をしているわけですね。それについて通産省として、あなた方は大臣ではないからなかなか答えにくい点があるかもしれませんが、事務当局としての感想があれば答えてください。
  323. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 先生御存じのとおり、現在の鉱業法と申しますのは、主として陸上を前提にしてつくられた法律でございます。たとえば海洋法条約の交渉が進展いたしまして、大陸だなあるいは経済水域一般につきまして、ある国際ルールができましたとき、現在の鉱業法でもって海洋におきます資源の開発というものすべてにアプライできるかというと、実は問題があろうかと存じております。先生御存じのとおり、今度の日韓大陸棚協定につきましても、実は従来の鉱業法とは違った採掘ないし試掘についての規制措置が必要とされているわけでございまして、同じような考え方というのが大陸だな一般について必要となる時期が来るのではないかというふうに考えております。したがいまして、行く行くは、先生の御指摘なさいましたような新たな法制度ということを考えなければならない時期が来るであろうというふうに考えております。
  324. 正森成二

    ○正森委員 そういうお考えがあれば結構だと思います。少なくとも省令もなく通達もなく、何か八、九年前にどこやらわからないけれども、まあまあ主権的権利の及ぶところまで適用して、鉱区の出願があればそれを認めていくということが何となくうにゃむにゃとそういうぐあいに行政的になっておるというのでは、これはやはりうまくないということを指摘さしていただきたい、こう思っております。  二番目に伺いたいと思いますが、鉱業権というのは現行法上どういう内容になっておりますか。
  325. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 鉱業権は、現行法では「登録を受けた鉱物及びこれと同種の鉱床中に存する他の鉱物を掘採し、及び取得する権利をいう。」というふうに規定してございます。
  326. 正森成二

    ○正森委員 いまお読みになりましたのは、鉱業法の五条に規定されてあるのをお読みになったものであろうと思います。我妻氏などがお書きになりました著書によりますと、鉱業権というのは「鉱区内に存する登録を受けた未採掘鉱物及びこれと同種の鉱床中に存する他の未採掘夢鉱物包括的に支配する権利である。」というふうに定められているのですね。そしてこの鉱業権というのは、わが国の法制によりますと、いかなる者がこれを享有することができることになっておりますか。つまり別な言葉で言えば、いかなる者に与えてはならないことになっておりますか。
  327. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 法第十七条に「日本国民又は日本国法人でなければ、鉱業権者となることができない。」というふうに規定してございます。
  328. 正森成二

    ○正森委員 それはいま御指摘になったとおりですね。日本の鉱物資源などというのは非常に主権性の強いものであるということからそういう規定が行われてきたわけであります。ものの本によりますと、外国人に対する鉱業権については、明治五年といいますから百五年ほど前でありますが、その鉱山心得は「外国人ヘ借金ノ引当ニ請負鉱山ノ稼方ヲ譲ルコトハ決テ不相成候事」、こういうぐあいに書いてあるのですね。これは近代明治国家がそもそもできたときに、日本の金山にしろ、銀山にしろ、石炭にしろこれは非常に大事なものなんだ、借金のカタにさえ入れたらいけないんだぞということを言いまして、私はこの明治維新の元勲の意気たるや壮とすべしというように思うのですが、それくらい地下資源というものを大事に考えておった。その流れをくんで現在の鉱業法が制定されておるわけですね。ただ、現在は昔と違って相互主義をとりまして、相手国が認める場合にはこちらも、たとえば外国の法人というようなのを認める場合があるというように近代化されておりますが、考え方はこの明治五年以来の考え方と同じことであります。  そこで、外務大臣に伺いたいのですが、こういうぐあいに明治以来鉱物資源というのを非常に大切にしておったということを前提にして、今度の日韓大陸棚条約を考えますと、これは中間線のこちらに全部開発区域が入っておって、そしてそれを韓国共同開発をして取得した石油、こういうものは初めから相手国の権利になる、こういうことになっているわけでありますから、これは先ほど私が指摘しました鉱業権のまさに対象が外国と共同で行うということになっておるわけで、これは非常にゆゆしい問題である、こう思うのですね。それだけでなしに、その問題については条約で五分五分に決めたんだからとおっしゃるかもしれませんが、日本側のものについても非常に重大な問題点があるのじゃないかというように私は思うのですね。  その点で通産省に伺いたいと思いますが、先ほどの、たとえば石油開発とメジャーとの間の契約書では、生産物の処分についての規定があると思うのですね。その生産物の処分についてどのような規定になっておりますか。
  329. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 現在の共同事業契約におきましては、出てきました油はすべて日本で売るという契約になっております。
  330. 正森成二

    ○正森委員 それは本当ですか。もう一度よくその部分を読んで答えてください。
  331. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 先生御存じのとおり、現在の鉱業法の運用では、共同契約を結びます場合でも日本側に対日供給義務をと申しますか、外国系企業に対日供給義務を課するという指導を実はしておるわけでございます。したがいまして、仮にフィフティー・フィフティーの生産物分与というような、あるいは収益の分与というような契約があった場合でも、相手側の取り分である油は日本に売られるという形になっております。
  332. 正森成二

    ○正森委員 すかっとしない説明でありますが、もし手元に契約書をお持ちなら、そこをよく見ていただきたいのですが、投資に対する収益の唯一の源泉として出てきた一切の石油というのは、参加割合で現物を受け取る、すべての石油を自己の費用で独自に処分するという内容になっているはずであります。そうすると、参加割合がどういうぐあいになっているのか知りませんが、仮に日本石油開発がメジャーとフィフティー・フィフティーということになっておれば、出てきた石油の半分について自分が受け取る。その処分については独自にこれを行うというようになっておるはずであります。そうだとすれば、いま課長が言ったことと違うじゃありませんか。また、これはこういう内容にもしなっておるとすれば、それは日本の鉱業法にいうところの、まさに鉱業権そのもの、つまり鉱業権というのは「鉱区内に存する登録を受けた未採掘鉱物及びこれと同種の鉱床中に存する他の未採掘鉱物を包括的に支配する権利である。」というようになっているのに、初めから半分についてはその出てきたものは相手方のものである。それを独自に処分できるということになれば、鉱業権が実は半分になっておるということに、実際上はなるのではありませんか。私は契約書を手元に持っておりませんから、通産省に、生産物の処分についての日本石油開発とテキサコ、あるいはシェブロンとの間の契約のその項を慎重に見て答弁してくださいと言っているのですが、もしそういう内容であるとすれば、大臣、これは本来通産大臣に聞くべきことかもしれませんけれども、実際上、日本の鉱業法にいうところの鉱業権が、明治五年にわれわれの先輩が借金の抵当に入れることさえいけないと言っておったものが、初めから半分はあなたの取り分であって、あなたがどうぞ御自由に御処分くださいという内容になっておるということになれば大変なことじゃありませんか。
  333. 大永勇作

    ○大永政府委員 鉱業権は先生御指摘のように、鉱物を採取し、取得する権利でございます。ただ、これをだれが販売するかということにつきましては、鉱業法の及ぶところではないわけでございまして、共同事業契約等によりまして、その販売権を第三者に与えましても、これは鉱業法には抵触しないわけでございます。ただ、いまの大陸だなの場合に、これは日本の非常に貴重な資源でございますので、やはり採掘したものを日本の国内で売らせる必要があるだろうというふうに考えておるわけでございますが、その点については共同事業契約の中で書いているものもあれば書いてないものもあるようでございます。ただ、いずれにいたしましても、現在石油の輸出というのは貿易管理法でもって輸出承認品目ということになっておりますので、政府承認を受けなければ輸出ができないということになっております。最近の石油事情からいたしますれば、当然この輸出につきましては、きわめて制限的に考えるべき性質のものであろうかと存じますので、日本の国益上から見て、それが第三国に転売されてしまうというふうなことはまずまずないものというふうに考えております。
  334. 正森成二

    ○正森委員 まずまずないものと考えるでは、私は納得できない。そもそも共同開発というのは、本来中間線のこちら側にあって——日本国に石油資源がない。大臣、それはよく御存じでしょう。まるまる日本国が開発をして、日本の国民の事業のために使うというものを半分はまず韓国に譲っておる。残る半分についても、これはメジャーとの間に契約書があって、日本石油開発なら日本石油開発と、そうして仮にその半分なら半分はメジャーが現物で受け取る。そして自分が受け取ったすべての石油は、自己の費用で独自に処分できるというような内容があるとすれば、実際上は四分の一じゃないですか。そういうことがあるとすれば、これは大変な問題だというように言わなければなりません。  ですから、委員長日本石油開発あるいは西日本石油開発、帝国石油がそれぞれメジャー等々と結んでおる共同事業契約、あるいは名称は契約書となっておるかもしれませんが、本件共同開発区域に関する開発その他について契約書があるとするならば、その契約書を本委員会に提出されることを私は求めたいと思います。そうでなければ、日本の国民の五十年にわたる国益を守るために、国会として、国民の代表としてその義務を果たすことはできない、こう思います。
  335. 竹内黎一

    ○竹内(黎)委員長代理 ただいまの正森君の資料要求につきましては、理事会において協議をいたします。
  336. 正森成二

    ○正森委員 私は、この問題についても、その理由は前回の質問ではこういうように具体的には言いませんでしたが、私が指摘したことは小坂外務大臣の御記憶にお残りのことであろうと思います。もし、その契約書を出していただいて、そういう部分がなければ私どもの杞憂にすぎなかったということで審議はスムーズに進みますし、もしそういう点があるなら、これこれこういうような法律あるいは輸出輸入の取り扱いになっておるから、まずまずそういうことはないであろうというのにとどまらず、その契約書の内容を行政指導によって変えさせるということもまた必要であろうというように私ども日本の国益のために考えるわけですね。それがまさに担当省庁の、国民の重大な国益にかかわることの義務であろうというように思います。  事のついでにもう一つ伺っておきますが、運営委員会というのは一体何を決めるのですか。
  337. 大永勇作

    ○大永政府委員 共同事業契約は私契約でございますので、われわれといたしましてはその詳細な内容については承知してないわけでございます。したがって、運営委員会の規定のようなものが通常あることは承知しておりますが、具体的にどういう場合にどういうふうな仕事をやるのかというところまでについては現在のところ承知しておりません。
  338. 正森成二

    ○正森委員 もしそれが本当だとすれば、通産省としてははなはだ職務怠慢だというように私は思います。なぜなら、韓国側の場合は、合意議事録の中に、韓国側の言う法令というのは韓国政府と開発権者との間に結んだ開発契約を含むのだということが明文でわれわれのいただいた資料にも書いてあるわけですね。日本の場合は、表向きの開発権者といいますかオペレーターというのは、日本の鉱業法との関係もあって、日本石油開発あるいは西日本石油開発という日本側のれっきとした法人がなるでしょう。けれども、その日本側のれっきとした法人が実際上はメジャーと私的な契約を結んで、メジャーと契約で約束したとおりに事を運んでいくということになれば、その事の性質は、韓国が認めたメジャーと開発権者との間に結んだ開発契約と全く同じ役割りをこの日韓共同開発区域では果たすということになってくるわけであります。そういうものは単にキャラメルを何個売るとか売らないとか、あの建物を買うとか買わないとかいうような私契約とは全然意味が違う。今後五十年間にわたってわが国の石油資源をどういうぐあいに探査し、開発し、それを取得し、それを販売していくかということについて、まさに日本が認めた開発権者とそれに重大な影響力を持っておるメジャー、この地域が有望な石油開発地域であるということをいち早くつかんで、自分が影響下にあるたとえば日本石油にいち早く日本石油開発という子会社をつくらして、それに出願させるというぐらいの力を持っておるメジャーです。そのメジャーが契約書の中で運営委員会というものをつくって、その運営委員会にどういう権限を持たしていくかということを知らなければ、表面上はこの協定がどれほど美辞麗句を並べておっても、実際上どういうぐあいにそれが発動するか、作用をするかということはわからないじゃないですか。われわれは盲ではありませんから、日本の一億一千万の国民の利益を守るためには、その共同契約書というものを出してもらって、果たしてわが国益に反しないかどうかということを審査する義務があるというように私は思います。したがって、こういう点についてもいよいよ契約書というものは本委員会に提出してもらわなければならぬというように私は思います。委員長において重ねてお計らいを願いたいと思います。
  339. 竹内黎一

    ○竹内(黎)委員長代理 お申し出の件は理事会において協議をいたします。
  340. 正森成二

    ○正森委員 私はぜひ肯定的な結論を出していただきたいと思います。なぜなら、この運営委員会は実際上、石油の開発等々について実に重要な権限を持っております。そしてこの構成メンバーをどうするかということまで決まっておるはずであります。ですから、この内容がわからなければ実際上この大陸棚協定というものは審議をできないと言ってもいいくらいであります。ですから、通産省はそういう点についてそれぞれの開発権者である日本側の企業に対して提出するように行政指導を行うべきであるというように思いますし、国会においても適宜お計らいを願いたいと考える次第でございます。いろいろ申し上げたいことがありますが、この点についてはこの程度にしておきます。  鉱業法では鉱害が発生した場合に無過失責任をとらせるというようになっておりますが、その言うところの鉱害というのは何々ですか。四つあると思いますが、お答えください。
  341. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 四項目は、まず第一に鉱物の掘採のための土地の掘削、それから坑水もしくは廃水の放流、三番目に捨て石もしくは鉱津の堆積、四番目に鉱煙の排出の四種類でございます。
  342. 正森成二

    ○正森委員 外務大臣、すらすらっと読みましたからおわかりにならなかったと思いますけれども、もう一遍言いますと、まず鉱煙の排出、煙ですね。本件の場合は余り関係ないですね。あるいは関係あるかもしれませんけれども。もう一つは捨て石もしくは鉱滓の堆積ですね。これは主として石炭とかそういうもののために言うておるのですね。もう一つは坑水もしくは廃水の放流、水が出てきたらいかぬ、こういう場合です。もう一つが鉱物の掘採のための土地の掘削ということで、それだけは無過失責任を負わせる、こうなっておるわけですね。だから、ここでは油が流れてきたらどうだろうとか、あるいはそのためのいろいろな油井を立てるときに事故が起こったらどうだろうということは直接入ってないですね。それが入ってないから特別の協定を結んだのですね、油の汚染について。だからそれによって補足されていると思いますが、その内容を簡単に説明してください。
  343. 大永勇作

    ○大永政府委員 予防措置につきましては、日韓それぞれの国の法令が適用されるわけでございます。その場合に、日本の場合ですと、鉱山保安法が適用になりますが、両国の基準が食い違うと問題になりますので、海洋の汚染の防止及び除去に関する交換公文によりまして、両国が守るべき安全基準を定めておるわけでございます。
  344. 正森成二

    ○正森委員 それだけでは私の質問によく答えたことになりませんが、外務省、合意議事録にそれに関する部分があるでしょう。そこをちょっと説明してください。
  345. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 海洋の汚染の防止及び除去に関する交換公文の中に決めてございます具体的な措置と申しますのは、まず第一に噴出防止装置等の設置義務でございます。それから次には噴出防止装置の要件が規定してございます。それから掘削作業を行うときのその作業の仕方についての規定がございます。  それから油の排出自体につきまして、まず第一に原油等を船舶または海洋施設から排出してはならないという一般的な規定がございまして、後それぞれ船の場合にどれだけの基準が必要であるということが規定してございます。  それから三番目のカテゴリーといたしまして、廃棄物の排出についての規定がございます。これは同じく船舶または海洋施設から廃棄物を排出してはならないということで、後、具体的な基準が決めてございます。  後、つけ加えますと、汚染の防止及び除去の措置義務、それから坑井を廃止する場合の措置義務というのが書いてございます。
  346. 正森成二

    ○正森委員 通産省も外務省も非常に不勉強だと思うのですね。私がわざわざ助け船を出しているのに、それがどこにあるかということがわからないぐらいの不勉強なんですね。あなた方合意議事録の十八項を見てごらん。それを私が読みますよ。  「第二十一条3に規定する「海底及びその下の掘さくによつて生じた損害」には、油又は天然ガスの噴出によって生じた損害を含む。」「第二十一条3に規定する「坑水」とは、天然資源の探査又は採掘のために坑井を掘さくしている際に流出する水及びこれとともに流出する油その他の物質をいう。」ちゃんと書いてあるじゃないですか。私は、あなた方がこれを答えて、鉱業法には四つとして限定されておるけれども、この協定の合意議事録でこれだけ広げておりますから、だから漁業に対する被害等については心配ないようにいたしております。こう答えて点数を上げさせてあげようと思って、合意議事録に書いてあるでしょうということを言っておるのに、気がつかぬ。小坂外務大臣、いいですか、私は一週間前の質問のときにも、いろいろ言うてあげてもなかなか答えない、だから不勉強だということを言いましたけれども、いま速記録を全部調べてもらっても、合意議事録に書いてあるでしょうと言ったでしょう。そう言えば当然気がつくだろうと思って、外務省に恥をかかしたらいかぬと思って言ってあげたのです。     〔竹内(黎)委員長代理退席、委員長着席〕それでも気がつかないで別のところを——別のところではないですね、あなたのお読みになったところも関係があるのですけれども、しかし私が直接に質問して、ここを答えれば、鉱業法では四つしか書いていないけれども、その四つの言葉の解釈には油の関係も含んでおるのですよというように答えて、しかしこの書いてあるだけで十分ですかというように質問を進めようと思ったら、その助け舟にさえ乗らない。助け舟にも乗らない者は救いようがないですね。外務大臣、いかが思われますか。御自分の信頼するアジア局の課員あるいは条約局の課員なんでしょうけれども、いささか不勉強だとは思われませんか。それとも、石油関係の会社に関する項目だけはよく勉強しておるけれども、被害が起こったところについては後は野となれ山となれ、起こってから考えればいいわという外務省の姿勢、日本国の姿勢を示したものでしょうか。いかがです、外務大臣お答えください。
  347. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 御質問の趣旨については傾聴いたしました。
  348. 村田良平

    ○村田政府委員 私ども決して勉強しておらないわけではございませんでしたけれども、ただいま御指摘の条項、十八項をすぐに思い至りませんでしたので、思い至りませんというか、探し出せませんでしたことをおわび申し上げます。
  349. 正森成二

    ○正森委員 私は決してあなた方にどうこう言うわけじゃないけれども、わざわざ質問を限定して、合意議事録に書いてあるでしょうということまで言えば、合意議事録はわずか三、四枚しかないのですから、ああここだなとすぐわかるぐらいでなければ、これは政府委員として出てきておると言っても余り大きな顔はできないと思うのですね。議員は決して専門家じゃないですよ。あなた方はこれのために、まさに日本国の国益を代表して一番何でも知っているエキスパートとしてつくってきたのでしょうが。われわれはそれを事後的に審査しているだけなのです。そのわれわれでさえ、きょう質問しようと思って読めば気がつくことを、しかもあなた方に有利なことを、言うてみれば念のために議事録に残そうと思って聞いたら、それがなかなか答えられないというのでは、本当に日本の漁民は泣くと思うのですね。そこにやはり日本外務省の姿勢があらわれておるというように、きょうは大きな声を出さないつもりだったけれども、苦言はやはり呈しておかなければ仕方がないと思うのですね。きょうもし採決するとでも言うておればこんなことで済みませんよ。ここで審議ストップするところだけれども、次へ進ましていただきます。  そこで、次に移りたいと思いますが、こういう鉱業関係の災害というのは、非常に大きな規模に上るものが多いですね、足尾銅山とかいろいろ事件がございましたけれども。そこで、それに対して、もし被害が起こったときに担保を十分にしておくという意味で、鉱業法では担保の制度がありますね。どういうぐあいになっていますか、簡単でいいから説明してください。
  350. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 お答えします。  現在の鉱業法では、将来鉱害の発生することが十分予想される鉱業につきまして、鉱害が発生しないときから、租鉱権者あるいは鉱業権者に対しまして賠償基金を積み立てさせることになっております。
  351. 正森成二

    ○正森委員 あらかじめ担保の意味で金銭または国債を積み立てさせるという制度が、ある特定の鉱物についてはあるでしょう。
  352. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 先生の御指摘の特定の鉱物は、石炭及び亜炭でございます。
  353. 正森成二

    ○正森委員 鉱業法の、現在もそのとおりかどうかよくわかりませんが、百十七条の一項−四項によれば、石炭や亜炭を目的とする鉱業については、前年中に掘採した数量に応じて毎年一定額の金銭またはその額に相当する国債を供託しなければならないということになっておるのですね。これは被害が起こったわ、お金がないわということでは困るからであります。  そこで、私は外務省に伺いたいのですけれども、今度のような油をとるという場合には、一たん油が漏れますと、これは十分に漏れないようにするとは言うでしょうけれども、サンタバーバラその他のこともございますし、絶対にないとは保しがたいわけですね。その場合に、どういうように実際の被害者に対して満足させられるような担保の制度ができておりますか。仮に判決で勝ったといたしましても、勘定合って銭足らずという下世話の言葉もありまして、判決では勝ったけれども金は取れない、日本に対しても韓国に対しても取れないということがあっては困るわけですね。ですから、わが国の鉱業法は、被害が非常に大きくなりそうな石炭や亜炭については、あらかじめそういう担保の供託の制度を設けておるわけですが、本件の場合にはどういうぐあいな担保がありますか。
  354. 村田良平

    ○村田政府委員 共同開発区域におきます天然資源の探査あるいは採掘によって鉱害問題が起こって、そのために損害が生ずる、その場合に、損害の賠償請求に関しましては、第二十一条に損害賠償に関する規定が設けられております。
  355. 正森成二

    ○正森委員 二十一条にあることは私もよく存じておりますが、私がいま聞きました担保の制度はどういうぐあいになっておりますか。
  356. 大永勇作

    ○大永政府委員 特に担保の規定はございません。ございませんが、ただこの共同開発の場合には、共同開発を認めます場合に、事業を適確に遂行する技術的及び経理的能力ということが入っておりまして、経理的能力という中には、当然、万一そういった流出による被害等が生じました場合に、十分漁業権者その他に対しまして補償できるバックグラウンドといいますか、経理的基礎を含んでおるというふうに考えております。
  357. 正森成二

    ○正森委員 いま通産の方のお答えですが、前回の質問のときに同僚議員が、資本金が千ドルというような会社があるとか、日本石油開発にいたしましても、資本金そのものは微々たるものですね。ただ、その後ろが日本石油が親会社であるとか、メジャーがついておるとか言いますけれども、法律的にはあくまでコアムであるとか、人格は違うわけですね。ですから、裁判というのは法律に基づいて行うわけですから、この会社の資産はこれだけだということになって、後ろについておるメジャーのシェブロンだとかテキサコだとかガルフというのは何千億持っておるのだといっても、それに対して法人格否認の法理とかなんとか、いろいろな法律上の学説はありますけれども、非常に困難な場合もあり得るということは事実ですね。ですから、日本の地上の石炭や亜炭などの採掘についても、長年の経験から担保を積み立てさせる、そして被害が起こった場合には損害賠償の要求が完全に実現できるというようになっておるのに、前人未到とは言わないまでも、海でとるわけですからね。しかも、それは石炭のようなかたまりじゃないのですね。漏れればぶくぶく浮いてきて、瀬戸内海のこの間の場合でも大変な被害ですね。そんなことが起こるのに、一片の経理能力を調べるからどうこうということぐらいでそれで大丈夫だと言われても、国民は余り大丈夫だとは思いませんね。下世話に言う仲人口で、あの人は非常にまじめな人だ、浮気はしたことがないと言うてもしばらくつき合ってみなければわからないというのと同じであって、まして表向きは千ドルの資本金しかないとかあるいは規模そのものは小さいわけですからね。だから、その点では、もちろん油が出てくれば、その配分のシェアの問題は別にして、非常に大きな利益にはなるわけでしょうけれども、しかし被害もまたあり得るという場合に、これについて適切な施策が講じられておるとは私は日本の鉱業法との関係から見ても思われないのですね。外務大臣はどうお思いになりますか。
  358. 村田良平

    ○村田政府委員 確かに御指摘のような問題があるかと思いますけれども、いずれにいたしましても、二十一条の規定に基づきまして、仮に日本国民にその汚染によって被害があった場合には、日本の裁判所において法的な救済を求めるということになっておりますので、十分手当てができるものと考えます。
  359. 正森成二

    ○正森委員 それはあなたほかの人にそんなことを言ったって、弁護士である私をそんなこと言ってごまかせないですよ。われわれが苦労するのは、判決で勝つということはやさしいけれども、判決で勝って幾ら債務名義をもらっても、執行に行ったら一文なしの空々というのが幾らでもあるのですよ。それをどういうぐあいに保全するかというのが弁護士が一番苦しむところなんですよ。だから、日本の場合には、日本の裁判所へ訴えると言ったって、判決で幾ら何億円損害賠償で勝訴してみたところで、押さえに行ったら結局何にもないというのではそんな判決はないのと同じなんです。そんなことは小坂外務大臣はその方面——その方面というとえらい失礼ですが、経済にお明るいからよく御存じのとおりであります。ところが村田参事官がそういう答弁しかできないというのは、いかにこの日韓大陸棚条約というのが、そういう点についての配慮が欠けておるかということをやはり明白に議事録に残したものだというように言わなければならないと思うのですね。私はこういう事実を日本国民全体に知ってほしいというように思います。  時間が参りまして、永末議員がお待ちでございますから、もう一問だけ伺って私の質問を今回の場合は終わらしていただきたいと思います。しかし委員長、ほかにたくさん質問がございますので、それはもしその機会がございましたらお許し願いたいと思います。  それでは、水産庁関係がお見えになっておると思いますが、伺いたいと思います。  こういう共同開発区域で石油を採掘する場合に大きな被害が起こり得る可能性があるということはだれしも認めるところであります。あるいはまた起こらないかもしれません。しかし、いずれにしましても、いよいよ試掘をする、そして油が出てくるということになれば相当大きな油井を設けて一定の漁場の占拠ということが行われるということは必然であります。で、漁民の場合には、現実に油による汚染が行われた場合にその損害賠償をしてもらうということは当然でありますが、その前に漁場を占拠されておるということで、すでにそこが有望な漁場の場合には一定の損害をこうむるということは明らかな点であります。  そこで、いままでに米軍の射爆場あるいは自衛隊の場合も同じでありますが、そういう射爆場で漁場を占拠されるというようなことがありましたときに、わが国の漁民はその占拠料もしくは迷惑料という形で一定額の金銭賠償を取っておる例がございましょうか。もしありとすればその幾つかの例をお示し願いたいと思います。
  360. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 いま問題になっております石油資源の開発に関連いたしましても、探査の段階あるいは試掘の段階で相当期間にわたって、ある一定の海面を開発者側の方で占有しないと調査ができないようなケースがございます。それに関連いたしまして、漁業関係者の方でも、いろいろその漁業への影響を最小限度にとどめるという時期とか調査方法とかということを考慮を求めた上で、なおかつ最小限度休漁をせざるを得ないというような事態になりましたときには、一応そういう休漁に対する補償あるいは迷惑料というような形のものを供与していただいて、その範囲内で一応納得をしてその調査をさせる——させるといいますか、むしろ漁業者の方はその間休漁をするというようなケースが過去にございます。昭和四十五年以降最近までに大体こういった事例が四十件ぐらいございまして、総額で約四億五千万近くもそういった補償料的なものを、漁業協同組合あるいは関連の漁業協同組合の連合会が受け取っておる例がございます。
  361. 正森成二

    ○正森委員 私は、そういう占拠料もしくは迷惑料という形で、実際上漁民が休漁せざるを得ない、得べかりし利益の損失というものが補てんされておる、これはわが国の裁判所では恐らく明確に認められると思うのですね。そこで、外務省に伺いたいと思いますが、韓国はこういうことを制度として認めておりますか。
  362. 村田良平

    ○村田政府委員 韓国のそのような制度については承知しておりません。
  363. 正森成二

    ○正森委員 大臣、いま村田さんが承知しておりませんと言いましたが、私がしかるべきところで教えていただいたところでは、韓国では漁場の占拠料とか迷惑料とかそういうものは払った例がないそうであります。そうだといたしますと、これはある場合にはオペレーターが韓国側になったというような地域においては、わが国の漁民が非常に悪影響を受けるという場合はなきにしもあらずなんですね。これはこの協定の漁民との関係での非常に大きな問題点一つになり得るというように私は言わなければならない、こう思います。  その問題点を指摘させていただいて、なお村田参事官とは、例の合意議事録による韓国法令と開発契約の関係についても伺いたいと思っておりましたが、時間が参りましたので、それはよく勉強していただいて、次回に議論をするということで私の質問は終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  364. 村田良平

    ○村田政府委員 ただいま先生の御指摘によりますと、韓国側にはそういった制度がないということでございますが……(正森委員「あなたがわからないと言ったのですよ」と呼ぶ)はい、それに対してそういうのはないというふうに先生承知しておられるということでございますけれども、この協定におきます海洋水産資源の維持という点につきまして、どういうふうな措置があるかということをこの際申し上げておきたいと思います。  南部に関する共同開発協定におきましては、開発は、共同開発区域及びその上部水域における漁業等の正当な活動が不当に影響されないようにするということが二十七条で明記されております。また、両締約国の開発権者間の事業契約には、必ず漁業上の利益との調整という問題を含めるべしということが第五条に規定されておるわけでございます。また、操業の開始前に、政府は開発権者が自国の関係国民の利益の調整を図るように指導するということも規定されてございます。これは合意議事録の四項でございます。  そこで、そういう条約の規定をいかに実効あらしめるかというのが具体的な問題でございますけれども、事業契約の漁業との調整に関する業務のうちで、日本の漁業者の利益をいかに保全するかという調整に関しましては、開発権者の日本側の企業が担当するということ、それからさらに物理探査は盛漁期を避ける、それから坑井の掘削に当たりましては、坑井ごとに関係漁業者の了承を得るというふうな基本的な方針を日本政府としては行政指導の形で行う方針をとっております。
  365. 正森成二

    ○正森委員 いま御説明をいただきましたが、前段で読み上げた部分がこの協定関係書類に記載されておることは私も承知しております。ただ、いま読み上げた中でも、日本の漁業関係者が不当に——日本とは限定されませんが、不当に迷惑を受けないようにという、たとえば不当に迷惑を受けないとはどういう意味かということがやはり問題になり得るので、その場合に、日本のように占拠料、迷惑料というものがはっきりと認められているところでは、これはもちろん不当な迷惑をこうむっておるということになるし、そういう実績がないところは、それが迷惑であっても果たして不当な迷惑かというようなことがやはり問題になり得るので、だからそういう点について漁民の利益を守ってほしいということを指摘しておきたいと思います。  それでは、これできようは終わらせていただきます。
  366. 藤本孝雄

    藤本委員長 次に、永末英一君。
  367. 永末英一

    ○永末委員 韓国の年間石油使用状況を御報告願います。
  368. 中江要介

    中江政府委員 ちょっといま手元に資料を持ってきておりませんので、すぐ調べて御返事いたします。
  369. 永末英一

    ○永末委員 韓国はいまどこから石油を輸入しておるのですか。
  370. 中江要介

    中江政府委員 主として中近東諸国から輸入していると聞いております。
  371. 永末英一

    ○永末委員 この共同開発地域で予想せられている埋蔵量というのはどのぐらいなんですか。
  372. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 埋蔵第を確定いたします場合には、物理探査を行った後で試掘をいたします。試掘をした結果解析をいたしまして、確定埋蔵量というのははじき出されるわけでございますけれども、現在問題になっております共同開発区域につきましては、物探とスパーク法による探査というのは行われておりますが、まだ試掘が行われておりませんので、具体的な埋蔵量というのは推定されるに至っておりません。
  373. 永末英一

    ○永末委員 全く海のものとも山のものともわからぬ——ここは海底でございますので山ではないかもしれませんが、そういう状況ですか。
  374. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 昭和四十三年に行われましたエカフェの調査によりますと、かなり厚い第三紀層が発達しておるという結果が出ております。これは束シナ海一般でございます。それからさらに、日本側に近い海域におきまして物理探査を一部実施しておりますが、その結果、第三紀層に属します堆積層が非常に厚い、たとえば六千メートルぐらいまで及ぶという結果が出ておりまして、この六千メートルという数字はすべてがそうであるということではございませんけれども、比較しますならば、中近東の堆積層の厚さにも匹敵するような厚さであるということが言われております。石油がある可能性が非常に強い層と申しますのは、御存じのとおり新第三紀層に属するということと、厚い堆積盆が発達しているということであるというふうに言われておりますので、地質学的には当該水域というのは、石油の埋蔵の可能性が非常に強い有望な地域であるということが確認をされております。
  375. 永末英一

    ○永末委員 北朝鮮の石油の使用状況はわかりますか。
  376. 中江要介

    中江政府委員 これはちょっとわかりかねます。
  377. 永末英一

    ○永末委員 北朝鮮がどこから石油を輸入しておるかわかりますか。
  378. 中江要介

    中江政府委員 これは一部は韓国と同じく中近東諸国から入っていることもあるというふうに聞いておりますが、他方、よく言われておりますのは、中国からパイプラインで送られているのじゃないか、こういう情報も聞いております。
  379. 永末英一

    ○永末委員 この石油に関して北朝鮮の、これは輸入でございますから当然支払いをしなければなりませんが、支払い状況はどういう状況かわかりますか。
  380. 中江要介

    中江政府委員 石油に限定しましてどういうふうになっているかということは、先ほど申し上げましたようにつまびらかにしておりませんけれども一般的に対外債務の支払いは最近とみに滞っておるということは聞いております。
  381. 永末英一

    ○永末委員 日本との関係ではどういう状況になっておりますか。
  382. 中江要介

    中江政府委員 日本につきましては現在のところ約二億五千万ドルというのが債務の残高だ、こういうふうに聞いております。その中で、いま支払い期限が来ておりますものが約八千万ドル、こういうふうに聞いております。
  383. 永末英一

    ○永末委員 支払い期限が来たものについて繰り延べの交渉は行われておるけれども、その繰り延べの交渉どおりにもまた進んでいないというようなことも聞くのでありますが、どうなっておりますか。
  384. 中江要介

    中江政府委員 近く第三回目の交渉が行われると聞いておりますけれども、その具体的な運び方については必ずしも芳しい見通しでないという程度に承知しております。
  385. 永末英一

    ○永末委員 二億五千万ドルといいますと、商売としては北朝鮮関係のこれらの関係企業はそう大きくない規模のものでございます。だといたしますと、これは相当被害をこうむっているのじゃないかと思いますが、何らかの救済措置等があるのですか、そのままですか。
  386. 中江要介

    中江政府委員 これは中には大手もあるようですが、おっしゃいますように中小のものも多い。そういうところは相当困っているだろう、また困っている状況についても聞いておりますけれども、現在のところ、その困った状況をどういうふうにして救済するかということを具体的に検討するに至っておらない。といいますのは、そういった会社も商社も、何とか不払いの部分の問題の解決に名案はないものかということで交渉を重ねている段階だ、こういうふうに承知しております。
  387. 永末英一

    ○永末委員 北朝鮮がいわゆる資本主義国と貿易を開始したのはそう遠くない昔、最近のことである。開始するやいなや不払いなんということになると、北朝鮮の産業構造、対外的な意味での貿易構造にきわめて致命的な欠陥があるようにも思われる。政府はどう判断しておられますか。
  388. 中江要介

    中江政府委員 これは北朝鮮という国が情報を的確に収集するにはなかなか困難の多い体制でありますので推測の部分が多うございますけれども、たとえば一九七一年から七六年に及びます六カ年経済計画、これが昨年の八月末に一年四カ月繰り上げて達成したというふうに一般には公表されておりますけれども、その中身は、それほどの実績が上がったかどうかということについてはどうも疑問視する向きが多い。そういう北朝鮮の経済の困難な状況の原因には、労働力の不足だとかあるいは既存設備の老朽化あるいは現代的な近代技術の立ちおくれ、その他産業間の不均衡というようないろいろの原因があるのではなかろうか、これも推測でございますが。基本的に最近の外貨不足のために、自国経済の発展を計画どおりに推進するに当たっての困難に逢着している。どうしてそういうことになったのかということについては、計画を立てるときに何らかの誤算があったのか、いろいろ想像されますけれども、基本的には外貨収入のための貿易をいたしますにいたしましても自国船舶が足りない、あるいは国内での移送手段が足りない、港湾施設が不十分である、さらに非鉄金属の国際価格が最近下落した、そういったいろいろのもののほかにも、軍備偏重の政策もあるいは影響しているかもしれない、そういうことが日本で得られている、私どもの持っております資料に関する限り想像されるというのが現状でございます。
  389. 永末英一

    ○永末委員 さきの委員会で、共同開発区域で鉱区権を持っておるいわゆる韓国側の合弁会社について少しくただしたんでございますが、後で調査が行き届いておると思いますが、普通でございますと、韓国に主たる登録場所を持つのがあたりまえだろうと思います。これが全部報告によりますとアメリカにあるわけですね。しかも、この前の御答弁では、なるほど見せかけの資本金は少ないけれども、すべてこれは大手のメジャーが背景にあるから大丈夫だというようなお話でございましたけれども、結局共同開発の相手方は韓国が主ではなくて、アメリカの資本によって牛耳られている企業あるいはアメリカの企業そのものに鉱区権を渡しておる、こういうことを共同開発という名前でオーソライズしている、こういうことになると思うのですが、いかがですか。
  390. 大森誠一

    ○大森政府委員 韓国側の海底鉱物資源開発法によれば、韓国はみずからが設定した鉱区についての租鉱権の付与については、それを自国の国民もしくは法人に限らないという方針のもとに、御指摘のようにメジャー系あるいはその他の外国の有力企業というものに租鉱権を与えているのは、そのとおりでございます。
  391. 永末英一

    ○永末委員 共同開発区域でわが方がやる場合に、大体どの程度の資金計画をもって臨もうとしているんでしょうか。
  392. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 先ほど申し上げましたように、当該地域ではまだボーリングが行われておりませんものですから、一般的に言って探査活動、開発活動というのはいま控えられておるわけでございます。したがいまして、先生お尋ねの、どのぐらいの資金計画と言われましても、現在のところでは、そういった計画というのはまだないというのが実情でございます。
  393. 永末英一

    ○永末委員 わが方はないと言うが、韓国側はあるのですか。
  394. 大森誠一

    ○大森政府委員 韓国側について、私ども承知いたしておりません。
  395. 永末英一

    ○永末委員 両方とも無計画で鉱区権の設定だけやろうというのですから、何かこう話が余りにも漠然としているようでございますが、わが国の石油開発公団というのは、この共同開発の問題でどういう役割りを果たそうとしておるのですか。
  396. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 石油開発公団は、日本の企業が行います探査につきまして、出資ないしは融資するという機能を持っております。
  397. 永末英一

    ○永末委員 石油開発公団は、いまの機能を、この地域における共同開発でわが方が開発する場合にやはり身構えておろうと思いますが、何か計画を持っておりますか。
  398. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 共同開発区域につきましては、まだ具体化したものはございません。
  399. 永末英一

    ○永末委員 日韓間にはいろいろな借款関係があるわけでございまして、この石油に関する大陸だなで行われる韓国側の開発、これは膨大な資金を要するはずでございますが、こういうものに対して借款の裏約束なんか、外務大臣、やった事実がありますか。
  400. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 私は聞いておりません。ないんじゃないかと思います。
  401. 永末英一

    ○永末委員 将来やる意思がありますか。
  402. 大森誠一

    ○大森政府委員 日本がやっております韓国に対する経済協力につきましては、韓国における民生の安定向上と、国民経済の発展ということに貢献するという見地から実施してまいってきている次第でありますけれども、今後も一般的な方針としてはこのような方向で韓国側から具体的な要請があった場合に個々に検討していく、こういう方針でございます。  現在のところ、本件に関する石油開発のための借款供与について韓国側からの要請というものはなされたことはございません。今後の問題といたしましては、具体的な要請というものが仮に将来あれば、そのときはあらゆる角度から詳細に、かつ慎重に検討した上で対処する、態度を決める、こういうこととなりましょうけれども、現在のところ、先ほど申し上げましたように、何ら具体的な要請というものは来ていないわけでございまして、したがいまして、現段階でははっきりしたことは何とも申し上げかねるという状況でございます。
  403. 永末英一

    ○永末委員 先ほど韓国側の鉱区権者、コリアン・アメリカン・オイル・カンパニー、コリア・シェル・オイル、テキサコ・コリア・インコーポレーション、コリア・ガルフ・オイル、これはアメリカの会社ですね。
  404. 大森誠一

    ○大森政府委員 そのとおりでございます。
  405. 永末英一

    ○永末委員 そうしますと、いまの御答弁で、いまは全然そういう借款の話はないが、将来具体的な案件として出てきた場合には考えるがごとき話がございましたが、なるほど日韓共同開発区域には違いないけれどもアメリカの会社が鉱区権を持っておる、そういうものにもわが日本国政府は借款を与えようとする態度があるのですか、外務大臣からひとつお答え願いたい。
  406. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 形式的なことを申し上げると、やはりそういう要請があった時点で考えるということでございましょうけれども、実際問題としては余りないのではないか、こういうふうに思います。
  407. 永末英一

    ○永末委員 つまりまだ論議をするには全く材料がないわけですね。まさにそこには海があるだけであって。確たることを伺いたいと思いますと、調査があったというだけのことでございますが、しかし問題は何かきわめてこれが利権化しておるというところに、国民が解明をしなければならぬと考えている一番のポイントがあると思う。したがって、こういう相手方がもし共同開発に乗ってきた場合にも、韓国ではなくて、アメリカの国籍の会社であり、アメリカの資本がやる、それにまた日韓経済協力ということで日本の資金がそれに流れたというようなことになりますと、利権のための協定を結んでいるように見えますね。その辺がやはりはっきりしないと、わが方も石油がございませんから、石油資源が本邦の近くにあれば開発をしたいと思うのでありますけれども、やはり何かこの問題を進めるに当たっては、わが方の資金がぐるぐる回ってそういうところに使われるのではないのだというはっきりとした態度でお臨みにならなければいかぬのじゃないか、こう思いますので、どうですか、まだ具体的じゃないから、具体化してから考えるじゃなくて、わが方の態度としてはこういう方針で臨むのだという御意向があれば、外務大臣に伺っておきたい。
  408. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 わが方の態度としては、アメリカにお金を貸していくという考え方はございません。
  409. 永末英一

    ○永末委員 きょうはこの程度で……。
  410. 藤本孝雄

    藤本委員長 次に、渡部一郎君。
  411. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 私の本日の質問をもちまして、本七十八国会における実質的な日韓大陸棚に関する二協定審議はこれで終了することになると思われます。七十七国会におきまして七時間、本国会におきまして十数時間、合計合わせて二十時間になんなんとする質疑が行われたにもかかわらず、選挙を目前にいたしまして審議が中断することは、関係当局におかれましては、まことにたえがたいものもあるかと存じます。しかしながら、私はこの日韓大陸棚関係条約がなぜかくも紛糾をし、実質的に延ばされてきたかという基本的な問題にもう一回さかのぼって本質的な問題を考慮してみたいと思うのであります。これは、すなわち日韓関係に関する政府の基本方針もさることながら、国会において日韓関係に対する安定的な見解が周知徹底されておらず、国民の間の幅の広い合意が成立していないというところに一番の問題があろうかと思うのであります。  言うまでもなく、日米安保関係をめぐる当外務委員会の多年にわたる論争は、今日もなおかつ終結はいたしておらないのでありますが、それであるにもかかわらず、等距離中立平和外交を中軸とするこれら日本周辺諸国との安定的関係が必要であることについては、いつとはなしに合意がこの十年間成立をしつつあることは御存じのとおりであります。このような実質的な合意を形成するために、幅の広い円熟した討論が行われなければならないと私は痛感をいたすものでありまして、本協定審議におきましても、日韓関係の基礎的問題に関する諸問題につきまして、改めて質疑が行われ、改めて討論が行われ、改めて日韓関係の基本から問い直されているのが事実であります。政府は、このような日韓問題に対する国民的合意の成立のために、この本国会における審議の間、徹底的にこれを討論し、あるいは国民の合意を得るための努力をまず第一にするべきであったと思うのでありますが、大臣の御見識を承りたいと存じます。
  412. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 ただいまの渡部さんのお話は、私もそのように考えます。やはり、どうも国益を守っていかなければならないお互いの立場でございますが、国益とは何ぞや、その国益をいかなる方法において確保するかという手段、方法について、もっともっと深く話し合っていかなければならぬかと思う次第でございます。  そこで、この韓国につきまして申し上げますならば、私の考え方でございますが、私はやはり韓国との関係というのは、非常に長い間わが国が支配をしたという、私どもがやったわけではなくても、非常に不幸な関係があったわけなんでございます。それを十分頭に置きながら考えていきませんといけない、非常に特殊な問題がございます。もう一つは、三十八度線というもので、停戦ラインがございまして、現状においては、韓国と北朝鮮という二つの国の対立というかっこうになっておりまして、その間にイデオロギーが鋭く対立しているという関係において、この日韓の関係をどう見るかということだと思うのでございます。  何と言いましても、一番近い国は韓国でございますし、それだけにいろいろとわれわれは深く考え、また国民の合意を得て、この韓国の問題というものに臨まなければならぬという点は、全く私どもさように思っておる次第でございます。
  413. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 したがいまして、韓国問題に関する多くの討論、そしてその積み上げられた討論に基づく国会内の意見の発展的な統一に対しもし力を込めて留意をいたしますならば、本委員会の運営におかれましても、韓国問題に対する特別なラウンドテーブル方式による討論、話し合いというようなものがしばしば持たれてよかったのではないかと考えるわけであります。また、本協定の提出に当たりましても、突如として関係協定を連合せしめてここへ提出したことが紛糾の一つの重大な原因になったのでありますけれども、こうした問題の取り扱いについても、事前に十分のお話し合いというのはなされてしかるべきではなかったかと思うわけであります。また、韓国問題に関する小委員会等は次期国会において必ずこれを成立せしめ、そして韓国問題に関して多くの時間を費し、隣国との円滑な関係というものを発展させるための方式というものがここに確立されていかなければならないと思うのでありますが、そうした本質的な積み上げなくして本協定の成立のみを急げば、すなわち国民の間に多くのふんまんを醸成するのみか、本協定の推進そのものについても多くの禍根を残し、さらには両国間のあるいは両国民の間に深い怨恨さえも抱かしめるものになることは私は火を見るよりも明らかではないかと思うのであります。金大中事件の終結が、政府は終結と論じ、当委員会において終結と認めず、論争が続いているのも、こうした基本的な問題の未解決という上に大きく乗っているのではないかと思われるのでありますが、くどいようでありますが、重ねての御見解を承ります。
  414. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 日韓の関係というのは非常に長い間の関係であり、一面において非常に親しい関係であると同時に、一面において非常に誤解を生じやすい関係であるということが言えると思うのでございます。金大中事件のごときは、やはり韓国側日本主権を侵すということについて非常に簡単に考えたような点もございますし、また、われわれが、金大中の問題というものが韓国の中に移ってからも、わが国内における問題のように認識してその解決を考える、こういう二つの非常に親しい間柄からくる誤解というようなものも、一層この事件を不幸なものにした、解決を困難にならしめているということになるのではないかというふうに思うのでございます。  しかし、ただいまの仰せのように、韓国問題は非常に重要だから、ひとつこれに対する何かラウンドテーブルの特別の委員会でもつくってはというお考えは、これは私どもといたしましては院のお決めになることでございますから、委員長、当委員会理事者の間で十分お話し合いいただくことといたしまして、私も選挙を迎えて、あと大臣としてこうやってやるかどうかも実際のところわかりませんわけでございます。願わくば、この外務委員会というものが非常に良識を持った委員会として、大切なわが国外交について価値ある委員会として活動されることを希望いたす次第でございます。
  415. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 選挙後のことはいろいろな考えがあるわけでございまして、次期外務委員会の諸君にゆだねなければならぬ点も多いわけでありますので、私はさらに次の外務委員会の諸君に対する希望も込めていま申し上げているわけでありますが、もう一つ、この日韓大陸棚関係協定審議に当たり問題となりましたのは海洋法会議の交渉ということであります。この海洋法会議結論わが国の海洋あるいは漁業に関するさまざまな規定、さまざまな既得利権等に関し多くの影響性を持つことは事実であり、本協定審議に当たりましても重大な影響性を持つものであったと思うのであります。しかしながら、当委員会に対する海洋法関係交渉の次第は、必ずしも明快に伝えられなかった恨みがあるのでありまして、それが当委員会の審査を不当に複雑にしたということも否めない事実であったかと思うのであります。これは今後の課題として非常によいケースだ、考えねばならぬケースだと私は思うのでありますが、海洋法会議のように進行中の交渉事を抱えつつ、本委員会はこれからいろいろな議論をしなければならない立場に立たされることは、今後国際情勢の複雑化、多極化を考えるならば、常に考えなければならぬことであろうと思うのであります。  そこで、行政当局とされましては、こういう交渉中の案件に関して、立法府に対し明快な説明をする方式を工夫なさる必要があるのではないか。いままでは必ずしもルール、方式というものは一定せず、あるときは説明する、あるときは説明しない、あるときはむしろ猛烈な途絶があるという形で行われた。しかも余り話してしまうことが、交渉それ自体に対する影響を考慮しなければならないというような事情もあることも了知した上で、私はこうした問題については考え直し、方策を立てていくことが必要ではないか、こう考えるわけであります。  原則的な問題で恐縮でありますけれども、海洋法会議の扱い、それをめぐる当委員会の審査のあり方をめぐりまして、考えさせられることの多いこうしたやり方、国会の民主的な、あるいは議会制民主主義の良好な発展のために、政府としては当委員会に対する接触に対し、より賢明な施薬がとられるべきではないかと思うのでありますが、これまた御見解を承りたいと存じます。
  416. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 海洋国といたしましてわが国は、海洋法会議の前途というものに非常に大きな期待を持つ反面、非常に問題意識を持っておるわけでございます。やはり外交というものは、国民の支持なくしては成功し得ないことでございまするので、何としても国会の皆様、先生方の御意向というものを十分背に受けて、外交交渉をするということが必要であると思うのでございますが、何と申しますか、交渉中の事柄を公にできないという、またそのことによって不測の損失を招く場合もあるということもございまして、きわめてデリケートな面もあるわけでございます。  私は、一つの参考としてこういうことはどうかと思っておりまするのは、アメリカの大統領が、党の幹部あるいは上院外交委員会の幹部に対して、秘密が守られるという前提でいろいろお話をしているという、あのやり方でございます。外務大臣が、そうした形で当委員会の幹部の指導的な立場にあられる方々に極秘を前提としてお話しすることができるということが何かの方法でできますならば、これは一つの前進ではないかというふうに思う次第でございます。
  417. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 意欲的な御発言でございましたから、大臣お続けいただければ、それが実現に移ったわけでありますが、ひとつ次期国会におきましてもそうした御発言の趣旨がくみ取られ、継続されることを希望するものであります。  もう一つ金大中事件、先ほどもお触れになりましたし、私も多少触れましたけれども、この金大中事件に関して韓国側説明をとってみるならば、非常に不幸な事件として自分たちの非をある程度認めたという形において、また日本政府に対しある意味の謝罪をしたという意味において、問題が解決したように受け取っているわけであります。  ところが、わが国政府はともかくといたしまして、わが国議会において、金大中事件が解決したと考える者は一人もなく、またこの問題について十分の御説明がないため、金大中事件は今日もなおかつ未解決とするというのが議論の主流になっているわけであります。また私個人といたしましても、私の党といたしましても、この金大中事件というものが、日本に滞在していた人をさらっていったという件できわめて不穏当な問題であり、しかもなおかつこれをこのままに放置していることは、許されざるものと思っているわけであります。このように見解が分離し、わが国施策に対する強固な批判が存在するということは、看過すべきでないとわれわれは考えているわけであります。  また一方、韓国側から見るならば、大統領夫人に対する射殺事件というようなものをこれと反対側の感情でとらえ、感情的な面ではあるけれども日本側の対策、施策というものに対し多くの不満を抱いていることは、その言動から推察できるものであります。  こうした問題に対して、正面から取り組む必要をいまや感ずるものでありまして、その取り組みが悪ければさらに大きな不満不満を生じていく。わが国においては、内政不干渉という原則を戦後において受け入れたにもかかわらず、愚かなる内政措置に対し、これを政府政府、あるいは議会議会、あるいは民衆対民衆の事件で、よき影響を与え合うルールというものを確立していないというのがまだ現状であるかと思うのであります。  その意味で、私たちは虚心に批判を述べ、虚心にその批判を聞き、相互の国益に沿いつつ、しかも国際的な連帯を進める方策というものを確立していかなければならぬと思うのであります。そういう立場からいって、金大中事件のお取り扱いについては一工夫おありにならなければ、とても納得しがたい状況であると私は思うわけでありますが、これについてどうお考えになるか承りたいと思います。
  418. 中江要介

    中江政府委員 これは機会あるごとに申し上げていることでございますけれども金大中事件が完全に解決を見ていない。当時、日本主権が侵害されたのではないかという疑惑がきわめて大きかったということは、私どももそういうふうに思ったわけでございますので、それだけにいますべてが解決した、これでおしまいだというふうに思っていないことは先生のおっしゃるとおり、日本国民すべてがそういう感じだろうと思います。  問題は、政治的、外交的決着を見ました際に、二つの点がまだ残されておりまして、その一つは、外交的にはこれで決着をつけるけれども、国際刑事事件としては捜査を継続するということが残っておりまして、その継続された捜査の結果新事実が出ましたならば、あの外交的決着についても根底から考え直す。具体的に申し上げれば、主権侵害があったということについての確たる証拠がその後の捜査から出てまいりましたならば、これは、主権侵害に基づく韓国政府の国際法上の責任を追及するという形の外交交渉が直ちに始められるという権利が留保されております。これは当時、大平外務大臣と先方との間ではっきりと合意されている一つの宿題でございます。  もう一つの点は、金大中氏自身の身柄につきましては、これは毎回言われておりますように、一般韓国人と同様、出国を含む自由という了解がございまして、この了解が果たして守られるか。つまり、最後の姿は出国の自由が保障されるというところまでは、われわれはその了解が韓国政府によって守られることを強く期待しながら、金大中氏の身柄について関心を持ち続けている。  この二つの点が、外交的決着にもかかわらず宿題として残っている。そういう意味で、完全に解決したという立場では私どももないわけでございますが、他方外交的決着を見ましたことの意味は、その金大中事件のいま申し上げましたようなことが全部解決を見るまで、日本韓国との間で十年を超える友好関係を双方の努力で築いてきた、この外交関係をいつまでも異常のままで置いていることが果たして賢明かどうか。特に、朝鮮半島全般を見ますときに、御了察のとおり、北朝鮮との関係というものは、日本政府としては日韓正常化以来これは何とかしなければならない、やがては正常化しなければならない地域であり体制であるという認識で対処しておりますだけに、この北朝鮮との関係の調整に当たっては、前提として、日本韓国との安定した関係というものがやはりなければ、朝鮮半島全体との関係というのはなかなか確立し得ない。そういう問題もございますので、私どもといたしましては金大中事件の先ほどの二つの宿題は宿題として、日韓間の外交関係は正常化していこうというのが一九七二年の十一月二日の政治的決断であった。そのもとでいろいろ日韓関係が進められております中の一環が日韓大陸棚協定と、こういう認識でございます。
  419. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 ただいま言われましたことの中で判明いたしましたことは、外交的決着はしたということにもかかわらず国際刑事事件として未決着であり、主権侵害があるかどうかについて捜査しておるという御発言でございましたが、私どもの認識は少し違うのでありまして、主権は明白に侵害された。何となれば、金大中氏自身が日本から連行されたのでありまして、それまさに主権侵害なのであって、それを主権侵害とおっしゃらないのは、過去における御答弁よりもさらに後退なさった御答弁としか私は考えられません。ちょっとお話しぶりがここのところ妙な気配を感じておりましたが、ちょっとおかしいと私は思いますので、その点は再答弁されたらいかがかと思うのであります。  もう一つは、金大中氏自身が出国自由だとおっしゃいますけれども、多くの裁判により有罪を宣告され、そして実質的な出国の自由が奪われているという状況を指して、金大中氏自身については出国自由という韓国政府からの表明というものをある意味でまるのみにして、そして待っているというような状況でその問題を終わりにするというのは、外交的な駆け引き、玉虫色の解決にはなるのかもしれませんけれども、実質的にはきわめて悲惨な状況をもたらすのであります。金大中氏自身がどういう思想を持つかは私はいま論じないことにいたしますが、そういう無法というか、そういうものを見逃しておいて外交的決着とはこれいかにと、私はきわめて不審の念を持ちまして、ただいまの局長のふだんの御鋭敏さには似ない御答弁さを私はいぶかしげに聞いておったわけでございますが、重ねて御答弁を承りたいと存じます。
  420. 中江要介

    中江政府委員 私はふだんと同じことを言ったつもりであったのでございますけれども、その言います意味は、主権侵害と一般的に言われている意味ではなくて、その第二点の金大中氏の原状回復とも関連するのですけれども、国際法上、日本国政府大韓民国政府に対して外交的に韓国の国際法上の責任を追及する手段として、方策として、原状回復を権利として要求し得るためには、国際法上の主権侵害ということが確立していない限り日本側に十分な根拠がない、そういう意味での主権侵害についての確たる証拠が現在までのところ、遺憾ながら見出せなかったということで、一般的に日本主権が侵されたではないかということは、私が冒頭に申し上げましたように、主権侵害の疑いが濃いということについて、日本政府のみならず、国民もすべての人があのときにそう思ったわけでございますので、その意味ではそういう主権侵害があったのではないかという疑惑に対して十分こたえていないということは事実でございますけれども、その韓国政府との関係外交事務当局に原状回復をなぜ要求しないか、主権侵害があったのにこういう解決ではいかがかというふうに迫られますと、私どもは厳格な意味での国際法上の主権の侵害があったということを論証いたしまして韓国に迫るには、金東雲元一等書記官の指紋だけではまだ不十分である、こういう現状を申し上げたかったわけでございます。
  421. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 推察するに、ほぼ十分な情況がありながら、金東雲氏自身をつかまえられなかったために最後のところの証拠がそろっていないという、まさに刑事事件風な証拠主義でいまお答えになったようでありまして、私はこの点につきましては次の国会でもし当選ができますならば、十分この問題を徹底的に、ひとつ御議論をさせていただきたいと思うのであります。  それからもう一つ、最後でありますが、この次にお出しになりますときには、またお出しになることは明らかでございましょうが、どうか、このような種類の違った二法案を一案件として御提出になることは、この次こそはどうぞおやめをいただきますようにお願いをいたしたいと私は思うのであります。     〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕 すぐやめるとはいまおっしゃらないかと思いますが、検討するぐらいの御返事は十分いただけると思いまして、あえて申し上げますが、一方は境界線領域に関する条約であり、一方は共同開発に関する条約であり、またさまざまな質の違う点を含んでいる条約を、一案件、一ペーパーとして御提出になったということは、今後ともに当たりまして大きな災いのある条約案件のお取り扱いではなかったかと思うのであります。条約局長お越しになっておられないようでございますから、参事官がお答えになると思いますが、あなた、ひとつ心せられまして、この次はこんなみっともない御提出案件ではないように私は期待したい。そうでなければ、われわれは土俵のできていないところで相撲をとれと言われた関取のように、あなた方が土俵と言われるところでうろうろしなければならない。どこが土俵なのかわからない。こういう観点を抱かせるような、立法府議員の多くに多くの不満を抱かせるような案件提出については、今後十分の御反省をいただきたい、こう思うわけであります。
  422. 村田良平

    ○村田政府委員 この点に関しましては、先週のこの委員会におきまして、渡部先生に御答弁したところでございます。この条約が仮に来国会に再び提出されざるを得ないということになった場合にどのように提出するかということにつきましては、またその際の提出の仕方というものを当然政府としては考えるわけでございますが、この前も御答弁いたしましたように、今回この両協定をまとめて提出いたしましたにつきましては、私どもは非常に密接に関連のある二協定でございまして、それぞれにつきまして一括して御承認をいただくことが望ましいという見地から、そのような提出方式をとったということでございます。
  423. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 あなたは、これから先どうするかを私が質問しているのに、いままでどうしたかということしかお答えになりませんでした。あなたの職掌柄、そうしたことについては言及し得ないのかもしれませんけれども、だめですか。無理なら無理でよろしいので、あなたの将来もあることですから、あんまり無理な答弁を要求してもだめなんでしょうね。
  424. 村田良平

    ○村田政府委員 私の職掌柄云々というふうなことではございませんで、条約国会に御承認をいただくためにいかに提出するかということは政府全体の問題でございますので、この今回の渡部先生の問題提起というものはわれわれもちろん十分お聞きしたわけでございますけれども、改めて次国会におきまして検討さるべき問題であるということで、本日どういう方針にするというふうな答弁は差し控えさせていただきたいと思う次第でございます。
  425. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 いい御答弁だったと私は思います。確かにそのとおりで、今後、来国会については十分御検討いただきたい。二つの案件を一緒に審議するかどうかについては、当委員会にお任せをいただかなければならない。条約案件幾つか、何本かを一緒に当委員会に提出して議論されるということは、当委員会でしょっちゅうやっていることです。多少関係があるなら一緒にしようじゃないか。たとえばコーヒーと小麦の商品二協定は今回一緒に付託されておるじゃないですか。小麦とコーヒーは違いますよ。商品という字が同じなだけではありませんか。そうして、これはペ−パーが全然違っておるものを一括して審議しようと、いましているわけです。租税協定に関する分は国と国とは違うけれども、租税協定という点では同じです。同じ租税協定が一括して当委員会に提出され、同じグループとして議論されているではありませんか。そういう点を考えるならば、当委員会の運営を信頼なさって、一条約承認案件、一協定承認案件としてペ−パーを提出なさるというのが穏当なやり方ですね。今回のお取り扱いは、日米安保対決当時のあの異常な雰囲気をそのまま伝えたやり方であって、必ずしも賢明な条約案提出ではなかった、この問題についてはそろそろお譲りになるときが来ていると私は思うわけであります。ですから、今回、重大な警告を申し上げておるのですが、ますます民主化し、ますます議会民主主義の運行そのものについて詳細をきわめる討論が行われている現在におきまして、次期国会で同じような取り扱いをなされば、これは初めから大陸棚条約は永久に通らない条約とするしかないと私はむしろ警告を申し上げたいと思うのでありまして、この日韓問題がすべての問題につきまして対立と、それから無理解の暗礁に乗り上げている、そしてある意味では強行、ある意味では議論停止の状況で来ておるということは遺憾なことであり、これらの枠を破るべき条約案提出であり、また、さまざまな審議を行うべきものであっていただきたいと思うわけであります。  日韓関係に関するさまざまな討論の仕方、あるいは小委員会の設立、ラウンドテーブルによる討論、あるいはこの問題に対する率直な意見の表明等、日韓問題を俎上に上げてある程度の理解を得るというところまで議論を推し進めなければならない。それは日本国の安定を図るとともに、周辺諸国との日本の密接な平和の問題を討議するに緊要不可欠であると思いますし、また、そういう討論をしておかなければ、朝鮮民主主義人民共和国との間にいまや国交を開かねばならない時期は刻一刻近づいているようでありますけれども、その対応においてさえも私どもは大きなおくれ、あるいはミスを犯す可能性がきわめて高い。朝鮮問題について私どもは過ちを犯すわけにはいかぬという冷厳な判断に立たねばならぬ。いわんや、朝鮮半島を食い物にして汚職の巣窟にするような愚かな勢力と対しては、私どもは十分の警戒心を持って臨む必要がある。  こうした観点からも本問題に対する注意をお願いいたしまして、私の本日の質問の終結をさせていただく次第であります。
  426. 毛利松平

    ○毛利委員長代理 次回は、来る十一月四日木曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二分散会