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1976-10-27 第78回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月二十七日(水曜日)     午後一時一分開議  出席委員    委員長 松本 忠助君    理事 安井 吉典君 理事 正森 成二君       塩谷 一夫君    田中 正巳君       渡海元三郎君    床次 徳二君       松永  光君    森山 欽司君       綿貫 民輔君    上原 康助君       島田 琢郎君    日野 吉夫君       瀬長亀次郎君    渡部 一郎君  出席国務大臣         外 務 大 臣 小坂善太郎君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)      西村 尚治君  出席政府委員         防衛施設庁施設         部長      銅崎 富司君         防衛施設庁労務         部長      古賀 速雄君         沖繩開発政務次         官       國場 幸昌君         沖繩開発庁総務         局長      亀谷 礼次君         沖繩開発庁振興         局長      井上 幸夫君         外務省アメリカ         局長      山崎 敏夫君         外務省欧亜局長 橘  正忠君         外務省条約局外         務参事官    村田 良平君         水産庁長官   内村 良英君  委員外出席者         北方対策本部審         議官      永山 貞則君         農林省農蚕園芸         局植物防疫課長 本宮 義一君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 九月二十日  辞任         補欠選任   國場 幸昌君     森  喜朗君   西銘 順治君     田中 正巳君   安田 貴六君     保岡 興治君 十月二十七日  辞任         補欠選任   三枝 三郎君     綿貫 民輔君   田中 龍夫君     渡海元三郎君   本名  武君     松永  光君   箕輪  登君     塩谷 一夫君   山田 久就君     森山 欽司君 同月  辞任         補欠選任   塩谷 一夫君     箕輪  登君   渡海元三郎君     田中 龍夫君   松永  光君     本名  武君   森山 欽司君     山田 久就君   綿貫 民輔君     三枝 三郎君 同日  理事國場幸昌君及び西銘順治君九月二十日委員  辞任にっき、その補欠として森喜朗君及び水野  清君が理事に当選した。     ————————————— 九月十六日  沖繩住民等が受けた損害の補償に関する特別  措置法案安井吉典君外七名提出、第七十一回  国会衆法第四七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  沖繩及び北方問題に関する件      ————◇—————
  2. 松本忠助

    松本委員長 これより会議を開きます。  理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  委員辞任に伴い、現在、理事二名が欠員になっております。この補欠選任につきましては、先例により委員長において指名することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松本忠助

    松本委員長 御異議なしと認めます。よって、理事に      水野  清君    森 喜朗君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 松本忠助

    松本委員長 この際、国務大臣西村尚治君、沖繩開発政務次官國場幸昌君からそれぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。国務大臣西村尚治君。
  5. 西村尚治

    西村国務大臣 先般、沖繩開発庁長官を拝命いたしました西村尚治でございます。  沖繩振興開発につきましては、復帰後すでに四年有余を経過し、振興開発計画がその道程の半ばを迎えつつある今日、この重責を担うこととなり、その職責の重さを痛感いたしております。  沖繩の新しい県づくりへの歩みが、着実にその成果を上げておりますことは、沖繩県民方々の御努力はもとより、委員各位の御理解ある御協力のたまものと感謝いたしておる次第でございます。  私は、これまでの実績を十分に踏まえまして、その歩みをさらに確固たるものとするために、より一層本土との格差是正に努め、真に沖繩自立的発展が一日も早く実現することを願い、今後とも最大限努力を傾注してまいる決意でございます。  次に、北方領土問題につきましては、北方領土復帰実現は、全国民の悲願であり、この問題を解決し、日ソ平和条約を締結することは、わが国最大の懸案でございます。  政府におきましては、わが国固有の領土である北方領土復帰を実現して、平和条約を締結するという従来からの方針を堅持し、今後も粘り強く対ソ交渉を続けていく考えでございますが、政府外交交渉を行うに当たって最大の力となるのは、まさに国民世論の支持でございます。  このため、私は、国民すべての方々北方領土問題に関する一層の御理解をいただくよう啓発広報の拡充に力を尽くすとともに、関係諸団体との連絡提携をより緊密にしまして、全国各地において活発な住民運動が盛り上がるよう対策を講じてまいる所存でございます。  また、北方地域居住者等に対する援護措置につきましても、積極的にこれを推進してまいる所存でございます。  どうか委員長並びに委員各位の皆様におかれましては、今後とも引き続き御支援と御協力を賜りますとともに、よろしく御指導いただきますようお願いを申し上げまして、ごあいさつといたします。(拍手
  6. 松本忠助

  7. 國場幸昌

    國場政府委員 このたび沖繩開発政務次官に任命されました國場でございます。  沖繩開発という重責を担うことになりましたが、覚悟を新たにいたしまして、西村長官のよき補佐役としまして、名実ともに豊かなる沖繩建設のため、最大限努力を払っていきたいと思います。委員長を初め委員先生方の忌憚のない御指導と御撻鞭を賜りまして、沖繩県民の輿望にこたえるべく、最善を尽くしていきたいと思います。  どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)      ————◇—————
  8. 松本忠助

    松本委員長 沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
  9. 上原康助

    上原委員 いま長官の方から沖繩開発に対しての決意のほどが述べられたのですが、せんだって私も内閣委員会給与関係法案の審査の際に、少しく、新しく沖繩開発庁長官も兼務された西村長官沖繩に対しての基本姿勢といいますか、考え方をお尋ねしたのですが、きょうは、復帰後の沖繩振興開発計画進渉状況なりあるいは当面している幾つかの問題について、主として経済問題を中心にお尋ねをさせていただきたいと思います。  そこで最初に、去る二十三日に、非常に駆け足視察だと現地では言っているのですが、長官日程の都合があったと思うので、その点は別として、沖繩に行かれて、いろいろ平良知事なり関係者から沖繩の問題について御要望なりも受けてきたようであります。そこで、これまで長官が、事務当局からいろいろ沖繩の事情について就任後お聞き取りをいただいておったと思うのですが、実際に現地に行かれて、あるいはより深刻だと受けとめられたのか、大したことないと思っておられるのか、じかに沖繩現地関係者の声をお聞きになって、あるいは沖繩担当大臣として、長官としての感じた点、そのごとを踏まえて具体的に今後どういう姿勢振興開発計画推進しようとしておられるのか、また中小企業の倒産問題その他、不況克服のために政府の立場ではどういう施策を進めていかなければいけないとお感じになったのか、そこらの点からひとつもう少し長官の所信というものをこの際明らかにしていただきたいと思います。
  10. 西村尚治

    西村国務大臣 おっしゃいますように、わずか二日間の視察でございまして、本当はもう少し日程をとりたかったのですけれども国会関係どもございましてどうしてもできませんでした。二日間でございましたけれども、この目でじかに実情を見、またいろいろ現地方々各界各層方々の御意見を聞きまして非常に参考になったことは確かでございます。  そこで、現状認識でございますが、沖繩県復帰後四年半、まあ今日までかなり成果が上がってきておるということは聞いておりましたけれども、その点も私は事実だと思いました。社会資本がかなり整備してきておるということ、それから県民所得が向上してきておるということも否めないと思います。一番感じましたことは、道路だとか橋だとか、こういうものがりっぱになっておりますことのほかに、非常に車が多い、交通機関がほかにない関係もございましょうけれども。それから、民家内地の人から見ると非常にうらやましく思うであろうような近代建築、鉄筋のこういう民家、住宅がどんどんできておる、これは非常に私はうれしいことだと思って見たわけでございます。  そういった点で成果が上がっているということはある程度わかりましたが、しかし反面、失業率本土に比較いたしまして非常に高い。三倍もの失業率を抱えておる。それから、海洋博の後の経済界の冷え込み、そのために海運界とかホテル業界、大変な経営不振に陥っておるということも見たり聞いたりしてきたわけでございますが、こういった点。  それから、ちょうど十年計画折り返し点に近づこうとしておるわけでございます。このあたりで本当に開発計画というものをもう一度見直して、現状を踏まえて中期展望というようなものをつくって、それにのっとって足が地についた施策を講じなければいかぬ、こういうことを感じたわけですが、たまたま振興開発審議会の方で先生承知のように、いま見直しをやっております。これが近く答申が出るようでございますので、その結果なども参考にしながら、ひとつ的確な施策を講じていかなければいかぬ。  その施策内容は、もちろんまだそれが出ておりませんから、それも参考にして今後考えなければいかぬわけですけれども、いま考えておりますことは、御承知のように、あそこは産業構造が若干いびつになっておるということが言えると思うのです。第三次産業が七五%を占めておる。これはどうも尋常でない。ですから、これは七五%の第三次産業を圧縮するというのではなくて、相対的に一次産業、二次産業を広げる、整備する、強化する、こういう施策が必要だろうと思うのです。第二次産業につきましては地場産業育成中小企業育成、と同時にできれば内地から工場誘致ということも考えなければいけますまいと思いますけれども、いままでもどうも失敗した例もあるようです。やはり水だとか電力だとか、そういったような関係がございまして、これがちょっとネックになっておるようでありますけれども、これを今後どういうふうに取り組んで育成強化を図っていくか、これが大きな問題。それから、何と申しましても一次産業を、これはもう少し育成強化しなければいかぬ。そのためには、構造改善を初めといたしまして基盤整備にもっと力を入れなければいかぬ。と同時に、一次産業育成ということと並行して、私、今回向こうに行きまして特に考えなければいかぬと痛感をいたしましたことは、地籍の不明確な地域がきわめて多い、これを早く明確化を図らなければいかぬ、こういったようなことを痛感をいたしましたので、こういったことを中心に今後鋭意施策を進めてまいりたい。  それと、離島振興ですね。離島振興につきましては交通通信整備、これをやらないと、本島本土並みになっても離島が取り残されては気の毒でありますから、本島本土並みにすると同時に離島本島並みに持っていくように、この点も忘れてはならない大事な課題だ、かように考えておる次第でございます。
  11. 上原康助

    上原委員 いまお答えになったことは全くそのとおりな点もあるわけですね。みんながそういうことは指摘をしてきたことなんです。  そこで、これをどう具体化をしていくかということが一番大事な点なんですが、そこで基盤整備の問題あるいは構造改善事業地籍の不明確なところを解明していくという地籍確定の問題、離島振興、これなどは歴代の開発庁長官大変強調をしてこられたことなんです。しかし、残念ながら実際の整備推進といいますか、政策の推進というものはなかなか進んでいないというのが現状だと思うのですね。  そこでまず、具体的な面に入る前に、いま十年計画で立てられた振興開発計画については審議会の方でもいろいろ検討を進めているので、見直しども含めてその結果を見てやりたいということでしたが、昭和四十七年を起点として立てられたいわゆる十年計画というものがすでに五カ年を経過しようとしているわけです。もう後半期に入ろうとしている。この段階まで来て、もちろん経済ですからいろいろ外因、内因があってなかなか計画どおりにいかないというのが、政府のつくるこの種の計画の一番の弱点といいますかにもなっているようですが、そのことはある程度差し引きをして考えてみても、とてもじゃないが、十年計画そのものは、当初の目標年次までにお決めになったことが達成できない状況に置かれている。これはどういうことが要因でそうなっているのか、今後軌道修正なり見直しをするとしたらどこらにより力点を置かなければいけないのか、そこら事務当局なりからもう少し明確にしていただいて、それを踏まえて具体的な問題に議論を進めていきたい、私はこういうふうに考えております。
  12. 亀谷礼次

    亀谷政府委員 ただいま長官から御答弁申し上げましたように、沖繩振興開発計画も本年で五年の折り返し点に入ったわけでございますが、昭和四十九年の沖繩振興開発審議会におきまして、先生指摘計画中間展望と申しますか、現時点までの進捗の状況及び今後の取り組みということに論点を置きまして、この時点で一応検討する必要があろうという御発議がございまして、審議会の中にそれぞれ専門の方を網羅しました部会を構成いたしまして、自後今日まで、専門の諸先生方に御討議を煩わしてきたわけでございます。  大臣申し上げましたように、近くその取りまとめの御報告をいただくことになっておりますが、私どもお聞きしました範囲において理解しておりますのは、先生指摘昭和四十七年十二月に策定をされました振興開発計画が、実態として見た場合に、この四年間の沖繩経済成長本土の約二倍という形の速度で伸びてきたことは事実でございます。県民所得も、五十年の推定では、マクロでございますけれども本土の七〇%を大幅に上回るほぼ八〇%に近い数字になっておるのではないかと考えております。あるいはまた人口の面におきましても、当初十カ年で百万を超えると想定をいたしておりましたけれども、昨年の国調の結果を見ても、御案内のとおりすでに人口は百四万を超えておる、こういう実態でございます。  そういったことで計数の部分、さらには道路、港湾、空港を初めといたしますいわゆる公共事業、その他政府施策ベースで言いますと、社会資本ストック海洋博その他いろいろございましたけれども、とにもかくにもそういったストックの面では順調に整備が進んでおる、こういうふうに一応理解をさせていただいてよろしいのではないかと思いますが、反面、先ほど大臣もお触れになりましたように、労働雇用の面におきましては、復帰後かなり高率で推移しました失業率も依然として高い規模で続いております。  それから、産業構造の面でいきましても、第一次産業所得もこの一両年、基盤整備及び農業生産性の向上には大いに見るべきものはありました反面、当初予定した以上に農用地の壊廃といいますか減少、あるいは専業農家減少、こういった面がかなり顕著に出ておる。また同時に、われわれが当初の計画で県とともに強く計画の中に織り込みました第二次産業振興、特に新規企業工業立地、こういった面については、必ずしも現状においてははかばかしく推移はしていないということもございまして、全体の経済構造が、先ほど大臣お述べになりましたように、われわれが当初想定しましたような一次、二次、三次のある意味における均衡と申しますか、バランスのある拡張伸展という面においては相当問題があるということを現時点においては指摘せざるを得ない、こういった問題点。  そのほか、私の聞いております範囲では、沖繩本島中心にしたいわゆる水利用の問題、こういった面につきましても、人口及び諸般の問題を含めまして、今後のそういった水需給相当厳しい問題を抱えておるというふうなことを感じておるわけでございます。  そういったことを踏まえまして、私どもとしては、大臣お述べになりましたように、後期五カ年という問題に取り組む際にはそういったいろいろな隘路、ネック及び問題点を踏まえながら、個々の産業施策についてよりきめの細かい、全体として整合性のある発展を図るための具体的な施策をさらに進める必要があろう、こういったことで取り組まれた結果の答申をいただくということになっておろうかと承知をしております。  個々具体的な問題にわたりますと、時間の関係もございますので、差し控えさせていただきますが、おおむねそういうふうにわれわれは理解をしておりますし、御報告もあるというふうに承っておるところでございます。
  13. 上原康助

    上原委員 大体、問題の所在はいま御指摘のとおりかもしれません。  そこで、少し結論を急ぐようになるかもしれませんが、五年実施をしてみて、実情に合わなくなっていることが余りにも多く露出してきたということは否定できない事実だと思うのですね。そうしますと、復帰をして本当に本土との格差是正といいますか、本来の沖繩立地に合った県づくりをしていくという意味では、かなりの部分について修正なり新たな角度からの計画の練り直しをやっていかなければいけない。やる手順はどういうふうにやるかはいろいろ議論は分かれておっても、総体的にそういう段階に来ているという点は政府も否定はしておられないと思うのです。また、否定できないと思うのです。  そこで、特に第一次産業振興ということを長官現地でも強調しておられるし、きょうも強調なさったのですが、この点と合わせて、いま一つ雇用不安の問題など、いわゆる雇用効果のある企業開発といいますか誘導というものも、もちろん公害問題との関係においていろいろ議論の余地もありますが、これなどは目標年次においては二九・七%ですか、大体三〇%くらいに持っていくという目標が立てられている。しかし、現在は一七、八%前後だと思うのですね。二次産業振興というのは、非常におくれるというよりむずかしくなってきておる。これなども従来のような高度経済成長なら、ある程度二次産業振興というものも新規投資という面で企業ども可能であったかもしれませんが、低成長時代に入るとなると、沖繩立地条件、特に水問題なども考えた場合に、二次産業振興ということは経済効果の面からしても非常にむずかしいのじゃないかということを、現段階で新たな問題として、経済に詳しい方々指摘をしておられる。経済基盤の問題を含めてやらなければどうにもならない。その点については、政府は一体どう見ているのか。ただ、これまでのように、現地側が公害に反対したんだ、あるいは余り気乗りしなかったからと——私は、それは一つの言いがかりであって、本当に沖繩立地に合った二次産業開発というものについて、ただ自然淘汰的に任すという政府姿勢と、現地のそういった拒否的な面とが相まって、今日の状態というものを深刻化させた一つの原因にもなっていると思うのです。持っていくのはCTSとか、そういう要らないものしか押しつけようとしなかった。その点は、今度見直しをするという段階では、どういうふうにとらえて、現地側との意見調整なりもやっていかれようとする考えなのか、もしあればお聞かせをいただきたいと思います。
  14. 亀谷礼次

    亀谷政府委員 先ほど来お答えを申し上げておりますように、目下専門先生方の御報告を待っておる状態でございますので、その詳細につきまして政府の方からその内容をフォローアップすることもいたしかねておるわけでございますが、先生指摘のように、昭和四十七年の十二月に内閣総理大臣決定になりました現計画では、一次、二次、三次産業バランスのある発展雇用の安定のためには相当思い切った、二次産業を伸ばすという計画になっておることは御案内のとおりでございます。現にこの計画は、先生案内のように、県からのいわゆる原案提出権に基づきまして、復帰のときにおける県民のそういった強い願望のもとに、県から提出された原案関係省庁と調整した結果できた計画であることも御案内のとおりであります。しかし、また一面、現時点におきましては、先生指摘のように、必ずしも二次産業発展といいますか伸長につきましては、所期の計画のとおりには進んでいないことも事実であります。  何と申しましても、私ども考えますのに、この四年間の沖繩経済変動相当部分は、いわば本土経済変動というものを相当強く受けておることは否めない事実でございまして、ちょうどいわゆる石油ショックに始まりました本土不況経済成長率の鈍化、こういった問題が出た時期に、たまたま合ってきたということも一つ要因でございます。  そういうこともございまして、私どもとしては、先生指摘のように、新規企業立地につきましては、ただ単にCTSのような装置性産業ばかりを想起し、希望、計画をしておるわけではございませんで、かなり労働雇用効果の高い二次産業張りつきを鋭意努力したわけでございます。具体的には、先生指摘のように、まだ見るべきものはないという状況は事実でございますけれども、県といろいろ相談をいたしまして、振興法に基づきますところの工業開発地域の指定もようやく緒につき、現在、その制度の活用をこれから図るという時期でもあるわけでございます。ただ、何分本土経済状況がいまのような時期でございますので、遠く僻遠の沖繩に原材料を持ち込み、沖繩でこれを生産加工し、なおかつそれを本土に運ぶという意味における、いわば経済効率の面におけるいろいろな制約を乗り越えて沖繩に非常に可能性の高い企業立地が続くという状況が、残念ながらいま本土にもやや冷えておるという点が一つの大きなネックでございます。  もう一点は、われわれはただ単に本土からの企業立地だけを最大目標にしたわけではございませんので、沖繩に現存しますいろいろな第二次産業、ことに地場企業としては現地の資源を利用するところの、当然第一次産業との関連にもなるわけですが、いわば食品加工、その他農業加工生産企業、こういったものは当初から伸ばす必要もあろうし、われわれは盛り立てていく必要があろう、こういうことを考えておるわけでございますし、金額の多寡は別にしまして、沖繩の観光との結びつきにおきますところの伝統工芸産業等ももっと伸ばすべき分野であるということに着目をいたしまして、この四年間、県とも緊密な連絡をとりながら、その結果におきましていろいろ御批判はあろうと思いますが、努力をしてきたところでございます。  そういう意味におきまして、今後の方向としましては、やはり一面そういった企業立地努力を続ける傍ら、先ほど大臣からも御答弁ありましたように、もう一度、第一次産業伸長に加えましてそういった地場企業としての可能性のある企業張りつきあるいは拡大、こういうことにつきましてやはりきめの細かい施策を今後払っていく必要があろう、こういうふうに考えておるところでございまして、そういう意味におきましては、現状において、御指摘のように、必ずしもこの面についての計画と実際の間に十分整合性といいますか、予定のような消化といいますか、実現を見て念いないことは率直に認めざるを得ませんけれども、さらばと申しまして、沖繩経済の方向を第一次産業だけで賄う、あるいは第三次産業だけで賄うということは不可能な問題でございます。先生指摘のような労働雇用の問題も踏まえますと、当然すべてこの一次、二次、三次産業をやはり当面の目標としては大幅に改定をして、場合によればブレークダウンするというふうな計画はとるべきではないのではないか。あらゆる努力をこの後期五年には傾けまして、当初の目標自身が間違っていないとすれば、最大限それに接近する方途について県とも緊密な連絡をとって対処すべきであろう、こういうふうに事務的には考えておるわけであります。
  15. 上原康助

    上原委員 大まかなアウトラインについては大体つかめたわけですが、要するに二次産業開発誘導というのは立地が非常にむずかしくなってきている。もちろん、それは私は否定はしていませんよ。その必要性というものはわかるにしても、もっと当初から沖繩には沖繩的な企業のあり方、あるいは産業開発というものがあってしかるべきだったと思うのですね。それは何も政府だけに責任を転嫁しようとは思いませんが、余りにも復帰前後の海洋博ブームとか、高度成長の波に乗った大企業優先の発想で沖繩復帰というものを位置づけ、沖繩県づくりをやろうとしたその政治姿勢そのものを、長官、これは改めないといけないと思うのですね。お答えの端々ではそういう面も含んでいると私は理解はいたします。そこが一番ネックになったということは、ぜひ政治的に御判断をしていただかなければいけない問題だ。  そこで、当面、二次産業振興開発というもの、あるいは本土企業立地というものがむずかしい状況にあるとするならば、何としても第一次産業振興というものは非常に重要視をせざるを得ないわけですね。これは長官指摘をしているとおりなんです。この一次産業振興を図っていくには、畜産振興ももちろんありますが、先ほど御答弁ありましたように、土地利用の面との関連において基盤整備の問題、構造改善事業ということは、私は急務中の急務だと思うのですね。これまで開発庁を中心に、あるいは農林省がそれなりの御努力をやっておられることについては評価するにやぶさかではございません。だが、現地の農民の方々だとかあるいは一次産業に従事している方々の期待にまだこたえ得ない面がたくさんある。この一次産業振興具体化していくには、では国としてはどういう方向でいま考えておられるのか。これは経済不況を克服していく当面の課題だと私は思うのですね。この点、もう少し具体的に明らかにしていただきたいと思うのです。
  16. 井上幸夫

    ○井上政府委員 ただいま先生指摘のように、沖繩県の振興を図ります意味で、現状におきましては第一次産業振興というのがとりわけ重要なことだということはもう改めて申し上げるまでもないところでございまして、そのために私どもといたしましては、現在沖繩農業基盤整備が、これはいろいろな計算の仕方はございますけれども本土に比べて著しくおくれているということは事実でございまして、当面その農業基盤整備ということを最重点に置いて考えていただく。いささか数字にわたりますけれども農業基盤予算について見ましても、四十九年が二十九億で、五十年が四十二億、五十一年が六十五億というふうに、非常に大きな早いテンポで予算を増額してまいりました。あと五十二年度の概算要求も対前年度六割増し、百五億円という形で予算を要求しているところでございます。  私どもといたしましては、そういう基盤整備というのを最重点に置いて考えておるわけでございますけれども、あと当庁所管事項ではございませんが、農政上の問題といたしまして作目の多様化ということがどうしても必要であるというふうに考えております。余り特定の作目のみに生産が集中するということでなくて、やはり付加価値の高い、あるいは雇用吸収効果の高い作目というものにもう少し多様化すべきではないか、こういうふうに考えております。  それから、あと水産部門でございますけれども、漁港整備につきましても、これは生活港湾としての認識もございまして、特に離島におきまして交通を確保するという目的も兼ねまして漁港の整備というものを従来とも努力してきたわけでありまして、引き続きこの農業基盤整備、漁港整備というような、いわば農林水産業の生産基盤強化をいたしまして、農業所得の向上を図るということに努力してまいりたいと思っております。
  17. 上原康助

    上原委員 数字的に四十八年度以降上がってきているのは、私も開発庁の予算要求なりあるいは実績なども見てある程度理解できますが、ただ作目の多様化、もちろん輪作体系というものも必要でありましょうし、やらなければいけない問題でもあるのですが、しかし沖繩農業の主たる地位を占めているのは、御案内のとおりにサトウキビなんですね。  話が少し飛んで恐縮なんですが、いまその話が出ましたので、この基盤整備という場合に、きょうも実は私たち党で、キビ価格が近々決定を見るようで、昨日も農林水産委員会もありましたので、大蔵大臣にも農林大臣にも午前中お会いをしてきたわけです。そこで、かねてから基盤整備の問題との関係で休耕補償、これはいろいろ政府部内には誤解があるようです、米作の場合の休耕補償的な連想をなさるようですが、私たちが沖繩のキビ作の振興なり生産性を高めていくという意味で言っている休耕補償というものは、要するに一種の土地改良事業として生産性を上げていく、あるいは農業の省力化をしていくという意味で、どうしても狭い農地を整理してやらなければいけない条件にあるわけですね。その意味では、休耕補償的なものを勘案した土地改良事業というものを推進しない限り、政府が言うように十アール当たり十トンくらいの生産を上げなさいとか、あるいは目標年次で十二トンにもっていけと言ったところで、とてもじゃないができないわけですね。そのことを含めて、開発庁、お考えになっていただきたい。  実は、きょうも農林大臣はここまで言い切っておられるわけです、どうしても必要と言うならば休耕補償はやるべきでしょうと。これは大臣、ぜひお聞きになっていただいて、積極的にこの際、ようやく芽が出つつありますので、基盤整備というものを推進していくにはそこまで考えていただかないと、おっしゃる構造改善事業との関連において、これは予算もそういう面も含めて五十二年度百五億の予算を要求しておるのじゃないわけですね、実際問題としては。いままでの制度にただ少し上乗せをしていくという、これでは百年河清を待つようなものなんですよ。この点についてはどうお考えなのか。いま申し上げたようなことも踏まえて、ぜひこの際、開発庁が中心になって農林省なり大蔵省に働きかけて、基盤整備をやっていく場合に、われわれは手っ取り早くと言いますか、余り適当な表現がないので休耕補償ということを言っていますが、土地改良をやって生産性を高めていくために、土地改良をやる間一年くらいかかるわけですから、あるいはそれ以上かかる場合も、もちろん条件によってはそれ以下でできる面もあるでしょう、その間農民はサトウキビなどがつくれないわけですから、その間の収入が全然ゼロでやりなさいと言ったって無理なんですね。そこはぜひこの際考えていただいて実現さしていただきたい、このことを強く要求しておきたいと思うのです。
  18. 井上幸夫

    ○井上政府委員 現在、沖繩におきます農業基盤整備事業の仕事の内容から申しますと、約半分が農道及び圃場整備でございまして、ことに水に絡むいろいろな関係がございまして、大規模な灌漑排水事業というのは、特に沖繩本島におきましては手がつけられておりません。したがいまして、仕事のスケールといたしましては、個々のスケールは他地域におけるより非常に小そうございます。したがいまして、生産効果といたしまして確かに試験場内の圃場におきましては反十トン台のキビの収穫が現在ございますけれども、実際に営農されております状態では六トンないし七トン、こういう状態でございます。ただいま私どもの方は、本来、車が両輪で走るべきところを、水の問題が解決いたしませんので、片っ方の農道とか圃場整備とかいう形で仕事が進んでおるというのが、正直申し上げまして実情でございます。  そこで、休耕補償の問題も再々の問題でございますけれども、現在の状態で、沖繩ではサトウキビは多年性作物ということに事実上なっておりまして、確かにそこでの基盤整備を進めてまいります場合に、補償の問題というのは現地の皆さんがそういうお考えをなさるというのは、私どもとしてはよくわかる話であります。  いずれにいたしましても、土地改良事業の中でそういう休耕補償的なものを事業費の中に含むというのは、これは専門の実施官庁にお尋ねいただきたいと思うのでありますが、制度的にはかなりむずかしい話であるというふうに私ども理解いたしておりまして、とりあえずのいままでやっております対策といたしまして、先ほど申しましたように比較的局地の仕事が現在多うございますので、予算成立直後から仕事を始める。そういたしますと、植えつけまでの間に一応の仕事もまとまり、農民の皆さんに何年も仕事を休んでもらうということにならなくて済むということが一つ。それから、比較的仕事が労務費のウエートの高い仕事になっておりますので、現地でその方々雇用していただくという形で現在仕事をして、そういうことについて起こってくる問題をできるだけ軽減しよう、こういう形で仕事をいたしております。
  19. 上原康助

    上原委員 ですからそれは、農林省はきょう呼ばなかったのですが、きのうもいろいろお尋ねし、きょうまた大臣にもお会いをして、必要があればやるべきだと言い切っておられるわけですからね。開発庁が余り消極的な態度ではいけないわけですよ。現在の実情にはなじみませんよ、いまの構造改善事業というだけでは。  これは長官、さっきも基盤整備の問題で、構造改善事業をやっていく、第一次産業振興というのは、まさにそこにかかっていると思うのです。もちろん方針が決まれば、これは一年や二年ではできませんよ。五年計画とか、場合によっては十年計画も中期、長期でやらねばいけませんし、二万二千ヘクタールくらいのキビ作付面積は確保せぬと、操業そのものがストップしたら今度そこでまた失業が出るし、農民だって生産が全然ゼロというわけにはいきませんから。  しかし、いまの株出しの問題とかいろいろな面でローテーションをやっていけば、生産性向上という面、あるいは絶えず指摘されている労力を少なくしていく、収穫の場合だって作付の場合だって、合理化というのはそういう面の基盤整備していかない限りできないわけでしょう。その面でこの点は特に長官に要望しておきますが、せっかくそういう話が農林大臣から出、大蔵大臣ははっきりは言いませんでしたが、やはりよく検討さしてみましょうということで、価格の問題とも関連いたしますので、この際、閣内でもぜひひとつ強い決意でこの問題に当たっていただいて、第一次産業振興というものを積極的に進めていく。それは離島問題を含めて大きな経済的効果が作用していくわけです。はっきりしていく。この点について大臣の所信を承っておきたいと思うのです。
  20. 西村尚治

    西村国務大臣 圃場整備推進するための休耕補償、これはいま振興局長がお話ししましたように、なかなか容易ならぬ、むずかしい問題だと私も思います。思いますけれども、農林大臣がどういうふうに答弁いたしておりますか、しかし、これがないために構造改善が進まないということでもまた困るわけでございますので、ひとついろいろよく相談をして善処してまいりたいと思います。
  21. 上原康助

    上原委員 これをぜひ芽を出さしていただいて、私たちも県なり関係者ともう少し具体的に、どういう方向で推進をしていけば基盤整備が着実に進むのか検討していきますが、開発庁としては、五十二年度から始まる会計年度においてひとつ重要な課題として取り組んでいただきたい、改めて強く要望しておきたいと思います。  そこで、少しまた話を戻すのですが、そうしますと、振興開発計画につきましては、現在審議会で検討されているその答申を受けて全般的に見直しなり軌道修正をなさると思うのですが、そのときには目標とするその指標そのものまで変えていかれようとするのか、この点もひとつ政府のお考えを聞かしておいていただきたいと思います。
  22. 亀谷礼次

    亀谷政府委員 先ほど、大臣の御答弁並びに私から若干その点に触れてお答え申し上げたかと思いますが、近く取りまとめ、御報告をいただく予定にしております計画中期展望の中では、冒頭申し上げましたように、現在の十カ年計画の最終目標の指標との間においては、すべての点で完全な合一性を保つことは困難な面がある。特にその点については第二次産業中心に問題があるということは申し上げたとおりでございますが、さらに私、御答弁しましたように、現在の沖繩経済実情を踏まえ、今後の後期を展望した場合に、何といいましても計画の基本の目標自身に大きな誤りがあるということでございましたならば、これは基本的な手直しないしは指標の修正ということもあり得ようかと思いますけれども沖繩経済情勢を考えました場合は、それへの到達のための努力の難易度はあるにいたしましても、現在の計画の基本線を大幅に改定をしてこれを組みかえるということは、実情からいきまして必ずしも適当ではないのではないか。むしろ、より一歩でも、われわれが当初県と合意をしました現在の計画の基本線にのっとって、くどいようでございますが、一次、二次につきましても伸ばしていくという方向において具体的な細かい施策推進を図り、詰めを行うという方面に今後の努力を払うべきである。したがいまして、御答申をいただいてから、沖繩開発審議会で御議論があると思いますけれども、事務的な考えとしましては、恐らくその御報告によりましては、いまの計画を、指標を含めて抜本的に軌道修正をするということにはなるまい、こういうふうに考えているわけであります。
  23. 上原康助

    上原委員 その点は若干意見を異にしますが、私は、相当突っ込んだ軌道修正をやらないと、言葉は悪いかもしれませんが、絵に書いたもちで終わる可能性が十分あると思うのですね。ただ、ここは政府だけがおやりになるのではなくして、県の関係者の意向なども相当お聞きになった上で結論は出すと思いますので、私が指摘したこともひとつ十分、御配慮をいただける面があればやっていただきたいと思うのです。  それと、これと関連して、冒頭言いました最近の経済不況の問題なんですが、中小企業関係の倒産というのが非常に顕著になってきている。これなども当初から予測されてきたことではあるわけですね。せんだっても少し触れましたが、外因、内因、いろいろあるにしても、海洋博ということに余りにも効を強調されたがゆえに今日の事態を招いたと言っても過言ではないわけです。ホテル企業にしても、その他のサービス業にしても非常に困難な状態に置かれている。そこで、現在の資金制度なり手当てできる範囲で、開発金融公庫を通していろいろやっておられることもあるわけですが、私は、そこいらのことだけでは、どうしても中小企業の立て直しということは不可能じゃないかという感じがするわけですね。  時間もそうはありませんので、余り間違っていないと思うのですが、私の方で少し企業倒産の例を見ましても——まず政府は、この企業倒産の実態をどう掌握しているか、その点、おわかりでしたら明らかにしてください。
  24. 亀谷礼次

    亀谷政府委員 私、いま手元に細かい計数を持ち合わせておりませんので、間違っておりましたら訂正させていただきますが、先生指摘のように、海洋博が終わりました直後からかなり大型のいわゆる債務の履行不能、具体的に言いますと手形の不渡りあるいは倒産、ないしは那覇の地方裁判所当局に対する会社更生法の適用の申請、相当の件数と金額が出ております。概数的に、私の理解が間違ってないとしますと、昨年の同期間に比べまして約倍に近い金額あるいは大型の企業の経営の不況と申しますか、そういった実態が出ておるというふうに理解をしております。  細かいところは、ちょっと失礼させていただきたいと思います。
  25. 上原康助

    上原委員 資料が全然ないわけじゃない、いま手元にないということですから、ぜひ実態を十分おつかみになってやっていただきたいと思いますね。  これは現地でいろいろ調査した数字のようですが、四十七年にざっと五件の倒産があって十六億一千二百万、四十八年は海洋博ブームの年ですから、比較的少ないですね、三件で五億九千一百万円。しかし、このときは負債額はその前の年よりも多くなってきている。四十九年が十五件、三十一億七千万、五十年が九十一件、百七十四億一千九百七十万、五十一年はおっしゃるとおり九月現在ですでに百十二件、負債額は百七十七億五千九百万に達している。現在、月に十二件の割りで中小企業が倒産をしているという状態なんですね。しかも、その中にせんだって問題になりました琉球海運が入っている。これは表に出て、会社更生法に基づいて裁判所などに再建の申請をしたものなどが大体調査の対象として公にされているわけですね。実際はこれの倍ぐらい、あるいは倍近い中小企業が倒産をしているのじゃなかろうかということなんです。これだけばたばた倒れますと、その企業だけの問題ではなくして、そこで働いておった雇用員その他への経済波及というものは非常に深刻なんですね。この点については、いま政府も新たな景気浮揚対策をとるべきかとるまいか、国全体の不況の克服がどうもなかなかうまくいかぬということで、閣議でもいろいろ検討されたようですが、長官、少なくとも沖繩の場合は、復帰ショックあるいは海洋博に対する過大な宣伝なり、政府みずからが宿泊施設の増設ということで誘導されて無理をして過剰な投資が重なって、今日の不況と相まって、もうどうにも首が回らないということになっているわけですね。そういう意味では、全国的なマクロで沖繩経済を見るのでなくして、沖繩の場合に、そこまで追い込まれている実情ということに対して、開発庁なり県はもっと十分実態をつかんでいただいて、特別対策のてこ入れというものが必要だと思うのです。そうでもしない限り、現在の縦割りの金融制度の手当てだけではどうにもならないのじゃなかろうか。この点、ぜひひとつ実態をつかんでやっていただきたい。これが、沖繩に対しての復帰特別措置の問題なりその他政府でやってもらったという結論にならなければいけないと思うのです。そのお考えはもちろんおありと思いますが、やっていただけますね。
  26. 西村尚治

    西村国務大臣 沖繩中小企業対策、これは先生承知のように、復帰後四年半、特別措置法によりまして税制面、金融面でいろいろ優遇措置を講じてあるわけでございますけれども、最近の相次ぐ倒産、経営不振に対しましては、開発庁としましても現地とよく連絡をとりながら、実情を把握しながら、金融措置といたしましては、すでに貸し出してある分の償還期限が来ましたものを大分延ばしておりますとか、それから新しく転換をするものだとかいうようなものについては相当無理なものでも融資をあっせんするとか、そのほかいろいろ細かく気を使って配慮しておるわけでございまして、何とかひとつきめの細かい施策をして救済したいということで努力をしておるわけでありますが、細かい点、もしあれでしたら局長の方から説明をさせたいと思います。
  27. 上原康助

    上原委員 ですから、そういった特別措置法に基づいて税制面あるいはその他優遇といいますか、というよりも、復帰との関連で本土の制度になじんでいく過程をなだらかにしていくというのが復帰特別措置法のそもそものできた経緯なんですね、御承知のように。急カーブにしない、なだらかに制度にならしていって本土並みに持っていくんだ。しかし、先ほどから議論いたしておりますように、この五年間の経済変動というものが、余りにも外圧も大きくあったがゆえに思うようにいかなくて、特別措置法の延長というものもいま強く出されているわけでしょう、二十三項目でしたか。これは当然それなりの立場で延長措置を講じていただく方向でいま進んでいると聞いていますが、やっていただきたいと思うのですが、そういうこれまでの既存の特別措置なり、あるいは既存の制度だけではいま出ている中小企業の倒産なり県経済全体の不況の克服というものはむずかしいんじゃなかろうか。また、日本全体が不況にあるから経済浮揚策を何かやらなければいけない、あくまでその範囲内でしか復帰後は見られていないわけですね。したがって、もちろんその範囲で事足りるならそれでいいわけですが、事足りない場合があるとすれば、やはり開発庁としてはそれなりの特別な融資なり資金的な面を含めて措置を講じなければいけないのじゃないですか。そのことはよく御相談をしていただいて長官の方でやっていただきたい、それを私は申し上げているわけです。
  28. 西村尚治

    西村国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。なかなか一挙に実効の上がる起死回生策があるわけではございませんけれども、いろんな施策を積み上げて期待に沿っていかなければいかぬ、かように考えておるわけであります。  その一つとしまして、すでに先生のお耳にも入っておるかもしれませんけれども振興開発金融公庫ですね、ここはいま融資しかしておりませんけれども地場産業などにひとつこの公庫として出資できるようなこと、そして地場産業の力を増強するような方法は講じられないものかということで、これは法律改正が要るわけですけれども、そういう機能も持たせようということでいま検討も進めておるわけでございます。  そのほか補足して申し上げることがあれば、また局長の方からも申し上げさせますが、先生の方からも地元の先生としていろいろいい知恵がありますれば、どんどんひとつお聞かせ願いまして、いろんな手を打っていきたい、かように考えておる次第でございます。
  29. 上原康助

    上原委員 開発金融公庫法は改正するんですか。
  30. 亀谷礼次

    亀谷政府委員 ただいま大臣から御答弁がございましたように、昭和五十二年度の概算要求に際しまして、開発庁としましては、現在の開発金融公庫が、設立以来、融資の面では大いに見るべき実績を上げてきたと私ども理解をしておりますが、沖繩経済の現況にかんがみまして、沖繩経済実態からしますと、どうしても政策的な出資のてこ入れによりまして、地元のいわゆる出資の刺激効果を誘発し、かつ長期的な安定的会社の経営が図られるということで、新しい産業が興り、これによって労働雇用効果の醸成も促すという意味も加えまして、明年度の予算の編成に当たりまして、現在、予算当局に出資のための原資の要求をいたしておるところでございます。一応もしめどがつくとしましたならば、当然これは開発金融公庫の組織権能の変更になりますので、めどがつきましたときには当然公庫法の改正、こういうことになろうかと考えております。
  31. 上原康助

    上原委員 それは具体的なことが出てこないとちょっと議論するわけにはまいりませんが、この振興開発金融公庫法の改正と関連があると私は見ているわけですが、確かに生活環境の整備とか産業基盤整備及び地場産業育成を図る意味での出資まで含めた公庫の運営というものがある意味で必要だと思うのですね。これはきょう議論しようとは思わなかったのですが、いま出ましたので……。しかし、その中にCTS関係に対する融資額が多分に含まれている。過大といいますか、相当含まれている。そうしますと、やはり政府が出資をしたい、融資をしたいという、パイプの太く金の流れていくというのは、そういう産業であっては実際問題は困るわけですね。われわれが言っているのは、もっと本来の地場産業が成り立っていく、育成されていく、そのことが沖繩経済開発なり振興には一番必要なんですね。その点は十分お考えの上でこの法律の改正というものはやろうとしておられるのか、その点だけはきょうぜひ考え方を明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  32. 亀谷礼次

    亀谷政府委員 御案内のように、沖繩CTSの問題につきましては、復帰現地においていろいろ経緯があるわけでございますが、先生案内のように、今年の春、前屋良知事の時期だと思いますが、CTSの設置につきまして最終的に県当局では消防法上の設置許可をされたやに伺っております。  私どもとしましては、公庫の融資対象の中が、先生案内のように、農林水産はもちろん、中小企業、環境保健、その他本土のあらゆる政府融資機関を網羅しておるのでございまして、当然電力その他、本土におきますところの開発銀行のような融資機能もあわせ持っておるわけであります。したがいまして、沖繩CTSにつきましてはいろいろ御議論はあろうかと思いますけれども、いわば一面において石油備蓄政策という問題もございますし、かたがた、先ほど申し上げましたように、県も最終的にそういう方針に踏み切られたということもございますので、明年度におきましてはその設置のための所要資金を予算の資金計画要求に入れておることは、御指摘のとおり事実でございます。  しかしながら、明年度の資金枠の編成上の開発庁の考えとしましては、そういう産業開発の問題のために他の一般の中小企業融資あるいは住宅資金、あるいはまた農林漁業資金につきまして大きく融資枠が圧迫されるということは毛頭考えておりませんので、明年度の予算枠におきましては、それぞれ所要資金を必要にして十分なだけ予算要求をしておるつもりでございます。
  33. 上原康助

    上原委員 そこで、それはまたいずれもっとお尋ねすることもあると思いますので、さきの長官沖繩実態把握の中で、地籍が非常に不明で、その確定が急務だということをおっしゃいましたね。そこで、この点についてぜひ長官にお尋ねしておきたいのです。  御承知のように、すでに防衛施設庁が新しい基地確保法案とも言うべき法律案をいま国会提出をしているわけですね。私たちはそれに非常に不満を持っておりますし、あくまでそういう沖繩地域だけに適用する、憲法にも抵触するであろうと思われる法律の制定はまかりならぬということで今日まで申し上げてきたのですが、なかなか聞き入れていただけそうにもありません。しかし、これは非常な問題を含んでいるということだけは指摘できると思いますので、恐らく今国会でも無理でしょう。  そこで、地籍の不明を確定していかなければいかぬということを強く現地でも要望を受けたと思うのですが、沖繩県は、沖繩県における境界不明地域に係る地籍明確化のための土地調査に関する法律、これは仮称ですが、これを要綱をつくって明らかにしたわけです。これは県知事が専門家に諮問をしてその答申がまとまって、法律専門家も入っていただいて、しかも法律専門家といっても、単に一方的に偏った専門家ではなくして、実に沖繩の弁護士会の方々中心になって、せんだってまとめた。やはり防衛施設庁が中心になってやるのではなくして、開発庁が主体になって沖繩地籍不明の土地、軍用地を含めてやるべきだというのが現地の強い要求なのです。このことについて長官はどうお考えになっているのか。あくまで防衛施設庁が出した法案で、果たして地籍の確定が十分にできて、振興開発なりあるいは地主、関係者の不満がなくなっていくというふうにお考えなのか、この点、開発庁としての態度をこの際明確にしておいていただきたいと思うのです。
  34. 西村尚治

    西村国務大臣 沖繩県の方が用意しておりますというその法案、実はまだ具体的に聞いておりません。先般、知事がいらしたときに、そういうものを用意しておるということを抽象的に聞いただけです。具体案をまだ拝見していないのでありますけれども開発庁としましては、復帰前に返還されました非軍用地、これにつきましてはいま開発庁が鋭意明確化を進めております。御承知のように、西原村などでは大体集団和解方式で実績が上がってきておるわけであります。この間、私、沖繩市へ行ってみました。沖繩市地区の高原というところでも、いま一生懸命地元の方々と相談しながら、これも恐らく集団和解方式によらざるを得ないと思いますけれども、やって、ここでも成果が上がることを期待しておるわけでございますが、開発庁は開発庁としてそういうことでやっております。  一方、防衛施設庁の方でやっておりまするそれ以外の軍用地、また復帰後返還される非軍用地、これにつきましては、どうもやはり返還後の復元補償の問題というようなものもあるわけでございまして、復元補償ということになりますと、やはり防衛施設庁の経費でやってもらわなければいけない、そういうこともございますし、軍用地にどうも開発庁の方が踏み込んでいって地籍明確化をどうのこうのということはいろいろな面で無理があるような気も実はいたしておりますので、私は先般防衛庁の方から提案されましたあの法案につきましては、いろいろ開発庁としての注文はつけております。できるだけ基地は少なく、縮小を促進してもらいたいということと、それから同時に、地籍明確化は防衛施設庁としても鋭意とり進めてもらいたい、こういったことで防衛庁の万に要請を強くしておるわけでございますが、どうもその具体案を見ませんから、まだ何とも申し上げられませんけれども、私はいまの方式でいくよりほかはないのではないか、そういう気がいたしておる次第でございます。
  35. 上原康助

    上原委員 県が出した段階で十分検討いただいて、その集約された案というのは尊重いたしますね。
  36. 西村尚治

    西村国務大臣 よくそれを拝見しまして、取り入れられるものは取り入れてみたいと思いますけれども、どちらにしましてもまだ見ないものですから何ともこの段階で申し上げられませんけれども、見た上でのことにさせていただきたいと思います。
  37. 上原康助

    上原委員 そんなはれものにでもさわるような、余り見たくないような言い分じゃだめなんです。もっと早目に、私さえ見ているのに、長官ともあろう方が、この間行かれてまだ見ていないというのはおかしいんじゃないですか。それはともかくとして、これは振興開発計画とも十分関連してくる重要な点が含まれているという点は御認識の上でひとつ対処していただきたいと思います。  そこで、せっかく防衛施設庁がいらしていますので、あと一、二点だけ、この法案のことは来年あたり議論しますから別にして、施設部長に簡単にお尋ねしたい。  各市町村が、市町村の下水道とかあるいは水道とかの事業を進めていく場合に、基地内での工事というものが非常に時間がかかる。また、場合によっては不許可になったり、なかなか思うようにいかない面があるわけです。宜野湾市の場合だって何回か指摘しました。このことについてはもっと迅速に処理するようにひとつやっていただきたい。現在そういう件数は幾らくらいあるのか。また、施設庁としては、一つの例として宜野湾市の下水道問題、あるいはあの問題になっているPOLパイプとの関連における工事の推進というものにどう対処しておられるのか、この際この公の場で明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  38. 銅崎富司

    銅崎政府委員 提供施設内に配水管なり下水道をつくるということで、市町村からいろいろな申請が出てまいっておるわけですが、復帰直後におきましては、現地の米軍がその米軍の権限で許可をやっておりました関係で、米軍施設内を通るのは支障がないという場合には比較的早く処理ができたわけでございます。ところが、いろいろやはり地位協定にきちんと基づいて所要の手続をとってやるようにということで、在日米軍司令部の方から現地米軍の方にも指示がいっておりまして、そういうことで所要の手続をとるために従来よりはおくれておることは確かでございます。したがいまして、私どもとしましては、申請が出てきた段階でできるだけ早く処理するように軍の方にも申しておりますし、工事は期限が限られておる場合が多うございますので、それに間に合うようにということで努力はしておるわけでございます。ですから、今後出てまいりました場合には早急に処理したいということでやっております。  何件かということでございますが、ちょっと記憶がはっきりしないのですけれども……(上原委員「宜野湾はどうなっているか」と呼ぶ)宜野湾はいまやっております。早く許可がおりるように現在米軍と折衝いたしておりますから、近く許可がおりるようになるというふうに御承知おきいただきたいと思います。
  39. 上原康助

    上原委員 いまやっているというが、三月ごろからいまやっている、やっているということで、半カ年も越しているのです。こんなことはやらないで、あんな悪い法律をつくるために頭を突っ込むからこういうのがおくれるのです。そういうのを早目にやってください。  それから、労務部長に一言お尋ねしておきますが、昨日、内閣委員会で公務員の給与関係法案が一応処理されまして、明日の本会議で恐らく処理されて参議院に送られると思うのです。そうしますと、駐留軍関係の賃金も早目に解決をしなければいけないわけですね、公務員と同時同率というようなたてまえを踏まえて。現在、米側との交渉状況なり今後の見通しは一体どうなっているのか。私はもう何回も言うように、どんなに遅くても年内には駐留軍関係の賃金も今回は確定を見なければいかぬ。それまでにはやるべきこともいろいろあると思うのですが、その見通しは立っているのかどうか。お尋ねをする機会も、この国会ではもうほとんどないような感じもしますので、お聞かせをいただきたいと思います。
  40. 古賀速雄

    ○古賀政府委員 お答え申し上げます。  上原先生もう十分御存じだと思いますけれども、駐留軍従業員の給与改定につきましては、ここ二年ばかり、米軍側の労務費の増高ということから、これが労働条件の引き下げということと絡みまして、大変そのために引きずられまして、給与改定がおっしゃいますように国家公務員の時期より相当おくれておるというのがいままでの経緯でございます。これに私どもとしてはこりまして、こういうことがあってはならないというので、そのような米軍の言っております労働条件等の問題は、日米間の基本問題として合同委員会に上げて、そこで検討してもらいたいということで、私どもとしては、現在米軍と施設庁の担当者の間でこの七月から基本問題の検討を続けておりまして、この三カ月の間に十七回ほどの検討会を経ております。したがいまして、米軍が従来引き合いに出しております労働条件等の問題はその場でやるということにいたしまして、したがって今年度の給与改定はこれに絡ませないようにというふうな配慮で私どもやっておりますので、今回の給与改定につきましては昨年、一昨年のように公務員の改定の時期からはなはだしくおくれるということの絶対ないように、私どもとしてはそういう決意で臨んでおります。
  41. 上原康助

    上原委員 ぜひこれも早急に解決するようにしていただきたいと思います。  そこで、大分安井先生の時間に食い込んでしまったので、最後に長官に。  冒頭申し上げましたように、復帰して五年目に入って、いろいろ中小企業の倒産とかその他経済的な行き詰まりといいますか、不況が非常に重なって、沖繩県民生活というものが、ある面では復帰前よりも不安と将来に対する希望が持てない状況に置かれているわけですね。これを克服していくのには、もちろんわれわれ県民自体も、私たち県出身者も鋭意努力をしなければいかぬということは自覚しておりますが、何といったってそういう状況に置かれた歴史的な要因があるわけですから、その面では政府は、政治的にも道義的にも責任を感じていただかなければいかぬということを私は絶えず強調しているわけです。特に最近の琉球海運の倒産などは、大手の地場産業、海運企業であっただけに県民に非常なショックを与えた。この問題を含めていま地裁でいろいろ検討されているようですが、先ほど言いましたような経済不況立て直しをやっていただくためにぜひ万全の措置をとっていただきたい。このことに対する長官の新たな決意等をひとつ伺って、私の質問を終えたいと思うのです。
  42. 西村尚治

    西村国務大臣 開発庁ができておりますそもそもの趣旨が、沖繩県民方々、大変お気の毒だった、早く本土並みにいろんな面を引き上げて、民生の安定、経済の復興を図らなければいかぬ、そういう趣旨にあるわけでありますので、私どもそれにのっとりまして、最近、海洋博の後に冷え込みということで特にいろいろ心配な点が重なっておりますけれども、早くこれを克服して所期の成果が上げられるよう、この上とも開発庁挙げて、また関係各省の極力協力を得ながら全力を傾けて対処してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  43. 松本忠助

    松本委員長 次、安井吉典君。
  44. 安井吉典

    安井委員 あと二十分ぐらい残っていますから、その間で若干のお尋ねをしていきたいと思います。大体上原議員が一わたり問題の提起をされておりますので、むしろ関連のような質問になるかと思うのです。  まず、沖繩振興開発計画の洗い直し作業は進んで、近く審議会答申を得る段階だというさっき御説明があったわけですが、その答申はいまある計画全体について、あの全貌を新しいものと後半部分を全部取りかえるという、そういうふうな答申の中身になるんですか、答申が出ない段階で伺うのも何ですけれども、いまの段階から言えばお見通しということになりましょうか、その点伺います。
  45. 亀谷礼次

    亀谷政府委員 上原先生の御質問にも大臣並びに私からもお答えした点と重複するかと思いますが、先ほどもお答えいたしましたように、この中期展望につきましては四十九年の十二月に振興開発審議会で検討することが決定されまして以来、当審議会の総合部会のもとに専門委員会を置きまして延べ十三回の検討を重ねてきたところでございますが、一応この十月六日に専門委員会から総合部会に報告がありまして、現在御案内のとおり部会で検討中でございます。  近く報告があることになっておりますが、私ども承知しておりますところでは、ただいま先生のお尋ねの点でございますが、専門委員会におきましては振興開発計画目標、基本方向等につきましては、先ほども触れましたように、現段階で改定を加える必要はないのではないか。むしろ後期五年についても引き続き所期の目標は、できるだけ最善の努力を傾けて、達成の方向で努力することが相当であろうという方向で討論が集約されるというふうに伺っておるところでございます。
  46. 安井吉典

    安井委員 国土庁が中心で作業している全国総合開発計画の第三次分いわゆる三全総は、本来九月策定をして、十月ごろ発表するという初めの目標であったのが、長期経済見通しの確定などに手間取って、結局国土庁は来年度に持ち越してしまったというふうに聞いているわけですが、それとの絡みはどうなんですか。全く無関係に進めていくというのか、三全総の中にそれを前もって押し込んでいくというのか、そういうふうな見通しについて、これを伺います。
  47. 亀谷礼次

    亀谷政府委員 先生指摘のとおりまだ目下国土庁におきましては三全総の取りまとめの最中でございまして、私どももいずれ近く取りまとめが行われると理解をしておりますが、私どもの現在の沖繩振興十カ年計画も、決定の当初におきましては、いわゆる全国総合開発計画との調整をいたしまして策定されたものでございます。したがいまして、近く決定を見ると言われております三全総との問題は当然あるわけでございますが、われわれはいまの計画を後期五年においても特に指標としてこれを大きく修正をすることなく、目標としてなお掲げつつ、きめの細かい施策を今後五年に織り込むという方針を立てるというふうに御答申をいただくというふうに伺っておるのでございますが、そういたしますと、近い将来国の三全総が最終決定を見ますまでには関係方面との協議も当然ございますので、現時点における沖繩経済状況と後期五年の見通しを踏まえた上で、なお全国的ないわゆる三全総の中に所要の調整を加えつつ織り込んでいただく、こういうことにたてまえとしてはなろうか、こういうふうに考えております。
  48. 安井吉典

    安井委員 昔、この委員会でやりとりを私、当時の長官とやったときに、三全総との関係を伺いましたら、いや三全総の方針が決まってから作業を始めるという御答弁があったわけです。ですから、私はそのときに、それはあべこべなんであって、全国的な計画ができて、その中に全国的な見通しの中で沖繩が位置づけられるというよりも、まず沖繩県民自身の諸要求が盛り込まれた基礎的な計画ができて、その計画を全国計画の中にきちっと入れ込みなさい、それが本当の沖繩のための振興になり、開発になる道なんだということを主張した覚えがあります。その主張からすれば、相当決意でお取り組みのようなんですが、ただその中身をよく見なければわかりませんけれども、作業の進め方としてはそれの方が私は筋が通っているように思うのですが、どうなんですか。また、政府計画なるものは、いままでいろいろな総合計画を発表したけれども、そのとおりいったためしがないのですよ。そのときだけは華々しく打ち上げて新聞もわあっと書くのですが、最後の結果についてはもうしり切れトンボで終わっていくというのが大部分であります。ですから、沖繩復帰当時につくった振興計画もいまじゃ全くほごになってしまっている、こういうわけなんですが、この議論は、出されたその答申というものを見てからということになると思うのですが、沖繩県民の気持ちや自治体の物の考え方等がきちっと織り込まれているんだとすれば、そのことを三全総の中にしっかり全国的な規模から、たとえ問題があっても、そのものはびしっと入れていくんだという決意で臨まれなければならぬと思うわけでありますが、長官どうですか。
  49. 西村尚治

    西村国務大臣 この見廃し作業の結論が、きょう現地で何か発表されるようでございます。その結果をも見なければ何とも言えません。大きくこれが変わっておるようですと、先生指摘のように、三全総の中にやはり取り入れて全体として抱え込んでいく、全体の方向づけということでやってもらわなければいかぬと思います。どの程度のものが出ますか、それを見た上のことだと思いますが、しかし方向としてはおっしゃるとおりだと思います。
  50. 安井吉典

    安井委員 もう一つ復帰に伴う沖繩のいろいろな特別措置についての立法措置が、来年五月の十四日で期限の切れるものがたくさんあるわけです。その延長の問題について政府部内でずっと作業が行われていると聞いていますが、これは各省にまたがっているわけですけれども、最終的には開発庁がまとめられるのだろうと思うのですが、現段階における作業状況をちょっと御説明願いたい。
  51. 亀谷礼次

    亀谷政府委員 先生指摘のように、復帰特別措置の見直しの問題につきましては、すでに昨年来地元におきましては、沖繩県を初め経済界、諸団体から各方面にわたる延長を含めんといたします要請が出ておるわけでございます。私どもは、県から二十三項目の御要請がございましたけれども開発庁独自の判断で、その他関係のあります項目を拾いまして、特にその中で重要な問題と考えられております三十五項目につきましてこれを取り上げまして、関係の方面とも相談いたしておりまして、できるだけ早い機会にこれの取りまとめをいたしたいと思っております。  先生も御指摘のように、復帰後五年、沖繩経済状況も必ずしも楽観を許さない状況でございますので、復帰のときの暫定特例という制度の趣旨を踏まえながら、なお現在の沖繩経済実態に照らしまして、将来の方向を踏まえた上で、なおかつ相当程度の延長がさらに必要であるというものにつきましては、鋭意関係方面とも折衝いたしまして、そういう方向で取りまとめをいたしたい、こういうふうに考えております。  大きく分けまして、この復帰特別措置の内容としては、具体的に延長のための予算を伴うような種類、それから予算とは一応関係ございませんけれども、国庫の歳入としては関係が出るわけですが、税制あるいは関税というふうないおば税制関係特別措置、それから、もう一グループとしましては、財政、行政、金融にみな関係のある面がございますが、いわゆる行政措置といいますか、一応行政の具体的な問題として取り運ばれておる措置、この大きなグループに分かれるかと思いますが、先生も御案内のように、予算を伴う関連について言いますと、たとえば沖繩開発庁が所管しておりますいわゆる含みつ糖、黒砂糖、この振興策、あるいは文部省が所管をしておりますいわゆる学校給食の物資の無償供与の問題、あるいはまた、文部省のこれまた所管でございますが、現地沖繩先生方本土への教職員の研修派遣、こういった復帰のときの特別対策で残されておる予算措置の問題がございますが、こういうものはいずれも関係省庁と相談をしまして、延長するという方向でいま概算要求をしておるところでございます。  そのほかの税制、関税の問題は、先生も御案内のように、予算の編成される直前までには大蔵当局で税制審議会ないし関税審議会も開かれるわけでございますので、中小企業対策を初めもろもろの現地からの御要望のありますものを内部的にいま詰めておりまして、関係の行政機関とも相談の上で、必要なものについては、先ほどもお答えしましたように、取りまとめをしてできるだけそういう方向で処理をするという考えで、目下詰めておる最中でございます。
  52. 安井吉典

    安井委員 この法律案の提出はいつごろになる見通しですか。というのは、復帰のときのいろいろな特別措置の方は今度の国会に法案も出ないが、基地の土地取り上げの法律の方は前の国会から早く出そう出そうと言うし、今度の国会にはすでに提案されている。県民の土地の取り上げの方は政府は早く出すが、県民の利益を守る方はまだまだいつ提案されるのかわからないという状況にあるわけです。いずれも期限は五月十四日、それはどうなんですか。
  53. 亀谷礼次

    亀谷政府委員 先ほどの御質問でもお答え申し上げたかとは思いますけれども、この復帰特別措置法という法律は、先生案内のとおり、相当膨大な行政上、税財政上の措置が含まれておる復帰特別措置法でございまして、いわば復帰の際、関係省庁が全部網羅をいたしまして、省別にこのいわゆる復帰特別措置法の中で暫定特例を決めたのでございますが、中ではいま私が申し上げましたように、直接この五年というふうな期限を明定しまして法律事項になっておるものがございます。これは具体的に言いますと、先ほど言いました税制、関税、いわゆる税制関係でございます。その他の特別措置の相当部分はいわゆる政令事項でございまして、政府として基本の方針が決まりましたならば、立法改正を要しないという部門がかなりございます。ただ、いま申し上げましたように、繰り返しになりますが、税制及び関税の問題につきましては、仮にその中の所要のものを延ばすということになりますと、どうしても法律改正を要するわけでございます。したがいまして、先ほども触れましたように、大蔵を中心に、この年末までにいま言いました税制、関税は、これは本土の一般の問題もございますから、そういった一括の処理の過程の中で、もちろんわれわれはそれから取りこぼす、審議未了といいますか、検討もしないでそのままが取り残されるということは当然考えませんで、その段階にはすべて必要なものについての措置が遺漏のないようにはしたいということで考えておる次第でございます。
  54. 安井吉典

    安井委員 政府部内のいろいろな意見調整の中で出ている話だということを漏れ聞くわけでありますが、特例措置は、本土よりも沖繩県について住民にいろいろな利益を約束する中身になっています。それに対して、無条件にそういうものを延長する中で、沖繩の人たちにもつと苦労してもらった方がかえっていい場合もあるので、無条件延長というのは沖繩の自立をおくらせるようなマイナスの要素もあるので、もっと検討をすべきだという、そういう趣旨からの意見もあるというような話を漏れ聞くわけです。本当かうそかわかりませんけれども、そういうふうな議論があるのだとすれば、それが法律の立案作業をおくらせているのだとすれば、私は大分問題があると思うのですが、それはどうですか。
  55. 亀谷礼次

    亀谷政府委員 先生特別措置法の見直しに対します一つの御情報と申しますか、御質問でございますが、私どもは現在関係方面と鋭意調整といいますか、取りまとめ中でございまして、私、寡聞にしまして、そういう意味における御批判を具体的には各省からは伺っておらないのでございますが、いわば復帰特別措置は先生も御案内のように、復帰の時点における沖繩経済社会の制度の激変を緩和し、沖繩経済及び行政組織上、いろいろな問題のひずみが、急激には影響をデメリットには受けないようにするという趣旨でできたものでございますので、暫定であるということは事実でございます。  したがいまして、今回これを見直すということになりますと、今後の延長という問題は、いわば暫定特例ということではなしに、今後のいわゆるそういった経済情勢その他を見た上で長期的にどう考えるかという問題にも関連をするわけでございまして、そういう意味でいろいろと御意見が出るということは当然予想しておるところでございますが、われわれの取り組みとしましては、いま申しましたように、沖繩の現在の経済情勢等を十分踏まえまして、必要なものについては鋭意前向きに取り組むという姿勢は変わっていないと思っておるところでございます。
  56. 安井吉典

    安井委員 総務局長はそんな意見がないというのか、少なくも聞いてないというようなお話なんですけれども、「サンデーおきなわ」、今週の日本沖繩支局、これは政府の宣伝機関紙ですね。この中にはっきり書いてありますね。「振興計画含め洗い直し」「自立をめざす“特別措置”に」、これはいいんですよ。非常に積極的な行き方でいいんだが、中身を読んでみると、余り甘やかせてはいけないのでという、そういう趣旨の意見があるのでと、そういう前提で書かれているんですね。総務局長はお聞きになってないのかもしらぬが、そういうふうなことで政府部内が、たとえば税金などを沖繩だけ特別に安くしてやる必要なんかないじゃないか、そんなことするから沖繩はなかなか立ち上がれないんだと、そういう気持ちで問題に臨んでいるとすれば、私は大きな過ちを犯すおそれがあるということを一つ指摘しておきたいわけであります。  先ほども長官上原委員とのやりとりの中でいろいろ問題がございましたけれども、なるほどずいぶんいろいろなことを政府沖繩にやってやったというおつもりかもしらぬが、そのうちの一番大きな問題はやはり海洋博だったろう。しかし、その海洋博も、この間大臣行ってごらんになっておわかりのように、物価をどんどんつり上げたり、あるいは鳴り物入りでやったにかかわらず、非常に多い失業者を吸収するというふうな役割りを果たすことができなかった。その他多くのマイナスもあるわけですね。それからまた、何を言いましても膨大な基地の存在、それが沖繩における大きな産業転換が期待されているにもかかわらず、それを不可能にしている一番大きな要素であろうと思います。  ですから、そういう中でやはり本土と違っていろいろな特例措置が、復帰後の五年は経過したかもしらぬが、いまでも要るんだということに私はなるのではないかと思います。基地は全く減ってないんですよね。それが同じ状況にある限りにおいては、それはそれ、これはこれ、別の問題に間違いありませんけれども沖繩経済の非常に大きなネックであることは間違いないわけですね。ですから、そういうことを踏まえて、きょうは時間がありませんので、沖繩の今後の振興開発計画の問題なり、あるいは復帰特別措置法への取り組みなり、そういうような問題について、きょうは御就任後最初の機会でありますので、大臣からそれらについての御決意を伺って、終わりたいと思います。
  57. 西村尚治

    西村国務大臣 復帰特別措置の関係につきましては、ただいま総務局長からお話ししたとおりでございますが、もともとこれは戦後本土復帰して、県民生活あるいは経済情勢に余り大きなショックを与えてはいけない、そういう緩和剤、暫定措置ということで設けられたわけでございます。ところが、五年たってみましても、依然として本土との間にいろいろな面でまだ違っておる面がある。これを一挙に本土ということは、具体的に見てみますると無理な面がやはり多々あるように見受けるのです。三十数項目のものにわたりまして、いろいろ現地から延長方の申請が出てきております。それをいま個々具体的に検討を進めておる最中でございますが、いま先生が御指摘なさいましたような、こういうものをいつまでも続けては県民のためにならぬといったような、そういうふうなことは私も実は聞いておりません。しかし、全部が全部、これは存続できるとは思っておりません。できないかもしれませんけれども、必要なものについては、本当に前向きでひとつ誠心誠意検討を進めていきたいと思っております。  それから、今後の振興開発の取り組み万についてでございますけれども、先ほど上原先生に申し上げましたとおり、十年で本土並みにする、あらゆる面で本土との格差をなくする、そういうことが振興開発計画の基本目標になっておるわけでありますので、その目標を達成する、所期の成果が上げられるように一いろいろこれはネックもございます。現実に今日までの五年間の経過を見まして、いろいろ反省される面もありますし、ネックもあるわけでありますけれども、そういった実態を踏まえながら今後五年間、後の五年間に十分成果が上げられるように、万難を排してひとつ善処していきたい、かように考えておる次第でございます。
  58. 松本忠助

  59. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私、最初に沖繩の伝統芸能劇場の建設の問題について、長官の御意見を承りたいと思います。  長官、新しく長官になられてまだ間もないので、沖繩の古典舞踊を見られたことはないかもしれませんが、沖繩の組踊ですね、あれは無形文化財に指定されて、ちょうど指定されたのが復帰の時点でありましたが、文楽と同じように無形文化財になっております。  ところで、沖繩の芸能人は他府県に比べて非常に多くて一万五千人に達しておる。しかし、現状は練習場すらない。十坪ぐらいの練習場があればいい方だ。大道具、小道具を置く場所すらない。「執心鐘入」というのがあるのですが、あれの鐘を十数万円かけてつくりますけれども、こういったものを保管する場所すらないということです。現在は組踊保存会というのができまして、後継者養成の予算が組まれております。  ところで、いま申し上げましたような状態でありますから、そういった伝統芸能に関係ある人々の声は、一貫して、劇場をつくってほしい。もちろん国立劇場となりますとむずかしいわけなんで、国が補助をして劇場をつくってほしい。この点につきましては、昨年の五月二十二日、沖特委で植木長官にも要求しましたら、前向きに検討して、できるように、いわゆる劇場建設調査費といったような形で組みたいと言っておりましたが、文化庁長官に聞きましたら、県から何の要請もないとちょっと予算化しにくいということでした。これは県のそういった関係者が非常に要求しておる問題であり、この組踊というのは沖繩の宝であるだけじゃなしに国民的な宝であるという点では植木長官も一致して発言されましたが、この前、平良知事に会ったときに、ことし、五十二年度予算にそういった伝統芸能劇場建設のための調査費を芽を出してほしいということを要請すると言っておりました。もし、この要請が具体的に来ましたら、長官の方で前向きに検討されて劇場建設の調査費を今度の予算にぜひ計上してもらいたいということなんです。これはひとつ長官お答え願いたいと思います。
  60. 西村尚治

    西村国務大臣 沖繩県の伝統芸能、組踊を初めとしましてまことにすばらしいことだと私ども考えております。これらの保存育成はきわめて大事なことでございます。これはおっしゃるとおりでございますが、この保存育成のための劇場の建設なりあるいは保存場所あるいはけいこ場所、そういうものの建設費、どういうように建てるか、どこに建てるか、どれくらいの規模にするか、そういったことについての調査費という先生のいまの御趣旨だと思いますけれども事務当局の方では、昨年先生の御指摘もあったからでございましょう、文化庁の方とも相談をしてみたのだそうですけれども、県の方からまだそういう五十二年度にということで要望が上がってきてない。よく聞いてみますと、あれは先生の方がよく御承知ですけれども、流派だとかなんとかいろいろあるのだそうでございますね。そういう関係で、けいこ場なども流派によってしつらえ方がいろいろ違うということもあるのでございましょう、県の方でももう少しよく検討してみるから、その上にしてくれということになっておるんだそうでございまして、そういうことで五十二年度の概算要求には間に合わなかったということでございます。  いずれにしましても、御指摘の点、国立劇場ということにまではあるいはできないかもしれません。調査費ぐらいは早くつけるようにという気持ちはありますけれども、よく県の方、文化庁の方とも相談をしてみなければと思っておる次第でございます。
  61. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この件は、実は知事に会ったのはおとといなんですが、いま長官がおっしゃるように、何か文化センター、たとえば劇場の問題、それから歴史資料館とか美術村とかいうふうに総合的にやろうといった意見があって、こうなりますと概算で七十億ぐらいかかって、しかも土地もないのですよ。ところで、そういう芸能人の要求しているのは、そんな五十億、十億なんというようなものではなしに、大体大きくてまず五百人ぐらいの収容人員があればいい、この点は流派の別なく一致しております。そういう意味で話し合いが進んで、近く平良知事はその面で意思統一して長官の方にも要請をするということでありましたので、さらにそれを慎重に検討されて、早く、けいこ場すらないというふうな困難をまずなくしてもらいたい。文楽と違って、沖繩の組踊は現在の生活の中に溶け込んで継承発展させる性質のものであるだけに、これは重視して、ぜひ前向きに検討し、調査費を組めるように努力してほしいと思います。重ねて要望しておきます。
  62. 西村尚治

    西村国務大臣 私はこの間知事からそういう話を承りませんでしたけれども、それは先生のおっしゃることは確かでございましょう。もう八月末で要求してしまっておりますので、正式な調査費ということで来年度間に合うかどうかわかりませんが、しかし大事なことでございますので、県あるいは文化庁ともよく相談を進めてまいりたいと思います。
  63. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 次は、沖繩への国鉄連絡船の導入の問題ですが、これは七一年から共産党の方では提案して、あのときは余り問題にされませんでしたが、現在は全県民的な要求になっております。御承知のとおり、国鉄がないのは沖繩県だけなんです。国鉄が赤字だとか言いながらも、三十一新しい線を計画し、建設中であるということからも、またわれわれは国鉄の財政その他を民主的に再建するのであれば、これは赤字にならないという結論に達して、国鉄に対する案も出しております。この意味で、沖繩の国鉄導入調査会でも、以前は、県営にすべきだ、国鉄になると赤字だからできないんじゃないかといった話もありましたが、そういった四囲の状況、すなわち国鉄の再建も民主的建設の方向をとれば赤字は解消できるという問題と、さらに現時点でも新しい線を三十一も計画し、建設中であるという面からいっても、これは十分可能である。これは昨年二月二十六日の予算分科会で私は初めて提起したのですが、木村運輸大臣は、この問題は非常に重要であるので、沖繩の交通体系、いわゆる海、さらに陸上、こういった交通体系を再検討して前向きに検討したいというふうなことをおっしゃっておりました。知事に会いましたら、国鉄導入調査会でももうほとんど意見ができ上がっておるので、この件もいまの劇場の問題とあわせて政府に要請するということでしたから、すぐ窓口である開発庁に持ってこられると思いますが、長官としてもこの点ぜひ検討して、本当に国鉄が沖繩に導入され、国鉄連絡船が導入されて——沖繩離島苦の解消あるいは振興計画の骨幹をなすのが国鉄のいわゆる交通体系だと思いますが、この点についても近く提起があると思いますから、その際にはぜひ前向きに検討して、その実現のために努力してもらいたいという要請をしたいと思います。いかがですか。
  64. 井上幸夫

    ○井上政府委員 沖繩本島におきます交通問題につきましては、われわれの方としては、パーソントリップといいますか、沖繩本島内の人の動き、貨物の動き、それからこれから先の沖繩本島地域経済構造、社会構造がどうなるかということも絡み合わせまして、いわゆる南北の交通体系はどういう手段が最も適当であるか、またどういう手段が現実的に最も実現しやすいかということを総合的に考えなければならないと思っています。実は沖繩内の御意見その他いろいろございまして、五十年度からモノレールの実施調査を始めたばかりでございます。他方、海洋博の関連工事としてやりました沖繩高速縦貫道のいわゆる南部延伸の問題、石川以南へ持ってくるか持ってこないかという問題がございまして、いずれをまず第一義的にとるべきかということを検討しておる段階で新しく国鉄導入の提案が出てきた、こういうのがいままでの事の次第でございます。  すでに既成のバス路線その他の交通手段が一応那覇と名護市間にございますので、いろいろなことを考え合わせながら国鉄問題に対して結論を出すべきであろうと私ども考えておりまして、今後まだ引き続き慎重な検討が必要か、こう思っております。  それから、国鉄船の問題であります。御承知のように、いわゆる連帯運輸の形でいままでやってまいったわけでありまして、既存の民間海運網との提携連絡考えながらこの問題は処理していくべきであろうと思っております。
  65. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この問題は共産党でも具体的に、五カ年計画で、大体一千億円ないし一千五百億円あれば糸満から名護までの縦貫鉄道が建設できるということで、いろいろな面から提起しております。これは党機関紙の赤旗にもすでに発表し、知事にも提起してあります。この点についてはバス業者、タクシー業者あるいは運転手あたりにも意見を聞きましたが、基本的にはやはり反対じゃないのですね。こういった具体的な提起がありましたら前向きにひとつ検討して、沖繩への国鉄導入実現のために大臣としてもぜひ取り組んでもらいたいと思いますが、大臣いかがでしょうか。一週間以内に知事が持ってくると思うのですよ。
  66. 西村尚治

    西村国務大臣 私が先般現地に参りましたときにもモノレールの話なども出たりしておりまして、やはりまだ現地のコンセンサスができていないのだなという印象を実は私は受けてきたわけでございますけれども、知事からも直接話はございませんでした。ただ、北部の市町村の方々からは希望が出ておりました。  いずれにしましても、まず地元のコンセンサスが必要だというふうに考えてきたのですけれども、知事が近く持っていらっしゃるということでありますれば、よく具体案を聞いてみまして相談をいたした、しかし、先生、これはいろいろ問題があることは事実でございますので、よく相談をしてみたいと思います。
  67. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いまの国鉄問題の私たちの提案は、モノレールまで含まれております。そういった意味相当具体化しておりますから、御検討をお願いしたいと思う。  次は、サトウキビの問題を一言お伺いしたいと思うのですが、現在の沖繩県民特にキビ作農家の二万二千五百円の要求が入れられるかどうかは別として、いまのパリティ方式の矛盾はもう政府自体が認めておるわけです。担当大臣でないので、そういう方向で口添えをしてもらえばいいのじゃないかという意味で私は聞くわけですが、実はこの前ビートの値段が決まりましたが、あれはパリティ方式なのですね。サトウキビはもちろんパリティ方式です。このパリティ方式では一万三千百円にしかならぬわけです。それに奨励金の三千九百円を加えてやっとトン当たり一万七千円。パリティ方式では生産者農家の要望を入れることができないということで、政治加算で奨励金というのが出る。米は御承知のようにパリティ方式ではないわけです。いわゆる生産費の補償方式である。だから、奨励金などは出ないわけです。こういった奨励金を出さなければ農民の要求する線に近づいていけないというのがパリティ方式である。ですから、パリティ方式の再検討というのは、鹿児島県、沖繩県のキビ作農家あるいは北海道のビートをつくる農家の長年にわたる要望なのです。  西村長官沖繩開発庁長官ですから、そういった意味で農林大臣にも口添えをしてもらって、一つは、要望であるトン当たり二万二千五百円にするということと、もう一つは、パリティ方式をことしすぐ変えるわけにいかぬでしょうから、それを検討して、生産費の補償方式に変えていくという方向への努力を私は長官にぜひお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  68. 西村尚治

    西村国務大臣 サトウキビは沖繩農業の中できわめて重要性を持った大事な産業でございますから、おっしゃるように生産費所得補償方式が本当はいいのかもしれません。そういうことについての要望が強いわけでございますね。しかし、御承知のように、これは法律でパリティ方式ということが決まっておるものですから、ことしもいかんともしがたいということのようでございますが、御趣旨の点につきましては主管の農林大臣の方ともよく相談をしてみたいと思う次第でございます。  細かいことが必要でありましたら、また振興局長の方から。
  69. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いや、いいです。  私、そのことをいま特に大臣に申し上げるのは、きのう農水委員会で大石大臣の方から、いまのパリティ方式を含めて完全なものというのはない、あらゆる角度からいろいろな問題で検討しなくちゃいかぬというお話があった。もちろんそうでしょう、制度で完全なものというのはないわけですから。私はパリティ方式が破綻するという表現をしたくありません。いま、奨励金を出さなければ農民の要望に近づいていけないような状態があって矛盾しておるわけです。もうすでにパリティ方式では矛盾点が出ているので、きのうは大石農林大臣にもその面で再検討する時期に来ておるのではないかという話をしたわけですが、西村長官もぜひその方向で口添えをして農民の要望に沿うように努力してもらいたい。私、重ねて要望したいのですが、いかがでしょうか。
  70. 西村尚治

    西村国務大臣 これは長年の問題でございますし、農林省が主管でありますので、私がここで余り大きなことを言ってしまうわけにもまいりませんけれども、御趣旨はよくわかりますから、農林大臣の方とも相談をしてみたいと思います。
  71. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 次は、すでに閣議で決定されて国会に提起されておると聞いておりますが、いわゆる沖繩県の区域内の駐留軍用地等に関する特別措置法案、これについて、具体的に内容に触れてまでは長官にお尋ねしません。もちろんまだ委員会にも出ておらぬし、われわれとしては委員会に出すことなく、審議することなく、これは永久に葬らなくちゃいかぬというふうに考えておるので、これは別として、長官は閣議でこれを決定されたときにもちろん賛成されたと思うのです。賛成されたから出ておるわけなんだ。  そこで、この法案は地籍の確定をうたい文句にしたものですが、地籍の確定と、現在の基地を使用する、区域、施設を提供すると同時に自衛隊もやはり配備をやめるわけにいかないということで、二つを柱にしておりますが、よく見ておりますと、この一つの柱は崩れているのですよ。この法案を第一章からずっと見たのですが、国の責任で地籍は確定できないようになっている。地籍の確定そのものが、基地があるから地籍が確定されないのであって、基地がなければ地籍の確定はできるのですよ。復元補償を含め地籍確定がむずかしく困難であるというその元凶は、基地そのものである。     〔委員長退席、安井委員長代理着席〕 したがいまして、地籍の確定などという洋服を実際はつけておるが、裸にしてみると新しい装いをこらした基地の使用法である。しかも、以前は沖繩公用地暫定使用法と言っておりましたが、今度は特別措置法になっております。この前は暫定、今度は特別、これは永久使用の方向を打ち出しております。  この法案の条項から言いますと、第十六条の「土地の使用の特例」、第二十四条の「土地の利用」、この十六条と二十四条が基本となって現在までの米軍基地を確保するという問題、さらに自衛隊をそのまま置くというふうな問題、こういった素っ裸の土地強奪法と言っても過言ではないような法案に沖繩長官がなぜ賛成されたのか、そこら辺をまず最初にお聞きしたいと思うのです。
  72. 西村尚治

    西村国務大臣 沖繩開発庁の立場から言いますと、こういう法案が出されないで済めばそれにこしたことはないと思うのです。思うのですけれども、いま現実に安保条約というものがあり、基地協定というものがあるわけでございまして、一挙にこういうものを、駐留軍の施設、区域をやめてしまえということも閣僚の一人として申せません。  そこで、防衛庁の方から提案されましたこの問題につきましては、開発庁の立場としましては望ましいとは思いませんけれども、とにかく今後できるだけ早期に軍の施設、区域の整理縮小を図ってもらいたい、これがまず第一。それから、地籍が不明確であるということか永久——永久ということはあり得ないと思いますけれども、半恒久的に使用し続けられる口実になってはいけませんので、地籍明確化を鋭意急いでもらいたい、この二点を開発庁長官の立場として強く要請をいたしまして、まあこれは了承したという次第でございます。
  73. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 もちろん内閣の一員ですから、不賛成でありますなんということになると、これはまた首になるかもしれぬし、そういった返事を求めていたのではありませんが、次の質問に答えてもらえば非常にはっきりしたものが出てくるのではないか。  御承知のように、沖繩地籍の混乱、境界の混乱はあの戦争からきております。アメリカ軍が占領する前に球部隊、正式に言えば第三十二軍、これが土地を総動員法に基づいてむしろ強奪に等しいような方向で取り、さらにそれに馬乗りになってアメリカ軍が拡大していった。それを法的にまずかっこうをつけるといったようなことで現段階に来ております。そういった中で境界が他府県にはほとんど見られないように混乱して、地籍も混乱しておる。復元補償はアメリカがやるべきなのをやらない。それで結局日本政府がやらなくちゃいかぬ。請求権も放棄したので、日本政府が放棄請求権については補償しなくちゃいかぬという、戦争の傷跡の深さが非常に大きいのです。  そこで、お尋ねしたいのは、この地籍の確定の問題について、むしろそれを特別立法化する必要があるんではないかというのが沖繩県民挙げての要求であり、すでに県の地籍問題対策協議会、これは知事の諮問機関になっておりますが、この協議会が特別立法要綱をまとめて、十月二十六日に発表し、これを知事に勧告しております。  この骨子は、言うまでもなく、いまの混乱した地籍を確定するということは国の責任でやれ、確定するまでの全費用はもちろん国が補償するというふうな問題を柱にして特別立法すべきである。これは長官はすでにごらんになったかもしれませんが、各新聞に、タイムス、琉球新報、全部トップに書かれております。「特別立法要綱まとまる」「基地の内外問わず 全島一括 開発庁が解決すべき」「きょう平良知事答申」、これは「きょう」ですから、二十六日にすでに答申されて、これは近いうちに長官にも持ってくると思います。むしろこういった面で長官努力してもらわなければならないのじゃないか。それは理由があります。それは昭和四十七年三月二十四日の内閣委員会で山中総務長官がこの地籍問題について答弁されたことがあります。その要旨は、「その間にやはり立法措置を沖繩だけに特別にとらなければならないのではないか。」「その間に」というのは、いろいろ地籍調査をやる、国が補助金もやらなくちゃいかぬという場合があるわけだが、そういった中でも基本的には「立法措置を沖繩だけに特別にとらなければならないのではないか。」「この問題が非常にむずかしいだろうと思うのです。ここらはもう少し検討させていただきたい」ということで、特別立法措置の必要性をその当時の山中総務長官は言っておられます。したがいまして、この山中長官の御意見は私はいまでも正しいと思うのです。  そういったような意味で、そういう立法措置、地籍を明確にしていくということを国が全責任を持っていくということ、毎年毎年の補助金制度ではなくて立法措置をするということが特段にいま必要になってきておるし、全県民の熾烈な要求になっていると私は思うのですが、長官これに対してどうお考えになっているか、一言御意見を承りたいと思います。
  74. 西村尚治

    西村国務大臣 上原先生にもたしかこの問題でお答えしたと思うのですけれども、新聞に出ておるそうですが、私は実はまだ拝見しておりません。おりませんから何とも言えないわけですけれども、私どもとしましてはいま沖繩開発庁所管の二十平方キロ、これについてはすでに実績も上がりつつありますし、この方式で今後鋭意進めていきたいと思っておるわけです。防衛施設庁の方の所管の未返還の軍用地、これはあと返還後の復元補償の問題などがどうしても残るわけです。復元補償となりますと、やはり防衛施設庁でやってもらわなければいかぬ、そういう関係もございますのと、軍用地にどうもほかの人がどんどん入っていくということが実際問題として可能かどうか、いろいろむずかしい問題も残るように思いますので、いまの防衛施設庁所管のところは防衛施設庁で鋭意明確化を進めてもらい、われわれの方はわれわれの方で鋭意努力する、そういう二元方式でいくよりほかないのではないかというふうに思っておる次第でございます。  出てきますれば、その案は拝見しましてよく検討はさせていただきたいと思いますけれども、いまのところ、そういう気持ちが捨て切れないということであります。     〔安井委員長代理退席、委員長着席〕
  75. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これはあと何カ月かわかりませんが、いずれにしても長官であられる間は長官なんですから。たとえば復帰前のものはいま開発庁で、復帰後に返還されたのは防衛施設庁でというふうになっていますね。防衛施設庁のものはひどい話で、一カ年間は管理費とかいってそのまま出るのです。そして、二カ年目には十分の一ですか、三年目からは切れてしまう。もう地籍が確定しようがしまいが、野となれ山となれといったような表現が正しいかどうか別として、大体そういうようなことになって、解放されても使えないという現実が残っている。これを開発庁と防衛施設庁が別々ではなくて国が窓口を一本化して、ぜひこういう問題を国が責任を持ってやるんだということを立法化していくという問題はきわめて重要な問題であるし、これに対して統一した見解をぜひ内閣で出してもらって、一週間待たずに知事は知事としてこの案を検討して、これは答申ですからやってくれると思いますが、そのときは沖繩県民の地主の立場に立って、国は国民の利益を守るのが国なんで、国民の財産を奪うのは国ではないのです。ですから、その立場に立って検討していくという姿勢さえあれば、これは前向きに検討する価値が十分あるのではないだろうか。ですから、基地の重圧、さらに後で触れますが大企業の圧力による倒産、失業の増大、さらに基地のいろいろな被害を受けてまだほかの県と比べて県民は苦しんでいる、そういった意味でもこの混乱した地籍を復元し、その補償を全額国が持つという基本に立ってこの立法化のために全力を挙げてもらいたいことを重ねてお願いするのですが、この問題は大事なんですよ、いかがですか、長官
  76. 西村尚治

    西村国務大臣 瀬長先生から非常に強い御要望がありましたということは、よく銘記しておきます。
  77. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 次は、沖繩の中小零細企業対策と失業対策の問題についてお伺いしたいと思いますが、これは総理府総務長官でもあられるので、沖繩の失業問題がどのように深刻であるかは御存じだと思うのです。さらに、企業倒産がとりわけ海洋博の問題とも関連して非常に大きい問題になっております。  最初に、企業の倒産から申し上げますと、これはむしろ後の質問とも関連しますが、なぜこのように企業の倒産が多いか、原因は一体どこにあるかという問題です。これは毎年多くなるのです。五十年の集計で百七十四億五千万円の負債を背負って倒産したということでありますが、この倒産に対して開発庁は何か具体的な対策はありますか。これはすぐ長官からということになるとむずかしいようですから係の方でもいいのですよ、こういうふうに倒産に対してはやりたいというふうなものがあれば、明確に簡潔に答えてもらいたいと思うのです。
  78. 亀谷礼次

    亀谷政府委員 先生の御指摘のように、また先ほど上原先生の御質問でもお答えしました点ですが、中小企業の倒産の問題につきましては開発庁長官初め私ども担当の事務当局としても心を痛めておるところでございます。確かに海洋博後ホテルその他、またごく最近には琉球海運の不振の問題等次々に起こっておることは御指摘のとおりでございます。私どもの所管といたしましては、先生案内のように、沖繩開発金融公庫を通じまして産業開発面における各般の融資を行っておるのでございますけれども、先般も本土を含めまして総合的な景気対策の実施に当たりまして、特に経営の状況が著しく悪化をしております中小企業者に対しましては、個々のケースを踏まえ、実情に応じ、私どもで、公庫で融資しております既往の債務の返済猶予等につきまして一層弾力的に対応するよう指示をしておるところでございますが、なお今後も関係の機関とも緊密な連絡をとりながら、可能な限り私どもの所管ではそういった融資の面を中心にできるだけ弾力的な運営の中で一つ一つ解決する方向で努めていきたい、こういうふうに思っておるところでございます。  なお、一般的には沖繩企業のいわゆる体質の強化といいますか、そういった問題にかかわる問題でございますので、先ほど大臣からもお触れいただきましたように、いわば中小企業の近代化の施策にも関連をしてまいりますし、さらには明年度の予算にも関連しますが、公庫の機能の強化、こういったきめの細かいあらゆる方面にわたる政策を、開発庁の所管の範囲内ではございますが、講じていきたいというのがわれわれの考えでございます。
  79. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間が限られておりますので、私、これに対する対案を申し上げまして検討してもらいたいと思うのですが、いまの企業倒産の状況の原因別のものを調べますと、一番大きいのが売り上げ不振なんです。これがいま申し上げました件数で一番多いものですね。それから、業績不振、これは金額にして百七十四億五千万円のうち六十七億六千万円ということ、それから経営多角化の失敗とか、まあいろいろありますが、これを全部見てみますと、大企業の圧迫というのが非常に大きい要因をなしておる。だから、そこら辺をどう調査してやっておるか。この原因がわかればそれに対処する方法があるわけなんですが、特に沖繩では復帰後、本土からの大企業業種が進出して、いわゆる中小零細企業に対する圧力が非常に加わってきておる。そういう意味で、いま申し上げましたような売り上げ不振の問題とかいろんな問題が出てきておる。そういうことを本当に調査されたかどうかわかりませんが、私、とりわけいま申し上げました原因から見ましても、特に大企業の圧迫から中小零細企業を守るために、いま申し上げました中小企業分野確保法制定の問題、大規模小売店舗法改正などによる大企業、総合商社、百貨店、大スーパーなどの中小零細企業分野への進出規制の問題、さらに下請中小企業振興法の改正、下請代金支払遅延等防止法を厳しく適用して下請中小企業を守る問題、さらに中小零細企業に官公需の五〇%以上を振り向けるという問題、さらに、特に国が責任を持ってつなぎ融資、駆け込み融資制度を整える、それで連鎖倒産防止制度、これを改善拡充し、民間金融機関の中小企業に対する不当な選別融資をやめて、そして中小零細企業の近代化、自主的協業、共同化への援助を強める問題、さらに地場産業、伝統産業振興のための特段の努力、こういった点について具体的に、開発庁長官の方でこれを具体化していくということを要請したいと思うのですが、非常にこれは大事なんです。原因がそこに来ておりますから、大企業の圧力ということから。いかがでしょう。
  80. 西村尚治

    西村国務大臣 確かに海洋博の後、現地産業界は非常な冷え込みを来しておる、何とかしなければいかぬということで開発庁としても苦心をしておるところでありますが、大企業の進出、これが大きな原因だという御指摘がありましたけれども、大企業に対しましては余りダンピング的なことをやらないように、そういったようなことでいろいろと指導は今日までしてきておるようでございます。それはそれといたしまして、ただいま先生の御指摘のような数々の御提案、いろいろ傾聴すべきものが多いと思いますので、何でしたらそういうものをひとつ、まあ記録に残るわけですけれども、また見せていただきまして、われわれの方としても誠心誠意取り組んでまいりたい、かように考える次第でございます。
  81. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それから、失業問題ですが、沖繩の失業問題ほど深刻な問題はないんですね。今度長官沖繩に行かれておわかりだと思いますが、全国の失業率の大体三・四倍になっておるんですね。もうすでに二万七千人を突破しておる。この失業対策はなかなか平行線で、抽象的な議論ではかみ合わないのですよ。これをあなた方はどうするかと言えば、こういうふうにやりますと言うのだが、なかなかやらないのが、やれないのが失業対策、これは全国的にも言えるんですね、総理府の統計ですから。  そこで、時間の関係がありますから、私、また中小企業の問題と同じように対策をごくかいつまんで申し上げます。こういうふうなことをすれば、完全ではないにしても幾らかよくなるだろう。国鉄の導入の問題も、実は失業者の吸収の問題に関連するのですよ。当面、沖繩振興開発特別措置法第三十九条の規定に基づいて、振興開発計画に基づく事業等に就労する労働者のうち、六〇%失業者を使用する処置をとらせるという問題ですね。これは後で提起しますが、絶対必要だと思うのです。沖繩開発庁の五十一年度予算は約一千億円です。それの松共投資発注率は、八月末で五割に満たない。特に昨年と比べて国の直轄事業がおくれている。それを生活基盤重点に大幅に引き上げ、雇用を増し、中小企業者の仕事をふやす問題。さらに、政府沖繩県で起こしている公共事業に失業者吸収率を守らず、その実態さえつかんでないのが実情だと私は思うのです。直ちにその実態を調べ、特に本土からの大口契約者などに吸収率を守らせるようにする問題、こういったような問題は、もう緊急にとってもらいたいと思います。
  82. 西村尚治

    西村国務大臣 失業者を何十%以上使う、ちょっと聞き取れなかったのですけれども、何十%以上失業者を充当するようにというような御提案でございましたね。それなどもなかなかいいアイデアだと思いますが、ただ既設の業者も相当あれを抱えておるものでございますから、なかなかそのとおりいくかどうかわかりません、一例ですけれども。そういうようなことで、御提案の中にももっともっと検討しなければいかぬ要素があるかもしれません。しかし、この失業者の救済ということは本当に緊急の課題だと思っております。内地の三倍ということは容易ならぬ事態でございますから、私どももこれで頭を痛めておるわけでありますが、御提案の御趣旨よくわかりましたから、またこれも誠心誠意をひとつ私どもの方で鋭意検討いたしたい、かように思う次第でございます。
  83. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 最後に、ウリミバエの防除対策、これについて御意見を承りたいと思いますが、いま沖繩ではウリミバエの発生が非常に多くなっており、大きな被害を受けております。ウリミバエというのはウリだけではなしにメガウリ、沖繩ではゴヤと言うのですがね、スイカ、カボチャ、トマト、ピーマン、インゲンなどに及んで、これはもう大変な被害を受けておる。そこで、このウリミバエを初め特殊病害虫特別防除費補助金として五十二年度要求、これが三億二千万円ほど計上されていると思いますが、これは削られないように、全額ぜひ実現するように努力してもらいたいというのと、もう一つは、ウリミバエの撲滅技術の実用化を目的とした指定試験の実施がまだ実現していないが、五十二年度予算要求がなされていると思うが、ぜひ予算の実現化を図ってほしい、以上の二つの点であります。
  84. 本宮義一

    ○本宮説明員 ただいまのウリミバエの防除につきましては、これは四十七年以来、特に特殊病害虫防除対策といたしまして、相当の予算を計上しております。来年度につきましても、ウリミバエの沖繩県におきます発生を極度に抑えていくという趣旨で、これに関する予算を計上しておるところでございますが、特にこれと同じような害虫でございますミカンコミバエにつきましては、いままでは沖繩県では余り広範囲に防除を実施しておらなかったのでございますけれども、五十二年度予算では、これを全島にわたって防除する予算を計上しておりまして、両方合計いたしますと、前年度よりも相当大幅な予算要求をいたしております。それからまた、それの実現につきましても努力する所存でございます。
  85. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 終わります。
  86. 松本忠助

    松本委員長 小坂外務大臣が出席になっておりますので、外務大臣に対する質疑を行います。上原康助君。
  87. 上原康助

    上原委員 時間が非常に限られておりますので、私は十分ないし十五分程度お尋ねをさしていただきたいと思います。  きょうは、沖特では外務大臣が今国会初めてお見えになってお尋ねするので、今後の沖繩の基地の整理縮小はあるのかないのか、新しい外務大臣としてどういうふうに進めようとしておられるか、見通しについてひとつ御所見を承っておきたいと思います。
  88. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 私、先般外務大臣を拝命いたしまして以来、当委員会で御答弁をさせていただきますのは初めてでございますが、どうぞよろしくお願いいたします。  さて、上原さんの御質問でございまするが、私といたしましては、沖繩が非常に基地の密度が高いということにかんがみまして、種々問題があることはよく承知しておるつもりでございます。その意味において、沖繩県民の要望にもこたえなければならぬし、また、わが国として日米安保条約の適正なる運営をやっていきまする上に、十分その間の調整をいたしながら進めてまいりたい、かように思っておるということを申し上げておきます。
  89. 上原康助

    上原委員 どうも歯切れが悪いのですが、小坂外務大臣だけじゃなくして、歴代の大臣そうなんですが、ただ、きょうは時間がありませんので。整理縮小を進めていくということは強調なさる割りには、十五、十六の安保協で決められた日米間の取り交わし事項がほとんど進捗していないのですね、実際問題としては。したがって、復帰時点で強調された割りには、基地はむしろ質の変わった形で強化されているという点を指摘しておきたいと思うのです。  そこで、きょうは具体的な問題を一つ聞いておきたいのですが、那覇飛行場からP3C対潜哨戒機を嘉手納基地に移転をする施設は、日米間ですべて合意を見てこれまで進めてきたと思うのですが、そのとおりですか。
  90. 銅崎富司

    銅崎政府委員 そのとおりでございます。
  91. 上原康助

    上原委員 それじゃ、いま問題になっております読谷村の陸軍補助施設ですか、すなわち飛行場跡に新しくアンテナ施設を建設しようということで、地元の軍用地主の皆さんと非常に対立関係にあって、現に工事は進められているのですが、中止を余儀なくされているわけですね。現地米軍の言い分では、嘉手納基地にP3Cを移転したことに伴う施設だと説明をしている。これは日米間でそういう話し合いがあったのですか。
  92. 銅崎富司

    銅崎政府委員 読谷補助飛行場に現在米側で建設中のアンテナは、米海軍航空機からの通信を受信するための施設で、この通信は隣接の楚辺通信所を経由して嘉手納飛行場に送られるというふうに承知しておりますが、このアンテナの建設につきましては、P3の嘉手納移転の際、アンテナは話に出ておりませんでした。
  93. 上原康助

    上原委員 話に出ていないということは、米側はそういうふうに勝手に増設をできるわけですか。P3C移転に伴う施設だということは、はっきり何回か明言しているのですね。したがって、もしそうであるならば、当然那覇飛行場の諸施設を移転する際に日米間で話し合って何らかのことがない限り、できないのじゃないかと私たちは思うのですね。この工事はあくまでも政府推進をさしていくのか。いまおっしゃるように、読谷村の補助施設というものは、旧日本軍が取り上げた軍用地で、返還を求めている基地なんですね。現在は遊休地になっている。そこに新しいアンテナを、ああいう施設をつくるということになると、固定化につながるのですね。皆さんは、いま大臣がおっしゃったように、基地の整理縮小は推進しますと言うのだけれども、むしろいまどんどん新しい施設が増強されつつある。これは日米間ではどういう話し合いになっているのか。また、政府はこの新施設を米側に再考慮を求める意思はあるのかどうか、この点明確にしてください。
  94. 銅崎富司

    銅崎政府委員 米海軍航空機からの通信を受信するためにアンテナがどうしても必要ということでございますので、これは米側が自分の費用でつくるわけでございますので、地元の了解を得てつくる必要な施設であるというふうに考えております。
  95. 上原康助

    上原委員 地元の了解を得てつくる施設ということは、では地元がいま了解していないで座り込み行動をやっているわけでしょう。そこを強権を発動してでもやろうとしているのじゃないか。いままではそういうことはないことなんですね。復帰後の施設というものは、ほとんど日本政府が仲に入って政府の立場でやってきているのが大体の軍施設内の工事なんですね。事もあろうに、その飛行場は旧軍が取り上げた軍用地だから返しなさいというところに、どでっかいアンテナ施設を新しくつくるということは、まさに皆さんが言っている基地の整理縮小を推進しますということと矛盾するし、道理に合わないことじゃないですか。この点、施設庁だけに任さずに、外務省はどういうふうになさろうとするのか。日米間で早急に取り上げていただいて、地元の要望に沿ってこの問題を解決していく、その御意思がありますか。
  96. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 読谷補助飛行場につきましては、地位協定の二条に基づきまして、合同委員会を通じた合意に基づいて提供されておるわけでございます。その提供目的に反しない限りにおいては、米軍が必要な施設をつくるということは、一般的に申せば認められるべきものであると考えております。
  97. 上原康助

    上原委員 ですから、一般的に言うと向こうさんに使う権利があるんだから、逆に言うとあなたの方はやむを得ないんだということを言いたいでしょうが、しかし先ほど、地元の了解を得て施設をつくることになるだろうということであれば、地元はいま反対をしているわけでしょう。しかも、P3Cの移転に伴う施設だという説明は、全県民わかるわけなんだよ。しかし、当初の日米間の話し合いでは、P3Cが那覇から嘉手納に移転するからこういう施設が必要だということは、一言半句もわれわれの方でもわからなかったし、国会でも問題にならなかった。突如として米軍が独自に強行してきたんだ。周囲は全部サトウキビをつくっている。地元は、返してもらいたいという運動をいまやっているわけですね。こういうところに、地上から三十メートルも三十五メートルもあるアンテナをつくって恒久施設をつくるということは、これは幾ら考えてもまがりなりませんよ。大臣、これは話し合って解決していただかないと、ますます現地はいろんな問題に発展しますよ。日米間で取り上げてよく相談しますね。
  98. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 この点につきましては、施設庁からも御答弁がありましたように、地元の方の御了解を得るべく現地でいろいろと話し合っておるということを聞いておりますので、その事情はわれわれとしてもよく承った上で考えたいと思います。
  99. 上原康助

    上原委員 じゃ、地元の同意が得られなければ、施設庁としては強行する立場にはいまのところないわけですね。
  100. 銅崎富司

    銅崎政府委員 米側の工事が円満に進むためには、やはりよく話し合って工事を進めていくという考えでございます。
  101. 上原康助

    上原委員 ですから、施設庁として強権発動してまでその施設を強行していこうという立場ではなくして、あくまでも地主の方々、地元読谷村と話し合いの上でこの問題は解決をしていきたいという、そういうお立場ですか。
  102. 銅崎富司

    銅崎政府委員 地元側にできるだけ話し合いをしまして、円満な工事ができるようにやっていくという基本的な姿勢で臨みたいと思います。
  103. 上原康助

    上原委員 円満な工事を進めるんではないんだよ。そういう施設をつくっては困るんですよ。それが地元の要求なんですよ。そのことを強くひとつ理解をしていただいてこの問題には対処していただきたい。お答えありますか。
  104. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 外務省といたしましても、地元の事情につきましてさらによく承知いたしました上で、防衛施設庁とともにこの問題に対処いたしたいと思います。
  105. 松本忠助

    松本委員長 次、安井吉典君。
  106. 安井吉典

    安井委員 日ソ経済委員会が延期されるという報道を聞いたわけでありますが、それはどうなっているのか。そして、そのことは、ミグ25の日本政府の扱い等の影響がこういう形にもあらわれてきているのではないか。十月二十五日のソ連共産党中央委員会総会でのブレジネフ書記長の演説でも、ソ日関係の全般的空気を著しく陰うつにしたものにしているという表現でミグ25の問題が触れられていますけれども、そういうふうなものとしての日ソ経済委員会の延期、こういうことではないのか、その点伺います。
  107. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 この二十五日のブレジネフ書記長の演説につきましては、全般的な部分を見まして、そのトーンはこの三月の演説と余り変わっていないというふうに思われるのでございます。すなわち、相互尊重と互恵の原則に基づく日本との広範かっ強固な関係発展が可能であると申しておるわけでございます。特に、経済面での日ソ協力の展望につきましては、土光経団連会長の名前を挙げまして、そのプレーアップに努めておるわけでございます。ミグ事件によりまする両国関係の雰囲気の険悪化ということにもかかわりませず、ソ連といたしまして日本との経済関係発展の必要性を強く感じておるということは、この表現にあらわれておるのではないかというふうに思うわけでございます。  日ソ経済合同委員会がいつ開かれるかということについては、私どもまだ確報を得ておらないわけでございますが、ミグの事件というものは一つのハプニングとして、二十年にわたる日ソ友好の関係を基本的に変えるものではない、またぜひそういうものにしていかなければならないというふうに私ども考えておる次第でございます。
  108. 安井吉典

    安井委員 きょうは、ミグ25の問題を中心にしての議論にはするつもりはございませんけれども、どうも外交が軍事優先の陰になってしまったという印象を私はぬぐえないのですが、それはそれとして、一日も早く向こうへ戻してやるということが大切だと思うのですが、機体点検のためソ連の専門家の立ち会いの問題だとか、点検をどこでするとか、引き渡しはいつになるのかとか、そういったような疑問があるわけですが、それは局長でも結構ですが、お答えください。
  109. 橘正忠

    ○橘政府委員 ミグのソ連への返還と申しますか、引き渡しと申しますか、その基本的な方針につきましては、九月二十九日に小坂大臣から先方のグロムイコ大臣に伝えたところでございます。それに基づいて、私ども東京で在京ソ連大使館に対して、十月二日に、十月十五日以降適当な港、これはその後のあれによりまして茨城県の日立港ということで双方一致しておりますが、そこで引き渡す用意があるということをソ連側に申しまして、その後ソ連側におきましてもミグの向こうから言えば引き受け、引き渡しを受ける、それに関連する専門家なども大使館の仕事を補佐するために入国をしておりまして、そういう者を交えまして、引き渡しの具体的、技術的な細目についての話し合いを続けております。  ただいま先生指摘のような点なども、その技術的な細目の中に含まれる点でございまして、ただいまそうした話し合いがずっと継続しておる状況でございますので、その細目については現段階ではちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
  110. 安井吉典

    安井委員 引き渡しは、大体いつごろになるお見込みですか。
  111. 橘正忠

    ○橘政府委員 そうした技術的な細目についての話、いわば一種の引き渡しのシナリオみたいなのが確定いたしますと、それに基づいて具体的にいつという日取りが決まってくると思います。したがいまして、現段階はまだその具体的な日取りを確定するもうちょっと手前の段階でございます。
  112. 安井吉典

    安井委員 この問題は、またしばらくおきます。  そこで、きょう主題としてこの委員会で承りたいのは、というのは、この委員会沖繩・北方ですから、私は主として北方の問題として、これもまたたくさん問題があるわけでありますが、そのうちの幾つかにしぼりたいと思います。  まず、十月二十四日に北海道の日高管内様似漁協の岸壁で、ソ連漁船団の日ソ漁業操業協定厳守政府の領海十二海里即刻宣言要求貫徹旦一向管内漁民総決起大会という長い名前の大会が行われて、海上抗議デモも行われています。テレビでも大きく報道をしているとおりであります。ここで大きく問題にされているのは、昨年、日ソ漁業操業協定がせっかく締結されたにもかかわらず、ソ連は協定を遵守していないではないか、日本側が協定による標識やサイレンによる警告などをやっているのにかかわらず、それが無視されて、漁網その他に被害を与えられているし、いま認められているだけでも百十数隻の大型船団が釧路やあるいは日高の沖にとどまって作業をやっているわけです。これは沿岸の小さな船等は太刀打ちが全くできないような状況であり、その操業による沿岸漁民の被害がふえるだけではなしに、特にこの様似漁協などは近海での操業中止を決定するという状況にまでいく、あるいは釧路沖ではソ連の大型漁船と釧路の底びき漁船の衝突事故も起きる、こういうふうな事件が相次いでいる中で、一体日本の政府は何しているのかという声が起きているわけであります。ミグに関係があるとかないとか、そういうことを言うのではなしに、この現実の事態にどう対処するのか、この点をひとつはっきりお答えをいただきたいと思います。
  113. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 北海道沖におきます漁船の操業の問題につきましては、私ども沿岸漁民の方々の立場になって非常に心痛をいたしておるわけでございます。これは御承知のように、近海漁業の操業に関しまする協定というのがあるわけでございまして、これは標識を掲げて、これ以内には入っては困るということを言っておるにかかわらず、いまお話しのような大型の漁船が非常なスピードで突っ込んでくる、非常に危険を感ずるという問題であるわけでございます。そこで、領海十二海里を宣言して、そしてはっきりとこの計画を明らかにしてはどうか、こういうことを申してはどうかということもあるのでございますが、実は領海問題につきましても、御承知の海洋法会議の結論を見ましての領海問題、あるいはまた海峡通航の問題、あるいはまた深海の産物に対する搬出あるいはその権利の所属の問題、そういうようなものを全部ひっくるめて結論を出すということが一番よかろうというのが日本政府の方針でございまして、これは海洋国家といたしましてこの海洋問題というのは非常に大きな問題でございまするので、その様子を見てというような意見がいままでは支配的であったわけでございます。  そこで、どうするかということでございまするが、われわれといたしましては、先ほども他の委員会で申し上げたのでございますが、沿岸漁民の安定した操業を確保する方法をさらに検討していこうではないかということを考えておりますわけで、対ソ外交努力と並びまして、わが国の沿岸十二海里以内における操業を、何らかの形で、沿岸漁民諸君の安定した操業のための諸方策、それに可能なあらゆる方策を検討しようではないかという段階になっておるわけでございます。われわれといたしますと、プロレタリアートの国であるソ連が、本当に小さな漁船をあれするプロレタリアを力によって脅威するというようなことは、まことにどうも遺憾至極なことであると考えておる次第でございます。
  114. 安井吉典

    安井委員 まさにそのとおり、プロレタリアの権利を守るためにやってもらわなければいかぬのですが、そのために漁業法あるいは海面漁業調整規則等、国内でとられている規制措置が遵守されるような操業自粛を求めるとか、そういう対ソ折衝はやっているのでしょうね。最近の段階において、どういう折衝をやっておりますか。
  115. 内村良英

    ○内村政府委員 昨年の十月から日ソ操業協定が発効したわけでございます。この操業協定の発効と並びまして昨年の秋、ソ連側と専門会議をやりまして、その会議でわが方の沿岸のいろいろな、特に底びきの禁止規則等を説明いたしまして、極力その海域については操業の自粛措置をとってほしいという要望をいたしまして、ある程度の話し合いができた海域もあるわけでございますが、ことしに入りましてソ連の操業状況を見ておりますと、その辺のところにも入ってきている、ことしの十月になりまして特にその傾向が強くなっているわけでございます。
  116. 安井吉典

    安井委員 強くなっているということは、私もさっき指摘しているのです。そのためにいま政府は何をなされたかということ、つまり有名無実に、去年結んだ操業協定がなってしまっているという事実に対して、そんなことをやらないでくれということを、ごく最近、いつソ連と話し合いをされたのですか。
  117. 内村良英

    ○内村政府委員 私どもといたしましては、ことしに入りまして数回、ソ連側に抗議をしているわけでございます。六月の十四日に外務省を通じて、ホッケの刺し網の被害及び小型の機船底びき漁船への異常接近について注意してくれということを言っております。それから、六月の二十一日に、これも外務省を通じまして、小型底びき船の網が絡んだ事故がございますので、そういうことで気をつけてくれということも言っております。それから、八月の二十三日に、これも外務省を通じまして、ソ連の操業協定諸規則の実施の厳守を要請しております。それから、操業協定ができましてから東京のソ連大使館にソ連の漁業専門家が来ております。その首席漁業担当官であるベロフという人がいるわけでございますが、ベロフに対しまして、これは水産庁から直接、苫小牧沖の刺し網の事故について九月七日、それから十月十五日、同じくベロフを呼びまして、わが方の固定式漁具の被害について向こうに抗議しているということをやっております。
  118. 安井吉典

    安井委員 その結果、大分効果はあったのですか。
  119. 内村良英

    ○内村政府委員 協定発効前と協定発効後とを比べてみますと、確かに被害は減ってはきておるわけでございます。しかしながら、残念ながらまだ被害が出ておるわけでございまして、われわれといたしましては、ただいま申し上げたように、ソ連側に注意を喚起しているわけでございます。  そこで、御参考までに若干数字を申し上げますと、協定発効前の一年をとりますと、わが国の漁具の被害その他が三億四千六百八十七万円でございます。それが、昨年の十月二十三日に協定が発効したわけでございますが、それからことしの十月十八日までの数字でございますが、被害が八千百万円ということで若干減ってきていることは減ってきているわけでございますが、なお被害があるわけでございますから、これにつきましてはソ連側の注意を喚起すると同時に、わが方の監視船等も増強いたしまして遺憾なきを期さなければならぬと思っているところでございます。
  120. 安井吉典

    安井委員 この日高のとき、これは私の選挙区じゃないものですから、私は直接ここには行っておりませんけれども、いただいた大会決議ではとう書いてありますね。「ソ連漁船団の無謀・威圧操業は単に漁具被害にとどまらず、人命の危険と被害の未然防止から我々の出漁さえ中止せざるを得ない羽目に追い込んだ。ソ連漁船団による我々の全道約四億円にのぼる漁具被害補償は全く未解決、さらに領海十二海里設定さえ行なわれていない。」「政府ならびに政党は我々漁民を軽視し、まっ殺せんとでも云うのであろうか。自国国民の生命・財産を守るすべさえ講じない政治への信頼は今や全く失われた。我々は我々の漁場と生命・財産を守るため総決起し、抗議行動を行い政府が責任ある態度を示すよう断固たる決意をもってここに決議する。」こう書いてあります。  ですから、私は、政府はやはりこのような切実なプロレタリア漁民の願いをかなえることができるような具体的な措置に出ていっていただかなければならぬと思うわけです。ですから、いままでの交渉の中身においてもっと改善すべきところがあるのではないか、もっと効果のある方法はないのか、そういうようなことについて真剣に取り組んでいただくべきだと思うのですが、外務大臣どうです。
  121. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 実はこの領海十二海里を宣言することによりまして……(安井委員「十二海里じゃなくて、それは後で聞きますけれども、いまのこの問題」と呼ぶ)いまのその問題に関連するのでございますが、宣言いたしますことによりまして、実は海峡通航の問題も出てまいりまして、電力の基礎である油を持ってきているマラッカ海峡の通航というような問題もあるわけなんでございます。そこで、やはりワンパッケージで問題を解決するということが必要だという考えに立たざるを得ないわけでございますが、しかし何とかこれをしなければならぬというふうなことで苦慮いたしておりまするところ、先ほどの委員会である委員の方から、それでは領海十二海里とすることにそういう問題があるならば、漁業専管水域十二海里という案はどうじゃというお話がございました。私はこれは非常によくお考えになった案ではないかと存じまして、至急検討をいたすことをお約束したわけでございますが、どこか外国では経済水域二百海里というようなところもあるし、漁業水域何ぼというところもございます。ですから、この領海十二海里ということが国際的に決まるまでの間、それまでの間に漁業専管水域というものを十二海里に設定するということは、これはもう国際法上当然に許されることでございまして、非常に傾聴に値する御議論であると申し上げた次第でございます。
  122. 安井吉典

    安井委員 十二海里の問題は後でお聞きしますけれども、いまはそれは十二海里設定するということは、ことしの二月の予算委員会で私が三木首相にお聞きしたら、とにかく海洋法会議が終わるまでにその様子を見てからやると言うものだから、私は畳み込んで、それにしてもタイムリミットがあるじゃないかと言ったら、年内にやります、こうおっしゃった。この間は三木首相は、私の見通しが甘かったということで、だから私はあなたの食言じゃないかと、ちょうど小坂さんはアメリカに行っておられてお留守でしたけれども、それをやったわけなんですが、それはちょっとまた後にしますが、とにかくいますぐ起きている問題は、これは十二海里も専管水域も大分時間がかかる問題ですから、いまその沖でやっているわけですよ、それをどうするかということを私は伺っているわけです。そのことについて、もっとはっきり態度を示していただきたい。
  123. 橘正忠

    ○橘政府委員 いま小坂外務大臣及び水産庁長官からもいろいろお話しございましたが、若干補足させていただきますと、去る九月の二十九日、小坂外務大臣からソ連のグロムイコ外務大臣に対しても、その機会に、特に日本の沿岸におけるソ連の操業の問題について、今後とも十二海里の中での操業を自粛してくれ、それから漁業操業協定のルールを守るように末端まで徹底してくれということを申し入れてございます。  また、その後の状況は御指摘のとおりの状況がございます。ただいま水産庁と私どもとで協議して、最近の実情についても、今後の問題もございますのでソ連側に対して申し入れを行うべく手配を進めておる段階でございます。
  124. 安井吉典

    安井委員 すぐやってください、それをとりあえず。  そこで、損害賠償処理委員会は設けられてはいるわけですけれども、さっぱり成果が上がっていない。被害も重なるばかりなわけです。これは外国漁船による漁具被害は、ソ連船だけじゃなしに韓国船もあるわけですね。むしろ韓国の方が額からすると大きいような数字もあらわれているわけでありますが、とにかくせっかく設けられているこの委員会を活用して、既存の損害賠償だけでも同時並行的に処理してもらわなければいかぬ、こう思います。  それから、被害者に対する弁償が話し合いでまとまる前の段階で、国が代位弁済するというような特別な措置を講じて、漁民に早く安心させるべきだ、こう思うわけであります。被害額がどうなっていて、少なくも代位弁済をし、そしてせっかくある委員会で能率的に処理ができるような仕組みをつくるべきだ、こういうことですが、どうですか。
  125. 内村良英

    ○内村政府委員 日ソ漁業損害賠償請求処理委員会が発足いたしましたのは、実際上活動を開始したのは四月でございます。その後、鋭意審査をいたしまして、現在までのところ北海道から提出されました三件についてはすでに東京委員会の審査が終わりまして、モスクワ委員会に送付されております。このほか、現在三百七十六件の事案が審査をされているところでございます。  そこで、非常にこれでは解決が遅いではないか、その解決するまでの間、国が代位弁済したらどうかという問題でございますけれども、ソ連漁船による漁具等の被害は民事の損害賠償の問題として処理されるべき問題でございます。したがいまして、日ソ漁業操業協定におきましてもこのことを前提にいたしまして、一方の国の国民の他方の国の国民への賠償請求を容易にするため、東京及びモスクワに委員会が設けられているわけでございます。この場合、損害の賠償請求処理の申請には同協定の九条によりまして、知る限りにおいて、事故についての記述、事故関係者関係団体及び関係船舶、請求額並びに証人の名簿を含まなければならないということになっておりまして、この点からも、特にソ連漁船か韓国漁船かわからないというような加害者の特定できない事故についての賠償請求に困難なものがあることは事実でございます。したがいまして、政府とい幸しましては、海上保安庁、水産庁及び道庁が協力いたしまして、洋上での監視体制の強化を図り、事故を防止するとともに、万一事故が生じた場合の確認が大事でございますので、関係の都道府県及び団体を通じまして、関係漁民がソ連の漁船の船名とか船体番号等の視認を怠らないように指導しているところでございます。  このようなことで、事の性質が自然災害と違いまして、はっきり加害者はソ連漁船ということでございますので、被害の補償はあくまで民事の問題だということから、国がかわって代位弁済するということはなかなかむずかしいのじゃないか。ただ、この場合、漁民が非常に被害を受けまして、それによって生活が困るとか、あるいは漁業がうまくできないというようなことがあります場合には、政府としては、四十九年に見舞い制度をやったような形で、何らかの救済措置が必要な場合には、そのような形で善処しなければならぬ、こう思っておりますけれども、ソ連が与えた被害を日本政府が肩がわりするということは法律上ちょっとむずかしいのではないかと思っております。
  126. 安井吉典

    安井委員 それじゃ、見舞い程度の、そういう仕組みはいまの段階でもできるのですか、それは予算措置だろうと思いますが。
  127. 内村良英

    ○内村政府委員 五十年の五月に決定したわけでございますが、四十九年のソ連船による被害については緊急融資措置、その場合の金利は三・五%という安い金利でございますが、融資措置をとり、同時に、緊急対策事業といたしまして漁具の貸与事業あるいは被害漁場の整備事業その他水産庁長官の認める事業としていろいろな事業をやったということがございます。したがいまして、ソ連の漁船の操業の最盛期というのは大体十一月、十二月、一月でございますので、今後の推移を見ながら、わが国の漁民が非常に困るということであれば、もちろん政府といたしまして何らかの対策をとらなければならぬというふうに考えております。
  128. 安井吉典

    安井委員 もう少し事態の推移を見なければならない問題もあると思いますけれども、やはり被害への対策というものもしっかり、一日も早く確立をしていただきたいと思います。  そこで、現地で、ソ連の船とこちらの漁船との間で双方で連絡ができるようにする、そういう通信協定の問題については、漁業協定の中にも話し合われている点でありますが、早く確立すべきだと思うのですが、これはいまどういうふうに進んでいますか。
  129. 内村良英

    ○内村政府委員 洋上におきます日ソ間の通信連絡につきましては、協定にもそのような取り決めがございまして、これはいろいろ技術的な問題がございますので、ソ連側とずっと話をしてきたわけでございますけれども、近く通信連絡体制に関する取り決めが行われることになっております。  これはどういうことかと申しますと、水産庁の監視船とソ連の指定する通信担当船との間で大体一日二回ぐらい通信の交信を行いまして、いろいろこちらからのクレームを向こうに伝える、向こうから何か言ってくることがあればそれを聞くということでやりたいということで、周波の問題だとかいろいろな技術的な問題がございまして、ずっとソ連側と詰めてきたわけでございますが、近く協定ができるところまで煮詰まっております。
  130. 安井吉典

    安井委員 いずれにしても、目下の大きな問題だし、これからも、きちっと解決ができない限りこういう事態は続いていくと思いますので、速やかな対応を要求しておきたいと思います。  きょうも時間が十分ありませんから急ぎますけれども、領海十二海里の先ほどからのお話であります。政府の統一見解は、一月の末に、領海十二海里を実施するという方針のもとに、その時期、態様についてなお検討していくというあいまいなものでありますけれども、そう決まっているわけですが、これは変わりないのですね。
  131. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 さようでございます。
  132. 安井吉典

    安井委員 それから、三木総理のいままでの国会での答弁の中で、十二海里領海へ移行しても非核三原則は堅持するという方針、これも変わりありませんね。
  133. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 わが権限の及ぶ限りにおいて、非核三原則を堅持するという方針を不動のものにしていっておるわけでございます。
  134. 安井吉典

    安井委員 わが権限というのは、ここでは具体的には、領海が十二海里になっても非核三原則はそれによって曲げるということはない、こういう言い方で受けとめてよろしいですね、いまの御答弁。
  135. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 非核三原則の原則は、あくまでもさようでございます。
  136. 安井吉典

    安井委員 そこで、国会でずっといままでやりとりしている中で、年内にやるというところまで約束をしてくれた三木総理であったと私は思うのですが、それが今度の国会になってからはがらっと後退をする。まあ年内には海洋法会議でうまく結論が出ると思っていたから実は国会でああ言ったんです、私の見通しが甘かったんですと、それでは国民は納得しないわけです。この間は時間がありませんでしたし、きょうは小坂さんであって三木さんでないですから、ここで言ってもしょうがないのですけれども、そういう状況のもとにいま領海十二海里問題が来ているわけですから、大石農林大臣が、通常国会には領海十二海里法案を提案する、こう国会でも農林水産委員会で言明もされるし、それから閣議後の記者会見でもそう言われる。きのうの衆議院農林水産委員会も領海十二海里の決議をしました。そして、その決議を尊重しますということを大石農林大臣はやはり言明されています。しかし、外務大臣の方は相変わらず、国連海洋法会議の結果を見守りたいという、含みがあると言えば言葉はよろしいのですけれども、あいまいな答弁でこの場を逃れようとする。そこへきょうは専管水域論が出てきて、大喜びで何かそこに逃げ道を求めようとされる。私は、どうもその辺一貫性がないので、いわゆる軍事問題が、特に日米安保条約との絡みもあるものですから大事だというふうにお考えになっていることはわかりますけれども、そのことで現実に漁民が苦労をしているわけであります。十二海里に領海が広がればもう事故は全然なくなるというわけではないと思いますけれども、しかし、いままである例から言えば、大体被害の八〇%ぐらいは十二海里以内で発生しているようでありますから、これができれば私は相当程度の前進になるということは間違いないと思いますよ。津軽海峡や八十近い海峡が、領海十二海里の結果、公海部分がなくなることで、いわゆる無害通航との絡みがむずかしくなって、外務省の方はそのことだけが頭にあって、漁民の立場を真剣に考える農林省と、軍事的な要素のみを大事に考える外務省と、そこで衝突をしていると私は思います。いずれは十二海里にみんななるわけですよ、ほかの世界のどこの国でもほとんどみんな十二海里なんですから。そのことで海洋法会議の先取りをするという非難はないのではないかと私は思いますよ。ですから、外務省が心配しているような事態は、海洋法会議でいずれの日か結論が出れば、そこで何か新しい道が開けるのじゃないですかね。外務省へ、そういう好意的な気持ちでそういう見通しを申し上げている。だから、さしあたりはいろいろ問題があるかもしらぬが、非核三原則という原則は原則でこれはきちっとして、無害通航というのも原則なんですから、それははっきりしておいて、領海十二海里をやったって、そう問題は起きないと思うのです。そういうことによって、今日ある日本漁業の大きな問題の解決ができる、こう思うのですが、どうですか。
  137. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 大変御理解のあるお言葉でございますが、漁民の立場に立って何とかしてあげなければいかぬということは、私も大石農林大臣も同じであると思っておるわけでございます。ただ、日本は海洋国でございまして、海洋問題というのは非常に大きな広範な影響があるわけでございます。御承知のように、現在、アメリカもイギリスもまた日本も、海洋におきましては領海三海里ということを言っておるわけでございます。しかし、世界の大勢でもありますし、われわれとしては十二海里にしようということは決めているわけですが、先ほど申し上げたように、海峡の通航、その他深海における資源問題とか大陸だな問題とかいろいろあるわけでございますが、それとワンパッケージで考える方が日本の国益に沿うゆえんではないかというふうに言っているわけでございます。どういう点で国益かと申しますと、まず電気を発生する源である石油の多くはマラッカ海峡を通ってくるわけでございますが、これに無害航行ということだけでやらせろとかいろいろ問題を起こしますと、起きないことを期待しますが、起こせば起きる立場にわが方から進んで持っていくことについて非常に問題があると思っているわけです。  それから、いまお話の中にございました宗谷、根室等の海峡は、双方から見れば二十四海里以内になるわけでございますから、そこの非核三原則との関係、これは非常にむずかしい問題になります。  大体海洋の航行というものは、従来の実績を尊重するというようなたてまえの主張が通るものでございますから、従来そこを通っておったものが、日本が宣言をいたしましても強引に通ってくるという場合には、非常にむずかしい問題がそこから発生してくるわけでございます。御承知のように、この海峡を通っておるものはアメリカではございませんですね。潜水艦が通っているのは、その他の国が多いわけでございます。  そこで、いろいろな問題がございまして、できればやはり全体の海洋法会議で海峡通航の問題等について結論が出たときに一緒にやる方がいい。これは日本の国益から見て、日本の長い将来から見ていい。もちろん漁民の立場に立って何とかしてあげなければならぬということを思いつつも、そういうふうに思っているわけなんでございます。  そこで、いまのような領海と言わずに、領海十二海里になるまでの間に、じゃ、ほかでは経済水域二百海里と言っているじゃないか、そういうことから考えますと、何か漁業専管水域十二海里と、領海十二海里になるまでの間にそういうことをしたらどうだというお話がございましたものですから、これは非常によく考えていただいた考えではないかというふうに思いまして、先ほどちょっとそういうことについて私は検討をお約束したようなわけなんでございます。  非常にむずかしい複雑な問題で、三木総理が安井さんに、どうも見通しが甘かったとおっしゃった話は、そのとおり私も聞いておりますが、海洋法会議が本年の第五次の会議で結論が出れば、もう問題がなかったのでございますけれども、これが来年の五月に延びましたわけで、それは五月に会議が延びても、これは全く打ち切られたわけではございませんで、この間に関係国との間にいろいろ話を詰めてまいりたい、こう思っておるわけでございます。それであるだけに、いま一方的にこちらが宣言するということは、長い国益から見てどうであろうかという点、実は非常に思い悩んでおるというのが率直なところでございます。
  138. 安井吉典

    安井委員 いまの御説明では、ますます納得がいかなくなるのですよ。報道によりますと、十月二十五日に梅本官房副長官中心関係当局で話し合いをして、今後各省間でこの問題について事務レベルの調整を進めていくということのようですが、それはどうですか。
  139. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 この問題については従来官房副長官がやっておられますので、この調整は内閣官房で梅本副長官のところでやってもらうという従来の経緯になると思うのですが、この十月二十五日の報道は、内閣、外務省、通産省の間で官房副長官が主になって意見を調整したということではなくて、従来の経過がいろいろ交わされた、こういう程度で、意見調整ができたということではございません。
  140. 安井吉典

    安井委員 とにかくこれ以上やりとりをする時間がありませんから、この問題を打ち切りますけれども、ワンパッケージで物事を処理するのだということは、その言葉を受けとめる漁民は、われわれが犠牲にされるのだな、こうとるわけですよ、それよりないわけですよ。いまおまえさんたちもずいぶん苦労しているかもしれぬが、ワンパッケージで、海洋法会議はことしもだめだったし、来年だって必ず成功するとは限らないのだからということになれば、君ら犠牲なんだよということになるわけですから、そこをやはり政府は真剣に、考えていただきたい、こう思うわけです。  最後に、北方領土の返還の問題について、宮澤外務大臣は、ソ連は北方領土に関する日本の主張は現実的ではないと言うが、このまま放置すればわだかまりは深まる一方だ、だからシベリア開発など経済面で協力を進めていくとき、北方領土を返還しなければ損をするという状況を外交、経済協力の面からつくり出すという表現をされています。これは記者会見の報道ですから、正確なのかどうかわかりませんが、小坂外務大臣としては領土問題についていかなる方針で臨もうとされているのか、それをひとつ伺います。
  141. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 この北方領土問題は、まず北方領土とはいかなるものか、これは四つの島であるということを私は明確にしておきたいと思うのでございます。  われわれは戦争に負けることを無条件に認めまして、無条件に降伏したわけでございます。それに基づきまして、サンフランシスコの講和会議で千島を放棄したわけです。しかし、その放棄した千島の中に歯舞、色丹、国後、択捉は入っていない、そういうことを明確にしてソ連にいろいろお話をするという立場をとるのがいいというふうに私は思っておりまして、さような方針でやっておるわけでございます。  日ソの関係は、これは何としても近隣の関係でございますから、できるだけ友好親善を深めなければならぬと思うのでございます。しかしながら、何ら外国の支配下にあったことのない日本の固有の領土を、あの戦争の結果として奪ってしまったという形では友好はできないということをよくソ連側にわかってもらうようにしなければならぬ。あらゆる場所をとらえて、あらゆる時期にこの主張を繰り返していきたい。損する、得するの話は別といたしまして、われわれの方としては非常に真剣な問題で、いかなる人が政府をとってもこれだけは絶対に動かせないということを強くソ連に印象づける、そのことが大事だと思う。  この四つの島が返ったら次は樺太だ、次は千島だ、そういう要求はしないということを明瞭にして交渉したいと考えております。
  142. 安井吉典

    安井委員 その方針で、ごく近い機会に何を行動されますか。
  143. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 実は、この九月二十九日にニューヨークでグロムイコ外務大臣と会ったときにそれを申し上げたわけでございますが、これはやはり国民的なレベルで考えている。ソ連の方は、何か復讐主義者が領土の拡張を要求する一つの手だてであるというような、非常な誤解があるようでございますから、やはり全国民理解のもとにこれを強く主張していくというキャンペーンが非常に必要なのではないかと思います。宮部金吾先生という北大の植物学の先生も、あそこの四つの島、ことに国後、択捉と、得撫から北の占守に至るいわゆる千島と、植物の繁茂の状態が全く違うというのです。したがって、これは全然異質のものであるということを言っておられるわけでございまして、そういういろいろな事実に基づいた、条約ももちろんでございます。一八五五年の日魯通好条約、あれも当時のロシアと日本の境は、この択捉島と得撫島の間の境の海峡だということはちゃんと書いてあるわけです。一八七五年の千島樺太交換条約においても、千島とは、得撫から北の占守に至る十八の島であるということが書いてあるわけです。  いろいろな点で国民の皆さんの意識を一つにして、これをソ連に対して、われわれの主張は正しい主張であるということを印象づけるように努力すべきであるというように思っております。
  144. 安井吉典

    安井委員 時間が来ましたので、いまの御発言に私はコメントしません。一応伺うだけにして、きょうは終わります。
  145. 松本忠助

    松本委員長 次に、瀬長亀次郎君。
  146. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 最初に、日本における米軍基地内でいまゴルフ場がどこどこにあり、面積はそれぞれ幾らあるか、わかりましたらこれを簡潔に知らしてください。
  147. 銅崎富司

    銅崎政府委員 沖繩の施設内におきますゴルフ場は六カ所ございます。奥間レスト・センター、キャンプ瑞慶覧、伊波城観光ホテル、普天間飛行場、嘉手納飛行場、那覇空軍海軍補助施設の一部にありまして、面積は百四十六万五千平米であります。
  148. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 沖繩のほかの在日米軍基地にゴルフ場はありませんか。
  149. 銅崎富司

    銅崎政府委員 本土には五カ所ございます。
  150. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 面積は。
  151. 銅崎富司

    銅崎政府委員 名前は三沢飛行場、多摩弾薬庫、厚木飛行場、キャンプ座間、岩国飛行場の五カ所でございます。  面積は、三沢飛行場が五十五万平方メートル、多摩弾薬庫が六十六万平方メートル、厚木飛行場が五十二万平方メートル、キャンプ座間が同じく五十二万平方メートル、岩国飛行場が三十五万平方メートル、以上でございます。
  152. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 このゴルフ場へ日本人が入り込んでゴルフをやっておる実態を知っておりますか。
  153. 銅崎富司

    銅崎政府委員 どういうような実態であるかというのは承知いたしておりません。
  154. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 日本人が入り込んでゴルフをやっていることは御存じですか。
  155. 銅崎富司

    銅崎政府委員 日米の親善友好を図るということで、米軍人等の使用に支障を来さない範囲ということで、米軍人等の紹介で日本人が利用しているということは承知いたしております。
  156. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 沖繩県の総務部の税務課調査によりますと、いまお話のあった瑞慶覧基地のゴルフ場だと思いますが、泡瀬のゴルフ場、これは十八ホール、利用料金が外人が三ドルです。それから、日本人が十ドル。これはことしの九月二十三日公休日、午前六時三十分から午後三時までの間に二百八十四名がゴルフをしておりますが、そのうち日本人利用者が二百三十一名、外人がわずかに五十三名。それから、十月八日、これは七十四人のうち三十八名が日本人、外人が三十六人。それが、ひどいのになると、十月八日、石川市伊波城ゴルフ場、これは日本人利用者十四名、外人ゼロ。それから、十月九日土曜日、日本人七十三人で、外人一人。それから、十月十日、日本人五十三名で、外人ゼロ、こういった実情であります。もちろん地位協定に基づいて税金は払われておりません。これは当然の話でありますが、なぜ総務部税務課が調べたかというと、現在、沖繩にゴルフ場、練習場が、沖繩ゴルフ場練習場連絡協議会を組織して、二十四あります。これが一年間に納めているいわゆる利用税、税金は二億五千万円になっており、向こうの業者の想定でありますが、仮にこれに米軍基地の中における日本人に対して税金を取るのであれば、優に七千万円を下らないのではないかということになっております。  そこで、私が質問したいのは、これは地位協定に違反するのではないかということです。これを外務省はどのようにお考えであるか、お伺いしたいと思います。
  157. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 在日米軍の軍人、軍属及びその家族が日本に勤務するに当たりまして、その勤務状態を良好な状態に置くために、各種の福利厚生施設が必要であるということは理解されるところでございます。したがいまして、それに必要な限りにおいて、こういう福利厚生施設を維持することは地位協定上許されると考えております。
  158. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それでは、御参考に申し上げますが、前の屋良知事がこの問題について、在沖米陸軍基地司令官に、これは好ましくない、地位協定にも違反するのでないかというので、直ちに日本人の利用を取りやめてほしいと言ったことに対する返事ですが、これは一九七三年十一月二十一日、親愛なる屋良知事殿ということで、司令官H・N・メイプルス陸軍少将からの返事です。この全文は時間の関係で読みませんが、こう書かれています。  「日本人による米軍ゴルフ場及び施設の利用は、地位協定の規定に全く反するので、すべての米軍ゴルフ場におけるこの慣行を最終的に一九七三年十一月一日付けをもって打ち切りにすべく、一九七三年十月に然るべき処置をとりました。」続けて、「泡瀬ゴルフ場の特別会員」、いま局長がおっしゃった親善の問題ですね、日本人を特別会員にしていたわけだが、この「泡瀬ゴルフ場の特別会員にたいしても一九七三年十二月一日以降、特別会員の資格はすべて無くなることを通知してあります。すべての協定や取きめを順守することが我々の意志、意向であることを改めて貴殿に断言いたします。貴書簡に感謝します。敬具」ということになって、アメリカの司令官自身が、日本人にこの基地の中にあるいわゆるゴルフ場の使用をさせるのは地位協定に違反するとはっきり県知事に答弁している。これを、アメリカ自身はそう言っているにかかわらず、外務省は地位協定に違反しないということになると、どうなってくるのか。これは大臣いかがですか。
  159. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 沖繩の米軍の代表者がそういう書簡を出しているという事実を私たちとしては承知いたしておりません。私たちとしましては、先ほど申しましたように、米軍関係者が福利厚生施設としてこの種のゴルフ場を利用することは認められるところであると考えております。また、その米軍との親善その他の理由で、少数の日本人がこのゴルフ場を利用するということもあり得ることだと考えております。
  160. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 そうなりますと、米軍の司令官は三年前に、これは協定違反であるので、各管轄の部隊に通知をした、しかも「泡瀬の特別会員」とありまして、いわゆるアメリカに親しい人々を特別会員にして、そしてこの会員が利用できるようになっていた、それも資格はもうないものとしますということの措置をとっておる。にもかかわらず、日本政府は、これは地位協定に違反せず、そして日本人か相変わらず十ドル出して——安いのですね。脱税行為もできるわけなんです。そういうことを日本政府が許すということは、一体どう考えればいいのか。米軍の司令官自身は、はっきり書簡をもって知事に出しておるのですよ。これはうその書簡じゃないのですよ。これは前知事屋良さんに対する回答なんです。現在、二十四の民間ゴルフ場練習場連絡協議会は年間二億五千万の税金を県に収入として上げている、こういった面から見て、県知事の、どうもこれは納得いかないということでやめさせてくれという、こういう要請に対して、司令官がはっきり言っておる。これを外務省は、地位協定違反でない、だから親善のためにはいいんじゃないかという解釈になると、一体日本国民はどう解釈すればいいのか。あるいは、いま沖繩のほかにも五つの本土の基地にゴルフ場がある。こういったゴルフ場についての日本人の使用も、いま私は調べていないからわからないが、あなたのいわゆるお考えによりますと、これはもう親善のためだということになると、一体どうなるのか。劇場であれ、プールであれ、いろいろ娯楽施設がありますね。そういうものも親善のためということで日本人がどんどん入り込んでいって、無税だ。どういうふうになるのですか、これは。向こうが、地位協定に違反しているので今後一切そういうことはやりませんと言った後、三年間もやっているから私は指摘し、沖繩の新しい知事も前知事に実務を引き継いでまた出しておるのですよ。これはどうなんですか、一体。外務大臣、どうお考えになるのですか。
  161. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 私たちとしては、そういう書簡が前知事に出されておるということは全く承知しておらないわけでございますが、そういう書簡があるかどうか、またどういう内容のものであるかということについては米側にただしてみたいと存じます。
  162. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 米側に問い合わせて、それが本当であればいままでのも違反であった、また現在でも違反である。そこで、知事が要望しているように、日本人がゴルフをできないようにする手配をされますか。これは、調査といっても、この書簡はもうだれにでもわかっている書簡なんです。別に私、何も偽造しているのじゃないのですよ。それは電話されれば、事実であるかどうかはすぐわかりますよ。あしたでもできるわけだ、そうすれば、県知事の要請どおり一切ゴルフ場を使用させないという手だてをとるかどうか。これははっきり答えてください。
  163. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 本土にもゴルフ場はあるわけでございまして、これはもちろん、主として米軍関係者のために利用されておるわけでございますが、日米親善というふうな目的のために若干の日本人が利用しているという実態もございます。そういうものとして、われわれもその範囲においては容認しておるわけでございます。したがいまして、この点については、そのゴルフ場のそういう利用形態については日米の間でいわば一つの了解が成り立っておるわけでございまして、そういう地位協定の一つの解釈の問題というものは、やはり中央政府レベルで話し合っておる問題でございまして、現地軍の人がそういう手紙を出したとはちょっと信じがたいのでありますけれども、せっかくのお話でございますので調べさせていただきたいと存じます。
  164. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは、地位協定の問題で、ゴルフ場を日本人に使わしてもいいという合意に達したのはいつですか。
  165. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 先ほどから申し上げておりますように・米軍のゴルフ場というものはもちろん米軍の関係者が使うことを主たる目的としておるということでございます。しかし、その主たる目的の範囲内において、米軍の判断において、日米関係者の親善その他の目的に先方がある程度使わせるということは許容されることであろうと考えておるわけでございます。それは、先方のそういうポリシーといいますか、そういうものとしてそういうことが実際に行われている場合に、われわれとしてはそれに反対すべき理由はないと考えております。
  166. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いや、私が聞いているのは、いつ合意し、いっそういったものを結んだのか、それがわかれば、それが本当であれば、司令官ですよ、まさか司令官がそういうのをわからぬでこういった手紙を出すはずはないでしょう。これが証拠に、いつどういう形で米軍とその相談が成ったのか、はっきりさせてください。
  167. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 まだ、私の方も逆に、司令官が地位協定の解釈の問題を自分でやるとはちょっと考えられないわけでございまして、この点についてはもう少し事実を調べさしていただきたいと思います。
  168. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 局長の答弁は非常にあいまいですね。自信がないんですね。実際は沖繩でゴルフ場を日本人が使っていることもわからないんだ。だから、いわんや本土の各基地でゴルフ場のあるところでどのくらいの日本人がゴルフをしているかわからぬ。私が言ったからつじつまを合わせるために言っている。これは司令官すらそう言っている。もう三年近く前にはっきり出していることであるが、守られていないから問題になっている。税金の問題その他でいま大きい問題になっているわけです。これは沖繩で問題になっているわけなんですから、ほかでもあれば大きい問題になるんですね、税金の問題とも関連するんで。これはすぐ調査できるのですよ、書簡だから。あしたでも調査した上で、そういう意思であれば、一切ゴルフ場を使わさない、日本人の使用はできないという措置をとれるかどうか、はっきりお答え願います。
  169. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 この点につきましては、調べた上でお答え申し上げたいと存じます。
  170. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは調査は簡単にできますから、早目に調査して、適当な措置というのではなくて、県民と県が要求している、日本人の利用をやめさせる、その方向をとってほしいと思います。  次は、このゴルフ場の撤去の問題なんです。いま基地の縮小整理といいますね、そういう場合に、ゴルフ場がなければ基地の機能は低下するのかせぬのか、低下しないと思います。  大体そのゴルフ場の問題、これはだれが経営し、この利潤はだれが取っているかおわかりですか。一人当たり十ドル取るんだから、収入が入っているでしょう。
  171. 銅崎富司

    銅崎政府委員 実態をよく承知いたしておりませんので的確なお答えになるかどうかわかりませんが、米側がそういう経費を取っているのは、ゴルフ場の維持管理に充てるというふうに聞いておりまして、利潤を上げるためにその金を取っているというふうには聞いておらないわけでございます。
  172. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 施設庁も外務省も、全然このゴルフ場の問題については実態をつかんでないということです。何のために外人は三ドルであり、日本人は十ドルであるかということもわからぬ。これはだれが経営し、どういうふうに維持されておるかわからない。そして司令官は、いわゆる協定に違反するからやっぱりこれは取りやめます、こういうこともわからぬ。ですから、これを含めて、実態を含めて全部調査した上で、速やかにこの問題は県と県民が要求している方向でひとつ解決してほしいということを強く要望し、次に撤去の問題です。  基地縮小といいますね、外務大臣。縮小であれば、こういったものからなくする必要があるでしょう。大体いま言われたものだけでも、坪に直して四十四万坪、沖繩だけであるんですよ。これを解放する。もうこよなき場所なんだな。これは理論的にも言えるし、県民感情、国民感情を逆なでするという問題とも関連し、あなた方の方針である基地縮小とも関連する。それはアメリカのある有力な人も、こういったのは持つべきじゃないというふうなことを言っている。私は、時間がもうありませんので、最後に、外務大臣の方針が基地縮小の方針であれば、このゴルフ場こそ早目に解放するという方針で当たるべきではないか。たとえば東京地裁の昭和二十八年六月二十四日の判決です。これは、アーニーパイル劇場を米軍娯楽施設として接収しようとしたことに対し、東宝が提訴したもの、これに対する判決なんです。「もっぱら駐留軍の娯楽施設にあてるものとみられる、劇場ならびにその敷地、付属施設の緊急使用許可処分は違法である」、これは「土地等を駐留軍の用に供することが適正かつ合理的でなければならず……単に駐留軍が当該物件を使用することを希望し、または便宜とすれば足るのではない」というふうな判決で、とうとうあれは接収できなかった事実があります。それから、これは施設庁に関係することでもありますが、ことしの十月十五日、施設庁施設企画課の河野年博課長補佐、この人が「ゴルフ場、劇場などのある地域の使用計画を施設庁から総理大臣の認可を得て、土地収用委員会にかけた所、防衛上必要な地域に入らないと裁定されたことがある。又、これを裁判闘争にもちこんだところ負けた。以上のような事から、未契約者のいる所は、防衛上不可欠な所以外なら米軍とつめた上で開放する以外ない。」ということも言っているんですね。それから、アメリカの実例をとりますと、これは例の一九七〇年一月二十七日、米上院防衛外交委サイミントン委員会聴聞会二日目に、日本本土の関東地域のゴルフ場についてフルプライ委員は、在日米軍でゴルフをしたい者は日本のコースでやればよいと強力に主張しているということも書かれておる。  こういったようないきさつもわれわれが頭に入れるならば、政府の基地縮小という政策が事実本物であれば、いまこそこういったものをも勘案して、どうですか、外務大臣、こういったゴルフ場の解放、これをアメリカに要求することが当然ではないかと私は思うのですが、いかがですか。
  173. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 先ほど山崎局長から申し上げましたように、やはり米軍の各位が非常に有効に任務に従事するために、リラックスした気分を得るためにある程度の娯楽を持つということは、これは世界各国で認めておることだと思うのでございます。そういう趣旨で、米軍との間にいろいろこの基地の有効使用について相談をするということは常にやっておるわけでございますから、そういうような御意見もあるということを頭に置いて山崎局長においても先ほど御答弁したようなわけでございますから、そういう方針でよかろうではないかと思っておるわけでございます。
  174. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間が切れましたので、要望だけしておきますが、いまの外務大臣の答弁では、国民の要望には沿えないし、さらに政府が常に言っている基地の縮小などというのが真っ赤なうそだということが明らかになるのですよ。だから、そういった意味で、もし本当に国民の立場に立つ外交交渉であるならば、国民の意思に基づいて、こういった娯楽施設、なくてもいいようなゴルフ場を解放するという方向で外交折衝を進めていってほしいことを私は強く要請して、質問を終わります。
  175. 松本忠助

    松本委員長 次に、渡部一郎君。
  176. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 八月の末から九月にかけまして北方海域でソ連側に拿捕された根室市の漁船四隻の乗組員八人が、二十四日ソ連側から釈放され、根室海上保安部の巡視船「くなしり」で根室港に帰ってきましたが、同時に、二十一日からの大しけでソ連領に緊急入域した際座礁、沈没し、ソ連側に救助されていた根室と釧路の漁船二隻の乗組員十人も引き取られて帰国をしているようであります。拿捕漁船員の釈放は、ミグ25事件以来初めてでありますが、緊急入域中救助され、同時に帰ってきた十人の漁船員のことは、今回引き取りに行った際、ソ連側から初めて知らされたということであります。  ソビエト側の態度を考えますと、これは非常に興味深い報告でありますが、このソビエト側の行動というものは、ミグ事件の前と比べまして、前回御報告いただきましたときに、欧亜局長から態度としては前年度とほとんど変わっていない旨御報告がございましたが、今日もなおかつ変わっていないと、こう言うにふさわしいものであるかどうか、その辺お伺いします。
  177. 橘正忠

    ○橘政府委員 ただいま先生から非常に具体的な最近のケースについてのお話がございました。私どもも間接的にそうしたようなことは伺っておりますが、先生がいまおっしゃいましたほど的確な細かいお話はまだ伺っておりません。ただ、ミグ事件が起こりましてから、先般も申し上げましたように八隻拿捕されたケースがございますが、それ以外にも一隻つかまって、それから多少取り調べがありまして、恐らく向こう側としても、果たして向こう側の言う領海侵犯であるかどうかということについて明確でなかったような事情もあったのかと思いますが、二十四時間足らずのうちに釈放をされたケースもございます。これもミグ事件以降のケースでございます。さようなこともございました。  それから、具体的な件数等につきましても、これもまた年によってかなり拿捕の状況にでこぼこがございますので一概には言えませんが、件数から言うても、特にたとえば昨年に比較してもふえてはいないというふうなこともございますので、九月六日以降ソ連側において、わが方漁船の拿捕に係るケースについて特段変わった扱い方をしているというような印象は、ただいまのところは受けてはおりません。
  178. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 これら救助船あるいはソ連側に拿捕された船の釈放その他の場合に、つまりソ連側に遭難のため緊急入域した船あるいはソ連側に拿捕された船の日本側に対する返還の際、ソ連側との情報交換あるいは連絡等に対してはどういうことになっておりますか、お伺いします。
  179. 橘正忠

    ○橘政府委員 ソ連側に拿捕されましたケースにつきましては、多くの場合僚船、同僚の漁船等からそれらしき事例の連絡が日本側に参ります。そうしますと、わが方で、すぐわが方の主としてモスクワの大使館を通じて、ソ連側に事実関係についての確認をまず求める。同時に、わが方としては、彼らの言う拿捕の起こりました地点について確認がある程度できますれば、当然わが方としての基本的な立場から、そうしたものはわが方としては拿捕のケースにすべき理由はないという基本的な立場を表明するとともに、即時の釈放、これは漁船及び船員につきまして釈放を求める。それから、ソ連側に対して、船長を含めた船員等との面会を求める、こういう手順をまず踏みます。それで、多くの場合面会を許される場合もございます。それからさらに、場合によりまして本人から留守家族といいますか、あるいは留守家族から本人との間の手紙等の文通というようなことも、拿捕期間が長くなります場合には認めるようにソ連側に申し入れるというような措置をとっております。
  180. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 現場海面に近いところにおける海上保安庁巡視船に対する連絡、引き取り要求、そうしたものも現実的にはあるんじゃないかと思いますが、その辺のこちら側の対応される担当局と申しますか、それは根室あたりではどういうふうにやっておられますか。
  181. 橘正忠

    ○橘政府委員 多くの場合、あの水域、特に漁期におきましては海上保安庁の船もあの水域に行っておりまして、特に拿捕が起こった近傍に海上保安庁の船舶があるというような場合には、わが方の海上保安庁の船にもすぐ連絡をとります。  ただし、現実の問題として、向こうがすでに拿捕をして曳航しておる、向こうの言うところの向こうの領海内に入っているような場合には、実際問題として、それをわが方の海上保安庁の船が追いかけていくということは困難な場合も多いと思います。ただ、そういう意味で、その近傍にわが方の海上保安庁の船がおります場合には、直ちにそれとも連絡をして、果たしてわが方漁船を何らかの形で保護し得る具体的な措置があるかどうか、これもすぐわが方の海上保安庁の船との連絡によって確かめる、もしできないときは、まことに残念ながらやむを得ないということになると思います。
  182. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 地元漁民の強い要望の一つでありますが、逮捕された場合、当人及びその留守家族に対する連絡経路が非常にあいまいに来るわけですね。地元からの要求は、根室あるいは釧路等においてその市役所の中でも漁協の中でも結構でありますが、海上保安庁もしくは外務省の出先担当官を置いて、情報提供に遺憾なきを期していただきたいという要望が強くあるわけでありますが、こういう制度は御検討していただくわけにいきませんか。
  183. 橘正忠

    ○橘政府委員 この問題と実は直接にはある意味ではかかわりはないのでありますけれども、日本近海におけるわが方の漁船の操業状態とソ連漁船の操業状態等について通信連絡の制度を少し改善しようという話もございまして、先ほど別の委員の方の御質問に水産庁の方からお答えしたわけでございますが、そういったケースにつきましても、実はいろいろな意味での現場と中央、あるいはこういった場合での留守家族との連絡とかという通信の方法については、先生指摘のとおりいままでよりももう少し改善を研究する余地はあり得るであろうと思っております。多くの場合、先生指摘のように、漁協とかあるいは北海道庁とか、そういうところを通じて言ってきておるのでございますけれども、そのチャンネル自体の問題か、それとももう少し迅速にできるようにするという運用の問題であるのか、両面から検討させていただきたいと思っております。
  184. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 私の申し上げる趣旨はくんでいただいたようでありますが、地元の人から言わせると、ここへ行けば相談ができるというところが欲しいようなんですね。電話をかければ確かにわかるのでしょうけれども、地元ではここへ行って相談したいという場所がないというのが非常な不安の対象になる。現実にはそうして御相談を受けることによってさらに細かい状況も情報収集ができることでありますから、重ねてでありますが、その点御配慮をいただきたい、こう思うのです。
  185. 橘正忠

    ○橘政府委員 御趣旨承りまして、さらに具体的に詰めて考えたいと思います。
  186. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 最近における北方領土の問題につきまして、ソビエト側の態度は一段と険しい感じを私たち受けておりまして、非常に遺憾に存ずるわけでありますが、田中訪ソの際、ソビエト側との共同声明の中で私たちが聞かしていただいておりました日本政府側の解釈は、先方政府によって承認されていたものとわれわれは感じておったわけでありますが、最近のミグ事件以後、そのソビエト側の見解を見れば、そうした方針は了承されていなかったのではないかという疑いを感ずるわけであります。もう一度、その辺の微妙なポイントについて御説明をいただきたいと思うのです。
  187. 橘正忠

    ○橘政府委員 それでは、とりあえず私から事実関係につきまして申し上げます。  御指摘の、当時の田中総理がモスクワに行かれまして、ブレジネフ書記長と直接首脳レベルでの会談を行われて、この問題について激しいやりとりがございまして、その結果、御存じのとおり共同声明が出ました。そこで、戦後の未解決の諸問題ということでこれを解決して平和条約を結ぶ、それが両国にとって望ましいことであるということが確認されました。それが書き物上の文言でございますが、その文言を双方において確認するに際しまして、当時の田中総理よりブレジネフに対して、直接、この未解決の諸問題ということには四つの島、これが含まれるのであるなということを再度にわたって確認をされて、その際ブレジネフはこれを確認しております。そういう経緯がございました。文書上は未解決の諸問題ということでございますが、その背景にそういう確認行為が行われております。
  188. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 ブレジネフの確認というのは、議事録その他メモ等において確認されたものでありますか。
  189. 橘正忠

    ○橘政府委員 こういう首脳会談におきまして、いわゆる双方が合意した議事録という形式は多くの場合とっておりません。当時の田中総理の行かれました首脳会談についても同様でございます。それぞれが記録を持っておるという状態でございますが、ただいま申し上げましたことは事実関係として厳存しております。
  190. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そのとき、ブレジネフ氏はどういう表現をとられたのですか。
  191. 橘正忠

    ○橘政府委員 先ほど申し上げましたように、田中総理から二度にわたって、四つの島が含まれておりますねということを確認されましたのに対して、ロシア語をもってそうであるということを言われました。
  192. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 それでは、最近のブレジネフ氏の演説は、その交渉の内容とは別に、個人的見解を述べられたものと理解しているわけですか。
  193. 橘正忠

    ○橘政府委員 先生の言及されました最近のブレジネフの言葉というのがどれか、私も明確ではございませんが、去る二月の第二十五回ソ連党大会におけるブレジネフ書記長の報告なるものの中に、いわゆる平和的調整の問題に関して、外部からの直接的使嗾に基づき、根拠のない不法な要求をしている者があるという表現がございまして、それが恐らく北方領土平和条約をめぐる問題を指しているものと推測される次第でございます。  ただ、ブレジネフ書記長の用いました表現は、私、きわめて正確ではございませんと思いますが、ただいま申し上げましたような趣旨でございますので、それ自体が先ほど申し上げました四島領土問題をめぐるいきさつと直接に矛盾することはないと考えております。
  194. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 大臣、最後に承るわけでありますが、この北方領土交渉のいきさつについては、多年懸案の、わが国外交の主要課題の一つであります。また、大臣御就任以来、この問題についていろいろ御努力をされましたことも伺っておるわけでありますが、私は原則論として言うならば、長期間にわたる交渉ということでわが国は粘り強く交渉すべきであり、これを反ソ運動の一環にせず、わが国独自の中立外交の立場から処理すべきであり、またこれは平和条約締結のときの米ソ両国の対決がそのまま持ち込まれた紛争問題の一つとして理解すべきであって、その意味で広い意味の戦後処理という形で処理しなければならない問題であり、少なくともこの問題を日中関係の問題にしたり、その他の紛争の火種にするようなことのないよう、十分な粘り強い努力というものが必要であるというふうに思っているわけでありますが、大臣の基本的な見解を承りまして、私の質問とさせていただきたいと思います。
  195. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 私もまたこの日ソ間の友好というものは大変大切なものであると思いますので、何かこの問題をめぐりまして、反ソ運動というようなものになることは不本意なことと考えております。この点、渡部さんの御意見と全く同様でございます。  ただ、われわれとしては、この問題が解決すれば平和条約が結べるというふうに思っておるわけでございますが、ソ連の方は、それじゃこの問題を解決して平和条約を結ぼうというところになっていない。ソ連の方は、すぐに平和条約を結べばいいじゃないか、そこに問題のとらえ方が違うという点がございまして、係争中の問題として、領土問題をさらに詰めていくということについては、いま橘局長が申し上げたとおりであると私は思います。ただ、そこにまだ微妙な差がございますので、係争中の問題を詰めていくということと、これを解決してやろうということと、そのソ連の言い方、ニュアンスがあると思うのでございます。  しかし、そういうことでございますので、仰せのように、これはすぐに解決できない問題かもしれませんが、長期的に粘り強く、あくまでわが主張を通していくという態度で臨みたいと考えております。
  196. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 終わります。
  197. 松本忠助

    松本委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十一分散会