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1976-04-28 第77回国会 参議院 予算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年四月二十八日(水曜日)    午前十時五分開会     —————————————    委員の異動  四月二十八日     辞任         補欠選任      戸塚 進也君     源田  実君      対馬 孝且君     大塚  喬君      浜本 万三君     小山 一平君      黒柳  明君     相沢 武彦君      上田耕一郎君     加藤  進君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         八木 一郎君     理 事                 梶木 又三君                 高田 浩運君                 山内 一郎君                 吉田  実君                 小野  明君                 森中 守義君                 桑名 義治君                 内藤  功君                 向井 長年君     委 員                 安孫子藤吉君                 青井 政美君                 石破 二朗君                 糸山英太郎君                 長田 裕二君                 亀井 久興君                 熊谷太三郎君                 源田  実君                 坂野 重信君                 玉置 和郎君                 中村 太郎君                 夏目 忠雄君                 秦野  章君                 林田悠紀夫君                 最上  進君                 森下  泰君                 矢野  登君                 大塚  喬君                 加瀬  完君                 片岡 勝治君                 神沢  浄君                 小山 一平君                 竹田 四郎君                目黒今朝次郎君                 矢田部 理君                 山崎  昇君                 相沢 武彦君                 太田 淳夫君                 矢追 秀彦君                 岩間 正男君                 上田耕一郎君                 加藤  進君                 渡辺  武君                 木島 則夫君                 市川 房枝君    国務大臣        内閣総理大臣   三木 武夫君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       福田 赳夫君        法 務 大 臣  稻葉  修君        外 務 大 臣  宮澤 喜一君        大 蔵 大 臣  大平 正芳君        文 部 大 臣  永井 道雄君        厚 生 大 臣  田中 正巳君        農 林 大 臣  安倍晋太郎君        通商産業大臣   河本 敏夫君        運 輸 大 臣  木村 睦男君        郵 政 大 臣  村上  勇君        労 働 大 臣  長谷川 峻君        建 設 大 臣  竹下  登君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)        (北海道開発庁        長官)      福田  一君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 井出一太郎君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖繩開発庁長        官)       植木 光教君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       松澤 雄藏君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  坂田 道太君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       佐々木義武君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  小沢 辰男君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  金丸  信君    政府委員        内閣法制局長官  吉國 一郎君        内閣法制局第一        部長       角田礼次郎君        公正取引委員会        委員長      澤田  悌君        公正取引委員会        事務局経済部長  吉野 秀雄君        公正取引委員会        事務局取引部長  後藤 英輔君        行政管理庁行政        管理局長     小田村四郎君        防衛庁参事官   伊藤 圭一君        防衛庁参事官   岡太  直君        防衛庁長官官房        長        玉木 清司君        防衛庁防衛局長  丸山  昂君        防衛庁衛生局長  萩島 武夫君        防衛庁経理局長  亘理  彰君        経済企画庁長官        官房参事官    佐々木孝男君        経済企画庁調整        局長       青木 慎三君        経済企画庁物価        局長       喜多村治雄君        経済企画庁総合        計画局長     宮崎  勇君        経済企画庁調査        局長       岩田 幸基君        環境庁企画調整        局長       柳瀬 孝吉君        環境庁大気保全        局長       橋本 道夫君        環境庁水質保全        局長       堀川 春彦君        法務省刑事局長  安原 美穂君        外務省アジア局        長        中江 要介君        外務省アメリカ        局長       山崎 敏夫君        外務省経済協力        局長       菊地 清明君        外務省条約局長  中島敏次郎君        外務省国際連合        局長       大川 美雄君        大蔵大臣官房審        議官       山内  宏君        大蔵省主計局長  吉瀬 維哉君        大蔵省主税局長  大倉 眞隆君        大蔵省関税局長  後藤 達太君        大蔵省理財局長  松川 道哉君        大蔵省銀行局長  田辺 博通君        大蔵省国際金融        局長       藤岡眞佐夫君        厚生大臣官房長  宮嶋  剛君        厚生省社会局長  翁 久次郎君        農林大臣官房長  森  整治君        農林大臣官房予        算課長      石川  弘君        農林省農林経済        局長       吉岡  裕君        農林省農蚕園芸        局長       澤邊  守君        林野庁長官    松形 祐堯君        水産庁長官    内村 良英君        通商産業審議官  天谷 直弘君        通商産業省通商        政策局長     橋本 利一君        通商産業省貿易        局長       岸田 文武君        資源エネルギー        庁長官      増田  実君        中小企業庁長官  齋藤 太一君        運輸省航空局長  中村 大造君        労働省職業安定        局長       遠藤 政夫君        建設大臣官房長  高橋 弘篤君        建設省計画局長  大塩洋一郎君        建設省都市局長  吉田 泰夫君        建設省道路局長  井上  孝君        建設省住宅局長  山岡 一男君        自治大臣官房審        議官       石見 隆三君        自治大臣官房審        議官       福島  深君        自治省行政局選        挙部長      土屋 佳照君        自治省財政局長  首藤  尭君        自治省税務局長  森岡  敞君    事務局側        常任委員会専門        員        菊池  拓君    参考人        日本銀行総裁   森永貞一郎君        日本輸出入銀行        総裁       澄田  智君        日本住宅公団総        裁        南部 哲也君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和五十一年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十一年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十一年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件 ○公聴会開会承認要求に関する件     —————————————
  2. 八木一郎

    委員長八木一郎君) ただいまから予算委員会開会いたします。  昭和五十一年度一般会計予算  昭和五十一年度特別会計予算  昭和五十一年度政府関係機関予算  以上三案を一括して議題といたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  三案審査のため、本日、日本銀行総裁森永貞一郎君、日本輸出入銀行総裁澄田智君及び日本住宅公団総裁南部哲也君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 前回に引き続き質疑を行います。安孫子藤吉君。
  5. 安孫子藤吉

    安孫子藤吉君 私は、総理施政方針演説に関連をいたしまして、若干の事柄について御質問申し上げたいと存じます。  総理施政方針演説の中に、高度成長時代の安易な考え方を断ち切って、発想を転換し、行財政合理化を進めてまいることを述べておられるわけであります。このことは、多くの国民が期待をいたしていることでございまして、この点について決意を披瀝されたことについては私もまことに適切なものであると考えておるわけでございます。  しかしながら、考えてみますと、行財政合理化の問題は各種審議会等において政府に多くの答申をなされておることは、総理の十分御承知のことでございます。行財政合理化あるいは簡素化、または法令の改廃あるいは行政事務簡素化、万般にわたって答申が行われておるわけであります。答申が行われておりますが、そのうち一部については実行もされておるわけでございまするが、基本的な問題についてはその実行が阻害されておるというのが実情でございます。そしてまた歴代の内閣もこの問題を取り上げましても、結果的には竜頭蛇尾に終わるという結果になっておることも御承知のとおりでございます。もちろん、これは政府部内の意思の統一という問題にも関係はございまするが、一面また国会における問題も絡んでおることも十分御承知のことでございます。しかしながら、現下の情勢から申しまして、ぜひこの面に一段の解決のメスを入れなければならぬという実情総理の御指摘のとおりでございます。  そこで、この施政方針演説でこれをお述べになりましたにつきましては、もちろん決定的なものではございませんけれども、総理のお考えの中に、長い政治経歴の中におきまして、現在の行政簡素化合理化について、この辺にはどうしてもメスを入れにゃならぬのだというような一つの構想というものが漠然としておありでなかろうかと存ずるのであります。あらゆる問題を一挙にこれは解決するものではございません。したがって、どれに重点を置いて、どんな考え方で、どんなタイミングで総理はこれをやろうとしておられまするのか、この辺についての感触をこの際お聞かせを願いたいと思うのであります。  同時にまた、この中で私が少し理解できなかったことは、安易な考え方を断ち切って発想を転換するということを特にお述べになっておられます。この問題は、おおむね各種審議会等におきまして答申が行われておる。これがあらゆるものを網羅しておるのじゃなかろうかと一応私は考えておるものでございます。この際、総理といたしまして、そういうことと別に、新たなる発想のもとに別の角度からこれを取り扱っていこうというようなお考えでもって、この発想を転換して合理化を進めていくということをお述べになったものであるとするならば、一体それはどういう方向をお考えになっておられるのか、この点もこの機会にひとつお聞かせを願っておきたい、かように思うのでございます。第一点につきましてはそういう御質問でございます。
  6. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 安孫子君の御質問の、私が施政方針演説でああいうことを述べましたのは、いままで日本は超高度経済成長が続いたわけです。ところが今日では、資源の点からもあるいは環境上の制約もございましょうし、労働力制約もあって、超高度成長時代は再び来ない。安定した適正成長時代がこれから続いていく。そうなってくると、今日の行財政にしましても、あるいはまた国民生活あり方労使関係、すべてが超高度成長のもとにそういうふうな仕組みが行われてきたわけですから、それが新しい軌道というものがこれから敷かれていくわけで、その新しい軌道に見合った衣がえをしていかなければいかぬ。そういうことで、もうこれは単に行財政ばかりでなしに、すべての面で従来の考え方を捨てなければならぬ時代が来たということが根底にあるわけなんです。  そうなってきて、次の時代に求めておる方向というものは、とにかく超高度成長時代一つの大きな目標は量的な拡大であったわけですね。GNPというものがこんなに、どこの国でも日本ぐらい問題になった国はない。GNP一般国民の常識のようになったわけです。こういう時代から質的な充実と申しますか、とにかく生産力量的拡大を求めたものから国民生活とか国民福祉であるとか環境であるとかの、生活内容充実する時代に入ってきた。そうなってくると、行財政というものについても、安孫子君のお触れになりましたように、そういう時代が大きく変化していきつつある、新しい軌道と申しますか、それに見合った行財政ということでなければならぬわけで、いままでもいろいろと、安孫子君も御指摘になったが、行財政合理化論などについては幾多の答申が出たわけで、これはやはり貴重な示唆に富んだものでありまして、政府も公務員の縮減、あるいはまた行政機関の膨張の抑止であるとか、特殊法人整理合理化であるとか、これはそれなりに、こういういろんな答申もございましたし、目的は徐々に達成しつつあることは御承知のとおりですが、これは普通の時代においても要求されることであって、いま求められておる新しい一つの転換期における行財政あり方というものは、もっと安孫子君御指摘のように根本的にこれは考え直してみなければならぬ。  そこで、いまは財政制度審議会とか、あるいは行政監察委員会でいろいろな御検討も願っておるわけでございましたが、これは政府としても一気にやるわけにはいかないにしても、もう少し時代に即応した行財政あり方というものに対して、従来の既成の審議会や、そればかりでいいのかどうか、もう少しここで新しくそういう問題に対して根本的にメスを入れるような一つの新しい仕組みが要るのでないかということで検討を加えておるわけで、従来のような普通の行財政合理化ということよりももう少し根本的にメスを入れるような仕組み検討をしておるわけで、それを検討する。私の言うのは、ちょっと先ほど申し上げましたような部分的なものでなくして、全体としての日本行財政あり方というものはここで再検討をされなければならぬ。これに対して従来の既設の制度以外に何か一つ考える必要があるのではないかということで、いま行政管理庁ともいろいろ相談をしておる最中でございます。
  7. 安孫子藤吉

    安孫子藤吉君 若干お聞き直ししたい点もございまするけれども、時間の関係がございまするから次へ進みます。  次にお触れになっておりまする問題は、地方行財政についてお触れになっております。その言葉は、国民生活の向上のため地方行財政健全化を図ることが不可欠である、このため地方自主的努力を期待するとともに、政府も一層の努力をしてまいる、こういうことをお述べになっておられます。  地方行財政健全化を図ることが不可欠であるということは当然でございまするが、現在は、率直に申しますと不健全化方向に進んでおるのじゃなかろうか、これが実態であろうと思うのでございます。この点についての総理の御見解を承りますと同時に、政府は今後一層努力をすると言われますが、一体努力するのは何について努力をするのか。私なりに理解をいたしますれば、地方財政健全化のために、一般財源充実について政府も一層の努力をするというふうに理解をしなければならぬと、こういうふうに考えるものでございます。で、この政府も一層の努力をしてまいるということは、要するに地方団体に対する一般財源充実について政府はなお一層の努力をしてまいるというふうに理解をしていいかどうか、この点についてのお尋ねをいたすわけであります。
  8. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これから、先ほど申したように国民生活充実ということが大きな政治目標になってまいりますと、地方公共団体の果たす役割りというものは非常に大きくなると思います。なぜならば、地方公共団体地域社会の、地域住民生活と結びついておるわけでございますから、地方公共団体というものが健全にその地域住民生活福祉増進のために果たしていくべき役割りというものはもう増大するばかりだと思います。したがって、国と地方との事務あるいは財政両面にわたっての分担というもの、こういうものに対して、こういう時代における分担というもの、あるいはまた安孫子君の御指摘のような地方自治体財源というものに対しても、できるだけやはり地方自治体財政力を持たなければいかぬわけですから、こういうものに対しても当然含んで考えてみるべきだと思います。
  9. 安孫子藤吉

    安孫子藤吉君 そこで地方財政の問題について、第一に地方交付税のことについて、これは自治大臣にお願いを申し上げます。昭和五十一年度の地方交付税総額、これは言うまでもございませんが、借り入れを含めまして五兆一千八百七十四億円でございます。この額は、昭和五十一年度の所得税法人税及び酒税のいわゆる国税三税に対しまして四三%に当たっておるわけであります。昭和五十年度をとってみましても、交付税総額の四兆四千二百九十六億円というものは、補正後の国税三税に対しまして同じく四三%になっておるわけでございます。このように、地方交付税法律上は国税三税の三二%とされておるにもかかわらず、この率による額であってはとうてい地方所要歳出を補い得ない。そこで万やむを得ず借入金によって、実際は交付税特別会計交付額の約四分の一に相当する借入金によりまして、実質四三%相当のものとなっておるというのが現状でございます。これは御承知のとおりであります。この状態を後一、二年継続をいたしまするならば、特別会計借入残高当該年度交付税額を上回ることになるだろうと思うのであります。これはすなわち交付税制度が破綻を来すことに相なるわけであります。  御承知のとおりに、かような事態が予測される場合におきましては、地方財政もしくは地方行政に係る制度の改正または交付税率の変更を行うものとすることになっておることは、自治大臣もしばしばあらゆる会合において言明をされ、五十一年度は間に合わないけれども、五十二年度におきましては、五十一年度中にこの辺の問題を解明をいたしまして、それぞれ所要の措置を講じていきたいということをお述べになっておるわけでございます。この点はどう処置されるおつもりでございますか、承っておきたいと思います。
  10. 福田一

    国務大臣福田一君) お答えをいたします。  安孫子さんは地方の知事としても豊富な経験を持っておいでになり、したがって、地方財政というものに対しても、非常に深刻な現在の状態をよく御理解をしていただいて御質問をいただいておると私は存じておるのでございます。  御指摘のように、今日地方財政というものがいままでの仕組みでいいかどうかという問題は、どうしても今後検討の課題にならざるを得ないと思うのでありますけれども、私は、しかしその前に、これはまことに失礼な申し分でお聞き逃しをしていただいて結構かと思うのでありますけれども、やはり国の経済運営行政運営というものは、その国の力というもの、また世界の経済事情というようなものをよく理解をした上で、またそれを国民によく理解をしてもらうという努力がまず第一に私は非常に必要になるんじゃないかと思っておるのであります。  で、安孫子さんでありますからちょっとお許しを願うのでありますけれども、実は最近私はポール・ボネの「不思議の国ニッポン」という最新刊の書を読んでみましてこの人はフランス人でございますけれども、十七年間日本におって、そうして日本事情を非常に端的に批判をいたしております。私はその内容を全部賛成はいたしておりません。しかし、私は非常に示唆に富んだ批判の仕方をしておるというところに非常な感銘を覚えておる。まあイザヤ・ベンダサンとか、ユダヤ人日本を見る場合、フランス人日本を見る場合というような、物の見方というものをもう少し日本人われわれがよく理解をしなきゃいかぬじゃないかということを常々考えさせられておるものでございますが、御案内のように、いまは日本経済自体が、福田総理並びに大平大蔵大臣が非常に苦労をされまして、そうして国の予算をつくる場合におきましても、非常な努力をされ、いろんな苦労をされておるわけでございます。このことは私が申し上げないでもおわかりを願っておると思うのでありますが、国の財政というもの自体が非常ないま困難な時代にあるのでございます。  しかし、そうは言っても、法律によりまして、交付税法というものでは、二年間以上赤字が続いた場合にはこれは見直しをしなければならないということがちゃんと法律で決まっておることは、もうあなたも先刻御承知のことでございまして、そういうことを考えてみますと、ことしの予算の編成は、まあ三年——二年以上は赤字になりますが、三年目ではございませんので、しかも国の方が非常に苦しい立場で、財政特例法というようなものをつくって赤字公債を出さにゃならぬというようなことになっておる。私はいま地方財政の問題だけではなくて、実を言いますと、この赤字財政特例法というものがどうなるであろうかということも、地方交付税の問題と決して私は因縁のない問題じゃない、関係のない問題ではないと思っておるのでございます。  私がこんなことを申し上げるのは失礼でございますけれども、とにかく財政特例法というものが通らない場合におきましては、地方としても一体将来これだけの起債ができるのだろうか。しかもいますでに六兆円以上の縁故債を抱えておるわけでございます。これはもうあなたも御承知のとおりなんです。縁故債というのは担保適格債になっておりませんからして、その銀行が引き受けた分については、金融はその分は固定してしまっておる。こういうようなことになっておるのでありますから、それにまた相当な縁故債を引き受けざるを得ないようなやり方、こういうような地方財政の立て方というものが、果たしていまの日本財政経済運営する意味で正しいのかどうかということについても、ずいぶん反省もいたしておったのでございますけれども、まあ親元であると言っては失礼でありますけれども、国と地方が一緒になってりっぱな日本政治を実現をするという、そして国民福祉を増進し生活を安定さしていくという立場から考えてみますというと、国がそれほど困っておる段階でございますので、やはりひとつ今回はこの起債を認めてもらうということより以外には方法がないのじゃないか、またこれが最善の方法ではないか、こう考えて今度のような財政計画を立てておるわけでございまして、とは言っても法律法律でございますから、またことしの九月、十月になって見ても、来年も赤字が続く、こういうことになりますと、これは私はこの問題を真剣に検討せざるを得ない。いやしくも法律というものがある以上は、法律を守るということはわれわれの義務でなければなりません。これは国民以上に政府というものがこれをおろそかにしてはいけないことはもう当然のことでありますから、これは真剣に考えるつもりでありますけれども、そういうように、非常にいま国も困っておるということでございまして、私は、これはもう地方交付税の問題と、そうして何といいますか、財政特例法の問題は、やはりある意味で切っても切れない関係にあると私は考えておるようなわけでございます。  こういうような意味においても、いま自治省がいわゆる今回のようなこの地方財政計画を立てたということについての認識を皆様に持っていただいて、そうして低成長時代に入ったときの、入りつつあるこの時代における国の財政計画というものを、真剣に総合的に検討していただきたいということを私は心から願っておるものでございます。  よく言われるのでありますけれども、おまえは自治大臣だから交付税法さえ通してもらえばいいじゃないかというようなことをよく言われる方があるんですけれども、交付税法だけ通してもらっただけで、地方のいわゆる自治というものがそれで安心して地方の自治体が運営できるかどうか、私は非常に疑問を感じておるのでございます。これは、あるいは甘えたものである、また失礼なことを言うなというおしかりを受けるかもしれませんが、私は心からこれをこいねがっておるということをこの機会に表明をさせていただきたいと思うのであります。
  11. 安孫子藤吉

    安孫子藤吉君 昨日も質問があったのでありますが、昭和五十一年度は、公共事業費の地方負担を交付税から地方債に切りかえたわけでございます。まあ窮余の一策であったろうと私も想像いたします。しかし、これは五十一年度限りの緊急措置であると私どもこれを理解していいかどうか。これはいまお話しのとおりに、来年も再来年もここしばらくは続くんだというふうにわれわれは考えていくべきかどうか、その辺のひとつ率直な御意見を承りたい、見通しも承りたい。  時間の関係上別のことも申し上げますが、不交付団体があるわけでございます。これは私見でございますが、不交付団体は、原則的に申しますと潜在的財政力を持っておる地方団体でございます。ことに現在の地方税制から申しまして、景気が一たん回復をいたしますとその財源が非常に充実をしてくる、そういう性格が不交付団体にはあるわけでございます。現在のたてまえから申しますと、基準財政収支が赤字になりますと直ちに交付団体に切りかえるわけでございます。これは不交付団体の潜在的な財政力考えに入れますと、ここに若干の経過措置をとってもいいのじゃなかろうか。交付税制度につきましても、直ちに切りかえないで、そして一、二年間の状況を見て交付税率の問題を考えるというようなたてまえになっておるわけであります。それとこれとは違うかもしれませんけれども、不交付団体と交付団体の関係につきましては、財政的な構造の面から申しましてもそういう弾力性があるわけでありますから、基準財政収支が赤字になったから直ちに交付団体にするというようなことじゃなくして、一、二年間起債その他の措置でもってこれを措置をしていく。その上なおかつ収支が赤字であった場合にはそれは交付団体にするというような措置がとられることが望ましいのではなかろうかと、こう思うのでございます。このことは、言うまでもなく交付団体に対しまして非常に大きな影響力を持つ問題でございます。さような点から、そうした制度の改正等をも考える余地がありはしないかと私は思っておりますので、この点についての大臣の御所見をあわせて承りたいわけであります。
  12. 福田一

    国務大臣福田一君) お答えをいたします。  ただいま御指摘がありましたように、今回の措置等を考えてみますというと、交付税率を四三%にしたと同程度の金額をとにかく地方自治体に回す措置をとっておることは、御指摘のとおりでございます。そういうことを今後続けていいのかどうか、来年度以降もそういうような赤字が続くようになった場合どう考えるかということでございます。これは今後の地方の、地方といいますか、国の財政経済の動きを見てみなければにわかに即断するわけにはいかないわけでございまするが、まあ九月とか十月という時期になりますれば、これは大体の見通しがついてくると思うのであります。そのついてきた段階におきましては、やはりいろいろの事情があっても、国に対してはひとつ交付税率の問題を考えていただく必要があるんじゃないかと私は考えております。その場合に、どれくらい上げるかということになると、これは大きな問題点が残りますけれども、とにかく法律というものがある以上は法律を守るというたてまえだけは私は崩すべきではない、かように考えておるのでございまして、そのときに当たってひとつ大蔵省その他、関係といいますか、総理、副総理等とも十分御相談をさしていただきたい、こういうのが私の考え方でございますので、御理解をしていただきたいと思うのであります。  その次に、不交付団体は潜在的な力を持っているのだから、それが少し、ことしとかあるいは来年について交付税の計算上財源不足になったからといって、すぐにそれに交付税を与えないでもいいではないか、こういう御趣旨であります。それは公、平の原則というものを頭の中にお入れになっておって、そういうような、たとえば東京都とか大阪というような、非常に財政力があり、景気が一遍よくなるというと急に税収が非常な速度で伸びるところと、それから地方のような、景気がよくなってきても一年も二年もなかなかその景気がよくならないようなところとの均衡というものを考えて、そうしてこの交付税の運営をしていくべきではないかという御趣旨であると私は思うのでございまして、まことに一つのりっぱな御意見であると考えておるわけでございます。  ただいまこれを急にやりますと、都市の方では、交付税を当然いままでならばもらえるようになったときに、それをもらえないようにするというのはどういうものかというような不平が出てきますのと、最近都市集中をいたしまして、その都市集中がいろんな面で行政に欠陥を露呈をいたしております。たとえば学校の問題にいたしましても、福祉の問題にいたしましても、いろいろな問題で非常に住民の要望というものが強いわけでございます。こういうこともやはり考えまして、急にそういうふうに改めることが果たして正しいかどうかということは私はまだ決断をつけかねるところでありますけれども、しかし、いま安孫子さんがおっしゃった物の考え方、いわゆる地方と中央といいますか、非常に財政力の弱いところと財政力のあるところ、特に景気が立ち直ってくるというと急に税収が大きくふえるところと、立ち直ってもなかなかふえないところと、こういう二つがある、その問題を十分認識してこの交付税の問題を考えろ、考えなければいけないという御趣旨は、私は十分傾聴に値する御意見であると思いますので、今後も検討をさせていただきたいと思う次第であります。
  13. 安孫子藤吉

    安孫子藤吉君 次に、地方税のことでお尋ねをいたします。  地方自治の確立ということは、地方財政の確立の前提になることは言うまでもございません。率直に申しますと、この点に対する従来の政府の配慮は必ずしも十分ではなかったように私どもは印象を持っておるわけであります。国と地方事務配分とこれに伴う財源配分を適正化することは、これは地方団体の長い間の要望でございました。それからまた、政府におきましても、あらゆる機会において国と地方事務配分をし、これに伴う財源配分をして問題を解決していきたいということは、いろいろな会合におきまして質問がありますと必ずこの言葉が出てくるわけでございます。いろいろ会合に出て聞いておりますと、この言葉が出ない会合というものはないと思うのです。どんな会合に出ましても、必ずまくら言葉のようにこの言葉が出てまいるのでございます。しかし、この言葉が出ましても何も進展をしない、ほとんど実行されないという印象を私は持っております。  一体、最近におきまして、国と地方事務配分とこれに伴う財源配分というものを少しでもやったことがございますかどうか。私は記憶にありませんです。常にこれをやるんだということをあらゆる会合において言われておりますけれども、それをやったためしはほとんどないのじゃないか。これは言いわけのまくら言葉になっておるにすぎない、私はそういう感じ持っておるんです。大臣からこの点について、いやそんなことはない、最近においてこういうことをやった、ああいうことをやったというようなことがあれば、ひとつ蒙を開いていただきたい、これが私の質問の第一点でございます。  それから地方税について、法人事業税の外形標準課税の問題があるわけでございます。企業体から申しますと、景気のいいときは収益課税で取り、景気が悪くなったとたんに外形課税標準だということはいかにもひどいじゃないかという議論、これもわからぬわけではございません。しかしながら、外形標準課税にすれば、これはまた景気がよくなったって収益課税に移るわけじゃないので、外形課税でいくわけでございまするから、長期的に見ればそうプラス・マイナスもないのじゃなかろうかという感じもいたします。また、地方団体といたしましては、景気に変動されない一つの安定的な財源の確保ができるわけでございまするから、外形標準課税をとった方がいいと思うのでございますけれども、タイミングの問題もあろうかと思います。これを一体どういうふうに措置されるのか。政府部内においてもいろいろと検討されておるだろうと思いますが、この点についての現状をお聞かせを願いたいのでございます。  それから、租税特別措置の根本的な検討の問題がございまして、五十一年度におきましても若干これについて整理を行われたわけでございます。引き続いて五十二年度においてもやられるように御説明を承っておりまするが、そういう方向であるかどうか。これはあるいは大蔵大臣かもしれませんけれども、その点についてのお考えをお聞かせ願いたいわけであります。  それから、財政の収支試算を見ますと、これは国の財政収支試算でございますが、税収が五十年度が十三兆八千億円、五十五年度は三十五兆五千八百億円、約二〇・九%、二一%の増になっております。これから安定成長だというときにこういう伸びを期待することができるのかどうか。まあベースアップも若干行われる、減税も一切やらぬということであれば、あるいはこの程度の税収増を期待できるかもしれません。しかし、それにいたしましてもなかなかそういうわけにもいかない。そういうことになりますと、ここでどうしても新税の問題というものが出てくるわけでございます。これをこの際政府の方で申し述べられることは非常に困難だと思いますけれども、そうした方向であるならば、やはりあらかじめ国民理解を求めるというような行動があってしかるべきじゃないかという感じもいたすわけでございます。この問題は交付税にも関係をしてまいりまするので、一言この点について触れましたのでありますが、これについての大蔵大臣の感触のほどをお聞かせ願いたいと存ずるわけでございます。
  14. 福田一

    国務大臣福田一君) お答えをいたします。  国と地方との事務配分に関係をいたしましてどのような措置を今後とっていくかということについては、先ほど総理からお話がございましたのでありますが、われわれといたしましては、何としてもやはり地方の歳入をできるだけふやすという物の考え方に立って、ただいま御指摘がありましたような諸種の面についても、十分今後は研究をいたしてまいらなければならないと思っておるわけでございます。   新しい税を起こす場合はどういうことを考えるかということでありますが、もちろん地方財政考えますというと、新しい税を起こす必要もあり、そういう場合には十分住民の意見も徴し、住民に理解を求めた上でやるという必要も起こってくるかと存じておるのでございますが、先ほどお述べになりましたうちで、とにかく大企業に対する外形標準による何か措置をしてはどうか。これはもう二度も三度もわれわれとしては税制調査会に出してお願いをしておるのでありますが、まだ時期尚早である、なかなかやり方がむずかしい、こういうことでまだ実現を見ておらないということは、安孫子さん御承知のとおりでございます。  なおまた、その他の合理化を図るべきであるというただいまの御意見については、今後ともわれわれとしても十分御指摘を認識をいたしまして努力を続けてまいりたいと、かように考えるわけであります。
  15. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 租税特別措置の整理の問題でございますが、これはこのまま放置しておきまして、これが既得権化するというようなことは許せないことでございまするので、毎年毎年丹念に見直してまいるという態度は、五十二年度以降も堅持してまいらなければならないと考えております。  それから第二の、中期財政試算の増収は何によって確保するかということでございますが、仰せのように、減速経済になった場合におきまして、これだけ中央、地方を通じましての赤字脱却を財政が試みるという場合におきまして、増収を確保するためには、自然増収に期待するというようなことは大変むずかしいことであろうということはいま御指摘のとおりだと思います。今後の経済の推移にまたなければなりませんけれども、あるいは現行税制に若干の増税をお考えいただかなければならぬかもしれないし、あるいは新たな増収の道を工夫しなければならないかもしれませんけれども、それは今後の国民の負担にかかることでございまするし、国会はもとよりでございますけれども、各方面の御意向を十分お聞き取りしながら、政府においても税調等の慎重な御審議の上決定すべきものと考えております。
  16. 安孫子藤吉

    安孫子藤吉君 若干、税源配分について具体的なことを。これはあるいは自治大臣か建設大臣になるかと思いますが、五十一年度の地方道路譲与税の一部を市町村道整備に充てるという措置を講じたわけでございます。これは私は大変結構なことであったと思っております。市町村道の現状から見ると、こうした施策はまことに適切であると考えております。しかしながら、この財源につきましては、これは府県の財源を配分をしたということでございます。国と地方の配分については、地方団体側としては、国が余りによ過ぎる、地方は余りに低過ぎるということが年来の主張でございました。その地方の枠から市町村道の整備につきましても割いたわけでございます。これは一体、公平の原則というものはあるかどうかは別といたしまして、必ずしも適切じゃないじゃないか。やはりその場合には、国の枠内からも、国でみるとか、あるいは一部は国の枠からも出すとか、そうしたことをやることがやはり適切じゃないか、こういうふうに思うんですが、これは地方団体間の操作だけで片づけておるというところに大変無理があるのじゃないかという感じがするので、やはり中央だけが常にいい子になっておる、いつでも地方に皆かぶせるんだというような地方団体の中央に対する不信感の一つの要因にもなる問題でございまして、この辺はどうお考えになりますか。やはり国・府県・市町村、国・地方、これが両方持ち合って市町村道の整備をするというような措置を講ずることが望ましいと思うのでございまするが、この点のひとつ御所見を承りたいと思います。
  17. 福田一

    国務大臣福田一君) お答えをいたします。  実は、ことしは市町村道のために、いまだかつてやったことのない二千億円という予算を配分することにいたしました。これはどういうことをわれわれは考えたかといいますと、景気浮揚をいたしてまいります場合に、中央あるいは利便の多いところにおいては事業が非常にたくさんあり得るのでありますけれども、へんぴな市町村というようなところにおいては仕事が非常に少ない。そうすると、いまのような非常に失業者がふえるというような段階において、何としてもそういう人たちに職を与えるということを国としても地方としても考えなければいけないじゃないかというので、これはもう従来の例を破って二千億円という市町村道のための措置を講じたわけでございます。  そこで問題は、その財源をもっと国に負担させる工夫をしてはどうかということでございますが、従来の経緯から見まして、急にこの配分の問題を変えるというところまではいっておりません。しかし、御案内のように、今回は地方に対しましてはガソリン税の問題でありますとか、あるいは自動車重量税の問題等々について相当部分をふやすことにいたしましたし、それから市町村が二千億円の仕事をするという場合に非常に困るというような場合には、これはもうできるだけ政府資金をこれに充てて、借りるのも、借りることで不便を感じないようにしよう、こういうような措置もとっておるのでございますが、御指摘の点は、市町村道というものは国道その他に比べてまだ十分に整備が行われておらない段階において、これからはここに重点を置き、それに重点を置く以上は、その改修その他についてやはり国が補助率その他の面でもっとめんどうを見るべきである、こういう御指摘だと思うのでございますので、今後もひとつ十分その点は研究をさせていただきたいと思う次第であります。
  18. 安孫子藤吉

    安孫子藤吉君 なお、地方税収入の問題につきまして、昭和三十五年当時の地方税収入を市町村の段階で見ますと、歳入におきまする構成比が大体四二・八%程度ございました。昭和三十年代の末期でございます。市町村財政における地方税収入の構成比が四二・八%、相当充実をしておった。現在はこれが低下をしまして、御承知のとおり三〇%程度でございます。約十四年間に一三%程度低下をいたしております。そこで、今後地方制度というものを基本的に考えてまいります場合に、昭和三十五年当事の少なくとも四二・八%、四〇%台に目安というものを置きまして、制度そのものだけでなく、その制度の運用によりましてどの程度確保できるか、そうした目標をこの当時に置くとか、あるいは適当な別の時期を目標にしてもいいかもしれませんが、目安といたしまして、そうした目標を置いてやられることが適切ではなかろうかと、そんな考えを持っておりますので、この点についての御所見を承りたい。  それから時間の関係もございまするから、あわせて地方債について申し上げます。  昭和五十一年度の地方財政計画を見ますと、公債費が前年度に比しまして四五%伸びております。それから地方財政計画全体の伸び率が一七%でございます。公債費の伸び率が全体の伸びの二倍半を上回るというのが御承知のとおり実情でございます。この原因は、昭和四十七年度当時増発をいたしました起債の償還期に入ったためでございます。その当時の起債総額は三千五百億円程度のものでございます。それだけでもこれだけの公債費の激増になるわけでございます。昭和五十年及び五十一年度の地方債の増発、これを考えますと、地方財政収支試算におきましては公債費が二三・七%の伸び率となっておる。この点からも、将来大きな問題にならざるを得ない実情でございます。そうした実情について、いまどうこうするというわけの御返事はできないだろうと思いますけれども、こういう点を一体どうわれわれは理解をしていいのかどうか、その点のお考えがあれば承りたいのでございます。
  19. 福田一

    国務大臣福田一君) ただいまの御指摘は非常にごもっともな面が多いと思うのでありますが、この点については財政局長の方から一言御説明をさせていただきたいと思います。
  20. 首藤尭

    政府委員(首藤尭君) まず、税源の程度に目安を置くべきではないかという御主張でございます。御指摘のように、従前、市町村税収は歳入面に占めます比率がかなり高かったのでございますが、固定資産税等、わりに伸長度の少ない税で構成をされております性格から、だんだんそのウエートが減ってまいっております。私どもといたしましては、できる限り地方税源の充実、その中でも市町村税源の充実を図っていくということを最も緊要なことと考えておるわけでございまして、最近におきましても、法人住民税の問題でございますとか、あるいは事業所税の問題でございますとか、あらゆる機会をつかまえまして、この市町村税源の充実を図ってまいっておるわけでございます。この率がどの程度までが適当であるかにつきましては、いろいろ事態の推移等におきましても問題があろうかと思いますが、できるだけその充実を図りたいという趣旨であることを申し上げておきたいと思います。  第二に公債費の増加でございますが、御指摘のように、五十年、五十一年にかなり大幅な地方債依存をいたしましたので、今後公債費の増加は避けられない事態であると考えております。ただ、このようなことでやむを得ず本年度は起債によりましたが、この償還費は、全体的には地方財政計画の歳出に組み込みまして、地方財源全般としては支障を来さないように所要財源措置を考えたいと思っておりますし、かっまた具体的には、ことしの一兆二千五百億の起債振りかえ等の償還費につきましては、個々の団体においてその起債償還費を基準財政需要額に算入をしていく、こういうかっこうで交付税の配分等をも通じまして個々の団体に支障が来ないように措置をしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  21. 安孫子藤吉

    安孫子藤吉君 交付税あるいは地方税、地方債について一応触れたわけでございまするが、要するに、安定成長下におきまして地方財政というものをどう立て直すか、どう仕組んでいくかという一ことは、交付税と地方税と地方債と、この三つの絡み合いをどういうふうにして、どういう措置を講ずるかということが一番ポイントになるだろうと思うんです。さような点について総合的にその対策の方向というものを樹立する必要がある。かような点について自治大臣がどうお考えになっておりますか。また、そういう方向にいま着々と進めておられるのかどうか、その点を承りたいと思います。
  22. 福田一

    国務大臣福田一君) 御指摘のように、この問題につきましては、国の補助金の問題でありますとか、地方の税収の問題、交付税の問題、それで足りない場合に地方でどれだけ起債をするようにするかというようなことを十分考えまして、今後の安定成長下における地方行財政の問題の検討をいま進めておるところでございますが、安孫子さんは従来も地方の知事さんをしておいでになって、そういう面にも豊富な経験を持っておいでになるのでありますから、御意見がございましたら、どしどしひとつ寄せていただいて御協力を願えれば非常にありがたいと思う次第であります。
  23. 安孫子藤吉

    安孫子藤吉君 地方債で一曹お尋ねをいたします。  地方債の消化については自治、大蔵両大臣におきまして十分配慮をすることに相なっておるわけであります。実情を聞きますと、量の消化は一応可能である。しかしながら条件が非常に過酷であるというようなことを耳にしておるわけであります。その例といたしましては、利息が大体年八分六厘以上である。手数料を加えますと大体一割以上にもなる。これが普通であるというようなことも耳にいたしております。一体その辺がどうなっておるのか、おわかりになっておればお知らせを願いたいと思います。そしてまた、貧弱団体はこの地方債の増発につきまして四苦八苦をしているのが実情でございます。その点から申しますと、どうしてもやはり共同発行機関を創設をした方がこの地方債の消化についてはより望ましいと私どもは思うのでございまするが、これについての御所見を承っておきたい。
  24. 福田一

    国務大臣福田一君) われわれが調査いたしましたところによりますというと、五十年度の縁故債の借り入れの条件でございますが、発行利回りが比較的低いもので八・七%でございまして、比較的高いものでも九・〇五一でございます。一般には、よくかれこれ一割になっておるじゃないかというお話もあるのでありますが、五十年度の縁故債による利回りはこのような形になっておるというわけでございます。  それから、もう一つの御質問は……。
  25. 安孫子藤吉

    安孫子藤吉君 つまり、共同発行機関の創設について。
  26. 福田一

    国務大臣福田一君) 失礼いたしました。これも実は長い間の問題でもございますし、公営企業金融公庫というものを地方金融公庫というようなものに改組をして、そして自治体と協力をして、非常に困っておるような自治体には特に起債を有利にというか、容易にできるようにしようという構想がございまして、実は今年度の予算編成に当たりましてもいろいろと大蔵省とも折衝もいたし、また御案内のように、縁故債というのは非常にふえておりまして、もう六兆円以上ございます、先ほど申し上げたように。これがまたふえるということになりますというと、地方に大きな影響も与えます。中小企業の金融にも影響を与えるということもございますので、これらの点も考慮いたしまして、今後大蔵あるいは日銀等々とも研究をいたしてまいりたい、かような段階にあるわけでございます。
  27. 安孫子藤吉

    安孫子藤吉君 地方財政のことは以上で質問を終わりますが、公共事業の問題について若干のことをお尋ねいたします。  今度の予算において公共事業費を計上するについて、特に留意された点はどういう点であったかということ。  それから、私ども耳にするのでありますが、最近の風潮から申しますと、福祉は善玉であって、開発とか公共事業というものは悪玉だというような割り切った考え方の議論がともすると行われがちである。そういうものじゃなかろうと思うのでございまするが、そういう点から申しまして、たとえば地域社会の基本的な発展のためには大型プロジェクトなんかも非常に必要な場合があるわけでございます。ところが、大型プロジェクトというと、もう悪であるというような割り切り方の議論がともすると行われがちである。この点について、そういうものじゃないと思いまするが、政府の当局者とされてどういうふうにお考えになっておられるか。  それからもう一つは、高度成長期におきましてはとかく不利であった地域がございます、公共事業の消化につきまして不利であった地域が。高度成長でございまするからどうしても追っかけられる。そうすると、経済的な発展のあるところには公共事業が集中的に行われ、そうでないところはともするとおくれがちである、こういうようなことが実情でございます。安定成長に入りますれば、むしろ逆にいっていいのじゃないか。発展可能的なものと申しますか、いままでおくれている地域により傾斜配分をすべきであろう、こういうふうに思うのでございます。  特に、たとえば有効求人倍率、どういう数字になっているかわかりませんけれども、これなんかは大都市は高いじゃないか。地方に行くほど低くなっているだろう。東北でございますとか、南九州でありますとか、山陰でございますとか、そういうところは相当有効求人倍率というものは実情から言えば私は低いのじゃないか。それだけに人が余っておる、そういうことじゃなかろうかと思うんです。そういう点をも、公共事業費の配分については、それぞれの事業の目的のほかに全般的な経済情勢、また公共事業を推進する必要性、そういう点をも考慮して、傾斜配分をより強化をしてもらいたい、こういうふうに考えるわけでございますが、若干この点について努力をされておることも承知をいたしておりますけれども、さらにそれを強めていただきたい、こういうふうに考えるわけでございます。この点についての御所見を承りたい。
  28. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 安孫子委員にお答えをいたします。  公共事業か地域社会発展の基盤となることは御説のとおりであります。今後とも長期的な観点に立って、国土の発展基盤を形成することとなる事業につきましては、その推進を図っていくこともまた当然なことであります。ただ、安孫子委員の御指摘のとおり、また先ほどの御議論にもございましたが、いわゆる生活関連の公共事業、住宅、下水、公園、これらが善玉であって、道路、川等は悪玉であると。しかしこれが、産業基盤が道路、河川であって、その他のものがいわゆる生活基盤であるというような分け方がよく議論としてなされるわけでありますけれども、まさに安孫子委員先ほど御指摘の町村道などは暮らしそのものであると私どもも理解をいたしておるわけであります。そしてまた、この地域社会に与える影響が大きいということ、あるいは自然環境との摩擦が生ずるとかいうことで、大型プロジェクトの実施については確かに住民側の理解を得なければならない点があることは事実であります。しかし、基本的に総合した国土全体の開発というものが最終的に国民生活全体のレベルアップをするという観点に立った場合、大型プロジェクトというものを、やはりこれは当然あるべき姿として、言ってみれば善玉として当然存在すべきものであると、私もそのように理解をさせていただいております。  そして、傾斜配分の問題でございますが、確かに御指摘いただきましたとおり、逐年変わってきております。四十数%のものであったものが六〇%にまでいわゆる三大都市圏以外が進んでおるという実態でございますが、さらに私は景気浮揚というものに焦点を当てて公共事業の実施を考えてみました場合、公共事業と言えば、言ってみれば資材費と労務費と用地費でございます。用地費が景気回復の即効性を最も持たないものでございますだけに、そういう用地比率等を考えて景気浮揚の即効性を考えるとき、おのずから私は傾斜して、いわば開発のおくれておるところへ自然にそういう傾斜がかかっていくという理論の積み上げも可能だと思っておりますので、精いっぱい御趣旨に沿う方向で実施に当たってまいりたいと、このように考えております。
  29. 坂野重信

    ○坂野重信君 関連。
  30. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 坂野重信君より関連の発言をしたい旨の要求を受けております。これを許します。
  31. 坂野重信

    ○坂野重信君 公共事業と財政投資あるいは経済につきましては、また日を改めて詳細にお聞きしますけれども、関連でございますので、三点にしぼりまして、総理、副総理及び大蔵大臣に質問いたします。  第一点は、副総理及び大蔵大臣にお願いいたしたいと思いますが、今回政府におきまして、景気刺激あるいは不況対策の一環として、社会資本のおくれを取り戻し、また、生活環境整備のためにも公共事業中心型とも言うべき予算を編成されたことは多といたします。しかし、公共事業費の対前年当初伸び率が二一・二%、補正後に対しましてもわずか六・四%でございます。大変厳しい予算編成の中でございますからやむを得ないと思いますけれども、しかも、暫定予算というようなことになってまいりまして、新年度事業の進捗も若干おくれぎみであろうかと思います。今後本予算の成立を待って、よほど上期に集中投資しなければ景気刺激効果というものは期待できないのじゃないかというぐあいに考えられます。場合によっては、千五百億の予備費というものの取り崩しを早目に行う必要があるのじゃないか。  月例経済報告等でも、マクロ的には景気刺激、景気先行きというものが楽観視されておりますけれども、ミクロ的には一千件にも上る企業の倒産がございますし、また、企業間の景気の格差というものが非常に大きい。建設業界等におきましても手持ちがむしろ減っている状態でございまして、非鉄金属あるいは造船等においても減産の状態が続いている。そういうことによって、企業によっては先行き不安で、企業活動なり金の動きというものは緩慢である。個人消費についてもなお先行き不安で、消費節約、貯蓄に徹している現状において、政府は果たして景気の先行きに自信があるのかどうか、改めてその点を御確認させていただきたいと思います。これが第一点でございます。  第二点は、大蔵大臣に対しまして、国債問題について簡単に御質問申し上げます。  このたびの予算におきましては、三〇%に近い公債依存が見込まれています。この国債の消化に当たっては、物価等を配慮して、なるべく市中消化、特に個人消化の必要が叫ばれまして、総理大臣初め閣僚の皆さんが率先してたくさんの国債をお買いになった。まことに敬意を表する次第でございますが、国民の中には、戦時中の愛国債券のように換金がむずかしいではないか、あるいは流動性が弱いではないかというような不安の向きもありまして、この点の心配はないのかどうか。  また、一部におきまして、八月末ごろまでには収支のバランスが何とかなるから財政特例法は急がなくてもいいのじゃないかというような議論もあるようでございます。財政特例法の成立はもちろん絶対必要なことだと思いますけれども、その成立の暁において多額の国債の消化の見通しがあるかどうかというような点につきまして、改めてお伺いいたしたいわけでございます。  また、金融専門家の間でもって、市場機構の整備強化というような問題の必要性が叫ばれておった時代もございますが、そういうことが必要ないかどうかというような点についてお尋ねいたしたい。  第三点は……
  32. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 坂野君、簡単に願います。
  33. 坂野重信

    ○坂野重信君 簡単にいたします。  さきに新経済計画というものを政府において発表されましたけれども、わが国はこれから安定成長へと移行すべきことは国民の間でも逐次浸透しております。しからば、日常の国民生活なり企業活動において、どういう考えのもとに具体的にどうすればいいか。使い捨ての時代から節約時代、今後果たして一体どういう方向国民は進んでいけばよいか。あるいは国民の中には、まだ三年前の豊かな華やかな時代を夢見ているのではないか。こういう点につきまして、新経済計画への国民参加の方途とも言うべき方策を、政府において具体的にわかりやすく国民に示す必要があるのではないかというぐあいに考えます。  以上三点につきましてお答え願いたいと思います。最後の点につきましては、総括的に最後に総理から御所見をお願いいたしたいと思います。
  34. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これからの景気の見通しはどうか、心細いのではないかというような御指摘でございますが、五十一年度といたしましては、輸出と公共事業、この二つの項目を目玉といたしまして着実に五%ないし六%の経済成長を実現をいたしたい、こういう考えなんです。  さてしからば、それが現実にそういう方向で動いていくであろうかということを考えてみますと、昨年は世界総貿易が非常な落ち込みの状態だったんです。わが国もその影響を受けまして非常な沈滞。ところが、世界各国でことしは経済状態が総浮揚の状態になるであろう、そういう見方をしております。それに伴いまして世界貿易の規模もかなり拡大をされる、こういうふうに見ておる。その動きはもうすでに出てきておりまして、わが国の輸出はかなり大幅な伸びをことしになってから示しておる、そういう状態でございます。そういう状態が長続きするかどうか。これはその大幅な伸びがそのまま長続きするということになったら大変な影響があるわけでありますが、それが長続きするかどうかは別といたしまして、世界経済全体の伸びの中でわが国の貿易が五十年度において五百六十億ドルの輸出を実現いたしましたが、これが六百億ドルをかなり上回る、そういうことは私は間違いなく実現できる、こういうふうに見ております。  それから公共事業などの一つの柱、これがどういうことかといいますと、五十年度の予算に比べまして、実質では八%をやや上る増加を見ておるんです。いま暫定予算で、まだ本予算の実施になりませんけれども、これがやがて実施になる。そういう状態になりますれば、これが輸出の伸びと相まって、わが国の経済はかなり活況を呈するであろう。そういうようなことで、事実、昨年の十二月ごろには生産が〇・八%の前月比の増加です。一月にはそれが二%の増加である。二月になりますと、それがさらにまた二%増加する。三月にまた二%前後の増加を示す。これはもう確実にそういうふうに見通されておるのでありまして、わが国の経済は五十一年度全体を通じましてかなり活発に伸びてまいり、いまミクロ的に問題があるというふうに申されましたが、ミクロとマクロと、これが大体一致するという形が五十一年度の末ごろには出てくるのじゃないか、そういうふうに考えております。まあしかし、万遺漏ないように努力いたしたいと存じます。
  35. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 私に対するお尋ねは、公債政策の問題でございます。  第一は、個人消化の促進、それから公債の換価が容易に安定した価格で可能になるようにしなけりゃならぬという問題でございます。おかげさまで、去年からことしにかけまして個人消化が月々多くなってまいって、国債に対する理解が進んでまいっていることはありがたいことだと思っておりますが、これはやはり坂野さんおっしゃいますように、いつでも金になるという換金性が保証されていなければならぬと思います。そのためには、あなたがおっしゃいましたように、市場が十分整備されていなければならぬわけでございますので、私ども国債政策を進めていく場合におきまして、その点に最も留意をいたしまして努力をいたしておるところでございます。  それから、財政特例公債法の問題についてのお尋ねでございました。三兆七千億余りの特例債の発行というのは空前のことでございますので、この点につきましては前広にシ団と協議を終えまして、本年度前半にすでに発行にかかる必要があると考えておるわけでございまして、そのためには、今国会でぜひともこの特例法の成立をさせていただきたいというのが大蔵省のお願いでございます。もしそうでなければ、これが短期間に消化させるというようなことになりますると、わが国、の公債市場におきまして国債が殺到いたしまして消化ができない、あるいは産業資金を圧迫するというようなことになりまして、財政運営に支障を来すばかりでなく、金融市場を非常な混乱に陥れる危険性があるわけでございますので、この点につきましては特段の御配慮をお願いいたしたいと存じております。
  36. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 両大臣から述べましたように、日本の景気の見通しでございますが、今年度の予算案も、公共事業やあるいは住宅を中心として政府資本の思い切った拡大を図ったわけでございます。この予算を基礎として需要の拡大があるわけでございまして、いままでの経済指標というものは、今年に入っていずれの指標も景気の上向きを示しておるわけでございます。ことに、貿易の点においては非常に明るい見通しがあるわけで、坂野君も御承知のように、昨年の十一月のランブイエ会議で、世界の先進六カ国の首脳が寄った会議でございますが、五十一年を不況脱出の年にしよう、五十二年を景気回復の年にしようという約束をしたわけでございます。これに従って各国が経済成長政策というものをとるということになったわけです。この約束に従って、世界的に、昨年はアメリカを初め全部経済は成長はマイナスであった、それが皆プラスになってきたわけであります。そういうことで、世界的な景気の動向も関連をしまして、景気は世界的に上向いてきた。  このことが貿易に影響をして、日本の貿易が予想よりも上回って伸びておるわけで、明るい一つの条件であります。  こういうこととも相まってきて、政府がいま今年度の経済成長として予定しました五、六%程度  の成長というものは達成できるという見通であります。昔のような高度経済成長時代をもう一度ということは、これはもうそういう条件はなくなってきている。いわゆる安定成長の軌道に乗った景気の回復はあるものという確信を政府は持っておるわけでございます。いろいろほかの条件も整わなければなりませんけれども、大体その見通しは間違いなかろうということでございます。  ただ、いま坂野君も御指摘のように、ミクロ的には問題のある、企業のばらつきがあるわけですが、こういうことには、個々の企業についてきめの細かい産業政策が要るけれども、問題はやはり操業率が低いですから、企業の採算が非常に落ち込んでおるということで、景気の回復とともにやはり操業度が高まってまいりますれば、企業の収益率というものもこれは当然に高まってくるわけで、そういう点で、企業が一番苦しい。これは世界に比べたら、一番日本経済は順調ですけれども、不況感というものが多いのは、企業の収益率が非常に落ち込んでおるというところに問題がある。これはやっぱり操業率と関連があるものですから、こういう面からも景気の回復というものは急がれるわけでございます。  また公債の発行につきましては、いま大蔵大臣からも説明がございましたように、今日の国民経済の規模から見れば、この程度の公債の消化というものに問題はないという考えでございます。ただ国会において、いま大蔵大臣も述べましたように、この財政特例法、特例公債はやはりどうしても発行して、三兆七千億円の本年度予算に対する歳入の不足が生ずるわけでありますから、与野党通じて国会の承認をぜひ受けたいということは、これはもう繰り返して申しても申し足りないぐらいの気持ちでございます。
  37. 安孫子藤吉

    安孫子藤吉君 時間の関係がありますから急いで御質問申し上げます。  これは建設大臣でございますが、直轄事業負担金の問題、いろいろ議論があるわけでございます。経過もございますが、これを解消する一つの手段としまして、国が直轄事業を行うについて地方団体と十分な意思の疎通を図るということがきわめて重要だと思います。この点についての今後の御配慮をいただきたい。特に直轄道路の維持修繕費でございますが、これは都道府県の維持修繕費と比べますというと、内容において格段の差がございます。しかも、二分の一が地方団体の負担になるわけでございまして、この点について地方団体としては相当議論があるわけでございます。したがって、道路の維持修繕費等につきまして、やはり内容について地方団体との十分なる連携をとっていただくことが、直轄事業負担金の問題をより悪化させない一つの方法じゃなかろうかと、こう思いまするので、御答弁は要りませんが、留意しておいていただきたい、こういうことを申し上げます。  次に、二つ問題がありますが、一括して申し上げますので、これは大蔵大臣か自治大臣の御答弁をお願いしたいと思います。  一つは超過負担の問題でございます。超過負担の問題は、長い間政府地方団体との間で論争を重ねてきた問題であります。政府も毎年改善措置を講じておるのでございまするけれども、両者間の主張の隔たりというものはますます大きくなっておるのが現状でございます。地方団体側は昭和四十九年度の決算ベースにおきまして六千三百六十億円の超過負担があるということを主張をいたしておるわけであります。この点について、昨日も御答弁がございましたが、順次これを是正をしていくという御答弁がございました。それはそれで御努力を願いたいと思いますが、考えてみますと、現在の負担金、補助金の実態というものが必ずしも明確になっていないのが実情だろうと思うのでございます。  そこで、負担金と補助金の性格をはっきり分けまして、負担金につきましては、義務教育費国庫負担の制度のように精算払いとしてしまう。それから補助金につきましては、標準規格を設けまして、この標準規格に対するところの定率補助にする。その他のものについては定額補助にするというような分類整理をすることがきわめて重要じゃなかろうかと思うのでございます。そういたしますれば、おのずからこの超過負担の問題というものは基本的に解決していくだろうと思うのでございます。もちろん、これをやるにつきましては非常に大きなトラブルを起こす可能性もございます。特にまた、この問題を処理するためには、地方団体側との意思の疎通を十分にいたすことも必要でございまするし、また、各省間の調整も絡んでくるわけでございまするが、基本的には、そうした現在の負担金と補助金の制度というものを基本的に洗い直して整理をしなければ、超過負担の問題というものは永久戦争のようなものになるのじゃなかろうかとすら私は思っておるわけでございます。この点について自治大臣なり、あるいは大蔵大臣が十分御検討をいただきまして、将来の方向として一つ考え方をお示しいただきたい。御所見を承りたいわけであります。  それからもう一つは、国庫補助金の改善、合理化の問題でございます。国と地方団体における財政資金の効率的な活用という見地から、国庫補助金の整理合理化を図るほかに、地域の特性に応じて地方公共団体が自主的かっ弾力的に活用できる総合補助金制度を創設すべきであるということが地方団体側において長い間主張してきた問題でございます。しかも、これは地方におきまして最も効率的に使い得る金の使い方でなかろうかと思うのでございます。こういうことについて、昭和五十一年度の予算にどれだけ配慮をされたかどうか、その点をお伺いいたします。  メニュー方式というものを拡大していくということでこの問題に対処するというのが一つ方向でございますが、このメニュー方式の拡大からさらに一歩進めて、しかしながら交付税ではない、その中間の形態というものを補助金制度において考慮する必要がないであろうか。さようなことを検討してみる必要があるだろう、こういうふうに思うのでございまするが、その辺についての感触をお聞かせを願いたいと思います。  これで私の質問を終わりますが、ひとつ十分なる御答弁をいただきたい。
  38. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 補助金につきましては、合理化して廃止するもの、合理化して減額するもの、それから率を引き下げるもの、あるいは統合するもの、あるいは上限を設定するもの、いろいろ工夫をいたしまして、その合理化、整理に努めておるわけでございますが、いま安孫子さんの御指摘の統合メニュー化を最近精力的に進めておるわけでございます。そういったものを通じまして、五十一年度千八十六件、七百八十一億円の節減に成功いたしておるわけでございます。今後とも努力してまいるつもりでございますが、いまの交付金でもない、補助金でもない中間の総合的な補助金制度考えるべきでないかということでございますが、その点につきましては、財政当局としても鋭意検討させていただきたいと思います。  それからもう一つの超過負担の問題につきましては、非常に示唆に富む御提言をいただいたわけでございます。これを合理的に解決していく一つの指針として検討に値する御提言であろうと思いますので、この点もまた各省庁と御相談申し上げて検討してみたいと思います。
  39. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 福田自治大臣、簡単に。
  40. 福田一

    国務大臣福田一君) 負担金の問題についてでございますが、これはまあ一つのお考えとして承るのでありますが、これをやりますには、経費を支出するについて的確な、明確な基準がございませんと、それぞれの地方自治体が、それぞれわれわれはこれだけかかった、これだけかかったというようなことではこれは困るわけでありますから、それを実現するには明確な基準を確立することがまず第一必要であると考えておる次第でございます。
  41. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 以上をもちまして安孫子藤吉君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  42. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 竹田四郎君。
  43. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 稻葉法務大臣にお伺いいたしますけれども、きのうの夕刊、一部の夕刊を見ますと、野党は学力不足だということが書いてあるわけですが、どうもこの学力不足というのはどういう意味なのか、実はよくわからないわけですが、御説明いただきたいと思います。
  44. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 研究をもっとしてもらいたいという意味です。
  45. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 ちょっとわからないのですが、何だか。
  46. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) もう少し研究していただきたいという希望を申し上げました。
  47. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 どうもよくわからないんですが、そういうことを言いましたか、どうですか。
  48. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 学力において不十分なところがあるように思うという意味を申し上げました。
  49. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 言いましたか、どうですか。
  50. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 言いました。
  51. 森中守義

    ○森中守義君 関連。  関連ですが、非常に重要なことですから、少しくお尋ねします。  いままで閣僚が国会で一身上のことでいろいろ問題になる、そういう場合に、一身上の釈明ないしは弁明、こういうことは記者会見等でしばしばあっていることも私ども知っております。しかし、閣僚が国会の運営もしくは質問等に対して、いま言われたような論評、しかも批判、しかもそれはやや名誉棄損あるいは侮辱に値するような、こういう内容は、実はかつてございません。これは私は非常に大きな問題の一つ考えている。しかも、稻葉さんの場合には、昨年のちょうどこの時期であったかと思いますが、憲法発言の問題で国会は約二週間空白が続きました。しかも、これは非常に大きな問題になって、結果的に稻葉さんは決算委員会で陳謝をする、本会議で三木総理が陳謝をする、こういうことで結末がついた。しかも陳謝の内容は、稻葉さんみずからがまだお忘れになっていないと思う。ですから、私どもは、その後稻葉法務大臣が閣僚として任務を遂行される過程で国会の運営あるいは委員会の質疑等にもよほど慎重に対処されてくる必要がある、それを陳謝の内容として受けとめておったわけであります。  きのうの問題になるならば、非常に問題だ。ところが、いまお聞きしてみますると、研究をもっとしてもらいたい、さらに進んで、学力が不十分なところがある、こういう答弁に至っては、昨年のあの事態と今日を比べてみて、病膏肓に入っている、こういう実は考えでおります。多少具体的に申しますならば、いままで私どもは、たとえば検事総長の、あるいはそれ以下捜査担当者の国会への喚問にいたしみましても、公の場所で、これこれの論拠によってこうだということを、いまだかつて開陳したことはございません。これからその内容を詰めていこう、こういう段階であります。ところが、各種の報道では、ややそのくだりも、研究不十分、学力不十分という、こういう実は観念としてとらえていらっしゃる。あるいは矢田部質問にも同様なことを言っていらっしゃる。  私どもは、法務大臣あるいは検事総長の喚問につきましても、いまこの際明らかにいたしますが、きちんとした論拠を持っている。つまり、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律、この第一条なんですよ。これが私どもが、閣僚であっても稻葉法務大臣を、検事総長以下捜査当局者も、当然国会に喚問し、宣誓をし、証言を求める権利がある。言葉をかえて言うならば、立法府の国会が最高の機関としての権威をこの第一条によって認めている。これに私どもは論拠している。しかもこれは、法制局その他数ある学説等もその背景に踏まえております。ただし、この五条で、刑事訴訟法との対抗があるので特例の規定がある。しかし、これは内閣声明という究極の措置が五条によってとられている。こういうことを私どもは一度もこの場所で、ことに法務大臣が研究不足である、学力不十分であると言われるような内容を公にしたことがない。それなのに、研究不十分、学力不十分、こういう表現を用いて、運営広しくは野党の質問に対し評価を下されるということは、まことに独断、独善と言わざるを得ない。許されませんよ。  しかも問題は、一体それならば刑事訴訟法四十七条の公益条項ただし書きの認定はだれがする。法務大臣であるのか、検事総長であるか、それ以下のだれであるか。通念的に書類の保管者とされている。それをあなたは、いかにも法務大臣みずからが認定権者であるような言をさえ用いられている。これは法律上非常に問題ですよ。果たしてあなたはその権能があるかどうか。だから、こういうことを議論をしてこれから詰めていかねばならない。一回も公にしたことはありませんよ。しかし、今日このように国会が正常な状態に移ったのは、議長裁定の四項の中にこの辺の事情を十分踏まえながら前尾議長も河野議長も、こういう非常にむずかしい問題があるからそれを超えてやりなさいと、こうおっしゃっているわけだから、そういう趣旨をどういったようように総理及び稻葉法務大臣がとらえておられるのか、理解できません。これがむしろ問題だ、こう言っている。  だから私は、こういったようなことを考えれば、昨日の閣議後における記者会見、その内容というものは、穏当を欠くというものじゃない、閣僚としての常識を逸している、こういうように私は思います。ここで速やかに取り消しをされるか。もちろん私どもは、国会の運営、野党質問あるいはその見解に正面から対抗されているわけだから、受けて立ちましょう。絶対的にこれは究明する。まずひとつ答弁を求めておきます。
  52. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) その学力不十分というのは、まあ人間のやりとりですからね、私も学力不十分なんだから、お互いに研究したい、もう少し、この四十七条ただし書きであるとか、それから刑事訴訟法の立法趣旨であるとか、憲法に基づく証言法であるとか、六十二条の問題であるとか、これらの関連はなかなか複雑な問題でございますので、国会の論議を通じてこれからお互いに研究しつつ明確にしていきたい、そういう気持ちなんです。それで、野党の質問をとらまえて、そうして相手を学力不十分だという意味ではなくて、自分自身も至らないところがあるという意味でございますので、もしそういうふうに書かれておる新聞があるとすれば、そういうことにとられたのは私の不徳でございますから、おわびを申し上げます。
  53. 森中守義

    ○森中守義君 委員長、もう一問。
  54. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 関連ですから、簡潔にお願いします。
  55. 森中守義

    ○森中守義君 法務大臣、これはいまあなた、そうさりげなく言われるけれども、同じような意思を表明されるならば、いま少し言い方もあると思う。しかし、新聞に言われるようなこと、しかも、さっきあなたみずからが言われた、研究をもっとしてもらいたい、これはまだいい。しかし、学力不十分などということは、おそらく両院のいかなるものといえども、閣僚の何人といえども、かつてこういうことを日本の議会史の中に言われたことはありませんよ。不穏当この上もない。きわめて不穏当。だから、これはいま取り消すと言われたけれども、それだけでは済まない。その点、総理どうですか。あなたの見解、どうなんです。閣僚がそんなこと言っていいですか。
  56. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 国会の公のこういうあれですね、予算委員会とか、そういう質問に対して、あなた学力不十分ですねと、そう言ったわけじゃないんですよ。そんなことは言えるもんじゃない、そういうことは。自分自身を非常にざんきにたえないと思っているんです、私、学力不十分で。それですから、お互いにもう少し、こういう問題は非常にむずかしいんだという意味なんですから、どうかひとつその辺で御了承願いたいと思います。全く悪意はないんですから。  それから、皆さん、質問者に対してのあれは、ぶっきらぼうのようだけれども、私非常に尊敬しているんです。
  57. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 稻葉君は、御承知のように、長い間国会議員として議会制民主主義の熱心な信奉者であり、その発展を願っておるわけであります。誇り高き野党の諸君を傷つけようというような考えは毛頭ないわけです。やはり与野党が責任を分担し合わなければ、議会政治は成り立ちませんからね。野党がいろいろいやなことを言っても、それに対して、私も——ずいぶんいろいろおっしゃいますよ。だけれども、忍耐強く、国民の声としてそれを承っておるんですから、それはやはりそういうことではなくして、いま稻葉法務大臣は、やはり、実際このロッキードをめぐる四十七条の問題にしても、複雑な問題ですから、皆がもっと研究せんならぬという気持ちで、少し言葉の足らぬところはあります、これは私も注意いたします。しかし、本人が言っておるような言葉の真意は、野党を侮辱するということではなくして、この問題は複雑な問題だからもう少しお互いに研究しようというのが私は本意であったと思いますが、それが新聞紙上にそういうふうに森中君を非常に憤慨さすようなことがあるとしたならば、これはやっぱり本人の言葉足らずでございますから、今後とも誤解を生ずるような発言はいたさないように私からも十分注意をいたします。
  58. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) どうも大変不快な感じを与えまして恐縮です。深くおわびを申し上げます。
  59. 森中守義

    ○森中守義君 これは、おわびをすると言われたが、取り消すとおっしゃっていない。だから私どもはこれは継続します。  それからいま一つ総理に、これに関連して特にこの際私は見解を述べながら、政府においてもお考えいただきたいと思う。それは、先ほど申し上げましたように、法務大臣あるいは検事総長以下の証人喚問につきましては、証言法第一条、これを踏まえておる。しかも、刑事訴訟法四十七条の公益条項ただし書きというものは、この証言法第一条に基づいて国政調査権が発動される場合、受けざらをつくるという、こういう実は意味合いにもとれる。そういうことが議長裁定の四項にまとまったものである、こういうふうに私は解釈をしている。したがって、予算委員会の冒頭から現在に至るまで、すべて捜査上の秘密、捜査優先、これで終始しておられますが、これが実は全党首会談の最大の中身であったはずですから、いま一度、一条及び五条に関し政府としてはどういう見解をお持ちなのか、これ、私はこの場で答弁をもらわなくてもいい、十分このことについては検討していただきたい。ただ、私どもの証人喚問の要求というものはその辺に根拠を置いているわけですから、政府でも十分検討し、速やかに早い機会に回答いただきたい。
  60. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは、調べるまでもなく、森中君読んだら、議長裁定に書かれておりますように、刑事訴訟法の立法の趣旨を体して捜査のある段階——捜査の「推移をみて」と書いてある。捜査の「推移をみて」というものが上に入っておりますが、そして政府は最善の協力をするということでございますから、それを誠実に、文字どおり誠実に政府は履行する所存でございます。
  61. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩     —————————————    午後一時五分開会
  62. 八木一郎

    委員長八木一郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  午前に引き続き総予算三案に対する竹田君の質疑を続行いたします。竹田四郎君。
  63. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 重ねて法務大臣に質問を申し上げますけれども、さらにあなたはきのうの閣議後の記者会見で、中曽根派の政治資金の収支の問題について「うそであったことを(中曽根氏が)認め、恭順の意を表明しているのに、それ以上何を捜査するのか」こういう発言をしております。これは、矢田部質問に関連して、警察庁が文書の偽造等によってこれから捜査をしよう、この間そういう発言をしたばかりの翌日であります。大変警察の捜査に圧力をかけるような発言をあなたはしているわけでありますけれども、この真偽を明らかにしてください。
  64. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) それは、午前中の問題とは全く違いまして、あれは新聞の記事が非常に誤解を与えて、私も心外千万なんです。それから中曽根氏が恭順の意を表しているのであり——私は、事務局長がうその申告をしたことについて非常に責任を感じ、私文書偽造、それから不実届け出ですか、明確にこれは罰則に該当するわけですから、それだからわれわれの会合のところでも、みんないるところで、法律をばかにするからこういうことになりますよと、法律をね。ざる法などと言うが、ざる法などという法律はないんだ、しっかりやってくれなきゃ困る、こういうことを言うているんですね。そして、ちゃんとした届け出をきちんとしたら、君は弁護士をつけてやるから警察へ行って、こういう事実をあれして恭順の意を表せと、事務局長にも言うてあるんです。そういうことについて……(「おかしいな」と呼ぶ者あり)だって仲間だもの。仲間の派閥の不始末だもの。だから、その事務局長の不始末についてはやっぱりあなた責任があるから、ちゃんと行って、事実を調べられるまでもなく言うておいた方がいいですよと、そういうふうに言うただけの話で、捜査に圧力をかける、そんなことは全然ありません。それは昼間の問題とは全然違う、これは、断じて新聞の記事については私は了承できないんです。
  65. 小野明

    ○小野明君 関連。
  66. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 小野明君より関連の発言を求められました。これを許します。
  67. 小野明

    ○小野明君 関連ですから、法務大臣に二、三簡潔にお尋ねをいたしたいと思います。  いまのお話を承っておりますと、われわれは仲間ですからと。あなたが中曽根派に所属をされておることは私もよく存じ上げております。法務大臣の職責にありながら、そうしますと中曽根派の法規対策部長ですか、いわば中曽根派の利益代表という役目をあなたは果たそうとされておるのか、果たしておられるのかどうか、これが第一。  いまあなたが言われたように、すでに中曽根派の問題については二つの刑事事件を構成しております。したがって、警察庁がすでにこの場で捜査をいたしますという言明もあることは、あなた御存じですね。「恭順の意を表明しているのた、それ以上何を捜査するのか」と。「それ以上何を捜査するのか」と、この言葉は、これは読売の記事ですが、あなたはおっしゃったんじゃないですか。もし、それ以上何をやるのかということは、事実であるとすれば、言われたことが事実だとすれば、当然これは捜査の妨害といいますか、あなたの好きな、捜査に対する牽制ということになるんじゃありませんか。これが第二。  第三の問題は、続いて記事にありますが、「私文書偽造も相手が訴える意思がないとなれば(罪が)軽くなる」、こういう言明もされておる。まあ、あなたは法学博士、法務大臣、あなたから言えば私どもは学力がないかもしれぬ。そこで、あなたにお尋ねをしておるんだが、以上お尋ねをする三つの点について、きちんと答えてもらいたい。
  68. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 中曽根派と言われる新政同志会、その法規対策部長ではないんです。(発言する者あり)いや、そう聞かれるから、そうではないと。私は、あの不実届け出の分の中には、四十七年終わり、八年、九年、五十年と、こうありますその四十八年のときに座長という仕事をしておりましたからね、会議の座長という。そういう一つの地位で資金のことについても取り扱った責任上、事務局長もっとしっかりやっていてくれると思ったがと、こういうことが頭にあるものですから、捜査にむしろ協力する意味において——捜査とか捜索とか書いてあるんだ、新聞に。そんな言葉を言ってないしね。ですから、昼前の問題とは違って、これについては私には言い分が多々あります。
  69. 小野明

    ○小野明君 事実であるのかないのか。
  70. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) ないんです。ない。
  71. 小野明

    ○小野明君 もう一問。そうしますと、この読売新聞の報道というのは全く事実と違うということですか。
  72. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 全くとは言うてないんです。大事な点について、法律上の用語について大事な点について誤解しておると、こう申し上げているんです。
  73. 小野明

    ○小野明君 もう一問。
  74. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 簡単に願います。
  75. 小野明

    ○小野明君 そうしますと、どうも私はあなたの答弁を聞いておると、わからぬのですよね。この点はどうですかという質問をしておるんです。「それ以上何を捜査するのか」という言葉。いま一点は、「私文書偽造も相手が訴える意思がないとなれば」云々と、こんなもんじゃないでしょう、これはね。これは親告罪じゃないんですからね。この事実をきちっと答えて——まだもう一問あるんだ。あなたは中曽根派の、法務大臣をやりながら、利益を代表といいますか、利益を守るために政治活動をおやりになっておるんですか。この大事な質問に答えていない。
  76. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 「これ以上何を捜査するのか」という発言ではなくて、ちゃんと事実も明らかだし、証拠ももう明瞭に挙がっており、本人も行って説明すれば、逃亡のおそれもなし、それから証拠隠滅のおそれもなし、事態は明瞭なんですから。これ以上、その上捜査の必要はなかろうかと思うという感相は言いました。「これ以上何を捜査するのか」、そういうふうに聞こえる、そういう、警察の答弁をとらえてこれ以上何を捜査するつもりだ、そういう響きではないんですよ。  それから私文書偽造については云々ということがありますが、これは私文書偽造ということにもなるから、だから名前を使われた人とか、それから偽ってどこから押したのか、その判こを押したりした人には謝っておいた方がいいよと。  利益代表という、どういう意味か知りませんね。だって、われわれの政策研究団体というか、政治団体というか、新政同志会、届け出てある政治団体です。その中の起きた不始末だから、余り警察に御厄介をかけないようにちゃんと申し開きをして、そうして受ける罪を受けるんだと、こういうことです。
  77. 小野明

    ○小野明君 納得できない。最後です。  この言葉、後の言葉は、これは私もわかりました。しかし、「それ以上何を捜査するのか」と、この点については法務大臣肯定されたですね。これは法務大臣もおわかりのように、それ以上何をやるのかと、この言葉は一体どういう反響を呼びますか、どういう効果を起こしますか、おわかりでしょう。これがわからぬとなれば法務大臣の資格ないですよ。さらに、この事件は大事件ですよ。相手に言って断っておったらいいと。空領収証ですよね、しかもそれは二千万円、五百万、庶民がとてもそれは想像のつく金額ではない。これは空領収証である。しかも相手は税務署からの立入調査も受けておるんですよ。これほど重大な事件なんです。この事件に対して、それ以上何をやるのかと。これは非常に大きな心理的効果を与えますよ。法務大臣ですよ、あなたはね。これは許せない。この問題は引き続き私どもは追及をします。  これは総理、お聞きになっておられて、どういう御所信をお持ちですか。それ以上何をやるのかという発言。この事件の重大性について、あなたはきのう再三御答弁をされたけれども、われわれの納得する答弁になっていない。午前の学力問題、さらに中曽根派のこの重大な法律違反の問題、これについて総理の御所信を伺いたい。
  78. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 稻葉君の発言にはいろいろ誤解を生ずる点があったと思います。したがって、(「誤解じゃないよ」と呼ぶ者あり)まあこういう点では、法務大臣という地位にかんがみて、今後本人も十分注意するでしょうし、私もそのようにしてもらいたいと思います。
  79. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 違うんですよ。私の言うておるニュアンスと全く違うニュアンスの記事を出したから誤解を起こされたんで、私のあの発言をあの場で聞いておられれば、小野さんのような方がそんな誤解をされるわけはないんです。記事を見るというと誤解を生じますな。不満です、だから。
  80. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 竹田君、続行願います。
  81. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 それでは次の問題に入りますけれども、大蔵大臣と輸銀の総裁にお伺いしたいと思いますが、国政調査権がこれだけやかましく言われているのに、私は輸銀に調査資料を要求したんですけれども、政府委員室を通してこなければだめだと、こういう答弁が返ってきました。大蔵省は政府委員室を通さなければ議員の資料要求に対しては応じないというような法律か規則を、いつつくったのですか。輸銀の総裁はそういうことは大蔵省から命ぜられているんでしょう。明確にしてください。
  82. 澄田智

    参考人澄田智君) お答え申し上げます。   大蔵省関係の資料の要求につきまして、大蔵省関係政府機関について、その提出する資料の内容の不統一を避けるため等の事情もあると思いますが、原則として政府委員室を通じて資料要求をお受けする、そして提出させていただくと、こういうふうなしきたりになってきているように承知いたしております。で、まあ言ってみますれば、政府委員室が院内にあることでもございますし、御要求をいただく場合におきましても、政府委員室を通じてやっていただくということが便宜でもあると、こういう次第もあろうかと思います。そういうことで、今回の場合、政府委員室を通じて御要求いただきたい、こういうふうに申し上げた次第でございまして、この点につきましては御理解をいただきたいと思います。
  83. 田辺博通

    政府委員(田辺博通君) 大蔵省といたしまして、いま輸銀の総裁から答弁がありましたように、議員の要求資料につきましては、いままでもできるだけの御協力を申し上げているわけでございますけれども、各個の資料要求について各局、各課等が個別にやりますと、いろいろな点が不統  一を来たすというようなこともありますし、また、政府委員室は院内にございますので、これは連絡先として最もよろしいということで、官房において全体を取りまとめてその御要望を受け入れ、そして各局に流すと、こういうしきたりをとっております。
  84. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 大蔵省だけどうしてそういうやり方をやるんですか。大蔵省に聞いたらば、二回も三回も往復をしなければ用件は間に合わないでしょう。どうして大蔵省だけがそういう国会議員の資料要求に対してそういう措置をとるんですか。ほかの省はそういうことをしておりませんよ。大蔵省は資料を国会議員に渡したくないと、こういう考え方でしょう。改めなさい。
  85. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 御答弁申し上げたような形において御提供申し上げることが、より議員の御要請に的確にこたえるゆえんだという好意から出たことでございます。また、どのような形で受けて、どのように提供してまいるか、行政府の内部の手順の取り方でございますので、それは大変恐縮でございますけれども、行政府の方にお任せをいただきたいと思います。
  86. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 なぜ議員に強制するんですか、それを。
  87. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) そのようにお願いをいたしておるわけでございます。
  88. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 強制しているじゃないか、それをしなければだめだと。
  89. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 強制する力は私どもにないわけでございまして、できたらそういう仕組みに御協力いただければ、より有効に御協力ができると存じてやっておることでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  90. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 この問題だけやっているわけにい  きませんから、今後に残しますが、三木総理にお尋ねいたしますけれども、この間も最高裁から議員の定数是正について判決が出ているわけでありますが、参議院の定数是正は昨年も大変大きな問題になったわけであります。その際あなたは、次の通常選挙までに結論を出すようにすると、こう言っておりますけれども、具体的にこの国会にもまだ法案は出ていないわけであります。定数是正についてはどうするか。
  91. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 参議院の選挙制度全般的にこれは重要な問題だと思います。ただしかし、私は選挙の制度というものは、これは一つの議会政治のルールでもありますからね、各党の一つの合意ができるという選挙の制度が一番好ましいと私は思っております。そういうことで、私が小選挙区などに対してもいますぐ取り上げようとしないのは、これは非常な長所を持っておりながらなかなか各党の合意が得られないということで慎重な態度をとっておるわけでございます。参議院の選挙制度に関しても、公職選挙法の委員会で小委員会を置くことになりました。ここでやはり各党の意見もいろいろ徴しながら最後の結論を出したいと思っておるので、そういう各党間のこの問題に対するそういう小委員会などにおける話し合いに対して何らかの結論を得ればいいという期待を持ちつつ、次の通常選挙までに結論を出したいという考え方は変わらない。しかし、いま各党のこの問題に対しての態度のいろいろお話し合いをされる、その推移も見ておるということでございます。衆議院の場合も、竹田君御承知のように、小委員会で決めたんですよ、衆議院の定数是正。そういうことで非常に議事がスムーズにいったわけですから、そういうことでいまその推移を少し見て、そして一層の研究を加えたいと思っておるわけであります。
  92. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 もうこの前あなたがそういう発言をしてから一年近くなる。参議院の選挙は来年の六月に控えているわけです。あなたの発言を聞いていますと、あなたの政治姿勢というのを総括的に言いますと、初めは非常にかっこういいんですよ。だんだんしり切れトンボといいますか、幽霊みたいにだんだん影が消えていく。ロッキードの真相追及でも、初めはやると言っていた。ところが、この間の矢田部君の質問については、やはり後退をしているとだれもが判断している。この問題でもそれでは私は困ると思うんですよ。あなたは自民党の総裁でしょう。各党が話し合って決めるということは、私もこれは賛成ですし、それはやらなくちゃいけないと思う。しかし、あなたがこの前の国会で約束した時期というのは刻々迫っているわけです。その意思を、あなたは自民党の総裁としてやはり明確にしてくれないと、いつまでたってもこの問題は解決がつかない。しかも最高裁の判決は出ている。どうですか。
  93. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私が言ったことが次第次第にしり切れトンボになるということは、竹田君、承服しない、そのことは。いろいろ言ったことに対して実行をしようと努力をするわけですが、私は独裁者ではない。民主主義における一つの責任を持っておる。民主主義の体制のもとにおける指導の責任があるわけですから、私の思うような時期に問題がすべて解決するとは言えない。方向を、こうだと言っておる方向を、私は逆の方向に歩んだことはない。いままでに一回もない。  ただ、ロッキード問題とこれを結びつけて、何かこのロッキード問題がしり切れトンボになるのではないかということは、それはやはり独断に過ぎる、そのことは。いまやっておることは、これはもう非常な捜査当局は全力を挙げて事件の真相に当たろうとしておる。この誠意というものは、竹田君もこれはごらんになってもおわかりでしょう。いま、やっぱり捜査権を持っておる捜査当局が問題の中心である。こういう不法行為に対して調査をするというのが、いまの段階としては一番急がれることです。  ただ、昨日からの質問を聞いておっても、言われることの質問は、いま資料の公開を求めておられること。気持ちはわかりますよ。国民も皆……
  94. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 資料の公開は一言も言いませんよ。
  95. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) しかし、きのうの質問の中心……。
  96. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 私は言っていませんよ。私の質問理解して……。
  97. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 理解しておる。それは、この間の質問の集中される点は、この資料私ひとつ国会調査権の前に公開せよという御主張ですよね、一番強いのが。これは、いま捜査の途中で資料を公開するということは各国ともしないですよ。手の内を捜査当局が見せては捜査に支障を来しますから。いま真相を解明することでしょう。真相を解明するためには、捜査権の障害にたらぬようにして早くひとつこの問題を、そういう不法行為に対して捜査当局がメスを入れるようにということで、政治的圧力は一切加えないと言っているのですからね。それでひとつ全力を挙げてやれというこの政府の姿勢が、あなたが御批判になるような、こういうふうなことでは私はないと思いますから、どうか……。
  98. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 質問の趣旨とちょっと違う。
  99. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) ロッキード問題と竹田君は結びつけて、非常に真相に対して政府が熱意がないんだというお言葉は、これはちょうだいできぬということを申し上げた次第でございます。御質問の中にあったからお答えをしたわけです。
  100. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 総理に申し上げます。質問者の質問事項に端的に、短時間に御回答いただくようにお願いします。
  101. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 私はここで資料を出せというふうに要求しているわけじゃないんです。あなたの姿勢というのは、いつも初めはかっこうのいいことを言う。だんだんだんだんそれが後退してしまって、最後はうやむやになってしまう。そういうことがあなたの政治姿勢の中に多いから、私はロッキード問題でも同じように、初めはあなたはこれは真相究明だ、灰色の高官も発表しますと、こういうことを言ってながら、だんだん、この問あたりでは十分ぐらいはもう発表しないというような感じです。そういう形で、あなたは私みたいに個々の議員ならばいいですよ。あなたは執行者でしょう。物を言うだけじゃならないわけですよ。行政を執行する立場にあるわけです。そういう点でかっこうのいいことばかり言って、理想ばかり言っていることは、私は総理大臣としては失格だと思うのです。実行をすべきだと思うのです。  では、もう一つ聞きます。あなたは田中金脈の後を受けて、大臣の資産公開をする、これは各大臣にもしてもらうように私は努力をする、こういうことを言いました。なるほどあなたは若干出しました。全部だかどうかわかりませんけど、出しました。あれ以後ほかの大臣でだれが出していますか。これだって、あなたはかっこうのいいことばっかり予算委員会で言って、あと何にもやっていないじゃないですか。こういう政治姿勢が私は問題だということをあなたに言っているわけです。それじゃこれは総理大臣になる資格がないですよ。われわれと同じような議員になった方が、そういうことを言うならばきわめて国民大衆にも受けるかもしらぬ。その点をはっきりしてくれと言っているんです。
  102. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 竹田君に申し上げたいのは、あなたは事実の上に立って質問しなけりゃいかぬ。私は閣僚の資産を全部公開をいたすようにいたしますとは言わない。これはそういうことになってくれば、やはりそういうふうな法律でもできないと、これは強制することはできません。今回は私が代表して、私はそれは個人的な考えからいたしますということで、全閣僚の資産も公開させるようなことは私は言ったことはないんですよ。今回は私が代表して、もしこれを全部に強制するならば立法を伴わなければならぬと、こういうことを言ったので、これが一つ。  それから、もう灰色も何も私が全部公開しますというようなことを私は言ったことはない、これはね。四十七条についても、公益と守秘義務と、そして国政調査権によっての公益とを比較的計量して判断するという以上のことは申してないんですから、何か初めは非常にこう積極的に言っといて、そして次々に後退するという批判は、私はそれは竹田君ね、お互いに議員というのは名誉を持っているんですから、事実の上に立ってひとつ追及をしてもらいたい。その前提が、いま言ったように資産の公開でも、閣僚は全部するようにいたしますということは言いませんよ。
  103. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 そんなこと私言っていないですよ。
  104. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 閣僚にも勧めると。勧めるも言いませんよ。これは今回の場合は、これ以上皆がするということになれば立法を伴わなければなりませんから、今回は私が代表していたします、これは私自身の考え方だと、こう申しておる。また高官名、もう皆灰色のものを全部私が公開するというようなことは言ったことはございません。これはやはりいつもそういう質問を受けたときには、これは現在の段階で断定的に言うことは弊害がある、四十七条の合法規的な解釈そのままに解釈せざるを得ないというのがいつの答弁でもですよ。何か私の言ったことを、事実に立脚しないで、それを前提として、おまえの言うことはやっぱり後退しておるという非難は、私もまあ忍耐強い方ですからね、いろいろおっしゃることは、私も多少は申したいこともありますけれども、それはよく承っておるんですけれども、事実だけについては申し上げておかないと、非常に私自身の政治家としての人格に疑いを持たれるようなことは、私としてもがまんがならないわけでございます。
  105. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 私は、閣僚にそれをあなたが強制するという、そういう言葉も使っておりません。あなたは各閣僚に話をし合って——法律とも言っていません。そういう方向に持っていきたいと、こういうことは言っているんです。一つ一つ議論をしていてもしょうがないですよ。  あなた、公約第一号というのは不公正の是正ですよ。これはどうなりましたか。現実に不公正は大きくなってくるばかりじゃないですか。独禁法はどうしましたか。答えてください。
  106. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 不公正の是正という問題は、一番不公正は私はインフレだと思うんですよ。こんな不公正なものはない。インフレぐらい、これだけ社会的不公正の根源はありませんよ。インフレの抑制ということは……
  107. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 それだけじゃないですよ。
  108. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) そのほかいろいろありましょうが、これは一遍に何もかもというわけにはいきませんが、税法の上においても、できるだけそういう線について税法の改正も行いつつあることは御承知のとおり。あるいはまた社会保障などのこういう点でも、従来は高度経済成長期で生産の拡大ということに重点を置いておったのを、もう少し社会的公正という見地から国民生活充実、社会保障制度充実というようなことを目指しつつ……
  109. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 やっていないじゃないですか。
  110. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いや、それは竹田君は何かこう一遍に……
  111. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 一遍じゃない、全部並べたってやってないじゃないですか。何をやったんですか。
  112. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) この大きな転換期にやっぱり一歩一歩を、そんなに一日のうちに、まだ私だって政権をとって一年少々ですよ、何もかもというわけにはいかぬ。ステップ・バイ・ステップで私が公約した方向に向かって政治は前進しておる。速度が、竹田君と多少速度は違うかもしれぬが、政治は前進を続けておる。  独禁法については、いま政府が提出をする予定になっておりますが、衆議院で五常の共同修正の線は訂正もされた箇所もございますが、いろいろと自民党の調整も経ましてこういうことになったんですから、これが国会に提出されたときに私はよく理由を説明したいと思っております。とにかく独禁法を強化しようという線に沿うての改正であることは間違いがない。これは国会に提出をいたします。
  113. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 関連。
  114. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 対馬君より関連の要求があります。関連は一問でお願いします。
  115. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 独禁法の問題に関しまして、ただいま三木総理からのお答えがございました。全く不可解千万であります。それは七十五国会におきまして、独禁法は三木内閣の公約の最大の課題でありました。しかも、あの七十五国会の最終的な段階におきまして、わが社会党より積極的に修正提案の取りまとめをして、五党が完全に衆議院の段階で全会一致をもって衆議院を通過をいたしたのであります。それに対しまして、私も参議院の商工委員会で理事会に出ましたが、この取り扱いについて若干論議はしましたが、ただの一回も参議院の場で議論はされておりません。このことは率直に申し上げますが、かなり財界からの、つまり政治献金再開とその引きかえ条件の圧力によって、財界の反対によって自民党みずから修正案を手直しをしたいという事実が明らかであります。なぜ五党修正案を提案をすることができなかったのか、これはとうてい理解をすることはできません。  もう一つの理由は、解散をしたわけでもないし、院の構成が変わったわけでもなければ、三木内閣内閣も変わったわけではございません。私をして言わしむれば、一事不再議的な精神から言ってもこの取り扱いについては問題がある、こう指摘をしなければなりません。この点について、いま一度明快なお答えを願います。
  116. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いま御指摘になりますように、参議院では審議はなかったわけです。そういうことで廃案という結果になって、そうしてこの点は華々の間にああいう修正案をまとめたわけでございまして、これは重大な問題であるから自民党の中においても十分調整をしたいということで、今日まで時間がかかった。いろんな議論は出てまいりましたけれども、しかし私は、やはり独禁法の根本的性格に関連するような改正というものは私は承認することはできない。そういうことで、いわゆる企業分割といいますか、ああいう条項を除いてはほとんど原案のようなものの形で出したわけですから、修正案と同じような形です。  それで、企業の分割の問題は、前の高橋公取委員長でも、これはいまは適用する企業はないんだと。予防的な措置であるということであって、いますぐにあの企業分割の条項を適用するという状態はいまないわけでございますから、差し迫ってすぐにこの条項というものが適用せなきゃならぬという事態は、いまないわけであります。  そうなってくると、こういう根本的な問題はもう少し時間をかけて検討したいというこの自民党の考え方、このことはもうこれでおしまいだということでなくして、もう少しこれは根本に触れる問題でありますから、時間をかけて検討をして、自民党自身が全会一致で賛成をできるような状態に持っていくことが必要だと思いますので、私はいますぐこの適用の事態というものはないということで、企業の体制の根本に触れるような問題であるので、もう少し時間をかけて検討したいということで、これは時間の関係もあって迅速に御審議を願いたいと思っておりますから、もしもいろいろ与党内に異論のあるようなことが出ましては審議も差し支えますので、そういうことに私自身も同意をして今度の独禁法の改正となったわけでございます。
  117. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 いま総理からの答えがございましたが、慎重に時間をかけて……
  118. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 簡単に願います、対馬君。
  119. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 検討したいということでありますが、根本的な姿勢に問題があるから指摘をしておるわけです。これはしかも、きのう独禁法の法学者が集まって、二十一人グループの代表の声明が出ております。明らかに政府案というのは改悪であり、五党再提案としてこれを進めなければならない、国民の最低限度のものは五党修正案である、こういう表明も世論的に高まっておることは事実であります。  そこで私はもう一度明らかにしたいのでありますが、独禁法の柱になっておりますのは、第一は企業分割の問題であります。第二の問題はカルテルの影響排除に対する措置規定の問題であります。一昨日以来、田中総理大臣以来の金脈問題の不正などがいろいろ言われておりますけれども、むしろそういった財界と政府の癒着という関係、こういう問題を改める意味においても、私は独禁法というものにおいて消費者の課題である問題を、この企業分割の問題、カルテル行為の影響の問題というのは消費者のたっての要求なんであります。この要求が通らなければ、大骨は全然抜けて小骨は全然なくなっているということに問題があります。私はそういう意味で、先ほど来竹田同僚議員からも言われておりますように、三木内閣は、まさにこれを称して後戻り内閣という正体であると指摘をしなければなりません。したがって、もう一度、質問を確認いたしますが、答弁を願いたいのでありますけれども、慎重に時間をかけて検討したいということよりも、この自民党の修正案を撤回をして、五党共同一致の再提案をする意思があるかないか。あるいは同意がなければ、この問題については政府側としてもう一度検討を加える意思があるかどうか、この点について明快な回答を願います。(「簡単」と呼ぶ者あり)簡単に言っているじゃないか。
  120. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 閣議で決定もいたしましたので、いまこれをまた引っ込めて再検討する考え方政府は持っておりません。またこれが独禁法の改悪であるということは、所見を異にいたします。独禁法の強化である。この強化はだれ人といえども、不徹底だという御批判はございましょう、この政府の案をもって独禁法の一つを改悪したんだという批評は私は正当な批判ではないと私自身は考えます。これはまた独禁法の場合に論議をいたします。また、財界の圧力というものは一切こういう問題について受けておりません。
  121. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 竹田四郎君。(「一つだけ。この問題では不満でありまから、委員会の場を通しまして徹底的に追及することを明らかにしておきます。」と呼ぶ者あり)許しておりません。
  122. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 総理ね、あなたはインフレを幾らかおさめたことを何かあなたの手柄話にしようとしておるんですが、国民はこれはあなたの手柄だと思っていないんです。ほかの人の手柄だと思っているわけです。そういう点で、やっぱり一国の総理ですからね、その辺はあなたが公約をしたことは断固として実行するという姿勢がない限りは、あなたをだれも総理大臣だと思わないですよ。あなたは行政の執行者でしょう。議員じゃないでしょう。議会の子ではあるかもしれませんけれども、行政の執行者なんですよ。議会の子である限りは、あなたは公約ということ、このことについてはかなり厳しく考えておられると思う。あなたは公約ということは一体どう考えておられるんですか、明らかにしてください。
  123. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 公約は着々として実行されつつある。これは時間的には竹田君のテンポと異なる場合がある。しかし、掲げた公約の方向に向かって一歩一歩前進しつつあるということを確信しております。
  124. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 まあ、最後は国民が判断するでしょうから、これ以上は進めませんが……。  外務大臣にお尋ねしますけれども、外交官リストを昨年の十二月に新たにまた出したそうですけれども、九月に出したときと十二月に出したときで三十七名も違っているというのは、これはどういうわけですか。
  125. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 詳しくは政府委員から申し上げますが、これはたしか四半期ごとに一度加除訂正をいたしております。と申しますのは、その間、出入りをする人は外務省に届けてまいりますので、それを加除いたしまして、草案を各大使館に渡しまして、その大使館でそれをチェックいたしまして、最終的にそれをリストとして出しておる。ただいまのようなケースが二、三の大使館についてございました。顕著なのはアメリカ大使館についてあったわけでございます。それは、このリストを配りますのは、各大使館に館員の数だけ大体配っておるわけですが、大使館同士の、館員同士の、どう申しますか、交際と申しますか、そういう趣旨が大半でございます。そこで当該大使館においてこれこれの人間は特にリストに載っけてもらわなくてもいいというような希望がありますれば、それはその希望を入れてまいったわけでございます。そういう希望がアメリカ大使館についてたとえばございまして、したがいまして、そういう者を載せないでおいた。しかし、どうもその後になりまして、やはりこれは、そうであろうとなかろうと、外交特権を持っている者は載せておくのが普通ではないかというふうに考えましたので、今回でございますか、みんな外交官の身分のある者は載せるということに改めました。したがいまして、そのような数の違いが出てまいったのであります。
  126. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 外交官の身分を持っていながら、五年も六年も載せてないのがあるというのはどういうわけですか。
  127. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) これは外交官の特権を持っております者は、警察等には当然外務省の方から届けもし、また本人にそれを証する書類も渡してございますので、実務上は、リストに載っておりませんでも別段の支障はないわけでございます。そこで、当該大使館がそんなにたくさん載せなくていいと言ったときには、それをそのまま私どもとしても採用しておった。いわゆる公文書というものではなく、外交官同士がお互いに知り合う、つき合い合うというためのいわば便宜のものでございますから、そういうふうにいたしておったので、そこに特段の意味はなかったのでございます。が、最近考え方を改めまして、やはり外交官の身分のある者は、よそとつき合いがあるとないとにかかわらず載せる方が適当であろうと、こういうことに改めたわけでございます。
  128. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 こういうやり方というのは私は非常に疑惑を招くと思うんですよ。いままでの方針をなぜ新しいそういう方針にしたのか、これははっきりした根拠がないと私はそう直さなかったはずだと思うんです。それだけのいまのお話ではこの点は余りよくわかりませんけれども、これはまた後ほど外務委員会でやるといたしまして、きのうのあなたの答弁の中で、CIAの関係関係者から申し出があった場合には調査をすると。そのほかのときには調査をしないという意味だろうと思います。反対解釈では。私はそれではいけないのじゃないか。外務省としてもこれは十分な調査をする、このことを三木総理は記者会見で言っているわけですね、非常に重大だから。で、あなたの管轄でも、たとえば立川の飛行場からCIAが物を運んでるということも近年あったわけですね。そういう問題があるにもかかわらず、CIAの調査を全然しない、申し出がなければしないということは私は不適当だと思うんです。また同時に、国民に安心感を与えるゆえんでもないと思う。調査をすべきだと私は思うんですが、これは総理に聞きます。調査をすべきだと思いますが、いかがですか。
  129. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 昨日の私の答弁に関係いたしますので、総理の御答弁の前にちょっと申し上げておきたいと思います。  昨年申し上げましたことは、組織としてのCIAの活動というものはわが国は認めておらないということが第一点であったわけです。  次に、仮にわが国の法令が破られた、あるいはわが国の国民の利益が害されたというようなことがあれば、これはだれであるとにかかわらず、そのこと自身は排除されなければならないものでありますと。したがいまして、官憲がそれを発見すれば積極的にそれを排除するのは当然でありますが、そうでない場合にも、利益が害された者からの話があればそれは排除しなければならない。  それを除きますと、CIAが組織的にいることは私どもは考えていないわけでございますから、何を調査をせよと言われましても、これがCIAであるという客体がないわけでございますから、いまのような方法で、もし事態が起これば、そうしてわが国の、あるいは国民の法益が害されればそれを直す、必要によってはその人間が好ましからざる人間であるといって退去要求をする、そういうことでありまして、その客体として何かCIAというものがありまして、それのやっていることを調べなきゃならぬではないかというような御設問であるとすれば、そういう客体はわが国では認めておらない、存在しないというふうに申し上げたのであります。
  130. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 外務大臣の言うとおりだと私は思います。
  131. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 だれだれがCIAのメンバーであるかということもあるでしょう、実際にあればね。しかし、全体として極東におけるCIAの組織というのは一体どうなってるか、こういうことはやはり外務省として明らかにしておくべきじゃないですか。いろんな本も出ております。またCIAのいろいろな悪行の限りというものも出てるわけです。それを外務省が何もしないということは、私は一層国民に不安を与えるものであって、そうした問題については明らかにやっぱりしておくべきだ。なるほど、たてまえはCIAは認めない、活動は認めないといったって、現実にやっているんです。CIAの実態というものもなかなかわからないものだと思う。それだからこそ、よけい調査をする努力を私は外務省としてすべきだと思うんです。
  132. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) ただいま現実にやっておるというふうに仰せられたわけですけれども、私どもはそういう事実を実は確認していないのでございます。
  133. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 現実にきょうの新聞にだってあったわけでしょう、お読みにならなかったわけですか。
  134. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) CIAについてはもういろいろの書物など私ども読みますし、今度はチャーチ委員会の報告が出てまいりましたので、それでさらにいろいろなことがわかってまいると思いますけれども、正確にこうこうであるということを把握することはなかなか、仮にございましたとして困難なことで、いろいろのニュース、話は私どもも聞きますけれども、きちっとそういうものをとらえるということは、仮にあったといたしましてもむずかしいのでございまして、いわんや、わが国においては組織としてのそのようなCIAの活動は私ども許しておらないつもりなんでございます。
  135. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 私は調査の努力ぐらいは外務省はしていいと思うんですがね。どうですか、もう一回。たてまえだけで物を言っていちゃ困る。
  136. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) それはどこへ向かって何を調査をすればいいかという、その客体を実はとらえがたいのでございますから、もしわが国なりわが国民の法益が害されるようなことがあれば、これはもう当然に調査をしなければならない、また排除もしなければならないのでございますから、そういう形では常にこれは私どもというか、政府全体が注意を怠ってならない種類のことでありますけれども、そのような事例がございませんと何を調べるかということが実は非常に問題なんです。片々たる情報だけで動くわけにはまいらないわけです。
  137. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 前のCIAの職員がしゃべっているじゃないですか、証言しているじゃないですか。けさの読売の新聞にも元CIAの職員が立川飛行場のことをしゃべっているでしょう。その前にもCIAの元職員というのが、日中貿易展ですか、これにおいてビラをまいたという記事が出ているわけでしょう。そういう記事を洗ったことはないですか。
  138. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) その、けさのは一九五五年から八年でございましたか、そういう記事はございましたし、以前のは中国の貿易展に何か昼飯を出すというビラを出して、行ってみたらそれはなかったというような報道であったと思います。このようなことを一々その話したと称する人間に来てもらって聞きましたところで、それが公の証言になるわけでもございませんし、一つ一つそれをやるのは煩瑣に実はたえないので、もし正式にそういう問題がございますと、ことにそれで法益が害されたとかいうことになりますとこれは別でございますけれども、いろいろなCIAについては本もございますし、情報もございますしいたしますが、正式のものでございませんと、それに一々私どもなかなかかかずらわってはおれない。もとより現実に国なり個人の法益が害されるということであれば、これはだれであるといかんにかかわらず政府はその問題を取り上げなければなりませんが、そうでございませんと、なかなか一つ一つにかかずらわっておられないというのが実際でございます。
  139. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 総理ね、いままでの例にしても、これは人権が侵されているわけですよね、明らかに。それが煩瑣で、そんなものにかかずらわっているわけにはいかぬという外務大臣の答弁というのは、私はこれは日本の主権と人権を尊重する意思がないと、こう判断せざるを得ないと思うんですが、どうですか。
  140. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 仮に中国展に昼飯が出るというビラをまいた、実際出なかった、人はみんなだまかされたと怒ったといったときに、人権が害されたかと、だれの人権がどのようにして。仮に事実であったといたしましてですよ。ですから、具体的にだれの人権がどのように害されたかと、事実といたしましてですよ、ということであれば、それはもう国としては動かなければならない。そうでなければ、一つ一つのうわさはなかなか取り上げるということは実際上はむずかしいと思うんです。
  141. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 外務大臣の言うとおりだと私は思いますよ。これはやはり何かこう人権を侵されたという、そのために非常な人権上の侵害があったというようなことが具体的にあったら、これはもう日本政府として重大な関心を持たざるを得ないわけですから。ただ異常があったということだけで政府一つの調査活動に入るということは、私はやはり外務大臣の言うとおり非常に無理なことだと思うわけでございます。
  142. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 この問題はさらに後へ残しておきますけれども、私はこういうやり方で政府がいるということについては非常に遺憾に思います。真に国民を守っていくという態度ではないということを私は断言して、経済問題に入っていきたいと思います。  福田総理にお聞きしますけれども、あなたは最近、新価格体系という言葉は余りお使いにならなくなってきた傾向があります。しかし、新価格体系というものがまだ完全にこれは完了したというふうには私は思わないわけでありまして、さらに新価格体系を進めていくような政府の政策である、こういうふうに思いますけれども、一体どういう物資をどのぐらい上げていって、いつごろになったら新価格体系は完了したと、こういうことが言えるわけですか。
  143. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 新価格体系論というのが財界の中にあるんです。きのうも山崎さんに申し上げましたが、今度の不況はちょっと長くなっているんですよ。ふだんでありますれば、これが一年とか一年半、それで後は好況だと、こういうんですが、今度はそれが二年半にも及んでいるんです。そこで民間の企業はその不況のはけ口を、非常に安易な考え方になりますが、製品価格のつけかえに持っていこうと、こういう考え方、これはそういう考え方は自然になりがちなんです。しかし、私はそういう考え方が強く出てきますと、これは非常にわが国の経済には危険なことである、こういうふうに考えるんです。  いま不況だ不況だというが、どこに原因があるかというと、企業の操業度、そこに問題がある。操業度が落ちているものですから、過剰の人員を抱えておる、あるいは過剰の金利負担を負わなきゃならぬ。そこに企業を、企業経理を圧迫する要素がある。この操業度を改善をするということによってミクロの不況、つまり企業の不況状態を、これを脱却させなきゃならぬ。これが私は正道だと思うんです。現にそういう方向に向かって不況は克服されつつある。しかしまだ完全にされておらぬ。そういう過程において価格転嫁によって企業の不況を克服したいという動きがあるんですが、これは私は健全な動きじゃない。やっぱり政府努力をしておる、その景気回復努力、その結果、企業の操業度が向上されまして過剰の労働力、過剰の金利負担、そういうものを企業が負わなくなるという状態で企業が改善されていくということが私は好ましいと、こういうふうに考えておるんです。  ただ例外的に考えなきゃならぬことがありますのは、これは政府の公共企業料金なんです。これは狂乱当時無理に抑え込んだ。しかし、その抑え込みを長続きさせるわけにいかぬ。そこで逐次新価格水準といいますか、そういうものに移行させなきゃならぬ、こういう問題があります。それから民間の企業は大方新しい価格水準に移っておると思いますが、まだ操業度が改善されてもどうにもならぬ、こういうものもあるかもしらぬ。そういう際にはやっぱり新しい水準というか、価格調整というものが行われる、そういうことになると思うんです。ですから、基本的に私は新価格水準というものはこれは好ましくないと思うんです。しかし例外はある、こういうふうに考えております。
  144. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 通産大臣、どうですか。
  145. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) 副総理のお話のとおりでございます。
  146. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 こちらは経済計画の方です。あなたの方は具体的に物資を扱っているわけですから、同じはずはないんです。具体的に言ってください。
  147. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) いまお話のございましたように、二、三の業種は操業率が回復いたしましても構造上なかなかよくならない、こういうものもございますが、大部分の業種は操業率が回復いたしますと採算も向上いたしまして、自然に経営状態もよくなる、こういうふうに考えております。
  148. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 二、三の業種とは何ですか。大臣、二、三の業種とは何ですか。
  149. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) たとえば非鉄金属とか、それから工作機械、繊維機械、こういう業種は構造上非常にむずかしいのじゃないか、こう思っております。
  150. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 鉄鋼はどうですか。
  151. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) 鉄鋼の方も、操業率が現在七〇%ぐらいでございます。これがだんだん回復の傾向にございまして、仮に昭和四十八年の水準まで回復するということになりますと操業率は九〇%以上と、こういうことになりますので、採算は相当よくなるはずでございます。ただ、その間におきまして海外の原料が非常に上がっておる。この分はある程度修正する必要があろうかと思います。それからなお、この鉄鋼につきましては、現在ヨーロッパに比べましてなお二、三割低い水準にございます。
  152. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 それじゃ、いま鉄鋼各社が鉄鋼の価格を引き上げてくれと、こう言っているんですが、これは認めないというのか。通産省としては好ましくないと、こういうふうに判断していいですね。
  153. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) 操業率は相当上がりましても、なお吸収できないものが若干残るのじゃないかと思います。その分については国際的な価格等との比較におきまして、やはり企業が成り立つように、時期を見て若干の引き上げが必要であろうかと思います。
  154. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 具体的に私は鉄鋼で聞いているんですよ、それで答えてください。
  155. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) 鉄鋼の方は昨年相当大幅な値上げがあったんです。若干それで経営は改善されたわけでありますけれども、なおその間海外の原料が非常に高くなった、こういうこと等がありまして会社経営はまだ軌道に乗っておりません。ただしかし、先ほども申し上げましたように、現在の水準は年率に直しまして大体一億トンという水準です。昭和四十八年が一億二千万トン……
  156. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 価格のことを聞いているのですよ。
  157. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) 価格のことを申し上げるのには操業率を申し上げないと……。一億二千万トンという水準であったものですから、だから、一億二千万トンという水準まで回復をいたしますと、相当それで格価の負担力というものは出てくるわけです。若干の時間がかかると思いますが、だんだんといまそういう方向に向かっております。ただしかし、どうしてもこの外における原料高、こういうものは全部吸収しにくいのではないか、こういう感じでございます。でありますから、やはりことしじゅうには適当な時期にある程度の値上げというものが行われるのではないかと思います。しかしこれは、政府の方で上げちゃいかぬとか、上げろとか、そういうことを言うべき筋合いではない、やはり民間の企業の独自の判断において行うべきものであると、こういうふうに理解をしております。
  158. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 鉄鋼の設備投資には盛んに通産省が関与をする。電力の設備投資には盛んに関与をする。価格だけはどうしてそういうことを言うのですか。
  159. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) 電力の方は昨年一カ年間、総合エネルギー対策閣僚会議というものを開きまして、今後の電力の需給関係についていろいろ検討いたしました。その結果、昭和五十一年度を初年度といたしまして十カ年間に約四十八兆円の投資が必要である、前半の五ヵ年に十六兆円、それから後半の五ヵ年に三十二兆円、これだけの投資がどうしても必要である、こういう結論が出ております。その長期計画に基づきまして、電力の各社はそれぞれの拡充計画というものを進めておるわけです。それからなお、この電力の料金につきましては、電気事業法に基づきまして原価計算に基づいて料金は決定する、こういうことになっておりますので、現在四社から大幅な赤字になっておるという申請が出ておりますので、目下申請の出ておりますいろいろなデータに基づきまして、果たしてどの程度原価計算上赤字になっておるのかということを検討しておる最中でございます。
  160. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 委員長から御注意いただきたいのですが、余分な答弁は要らないのですよ。聞いたことにひとつ答えてください。セメントはいかがですか。
  161. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) セメントは先般不況カルテル、まあしばらく続いておりましたが、それによりまして価格の修正が終わりました。現状で当分は十分企業経営は成り立つはずでございます。
  162. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 これは答える方はいいかげんに答えていると私思いませんから、あなたの言葉は余り信用しておりません。現実には物価は上がっているわけです。物価の上がり方も商品市況が先に上がって、それから卸売物価が上がるという形でいま上がってないのです。卸売物価も商品市況も同じカーブで上がっているのですよ。このことは商品の市況、要するに市場原理によって価格が決まっているわけじゃなくて、メーカーが寡占を利用して、まあこれらのメーカーいずれも大きいわけです。そうした形で上げているという数字上の問題が出ているわけです。そうしていきますと、私は新価格体系ということをあれだけ言った政府が、今日新価格体系を言わないというところに私は一つ問題があると思う。恐らく新価格体系をこれからも遂行をしていく、こういう考え方にあるというふうに私は考えざるを得ないわけです。  そういう形でいきますと、最近卸売物価の上がり方というのは大変上がっていますね、福田総理。大体これ、どれくらい上がりそうですが。七%ぐらいは上がりますか。
  163. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 最近の卸売物価は多少心配しておるのです。心配するような動きであります。しかしこれはいまちょうど景気が御承知のように停滞から活況へと、こういう転換期でありまして、転換期の摩擦現象だと……
  164. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 減産指導を通産省はやっているじゃないか。
  165. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) こういうふうに見ておりまして、これは憂慮すべき状態であるというふうには考えておりません。しかし、この卸売物価というものは、これはわが国の対外経済政策、この上において非常に重要な問題でありますので、この動きが今後どうなるかということにつきましては慎重に見守り、対策を誤らないというふうにしたいと思います。
  166. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 ロイター指数はどんなふうになっていますか。
  167. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 大臣、説明者を指名してください。
  168. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 喜多村政府委員であります。
  169. 喜多村治雄

    政府委員喜多村治雄君) ロイター指数は一次産品を表象する指数でございますが、最近徐々に一次産品が上がっております関係上、最近時におきまして一四〇〇ぐらいを若干出たところでございます。
  170. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 一次産品を中心とするロイター指数が上がってくるということになりますと、輸入価格というのは当然これは上がってまいりますね。そうすれば、さらに卸売価格というようなものは上がらざるを得ないと思いますよ。そういう時期に新価格体系を重ねるということになりますと、一層これは卸売物価というのは上がっていく心配というのがあるんじゃないですか。
  171. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 御指摘のとおりの論理になるわけです。でありますものですから、新価格水準という考え方につきましては、これは好ましい考え方ではないと、こういうことを申し上げておるわけであります。
  172. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 そういう非常に心配があるし、新価格体系を推進してきた政府というものは、私はそういう意味で大変責任があると思いますけれども、しかし福田総理、あなたはことしの予算の顔ということを言われましたね。右目が公共事業で左目が輸出だ、鼻が住宅ですか、口が金利で耳が福祉だと、こういうことを言われましたね。ところが、公共事業の方はどうも余りさっぱり景気回復にうまくいかない。いま輸出を盛んにするということで政府は一生懸命じゃないですか。輸出を盛んにすることによって日本の景気回復を図ろうと、こういうことじゃないですか。
  173. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 公共事業は、予算が成立、実施されまするとこれは相当の響きを持つんです。年率で公共事業は五十年度に比べますと八%を超える、こういう巨大なものです。ところが、予算がまだ成立しないというんですから、これは動きようがないというのが今日の実情でございます。
  174. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 輸出が非常によくなっておりますけれども、しかしこれは相当程度、ダンピングとは言いませんけれども、ダンピング傾向はございませんか。
  175. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ダンピングと言うと、これは語弊があります。ありますが、つまりわが国のいわゆる交易条件というものがこの一、二年悪化しておる、こういうことは申し上げることができると思います。
  176. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 これは私が調査をした資料で、説明がめんどうですから図面で示しますけれども、四十九年十月を一〇〇として、この赤いのが輸出価格指数です。この黒いのは日銀の統計を使った卸売物価指数なんです。こういう鋏状的、はさみ状のカーブの差が出てきているということは、これは一体どういうことを意味するのですか。
  177. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま申し上げました交易条件が悪化しておる、こういうことをあらわしておると、こういうふうに理解します。
  178. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 交易条件がたしか六十数%という状態ですが、結局、交易条件が悪化しているということは、買う物は高く買って、売る物は安く売っている。結局日本の国がそれだけ損をしているということを示していると思う。この数字で見ても、国内の価格は高くつり上げておいて、売る物は安く売っている。これ以外の何ものもないじゃないですか。結局、国民がしぼられている。かつてのカラーテレビと同じような状態がここにあらわれている。これじゃ国民はたまらぬじゃないですか。企業は新価格体系で勝手にメーカー段階で価格をつり上げる。外国に売る物は安く売っている。国民は損するだけじゃないですか。ベースアップは抑えられる。減税はしてもらえない。国民生活が苦しくなるのはあたりまえじゃないですか。どうですか。
  179. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) わが国は資源を海外に依存する。その依存度が非常に高いわけです。その海外資源が石油を筆頭に非常に暴騰した。ところが、海外に売る者はどうだと、こう言いますと、これがそう高値では売れない。海外はそう物価高じゃない、こういうようなことで売りにくい。こういう状態で、国全体として見ますると、これはとにかく身を削って商売をしている、体として。そういう一面があるんです。ですから、この交易条件が悪化しておるということにつきましては、これを改善をするということを努力しなけりゃならぬと、こういうふうに考えます。
  180. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 日銀の総裁にお伺いしますけれども、一月以来、日銀はドルの買い支え、あるいはドルの購入をしておると思うんですが、どのくらいしておりますか。
  181. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) 御承知のように、いま変動相場下にございまして、為替相場は市場における売り買いの需給の状況によって決定しておるわけでございますが、その決定の際に、余りに急激な変動が起こりますといろいろな面で支障が紀こりますので、余り急激な変動が起こらないようにという意味での、いわゆるスムージングオペレーションという意味で、ときに介入はいたしておる次第でございますが、どの程度介入しておるかということになりますと、その数字を公表することによりましていろいろとこの先、投機的な思惑による需給関係の撹乱要因が出てまいりますので、介入の実績につきましては、各国ともそうでございますが、わが国におきましてもこれを公表をしないことにいたしておりますので、答弁申し上げることを差し控えることをお許しいただきたいと存じます。
  182. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 私の想像では恐らく五、六億ドルの買い支えはしているだろうと、こういうふうに思います。しかし私は、これはただ単に外貨が入ってくるから買い支えをしているということじゃなくて、日本の円を切り上げることをなるべく避ける。安い円にしておく。この方が国際競争力が出るわけであります。そういう意図が私はあると思うんですが、どうですか。
  183. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) 先ほども申し上げましたように変動相場制でございますので、特定の価格支持ないしは特定のゾーンにおさめるようにというような意味での介入はいたしておりません。あくまでもそのときどきの為替市場における需給の結果にゆだねておるわけでございまして、ただ、ときに余りにも乱高下的な状態になりました場合に、それをスムーズにするための介入をいたしておるにとどまっております。したがいまして、国内物価政策であるとか、あるいは輸出増進であるとかいう、ある特定の政策目標のために介入をいたしておるということはございません。
  184. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 今度は輸出入銀行法が改正になるわけでありまして、非常に借入高あるいは貸付高は十倍、十一倍、こういうふうにされるわけでありますが、これは一体どういう目的で輸銀法を改正されるんですか。
  185. 田辺博通

    政府委員(田辺博通君) 御案内のとおり、現在の輸銀法によりましては、自己資本と借り入れ及び貸し出しとの間に法律上の限度が決められておりますが、現在の状況を宛ておりますると、比較的プラント輸出の伸びがかなり高いようでございます。現在の予算の計画で見まする限りにおきましては、まあ辛うじて現在の法定限度によって仕事ができるわけでございますけれども、これから輸出がふえてまいりますると、輸銀としては、円滑な業務を遂行するためにはいまの借入限度、貸付限度を、提案しておりまするような倍率に引き上げる必要がある、こういう考えからやっておるわけでございます。
  186. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 輸出はそういう形で、どのぐらいに輸銀法の改正によって伸びていくんですか。
  187. 田辺博通

    政府委員(田辺博通君) 現在におきますところの予算上の融資計画でございますると、現行法の限度内に辛うじておさまるわけでございますが、予想以上に伸びる場合に備えまして、年度の途中でも、輸銀法の規定によりまして輸銀の業務がスムーズにいかない、したがって引き合いがありました輸出に対しましてこの融資の道がない、こういうことが起こらないようなためにぜひお願いしたいと、こう考えているわけでございます。
  188. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 輸出入銀行の総裁にお尋ねいたしますけれども、十大商社に対してことしの三月末、大体どのぐらい貸出残高があるんですか。
  189. 澄田智

    参考人澄田智君) 輸出入銀の貸し付けの相手先に対します数字につきましては、原則といたしまして、これはそのまま相手先の名前を明らかにして数字を出すということを差し控えてきておりますが、ただいまの御質問の十大商社につきまして四十九年度末、すなわち昨年の三月末の数字は、これは七千四百五十億ばかりでございます。この分の数字については公表されております。
  190. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 それは総貸付残高のどのくらいの割合になるのですか。
  191. 澄田智

    参考人澄田智君) 総貸付残高の二六%ばかりに相なっております。
  192. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 いまのいろいろなことを聞いてみまして、副総理、どうも輸出による景気回復、そういう方向の志向が非常に強い。しかし、この強さというのは私は大変問題がある。いま輸入制限という形であちらこちらで日本に対する非難というものはふえつつありますね。アメリカだってそうですね。東南アジアだってそうですね。こういうことで日本の景気を回復していくというのは、やがて私は敵対的な関係をつくる心配がある。特に東南アジアにおけるいままでの日本というものは、尊敬する日本から恐怖の日本に私は変わりつつあると思う。ですから、輸出によって景気を回復する、他力依存ですね、こういう景気の回復の仕方は私は大変間違っている、このように思うわけです。  たとえば、この点は国民の消費をふやすことによって雇用がどのくらいふえていくのか、輸出をふやすことによって雇用がどのくらいふえるか、こういうことにもなるわけです。労働大臣、これ、わかりますか。輸出による雇用の増大と、それから国内消費を大きくすることによっての増大とはどのくらい違うか、知っていますか。
  193. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) 私の方は雇用が維持されるように、向上するようにずっと見ておりまして、最近のところにおいては輸出と国内の関係についても、率の程度についてはわかりませんけれども、だんだん上向きになりつつあることを実は喜んでいるところであります。
  194. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 経企庁、どうですか。
  195. 青木慎三

    政府委員(青木慎三君) 景気を回復しますのに、内需によります場合と輸出によります場合とどう違うかということでございますが、需要造出効果としては、その部面だけをとらえれば同じことだと思います。ただ、輸出の増大でふえてまいりました場合には、景気が回復しますと必ず輸入がふえますから、輸出がある程度ふえている方が国際収支の壁にぶつかるということがなくなりますために、ある程度の輸出の伸びというものを想定しないと、輸入ばかりがふえて国際収支の壁にぶつかるという弊害が生じてくるわけでございます。したがいまして、一概にその長短を言うわけにまいりませんけれども、景気の回復に当たっては、ある程度の輸出が伸びるということが国際収支上は必要な条件というふうに日本経済はなっていると思います。
  196. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 そんなことは聞いてないでしょう。
  197. 青木慎三

    政府委員(青木慎三君) ですから、輸出の場合と内需の場合と、雇用に及ぼす条件は……
  198. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 こういうことでしょう、輸出による雇用増加と国内消費による雇用増加とは、どのくらいの差があるかということを聞いているんです。
  199. 青木慎三

    政府委員(青木慎三君) これはモデルに入れて計算しませんと一概に結論は言えませんが、その部面だけをとらえれば、それだけの需要増でございますから、雇用に及ぼす条件は同じことだと思います。
  200. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 そんなことないよ。そんなことないですよ。それ、計算し直してください。違うはずですよ、それは。
  201. 青木慎三

    政府委員(青木慎三君) 御要望があれば条件や入れてみまして、モデルの計算をいたしてみます。
  202. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 数字は出ているはずだよ。  そこで、副総理日本の新価格体系ということはいまあなた余り言わないけれども、実際には国内の価格の値上がり、こういう問題がある。この問題が、輸出を中心としていけば結局かなり安売りをしなくちゃならぬ。そうなってくると輸出制限その他のものにぶつかってくる。しかもロイター商品指数等々を見まして、あるいは一次産品、発展途上国の動き等々を見まして、これからの輸入価格というものはそう下がってこないだろう。こういうふうになりますと、いま一部に為替価格を変えることによって、むしろ国内における輸入品価格を下げて逆に国外に対する輸出価格を引き上げていく、こういう事態というものが私は出てくると思うんです。そういう為替価格によるところの調整によって、国内における卸売価格というものの引き上げ、あるいはこれが企業の収益に関連してくるわけだと思いますけれども、そういう形にしていく、円の立場を強くしていく、こういうふうな議論が最近非常に出てまいっているわけでありますが、こういう議論に対してはどのようにお考えになるわけですか。
  203. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 輸入価格が国際的に高騰する、それがわが国の物価を押し上げる力になる、それはそのとおりの理屈でありますが、ただ、その影響を緩和するために円為替を強くする、こういうことをしたらどうかと、こういうお話だと思います。これは全国地方銀行協会会長をしているおたくの県の横浜銀行の伊原頭取、あの人なんか非常に力説されるんですよ。私はそういうことでいろいろ考えてもみましたが、これは円為替が政策的にそういう方向で強くなるということになれば、今度は輸出の方がそれだけ圧迫を受けるわけですから、それは両方勘定してどうかと、こういう問題になる。私は、ですから交易条件をよくする、つまりわが国の輸出の立場をよくする、そのためにわが国の卸売り価格を安定させるというために、円為替の円の立場が強くなるということは、それは好ましいには違いありませんけれども、しかし輸出というようなこと、そういう総合的に考えました場合に、さあ必ずしもそういう立場がとられるかどうかということにつきましては、これは多大の疑問を持つというのが私の見解でございます。
  204. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 特に日本の場合には、資源を輸入しなくちゃならぬということがあるわけです。アメリカとか中国とかいう場合には、資源を輸入しなくても、かなりの程度はその国で資源があるわけでありますから。特に日本なんか食糧の問題、食糧が高くなるというのは大変大きな問題でありますから、そういう点では私は十分検討をしていただきたいと、こういうふうに思うわけであります。  近くUNCTADの総会が開かれますけれども、これは日本の態度はどういう態度ですか。
  205. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) UNCTADの総会に臨みます基本方針につきましては、昨日関係閣僚会議において議論をいたし、決定をいたしました。基本的には南北問題というのを一つの不可逆な、つまり逆転することのない歴史の流れというふうに考え、その中において、ことにアジアにおいてそうでありますが、わが国の持っている立場、責任からして、これに対して積極的に貢献をすることを基本とするということでございます。  ことに、その中でも現在の石油危機から最も大きな打撃を受けておる、いわゆるMSACと称せられる国々に対する援助等々を特に重要と考えるということでありまして、より具体的には一次産品の問題でありますとか、あるいは開発の問題でありますとか、これらの国々が持っておりますところの累積しております債務の処理の問題でありますとか、あるいはまたこの際ある程度の商品援助を与えるべきであるかどうかというようなこと等々につきまして、わが国としては国内の財政、それから国内の経済政策との関連もいろいろございますけれども、先進国の一国としてのわが国の持っておる責務を最大限に果たすべきである。基本的にはそういう考えで閣僚間の意見が一致をいたしまして、それを対処の基本方針といたすことになりました。
  206. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 午後四時四十五分まで休憩いたします。    午後二時四十四分休憩      —————・—————    午後四時五十六分開会
  207. 八木一郎

    委員長八木一郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、総予算三案に対する竹田君の質疑を続行いたします。竹田四郎君。
  208. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 UNCTADの問題、もう少し具体的な問題、たとえば緩衝在庫基金だとか、それから総合プログラムの問題だとか、あるいは政府の援助ですか、資金援助ですね、こうした問題についてもう少し政府の方針を詳しく聞かせてください。
  209. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) いわゆる緩衝在庫の問題については、発展途上国側の主張は、一次産品の価格の問題とも関連をいたしまして、先進国側の負担において緩衝在庫というようなものを一般制度として考えるべしというような思想があるようでございますけれども、これは一般論として、それをそのまま原則の問題として受け取るわけにはまいらないのではないかというふうに考えるわけでございます。  ただいま先進国、発展途上国と申し上げましたのは、生産国、消費国というふうに直させていただきますけれども、一般論としてそういう原則を受け付けるというわけにはまいらないのではないかというふうに思います。  それから資金援助の問題でございますが、いわゆる政府援助の問題でございますが、私どもとしてはできるだけいわゆる〇・七%の目標というものを早く達したいという気持ちは持っておりますけれども、それを特定の年度までにそうすべしということにつきましては、わが国自身について考えましても、いろいろな事情から、それをきちんとそういう形で約束するということは、約束をすれば守らなければなりませんので、現在その用意がない。ただ、援助の国民生産に対する比率を上げていくこと及びその中での政府援助の割合を上げていきたいという、これは政府の方針としては持っておりますので、そういう努力をするということはこれは言えることでございますけれども、何年までにどれだけということを言う用意というものは、約束としてはどうも申すことができないのではないか。  それからもう一点、いわゆるコモンファンドのことを仰せられたわけでありますが、コモンファンドというのは、御承知のように総合プログラムと申しますか、インチプレーテッドプログラムとの関連でコモンファンドということが言われておるわけでございます。しかし、私どもはいわゆる一次産品について、その全部のあるいは十幾つかの品目を全部ひっくるめてその間に総合プログラムをつくり、それを処理するための共通基金を設けるということは、実は実態に立ち入ってみますと、一次産品の間にそれほど共通性があるとは思えないと考えますので、品物によりまして将来いわゆるケース・バイ・ケースで安定を図るということはいろいろな形で考えられるといたしましても、七十七カ国がマニラで考えましたような共通基金であるとか、あるいは総合プログラムであるとかいうものを、具体的な問題としてそのまま同意をするということは現実的でもないのではないかという考えを持っております。  しかし、まあ余りそういうことばかり申しますと、いかにもわれわれの対応が消極的であるというふうに受け取られるおそれもございます。実際は必ずしもそうではございませんで、できることはやっていこうというのが、先ほど休憩前に申し上げました基本的な態度でございますから、そういう物の考え方としての争いになるようなことは避けて、現実にできる問題からわれわれも誠意を持って取り組もうではないかというのが基本的な態度でございます。
  210. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 いろいろこれについても議論したいんですが、余り時間がありませんが、しかし私は、そうした一次産品国というものに対する日本の態度というものは、さらに積極的に進んでいかなければいけないだろうと、こういうふうに思います。これはまた後で議論をいたします。  金利の問題について大蔵大臣、それから日銀総裁から伺いたいと思いますが、すでにプリントで差し上げてあるわけでありますが、公定歩合が下がっても、一番たくさんの金を貸し出しているそこの金利というのはなかなか下がらない、非常に乖離をしてしまっているということでありますが、これは余りにも銀行を過保護にしている、金利の弾力性というものを認めていない、そういうところにこうした問題が主にあらわれていると思うんですが、これをどう改善をしていくつもりか、この点をお聞きをしたいと思うんです。
  211. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 昨年四月以来、四次にわたりまして公定歩合が下がりまして、二分五厘下がったわけでございます。これに対しまして貸し出しの方の追随が鈍いではないかという御指摘でございますが、今日までのその追随を見ておりますと、短期金利で申しますと、都市銀行では約八割を超える追随を示しておりまするし、全国では七割を超える追随率でございます。したがって、この追随率はこれまでの経過から見ますと大変速い追随率でございまして、むしろ相当改善の跡が見られるわけでございます。けれども、これでもなお十分でないという御指摘のお気持ちも私どもわかりまするので、なお一層努力してまいるつもりでございますが、幸いに当面資金需要も鎮静が続いておりまするので、現在の金融の基調が維持されるように政策運営を行ってまいりまして、一層の低下を促進してまいるよう金融機関の協力を求めてまいりたいと存じております。
  212. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) 公定歩合に対する市中貸出金利の追随の状況、公定歩合の引き下げに対する追随の状況につきましては、ただいま大蔵大臣からお話がございましたとおりでございます。三月末の都銀の総約定平均金利は八・一〇九まで下がっておるわけでございまして、追随率は前回の引き締め緩和期よりもはるかに順調に推移しておると思います。今後もなお金融機関における合理化並びに努力によりまして、私どもといたしましては、もう少し金利が下がることを期待して指導をいたしておる次第でございます。
  213. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 金融制度調査会の中間答申が出て、この中で金利の弾力化ということをかなり強く打ち出していますけれども、この答申を受けてどのようにお考えでございますか。
  214. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) まあ中間の答申でございますが、私ども大体の思想におきましては賛同できるところだと考えております。金融機関が金融機関なるがゆえに特権を享受して、あぐらをかいておるようでは困るわけでございまして、みずからが預金者に対して、あるいは資金の利用者に対しまして提供するサービスのコストを下げてまいるために適正な競争が確保されなければならぬことは当然でございまして、そのためには金利ができるだけ自由な方向に誘導されなければならぬということは、この中間報告の中心の思想でございます。私も全く同感でございまして、そういう方向に今後論議が詰められて答申が固まってまいることを期待いたしております。
  215. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 きょうの質問の総括としまして、いまの日本の景気回復のあり方というものは、輸出を主導的にしてやっているこのやり方というものは、国内の富を流出させるだけではなくて、諸外国の日本の商品に対する非常な脅威というものを私は招くおそれが近々近づいてくるだろうと、こういうように思います。先ほど総理にごらんいただいた「日本侵華史」というのが香港あるいはマカオ、こういう方面で最近売れ出してきております。これは日本のかつての侵略状況というものがかなり明細に出ているものであります。こういうものが売れ出してくるということは私は大変問題が大きいと思うのです。これをごらんになって総理はどういうふうにお考えになっているか、承りたいと思います。
  216. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 竹田君から質問の前に御提示を願って、私どももページをちょっとくったわけですが、紙をそうやってはさんであります南京のこと、南京の占領というときのいろいろな模様の写真もありました。戦争というものの持っておる非人間性というものは非常に目を覆うものがあります。やはり日本は戦争は放棄したわけですから、平和国家としての理想、それは国内においても、あるいはまた国際社会においてもこの理想を強く掲げて、この理想に向かって、これを実現するために努力を積み上げていかなければならぬという感じを深くいたしました。  貿易の問題についても、いまはそう日本がむちゃくちゃに貿易を伸ばせるといっても今日の国際環境はそうはいかない、すぐに問題が起こってくるわけでありますから。これに対して、余り秩序のある輸出と言えないような場合には問題が提起されますから、そうむやみに輸出するものを伸ばすということには限度がございますが、日本のような原料とか燃料、食糧までもほとんど相当な部分を輸入しなければならぬ場合に、どうしてもある程度の外貨を獲得をしなければ国際収支のバランスは合いませんから、今後ずっとやはり原料を輸入して、できるだけ付加価値の高いものを輸出して、そうしてまた原料や燃料、食糧を輸入する、外貨をかせぐというこのパターンというものは、日本はこれから脱却はできないわけでございますが、いま竹田君の御心配にあるような、輸出がむやみに増大していって、それが国際社会の経済の秩序を破ることのないように心していかなければならぬと考えます。
  217. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 そういう意味で、私は輸出主導型の景気回復あるいは輸出主導型の経済というものは考え直さなくちゃいかぬ。むしろ雇用の問題にいたしましても、あるいはその他の物価の問題にいたしましても、国内の消費、国内の経済拡大を中心としたものにしていく必要があるだろうと思います。そうしなければ諸外国から再びこういうことで反発を食らうという事態というものを避け得ないではなかろうか、こういうふうに考えるわけでありまして、そうした意味では、私はことしの予算というものを見まして、輸銀の融資にいたしましても、あるいは日銀の問題にいたしましても、どうも輸出に偏ったあり方だ、こういうふうに考えるわけでありまして、ぜひひとつ年度内に少なくとも所得税の戻し減税ということをいたしまして、国内におけるところの需要の回復というものを図るべきだというふうに考えるわけですが、これに対する御所見をいただきたいと思います。  同時に、最後に一点だけ、これは経済企画庁だろうと思いますが、ひとつお願いをしておきたいと思いますが、海洋博が終わったわけでありますけれども、この海洋博の各地域別に及ぼしているいろいろな影響があると思います。生産の問題あるいは金の動きの問題、特にこれは沖繩で行われたということで、私は調査が非常にしやすいと思うんです。この点は今後のいろいろな国内における大プロジェクトの公共工事をやった場合の関係というものに対しましてもやっぱり参考になるだろう、こういうふうに思いますので、ぜひひとつこれは経済企画庁なりあるいは通産省なりでこの結果というものを調査をしていただきまして、今後の参考にしてもらえないだろうかという提案を一つして終わりたいと思いますが、御答弁をいただきたいと思います。
  218. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) ことしの景気の回復状況、年度が始まったばかりでございまして、まだわかりませんけれども、私ども、輸出ばかりでなく他の経済指標も順調な回復の徴候を見せておりまするので、あなたが言われるように、個人の所得税の減税によって個人消費の拡大を図らなければ景気の回復は期待できないとは目下のところ考えておりませんけれども、なお事態の推移を注意深く見させていただきたいと考えております。
  219. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 沖繩の海洋博が日本の景気にどういうふうに影響したかということにつきましては、概略調査しておりますが、なお精査いたしまして、それがなくなったという場合にどういうふうに対処するかということにつきましては十分検討いたします。
  220. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 以上をもちまして竹田四郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  221. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 矢追秀彦君。
  222. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 私は、初めに政治姿勢につきまして若干お伺いしたいと思います。  初めに、けさも出ておりましたが、参議院の定数是正の問題でございますが、先日の最高裁大法廷の違憲判決、これが参議院の定数を現在の定数から考えた場合違憲だと私は思いますが、総理はいかがですか。
  223. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 最高裁の判決は衆議院の選挙区の問題について判決が下ったわけでございますが、参議院の定数は前の国会から問題になりまして政府の方としても検討いたしておりますが、事が選挙法というような、こういう各党共通のルールとも称すべきものでございますから、各党間の意見も徴しつつ結論を得たいと努力をしておるわけでございます。
  224. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いや、私が聞いているのは、最高裁の判決の中にも極端な不均衡の場合は違憲となる、こういう判決が出てますので、現在の参議院の定数は極端な不均衡であるがゆえに違憲であると考えるべきだと思いますが、それに対する総理考えを聞いているわけです。
  225. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) あの判決は衆議院に関してですから、参議院の定数を違憲なりという断定は私はできないと思いますが、やはり参議院の選挙制度というものは、これは問題を提起されておるわけでございますから、この問題は選挙は公正に行われるということが必要であるし、参議院の場合は衆議院と違って全国区という選挙制度を持っておりますし、いろんな点で参議院の選挙制度は二院の府の一方のあり方として問題でございますから、これは選挙法というものは前から最高裁の判決があるなしにかかわらず検討しようということをお約束しておるわけでございますから、政府は各党のいろいろ検討の模様などもにらみ合わせて結論を得たいと考えておる次第でございます。
  226. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 法制局長官、専門家の立場としてどうですか。
  227. 吉國一郎

    政府委員吉國一郎君) この問題は選挙法の問題でございますから、専門家としては自治省からお答えすべきだと思いますが、御指名でございますので一応お答え申し上げますが、先ほど来総理から申し上げておりますように、今回の判決は申すまでもなく衆議院議員の選挙区別定数についてのものでございますから、直接参議院の地方区について適用のあるものではございません。参議院の地方区の選挙区別定数の問題につきましては、衆議院議員の場合とは異なる特別の事情もございますので、先ほど来総理から申し上げておりますように、この判決によって面ちに現行の定数規定が違憲であるとは断定しがたいと思います。  しかしながら、いま矢追委員がおっしゃいますのは、恐らく昭和四十九年の参議院にかかわる問題として、東京地方区と鳥取地方区との比率が五・〇八対一でございますし、今度の判決で問題になりました千葉一区と兵庫五区との比率は四・八一五対一でございますので、参議院の方がもともと大きいではないか、そこで四・八対一でも最高裁は違憲であるということを判断したわけであるから、五・〇八対一になっている参議院の地方区の場合、当然無効と判断するに違いないということであろうかと推測をいたします。  しかしながら、今度の判決でも、「選挙区割と議員定数の配分の決定には、極めて多種多様で、複雑微妙な政策的及び技術的考慮要素が含まれ」るということを言いました上で、「具体的に決定れた選挙区割と議員定数の配分の下における選挙人の投票価値の不平等が、国会において通常考慮しうる諸般の要素をしんしゃくしてもなお、一般的に合理性を有するものとはとうてい考えられない程度に達しているとき」に違憲となるということを最高裁の判決の中では言っております。このような理屈をもって考えまするならば、衆議院と参議院とでは前提となる考慮すべき要素に違いのあることは明らかでございますので、その点を無視して、衆議院の数字と参議院の数字とを単純に比較して、参議院の定数配分が直ちに違憲であるとは断じ得ないと思いまするが、ただ、この判決に指摘している点につきましては、今後参議院の選挙制度検討す場合において、重要なる研究点として検討しなければならないことは間違いないと思います。
  228. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 自治大臣いかがですか。
  229. 福田一

    国務大臣福田一君) この問題につきましては、ただいま総理並びに内閣法制局長官から法律、法制の立場から御説明をいたしておるのでありまして、その点については同じ意見を持っておることをまず申し上げておきたいと思います。  しかし、この問題は昨年の議会におきましてもとにかく非常に大きな問題になりまして、われわれとしても参議院の各党の間でひとつ十分に御審議を願って、そうしてお話し合いができたならば、それを基礎にして問題の解決に当たりたいと、こういうことをはっきり明言をいたしておるわけでございまして、実はこれは承りますところによりますと、七月には、参議院におきましても選挙法特別委員会におきまして小委員会をつくって御検討に相なると承っておりますし、衆議院も来月の十二日ごろにはこの特別小委員会をつくって、やはりこの判決を基礎にして今後の問題点を研究をしたいと、こういうふうに言っておられるようでございますので、自治省といたしましては各党のお話し合いの問題も十分にらみ合わせながらこの問題の解決に当たらせていただきたい、かように思っておる次第でございます。
  230. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 総理は先ほど、次の選挙に間に合わせたいと言われましたけれども、そのためには今国会あるいはまた次の臨時国会、あるかどうかわかりませんが、その辺でやらないと次の通常国会になると間に合わないと思うんですが、いつごろまでに提出をされるか。その場合に政府からもちろん提出をされるのか、その辺どうですか。
  231. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は結論を得たいと申しておるのは、この問題は各党間で、いま自治大臣もここで言われているように小委員会も参議院でできるようですから、この選挙法というような各党共通のルールとも称すべきものは、各党の相談が一致することが私は一番好ましい。衆議院の場合でも小委員会でああいう定員増の話がまとまったわけですよね。それで非常にスムーズにいったわけでございますから、どうかそういう小委員会ができたならば、参議院においても参議院のコンセンサスというものを求めていただくことが一番私はこの問題の処理としては好ましいと思いますので、矢追君においてもそういう点で御努力を切に願うわけでございます。
  232. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 だから私は時期を聞いているんですけれども、次の通常選挙に間に合わすのかどうか。そのためには手続をかなり急がなきゃなりませんので、いまの答弁ではちょっとはっきりしないものですから、もう一度お願いします。
  233. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ次の、どういうふうに国会の模様がこれからなっていきますか、とにかく次の参議院の通常選挙に間に合うような、こういう段取りで結論を得たいと考えておる次第でございます。
  234. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 次に一言イタイイタイ病に触れやいと思いますが、これは私が昭和四十二年に国会で質問を初めてした関係もありますので、これは総理にお伺いしたいんですが、先日、御承知のように自民党から「カドミウム汚染問題に関する報告」というのが出ました。それにいろいろございますけれども、要するにイタイイタイ病の原因がカドミウムではないという学者が多いというふうなことが出ておるわけですけれども、これについて、総理環境庁長官もおやりになりましたので、この際確認をしたいんですが、昭和四十三年の五月に出た、その当時は厚生賓です、厚生省見解をそのままいまなお堅持されるのかどうか。なお四十六年、四十七年にわたる裁判の判決を支持されるのかどうか。その点の確認だけをお願いしたいと思います。
  235. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) ちょっと総理の前に私から専門的なことでもございますのでお答え申し上げますが、   〔委員長退席、理事山内一郎君着席〕 自由民主党政務調査会長の名前によりまして、イタイイタイ病の原因等につきましてのいろいろな一年間の作業の結果をおまとめになりまして、環境庁長官あてに報告をいただいたわけでございます。これは私、いろいろな問題点を提起をされたものと受け取っております。したがって、私どもとしては、あの報告書にあります三つの点、第一はイタイイタイ病とカドミの関係について、第二点は厚生省の食品安全基準の問題、それから第三点は土壌対策の問題、これらの三つの点についていろいろと一年間、いろんな各方面の専門家の意見を聞いた結果をそのまま提起をされまして、そしてさらに調査研究を徹底をすべきじゃないかと、こういうふうに私どもは受け取っております。何らかの結論を持って、その結論について政府に善処を求めるというようなものではない。  お尋ねの厚生省見解、四十三年の厚生省見解は、当時のイタイイタイ病とカドミの関係、関連につきましての当時得られました科学的な知見をもとにしまして、患者保護を優先した一つの決断であったと思うわけでございます。その後、先生も御承知のように四十四年以来今日まで、もう毎年千数百万の調査費をつけまして検討を続けているわけでございますが、したがって、当時の科学的な知見が何らか学問的に変更されれば別でございますけれども、まだ調査中でございますので、その結論が出るまでは、私どもは四十三年の厚生省見解というものをそのまま堅持をいたしておるわけでございます。ただし、当然このイタイイタイ病とカドミの関連につきましてはまだいろいろ学問上の論争がございますので、それらを徹底的に調査研究をいたしまして、結論を得た上でどういうふうになるかということを決定していきたい、かように考えておるわけでございます。
  236. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 裁判の結果に対する評価。
  237. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) カドミの裁判は、民事上の損害賠償としての司法権の判断でございますので、私どもはこれについて行政当局は云々すべき問題ではない。しかし、そうといって、これを学問的にさらにいろいろ検討することを妨げるものではない、かように考えております。
  238. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 総理承知のように、文勢春秋に、魔女狩りのことであるとか、あるいはイタイイタイ病は幻の社会病であるような論文が出たのを御存じですね。そういうのと、今度出てきたこの自民党の報告とは何か関係があるような気がしてならないわけです。これは間違いかもしれませんよ。というのは、最後の後書きを読みますと、どうも自民党さんの方はこのイタイイタイ病の原因はカドミでないように何とか持っていきたいと。そのために、まあ学者にはいろいろあります、いろんな学者を集めて、そしてここにこういうふうに出てきて、何となくせっかく出された政府の見解が後退するような、あるいは裁判の中でもありますような疫学的な立場ということになりますと、やっぱりカドミというのが大きな根本的な問題であったわけですから、それをはぐらかすような気がしてならぬのですよ。総理として、また環境庁長官経験者として、また自民党の総裁として、こういうふうな動きというものに私は非常に疑問を感ずるわけですけれども、この問題、重ねて総理の見解を伺って、細かに学問的な中に入りますとまた時間をとりますので、これはまたほかの委員会に回しまして、この点だけをお伺いしたいと思います。
  239. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 自民党の環境部会の報告は、問題の提起であると思います。この問題はやはりいま環境庁の長官が御答弁申し上げましたごとく、きわめて重要な問題でございますから、環境庁を中心として専門家によって問題は今後解明をいたしますけれども、従来の政府の方針がいま変わったというものではございません。この報告書の影響によって政府の方針が変わるという性質のものではないものでございます。
  240. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 次にロッキードに関連して少しお伺いしたいと思いますが、非常に先日来からいろいろ本委員会でも議論をされておりますが、なかなか資料公開をめぐって議論があるところですが、まず初めに、昭和四十九年の十二月二十三日の本委員会で出されました政府の統一見解、これはいまなお政府としては変わらない見解でございますか。
  241. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 変わりません。
  242. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 これは田中金脈問題につれて出てきた問題ですが、この統一見解の第二項目の中にある国政調査権と公務員の守秘義務の問題につきまして、「その要請にこたえて職務上の秘密を開披するかどうかは、守秘義務によってまもられるべき公益と国政調査権の行使によって得られるべき公益とを個々の事案ごとに比較衡量することにより決定される」と、こうなっておりますが、この「比較衡量することにより決定される」その決定権はどこにあるのですか。
  243. 吉國一郎

    政府委員吉國一郎君) 一昨年の十二月二十三日に参議院の予算委員会において三木総理から、国政調査権と守秘義務との関係について政府の統一見解として申し上げました。そこの中で、ただいま御指摘のように、「国政調査権に基づいて政府に対して要請があった場合、その要請にこたえて職務上の秘密を開披するかどうかは、守秘義務によってまもられるべき公益と国政調査権の行使によって得られるべき公益とを個々の事案ごとに比較衡量することにより決定されるべきものと考える。」、政府としてはかように考えておりますので、仮に、いわゆる議院証言法によりまして公務員が証書を求められまして、公務員からこれが職務上の秘密に属するものであることを申し立てますと、当該公務員あるいはその公務員の属しております公務所またはその公務員の監督者が承認をしない限り証言ができないことになります。  その場合に、その承認をいたします当該公務所なり監督者なりが、ここで響いてございますように「比較衡量」をいたしまして証言すべきかどうかを決定するわけでございます。その決定をいたしまして、承認をすればよろしゅうございましょうが、承認をいたさない場合には、その承認をしない理由を議院なり委員会に対して疎明をいたさなければなりません。疎明をいたしまして、議院なり委員会なりがなるほど証言をしないことはもっともであるとお考えになれば、それでおしまいになりますし、その疎明を不十分である、やはり承認をすべきであるとお考えになれば、その場合にはこの「個々の事案ごとに比較衡量」という政府側の考え方に対して、議院なり委員会なりが異議を申し立てられるわけです。その場合には今度は内閣が、国家の利益に重大な障害があるという内閣声明をするかどうかという問題になってまいります。内閣声明を、議院なり委員会として声明を出すかどうかということを迫られるわけです。  政府といたしましては、その、要請があった場合に、十日以内に内閣声明をいたさない限りは証言をいたさなければならないことになりますが、その場合はまた政府側が、この項目によりまして証言をするかどうかということを両方の公益をその事案について「比較衝重」いたしまして、内閣声明をするかどうかを決定して、内閣声明をしないで証書をすればまたそれで終わりになりますし、内閣声明をすればそれで証言をする義務が免れまして、それで事案が終わりになるという段階になりますので、この決定と申しますのはいわば客観的に決定されるべきものでございまして、具体的な問題としては、証言を求められた場合に、まず政府側が、かようかようなことで証言をいたしますとか、いたしませんとかということを申して、それが今度は議院なり委員会なりによって判断をされて、それでよろしいということになればそれで終わりになるということで、交互に政府側の判断と議院なり委員会側の判断とが交錯をいたしまして、最終的な決定に至るという運びになると思います。
  244. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いや、そういう手続はわかるんですよ。いまのお話だと、要するにその公益、いまの判断をやるのは結局監督官庁、ということは大臣ということですね。
  245. 吉國一郎

    政府委員吉國一郎君) それは証言を求められました公務員がどのくらいの地位にあるかということによって違うと思います。たとえば東京の、これは本当に一例でございますが、東京の国税局のある部長が証再を求められたという場合には、当該公務所ということで東京国税局が承認をいたすことになると思いますし、また重要な問題であれば、その東京圏税局長を監督する立場にある国税庁長官なり、あるいはさらに進んでは大蔵大臣が判断をされるということもあると思います。その場合場合によって違うと思います。
  246. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 総理にお伺いしたいのですが、このロッキードにこの問題を議論を当てはめて、そうして理論的に考えた場合、さっき法制局長官が言われたような最終的に、議院証育法の上からずっと承認要求があり、最後に内閣声明ということになる場合に、やはり最終的に出す出さないの判断は結局総理大臣になるわけですね。
  247. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) そうなります。
  248. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 ということは、国政調査権というものは必ずしも私はオールマイティーとは考えてはおりませんけれども、かなり行政という力、この問題に限って言いますと、かなり制限をされて、何か国政調査権というのは行政を潤滑ならしめるための補完的な、そういうもののように考えられるのですけれども、その点はいかがですか。これは法務大臣にまずお伺いして、それから総理に。
  249. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 国会の国政調査権は行政を監督するという国権の最高機関としての機能でございますね。ですから軽いものではありません。補完的だとか、そういう表現が適切かどうかは別として、非常に重要な権能だと私は把握しております。
  250. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いま法務大臣ははっきりと、国政調査権というのはかなり重みのあるものだと言われましたですね。いまさっき私が言ったような考え方がやっぱりあるんですよ、学者の中にも。またいわゆる法務省の中にもあるんです、考え方としてはね。それで聞いているわけですけれども。そういう補充的なものではない、これは総理、はっきり言えますね。
  251. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは憲法六十二条に規定する重要な国会の権限だと思います。
  252. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 そうすると、仮に最終的に内閣声明ということ、事態になった場合、結局総理の判断でしょう。こっちは仮に要求したとした場合、拒否されるされないは総理の判断ということは、やっぱり総理の方が国政調査権より上回るんじゃないですか。その点いかがですか。
  253. 吉國一郎

    政府委員吉國一郎君) 議院証言法におきましては、先ほど申し上げましたように、第五条でずっと段取りが規定されておるわけでございますが、その公務所または監督庁が承認を拒むという理由を疏明をいたしまして、その理由が納得できないというふうにお考えになる場合には、これはもう議院もしくは委員会が内閣に対してその証言を求めることについて「国家の重大な利益に悪影響を及ぼす旨の内閣の声明」ということでございますから、これはもう大変な問題でございます。「国家の重大な利益に悪影響を及ぼす」かどうかという判定については、これは一昨年の参議院の法務委員会においても、また大蔵委員会においても、いろいろ御議論のあったことでございますが、これもやはり客観的に「国家の重大な利益に悪影響」があるかどうかということを判断すべきものでございまして、そのような声明を出すことについては、内閣としてはきわめてこれは重い責任を負うことになります。したがって、ただいまおっしゃいますように、行政の方が優越するというような考え方ではなしに、これはもうまさに最後の段階に至ってこの声明をするかどうかということをきわめて高い見地から決定するものでございまするから、国会としても内閣に対してそのような重大な声明を要求されるということにかんがみまして、政府側におきましても、内閣で、閣議で決定することに相なりますが、きわめて慎重な考慮をした上で内閣の声明をするかどうかということを決定するわけでございますから、行政が立法に優越するなんということは全然考えられないと思います。
  254. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 総理、これは仮定の話で恐縮ですけれども、仮にいまのような事態に陥った場合、このロッキード問題がですよ、総理が最初、当初の記者会見では、たとえ政府が傷ついても自民党が傷ついても、私は公開しますと、こういうふうに記者会見でおっしゃいましたよね。おっしゃっていますよ。新聞に出ています。そういうかなりの決意で公開を言ってこられたわけです。だから、したがって仮定ではありますけれども、議院証言法第五条に基づいて最終的な判断を下されたそういう場合、総理はどういう態度をおとりになりますか。
  255. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私が記者会見で申したのは、この真相の解明はいわゆる民主主義の非常に根幹に触れる問題であるから、そのことで、真相解明によって自民党が傷ついても、これはやらなければならぬということでございまして、この資料公開の原則というものは、これは非公開になっておるわけですからね、刑事訴訟法の上でも。だから公判までは非公開になっておるわけですから、それに対して例外規定ですから、議長裁定にもありますように、やはり刑事訴訟法の立法の趣旨を体して、その場合において私が判断をいたして、公正な判断をいたしたいと思っています。いまはこの場合に結論的にどうするんだ、その場合その場合というものを仮定して結論的に申し上げることは、かえって捜査の上において障害があると考えます。議長裁定のごとく、刑事訴訟法の立法の趣旨を体して最善の協力をいたす所存でございます。真相解明に最善の協力をいたす所存でございます。
  256. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いま四十七条にお触れになりましたけれども、このただし書きの立法趣旨は何ですか、法務大臣。
  257. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) ただし書きの立法趣旨は、訴訟書類非公開の原則に対する例外で、申すまでもありませんが、公益その他の必要上相当な理由あるときは例外を設ける。公益というのは、たとえばその訴訟書類が、公判開始前といえども他の民事訴訟の裁判の重要な参考になる書類、手段になるというような場合には、そっちの方が利益かな、こういうふうに思えば、その例外の規定を適用して公開する、こういう御趣旨と思います。まだよく、学力不十分でございまして、よろしく。
  258. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 それじゃ私聞きますけれども、このただし書きがついたのはやはり国政調査権というものを意識してつくられたと思うのですけれども、いかがですか。要するに、この趣旨が一番典型的に適用される場合は国政調査権との関係なんですよね。その点いかがですか。
  259. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 刑事局長が答弁いたします。
  260. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) この点は昨日法制局長官からもお答えになった点でございまして、先ほど大臣の申されました民事訴訟遂行上の必要性というようなこともございますが、国政調査権による要求というものもこのただし書きの場合に該当する一つの場合でございます。
  261. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 過去の例として、このただし書芸が適用されて捜査中あるいは捜査後を含めて公開された前例はあるのかどうか、説明に応じられたことはあるのかどうか、その点いかがですか。
  262. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) いまのお尋ねはやや一般的過ぎましてどうお答えしていいかわかりませんが、お尋ねの趣旨は、国政調査権による調査の対象として検察官の不起訴処分の内容を開示したことがあるかというお尋ねであろう、かように思うわけでありまするが、これはどの例ということははっきり記憶がございませんけれども、不起訴処分の内容についてある程度国政調査の御要望に応じてお答えをしたことはございますが、問題は、不起訴処分の場合におきましても、はっきりと申し上げられることは、犯罪を捜査いたしましたが、犯罪の嫌疑がなかったというような方についての名前を国政調査の要求に応じて申し上げたことはございません。
  263. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いまそういう名前を出す出さないということを私は聞いているんじゃなくて、やはりこういうただし書きというものがある程度そういう役に立ったことはあるわけです。だからこそ総理が記者会見で持ち出されたと思うわけでして、この点は先ほども議長裁定を踏まえてやると言われておりますので、これからの総理の態度というのを私はじっと見させていただきますけれども、もう一つ確認しておきたいことは、その国政調査権ができた経緯ですね。要するに憲法第六十二条ができる前、アメリカのマッカーサーの草案の場合はもう少し厳しい罰則規定もついておったものであったと思います。それがいろいろなってああいうふうになった。そのかわり第一国会で問題が起こって、それから議院証言法ができた。ということは、やっぱり国政調査権というのはかなり力の強いものであったと、いわゆるそういう立法の過程を考えても私は言えると思います。  その点についてもう一度重ねて、やはり国会を尊重し、私たちの要求には最大限応ずると、先ほどの統一見解の第三項目にありますが、あれもかなりうやむやといえばうやむやなんですけれども、この際はもっとそれをはっきり協力をするということを総理はお約束をしていただきたいと思います。いかがですか。
  264. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 各党の党首があの議長裁定は承諾したわけですから、あの議長裁定にある刑事訴訟法の立法の趣旨を体して、事態の推移をまって、事態の推移によりですか、とにかく真相究明のために最善の協力をする。これは誠実に、議長の裁定の第四項ですか、これは四項ばかりではございません、やはり国会の審議も促進するというのもございますから、どうぞそのことも
  265. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 ちゃんとやっているじゃないですか。
  266. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) このことも、全部のあの約束というものは厳粛な約束であると思いますから、これは誠実に履行いたす所存でございます。
  267. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 次にロッキード問題について具体的な面でお伺いしたいと思いますが、昨年の八月二十五日のいわゆる銀行委員会、これについてすでに報道が八月の二日あるいは八月の二十六日に出ておるわけです。外務省としてはこの銀行委員会の議事録はいつ入手をされましたか。
  268. 山崎敏夫

    政府委員山崎敏夫君) 十月の中旬でございます。入手次第直ちに当時の衆議院の予算委員会に提出いたしました。
  269. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 その後キッシンジャー長官が、御承知のような十一月二十八日に書簡を司法省に出したわけですね。そのことは御承知と思いますが、その後キッシンジャー長官日本へ来ておるわけです。そのときの外務大臣とキッシンジャー長官会談の中身、それから三木総理とキッシンジャー長官の会談の中身について、この問題について話があったのかどうか、いかがですか。
  270. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) キッシンジャー国務長官と私が会談いたしましたが、これは全然ありませんでした。この問題に触れたことはございません。
  271. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 私の場合も同様でございました。
  272. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 これは新聞報道ですが、五十年の十二月八日の夕刊の中に、「キッシンジャー長官は「現在の日米関係は最も豊かな状態にある。米中、米ソ関係経済エネルギー問題など世界中のあらゆる問題について日本側と緊密に協力してサプライズがないようにしたい」と強調した」、これはどういうふうな中身を指すのですか。
  273. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) ただいま矢追委員がお読みになりましたような、まさしくそういうことでありましたが、どういうようなと言われます意味は、「サプライズがないように」云々というお尋ねであろうかと思います。恐らくそのような表現になっておりますのは、かつていわゆる米中間の国交正常化の問題と、それからドルの問題につきまして、一九七一年の七月と八月にいわゆるニクソン・ショックと言われるものがございました。そのことが日米間のその後の関係のこだわりになったというようなことがありまして、多分そのことを頭に置きまして、今後ああいうようなことはしないつもりである、万事よくお互いに連絡をしながらやろうという趣旨であったかと存じます。
  274. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 総理がないと言われるのだから、ないのでしょうけれども、私は非常に疑問に思うのは、今度のいわゆる資料取扱いの日米協定ですね、こうなったもとは、やはりキッシンジャー長官が抑えたからですね。あれがなければもう少し資料の公開は可能であったのじゃないですか。その点どう思われますか。
  275. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど矢追委員の言われました十一月の二十八日でございますか、意見を求められて国務長官が司法長官に出しました意見には、御承知のように、このような問題がいわゆる十分吟味されない段階で開示されることが外交上の問題として云々ということでございます。したがいまして、このことが裁判所の考量に入れられましたことは明らかでございますから、このような意見具申がなかったときには裁判所の考量が変わったかもしれないではないかというお尋ねであれば、私はそれに関する限りさように思います。ただ、調査の資料はSECが持っておるわけでございますから、SEC自身が法律によりまして資料の公開ということには幾つかの制約を受けておりますので、その制約はやはり残ったであろうと考えられます。
  276. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 総理、これだけ世界じゅうをびっくりさせたような事件ですね、その内容をキッシンジャー長官は知っていたわけですよね、総理が会うときは。知っていなかったら、これは抑えにかからないわけですから。しかも日本の問題もその中に含まれている。すでに銀行委員会の資料は外務省に入っている。しかも二十八日に要請をして、そのすぐ直後ですよね、総理が会われたのは。一週間ちょっとですから。それでやっぱりこの話が出ないのがおかしいし、また外務省側としても日本側としても、日本にも飛び火しているかもわからぬということはもう御承知だったわけですから、私はこういうふうな新聞記事に出てくるようなことは、やはりこれが含まれていたのではないかと大いに疑問を持つわけですけど、重ねてお伺いしますけれども、いかがですか。
  277. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) お尋ねの趣旨は、十二月に三木首相とキッシンジャー国務長官、あるいは私とキッシンジャー国務長官の会談がありましたときに、本件の内容についてキッシンジャー国務長官が知っておったかどうかという御趣旨になるわけでございますが、十一月二十八日に国務長官の意見を司法長官に送りました際、SECが持っております、これは相当膨大な資料でございますので、それを逐一点検をして、それに基づいて国務長官の意見を出したものであるか、あるいは資料の一般的な性格に基づいて、一般的な意見として国務長官意見を出したものであるか、そのいずれであるかを私ども存じておりません。資料が非常に膨大でございますから、それを一々具体的な名前等々に——名前がもしございましたとしまして——ついてまで点検をした結果としてこの国務長官意見を出したものであろうか。資料の膨大な点から考えますと、あるいは資料の一般的な性格から、一般的な意見として出したものではなかろうかとも推量せられますけれども、この点はいずれにいたしましても推量にすぎないのでございまして、ただいまのお尋ねに対して明確にお答えをする材料を私持ち合わせておりません。
  278. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私も、外務大臣が考えるように、恐らく全貌を知っておったというのではなくして、まあ大体の報告を受けて、そういう知識ではなかったかと私は思いますけれども、しかし、キッシンジャー長官自身から聞いたわけではございませんから、こうだと言って断定的にお答えはいたしかねます。
  279. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 まあ疑って恐縮ですけれども、三月五日に行われたアメリカのいわゆる政府の優先順位と経済委員会、このときにインガソル副長、官はこう答えています。「昨年こうした事件が出て、キッシンジャー長官が方針を明らかにした時、これに関した情報と国務省の声明を在外大使館に送った。しかし具体的にどうせよと訓令は出していない。」すでに在日米大使館には副長官から国務省の声明というのは来ているわけですよね。で、これは三月の話ですけれども、こういうのもありますし、かなりロッキード事件は、私たちは二月四日に知ったわけですけれども、相当前から問題になっておったことは御承知のとおりです。  さらに、もう一つ疑問に思うのは、総理が記者会見されて公開の姿勢を言われたのと、宮澤外務大臣のそのときの記者会見での話がいわゆる非公開という面もあるという発言をされておりまして、新聞報道でありますけれども、外務大臣と総理とは微妙な差があると、こういうふうに出ておるわけですね。ということは、外務大臣はかなりこういうことをよく御存じの上で、やはり非公開というふうなことになるんじゃないかということをキッシンジャー長官との話で知っておったのではないか。総理もそれを知った上だけれども、やはり総理として、私が前から指摘をしております総理の姿勢はまあポーズだけというのが強いわけですから、ポーズを示されたのじゃないかと、そういう疑問があるのですけれども、その点についてお答えをいただきたい。
  280. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) アメリカ政府に対して、日本政府は公開を前提として資料の提供を求めたわけですね。したがって、アメリカ側から何らの条件がつけられないで、日本側に外交機関を通じて提供される資料は全部公表したいというのが私の考え方。ただしかし、宮澤外相からいろいろ発言がありましたが、私自身でも国会の答弁の中に、条件がついてなければということを、各党の資料の問題についての御質問に全部答えてある。公明党にも社会党にも共産党にも皆お答えをしたわけで、それは何かと言えば、捜査上の秘密に関係するような書類の提供の場合もそれはあり得るわけでございますから、そういう場合に、いまアメリカ側自身においても証券取引委員会の調査は進行中でございますから、そういうことを全部公開の原則という上に立って、資料を提供しない場合があるのかもしれぬということで、宮澤外相の発言もそういうことを頭に入れての御発言でありましょうし、私が条件がつかなければということを言ったのも、やはりそういうこともあるかなあということで申し上げたわけでございます。このことは私と外務大臣との間に大きな考え方の違いはないわけでございます。
  281. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 もう一回確認しておきたいのですけれども、結局、総理がそういう条件がつくということをかなり予想した上で——予想をずっとしておられたんじゃないですか。そうなると、じゃ国会決議も尊重します、また三木総理の出されたフォード大統領への親書ですね、あれだって、相当内容としては私は公開という立場に立てばいい内容だと思うんですけれども、要するにキッシンジャー長官が抑えたということがわかった上で、しかもそういう条件がつくであろう、最終的には公開されないんだということがわかった上で、国会決議を尊重されておったり、またそういう親書を出しておられたとしたら、非常に国民に対してこれは背信行為になるわけです。その点はいかがですか。
  282. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は条件がつくということは全然知りません。ただしかし、捜査協力というものですね、これはどこの国だって捜査協力というものがあった場合に、その情報とか資料というものは全部公開してしまえば、これは調査や捜査の妨害になることは事実ですから、そういう場合もあり得るということは閣僚会議でも話が出たわけです。そういうことを宮澤君も言ったわけでございます。したがって、インガソル国務次官の発言を前に知っておったわけではございません。知りませんでした。  また、国会の決議というものは、これは矢追君御承知のように、真相究明ということが大目的で、未公開の資料を含めて資料の提供に対し、アメリカの政府並びに上院に特例の配慮を要請するということでございまして、このことは私自身もそういう資料の提供を受けることは、捜査は日本の自主的にやることがこれはもう一番の大前提でございますが、今回のような日米両国にまたがる場合にアメリカの資料も参考になる。主としての捜査活動は日本自身がやらなければならぬ。全部他力本願で、アメリカの資料が来なければ何もできぬというようなものではないわけですが、重要な参考になるので資料の提供を受けるということは必要である、こう考えて、私自身もああいう異例の親書を書いたわけでございます。事前に知っておったわけではございません。
  283. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 今後の総理の姿勢を見守って、またこれからも私たちもこれについては特別委員会等も設置されますので追及をしていきたいと思います。  次に、続いて外交問題に少し触れますけれども、外務大臣にお伺いしますが、御承知のように中国では新しい体制ができまして、総理もかわりました。その後、日中貿易等について若干の変化を見せているように思われますが、政府は中国の新首相就任と中国の対日政策をどのように見ておられるのか。  さらに、日中平和条約の見通しについて、本委員会でも、外務大臣から覇権問題については政府の統一見解的なものを出されましたが、これがどうなるのか。それから、締結の時期。特使を含む対中交渉を私はすべきであると思いますが、その方針についてお伺いしたいと思います。
  284. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 最近の中国における政変の結果が中国の対外政策あるいは国内の経済政策にどのような影響を与えるであろうかということは、必ずしもこれを客観的に判断する十分な材料はございませんが、中国政府当局は、いずれも今度の政変によって影響を受けるものではないというふうに言明をいたしておりますので、しばらく現実の事態を見守ることが必要であろうというふうに考えております。  それから、日中平和友好条約の交渉の件でございますが、これは昨年でございましたか、臨時国会におきまして矢追委員から御質問がございまして、私がいわゆる覇権問題につきまして、これが条約の前文であるか正文であるかというようなことに関しまして御答弁を申し上げました。その態度は今日も変わっておりません。ただ、政変の前後から、中国としては国内の事情にきわめて繁忙であったろうと存ぜられます、やむを得ないことでございますので。したがいまして、政府の立場は、昨年矢追委員に御説明いたしましたとおり、今日でも変わっておりませんで、早期に締結すべきものというふうに考えておりまして、先方の情勢が落ちつきますのを見つつ、早期の締結という熱意はやはり変わらずに持っておりたいというふうに考えておるわけでございます。
  285. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 総理、何か具体的な行動は起こされますか、先ほど申し上げた特使等を含めて。
  286. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いま、やはり特使を派遣するというような考え方は持っておりません。外交機関を通じて日中の平和友好条約を早期に締結をしたいという政府の基本的な態度は何の変化がございません。
  287. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 次に、核持ち込みの問題についてお伺いします。  御承知のように、アメリカとスペインの友好条約について米政策が変更されたように私たちは思いますけれども、これについて日本政府は余り対応されない。要するに現在のままでいいような態度に見られますけれども、その点についてはいかがですか。
  288. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) アメリカとスペインの友好協力条約の補足規定におきまして、   〔理事山内一郎君退席、委員長着席〕 スペインの国土の上に今後核兵器を貯蔵することはないという規定がございます。このことは私どもしばらく前から存じておったところでございますが、このことは、恐らく、それまでスペインに核兵器が貯蔵されておった、それを撤去して今後とも貯蔵することはないということを意味するものと存ぜられます。しかるところ、わが国におきましては、本土に核兵器が貯蔵されていないということは明らかでございますし、沖繩につきましても、沖繩返還の際そのことはきわめて明快になっておりますので、その点スペインの場合と基本的に事情が違っておるというふうに考えております。  なお、わが国の非核三原則につきましては、政府の態度はしばしば表明されており、また、米国においても最高首脳がそのようなわが国の政策を理解するということについては、最近におきましては昨年の三木・フォード会談でも確認されておることでございますので、ことさらわが国が今日の段階においてスペインのような例にならうという必要はないものというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  289. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 関連。
  290. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 太田淳夫君より関連の略言を求められております。これを許します。
  291. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは関連して、総理大臣並びに外務大臣に質問させていただきます。  本日、核防条約が衆議院を通過したわけですが、わが党は、この核防条約が、不要ではありますけれども、非核三原則の堅持ということで賛成しました。しかし、ここではっきりしていないのは、いわゆる自民党の中でフリーハンド論を述べる人々の中で、核防条約に入るには安保条約の強化とアメリカの核のかさが条件になっていると、こういうことを言っておりますが、これが条件であるのかないのか、その点明確にしていただきたいと思います。
  292. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 昨年の春ごろからそのような議論が自民党において幾たびかございまして、私自身は安保体制の強化というふうに考えたことはございませんで、安保体制を維持するということは必要であるというふうに従来からずっと考えてまいりました。しかし、自民党内の議論もいろいろございましたので、昨年の四月に私がキッシンジャー国務長官と会談をいたしまして、今後日本に攻撃が加えられる場合、それが通常兵器によるものであれ、あるいは核兵器によるものであれ、米国としては条約上の義務を守るということを、これは当然のことでございますけれども確認をいたしまして、昨年八月の三木・フォード会談におきましてもこのことが確認をされておるわけでございます。  そこで、ただいまお尋ねの、この条件であるかということにつきまして、これが法律上の意味での条件であるかというお尋ねであれば、私はそれは法律的な意味での条件というふうに考える筋合いのものではなかろう。すなわち今日の世界情勢が、わが国の憲法の前文が期待しておりますようなものに十分になり切っておらない。平和国家としてのわが国は、外からの攻撃の可能性というものを全然無視していいというような状態になっていないというのが私どもの判断でございますから、したがいまして、そのような状態が解消をする、あるいは国連軍による平和維持が全く心配のないまで成長するというような時点になりますればともかくといたしまして、それまではわが国として、友好国のいわゆるその安全保障の体制を持つということがわが国の国益に沿うものである、さように考えておるわけでございます。
  293. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 先ほど外務大臣は、矢追議員の質問に対しまして、日本には非核三原則がある、したがってスペインと同様な協定を結ぶ必要はない、こういうふうに話がありました。私たちもこの非核三原則の厳守ということで賛成したわけでございますけれども、衆議院の外務委員会で全会一致で五項目の決議案が採択されました。この項目についてはいま申し上げませんが、しかし、そこで国是として存在している非核三原則については、「いかなる場合においてもこれを忠実に履行する」と、このようにやっておりますけれども、ここでお尋ねしたいことは、この「いかなる場合」ということは、どういう場合でいかなる場合なのかということです。緊急存亡のときもこの中に、この「いかなる場合」に含まれるのか。また、緊急存亡のときにおいてもこの非核三原則をあくまでも厳守をしていくという、そういう決意がおありなのかどうかということです。  わが党としては最初、「平時、戦時を問わず」と、このように主張したわけですけれども、自民党の反対で「いかなる場合に」、こういうように変わったわけですが、むしろこの方が厳しいのではないかと、このように思います。その点、総理大臣は、この緊急存亡のとき、これを含めてこの非核三原則を厳守するという、そういう決意がおありなのかどうか、お聞きしたいと思います。
  294. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) あらゆる場合に非核三原則は堅持いたす考えでございます。
  295. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 その「いかなる場合」とはどういうことですか。緊急存亡のときも含むのかどうか、もう一度答弁願います。
  296. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 文字どおり「いかなる場合」というわけでございますから、これは文字どおりに私は解釈をするものでございます。こういうことはしばしば外務委員会などに出ましても私が申し上げたとおりでございます。
  297. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 総理、先ほどの問題にちょっと返って恐縮ですけれども、いま外務大臣は新たな協定等は結ばないと言われましたが、ラロック証言もありましたし、また原潜については前々から核を持っているのではないかという疑いがしばしばありました。私も総理が外務大臣のころ、本委員会で質問もしたことがあります。そのとき総理は、アメリカを信ずる、こういうことで押し通されたわけですけれども、その後いままでいろいろな事件等から考えまして、特に最近ではいま申し上げたラロック証言ですけれども、やっぱり私はただアメリカの政策がこうだから信ずるというだけでは、また、もちろん日米の首脳会談の共同声明というのはかなりの重みだとは思いますけれども、やはりこの際はスペインのような協定を結んだ方がいいんじゃないかと思うのですけれども、重ねて、その気は絶対ないのか、しかし検討に値するのか、その点いかがですか。
  298. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 矢追君御承知のように、岸・アイゼンハワー氏のいわゆる会談を通じて、あの場合にアイゼンハワーの声明が出ておるわけですね。その文句は私そんなに覚えておりませんが、日本国民の意思に反してアメリカは行動しないという、こういうのが安保条約の改定のときのアイゼンハワー大統領の、アメリカの大統領としての誓約であります。もう一つは、非核三原則はこれを理解し、尊重するとしばしば言っておるわけでございます。また、核というものは装備の重大な変更でございますから事前協議の対象になることは明白でございます、安保の規定で。何重ものこういうこの核というものに対して、非核三原則というものに対しての国会の決議もある、この非核三原則についてはこれだけの、何重ものアメリカとしての約束があるわけでございますから、私は新たにまた安保条約を改定して、そういう条約の改正を行う必要はない。やはり友邦国というものは、こういう何重ものアメリカの約束というもの、これを信頼しないと、そのことだけでは信頼できぬということでは友好関係は維持できませんから、私は今日においてもこのアメリカの約束は信頼をいたしておる。ここで安保条約を改めて改定するという考え方は持っておりません。
  299. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 次に経済問題に移ります。  新しい経済計画、すなわち「昭和五十年代前期経済計画概案」これが提出をされたわけですけれども、これが生活優先になっておるのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。  部門別の公共投資額を見ましても、総額百兆円のうち約二〇%に当たる十九兆五千億円が道路、比率で見ますと産業基盤整備分は三一・二%、生活環境改善分は二八・七%、こういうのが昭和五十五年までの姿ですね。もし生活優先となればこの比率が逆転をしなければならぬと思うんですが、その点はいかがですか。
  300. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 全体としてごらん願いたいのでありますが、これはもう産業中心というか成長中心、それから生活中心という方向へ国の投資の重点を移しているわけであります。いまいろいろお話がありましたが、生活関連投資は、従来は構成比といたしますと二二%程度です。それを今度は二八にしておる。こういうふうに思い切った引き上げをいたしておるわけであります。反面、道路、特に道路なんかにつきましてはその配分もかなり落とすというようなふうにいたしまして、とにかく成長中心から生活中心へという実体をこれひとつ推し進めていこうと、こういう考えでございます。
  301. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いま副総理言われた、二八に上げたからそれでいいんだという話ですけれども、いま私の聞いているのは、産業基盤整備よりも生活環境の方が逆転しなきゃならぬのじゃないかということなんですけれども、その点はいかがですか。
  302. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 産業基盤整備と言いましても、そうはっきり区分できるものじゃございませんですが、とにかくこの生活関連への投資幅を、構成比で言って二二%から二八%まで上げた。当然その反面において非生活関連投資はそれだけ圧縮されておる、こういうことになるわけであります。もとより国土の総合的な建設を相手にしておるわけでございまするから、さあ道路だ、あるいは河川だとか、あるいは農業基盤だとか、そういうものをそう抑えるわけにもいかぬ。しかし、生活関連は特に重視するというので、構成比二二から二八への大幅な引き上げを行っておる、こういうことでございます。
  303. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 特に生活が優先になっていない一つの例として、衣食住の一つである住、この住に対する公共投資は、その比率に見る限りにおいては余り増加していませんね。この点はいかがですか。
  304. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) その住宅というのは公共住宅でございます。これは実績がなかなかいままで上がらない、高い構成比を見込んでもなかなかそこまでいかないんです。というのは土地の問題がある。主としてそういう問題でございますが、新計画におきましても、そう多くを見込みましてもなかなか実行できまい。実現できる程度のものを見込もうというので、過去の五年間の実績が公共住宅がこれが七十万戸であります。その七十万戸程度をこれから五ヵ年の間に実現をするということでも、かなりこれは努力をしなきゃならぬだろう。こういうふうに考えまして七十万戸というふうにいたしておりますが、しかし、公共住宅のほかいろいろ住宅はあるわけでありますから、あるいは政府が融資しての住宅という問題もあるわけです。それから個人が建てる住宅、これもあるわけであります。そういうものを総合しますと、かなり住宅は建ち得るのではないか、そういう展望をいたしておりまして、公共住宅だけはなかなか実現性等、過去の実績から考えましてそう多くを見込むことは妥当でない、こういう結論に到達いたしたわけであります。
  305. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 実績論を持ち出してそうは言われますけれども、新経済社会発展計画のときは七%、それから経済社会基本計画でも六・八%になっておるわけですね。それが今度は六・五です。その点はやはり下がったと私は言いたいわけですけれどもね。そうだと、先ほど副総理言われた、生活を優先にしているということにはならぬのじゃないですか、計画の段階は。実績を言われれば、これはまた後でその実績問題はやりますけれども、実際計画の中でもずっとダウンしてきているわけですよね。その点いかがですか。
  306. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 過去におきましては公共住宅を重視いたしまして計画上相当見込んだのです。いまおっしゃるとおりでございます。ところが、なかなか土地の問題なんかでこれは思わしく実行できない、そういうことをまた再び繰り返してはいかぬだろう、こういうので、公共住宅につきましてはこのシェアを前の計画よりは下げる。下げますが、大体過去の五年間の七十万戸という実績、その程度のものはぜひ実現をいたしたいということで構成比六・五%と、こういうふうにいたした次第でございます。
  307. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 これは総理にお伺いしますけれども、総理はライフサイクルに非常に御熱心ですけれども、これでは、年齢、世帯構成人員等で住みかえの住宅政策、持ち家政策など非常に結構なことが書いてあるわけです。これは庶民にとっては夢物語であると思いますが、ところが、今度の長期計画を見ますといま申し上げたような状況ですよね。ここまでもいかぬわけですよ、要するに。現実にもう計画の段階でもトーンが下がってきている。実際建つのかどうかとなると非常にまた問題があるわけです。そういう点で三木内閣の住宅に対する姿勢というのは私は非常に弱いと思うんですけれども、総理はこのライフサイクル計画というものを非常に宣伝をされておりますけれども、これはただ単なる絵にかいたもちに終わってしまう。これはどうされますか。この点いかがですか。
  308. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 矢追君も御承知のように、今年度の予算にも調査費が計上になって、各省の連絡会議も持たれておるわけでございますけれども、この考え方行政ベースに乗せましてぜひとも実現をしたい。これは住宅ばかりではございませんけれども、これからのこの福祉というものが大きな政策の重要な方向をなすものでございますから、その福祉というものに対する考え方というものを従来の考え方よりももう少し人生のあらゆる段階に、あるいはもう少しこの福祉というものを社会保障というようなものばかりでなしに、住宅もその中に入れるという幅広い総合福祉ということでとらえている。人生の各段階でこれを適用しようとしておる。その中で、住宅問題というものはこれは国民生活安定の基盤をなすものでございますから、ライフサイクルの中に盛られておるこの持ち家政策あるいはまた非常に経済的に恵まれない人々のためには貸し家等のこういう政策、これをどうして具体化するかということについては、今後十分に検討を加えてぜひとも実現をしたい。これは非常な熱意を持っておるわけでございます。
  309. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 総理いつも熱意の話ばかりでなかなかうまくいかぬのですが、副総理に重ねてお伺いしますけれども、先ほど住宅の件も最初の計画が下がっておる。それから生活環境改善分が六%も上げたからいいんだと覆われますけれども実際私が生活優先になっていないというその指摘の中であと申し上げたいのは、たとえば厚生福祉、保健医療施設、社会福祉施設、そういった部門に対する投資は二・二%ですね。これも従来とそう変わっていないわけです。そう上がっていない。したがって、やはり病気対策、弱者対策、こういった項目のこういう比率のアップはほとんど見込まれない、こういう結果になってしまうわけでして、特にいま病気に対する不安というのは非常に強いわけですから、この点がほとんど変わっていないのに、どうしていわゆる生活優先ということになるのか。環境衛生への配分比率は一三・六%と、これはかなり上がっています。この点は私も評価しないわけではないんですけれども、肝心の厚生福祉の点になりますと二・二と、ほとんど変わらない。この点いかがですか。
  310. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 非常に狭い意味の厚生福祉につきまして、おっしゃるとおりの比率になっておりますが、これでも、これは過去の計画またその計画の実績のいずれよりも高い比率になっておるんです。それから、そういう非常に狭い意味の厚生福祉ばかりやるわけじゃないのでありまして、生活関連のいろんな施策ですね、ことに生活環境の整備、こういうようなものもやるわけでありまして、総体といたしましてはかなりの重点をこの方面に移しておる。それから非常に狭い意味のいまの福祉施設を見ましても、過去よりも構成比はかなりこれで、まあ元が小さいものだから、それは小さい感じでございましょうが、これも伸ばしておる、こういうふうに考えております。
  311. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 副総理のお話を聞いていると、上げたところだけはえらい強調されて、下がったところとか同じになるといままでの実績がどうのこうのと言う。非常にごまかされるわけですよね。ちょっと私不満なんですけれども、その点いかがですか。
  312. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ごまかしているわけじゃございませんです。とにかく経済社会基本計画でも、生活環境全体をひっくるめまして二二・二%の構成比である。それを二八・八%という構成比に持っていくわけですから、その反面におきまして、交通、通信、道路なんか主でありますが、それは四一・五%であったものも三八・五%に落とす、そういうようなことをいたしておりますので、かなりいままでの計画とは質的に変わってきておる、こういうことを御理解願いたいと思います。
  313. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 私はその点が納得できないわけですよ。私は余り質的に変わらないと見ているわけです。いま言われました道路だって、そんなに変わっていないんですよ。二一・一%から一九・五ですから、少しは下がっていますけれども。そのほかもそう変わらないです。航空だって〇・九が〇・八、こういうふうな状況です。その他いろいろありますけれども、鉄道だって八・七が八・〇、少ししか下がってないわけです。だから、環境衛生だけは上がりましたけれども、ほかは余り大したことない。こういうことで、まだまだ生活優先というふうなところまでの大きな変革がこの五ヵ年計画では出ていない。やっぱりいままでの高度成長という物の考え方がまだまだ続いておる。大きな転換を言われましたね、副総理は。さま変わりとか、あるいは静かで控え目な成長とか、いろいろな美辞麗句を副総理自身が編み出されて言われたわけですけれども、結局はそう変わらないものになっておると、こう私は指摘をしたいんですが、それは大分考えが違いますから、次に移りますけれども……。  それから最後にもう一つお伺いしたいのは、この最後にあります調整額、これの使い方ですが、これはどう考えておられますか。私としてはこれを公共住宅あるいは福祉に使っていただきたいんですけれども、その点いかがですか。
  314. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは構成比といいますと、元が小さいものだからそう御評価いただけないのじゃないかと思うんです。たとえば厚生福祉二・〇%の構成比であったものを今度は二・二%にするわけです。それから学校につきましては四・九%の構成比、これを六・六%に引き上げる。それから環境衛生全体といたしましては八・六%というものを一三・六%に引き上げるんです。それから農林施設がおくれておるものですから、これは非生活関連という方でありましょう、これは六・二%から七%に引き上げる。道路が、これは問題なんでありますが、これを二一・一%から一九・五%に引き下げる。こういうふうに相当きめ細かく生活関連を重視する考え方を打ち出しておるわけです。  それから調整額というのは、これからまたいろいろ長期計画なんかであるいは修正がありましたり、あるいは新しいものが出てくる、そういうものに対しまして留保しておりますので、これをいま直ちに住宅に振り向けるという考え方はいたしておりません。しかし、住宅政策全体といたしまして、公共投資、非公共投資といいますか、民間の、あるいは政府の融資に基づく住宅、そういうものを総合いたしまして、できる限り推進してまいりたい。そういうものは非常に高く私どもは考えておるんです。これはぜひ住宅政策全体といたしましてかなりの成果を上げたいと、かように考えております。
  315. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 厚生福祉には使われますか、いまの調整額。
  316. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは、将来この長期計画の修正でありますとか、あるいは新しい計画の策定でありますとか、そういういろんな問題が起こってまいります。それに充当したいというので二兆円を留保をしておるということでございますが、とにかく全体の考え方生活中心でありまするから、生活中心という考え方はその調整額の使用に当たりましてもこれを貫いてまいりたいと、かように考えます。
  317. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 それでは次に住宅問題に入ります。  五十一年三月末で第二期住宅建設五ヵ年計画が終わるわけですが、第一期、第二期の五ヵ年計画の概要並びにその実績、住宅公団も含めまして御報告いただきたい。
  318. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 矢追委員にお答えいたします。  第一期とおっしゃいましたが、ちょっと第一期のいま資料を持っておりませんので、第二期五ヵ年計画の実績について報告させていただきます。  第二期五ヵ年計画におきましては、合計で昭和五十年度末までの達成率は、残念ながら八六・三%であります。特徴といたしましては、公庫住宅、ただいまきようで募集が締め切られております今年度の実績にいたしましても、十万戸を予定しておりましたものがすでに十三万戸を突破したと言われておりますが、これも実績によりますと進捗率は一二一%であったわけであります。そこで、ただいま副総理からのお話にもございましたごとく、低いものとしては公団住宅の六二%と、そして改良住宅五二%、まあ総じて公営住宅の七四%、そうしたのが大変達成率が低かったわけであります。したがいまして、第三期住宅建設五ヵ年計画におきましては、先ほどの副総理のお話にもありましたごとく、第二期五ヵ年計画の実績を勘案いたしまして、実現可能の目標をと、こうして八百六十万戸というものを計画として設定したわけであります。
  319. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 住宅公団はいかがですか。
  320. 南部哲也

    参考人南部哲也君) お答えいたします。  第二期の実績は二十八万三千三百四十六戸でございます。これは事業計画は三十八万二千戸でございまして、これに対しましては七四%、当初の計画四十六万戸に対しましては六一・六%というような低率になっております。できるだけ努力をいたしたのでございますが、結果としては、私どもも今後大いに努力していきたい、このように思っておる次第であります。
  321. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いま言われた実績というのはどういうことですか。実際家が建ったのですか。
  322. 南部哲也

    参考人南部哲也君) 発注した戸数でございます。
  323. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 供給戸数で答えていただきたいのです。
  324. 南部哲也

    参考人南部哲也君) 供給戸数にいたしますと、現在建築中のものが十万以上ございますので、これから十万戸ぐらい引かなければならないと思いますので、実際は十八万ぐらいになるかと思います。
  325. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 はっきり答えていただきたいのですよ。私、おたくの方からいただいた資料があるのですよ。第二期住宅五ヵ年計画で、いま実績は言われましたね、六一・六%。供給戸数は幾らですか。はっきり出ているはずですよ。
  326. 南部哲也

    参考人南部哲也君) いま手元にちょっと資料を持ち合わせておりませんので失礼いたしました。  二十八万戸の発注に対しまして、供給は八万戸ばかり減りまして二十万程度、概算でございますが。
  327. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 そういういいかげんなのでは困るのですが、建設大臣にお伺いしますけれども、要するに、いつも政府予算に出てくるのは結局その実績——先ほど副総理も実績実績と言われましたけれども、実績はいつも発注戸数なんですよ。供給戸数じゃないんですよ。この点は改めていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  328. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 矢追委員にお答えいたします。  矢追委員の御見識は私も御見識だと思います。ただ、私も実は学力が不足しておりまして、建設省へ行ってみまして、従来からのずっと経過を見ますと、結局、年度内で契約繰り越しをしたものは、これは住宅によらず全部消化した、いわゆる未契約繰り越しと不用額は別といたしまして、契約繰り越しについては実績のうちに各種計画ともに入れておるわけでございますね。したがいまして、私も参りましてこの三月に住宅公団の決裁をいたしました。なるほど契約繰り越しにはなりますが、決裁したばかりでございますから、いま基礎工事ぐらいが行われておるところもあろうかと思うのであります。それらがおよそ八万戸程度ございます。しかし、これは年度内繰り越しで、契約繰り越しであるという意味において従来の例からすればやはり実績のうちに入れておる。しかし、現時点で緊急度の高い住宅問題そのものとしてのとらまえ方として、供給戸数でもって政治的な責任体制を持っておれと、そういうことについては私も一つの見識だとして敬意を表し、そういう気構えでやらせていただきたいと、このように思っております。
  329. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 ということは、これから両方並べていただけませんか。じゃ発注は幾ら、供給戸数は幾らで出せばいいでしょう。私だって自分で表にしてみたんですけれどもね。そういうような形で発表できませんかと言うんです。
  330. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) そのように指導して必ずやらせます。
  331. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 副総理にちょっとお伺いしたいんですけれども、要するに、いままで予算等の審議、この経済計画もそうですし、五ヵ年計画も全部そうですけれども、絶えず実績というのは発注であり、いまの供給戸数ではなかったわけです。それは相当差があるんですよ、いまお聞きのように。だから、やっぱり住宅の場合、景気刺激ということを考えますと、供給されて初めてみんなが入るわけでして、そこでテレビを買ったり、あるいは台所を充実させたり、いろんな消費物資というのは買うわけですから、やはりそういうふうな実際の本当の実績というものを踏まえなきゃいかぬと思うんですけれども、いま建設大臣、これからはそういうふうに併記をしていくと言われていますから、今後はそういうふうなことを踏まえた上で経済計画等あるいは住宅五ヵ年計画等に臨まれる決意ですか。これは大蔵大臣、予算編成の上においてもその点を考慮されますか。その点お答えいただきたいのです。
  332. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 経済統計にどういうふうにはめ込むか、これはなかなかデリケートな問題でありますが、検討してみます。
  333. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 財政資金の収支等を明らかにすると同時に、実態面でおっしゃるように区分して表示するということも大事だと思いますので、そのあたりは注意してみたいと思います。
  334. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 次に、住宅公団にお伺いしますが、五十一年三月末現益の公団所有の未利用地は幾らありますか。
  335. 南部哲也

    参考人南部哲也君) 住宅公団には、住宅建設部門と宅地開発部門と両部門を持っております。ただいま所有いたしておりますのは、住宅建設部門では百十五地区、千三百八十ヘクタール、宅地開発部門では三十三地区、二千四百八十ヘクタール、合計いたしまして百四十八地区、三千八百六十ヘクタールでございます。
  336. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いまの金額と、それから五十一年度に発注するものはそのうちどれだけですか、お答えいただきたい。
  337. 南部哲也

    参考人南部哲也君) このうち五十一年度に発注ができない、五十二年度以降になるという地区を申し上げますと、住建で九地区、五百ヘクタール、金額にいたしまして約四百四十億、宅地の方では八地区、八百四十ヘクタール、金額にいたしまして三百五十八億、合計いたしまして十七地区、千三百四十ヘクタール、約八百億という額になります。
  338. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 その五十一年度発注予定の分の中で、実際は発注できないというのはどれぐらいありますか。それは調べられておりますか。
  339. 南部哲也

    参考人南部哲也君) ただいま申しましたのは、五十一年度に発注できないと、こうはっきりわれわれの方で見込んでおる地区数と面積と金額を申し上げたわけでございます。
  340. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いまのはわかったんですよ。そうじやなくて、おたくの方では五十一年度に発注できると言われている中で実際はできないものがかなりあるのです。ちょっと大変ですけれども、それでは五十一年度発注予定の地区の名前だけ言っていただけますか、私の方と照らし合わせますから。大体資料で、すぐこれはもうわかっているはずですから。
  341. 南部哲也

    参考人南部哲也君) 地区数は、先ほど申しましたように百四十八地区ございます。ただいまはちょっとそれを全部申し上げるという資料が手元にないのでございますが、おっしゃるとおり、私の方で五十一年度発注予定にいたしておりましても、その前に地方公共団体とのいろいろな詰めもございますし、あるいはいろいろな法的な規制を緩和していただくというような問題もございまして、われわれの方で五十一年度中に必ず発注できるという、これは一応努力目標のものも地区数の中にはあるいは入っているかと思いますが、できるだけこれが発注できるように努力していきたいということでございます。
  342. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いや、そんなにたくさんないですよ、私がそちらと照らし合わせて聞いたのは。
  343. 南部哲也

    参考人南部哲也君) お答えいたします。  五十一年度発注予定は八王子市の寺田地区、それから横浜市の杉田町、それから和歌山県和歌山市の鳴滝、東京都練馬区のグラントハイツ、立川市の西砂川、埼玉県松伏町の松伏、北九州市の志徳、埼玉県大宮市の大宮東、越谷市の千間台、京都府宇治市の槇島、大阪府堺市の鈴の宮、大阪府高槻市の阿武山、兵庫県川西市の北雲雀丘、福岡県大野城市の大野光ケ丘、東京都田無市の西原四丁目、以上でございます。
  344. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 小山田は入っていませんか。
  345. 南部哲也

    参考人南部哲也君) 町田の小山田でございますか。これはいま詰めておりますので、発注予定にしております。
  346. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 この中で、私が調査したところによりますと、大体半分くらい非常にむつかしいところがあるんです。これは御存じですか。
  347. 南部哲也

    参考人南部哲也君) むずかしいところは現在市街化調整区域になっておるところでございまして、たとえば埼玉県の大宮東であるとか松伏であるとか、こういうような問題につきましては、そういった行政機関のほかの手続が必要であるという前提がございます。そういう面ではもうむずかしいことは十分承知の上で努力していきたい、このように思っております。
  348. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 大体私の調べたところだと、ざっと半分なんですよ、このままいくとだめなところがね。  それで、特にいま大宮東のことに触れられましたので申し上げますけど、これ、地元の公共団体がどう言っているか、御存じですか。
  349. 南部哲也

    参考人南部哲也君) 地元の公共団体におきましては、これは農用地の問題もございますし、それから貯水池その他の問題もございますし、排水の問題もございます。そういうような諸条件を全部完備した上でと、このように言っております。
  350. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 この地方自治体の大宮市側とは協議をされましたですか。
  351. 南部哲也

    参考人南部哲也君) 用地を買収する前には必ず地方公共団体と協議をいたしております。用地の取得後にも協議をいたしております。
  352. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いや、大宮市とやりましたですかと聞いているのです。
  353. 南部哲也

    参考人南部哲也君) 大宮市とやっております。
  354. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 しかしその後、いまされたと言っていますけれども、実際最近はどうなんですか、市側の態度は。
  355. 南部哲也

    参考人南部哲也君) 最近におきましては、ただいま申しましたような前提条件、これは県の問題が絡んでおります。したがいまして、そういった条件が整った後で三十四条協議に入りたいと、このように折衝いたしておるわけでございます。
  356. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いま大宮市についてはある程度の話し合いはあったようですけれども、市側の方は現在のところ協議には応じていないわけです。そのほか、私の調べたところによりますと、大体公団側が協議をされていない、あるいは打診もされていないで買ったところが四割もあるんですね。何なら私のデータをまたお見せしていいですよ。そういうふうな状況なんです。そういう状況では非常に困るわけでして、その点がきちんと協議をされたのかどうかについて、そちら側でのデータを後でいただきたいと思います。  それからさらに昭和三十九年、四十年、いまから十二年前に買収をし、買収に着手をされて、そうして団地が着工できない、そういうところがありますか。
  357. 南部哲也

    参考人南部哲也君) 三十九年、関西の阿武山、これがございます。
  358. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 四十年。四十年もあるでしょう。
  359. 南部哲也

    参考人南部哲也君) 四十年につきましては、ただいま資料がございませんので……。
  360. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 そっちからもらった資料にあるんだよ、これは。書いてある、もう一カ所あるでしょう。よく見てくださいよ。
  361. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 資料、出ませんか、資料。
  362. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 事前にいただいたのにちゃんとあるんですよ。決算委員会でもこれはやっているんですよ。
  363. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 事前に連絡してあると申しますから、わかるでしょう。
  364. 南部哲也

    参考人南部哲也君) 四十年についてはございません。
  365. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 東京の日野大久保団地はどうですか。
  366. 南部哲也

    参考人南部哲也君) 日野大久保は四十年、四十一年でございます。
  367. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 この未利用地のうち長期間着工できない土地、いわゆる冬眠用地と言われているところの金利について報告してください。買収金額と金利、両方。
  368. 南部哲也

    参考人南部哲也君) 買収金額につきましては先ほど申し上げましたが、金利につきましては住建部門が七十六億、宅地造成部門が八十三億、合計百五十九億でございます。
  369. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 私の聞いているのと大分違うんですけれども、五十一年一月末で二百二十五億円、買収金額が一千百二億円。いかがですか。
  370. 南部哲也

    参考人南部哲也君) 先ほど申しましたのは、五百ヘクタールというのは調整区域が主でございまして、そのほかに市街化区域の中でいろいろなのがございます。現在それを盛んに詰めておる状態でございます。それらを合算しますと、先生いまおっしゃられたような金額になろうかと思います。
  371. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 この金利はだれが負担するんですか、結局は。
  372. 南部哲也

    参考人南部哲也君) 金利は、賃貸住宅につきましては家賃の中に入りますし、分譲住宅につきましては分譲価格の中に入ります。
  373. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 結局、家賃にはね返るということです。
  374. 南部哲也

    参考人南部哲也君) そのとおりでございます。
  375. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 この住宅公団の資金はどこから来ておりますか。
  376. 南部哲也

    参考人南部哲也君) 財政投融資と民間資金と両方で、オール借入金でございます。
  377. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 民間資金の中身を言ってください。
  378. 南部哲也

    参考人南部哲也君) 民間資金は、現在では生命保険と信託銀行と、それから住宅債券、三種類ございます。
  379. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 大蔵大臣にお伺いしますがね、こういう状況で、いま質疑を聞いておられておわかりと思いますが、非常に未利用地がたくさんある。要するに、公団で買ったけれども、建たない。これは時間があれば私この実態を全部明らかにしてもいいんですよ。どうしてこんなとてつもないところを買ったのかというのがあるんですよ。これは買わされたんです。公団が悪いのじゃないんですよ。これは本当は建設省がどうも圧力をかけた気配もあるんです。これは建設大臣、また時間があったらやりたいんですけれども。  それで、いまの資金でおわかりのように、この住宅公団の資金は、財投、それから生命保険、信託銀行、債券と、こう言われました。財投は、御承知のように年金の積み立て金や、あるいは郵便貯金から来ているわけですね。いわば国民のお金ですよね。そういうふうなものが、こういう非常にずさんな建設行政のために結局は家賃にはね返る。非常に大きな矛盾であると私は思います。この点をどうこれから改善をされるのか。大蔵省として、こういうふうな住宅公団に対する財投のあり方をどうするのか、これが一つ。  それから建設大臣、今後この未利用地はどうされますか。今後の買収はどういうふうにされていくか、その点を明確にお答えいただきたい。  最後に総理に。先ほど私が聞いたように、住宅政策に力を入れるとおっしゃっておりますが、いまのようなんじゃ、これは大変な問題だと思います。その点について最後にお伺いして終わりたいと思います。
  380. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 建設省と御相談の上、実態をよく調べまして、いかに対処いたしますか、慎重に考慮したいと思います。
  381. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 確かに住宅公団が未利用地を多量に保有しておることは先生の御指摘のとおりで、きょう委員会でも明らかになったところであります。これについて私もいろいろ過去の経過等を調べてみますと、なるほどなあと思えるのは、昭和四十八年であります。このときには、国会におきましても、いわゆる土地がどんどん上がるときでございましたので、何とか強制して、むしろ民間がデベロッパーが持っておる土地を放出させることができないか、そういう議論が行われたぐらいでありましたので、そのときにたしか放出されたものを買ったわけでございます。しかしながら、その後の.客観情勢が、いわゆる人口はもう要りませんと申しますか、人口抑制策、そのよってもって立つところは、これは何としてもこの土地問題と同時に、またこれに伴う下水でございますとか、学校でございますとか、そういう関係公共投資に対する自治体の負担が多過ぎる、そういうような非常な隘路に立たされてきたことは、これは弁解のようでございますが、私の調査したところでは事実であります。したがいまして、これからこの関係自治体とまさに密度の高い交渉をいたしまして、未利用地を少しでも早く宅地に供するような交渉を積極的に行っていかなければならぬと、このように考えております。  それから、基本的に住宅対策そのものにつきましては、総理からもお話のありましたライフサイクル計画の前文と、そしてまた学界、産業界、あるいは労働界からもお入りいただいております住宅宅地審議会答申とが、文字は多少違いますけれども、まるっきり同じような趣旨のものが書かれてありますだけに、そういう政策目標の実現のためにも鋭意努力していかなければならないと、このように考えております。
  382. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 住宅は国民生活安定の基盤になるわけですから、いろいろ御指摘になった問題点なども今後の行政の上で反省しなきゃならぬ問題を含んでおると思いますから、大いに国民生活にとって最も重要な住宅問題、これに携わっておるんだという使命感を持って、従来の惰性でなしに、今後一段とその問題と積極的に取り組むように、これは指導をいたしてまいる所存でございます。
  383. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 以上をもちまして矢追秀彦君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  384. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 渡辺武君。
  385. 渡辺武

    ○渡辺武君 初めに総理大臣に伺います。  政府は、五十年度、五十一年度両年度を通じて、合計すると赤字公債六兆四百億円の発行を予定しているという状態です。ところが、大蔵省が二月六日に発表しました財政収支試算、これを見てみますと、五十三年度、五十四年度まで赤字公債を出すんだということを想定しているわけですね。五十五年度末の公債の残高は五十一兆四千億円、べらぼうな領になるということを想定しているわけです。しかも、五十年度から五十五年度までの年平均で二〇・九%の税収の伸びを想定する、こういうことです。国民はこれを見て私は不安と疑惑を感じているだろうと思うのですね。総理大臣は、今後の財政再建、基本的にどういう方向でやろうとしておられるのか、伺いたいと思います。
  386. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 渡辺さんも御承知のように、いま日本状態を見ますと、家計はどうやら赤字を出すことなく健全であると言えましょう。けれども、企業経済になりますと、相当数の企業が赤字経営でございます。財政になりますと、中央、地方を通じまして、おしなべて巨額の赤字に苦しんでおる状況でございまして、この状態は決して健全な状態でもございませんし、正常な状態でもないわけでございますので、なるべく早くこの不正常な状態から脱却をしなければならぬわけでございます。と申しましても、中央、地方を通じまして、行財政の水準を一挙に財政の都合によって落とすわけにもまいりませんので、そういった水準を充足しながら正常化を図ってまいりますためには、五十年代前半ぐらいの時間をかしていただく必要があるのではなかろうかと考えておるわけでございまして、一応の試算といたしまして、五十年代前半に赤字から脱却するという状態を招来するといたしますならばこういう試算になりますということを計算いたしまして、衆議院におきまして御審議をいただいております経緯があるわけでございまして、財政運営の基本は、一口に申しますと、そういう不正常な状態からなるべく早く脱却したい。それが国民のためにも、地方公共団体のためにも、ひいては国民生活擁護のためにも貢献するゆえんであると存じておるからでございます。
  387. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いま大蔵大臣が申しましたように、これは永久にこういう財政が許されるわけではないのですから、数年は続くと思いますが、できるだけ早くこういうひとつの特例公債を発行しなくてもいい、財政をノーマルな状態に戻さなければならぬ。しかし、これは当面の処置としてはやむを得ない処置である。しかし、こういう特例公債まで発行して財政的な需要に応じていくわけでございますから、歳出などに対しても既定の経費に対しては効率化、合理化を図っていかなきゃならぬし、歳入の面につきましても、これは今後歳入の合理化を図る、あるいはまた税制などに対してもこれは見直しをしていかなきゃならぬ。こういうふうないろんな問題をやはりその特例公債の背景の中にはいろんな歳出歳入、税制、このものに対して見直しをしなければならぬ、できるだけこれは合理化を図っていくということでございます。
  388. 渡辺武

    ○渡辺武君 総理大臣は二月二十七日の衆議院の本会議で、財政再建の基本は何かという問いに対して、歳入面においては国民の負担の公平ということを旨としながら歳入の増加を図らなきゃならぬ、それから歳出面においては国民福祉の増進ということが大きな目標になるんだと、そのためには生活の基盤整備というようなことが今後特に重視せられなければならぬ問題だという趣旨のことを言っておられますが、御見解を変えられたのですか。
  389. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いまのような窮屈な財政の中でもその充実を、生活の基盤整備とか福祉の増進ということに対してできるだけの努力を傾けていかなきゃならぬという考え方は変わりありません。
  390. 渡辺武

    ○渡辺武君 大蔵大臣に伺います。  この財政収支試算というのは、どういう性格のものですか。単なる試算ですか。それとも、今後の財政運営の一応の指標になるようなものですか。
  391. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 一応の指標、財政運営の指標としてまいるべくつくり上げたものでございます。単なる試算以上のものと私ども考えております。
  392. 渡辺武

    ○渡辺武君 私、この財政収支試算を見ましたら、いま総理大臣がおっしゃったような今後の財政再建の基本とはちょっと正反対のものじゃないかというふうに思われます。これから質問の中でその点を明らかにしていきたいと思いますが、もしその点明らかになれば、試算そのものを再検討するという点はお考えになりませんか。
  393. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) いま国民福祉生活という点に十分な配慮を加えながら考えておるつもりでございますが、お気づきの点がございますれば質疑を通じて明らかにしていただきたいと思いまするし、私どもも精いっぱいお答えしてまいりたいと思います。
  394. 渡辺武

    ○渡辺武君 総理大臣。
  395. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 大蔵大臣と同じように考えております。
  396. 渡辺武

    ○渡辺武君 それではまず、歳出について伺いたいと思います。  この試算の公共投資ですね、これについて伺いますが、五十年度から五十五年度の平均の伸び率が一五・五%、こういうことになっております。同じ公共投資が過去四十六年から五十年の間どのくらいの平均伸び率であったのか、おっしゃっていただきたい。
  397. 吉瀬維哉

    政府委員(吉瀬維哉君) 四十六年から五十年までの平均伸び率は一七・六でございます。ただ、渡辺委員承知のとおり、四十九年、五十年、この両年にわたりまして、要するに公共投資の抑制で伸び率を横ばいにしている、こういう関係もあるかと思います。
  398. 渡辺武

    ○渡辺武君 その公共事業費を抑制していたのにもかかわらず、過去五年間一七・六%の伸びだ。ところが、これから五年間は、これがそれよりももっと低い一五・五%の伸び率。伸び率をダウンさせるんですね。  それで、御承知のように、いままでのように、いままでの高度成長政策の結果、わが国の生活関連施設はもう世界で最もおくれている。世界で最も深刻な公害列島になっていると思うんですね。下水道だとか緑地だとか住宅など、この国民生活関連施設の西欧諸国からの立ちおくれというのはひどい。一体いまどんなふうになっているのか。生活環境施設の指標の国際的な比較、これをやっていただきたいと思う。
  399. 宮崎勇

    政府委員(宮崎勇君) 代表的なものにつきましてお答えいたします。  道路でありますが、舗装率をとりますと、多少国によって定義が違いますが、また調査の年次はできるだけ最近時点をとっておりますけれども、日本の三四に対しましてアメリカの四六、イタリア九三、西ドイツ、フランス八三ないし八五。千人当たりの舗装道路延長、キロメートルであらわしますと、日本の三・三に対しましてアメリカ十三・五、イギリス六・一、イタリア四・九。  それから、住宅の関係で申しますと、一室当たりの人員は日本の〇・九に対しましてアメリカ〇・六、イギリス〇・六、イタリア〇・九、西ドイツ〇・七。  それから、下水道の普及率でございますが、総人口に対するパーセンテージにいたしまして日本が二二・八、アメリカ七一、イギリス九四、西ドイツ七九、フランス四〇。  都市公園は、一人当たりの面積でございますが、平方メートルで日本が三・四、アメリカ十九・二、イギリス二十二・八、イタリア十一・八。  それから、住宅の電話普及率、百人当たりの台数でございますが、日本の一七・三に対しましてアメリカ四五・七、イギリス一六・七、イタリア一二・七となっております。
  400. 渡辺武

    ○渡辺武君 お聞きのとおり、生活関連施設の国際的な立ちおくれというのは数字がはっきり出していると思うんですね。これから先、この公共投資が全部国民生活関連施設に振り向けられたとしても、伸び率がダウンしていてどうして急速な克服ができるですか。念のために伺いたいですが、この財政収支試算の基礎になっている五十年代前期経済計画概案、これの公共投資の内容を御説明いただきたいと思います。
  401. 宮崎勇

    政府委員(宮崎勇君) 計画期間中五十一年−五十五年度累計額、五十年度価額で申しまして百兆円でございますが、そのうち環境衛生、住宅、厚生福祉、学校等の部門が二八・八四%、それから道路一九・五、鉄道・港湾一〇・九、電気通信七・三、国土保全六・九、農林漁業六・九等となっておりまして、生活関連並びに調整費を除きました割合が八一・二三%になっております。
  402. 渡辺武

    ○渡辺武君 この前の経済社会基本計画では、道路、鉄道、港湾、航空、電気通信、これらをひっくるめて交通通信にくくって、これが大体四一・五%だ、それから生活環境の方は二二・二%だ、こういう数字を出しております。同じ計算のやり方でいきますと、概案では交通通信、すなわち産業基盤の方はどのくらいになりますか。
  403. 宮崎勇

    政府委員(宮崎勇君) 生活環境施設が二八・八に対しまして、交通通信が三八・五、その他国土保全が六・九、農林漁業七・〇、その他一八・八となっております。
  404. 渡辺武

    ○渡辺武君 多少は改善されているようですけれども、依然としてやっぱり産業基盤優先だと思うんですね。一体この生活環境施設の五十五年度の到達目標、これはどういうことになっていますか。
  405. 宮崎勇

    政府委員(宮崎勇君) たとえば例示で申しますと、下水道普及率が、新経済社会発展計画の達成目標は市街地面積に対する排水面積の割合で出ておりまして、それが三八で、五十年度の実績の見込みが二五・六でございます。それから経済社会基本計画では、総人口に対する処理人口の割合で目標が出ておりまして、目標年次に四二程度、五十年度の実績見込みが二二・八でございます。
  406. 渡辺武

    ○渡辺武君 質問と答弁が違っている。私が伺ったのは、概案の五十五年度の到達目標は何ですかと伺っている。
  407. 宮崎勇

    政府委員(宮崎勇君) 概案のときには総額だけでございまして、具体的な個々の目標については、本答申でできるだけ明示するということにいたしております。
  408. 渡辺武

    ○渡辺武君 いつできるんですか。
  409. 宮崎勇

    政府委員(宮崎勇君) 五月の半ばでございます。
  410. 渡辺武

    ○渡辺武君 いままでの長期計画の目標とその実績、これを伺いたい。
  411. 宮崎勇

    政府委員(宮崎勇君) 下水道普及率について言いますと、先ほど申しましたように、新経済社会発展計画の達成目標は、市街地面積に対する排水面積の割合で出ておりまして、目標が三八、五十年度の実績見込みが二五・六。それから経済社会基本計画の達成目標は、総人口に対する処理人口の割合になっておりまして、四二程度が目標で、五十年度が二二・八でございます。それから屎尿衛生処理率は、いずれも計画では、新経済社会発展計画並びに基本計画ともに一〇〇でございますが、五十年度の実績見込みが七七・四。それから一人当たりの都市公園面積、新経済社会発展計画では一人当たり、平方メートルでございますが、三・四の目標、それから経済社会基本計画では目標が四・七で、五十年度の実績見込みは三・四でございます。
  412. 渡辺武

    ○渡辺武君 飲食費とか、そういうものをちょっと伺いたい。
  413. 宮崎勇

    政府委員(宮崎勇君) エンゲル係数でございますか。
  414. 渡辺武

    ○渡辺武君 いやいや、これ、資料をもらっているのに、それで伺っているのに答弁が足りないんですよ。
  415. 宮崎勇

    政府委員(宮崎勇君) エンゲル係数は、五十年度の見通しで三四に至っております。
  416. 渡辺武

    ○渡辺武君 あなた方は、主要な項目でちゃんとつくらしているのに、伺ったことに全部答えてくれないと困るですよ。そうでしょう。この辺まだ答えてないんです。
  417. 八木一郎

    委員長八木一郎君) はっきりもう一遍説明してください。
  418. 宮崎勇

    政府委員(宮崎勇君) お答えいたします。  硫黄酸化物の排出量が、実績、四十七年度統計でございますが、四十五年を一〇〇といたします指数が八五、同じくBODの排出負荷量が七九。それから一人当たり可処分所得が、四十九年度の国民所得統計が最近の実績でございますが、八十八万九千円、一人当たりの消費支出が六十六万七千円、個人貯蓄率が二四・九%。それから消費支出のうち飲食費が三四、雑費が三二・二。いずれも国民所得統計によるものでございます。以下は先ほど申し上げたとおりでございます。
  419. 渡辺武

    ○渡辺武君 総理大臣、お聞きのとおりなんですよ。特にこのごみ衛生処理率、屎尿衛生処理率、下水道普及率、それからエンゲル係数、硫黄酸化物排出量、BOD排出負荷量、ほとんど計画が達成されていない。ひどいものです、これ。一体こういう点についてどういう反省をされておられますか、これは総理大臣に伺いたいです。
  420. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いろいろな事情があったのでしょうけれども、計画の達成を、実現を目標とした計画でございますから……。
  421. 渡辺武

    ○渡辺武君 もうちょっと大きな声でお願いしたい。
  422. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 実現を目標としたものでございますから、それが達成できないということに対してはこれは残念なことでございますが、やはり掲げた目標は万難を排して達成できるようにしなければならぬと思います。
  423. 渡辺武

    ○渡辺武君 未達成の原因は何だと思いますか。
  424. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 例を建設省所管の過去の五ヵ年計画等について申し上げます。  下水道整備五ヵ年計画につきましては達成率は一〇〇%であります。それから第二次都市公園等整備五ヵ年計画については、六二・九%であります。それから先ほども御答弁申し上げましたが、住宅建設五ヵ年計画については八六・三%であります。それがいま渡辺委員指摘のいわゆる総人口普及率に対する目標というような問題とのズレがございますのは、途中でいわゆる物価上昇等が大きく見込まれましたことが、そういう意味における、まあ金額の上の達成率を先ほど申し上げたわけでありますが、渡辺委員指摘の総人口に対する普及率とか、あるいは都市計画区域内人口当たり都市公園面積の目標とかそういうものが落ちたのは、そうした物価問題等が主たるゆえんであると思います。
  425. 渡辺武

    ○渡辺武君 物価上昇等々もあるでしょう。しかしもともと、さっきも言いましたように産業基盤四で生活基盤二という計画でやってきている。産業の方に重点を置いているから生活関連施設の方が目標も達成できない、こういうことになったのじゃないでしょうか。とにかく立てた目標が達成できないというのが実情です。今度機業で五ヵ年間の計画を立てても、それを達成できるかどうかまことに疑わしいじゃないですか。  経済企画庁長官と大蔵大臣に伺いますが、公共投資の伸び率を以前よりもはるかにダウンをさせていて、いまのこのひどい国際的立ちおくれを克服できますか。どうです。
  426. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 渡辺さん、伺っていますと、過去の伸び率に比べて新計画の伸び率を対比し、その伸び率が低いことを問題にされておる。当然そうなるんですよ。つまり過去はいわゆる高度成長期でしょう。ですから財政の伸びも高い。ところが、これからそう高い財政の伸びを期待することができない、こういうことになる。問題は、そういう財政の中におけるシェアがどうなるか、あるいは公共投資の中におけるまた生活関連のシェアがどうなるか、そこに問題というか注目すべき点があるのじゃあるまいか、そういうふうに思います。確かに過去におきましては伸び率は高い。それは経済成長が大変な勢いであったわけでありますから当然そうなるわけですが、これからは静かな成長になる。その中において生活関連には重点を置いて配分をしよう、こういうことでございます。
  427. 渡辺武

    ○渡辺武君 大蔵大臣、いかがですか。
  428. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 副総理が仰せになったとおりです。
  429. 渡辺武

    ○渡辺武君 さっきも申しましたように、概案そのものが依然として産業基盤に重点を置いているじゃないですか。そっちの方が比率が大きいですよ。とにかく口でいいことを言っていても現実はどうかという点で伺いたいんですが、今年度からは下水道整備五ヵ年計画、都市公園整備五ヵ年計画、住宅整備五ヵ年計画、これが発足することになっていますが、これについて建設大臣、内容を御説明いただきたいと思うんです。
  430. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 各種五ヵ年計画の概要、要点を御説明申し上げます。  第二次都市公園等整備五ヵ年計画は、総額が一兆六千五百億円の投資であります。その投資によりまして、五十年度末における都市計画区域内人口一人当たりの都市公園面積約三・四平方メートルは、昭和五十五年度末までに約四・五平方メートルに引き上げられることになるわけであります。この間に一万四千四百ヘクタールの都市公園等が整備される、こういうことになるわけであります。  次に、下水道整備五ヵ年計画の概要を御説明申し上げます。第四次下水道整備五ヵ年計画におきましては、総投資規模は七兆五千億円であります。そうして、先ほどもお話がございましたごとく、処理人口の普及率は五十年度末が二二・八%でございますが、これが四〇%になる見込みであります。  さらに、昭和五十一年度から発足します住宅建設五ヵ年計画の概要につきましては、これは昭和六十年をめどに、すべての国民がたとえば四人世帯で三DK、これは十九・五畳になりますが、住居専用面積で五十平方メートル程度の最低居住水準を確保することを目標として、そのおおむね水準以下居住の二分の一を五十五年度までに解消すると、こういうことがその柱となっておるわけであります。で、八百六十万戸の住宅を建設するわけでありますが、持ち家五百十六万戸、借家、給与住宅三百四十四万戸程度を見込んでおります。また、自力では適正な居住水準を確保できない低所得者層、老人・母子・身障者世帯及び都市勤労者等の中所得階層に対しましては、公的資金による住宅三百五十万戸、全体の約四一%を供給する、これが計画の概二要であります。
  431. 渡辺武

    ○渡辺武君 概算要求のときはもっと大きかったと思うんです。金額と最終到達目標についてどう食い違っておるのか、おっしゃっていただきたい。
  432. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) 概算要求では、下水道の五ヵ年計画につきましては十一兆円の要求、普及率四八%を要求いたしました。その後全体の調整のために、七兆五千億円ということに現在決まっておりますが、この七兆五千億円でございましても三倍近い大きな伸びになっているわけであります。
  433. 渡辺武

    ○渡辺武君 到達目標
  434. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) 到達目標は、普及率四八%です。
  435. 渡辺武

    ○渡辺武君 それは概算のときの目標でしょう。だから、計画のときはどうですか。
  436. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) 今回の予算で決まります数字をもとにすると、四〇%が目標になります。  それから公園につきましては、目標は一人当たり五・一平米でございまして、予算編成の原案ではこれが四・五平米、少しダウンしているということでございます。
  437. 渡辺武

    ○渡辺武君 ほかの点は端折って、たとえば下水道整備について伺いますと、概算要求のときの目標四八%だった。それがいよいよ計画が本計画になると四〇%にダウンする。こういうことでは、一体日本環境保全ですね、特に水質の保全、これが可能なのかどうか、この点どう思いますか。
  438. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) 水質環境基準の達成は下水道だけではなくて、かなり大きな部分を占める工場排水の規制、その他河川対策あるいは底質の除去等、複合的な、総合的な施策を講じなければならぬわけでございます。下水道の整備量だけで一概には言えないわけです。確かに、相当工場排水の規制等も強化しながらこの五ヵ年計画で下水道整備いたしましたといたしましても、場所によってはこの五ヵ年計画期間内に水質環境基準を完全に達成するということができない個所も相当出てくる見込みでございます。
  439. 渡辺武

    ○渡辺武君 この水質環境基準の達成のために要する今後五ヵ年間の事業費の予想はどうでしょうか。
  440. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) これはなかなか、下水道だけで汚濁負荷を削減するわけでもございませんので、どのぐらいあれば五ヵ年で達成できるかという数字は申しにくいわけでございます。この七兆五千億円の計画ではある程度不足するだろうという見込みでございます。
  441. 渡辺武

    ○渡辺武君 金額は具体的にどのぐらいですか。
  442. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) いろいろ前提を置いて計算しなければなりませんので、下水道だけで——下水道の占めるシェアも大きいことは大きいのですけれども、これは環境基準達成の役割り、ウェートとしては一部にすぎませんので、これだけで何ぼあればこの五ヵ年間で達成するかということは、ちょっとここでは申し上げかねる、ここではというのは、はっきりした数字として申し上げかねるということです。
  443. 渡辺武

    ○渡辺武君 だって、あなた方は資料を出してきているんだから、はっきり言いなさいよ。
  444. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) たとえば今後の工場排水の汚濁負荷の削減の割合と下水道による汚濁負荷の削減、これを同等の割合ぐらいでいくだろうというような仮定をし、かつ今後の経済成長その他をほどほどに見込みまして、そして市街地人口の集中程度も過去の趨勢等からまずまずのところで踏んで、いろいろな前提を置きますと、私ども恐らく十兆ないし十一兆ぐらいは要るのではないかと思います。
  445. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 渡辺武君に申し上げます。答弁者は質問の全般がわからずに答弁をしておるように見えますので、質問の全般がわかるように教えてやってください。  答弁者は、先に提出した資料にそのとおりだとか、その資料を土台に質問していらっしゃるのですから、それを踏まえて、政府委員でなければ説明員でもよろしいから、時間に協力をしていけるように進行願います。
  446. 渡辺武

    ○渡辺武君 きのう、ちゃんと通告してあるんですよ。  それでは東京都の具体的な実例について伺います。足立区、葛飾、それから江戸川の三区にまたがって綾瀬川という川が流れております。これの類型指定当時、これは四十五年の九月だと思いますが、これと現在との水質の類型基準の達成状況をおっしゃっていただきたい。
  447. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 綾瀬川は最も実は悪い汚染状況でございまして、しかし昭和四十六年から四十九年まで比較してみますと、四十六年当時、環境庁ができる前は適合しない率が一〇〇%でございました。ところが、これが現在のところは九二%までに一応上がりましたが、非常に現在のところは環境基準、いい類型の部類に属するわけでございますけれども、BODにいたしまして最も悪い状況でございます。
  448. 渡辺武

    ○渡辺武君 原因はどこにあるとお考えですか。
  449. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 生活排水並びに工場排水、あるいはその他上流におけるいろいろな汚染原因の結果だろうと思います。
  450. 渡辺武

    ○渡辺武君 建設大臣の御答弁とはちょっと受け取れないような状態ですね。  念のために、この三区の下水道の普及率どのくらいですか。
  451. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) この三区の大部分は荒川以東に属しておりまして、現在、三つの処理場を着工してはおりますが、完成しておりませんために、足立区で人口普及率一二%、江戸川区は六%、葛飾区はゼロでございます。
  452. 渡辺武

    ○渡辺武君 建設大臣ね、その水質の汚濁というのは、何よりも排出規制をすることが第一だと思いますが、同時にやっぱり下水道が普及するかどうか、これが水質の汚濁を解決するもう一つの重要な決め手ですよ。こんな状態でしょう。どうなさるおつもりですか。
  453. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 先ほど水質関係でお答えいたしましたのは、竹下登建設大臣ではなくして、小沢辰男環境庁長官でありましたので、それだけ申し上げておきます。
  454. 渡辺武

    ○渡辺武君 どうも失礼いたしました。
  455. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 私どもといたしましては、計画の範囲内において精力的に普及していきたい。ただ、これは委員も御承知のとおり、この問題は一挙に予算をつけることによって解決しない住民の方々とのいろいろな問題もございますので、そうした点を精力的に詰めて、御趣旨に沿うように精力的に仕事をやっていくつもりであります。
  456. 渡辺武

    ○渡辺武君 それじゃ建設大臣に伺います。  こうしたひどい下水道整備の立ちおくれ、これは計画がダウンしていっているということも一つの原因だと思いますが、私は何よりも大都市に対する補助対象率の低さ、ここに原因があるのじゃないかと思うんですね。どう思われますか。
  457. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 補助対象率の問題も一つの原因だと私も思います。したがいまして、五ヵ年計画の改定ごとに逐次これを上げていただいております。したがいまして、明年これを上げるという性質のものではございませんが、新たなる五ヵ年計画策定の折、また十分そういう方向で協議をしたいと、このように思っております。
  458. 渡辺武

    ○渡辺武君 今度の五ヵ年計画で、大都市に対する補助対象率と、それから一般都市ですね、これに対する補助対象率、格差があると思いますが、どうなっていますか。
  459. 吉田泰夫

    政府委員吉田泰夫君) 前回までは一般都市が七四%でございまして、今後は七五%にするということであります。十大都市につきましては、前回までは四一・六%でしたが、これを四五%に上げるということで、確かに格差は相当ありますが、多少なりとも接近さすということでございます。
  460. 渡辺武

    ○渡辺武君 総理大臣、お聞きのとおりなんです。私どもは従来から、生活環境施設には四と、産業基盤には二という比率にしたらどうだということを何回も申し上げていた。総理大臣も賛成だとおっしゃった。ところが、いま申し上げたような実情で、生活施設重点という先ほどおっしゃった総理の方針とはほど遠い実情です。それで私は、これを重点にする、そうして国民生活を守っていくという見地で、この三つの五ヵ年計画、それからまた財政収支試算、その下敷きとなっている経済計画概案、これらをもう一度検討し直す必要があるんじゃないかと思いますが、どうですか。
  461. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 先ほどから申し上げているんですが、生活関連がとにかく二八%の構成になるわけです。これは非常に高い比率になってきたわけです。それ以外の部分、道路にいたしましても港湾にいたしましても、あるいは農村の整備にいたしましても、あるいはその他の交通のいろんな公共的な事業にいたしましても、これが生活と関連がないわけじゃないんです。それは産業にも関連はしますよ。しますけれども、生活にもまた同時に関連するんです。生活関連を中心とした施設だけでこれが二八%の構成だと、いままでは二二%であったやつが今度は二八%になるんです。これは精いっぱいの努力である、こういうふうに御理解願います。
  462. 渡辺武

    ○渡辺武君 総理大臣どうですか。
  463. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私もそのように考えております。
  464. 渡辺武

    ○渡辺武君 生活関連が二八だといいましても、産業基盤整備の方が三八なんですよ。依然として産業基盤優先でしょう。そのために、いま言った東京の綾瀬川のように物すごい状態が克服できないでいる。そういう状態を克服するために練り直す必要がないのかということを申し上げているんです。  特にこれは総理大臣に申し上げたいんですが、住宅建設、下水道整備、それから都市公園整備、この三つの長期計画、このうちでも特に下水道と都市公園整備はまだ閣議で決定されていない。もう一回練り直すおつもりがあるかどうか、伺いたい。
  465. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) これは法律がまだ通っておりませんので、計画は閣議決定していない、こういうことでございます。
  466. 渡辺武

    ○渡辺武君 いや、それは知っている。練り直すかどうかということを伺っている。いやいや、伺ったことに答えてくれないから困る。委員長から注意してくださいよ、伺ったことに答えるように。答えてくださいよ。
  467. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 地方の消化能力等も勘案に入れて五ヵ年ごとに改定して、これはきちんとしたものに目標を達成していくように努めたいと思います。
  468. 八木一郎

    委員長八木一郎君) もう一度申し上げます。質問の趣旨をわかる人が説明に立ってください。質問の方は全般がわかるようにして質問してください。
  469. 渡辺武

    ○渡辺武君 下水道整備、都市公園整備、これはまだ閣議決定になっていないでしょう。いま私が申し上げたように実情はまことにひどいのです。そしていま案として出ているものでは、とうていいまの状態を解決できないような状態だから、これ練り直してもっと充実したものにしたらどうだということを伺っているのだ。
  470. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) これは私のみで決めることではございませんが、この総枠については閣議了解をいたしておるところであります。そして法律が通りました後閣議決定をするわけでありますが、いまの時点で数字そのものについて練り直す考え方はございません。
  471. 渡辺武

    ○渡辺武君 そういうことでは、生活環境の整備が、これが重点だとおっしゃる三木総理の言葉が、全くこれはもう口だけのことだということになるのじゃないでしょうか。くどくは申しません。そういう状態であれば、せめて大都市と一般都市との補助対象率の格差、これくらいは解消したらどうですか。この点どうですか。
  472. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 生活重点を頭に入れて精いっぱいのことをやっておるわけでございます。
  473. 渡辺武

    ○渡辺武君 総理大臣のような質問の要旨をはぐらかすような抽象的な答弁、委員長から注意していただきたいのですよ。時間もないから次に移りますけれどもね。  次に、総理大臣のおっしゃる国民福祉の増進ということのもう一つの重要な項目である社会保障の問題について伺いたいと思うんです。  わが国の社会保障の水準が、これはもうやはり国際的にも著しく低いというのはこれは周知のことだと思うのですが、国民所得に占める振替所得の比率の国際的な比較はどうなっているか、伺いたいと思う。
  474. 田中正巳

    国務大臣(田中正巳君) 社会保障の国際水準の比較はなかなか一概には、簡単にはできません。とっているアイテムも違いますが、しかし、国連の統計によりまして、一番新しいものは昭和四十六年だったと思いますが、これによりますると、大体わが国は三分の一ないしは四分の一ですが、わが国は最近このシェアが非常に上がってまいりましたものですから、向こうのその後の推移がわかりませんので一概に言えませんが、昭和四十六年程度では三分の一ないし四分の一でありました。
  475. 渡辺武

    ○渡辺武君 発達した資本主義国に比べて、言ってみれば社会保障の水準が三分の一程度だと言っても差しつかえないような御答弁だったと思うんですが、今後社会保障についてどういうふうな方針を持っておられるのか、総理大臣のお答えいただきたいと思うんです。
  476. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 昭和五十年代前期の経済計画概要においても、計画期間を早期に策定する旨を明らかにしておりますので、その線に沿うて鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。
  477. 渡辺武

    ○渡辺武君 その計画概案を下敷きにしてつくった財政収支試算、これの振替支出ですね、五十年から五十五年度の平均伸び率が一六%になっているけれども、四十六年から五十年度、これはどのくらいの平均伸び率ですか。
  478. 吉瀬維哉

    政府委員(吉瀬維哉君) 四十六年から五十年の平均伸び率は三〇・二%でございます。
  479. 渡辺武

    ○渡辺武君 従来三〇・二%の伸び率であったのを、これから先は一六%に落とすというんだ。政府は今後老齢化が急速に進むと言っている。社会保障費を急増させなきゃ間に合わないような状態だと私は思うんです。それなのに伸び率をダウンさせて、どうして社会保障の充実ができますか。この点伺いたい。
  480. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ四十年代はこれは高度成長期なんですよ。高度成長期でありますから財政も伸びます。その中におきまして福祉諸支出というか、社会保障費も伸びる。しかし、これから低成長の時代に入る。そう財政を伸ばすわけにもいかぬ。したがって、この社会保障費もこれは伸び率は減る。しかし、先ほども申し上げましたが、問題はこの国民総所得というか、そういう中におけるこのシェアがどうなるかと、こういう問題ですが、そのシェアにつきましては、今後は低い伸びのその中において拡大に努める、こういうことでございます。
  481. 渡辺武

    ○渡辺武君 ここに昭和四十九年六月に出ました財政制度審議会の報告があります。これは長期の財政計画を立てる必要があるんだということを論じたものですけれども、その中でこういうことを言っている。「イギリスにおいても公共支出の規模を抑制するため従来聖域とみなされていた社会保障プログラムを消減することが行われたが、これも財政支出の将来像を提供したことによってはじめて可能であったもの」だと、こういうことを言っている。  それから五十年七月に出された同じく財政制度審議会の中間報告、この中には、「厚生年金、各種共済組合等の拠出制年金については、現在諸外国に比べ低くなっている老令年金の受給開始年令の引上げ等、また、その財源を全額一般租税財源に依存している福祉年金については、その給付水準、財源問題等、今後の年金制度あり方について再検討を要する」と言っている。そのほか「生活保護における加算制度合理化」だとか、「児童手当制度合理化」だとか等々言って、「現行のわが国社会保障体系について全般的に見直しと調整を行う必要がある。」と述べている。これは総理大臣の諮問機関。  総理大臣、今度こういう財政収支試算という長期計画のようなものを出された。そのねらいがいまここに言われているような社会保障制度の改悪ということを目指したものじゃないんですか。
  482. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 改悪を目指したものではありません。
  483. 渡辺武

    ○渡辺武君 この財政制度審議会の報告ですね。この方向に沿ったものですか、どうですか。
  484. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いま、社会保障の長期計画の中で年金制度は確かに再検討しなければなりませんので、この中で十分検討いたす所存でございます。改悪のために検討するのではありません。
  485. 渡辺武

    ○渡辺武君 この中間報告で述べられている方向に沿ったものかどうかと伺っている。
  486. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 中間財政収支の試算で書いておりまする振替所得でございますが、これは先ほどお話がありましたように、四十六年から五十年まで三〇%、これは土台がすでに大きくなっておるということをまず御考慮いただきたいと思います。それからその上に、今度そこに書いてある率の伸び率を確保しようというわけでございまして、その率は全体の歳出の増加率よりも高い率を示しておるということは、あなたがごらんになっておわかりいただけると思うのでございまして、私ども振替所得支出につきましては、特に中期の財政収支の試算におきまして重視しておるということを数字は示しておると思います。
  487. 渡辺武

    ○渡辺武君 この経済計画概案の五十五年度の社会保障の到達水準はどうですか。
  488. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 振替所得につきましては五十年度の推算で八・五%ぐらいでありますが、おおむねこれを一〇%ぐらいのところへ引き上げてまいりたいと、かように考えます。
  489. 渡辺武

    ○渡辺武君 一〇%程度では依然として国際的にもまことに低水準ということになるんじゃないですか。年金だとかあるいはまた医療保障だとかあるいは生活保護だとか、主な項目についての到達水準はどうですか。
  490. 田中正巳

    国務大臣(田中正巳君) 現在概案の段階でございますので、個々のものについてはただいま作業中でございまして、申し上げるような精細なものはまだ持っておりません。
  491. 渡辺武

    ○渡辺武君 昭和四十八年度の経済社会基本計画では、社会保障の長期計画をつくることの必要性を述べております。これはつくられましたか。
  492. 田中正巳

    国務大臣(田中正巳君) 前の計画につきましては、その後の経済指標が著しく変動いたしましたものですから、これについては社会保障の長期計画は途中でギブアップをいたしました。今度については私どもはこれを策定する所存でございます。
  493. 渡辺武

    ○渡辺武君 総理大臣にこれは伺います。ぜひ答弁していただきたいんですが、わが国の社会保障の水準が、発達した資本主義国の中では異常なほどに低いということはもう議論の余地ないんですが、たとえば、ここに六十五歳以上の老人の就業率、これがありますけども、わが国は五六・三%、西ドイツが二四%、アメリカが二七・九%。社会保障制度の立ちおくれのために、年をとっても苦労して働かなきゃならぬという状態に追い込まれているのが日本国民実情だと思うんですね。いま厚生大臣は、今度は長期計画をつくると言った。四十八年に長期計画をつくろう、つくるべきだということが決まっておりながら、まだできていない。いつ社会保障制度審議会総理大臣として諮問されるのか。これは私は正式の機関だと思う。この点どうですか。
  494. 田中正巳

    国務大臣(田中正巳君) いま概案の段階でございまして、成案を得ますれば、その成案と符節を合わせて私どもは作業をし、できるだけ速やかにこれについて成案を得たいというふうに考えております。
  495. 渡辺武

    ○渡辺武君 いままで産業については五ヵ年計画というのをちゃんとつくる。社会保障についてはさっぱり、長期計画がない。これが実情でしょう。まさに産業優先、その姿がはっきり出ていると思う。厚生大臣の一片の答弁ではとうていこれは満足できない。総理大臣、ぜひおっしゃっていただきたい。正式に社会保障制度審議会にいつ諮問するのか、諮問する意図がおありなのかどうか。  それからもう一点、社会保障についての長期計画もなくて、そうして振替支出の伸び率を鈍化させる、こういうような状況では、これはもう国際的低福祉の固定化だと思うんですね。したがって、この長期計画ができ上がるまで、この試算とそれから概案、これを練り直す必要があると思いますが、どうですか。この二点を伺いたい。
  496. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 五十年代前期五ヵ年計画概案、これは各界の有識者をもって構成しておる経済審議会答申に基づいて策定したものなんです。いずれ近くこれが成案になるわけでありますが、この有識者の討議の結果でき上がったこの概案なり、また、でき上がろうとしておる成案、これを変更するというようなことはでき、ませんし、生活関連に重点を置くという思想、考え方というのは、この概案なりまた近くできる成案に相当強く出ておる、こういう認識でございます。
  497. 渡辺武

    ○渡辺武君 総理大臣の御答弁が残っておる。
  498. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) ただいま政府の成案を得るべく検討をいたしておるわけでございまして、まず政府の成案を得て、そうしていろいろな御批判を願わなければなりませんので、鋭意政府の原案を得るために努力をしておる最中でございます。
  499. 加藤進

    加藤進君 関連。
  500. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 加藤進君。関連、簡潔にお願いいたします。
  501. 加藤進

    加藤進君 私は二点について質問いたします。  いま生活保護世帯に非常な困難な事態が起こっております。その中で、もし世帯の中で病人が出た場合にどうなるのか、大変な問題になるわけであります。われわれですと、病気になれば、すぐにお医者さんにかかります。指定の病院に行くわけでありますけれども、この生活保護家庭の方たちは、まず病院に行く前に福祉事務所に行かなくてはならぬ、医療券をもらって行かなくてはならぬという問題があります。しかも、その医療券は、保護家庭の一員に病気が起こったときに、いつも使えるなどというような状態ではありません。頭痛のときには頭痛のための医療券、おなかが痛ければ、おなかが痛いためにまた医療券をもらいに行かなくてはならぬ。病気の種類によって一々福祉事務所に足を運ばなくてはならぬというのが現状であります。一人の医療券をもらったということからいっても、それがどの家族にも通用するというわけでもありません。こういう医療券の手続の非常なめんどうな煩瑣な状況があるために、病気にかかっても医者にもかかれない、病院にも行けないという事態が今日起こっておるわけであります。まさに生活保護者にとっては医療の制限が事実上行われておるわけであります。私は、この問題について、厚生大臣、どのように改善の措置をとろうと考えておられるのか。このような生活保護世帯に対して医療の制限が事実上行われるような手続を今後ともそのままにしておいていいとお考えになるのかどうか、その点をまずお尋ねいたします。
  502. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) ただいま御質問生活保護の問題でございますが、生活保護は困窮した人にその最低生活を保障するものでございます。その一環としての医療保障があるわけでございまして、したがいまして、その人が本当に必要かどうかということをやはり確認することが必要に応じてあるわけでございます。したがいまして、ただいまおっしゃいましたような医療券という制度になっているわけでございまして、これは過去何回も改善をいたしまして、現在では六カ月間その医療券を使えるようになっております。また、同じ医療券で新しい病気が出た場合にはその医療券を使えるようにもいたしておるわけでございます。このような改善をいたしまして、なおわれわれとしては実態に即した検討を進めてまいりたいと考えております。
  503. 加藤進

    加藤進君 ぜひとも前向きな検討をお願いしたいと思います。(「議事進行」と呼ぶ者あり)私は二問お願いしておるんです。  次の問題です。厚生省からいただきました生活保護基準表によりますと、きわめて奇怪なことが数字の中であらわれています。(「委員長、指名してないじゃないか」と呼ぶ者あり)第二問です。
  504. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 加藤君、まだ許可しておりません。
  505. 加藤進

    加藤進君 十四歳までは男も女も同じ額で支給されています。しかし、十五歳以上になりますと……
  506. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 加藤君、簡明に願います。
  507. 加藤進

    加藤進君 男性と女性との間にきわめて顕著な相違が起こってまいっております。六十五歳以上になりますと、その相違は二千七百五十円にも達するわけでございます。こんなことが許されていいのでしょうか。こういう相違の起こる理由として厚生省が言われるのは、それは男の食べる食費と女性の食べる食費とには相違があるからだという理由であります。私がお尋ねしたいのは、では日本法律の中で、食費についてこれほどはっきりと男性と女性との間に食費の区別もしておるような法律が一体あるのかどうか。私の知る限りにおきましては、監獄法におきましても男と女との間に食事代についての違いがない、こういうふうに見ておりますけれども、その点ははっきりお聞きしたいと思います。
  508. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 翁社会局長
  509. 加藤進

    加藤進君 ちょっと待ってください。  この問題について憲法はどう言っておりましょうか。事は食事の問題だけに限りません。男女の性別の差別はやっていけないと憲法十四条は規定しています。外国におきましてもこのような食事について男性と女性との間に区別をつけるなどというような生活扶助制度はないわけでございまして、まさに恥ずべき状態に今日の日本の保障制度があるといって過言ではないと私は考えるわけでございます。この点につきまして、私はぜひとも改善の措置をとっていただきたいということをお願いしなくてはならぬと思っています。とりわけ、昨年の国際婦人年におきまして、あの男女平等、男女の差別をなくするという厳かな精神に基づいて今日も運動が続けられておるのが現状なことは御承知のとおりでしょう。この趣旨に基づいて、今日まで残っておる男女の差別の遺制を抜本的に改善するように努力されるのか、それとも、従来どおりこれを温存していかれる気なのか、その点を明確にお答え願いたいと思います。この点は憲法にもかかわる問題でございますから、三木総理にも最後に所見をお伺いいたします。(「時間ないよ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  510. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 静かに願います。
  511. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) 生活保護は、御承知のとおり、その人、人について……(発言する者あり)
  512. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 静かに願います。不規則発言を禁じます。
  513. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) 性別、年齢別、それぞれ最低生活を保障することを原則といたしております。で、栄養審議会答申によりましても、必要なカロリーとして公定されておりますのは、おっしゃいましたように、十五歳までは同じでございますけれども、それ以上、ちょうど顔に違いがありますように、カロリーの必要量についても差があるわけでございます。生活保護はそれに即して必要経費を出しておるわけでございます。ただ、今後ともこういったカロリー等についてなお進歩、成長がございますならば、それに即したものを生活保護では対処していくということになっております。
  514. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 社会局長と同意見でございます。
  515. 渡辺武

    ○渡辺武君 いまの問題で、カロリーなんかで男女の差別をつけるということは、とんでもない話ですよ。いまあなた、男女平等のために民法さえも改正しようとしているわけだから、その点は総理大臣本気になって取り組んでくれなければ、国際婦人年の決議の趣旨に全く外れるじゃないですか。もう一回答弁していただきたい。
  516. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 社会局長もカロリーなどの変化に即応して適宜改善を行いますと言っておるので、私もさように考えております。
  517. 渡辺武

    ○渡辺武君 次に、財政収支試算の歳入について伺います。  これが大変な増税を企図しているものだということはもう議論の余地がないと思うんですが、一体こんな税収の増加を何でやろうとされているのか。法人税か、所得税か、間接税か、この点を大蔵大臣に伺いたい。
  518. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 公共投資あるいは振替支出等を予定どおりしながら赤字財政からの脱出を五十年代前半にやり遂げるという以上は、そこにお示し申し上げているような歳入を必要とするということでございます。その歳入の増加は、必要歳入につきましては何によって確保するかということでございますが、それは経済が順調に回復してまいりまして自然増収で確保できるか、あるいは歳出の節約によって一部埋め合わせることができるか、あるいは既定の税制におきまして税目の増税をお願いしなきゃならないものか、あるいは新たな税目についてその設定をお考えいただかなければならぬか、そういった点は今後検討しなければならぬ問題でございますので、何によって確保するかというような点につきまして具体的にいま政府は構想いたしておるわけではございません。
  519. 渡辺武

    ○渡辺武君 経済計画概案には、将来における新規財源について検討を進めるということが書かれている。経済企画庁長官はどういう新規財源考えておられるか。
  520. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 新規財源と申しますと語弊があるんですが、租税の負担率が、いま、大体過去の平均は二二%ぐらいになるわけです。それがまあ二五%ぐらい、三%上がらざるを得ない、財政が非常に窮乏しているからと、こういうことでありますが、その三%増加分は自然増収でかなり私は埋まるのじゃないかと思いますが、もし自然増収で足りないという場合には増税手段を講じなけりゃなりませんが、これはまだ検討いたしておりませんです。
  521. 渡辺武

    ○渡辺武君 総理大臣に伺いたいんですが、衆議院の方で、今後の歳入の増加は負担の公平を旨とする、そうして歳入の増加をするんだとおっしゃったが、この新規財源ですね、これを考える場合に、やっぱりその趣旨に沿って考えなけりゃならぬじゃないかと思いますが、どうですか。
  522. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いま大蔵大臣からも、福田総理からもお答えしたように、この面については目下いろいろな検討を加えておることでございまして、具体的に申し上げる段階ではないということでございます。
  523. 渡辺武

    ○渡辺武君 いま付加価値税を政府が導入することはほぼ確実だというふうに盛んに言われております。ところで、昭和三十六年に政府は、間接税、所得税、住民税などの所得階層別の負担率、これを調査して発表しております。折から、こういう調査を再びやって、国民の前に明らかにすべきだと思いますが、この点どうですか。
  524. 山内宏

    政府委員山内宏君) 御指示のような調査をかつてやったことがございますが、この点につきましては、いろいろまだ統計資料についても未開発の点もございますし、費用もかかりますし、時間もかかりますので、先般先生から御要望もございましたけれども、まだできないという状態でございます。
  525. 渡辺武

    ○渡辺武君 御要求があればできますという答弁だったが、どうですか。
  526. 山内宏

    政府委員山内宏君) 先ほども申しましたように、いろいろ統計上の手法の問題もございますし、時間の関係もございますし、経費の関係もございますので、さらに慎重に検討させていただきたいと存じます。
  527. 渡辺武

    ○渡辺武君 重ねて伺いますよ。この付加価値税制なんというものは、国民の負担を急増させる大変な悪税ですよ。そういうことが問題になっている折から、どういうところに負担が一番かかるのか、これを現在の間接税で調査するのは当然じゃないですか。大蔵大臣、御答弁願います。
  528. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) かつて付加価値税をやったことがございませんし、付加価値税をやることを決めたわけでもございませんし、付加価値税について税制調査会の審議を求めたこともないわけでございます。私どもは、歳入の計画につきましては、国民の負担にかかわることでございますので、慎重を期さなければならぬわけでございまして、今後税調の審議を待ちながらいろいろな角度から慎重に検討してまいる所存でございます。
  529. 渡辺武

    ○渡辺武君 最後に一言だけ言います。  いま電気料金の値上げが各電力会社から申請されておりますが、この九つの電力会社、五十年九月期の決算では、申告所得で東京電力が五位、中部電力が大法人の中の七位と、大もうけしているのです。それから内部留保を見てみますと、東京電力千九百七十億円、関西電力千七百四十一億円、九電力合計八千五百三十七億円、大変な内部留保を積んでいる。そうして、このことによる税の減免額、東京電力は法人税百四十億五千七百万円、住民税二十四億三千三百万円、関西電力は法人税百二億四千六百万円、住民税十七億七千三百万円、それから九電力合計しますと、法人税五百六億六千六百万円、住民税含めて合計五百九十五億円もの税の減免を受けている。税負担割合も、法人税は四〇%が普通ですが、二三・二%に下がっている。住民税は一七・三%が普通ですが、これが三・九八%に下がっているという実情であります。  こういう大企業に特別にまけている税制、これを徹底的に洗い直すこと、これが今後の税制を立て直す最も重要な道だと思いますが、その点どうですか。
  530. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 負担の公正を期しながら国の歳入を確保してまいることは政府の基本的な方針でございまして、今後鋭意その方向努力してまいるつもりでございます。
  531. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 以上をもちまして渡辺武君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  532. 八木一郎

    委員長八木一郎君) この際、公聴会開会承認要求に関する件についてお諮りいたします。  公聴会は来る五月六日の一日間開会することとし、公聴会の問題、公述人の数及び選定等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  533. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  534. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 理事会におきまして、今後の審査日程につきましては、明後三十日は総括質疑を続けることとし、なお、五月四日、七日及び八日は終始総括質疑を続行することとし、その三日間の質疑総時間は四百十分とし、各会派への割り当ては、自由民主党及び日本社会党それぞれ百三十六分、公明党及び日本共産党それぞれ五十分、民社党二十五分、第二院クラブ十三分とし、質疑順位につきましては当初の総括質疑順位にすることに協議決定いたしました。  そのように取り運ぶことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  535. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後八時二十九分散会