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1976-04-27 第77回国会 参議院 予算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年四月二十七日(火曜日)    午前十時三分開会     —————————————    委員の異動  四月二十七日     辞任         補欠選任      遠藤  要君     秦野  章君      源田  実君     戸塚 進也君      野々山一三君     浜本 万三君      藤原 房雄君     黒柳  明君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         八木 一郎君     理 事                 梶木 又三君                 高田 浩運君                 山内 一郎君                 吉田  実君                 小野  明君                 森中 守義君                 桑名 義治君                 内藤  功君                 向井 長年君     委 員                 安孫子藤吉君                 青井 政美君                 石破 二朗君                 糸山英太郎君                 長田 裕二君                 亀井 久興君                 熊谷太三郎君                 坂野 重信君                 玉置 和郎君                 戸塚 進也君                 中村 太郎君                 夏目 忠雄君                 秦野  章君                 鳩山威一郎君                 林田悠紀夫君                 最上  進君                 森下  泰君                 矢野  登君                 加瀬  完君                 片岡 勝治君                 神沢  浄君                 竹田 四郎君                 対馬 孝且君                 野々山一三君                 浜本 万三君                目黒今朝次郎君                 矢田部 理君                 山崎  昇君                 太田 淳夫君                 黒柳  明君                 矢追 秀彦君                 岩間 正男君                 上田耕一郎君                 渡辺  武君                 木島 則夫君                 市川 房枝君    国務大臣        内閣総理大臣   三木 武夫君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       福田 赳夫君        法 務 大 臣  稻葉  修君        外 務 大 臣  宮澤 喜一君        大 蔵 大 臣  大平 正芳君        文 部 大 臣  永井 道雄君        厚 生 大 臣  田中 正巳君        農 林 大 臣  安倍晋太郎君        通商産業大臣   河本 敏夫君        運 輸 大 臣  木村 睦男君        郵 政 大 臣  村上  勇君        労 働 大 臣  長谷川 峻君        建 設 大 臣  竹下  登君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    福田  一君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 井出一太郎君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖繩開発庁長        官)       植木 光教君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       松澤 雄藏君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  坂田 道太君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       佐々木義武君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  小沢 辰男君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  金丸  信君    政府委員        内閣官房内閣調        査室長      渡部 正郎君        内閣法制局長官  吉國 一郎君        内閣法制局第一        部長       角田礼次郎君        国防会議事務局        長        内海  倫君        人事院総裁    藤井 貞夫君        人事院事務総局        給与局長     茨木  廣君        総理府人事局長  秋富 公正君        警察庁長官官房        長        鈴木 貞敏君        警察庁刑事局長  土金 賢三君        警察庁刑事局保        安部長      吉田 六郎君        行政管理庁長官        官房審議官    川島 鉄男君        行政管理庁行政        管理局長     小田村四郎君        防衛庁参事官   伊藤 圭一君        防衛庁参事官   岡太  直君        防衛庁長官官房        長        玉木 清司君        防衛庁防衛局長  丸山  昂君        防衛庁人事教育        局長       竹岡 勝美君        防衛庁経理局長  亘理  彰君        防衛庁装備局長  江口 裕通君        経済企画庁調整        局長       青木 慎三君        経済企画庁総合        計画局長     宮崎  勇君        経済企画庁調査        局長       岩田 幸基君        法務省刑事局長  安原 美穂君        外務省アジア局        長        中江 要介君        外務省アメリカ        局長       山崎 敏夫君        外務省条約局長  中島敏次郎君        大蔵大臣官房審        議官       山内  宏君        大蔵省主計局長  吉瀬 維哉君        大蔵省理財局長  松川 道哉君        大蔵省銀行局長  田辺 博通君        大蔵省国際金融        局長       藤岡眞佐夫君        国税庁長官    中橋敬次郎君        国税庁次長    横井 正美君        文部省初等中等        教育局長     諸沢 正道君        厚生省医務局長  石丸 隆治君        厚生省社会局長  翁 久次郎君        通商産業大臣官        房会計課長    平林  勉君        資源エネルギー        庁長官      増田  実君        資源エネルギー        庁石炭部長    高木 俊介君        運輸大臣官房長  山上 孝史君        運輸省航空局長  中村 大造君        労働省労働基準        局長       藤繩 正勝君        労働省職業安定        局長       遠藤 政夫君        労働省職業訓練        局長       中原  晁君        建設大臣官房長  高橋 弘篤君        自治大臣官房審        議官       福島  深君        自治省行政局長  林  忠雄君        自治省行政局選        挙部長      土屋 佳照君        自治省財政局長  首藤  堯君        消防庁長官    松浦  功君    事務局側        事 務 総 長  岸田  實君        委 員 部 長  川上 路夫君        常任委員会専門        員        菊地  拓君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和五十一年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十一年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十一年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 八木一郎

    委員長八木一郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和五十一年度一般会計予算  昭和五十一年度特別会計予算  昭和五十一年度政府関係機関予算  以上三案を一括して議題といたします。  前回に引き続き質疑を行います。黒柳明君。
  3. 黒柳明

    黒柳明君 本日、私はロッキード問題一本にしぼって質疑をしたいと思います。当然、経済問題、物価問題、不況対策国民生活に重大な関心がある問題が山積しておりますが、また後日、同僚議員がそれらの問題について質問いたしたいと思います。  そこで、まず総理にお尋ねしたいと思いますが、いわゆるこの事件につきましては政治生命をかけると、こうおっしゃっております。私も、また国民もその結果を期待していることは間違いないと思いますが、その中には、道義的、政治的また刑事的な問題も含めて解明をする、こういうことは当然であろうかと思いますが、いかがでしょうか。
  4. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) そのとおりに考えております。
  5. 黒柳明

    黒柳明君 議長裁定の四項、昨日もあるいは一昨々日も繰り返されて論議されております。その中に、刑事訴訟法立法趣旨にのっとってと、こういうことがありますが、これにつきましても、いま申しました三つの観点を当然含んでこれに対処すると、こういう理解でよろしゅうございますか。
  6. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 黒柳君御承知のように、議長裁定、「国会国政調査権行使に当たっては、政府は、事態推移をみて、刑事訴訟法立法趣旨をも踏まえた上で事件解明最善協力を行うものとする。」というのが、御承知のごとく議長裁定でございます。これを誠実に履行いたす所存でございます。
  7. 黒柳明

    黒柳明君 巷間では、また私もその一人なんですけれども、どうしてもこの総理の姿勢は後退していると、こういう見方が強うございますし、また、わずか参議院のこの予算の二日間の審議の中でも、これはもう公表できないのではなかろうか、期待外れではなかろうかという感触がちまたには広がっております。  そこで私は、昨日までの答弁をまた蒸し返したところでしょうがないと思いますので、あるいは私の質問の方が一歩後退しているかもわかりませんが、運用面はともかく、確かに総理あるいは法務大臣がおっしゃるように、捜査中、これは仕方ありませんでしょう、守秘義務ということがあるわけであります。運用面はともかくとして、それではいまおっしゃったように、道義上、政治上、刑事上、すべて含んで私はやるんだ、議長裁定のその趣旨を踏まえているんだと、こうおっしゃったからには、法律上は政府としてはいわゆるこの灰色高官名を出す、こういう可能性は当然留保されているわけですね。
  8. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 黒柳君も御承知のように、各国とも捜査中に資料公開する国はありません。これは捜査のやはり障害になりますから。したがって、議長裁定の中にも「事態推移をみて」ということは非常にやはり意味のある言葉でございますから、そういうふうな事態推移を見て事件解明最善協力をいたすということを、政府文字どおり誠実に履行する所存でございます。
  9. 黒柳明

    黒柳明君 ですから、その文字どおり、結構。私の質問は、法律的には政府灰色高官名を公表する可能性は残っているのですねと、こういう聞き方なんです。
  10. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これはやはり裁定の中の、刑事訴訟法立法趣旨を踏まえた上で政府事態解明文字どおり最善協力をいたしたいと考えております。
  11. 黒柳明

    黒柳明君 法務大臣、いまの同じ質問
  12. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 一般的、抽象的には可能性はあると思います。
  13. 黒柳明

    黒柳明君 そういうことだと思いますよ、総理。あるわけです、可能性は。  そこで、先般の記者会見においても、総理みずからがただし書きの条項に触れられました。そのときの記者の方の質問答弁も知っております。さらに、きのうまでの国会審議、知っております。それを踏まえて、そのときただし書きに触れたことは、総理自体何らかやっぱり意図はあるのではなかろうか。これは私の推測ですよ。それで、総理としては灰色高宮名を出したいという意思はあるのですか。「推移」がある、「捜査の過程」がある、これは結構です。きのうから聞きました。国民皆様も知っています。意思があるのかないのか、どうですか。
  14. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 事態国民の前にできるだけ究明したいというのが私の意思でございます。
  15. 黒柳明

    黒柳明君 できるだけということは当然ですね。最大限、できるだけ。その中には、灰色高官名を出したいという意思だけはある、法律的には出す可能性は留保されている、また総理としては出したい意思はあるのだと、こう理解してよろしゅうございますか。
  16. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私といえども刑事訴訟法立法趣旨を常に踏まえなければならぬわけでございますから、その立法趣旨を踏まえて最大限度のことをいたすと、それ以上のことは今日の段階お答えをすることは適当でないと思います。
  17. 黒柳明

    黒柳明君 私二回、これで三回言うんです。きのうまでの審議は十二分に知っています。国民皆様も知っているわけです。審議を発展させましょう。だから、法律的には可能性はある。おっしゃったんです、法務大臣。あたりまえですよ、こんなことは。さらに、総理としては最大限究明したいというお言葉、要するに、先日の記者会見ただし書きに触れた。それについては私は、何か意図があるんだろう。総理はわかりません。しかし意思だけはお持ちなんでしょうかと。これについて明快な御返答をいただけませんか。発展させましょう、議論を。
  18. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 意志があるとかないとかいうことではなくして、いまの段階で私がどうする——意思ということは、総理大臣意思として、これはやっぱり意思というだけではいかぬわけでありますから、いまのような段階で不起訴になった者も皆公表するんだということを約束することは、総理大臣の約束としてきわめて軽率である。ただ私はできるだけ、これだけの国民の疑惑を受けた事件でありますから、事態真相を明らかにしたいという、これは非常な熱意を持っておるということだけを申し上げて、不起訴の者を皆公表するのかどうかという具体的な御質問に対してはお答えをするのは現在適当ではない、こう思う。  何も逃げておるわけではないですよ、これは。そうでしょう。捜査がいま始まったばかりで、これに対して後どうするんだ、こうするんだと、不起訴になった場合においても私が断定的にこの場合に申し上げることは適当ではないということは、これはやはり御理解を願えると思いますよ。いまのような段階で、そのことはやはり捜査に対していろいろと障害を与えることは事実ですから。不起訴の者までも公表されるんだと言ったら、捜査に対して影響を与えますことは事実ですから。そういうことで、真相をできるだけ国民の前に明らかにしたいという熱意を持っておるんだということで御理解を願いたいと思います。
  19. 黒柳明

    黒柳明君 私はもう一回言いますよ。質問を発展させましょう。いままでのことについては知っています、国民皆様理解しています、その上でと。私、いつ灰色商官名全部公表しろなんて言いましたか。これから積み重ねていきます。発展をします。よく総理聞きなさいよ。いろいろな可能性がある、その質問をするんです。まず意思だけです。全部出せなんて、私いつ質問の中に入れましたか。まあいい。熱望する、こういうこと。  ほかの角度から聞きましょう。三月十八日、全資料公開することが日米友好である、こうおっしゃいましたね。それから後退したと、私はこう見ます。国民もこう見ているんです。総理は、いやその中間、アメリカ条件がつけば仕方がないと言ってきたこと、こんな国会答弁もありました。いま現在の時点において、残念ながら三月二十四日、両司法当局で秘密だと、こう決まりました。それなら、もしアメリカから非公開という条件が出てこなかった場合ですよ、想定で済みませんな、いまでも全資料公開したいんだという三月十八日のあの発言は、そういう気持ちを持っておりますか、条件がつかなかったら。
  20. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は、しばしば国会に私が答弁をいたしましたことは、公開前提にしてアメリカ資料の提供を求めたわけです。したがって、アメリカ資料外交チャンネルを通じて参りますならば公開する所存でした。しかし、私はもう各党質問に対して、黒柳君、速記録を何か編集したのもございますから、そのままお渡ししてもいいんですが、しかし条件がついたときは別であると、これはもう公明党に対しても、社会党に対しても、民社に対しても、共産党に対しても、全議員に対して、現にその政党を代表する質問に対して、衆議院におけるロッキードの集中審議の場合でありましたか、全部答えておるので、私の考え方に後退はないのですよ。そういうことで、私はアメリカから条件をつけないときにはこれは公開する所存でございます。ついた場合は別である。民社党の河村君は、その条件だけは公表するかと言うから、条件は公表いたしますというのが国会における私の一貫した答弁である、こういうふうに御承知を願いたい。
  21. 黒柳明

    黒柳明君 であるならば、条件がつかなければ、いまでも全資料公開はしたいと、こういう意思は持っておることは変わりありませんね。
  22. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 公開前提にして要求したのですから、アメリカから条件がつかなければこれは当然に公開をいたします。
  23. 黒柳明

    黒柳明君 そういう熱望があり、意思があるならば、条件ができた中においてこれはあくまでも守秘義務を持つのは検察当局ですよ。これから煮詰めますけれどもね。総理立場は違うんですよ。詰めていきましょう、じゃ。総理立場として総理政治責任、いいですか、まず四十七条から離れたとして、総理大臣ですから一国の政治の全責任を持っているのですよ。その傘下にある意味ならば、検察当局もいるわけです。いいですね。そういう全政治責任を持っているその上において、総理政治責任でこの事実関係を公表できる権限はありますね。どうです。権限はありますね、総理として。
  24. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 捜査当局から報告を受けたことに対して、四十七条の立法趣旨を踏まえて、総理大臣がこれを発表することの権限は持っておると思う。
  25. 黒柳明

    黒柳明君 四十七条から離れましょう、こう言ったのです。四十七条から離れましょうと言ったのです。総理大臣としてですよ、総理大臣としてそういう権限はあるのですよ。あるでしょう。四十七条を離れましょう。いまやれとか、いまそうするのだとか、こういうふうに私言っているのじゃないのです。総理大臣としてそういう権限はあるでしょう。捜査当局から報告を受ける、検察から、法務省から報告を受ける権限もあるでしょう。どうでしょう。
  26. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 報告は受ける権限はございますよ。しかし、やつ。はり議長裁定にも刑事訴訟法立法趣旨ということを言っておるし、総理大臣といえども法律を無視していいと言うことはできません。総理大臣権限行使法律にのっとったものでなければならぬことは当然でございます。したがって議長裁定にも、刑事訴訟法立法趣旨を踏まえて最善協力をせよという裁定になって、各党の方々もこの裁定に対して賛成をされたということは、各党の認識の中にもこういうことが前提にあることはこれは当然だと思います。
  27. 黒柳明

    黒柳明君 そんなことないです。総理大臣権限なんていうものは、そんななまやさしいものじゃないですよ。当然法律に拘束されます。あるいは議長裁定にも拘束されるでしょう。だけれど、キッシンジャー国務長官だって、司法省を通じてワシントン地裁に対して網をかけさせたじゃないですか。大統領はもっと権限があるのです。日本の総理大臣がそういう法律に拘束される立場と、さらにそれを超越して——これから話を進めますから聞いていてくださいよ。それは総理理解がおかしい。それじゃもう一つ聞きましょう。この公表、灰色高官名ですよ、公表しない、公表できないのではなかろうか、公表しないことによって生まれる容疑者の人権上の利益、容疑者ですよ、灰色高官名。今度は公表することによって生まれる同じく容疑者灰色高官名道徳的責任明白化、この公益、この判断総理、できますでしょう。
  28. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まさに刑事訴訟法はその判断政府に求めておるわけです。
  29. 黒柳明

    黒柳明君 だから、私言っているのです。司法当局から、検察から、法務から報告を受けることができる。判断総理自体できる。であるならば、その判断にのっとって、まあ後にちょっといきますけれども、できるのです、総理権限は。  その前にちょっと間に入りますけれども、同じく第四項の冒頭に、政府国会国政調査権に全面的に協力すると、こういうこともおっしゃっていますね。第四項です、おっしゃっている。これはもうそのとおりでありましょうな、行使に当たって最善協力をすると。
  30. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 議長裁定にあるように、事態推移を見て、刑事訴訟法立法趣旨を踏まえた上で事件解明最善協力を行うということは、これはそのとおりでございます。
  31. 黒柳明

    黒柳明君 ちょっと間に入りますけれども、また続くのですよ、さっきの問題が。  ちょっとここで話は各省庁官房長になって申しわけないのですけれどね、各省庁これは同様だと私承っておりますが、資料要求に対しては政務次官を通じて自民党国対と協議すると言われて  おります。そのとおりだと、こう思いますが、いかがでしょう。まず運輸省官房長、いらっしゃいますか。いわゆる国対委員長の許可と、こういうことだと思いますが、簡単で結構です。
  32. 山上孝史

    政府委員山上孝史君) 先生から御要求のありました交際費の詳細につきましては、およそ交際費とは儀礼的社交的な意味で支出する一方的贈与的な性質を有する経費と定義づけられておりますので、本来その内容の詳細を公開すべき性質のものではないと考えられております。このように、本件は異例な御要求でありますし、また議員のいわゆる個人要求でございますので、与党国対に連絡をいたしております。
  33. 黒柳明

    黒柳明君 建設官房長、一言で結構。各省庁大体同じだと思いますが。
  34. 高橋弘篤

    政府委員高橋弘篤君) 運輸省からただいま答弁申し上げたとおりであります。
  35. 黒柳明

    黒柳明君 行政の長の総理大臣として、与党自民党総裁として、いまの意見をどう思います。
  36. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ個々の資料提出については、その資料性質もございましょうし、どのように取り扱ったらいいかということは、それぞれの場合に応じて検討をするということでしかるべきだと考えます。
  37. 黒柳明

    黒柳明君 しかるべきですか、それが。自民党国対委員長の許可なくしては国会の野党から要求した資料が出ないということは、しかるべき処置でしょうか。立法府の行政に対する介入じゃないですか。総理大臣としてそれは排除すべき性質じゃないですか。あるいは自民党総裁としてはそれでいいですか。さらに、いま言ったことがすべてじゃありませんよ。わが党の資料要求全部、ここにありますよ。答弁。  金丸大臣、ちょっとお暇でしょうから一言。済みませんね、お出かけいただいて。元国対委員長ですね。しかるべくいろんな資料に対して政務次官を通じて国対委員長が、私は圧力と言いたい、圧力をかけたことがありますか、おれに相談しろと、国会資料請求に対して。
  38. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) そういう問題につきましては私は経験がありません。
  39. 黒柳明

    黒柳明君 ない。あたりまえだ、そんなことは。あたりまえ。自民党国対委員長行政に介入するなんということはあり得ません。あたりまえだ、そんなこと。
  40. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 御質問の点が多少取り違えたかもしれませんが、自民党国対委員長が各省に対して、行政に対して圧力を加えることは、これは絶対にあってはならぬことですから、今後そういうことはやはり私自身としても注意をいたします。
  41. 黒柳明

    黒柳明君 いいですか、総理よく聞いてください。各大臣、これから当てますからよく聞いてください。私は、だから言うんです、きれいごとの三木総理、私はきれいごとと思っていませんよ、真剣にやっておると思いますよ。私は一番やっぱり三木さん何とかがんばってもらいたいという応援者の一人なんです。その立場においても全くきれいごとだと困るので、ロッキードを解明できるのかどうか、灰色高官名は全く後退じゃないか、いまもそれを言ってきた。総理権限はあると認めながら、意思はない、あるいは熱望だけだ。発言すらできない。意思はあるんです、本当は。さらに、私は若干それましてこんな細かい問題でもということをちょこっと入れて、さらにまた灰色高官名に入る。その一つの例なんです。自民党国対委員長行政に圧力をかける。まして運輸省あるいは建設省、わが党は各省に資料要求をした。出てこないのがほとんど。自民党国対委員長のところにみんな御相談に行くんじゃないですか。しかるべく処置する。だれですか、自民党国対委員長は。名前言いなさい。知らない、そんなやつは、ぼくは。だれですか、名前を言いなさい、総裁総裁、名前言いなさい、国対委員長の名前。
  42. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 名前は、無論国対委員長は宇野君であることは……。国会対策委員長は……
  43. 黒柳明

    黒柳明君 聞こえませんね。大きく、そんな悪いことをする人を、国民の皆さん方にはっきり言いなさい。
  44. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) そんなことは、私は圧力を加えてするというようなことはあり得ない、あり得べからざることだと思いますが、この点はまあ調べてみるまでもない。いま国対委員長をしておった金丸君自身が、そんなことはないと、こう言っているんですから、そういうことはあり得ないことだと思います。私はあり得ないことだと考えておるわけです。
  45. 黒柳明

    黒柳明君 委員長、これは立つと時間がだめです。だから、官房長が二人も来たじゃないですか、総理。そんな答弁おかしいじゃないか。金丸さんのは十年前の話をしているんですよ、総理。いまはロッキード。だれですか、国対委員長は。宇野某とかいう人じゃないですか。その人が圧力をかけているんです。これで審議を進めようといったって無理じゃないですか。灰色高官名を道義的政治的に国会で出せと言ったって無理じゃないですか。自民党国対委員長資料要求に圧力をかけているんじゃないか。何ができますか、それで。  まあこれから積み重ねますよ、ぼくは。その一つですよ。責任をとる。どう責任をとる。いまこの場に呼びなさい。究明しなさい。とんでもない話だ。こんな、私はささいなことと言いたい、それすら出てこない。それすら、総裁国対委員長に言ったんじゃないですか、圧力をかけろと。総裁じゃないか、自民党、与党の総裁じゃないか。言ったんでしょう。ロッキードの資料要求が来たらおれのところへ言えと。それでなきゃ出すのをよせ、申し渡したんでしょう、総裁が。宇野さんはそんな悪い人じゃないよ。
  46. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) その点は私は申し上げておかなければいけない。私自身がそういう資料提出に対して圧力を加えるようなことは絶対にいたしませんし、ございません。私はこのロッキードの解明に対しても、最初から政治的圧力は加えないということを大きく言っておるわけでございますから、そういうことをいたすはずはないわけでございまして、どうか黒柳君も、何もかも皆総裁がやっているんだろうというふうに疑わないで、人間の善意は善意として信頼しないと、なかなか議会制民主主義というものはうまくまいりませんから。私が言っておるんですから、政治的圧力は加えないということをあんなに国民の前に言っておるんですから、そういうことを私が圧力を加えて、資料要求が来ても出すな出すなというようなことは言うわけはないわけでございます。御信頼を願いたいと思います。
  47. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 委員長、関連。
  48. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 矢追秀彦君から……。関連はやらないのですか。  黒柳君、発言の許可を求めて発言してください。立って発言してください。要求の回答がなかったら何度も再要求をしてください。
  49. 黒柳明

    黒柳明君 いまの答弁を……。公平な立場でしょう、委員長は。それを判断したでしょう、衆議院でも。参議院でも公平な立場判断しなさい。いまの総理答弁がおかしいということ、わからないですか。委員長は公平にやりなさい。
  50. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 黒柳君の御質問に対してお答えをいたしますが、国対委員長の名前はだれかということでございますので、私申し上げたようですが、宇野宗佑君であることはもう周知でございます。  それから、これは議院内閣制のもとにおける与党との間に連絡をすることはしょっちゅうある。これは当然のことですが、したがって、この資料要求というような場合に、こういうことにいたしましたという連絡をするということは、議院内閣制のもとにこれはあり得ることでございます。ただ、その場合に、言っておきたいことは、その連絡というものが、指示を受けるとか、それで圧力をかけるという、そういうことはございません。それはすべきものではないわけです。連絡をしたということであって、圧力とも、指示を受けたともいうような答弁でなかったと私は記憶いたしますが、やはりこのことは大事なけじめでございますから明らかにしておきますが、与党としていろいろ連絡をする場合は多くございますが、指示とかあるいは圧力を加えるというようなことは、これは絶対にいたすべきものでもございませんし、そういうことはございませんと、黒柳君に申し上げて御理解を願いたいわけでございます。
  51. 黒柳明

    黒柳明君 私の質問の議事録、すぐそれじゃとってください、何て質問したか。そんなこと言っていませんよ、そんな質問していませんよ、私は。だからよく聞いてくださいと念を押したじゃないですか。そうじゃないんですよ、総理。協議、相談、あたりまえだ、そんなことは。
  52. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 黒柳さん、質問の要旨を座ったままもう一遍言ってください。
  53. 黒柳明

    黒柳明君 そうですか。それじゃ座ったままやらせていただきます。委員長の許可がありましたので、済みません、横着ですが座ったままやらせていただきます。  官房長に対する私の質問、だから聞いてくださいよと念を押しましたですな、自民党国対委員長の許可がなきゃだめなんでしょう、そのとおりです、いろいろ特殊な要件ですから協議していますと。建設もそのとおりですと。自民党国対委員長の許可がなきゃならないと、こう踏まえているんです。ちゃんと発言しているんです。だから私、もしそうかいなんておっしゃるのならすぐ議事録をとってくださいと言ったんですよ。正確にやりましょう。それじゃ委員長、もしね——総理、こっちを見てください。正確にやるんだったらすぐ議事録を、いまのところだけ質問をとっていただきましょう。
  54. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 黒柳君ね、速記録をとるまでもなく、これを読んだのでしょうから。これはこういうふうに答えておるわけですね。本件は異例な要求でもあり、また議員のいわゆる個人要求でもありますので、与党国対に連絡をしたと、こう答えておるんです。
  55. 黒柳明

    黒柳明君 そんなことは私聞きました。私の質問ですからよく聞いています、総理以上に。
  56. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) だから、指示を受けたとか、自民党の同意を得ることが必要であるとか、あるいはまた圧力を受けたということは、そういうことはないわけで、連絡をすると。連絡をすることは、議院内閣制のもとにおいて与党と連絡をすることはこれは当然のことでございます。いま問題は、同意を必要とするとか指示をするとか、指示を受けるとか圧力を受けたとかいうことは、これは適当でございませんので、その点はいまここで答弁した本人自身も、連絡ということ以上にそういうことは何も申しておりませんと言うのですから、御理解を願いたいのでございます。
  57. 黒柳明

    黒柳明君 もう一ついいですか、いや、いまの関連ですから。おかしいんですよ、委員長。だから正確にやるならぼくの質問速記録をとって見せなさいと言っているのに、勝手なことばかり発言しちゃ困るじゃないですか。質疑は発展しませんよ、これじゃ。だって、国対に相談して出なかったことは事実じゃないですか。事実じゃないですか、それだって。さっき言っていますよ。だから速記録を何だったらとりなさいと言っている。それに対して答弁がおかしいから座ったままでといってやったんじゃないですか。おかしいです、そんなこと。
  58. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 答弁があったんですから、再質問を立ってやってください。
  59. 黒柳明

    黒柳明君 やりましょう。だけど総理国対の、百歩譲って協議だとしたって、出なかったことは事実じゃないですか。事実じゃないですか、出ないことは。
  60. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは運輸省としての判断によったわけで、自民党国対委員長の圧力を受けたから出さないことというのではなくして、運輸省自身の判断によってそのように決めたものであると、こう私は考えております。
  61. 黒柳明

    黒柳明君 そうじゃなくて、そうじゃなくて要するに官房長の方は、私は国対委員長の許可待ちですねと言ったら、そういうふうに言ったんですよ。建設省の官房長でそのとおりですと。だから議事録をとれと、こう言っているんじゃないですか。さらに私は百歩譲ったって、オーケーが出てないじゃないですかと言うのですよ。その事、実ははっきりしているんじゃないですか。だから速記録をとってよく調べてください。一方的に勝手ないいことばかり言っちゃだめですよ、そんな。事実なんです、これは。ぼくの一番初めの質問から速記録をとってごらんなさい。そのとおりですと言っていますよ。
  62. 山上孝史

    政府委員山上孝史君) 先ほどお答えいたしましたことをもう一回繰り返させていただきます。  先生の御要求交際費とは、儀礼的社交的な意味で支出する一方的贈与的な性質を有する経費と定義づけられているとおり、本来その内容の詳細を公開すべき性質のものではないと考えられております。こういう事情で、本件は異例な御要求であり、また先生のいわゆる個人的要求でございますので、与党国対に連絡をいたしております。  以上でございます。
  63. 黒柳明

    黒柳明君 また譲りましょう。譲歩しましょう。なぜ連絡する必要があるんですか、与党国対に。なぜ連絡する……。  福田自治大臣、済みませんな、また。あるいは竹下さんでもいいですよ、国対をやっているんですから。連絡を受けたことなんかありますか、そんなことで。野党の資料要求についてしたことがありますか。ちょっと一言で結構。済みません、前のことで申しわけないですな。いまはロッキードのことなんで次元が違いますよ。そんなことは全くないと思いますよ、自民党国対で。
  64. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 従来、資料要求、特に私の経験で思い出しますと、交際費につきましてはいま申しましたような性格でございますので、大体自民党国対の方へ連絡をいたしますと、自民党国対の方から野党の国対のお方にお話をして、それから私なら私が出かけまして、そして野党の国対の方と話をつけて、そうしてこの資料はこういう理由で出せませんとかということをお話ししておるのが国会運営を円滑に行う場合必要なことではないかと、それだけでございます。
  65. 黒柳明

    黒柳明君 そうすると、野党の議長の正式な行政府に対する資料要求に対して、自民党国対というのは裏で話し合いをやると、こういうことですか。
  66. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 私の所管でないものですから非常に遠慮しながら物を言っておりますが、事の性質上これはなかなか出せない資料でございますとかいうことは、私なりが野党の先生のところへ参りまして、いままでも御説明して御理解をいただいた例が幾らかございます。
  67. 黒柳明

    黒柳明君 それじゃこれは竹下さん、担当外で申しわけないですね、防衛庁にも運輸省にも全部資料要求、たとえば三十二のうち十四出てこないんです。二十八のうち二十四出てこないんです。これは一私のことだけじゃないんですよ。どうです。これ全部やっぱり自民党国対はやるんですか、そんなこと。交際費だけじゃない。
  68. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) その種のことは自民党国対で全部チェックするわけのものでも何でもございません。ただ、先生方に、これはこの種のもので出せないというような理解をしていただく場合、国会対策筋を通じて、あるいは私が歩いて御了解を得たと、こういう例はたくさんございますけれども、元来、要求された、国政調査権に基づいて資料要求をなすったものに対しましては、これはできる限りの御協力を申し上げるというのが当然のことであると。ただ、いま答弁しております中に、所管外でございますので、何だか国対官房長官と一緒になったようなお答えをしましたことはきょうの問題の性質上お許しいただきとうございます。
  69. 黒柳明

    黒柳明君 済みませんね、本当に。ロッキードで建設大臣若干時間があると思いまして、前の国対委員長の経験を……。  最後におっしゃった、総理ね、国対としては全部出るのはあたりまえだと判断する、あれがやっぱり真実。私何も運輸省——後で運輸省官房長をいじめないでくださいよ、各省の官房長の中で一番やっぱり良心的です。もうすべて聞いたんです。真実ですから言います、自民党国対委員長の許可がなきゃ出ませんと、真実ですから私は言いますと、はっきり言った、あの人は。二回も三回も念を押したんですよ。いいですか、総理、私はうそをつきません。総理以上にうそをつきません。言っている。それを踏まえて私がやるんです、やっているんです。運輸省や各並ぶ、それは建設官房長だってフォローしたじゃないですか。  この問題だけじゃないので、私は過ぎますよ、これを。しかし、政治的圧力をかけないかけないと言いながら、相談して出さないじゃないですか。交際費だけじゃないんですよ。防衛二十八件要求して出てこないのが十四件、運輸省三十二件要求して十四件。交際費だけじゃない。竹下さん、済みません。いいですか、圧力がかかっているんです。総理大臣、調べなさい。宇野さんが私そんな悪い人じゃないと思います。ロッキードという大きな事件の中でこれがこうやらざるを符ないんです。その中で官房長の中で一番正面なのが運輸省官房長なんです。あえてそれを言ったんです。いいですか、総理、それはよく自覚してくださいよ。本当に私は総理の善意を買うんです。だから言うんです。いいですね。ほかの官房長が発言しないのはおかしいんですよ。某官房長——いえそんなことはありませんよ。とんでもない、各省庁全部同じです。政務次官から口頭で言われています。はっきり言っているんですから。そういうことです。ひとつこの問題、国対委員長に申し渡しなさい、事実なんですから。いいですか、相談させることがおかしいですよ。相談してこれを出さないことはなおおかしい。交際費だけの問題じゃありません。ひとつこれに対してしかるべきすぐ手を打ちなさい。それでこの場で発表しなさい。
  70. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いま私が聞いておった、官房長も連絡をしたと。連絡は、政府・与党としていわゆる連絡はあってしかるべきだと思いますが、それで指示をしたり、同意しないものは出してはいけぬぞとか圧力を加えるようなことは絶対にこれはいたさない所存でございますから、さらに念は押しておきます、この点は。また、この資料要求も、国政調査権というより個々の議員の方の資料要求というものがたくさんに出るわけですね、黒柳君御承知のように。そういうものに対して、こういう資料要求が出たというようなことに対して、運輸省の考え方も述べるような連絡というのは与党にあってしかるべきだと思いますが、それが同意を得なければ出せぬとか、圧力を加えるというようなものがあってはならぬと考えますから、今後ともそういうことに対しては十分な注意を与えることにいたしたい。
  71. 黒柳明

    黒柳明君 そこで、私がこの問題をまず取り上げてはさんだのは、きれいごとを言って、それは総理総裁の目が届かない点があるかと思いますよ。そういうところで圧力がかかっていたのじゃ、資料が出てこなかったのじゃ道義的、政治責任国会で追及するといったってできないじゃないですか、そんなものは。これも発展させていきます。そこまできょうテーマを提起したのですから、やりなさい。  そして私は、福田総理が大蔵大臣だったときの共和製糖事件、これをちょっと例に出したいんです。あのときの例を出すまでもありません。三木総理も当然御存じです。当事者の福田さんは大蔵大臣ですから、あのときは。あのときは、この共和製糖事件刑事事件です、そうですよね、当然ね。で、国会に対して四十一年九月二十九日、政府責任において本問題の実態を調査する旨の答弁を行った。それに対して農林及び大蔵は直ちに調査に着手してこの報告書をまとめた。御存じのとおりですな、当時の大蔵大臣ですから。これに基づいて国会審議をやった、こういうことがあるんです。いまのロッキードと観点が違うかもわかりません。しかしながら、政府がこういう問題に対して報告をまとめたんですよ、まとめさせたんですよ、故佐藤総理大臣は。亡くなった人のことを言うのはちょっと失礼かと思いますが、あまりいい政治をやらなかったと思います。しかし、一本筋は通っているでしょう。やっぱり総理総裁としての実力はあったんでしょう。問題だ、すぐやりなさいと命令して、総理大臣権限でこの刑事事件守秘義務の壁を破るような報告国会に出した。これはもう間違いありませんね。福田総理、ひとつこれはもう事実関係ですから。
  72. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 共和製糖事件というのは、私がIMFの総会のためにアメリカへ行っておるその最中に起こったんです。その最中の出来事の詳細は記憶しておりませんけれども、そこにそういう資料があるとすればそれは事実と、かように考えます。
  73. 黒柳明

    黒柳明君 そういうことなんです。要するに総理総裁が、故佐藤総理大臣が閣議でこの問題の調査を命じて国会にも報告出させた。これに基づいて審議した。いまだってこれをできないことばないじゃないですか、総理大臣権限で。守秘義務はありますよ。あるいは法的な四十七条のこともありますよ。これはできないことはないんですよ。佐藤内閣の姿勢だってこういうことをやったじゃないですか。それから見れば全く後退じゃないですか。いっこういうレポートがまとまるのですか、政府として。
  74. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私、後退だとは思わないのです。今度の場合は、あの問題を提起されたのはアメリカの上院でございますから、そして、いまその資料もどれだけ役立つか、日本の独自の捜査活動によっていろいろな裏づけもなされなければならぬでしょう。そういう捜査がいま進行しておるさなかに、守秘義務を破って、佐藤さんのときにどういう例があったか知りませんけれども、これは国政調査だから、そういうものを政府責任において出すべきではないかと。しかし、野党も望んでいられるのは真相の究明ということでしょう。だからこの際はできるだけ捜査に対しては何らの政治的圧力などを加えないで、思う存分捜査活動をやらすということが現在の時点として適当でございますから、それを総理大臣責任において守秘義務の壁を破ってその資料国会提出をして、今日の段階で国政調査に対して便宜を図れということは、私はいまの段階で適当ではないと、このように考えます。そういうことでございますから、そういうことをすればやっぱり捜査の活動の障害になることは黒柳君お考えになってもおわかりのとおりですから、前例がどうあるにしても、この場合、国政調査には最善協力をしようと思っておりますが、そのためにいま捜査の過程にある資料公開して国会審議の便宜を図るということは、今日の段階で私は適当でないという考えでございます。
  75. 黒柳明

    黒柳明君 これがつくられてから二日後に野党から告発しているんです。告発前なんです、これをつくられたのは。それぐらい前向きだったんですよ。いま捜査——捜査以前においてこういうものを政府はつくるという前向き姿勢があったんでしょう、共和製糖のとき。いまは全くないじゃないですか、何にもそんなもの。捜査中、捜査中。  それじゃ聞きましょう。国税庁、マニ・トラ銀行にガサ入れたとき、手入れしたとぎ、香港のディーク社からマニ・トラを通ってアメリカの本社に、一説には八十億のうち七十二億還元されたとか、一説には九十億のうち八十億還元されたとか、こういうことが新聞にはでかく出ていますね。これについてどうですか、事実関係は。
  76. 中橋敬次郎

    政府委員中橋敬次郎君) ただいまお示しの外国銀行につきまして、私どもの方では調査いたしておりません。
  77. 黒柳明

    黒柳明君 資料が向こうから提出されましたね、それに基づいて。
  78. 中橋敬次郎

    政府委員中橋敬次郎君) 資料も取っておりません。
  79. 黒柳明

    黒柳明君 警察の方ですか、これ。銀行ですか、大蔵ですか。
  80. 吉田六郎

    政府委員吉田六郎君) 外為法の関係で、関連としまして事情は一応お聞きしました。
  81. 黒柳明

    黒柳明君 だから、金の流れについてはどうですかと言うんです。
  82. 吉田六郎

    政府委員吉田六郎君) 流れにつきましては、いま具体的な点は申し上げることを差し控えさせていただきたいと思います。
  83. 黒柳明

    黒柳明君 そうでしょう、総理。あれだけ各紙がみんな書いているものですら国会には出てこないでしょう。何を国会で道義的、政治責任を追及しろ、出そうと言うんですか。総理、たとえばこっちに来たら何を質問しますか。私はそんな要求じゃないですよ、たとえばの例ですよ、何を質問しようと言うんですか。何から何まで全部だめじゃないですか。あれだけマスコミが書いている事実だって、政府の手に入れば捜査中、捜査中。だから、こういうものでも出さなきゃ、政府が何かやらなきゃだめだ。やる姿勢もない、そういうものを。調査する姿勢もない。あるいはやっていても、捜査中、捜査中。あるいは、それを突破する総理の意欲だってあるのかどうか、出てこない。どうですか。だから共和製糖という一例を引いて、こういう佐藤内閣の例があるじゃないか。できるんです、総理総裁、閣議決定すれば。どうです、総理
  84. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ黒柳君、何回繰り返されましても、この際いま捜査が始まっている途中で資料国会公開するということは、これはやつぱりだれが考えてみても捜査の妨害になることば明らかですから、手の内見せるようなもんですからね、そのことは御理解を願いたいわけでございます。だから、議長裁定の中に捜査推移を見てというあの言葉が入ったのは、やはり議長裁定の中においてもそのことを頭に入れた裁定で私はあると思います。  そういうことですから、私は何もこれを、黒柳君、私の決意というものは信じてもらいたい。これは逃げようとして言っているのじゃないんですよ。どこの国でも、捜査の途中で資料を全部公開するということは、幾ら国政調査権といってもそういう国はどこの国でもございません。これはやはりいまわれわれがやりたいのは、刑事上の責任というのはきわめて大きな責任ですから、これを徹底的に究明するということでございますから、捜査当局を信頼して、ひとつ全力を尽くしてくれということをわれわれが常に督励をしておるわけで、そうして早く迅速に問題の徹底的解明を図る、これを政府が督励しておるという立場であって、国政調査権という名のもとにその資料を皆国会にいまの段階で出せと言われることは、私はやはり適当ではない。私は協力したいと思いますよ。したいと思うけれども、協力にも、国政調査権といったら捜査の妨害になることでも全部これを出すというわけにはいかぬことは当然でございます。
  85. 黒柳明

    黒柳明君 要するに、総理は検事総長でもなければ東京地検の特捜部長でもないんです。政治判断でできる立場にあるただ一人の人なんです、いま。国民はそれを期待し、またそれがなければ灰色高官名が出る可能性がだんだん少なくなりつつある。だから私何回も繰り返している。この問題で具体的に入らないと時間がなくなります。具体的に入ります。  私は証人の問題、二月十六日、十七日、三月一日、テレビを通して大多数の国民の皆さんがあの証人の問題を聞いた。野党はすごく詰めをやった。大した成果を上げた。ところが反面、知らぬ存ぜぬでこれはどうなるのかと、こういう疑惑もあったことは間違いありません。そこで運輸省、私は、まず若狭全日空社長の証言、これについて、もう言うまでもなく衆議院予算委員長質問に対して、エアバスの導入の延期について日航から一年延期しようという申し入れがあった、あるいはわが党の近江議員質問に答えて、もうすでに四十六年二月には日航は導入の延期を決めていたんだ、こう言った。運輸省はこれ調べたと思います。運輸大垣、事実関係をひとつ報告ください。
  86. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) 衆議院の証人の段階で若狭社長が、日本航空が全日空が延期する前にすでに延期をしたという意味の証言をいたしておることは承知いたしております。それを聞いてみましたところが、日本航空の方から全日空へそういう申し入れがあったのではなくて、当時の松尾社長が四十六年の二月ごろ、新聞にも出ておりますが、みずからそういうことを言っておるということでございます。日本航空の方にもそれを照会いたしましたが、日本航空の中でそういう記録したものはない。ただ松尾社長が二月に、新聞記者発表ですか、どういうかっこうか知りませんが、新聞でそういうことを言った、こういうことでございます。
  87. 黒柳明

    黒柳明君 だから、日本航空が一年延期を決定した事実もなければ、日本航空から全日空に申し入れた事実もない、ただ単にこの某紙の松尾社長という、この談話を引いて若狭さんが言っただけだ、根拠もない、こういうことでいいですね。
  88. 中村大造

    政府委員中村大造君) お答え申し上げます。  二月ごろに日本航空が導入の延期を決定した、こういう事実、それから全日空に対しまして導入延期の申し入れをした事実、こういう点につきまして現在までの調査では確認がされていない、こういうことでございます。
  89. 黒柳明

    黒柳明君 要するに、若狭さんの証言を裏づけるものはない、運輸省の調査では現在までない、そういうことですね。  それとあわせてもう一問。それじゃ決定じゃなくて、日航の中で内定みたいなものが、内部手続もあったのかどうか。その点もう一つあわせて。
  90. 中村大造

    政府委員中村大造君) 日航内部で延期が決定あるいは内定された事実というものも確認いたしておりません。それから日航から全日空に対して申し入れをした、こういう事実も確認されておりません。
  91. 黒柳明

    黒柳明君 法務大臣、お聞きのとおりです。非常に、これは当然手続上衆議院の場で行われたのですから衆議院委員会の決をもちまして告発という事、実につながって偽証罪になると思いますが、はっきりその事実はなし。荒舩委員長、わが党の近江委員に、二回もでたらめを言っている。私はそう指摘したい。これは当然、まだ手続はとられていませんけれども、いまの発言で偽証罪の例になるのじゃなかろうか、こう思います。いかがでしょうか、法務大臣
  92. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 御承知のとおり偽証罪は、起訴するかの条件起訴条件には、正式な告発がなけりゃ起訴できない法律になっていますから、まずそちらの方をお先にお願いしたいと、こういうことを申し上げておきます。
  93. 黒柳明

    黒柳明君 だから、いまの例はそういう例に当てはまるんじゃないでしょうかという感触を言っていただけばいいです。
  94. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) 若狭社長が証言の場で言った発言の仕方がいろいろ恐らく問題にされておると思うんです。このときにこういうふうに言っているんですね、「むしろ日本航空の方が、われわれよりも先にその導入を一年延期しようということを当時の松尾社長が申し出されたわけでございます。」と、「申し出された」という表現になっておりますので、いろいろそこが御議論のところと思います。申し入れをしたとは言っておりませんから、あるいは松尾社長が新聞で言ったことを申し出たというふうに言われたのか、その辺は御判断をいただけばよろしいわけですが、表現はそういうことになっております。
  95. 黒柳明

    黒柳明君 関係ないです、いまのことは。要するに事実ないんです。はっきりしているんです。いいですか。感触。手続をとることは知っています。それを前提にしてと私は言った。完全にこれ、ないと言うんです。こういう事実、それを前提にしてどうでしょうか。
  96. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) さっきの答弁は、起訴する場合の条件としてはこうなっていますということを私申し上げたんですね。それから告発がなくても、捜査できないなんということを言うていないんですね。ですから、恐らくあれだけの国政調査権に基づく衆議院予算委員会のああいう証言を聞いて、捜査当局たるもの、ぼさっとはしていないだろう、報告は受けていませんけれども、そういう性質のものではないかと、こう思いますが、どうでしょう。
  97. 黒柳明

    黒柳明君 だから、もう一歩、どうでしょう。じゃ捜査当局法務大臣言葉をかりるが、ぼさっとしていたか、していないか、答弁してください。
  98. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) 御案内のとおり、検察当局ではロッキード事件の全貌の解明のために鋭意努力中でございまして、国会の証人尋問の経緯、経過は重大な関心を持って聞いておりまして、十分にそれに関心を持っておることでございます。また、国政調査権行使が尊重される以上、偽証という罪が軽々しいものでないことも間違いはございませんが、いずれにいたしましても、冒頭申し上げましたとおり、ロッキード事件の全貌究明という観点から、全貌について鋭意調査中でございます。この段階におきまして、黒柳先生御指摘のことにつきまして偽証罪が成立するかどうかということを、いまの段階で申し上げることだけはひとつ御勘弁を願いたいと思います。
  99. 黒柳明

    黒柳明君 成立するかどうかなんて私言っていない。そういう感触はどうですかと。するかしないか、手続はないじゃないですか、まだ。
  100. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) 感触ということが、犯罪が成立するかどうかという感触かというふうに私はとりましたものですから、そういうことをいま申し上げる段階ではないと、こう申し上げたわけであります。
  101. 黒柳明

    黒柳明君 じゃ、この事実はつかんでいますか。この事実はもうおつかみでございましょうか。
  102. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) 事実というのは、要するに若狭社長の証言が虚偽であるということ、したがってエアバス導入の経緯、経過というものの真相を究明したかどうかということのお尋ねということになりますれば、いまの段階は、まだそういうことにつきまして経緯をつかんだということを言える段階ではないということを御理解願いたいと思います。
  103. 黒柳明

    黒柳明君 いやいや、日航の裏側だけしかぼく言っていませんよ。日航が否定しているという事実をつかんでいますかということを言っているんですよ。
  104. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) 先ほど冒頭申し上げましたように、こういう全貌につきましては究明をいたしておる段階でございまして、各関連の事実につきましては鋭意事実の調査をしておることと存じますが、私はそのことにつきまして直接報告を受けておりませんので、つかんだかどうかということをいま申し上げることはできません。
  105. 黒柳明

    黒柳明君 わかった。そこで総理が必要なんですよ。運輸省はちゃんと調べてない。肝心の捜査当局になると知らぬ存ぜぬ。だから総理が必要なんですよ。どうなんですか、この真偽は。運輸省は事実がないと言っているんじゃないですか。捜査当局になると、これだけ簡単なことだって目下捜査中、捜査中。どうなんですか総理、はっきりしてください。こんなことで進まなかったら大変、ロッキードの問題が。事実ははっきりしているんじゃないですか、日航は否定し、全日空だってわずか一枚の、根拠がないものでやっているんです。全日空だって認めているんです、そんな事実はなかったと。運輸省は言っているんじゃないですか。それが今度は刑事局長になりゃ捜査中、捜査中。何を言うんですか。またさっきの繰り返しじゃないですか。これで国会審議を進めろと言うんですか、総理。こんな子供だましみたいなことはやめてくださいよ、法務大臣。怒りますよ、私だってそろそろ。
  106. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) やはり刑事上の責任の追及というものは、いま捜査当局で鋭意やっておるんですから、それはやはり捜査の過程においていろいろ御質問があってもお答えしにくい点があることは御理解を願いたいわけでございます。ただしかし、国会の御審議の場合は、刑事上の責任でいま追及しておるそのいろんな資料というものが手に入らなければ国会審議はできぬという性質のものでもなかろうと思います。黒柳君もいろいろいままで御質問をされておるわけですから、どうしてもやはりこういう問題は、今度できます特別委員会などにおいても、こういう政治の側面からいろいろ究明をしてしかるべき問題があると思いますが、捜査当局がいま捜査しておる内容については一々申し上げられる段階ではないと思いますが、また、このロッキード問題を通じて刑事的な側面ばかりでなしに、政治的な側面は確かにいろいろあると思うし、この国会においてもそういう側面からの問題提起は私は多かったと思います。それはひとつ特別委員会などにおいて十分政治の側面からは究明を願いたいと思うわけでございます。ただ、刑事上の責任追及について、いま捜査中の問題については、なかなか資料を明らかにすることはできない段階があるということは御承知を願いたい。
  107. 黒柳明

    黒柳明君 それじゃ総理は、これ聞いておかしいと思いますね。法務大臣はそれじゃこの資料で十分に告発の動機になり得ると、こう判断しますか、二人あわせて。総理、いまのことはおかしいと思いますか。まず総理から。
  108. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) だから、やはり真相は徹底的に究明すべき必要があると思います。
  109. 黒柳明

    黒柳明君 おかしいと思いますかと言うんです、おかしいと思いますかと。このぐらいのことはせめて言いなさいよ、おかしいと思うか思わぬか。
  110. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いろいろ御答弁をしたんですけれども、黒柳委員はなかなか御納得がいかないということは、まだやっぱりいろいろ疑問に答えていない面があるからだと思いますが、これはやはりいろんな場において追及されて、黒柳君自身も御納得のいくようなことが必要であると……
  111. 黒柳明

    黒柳明君 そうじゃない。おかしいと思いますかって言うんです。運輸省が調査して、これはないということについておかしいと思いますかと、全く単純な質問じゃないですか。こんなことを言ったって大丈夫です、もうその次やりませんから。おかしいと言えばやりませんよ。大丈夫ですよ、そんなことは。心配ないです。おかしいに決まっているじゃないですか、こんなことは。そこまで憶病にならなけりゃならないのか。そこまで疑惑を内在させなきやならないのか。そんな必要はないでしょう。おかしいじゃないですか、明らかに。(「常識的に答えればいいんだよ」と呼ぶ者あり)いまのとおりです。
  112. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私からそれならお答えをいたしましょう。  それはおかしくないか、おかしいかという価値判断というものを私がすることはこれは適当でないと思いますが、いろいろ真相については解明をして疑惑を解かなければならぬと思います。運輸省も皆お答えをしておるわけで、それが運輸大臣が答えることがおかしいというような価値判断を私はすることは適当でないと。それが御納得のいかないようなことがあれば、十分に真相の究明をしていただきたいと思うわけでございます。
  113. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 告発に十分理由があるかどうかと私に聞かれますけれども、それは国会が御判断になることでありますね。  それからもう一つ、運輸省のおかしいと思うかどうかと言っても、それは所管が違いますから。そうして私の立場といいますか、法務大臣という。これは一般事件については指揮権があり、具体的事案については検事総長を通じて指揮権を持っている私として、おかしいと思うとか、おかしいと思わぬとか、そういうことはやっぱり影響しますからね。法務大臣はおかしいと思っているのだからやらにやならぬかとか、おかしく思わぬと言うのだから捜査をやめようかとか、そういう非常に悪い影響を与えますので、そういうことを申し上げるわけにはまいりません。
  114. 黒柳明

    黒柳明君 全くこれは驚いたことでありまして、政府のあれだけの裏づけ発言があって、居並ぶ大臣が全くそれをはぐらかすなんていうのは、これはどうなんですか。福田総理、いまのことを聞いておかしいと思うでしょう、常識的に。常識で結構、常識で。福田総理ならおかしいと思うでしょう、常識的に。
  115. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) それは私違うと思いますよ、私は……
  116. 黒柳明

    黒柳明君 いやいや、聞いたのは福田総理に聞いたの。おかしいと思いますかと、それだけ聞いたの。違いますよなんて、法務大臣答弁をおかしいと言ったんじゃない。
  117. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 答弁がちょっと聞き取れないんじゃないでしょうか。
  118. 黒柳明

    黒柳明君 要求していないのに黙って聞けとは何よ。反対だよ、要求していないのに黙って聞けとは何よ、反対じゃないか。委員長要求していないのだから、はっきりしてくださいよ、要求してないじゃないか。委員長、はっきりしないとだめだ。
  119. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 黒柳さんが、おかしい、おかしいとおっしゃっておられる、その筋道、論理は私はよくわかりました。が、これに対する政府の見解、これはただいま法務大臣から申し上げたとおりでございます。
  120. 黒柳明

    黒柳明君 まあ、この中ではやっぱり福田総理が一番、失礼ですけれども、素直だ。論理がわかったということは、おかしいことがわかったということになるのですから。まあしょうがない。本当にこれじゃ私たちが精力的に調査してやったって、国会で道義的責任灰色高官名を出せと要求するの、言う方が無理じゃないでしょうか。だけど、私は弱気にならないでさらにやりましょう、それじゃ。  委員長、いま言った事実、委員長は正確に判断してください。ひとつそれを理事会で検討してください。これだけのことがあった。でき得るならば衆議院の方にもこういう事実があったんだよと、告発しろとかしないとかじゃないですよ、そういうことも申し入れする準備もしてください。一回その点理事会で諮っていただけますか。
  121. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 理事会で協議をいたします。
  122. 黒柳明

    黒柳明君 ありがとう、結構です。  そこで、さらに発展します。なぜ若狭社長はこれだけわかり切っていることを、うそを言わなきゃならぬのか、問題なんです。うそなんですよ、若狭さんの発言は。なぜか。それがその次の後段ですよ。問題はここなんです。  そこで、捜査当局運輸省に対して事情聴取していますね。
  123. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) 昨日もこの委員会で申し上げましたように、関係人、参考人として百人以上の者を東京地検で調べておりますので、具体的に報告は受けておりませんが、関係省庁の方々もその中に入っているものと私は思います。
  124. 黒柳明

    黒柳明君 関係省庁が入っていると。報告を全然受けてないんですか。もう報告を受ける時期に来ているんじゃないですか、これだけ国会で問題を提起されたら。どうですか、もう報告を受けたらどうですか。
  125. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) このことも昨日申し上げたことでございますが、本件はアメリカ関係者が多数おり、証拠が存在するということから、あるいは公開捜査のような形をとらざるを得なかったような事情というようなことから、捜査としてはきわめて困難な捜査でございまして、いまの段階はむしろアメリカから入手いたしました資料等を検討して、いわゆる資料の調査検討の段階であると承知いたしておりますので、詳しい報告はまだ受けておりません。
  126. 黒柳明

    黒柳明君 まだ相当来る予定ですか。
  127. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) いまのお尋ねは、アメリカ方面から資料がなお入手できるかというお尋ねと思いまするが、現在のところ、はっきりした見通し等はございませんし、また資料が受けられるかどうかを申し上げることも、遺憾ながら捜査上の秘密でございますが、可能性といたしましては、日米実務取り決めによりまして、アメリカの司法省が入手する本件関係資料はなお将来とも入手することができることになっております。
  128. 黒柳明

    黒柳明君 それから、さっき言った、もうそろそろ聞いたらどうですかということはどうですか。
  129. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) 先ほど法務大臣が申されましたように、検察当局から、法務大臣は指揮監督権に基づきまして報告を受ける立場におられますが、できる限り検察当局捜査に信頼して、その独立性を尊重するという意味で自発的な報告をいま待っている段階でございます。
  130. 黒柳明

    黒柳明君 自発的な報告というのはいつごろになる予定ですか、推測で。
  131. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) これも先ほど申し上げましたように、相当困難な捜査でございますので、そういう意味におきまして、見通しを通常の事件のようにつけるわけにはいかない事案でございます。
  132. 黒柳明

    黒柳明君 法務大臣、このいまの提起された問題だけでも一回事情を聞いてもらったらどうですか、捜査当局にいま提起された問題。
  133. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 私としては、総理大臣もしばしば答弁されているように、一人の政党人ですからね、法務大臣も。ですから、そういう政党関係、それから政治的なこういう干渉がましいことになることを一切慎んで、全く厳正公平、しかも不偏不党ということがこの事案については一番私は必要だと思うのですね、この事案は。ですからそういう点で、報告しなさいとか、こっちから働きかけないで、向こうのやっぱり自主性、自発性ということを尊重した方が私はいいと思っているのです。どうぞ御理解を願います。
  134. 黒柳明

    黒柳明君 だけど、国民注視の場の国会でこう問題を提起されたんだからどうですかという前提があるのですよ。
  135. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 捜査当局は非常に熱心にやっておりまして、したがって、きょうのあなたの質問なんかについてもテレビでやっているでしょうから、連中、これは見ていると思いますよ。国会の証人喚問のときは、首脳部そろってずっと飯も食わずに見ておったのだから。そのくらい熱心なんですから、あなたのこういう御質問については必ず感ずるところあって、自主的に報告のあるものと私は思いますね。そうなると思います。  あなたが非常にじりじりされる、歯がゆいと思われることは非常によくわかりますけれどもね、それがために資料をさらけ出したりして、本当に責任の追及ができなくなるということは非常に困りますから、非常に私もそのあなたの気持ちはよくわかるけれども、そこはじっとがまんをして、そうして捜査に支障のないように、真相が早く迅速に、しかも厳正に追及されるように祈っている、こういうのが私の法務大臣としての立場です。
  136. 黒柳明

    黒柳明君 あのね、笑いが起こりましたけど、笑う場所じゃないですよ。私の腹の中じゃ怒りが煮えくり返っている。言葉も出ないぐらい怒っている。では運輸大臣から事情を聞きなさい、同僚だから。捜査当局じゃなくてもいい、運輸大臣から。知りたいでしょう、いろいろなこと。どうですか。
  137. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 運輸大臣から聞くということはちっとも差し支えないことですから。もっとも差し支えない。
  138. 黒柳明

    黒柳明君 運輸大臣、それじゃごめんどうでしょうけれども、よく事情を説明してください。捜査当局から聞かない、自発的の報告を待つ、そのぐらい厳正中立な姿勢で臨みたいというんですから。同じことですからね、いまのことですから。ひとつ運輸大臣説明してやってください。また、運輸大臣は当然これをお調べになった当事者ですから、おかしいと思っているんでしょうからね。どうぞ運輸大臣ひとつ。
  139. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) 法務大臣にはいつでも話せますが、先ほど申し上げたようなことで、二月ごろに松尾社長が、社長として新聞記者発表をしたという事実もあるということでございます。それから若狭発言の表現の仕方についてはいろいろ議論があると思いますが、そういう事実でございますということでございますので、これをどう判断するかは警察当局なり法務当局が判断されればいいと思います。
  140. 黒柳明

    黒柳明君 航空局長、こんな松尾社長の談話なんて関係ないので、ないということでいいですね。何か変な、大臣が出てくるとおかしなことになっちゃう。内定も決定もないということでしょう。松尾談話なんか関係ないでしょう。内定も決定もないと、これはいいでしょう。何か松尾談話なんか出しますが、談話のことじゃないでしょう、そんなものは。
  141. 中村大造

    政府委員中村大造君) 松尾社長が当時エアバスの導入を延期しようという発言をされたという記事が当時の新聞記事にあったと、こういう事実はございます。それだけでございます。
  142. 黒柳明

    黒柳明君 だから、内定も決定もないということはいいでしょう。もう一回言ってください、わかりやすくするために。
  143. 中村大造

    政府委員中村大造君) 当時、日航の内部で導入を延期したという決定ないしは内定をしたということの確認をわれわれは得ておりません。
  144. 黒柳明

    黒柳明君 大臣、もう一回。最高責任者の大臣、もう一回。
  145. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) いま航空局長が申し上げたとおりで、内部で決定したとかどうとかいうことば確認はいたしておりませんが、いやしくも当時の代表者であるところの社長が言ったという事実はございますということでございます。
  146. 黒柳明

    黒柳明君 それを信用していますか、大臣。裏があるということではっきり調査しましたか。言っていますなんて断定していますけれどもね。
  147. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) これは松尾社長がおられませんので、御本人に究明するわけにいきませんが、事実としてそういうことであるということでございます。したがって、社長が発言する場合には、あるいは社長の責任で言うこともありますし、内部で相談することもありますし、それはいろいろあると思います。
  148. 黒柳明

    黒柳明君 これですね、この新聞。まあ問題になるのであれしますけれども、これを根拠あるとあなたは言うんですか、この松尾社長の発言を。根拠あると見るんですか。あるという事実だけなら私認めますよ、こういうものがあると。はっきりしなければだめだよ。話が発展しないよ。
  149. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) こういうことがあるかどうかということは、やっぱり本人に聞いてみないとわかりません。
  150. 黒柳明

    黒柳明君 あるという事実だけですね、言っているのは。
  151. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) そうです。
  152. 黒柳明

    黒柳明君 はっきりしなさいよ。そこで、あくまでもまたこの主流に入りますよ。一年間延期はなかった、航空局長のおっしゃったとおり。運輸大臣いいですね。内定もなかった。それに対して、どうですか、航空局長、四十六年二月ごろからエアバス導入について運輸省から日航、全日空に対しての何らかの行政指導をしたことがあるんじゃないですか。
  153. 中村大造

    政府委員中村大造君) 四十六年の二日初旬以降かと思いますけれども、全日空ないし日航に対しまして、エアバスの導入を四十九年ごろまで延期してはどうか、よく両社間で相談をしてほしい、その結果を報告してほしい、こういうふうな行政指導をしたということは、いろいろな関係のメモ等からそういう事実があったということは事実かと思います。
  154. 黒柳明

    黒柳明君 その日時、だれとだれか、そういうことはどうですか。
  155. 中村大造

    政府委員中村大造君) いつ、だれからだれにそのような意思表示をしたか、こういう点については現在までのところ、これを確認できないわけでございまして、ただ会社等に残っておりますいろいろな記録から、運輸省からそういう行政指導がなされたということは十分判断できるものがあるわけでございます。
  156. 黒柳明

    黒柳明君 もう総理、言うまでもありませんな。運輸大臣、言うまでもありませんな。PXL、さらにはエアバス導入の延期、これはもう重大問題ですね。コーチャン発言でも、時間をかせいだと。それには某々が力があったと証言しているんですからね、コーチャン証言。これに対して政府高官が介入し、何らかの賄賂が流されたという可能性も、これは推測でもう各紙あるいはマスコミ、私たちもそういう推測をしていますね。大きな問題です、この解明については。いま言った記録というのは具体的に、聞いてくださいよ、各大臣、いいですか、どういう記録ですか。
  157. 中村大造

    政府委員中村大造君) これは全日空あるいは日航にいろいろ残っております記録等の中に、当時運輸省からそのような意思表示をした、会社の方としてはそういうものを受けたと、こういうことが記録として残っておる、こういうことでございます。
  158. 黒柳明

    黒柳明君 日航、全日空ですか、運輸省の航空局ですか。
  159. 中村大造

    政府委員中村大造君) 運輸省の中には、その行政指導をした、当時そういう行政指導をしたと、こういうふうなことを証明し得る明確な資料はございません。ただ、全日空、日航の方に、運輸省からそういう行政指導を受けた、こういうことを証明し得る資料がある、こういうことでございます。
  160. 黒柳明

    黒柳明君 それはどういうふうにして今日わかったんですか。
  161. 中村大造

    政府委員中村大造君) これは航空局から両社に対しまして、運輸省行政指導をした、会社としてそれを受けたという何らかはっきりとした証拠となるものはないかということで照会いたしましたところ、こういうことですという報告でございます。
  162. 黒柳明

    黒柳明君 その記録、メモはどこにありますか。
  163. 中村大造

    政府委員中村大造君) その報告は両社から受け取って、現在航空局にございます。
  164. 黒柳明

    黒柳明君 それはどういうものですか。国会提出していただけますか。
  165. 中村大造

    政府委員中村大造君) これは全日空については、全日空の幹部がそういう行政指導があったことを裏づける発言を社内でしておる、そういう記録でございます。その記録を会社から運輸省に取り寄せたと、こういうことでございます。それから日航につきましては、むしろ航空局のそういうふうな行政指導に対しまして、日航としてそれに対応策をいろいろ内部で検討を始めております。要するに、当時四十七年度からエアバス、大型ジェットを国内線に投入する必要がやはりあるんだということを、日航としていろいろ運輸省に反論をするために作業をしておる。そういうものが日航の中に残っておる、こういうことから当然運輸省がそういう意思表示をしたということは言えると、こういうことでございます。
  166. 黒柳明

    黒柳明君 国会提出について、どうですか。
  167. 中村大造

    政府委員中村大造君) 委員会で御検討いただいて、提出すべきものと決定いたされれば、提出をいたしたいと思います。
  168. 黒柳明

    黒柳明君 これはぜひ解明するためにも、大きな疑惑がここにあるんですから、理事会に諮っていただいて委員会に提出してもらいたい。どうでしょう、委員長
  169. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 理事会で協議いたします。
  170. 黒柳明

    黒柳明君 総理行政指導をしたと、一番ここが疑惑なわけです。もうこれは総理、よく知っているでしょう。閣僚協でもいろんな話が出たでしょう。エアバス、PXLのこと、白紙還元のこと、なぜ延期したのか。証人もあった、食い違いもあった、いまはっきりした。これについて行政指導したメモがある、それらしきメモがある、こういう発言ですよ。どうですか、総理、この見解をお聞きになって。これは大変なことじゃないですか、どうですか、総理。だんだん事実が出てくるんじゃないですか。
  171. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) そういう行政指導をしたということの全日空や日航に記録があるというわけでございますから、そういう記録なども委員会の要求があればお出しするということでございますから、そういうことで疑惑がある点については十分の解明を希望するものでございます。
  172. 黒柳明

    黒柳明君 そこで、ちょっと主題またそれますけど、委員会において解明するものである。またこれ、特別委員会云々と出るわけです。当然これからどんどん解明すべきものだと思いますけれども、私大きな疑問があるんです。各大臣の意見だって全くとぼけてますしね。事実関係が明らかになったって、これに対してふたをしようという姿勢。そこで、これから証人の喚問が続きます、特別委員会でも。あるいは参議院でも要求されています、予算委員会で。いままでのやっぱりこの証人法、議会における証人のこの方法、これについていろいろ問題があると思うんです。ちょっと間に差しはさみます。  事務総長、ひとつ私はこう思うんです。証言法の運用について改める点がないのかと。これから、いまの問題についても日航また全日空、いろんな証人喚問しなきゃならない。そこでね、間にはさんで、改める点があるんじゃないのか。関係者と弁護人との同席で協力させるとか、あるいは証人の資料要求を、院で議決して、委員長一任で院が要求できる権利を持つとか。そうしませんとね、知らぬ存ぜぬ、知らぬ存ぜぬで、どうしようもないんじゃないですか。また再び特別委員会に証人喚問したって、この政府のありさま、これだけ政府が確実な発言したって、いやいや、いやいやで、こう逃れちゃうんでしょう。まして今度は第三者の証人が来た場合に、何かしらの歯どめをしなきゃならない。私は衆議院のあれを見て、あるいは国民の皆さんもそれをごらんになって、うまくない。それを是正するにはどういう方法があるのか、ひとつそこをいま間にはさんで言っていただけますか。
  173. 岸田實

    ○事務総長(岸田實君) ただいま、弁護人を同席させる等、法律の改正をするようなことがないかということでございますが、弁護人につきましては、現行法上は、資格争訟につきまして被告議員が弁護人を依頼することができるという規定がございます。これは、資格争訟はまあ裁判類似のことでございますので特にそういう規定がございますが、証書法におきましては、そういう弁護人を付するということは認めておりません。アメリカ等におきましては、証人の人権を保障するという意味で弁護人を付するという制度になっておるというふうに伺っておりますが、わが国ではそこまでのことはしておりません。したがいまして、現在の段階におきましては、発言を許される弁護人を同席させるということは、これはちょっと法的にむずかしいと思いますが、たとえば証人が、発言は認められないにしても弁護人を同席させてほしいという希望があるような場合に、それを認めるかどうかということにつきましては、法規の規定もまた実例もございませんけれども、これは運営上の問題として、場合によっては委員会においてその同席を許可することを検討する余地があろうかと思います。そういう弁護人を同席させるということが証人に冷静に正しい証言をさすのに役立つということが認められるならば、運用上の問題としてこれは一つの方法であろうと存じます。  そのほかに、現在の現行法のもとにおきまする運用の問題として、この証人喚問の議事をどういうふうにしたらいいかという点でございますが、これは、一つには、公開委員会における証人尋問という形が、証人が真実を述べるのに妨げになっているというようなことが感ぜられるような場合であれば、あるいは証人あるいは証言の内容のいかんによりましては、今後秘密会を活用したり、あるいは小規模の小委員会において証言を聴取するとか、あるいは傍聴人の制限ないしはテレビ放映等実況放送を制限するということも運用上の問題として配慮されることが考えられると思います。  また、「知らない」とか「記憶がない」というような証人の発言が明らかに証言拒否ないしは偽証に当たるということが確認できる場合は、この法律は罰則を設けまして間接強制によって正しい証言を確保しようとする法の趣旨でございますから、そういう場合には、この法律の規定に基づきまして、厳正にこれを告発することによりまして間接強制を実効あらしめ、証人のこの種の発言を抑制するということが考えられます。  また、そのほかに、ただいまお話がございました書類提出要求のことでございますが、委員会はこの法律によりまして証人としての書類の提出を求めることができるのでございますが、本院においては今日までその例がございません。この法律に基づく書類提出要求は、ただいま申しましたように、罰則の裏づけによって強制するものでございますから、その要求手続としては、成規の手続、すなわち委員会の議決により議長を経て行われるべきものであると思います。しかし、書類の提出要求を随時かつ迅速に行う必要があるというふうに委員会でお考えになられました場合の方法として、個々の書類提出要求をその都度委員会で決定することを略して、あらかじめ委員会の決定により委員長にその処置を一任しておくという方法をとることも手続上は可能であると思います。そういう方法をとることのよしあしは委員会で御判断になることでございますが、可能であると思いますが、ただし、この方法による場合でも、その前提として、委員長が個々の書類提出要求を行うに当たっては、その都度理事会の決定を経るというような、いわば委員会の書類提出要求の実質を備えた上でこれを行うという必要がその前提としてあると存じます。  新たに立法によって改善する点はないかという点でございますが、この点につきましては私もまだ十分に勉強しておりませんけれども、たとえば、アメリカの例によりますような、証人に弁護人を付するということ、これは証人の人権を保護すると同時に、また反面においては、正しい証言をさせるのにも役立つという面もあるように伺っておりますが、そういうことが必要ではないであろうかという気持ちを持っておりますけれども、それ以外の点で、ただいま答弁申し上げる改正点というものは持ち合わせておりませんので御了承願いたいと思います。
  174. 黒柳明

    黒柳明君 わかりました。  委員長、いまお聞きになったとおりであります。本論からちょっと筋道がそれますけれども、資料要求等の関係ですから、衆議院のいい点は伸ばして、悪い点はやっぱり参議院で是正してもらいたい。証人が自由に物を言え、また反対に知らぬ存ぜぬで逃げられないように、あるいは事前に証人の資料要求等もきちっととれるように、こういう点についてまた理事会に諮ってひとつ善処してもらいたい。
  175. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 承知しました。そのようにします。
  176. 黒柳明

    黒柳明君 また航空局長、先ほどの問題を続けましょう。いつごろこのメモを入手しましたか。
  177. 中村大造

    政府委員中村大造君) 正確な日時は記憶いたしておりませんけれども、恐らく一カ月ないし一カ月半以前だったと思います。
  178. 黒柳明

    黒柳明君 そうすると、もうこの事件が始まった個後という感じですね。それについて何か踏まえてお調べになりましたでしょうか。
  179. 中村大造

    政府委員中村大造君) たしか四十六年の二月ごろに、エアバスの導入延期の行政指導をしたかしないか、こういう問題が話題として出てまいりましたので、航空局といたしましても、そういう行政指導の有無を確認する意味において航空会社にも照会をいたしたということだったと存じます。
  180. 黒柳明

    黒柳明君 航空会社のあれじゃなくて、いろんな調べはしましたか、それに基づいて。
  181. 中村大造

    政府委員中村大造君) 事実関係について航空会社からいろいろ報告を求めたということでございます。
  182. 黒柳明

    黒柳明君 内部はどうですか、調査。
  183. 中村大造

    政府委員中村大造君) 航空局の内部につきましては、当然、そういうふうなことを立証し得る当時の文書がないか、いろいろ調べたわけでございますけれども、そういう資料は発見できませんでした。ただ、当時の関係者からいろいろ報告を受けたところによりますと、二月ごろからそういう行政指導をした、また、そういう行政指導をする理由は当然十分にあったと、こういう報告を受けております。
  184. 黒柳明

    黒柳明君 関係者とはだれですか。
  185. 中村大造

    政府委員中村大造君) これは当時の航空局の局長以下の責任者にいろいろ問い合わしたわけでございます。
  186. 黒柳明

    黒柳明君 名前を挙げてください。
  187. 中村大造

    政府委員中村大造君) 当時の航空局長は内村航空局長。それからそれ以下、部長、課長についても問い合わしたわけでございます。
  188. 黒柳明

    黒柳明君 だから関係者のお名前。
  189. 中村大造

    政府委員中村大造君) 当時の監理部長は住田監理部長でございます。
  190. 黒柳明

    黒柳明君 それだけですか。聞いた方、関係者二人ですか。
  191. 中村大造

    政府委員中村大造君) 課長は監督課長の山元監督課長、補佐官の橋本君、そのあたりに問い合わせたわけでございます。
  192. 黒柳明

    黒柳明君 四人ですね。
  193. 中村大造

    政府委員中村大造君) はい。
  194. 黒柳明

    黒柳明君 内部は四人ですね。全日空、日航はどの辺まで聞きましたか。
  195. 中村大造

    政府委員中村大造君) 全日空、日航については、これは会社のいわゆる責任者、会社に対して聞いたわけでございまして、会社の内部の個人個人についてその調査をしたということではございません。
  196. 黒柳明

    黒柳明君 そうすると、内部はもっと大切な人、聞かなきゃならない人がいるのじゃないですか。だれですか。
  197. 中村大造

    政府委員中村大造君) 当時の行政指導は航空局として事務的に検討して、そういう延期の行政指導をすべきであると、こういう結論が出たということはこれはもう明白でございまして、したがって、航空局の最高責任者である局長以下に問い合わせたということでございます。
  198. 黒柳明

    黒柳明君 政府高官が介在して、それでコーチャン発言の裏がどうなるのか。一年延期させたことには某々が、児玉等の名前が挙がっておりましたな、大きな役に立ったと。この裏をいまやっておる。その政府高官はだれなのかと、こういうことなんですよね。そうすると局長以下になるのでしょうか。まだ肝心な人、聞いていないのじゃないですか。
  199. 中村大造

    政府委員中村大造君) 私の関心は、四十六年二月に航空局がそういう行政指導をしたいきさつ、あるいはそういう必要性があったかどうかということでございまして、したがって、当時の航空局の最高責任者である内村航空局長以下に詳細に聞きましたところでは、全く航空局として事務的にそういう検討をして結論を出したということであって、それ、航空局長以上のところからそういうものについて、必要性について指示があったとか示唆があったということは全くなかったと、こういうふうに報告を受けております。
  200. 黒柳明

    黒柳明君 全くなかったという報告だけで、すべておしまいになっているわけですか。それに対して、いまの事件の全貌というのはご存じですわな、どういうところに問題点があるのか。そのメモというのはそういう問題点を探る大きな、まあ私どんどん続けますけれども、一つの資料なんです。それについてやっぱり、全くなかったか、そうですかと、これでおしまいですか。
  201. 中村大造

    政府委員中村大造君) 航空局として、当時の航空局長以下が航空局としてそういう判断をしたのだと、こういうふうに言っておるわけでございますから、しかも当時の航空局長がそれ以外のところから延期について何らの働きかけもなかったと、こう言っておるわけでございますから、それ以上の調査は私としては不必要であったと、こういうふうに判断いたしております。
  202. 黒柳明

    黒柳明君 運輸大臣はこのことをご存じでしょうな。
  203. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) 当時、行政指導をやったという事実は私も知っております。しかも、それには四十七年の七月一日の大臣通達と、四十五年の十一月の閣議了解でもって、将来ジェット化するということでそのフォーローアップをやっておったわけでございますから、当然その基本の線に沿って航空局、事務当局がいつごろ大型化をすればよろしいかという判断をするために、いまいろいろ航空局長が申しておりましたように、航空局部内で検討をし、行政指導といいますか、連絡を航空企業会社ともとっておったということは知っております。
  204. 黒柳明

    黒柳明君 これは重要な問題です、先ほどから何回も言うように。コーチャン発言の、私言うまでもなくここでコーチャン発言を出す必要はないでしょう。コーチャンの証言、児玉氏は六〇年初頭にはロッキード社に雇われ、以来アドバイスをしてきてくれた、それで当然六八年、六九年に訪日した際、私は彼に、これがセールス・キャンペーンの一部であり、最善の策は何かというアドバイスを求めた、私たちは戦略に関し、児玉氏と同様小佐野氏にも相談した、私たちのセールスの進め方、どの関係者なりだれに紹介を求めるかといったようなことについて、そして時間かせぎでおくらせ、大成功だったと。ここですね、問題は。この重大問題です。ここに政府高官が介入するというコーチャン発言なんですから、賄賂が流れたという発言なんですから、この裏について国会審議しようというのですから、ひとつ、一時間休憩になりますでしょう。メモをすぐ出させるように理事会で検討していただけますか、いかがでございましょう。
  205. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 理事会において検討をいたします。  午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      —————・—————    午後一時八分再開
  206. 八木一郎

    委員長八木一郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、総予算三案に対する黒柳君の質疑を続行いたします。
  207. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 関連。  冒頭から関連で恐縮ですけれども、午前中の黒柳委員質問の中で、マニ・トラ銀行の問題が出ておりましたが、大蔵当局にお聞きをしたいのですが、このマニ・トラ銀行に対する先ほどの答弁でははっきり出てまいりませんでしたが、大蔵省としては外為法によりまして定期調査をたしかやっておられると思いますが、その定期的な調査をおやりになったと思いますが、その結果について御報告いただきたい。  あとまだ二、三やります。
  208. 横井正美

    政府委員(横井正美君) お答え申し上げます。  所管が国際金融局でございますので、ただいま国際金融局長にすぐに参るように連絡をいたしておりますので、暫時お待ち願いたいと思います。
  209. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 事前に通告してあったようでありますが、速やかに出席するようにしてください。関連ですから、事前に通告してあったと申しますから、早く出席するようにしてください。  黒柳君、この関連の始まるまで始めてください。黒柳君。
  210. 黒柳明

    黒柳明君 午前中の続きでありますが、コーチャン証言、この裏づけですね、これに対してさらに私は論理を進めていきたいと思います。  ともかくまあメモの内容がどういうものかわかりませんが、行政指導はあったと、総理、そういう裏づけははっきり運輸省の方から出ております。  で、運輸大臣、まだ大胆に就任されて一年と三、四ヵ月ですね。この間当然こういう事件、ロッキード事件が出るなんてことは想定してなかったわけであります。この一年数カ月の間に日航の社長ないし副社長、あるいは全日空の社長ないし副社長、両社のトップと大臣と会談する、あるいは懇談する、そういう機会がありましたでしょうか。
  211. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) 全日空の社長、日本航空の社長いずれも私もよく承知いたしておりますので、直接来てもらったり、会談をしたこともございます。
  212. 黒柳明

    黒柳明君 いや、二社トップと大臣と一緒でという意味で、個別でということじゃありません。もう一回質問しましょうか。個別でじゃないわけです。それは大臣関係の、あるいは航空行政も当然運輸行政の中に入るわけですから、日航のトップあるいは全日空のトップと大臣と、個別じゃなくして要するに三者で一堂に会しまして、それで懇談、会談等をやったことがありますか、この一年数カ月。個々にじゃありません。
  213. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) たしか一度、運輸大臣室へ一緒に来てもらいまして懇談したことがございます。
  214. 黒柳明

    黒柳明君 それはいつごろでしょうか。まあ一年数カ月で記憶をたどっていただいて大体いつごろだったでしょうか。
  215. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) はっきり覚えておりませんが、長崎新空港ができましたときの航路の問題のときだとしましたら昨年の五月ごろだったと思います。
  216. 黒柳明

    黒柳明君 それは省内の大臣室で日航、全日空の社長ないしトップの方と大臣とお会いになって御懇談なさった、こういうことですね。
  217. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) さようでございます。
  218. 黒柳明

    黒柳明君 そのほか、一年数カ月すべて記憶しろったってこれ無理かと思いますけれども、いまになって振り返ってみればこれは航空行政というのは重要な行政であるわけだ。しかも全体的に黒い疑惑の中に包まれていることも明らかです。さらに運輸省の調べでは、いま指摘されたように介入、行政指導らしきものがあった、そのメモがあると、こういうところまできたわけであります。それに対して私はさらに記憶を呼び戻していただきたいんですが、そのほかに全日空あるいは日航のトップと大臣とお会いになって懇談した機会なんかは記憶にはありませんか。
  219. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) 記憶——いつどうということは定かでございませんけれども、何度か会っておると思います。
  220. 黒柳明

    黒柳明君 もう一回繰り返しますよ。五月ごろ長崎空港云々のとき省内大臣室で会ったと。そのほかにも何回か三者一堂に会して会っていると、そういうことでしょうか。
  221. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) 三者一堂に会してそれ以外に会ったという記憶はちょっとございません。調べてみないとわかりませんです。
  222. 黒柳明

    黒柳明君 わかりました。  私はあえて一年数カ月ですから、記憶にないことをおかしいぞ、会ったぞと、こう言う気はありませんよ。しかしながら、冒頭に言いましたように、前提に言いましたように、これだけのやっぱり航空行政、重要かつ大である中において疑惑に包まれておる問題ですから、私は何も木村現運輸大臣が疑惑であると言うんじゃないんですよ。全体通しまして、エアバスの導入についても、PXLについてもともかく問題がある。これはもう承知していただいておる。木村さんが疑惑があると言うのじゃありません。よろしいですね。そういう問題ですから、しかも日航と全日空の問題はいまも午前中問題になったわけですから、そういう中において、いま記憶を思い起こしていただいてどうも三人会ったためしはないと、こういうことですね。  で、私言いますよ。五十年の二月十二日、五月十六日、九月十一日、十月三日、二月十七日、会っていませんか。
  223. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) そういう日にちに会っておるかどうか、これは調べてみませんとわかりません。ときどき大臣室に来てもらって、また向こうからも面会を求められて会っておることば事実でございます。日にちは調べぬとはっきりとわかりませんです。
  224. 黒柳明

    黒柳明君 場所は都内の某ホテルです。某ホテル。大臣室ではありません。御記憶思い起こしませんか。某ホテルです、都内の。
  225. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) ちょっと思い出せませんが、あるいはホテルで会っておったかもしれませんが、いつどういうふうに会ったかお教えいただければ、あるいは思い起こすかもしれません。
  226. 黒柳明

    黒柳明君 このホテルの申し込みをとられた方は運輸省大臣秘書室です。名前、竹沢英世さん、新井斉一さん、上坂泰敏さん、この方はだれですか。官房長でも当然知っている方でしょう。竹沢英世さんというのはどういう方ですか。新井斉一さん、上坂泰敏さん、どういう方ですか。
  227. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) 一人は秘書官でございいますし、二人は秘書官室の職員でございます。
  228. 黒柳明

    黒柳明君 そうですね。秘書官であり、秘書係長であり、秘書課長補佐ですか、正式には補佐官ですね、という方から都内の某ホテルにですね。全日空、日航の社長、副社長それと大臣、会食しているんじゃありませんか、思い起こしてください。ここまで——思い起こせませんか、日にちも言い、内容も言っても。
  229. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) ちょっと思い起こしませんから、秘書官によく聞いてから御回答申し上げます。
  230. 黒柳明

    黒柳明君 大臣、一つは二月の十七日ですよ、ことしの。さらに去年の二月、五月、九月、十月ですよ。日航、全日空の社長ですよ。会っている記録あるんですよ。これ思い起こしませんか、ここまで具体的に言って。私は百歩譲って、大臣がだから云々と言うのじゃないんですよ。まず記憶をということですよ、記憶を。大臣秘書官室からとってあるんでしょう。木村様というちゃんと看板もかかっていますよ。一回なら、いや、ずっと前だからということはあります。四回も五回もですよ。さらに日航、全日空の社長ですよ。
  231. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) 私も隠すつもりは毛頭ございませんから、ちょっと調べさせてください。
  232. 黒柳明

    黒柳明君 場所は言いましょう。大臣、そんなところで話ししないで。だれだ、あんたは。場所を言いましょう、大臣。ヒルトンホテル。もうここまで言えば全部でしょう。場所はヒルトン、日にちはいま言ったような五日、大臣と日航と全日空の社長ないし副社長。首をひねったって事実ですよ、こんなものは。すぐ調べてごらんなさい、わかりますから。
  233. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) どうも私、三者一緒にそんなにたびたび会っておる記憶はないのですけれどもね。なお、これは秘書官室の方でそういうときには大抵記録しておりますから、よく調べてみます。
  234. 黒柳明

    黒柳明君 すぐ調べてごらんなさい。簡単でしょう、こんなの。去年のことですから、ことしのことですから、簡単ですよ。  さらに、これもわからないでしょう。この宴会費はどこから出ていますか、そうなると。これもわからないですな。
  235. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) まず、どうあったかということを調べませんと、あとはわかりません。いま調べてますから。
  236. 黒柳明

    黒柳明君 会計課長ないし官房長でもいいですが、これは会議費、庁費、大臣交際費から出てないことは間違いありませんな。これはもう確認してある。官房長はいないですか。
  237. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 官房長おりませんか。
  238. 黒柳明

    黒柳明君 会計課長、もう答えは来ていますよ、こっちに。
  239. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) いまちょっとここにおりませんので、すぐ……。
  240. 黒柳明

    黒柳明君 答えはもうもらっているんです、こっちに。しょうがないね、通告してあるのに、そんなことをいまいまでは。これ、もう通告してあるので、答えは来ているんだ、出てないという答えは。委員長、困るね。こちらに資料を出して、通告して答弁を出していて、正式な場ではどこかへ行っちゃったなんて困るね、これは。会議費、庁費から払ってないことは間違いなんですよ。運輸省会計課長答弁、五月二十日等交際費会議費両方から金は出てないと、ちゃんと来ているんですよ。出てないんです、金は。来ているんです、答弁。通告してあったのに来なくちゃ困っちゃう。
  241. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 答弁者おりませんか。
  242. 黒柳明

    黒柳明君 しょうがないですな。払ってないという答えは出ている。そう答えなさい、間違いないですよ。間違いないんですよ。出てない。会議費、庁費から出てない。大丈夫です。
  243. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) 担当の者がまだ来ておりませんが、どうですか。一応あなたが出ていないとお調べになっておられれば……
  244. 黒柳明

    黒柳明君 いやいや、向こうから答弁が来ているわけ。
  245. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) その前提でお話をお進めいただきたいと思います。
  246. 黒柳明

    黒柳明君 会計課長から、払っていません、出ていませんと来ている。——いやいや、はっきり言わなきゃだめだよ。大臣が答弁するのだから、ぼくが答弁するのじゃないのだから。こう、聞いてもわからないでしょう。それじゃだれが払ったのですかと、こう聞いたってなおわからないでしょう、払ったかどうかわからないのですから。ということですわ。会計課長すぐ来ますね。  ——それじゃ何も時間を遊ばすだけが能じゃないですから、私は前向きに審議するのですから。それじゃ全然別の角度から聞きますよ、今度は総理大臣。このブランクがあったために総理にいくのですよ。知らないですよ、私は。運輸省責任ですよ。  きょう政治資金規正法が、新しい規正法に基いて出ましたですね、御存じのとおり。昨日は中曽根幹事長の問題が取り上げられましたね。これも公明党の山田太郎衆議院での指摘だったのです。届けてなかった。出しなさいよ。まあ遅まきながら出たということです。ところが、それがでたらめだった。問題になって再提出、きょう出たのですかね。それじゃ三木さんはどうですか、こういうことなんです。もう言うまでもありません。一昨年、三木総理総裁が誕生した。内閣が誕生した。四十九年十二月二十日、衆議院の坂井弘一が三木総理に対して政治資金の問題で追及しました。不徳のいたすところであると。申しわけないと。届け出が出ていないと。届け出します、収支は。さらに五十年一月二十九日の参議院の本会議でも、いま整理中です、こういうことですね。これは三木総理、金のことはだれよりも厳格であり清潔だ。ましてこのロッキードという大きな賄賂を疑惑にしての今日です。しかも、新しい政治資金規正法に基づいて出たわけです。きのうは中曽根幹事長に対してそういう大きな問題があった。総理、あなたの収支報告はどうなったんですか、それじゃ。
  247. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 御指摘のように坂井君からこの問題が出まして、その場合にも明らかにいたしたわけでございましたが、私の後援をしておる団体、届け出団体に政策懇談会と近代化研究会がある。その調査会、その一つの団体に何々調査会などという団体らしい名前をつけたものがあって、そうしてそのことが政治団体ではないのかというお手数をかけたわけですが、これは政治団体というような実態ではないわけで、政策活動をする、まあプロジェクトチームと申しますか、そのときそのときの重要なテーマを研究するグループでありましたが、名前がどうも政治団体らしい何々調査会というような名前であったために、これは政治団体であるのではないか、届け出していないのではないかと言って公明党の諸君にお手数をかけたわけですが、実態はこれはいま言ったような政治団体というような成熟した形ではなくして、政策の研究グループである。しかも、その問題になったのは、いろいろそのときどきに重要な政策課題をとらえて研究するグループで、その経理の処理を一括して、そのプロジェクトチームの世話人に対して一括して、政策懇談会あるいは近代化研究会から一括して渡した形で経理が処理されておったわけですね。会計責任者はこういう一括処理してもいいんだというふうな一つの考え方があったわけで、手続上は確かに私は不十分であったと思います。これは認めざるを得ない。不手際と言われても仕方がないでしょうが、私は、直ちにそういう何か政治団体に紛らわしいような、そういう団体は直ちに解散せよと、しかも、いやしくもこういう問題でいろいろ国会でお手数をかけるようなことはよくないので、以後収支のことはもう明細に、一括するというようなそういう簡略な方法でなしに、明細を一々収支は書かなければいかぬということで、十分な注意を関係者に言ったわけでございます。無論、団体に紛らわしいようなものは直ちに解散をさしたわけです。  そして、山田太郎君ですかね、三月三日、山田太郎君の質問衆議院であったので、その収支の明細を調査をするということを私は申したわけです。それで、山田君にお答えをしたのは、何分五年前のことで、何か収支の明細もあったというので、ひとつ調べてみようということで鋭意調べさせたわけですか、これは届け出はしておるが、その処理が一括をして処理をするというようなことであったので、何もこれを隠すというものではないんですが、どうも五年前のことで資料が残ってないということで、まことにこの点は、それがあることがやはりいろいろ説明をいたしまする場合においてもこのことが便利でございますが、ないというので山田太郎君にもその事情は答弁の中に申し上げたわけでございますが、どうも、ないのにいまからつくるということもこれはやはりよろしくないわけでございますので、どうかこの点は黒柳君においても御了承を願いたい。こういう不手際なことは二度とさせないように厳重に関係者に申し渡したものでございますから、御了承を願いたいと思う次第でございます。
  248. 黒柳明

    黒柳明君 あのね、四十九年の十二月二十日、不徳のいたすところであるからしばらく時間をかしてくれ、その収支の計算を報告しますと。さらに、総理おっしゃったように、これは政治団体じゃない、プロジェクトだと。だけど、そのときも収支は報告しますから、現在鋭意整理中ですと、こう言っているわけですよ。そうすると、中曽根幹事長の場合には出てなかったから、でたらめ出してたたかれた。総理の場合には、何にもないんだから出さなくてもいいんだ、しょうがないんだでは、余りにもこれはおかしいんじゃないですか。それじゃ、みんなプロジェクトに出したんだ、ずっと前だからわからないんだ、そうした方がよっぽどいいんじゃないですか、たたかれるより。もしその答弁が許されるなら。  しかも、きのう中曽根幹事長に対しては、公安委員長は警察の捜査も入ることを期待する発言をされ、三木総理も道義的には問題だとおっしゃった。その総理自体が、全く金の流れが不明、どこへ行っているかわからない。しかも、一億や二億じゃないですよ。五億、六億という巨額、三年で。一カ月にすれば二千数百万ですよ。大変な資金です。それがどこかへ行ってわからないなんということ許されますか。総理、もしそれが許されるならば、指摘されたら、プロジェクトです、何にもわかりません。これでいいんじゃないですか、皆さんそうやれば。中曽根さんはそれじゃばかみたいじゃないですか、そんなもの一生懸命出して。だけど、出したということは虚偽であるということで国会において問題にされたんでしょう。総理はそれが問題にされないんですか。それで、いや昔のことだから、しかも国会答弁を二回も三回も出します出しますと言って、それでいいんですか。
  249. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 届け出は、無論黒柳君御承知のように届け出はできたわけです。できておるわけですね。それを一括して処理したところに、そういうことはやはり不十分であると。いま私は何とか捜してみたいと思ったのは、届け出はしてあるわけですから、そのいろんな金の明細書、領収書なども、そういうものを何とかしてそろえられぬかと思って鋭意調査をしたわけですが、どうもそんな古くないけれども、初めのは五年ぐらい前になりまして、どうしても明細書というものが見つからないので、それで三月三日に公明党の山田太郎君に事情を申し上げたんですよ。こういう事情だということで御了解もそのときは願いたいということを申し上げたわけでございまして、これは私もできればそういう収支の明細書を出した方がいいと思うわけで、そのことはやはり一括して処理するということは、これは適当でない。小さく明細をやはり記載して、そして届け出をするので、これを一括して届け出することば適当でなかったと思っておりますので、厳重に注意をしたわけで、これは届け出はしたんだけれども、一括したところに問題がある。もっと明細なことをやはり響いて届け出をしなければならぬということで、この点は今後十分に注意をいたさなければ、いろいろ皆さんに対してお手数をかけるということで、私も厳重にこれは今後監督をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  250. 黒柳明

    黒柳明君 そうすると、国会軽視ということはもうそのまま免れませんな。総理、最高責任者として出す出すと言いながら出さなかった、出せなかった。全く国会軽視。さらに六億の金の流れが全くわからない。三木派の、きれいだきれいだ、金にかけてはと言いながら、一括とかなんとか詭弁を使って、その裏を言うならば、はっきりしているのは金の流れがわかりませんということじゃないですか、領収も何もないということは。そうすると、六億なんという莫大な資金がどこに行ったかわからない、そういう三木派の政治資金に対しての疑惑というものを残したまま、それでいいんですか。総理として、いや政治的圧力かけません、いや三木はクリーンです、そんなことこれから言っていけますか。
  251. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 先ほど申したように、これは何もそのときに隠してどうということではないんですけれども、会計の責任者がそういう一括——これは三年にわたっておるわけですね。それで届け出して、無論自治省はこれに対していろいろ文句を言う立場ではないわけですから、それでそのままその届け出を終えておったので、会計責任者とすればこういう処理は可能だと考えたんですね。そこに大きなやっぱり誤りがあったと。誤りというか、不十分な点があったと、こういうことで、これからはもう零細な金までもちゃんと収支の明細というものは記帳しなければならぬということを厳重に中してあるわけでございまして、どうもこの点は不十分であったということは私もよく認めまして、まあ不手際と言われてもこれは仕方がないということでございましたが、経理がいろんな研究のチームごとに一括して出して、そういうことが可能だと考えたところに非常にやっぱり不手際があったことは事実でございます。しかし、ことさらに、何か資金の流れを隠すためにこれを、利用したものではないという善意は、ひとつおくみ取りを願いたいと思うわけでございます。今後注意はいたします。
  252. 黒柳明

    黒柳明君 もう何言ってるんだかわかりません。簡単に言いましょう。総理として国会に対してたびたび明細を出す出すと言いながら、一年四カ月何にもやらなかった。国会軽視。失礼な言葉ですけれども、そこらの学校の先生とか、失礼な言葉ですけどね、PTAの会長さんがちょっと意見が違ったということじゃないですよ。総理大臣ですよ。しかも、いまの大きなロッキードの疑惑の中、ないし昨日中曽根幹事長がそれでやられたばっかりじゃないですか、提出したものが虚偽であると。提出しない方がいいじゃないですか、それじゃ。三木さんと同じように。そうなるじゃないですか。これはその点私は一括して云々なんて言ったけれども、それじゃ総理大臣として、この国会軽視、不行き届きであったと認めた国会軽視の責任はどういう姿でとりますか。あるいはまだもう一段言うなら、三木派として六億の資金が全く不明ですよ。それをどういうふうに弁明することですか。まあこれは三木派としてということですけれども、前提国会軽視、この総理としての責任はどうとりますか。こんな一括してと。それじゃ出さない方がいいじゃないですか。
  253. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 届け出はしたわけです。それを一括して届け出したところにやはり問題があるわけですから、これは私も国会で、明細を調べたら当然に記録があるものだと思って、それは調べてみますということでしたが、とにかくああいう書類というものは永久保存でもございませんので、その記録が残ってないということで、山田太郎君にもその事情をよく説明をして、その点は調べたらすぐそういうものは出てくると思ったところに、私としては国会で調べてみますと言ってそれが実現できなかったことに対しては遺憾に思っておるのですが、これを何も隠してしまって、その流れを怪しくするというそんな意図はないんですからね、これは。何も隠す必要はないんで、ちゃんと金額は届け出られておるのですが、それを一括処理したというところに不手際があるわけですから、そういう点では今後やはり私としては、それはいろいろおまえはそれに対して国会で調査すると言って結果が出ないということの、そういうおしかりは甘受しなけりゃいかぬ。今後こういうことで再び黒柳君に私の政治資金に関係して国会でお手数をかけるようなことは断じて繰り返さないように、関係者にも十分注意をするし、私自身も監督してまいりたいと思っておる次第でございます。
  254. 黒柳明

    黒柳明君 あのね、山田太郎太郎君って、私は黒柳明君ですからね、間違わないでください。太郎君だって了承していませんよ。だから、私が公明党の一員としてやっているんですよ。いいですか。これ、今度は私最後にしますよ。こんなことばかり堂々めぐりしていて、もう聞かれている皆さんからのあれは嘲笑ですよ、あざけりの笑いですよ。私はぴんときました。総理それをどう感じているか。これで最後にしますよ。これで変な答えが出たらぼくは立ちませんよ。いいですか委員長、正確に判断してくださいよ。  中曽根さんは、出てないと言ったから出した。虚偽だといってたたかれる。三木総理は出したというのは、だめなのを出して、その後のことを言っているんですよ。いいですか、そんなことは言うまでもない。国会報告するすると雷つたことを言っているんですよ。すると何回も言ったのに出してない。中曽根さんより三木さんの方が悪いんじゃないかという皆さんの声があるんです、きのうから相当。私はそれを踏まえるんです。それじゃ出さなきゃいいじゃないかと。出して怒られるならば出さなきゃいいじゃないか。出さないのが、前だからわからないからしようがない、一括して云々だなんという答弁が成り立つなら出さない方がいいじゃないか。  さらに私が聞きたいのは、最高の責任者の総理として、そういう国会無視の答弁を何回もやって一年四カ月、正確に言うと一年四カ月と六日になるんです、きょうで。いいんですか、国会軽視のその姿勢は。責任をとりなさい。ならば、そういう責任をとるという態度を明確にするならば、私は、山田太郎じゃない、黒柳明として公明党を代表して了解しましょう。どういう責任をとりますか。これだけ国会を軽視して、無視して、もう国会の問題になっているんですよ。出します出します。ひとり山田太郎黒柳公明党じゃないですよ、この問題は。政治資金というもの、そういう大きなものの中に自民党が、失礼ですけれども、国民から疑惑を受けた、その最高責任者じゃないですか。しかも、新しい資金法に基づいてきょう出たばかりじゃないですか。しかも、きのう中曽根さんがさんざんそれでやられたばかりじゃないですか。総理、御自分の国会軽視の発言、態度、姿勢、こういうものはロッキードと関係ないことはない。全部ロッキードの中の三木総理の姿勢なんです、悪い姿勢、国会軽視。どういう責任をとるか、それをはっきりしたら納得しましょう。
  255. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) ロッキードとこの問題、これは関連はございませんが、しばしば言うように、私は何も隠す必要はないんですよ、この問題は。だから届け出を一括してしたというようなことは不手際であるというので、これを何とか明細を明らかにすることはいいと私は思いました、御質問を受けたときに。私も突然ですから、それで何とかして明細書が出ないかということで、その責任者に対して十分調べ上げたんだけれども、何分政治資金規正法に関係をするああいう領収証というようなものは永久保存でもありませんので、どうしても調査ができないということで、まことに私自身も残念なんです。これは何も隠してどうということじゃないんですから、これで不正を働くというような意図はないのですから、出したいのだけれども、それがなかなか収支の明細書というものが、それのいろんな書類というものが今日までどうも保存が行き届いてないために、国会ですぐに簡単にそれは調査がつくと思ったのが、それがなかなか資料提出できないということに対しては私はまことに申しわけないと思っておるわけでございます。今後こういうことは、いまも繰り返して申しておるように、こういう一つの届け出などに対してはそういうごく小さい明細まで全部届け出て、いやしくも誤解を生ずるようなことのないようにこれから戒心してまいりたいと、私が責任を感じておればこそそのように申し上げるわけでございます。  いままでそういうふうに申して、それを果たし得なかったことはまことに申しわけないと思っておりますが、それは国会を軽視するということではなく、国会は尊重してまいりたいと思うんですが、いまのようになかなかそういうすぐに出ると思った明細書が、五年前の記録を保管してないというところに問題がございますので、今後は十分注意をしてまいりたいと思うわけでございます。
  256. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 黒柳明君。
  257. 黒柳明

    黒柳明君 答えていないもの。いま委員長に言ったとおりですよ。時間がないから、さっきの官房長の運輸大臣の問題があるから、これ以上もう時間をロスしたら大変ですよ。
  258. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) 委員長
  259. 黒柳明

    黒柳明君 待ってなさい、総理の方をあれしているんだから。
  260. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 質問者から答弁をもう一度伺いたいとの申し出もあります。三木総理、もう一度御答弁を願います。
  261. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 繰り返して申し上げますが、大変に遺憾なことであります。今後再びこういうことが絶対に起こらないように十分な監督をいたしてまいりたいと思っております。
  262. 桑名義治

    ○桑名義治君 関連。
  263. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 桑名義治君、関連を許します。
  264. 桑名義治

    ○桑名義治君 先ほどからたびたび議論になっておりますように、私たちは政治家として、あるいはまた今回のこの黒い霧の問題について、真摯な態度でこの問題に取り組んでいかなければならないと思うわけでございますし、そのためには、まず政治家の身辺をきれいにするということが、明らかにするということが最も大事なことではないかと思うのであります。そういった立場から考えますと、中曽根幹事長はこの政治資金規正法にのっとって、届け出にミスがあったということで再提出をしたわけです。ところが、世論にたたかれた。ところが三木総理は、前々からこの問題について指摘をされているにもかかわらず、そのままの状態で放置しているということは、その政治姿勢は絶対に許せない。一国の総理として当然みずからがその責任とその姿勢を正すべきであると、このように考えるわけでございますが、三木総理の見解をもう一度お尋ねしたいと思います。
  265. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 届け出はしておるわけです。その届け出が一括しておるところに問題があると。そういう点ですから、これは監督上非常に遺憾なことであった、これからは再びこのようなことは繰り返さないように今後十分な監督をしてまいりたいということを、私はここに何遍も繰り返して申しておるわけでございますから、その点はひとつ御信頼を願いたいと思うわけでございます。私も長い政治生活の中で、やはりいままで自分の職権を利用して利権をあさるようなことは絶対にいたさなかったわけでございまして、このことは皆さんがお考えになってくれてもわかるわけでございます。政治資金をそういうふうな不明朗なことにしてというふうな、そういう何と申しますか、何か不正なことという考え方は、今日までの政治生活を通じていままではそういうことは絶対にやってこなかったことは、桑名君ごらんになっても、私の経歴をごらんになればおわかり願うわけでございます。この点はまことに、そういうふうに会計の者が考えていたしましたことは、私の監督上まことに不行き届きなことであった、再びそういうことは繰り返さないと申し上げておるのでございますから、どうか私がここでこれだけ皆さんの前に、国民の前に、こういう届け出上の不手際というものは繰り返さないということを言っておるんですから、これに対して御信頼を願うことをお願いをいたす次第でございます。
  266. 黒柳明

    黒柳明君 もう一回総理、言いましょう。よく聞いてくださいよ。一議員だって、これは罰則規定があるのですから、虚偽の報告をすれば監督者の罰則規定ということを適用する可能性だってある。いいですか、国会議員というのはそんななまやさしいものじゃないですよ、その責任というのは。まして、中曽根幹事長は国会で公明党の指摘を受けて出した。それが虚偽であったといって、きのうは道義上の責任総理に問われる。あるいは公安委員長から警察権の介入もという示唆もあった。全く善意で、事務局がやって中曽根さんは知らなかったのでしょう、そう思いますよ。三木総理の場合には、いやあ古いからこれで勘弁を。それで済ますのですかと言うんです、私は。それで済むのだったら全部国会議員は虚偽の申請をして、指摘されたら、いやあ古いですから、ないですからすみませんで済むじゃないか。そんな簡単な総理ですか。そんな安っぽい総理の座でしょうか。そんな無責任総理の座でしょうか。国会軽視じゃないですか。きのう幹事長に言ったならば、自分みずからの身に反省して、ここでみずから国会軽視の責任——やっぱりだれも言ってくれません——問うてこそ、ロッキードに対してやっぱり総理やるんだな、こういう感じを国民に抱かせるのじゃないですか。国会軽視、どう責任をとりますか。そんななまやさしいもので、今後なくそうなくそう。六億からの金をそんな不明瞭なまま許してくださいなんて、私は許しますよ、寛容ですから。国民の皆さん方は許しません、そんなことは。六億のピーナツは行方不明じゃないですか。同じです、額にしても。もっとですよ、六億八千万。それが行方不明ですよ。それに対して過去のことだなんて言えますか。政治責任国会軽視、それを総理としてどうとるか、これだけ言いなさい。言わなかったらあとの四分、がんとして動きません。
  267. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は、これは虚偽の報告も何もしておるわけではないので、その四つの団体の、四つの政策の研究グループがいろいろなテーマをやって、その都度それを使ったわけでございまして、それに何も違ったことではないのですが、それが一々こういうことに使ったという明細が、これは当然にあったわけですから、これを捜して出すべきですが、どうもそれが見当たらないということが申しわけないと申しておるので、ことに何かよからぬことがあって、それを隠すためにこういうことをしたのではない、明細のいろいろのものが当然にそのときは帳面があったわけですから、今日この明細書というものが見つからないということが申しわけないということでございまして、その間、何も特にごまかすためということではございませんが、そこら辺の事情を正直に申し上げておるわけでございます。(「答弁になってないじゃないか」、「委員長、議事進行」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  268. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 委員長として申し上げます。  この種の発言については、委員長は、自発的な発言、自発的な審議、こういうことを進めていきたい。ただいままで繰り返しの質疑応答が続いております。この際、もう一度三木内閣総理大臣より、その政治姿勢、その責任について御答弁を求めます。
  269. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は、この問題について申し上げておるように、監督の不十分ということに対して責任を感じて、いま申したような関係者に対して、こういう団体に紛らわしいような一つのグループ、研究グループの解散をするように申し、しかも、今後の処理というものに対して十分注意を与えましたが、私も監督の不十分な点は認めざるを得ませんので、今後、いやしくも二度とこういうふうな不十分な届けをするようなことは断じていたさない、今後そういうことを十分反省してまいりたいと考えておりますから、御理解を得たいと思うわけでございます。
  270. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 黒柳明君。——問題を別にして進行願えませんか。
  271. 黒柳明

    黒柳明君 答えが出てないじゃないですか。反省だけじゃ済まされないでしょうという私の質問ですよ。(「委員長、見識持ってやれよ。発言しなければ退席させろ」と呼ぶ者あり)おう、退席させてみろ、それじゃ。させてみろ。(「出ろ」と呼ぶ者あり)委員長、出ろとは何ですか。満足な答弁が出てないから言っているんじゃないか。出ろとは何だ。問題にしろ、委員長
  272. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 静粛に願います。
  273. 黒柳明

    黒柳明君 ここは厳粛な国会の場だ。出ろとは何だ。不規則発言で取り締まりなさい。
  274. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 静粛に願います。議事を進行します。
  275. 黒柳明

    黒柳明君 何ですか、退席せよとは。問題ですよ、これは。私はがんとしていまのは許せないよ。
  276. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 委員長として注意をいたします。不規則発言とはいえ、ただいまの発言は不穏当と認め、注意いたします。  黒柳君、発言を続行していただきます。(発言する者多し)
  277. 黒柳明

    黒柳明君 冒頭に、売り言葉、買い言葉で、荒い言葉で私申しわけありません。深くおわびします。皆さん方におわびします。  ただ、いまの問題については、全く総理の答えは答えになっておりません。もし過去の問題について、ああ悪かった、それで済むのだったら、全く罰則規定なんか要らないわけです。もう私、これについて繰り返す必要はないのです。聞いている方が全部その様子はよく知っております。答えになっていない。これがさらにロッキードの姿勢にもつながっているんです。運輸省の問題、メモの問題等あります。私はこれ以上やっぱり総理に対して質問できません、これじゃ。答弁が返ってこないのですから。ですから私は、総理のいまの答弁の問題も含めて、全部留保します、委員長。それで、まだ四分残っておりますから、しかるべく答弁が返ってきた事態において全部私またやりましょう。  以上です、委員長
  278. 八木一郎

    委員長八木一郎君) それでは、黒柳君の残余の質疑は後日にいたしたいと存じます。(拍手)     —————————————
  279. 八木一郎

  280. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 冒頭に私は、土曜日に自民党の藤井丙午委員が行ったわが党に関する非難発言に反論しておきたいと思います。  第一に、藤井委員は、共産党、社会党が国会空転させたかのように言いましたけれども、あの事態は、国権の最高機関である国会の決議をじゅうりんした政府自民党並びに、後で触れますけれども、中曽根幹事長の行動に原因があったのであります。この点は議長裁定にも示されているところであります。  第二に、藤井委員は千島問題について、その国会決議に関連して、何か共産党がソ連政府に物が言えないかのような、そういう意味のことを言って中傷しましたが、しかし、政党で一番早く千島の問題をソ連政府に話し合いをしたのは共産党でありまして、いまから十七年前、昭和三十四年に宮本書記長がソ連に行きまして、ソ連共産党の指導部と話し合って、日本が中立の国になった際、南千島問題について明るい展望が開けることを確認してきております。その後も努力しているわけであります。むしろ千島問題の責任は、サ条約について領有権を放棄して返還の法的根拠を失わせた当時の政府にあるということを一言指摘しておきたいと思います。藤井委員のあの発言は、二重三重に許しがたい暴言であったと私どもは考えます。  質問に移ります。  最初に、中曽根幹事長のテレホンサービスの問題についてお伺いしたい。この問題、非常に重大な問題でありまして、社共公の三党でも確認しておりますが、ひとつ自民党総裁三木さんに、幹事長のテレホンサービスの中身、それからその経過、この問題についてお述べいただき、どう考えているか、その点お伺いしたいと思います。
  281. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) テレホンサービスの問題は、中曽根幹事長自身が全部取り消しまして、遺憾の意を……。
  282. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 中身はどんなものだったですか。
  283. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 中身も全部取り消して、自分がそれは思い違いであったということで全部取り消したわけでございまして、幹事長も遺憾の意を表されたわけでございますから、無論事実に反するものだと考えます。
  284. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 間違った意見を言ったのなら後で取り消すということもあるのですけれども、中曽根さんのテレホンサービスはそういうものじゃないのです。それは御自身が呼びかけた五党の幹事長・書記長・書記局長会談、これを呼びかけておきながら、実際には前から、三月のときから実は民社党と話して密約があったという事実を明らかにした。あのときまとまっていたら、今度のように国会空転が長くならないで済んだのですね。あのとき実際にまとまることができたわけであります。その点はこの議長裁定の内容でも明らかであります。ところが中曽根さんは、三党に対しては電話一本で断っておいて、民社党とだけ、一党とだけ話し合って、そしてあの強行採決をおやりになった。その経過の裏づけがテレホンサービスの中身なのであります。そういう点で、言葉だけで取り消して済む問題ではない。その点どう総裁はお考えになりますか。
  285. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 中曽根幹事長がその内容に対して全部取り消して、それは事実と違っておったということでございますから、私はその幹事長の言葉どおりに信じておる次第でございます。
  286. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 全部取り消したと言いましても、「赤旗」がこれを最初に報道した日、中曽根さんは黙殺すると言った。そのときは取り消すと言わないのです。今度大問題になってからあわてて、今度は翌日ですね、事実に誤りがあったとか、言葉不足だったとかいうことを言い出した。さらに問題になって、そして三日目か四日目に改めて全面取り消しということにしたのですね。取り消しじゃない、もみ消しなんですよ。うそにうそを上塗りを重ねていったということです。  この中身の政治的な問題は、一党の幹事長として五党の書紀長・書記局長会談を開いておいて、実際にそこでまとまり得る内容がありながら実はまとめることを望んでいなかった、民社党とだけ話し合って強行採決したかったということで、つまり五党をペテンにかけたということだと思います。そういう点では、もみ消しにもみ消しを重ねるロッキードのようなことをするのじゃなくて、事実を国会国民の前に明らかにすること。とにかく五党がこれじゃ幹事長会談なんて今後できませんよ。ペテンにかけて、しかも事実を明らかにしないで、ただ取り消すというようなことではできない。議会制民主主義の根本にかかわる大問題なので、改めて総裁に、どういうふうに処置するのか、事実を国民の前に明らかにする、そのことを求めます。
  287. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 本人自身が、これはやはり全部取り消して遺憾の意を表明したわけでございますから、幹事長自身がそれをみずからやったわけでございますから、私は、その最後に幹事長の言われたことを事実なものであると、こう信じておるわけでございます。幹事長はだれも、全部がまとまるものならば、それはやはり予算にしても審議にしても、全党が審議に参加して予算案を議了するということが好ましい、それを望まない幹事長はどの幹事長であってもないわけでございますから、私は中曽根幹事長の言ったことが真実であろうと考えておるわけでございます。
  288. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 総裁はテレホンサービスの中身をお聞きになりましたか。
  289. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 中身は私聞いておりませんけれども、新聞などで大体のことはその内容について承知しておりますが、テレホンサービスそのものは聞いたことはございません。
  290. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これを活字で読むのと実際に聞くのと大分違いまして、本当はここでかけたいぐらいなものなんですが、前尾議長も実際にこのテレホンサービスの中身を聞いて激怒された。私がその立場にあったら幹事長もやめるし、代議士もやめるというほどの問題だと議長が言われたのであります。それほどの大問題です。だから、あなたも活字で読むだけじゃなくて、共産党にもまだありますから、テープをお聞きいただきたい。  この中で中曽根氏は、「功績も責任も全部私に帰します。」と、こう言っている。そして「これが一国を支える自民党の幹事長のあり方」だと考えております、そう言っている。ところが、中曽根氏に関しては児玉譽士夫との関係、それからきのう問題になりました政治資金報告書、うそ八百に近い四百二十二のうそがあったという問題等等、幹事長としての資格を疑わせる問題が続出しているのであります。そういう点で、本当に総裁として話し合いの場である議会を今後運用していく上でどういう決着をつけるつもりか、御本人にどういう責任を、功績とともに責任をどうつけさせるつもりか、もう一度お伺いします。
  291. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私自身も、このことが与野党間の円滑な接触に支障を来たさないことを願い、そのことを幹事長にも要望したわけでございまして、幹事長自身はみずから遺憾であったということでございますから、今後これに対して幹事長自身として十分戒心をしてまいるものと信じます。
  292. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 こういう人に一国の責任を支えられたらそれこそ大変だと思いますけれども、この問題は今後ともわれわれ追及していくことを表明します。  次のロッキード問題に移りたいと思います。  ロッキード問題、この参議院でもかなり審議が進みまして、いろいろな問題が新たに出ております。コーチャン証言以来二ヵ月半たちました。よくこの事件は「刑事コロンボ」にたとえられていて、大体犯人は見る人にわかっておる。刑事だけわからない。いかにしてその犯人にたどり着くかが一番の興味だなどという報道もありますけれども、決してそうではありません。これは犯人がだれかは想定するのはそれぞれ自由ですけれども、非常に私は深刻で幅が広い、予想以上に大きな、また、全貌もまだわからない大事件であると思います。  たとえば、この問題はいわばロッキードと丸紅、全日空、いわゆるこのラインだけ問題になっておりますけれども、そうではなくて、すでに日航の名前も出ております。予算委員会で全日空の大庭前社長は、日本航空としてはもし使うとすればDC10だということになっていたと思いますし、私はDC10でございます、そう答えてもいるわけであります。さらにアメリカの側で言えば、ロッキードだけでなくて、ボーイングだとかダグラスにも疑惑があります。ボーイングのウィルソン会長は、全世界ですでに二百十億円手数料を流したということを、SECに出した書類、この中で明らかにしております。ダグラスも七億五千万円、少なくともそれだけは手数料として出したということも明らかになっております。そういう点でわれわれは非常に幅の広い、アメリカにおいても日本においても、日本の全航空会社を巻き込み、アメリカの一連の多国籍企業を巻き込んだ大事件だという立場で考えていかなければならぬ、そう思います。  この、審議の中ですでに問題になっているように、この航空行政の問題で運輸省が非常に決定的役割りを果たしたということが次第に浮かび上がりつつある。その問題で、私は運輸省のその役割りで二つの柱、これを指摘したい。審議の中ではエアバスの導入時期の延期問題が問題になりましたけれども、もう一つの柱は航空業界の再編成であります。これについて、突如として昭和四十五年五月二十六日に橋本運輸大臣が橋本私案を発表して、航空行政再編成が根本的に転換したという事実が伝えられております。ひとつ運輸省、大臣、この航空業界再編成、それまでの方針とこの橋本私案の内容、これについて説明してください。
  293. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) その前に委員長のお許しを得まして、先ほど黒柳委員の御質問の中に私が航空二社の社長と……
  294. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 関係ないよ、私の質問と。
  295. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) これは事実と違いますので、やはり聞いておられますから、時間を取りませんから、詳細調べましたので、お願いいたします。
  296. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は何の関係もないんですから。
  297. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 待ってください。後刻にして、質問答弁をお述べ願います。
  298. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) それではこれは後刻にさせていただきます。  航空の再編成につきましては、昭和四十一年の五月の閣議了解におきまして、ローカルの航空会社の経営の悪化に伴いまして、日本航空と日本国内航空が将来合併することを前提に運営の一元化を図る、また、ローカル線運営企業の幹線運営企業への統合を促進することという閣議了解をされたのでございますが、この方針のもとに日本航空は日本国内航空の幹線の運営を引き受け、また、全日空は東亜航空と合併すべく交渉を続けていたわけでございますが、なかなか全日空と東亜航空との合併の条件が折り合わなかったという状況でございました。そこで昭和四十五年になりまして、国内航空運送事業は旅客需要がそのころ相当増加してまいりまして、各企業とも収支の状況が好転してまいったわけでございます。そこで昭和四十一年、当時のローカル線の会社の経営が悪いという理由で再編成方針が立てられたのでございますが、情勢が変わりましたので、この再編成方針は見直すべきであるという声が関係者の間で強くなったのでございます。  そこで運輸省としましては、四十五年の六月に運輸政策審議会にこの点につきまして、今後の航空輸送の進展に即応した航空政策の基本方針について諮問をいたしたわけでございます。その諮問の結果、同年の、四十五年の十月に答申を受けました。この答申を受けまして十一月に「航空企業の運営体制について」という閣議了解をいたしたのでございまして、これはたびたび申し上げております日本航空、全日空、それから東亜航空と国内航空が合併して国内三社がその運営に当たるというのがこのときの案でございます。
  299. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いまの説明で五月二十六日の橋本私案ですね、これが突如として行われたものだという問題に触れておりませんけれども、これはどうですか。
  300. 中村大造

    政府委員中村大造君) 五月二十六日の橋本私案というものはよく存じませんけれども、四十五年の四月、五月ごろから、従来の方針を再検討すべきであるという声が上がってきたということは先ほど大臣申し上げましたとおりでありまして、恐らく五月二十六日というのは、われわれとしてその当時思い当たることは、新聞紙上で橋本大臣が記者会見されました中に、従来の方針を再検討すべきであると、このようなことを言われたという記事がございます。恐らく、したがってその当時、そういう運輸省に再検討の意見が出てきておったということの反映であろうと思いますけれども、具体的にどのような方向に持っていくかというふうな、いわゆる橋本私案というようなものは発表したこともございませんし、また、私どももそういうものがあったということは承知しないわけでございます。
  301. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 橋本登美三郎氏は当時運輸大臣ですね。運輸大臣の記者会見で述べた五月の発表について運輸省がよく承知しない。これはきわめておかしいじゃないですか。この問題、これを調べないでどうして疑惑解明ができるのですか。
  302. 中村大造

    政府委員中村大造君) 従来の方針、これは四十一年の閣議了解の線でございますけれども、そういうものにこだわらず、それを再検討する必要がある、したがって再検討の方向を打ち出されたものとわれわれは解しておりまして、具体的にどういう中身にするのだということの発表をその当時したということは、私どもの調査ではございません。
  303. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 航空審議会の答申に基づいて新しい再編成方針が出たと運輸大臣は言いましたけれども、答申より前に、運輸大臣が勝手に記者会見で、運輸省の航空局もよく知らぬうちに発表した。ここに疑惑があるんですよ。だから、橋本登美三郎氏にいろんな疑惑が出ているわけです。その問題をはっきり調べないというのはきわめて奇怪です。私ども共産党の調査団は、この問題をいろいろ調べてまいりましたけれども、この業界再編成方針は調べれば調べるほど奇怪な事実が出てまいります。  日航の資料ではこう書いてある。それまで国内航空と日航と一緒になるというので、ずっとやってきた。ところが、日航、全日空に次ぐ第三の航空会社を設立せんとする政治的動きが急速に進展し、四十一年五月の二十日の閣議了解を変更したと、こう日航は正式の社内書類でその経過を述べております。  それから国内航空は、つまり日航と合併するために、実際上運営、経営権を日航が持って、赤字を全部背負ってずっとやっていたんです。ところが、国内航空と東亜航空の合併という根本的な方針が急遽提起されて、閣議了解に達する。この問題について当時の国内航空の社長の川淵社長、この人はわが党の調査団の調査に対して、全く寝耳に水であったと、そう述べている。つまり、東亜航空と国内航空と合併することを閣議で決めるその前まで、国内航空の社長は全く寝耳に水であったということを述べているんですね。こんな奇怪な再編成方針というのが一体ありますか。
  304. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) 当時の事情は、いま私が申し上げたように、航空需要が非常によくなってきたということで、最初の案の二社というのは、国内航空、東亜航空が非常に経営上苦しいということで、それぞれ独立なり両社が一本になるということは、小企業ばかりですから非常に困難である。そこで、いずれも日本航空あるいは全日空のいわば先発企業と一緒になって、二社でやるべきであるというのが最初の案であったわけでございますが、その後航空需要が非常によくなりましたために、東亜航空の方でも、合併は要するに大会社に合併されるわけですから、それをいさぎよしとせず、反対であるというふうな空気が……
  305. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 東亜航空じゃない、国内航空ですよ。
  306. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) 国内航空です。出てまいったわけでございます。そういうふうな状況を踏まえて、しからばそういう背景のもとにどのように再編成するかということでああいう案になったと聞いておるわけでございます。
  307. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これは全く事実と違います。もう当時の川淵社長は青天のへきれきで全然知らなかった、寝耳に水だったと言っているんですよ。いまの運輸省答弁、違うじゃないですか。国内航空から希望が出た、そうじゃないですよ。社長は全く知らなかった。
  308. 中村大造

    政府委員中村大造君) 当時のいろいろいきさつはあろうかと思いますけれども、とにかく四十五年になって再検討の要ありという上客観情勢が出てまいりまして、六月に運輸政策審議会に諮問をいたしまして、そこで御議論をいただいて正式に答申をちょうだいして、そして新しい方針が決定された、こういうことでございまして、その間にいろいろな意見があり、いろいろなところで出て、また新聞紙上等にもそういうものが出たという事実はわれわれも承知いたしておりますけれども、経過としてはいろいろな意見があって、運輸政策審議会に諮問して検討された、こういう経過を経ていると思います。
  309. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いかに当時の合併が無理なものであったかということは、この日航と国内航空が合併しようとしてすでに金が支出されていたわけだから、それをやめて東亜航空と合併するというために債権債務ということが、清算の債務問題が起きたわけであります。この当時の十一月二十日の閣議了解の第三項に、「日本航空と日本国内航空が合併しなくなることに伴う問題の処理は、両社が協議し、政府の承認を受けて決定する。」こう閣議了解に書いてある。この問題で清算債務として出た額、その後の処理、これについてお伺いします。
  310. 中村大造

    政府委員中村大造君) この清算問題は、その後、東亜国内航空が引き継ぎまして、日本航空との間で協議を進めてきておるわけでございまして、現在の段階では相当、両者の間で煮詰まっておるわけでございまして、まだ最終的に決定いたしておりません。
  311. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 当初の金額はどのぐらいですか。
  312. 中村大造

    政府委員中村大造君) この点は未確認でございますけれども、当時は日航側としては約二十八億だったと思いますが、その程度の債権があるというふうに言っておったというふうに承知いたします。
  313. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 六年前ですよ。六年前、二十八億円日航が債権があった。六年たっていまだに解決されていないんですね。この項目は四十七年四月一日のあの閣議通達にもまたあらわれている。いまだに解決していない。日航に二十八億円損害をかけて、国内航空の社長も知らぬうちに、いきなりこういう根本的な転換方針が当時の橋本運輸大臣の口から五月二十六日にいきなり上げられて、五月三十一日には全日空の大庭社長がやめさせられて、そしてそれから航空審議会の答申とか、そしてこの閣議了解までいくわけですね。いかに大変な問題がここにひそんでいるかということはほぼ明らかだと思います。私は、運輸省がこの問題についても調査することを要求します。
  314. 中村大造

    政府委員中村大造君) 日航と東亜国内航空のいわゆる清算問題、これは二十八億という数字は先ほど私が申し上げたとおりでございますが、これは日航側があらゆるものを要するに計算いたしまして、日航側として要求し得るというその当時判断いたしたものが二十八億でございますけれども、これはお互いに両方の言い分があるわけでございますから、何が客観的に正しいかということは、両社が協議し、また最終的には政府としてこれを判断しなければならぬということでございます。現在これを鋭意詰めておるわけで、もう相当程度詰まっておるわけでございますから、いずれ近いうちに妥当な結論が出るというふうに思います。
  315. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 清算問題だけでなくて、航空再編成の問題全体について調査しろと。
  316. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 質問に答えてください。
  317. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 運輸大臣、木村さん、木村さんのところの問題ですから、航空局長の問題じゃない。航空局長は、さっきも局長以下しか調べられないと言うんだから、これは橋本大臣の問題でもあるので、ひとつ木村さん答えてください。
  318. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) いま航空局長が申し上げましたように、当時、航空事情の変動ということでいろんな騒ぎがあったわけでございますが、結局のところ、当時の橋本運輸大臣も最初の案ではとうてい無理であろうという判断から、恐らく再編成が必要だ、しかし大臣個人の見解では十分でないので、運政審にどうあるべきかという当時の現状を踏まえて再編成のあり方を諮問をしたという経緯になっておるようでございますが、なお、お話しのように詳細なことをさらに一層調べてまいりたいと思います。
  319. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 答弁は大きな声でお願いします。明快率直に質問に答えていただきたいと思います。
  320. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 川淵さんは、順調にいっていた、運輸省の指導を受けてやっていた、それがいきなりこういうことになって、こんなばかなことがあっていいのか、私はこれで飛行機に対する夢をなくしたとまで言われているんですね。しかも、このいきなりの逆転に役割りを果たしたのは、国内航空の一番の株主であった東急電鉄であったと伝えられている。この東急電鉄の取締役かつ筆頭の個人株主は、御存じの小佐野賢治氏であります。こういう点でもこの問題に非常に深い背景があるということだけを指摘しておきたい。  二番目に、これは先ほどから問題になっておりますエアバスの導入延期の問題であります。運輸省はようやくこの委員会での審議で、四十七年度の導入延期、四十九年度にするということについては、あるいはアドバイスあるいは行政指導という言葉を使って認めました。しかし、四十七年度に導入しろということについては、運輸大臣は、行政指導したことがないということを一貫して答弁されております。しかし、これは共産党議員団の調査でもやはり事実と違うということが明らかになっております。と申しますのは、四十五年の十二月二日に、運輸省は日航に対して、四十七年度導入を事実上の前提として、ボーイング川の国際線も国内線に転用するという事実を認可し、そして四機のボーイング747の購入を許可を与えたという事実があります。中村航空局長にその事実をお伺いします。
  321. 中村大造

    政府委員中村大造君) 四十五年の十二月に、日航の国際線用として四機購入を認可いたしました。  それから国際線に当時使っておりました三機、これの国内線への転用、これをその当時認可したと、こういうふうにおっしゃいましたけれども、認可した事実はございません。
  322. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いまのは、私の言い方の言葉じりをとらえた答弁で、新たに国際線用として四機のB747の購入認可を行う、その認可はありますか。
  323. 中村大造

    政府委員中村大造君) 国際線用として四機の購入は認可いたしております。
  324. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 どうも中村航空局長はうまい答弁をするんですが、国際線の四機を認可したのは、日航がいままで国際線に使っていたのを国内線用に三機転用する。その穴埋めとしてであります。だからこの認可は、その穴埋め転用を事実上知っていて、それを前提として行ったものだということは明らかです。どうですか。
  325. 中村大造

    政府委員中村大造君) 国際線用として四機の購入の認可の是非を審査いたしますときに、日航の当時持っておりました長期計画というものを参考にいたしました。その中に、日航としては三機を国内線に転用する、こういう計画があったわけでございます。したがって、運輸省としては当然そういうことがあり得るということをこれは承知しておったということは言えるわけでございますけれども、しかしながら、その三機の転用そのものをその時点で認可したとかなんとかということではないわけでございます。
  326. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これはまことに逃げ口上であります。国内線の転用を知っていたということは、すなわちその転用を前提にして、そのことを事実上認めていたということであります。この点どうですか。
  327. 中村大造

    政府委員中村大造君) 日航の計画として三機を転用する、こういう計画は運輸省としては説明を聴取いたしておるわけでございまして、したがって、そういうことがあり得るということは十分承知いたしまして、そして国際線用として四機購入を認可したと、こういうことでございます。
  328. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 十分承知していたといいますと、結局、昭和四十七年度に国内線に日航がこの747を使うということを事実上知っており、それを認めたことになりますね。
  329. 中村大造

    政府委員中村大造君) 四十七年度にそういうことがあり得るということは十分承知しておったわけでございます。
  330. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これが四十五年の十二月であります。それからわずか三カ月後に、ここでまた橋本運輸大臣が登場する。四十六年の二月の二十日に国会での答弁で橋本運輸大臣は、エアバスの導入延期については慎重かつ消極的にやるという発言を突然行いました。これからエアバスの導入時期の延期問題が始まったのであります。なぜ三カ月でこういうふうに転換したのか、この理由をお伺いします。   〔委員長退席、理事山内一郎君着席〕
  331. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) そのころの経緯につきましては、昨日もちょっと申し述べたわけでございますが、いま航空局長が申し上げましたように、日本航空はマクロ的に五カ年ぐらいの計画をもちまして計画を進めていくわけでございます。しかも、毎年の予算編成のときにその五カ年計画を見直しながら次へ進んでいくというやり方をしておるようでございます。  そこで、先ほど航空局長が申しましたように、四機でございましたか、認可をした。そのときのマクロ的な日本航空の計画では、将来三機国内に転用するという計画があったということは航空局も承知をしておったわけでございますが、それをいつやるとかなんとかいうことでそれを承認をしたのではないことはいま申し上げたとおりでございますが、いずれにしましても、日本航空も全日空も、そのマクロの計画では四十七年ごろから国内に大型機を導入したいという意向を持っておったことは事実でございます。  ところが、四十五年という年は万博の年でございました。あれまでずうっと需要がふえてまいりましたのが、万博後非常に需要が下がってまいりました。最初の四十五年の十一月の閣議了解の時点では、当時の運政審の需要予測を前提にしてつくっております。それは昭和六十年に大体一億二千万人の需要があるということで、それを受けての計画でございましたが、万博後、四十五年の秋から冬にかけてずっとお客は減ってきた。こういう情勢の変化で、当時、いまくしくも御発言になりましたが、国会で橋本運輸大臣が、ゆっくりやりたい、見直す、大型機の導入は慎重にやりたいと言いましたのは、国会におきましてもそういう航空状況を踏まえて、いま運輸省が急いで国内に大型機を導入することは時期尚早ではないか、航空安全の面から、飛行場の整備の面から、また航空需要の面から、そうなぜあわててやるんだというふうな論戦がありまして、そういう情勢を踏まえて、橋本運輸大臣は国会におきまして慎重にならざるを得なかったというのが当時の状況のようでございます。
  332. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 運輸大臣は、疑惑の集中しているこの問題で、運輸省内にどういう問題があったかを本気で追求する姿勢じゃないです。どんな問題が出てきても、これは疑惑がなかった疑惑がなかった、万博がどうだったとか、こうだったとかということで犯人にかわって説明している、口実をつけているということしか考えられない。中村航空局長、あなたは私どもの調査団に対して、四十五年の十二月二日には四十七年度導入を事実上認めながら、三カ月後にいきなり変わったことを突っ込まれまして、結局最後に、大変困っている、皆さんに納得のいく合理的な説明ができないですねと答えた。だから、われわれが疑惑を持つのは当然じゃないかと言ったのに対して、局長は、それで困っているという答弁をしたことを認めますか。
  333. 中村大造

    政府委員中村大造君) どういうふうに申し上げたか記憶がございませんけれども、もしそのように申したとすれば、それは私が説明をいろいろいたしましてもこの点がなかなか御理解いただけないということについて、私自身も非常に実はもどかしく思っておるわけでございますけれども、しかし、なかなかその点が御理解いただけないということを私自身非常に残念に思っておる、こういうことでございます。  しかしながら、この点についてはその四十五年における判断と四十六年における判断、これについてのつながりはどうかということについて、結果論的にはいろいろ御議論いただけると思いますけれども、そのときそのときにおいては、当時の事務当局はそのときの客観情勢に合わして最善判断をすべく努力したと、こういうことでございますから、四十六年の二月になって、あるいは三月になってその当時のいわゆる旅客の需要の動態というものから考え、また各社が競って四十七年からエアバスを導入しようという計画をこのまま放置しておいたらどうなるかということを冷静に考えたときに、当時としてはこの導入にストップをかけるということが、これは私は事務的に考えても当を得た判断だったと思います。これをもしそのときに各社の計画をそのままうのみにして、いわゆる延期のアドバイスをしなかった場合の方かもっと私は影響は大きかったんではないかというふうに考えております。
  334. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 コーチャン証言がなかったらそういう答弁で済むんです、こういういろんな情勢かあったと。しかし、すでにコーチャン証言があって、トライスター導入問題についてはさまざまな工作を彼が六八年以来全力を挙げてやってきたと、時期も延期させることに成功したと言っている。だから、いまその事実に立って四十五年来のいろんな問題について改めて疑惑の目を持って追及しなけりゃならぬ。その疑惑を消すように口実を並べりゃ幾らでもできますよ、彼らも客観情勢を利用していろんなことをやったんだから。しかし客観情勢を並べるんじゃなくて、その客観情勢の裏にある問題を本当にわれわれが調べるか、政府が調べる、運輸省が調べる姿勢にあるかどうかということが問題なんだ。  で、いま私は二つの行政指導の根本的な突然の転換について述べた。この結果どうなったか。当初は二社統合です。日本は二社にすると、両方とも大体DC10にすると、統一機種だと、非常にすっきりした方針だと、それがいまの橋本運輸大臣当時に行われた二つの転換によってどういうことになったか、三社になりました。そして、三社が、日航はボーイング、全日空はロッキード、東亜国内航空はダグラスDCの9を導入し、近く10を導入するという、三社ばらばらになったんですよ。こういう変化が起きた。だから、この問題をいまのように合理化するんじゃなくて徹底的に追及すべきだということを要求しているんです。運輸大臣どうですか。
  335. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) わが国が大型機を国内に導入するという方針は申すまでもございませんが、四十五年のころから閣議了解もしておるわけでございます。国際的に見ましても、その当時大型機の製作、売り込みということもあったのも事実でございますから、恐らくわが国の方針が近く大型機を国内線に導入するということになれば航空会社の方は大いに売り込みをやろうというのもまた当然だろうと思います。
  336. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 だから、当然だというふうなことで済まさないで疑惑を追及してほしいと言っているんですよ。
  337. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) しかし、われわれとしましては当時の運輸省の航空行政がそういう背景はありながらどういうふうにやってきたかということをいままで調べてまいりましたその経緯が、先ほど航空局長が申し上げたような、運輸省の所管であります航空局の考え方としてそういうふうにやってきたということを申し上げておるのでございまして、そのことと、それからいまの上田委員のおっしゃる疑惑の問題とはどういう関係にあるかということは、これはいまその問題でいろいろ調査をされておりますから、その方で明確になることと思いますので、われわれ航空当局の者がそういう点を疑惑があったかどうかということは、これは調べるのにも限界がございますし、また当時航空行政がそういうことに災いされて行われたか、災いされずに当時の航空事情を背景にとったあの政策というものが間違いであったかなかったかということを究明することがまず前提である、かように考えておるわけでございます。
  338. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これ、納得できませんね。これだけさまざまな疑惑が提起されていて、運輸大臣がそういう姿勢で真相を追及できますか。この橋本運輸大臣時代に行われた二つの運輸行政行政指導の方向の根本的転換の経過について、国会報告を求めます。
  339. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) いま私の申し上げたのが当時の事情の報告でございますので……
  340. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それだけですか。
  341. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) それだけでございます。
  342. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そんなことで、この問題何で国民が疑惑を持っているんですか。
  343. 山内一郎

    ○理事(山内一郎君) 立ってやってください。
  344. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それは了承できないですよ、そんな答弁。あれで終わりですか、問題は。問題はあれですか、もっとこれらの問題について運輸省として徹底的な調査を要求すると、先ほどの、航空局長までしかいってないですから……。三木首相、三木さんどうですか。いまの運輸大臣のあの答弁で、あれですべてだと言うのですが。
  345. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ運輸行政、ことに航空行政運輸省が管轄しておるものであって、一番事情を知っておるわけでございますから、これがやはりその当時をこういうことであったということを申し述べておるのですから、どうか、その間にいろいろこういう点にどうも疑問があるということがありますならば上田委員からひとつ御指摘を願って、御指摘を願って、そうすればむろん調査はいたさせます。
  346. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 首相、寝てたからだめだ。  運輸大臣のあの答弁じゃ納得できないですよ、本当に。
  347. 山内一郎

    ○理事(山内一郎君) 立ってやってください。
  348. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いや、国民が納得しないですよ、あれじゃ。あれで終わりだと。トライスター問題全部、あれで終わりなんですか。
  349. 山内一郎

    ○理事(山内一郎君) 立ってやってください、立って。  木村運輸大臣に再答弁をお願いします。
  350. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) 当時の事情は、いままで調査をいたしましたところは航空局長並びに私が申し上げたとおりでございますが、なお今後、上田委員初め皆さんからいろんな点で御疑問がございます点はさらに調査はいたします。  いままで調べたところは以上のとおりでございます。
  351. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 厳重な調査を要求します。  PXLの問題についてもわが党いろいろ調査しておりますけれども、今後なお特別委員会あるいはこの予算委員会でも審議の機会があると思いますので、次に進みます。  今度の問題は、その幅の広さという点では藤井丙午委員も指摘しましたけれども、アメリカからもともと出てきた問題であります。三木首相はこの間の党首会談の席上に、賄賂をもらったのも悪いけれどもやった方も悪いということを言われ、河野議長は、アメリカの方もアイ・アム・ソリーと言うべきだということを言いました。政府は今度特使を派遣するそうですけれども、第一に、特使はいつ派遣しますか。
  352. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 近く特使は決定をいたしたいと思っております。多分まあ金曜日の閣議ぐらいに特使を決定したいという腹づもりで人選を急いでおるわけですが、これが特使が決定をいたしますと、先方のいろいろアポイントメントをとらなきゃなりませんので、決定次第アメリカ側との間に、いろんな要人に会うわけでございますから、先方の日程もございまして、それを打ち合わせて、そして一番適当な時期に出発をさせたい。とにかく先般の議長裁定のもとにこういう問題は決めたものでありますから迅速に処理したいと考えております。
  353. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 議長裁定の実行を迅速にすることを要求しますが、その特使には賄賂を贈った方も悪いということですから、アメリカに対して多国籍企業のこういう他国に対する贈賄ですね、これについて真相究明を特使としてやっぱり申し入れるということをするべきだと思いますがどうでしょう。
  354. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 上田君御承知のように、私の親書にも、大統領の書簡にも、多国籍企業のあり方についてアメリカもこれに対していろいろもういま検討を加えておる、この点で日米の協力をしていこうという趣旨の返書もございましたわけでございますから、ちょうどアメリカにも、リチャードソン商務長官を中心にして、多国籍企業の不正行為に対する、これを防止するための閣僚の委員会ができておるわけで、リチャードソン商務長官とも、今度参りました特使は十分に連絡をとって、多国籍企業の行動というものに対しての、これは何とかこういう不正行為が再び起こらないようにアメリカと日本との協力ができるような道を講じたい、したがってアメリカ側とも十分話したいと思っておる点でございます。
  355. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 アメリカでは前大統領のニクソン氏にも疑惑が生まれております。ニクソン氏は、カリフォルニア選挙区が重要な選挙地盤でありまして、ロッキード社とも深い関係があった。すでにタド・シュルツ記者は、ニクソン大統領が田中前首相にロッキードを買うよう圧力をかけた証拠をFBIが持っていると、そう書いております。そういう点で、ニクソン氏への資金の還流その他も疑惑として生まれておりますが、多国籍企業だけでなくて、アメリカ側のニクソン大統領に関するこういう疑惑の問題についても、特使がアメリカ側の事実を調べてくるということを含むべきだと思いますが、どうでしょうか。
  356. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) この特使はやっぱり日本に関係をする諸問題でございますから、多国籍企業のあり方というものは日本に関連をしますが、ニクソン氏の問題というものは、特使の…−
  357. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いや、田中首相とニクソン氏が話したということは日本に関係していますよ。田中首相と話し合った、田中首相にニクソンがロッキードを頼んだと。FBIが証拠を持っていると言っているんですから。そういうことを誓いている。
  358. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは一つのそういう報道が上田君あったという御指摘でございましょうが、こういうものを、一々報道に対して特使がアメリカで調べるというような、こういうことまで特使が特使派遣の目的といたすものではないわけでございます。
  359. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 やはり言葉と違って、本気で、今度の構造的な疑獄ですね、国際的な太平洋をまたいだ——韓国の名前が出ているんですからね、日米韓にまたがった疑獄の本質を本気で三木内閣が調べようと思っているのかどうか、私は疑問を持ちます。アメリカでは前大統領の名前が出ている。日本では岸さんとか、佐藤氏とか、田中さんとか、疑惑を持っている人、特に三人の首相経験者の名前が出ている。韓国でも大統領の名前がささやかれ始めている、こういう大変な事件なんですよ。こういうだけに、それこそ本格的な構えで三木内閣がこの問題に取り組むことを要求しますが、どうでしょう。
  360. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 一々揣摩憶測で問題を疑ってかかるわけにはまいりませんが、この真相は徹底的に究明されなければならぬというのが私の決意であることに変わりはございません。
  361. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 決意はあるけれども、せっかくアメリカに特使派遣をしても、田中・ニクソン会談がこれだけ問題になっているのにニクソンさんの方は調べるつもりはないと、これでは決意は全く抽象的じゃありませんか。
  362. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) この特使がニクソン氏の問題をアメリカへ行って調べるということは、これはやはり特使の使命としては私は適当ではないと思います。ロッキードの問題に対しての真相の究明ということに対して、アメリカ側との新しい資料の提供であるとか、今後協力をするという点については話しますけれども、いろんな問題について、いろいろうわさの出ておるような問題を一々とらえて、その真相を特使がアメリカにおいて究明するという、そういうふうな意味の特使では私はないと思うわけでございます。日米の間に起こっておるこういういろんな多国籍企業の不正行為、これに対しての真相を究明する、そのための日米間の捜査協力というものについては十分話したいと思っております。
  363. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ノースロップ社の場合には、戻ってきた金の中で三十九人のアメリカの軍人、これが関係したというので戒告処分を受けている。日本でも、多国籍企業だけじゃなくてアメリカ政府高官にも関係あるかもしれない。だから、ニクソン氏とあえて限定しませんけれども、特使の任務の一つの真相究明という点では、アメリカの多国籍企業、あるいは出てきた場合にはアメリカ側の問題もこれを真相究明の中に含むという点で理解していいですか。
  364. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これはいろいろ日本の捜査をしておった場合に、捜査を進めていくについて、まあコーチャン証言などの信憑性というものが日本の裏づけ捜査を通じて明らかになってまいりますから、日本に関連したようなことは、今後の捜査を進めていくにおいていろんな問題が解明されるものだと考えております。特使がそれをアメリカへ行って調べるという性質のものではございません。
  365. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それが真相究明の問題をあいまいにする姿勢だということを私は指摘しているのであります。  ひとつ法務大臣にお伺いしたいんですが、国民が今度の問題を見ていて非常にこれはおかしいことだと思うのは、時効の問題です。これだけ大規模な汚職の疑いが出ていて、しかし三年たてば単純収賄だと時効になっちゃう。それから特定の問題に対する受託収賄の場合には五年で時効になっちゃう。国家と国民がこれだけ大きな被害を受けているかもしれないのに、賄賂を贈った側も贈られた側も、だまって三年か五年たてばどんなことやっても時効になってしまう。これでは日本の政治の浄化はできないと思うんですね。この時効問題について新しい法的な検討を行っているかどうか、これをお伺いしたい。
  366. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 時効問題についての日本の刑法総則の規定並びに贈収賄罪についての時効の規定、おっしゃるとおりの年限です。これについて改正の必要ありとする法制審議会の刑法改正意見などもあるようでございますから、詳細は専門にわたりますので、刑事局長にひとつ答弁させたいと思います。
  367. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) 具体的なロッキード事件に関連してのお尋ねでございますので、いま捜査中のものにつきまして、たとえ犯罪が成立するにしても、時効にかかっておるであろうというようなことを前提として立法論をすることはどうもいかがかと思いまするが、一般論といたしましてのお尋ねとしてお答えをいたしたいと思います。  そこで、時効制度というものは、もう上田委員に申し上げるまでもなく、犯罪行為が終わりました後、その時間の経過とともに犯罪の行為によりますところの社会への影響力が減殺していくということによって処罰の必要性が消滅する時期が来るということと、それから犯罪行為が終わりました後におきましては、証拠が散逸するというようなことから、時効制度というものはできるだけ一律に定める必要があるということで、現在のわが国の時効制度は、刑の軽重に応じまして、短いのは一年とか、あるいは長いのは十年というようなことで、時効制度が刑の、法定刑の幅によりまして段階的に決められておるわけであります。  そこで、いま御指摘のその贈収賄のような、いわば国民感情のなかなか許さないような罪については、特に時効を長くしてはどうかという御議論というふうに承るわけでございますが、それはそれとして、アメリカの模範刑法典等にはそういう規定もございます。あるいはドイツにおきましては、戦争犯罪につきまして特別の時効を長くする改正を数回にわたってやっている国もございますが、一般にはやはり一律であることが望ましいと思われますとともに、具体的な問題として、具体的に現に起こっている行為に対するいまの時効制度では短過ぎるから、現に起こっていることがけしからぬから、時効をこれからの立法によって長くしようではないかという議論だといたしますと、すでに時効にかかっているものにつきまして、後の立法でその時効期間を長くするということは、もう御案内と思いまするが、憲法の三十一条とか、あるいは三十九条のいわゆる罪刑法定主義あるいは刑罰不遡及の原則、一事不再理の原則というものに触れるのではないかという憲法上の疑問がございます。また、現に時効にはなっていないけれども、そのうちに時効になるであろうから、いまから行為を行った後に立法によりまして時効の期間を長くするということは、大体時効の制度というものが、運用の実績におきまして被疑者、被告人、犯罪人の利益のために設けられているということから考えますると、最近の学説ではやはり行為のときの時効によって論ずべきではないかという議論もございますので、この点につきましても、立法論としてはややむつかしい問題があるというようなことで、せっかくの御指摘ではございますが、なかなか今日時効を変えていくということは、刑事訴訟法の時効を変えるということはなかなかむつかしいのでございまして、将来の問題といたしましては、現在の刑法改正草案に出ておりますように、収賄罪なら収賄罪の法定刑がいま三年でございますのを五年にするというように、法定刑を重くすることによって、おのずからその結果として時効が延びるというような方法が最も望ましいのではないかと現在は考えております。
  368. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 トライスター導入問題が一番大変だったのは七二年ですよね、もうすでにそれから三年以上たっているわけです。それから第一次FX戦、これは伊能防衛庁長官、当時の方がいろんな圧力が佐藤大蔵大臣その他からあったということを証言していますが、すでに十八年たっているわけですね。こういう過去の問題について不遡及、これは当然のことですが、今後の問題として、たとえば刑法改正でなしに、政治浄化に関する刑事訴訟法の特例措置、こういうものを今後の問題として設けるということで解決できませんか。こういうのは、私は日本の民主主義を守るために国民的な要望だと思いますが、法務大臣いかがですか。
  369. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 今度の問題については、もうそれをつくりましてもあれですから、一般論として、こういう社会情勢で贈収賄罪等についての罪悪感が国民の間でも非常に強くなってきておりますから、その特別法を立法するというようなことについても十分検討に値すると私は思います。   〔理事山内一郎君退席、委員長着席〕
  370. 内藤功

    ○内藤功君 関連。
  371. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 内藤功君から関連の要求があります。これを許可いたします。
  372. 内藤功

    ○内藤功君 いま法務大臣は今後の立法の検討を約束されましたので、鋭意これの努力を要望する次第でございます。  私は関連質問として、情報の自由、知る権利という問題について総理並びに法制局長官にまず御質問をしたいと思うのであります。  いま国民が、このロッキードの論議を通しまして一番関心持っているのは、国民政治に対する知る権利というものが脅かされているじゃないか、無視されているじゃないかということだと思うのであります。知る権利というのは、これは世界の人権宣言、あの人権宣言の十九条にはっきりうたわれておるのです。言論、表現の自由というものは、その言論、表現を行う自由だけではなくて、情報と思想を求め、受ける自由である、これを含むのであるということが世界人権宣言にうたわれている。日本の憲法の二十一条の言論、表現の自由もこういう観点で理解すべきだと思うのです。詳しいことは言いませんが、アメリカではすでに一九六七年に情報自由法というものができて、これは七四年に改正——改悪ではないですね、改善の方向で改正をされておる。大統領もこの法律アメリカの民主主義のために非常に大事だということを言っているのです。ですから、これは事実的な問題としてではなくて三木総理にまずお伺いしたい。  この国民政治過程に対して情報を得る権利、そうしてこの情報を得る権利の中には、官公庁のいろいろな文書ですね、こういったものを自由に閲覧することのできる自由、こういうものを含めた立法というものを政府は考えていらっしゃらないかどうか。これはこれからの政治をガラス張りにして民主主義の方向に持っていき、こういうロッキードのような問題のときも、国民国会を通して、あるいはみずからこの真相を把握する上で非常に大事な法律になると思う。この立法化についてどう考えているか、あるいは全然考えてないか、この点を総理と、それから技術的な問題については法制局長官にお伺いをしたい。これが第一点であります。
  373. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 日本は相当言論自由が保障されている国でございますが、内藤君御承知のように、アメリカの情報自由の法律につきましても、原則としては情報の自由というものを規定しながら、しかし、その場合においても、やはりたとえば捜査中の事件であるとか、人権侵害に関する、人権侵害のおそれのある場合であるとか、御承知のように後にいろいろな制限の条項がついておりますから、これはやはりこういう民主主義の社会における当然の制限であると思いますので、いま日本にあのような法律を制定するかどうかということは、いま政府が検討をいたしておるわけではございませんが、やはり自由の原則の中にも、そういう制約はアメリカにおいてもこれは法律の中に規定をしておるということは御承知おきを願いたいのでございます。
  374. 内藤功

    ○内藤功君 検討するかどうかですよ。その点どうですか。検討するかどうか。検討するかどうかという質問ですから、イエスかノーか。答えになっていませんですな、その立法について検討する用意があるかどうかという質問ですから。アメリカ法律は私は知っていますからね。そうじゃないです。
  375. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いま突然に内藤君から持ち出されて私が検討すると言うのは少し言い過ぎだと思いますから、研究はいたしますとお答えしておきます。
  376. 吉國一郎

    政府委員吉國一郎君) ただいま内藤委員御指摘のいわゆる知る権利というものにつきましては、憲法が直接規定を設けているわけではございませんけれども、憲法第二十一条の保障いたします表現の自由の問題、また憲法のよって立つ基盤でございますところの民主主義社会のあり方という問題と結びついて、これは国政の上でも十分尊重されるべきものであることは申すまでもございません。しかし、日ごろ政府で申しておりますように、いかなる自由でございましても、いかなる権利でありましても、公共の福祉のために多かれ少なかれ制約を受けることはあるものでございまして、行政の側において秘密として秘匿されなければならないような事項につきましては、国民にいわゆる知る権利があるからといいましても、その開示を求めることができるという権利があるというわけにはまいらないと思います。これは日ごろ申しておりますように、やはりその間の調整の問題があると思います。で、そのような調整の問題について恐らく内藤委員は先ほど御指摘のような立法を考えたらどうかということに主張がおありになるんだろうと思いますが、その点につきましては、総理からも答弁いたしましたように、今後十分研究してまいりたいと思います。
  377. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 関連ですから、手短にお願いいたします。
  378. 内藤功

    ○内藤功君 それではもう一問。わが党の橋本敦議員など四名の調査団は、二次にわたりまして先般アメリカ合衆国におきましてロッキード疑獄問題の調査を行ってまいりました。この中で、私はその一員として参加をして、ワシントン郊外にあるメリーランド州のスートランドにある国立記録文書センターというところに参りまして、一九四五年から四七年の間の資料を中心に調べてまいりました。質問総理と法務、それから国家公安委員長の三人にお願いしたいと思うんです。  この中で一万一千箱のボックスがあるわけです。その一万一千箱のボックスの中に、日本、西ドイツの占領下の資料がぎっしり詰まっておる、そういう中から私どもは自由に閲覧をすることができたんです。やはり自由化法のもとにおける民主主義のあらわれだと私は思った。こういう中で私は二つのいま資料をここに提示をしたい。  これは一つは、児玉譽士夫、いままさにこのロッキード事件の被疑者とされているとさっき言われましたこの児玉譽士夫に関係してであります。彼が一九四八年の十二月の二十四日に極東軍事裁判の被疑者として釈放される、そのわずか四日後にこのアメリカ占領軍に、旧日本軍の持っておった非常に大量のラジウム、これは航空塗料とそれから医療に使うんです、このラジウムを占領軍の経済科学局に提供したんです。そうしてこのラジウムは、占領軍その他が調査したところ、その一部は、全部とは言わない、その一部は、中国の香港の病院から略奪されたものであるということがこの総司令部の文書で明らかになった。そうしてこのラジウムを児玉譽士夫は出獄してから四日目に米占領軍に献上しておるんです。こういう資料が一つ明らかになった。  もう一つは、児玉譽士夫が一九四九年の七月二十六日、これは当時特審局長の古河光貞氏からGHQ民政局ネイピア少佐に対する児玉譽出夫の違法免罪に関する報告書という文書でございます。これは当時児玉譽士夫は「われ敗れたり」という本を書いて出版しておる。これは昭和二十三年六月十五日付のカーペンター法務局長あての宣誓口供書を本にして出版した。ところが、この中に共産党と社会党を非難しておる。特に共産党に対してはこれは命をかけて戦うという政治主張をやっておる。追放された人間がやっているんですから追放令十五条違反だということで問擬されたのでありますが、この吉河特審局長は、GHQに対して、この本は児玉譽士夫が法律違反を知らないで書いたものだ、かつ自分の生涯を書いたものであるからして政治活動文書にならないから追放令違反にならないと言って、これは警告にとどめたので総司令部了解してくれ、こういう報告書であります。  この二つを、私はこの多くの資料の中からきょう質問の材料に選んだのは、児玉譽士夫がどのようにして戦後このアメリカ軍の機関と接触したか。タド・シュルツ記者と私は会ってきました。シュルツ記者の論文によると、これはCIAの問題だ、CIAの関係だと、こう言われておる。重要な問題です、これは。この二つの文書ですね。この一つはラジウムについての文書ですね。ラジウムについては私は文書の番号を全部控えてきましたが、日本の外務省特殊財産局にこれは文書があるんであります。さらにこの特審局長の文書は、これは当然控えがある、法務省の特審局の文書の中にあるはずです。こういう文書をやっぱり調べていくならば、必ずこの事件の全貌をつかむことができると私は思うんです。  私は最後に質問ですが、法務大臣にお聞きしたい。
  379. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 内藤君、手短にお願いします、質問事項をお願いします。
  380. 内藤功

    ○内藤功君 なお、国家公安委員長にも御質問をしたいんでありますが、あなた方はいままでにこういう文書、恐らくこの児玉譽士夫のラジウム献上問題、さらに児玉譽士夫の追放令違反が特に免罪されたというこの事実、こういったものを恐らく調べていないと思うけれども、調べているかどうか、この問題、そうしてもし、このような事実がはっきりしているんでありますから、日本の政府の部内に文書があるはずなんでありますから、これをもとにして事件の全貌、特に児玉とCIA、児玉とロッキード会社、この結びつきを究明する資料にするという気持ちがあるかどうか、この点だけを最後に伺っておきたいと思います。
  381. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) わが検察庁は万般抜かりがありませんから、御信頼をいただきたい。
  382. 内藤功

    ○内藤功君 答弁になっていませんよ、いまのは。
  383. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) おわかりにならなければもうちょっとやりますから。あなたは調べているか調べていないかとか、そういうことを聞かれるから、調べているだとか、調べていないだとか、そういうことをここで種明かしをするわけにはいかない。けれども、わが法務省はきわめて優秀な人材がそろっておりますから、あなたもよく御存じじゃないですか、あの首脳部を。ですから万般抜かりがない、決して粗漏なことはいたしません、こういうことを申し上げているのでありまして、私も信頼しております、あなたもどうぞ御信頼いただきたい、こういうことです。
  384. 福田一

    国務大臣福田一君) ロッキード問題については、警察庁並びに警視庁の方におきましても、御案内のように検察庁あるいは国税庁と連絡をとって、十分あらゆる面から調査をいたしておると思うのでございまして、そういう意味では、ただいま法務大臣からお答えがありましたが、われわれのこの調査をひとつ御信頼を願いたいと思います。
  385. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いま内藤委員から質問がありましたけれども、ロッキード問題は、こういう児玉譽士夫とのつながりなどを見ても明らかなように、日本の政治の戦犯的な構造、これとも結びつきがあります。私は先ほど第一に、この日本の政治の金権的な構造とのつながりを指摘しましたが、わが国の政治のこの戦犯的体質、これと結びついている点は非常に大事な二番目の問題であると思います。その点で、この自民党の前身の一つである自由党がつくられるときに、児玉が政治献金をして、これでつくられたということを本人が言っている。七千万円の現金と一かます半のダイヤモンドと段ボール箱二十箱のプラチナの半分を辻嘉六を通じて当時の鳩山一郎、河野一郎など、自由党をつくる資金に与えたというのであります。彼はほら吹きですから全部出実かどうかわからぬけれども、いまの金にして数百億円以上の金が出たということになっている。そうしますと、この児玉の自由党をつくるときの資金というのは、いまも一部出ましたけれども、中国人民の血にまみれた資金です。三十五億円海軍の特務機関で集めたということになっている。ただ同然の軍票やほとんど略奪、そういうものを通じて集めた金で、その一部で自由党がつくられた。それを引き継いだいまの自民党ということになりますと、そういう財政的な根拠その他を通じて、御存じのような非常に大きな影響力を児玉譽士夫が自民党と日本の政治の中に発揮した、それをコーチャンが利用したということであります。そういう自由党がつくられるときのそういう戦犯的な性質について、総裁としての三木首相はどういうふうに厳しい反省を行っておりますか。
  386. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は自由民主党、この結党以来の事実を私自身が参加したわけですからよく承知しておるわけですが、自由民主党が、児玉の資金が自由民主党に入ったということは絶対にありません。
  387. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 自由党ですよ、鳩山一郎のときの。自由党ですよ。
  388. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは、そういうことは自由民主党の名誉のために申し上げておくわけでございます。これは自民党自身が、こういうことは大事なことでございますから、まあCIAの関係などがいろいろうわさされておりますから、私はそういう点で歴代の経理局長というものを一人一人そういうのに個人的に調査をしたわけでございます。十三人おるわけです。二人が死亡しておりますが、もう一々、一人一人に確認をして、たとえばそういう児玉の資金であるとか、CIAの党への政治献金が流されたというようなことは全く事実無根であるということについて調査をいたしたわけですから申し上げておきます。
  389. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 自由党のことについて聞いているんですから、ちょっと委員長、これ違いますよ。自民党じゃないんだ、自由党。
  390. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 上田耕一郎君、改めて質問してください。
  391. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 さっき言ったじゃないですか。自由党ですよ、鳩山一郎の。それから吉田茂に引き継がれたわけだ。(「関係ないんじゃないか」と呼ぶ者あり)関係ありますよ、皆さん方全部関係あるんだ。
  392. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私はそのとき自由党員でございませんで、いろんな、辻嘉六がどうだこうだ、うわさはありますけれども、そういう事実というものは私自身はどうも信じがたいなという感じでございます。とにかくわれわれが責任を持たなきゃならぬのは自由民主党である。自由民主党に関しては、そういううわさも自由民主党にあったと思いませんが、これは明らかにいたしておく次第でございます。自由党でもいろんなうわさはあるけれども、そういうことはどうも、いま辻嘉六さんも亡くなっておりますが、そういうことはなかったのではないかなと私自身は考えております。
  393. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それでは、自民党時代のことについてお伺いしたい。A級戦犯の岸信介氏が巣鴨プリズンで児玉譽士夫と親しくなりました。そのA級戦犯容疑者の岸氏が釈放されまして自由民主党の総裁になり、岸内閣の首相となったわけであります。つまり、日本ではあの侵略戦争の責任者としてA級戦犯容疑者だった人物が、残念ながらわが国の首相となった。そしてCIAから資金をもらったというのが今度報道されましたが、岸首相のもとで新しい安保条約が結ばれた。そして岸国防会議議長のもとで第一次FX戦が起きて、ロッキード、グラマンの空中戦が起きた。そして今度のコーチャン証言でもフィンドレー証言でも、この時代からロッキードと児玉とのつながりがあったというのであります。ロッキード、児玉の暗躍はA級戦犯の岸首相のもとで始まった。ここに今度の事件の原点があるのであります。戦犯政治の復活ということが今度のロッキードの大疑獄事件とも結びついている。これはわが国民にとっての非常に大きな不幸であります。あの十五年間の侵略戦争に手数百万人のアジア人が犠牲になり、日本人も三百十万人死んでおります。日本の家族で犠牲者の出ていない家族はないほどの犠牲であります。岸さんは商工大臣だった。その人を首相にした。ヨーロッパにはない事実であります。この問題、この日本の政治の戦犯性ですね、この問題が今度の事件の原点としてあるという点について、私は特に責任を持つ自民党の首相並びに総裁としてどう考えておられるのか。  それから、わが党が何度聞いてもはっきり言われないけれども、あの太平洋戦争、中国戦争、これは侵略戦争であったと明言されるかどうか、この点お伺いします。
  394. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 自民党が戦犯的な性格を持っている、自民党は新しい憲法のもとに、新しい憲法の条章において政局を長く——一時期はありましたけれども、戦後の政治を全部担当してきたわけでございます。また、児玉氏と岸さん自身との関係については、最近上田君も、新聞紙上で岸さん自身がインタビューをされて、そんなに言われるような、よく知っておるけれども深い関係ではなかったということでございますから、児玉自身が自民党の政策決定に影響を与えたようなことは私は考えていないわけでございます。  また、戦争をどのようにこれを、あの戦争の性格というものを一口のもとに言うということに対しては、これは歴史がいろいろ言うでございましょうが、あの戦争が正しい戦争だとだれも言ってはいないわけです。再びこういう過ちを繰り返さないようにしようというのが新しい日本の出発点でございますが、その戦争をどう定義づけるかは別として、こういう過ちは二度と再び繰り返すまいというのが新しい憲法の出発点でもあるし、また、その後の日本の戦後の政治の歩みというものは、そういう反省の中から生まれてきた政治であることは否定できません。
  395. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 首相の反省と決意を期待を持って承りました。  そのいま言われた戦前の日本、この暗黒の日本を回した歯車が、侵略戦争ともう一つ治安維持法であります。ところが、侵略戦争肯定論、大東亜戦争肯定論というのが最近生まれておりましたが、新たに今度は治安維持法肯定論というものも生まれつつあります。  三木首相にお伺いします。いまの日本はそういう戦前の反省のもとに生まれておりますし、いまの憲法もそうですが、憲法の前文は、人類普遍の原理に反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除すると書かれておりますが、この排除するというものの中に治安維持法が入ると思いますが、いかがでしょうか。
  396. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それぞれの法律はその時代に一応あったのでございますが、治安維持法のごとき法律が、いまの時代にこういう法律を復活をさせる考えは絶対に全然ございませんし、また、それは適当ではないということはもう申すまでもないわけでございます。
  397. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 法制局長官にお伺いします。いまの時代にと首相は言われましたけども、いまの時代にということじゃなくて、治安維持法というああいう法律は、この憲法の前文並びに第九十八条などから見て排除すべきものであると、そう考えてよろしいですか。
  398. 吉國一郎

    政府委員吉國一郎君) この昭和二十一年十一月三日に公布されました日本国憲法のもとにおいて、過去の治安維持法のごとき法令が有効な法令として行われるはずは全くございません。この日本国憲法のもとにおいては、かの治安維持法のような法制があり得べきものではないことは当然でございます。
  399. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それだけでなくて、戦前の治安維持法は当時としては当然であったと、そういまの憲法のたてまえから言うことができますか。
  400. 吉國一郎

    政府委員吉國一郎君) この日本国憲法は昭和二十二年の五月三日にその効力を生じたものでございまして、それ以前の問題については、明治時代の大日本帝國憲法が日本の根本法律として、根本規律として有効であったものでございまして、旧大日本帝國憲法のもとにおいては、当時の治安維持法も有効な法律として制定をされ、施行されたものでございまして、現在の日本国憲法のもとにおいて評価をいたしますならば、先ほど申し上げたようなことになります。しかし、昭和二十年の暮れにすでに治安維持法は当然に廃止をいたしておりまして、日本国憲法の制定を待つまでもなく、そのような法制は排除したというのが当時の情勢でございます。
  401. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いまの憲法の立場に立てば、先ほど言うように、憲法前文でうたわれているような排除すべき法律だということが明らかになったと思います。  ところが、稻葉法務大臣、あなたは衆議院予算委員会で、不破議員質問に対し、当時の治安維持法というのは共産党に対する防衛手段として当然だと言いました。これは憲法に違反する発言だと思いますが、いかがでしょうか。
  402. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 現在の共産党と当時の共産党とはこれもまた大分違うんじゃないでしょうか。それから、私の不破委員質問に対する答弁の中の骨子を申し上げますと、これはまあ戦前の政治情勢、社会情勢は現在とは非常に異なっていると、これはお認めになるでしょう。憲法が違うんですから、第一。そのもとに国民生活が行われる。国の基本法が大日本帝國憲法と日本国憲法と違うのですから、政治的情勢、社会情勢が現在とは非常に異なっており、そういった時代的な背景を無視して当時の法律制度なり、その運用について、個々の現象面だけをとらえて一概にその是非を論評することは相当でないと、こう申しただけでありまして、基本的人権の尊重を民主主義の根幹とする、大原則としている現行憲法下において、治安維持法体制を肯定したり、保持すべきである、そういうようなことを言うたわけでもなし、そういう見解を持っているものではありません。したがって、私が侵略戦争を是としたり、現行憲法下においても治安維持法体制を保持すべきであるとの見解を有するように言われるのは、まことに心外であり、そのようなつもりは毛頭ありません。
  403. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 あなたは、当時としては当然であったということを述べているのであります。当時としてはそれに対して政府がいろいろ防衛手段を講ずることは当然じゃないですかと、共産党の動きに対しては。当時としては当然だといまでも思っておりますか。
  404. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 治安維持法が当然だとは言っていないのです。当時、共産党は暴力でもって政府を転覆しようと、こういう意図だった。それからその証拠には、銀行ギャングなどをやった事実もたくさんあるわけですよね。ですから、それに対して、暴力でもってやられるのは困るなあといって国が法律でもってこれに対抗することは、やっぱりそういう対抗手段を講ずることもあり得ると、こういうことで治安維持法が当然だと、こう言っているわけです。あらゆる当時の法制が、当時の共産党の実態に照らして、暴力が横行されちゃかなわぬなという点から、これを防衛手段に出るということは国としても当然なことじゃないでしょうかねと、こういう意味です。
  405. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 最大の暴力は戦争ですよ。三百十万人、日本人が殺されたんです。その侵略戦争に反対してわれわれは、日本共産党の先輩たちは命をかけて不屈に闘ったんですよ。  それで、あなたは治安維持法について言ったんじゃないと言いますけれども、議事録にあります。「治安維持法、治安維持法と言いますけれども、」と、そう言っている。ひとつ稻葉法相、治安維持法の第一条、第二条、第三条、一体どういうことが当時書かれていたか、昭和十六年の。ひとつ読み上げてください。
  406. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) 一番最終の治安維持法は、昭和十六年三月十日の法律第五十四号による改正の治安維持法の第一条は、「国体ヲ変革スルコトヲ目的トシテ結社ヲ組織シタル者又ハ結社ノ役員其ノ他指導者タル任務二従事シタル者ハ死刑又ハ無期若ハ七年以上ノ懲役二処シ情ヲ知りテ結社二加入シタル者又ハ結社ノ目的遂行ノ為ニスル行為ヲ為シタル者ハ三年以上ノ有期懲役二処ス」、これが第一条でございます。  あと、少し簡単にいたしまして、第二条は、このような第一条の結社を支持することを目的とする結社を組織した者に関する罰条でございまして、これにつきましても死刑、無期または五年以上の懲役の刑の規定がございます。  それから第三条は、さらに第一条の国体を変革することを目的とする結社を組織する準備をすることを目的とした結社を組織した者についての刑でございまして、これもまた死刑、無期もしくは五年以上の有期懲役ということになっております。
  407. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 第七条は。
  408. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) それから第七条は、「国体ヲ否定シ又ハ神宮若ハ皇室ノ尊厳ヲ冒涜スベキ事項ヲ流布スルコトヲ目的トシテ結社ヲ組織シタル者又ハ結社ノ役員其ノ他指導者タル任務ニ従事シタル者ハ無期又ハ四年以上ノ懲役ニ処シ」ということでございます。
  409. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 暴力革命に対して何とかするなんというのは一つもないですよ。あれは刑法の「内乱ニ関スル罪」その他にいろいろあるわけです。それじゃだめなので、こういう国体変革とか、あるいは神宮だとか、皇室に対する尊厳ということまで非常に広げて、あらゆる人にこの治安維持法をひっかけようとしたわけですね。つまり、行動じゃなくて思想を裁いたのが治安維持法です。いま民社党も社会党も共産党も、あるいは公明党まで社会主義を言っているけれども、当時は社会主義という思想を持つことがこの治安維持法で裁かれたのであります。  稻葉さん、先ほどの答弁のあなたの発言ですね、暴力革命だから治安維持法があると、そういうことと全く違うじゃありませんか、治安維持法についてどう思いますか。
  410. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) だから、私が言ったように、当時の社会情勢、政治情勢は違う、根本法が違うんだから……。「大日本帝國ハ萬世一系ノ天皇之ヲ統治ス」だとか、「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」とか、そういう根本法を持っているときに、その皇室をひっくり返すとか、そういうことになれば、それは暴力でもってひっくり返されちゃかなわぬなと、こういうふうに、当時の根本法治下においては当然じゃないですか。
  411. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そこが大問題なんですよ。一体、法にすべて悪法でも従えというどうもあなたの考えですけれども、国民主権のもとに、その法に国民は従うべきなんだ。国民に主権がなくて天皇に主権があると、あるいは徳川幕府に主権があると、その場合の法に、すべてに従うべきだということになったら、キリシタンの火あぶりも当然だと、あなたの論理ならそうなるのですよ。それじゃいけないということがいまの憲法の精神で、いまの憲法は、そういう国民主権でない、天皇主権だとか何だとか、ファシストの権力だとか、そういうもとに行われるこういう悪法に対しては、国民は自由と民主主義を守るために闘うべきだと、それがいまの憲法の基本精神で、近代民主主義の基本精神なんですよ。あなた、どうですか。
  412. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) あなた、いま言ったことについて争っているんじゃないのです、私ね。当時の法制はこういうことであった、だからそういう近代民主主義思想の時代には合わないから改正されたのじゃないですか、そうでしょう。改正されたんです。改正された今日においては、治安維持法などというものはあってはならないということは、法制局長官も総理大臣も言っているとおり、私もそのとおりだと思う。
  413. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 つまり、稻葉法務大臣もいまの憲法のもとで治安維持法を肯定することはできないということをようやく認めたようであります。そういう違憲的な発言をあなたはいろいろしているわけですけれども、二番目に、私はあなたの発言のもう一つの問題点をお伺いしたいと思います。  法制局長官にお伺いしますけれども、憲法上、国政調査権と司法権の独立の関係についてどうお考えになりますか。
  414. 吉國一郎

    政府委員吉國一郎君) 国政調査と司法権の問題については、いろいろむずかしい議論がございます。裁判につきましても、裁判官の資格あるいは裁判所の構成、裁判の手続、その他法律によって規定せられる事項がきわめて多うございますし、また、裁判所の予算国会の御審議を受けるわけでございますから、その限度におきましては、司法権も国政調査の対象になるということが言い得ると思います。しかしながら、司法権の本質でございます本来の裁判作用につきましては、憲法第七十六条によって保障をされております司法権の独立の原則によって国会の権能の外にあると考えられまするので、国政調査権は司法権、裁判の作用そのものには及ばない、したがって、司法権の独立にいささかでも反するような国政調査は行ってはならないというのが、これは憲法学者のほとんど一致した通説と申してよろしいであろうと思います。  したがいまして、現に裁判所に係属中の事件につきまして国政調査を行うことは全く許されないと考えられまするし、議院がその事件について調査をしてその判断を公にいたしましても、裁判はそれによっていささかも揺るがされることはないと思いますけれども、一般私人が裁判の批判をしたということとは違って、いやしくも国権の最高機関である国会がそういう批判をするということは、司法権の独立を侵害する効果を生ずると思いまするので、現に進行中の、係属中の事件を調査するということはこれは許されないと思います。従来の実例で申しましても、衆議院においても参議院においても、現に係属中の事件について調査を企図せられたことは全くないと存じております。  次に、裁判に現に係属中の事件でなしに、もうすでに確定した事件につきまして調査を行うことについても、その調査の方法いかんによっては、やはり司法権の独立を侵害するというのが大方の学説の一致した結論でございます。  この点につきましては、いわゆる浦和充子事件というものが実例としてございまして、昭和二十四年に浦和地方裁判所の判決に対しまして、当時の参議院の法務委員会で調査をされたことがございます。この調査と申しますのも、その当時の被告人だった人などを証人として国会に喚問せられまして、いわば裁判と同じようなことをやられた。これに対しまして最高裁判所が、裁判官の決議をもちまして、いわば抗議的な意見の発表がありまして、それに対して参議院としては別段の意向を表明せられませんでしたけれども、法務委員長の談話というもので、いや、やはり国政調査はできるのだということがありまして、さらにそれに対して最高裁判所から反駁があって、ついに参議院もそれに対しては何らの発言をなさらなかったという実例がございまして、その後二十数年経過いたしましてそのような事例は全くございませんので、いわば先例と申しますか、実例としては、係属中の事件でなくても、確定した事件についてもやはりそのような調査を行うことは適当ではないということが、もう慣行上確立したと申してもいいかと思います。  要約して申し上げますと、裁判所も一応国政の対象にはなり得るものでございますけれども、裁判作用そのものについては国政調査は及ばないというのが一般の学説であり、また、従来の慣行もそのようになっておるということが言えると思います。
  415. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いまの、裁判作用の内容そのものというのは、具体的にはどういうことですか。
  416. 吉國一郎

    政府委員吉國一郎君) 裁判所で行われます裁判のそれ自体について申しているわけでございまして、確定した事件につきましても、事件関係者を証人として喚問をいたして、裁判所におけると同じような取り調べを行うことがたとえば考えられまするが、それがその者に対する人権の侵害というばかりでなく、裁判所における裁判をさらに再審するような結果を生じまするので、これは司法権の独立を侵すおそれが多分にあるということでございます。
  417. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 以上で見解は明らかになったと思います。つまり、国政調査権は司法権の独立と裁判の固有の作用については及ばないと。裁判の内容だとか、法廷指揮の是非だとか、量刑の可否、こういうものを国会で論議するのは憲法上これは許されていないということであります。  法制局長官にお伺いします。それでは、そういうことは明らかなわけですけれども、特に戦前の治安維持法下の裁判、その思想裁判の判決について、国会でその是非を論議するということはいかがですか。
  418. 吉國一郎

    政府委員吉國一郎君) 戦前の裁判でございましても、国家機関の作用といたしましては、日本国家は、明治時代に成立をいたしました近代国家として今日まで国家として同一性を持って存続しているわけでございますので、国家作用としては、旧憲法のもとにおける三権の作用というものも、新憲法のもとにおける三権の作用と同様に同一性を持って存続しているものと考えるべきものでございますので、戦前の裁判についても、ただいま申し上げましたような議論はほぼ妥当するものではないかと思いまするし、特に戦前におきましては、先ほど来申し上げましたような国会の地位というものが、当時の帝国議会におきましてはいわば天皇の立法権に協賛するという形をとっておりまして、現在のような広い国政調査の権能はもちろんございませんでしたので、当時においてはもちろんそういうことは考えられませんでした。ただいまの憲法下におきましても、戦前の裁判作用について、これに対して国政調査が行われる場合におきましても、先ほど来申し上げましたような考え方のもとにおいて行動さるべきものと私は考えます。
  419. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いまのこの憲法上のあれはきわめてあたりまえのことで、確定判決について将来国会で論議される、またその証人に呼ばれるかもしれぬというような状況だったら、裁判官はそのことを考えて、自由な判決下せないんですよ。それから刑事被告人も、また国会で呼ばれると。全くこれは基本的人権の侵害であります。ですからわれわれは、たとえばそういうことが許されることになれば、これは昔の昭電疑獄のときの裁判のやり直すと。——福田さんも関係あったわけでしょう。そういうのを一々また国会でやろうとかというようなことになったらこれは大変なことになりますよ。そういうことで、この憲法上の三権分立の原則と基本的人権を守るということは、憲法をわれわれが守るという上で非常に重要だと思う。  ところが、先般来、わが党の宮本顕治氏、これに関連する戦前の裁判の判決、これは治安維持法下の恐るべき暗黒裁判ですよ。控訴権さえなかった。その裁判の判決の問題を民社党の春日委員長国会で取り上げて、あるいは塚本議員も取り上げて、その問題についてたとえば春日氏はこう述べている。「裁判所のあの判決は真実に即した正当なものであるのか、それとも日本共産党が主張するがごとき、それは当時の特高警察によってでっち上げられ、かつ、その言う天皇制裁判によるでたらめな判決であったものか、」こういうものをやつ。はり国会で明らかにすべきだというようなことを提起しているわけであります。  私は、こういう論議の仕方そのもの、また、それに対する稻葉法務大臣答弁そのもの、これは、いま法制局長官が明らかにしました国会国政調査権と司法権の独立を守る憲法上の問題、また、基本的人権擁護という憲法上の問題、さらには、先ほど明らかにしました憲法前文と、九十八条にある憲法が排除している治安維持法とそのもとの暗黒裁判、全く人権無視の裁判であったという点から言って、なおまして国会で論議すべきものでないと、憲法上きわめて明らかであると思います。  私は、三木首相に対して、こういう問題についても、三木首相だけでなく全閣僚が、憲法、この基本原則を守るという決意をこの場で明らかにすることが日本の憲法上の原則を守る上でもきわめて重要であると思いますが、三木首相の決意をお伺いします。
  420. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私が政権を担当しておるそのよって立つものは、日本国憲法であることは申すまでもないわけであります。時の総理大臣は、やはり憲法の条章を守っていく大きな責任を持っておることは申すまでもございません。
  421. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は、次にこのロッキード事件の第三の性格、つまり、第一に、このロッキード大疑獄事件というのは、日本の政治に深く関係している金権構造、これと関係がある。二番目に、日本の政治、特に自由民主党に責任のある戦犯政治、これに関係があるということを指摘しましたけれども、第三に、今度のロッキード事件は、安保条約、日米軍事同盟のもとでの日本の対米従属の政治、この売国的な性格ですね。これに深い根を持っているものだと、そう考えます。そのことを日本国民に典型的に、衝撃的に示したものはアメリカの中央情報局——CIAの介入という報道であったと思います。  たとえば、ロッキード社が使ったあのディーク社、これは二十五年来、CIAが世界じゅうに地下資金を流すパイプとして使っていた会社であるという事実まで明らかになっているのであります。わが党、CIAの問題についても、共産党の国会議員団として、現在アメリカ大使館を中心に九十六名のCIAの要員がいると、これまでにも百三名いたという事実を先般発表いたしました。これは日本の政治にとっても過去の問題じゃなくて現実の問題であります。  アメリカ上院のチャーチ委員会、あのチャーチ氏が委員長をやっておりますもう一つ別の情報活動の調査特別委員会ですけれども、ここがCIAの活動について綿密な調査をずっとやっております。六十日間の秘密聴聞会をやって、証人七十五人呼んで、その証言は八千ページになっているというんですね。それをまとめた報告書が出ておりますが、たとえばその一つ、「CIAの外国指導者暗殺計画」というのが昨年の十二月、朝日ジャーナルで臨時増刊で出ました。三木首相、このCIAの報告書ですね、これは非常に重要な政治問題だと思いますが、あなた、お読みになりましたでしょうか。
  422. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) この前段のことについて上田君にお答えをしておきたい。  上田君は、今度のロッキード問題というものを、日米安保条約による日本の対米従属というものから起こってきたというとらえ方をされた。これは全く私は認識を異にするわけです。今日どこの国を見ましても、一国だけで自分の国を防衛できるという国はないわけです。国際的に見ましても集団安全保障の時代なんですよ、今は。これがやっぱり今日の防衛体制である。その国はその国の憲法の制約のもとにおいて自衛力を持つけれども、それだけでは一国の防衛というものはやはり十分ではないというところに集団安全保障体制というのが生まれておるわけでね。  ヨーロッパにおいても、北大西洋条約というものが一つの西ヨーロッパにおける安全保障の支えになっておるわけです。それでその集団安全保障条約を結んでおるから従属関係にあって、それがロッキード事件が起こる温床であるということは論理の飛躍である。西欧諸国においても、みんなやっぱり西欧の先進諸国というものは北大西洋条約に加入しておるけれども、それがどこが、イギリスが、フランスが、その他の西独が皆アメリカの従属関係だとは考えてない。国際関係は、私はそのように見ることは日本の対米外交を誤らすと思う、これは。そうでしょう。いかにもこう安保条約を結んだら隷属関係であるという、そういう角度で問題を見ることは日本の外交政策を誤らすと。  アメリカに対しても、日本の対米外交についても、これだけ経済的にも、あるいはまた、日本の一つの民主主義の原則の上から言っても、あるいはまた、安全保障の上から言っても、これだけの密接な関係を結んでおるアメリカとの間に、そういう先入観を持って日米関係を日米の従属関係だと、何か反米的な考え方が日本の独立を守るゆえんであるという物の考え方には私は賛成しない。そういう考え方で外交政策というものをやるならば、これはもう日本の外交は、非常なやっぱり国益に沿うた外交だと私は思わない。したがって、アメリカに対してもできるだけ、今度のロッキード事件が起こっても、それが相互の理解、相互の信頼にできるだけ悪い影響を少なくしようという努力が今日の外交の努力であって、そういうふうな前提でロッキード問題を論ずるということは、全然私と認識が違うということは申し上げておくことがいいと、国民に誤解を生ずると思います。  CIAの問題については、宮澤外務大臣からお答えいたします。
  423. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) CIAの関係につきましてはいろいろな書き物が出ておりまして、私どもそれは仕事上、当然いろいろなものを読んでおりますけれども、正確にただいま仰せられましたチャーチ委員会、上院情報活動特別委員会の報告書は、実はたまたま日本時間で今朝発表せられた由でありまして、まだ私ども入手しておりませんが、ワシントンの大使館からの報告によりますと、これは大部分が過去の情報活動の歴史あるいはCIA、国務省、国防省の関連、いわゆる政治工作等の関連等々が大部分であって、政治工作等の秘密活動に直接言及した部分はきわめて少ない由でございます。わが国との関連についても、一見したところ特に記述がないもののごとくである。  なお、チャーチ委員長がこの報告書を公にするに当たりまして記者会見を行いましたところによりますと、CIAと外国へのいわゆる贈賄行為等々との関連の問題はごく最近に世の中にあらわれてきたもので、この委員会としてこれを調査できなかった、多国籍小委員会で引き続き調査中であると述べた由でございますので、この報告書には、ただいま仰せられましたような部分についての記述はほとんどないのではないかというふうに思われますが、取り寄せまして詳細に検討いたしておきたいと考えております。
  424. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いや、昨年十二月の朝日ジャーナルの臨時増刊、今度毎日新聞でも単行本でまた出ますけれども、これ宮澤外相お読みになっていないんですか。「外国指導者暗殺計画」、その中身を。
  425. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) これはもう私、ざらっと読んでおります。中間報告というものの由でございますが、各国における活動が幾つか書いてある、それでございましたら、私、読んだ記憶がございます。
  426. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 どうも外務大臣がお読みになっていないようで、この「CIAの外国指導者暗殺計画 米上院調査特別委員会レポート」という、こういう膨大なものが出ているわけです。これはぜひ読んでいただきたいと思いますけれども、これを読みますと大変なことが書いてある。  たとえば、六一年に死亡したコンゴのルムンバ首相の暗殺は、どうもアイゼンハワー大統領が指示したものである。で、アレン・ダレス長官が実行させたという疑いがきわめて強いと、政府の役人の証言がずらっと並んでおります。カストロ首相の暗殺計画は、六〇年から六五年にかけて八件行われた。これもアイゼンハワー、ケネディ両大統領の暗黙の承認のもとに進められたと。毒入りの葉巻を送ったり、病源菌で汚損された——カストロ首相が好きなので、ダイビングのスーツに皮膚病のあれをつけたり、くわえるものに結核菌をつけたり、ボールペンに毒をつけたり、さまざまなことをやっている、そういう事実であります。  また、アジェンデ大統領の就任阻止のチリの問題、これもニクソン大統領の命令でやったという事実が書かれております。  その他その他、もうこれは全編、驚くべき暗殺計画、殺人計画を大統領が行わせているというのがCIAの、これはアメリカの上院の委員会の正式のレポートであります。こういうものがCIAで、世界最悪の謀略機関でありスパイ機関であり殺人機関と言うことができる。  それは日本でも活動していたという疑惑が生まれつつあります。たとえば下山事件について、松川事件についてもCIAや児玉の名前が浮かび上がり始めております。有名なあのペンタゴン・ペーパーという国防総省の秘密報告がありますが、この中には五四年に北ベトナムに日本にいるCIAの鉄道破壊特別班を送った、それで成功したということが書かれている。そうすると、日本にはCIAの鉄道を爆破する特別の部隊がいたんですよ。松川事件関係があるとわれわれが疑惑を持つのも当然ではありませんか。そしてまた、先ほども出ましたけれども、ニューヨーク・タイムズは五八年の岸再選に多額の資金を出したということを述べられております。  宮澤外務大臣は、先日、このCIAの活動というのは許されないということを言われました。この許されない活動であるということを表明したのは私は一歩前進だと思います。昨年の四月、参議院で星野議員質問したときには、外交上許される情報活動もあり得るということを外相言われましたけれども、今回は許されない活動だと、そう言われた。そうすると私は、こういうCIA、それが日本でも活動している疑惑が非常に強いので、われわれは先日、リストを発表しましたけれども、これらのCIAの活動、CIAの要員ですね、これに対して国外退去を要求すべきだと思いますけれども、総理大臣並びに外務大臣の見解をお伺いいたします。
  427. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) わが国において、組織としてのCIAの活動は私ども許しておりませんし、従来からそれはさようでございます。したがって、わが国においてCIAが組織的にそういう活動をしているというふうには考えておりません。  なお別途、CIAたると否とを問わず、わが国の法令に反する、あるいはわが国民の権利、利益に害するような行動を行ったというようなことがあれば、これは仮に外交官でありましても、いわゆるペルソナ・ノン・グラータとして帰ってもらわなければならないということは、これは十分あり得ることでございます。これはウィーン条約でも許されていることでございますが、わが国においてCIAが組織として活動しているということは私ども許しておりませんし、ないものと考えております。
  428. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 もし事実があったらウィーン条約に基づいて退去を要求すると。その事実に対する調査も必要だと思うんですね。イギリスでも昨年三月、これ問題になりまして、当時のウィルソン首相が調査を約束した。それから労働党の九十人の議員が十名のCIA要員の国外退去を要求する決議を下院に提出したという事実があります。外務省、われわれはアメリカ大使館に特にCIA要員がいるという疑惑を出しましたけれども、調査する気持ちはありますか。
  429. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 具体的に違法行為がある、あるいはわが国国民の権利、利益が害されるというようなことは、必ず関係者がいるはずでございます。したがいまして、そのような関係者から訴えがあれば、当然われわれとしてはそのような事実を具体的に調査いたさなければなりません。しかし、そうでない場合に、抽象的にそういう調査をするという考えはございません。
  430. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 われわれは、これからも事実をさらに出していきたい。  三木首相にお伺いします。元国務省の極東担当国務次官補のヒルズマン氏は最近証言して、日本における一つあるいは一つ以上の政党がアメリカに来て政治資金を要求したので出したということも述べました。イタリアでは、共産党以外の政党に何と二百二十五億円CIAが金を出したことが明らかになり、いま大問題になっております。もし日本で一つあるいは一つ以上の政党にCIAの資金が来ているとしたら、ロッキードの資金だけじゃなくてCIAの資金が入っているとしたら、これは非常に重大な問題であります。文字どおり外国の秘密謀略機関の手先になって日本の政治を動かしていることになります。それが与党であった場合にはなお重大です。すでに岸総裁の名前も出ているわけで、三木さん、私はこの問題はロッキード問題以上に日本の政治の根本問題で非常に重要で、国政調査も必要であると考えますけれども、あなたは自民党総裁で、先ほども述べられましたけれども、単に経理局長に名前をいろいろ聞くということぐらいで済まない。そんな調べ方でわかるぐらいだったらCIAは動かないですよ。もっとわからないやり方でいっているわけですから、この問題について自民党自身の徹底的調査を改めて約束できますか。
  431. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) あのニューヨーク・タイムズなんかの記事には、政党名は何もメンションしてないわけですけれども、これは重大なことであると思いまして、私としても自民党でこれ一人一人に対して一つのこの照会をし、調べをしたわけでございますが、これはやはり自民党は経理担当者を通じて政党の資金は処理するわけでございまして、その経理担当者という者はいま細田吉藏君ですが、三人担当者が結成以来あるわけですが、相当なやはり信頼の置ける人たちがその地位についておる。それをただ調べたということだけでなしに、一人一人に向かってこの調査をしたわけでございますが、自民党に関する限りは、CIAからの政治資金が流されたことは全くないと、こういうことを明らかにいたしておきます。
  432. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 一応お言葉を聞いておきます。  外務大臣にお伺いしますが、外務省はCIAの要員と情報交換はしていませんか。
  433. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) しておらないと考えます。
  434. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 内閣調査室はいかがでしょうか。
  435. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 全く関係ございません。
  436. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 過去にはいかがでしょうか。
  437. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 私の記憶するところでは、過去においてもさようなことはないと思います。
  438. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ここに内閣調査室の昭和三十年の内部資料があります。登録番号一二九、ケース番号三六、「情報収集のための諸工作」という文書であります。この二項に、「連絡すべき外国機関」「イ、米国 CIA、CIC、OSI、ONI、その他の情報機関」、トップにCIAが書かれております。「ハ、朝鮮 大韓民国代表団、本国直属機関」、これは恐らくKCIAでないかと思いますが、昭和三十年のこの文書を見ますと、内閣調査室が連絡すべき外国機関のトップにCIA、CIC、OSIを挙げている。いかがでしょうか。
  439. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) ただいまの内閣調査室は、昭和三十二年内閣官房組織令、こういうものによってでき上がったものでございます。いまお示しの文書は全く関知せざるところでございまして、どういうことで御入手になりましたか知りませんが、少なくとも私ども、この三十二年の改正以来そういうことは全くあり得ないと、かようにお答えをいたします。
  440. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 その前身はいかがでしょうか。
  441. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) その前身は、総理府の中に内閣総理大臣官房調査室と、こういうものがあったようでございます。紛らわしい名前ではございますが、いまの組織令は三十二年以来でございまして、私もその古いところはよく存じませんが、そういうことはあり得ないと、かように心得ております。
  442. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私の出したものは総理府時代の昭和三十年ですけれども、内調としては連続性があるのであります。総理府いかがですか。
  443. 植木光教

    国務大臣(植木光教君) ただいま官房長官から御答弁がございましたように、内閣調査室はただいま内閣官房に属しておりまして、総理府にはないわけでございます。したがいまして、私はそういう事実を知りません。
  444. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 植木総務長官がそういう事実は知らないと言いますけれども過去に、昭和三十年、総理府時代の内調の文書に、連絡すべき外国機関としてCIAがはっきりと書かれている。この点について私は事実の調査を要求したいと思います。
  445. 植木光教

    国務大臣(植木光教君) ただいま申し上げましたように、私の所管に属さないわけでございますが、総理府時代のものにつきまして、そのような事実があったかどうかということにつきましては調査をいたします。
  446. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いま内調の問題を取り上げましたが、次に私は、アメリカのCIAなどのスパイ組織あるいは韓国のKCIAなどに、日本の陸上自衛隊の陸幕二部や調査学校が直接協力しているのではないかと、金大中事件でもある役割りを果たしたのではないかという重大な疑惑を取り上げたいと思います。  坂田防衛庁長官、自衛隊がCIA初め米軍の諜報機関やKCIAなどにひそかに協力している事実はありませんか。
  447. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 防衛庁はCIAと何らの関係を持っておりません。
  448. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 KCIAはどうですか。
  449. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) KCIAとも関係はございません。
  450. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 小平市に陸上自衛隊の調査学校がありますけれども、この調査学校で、外国の高官だとか商社、個人に対する張り込み、尾行、盗聴などの、あるいは写真の盗み撮り、謀略などのそういう教育、講義、こういうものを行っていませんか。またがって行ったことはありませんか。
  451. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 調査学校の教育は、自衛隊法施行令の三十三条に基づきまして、防衛及び警備のために必要な情報に関する業務等に必要な知識を与える教育、それから情報関係の部隊の運用に対する調査研究、こういうものをやっております。具体的に申しますと、自衛隊の任務といたしまして、直接侵略、間接侵略に対処する任務を持っておりますが、この対処するためには正確な情報を得て、そして的確な判断を下す必要がございます。その教育をやっております。もう一つは、語学教育をやっておりまして、これはいろいろな資料、情報が非常に多うございますので、その情報を読む能力を与えております。もう一つは、自衛隊は御承知のように組織で実力を発揮するものでございます。したがいまして、自衛隊がその組織力を維持するために、いろんな働きかけに対して自衛隊を防護する、心理戦に対する防護教育、こういうものをやっております。したがいまして、いわゆるスパイというような教育はやっておりません。
  452. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 調査学校が分かれる前、前身の陸上自衛隊業務学校時代、この時代にも同じですか。
  453. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 業務学校時代は語学教育、それから調査教育、で、そのころは実はいわゆる自衛隊が発足する前のことでございまして、いろんなことで米軍の教範を勉強したり、いろんなことをやっておったようですけれども、そのスパイ的な教育、そういうものはやっていなかったというふうに理解しております。
  454. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ここに昭和二十九年ごろのものですけれども、業務学校で情報特別学生に対して行われた講義記録が二冊あります。これはある自衛官の遺品の中から発見されたものであります。その一つは鈴木勇雄講師の「文書諜報」、一つは、曽田峰一講師の「防諜(対情報)」という講義記録で、講義記録全文をガリ版で刷ってあります。この二人の講師の前歴についてお伺いします。
  455. 竹岡勝美

    政府委員(竹岡勝美君) お答えいたします。  御指摘の鈴木勇雄並びに曽田峰一、このお二人の関係でございますが、この両人は相当古い旧軍人の方でございまして、自衛隊員としての勤務経歴は全くございませんし、調査学校の職員であったこともございませんが、古い記録を調べてみますと、昭和三十年当時に、鈴木氏は調査学校で部外講師として講義をお願いしておった。あるいは曽田氏につきましては、その研究の執筆を委託で依頼しておったという事実があるようでございます。
  456. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 講義はさせてないですか、曽田氏に。
  457. 竹岡勝美

    政府委員(竹岡勝美君) 曽田氏には講義はさせていないようでございます。部外講師としては招聘しておりません。鈴木勇雄氏の方は部外講師として招聘しておったようでございます。
  458. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 前歴はいかがですか。
  459. 竹岡勝美

    政府委員(竹岡勝美君) これは自衛隊員でなかったものでございますから、われわれの方に詳細な人事記録はございませんけれども、昭和十九年当時の旧軍の名簿から私の方で調べてみましたら、お二人はともに陸士の三十六期の御出身でございまして、最後は、鈴木氏は旧軍百四師団の参謀長、曽田氏が陸軍兵務局付の憲兵大佐であったということがわかっております。以上です。
  460. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 鈴木氏は元陸軍大佐で、旧関東軍の情報将校であります。その後、広東の百四師団の参謀長になった人。曽田峰一氏は、元憲兵大佐で、有名な中野学校の教官であったのではないかと思われます。こういうところに戦犯政治があらわれている。私先ほど申しました。この講義内容はまことに大変なものであります。先ほど申しました尾行だとか張り込み、盗聴から特殊技術、スパイ活動、全く専門的な講義をそこで行っております。見逃せないことは、特にこの曽田氏の講義は、「皆さんの中で将来防諜方面の任務におつきになる方のために、」とか、「諜報なり、謀略の勤務におつきになった場合に外国などで」だとか、「皆さんがお持ちのようなライター式の小型写真機」だとか、「将来防諜謀略、諜報等の秘密戦勤務に携わる」場合の「心構えについて」とか、つまりこの学生は将来こういうスパイ工作につくものだということを、何度も何度も繰り返しながら、きわめて詳細な具体的な教育を行っていることであります。先ほど坂田防衛庁長官初め、そういうスパイ教育はしたことがないと申しましたけれども、業務学校時代、明白にこういうスパイ講義をしていることがある。いかがですか。
  461. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 業務学校時代の記録というものが私どものところにはございません。そしてまた、いま人教局長から御説明しましたような依頼した文書も残っておりません。ということは、やはり自衛隊としての情報教育のあり方から見て、そういうものは仮にどういうことがあったかわかりませんけれども、その中からいろいろ取捨選択いたしまして、健全な自衛隊というものを育てていったということだろうと思います。  昭和二十九年というのは、自衛隊が発足したばかりのときでございます。そして保安隊から自衛隊になりまして、直接侵略、間接侵略に対する任務を与えられた時期でございますから、その時点から自衛隊というものを育成するためにいろんな勉強をし、現在のような教育内容を固めていったというふうに私どもは考えているわけでございます。
  462. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 業務学校時代の記録がないと言いますが、この「文書諜報」、鈴木講師のものは「昭和二十九年二月二十四日情報特別学生に対する口述記録」と表紙に書いてある。だから、このときの学生を調べれば、こういう講義を曽田氏や鈴木氏がやっていたかどうか調査可能だと思います。調査を要求します。
  463. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 現在、当時の人がいるかどうかわかりませんが、もし聞けるような状況であれば、聞いて調べてみたいと思います。しかし、現時点におきましては、そういった関係の文書は一切ございません。ということは、自衛隊の教育としてふさわしくないということで全部破棄しておりますので、そういうものは残っていないわけでございます。
  464. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ふさわしくないとして破棄したということになると、そういうことがあったことをあなた方は知っていたわけですね。
  465. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) あったかどうかということもわかりません。しかし、現在はないことだけは事実でございます。いま先生がこういうものがあったではないかとおっしゃいましたので、そういうものが仮にあったとしても、現在はもう何もないんだというふうにお答えしたわけでございます。
  466. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 しかし、学生もいるわけですから、重ねて調査を要求します。
  467. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 自衛隊が発足いたしました経緯は、いまお話を申し上げましたとおりでございまして、その当時、なかなか教官等も得られなかったという事情があったかと思います。しかし、まあいずれにいたしましても、一遍調査をいたしてみたいと思います。しかし、いまお答えを申し上げましたように、はっきりするかどうか、実は、わからないと思います。ただし、今日のわが自衛隊というものは、そうではない、非常に新しい憲法のもとに私は健全に育ちつつあると思いますし、また、そのような教育をいたしておらないということだけははっきり申し上げておきたいと思います。
  468. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 教育をやってないと言われますけれども、われわれは、教育だけじゃなくて、この曽田講師が言っているような、この講義を地で行っている秘密の軍事諜報機関が自衛隊の中に、現職自衛官の中に存在しているという疑惑を持っております。もと朝霞のキャンプ・ドレイクにいた米軍の五〇〇MI、五〇〇軍事諜報部隊、この軍事情報団はいまどこにおりますか。
  469. 丸山昂

    政府委員(丸山昂君) 五〇OMIグループ、これはいろいろ改編があったようでございますが、現在は、座間の在日米陸軍司令部の同じ区域内にございます。
  470. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 昭和四十七年の五月十日、衆議院内閣委員会で、久保防衛局長は、五〇〇MIは現在はない、福岡にちょっと代表部みたいなものがあるだけだと、そう答弁しておりますけれども、この答弁は間違いですね。
  471. 丸山昂

    政府委員(丸山昂君) 久保局長がどういう根拠でそういうことを言いましたか、ちょっとはっきりした記憶がないわけでございますが、いずれにいたしましても、いま申し上げましたように、かつて朝霞におりましたものは、現在、座間におるということでございます。
  472. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この五〇〇軍事情報団は、ハワイのパールハーバーに本拠を持っております。で、東アジア全体に展開しているアメリカの軍事諜報部隊でありますが、沖繩の瑞慶覧と、いま答弁がありました在日米陸軍司令部のある座間基地に部隊を置いております。  この座間基地問題について、もう一つ質問しますけれども、座間基地に派遣されている自衛隊の将校、その人数と任務と階級を質問します。座間のノース・キャンプの陸上自衛隊第三施設群は除いてお伺いします。
  473. 丸山昂

    政府委員(丸山昂君) 座間には連絡官が派遣されていますが、ちょっと私申しわけございませんが、氏名、階級は手持ちでございませんが、陸幕の三部から連絡官が座間の司令部に派遣をされております。一名でございます。
  474. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それ以外におりませんか。陸幕二部からは派遣されていませんか。
  475. 丸山昂

    政府委員(丸山昂君) 陸幕の二部からはございません。
  476. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 われわれの調査では、陸幕二部の内島洋という一等陸佐ほかが、座間の、この絵がありますけれども、ここが小ペンタゴンと呼ばれている在日米陸軍司令部のあるところで、戦車が二台両わきにあります。私もこの間見てきましたが、この中のこの赤印のついているところにこの五〇OMI、五〇〇軍事情報団がいるわけですけれども、この小ペンタゴンのところに内島洋一佐ほかが少なくともことしの一月まで本部に勤務し、この五〇〇MI、軍の情報部隊ですけれども、ここに協力しているという疑惑があります。いかがでしょうか。
  477. 丸山昂

    政府委員(丸山昂君) いまの五〇〇MIグループとわが方の陸幕との間には情報連絡がございますけれども、いまお話がありましたように、人員を派遣して常時協力をするというようなことは行っておりません。
  478. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それでは、この内島洋一佐のいまの任務、勤務場所、住所、経歴、それから自衛隊の調査学校出身者であるかどうか、この点についてお伺いします。
  479. 竹岡勝美

    政府委員(竹岡勝美君) お答えいたします。  御質問の内島一等陸佐は、現在、陸幕の中央資料隊に勤務しておりまして、情報資料の収集、整理に当たっております。内島一佐は、昭和二十九年に二等陸尉で陸上自衛隊に入りまして、以来、中央資料隊、北部方面総監部、陸幕二部等において勤務してきましたけれども、申し上げましたとおり、昨年三月から陸幕中央資料隊で勤務して現在に至っております。現在の住所は神奈川県下でございます。  以上でございます。
  480. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 内島一佐がこの座間基地に少なくともことしの一月まで事実上勤務していたという事実はありませんか。
  481. 竹岡勝美

    政府委員(竹岡勝美君) お答えいたします。  先ほどお答えいたしましたとおり、昨年の三月から陸幕の中央資料隊に勤務しておりますので、座間で勤務した事実はないと言えます。
  482. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 われわれは、この内島一佐に対して非常に疑惑を持っております。  現住所は、相模原市の相模台二の二〇の八であります。昭和三十八年から十三年ここに居住しておりますが、表札並びに電話帳には内島洋という本名を書かないで、内島弘嗣、そういう偽名を使っております。私もこの人のうちへ行って表札を見てまいりました。そして近所の人には全く自衛隊勤務であるということを申しておりません。そうしてわれわれの調査によりますと、内島氏はまず少なくともことしの一月までは、週のうち五日は米軍座間基地に出勤いたします。ときどき六本木の防衛庁、それから調査学校に行くほかは、連日、米軍座間基地に勤務しております。そして先ほど見せましたこの小ペンタゴンの二階にある日米渉外合同会議室という部屋の隣の部屋で、デスクも持ち、秘密の白電話も持ち、そこで連日勤務している。これ、きわめて奇っ怪な行動をとっておりますが、こういう事実についてどう説明しますか。
  483. 丸山昂

    政府委員(丸山昂君) いま、先ほど人事教育局長からも御説明申し上げましたように、本人の所属は現在は中央資料隊でございます。中央資料隊は、御存じのとおりに、資料の集中管理をやっておるところでございます。いろいろな情報源からの資料その他をそこで集中管理をするわけでございますが、もちろん、こういった問題で、先ほどもお話をいたしましたように、座間の米軍司令部と、あるいは五〇〇MIグループ、こういったところとの連絡も行われているわけでございます。本人がその任務を受けて連絡に行っておるというふうに私は理解をいたします。
  484. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これ、重大答弁ですね。つまり、先ほど防衛庁長官はCIAとは連絡はないと言われた。この五〇〇軍事諜報部隊は、CIAではありませんけれども、同じ性質の米陸軍のこういう情報部隊であります。こことは内島一佐が常時連絡をして、情報交換をしているんですか。
  485. 丸山昂

    政府委員(丸山昂君) まず、CIAと同じと申されておりますけれども、五〇〇MIグループというのは、これは陸軍の情報機関でございます。先ほど御指摘がございましたように、ハワイにその本部がございます。これはワシントンの郊外にございますフォートミートに陸軍の全体の情報を統括する情報局というのがございまして、これの所属でございます。  防衛庁といたしましては、事柄の性質上、かねがね申し上げておりますように、在日の米陸海空軍それぞれの情報関係のところと連絡を行っておるということでございまして、先ほど御指摘のございましたように、CIAとうちが直接関係を持たなければならない理由は一切ございません。
  486. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 五〇〇MIとときどき連絡と言いますけれども、彼は週のうち五日、デスクも持って、連日この座間基地の小ペンタゴンのところに勤務しておるのですが、これがときどき連絡ですか。また、どういう内容の連絡をしているのですか。
  487. 丸山昂

    政府委員(丸山昂君) これは、たまたまおたくの方で本人をいろいろ御調査されたときに、そういう状態が出ておったのだと思いますが、いずれにいたしましても、中央資料隊の資料収集の関係の情報交換というか資料交換といいますか、こういつたことに本人が従事しているというふうに理解をいたしております。
  488. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 中央資料隊は陸幕の何部に属し、また何名おり、内島一佐は中央資料隊のどういうポストについていますか。
  489. 丸山昂

    政府委員(丸山昂君) 中央資料隊は陸上幕僚監部の直属の機関でございまして、先ほど申し上げましたように、その主たる任務は情報に関する収集、整理、分析ということを行うところでございます。定員は約二百名でございます。
  490. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 内島一佐のポスト。
  491. 丸山昂

    政府委員(丸山昂君) 内島一佐のポストは、中央資料隊付でございます。
  492. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 もう一つ、調査学校卒業者であるかどうか。調査学校の対心理情報課程の卒業者であるかどうか。それから「付」というのはどういうことなのか、お伺いします。
  493. 竹岡勝美

    政府委員(竹岡勝美君) 先ほどの答弁で言い漏らしましたけれども、内島一佐は調査学校の第十六期戦略情報分析課程、昭和四十四年の三月から六月まで入校しております。  それから、これは中央資料隊付というよりも、中央資料隊勤務ということでございます。
  494. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 座間基地には内島一佐のほかに基地内では片岡正勝、奥村春雄という名前で呼ばれている恐らく自衛官と思われる人物がおりますが、内島一佐のほかにも五〇〇MIに常時連絡に行っておるのですか。こういう人物はどういう人たちですか。
  495. 丸山昂

    政府委員(丸山昂君) 陸幕の二部並びに中央資料隊、こういうところで随時連絡に行っておりますので、ただいま御質問のように常時向こうにおるということではございません。
  496. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 先ほど丸山防衛局長は、自衛隊から座間基地に派遣されている将校の名前を聞いたときに、陸幕三部から一名だと、そう言いました。随時連絡——われわれの調査ではほとんどそこに行きっ放しですよ。なぜこういう人物について言わなかったのですか。   〔委員長退席、理事山内一郎君着席〕
  497. 丸山昂

    政府委員(丸山昂君) 陸幕の三部から参っておりますのは、常時座間に派遣をされておるものでございます。あとは当方との連絡で随時行き来をしておる、こういうことでございます。
  498. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いままでの答弁でも多くの事実が出てまいりましたけれども、もう一つ聞きたいのは、なぜ内島一佐が偽名で住み、偽名で電話帳に載り、偽名で表札を出しているのか。それからこの片岡正勝、奥村春雄も恐らく偽名であろうと思いますが、五〇〇MIと連絡するのに、なぜこう偽名を使って十三年も住まなきゃならぬのですか、きわめて奇怪だと思います。
  499. 丸山昂

    政府委員(丸山昂君) 私どもも、いまのその御指摘の事実は初めてでございますので、よくその理由につきましては、調査をいたしたいと思います。
  500. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 幾つかの問題点が出てまいりましたけれども、われわれは、この内島一佐をキャップとして、いままでしばしば雑誌などで陸幕二部の別班という名前で言われておりました秘密スパイ組織があるのではないかと、そう疑う十分な根拠を持っております。この内島一佐がキャプテンで、総員は二十五名であります。そして全員が調査学校の対心理情報課程の修了者であります。内島氏も対心理情報課程の修了者であります。そして、この本部は米軍座間基地にあって、所属もまた米軍の五〇〇MIについているという疑惑があります。予算も米軍の五〇〇MIから一部出ているという疑惑もあります。  彼らは座間基地だけで仕事をしているのではありません。五〇〇MIと常時情報分析、資料交換を行いながら、日本全国に出張しております。内島一佐も先月の末に札幌に出張いたしました。彼らの仕事場所は東京、大阪、札幌、福岡などにありまして、興信所や法律事務所の看板をかけております。任務は、対共産圏の情報収集と、共産党ほか野党の情報収集を行っているようであります。そして重大なことは、私はこれはJCIA、アメリカの諜報組織と連絡を持った日本におけるCIAとも言うべき組織であろうと思いますけれども、重要なことは、金大中事件で元自衛官あるいは興信所などが張り込み、その他ある役割りを果たしたことが当時報道されましたけれども、この内島一佐をキャップとするグループ、陸幕二部別班、いま中央資料隊というふうに昨年三月から変わったと言われましたけれども、これが役割を果たした疑惑があります。もしこれが事実だとしますと、これは大変な問題で、金大中事件は日本の主権侵害事件としてあれだけ大きな問題になりました。そしてKCIA、韓国のCIAが動いたのではないか、金東雲一等書記官の指紋まで出てきたのに、宮澤外相はこの間韓国へ行きまして外相会談をやり、すでに決着がついたと、韓国の口上書をのんで決着をつけてしまいました。これ自体、最近のアメリカにおけるレイナード証言その他でKCIAがいまアメリカにもいるし、金大中事件はKCIAのしわざであるという元朝鮮部長の証言がアメリカの上院で行われましたけれども、これ自体大問題ですが、この現職自衛官たちが万一そういう活動を行っており、金大中事件にまで関係しているとするならば、これはまことにゆゆしき問題であります。防衛庁長官、こういう疑惑に対してどういう処置をとりますか、厳重な調査を要求します。
  501. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 日本の安全、つまり国民の一人一人の生存と自由を守るために、わが国は現在の憲法のもとに専守防衛ということをいたしておるわけでございます。そういたしますると、情報こそ日本の安全を守る非常に大きな役割りだと思うんです。そういう意味合いにおきまして、いつかもこの国会におきまして申し上げましたように、この情報活動をやることをいかにも悪のように一般論として考えられるとするならば、それは間違いであって、むしろ日本の防衛のために必要な情報収集というものは徹底的にやらなければならないというふうに私は思っておるわけであります。  しかし、その際といえども、いろいろの憲法やあるいは基本的人権や諸法規がございますから、それに照らして反するようなことをやっていけないことは申すまでもないことだというふうに思います。しかし、どだいその情報関係をやっていかぬとか、あるいは日米安保条約が日本の防衛にとって不可欠な要素であるというふうにわれわれは考えておる、あなた方は考えておられない、そういう立場の相違もございますが、われわれは日米安保条約というものは必要なものであるというふうに考えておるわけです、日本の安全にとって。そういう立場から考えますと、常時、日米間のこの軍事的な情勢交換というものはこれは必要なことだ、日本の安全のために。私はそういうふうに考えております。
  502. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 共産党初め野党の情報収集が日本の防衛とどういう関係がありますか。また、坂田長官、こういう内島一佐などの五〇〇MIとの関連その他、あなた御存じだったですか、あなたの承認のもとに行われていたんですか。
  503. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 私は、国会におきます野党の方々の御意見というもの、あるいはいろいろの調査、御質問、これは非常にいい資料だ、参考意見だというふうに思っております。そしてまた、それをもとにいたしましてわが国の防衛政策を誤りなからしめようというふうに努めておるつもりでございます。だから、先生方のいろいろの御質問に対しましては、誠実にお答えをいたしたいというふうに考えております。
  504. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 別にそういうこと聞いているんじゃない。委員長、全然違いますよ。
  505. 山内一郎

    ○理事(山内一郎君) 坂田防衛庁長官に再答弁を求めます。
  506. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) ただいま提起されておりまする課題は、主といたしまして国外の情報収集というふうに当たっておるわけでございます。
  507. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は防衛庁に、私がきょう提示しました内島洋一佐を中心とするグループの、偽名でこういう奇怪な行動ですね、これについての調査を要求します。そして、陸幕二部別班なるもが存在したのかどうか、金大中事件で役割りを果たさなかったのかどうか、野党に対する調査まで彼らは行っていなかったのかどうか、私は、証人喚問と資料要求提出いたします。  内島一佐を初め陸幕二部長、陸上幕僚長、調査学校長、それから五〇〇MIのキャプテンのリチャード・W・ブラウン米陸軍大佐。さらに資料としては、陸幕二部に勤務する自衛官、これの全名簿と調査学校の対心理情報課程修了者の名簿、調査学校の教官及び講師、調査学校の対心理情報課程の講義記録、陸幕二部別班の名簿及びその階級、陸幕二部別班の出先事務所及びその所在地住所、こういうものを調査要求をいたします。
  508. 山内一郎

    ○理事(山内一郎君) 資料要求につきましては、理事会で協議をいたします。
  509. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それから調査については、この予算委員会が終わるまでに防衛庁からさらに詳しい調査を求めたいと思います。
  510. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 提出できるものは提出させていただきます。
  511. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 じゃ一分残りまして、質問を保留します。
  512. 山内一郎

    ○理事(山内一郎君) 上田君の残余の質疑は後日にいたしたいと思います。(拍手)     —————————————
  513. 山内一郎

    ○理事(山内一郎君) 山崎昇君。
  514. 山崎昇

    山崎昇君 私は、ロッキード問題はひとまずおきまして、いま提案されております五十一年度予算案に関連をして、少し細かい質問をしてみたいと思うのであります。
  515. 山内一郎

    ○理事(山内一郎君) 静かに願います。
  516. 山崎昇

    山崎昇君 この質問に入りますに先立ちまして、三木総理政治姿勢について一、二点お伺いをしておきたいと思います。  私は、三木総理が一昨年総理になられましてから、三木さんの今日までの生い立ち、あるいはその政治信条等々につきまして、できるだけ理解をしたいという意味でかなり検討をさしていただきました。そこで、三木さんはたびたび演説をされておりましたが、まず第一に私の目に入ってまいりましたのは、自民党吉田学校出身の同族的経営のために血液型まで類似し過ぎており、政治の進歩が期待できないという演説をなされておるようであります。そこで、三木さんはずっと政党人でございますが、一体あなたが総理になりまして、どういうふうに自民党の体質を変えようとするのか、この演説と関連をしてまずお聞きをしたいと思うんです。
  517. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私も至らぬ点はございますが、自民党というものが今日日本の政党政治に持っておる役割りというものは、山崎君ごらんになってもおわかりのとおり重要でございますから、どうかこの政党が国民の信頼にこたえ得るような政党にしなければならぬ、そういうことで、そのためには選挙あるいは政治資金、こういう問題がやはりいろいろと弊害が起こっておる根本になりますので、選挙法の改正、政治資金規正法の改正などを行って、こういうひとつの政党の体質改善、この前提になるようなことはまずやったわけですが、これから自民党のこの体質改善、近代化というものは、私に課されておる大きな責任であると考えております。
  518. 山崎昇

    山崎昇君 私は、いまの答弁を聞きましたけれども、あなたがこれだけの演説をして、吉田学校と違った政治方向をとると。自民党は変わっていくのじゃないだろうか、日本の政治の方向は変わるのじゃないだろうか、こう期待しました。しかし、全く変わってない。全く変わってない。どこが変わったでしょうか。相違点を具体的にひとつ述べてみてください。
  519. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) ひとつの何といいますか、力で政治を支配しようという形でなしに、民とともに歩んでいくような民主政治のひとつのあるべき姿というものに政治を返さないかぬということで、そういう点で、いろんな点で私自身には私なりに努力をしておるつもりでございますが、まだまだそれはうまく目的を達成するようなわけにはいっておりませんが、私自身はいま申したように力による政治、あるいはまたそれは権力にしても金力にしても、そういうものでなしに、何か国民の納得を得るような、一つの民主政治の原則に照らしたような政治をやりたいということで努力はしてまいりましたけれども、必ずしも自分の志のように大きな政治の改革というものはできておりませんが、これからはそういう点で責任を果たしていかなければならぬと思っております。
  520. 山崎昇

    山崎昇君 そうすると、あなたの口から、そう思ったができない、できなかった、これから引き続いてやっていくんだと、こういう答弁しかありません。そこで、あなたはいま国民に基盤を置いた政治をやっていきたい、こう重ねて言われました。  そこで、私は第一に、今日のこの政治の混乱というものを考えるときに、一つの、私はあなたが議会の子と言いなから誤りを犯した。それは総理になってあなたは国民の審判を受けてない。密室で選手の交代はあったけれども、あなたは直接国民の審判を受けてない。だから私は、いろんな理屈はあるにしても、五十年度予算案等はこれは前の人から受けたんでしょうから、仮に成立させたとしても、いち早くあなたは解散をして、国民の審判を受けて政治責任をとっていくというのが道じゃなかったのでしょうか。この第一が、あなたが今日政治を誤った第一じゃないかと私は思うんですが、どうですか。
  521. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 山崎さんの言われること、よくわかります。私もそうすべきだと思いますが、御承知のように私が政権を担当したときの日本は、狂乱物価の後を受けて、そうして経済的に非常に日本経済のある意味において危機だったと思うんですね。インフレがあのように高進している。したがって、国民が望んでおったものはインフレを鎮静することである、物価を。これはもうああいう状態が続いていけば日本経済は破綻するような危険になりますから、このインフレを鎮静して、今日では不況を克服して景気を回復する、雇用の安定を図る、こういう全く政権を担当してからの一年というものは、日本の経済の中でもこんな難局は私はなかったと思う、いままでに。もうスタグフレーションといいますか、インフレと不況とが一緒にきて、こんなことは経験ないですからね。そこで国民生活も非常に不安になる。だから、当然に山崎君の言われることはわかりますよ、それは民主政治のルールでしょう。私だってやっぱり解散ということは頭にあるわけです。しかし、あの経済の去年の状態というものをお考えになれば、これはなかなか解散による政治の空白というものは許されぬぐらいの緊迫した日本経済の状態であったわけですから、そういう点で国民の審判を受ける機会は昨年じゅうにこなかったわけでございますが、今年はいやでもおうでも任期が来るわけでございますから、そういうわけで、これは当然に解散もしなけりゃなりませんし、また国民の審判を受ける機会にしたいと考えております。
  522. 山崎昇

    山崎昇君 私は三木さん、あなたの第二の欠陥というのは何だったろうかと静かに考えてみると、それは田中金脈問題の処理を誤った。あなたは再三再四ここでいろんな答弁なされたけれども、最後は田中さん自身がこれを明らかにするんだからそれでということで言葉を濁した。一年四カ月、田中さんは何にも明らかにしませんでした。そこで、あなたは総裁としてこの田中さんにこの金脈問題について明らかにさせるという意思がありますか。いっどういう形で明らかにさせますか。この点が私はあなたの第二の欠陥だと思うのですが、どうですか。
  523. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 田中さん自身に関しては、これは法規に照らして税法上などで十分な調査が行えたわけですから、そういうことで、やはりこれは法治国家でありますから、法規に照らして厳正な処置をされるということが第一番です。いろいろ個人個人の問題については、本人自身が、田中さん自身も国民の前にこの疑惑は必ず晴らしたいというようなことを、やめるときに私もテレビを聞いておったわけでございますから、私は、こういう問題は政治道義に関係するような問題ですから、本人自身も、田中さん自身もこの間も触れておったですが、いま調査しておるんだけれども長い間のことであるからまだ調査が終了しないと言っていられましたが、本人自身もやはりこういういろんな疑いに対してはみずからこれを晴らして、田中さん自身としての疑惑があるとするならば、それを解明したいと一番望んでおるのは田中さん自身だと思いますから、まあこれに対してこう調査がおくれておるという発言をされておりましたから、必ず本人からそういういろんな問題点については解明をされる、できるだけ早くそれを解明されることが必要である。しかし、法規に照らしてこれは処置するものは今日までいたしてきたわけでございます。これ以上は、政治道義に関しては、みずからがいろんな問題について解明されることが一番私は大切だと思うわけでございます。それができるだけ早く行われることを期待をするものでございます。
  524. 山崎昇

    山崎昇君 できるだけ早くとあなたは述べて、すでにあなたの内閣ができてから一年四ヵ月です。何でその間できないのですか。あなたはそれじゃこれからどれぐらいかかったらできると思うのですか。あなたは政治的に道義的に明らかにさせたいと言う。田中さんにどういうふうに具体的にさせようとするのか、もっと具体的にあなたの考えを述べてもらいたい。
  525. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 田中さん自身が、一番自分のいろんな点に対してこれを解明したいと思っているのは本人だと思います。本人がこれはやると言っているんですから、したがって、これは本人がそういうことを言っておるのですから、一日も早くこの問題については本人自身が解明されることが、一番問題の解明ということには私はなると思うのです。これは、われわれの方はいろんな調査というものは法規に照らしてやるわけですから、この問題は処置がされたわけでございます。これ以上は本人自身がいろんな問題について解明をされなければ、あの長い期間の田中さんのいろいろの実業界における活動というものを私自身はよく承知しませんし、本人自身がその全貌を明らかにすることが一番やはり問題の解明に役立つ。だから一日も早くそういう時期が来ることを私は期待をしておる。本人自身も早くやりたいと思っているに違いないのでございます。
  526. 山崎昇

    山崎昇君 私は、いま聞いているのは、あなたは総裁ですから、前総理といえどもいまあなたの配下の党員ですから、党員に対してこれだけ疑問持たれた点がもっと早く明らかにならなきゃならぬ。してないから、総裁としていつ明らかにさせるんですか、このことを聞いているのです。もう一遍この点は聞いておきたい。
  527. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは私が命令するというのは、山崎君ちょっと無理がありますよ、無理がね。だから私は、いまそれならいつするのかということについては私自身から答えるのは適当ではございませんが、本人自身も先般の記者会見におくれておるという事情を説明しておったようでありますから、必ずそう余り遠い機会でない場合に明らかにされるものだ。私はここで何日何日と言って、田中さん自身の行動をこれは日にちを切って申し上げることは適当でないと思います。
  528. 山崎昇

    山崎昇君 そう遠くないという日本語の言葉を使われるけれども、私どもは、これまた国民はうやむやにされたということであなたに対する不信を持っているのです。ですから、この処理を誤ったのは、私はやっぱり第二のあなたの欠陥だと思っているのです。  第三の欠陥は、これはきのう来、うちの矢田部委員からも指摘がありましたが、中曽根幹事長の問題です。私は中身は言いません、きょうはこれを持ってきておりますけれども言いません。言いませんが、あなたが総裁で、あなたの女房役である幹事長がああいう事件が起きて、いま明らかに刑法上の問題として捜査を受けることになる。一体あなたはそれでも国民に向かって法律を守りなさいとか民主主義を守りなさいと言えますか、あなた。私はいかに重要な幹事長でありましても、あなたが断固これを処断する以外にないじゃないでしょうか、国民法律を守れと言うのならば。この点はどうですか。私はこの処理を誤ることはあなたの第三の欠陥だと思う。どうですか。
  529. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) この問題は、いま自治省との間に、いろいろと再提出すべきものは再提出してこの問題の処理をやっておる最中でございますから、私がいまの段階でこれはどういう点の責任があるかどうかということを申し上げる段階ではない。
  530. 山崎昇

    山崎昇君 結局何にもしないということね。  それから第四は、私は簡単に申し上げますが、この予算委員会始まって以来、あるいは衆議院審議の経過を通じてみて、ロッキード問題の処理についてまことにあなた方は積極的な姿勢が一つもない。ただその日暮らしにいろんな言い逃れの答弁しているだけに終始している。野党は一生懸命資料を集めて具体的にあなた方に聞いている。これに対して的確な答弁は一つもありません。そういうことを考えると、このロッキードの問題の扱いを誤るということは、私はあなたの第四の欠陥になるんじゃないだろうか、こう思っているのですが、重ねてこのロッキード問題に対するあなたの所信を聞いておきます。
  531. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあこの予算委員会での御質問の中心というものは、国政調査権のためにいま捜査中の資料を出せという一点でございます。この点は山崎君もひとつ御承知おきを願いたいのは、いまもアメリカ資料があって——日本が従来しておったわけで、これは他力本願ではいかないわけです。自力でできるだけ解明をしなければならぬわけでございますが、この事件の性格から考えて、日米両国にまたがっておるわけですから、アメリカ資料というものは非常に参考になるに違いない。これはこの間来て、まだ解読が済んだばかりの英語の何ですからね。そういうことでございますから、その段階でこの資料国政調査権の前に公開せよと、この一点だけですよ。  ほかの点では、やはり私はたとえばアメリカから資料をもらうときでも、山崎君お考えになっても、私が親書を書いたというのはこれは外交上異例のことですよ。これは国会の決議の重きを体して、この事情を、背景を説明しておいたらいいと思って、伝達だけでいいんですよ、それを私が親書を書いて、国会の決議もあったけれども、私の親書もまたこの資料提供の中の大きな動機になったと思いますよ。そういうことで資料は来ることになったわけです。これをいまの捜査段階公開されないということだけで、資料は来たんですから、全部これからの資料も提供するというんですから、そしてアメリカはこの真相解明に対してできるだけの協力をするというんですから、だから、私のやっておることがロッキード事件を隠蔽しようというような動きではない。これはやはり徹底的に究明することが日本の政治のためにも、日米関係のためにも大事だと私は思っているんですよ。  だから、まだしかし捜査中に出せということが無理ですねという以外は、これは野党の諸君もいろいろ国会などにおいても、アメリカ資料が出さなければ国会における政治の側面からの調査は何もできぬとは、山崎君、私は思わないんですよ。それはやっぱり刑事上の責任ばかりでなしに、政治の側面からの問題も、きょうもいろいろ問題になったのはそういう問題がありますよ。こういう点で国会の調査権というものもやはり発揮できる余地がある。一切アメリカから来た資料国会公開されなければ国会審議も進まない、それほど私は日本の国会の調査権というものを無力だとは思わないんですから、どうか山崎君の立場——私は何も隠蔽しようとしておるんだというのではなくして皆さんと協力して政府はできるだけの無理のないことに対しては聞きますよ、できることとできないことがある。野党の諸君の言われることを全部聞けと言われても、それはある段階においては無理がございますから、そこはやっぱり皆さんもある程度納得のできることだと思いますから、どうかこのロッキード事件国民だって関心を持っているんですから、政府がこれはふたをしてしまうんだというふうにそうやって断定しないで、捜査当局もこれは全力を挙げていますよね。そういうんですから、この問題を何かこう党派の問題などにしないで、日本政治の名誉のためにみんなでひとつ協力してこれを解明しようという態度に、山崎君を初め野党の諸君もそういう態度であってほしいと願うものでございます。
  532. 山崎昇

    山崎昇君 ほとんど何にも今日まで出ていないのです。満足な答弁もないのです。それはもう私だけでない、国民の皆さんがみんな見ているところです。私は、三木さんのその他の欠陥はたくさんあります。対話と協調と言われるが、国会運営についても強行です。異例のことばっかりやってる。しかし、それ一々いまあげつらうことできませんが、私はこの問題だけでやるわけにまいりませんから、私は三木さんに一つの決断を迫りたいと思う。  総括してみると、まず第一、あなたは党内に対する指導力がない。二つ目には、国民の支持率はがたがたと減っちゃう。国民に基盤がない。今日までの政治情勢を見ると、政治に何の前進もない。過去のあなたの演説から徴してみても何にも変わったものがない。野党との関係はだんだん悪化していく。具体的問題の解決が一つもない。行政能力もまたないと言われる。考えてみたら、いまや政治的には全く行き詰まってしまっている。このままで推移するならますます政治不信だけが増進されていく。  そこで私は、一つ救われる道は何か。これだけもうあらゆる方面からあなたは見離されて、何をあなたは根拠にしてこれから政治をやるというのか。私は、そろそろあなたは決断すべき時期に来ているのではないだろうか。一国の総理ですから、やめなさいなんていう失礼なことは言わない。しかし、進退についてはみずから決する時期に来ているのじゃないでしょうか。もし私の挙げたことに反論があるならば反論されても結構だけれども、どうですか、あなたの決意を伺っておきたい。
  533. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それはずいぶん厳しい御批判ですが、批判は批判として承っておきます。
  534. 山崎昇

    山崎昇君 あなたは認めたんですな。何かぼそぼそっといま意見ありましたが、いま私が指摘したことは、これはほとんどあなたは認めますか。
  535. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それはいろんな点に対して言い分がございますよ、言い分がある。何も前進はないではないかと言っても、この経済難局の上に立って物価は鎮静し、景気は回復の兆しを見せ始めたですよね。それからまた政治資金規正法とか公職選挙法とか、これはいままであんな大きな改正をやったことはないんですからね。こういうものも実施して、日本の今度行わるべき選挙はこういう新しい選挙法あるいは政治資金規正法のもとで粛正された選挙をしたいという、この一つの出発点はできたわけですからね。いろんな点で相当前進をした、この内閣は。そういうふうに考えておる。  また国会の運営については、山崎君ね、これは私も反省しますよ。しかし、あなたの属する社会党も、野党第一党としてお互いに、一切は自民党だけの責任だと、そう言わないで、皆がやっぱり国会運営に対して共同の責任を分担するという気持ちを私はお願いしたい。私はそれは自民党のやっていることは皆いいと言うんじゃないんですよ。しかし、これはいろんな行動というものはお互いに影響し合いますから、だから私はいまのことがいいといってこれを弁護しようとするんではないんですよ、しかしこのことに対して、おまえたち自民党だけがすべて悪いんだということでは日本の議会政治は私はよくならないと思う。与野党でともに議会が機能しておる、審議の府としての議会が機能しておるということは、これは大事ですよ。それはどこの国だってやっぱり——外国からお客さんが来ましたわね、この国会の休会中に。皆わからないと、こう言うんですね。そういうことですから、それは私は全部自民党がいいと言っておるんではないんですよ。皆与野党が、この日本の民主政治というものはまだ成熟したものでないですから、これを大事に育てるために私も反省いたしますが、野党の諸君もやっぱりどうしたら議会というものが健全に動いていくかということについてはお互いに相談し合っていこうじゃありませんか。全部自民党責任だと言われることには、これはちょっと私も、さようでございますとは私は申すわけにはいかない。  また、その次がロッキードでしょう。ロッキード、本当に真相究明したいと思っているんですよ。それはやり過ぎるじゃないかという批判もあるぐらいですからね。そういうことでやっぱり、そういうことをまあ国民から見れば手ぬるいというのですからね、おまえのやっておることは、こういう批判があるわけです。私はこの問題を党派的に考えてないですよ。個人的な立場とか党派的な立場で考えてないんですよ、この問題を。本当の日本民主主義の政治の健全な発展のためにこの問題の解明は大事だと私は思っておるんです。私だって長い政治生活をやむなくしてきたんですからね。こうして私の晩年の政治生活ですからね。それを歴史の非常な批判と審判を受けるようなことはしたくない。日本の民主政治というものがこの大きな試練を乗り越えて健全なものにできないかというのが、私の日夜考えておることでございます。やろうとする意思はあるわけで、初めから水をぶっかけないで、協力してやろうじゃないかという、こういう態度でいくことが、それは社会党も必要ですけれども、自民党も必要ですから、皆がやっぱり党派を超えてこの問題を解明しようという一つことで協力する。できるものは協力しようじゃありませんか。そういうことで、あなたの言うことを私は承りますと言ったら、全部承知したのかというと、後日のために私は申し上げておくわけでございます。
  536. 山崎昇

    山崎昇君 この問題は、私は本来ならばもっともっと私なりに見解を述べたいと思うんですが、たくさん問題ありますからもうやめますが、この問題に関する最後に二、三、あなたに対する批判というものをまとめたのを述べておきたいと思います。  あなたが昭和四十三年の総裁に出たときに、そのときに月刊時事という雑誌であなたをこう評価をしました。三木はすそをぬらさずに飛び石伝いに飛躍してきた政治家だと。だからあなた自身は手を汚さない。政治資金でもそういう趣旨のことが述べられておる。私はこれは適切な評価じゃないかと思う、一つは。また他の人はいまの三木内閣について、これは失礼な言葉だけれども、こじきの引っ越しのようなものだ、一つ一つ片づければいいものを一遍にしょい込んで、いまはいつくばってもう八方ふさがりだと、こういうあなたに対する表現もまたある。こう考えてみると、私は一年四カ月ずっとあなたの行動を見てきたし、いろんなことも研究してみてきた。しかし結論的に言えば、さっき六つの点に集約いたしましたが、結局は政治が混乱しただけで何も残っていない。これが今日の状態じゃないでしょうか。だから私はあなたに、一国の総理に対して大変失礼だったが、もうすでにこれだけ政治が混乱すれば、これを解決する道は、もうあなたみずからが進退について決しなければならぬのじゃないかという意味のことを申し上げたわけです。これは重ねて私の強い要望としてあなたに申し上げて、この点については打ち切っておきたいと思います。答弁は求めない。  それから第二は、経済問題について二、三福田さんにお尋ねをしたいと思うのです。これもまたあなたのかつての意見を使わせてもらいまして大変恐縮でありますけれども、見解を聞くためにひとつ使わせてもらいたいと思います。あなたが昭和四十四年、二回目の大蔵大臣になったときに、私はいまや大蔵大臣ではなく消防士である、このまま高度成長が続くというと日本経済は大きな壁に正面衝突して脳天を割りかねないのだ、あなたは当時こういう演説をされた。そこで、日本経済の現状というものは、あなたが当時述べましたように、いま脳天を割られたような状態にあるのか、そうでないのか、まずこの点からお聞きをしていきたいと思います。
  537. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 脳天を割られたというと、これは致命的でありまして救いようはありませんが、脳天を割られようとした、そういう状態まできた日本社会であり、日本経済であったと、こういうふうに思います。
  538. 山崎昇

    山崎昇君 そうすると、いままで政府の説明をずっと聞いておりますというと、今日の不況はすべて昭和四十八年の石油ショックだ石油ショックだと、すべて何でも石油ショックにしちゃった。しかし、もしこの石油ショックがなかったとしても、あなたが昭和四十四年に指摘したように、高度成長が続いたらもっと深刻な私は日本経済になったのじゃないか。少し逆説的な言い方でありますが、あなた方は石油ショックで救われた感じじゃないんだろうか、逆に言うならば。私はこうさえ思うのです。ですから、いまの一体経済の現状というものを、福田さんは全治三年とこう言われた。ことしは最終年だとこう言われた。これは脳天を割られそうになったような状態と石油ショックというものはどういうふうに私どもは理解をしたらいいのか、もう一度あなたの見解を聞いておきたい。
  539. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 今日の混乱の原因は、これは石油ショックもありますが、同時に、それがなくともなかなか深刻な事態になったのじゃないかという私は観察をしておるのです。経済運営で一番とにかく気をつけなけりゃならぬ問題は何だと言えば、これは物価と国際収支ですよ。物価について言いますと、四十七年下半期ごろから、卸売物価が十三年ぶりで上昇過程に転ずるという傾向が出てきた。それから国際収支が非常にその年の秋ごろから悪化し始めまして、四十八年という年は百三十億ドルの大赤字と、これは驚くべき数字なんです。そういうようなことで非常に大きな政策転換をしなけりゃならぬという時期に来ておったわけなんです。そこへ石油ショックと、まあダブルパンチというか、そういう打撃を受けたわけであります。  いま山崎さんは、石油ショックは非常にこれはいい機会を与えてくれたんじゃないか、こういうふうに申されました。私もそんなような感じもするんです。つまり、何かとにかくあれだけ勇ましい勢いで高度成長でやってきた。この勢いを政策を急角度で転換するということは非常にむずかしい。むずかしいところへ石油ショックというものがあったわけでありまして、そこでこの高度成長路線の転換ということがとにかく一面において強制される、こういう場面も私は出てきたのじゃないか、そういうふうに見るわけであります。そういう意味において私は石油ショック、これは災いを転じて幸いとするという方向に日本社会を持っていく、そういうことが可能であると、こういうふうに考えております。
  540. 山崎昇

    山崎昇君 私は、誤解されたら困るけれども、石油ショックというのは政府自身で政策転換できなくて、外部要因でやむを得ず政策転換をせなければならなかった、そういう意味で言っているんです。したがって、この点はそういう意味で私が述べたということを理解をしてほしいと思うんです。  そこで福田さん、あなたは安定成長論者だと、こう言われているんですが、あなたの考える安定成長というものはどういうものですか。
  541. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは一口で言うのはなかなかむずかしゅうございますが、一つには成長の速度、これを急速度から適正な速度に変えていく、こういうことがあると思います。それから、そういう中で経済社会をどういうふうに建設していくかということでありますが、これはやはり成長中心からこれを生活中心という方向の内容に転換する、こういうことだと思うんです。  つまり、そういうことを考える必要がありますのは、一つには世界情勢が非常に変わってまいりまして、そしてわれわれの必要とする物資が必ずしも金を積んだだけで入ってこない、そういう傾向がますますこれからむずかしい段階に入っていくであろうという展望があること。そういう中で、必要な資源は幾らでも入ってくるという前提の考え方はとれない。非常に不安定なことにならざるを得ないということ。  それから国内的にまた問題があるんですよ。つまり、われわれが非常に高い成長を試みるということになりますれば、経済規模が拡大するわけです。それを入れるところの国土、土地資源ですね、こういう余力がそうあるかということを考えますと、国土は狭隘でありましてそういう余裕はない。それから建設を余りに急角度に進めますと、公害、社会を非常に汚染をする、こういうような問題も起こってくる。それからさらには、国民の各界各層というものの間に非常に格差というか、そういうものも拡大してくる。やっぱりこれは静かに永続的な成長という考え方をとった方がよかろう。そうしますと、成長の速度は純化いたしまするけれども、とにかく国土はつり合いのとれた発展をなすことができる。  しかし、それにいたしましても、わが国はいまや世界の中でアメリカに次ぐ大きな工業力を持っておるわけでありますから、成長の速度が下がったといっても、これは先進諸国の高いところの水準ぐらいはいくことが可能だと思うんです。そういうことであれば、その成長の成果というものはこれは非常に大きい。これを産業というか、成長中心から生活中心へという転換を着実に実行いたしますれば、私はりっぱな日本社会というものが物的には形成できる、こういうふうに考えております。
  542. 山崎昇

    山崎昇君 いま適正な成長率と、こう答弁ありましたが、一体どのぐらいのことを考えるのですか。
  543. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ大体六%前後がここ数年間の経済の適正な成長率ではあるまいか、そういうふうに見ております。
  544. 山崎昇

    山崎昇君 そうすると副総理、あれですか、もちろん経済は生き物ですから、下がるときも上がるときもあると思うが、ほぼ六%程度の成長が続いていけばあなたは安定経済だと、こう認識されているわけですか。
  545. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私が申し上げている安定成長路線というのは、成長率もあるんです、先ほど申し上げたとおりですね。しかし、同時に内容、その成長の中において実現する施策の内容、こういう問題もあるわけでありますが、成長の速度の面からするとまあ六%、その程度の成長ならばまずまず、国際環境の中で資源の入手もまずできようじゃないか、また国内においては環境整備、そういうものにもそう大きな欠陥を出さずにいけようじゃないか、あるいは国土資源、こういうものにつきましても、まずまずそれを吸収する資源ぐらいはこれを調達することができるんじゃあるまいか。それから物価政策、国際収支、そういう問題につきましても、まず六%程度の成長だと健全な運営をすることができると、こういうふうに見ております。
  546. 山崎昇

    山崎昇君 なぜ私がいまそれにこだわって質問したかというと、あなたはかつて、安定成長とは成長のスピードが一定になるように配慮するところにウエートがあるのであって、成長の高さそのものにはないと、この述べておられる。だから、あなたの考えております六%前後ということがずっと続くということがあなたの言う安定成長経済なのかどうか、重ねてこの点は聞いておきたいと思うんです。もちろん物価問題とかその他の問題が関連することは承知いたします。
  547. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) その程度の成長でありますと、これを持続させることが可能である。非常に高い成長ということになりますると国際収支にひずみが出てくる。そうするとどうしても抑制政策をとらなけりゃならぬ。   〔理事山内一郎君退席、委員長着席〕 ですから過去三十年を見ましても、一年から一生半ぐらいの不況ですよ。それからまた三年ぐらいの、まあ四年ぐらいになることもありますが、大体三年。三年ぐらいの好景気、それからまた一年‐一年半の不況と、こういうふうになる。  なぜかと言えば、三年も好景気が続きますと、やっぱり設備投資が盛んになる、あるいは消費が盛んになる、そういうことで海外からの輸入がふえるんです。また業者は、国内で売れるものですから海外へ売ろうとしないです。そこで国際収支が悪化する。国際収支が悪化したらこれは大変ですから、そこでもう判をついたように決まって引き締め政策をとる。そうすると不況になるんです。不況になりますと国際収支はよくなります。つまり、物がそう国内では要りませんから輸入が減る。国外に対しましては、国内で売れないものですから海外に売ろうとする。輸出がふえます。そこで国際収支が改善される。そこで引き締め政策解除となってまた好景気になる。そういうことになりますが、そういう国際収支上の不安、そういうようなことをなくす、これも十分頭に置かなきゃなりませんけれども、そういう配慮をしてまいりますれば、そういうまた高い成長だ、その後はもう非常に低い成長だ、そういうでこぼこがなくして推移し得る。そういう適正な成長の水準は六%前後であると、こういうふうに見ております。
  548. 山崎昇

    山崎昇君 あなたの大体の安定成長に対する考え方、一応は理解をしておきたいと思うんです。  続いて、あなたは狂乱物価で全治三年の後遺症がことしで終わると言う。物価が安定したと、こうあなたは言う。しかし私は、この物価は総需要抑制だけでいまちょっと小康状態になっているけれども、またぶり返すんじゃないだろうかという国民の心配もある。そこで、物価政策についてもう少しあなたの具体的な考えを聞いておきたい。
  549. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 物価がまた成長の高さと非常に関係してくるわけです。成長の高さが非常に高い、こういうことになると、どうしても物価に悪い影響が出てくるわけなんです。これを適正な成長の程度にいたしますれば、まずこれは物価に安定的な影響があるわけなんであります。これはどうしてもとらなきゃならぬ。やっぱり物価政策のかなめは、成長の高さ低さですね、これが基本になると、こういうふうに思います。その成長の高さを、これをある、まあ六%と申し上げておりますが、適正な基準にずっと持っていく、こういうことを考えまするときに、どうしてもこれは需要管理と言いますか、需要管理というような頭の政策をとっていく必要があるだろう。経済の流れから設備投資が余り過大になる、そういうような傾向が出たときには、財政の方において今度は逆にこれを抑制するという方向の政策をとり、国民経済の需要方面において大体適正成長率を支えるにふさわしい態勢になけりゃならぬ。  それですから、私はこれから先々この日本の国の経済というものを考えますそういうときに、一番頭にありますのは世界情勢ですよ。非常に不安定な世界情勢であると思う。高い成長をとって、そうしてつま先立ちになって背伸びをしているというときに、また第二次、第三次の石油ショックが来るなんというようなことになったら、これはもう日本経済、日本社会にとってたまったものじゃありません。またほかの資源につきましても、資源有限時代というこういう世界情勢でありますから、何が起こるかわからぬ。やっぱり世界の動きの中で日本の国の社会、日本の国の経済の安全ということを考えなけりゃなりません。そういう立場から言いますと、やっぱり成長の高さというものに着眼をいたしまして、そうして需要管理政策、これをかなり厳しく見詰めていかなければならぬじゃないか、そういうふうに考えますが、物価安定の基本は、いろいろありますよ、流通の改善でありますとかいろいろありまするけれども、まあ何といっても一番のかなめは、私はこの需要を管理し適正な成長を維持するということだろうと思います。  それから、当面の物価ですね、私は基調としては非常に安定してきておると思うのです。安定して、安定基調ではある。しかしながら、表に出る数字としては、二、三日中に発表になりますが、五十年度の十二カ月間、年間上昇率がまあ九%程度になるのじゃないかと私は見ておりますが、とにかく九%だ。これは非常に高い水準です。なぜ高いかというと、一つは公共料金を改定しなけりゃならぬというそういう時期に際会している、こういう問題があるのです。私はとにかく公共料金なんかは早くこれを調整いたしまして、一時的にたとえば五十一年度あるいは五十二年度、この時点では公共料金から来る圧力、物価への圧力が相当高うございますが、早くこういうものを一巡させまして、そうして物価をもう一刻も早く預金金利以下の水準に持っていきたい、こういうふうに考えまして諸対策を講じてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  550. 山崎昇

    山崎昇君 物価問題、もちろん一つ、二つの問題で片づく問題でないことは私も承知します。ただ、いまの説明で、需要管理という概念が私よくわかりませんし、内容がよくわかりません。ただ、これもあなたがかつて述べられたことですから申し上げてみたいのですが、物価上昇を引き締めによる総需要抑制で実現しようとしたことは、現代の物価上昇のメカニズムを誤解したもので、最初からできない相談であったという、あなたが見解を述べたことがあります。これは昭和四十四年です。当時、国際収支の黒字下において物価問題をどうするかというときにあなたは大蔵大臣で述べた言葉です。だから、あなたのこの需要管理という内容、私はわからぬから言えませんが、これが主力だとすれば、先に述べられました需要の抑制というものと物価というものとはどういう関連をしてくるのか、どうも私はまだ理解できないものですから、もう一遍あなたの需要管理という内容を含めまして見解を聞いておきたいと思います。
  551. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 経済が急上昇いたしますと、これは物価に刺激になる。これは山崎さんもそうお考えになられると思うんです。まして、それにつれまして賃金がそれに応じて急上昇するというようなことになれば、なおそれに拍車をかける、こういうことになるわけであります。そういうことを考えますと、この経済の急激な上昇、成長率の上昇というものは、需給が緊迫するということが主になりまするから、どうしたって物価を引き上げる要素になる。需給というものが常に均衡した状態にあるということが物価を安定するかなめでございますから、そこでどうしても需要管理というところには重点を置いて、そして成長の高さ低さ、そういうものが大波がないような配慮というものを常にしなきゃならぬだろうと、こういうふうに考えております。
  552. 山崎昇

    山崎昇君 需要管理という内容がよくわからないんです。いまの説明でも私はぴんときません。これは政府が需給に介入するという意味にもとれるし。明らかにしてください。
  553. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 国民経済における需要というのはいろいろありますけれども、主なものは、これは生活消費であります。それから設備投資、それから国の、また地方の財政需要、それから輸出のための需要、この四つが最大の要素でありますが、そういうもののある一つが非常に大きく前進すると、それにつれましてほかの要素もまた肩を並べて進んでいくというようなことになりますと、これは国民経済全体の規模が拡大するわけですから、そこで国民経済全体として需給に逼迫を来し、そこで物価に響く、また国際収支に響いてくるわけです。先ほど申し上げたとおりであります。そういうようなことがあるとまた極端な厳しい抑制政策をとらなきゃならぬ、そういうようなことになりますので、そこでそういうことのないように、まあ、何か設備投資において非常に厳しい状態が出てきた、そういう際には設備投資自体をこれが悪走りをしないように抑制政策をとらなきゃならぬ。しかしまた、場合によって設備投資をしなきゃならぬ、設備投資を抑えることは妥当でないというような場合には、逆に財政の方を締めなきゃならぬ、そういうような必要が出てくる。またケースを変えまして、財政がどうも非常に拡大傾向をたどってきた、そういう際におきまして、この設備投資、これの抑制を講じなきゃならぬというようなケースもまた逆にあるだろう。こういうふうに思いますが、とにかく全体として、私は先ほど申し上げました六%、国民経済全体として六%の成長率、それをにらんで、そうしてそこへ需要各項目の総体が落ち着くような需要管理体制というものをとらざるを得ないだろうと、こういうふうに思っています。
  554. 山崎昇

    山崎昇君 私は需要管理という言葉は、一歩誤ると、やっぱり所得政策の導入が含まれるんじゃないか、あるいは賃金抑制という内容が含まってくるんじゃないだろうか、そういう誤解を受けると思うんですよ。だから、そういう意味であなたにいま何回か聞いているんですが、そういうものは一切考えておりませんか。
  555. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 所得政策というのは全然私の頭にいまありません。
  556. 山崎昇

    山崎昇君 そこで、本当はもっともっと項目のほかにやりたいんですが、時間がありませんので、最後に福田総理に私は経済で聞いておきたいんですが、今日のこの景気対策を見ておっても、結局従来のパターンが何にも変わったところがないんじゃないでしょうか。結局、不況になる、財政で需要を管理する、金融を緩める、そして景気の後退というものをよくする、それがまたでき上がると、いま言うように従来のようにまた引き締めやる。今度の景気の問題についても結局は従来のパターン、同じであって、何の発想の転換ということを考えられてないのじゃないだろうかという気がします。この点は一体いままでと違うなら違う、こういう点が違う、あれば聞いておきたい。  それから今後日本の経済は、あなたの言う安定成長に仮に乗るとしても、仮に全治三年だとすれば、ことしは最終的にこの後遺症がなくなる年なのか、安定成長の第一年目と理解をしたらいいのか。その辺が私もまだ理解できないものだから、あわせてこの二つを聞いておきたい。
  557. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 経済運営の手法といいましても、そういろいろ手段がたくさんあるわけじゃないんです。結局これは財政金融、これが主軸にならざるを得ない。この財政金融を駆使する考え方、これは自由メカニズムの中でどういうときにどういうふうに使うか、これはそう狂乱物価以前と以後で変わったということはありません。しかし、非常に大きく経済運営のかじの取り方が変わっておるんです。狂乱以前におきましては必要な資源というものは幾らでも入ってきたのですから。なんですね不況になった、一年−一年半の不況だ。そこで国際収支が改善されました、物価も落ち着きの傾向だと。そこで引き締め政策を解除するということになりますが、その際、そう非常に神経質に次の成長の高さというものを考える必要がない、本当は考えた方がよかったのですが、考えるべきだったのですが、さほどに深刻に次の成長の高さというものは考えない、次はまた非常に高い成長になっちゃう時代を許すような、そういうような引き締めの解除というふうになったんですが、これからはそういかないです。  先ほどから申し上げたとおり、わが国の経済社会の安全保障、そういうことを考えますと、そう高い成長というものは許されない。今日のこの政策をやっておりますが、これは先々どうなるかということを考えないで、ただ景気景気ということになりますれば、それは国際収支も幾らか改善されてまいりましたから石油なんか買う力も出てきた、そういうような背景の中で高い成長を考えれば考えられるんです。それを考えないのです、われわれは。今日はそれを考えないで、そして今日のこのショック後三カ年の調整過程を経過した後におきましては、わが国の経済が再びもとの成長路線には戻らない、安定した適正な成長路線に乗るということをねらっておる、そこが非常に違うのであるということであります。
  558. 山崎昇

    山崎昇君 二つ目。ことしは安定成長の第一年度ですか。
  559. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そういう意味において、ことしは、五十一年度というこの年は、この年を終え、大体物価問題、これは公共料金なんかの問題がありまして、望ましいまだ水準まで数字としてはいきませんけれども、とにかく基調としては安定基調を確立する。同時に不況、この問題につきましてもあらかたのこなしをいたしまして、そうして五十二年度以降はまた、まずまずこの安定路線に乗り得るような筋固めに移り変わる過程の年であると、そういう意味において、五十一年度以降五カ年間にわたる五十年代前期五カ年計画の初年度といたしたい、かように考えております。
  560. 山崎昇

    山崎昇君 重ねて聞いておきますが、あなたの言った全治三年ですからことしはすべてその病気は治ると、そして健全な体になって出発する第一年でございますと、こう理解をする。そうすると、前期の来年度以降の一体赤字というのはどういうふうにぼくらは理解をしたらいいのか。もう多額の国債を発行することはあなた方は言っておるわけです。後遺症がなくなって安定成長に乗せたと、第一年だと言うけれども、来年度以降の安定成長、じゃ、あんなに赤字が出て大量の国債を発行するんだろうかと、そこら辺が私ども庶民としては疑問なんですよ。あなた専門家だというんだから聞いておきたい。
  561. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 経済的側面といたしますと、大体本年度で物価の安定基調はできる、また不況も克服という大体の態勢になると思うんです。ところが、いろんな面で後遺症が全然なくなったというわけじゃないです、あれだけの大ショックの後ですから。その後遺症の最大のものが財政なんです。これは、財政はとにかく赤字公債を発行しなきゃならぬと、こういうような状態であり、しかもその額が非常に大きい、これは後遺症としてまだ二、三年はまあどうしても残りそうな状態なんです。これを克服しなけりゃならぬという財政上の問題がありますけれども、まあ経済自体といたしましては、大体本年度中には安定への粗ごなしはできる、そういう年にしたい、こういうふうに考えております。
  562. 山崎昇

    山崎昇君 余りぴっときませんが、時間がありませんから……。  次に、大蔵大臣に、国債発行と日銀の買いオペとの関係について一言だけ聞いておきたいと思うんです。  仮に市中消化をやったとする、あるいは預金部資金でかなり保有したとしましても、一年たつとほとんど日銀に移ってしまう、言うならばそれが通貨の増発を招いてインフレ懸念があるんではないだろうか、こう言われています。したがって、今度の大型国債発行とこの市中消化という問題と日銀の買いオペとの関係を、あなたの見解を聞いておきたい。  それからこの個人消化の問題に関連をして、五年ぐらいの中期の国債というものが考えられないのかどうか、この点も聞いておきたい。
  563. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) ただいま発行いたしておる公債、そして今後発行しようとする国債、これはもとより市中消化を厳格に守ってまいりたいと考えておりまして、問題は、一年たちましていわゆる既発債になった場合、日本銀行との関係をお尋ねでございます。で、日本銀行は本来経済に対しまして適正な通貨を供給する任務を持っておるわけでございまして、そのために、売りオペレーションやったり買いオペレーションやったりする場合の対象といたしまして国債等を活用するわけでございます。したがって、国債が、既発債が多い少ないということが問題では直接ないわけでございまして、日本銀行が供給する通貨が適正であるかどうかということが問題なのでございまして、国債ばかりがオペレーションの対象になっておるわけではございませんで、問題は、日本銀行が適正な通貨を供給しておる限りにおきましては、既発債をそのオペレーションの対象にどれだけ使うかということ自体は直接インフレに関係はないものと考えております。  それから第二の問題でございますが、五年程度の中期債の発行でございますが、確かに仰せのように、いま私どもが発行しようといたしておりますのは十年債でございますので、五年債というのは確かに魅力のある国債になるわけでございます。大量に発行しようといたしておりますので、五年程度の中期債の発行が望ましいでないかという考え方もありまして、シ団の皆さんに御相談申し上げたこともございます。けれども、これに対しましては、他の債券の消化との関係等もございまして、なお完全に市中の、市場の皆さんのこなれた理解が得られない状態にあるわけでございまして、なお今後、この中期債の発行につきましては検討しようということにはなっておりますけれども、いま直ちに発行に踏み切るというところまではまだ事態は熟していないという状況でございます。
  564. 山崎昇

    山崎昇君 もう一点大蔵大臣に聞いておきたいんですが、最近いろんな経済に対する評論を見ておりますというと、どうも過剰流動性がまた始まったんではないだろうか、言うならば金融が緩み過ぎつつあるんじゃないだろうか、こういう懸念がたくさん表明されておるわけです。  そこでお聞きをしたいのは、景気対策を急ぐ余り、また公定歩合の引き下げ、あるいは貸出金利を引き下げる、そしてそれに伴って預金金利も下げるというようなことが行われるんじゃないだろうかという声もありますが、これについて大蔵大臣の見解を聞いておきたい。
  565. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 結論から申しますと、いまそういう考えは持っておりません。現に企業の手持ち資金の状況は以前に比べまして比較的楽になってきておりまするし、それから産業資金の需要はそんなに、何と言いますか、強いものではございませんで、山崎さんおっしゃるように、金融が緩んでおるのではないかという御観測は間違いでないと思います。そういう状態だからというわけではございませんが、いま政府並びに中央銀行で特に預金準備率を引き下げてみたり、公定歩合の引き下げをもくろんだり、その他金融をさらに緩めていくというようなことを考えておるわけではございません。
  566. 山崎昇

    山崎昇君 それでは次に、春闘問題で総務長官とそれから人事院総裁に一言聞いておきたいと思う。  春闘も大体大詰めに来まして、民間の賃金も大筋固まってきたようです。公労協の諸君もまた仲裁裁定が出る予定になっている。ほぼ解決の見通しがついたと思います。残されたのは地方公務員も含めまして一般職の公務員なんですが、総務長官は、これら春闘の情勢から言ってこの一般職の公務員の賃金というものをどういうふうにお考えになっているのか、お聞きをしておきたい。  それから人事院は、一昨年だったと思いますが七月に勧告しています。ことしは一昨年同様に一日も早く勧告する意思があるのかどうか、まずこの点聞いておきたい。
  567. 植木光教

    国務大臣(植木光教君) ことしの春闘につきましてはまだ終わったとは言えない状況でございますが、いずれにいたしましても、民間賃金の動向につきましては、人事院が連休明けから行います民間給与実態調査において十分把握いたしまして、公務員給与改定の勧告を行うということになると思いますが、その場合には民間給与が十分に反映されると思います。  一般職の公務員の問題でございますが、本年度は御承知のように特に厳しい財政事情のもとでございますけれども、政府といたしましては、従前どおり、人事院勧告を尊重するという基本的なたてまえに立ちつつ、諸般の事情を考慮して対処してまいりたいと考えております。
  568. 藤井貞夫

    政府委員(藤井貞夫君) 本年の人事院勧告でございますが、いま総務長官からもお話がございましたように、大体例年の段取りとペースに従いまして作業の開始をやって取りかかっておる段階でございます。  いまお話のございました一昨年は、例のような非常な経済の急変、あるいは国民生活の窮状の問題等がございました。そういうようなことから特別の配慮をいたしたということがございますけれども、昨年はまた別のような状況もございまして、大体例年のペースに戻したというようないきさつもございます。ことしの場合は、いまのところ私といたしましては大体例年のペースということで、連休明けから六月の半ばごろにかけて精密な調査を行い、その結果、できるだけ速やかに結論を得まして何らかの措置を講ずることにいたしたい。特に、一昨年のようなことでこれを早めるという考え方は、いまのところ持っておりません。
  569. 山崎昇

    山崎昇君 これは総裁、実務的には可能なんでしょう。六月の十五日で一応調査を締め切って、後はコンピューターにかけるわけです。一昨年やれてことしやれないということはない。ただ、もとに戻したという考え方を踏襲することはいかぬと思うのですよ。ですから、あなたも努力をしてもらいまして、一日も早くひとつ勧告してもらいたい。できるならば一昨年の方向に持っていってもらいたい。  それから重ねて総務長官と人事院総裁にお聞きしますが、公務員関係の皆さんから、早期支給の制度というものを早急に確立をしてもらいたいという強い声がある。そこで、ことしはこれらについて、法律を伴うものもあるでしょうから一概にいますぐはできぬかもしれませんが、少なくともこの早期支給というものについてどういうふうに考えられるのか。総務長官と、人事院総裁もこれは給与制度の問題でありますから、聞いておきたいと思います。
  570. 植木光教

    国務大臣(植木光教君) 早期支給の問題につきましては、一昨年の十二月に、両院において内閣委員会から附帯決議がございました。したがって、昨年いっぱいいろいろ研究、努力をしてきたわけでございます。しかし、早期に処理をいたしますためには、たとえば予備勧告及び本勧告案というようなものが一つ考えられます。それから予算編成前の勧告案というのも一つ考えられる。それから俸給表の改定について政令に委任するという案が考えられる。それから国会の早期召集という案と、こういう四つの案にしぼられると思うんでございまして、この四案につきましていろいろ検討いたしましたけれども、現行の制度のもとにおきましては、やはり国会で早期に御審議をいただき、そして改定をしていく、そのための、勧告に引き続きます早期支給のための御審議というものはできるだけ早い機会にやっていただく、これがやはり一番いまいいのではないかと、そういう考え方でございます。
  571. 藤井貞夫

    政府委員(藤井貞夫君) 勧告の時点の問題、あるいはその前提になります調査期間の問題でございますが、これは一昨年の場合は、例のような山崎委員もせっかくお詳しいような状況のもとでございまして、とりわけて資料の収集も急ぎ、またその結論も急ぐということでやったわけでございます。ただ、人事院の勧告は、これはできる限り民間の実態というものを正確に把握するということも別の意味で必要でございます。特に人事院勧告は、公労協その他とも違いまして、ただ単にベースの問題だけじゃなくて、具体的なそれらの配分をも決定をするという作業もこれに随伴をいたすものでございますので、それらの点を配慮いたしますならば、やはりできるだけ正確に詳細に民間の状況というものを把握し反映させるということも必要でございますので、そういう点が一昨年とは違った状況が出てまいっておると思います。ただ、方針といたしまして、方向といたしましては、できるだけ速やかにやりましてその結果を取りまとめて措置を講じていくということは私も大賛成でございますし、当然その努力はしなければなりません。ただ単にコンピューターだけの作業の問題ということだけではない面もございますので、それらの点をあわせ考えながらできるだけの努力をことしも継続をしてまいりたい、かように考えております。
  572. 山崎昇

    山崎昇君 自治大臣、あなた地方公務員の分はどうしますか、財政も含めて見解を聞いておきます。
  573. 福田一

    国務大臣福田一君) お答えをいたします。  地方公務員の問題は、公務員のベースアップの内容が決まりますればそれに準じて必要な財政措置というものをとらなければならないと、私としてはそのように考えております。
  574. 山崎昇

    山崎昇君 労働大臣に一言聞いておきます。  この春闘で雇用問題が大変大きく扱われました。雇用の状況について聞かしてください。
  575. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) 先ほど副総理、大蔵大臣からお話のあったように、スタグフレーション下においての雇用問題ですから非常に注目しているところでありますが、おかげさまで生産指数が伸びておりまして、雇用面でもいささか明るい面が出てまいりました。たとえば有効求人倍率が十一月の〇・五二倍を底にして上昇しまして、三月は〇・六八、ここまで上がってまいりました。と同時に、先生が社会労働委員長をされておったとき御審議いただきました雇用調整、その関係も大分調整が行われておりまして、昨年秋以降この雇用調整が次第に解除されまして、製造業の残業時間が二月においては前年同月比一二・八%増となっております。しかし、こういう中にありましても、一昨年以来のこの不況の中において、なおかつ百二十数万の再就職ができない、そういう人々がいるということでございまして、いまから先は景気の浮揚と同時にこういう問題がうまくいくように期待もし、一方においてやっぱり失業者が出ないように雇用調整給付金等々も活用しつつやっていき、特に再就職のむずかしい方、こういう方方に対しては今度の国会に中高年齢者あるいは身体障害者のそういう法律案も出していく、こういうふうなことで真剣に見守っていきたいと、こう思っております。
  576. 山崎昇

    山崎昇君 それでは次に、地方財政について自治大臣に二、三お尋ねをしておきたいと思いますが、五十一年度予算の中で地方財政は大変いままでと違った点があります。とりわけ、いままでは基準財政需要額で見ておったものを今度は借金に回す、こういうやり方をあなた方はとっているんですが、まずそれについての見解から聞きたい。
  577. 福田一

    国務大臣福田一君) お答えをいたします。  地方財政という問題を考えるときには、何といっても歳出と歳入の両面から物を見ていかなければならないわけでありますが、これはもう山崎さんもよく御理解をしていただいておるところでありますけれども、歳出面におきましては、行政費が果たして適正であるかどうかという問題、それからまた、福祉行政というものが住民の輿望にこたえるようになるかどうかというような面もひとつ両面から考えて、歳出の面を考えていかなければならないと思っておるわけであります。  一方、歳入でございますが、これももうあなたは御承知でありますけれども、何といっても国からどれくらいの補助金が来るか、あるいはまた、どれくらいの税収が地方税として上がるか、また国から来るところの交付税というもの、いわゆる国税三税の三二%であるこの交付税というものがどれくらいであるか、これを合計いたしまして、それが均衡、バランスがとれることがいままでは大体行われてきたわけでありますが、五十一年度の予算についてこれを見ますというと、このバランスが崩れてまいりまして、三千数百の地方自治体の五十一年度の予算は二十五兆二千六百億円ということに基準財政計画はなるわけでありますが、ところが先ほど申し上げたような面で見てみますというと、二兆六千二百億円実は歳入が不足いたしておるわけであります。そこで、この分についてどう処置したらいいかということでありますが、国の方でも財政特例法を出さなければならない非常な財源不足を来しておるところでありまして、このときに交付税を急にまた税率を上げるというようなことは、これはどうもこの際は差し控えた方がいいという考え方に立ちましたので、ことしはその二兆六千二百億円のうちで一兆三千七百億円は交付税特別会計に入れてもらう、それから残りの一兆二千五百億円は地方債によってこれを賄う、こういうことによって収支の均衡をとる、こういう計画を立てまして、これに基づいて今回また地方交付税法の問題について法案を実は御審議をお願いをいたしておる、こういうのがただいまの状況であります。  なお、この一兆二千五百億円の内訳をちょっと申し上げますと、これはもうおわかりかと思いますけれども、五十年度の投資的経費に包括算入されていた土木費及びその他の諸費の基準財政需要額のうちの四千五百億円分と、それから五十一年度の公共事業及び高校新増設費等の投資的経費に係る地方負担額で従来単位費用及び事業費補正等により算入対象としていた経費の一部を地方債に振りかえた八千億円というものが、一兆二千五百億円の内訳になっておると御了承を願いたいのであります。
  578. 山崎昇

    山崎昇君 大臣、収支のつじつまは合いますよ。しかし、何で、いまあなたの説明ありました四千五百億円は、従来包括算入で地方交付税で見ておった。八千億円もまた、これは投資的経費として基準財政需要額で見ておって、交付税で見ておった。それを、いきなりこれを起債、借金させるというやり方は、収支のつじつまは合うかもしれないが、これは交付税法違反じゃありませんか、この点は。自治省が勝手に、いままでは交付税でやったものを今度は借金でやりなさい、これは私はどうしてもいただくわけにはいかない。直してもらわなきゃ困る、これは。どうですか。
  579. 福田一

    国務大臣福田一君) 御案内のように、地方交付税法におきましては、二年間収支の赤字が続いた場合には交付税率の変更をしなければならないということがありますけれども、ことしが二年目でございまして、来年どうなるかということはこれから考えなければならない問題だと思うのであります。そこでことしはこの交付税率を変えるということは、先ほどちょっと申し上げましたけれども、国がもうすでに大変な赤字でございましてそれは非常に苦しい状況になっておりますので、そこで地方におきましても、ことしはまだ三年目ではございませんから、ぜひひとつ地方債で一部を負担してもらうようにというか、穴埋めをするように、こういう考え方に立ったわけでございまして、今日のこの五十一年度の経済あるいは財政状況というものをひとつ十分お考えあわせを願いましてわれわれの意図しておるところに御賛同を願いたい、かように考えているわけであります。
  580. 山崎昇

    山崎昇君 そうすると、自治省はつじつまが合わなくなれば自分勝手に単位費用を直して、法律上の単位費用をいじくって、基準財政需要額をいじくって、そして国が苦しいんだからおまえの方は借金しなさい、こういう論理は通るわけないじゃないでしょうか。明らかにこれは交付税法違反じゃないでしょうか。あわせて、中期のあなた方の計画を見るというと、五十二年度以降も大幅な赤字を出すことになっていますね。当然、そうなると、地方交付税法の六条の三、これによって交付税率は変えなきゃなりませんよ。だから、その二つを合わせて言いますと、五十一年度であなた方は違法なことをやっているんじゃないですか、それは。即刻これは交付税率を上げて、地方にそんなあなた国のまやかしを押しつけるものじゃないですよ。これは改めてもらいたい。
  581. 福田一

    国務大臣福田一君) そこで、ただいま申し上げました二兆六千二百億円の足りない分は、一兆三千七百億円は国から借りておりますし、それからまたこの地方債で一兆二千五百億円というものを埋めるということにしております。そのうちの国から借りておる分につきましては、将来返還をする場合においても、これはもし地方財政が苦しいという場合には、大蔵、自治の両省の間におきまして地方に無理がかからないように措置をするという約束ができております。  それから、いまあなたが御指摘になりました、いわゆる基準財政計画の中に入るべき分を起債で認めたのはおかしい、こういうお話でございますが、考え方といたしまして、四千五百億円というのはこれはもう今後の地方財政計画を立てる場合に全額利子も含めて基準財政計画の中に入れて処置をするということと、それからもう一つは、八千億円の場合は、これは利子の面も見ますけれども、約八〇%以上というものはこれも地方財政計画の中に入れてそうして今後の財政計画を立てる、こういうふうに措置をいたしておるのでございまして、これもまた、いまあなたがおっしゃったように、地方財政に大きな負担がかかるということになれば、これはそのときには十分大蔵省と相談をして、そして地方財政に大きな負担がかからないようにしようということで話し合いがついておるようなわけでございます。  最後に、あなたが御指摘くださいましたところのこの交付税率を上げればいいじゃないかというお話でございますが、これはもう法律で、もう山崎さんが先刻御承知のように、二年間赤字が続いた場合にはということになりますと、昨年五十年度と五十一年度がまあ赤字になりまして、三年以上続いたということになる場合には、これは当然上げなければならない問題が起きてくるわけであります。しかし、これもいろいろまた考え方もあるわけでありまして、たとえば国の補助金の率をもっとほかの公共事業なんかの面で上げてもらう場合もあるだろうし、あるいは税収を何か別に考えるという工夫もあるかもしれません。どの程度どうするかということは、これからの景気の動向をにらみながら、やはり十月前後までにはひとつ結論を出さなければならないという考え方で、鋭意研究をいたしておるところでございます。
  582. 山崎昇

    山崎昇君 これは私は納得できません。自治省は気まま勝手に基準財政需要額を変えて借金に改めるなんて、それを自治体におっつけるなんというやり方は承服しかねます。しかし、仮に、あなた方、これをおっつけるでしょう。それでも四千五百億円と八千億円に分けて、この二つの起債の扱い方が違うのはまたどういう意味ですか。これも説明願いたい。
  583. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) ことしの地方債によります財源の振りかえでございますが、そのうちの四千五百億につきましては、交付税特別会計におきます借り入れと全く同等の措置と申しますか、効果を持ちますような措置をとったわけでございまして、具体的にはこれは交付税の中の投資的な経費の算入でございますが、その他行政費等に含まれておりますものの振りかえと、こういう措置をとったのでございます。したがいまして、これは交付税でその他行政費で配分をしますものの配分方法と全く同じ方法で配分をする。それから、残りの八千億につきましては、従前交付税では、公共事業等の裏負担につきまして、一定の起債の上に事業費補正という措置をとりまして地方負担の充当措置をいたしておりましたが、それの振りかえ措置にいたしたと、このような違いでございます。
  584. 山崎昇

    山崎昇君 いや、それも納得できない。たとえば、私どもの計算では、八千億円のうち事業費の補正振りかえというのは二千八再五十八億円ぐらいだと。仮にこれを引いたとしても、残余のものについては当然四千五百億円と同じ扱いにしなきゃいかぬじゃないですか、従来の関係からいけば。八千億円だけは一般起債のように許可が物すごく厳しいんじゃないでしょうか。どうしてこういう差を設けるのか。あなた方は、もともとあなた方のやり方が間違っているんでしょう。いままで交付税でやっておったものを借金に回しておいて、それを半分に割って、片方はいままでの交付税方式でやりますと、片方は一般起債でやるんで許可はむずかしいんですと、こういうやり方はまことに自治体に対しては踏んだりけったりじゃないですか。もう一遍説明を求めておきます。
  585. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) 八千億円につきまして地一方債の許可が非常にむずかしいということはございませんで、具体的には、配分をされました公共事業の裏負担に対しまして九五%の起債充当をすると、こういうことで自動的に配分になるわけでございます。四千五百億につきましては、従前その他行政費の中で包括算入をされておった投資的経費でございますから、これはいわば、何と申しますか、全くの一般財源と同じようなかっこうで従前使われておったもの、それの振りかえでございます。したがって、交付税配分方式と全く同じ方法で配る。それから、もう一つ申し上げますが、両方とも、一兆二千五百億とも一般財源の振りかえという意味での地方債措置でございますので、将来この元利償還金につきましては当該団体の基準財政需要額の中に相当額を算入していくと、こういう措置をとりまして、当該地方団体の迷惑にはならないように交付税を将来配っていくと、こういう措置をとっております。
  586. 山崎昇

    山崎昇君 そうすると、自治大臣、私は端的に確認をしておきますが、いまあなた方のやろうとすることは、これはどうやったって自治体が理解できるものではないんですよ。しかし、あなたは、もし自治体がむずかしくなれば、大蔵大臣と相談をして自治体に負担をかけないようにしますと、こう言うんだから、最終的には国が責任を持ってこれは処理しますね。自治大臣、大蔵大臣に聞いておきます。
  587. 福田一

    国務大臣福田一君) 先ほども申し上げましたし、政府委員からも御説明を申し上げましたように、交付税とほとんど同じような形でもって将来の財政基準計画に繰り入れるわけでございますから、だから、地方自治体にはそういうような迷惑をかけないようにするという措置を十分に果たしておると考えておるわけでございます。
  588. 山崎昇

    山崎昇君 どうですか、大蔵大臣。
  589. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) これは、大蔵省の立場から申し上げますと、約三割の国債依存率でございます。地方は一五%ぐらいの起債依存率でございまして、いずれにせよ、中央、地方を通じまして大変苦しい財政状況にございます。で、交付税におきましても、歳入が不足しておりまして、国税三税に所定の率を掛けました金額が、仰せのように大変金額が不足しておりますこともよく承知いたしておるわけでございまして、しかし、中央、地方を通じまして、行財政の水準を、そうい時期にかかわりませず何とか維持したいというのが政府の気持ちでございまして、これをどのように克服してまいりますか、中央も地方も借入金政策をとらざるを得なかったことは御理解を賜りたいと思うのでございまして、こういう状態を五十年代前半には脱却いたしまして、正常な状態に返さなければならぬわけでございまして、そういう目標をもちまして中央、地方、呼吸を合わせて財政の運営に心してまいりたいと念願しておりまして、いま御指摘のようないろんな不都合な点、確かにあることは万々大蔵省としても承知いたしておるわけでございますけれども、地方団体の理解も得ながら、協力も得ながら、自治省と相談しながら、この事態を円滑に克服してまいるべく努力をしてまいりたいと、そのために自治大臣と私との間でそういった心構えを覚書の形で交換いたしておりますことも、山崎さん御承知のことと思うのでございます。そういうような状況にございますこと、そういう気持ちでおりますことを御理解をいただきたいと思います。
  590. 山崎昇

    山崎昇君 自治大臣は責任を持つと言った。だから、大蔵省も当然自治大臣と相談するでしょうから、大蔵大臣としても、それは責任を持ちますよと、そう言わなきゃ、あなた地方自治体は納得しませんよ、こういうやり方は。もう一遍あなたのきちんとした答弁を促しておきたい。
  591. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 自治省とも協力し、地方自治団体との御協力も得まして最善の努力をしてまいりたいと思います。
  592. 山崎昇

    山崎昇君 私の方は、いま大蔵大臣は答弁ありましたが、責任を持ってやるものだと理解をしておきます。  次に、超過負担について一言聞いておきます。  これはもう自治大臣の方に六団体から行っている。一年間かかって調査をして、六千三百六十億円の超過負担がありますとあなた方に陳情していると思う。しかし、五十一年度予算では全くわずかです。一体、この六団体の調査というものに対して、自治省はどういう考え方を持ち、どういう対応をしようとするのか。  それから第二には、この中でも指摘されておりますが、どうして給与費の中でこの諸手当はやらないんですか。本俸だけは負担をして、諸手当は一切自治体におっつけちゃう、こういうやり方々とっておって、何でこういういうものは直されたいんですか。自治大臣の見解を求めます。
  593. 福田一

    国務大臣福田一君) 超過負担の問題はずいぶん長い間の問題でございまして、超過負担というのにつきましては、その対象をどうするか、あるいは単価差をどうするかとか、いろいろの問題があることは山崎さんも御承知のとおりでございます。そこで、六団体からいろいろの要望がございますので、自治省といたしましては、その六団体の会合には常に係官を派遣いたしまして、どういう御要望があるかということを詳しく調べまして、同時にまた、各関係の厚生省とか建設その他に対しましても、妥当と認める範囲内においてはぜひともこれを是正するようにということで交渉をいたし、大蔵省とも相談をして、ある程度この超過負担の解消を図ってきております。もちろん、超過負担には設備費のほかに運営費の問題もございまして、これももうあなた御案内のとおりでありますが、したがって、ことしなどは、この法律をつくります場合に、経費のかかるような法律をつくるのならば、必ず予算の手当てをしなければ、私としては認めることができないというか、私が自治大臣として判を押すことはできないという実は強い要望を各大臣に申し入れました。大体その線に沿って今年度は運営をされておると思うのでありまして、いずれにしても、超過負担の問題は、これからも大いにひとつ努力をいたしたいと思います。しかし、いま御指摘になりました六千何百億円というのをわれわれが全面的に認められるかどうかということになりますと、これはいろいろの問題がございます。予算の問題もあるし、またいろんな面もございますから、これからまた十分に御相談をさしていただきたいと思っておるわけであります。  それからただいま手当の問題について御質問があったのでありますが、人件費の問題のうちにということでございますが、実は、もうすでに昨年から申し上げておりますように、人件費の問題は、地方公務員と国家公務員との関係でも相当差がございますし、できるだけ合理性を持つようにしてもらいたいというようなことも考えておりまして、まあ十分に手当等の問題も含めておらないかと思いますけれども、大体どこでもやはり厳しい経済情勢というものを認識していただいて、順次われわれとともにひとつ解決をしていこうということでございます。  私はいつも申し上げておるのですが、私も実は長い間サラリーマンをしておったのでございまして、サラリーマンが手当の問題とか俸給の問題に非常な関心を持っておることは、これはもうよくわかる。私は当然そういう面も考えなければならないと思っておりますが、しかし、同時に公平の原則というものも忘れるわけにはいかない。まあこういうようなたてまえでございますので、この点もひとつ御了承を願いたいと思うのであります。
  594. 山崎昇

    山崎昇君 質問によく答えてくださいよ。  一つは、六団体から出されたのはこれは去年の十二月ですから、あるいは予算編成に間に合わなかったかもしれない。来年度はこれに基づいて、あなた方が反論があるならば、当然一つ一つについて反論をして、認める認めない、やらなければなりませんね。当然五十二年度予算案ではこれはやりますね。内容についてそっくりやるかどうかは別といたしまして、まじめに六団体の調査に答えてもらいたい。これが一点。  第二点は、諸手当というのは、補助職員等について、本俸だけをあなた方見ている。諸手当は一切見ないじゃないですか。それがみんな負担になっているじゃないですか。その点は、補助職員ならば当然諸手当も全部見るべきじゃないですか。そういう不合理性について聞いているんです。
  595. 福田一

    国務大臣福田一君) 超過負担の問題につきましては、御指摘のように地方団体からそういう申し入れがございますので、来年度予算に当たりましては、十分やはり相談をして、合理性があるものはこれは認めてもらい、そしてまた、それを大蔵省その他関係省とも、よく連絡をとって、自治省としては、妥当性のあるものについてはひとつ極力努力をいたしたいと考えておるところであります。  なお、手当の問題については、財政局長からお答えをさせます。
  596. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) 国庫補助職員につきましての人件費の国庫負担でございますが、御指摘のように、諸手当が入っていないものがございます。この点につきましては、今後この修正を求めてまいりたいと、このように考えております。
  597. 山崎昇

    山崎昇君 そこで私は、大蔵大臣、それから、この六団体の調査を見ますというと厚生大臣、農林大臣、あなた方のところが一番悪くなっている。だから、これは各大臣から、一体この所管の超過負担について来年度どう解消するのか、この機会に述べてもらいたい。
  598. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 超過負担につきましては、所管の省と相談いたしまして、まず費目を決めまして、自治省、それから私の方、それから所管の省が協力して実地調査をいたします。そしてそのデータを基礎にいたしまして、予算化をする。従来その次の年から実行いたしておりましたけれども、補正予算の場合にはその年から実行するようにいたしておるわけでございますが、来年度どのようにやってまいりますか、関係省庁とよく相談いたしまして、いま提起されておる問題点を吟味いたしまして、どのように調査いたしますか、相談してみたいと思います。
  599. 田中正巳

    国務大臣(田中正巳君) 当省の超過負担問題については、かねがね御議論があるところであります。私、就任後、いろいろな角度から超過負担問題を解消すべく努力をしてまいりました。単価差につきましては、三省協議に基づきまして逐年これを実勢に改めてまいりました。また対象差につきましては、御案内のとおり保育所の単位面積、基準面積をことしから改めることにいたしました。その他国保、国年等の事務費につきましても、それぞれ三省協議によって改めておりますが、まだ努力をする点があろうと思いますので、今後合理的な調査によりましてそれに近づけるように努力をする所存であります。
  600. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 農林省関係の超過負担でございますが、農業委員会、改良普及員等の職員人件費があるわけでございますが、従来からその超過負担の解消には努めてきておるわけでございまして、四十九年度に行いました実態調査で明らかになりました農業委員会職員、農業改良普及員職員及び生活改善普及職員の補助号俸差につきましては、五十年度の当初予算及び同補正予算におきましてこれを是正したところでございます。また、林業等の普及職員及びその他の補助職員の補助単価等につきましては、五十年度当初予算でその一部を是正いたしましたが、さらに五十一年度の予算案におきましてもその是正を図っておるところでございます。
  601. 山崎昇

    山崎昇君 次に、地方事務官の問題で三木総理にお尋ねいたします。  いつ国会に出ますか、改正法案。——あなた約束したんだ、あなたが。
  602. 福田一

    国務大臣福田一君) まあ自治省に非常に関係のあることでございますから、私からまずお答えをいたしたいと思うのでありますが、実は総理からも、ひとつこの問題を早急に解決するようにということでもあり、そこで私といたしましては、昨年の十月ごろから、この地方事務官問題を解決するために各省の関係政務次官を煩わし、あるいはまたうちの関係君も煩わしまして、そうして各省との間に何とかしてこの問題を解決するようにという懸命の努力を続けておるのでございますけれども、いろいろの点において、たとえば組合の関係におきましても、まだ必ずしも意見が一致しない面があるとか、あるいはまた各省といたしまして、これはやはり国の行政として中央が一応統轄しておる姿、いまの形は一応そうなっておりますから、その姿の方がいいんだという御意見等々かございまして、地方事務官問題というものを一挙に解決するという解決案がまだ出てきておらないことはまことに遺憾に存じておるわけでございまして、この点については総理も非常な御心配をいただいておるのでありますけれども、いまだ解決を見ておらないということについては、私といたしましてもまことに申しわけないと思っておるところでございます。
  603. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私も、国会でも何とかして三月の終わりごろまでに解決をしたいということを考えていろいろ答弁も申したんですが、したがってこれを促進するために、いま福田自治大臣も申しておったように、何とかしてこの問題を解決できぬか。ただしかし、そこでまあ中途はんぱ、ちょっとお茶を潤すようなことになってもいかぬと思いまして、どうも各省の調整がなかなかつかない。山崎君お考えになっても、やはりこの問題は歴史的に長い時間かかってむずかしい問題であるということは御理解願える……。むずかしいだけでは済まぬわけで、政府もこの機会にひとつ解決をしたいとして努力をしたのですが、三月末までに結論を得るというに至らなかったことはまことに申しわけないと思っております。引き続いてこの問題の解決のために努力はいたしますが、残念ながら三月末までには解決できなかった。もし、これを強行しようとすれば、何かこうちょっとお茶を濁すようなことの、そういう改正はどうも私はよくないと、もっとやっぱり根本的に検討しようということに相なったわけです。これが正直な実情でございます。
  604. 山崎昇

    山崎昇君 三木総理、あなたはこれ公約違反ということを認めますね、あなたの在任中に解決しますか、どうですか。
  605. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) どうしてもこの問題は、私は長い間いろいろ……
  606. 山崎昇

    山崎昇君 言いわけ聞きにきたんじゃない、約束守りなさい、約束を。
  607. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 答弁を見ましても長い間言って、政府が約束を続けてきたわけですから、この問題は私の責任の、いわゆる在任中に解決をしたいと、こういう考えでございます。
  608. 山崎昇

    山崎昇君 私はきょう言いわけを聞きにきたんじゃないのですよ。あなたは公約を守らぬから、あなたの在任中に守りなさい、これ。どうしますか。
  609. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) そういう考えでございます。
  610. 山崎昇

    山崎昇君 しかと承っておきます。  次に厚生大臣に救急医療について一言お尋ねしておきます。  先般、たらい回しが大変進んで、一つの裁判問題が起きています。これの内容、概要についてひとつ説明してください。
  611. 田中正巳

    国務大臣(田中正巳君) 先生おっしゃる救急患者のたらい回し事件、この内容といいますが、具体的な事案についてではないと思います。具体的な事案は方々に起こっておりまして、まことに遺憾しごくであります。私は厚生行政の一つのアキレス腱だと思っておりますので、これについては真剣に取り組まにゃならぬと思っております。その原因につきましては、先生も御案内のとおり、専門医の不在、ベッドの満床、看護婦等の不足などのいろいろな問題がございまして、消防庁の調査によってもこのような状況で、このような問題が起こっているということでございますが、これはひとつ緊急の問題として解決に挺身をしなければならぬというのが私の今日の決意であります。
  612. 山崎昇

    山崎昇君 厚生大臣、具体的にどうするのか、方針を述べてください。
  613. 田中正巳

    国務大臣(田中正巳君) 今日まで救急医療につきましては、先生御承知のとおり、告示病院の告示とか、救急夜間センターの設置とか、当番医制度の普及といったようなことをやりました。また休日夜間診療確保対策協議会というものを設けてこれを徹底するようにやりました。また五十一年度予算では、救命救急センターというものを設置をいたさなければということで、これの設置に予算折衝で狂奔をいたしましてある程度は成功いたしました。しかし、できてまいりますると、これでいいのかという反省が実は起こってまいりました。このような措置をとってもまだこの問題は解決をしないのではないか。そういう社会事象が、先生おっしゃるとおり、その後も続発しているということでございますので、私といたしましては、今後これについて各方面からの知恵を、あるいは実情を把握をし、根本的に政策をひとつ組み直してみたいというふうに考えまして、過日、急医療懇談会というものを、私の私的諮問機関でございますが、これを設置をいたし、これには医者ばかりではございません。たとえば、救急をやっている消防の関係とかあるいは財政の関係等々いろいろな角度から専門家の方々にお集まりを願いまして、五十二年度予算においてこれを私どもの最大の眼目として世にこたえなければいけないという決意でいろいろと具体的にいまやっているわけであります。  問題点の幾つかは私どもも把握をいたしておりますが、いまここでもって総合的なことを申し上げるにはまだ救急懇の結論も出ておらない今日でございますから、したがって申し上げませんが、いずれにしてもこれは速やかに解決しなければならない大きな政治の課題であるということを私は認識をいたし、これについて速やかに政策を推進するよう、この懇談会の設置も私の指示でもってやったものでございますので、どうぞしばらくお待ちを願いたいと思います。
  614. 山崎昇

    山崎昇君 しばらくお待ちくださいって、人間死んでいくんですよ、あなた。そんな悠長なことを言っている暇はない。私も三月の二十六日にこの救急車に乗せられた。路上で十五分間待たされましたよ。幸い、議員であったせいかしれませんが、慈恵医大に入ることができて一応今日ここで質問をするような段階になっている。しかし、交通事故等でけがした者は死んでいく。救急車には医者が乗っていない。応急措置も何もできないんだ、あなた。そしてこれは国の責任でしょう。なるほど、いろんな人の意見聞くことは私もわからぬわけじゃない。もう少し厚生省は人の命というものに対してもっと真剣にやってもらいたい。どうですか。あなた、この事案見てごらんなさい。三時間近く引っ張り回されて、二十八カ所も回されて、そしてあたら若い命を失っているじゃないですか、三十一歳という命を。どうですか。
  615. 田中正巳

    国務大臣(田中正巳君) というような社会事象がありますものですから、私も心配をいたし、いろいろと施策を推進しなければならない。しかし、施策の推進をする前にも、制度としてこれを整備する前にも、現状におきまして、現行制度のもとにおいても救急医療というものはこれを円滑にできるだけやらなければならないということで、原局を督励し、関係筋の御協力を得るよういろいろと努力をしております。しかし、根本的にはやはり制度の改変も必要であろうということで、両建てでもって、いま救急医療が社会的な指弾を浴びないように最大の努力をいたしたいというふうに思っているわけであります。
  616. 山崎昇

    山崎昇君 それは国の責任だね。国の責任でやりますね。
  617. 田中正巳

    国務大臣(田中正巳君) このような事象の起こることは私どもとしてはまことに遺憾なことでございますので、最大の努力をしてやることにいたしたいと思います。
  618. 山崎昇

    山崎昇君 国の責任でしょう、これは。国の責任でやるんでしょう。
  619. 田中正巳

    国務大臣(田中正巳君) 国の責任と申しましても、これにつきましては関係当事者がかなり多いわけでございますので、国、地方公共団体あるいは医療機関等々のいろいろな御協力を得なければなりませんが、行政上の最終責任は国にあるという点については、さように考えてよろしかろうと思います。
  620. 山崎昇

    山崎昇君 これは、本当に私は消防署の人は大変だと思う、これは私も経験したから。これは公安委員長でありますけれども、消防を扱うあなたに申し上げておきますが、消防は大変です、患者の前にいるんですから。ですから、この問題は真剣にひとつ考えてもらいたい。国の責任だとあなた言うのだから、国の責任でひとつやってもらうことを確認しておきます。  次に、通産大臣に石炭政策で一つ聞いておきます。実はこの問題は、私はエネルギー政策なんて大上段に振りかぶるつもりはありませんが、北海道の幌内の炭鉱が御存じのような事故で、いままだ十三名が炭鉱の坑底に埋まっています。この幌内炭鉱の再建ができるかできないかによって三笠市がつぶれるかつぶれないかという瀬戸際にもある。そこで、石炭政策と関連して通産大臣の見解を聞いておきたい。
  621. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) 幌内は再建をするという方向で検討しております。ようやく先般火が消えまして、いま水を引いておるところでございまして、実情を調査中でございますが、しかしこれは国の経営ではございませんので、やはり企業が労使一体となって復旧計画を立てていただく。それに対して国ができるだけ援助していく、こういう考え方でございます。
  622. 山崎昇

    山崎昇君 あわせて、これがまだこういう状況なものですから、私は石炭政策の二千万トン計画というのは支障を来たしているんじゃないだろうか。これは通産省としては支障を来たさぬようにやりますね。あわせて、各団体から産炭地域の振興についてはずいぶんいろんな要望が出ています。もう時間がありませんから私は内容は言いません、あなたはきのうも陳情を受けているわけでありますから。したがって、産炭地域の振興と二千万トン計画を守るということと、幌内炭鉱についてはいまあなたから再建いたしますと言うから、それは私はそれで確認をしておきますが、二つについてお答えください。
  623. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) 石炭政策につきましては、昨年審議会から答申を受けまして、今後二千万トンの生産水準を維持するようにと、こういう答申をいただいております。それを実現をしていきたい、これが基本方針でございます。  それから産炭地振興につきましては幾つかの問題がありますが、全部解決する方向で臨んでおります。
  624. 山崎昇

    山崎昇君 自治大臣、ひとつあわせて聞いておきますが、私は例を言いますが、たとえば夕張市の場合、例をとりますというと、昭和三十五年には人口が約十万七千、現在五万人——半分です。だから、炭鉱がつぶれるということによって人口が半分になる。したがって、税収は減る、交付税も減る、民間の中小企業はいなくなる、子供もまたいなくなる、惨たんたる状況ですね。そして逆に税収はないあるいは交付税はないにかかわらず、持ち出さなきゃならぬ金は炭鉱がつぶれるたんびに大変なものです、これは。そういう意味では、自治大臣はこの産炭地域といいますか、こういう炭鉱地帯に対する自治省としての対策というものをどうとられるのか。いままでもいろんなことはやっているようでありますけれども、重ねて聞いておきたいと思います。
  625. 福田一

    国務大臣福田一君) お答えをいたします。  まことにごもっともな御要望でございまして、私たちといたしましては、産炭地域の関係地方公共団体に対しては、産炭地域振興臨時措置法等に基づいて、公共事業に係る国庫補助、負担率のかさ上げであるとか、産炭地域振興臨時交付金の交付の措置も講じておるところでありますけれども、一方われわれは地方交付税及び地方債の配分に当たっても、これら産炭地域の地方公共団体に対しては従来から重点的な配分を行っております。特に特別な配慮をしてきておりますけれども、御指摘のような非常に苦しい状況にあることはよく理解ができるわけであります。特に私は北海道開発庁長官もいま兼ねさせていただいておりますので、夕張の事情は実は非常に心配をいたしておるのでありまして、特に適切な措置を講ずるように今後とも努力をさしていただきたいと思うのであります。
  626. 山崎昇

    山崎昇君 重ねて自治大臣、この間の幌内炭鉱の事件で、三笠市はこれの対策費だけで約六千万ぐらい使っているんです。こういうものについても、あなた方はしゃくし定規に法律の計算だけではなしに、一体措置できるのかどうか。これは措置してくれますか、どうですか。
  627. 福田一

    国務大臣福田一君) お答えをいたします。  ただいま六千万という数字をお挙げになって、それを全部見るか、こういうことでございますが、産炭地はいろいろございますし、また今年度中にどのようなことが起きるかもわかりません。いずれにしても、そういうような大変な赤字をそれによってしょっているということであれば、十分今後対策を考えさせていただきたいと思っております。
  628. 山崎昇

    山崎昇君 もう時間がなくなりましたから、やめます。文部省に本当は主任制度を聞く予定でありましたが、聞けないで残念でありますが、これで質問を終わります。(拍手)
  629. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 以上をもちまして山崎君の質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時十五分散会