運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1976-04-26 第77回国会 参議院 予算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年四月二十六日(月曜日)    午前十時六分開会     ―――――――――――――    委員の異動  四月二十六日     辞任         補欠選任      上田  稔君     熊谷太三郎君      戸塚 進也君     亀井 久興君      秦野  章君     源田  実君      藤井 丙午君     青井 政美君      増田  盛君     林田悠紀夫君      杉山善太郎君     片岡 勝治君      辻  一彦君     対馬 孝且君      近藤 忠孝君     岩間 正男君      藤井 恒男君     木島 則夫君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         八木 一郎君     理 事                 梶木 又三君                 高田 浩運君                 山内 一郎君                 吉田  実君                 小野  明君                 森中 守義君                 桑名 義治君                 内藤  功君                 向井 長年君     委 員                 安孫子藤吉君                 青井 政美君                 石破 二朗君                 糸山英太郎君                 遠藤  要君                 長田 裕二君                 亀井 久興君                 熊谷太三郎君                 源田  実君                 坂野 重信君                 玉置 和郎君                 中村 太郎君                 夏目 忠雄君                 鳩山威一郎君                 林田悠紀夫君                 藤井 丙午君                 最上  進君                 森下  泰君                 矢野  登君                 加瀬  完君                 片岡 勝治君                 神沢  浄君                 竹田 四郎君                 対馬 孝且君                 野々山一三君                目黒今朝次郎君                 矢田部 理君                 山崎  昇君                 太田 淳夫君                 藤原 房雄君                 矢追 秀彦君                 岩間 正男君                 上田耕一郎君                 渡辺  武君                 木島 則夫君                 市川 房枝君    国務大臣        内閣総理大臣   三木 武夫君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       福田 赳夫君        法 務 大 臣  稻葉  修君        外 務 大 臣  宮澤 喜一君        大 蔵 大 臣  大平 正芳君        文 部 大 臣  永井 道雄君        厚 生 大 臣  田中 正巳君        農 林 大 臣  安倍晋太郎君        通商産業大臣   河本 敏夫君        運 輸 大 臣  木村 睦男君        郵 政 大 臣  村上  勇君        労 働 大 臣  長谷川 峻君        建 設 大 臣  竹下  登君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)        (北海道開発庁        長官)      福田  一君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 井出一太郎君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖繩開発庁長        官)       植木 光教君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       松澤 雄藏君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  坂田 道太君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       佐々木義武君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  小沢 辰男君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  金丸  信君    政府委員        内閣法制局長官  吉國 一郎君        内閣法制局第一        部長       角田礼次郎君        国防会議事務局        長        内海  倫君        内閣総理大臣官        房管理室長    藤井 良二君        警察庁刑事局長  土金 賢三君        警察庁刑事局保        安部長      吉田 六郎君        行政管理庁行政        管理局長     小田村四郎君        防衛庁参事官   岡太  直君        防衛庁長官官房        長        玉木 清司君        防衛庁防衛局長  丸山  昂君        防衛庁人事教育        局長       竹岡 勝美君        防衛庁経理局長  亘理  彰君        防衛庁装備局長  江口 裕通君        経済企画庁長官        官房参事官    柳井 昭司君        経済企画庁長官        官房参事官    佐々木孝男君        経済企画庁調整        局長       青木 慎三君        科学技術庁原子        力局長      山野 正登君        科学技術庁原子        力安全局長    伊原 義徳君        法務省刑事局長  安原 美穂君        外務省アジア局        長        中江 要介君        外務省アメリカ        局長       山崎 敏夫君        外務省欧亜局長  橘  正忠君        外務省条約局長  中島敏次郎君        外務省国際連合        局長       大川 美雄君        大蔵省主計局長  吉瀬 維哉君        大蔵省主税局長  大倉 眞隆君        大蔵省証券局長  岩瀬 義郎君        大蔵省銀行局長  田辺 博通君        国税庁長官    中橋敬次郎君        国税庁次長    横井 正美君        文部省体育局長  安養寺重夫君        文部省管理局長  清水 成之君        厚生省公衆衛生        局長       佐分利輝彦君        厚生省医務局長  石丸 隆治君        社会保険庁医療        保険部長     山縣 習作君        農林大臣官房長  森  整治君        農林省農林経済        局長       吉岡  裕君        農林省構造改善        局長       岡安  誠君        農林省農蚕園芸        局長       澤邊  守君        食糧庁長官   大河原太一郎君        林野庁長官    松形 祐堯君        水産庁長官    内村 良英君        通商産業省貿易        局長       岸田 文武君        通商産業省機械        情報産業局長   熊谷 善二君        通商産業省生活        産業局長     野口 一郎君        資源エネルギー        庁長官      増田  実君        資源エネルギー        庁長官官房審議        官        井上  力君        運輸省船員局長  高橋 全吉君        運輸省航空局長  中村 大造君        労働大臣官房審        議官       細野  止君        労働省労働基準        局長       藤繩 正勝君        労働省職業安定        局長       遠藤 政夫君        建設省道路局長  井上  孝君        建設省住宅局長  山岡 一男君        自治省行政局選        挙部長      土屋 佳照君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    参考人        日本輸出入銀行        総裁       澄田  智君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和五十一年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十一年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十一年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付) ○質疑順位に関する件 ○参考人出席要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 八木一郎

    委員長八木一郎君) ただいまより予算委員会を開会いたします。  昭和五十一年度一般会計予算  昭和五十一年度特別会計予算  昭和五十一年度政府関係機関予算  以上三案を一括して議題といたします。  質疑順位に関する件についてお諮りいたします。  本件につきましては、一昨日の理事会におきまして御協議をいただきましたが、残念ながら意見の一致を見るに至りませんでした。委員長といたしましては、やむを得ず、第三順位以下につきまして、先例に従い、お手元に配付いたしました質疑通告表順位とすることにいたしたいと存じます。  さよう決定することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  3. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 多数と認めます。よって、委員長提案のとおり決定いたしました。  なお、本日の質疑者は四人の方を予定しておりますから、政府側におきましては明快率直な御答弁をお願いし、時間的に御協力をお願いいたします。     ―――――――――――――
  4. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  三案審査のため、本日、日本輸出入銀行総裁澄田智君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  6. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 前回に引き続き、質疑を行います。矢田部理君。
  7. 矢田部理

    矢田部理君 私は、日本社会党を代表して、きょうはロッキード問題にしぼって集中的に質疑を行いたいと思います。  最初に三木総理に伺います。  あなたはこれまで、ロッキード問題の真相究明民主主義にかかわる問題だということで再三その立場を強調してこられました。そこで伺いたいのは、これからどんな手順道筋であなた自身真相究明をされようとするのか、そのことを具体的に説明をいただきたいと思います。
  8. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) このロッキード問題の真相解明日本民主主義根幹に触れるという考え方は、変わらない私の考え方でございます。そこで、どういうふうに総理はするのかというお尋ねですが、私はすべて、たとえば捜査をいたしますにしても、これは皆分担があるわけですから、したがって法律と申しますか、刑事上の諸問題、まあ税の問題もございますから、そういうものを含めて法律上の諸問題は捜査当局、これを督励いたします。そして捜査当局によって法律あるいは刑事上の諸問題を徹底的に究明してもらう。これが一つ。  それからまた、これはそういう刑法上の側面政治上の側面を持っておる問題ですから、その政治道義上の側面については、近く国会などに設けられるということに相なっております特別委員会においてもまたこれに対してその側面から究明をされることと思いますが、また政党においても、党においても特別委員会などもできておりますから、政党自身にも、やはり政党道義の確立という問題は政党の大きな体質改善とも結びつけて、体質改善近代化とも結びつけた一つ根幹をなす問題でございますから、党においてもこの問題をやはり追及してまいりたいと考えております。
  9. 矢田部理

    矢田部理君 どうも歯切れが悪いわけです。刑事上の責任あるいは脱税の問題は調べる。それは現に調べているわけですが、国会特別委員会を開いて究明するのに対して側面的に協力すると言います。それはそれとして、あなたは行政府の長じゃありませんか。行政府としてこの真実解明のために具体的にどうやるのか、政治上の究明をどう裁いていくのか、その手順道筋を明らかにしてほしいというのが私の質問であります。
  10. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いま言った、捜査当局に対して、政府がこれに対して督励をするということは政府のやはり大きな態度でございます。政治的な圧力は一切加えない。したがって、捜査当局全力を挙げてもらいたいと常に私は指示しておる点でございます。  また、国会一つ国政調査権に基づいておる――矢田部君、私は軽く見ないのですよ、これは。大きな側面である。側面からやるというのではないですよ。刑事上の側面と、また政治上の側面がある。これは国会においてもこの問題はやっぱり究明されなきゃならぬ問題点でございます。諸外国を見ても、国会国政調査権に基づく活動というものは非常に活発ですよ、アメリカのなにをごらんになっても。国会における国会独自の一つ活動というものを私は余り軽く見ないのですよ。これはやはり重要な政治側面から真相究明の大きな場であると考えております。  また、政府におきましても、この問題を解明をするということは日本民主主義の将来にかかわる問題でございますから、あらゆる関係行政機関督励して、そういうふうな真相究明、その上に立って政府は今後この問題の処理をいたしていきたいと考えております。まず第一番に真相究明されるということが必要でございますから、そういうことで真相究明ということをいまは全力を挙げたい。
  11. 矢田部理

    矢田部理君 全然答えていないじゃありませんか。政府はどうするのかと聞いている。
  12. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いろんな揣摩憶測も流れ飛んでおりますが、一体真実は何であったか、このことがやはり前提になるわけです。真実は何かということを何にも解明されないで、これに対して政府がこれからどう対処していくかという問題の答えはなかなか出にくいわけです。全体として大きな責任を感じておりますよ、政府は。しかし、どういうことが真相なのかということ、やはりその真相解明を通じてアメリカにおける証言の信憑性ということも明らかになってくる。そういうことですから、全然真相というものはどうだということをつかまずして政府はどうするかということは、しばらく時間をおかし願わなければ、この場合に私は非常にお答えしにくいのではないかというふうに考えるのです。矢田部君、何も政府はこの問題で責任を回避しようとはしていないのですよ、できる問題でもないですから。しかし、真相解明ということが大前提になるという考え方でございます。
  13. 矢田部理

    矢田部理君 捜査をやっていることはわかります。しかし、それは政府態度じゃなくて、捜査機関独自にもこれはやらなければならぬことです。それ以外に政府としては何をやるのか、その道順を明らかにしなさい。何も答えていないじゃありませんか。
  14. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いま言ったような捜査当局、これに対して督励をするというのも、これは政府一つの大きな姿勢に関係をする。そういうふうな捜査進捗、大体どういう真相であったかという捜査進捗に応じて、政府がこれにどう対処していくかということも、当然にやはり政府としてはいろいろと検討しなければならぬ問題が出てくるわけでございます。いまは真相解明ということが大前提になっておる。これに対してあらゆる努力を集中していこうということでございます。
  15. 矢田部理

    矢田部理君 何回繰り返しても同じでありますが、どうも政府態度捜査機関一任、それ以外は解明のための具体的な方策を持ち合わせていないということがわかりました。言葉だけは真相解明する、責任を感じておると言いながら、具体的な解明方策、処方せんは持っていない、それがあなたの中身じゃありませんか。もう一回答弁の機会を。
  16. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) しかし、どうでしょうかね、矢田部君。これから真相解明に当たって、ある程度全貌が明らかになるということが、政府が対処するにしても、真相というものが全然明らかにならないような段階では政府が対処するといってもおのずからやれる限度があるわけですから、これはいろんな場面を通じて、捜査当局もありましょうし、国政調査権に基づく国会のいろいろな調査もございましょうし、そういうものを通じて、そうして真相解明というものに対して全力を尽くす。そういうふうな解明と、そういう進捗状態と相呼応して政府が対処する方針をこれから決めていくということは、私は何も責任を回避しておるのではないと思うのですが、これは矢田部君と見解相違かもしれません。
  17. 矢田部理

    矢田部理君 見解相違ではなくて、何らの方策を持ち合わせていないということがはっきりいたしました。  そこで伺いたいのは、国政調査には積極的に協力をする、この立場は変わりございませんか。
  18. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 政府最善協力をいたします。
  19. 矢田部理

    矢田部理君 そこで次の質問に入りますが、先般の議長裁定で、刑事訴訟法趣旨を尊重するということが中身としてありました。この重要な具体的な問題点としては、刑事訴訟法の四十七条がもとより問題になっております。この四十七条のただし書きについての理解でありますけれども、このただし書きに書いてあります、公益上の必要がある場合には訴訟資料非公開原則を解くというのがただし書きの骨子でありますけれども、この公益上の必要というのは、国会国政調査権を主として踏まえてできた規定だと、そういう理解三木総理は持っておられますか。
  20. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 四十七条のただし書きというものは、守秘義務と申しますか、そういうことによって得られるいわゆる公益上の利益、それとまた、それを公開することによって得られる公益上の利益そのものを比較計量して判断をするというのが、ただし書き条項だと考えております。
  21. 矢田部理

    矢田部理君 私が聞いておりますのは、四十七条全般の運用をどうするかじゃなくて、ただし書きに書いてある公益上の必要ということの意味は、国政調査権を考慮して決めた規定であるという理解に立っているかと、こう言っている。
  22. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 国政調査権も入るでしょうが、国政調査権ばかりじゃなしに、一般的な公益、いわゆる公益という中には国政調査権ばかりだとは言えないと思います。しかし、国政調査権もその中に入ることは事実でございます。
  23. 矢田部理

    矢田部理君 これはもうあたりまえのことでありますが、捜査秘密、場合によっては裁判の秘密等公益上の必要によって譲歩させる規定なんですね。しかも、立法趣旨から言えば、国政調査権を主として考慮した規定だというふうにも言われているところの問題点なんです。だから、このただし書き条項理解の深浅が今後のロッキード問題究明の基本的な立場にかかわる問題としてわれわれは重視をしておるわけです。国政調査権も入るというような理解ではなくて、まさに国政調査権そのことを中核とした規定だということをひとつ総理として十分に踏まえてほしいと思うんです。  そこで、ロッキード問題真相究明のために、また、その政治的、道義的責任を明らかにするために国政調査権本件で発動するという場合に、まさにこのただし書き公益上の必要だというふうに私どもは考えるわけでありますけれども、総理理解一つにいたしますでしょうか。
  24. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは法治国家でありますから、法律によらざるを得ないと思います。四十七条というものは非公開原則を決めてある。ただし書き例外的としてそういう場合を認めてあるわけでございますから、したがって、ただし書きがこれは例外規定であるわけですから、ただし書きがもう四十七条のすべてというのではなくして、非公開原則を決めたわけですね、これに対してこういう場合はこういう例外があるというものを認めたのですから、四十七条という全体を踏まえて解釈をしないとそれは片手落ちになるわけでございます。四十七条を踏まえて、そう議長裁定にもあるごとく、いわゆる刑事訴訟法立法趣旨を体して、政府国政調査権に対してでき得る限り最善協力をする所存でございます。
  25. 矢田部理

    矢田部理君 どうも四十七条がわかっておらないようですね。確かに本文は原則を決めていますよ。公判前の非公開原則です。その原則を解除する条件というのが、国政調査権の行使などまさに公益上の必要があった場合にはその原則に譲歩を迫る規定じゃありませんか、ただし書きというのは。だからロッキード真相究明のため、あるいは国会として政治的、社会的責任を追及するために国政調査権を発動したら、一項の非公開原則は譲らなきゃならぬ、これがただし書き規定意味じゃありませんか。理解できませんか。
  26. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) その場合は、一般的に断定は私はできない。その問題ごとに、しかも捜査段階というものを考えなければならぬ。そういうことによって、そういう段階も考えつつ、その事件ごとにおける公益の比較、公益上の利益というものを比較計量して判断をするということでございます。一般的に例外的規定を全部そうだというふうに、いずれのときにおいてもすべてそうだというふうに断定をすることは、私はこの解釈として無理だと考えます。
  27. 矢田部理

    矢田部理君 公益上の必要ということの意味基本的理解を聞いているんです。そのほかに相当性の問題もありますから、全体の結論を聞いているのじゃないんですよ。公益上の必要ということの言葉意味を本当に理解しているのかどうか、もう一回答弁を求めます。
  28. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それはやはり公益ということをそのままに解釈すべきで、そのために国政調査権も無論入りますけれども、それがもう全部だというふうにこの解釈をすることは無理がある。国政調査権を初め、その他一般公益ということに解釈すべきだと思います。
  29. 矢田部理

    矢田部理君 どうも同じ話の繰り返しになってあれなんですが、繰り返しているのは三木総理なんです。自分で言っておられることすらわからないのじゃないでしょうか。  いいですか、ロッキード真相究明をやろうというんです。あなたもその立場を基本的にはとっておられる、少なくとも表向きは。とすれば、そのために国政調査権を発動させて、いろんな資料の提供や調査に対する協力を求めようと。これはまさに公益上の必要ではありませんか、そう受けとめていますかと、そのことだけを聞いているんですよ。
  30. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) そういういろんな資料というものも、アメリカ側の持っておる資料参考になりますからもらい、いま真相解明捜査当局でやっておるわけですが、これを国会特別委員会の場に対していろんな要求があった場合に、そういう要求の都度、捜査段階あるいは公益上の比較計量、そういうことによって判断をするということで、一般的に矢田部君に対して私がここでこうでございますというふうに四十七条を解釈することは、解釈に無理があるということでございます。
  31. 矢田部理

    矢田部理君 こういう理解だから問題がすれ違うわけですよ。結論的に資料を出すべしとかどうかということを聞いているのじゃないんですよ。まず、この国会決議もある。あなたもそれに見合った態度を示した。みんなで真相究明をやろうというときに、そのために発動する国政調査権はまさに公益上の必要そのものじゃないか、公益じゃないかと、そこの理解にまず立つ必要がある。ここを聞いているんですよ。これで質問終わりますけれども、どうですか、簡単に答えてください、イエスかノーかで。
  32. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) やはり同じような答弁を繰り返すよりほかはない。それは比較計量してその都度判断をするということ、公益上の利益というものを比較計量して判断をすると。一般的にすべてこうでございますということを四十七条のただし書き断定をすることには、その解釈に無理がある。私も専門家ではないが、もし必要があれば専門家もおりますからお答えをいたします。
  33. 矢田部理

    矢田部理君 質問意味がわからないようですから法制局長官にその点だけ、全体の説明要らないから。
  34. 吉國一郎

    政府委員吉國一郎君) 先ほど矢田部委員おっしゃいましたように、第四十七条のただし書きには「公益上の必要その他の事由があって、相当と認められる場合は、この限りでない。」と書いてございます。この公益上の必要という中に、これは学者の本にもいろいろ書いてございますが、国政調査もその一つの例であるというのが、相当な学者がそういうことを言っておりますが、公益上の必要というのはそればかりではなくて、たとえば刑事事件の訴訟に関する書類が、その事件が不起訴になった場合に、他の民事事件において証拠調べ等において必要であるという場合には、この公益上の必要ということによって公判の開廷前に公にするという例がすでに最高裁判所の判例にもございますとおりでございます。したがって、公益上の必要というのが国政調査に限られるという、主としたものであるということは必ずしも言えないと思いますが、公益上の必要という中に国政調査の問題が入る。特に議院証言法によって証言あるいは資料の提出を国政調査の上から御要求になったという場合に、この公益上の必要その他の事由に入ることは間違いございません。  ただその場合に、先ほど来総理答弁しておりますのは、相当と認められるかどうか、それは個々のケースにおいて判断をするということをまとめて総理答弁したわけでございまして、決して四十七条の理解がどうこうあるということはないと信じております。
  35. 矢田部理

    矢田部理君 聞いていないことまで答えるから混乱をするわけなんだ。  そこで、先般の予算委員会で、わが党の加瀬議員の質問に答えて稻葉法務大臣は、捜査中だから答えられないというのを繰り返したと思うのでありますが、国政調査権の発動、公益上の必要に基づく国政調査権の発動に対しても、捜査中だから答えられないという態度をとられるのでしょうか。
  36. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 御質問趣旨がよくわかりませんけれども、捜査中の段階国政調査権の発動があり得るように思わないんです、私。それは刑事責任の追及に一生懸命になっている捜査の途中で、何人調べた、だれを調べたなんということを言えというような国政調査のやり方が行われるはずはないと思っているんです、私、そういうことはね。ですから、どういう御要求があるのか、その御要求を承ってみないと、応じられるとか応じられないとか言えないわけです。よろしゅうございますか。
  37. 矢田部理

    矢田部理君 わかりました。一般的に国政調査権だからといって応じられるものも応じられないものもある。あなたとしても、捜査中だからということで中身を聞かないでどうするかはわからぬと、こういうことですね。  そこで伺いたいのですが、捜査として刑事責任追及のためにいろんな資料を集める、参考人を調べるということはあろうかと思いますが、同時に政治責任追及のために、これまた国政調査の場でいろんな資料を集めなけりゃならぬ、真実解明の努力をしなけりゃならぬ、そういう立場資料の提出要求を求めていった場合に、捜査中だからだめだという全面拒否ではないわけですね。中身によって検討するということになりますか。
  38. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) それはあなたのおっしゃられるとおりでしょう。この間加瀬さんの質問に私ああいうふうに答えたのは、ちょっと誤解があったようです。いままで法務省がこの問題が起きてから、それから捜査当局がどういうことをやったかと、こう言うから、私は実質的な内容についてはお答えできないけれども、資料を取りにいって、持ってきてどうしたとか、そういうことはお聞きになれば答えられるんです、それは。そういう意味で、そういう資料はどうなっているか、行政取り決めはどうなっているか、それを出せと、これは出せますね。ただ、いままでどういうやつを調べて、どういうことになっているかとか、まあ児玉譽士夫氏を起訴したとか、こういう報告はできますね。ですから、物によってできるものあり、物によってできないものがある。おっしゃるとおりであります。
  39. 矢田部理

    矢田部理君 それからもう一点、この四十七条ただし書きについて、公判開廷前でも、公益上の必要があり、それが相当な場合には捜査中でも協力しなければならぬ、公にできるという規定なんですね。だから、時期的な関係から言えば、捜査中だということは時期の関係だけから言えば余り理由にならないと思います。それはそのとおりでしょう。
  40. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 議長裁定にも事態の推移ということがありますから、事態の推移によって、そのときの内容によりますわ。出せるものもあるし、協力できないものもあるし、できるものもある、こういうことです。
  41. 矢田部理

    矢田部理君 そこで、政府はどのような時期にどのような基準でそれに応じようとしているのか、もう少しわかりやすく説明をしてほしいと思います。
  42. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 抽象的に申し上げれば、国政調査の御要求があっても、刑事責任真相究明にいまの段階では妨げがあるというときには、お断りせざるを得ませんな。妨げないと思えば応じますね。御協力します。
  43. 矢田部理

    矢田部理君 われわれはいまの段階でも、国政調査ということになれば原則的に応ずべきだというふうに考えますけれども、捜査完了後は、起訴、不起訴にかかわらず内容は公表できるのでしょうか。国政調査権協力する用意があるのでしょうか。
  44. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 国政調査権というものは無制約ではないと思うんですね。たとえば司法権の独立というものがあるわけですから、憲法上。ですから、憲法上無制約だというお考えは私違うと思います、私とあなたと。違わないのかもしらぬけれども、あなたは原則として国政調査権はもう万能みたいなことであれば、そうではない。その司法権の独立を損ねるような立場国政調査に応じよと言われても、それは刑事訴訟法立法趣旨をも踏まえて協力せいと言っているんですから、議長裁定も。あなたもそうでしょうと思います。そういう議長裁定刑事訴訟法立法趣旨というのは、迅速、厳正、個人の人権擁護、そういうことを踏まえて国政調査に応じ得られるものは応じられる、応ずると、こういうわけでございますから、何でもかんでも国政調査権が優先して、捜査に妨げがあろうが何があろうが、途中においても出せ、出せと言われても出しかねる場合もございます。
  45. 矢田部理

    矢田部理君 どうもはっきりしませんね。私が言っているのは、捜査中だから出せないということが一つの理由になっているようだから、それならば、その場合もケース・バイ・ケースだとおっしゃいますけれども、少なくとも捜査中であるということが一つの根拠になっているようですから、捜査の完了後はみんなで、これだけの大疑獄でありますから、三木総理も含めて真相解明しようと言っているんですから、そのために原則的に協力ができるのじゃないですか。法務大臣の言う捜査中だからという理由は、その段階では消滅をするわけです。捜査完了後は協力できるんじゃないか、少なくともですよ。そういう趣旨で言っているんです。一般論じゃないですよ。
  46. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 捜査完了後は協力できる範囲は広がりますが、それは広がりますけれども、ただ公判を維持する必要上、なかなか捜査が終了したから全部出してもいいというふうには考えられない場合があります。それは公判維持上、こっちをやったらそっちに差し支えがあるという場合もあります。あなたは専門家ですからよく御存じでしょうが、そういうことがありますから、ですから範囲は広がりますけれども、全部公開するというわけにはまいらぬと思います。
  47. 矢田部理

    矢田部理君 そうしますと、三木総理にもう一回確認的に伺っておきますが、捜査中だから協力できるものとできないものとがある。しかし、捜査機関が持っているものでも協力できるものはできるだけ協力をしたいと、この点はいいですね。それから、少なくとも捜査が完了すれば協力できる範囲は、あるいは資料等の提出の範囲は広がる、裁判との関係で一定の限界があるけれども。こういう理解に立っていいわけですね、どうですか。
  48. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 一般的に言えば稻葉法務大臣の言われるとおりだと思いますが、具体的には、その具体的案件ごとに判断をいたします。
  49. 矢田部理

    矢田部理君 そこで問題なのは、捜査中、裁判係属中だからということで、それぞれに対応して一定の限界があるということは伺いました。不起訴の場合はどうですか。裁判上の制約はなくなるわけです。
  50. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 犯罪捜査は、捜査の方法とか、いろいろ人に知られたくない点がたくさんあるわけです。そういうのをみんな手のうちを知られるということは、今後の犯罪捜査真相究明刑事責任の追及ということをその存立の任務としている検察庁としては困るわけですよ、そういうことは。ですから、不起訴になったからといって、どういう調べをして、どういうわけでこうなってこうなって不起訴だと、こういうことを一々やったら、将来の犯罪捜査に非常な支障を来しますので、それもケース・バイ・ケースで公益上の比較考量でやるかやらぬかということを決めざるを得ないので、いまこの段階で、不起訴になった場合は公表しますか、そんなことをイエスなんては言えないわけです。
  51. 矢田部理

    矢田部理君 ここで政府態度が非常にはっきりしてきたわけです。三木総理行政府として何をやってきたか、やろうとしているかということについては、結局捜査しかなかったわけです。捜査における真相解明を待つという態度をとったわけです。それ以外に具体的な真相解明方策政府自身持ち合わせていないようです。その捜査秘密だ、裁判になっても限界がある、さらには、裁判にならなくて、裁判の制限もない、捜査の制限もない、しかし今後の犯罪捜査のためにこれまた資料は出せるとも言えぬのだと、すべてケース・バイ・ケース論で問題を逃げようとしているわけです。これじゃロッキード真相解明が基本的にはできないということになりはしませんか。少なくとも政府はそういう態度をとっていると言われても仕方がないのじゃありませんか。その点はどうですか。
  52. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は、そのようには思わないんですよ。捜査当局はいままで材料がないのですからね。アメリカでコーチャン証言からこういう問題が起こったわけです。したがって、いままで捜査を継続しておった蓄積はないのです。それを短期間の間に捜査当局全力を挙げておると思うのですから、そういうことで捜査当局によって、これはどういう不正行為が行われたかということはきわめて重要なことです。それを知らないで、人のうわさによって問題を処理するということは私は適当でない。やはり不正行為に対してのある程度の裏づけがないと、責任問題といっても、ただうわさ話だけで人の責任を追及するというわけにはいきませんから、ここに全力を挙げておるということが、政府が何もしょうとしていないのだというふうに――努力が足らないという御批判は承りますよ、何にもしてないということは、私はこれは少し矢田部君のそういうふうに断定をされることには無理があると考えるわけです。
  53. 矢田部理

    矢田部理君 捜査中だからなかなか協力ができない。その次は、裁判がある。裁判がなくて、捜査段階では刑事責任の追及としては真相解明できなかった、責任追及ができなかった、しかし政治的、道義的責任の追及としてはいろいろな材料が集まったということがあり得るわけです。その場合に、あなたが本当に真相解明立場に立つというのであれば、政治責任社会的責任も追及するということであるとするならば、それは原則として公開をする、明らかにしていきたいという対応をするのが当然のことじゃありませんか。その点どうですか。端的に答えてください。
  54. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 国会国政調査権に基づく特別委員会調査は、大いに徹底的におやり願っていいんですよ。いま矢田部君の言われるのは、検察が持っておるその資料をよこせというのでしょう、主として主張されておるのは。そのことについては、これは捜査過程では、どこの国であったって、捜査過程においてその持っておる資料を全部公開しておるという国は私はどこもない。アメリカのようなああいう言論自由な国でも、情報自由に関する法律の中にやはり除外例を設けてある。捜査の妨害にならぬということがその情報自由に対する法律の大きな一つの除外例になっておるわけですから、だからそういうこともやはり考えなければならぬ。捜査の途中で資料を皆公開をしてしまえば、これは証拠隠滅のことにもなるでしょうし、いろいろな点で捜査に妨害がある。そういうことですから、ほかのことでなしに、いま矢田部君が問題にしておるのは、いま検察が持っておる資料でしょう、一番関心を持っておられるのは。そのことについてはいろいろな制約があることは、これはもうどこの国の例を見ましても当然のことだと私は思うのでございます。
  55. 矢田部理

    矢田部理君 同じ質問ばかり繰り返すようになりますが、捜査が終わり、裁判にならなかった、しかし、政治責任社会的責任の追及には重要な資料捜査機関の手元にある、そこで国政調査権でぜひその資料を公表すべきだという態度になった場合に、原則的に協力する用意があるかと、こう聞いているのです。
  56. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いまそれが犯罪になるかならぬかということは鋭意捜査当局がやっているわけですから、したがって、その場合においても捜査の妨害になるでしょうね、いまその持っておる資料を全部国会に対して……。これは国会に出すということは非公開――
  57. 矢田部理

    矢田部理君 捜査が終わり起訴もされなかった、しかし道義的、政治責任の追及のためにいろいろな資料がある。そこで国政調査権を発動した場合には原則的に応ずる用意があるかと、こう聞いておるのです。
  58. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) やはりその場合、捜査が終わって、また公判ということも考えなければならぬでしょうが、そういう法的な捜査妨害あるいは公判維持の妨害にならぬというようないろいろな場合において、その場合において判断をするというよりほかには私はないと思います。全部そのときも、いまから不起訴になったものを皆公開するのだということになれば非常に捜査というものの妨害になりますよ、そういうことを断定することは。そうでしょう、これはやはり起訴でも、起訴はもう当然のことですが、不起訴の場合も、全部後で公表されるんだということになれば非常に捜査というものに対して、皆いろいろ参考人で呼ばれる場合に態度に非常に影響を与える面もあると思いますよ。だから、いまここの場合に、もう不起訴になったものを全部公表でございますと言うことは、矢田部君、私がここで断定するということは非常な捜査上の妨害になりますから、それは私が答えるわけにはいかない。その都度やはり公益上の比較計量において判断するというお答えよりほかにないわけです。
  59. 矢田部理

    矢田部理君 政治的、道義的責任の追及を言葉では主張をしておりながら、捜査秘密だと言っていまは全貌をできるだけ明らかにしないようにする。しかも、その前提に日米捜査秘密協定もある。アメリカの条件だということで資料提出をあなたは抑えた。捜査が終わっても、裁判になっても限界がある。裁判にならない場合でもケース・バイ・ケースという逃げ方をする。これではロッキード真相はうやむやのうちに、やみからやみに葬られるということじゃありませんか。そこを私たちは問題にしているんですよ。
  60. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私はそのようには考えないんですよ。それは、いまそういう捜査当局の検察の手にある資料を出さなければ国政調査もできないんだというふうには、そういうふうに他力本願には私は考えない。国政調査国政調査としていろいろおやりになるものが私はあるのではないか。ただ、いま言ったような、捜査途上にあるような資料を全部公開ということは捜査の妨害になって、そういうことは無理だということでございますかち、何もしないというふうにしているのだと言うことは少々私は無理がある、その論理には。一生懸命捜査当局はやっているじゃないですか。こうしてすでにもう所得税法違反あるいはまた外国為替法違反に対しては起訴するものは起訴して、そうしていま自分の捜査に加えてアメリカ資料参考になって、新聞などを見ても、近来になく大いに緊張しておると新聞も報じておるぐらいやはりこの問題の解明に当たろうとしておるわけですから、これを、政府が一切の政治的圧力は加えません、全力捜査当局をして挙げさすのであるという態度が、真相解明というものに政府が熱意がないという御批判には少々私は承服いたしかねるわけでございます。
  61. 矢田部理

    矢田部理君 灰色の高官名を発表するのかどうか。灰色の高官名を、仮に捜査がうまくいかなかった場合でも、あるいは刑事責任の追及が刑事責任としてはできない場合でも発表するのかどうか。それが社会的、道義的な問題として問われているわけですけれども、その点はどうですか。
  62. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 繰り返して申し上げておるように、それは不起訴の分も公表するのかということでございますから、そのことを私がここで断定的に申し上げることは、いまの段階でそういうことを申し上げることは非常に捜査に対しての障害になりますから、やはりその時点においてその都度、公益上の比較計量をして考えるよりほかにはないとお答えするよりほかにない。私は何もいずれの場合においても灰色の高官名も皆公開するんだというような発言をしたことはございません。そういうことは言えるものではないわけです。
  63. 矢田部理

    矢田部理君 そうすると、総理の話は、刑事上の責任を追及する。その刑事上の責任がある場合には自動的に政治責任道義的責任も生ずるが、刑事上の責任さえ生じなければ社会的、政治責任は発生しないというような立場にも聞こえるのですが、どうなんですか。
  64. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それならば、国会特別委員会もつくる必要もないわけです。皆刑事上の責任。やはり政治的な道義的な責任というものは大いに追及する必要があるということで、国会にも特別調査委員会を設けようということでございます。政府政府として、これに対してあらゆる今後捜査進捗に応じて真相解明全力を挙げようということでございます。だから、この問題が捜査当局において結論が出るまで政治的なあるいは道義的な側面というものは全然問題はないんだというふうに私は考えないわけでございます。
  65. 矢田部理

    矢田部理君 それじゃ、どういう方法で、手順であなたは政治的、社会的、道義的責任の追及をされようとされるのですか、捜査を別の方に置いておいて。そのことを具体的に説明してください。
  66. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これはやはり国会においてもいろいろな問題点があるわけで、それは刑事上の責任ばかりでなしに、この委員会においても論議を、いろいろいままでの御質問の中にもそういう政治的な責任というようなことが論議をされるわけですから、そういうことはやっぱりいろいろな問題というものが提起されると思いますから、これに対して国会国会としてやる使命があると思うわけです。どこの国でもそうでしょう。こういう何か資料がなければできぬというわけでないわけですから、この問題をめぐって政治的にいろいろな批判も起こっておるわけですから、政治的な側面責任問題で批判もあるわけですから、そういう問題の解明というものはする余地があるのではないかということでございます。また、そういう問題に対しては政府自身真相解明していくべきは当然のことでございます。
  67. 矢田部理

    矢田部理君 どうもはっきりしませんね。具体性がないですよ。答えてないじゃありませんか。もう少し明快に具体的に話してくださいよ。
  68. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 一つは、しばしば言っておるように、真相というものは不正行為があったかということがこれからの大きな前提になるでしょうね、不正行為のあったということ。それからまた、いろいろな世間で政治的な問題として挙げられておる問題は、あるいは国政の場において、あるいはまた政党自身において、それを前向きにどういうふうにして処理していくかということは、これからいろいろな問題というものをはらんでおることは事実ですが、とにかく真相解明して、再びこういうふうな事件が起こるような余地というものをなからしめるということでございますから、これに対してこういう点で改革を加えたらよかろうという問題がいろいろ起こり得ると思います。これらに対しては改革を加えるということで、すべて提起される刑事上の問題、政治的な諸問題に対してこれを政府解明していこうという態度で、また必要なものに対しては改革を加えていこうという態度でございます。いま、まだ真相解明というものがいろいろ進んでおる段階で、これにはどうする、あれはどうすると具体的なことはお答えをしにくい段階でございますが、そういう提起される刑事上、政治上、道義上の諸問題に対して、政府はこれを避けて通らない、これを処理していこうというのが基本的態度であるということでございます。
  69. 矢田部理

    矢田部理君 全くわからないし、具体性は何もないというのが、これはもう事実だと思いますよ。どうしていいかわからないのじゃありませんか。お巡りさんや警察、検察庁にだけお任せするしかない。個々の結論を待つしかない。しかも、それもうやむやに終われば、そこでふたをしてしまうというのが、三木内閣、あなたの態度じゃありませんか。  そこで、問題の前提として伺いたいのは、こういう汚職や腐敗、大疑獄事件を生み出した土壌は一体どこにあったのか。アメリカの軍事多国籍企業の多額の政治工作資金を受け取り、日本の政、財、官、右翼も含んで大疑獄事件をこの問題はやっぱり生み出したわけでしょう。そういう汚職構造、この疑獄や問題を生み出した原因や土壌をどういうふうに踏まえているのか、その点、総理理解をひとつ伺っておきたいと思います。
  70. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は、先週の土曜日ですか、御質問にも答えたのですが、やはり日本政府職員、政府関係者にしても、汚職というものにかかわる者はあってもごくわずかな者で、大部分は国家のために献身をしておるわけですよね。そういうわけですから、これがもうすべて日本が、社会が腐り果てているんだというふうには私はとらえない。個々のやっぱり自制心、道義心、全然そういうことを問題にしないで、もう全体が腐り切っているんだから、みんなが腐っているんだと、そういうふうには私は思わない。やはりそういう汚職問題なんかにかかわらないで一生懸命に国のために献身しておる者が大部分ですよ。それをもう全部、もう構造から腐り果てておる、だからそこにいる人間も皆腐っておるというふうには考えないで、やはり個々の持っておる自制心や道義心というものも、こういう問題を生んだ大きなやっぱり問題点である。だから、皆が国のために奉仕するために、そういう自制心やあるいは道義心を失ったような人をなくするような社会をつくらなければならぬことは、それは申すまでもないけれども、これを全体が腐敗したというふうに、そういうふうにとらえることには無理がある。しかし、そういうものが起こりやすいような条件があるとしたならば、これは根本的にメスを入れなければならぬことは当然でございます。
  71. 矢田部理

    矢田部理君 総理は、どうもこのロッキード疑獄事件を個人の責任の問題、とりわけ刑事責任の問題に焦点をしぼり過ぎる。あるいは偶発的な事件であるかのようなとらえ方がある。そのことがやっぱりロッキード解明をおくらせているもう一つの原因なんだ。真相解明の姿勢が問われるもう一つの重要な問題なんです。  たとえば、最近問題になっておりますアメリカの多国籍企業と組んで、CIAが各国でいろんな忌まわしい活動をしているじゃありませんか。これはチャーチ委員会でも問題になっているわけですよ。ITTと組んでチリのアジェンデ政権を転覆させる、各国首脳の暗殺計画を立てるというような報道すらあるし、事実、調査の対象になっているわけです。日本の場合にも、CIAの活動で多くの報道、指摘がなされていると思いますが、たとえばわが党の選挙に対してCIAが妨害をしたとか、児玉ら右翼と連携をして忌まわしい活動をしている、そういう状況があるわけですね。  本件ロッキード事件に関連して見ましても、ディーク社というやみ資金ルートの企業が出てきますけれども、CIAはそのルートでほとんど各国に金をばらまいているとも言われている。何人かの関係者はCIAの工作員ではないかとも言われている。こういう状況をどうつかんでおられますか。CIAについての日本における活動問題点について、どういう理解に立っておりますか。
  72. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) ただいま御指摘のことの中で、いわゆるロッキード事件、CIAあるいはディーク社、そういう関係があったかということについては、そのようなものはわが国との関連では、なかったということをCIAは報告をしておるというふうに承知をいたしております。なお、一般的にCIAの活動そのものについて、私どもはただいままでのところつまびらかにいたしておりません。
  73. 矢田部理

    矢田部理君 いろんな指摘や問題があるわけですから、ロッキード疑獄をやるに当たっても、そういう活動の実態をまず調査をし、把握をすることが大前提じゃありませんか。その努力をしますか、これから。
  74. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) いわゆるCIAという組織としてわが国において何かの活動をするということは、われわれの方針としてはそういうことは許さないことでございます。従来も許しておりません。しかし、一般にCIAが世界全体についてどのような活動をしておるかということについては、米国側から明らかな説明に接したことはございませんで、わが国に関する限りどのようなものであるかということについて照会はいたしております。しかし、今日まで明快な説明には接しておりません。
  75. 矢田部理

    矢田部理君 私は、日本に関してもいろんな問題点が指摘されているので、その実態を調査をしないか、調査をすべしということを言っているわけです。
  76. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) そのようなことについて照会はいたしております。
  77. 矢田部理

    矢田部理君 照会じゃなくて、みずから調査をすべきじゃないかと、こう言っているんです。
  78. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) CIAという組織がわが国において活動することをわれわれは許しておらないのであります。
  79. 矢田部理

    矢田部理君 にもかかわらず、日本におけるCIAの活動についていろんな問題が指摘をされ、報道をされているわけです。その実態をつかみなさいと言うのです。
  80. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 報道されておることについての照会はいたしております。
  81. 矢田部理

    矢田部理君 ちょっと同じ質問ですが、照会しているかどうかじゃなくて、調査をすべし、調査をしないかと聞いているんですから、そこを答えてください。全く同じ質問です。総理、どうですか。
  82. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 矢田部理君、もう一遍。
  83. 矢田部理

    矢田部理君 もう一回だけ言いますけれども、照会したかどうかを聞いているのじゃなくて、日本における活動についていろんな問題が指摘をされているのだから、それを調査をまずすべきじゃないか、調査を要求しますと。これに対する答えを端的にしてください。
  84. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) まず、具体的にいわゆるロッキード問題について、ディーク社等々の関連でCIAがわが国について何か活動をしたことがあるかという具体的なお尋ねがありましたから、それについてはCIAはそういうことはしていないというふうに申しておりますということを申しました。次に、CIAが組織としてわが国において活動することはわれわれとしては許していないということを申したのであります。それ以外に何かいろいろなことがあるから調査をしろというようなことをおっしゃいましても、いろいろなこととは何であるのか、調査をするといいましても、わが国ではCIAが組織として活動することを許していないのでありますから、いろいろな情報があるというのなら、それはアメリカに照会するしか方法がない。その照会はしておると申しておるのであります。
  85. 矢田部理

    矢田部理君 一つだけ紹介しておきましょうか。自民党の結成にもCIAは主な役割りを果たし、その後も支援してきたという報道すらあるわけですよ。重大なことじゃありませんか。これを調査するのはあたりまえじゃありませんか。どうですか。
  86. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 自由民主党幹事長はそのような事実はないと言っておられます。それで私は十分だと思います。
  87. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 自民党に関しては、私は自民党の執行部に対して、自民党の歴代の経理を担当しておる一人一人に対して問い合わせまして、そしてその結果、二人死亡者がございましたが、生存しておる人に対して全員に照会したが、自民党に対してそういうCIAの資金などが入っておることは絶対にないということを私のところへ報告をしてまいりました事実を申し上げておるわけです。
  88. 矢田部理

    矢田部理君 あなたのかかわる問題については捜査をしているわけでしょう。抗議しましたか。ほかのことも調査すべきじゃないですか。そのことを言っているわけですよ。
  89. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 自民党の関係することについてはいま調査いたしましたが、ほかのことに対しては、外務大臣の申すように活動を許してないのですから、いろんなうわさというものがあれば、これはそういう事実を照会する以外に、日本がうわさがあった場合に、アメリカに照会するという外務大臣の態度は私はやっぱり当然しなければならぬわけで、日本としてはCIAの活動を認めてないというのですから、日本政府としてこれを調査を国内においてするということは非常にそれは無理があると思います。
  90. 矢田部理

    矢田部理君 たてまえは認めてなくても、事実として幾つかの問題が指摘されている。これは主権や平和と民主主義に関する問題でしょう。これについて調査をし、こういう活動を一切許さない、きちっとした態度をとるのが当然のことじゃありませんか。調査もしないのですか。
  91. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 許さないということはいま始まったことではなくて、従来からの方針でございます。それでいろいろな報道があるから調査をしろと言われますから、そういう報道はアメリカ等々から来ておるのでございますから、米国政府に照会はいたしておるのでございます。その返事を受け取っておらないというふうに申し上げておるんです。
  92. 矢田部理

    矢田部理君 アメリカに照会し、確かめるのも一つの方法でしょう。同時に、日本国内でもみずから調査すべきじゃないですか。
  93. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) これは私の所管のことであるかどうかわかりませんが、そのような組織をわれわれは認めていないし、あることを確認しておらないわけでございますから、どう国内で調査をするかと言われましても、これは具体的にたとえば矢田部委員からこういう事実があった、あると自分は思う、したがってとおっしゃれば、これは外務省の仕事でないかもしれませんが、政府挙げてその解明はいたしますけれども、そうでございませんと、何をだれが調査をしろと言われますのか。やはりこの活動のもとでございます米国に照会をしてみるというのが、私はいまやるべきことではないかと思います。
  94. 矢田部理

    矢田部理君 三木総理に最後のこの問題についての質問をしますけれども、たとえば児玉をCIAは使っていろいろな政界工作をやっているという指摘もあるわけです。これはCIA問題をきょうは中心にやろうとは思いませんから、この辺で終わりたいと思うのですが、いずれ追及しますよ。あなたはそういう幾つかの重要な問題指摘がある、報道がなされているときに、少なくとも調査してみる、その実態を洗ってみるという答えをすべきじゃありませんか。どうですか。もう一回聞きます。
  95. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 具体的に問題の指摘がございますれば、これはアメリカに照会するのも方法でございますし、具体的にこういう事実というものの、具体的な事実が起こってきて、そのことが日本にかかわり合いを持つような場合には、これはやっぱり調査することは当然でございます。
  96. 矢田部理

    矢田部理君 この問題は、いずれ改めてもう少し具体的に大きく問題を提起したいと思いますが、もう一つ、今度のロッキード事件では右翼の問題が非常に重要な問題として浮かび上がってきております。児玉譽士夫が秘密代理人契約を結んで、軍事汚職に大きくかかわっている。トライスターの売り込みに大変な役割りを果たしている。こういう右翼の介在についてあなたはどう受けとめ、どう対応されようとしておりますか。
  97. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) この点は、いろいろ捜査当局において調べる場合において問題になることは当然でございますが、しかし、日本政府の政策決定に対して、右翼が大きな役割りを果たしておるとは私は考えていない。また私の内閣のもとにおいてさようなことは絶対に私は許さない考えでございますが、過去のことについては、いま言ったような捜査当局においてこの問題もいろいろと解明をされるものと思いますが、とにかくそういう政府の政策決定に右翼が大きな影響力を与えておったとは私は考えませんが、少なくとも三木内閣においてそういうことは絶対に認められないことでございます。
  98. 矢田部理

    矢田部理君 現に児玉がこの問題では主要な役割りを果たしているんでしょう。これをどう思いますか。かつて自由党の創立資金、これも児玉から提供を受けたことは公然たる事実じゃありませんか。こういう問題についてどう受けとめているのですか。そのことも含めて答弁してください。
  99. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) この問題については、いま言ったように、どのようにロッキード問題などに対して児玉がその間役割りを果たしたかということは、これはまさにいま捜査当局で鋭意努力をして真相解明しようとしておる問題点一つでございましょう。ただ、自民党に関係をするような問題については先ほど申し上げましたが、この言われておるような問題については、自民党自身にかかわり合いのあるような問題は自民党自身がこれは十分にいままでも調査をいたしましたし、今後においてもそういう問題があれば調査をいたすことは当然でございます。責任であると考えております。
  100. 矢田部理

    矢田部理君 福田総理にお尋ねしたいのですが、赤尾敏という人を知っていますか。
  101. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 承知いたしております。
  102. 矢田部理

    矢田部理君 最近、赤尾敏氏にかかわったことはございませんか。
  103. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 最近赤尾敏氏がどういうことをしているか、よく承知いたしておりませんです。
  104. 矢田部理

    矢田部理君 この四月の二十日にアメリカに行ったのを御存じありませんか。
  105. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 承知いたしません。
  106. 矢田部理

    矢田部理君 あなたはその渡米に際してせんべつを出したのじゃありませんか。
  107. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そういうことはございません。
  108. 矢田部理

    矢田部理君 つい最近のことですよ。私は非常に確かな筋からこの問題は確かめているんですよ。まさか忘れたわけじゃないでしょうね。
  109. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) それは何かの聞き違いかと思います。
  110. 矢田部理

    矢田部理君 私も聞き違いのないように確かめているんです。思い出せないのですか、本当に。
  111. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 思い出せません。
  112. 矢田部理

    矢田部理君 この問題は後でまたあれしたいと思いますが、こういうふうに今日でも非常に右翼といろんなかかわり合いを持っている。せんべつを出すということは激励をすることですらあるわけでしょう。だからこそ、私は児玉の問題も含めて右翼に対する姿勢を一体どう持つのか、どう対応しているのかを聞いているわけなんです。もう一回答えてください。
  113. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 福田総理自身が出してないと言うのですから、せんべつを出したという仮定はその事実に反するのじゃないでしょうか。しかし、いやしくもやはり政治の中枢にある者が特別な関係を右翼と持つということは非常に誤解を生じますから、それはやはり慎まなければならぬということで、私自身も右翼という人々とのつき合いはないわけでございます。
  114. 矢田部理

    矢田部理君 幾つも指摘すれば具体的な事実があるわけでありますが、こういう汚職の土壌の中でもう一つやっぱり問題にしなければならぬことがあるわけです。それは中曽根幹事長の政治資金規正虚偽申告の問題です。その実態と内容、問題点を報告していただきたいと思います。
  115. 福田一

    国務大臣福田一君) お答えをいたします。  この中曽根派四団体の訂正問題につきましては、四団体の政治資金の訂正申し出の問題でございますが、これは実は御案内のように、雑誌「現代」に一つの事実が明らかにされまして、その後当方におきましてもどうも内容不明な点があると考えておりましたところ、中曽根派のこの四団体の方から訂正の申し出を受けました。ところが、その訂正の内容が、事務局長一人の支出のごとく訂正が出されてきておりますので、これではどうも内容が十分明らかでないという意味で再訂正を求めて、実は本日中にもその再訂正が出るように申し入れをいたしておるわけでありまして、恐らく本日中にその訂正が出るものと期待をいたしております。
  116. 矢田部理

    矢田部理君 収支報告書の内容がどんな点で問題なのか、もう少し詳しく具体的に説明を求めます。
  117. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 収支報告につきましては、四十七年からの問題でございますから、かなり前々から出されておる内容でございます。その点については、住所、職業、姓名、支出先が書いてございます。それは私どもとしては形式的にそういうものがあればそのまま受け取って公表しておるわけでございます。その点について中身で一々私どもがどうこうというチェックをしたわけじゃございませんが、最近四団体の方から、その点について誤りがあったので訂正をしたい、こういうことで自発的な申し出があったわけでございます。  ただ、それで東京都を通じて持ってこられた中身が必ずしも明確でない点がございました。たとえば領収書等がつくべきものがどうもない、あれば出していただきたいし、取れなければその理由をつけていただいた方がはっきりすると。それから、何々外といったようなことで若干内容が明確でない点もございました。そういう点を、それは事実とは思うのでございますが、より明確にしていただきたいという意味での訂正をこちらからお願いをしたわけでございまして、それがまだ出てないわけでございます。どういった内容で来るか、私どもはその中身を見た上で判断と申しますか、形式的にそろっておればそれをまた公開をするということになろうかと存じます。
  118. 矢田部理

    矢田部理君 最初に出した収支報告書と、その後に出した収支報告書の具体的な違い、内容を述べてください。
  119. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) たくさんな数でございますから一々詳細には覚えておりませんが、先ほど申し上げたような具体的な個人の名前、支出された相手方の個人の名前、住所その他について、それが誤りであったということで別な方の名前が出てくるという形でございます。しかし、それがいま申し上げたように不明な点がございましたので、もう一度よく、そのとおりであろうかもしれませんけれども、なお詳細な点がわかれば知らせていただきたいということにしてあるわけでございます。
  120. 矢田部理

    矢田部理君 もう少し詳しく説明してください。
  121. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 詳しくと申しますか、私どもが見たところでは、非常にたくさんな数でございますけれども、たとえば数人の方についてこういう支出を、この費目についてこういう支出をしたということが、これは誤りであって、この人に支出をしましたというかっこうで出されてきておる、人がかわったかっこうで出てきておるということでございます。
  122. 矢田部理

    矢田部理君 誤りのないようもう少し詳しく聞きたいわけです。たとえばこの雑誌「現代」によれば、九割の人たちが実在しない人物にお金を払っているというんじゃありませんか。そのとおりでしょうか。
  123. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 先ほど申し上げましたように、私どもとしては一応は姓名とか住所とか、形式的にそろっておればそれは受け付けて公表しておって、国民の批判と判断に任しておる、そういった仕組みになっておりますので、これは正しいかどうか、うそであるかということを私どもが積極的に調べるということはいたさないわけでございます。今回の場合は、いろいろいまおっしゃったような点が雑誌等にあったということは聞いておりますが、その結果かどうかわかりませんけれども、前のは誤りであったという訂正の申し出があった、こういう経緯になっておるわけでございます。
  124. 矢田部理

    矢田部理君 九割の人の実在しない人は、どういうふうに訂正したのでしょうか。
  125. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 実在しておるか、していないかということは、私どもとしてはこれはチェックはできないわけでございます。したがって、それが変わってきたというのはかなりな部分が変わってきておるようでございますけれども、それが実在しないとかどうとかということは私ども自身で確かめたことはないわけでございます。
  126. 矢田部理

    矢田部理君 訂正個所は何カ所ありましたか。
  127. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 数は非常に多かったと思いますが、四十七年下期からのものでございます。それぞれの団体について、一つの団体は五十年の上期だけでございますが、その他は四十七年下期から各半期ごとに五十年上期まででございまして、かなりな部分にわたっております。費目としては数項目であったかと存じます。
  128. 矢田部理

    矢田部理君 この虚偽申告の内容は全くでたらめなんですね。こういう記事があります。新津市の農民の方ですが、五百万円を受け取ったことになっている。その人の、本人の言葉によりますと、「何ですか、それ。そんなもの貰ったことありませんよ。中曽根さん? ああ政治家の……、うちは百姓で政治関係ありません。私の領収書? そんなものが自治省にあるんですか、どういうことなんですか、それは。」――。二千万円の偽造の領収書もあるらしい。でたらめじゃありませんか。めちゃめちゃじゃありませんか。自治省は訂正さえすればそれで済むのでしょうか。
  129. 福田一

    国務大臣福田一君) 政治資金規正法の本来の趣旨というのは、これは政治政府が直接介入をしない。そうして政治団体が自発的に、自分たちがどのような歳入を得、また支出をしておるかということを明らかにする。そうしてその明らかにする場合には、法の二十九条によりまして、これは間違いがありませんという誓約を入れて提出をいたすわけであります。そこで、その政治団体の出してまいりましたものを公表をいたしまして、どなたにでもごらんがいただけるように公表をいたしまして、そうして国民の判断によってこの正しきを期するという立場において公表をいたしておるわけでございます。そういう趣旨でこの法律全体が立案されて立法されておりますのでありまして、したがって、従来自治省といたしましては、形式的に内容が整っておりますれば、これを一々調査をしてそうして発表をする、そういうことをいたしておらないわけでございます。  もし、政府の方で一々そういうことに介入をした場合に、また何か干渉をしたとか、なぜそういうことを言って、だれそれがだれをどうしたとかいうような、どれだけの金額を出したかというようなことをなぜするのかというようなことが出ては、かえって何と言いますか、政治に対する干渉というような形になることを恐れて、公表ということでもって問題の処理をするということにいたしておるわけであります。まして、これには誓約がついておるのでございますからして、いやしくもそういうような虚偽の事実があろうと予測はいたしておらない。そういう前提に立ってこの法律の運営をいたしてまいった、こういうことでございます。
  130. 矢田部理

    矢田部理君 ですから、訂正をすればそれで済むということですかと。
  131. 福田一

    国務大臣福田一君) これは虚偽の事実が記載してあったという場合におきましては、訂正をしたということで虚偽の事実を書いたという行為が消えるわけではないと私は思っております。
  132. 矢田部理

    矢田部理君 架空人あての多額な支出がある。にせの領収書がある。現金を渡していないのに領収書がでてきている。きわめて重大なことじゃありませんか。政治資金規正法、御承知のように虚偽申告に対する刑罰規定がございます。領収書についても、これは偽造ですよ。刑事捜査刑事責任の追及はどうしますか。
  133. 福田一

    国務大臣福田一君) 実はこれは自治省としてはただいま申し上げたような態度で、形式的に正しければこれを追及するということは事実問題としていたしておりません。しかし、これは刑事上の問題である。政治資金規正法には罰則規定もあることはあなたも御承知のとおりでございまして、そういうような罰則規定のある法律に反したということでございますれば、なぜ、だれが、どういうわけでそういうことをしたかということは、これは私は恐らく警察関係立場から見なければならない問題であると考えております。
  134. 矢田部理

    矢田部理君 公安委員長として警察は捜査に踏み切るのかどうか、その点明確にしてください。
  135. 福田一

    国務大臣福田一君) 警察といたしましては、恐らく捜査に踏み切るであろうと私は期待をいたしております。
  136. 矢田部理

    矢田部理君 捜査にはまだ入っていないのですか。証拠資料等を家宅捜索で押さえたという一部の話もあるわけですけれども、その点、状況はどうなっていますか。
  137. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) お答え申し上げます。  御質問のような容疑があることが考えられますので、今後事実関係解明に努めた上、適切な判断をいたしたいと考えております。
  138. 矢田部理

    矢田部理君 どんな犯罪、どんな刑事責任が生ずると思いますか。捜査をするのかしないのか。かなりはっきりした事実ですよ、これは。
  139. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) 政治資金規正法には罰則がございますが、この罰則はこの法律趣旨から考えますと、本来行政目的を担保するためのものでありますので、一般的にはまず所管行政庁である自治省の行政上の判断、あるいは先ほど御答弁がありましたように、行政措置をとっておるわけでございますので、その結果をまって私どもとしても捜査を進めてまいるようにいたしたいと考えております。
  140. 矢田部理

    矢田部理君 訂正すれば刑事上の責任が免れるというものじゃないでしょう。行政上の措置は措置として、犯罪捜査はどうするのかと聞いているんですよ。
  141. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) 先ほどお答え申し上げましたように、この法律趣旨はまず行政目的が先行すると、こういうことでございまして、その結果を参照しながら捜査を進めてまいるようにいたしたいと考えております。
  142. 矢田部理

    矢田部理君 政治資金規正法だけじゃありませんよ。にせ領収書があるんですよ。偽造。刑法上の問題じゃありませんか。どうするんですか。
  143. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) その点につきましては、関係行政庁と、自治省と、行政措置の結果を待っていろいろ事実をさらに調査した上で、そういう容疑があればもちろん捜査を進めてまいるようになろうかと存じます。
  144. 矢田部理

    矢田部理君 もう大分前から指摘されていることでしょう。まだ捜査調査もやってないのですか、警察として。
  145. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) 先ほどお答え申し上げましたように、政治資金規正法の罰則の趣旨にのっとって私どもは考えてまいる所存でございます。
  146. 矢田部理

    矢田部理君 やるのかやらないのか、はっきりしてくださいよ。
  147. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) 先ほど大庭からも御答弁ありましたように、捜査を進めてまいるようにしたいと考えておるわけでございます。
  148. 矢田部理

    矢田部理君 厳重に捜査をする必要があるだろうと思うんですよ。問題は、三木総理、あなたの与党の幹事長ですよ、これは。重大なことじゃありませんか。その政治責任道義社会的責任総理として総裁としてどう思いますか。どういう措置を今日までとってきたか、明確にしてほしい。
  149. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) この派閥の献金ということでございますが、どうも大きい派閥はこういう処置を他人任せになりやすい性質があって、こういう不始末が起こりやすいものもあるわけですが、しかし、これは非常に遺憾なことである。幹事長自身もこの点については、今後ともこれに対しては厳重な監督をしたいと申しておりましたが、しかし、政治資金規正法が新しくなりまして、今後こういう派閥が多額の献金を集めるということはもうできなくなってきたわけですね、一月一日から。今後は政治献金は党中心になるということで、これは根本的に条件が変わってくるわけでございますから、このようなことが再び起こるとは思いませんが、しかし、過去についてはこれはまことに遺憾なことであると考えておる次第でございます。
  150. 矢田部理

    矢田部理君 与党の幹事長が、いいですか、たまたま申告漏れがあったなんというものじゃないんですよ。二千万も金を渡したことにして、にせの領収書をつくっているわけでしょう。番地を調べてもないような番地、そういう人が全然どんなに調べてもいないのに、全く架空人の名義を使ってその人にお金を渡したことにしているんでしょう。ただ遺憾であるなどということで済むことじゃないんじゃありませんか。
  151. 福田一

    国務大臣福田一君) これは非常に遺憾なことでありますが、しかし、その届け出をしたのは幹事長自身ではございません。幹事長の事務局長、いわゆる政治団体の事務局長が届け出をいたしておるわけであります。しかし、それだからといって、直接の責任がないからといって、よく言われることでありますが、道義的な責任がないかどうかということになりますというと、一つの問題がここに出てくるかと思いますが、幹事長直接そういうことを指揮したり、そういう虚偽の報告をせいと言ったわけではないようでございまして、事務局の局員がそのようなことをしたと私は承っておるのであります。そういう意味でこの問題を御理解をしておいていただきたい、かように考えるわけであります。
  152. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いま自治大臣からも答えましたように、そういう事情があったにしましても道義的な責任はあるわけでございまして、したがって総裁としての私としても、幹事長でございますし、大変に遺憾に存じまして、今後このような政治資金規正法をめぐる不始末が起こらないように、党全体の運営についても責任を前向きに私は果たしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  153. 矢田部理

    矢田部理君 ひとつ幹事長に責任をとらせることはしないのですか。刑事上の責任追及について総理は具体的にどう考えるのか。徹底的にやるべしと思うんですが、その具体的な見解を伺いたい。
  154. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いま自治大臣もあるいは警察当局においてもこの問題を捜査をするということでございますから、そういう結果も見なければなりませんが、とにかくこれは私は大変遺憾なことだと考えておりまして、この問題のような政治資金規正法の不始末が再び起こらないような、このことに対して十分に戒心をいたしてまいりたいと考えております。
  155. 矢田部理

    矢田部理君 これはあなたのところの幹事長、中枢ですよ。その実態は調べれば調べるほどめちゃめちゃであります。それについて、単に遺憾であるというような程度では済まされない刑事上の問題すらある。まさに、こういう土壌がロッキード、汚職をやっぱり生み出した根っこにあるんじゃないかというふうに理解せざるを得ないわけですよ。単に捜査をして刑事責任を追及すれば済む、そこから派生的に政治責任は考えればいいというような真相究明論、事実解明論は基本的に過ちだ。その土壌そのものを反省し入れかえることなしにロッキード問題の解明はあり得ないというふうに私どもは考えるんですよ。  戦後の三十年の保守支配の状況を見ても、ずっと疑獄が数多くあったじゃありませんか。それに対してあるときは指揮権を発動し、あるときはスケープゴートをつくり、今度は捜査秘密協定や捜査秘密で問題を糊塗しようとしてきたことがこれだけの大疑獄を生んだのじゃありませんか。まさに根本的な反省、根本的な政治真任の追及、構造的な解明が必要だと思いますけれども、その点、総理として、黒いピーナツをもらった政府高官を詰めることも大事です。それを生み出した土壌、問題点をどう考えるか、その点について答弁をいただきたいと思います。
  156. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 前段に述べられたアメリカとの秘密協定はございません、全部アメリカとの捜査取り決めについては公表をいたしたわけですから。いかにも秘密協定があるということは国民に誤解を与えますので、秘密協定云々はそれを訂正を願いたいと思うわけでございます。  また、いま御指摘になった問題は、私は、ロッキード問題と中曽根氏のものとが、政治献金の問題が結びついておるとは、私はこれは関係のないことだと思いますが、しかし、やはりこの問題は私も深刻に受けとめておるわけですよ。この際政党というものが、これは自民党に限りませんが、どの政党に限らず、金にまつわる不信というものを政党が払拭しなければ、国民の政治不信は解消できないということを強く感ずるわけです。いろんな点もございますが、いま一番提起されておるのは、やはり金にまつわる一つの疑惑である。これを機会に私は自民党という、総裁立場でありますから、自民党の体質改善、あるいはまた自民党の近代化というものに対しては積極的に取り組んでいきたい。これは一つの大きな教訓として取り組んでいきたいという決意でございます。
  157. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十二分休憩      ―――――・―――――    午後一時五分開会
  158. 八木一郎

    委員長八木一郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  午前に引き続き矢田部君の質疑を行います。矢田部理君。
  159. 矢田部理

    矢田部理君 捜査上の問題点について若干伺いたいと思います。  丸紅や児玉が二月の二十四日に家宅捜索を受けましたが、これを決めたのはいつでしょうか。
  160. 吉田六郎

    政府委員吉田六郎君) 二十四日に捜索をやりましたが、捜索をやろうと決めたのは約一週間前くらいでございます。
  161. 矢田部理

    矢田部理君 少なくともマスコミ等を通じて、十八日の首脳会議で決めたと大きく報道されているわけです。われわれには捜査秘密だと言って資料の提供や内容を説明しないで、丸紅や児玉の捜査に対しては数日前にも予告している。これは問題ありませんか。
  162. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) お答えいたします。  われわれ検察といたしましては、捜査の計画を事前に明らかにするなどということは全然ございません。それは新聞の報道陣が推測をされたものであって、公にしたということは絶対にございません。
  163. 矢田部理

    矢田部理君 少なくとも推測できるような事実があって、一週間近い余裕を与えている。その結果どんな証拠が隠滅されたか、どんなことが問題になったかを説明してほしいと思います。
  164. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) いま申し上げましたように、公にしたこともございませんが、報道陣も熱心であられますので、検察庁の中に取材活動で入っておられますと、検察庁の首脳がどの部屋に入ったかということまで、われわれ公にはしておりませんが、探知、収集をされました結果、そういう会議をしたのであろうという推測のもとに記事を書かれておるわけでございまして、決して公にしたわけではございません。  なお、そういうことの報道がなされた結果、いかなる証拠が隠滅されたかということについては、証拠が隠滅されたという報告は受けておりません。
  165. 矢田部理

    矢田部理君 児玉は手入れを控えて書類を処分した、ごみ箱の中に捨てたという重要な記事も出ているじゃありませんか。そういう事実を知っていないのですか。
  166. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) 私も重大な関心を持っておりますので、そういう新聞の報道があったことは知っておりまするが、そういう事実があったという報告は受けておりません。
  167. 矢田部理

    矢田部理君 丸紅は事前に察知をしていろんな書類の整理を指示したという話もあるじゃありませんか。確かめておりませんか。
  168. 吉田六郎

    政府委員吉田六郎君) そのような事実は聞いておりません。
  169. 矢田部理

    矢田部理君 報告を受けていないということですか。事実がなかったということですか。
  170. 吉田六郎

    政府委員吉田六郎君) 事実はなかったと一応考えております。
  171. 矢田部理

    矢田部理君 こういうことだから捜査がまともにできないと思うんですよ。かつて食管法違反で丸紅はつかまった。そのときどんな証拠隠滅工作をやったか、検察庁ははっきり知っているはずですよ。どういうことをやりましたか、そのときに。
  172. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) 仮に証拠隠滅がなされたとすれば、検察庁としてはその非違を検察するはずでございますが、そういう事実もなかったものというふうに判断せざるを得ないのでございまして、そういう報告は受けておりません。
  173. 矢田部理

    矢田部理君 食管法違反のときはどうだったかと聞いているのです。
  174. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) いや、私がただいまお答えいたしておりますのは、御指摘の食管法違反事件に関してでございます。
  175. 矢田部理

    矢田部理君 担当の検察官が述べているんですよ、裁判で。食管法違反の捜査を前にして証拠書類の破棄、偽証の打ち合わせを行った。警察の強制捜索、押収を事前に察知をし、証拠書類を破棄し、偽証の打ち合わせを行った。その一つとして丸紅米穀課の事務室をこの年の三月中旬ごろ突然移動をし、当局の目に触れさせなくていいものは破いてしまえという指示を田中利道という食糧部長が出しているわけです。いいですか。さらに警察の手入れの二、三日前から、供述の際に口裏を合わせるために関係者が会合し、細かな点まで打ち合わせを行っている。その際、某業者に対しては擬装工作に合わせる供述の打ち合わせを指示しているわけです。こういうことを、かつて大変な前科を丸紅は持っているわけです。これを事前にマスコミ等に察知されるようなやり方でどうしてまともな捜査ができますか。もう一回答弁を求めます。
  176. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) ロッキード事件の捜査上の一つ問題点として考えられますことは、本件が綿密な内偵調査、いわゆる密行による調査の結果、事件に着手したのではなくて、いわば公開捜査のような形をとらざるを得なかったというところに捜査上の非常に大きな難点があるわけでございまして、そういうスタートでございましたところに難点がございますが、少なくとも検察庁が着手した以降の段階におきまして、自分らの捜査の内容を公にするというような自殺行為はしていないはずでございます。
  177. 矢田部理

    矢田部理君 公に発表していないからといって、秘密は守られていないんですよ。一週間も予告期間与えて、前にもそういう事件、苦い経験を検察庁はしているはずなんだ。それを今度の件では生かしていないじゃありませんか。その食管法違反を担当した検察官もいまの捜査の検察官の中には入っているはずです。なぜそれが生かせなかったのか。報告を受けておりません、かつてのことは聞いておりませんでは済まされませんよ。
  178. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) 検察官といたしましては、捜査に着手いたします以上は厳正公平に真実の糾明をすることが任務でありまして、いささかもそれに欠けるところはないはずでございますので、仮に偽証をされて、証拠隠滅された苦い経験を持っておるとすれば、それを再びそういうことのないように努力するのがあたりまえでございます。仮にその結果漏れたということがあったと――結局公に報道陣によって報道されたことが本来は秘匿されるべきことであったといたしましても、それは結果でございまして、そういうものがないように努力したということは間違いがないと思います。
  179. 矢田部理

    矢田部理君 一つ伺っておきますが、捜査は外為法、それから脱税等が問題になってきたようでありますが、すでに問題の核心である贈収賄事件の捜査はやっているのでしょうか。
  180. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 当然にやっております。
  181. 矢田部理

    矢田部理君 その捜査の対象はトライスター導入をめぐる疑惑だけではなくて、PXL問題も対象にしているでしょう。
  182. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) いま法務大臣からお答えいたしましたように、ロッキード事件の事案の全貌の究明に努力はいたしておりまするが、いかなる点に贈収賄の疑惑を持っているかということはいわゆる捜査秘密でございまして、ただ捜査中であるというのでなくて、まさに捜査上秘匿すべき段階でございますので、申し上げるわけにはまいりません。
  183. 矢田部理

    矢田部理君 この程度のことは秘密でも何でもないでしょう。常識的なことじゃありませんか。
  184. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 矢田部さんね、さっきあなたは、その新聞社に抜かれたのは、もっと秘密にきつくやりゃあいいじゃないかと、こうおっしゃったですね。私どもの方はそういうことを漏れないようにがっちりしている。それからその初めおっしゃったことは、どうも検察庁は少しぼさっとしているんじゃないかという意味でお聞きになったのですが、そんなことではないんです。綿密に、精力的に一生懸命にやっておりますから御信頼いただきたいと思いますが、いまおっしゃったようなPX何とかがどうのこうのなどということそれ自体はここで言うことは避けて、あなたは秘密にしてしっかりやれよということとまた別になってきましてね、それ、困るんですよ。それはひとつ一生懸命にやっているんですから、しっかりやれよという程度にしておいていただきたいと思うんです。
  185. 矢田部理

    矢田部理君 全く問題のすりかえです。いままで参考人はどのぐらい調べましたか。
  186. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) 数字だけ申し上げますと、大体百人を超える参考人を取り調べております。
  187. 矢田部理

    矢田部理君 被疑者として調べた人はありますか、この外為、それから脱税以外に。
  188. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) だれを被疑者にしておるかということも、原則として現段階においては秘匿すべきことでございますが、公になっておる者として、被疑者の中には児玉譽士夫がおります。
  189. 矢田部理

    矢田部理君 それ以外に贈収賄で被疑者として調べた人がいますか。
  190. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) いま申し上げましたように、この段階ではその名前をメンションすることは差し控えたいと思います。
  191. 矢田部理

    矢田部理君 名前を聞いておりません。いるかいないかだけ聞いております。
  192. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) 現在の段階において、だれを被疑者として贈収賄事件について調べておるという報告は受けておりません。
  193. 矢田部理

    矢田部理君 重要参考人として調べた人はいますか、いわゆる重要参考人
  194. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) 重要参考人というのはジャーナリズムの言葉でございまして、訴訟法上はない言葉でございますが、それを仮に被疑者ということであれば、先ほど申し上げたとおり報告も受けておりません。
  195. 矢田部理

    矢田部理君 児玉の脱税の一部は起訴されたことが明らかにされておりますが、丸紅の為替法違反の捜査はどうなっているか。五億円授受の裏づけは相当進んでいるかどうか。
  196. 吉田六郎

    政府委員吉田六郎君) 二月の二十四日に警視庁において丸紅東京支社及び児玉譽士夫宅など十四カ所を捜索いたしまして、それからロッキード事件特別捜査本部を設置いたして、捜査に努めておるわけでございます。それ以来、丸紅東京支社の再捜索とか押収品や関係資料の分析、検討、それから関係者多数からの事情聴取、捜査員の香港派遣、その他必要な捜査を行ってまいりました。このような捜査の進展は、さらにはこのたび米国からの事件関係資料日本に提供されたということで、さらに捜査員を多く増強して、捜査をやることといたしておりますが、現在、その捜査の進展段階あるいは内容その他につきましては、今後捜査上支障がございますので、この際答弁を差し控えさしていただきたいと思います。
  197. 矢田部理

    矢田部理君 PXLの関係で防衛庁の白川前統幕議長などから事情を聞いたという報道がありますが、事実でしょうか。
  198. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) 先ほど来たびたび申し上げておりますように、ロッキード事件として世間の疑惑を招いていることの全貌につきましては、鋭意捜査中でございますということを申し上げるほかに、だれを調べたかということは現段階においては秘密として答弁しないことを御理解いただきたいと思います。
  199. 矢田部理

    矢田部理君 新聞に名前が挙がって出ているんです、調べたと。だから本当かと、こう聞いている。
  200. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) このことも、いわゆる犯罪の捜査というのは原則として関係人の任意の協力を得るということを前提として進めるのが原則でございまして、強制の捜査というのは例外でございます。これは矢田部委員十分御理解のところでございます。そういたしますと、そういう一般の人の関係人の協力を得るためには、そのだれを調べたかというような事柄はできるだけ秘密にしておくのが、検察運営のために協力を得るという意味においての必要な事柄でございます。そういう意味におきまして申し上げることはできないということを申し上げておるのでございまして、ぜひひとつこの点は御理解をいただきたいと思います。  なお、新聞に公表したではないかというお話でございます。こういうことは一切いたしておりません。
  201. 矢田部理

    矢田部理君 やや一般的、抽象的に聞きたいと思いますが、PXLにせよ、トライスターにせよ、疑惑の焦点になっている人たちがいますね。白紙還元、PXLをめぐっては、田中前総理とか相澤、後藤田氏とか、久保次官とか、こういう焦点になっている人たちは事情聴取が始まっているんでしょうか。一般論として伺います。
  202. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) 同じことの繰り返しで恐縮でございますが、そういう方の名前をここで申し上げるわけにはまいらないことを御理解いただきたいと思います。
  203. 矢田部理

    矢田部理君 たとえば、こういう人たちが疑惑の焦点になっている、そういう焦点になっている人たちの調べは始まっているのかが質問です。
  204. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) 先ほど来申し上げましたように、世間の疑惑を招いているロッキード事件の全貌の究明に贈収賄の嫌疑の有無を含めて鋭意捜査中であるということで、どうかこの段階では御理解をいただきたいと、かように思います。
  205. 矢田部理

    矢田部理君 そういう一般的な質問に対しても答えられないところが問題なんです。  もう一点伺います。すでに公になっている家宅捜索場所が相当数ありますが、それ以外に三月段階三カ所の家宅捜索をしている事実は認めますか。
  206. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) だれを調べたかということが秘密であると同時に、どこを捜索したかということも同じように秘密でございますので、どうかその点について申し上げることは御勘弁を願いたいと思います。
  207. 矢田部理

    矢田部理君 場所じゃなくて、三カ所新しく家宅捜索をしたことがあるかと聞いているんです。同じ質問です。場所は聞いてない、まだ。
  208. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) 捜索の場所が、いわゆる新聞に報道された以外に数カ所あることは事実でございますが、どこであるかをいうことは御勘弁を願いたいと思います。
  209. 矢田部理

    矢田部理君 その数カ所というのは、従前の外為とか脱税でやったのでしょうか。それとも、それ以外の被疑でやったのでしょうか。
  210. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) いかなる容疑であったかということから捜査秘密に属することと思いますので、控えさしていただきたいと思います。
  211. 矢田部理

    矢田部理君 いかなる容疑とは聞いていませんよ。従前の外為とか脱税なのか、それ以外なのかと聞いている。
  212. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) そのこと、脱税か外為か、その他かということがいかなる容疑であったかを推測させることになりますので、御勘弁を願いたいと思います。
  213. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) いかにも国会のそういう国政調査権ですか、それに協力を全然してない、そういうふうにお思いになっていらっしゃるかもしれませんがね。いいですか、この刑事責任の追及ということは、元来国会の任務では、本質の任務ではないでしょう。政治的、道義的責任の追及は国会でやると、こういうふうに議長裁定にはなっておるのであって、それについては、まだ調査の緒についたばかりですから、事態の推移にかんがみて刑事訴訟法立法趣旨を踏まえて協力すると、こう申し上げているんですから、いまの段階でどこを調べたか、何カ所調べたか、そしてその罪種は何であるかというようなことをいまここで申し上げることは、報道はされましても、それは報道は想像でされるのは仕方ないとしても、検察当局、法務当局の口からさようでございますと言うことは厳に慎しみたいと、こういうことを刑事局長は申し上げているんですから、御了解願いたいと思います。
  214. 矢田部理

    矢田部理君 稻葉法務大臣から議長裁定の講義を聞くつもりはありません。私も十分心得ながら問題を聞いているんです。それにも答えられないことが問題だと言っているんです。どうですか。いまの質問に答えてください。
  215. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 答弁ありますか。
  216. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) もう一度繰り返して答弁を申し上げるよりしようがないんですが、鋭意事態の真相究明する、真相の中には刑事責任の追及、社会的、道義的、政治責任の追及、こうあるわけですが、法務当局のいまの安原君などの担当しているところは刑事責任の追及の権限、場所ですね。それで議長裁定も、だから国会政治的、道義的責任を追及なさると。それには御協力を申し上げますけれども、いまあなたがおっしゃっていることは、刑事責任の追及について法務省のやっていることについていろいろお聞きになるから、それはしばらく御勘弁願いたいものだと、分業でいきましょうと、こういうことを申し上げているんです。
  217. 矢田部理

    矢田部理君 非常にその辺の姿勢が問題なんですよ。捜査の進行が国政調査との関係でどう見るかということをわれわれも考えているわけです。それに対してケース・バイ・ケースだと言いながら全面的拒否の態度じゃありませんか。  一点だけ伺います。資料について。アメリカから持ち帰られた資料の中にはユニット領収書は入っていますか。
  218. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) 実務取り決めによりまして、日米両国の協定といたしまして、資料の内容を申し上げるわけにはまいりません。
  219. 矢田部理

    矢田部理君 資料の中に入っているかいないかだけ聞いている。
  220. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) 私の申し上げました内容というのは、どういう種類のものが入っておるかということを含めて内容を申し上げるわけにはいかないということでございます。
  221. 矢田部理

    矢田部理君 ピーナツやピーシズの領収書は明らかにされているんですよ。ユニット領収書も存在は確認されているわけです、大久保証言等によっても。これが入っているかいないかぐらい、どうして秘密なんですか。
  222. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) そういうことをいかにも隠し立てしているように思われるかもしれないが、そうではなくて、報道関係でいろいろ報道されることは捜査当局として発表したものじゃないんですね。したがって、そういう点について、そのとおりでございますとか、そのとおりではございませんとか、こういうことを捜査当局を監督する法務大臣の立場から、この口から申し上げることはできないと、これだけのことを言っているんです。
  223. 矢田部理

    矢田部理君 国会の要請に応ずるかどうかはケース・バイ・ケースだと言っている。いまケースごとに聞いてみたら、何一つ答えないというのがあなた方の態度じゃありませんか。
  224. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) それは議長裁定にある政治道義的責任の追及の場が来たら、それに対してどういうふうに協力するかについてはケース・バイ・ケースにいく。いまのは刑事責任の追及のいろいろな資料についてどうだとかこうだとか聞かれるから、それはひとつ捜査当局にお任せ願いたい、誠心誠意をもってやっております、御信頼くださいと、こういうことをお願いしているわけです。
  225. 矢田部理

    矢田部理君 政治社会的責任の追及のために資料が必要なんです。その資料を検察庁は強制捜査でも押えている。アメリカからも持ってきておる。だから、そういう資料の存在が確認できるかどうかということを聞くのがどうしておかしいのですか。われわれとしても当然のことじゃありませんか。
  226. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) それは先ほどあなたが心配されたように、証拠隠滅のおそれがあったりいろいろするから、そういうものはきちっとこっちで押えておって、ぶすっとこうやる。
  227. 矢田部理

    矢田部理君 ピーナツ領収書が明らかになって、ユニット領収書は存在すらも明らかにできないとはどういうわけですか。
  228. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) いま御指摘のものはアメリカの国内においてすでに公表されたものでございますが、その他の資料につきましては、たとえばいま御指摘のアメリカ司法省から検察当局が入手した資料につきましては、協定上もこれを公にしてはならないということになっておりますし、基本的にそういうものを公にすることは現在の段階においては捜査上支障があるということでございます。  したがいまして、先ほど来議論になっております四十七条のただし書きの場合における公益の比較考量ということは、その捜査段階、公判の段階においてレラティブ、相対的な問題でございますが、現在の捜査段階におきましては、少なくとも捜査資料中身を公にすることは捜査の支障になるという意味におきまして、国政調査を尊重すべきではございますが、公益のバランスからいっていま申し上げるわけにはいかないということを申し上げておるわけでございます。
  229. 矢田部理

    矢田部理君 わかりました。そうすると、アメリカの条件、捜査協定、それに捜査秘密と、二つが重なって存在自体も明らかにできない。かなり明白な事実であっても、ここまでやっぱり秘密になってくる。国政調査をそこまで妨害をする、逆に言えば。これが態度ですか。
  230. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) まあ客観的にわかり切っていることを言ったっていいじゃないかという御説のようですがね。しかし、捜査当局のたてまえとしては、事態が真相究明されるまで、なるべく捜査当局の口からは、そういうものはあります、こういうものもあります、どこにありますといったようなことを、いまおっしゃったようなことを、それは公知の事実だからどうか、それはあなたがそういうふうにお考えになればそれでいいじゃないですか。私に言わせなくても、捜査当局を監督するこの立場にある私の口から、一々これだけのことはもう公になっているのだからおまえ白状してもいいじゃないかということは、ちっとどうでしょうか。そういうふうに御了解願います。
  231. 矢田部理

    矢田部理君 総理どうですか、いまの一連のやりとり。
  232. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 矢田部君には御満足のいかぬようですが、私は聞いておって無理ない、現在の段階においては私は無理ない答弁ではないかと、私も聞いてそういう感じがいたします。
  233. 矢田部理

    矢田部理君 いま私は姿勢を見るために一つの例を挙げたにすぎない。そんなことですらしゃべれない、言えない、協力できない。それでどうして国政調査権にはできるだけ協力しますという総理言葉が出てくるんですか。具体論、各論になったら何も協力しないということじゃありませんか。
  234. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いま捜査当局刑事上の責任というものを一生懸命追及しておるわけですから、われわれとしては積極的にその捜査活動というものを、何ら捜査妨害をするようなことなく、できるだけ迅速に真相解明するようにという立場の方が真相解明に役立つという判断をするわけでございます。
  235. 矢田部理

    矢田部理君 納得しませんけれども、もう一つ伺っておきたいのは、ロッキード社はディーク社を通じて全日空に三千万円渡しているという指摘があります。これについて国税庁が調査したやに承っておりますが、その内容を伺いたい。
  236. 横井正美

    政府委員(横井正美君) お答え申し上げます。  全日空につきましては、昨年の十一月下旬から定例の調査に入っております。その段階におきまして、ロッキード社との問題もいろいろございますので、その辺も念頭に置いて調査はいたしておりますが、ただいま御指摘の点については、現在のところまだ解明はできておらないという状況でございます。
  237. 矢田部理

    矢田部理君 三千万円を受け取ったルートなり、趣旨なり、問題点なりは説明できませんか。
  238. 横井正美

    政府委員(横井正美君) 現在引き続き調査中でございまして、まだいまの御指摘の問題について、そのような事実が存在するということを把握しておらない、こういう状況でございます。
  239. 矢田部理

    矢田部理君 検察庁、警察はこの問題を捜査の対象にしていますか。
  240. 安原美穂

    政府委員(安原美穂君) いま御指摘の点は承知いたしておりません。
  241. 矢田部理

    矢田部理君 警察はどうですか。
  242. 吉田六郎

    政府委員吉田六郎君) そのような話も巷間いろいろとうわさされておりますし、資金の流れの一つとして関心を持っております。
  243. 矢田部理

    矢田部理君 関心を持つだけじゃ困るんですよ。捜査しているかと聞いている。
  244. 吉田六郎

    政府委員吉田六郎君) 関心を持って捜査の対象といたしております。
  245. 矢田部理

    矢田部理君 次の質問に変わります。  運輸省に伺いますが、運輸省は四十七年の四月、エアバス導入の方針だったようですが、その理由、経過、受け入れ態勢などを明らかにしていただきたい。大臣、まず基本方針。
  246. 中村大造

    政府委員中村大造君) お答え申し上げます。  エアバスの導入につきましては、日航、全日空ともに四十五年ころからその検討をいたしておったわけでございまして、各社の計画によりますと、四十七年の四月ごろからエアバスを導入したいと、こういう計画があったことを承知いたしております。
  247. 矢田部理

    矢田部理君 その時期に受け入れる理由、態勢を聞いているわけです。
  248. 中村大造

    政府委員中村大造君) 運輸省といたしまして四十七年からのエアバス導入を決定いたしておったわけではございませんで、各社の計画の中でそういうことが計画されておったと、こういうことでございまして、これは当然のことながら、四十四年、四十五年当時非常に輸送需要が旺勢でございまして、年率二五%以上の伸びを示しておったわけでございます。しかも一方において空港事情等につきましてはやはり窮屈になってきておりまして、自由な増便もできないわけでございます。したがって、旺盛な需要増に対応し、しかも増便もある程度抑制できる、こういう観点から、各社が十分な安全性の確保ということを前提にいたしましていわゆるエアバスの導入を計画しておったということでございまして、これはもう当時世界的な傾向としてエアバス導入が推進されておった。こういうことでございますから、政府といたしましても四十五年の暮れに運輸政策審議会の答申を受けまして、航空政策について閣議了解をいたしておりますけれども、その中にも安全性を前提にして、いわゆるジェット化、大型化、こういうものを推進していくのだと、こういうことを鮮明にしておったわけでございまして、ただ、政府としては何年度からエアバスを入れさせるのだということについて明確な決定をしておったわけではないというふうに承知いたします。
  249. 矢田部理

    矢田部理君 運輸省としてはどうですか。
  250. 中村大造

    政府委員中村大造君) 運輸省といたしましては、四十七年度から仮にエアバスを国内に導入いたしました場合に、空港事情といたしましては、幹線については必ずしも導入は不可能ではないという感じは持っておりました。しかしながら、本格的にこれを導入していくためには、必要な空港の整備というものも引き続いてやる必要はあるという状況でございまして、政府として四十七年度からエアバスを導入させるんだということを計画を決めておったということはございません。その点は先ほど御説明したとおりでございます。
  251. 矢田部理

    矢田部理君 四十五年十二月の空港整備五カ年計画、ここではっきり方針出しているんじゃありませんか。
  252. 中村大造

    政府委員中村大造君) 四十五年に策定いたしました五カ年計画は、これは四十六年度から五十年度までのいわゆる五カ年間に整備すべき空港についての計画でございまして、特に何年度にどこを完成する、こういうふうな決めはございません。したがってこの五カ年計画は、四十七年四月からエアバスを導入させる、こういう前提でそういうことを決めた上で五カ年計画を策定したと、こういうことではないというふうに承知いたしております。
  253. 矢田部理

    矢田部理君 四十七年春に導入するということをうたっておりませんか。
  254. 中村大造

    政府委員中村大造君) 先ほども申し上げましたように、運輸省といたしましては四十五年当時、各社が四十七年四月ごろからエアバスを導入する計画を持っておるということは承知いたしておりましたし、また幹線については必ずしもそれは不可能ではないと、こういう感じを持っておったわけでございますけれども、いわゆる空港整備五ヵ年計画の中で四十七年度四月導入を前提として計画を策定したということではないというふうに承知いたしております。
  255. 矢田部理

    矢田部理君 そうすると、民間の計画であって、運輸省は方針は出さなかった、政府の方針ではない、こういうことですか。
  256. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) ただいま航空局長が申し上げましたようなことでございますが、当時の事情をかいつまんで申し上げますと、四十五年という年は万博のあった年でございまして、それまでずっと航空旅客の一需要がふえてまいりまして、万博がピークになったわけでございます。そこで、将来の国内航空をどうするかということで運政審の答申なり、あるいはそれを受けまして四十五年の十一月に閣議了解をやったわけでございますが、その中身の主なる点は、当時日本航空、それから全日空、それから日本国内航空、東亜航空、これらの国内航空企業の再編成ということが主として問題でございまして、その再編成をやろうというのが四十五年十一月の閣議了解の基本線であったわけでございます。  その中で、将来は、航空の安全なりあるいはそれぞれの企業の内容が整備するということが前提で、ふえていく航空旅客の需要にこたえるためにジェット化、大型化を推進しようというのがこの方針でございました。で、世界の趨勢としてそのころ大型機の開発等が行われておりましたので、当然日本におきましても、日本航空なりあるいは全日空が日本にもそれを導入したいという意向があったことは事実でございまして、これは航空企業は企業の立場でそういう計画を持っておりました。で、四十五年の九月あるいは十二月、そのころに、それぞれの航空会社は自分のところでは五カ年計画の中で大型機も入れたいという計画を持っておりました。  しかし、運輸省といたしましては、いま申し上げましたようないろんな前提条件の上で将来の構想としては持っておったわけでございまして、四十七年にやるべきであるとか、四十八年にやるべきであるとかいうことは考えていなかった。当時国際線を持っておりました日本航空はかなり大型機を国際線に使っておったわけでございますので、国内にこれを導入しようとすれば一番やりやすかったわけでございます。ことに、それをさらに一層大型化して国内に転用するという考えもあったようでございます。しかし、当時の国会の論戦を見ましても、野党からの御質問の中にも、航空の安全なり国内空港が整備していない、十分にしていないこの段階で急いで大型機を入れるということはどうかという質問も、衆議院の予算委員会なりあるいは決算委員会等で言われておりまして、政府も同じような慎重の立場をとっておった。しかも、国内では日本航空と全日空と公正な競争をやらなければ航空企業の育成はできませんので、両社がそういう大型化が入り得るような時点に達すればこれは大型もよろしかろう、また両社の相談の上で合意ができてもそれもよかろうというふうな態度で運輸省はおったわけでございます。当時の運輸大臣がそういう国会での質問等を受けまして、大型機の導入にはきわめて慎重でなければならないという答弁をしておりましたのも、そういう経緯を踏まえてのことでございます。
  257. 矢田部理

    矢田部理君 それでは、方向は認めたけれども方針は確定していなかったと。導入を延期すべしというような行政指導なり方針を出したのはいつでしょうか。
  258. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) 将来は導入するという基本方針でございますから、導入の時期そのものを航空会社があるいは四十七年を目途にという考えを持っておったのでございますが、四十七年に、ことに弱い企業の方の全日空はなかなかそれだけの資金調達その他に非常に困難があったようでございますが、しかし、両社とも四十七年ごろを目途にして導入したいという考えを持っておったことは事実でございますが、四十六年に御承知のように全日空では雫石の事故あるいは「ばんだい号」の事故等が起こりまして、それでとうてい四十七年に導入するということはいろんな観点から困難であるということで、この延期を全日空としては考えたわけでございます。そういうことで、四十七年にそろって両社が話をし合って導入するということがむずかしいという状態になったわけでございます。
  259. 矢田部理

    矢田部理君 それは民間会社同士の話し合いで延ばしたので、運輸省は関与していないというのですか。
  260. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) 運輸省は最初から四十七年にどうしても導入しなさいという方針ではございませんでしたので、民間の方が四十七年を目途にやっておりますれば、民間同士の間で話ができ、しかもそれが可能でありますれば、あえて運輸省は反対するものではないわけでございますが、運輸省の方針は可能な時点において将来大型化という方針でございますので、四十七年にできなくなったから運輸省の方針を変えたとか変えなかったとかということとはちょっと話が違うわけでございます。
  261. 矢田部理

    矢田部理君 行政指導なり方針を出したのはいつかと聞いているんです。そうすると、出してないということですか。
  262. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) 四十九年がよろしいという方針を出しましたのは、正式に出しましたのは四十七年の七月一日の、二年前の閣議了解を受けての運輸大臣通達で出したわけでございますが、これを出すに至りましたまでの考え方は、いまのような状況で四十七年は無理であろうと、それからこれを導入いたしますにはやはり一年半ぐらいの期間が要るわけですね、機材の発注から。そういう時点から考えましても、四十七年でこういう方針を一番早く決めるとすればやはり四十九年しかないというふうなことから、また四十九年になれば当時の事情として全日空も、日本航空はもちろんでございますが、大型の導入が相そろってできるのではないか、まだ機種の決定は当時決まっておりませんでしたけれども、いずれにしても大型の導入はできるであろうということで、大臣通達によって国内の大型化の導入は四十九年を目途とするという意味の方針を決めたわけでございます。
  263. 矢田部理

    矢田部理君 大臣通達以前に行政指導したことはありませんか。
  264. 中村大造

    政府委員中村大造君) 先生御指摘の点は、ただいま大臣が御説明申し上げました四十七年七月の大臣通達で四十九年度以降導入を認めると、こういう方針を鮮明にいたす前に、エアバス導入について運輸省が延ばした方がいいではないかという行政指導をした、そういう有無をお尋ねだと思います。  この点につきましては、確かに四十六年に入りまして二月ごろでございますけれども、当時の客観情勢は、いわゆる万博が終わりまして、四十五年終わりごろまで伸び続けておりました輸送需要がやや停滞いたしまして、各社のいわゆる利用率というものが非常に下がってきておったわけでございます。それから各社の計画を見ますと、先ほど申し上げましたように四十七年四月から新機種を導入する、日航は国際線で使っておりましたジャンボを国内に転用するという計画でございますけれども、この各社の計画を見ますと、いずれもこの国内線で自社の占有率といいますか、出社の分け分というものを相当高く見ておる、そういう計画でございますので、運輸省としては、このままの各社の計画どおり四十七年度から国内にエアバスを導入をさせますと、その当時の鈍化してきた輸送需要から売ると供給力過剰になるのではないかと、こういう心配をしたわけでございます。  たまたま、そのころは日本航空の四十六年度の事業計画なり収支予算等を審査して、これを認可しなければならない時期でございますので、そういう日航の予算との関連もあったわけです。で、現にまだエアバスは当時エアラインで実際に就航していない状況でございまして、そういう点を考えますと、しかも相当な高額の資金を必要とするわけでございますから、運輸省としては、やはり当時の判断としては先行きの需要の見通しというものをもう少しはっきりさせた上でエアバスの導入を踏み切った方がいいのではないか、こういうことで、四十七年の計画というものを各社持っているわけでございますけれども、それを少し先に延ばしたらどうだということで、四十七年度、四十八年度二カ年間は従来のいわゆる在来型の機種を用いて、しかも従来飛んでおりました飛行回数等が確保されれば十分輸送需要を賄える、こういう観点から四十九年ごろまで導入を延ばしたらどうだろうか、そういう点について一遍両社でよく検討し、相談をしてみたらどうだと、こういうことを、特に強いいわゆる行政指導とかなんとかということではなかったかと存じますけれども、そういうふうなアドバイスを各社にしたということは、これは各社におけるいろいろな記録等から見てもそういう事実があったということでございまして、いわゆる行政指導行政指導と言われておりますけれども、それは四十六年の当初にそのような意思表示を航空局がいたしたということであろうと思います。
  265. 矢田部理

    矢田部理君 四十六年の二月段階でそういう指導、考え方を示したことはあるわけですね。
  266. 中村大造

    政府委員中村大造君) 先ほど申し上げましたように……
  267. 矢田部理

    矢田部理君 あるか、ないかでいいです。
  268. 中村大造

    政府委員中村大造君) そのような観点から少し先に延ばしたらどうかという、そういう意思表示をしたということは事実であろうと思います。
  269. 矢田部理

    矢田部理君 それは、だれがどこに対してしたのでしょう。
  270. 中村大造

    政府委員中村大造君) これは当時、折に触れてそういう意思表示をしたというふうに考えるわけでございまして、いつ、だれが、どこで、だれにそのような意思表示をしたかということは、役所といたしましてもそういう記録が残っていないわけでございますし、また会社の方にもそういう記録はございませんので、だれがだれにやったかということは判明いたしませんけれども、そういう意思表示が航空局からあったと、こういうふうに理解し得ることは、これは日本航空にしても全日空にしてもこれを肯定いたしておりますので、その事実は間違いなかろうと思います。
  271. 矢田部理

    矢田部理君 そういう方針はどこで決めたのですか。
  272. 中村大造

    政府委員中村大造君) これは当時の航空局でそういうふうな検討をしたということでございます。
  273. 矢田部理

    矢田部理君 当時の航空局なり運輸省の、その問題の責任者はだれだったんですか。
  274. 中村大造

    政府委員中村大造君) 当時のこの方針は、だれが決めたとか、だれが言ったということではなく、当然これは航空局の中でそういう議論がされて、そういう航空局としての意思が事業者に伝えられたと、こういうことでございまして、だれが発議をし、だれが決めて、だれが言ったということではなく、当然これは運輸省という、航空局という組織でそういうことが決められて意思表示されたというふうに考えます。
  275. 矢田部理

    矢田部理君 三木総理、この導入延期はいろんな意味で疑惑の対象になっているんですよ。そういうことを政府として調べないんですか。それが真相究明じゃありませんか。どうなんですか。あいまいでどうにもならぬじゃありませんか。
  276. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) 当時のことでございますので、私もいろいろ航空局を督励をして事情を聞いてみましたが、いま航空局長が申し上げたような経緯でございまして、まあ私としてもきわめて常識的な措置ではなかったかと思うわけでございます。といいますのは、前に申し上げましたように……
  277. 矢田部理

    矢田部理君 理由を聞いているんじゃない。だれが決めたかということを聞いているんです。
  278. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) それは恐らく航空局がその行政の責任局ですから、航空局長が航空局の意見をまとめて、そういうことでやむを得ないと決めたのか、あるいは上司と相談したのか、その点は現在でははっきりいたしておりません。しかし、航空局の方針といいますか、責任で決めたことですから、要するに運輸省の責任として決めたということになると思います。
  279. 矢田部理

    矢田部理君 そういうだれが決めたか、どこで結論出したかもわからないような方針が問題なんですよ。三木総理、そういうことを調査するのが真相究明じゃありませんか、政府として。どう考えますか、こういう問題。
  280. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これはやっぱり運輸省としてそういう方針を決めたわけです。それまでの過程には、運輸省で決めるものについてはいろいろな航空局の中でも相談をしたでしょうが、最終的に決めたものは運輸省が決めたわけでございますから、運輸省の、当時の運輸大臣のもとにそういう方針を決めたものであると解釈することが妥当だと思います。
  281. 矢田部理

    矢田部理君 解釈を聞いているのじゃないんですよ。局段階で決めたのか、庁議で決めたのか、大臣レベルもそれの決定に関与しているのか、こういうことを聞いているんですよ。
  282. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) 通達の中で大型化を導入するという方針は一応決めておりますので、それが運輸省として、あるいは運輸大臣としての基本的な方針であるわけでございます。それを受けまして、いつ、じゃ導入を決めるかということは、当時の実情を事務的に調べ、実情をよく知っておる航空局の中において事務的にそういうことを決めて、そういう方針にしたということでございますので、先ほども申し上げましたように、そういうことが、航空局で事務的に決めようと、あるいは上に相談しようとすまいと、そのこと自体が問題になったときに、じゃあ責任はということになりますと、上は運輸大臣から次官、担当局長、これはすべて責任を持つということになるわけでございます。
  283. 矢田部理

    矢田部理君 導入延期が非常に疑惑の対象にされているわけでしょう。どこでだれが決めたのか、だれがイニシアをとったのか、きわめて重要なことなんです。もう少し具体的に、調べてないなら、わからないならわからない、あいまいならあいまいだということが問題なんだから、適当に答えてもらっちゃ困るのですよ。組織上、最終的にだれが責任を負うべきかという問題じゃないんです。具体的にだれが決めたのか、だれがイニシアをとったのかを聞いている。
  284. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) いま申し上げましたように、事務的に実情を判断しながら決めるべき問題でございましたので、航空局長が決めたと私は聞いております。そして、責任はもちろん上までいくことは当然です、運輸省の方針として決めるわけでございますから。
  285. 矢田部理

    矢田部理君 航空局長というのはだれですか。しかも運輸大臣は、これには関与しなかったのでしょうか、当時の。
  286. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) そういう方針を決めた以上は当然これは、事後報告になるかもしれませんが、大臣、次官等に報告することは当然でございますが、当時の局長は内村君でございます。
  287. 矢田部理

    矢田部理君 運輸大臣、次官等には報告したのですか。それとも、そちらの指示で決めたのですか。その辺のいきさつはどうですか。報告なのか、指示なのか。
  288. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) その辺はちょっと航空局長から答弁します。
  289. 中村大造

    政府委員中村大造君) これは、当時の航空局が組織として事務的に検討してその方針を打ち出したということでございます。したがって、大臣からの指示というものは全くなかったと、こういうふうに私は報告を受けております。
  290. 矢田部理

    矢田部理君 だれから。
  291. 中村大造

    政府委員中村大造君) 当時の関係者から報告を受けております。
  292. 矢田部理

    矢田部理君 そうすると、当時の内村局長がその責任において決めたと、こういうことですね。
  293. 中村大造

    政府委員中村大造君) そうでございます。
  294. 矢田部理

    矢田部理君 そういう行政指導の上に、四十七年の七月一日に先ほどの丹羽運輸大臣通達というのを出しましたね。これはどういう内容ですか。
  295. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) 四十七年の七月一日に「航空企業の運営体制について」という大臣通達でございますが、要旨をずうっと申し上げますと、四十五年の十一月の閣議了解に基づいて、航空企業の運営体制を次のように具体化する。この場合には安全運航の確保と利用者の利便の増進を期するとともに、定期航空運送事業三社それぞれの事業分野を明らかにする。過当競争を排して共存共栄を図る。これが前文でございまして、三項目に分かれております。  一つが「事業分野」でございます。  まず日本航空でございますが、これは国内幹線と国際線の運営を行う。今後特に急増する国際航空、貨物輸送需要に対応し得る航空企業体制についても有効な方策を早急に決めて具体策を提示する。  それから全日本空輸株式会社につきましては、国内幹線及びローカル線の運営にその主力を注ぐ。同時に、逐次近距離国際チャーターの充実を図るということでございます。近距離線の国際チャーターの地点についてはいろいろ書いてございますが、それが主眼でございます。なお、この近距離国際線の運営には、チャーター方式のほか、不定期航空としての運営方法もあるけれども、現時点においてはチャーター方式によることとするということになっております。  それから東亜国内航空につきましては、これは四十六年の五月に合併して現会社になっておるわけでございますが、国内ローカル線の運営を行うのを主にいたしております。そして、先発企業の協力のもとに、安全の確保を前提として一部路線のジェット化による運航を認めるものである。それからローカル線のジェット機による運航実績を基盤として、安全の確保を前提としながら、将来国内幹線のジェット機による自主運航を認めていく。その幹線運航の開始の時期は昭和四十九年度を目途とするというふうに書いてあります。それからジェット機の運航につきましては、これも東亜国内航空についてでございますが、当面、先発企業の技術支援を必要とする。しかし、極力従来の依存主義を排して、可及的速やかに真の意味の自主運航体制を確立しなさいということでございます。  第二番目が「輸送力の調整」でございますが、国内幹線及びローカル線における各社の輸送力は、一定の基準を超える需要増の見通しが明らかとなった場合には、その増便を認めましょう。この場合、路線の総合平均利用率、ロードファクターといっておりますが、幹線は約六五%、ローカル線は七〇%を基準として輸送力の増強をやりますということでございます。それから国内幹線における輸送力増強の各社の割り振りは、共存共栄の基本原則にのっとって、後発企業の育成を勘案しながら各社協議をして決めなさい。それから国内ローカル線の二社、つまり全日空と東亜国内航空でございますが、この二社による運営は、昭和四十八年度以降昭和五十一年度までの間、毎年二路線の範囲内で行うものとする。この場合にも相互の共存共栄を旨とし、先発企業は後発企業の育成強化に協力する。  それから国内幹線への大型ジェット機の投入は、昭和四十九年度以降これを認める。ただし、沖繩線については例外とし、空港事情の許す限り、昭和四十七年度より大型ジェット機を投入し得るものとする。投入の時期、便数等については企業間において協議の上決定する。なお、その他の国内幹線においても共同運航等の方法により共存共栄を図ることが可能な場合には、各社協議の上投入時期の繰り上げを図ることを妨げない。  三番目に「協力関係」でございますが、国内幹線においては、共存共栄の実を上げるために必要に応じて各社は運賃プール制を主体とする営業上の協力を行いなさい。運賃プール制の態様は各社協議をして決めなさい。その場合にも先発企業が後発企業の育成強化を十分考えなさい。ローカル線におきましても、先発企業は後発企業に協力して共存共栄を図る。  以上でございまして、最後に、閣議了解に定められた日本航空と東亜国内航空会社との合併しなくなったことに伴う一これは、前にはこの両社が合併することになっておりましたので、それが変わったわけでございますが、合併しなくなったことに伴う問題の処理は、本事業分野の調整とは別に、両社が誠意をもって協議をし、政府の承認を得て解決するものとする、こういうのが大要でございます。
  296. 矢田部理

    矢田部理君 この通達の文書は、ほかのだれかの文書と似ていませんか。
  297. 中村大造

    政府委員中村大造君) これは運輸省が作成したものでございます。
  298. 矢田部理

    矢田部理君 四十七年の六月二十六日、自民党航空対策特別委員長福永一臣氏から丹羽喬四郎運輸大臣あてに出されている文書は御存じでしょうか。
  299. 中村大造

    政府委員中村大造君) 先生御指摘の文書は、そういうふうなあて先の書いた文書のことかと存じますけれども、それは一応役所にそういう文書もございますけれども、それとこの七月一日の通達とは、私は何の関係もないというふうに思います。
  300. 矢田部理

    矢田部理君 そういう文書を出されているのですか。
  301. 中村大造

    政府委員中村大造君) そういうあて先の書いた文書が運輸省に確かに資料としてございます。それ以上のことは承知いたしません。
  302. 矢田部理

    矢田部理君 その文書の「1 事業分野(1)日本航空株式会社」と書いた項を読んでください。
  303. 中村大造

    政府委員中村大造君) 「事業分野」でございますが、「(1) 日本航空株式会社 国内幹線(札幌、東京、大阪、福岡及び那覇)及び国際線の運営を行なうものとするが、今後は一層国際線運営の充実に努める。なお同社は、急増する国際航空貨物輸送需要に対処しうる航空企業体制につき有効な方策を早急に検討し、その具体策を提示するものとする。」
  304. 矢田部理

    矢田部理君 先ほど大臣が読み上げた通達と文書は、どこが違いますか。
  305. 中村大造

    政府委員中村大造君) 同じであろうと存じます。
  306. 矢田部理

    矢田部理君 関係あるじゃありませんか。
  307. 中村大造

    政府委員中村大造君) 私が申し上げましたのは、六月二十六日付というこの文書全体というものと七月一日付の運輸大臣の通達というものが具体的にどのような関係があるのか、こういうことについて特に関係はないと、こういうふうに思うわけでございます。ただ、七月一日の通達がいわゆる決定いたしますまでの段階においては、これは政府部内におきましてもいろいろな意見を検討の結果、最終的に七月一日の通達の内容が決定されたわけでございますから、その過程においていろいろな資料の中に同じような文句があるということは、これはその検討が相当長い期間にわたって行われたわけでございますから、同じ内容の文言があっても、それは私は不自然ではないと思います。
  308. 矢田部理

    矢田部理君 いま問題になっている福永一臣氏名の文書は、自民党として正式に出したのでしょうか、三木総理
  309. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) ちょっともう一度おっしゃってください。はっきり聞き取れなかったのです。
  310. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 矢田部君、もう一度。
  311. 矢田部理

    矢田部理君 航空対策特別委員長福永一臣名の丹羽喬四郎運輸大臣あての文書は、自民党として正式に党議決定をした文書かと、こう聞いている。
  312. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) それは私の立場ではわかりません。
  313. 矢田部理

    矢田部理君 あなたには聞いていないんですよ、私。総理に聞いている。
  314. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私いま承知しませんが、それは調べてみます。
  315. 矢田部理

    矢田部理君 これが疑惑の焦点の一つなんですよ。あなた、何を真実究明しようとしているんですか。調べてくださいよ、いま。
  316. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) 先般この文書が党でも問題になったことは私も聞いております。結論としては、党でつくった文書ではない、知らないということになったと聞いております。
  317. 矢田部理

    矢田部理君 総裁としてそれは調べて、直ちに明らかにしてください。私はなかなかこういう機会がありませんので。
  318. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 承知いたしました。
  319. 矢田部理

    矢田部理君 いますぐやってくれませんか。聞けばわかるでしょう。
  320. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まだ時間がございますからね、総括の。それで、ちょうどやはりこの問題は当事者が――いますぐということは、これで終わってしまうわけでないんですから、少しの時間をお与えを願ったら、これは調べた結果を報告いたします。
  321. 矢田部理

    矢田部理君 これはマスコミ等でも取り上げられて重要な問題になっているんですよ。大変な問題ですよ。それを、知らない、答えられない、わからない、あとで調べるじゃ困るじゃありませんか。そこに真相解明の熱意を疑うんですよ。
  322. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ私が一々の問題に対して承知しておらない問題はあるわけで、この問題は党としてもこういう問題になったわけでございますから、政調会長のもとでこれはいろいろ調べることになっておりますから、その結果は御報告を申し上げます。ここですぐ調べるというのは、少しの時間をお与え願っても、この予算の総括がまだ続くわけでございますから、できるだけ早くその結果を御報告することにいたしますから多少の時間はお与えを願いたいと思います。
  323. 八木一郎

    委員長八木一郎君) ちょっと速記をとめて。   〔午後二時二十九分速記中止〕   〔午後二時三十九分速記開始〕
  324. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 速記を起こして。
  325. 矢田部理

    矢田部理君 この文書の素性がわからないまま質問するのは何でありますけれども、こういう怪しげな文書を運輸省に持ち込んだのはだれですか。
  326. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) あの文書は受け付けをしておりませんし、運輸省としても正式の文書とは見ていないわけでございますので、ただ、あの文書が運輸省の中にあるということで、どういうルートで入ったかということをいろいろ聞いておりますけれども、はっきりわからないわけでございます。
  327. 矢田部理

    矢田部理君 佐藤孝行運輸政務次官じゃありませんか。
  328. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) その点はわからないのでございます。
  329. 矢田部理

    矢田部理君 運輸省はだれが、いつ、だれから受け取ったのですか。
  330. 中村大造

    政府委員中村大造君) 大臣が御答弁いたしましたように、いつ、だれから、だれが受け取ったのか、そういういきさつはわかりません。
  331. 矢田部理

    矢田部理君 この文書の提出を求めたいと思うし、だれが受け取ったのか、どこから受け取ったのかぐらいは明らかにしてください。大臣あての文書ですよ。
  332. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) 先ほど申し上げましたように、あの文書には判こもついてございませんし、運輸省としても正式の文書としての受け付けも何もやっておりません。したがってわれわれとしては、いまあの文書を見ますというと、名前はなるほどお示しのように書いてありますけれども、正式の文書として認めておらないものですから、どういうルートで入ったか、他のいろんなああいった刷り物がどこからどう入ったかというのと同じように、いろいろ調べてみたんです。調べてみましたけれども、はっきりわからないというのが実情でございます。
  333. 矢田部理

    矢田部理君 佐藤孝行氏に直接確かめたことはありますか。
  334. 中村大造

    政府委員中村大造君) その文書には、先ほど先生おっしゃいました佐藤政務次官の名前は入っておりませんので、したがって、佐藤政務次官に直接確かめたことはございません。
  335. 矢田部理

    矢田部理君 だれが受け取ったかも、だれが持ってきたかもわからない幻の文書なんかが運輸省にあるというのは、どういうことなんですか。
  336. 中村大造

    政府委員中村大造君) 私どもは、要するに正式の受け付け印もございませんし、したがって資料一つとして存在しておるというふうに受け取っておりますので、それがどういう経路で、どういう経過で作成されたかということについては、われわれとしてはそこまでは調査はしていないわけでございます。
  337. 矢田部理

    矢田部理君 委員長、こんな答えには納得できませんよ。はっきりしてくださいよ。これは。かねてから問題になっているわけですから。今度は党じゃなくて運輸省の問題ですよ。
  338. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) まあ、おかしいとおっしゃるのは私どもももっともだと思います。私も実はおかしいと思うんです。で、この書面が自民党の航空対策特別委員長名で運輸大臣あてでございますので、それには、普通の文書ですと航空関係の特別委員長であれば判があるわけでございますし、それから運輸省に来れば受け付け印を当然押しますので、われわれとしてはこれを公式の、あるいは正式な文書とも考えておらないわけでございます。しかも、それが運輸省にもあるということですから、どこから入ってきたということは、これはもう否定できませんけれども、ただその文書でもって当時の航空政策等が左右されるとか、そういうことも当時の運輸省においてなかったと思います。  ただ、いまお話しのように、文書の上で符合する点が確かにあるんです。運輸省として航空政策を決めます場合には、与党の政調の関係部会とはずいぶん長い間にわたっていろいろと議論をし、検討をしてまいっておりますので、あのときの運輸省の大臣通達の基本方針というものは、内容については、党の航空対策特別委員会とも十分連絡をとっておりますので、その文書がどういう文書であるかは別として、そこに響いております内容が大臣通達の内容と合っておる、こういうことはこれはどういうことか、あの内容が航空対策特別委員会の内容と同じものであったかもしれません。それが運輸省と航空対策特別委員会との長い間の検討によって運輸大臣通達ができておりますので、一致する点があると、こう考えざるを得ない、こういうふうに考えておりまして、あの文書の効果については何とも申しようがないわけでございます。
  339. 矢田部理

    矢田部理君 私は内容を聞いているのじゃなくて、いまのところ、だれが持ってきたのか、佐藤孝行氏が疑いがあるというのだから調べるべきじゃないかと言っている。内容はこの次ですよ。
  340. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) 私の方も非常におかしく思いますので、いままでも調べてまいりましたが、ちょっと手がかりもないものですから、いままではっきりいたしておりません。だけれども、これからもよく調べてみます。
  341. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 矢田部君に申し上げますが、なお調べて報告をすると申しておりますから、その報告を得るまで問題審議を、ほかの問題にいま入れませんか。入っていただきます。参考人も呼んでおることですから。  この際、政府に申し上げます。審議資料の要求について、また答弁は十分に準備をして、質疑者質問に答えられまするように強く要望いたし、御注意を申し上げます。  発言者に申し上げます。上要求した資料はできるだけ早く整えると言っておりますから、一部の時間は留保して、残余の問題について発言を続行されることを希望いたします。
  342. 矢田部理

    矢田部理君 非常に不満でありますが、導入延期等をめぐる疑惑の問題について後に質問することといたしまして、別の問題に移りたいと思います。  四十七年九月一日に日米首脳会談があったわけですが、ここで緊急輸入合意書というのができました。その内容を明らかにしてほしいと思います。
  343. 山崎敏夫

    政府委員山崎敏夫君) 四十七年九月の日米首脳会談において緊急輸入の問題が論ぜられたわけでございますが、これはそれ以前の四十七年の七月に行われました日米箱根会談以来の討議の結果を踏まえてでき上がった次第でございます。そして……
  344. 矢田部理

    矢田部理君 飛行機の部分だけでいいです。
  345. 山崎敏夫

    政府委員山崎敏夫君) そのホノルルの日米首脳会談におきましては、一般的には日米貿易収支の不均衡問題が取り上げられたわけでございますが、その一部分として鶴見外務審議官とインガソル駐日アメリカ大使との会談の結果としての鶴見インガソル会談に関する発表があったわけでございます。その中で日本の航空会社は、米国から約三億二千万ドル相当の大型機を含む民間航空機の購入を計画中であり、日本政府は購入計画が締結され次第、これらの航空機の購入を容易ならしめる意向であることが明らかにされた次第でございます。  そして、この三億二千万ドルという数字は、日本の各航空会社が昭和四十七年度及び四十八年度において発注することを計画していた航空機の総額でございます。
  346. 矢田部理

    矢田部理君 いま読み上げた文章の中で、民間機の購入を計画中である。「日本の民間航空会社は」が主語でありますけれども、この民間が立てた購入計画の具体的な内容はどういうものであったか。
  347. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) このときに三億二千万ドル程度の輸入は可能であるという判断をいたしますのに、民間航空会社からヒヤリングをやりまして、需要の予測等を聞きながらまとめたのでございますが、この三億二千万ドルの額は、四十七年度発注分として一億七千三百万ドル、これは中古機が四機、大型ジェット機が七機、その他五機、それから四十八年度の発注分といたしまして一億九千二百五十万ドル、これは大型ジェット機九機、両年度合わせますと三億六千五百五十万ドルの推定額になるわけでございますが、この中にはリース等にかわる可能性もありそうだということで、ことに中古機はそういう可能性もありますので、そういうものを一応落としまして数字の整理を行ったものが三億二千万ドルでございます。実際は、しからばいまから見ましてどうかといいますと、四十七、四十八年度に実際に発注いたしました総額は、四十七年度が二億二千三百万ドル、四十八年度が三億五千百万ドル、合計五億九千四四百万ドルと、こういうことに結果はなっております。
  348. 矢田部理

    矢田部理君 いま読み上げた数字は民間会社の案を基礎にしたのでしょうか、そのものずばりだったのでしょうか。
  349. 中村大造

    政府委員中村大造君) ただいま申し上げました三億二千万ドルの内訳は、各社からヒヤリングをいたしました各社の計画に基づいて、当時運輸省がいわば査定をいたしまして出した数字でございます。
  350. 矢田部理

    矢田部理君 各民間会社の機数は決まっていたのでしょうか。
  351. 中村大造

    政府委員中村大造君) 各社は、これはもう例年計画を立てておりますから、いわゆる長期見通しに基づく計画は持っておったわけであります。したがって、これは各社から航空機をどれくらい四十七、四十八年度について購入しようとしているかという各社の計画を聞いて、それをもとにして緊急輸入という、そういうカテゴリーに入れるとして政府としてどれくらいを見込むかという観点から運輸省がいわば査定をいたしました数字でございます。
  352. 矢田部理

    矢田部理君 日本航空なり全日空なりが何機入れるということがヒヤリングの内容でしたか。
  353. 中村大造

    政府委員中村大造君) 実は七月ごろにヒヤリングをいたしました結果がございますけれども、これで見ますと、四十七年度、大型ジェット機と在来型を含めまして合計二十三機、四十八年には十六機、こういうふうな計画を申しております。
  354. 矢田部理

    矢田部理君 エアバスを中心にお聞きしたいのですが、日本航空は何機、全日空は何機ということを具体的に明らかにしてください。エアバスだけでいいです。
  355. 中村大造

    政府委員中村大造君) この当時はまだエアバスを入れるか、あるいは従来のジャンボを入れるか、この点は各社まだ計画は決まっておりません。したがって私どもがヒヤリングいたしました当時では、日本航空、全日空とも大型ジェット機と、こういうことであって、エアバスとも、あるいはジャンボとも、中身は明確にいたしておりません。
  356. 矢田部理

    矢田部理君 中身が明確にならないのに、どうしてこういうふうに数字がはじけるのですか。
  357. 中村大造

    政府委員中村大造君) したがって、その各社からヒヤリングをいたしましたものをもとにして、運輸省が機数なりそういうものを査定して三億二千万ドルにまとめた、こういうことでございます。
  358. 矢田部理

    矢田部理君 この田中・ニクソン会談の前の七月二十五日から八日までの間、日米通商会談が箱根で開かれましたね。このとき運輸省は、航空会社にエアバスがどのぐらい必要かという問い合わせをしたのではありませんか。その内容を伺いたい。
  359. 中村大造

    政府委員中村大造君) 七月二十五日という時点よりももっと前だと思います。
  360. 矢田部理

    矢田部理君 大分前ですか。
  361. 中村大造

    政府委員中村大造君) もっと前に各社からヒヤリングをいたしました。その数字が、ただいま申し上げましたように四十七年度が二十三機、四十八年度が十六機……
  362. 矢田部理

    矢田部理君 エアバスについて。
  363. 中村大造

    政府委員中村大造君) エアバスかジャンボかという区別がない、その当時はまだ各社ともそういうふうな計画は確定していないということで、そういうものをひっくるめまして大型ジェット機ということでこれは整理されております。
  364. 矢田部理

    矢田部理君 それは違うのじゃありませんか。さっきの読んだ資料とも説明が違うのじゃありませんか。明確にしてくださいよ。
  365. 中村大造

    政府委員中村大造君) これは各社からヒヤリングをいたしましたその数字でございますけれども、日本航空について申し上げますと、四十七年度、ボーイング747が一機、これは747LR、いわゆる国際線用でございます。これが一機。それからいわゆる大型ジェット機、これはしたがって機種は747のようなジャンボになるのか、あるいはトライスターとかDC10のようないわゆるエアバスというものになるのか、これはわかりませんけれども、とにかく大型ジェット機ということで五機と、こういうふうになっています。それからDC8が八機、したがって日本航空としては合計十四機でございます。それから全日本空輸はボーイング727、これが五機、それから大型ジェット機四機、したがって全日空は九機。合計二十三機でございます。これがいわゆる生の、いわゆる航空会社からヒヤリングをいたしましたときに提出された数字でございます。
  366. 矢田部理

    矢田部理君 それは七月段階ですか。
  367. 中村大造

    政府委員中村大造君) さようでございます。
  368. 矢田部理

    矢田部理君 それと先ほど読み上げた田中・ニクソン会談の緊急輸入合意書の内訳は一致するのでしょうか。
  369. 中村大造

    政府委員中村大造君) そういう各社の一応の計画をもとにいたしまして緊急輸入というものに当てはめたときに、運輸省としてどの程度を要望するか、こういうことで運輸省が査定をした数字がただいま大臣から申し上げた数字でございます。
  370. 矢田部理

    矢田部理君 後で計算をしてみればわかりますが、各社のヒヤリングで聞いた数字と緊急輸入合意書の内訳とは、どこがどう違っていますか。
  371. 中村大造

    政府委員中村大造君) 先ほど大臣から申し上げました四十七年度分につきましては、大型ジェット機七機と申し上げたと思います。で、先ほどの各社からのヒヤリングの合計いたしますと、ボーイング747を入れますと十機、それからボーイング747を除きますと九機、こういうことでございますから、九機ないし十機という各社の計画を、運輸省といたしましては七機ということでいわゆる報告をした、こういうことでございます。
  372. 矢田部理

    矢田部理君 四十八年度分はどうなりますか。
  373. 中村大造

    政府委員中村大造君) 四十八年度は日本航空がボーイング747が六機、それから大型ジェット機が二機、合計八機でございます。それから全日空は、その当時はまだいわゆる未確定でございます、未定でございます、七月当時は。それからこれは東亜国内航空もございますので、これは在来型でございますけれども、八機の計画を四十八年度として持っておった。合計十六でございます。それに対して三億二千万ドルの内訳として要望いたしましたものは、国際線用四機、国内線用五機、合計九機でございます。
  374. 矢田部理

    矢田部理君 この緊急輸入合意書の前に鶴見・インガソル会談があった。さらにはその前にキッシンジャー・田中会談がありましたね。その前段で、運輸省事務局案としてエアバス二億ドルを輸入する、エアバス十機、二億ドルを輸入するというような考え方は固まっていたんでしょうか、その時期。
  375. 中村大造

    政府委員中村大造君) そういうふうな計画は固まっておりません。
  376. 矢田部理

    矢田部理君 計画としては事務局の案として二億ドルで十機程度のものは持っていましたか、固まらないまでにも。
  377. 中村大造

    政府委員中村大造君) この二億ドルというのは、恐らくこれは四十七年度だけの分ではないかと思います。それから四十七年度について十機というふうな報道も実は新聞でなされたようでございますけれども、これは私先ほど申し上げました、四十七年度分として各社のヒヤリングの中で出てきたいわゆる大型ジェット機の合計額と符合するわけでございまして、したがって、そういうふうな各社の大型ジェット機についての購入要望というものをまとめてみると十機になる、こういうことではなかったかと存じます。運輸省としてその当時十機購入ということを決めておった事実はございません。
  378. 矢田部理

    矢田部理君 そうしますと、四十七年度分輸入予定の九機とかという案は、金額的に見ると幾らというふうに考えておられたのですか。
  379. 中村大造

    政府委員中村大造君) 四十七年度分といたしまして各社からヒヤリングしてまとめました二十三機、先ほど申し上げました、これは金額は機種をどれにするかということで変わりますけれども、当時は、各社からヒヤリングいたしました当時の金額は三億七千七百万ドル、二十三機分でございますけれども、そういうふうになっております。
  380. 矢田部理

    矢田部理君 エアバス分。
  381. 中村大造

    政府委員中村大造君) エアバスも全部含めまして。
  382. 矢田部理

    矢田部理君 だから、そのうちエアバス分は幾らですか。
  383. 中村大造

    政府委員中村大造君) これは各社のヒヤリングによりますと、日本航空の大型ジェット機五機分でございますが、これは一億三千百六十三万五千ドルでございます。それから全日空の四機分、これは一億二千四百万ドルでございます。
  384. 矢田部理

    矢田部理君 そうすると、ヒヤリングの段階で機数と金額は各社とも計画としては持っておったわけですね。そのとおりですか。
  385. 中村大造

    政府委員中村大造君) 各社とも毎年長期計画をつくっておりますから、当然各社は四十七年度、四十八年度において契約するであろうこの計画というものは、ラフなものであってもとにかく持っておったことは確かでございます。
  386. 矢田部理

    矢田部理君 問題は飛行機によって値段が違うわけですから、金額と機数が決まっているということになれば、おのずからどの機種でということが含みとしてなければおかしいわけですね。それはどの機種を基礎にして算定したのでしょうか。
  387. 中村大造

    政府委員中村大造君) 当時、七月にヒヤリングをいたしました当時の資料で見ますと、この大型ジェット機は、各社ともこの契約金額から逆算いたしますと一機当たり約二千数百万ドルということになります。約三千万ドル、二千五百万ドルから三千万ドルあたりの単価になるわけでございます。したがって、この計画で見る限りにおいて、各社ともいわゆる大型ジェット機、いわゆるジャンボでございますが、こういうもので一応計算して出してきたと、こういうことでございます。  ただ、これは各社が四十七年度に現実に当時そういう機種を買うという計画をもう決めておったということではなくて、運輸省からヒヤリングをいたしましたときに各社として計画として出してきたものでございまして、これは当然今後機種が決まり、また機数についても正確に検討をいたしまして決定をする、こういう前提で、したがってこの計画は変わり得るものであるという前提で各社も出してきたわけでございますし、当時の運輸省もその前提でこれを聞いたと、こういうことだと思います。
  388. 矢田部理

    矢田部理君 先ほどの通達でも出ておるように、四十九年度からエアバスを導入するということになっているわけでしょう。まさにこの時期、エアバスの導入が問題になっておったのでしょう。それをジャンボの値段で計算するというのは少しずさんじゃありませんか。
  389. 中村大造

    政府委員中村大造君) ただいま申し上げました数字でこれを外に出したとか、あるいはそれで決めたということではございませんで、運輸省から四十七、四十八、四十九年度ぐらいにどれくらいいわゆる購入するのかということをヒヤリングいたしましたときに、各社が一応そういう計画を持っておった、こういうことでございまして、その当時まだ機種決定をいたしていない段階でございますから、したがって、これは今後機数にいたしましても変わり得る、こういう前提でわれわれもヒヤリングしたと思います。
  390. 矢田部理

    矢田部理君 同じ質問を繰り返すのも何ですけれども、エアバスの導入を四十九年からやろう、通達もそれを認めるというのがさつきの通達でしょう。そしてドル減らしのためにそれをさらに積極的に進めようというのが田中・ニクソン会談だったわけでしょう。エアバスの値段や機数を基礎にしないで、ジャンボという別の大型機の値段を基礎にして運輸省案をつくるとか、計画を各航空会社が立てるというのはおかしくありませんか。
  391. 中村大造

    政府委員中村大造君) エアバスという言葉意味でございますけれども、いわゆるジャンボ等と区別して言っている場合と、あるいはそういうものをひっくるめていわゆる大型機、ジャンボも含めまして大型機を国内線に導入するということを一括してエアバス導入と、こういう言葉で言われておることとあるわけでございます。したがって、私、ジャンボとエアバスと一応さっき区別いたしましたけれども、いわゆるエアバス導入と、こういう言葉で言われておる場合には入っておる。ということは、四十七年に現実に契約いたしましたのが、全日空はトライスターであり、日航はジャンボであった。そうしてそれは総称してエアバス導入と、こういう言葉で言われておるということで、私説明が不行き届きであったことをおわびいたします。
  392. 矢田部理

    矢田部理君 どうも説明が非常にずさんでわかりにくいのですけれども、どうもこの緊急輸入合意書をつくった段階では、すでにこの機数とか値段がほぼ決まっているわけでありますか。とすれば、機種そのものも内輪の話としては内定していたのじゃありませんか。
  393. 中村大造

    政府委員中村大造君) 全くそのようなことはございませんで、先ほど申し上げましたように、四十七年度購入分としてこの七月にヒヤリングいたしました段階では、ラフな資料とは申せ、日本航空は大型ジェット機五機と、こう言っています。それから全日本空輸は大型ジェット機四機と、こういうふうに言っております。それを二つ足すと九機でございます。で、現実に三億二千万ドルの内訳として、先ほど大臣からも申し上げました四十七年度契約分は七機でございます。それから現実に四十七年の十月に機種を決定いたしまして実際に契約いたしました機数は、日本航空がジャンボで逆に四機、全日空はトライスターで六機と、こういうことになったわけでございますから、この辺の経過はずいぶん変わってきておる。したがって、この時点において機種なり機数なりがあらかじめ決まっておったということは、現存いたしております資料なり当時の関係者からいろいろ事情を聞きました限りにおいては、絶対にそういうことはあり得なかったというふうに思います。
  394. 矢田部理

    矢田部理君 七月段階のヒヤリングの際はあるいはそうであったかもしらぬけれども、その後八月末の田中・ニクソン会談に向けていろんな詰めが行われたはずですね。その詰めの中で案が煮詰まっていった。しかも、この正式の発表は十月三十日になるわけですけれども、その前の段階で、たとえばホートン会長は、全日空からトライスター六機の発注を確信しているという記者会見をしている。あるいは商社筋からも同じような情報が八月段階で流れています。全く同じ結果が三十日の発表に出てくるということになりますれば、値段の問題はもうちょっと詰めなければなりませんけれども、すでに機種は決まっておった、田中・ニクソン会談前に決まっておったと見るのが常識じゃありませんか。
  395. 中村大造

    政府委員中村大造君) 緊急輸入のこの三億二千万ドルを決定いたします段階で、この積算をいたします段階で、先生御指摘のようなことが決まっておったという徴候はどの資料からも出てまいりません。それから機数にいたしましても、現実に四十七年度分は七機ということで積算いたしておりますので、これは日航、全日空含めて七機ということで積算いたしておりますので、四十七年十月に発表されました両社合わせて十機という数字とは相当変わっておる。したがって、端的に申し上げれば、三億二千万ドルというものは各社からのヒヤリングをもとにして当時の航空局はごく控え目に、内輪に見積もって出したと、こういうことが真相であろうと存じます。
  396. 矢田部理

    矢田部理君 裏づけはそれだけではなくて、たとえばチャーチ委員会の資料の中にも、ニクソンはトライスターを称賛した、イギリスのヒース首相はロールスロイスのエンジンを使っている飛行機を買うよう日本政府に促した、その両者を満足させるために日本がトライスターを買うことだと当時の田中総理は考えたというような資料までチャーチ委員会ではつくられているわけですよ。その点どう考えますか、三木総理
  397. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) そのような資料がチャーチ委員会にあるということを私存じておりません。ただいま申し上げましたとおり、そのようなことがチャーチ委員会で議論されたということを承知しておりません。
  398. 矢田部理

    矢田部理君 資料の中に入っているわけですよ。資料の中に入っているんです。だから承知しておりませんというのでは答えにならぬですよ。
  399. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) ただいまのお尋ねは田中・ニクソンの話で、ですからトライスターを買うことがいいんだというような話をしたというようなことがチャーチ委員会の資料にあるとおっしゃいましたから、そういうことは私ども承知していない、資料があることを承知していないということです。
  400. 矢田部理

    矢田部理君 総理どうですか。(「雑誌の記事として資料が載っているじゃないか。」と呼ぶ者あり)
  401. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 雑誌にそういうことがあったことは私も知っております。それはチャーチ委員会の記録ではないんです。
  402. 矢田部理

    矢田部理君 チャーチ委員会の資料としてそういうものは載っており、公表されているんですよ。そういうことについて三木総理どう考えるかと、こう聞いているのです。
  403. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) それはなんでございましょう、タイムという雑誌の写しが出ているという、そういうことでございます。
  404. 矢田部理

    矢田部理君 出ている。そういう重要な指摘がある。しかもそれはチャーチ委員会の資料にもなっている。それを受けて三木総理、どういうふうに考えるか、受けとめるかと、こう聞いているんです。
  405. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いま外務大臣は、チャーチ委員会の資料というものは大部分日本に提供を受けたわけですが、しかし、そのようなことがチャーチ委員会で論議されたことは外務省自身でも承知してないというわけですから。チャーチ委員会でそういうことが論議されたという前提のもとに調べてみよと、こういうことについては、そういうことが論議されたことは、外務省自身ですらこの問題については承知してないというのですから、調べると申しましても、これはなかなかそういう前提のもとにおいては調べることは困難な問題でございます。
  406. 矢田部理

    矢田部理君 チャーチ委員会の資料は外務省を通じて日本政府もらっているんでしょう。今度の秘密書類じゃありませんよ。それに基づいてこの疑惑が大きく浮かび上がったのじゃありませんか。そういうことについて調べてないのですか、三木総理は、三木内閣は。
  407. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) それは少し問題を厳密に申さなければならないわけですけれども、チャーチ委員会から送られて国会にも御提出いたしました資料の中には、いろいろある特定の個人についての興信録のようなものの写しであるとか、あるいは雑誌に関する記事だとか、いろいろなものがございます。これはもう雑誌に出ておりまして私どもも当時も読んでおるわけであって、このこと自身がチャーチ委員会によって事実として裏づけられたというふうな意味合いは何にもないわけでございますから。
  408. 矢田部理

    矢田部理君 田中総理自身から聞くのが、前総理から聞くのが筋かもしれませんな。少なくともそういうものまで資料に上がってきており、その記事の内容から言えば重大な指摘があるわけですよ。それについて三木総理が本当に真相究明するというならば、このエアバス導入の経過についても、田中・ニクソン会談の中身についても、みずから政府として調べてしかるべきじゃありませんか。
  409. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) そのことでございましたら、田中・ニクソン会談の記録というのは外務省に残っておりまして、それは私が全部通読しておりますけれども、そういう部分はございません。
  410. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 田中・ニクソン会談のこの記録は私も承知しておるし、また、当時のそれに立ち会った者からも事情を聴取いたしましたが、そういう話が出ておるということはございませんでした。
  411. 矢田部理

    矢田部理君 田中前総理に改めてそのことを詰める、聞くという気持ちにはなりませんか。
  412. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 記録にも全然――その日米首脳会談の記録は外務省にあるわけです。私もそれを読みましたし、また、それに立ち会った者からも直接事情を聴取したわけでございますが、そういう話はないということでございます。
  413. 矢田部理

    矢田部理君 議事録を見ればわかるという話ではないでしょうけれども、時間がありませんので次の問題に入りたいと思います。  防衛庁に聞きますけれども、防衛庁はPXLの国産化について最近統一見解めいたものを出して、国産化方針はなかったと言っておるようですが、そのとおりでしょうか。
  414. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 四十七年の二月に四次防の大綱が決まったわけでございますが、その際には、次期対潜機を国産化するということを決めておりません。したがいまして、四十七年の十月九日の国防会議議員懇談会におきまして了解事項が決められたわけでございますが、この際国産化を「白紙とし」という言葉はございますけれども、これはその国産化が前に決まっておってそれを「白紙とし」という意味ではなくて、従来防衛庁は国産化を主張し、大蔵省は、それは余りにも金がかかるということで、国産化を前提とする研究開発費は認めがたいと、こういうことで了解事項が決まった。そしてこの次期対潜機の選定については専門家会議を設けて専門家の意見を徴して最終的に決めらるべきであると、こういうことがわかったわけでございます。もちろん、われわれの方では四十五年、四十六年次期対潜機の基礎研究費を要求し、それが認められたわけでございます。特に四十六年、四十七年、四十八年には基本設計も含む国産化を前提とする、を目指す要求はいたしたわけでございますけれども、四十六年度の予算におきましても、四十七年度の予算におきましても、最終的には、大蔵側として国産化を目指す研究開発ということは認めがたいと、こういうふうに明示をいたしまして、それをわれわれは踏襲をしてきたと、こういう経緯になっておるわけでございます。一応そういうことでございます。
  415. 矢田部理

    矢田部理君 白紙還元前の状況をお尋ねしますけれども、四十一年四月の三次防技術研究開発計画では、PXLについてどういう方針を出しておりますか。
  416. 丸山昂

    政府委員(丸山昂君) お答えいたします。  三次防の計画の中に、研究開発の中に次期対潜機という項目は入っておりません。
  417. 矢田部理

    矢田部理君 私のいま読み上げた表題の文書に入っておりませんか。
  418. 丸山昂

    政府委員(丸山昂君) お答えいたします。  ただいま先生から御指摘のございましたのは、昭和四十一年十一月二十九日の国防会議及び閣議決定、「第三次防衛力整備計画の大綱」であると思いますが、この中には次期対潜機についての記述はございません。
  419. 矢田部理

    矢田部理君 そういう文書じゃないです、私が言っているのは。文書の表題が違う。第三次防衛力整備計画技術研究開発計画の中身
  420. 丸山昂

    政府委員(丸山昂君) ただいま先生御指摘の資料、私ども持っておりませんので正確なお答えを申し上げかねますが、私ども承知しておりますのは、第三次防計画の大綱におきましては次期対潜機という項目は出ておりません、研究開発の。しかしながら、この第三次防計画でなくて、細部の計画を積み上げの基礎資料として細部の計画がございますが、その細部計画には次期対潜機に関連した研究項目というものを掲げてはございます。
  421. 矢田部理

    矢田部理君 その内容はどうなっていますか。
  422. 岡太直

    政府委員岡太直君) 先ほど防衛局長から申し上げましたように、三次防計画の防衛庁部内の細部資料の中の項目の中に次期対潜機という項目はございます。内容といたしましては、四十五年度に委託費二千万円、四十六年度に委託費一億六千万円、合計一億八千万円の金が計上してございます。これはすべて調査委託費でございます。
  423. 矢田部理

    矢田部理君 私の質問を聞いているんですか。全然違う内容ですよ。時間の浪費で困るのですが、第三次防衛力整備計画技術研究開発計画というのが四十一年四月、防衛庁でできている。そこで対潜哨戒機についてどういう内容のことが決まったか、内容になっているかということを聞いているわけです。
  424. 丸山昂

    政府委員(丸山昂君) 先ほど私御答弁申し上げましたように、第三次防衛力整備計画につきましては、その大綱というのが四十一年に定められておるわけでございますが、この閣議決定、国防会議決定ということに至ります前に、防衛庁の案を作成します段階で細部計画というものを立ててございますが、それは三次防計画そのものではございません。  その中身につきましては、ただいまお示しいただきました資料はちょっと手元にございませんので、よく調査をいたしてみませんと、先ほどの先生のおっしゃった中身のものが入っておるかどうかということにつきましては、ただいまここの段階ではお答えを申し上げかねるという次第でございます。
  425. 矢田部理

    矢田部理君 国産化方針はなかったと言っているんでしょう。最近いろいろ調べて統一方針を出して、見解を出して。その国産化方針があったか、なかったかの重要な文書じゃありませんか。どうしたんですか。
  426. 丸山昂

    政府委員(丸山昂君) これは先ほど、私ども大臣から御答弁がございましたように、国産化方針がなかったというのは政府の方針として国産化という方針が決められてなかったということを申し上げておるわけでございます。つまり、国防会議あるいは閣議の段階において次期対潜機を国産化するという方針は決められてなかった。防衛庁としては国産化をぜひ実現したいということでお願いをしておったわけでございますが、これは御案内のように大蔵省との間に合意が得られず、結果的に四十五、四十六につきましては研究調査費、それから四十七年につきましても結論的には研究調査費ということでございまして、国産化を前提とするという政府全体の合意は、この四十七年の十月の九日の国防会議の議員懇談会の前の段階においては一切なかったと、こういうことを申し上げたわけでございます。
  427. 矢田部理

    矢田部理君 私はそんなことは、いまの答弁に関することは質問しておりません。その計画書がないとか、持ってきてないとかというのはおかしいじゃないかと言っているのです。
  428. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 発言の許可を受けて発言願います。
  429. 丸山昂

    政府委員(丸山昂君) ただいま御指摘の文書につきましては、至急取り寄せまして、検討いたしまして御回答申し上げたいと思います。
  430. 矢田部理

    矢田部理君 それはやっぱり提出してもらうように要求します。  それと、その前の段階でも、少なくとも国産化はないと言っているとすれば、その検討の有力な資料として、その中身はどうだったかぐらいわからないはずないでしょう、防衛庁の局が。中身はどうなっておりましたかということをもう一回聞いておきます。この研究開発計画の中身です。
  431. 岡太直

    政府委員岡太直君) 防衛庁の三次防の研究開発計画の概要についてまず御説明申し上げたいと思います。  防衛庁の三次防の研究開発計画につきましては、総額四百八十九億円ということで計画いたしております。そうして、そのうち試験研究開発費といたしまして四百十八億円、これを計画しております。さらにその内訳としまして、試作品及び技術調査研究委託費としまして三百三十二億円、こういう金額が入っております。この三百三十二億円のうち百八十五億円というのが航空機関係の試作品及び調査委託費でございます。  そして、航空機関係の主なアイテムを申し上げますと、超音速高等練習機、これが期間内の経費が五十億円、それからC1中型輸送機、これが七十億円、それから、航空機関係は合計で百八十五億円ございますが、先ほど申し上げましたように、このうち一億八千万円の金額が四十五年度に二千万円、四十六年度に一億六千万円、合計一億八千万円、いずれも調査委託という費目で次期対潜機という名前で計上してございます。
  432. 矢田部理

    矢田部理君 全く煩わしい人ですね。文書がないのならなくても、どういう概要だったかぐらいはわかるでしょうというのです。対潜哨戒機についてこの技術開発計画はどう書いてあるのですか、その要旨ぐらい述べてくださいと、こう言っている。
  433. 岡太直

    政府委員岡太直君) 先ほど御説明申し上げました一億八千万円の内訳でございますが、この概要といたしましては、新型の……
  434. 矢田部理

    矢田部理君 そんなことは聞いてないというんだよ。
  435. 岡太直

    政府委員岡太直君) 内容について御説明申し上げたいと思いますが、この内容は、新型対潜武器を搭載し、捜索、探知、追尾、攻撃の諸機能を有する陸上対潜固定翼機ということで、この固定翼機に対する事前の試験研究を勉強しろということで計上してあるものでございます。
  436. 矢田部理

    矢田部理君 全然違いますな。とにかく委員長資料をすぐ持ってくるように言ってください、話がかみ合わなくて時間がむだでしょうがありませんから。確認してください。
  437. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 要求資料の提出について答弁を要求します。
  438. 丸山昂

    政府委員(丸山昂君) ただいま御指摘の書類は、実は私ども担当のものについては覚えがございませんので、よく調査をいたしてみませんと、その存在についてはっきりいまここで提出をお約束するのはむずかしいと思いますが、いずれにいたしましてもよく調べてみまして、御要望のものがございましたら提出をいたすというようにいたしたいと思います。(「さっきは出すと言ったんじゃないか、何だ」と呼ぶ者あり)その存在が、実はあるかどうかにつきまして私どもよく確認をしておりませんので、ございましたら提出をさせていただきたいと思います。
  439. 矢田部理

    矢田部理君 半ば公然たる資料でしょう、これは。
  440. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 資料提出についてもう一度答弁を求めます、明確にあるとかないとか。
  441. 丸山昂

    政府委員(丸山昂君) 私どもで御指摘の資料を持っておりましたら提出をいたします。
  442. 矢田部理

    矢田部理君 次の質問関係もありますので、緊急に出してほしいと思います。  それから自衛隊「四十七年度業務計画について」という文書の中で、次期対潜機の開発についてどういう方針を出しているか、そこをお聞きします。
  443. 江口裕通

    政府委員(江口裕通君) 四十七年度におきましては、それまでの基礎的な調査研究に基づきまして基本的な設計に入りたいという考え方をいたしております。
  444. 矢田部理

    矢田部理君 この文書は次期対潜機の開発に着手するという文書じゃありませんか。
  445. 丸山昂

    政府委員(丸山昂君) 四十七年度業務計画はおっしゃるとおりであると思います。
  446. 矢田部理

    矢田部理君 先ほどの四十一年の技術開発計画によれば、四十七年以降の計画まで具体的に書いてるんですよ。しかもその間に、先ほどから説明のある川崎重工その他に委託研究費を国家予算として出した。少なくたって防衛庁の庁議として決まっておったことじゃありませんか。
  447. 丸山昂

    政府委員(丸山昂君) 防衛庁の庁議としては、開発着手という方針を決めて、大蔵に予算の要求を提出をいたしておるわけでございます。
  448. 矢田部理

    矢田部理君 庁議として決まったことに基づいて予算を要求する、それに基づいて予算がつく、川崎重工であるいはその他の団体で研究に着手をする、こういうことになったら国の方針でもあるんじゃないですか。
  449. 丸山昂

    政府委員(丸山昂君) ところが、防衛庁はそういう方針で出したわけでございますが、財政当局は、結局国産化は多額の経費を伴うという理由に基づきまして、防衛庁の要求に応じなかったということでございまして、結論的には、先ほどから申し上げておりますように、四十五、四十六、四十七、いずれも国産化を前提としないという趣旨で研究開発費をつけておるわけでございます。
  450. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 冒頭に私が申し上げたとおりでございまして、四十五年、四十六年、四十七年、いずれもその結果としましては、大蔵省の査定を受けまして国産化を目指す研究開発というものは認められなかった、技術調査に終わったというのが実態であります。したがいまして、この四十七年の二月に大綱にありますように、国防会議の決定にありますような国産化を目指す開発というものは政府全体としてはやっておらぬと、そういうわけでございます。われわれの方は、方針としては持っておったけれども、大蔵省と折衝した結果はそれは認められなかったというわけでございます。また国防会議でもそれは認めなかったということであります。そういうことです。
  451. 矢田部理

    矢田部理君 それじゃ何のために予算つけたのですか。むだ遣いじゃありませんか、確実に。
  452. 江口裕通

    政府委員(江口裕通君) ただいまの御指摘は、国防会議であるいは閣議等で認められないにもかかわらず、なぜ予算をその以前につけておったか、むだ遣いではないか、こういう御趣旨であろうかと思います。  簡単に経緯を申し上げますと、いま先生御指摘のように、四十五年度、四十六年度それぞれ調査費がついております。これはいわゆる基礎研究の調査費でございまして、いわゆる開発費の調査費、開発関係の費用ではございません。で、調査費と申しますのは、四十五年度の場合には、次期対潜機の性能諸元等を確定いたしますためのイメージの調査をいたします。それから国際的な対潜機の資料等を徴収いたしまして、それから四十六年度におきましては主要項目であります情報装置あるいは空力特性等につきましての基礎調査をいたしております。これはあくまで基礎調査でございまして、開発にもちろん効力のあることは、効用のあることはもちろんでございますけれども、輸入をいたします際にもこの資料が重要な役割りをいたすということで、私どもはこれは基礎調査というふうに考えております。そういう意味で、予算は一応ございますけれども、この段階において開発をするということに政府の方針は統一しておったわけではございません。こういうことでございます。
  453. 矢田部理

    矢田部理君 むだ遣いじゃないかということについては、何もないじゃありませんか。
  454. 江口裕通

    政府委員(江口裕通君) 私どもといたしましては、この調査費は、開発をいたします場合の前段階調査としましては非常に有用でございます。それはもちろんでございますが、輸入にいたします場合、あるいは導入いたします場合にも、その基礎資料が非常に役に立つというふうに考えておりまして、これはむだだとは思っておりません。
  455. 矢田部理

    矢田部理君 長官、答えてください。
  456. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) ただいま装備局長が答えたとおりでございます。むだ遣いであるとは考えておりません。
  457. 矢田部理

    矢田部理君 むだ遣いでないのならば、たとえば四十六年度も予算をつけたわけでしょう。研究が第三段階に入ろうとしていた、詰まってきているわけですね、川崎重工を私どもが調査しても。どうして不執行にしたんですか。それ自体が、研究自体が目的だと言うのなら、それとも論理上合わないじゃありませんか。長官が答えてくださいよ。
  458. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 四十六年度の予算におきましてはちゃんと執行しておるわけでございます。四十七年度の六億九千万、これは執行を不用に立てておるわけでございます。
  459. 矢田部理

    矢田部理君 なぜ。
  460. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) その点はいま御説明を申し上げたいと思います。
  461. 岡太直

    政府委員岡太直君) ただいま、むだではないかというお話がございましたが、技術的事項でございますから少し詳細に御説明申し上げまして御理解を得たいと思います。  まず第一に……
  462. 矢田部理

    矢田部理君 執行の方ですよ、聞いたのは。
  463. 岡太直

    政府委員岡太直君) はい。四十五年度から御説明申し上げたいと思います。  四十五年度は運用要求というものがございまして、将来対潜機がどういうふうに運用するか、それに対して技術的にどういう飛行機になるかということを検討いたしまして、国産する飛行機というのはどういうかっこうになるとか、どういうふうな性能を持つかということを検討したわけでございます。したがって、このイメージがはっきりしませんと、国産にするか、輸入にするかという検討をします場合に、国産の内容がはっきりしませんと輸入と国産の比較はできません。この意味におきまして、四十五年度は将来の方針を決める上に必要な技術的な資料を得たわけでございます。  それから四十六年度に至りましては、四十五年度におおむねの飛行機のかっこうを決めましたけれども、この対潜機と申しますのは、非常に技術的にむずかしい問題があります。まず第一に、高空を速いスピードで飛ばなきゃいかぬ。それから同時に、飛行機としては非常に矛盾する要求でございますけれども、低高度を、低い海面すれすれに、低い旋回半径で回らなきゃいかぬ。このためには非常に空気力学の問題がございまして高揚力装置というものを検討しております。  それから、将来の対潜機には電子情報処理装置というものが非常に必要でございます。この電子情報処理装置がありませんと総合的な能力を発揮できないわけですけれども、この電子情報処理装置については、われわれの方では航空機に搭載した経験はございません。したがいまして、これを技術的に検討いたしました。この二点、空気力学と電子情報処理装置を検討することによって四十五年度に概定した飛行機が技術的に成立するかどうかということを確認したわけでございます。  したがって、四十五、四十六年度の二年度にわたる調査研究によりまして、国産の飛行機は大体こういうかっこうでできる、しかも技術的問題はある程度解明できる、これによって初めて輸入と国産とが対比できるということで、四十五、四十六年度はそういう意味において非常に役に立っておるわけでございます。
  464. 矢田部理

    矢田部理君 七は。
  465. 岡太直

    政府委員岡太直君) 四十七年度につきましては六億八千六百万円の予算がついておりますが、これはさらに引き続きまして、対潜機に関する個々の技術的な細かい問題をさらに検討していくというふうなことで計画されております。  つまり、これをもう少し御理解いただくために技術的に細かく申し上げますと、この内容は、電子情報処理装置とぎ装と構造と、三つあります。で、電子情報処理装置と申しますのは、電子計算機を中心としましていろいろ情報を処理するということで、まあ対潜機の生命でございますが、これを研究する場合、当然四十七年度の予算は、導入の場合にもそれから国産の場合にも役立つということで計画いたしました。  ただし、電子情報処理装置というものは、個々の計算機であるとか、それからセンサーであるとか、そういうふうな個々の部分のいわゆるハードウエアの問題がございます。それと同時に、このシステムをいかに運用するかというソフトウエアの問題がございます。そこで、ハードウエアとソフトウエアと両方あるわけですけれども、たとえば国産の場合には、導入するのと違いまして、これから新しくつくるわけですから、いかにコンパクトに信頼性のあるハードウエアをつくるかということに重点を置いて研究しなきゃいけません。ところが、導入する場合にはハードウエアというものは向こうから来るわけですから、これをいかに運用するかというソフトウエアの方に重点を置いて研究しなきゃなりません。したがって、電子情報処理装置につきましては、ハードウエアとソフトウエアの問題がございます。しかし、御説明申し上げましたように、将来導入するか国産するかによりまして、その重点の向け方が違うわけでございます。したがって、効率的な研究をやるためには、将来の研究の方向として導入に向かうのか、国産に向かうのか、その辺のことを見きわめまして、重点をハードかソフトかどっちかにはっきりしませんと、予算の使用としては効率的ではないわけでございます。こういうようなことがございましたから、やはり状況がはっきりしてからやった方がいいということで、予算を効率的に使いたいという立場から執行をいたさなかったものでございます。  以上でございます。
  466. 矢田部理

    矢田部理君 私の方から端的に説明してあげましょう。もともと国産化をやるつもりで研究関発やってきたのじゃありませんか。白紙還元になったから、予算を不執行にしたのじゃありませんか。そんな長く説明しなくたってはっきりしていることですよ。どうですか、長官。(「再答弁を求めているんだよ。」と呼ぶ者あり)
  467. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 私語は慎んでください。質疑は再質問をなさっているのですか。
  468. 矢田部理

    矢田部理君 しました、長官に。答弁を求めたんです。  いま長く説明したのはあとからつけた理屈で、聞いていない人のために説明するんですもの。端的に言えば、白紙還元したから予算の執行をとめたのじゃないですかと、こう言っているのです。どうですかと、こう聞いている。同じ質問じゃありませんか。
  469. 八木一郎

    委員長八木一郎君) むだではないという説明に対して、むだだという再質問があるわけです。むだ遣いをしておると言っているのです。これに対して、むだ遣いか、むだ遣いでないかという説明を繰り返しておるわけですから……。
  470. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) むしろ、むだでないようにしましたということを説明しておるわけでしょう。しかし私はそう思わないとおっしゃっただけの話です。
  471. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 続行してください。
  472. 矢田部理

    矢田部理君 その点が疑惑の大きな根源の一つなんですよ。  白紙還元問題について一点だけ伺います。久保次官の発言がありました。御承知のように、白紙還元は寝耳に水だった、相澤大蔵省主計局長、後藤田副官房長官、田中総理の間で決まっちゃったと、これが事実じゃありませんか。ところが、あなた方の統一見解はと見ると、前の晩に大蔵省の主計官から電話があった。これは相談があったということとは違うのじゃありませんか。大蔵省はもともと予算はつけたくなかったわけですから、PXLについて予算はつけられないよという連絡があったというのを仮に真実だとしても、とてもじゃないが白紙還元について、大きな問題について相談に乗ったなんという話ではなさそうですね。その点どう考えますか。
  473. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) そうじゃなくて、久保次官はあの問題は取り消しておるわけでございます。  というのは、ここの国会におきまして私御答弁も申し上げておるわけでございますが、現実におきまして、その一番大きい当時の防衛庁の問題は、支援戦闘機をどうするかということなんです。これに対して大蔵省は、輸入としましてノースロップのF5Eというものを主張しておられたわけです。われわれはやはりT2改をぜひとも国産化してほしいということを言っておったわけであります。ところが、そのことが前日八日の日、増原長官のもとに幹部だけ集まりまして相談をしておるところに大蔵省から電話がございまして、大蔵省としてはF5の方はこれはあきらめよう、そしてあなた方の主張しておられるT2改というものでいきたい、結構だ、というようなお話がございました。ただし、PXLの問題についてひとつ断念してほしいという意向が伝えられたわけであります。  そこで長官以下幹部、相談しました結果、それではもうやむを得ないかなあ、しかしF5の輸入はあきらめた、そしてT2改は国産で決まる、しかしこれもまだ確かでないということで翌日国防会議に臨んだということでT2改が決まったと。しかしPXLについては専門家会議で最終的には決めるという方針が打ち出されたわけでございまして、その前の日まではもうPXLはこれで終止符を打ったかと思っておったわけでございますが、それがそうではなくて、まだ望みはあるというわけでございますから、防衛庁としては、一応それではそれでもよろしい、こういうことであれを了承しておるというのがその経緯でございます。
  474. 矢田部理

    矢田部理君 大蔵省のだれから防衛庁のだれに電話連絡があったのですか。
  475. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) これは宮下主計官から小田村経理局長に八日の日に電話があったというふうに承知をいたしております。
  476. 矢田部理

    矢田部理君 長い間大蔵省と通産省が先ほどの話だと大きく対立してきた問題、単に主計官程度が電話して済むという問題じゃなさそうじゃないですか。しかも当の、当時の防衛庁長官である増原氏も、わしはそんなことは知らぬと言っている。白川という統幕議長もこの間検察庁に調べられたようですけれども、わしも聞いておらぬと言っておる。おかしいじゃありませんか。
  477. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) いや、その当時の記憶というのは、本当にこれは人間の記憶というのは案外当てにならぬものだと思うのですが、私実際増原長官にもお会いしましたし、当時の次官にもお会いしました。いろんな人にお会いしましたけれども、そのときの一番の増原長官の頭の中には、PXLというよりもT2改の問題であった。――首を振られるけれども、私が聞いたんですから、そうなんです、実態は。  それから、確かに大蔵省からそういうようにPXLの方はあきらめてくれというような電話が入ったわけでございますけれども、それでもわれわれの方は、果たして大蔵省の方がこのF5をあきらめて国産にするだろうかということは、若干のやはり懸念も持っておうて翌日臨んでおるわけでございます。そういうようないきさつで、あれは決まったわけでございます。
  478. 矢田部理

    矢田部理君 後からまたつじつまを合わせようとしているようですが、全く納得できません。  ただ、時間の関係からもう一点伺いますけれども、白紙還元をして専門家会議に任せることにした。しかし、これは見せかけであって、白紙還元はもう即P3Cだと、こういう方向で動いているんじゃありませんか。  防衛庁に伺います。五十一年一月三十一日付海上防衛力整備五カ年計画案がどういうものであろか、その内容を明らかにしてほしいと思います。P3Cに関してでよろしゅうございます。
  479. 丸山昂

    政府委員(丸山昂君) ただいま御指摘になりました資料は、ポスト四次防の、現在詰めの作業をしておるわけでございますが、その中で海上自衛隊で、海上幕僚監部で作成をいたしました資料のことを指しておられるのかと思いますけれども、これは御案内のように、現在私ども防衛庁全体をかけまして、各幕で作成をいたしました案について、いわゆるポスト四次防の全体計画を立てるための作業を進行中でございます。したがいまして、この各自衛隊、特にただいま御指摘は海上自衛隊でございますが、つくりましたものは、これは最終的にそのまま取り上げられるものではございませんので、あくまでも過渡的な資料でございますし、外部にいろいろお話をするような性格のものではございません。したがいまして、こういったものを基礎にいたしまして全体計画ができました段階において、私どもからまた御説明をさしていただくということにさしていただきたいと思います。
  480. 矢田部理

    矢田部理君 P3C四十一機を調達すると明記しているんじゃありませんか。どうですか。
  481. 丸山昂

    政府委員(丸山昂君) いずれにしても、この書類の提出は御遠慮さしていただきたいと思います。  この中に出ておりますのは、海上自衛隊としては、次の、次期対潜機の性能を客観的に表示するためにP3Cというのを引用はしております。P3Cクラスという言い方をやっておりますけれども、P3Cそのものをある一定数入れるというようなことは、海上自衛隊の原案の中でも出ておりません。
  482. 矢田部理

    矢田部理君 これは重大な問題でありますから、資料として出してもらうよう要求します。
  483. 丸山昂

    政府委員(丸山昂君) 先ほども申し上げましたように、これが最終的な案ではございませんので、あくまでも過渡的なものでございますし、いま申し上げておりますように、最終的に防衛庁全体で計画を検討いたしまして決めるべき性格のものでございますので、中途の段階資料を提出をいたしますことは遠慮をさしていただきたいと思います。
  484. 矢田部理

    矢田部理君 疑惑解明の重要なポイントでしょう、これも。それを協力するのが三木内閣の態度だったんじゃないんですか。どうですか。
  485. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) まだ国産にするともP3Cにするとも実は決まってないわけでございます。決めてないわけであります。しかもまた、御承知のとおりに、ポスト四次防の防衛構想をいま練っておる最中でございます。そしてその案がやがて、八月にできますならば決めたいと思っております。あるいは八月に決められなければ十二月には決めたいというふうに思っておるわけです。その基盤的防衛力というような構想というものがはっきり決まりまして、初めてその装備というものをどういうふうにするか、対潜哨戒機をどうするか、あるいは次の戦闘機をどうするかということが出てくるわけです。いろんなオプションがあるわけでございまして、そういうようなオプションについていまわれわれは研究しておるその一段階のものをああだこうだと言うわけにはまいりません。  それから、いまP3Cのことは、P3C級のものを、つまりいま現在自衛隊が使用しておりますP2Jというものの性能が、だんだん潜水艦が原子力になりまして、そして、その潜水艦それ自身が非常に進歩をしてきております。それにやはりこたえるものでなければなりませんので、P2Jよりもより以上の性能のあるもの、たとえばP3C級のもの、そういうものを欲しいというふうに海幕が思っておることは事実でございます。しかしながら、それを何機どうするかということはこれから決めなきゃならない問題でございまして、まだ決まっておりません。これから検討すべき問題だと思いますからお許しを願いたいと思います。
  486. 矢田部理

    矢田部理君 もう内部では決まっている。だからこそ現場でP3C四十一機などという案が出るわけですよ。これはぜひ出してほしい。  もう一つ、ここに重要な資料があります。これはロッキード社の一九七四年のアニュアルレポート、つまり株主向けの年次報告書でありますが、その国際活動という欄の中に、ロッキードの海外におけるP3C等の販売状況や見込みをまとめているわけでありますが、日本についての記載部分がございます。日本は、オーストリア、オランダとともに、対潜哨戒機の調達は一九七五年に決定できると書いてある、できると考えているという記載があるわけです。国内的にはまだ決めていないといういまの話が表向きありますけれども、もうロッキード社との間では、内々の話ではなくて、株主に正式に文書で報告できるまで問題は煮詰まっている形跡があるわけです。話はすでにできているんです。こういう報告を裏づけているじゃありませんか。裏づけをしているんじゃありませんか。この点もう一度答弁を求めたいと思います。
  487. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 私の方ではまだ国産とも輸入とも決めておりません。
  488. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 矢田部君の残余の質疑は後刻にいたしたいと存じます。(拍手)  なお、先ほどの矢田部君の質疑の中で、特定の人名についての容疑云々の発言がありました。このことについて自民党理事より抗議の申し出がありました。  委員長といたしましては、本件理事会において協議いたすことにいたしたいと存じます。     ―――――――――――――
  489. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 玉置和郎君。
  490. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 総括質疑に立たせていただきましたことを心から感謝を申し上げます。ありがとうございます。  そこで総理にお伺いしますが、戦後三十年からたっておりますこの議会に四十数日も空白状態が続いたということは、私の記憶ではこれが初めてだと思います。それだけに政治の頂点にお立ちになる総理は、これは大変な責任をお感じになっておると思います。私たちも自由民主党の一員として、この空白国会、何とかして解決をしていきたい、正常化していきたいという気持ちには変わりはございませんで、そうして恥ずかしい思いをしながら今日までやってまいりました。  ことに、あの暫定予算の衆議院の成立の状態を見ましたときに、討論だけでやられた。その討論の中に自民党が賛成討論にも立たなかった。審議はしない、賛成討論もしない、野党の反対討論だけで収拾した。そのときに、私は総務会で中曽根幹事長に、その翌日でございましたか、平河町の角に自由民主党という大きな看板がかかっているが、この国権の最高機関の国会の中に自民党というのは一体どこへ行ったのですかと聞きました。幹事長は答えることができなかった。いまここで改めて、自由民主党の総裁三木武夫先生に、自由民主党というのは一体どこへ行ったのですか、お聞きします。
  491. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 玉置君がお考えになってもわかるように、国政における自由民主党の責任はきわめて重大であります。そういうことで、自由民主党は健在でなければならぬし、また、自由民主党は国民に対する責任を果たしたいと念願しつつ努力をいたしておることは事実でございます。
  492. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 総理、自由民主党というのはどこへ行ったんですかと聞いておるのですよ。これは禅僧の公案みたいなものですから、あなたに自由民主党というのはどこへ行ったんですかと聞いておるのです。自由民主党というのは、あるのですか、ないのですか、院内に。きょうの状態を見たってそうですよ。
  493. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 自由民主党は健在であると考えております。
  494. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 こういう状態が健在ですか。四十数日間空白状態が続いて恥ずかしいという思いがないんですか、あなたは。私なんかは恥ずかしいと思っている。  そこで副総理にお聞きしますが、自由民主党というのは、あなた、どこへ行ったと思いますか。
  495. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 非常に哲学的な御質問で、どういうふうにお答えしたらいいか戸惑いますが、そのような御質問を受けないような自由民民主党にぜひしたいと、かように考えます。
  496. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 総理、実はあなたがここに入られる前に、暫定予算の日であったが、ぼくは総務会で中曽根幹事長に聞いたら、下をうつむいて物を言わない。宇野国対委員長に聞いても下を向いて物を言わない。自由民主党はどこに行ったのか、国民は皆そう思っていますよ。自由民主党を支持した多くの国民は、自由民主党って一体どこへ行ったんだろう。その暫定予算の始まる前に総理が来られぬときに、副総理がここに入ってきた。ぼくは副総理に、失礼でしたが、副総理、自由民主党ってどこへ行ったんですかと言ったら、副総理はどう言ったか。ここにあると。これでなければいかぬのですよ。自由民主党どこに行ったかと言ったら、三木武夫の胸の中にある、こう言って答えなければあなたは自由民主党の総裁でない、これはだからこそ、あなたに対する党内のいろんな批判が生まれてくるんですよ。  ドゴールがかつてフランスは自分であると言った。自分がフランスである。こうしてあの困難なフランスの政治状態をおさめてきた。この見識がなかったら、あなたは政治の頂点に立つ資格がないというこの批判を甘んじて受けなきゃならない。私は自由民主党の党員として非常にそのことを憂えておるんです。これはあなたを中傷するんじゃない。誹謗するんじゃない。政治の頂点にある内閣総理大臣として本当に腹を据えてがんばってもらいたいというこの気持ちから言っておるんです。それだけに、さっき、ここの理事みたいにしてそこへ立って、座ったり、やれ委員長に文句をつけたり、あんなのはやるもんじゃない、あんなことは。総理というものは、一国の総理大臣というものは、天が落ちてこようともどっとして座っておって、そうして皆さんを叱咤激励して、特に幹事長を叱咤激励をして、そうしてやっていくのが総理ですよね。(「それは無理だよ。」と呼ぶ者あり)私は、それは野党の諸君は無理だと言うが、われわれにはただいまはかけがえのない総裁ですよ。総裁というのは一人しかない。そこで、ぼくはあえてこういうことを言っておるんです。自由民主党の党員の諸君は言いたいと思ったってほとんどよう言わない、遠慮して。私ぐらい、あなたの教え子だから私はあえて言うのですよ、これは。  そこで、お聞きしますが、もうこれで自由民主党というものはあなたの胸の中にあるということはおわかりになったと思います。自由民主党というのは三木武夫なんだという自負をお持ちかどうか、もう一回お聞きします。
  497. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 玉置君のいろんな哲学的な御意見は私もしかと胸にとめておきます。
  498. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 総理、そうすると、あなたが自由民主党の総裁であるという認識をはっきり持たれておるということを私が理解したというふうにしておっていいですね。これは大事なことです。
  499. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 言うまでもないことです。
  500. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 そうしたら、総理、お聞きします。自由民主党の立党宣言、それから綱領、性格、党の政綱、こういうものはもちろん御承知でしょうね。
  501. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 承知しております。
  502. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 そうすると、総理お聞きします。この「わが党の基本方針」の中の「第一部 立党の精神」の中の五番目に、「党の政綱」というのがあります。「党の政綱」の「独立体制の整備」のところに、「現行憲法の自主的改正をはかり」、こういうことがある。これは党是ですよ。党是です。ところが、今度来る五月三日に憲法記念日に憲政記念館で憲法記念行事をやられる。あなたが主催してやられる。これどう考えたらいいんですか、お聞きをしたい。
  503. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 政府は、今日の政局を担当しておるものは、現行の憲法を基礎にして政府は現在の政治の運営に当たっておるわけです。それは改正される日があるかもしれません。しかし、現行憲法が存在する限り、憲法の条章というものをわれわれが遵守するということが法治国家における一つの大原則だと私は思っております。
  504. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 総理ね、そうすると自由民主党ができたのが昭和三十年十一月十五日。今日まで二十年を越す歩みを続けてきた。その中で私は直接お仕えをしたのは鳩山総理、それから石橋総理、それに岸総理、池田総理、佐藤総理、それと田中総理、それであなたと、こうですね。私は本部員だったからよく知っています。この憲法記念行事というものをほとんど、というよりはあなた以外にはだれもやらなかった。だれもやっていませんよ、これは。あなたになって初めてやるんです。――そのとおり、二十六年までやったんだ、二十六年までね。それはそのとおりだ。あなたが初めてやるんです。そういうことについて自民党の党員は、これは三木総理は何であんなことをするんだろうなという気持ちを持っておられる。あなたが、あなたの前までの、田中総理までのこの自由民主党総裁というものは憲法を軽視したと見るのか、憲法を無視したと見るのか、そのことの見解を聞きたい。
  505. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 何びとも、政権を担当する者が憲法を軽視して政権を担当できるとは思っていないわけです。
  506. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 それはね総理、そうするとあなたが今度の憲法記念日を特にやられる。私はやっぱりこれはあなた自身もいろいろ考えた末でやられたと思う。ちょうど三十年、公布して三十年、その一区切りをつけようというそのことのためにやられるのか、そういう意味に解していいのかどうか、その辺をお聞きしたい。
  507. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 戦後三十年ということも、今度の憲法記念日の中には一つの大きな戦後の歴史の区切りであるということもございます。
  508. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 総理、国連加盟国がいま百四十四ですね、百四十四。国連に加盟をしておる独立国家が百四十四。これは間違いがない。その国連加盟国で憲法公布や政権の日を記念をして祝祭日を設けておる国は何カ国ありますか。これはわかりますか。総務長官、あなた答えてあげて。
  509. 植木光教

    国務大臣(植木光教君) これは十分な調査まだいたしておりませんが、憲法記念をいたしまして、その憲法普及のためにいろいろ祝祭日として国民への徹底を図っております国は、私の存じております範囲内ではございません。――ノルウェーが憲法制定日というのを持っておるのが一カ国でございます。
  510. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 それは調査不十分。これはね総理、祝祭日にしておる国はメキシコ、ウルグアイ、赤道ギニア、ソ連、中華民国、ノルウェー、オランダ、タイ、ラオス、デンマーク、ニカラグア、パナマ、そして日本の十三カ国です、十三カ国。百四十四の国連加盟独立国家の中で、この憲法公布だとかそういうものを祝祭日にしているのは十三カ国しかないということなんです。  そこで、特にその口を国家の、政府の記念行事としておる国は何カ国ありますか。政府が主催する記念行事。総務長官、なかったら、わしが自分で答えるよ。いいですか。  総理、何でこんなことを聞くかということなんです。一国もないんです、こんなのは。一国もないんですよ。百四十四の国連加盟の独立国家の中で、憲法公布だとか制憲記念をする、しかも国民の中に非常な反対意見の多いこういう祝祭日を特に選んで政府が記念行事をやらなければならないほどの重大性を持つものか持たないものかということなんです。特にあなたは自由民主党の総裁ですよ。自由民主党の党員の中には、この問題について非常に反対の意見が多い。しかし、この前の稻葉法務大臣の発言の収拾ということで、あなたが佐々木静子社会党参議院議員のあの質問に答えた結果がこういうことになってしまった。その経緯を考えていくときに、私はこのことが本当にいいのか悪いのか。これは総理、大変なことですよ。あなた簡単に考えているけれども、世界の独立国の中にこんなもの一つもない、どう思いますか。
  511. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 世界の例はともかくとして、戦後三十年というときに当たり、いままでの吉田内閣時代にも記念日をやっておったことがあるわけですが、こういう一つの区切りであることも考えまして、今回憲法記念日の行事を政府でやることにしたわけでございます。
  512. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 総理のいまの御答弁の中の三十年を記念してという、ここに私はそれならポイントを置いてこの問題については了承します。  そこでもう一つお聞きしますが、国連加盟の独立国で、独立記念日だとか革命記念日、建国記念日、これはほとんどの国が祝祭日としております。そしてほとんどの国ではこの際に国家行事をやっております。日本はなぜやらぬのですか。
  513. 植木光教

    国務大臣(植木光教君) ただいまの御指摘の建国記念の日に当たるものでございますが、各国を調べておりますが、全部はまだ掌握をいたしておりませんけれども、お説のように大部分の国がいろいろな祝日を持っております。これはたとえば祖国記念日でありますとか、独立記念日でありますとか、あるいは建国記念日、あるいは解放記念日、革命記念日というようないろいろな名称を持ってやっております。そして、これらの国々におきまして何か行事をやっているかということでございますが、これも全部を掌握しておるわけではございませんし、先ほど申しましたように、各国の事情によって異なっておりますから、一律に判断することはむずかしいのでございますけれども、たとえばこの記念の日にパレードを行いましたりいろいろ記念の式典をやっている国はございます。
  514. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 総理、建国記念日は政府が何もしない。しかしこれはやっぱり国会で決まったことですよ。政府の審議会を設けて二月十一日を建国記念日にしたことはこれは事実です。そこで、総理理解度を確かめたいと思いますが、この建国記念日というもの、国の誕生日を心から慶祝をするという民間行事は一体どのぐらいの程度で行われておるか、これをお聞きします。
  515. 植木光教

    国務大臣(植木光教君) これも全体を把握しているわけではございませんけれども、私どもで承知いたしておりますのは、たとえばことしの二月の十一日につきましては、民間団体がいろいろ行事といたしまして奉祝をしておられる、百二十カ所、約三十万人の方々が参加をしておられるという情報は得ております。その他にもいろいろ市町村の段階にいきますとやっておられるところもあろうかと存じます。
  516. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 総理、いま総務長官が答えたように、あなたが旗を振らなくても、これだけの国民が自発的にやっておられる。しかも、市町村の段階を入れますと恐らく百五十万ぐらいになるんじゃないかと思います。これが国民の心ですよ。恐らく五月三日にはあなたが千名招待したところで、新聞の予想では三百名ぐらいしか集まらぬだろうと言う。あなたが旗振らぬでもこれだけのことをやる。なぜ政府がこの建国記念日、国の誕生日を心から祝うという、こういう気持ちがないんですか。あるんですか、どっちですか、総理
  517. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ祝日となり、国民自身も慶祝をしておると思いますが、政府としての記念事業は今日までやってないわけですが、これは将来の一つの研究の課題にいたすことにいたします。
  518. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 総理、それはぜひひとつ内閣の検討課題にして進めていただきたい。これは私の強い願望としてお願いしておきます。  もう一つお聞きをしますが、王制をとっておる国の中で、ヨルダンだとか、タイだとか、イランだとか、オランダだとか、デンマークだとか、スウェーデン、ベルギー、こういうところの国では、国王の生誕日、誕生日、それから王位につかれたその日を記念して祝祭日を設けております。そして、そうした国々はほとんど国がその行事をやっておる。私はこの実態を知ったとき、日本の国の憲法で、あなたが守らなければならぬと言う憲法で、天皇の地位はどうなっておるのか。これはあなたもここで私が言わなくても御承知のとおり、国家の象徴である。この天皇誕生日というものに対して、われわれは宮中にお招きを受けて参内をいたしますが、この天皇様が御即位になられてことしで五十年であります。御即位五十年、世界の歴史に希有のことです。まことに慶賀にたえないこの御即位五十年の記念すべき区切りのある年、この御即位五十年というものを、国家として、政府として記念すべき行事をやられるのかやられないのか、その辺の胸のうちをお聞かせ願いたい。
  519. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 玉置君の御指摘のように、今年は天皇御在位五十年という慶祝すべき年に当たりまして、民間においてもいろんな記念行事が計画をされておる。政府においても何らかの記念行事をやるべきであるという声もございまして、いま政府は、やるとしたら、時期、どういう記念行事をやるかというようなことについて検討を加えておる次第でございます。
  520. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 これはくどいようですけれども、総理、この天皇の問題については、現憲法上の地位でも国家の象徴である、国民の統合した意思の象徴であるということになっております。天皇が外国に出られましたときに、だれも象徴なんということを考えない、外国人は。日本国の元首としてお迎えをされておることはわれわれも承知をしておりますし、国民の多くも承知をしております。たとえ天皇というものに、天皇制に反対を唱える者でも、外国に行ったときに天皇の地位というものの重さというもの、しかも日本歴史のこの重さというものを感ぜざるを得ない。それだけに、この天皇の御訪米のお見送り、お出迎え、これは私は自民党の議員の諸君が出ていくのはあたりまえ。野党の中では民社党の森日委員長が出てこられた。そして向井長年議員も出てこられた。出迎えもそうであります。それだけに、私はここで野党の諸君にお聞きをしたいのですが、憲法を守るという、これは後でどこかで討論会をやってもいいよ。憲法を守ると言いながら――第一章は天皇の事項をちゃんと書いておるんですよ、条項をですよ。それなのに、ああそれなのにと言いたい。見送りもしない。出迎えもしない。そうして共産党のごときは憲法を守ると言いながら、天皇の国会出席することまでボイコットしようとする。どこに護憲政党の色彩があるのか。こういう共産党の、まあ共産党だけでいいです、あとは私も仲がいいから余り言わないが、共産党のこういう態度に対して私はまことに残念です。それだけにこういうものを、私は憲法のつまみ食い、自分の都合のいいところだけはとって、自分に都合の悪いところは捨ててしまう。憲法のつまみ食いこそ国家基本法をなし崩しにしていく一つの謀略的な考え方である、行動であるとすら思えるのですが、いかがですか。
  521. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 天皇というものが国民の尊敬、愛情の中心になっておることは事実で、やはり国民の統合の象徴としての天皇の地位に対して、国会議員といえどもやはり敬意を表することは当然のことだと考えます。
  522. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 これはぜひ総理にもう一度お願いしておきますが、天皇御即位五十周年の記念行事はやってもらいたい。そうしてこの天皇というものの地位を、憲法上でも示された地位を本当に高からしめるということに精力を傾けていただきたい。このことを願望としてお願いしておきます。  次に、私は、いまの日本国会衆議院と参議院がある。参議院というのは本当に機能しておるのかどうかということを、私も十一年目に入ってつくづくと考えることがある。どうもやっぱり機能していない。恥ずかしい思いをしながらこの十一年間を過ごしておりますが、何とかしてこの参議院というものを機能さす、いわゆる良識の府としてこの参議院がりっぱにやっていくというためには、衆議院の行き過ぎをどこかでチェックするという、この機能を果たされたことがあるのかないのか。ほとんどない。そこで総理にお聞きしますが、また官房長官にもお聞きしますが、この五十一年の一月三十一日、衆議院の予算委員会終了直前に、在日韓国人で死刑確定をいたしました崔、その当時死刑求刑中の陳に対し、予算委員会理事会の協議の結果として、荒舩予算委員長予算委員会を代表して政府最善の努力をせよと申しつけたのは御存じですか、どうですか。
  523. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) お答えいたします。  確かに私も記憶をしております。それは衆議予算委員会理事会で十分に御相談をされた結果を、荒舩委員長が特に委員会の席上で発言をされた問題でございまして、これを尊重しなきゃいけませんから、できるだけ御要請に沿って努力をいたします、こういうお答えをしたはずでございます。
  524. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 官房長官、ここにも会議録を持ってきておりますが、「できるだけ努力をいたします。」と答えていますが、どういう努力をしましたか。
  525. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) そこで、この問題は、事は主権国家である韓国の司法にかかわる問題でございます。それは、まあ十分私も心得ておるつもりでありますが、同時にこの人々の家族は日本に在住をしておるという点は、やはり心を配らなければならぬ問題だろうと思うんでございます。したがって、そういう趣旨を含めて荒舩委員長の発言を踏まえて、この状況を外務当局に話して、外務省の方で善処をした、こういうふうに心得ています。
  526. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 善処した結果がこういう結果になったのはどういうことですか。陳は死刑の判決が確定しましたよ、それからすぐに。一体衆議院の決議や政府の努力、約束は恥をかいただけじゃないですか。こういう問題は、総理、主権国家に対してはこんなことをやったらいかぬのです、これは。国会は国権の最高機関であっても、この二国間の問題に対して、その主権国家である――これは韓国ばかりじゃない、海の外の主権国家に対して、こういうことに対して官房長官政府を代表した形で努力をしますなんというのがこれが間違っておる。衆議院も間違っておれば、あなた方も間違っておるということを言いたい。どうなんですか。外務大臣でいいですよ。大事な問題だ。これはまたロッキードの決議に関連して……。
  527. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 衆議院の予算委員長からそのようなお話がございまして、官房長官から、ただいま官房長官答弁のようなお答えをされたわけでございます。私どもとしましては、玉置委員の言われますとおり、これは韓国人と韓国の司法権との関連でございます。ただ、両人とも家族が日本におるということがございますので、非公式に韓国側に対して衆議院の予算委員会における経過を説明いたしました後、家族も日本にいることであるのでこういうような議事があったとわれわれは考える、このようなことが両国の末長い関係に悪い影響がないことをわれわれとしては祈念をしておるという趣旨のことを非公式に伝えたというような経緯がございまして、この問題非常に微妙なむつかしい問題でありますことは玉置委員の御指摘のとおりでございますが、しかし、衆議院の予算委員会において委員長が代表して発言されたということもこれも大切なことでございますので、官房長官の言われましたように、そのような経緯を韓国側に非公式に伝達をいたしたわけでございます。なお今日までのところ、両氏とも再審を請求いたしておりまして、私どもの存じております限り、最近、ごく最近でございますが、両人とも元気でおるということを聞いております。
  528. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 法務大臣、これが日本と反対の立場だったら、あなたどうしますか。
  529. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) わが国の司法権に対して重大な関与みたいな不愉快な気持ちを持ちますな。
  530. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 総理、やっぱり法務大臣はしっかりしていますよ。ぼくはそれが本当だと思うのです。これは韓国にとって大変なことですよ。日本国会が、とり方によったら差別事象とまでとられかねない、大変なことです、これは。なぜそういうことを官房長官、あなた、こんなことを軽々に、そのときなぜ予算委員長に対して、そういうことに対しては政府答弁を求めるべきでないということを言わないのですか。それで衆議院の委員長、理事は一体何やっておるのだよ、自民党の。少なくとも参議院の良識において、こういうことはもう二度としませんということをここで総理、誓ってください。そうでないと二国間の問題、うまくいくはずがない。こういうことに対しては、やっぱりいま法務大臣が答えたように、これは韓国だったらこういうことを平気でする。北朝鮮だったら何もできないじゃないですか。松生丸事件どうですか。松生丸事件は日本人が二人殺された。しかも公海上じゃないですか。それに対して一体何やっておるんですか。犯人の引き渡しも要求できない。だから、韓国の中でいま問題になっておるのは、日本の国というのは、公海上でいろいろ妨害をされたり、紛争を起こされたりしても何もできないと。そんな日本なら、われわれのところにいろんなこと問題言ってくる。ひとつ公海上で日本の油を積んだタンカーだとか、あるいは鉄鉱石を積んだ船だとかという考え方まで出てきておるじゃないですか、いま。外務大臣、これ重大なことですよ。こういうことが日本の安全保障にとって、日本の経済政策にとって大きなそごを来たす。軽々に考えてはいけません。大事な問題ですから、総理、こういうことが二度と日本国会で、主権を侵犯をするような、しかもまた向こうの司法権まで侵犯をするようなことのないように自重を望みます。お答えを願います。
  531. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 当然のことであって、主権国家の主権に対して何らかの制約を加えることは断じてすべきことではない。やはりそれはいろんな場合に、まあこの韓国人の場合には家族が日本に住んでいますから、そういう陳情を聞くことはあっても、しかし韓国の、いわゆる独立国家としての司法権に対して日本が関与するようなことは絶対にすべきことでないことは当然でございます。
  532. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 官房長官、あなたが在任中こういうことがあったときには、ああいう答弁はしないですね、もう。はっきり答えてください。
  533. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私はやはり、各国がその国の主権というものを尊重するということが、国家間の友好関係の基礎でありますから、そういうことは断じてするようなことは考えていない。
  534. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 外務大臣、松生丸事件、その後ちっとも進展してない。私も松生丸事件の真相究明の小委員会の副委員長しておる。ところが、ちっともこれは進まない。これ、どうなっておるんですか。
  535. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) あの件につきましては、不法行為であるというふうにわれわれは考えましたので、北鮮に対しましてわが国の正式の抗議を伝えるべく、両者の代表のおります第三国におきまして抗議の伝達方を図ったわけでございます。しかるところ、先方側が明らかにわが国の抗議の受領を拒否をするという態度に出たことが明らかになりましたので、政府といたしまして、政府見解を昨年の十一月の十九日に発表をいたしました。それにおきまして、政府としては本件調査の結果を公海上において二人の日本人を死に至らしめ、他の日本人を負傷せしめる国際法上の違法行為であること、このような事件の再発防止のために適切な措置をとるべきこと及び賠償請求の権利を留保するということを日本政府として正式に声明をいたしたわけであります。   〔委員長退席、理事山内一郎君着席〕
  536. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 通産大臣、いま日朝貿易二億六千万ドル未払いでしょう。未払いって、支払いおくれてますね。向こうは二年ほど待ってくれと言う。二年待った先が一体どうなのか、これわからない。そうして、それに対してどうするのかとあなたの部下に聞いたらいろんなこと言っておった。これ、どう考えますか。
  537. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) 確かにそういう事実はございますが、これは民間が窓口になって取引をしておりますので、目下その窓口を通じまして先方と交渉中でございます。
  538. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 大臣、民間というわけにいかぬのですこれは。認証事項なんですよ、全部。一件一件が。それだけにこの二億六千万ドル、約八百億円、これが払われないということになった場合に、いま考えておるのは保険金で補てんをするということなんですよ、保険金で。いま保険金の総額は留保されておるのは六百億、その保険金の金は一体どこから出たのか、韓国貿易、それから米国貿易、東南アジア、欧州、そういうところから掛けた保険金なんですよ。それがそっくり充てても足らないということなんです。今後ともそういう民間だといってほって任しておくんですか。
  539. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) 保険問題等もありますししますので、政府も重大な関心を持っております。先方も払わないとは言っておらぬのです。しばらくの間外貨事情が苦しいので待ってもらいたいと、こういうことでございますので、もう少し先方の意見を十分聞きました上で、日本としての態度を決めたいと、こういうふうに考えております。
  540. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 大臣、あなた詳しい報告受けてないのだ。私の方が詳しい報告を受けているんだ、あなたのところから。だからこれはやっぱりきちっとしなけりゃだめですよ。一件の金額を幾らにするとか、キャッシュ・オン・デリバリーにするとか、そうしないと問題は解決できない。いまのままで民間だからそれでいま打診中だからと言っておったら、次々危険な状態に陥っていくんですよ。そうして六百億のこの保険金が全部向こうに補てんをされるとなったら、ほかのトラブル事件というのは一体どうなるんですか。だからね、これはもう私はあなたにこれ以上責めませんが、しっかりとしたこの考え方を持って、そうして少なくともヨーロッパで、この北朝鮮に対して対応しているような姿勢というものを早急に検討してもらいたい。そうしてしっかりした北朝鮮貿易というものをやってもらいたい。いまのままではだめです。いまのままでは、これは韓国を刺激をして、北朝鮮にだけは、松生丸で甘い、貿易でも甘い、そして新聞はちっともそういうことを書かない、最近は毎日なんか書きましたが、日経が書きましたが騒がない。とにかく共産主義政権というか、共産主義政体に対しては非常に弱い日本のこの体質。これはやっぱりこの際全閣僚、これはしっかりひとつ胸の中へおさめて考えてもらわなきゃ困る。この中国貿易でも同じですよ。一方的にあの鉄鋼の契約が打ち切られていく、こんなことは自由主義国家間にはないことです。そうして共産主義体制の国だったらもう全くメロメロ、一体何ですか、これ。もっと日本のよって立つ基盤は、世界的基盤は何であるか、しっかり考えてもらいたい。これが私の強い要望です。  そこでもう一つお聞きします。さっきぼくは驚いたんですが、CIAの問題、ここできのうからいろいろ論議をされております。アメリカにCIAがあることは私もよく知っております。ところが日本にCIAの活動は許さないと外務大臣ははっきり言っておる、それについては間違いないですね。
  541. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 組織としてのCIAの活動というものは認めない、さように考えております。
  542. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 防衛庁長官、あなたにお聞きします。ちょうど私の同僚議員が防衛政務次官をやっておったときに、ソ連の日本大使館で盗聴事件が起こった。御記憶ありますか、盗聴器発見事件。知らぬなら知らぬでいいよ。
  543. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 何か記憶はあるようでございますけれども、詳細は私覚えておりません。
  544. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 問題は、その程度しか理解がないということなんですね。引き継ぎがないんですよ、これ。日本政府というのは皆これなんです。あの当時これは大変な問題だった。防衛庁でもそうです、外務省でもそうです。外務大臣知らぬでしょう、この問題は、詳しくは。知っていますか、どうですか。
  545. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 大体の報告は受けておりますけれども、事柄の性質上、この際余り立ち入って申し上げることはいかがかと実は考えております。
  546. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 私は宮澤さん、あなたと見解を異にする。共産党からCIAの問題をわんわん言われて、社会党の諸君からもわんわん言われて、現実に日本の国内で言うほどのCIAの活動があるのかと言ったら、そんなの、われわれちっとも日常生活に影響はないですよ。こんなのはちっとも影響ない。国民のほとんどはCIAというものを興味本位で見ていますが、また書いたものを読んでおりますけれども、ほとんどの人はアメリカのCIAが仮によし活動しておるとしても、国民生活に大したことはない。  ところが、ソ連において、ソ連の首都モスクワにおいて日本大使館の中に盗聴器が備えつけられておったということ、これは新聞にも報道されたのではっきりしておると思います。週刊誌にも書いてある。その盗聴器が発見されて、そして、これはいかぬというので、もっとあるだろうというので、実は防衛庁から二人の調査官が出たんじゃないですか。調査官が出て、また盗聴器をよけい発見したのじゃないんですか。そうしたら、その二人の調査官がある日突然大変な腹痛を起こした。七転八倒の苦しみになった。ちょうど二人同時にですよ。これは一服盛られたのかもわからぬと言って大騒ぎになったんじゃないですか。そうしてソ連の病院に担ぎ込んだら危ないというので、アメリカの大使館で治療を受けたんじゃないですか。これが共産主義者たちの実態なんですよ。これ、なぜ黙っておるんですか。私はさっき防衛庁の連中に聞いたら、それは外交の問題だから少し黙ってくれ、そういうのはいろいろ影響があるから。何を言っておるんですか。こんなことを国民に知らさぬで一体どうなるんですか。  宮本顕治さんのあのライフル銃事件、それからリンチ殺人事件。リンチはしていない、殺人はしていないと言ったって、そんなあなた、死体損壊、死体遺棄という刑法的な罪は残るんじゃないですか。法務大臣、そうでしょう。リンチして殺人はしていないと言ったって、現実に自分たちがおったところに死体が損壊されて遺棄されておったんじゃないですか。そういう共産主義者たちの非道なやり方に対して、日本国民に対してなぜ知らせないんですか。勇気を持って知らせなさい。少し土性骨を据えてやらなかったらだめだ、こんなの、ふらふらして。総理どう思いますか。総理、共産主義の実態というのはもっとしっかり知らせなさい。
  547. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 日本がしっかり日本自身としての自主性を持たなければならぬことは、どんなに声を大きくしなくても、当然のことであります。国としての自主性を持たなければいけない。
  548. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 総理、売り言葉に買い言葉で、声が大きくなるのはあたりまえです。憂国の至情があれば、声が大きくなるのはあたりまえです。救国の精神があれば、声が大きくなるのはあたりまえです。あなたのネコなで声と、この声が大きいのと、わけが違う。本当ですよ、総理。こういう実態をよく国民に知らすことです。それが民主政治を守る道程ですよ。議会制民主主義を守るこれが一番ですよ。それをちっともやらぬで、ロッキードに追い回されて、それで四十数日も空白状態になっていく。何ですか、これ。  そこで、ロッキード問題に触れますけれども、国会の証人喚問をして、証言の重味というものについて総理はどう考えますか。
  549. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 国権の最高機関の証言でありますから、非常に重い意味を持っていると思います。
  550. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 これはアメリカの証人と、それから日本の証人の宣誓は、ちょっと違うんですよ。アメリカでは委員長が、あなたは公聴会で証言する内容はすべて真実であり、真実以外の何ものでないことを神に誓って宣誓しますかと、神に誓ってというところがある。で、証人ははいと言うわけですね。それでバイブルに手を置いてこうやってやるんです。日本は、「宣誓書」「良心に従って、真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います」と。私は、証人喚問が二月の十六日、十七日、始まる二日前の臨時総務会で発言したことがあるんです。これは日本ではこの良心に従ってうそを申しませんというのは、あそこへ呼ばれた人はほとんど良心が麻痺したような人ばかりなんですよ。だからこそ危なっかしいから読むのですよ。それをあのところに乗せて、そして言え言えと言ったって言うものか、そんなのは。大体日本の民主政治の土壊とキリスト教圏の民主政治の土壌というものはわけが違うということから、しっかり日本の与野党の政治家、政府含めて考えなきゃならぬ、日本国民も。  一つだけ言っておきます。アメリカでは小さいときから、お休みのときに十字架をこう結ぶ。食事のときもこうです。国民生活の中にキリスト教というものがずっと生き続けておるのですよ。だからバイブルに手を置いてこうやったときに、神に誓ってということになると、そううそは言えぬということなんですよ。そうしてもう一つ、キリスト教の教えの中に、ざんげすれば罪遂ちして消えるということがある。これは知らぬでしょう、総理。こういうことを知らないで――皆知らぬです、ほとんどそんなこと知らない。総務会でも知らなかったのだから。それと、だからあそこへ出てくると、その良心のうずきがあったときに、そこである程度のことをしゃべることは良心がいやされることなんです。そして社会に復帰ができることなんです。  日本ではあんなところへ呼んで、野党の諸君にこんなテーブルたたかれてわんわんやって、べらべらしゃべってごらんなさいよ。明くる日からだれもつき合ってくれませんよ。これが日本の土壌です。いい、悪いは別だから、これは私は議論しない。しかし、日本、この仏教圏というものはそうなんです。それだけに、国会の証人台に立たせてみて、与野党がわんわん言ってみたところで、私は本当のものは出ない。だから、あなたが言うように、日本には世界に誇る検察、警察、国税、これはしっかりしておる。ここに任せて、そして政治がなるべく介入しないという、このりっぱな見解を維持すべきです。どうですか。
  551. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 欧米の社会にキリスト教というものが生活の中に深く根差しておることは、御指摘のとおりだと思います。しかし、日本にはそういういろいろ信仰心の厚い人たちもたくさんおりますけれども、まだ西欧のキリスト教が西欧の社会の一つの骨格をなしておるというようなところまでは日本はいっていないわけです、日本の宗教というものは。そういうことでございますから、欧米との間には社会的土壌の違いのあることは事実でございます。だからといって、良心に従って証言をするということが全部でたらめ――でたらめとは言わぬにしても、真実を言わないのだというふうには私は断定はできない。やはり良心に従うということは神を偽らぬということですからね、ある意味では。しかし土壌が違うことは事実でしょうね。しかし、土壌が違ったところで、やはり証言の場合に良心に従って真実を述べるということは、当然この証言をする人の大きなやっぱり責任と解さなければ、そうでなければ証言ということの意味が非常に失われるわけでございます。
  552. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 総理は前に私なんかも直接お話を聞かせてもらいましたが、このロッキード問題の真相究明、それから事態の解明には真正面からどろをかぶっても断固としてやるんだという御決意がありました。私はりっぱだと思います。そういう自分の考え方から、予算委員会における公開を原則とするとか、あるいはまた記者会見での公表を原則とするとかいう重ねての言明があったと思いますが、そうですが。
  553. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私はやはりロッキード問題、この問題をうやむやに終わらせるということは政治不信の解消にはならぬ、徹底的に究明されなければならぬと思っております。それで、刑事訴訟法四十七条というものは、社会党の松浦氏から政府に、ちょうど私の記者会見をする直前でございましたが、そのただし書き条項なんかに触れて質問書が出て、そして閣議でこれを決めまして政府答弁をいたしたわけでございます。また、私に対しても四十七条というものを指摘しての御質問があったわけでございますので、その四十七条の条文の私自身解釈を申し述べた次第でございます。
  554. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 総理、四十七条に触れたというのも、これは被疑者の人権を擁護するという考え方ももちろんあったと思います。しかし、あなたの前提になるのは、やっぱり疑わしい、そういうまた黒い霧に包まれたものはなるべく早く国民に公開をしてというお気持ちがあったと思いますが、その点もう一回確認をいたします。
  555. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは黒いか、あるいはまた灰色か何かというような、こういう真相はやはり一日も早く解明されるべきだと私は思う。そのためにも、いま申したような捜査権を持っておる捜査当局でなければこういうものの追及というものは十分にできないわけですから、捜査当局を激励して、一日も早くその真実解明してもらいたいと、そのことを督励をしておるわけでございます。
  556. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 きょう社会党の委員からの質問の中でこの公表の問題をやっておるときに、後ろの方で時効になったものはどうするんだ、それはもう捜査もできないじゃないかという社会党の諸君のやじにも似た一つの発言がありました。不規則発言でありますが。ぼくはそういったときに、責任政党である自由民主党は、そういう時効になっておってもやっぱり天下に向かってそれを公開するというよりも、党みずからの力において処分をするということがなければいけない、こう考えておりますが、どうですか。
  557. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 党みずからの力と申しましても、やはり四十七条という規定を踏まえて行動をしなければならぬことは当然だと思っております。
  558. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 私は総理、言っておるのは、自由民主党のこの党則の中に賞罰規程というのがあるんです。賞罰規程の第六条二項というのがそれに該当するんですがね、読んだことありますか。
  559. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) どういうことに結果がなりますか、いま捜査の過程でございますから、その捜査が全部終了した後にこのようにする、あのようにするということを断定的に申し上げることは、これはやはり捜査の支障を来すと思いますから、この段階では玉置君の御意見として承っておきます。
  560. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 それは納得できない。ちゃんと党則に書いておる。あなた、党の総裁でしょうが。「不起訴となった場合においても、党の名誉を著しく損じるときは、役職停止又は除名の処分に付することができる。」と書いてある。党の名誉を著しく傷つけた場合はやっぱりこれは当然やるべきです。われわれ末端の党員としてもあなたに強い要請をする。どうですか。
  561. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 自民党は党規によって党の秩序は厳正にしなければならぬ、そういう玉置君の御意見は、しかと私も受けとめておきます。
  562. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 総理ね、くどいようですけども、これは国民の見ておるところです。しかと承るということでなしに、これは必ずこの党則に基づいてやるということでないと私は納得できない。これはちゃんとこう書いてある。「清潔公明な政治を行ない、国民の信を政治につなぐことは、わが党に課せられた重大な使命である。このため信賞必罰を厳にし、党規律の確立をはかり」云々と書いておって、「常に国民と党が密着し、もって政治に対する国民の信頼を高めることが肝要であるので、ここに党則第九十四条の二の規定に基づいて、これを定める。」というのが自由民主党の賞罰規程なんです。明らかじゃないですか。これに基づいて断固としてやるべきです。その覚悟のほどをもう一回お聞きしたい。
  563. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 自民党の党の姿勢を正すという党の党則なども、これはやはり頭に入れてしなければならぬことは当然でございます。
  564. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 どうもやっぱり総理ね、そんなことはっきりした方がいいんですよ。あなたがわけのわからぬようなことを言うから、ああ三木内閣というのは一体これが本当にやるのかやらぬのかと。あなた私に正面から、どろかぶったって断固としてやると言ったじゃないですか。断固としてやるというのはこのことですよ。それがなかったら、自由民主党のシャッポなんかかぶって次の総選挙なんかできますか。答えてください。
  565. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 先ほどから私がしばしば答えておりますように、いま捜査は緒についたばかりだ。不起訴の者も全部公表しろということでございますが、そのことは、いまそういうことを断定的に申し上げることは捜査上の支障に私はなるということでございます。やはり自民党の場合もそういう法規上のことを、いわゆる刑事訴訟法立法の精神を踏まえて行動しなければならぬことは当然でございます。
  566. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 それでは、党の最高の決議機関である総務会で幹事長も松野政調会長もこの党則、賞罰規程を私に示されて、これは必ずやりますと言ったのはどうなんですか。あなたのこれは信頼するところの三役の二人じゃないですか。それは間違った答弁なんですか、どうですか、答えてください。
  567. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 自民党としては党規に照らして、そうして厳正な処置をせなければならぬことは当然でございます。
  568. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 ここまで言うのにこれだけ時間かかるから、総理、だめなんですよ。こんなことはすぱっと言うんです。それで断固としてやるんです。そうしたら、この人たちがぎゃあぎゃあ言ったって何のことはない、こんなのは。だからね、野党が幾ら言おうと思ったって、自民党で粛党の実をぴしっと上げて、政治家と政治屋を、もしそのものが出てきた場合に整理をするという、それがあなたに課せられた大きな任務じゃないですか。四十数日間空白した国会責任をとるというのは、あなたがそのことをやるということなんです。  そうしてもう一つは、予算関連法案の財特法、それから地方交付税法、こういうものを上げる。それと生活関連法案を国民のためにこの会期内に上げるということ。もし時間が足らなかったならば、あなたは本当に政治生命をかけて会期延長でもしてそうして国民のためにやるという、この二つがいまあなたの政治責任の最たるものですよ。どうですか。
  569. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 徹底的に究明はいたすということは、私は繰り返して述べておるとおりでございます。ただ、この場合に、不起訴の場合もこれは公表するんだという約束をいたすことはできません。それから予算関連法案、あるいはまた景気浮揚関連法案、あるいはまた生活関連法案、こういう問題に対しては議長の裁定の中にも積極的にこれを進めるということでございますし、野党の党首も皆私に、これは文字どおり積極的にやる、自民党もむちゃなことはしてくれるな、われわれも引き延ばすようなことはしないで積極的にやる、こういうことを約束をされたわけでございますから、今後の審議において野党の各党においてもそういう誓約は履行されるものだと私は考えております。
  570. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 いま党首会談の問題に触れられましたが、両院議長がああした異例の措置をとられた。それからこの国会全体に対する行政府の長としての責任、これはやっぱり重大ですよ。そこで、この予算案が、本案が終った後に恐らく特例法が来る。地方交付税法が来る。このままですんなりいくのか、いかないのか。私は特に河野議長があの裁定のときに非常な苦心をされておったことを知っております。そうしてこの特例法を含めたという形でもって出したいという気持ちも知っておりました。しかし、それはできなかった。もう一回大きな山場が来ます、ロッキード問題も含めて。そのときに、少なくとも政府与党というものが再び国会の議長に対していろんなお願いをするということがもしありとするならば、ぼくは大変な引き出物を出さなきゃならぬというふうに考えておりますが、どうですか。
  571. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 玉置君もしばしば述べられたとおり、参議院の良識を私は信じたい、良識を。
  572. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 参議院の良識を信じて動くようだったら、参議院、とうにこんなのやっておるじゃないですか。参議院がいまや衆議院のコピーに成り下がっておるようなものですよ。ぼくは自身そう思っておる。恥ずかしいと思っておる。あなたみたいな、そんなきれいごとだけを言って、参議院の良識を信じてますなんてこと言って唯々諾々として通るような、こういう状態じゃないです。もう少し厳しい認識の上に立ってさて乃公はどうすべきかということを考える時期に来た。  私はそれはなぜ言うかといったら、あなたが椎名裁定で総理大臣になられた。結局は総裁になって、総理大臣に。あのとき私は病床におった。入院しておった。ふらつく足を踏み締めながら、ここに御両相がおられるが、福田先生、大平先生が闘うというような状態では保守党が全く地盤陥没してしまうから、ここはやっぱり三木武夫先生に御出馬願った方がいいというので、私は走り回った一人です。本当にふらふらしながら走り回った。それだけに私たちが考えておるのは、一つの政局転換の、あなたがいまなすべきことは大体これはできたという考え方を持っておる。しかし、いま後に言った二つの問題ができないと、あなたは結局は、失礼な話ですが、いままでやったことは何にもならない。この二つをしっかりやって、そして日本政界の大元老としていついつまでも元気でおっていただきたい、これが私の願望です。どうですか。
  573. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 承っておきます。
  574. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 まあ、これ以上言いません。これ以上言いませんが、賢明な総理ですからそのことはよくわかっておると思いますが、やがてその時期が来る。やがてその時期が来る。そしてあなたが一身の利害を離れて、そうして国家のために、日本の議会制民主主義を守るためにどうあるべきかということは十分考えておられると思いますから、これ以上言葉をつなぎませんが、ひとつ国家国民のために勇断をもってする時期がやがてやってくるというふうに考えますので、ひとつよろしくお願いをしておきます。神に祈るような気持ちで、よろしくお願いをしておきます。  そこで総理、これはあなたと話をしたことがありますが、日本のこの不幸な状態の一つに、常にいろんな問題に遭遇をしますと二つの国民が存在をするということです。ツー・ネーションズが常にいろんな場面に存在をするということであります。それは戦後、戦いに負けたこの日本に上陸をしてきたのは共産主義思想です。そして労働と資本を常に対決さすということ、このためにいろんな問題が引き起こされてきた。経済界においてしかり。そのものがまた政治の場に引き込まれて、教育、外交、安全保障、こういった当然基盤を同じくしながら論議をすべき事態にまで常に二つの国民が存在して相争っておる。これほど不幸なことはない。何とかして二つの国民をなくしたいという強い願望を持って総理のところに出かけたことがありますが、総理、その後それについてどう考えましたか。
  575. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 各国とも思想的な対立というものは各国においてあるわけでございますが、しかし、そういう思想的ないろいろ違いがあっても、やはりその思想的な違いを越えて国家国民のために協力をするということでなければ議会制民主主義は維持できないと、こう考えます。
  576. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 総理、あなたは施政方針演説の中で労使関係に触れて、相互理解と信頼の上によりよき労使関係が生まれることを期待し、勤労者の生活の安定が図られることを願う、政府はこれに役立つ環境づくりの労をいとうものではないということを力説していますが、一体何をやったんですか。
  577. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 常に労使閥というものが話し合いによって問題を円満に処理していくような、労働の行政の面においてそういう指導をしてきておるわけで、民間などにおける労働組合の動きというものは非常に健全なものになりつつある。こういうことでございますから、いろいろ立場相違はあっても、相互の利益あるいは福祉の増進、こういうことに対して協調できぬということになれば、とことんまで立場が違ったものは闘うということではこの社会は成り立っていかないわけでございますから、そういう立場相違はあっても、その相違を乗り越えて共通の利益、共通の福祉の増進をやはりお互いに探求していくというような健全な労使関係の確立ということに対して、政府はいままでも努力してまいりましたし、今後も努力をしてまいらなければならぬと考えておる次第でございます。
  578. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 労働大臣。私はもう総理答弁、これは本当に抽象的で何にも出てこない。非常に不満。あなたは所管大臣として、この問題についてどう考えますか。
  579. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) ことにこういう低成長時代になりますというと、労使の関係が非常に大事でございます。私は事あるたびに、ときには組合の方からも雇用か賃金かという話が出るくらい、そういう厳しい時代であるから、先生のおっしゃるように総資本、総労働の対決ではお互いの社会がだめになる。そういうことから、労使対等で労働者の待遇あるいは福祉の向上に話し合いをするように、そういうことでおすすめもしておりますし、あるいはまたいろいろな面においての施策も講じており、この国会においてもそうした法案なども提出しているところであります。
  580. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 総理、私はいまここで具体的な提案はする時間がありませんから、もう作文はできております。これは労働と資本の対決をなくするためにどうしたらいいかというと、一、労働者の参加、それから二は共同決定、三は財産形成の促進等をやるわけです。それには、いま具体的に考えておりますものは、一、企業内利益配分準備金制度、それから二番は持ち株制度、三番は企業内貯蓄制度、そうしてこれは財形貯蓄にも関連させます。それで、この社内預金と財形等を合わせて持ち家に連動さすというような具体的な提案、そのためには商法のどこを直すか、いろんなことを考えてもう具体的にできておりますが、これをやっぱり早い時期に自由民主党の政策として取り上げてもらいたい。どうですか。
  581. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 時代は大きく変わりつつあるので、労使関係においてもいままでのパターンは変えなければならぬ、こういうことが世界的な大きな傾向だと思います。ある意味において新しい労使関係の模索時代であると世界的に言えるかもしれません。いま御指摘のように、西独においては共同決定法があるし、ソ連や東欧のようなところでもやっぱり利潤の形式などを取り入れようというような傾向もあって、労使関係というものが従来のパターンはもう変えられないんだという考え方を抜け出して、新しい労使関係をつくろうということで世界各国とも一つの新しい試みがなされておるわけです。  財産形成の問題も、これは西独ほど徹底したわけではないんですけれども、形成のための貯蓄ということも行われておるわけです。そういうことで、そういうことも踏まえて私自身も非常な関心を持ち、また新しい時代における日本の労使関係、この確立のために労働省に対しても、いまのただその場その場の行政でなくして、将来を展望した新しい労使関係の確立ということに対して検討を命じておる次第でございます。この問題は非常に重要な問題を提起するものとして真剣に取り上げたいと思うわけでございます。
  582. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 重ねて総理にお願いしますけれども、ぼくは、十一月までに総選挙がありますね、そのときにこの問題を、二つの国民をなくするための具体的な自由民主党としての提案、これを必ずやってもらいたい。これは約束してもらいたい。
  583. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 労使関係というものは、民間の方は非常に健全になってきましたけれども、公共企業体の労働関係というものは非常な問題を持っておるわけでございます。そういうことから踏まえて、新しい労使関係というものは確かに総選挙の中に自民党が掲げなければならぬ題目の一つである、私はそういうふうな問題であると認識をいたしておる次第でございます。
  584. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 労働大臣、その問題。
  585. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) 私は日本の労使関係というものには希望を持っております。しかも、玉置君が具体的な三つの提案をされたことなどは非常に重要でございまして、たとえばその中にある財産形成にいたしましても、これは日本で開設されて六年目、三十三万事業所、そして五百万の労使話し合いの上にこれに契約している。その契約残高が七千億、こういうことなどもありますので、先生の御研究、三つの提案が具体的になった場合には、いまの時代、いろんなことを勉強し、実行していかなければなりません。そういうことで積極的にその成案を参考にさせてもらいたい、こう思っております。
  586. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 そこで科学技術庁長官、ちょっとお聞きします。  私は特殊法人等の小委員長をやっております。この前、東海村へ行きました。そうしたら原研、動燃でプルトニウム、これが保管されておりましたが、現在プルトニウムはどのぐらいありますか。
  587. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 日本原子力研究所及び動力炉・核燃料開発事業団で主として保管しておりますプルトニウムは約八百キログラムでございます。そのほかに原子力発電所の中で生成されておりますものはございますが、プルトニウムで分離されておる量はその程度でございます。
  588. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 プルトニウムはどういうかんに入っていますか。
  589. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 臨界量の管理という問題がございますので、ある量以下にいたしまして保管をいたすわけでございますが、これは先生御高承のとおり、核物質防護という非常に重要な問題がございますので、特別の施設を設けまして厳重な保管をいたしておるわけでございます。ただ、申しわけございませんが、私、先生の御視察のときにお供できませんでしたものですから、具体的にどういう入れ物に入っているかというところはちょっと承知いたしません。大変申しわけございません。
  590. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 総理、これは直径七センチから八センチ、それから高さ二十センチ、これは茶筒みたいなものに入っているのです、プルトニウムが。その毒性はどのぐらいありますか。
  591. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) プルトニウムの毒性につきましては、世界的に過去長年にわたって研究をされておりまして、毒性は二種類の面からあるわけでございますが、一つはアルファ線を放出するいわゆる放射性物質、放射性同位元素としての毒性、いま一つは重金属としての毒性、これがあると言われております。その身体にどの程度取り入れられれば危険であるかというようなことにつきましても、国際放射線防護委員会の定めました基準などもございます。わが国の法規におきましてもその基準を遵守して管理をいたしております。一般的に申しまして、非常に少量でありましても身体に取り入れられまするといろいろな障害が起きる、こういうことでございます。
  592. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 毒性の半減期というのは二万四千四百年。私は、いまから申し上げますが、原子力発電は絶対やるべきだという推進者なんです。しかし、ここで一つやっぱりひっかかるのは、このプルトニウムの保管というものはしっかりしなきゃいかぬということですね。それで、プルトニウムの茶筒に入ったこのぐらいのものを一かん積んで、ちょうどこのぐらいの大きさですよ。このぐらい持ってきて、ヘリコプターに一かん積んで、これをガスマスクをはめて、特殊のゴム手袋でヘリコプターからまくぞと言ったら、東京の一千百万人はたった一かん二キロで全部肺がんになってしまう。そういう恐ろしい毒性を持ったものが現在東海村に八百キログラムあるということなんです。しかも、そのかんが三つ来て、その周りにダイナマイトを置いて腹々時計で時間かけたら、一遍に広島ぐらい吹っ飛ぶような爆弾ができるんですよ。三木内閣なんか本当に倒そうと思ったら、わいわい騒がぬだって、これを持ってきたら一発だ。本当ですよ。それほどのものです。それほどのものですが、それに対する保管はどうしているか、ひとつ答えてください。
  593. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 確かに先生御指摘のとおり、プルトニウムの毒性というものは非常に注意して取り扱わなければいけない、また重要な問題を含んでおるわけでございます。したがいまして、原子力施設におきましては、そのような不安がいささかもないように厳重な保管体制をしいておるわけでございます。俗に申しておりますが、七重の防護壁と私どもは申しておりますけれども、施設そのものの管理につきましていろいろの工夫をこらしておりますと同時に、管理体制におきましても非常に厳重な体制をとっております。さらには警察との連絡、それにおきましても現在考え得る最善の体制をとっておるわけでございます。しかしながら、この問題は国際的にも非常に重要な問題でございます。また、今後プルトニウムがますます多く使用されるという趨勢も考えますときに、現状で満足しておってはいかぬということもまさに重要な点でございます。そういうことも含めまして、今後とも万遺漏なきを期したいと考えております。
  594. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 七つの防壁と言ったって、総理ね、私は現実見たんです。守衛は表にたった四人ですよ。こん棒を下げた守衛だけです。警察官もおらぬ。そうでしょう。
  595. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) わが国の制度におきましては、やはり警備員につきまして、外国ほど十分ないろいろなものを持つことはできないという制約はある程度あるかと思います。これは御指摘のとおりでございますが、この点は地元の警察の御協力をいただくという前提でございますので、警察との連絡は二十四時間常時、常にできる、こういう体制にしておる次第でございます。
  596. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 こんなことで、とてもじゃないが守られぬのですよ。警察が、機動隊が来るのに三十分か四十分かかるのですよ。いま児玉邸へだって飛行機が突っ込むような状態でしょう。広域暴力団が機関銃を持っておることはもうはっきりしておるじゃないですか。こういうふうな核ジャックというものが機関銃を持って十人も押しかけてきたときに、私は動燃や原研で聞いたんです。おまえさんたちが十一時ごろばっと襲われて、それで人質になって、おまえがもしかぎをあけなかったら殺すぞと言われたらどうするかと言ったら、そりゃあ先生だめですと、こう言う。そういうふうなものが、これ八百キロといったら、総理、四百かんあるんです。四百かん持ってきて、たった三つだけで広島級の爆弾が一時間でできます。一時間もかからない。ダイナマイトを持ってきてこうやってボーンとやればいいんだから。ロッキード問題も大事だけれども、これの方がもっと大事ですよ。こういうふうに、政治がやらなければならない、しかも高度の政治判断でもってやらなければならない重大な問題を残しておる。どう思いますか。
  597. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これはもう世界的に見ても、プルトニウムの保管というものは大問題になっておるわけでございますから、原子力の問題というものは、安全というものの確保がいま最大の課題に日本でもなってきておるわけですから、そういうプルトニウムの保管に対しては、この際一層徹底をしたいと思っております。
  598. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 その答弁じゃ私は満足できない。強力な火器を持った核ジャックに襲われたときに一体どうするか。
  599. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) ただいまの先生の御指摘の問題は、わが国の現状におきましてどの程度の、何と申しますか、外部からの襲撃と申しますか、それを想定するかというところに基本があるかと思われます。私どもの想定がどの程度のものを目指すべきか、これはまた問題があるわけでございます。そういう点も含めまして、関係省庁で連絡会を持っておりまして、特に警察庁の御協力も得ております。どの程度の外からの侵入を想定すべきか、それを踏まえまして、体制を固めるわけでございます。   〔理事山内一郎君退席、委員長着席〕 なお、この問題につきましては、国際的にもIAEA、国際原子力機関が基準と申しますか、ガイドライン、こういったものを定めております。また米国が非常にこの問題に関心を払っております。そういうふうな関係もございまして、米国との連絡も密にいたしておりますし、昨年秋には米国にわが国から調査団も派遣をいたしたわけでございます。そういうことで問題の重要性は私ども十分認識をいたしております。今後とも御指導いただきまして、さらにこの問題に万遺漏なきを期したいと思っております。
  600. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 局長、ちょっとお聞きしますけれどもね、機関銃三つ、自動小銃七つ、十人押しかけてきたら一体どうするんだよ。どうにもしようがないじゃない。
  601. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 具体的ないま御指摘のようなことがありましたときにどうなるか、これは私どもまだ具体的にそこまで詰めてはおりません、正直申しまして。非常に困難な事態になるであろうことは考えられるわけでございます。ただ、先ほどの原爆がすぐできるかどうかというふうな問題につきまして、これは先生は事の重要性を警鐘、特にこれを強く訴えられるということで、すでに原爆ができると、こういうふうな御指摘があったと思いますが、世界的に見ましてもこの問題はなかなか議論が多いところでございます。数キログラムあるいは数十キログラムが盗取されるということが直、原爆製造につながるとまでは私ども現在のところは考えておりませんが、しかし、その可能性が外国で指摘されておるというのも事実でございますから、その辺も踏まえまして十分今後検討を進めてまいりたいと思っております。
  602. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 総理、対応策、ないんです、これ。公安委員長、どうですか。
  603. 福田一

    国務大臣福田一君) 大変示唆に富んだ御発言がありまして、私もどうしたらいいかと思って考えておったわけです。一つ考え方としては、私は番人というか、そういう保管を、そこにおる者にかぎを持たしておくべきじゃないと思う。そして、かぎを持つ者を極秘にする形で、いざ事が起きたときにすぐに応じ得るような体制をとるべきではないか。これは警察の立場から見て、かぎをあけられたのじゃ取られてしまいますから、それは番をする者は、そういう不穏な者が来たということを知らせるという意味の番人にしておくべきじゃないか。かぎを持たしておくということは、ちょっと私は考えものじゃないかという気がいたします。ただし、これはまことに素人考えかもしれませんから、御参考になるかどうかわかりません。
  604. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 参考になりません。そんなことではだめ。だからこんなものは本当に総理、閣僚全体としてこれは考えるべきですよ。大変なことです。たったこの一かんで東京都内の一千百万人が全部肺がんになってしまうという高い毒性を持っている。しかし、わが国のエネルギーというものを考えたならばやらなきゃならない。私は、やっぱり原子力発電というのはやらなきゃならないという考え方に立っているんですが、こういった問題の解明がきちっとできて、そうして国民が安心のできるような体制をいち早くつくるというのが政府与党の責任ですよ。野党はいろいろなことを言ったってどっちかというと、責任はないと言いませんが、楽なものです。しかし、われわれ政府与党の者はそういうわけにいかない。  そこで最後に、この核エネルギーの問題で、私は豪州というものを非常に重点を置いておるんですが、長官どう考えますか。
  605. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) 豪州の天然ウランの賦存量は、御承知のように大変豊富でございまして、わが国の将来のエネルギー問題に関しましても、この豪州のウランというものは非常に貴重な資源だと考えておりまして、私も数年前豪州を訪れ、濃縮ウラン等の見学をしましていろいろ協議をしたこともございます。今後も協定の精神に従いまして、両国協力しながら開発を進めていきたいというふうに考えております。
  606. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 総理実は三木先生か議員連盟の会長で私が専務理事をやった。豪州のこのウラン問題というのは早くから私たち検討してきた。そこで、いまイギリスとフランスで再処理の問題で三千億よこせと言っている。私はそんなものは出すべきでない。しかも、それは三年間分の四千トンしか処理できないんですよ、二年間分、十年先の。しかもそれをいま三千億出して、やってくれるのは九年先です。朝日新聞を読んでもわかるとおり。それよりも、日本が主導権をとれる豪州に三千億を持っていって再処理もやろう、そして探鉱と採鉱と濃縮ウランと、それから最後の再処理もやる。いわゆる核エネルギーの全サイクルを日豪協力のもとでやろう。そしてノーハウの足らないところは英国なりアメリカなりフランスなり入ってもらおうという、こういうやり方で、近く通産大臣、科学技術庁長官、皆さんに御協力を願って、外務大臣にも御協力願って、ミッションをこの五月の末か六月の初めに出すことで向こうと合意をいたしておりますが、これについてぜひ御協力を賜りたい。私の方から特段のお願いをいたします。国家のためです。
  607. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 豪州の首相も来日されることが予定されておりますから、ウランの問題というものは両国で話すべき問題点一つだと思っております。
  608. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 以上をもちまして玉置和郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  609. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 神沢浄君。
  610. 神沢浄

    ○神沢浄君 私は、いまわが国が当面している喫緊な政治課題であると思われる食糧問題におおむねしぼって質問をしたいと思うのですが、その前に通産大臣から何か事故届が出ておりまして、時間が限られておるようですから、ちょっと一、二点先に伺っておきたいと思うんです。  御承知のように、この間、蚕糸関係法律が議員提案でもって改正を見ました。これは糸にいたしましても、絹織物あるいは撚糸にしましても、輸入が日本の蚕糸業を非常に圧迫しておる異常な事態にあることに備えてであります。しかし、特にこの絹織物とか撚糸等につきましては、あの法案の内容もいわば訓示規定みたいなものになっているわけですから、政府のいわゆる行政の面においてこれが問題になるし、養蚕農家などは、したがっていま非常に注目をしております。そういう見地に立って、いま政府が行っている対中国、対韓国の、このそれぞれ二国間の交渉の経過、現状、これをひとつお聞きをしておきたいと思います。
  611. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) この生糸、絹撚糸、絹織物、一連のこういう品物についての対韓国との交渉は先般妥結をいたしました。二国間の協定が成立をいたしまして、今後は秩序のある輸入、こういうことで双方が合意をしたわけでございます。  中国との関係は、ことしになりましてから二回交渉をいたしましたが、若干問題がまだ未解決のまま残っておりますので、現在は中断ということになっております。日本側から近く第三回の交渉を始めたい、こういう申し出をしておりまして、いま日取り等を打ち合わせをしておりますが、第三回目は北京で行うことになっておりますが、この第三回会談におきまして何とか二国間の合意ができるように結論を得たい、かように考えておるところでございます。
  612. 神沢浄

    ○神沢浄君 その中国との間の場合、見通しはどうですか。見通しの問題。
  613. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) 今月の初めに中断をいたしました第二回会談では、双方が誠意を尽くしまして非常に歩み寄りをいたしまして、現在主張にそう大きな違いはございませんので、双方が努力をいたしますならば必ず私は妥結できるものと考ええておりますし、かつまた、こういう問題をいつまでも残すということは、これは両国関係によくありませんし、日本にとりましても、貿易自由の原則というものを高く揚げまして貿易立国でやっておるわけでございますから、いつまでもこういう問題がトラブルで残るということは好ましくございませんので、ぜひとも解決をしたいと、かように考えておるところでございます。
  614. 神沢浄

    ○神沢浄君 まあ外交も絡む問題ですから、私ども考えてみましても、やはりそれぞれ対中国にしても対韓国にしましても、今度は中国と韓国との間についても、平等なものになっていかなければこれはならぬじゃないか、こういうふうに思うんです。そういう点はどうですか、見通しとして。
  615. 河本敏夫

    国務大臣(河本敏夫君) おっしゃるとおりでございます。国ごとに差別をする、こういう考え方ではとても解決できる問題ではございません。やはり同じ扱いで解決をしていく、こういうことでなければならぬと思います。
  616. 神沢浄

    ○神沢浄君 なお食糧問題に入る前に、私は総理にお聞きしたいことがあるんです。それは、土曜日の本委員会が始まって以来、きょうに続けて聞いておって、何としても私にはわからぬことが多いわけです。私が直接この委員会に座っておってわからないんだから、これは国民が聞いたらなおわからぬのじゃないか。私も余り頭のいい方じゃありませんから、そういう関係もあるかもしれませんが。したがって、端的にお尋ねをいたしますから、ひとつ端的に答えていただきたいと思うんです。  それはいわゆる国政調査権の発動に対しまして、あの議長裁定に基づく、これは総理も応じておられるんだから、具体的にどういう協力をされるのだかということが何としてもうまくわからないのですよ。そこで一つの問題としては、刑訴法の四十七条のただし書きに基づくところの資料提供ということをなさるのですか。
  617. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 議長裁定にある刑事訴訟法立法の精神を体して最善協力国政調査権にするということを、政府は文字どおりにいたしたいと考えております。
  618. 神沢浄

    ○神沢浄君 その精神を体してというのは、もっと具体的に御説明をいただくとすればどういうことなんですか。
  619. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 刑事訴訟法というものは全体として公共の福祉の問題、人権の尊重ということで貫かれておるわけです。こういうことが大きな立法の精神になっておると解釈しております。
  620. 神沢浄

    ○神沢浄君 こんなやりとりでもってまたむだをしたくないですけれども、わからぬですよね、いまの御答弁を聞いても。だから、本当に端的にお答えをいただけませんか、四十七条ただし書きに基づいて資料の提供を政府はいたしますと。やらぬですか。やらぬならやらぬと言われてもいいですよ。
  621. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 四十七条は、公判、起訴、いわゆる訴訟書類の非公開原則を決めたものです。ただし書き例外事項を決めたわけでございますから、あの法律にのっとって政府は処置をいたします。これはいまやはりこれに対してもすべて一般的な方針として述べることは差し支えるわけですね、いま捜査が進むわけですから。だから捜査の終了の段階において、その公益上の利益、それが非公開にする利益と公開にする利益と、この公益上の利益を比較計量して判断いたします、いまはそうお答えするよりほかはないんですよ、いまの段階ではね。そういうことをお答えをいたしておるわけでございます。
  622. 神沢浄

    ○神沢浄君 その比較計量をするという点が、私はもう認識が違っておるのじゃないかと思うんですよ。大体今度のロッキード問題については、総理も繰り返し言われておりますように、日本政治問題、道義の問題からいたしましてもこれはもうきわめて重大な問題だと、こう言われているんでしょう。そうすると、あの規定というのはなるほど非公開原則ですけれども、それにただし書きがついている。ただし書きの場合は公益の上でと、こうなっている。今度の問題ぐらいわが国にとってそれこそ比べものがないほど絶対的といってもいいような、これは公益の見地に立つものじゃないですか。それをどういうふうに比べるのでしょう。どういうふうに比べられるのですか。
  623. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いま捜査が始まったばかりですね。起訴のものを皆公表するんだということをもしここで断定的に申せば、これは捜査の場合にそういう場合も考えて、捜査というものに非常な障害を来すことはお考えになってもおわかりのとおりでございます。したがって、この段階で私の申しませることは、四十七条の規定に従って政府最善協力をいたしますとお答えする以外に私はないと思います。
  624. 神沢浄

    ○神沢浄君 政府は、かつて人命の尊重のためには超法規処置だってもとったでしょう。ましてや今回、総理も繰り返して言われるように、わが国の民主政治根幹に触れる問題だと、こう言われているじゃありませんか。何を比べて、どこでもってケース・バイ・ケースでもって選択をしなければならぬ必要があるのでしょう。その辺の見解はいかがですか。
  625. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いかなる政府といえども法律規定によって処置をしなければならぬ。法治国家ですから。だから、私はいまお答えするとしたならば、その第四十七条の法規を取り出して、その上に立って最善協力をいたしますとお答えする以外にはないということでございます。
  626. 神沢浄

    ○神沢浄君 時間が限られておりますから、また同じことのやりとりをやっておったのじゃ差しさわりが出てきますので、この続きはまた同僚議員の質問に譲りますけれどもね、それからこの点もわからなかったのですが、不起訴の場合はどうなるんです。
  627. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 起訴の場合は公判廷で明らかになるわけですから、不起訴の場合が例外的な規定の中に含まれることでございます。それをいま、この例外規定は全部不起訴の場合も公表するのだというようなこと言いますれば、お考えになっても、捜査が非常に影響を受けることは事実ですからね。そういうことは、この時点で私が断定的に一般的な考え方を述べることは適当でないと、こういうことでございます。したがって、いまはその四十七条の規定を踏まえて、できるだけの協力をしたいと思っております。
  628. 神沢浄

    ○神沢浄君 どうもうまくわからぬですよ。そうすると、いまの御答弁をそのまま受けとめれば、非常に国民の間なんかでも疑問を持っておるのは、時効などによって不起訴処分になるような事例が多かった、内容的に。その際には結局うやむやになってしまうのではないかという点を心配しているのですが、不起訴の場合には、これはいまのお話になりますと、公判の関係がないから、これはいつでも提示できると、こういうふうに受け取ってよろしいですか。
  629. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) しばしば私が言っているように、現在のところは四十七条の法律規定をそのまま受け取って、その上に立って政府はできるだけの最善協力をするんだと、こういうふうにお受け取りを願いたいのであります。
  630. 神沢浄

    ○神沢浄君 進みますけれども、それじゃもう一点、国会が検事総長なりあるいは関係検事なりの証言を求めた場合には、これは法務大臣が承認をすればできるんですね、法務大臣が承認をすれば。これ承認しますか。
  631. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 捜査の過程において特別調査委員会等に検事総長を証人として喚問するという例は、いままでもないわけです。それから、捜査終了の後喚問したことはありますが、捜査制度というか、そういうものの将来の運営に非常に支障ありとして、時の検事総長佐藤藤佐さんは証言を拒否されたという例はあります。喚問には応じましたけれども。
  632. 神沢浄

    ○神沢浄君 応ずるのですか。
  633. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 捜査終了の段階において決定することであります。
  634. 神沢浄

    ○神沢浄君 いままで例がないといわれることを理由にしておるんですけれども、例なんか、つくれば何でもないじゃないですか。例のないというのは、私はこんな重大な問題にとって理由にはならぬと思いますね。いかがでしょう。
  635. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) そういう例は理由があってそうなっているのでございましてね、全然理由がなくやっているわけはない。あなたは民主主義根幹に触れる重大な問題だから、不起訴の者も時効の者も発表するのは一番いいんだ、公益の比較なんということは問題じゃないじゃないですかと、こうおっしゃるけれども、それは乱暴なんですね。いや、その捜査の仕方がうまくいって、そうしてきちっと刑事責任を追及し得るようなかっこうに日本の検察庁があるということ、これが将来にずっとわたることですからな。将来にずっとわたることですから、その制度を堅持するということは民主主義根幹に触れて非常に公益上重要なことなんです。それの比較考量をどうするかということは非常に高度の政治的な判断を要しますから、その場面に来たならば、総理を初め皆で相談する、こういうことを総理は言っておられるので、いまの段階でそういうことを申し上げるのは差し控えると、こう言っておられるのですから。言葉は私下手ですから総理みたいにうまいぐあいにいかぬですけれども、そういうことです。
  636. 神沢浄

    ○神沢浄君 何とも不得要領でございますが、時間の関係がありますから質問を進めます。  そこで総理に伺いますけれども、いまわが国の穀物自給率というのはどのぐらいかということを、総理御存じでしょうか。
  637. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私がかわってお答えをいたしますが、大体四二%程度だと思っております。
  638. 神沢浄

    ○神沢浄君 総理大臣もそのくらいのことはひとつぜひ御存じになっていていただきたいと思うんですね。エネルギーの問題も大切だけれども、私はいま日本にとって食糧の問題の重大性というものが、これこそ比較できないような大きなものがあると思うんですよ。そういう意味でもって、さっきも申し上げたように、少しこの食糧問題に関して政府見解を尋ねておかなきゃならぬと、こう思っているわけなんです。  そこで、あとの質問を進めてまいります上に非常に必要だと思いますから、昨年の十一月に新全総の農林水産業の総点検の中間報告というのが発表になっておるわけです。国土庁の長官の方から、その概略をひとつ御報告をいただきたいと思うのです。特に農業の衰退の原因はどこにあったかということ、それから今後の食糧自給回復のための農業の再建はどうあるべきかというふうな点を含めて承りたいと思うんです。
  639. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) お答えいたします。  新全総をつくるに当たりまして、まず考えなければならぬことは人口の問題だと思います。人口の動向というものがどうなるか。日本の人口ばかりでなくて、世界の人口はどうなるか。十年後はどうなるか。いまと長期展望で、西暦二〇〇〇年にはどうなるんだというようなことを考えてみますと、世界の人口が西暦二〇〇〇年には、現在三十五億の民族がその倍になるというような計算が推測されておるわけであります。また日本の人口も、鈍化はするけれども、一億二千五、六百万人に昭和六十年度を踏まえるとなる。  そういうことになりますと、食糧という問題は重大な問題だということで、今度の新全総をつくるに当たりましては、このままでいたら、先ほどもお話がありましたように、四八%程度の自給率だ。この自給率を上げなければ、人間の生存に関係のあることでございますから、当然今回の新全総につきましては、いわゆる人間居住の環境の整備を計画いたすわけでございますから、そういう意味からいたしましても、食糧の問題、あるいはエネルギーの問題、水の問題、住宅の問題、その他交通ネットワーク等の問題等もあるわけでございますが、しかし、私はその第一の柱はこの食料に置くべきだという考え方を持っておるわけであります。  そこで中間報告につきまして、第一に工場用地とか住宅地あるいは道路等の都市的土地需要が農地を急速に減少させ、また土地の価格が著しい高騰を来たしてきておるということも、農業の伸展に非常に私はマイナスになっておると思うわけであります。  第二に、非農業部門に労働力が相当逃げておるというようなこともあるし、またそういう結果、農業労働力の構成に大きなひずみが現在きておるということであろうと思います。  第三に、農家所得というものと、一般の農業に携わらぬ人の所得というものにあまりにも格差が出てきたということも、農業に魅力がないということであろうと私は思う。  また第四には、農業生産の近代化と効率化を図るために労働節約的技術が発達したため、化学物資の利用というようなことで、堆肥を使わないというようなことで非常に土地が衰えてきておるということも原因であろうと思います。  第五に、農村社会は都市近郊地帯を中心として混在化が進んだため、また山村地域で労働力の流出に伴う過疎化が進行して、農業生産の維持発展に大きな影響を来たしておるということも私は一つの原因であろうと思います。  今後の食糧自給度の向上のための検討課題としては、農用地の確保と整理、こういうことも必要であろうと思います。また農業労働力確保をどうするかということについても考えなくちゃならない。あるいは酪農、牛肉あるいは大家畜畜産の展開のためには薪炭林を開放するというようなこと、あるいは国有林を開放するということ、あるいは私は山梨県ですが、山梨県あたりの県有林を開放するというようなことも考えなくちゃならぬ、こういうようないろいろの問題点はあるわけでございますが、どちらにしても、この食糧という問題については重大な関心を持って、ことしの九月あるいは十月ごろまでには新しい第三次新全総をつくるわけでありますが、この農業の食糧問題の自給度を上げるということについて大きな柱にして、これを推進してまいりたいと、こう考えておるわけでございます。
  640. 神沢浄

    ○神沢浄君 総理にお尋ねをするんですが、いま国土庁の長官からの御報告をお聞きしてもそうでありますように、とにかく土地は減り、人は減りしてしまったわけです。これじゃとても容易に再建などはできるものじゃありません。総理にひとつ御認識をいただくために、私はいつか書きとめておきました昨年の十一月の天声人語の文章をちょっと読みますが、とにかく天ぷらそば一つを食べるといたしましても、そばはカナダ、中国、ブラジル産。エビはアフリカ沖の冷凍もの。油やしょう油の原料はアメリカ大豆。国産なのはプラスチックのどんぶりだけ。そのどんぶりさえも、さらにたずねれば中東の石油でつくられている。韓国マグロのすしをつまんで、フランス産のウナギを食べる。日本的だと思っておった梅干までが台湾から来たものだ。これがいま日本人の食生活の実態だと、こう言っているんですよ。本当ですよ、これは。  さっきお話がありましたように自給率がとにかく四〇%に落ちちゃったんだから。日本の人口一億一千万を数えても、その六割の人たちはみんな外国産の食糧に依存をしていま生きているでしょう。ことしアメリカ北部あたりの小麦は不作だというようなことが伝えられていますし、そうでなくても世界の食糧需給事情というようなものは非常に窮屈になってきているわけなんです。日本がもし外国から買えぬというような事態が生じたとしたらどうなるでしょう。この間、土曜日ですか、坂田防衛庁長官は非常に軍事的な面から何か防衛の精神について強調されていたようですけれども、国を守るより前にやっぱり国民が安心して食べれる国をつくることの方が私は緊急の問題だと、こう思うんです。仮に輸送事情か何か世界の事情の異変があって、船が動かぬなんというような事態が生じたとしたらば――それはいつ生じるかわかりませんよ、そんなことは。その際には、これは日本はもうどうにもならぬですね。とてもそれは自衛隊でもって守るというわけにいかぬでしょう。国民の六割を食わせるにはどうしたらいいか。私はもう日本政治課題、現状、これは最喫緊のことだと、こう考えているわけなんです。  そこで心配になるからお尋ねをするんですけれども、生産と需給の見通しというのが出ておりますね、六十年を目標にしまして。それで総合自給率では二%くらいは上がることになっておりますがね、逆に穀物自給率というやつは二%ぐらい下がる勘定になっているわけです。これじゃ、とても六十年まで待っていても自給率の向上ということにはならぬと思うんです。その辺の事情を、これは農林大臣からでいいと思うんですけど、御説明をいただくと同時に、私がもっと心配しているのは、その六十年以後の見通しはどうなるだろう、こんな状態のままずっと続いていかなきゃならぬのだろうか。これはもう本当に素朴な心配ですよ。国民がひとしく心配をしているところだと思うんですよ。その辺をひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  641. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 農林省では、御存じのように昭和六十年を目標といたしまする総合食糧政策の展開と称する長期政策を立てておるわけでございますが、その基礎となるのは、いまお話がございました六十年を目標といたしました農産物の需要と供給の長期見通しに基づいていまの基本計画を立てておるわけでございますが、これを目標から見ますと、たしかいまお話のございましたように、総合自給率につきましては現在七一、二%でございますが、これを七五%にしようということでございまして、大体人口の伸びあるいは消費生活の上昇等も勘案をいたしまして、われわれとしては二八%現在よりは生産を増強していく。それに対して二三%程度の需要の伸びがあるだろうと、こういうふうに判断をいたしておるわけでございます。  しかし穀物につきましては、確かにいまお話がございましたように、いま四二%程度の穀物の自給率は三七、八%に下がらざるを得ない、こういうふうに判断をしておるわけでございまして、これはもう御案内のように穀物、特に飼料穀物につきましては、これからの畜産の伸びあるいは畜産物に対する消費の増大というものを考えるときに、畜産のいわゆる飼料穀物は国内においては生産ができないわけでございます。今後とも生産は不可能でございます。どうしても外国に頼らざるを得ない。したがって、現在の飼料穀物、たとえば一千万トンが十年先には千五百万トンぐらいの輸入を確保しなきゃならぬということになれば、どうしてもこれは穀物の自給率については減少するというふうにわれわれとしては判断をしてかからなきゃならぬわけでございます。  そういう中にあって、われわれとしては、まずやはり国内において生産ができる、また生産が増大できるところの農作物については極力自給率を高めていくということは、これはもう全力を尽くしていかなければならぬわけでございます。同時にまた、どうしても国内において生産できない農産物については今後とも輸入を待たなければならぬわけでございますが、この輸入につきましては、安定輸入という道を確立をしていかなければならぬわけでございますし、同時にまた、現在ほとんど行われておらないような状況にあるところの農産物の備蓄ということも本格的に着手をしなければならないと考えております。五十一年度からスタートを切ったわけでございますが、この備蓄問題も、いわゆる国民食糧の確保という観点から、これを今後とも積極的に進めていかなければならぬ、こういうふうに考えて、そういうふうな基本的な考え方のもとに総合食糧政策を着実に今後十年計画で実施をしてまいりたいというのが、われわれの考え方でございます。
  642. 神沢浄

    ○神沢浄君 見通し後の見通しはどうですか。六十年後の見通し、さっきちょっとお尋ねしておったのですが。
  643. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 昭和六十年以後の見通しですか。われわれは一応昭和六十年という時点を目標にして計画を立てておるわけでございますが、六十年後十年間どうなるのかというようなこの見通しにつきましては、新全総の再点検等におきましてもいろいろと指摘もされておりますが、これはなかなか予測できないいろいろの要素があるわけでございますから、われわれとしては、一応六十年を目標として計画を立てておるわけでございまして、その後の見通し等につきましては、われわれとしては現在これを具体的に立案をするというところまでは至ってないわけであります。
  644. 神沢浄

    ○神沢浄君 私が非常に心配になりますのは、六十年までやってみても、総合自給率でやっと二%上げる程度。穀物自給率は逆に下がってしまう。そうすると、六十年後はどうなるかというと、いまお話がありましたけれども、端的に言うと見通しが立っていない、こういうことになってしまうわけですよね。そうすると、さっき言われた安定輸入というのが私は非常にこれは問題だと思うんです。日本でつくれぬようなものはひとつ外国から安定輸入の方法でもって買おう、説明はそうですわ。しかし、一方において自給率回復、農業再建を図ろうというようなことを言っておられても、六十年までに二%しか総合でもって引き上げにならないというようなお言葉だったら、これはもうまことに先の暗い話でありまして、その後はどうかというと、ちょっと見通しが立たれぬような状況だということになると、これは勢いまた輸入に傾斜をしていく。かつての国際分業論の焼き直しになってしまう。そこへいやおうなしに落ち込んでいく。こういう危険が、いまの私は政府の食糧政策というものの中にはほの見えて仕方がないですね。それじゃどうにもならないですね。  これは総理にお伺いしたいけれども、ひとつ食糧政策についての総理としての基本構想というようなものをこの際聞かしてください。
  645. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いま御指摘のように、食糧というものは国民生活の基本をなすわけです。いまはアメリカなども非常に余剰食糧が出て、アメリカ、カナダ、豪州などが主たる供給地になっておるんですが、人口の急激な増加などを考えると、食糧問題の将来は必ずしも安心はできない。しかし、食糧問題というものを自給自足できるという国はほとんどないわけで、これだけ国際的な依存関係が密接になってきておるし、この傾向はますます深まるわけでございますから、皆食糧自給政策というわけにはいかない。輸入の安定ということもこれは大きな食糧政策の柱でございますが、それにしてもある程度の食糧自給力というものは維持せなければならぬし、そのために必要なことは、食糧の現在の生産を確保しなければならぬし、将来の潜在的生産力というものを培養することも必要であると思います。どういうことが起こるかもわからぬ。  そういうことで、土地の基盤整備というものは非常にやっぱり基礎をなすものだと思います。それから価格政策ということも大事でございますし、あるいはまた技術の改良ということも、ますます農業というものが人手不足になる傾向というものはあるわけですから、農業の技術の改良をする。あるいは農業の後継者と申しますか、いまは農家の収入というものは、実際日本の農家の所得というものは年間二百三十二万円ぐらいのものだと思うんです。その中の三二%ぐらいが農業所得であって、ほかは以外の所得になっておるわけですから、そうなってくると、将来農業に専念できる担い手の育成ということは、これは将来の耕地面積も拡大しなければならぬし、それに対してのこれからの工夫というものをなされて魅力のあるものにせなければならぬ。そういう点で後継者の育成ということも大きな問題になる。  こういうふうな総合的な農政というものを今後強力に推進することによって、農業の地位というものは、食糧の確保という面でこれは基礎的な生活の基盤をなす物資を生産するばかりでなしに、一つの環境の保全という意味においても大きな役割りを果たしておるし、日本の社会においては、農村というものは社会の安定勢力になっておると思うんですね。ただ食糧の供給地だけというのではなくして、農村というものの持っておる意義というものを、食糧以外の面でも大きな社会的役割りを果たしておるということは頭に入れて、農村というものの振興を図っていかなければならぬものだ、こういうふうに私は考えておるわけです。
  646. 神沢浄

    ○神沢浄君 総論としては一応理解できるですけれども、よく三木内閣総論内閣なんというようなことを失礼な態度でもって言うようですけれども、私はやっぱり総論だけでは困るんで、各論において安心できるような施策というものを、これはどうしたってとってもらわなければ、日本の農業再建なんというようなものはとてもそんな簡単なものではないと思うのですよ。これは私の持論ですけれども、きょうまで三十年、工業本位の経済政策が、農業から土地を取り上げ、人を取り上げたですよ。それをそのままで農業再建なんというものはこれはできるものではないですよ、ここでもってUターンをさせなければ。土地をやっぱり農業に戻し――戻しというか、集中をし、それから人を集中するという、この政策をはっきり基本的にとらなければ、口先でばかり幾らきれいな表現をして美しい文章を書いてみたところで、私はできはせぬと思うですね。  そこで、例の見通しに基づくと、六十年を目標にして十六万ヘクタールふやすというんでしょう。それは七十万減って、したがって八十六万つくる。差し引き十六万ふえる。これは、七十万減る方は間違いなしにぼくは減ると思う。八十六万つくるという方はこれ大丈夫ですかね。自信のある答弁がしていただけるならお願いをしますよ。  それから人の問題ですが、いま総理のお答えの中に、まあ中核的担い手というか、とにかく人を農村に集めるんだと、こう言われておるんですが、何か今度の予算では総理のお声がかりでもって五十億ばかりその方へふやしたというんでしょう。それは結構ですよ。ぼくは大いに評価したいと思いますよ、その点は。しかし、五十億じゃどうにもならぬですね。だから、ついでにひとつ五十億の使い方と、それからさっきのその土地の問題、私は決して十分のものじゃないと思うけれども、それだけでも達成できる自信があるかどうか、これをひとつお聞きしたいと思うんです。
  647. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 先ほどお話がございました、いまの総合自給率七二%程度を昭和六十年に七五%にすると、ただわずか三%かそこらぐらいの上昇ではないかという御指摘があったわけでございますが、まあこの点は、現在のいわば食生活、人口そのままで考えて、今後、現在のわれわれが行っておる食糧政策を推進していけばこれは九〇%にもなっていくわけでございますが、ここに人口が増加をしていく、あるいは食生活が向上し、消費生活が進んでいくと、こういうことになりますと、どうしても今後の食糧政策を積極的に推進したとしても、まあ七五%を確保するということが、十年間としてはまあぎりぎりの限界ではないかというふうに考えるわけでございますが、その一環として、たとえば土地につきましても、農地につきましても、これから十年間で八十六万ヘクタールをぜひとも造成をしたいということでございます。まあよく言われておるわけですが、大体一〇〇%の国内の食糧自給を図っていくためには、いまの農地六百万ヘクタールにさらに九百万ヘクタールの土地が要るわけでございますが、現在のわが国の国土資源から見まして、まあ九百万ヘクタールをさらに確保するということは、これはもうとうてい不可能でございまして、われわれが判断をするに、大体百五十万ヘクタールぐらいのこれから造成可能の土地があるというふうに考えておりまして、まあその中で少なくとも昭和六十年までには八十六万ヘクタールをぜひとも造成をしたいということで、土地改良計画に基づきまして現在土地の造成を進めておるわけでございまして、この二、三年間計画がおくれておることは事実でございますが、ことしも二二%以上予算の増額が行われましたし、さらに土地改良法の改正等によりまして今後は財投資金等も活用できるという道が開かれましたので、われわれとしては、今後とも努力を続けていけば十分八十六万ヘクタールの新しい農地の造成は可能である。ただ、その中で、お話がありましたような七十万ヘクタールぐらい同時にまた壊廃が続いて行われるのではないかということでありますが、これは今日までの趨勢から見ますと、今後そういうことは予想しなければならぬわけですが、われわれとしては、優良農用地を確保するためには今後はさらに農地法の厳正な適用を行い、あるいはまた農振法等の運用等によりまして壊廃はできるだけこれを防いで、優良農用地はぜひともこれを確保し維持していくという基本的な方向で努力をしてまいりたいと思っておるわけでございます。  さらにまた、この農業を維持する上において最も大事なのは人の問題でございまして、この人につきましては、われわれは中核農家と言っておりますが、いわゆる農業の中核となって農業生産を担当していただく中核農家につきましては、これが育成強化のためには今後とも金融政策あるいは税制対策、さらにまた基盤整備等も含めまして積極的な諸施策を講じまして、本当に中核農家の方々が喜んで意欲を持って働けるような農村社会を今後あらゆる角度から建設をしていかなければならないと考えております。  いまお話がございました五十一年度の担い手対策として五十億円を計上いたしたのは、その一環としてわれわれは計上いたしたわけでございまして、どういうふうにこれを使っていくかということについては、この五十一年度予算案が成立した後におきまして、農家の方々の御意向等も十分くみながら、本当に集団的に意欲を持ってこれからの農業を推進していこうというための圃場整備であるとか、あるいは構造改善事業だとか、そういうものにこれを充てて、そうして農家意欲の推進に資したいと、こういうふうに考えておるわけであります。
  648. 神沢浄

    ○神沢浄君 さっき五十億お声がかりでもってふやしたというのは、そのことについては評価すると私は率直に申し上げました。しかし、いまの御答弁なんか、私は私なりに批判もしたい面がたくさんあるのですけれども、時間の関係があるから端的に問題に入りますが、私は、いまの金融の問題その他というふうなことでもって、とうてい若い人を農村につなぎとめるなんということは、これはできない相談だと思います。もっと基本のところを忘れておるじゃないですか。食える農業の条件をやっぱり整えてもらわなければ、これは人が集まりゃせぬですよ。いや、米をつくっちゃいけない――これもばかけたことだけれども、後から米の問題にちょっと触れたいと思うのですが、何か水田総合利用対策云々と言って、ほかのものにかわってくれと、こう言っても、米と同じ勘定になる農業生産がありますか。勘定が同じにならなくて、ただ、かわってくれ、かわってくれと言ったところで、これは無理難題というものじゃないですかね。それをやっているのがいまの政府の農業政策ですよ。  そこで、何か価格政策の見直しというようなことを文章では言っておりますがね、どんな見直しをするのかわからぬものだから、ひとつまずそれからお聞きしましよう。どういう見直しをするのか。少なくとも米だっても、米でもってその得るところのいわゆる家族労働賃金というのが、都市あたりの均衡賃金に比べれば八〇%くらいにしかならぬですよ、米でさえも。その米に比べて勘定の悪いものへかわってくれ、若い者にひとつやってくれと言ったって、これは無理な話ですよ。私はやっぱりその条件を変えなければ成り立たぬと思います、日本の農政は。したがって、いわゆる価格政策の見直しという点からお聞きをしたいと思うのです。どういう内容なんですか。
  649. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これからやはり食糧政策を推進していく上において重要な点は、いまお話がございました価格政策であろうと考えておるわけでございまして、したがって、この価格政策につきましても、これからの食糧の確保という面におきましてもいろいろと改善をしなければならない点があるわけでございますから、今日の段階におきましてこれをあらゆる角度から見直していこうということで、農林省の中で価格政策を推進するための協議会等も持ちまして現在これが検討にかかっておるわけでございまして、農産物は、御案内のように、大体その七割までが政府が何らかの形でこの価格決定には介入をいたしておるわけでございまして、その基本的な考え方としては、農家の再生産を確保するということが農産物の価格決定の一番大きな要素になっておるわけでございますが、しかし、米を初めといたしましていろいろの農産物につきましては、それぞれのやはり生産の実情あるいは、流通の実態、農産物それぞれの特性というものがあるわけでございますから、この価格決定の方式については一概に一つの方式でもってこれを決めていくということは実情に合わないわけでございまして、米のような生産費所得補償方式で全部の価格を決定しろということがよく言われるわけでございますが、われわれとしては、そうした農産物の生産の実態とか、あるいは流通の実情とか、農産物の個性、特性等も十分判断をいたしまして、生産費所得補償方式であるとか、あるいはパリティ方式であるとか、あるいは実勢方式であるとか、それぞれの農産物に適した価格決定方式で決めておるわけでございますが、その根幹はあくまでも再生産を確保するということでございまして、そうしたこの再生産を確保するという形の中でいろいろとまだ今後とも改善をしていかなきゃならぬ面があると思います。昨年も御案内のように、畑作物につきましては同一時期に同一価格決定方式で決めるべきだということで、昨年度は具体的には麦を初めといたしまして畑作物については秋にこれをパリティ方式によって決定するという方式を昨年度から採用してきたことは御案内のとおりでありますし、今後とも、その他の価格問題につきましてもそれぞれ改善をするところは今後とも積極的に改善をしていきたいと、そうして農家の価格政策に対する信頼感というものを高めていかなきゃならないと、こういうふうに私は考えておるわけであります。
  650. 神沢浄

    ○神沢浄君 見直しをするすると言っても、いまお聞きしたところでは具体的なその認識は持てないんですけれどもね、内容の。現状では、さっき申し上げたとおり、米の価格でさえも、家族労働賃金は都市勤労者の賃金に比べればせいぜい八〇、ほかのものなんか半分にもならないようなものがずらりと軒並みにそろっておるでしょう、果樹であろうと野菜であろうと畜産であろうと。それをどういうふうに見直すのか。私は、価格問題を語るときには、私どものこれは本来の主張ですけれども、やはりきちっとその賃金が補償をされるような、何をつくっても同じに補償されるように、これは生産費と所得というものを補償する方式以外にはないと思うんですよ。米はそうですわね。これとみんな同じ方式がとれないですかね。そのくらいのことをやれなきゃ私は日本の農業の再建なんということはとてもできぬ相談だと思うんですよ。これは総理にお聞きしてもいいですね、基本のことだから。どうですか。
  651. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 先ほどからお答えをいたしておりますように、農産物の価格決定につきましては、米の生産費所得補償方式を初めとして、いろいろな方式があるわけでございますが、それは農産物のそれぞれの特性あるいは生産の実情、流通の実態等も踏まえて再生産を確保するという大前提のもとにいまこれを決めておるわけでございまして、私たちは生産費所得補償方式ですべての農産物を決めるということは実情には合わないというふうに判断をいたしておるわけであります。
  652. 神沢浄

    ○神沢浄君 それじゃ、いま政府の考えているようなことで再生産が確保できると思いますか。自信を持って再生産ができると、こう言い切れますか。
  653. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) われわれとしては、現在の政府が決定をしておる価格につきましては、再生産を確保するという大前提のもとにこれを決めておるわけでございますから、これは適切な価格であり、そして農家の再生産は確保されておるというふうに考えておるわけでございますが、今後は、しかしいろいろと今後の農業の変化等も考えますると、その中にあっては改善をしなければならない面もあることはわれわれも反省もいたしておりますので、そういう点から価格政策についても見直しもやっていこうというふうなことで現在研究を続けておるわけであります。
  654. 神沢浄

    ○神沢浄君 時間がないからまた所管の委員会にでも譲ることにしましよう。  そこで、私は、いまの国の農業政策の中で自給度の回復を図る、これはほかのものだと土地を広げなきゃならぬ、人を求めなきゃならぬ、いろいろむずかしいことがあって、六十年以降の見通しもなかなか立ちにくいというようなことになっているわけですけれども、これは一つあると思うんですよ、自給度をある程度回復させるためのもっとずっと手近な方法が。それはほかでもない、米対策だと思うのです。  というのは、歴史的に考えてみても、日本の民族食糧ですよ、米は。米を食べて日本の民族は今日まで発展をしてきたわけでしょう。ところが、その米を減反政策、今度は名前を変えたにしても、余って困るからひとつほかのものに転換をしてくれよという、これは逆立ち政策ですよ。それをするのではなくて、米をもっと食べてもらう政策をとることが必要なんじゃないですか。時間の関係で数字など用意してきておりましたけれども、それはまた別の機会に譲ることにしますが、私どもが育ったころの戦前の米食い率に比べると、いまは大体七割くらいのものなんじゃないですかね。だから、国民がもっとずっと米を食べてくれるようになれば米をもっとつくれるわけだし、そうすれば自給率だってかなり上げることができる、こういうことだと思うんですが、こんなことは、やる気があればできるんですよ。  今度学校給食かなんかをちょっと入れるというわけでしょう。私は、学校給食についても非常に意見を持っている。文部大臣も聞いてください。この学校給食法というやつを見ると、なかなかりっぱなことが書いてある。食糧の生産や配分や消費などについて正しい理解に導くことだとか、日常生活における食事について正しい理解と望ましい習慣を養うことだとか、これは結構なことですよ。ところが、いままで学校ではパンを食わしていたですね。これじゃ、日本の国民がだんだんと米を食わぬようになりますよ。あの育ち盛りのときに食感覚としてパンが身についてしまって、それで、これはもう米食い率が減るのはあたりまえのことです。あたりまえのことをやってきているわけじゃないですか。ここでもやっぱり私は逆立ちだと思うんです。もし、今度給食に米も取り入れられたということになりますが、ただ給食だけでなしに、私はもっと日本の国民は国のためにも米を食うべきだという、これは農政だけでなしに、教育の分野においても行政をそこへ集中させる必要があるのではないかと思うのですよ。私なんかも百姓生まれの百姓育ちだけれども、私の周辺なんかを見たっても、みんな米をつくって、何か割り当てよりか余計にお天気の関係で取れちゃって、余り米でもって果たして政府が買ってくれるかどうかわからぬなどと言っておやじは困っておるのに、その子供たちは学校へ行ってパンを食っているなんて、これは逆立ちじゃないですか。私は、こういうふうなものを直していかなければ食糧問題の解決というものは一歩も進まぬのじゃないか、こう思います。総理や農林大臣、あわせて文部大臣の見解もお聞きしておきたいと思うのです。
  655. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) まさにお説のとおりであると私も思います。わが国の農産物で過剰であるのは、米と一部の農産物にすぎないわけでございますが、その米が過剰になったという一つの原因も、国民の消費が減退をしてきたということにその大きな原因があるわけで、十年前は国民一人当たりの米の消費量というのは大体百十七、八キロぐらいであったわけですが、今日では九十キロを切っておるというふうな状態でございます。したがって、米につきましては主食でございますし、ただ余っておるということだけではなくて、国際的な食糧の情勢も判断をし、さらにまた国内における食生活の見直しといったような見地からもこの米の消費拡大を図っていくということは、ただ単に農政の問題のみならず、国民のこれからの生活の面におきましても非常に私は重大な意味を持つものであるというふうに判断をしておるわけでございまして、最近では米の見直し論も相当出てまいったわけでございまして、民間の生産者あるいは消費者団体の中からも、米の消費を拡大していこうという空気が非常に盛り上がって、こうした団体の会合等も行われて、積極的に国民に米についての見直しを呼びかけるという空気が出ていることは大変喜ばしい現象でございますが、政府としても、いまお話のありましたような学校給食、現在学校給食によって育ったわが国の国民は三千六百万人おると、こういうことになっております。学校給食の影響は非常に大きいわけでございますが、したがって、この学校給食に米を積極的に取り入れるということにつきましても、文部省とも相談をいたしまして、本年度予算からこれに対して積極的な施策を打ち出したわけでございますし、今後とも学校給食を初めとする米の消費拡大等につきましては、政府自体もこれから積極的に取り組んでまいらなければならないと、こういうふうに考えておるわけであります。
  656. 永井道雄

    国務大臣(永井道雄君) お答え申し上げます。  ただいま農林大臣からお話がございましたように、私ども学校給食で食習慣というものを次第に変えていくという考えで臨んでおります。これまでパンを食べてまいりましたけれども、この三月の初めに施行規則も改めまして、米というものをそこに明記したわけでございます。現在におきましては、目標としておりますのは週二回をめどにするということでございますが、現状どうなっているかということを申しますと、完全給食を実施しております学校の中で米食をとっているところは四九%、これは四九%ですが、その中には週一回のところもあり、あるいは二週に一回のところもありますが、-ともかくも四九%がその方向に動いてきている。子供の数で申しますというと四七%強でございます。この状況に対して、私たちは設備施設をともかくでき得る限り本年度の予算において強化していくということでございますが、それでは不十分でありますから、先ほど申し上げましたように、めどを週二回というところに置いて、次第にその方向に向けて日本人の食習慣の中で米というものが持っている重要性というものを子供の時分から習慣づけていく、こういう方向で努力していく考えでございます。
  657. 神沢浄

    ○神沢浄君 総理にお伺いをいたしたいわけですが、なお一つ質問をつけ加えてあわせてお答えをいただきたいと思うのです。  まあ、いままでいろいろ御答弁をちょうだいをしてまいりました。しかし、私は決してそれで納得できるようには思いません。さきも触れましたように、一応確かに総論はあるんですよ。さきのたとえば価格の問題でも、再生産を確保しなきゃならぬということはわかっておるんですよね。わかっておるんだけれども、それじゃ各論的な施策がどうかと言えば、とても再生産を確保できるような施策はとられていないんですよ。そこの姿勢を直していかなければこれはどうにもならないのですよね。で、米の問題だってもやっぱりそうです。学校給食にだけはやっと道を開いたというふうな程度であって、私はそんなだけのことではどうにもならないのであって、もっと国民の皆さん方が米食い率をずっと増していくような、そういう方向へ、これは農政だけでなしに、国の行政というものを一さっき教育の問題にもちょっと触れたですけれども、もうすべてをそこへみんな集中をしていくようなことを、これは日本の国家のためにぜひひとつやってもらわなきゃ困ると思うのですよ。  総理に伺うのですけれども、ただ四割の国民の食う分しかないなんということでもって独立国家と言えますか。ヨーロッパあたりの国々を見ても、日本ほどこんなにひどく自給率を落としちゃった国はどこにもありません。むしろ、最近においては、みんな努力をして上げてきておるじゃないですか。これはよほど真剣になってかかっていただかなきゃどうにもならぬと思うのですよ。それには、米の例に見るがごとく、日本の農業に人が集まってくる、若い人たちも――これは確かに農業というのは重労働もあります。あるけれども、しかし、太陽はあり、緑はあり、汚染されない空気はあり、勘定さえ合えば、私は若い人たちは必ず農業に魅力を持ってくれると思う。自信を持っていますよ。ところが、その太陽にも、水にも、緑にも、きれいな空気にも、わかっちゃいるけれども、食えないじゃどうにもならぬじゃないですかね。とにかく食える農業の条件というものをつくってもらわなければ、とても農業再建はおぼつかないと思う。それには、ひとついまのようなばらばらの行政のあり方でなくて、私ども社会党においては、この食糧自給促進の法案というようなものをいま用意をしております。それは一つの体系づけられた、国がその目的のためには法律上の義務をしようという、はっきりした内容を持った、私は、基本法みたいなものの法制化というものを考える必要があるのじゃないか、こうずっと考えてまいっておるところでございます。総理の御見解を承りたい。
  658. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 食糧の自給率をできるだけ高めていかなければならぬということは、私もさように考えます。ただしかし、そういう食糧の自給関係から見れば、神沢さんの御指摘のように、米を食うことが一番いいわけです。私も農村の出身でありますから米は大好きですけれども、なかなかやはり今日では肉類の消費などもふえてまいりまして、まあ先進国、世界的に見ても穀類というものの需要というものは減っておるわけです。日本は、米はうまいと思いますからね。そういうことで、学校の給食などでもそうするし、政府の方においても、閣僚などの食事はこのごろはもう米食の方がほとんどなんです。しかし、法律をもって食糧を強制するというわけにはいかない。それはしかし、いろいろな場面に何とか米の消費が増加していくような処置をとれば、食糧の自給の上からいっても好ましいことでございますから、そういう考え方で今後指導に当たっていきますが、法制化をする考え方は持っておりません。
  659. 神沢浄

    ○神沢浄君 総理はよく聞いていていただいているようですが、何かちょっと受け取り方が違っているようです。米を食うように法律をつくれと私は言っているわけじゃないですよ。そうではなくて、もっと国が本当に食糧の自給というものを達成するためには、国の義務としてこれをやると、こういう基本的な法律をつくって、そしてそれに基づいて国の責任も明らかにしたり、同時に各地方自治体あたりにもその責任を分掌してもらうというような、そういうようなものができ上がってこなければ、いまのようなばらばらのやり方で、これはもう果樹は果樹、野菜は野菜、芋は芋なんていうようなことをやっておったんでは、四〇%を切るほどに落ち込んだ日本の穀物自給率なんて、オリジナル自給率なんてものを回復するなんてことは、それはとてもできぬ相談だと、これを指摘をしているわけなんでして、そういうふうな考え方の御用意があるかどうかということをお聞きをしているわけなんですよ。
  660. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 食糧問題というものは政府もきわめて重視して、先般も神沢さん御承知のように、国民食糧会議というのを開きまして、そしていろいろな御意見等も承ったわけでございまして、やはりこれはそのときそのときの政策では農業政策というものはだめで、非常に長期的な安定した農業政策というものが必要なことは御指摘のとおりだと思いますから、まあ政府はそういうことで食糧問題というものを重視して、民間の有識者の意見も聞くようなこともいたしまして、少し長期的な展望に立った農業政策の確立というものに対しては、今後とも一層これは重要な政策の柱であるとしてこの問題に対して取り組んでまいることは申すまでもございません。
  661. 神沢浄

    ○神沢浄君 どうもよくわかっていただいていないようですけれども、時間がありませんから進行します。  食糧問題としてもう一つ重要なのは、これはやっぱり漁業ですね。しかも、日本の漁業というのはいま非常なむずかしい事態を迎えていると、こう思うのです。時間の関係もありますから、現在行われておる海洋法会議、それから日ソ漁業交渉等についての交渉の内容、会議の見通し、それに基づくところの日本漁業にもたらす影響というようなものを、これはまあ外務大臣並びに農林大臣からもお答えをいただいて、そういうような状況の上に立って日本の漁業というものを今後どう持っていくかというこの考え方について、これは総理からも伺いたいですけれども、どうも総理の総論ばかり聞いていると、これ、どうにもならぬものですから、これは農林大臣で結構ですので、それをひとつお聞きをいたしたいと思います。
  662. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 海洋法会議の現在の進行状況等につきましては外務大臣からもお話があると思いますが、いま中盤を過ぎたところであるというふうに私も承知いたしておりますけれど、水産に関係があるのは経済水域の問題が大きいわけでありますが、経済水域につきましては、大体、大勢としてはそういう方向に進んでおるというふうに承っておるわけでございます。海洋法会議の結果として経済水域二百海里というものが設定をされるということになったときに、どういう形でこれが決まっていくかというその内容にもよるわけでございますが、われわれとしては、この経済水域が設定されたとしても、これまでのわが国の操業権というものが確保される、伝統的な水産国であるわが国のような立場が十分反映をされるという形で決まることを望んでおるわけでございますし、そういう方向に決まるべく最大の努力を進めておるわけでございますが、しかし、いずれにしても、経済水域二百海里が決まれば、わが国の水産に対しては相当影響が出てくることは間違いはないというふうに判断をいたしておるわけでございます。この経済水域二百海里が決まれば、四百五十万トン、その中でわが国の漁獲を行っておるわけでございますが、これに何らかの形で影響があって、この漁獲が削減をしなきゃならぬというふうな事態にも追いやられる、これがないように努力はしなきゃなりませんが、方向としてはそういう方向に進むかもしれない。アメリカが出しました法案等を見ましても、そういうふうな感じを持たざるを得ないわけでございますから、そういう中にあって、われわれとしては千百万トンに及ぶところのわが国の水産漁獲物を今後とも確保していくためには、さらに新しい資源の開発であるとか、あるいは未利用の資源の利用であるとか、そういうことも積極的に行っていかなければならないと同時に、沿岸漁業については特に今後とも積極的な施策を進めまして、現在沿岸漁場整備のための七カ年計画をつくりまして、これに対して沿岸の漁場整備をするために二千億を投入しようということで法案を国会に提案をしておるわけでございますが、そうした施策等も合わして強力な沿岸漁業の振興を図りまして、十年間ぐらいの間に七、八十万トンの漁獲増を沿岸漁場で図っていきたい、こういうふうに私たちは考えておるわけでございます。  この世界的なわが国に対する水産問題についての制約は、こうした海洋法だけでなくて、現在行われておるところの日ソ漁業交渉におきましても、ソ連の態度は非常に厳しいわけでございます。私は、これは経済水域二百海里というものを背景に持ってソ連が交渉に臨んでおるのじゃないかというふうに考えざるを得ないわけでございますが、非常に厳しいわけでございまして、ニシン等にいたしましても、オホーツク海のニシンの全面禁漁を求めてくるというふうな、われわれとしては予想しなかったような厳しさで臨んでおるわけでございまして、私たちは、そういう中にあって、何とかこれまでの北洋の漁獲を維持していくということで、いま日ソ間で交渉を進めておるわけでございます。大詰めに近づいておるわけでありますが、何としてもわれわれは、そういう中にあって、これまでの操業というものを確保するように最善の努力をいたしたいと思うわけでございます。そういうことで、日ソ漁業交渉にいたしましても、あるいは日米漁業交渉――これから行われるわけでありますが、日米漁業交渉にいたしましても、その他の国々との漁業交渉におきましても、いままで以上に厳しい情勢に直面をするというふうに考えるだけに、水産問題は、まさにこれからのわが国の動物性たん白資源の確保という面からも、非常に重要な政治の課題としてわれわれは取り組んでいかなければならないと、こういうふうに考えておるわけであります。
  663. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 二百海里の経済水域につきまして、海洋法会議において私どもは漁業との関連で主張しておりますことは、ただいま農林大臣のお述べになったとおりであります。それで、私どもとしては、二百海里経済水域そのものには基本的に支持をするという立場でございますけれども、そのことと、いわゆる領海の幅であるとか、あるいは国際海峡であるとか、その他いろいろな要素をいわゆる一括して決定をする。パッケージディールとして海洋法会議をまとめたいというふうに考えておるわけであります。ただいまのところ、このたびの会議に前回の経緯にかんがみて議長が提出しました非公式の単一草案というものについての各国の修正案を幾つかの委員会に分かれてやっておりまして、かなり実は討議がおくれておるわけでございます。五月の七日まででございますので、もう三分の二が済んでしまいました。ここでかなり議長が各委員会の審議を急ぐようにいまネジを巻いておりまして、この単一草案についての修正がほぼ出そろって、そしてそれが整合された形で取り入れられまして、単一草案なるものがどの辺までいけるかというところがこの最後の段階の問題でございます。私どもとしては、あっちこっちからたくさん修正案が出ておりますものが整合された形で最終的に単一草案、あるいはそれにきわめて近い形までいきたいと目下最大の努力を日本の代表部としてもいたしておるわけでございます。
  664. 神沢浄

    ○神沢浄君 いろいろ細目的な論議は所管の委員会に譲るつもりですけれども、ついでに、例の領海十二海里の宣言の問題について、いまどうなっておりますのでしょうか、外務大臣。
  665. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) これは、内閣が中心になりまして、関係閣僚が何度か議論をいたしました。ただいまとしては、わが国の領海はやはり十二海里にすべきものである、法律をもってすることが必要ではないかと思われますけれども、その方法、態様、時期については検討を要するとしても、基本的には十二海里にすることが必要であろう。しかし、これも先ほど申し上げましたように海洋法会議の大事な要素の一つで、いわゆる一括決定をすべき要素の一つでございますので、私どもとしては海洋法会議という形で国際的な合意としてそれが成り立つために最大の努力をただいましておるということでございます。
  666. 神沢浄

    ○神沢浄君 最後に、これは食糧問題と全く並んで重要な課題だと思うんですけれども、林業の問題ですね。大気の浄化、災害の防止、水源の涵養、保健、休養、林産の確保等々、言うならば国土の保全、国民の生活と生存にとって、この林業の振興ということが、国家として、日本にとっても、どのように重大な問題かということはいまさら言うまでもないと思うのです。ところが、国土の七割近くが山であるというこの日本で、七割近くが山だというこの森林国と言っていい日本でもって、木材の自給率が、これはまた食糧よりもっとひどく落ちて、三五、六%しかない。私は、きょうまでの林政というものの貧困というものをこれが雄弁に物語っていると思うんです。細かいことには触れません。この一つの例でもって、もう十分そのことは語られていると思うのです。したがって、今後のこの林業をどうやっていくかという点について、今日までの反省をも含めた上で、まず総理にお聞きをしたいし、同時に農林大臣のお答えもいただきたい、こう思います。
  667. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) わが国の木材の需要につきましては、これは経済の高度成長に伴うところの住宅であるとか、あるいは紙パルプ等の需要の急増によりまして非常に増加をいたしまして、昭和四十五年には用材で一億立方メートルの大台を突破し、その後増加傾向をたどりながら今日に至っておるわけでございますが、これに対して国産材の供給は、国民一人当たりの森林面積が非常に少ないということ、あるいは戦後植栽をされてまだ伐期に達しない若齢人工林が圧倒的に多いこと、これはまあ七〇%以上に達しているわけですが、こういう若齢な人工林が多いということ等の資源的な制約などによりまして、需要の増加に対応し得ないで、そのために自給率がいまお話しのように三五%に低下をしたわけでございます。しかし、この木材の自給率を高めることはきわめて重要でございますので、このためには長期的な視点に立ちまして、造林の推進、林道の整備等、生産基盤の整備あるいはまた林業経営構造の改善、さらに森林計画制度に基づくところの合理的な森林施業の確保、さらに林業労働力確保対策の強化等の国内林業振興施策の推進に努めまして、国産材生産の拡充を積極的に図っていきたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  668. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 関連。
  669. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 目黒今朝次郎君からの関連質問を許します。
  670. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 林業問題について、関連事項について質問をいたします。  いま農林大臣の答弁がありましたが、私は、林業問題の中で林業に携わる労働力の確保という点から非常に現在重大な段階に来ているんではなかろうか、こんなふうに考えます。具体的に申しますと、国有林の中で実際に伐採に当たっている労働者の約半分が現在白ろう病と認定されておるわけでございます。私は、昨年の二月は四国の高知に、ことしの三月に鹿児島の屋久島に行って見たわけでありますが、国有林の労働者以上に、民有林の方々は大体七〇から八〇%程度白ろう病に冒されているという実態を見てきたわけでございます。それ以上に、雇用関係のない、いわゆる一人親方、こういう一人親方は九〇%前後白ろう病に冒されている、こういう実態をこの目で見て体験をしてきたわけでありますが、総理にお伺いいたしますが、こういう人為的な職業病というものに対する基本的な考え方はどうなのか。私は、こういう人為的な職業病については、予防について十分な措置をする、病気になれば徹底的な治療をする、そういう基本的な考えがあればこういう職業病は完全に解消できる、こういうふうに考えるわけでありますが、この基本的な考えについて総理見解を聞きたい。  同時に、農林大臣並びに労働大臣から、このような白ろう病の実態についてどういう対応策を考えるのか。このまま推移すると、今後十年の間には完全に山の労働者はいなくなってしまうと、そういう計算にもなるわけでありますが、この点について具体的な対策をぜひ明らかにしてほしい、こういうふうに総理と両大臣にまずお伺いいたします。
  671. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 目黒君の御指摘になった問題は、政府も重大に考えております。振動を与えて、そのことが白ろう病ということでこれを調査をいたしまして、そして保険の特別の加入の場合の検討を加えておるわけでございまして、この問題は政府も重要に受け取っておる次第でございます。
  672. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 振動障害対策といたしましては、まず振動障害が生じないようにすることが基本的に重大でございますが、それとともに、振動障害にかかった場合に、それらの方々に対してその補償、治療に努力することが肝要であるとも考えられるわけであります。農林省としましては、振動機械の使用時間の規制の徹底、これは御案内のように一日二時間というふうに規制もいたしておるわけであります。あるいは振動障害を起こさないような機械の開発、これも現在三十種類ぐらい、ロータリー・チェーンソーといいますが、振動障害の少ない機械の開発を行っておるわけでございますが、こうした機械の開発改良、安全衛生関係施設の整備につきましての助成等の措置を講じておるところでございます。これからもなお、この問題につきましては解明をすべき問題も多く残されておりますが、関係各省庁とも連絡調整を図りながら所要の措置を積極的に講じてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  673. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) 私に対する質問は一人親方の問題のようでございますが、私は民間林業労務者、このチェーンソー振動障害から非常に白ろう病という問題がよく出るものですから、話を聞いておったのじゃだめでございますから、現地に入りまして政務次官と一緒に一晩泊まって、自分でチェーンソーを扱ってみました。これは二時間、一日にやるわけですね。しかも一人親方の場合は、自分が人を使う場合もありますし、使われる場合もあります。ですから、まず第一に健康診断をしてもらうこと。さらにまた、これを保険制度の中に入れることはなかなかむずかしゅうございますけれども、最近ようやく私の方でもそういうことを考えまして、さらに一方には労災病院等々に治療方法等をよくわかってもらって、そういうところで予防してもらうようないろいろな手配を、万全の策をいまから先もとろうと思っております。
  674. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 関連ですから一問だけ……。
  675. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 目黒でありますが、いま三人からお話がありましたが、実際に山に入ってみるとなかなかそうはいっていない。この前、屋久島に行ったときに、鹿児島県の金丸知事ですか、あなた知っていますかと言ったら、全然わからないと。現職の県知事がわからないというくらいですから、なかなか国会答弁のようにストレートに生産的にはいっていない。でありますから、その点の内容について、さらに労働大臣は現地に行ったということは非常に感心しますが、より一層徹底をしてもらう。特に民間関係については対策をしてもらう。  そこで、これは厚生大臣にも関係すると思うんですが、私はこういう点から考えますと、労災病院にその治療を任しておくというだけでは非常に不十分ではないか。全国で三千名、民間を入れると優に一万人程度の私は白ろう病患者が現存すると、こう推定しても間違いないと思うのであります。そう考えますと、この白ろう病を専門に治療研究をするような専門的な病院をやはり建てる。そういう方向性について積極的な検討をする心要があると思うのでありますが、厚生大臣なりあるいは農林大臣のお考えがあれば聞かしてもらいたいと、こう思うわけであります。
  676. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) まあ専門病院をつくれというお話もありますけれども、まず第一、山の中にいるものですから健康診断をやってもらうのにもなかなか大変なんです、健康診断。そこで私の方といたしますと、現在労災病院が全国に三十四カ所ありますし、さらにまた、労災委託病棟が十一カ所に充実しますから、そういうところでまず健康診断をしてもらうこと、自分の体ですから。しかも一日二時間使うんですから。そういうことで健康診断してもらい、いまのような、こういうものをよく周知徹底させて、そういうところでとにかくやってもらう人にわかってもらうことが大事であります。そしてそれを活用してもらう、こういう方法をさらに徹底するようにやってみたいと、こう思っております。
  677. 田中正巳

    国務大臣(田中正巳君) 白ろう病につきましては、これらが発生する原因については振動によるものというふうに思われておりますが、しかし、療法としては現在特別なものがございません。ただ、温熱療法が適当であるという、回復を早めるということでありまして、私どもの温泉病院等においてこれをやっておりますが、研究はいたしますが、このために特別の病院を設置することはただいまのところ考えておりません。
  678. 神沢浄

    ○神沢浄君 総理に伺いますが、いま蚕は大体桑の葉で育つものだということが常識でしたが、いまゼリーみたいなものでもって蚕が飼われるのですね。御存じですか、人工飼料。知らないなら知らないと言ってくださればいいですよ。
  679. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 相当専門的な問題でございますので私からお答えをいたしますが、蚕につきましての人工飼料につきましては、農林省の試験場等でもこれが研究を積極的にいたしておりますが、現在は稚蚕用の飼料が実用化の緒についたところでございまして、稚蚕人工飼料の飼育実証事業等を経まして、近い将来本格的な普及段階に入る情勢にあるわけでございますが、この人工飼料によるところの全齢飼育、すべての段階にわたるところの全齢飼育につきましては、人工飼料の成分及び品質あるいは蚕の生理、飼育環境の条件などから、技術的にまた経済的に解明をしなければならない問題点が多いわけでございまして、現在のところ、その実用化の見通しは立っていない。稚蚕用につきましては実用化しておりますが、全齢用につきましては実用化の段階の見通しは立っていないという現状でございます。
  680. 神沢浄

    ○神沢浄君 総理は、お答えのないところを見れば、おそらく御存じないだろうと思います。わざわざ知らないという答弁をちょうだいせぬでもいいですから……。  ただ、そこで総理にも農林大臣にもひとつしっかりと聞いておいていただきたいことなんですが、いまのお答えのとおり、まだ確かに十分採算がとれるような段階ではないようです。しかし、これはだんだん技術的に向上しまして採算がとれるようになった場合には、これは企業になりますね。いま養蚕は一年三回くらいでしょう。しかし湿度と温度を調節すれば一年じゅう繰り返し生産ができるわけです。そうすると、養蚕は農民の手から企業へ移りますよ、これは。私はどこかに歯どめをしておかぬと、養蚕でなければ食えない地帯があるのです、養蚕地帯が。そういうことのためにやはりいまのうちから、奨励をされることもそれは結構ですよ、結構ですけれども、しかし、養蚕農家のためにどこへ歯どめをつくっておくかということは、これは考えておいていただかぬと大変なことになると思うんです。勘定が合うというようなことになったならば、それこそもうみんなそちらへいって、養蚕農家というのはほとんどこれは押し出されていってしまわなきゃならぬような危険がはっきりあると、こう思うんです。御見解を聞いておきたいと思います。
  681. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 先ほどお答えをいたしましたように、全齢用の人工飼料につきましては、現在これが実用化のめどは立たないという情勢にあるわけでございますが、一部の企業等でこれに対して積極的に取り組もうという動きもあるように聞いておるわけでございます。私たちとしては、養蚕農家の立場というものも十分配慮しながら、この問題に対処していかなければならないと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  682. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 以上をもちまして神沢浄君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  683. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 井出官房長官より発言を求められております。これを許します。井出官房長官
  684. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 先ほど矢田部さんの御質問の中で答弁を留保した点がございました。党の側へ照会をいたしましたところ、以下申し上げるような次第でございます。  自民党の航空対策特別委員長名義の書類、すなわち昭和四十七年六月二十六日付で運輸大臣あてに出されたと思われる文書でございますが、これについては、政調会の正式決定文書ではない、こういうことが一点。  それから、この文書の出所につきましては目下政調会内部において調査中である。  こういうことだけ私のところへ回答が来ておりますので、お答えをいたします。
  685. 八木一郎

  686. 矢田部理

    矢田部理君 自民党の正式文書でない、航空対策特別委員長名義の文書でもない、とすれば偽造文書だということですか。
  687. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 私が接触をしまして判明した点は先ほど申し上げたとおりでございまして、それ以上には詳細に伺っておりません。
  688. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) できるだけ早いこと御報告を申したらいいと思いましたので、自民党側に問い合わせましたところ、あれは党の正式文書ではなかった。どうしてああいう文書ができたか、だれがつくったのかということは自民党で調査中であると、こういうふうに御承知を願います。
  689. 矢田部理

    矢田部理君 福永一臣という特別委員長の名義が出ているわけです。委員長がつくってないとすれば、何者かがつくった偽造文書ではありませんか。
  690. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) そういう点も含めて自民党でいま調査をしておるわけでございます。
  691. 矢田部理

    矢田部理君 運輸省の航空局監理部監督課にこの文書は存在するといわれているんですが、監督課ではだれが預かったか、まだわかりませんか。
  692. 中村大造

    政府委員中村大造君) 航空局の監理部監督課のいろいろな資料の中にそういうものが存在しておったと、こういうことでございまして、これがどういう経路で監督課の資料の中にあったかということは、目下のところよくわからないということでございます。
  693. 矢田部理

    矢田部理君 そういう点で大変不満ですよ。中身は全然わからないんです。問題は、そういうインチキ文書、それが下敷きになって実は七月一日付の丹羽運輸大臣通達が出ているということなんです。この文書が出されたのは、インチキ文書が出されたのは六月二十六日です。それから数日後に、さっき文書を読み合わせていただきましたけれども、全く同一のような文書がある。基調も同じ、同趣旨の通達が出された。きわめて奇々怪々な事件なんですよ。なぜこんな文書がこんな時期に出されたのでしょうか。
  694. 中村大造

    政府委員中村大造君) 七月一日付の通達と六月二十六日付の文書の内容とは、同一ではございません。
  695. 矢田部理

    矢田部理君 幾つかの基本で同じでありますけれども、一つだけ問題にしたいのは、エアバス導入を四十九年まで延期をするということなんですね、この怪文書の中味は。通達も延期をするということなんです。同時に、四十九年には認めるとも書いてあるわけです。これまで行政指導等でずうっとエアバスの導入を延期してきた。改めて正式にここで通達を出して延期をした。その裏打ちになったのがこの怪文書なんです、時期的にも内容的にも見ても。これはもう客観的に見れば明らかなんですよ。こういう奇々怪々なことが行政の中で行われている。それがトライスター購入の疑惑の重要な一つなんです。どうして今日まで、かねてより新聞等で問題になっているのに、三木総裁、調べなかったんですか。
  696. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 党の方においても政調会長が中心になってこれは調べるということで、いま、どうしてだれがこういう文書をつくったかというような問題については目下調査中であるわけでございます。
  697. 矢田部理

    矢田部理君 このエアバス導入延期の状況、これはチャーチ委員会の資料と実は符節を一にしているわけです。御承知のように、コーチャン社長はチャーチ委員会の証言で、747やDC10はもう市場に出回っているけれども、トライスターはでき上がっていない。日本における工作の一番大きな目標はエアバス導入を延期させることだと。これに符節が合うわけですよ。だからこそこの怪文書が、それをもとにした通達が問題になるんです。わかりますか、三木総理
  698. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 党に関する限りは、これは調査をいたしたいと思います。運輸省に関しては、いまお答えしているように、そのことが正式な一つの文書として受領していないと、これによって運輸省の方針がこれを基礎にして決まったのではないということを言われておるわけでございます。私もさように考える。さように信ぜざるを得ないわけでございます。
  699. 矢田部理

    矢田部理君 三木総理、あなたはこの怪文書と通達、読み合わせてみましたか。
  700. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私もいろいろこう問題になっておるわけですから、一応はそういうことは頭の中にはあるけれども、緻密に読み合わすというものではございません。
  701. 矢田部理

    矢田部理君 それじゃ、さっきのような断定的な答弁はできないじゃありませんか。読んでごらんなさいよ。基本的に同じなんです。時期的にも接着しているんです。しかもコーチャン証言によれば、その延期をさせて商売はうまくいきましたという、延期をさせてと言っているんですよ。何者かの手が介在した疑いが非常に濃厚なんです。そういうことを追及すること、調査をすることが、まさに真相究明の重要な内容じゃありませんか。それをやらずして、とりわけ自民党の中で起こった問題、少なくともその名前が出ている問題についていまだに明らかにならないようでは、総理が何度真相究明民主主義根幹にかかわる問題だと言われても国民は信用しないのであります。  いろいろ問題点もありますけれども、きょうはこの程度で終わりますけれども、疑惑はたくさんあるんです。いずれにしても正式の内容が報告されないわけでありますから、出所あるいは受取人も明らかにならないわけでありますから、その点については質問を留保して、きょうは終わりたいと思います。
  702. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 以上をもちまして矢田部理君の質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後八時十五分散会