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1976-02-12 第77回国会 参議院 文教委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年二月十二日(木曜日)    午前十時七分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         山崎 竜男君     理 事                 有田 一寿君                 内藤誉三郎君                 久保  亘君                 小巻 敏雄君     委 員                 久保田藤麿君                 山東 昭子君                 志村 愛子君                 高橋 誉冨君                 藤井 丙午君                 小野  明君                 鈴木美枝子君                 松永 忠二君                 宮之原貞光君                 内田 善利君                 白木義一郎君                 須藤 五郎君                 中沢伊登子君    国務大臣        文 部 大 臣  永井 道雄君    政府委員        人事院事務総局        給与局長     茨木  廣君        文部政務次官   笠岡  喬君        文部大臣官房長  井内慶次郎君        文部大臣官房会        計課長      宮地 貫一君        文部省初等中等        教育局長     諸沢 正道君        文部省大学局長  佐野文一郎君        文化庁次長    今村 武俊君    事務局側        常任委員会専門        員        瀧  嘉衛君     —————————————   本日の会議に付した案件教育文化及び学術に関する調査  (文教行政基本施策に関する件)  (昭和五十一年度文部省関係予算に関する件)  (主任制度問題に関する件) ○委員派遣承認要求に関する件 ○学校教育法の一部を改正する法律案(第七十五  回国会内閣提出、第七十六回国会衆議院送付)  (継続案件) ○派遣委員の報告に関する件     —————————————
  2. 山崎竜男

    委員長山崎竜男君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  教育文化及び学術に関する調査を議題といたします。  まず、文教行政基本施策について文部大臣から所信を聴取いたします。永井文部大臣
  3. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 第七十七回国会におきまして、文教各般の問題を御審議いただくに当たり、所信の一端を申し述べます。  わが国は、戦後、復興の一時期を経て、まれにみる高度経済成長を遂げ、経済的な繁栄を築き上げてまいりましたが、ここ数年、世界的規模で提起されている資源エネルギー問題、環境問題等に直面し、経済はもとより現代文明社会の本質的なあり方にまで省察の眼が向けられようとしております。  このような時代の転機に当たり、わが国世界史の新しい展開の中で一層の飛躍発展を遂げるためには、その根幹をなす教育の重要性について認識を新たにするとともに、教育の刷新充実に一段と努力を傾注しなければならないと存じます。  これからの教育は、すべての国民が世界人類との連帯のもとで、豊かな人間性と未来を創造する英知をみずからのものとし、来たるべき社会において真の生きがいを見出し得るような素地を養うものでなければならないと考えます。  私は、このような観点から、教育を民族悠久の課題としてとらえ、広く国民の合理のもとに、学校教育社会教育及び家庭教育を通じた生涯にわたる教育の機会の拡充とその内容の充実に、専心努力を重ねてまいる所存であります。  特に、伸び伸びとした自主的で創造的な人間の育成を期するためには、競争第一主義の風潮を排し、受験体制過熱化の現状を打開し、学校にゆとりのある雰囲気を取り戻し、学ぶ者、教える者がそれぞれ互いに助け合う気風を醸成することが必要であります。私はこのような教育本来の環境づくりに向けて総合的な諸施策を検討し、これを推進してまいりたいと存じます。  以上の基本的な立場に立って、当面する文教行政の諸問題について申し述べます。  第一は、初等中等教育改善充実についてであります。  初等中等教育につきましては、知・徳・体の調和のとれた人間形成を目指し、教育内容の改善を図ることが緊要であります。そのため、まず、小・中・高等学校を通じて教育内容を思い切って精選し、ゆとりのある学校生活の中で児童生徒に将来の発展の基盤となる基本的な事項をしっかり身につけさせ、心身ともに健全な個性豊かな国民の育成を図るという観点から、その望ましいあり方について教育課程審議会に検討をお願いしております。今秋にも答申が行われる予定でありますので、それを待って具体的な改善に着手してまいる所存であります。  教育内容の改善と並んで重要なことは、教職にすぐれた人材を得て、教員が意欲を持って教育に専心し得るような条件の整備を図ることであります。そのため、厳しい財政事情下にもかかわらず、いわゆる人材確保法に基づく計画的な給与改善を過去二回の実績の上に、さらに積み上げるとともに、教職員定数についても所要の改善を図ることといたしております。  また、調和のとれた学校運営の実現を目標として、教育指導の充実を図るため、昨年十二月末、学校教育法施行規則の一部を改正し、教務主任学年主任生徒指導主事等のいわゆる主任の設置とこれらの職務内容について規定し、学校教育活動がより一層活発になることを期待いたしております。  以上のほか、幼稚園教育普及充実について、昭和五十七年度当初までに就園を希望するすべての四、五歳児を就園させることを目標とする幼稚園教育振興計画を引き続き推進するとともに、心身に障害を持つ児童生徒の教育につきましても昭和五十四年度からの養護学校教育義務制実施のために必要な諸準備を中心に、障害児の実態に応じた特殊教育拡充整備のための諸措置をきめ細かく進めてまいる所存であります。  次に、児童生徒の保健の問題につきましては、近年における疾病様相に対応した健康診断の充実を図る等の諸施策を講じてその健康増進安全確保に努めるとともに、学校給食につきましては、児童生徒の心身の健全な発達に資する教育上の重要な機能に思いをいたし、一層の普及充実を図ってまいりたいと存じております。このため、良質かつ低廉な学校給食用物資安定供給を図る等の諸施策を強力に進めるほか、食事内容多様化により、学校給食を魅力あるものとし、かつ、米食の正しい食事のあり方を身につけさせる見地から、米食の導入を行うこととし、諸条件の整備と相まって地域や学校の実情に即した段階的な実施を推進する所存であります。  さらにまた、公立の小・中・高等学校の施設の整備につきましては、事業量の拡充、建築単価の改定を行うとともに、児童生徒急増地域における小・中学校用地取得費補助の継続、拡充を図るほか、特に、今後の高等学校生徒の増加に対処するため、緊急対策として、新たに公私立高等学校建物の新増設費に対する国の補助を行い、高等学校教育の機会の拡充に資することといたしております。  第二は、高等教育整備充実についてであります。  すでに量的には著しい発展を見ているわが国高等教育につきましても、当面その質的充実が緊急の課題とされており、また、これまでの拡大の間に生じました各種の格差・不均衡の是正等改善すべき多くの問題があります。  そのため、長期的な展望のもとに、大都市への大学の集中を抑制しつつ、地方大学整備充実大学院拡充整備等高等教育質的充実に重点を置いて諸施策を進め、名大学の特色ある発展と均衡のとれた高等教育計画的整備を図ってまいる所存であります。  また、新しい高等教育機関として、技術科学大学の創設を初め、教員大学院大学創設準備及び放送大学実施準備を取り進めるとともに、社会的要請の強い医師の養成については、昭和五十一年度に高知、佐賀及び大分の三医科大学の創設を行い、残る四県につきましても創設準備等を進め、無医大県の解消を図り、あわせて歯学部創設等を進めてまいります。  さらに、受験体制の憂慮すべき現状にかんがみ、子弟を持つ父兄の重大な関心事である大学入試に関する諸問題につきましては、わが国の教育全体の正常な発展を期するためにも、国立大学共通第一次試験の推進を初め、あらゆる面から最善の努力をいたす考えであります。  なお、国立学校授業料につきましては、従来から、社会・経済情勢の変化に応じてその改定が行われてきたところでありますが、昭和五十一年度におきましても、諸般の情勢を総合的に勘案し、育英奨学事業拡充措置授業料免除枠拡大措置等につき十分配慮した上で、これを改定することといたしております。  第三は、私学の振興についてであります。  私立学校は、わが国学校教育において大きな地位を占め、独自の校風のもとに特色ある教育を行うことにより、多大の貢献をいたしてまいりました。このような私立学校の役割の重要性にかんがみ、本年四月一日から施行される私立学校振興助成法の趣旨に沿って、昭和五十一年度においても、私学振興に格段の配慮をいたし、私立大学等に対する経常費補助の拡充を図るとともに、高等学校以下の私立学校に対する経常費助成について、新たに学校法人立以外の幼稚園についても予算措置を講ずる等大幅な増額を図ることといたしております。  また、本年新たに発足する専修学校制度につきましては、今後国民教育の多様な要請にこたえてわが国学校教育体系の中で大きな役割りを果たすことが期待されているものであり、国としても税制上の優遇措置を強化するなど、その教育の振興に一段の努力を払ってまいる所存であります。  第四は、社会教育及び体育・スポーツの振興についてであります。  すべての人々が生涯の各時期において最大限に教育の機会に恵まれ、これを活用し得るようにすることが、生きがいのある豊かな社会の建設のために強く望まれております。  このため、これからの社会教育は、学校教育及び家庭教育との連携を深めながら、重要な役割りを担うものとして、一層力強く展開していく必要があります。かかる要請にこたえるため、社会教育活動の中核となる社会教育関係指導者の充実を図るとともに、地域住民の自主的な学習活動の拠点となる公民館、図書館等の整備に努めることといたしております。さらに、国立少年自然の家につきましては、年次計画により、整備を推進するとともに、国立婦人教育会館につきましても引き続き建設工事を進めることといたしております。  また、生涯教育を推進するため、各種社会教育事業整備充実する等社会教育の一層の振興を図る所存であります。  次に、体育・スポーツにつきましては、国民の一人一人が常に健康で明るい生活を送るための基盤づくりとしてその振興に努めてまいりたいと存じます。すなわち、青少年に対しては、強健な心身の発達を図るため学校教育における体育をより一層充実することが必要であり、体力づくり推進校の指定、クラブ活動充実等の施策を推進し、また、一般社会人に対しては、日常生活スポーツを取り入れ、余暇を活用しつつ、体力の保持、向上を図ることができるようそのための施設の整備充実指導体制の整備、指導者養成確保、さらに学校開放促進等も進めてまいる所存であります。  第五は、学術の振興と教育・学術・文化の国際交流の推進についてであります。  学術研究を振興し、資源の乏しいわが国において最も貴重な知的資源を活用することは、将来にわたるわが国の発展の基盤を培うものであり、ひいては広く人類の進歩と発展に寄与するものと考えます。このため、独創的、先駆的な研究を育て、すぐれた基礎的研究を推進するため、科学研究費を拡充するとともに、核融合研究等重要な研究領域に、重点的な配慮を加えるなど、所要の研究体制研究環境等整備充実に努めてまいりたいと存じております。  また、わが国が、今後の国際社会において十分その役割りを果たすためには、教育・学術・文化の国際交流を一層発展させることが必要であり、国際協調の時代にふさわしい日本人の育成、協力事業の拡充、留学生の受け入れ体制などの整備等を中心に各種国際交流事業を推進してまいる所存であります。  なお、東京に本部を置く国連大学は、昨年の秋、大学の事業計画に関する専門家会議を開催するなど本格的な活動を開始いたしましたが、わが国としても引き続きこれに積極的に協力してまいりたいと存じます。  第六は、文化の振興についてであります。  国民生活に精神的な潤いと豊かさをもたらす芸術文化の振興に関しましては、わが国の誇る伝統的な文化遺産を継承しつつ、新しい文化の振興に意を用い、国民各層がこれに親しむことができるよう一層努力を重ねてまいりたいと存じます。  このため、芸術文化の振興につきましては、国立歴史民俗博物館国立演芸資料館、第二国立劇場等についてその創設準設を取り進めることとするほか、芸術関係団体に対する補助金を増額するとともに、地方における芸術文化活動の振興に努め、青少年に対する芸術文化の普及については、すぐれた舞台芸術を直接に鑑賞できる機会をふやして一層ふやしていくことといたしております。  一方、文化財の保護につきましては、文化財保護法が大幅に改正されたことに伴い、開発の進行に適切に対処しつつ埋蔵文化財保護対策の強化を図るほか、各地の民俗文化財や、由緒ある町並みの保存、文化財保存技術の伝承に力点を置いて諸施策を推進してまいる所存であります。  以上、文教行政の当面する諸問題について所信の一端を申し述べましたが、わが国の教育・学術・文化の振興のため、文教委員各位の御協力と御支援を得て、微力を尽くして取り組んでまいる所存でありますので、何とぞよろしくお願い申し上げる次第であります。     —————————————
  4. 山崎竜男

    委員長山崎竜男君) 引き続き、昭和五十一年度文部省関係予算について説明を聴取いたします。永井文部大臣
  5. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 昭和五十一年度文部省所管予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、文部省所管一般会計予算額は二兆七千五百九十八億三千百万円、国立学校特別会計予算額は八千四百五十九億二千九百万円でありまして、その純計額は二兆九千六百六億一千四百万円となっております。  この純計額を昭和五十年度の当初予算額と比較いたしますと、三千九百四十二億六百万円の増額となり、その増加率は、一五・四%、一般会計予算額増加率は、一四・八%となっております。  以下、昭和五十一年度予算において取り上げました主要な事項について御説明申し上げます。  第一は、初等中等教育充実に関する経費であります。  まず、教員給与改善につきましては、四十八年度以来、いわゆる人材確保法に基づく計画的改善実施するため、第一次及び第二次の改善措置によりすでに二〇%相当額財源措置を講じたところでありますが、五十一年度においては、現下の財政事情等を考慮して、人材確保法に基づく教員給与改善を円滑に完結させるため、第三次改善を二回に分けて行うという考え方に立って、それに必要な経費として、二百四十三億円を計上いたしております。  次に、義務教育学校教職員定数につきましては、まず、児童生徒数増加に伴う教職員定数の増を見込むほか、四十九年度を初年度とする第四次の教職員定数改善五カ年計画に係る教職員定数の増、養護学校及び特殊学級増設に伴う増等を合わせて、一万三千九百四十一人の増員に必要な経費を計上いたしております。  次に、教材につきましては、義務教育学校教材について年次計画最終年次としての充実を図ることとし、また、義務教育教科書について五十一年度前期用教科書から購入価格改定することといたしております。  次に、公立文教施設整備につきましては、新たに、高等学校生徒増加に対処するため、緊急対策として、一定の要件に該当する高等学校の新増設建物について補助を行うこととし、このために必要な経費として、私立学校分と合わせて合計四十二億円を計上いたしております。また、五十年度までの臨時措置として行ってきました児童生徒急増市町村小・中学校建設用地取得費補助制度について、急増市町村用地買収計画等に照らし、五十一年度においても引き続き実施するとともに交付率引き上げを図ることとしたほか、校舎等建物の新増設事業につき、事業量増加補助単価引き上げを行うことといたしております。これらの施策に要する補助金として五十年度に対し二三・五%増の二千五百六十一億円を計上いたしております。  公害対策につきましても、引き続き、大気汚染地域及び市街地域公立小・中学校健康増進特別事業及び学校環境緑化事業実施することといたしております。  次に、学校給食整備充実につきましては、米飯給食導入推進するため、米飯給食関係施設設備拡充することといたしましたほか、低廉、良質な学校給食用物資安定的供給に資するため、五十年度に新たに設定した学校給食用物資安定供給基金について七億五千万円を追加し、資金量合計二十億円にすることといたしております。  次に、定時制及び通信制教育充実につきましては、勤労青少年の修学を容易にするための修学奨励費について、新たに通信制課程をも補助対象とするとともに、定時制課程についても三年次生への拡大貸与月額増額を図ることといたしたほか、教科書給与についても全学年を給与対象にすることといたしております。  特殊教育振興につきましては、前年度に引き続き、年次計画による養護学校及び特殊学級増設推進することとし、特に五十四年度からの養護学校教育義務制実施に備えて、都道府県市町村等設置する就学指導委員会拡充するとともに、重度・重複障害児のための訪問指導員及び介助職員増員特殊教育就学奨励費拡充等を行うことといたしております。  次に、幼稚園教育振興につきましては、父兄経済的な負担を軽減し、幼稚園教育普及に資するため、幼稚園就園奨励費補助につき特に生活が困窮している世帯に係る保育科等減免最高限度額引き上げる等その充実を図るとともに、引き続き幼稚園増設計画的に進めることとし、施設整備の促進を図ることといたしております。  以上のほか、英語教育充実を図るため、新たに、英語担当教員研修講座及び英語教育充実に関する調査研究を行うことといたしております。  第二は、高等教育整備充実に関する経費であります。  まず、高等教育改革推進につきましては、放送大学について、新たに、学習指導方法についての各種の実験を行う等その実施準備を進めるとともに、教員大学院大学について、その創設準備等をさらに進めることといたしております。また、技術科学大学につきましては、五十一年度に豊橋市及び長岡市にそれぞれ創設し、五十三年度から学生受け入れることといたしております。  なお、筑波大学についても、大学院研究科増設する等その整備を図ることといたしております。  大学入学者選抜方法改善につきましては、新たに、国立大学入試改善調査施設設置し、国立大学共通第一次試験に関する準備調査を進める等の施策を講ずることといたしております。  次に、大学院拡充整備につきましては、お茶の水女子大学及び静岡大学に後期三年の博士課程独立研究科創設を図るとともに、一般研究科新設、専攻の新増設等により、七百五十人の入学定員増を行うことといたしております。  医学教育拡充につきましては、高知佐賀大分の三カ所について、五十一年度に医科大学創設し、五十三年度に学生受け入れることといたしましたほか、福井、山梨、香川の三カ所について、国立医学教育機関創設準備を行うとともに、琉球大学医学部について引き続き設置調査を行うことといたしております。  また、歯学部については、徳島大学歯学部設置し、五十二年度に学生受け入れることとするとともに、鹿児島大学についてその創設準備を行うことといたしております。このほか、熊本大学医療技術短期大学部設置するとともに、旭川医科大学以下新設医科大学等附属病院創設することといたしております。なお、五十年度に引き続き公立医科大学看護大学等に対する経常費助成拡充を図ることといたしております。  次に、教員養成改善充実につきましては、前述の教員大学院大学創設準備等を進めるほか、国立大学教員養成学部について、小学校教員幼稚園教員特殊教育教員及び養護教員養成する課程新設拡充を図るとともに附属養護学校新設する等その充実を図ることといたしております。  国立学校整備充実につきましては、以上の諸施策のほか、広島大学工学部改組埼玉大学理工学部分離改組岡山大学薬学部設置を初め、学科・課程新設改組等地方国立大学中心にその整備充実を進めることとし、大学学部及び短期大学入学定員で総数千三百四十二人の増募を行うことといたしております。また、教育研究条件整備のため、基準的経費施設設備等充実に努めるとともに、必要な分野について教職員増員を図ることといたしております。  なお、国立学校授業料につきましては、諸般情勢を総合的に勘案し、育英奨学事業拡充措置授業料免除枠拡大措置等と一体化した配慮のもとに、五十一年度にこれを改定することといたしております。授業料免除枠については、ほぼ一割の学生について授業料を免除することができるよう措置することといたしております。  以上の諸施策等に要する国立学校特別会計予算といたしましては、五十年度の当初予算と比較して一千二百十九億円増の八千四百五十九億円を計上いたしております。その歳入予定額は、一般会計からの受け入れ六千四百五十一億円、借入金四百七億円、自己収入その他一千六百一億円であり、歳出予定額は、国立学校運営費七千二百五十三億円、施設整備費一千二百六億円となっております。  第三は、学術振興に関する経費であります。  まず、重要基礎研究推進につきましては、特に核融合研究を格段に充実することとし、五十年度に対して二・五倍に当たる三十九億円を計上したほか、原子力研究宇宙科学地震予知等についても引き続き推進を図ることといたしております。  また、東京大学宇宙線観測所宇宙線研究所として拡充整備するとともに、国立民族学博物館分子科学研究所等既設研究所についても計画的に整備を進めることといたしております。  次に、科学研究費につきましては、環境エネルギー等資源、がん、難病など人類福祉達成に関連する問題解決的な重要基礎研究国際共同研究重点を置いて、総額百九十八億円を計上いたしております。  第四は、私学助成育英奨学事業拡充に関する経費であります。  私立学校助成については、私立学校振興助成法趣旨にのっとり、その拡充を図ることといたしております。まず、私立大学等経常費補助については、専任教職員給与費教員経費及び学生経費拡充するほか、新たに研究旅費に対する補助を行うこととするなどその充実を図り、五十年度に対し二八・一%増の千二百九十億円を計上いたしております。  また、五十年度から創設いたしました私立高等学校等経常費助成拡充のための都道府県に対する補助につきましては、新たに、学校法人立以外の幼稚園をも助成対象にするとともに、補助単価引き上げることとして、大幅な増額を図り、五十年度に対して二・二五倍に当たる百八十億円を計上いたしております。  日本私学振興財団貸付事業につきましては、引き続き政府出資金十億円を計上するとともに、財政投融資資金からの借入金三百九十九億円を計上し、自己調達資金と合わせて五十年度に対して九十五億円増の五百五十億円の貸付額を予定いたしております。  このほか、私立学校教職員共済組合補助につきましては、五十年度に引き続き、長期給付の改善を図るための補助拡大を行うことといたしております。  次に、育英奨学事業拡充につきましては、日本育英会の学資貸与について高等学校から大学院までにわたって貸与月額改定増額するとともに、私立大学、私立短期大学及び国公私立高等学校の特別貸与奨学生の人員増を行うこととし、このために必要な経費として政府貸付金を三百七十八億円計上し、返還金と合わせて、五十年度に対し六十一億円増の四百五十一億円の学資貸与を行うことといたしております。  なお、私立大学設置する学校法人が当該大学学生対象として行う奨学事業に対して、国が、日本私学振興財団を通じて財政投融資資金を融資する私立大学奨学事業の援助についても、改善を図ることといたしております。  第五は、社会教育体育スポーツ振興に関する経費であります。  社会教育振興につきましては、まず、社会教育指導者層の充実を図るため、社会教育指導員の設置補助について増員を行うとともに、社会教育主事の給与補助についても単価の引き上げを行うことといたしております。  公立社会教育施設整備につきましては、公民館、図書館、博物館、青年の家、少年自然の家等の補助単価引き上げを行うとともに、新たに、公立図書館における点字図書等の購入費について補助を行うことといたしております。  また、国立の社会教育施設につきましては、島根県大田市に第十二青年の家を設置する等国立青年の家の整備を進め、国立少年自然の家については、室戸少年自然の家を完成させるとともに、福島、栃木の県境に第二少年自然の家を設置することとするほか、第三以降のものについても引き続き計画的な設置を進めるための施設費、創設調査等の経費を計上いたしております。  また、国立婦人教育会館につきましても引き続き建設工事を進めることといたしております。  社会教育事業については、生涯教育推進するため、在来の各種社会教育事業整備充実するほか、生涯教育推進するために必要な情報提供事業等について、新たに補助を行うことといたしております。  次に、体育スポーツ振興につきましては、特に体位相応に伸びない児童、生徒の体力の向上に資するため、新たに、体力づくり推進校設置することといたしております。また、体育スポーツ普及奨励を図るため、五十年度に新設したスポーツ担当社会教育主事の給与補助について増員と単価の引き上げを行うとともに、学校体育施設の開放を一層促進することといたしております。  このほか、体育スポーツ施設につきましても、補助単価引き上げを行い、引き続き整備を進めることといたしております。  第六は、芸術文化振興文化財保護充実に関する経費であります。  まず、芸術文化振興につきましては、移動芸術祭、青少年芸術劇場、子供芸術劇場の拡充を図るとともに、新たに子供向けテレビ用映画の制作を奨励するために必要な経費を計上いたしております。また、芸術関係団体に対する助成、芸術家の在外研修等各般の施策につきましても引き続き所要経費を計上いたしております。  次に、文化財保護充実につきましては、文化財保護法改正の趣旨にのっとり、文化財保護施策充実することといたしております。すなわち、埋蔵文化財については、発掘調査補助を大幅に増額するとともに、新たに、遺跡の周知のために必要な経費を計上いたしております。また、新たに、重要無形民俗文化財保存団体に対する助成を行うとともに、文化財保存技術保護拡充及び重要伝統的建造物群保存地区の保存対策を講ずることといたしております。  さらに、国宝・重要文化財等の国による買い上げを促進するほか、史跡の保存についても、平城及び飛鳥・藤原宮跡等に対する国の買い上げ、地方公共団体による史跡の買い上げに対する補助を引き続き行い、また、無形文化財保護の強化につきましても、重要無形文化財の保持者に対する特別助成金の増額所要措置を講ずることといたしております。  国立文化施設につきましては、国立歴史民俗博物館、第二国立劇場、国立演芸資料館及び国立国際美術館の設立準備をさらに進めるとともに、国立能楽堂の設立についても準備調査を進めることといたしております。  なお、地方文化施設整備につきましては、補助単価引き上げることといたしております。  第七は、教育学術文化の国際協力推進に関する経費であります。  まず、学術協力につきましては、日本学術振興会の業務を拡充し、新たに、発展途上国に対する科学協力を行うこととするとともに、研究者の交流等の国際協力拡大することとしたほか、南極地域観測事業、国際深海掘削計画国際共同研究を引き続き推進することといたしております。  次に、留学生の交流につきましては、国費外国人留学生の受入数の増員と待遇改善を図るとともに、新たに、帰国した外国人留学生に対し、短期研修の機会を提供するほか、学生国際交流拡充する等留学生制度充実を図ることといたしております。  さらに、国際連合大学への協力、ユネスコ協力事業、海外子女教育文化交流等につきましても引き続き推進を図ることといたしております。  以上、昭和五十一年度の文部省所管予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。何とぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
  6. 山崎竜男

    委員長山崎竜男君) お諮りいたします。  お手元に配付してあります昭和五十一年度文部省所管予算概要補足説明につきましては、説明を省略し、これを本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 山崎竜男

    委員長山崎竜男君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  以上をもちまして文教行政基本施策及び昭和五十一年度文部省関係予算についての説明聴取を終わります。  なお、本件に対する質疑は後日に行いたいと存じます。     —————————————
  8. 山崎竜男

    委員長山崎竜男君) 委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。  教育文化及び学術に関する調査中、最近の平安神宮の火災に徴し、貴重文化財の集中する京都の文化財防災体制の実情を緊急に調査し、もって文化財保護対策の樹立に資するため、委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 山崎竜男

    委員長山崎竜男君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 山崎竜男

    委員長山崎竜男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  11. 山崎竜男

    委員長山崎竜男君) 学校教育法の一部を改正する法律案(第七十五国会閣法第五一号)を議題といたします。  本案はすでに趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  12. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 いま政府は景気浮揚対策を一生懸命やっておりますが、私はいずれ景気も回復するだろうと思っておりますから、余りそう心配しておりませんが、日本の将来を考えた場合に、一番大事な問題は、日本は資源がないわけでございます。エネルギーを初め食糧、鉄鉱石、木材等をほとんど外国に依存しておる国です。しかも、製品を販売している貿易立国の国ですから、一番大事なことは、国際的に信頼と尊敬をかち得る日本人をつくるか否かということが、私は一番大事だと思うんです。これによって日本人の運命は決まるだろうと思うんです。それから、いま一つの問題点は、これからの国際競争に勝ち得るような産業を開発するための頭脳だと思うのです。そういう点からくると、私は研究体制整備、大臣も所信表明の中で学術振興をおっしゃっておりますがね。私はこれがやっぱり日本の将来を決める決め手だと思うのです。ところが現在の日本の大学を見ると、大学院というのは学部の上にくっついておって、大学出は教育研究を二またかけておるんです。私は過去の時代はそれでよかったと思うけども、今日のようにすばらしく科学技術が進んだ時代においては、とても国際競争に太刀打ちできないと思うのです。この間、フォード大統領がアメリカの未来ということについて語っておった中で、米国はエネルギー資源を持っておるということ、それから食糧が豊富であるということ、第三に研究体制が世界のどこよりも整備されている、この三つをアメリカの未来に対する希望として述べておったのを見たのですが、私は日本の科学技術の点は非常に落ちているのではないかと思うのです。実は私も文部省におったときに、糸川教授に頼まれて、ペンシルロケットを始めたんです。そのロケットが今日何百億と金をかけておるのですが、どうも私は十分な成果を上げていないように思うのです。アメリカもソ連も月に旅行している、あるいは宇宙でドッキングをやっているようなこの時代に、この間東大でやったのは、種子島で失敗しておるロケットを見ると、どうも私は日本の科学技術は国際競争に勝ち得ないんじゃないかと思うんです。世界のどこよりもすぐれた研究体制整備する必要があると思うんです。こういう観点からこのたび学校教育法の改正をされて、学部に足を持たない独立の大学院をつくるという構想が出ておるので、私はこの計画には賛意を表しているわけですが、きょうお尋ねしたい点は、具体的にいま進めておる計画はどういうものがあるか、これ大学局長からで結構ですからお知らせいただきたいと思います。
  13. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 来年度の予算におきましてお願いをいたしておりますのが一つございます。それは今回お願いをいたしております法律の改正を前提といたしまして、お茶の水大学静岡大学にそれぞれ後期三年の博士課程設置いたしたいという構想がございます。そのほかにいわゆる連合大学院の構想というものがいろいろとございます。これらにつきましては、文部省としても具体的な構想が固まりつつあるものにつきましては調査費を配賦するというふうなことを考えまして援助措置を講じているわけでございますが、なお具体的に予算の段階にまで持ち上げて、あるいは法律改正の段階にまで持ち上げてお願いをするようなところまで固まっているものはございません。今後の具体的な取り扱いにつきましては、大学全体の整備充実の方針との関連も考えながらさらに検討いたしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  14. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 連合大学院の構想は伺ったんだが、独立大学院ね、私は独立の大学院を進めるべきだと思うんで、いまのように東大初め京大、教育研究も両方できるわけないんで、特に全学連騒動以来の日本の大学の実態を見ていますと、本当に私は教育的にもだめだと思うし、研究も進んでないと思うんだよ。こんなことじゃ国際競争に勝ち得るはずないと思うのです。文部省は独立大学院の構想はどう考えているのか、これについてのお考えを聞きたいと思う。大学局長。
  15. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 独立大学院をつくった方がよろしいという先生の御趣旨でございますが、現在そのような姿である程度法の改正を待たずに進行いたしておりますのは、御承知のように東京工業大学独立研究科でございます。そしてそこは研究が主でございますが、東京工業大学にできました施設を専有いたしますというとやはり刺激もいわゆる学問的な意味における刺激も乏しくなりますから、東京大学あるいは私立の早慶の大学というふうな学生も参加して独立研究科という方向でこの四月からいよいよそういう角度の研究が始まっていくわけでございます。しかしながら、それは法改正以前のものでございまして、いまお願いをいたしておりますものがもし成立をいたしますならば、やはりその中の重要な考え方は連合大学院であると同時に独立大学院の構想であると思います。すでに諸外国におきましては、先生御指摘のように大学院充実ということは第二次戦争直後からの課題であり、その点におきましてはアメリカ合衆国はもとより、ソ連などにおいても同じような方向で進んできておりますので、わが国としてもこれは急がなければならない。そこで大学院問題懇談会におきまして昨年の春から正田建次郎先生を中心に御検討願って今日に至っておりますが、その中の考え方の柱は、先生がおっしゃいましたように、やはり独立大学院というものをつくりまして、そうしていままでの東大、京大というものの研究に依存していたものを脱皮していく。ただその場合に、独立大学院に古い大学院をしさえすれば問題が解決するということではなくて、恐らく他の大学からの協力、相互刺激、そういうものも必要であろうというような角度からの御検討は進んでおる。  さらにそうしたものの萌芽といたしまして、今日までにいわゆる独立大学院あるいは連合大学院的な形態で学問の研究が進んできておりますのが共同利用研究所でございます。これが五つになりましたから、これもまたやはりいままでと違う形の研究、そういう意味においては、それほど多数の学生教育指導ということに当たりますよりもむしろ研究というものを非常に重要視していくという角度でございます。  さらにまた、それを日本人だけに限定いたしますというと、いわば日本人同士刺激し合うということはありますが、そこから足りないということも起こってまいりますし、先ほどのアメリカ合衆国のフォード大領のアメリカにおける研究充実というのは、海外の人々というものをアメリカにむしろ呼びましてそうして相互に溂激を図っていくということでございますから、われわれもそういう角度で考えております。一つすでに実現をいたしましたのは分子科学研究所の評議員にカナダとそれから西ドイツの学者、カナダの学者はノーベル賞の受賞者でございますが、そういう方に参加していただいている。また明会計年度におきましては、国際的に非常に卓越した学者の方々、少なくも五人程度の方をわが国に招いていろいろな大学でもって研究を助けていただく。ですから一方において法改正を図るとともに、他方においてその準備段階として現行法制上可能な限りにおきまして研究充実を図るために国内の学者の相互的な刺激、でき得るならば海外からの人々による協力というものを得て、独立大学院の下地をつくっていくという考え方で進んでいる次第でございます。
  16. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 いま大学院の基準についていろいろ検討されているように伺いましたが、大学局長どこまで進んでいるの、この独立大学院の基準については。
  17. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 独立大学院のいわゆる設置基準についてはなお現在検討中の段階でございまして、まだ成案を得るには至っておりません。
  18. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 私は日本には約千の大学、短大それから高等専門学校とあるわけです、千の高等教育機関がね。これの教官の養成ということが大問題だと思うのだよ。できた大学がつまらぬ先生ばかり集まったらこれ意味ないんであってね、私は国の損失だと思うのですよ。そういう意味で大学教官の養成の点が一つ。  それからいま一つはね、これからは高度の科学技術者の養成が必要だと思うのでね。もう日本の産業は限界に来ていると思うのでね。新しい発明発見をしていない限りは国際競争に勝ち抜けないと思うのだよ。そういう点を考えると、これから、私は特に独立大学院の主張をしている一人ですがね、研究コースのほかに職業コースを考えてほしいと思うのだよ。従来はその教官の養成としての研究コース、これは結構ですが、そのほかに産業関係のコースとしてこれも一つ考えて新しい産業開発をしていくような基準をつくっていただきたい。  それから独立大学院ができる以上、私は当然専任の院長を置かなければいかぬと思うのだよ。学部の上にあるなんていう片手間で研究ができるものじゃないと思う。専任の院長、それから専任のスタッフを置くことね。  それから私は従来の講座制はこの際再検討してほしいと思う。一、一、二とか一、一、三とかね、何かああいう形でなくて、りっぱな人は教授でどんどん採ったらいいと思うのだ。助教授、講師にしなきゃならぬことはないと思う。この講座制の再検討もしてもらいたいし、それから施設設備をいまの大学よりももっとすばらしいものをやってもらいたいんだ、施設設備の基準ね。少なくとも東大、京大以上のものをつくらぬととても間に合わぬと思うのです、施設設備の基準。それから研究費、研究費も大学の三倍ぐらいやってほしいと思うんだ。いまのようなわずかばかりの研究費じゃりっぱな研究できないと思うのだよ、研究費。それから教官の待遇、いまはドクターコースを持っている大学の先生の待遇は、一般の大学よりはいいけども、私はそんなちっぽけじゃなくて二倍でも三倍でもやったらいいと思うんだよ、世界の頭脳なんだから、日本の宝だからね。  そういうまず大学院の基準を、いま大臣がおっしゃった武蔵大学の学長さんを中心にやっていらっしゃるそうですが、これは文部省が本腰を入れてもらいたいと思うんだ、日本の学術振興のためにいろいろな研究、核融合とかなんとかやっていらっしゃるようだから。それももちろん大事だけども、学術の根本体制を確立しない限りは日本の学術はもうだめですよ、これ。もう国際競争から落ちますよ、必ず。ロケットがいい例だと私は思う。  そこで、今後の構想について私はお尋ねしたいと思うんです。  私は、文部省におるときいろいろな大臣にお仕えしたけども、私が最も尊敬している大臣は天野文部大臣、この人が一人でした。天野さんは七大学を、七帝大というものを大学院大学にしろとおっしゃっている。大臣は大学の格差是正をおっしゃるけどね、私も趣旨は賛成なんです。ところが、現実に百年の伝統があって東大にみんないくんですよね。で、大臣も受験体制が過熱しているとおっしゃるけれども、東大に何人入ったかというのが高等学校のよしあしを決めているのですよ。それが証拠には日比谷がもう東大に入らぬと日比谷ががた落ちになっちゃう、こういうことじゃ困ると思うんでね。そこで、東大とか京大とか七帝大というのは、新制大学よりははるかに施設も設備も充実しているし、教官がいいですよね。格差是正というけれども、あの教官というのは一遍にできないのです。ですから、むしろ私は七帝大を天野さんのおっしゃるように大学院大学にしたらいいと思うんです、大学院だけを置く大学。あと地方大学から大学院に入る者は東大、京大その他に入ったらいいと思う。七帝大が私はとりあえず無理とすれば少なくとも東京と京都はこのままじゃ私はもうだめだと思うんですよ、このままいくことは。過去の歴史だけにとらわれているんでね。あれだけの施設設備、教官を持っているんだから、まず東大最大ぐらいを——せっかく法律改正やって今度新しい基準をつくるとおっしゃるのだから。これは文部大臣、私はあなたに非常に期待しておるんです。お父さんは永井柳太郎さんだから、ひとつこのくらいのことはやってもらいたい。そうするとこれが格差是正にもなるし、それから同時に、大学入試改善に一番いいと思うんだ、大学入試改善に。それは国大協でいろいろ共通テストやってますけれども、私は正直に言って余り期待をしていないんですよ。というのは国大協の幹部、東大総長以下全部私も会った。会ったけれども、まだ二次テストに執着しているんですよ。二次テストをやると進適の二の舞になる危険があるわけなんです。国大協やっても八割を占める私学はどうしようもないんですよ、これ、協力してくれなきゃね。そこで、入試改善の決め手は、東大、京大を大学院に上げちゃうわけです。上げて一般の地方大学から入ってくるようにすれば、私は日本の入試改善は非常に画期的に進むと思うんだよ。入試改善の決め手でもあると思うんだ。そういう意味で少なくとも東大と京大ぐらいは大学院大学にして、学術振興を画期的に図ってもらいたいと思うんですがね。文部大臣のひとつ決意を伺いたいと思うんです。
  19. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) まず基本的な問題点の指摘と、それからその問題の解決が重要であるということにつきまして内藤委員の御指摘に完全に賛成であります。  そこで、具体的にそれをどう進めていくかという場合の進め方でありますが、天野先生は東京大学、京都大学というふうなところを独立大学院にというお考えであるということは私も実は承っております。正田先生の御意見は、そういうことも考えられるが、もう一つの面としまして、正田先生御自身が実は東大御出身で東大に残らないで大阪においでになった、そこで自分の数学の御研究を非常に進められた。あるいは湯川先生は京都なんですが大阪に行かれてそこで仕事を完成された。朝永先生の場合は先生の母校と関係ありますが東京教育大学、当時の文理大の方にお移りになった。そこで、正田先生はやはり東大、京大の独立大学院へ強化していくときに、どうしても自分たちの仲間だけで固まりますと刺激が乏しくて、そうして知的な交流から起こるところの活発さが期しにくい側面があるのではないか。そこで独立大学院をつくるというときに、先ほど先生がおっしゃいましたが、地方大学の人もとおっしゃいましたが、それだけでなく私立などの大学にも非常にりっぱな研究者おられますから、どういうふうに研究者を総合しながら、しかも独立にしていくかというところに問題点があるという角度から、去年の三月と思いますが、懇談会で議論を進めていただいているわけです。私自身の考えを言えとおっしゃれば、私はやはりそういう角度でどうしても、これは学問に限らないと思いますけれども、自己の集団だけでこう固まってしまいますというと、そこからの活発さあるいは濶達さというものが失われていくおそれがございますから、確かに従来京大、東大あるいはその他の帝大というのが相当な研究者を養成してきたことは間違いないことであり、重要な業績が出てきておりますが、しかし、先ほど申し上げた数人の方々の場合にも、相当の相互的な交流刺激がございましたから、その点では正田先生の言われることは非常にごもっともであって、独立大学院のつくり方というのはまだ御審議の最中でありますが、私は衆知を集めながら交流をして、そうして独立にしていくという方向、すでに東京工業大学もある程度そういう方向で動いておりますが、そういう方向でいきますと活発になるんではないか。自己完結的になってしまうというとどうもそういう点で濶達さを失うおそれがあるのではないか、そういうふうに考えているわけでございます。
  20. 内藤誉三郎

    内藤誉三郎君 大臣のお話ですけれども、私はやっぱりあなたの御主張の大学間の格差是正、大学入試改善の決め手だと思うんですよ、東大とか京大は。現実に東大、京大があるんですよ。それが一般の地方大学と同じだというところに問題があるんですよ、これ。格差是正にならぬですよ。結局入試の最大の難関はやっぱり東大ですよ。この問題を処理することが、日本の研究体制整備にも私は役立つと思うし、そのかわり研究費なり教官の待遇を倍でも三倍でも上げたら東大も喜んでくるし、できればそこへ新しい人が、人材が入ってくるんですよ、新しい者が。いまのような大学だったら東大来ないですよ。私はそういう点でもう一度これは真剣に考えてもらいたいことが一つ。  それから、もし仮に大臣のおっしゃるように新しいものをつくるというならこれも結構だから、ひとつ日本に一つぐらい工大に何やらちっぽけなものがあるけど、あんなものじゃだめですよ。それは総合大学院というのを一遍つくってみたらどうかと思うんですよ、新設を。それならそれでも私はいいんだけど、富士山ろくあたりに百万坪くらいの思い切った総合大学院、外国の学者も集めて何かユネスコのあれもあるようだから、それとの関連持たせても結構だと思うんですが、そういうものでもやらぬ限りは、あなたこんな日本の学術ではだめですよ。本当にだめですよ。私は文部省もしっかりしてもらいたいと思うんだ。こんなぼやぼやしておったら日本民族は滅びてしまうから、りっぱな人間をつくること、これが一つ、国際的に信頼と尊敬をかち得る日本人ね。  いま一つは画期的な研究体制ですよ。アメリカが月に旅行しているんですよ。日本はまだ種子島でロケットが飛んで落っこちちゃったんだよ、この間。こんな差じゃとても大臣、日本の将来ないと思うんだよ。あなたも文部大臣になられたんなら思い切ってひとつ、私は格差是正にも入試改善にもいいと思うんだ。ぜひ東大、京大については真剣に考えてもらいたい。  それからいま一つは、それが無理なら思い切って一つぐらい日本にモデルケースとして総合大学院、世界に誇るようなものをつくって、世界の学者が交流できるような施設をつくって、日本民族のひとつそこへ魂を入れてもらいたいと、そう思いますので、この点はひとつ大臣に特にお願いをしたいと思うんです。  私の質問は以上で終わります。
  21. 山崎竜男

    委員長山崎竜男君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。     —————————————
  22. 山崎竜男

    委員長山崎竜男君) 教育文化及び学術に関する調査中、主任制度問題に関する件を議題といたします。  本件について質疑のある方は順次御発言を願います。
  23. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 初中局長は、先般の衆議院の予算委員会で、主任制度の三月実施は全国の三分の二の府県で可能だというようなことを答弁をしておられるようでありますが、現状はどうなのか。某新聞の報道によりますと、十数県だという報道が二月七日の新聞では載っております。なお、私のまた調査によれば、きわめて数県にしかとどまらないと判断をされますが、あなたの答弁は、その後変化があるのかどうか、ちょっとまずお聞かせください。
  24. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 先般の衆議院の予算委員会において、湯山議員から御質問のありました点は、いま正確に私の記憶で申し上げますと、県の教育長の中に主任制そのものに……
  25. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 簡単に言ってくれよ、時間がないからね。あとたくさんありますから。
  26. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 反対の者があるかということに対して、反対の方はおられませんと……
  27. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 議事録はあるんだから、いいから簡単に言ってくれ。
  28. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) ただ、ただいま先生が、初中局長は三分の二とおっしゃいましたけれども、私、正確に申し上げますと、湯山議員の御質問に答えまして、各県の教育長の考えをお聞きしたところ、大体三月にやれるであろうと言った教育長が三分の二であり、三分の一の方は時期、範囲等について検討をしたいと、こう言っておりますという、私の聞いたところをそのまま御報告申し上げたわけでありまして、現段階において、私ども何県が三月からやれるかというような正確な判断は持っておらないわけでありまして、ただ、規則が三月一日より実施ということになっておりますので、各県がそろって三月一日から管理規則の改正を行うことを強く期待をしておると、こういうことでございます。
  29. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 期待をしておるという、そういう答弁では困りますよ。あなた方は、やれと言って、各県の教育長を次々呼んでやっているんでしょう、あなた自体。それでもってこんなおざなりな答弁ではだめですよ。大体見通しとしてはどれくらいあるということぐらいは明確に答弁願いたいんですよ。毎日のように電話して聞いておるじゃありませんか。しかもまた、県から教育長をじきじきに呼んで叱咤勉励しておるじなゃいですか。そういう事実を知って、やりながら、何とはなしの答弁では困りますから、明確におっしゃってください。どれくらいの県に、見通しはどうだということを。
  30. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) いまも申し上げましたように、各県の教育長さんからじきじきお話しを聞きましたところでは、まあ三分の二の県においては三月一日からやれそうだと、こういうことでございますから、そのおっしゃることどおりになれば、まあ三分の二ということになるわけでございますけれども、各県とも目下管下の教育委員会、学校長、その他の関係の方々といろいろ話し合いをし、事情を了解、説明しておると、こういうような段階でございますので、私どもそれについて、いまの段階で何県ぐらいが可能だということは明白には申し上げられないと、こういうことでございます。
  31. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それならこの二月七日付の朝日のこの報道は否定をされますか。それとも大体そんなものだろうというふうに思われますか、どうですか。これは確かに新聞読んでおられると思いますが、「三月実施は十数県」というようなかっこうで出ておるのですが、大体そうなるだろうとか、あるいはそんな数じゃないというふうに見ておられますか、どうですか。
  32. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 朝日新聞そのほかの新聞にも予想が載っておったようでございますが、それぞれの新聞がスタッフを動員して取材した結果であろうと思いますが、それにつきまして、私どもはそのとおりであろうとか、あるいはそうではないとか言う立場にはないわけでございまして、それぞれの新聞が、そういう予想のもとにお書きになったことであろうと思います。
  33. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それはあんた、任務怠慢じゃないですか。あんた方がやりなさいと下の方に教育長を集め、教育委員長を集めて指導しておいて、どうなっておるかわかりませんと、そういう立場にありませんと言えますか。少なくともどの県がどうだと毎日のようにやっておるじゃないですか、報告を求めて。何でこの委員会ではっきりできないんですか。もしはっきりできなければ私は委員長に要求しますよ。中断でもしてその数をはっきりさせましょうじゃないですか。私はここで、何県、何県という寸分違わないものを言いなさいと、あなたに無理なことは言っていないんで、大体何県ぐらいだろうと、こういうことをおっしゃいと、こう言っているんですよ。何でそれを隠さなきゃならないのですか。
  34. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) いまおっしゃるように大体何県ぐらいかとおっしゃられれば、私どもこれまで教育長に接触し、その他、県に連絡してきた結果を総合いたしますと、三分の二くらいはできるであろうというふうに考えておるわけでございます。
  35. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そのことは間違いございませんね。後日、三分の二どころか十数県も三月中にできなかったということなら初中局長、責任とりますね。
  36. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) ただいまも申し上げましたように、現時点において、各県のお話を総合すればそういうくらいであろうという、これは全く推定でございますから、今後の事態の推移を見守って、また考えていかなきゃならないと、こういうふうに思います。
  37. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それなら今後はやっぱり三月一日はやれやれということで、あくまでも強力に指導するということになるんですか、どうですか。聞きたいのは、——最後まで聞いてから答えなさいよ。もう現に東京の都教委のごときは三月実施は無理だと、こういう発表もしておるんですよね。そういうところもたくさん出てきておるんですよ。そういうところには、じゃどうしますか。三分の二に何が何でもするようにこれからやられるんですか、どうですか。たとえばいまから私が具体的にお尋ねしますところの鹿児島の問題しても、三月一日にできてもいわゆる発令は四月以降にならざるを得ない状態になってきておるんですよ、トップを切ってあなた方からほめられておるところの鹿児島でさえも。そういうような状況で、本当にあくまでもあなた、三分の二と確信を持って言えますか、どうですか。今後どうされますか。
  38. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 学校教育法の施行規則の改正規定の施行されるのが三月一日でございますから、私どもといたしましては、この省令の規定の趣旨に従って三月一日から実施されることを指導しておるわけでございまして、その態度は今後も変わらないわけでございます。
  39. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 どうされますか。東京都みたいなところはどうされますかと聞いておるんだから、具体的に答えなさいよ。それは仕方がないと、お手上げにするのか、どうするのかということを聞いておるんです。
  40. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 東京都の場合は三月一日に実施するについてはいろいろの条件が整わないのでむずかしいという情報を聞いておりますけれども、私どもとしましては、やはり三月一日に実施できるように努力をしてくれということを申し上げておるわけでございます。
  41. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これ、大臣あれですよ。幾らその皆さんが強力にやれやれと言ってもできないような、やはりいろんな条件があるんですよね、これは。しかもあんた、大臣は時期より手続きが大事だということを強調されておるでしょう。それを片一方は何が何でも三月実施できるように強力に指導したいという、大臣の時期よりも手続きだということとは、これは矛盾しませんか。事この問題は、いわゆるあなたのねらうところの主任制というものは本当に明るい学校づくりとか、そういうものをねらってやっておるんだと、こう言う。だから、その手だてというものが大事ですということをあなたはおっしゃっている。片一方では三分の二だ、三分の二だと言うことはうそ偽りですよ、これは全く。これはもう三月末になったらはっきりしますけれども、そういうような状態に各県はないんですよ。一体これとの関連をどうあなたは指導されておるんですか、文部省内では。
  42. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 私の考えを申し上げます。  私は、三月からこの省令実施の段階に入りますから、したがいまして、ただいま初中局長が申し上げましたように、この原則に従って実施をすることが望ましいというふうに言っております。しかしながら、同時にとかく教育界において静かな話にならないということがありますと、それは困りますから、したがって、そういう点は十分に勘案して事を進めていくことが望ましいという考えに立っているわけでございます。
  43. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そうしますと、大臣の答弁は、いわゆる文部省としては三月実施発令云々ということを考えているけれども、そういうことが望ましいと考えておるけれども、決してそれを強要するということじゃないんだ、それぞれの府県の実態というものを考えながらその方向にいくのが望ましいと、こういうふうに文部省としては指導しておるんだというふうに理解してよろしゅうございますか。それとも、先ほどのように、現実に初中局長に呼ばれて行ったという教育長はたくさんおるんですから、そういうように教育長一人一人呼びつけてでも、首根っこ押さえてでもさせようという指導の方針なんですか。どこなんです、そこは。明確におっしゃってください。
  44. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 初中局長は首根っこを押さえてもやるというような人ではないし、そういうことをやりません。ただし、法令上、政令が実施されますのは三月一日でございますから、それを守って進んでいくことが望ましい。首根っこを押さえてやるということではないのです。そうした原則というものは守っていかなければいけませんが、他方においてそれを進めるときには、それぞれの教育長が十分に自分の所管の場所の事情を勘案されることが望ましい、こういうことです。
  45. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これは文部省では一生懸命やれやれと笛を吹いておるんですけれども、そう余り踊ってないんですよ、各府県は。その理由というのはたくさんあると思うんですね。一つは、これは少なくとも文部大臣の言ういわゆる明るい職場づくりとかあるいは助け合いの教育ということをやろうと思えば、そういう無理強いではこれは困る、かえって教育界に不信感を増すだけだと考えとるからなんです。ですから、さっきの初中局長の答弁よりは、きわめて教育的に各府県ではこの問題対処しようと苦慮している。けれども、やはり片一方から強い圧力が政党というベースの中から来ておるんですよ。そのジレンマに困っておるというのが各府県の実態じゃないでしょうか。大臣は予算委員会でも私に答えて、あるいはここでもそうだったですけれども、私は教育の番犬であるけれども自民党の番犬ではないとおっしゃりながら、あなたの意図いかんにかかわらず、あなたはもう自民党の敷いたところのレールの上に乗っかって走らされておるんですよ。それだから、皆さんが省令化した後のいろんな情勢にいたしましても、自民党の方でこれを強行するというようなてこ入れをしておる。それに皆さんが乗っかっているというのが実際じゃないでしょうか。このことを一体どうお考えになりますか。
  46. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 私は自民党の内閣の一員でございますが、ただし、この主任制度につきまして私が考えておりましたことが、従来自民党において考えてきた中間管理職的なものでないということは御説明申し上げるまでもなく先生もよく御承知のとおりであります。これは、私はぜひわが国教育内容充実いたしてまいりますために、主任というものを管理の角度からとらえるのでなく、むしろ指導、助言、連絡調整という角度からとらえなければ教育充実に資さないというふうに考えましたから、自民党内閣の一員ではございますけれども、従来の考え方といささか異なるものを文部省の方針といたし、これについて自民党の方々の御理解を願った次第であります。そこで、自民党の方々がその御意見に御賛成の上で、そしていろいろそうした問題について議論を進めていただくことは大変望ましいと思います。  他方、先生にもお願いいたしたいのでございますが、日教組も、従来管理という角度がございましたために、いまでもともすればこれは結局のところ中間管理職ではなかろうかというような式の議論も行われることがあるというやに承っておりますが、そういうことはないのでございますから、この点は、また先生は自民党でなく社会党でいらしゃいますけれども、従来と違う線が出ておりますので、こうしたことについて広く御理解を得ますならば、私は教育の事情というものの改善のために話が進めやすくなってくる事柄であると考えるわけで、先ほどから初中局長も現時点でということを申しましたのは、どうかそういう点におきまして、われわれの本来ねらいといたしておりますものについて正確な御理解をいただくという事態の情勢に御協力を賜れば幸いである、こう思っている次第でございます。
  47. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 指導職というやつがどういうものであるかというのは、きょうは時間的余裕がございませんから論議はやめたいと思うんですが、ただ大臣は、いわゆる中間管理職から指導職になったのだと、だからおれの言うとおりになったんだなんというふうにお考えになっておられますと、きわめてこれはおめでたいと言わなければならない。世の中の常識では、名をあなたがとって実はみんな政党の方に持っていったというのがこれはもう世の中の一般的な見方なんですよ、これは。だからこそ主任制問題を来るべき総選挙の争点の一つにする。そのために議員総会あたりで趣旨の徹底を図る。全国の党県連の文教担当者を集めて意思統一をして、党組織を挙げて主任制度促進を図る。鹿児島の教育長を孤立させないように激励をしていくなどと今月の初め自民党では方針を決めたと報道されておる。また事実これを裏づけるかのごとく、恐らく後ほど御当人からもいろいろあると思いますけれども、有田先生を含めて、西岡両氏のチャンピオンが、いわゆる実力者といわれるお方が教育長の激励に行っておられる。そしてそこに行って、「身を粉(こな)にして倒れるまで、獅子奮迅の努力をし、教育行政者の模範になれ」と、いわゆる直情径行型の教育長を叱咤激励をされておる。全くの大時代的ですね、これ。本人はそうでないとおっしゃっておられるようでございますけれども、新聞はみなそう書いておるのだよ。ここに切り抜きをみんな持って来ておりますけれども、これは。そういう激励をする。  また話を聞きますと、きょうは全国の党県連の文教担当者みんな集めるのだそうですね。何かこの委員会が二時までで打ち切るのも、それにまた皆さんの首脳が出席をされることが何か本音らしいんですね、これ。もし私は、これ事実だとすれば、お互い国会議員というものの役割りは何かということを疑いたくなりますよ。大臣、そうでしょう、それが事実だとすればね。しかも、これはもう一体議員は議会が先なのか、党との連絡調整が先なのかと言いたくなるほど問題をたくさんはらんでおると思うんです。いずれにしても教育を政争の外にという、あなたや総理のこの物の考え方というものは、もう与党みずからも——それはそれぞれ政党、いろいろ批判はありましょう。けれども、一番あなたや総理を支えなければならない与党がみずからそれに乗っかって走っておるんだからね。そういうようなことをやっておるんだからね。これは一体、大臣どう考えますかね。あなたのいままでの公約、総理の公約からすれば、私は全く嘆かわしいことだと思うんですがね。これも仕方ないんでしょうかね。どうでしょうかね。もし、それでは困るとあなたはおっしゃるなら、どうだ、きょうの委員会あたりは夜までやろうじゃないかぐらい、大臣、積極的に指導されたらどうですかね。
  48. 松永忠二

    ○松永忠二君 それどころじゃない。何で理事会でそんなこと決めたか。大体こういう話をゆっくりやらぬから納得がいかないのであって、こんなことをこう短時間にやるから話が変になっちまう。こんな問題になっているときに、何で一体委員長理事打合会はこんな短い時間でこういう問題をやるだね。ぼくは異議があるよ、そんなようなやり方は。本当の意味の国民にこたえるゆえんじゃないじゃないかね、こんな短い時間で。この重大な問題になっているときに、ごたごたごたごたしているときに、何で一体そんな短い時間でこんなことをやらせるだね。それだから、指導職とかそういうことの問題なんかが十分理解ができないんじゃないかね。  ぼくは、不規則発言だから別に答弁を求めないが、こんなばかなことはあり得ないでしょう。文教委員会としてもおかしいじゃないか。(「不規則発言はやめてくれよ」と呼ぶ者あり)時間外で発言さしてください。委員長
  49. 山崎竜男

    委員長山崎竜男君) 理事会で決定したことだから……。
  50. 松永忠二

    ○松永忠二君 いやいや。そんなことを言ったって、委員が委員長理事打ち合わせに異議を唱えたって、何が悪いんだ。(「勝手に発言していいのか、それは。」「時間より重要な教育問題がありますよ。」と呼ぶ者あり)
  51. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) ただいまの松永委員からの御発言の問題につきましては、私はそれについてとやかく進め方について申し上げるべき立場にございませんから、それについて申し上げるのではありませんが、その前に、宮之原委員からの御質問がございますので、それについてお答え申し上げたいと思います。  私は、ここに有田委員もおいでになりますが、自民党におきまして従来中間管理職的なとらえ方をされた方々がおる。そこで、私どもはそうでないということを御説明した。そしてそうでないということを御理解の上で人々に話をされるということはまことに結構なことである。そういうふうに申し上げておりますから、私の理解するところでは、自民党の方々は、私に対してはなるほどそうだと、これは指導職というものとしてむしろとらえるべきであるということで話をされているものと理解をいたしております。  そこで、宮之原先生にも、そういうことでありますから、宮之原先生もそうしたものとしてこの問題についての御議論を進めていただくということがございますれば、別に政争というようなことではなく、まさに松永委員が御指摘になりますように、では指導職というのはどういうことをやっていくのかというような問題についてわれわれは教育界のためにこの問題を深めていくことができることでありまして、そうしたことのために質疑に答えよということでございますれば、私は喜んでその職責を果たしたいと考えている次第でございます。
  52. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 どうですか、私が先ほど申し上げたような動きに対して、やっぱり与党から、与党の文部大臣としては、君らそこまでいかぬで待ってくれぐらいの、あるいはどうだというぐらいの指導が、話があってしかるべきじゃないですか。これは政党のやることだからおれは知らぬと、こうおっしゃるんですか。どうも大臣がかっこうよくいろいろ答弁されることとやられていること、与党とは違うじゃありませんか。それに対する御決意はいかがでございますかとお聞きしておるんですよ。
  53. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) これは与党の議員が鹿児島に行かれたことを私は十分承知しておりますが、宮之原先生初め野党の議員もまた鹿児島に行かれた。
  54. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それは当然だよ、あんた。ぼくは与党の大臣としてどう考えているかと聞いているんだよ。
  55. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) そこで、私が申し上げたいのは、そういう鹿児島などに議員の方々が行かれるということは、これは当然の自由である。それは当然のことと思います。むしろ、そういう場におきまして、私の希望といたしましては、これが指導職である、そういう内容を持ったものでありますから、そうしたことについての理解を深めていただくということの御活動をお願いしている次第でございます。
  56. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 まあ、いいですわ。あなたがきわめて、口では、方針としては、たてまえとしては政争の具にされないとかなんとかとおっしゃってみても、おたくの周りではどんどん引きずり込まれて、抜き差しならぬかっこうになっておるんです。しかも、あなたはそれに対して積極的な姿勢がないということだけはわかりました、残念ながら。きわめて嘆かわしいことだと思いますよ。
  57. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 積極的に私は与党の方々に、従来の考えと違う、こうした考え方であるということを理解してもらうということを行っているわけでありまして、その問題に対して積極的でないということについて、私は、先生のせっかくの御指摘でございますが、いささか理解しがたい次第でございます。
  58. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 問題は、あなた、指導職か指導職でない問題からさらに一歩進んでおるじゃないですか、もう。あなたは政争の外に置きたいとかなんとか言いながら政争の具に供されておるじゃないかと私は言っておるのですよ。もう指導職云々から離れている、さらに一歩進んで。それをあなたは社会党やあるいは他の政党や自民党、各政党同列に置いていますけれども、少なくともあなたは与党という自民党のその上の大臣でしょう。それならば、あなたの方針とか、あるいは総理の方針というものに協力させるような態勢に持っていくのが、与党に対して積極的に物を言うのがあなたの責任じゃありませんか。そうでしょう。その積極性が足らないじゃないかと私は申し上げておるのですよ。好むと好まざるとにかかわらずそうなっておるのだから。  私はさっき事実だとすれば大変だと申し上げたのですが、もし事実だとするならば、昼食時間にでもよく話を聞いて、やっぱりとめるなりしてやってくださいよ。それだったら、それが事実としてあらわれるならば、これはやっぱり永井さんは相当自分の所信に向かって指導力を発揮しておると思いますよ。そういうことにお構いなしに、ただ同列に各政党を置いて物を言われたって、それは困りますよ、納得できない話ですよ、これは。それだけ申し上げておきます。  続いてお尋ねしますが、制度と手当の関係なんです。文部省は両者を全く別ものと切り離して処理するように指導されておるのかどうか。これは切り離してやれというふうに指導されておるのかどうか、これをお聞きしたい。もしそうだとするならば、この経緯を知っておるところのわれわれから見れば、これは全く納得できない話なんですがね。いわゆる指導の方針はどうなんですか。これは初中局長に聞いた方がいいですか、どうですか。
  59. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) この主任制の問題につきましては、昨年の三月人事院に出しました要望書の中でも、主任について制度整備と相まって手当の創設を考えてほしいと、こう言っておるわけでありますから、その両者は関連を持つわけでございます。  ただ、現時点におきましては、すでに省令が公布され、先ほども申しましたように三月一日から施行となっておる。一方給与の問題は、予算のめどはついておりますけれども、具体的には人事院の勧告を待って必要な法令の整備をいたさないと支給できない、こういう関係にありますので、われわれとしては、制度の面がそのように実施できる体制にあるわけでございますから、三月一日をめどに制度整備を図ってほしい、こういうことを言っておるわけでありますが、そのことと手当の支給というのが無関係であるというふうには考えていないわけでございます。
  60. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それなら、各県の教育委員会にどういう指導をされていますか、具体的には。これは全然別だからまず制度を先につくりなさいという指導をされておるのか、あるいはなるほど時間的にはずれはありましょうけれども、制度実施するにしても、やはりこれは予算が絡んでくるから、いろいろな関係方面と十分話し合えというような指導をされておるのですか。それとも、それは別だからまず規則をつくれというだけの指導をされておるのですか、どうですか。
  61. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) その点につきましては、各県の事情を伺いますと、県によっては、財政当局が手当の点はどうなんだと、こういうようなお話もあるということでございますから、その点については国の予算のめどはこういうことになっておるというようなことを話しまして、十分手当の点についても話し合いをするようにと。しかし、現時点においてどういうふうに手当の問題が具体化するかはまだ不明であります。とりあえず制度実施はやってほしいと、こういうふうに申し上げております。
  62. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 重ねて聞きますがね。  各県の教育委員会にはいずれ予算が絡んでくる問題ですしね。しかももう三月から予算の裏づけがあるわけでしょう、三月分のは、現に。だから、当然これは予算をやると三月にさかのぼって実施されるわけですからね。これはやっぱり財政当局、知事部局とこのことについては事前に相談をしておけよという指導をされたのか。それとも、それとは別個に、とにかく制度だけつくれと指導されたのかということを聞いておるんです。各県の事情を聞いておるんじゃない。あなた方の指導方針としてはどうでしたかと聞いておる。
  63. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) その点につきましては、給与の面、財政の面についても十分相談をするようにということは申し上げております。
  64. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 このことは地教法三十三条の一項の後段の趣旨から言ってこれはやらさなきゃならぬ当然の仕事ですよね。ところが大臣、例の問題の鹿児島は全然この事情が違うんですよね。いわゆる私どもに答えたところの教育長の話も、文部省は制度と手当の問題は全然別なんだから切り離して早くやれと、こう言われた、この指示どおりにやりましたというのが鹿児島の教育長の話なんだ。だから知事——先月の二十七日に準則を決めて——まだ県の管理規則を決めないんですよ、これは。決めてやっておいて世の中が騒がしくなってから四日置いて初めて三十一日の日に知事のところに説明に行っているんですよ、鹿児島の教育長は。知事に呼ばれて行っておるんです、呼ばれて。どうなっておるんだと。そのときに、いや、こういう通知を出しましたという、こういうものの話ですね。それから、議長の話を聞きますと、議長も、いや、おれは聞いておらなかったと、ぼくの机の上に何か乗せてあったと、こう言うんです。ですから、二月二日の鹿児島の県議会運営委員会はこのことで大もめにもめたんです。大もめにもめましてね、そうしてこれは与党、野党を含めて教育長は一体県議会や県民というものを無視しておるんじゃないか、一体こういう議事のやり方というものは議会民主主義の否定じゃないかと、こういうことで非離が相当に集中したんです、あの経緯を見ますと。ところが文部省は、地方課長の名前でいわゆる制度のねらいをよく具現化しておると、りっぱなことだというコメントを新聞に発表さしておる。一体どういうことになりますかね、これ。現地の教育長から言えば、いまの諸沢初中局長の答弁と違って、これとは別だから切り離してやれと言われたと、こう言っておるんですよ。だから、私は向こうと、知事部局と話する必要は毛頭ありませんと、手当が人事院勧告ででき上がったときに初めて相談すればいいですという指導を受けておると、こう言うんですよね。これは全く食い違っている。ここに一つの混乱の要因があるんですがね。これ、どう思いますか。こういうようなかっこうでますます混乱を巻き起こして県議会との問題にも発展しておるんですがね。どうされますか、一体。どう指導されますか。これは大臣の話聞きたいね。
  65. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) この問題につきまして、まず初中局長から鹿児島の経緯について御答弁申し上げます。
  66. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いや、いいですよ。もう時間がありませんからね。このごろは時間厳守するから、私は時間がないんだから。  もうわかっている、経緯は。この日時だけは間違いないんだ。これは新聞にも出ておるんだから。そのことについてどういうお考えですかと聞いておるんだ。
  67. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) これは昨年三月七日の規定の整備と相まって主任制を考えていただきたいということを人事院に申し上げ、そしてわれわれの方で十二月末に規定をつくった。しかし、まだ人事院はその内容について勧告を行っておられるわけではないというような関係等を基盤に置いて考えていただくとわかりやすいわけであります。つまり、この給与の問題とそれから規定の整備は関係がございますが、しかしながら、人事院の勧告を待たなければ給与の詳細に入っていくことはできないという、そういう関係にあると、この点の指導は私どもとして徹底して行っていきたいと考えております。
  68. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これは、三十三条はこれは明確にこうこうこうでこれは協議しなければならないということが書いてあるんですよ。それを幾らあなた方があとは人事院勧告が出ないからという形式論をやってみたって、これはもう——給与局長もおりますけれどもね。問題はもう人事院自体ですよ。いわゆるその予算がつき、省令化された以上は主任手当を出さざるを得ないと、こう言っておるんです、私どもに。ただ問題は額をどうするか、範囲をどうするか、そこのところの問題ですと、こう言っておるんですよ。これは事実間違いないんだから。いま局長が違っておったら、局長、ぼくは人事院から聞きますけれども、言明しておるんだから。それだけに当然これは予算が伴うところの問題だということがはっきりしておるでしょうが。初中局長、はっきりしておるでしょうが。それだけにあなたは、さっき言ったように予算が伴う問題だから、いわゆるその地教法の三十三条一項とも関連するんだから十分話しなさいよと指導したと、こうおっしゃるんでしょう。鹿児島県ではしておらない。このことがさらにこの問題を大きくしておるだけに、こういう事実があるならあなた方はどう指導されますかと聞いておるんですよ。このまま放置しますかと。いわゆるコメントにすでに地方教育長命で出しておるように、ああこれは主任制度のもう真髄を具現したものだとほめているんですよ。そういうおほめの言葉で当たりますかと聞いておるんですよ。はっきり答弁しなさいよ、それ、ノーならノーと。
  69. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 御指摘のように、地教法の三十三条には、委員会規則を改正する、その規則が予算に関連ある場合にはあらかじめ財政当局と相談しなさいと、こういうことでございますから、私どもはそういう趣旨で指導をいたしております。  ただ、具体的に鹿児島の問題について申し上げますと、私の聞いておりますところでは、事務的にはかねて連絡をしておりましたけれども、知事御本人に対してはあるいは話し合いが十分でなかったかというような点があったのでありましょうか、三十一日でしたか、知事が教育委員長教育長を呼んでじっくり懇談をされた結果趣旨を了解したと、こういうことでございますから、ただいま宮之原先生御指摘の点につきましては、結果的には県の財政当局と話し合いがついた、こういうことであろうかと思います。ただ、その段取りについていま先生御指摘のような点があるいはあったのであろうかと、かように考えます。
  70. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それは違うぞ。それは全く事実と違うですよ。これは重要ですよ。これは後からまた久保委員から言ってもらいますけれどもね。教育長どうしてもらうかはまた後から提起あると思いますけれどもね。全く違うですよ。そのように皆さんにうそついたことを言っておるじゃないか、教育長は。ぼくらが調査に行ったときには明確に知事はそういうことを言っておるんです。議会筋も大荒れに荒れていることもこの新聞のとおりなんです。後から見せますけれどもね。そういうやり方をさせてあなた方はりっぱだ、りっぱだと片一方でほめているんですよ、それ。そのことが教育をますます混乱をさしておる。私から言わしむるならばあなた方が責任者でないか、責任があるんじゃないかと言いたいぐらいなんです、これは。この問題は。私はまだありますからね、もう少し続けますけれども、こればかりにかかっていられませんけれどもね。これだけまずきちんと指摘をしておきますよ、これ。これは事実だとすれば大変でしょう、どうですか。事実だとすればどうですか。それだけ、大変か大変でないかだけおっしゃってください。
  71. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 私は、いまお答え申し上げましたように、その仕事の進め方であるいは手違いがあったかと思いますけれども、結果においては県の知事当局とも十分話し合いをしてその上でこれから規則を改正しようと、こうされておるのであるというふうに判断しておるわけであります。
  72. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 三十三条一項は、実施のためには新たな予算を伴うものについては教育委員会はあらかじめと書いてあるんだ。「あらかじめ」、これは規則や準則を決めない前のことでしょう、「あらかじめ」という言葉は。だれが読んだってそうでしょう。御自分が二十七日に準則の通知を出しておいて後から説明して了解を得たというのは、「あらかじめ」になりますか。そこだけ答えてください。「あらかじめ」という意味は、事後承認を含むという意味ですか、どうですか。それだけ聞かしてください。
  73. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) この規定は「この場合において、当該教育委員会規則で定めようとする事項のうち、その実施のためには新たに予算を伴うこととなるものについては、」云々とございまして、先ほども申しましたように、委員会規則はまだ制定されていないわけでございますから、この知事との話し合いがあった後でこれから制定しようというふうにいたしておるわけでございますから、私はこの規定に違反しないと、かように考えております。
  74. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これは、まさに三百代言ですよ。地教委にはすでに二十七日に準則を出して、これは後から言いますけれども、秘密裏に二月の初めまでに決めなさいと、決めなければあなた方のいろんな今後の人事や予算に不利になりますよと、こういう脅迫までして、みんな決めさせておるんですよ。それで、御自分の県のものだけはなるほどそれは後に載せておるでしょうけれども、実際金を使っているのは県のあれですか、小中学校教員は該当しませんか。あなたにお尋ねしますけれども、該当するでしょうが、小中学校教員給与は県費やいろんなものに該当しませんか。それじゃ聞きますが、どうですか。
  75. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 義務教育学校教員給与の半額は、県費負担でございます。
  76. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それならば、そうじゃありませんか。先月の二十七日に教育長が準則の案を出してみな決めさせておるんですよ。そして、新聞にも出ておるように、多くの市町村は決めておるんですよ、もう。県の県立学校関係だけ決めてないのだ。それ一体「あらかじめ」のところに入りますか、入りませんか。  委員長、こういうふうにして答弁が長くて、私の時間五十五分ではお話にならぬよ、そこは少し弾力的に扱ってください。向こうが時間をかせいでおるんですから。
  77. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) ただいまお話し申し上げましたように、あくまでも教育委員会の規則を決める前に、それは一月の末に知事と話し合いをしておるわけでございますから、その点は私は法に触れるものではないと思います。
  78. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これは、また後から問題にしますよ。あなたの発言も全くいいかげんなものですよ、それは。知事は、あなた、きょう初めて三十一日説明を聞きましたと言っているんですよ。了解を与えたと言っていない。県議会も二月二日に初めて大きな問題だと騒ぎ出しておるんですよ。そんなに文部省から出向したところの教育長がかわいいですか、あなた。気違いじみたやり方をやっておるんですよ。また後からたくさん出しますけれども、団交の問題にしてもそうですよ。たとえば教育長はぼくらと会うと、いわゆる私は形式にこだわらなくて十分お話をしますとか、組合の代表ともPTAの代表にもそう言っている。有田先生が行かれたときも言っている、二月になってから。ところがこれは全く表面だけのことで、一月の——ここにきちんとした資料がありますし、私も調べてまいりましたけれども二十八日は県内の教育長の幹部を集めて、そこで秘密会だと称して厳重に箱口令を敷いて次のようなことを言っておるんですよ。準則をやりなさい。この件は管理事項ではないんだから組合からの交渉は一切受けつけるな。余りしつこく言うときには逃げなさい。それでもあれだったら警察官を呼びなさい。呼び方はこうこうですよ。それから主任制が導入されたときの後の学校運営の項目はこうこうです。それで二月の初めまでには地教委にみんな決めるように強力に指導しますと、こう言い、その校長の幹部の連中は翌日から二月の初めにかけて各郡市単位にまたそのことを口頭でみんな伝えておるんですよ。だからこの職場においては全然それを受けつけない。校長は逃げ回っているんですよ。そういう態勢をつくっておいて私どもに対するところの受け答えだけはさももっともらしいことをやっている。こういう教員に不信感をかき立てるようなことばかりさせておいてあくまでも強行しようというのがこの鹿児島の実態なんですよ、これ。そういうことまでして一体——時間がありませんが、文部大臣に聞きますけれども、そういう状態の中で生まれてきたところの主任というものが、あなたがねらうところの明るく伸び伸びとしたところの学校運営というものができるでしょうか、どうでしょう。あなたの言うところの助け合いの教育というものがそういう指導を実際やりながら、陰険きわまる指導をやりながらできるんでしょうか。表面ではきれいごとを言う、実際はもう逆なことをどんどんさせておいて既成事実をつくっておいてかっこうだけをつけておるという、こういうやり方が鹿児島の教育界をいま混乱をさせておるところの最も大きな根源の一つなんです。まだたくさんありますけれども、時間がありませんから言いませんけれども、これ一体、そういう中から本当の教育が生まれてきますか、永井さん、どうですか、大臣。
  79. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 私は鹿児島の実態につきまして、なおこれは詳細な検討を要すると思いますが、こうしたものの規定ができ上がっていく過程においては話し合うべきものは話し合い、また私自身も、県会に聞くべきものは聞き、しかし他方、毅然として法律に従ってこれを実施していくことは教育長の仕事であろうと考えております。
  80. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 この質問はもう留保しますよ。
  81. 山崎竜男

    委員長山崎竜男君) 午前の会議はこの程度にとどめ、午後零時三十分再開することとし、これにて休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩      —————・—————    午後零時三十五分開会
  82. 山崎竜男

    委員長山崎竜男君) ただいまから文教委員会を再開いたします。  教育文化及び学術に関する調査中、主任制度問題に関する件を議題といたします。  休憩前に引き続き、本件に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  83. 有田一寿

    ○有田一寿君 各出先県で——出先県というよりも都道府県で省令化に従いまして学校管理規則の改正に取り組んでおるわけですが、これは鹿児島だけではないと思いますが、このことに関しまして教員組合の方から団体交渉を申し込まれていると、それに対して鹿児島の方も応じていない、その理由は今度の省令化の主任学校管理規則改正につきましてはこれは団体交渉事項であるかないか、私は団体交渉事項ではないと思っておりますが、そこら辺について局長からで結構ですが、お答え願いたい。
  84. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) その点につきましては、地方公務員法の五十五条にいわゆる交渉の規定があるわけでございますが、その第一項で当局との交渉事項は「職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関し、」と、こういうことになっておるわけでございまして、同じく第三項では「地方公共団体の事務の管理及び運営に関する事項は、交渉の対象とすることができない。」となっておりますので、いまの管理規則の改正という問題はこの三項に該当する事項でありますから交渉の対象でない、こういうふうに思っております。
  85. 有田一寿

    ○有田一寿君 それで、教育長の方はいま諸沢局長が言われたようなことでそれにしぼっての団体交渉なら応じられないということで断っておるわけで、私もそれでいいと思うんです。まあ、そういうことでなく、その他の問題についていろいろ話し合おうということであれば教育長も話し合おうということを言っておる、しかし組合の方は最初に申し上げたそのことに関して交渉したいということですから、かみ合わない。そうすると、新聞では教育長は団交を拒否した、合うことを拒否したというふうに流されておるようでございます。これは私は組合もそのことはよく承知しておるはずなのにそういうふうな流し方をするというのは解しかねるという感じを持っているわけです。  それから日教組がストライキをやるということで、これは戦術会議でも決定しておるようですが、文部省の方でつかんでおられる情報をお聞きしたいんですが、指導職ということに決着がついておる問題でありまして、経過的にはいろいろありました。それは現在でも、いや管理職の方がはっきりしていいという人もそれは自民党の中にもおりますし、あるいは文部省の中にもおるかもわかりませんし、そういうことはそのとおりでありますけれども、先般のこの文教委員会で中間管理職ではない、これは指導職であるということをはっきりと大臣も言われましたし、私どもの方も自由民主党でもそのことは文教部会ではっきりと確認しているわけで、決して疑義があるわけではない。それにもかかわらず管理職であろうとか、管理職化しようとしているからこれは組合に対する弾圧であるとか、いろいろそういうことでストライキを構えるということが私はどうもこれもまた解しかねる点ですが、そのストライキの状況、スケジュールについてつかんでおられる点があればお聞きしたいと思いますが、どうでしょう。大臣じゃなくてもそれは結構ですが、大臣でも結構ですし、どうぞ。
  86. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 私どもが聞いております範囲では、二月の中旬以降各県において管理規則制定あるいは改正反対という趣旨のもとにストライキを含む拒否運動をやると、それからさらに二月下旬から三月の初めにかけて人事院勧告が出ると予想される時期に人事院勧告阻止といいますか、そういう全国的な争議行為を計画しておるというふうに聞いております。
  87. 有田一寿

    ○有田一寿君 ということは、こちら向いてお聞きするのも大体おかしいんで、こっちで聞いた方がわかるとは思いますけれども、質疑の形態がこうなっていますから、えらい間接的な質問で恐縮ですが、なぜストライキを打つ必要があるのか、その大義名分、指導職であればなぜストライキ打たなきゃならぬのか、そこら辺のところをどういうふうにつかんでおられるか、ちょっと聞きたいんですが。
  88. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 御指摘のように私どもは大臣のたびたびの見解にもありますように、管理職ではないということは明らかにしておるわけでございますから、そうだとすればどうしてこの制度化に反対をされるのかという点については、実は私どもも了解しにくい点があるわけでございます。
  89. 有田一寿

    ○有田一寿君 そのことはそのこととして、たとえば手当なしの主任ということを考えておる県があるように新聞でこれは拝見した。島根でした。それから現在ある主任をやめちゃうと、そうすると主任のない学校ということになるわけですね。そうすれば主任制度化はあり得ないんじゃないかということ、これは校長がその気になればそういうことができるのかできないのか、それに対して文部省はどういうふうにこれを指導しようとしているのか、これもお聞きしたいと思いますが。
  90. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 手当の問題は人事院勧告がなければ具体的にならないわけでございますけれども、先ほども申しましたように、文部省としては規定の整備と相まって手当を支給するというたてまえで進んでおりますから、手当なしの主任制度ということは考えていないわけでございます。また、現在ある主任をやめてしまうというようなことにつきましては、そもそもこの主任を置くことを規定した学校教育法施行規則の規定は学校教育法第三条にありますところの学校設置者は文部大臣の定める設備、編制に関する基準に従って学校設置しなければならないとあります。この編制の基準に関することでございますから、それによって当然各学校では主任を置かなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  91. 有田一寿

    ○有田一寿君 そうしますと、各都道府県で条例改正をやって主任の手当については分担しなきゃならないと思うんですが、そこで県が手当をつけるその財政的な裏づけをしないということが可能ですか、そういうことは不可能でしょうか、それもお聞きしておきたいんですが。
  92. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 手当につきましては、義務教育国庫負担法の規定によって国がその半額を負担するという法律の制度になっておりまして、その半額を国は予算のめどとしてはすでに準備をいたしておるわけでございます。ところでどのような手当を幾ら支給するかというようなことになりますと、教育公務員特例法の規定によりまして公立学校の先生の給与の種類と額は国立学校の先生のそれを基準とするとなっておりますので、国立学校について人事院の勧告を待って現実に手当が支給されますことになりますれば、当然その県立の、県の、あるいは市町村段階の学校における職員についても同じように手当を支給しなければならないというふうに考えるわけでございます。
  93. 有田一寿

    ○有田一寿君 第二次勧告のときに都道府県によってはなかなか条例化ができずにずうっとおくれて、現在もまだ何県か実施していないところがあると思うんです。それはどれぐらいあるか。それからなおこの主任制度化された場合に、県でそれをやらないと、財政的な予算措置をやらないということができるかどうか、絶対できないものか、そこもひとつお聞きしておきたいんですが。
  94. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 第二次勧告につきまして現在まだ実施していないのは四県ございまして、具体的には東京、京都、大阪、大分でございますが、大分は大体三月の県議会でやる予定ということでございますし、あとの三県につきましても、いずれもやらないというのではなしに、財政の都合等もありまして、やる方向で決定をしながらまだ実現に至らないと、こういうことのように聞いておるわけでございます。したがいまして、この主任の手当につきましても、実施の時期についてはそれぞれの県においていろいろ現在の財政状態では全部そろえるということは必ずしも期待できないかと思いますけれども、これをやらないということは許されないというふうに考えております。
  95. 有田一寿

    ○有田一寿君 さっき宮之原委員が質疑していたことに関連するわけですが、まあ、さっき答弁を私は聞きましたが、三月一日に管理規則改正をやるとした場合に、その実施——言いかえれば個々の発令ですね、個々の発令は若干おくれるところがあると、それはいつまでおくれてもいいかですね、会計閉鎖までにやればさかのぼるのかですね、私が聞きたい意味は、まあ、これは私が与党の立場で聞くのはどうかと思いますが、そこはっきりお聞きしておかないと迷うからお聞きしておきますが、三月がちょうど人事異動期なものですから、三月一日に個々発令まで持っていくといっても、三月にいろいろ人事異動が行われればまた四月にやり直さなきゃならないようなことになりはしないかという懸念もありますので、そこら辺のところを、発令は若干おくれてもいいのではないかということですが、まあ、お答えにくい面もあると思うんですけど、これ迷いますからね、ちょっとそこら辺のことをはっきり聞いておきたいんですが。
  96. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 制度のそのままを申し上げれば三月一日に規則を改正し発令をするというのがたてまえでございます。ただ、実際の問題として、おっしゃるように三月は年度末最後の月でございますし、学校の運営は具体的には四月を起点として始まるわけでございますから、県によりましては四月から現実に発令をするというものもあるいはあり得るだろうというふうに考えておるわけでございます。
  97. 有田一寿

    ○有田一寿君 そのときに三月一日までさかのぼるか四月一日までさかのぼるかですが、三月までさかのぼるんでしょうか、それもちょっと……。
  98. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 御質問の趣旨がもしその主任としての発令ということでありますれば、これは現実にこれこれの主任の仕事をしなさいという業務付加の職務命令でございますから、さかのぼって発令するということはあり得ないというふうに考えるわけでございます。
  99. 有田一寿

    ○有田一寿君 わかりました。いつまでということは言えないだろうと思いますが、しかしおのずから限度があるだろうと、これいつまでも延ばしていいというものでもないだろう、個々発令の場合ですね。そこについてお聞きしたいのです。
  100. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 先ほども申しましたように、具体的には四月、新年度の発足と同時に職務分担といいますか、そういうものを当然学校では決めるわけでございますから、仮に三月におくれたとしても、四月の新学期発足までには体制を整えてしかるべきだと、こういうふうに考えております。
  101. 有田一寿

    ○有田一寿君 一般的なことになりますが、先ほど申し上げましたように、これは今後、出先でもずいぶん話題になっておるようですが、自由民主党が文部省に圧力をかけてこれをやらしたと、やらせると言ったのだと、あるいは教育を政争の外に置くと三木総理も言い、永井文相も言っておるが、政争の中にあるではないかということ、この現実の、現在の姿を見れば、そのとおりだと思うのです。政争に巻き込まれた姿、しかしこれについて私もこの際はっきりお聞きしておきたいんですが、教育というものは中立でなければならないということ、当然のことだと思うんです。ところが、いま現在の現場は、イデオロギー的なものが入り込んで、どちらかといえば教職員組合の方はいわゆる左寄りの方だと、言いかえればこれは中立であるといっても中立になっていない。だから、自由民主党の方としてはもっと中立に持っていくべきだという動きはしますよ。これは政党ですからやりますよ。そうしなきゃ教育の中立は確保できないと私は思っているのです。教育の中立を確保するということ、それは左と闘い、右と闘うことの中で中立というものは確保されていくので、ほうっておいて温室のような中でじっと中立になるようなものじゃないと思う。だから、そういうことでいかなきゃいかぬ。私の言うのは、非常なる右翼についてはこれは当然闘う。しかし左についても闘わなきゃならぬ。だから、政争の外に置くというのは、言葉は美しいが、それは目標であって、現実は決してそうはなっていない。だから、私どもはその意味では闘っていくということで考えております。したがって、今度の主任制度の問題について、これを静かにできれば淡々と文部省が行ってもらうことを希望しているわけです。しかしながら、末端でいろいろな抵抗が出てくる。そうすれば、私どもは主任制を指導職としてとることに賛成ですから、それが行われるように党として独自の動きをするということ、これについては文部大臣も反対はなさらないと思うのです、独自で動くわけですから。だから、ちょっと基本的な問題について文部大臣の考えをここではっきりしておいてもらいたい。どうぞ。
  102. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 私は、文部省の立場としてこの主任あり方を決めたわけでございます。自由民主党においてそれに賛成であると、それが党の立場であるということであれば、もちろん、それは私として非常に結構なことであるというふうに考えますから、そういう線で御活動いただくことは望ましいことと思いますが、他方、他の党においても、またそういうお立場をおとりいただければ、これはわれわれとして非常に淡々と仕事ができるわけでございますから、非常にありがたいことと考えております。  ただ、私、就任のときに申し上げましたが、この種のことであるいは政争的雰囲気が起こるかもしれないということは覚悟をいたしておりましたので、現在、政争的雰囲気にあるということは承知をいたしております。承知をいたしておりますが、しかし、私はどなたに対しましても、特に私自身として、いわば戦闘的な気持ちであったり、あるいは攻撃的な気持ちは全くないわけでありまして、これは必ず御理解をいただいて、次第に、いわば淡々とこうした事柄が決まっていく方向に進むものと願っている次第でございます。  一つ、付加をいたしますと、東京に英国文化振興会という、イギリスの大使館の文化部がございますが、そこの人から聞いたんですけれども、イギリスでも学校主任制問題というのがあると、ポジション・オブ・レスポンシビリティーというんだそうですが、これは教員組合の方から政府に手当を要求したということがあったそうでございます。したがいまして、別に、ほかの国を常に模範にするということはなく、また、わが国わが国の状況の中でやっていけばよろしいし、また、諸般の事情がございますが、しかし、そういうふうなこともあり得るということを私自身としては念願といたしておるところでございます。
  103. 有田一寿

    ○有田一寿君 もうこれは質疑でありません。最後に希望だけ申し添えておきますが、鹿児島の問題です。これは文部大臣にも、局長にも希望しておきますが、鹿児島の教育長のいろいろなやったことについての批判、あるいは間違っている等の御意見が出ております。後でも出るかもわかりませんが、十分に周囲に対して説明をし、了解を得るところは了解を得る、合意に達しなきゃならぬところは合意に達するという、その努力を必死になってやらないと、やはり官庁の出先の教育長の場合はなおさらですが、しかもまた、鹿児島の場合はいわゆる田舎言葉でいうじごろでないわけですね、あすこ育ちであれば、小学校、中学の同級生もたくさんおるけれども、こちらから落下傘で行ったようなかっこうになっていますから、よほどその了解を得る努力をしながらやらなければいけませんよと、それを身を粉にして獅子奮迅の努力をなさいと、私はあのときに行って言ったわけで、先ほど新聞にはこう書いてあるぞと言われたから、ちょっとその新聞見してくださいと私も言ったわけですけれども、私はそう思っています。獅子奮迅で主任制やれと、そういう意味で私は言っておりません。これはテープレコーダーにとられておりますから、それはお調べくださればわかります。それはどう書こうといいんです。激励に行ったことに間違いはありません。それと、いろいろ紆余曲折はありましたけれども、知事、教育委員長、PTAその他いろいろ不十分であった点もあると、教育長の根回しが。しかしながら、よくわかったと、で、われわれは教育長を責めることもせず、今後努力をしていきましょうということになったということは、私は申し添えておきますが、今後また、教育長も真剣にひとつ努力をしていかなければ、そう簡単に私はいくと思わないので、そういう意味を含めての、ひとつ注意を含めての激励をやはりしていただくことが必要だと、なおかつ鹿児島がトップバッターに立ったということで、鹿児島ではなぜ、宮之原さんと久保さんと、二人やかましい人がおるところにトップバッターに立つというのはおかしいじゃないかという議論がずいぶんありました。けれども、まあ、それはどこかトップバッターに立たなきゃならないんだから、たまたま鹿児島が立ったんだと、これはひとつ立ったからにはしっかりやってくれということを私ども激励はいたしました。  以上、この主任制が文部省の、大臣の考えられたような方向でひとつ実施されていくように格段の努力をお願いをして私は質問を終わります。  ありがとうございました。
  104. 久保亘

    久保亘君 私は午前中の宮之原委員の質問に関連をしながら少しお尋ねをしたいと思います。  きょう大臣の所信表明をお聞きしまして、所信表明の中で、「伸び伸びとした自主的で創造的な人間育成を」目指すということを言われまして、「競争第一主義の風潮を排し、」「学校ゆとりのある雰囲気を取り戻し、」——いまゆとりがないからそう言われているんだと思うんですが、「学校ゆとりのある雰囲気を取り戻し、学ぶ者、教える者がそれぞれ互いに助け合う気風を醸成する」、こういうことを言われている反面で、主任制度の問題に関しては、あなたのこれまでたびたび言葉で表明をされてきたこととは違って、主任制度実施していくその手続が非常に権力主義的な管理主義によってやられていると私は思っております。そのことは、いま所信表明で述べられたこのあなたの、「伸び伸びとした自主的で創造的な人間育成を」目指すそういう教育と全く逆行する状況をつくり出しているのではないか、こういう点で大変心配をいたしております。  それで、お尋ねをしたいと思っておりますことは、もしこの主任制度実施していく——中身の問題の議論はきょうは時間がないからやめましょう。しかし、この制度実施していくその手続において非常に権力的で管理主義的なやり方が現実にあらわれているとすれば、文部大臣は責任を持ってそのようなやり方を是正させる努力をなさらなければ所信表明の趣旨とも反すると思うのだけれども、その点についてまず大臣の御見解をお聞きしておきたいと思います。
  105. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) ただいま先生から御注意の点でございますが、権力主義的なやり方で主任に限らず教育行政を進めるべきでないと思います。他方、法に基づく権力の行使というものについて責任を負わなければいけない。私は、そういう権力主義的なやり方で進むということを排しますが、権力の法に基づく行使というものは重んじなければならないというふうに考えております。
  106. 久保亘

    久保亘君 はっきりしてもらわなければならないのは、鹿児島県のいまこの主任制度実施しようとしている教育長を中心とした行政権力側のやり方というものについて、その詳細をあなたは御存じですか。
  107. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 先ほど初中局長が御報告申し上げた程度の報告は私受けております。
  108. 久保亘

    久保亘君 じゃ具体的に聞きますが、教育長はあなた方にどういう報告をされておるか知りませんが、地教委とか、それからPTAとか、特に現場の教師たちに対して、この主任制度実施しようとする文部省並びに県教育委員会の意思というものを十分に説明された上で今日の状態に及んできているとお考えになっておりますか。
  109. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 教育長としては、市町村の教育長あるいは小・中・高等学校長等を通じまして、この主任制度趣旨徹底ということにつきましては、一月の初めから、資料の配付、あるいは代表者あるいは幹部あるいは全市町村教育長あるいは小学校長会、中学校長会等あらゆる機会をとらえてこの説明をし理解をしてもらうように努力をしている、こういうふうに聞いております。
  110. 久保亘

    久保亘君 まずそこで根本的なあなた方の認識の誤りがあります。私は、私の主観で申し上げるのは問題ですから、鹿児島の県市町村教育長会長の談話が新聞に出されておりますので、それをぜひ知っていただきたいと思うんです。この県市町村教育長会長の談話によれば、「県教委と山中教育長はわれわれと十分な意思疎通をはかった、と言っているが事実とはだいぶ違う。われわれが初めて県教委からの説明を受けたのは一月十九日。この日は文部省で主任制度の各県主幹課長会議が開かれていたのだが、「主任制度とは一体どういうものか。われわれだけでも話し合いをしよう」と集まり、「どうもよくわからない」ということになり、県教委から説明を受けた。それでもみんな「よくわからない」といった状態だった。そこへ同月二十七日の準則提示。この間、各地教委の教育長はほとんど検討・審議する時間的な余裕はなかった。一番困るのは現場の校長だろう。まず県教委の準則では主任が新たに二つ増えた。こういう混乱したなかでポストにスンナリすわる人はいるだろうか。しかし、校長はこれができないと山中さんから「職務命令」を受け、校長不適格者と思われる。」これ、新聞に市町村教育長会長が出した談話です。私は、このような状態であなた方がそういう認識をされているのは非常におかしいと思う。なお、この市町村教育長会の会長と私どもがお会いをしましたときにも、こういう言葉で言われている。県教育長は強いので地教委は困っています。県教育長は何でもトープバッターになりたがる。こういう言葉で言われておる。私どもは、県の説明を求めようということで十九日の日に会を開いて初めて聞いたけれども、いろいろ問題が多い。最終的には困るのは地教委と校長です。そうして、いま初中局長が言われたように、交渉事項ではないと県教委が強く指導して、絶対に会うなと言う。しかし現場と密接しているわれわれはそういうわけにはいかないんですと。これは勤務時間や勤務条件給与と関連をする問題だし、ぜひ話し合おうではないかと言われればその交渉をわれわれは拒否することはできないと、地教委の人たちや校長たちは苦しんでいるんですよ。上からは会っちゃいかぬと言われる。しかし現実に現場と接触している者は、それでいいのかということで悩んでいる。そこのところを全部、権力的に管理主義的に押し切ってやろうとしているいまの鹿児島の状態を、あなた方が何にも知らずにおってですよ、鹿児島県教育委員会が大変いいことをやっていると思っておられるとするならば、重大な誤りを犯していると思うんです。  私は、いまの教育長会長の談話などをあなたがお聞きになって、どういうふうにお感じになっているのか、文部大臣の見解をお聞きしたいと思います。
  111. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 私は決して久保先生が言われた言葉を怪しむわけでもありませんし疑いを持つわけでもありませんが、いまのような談話ということでありますならば、私たちとしてもそれを十分実情を調査しなければならない性質のものと考えます。
  112. 久保亘

    久保亘君 今度は、もう一つ、団体交渉の問題や、それからこの問題についていま県教委がどんなやり方をしているか。先ほど宮之原委員も少し触れられましたが、県教育委員会は指導文書と称する、主任制度に関する指導文書なるものを秘密裏に関係者に流しております。そうして、この書類を外に漏らした者は直ちに措置する。もし県教委の指示を勝手に外に漏らした場合にはその職を退いた後といえども責任を追及するという口頭の説明をつけて配られたと聞いております。その説明、指示文書の中には、交渉の持ち方から一々細かく指示して、この場合には黙秘しろ、この場合にはこういう職務命令を出せということを書いているだけではなくて、交渉に先立って警察、駐在所等へ必ず事前に連絡し終了後も連絡をとることという、そういう指示になっております。  こういうようなことで主任制度実施が強行されるということになれば、文部大臣が百万言を費やして教育職である、指導職であると言われても、そのねらうところは私は管理主義の強化であり、物言わぬ教師をつくってそうして現場に強力な統制の体制をしく以外の何物でもないと思う。こういうようなことが文部省の意図に反して教育長の段階で行われているとするならば、私はその教育長の責任を問うべきだと思う。もし文部省が表面は言葉をつくろいながら、実質はそのような指導を行っておられるのだとするならば、私たちは激しくあなた方の責任を聞いたいと思うんです。その点について明確にしていただきたいと思います。
  113. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) ただいまお話がありましたような点について、もちろん私どもが一々指示をしておるというようなことはございません。ただ、教育長としてはこの主任制度化について十全の努力を払って関係方面の理解を求めておったということ、そしてただいま先生のお話にありました、あらかじめ警察に連絡しろとか、そういうことについても、私、具体的文書を見ておりませんけれども、恐らくその趣旨は、いろいろ話し合いの場等で混乱が起こると予想された場合に、秩序を維持し、混乱を最小限に防ぐという意味で、そういう連絡をあらかじめするというものも場合によっては必要であろうと、そういう意味でそのような指導をしたのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  114. 久保亘

    久保亘君 現場のあなた方の側の交渉の責任者となるべき人たちの判断というのはほとんど持つことができないようになっております。事細かに何分たったらどうしろということまでずっと指示されております。そういう状態でいま主任制度実施されようとしているんです。そして市町村の教育長に対しては九日までに全部この準則に基づいて市町村学校管理規則を決定せよ、それができなければその次の教育長の改選のときには協力できないというような趣旨の言葉がつけ加えられたと聞いております。そのために鹿児島県内のある町では教育長が午前二時まで、老齢にもかかわらず、一生懸命その作業をやりまして、午前四時半に教育委員会を開いて、そこで決定しているんです。そのときには組合は知りません、四時半にやったなどということは。そういう異様な状態があっちこっちに出始めております。私は、そんなことをしてまでなぜやらなければならないんだろうか、不思議でならぬです。そして、そんなことをしてやった主任制度というのが、永井さんが言われるような教育の効果を上げ得るものであろうか、そういう点について多くの疑問が残ります。  また、財政当局との話し合いについて先ほど言われましたが、これは初中局長がいかに弁明されようとも協議抜きでやられたんです。県の総務部長などは全然あずかり知らぬと言っております、それ以前においては。で、知事は、非常に重大な政治問題化してきたので、これは心配だと思って、私の方から教育長、教育委員長においで願って、二時間にわたって説明を聞いた。初めて主任制度というものの中身を知ったと言っておられます。一月三十一日のことです。二十七日にはすでに準則は県教育長の名前をもって市町村におろされております。そして、その二十七日の夜、県教育委員長と会いました教組の幹部はこう言っております。県教育委員長は、そのようなものが教育委員会において決定され、通達されたということは自分は知らない。ところが、山中教育長は私どもの質問に対しては、教育委員会において了解を得た上やりましたと言うんです。で、いつ教育委員会開かれましたかとだんだん詰めていきますと、各教育委員に持ち回りで決定しました、会議は開いておりません、こういうことなんです。とにかく異状な状態で行われております。その上に、財政当局との協議がなかっただけではなくて、二月の二日には県議会が議会運営委員会において、山中さんの教育行政のやり方はけしからぬというので、長時間にわたって議論をしております。私は、これは文部省の責任ある方にもお見せいたしました。これは社会党や公明党や共産党や、野党の人たちが言ったというだけではなくて、自民党の議員からすらも、山中さんのやり方は教育以前の点で教育長の姿勢を正させるべきは正さなければならないという発言が出ている。こういう状態の中でいま鹿児島県の主任制度がとにかくあなた方の命によって強行されようとしていることは、私は大変憂慮すべき問題だと考えております。で、彼はこう説明するんです。中間管理職的なものではないということは大臣があれだけ言っておられるんだから、はっきりしているじゃありませんか、それに反対するのはおかしいですと、こう言うから、そんならば、あなたはもしこの主任制度が中間管理職的なものとして決められてきたら、そのときには反対なさいますかと聞きましたら、私は県の教育長という職務にありますから、たとえ管理職でありましても、文部省でそう決まれば私はそうしますと、こう言っているんです。とにかくこの人のいまやっていることは、自分の一番直接のこの管理の重要なかなめにあるポストに同じように文部省派遣の大変若い青年を据えて、この青年と二人でいまや鹿児島の教育界にはものすごい権力的な管理主義体制をしき終わって、そして有識者に言わせれば、鹿児島県の教育はそのために大変暗い状態になってめちゃめちゃにされたと言っている。そういう状態の中で主任制度というのが強行されるということについては、私は主任制度そのもののよしあしを議論する前の問題だと思っているんです。教育長、教職員課長両名を文部省から派遣をされておる、出向させられておる立場からして文部大臣は、このような形の教育行政が日本の一つの県においていま現に主任制度をめぐって行われているということについて、あなたの率直なお気持ちをお聞かせいただきたいと思うんです。
  115. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 先般、先ほど申し上げましたように、ただいま久保先生が御指摘のような事実について承りました。そういうとおりであるとすれば、これは実情を私は当然調査いたすべきものと考えております。
  116. 久保亘

    久保亘君 御調査をいただくことは大変結構なことだと思いますが、しかし、この問題は大変急を要する問題でありまして、その一切の問題をし終わってから調査をして、その辺は手続上大変不備があったとか、その点はちょっとまずかったなというようなことで済む問題ではない。私は、この主任制度をいま鹿児島県を一つの何といいますか、先駆的な立場においてこれを先例にしようという形で文部省が認めてやらしておられるこのやり方こそが主任制度の本当のねらいじゃないか。主任制度そのものがどうだこうだという書物の上の説明はもうたくさんです。いまやられているやり方そのものが主任制度のねらっていたものだと私は思うんです。そのことがよいのだというなら、それはそれで結構です。しかし、いま大臣が言われるように、私がいま言ったようなことが事実あるとすればそれは大変なことだとおっしゃっておるのですから、大変なことならば、もし私が申し上げたようなことが事実あるとするならば、鹿児島県における今日推進されようとしている主任制度のこの実施についてはもう一遍スタートに戻して、そういうやり方について十分調査の上、是正すべきは是正させる措置が必要なのではないか、こう思うんですが、いかがですか。
  117. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 措置につきましては、これは実情調査の後の問題と思います。私は、先生の御指摘の点について、十分文部省といたしまして実情というものを理解することが先決であると考えております。
  118. 久保亘

    久保亘君 きょうは残念ながら私の持ち時間がもうありませんので、私はこれ以上具体的な事例を挙げて大臣のお考えをお聞きすることができません。まだもし私がいまの鹿児島県教育行政の中にあらわれているいわゆる主任制度そのものを問題にしようと思うならば、数時間かけてあなたに御説明しなければならないぐらいの問題を持っております。しかし、きょう、そのことについて私が一方的に言ったのでは、県の教育長にもまた言い分があろうと思う。当事者である教職員組合の役員の側にも言い分があろうと思う。交渉事項であるかないかという問題についても、文部省が一方的に第三項だけをとらえておられる点について、非常に私は問題を感じております。第一項の中にはっきり、給与や勤務条件の問題に関しては交渉事項であると書いてある。なぜそこだけ抹殺されるのか。そういう指導をしておいて、そして鹿児島県の教育長がやっているのは文部省の命令でやっているのではないと、そういう言い方はないだろう。その点についても私は非常に疑問を感じます。だから、一体、文部省と鹿児島県の教育長との間に、全国の教育長との間にどういうような関係が存在しているのか、それから、文部省出身の教育長が現地においてどのようなことをやっているのか、どんな考えでやっているのか、私はぜひこの国会の審議を通じて、当事者からもそのことを述べてもらって、はっきりしてもらいたいと考えております。  この際、私は、鹿児島県の教育長、教育委員長、鹿児島県の教職員組合委員長高等学校教職員組合の委員長を当委員会に参考人として出席させていただくようにお願いをいたします。
  119. 山崎竜男

    委員長山崎竜男君) 参考人の問題は、後刻、理事会に諮って、協議して決定いたします。
  120. 白木義一郎

    白木義一郎君 初めに大臣にお尋ねしますが、先ほど所信を表明されました。久保委員からもちょっと触れられましたけれども、「特に伸び伸びとした自主的で創造的な人間育成を期するためには競争第一主義の風潮を排し、受験体制過熱化現状を打開し、学校ゆとりのある雰囲気を取り戻し、学ぶ者、教える者がそれぞれ互いに助け合う気風を醸成することが必要であります。私はこのような教育本来の環境づくりに向けて総合的な諸施策を検討し、これを推進してまいりたい」との大臣の所信については、当然のことであると思いますが、もう大臣もおわかりのように、この主任制度実施に当たりまして、当委員会においてもこれだけの何といいますか、白熱したといいますか、対立的な雰囲気が非常に私には強く感ぜられました。これが鹿児島の問題に波及している、こういうように私なりに心配をしておりますが、最も私どもが恐れることは、この大臣の伸び伸びとした教育環境づくりという所信からは、今後次第にほど遠い現実に進んでいくんじゃないか、こういうことを非常に心配するわけであります。したがって、子供たちは具体的な問題がわかろうはずはありませんけれども、敏感な子供たちは、先生方あるいは大人たちのこの非常に対立したといいますか、緊迫した空気は、おのずから深い影響を与えていくと憂慮せざるを得ません。  しかし、これが実施に当たって次第にいわゆる大臣の所信の方向へ進んでいくならば、これはまた別問題でありますけれども、現況から将来を考えますと、ますますその大臣の考えていられる環境づくりから急速に反対の方向へ進んでいってしまうんじゃないかと、こういう心配をいたしますので、大臣として、責任者としてですね、こういう現実問題から将来の展望について確固たる確信ないしは自信をお持ちかどうか、あるいはこれに対処する具体的な決意をお持ちであるかどうか、最初に伺っておきたいと思います。
  121. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) ただいまの鹿児島の問題につきましては、この規則を決めます過程についての問題でありまして、それについて実情を検討する必要があるということは、先ほど申し上げたとおりであります。しかし、他方いま白木委員の御質疑になりました点について申し上げますと、実際これまでのところ長くこの主任の問題というものを中間管理職という形でとらえてきたということは、否定できない事実であります。そこで、そういう形で強化をしようという考えの方と、他方、管理職的なものであるならばぜひ阻止しようという方々が多くありましたために、相当の衝突というものが、やっぱりすでにこの問題が起こる前からあったように思われます。  で、私自身は、しかしながら、この現在の主にの実情を見ましても、これはたとえば生徒指導というような言葉を見ていただきましてもわかりますように、とても管理的なものではなくて、本当に指導をいたしていくものでございます。また、学年主任のようなものでも、これはほかの職業でもそうだと思いますが、大学を卒業しただけではなかなか本当に十分に仕事を達成するというところにまいりませんから、多少ベテランの人からいろいろ指導を受けるというようなこともあるわけでございまして、私はそういう点でいささかわが国学校教育、この現場においていわば教育指導というようなものが欠けていたということは否定ができない。で、また、御父兄もそういう点について憂慮をされている方も多いということでございますから、私が考えましたこと、そしてそれが省令化されましたことを御理解を得ますならば、私はこの問題について必ず道が開けてくるはずである、かように考えております。  そういう意味合いにおきましては、先ほど松永委員も言われましたように、十分に議を尽くせということでございまして、まあ前も十二月にこの席で申しましたが、私はこういうところで十分に御理解をいただきますなら、今後これはさほどの衝突というふうなものがあろうはずはなく、わが国学校教育というものが本当に創造的な子供を育てていく上で力強い先生のチームをつくり上げていくというはずのものであると考えて、あえてこうした立場に基づく省令化を行った次第でございます。
  122. 白木義一郎

    白木義一郎君 大臣のお話によりますと、この主任制度実施に当たっては、現在は鹿児島等で一部、ほんの一部紛争に近い状態が起きているけれども、これは将来にわたって実施の段階で大方の理解を得て、国民があるいは父兄が心配のないような方向へ必ずいくと、こういうお答えのように伺ったんですが、再度その大臣の見通しといいますか、決意を再度お伺いしておきます。
  123. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 私どもの考えの意のあるところを御理解いただけますならば、私はそうした、先ほど申し上げたような方向に進み得るものと考えている次第でございます。
  124. 白木義一郎

    白木義一郎君 条件つきのあれですけれども、理解すればということですが、先ほどからの質疑はとても理解どころではないというように非常に心配をしておるわけですが、そこで、具体的なこの実施の段階に当たって、私どもは国民的な立場でお伺いするわけですが、現在の主任制度があります。それからこの新しい省令で、省令化した主任制度のかみ合いですね、どういうふうにこれから先生方の闇に感情のもつれ等が起きないような方法をとっていかれるかということについてお伺いをしておきたいと思います。
  125. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) これは先生の同じ党の内田議員が昨年非常に御心配に——長い御経験の上で御心配になった点でありまして、やはり主任が新しく決まりますと、その人に全部おっつけてしまうというふうな方向があり得るのではないか。で、私は実は十二月に「補足見解」を書きましたときに、内田先生だけではないのですが、諸先生方のことを頭に置きながら、むしろ反対あるいは御批判をいただいた点を配慮いたしまして、補足説明をいたしました。要するに、その新たに主任になった人が他との協力関係を失うようになっていくのはどういう事態でそうなるかというと、たとえばその地位についてもう全然譲らない、ほかの人に一切その地位を譲らないというようなことで、いわゆるエリートコース的になっていった場合に協力を得にくいということがあると思います。そこで、私は、繰り返しやはり専門的な適格者はできるだけ多くその地位についた方がいい。ローテーションというのではありませんけれども、そういう姿の協力をやはり今後特に維持していくということを強調いたしました。また主任になられる方が、今度はいわば労働の対価といたしまして待遇の点というふうなことも手当の上から助けになりますから、したがいまして、持ち時間というようなものにつきましても、主任になると、いまもそうではありませんけれども、非常に減らしてしまうというようなことはなく、やはり主任としての責任を重んじて、授業をしながらなおかつ主任としての仕事をしていただく、そういういわばきめ細い運用の方法が必要である。これは、この点は内田先生が言われたことを記憶して書いたわけでございますが、そうした運用が非常に必要であるというふうに考えております。
  126. 白木義一郎

    白木義一郎君 そうではなくて、私の伺っているのは、現在主任が五人いるとします。今度の主任制度で三人主任が、教育長あるいは教育委員会、校長にその任命権を委託すると、三人できたとすると、この残ったのはどうするか。それから、じゃ、いまいる主任をこのまま認めるのかどうなのか。そういう点で、大臣は理解を得れば、得ればとおっしゃっているけれども、伺わないとおっしゃっていただけないような理解の求め方は非常にわれわれ納得がいかないわけです。さっそうと最初に民間から文部大臣登場されて、あたかも三木さんが最初になられた、あるいは田中さんが総理になられたときには、国民は非常に期待してたんですけれども、だんだんだんだん先輩にならってあなたも世論調査すると大分支持率が下がったんじゃないかというような心配をするわけですけれども、あなたの心情、立場を察すればわからないわけではないわけですけれども、やはり問題は、将来の日本の方向を左右づける教育という大事な問題ですから申し上げるわけですが、その具体的な問題をはっきりしておきませんと、ますます先生方がざわざわすると、そうしますと、それは当然子供に反映するわけです。大変具体的な問題ですが……。
  127. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) どうも先ほどの先生の御質疑の趣旨を幾分取り違えた点があったかと思いますから、その点はおわびを申し上げます。  実は、先ほどの点も大事なんですが、いま先生が御指摘の点もきわめて重要であります。今度省令によって主任というものでいわば選び出して決めるもの、これは全国的な統計に基づきまして、そしてそういう意味で重要であると思われるものを選ぶわけでございますが、しかし、教育委員会の規則にはそれ以外のものも書き加えていくのだということをまた規定しているわけです。といいますのは、先生言われますように、ほかにも重要なのがあるのじゃないかということでありますから、そういう余地を残しております。それでは、そういう人に手当が一切つかないかという問題が必ずまたそこで出てくるわけであります。いま私どもが考えておりますのはどういうことであるかといいますと、これは本日の予算の私の全般的な説明にも記してございますが、第三次給与改善というのが二年に分けまして、そうして本年度分と来年度分になっているわけです。そこで、いまわれわれが検討しておりますことは、今度いわば手当の対象にならない主任で、しかも非常に重要な仕事をしておられるために、当然そうした手当の問題を考慮しなければならない方を生じてくる場合について、それについては来年度の課題として検討を続けるということでございます。で、それはまたそうした今度の予算配慮ともかみ合っているわけでございまして、今回限りで、ですから、もう後はがまんをしていただく、まあ、いわばある人が運がよく、他の人が不運というふうなことがないような検討を続けたいと、こう考えているわけでございます。
  128. 白木義一郎

    白木義一郎君 そうしますと、現在ある、現在設けられている——いずれも大事だから設けられている主任の先生方は、この制度実施されると、当然自動的にそのまま引き継がれるわけですか。それとも改めて校長ないしは教育委員会から任命をされるようになるんですか。
  129. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 現実問題としては引き継がれる場合が多いと思いますが、ただ、任命の形につきましては、これもなるべく現状に即して進めるつもりでございますが、進め方についてすでに文部省が発表をいたしまして、都道府県教育長に御説明している方式がございますから、詳細は初中局長から申し上げます。  なお、先ほど申し上げました、来年度にわたっても検討を続けるというのは、いまこの席で初めて申し上げたわけではなく、すでに教育長それから教育委員長の全国の協議会におきましても私はその旨を御説明してありますので、それらの責任ある地位の方々から都道府県の委員会あるいは教育行政組織に伝達されているはずでございますので、念のためにつけ加えさせていただきます。
  130. 白木義一郎

    白木義一郎君 はっきり答えていただきたいんですが、もうそれでは、いま現存する主任はあくまでもこのままある期間までいくわけですか。それとも、それも教育委員長あるいは校長に任せられるわけですか。
  131. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 委員長
  132. 白木義一郎

    白木義一郎君 いやいや、ちょっと……。大臣、そのぐらいのことは簡単にお答えいただきたいのです。
  133. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 実は白木委員に申し上げたいんですけれども、学校によりまして、たとえば主任が三十種類ぐらいあるところがあるのです。
  134. 白木義一郎

    白木義一郎君 まあ、そういう細かいところは時間がないから……。
  135. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) あるところがあるのです。そういうのは、全部今度の省令あるいは来年度検討の主任対象として考えるのではないのでございます。そうではない。やはり手当の対象として考えなければならない種類のものでございますから、重要なものをピックアップしているわけです。そのピックアップの方式は細かいから省きます。そして、なおかつ重要なものが残るという場合は、それは来年の問題として検討する、そういう形で進めているわけです。ですから、全部いま主任という名前になっているのをそのまま生かしてしまうというのではないのでございます。
  136. 白木義一郎

    白木義一郎君 そうしますと、たとえば一月に主任になったと、ところが今度は三月一日からその主任の先生は交代になる場合があるわけですね。そういったような点が非常に、私たちはまあ、いわゆる素人考えです、そういう点も心配になりますし、それからまあ五人主任がいたとすると、三人は今回のあれで手当がつくと、この二人は来年からだと、こういうことですがね。先生だって飯食っているんですからね。ですからね、大臣も最初から主任制度については乗り気じゃなさそうだから、情熱を傾けて余り検討されてないようなお答えじゃないかと思うんですが、とにかく相手は学校の先生ですからね、よっぽど詰めたお話し合いをして了解を求めなければ、とても無理じゃないかと思うんです。そうしますと、もう教育委員長あるいは校長が、この省令に基づいてばっさり首を切って、そして新たな主任を任命して、それが手当がつく、それからあと何人かは、主任は、前からの引き続きの主任で、これは来年——来年も、それは自民党の政府のことですから、どうなるかわからぬというようなことであれば、全く伺っているとナンセンスなんです、これは。大臣も内心でそう思われると思う。全くいいかげんそのものですよ。こんなことで教育行政を云々されるのは、子供は非常に迷惑ですね。まあ時間もありませんから……。
  137. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 私は主任制度化について、ある種の疑義を持っていたというのは事実なのです。なぜ疑義を持っていたかというと、先ほどから繰り返し申していますように、こう、非常に管理的にとらえられていたのですね。それですと、これはやらない方がいいという考えがあったことは事実です。しかし実を言いますと、私も教育学部というところに勤めていまして、それで学生の実習の問題なんかを考えていたんですが、これは二十数年前なんですが、どうもそれ以来のことを考えますと、主任というものによって教育指導というものを本当に強化できるということであれば、これはある意味では日本の教育の活路である、本当にそう考えたわけで、これは渋々ながらなんというものでなくて、非常に積極的にそう思っている。  その証拠を申しますと、実は先週も、校長とか教頭というものも、教育指導の面、いままでよりやはりもっと積極的な問題として考えていただきたい、これも私は押しつけるべき問題でありませんので、全国の高校やあるいは小学校の校長会の会長ともお目にかかって、いまそういう校長、教頭のところの教育指導の問題も考えていただいています。ですから、主任につきまして、これをつくっていくというのは、まあ何だかわからない、ナンセンスというのでは決してないのでございます。そうでなくて、私は、教育指導というのは、これはまあ先生も野球やっていらしたから詳しいと思いますけれども、やっぱりたとえばチームに入ってきたときに、コーチというものがいて、そしてこう、投げ方あるいは打ち方、非常にいろいろ指導を受けたりすることで、自分の持っていなかったものを伸ばしていくというようなこともやっぱりあると思うのです。私は自分も学校の教師であったからわかりますけれども、なかなか初めて教えたりするときには、教え方もわからなかったりする問題がある。これは私非常に重要なことで、どの職業についても重要だと申し上げているのはそれでありまして、そういう点を御理解いただけますならば、私はこれは本当に先生方の力を強めていくという上で、積極的な意味合いを持つものであるというふうに考えているわけです。
  138. 白木義一郎

    白木義一郎君 大変野球を例にとっての御答弁でございますが、コーチと監督が非常に対立したチームはだめなんです。それで、いまいろいろと監督さんの方に、少しもっと慎重に対処されるべきじゃないかというわけで、大臣は、大方の理解を得られれば、この問題は必ず所期の目的に向かって進むであろうと、こういうことですが、現在は決して大臣の思惑どおりにいかないようになっております。  そこで、法律ができた以上は、これはやらなければならない、これは当然のことでございますが、そこに細かいそれこそ慎重な配慮がやはり現段階では必要だと思います。おやりになるのは文部省とし、あるいは政府としておやりになると言われる以上はあれですけれども、この実施の時期等をもっと慎重にお考えになるお気持ちはないかどうか、それだけ伺っておきたいと思います。
  139. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 実はまるで御説明をしていなかったようにとっていただくと間違いでありまして、相当このことは国会においても、もちろん反対の御意見たくさんあったのですが、議論はさせていただいた、この場でも議論させていただきました。またその他の場でも相当議論が進んでいるわけでありますので、私はこれは省令でございますから、三月にやはり規則をつくっていただきたいというふうに望んでいる次第でございます。ただ、先ほどから先生が御指摘のように、慎重であらねばいけないということは十分肝に銘ずべきでありますし、また諸般の事情によって東京都のような考えをしておられるところもありますから、そうした東京都のようなところについては、これはもう実施は決めておられるわけでありますが、その時期について必ずしも文部省がいままで考えていた時期には沿いかねるというような実情というものは、われわれも考慮しながら慎重に進むべきものであると、かように考えております。
  140. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 私は、日本共産党を代表して、主任問題について、当面の教育問題の焦点として文部大臣に質問いたします。  昨年の暮れですね、十二月六日から二十六日までの間、これが私ども国会で文教に当たる者がこの問題について聞いて意見を述べ合う期間であったわけですね。文部大臣は、二十九時間審議をしたというふうにも言われておるのですけれども、わが党も、これは私並びに参議院では加藤議員、衆議院では山原議員等から若干の質問をして、ごく一部は明確でなかった問題が、省令を出す直前の「補足見解」なり、年を越えての次官通達の申でごく一部が明らかにされたというような点を、これを見ないものではありませんけれども、全体討議不十分なままに新春以来、これはもう実施を目指して文部行政はひたすら走るというような姿になっておる。三月一日施行日という日限を切って、文部省は各府県を各個撃破をしようというような圧力をかける状態になっています。このことは、主任制度自身が教育目的を遂げる手段なんですから、手段を自己目的化するものであって、そのもたらす行政効果というものは、文部大臣の言われるところの目的に逆行をしていると言わざるを得ない。こういう点では、三月一日の施行日を目指す圧力というものは即刻やめられるべきだ、こういう前提に立って二、三の御質問をするわけであります。  目的とするところに対して二つの問題が明らかにされなければならぬ。一つは、この問題について当事者であるところの教職員、関係者であるところの教育委員会、各府県、各市町村、さまざまな意見があります。関係者としての議会にも反対決議が上げられたところがある。これは一面に日教組が反対する以外は、どれもこれもが目的を承認しておるかのように言われるのは、現実と違うことを言いくるめるものであると思います。私は大阪の出身ですけれども、大阪府議会はこれは反対決議を上げております。大阪府議会の政党構成をごらんになれば、これが一部の意見であるのか、そうでないのか、これは明らかなことだと思いますし、地方教育行政に責任を持っておる教育委員会の中でも、京都府教育委員会など府県レベルのものから市町村議会、多数がこれに対して納得がいかない、内容的な問題について現状変更を加えることが改善か改悪か、改悪につながるという立場で反対をしております。首長にも神奈川県知事などの反対の声明がある。国民の多くは内容的にこれを改善と見るに至っていないのであります。改悪であるという意見も非常に大きな国民の声である。国民の合意を得る立場からこの点の強行はやめられるべきであるというのが第一であります。  二番目には、いま出ておる問題をどう見られるかということです。少なくとも文相がうたわれておるこの教育目的とは逆行するような行政効果が現に鹿児島であらわれておるではありませんか。先ほど宮之原委員、久保理事等から述べられた点、私も現地から報告を受け、述べられた範囲のことが寸分違わない真実だということを承知をしております。文部省が十分にこれを知らないなどというのは、これは包み隠すものであって、常識として通用しない話であります。鹿児島にあらわれている例は、これは悪しき典型である。しかしその根は深い。この問題をどう解決するか、これはここでどうしても明らかにされなければならない問題であり、引き続きこの国会の中でも明らかにされるべき問題であります。私は久保理事から提起をされた山中教育長を参考人に招致をして実情を聞くべきだと、こういう意見に賛成の態度を表明をいたします。このことをこの文教委員会の中で解明をする必要がある。この点について本来主任という教育目的を遂げるための手段、いわば学校設置基準の編制の基準に従って規則を整備するという条件整備のこの問題が自己目的のようになって、あしき管理主義がこの機会に新しい力を得て動き始めておるという問題、これについての文部大臣の見解、少なくともこういう現状文部大臣の本意に合致するものか。これを制定して、調和ある、管理主義に偏重しない教育行政をもたらさんとする趣旨に沿うものか沿わないものか、お答えを願いたい。
  141. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) ただいま小巻先生から御批判をいただきましたが、私実は自民党の方からも御批判をいただいたわけです。そこで思いますのに、これはわが国教育を進めていく上では非常に政治家の方々が激しい、あるいは強い御熱意を持っていただくことについて私は感謝のほかはないのでありますが、同時にまたそのことがしばしば対立を生じやすいそうした要素があるということも否定できないように考えております。ただ、そうした状況でこの問題についての討議はどうなのかということでございますが、国会についての討議は先ほど先生も申されたとおりでありますが、実はそのほかに、教育関係の学者諸君などとも相当の話し合いをやり、それから新聞の論説、あるいは世論調査等も見ましたのですが、必ずしも先生がおっしゃったように反対が圧倒的というようなことでもございません。実は論説などはほとんど大部分と言ってよろしいと思いますが、いまのような形で主任を置くということは妥当ではないかということでございます。そこでまた学者の方々にもそういう方が多数おられるわけであります。新聞の世論調査も必要でしたら材料を提供いたしたいと思います。とりわけ全国調査といたしまして、主任直接ではありませんが、一月十四日の讀賣新聞は、やはりいまの先生もりっぱな方はいらっしゃるのですが、さらに質を高めていくことのために教育行政の方でしっかりやってほしいという御要望があり、それが五四・五%に達して第一位でございますが、そうするとそういう問題が……
  142. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 すでに答えられていますからね、簡潔でいいのですよ、ここは。
  143. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) そういう考えで私は進めてきているわけでございます。なお、鹿児島の問題につきましては初中局長から御答弁をいたしたいと思います。
  144. 山崎竜男

    委員長山崎竜男君) 諸沢初中局長。
  145. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 文部大臣に聞いているのですがね。
  146. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 私は、これは先ほど久保委員に申し上げましたように、久保委員からいろいろ御指摘の事実がございましたから、そうしたものについては当然そのとおりであれば実情を調査しなければならないと考えております、というふうに思っております。
  147. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 そのとおりであればいまから調査すると、そういう状況ではないというのが私の把握しておるところであります。  ここで大臣にお伺いしますけれども、いま報告されておって新聞にも記述されて、地方紙などはかなりこの問題を詳しく伝えておりますから、調査の云々の言う前に、現地の新聞などをお読みになればそれだけでかなり状況は明らかなわけであります。それに出された文書などは、文部省の方から調査目的のためにとられたら即日でも飛行機というものもあるのですからね、手に入るはずだ。この問題が言われるところに従っていくならば、いまからゆっくり調査、こういうことならひとつゆっくりと施行の日を延ばすなり、時限で各個撃破というのをストップさせて、そうして御調査を願いたい。すでに目の前にあらわれてきた行政効果を始末することなしに、なし崩しに進行していくということでは、大臣も常から述べられるように過去の体質の欠陥を批判することなしに新しい改革は始まらないのであります。大臣はそのことは持論であったというふうに承知をしておりますけれどもどうでしょう。まさにこの鹿児島の山中教育長のあり方、この規則の中にも、この通達で散見をされるこの官僚主義的体質、具体的に言えば、この中で文部省の追加見解とは全く異なっておる現場の実態が、校長の選任に対して職員会議で決定することがあったらけ飛ばせとか、さまざまなことを書いておりますけれども、こういう問題について文部官僚主義が生み出した、これは落とし子じゃないか、まず文部省自身が官僚主義体質を克服し、こういう県教委のあらわしてきた問題については、厳正にこれの解決を図るというのが先決をすると思います。この点について新しいものをつくるためには、過去の誤った傾向を徹底的に批判をするということなしに進むことはできないと、重ねて文部大臣にお伺いをするわけです。
  148. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 私は文部省におきましても、文部省内で討論をして、そしてこの制度を実現しようとしているわけでございますから、この考えは文部省に関して申しますならば、別に私個人ということではなく、省並びに私、まあ私を含めた省の考え方でございます。  ただ、ここでひとつ先生に御理解をいただきたいことは、この主任制度制度化絶対反対という立場をとる集団がございます場合に、なかなか話し合いができないという側面もこの問題に含まれているように理解いたしておりますので、そうした点もやはり勘案しなければならないと思います。およそ制度の実現の場合に、先生御指摘のように、いろいろな面から従来の考え方というものについて話し合いながら変えていかなければなりませんが、もう一切この内容についての検討は抜きとしてただやめるというふうなことがあれば、これはなかなか話し合いができないということは客観的な事実として、やはりこれも考慮していかなければいけない点であるということは、先生も御理解いただける点であろうかと思っております。
  149. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 私はここで、教育を政争の具に持ち込んでおるのは少なくとも鹿児島県においては常軌を逸した県教委の側に責任があるんだと、こういう点を文部大臣が確認をされるというようなことなしにこれの解決を図ることはできないというふうに思うわけです。しかし、その点について総論でこの教育の立場をとられる文部大臣が、この点についてあいまいな態度をとられることは、はなはだ遺憾だと思うわけです。  先般も衆議院において山原委員から、現実には従来からの文部省の管理主義的な体質というのは、さまざまにあしき遺産を残しておるということの具体的一例としていわゆる管理行政、「新学校管理読本」の内容を、実際はこれは地方課が各府県の教育委員会を指導するための手引きであり種本になっておるものを、これは一説であるというふうに故意に軽く見て、これについての今日の見解と態度を示されておらぬわけであります。文部大臣の今日の見解はこれとは別に、競合するときは文部大臣の見解が優先するかもしれませんけれども、これがこれとして、体系として生き続けることについては再検討を加えるというふうな話も、少なくとも妥当でないところを検討して、これを始末するまでの間は、ひとつたな上げにするとか、こういう話もないわけです。こういう状況の中で進んでいくときには、現場は必ず二つの傾向の主人に対して、どっちに迎合するのかということを考えるわけですね。従来から同じ人脈、人材で通じておる地教委が、あるいは県教委が、従来から続いておる管理主義的な立場に依拠をして、そちらの方向へ偏向をしてこの行政を進めようとするのは、水が低い方へつくのと同様に当然の道理ではなかろうか。こういう点で、鹿児島問題についても、いまから調査をするというようなことでは非常に態度があいまいであるということを申し上げるとともに、必ず委員長においては、久保理事からも提案のありました教育長を参考人としてここに招致をして、そしてこの審議をするということを実現をしてもらいたい、このことを申し上げておきます。  重ねて言いますけれども、この管理読本についてはどういう取り扱いと措置をされるのか、内容について、これは初めからしまいまで、職員会議の規定について言ったって、主任制を実現したら職員会議内容は奪うことができるというようなことが書いてあるんですよ、明らかに。そして、職員会議が無用の長物となっておるものを、残った価値はどこにあるのかと言えば、いわばそれはヒューマン・リレーションズと、それから職員厚生の話と、あとは現職教育といいますか、こういうものに利用できるだけだというようなことも書いておるわけですね。主任名を挙げて、これは正しく運用をすれば、職員会議を解体をし、内容を空洞化させることになる大きな武器だというようなことも書かれておるわけですね、別のところでありますけれども。こういったふうなものについては見直しをされるのか、今日で大臣見解と並行をしてこれが走り回ることが適切かどうか、このことについて念を押しておきたいと思います。
  150. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 大臣見解ばかりでなく、省令、通達が考えております考え方と、その本の中に含まれている中に異ったものがあります。で、いずれが優先するかというと、これはもう山原議員にも申し上げましたわけでございますが、言うまでもなくそれは研究会が出しました私的刊行物であります。確かに文部省の人は参加をいたしておりますが、そうでありまして、そして大臣見解、それから省令、通達は文部省の公の立場を代表するものでありますから、疑いなく公の立場を代表するものが文部省の行政の立場であるということは、先般山原議員に申し上げたのですが、今回も改めてその点を申し上げて、御疑念のないようにお願いしたいと思う次第でございます。
  151. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 念を押しておきますけれども、文部省が国家予算を使って、そうしてやる文部主催の行事等の中でも、サイドブックやテキスト、影響下における教育長協議会とか、あるいは教頭会なんかでもサイドブックとして用いるというようなことが行われておりますが、さようなことについては今後見合わせるなり再検討するなりされる用意はあるかどうか。
  152. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 今後の研修におきましても、先ほどから私が申し上げております、また省令化されております線に沿っての研修を行うようにいたします。
  153. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 ちょっとわからなかったけれど、見直しをするなり見合わせをするなりされるんですか、こういうものの使用については。
  154. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) その本全部もう一つ詳しく読んでみないといけませんが、と言いますのは、人間研究発表の自由というものがありますから、いろいろな意見というのがあると思います。ただし、省の立場というものは公で、これは行政上責任を持って統一されたものでなければなりません。したがって、発表の自由その他ありますけれども、しかし、省の立場で貫くべきものは混乱があってはならないというふうに考えておりますから、研修を行うに当たって省の立場が何であるかということを明らかにするときには当然その線に沿った、そうした資料によって行うべきものであるというふうに申し上げているわけでございます。
  155. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 これについては、もっときっぱりとした答弁をもらわなければならぬと思います。具体的な内容についていま一々指摘することはできませんけれども、これは少なくとも大臣が、管理主義的傾向に対して——行政の、これを是正しようとするなら、これは全面的に見直されるものだと、少なくとも文部省主催のところでサイドブックなんかに、あるいは教材として用いられるべきものでない。このことは、引き続いて答弁を求めるまで追及をしたいと思います。  この点につきまして、これは、一つ意見を言わしてもらうなら、少なくとも省令を公布するようなときはかなり無理があっても脱兎のごとく公布されるけれども、自分の内部について問題を是正するときは処女のごとしというような態度は、少なくとも改めてもらうのでなければ、看板とされることは実は上がらないと、このことを申し上げておきたいと思います。  残り時間も少なくなっておりますけれども、内容を審議する立場というものから、特に、この二十五日付の七点の「補足見解」、そうして今度は教育長協議会の前日に出された次官通達、これらの中で、従来の疑点について答えられたかに見えるところについて二、三の点をただしておきたいと思います。  まず第一に、この主任の職務と職務命令については、管理主義をごまかして指導、あるいは指導職としておるのではないということを、これはかなり明確に言い切っておられると思うわけですけれども、少なくともこの指導と職務命令の関係ですね、主任が職務命令を出す職務でないということはかなり明確に言われておると思うんですね。しかし、この指導に対して職務命令はなじまないという趣旨であるのかどうかですね、指導というものは職命をもって行うものでないという趣旨であるのかどうかという、このことを一言ただしておきます。
  156. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) その点につきましては、主任の職務を連絡調整、指導、助言としたわけでありまして、連絡調整、指導、助言の中には、職務命令を下すというようなことは入らないわけでございます。
  157. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 よし、わかりました。  次に、任命方法についてであります。  前回、私の質問に対する大臣答弁、あるいは局長答弁の中でも、この点については幾つかの答弁をいただいておるのでありますが、任命方法については、この制度化によって現状変更を行おうとする行政意図は持っていないと、このように見解の中で説明をされていると思うわけですが、それでいいわけですか。
  158. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) その点につきましては、御承知のように、次官の施行通達の中にも「公立学校については、その発令を、当該学校を所管する教育委員会が行うか又は校長が行うかについては、当該学校を所管する教育委員会が教育委員会規則で定めるものとし、従来の校務分掌の一翼を担う主任の選び方を変えるものではないこと。」とあるとおりでございます。
  159. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 それならお伺いをするわけですが、そういう趣旨が各県教育委員会の判断の中で、全体的に意図されるように進むのかどうか。鹿児島のように、いままではこれについて規定も持っていなかったんですから、当然県教委任命ではなかったと思うのですけれども、得たりとばかりにこのAの類型をとって教育委員会任命にし、同時に校長の意見具申の内容にまで通達で干渉するというようなことをやってきておるわけですから、こういうことをもたらすには、かなりの文部省の新しい考えが行き渡ることがなければ、実際には現場ではこの管理のための道具になってしまうと、このことを強く言っておきたいと思うわけです。特に、諸沢答弁で、前回、私が質問したのに対して、現状というのはどういう状態であるのか。全国に設置されておる教務主任に関して言えば、規定のある県は五県以内だったわけですね。四十二の都道府県は実際には校長任命であるか、職員会議で決めておるのが実態であったわけです。大きく現状に変更を加えないという状況が、今日から三月までの間に行政効果としてあらわれてくるのか、各県が競ってAのパターンをとろうとするようになるのか——私どもは後者の方になると、ここの中で、現実には大きなきしみが生じて、そうしてこの目的とは別の効果があらわれてくるというふうに考えるわけですけれども、ここのところで、文部省が言われるようであれば、生徒指導主任については、現状では、諸沢答弁で、規定を有しておる県は十一県であったわけですから、実際上、現在までに教委任命ということがあり得たのは四十七都道府県のうちで十一県にすぎない。ここにいまから三月までにどういう行政波及効果が起こってくるか、こういうことを考えてみるならば、文部省が説明をされるところと、当然予想されてくる現場の混乱、教委主導で管理強化という立場から加えてくるであろう規則制定についての態度、これは目に見えておると思うわけです。  特に、ここでお伺いしておきたいことは、ABCのほかに、現場の実態を反映するなら、どうしても、首尾一貫するためにはDというものが必要なのではないか、校長任命というのは無条件になっておりますが、教職員の意を体してとか、教員の意見を聞いて校長が任命し、教育委員会に報告するものとする、これが多くのところの今日の現場実態なんですね、職員会議決定というものが生き残り得るためには、そのぐらいのことがなければ現状の温存にはならないと思うわけです。この点について、ABCがあってDがない、この点についてひとつ御答弁を願いたいと思うんです。
  160. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 前則に示しました三つの案は、先生御指摘のとおりでございますが、そのどのような案をとる場合でも、現実に実際問題として学校の先生方の意見を聞くということも場合によってはあり得るかと思いますけれども、それを、そのことはあえて規定の上に明示する必要はないであろう、こういういうふうに考えてる次第であります。
  161. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 現在の答弁としては、私がDというふうに表現したような問題はCの中に包摂をしておると、こういう答弁としてお伺いをしておきます。  それにしても、これらの問題、現場では、ただこの自己目的的に反対をしておるのではなくて、内容を明らかにしない限り改悪になるおそれがあると思って反対をしておるのですから、少なくともこういう状況下で、内容においても、国民合意、特に当事者である教職員の合意が得がたい状況下で、三月目がけて各個撃破をやるというようなこの態度は中止をして見直してもらいたい。  時間が来ておりますけれども、一つだけ残りましたのでただしておきますが、次官通達の「留意事項」の「(9)その他」の「エ」に書かれておる、必要あれば校長、教頭に指示を受けてそうして調整をするということは、何か職務命令じみて解釈をできるような読み取り方があるのですけれども、こういうものは、校長の指示を得て調整をするというのは、校長の職務命令をもらってきて校長の命令受領者として伝達者になるというようなことであるのかないのか、明確にしていただいて、質問を終わりたいと思います。
  162. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) おっしゃるように、このくだりは校長、教頭という職務命令を発し得る管理者から職務命令をもらって、関係の先生に伝達する、こういう趣旨でございます。
  163. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 ちょっと一言言っておきますが、それ、おかしいじゃないですか、先ほども念のために聞いておるんだけれども、指導、助言、連絡調整という、こういう運用の中には、職務命令という考え方は入り込まないのだと言いながら、実際は校長、教頭のところへ、自動巻き時計じゃなくて電池時計のように、電池をつなげばいつでも命令伝達者に変身をする、こういうものがついておっては、どのように管理主義ではないというふうに言われても、現実には命令伝達者として作用するわけですから、反対するのが当然であり、反対者には永井文部大臣も賛成をされなければならぬ、こういう筋になると思います。この点もよく再検討されたい。  以上をもって質問を終わります。
  164. 山崎竜男

    委員長山崎竜男君) 速記中止してください。   〔速記中止〕
  165. 山崎竜男

    委員長山崎竜男君) 速記を起こして。
  166. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 今朝来鹿児島の問題がいろいろ議題になりましたのですが、私もこれ最後にお伺いしようと思ったのですが、初めにお伺いをしておきたいと思います。  現在の日本の混乱の縮図をあたかも見せてもらったのが今度の鹿児島の問題だと思います。なぜこういうことになってきているのか、その点をひとつお答えをいただきたいと思いますが、しかも、これが高度経済成長から減速経済を強いられた日本の生きる道として、教育こそ第一だと盛んに言われているその教育の場で意見や考えや行動が真っ二つに分かれているということは、全く私、悲しむべきことだと思っております。朝日新聞の九日の記事だったと思いますが、これ「主任制問題で警官が初出動」という、この鹿児島県の大隅町の問題を読みまして、けさほどからいろいろ皆さんの御意見を伺って初めて内容もよくわかったわけですけれども、こういう記事を読んでおりますと、まるで全学連もどきじゃないかと、こういう感じを実は受けたわけでございます。これで先生が生徒や父兄に尊敬されるのかどうか、先生が生徒たちから尊敬を失ってしまって本当の教育ができるのだろうか、こういうふうに、私は実はこの記事を見てそういうふうに思ったわけでございますが、私のこういった考えを持った国民もずいぶんたくさんあると思います。そこで、主任制度化がむしろ反対の結果を生むようなことになっては大変でございますが、あえて主任制度化に踏み切られた大臣のお考えを伺いたいと思います。  先ほど来の初めに申し上げた質問にもお答えあいただきたいと思います。
  167. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) あえて踏み切りましたのは、私は実はいまのような形で学校あるいは教育というとすぐ管理ないしは管理反対というふうなそういう循環関係を断ち切りたい、そうしてやっぱり学校教育教育の指導というものを前面に押し出したいというふうに考えたわけでございます。  なぜそれが起こっているか、これは先ほども申し上げたように、実情の調査というものが必要でありますが、初めから絶対もう制度化ならば全部反対という立場を出される団体もあり、そういたしますと、これに対して絶対実施ということに相なりますわけで、これは問答、議論を不要とするというところから生じるのだと思います。ただ、そういうことは過去に繰り返されましたが、私は、今回こういうところでもいろいろ御議論をいただいておりますことからも明らかなように、私たちが努力をいたしますればそこから新しい道を開き得るものであると考えているわけでございます。
  168. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 こういう鹿児島のような問題で一番犠牲になるのは、私はやっぱり子供たちだと思います。最近やっぱり子供たちがいろんな困ったことの問題を先生に相談をしないという子供が相当ふえております。これは大変ゆゆしい問題だと思います。その点で私どもはもっともっと教育の現場が子供中心になるようにと、こういうことを強く要望をしているわけでございます。  そこで、主任制度化を実施できる市町村は全国で大体どの程度と予想されておられますか。同時に、三月一日を目途としておられるわけですけれども、実施できなかった市町村に対する今後の見通しというのはどの程度でございますか。
  169. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 現在のところ、各県の教育長に見通しはどうであろうかということを先般尋ねたわけでございますが、その結果としてまあ三分の二くらいの県は三月一日までにやれそうだということでございますから、その教育長の見通しをそのままおかりすれば三分の二くらいになるであろうということでございます。ただ、この場合は主として県を中心にお話をしておるわけでございまして、具体的な各市町村の段階になりますと、三千有余あります市町村のうちどれだけが実施できるか、大体県が三月一日にやるとすれば、県内の市町村もできるだけそろって同時に実施するのが望ましいわけでございますが、その辺はまたいろいろ事情がありましょうので、私どもとして明確にどのくらいということはいま申し上げられる段階ではないわけでございます。しかしながら、仮におくれたとしましても、できるだけ早い機会に規則をつくっていただくようにさらに指導をしてまいりたい、かように考えております。
  170. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 先ほど小巻委員が任命方法について質問をしておられましたが、私もこの問題で御質問申し上げたいと思っておったのですが、重なりますので、一点だけお聞きしたいのは、いろんな任命方法があるわけですけれども、望ましい校内管理組織をつくるためには、任命方法を統一する必要が出てくるのではなかろうか、将来は統一するおつもりでございますか、いかがでございますか、その点伺いたいと思います。
  171. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 任命方法につきましては、私どもが示しました準則で三つの案、一つは教育委員会が校長の意見を聞いて任命する、一つは校長が教育委員会の承認を得て任命する、もう一つは校長が任命して教育委員会に報告するという三案でありまして、その三案のいずれかをとるかは各県の教育委員会または市町村の教育委員会に判断していただく、こういうことにいたしておるわけでございます。したがいまして、今度は、県なり市町村の段階で各種主任がございます。その主任について同じような任命の方法でこれを統一するということは当然あることだろうと思います。
  172. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 省令で示した主任職を配置する基準となる学校規則はどの程度でございますか。また、その標準に満たない小規模の学校において省令化された主任の一つあるいは二つだけの主任を置くことができるのかどうか、その場合、手当が支給されるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  173. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 省令に規定してあります主任は、特別の事情がない限り置くというたてまえになっております。そこで、何が特別の事情かと言えば、施行通達の中に小規模の学校等の場合であるというふうにいたしておりますから、したがって、その各教育委員会の判断において主任を置く場合と置かない場合がそれはあり得るだろうと思います。  ただその場合、どの主任にどれだけの手当が与えられるようになるかという点につきましては、人事院が勧告をいたしまして、その勧告の具体的内容によって決定をされる、こういうふうに考えております。
  174. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 小さな学校と大きな学校と、そういうときに学校教育内容が見劣りのしないようにその点は十分御配慮をいただきたいと思います。  それから最後に、教員給与の第三次改善に当たっては一定の資格と教員経験を持った者を一等級にするなど教師の教育への情熱と努力が正当に報われる形で配分されるべきであることは昨年の七十五通常国会における一般職の職員給与の改正に関する法律案の附帯決議の中でも明らかにされています。  また、主任の省令化に当たっての大臣の補足説明でもこの趣旨を明確にしておられますが、大臣にお聞きしたいのは、一定の教育経験を持つ者を一等級にする措置は一体いつ実施されるのですか。まずこれについて。
  175. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) これは人事院勧告が出ましたときに措置されるわけでございます。
  176. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 人事院勧告も二月になされるかと思ったら、どうも新聞を拝見しますと三月にずれ込んだようでございますが……。  さらに、来年度において一応人材確保法に基づく教員給与改善計画は終わることになりますね。その財源も主任手当の支給に使われているということが予想されています。これとの関係で具体的な実施時期はいつになるのですか。  また、大臣は、この三月に予定されている人事院勧告に先立って人事院にこの措置をとるように要請しておられますかどうですか。
  177. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 二年次分の予算の使い方につきましてはまだ本年の人事院勧告以前に要望いたす考えはございません。
  178. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 以上で結構です。
  179. 山崎竜男

    委員長山崎竜男君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。     —————————————
  180. 山崎竜男

    委員長山崎竜男君) この際、派遣委員の報告に関する件についてお諮りいたします。  先般当委員会が行いました教育学術及び文化財保護に関する実情調査のための委員派遣について内藤君から委員長の手元に報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  181. 山崎竜男

    委員長山崎竜男君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十三分散会      —————・—————