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1976-07-15 第77回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年七月十五日(木曜日)    午前十時四十二分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         中山 太郎君     理 事                 中村 太郎君                 野田  哲君                 秦   豊君     委 員                 岡田  広君                 寺本 広作君                 山本茂一郎君                 上田  哲君                 片岡 勝治君                 太田 淳夫君                 峯山 昭範君                 岩間 正男君                 河田 賢治君    国務大臣        (総理府総務長        官)       植木 光教君        (防衛庁長官)  坂田 道太君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君    説明員        国防会議事務局        長        内海  倫君        人事院総裁    藤井 貞夫君        人事院事務総局        給与局長     茨木  廣君        総理府人事局長  秋富 公正君        警察庁警備局警        備課長      若田 末人君        防衛庁長官官房        長        玉木 清司君        防衛庁長官官房        防衛審議官    水間  明君        防衛庁防衛局長  丸山  昂君        防衛庁装備局長  江口 裕通君        防衛施設庁施設        部長       銅崎 富司君        外務省アメリカ        局長       山崎 敏夫君        労働省大臣官房        統計情報部雇用        統計課長     長沢 貞子君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告に関する件 ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査  (国家公務員給与に関する件)  (国家公務員の週休二日制の試行に関する件) ○国の防衛に関する調査  (国の防衛問題に関する件) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 中山太郎

    委員長中山太郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、派遣委員報告に関する件についてお諮りいたします。  先般、当委員会が行いました国の地方支分部局及び自衛隊の業務運営並びに国家公務員制度実情調査について、各班からそれぞれ報告書が提出されておりますが、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中山太郎

    委員長中山太郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
  4. 中山太郎

    委員長中山太郎君) 次に、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査を議題といたします。  これより国家公務員給与等に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 野田哲

    野田哲君 まず、時間が制約されておりますので、これから端的に人事院並びに総務長官総理府関係者公務員給与問題の取り扱いについて伺ってまいりたいと思います。端的にお答えいただきたいと思います。  公務員給与に関する人事院勧告の問題が新聞などでも折々報道されてまいるようになりましたし、また人事院の方でも組合との協議といいますか、交渉もかなり頻繁になっておるようでありますし、あるいはまた関係のところへ出向いていっていろいろ発言もされておる、こういうことも聞いているわけであります。  そこで端的に伺いますが、過去の例を見てまいりますと、勧告の時期の問題、これをまず伺いたいのですが、通例八月の中旬、十日前後、こういう例が一番多いわけですが、ごくまれに一昨年のように七月二十六日と、こういう例もあるわけですが、ことしの場合、きのうも内閣委員会でいろいろ議論があったようでありますが、七月下旬あるいは八月上、中旬、そういうところが想定されるわけですが、時期として、七月というのはこれはあり得ないことですか。
  6. 藤井貞夫

    説明員藤井貞夫君) 現在鋭意作業を続けておるところでございますが、いまお話のありました七月中の勧告は、これはあり得ないと考えております。
  7. 野田哲

    野田哲君 そういたしますと、これは私の推理というか勘、例年の例に照らしてのいろいろ推理をした勘ですが、考えられるところとしては八月分まず早い時点としては六日、それから次は十日、十三日、このあたりが大体焦点になってくると思うんですが、大体そのあたり焦点と見てよろしいですか。
  8. 藤井貞夫

    説明員藤井貞夫君) 大体ペース例年どおりに進めておるのでございまして、去年は十三日でこざいました。一昨年はああいうような非常に異用事態ということもございまして、特別の配慮をいたしまして調査早目に切り上げるということもございましたので、七月二十六日でございましたか勧告を出したわけでありますが、去年からは大体また平常ペースに戻っております。そういうことからいたしまして本年も大体例年ペースということを考えておりますが、去年の十三日よりは目下のところもう少しできるならば早目にやりたいということで鋭意作業を進めておるという状況でございます。
  9. 野田哲

    野田哲君 そうすると、大体、例年予定日からいえば六日か十日、このどっちか、こういうふうに考えていいんですね、いかがですか。
  10. 藤井貞夫

    説明員藤井貞夫君) 当方作業の進みぐあい、完結の時期ということ等も関係がございますし、また、いまお話しになりましたように、勧告国会並びに内閣に対して提出をいたすことに相なっております。例年のことでございますけれども、よほどの事情都合がつかないような場合は別といたしまして、勧告でございますから、でき得ればやはり衆参両院の議長さん、あるいは内閣では総理直接にお渡しをいたすという段取りにいたしております。ということになりますと、当方だけの都合ではなくて先様の御都合ということもございまして、それの事前連絡等もやらなけれげなりませんので、いまのところ確定的なことは申し上げかねます。ただ、従来の例等お引きになっての御推測がございましたが、そこのところはひとつ、いま私が言明をここで申し上げることは差し控えますが、御推察にお任せをいたします。
  11. 野田哲

    野田哲君 先ほど時期的な問題について総裁の方からいろいろお話がありましたが、一昨年の場合を振り返ってみますと、例年の慣行的な時期よりもかなり思い切って早目にされている。これはやはり公務員給与取り扱いが、国会との関係が非常に強い、国会がいつ開かれるか、それにどういう形で提案をされるかということの関連において当時の佐藤総裁かなり病を押して無理な日程を組まれた、こういう事情にあったと思うんです。  そこで、ことしの場合を想定をいたした場合、臨時国会がいろいろいま取りざたをされております。臨時国会がいつ、どのような形で開かれるかということが、いま一つの政界の焦点になっております。私たちは私たちなりに臨時国会のあるべき姿というものについては一つの見解を持っております。政府・与党の内部でも臨時国会のあるべき姿についていろいろな議論がある。まさに百家争鳴のような状態になっているわけですが、このあるべき姿の是非、これはいま私は問いませんが、いずれにいたしましても臨時国会が行われるということは間違いないことです。  そこで、総務長官に今後の、まあ十日前後に勧告が行われた場合の後の取り扱いについて伺いたいと思うんです。  予定をされている臨時国会がいつ開かれるか、まだ日取り等は明らかにはなっておりませんけれども、いずれにしても八月の後半から九月、そのころには行われるであろうという予想が立つわけであります。で、そこを逃してしまうと公務員給与は場合によっては来年開かれる通常国会の場へ持ち越されると、こういうようなことも想定をされるわけです。いろいろ流動的な要素はありますけれども、そういう場合も想定をされますが、総務長官としては八月の十日前後に勧告が出された場合には、その後の取り扱い、手順、タイムテーブル、こういうものについてどういうふうな考え方を持っておられるか、この点を開いて一おきたいと思うんです。
  12. 植木光教

    国務大臣植木光教君) 人事院勧告が出されましたならば、その勧告を尊重するという基本的なたてまえに立って、誠意を持って私どもは対処してまいりたいと存じます。  そこで、勧告が行われましたならば、やはり給与支給をできるだけ早期に行うべきであるという考え方でございますので、できるだけ速やかに勧告政府取り扱い方針決定をいたしたいと存じます。そしてこの方針決定されますと、法案作成に従来の例によりますと約一ヵ月かかっております。できるだけこれを短縮いたしたい、努力をいたしたいと存じておりますけれども、その法案作成をいたしまして国会の御審議をいただくと、こういうことになるわけでございます。  そこで、国会でございますけれども、この召集時期や会期はまだ明確でございませんので、私としては断定的なことを申し上げるわけにはいかないわけでございますけれども、まあ予想を交えて申しますならば、人事院勧告が八月十日に行われるならば、次期臨時国会において御審議を仰ぎ早期支給に持っていきたい、いけるのではないかと、そのように考えておるところでございます。
  13. 野田哲

    野田哲君 いまの総務長官のお答えですが、言葉じりをつかまえるわけではないけれども若干ひっかかるところがあります。  まず一つは、できるだけ早く方針を決めるということですけれども、私はこの問題は、勧告が出たならばそこには政策的な問題が入り込む余地はないんじゃないかと思うんです、総務長官。これは完全実施をするということはもうずっと、昭和四十七年以来きちっとした方針として今日まで続けられておるわけですから、ここで勧告が出たから、それに政府政策決定というものが入り込む余地は、勧告性格からいって私はないと、こういうふうに思うんです。だからあとは事務的な処理が残っているだけではないかと思うんですが、いまの総務長官の話を聞くと、何かそこに政策的なものが入り込む余地があるやの印象を受けるんですが、どうですか、その点は。
  14. 植木光教

    国務大臣植木光教君) 従来の勧告に対する処理経過はもうすでに御承知のとおりでございますから改めて申し上げませんけれども、本年度は厳しい財政事情にあるということは御存じのとおりでございます。しかし、先ほど私申し上げましたように、人事院勧告というものは尊重するという基本的たてまえで対処してまいりたいということを申し上げているのでございますから、したがって、私どもといたしましては給与関係閣僚会議におきましてできるだけ早くも方針決定をし、そして法案作成に入りたいと、まあ手続的なことを申し上げたわけでございまして、特別他意があるわけではございません。
  15. 野田哲

    野田哲君 その点わかりました。  そこで、手続的な処理に一ヵ月かかる、これはどうも私どもはそんなになぜかかるのかと、こういう疑問を持たざるを得ないんです。給料表が全部勧告にずらっと出そろっているわけですよ、給料表が。それがなぜ一ヵ月もかかるのか。まあ私どもの知り得るところでは、事務的に国会へ提案するまでに時間がかかるというのはこの防衛庁関係、これが給料表がないものだからこれを事務的につくっていかなければいけない、そこでそれが時間がかかる、こういうふうに聞いておるわけですが、この点はおおよそもう見当がついているんですから、どのぐらいになるかということは、いまからでも防衛庁の方へ言ってちゃんと用意をさしておけばそんなに時間がかかるものじゃない、こういうふうに思うし、防衛庁関係だけのために公務員給与決定が半年も十カ月もおくれて、チャンスを失って明くる年にまで回ってしまう、こういうことがあってはいけない、こういうふうに思うんですが、この点は事務関係責任者である人事局長も見えておりますが、いかがですか。
  16. 秋富公正

    説明員秋富公正君) 御指摘のように人事院勧告一般職職員給与関係についてのものでございますが、政府といたしましては、ただいまやはり御指摘のいわゆる防衛庁職員給与法の一部改正、さらにそれ以外に特別職職員給与に関する法律あるいは裁判官の報酬等に関する法律、また検察官の俸給等に関する法律、こういった五つの法律国会に提出し御審議いただくわけでございます。で、防衛庁につきましてあらかじめ用意したらどうかという御指摘でございますが、たとえば防衛庁の実際の職員構成あるいはその実態というものにつきましては、平素から勉強し、その積み重ねをしておるわけでございますが、その俸給表につきましてはやはり人事院一般職に対する勧告というものがベースになりまして、これをもとにいたしまして、防衛庁独自の職員構成あるいは職務態様というものを、私どもといたしましては防衛庁から提出されました素案をさらに検討していくわけでございます。で、これにつきまして御指摘のようなことがございまして、われわれも鋭意努力してきておるのでございますが、先ほど長官からお答え申しましたように大体一ヵ月かかっているわけでございまして、昨年は長官からの御督励もございまして一番早くしたわけでございまして、これが八月の十三日に勧告をいただきまして、政府といたしまして取り扱い方針を閣議決定いたしましたのが九月の十二日でございまして、給与法案国会に、五法案ともに一緒でございますが、閣議決定いたし、国会に提出いたしましたのが十月の九日で、これがぎりぎり詰めたわれわれの努力の一番短いのがこういった数字でございます。  なお、本年も御指摘のような臨時国会その他のこともございまして、鋭意その点につきましては詰めるように努力してまいりたいと考えております。
  17. 野田哲

    野田哲君 まず、特別給のことについて人事院の方にお伺いしたいと思いますが、七月の二日に自治省の主催をした人事委員会事務局長会議人事院から出ていって、特別給についてはマイナス較差が出る、こういうようなことでかなり具体的に数字を挙げて述べておられると、こういうふうな経過があったということも聞いておりますし、それから六月の下旬には、国家公務員組合人事院との話し合いの中で、同様趣旨特別給については切り下げという事態予想される、こういう意味のことを示唆されておると、こういうふうに聞いておるわけですが、この六月の下旬——六月二十五日ですか、給与局長がそういう話をされたのは。六月の二十五日あるいは七月の二日、そういう時点で具体的にそういう数字がもう人事院民調で上がってきておるんですか、この点はどうなんですか。
  18. 茨木廣

    説明員茨木廣君) その時点民調の結果は上がってきておりません。
  19. 野田哲

    野田哲君 そうすると、それは一つの何といいますか、感じとして、予測として述べられたわけですか。
  20. 茨木廣

    説明員茨木廣君) 私ども勧告作業をやりますにつきましては、昨年の九月ごろからいろんな準備に入りまして、逐次調査をしたりいろんな検討をやったりということで、漸次詰めてまいるわけでございます。そういう過程では、法律の中にも出ていますけれども労働指標のようなものについてもいろいろ参考にいたしながら、政策検討と申しますか、そういうものをやっておるわけでございます。そういう過程で吟味してまいりますと、一種の先行指標と申しますか、というのは、この特別給につきましては前年の五月以降本年の四月までの間に民間において支払われました特別給に相当しますもの、これが基礎になりまして月数が出てまいるわけでございます。そういうものでございますので、そこで労働省調査されました毎月勤労統計、これは三十人以上の規模のものでございます。それから、同じやはり労働省調査主要企業の一時金妥結状況等の資料、こういうものを分析いたしてみますと、例年にはそんな、前年との関係で見ますというとマイナスになるような指数は出ないわけでございますけれども、今年に限って、昨年の状況等が悪かったせいでございましょうか、そういう状況が出てまいる。いまの毎月勤労の方でいきますと、向こうの方の交渉したものでいきましても〇・五ヵ月程度下がってくる、それからもう一つ主要企業の方のものでも〇・三ぐらい下がってくる。これはこちらの方の民調は、百人以上の規模で七千社の事業所という大きな数の会社について調査をいたしますし、比較算出の出し方も違いますから、したがって同じような結果になるということではございませんけれども、大変異常なものが出てきておりますので、そういうものを前提にやはり私どもとしては話を煮詰めてまいらなきゃいかぬ、こういうことがございますので、そこでこれは大変異常な状況でございますし、大事なことでございますので、組合の方からいろいろ三月以来、調査方法なりあるいは勧告の内容に盛り込むべき要望をいろいろ承っておる過程の中で、こういう問題についてどう考えるかということで話を出したわけでございます。そういうようなところが一つの根拠になって、いろいろ各方面の意見をいま聞いておるという段階でございます。
  21. 野田哲

    野田哲君 私も国会へ出る前は、時期がくれば人事院へお百度を踏むような形でいろいろ問題を持ち込んでいっているわけなんですけれども特別給についての歴史的な経過を見ると、いままでずっと、民調をやった結果、特別給についてはコンマ以下二けた目は全部情け容赦なく切り捨てられておりますね、切り捨てられておるわけです。これは総務長官もよく聞いておいてください。世間の常識というものは、大体コンマ以下の問題を処理するときには四捨五入というのが常識なんですよ。マージャンやっても端数処理四捨五入をしておるんです。この切り捨てられたのを見ると、まず近いところからいきますと、昨年の場合は五・二八という数字が出ている。これに対する公務員取り扱いは五・二で〇・〇八。その前の年、これも〇・〇八、続いて〇・〇六、〇.〇二、〇・〇七、〇・〇九、過去十カ年ぐらいでトータルをしてみると、大体一ヵ月分ぐらいずばり切り捨てられておるわけです。  そこで給与局長に伺いますが、昨年五・二八、民間の場合。これに対して公務員は五・二、この〇・〇八切り捨てられたこの金額は大体幾らぐらいになりますか。
  22. 茨木廣

    説明員茨木廣君) ちょっと金額で算定しましたものをいま持っておりません。
  23. 野田哲

    野田哲君 およそでいいです、およそ。
  24. 茨木廣

    説明員茨木廣君) ちょっと計算します。
  25. 野田哲

    野田哲君 じゃ後で、ここ二、三年どのぐらい切り捨てられているか、五年ぐらいの切り捨てられた金額を一遍出してください。後で答えてください。  そういう問題について、私も何回も、生前の佐藤人事院総裁のところ、あるいは前の尾崎給与局長のところへ何回も抗議に行ったことがあるんです。これは国会でも、なぜ毎年毎年これを切り捨てるんだ、こういうことで追及をされたことに対して、昭和四十八年八月二十八日に佐藤人事院総裁はこういうふうに答えておられます。民間特別給は景気に左右されるが、公務員の方は法律で規定される固定的な形となり、民間が下がってもそれに応じてすぐ下げるわけにはいかないから切り捨てるんだ。つまり民間が下がったときでもそう簡単に公務員のは下げるわけにいかない、法律で決めてあるんだから。だから少々民間が高い分については切り捨てているんだと。これが十五年も続いているんですよ、総務長官。この佐藤当時の人事院総裁が答えておられる趣旨というのはそういうことでしょう。法律で決めてあるんだから、民間比較をして逆較差が出てもそう簡単に下げるわけにいかないから少々の端数は捨ててあるんだと、こういうふうに答えてあるんだと思うんです。この趣旨はいかがですか、藤井総裁
  26. 藤井貞夫

    説明員藤井貞夫君) いまの切り捨ての問題に  ついては従来もいろいろ論議対象になっております。また国会でも論議をされておりますことば御指摘のとおりでございます。その理由といたしまして、特別給というものの性格からいたしまして、これは民間の場合はいわゆる業績を反映してこれに対する措置として行われるということで、大変好不況に影響をされる度合いが多い。それともう一つは、大変各社事情によって個々まちまちであるというような点もあろうかと思います。その程度が非常にはなはだしい。そういう点もあるものでありますからして、これを平均して出した場合に、〇・何々というようなところまで正確に反映をしていくということになれば、今度はかえってその点、減ってくるというようなことがあった場合にそれに対応してまた直ちにやるのかということになると問題でもあるからして、その点はやはり若干一般給与の問題とは違って大まかにやってもいいのではなかろうかというような趣旨を込めて申されたと思うのであります。それをまた、人事院としてもそういうことでいままでやってきたのでございます。ただ、そのことが直ちに、民間特別給が大変——程度問題をここでは申しませんけれども、大変大幅に減額というような事実が出てきたという場合に、それを一切決めた限りは無視していくんだということまで言っておるわけではないというふうに思います。その点は給与の問題につきましても、勧告一つの目安といたしまして五%の増減というようなことも規定をいたしておりますことから見ても同じでありまして、その点は特別給についても全然例外であるというわけにはまいらないという問題があろうかと思います。したがいまして、私たちといたしましては、いろいろ大変、経済指標その他から見て問題点が出てきておるということは注目に値することとして多大の関心を持って見守っておるところでございますが、しかし、これはあくまで問題はいま集計中の結果を見て判断をすべきことでございまして、いまわれわれの方でこうするんだとか、減額はやむを得ないんだとかというような方針を無論打ち出しているわけではございません。そういう軽々なことはやりたくありません。その点はひとつ御了解を賜りたいと思います。
  27. 野田哲

    野田哲君 もう一つ特別給について民間との比較の仕方について、人事院、それから労働省からもお見えになっておるので伺いたいと思うんですが、民間特別給、いわゆる一時金といいますか、臨時給といいますか、夏期手当、年末手当年度手当等、この支給支給率というのは、いわゆる所定内給与に対する何月分と、こういうことになっていると思うんです。つまり、時間外勤務手当、これを除いたものが、基本賃金、いろんな諸手当全部を対象にしてそれの何月分と、こういう取り扱いになっていると思うんですが、労働省、まずその点いかがですか。
  28. 長沢貞子

    説明員長沢貞子君) 労働省の方の支給率の計算でございますけれども、これは先生いまおっしゃいましたとおり、一ヵ月の平均定期給与で割って支給率を出しておりますので、基本給のほかに諸手当、それから時間外勤務手当、このようなものが含まれております。
  29. 野田哲

    野田哲君 給与局長公務員の場合には特別給対象になっているのは、これは本俸扶養手当、それから調整手当、それだけが対象です。部分的には扶養手当対象にならない部分があるわけですね、そうでしょう。
  30. 茨木廣

    説明員茨木廣君) 大部分職員につきましては、本俸扶養手当及び調整手当、このいわゆる三者給といわれるものが基礎になっております。それから、いま扶養手当云々と言われました点は、勤勉手当につきましてはその扶養手当相当分原資の方ではやはり入れております。入れておりまして、いわゆる考課率と申しますか、若干の調整を勤惰によっていたしておりますわけですが、その方面原資にそれが回っておる。要するに勤勉手当についてもやはり扶養手当分が出されておる、こういうことになって、期末手当勤勉手当を通じまして三者給基礎でございます。ただ、一部役付の方について、特別調整額の一部を基礎にしました数値を調整率として出しておるものはございますけれども、一応基本的なものは三者給でございます。
  31. 野田哲

    野田哲君 そういう取り扱いになっているとすれば、民間が所定内賃金すべてを対象にしている、これに対して公務員の場合には本俸扶養手当調整手当、それら以外の手当対象にしていないということになると、大体、比較としては九五%から九六%ぐらいにしか相当しないんじゃないか、一ヵ月分といっても厳密に計算していけば。どうなんですか、この点は。
  32. 茨木廣

    説明員茨木廣君) その点は、従来から三者給で計算基礎を置いてまいったわけでございますが、民間の方とこちらとの関係の出し方というものが異ならざるを得ないというような問題がございましたのでそういうことになっているわけでございます。で、いまおっしゃられましたように、逆算してみれば大体いまおっしゃられたようなパーセンテージが出てくるわけでございますけれども、と申しますのは、民間給与の各社別の細かい事情になりますと、大部分の会社がやはり基本給、あるいは基準内給与と申しますか、そういうものが中心でございますが、その他にやはり通勤だとか住宅だとかというような諸手当を計算の対象に、入れた支給方法をとっておるものもございます。そういうことで、先ほど労働省の方から御発表なされましたように、やはり時間外手当等を差っ引いたもので大きな月数を出しますときには出しておる。そこで、私の方も民間調査をやりまして、昨年の五月からことしの四月までの分の民間特別給全体をつかまえてき、それをその期間の時間外勤務手当に相当しますものを除いたもので割り返すということで月数を出しておるわけでございます。ただ、今度支給の問題になってまいりますと、民間の方は大体組合員と、非組合員というか役付層と、大体二つの方程式がございまして、そして支給の率がいろいろ決まっておる。で、四十六年当時人事院でも相当吟味したことがございますけれども、その当時のものじゃございませんが、関東経営者協会あたりの資料で四十六年の分析したものがございますが、これで見ましても役付、非組合員平均が三・四ヵ月、組合員平均が二・九ヵ月、全従業員で三・〇と、こういうふうに二つのグループに大体民間の方では出されておる例がございます。で、御案内のように、こちらの方はそうはきっと差をつけるというわけになかなかまいらぬので基本は一律的な出し方になってしまう。ですから、民間の方でございますと、このころでも年間比べますと高いのでは七ヵ月近いものが出ておる、それから低いのが二ヵ月程度しか出ていないというような非常に大きな差がございますけれども、その辺が絡み合って、こちらの支給方法は平均的に出すかわりに三者給基礎にした出し方をするというようなことでずっとまいっておるわけでございます。で、結局どの辺を押さえておるかということになりますと、上の方の層、民間で言えば役付層といわれる層の出し方を押さえたかっこうにしておる。その辺がいま九五%程度ではないかと言われる辺と大体見合った形で押さえられてきておるという姿だろうと思います。
  33. 野田哲

    野田哲君 先ほどの切り捨てられた金額、大体二、三年の金額出ましたか。
  34. 茨木廣

    説明員茨木廣君) 個人的平均でございますけれども、これは行(一)、行(二)の三者給基礎になっておりますので、それを基礎にしまして見ますと、五十年の分が大体一人で一万千八百七十二円、それから四十九年の場合が一万六百九十円、そんな額になります。
  35. 野田哲

    野田哲君 総務長官、いろいろいま特別給を下げるかどうかという検討がひそかに行われているやに私は伺っているんですが、いま言われたように四十九年も一万円以上、厳密に計算したものからすれば一万円以上切り捨てられている。五十年も一万一千八百七十二円切り捨てられているわけです。二年で二万二千円以上切り捨てられているんです。一般的な下級公務員で一万円夏期手当なり年末手当か——どっちにしても年末手当なら年末手当が一万円多いか少ないかというのは、これは一般的な公務員にとっては大変な目の色が変わるようなことなんですよ。そういうふうな形がずっと過去何年も積み重ねられてきている、こういう事情にあるということを承知してもらわなければならないと思います。  それからもう一つは、茨木給与局長がいろいろあれこれ比較の仕方について苦しい弁解をされましたけれども、単純に言えば民間の場合にはいろんな手当をすべて支給率対象にしておる。夏期手当にしても年末手当にしても、いま労働省の説明があったようにすべてを対象にしているんです。公務員の場合には本俸扶養手当調整手当、これだけしか対象になっていない、こういうことなんです。それを比較をすると、民間の一ヵ月分に対して公務員の場合には九五%ぐらいにしか相当していないと、比較の仕方としては。こういう事情にあるという、まずこの事情を理解を願ってこれは取り扱ってもらわなければならないと思います。人事院としてもそういう経過があるわけでありますし、先ほど藤井総裁佐藤総裁の当時の国会での発言についても趣旨の説明があったわけです。つまり民間は景気の動向に敏感に左右されるけれども公務員の場合には法律で決めてあるものだからその都度変えるわけにはいかない事情にあると、だから平易な言葉で言えば少々逆較差が出てもそう簡単に動かすわけにいかないから端数をずっと切り捨てているんだと、こういう説明がされておるわけでありますから、そういう趣旨は十分ひとつ配慮して特別給取り扱いについては検討してもらいたい、このことをお願いをしておきたいと思うんです。  そこで、時間が余りありませんので、取り急いで次の問題に入っていきますけれども人事院が手順としてはことしも例年の例にならっておられると思うんです。つまり、春闘がことしの場合で言えば、四月の二十二、三日ごろに大手が大体決着がついている。四月末までにほぼ春闘は山を越した。で、恐らく連休明けから民調作業に入っている、調査に入っている、五月から六月と、こういうことだろうと思うんです。  そこで労働省の方に伺いたいわけでありますけれども、この五月から六月の間で、一定の五月末なら五月末あるいは六月末なら六月末、こういう中で春闘が決着がついて、そして配分も決まって四月の民調調査に反映するような、つまり四月からの賃上げが実現をしておった、民調にことしの賃上げが反映するような状態になっていた民間の企業は、企業の数で出るのか、人員で出るのか、大体そういう状態になっていたのは五月から六月の間で一定の時点でどのぐらいの割合になっているか、これを聞かしていただきたいと思うんです。
  36. 長沢貞子

    説明員長沢貞子君) 先生の御質問のような実態を把握するストレートな調査がございませんので、実態はつまびらかにいたしかねますが、労働省で実施しております毎月勤労統計調査によりますと、規模三十人以上の事業所のうち、五十一年の四月にベースアップ分を支払った事業所の割合は全体の六・八%という数字になっております。
  37. 野田哲

    野田哲君 支払った場合六・八%ですね。決まった数字はわかりませんか。決まったけれどもまだ金は払っていない、そういう状態は。
  38. 長沢貞子

    説明員長沢貞子君) 先ほどお答え申し上げましたとおり、決まった事業所の数というのは、これを把握する調査がございません。
  39. 野田哲

    野田哲君 給与局長に伺いますが、昨年の場合、人事院民調をやっておる期間の中で、四月時点で昨年の賃上げ分が反映をする状態になっていたのは大体四〇%ぐらいじゃなかったか、こういうふうなことを伺っているんですが、その状態はいかがですか。
  40. 茨木廣

    説明員茨木廣君) 大体四〇%程度でございます。
  41. 野田哲

    野田哲君 そうすると、あとの六〇%の調査というのは、その年の賃上げが終わっていない状態のものが民調に上がってくる、こういう状態ですね。調査対象の半数以上はその年の賃金の引き上げが全く反映しないと、こういう状態の中で勧告数字がコンピューターにかけられる、こういうことになるわけです。このいわゆる積み残し分というのはどういうふうに考えておられるんですか。
  42. 茨木廣

    説明員茨木廣君) そこで、昨年の勧告のところでも報告のところに書いておりますように、本較差に出てまいりますのがいま申し上げましたものでございますが、調査に参りました時点で、賃上げ額の総体が決まってまだ配分も終わっていない、それから支払いも終わっていないというようなものは、四月の時点で支払われておりませんから本較差の方に入ってきていないわけでございますが、その部分を別途調査いたしまして、その影響を加味するという表現をとっておると思いますが、いわゆる積み残し分の加算をいたします、これが去年二七・五%程度の会社数があったわけでございますが、まずこれが一つのグループでございます。あと残りますのが約三〇%程度になってくるわけでございますが、その残った三割のうちの三分の二程度、そうすると全体の二割に相当する程度のものは秋——要するに春闘、春の時期でない以外の時期に給与改定が行われるという会社、こういうものだろうというふうに考えております。そういう会社はやっぱり一年ごとには大体改定いたしておりますので、そこでそれは前年度の私の方の民調に入っていないもので、ことしの要するに本較差のところにそれがずれ込んでいるという、一年おくれぐらいの形で入ってくるグループだろうと思います。それからあとの一〇%、それも結論的にはやはり一年おくれで入ってくるわけでございますが、六月の調査以後、しかるべき八月ころまでの間に決め、妥結し、そして配分が決まっていくというものであろう、それが大体一割程度あるんじゃなかろうかなという感じでございますが、これはわかりません。要するに六月時点まで決まらなかったものが大体三割あると、こういうふうなことでございます。
  43. 野田哲

    野田哲君 つまり給与局長の説明というのは、調査時点でこの賃上のまだ配分等が決まっていない、あるいは賃上げの時期が四月でないようなところ、こういうところについては、その年には捕捉できなくても明くる年の較差に出てくるからそれでいいじゃないかと、つまり一年おくれでやっているんだと、こういう説明ですね。私はどうも勧告の信憑性として、何とかこれは改善すべきじゃないかと思う。これは時間がありませんからそれ以上申し上げませんが、もう一つ労働省の方へ伺いますが、労働組合ではよく使われる言葉ですが、いわゆる二段ロケットという月へ飛ぶような言葉があるんです。二段ロケット方式という賃上げの方式ですね。特に最近は世間のあれを考えて、つまり春闘では非常に低い回答を出しておいて、ひそかに、秋にまた何とか上積みをするから春闘の段階ではほかへの影響が大きいからこれでがまんしてくれ、こういうような処理の方式で妥結をする、これを組合関係者はよく二段ロケットと言っておりますが、こういう二段ロケットのような形での賃上げ方式というのがだんだん拡大をする傾向になっているんじゃないかと思うんですが、把握をされておりますか、そういう業種がどのぐらいあるか。
  44. 長沢貞子

    説明員長沢貞子君) これにつきましては、労働省の方で、賃金引上げ等の実態に関する調査というのを、これは五十年度に実施したのがあるだけでございますので、先生のお尋ねになりました最近の傾向といったようなものは見ることができません。この五十年度調査によって、この二段ロケット方式ですか、それを見ますと、五十年一年間に分割賃上げを行った企業、これは全体の五・八%ございます。このうちベースアップの分割を行った企業というのは五・四%でございます。春に定期昇給だけを行って、それからベースアップは秋に延期した、こういったような企業は〇・四%、こういった数字でございます。
  45. 野田哲

    野田哲君 もう時間来ましたので、最後に一言。  総務長官、去年から人事院から報告が出されて、ことし一月からやるんじゃないかと言われておった公務員の週休二日制、週休二日制ともあれば言えないんですけれども、まあそれに至るトライアル、ずいぶんもたもたしておられますけれども、一体どういうふうに、いつから取り扱うといいますか、トライアルに入る計画なんですか。
  46. 植木光教

    国務大臣植木光教君) 前国会におきましても御報告をいたしましたように、私どもとしては何とかしてこの人事院の申し出を尊重いたしたいということで、この試行に入るべく各省庁間の意見の調整を行いつつ今日に至ったわけでございますけれども、閣僚懇談会の座長であります官房長官とも数次にわたって協議をしながら、意思統一のための努力を積み重ねてまいりました。今日いまだに懇談会の開催に至っておりませんことはまことに遺憾でございます。事務的な調整をいまやりますとともに、関係閣僚間の合意が得られますように現在さらに努力をしているところでございまして、私といたしましては、何とか閣僚懇談会を早期に開催をいたしまして、この問題についての政府の態度を決定いたしたいというふうに考えております。
  47. 野田哲

    野田哲君 まあ歯切れは悪いけれども、やめます。
  48. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 まず、ただいまのその週休二日制の問題ですけれども、これは人事院総裁、試案を出してからですね、要するに社会的ないろんな情勢が変わってきていると私は思うんです。特に中小企業やそういうところは、週休二日制という問題については非常に大きな、何というか問題を抱えているわけです、実際問題。そういうふうな、人事院がそういう試案を出した後、総裁の考えというのは変わっておりませんか、この点まず第一点お伺いしたい。  それから総務長官、久しぶりですから一言お伺いしておきます。特に沖繩復帰後の公務員のいわゆる処遇の問題ですが、来年のこれは五月でちょうど経過措置がいろいろ終わるわけですけれども、その中で、特にたとえば公務員の退職手当の問題とか、そういう経過措置を延ばしてもらいたいという要望もあるわけですが、こういう問題については今後総理府としてはどういうふうに取り扱っていくのか、ここら辺の答弁をいただきたいと思います。
  49. 藤井貞夫

    説明員藤井貞夫君) 週休二日制のテストの問題でございますが、これは大変いろんなこの周辺の問題というものは厳しいものがあることはよく承知をいたしております。しかし、全体としての広い視野に立った見方、大きな波のうねり、また世界各国の情勢等を見渡しました際には、これは一つの必然的な方向ではないかということで考えまして、三年にわたって徐々に前進するようなことで勧告における報告を申し上げたことでございます。これに基づいて本年の場合には、本年初期からテストをひとつ具体的にやろうではないか、やっていただきたいということの結論を出して、人事院としては、いろいろ制度的な措置は一応終わって、総務長官以下の御努力をいま大変関心を持って注視をいたしておるという段階でございます。私の考え方といたしましては、やはり将来にわたっての週休二日制というものの傾向から見ましても、このテストをいうものはやはり絶対にやるべきである、そういう心境は変わっておりません。
  50. 植木光教

    国務大臣植木光教君) ただいま御指摘ございました沖繩県における公務員の退職金の優遇措置でございますけれども、これは私どものところに適用を延長してもらいたいという意向が出されております。ただいま実態調査をしているところでございまして検討中でございますので、しばらく時間をおかしいただきたいと思っております。
  51. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 総務長官、ただいま人事院総裁が相当な決意でいま週休二日制の問題を要望しておられますので、ぜひとも閣僚懇談会等早急に開いて、これは一遍、テスト等どこからやるということは決まっていないとは思うんですけれども、早急に取り組んでいただきたいと思うんですが、どうでしょう。
  52. 植木光教

    国務大臣植木光教君) 私は終始一貫この申し出を尊重すべきであるという姿勢で臨んでまいっておりまして、先ほども野田委員に申し上げましたように、早期に解決すべきである、先ほどお話ございましたように、いろいろ経済社会情勢もございましたし、また現在もありますけれども、しかし一つのトライアルでございますから、これは早く政府としての態度を決めるべきであると考えております。
  53. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、同僚議員と質問が重複するかもしれませんが、その点御容赦願いまして、給与改定について若干質問したいと思います。  八月中旬までに公務員給与の改定の勧告例年されていますけれども、一昨年はちょっと早かったんですが、本年も来月勧告出されると思いますけれども、現在までの進捗状況及びいつごろ勧告出されるか、再度ちょっとお聞きしたいと思います。
  54. 藤井貞夫

    説明員藤井貞夫君) 勧告作業は大体例年どおりのベースで進んでおります。勧告の時期といたしましては、大体前年のあたりを目途といたしまして、でき得ればそれよりももう少し早めたいということを努力目標に現在やっております。したがって、去年が十三日でございましたので、それから若干早めるということになりますれば、ここで具体的に確定した日を申し上げる段階ではまだございませんけれども、およその見当は御推測をいただけるのではないかと思います。
  55. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 大体閣議のある日に提出をされている関係から見ますと、十三日より早ければ十日ということも予想されるわけですが、大体そのころですか。
  56. 藤井貞夫

    説明員藤井貞夫君) 先刻もお話を申し上げましたように、大体いままでのところでは閣議の日ということが多かったようでございます。それは政府の御都合等もございますので、この方が便利であるということから来ておると思います。したがいまして、今後もう少し結論が出かかった段階において、いろいろ御連絡をいたしまして最終的に決めてまいりますが、そこらの前後ということに相なるのではないかと思います。
  57. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは時間もありません、何点かお聞きしたいと思いますが、ことしの本俸の改定について一律配分ということが伝えられておりますけれども、昨年の人事院勧告の資料を見ますと、行政(一)の適用職員は全体で二十四万四千八百四人、この中で五等級ですね、係長の方または主任の方は三二・四%、これは人数にしますと七万九千三百八十七人の方がみえます。この七万九千三百八十七人のうち十号俸以上の方が八四%に及びまして、大体六万六千四百八十五人、もっと詰めますと、行政(一)の適用職員の二十四万四千八百四人のうちの四分の一以上の二七%以上の人が、いわばこの五等級の十号俸以上に在職していると、こういうふうに見られます。きわめてこれは中ぶくれという、そういう状態に現在なっております。この点が問題があるところですが、この四等級、これは課長補佐クラスの方だと思いますが、に昇格することに問題があるから、結局五等級にちょうちん型にふくれ上がってきていると、そういうことがあります。これは議論はこれからするとしましても、この全体の四分の一以上在職している五等級の改善を図らなければ、今後どうしようもなくなってくるのじゃないかと思うんですが、この点につきましては、多くの職員の方がみえるために改善にはたくさんの資金がかかる、このように思いますけれども人事院としましてこの辺をどう改善されるか、その方針を承っておきたいと思います。
  58. 茨木廣

    説明員茨木廣君) 基本的には、まだ民間調査の結果が出ておりませんので、年齢別分布等との関係で、その辺に在職いたします辺がどの程度の動向に民間があらわれてくるかということはまだわかりませんので、基本的なことはまだ全く決まっておりませんけれども、いま御指摘の辺が大変問題点であるということは、私どもといたしましても例年意識として持っておる次第でございます。で、組合にも、やはり入り口だけに重点を置いてもその辺のところに行って下がるようでは問題であるんだというお話をしているんですが、ことしも組合側もやはり前だるみ、中だるみという言葉を便っておるし、物によっては前だれ、中だるみ、こういう用語もございますようですが、そういうところを中心に、あるいは三十五歳程度のところとか、いろんな表現の仕方があるようでございますが、そういう点をいろいろやはり改善してほしいという要望が出てきております。そこで、その辺のところはいま御意見にもございましたような御趣旨も体しまして、よく吟味をいたしてみたいと、こういうふうに考えております。
  59. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そのほか、給与体系についてもう一度再検討を図っていかなければならないところに来ているんじゃないかと思うんですが、各省庁ではいまいろんな職をつくってその処遇を考えてみえると思います。この職をつくることによりまして行政の組織が複雑になってくるのではないかと思うんです。たとえば本年の五月には、農林省では国際統計専門官あるいは家畜共済指導官あるいは国際専門官、海外技術協力官あるいは種苗専門官、農機具専門官、そういった専門官を省令でつくってみえますけれども、これは私が考えますには、処遇改善ということを目的としてつくっているんじゃないかと思いますが、いずれにしましても現在の給与体系そのものが三十四年以来十七年間続いていますので、抜本的な改正が必要になってくるのじゃないかと思うんですが、これらの点を踏まえまして、今後の検討の見通しというものについてお聞きしておきたいと思います。
  60. 茨木廣

    説明員茨木廣君) 大変いま御指摘のようなことで、公務員全体の平均年齢も毎年〇・二歳ぐらいずつ上がってくるような傾向にもございますし、各省でも、終戦後採用しました者の中ぶくれであったものが漸次上の方に上がりつつあるということで、その対策に苦慮しておるということは事実でございます。そういうことで、私の方も級別の定数等の取り扱いにおいても、暫定定数の形で出しましたりして、それに対処してきているということで、ただいまある省の例を挙げられましたけれども、いわゆる課長、課長補佐、係長という体系でいくもののほかに、専門官的なものを各省としましてもいろいろつくりまして、そういう役職、役割りと申しますか、そういう職責を明らかにして給与改善をしてくれという姿で持ってまいるということも事実でございます。そういうことで、大体三十二年俸給表がつくられました当時は七等級に一番人員のこぶがあったわけでございますが、それが四十年からは六等級に移り、さらに四十七年からは五等級にそのこぶが移ってまいるということで、大体六、七年ごとに一段階ずつぐらい上がってきているという姿で、この五等級のところに四十六年上がりましたこぶがずっといま五十一年までもってきて漸次四等級に一部ずれ上がってきつつあるというのが姿でございます。そこでもう五年ぐらいやはりいまのこぶが、年を平均的にとってくることだろうということで、そういうことをめどにして、いま長期的な観点でどう持っていくかということも二課の方に分析をさせておるところでございます。そういう意味で、基本的なこの俸給表の維持が困難になった場合どうするかということもやはりあわせて検討はさしておるところでございますが、まだなかなか名案がないということで、というのは、このこぶが通過してしまいまして、今後はまた平常分布に返ってまいりますと、いまの運用をそのまま継続したのでは大変な今度は膨張になってしまうというおそれもございます。そのときにはやはりいろいろ縮小的に考えていかなければいかぬ面もございます。その辺をいろいろあわせて考えて検討しておるところでございます。
  61. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、手当の問題になりますけれども、昨年の場合は一〇・八五%の勧告で、本俸扶養手当、住居手当、通勤手当、初任給調整手当、この改定がされましたけれども、ことしの場合は、もちろん本俸の改定というのはあり得るわけでありますけれども、諸手当についてはどういうふうに改善を加えていくつもりか、その点ちょっとお聞きしておきたいと思います。
  62. 茨木廣

    説明員茨木廣君) これもまだ結果が出ておりませんので、人事院として確定したものを持っていませんが、一応調査の段階といたしましては、やはりことしのいろんな民間の春闘の状況なり、物価の状況なり、そういうものからいたしまして、やはり生活に密着しましたものは検討をせざるを得ないだろうということで、扶養手当、通勤手当、それから住居手当の一部等については民間調査を現在行っております。その結果待ちをいましておるわけでございますが、そういう結果を見ながら、全体としましてはやはりことしの姿は本俸重点ということで考えざるを得ないと思っておりますけれども、そういうようなものについても民間数字を見ながらやはり考えてまいらなければいかぬだろうというふうな気持ちでおります。なるべく新設と申しますか、そういうような意味のもの等その周辺のものにはなるべく散らしてくれるなという感じも、組合側にもございまして、本俸及びそういう生活に非常に密着しました部分について重点的な配慮をせざるを得ないだろうと、こういう気持ちではおります。
  63. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 本年は、ちょっと聞いた範囲によりますと、扶養手当とか、あるいは宿日直手当、それから通勤手当、それから住居手当、まあ住居手当のうちの自宅居住者を除く者について民間のものを調査していると、こういうふうに聞いたんですけれども、たとえば調整手当だとか、自宅居住者に対する住居手当などは、これは全部の手当について調査して、そのうち特に官民較差のあるものについて是正するという方法もあるわけですけれども、このような一部に限られた手当についてのみ調査していくという方法については、この理由はどんな理由でそうされたのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  64. 茨木廣

    説明員茨木廣君) いまお挙げになりました宿日直も、一応昨年は据え置きましたので調査をいたしております。それから住宅手当の自宅の方の関係でございますが、大体予想されましたことしの給与全般をめぐる動向からいたしまして、本俸と、それから生活に密着したものというものが中心で、そう周辺に散らしていくわけにいかないだろうということから、住宅でいきますと借家、借間等、より困窮度の強いと申しますか、そういう感じのものを中心に考えていって、自家を持っておる者についての手当は、一昨年でしたか大幅に上がりました年に創設したわけでございますが、それはやっぱりある程度上がります時期まで待っていただくということが適切ではないかということで、ことしは調査を見送ったわけでございます。  それから調整手当の問題にお触れになられましたが、これについては、昨年も大体そういうことでございましたが、地域の産業がそれぞれ展開しておる地域がいろいろ差がございますわけですが、産業の種類によって経済の好不況と申しますか、その関係の変化が大変去年からことしにかけて大きく変わっております。もう昨年悪かったのにことし大変上向きに急速になってきたものもございますし、依然として悪いものもございます。そういう年でございますので、やはりこういう年のデータで相当恒久的制度になります地域給の基礎を変えていくということはふさわしくないだろうということで、基本的にやはり春の時期の検討の院議の段階で、ことしは調査をしないということにしたわけでございます。また原資的にも、それらの地域を広げていきますと、結局本俸に配分されますものがそれらの地域に広がっていくということにもなって、単純に広げていきますことについてもやはり基本的に問題があるというようなこともございまして見送った次第でございます。
  65. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 時間がありませんので、期末、勤勉手当についてだけお聞きしますけれども、この手当は、民間との比較は一年前の民間のボーナスが翌年の公務員の方々の期末、勤勉手当になるという形になっておりますので、約一年間のずれがあると思います。このずれを直す方法が可能であるかどうか、そのことについてひとつお聞きしたいと思います。
  66. 茨木廣

    説明員茨木廣君) 私どもそういう目で検討はいたしておりますが、民間は大体、会社によって出る時期がいろいろ変動がございますが、大幅に言えば七月中心の、要するにお盆中心のものと、年末中心のものと二ヵ所に山があることは間違いございませんが、こちらの方は六月と十二月と、一部三月にいっております。まあ三月と六月と合わせて民間比較してもらえば大体バランスがとれている感じだと思いますが、そういうことで支給時期も異なりますので、それでいま年間で合わせざるを得ないということになっているわけでございます。で、それを便宜もっと半年おくれくらいに支給できないだろうかというような感じで検討はいたしておりますが、そういう全体で比較いたしませんとなかなかびしゃっと対応してこないのじゃないかということで、どうも明るい感じではないと申し上げた方がいいと思いますが、そういう程度でございます。
  67. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは最後に聞きますけれども、先ほど同僚の野田議員からも特別給のダウンの問題についてお話がありましたけれども、私ども手元の資料によりますと、この切り捨てられた分が十五年間で約一ヵ月分にもなると、こういうお話も聞いておりますが、ことし仮にこの特別手当がダウンするようなことになった場合には、この較差一ヵ月分についてはどのように考えてみ、えるか、人事院のお考えを聞いて質問を終わりたいと思います。
  68. 茨木廣

    説明員茨木廣君) いまのあれは、二けたのところを切り捨てることによって、過去でも、民間では若干減が立ちました年でも、その二けた目を切っておいたために一けた目までの数字は影響はなかったというようなことで、据え置きで済んだ年もございます。そういうようなことで、一応は過去にそれぞれ決着をつけてきたわけで、その分が積み立ててあるわけでもないものでございますから、そういう意味のぎりぎりした意味でどうこうということではなかなか議論が困難だと思います。ただ、そういうことが過去にあったということで、その二けた目を切り捨てましたことについて、その年その年ごとに国会でも御議論があったという経緯は経緯として、やはり私どもとして、背景事情としては一応検討の材料としてトレースはいたしておりますけれども、その程度に一応いまのところは考えておるわけでございます。
  69. 河田賢治

    ○河田賢治君 最初に総理府総務長官に伺います。  大体、きょう給与問題あるいは人事院勧告なりの問題については、他の委員諸君が話されましたので、かなりダブりますけれども、できるだけダブらぬような方向で質問したいと思うんです。   〔委員長退席、理事中村太郎君着席〕  この国家公務員労働組合連合会、略称国公労連ですね、交渉相手というものは責任ある当事者は総理府総務長官である。このことは五月六日の衆議院内閣委員会で中路議員の質問によって確認されているので繰り返しませんが、御存じのとおり、国公労連というものは約十六万名をいま擁する国家公務員としては最大の連合体です。私はこの国家公務員法第十八条の二から見ても内閣総理大臣が本来の交渉相手だと考えております。一応内閣を代表するという立場で総理府総務長官が出席されることは差し支えないと思うんです。この問題はこの春も取り上げましたが、この国公労連が給与早期支払い問題を議題として、できれば来週中に、七月の十九日−二十四日の間ですね、これで調整がつかなければ今月中の長官の日程の都合のつく日という、大変弾力的な期日を設けて交渉を申し入れていると聞いておりますが、この交渉のための準備をしておられますか、このことをちょっとお聞きしたいと思うんです。
  70. 秋富公正

    説明員秋富公正君) ただいま先生からの、国公労連から、そういう長官への会見の要求という話は、現在私まだ承知いたしておりませんです。
  71. 河田賢治

    ○河田賢治君 それは国公労連の方の、まだ日にちがありますから恐らく事務手続でやってないのかもしれません。けれども、これまでの態度ですね、私はこの前指摘しました。先ほども申しましたように国公労連というのは約十六万名の国家公務員の労働者の職員の組織体である。だから大きな比重を占めているわけでしょう。確かに他の公務員のいろんな組織はあります。けれども人事院勧告によりまして、その影響を受ける地方公務員とか、たとえば水道の労組であるとか、駐留軍の労働者とか、こういうものもあるわけです。だからその共通する範囲は非常に一般的になる。けれども個々の問題は、たとえば国家公務員には国家公務員の特殊な問題があるわけだ。そういう問題のときには、大きな一般的な労働の団体と、同時にまたそういった国家公務員としての特殊性の問題で長官に会いたいと言うことは、これは当然じゃないですか。ところが、昨年も申しました、ずいぶんと。あなたの方ではなかなか長官に会ってもらえないでしょう。少なくとも、この労働組合が多少色合いがどんなであろうと、組織が大きい小さいにかかわりなく、これはやはり一つの組織体とし、また労働者の人格体としてこれは会うべきなんですよ。  地方公務員などは、御承知のとおり五十五条の九項で「職員団体は、法令、条例、地方公共団体の規則、及び地方公共団体の機関の定める規程にてい触しない限りにおいて、当該地方公共団体の当局と書面による協定を結ぶことができる。」、だからこちらでは書面協定ができます。ところが国家公務員にはそういうものがないでしょう。そういういろいろな差があるわけなんですよ。そうすれば、この全官公、一遍に一つの団体と会っているからこれでいいというんではなくして、やはりそれぞれの特殊性があるのだから、当然あなた方は責任持って、要求があれば時間の続く限り、また時間を見ておって、そして会うべきだと私は思うんです。現にあなた国家公務員はこの八月四日、公表されたものによりますと一つの統一ストを起こすと、公務員共闘が闘争強化というのでこういう新聞を出しております。これは公然と出しているわけですね。あなた方はこういう問題、どうお考えになるか知りませんけれども、少なくとも人事院に要求するでしょうし、またこの人事院勧告をどのように実施するかの態度については、恐らく総理府がその責任持ってこれは答えなくちゃならぬ。一方ではこういうふうにストライキをもうやるとまで言っているわけです。あなた、ことしの労働運動が、御承知のとおり去年、ことしと非常に、民間労働者がなかなか賃上げが成功しなかったといって総評の大会、入れかえなきゃならぬというようなことが起こっているですね、これは新聞に報じられている。それほど一般には不満があるわけなんですよ。また米の問題にしましても、生産者米価、これは私ら気に入らぬといって引き揚げたでしょう。米の出荷をしないといって農協は決議もしたわけですね。まあ政府の方は上げましたよ。  こういうふうに、今日の働く人々のいろいろな要求というものが、十分な話し合いもなしでばんばんと破裂する、あるいは決裂するような状態をあなた方みずからつくっちゃならぬと思うんです。だから、団体が会いたければやはりあなた方が会って、現在の内閣の姿勢としてできる限りのことをやるとか、どういう方向でやるとか、これはまじめに私は会って答弁すべきだと思うんです。  御承知のとおり総務長官、これまでほとんどこの五十年から会ってないですね、あいさつに一遍行かれたらしいんですけれども、国公労連に。公務員共闘には二十三回から行っておられる。五十年の十二月からことしの七月九日までにもう六回すでに会っておられる。あるいは全官公、これには二十回も会っておられる、昨年度ですね。ことしは四回も会っておられますよ。国公労連の方は一度も会っておられない。人事局長も会っておられない、ことしは。そういうことを私たちは聞いておるわけです。だから、ある程度責任のある方が出てその真情を吐露する、お互いの。何も妥協せいとは私は言いません。しかし、お互いの言い分は聞き合って理解しなければ問題はこじれる一方でしょう。特に国家公務員ともなれば、これは世間の目はかなり——単に労働組合といってすくに批判する者はありますよ、けれども政府自身に対しても、そういう行動があればこれは批判されるんです。だから、この時点で、私は特別に、まあこういうふうな問題になっておりますから国公労連等の組合が申し出れば、当然長官は会うべきだと思うわけですね。とにかくこれからまだ長いんですから、この問題がある程度煮詰まるまでは。これ、どうです長官、ひとつ御見解を。
  72. 植木光教

    国務大臣植木光教君) 総務長官または人事局長が最も頻繁にお会いをいたしておりますのは、ただいま御指摘がありましたように公務員共闘と呼ばれます公務員労働組合共闘会議でございます。この公務員共闘の中には、いま御指摘の国公労連、日本国家公務員労働組合連合会が加盟をされておりまして、したがって公務員共闘の役員には国公労連の代表者も就任をしておられるわけでございます。したがいまして、私が、あるいは人事局長公務員共闘と会見をいたしますときには、国公労連の代表も入っておられるのでございます。国公労連の要求も公務員共闘の要求に盛り込まれまして、私との間に、あるいは人事局長その他との間にいろいろ話し合いが行われているというのが現実の姿でございます。したがいまして、国公労連の要求も十分私は吸収をしているということを申し上げておきたいと存じます。また、この公務員共闘というのは、申すまでもなくただいま御指摘の国公労連と、さらに国公連と、それから地公労と三つの組織が加盟をしておられるわけでございますけれども、別に国家公務員労働組合賃金共闘連絡会議というのがございます。これは国公労連と国公連が加盟をしておられるのでございまして、私はこと国公賃闘と申します組織に会見をしているというようなことでございます。したがいまして、ただいま御指摘がありましたように全然無視しているとか、会わないでいるというようなことではございませんで、私としては十分その御意見は伺っているということを申し上げておきたいのでございます。
  73. 河田賢治

    ○河田賢治君 最後に言っておきますけれども、この問題で、五月六日の中路委員の質問でも、総務長官の場合ですと国会の動きその他ございまして時間のセットがなかなかむずかしい。だから国会か開かれて非常に——他の問題もありますよ。けれども、御承知のとおり人事院勧告がもう近く出る、そしてこれに対して政府も態度を決めなくちゃならぬ、また人事院勧告に対する職員側は要求もしておる、そういうときですからね、やはりあなた方の方は責任を持って会っていく、そしてストライキとかなんとかということのないようなやはり一応方途を考えるべきなんで、長官以外に局長やその他次長もおるでしょう。けれども、ある程度やはり最高の責任を持った人が責任ある話をしないとなかなか相手は納得——私の権限でないといって皆逃げる方が多いわけですね、そういう点で私は総務長官が衆議院でも言っているわけですから、今度も大分まだ先、時間があるわけですから、十分弾力的に時間の設定なんかをして、そしてやはり会っていただくべきだと思うわけです。これだけは強く要望しておきます。  次に、この人事院勧告の問題ですが、御承知のとおり、いま日本の経済というのはある程度立て直ってきた。昨年あるいは一昨年あたりから非常な不況でずいぶんとこの点で労働者のいわゆる賃金、物価、そういうものの関係が大きな変動を来したわけです。ところが、人事院ではこういう変動の中で、一時金の問題でもボーナスがどうとかこうとかいうごく瑣末な問題でも、ずいぶん民間との均衡とかいうことをおっしゃっているわけですが、こういう調査に当たって、たとえばいま経済上非常に大きな問題になるのは、一時休業ですね、一時休業。これは御承知のとおり、会社が六割以上払うと、その支払い額の大企業では二分の一、それから中小企業では三分の二のいわば休業手当を出すわけです、雇用調整給付金ですね。そうすると、こういうものが人事院勧告基礎になりますと——これはいわば半失業者なんですね、失業はしておりませんが、こういうものが算定の内容に繰り込まれますと、全体の労働者の賃金なり所得というものは少ないわけです。今度はあなた方の方、この人事院勧告をするに当たって、この辺を基本的にこういうものは除外して、手当をもらっている者は別にして、そうして残って正常に働いている者、これは産業によってもずいぶん違いますが、こういうふうに考えてこの給与のあれをお集めになっているかどうか、この点をひとつお聞きしたいと思うのです。   〔理事中村太郎君退席、委員長着席〕
  74. 茨木廣

    説明員茨木廣君) ただいま御指摘の点は調査をいたしております。今度の調査の際に、いわゆる一時帰休等を行っておる事業所について給与減額されているかどうかということを全部チェックいたしまして、その減額になっておりますものについては、いわゆる四月分給与の計算期間を、正常に勤務した者には該当しないものとして調査対象から除外するという措置をとってございます。そういうことでいま御指摘の点、心配のないようにいたしてございます。
  75. 河田賢治

    ○河田賢治君 さっき申しましたように、こういうので非常に影響がありますので、つまり休業している者はそれだけ賃金が低いし、会社が政府から金をもらって同時にこれは払うわけですから、こういうものを一緒にされたのでは民間との本当の均衡ある給与というものは出てこないわけですね。しかもあなた方が御存じのとおり、日本の経済というもの、確かにいろいろありますよ、けれども日本のこの事業家というものは、ことしの賃上げでもずいぶんとあの連中は、ガイドラインで大体一割以下で抑えて結構だというようなことを言っているでしょう。ところが、ずいぶんと会社によりましてもいろいろ違いますけれども、たとえば交際費なんか、ことしのはまだできておりませんが、少なくとも大蔵省の発表したのでも、四十七年度が一兆三千億ですよ、法人企業の交際費。四十八年が一兆六千億です。四十九年度が一兆九千億ですよ。ことしは恐らくこれは二兆を超えていると思うのです。会社が不況だ何だといっても、こういうようなかなり大部分は不生産的なものが多いのですが、こういうものにはどんどん出しているんですよ。そして労働者の賃金は切り下げるとか、ボーナスは少なくすると、こういうつまり日本の企業の非常な悪い体質、これはどこからも非難されているでしょう。こういうものはまじめに受け取って、そうして、会社のいわゆる労働者の低いものやら何かあって、不まじめな経営をやっているというものに対する警告的な意味で、あなた方の方はもっともっとしっかりしたこれをやらなければならぬと思うんですよ。確かに民間の労働者と、官業の職員との均衡を保つということですけれども、こういうふうな不まじめな経営者がいかに働く人の賃金なんかを押さえつけるか、ボーナスは減らしていくか、あるいはいろんな形で自分らの方の浪費はどんどんやっている、こういうことが多いわけなんですから、私はこれはあなた方の方の直接の問題じゃありませんけれども、たとえば最低賃金なんていうものは日本じゃほとんど名ばかりのもので、実際の最低賃金も行われていないのです。外国では行われているんですよ。こういうものの基礎がない。しかも社会保障はもう非常に低下しているというときなんですから、あなた方が官民労働者の均衡というだけに目をつけてやっていくのでは、私は進歩的なところはないと思うのです。少々無理でも官業労働者をいまどんどん引き上げて、民間のそういう不まじめな企業のあり方というものをこういう面からも直していくと、そういうふうに私は考えるわけです。この点について、さっき一時金の問題もありました。あるいは、何ですか、御承知のとおり労働組合の方で出しております一九六〇年から大体ずっと値切りをせられた、それが約一ヵ月ばかりになると。こういうところは断固としてあなた方がおやりになって、営利会社は景気のいいときや悪いときがあって、いろいろ向こうは伸縮自在なんですよ。そういうものを比較する場合に、あえて小数点以下は切り捨てるというような、こういうことは必要ないと思うんですよ。こういう点で私は、あなた方の方は十分な決意を持ってこの問題は対処されたい。ことに皆いま職員も要求しているわけです。世間体を余りはばかられてはよくないと思うんですよ、それが一つです。どうですか、人事院総裁、その程度の決意を持っておやりになるかどうか、ちょっと聞いておきたいと思います。
  76. 藤井貞夫

    説明員藤井貞夫君) われわれは、職責といたしまして国家公務員給与というものについては大変な関心を持って、そういう意味で厳正な態度で仕事を進めてきておるつもりでございます。その場合に、公務員給与決定する基準というものがどうあるべきかということは大変むずかしい問題でございますけれども法律のたてまえもあり、制度のあり方に対する評価ということもあり、長年の経験ということから見て、官民格差の比較方式というものが一番いい方法であろうということで方針決定をいたしまして、この方針にのっとって従来からもずっとやってきたところでございます。そういう方針で今年も作業を進めておるわけでございますが、いま御指摘特別給をめぐってはいろいろな議論が闘わされておることは御指摘のとおりでございますし、また、われわれも問題点等については十分承知をいたしております。過去における小数点二けた以下の切り捨てとか、そういうような問題もそれなりの理由はあってやってきたことではありますけれども、そういう事実はやはりわれわれも事実としてちゃんと認識をいたしておるつもりでございます。ただ、これらの問題につきましては、民間調査との実態がどういうふうに出てまいりますか、その結果いかんということがこれは重大な問題でございまして、その結果が出ました際にどういうふうな判断を下し、どういう処理をやるかというようなことを決定をいたしまする際に、いま御指摘になりましたような諸事情というものも十分腹に入れて事に処してまいりたいという所存でございます。
  77. 河田賢治

    ○河田賢治君 時間がございませんから。人事院勧告が八月上旬に出されると。臨時国会は、これはまだいつあるか、それから期間がどんなになるか、これもわかりません。けれども、先ほど来から、できるだけ人事院勧告が出れば政府はその作業を早く進めると、そして臨時国会の期間があればそれに十分間に合うようにしたいというお考えだと思うのですが、この点はやはり、かなり政府の方も人事院勧告としても、これは早急に次の国会にそういう時間、また時期があれば、早急に上げてもらいたい、実施してもらいたいという要望を持っておられると思うんです。それからまた総務長官も、先ほど来の言葉ではやはりできるだけそれを実施していくというふうにお考えだと思うのですが、この点はどうですか、ノーかイエスかだけ聞いておきたいと思います。
  78. 植木光教

    国務大臣植木光教君) 先ほど申し上げましたように、私どもとしては、人事院勧告が出されましたならば、これに対応をいたしまして早期支給せられるように努力をするという決意でございます。
  79. 河田賢治

    ○河田賢治君 週休二日制の問題ですね、先ほど来からありました。これは長官自身も、この勧告が出てから実は閣僚会議を開いてなかったというお話なんですが、今度人事院勧告が出ますと、恐らく総裁の方ではこの問題についても触れられるだろうと思うんです。そうしますと、政府はほとんど何もやってなかったと、今度七月の末ごろまでに閣僚懇開いてこれに対する具体的な方策を決められるのか。そうしないと、人事院政府の態度が決まらぬと毎年同じことを繰り返して勧告するわけにはいかぬでしょうし、この辺はあなた方の方はどういうふうにお考えなのか。少なくとも、いわば試行なんですから、全部完全に実施しろというこれまで勧告ではなかったわけですね。ところが先ほどからありますように、もうどこの国でも週休二日制というものは実施している。日本でも大体六〇%ぐらい、物によりますとあるわけなんで、かなり大企業はやっているわけです。しかし、中小企業にしても、確かに困難ではあるけれども、こういうことを不況の中、今日の事情の中で開いておきませんと、会社というものはもうかり出しますととにかく残業残業で何時間でも働かせますし、できるだけ休みはないようにしていこうというのがまあ金もうけの頭になった人の考えなんですよ。だから、こういうときにさっと政府自身もこの週休二日制を実行していくというふうにして、私はきちんとしたやはり制度を設けるべきだと思うわけなんです。この点について、非常に微妙な問題ですが、人事院は次の勧告についてどういうふうにお考えになるのか。それからまた総務長官、閣僚懇でこれを話し合うということですけれども人事院勧告が出るまでにきちんと閣僚懇でそういう実施の方法についても具体的に決められるのかどうか、決定されるのかどうか。この点をはっきりしておきたいと思うんです。ひとつお二方からお願いします。
  80. 藤井貞夫

    説明員藤井貞夫君) 週休二日制のテスト問題につきましては、できるだけ早期に実施されることを強く期待をいたしておるのであります。今度の勧告の中でこの問題の取り扱いをどうするかという点につきましては、ことしの場合もやはり民間の実態調査をやっております。その結果に応じて、さらにどういう点についての取り扱いをするかということを決定をする材料にしたいと思いまするし、また政府においても、このテストについて大変総務長官を中心として御苦労をいただいておることは承知をいたしております。そこで、それらの動きがどうなるかということもあわせて、勧告時点、成案を得る時点において判断をいたすことにいたしたいと思っておりますので、いまここの段階でどうするかということは申し上げる段階ではございません。
  81. 植木光教

    国務大臣植木光教君) 一月に人事院からテストの申し出がございました。懇談会を直ちに二十九日に開いたわけでございますけれども、その後の状況につきましては、先ほども報告いたしましたように、各省庁間の意見の調整のためにあらゆる努力をいたしているところでございます。閣僚懇談会を早期に開催をいたすべくただいま官房長官とともに努力をいたしております。昨日も衆議院において七月中にやるかという御質問がございました。私といたしましては、官房長官とともに協議いたしまして、七月中をめどに閣僚懇談会を開きたい、こういう考えでございます。
  82. 中山太郎

    委員長中山太郎君) ちょっと速記をとめて、   〔速記中止〕
  83. 中山太郎

    委員長中山太郎君) 速記を起こして。  本件に関する本日の調査はこの程度にとどめます。  午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時二十八分休憩      —————・—————    午後一時二十分開会
  84. 中山太郎

    委員長中山太郎君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  国の防衛に関する調査を議題といたします。  まず、去る六月四日に発表されましたいわゆる防衛白書について防衛庁長官から説明を聴取いたします。坂田防衛庁長官
  85. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 「日本の防衛」についての防衛庁長官説明  「日本の防衛」について、その概要を説明いたします。  自衛隊は、わが国の独立と平和を守るため、不断の努力を続けております。  御承知のように、近年内外における諸情勢は、著しい変貌を遂げつつあり、防衛問題に対する国民の関心も次第に深まりを見せております。この際、今日の国際環境のもとでのわが国の防衛に関する基本的な考え方と自衛隊の現状等を改めて明らかにし、広く国民はもとより、諸外国にもわが国の防衛政策について正しい認識をしてもらう必要があり、あわせて自衛隊に対する国民の一層の理解と協力を得るために、昭和四十五年以来六年ぶりに政府刊行物として「日本の防衛」を作成いたしました。  本書は、これらの趣旨に基づき、全体を四章で構成しております。  第一章では、国際情勢の動きを、防衛政策を考える立場で、比較的長期に考察する視点から分析しております。  今日の世界の大勢としては、米ソが強力な核戦力の存在を前提としつつ、核戦争は避けなければならないという共通の認識を持ち、東西関係では、共存と抗争という二つの現象が併存しており、そのもとで近年デタントと言われる動きが見られる、ととらえております。  次いで、現代における集団安全保障体制及び軍事力の一般的意味と役割りを検討し、さらにわが国周辺の情勢を概観し、特に、ソ連軍の著しい増強や活動ぶりと朝鮮半島の軍事的緊張の実態に触れております。  第二章では、わが国の防衛政策の基本について、まず国防の基本方針に触れ、次いで防衛力の基本的意義と日米安全保障体制の役割りを述べ、さらに、今後の防衛力整備を進める上での防衛庁としての考え方である基盤的防衛力の構想を説明しております。  わが国の防衛力は、国民の国を守るという意思の表明であり、わが国に対し容易には侵略を行わしめない力であって、日米安全保障体制とともに間隙のない防衛体制を構成して、侵略を未然に防止する、いわば平和維持の機能としてとらえています。日米安全保障体制については、軍事面の役割りのほか、広く日米友好協力の基礎をなすものでもあり、今日同体制はアジアにおける国際政治の基本的な枠組みの重要な柱を形づくり、アジアひいては世界の安定と平和の維持に貢献するものとなっていることを強調しております。  基盤的防衛力の構想は、国際環境が今日の状況で推移するという前提のもとでは、わが国の防衛力は、特定の差し迫った脅威に対抗するというよりも、全体として均衡のとれたすきのないものである必要があるとの考え方に基づくものであります。そして、この防衛力は独立国として常備すべき基盤的な防衛力とも言うべきものであります。  第三章については、自衛隊は国民のものであり、相互に信頼し合う関係が特に必要でありますが、この観点から、それに関連あるシビリアンコントロール、防衛を考える会、防衛問題に対する国民の理解と関心の高まり、基地対策、災害派遣、民生協力などの事項について取り上げております。  第四章では、自衛隊の現状や最近の主な動きの概要と抱えている問題点、たとえば、訓練空域の制約、防衛関係費における人件費の増大等、その一端をあわせて報告しております。  なお、本書の公表を契機に、広く国民の間に現実的な防衛に関する論議がより活発に行われ、わ・が国防衛に対する理解と協力がますます高められることを期待しております。
  86. 中山太郎

    委員長中山太郎君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  87. 秦豊

    ○秦豊君 坂田防衛庁長官は、この秋以降のポスト三木でもまた引き続き防衛庁長官でいらっしゃるだろうからあわてませんけれども、丸山防衛局長は当該委員会における答弁がお別れ答弁ですね。したがって、日ごろに似ずというか日ごろのようにというか率直なあなたの最後の答弁になるかもしれません、後は事務次官コースですから。そういう点含めてひとつわれわれの質問に対処していただきたいと思う。  本論はもちろん展開しますけれども、本論の前に、去る七月一日、不辛にもまたわれわれが憂えていた事態が沖繩のキャンプ・ハンセン演習場で起こった。この件についてはすでに衆議院の同僚議員が質問を展開していますけれども、私なりの観点から二、三関係方面の答弁を得ておきたいと思います。  まず、これは施設庁になると思いますが、米軍から現地の那覇防衛施設局に対する演習の通報、事前の連絡というべきか、通報という言葉を使っているようですが、これはこの演習実施日の何日前に来ているのですか。
  88. 銅崎富司

    説明員銅崎富司君) 原則として一週間前に参っております。
  89. 秦豊

    ○秦豊君 一週間前にその通報を愛けますね。あなた方が、那覇の局長が。それを沖繩県側に対してはどういうルートで大体どういうふうに伝えていますか。
  90. 銅崎富司

    説明員銅崎富司君) 演習通報が参りますと、とりあえず電話で沖繩県、それから地元の金武村、それから恩納村に伝えておりまして、後刻文書で連絡申し上げています。
  91. 秦豊

    ○秦豊君 私も当内閣委員会の視察の一環で、かつて那覇の防衛施設を見たことがあります。当然施設局にもお邪魔をしましたけれども、そのときにも力説がされましたが、特に那覇の防衛施設局、また、総じては広くはあなた方防衛施設庁の仕事に対する基本的な原則というか、心構えというのは、安保絶対では仕事が成立しない、安保があるからというふうな乾いた発想だけで、それをまかり通らせては周辺住民の協力が得られない非常にデリカシーの必要な行政行為だと思う。ところが、それが特に求められているのが那覇現地での施設局のありようだと思うのです。ところが在来、ともすればというより、一貫して那覇の施設局は、どんな局長をいただいてもやはり演習廃止、演習場の廃絶、演習中止を求め続けた沖繩県民皆さんの側に立つというよりは、ともすれば弾をぶち込む側に立つ。コーディネーターとは言い条、ともすれば安保絶体優先の姿勢が余りにもあらわである。これは私そういう認識を改めることはできません。特に今回の場合、沖繩県側並びに友誼団体からの調査連絡によると、演習当日直前の、阻止団が潜入しているから安全を再点検してもらいたい、安全を保ってもらいたいという申し入れに対して、十分な点検がなされたとはとても思えない。米軍のヘリが恩納岳周辺を形式的にさっと回っただけで、それでいきなり弾をぶつ放した。こういう点においては安全の認識において最も粗漏があったと言わざるを得ないが、その点についてはどういう答弁をあなた方用意していますか。
  92. 銅崎富司

    説明員銅崎富司君) 当日午前九時三十分ごろと、それから九時五十分ごろ、それぞれ場内に人が入っているという通報が局長にございましたので、那覇の局長は直ちに現地に派遣しました局職員に対し、人が入っていないことを十分確認した上で射撃を行うよう米軍に伝えさせ、もし人が入っていることが確認されたら演習は中止するよう指示いたしております。  なお、米軍は射撃開始に先立ちまして、六時二十分から六時四十分までの間ヘリで着弾区域等の探査を行い、人影のないことを確認した上で、七時に第一弾、白煙弾を発射し演習を開始したわけでございます。それから、演習中米軍は中間地点にあります観測所から絶えず着弾区域の監視を行っております。  それから、その途中でも通報がございましたので、十一時二十分から十一時四十分までの間再度ヘリで探査を行いましたが、人影は発見されなかったということでございます。
  93. 秦豊

    ○秦豊君 あなたがどうお答えになりましても、そのチェック自体、点検自体がおざなりであるから発見できないのは当然なんです。あなた方は、沖繩県側、たとえば平良知事のランクで演習の中止を強力に要請している、就任早々の革新知事がね。ところが、一応聞きおくだけ、こちらの耳からこちら。絶えずそういう事務的な対応しかあなた方はしていない、魂がこもっていない。したがって、私が先ほど言ったように安保絶体の姿勢が余りにも露骨になるんだと、こう思う。今度の場合だって、県警は八百人の機動隊を動員していた。米軍は二、三日前から訓練地域内に対して激しい砲撃訓練を現実に行っていた。二、三日前からですよ。つまり近寄らさないためのこれは行為です。で、当日はヘリが飛んだけれどもおざなりであるし、あなたも現地を見られたと思いますけれども、あの付近は樹林がずっとありまして容易にヘリで低空をすれすれに飛んでも発見できない。それを型のごとく二、三回旋回しただけではとても発見できるものではない。だから、訓練場を借りているという意識が米軍側に希薄であるのと、その米軍と県側との間に立つ、住民との間に立つあなた方の対応に、密度に非常に粗さがある、これがいつも繰り返されている。ついに十二回目の演習で憂えていた事故が起こった、起こるべくして起こったとわれわれは言いたい。重ねて答弁を求めます。
  94. 銅崎富司

    説明員銅崎富司君) まず、今回の演習実施に先立ってでございますが、那覇防衛施設局、それから県警、米軍との間で調整を行いまして、演習場周辺と一〇四号線沿い等に総延長三十キロメートルにわたりまして保安さくを設置いたしました。それから、ここが演習場区域であるという標識板等でございますが、これは七百四十二枚に増設をして、この場内に人が入らないように措置をするとともに、人が入っていることが確認された場合には演習は行わないという方針のもとに、安全確保に万全を期したつもりでございます。  それから、那覇の防衛施設局は、先ほども御答弁申し上げましたが、事前に演習の日時、演習内容等につきまして恩納村、金武村、沖繩県に通知をいたしておりますが、県警及び米軍におきましても演習日の数日前から施設内外の警備に当たっておりまして、さらに当日は、先ほど御答弁申し上げましたようにヘリて確認——捜査をするとか、中間地点から絶えず着弾地点の監視を行うというようなことで、安全確保に十分注意をしてまいったわけでございます。  それから、場内でけがをしたということでございますが、現地の局が警察当局、それから県立中部病院等から現在まで聞き得ましたところによりますと、この演習による爆風で受傷——傷を受けたと称しまして中部病院で治療を受けた者がいるということは聞いておりますけれども、詳細については警察当局等の関係機関の協力を得て現在事実関係調査、確認しておるという段階でございます。
  95. 野田哲

    野田哲君 安全を図るためにヘリを飛ばすなどして万全の措置をとったというふうな説明ですけれども、当日は雨模様で霧が非常に深い、こういう気象状態にあったために、地元の方からは、ヘリを飛ばしても十分な確認はできないと、だからヘリでは確認できないので中止をしてもらいたい、こういうことをわざわざ地元の方から申し出があったという事実について、施設庁では実情を把握をしておられますか。
  96. 銅崎富司

    説明員銅崎富司君) 施設庁におきましては、現地局長に対して、上原議員、それから県の渉外部からそれぞれ場内に人が入っているので射撃を中止してくれという申し出がございまして、その都度局長が、先ほど御答弁申し上げましたように、現地に派遣されている職員を通じて人がいるかどうかの再確認、それから人がいたら絶対に射撃しないようにということを、その現地派遣職員を通じて米軍に伝えさしております。
  97. 野田哲

    野田哲君 もう一つ。現地に人がいるかいないかを確認をするためにヘリコプターを飛ばした、そのことが万全の措置をとったんだと、こういう意味に受け取れるような発言をしておられますけれども、当日は気象条件からいってヘリコプターでは確認ができないような状態にあるので、ヘリコプターで確認するだけではだめだと、こういうことを地元の方からヘリを飛ばす前にわざわざ通告に行っている。そういう状態にあるにもかかわらずヘリだけで形式的に処理をした、ここに問題の基本的な要因があるんじゃないかと思うんです。そういう経緯があったということをあなたの方では把握をしておられますか。
  98. 銅崎富司

    説明員銅崎富司君) 当日ヘリだけでございませんで、着弾地を中間の観測地点においてめがねでのぞいて絶えず観測しているわけですが、それが一つと、それから、当日当初から雨、風が吹いていたわけでございませんで、発射される前は見通しがよかったと聞いております。それから雨が強くなったので米軍は一時中止いたしております。ですから、その点で、雨風がある中でヘリで確認した、あるいはそういう見えない状態のときにめがねでのぞいたというふうな報告は受けておりません。   〔委員長退席、理事中村太郎君着席〕
  99. 秦豊

    ○秦豊君 これは本来施設庁長官、沖繩の施設局を含めて、やはり演習がある、地位協定がある、行政協定がある、安保があると、だから演習は行わねばならないという前提を余りにもあなた方が守り過ぎる、むしろ米軍に対して県民の意向を伝えるという努力が余りにも過少である。基本的なありように関するが、あなたに伺ってもそれは答弁としてはみ出すと思うから、もうその問題にはあえて触れない。  警察側に伺います。その後調査はどこまで進んでいるのか、また調査が終了するめどをあなた方いつごろに置いていらっしゃるか。
  100. 若田末人

    説明員(若田末人君) ただいまのお尋ねの件につきましては、けがをしたことだろうと思いますが、よろしゅうございますか。  このけがをしたことにつきましては、そういう情報もございました。現時点でも、当日警察といたしましては演習場内でけがしたということは確認をいたしておりません。ただ自後に至りまして、演習場内でけがした者がおるというようなことでございますので、警察といたしましてはこれについて調査をいたしておりますが、大城重吉という方がその該当者だそうでございまして、県立の中部病院で治療を受けておるというようなことを把握いたしました。そして、もし演習場内でけがをしたということになりますと刑特法違反ということになりますので、われわれの方ではこの捜査をいたしております。先般七月十二日、那覇地裁の令状をいただきまして、発付を得まして、この大城重吉なる方が果たして演習場内でけがをしたものであるかどうか、これが刑特法違反の前提にもなりますので、この事実について鋭意捜査をいたしておるわけでございます。先ほど申し上げました発付を得ました捜索令状によりまして、関係個所九ヵ所につきまして捜索を実施いたしました。そしてこれらの押収した物件等をもとにいたしまして、果たして大城重吉さんが演習場内で当日けがをされたかどうかということについて現在分析をしておる段階でございまして、これから先の見通しについてはまだ不明でございます。
  101. 秦豊

    ○秦豊君 いま沖繩県議会から超党派の抗議団が上京中であります。恐らく御存じだと思う、長坂次長も会談をしているから。十六日まで抗議行動が展開されている。しかも沖繩県議会は三度目の超党派の演習即時中止決議を打ち出していることもあなた方は恐らく御存じだろうと思う。抗議団がおととい横田基地——横田ベースの参謀第五部長であるリスリング大佐と交渉を持ったわけだけれども、その応酬の中で、われわれは日米安保を背景にして演習場を使わしてもらっているんだが、アメリカ側としても、日本政府がもっと沖繩県民の立場を強く反映してくればそれは検討をしていくつもりである、結果としては日米双方の話し合いで決めることになるだろう。さらに突っ込んだ場合に、リスリング大佐は、これは日米安保協議委員会で正式な議題として日本側が出してさえくれれば、われわれは対応するにやぶさかでないと、まあこういう答弁をしているようです。日米安保協議委員会となると、外務も絡めば防衛も絡むという意味で、この際やはり私たちの要求の一つとしてこういう不幸な事態が繰り返されないためにどうするか、安保があるからという前提はあなた方の絶対の立場であろうが、そうではなくて、事故を未然に防ぐ、繰り返さないという立場を強調してあくまでこれは配慮する必要がある。安保協議委員会を開いて議題に緊急に上せるというふうなつもりがあるのかないのか、それを伺っておきたい。
  102. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) ただいまのこの問題を安保協議委員会に上せるかどうか、ただいまのところまだ考えておりません。この問題はやはり双方の安全保障ということについて、生命の安全保障ということについてもう少し話し合いを、あるいは努力をしなくちゃならないんじゃないかというふうに思います。確かに先生おっしゃいますように、これは安保条約に基づきまして米軍が演習場を使用するわけでございますが、義務を負っておりまするわれわれ日本といたしましても、やはりこの基地が日本の安全にかかわる基地であるということにかんがみまして、一方におきましてはやはり安定的に使用されるというあらゆる努力政府としましては考えなけりゃならない。しかし同時に、その国民の生命というもの、あるいはけがをするというようなこと、そういう安全性については十分意思の疎通を図って、そうしてそういうような事態が起こらないようにしなくちゃならないと思うわけでございます。いま先生は、安保条約ということだけでこちらがやっておるというふうに言っておられますけれども、そうじゃなくて、われわれとしてはやはり義務がございますので、それに対して安全性というものを第一に考えながら万全の措置をとっておるつもりであるわけです。しかし、これは一方住民の側におかれましてもお考えをいただきたいものでございまして、ここに入りますことはもう危険なことはわかっておるわけでございます。したがいまして、数日前からいろいろの手だてもしておるわけでございますから、この安全性ということを考えるならば、そういう危険なところには入らないというようなことをやはり考えるべきだというふうに思いますし、少なくとも、反対の意思を表明するということは、これは私は憲法に保障されたことでございますし、いろいろな形において行われることがあってもいいと思いますけれども、しかしこのように、明らかにあそこの中に入るならば危険である、身体の安全というものが脅かされるということがわかっておる、承知をしておる、承知をしておってあそこへ入るというようなことまでして反対をするという、そういう行き方そのものについては、われわれ国民としてはやはり考えなけりゃならないんじゃないかというふうに思います。これは基地があるために、あるいは米軍基地があるがために、あるいはそういう実弾演習があるために沖繩の県民の方々が非常に不快な気持ちを持っておられるという事情を私はわからぬわけではございませんが、少なくともわれわれ上に立つ者といたしましては、相互にそういうような配慮、少なくとも安全を確保するということは第一だという考え方はやはりお互い共通して持って、こういうような処理に当たらなければならないんじゃないかというふうに私は考えておる次第でございます。
  103. 秦豊

    ○秦豊君 あなたね、まあ白書をお出しになるのも自由だ、基盤的防衛力を構想されるのもあなた方の任務の一つかもしれない。しかし、日本国内に展開し、沖繩に最も鋭く集中している沖繩の基地群のあり方、ここから問題は噴き出したわけです。近く日米安保協議委員会という場において、そのいわゆる在日米軍基地の使用の状態、その将来見通しを含めて住民とのトラブルを少なくするために一度包括的に見直しをし、洗い直しをし、アメリカ側と話し合うというつもりはないのかあるのか、この点について端的に伺っておきたい。
  104. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) こういう一般的な問題につきましては、私は話すべき問題であるというふうに考えておるわけでございます。
  105. 秦豊

    ○秦豊君 時間が非常に限定されていますから、本論は総論を一切省いて端的に伺います。防衛白書の問題を伺いたい。  この白書の四十ページ、三十九ページから展開されている「防衛関連諸施策」というところなんですが、質問のポイントは。この国内施策の項について、各省庁ごとに具体的にそれではどのような法改正が必要だと考えていらっしゃるのか、具体的に各省庁ごとに聞いていきたい。防衛は当然それを把握していると思うのだが、それを具体的に答えていただきたい。
  106. 玉木清司

    説明員(玉木清司君) 御指摘の「関連諸施策」のところでございますけれども防衛庁としましてはここに掲げましたように、「国防の基本方針」の第二項にありますところの国の安全を保障するために必要な基盤を確立するという基本方針がございますので、それを各省庁においてそれぞれのお立場で防衛の感覚を入れてお考えいただきたいと、こういう問題提起をしたものでございまして、具体的なものを防衛庁が念頭に置いて記述してあるものではございません。
  107. 秦豊

    ○秦豊君 たとえば自衛隊法その他法令、それから戦時非常立法というふうな範疇に入る問題で、たとえば道路交通、弾薬輸送、民間空港の使用問題、それから航空管制、電波法、ずっと枝葉が広がっていくと思う。玉木さんの話によるとまだ具体的に把握されていないそうだが、各省庁には、じゃ考えおいてくれという申し入れをしただけですか。
  108. 玉木清司

    説明員(玉木清司君) 今回、白書を一般に公刊するに際しまして、各省におきましてもそれぞれ所管の行政の範囲で防衛一般的な考え方を理解された上でそれをそれぞれお考えいただきたい、こういう問題の提起にとどめた次第でございます。
  109. 秦豊

    ○秦豊君 昭和三十八年三月、余りにも有名な三矢研究、統幕研究班の三矢研究、あの基礎研究1、非常事態措置、諸法令の研究という個所を見ると、まさに今回あなた方の防衛白書の、この私の申し上げた条項に絡んだ発想が展開されています。それはあなた方も熟知されていると思う。つまり、あなた方はユニホームの間からの突き上げの一つとして、非常立法がない、自衛隊法を含めて非常時に備える体制をとるべきではないかという突き上げに屈した形で、内局がそれを吸い上げる形でこういうことをちらっと出したんではないかと私は思う。まさに、三矢研究は廃棄されましたと、あれほどわが党の先輩議員が鋭く追及して、すでに戦後防衛論争史の中に残っている事件である三矢研究は死んだ。しかし発想は生きている。そして今度の防衛白書の中にまさにこの統幕研究班の三矢研究が頭をもたげてきた、よみがえったという感じを私は持たざるを得ない。で、この方向はあなた方にとっては常識かもしれないけれども、思わずどきっとするようなこれは表現である。やはり国民の防衛意識の高揚等々を図るとともに、科学技術、教育、建設、運輸、通信等について関係諸法令を整備し、これらの行政に国防上の配慮を加えること、まさにこれは図上作戦と合致する思想です。大変私は、この際衣の下のよろいというか、何か思わずさらけ出されたという感じがしている。防衛庁長官、この表現について込められた意味合いを述べてもらいたい。
  110. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) これは全くいま官房長から申し上げましたことに尽きるわけでございまして、この「日本の防衛」、つまり白書でございますが、これを閣議に報告をいたしました際にも、各省庁の大臣に対しまして、ようやく防衛白書ができました、つまり日本の国を守るについてのわれわれの一応の考え方というものがこれに出ておると思います、そういう観点に立って各省庁でひとつお考えをいただきたい。つまり、防衛の問題というのは単に防衛庁のみで考えるだけの、そういう軍事的なものだけでは今日安全保障というものは考えられない。その意味において各省庁でお考えいただきたいということも申し上げておるわけでございまして、それが各省庁でどういうような問題点になるのか、それは各省庁でお考えになることだと思います。で、その気持ちはどういうことかと申しますと、先生御案内のとおりに、安全保障というのは、いま申し上げますように軍事力のみじゃない。外交あり、経済あり、民生安定あり、あるいは産業ありということかと思います。それがともいたしますると軍事力のみによって一国の安全保障というものが考えられがちである。これは間違いであるというのが私の考え方でありまして、総合的な施策の一環としての防衛力の位置づけというのが実はなされなけりゃならない。それが実は私のこの防衛白書をつくりました意味でもあるわけでございます。しかるにいままでどうかと言うならば、日本の防衛、何から何を守るんだ、どういう規模でどういう内容でということが明らかにされないままであった。十分でなかった。そういうところにおいて、各省庁において施策を進めていこうと思っても、安全保障の立場でいろいろ考えてみようと思いましても、なかなかそれが、防衛庁が一体どういうふうに考えておるんだというようなことがないために、手がかりもなかったという意味において今度の白書というものも意味があるんじゃなかろうかということでございまして、これはまさに今後の課題である。たとえば食糧一つとりましても、単に経済合理主義の立場だけで食糧を考えていいか。もう少し広い視野において、安全保障の立場で食糧政策あるいは農業政策ということを考える必要はないでしょうかというような問いかけをいたしておるわけでございまして、それは問題提起にとどまりまして、各省庁でお考えいただく事柄であるというふうに考えるわけでございます。
  111. 秦豊

    ○秦豊君 玉木官房長、あなた方の仕事ぶりだろうから、漠然と考えてください、伸びやかにいつまでたってもいいからというふうな要請はしないでしょう。防衛庁としても、たとえばポスト四次防を控えている。そうすると、関連して作業をしぼるわけだからいつごろまでに各省庁ごとの、いわゆるぼくらの用語で言えば非常立法体制についての素案を出してくれというタイムリミットをつけた要請をされたんじゃありませんか。
  112. 玉木清司

    説明員(玉木清司君) 白書の立場は、そのようにタイムリミットをつけて各行政官庁にお願いをするということではございませんで、防衛に関する全般的な政策をこうして取りまとめました際に、各省庁におきましても、今後こういう指摘によりまして、具体的なものにつきましては情勢を見ながらそれぞれの立場においてそれぞれの御検討をいただきたいというまでの考えを述べたものでございます。
  113. 秦豊

    ○秦豊君 この基盤的防衛力という、果たしてあなた方でよくわかっているんだろうかというふうな新しいきらびやかな構想について伺いたいんだけれども、やはりぼくたちの率直な印象、私の印象では、いままでのあなた方の出し方に比べると、戦力の表示、表現がぼあっとしていまして、予算の確定に先立つ国防会議で細部を具体的に煮詰めるんだと、こういう方式をとろうとするように思える。だから、在来の何次防何兆円に比べると確かにどぎつくはない。ショッキングがない。新聞の活字が小さい。ところが国民の、納税者の観点からすると、かえって何か隠されているんじゃないかと、全体像がぼやける、つかみにくいという不安になると思う。この方式はやはり一種のローリングバジェットの方式ではないかとも思われるんだけれども、これは四次防の先取り問題でさんざんあなた方痛い目に遭ったので、逆手をとったというか、一種のあなた方のこれは悪知恵です。近代的な悪知恵だと私は言っておきたい。そこで、衝撃緩和のパラショック方式というのかな、そんな感じに見える。あなた方ここまで考えたのであれば、陸海空ごとに、三軍ごとに基盤的防衛力構想による具体的な整備計画をすでにお持ちじゃないのか、それも陸と空についてはすでに成案ができておって、海がもたついておるのではないかと思われるが、御答弁してください。
  114. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 基盤的防衛力につきましては、ここで述べておりますように、日本をめぐる国際情勢がある一定の条件下に置かれるということを前提といたしまして、その場合にわが国の日米安保体制というものを基調といたして、日本がみずから持つ自衛力というものはどの程度のものであってよいのかという発想から出てきておるわけでございまして、したがいまして、この基盤的防衛力については、ある程度のめどをはっきりと国民にお示しできるものであるというふうに考えておるわけでございます。先生御案内のように、四十九年に、当時、平和時における防衛力ということで一応の試算をいたしたものがございます。これは当時、野党の御要望に基づきまして作成いたしたものでございますが、まあいろいろな経緯で正式にはお認めをいただいておりませんけれども、あの当時の考え方一つの延長線上にあるというふうに御理解をいただいてよろしいかと思います。そういう意味で、現在私どものところで陸海空の基盤防衛力としてのあり方、まあ一つのある条件を付しました場合の上限と申しますか、こういったものを現在作業中でございます。で、陸海空それぞれにつきまして一応戦術単位でお示しができるんではないかというふうに考えておるわけでございます。
  115. 秦豊

    ○秦豊君 それを示してください。いままで煮詰まったところを。
  116. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) これは現在作業中でございますので、でき上がりましたら十分お示しができると思います。これは国防会議の御審議にかけまして、そこで十分御検討をいただいた上、はっきりとお示しをいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  117. 秦豊

    ○秦豊君 まあ皆さんは国防会議でポスト四次防の大綱は八月いっぱいとか、大体めどを持っておられるようだが、いまあなたの言われた、じゃ戦術単位で表現する陸海空の具体的な整備計画はいつごろまでにまとめるおつもりですか。
  118. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) いま御質問ございましたポスト四次防の大綱ということではございませんで、いま私が申し上げました基盤的防衛力というものを、できれば八月の末、予算を要求いたします前の段階でということで考えておるわけでございまして、これが八月末に間に合いませんでしたら、来年度の概算要求のまとまります十二月末までにはぜひお決めをいただきたいというふうに思っておるわけでございます。
  119. 秦豊

    ○秦豊君 ずばり伺うと、皆さんの基盤的防衛力というのは平和時の防衛力の質と量にほぼ匹敵すると、こう考えていいですか。
  120. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) これも現在作業中でございますのではっきりお答えはできませんが、大体、当時の平和時の防衛力というものを念頭に置いていただいてよろしいんじゃないかと思います。
  121. 秦豊

    ○秦豊君 そうしますと、所要の防衛力という概念がありますね、この所要の防衛力といままで言われていたのが、大体積み残しがなかったと仮定して一〇〇%完成された四次防による装備計画の達成率と考えていいんですか、大体見合いますか。
  122. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 実は所要防衛力という言葉は、正式には私ども政府レベルで使ったことはないのでございますが、脅威対処という、脅威に見合った対処の仕方ということで考えた場合の防衛力整備の目標を所要防衛力と、内部的にはそういう言葉を使っておりますが、これになりますと大変水準の高いものでございまして、この点についてはいまだかってどのぐらいの数量が必要であるかということについては、内部的な研究をやったこともございませんし、外部にお示しをしたこともございません。
  123. 秦豊

    ○秦豊君 基盤的防衛力という新しいセオリーを持ったからには、あるいは持つためには、当然皆さんの専門的な立場からしまして、有事の際のシミュレーション、これは踏まえたわけでしょうね。
  124. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 当然、各幕におきましてそれぞれの典型的なシナリオにつきまして検討をいたしております。
  125. 秦豊

    ○秦豊君 まあ情報見積もりとかシミュレーションを出せと言うと、もうすぐあなた方の場合、わかっているからそのことは繰り返さないが、そうしますと、いかにすればあなた方の言う基盤的防衛力から有事の際の戦力、あなた方の概念によれば抑止から防衛力というふうに移行、展開、強化されるのか、その検討もしたわけですね。
  126. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) そこは非常に大事なところでございまして、この点についても検討をいたしておりますが、私ども非常に問題といたしますのは、リードタイムがどのぐらい要するかということでございまして、この点についてはまだ詳しいことは私自身聞いておりません。もちろんそういう点についての検討は指示をいたしておりますし、やっております。
  127. 秦豊

    ○秦豊君 まさにリードタイムのことを伺おうと思ったんですが、たとえば防衛生産力とかいろいろ関連しますからね、予備自衛官とか。いまの自衛隊の戦力というのは、基盤的防衛力とどの程度の格差があるんだろうとかという点もちょっと変わった側面から伺っておきたい。
  128. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) いま申し上げますように、基盤的防衛力というものそれ自体が、先ほど申し上げましたように平和時の防衛力というようなものにほぼ近いものという表現で申し上げておるのでございまして、まだはっきり決まっておりませんので、   〔理事中村太郎君退席、委員長着席〕 現在われわれが保有しております防衛力がそれに比べてどのぐらいのパーセントであるかということについても、明確な数字でちょっとお答えできないということでございます。これはいずれにいたしましても、基盤的防衛力ということがはっきり明示できます段階でお示しをできるかと思いますが、ただ、現在の防衛力につきましては、量的な問題を別といたしまして、機能の面において基盤的防衛力に比して欠けておる、不備の面というものはかなりありますので、いまどう申しますか、正面勢力ばかりでございませんで、全体の、後方支援体制すべてを含めて評価をしなければならないと思いますので、たとえば戦車の数量が幾らであるから何%というような表現の仕方は必ずしも実態を正しく反映するものでないと思いますので、その点については総合的な評価は、基盤的防衛力というものができましてから個々の分野について個別的にはできるかと思いますけれども、全体的な評価というのは非常にあいまいなものにならざるを得ないと思いますので、その点はあらかじめ申し上げておきたいと思います。
  129. 秦豊

    ○秦豊君 いまあなた、こう言われましたね、基盤的防衛力、こうありますね、それと自衛隊の現状の配備、装備、編成、展開、これと比べて陸海空それぞれに何がどれぐらいというより、何が足りないんですか。たとえば、飛行場であれば爆撃に対する抵抗性とかいろいろあると思う。あるいはミサイルとのバランスとかいろいろあると思うが、もう少し具体的に聞かないとイメージが鮮明にならない、抽象的過ぎる。
  130. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) これも現在検討の段階でございますので、私が申し上げますのはあくまでも、何といいますか、中途半端なことにならざるを得ないと思うわけでございますが、たとえば陸の十八万という定数でございますが、これはどうかと申しますと、大体この程度が基盤的防衛力ではないかというふうに考えておりますし、それから戦術単位といたしまして陸の十三個師団という単位でございますが、これも基盤的防衛力としてはこの程度のものであろうというふうに考えておるわけでございます。欠けております機能といたしましては、御案内のように、防空体制の中で低空進入に対処します早期警戒機能、こういったものは現在欠けておるわけでございまして、近代戦に対応する能力としては、基盤的防衛力としてはこういうものは持たなければなるまいというふうに考えておるわけでございます。
  131. 秦豊

    ○秦豊君 こういう素朴な質問があるんですよね、一兆五千億円です、今年度ほぼ。じゃいまの自衛隊の戦力で陸海空でそれぞれ何が可能なのかという点は、納税者の間に根強いと思うんですよ。つまり、どの程度の侵略にどう対応できるのか、と言っては余りにも范漠としますから、たとえば、あなた方が漠然と各幕に与えている戦略成算というか、という中に、たとえば航空は持久度一週間とか、陸に対しては持久一ヵ月とか、海はさっぱりわからぬとか、こういうような漠然たるものはあるんでしょう。そういうものもないんですか、自衛隊の構想の中に。もっとぼあっとしたものなんですか、この程度はあるんですか。
  132. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) まず基盤的防衛力につきましてはもう十分お読みいただいておりますので、ここでほとんど私ども考え方は出ておると思いますが、この基盤的防衛力という考え方は、全体として一応欠落のない、すきのない、均整のとれた防衛力。これは正面装備、それから後方支援体制といったすべてを含めての問題でございますが、そういうことで、この防衛力を持つことそれ自体がすでに基本的には平和維持機能であるという物の考え方でございます。要するに空白をつくらない、相手方から攻めるすきを与えないという意味、また仮に攻めてきても相当程度の抵抗をし得られるという意味での防衛力であるわけでございます。そこで現在の国際情勢のいわゆる平和時というものが継続するという前提条件のもとにおいては、安保体制を基盤としてみずから持つ自衛力というのはそういうものでよいではないかという考え方でございます。ですから、本来、侵攻にそのものが対処し得るということを考えておるわけではないわけでございます。ただし、安保体制によって大きな形の侵略、大規模な侵略というものは抑制をされるけれども、小規模の間隙に乗じた奇襲的なものというものは可能性としては考えておかなければならない。したがって、現在この基盤的防衛力はそういった小規模のものに対してはそのまま対処し得る能力もあわせ持っておく必要があるんではないかと、こういうことでございます。
  133. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) いま申し上げますような小規模以下の限定的な奇襲というようなものには即応力を持った体制、つまりアメリカに依存しなくてもやれる力を持つべきだというのが大体の基盤的防衛力の規模であり内容であり質であると。しかし、それがどうして出てきたのかというと、戦後のいわゆる核の出現によって核競争は行われておるけれども、その核破壊というものが余りにもひどい破滅的なものであるという前提で、核の競争は一方にやりつつも実は核は使いにくくなってきた。そして、かえって、たとえばフランスの最近の防衛計画を考えてもいいのでございますけれども、通常兵力というものがまた物を言うような時期になってきた。つまりNATO、ワルシャワの体制では、明らかにワルシャワ体制の方が通常兵力においては力が優位である、しかしそれを支えておるのは核、戦術核であると、そういうことで均衡が保って平和維持が可能になっておる、したがって核が使えなくなったとなれば通常兵力が物を言うということで、NATO諸国でも最近は通常兵力を高めようというふうになってきておる。しかしまた、通常兵力の使用、軍事使用ということもやはり核を誘発しかねないという危険があって、これは戦後三十年非常に限定的になってきておる。たとえば中東において、あるいはベトナムにおいて、あるいは朝鮮半島において、つまり目的、それから手段方法、それからローカル——局地的に制限しようという動き、あるいは期間についても短期決戦というような形、そういうふうになってきて、つまり今日ほど核を保有しておる国と小中国の持っておる防衛力と差がはなはだしい、軍事力のみによって言うならばはなはだしい時期はない。しかしながらこの三十年の経験、核の出現によってむしろ小中国が持っておる通常兵器といえども軍事力としてかなりの意味合いを持ってきた。そうして日本の周辺を見れば中ソ関係あるいは米ソ関係、それから朝鮮半島のあの事態ということで直接の脅威というものは日本にはいまあるとは考えられない。こういう状況において起こり得べき事態というのは、安保条約がある限り、これが有効に機能しておる限り非常に限定的なものであるだろうと、そしてその限定的なものに対しては即応力を持った基盤的防衛力であっていいのではないかというのがこの構想全体の基本になっておるということを申し上げておきたいと思います。
  134. 秦豊

    ○秦豊君 わかりました。うんちくを傾けていただいて大変感謝をいたしますが、やはり丸山さんはあしたからもう次官だし、あなたは当分いらっしゃるし、どうも各幕がいま兵力量、予算を積み上げているんですよね。内局は目を光らしてそれをどういうプライオリティーで削るか虎視たんたんとしているわけだ。これから力と力、理論と理論がぶつかるわけだ。われわれが聞きたいのはあなたのうんちくじゃない。国際常識じゃない。レクチュアじゃない。具体的なものを聞きたいが、ついにそれは望む方が無理かもしれない。  経団連の防衛生産委員会の見解によりますと、基盤的防衛力を考える場合には予備自衛官であるとか、基幹要員部隊の創設と並んで広義の後方支援業務の民間委託への配慮、また基盤的防衛生産力を重要な一環として考えろと、これは兵器をつくってもうけようという立場にとっては常識的な発想で珍しくも何ともないけれども、こういうことはやはりあれですか、傾聴すべき意見ですか、それとも何か次元の違う、オクターブの違う意見ですか、防衛局長、どうなんですか。
  135. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 経団連の言われることは、主として生産サイドあるいは経済効率の面の主張という点に非常に重点が置かれておると考えます。しかしながら、それはそれといたしましても、いわゆる後方支援と申しますか、抗たん力と申しますか、そういうものを強化していくという考え方につきましては私ども全く同感でございます。この基盤防衛力におきましても、後方部門と、それから戦闘部門との間にバランスのとれる、均衡がとれることというようなことを申しておりますし、特に装備の近代化あるいは研究開発ということも白書等にうたっておりますので、そういう点から、そういう意味においては全く同じ考え方をしております。ただ強いて申しますと、この経団連の中で、たとえば事業体概念の導入というようなことがございますが、防衛はいささかその言葉にはなじみがたいと思います。そういうことで効率性は非常に大事だと思いますが、若干の見解の相違があると、こういうことでございます。
  136. 秦豊

    ○秦豊君 これは具体論だから答え方が決まってくる。しかし、まだ練っていないから答えない、いろいろ言うと思うけれども、陸上自衛隊、いま再編問題やっています。これは近代化にも関連しますね。そこで伺うのですが、結局は、これは私の印象で失礼であったら怒っていただいていいのだけれども、結局は陸幕が寄り切るのじゃないかと、内局を。陸幕の寄り切りの勝ちですよ、これは。しかし表面的には坂田防衛庁長官の顔も立っているんですね。なかなかその辺はうまい政治配慮が働くらしい、力のバランス、顔のバランスというようなところにね。妥協案というのができる。妥協案としては、北海道の機甲兵団、機甲師団のつまり火力をアップして、そのかわりに人の方を減らす。これはぼくの印象で言っているのだから、答弁してもらいたいのだか——そして一方減らした人をどうするかというと西の方へ持っていく。たとえば四国に沖繩に続く混成団を置いてみたいとか、それから九州の第八師団、熊本駐とん、この人数を少しふやしたらどうかと。幸いこの北海道に配備されている部隊の中には九州出身者がことさらに多い、一石二鳥であると、人事管理上もよろしいというふうな配慮が全部働いて、結局北海道のそれをいま言ったように質を高めて人を減し、それを編成がえに使うと、こういう方向で固まりおるんじゃないですか、どうなんですか。
  137. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 私どもの中での中途の議論でございますが、大変先生お詳しいのであれでございますが、もうほとんどいま先生がおっしゃるような議論が交わされておることは事実でございます。で、私ども考えております陸上自衛隊についての考え方は、御案内のように十八万という定数を持っておりますけれども、予算で充足率というものを年度年度限定をされておるわけでございます。そこで実際の部隊の運用になりますと、特に教育訓練に非常に支障を来すという状態が第一線では出てきておるわけでございまして、それも場所と階級によって大変偏在的になっている。たとえば九州でございますと、曹のクラスはむしろ過員に近い状態になっておるにもかかわらず、北海道等におきましてはこの充足率が非常に低いというような事態があるわけでございます。そこで陸上の部隊について、これは基盤的防衛力の考え方と通ずるわけでございますけれども、この整備をしていきます基本的な考え方をどういう考え方で持ってまいるかということで、この採用という面、それから常時の教育訓練、それから平時におきます所要、その中でも特に大きいのは災害出動が非常に大きな要素になるわけでございますが、こういった点を勘案して、言葉としてはちょっと適当でないかと思いますが、一種の郷土防衛部隊的な考え方を導入すべきではないかということでございます。で、一朝有事の際におきましては、たとえば北にそういう問題が起きれば支援の部隊を内地から派遣をするということでこれに対応することを考えたらどうだろうと、そこでいま申し上げましたように、まあ郷土部隊という性格を強く打ち出して、その部隊の中身について再検討をしてみたらどうかという一つの試案として、ただいま先生から御指摘がありましたように、北海道については人員の充足に非常に苦労しておるという点から考えて、それを内地、特に西方に多くを置くということ、それに見合う形で機械を、装備を北の方に重視をするということで考えてみてはどうかということでございまして、ただいまそういう意味で、陸幕と私どもの方でいろいろ種々の案について検討しておることは事実でございますが、その方向で決まるということはいまの段階ではまだ申し上げるところまで至っておらないわけでございます。
  138. 秦豊

    ○秦豊君 その方向でそのまま決まらぬかもしれぬが、この方向以外の方向をとり得ないでしょう、具体的に。北海道の方から具体的に二、三千人を西へという方向にならざるを得ないんじゃないか。いつごろこれ実現するんですか、案がまとまったら。
  139. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 基盤的防衛力の全体の構想というのは、まあかなり後になると思いますが、いまのような問題につきましては、いわゆるポスト四次防と申しますか、来年度から始まる五ヵ年あるいは四ヵ年の間に逐次やってまいりたいと思うわけでございまして、御案内のように人事に絡む問題でございますので、急激に変えるということはいろいろ支障もございますので、長年月をかけてやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  140. 秦豊

    ○秦豊君 長年月といっても、来年度から混成団、それから熊本の師団はふえると、来年度でしょう、おっしゃった意味は。
  141. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 来年度から着手でございまして、部隊の編成とかそういう問題につきましては、全体の見通しができた時点ということになりますので、ばらつきが出てくるということになるかと思います。
  142. 秦豊

    ○秦豊君 大体いまの陸自の再編というのは、再編という言葉は一種の一般的言葉であってユニホームの皆さんの受け取り方は軍縮だと、こういう言葉、昔なつかしい言葉ですね、だから抵抗が強い。だから、さっきぼくの言ったような方向にならざるを得ない。丸山局長の言われたようなほかの方法、そういう選択はあり得ないでしょうね、恐らく。その同じようなユニホームの感覚は、国民総生産−GNPと防衛費の比率、いわゆる一%論の中にもそういうユニホームの感覚は根強く噴き出している。ユニホームの皆さんの間には、三幕共通にほとんど一%の壁という認識があるんです。一%の壁を破らぬとどうもできぬ、野党がうるさい、マスコミがにらんでいる、しかし何とかがんばって一%の壁を破らないとわが国の防衛は達成できない、注文ばかり多いがわれわれは有事には対応できない、この辺が階級章を取って平服を着ると出てくる感じじゃないかと思う。それにつけてもおかしいのは、最近坂田さんの方々での講演でも、もはや一%以内じゃなくて一%程度というふうに微妙に変わっていますね。何月何日から変わったのかぼくは知識がないけれども、あれは一体どういうことなんですか。一%程度というのは一%の壁を破らないと基盤的防衛力も整備がおぼつかない。これがまず一つ。それから一%程度というのは二%ではありませんよね、国民常識からして。じゃ一・二%なのか、いや一・五%なのか、この辺はあなた方何をどう考えているんですかね。
  143. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) これはいま防衛の基本でございます基盤的防衛力というものをずっと積み上げてまいりまして、そして現在の物価その他において計算いたしました場合にどうなるかということを申し上げておるわけで、一応長官指示としましては、やはり一%程度を頭に置いて、そしてひとつ作業を進めてくれという一つの指示はいたしておるわけでございます。しかし、この論理の立て方としまして、一%以内で全部おさめてくれと、こういうやり方がいいのか、それともそうじゃない、積み上げた結果欠落なくあらゆるスペクトラムにこたえるところでそれを計算した場合は一体どれくらいになるのかということは一遍やってみる必要があるのだと、そしてそれを防衛庁なりあるいは国防会議にかけて、それはやはり大蔵の立場から財政経済というような観点からも、あるいは民生安定、いろいろのことから考えても、ここはどうだという一つの御決定があれば、基盤的防衛力の構想はそうなんだけれども、その整備計画についてはたとえば十年でできるやつが十二年、十五年かかるとかいうようなことはこれは出てくる。あるいは毎年度の予算については、そのときそのときのやはり経済によって変動はありますけれども、その立て方そのものを、一%だからそれで計算しろということじゃなくて、一応積み上げてみなさいと、しかし大体の見当は一%程度ですよと、こういうことで積み上げてきておるわけでございまして、そこを一%程度というふうに言っておるということでございます。
  144. 秦豊

    ○秦豊君 自体それが無理なんですよ、あなた方の。つまりあなた方は基盤的防衛力なんて言ったってまるで蜃気楼みたいなものなんです。日本の防衛構想自体が非常に確立されていない、未熟だ、完熟していないとぼくはいつも言うんだけれども、その上にどんなセオリーを積み上げてもむなしい。ユニホームのイライラは、われわれに与えられている戦略成算、任務分担の中でも何に対してどうだといってはっきり政治がそれをオーダーしていない、目標を指さしていないといういらいらがあるわけです。いまの坂田長官の答弁なんかも何にもわからないのだけれども、各幕は突き上げる立場ですよ、あの人々には第一優先として軍事的合理性というのがあるわけです、それが職能なんだから。それを全部積み上げてみなさいというふうにあなた気楽に言うけれども、積み上げたらGNPの一〇%を超えますよ、そんなものは。だからこそ政治が働かなければならない、だからこそ政治の意思が優先しなければならない、そんなことは常識中の常識だと思うんですよ。で、私は非常にこれは危険だと思うんですね。一%以内という時代から、ポスト四次防、平和時の防衛力、基盤的防衛力と言いながら、ふっと気がつくと一%程度と、これは非常に私は危険な曲がり角である、世論操作としては非常に危険じゃないかと私は思うんです。いま私が言ったこの部分までについてひとつ答えてください、どう思っているんですか。
  145. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 私は今度の防衛構想というのはいままでよりも漠然としていないと思うんです。少なくともこの一章、二章で、私が説明しておりますそのこと、いままではそういうやつは非常に漠然としておったと思うんです。それもよく読んでいただいて、そしてそこでおのずと制約が出てくるわけですから、制服で考える場合におきましても先生おっしゃるように無限に各幕が要求するという形にはならない。まともにこれを読んでみて、そういう起こるべき事態というものを考えて積み上げてくるならば、そういままでの二倍、三倍とかなんとかいうようなことにはならないと思うので、いわゆる今度の防衛構想というものはやはり一応の歯どめがある。しかしそれは政治の責任において、外交その他においてわれわれ政治家が払うべきものである、こういうふうなことを明確に少なくともいたしていきたい、従来よりも明確になったと、ここだけは先生ひとつお認めをいただきたいと思うわけでございまして、きょうの御質問が端的な御質問でございますけれども、私たち一章、二章というものは非常に苦心をして分析をいたしたわけでございまして、いままでの所要防衛力というそういうような考え方、これはわりあいに端的につかめる軍事力でございます。それに対応する防衛力とすれば、これも純軍事的な合理性から言うならば出てくる問題でございますが、とらえがたい、変わる、いわゆる国際情勢あるいは周囲の軍事情勢、そういうものをとらえて、そしてここに一つのある程度の客観性というものを持って、起こるべき事態というものはどういうものであるかというこのアプローチは、私はいままでにはなかったんじゃないかというふうに思うわけで、これならばある程度国民の方々にも理解が得られるんじゃないだろうか。そして、何か手の届かないことでもないと、かと言うてまた無限に上がるものでもないんだと、こういうことでは評価していただけるんじゃなかろうかというふうに私は考えておるわけでございます。
  146. 秦豊

    ○秦豊君 まああなた方は、恐らくこれから一・二%でも非常に厚い壁になる、一・三%でもそうでしょう。これからの保守政権というのはますます基盤が弱まるんだから、基盤的防衛力じゃなくて保守政権の基盤がだんだん弱まるんだから大変むずかしいですよ、これは。  防衛協力小委員会のことを少し伺っておきたい。きのうの私のロッキード特別委員会での質問に対して、たしか聞き間違いでなければ指揮系統は二元というふうに、これはもう聞き間違いじゃない、明確に言われたのだから。そうしますと、対潜作戦の場合、ASWの場合に、データリンクあるいは命令系統も二元、二元で具体的に運用できるんですか。
  147. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) ちょっと、いま丸山局長から御答弁を申し上げる前に。  この日米協議委をこの七月の八日にいたしまして新しい委員会ができました。その趣旨につきまして、後ほど資料が届き次第皆様方にお配りいたしたいというふうに思いますから、委員長お取り計らいのほどお願いいたします。
  148. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 対潜のP3あるいはPXLのデータリンクで、日米の間に何といいますか、情報その他が円滑に交換をされるという仕組みになった場合に、その指揮系統が二元と言っていて現実にそういうことができるのかという御質問だろうと思いますが、これはそういう事態も十分考慮に入れまして、たてまえは二元になっておりますので、その二元の調整というものをどういうふうにするか現実の問題に即して検討をする、調整をするというのがこれからの小委員会におきます課題になるわけでございます。
  149. 秦豊

    ○秦豊君 そうしますと、具体的にたとえば兵器ですね、それから弾薬とか通信システム、こういう標準化とか、弾薬ならば互換性を高めるとか、そういう方向は当然まず当面とるわけですか。
  150. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 弾薬の互換性などはやはり当然これは問題になる、研究協議の対象になるかというふうに考えておるわけでございます。で、どこまでができるかということも、これは先生十分御案内のとおり、NATOにおきましても標準化ということを毎たび唱えながらなかなか進まないわけでございまして、現実の問題となるとなかなか細かい問題で、具体的な問題でいろいろ障害があるようでございますが、いずれにいたしましてもこれを研究協議の対象にするという考え方でおるわけでございます。
  151. 秦豊

    ○秦豊君 これは外務省にも絡むと思うんですけれども、これが機能するために小委員会がどんな部会を考えているのか。たとえば私どもの調べでは輸送とか科学技術とか治安なんというのも含まれるのではないか、つまり、先ほどは非常立法のすでに下ごしらえが行われつつあり、そして三矢作戦を見ても基礎研究第四項対米関係事項を見ると、例の作戦調整上、日米統合作戦司令部なんというのがちゃんと記されているし、三矢なき三矢路線で、もう坂田さんが一番仕事をした、歴代長官の中で一番仕事をしたものだから一番ユニホームに頼られた防衛庁長官じゃないかと私は思うんだけれども、われわれから言うと非常に仕事をし過ぎたと思っている。だからこの防衛協力小委員会というのは、きわめて私どもに言わせればきな臭い有事即応の体制をとろうとしている。部会なんというのはもうそろそろ煮詰まっておるんでしょう。どんなのができるんですか、一体。
  152. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) まず現状から申し上げますと、ただいま大臣からお話がございましたように、七月の八日に安保協議委員会が開かれまして、そこで日米防衛協力小委員会というものを設置するということが合意をされたということでございまして、これからそのメンバーも決めていただきましたのでこの小委員会をたびたび開きまして、この実質的な研究協議の中身に入ってまいりたいというふうに考えておるわけでございますが、まず最初数回は、いわゆるオーガナイジングミーティングというかっこうになるかと思いますが、運営をどうするか、それからどういう形の部会を設けるかというようなこと、それからいまの協議研究の対象になりますいわゆるアジェンダでございますが、これも両者で合意をした上で進めるというようなことになる。それからまずその頻度も二月に一回するのか毎月にするのかというような問題もあるかと思います。そういうものが定められ、それが日米の間において合意されるまでははっきりしたことを申し上げる段階ではないわけでございますが、私どもは一体どんなことを考えておるかということを申し上げますと、部会につきましては、恐らく先ほどお挙げになりました通信とか、あるいは補給あるいは輸送といったような問題は、これは場合によっては部会を設けることになるかもしれないというふうに思います。それで治安の問題お挙げになっておりましたが、これは前に総理の御答弁にもありますように、治安というのは、これはまさに日本の国の問題でございます。何もアメリカと相談をして決めるというような物事ではございません。したがってこの協議の対象にもなりませんし、部会を設置するというようなことも考えておらないわけでございます。
  153. 秦豊

    ○秦豊君 この治安というのは、アメリカ側の基地を安定的に、特に有事の際にわれわれのデモ隊に襲われないようにとか、そういうことを含めた基地防衛が非常に重点的になると思うんですよ。それはかなりな頻度で作業されて、いつごろまでに本当に小委員会としてのオーガニゼーションができるんですか、それからどこに置くんですか。
  154. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) これは一種の常置的な委員会のように私どもは観念しております。と申しますのは、メンバーが全部日本におる関係で開こうと思えばいっでも開けるという状態にあるわけでございまして、まあ私どもの立場からすれば隔月一回というぐらいの頻度では開いてもらいたいと思っております。  それから、いつ終わるかということでございますが、これは情勢がたびたび変わってまいりますので、ずっと、少なくとも安保条約が続く限りはその設置をしていただきたいというふうに私どもは考えておるわけでございます。  それから、どこに置くかということでございますが、これは事務局をどこにするかという問題でございまして、ここで関係をいたしますのは日本サイドは外務省と防衛庁でございますので、この問題についてはまだ外務省との間にはっきりした合意に達しておりませんので、第一回が開かれるまでには何とか決めたいというふうに思っておるわけでございます。
  155. 秦豊

    ○秦豊君 アメリカ局長、アメリカ側としましては、在日のスタッフがこの委員会へ入ってくるんだけれども、とりあえず防衛協力といった場合、あなたは一番アメリカの感触を詳しくつかんでいらっしゃるから伺うんですが、何を目指して、当面は何をどの辺まで持ってきて、最終的には何をやるというようなラフスケッチがありますよね、で、よく言われているように対潜作戦での分担を具体化しろ、急げというあたりだと思うんだけれども、アメリカ側は今度の防衛協力小委員会の発足を当然歓迎していると思うが、どういうふうな具体的な要請が感得できますか、対潜も含めて。
  156. 山崎敏夫

    説明員(山崎敏夫君) この防衛協力委の問題は、もともと坂田長官がいわば言い出された問題でございまして、日本側のいわばペースでこれは進んでおるわけでございます。この日本側のペースをアメリカ側も尊重するということを言っております。したがいまして、具体的なことについてわれわれはまだ何らアメリカ側の感触は承知しておりませんが、一般的に申し上げれば、アメリカはもちろん日本側が日本周辺の防衛について大いに力を入れてもらいたいということは申しております。その意味で、従来からもシュレジンジャー前国防長官にせよ、また現在の国防長官にせよ、またアメリカの軍関係者にせよ、日本の防空とか対潜能力の向上とか、そういうものについては日本側に期待はしておりますし、またそういう問題について話し合いたいということは申しております。
  157. 秦豊

    ○秦豊君 全然違ったことをちょっと時間がありませんから最後に伺いたいんですが、FXの調査団、ユニホームの皆さんはいまF14に早くならにゃいかぬと言っているんだけれども、内局から別なチームをお出しになったのですか、最近。どんな方が何のためにいまごろ行ったんですかね。
  158. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) これは、本来ならば幕が参りますときに同行をいたしたいということで考えておったわけでございますが、いろいろロッキード委員会等、担当の者でいろいろ事務が重複しておりましたので若干延び延びになって、後から行くというようなことになっておったわけでございます。現在、具体的には装備局の航空機課長以下三名、アメリカの方に約一週間の予定で参っております。主として調達面の問題あるいは今般米国側でいろいろ法律の改正の動き等がございますのでそういった問題、あるいは調達の問題、あるいは価格関係というようなことについての調査をかねまして行っているわけでございます。
  159. 中村太郎

    ○中村太郎君 防衛の問題につきましてはいろいろありますけれども、私はつい最近新聞に出ましたことに関連しまして、きょうは特に海の問題、ソ連の戦略、そういうことについてお伺いをしてみたいと思います。  まず第一に、最近の一部の新聞に出ましたように、日本の本土に対して特にソ連の航空機あるいは艦艇が異常接近をしておるということが明らかにされておりますけれども、この実態は一体どうなっておるのか、これをひとつ時間がございませんから、簡潔でしかもわかりやすくお答えをいただきたいと思います。
  160. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) ことしの五月以降、特に日本周辺に対します近接が目立つようになりまして、大体それはまず情報収集艦でございますが、御案内のようにこの情報収集艦と申しますのは、ELINTと申します電子の情報を集めて、そしてレーダーとか、あるいはそれに関連するいろいろ電波を使用して動く兵器でございますが、それを収集してその性能を分析するという目的を持っておる船でございますが、この電波情報収集艦、これが日本のあれに近接をしております。グアムあるいはクェゼリンに配置をされておりましたものが、在来は真っすぐウラジオストクに津軽海峡を通って帰っておったわけでございますが、たまたま房総沖で海上自衛隊が対潜作戦、演習をやっておりました関係もあったと思われますが、これの監視をしばらく行ったということが二度重なって起きております。それから日本海方面では若狭湾の沖に、いままであらわれたことございませんがこれが来ておりますし、それから九州にも参っております。それから熊野灘にも来ておりまして、これはいずれも航空自衛隊のバッジのシステムでございますレーダーの性能についての調査ではないかというふうに私どもは判断をいたしておるわけでございます。  それから、七月に入りましてから、現在のソ連の極東艦隊に配備をされています、極東艦隊のいわば主力艦でございますクレスタII型、それからカシン型、カニン型、クレスタはミサイル巡洋艦、それからそのほか二つはミサイル駆逐艦でございますが、この三隻に給油艦が随伴をいたしまして、七月二日に対馬海峡を通りまして吐から列島を横断をして、そして沖繩の東海面に出まして、ここで演習を行っておったようでございました。ちょうどこれに合同いたしまして、七月の六日と、それから十二日かと思いますが、東の方は太平洋沿いに北海道の東からずっとオホーツク海を下がってまいりまして、銚子沖から沖繩の海にTU95ベアという長距離爆撃機の型でございますが、これを対潜哨戒機に改造をいたしました、つい最近これはでき上がったものでございます。すでにNATO方面には配備になっておるものでございますが、最近極東に十機配備になったと言われておりますが、そのうちの六機がこちらへ、演習場に飛んでおります。それからIL38と申します、これはメイという対潜哨戒機でございますが、これが七機、やはり飛んでこれに合同いたしております。ちょうどIL38が重さが六十一トンでございましてP3Cと同じクラスのものでございます。それから最初に申しましたベアという新しいタイプの対潜哨戒機は百トンを超しますので、これは約二倍の重さのものでございます。で、航続時間その他につきましても、御案内のようにこれは相当長距離の時間が可能であるということでございます。  で、この艦隊とそれから航空機の共同の、恐らくこれは性能その他から見まして対潜訓練、対潜演習であるというふうに思われますが、この途中、クレスタと、それからカニンの二隻が長崎の五島列島と、佐世保の入り口になりますが、沿岸九マイルのところまで近づいてまいりまして、また再び南下をしたと、この行動については全く私どもの方は不可解でございまして、どういう目的でそういう行動をとったかということははっきりいたしておりません。  それからもう一つは、東シナ海で東シナ海の測量を行っておりました測量艦が北上いたしまして、平戸のつい鼻先でございますが、ここでいかりをおろして一日とどまっておる。再びこれが対馬海峡を通りましてウラジオの方へ帰っていったと、こういう状況でございます。
  161. 中村太郎

    ○中村太郎君 この時期に、しかもかってない大規模な艦艇の本土への接近ということについては、防衛庁としては一体この意図、目的、どういう形で把握していますか、その点をお伺いいたします。
  162. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) これはそれぞれその船の性能、ミッションから申しまして違っておるかと思いますが、先ほど申し上げましたように、電子情報収集艦につきましては、日本の自衛隊の持っております各種レーダーを初めといたします各種の装備についての性能の測定ということであると思います。それからクレスタその他の艦艇の動きにつきましては、最近極東艦隊の司令官が更送になりまして新しく新任の司令官が着任しておるわけでございますが、クレスタに大将旗が翻っておったというのを当方で視認をいたしておりますので、恐らく司令官が乗って初めての演習を実施をしておるということではないかと思います。ただ、先ほど申し上げましたように九州の佐世保の鼻先まで来たということについては、その目的が何であるかについてははっきり推測をしかねるという状況でございます。いずれにいたしましても、海軍力というものの持っておる本来の目的、つまり、戦時においては相手方水上勢力に対する打撃力としての問題があるわけでございますが、平時においては外交の裏づけとして、いわゆる旗艦外交とも申されておりますが、そういううちの一環としてソ連の極東艦隊の威力というものを誇示する目的ではないかというふうに考えるわけでございます。
  163. 中村太郎

    ○中村太郎君 言うならば、個人のうちで言えば玄関先を土足で荒らしておるという状態なんですね。しかし、玄関の中へ入ってこないためにどうにも手も足も出ないというような状態じゃないかと思うんです。こういうなすがままに任しておく、これに対する対応策というのは全くないんでしょうか。たとえばアメリカのような国が、ソ連の海軍が日本と同じような行動をとった場合に一体アメリカがこれを黙って見ているんでしょうかね、この辺どうなんでしょうか。
  164. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 領海侵犯、領空侵犯ということがない以上、わが国としては何らこれに対する対抗措置というものはとれないというふうに思うわけでございます。アメリカにつきましては、アメリカは先ほど申し上げましたようにポラリス潜水艦の基地が、太平洋だけに限って申しますとグアムにあるわけでございまして、このグアムのポラリス潜水艦の基地のすぐ前に四六時中必ず一隻の情報収集艦を置いておるわけでございます。それからクェゼリン、これはICBMの弾着地でございますが、これにも必ず一隻置いております。わが国の場合には対馬海峡に必ず一隻おりまして、これは監視を兼ねますと同時に、ここを航行いたします艦船あるいは航空機の誘導に当たっているというふうに思われます。  アメリカがどのような対抗措置をとっておるかということでございますが、実はアメリカもソ連に対する監視をやっておるわけでございまして、この両方の艦船が余りに近接したために一度事故を起こしておるわけでございます。そこで一九七二年に米ソの間で海上の事故防止の協定を締結をいたしております。いずれにいたしましても、これだけの海軍力を双方ほとんど対等に持っておるところでございますので、相互にその演習の内容、新しい兵器の性能といったものについては相当の関心を持ってお互いに監視をしておるという状況でございまして、これがまた同時に米ソの抑止力にもつながっておると。ある程度の兵器の性能、確実性につきましては、相手方にむしろ知ってもらっている方がよろしいということもあるかと思いますが、そういうことで、この点につきましては、わが国としては、先ほど申しましたように、領空侵犯あるいは領海侵犯というものがない以上、特別の措置というものはとれないのではないかというふうに考えるわけでございます。
  165. 中村太郎

    ○中村太郎君 日本の国が専守防衛だから、あるいは国際法上の法規の関係でこれが排除できないということじゃないんですよね、やっぱり力があれば、領海外の公海の中に日本の艦艇を並べておけば、これが障害になってやれないと思うんです。そういう意味では、日本にとってはそういうアメリカのような力がないためにできないんだということだと思うんです。ということになると思うんですよ。  まあそれはそれとして、じゃ自衛隊としては、防衛庁としては一体、これをそのじゅうりんに任しておくのか、傍観しているのか、一体これからどうしようというのか、その辺の何か対策があるんですか。
  166. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) これは平時でございますし、私どもとしてはこういった船の動きについては十分その動向を監視をしておく必要がございますので、航空機あるいは艦船を使用いたしまして、必要に応じて監視活動を継続をいたしておるというところでございます。
  167. 中村太郎

    ○中村太郎君 それはそれとして、ソ連の戦略、ちょっとお伺いしたいんですけれども、ソ連のいまの海上兵力というのは、現状でももうソ連商船隊の保護、防衛ということに必要な規模をはるかにオーバーしているんだと、しかも他国の商船に脅威を与えておると言われておるわけでございます。特に先般ですか、米国の海軍作戦部長さんが、日本海においてはいまや米海軍は作戦の行動の自由を失ったということを言明されておるんですけれども、こういうことに対する防衛庁の認識は一体どうなんでしょうか。
  168. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 御指摘のようにハロウェー作戦部長が、日本海という名称はすでに失われつつあるというような趣旨発言をしておりますことは私どもも承知をいたしておるわけでございますが、アメリカの第七艦隊でございますが、一時期のピーク時から比べますと、たとえば航空母艦についてはかって三隻あったものが二隻になるというようなことで相対的には勢力は落ちておりますけれども、この七月八日に参りましたがイラー・アメリカ太平洋軍司令官も、かつてのようにアメリカが絶対に優位であるという時代はすでに去ったと、去ったが、しかしながらアメリカとしてはやはりソ連の艦隊に対する均衡は維持していけるということを言っておるわけでございまして、日本海がソ連海になったというようなそういう評価も一面にはあるかと思いますが、必ずしもその言葉どおりに受け取ってよろしいのかどうかという点につきますと、私どもは必ずしもそうではないというふうに考えるわけでございます。
  169. 中村太郎

    ○中村太郎君 これもこの道の専門家によって数々指摘されておるんですけれども、言うならばソ連の世界戦略というやつで、これははっきり言明しているんですけれども、要するにデタントの背景の中で、ソ連としてはこの際ほど解放闘争あるいはイデオロギー闘争に有利なときはないんだという言明をしております。このためにはやっぱり海軍力を強化することが最適だという中で、これはもうこの十年間で、非常な精力を注いでいまのように世界的規模になっておるということは当然言われておるわけでございます。現実にこれも指摘されておりますけれども、特にインド洋なんかでは、ペルシャ湾の産油地帯を直接は現状では支配しておりませんけれども、例のオマーンを支配下におさめて、いつでもこの航路を破壊するために影響するようなことを考えておるんではないかと言われております。あるいはまたインドシナ三国をその影響下におさめて、東西交通の要衝のマラッカを押さえて何とかこれも支配下におさめようという動きもあることも当然言われております。さらにまた、例の紅海のアデンとソマリアを全面的にソ連の勢力下におさめましたし、これによってスエズ運河の交通に支配力を及ぼそうとしておるということも指摘されておるわけでございます。しかも一番私どもが恐れておりますのは、万一南東アジアの地域でインドネシアを含めたあの地域がソ連の影響下に入ったとしたら、一体日本はどうなるだろうか。これは海洋交通を遮断される、その懸念が十分あるというわけでございますけれども、こういう考え方一般的に通っておるんですけれども、こういうような考え方防衛庁としてはどういうふうにお考えでございますか。こんなことは絶対にないんだと、大丈夫だというお考えですか、それともそういう予想はあり得ると、心配はあり得るというお考えでしょうか、この辺をひとつ御感触を承りたいと思う。
  170. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 大変むずかしい御質問でございまして……
  171. 中村太郎

    ○中村太郎君 いや、それはむずかしくないですよ。防衛専門家は皆言ってますよ。
  172. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 御案内のように、わが国が外国資源に依存しておるのは九八%を超えておるという事態でございまして、特にエネルギー資源については大部分を中東の油に依存しているという実態があるわけでございます。
  173. 中村太郎

    ○中村太郎君 いや防衛局長、それは後でいいんですよ。いまのような一般的に言われている認識は妥当なものか、防衛庁としてはそんなことはないんだと、大丈夫だというお考えかというどっちかなんですよ。
  174. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 少なくとも、先ほどこの基盤的防衛力という考え方を打ち出しておりますその背景となる国際情勢の判断という中には、ただいまおっしゃるようなことは入っておりません。そういうことはないと、基盤的防衛力の成り立つ基盤は——基盤といいますか前提条件は、ただいまおっしゃるような事態が起きないであろうということを前提にこの基盤的防衛力を組み立てておるのでございます。
  175. 中村太郎

    ○中村太郎君 大変甘いと思うんですよね。これはいやしくも日本の防衛を担当する防衛庁としてはきわめて甘い。せっかくあれだけシビアに防衛白書の前提で言っているんですから、この辺のことをやっぱり踏まえなければ問題にならぬと私は思うんです。これはおよそ日本の中の防衛専門家というのは、一様にこう把握しているんです。言明されておる。だから、そういう防衛というものはあり得べき可能性の中に立って、極限に立ってやっぱりどうするかということを考えていかなければ防衛じゃありませんよね。これは絶対ないんだと言えばこれは何にも知らぬでもいいんですからね、そういう点で私は非常に御認識甘いと思う。しかし、仮にいまの言われているようなことが、私はあり得ると思う、直ちにあり得るかどうかは別問題として。そういう中では、やっぱり自由圏としては、この際やっぱりアメリカの抑止力、アメリカの海軍力、これに頼らざるを得ないんですよ。そうなりますと、先ほどおっしゃったように、しからば現状においてソ連の海軍力と極東におけるアメリカの海軍力とのバランスは一体どうなっているんだと、均衡状態。どういう現状において勢力差があるのか、この辺の事情についてお伺いしたいと思います。
  176. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 多少資料が古いかと思いますが、第七艦隊とソ連の太平洋艦隊の比較でございますが、第七艦隊につきましては、そのときどきによって多少の増減がございますけれども、現在艦艇が約六十隻、それから航空機約四百五十機から成っておりまして、攻撃、哨戒、補給などの任務を持つ数個のタスクフォースに分かれております。艦艇は主だったものを申し上げますと、空母が二、巡洋艦四、駆逐艦クラスが二十、潜水艦五というところでございます。  それからソ連の太平洋艦隊でございますが、これは御存じのように、現在ウラジオストクに司令部を置きまして、カムチャツカのペトロパブロフスク、それから沿海州にございますソブガバニ、こういったところが拠点になっております。現在艦艇は約七百五十五隻、トン数は約百二十万トンでございまして、艦艇は、潜水艦が約百二十五隻、この百二十五隻のうち約四十隻が原子力潜水艦でございます。それから巡洋艦が約十隻、駆逐艦クラスが約八十隻でございます。で、航空機は、空母がございませんので、航空機は海軍としては先ほど申し上げました対潜哨戒機を保有をいたしておる、こういうことでございます。
  177. 中村太郎

    ○中村太郎君 そこで、制海は即制空ということになると思うんですけれども、いまお述べになられましたこの両国の戦力、これはあなたたち専門的な立場に立ってどちらが一体優位に立つのか、この辺の判断はどうなんですか。
  178. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) これはなかなかこれだけの勢力と申しますか、状態だけで簡単にどちらが強いとか弱いということを申し上げることは非常にむずかしい問題であるかと思うわけでございます。少なくともこういったものを背景といたしまして、現在、平時においてどこまで影響力を及ぼしておるかということによって、一応の、一つの目安になるかと思うわけでございますが、先ごろの国防白書によりまして、アメリカはハワイからアラスカに至る、いわゆるシーレーンでございますが、シーライン・オブ・コミュニケーションと言っておりますが、海上交通路、これを確保をしておるが、西太平洋においては非常にむずかしくなりつつあるということを国防白書で言っておるわけでございまして、これはやはりソ連の太平洋艦隊の影響力というものを如実に認めておるということではないかと思います。  それから先ほど中村先生からお話がございましたインド洋におきましては、依然としてやはりソ連の極東艦隊がある一定数の日数をもってここに滞在をするということでございまして、現在パキスタン、あるいは先ほどお話がございましたアデンとか、あるいはソマリアのベルベラ、こういつたところが基地として使われておるようでございます。それからアメリカは、御案内のジエゴガルシアを中心といたしまして、インド洋にいわゆるプレゼンスの効果を発揮をいたしておるということでございまして、こういう点から見ますと、インド洋において大体互角の態勢、それから西太平洋においてソ連の太平洋艦隊の影響力というものはかなり強く出てきておる。それからアメリカの第七艦隊、第三艦隊と、こういったものを含めまして、太平洋の中部から東の地域においてはアメリカの影響力が大変強いというふうに判断すべきではないかと思うのでございますが、これは大変大ざっぱな判断でございまして、日本周辺においては、アメリカが横須賀に一つ基地を置いておりますので、そういう意味では第七艦隊と太平洋艦隊というものは、一応バランスのとれた形で存在しているというふうに判断すべきではないかと思います。
  179. 中村太郎

    ○中村太郎君 なぜそういうことを聞くかというと、要するに日本の防衛考え方というものは、局地戦について一応の防衛力があればいいんだと、体制的には安保条約によってアメリカに依存するんだということなんですから、海洋におけるアメリカとソ連とのこれは海軍力を当然頭の中へ置かなければいかぬと思うんです。で、いまお説のように、大体そのとおりだと私ども素人も判断をいたしておるんです。問題はインド洋ですね。特にいまのソ連の世界戦略というものが、要するに核戦争に入らないで、その前に海軍力を駆使して、言うならば海上封鎖というような手を通じてその影響下におさめていこうという考え方があると言われておるんです。そこで、一番問題になるのは、特に日本のような海洋国、これに対する海上交通の安全保護といったものは一体どういうようになっているんだろうかということなんです。この点についてはどうなんですか。御承知のとおり安保条約なんというものは海上交通の安全ということに寄与しませんからね、これはどういうふうにお考えになっていましょうか。特に、言うまでもないんですけれども、とにかく資源にしても食糧にしても、ほとんど大半を海外に依存しておるということになりますると、こここそ生命線なんですよ。ここを遮断されたらこれはどうにもならない。しかも御案内のとおり、日本は備蓄なんてほとんどやってないんですから、こういうことに対して、海上交通の安全ということは、元来これは防衛庁の任務なんですよ。自衛隊の任務なんです。いまどういうように対処しているのか、これをお伺いしたいと思うんです。
  180. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 日本のように資源の大部分を海外に依存するという、こういう事態の国におきましては、国の総合施策によってこれに対処するということが私は一番最善の方法であるし、第一番にとらなければならない手であるというふうに考えるわけでございます。たとえばエネルギー資源にいたしましても、現在通産省は九十日の備蓄ということを目標に政策を進めておるわけでございますが、これが確実に九十日分の備蓄が確保されるということになれば、日本に敵対する国が海上封鎖によって石油の道を遮断をいたしましても、その期間日本は十分需要に持ちこたえ得るということ、つまり石油の道を断つということが日本に対する脅威でなくなる、ある期間は脅威でないということになるわけでございまして、これが食糧の小麦粉その他、あらゆる問題についてそういう態勢がとられるということがまず大事なことではないかというふうに考えるわけでございます。  で、海上自衛隊の力によって、日本に参ります船舶の全部を完全に日本まで到達せしめるということは、これは全く不可能のことでございます。また仮に大変海上自衛隊の力を増強いたしまして現在の十倍にいたしましたところで、その効果はそれほど大きくあらわれるものではないというふうに考えておるわけでございまして、海上自衛隊が対潜能力を持つということは、自由に振る舞わせない、日本の近海において潜水艦の跳梁ばっこを許さないという意味において必要な限度における海上自衛力、対潜能力というものを保有する意味があるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  181. 中村太郎

    ○中村太郎君 去年の四月のオケアンのあの七五の演習ですね、あの中でいろいろやったんですけれども、中でもオホーツク海をやったり、あるいはまた日本の東方約四千八百キロの太平洋上、それからフィリピン沖、カロリン群島の西北部、この作戦行動は日本の資源ルートに焦点を合わせたんだということが指摘されているんですよ、この判断はどうなんでしょうかね。
  182. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 実はこの訓練内容につきましては、海上自衛隊の能力ではまだ全部よく判明をいたしておりませんし、アメリカから一部情報の提供を得て判断をいたしておるわけでございますけれども、まあ七五年のオケアンはそれぞれの一つの戦術のタイプを取り上げて訓練が行われたと、もちろん総合訓練もあるようでございますけれども、たとえば空母に対する空母攻撃、それから船団護衛、船団に対する攻撃、それから水陸両用戦、上陸作戦、こういったものが主な中身であったように承知をいたしておるわけでございます。  で、その中で空母に対する攻撃、空母集団に対する攻撃演習というのは、これは明らかに第七艦隊の空母タスフォースをねらいにしたものと思われるわけでございますが、コンボイを、つまり護衛船団を対象にしているということになりますと、ただいま先生の御指摘のような意味合いもあるかというふうに思われるわけでございますが、その点については必ずしもそうであるというふうに断定する事実を私どもは握っておりませんので、その点はっきりと申し上げることはむずかしいんじゃないかと思います。
  183. 中村太郎

    ○中村太郎君 あのね、いまのソ連の海軍力をもってすれば、たとえば意図的に日本の海上封鎖をやってやろうという意思があればできないことはないと思うんですがね、力からすれば。これはどうなんでしょう。
  184. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 現在の太平洋艦隊の海軍力を総動員をして日本の海上封鎖をやるということであれば、それは大変大きな影響を受けるというふうに思うわけでございます。ただ、実際この太平洋艦隊の全勢力を日本の海上封鎖だけのために使うかどうかという、その現実的な可能性ということになると、必ずしもそういう可能性は余り高くないのではないかというふうに思います。
  185. 中村太郎

    ○中村太郎君 それでは、いまソ連の優勢であるインド洋は一体どうでしょうか、インド洋。特に日本の石油輸送の関連のあるインド洋に対する力というものはどうでしょうか。
  186. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) インド洋につきまして、特に日本の艦船だけを目標にして封鎖をするということがどういう意味合いを持っておるのかということになりますと、その可能性としてはいろいろそういうことは十分考えられると思いますけれども、現実性から考えますと、かなりその可能性は薄いんではないかというふうに判断をいたすわけでございます。
  187. 中村太郎

    ○中村太郎君 可能性のあるなしにかかわらず、まあソ連という国はすごい国ですからな、これはもうアメリカと同じように考えたらとんでもないことになると思うんです。現実に、いまの演習だって、日本本土への接近だってもですよ、これは普通じゃありませんよね。これを平然としてやるんですから、どういう意図があっていつあらわれるかわからない。その危険性は私は内包をしておると思うんですよね。したがって、そういうことがあり得たとするならばそのときの日本の対抗措置、防衛措置は一体何があるかということなんです。少なくとも、いままでのというか、いまのような考え方じゃこれはもうお手上げだと、どうにもならぬということになると思うんですが、どうなんでしょうかね、その辺は。
  188. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) この点はもうはっきりいたしておるわけでございまして、いま防衛局長から申し上げますように、そういうようなことをソ連がやった場合に、あるいはどうしてそういうことをやるかということは、やはりこの今日の状況におきましては、世界の世論と申しますか、そういうもの、あるいは外交手段というものが残されておるわけで、それはまさにわれわれの政治責任であるというふうに思うわけでございます。でございますから、いまただいまそういうようなことが起こるとはわれわれは考えておりません。しかしながらそういうようなことが絶対ないかというと、それを絶対ないとはわれわれは排除をいたしません。しからば、その排除できないのであるならばそれに対して用意をしろということであろうかと思いますけれども、われわれの守備範囲といいますか、それはそこまではなかなか及び得ないというふうに思うので、われわれの立場から申しまするならば、日本に攻撃を受けた場合においてそれを守るだけの力だけは保有しておきたい、それ以上は政治の手段ということが現在の日本の立場ではないだろうかというふうに思っておる次第でございます。
  189. 中村太郎

    ○中村太郎君 長官の言うこともわからぬではないんですけれども、問題はいまの日本が生命線としておる海上交通の安全ということについては、少なくとも日本は全く無防備であると言わざるを得ないと思うんです。起こり得べきではないという判断の中で防備していないということなんですよね。これはしかし私は大変重大な問題だと思うんです。よく言われるように、だからこそ安保体制があるんだと言うんだけれども、安保体制のらち外ですからね、これは。で、安保体制にも入らない、自力で防御するすべは全然ない、一体どういうようになるか、これはやっぱりいまの国民としては将来をおもんばからざるを得ないと思うんです、私は。しかし、いまこれを直ちにやれというようなことを私は言っているわけじゃない。むしろ防衛白書というものは、日本の防衛の実態、いいところはいいところ、長所は長所、できないところはできないところ、欠点は欠点という、それを素直にストレートに出して、そして国民のこれに対する対応策に対する合意を求めるということでなければならぬと思うんです。一応防衛力なんてものは絵のかき方ですからね、これは何とでもかさ方はあると思います。現状やむを得ない点もあります。だけれども、何か事が起きたときに、あれ、こんなはずじゃなかったんだと、日本の防衛庁もっとしっかりしていたはずじゃないかなということであっては、これはやっぱり国民を欺瞞するものだし、やっぱり当世政治家としての責任が私は果たせないと思うんですね。そういう意味で、やっぱりこういう問題は、先ほどいろいろお話があったんですけれども、なるべくあり得べき予想というものに立っていかなければいかぬではないかという気がしてならないわけなんです。  そこでお伺いしたいんですけれども、これに関連して海上の交通の防衛といいますか、安全ですね、これは自衛手段だと言われておりますね。と申しますると、日本が海上交通の防衛に当たるということは憲法違反であるというような考え方もあるようですけれども、この辺の御見解は一体どうなんでしょうか。
  190. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) わが国の船舶を日本の自衛力によって守るということにつきましては、これは憲法九条に違反するものでないという考え方でございます。
  191. 中村太郎

    ○中村太郎君 まあそこで、一時はいま言った海上輸送に対する安全措置を講ずるということが憲法違反であるというようなことが流布されたんですけれども、それがそうでないということであれば、これはやっぱり何らかの新しい観点に立って海上輸送の確保ということ、安全保護ということを防衛の中に入れておく必要があるんではなかろうか、日本自体としてやっておく必要があるんではないかということを私ども感ずるんですけれども、先ほど来の御答弁では、そういう危険はないんだと、やろうと思ってもとてもできるものじゃないんだというお考えのようですけれども、どうなんでしょうかね。金がないから、もう予算がないからむだなんだと、また、あり得ないだろうという御想定なんでしょうか、この辺は。
  192. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) これは先ほども申し上げましたように、わが国に物資を運びます、また外国から運んでまいります船舶について、歩どまり何%でこれを保護できるかということになりますと、特に日本のように海外貿易の非常に活発なところで、年間の輸出入量が多量に及ぶものにつきましては、どれだけの自衛力を整備をいたしましても、この大半を安全に守るということはきわめて至難のわざであるというふうに考えるわけでございます。そこで、それならば海上の自衛力というものは持っていること自体が無意味ではないかという御指摘があるかと思いますが、われわれが持つ意味は、これによって相手方の潜水艦が自由に日本の周辺の海域において跳梁をするということを抑えるという、そういう意味の抑止力はあるということで、絶対、国民の死活の問題にかかわる重要な物資の輸送ということについては、重点的にこの輸送保護に当たるということによって海上交通の安全を図りたいという、そういう考え方でございます。
  193. 中村太郎

    ○中村太郎君 ですから防衛局長、いま重点的な物資輸送というならば、これは石油とか食糧になるんですよね。いまの体制の中で重点的な物資輸送の安全通航を確保できるんですか、日本自体で。
  194. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) これはちょっと至難のわざだとしかお答えはできないわけでございまして、たとえば、いまそれじゃほかの国で先生がお求めになっておるようなことをある程度説得力のあるように説明せよといった場合、できる国といったらやはりソ連とアメリカぐらいじゃないかというふうに思うんです。これは端的にそういうふうに考えないといけないんじゃないかというふうに思います。そこで、やはりこういうような問題について、こういう内閣委員会等で御議論があって、そして一体どこまで守れるんだと、どこまでは限度であると、しかしそれ以上はできないんだということをはっきり国民に知らせるということが非常に私は大切なことだと思うんです。この点についてはやっぱり与野党一致していろいろ御議論賜るということが、国民にその自覚を促すということに連なってくるのではなかろうかと思います。そういうことを通じまして、日本の防衛は果たしてこれでいいのかということがまた国民の間から出てくるというふうに私は思うわけでございまして、やはりその国民のコンセンサスの上に立って今後防衛力整備というものを考えていかなきゃならないと、いまの段階ではこうだという形において実はこれを提起いたしたということでございます。
  195. 中村太郎

    ○中村太郎君 私のお伺いしたいのはそれだったんですよ。いいかげんな——いいかげんというのは言葉が悪いですけれども、おざなりな一つ防衛白書を出して、素人があれを見ればいいかげんなことでもやっていけるんだという、そういう考え方を持つんですよね。ところが何か起きたときはどうにもならない。そんなはずじゃないじゃないかと、なぜそれだったらば本当の真実の姿を国民に示しておかないんだと、そうしてもらえば国民は国民なりの判断を持つ、そうしてその準備をしなかったらしないだけの自分の責任があったということがわかるんでしょうけれども、全然知らされないで、やっていけるんだという確信の中で何か起こったときには、これは国民が哀れですよね。みずからの判断で、これはもういまの現状ではできないけれども将来こうしようとか、将来こうしようと思ってもできないんだと、できないからしようがないんだというあきらめがあると思うんです、知っておれば。やろうと思ったけれどもできないんだということではっきり認識しておればあきらめがあると思うけれども、まあそんなことはないだろう、やっていけるだろうという中で何か起こったとき、これは無責任だと思うんですよ、いまの当世政治家としては。できないものはできないんだ、これをやろうとすれば膨大な努力が要りますよと。その判断はやっぱり構成員に任すべきですよね。そういう政策が必要であるということを私は言っているわけなんで、現状でこれはやらなければだめだとは私も思っておらぬのですよ。日本の安全保障というのは、先ほど触れたようにただ防衛庁の力だけじゃないんです。食糧問題にしてもそうだし、資源の問題にしてもそうなんです。抜本的な全体的な安全保障体制が確立されていないというところに問題があると思うんです。  ですからもう私は結論的に言えば、先ほどの秦さんとは全く違う意見なんです。これは全く違う、残念ながら。今度の防衛白書、これはいろいろ批判があります。とにかく前段はシビアな分析でなかなか一般に説得力がある。しかし後段の各論になると、まるでない、萎靡、縮んじゃって、とにかく現実につじつまを合わせるんだというようないろんな批判があります。まあそれもそうかもしれないけれども、私はこれはりっぱなものだと思います。私も一読さしていただきましたよ。先ほどの秦さんのような考え方が多い中で、これだけのものをよく私は勇気を持って出したと思う。これはやっぱり坂田長官の意欲のあらわれということで高く評価したいと思うんです。だけど、むしろ私は、先ほどの御意見とは逆に、こうであっても防衛庁が出すことに問題があると思うんです。問題があるというか、願わくは防衛庁は全体の安全保障の中の一環としての白書を出すという姿が望ましいと思うんですよ。内閣総理大臣を頂点として、各省閣僚が全般にわたって、国全体を挙げて安全保障政策というものを確立することが必要ではなかろうか、そういう委員会政府部内につくることだと思うんです。いまなんか、防衛庁、しかも坂田長官になってからでしょう、初めて防衛防衛なんて言い初めたのは。みんな避けて通っている。特に秦先生だ、片岡先生あるいは野田先生とかいらっしゃるから、なるべくならば委員会でもそっとして通って、いわば日を過ごしたいということだと思うんですよね。これじゃいつになっても防衛は国民のものになりませんよ。そういう意味で、やっぱり私は勇気を持ってここまでやったと、りっぱだと思うんですけれども、願わくはいま言った全体的な安全保障政策、その中で防衛庁の位置づけ、その防衛庁の出した白書というものであってほしかった。いまのところはひとり防衛庁だけ一生懸命やっていると思う。ほかは当たりさわりなく通ってしまうという姿ではだめだと思うんです。  まあそういう意味ではこれは防衛庁の責任じゃありません。内閣全体の私は責任だと思う。しかし、そのことを三木総理に求めても、三木総理は有事の際といえども核は持ち込ませないというのんきなことを言っている総理大臣ですから、これは不可能だと思いますよ。これはやっぱり期待するものは、いまの坂田長官が総理大臣になることだ、そして全体の安全保障政策を確立してもらいたい。そういう意味で、私はうんと御精進を期待をいたしたいと思うわけでございますが、いまの私の考え方、まず非常立法は当然のことですよ、非常立法。ただ、非常立法をつくっておくけれども、その発動を極力回避する全努力を傾注する、これが必要でございますけれども、非常立法がないなんという国はないと思うんです。そういうものを含めた安全保障委員会というものが設置されることが望ましいし、それがあって初めて国会の中の安全保障委員会なり国防委員会が設置されるのが順序だと思うんですよ。こういう考え方を持つんですけれども防衛庁長官、将来の総理大臣ですね、いかがでございますか、御所見を承って質問を終わりたいと思います。
  196. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) いま非常に示唆に富む御提言でございますが、やはりわれわれがこの防衛白書をつくりましたのもその糸口でございまして、これから始めて、国防会議を中心とした広い意味における安全保障という形でひとつ物事を考えていっていただきたいというふうに思います。この白書ができまして、先ほども申し上げましたけれども、閣議に報告をいたしまして、各省庁において、それぞれの立場において、農林省は食糧自給を安全保障の立場でお考えいただきたい、あるいは通産省はまた石油その他の備蓄その他を安全保障の問題でお考えいただきたいということもお願いをしておるわけでございます。  それで、その次に私は、そういうわけでございますから、いま私が防衛庁長官でございまして言う立場にはございませんけれども、願わくは衆参両院においても、ぜひともひとつこの防衛委員会——常任委員会をつくっていただきたい、あるいは安全保障委員会をつくっていただきたいということを、皆様方の与野党一致のひとつ御発議によりましてつくっていただきたいことをお願い申し上げます。そうすることによって、初めて国民一人一人の生存と自由というものが確保されるという道が見出されるというふうに思っておるわけでございまして、現在の状況におきましては、日本の国の安全ということを考えた場合、まだまだやらなきゃならぬことがたくさんあるということを痛感をいたしておる次第でございまして、非常に先生から御激励を賜りまして、一層勇気を持ちましてこれと取り組みたいと考えておる次第でございます。
  197. 中山太郎

    委員長中山太郎君) この際、ただいま政府側からお手元に配付いたします資料、第十六回日米安全保障協議委員会の概要報告について、防衛庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。坂田防衛庁長官
  198. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 委員長のお許しを得まして、第十六回日米安全保障協議委員会の概要の御報告を申し上げます。  一、去る七月の八日午後、第十六回日米安全保障協議委員会が開かれ、日本側から外務大臣と私、米側からホッドソン駐日米国大使とガイラー太平洋軍司令官が出席いたしました。  この会議においては、極東における国際情勢について意見交換を行うとともに、それぞれの項目について討議が行われましたが、以下概略御説明申し上げます。  二、極東における国際情勢については、主として朝鮮半島の情勢、中ソの動向、東南アジアの動きをめぐって意見交換を行いました。  特に朝鮮半島については、依然として緊張状態にあるものの、見通し得る将来において大規模な紛争が発生する可能性は少ないであろうという点で意見が一致しました。  さらに、在韓米軍の存在が朝鮮半島の安定に寄与していることについても意見の一致を見ました。  三、次いで、私から基盤的防衛力についての考え方を披露いたしました。  四、また、日米防衛協力の問題については、私から、日米防衛協力小委員会を安全保障協議委員会の下部機構として設置することを提案し、米側はこの提案に対し、全面的に賛意を表明しました。これによって小委員会が正式に設置されたわけであります。  かねてから御説明申し上げてきたように、従来、日米両国の間には、具体的な日米防衛協力に関する諸問題について包括的な研究協議を行っておらず、また、そのための場もなかったことにかんがみ、昨年八月の三木・フォード会談及びこれに引き続いて行われた私とシュレジンジャー前国防長官との会談において、日米防衛協力のための諸問題について研究協議するための場を設けることが合意され、自来、ほぼ一年間にわたって検討が進められてきた結果、このほど、小委員会の設置を見るに至ったものであります。  この小委員会は、すでに御承知のとおり、緊急時における自衛隊と米軍との間の整合のとれた共同対処行動を確保するためにとるべき措置についての指針、あるいは、在日米軍の施設・区域の安定的使用の問題等について研究協議し、わが国の安全及び極東の平和と安全の維持という安保条約の目的を効果的に達成しようというものであります。  特に、このような話し合いを進めること自体が、安保条約の抑止効果を一層高め、平和維持機能をさらに発揮せしめるゆえんであると考えています。  当日の会議において、米側は、防衛協力小委員会について積極的な関心を示し、日米両国関係に画期的な一歩を示したものとして高く評価いたしました。  この小委員会の今後の運営はこれから協議する予定であり、現在まだ具体的に決まっておりませんが、研究協議は円滑に行われるものと思われ、これによって日米間の信頼関係がますます増進することが期待されるものであります。  五、次に、当日の会議においては、沖繩における米軍の施設・区域の整理統合の計画について検討され、別添資料に示すように十二の施設・区域の返還について合意されました。このうち、移設を要せず返還されるものは四件、移設を前提とするものは八件であります。  施設・区域の整理統合については、従来から米国側の協力を得て、安保条約の目的達成との調整を図りつつ、これを進めてきたところでありますが、私としては、基地問題の重要性にかんがみ、今後とも国全体としての基地対策を総合的に講じ、防衛施設の安定使用が可能となるよう努力したいと考えています。  六、最後に、在日米軍基地従業員の労務問題について討議された結果、日米双方とも今後労働条件に関する諸問題解決のため、相互理解と協力の精神に立って協議を進めることに意見の一致を見ました。  以上でございます。
  199. 中山太郎

    委員長中山太郎君) 以上をもって説明は終わります。  それでは質問を続行いたします。
  200. 片岡勝治

    ○片岡勝治君 私は、先ほど秦委員から防衛問題について質問がなされましたけれども、それに関連する事項を若干質問をしていきたいと思うわけであります。  いままでの質疑応答の中で、長官も答弁されておりますとおり、いま日本のこの防衛問題というのは、一つの新しい段階といいますか、局面を迎えてきたような気がするわけです。それは、四次防が終わり、次の新しい長期計画をつくるという段階を迎えております、その構想の片りんとも言うべき新しい基盤的防衛力ですか、そういう構想がすでに白書という形で出された。いわば自衛隊の一つの質的な転換期に差しかかってきているというふうに私どもは受け取るわけです。さらにまた、日米安保条約のもとにおける、いま説明のありました防衛協力体制というものの協議が進められている。言ってみれば日米共同の軍事体制というものが一層強力に推し進められてくるという、そういうふうに私たち受け取るわけです。もちろんわれわれは日本の防衛政策について党としての見解を持っておりますけれども、それについてはきょうは触れません。こういうふうに新しい防衛政策の転機に差しかかってきているときに、これは長官も繰り返し言っておりますけれどもシビリアンコントロール、この重要性が、長官も言っておりますし白書の中でも強く強調されております。これは大変結構だと思うんだけれども、しかし、ここ数年防衛庁のやることなすことを見ると、本当にシビリアンコントロールというものの精神が貫かれているのかどうか、そういう点非常に私は疑問を感ずる。特に象徴的にそのことがあらわれて国民の前に暴露されたのはロッキード事件にかかる防衛庁に関する問題だろう、そういう点で私は大変基本的に日本の防衛政策を推進する政治姿勢といいますか、そういう点について大きな疑惑を持っているわけなんです。そういう点について二、三、まず基本的にお伺いしたいと思うんです。  これは私はさきの予算委員会でも長官と大いに渡り合ったわけでありますけれども、時間の関係上十分論議を尽くすことができませんでしたので、そのときのいわば留保事項のような点をまずお伺いしたいと思います。  第一は、防衛白書、今回初めて中間報告というのを出しましたね。しかも私は予算委員会で、この中間報告をわざわざ憲法記念日に出したのは何事だということをお尋ねしたのですが、偶然その日になっちゃったという答弁ですけれども、それはさておいて、この中間報告後、今度正式の白書が出たわけでありますけれども、中間報告の内容と今度の内容とどこが違うのか、項目的で結構、内容は後で私が調べます。どの項とどの項が違ってきたのか、その点をお伺いしたいと思います。
  201. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 私、シビリアンコントロールというのは非常に大切なことだと思うのでございます。しかし、単にシビリアンコントロールというのはシビリアンがユニホームを監視するということだけでなくて、本質的な意味は、国会がこの実力集団たる自衛隊を統制をする、政治が優先をするということでなければならない、そういうことからぜひともひとつ防衛委員会、常任委員会というものを国会につくっていただきたい。それがなければ、われわれがシビリアンコントロールというものを口にするという場合は、やはり欠けているのではなかろうか。いま私は防衛庁長官として、言う立場にはございませんけれども、それがまず第一。そうして国防会議の充実であるとか、われわれユニホームの人たちに対していろいろコントロールしていくということが出てくるというふうに思います。  それからいま一つは、シビリアンコントロールの中で、ユニホームの人がああしたこうしたということがございますが、ともいたしますると閉鎖社会になってしまう。そうすると、結局国民の意識とはかけ離れた、遊離した一つの実力集団になる。そこにやはりこの自由というものに対する危険な要素が出てくる。したがって、むしろ健全なる常識を備えた自衛隊員であるということを私は各自衛隊員に希望をいたしておるわけでございまして、そのためには、たとえば防大における幹部の教育等について、円満なる常識あるいは教養、あるいは国際社会における認識、そういうものが欠けておってはいけない、したがってその教官にはりっぱな教官を選びたい。ところがその教官になる人が学界でいろいろ研究発表をしようとすると、それをなかなか受け入れてくれない体質がある。むしろその体質の方を変えて、どんどん各大学等にも受け入れ得る体制をとって、そういう問題について研究をさせるということが大事じゃないだろうか。そういうことは単に防衛大学だけではございませんで、下の段階でも、自衛官が夜間、勉強をしようと思って行きますと、それに対して学校は許した、ところが学生たちが自治会で反対をしてついに授業をさせない、これこそ私は憲法違反じゃないか。こういうようなことをちゃんとしなければ、自衛隊というものは健全なる常識というものを持ち得ないのじゃないか、こういうふうに私は思っております。そういうような事柄について、やはり国会において大いに私は議論をしていただきたい、かように思っておるわけであります。  それからいま、防衛白書の中間報告でございますが、これは昨年、私は国会におきまして、十二月までには何とかひとつこれをまとめたいということを申しておりました。しかし、その際ひょっとしたら三月までに延びるかもしれぬということはっけ加えておったわけでございますが、その三月を越えましてまあ五月、六月ということになりまして、これでは国会にお約束したことに対しても申しわけがないと、それから印刷の状況からしますと、これを本印刷にするとかなり、一ヵ月ぐらいも延びる、こういうようなことを聞きましたので、何とかひとつ本印刷とは別個にその内容でもって早くできないのかということで努力をいたしました結果、やはりあの際、中間報告を出すということも意味のあることじゃないかというふうに思いましたし、それから、防衛の問題、安全保障の問題は、この政策意思決定をやっていく過程において、あらゆる段階で国民の意思を踏まえ、あるいは国会の皆さん方の御意見を賜りながらこれを修正し、あるいは一方誤りあるところは正し、そしてその線に沿って変えていくべきじゃないか、あるいは政策意思を決定していくべきじゃないかという、この自由主義社会における新しい政策意思の決定の方向の一環として防衛問題を私は考えてきたわけでございます。防衛を考える会もその一つでございます。そういう意味合いにおいて、実は異例でございましたけれども防衛白書、を実は中間報告をいたしたわけでございまして、この点について官房長から……
  202. 中山太郎

    委員長中山太郎君) ちょっと発言中ですが、政府側に注意を申し上げたいんですが、質問者の質問の要点に触れていない点が非常に多く感じられますので、その点ひとつ片岡委員の御質問の趣旨を踏まえられて、要領よく御答弁を願いたい。
  203. 玉木清司

    説明員(玉木清司君) 五月の四日に新聞紙上に紹介されました防衛白書の中間報告でございますが、私ども考え方としましては、いわゆる中間報告という概念よりも、作成過程におきます基本的な考え方、盛り込みたいと考えておるいろんな要点、こういうものを先ほど大臣が申されましたように、なるべく早く御報告をするという形におきまして行いました中間的な説明でございます。その内容につきましては、当時盛り込みたいと考えておりました点とでき上がりましたお手元の防衛白書の構成とは大宗におきましてほとんど相違はございません。その後の肉づけを十分にしたと御理解をいただいていいのではないかと思います。
  204. 片岡勝治

    ○片岡勝治君 私の質問は、いまの一分か二分の答弁を要求したのですけれども、それでもう十分も使われておるのです。委員長の御注意がありましたので端的にお答えを願いたいと思うのです。  なぜいまのような質問をしたかと申し上げますと、わざわざ憲法記念日に中間発表したというのは、たまたまその日になったと、これは長官の答弁ですね。どういう意味かといえば、ある段階ごとに発表して国民の意見を聞いて政策決定をするんだ、だから異例な形だけれども中間発表したんだと、こういう答弁ですよ、予算委員会では。しかし、何らその間、その中間発表以後、具体的に、私が聞くところによれば国民の意思を積極的に聞いて政策形成に資するなんという、そういう態度は見当たらなかったようですよ、これは。現実に中間発表の内容と今度の内容とはほとんど同じである。私も見ました。同じである。だとすれば、わざわざ五月三日に中間発表したということに私は政治的な意図があるのではないかというふうにとれるわけです。何も、積極的に国民の意思を聞くということではなくして、防衛庁自体で私は白書を出すということについて反対をしているわけではない。それは大いに出しなさいと言ったんです、予算委員会では。そういう点についても、やはり防衛庁の姿勢のあり方に私は大変大きな疑問を持つわけなんです。もし本当に国民の意思を聞くということであれば、中間発表を出して、それなりにそういう機関なり何なりをつくって聞くべきであろうというふうに考えるわけですけれども、そういう点は何ら触れられていない。そういう点に私は大変疑問を感ずるわけです。  それから、これもまあちょっといままで出ましたけれども、今度の防衛白書を見ますと、国際情勢の分析、それから日本の防衛の基本的な考え方防衛政策のあり方、大変何といいますか、高い角度で出しておるわけですよね。こういうことになりますれば、私はこの防衛白書というのは、単なる防衛庁のいわゆる白書としては必ずしも適当でない。大変高度の、いわば政治判断、情勢判断も入っているわけでありますから、防衛庁も含めた政府全体の白書であるべきだろうというふうに考えるわけなんです。  そこで端的にお伺いいたしますけれども、この白書については国防会議、まあ正式の議題に今日ではならないかもしらぬけれども、この白書と国防会議との関係はどういうふうにお考えになりますか。
  205. 玉木清司

    説明員(玉木清司君) この白書につきましては、その後国防会議議員懇談会に御報告申し上げました。
  206. 片岡勝治

    ○片岡勝治君 国防会議ないし、あるいは議員懇談会について、事前にこういうものを大いにディスカッションをするということならば、それはぼくは議員懇談会でもいまの法体系の中ではやむを得ないと思うのですけれども、単に報告するんじゃ意味がないと思うんですよ。少なくとも国際情勢の分析あるいは防衛、国防の基本的な考え方防衛庁を超えたもっと広い角度でのそういう内容が多分に入っておりますよね、単なる報告する事項じゃないだろうと思う。特に国際情勢の分析、それに基づく日本の国防政策のあり方ということであれば、私は本来国防会議審議に付すべき大変重大な問題だろうと思う。これは将来の課題として、つまり全く自衛隊の実態とか、そういういわば自衛隊プロパー、防衛庁プロパーの問題だけならばそれでもいいと思う。しかし、実際白書というのはもっと広い角度というか、高い角度、そういうことから書かれておるということになれば、私は国防会議との関係がもっとあってしかるべきだろうというふうに考えるわけです。この点についてもう一度お答えを願いたいと思う。
  207. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) その点は先生の御提案、私はもっともだと思います。しかし、実際のわれわれの運営といたしまして、この際は、まず防衛庁でひとつそういうことも含めて、少しおこがましいお話でございますけれども、ひとつまとめてみようということでやったわけでございます。もちろんその間におきまして、国際情勢の分析等につきましては各省庁と事前にちゃんと打ち合わせをしております。しかし、先生の御指摘はそうじゃなくて、そのメンバーである大臣の協議に供すべきが至当ではないか。これは今後の課題として、そういうようなやり方の方が望ましいというふうには私も考えておるわけでございます。
  208. 片岡勝治

    ○片岡勝治君 ですから、私が冒頭申し上げましたように、あなたはシビリアンコントロールとか、そういうことを盛んに言っているけれども、実際やることはそうではないと。防衛白書の発表の仕方にしても、その取り扱いにしてもそういうことではないか。もちろん国防会議そのものをこれから私は質問しますけれども、その運営、機能そのものにも大変問題があるんです。なぜそういうことを言うかというと、これは長官も言っているように、日本の国防というのは単に自衛隊の戦力だけの問題じゃなくてもっといろんな要素がある、それはそのとおりでしょう。もっとそういうことを考えて高い角度で審議をしていけば、日本の防衛政策というものの中には、安全保障の政策そのものの中には、もっと私は、世界の平和に貢献するのはこうだ、あるいは核戦争をなくする、あるいは核兵器を根絶させる日本の役割りはこうなんだとか、——そういう平和に対する貢献、そういうものが全く欠落しているでしょう。いま日本で非常に重大なのはそうした積極的な中立政策、まあわれわれの言葉で言えば中立政策である、平和政策である、世界の安全保障である、あるいは核兵器というものを縮減していく、あるいは軍縮というものを国際舞台の中に上せていく、そういう積極的な平和政策に対して日本はどう貢献すべきか、どうあるべきか、これがまあわれわれにしてみれば、それがむしろ日本の国防政策の基本であるべきだ。しかし、あなた方はそうは思わなくてもよい。しかし、そういった要素ももっとこの国防白書の中には入れるべきではないですか、そういうものが全く欠落をしている。ただ基盤的防衛力、つまり軍縮どころじゃない、だんだんこの軍備を充実強化する、そしてアメリカとの防衛協力というものを密着させていく、そういう防衛白書というものは、私はいろいろ防衛に対する見解は異なっても、そうした平和政策に対する日本の貢献というものの要素が全くない、こういう点について大変残念なんです。そういう意味では、国防会議というものの機能をもっと強化していけば、そういった広い角度に対する防衛政策、安全保障というものも出てくるのじゃないかと私は考えるわけなんです。  さて、そこで国防会議の問題について、これも予算委員会事務局長といろいろ大いに論議をしたところですけれども、この国防会議性格も大変あいまいとした点がある。国防会議というのは審議機関ですよね、もっと端的に言えば審議会と同じである。ですから、国防会議懇談会じゃなくて国防会議そのものも、意思決定をしたとしても、これは行政行為というものを拘束する何らの権能もないわけですね、そういうふうに理解していいですか。
  209. 内海倫

    説明員(内海倫君) 仰せのように国防会議自体は諮問機関でございまして、内閣総理大臣の諮問に応じまして答申案を決定して内閣総理大臣に答申する、これが主たる任務でございますが、そのほかに国防会議自体が建議をするということも法律には規定されております。その意味では、国防会議自体もまた一つのみずからの意見を表明する可能性はあるわけでございますが、主たる任務は仰せのように諮問機関でございます。
  210. 片岡勝治

    ○片岡勝治君 諮問に答えるという部分と、それから意見具申といいますか、意見を言うという二つの機能があることはそのとおりだろうと思います。  そこでもう一つ——もう一つというか、俗称国防会議議員懇談会。国防会議そのものが諮問機関であるわけですよね、そこで決めたといっても何らの行政行為を拘束する権能がない。国防会議議員懇談会といえばなおさら法的な権能というものは全くないわけです。しかるに実際は議員懇談会の名によって例の白紙還元問題を決定しているでしょう。国防会議そのものも諮問機関であるにもかかわらず、そしてその下という言葉はおかしいですけれども、国防会議議員懇談会でそういうことを決定して事実上行政行為を行っています。何をやったかといえば、専門家会議をつくるとか、そういうことをやっていますね。議員懇談会で決定して、議員懇談会があなたに指示をしたんですか、その専門家会議をつくるというときの、P3Cの問題。そのときの文書があれば見せていただきたい。
  211. 内海倫

    説明員(内海倫君) 議員懇談会の性格でございますが、これは先生からの御質問にも応じまして、法律上の根拠を持ったものでないということはあの際申し上げましたが、議員懇談会は、しかしながら議長以下国防会議構成する全議員出席者が出席いたしまして、自由に討議をし、そして討論する、その中で生まれましたいわゆる各議員の出席者の合意というものでございまして、この合意されたものは、それぞれの行政省庁の長である大臣を通じて、それぞれの行政庁としてはその了解されたものに対してこれを尊重していかなければならない、こういう性格のものであろう、こういうふうに理解されるものでございます。私どもは、そういうふうな意味で、でき上がった了解事項に基づきましてその趣旨の実現に努力するということは当然ではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  212. 片岡勝治

    ○片岡勝治君 国防会議審議会ですから、そこで決まったことも閣議で決定をしなければ効力はないわけですよね、そのほかあるかもしらぬけれども。だから、議員懇談会で決めたことをどういう手続であなたのところへ——議員懇談会で決めたから専門家会議をつくれと、こういうことになったんですか。
  213. 内海倫

    説明員(内海倫君) 議員懇談会、先ほど申しましたように、それぞれ出席いたしました出席メンバーである各省庁の代表、さらに議長、こういう者の討論の後、合意が形成されて、それによってできたものでございます。結局私どもは、その議長である内閣総理大臣の行政的な、いわば尊重しなければならないものということでその指示に従ってこの仕事を進めていくということに相なろうかと、こう思います。要するに私どもは、議員懇談会における了解事項それ自体が、それぞれの出席しておる行政省庁がその実現に対してこれを尊重しなければならない、こういう意味合いのものであると、こういうふうに理解をいたしております。
  214. 片岡勝治

    ○片岡勝治君 それはわれわれだって委員の懇談会とか理事懇談会というのをやっているんですよ。しかしそれは内々の意思の交換の場であって、正式には理事会なり委員会なりで議決をしなければその効果は出てこないわけです。それはロッキード委員会で大いにいまやっているところだからいいんですけれども、この国防会議そのものだって、つまり閣議決定を経なければ効力がないんですよ。だから、議員懇談会というのはなおさら、法的な根拠がないわけでしょう。そういうところで大変重大なことがちょろちょろっと決められる。そうでしょう。だからこのシビリアンコントロールの重大な、重要な要素としての国防会議性格、政策というものが非常にあいまいなんですよ、その点。  もう一つ例を申し上げれば、四十七年の十月九日の例の白紙還元の国防会議議員懇談会が問題になっていますね。これは防衛局長の答弁の中にもあったんですけれども、四十七年のいわゆるP3C対潜哨戒機の予算が計上されておる、これが執行停止になった。なぜ使わなかったのかと言ったら、これは十月九日のそのあれで、総合的に検討した方がいいからと。ぼくは非常に不思議なんだね。四月に予算か決まって四月から執行——まあ実際に予算が成立したのはあるいは超過しているかもしれないけれども、どうして十月九日まで待っていたんだろう。そうでしょう。ところが防衛局長の答弁によれば、十月九日にそういうことが決定されるからというのをあらかじめ知っていたような答弁なんです。つまり防衛庁に対してはすでにほかの、国防会議とかなんとかとは別な筋からの圧力というか、そういうものがひそかにあったはずだ。そうでなければ四十七年のその防衛庁の予算を十月九日までほうっておくはずがない。しかも相当額の予算である。しかも、防衛庁としてはもう本当にとっておきの予算というか、粘りに粘ってもらってきた予算ですから、それが半年も放棄されているということは何としてもわからない。きっとそこに何かあっただろう。——いや答弁はいいですよ、答弁は聞いておりますから。それは十月九日の白紙還元があったからだと、こういうことなんです。それじゃもうそのことは事前にわかっていたはずだ。つまり、国防会議とか議員懇談会がありながら、実は防衛庁というものは別の筋からそういうふうにすでにP3Cへの傾斜が大きく動いてきたということを私はそのとき痛切に感じた。あっ、これは何かがあるだろうと、そうでなければ半年も予算がほうっておかれるはずがないと、こういうことを感じたわけなんです。そういう点からすると、国防会議の機能というものは必ずしも万全に発揮されていないではないか。そして、議員懇談会という名によってああいう重大な決定がされる、しかも答申が行われましたね、答申が行われた。その答申に対してどういうふうに国防会議は対処されたか、これもちょっとお伺いしたいと思います。
  215. 内海倫

    説明員(内海倫君) 専門家会議の答申が出まして、それを国防会議議員懇談会に報告をいたしました。議員懇談会におきましては、それの取り扱いについての論議をされて、そして了解事項が出されたわけでございます。現在はその了解事項に従いまして各省庁はその仕事を行っておる、こういうことでございます。
  216. 片岡勝治

    ○片岡勝治君 何ら法的な権能のない議員懇談会でその答申を受けた。答申を受けたのは事務局長ですよね、事務局長が答申を受けた。これは議員懇談会が受けたわけではない。しかし、この懇談会の文書を見れば議員懇談会が受けたようなかっこうになって、了解事項というものを決定して、この線によって各省やれということを議員懇談会でやっているわけなんです。そういうふうに国防会議と議員懇談会の性格が非常に混乱をしているということを私はこの際指摘をしておきたいと思うわけであります。この辺が非常にあいまいもことしているものですから、一体防衛庁は何を考えているのか、どういうことをやっているのか、そういう点について非常に大きな疑惑を感ずるわけなんです。  それからもう一つ、この防衛を考える会について、これも私は予算委員会防衛庁長官にいろいろ質問をいたしました。そのときに、この防衛白書によれば、防衛を考える会は「特に会としてのまとまった結論を求めず、各メンバー個人としての全く自由な意見交換となるよう、運営にも配慮がなされた。」と、こういうふうに防衛白書では報告をされておるけれども、しかしそうではない、実態は。自由な懇談、なるほど討論は自由にやったかもしらぬけれどもこれを防衛庁がまとめた、一つの流れの中にまとめられておるわけです。これはしかしおかしいではないか。そういう点、だから私はまとめの部分はもう削除しなさい、こういうことを要求したわけなんです。ところがこの防衛白書を見れば、そういう点については何ら触れられていないで、全く自由な意見交換が考える会で意見として出されておるように書かれておりますね、大変これもおかしい。そういう運営について、これまた大変私は大きな問題だろうと思うわけであります。予算委員会においても私は具体的な例を持ち出して申し上げましたけれども、これは時間がありませんからこの点は答弁を求めません。  そういうふうに、シビリアンコントロール、民間の意見を聞く、結構だ、私も大いに聞くことは結構だ。しかしそれは、自由な意見を言いなさいと言っておきながら、実は防衛庁の手によって一つのまとめというものをつくり上げて日本の防衛はかくかくあるべきだ、こういうものに集大成をして、それを白書の中に入れてこれからの日本の防衛はこうあるべきだと、こういうものをつくり出しているわけですよね、そういう点は非常に私は危険を感ずる。平沢さんも国際情勢の分析について私とは違うとはっきり彼は言っているわけなんで、防衛庁自体が人の意見をいわば曲げて防衛庁の意見−つまり国民世論というものを誘導していく、そういう魂胆があるように考えるわけなんです。  これは大変残念であるが、時間がありませんから最後にお伺いいたしますけれども、いま説明のありました日米防衛協力小委員会の発足、こういうことがありますが、これは大変重大な問題で、アメリカ軍と日本の自衛隊がいわゆる協力する、そういう一つの具体的な方針をここでつくり上げるわけですね。これはできた場合にはどういうことになりますか、国防会議にかけるんですか、国会にも報告してくれるんですか。
  217. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) ここでは決定の機関でございませんで、研究協議をいたしまして、そしてその結果は、この共同新聞発表に出ておりますように、本委員会、つまり日米安保協議委員会報告をすることになっておるわけでございます。それでこの自後の取り扱いでございますが、これはそれぞれ日米の政府の判断によりまして、これを現実の政策の中に取り入れるかどうかということを決めてまいるということでございまして、これは日米の間におきまして、もちろんそれを公表するかどうかについては相手の合意を必要とするわけでございますが、当方方針としてはできるだけ一般に公表するたてまえでやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  218. 片岡勝治

    ○片岡勝治君 これは大変、私は日米安保条約のさらに一段階強化される、そういう体制になると思うんですよ。いままでそういう協定がなかった。それに加えて今度はアメリカ軍と日本の自衛隊が協力をしてやっていこうということでありますから、端的に言えば任務分担であろう。あるいは同じようなことを共同してやっていこう。アメリカ軍と日本の軍、自衛隊の共同行動綱領みたいなものですから、言ってみれば軍事同盟みたいなものでしょう、昔で言えば。これは大変重大なことですから、そういう協定が仮につくられるような場合には、これは当然国防会議に諮るべき重要な問題ではないですか。それから、そういう重大なことが、われわれ国会の側も知らない間に協定が結ばれて、これを国民も知らなかったということでは相済む問題ではないと思う。それは相手側がいることですから相手側の了解をとることは当然だろうと思うけれども、私はそういうことを、やっぱり長官もあるいは外務大臣も強力にアメリカ軍と折衝をするということがシビリアンコントロールだと思いますよ。だから、国防会議もかけます、国会にも——一遍に全部集大成するわけではないでしょう。部分部分で、この部分の協定ができた、この部分の協定ができたと、そういう協定が、段階的にできていくだろう、部分的にできていくだろう、その都度私は国会に発表すべきである、国防会議にもかけるべきだ、特に国防会議にかけた上で正式に協定を結ぶべきだ、もしやるんだったら。われわれは反対ですよ、そういうことは。われわれは反対だけれども、あなた方はもうすでにそういうことで突っ走っちゃっているんだからね。この点はひとつこの際明確に答弁をしておいていただきたい。
  219. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 先ほども申し上げましたように、この委員会は取り決め、あるいは協定をする権限はゆだねられておりません。したがいまして、研究協議をするにとどめるわけでございますが、この研究協議をいたしました結果は日米安保協議委員会報告をいたしまして、そしてそれぞれの政府においてその措置をとるということになるわけでございまして、日本の場合におきましては、当然事柄の性質上国防会議に御報告をし、あるいは国防会議の御決定を経る必要のあるものにつきましては当然しかるべくそういう措置をとる予定でおるわけでございます。
  220. 片岡勝治

    ○片岡勝治君 国会はどうですか。
  221. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) したがいまして、国会に対しましても御報告できるものは御報告をいたすということに相なると思います。
  222. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それではかわりまして二点について質問さしていただきますが、この「日本の防衛」の三ぺ−ジのイの項にいろいろと世界の情勢分析、国際情勢の分析がされておりますが、三ぺ−ジの中ほどに「他方、アジアにおいては、米中接近は、同地域における国際関係の安定要因となっているが、各国間の歴史的、文化的背景の相違、中ソ対立の存続による影響等欧州と比べ極めて複雑な情勢にある。」と、こういうふうに書かれてございますが、米中接近はアジアにおける安定要因となっている、こう評価しているわけですが、この「複雑な情勢」とあります、この複雑な情勢を具体的に説明していただきたいと思います。
  223. 水間明

    説明員(水間明君) アジアの情勢はヨーロッパと比べまして要因が非常に複雑になっておるということを述べておるわけでございます。
  224. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは次へまいりますけれども、次に七ぺ一ジですね、「集団安全保障体制の役割」という項ですが、これでも集団安全保障体制の役割りというものが非常に評価されているわけですが、アジアをカバーリングしていますこの集団安全保障体制、保障条約、日米安保条約のほかにも米比あるいはANZUS、米韓、米台とございますが、これらの条約がアジアの平和安定に非常に寄与していると、このように防衛庁としては見ているわけですね。
  225. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 前のところで、三ページのところでございますが、これはたとえばNATOとワルシャワとの関係は非常にはっきりして、両方が軍の配備をして対峙しておるような形にあるということ、それから陸続きであるというようなこと、かなりはっきりしている。それから、日本を中心としまして中国あるいはソ連、あるいは朝鮮半島、北朝鮮、韓国、それからアメリカと、こう見た場合に、直接それでは軍の対峙が日本に向けてそういう形になっているかというとそうではない。たとえば中ソを考えましても、ずいぶん前には、冷戦時代においてはかなり一枚岩でございまして、日本に対してはかなり強い立場にあったということ、ところが最近になりますと、たとえば中ソが対立をしてきたというような、そういうことからして、かつてたとえば安保条約について、あるいは基地について中国はかなり強い非難の言葉を発しておりました。しかしながら、最近におきましてはむしろ自衛隊を認める、あるいは安保条約もアジアの安定的要素だというようなことを言っております。そういうような変化が行われておるというようなこと。それから、中国は中国の長年の歴史的伝統がございますし、日本と中国との関係においても何千年来の歴史的、経済的、社会的、文化的関係がある、こういうことでございまして、同じ社会主義国といえどもソ連と中国の立場は違う。それからまた、中国とソ連と、日本に対する立場、日本は資本主義、自由主義国でありますけれども、それに対し方は違うと、こういうようなことで、なかなかそこには歴史的、文化的背景もあるし、あるいは、私から言いますと、ヨーロッパ諸国の民族間におけるいわゆる思考方法といいますか、あるいは理性的、合理主義的思考方法というものがやはり軍事につきましても言えるわけでありまして、これがやっぱりNATO及びワルシャワのいわば核戦略についても、核破壊による戦争は避けたいということがかなり緻密に成り立っておると。そういうような関係が、果たしてヨーロッパにおいて確実であるほど日本や東洋諸国に通用するだろうか、そういうことはやはり東洋民族の持っておる文化的あるいは東洋的な思惟方法というものが、中国は中国なり、あるいは日本の国は日本の国なり、あるいは朝鮮半島は朝鮮半島なりの思考方法によって違ってくるのではないか、だからヨーロッパに通用することが必ずしも通用するというふうには認めがたいんじゃないか。そうすると、かなりそこにデインジャラスな要素というものが残るのじゃないだろうかというのがわれわれの実は考え方でございまして、そういうような意味のことをここに述べているということでございます。
  226. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 先生の御質問の後段の部分についてお答え申し上げたいと存じます。  ただいま先生の例示をされましたASEANあるいはANZUS、こういった集団安全保障体制というものがアジアの安定に寄与しているという評価の上に立っておるのかと、こういう御質問かと存じます。  ここで述べておりますのは集団安全保障体制というものの既観をひとつやっておるわけでございまして、かつての東西の対立の激しかったいわゆる冷戦時代においてはそれはそれなりに一つの両陣営の均衡を保つという評価があったけれども、集団安全保障体制それ自体が全般的に見るとやはり変質をしてきておるのではないだろうか、特にこの八ぺ−ジのエのところに書いてございますが、「当初は極めて軍事的色彩が強いものであったが、東西対立の緩和と経済問題の広域化、相互依存関係の深化といった要因によって、今日では軍事的分野のみならず政治的、経済的関係を含め、締約諸国間の幅広い相互協力関係基礎をなすもの」に変質をしてきておるということでございまして、個々の集団安全保障体制を一つ一つ取り上げて評価をいたしておるわけではございませんが、全般的にやはりこういうものが集団安全保障体制それ自体の変質によって、それなりに地域の安定と均衡に寄与しているという考え方でございます。
  227. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そこで、防衛庁としては日本の安全について常に考慮されていると思いますが、この米韓あるいは米台の両条約がございますけれども、これが日本の安全に重要な影響を与えていると、こういうふうに防衛庁は考えてみえますか。
  228. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 一般的にはいま申し上げましたような評価につながる問題だと思うわけでございます。まあ特に米台の問題につきましては、これは米中関係との絡みもございますので、現在の時点において米台条約というものが果たしている役割りというものはそれなりに評価すべきものがあると思いますが、またこれは米中関係の今後の推移によっていろいろ変わっていくものであるというふうにも同時に考えておるわけでございます。
  229. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 もう一度確認の意味でお聞きしますけれども、日本の安全のために、もしこの米台条約が破棄されるような事態になった場合は、日本の防衛にとって重要な影響があると、このように長官はお考えになりますか。
  230. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) この米台条約の破棄ということそれ自体を一つ抽象的に抜き出して、それが日本の安全に対してどのような影響があるかという評価は大変これは危険な評価であるというふうに私考えるわけでございまして、米台条約の破棄ということ、そういう結果がもたらされるためには、いろいろ複雑な付随的な要素というものが出てくるんではないか。私どもこの辺については、やはり米中関係の今後の進展に伴って変化してくるものであると思いますので、少なくとも、やはり米中両大国が、この地域において安定と平和を願っておるということは、これは基本的な態度——この両国においてはそういう基本方針というものはとっておられるというふうに私どもは判断をいたしますので、この米台条約の破棄というその問題だけを取り上げて、これが日本の安全に響くかどうかということについて、私どもの方から意見を申し上げることは差し控えたいというふうに思います。いずれにしても、両国が日本の安全も含めた広い意味での極東の安全について深い関心を払いながら、非常に慎重に注意深く措置をとっていくということであろうというふうに私ども考えますし、またそうであることをこいねがっておるわけでございます。
  231. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 米中正常化の方向につきましては、どうやらスケジュールに上りつつあるのじゃないかと私ども思います。   〔委員長退席、理事中村太郎君着席〕 当然防衛庁としましては、日本の防衛ということを真剣に考える立場から言えば、米中両国が日本の平和を含めたそういうことを考えてみえるというのじゃなくて、防衛庁としての立場から、そういう事態に立ち入ったとしても、これは何らかのやっぱり対処を考えなきゃならないということで分析し検討されているのじゃないか、こういうふうにお聞きしておるわけです。
  232. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 昨日も衆議院の外務委員会でそういう御質問がありましたので、私申し上げてございますが、この地域はわが国の平和と安全のためには大変重大な関心を寄せるべき地域でございますので、当然私どもとしてはこの推移について注意をしておるわけでございますけれども、現在、具体的にどういう場合が予想され、それに対して一々どう対応するのかというような細かい詰めは、現在のところまだ、大変それはおしかりを受けるかもしれませんが、やっておらないわけでございます。先ほど申し上げましたように、一にアメリカ並びに中国という両大国の、大国であるというところに信頼を置いておるわけでございまして、この地域において著しい急激の変化あるいは不安定な状態というものを両国ともつくることは好んでいないと思うし、つくらないようにしながら、賢明な解決策ということの選択をこの両国政府で選ぶのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。
  233. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 昨日の衆議院の決算委員会では、局長は急激な変化は望ましくない、緩慢な変化は好ましいというような発言をされたのですか。
  234. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) いま私が申し上げましたような趣旨で、この地域において急激な変化が起き、不安定な状態が起きてくることは好ましくないということを申しております。
  235. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、条約というのは、考えてみますと、存続をするか廃棄をするか、この二つに一つしかないと考えるわけですけれども、緩慢なる変化というのはどういう変化が日本の安全に寄与すると考えるか、どういうように考えてみえるか、その点ちょっとお聞きしたいと思います。
  236. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 私は、条約の廃棄とか存続とかいうことを申し上げているのではなくて、この地域における軍事情勢、国際情勢の急激な変化ということを申し上げて、結果的にそういうものが起きないということを申し上げめおるわけでございます。
  237. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、局長の判断としますと、米中正常化はされたとしても、この米台条約は破棄されることはないと、このようにお考えになっておられますか、そういう予測に立ってみえるわけですか。
  238. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) これは米中関係の問題でございまして、私どもその場合に、米台防衛条約が破棄されずに米中関係が正常化ということが成り立つのかどうか、その辺については全く予測をする立場にはございません。私が繰り返して申し上げますように、この台湾を含みます地域において、国際均衡が破れ、戦争なり紛争なりの事態というものが発生しないことをこいねがっておるわけでございます。そこにそういう紛争なりが起きるということはまことに好ましくないことであるというふうに申し上げておるわけでございます。
  239. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 まあ防衛庁としましては、米中国交正常化について口をはさむことはできないということは私どもそのように考えますけれども、もしも米台条約が破棄されるような、くどいようですけれども、米中の国交正常化というものが行われたとしますと、それは日本の防衛にとって望ましいことであるか望ましくないことであるか、いろいろとお話ありましたけれども、その点についてもう一度ちょっとお聞きしたいと思います。
  240. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) これはなかなか、これからの問題でございますが、しかし一方アメリカといたしましては、日本というものを、ヨーロッパにおけるNATOを中心として同じような意味合いにおいて軍事上も政治上も経済上も非常に重要なポイントとして考えておるわけでございます。したがいまして、日本にとって安全であるというこの日本の主張は十分踏まえた上で米中の接近というものを考えていくというふうにわれわれは考えるわけでございまして、そこに米中接近のアメリカ側の苦悩といいますか、あるいはむずかしさというものがありますが、そこは当然のことながら、これは外交手段として日米間にいろいろの話し合い等も行われるのではないだろうかというふうに私どもは思うわけでございまして、いま申しますように、われわれは現在のこの地域における防衛上の安全というものを全然無視した形において、いま米国が中国に接近をするということは考えない。やはりそれを考えた上で、なおかつ中国とどうやったらば正常化が行われるかということを考えておるというふうに思いますし、われわれ自身がまた中国と友好関係を結ぼうとしておることもちゃんと承知をしての上だというふうに私は考える次第でございます。
  241. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 その問題につきましては、先般行われた日米安保協議委員会でも話し合われましたか、この問題。
  242. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) これについては話はございませんでした。
  243. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それから、局長もそういった発言をされているし、宮澤外務大臣も同じような発言をされておるわけですが、新聞で報道されている宮澤外相あるいは防衛局長の御意見というものは、政府部内ですでに話し合われてこれは統一されているのかどうか、その点ちょっとお聞きしたいと思います。
  244. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) その点はございません。たまたまマンスフィールドと外務大臣がお話し合いをされまして、私もその後マンスフィールド氏の求めに応じまして一時間ばかりお話し合いいたしました。その際も、実は台湾問題あるいは中国問題については話しませんでした。ただし韓国の問題についてはお話をいたしました。
  245. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いまお話しのとおり聞きますと、日本もあるいはアメリカも、米台条約の存続というものはやはり平和と安全の立場から望んでみえる、このように解するわけですけれども、もしも米中正常化がされた場合に、台湾側からこの米台条約が破棄されるおそれということも考えられるのじゃないかと思うのですね。それについて防衛庁としましてはどのようにこの点は分析されていますか、ちょっとお聞きしたい・思います。
  246. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) これは全く他力本願でございまして、要するに私は米国並びに中国の大変慎重な先を見通しての外交政策、また安全保障政策という点から考えますと、いずれの国もこの台湾地域におきまして新たな紛争の要因というものを形づくることを極力回避するという方向を選ぶんではないか、そういう選択を行うのではないかというふうに思うわけでございます。結論的には、この地域において恒久的な安全保障、安全保障といいますか、平和の状態が保たれるようにベストの選択をするというふうに考えておるわけでございまして、その場合に、結果的に米台条約が台湾側の主張によって破棄されるとか、何かそういうことが起きるかもしれませんけれども、いずれにしてもその結果は日本の安全保障に影響を与えないというような結果が出てくるんではないかということを期待をいたしておるわけでございます。
  247. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 防衛局長としては期待されているようですけれども、もしも米台条約が破棄された場合に、いろんな場合、ケースが考えられると思うのですけれども、インド洋のようにソ連軍の——ソ連はまあアジアに進出したいといつもねらっていますけれども、台湾にソ連軍の基地、軍港ができるような事態になった場合には日本の安全保障上にも大きな影響があるんじゃないですか、どうですか。
  248. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) それでございますから、その辺までも読み込んでアメリカと中国でベストの対策をとるのではないかと。そこに、たとえばソ連の勢力の基地などができるという、そういう影響力の及ばないという見通しがつかなければ、恐らくそういう方策、選択はとらないであろうというふうに考えておるわけでございます。
  249. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、防衛協力小委員会の問題にちょっと移りますけれども、小委員会、先ほど秦委員からいろいろ質問がありまして、御答弁もありましたが、多少重複するかもしれませんが、この防衛協力小委員会は、必要と認めるときはその補助機関として部会を設置すると、こういうことでございました。再度ちょっとその点で確認しておきたいと思いますが、その部会の内容と名称についてちょっとお聞きしたいと思います。
  250. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 先ほども申し上げましたように、これはこれから始まるわけでございまして、日米間で合意をいたしませんとどういう部会が設置されるか全くいまのところはわからないということでございますが、日本側が一体何を考えておるかということでございますならば、われわれがとりあえず考えておりますのは、補給、通信あるいは輸送というのうなものはとりあえず考えられるのではなかろうか。もちろんこれに対しまして、アメリカはそういう部会は要らないということで両者の意見が一致しませんでした場合には、そういう部会は設置されないことになると思いますが、日本側からどういうことを準備しておるかということでございますれば、いま申し上げましたようなものが例示的に挙げられるというふうに思います。
  251. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この防衛協力小委員会の発足につきましては、防衛庁長官から国防長官に意見を申されてこの設置になったというお話でございましたけれども、アメリカからの報道によりますと、アメリカ側がこの防衛協力小委員会で望んでみえることは、海軍合同演習の強化のほか、一つは日米協力作戦の指揮系統の緊密化、二番目は対潜哨戒機や偵察飛行での分担の明確化、三番目には日米両国部隊の作戦パターンの共通化、兵器弾薬などの標準化など、当面極東、西太平洋地域における対ソ警戒に重点を置いた日米間の防衛協力を強めたい、このように米側としてその要望が伝えられておりますけれども、この防衛協力小委員会がいよいよ発足をして、進められている研究協議の内容というのは、そういうふうにアメリカ側が主導権をとった方向で進められていくんですか、その点ちょっとお聞きしたい。
  252. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) これはよく誤解をされるわけでございますが、シュレジンジャー長官に会いたいというのは私から申し入れたことでございます、まず第一に。  それから、シュレジンジャー長官と八月二十九日にお会いをいたしましてお話を申し上げましたことは、この際できることとできないこととはっきりさせたいというのが私の言い方でございまして、日本にも憲法の制約がございますと、その前提のもとにおいて日米防衛協力を進めたいということでございます。そういうわけでございまして、たとえば対潜能力の問題にいたしましても、四海海に囲まれ、そして多くの資源を外国に依存して成り立っておる日本の経済ということを考えた場合は、どうしても海洋国家として日本は対潜能力を高めていかなきゃならない、そういうふうに私は考えると。これは防衛庁長官として、日本の安全を預かっておる者としてそうならざるを得ないんだということを私から申しまして、その点は私も同感だというふうに彼が同意をしてくれたわけでございます。  そこで、記者会見等におきまして彼が発言をいたしておりますのを後で読んでみましても、やはりそういう防衛の整備計画というものは日本の自衛力の範囲内において精いっぱいのことをやってもらいたいと、こういうことを言っておるのでございまして、いまの現状はどうかということについては、われわれは不十分だというような彼のコメントがあるわけでございまして、その点に関しましても実は会談の中におきまして、四次防までの私の経過を申し上げまして、特に艦艇等においては七〇%にしかすぎない見通しであるということを率直に実は申し上げたわけでございます。それを踏まえて彼がそういうようなことを言ったんだろうというふうに推測されるわけでございまして、向こうが対潜能力あるいは防空その他いろいろのことをある会談で言ったわけではないということだけはひとつ御了承を願いたいというふうに思います。ただし、向こうの方で、ラムズラェルド報告あるいはブラウンのことしの報告等を読みましても、そういうようなことを期待しておるということはそのとおりだと私は思うわけでございますが、一時、二、三年前に、ニクソン政権の時代だったと思いますけれども、ただ乗り論がずいぶんございまして、かなり防衛力強化を要請するというようなことが強い形で言われておったわけでございますが、現在ペンタゴンも、そして国務省当局もわれわれが言っておるようなことにむしろ同意しておって、そういう気配というのは少なくとも直接の当事者間にはございません。ただ、議会筋とか学者筋とか、一般国民の中にやはり若干のただ乗り論というようなこと、あるいは二、三日前に発表されましたアメリカ側の意識調査等を考えますと、かなりそういうような調子がある。しかし、こういうようなことはやはり防衛白書、この八月中には実は英訳いたしまして各国に送付をいたしたいと思いますが、漸次こういうようなわれわれの防衛構想というものが理解されるんじゃなかろうか、またその努力をしなくちゃならないというふうに私は考えておる次第でございます。
  253. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そこで、まあ私は素人考えに考えるわけですけれども、先ほど四項目ほど挙げましたけれども、秦議員からも指揮系統の問題についてはいろいろと話がありましたし、日米の間で、このような協力小委員会をつくって指揮系統の緊密化、あるいは対潜哨戒の分担の明確化、あるいは作戦パターンの共通化、あるいは兵器、弾薬の標準化等が進められてきますと、私はまあ普通考えますと、日米の間でそのようないろんな面における兵器の標準化あるいは互換性という話も出ましたけれども、そういうことが進められてくるということは、日本とアメリカが、何もかも全部それは大体並行されてきますけれども、アメリカと韓国の間もこれは同じようなパターンで進められていると思います。となりますと、日・米・韓ですね、これがこの防衛協力小委員会の協議研究を通してだんだんとそこに同じパターンの協力体制をつくっていくということになるんじゃないかと思うんです。先回のロッキード特別委員会で、日米間か、日・米・韓かということで、あれは速記録は訂正されましたか。
  254. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) ええ、訂正しました。
  255. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そういう問題もありましたけれども、私たちはいつもその考えが抜け切れません。ですから有事の場合ということ、韓国で有事の場合ということも当然含めて防衛協力小委員会では検討を進められていくんじゃないかというふうに私は思います。カーター大統領が選出された場合には、在韓国連軍の撤退もというようなことで彼は公約掲げてみえますし、そのようなことも踏まえて韓国をバックアップすると、この自衛隊の日米の協力体制、このように私たちとるわけですが、その点について防衛庁の考えを聞きたいと思います。
  256. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 先ほどアメリカ側の意向だということでお伝えになっておりますいろいろな問題がございますが、この中には、先ほど申し上げましたように兵器の標準化、互換性というようなもの、これはもう日本が有事の場合におきましてアメリカからの補給支援、兵たん支援を当然仰がなければならないという、こういうことから来て当然のことであると思いますが、そのほか、ちょっと私細かいことわかりませんので全部が全部そこで議題になるかどうかということについてははっきり申し上げられませんが、いずれにしましても、日米間で共同対処するために必要な措置というものはとっておかなければならないと考えるわけでございます。  そこで、米韓の間においてもそのようなことがあるのではないかというお話でございますが、特に韓国の場合にはほとんどアメリカの兵器を便っております。わが国と違いましてアメリカの兵器を使っておりますので、特別にそういう必要性は出てこない。必要性と申しますか、すでにそういうアメリカと一体の体制になっておるというふうに考えます。  日本と韓国との間の問題でございますが、これは御存じのように何ら日韓の間には相互の援助という国際的な取り決めというものはないわけでございますから、この点はやはりけじめははっきりしていくべきことであるというふうに考えておるわけでございます。   〔理事中村太郎君退席、委員長着席〕
  257. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、この小委員会で研究調査された内容について、先ほど片岡委員から質問がありました。それについて答弁もございましたけれども、その研究調査された内容によって、有事の場合にいろんな輸送の面であるとか、補給の面が起きてくると思いますが、現行の法律との関係で非常にむずかしい面も起き得る可能性があるんじゃないですか、その点どうでしょうか、どのように考えていますか。
  258. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 現行法制上問題になるような、つまり現行法制下では非常に困難であるという問題がいろいろあるかと思います。その点はやはり現行法制でこういうところが隘路であるという問題の処置ができればそれでよろしいのではないかというふうに思います。そのためにわざわざ法律を改正をしなければならないというような問題、これは恐らく輸送というふうなことになれば運輸省所管とか、他省庁の所管にかかわる問題になってくると思いますが、現在のところはそこまで問題を広げてやるということは考えておらないわけでございます。
  259. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 しかし、将来そういうこともあり得るということですね。法改正したり、あるいは米国と何か新しい協定をつくるというような可能性もあるわけですね。
  260. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) その将来の問題についてははっきりいまから申し上げるということは適当でないと思います。少なくとも私どもはそういった問題を考えておらない。外務省と防衛庁だけの問題として処理をしてまいりたい。したがって、いまおっしゃるような問題があるわけでございますが、これは問題点指摘にとどめるという考え方でございます。
  261. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 最後にそれでは長官にお聞きしますけれども、この小委員会が今後進展してまいりますと、日ソ外交に非常に影響を与えてくるのじゃないかと思うのです。言いかえますと、米中国交正常化と相まってアジアにおける新たな秩序の動きが高まってくるのじゃないか、国際関係の不安定化がかえって増してくるのじゃないか、こういうように私たちは考えるわけです。その点、防衛庁長官としてどのような考えを持ってみえるか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  262. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 私は、やはり日本の防衛庁長官といたしましては、あらゆる場合を想定をし、それに対処できるようなことを考えておかなけりゃいけない。この程度の、安保条約はある、その安保条約五条有事の際にどうするかというようなことを研究協議をするというようなことはふだんからやっておかなけりゃならないことであるというふうに私は思いますし、これによってどうだこうだとほかの国の人が言いましても、それは各国ともそれはやっておることでございますので、われわれはちゃんと、日本の独立を安全というものを守る責任を持っておる者といたしましては、ちゃんとそういう研究協議はやっておきたいというふうに思いますし、まあいろいろの批判等は新聞等にももうすでに出ております。ソ連側からもプラウダその他私も読みました。しかし、それはそれなりに受けとめてまいりたいというふうに考えるわけで、これによって著しく日ソ関係が悪くなるというふうには考えておりません。
  263. 岩間正男

    ○岩間正男君 先ほども資料が配られたわけですが、去る八日行われた安保協議委員会で、日米防衛協力小委員会が設置を決められた。その小委員会では海空の機能分担ということの協議が重要な柱として位置づけられるだろうということは、これは容易に想像できます。そこで私は対潜作戦に問題をしぼって時間の関係から質問したいと思う。  まず最初にお聞きしたいのは、現在自衛隊が対潜活動用のいろいろな装備、兵器、武器、こういうものを使っていると思うのでありますが、それにはどのようなものがあるか、航空機あるいは聴音装置、ソノブイ、攻撃用兵器などに分けてこれを明らかにしてほしいと思います。
  264. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 対潜用装備品には、大別いたしますと潜水艦の探知用の器材と、それからもう一つは潜水艦の攻撃用の器材、この二通りに大別できるかと考えられます。潜水艦の探知用器材といたしましては、艦艇搭載、航空機搭載、いろいろございますけれども、まず艦艇搭載器材、探知器材といたしましては、いわゆるソーナー、聴音機というものがございます。これは対潜用の船舶のほとんど、約八十六隻に搭載しております。それからその次の航空機搭載器材でございますが、これは捜索レーダー、逆探装置、それから磁気探知装置、ジュリー記録装置というようなものがございまして、これは主として対潜機に保有しております。対潜機と申しますのは、現在わが国が保有しておりますP2J、P2V7、PS1、S2Fというような飛行機でございます。それから、同じく対潜機には艦艇と同様にソーナーを保有しておりまして、これはPS1、それからHSS2、俗称ダッシュツウと申しておりますヘリでございます。そういったものに搭載しております。それから、そのほかに水中固定聴音機というものも持っております。  それから、潜水艦の攻撃用器材といたしましては、艦艇搭載——これは武器になるわけでございますが、大づかみに申しますと、アスロック、それからボフォース、それからやや古くなりますがヘッジホッグ、それから無人機のダッシュ、それから魚雷の発射管、それから爆雷の投射機というものを艦艇に保有しておりまして、さらに航空機の搭載武器といたしましては、ロケット弾、これは主として百二十七ミリのロケット弾等でございますが、そういったものが先ほど申しました対潜機に保有しております。それからさらに対潜爆弾、魚雷、まあ大体そういった種類のものを保有しておるわけでございます。
  265. 岩間正男

    ○岩間正男君 ソノブイはどうですか。
  266. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) ソノブイは保有しております。ソノブイは、現在護衛艦と、それから航空機……
  267. 岩間正男

    ○岩間正男君 使っているか使っていないか。
  268. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 使っております。
  269. 岩間正男

    ○岩間正男君 ちょっと速記とめてください。
  270. 中山太郎

    委員長中山太郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  271. 中山太郎

    委員長中山太郎君) 速記をつけて。
  272. 岩間正男

    ○岩間正男君 それじゃお聞きしますが、海上自衛隊のP2JやP2Vなどの対潜哨戒機は日常潜水艦探知行動をやっていますか、いませんか。
  273. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 日常はやっておりません。現在は対潜訓練のときだけでございます。
  274. 岩間正男

    ○岩間正男君 日常というのは平時という意味ですけれども、平時にはやっておりますな。
  275. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 平時は監視業務だけやっておりまして、中にもぐっているものを探すということはやっておりません。
  276. 岩間正男

    ○岩間正男君 対潜哨戒は監視、そういう点では認められたと思うんですが、確認しておきたいんですが、昨年の十二月十六日の衆議院内閣委員会でのあなたの答弁ですね、「対潜哨戒というのは、これは平時においても哨戒監視任務というのがございます。当然それはやっておるわけでございます。当然それに伴っての情報が入手される。潜水艦の行動についてのがございますが、これは全般の情勢判断の素材にはなるわけでございます。」というので、哨戒監視をやっているということと、それから情報について話があったわけですが、これはそのとおりでございますか。
  277. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) そのとおりでございます。
  278. 岩間正男

    ○岩間正男君 じゃお聞きしますけれども、海上自衛隊の潜水艦探知、あるいは哨戒機での情報収集活動、こういうことがやられている法的根拠というのは、これはどういうことでございましょうか。
  279. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) これは防衛庁設置法五条に防衛庁の権限が述べてございますが、その二十号に、「所掌事務の遂行に必要な調査及び研究を行うこと。」となっております。これが法的根拠でございます。
  280. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは二十三条はどうですか。
  281. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 設置法の二十三条は「幕僚監部の所掌事務」となっておりまして、ただいまおっしゃった意味においての根拠ではないというふうに判断をいたします。
  282. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、所掌事務の何ですか、その中でのこれは対潜哨戒ですね。そういうものはそういうことだということでございますか。
  283. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) ただいま申し上げましたように、防衛庁の権限として第五条に列挙してございますが、そのうちの二十号でございますが、「所掌事務の遂行に必要な調査及び研究を行うこと。」ということになっておりまして、これが根拠でございます。
  284. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、所掌事務に必要な範囲というふうに考えておるわけですか。
  285. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) はい。所掌事務に必要な範囲であるというふうに考えております。   〔委員長退席、理事中村太郎君着席〕
  286. 岩間正男

    ○岩間正男君 それじゃさらにお聞きしますが、対潜哨戒機による情報収集ですね、これはさっきもお聞きしましたように、平時というか日常というか、日常的にこれはやられていることは明らかだと思います。そこでソノブイの使用の問題ですが、ソノブイを使うとき、一体これはどんなときに使うんです。
  287. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 対潜訓練のときに使用いたします。海上自衛隊の自分で持っております潜水艦を目標にして、そのもぐっておる潜水艦を探知する場合にこのソノブイを使用いたしまして探知をする、そういうときに使用をいたしておるわけでございます。
  288. 岩間正男

    ○岩間正男君 現在これはとうですか、何回——まあ使用のそういう記録はございますか。
  289. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) ソノブイの使用実績は年間約六千八百本でございます。
  290. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはついでにお聞きしますが、ソノブイというのはどのぐらいするんですか。
  291. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) これは、ソノブイはパッシブとアクチブと分かれております。それでパッシブソノブイというのは非常に種類が多うございまして、これは八種類ぐらいいま持っておるわけでございます。それからアクチブは一種類いま持っております。値段といたしましては、これは非常にラフで恐縮でございますが、十万円ぐらいのものから、大きなものになりますと五十万円ぐらいのものまで非常に分布がまちまちでございます。
  292. 岩間正男

    ○岩間正男君 こういうのを、これは一回に何個ぐらい使うんですか。
  293. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) これはそのときの探知の状況、海の状況、それから、まあこれはあらかじめ潜水艦が大体おりそうだという、訓練でございますから、どの海域ということでそれで始めるわけでございますけれども、そのときの天候とか、それから海上の模様とか、それからいまの何と申しますか、もぐっております潜水艦との距離であるとかということでもさまざまに違いますので、それと当方の指揮官の優秀であるかそうでないか、担当者が熟練度が高いか低いかというようなことによって大変違ってくるというふうに思います。
  294. 岩間正男

    ○岩間正男君 それではお聞きしますが、具体的にはどんな潜水艦に使っているのですか。これは原子力潜水艦ですか、それとも在来型でも使うのかどうか。
  295. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) いま申し上げましたように、わが方の潜水艦を使いますので原子力潜水艦はおりません。ただし、アメリカから時折、日本近海を原子力潜水艦が通過するときに、ターゲット供与と言いますが、目標艦として使ってよろしいという向こうからの申し出がございますので、そのときはアメリカの原子力潜水艦を目標として使うということはございます。
  296. 岩間正男

    ○岩間正男君 アメリカだけですか。具体的にお聞きしますが、ソビエトの潜水艦に対して使った例がありましょう。
  297. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) アメリカの潜水艦も、しかも大体どの辺を通るかということを教えてもらってからこれを使うわけでございまして、それ以外のアメリカ以外の船には使ったことはございません。
  298. 岩間正男

    ○岩間正男君 これははっきりそう言えますか。
  299. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) はっきりそう申し上げられると思います。
  300. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは、先月の二十八日に衆議院内閣委員会が視察をやった。岩国の第三一航空群に行ってソノブイの話を聞いたわけです。そのとき門松司令がその説明の中で、現実にソ連の原潜を発見した場合、いい訓練目標だからソノブイを打ち込むし、写真も撮っている、こうはっきり答えているんですね。これはちゃんと質問応答をやったその席上でこれは答えているのです。   〔理事中村太郎君退席、委員長着席〕  そうすると、いまの局長の答弁というのは少し違うんじゃないか、現状と。あなたの方では情報不十分で、その情報を受けていないのか、どうなんです。
  301. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) いまおっしゃいましたのはどこのだれでございましょうか。
  302. 岩間正男

    ○岩間正男君 岩国です。第三一航空群。
  303. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) その件につきましては調査をいたしたいと思いますが、私はその話はあり得ないと思いますのは、三一航空隊は、これはPS1、いわゆる飛行艇の部隊でございまして、これはソノブイを使用する対潜哨戒機ではございません。したがいまして、もし三一の航空隊司令の……
  304. 岩間正男

    ○岩間正男君 航空群ですからな、これは。
  305. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 失礼いたしました。ソノブイは使用いたします。それでは事実関係をよく調べましてからお答えをいたしたいと思います。
  306. 岩間正男

    ○岩間正男君 とにかくいい目標ができたと、それでやっていると、こういうことだ。そう答えているんですからね、公開の席で。これはやっぱり非常に私は重要だと思う。  それから、先ほどこれはソ連の太平洋艦隊の問題が出ました、あなたは極東艦隊と言われたが。これについては非常に情報は詳しいわけだな。そういうような中で、対潜哨戒の場合に、日本の対潜哨戒機がそういうことを全然やってないと、こういうことは言い切れるのですか。現場とは非常にこれは食い違うのです。これはやっぱり重大な発言になると思うんですが、どうなんですか。
  307. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 対潜哨戒をやって——こういうふうに申し上げたらよろしいかと思います。浮上して航行しております潜水艦、これは哨戒機で当然目視で見えるわけでございますから、この潜水艦については一応その動向を知るということは当然できるわけでございます。それから、もぐっております潜水艦、これはまるっきりわからないわけでございまして、先ほど申し上げましたように、アメリカの原子力潜水艦のようにあらかじめ予告をしてもらって、どの航路を通るということがわかったときに初めてそれで探知活動をするということでございまして、ふだんは全くこちらの探知できない、目に見えないところへ盲でソノブイを落とすというわけはないわけでございますから、通常は対潜訓練のとき以外にはソノブイを便っていないというふうに申し上げてよろしいかと思います。
  308. 岩間正男

    ○岩間正男君 大体、在来の潜水艦だったら潜水力は非常に浅いでしょう。原子力潜水艦で初めてソノブイが必要になるんじゃないですか、在来の潜水艦でそんなの必要ないでしょうが。一発五十万もするやつがあるわけだが、そういうものを六発も十発も、これ一遍にやるわけでしょう。大変なこれはむだ遣いになるわけだ。そのときに、在来の潜水艦にはこれは使っていない、したがって、アメリカの潜水艦にはこれをやっていると言っているんだけれども、それは原子力潜水艦でしょう。潜航力が非常にこれは深いでしょう。ソビエトのやつだってそうだ。どうなんですか、そこは。
  309. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 原子力潜水艦と、在来型の潜水艦と非常に違います点は、まず水中速力が格段に違うということでございます。
  310. 岩間正男

    ○岩間正男君 潜水力、言ってください。
  311. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) いや、深度はそれほど大きな差異はございません。深度につきましては、これはその構造、外殻をつくります構造の問題があるわけでございまして、原子力潜水艦だから深くもぐれるとか、通常型だから浅いということではございません。原子力の特徴は水中速力が速いこと、それから浮上をしなくてよい、潜航時間が圧倒的に長いこと、この二つが在来型と顕著に違う点でございます。
  312. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは音紋をとるんでしょう、目的は。そうすると、音紋をとるなどというのは、やはりもう非常に近代化されたそういうものに必要なんで、在来型で日本ではやっているわけなんですか、日本の潜水艦使ってやるときは。そういうことなんですか。ソノブイが年間に六千八百本も使われたと、こういうことですな。
  313. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) これは必ずしもこれで音紋——もちろん記録に残りましたものはカタロギングと申します音紋につながる問題でございますけれども、ソノブイそれ自体は、水中にもぐっております潜水艦を探すために逐次ブイを先々へと打って、そしてその音を探知して究極にもぐっている潜水艦までつきとめると、そのためのブイでございまして、原子力潜水艦だけを特殊にしておるものではございません。
  314. 岩間正男

    ○岩間正男君 次にお聞きしますが、ソノブイを使うといったら、領海じゃこれできませんな、公海で使っておりますな。
  315. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) もちろんほとんど公海であると思います。
  316. 岩間正男

    ○岩間正男君 そこでお聞きしたいんですが、これは公海上にこのような探知機を使って対潜監視や情報収集をやる、こういうことは、これは差し支えありませんか。
  317. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) どういう御趣旨で差し支えがあるということでございましょうか。
  318. 岩間正男

    ○岩間正男君 つまり、訓練というふうに言っているわけですね。しかし、こういう訓練の域を超えませんか、どうなんですか。
  319. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) ソノブイは、先生これは攻撃武器ではございませんで、潜水艦から出てまいります——潜水艦のはっきり波長をとらえて、そしてそれを電波に変えて航空機なりあるいは艦艇に送ってくるという、そういうものでございます。これ自体が攻撃兵器ではございません。その潜水艦から出します音をとらえてこちらへ送る、そしてそれを頼りにまたその先の方向がわかるわけで、またその先にソノブイを落としまして、それから入ってくる電波を分析してまたその先へ行くということでだんだんたどっていくもの、潜水艦にたどりつくための一つの装置でございまして、これが爆雷であるとか、魚雷であるとかいうように相手方を攻撃する兵器ではないわけでございます。
  320. 岩間正男

    ○岩間正男君 攻撃する兵器でないからと、しかしこれは探知兵器なんだね。それで、これは攻撃の一つの大きな素材になるわけなんだ。だから、これをアメリカと相談してやっているという話ですが、大部分は日本の潜水艦を便ってやっているという。しかしさっき述べたように、ソビエトの潜水艦に対してもこういうことをやるといえば、これはソビエトの潜水艦に対しては敵対行為になるんじゃないですか、どうなんですか。
  321. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 私は、その事実についてはよく調べなければならぬと思いますけれども、ソノブイを落とすということ自体は別に敵対行為ではない、攻撃行為ではないというふうに考えます。
  322. 岩間正男

    ○岩間正男君 ここは見解の相違になるかもしれませんが、果たして必要な自分の担当の仕事の範囲内のことになるのかどうか。しかし問題によっては非常にこれは問題を起こしやすいですな。そういう危険を持ったものであり、これは明らかに、このような監視活動が、たとえばソ連船に行われるというようなことになりますと、これは憲法の許容範囲を超えた、そういうものになるのじゃないですか。どうですか、その点は。
  323. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) いま申し上げましたように、ソノブイというのはもぐっている潜水艦を突きとめるために使う道具であるわけでございまして、通常の場合、平和時におきましては、アメリカのように目標を提供して訓練の対象にするというような場合は別でございますけれども、普通の場合には、まず日本の潜水艦以外のものに対して行わないというのが私どもの立場でございます。仮にアメリカ以外の国の潜水艦に対して、先方の了解なしにソノブイを落とすというようなことがありました場合には、これは必ずしも相手に対して友好的な行為ではないという意味において好ましくないと思いますが、それが直ちに憲法違反になるというふうには考えておりません。
  324. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 岩間さん、ソノブイについてもう少し理解をいただきたいと思うんですが、これは訓練はやっぱりやっておかなきゃいけない。何のために対潜水艦能力を高めるかと、これがなければやれないわけです。  それから、何だか原子力だけにこれを便っているというふうに言っておられますけれども、そうじゃなくて、それは潜水艦を見つけるというのは大変なことですよ、これは。私も乗ってみましたけれども、音にしましても、温度の変化あるいは地殻の高低その他によっていろいろ音が変化するわけでございまして、そういうことをしょっちゅうやらなければ、これはもう対潜作戦というものはできないわけでございまして、日本の安全を考えるならば、この点はむしろ大いにやれというような御激励があってしかるべき問題だというふうに私は思うわけでございます。
  325. 岩間正男

    ○岩間正男君 それは、訓練と実際の作戦を含んだような監視行動というのとは、どこで分けるか非常に分けにくい。これは八戸に行って聞いてみても、訓練だ訓練だというわけだ、ソノブイを投下するのはね。そう言っているわけだが、大体、日本の潜水艦の行動、それからアメリカの潜水艦の行動、これはまあ訓練のためだと言うんですけれども、先ほどの中村委員の質問なんかも総合して考えれば、やっぱりソビエトの潜水艦をつかみたいんじゃないのか、そうじゃないですか、そうでないと平仄合わない、さっきの答弁からいって。日本のやつだけやっているんでは、音紋も違うし、そういうデータを本当につかむというのが目標なんですね。だからそういう点は公然とこれは言えないから、それからどうも公海でそのようなソビエトの艦船に対して哨戒監視行動をやったというようなことになると、非常にやはり問題持ってくるからということで、この点は秘密にされているんです。どうもこういう点が問題だと私は思うのです。実際は具体的に本当に明らかにされているかというとそうなっていない。いま言ったように、局長の答弁そのものを聞いてみてもどうもこれは現実と違っている。こういうことはしばしば多いんですよ。だから、本当に国民のコンセンサスを得るので、もう本当に現在のあり方を話したというようなことを言っていますが、これは先ほども論議の中に出てまいりましたように、実際は大切なポイントが隠されている。これじゃやっぱり私は実態わからないんだ。それを隠しておいて、今度は世論調査やるから世論調査はだんだんそれは高まってくる。この世論調査だって七九%で自衛隊必要だと、こういうようなことをやっているんだが、自衛隊の実態というのはわからぬ。わからぬようにしておいて世論調査とか盛んにやって、これが上がったからといってこの白書には出ている。ところがいまのような問題、これはいろいろありますけれども、掘り下げていくというと非常にやはり国民には明らかにできないという問題ですね、この点やっぱり私は問題だと。この白書の中にもそういう点を本当に詳細に見ていくというと大変ないろいろ問題出てくるわけですね。  そこで次に移りますが、こうして集められた情報というものは、これは日米間の情報交換や連絡に使用されているんですね。
  326. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) いまの監視情報、こういったものは日米間で情報交換の対象になっておるわけでございます。
  327. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 先ほど岩間さんおっしゃいますけれども、中村さんにもお答えしたわけですけれども、ソ連の情報収集艦が、この東京都ですよ、都のすぐ房総半島のところに二回にわたって収集やっているわけです。あるいは若狭湾に二回来ている、熊野灘に二回来ている。これは恐らくいろんな日本の防衛の能力、あるいは地質の状況、海底の状況、海流の状況、そういうものを調べているわけですな。だから、一方においてはそういうことがあるわけですよ。ですから、こっちが対潜能力を高めるために訓練をやる、これはあなたあたりまえのことじゃないですか、独立国として。そうお思いにならないんですか。それ私どうしてもわからないんですよ。日本人であるならばそう考えるのが当然じゃないかというのが私の考え方なんですけれども
  328. 岩間正男

    ○岩間正男君 日本人であるなしという、そういうことの論議は別として、あなたいつでも憲法に基づいてやっているからと、自衛隊は。だから、それは法の一体範囲はどうなのかというところがいま問題になっているんで、いまのようなやり方でいけばどこまで持っても構わないと、向こうがやっているからこっちもやるんだと、こういうようなことになるわけだ。そういうようなことになるとこれはどこまでも果てしないんだよ。これは力の政策の当然陥るところなんで大変なことになる。
  329. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 私は法を曲げてやっているとは思っておらないわけでございまして、憲法の範囲内においてやるべきことであるというふうに思っておるわけです。またやらなきゃならない。もし現地においてそれに違反のおそれのあることがあったならば、長官としてはこれは差しとめるべきであると私は思っております。
  330. 岩間正男

    ○岩間正男君 だから、そこのところはとにかく厳密にやってみる必要があります。  もう一つは、本当にこれは現地の第一線の、先ほど言ったそういう問題についてはっきり知らしてください。  それから、本当にこれは憲法の許容範囲を超えるか超えないのか、これは論点です、非常に論点。われわれはやっぱりそれらは現状において超えておるんだから、だから現実が変わったんだからそれでいいと、こういうような論点ではこれはいかぬと、こういうことです。
  331. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 委員長
  332. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ時間の関係から、そこでやられたんじゃこれは時間なくなるから、もっと重大な問題あるから聞きますけれども、それじゃもっと進めましょう。もっと具体的にした方がいい。ソノブイの問題はそれぐらいにして、情報の問題。  それじゃ七六年度の米国防報告書に述べられている米対潜戦略の三つのバリアというのがありますな、これについて簡単に説明してください。
  333. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 御指摘のシュレジンジャーの国防報告書だと思いますが、これで対潜の戦略につきまして、一つは、海峡等の地理特性を生かして同海峡を通過する相手潜水艦に対しては航空機、潜水艦等による阻止バリアによってこれを阻止する、これが一つ。それから、これを突破して作戦海域に進出する潜水艦に対しては、航空機等による硝戒によりこれを探知撃破して相手勢力を阻止する、これが第二。それから第三が、これを突破して航団等を攻撃する潜水艦に対しては、艦艇、航空機等による護衛によって相手にその機会を与えることを封じるといった対処要領でございます。
  334. 岩間正男

    ○岩間正男君 それじゃいまのやつをもう一遍確かめてみますが、三つのバリアがあると、その第一ですね、これは地理上の利点を生かした固定聴音機の群列と、攻撃原潜と、それからP3Cなどの対潜哨戒機、これを組み合わした、これが第一のバリアですね。
  335. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) そのとおりでございます。
  336. 岩間正男

    ○岩間正男君 第二のバリアですね、これは遠距離用水中固定監視システム、まあ同軸海底ケーブルソーナーなど含まれると思いますが、それと、これを補助する長距離対潜哨戒機と攻撃用原潜、さらに空母発進の航空機などを組み合わせる、これが第二のバリア、こう考えてようございますな。
  337. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) そのとおりでございます。
  338. 岩間正男

    ○岩間正男君 第三のバリアですね、これは商船、艦隊を護衛する艦艇と、それに付随する対潜ヘリコプターなどの組み合わせ、それでようございますね。
  339. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) そのとおりでございます。
  340. 岩間正男

    ○岩間正男君 そこでお聞きしますが、ソ連の太平洋艦隊の根拠地はどこですか。
  341. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) ソ連の太平洋艦隊の根拠地は、司令部はウラジオストクにありまして、それからカムチャツカ半島のペトロパブロフスク、それから沿海州のソブガバニ、こういったところでございます。
  342. 岩間正男

    ○岩間正男君 そこで、ソ連の太平洋艦隊がその根拠地を出て太平洋に進出するような場合、これは四つの場があると思うのですね、その一つを必ず通過しなければならない。その四つの地点というのはどこですか。
  343. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 多分先生のおっしゃっておるのは四つの海峡のことをおっしゃっているんだろうと思います。
  344. 岩間正男

    ○岩間正男君 千島列島線ですか、それから日本の三海峡ね、宗谷、津軽、対馬。そこでさきに三つのバリアを挙げましたが、その三つのバリアのうち、第一、第二、このバリアにとって最もいわば主軸をなす重要な構成要素、それは固定聴音機の群列、さらに長距離用水中固定監視システム、こういうものだと思うのですね。アメリカの対潜戦略、そうしてその中で非常に主軸をなすところのそういうものが、四つの通過地点、まあ四つの海峡、四海峡にこれは設置されておりますかおりませんか。
  345. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) いまおっしゃるのは、アメリカのがここへ設置されておるかどうかということでございますか。
  346. 岩間正男

    ○岩間正男君 ええ。
  347. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 少なくとも、日本が直接知る限りにおきましては、宗谷、それから津軽、それから対馬でございますが、アメリカのは設置されておりません。
  348. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、これはソ連の対潜戦略というものはちょっとまあ作戦常識では考えられないようなものですね。これはすでに探知装置の中で最も重要な、そして最も効果的なものは固定探知装置だと、こういうふうに言われていることは私がくどくど言わなくても常識だと。この常識に外れるようなかっこうでいまの地点には監視探知装置、固定探知装置が取りつけられていないということですね。そうするとどうなんですか、これは。アメリカ単独ではそのような対潜能力は現状まで、これは三つのバリアとわざわざ大きく打ち出してきているそれが、実際は日本の三海峡においては行われていないということですな、これはどういうことになりますか。
  349. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) これはアメリカの戦略でございまして、私どもとしてはそれについては推測以上のものはなし得ないわけでございます。
  350. 岩間正男

    ○岩間正男君 アメリカが、国防白書でシュレジンジャーがこれまで指摘をして、しかもアメリカの対潜戦略の命だとも言いかねない三つのバリアについてこれは出しているでしょう。その三つのバリアの第一、第二の最も主軸をなす固定監視システム、こういうものが、とにかく最も重要な、いま対ソ戦略と言っているんでしょう、あなたたち。さっきからもここで言われているのはソビエトがどうかということなんです。この太平洋艦隊が、これは日本海、さらにはオホーツク海の方に入っている、そういうような態勢の中で結局太平洋に出てくるかどうかということが大きな問題なんです。それを探知する能力をアメリカは独自に持っていない。大変なこれは一つの戦略上の大きな穴じゃないですか、大変なことです。この点どうですか。
  351. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) これはもう全くアメリカの方の話でございまして、先ほど申し上げましたように極東艦隊の根拠地はウラジオだけでございませんで、カムチャツカに有力な根拠地であるペトロパブロフスクを持っております。ここにはヤンキー型、デルタ型のバリスティックミサイルを搭載いたします原子力潜水艦が多数おり、またここにドックがたくさんあるという話を聞いております。
  352. 岩間正男

    ○岩間正男君 しかし日本海が大きな問題になっているんですね。さっきの、日本海はもう制海権が握られてこれはソビエト海だ、ソ連海になっているなんという、そういう話も出ておる。そういうときに、この三海峡の監視というのは非常に重大な問題になっているわけです。だから常識では考えられない。ところが日本の自衛隊はこの三海峡に固定聴音機の群列または長距離用水中固定監視システム、これを設けていますね。
  353. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 長距離というようなものではございませんが、固定水中聴音機、これを設置してございます。
  354. 岩間正男

    ○岩間正男君 設置していますね、これははっきりしてください。
  355. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 三海峡ではございません、正確に申し上げますと津軽と対馬の二海峡でございます。
  356. 岩間正男

    ○岩間正男君 宗谷はどうです、宗谷は。
  357. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 宗谷はただいまのところ設置してございません。
  358. 岩間正男

    ○岩間正男君 設置してないんですか。それじゃ陸上局についてお聞きしますけれども、これは津軽の場合はどこです。どこにありますか。
  359. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) これは事柄の性質上、場所は遠慮さしていただきたいと思います。
  360. 岩間正男

    ○岩間正男君 それがおかしいんだね、全く。おかしいですよ。津軽の場合は白神、龍飛、これは龍飛行ってみたからね、われわれは。そして海底ケーブルソーナー、われわれもう調べているんだよね。そういう中でも龍飛はちゃんとはっきりなんですわ、白神だってちゃんとある。対馬だったら——対馬はこれ言えないんですか。これは壱岐、対馬にちゃんとあるんです、陸上局が。それから宗谷にないと言っていますが本当ですか、これ。礼文、利尻にあるじゃないか。
  361. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) これは本当にございません。
  362. 岩間正男

    ○岩間正男君 本当にないんですか。あったらどうします。あったらこれは大変なことになりますよ。いまのは食言になりますからな。で、われわれはこの問題、さらにこれは保留しておきます。  そこで、まあとにかくあなたたちは津軽と対馬の場合は認めたわけだ。自分からはこれは言えないと、これは自衛隊の情報、しかし天下周知なんですね、これはもうこういうことは。もうどんどんこれはそういう何に書いていますよね、評論の中なんかに出てくるんだ。それをあなたたちが否定されている。ここのところ自身非常におかしいものがある。まあとにかくこれは認められたわけだ、陸上局は。名前言わないだけで、これはある。後ろの方から官房長が名前言わないでと言っている、聞こえましたよ。  だから、そうなるとアメリカのこの対潜戦略の大穴を日本の自衛隊が補完していること、これが何よりの証拠になっているんじゃないですか。日本のそのような固定探知装置というのがなかったなら、アメリカの対潜戦略は大変なこれは西太平洋においては大きな大穴を持つことになる。それを補完するために日本の自衛隊がやっているんでしょう。どうですか。
  363. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) まあ先生のような見方をされる方もあるかと思いますが、私どもは、これはわが国の安全のために必要な措置であるというふうに考えておるわけでございます。
  364. 岩間正男

    ○岩間正男君 だから、あなたたちは安保さえも守っていないんですよ。これは事実上の日米共同対処です。日米共同対処がやられている、すでに。そうでしょう。そこでお聞きしますが、日米共同対処は、これは安保五条の発動なしにはできないと、こう思いますが、どうです。
  365. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 安保五条には、日本に対する武力攻撃があった場合に日米が共同して共通の脅威に対処すると、こういうことになっているわけでございます。
  366. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうしたらどうですか、現実的にはこれは対潜戦略の中ではもう組み込まれている、日本の海上自衛隊のこの固定探知装置はすでに組み込まれている。日米共同対処はすでに行われている。名前はどうつけようが、実際は、事実はそうなんだ。あなたの言うとおり現実はそうなっている。そうすると、五条は発動していない、その前からすでにそういうことが事実上行われている、平時でも行われている、これは大変な問題じゃないですか、この点どうです。
  367. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) ただいまの問題は、直接的にわが方の情報がそういうふうに生かされておるかどうかということも問題がございますが、いずれにしても、安保五条で言う共同対処というのは、武力行動、直接行動を伴うものを言っておるわけでございまして、ただいまの先生の御指摘のように、ここでそういう御例示のようなものが安保第五条の共同対処に該当するとは考えておりません。
  368. 岩間正男

    ○岩間正男君 それはあなたたちの解釈であって、そんなことは事実上、これはちゃんとやってきている。平時で、しかもすでにもうこれは明らかに組み込まれているんだな、戦略体制の中に組み込まれている。これ以上の共同対処ないですよ。これは平時ですでに行われている。五条発動はできない。こういう点で、以上見てきたことでも明らかだと思う。有事に備えるんだと言うんでしょう、あんたたちは。先ほどからも話があったんです、話があった。有事に備えてちゃんとこれはやっていなければいけないと、こちらで、と言っているわけだ。最初からやっているわけです。だから、そういうことになれば、有事に備えるということを口実にして、平時でも日米共同対処をこれはやる。そうして、それをさらに検討しなきゃいけない。これこそが今度設置された日米防衛協力小委員会のねらいではないか。さらに小委員会は、平時における違法な日米共同対処をさらにこれは合理化する、そういう一つのねらいを持っておる。さらに、有事における取り決めを積極的に推進する機能を担うことになる。小委員会の設置をめぐって、先ほどから治安対策の問題とか、間接侵略への対処の問題、非常時の立法などの問題、こういうことが問題にされました、先ほど。これは非常にわが国の平和と安全、そういうものにとってきわめて重大な問題をはらんでいると思うんです。この問題をもっとやはりずばり明らかにしないで、どうして国民の一体コンセンサスを得ることができますか。いかにも、白書はコンセンサスを得て、そのためにもつくられたと言っている。しかし、ソノブイの問題、さらにいまの固定探知機の問題一つを見ますというと、いまの日本の姿勢というのははっきりしているわけです。私はこれは重大だと思うんですよ。だから、こんなのをどんどん明らかにしてごらんなさい、果たしてこの自衛隊の性格というものに対して国民はどういう考えを持ってくるか。ここに初めてはっきり安保体制下における日本の自衛隊の姿というのが、具体的に、いまの海上におけるこういう探知装置そのもの一つの中でももう具体的にあらわれている。これは一例にすぎない。時間の関係から私は全部明らかにすることはできない。
  369. 中山太郎

    委員長中山太郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  370. 中山太郎

    委員長中山太郎君) 速記を起こして。
  371. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 岩間さん先ほどおっしゃる、アメリカの安全にとって三海峡が大事と言うならば、日本の安全にとってはこの三海峡はもっと大事なんですよね。そのためにわれわれはこういうようなことをやっておるわけなんで、それを取り違えてもらったら非常に困るわけで、日本の安全にとって必要。しかし、いまわれわれがしておる日米安保条約の小委員会の研究協議の問題については、これは別だということなんでございまして、そこをひとつはっきりさしていただきたいと思っております。
  372. 中山太郎

    委員長中山太郎君) 本件に関する本日の調査はこの程度にとどめます。     —————————————
  373. 中山太郎

    委員長中山太郎君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  後日の委員会におきまして、国家公務員の災害補償に関する調査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  374. 中山太郎

    委員長中山太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  375. 中山太郎

    委員長中山太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十九分散会      —————・—————