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1976-08-05 第77回国会 参議院 災害対策特別委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年八月五日(木曜日)    午前十時三十六分開会     —————————————    委員異動  七月二十日     辞任         補欠選任      神沢  浄君     松永 忠二君      鶴園 哲夫君     松本 英一君  七月二十二日     辞任         補欠選任      原田  立君     太田 淳夫君  七月二十四日     辞任         補欠選任      神谷信之助君     内藤  功君  八月四日     辞任         補欠選任      佐藤  隆君     戸塚 進也君      内藤  功君     神谷信之助君  八月五日     辞任         補欠選任      松本 英一君     青木 薪次君      藤原 房雄君     多田 省吾君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         工藤 良平君     理 事                 上條 勝久君                 藤原 房雄君                 神谷信之助君     委 員                 川野辺 静君                 戸塚 進也君                 八木 一郎君                 青木 薪次君                 松永 忠二君                 太田 淳夫君                 多田 省吾君    国務大臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  金丸  信君    事務局側        常任委員会専門        員        森  一衞君    説明員        警察庁刑事局保        安部外勤課長   斉藤  隆君        防衛庁防衛局運        用課長      長谷川 宏君        防衛庁人事教育        局人事第三課長  澤田 和彦君        環境庁長官官房        参事官      宇野  佐君        国土政務次官   野中 英二君        国土庁長官官房        審議官      紀埜 孝典君        国土庁長官官房        災害対策室長   山本 重三君        大蔵省主計局主        計官       西垣  昭君        厚生省社会局施        設課長      水田  努君        農林大臣官房審        議官       杉山 克己君        農林省構造改善        局建設部防災課        長        棚橋 正治君        林野庁林政部管        理課長      江上 幸夫君        林野庁指導部長  藍原 義邦君        中小企業庁計画        部長       児玉 清隆君        中小企業庁計画        部金融課長    松尾 成美君        運輸省港湾局防        災課長      寺尾  健君        気象庁予報部長  窪田 正八君        気象庁観測部長  小林寿太郎君        建設省計画局宅        地開発課長    梶原  拓君        建設省河川局長  栂野 康行君        建設省河川局水        政課長      吉沢 奎介君        建設省河川局防        災課長      井沢 健二君        建設省道路局長  浅井新一郎君        建設省道路局国        道第二課長    渡辺 修自君        自治大臣官房参        事官       平岩 金一君    参考人        日本道路公団理        事        平野 和男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○災害対策樹立に関する調査  (派遣委員報告)  (昭和五十一年七月十日から十二日までの梅雨  前線豪雨並びに台風第九号及び七月十八日から  二十日までの梅雨前線豪雨による災害に関する  件)  (地震予知対策に関する件)     —————————————
  2. 工藤良平

    委員長工藤良平君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告をいたします。  去る七月二十日、神沢浄君及び鶴園哲夫君が委員辞任され、その補欠として松永忠二君及び松本英一君がそれぞれ選任されました。  また、去る七月二十二日、原田立君が委員辞任され、その補欠として太田淳夫君が選任されました。  また、七月二十四日、神谷信之助君が委員辞任され、その補欠として内藤功君が選任されました。  また、昨四日、佐藤隆君及び内藤功君が委員辞任され、その補欠として戸塚進也君及び神谷信之助君がそれぞれ選任されました。  また、本日、松本英一君が委員辞任され、その補欠として青木薪次君が選任されました。     —————————————
  3. 工藤良平

    委員長工藤良平君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 工藤良平

    委員長工藤良平君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事神谷信之助君を指名いたします。     —————————————
  5. 工藤良平

    委員長工藤良平君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  災害対策樹立に関する調査のため、本日の委員会日本道路公団理事平野和男君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 工藤良平

    委員長工藤良平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  7. 工藤良平

    委員長工藤良平君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、先般当委員会が行いました伊豆半島における梅雨前線豪雨による災害実情調査のための委員派遣につきまして、派遣委員から報告聴取いたします。松永君。
  8. 松永忠二

    松永忠二君 調査報告書。  去る七月二十六、二十七日の二日間にわたって、工藤委員長上田委員太田委員内藤委員と私は、伊豆半島南部地域における梅雨前線豪雨による災害実情調査を行いました。私は、調査団を代表して、その調査概要を簡単に御報告いたします。  まず最初に、日程について申し上げます。  第一日目の二十六日は、東京を早朝に出発し、三島からのマイクロバスの中で、県当局者から今次災害の概況を聴取し、国道百三十六号線を南下、西伊豆町、松崎町及び南伊豆町における主な被災地視察するとともに、それぞれ町当局者から災害状況等について聴取、また、下田財務事務所において、県災害対策本部下田支部における総括的な災害対策についての聴取を行いました。翌二十七日は、下田市、河津町及び東伊豆町の当局者から、それぞれ災害状況聴取するとともに、主な被災地視察日本道路公団管理東伊豆道路東伊豆白田地区の大災害地最後に、日程を消化して、帰京したのであります。  次に、今回の伊豆半島における梅雨前線豪雨における災害概要について申し述べます。  東海地方から関東地方にかけて梅雨前線が停滞したため、七月十一日朝から同日夕刻にかけて、県下各地大雨が降り、特に伊豆半島南東部地域では、四十九年の七月災害、昨年の一〇・八災害をしのぎ、狩野川台風に次ぐ集中豪雨に見舞われたと言われ、天城山の五百五十九ミリ、を初め、稲取で四百九十三ミリ、湯ケ島で四百四十二ミリ、松崎で三百三十三ミリなど、記録的な豪雨により、各地に大被害が発生したのであります。静岡県は、十一日の正午に県庁内に災害対策本部を設置し、災害状況調査復旧並びに救助災害対策に当たるほか、被害の大きかった下田市、南伊豆町、河津町及び松崎町にそれぞれ災害救助法が発動されたのであります。  ことに、時間雨量五十ミリを超える地域もあったため、山腹崩壊を初め、河川はんらん道路決壊伊豆電車のストップするに及んで、伊豆半島南東部地域は、全く陸の孤島と化し、夏のレジャーシーズンと週末を控えて、繰り込んだ行楽客約一万五千人が足どめされるなど、局地的に激甚な災害をこうむったのであります。  七月二十二日現在における県当局のまとめた、県下全体における災害状況調書によりますと、河津町、下田市を中心死者十六名、負傷者四十三名を初め、家屋の全半壊六十六むね床上浸水二千三百八むねを含む浸水家屋七千三百五十八むね田畑流出埋没百四十ヘクタール、同冠水三千二百六十五ヘクタール、河川千二十九カ所、道路六百二カ所、がけ崩れ五百四十九カ所等、公共土木施設被害は最も大きかったのであります。これを被害額によってみますと、公共土木施設被害に七十億円、農地農業用施設に五十三億円、林地林道等に二十三億円、サービス業ほか商工業関係で四十一億円など、総被害額で二百五億円に達しており、その大部分伊豆半島南東部地域被害と言えるのであります。  このような激甚な災害に対して、県災害対策本部は、いち早く、孤立した下田市、河津町、南伊豆町及び松崎町への救援活動を開始し、海上保安庁、東海汽船等協力並び自衛隊出動等により、船による一万一千五百五十一人の観光客救出輸送を行ったほか、被災地への食糧の輸送、寸断された道路応急復旧断水地域への飲料水供給対策並びに防疫対策等が実施されたということであります。  以上は、今次の災害及び救援対策等について概観いたしましたが、以下に今回の視察した被災地現状等について申し上げます。  まず、山腹崩壊及び砂防災害等についてであります。国道百三十六号線並びに南伊豆道路(マーガレット・ライン)、県道下田修善寺線及び国道百三十五号線等を通過して感じられますことは、緑豊かな山並みに赤茶けた新生崩壊のつめ跡が数多く見受けられることであり、集中豪雨のすさまじさを思い知らされたのであります。  ことに西伊豆町の田子小学校土屋尚信校長ほか児童数四百四十一名)では、たまたま当日は日曜日であったため、児童等人的被害はなかったのですが、校舎裏手山腹が高さ百メートル、幅十メートル程度にわたって崩れ落ち、二千立方メートルとも言われる崩土が鉄筋三階建ての新校舎一階の教室になだれ込み、さらに運動場にまで広がり堆積したため、地元住民協力自衛隊応援を得て排土作業が行われたということであります。  また、河津筏場では、後藤茂樹さん方を大小の岩石を伴った鉄砲水が突然に襲い、家族の三人が犠牲になるという、まことに悲惨な災害をこうむっております。後藤さんの説明によりますと、家のわきをふだんは沢が裏の天子平から一直線に流れ落ちているが、雑木林の間を縫って流れるこの沢は二百メートルほど上流にワサビ田があり、以前は大雨でも水が余り出ることはなかった。天子平の上に二十ヘクタールに及ぶ分譲造成地ができて、稜線に道路が通るようになってから変化が見られると写真をもって悲痛な表情で訴えるように言っておられました。この際、犠牲となられた御家族の御冥福を祈り、謹んで哀悼の意を表します。  なお、狭い山合いに開けた南伊豆妻良地区では、今回の集中豪雨等により、殿田上流の山々に十カ所にわたって亀裂が走り、危険な状態にあるほか、鉄砲水に襲われ、床上浸水約六十戸、土砂流入約百戸、伊豆沖地震復興もつかの間で、三年連続災害により、民宿の多い同地区に大きな損害を与えたのであります。  次に、河川災害についてであります。  松崎町の那賀川岩科川を初め、南伊豆町の青野川、下田市の稲生沢川等中小河川は、いずれも改修が著しく立ちおくれているように見受けられます。  視察した那賀川河川災害は、県道下田松崎線決壊を招き、現在、蛇籠工法による応急復旧工事が実施中であり、道路交通は確保されております。また、岩科川に沿う国道百三十六号線は、堤防道路の未改良区域約百メートルが決壊、一応、道路交通は確保されたものの、農地約十三ヘクタールが土石で埋没しており、その復旧が急がれるところであります。また、両河川による流送土砂によって松崎港の埋没が問題となっております。  南伊豆町では、青野川のはんらんにより下賀茂地区中心に約千世帯浸水被害を受け、うち五百二十世帯床上浸水に見舞われるという大被害を生じているのであります。同河川は、沿川地域宅地化の進展に伴い、遊水機能を失い、たび重なる浸水田畑冠水のため、四十四年から事業費三十二億円の計画河川改修工事が進められてきておりますが、未改修地域は川幅が狭く、蛇行しており、絶えず浸水の危険を抱えている災害危険河川と言われております。  また、稲生沢川青野川と同様であり、ことに支川蓮台寺川の支流の上大沢川と下大沢川合流地点地盤と河床の差が余りなく、激流が渦巻く個所であり、この合流地点に位置する下田蓮台寺温泉は、両大沢川のはんらん鉄砲水のため、一瞬の間に床下浸水に襲われ、約三百七十世帯のうち二百七十五世帯床上浸水、旅館のほとんどが水浸しになるなど、昨年の一〇・八豪雨災害を大きく上回り、夏の観光シーズンを前に手痛い被害を受けたのであります。  河津川は、三十三年の狩野川台風後に改修が進められ、今回の豪雨では余り河川災害はなかったと言われておりますが、支川の谷津川のはんらんにより、農家経済を潤おす花卉類に多大の被害を与え、ことにハナショウブはほとんど全滅ということであります。  さらに、道路災害についてであります。  伊豆半島南東部地域に通ずる国道百三十五号線、同百三十六号線、県道下田修善寺線等幹線道路は至るところで決壊により寸断、一時、交通は途絶する事態が生じたのであります。  ことに、日本道路公団が管理する東伊豆道路で三十六カ所、南伊豆道路で十カ所の切土崩落等があり、その概算復旧額は約十六億五千万円とされております。  この中で、東伊豆道路東伊豆白田地区における切土崩落は、延長二百メートルにわたり、高さ百二十メートル、深さ十五メートル程度斜面崩壊を起こし、十万立方メートルの崩落土砂が同道路及び六戸の民家、伊豆電鉄の軌道を押し流し、海岸線から百メートルの沖合いまで土砂が流れ出したのであります。このため、道路電車とも交通ストップとなったほか、埋設されていた水道管決壊し、全く予期しない大災害となったのであります。視察当時には、伊豆電鉄開通しており、緊急用車両のための連絡路一車線が確保され、仮の落石防護さくを施した迂回路による復旧工事が急ピッチで進められているところであります。一日も早い開通が望まれるのであります。  なお、海岸に押し出した土砂については、波浪によって流出するおそれがあり、魚介類等に影響するため、流出防止のための施設が必要ではないかと考えられます。  また、県道下田修善寺線河津梨本地区での道路決壊は、自衛隊応援を得て、応急措置がとられ、一方通行による交通確保がとられております。  次に、地元における要望の主なものについて申し上げます。  まず第一は、今回の災害について、現地特殊事情を勘案し、局地激甚災害指定基準を緩和し、局地激甚災害に指定すること。  第二は、今回の災害実情に即応し、公共土木施設に係る局地激甚災害復旧事業等対象事業を拡大し、都市施設災害復旧事業費等を新たに含め、特別財政援助対象とすること。  第三は、被災現地は急傾斜地が多く緊急に復旧する必要のある大小林地崩壊が多発しているため、新たに林地崩壊防止事業小規模林地崩壊防止事業等を含め、特別な財政援助対象とすること。  第四は、被災現地には観光事業を営む中小企業関係被害者が特に多く、事業用資産に対する直接被害と同時に、交通途絶による観光シーズンを控えての予約の取り消し等による損害が甚大であり、指定基準である中小企業関係被害額にこれらの損害を含めるよう特別の措置をとること。  第五は、被災地は三年連続被災であることを勘案し、指定基準について公共施設被害農業被害中小企業被害それぞれ前年、前々年における被害額を加算し、現行基準の緩和を図ること。  第六は、連年激甚被災地域については、公共土木施設農地農業用施設について早期復旧を図るため、被災初年度復旧率について特段の配慮をすること。また、河川治山激甚災害対策特別緊急整備事業適用をした河川改修事業治山事業についても促進を図ること。  第七は、農業中小企業被害に対する融資措置については、既応災害による融資残高もあり、担保余力もなく再建資金の調達に支障があるので、融資限度及び災害信用保証特例措置を図ること。  第八は、災害救助に係る救助基準限度額引き上げを行うとともに、今回の被害の実態から観光客民間船舶による輸送等についても特別の配慮をすること。  第九は、被災地方公共団体に対し、地方交付税及び国庫補助負担金の早期繰り上げ交付地方債特例措置特別交付税による措置等地方財政特例措置を講ずるよう配慮すること。  以上、調査概要等について申し上げましたが、ここに調査のまとめとして所見を申し述べ、行政当局の善処を要請するものであります。  第一に、比較的地盤の軟弱な火山礫主体南伊豆山地の中でのリゾート・ゾーンづくりは、交通至便な東伊豆町、河津町、下田市に集中しており、乱開発の傾向にあります。樹木の乱伐、山地形状変更等による開発姿勢は、ややもすると災害を誘発し、助長する原因ともなることから、厳に規制を強化し、慎重な行政指導を行うことが必要であります。  第二に、伊豆半島南東部地域は、伊豆沖地震を初め、相次ぐ災害によって新生崩壊が数多く見られることから、総体的な山崩れ、がけ崩れ等危険個所等の再調査を速やかに実施するとともに、治山砂防等防止施策を講ずべきであります。  なお、南伊豆妻良地区殿田川の上流における山腹崩壊防止のため緊急砂防事業を、西伊豆田子小学校裏崩壊防止のため緊急治山事業を実施することが緊要であり、また、河津筏場山腹崩壊についても精細な調査を行い、緊急に防止対策がとられることが必要と思われます。  第三に、連年災害青野川、稲生沢川等については、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法第二条第三項の規定による災害復旧事業一定災制度)の採択、または河川激甚災害対策特別緊急整備事業採択について検討し、計画的に河道を整備し、再度災害防止に努めることが必要と思います。  第四に、今回の災害はきわめて激甚であることにかんがみて、局地激甚災害に指定することであります。  第五に、伊豆沖地震以降、相次ぐ災害による被災者が多いことから、ことに個人災害に対する融資限度引き上げ措置、また、中小企業被害者についても融資限度及び災害信用保証特例措置を講ずべきであります。  第六に、日本道路公団の管理する東伊豆道路については、地域住民生活道路であり、かつ、観光シーズン最盛期でもあることから、白田地区開通は緊要であり、応急工事による開通とあわせて、抜本的な改良を加えた復旧整備を図る必要があると思われるのであります。  以上でありますが、最後に、今回の調査に当たって御協力をいただいた関係各位に深甚なる謝意を表して、報告を終わります。
  9. 工藤良平

    委員長工藤良平君) どうもありがとうございました。  次に、昭和五十一年七月十日から十二日までの梅雨前線豪雨並びに台風第九号及び七月十八日から二十日までの梅雨前線豪雨による災害等につきまして調査を行います。  この際、政府から報告聴取いたします。野中国土政務次官
  10. 野中英二

    説明員野中英二君) 七月十日から十二日までの梅雨前線豪雨並びに台風第九号及び七月十八日から二十日までの梅雨前線豪雨による災害について御報告いたします。  七月十日から十二日にかけて関東南部東海地方豪雨があり、静岡南伊豆中心河川はんらんがけ崩れ等による被害が生じました。  これらの災害による被害状況は、現在までに判明いたしましたところによりますと、一般被害といたしましては、死者十六人、建物の全半壊流出七十三むね床上浸水二千三百五十七むねであり、施設関係等被害額といたしましては、公共土木施設関係約百十三億円、農林水産業関係約九十三億円、中小企業関係約四十億円、その他の被害を含めますと総額で約二百五十七億円に上っております。  この災害に対してとった措置といたしましては、災害の発生と同時に一県十二市町村災害対策本部を設置し、被害拡大防止及び被災者救助に努めるとともに、被害の特に大きい静岡下田市、河津町、南伊豆町及び松崎町の一市三町には直ちに災害救助法適用し、応急救助救護活動を行いました。  一方、政府におきましては、七月十二日から十四日にかけ関係省庁の係官を静岡南伊豆地方に派遣し、被害実情調査及び応急措置指導に当たりました。  また、十八日から二十日にかけて台風第九号の通過とこれに伴う前線活動活発化により九州、四国近畿関東北陸地方豪雨等があり、鹿児島県、熊本県、埼玉県を初めとする各県にがけ崩れ河川はんらん突風等による被害が生じました。  これらの災害による被害状況は、現在までに判明したところによりますと、一般被害といたしましては、死者、行方不明五人、建物の全半壊流出百九十六むね床上浸水六百二十むねであり、施設関係等被害額といたしましては、公共土木施設関係約二百四十三億円、農林水産業関係約百四十五億円、その他の被害を含めますと総額で約三百九十三億円に上っております。  この災害に対してとった措置といたしましては、六県百四十七市町村災害対策本部を設置するとともに、被害の特に大きい鹿児島県川内市には災害救助法適用し、応急救助救護活動を行いました。  なお、梅雨前線豪雨等による災害についての激甚災害法適用については、現在、関係省庁において被害額調査中であり、調査結果が得られ次第、必要な措置をとることといたしておりますが、今後とも被害調査に基づいて被災者及び被災地方公共団体災害復興に必要な万全の措置を講じてまいる所存であります。  終わります。
  11. 工藤良平

    委員長工藤良平君) これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 上條勝久

    上條勝久君 私は、これから災害に関する発言をするに当たりまして、まず最初に、日本人の英知それから勤勉性というもの、これを私は大変誇りにするものでありますが、また反面、私を含めまして、どうも物事に対しまして事前に対策を考える、そして実行するということが非常に乏しいんじゃないかと、そして事が起こりますると非常に騒いでこれに対応するという癖があるように私は思うわけでございます。こういうことが、これから発言いたしまするこの災害防止あるいは災害対策について、法令上あるいは行政上に影響するところがないかどうかということを常日ごろ考えておりまするので、このことをまずもって申し上げておきたいと思う次第であります。  第一点は、農地災害採択基準に関連してでありますが、このことは宮崎県の清武町における事例でありますけれども、農地保全のため土地改良を実施いたしました区域で段々畑になっておる土地条件の畑やたんぼの傾斜面、これが大体五メートル以上の段になっておるわけでございます。その上に田や畑があるわけでありますが、そういう地形のところで、田では水受け面積、畑では利用面積決壊部分だけが災害対象地域として取り上げられておるのであります。特にこの畑の場合は、いま申し上げましたとおり、利用面積中で決壊した個所だけが災害対象になりまするから、その他の利用面積も入らないし、さらにまた崩壊をいたしましたのり面五メートル以上のがけ地、それは含まれない、こういうことでありますために、その復旧に当たりましては財政上の事情等もあって、その方をから積み程度で、上は土羽で一応つくろっておくというのが、私は市町村における、そういう個所における災害復旧実情ではなかろうかということを現地で確かめてまいったのであります。こういうことでありますと、これはもう必ず二次災害を引き起こすということは火を見るより明らかでありまするから、さらばといって、長年やってこられたこの基準をいま直ちに改正するということもこれはなかなか問題があろうかと存じますが、せめてこの畑の場合の利用面積ぐらいはその対象にできないものかどうかということを私は思っておるのでございます。したがって、どうかひとつ、これから査定が行われるはずでありまするから、査定に当たってはこういう点を十分——細かいことでありますけれども、農地保全なりあるいは総合農政を推進していく上の一つの足がかりになる問題でありまするので、十分ひとつ配慮の上査定に対処してほしいということをこの機会に——これはお答え要りませんが、要望を申し上げておきたい、かように思います。農林省の方どうかよろしくお願いいたします。  次に、災害復旧事業における調査災害が起こりますと、どこにどういう災害が起こったかということをまず確認をいたさなければなりません。次に測量をして、そして地図をつくって設計の準備をする、それができ上がりますと初めて設計をして、その設計に基づいて査定官の査定を受けると、こういうことになるわけでありまするが、今日これらに要する経費はこれはばかになりません。かなりの経費が当該市町村都道府県いわゆる地方公共団体の負担になっておるわけでございます。先ほども松永先生からの御報告にもありましたが、とにかく今日地方財政が非常に窮屈であるわけでございまするし、私はこのことについては先般の委員会でも強く各省庁に訴えまして、きわめて積極的な、前向きの御答弁をいただいておりますけれども、これは全国的な問題でありますし、非常に大事なことであると思いますので、重ねていま発言をさしていただいておるわけでありますが、例を、私が見てまいりました六月の南九州の降雨災害に置きますと、先ほどもお話が熊本からありましたが、あの災害の特徴としては非常に災害個所が多い個所に発生をしておるということでございます。したがって、公共災害に該当するような災害についてもそうでありまするが、その他の、このままほっておけば二次災害を発生するおそれが非常にある、だからほってはおけないんだという、いわゆる災害採択基準に満たない小災害というものが各地に発生をいたしておるわけでございます。これらについては技術的にもあるいは財政的にも、町村におきましては手も足も出ないというのが実際の実情でございます。災害はこれはもう一般公共事業と比較いたしまして、私はやっぱり特殊な公共事業であると、こう考えるのであります。したがって、これらの設計等に要する経費は今日までも当然これは事業費の中に計上をして、そして国庫負担の対象にすべき筋合いのものではなかろうかと、かように思うのであります。現に、道路にいたしましても、都市計画にいたしましても、すべてこれらの設計に要する経費は事業費の中に打ち込まれて、そして国庫負担の対象になっておるわけでありまするから、長年の慣行によって管理者負担というたてまえから、市町村の負担にいつまでもゆだねておくということは私はこれはもう非常におかしいし、適当でないというふうに確信をいたしておりまするので、どうかひとつこの前御答弁をいただきましたとおり、ぜひもういますぐにも財政当局とも、各省庁におきましては十分お話を詰めていただきまして、そういうことに取り扱いを変えていただくということを重ねて強くお願いをいたしたいと思う次第でございます。この点について、これはもう建設省のみならず関係事業各省庁に及ぶ問題でありますが、各省から伺うのもあれでありますから、建設省の事務当局から、この点についてどうお考えになっておるかを重ねてひとつはっきりもう遠慮なしに聞かしていただきたい。その上で、大蔵省からおいでをいただいておると思いますが、財政当局のこの問題についてのお考えを承りたい、そう思います。
  13. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) 災害復旧事業における調査設計及び設計に関する委託に関する経費につきましては、激甚な災害のときだけをいままでやっておったわけでございます。このことにつきましては、当委員会におきましても毎回のようにお話を伺っておるところでございますが、近時の地方公共団体の災害時におきます非常な困難性にかんがみまして、現在私どもこの実態をいろいろ調査いたしておりますので、今後関係各省並びに財政当局と協議をして検討してまいりたいというふうに思っております。
  14. 西垣昭

    説明員(西垣昭君) お答え申し上げます。  災害を受けられた市町村の財政負担、大変なものだと思います。ところで、この制度でございますけれども、およそ補助金につきましては、補助金の申請に要する費用というのはそれぞれの地元の負担でやる、それで申請を受けて事業をする場合の事業費については補助の対象にするというのが一般的なたてまえでございます。そういった意味で一般的な制度として申請に要する諸経費を補助対象にするということは、制度としてなかなかむずかしいのじゃないか、こういうふうに思っております。ただ、地元の御負担が大変であるということは十分承知しておりますので、いままででも積算の費用を軽減するために簡便な積算方法を認めるとか、あるいは災害を受けた市町村だけでは手が回らないときには県とか近隣の市町村の援助をお願いするとかいうようなこともやってきております。また、そういうことをやりましてもなお十分でないというような場合につきましては、いままでも何回か例がございますが、特例といたしまして設計費を補助するというようなこともやってきておりまして、われわれといたしましては実情に応じましてできるだけ無理のないように措置をしたい、このように考えております。
  15. 上條勝久

    上條勝久君 いま主計官のお答えは、私も、大蔵省財政当局として長年の慣習、慣行できたものをいまこの席でこれは私の発言の趣旨に沿うようにするということは、恐らくこれは大蔵大臣でもおっしゃらぬと、そう思います。しかし、これはぜひ主計官ひとつ主計局長その他とも十分各省庁の意向が出たところで——いまお話しの点もわからぬじゃありませんけれども、もう私はその時代は過ぎたと思うのです。したがって、この問題はとことん財政当局にお願いをしてまいるつもりでおりまするので、この席では、どうかひとつ十分各省庁の御意見等もよく聞いていただきまして、ぜひひとつ前向きに御検討いただくようにお願いを申し上げておきたいと思います。  それから、ただいまの問題に関連をするわけでありますが、これもこの前自治省から大変親切なお答えをいただいておりますから重ねてお答えはいただきませんけれども、先ほどもちょっと申し上げました小災害で、どれもこれも復旧するということは実情なかなか至難のわざであろうと私も思います。しかし、それをほっておきますと、十万円以上が公共災害採択基準でありますから、九万円以下というのは採択基準にならぬわけで、その境というものはまことに一線に過ぎません。一方、公共災害災害の査定なるものは十万円でも復旧されるんだという原則でありまするから、小災害でも放置をしておけば必ず次の災害を引き起こすおそれのあるものについては、これはやはり当該市町村なりにおきましては放置できない問題だと思いまするので、それも先刻申し上げた相当な個所に上がります。これに要する経費はかなりになると思いますが、それともう一つは、災害に当たりまして応急復旧事業を、応急復旧対策各地方公共団体はすぐやらなければなりません心これに対する資材、そういうものもこれはかなり経費を要しております。したがって、これらについてよくひとつ都道府県なり等でまとめていただきました内容等を御検討いただきまして、どうかひとつ特別交付金なり等の計算に当たりましては、十分ひとつ配慮をしていただくように、お答えは要りませんが重ねてお願いをしておきたい、そう思います。  次に、第三番目でありますが、公共土木災害復旧事業。これは他の災害を当然含むわけでありますけれども、原形復旧というのが、これは仁徳天皇が淀川の改修最初やられたというようなことでありますが、そこからずっと時代の進運に従ってその制度等を改められてきておることは、これは申すまでもありません。しかし、災害復旧というのはやっぱりどこまでも原形復旧の原則という観念、これは当然でありますし、わかるわけでありますけれども、どうも原形復旧だけでありますと国費はもとよりでありますが、せっかくかけた金がむだ遣いに終わるおそれはないかということを私は実際に今日まで施行された若干の個所等を見て痛感をいたしておるわけでありますが、そういうことで、これも道路もあればいろいろあるわけでありますけれども、一応ここでは河川に例をとって現地を見た結果について二、三の問題点を挙げて、関係省庁の御見解を伺いたいと、こう思うわけでございます。それについて、この河川改修工事がすでに行われておる、あるいは災害関連事業、助成事業等が行われておる、そういう河川個所につきましてはほとんど災害を受けていない、全く受けていない、こう言ってもいいと思います。これは南九州の今度の降雨災害の例でございます。そういうことをひとつ頭に置いて考えるわけでありますが、私は、この原形復旧というのはいま申し上げました前提に立って考えますと、河川改修された、そこに災害が発生するといった場合は、これは私は原形復旧で十分その効果を期待することはできる、こう考えざるを得ないし、またそうであろうと思うわけでございます。しかし、未改修河川、まあ自然のままに放置されておる川では、局地災害復旧工事を施行してもその効果を期待することはきわめて困難ではないかというのが実情でありまして、原形復旧工事の繰り返しを重ねてまいりますことは、一円を惜しんで百円を捨てる結果になる。これは私の国元では昔から——きょうは鹿児島の宮之原先生おいでになりませんけれども、でもそうでありますが、一め惜しかの百めうっせということをずっと昔から言っておるわけであります。一め惜しかの百めうっせというのは、いま申し上げました、一円を惜しんで百円を捨てる、そういうことがずうっとこう言われてきておるわけでありますが、でありますから、局地の原形復旧でも技術的に検討されて効果がある、期待できるというものを除いてはもうこの際ひとつ前向きに、災害復旧関連事業あるいは助成事業の制度が現在あるわけでありますから、これも先ほどの御報告にもありましたが、ぜひひとつ災害の都度、激甚災害がありましたその都度に現行基準を検討して、さらに大幅に拡充をして、二次災害が起こらないようにひとつ防止のための事業の推進を積極的にやっていただく、そして災害防除の万全を期していただくということにひとつこれはもう思い切って取り組んでいただきたいと、こう思うわけでございます。これは先ほどの大蔵省のお答えのように、いままでずっとないということじゃなくて、現行制度が予算措置として大蔵省の承認のもとにあるわけであります。ぜひひとつそういうことで、これは一時的に金がふえるからこれを惜しむということになりますと、ずうっと長きにわたって大変な金を捨てるということになりますから、これは私たちのふところ勘定から考えてもそういう経済、金繰りの考え方というのは私は間違いである、こう思いますので、思い切ってひとつそういうことにしていただきたいと思いますが、これについての考え方もひとつ建設省から、公共災害の立場からそうしていただけると思いますけれども、お考えをお聞かせいただいて、よろしければひとつ主計官からもお答えをいただけるとありがたい、こう思います。
  16. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) 災害復旧の場合に原形復旧でございますが、先生の仰せのとおり、改良が済んだものでそれが適当なものであるならば、確かに厳密な原形復旧というふうなことになるわけでございますが、災害を受けた場合でそれがもとのものに戻す場合に、不適当な場合あるいはできないという場合がございます。そういう場合には原形復旧とみなすというふうなことで、その災害を受けたものにつきましてはそういうふうな改良復旧的なものも原形復旧というふうになっております。ところが、その災害を受けた施設と連帯いたしまして、災害を受けていない施設が一緒に混在しておるというふうな場合が問題になってくるわけでございます。そういう場合には、八割ぐらいやられた場合には一定災ということで、災害復旧で全部やるというふうなことになるわけでございますが、現在の制度では、おおむね原則としてということになっておりますが、原則としてそういう改良費が五割以内の場合は行うというふうなことに災害関連事業では、助成事業ではなっております。で、そういう場合を考えます場合に一番問題になりますのは、地元のやはり用地買収問題、改良復旧をいたす場合にはやはり用地がかかりますので、用地の問題がございます。それともう一つは、その区間を復申しましても、上流の洪水がその下流を流れるかというような上下流との整合性の問題があります。こういう三つの問題が非常に大きな問題であるわけでございますが、やはり壊れ方によりましては、いまの財政的な、原則として五割以内とするというその辺がやはり問題になってくる場合が非常に多いわけでございまして、そういうふうなことで、これは私どもも現地の方もいろいろ苦労いたしまして、どうせやるならやはりちゃんとすると先ほど先生のおっしゃったように二度三度被害を受けるというふうなことがないわけでございますので、極力こういう問題についてやはり努力を進めてまいりたいと思っております。で、現在、関連事業でございますが、小さないわゆるそういう改良費が二千万以内の場合でございますと現地で決定をすると、もう決定をしてすぐやっていただいて結構というふうなことにいたしておりますし、また突起がたとえば出っ張っておるとか、あるいは寄り州が邪魔であるというふうな場合には特別関連というふうなことで、そういう小さな問題個所については、そういうことを積極的に進めようと実はいたしております。このようないろんな方法がございますので、こういう方法をいろいろ駆使いたしまして問題の解決に努力をいたしたいというふうに考えております。
  17. 西垣昭

    説明員(西垣昭君) いま建設省からお答えがありましたとおりでございまして、私どもとしては極力弾力的に運用いたしております。災害復旧につきましては原形復旧が原則でございますけれども、原形復旧が適当でないようなところにつきましては、効用復旧というような考え方に基づきまして裁量を加味いたしておりますし、それから災害復旧だけでは細部災害防止できないというようなものにつきましては、災害関連あるいは助成というようなことで、一対一という原則を一応基準にしながらも、場所によってはかなり弾力的に運用いたしております。また、ことしの予算で新しくつくりました激特というような制度も、先生が言われたような御趣旨に沿った制度ではないかと、こういうふうに考えております。
  18. 上條勝久

    上條勝久君 ありがとうございました。まあその点はひとつよろしく。  なお、大事なことでありますから、きょうは国土庁の政務次官わざわざお聞きをいただいておりますので大変心強いわけでありますけれども、各省の大臣にもぜひこのことは報告をしておいていただきたいと思います。  それから次に、災害防除対策上——これはやはり河川局の関係でありますが、河川改修工事を全川的に行うことは、なかなかこれはもう経費的にも技術的にも容易ではございませんが、しかしやっぱり根本的には治水工事を推進するということが河川関連災害を防除する基本であると、こう考えます。ところが、なかなかそう言っても早急に望むべくもありませんので、この河川で、ある程度整備されておる、しかし将来はさらに改修しなきゃならぬというような河川でありましても、河川そのものの災害はないが、その河川の河床が非常に未整理のためにその上流田畑等に、あるいは宅地等に浸水をするというようなことで、思わざる被害を起こすという例がございます、これも見てまいりましたが。ところが実際は、河川の維持管理費でありますか、若干予算があると思いますけれども、この額が非常に少ないために、それをやりたいけれども、これまた地方公共団体の負担でやらさるを得ない。これをやりますと——河床整理と技術的には言っておられると思うんでありますが、やりますと、非常に流水が円滑になってかなり私はそういう災害を防除することが可能である、かように判断いたしますので、この点はお答え要りませんが、どうかひとつこのことは本当は目でも立ててと言いたいけれども、そう言ったところでそう簡単にできるものじゃありませんから、ぜひひとつ予算の枠をふやしていただくなり、あるいは治水事業全般の中の配慮としてこういう河川が全国的にかなりあると私は想像いたしまするので、しかも、災害の場合原形復旧と違って手戻りになるおそれはないと思います。したがって、そういうことでぜひ前向きに取り組んでいただくようにお願いをしておきたい。  時間の関係で先を急がしていただきますが、次に、道路公団からきょうわざわざお忙しいところ参考人理事さんおいでをいただいておると思いますけれども、大都市もこれは必要でしょうけれども、私は今日の状況から考えると道路網の整備というものは大都市よりもむしろ地方に重点を置いて進めていただくということがすべての点から考えて妥当ではないだろうか、まあ私が田舎の選出議員であるから申し上げるんじゃありません。先ほど来宮崎に例をとりましたが、これは例示として申し上げておるわけでありまして、決してそういう意味ではないんでありますが、そう思うわけであります。したがって、地方における道路網の整備につきましては、これは産業経済なりあるいは国民生活の環境整備という観点から強く要望し、その推進には一生懸命やらにゃいかぬと、こう思っておる一人でありますが、特に、この前も一部を開通していただきました南九州における自動車高速道路、この促進についてはこの上とも関係機関のひとつ御協力、御配慮を切に心からお願いを申し上げたいわけでございます。  私がいま申し上げたいのは、その大事な道路の設計上の配慮についてお願いを申し上げたいということであります。というのは、建設省なり道路公団で農地や宅地が降雨の災害被害を発生するおそれがあるというような地域については設計上相当な配慮のもとに設計をしていただいていることを十分私は承知いたしております。六月の降雨災害における宮崎県の例でありますが、えびの・高原地方は御承知のとおり霧島山麓に当たりまして、大体この土地がわりあい極端に高いわけじゃありません、なだらかな勾配を持って形成をされておるという土地条件に置かれておるわけでございますが、その耕地の中に高速道路という構造物ができると——これにつきましてはいま申し上げましたとおり排水口その他について十分な配慮をしていただいております。しかし、いままで何もなかったところにそういう構造物ができますので、ともするとその水の流れの力なり量が一定の個所に集中することによって下流の農地なりあるいは宅地等に主に生ずる災害を増加するというような傾向が私は心配をされるわけでありまして、この点は、これはまあ極端に言えば太平洋までそれじゃ排水施設をつくるかというようなことも考えられましょうし、いろいろ技術的に持ち場持ち場の限界もありますから、むずかしい問題があろうかと思いますが、どうかひとつそういう土地の条件というものを十分配慮をしていただいた上でこれらの設計に取り組んでいただくようにこの機会に特にお願いを申し上げておきたいと思うわけであります。いまどういうことでそういう問題に取り組んでいらっしゃるか、せっかくおいでをいただいたのはその点をちょっと参考に聞かしていただきたかったわけでありますけれども、時間がありませんから、私はこの点については十分配慮はいただいておるわけでありますので、強くそのことをお願いをして、お答えはいただかないことにいたしたいと思います。どうかひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。  この点については一般道路の設計等についてもそうであります。道路の上を流れる多量の水によって——その側面等にがけ地があるとかなんとかいうことになりますと、特にまた道路が勾配があってずっと曲がり角なんかになっておるとそこへ流水が集中して、そしてがけが崩れて下にある住宅等を決壊した事例等もありまするので、これは私がいま申し上げるのは私道の例でありますけれども、十分ひとつお考えをいただいて御指導を願いたい、こう思うわけでございます。せっかく公団の理事さんにおいでをいただきましたが、ありがとうございました。  それからその次でありますが、次には、先ほども先生から御報告がありました下田地方における特別防災対策事業をひとつ強力に実施してほしいということについて申し上げてみたいと思います。伊豆地方はお話のとおり近年災害の常襲地帯になっております。これもお答えをいただくはずでありましたが、調査をいたしておりますので私から申し上げますと、過去十年間に、年には一回、二回、場合によっては三回、そして四十九年、五十年、五十一年、二十億から今度は公共土木災害で六十七億ですかの災害を起こしておる、そして静岡県全体の災害の比率からいたしますると公共土木で七〇%を占めておる、こういうことが実情でございます。こういうようなこの過去の、下田地方というきわめて限られた、限定された地域においてそういう災害が毎年毎年起きておると、こういうことでありますから、従来から言われるいわゆる台風常襲地帯などとは趣が違うと私は思うんです。ですから、こういう地域については現行の制度を一〇〇%活用することはもちろんでありますが、ひとつこの際災害防除のための、これはどこか国土庁あたりで音頭をとっていただきまして、総合的なひとつ災害防除のための総合診断をやってもらいたい。どこが、だれが出てどうするということは、これはひとつ国土庁で御調整をいただいて、そしてあらゆる政府機関から参加してもらって、この下田地域における災害防除に関する総合診断をやってもらいたいということでございます。  それから建設省では激甚災害対策特別緊急事業というものがあるわけでございまして、これは多分本年から、五十一年から実施される行政措置、予算措置であると思いますが、その内容なり採択基準といいますかね、それをずっといろいろ見てみますと、どうも少し、何もかにも、この国の財政の苦しいときにあれもやれこれもやれというわけじゃありませんけれども、ありませんが、ずっと見てみますと、やはりこれはもっと大幅に拡大する必要がある。まあたとえば補助率にいたしましても現在三分の二でありますが、これは四分の三ぐらいに上げちゃどうかと、あるいはまた予算の柱も立ててはどうかというふうに思うわけでありまして、こういう点について特にこの制度は鹿児島にも適用されなきゃならぬかもしれませんが、どこもここもというわけにはいきますまい、それは。やっぱり重点をぴしっと決めて、決めた以上は完璧なものにするという私は姿勢が大事であると、こう思いますので、そういうことでぜひひとつ前向きにこの制度を活用してもらいたい。そして下田地方における災害が二度と起こらぬように、これはむずかしい問題でありますけれども、ひとつ各省庁も真剣に総合診断をした上で、これに対処していただくようにお願いをいたしたいと思うわけであります。特にこの制度は公共災害がなくても、伴わなくてもできる非常にりっぱな時宜を得た私は行政措置であると思いますので、ぜひひとつそういうことに国土庁、建設省、さらにはひとつ財政当局大蔵省、自治省においても援護射撃をお願いしたい、こう思います。  最後に、地震予知の行政体制の確立あるいは予算化等について申し上げます。ちょっと時間が過ぎましたが、お許しをいただきます。  中国の河北地方を襲った今回の大地震で大被害が発生して、そしてブルガリア通信の報道によれば、百万人の死傷者を生じたんじゃないかというおそれがあるということを朝日の記事は報告をいたしております。世界一の地震国である日本にとって、地震予知の実用化を国民に図るということは、私は国民全体の悲願である、悲願であらねばならぬと思うわけでございます。今日の日本の都市構造等から考えた場合に、治にいて乱を忘れておりますと、これはもう大地震に見舞われたら一体どうなるんだということは、これはもう重大な国民全体の関心事であるにもかかわらず、どうもこれの取り組み方が消極的な形で、何かこう災害、地震が起こって被害が出たらどうするかというような、後ろ向きの消極的な対策が模索されている現状ではなかろうかということを私は心配するわけでございます。  中国では地震対策、特に予知の実用化を重視して、政府に地震局を設けまして、これ専門の地震局を設けて、そして専門業務を担当し、各界各層を動員して、そして強力な科学的調査、観測を実施するとともに、国民大衆の簡易な器材なり肉体等による観察で、井戸水であるとかあるいは地光、地鳴り、動物の異常現象等を把握することによってその効果を上げる最大限の努力が払われておることは皆様御承知のとおりであります。  米国も地震予知に最善を尽くしておる国でありますが、五月の上院の本会議では、地震の早期警報システムの開発ということで、緊急予算として向こう三年間に一億五千万ドル、四百五十億円を支出する法案を可決いたしております。そして地震の事前対策と申しますか、地震の対策に万全を期するということに大いに努力をいたしておるのでございます。  日本でも地殻変動調査を軸として活断層、地下水の調査、地震活動の監視、地震波速度変化の追跡、地磁気重力の観測等によって予知の事業が高度な技術によって推進されていることは私も十分承知をいたしておりますけれども、どうも一体こういう問題について、国民がどこの役所へ聞いたらこういう問題についてすぐわかるんだろうかということになりますと、なかなかこの関係機関が大分多くて、国土庁、科学技術庁、文部省、建設省、運輸省その他これはまあたくさんあるわけでありますが、そういうことでなかなか判然としない現状であります。地殻変動の調査に要する予算もきわめて窮屈で、予期の成果をおさめることは現状におきましては科学的調査はこの程度の予算ではとてもできないと私は思うわけであります。地震予知の行政機構が一体今日どうなっておるか、あるいは政府は幾たびか予知対策について関係審議会等の建議を受けまた閣議了解もしておりながら、地震予知の実用化というものを今日どの程度推進をされておるのか、これらの点について伺いたいわけでありますが、これは時間がありませんから、またどうせこのことは他の災害問題と関連しまして、参考人からも意見聞かなきゃならぬし、もう委員会の都度、各省庁にお尋ねをしてまいるつもりでありますから、きょうはもう時間の関係上、お答えはいただきません。  それから中国方式と言われる井戸水等による、あるいは動物の異常現象等によるこの把握についてどのようにお考えになっておるか。ともすると日本の学者はこういう、何といいますか、ことを、非科学的と見て、そしてないがしろにする傾向があるということを指摘しておかなきゃいかぬと思うのです。これは私はばかにすべきものじゃない、どこの国でもそれがいいという成果を上げておるならば、これはやっぱり政府として真剣にこれに取り組んで、そしてこの面を軽視するようなことがあっちゃならぬ、こう思うわけでありますが、その点もお答え要りません。  どうかひとつ政府は、この際、地震予知を含む地震対策に関する総合調整のための行政機構を明確にしてもらいたい。同時に、地震予知に関するアメリカではありませんが緊急大幅の予算の計上を決断をしてもらいたい。これが私は、そんなことがあっちゃなりませんけれども、一番最初に申し上げました、災害にいたしましても地震にいたしましても、私を含めて、こういうことが起こっちゃならぬ、ならぬからこういうふうにみずからも戒め、やっていかなけりゃならぬということが、災害なんかを起こしちゃいかぬ、そのためにどうしたらいいかという地震対策に乏しい国民性があるということを冒頭に指摘しておきましたのもこのためでございます。どうかひとつ十分上司にもお伝えをいただきまして、きょうはもう時間がありませんから、せっかくおいでをいただきましたけれども、お答えが聞けないで残念でありますが、大体政府の答弁は私は予想いたしております。でありますから、申し上げたことを参考にされまして前向きにひとつ取り組んでいただくようにお願いをいたしたい。  また、内閣の最も中心の実力ある金丸国土庁長官、わざわざおいでをいただき、これは私のためにおいでをいただいたのではないはずであります。私はまあお忙しい際だからもう結構ですよ、こう言っておいたんでありますけれども、おいでをいただきましたので、時間が過ぎましたが、一言だけをいま……。
  19. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) 最後のくくりのようでございますから、私からお答えをいたしたいと思います。  地震の問題につきましては、各省ばらばらだ、窓口はどこだ、こういうような御批判もあると思うのですが、中央防災会議あるいは分科会等もありまして、国土庁が中心の窓口になってこの横の連携をいたしておるところでございます。この地震対策という問題につきましては、また予知というような問題につきましては、非常にどれだけ予算をかけ、どれだけのことをやればこれが完全なものかという結論めいたものをつかむことがなかなかむずかしいわけでありますが、しかし予算をかければ予算をかけただけのことは当然あると私は思うわけであります。いま国土庁におきましても、災害対策の関係事務をとっておる職員が二十人程度であります。ときに大きい災害があって出動してしまうと、あとに二、三人しか残らない、留守番しかいないというようなことで、これではだめだ、来年度から、この災害対策の組織も少し拡充すべきだというようなことで、来年度の予算の一つの関係の目玉にもいたしておるわけでございます。また、先般閣議で先ほどの予知の問題で、地震の問題を運輸大臣が中国の報告をいたしたわけでありますが、そのとき永井文部大臣が、関係の学者と話し合ったとき、中国の大衆のいわゆる協力によって——地震予知というものについては、これは相当大きく期待もし、またそういうことがあってしかるべきだと思うんです。また、そういうことがあることによって地震というものを予知できる。地震のときはキジが鳴くとか羽ばたくとかあるいはネズミが飛び出すとかナマズが動くとかいろいろあるようなことわざもあるわけでありますから、   〔委員長退席、理事上條勝久君着席〕 そういう面についても十分なこれは今後配慮をすべきだという学者からの話があった。しかし、先般の中国の地震は予知が全然できなかったという結果も発表になっておるようでありますが、しかしそれは避けておいて、一人より二人、国民大衆の協力を得るというようなことの体制も今後われわれも考えていくべきで、十分先生の意見を他山の石として今後精進いたしたいと思います。
  20. 松永忠二

    松永忠二君 国土庁の関係で少しお聞きしますが、国土庁の資料によると、六月下旬の梅雨前線被害が、この前出した被害が七百十七億、きょうここでいただいた被害、主として静岡県を中心としたものが二百五十七億。で、七月の下旬の九号台風被害はまだ正確なことはわからないでしょうが、大体推計として被害額幾らですか。総額だけでいいです。
  21. 山本重三

    説明員(山本重三君) 先生のお尋ねは台風九号と七月十八日から二十日までの梅雨前線豪雨による被害の件かと思いますが、そのうちいま先生列挙されましたのは公共土木施設関係被害、こういうふうに理解しております。この関係の被害は、総額でいま私ども報告受けておりますのは二百四十二億でございます。
  22. 松永忠二

    松永忠二君 いま大臣はいなかったけれども、九州地方の各県、静岡県などから陳情があって、九州地方の人たちはいずれも激甚災害の指定をしてほしいというような話があった。静岡県は県だけの問題でもあったので局地激甚の指定をしてほしいという要望が出ております。いまここにも、最初被害が七百十七億、静岡県関連二百五十七億、それから九号台風関係二百四十二億。全国被害が現在では一千億に上る——従来は、われわれが昔国会で議論をしたときは二百億の被害が全国的にあれば激甚災害にということであったが、いまは標準税収入の額も上がってきたために、大体一千億を上るような被害があれば激甚災害に指定するというのが従来の考えです。そこで大臣に特にお願いしたいのは、従来二回にわたったり三回にわたったりした被害連続的に起きたときには、六月、七月の梅雨前線に伴う被害という言い方で激甚指定の標準にしたわけです。今回は九号台風がその中に入ってくるわけだけれども、これは一連の被害であるので、個々の金額では激甚指定にならないとしても、一連の被害を一つのものとして考えれば激甚災害の指定ができる可能性も私たちはあるように思う。   〔理事上條勝久君退席、委員長着席〕 激甚災害に指定されてくれば静岡県でいう局地激甚というようなことはもう必要はなくなるわけなんであって、当然一連の中の被害として激甚災害としての指定を受ければそれでいけるわけなんです。大臣はこういう点について、特に九州地方を中心として激甚指定をしてほしいというような問題についてどういうふうにお考えになっていますか。
  23. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) 私は政治家でありますから政治的な判断は当然しなくちゃならぬ、また、事務当局は法律に従って忠実にそれを履行するということが事務屋のやる仕事だろうと私思います。しかし、困るそういうような問題をいわゆる判断するということはこれは政治家がやるべきだと。そういう意味で、国土庁では国土庁長官が、あるいは農林省では農林大臣が判断すべき問題だと私は思う。しかし、そういうとき、たとえて言えば、一千億でなければだめだ、じゃ八百億ではだめかという場合は、私は、何とかそれは、それを一連の——一千億でなくても、これはみんな困っているんだから当然やってやるべきだと。実は、この間ひょう害が各地にありました。そのひょう害を、一県で起きたひょう害だけではこれは対象にならない、しかし、気象上の一連の関連があるものであったらいったらいいじゃないかというようなことで、これを、その一連の関係があるという測候所の一筆を取って局地激甚災の指定を受けたというような最近の例でありますがあるわけであります。そういう意味で一連の関連があるならばできるだけ拾い上げていきたいというのが私の考え方であると、こう御理解いただきたい。
  24. 松永忠二

    松永忠二君 従来の建設大臣の際もその辺を工夫して、要するに、二回にわたったものを一つとして、六月から八月に及ぶいわゆる梅雨前線に伴うもの及び何々台風に伴う被災というようなことで激甚指定をやってきているので、特にその点について努力をしていただきたいということです。  そこで、いまの話からも大臣ちょっと記憶にとどめておいていただきたいのは、いま、局地激甚のいわゆる拡大をしてもらいたいという、特に陳情にもありましたし、あれにもあるその都市災害——上水道であるとかあるいは下水道それから公園、この施設が、結局、激甚災害のときの被害の指定の積算に入ってないわけです。一度国でばこれを入れようじゃないかという、公共土木の中へ入れようということを計画したことがあったわけです。もういまや都市の上水道、下水道、公園などが災害を受けてこれを公共土木の施設の中へ入れないということの方がむしろおかしいのであって、この際、それを入れれば言うとおりまた被害額は上がってくるわけです。そういう合理的な方法もあるわけなんだから、そういう点を特にひとつしてもらいたいし、こういう都市施設災害を激甚災害の積算の中に入れるという、公共土木施設災害復旧の中に入れるという、こういう考え方については大臣はどういうふうに考えておりますか。
  25. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) 事務的な考え方と先生のような政治的な考え方とあるわけだと思いますが、私も先生と同じ考え方でこれは十分検討してやるべきだと。ことに、地方財政その他が逼迫しているこういうときですから一段とそういう問題については今後私は検討してみたいと、こう考えています。
  26. 松永忠二

    松永忠二君 ぜひひとつお願いをする。それをもまた一つの中に入れれば被害額はふえる。  そこで、いま、私の、今度の静岡県の中の局地激甚指定すれすれの町があるわけです。これは下田市ですけれども、ことしの標準税収入の推定が十二億三千七百万円ぐらいだろうと思うんです。今度の被害額の原形復旧の金額大体合せてみると十三億くらい。もちろん、改良復旧を入れればもう少し金額はふえてくるわけだけれども、これが、見込み額だから当然この中の八割とか九割ということになってくるわけでありますが、局地激甚の場合には査定事業費、激甚の場合にはその見込み額をとっているわけです。そこにも違いが出てくるわけですが、じゃあ、どのくらい違うのかということを計算さしてみましたらば、通常災害の場合には、十三億の被害があって、国が補助する金額を入れると地方の持ち出しの金が三億七千六百三十五万円、もしこれが激甚であれば、この三億七千六百三十五万円の中の二億一千三百九十六万円が補助対象になるわけです。そうすると、あと残り地方が一億六千二百三十九万円負担をすればいいわけだけれども、この中の九〇%の一億四千六百十五万円は起債にして交付税で返してよこすことになってくるので、純粋に地方が負担をしなきゃできない金は千六百二十四万円。もしそのままであれば三億七千六百三十五万円。つまり十二億の標準税収にしかならないところがそれだけの負担をしなければならない。しかも、歴年、三年に重なってきているという状態の中ですれすれというところなんです。そこで、たとえば、いまここで考えてみると、静岡県から要望があり、すでに県も考えていることは、その中の稲生沢川という、蓮台寺川というところは二億で激特にしようとするわけです。県事業です。ところが、その上に上大沢川という市の川があるわけです。これは準用河川。この被害が、事業が二億六千万というところを激特でやって改良復旧をやれば、その上のところの市の被害の受けたところを改良でやってくれというのは地元で出てくるのはあたりまえのことなんです。もし改良復旧やれば六千万ばかりそれをかさ上げすることもできるということになるわけです。県の方は改良復旧を認めておいて、市の方のやるのは改良復旧を認めないということになれば——激特というのは大体一級、二級の河川にしか適用しないわけなんです。だから、ここでその上の市の分に六千万の改良復旧を認めればこの金額がはね上がるわけです。だから、さっき言うとおり、国土庁長官が言われておるし、私は政治家で政治的な判断というものがあるという話だけれども、こういうふうなすれすれのようなところについては改良復旧を少し認めてやるとか、あるいは見込み額を考えてやるということになればこれは局地激甚に入ってくるわけなんで、こういう配慮が必要だということをあわせてひとつ大臣に理解をしておいていただきたいと思うわけです。こういう点についてひとつ大臣の答弁を。
  27. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) そのお話は建設省の分担のような感じもいたすわけでありますが、災害全体から言えば国土庁の関係でありますから……。考え方は私も先生と同じですよ。それは当然そうしてやるべきだと。ひとつ建設省とも十分話し合い、今後、そういうものがそのような状況でそのようになっている何か理由もあるだろう、しかし、そういうことを除去して国の力をかすことができるような方途を講じてやることもこれは政治であると、先生のおっしゃられるとおり私も同感であります。
  28. 松永忠二

    松永忠二君 ぜひひとつ、また細かい折衝は別として考え方をひとつそういうふうに持っていただきたい。  それから、特に陳情なり強い要請のあることは、歴年災、三年続けて災害があった。そのために、農地復旧をたとえば農家がやって、ようやく金を借りて復旧したらば今度またやられた。また金を借りなきゃできぬ。中小企業、特にあそこは観光地ですから温泉、民宿が非常にある。これがまた環境衛生なり国民金融公庫なりから金を借りた。これまた、またやられてしまうということで、限度額引き上げてもらいたい、償還のいわゆる期限の猶予をしてもらいたいというような要望が出ているわけです。特に、信用保証の問題では、信用保険法による災害関係補償の特例を適用してもらいたい。これは激甚になれば適用になるわけですけれども、とにかくそういうふうな要望が出ているわけだが、農家に対し、中小企業に対して金融上の、いま言っている限度引き上げとか、償還猶予の点をどういうふうに一体考えているのか答弁をしていただきたい。
  29. 児玉清隆

    説明員(児玉清隆君) いまの先生のお尋ねの件でございますが、御存じのように、政府系の中小企業三機関の災害融資につきまして、現在でも貸し付け限度あるいは貸し付け期間等につきましての特例を設けておるわけでございまして、さらに、償還期間の延長につきましてもその具体的な返済猶予がございますけれども、それにつきまして、個々の実情に応じまして実態に即するような措置を弾力的に適用するように指導いたしております。今回の御指摘のような旅館あるいは民宿業者等の被害、あるいはそれに伴いますところの資金需要の実態につきましてもなお現在調査中でございますけれども、その被害度に対するところの三機関の融資につきまして特段の弾力的な運営をやっていきたいというふうに考えております。それから、限度額引き上げその他でございますけれども、特に、三機関の中で商工中金の分は相当限度額が高うございまして余裕がございますので、一般限度を超えることになりましても、商中を利用するという方法によりますと相当な部分が救済される場合が多うございますので、その辺の道も十分適用してまいりたいというふうに考えております。
  30. 杉山克巳

    説明員(杉山克巳君) 一般的に、農林漁業金融公庫あるいは近代化資金あるいは自作農維持資金等によりまして融資を私どもいたしておるわけでございますが、重複被害者に対しましては、従来から、そういう重複被害によって償還が困難になるというようなものにつきましては、それぞれ、農林漁業金融公庫の場合は業務方法書、近代化資金につきましても、それなりに法令の範囲内でもって償還期限の延長あるいは据え置き期間の延長というような条件変更を認めることができることになっております。私ども、災害がある都度そういう貸し付け金融機関に対しまして条件変更について指導するようにいたしておるわけでございます。今回も十分そういった措置をとってまいりたいと思います。
  31. 松永忠二

    松永忠二君 細かいので私ここへ持っているんですがね。激甚になれば限度額をまた別にしてやるというようないろいろな方法があるわけです。天災融資法を発動するんですか。
  32. 杉山克巳

    説明員(杉山克巳君) 先生御指摘のように、激甚災害適用になる、あるいは経営資金について天災融資法が発動になるということになりますれば、それに基づきますさらに条件の緩和、融資額限度の引き上げというようなことが行われます。  それから、天災融資法が発動になるかというお話でございますが、伊豆災害につきましては、農地農業用施設被害額に比べまして、天災融資法の対象となる経営資金、つまり収穫物の被害はそれほど大きくはございません。静岡県で六億六千万程度となっております。天災融資法は、一般的に被害総額が六十億円以上、二県以上にまたがる場合、というようなときに発動されることになっておりまして、その基準からいたしますと、伊豆災害は基準には届かないという状況になっております。
  33. 松永忠二

    松永忠二君 私は何も伊豆のことばかり言っているんじゃないんですよ。ほかの九州の方だってそうだった。だから大臣にも聞いてさっきから答弁されているように、激甚なり局地激に指定ができればこれは言うとおり法律的にちゃんとやることになっているわけだ。だからそれはもうそういう努力をしてもらわぬといかぬ。ただしかし、伊豆の場合にはたとえば局地激に指定もできないようなところがあるわけだ。松崎にしてもそうだ、下田も外された。そういうところが連年災害を受けたりなんかして、いま言うとおり中小企業あたりでもやられているので、そういうような実情から見て今後の局地激甚とかあるいは激甚指定の状況を見た上で、やはりもっと弾力的にやってほしいということを私は言っているんです。だからそういう点について中小企業と農業関係で具体的な案ができたらひとつ提示をしてもらいたい。その点われわれの要望もぜひひとつ入れてもらいたいということを申し上げておきます。何か農業関係でもうちょっと言うことがあったら聞かしてもらいたい。私はもうちょっと積極的なことを考えているというお話を聞いたんだが、あなたの答弁じゃ全く法律どおりやりますよと、ただそのことだけだ。何かあるんですか。
  34. 杉山克巳

    説明員(杉山克巳君) 天災融資法の関係につきましては今回の災害が六月以来たびたびいろいろな形でもって累次起こってきているわけでございます。それらの災害を一つの災害、天然現象としてまとめることができるか、そして被害額も合算できるかどうかについては、これは気象庁等の判断もございますし、関係各方面とそれぞれ相談をするというようなことが必要になってまいるわけでございます。目下その相談を進めておりますが、今回そういう合算をして天災融資法の対象とするというようなことが申し上げられるような段階にはまだなっておらないわけでございます。ただ、そういう制度上の扱いはともかくといたしまして、私は答弁の中でもその趣旨を申し上げたつもりでございますが、実際に金をもっと借りたいあるいはその条件について緩和をしてもらいたいという個々の被害者はおられるわけでございます。そういう制度上の発動の問題はさておきましても、運用の問題といたしまして現在借りている資金についてその期限の延長でありますとかあるいは据え置き期間の延長というようなことは、これはできるだけすべきではないかということで、そういう考え方のもとに既貸付金について金融機関に指導をしてまいるということを申し上げたわけでございます。
  35. 松永忠二

    松永忠二君 一連の被害を合わせ天災融資法の発動を考えていくという根拠もないわけではないので、この点についてはなおひとつ努力をしてもらいたいし、またわれわれは、そういう方向に農林省は努力をしている段階だというお話を聞いているので、その点について十分努力をすると一緒に、個々のことについて弾力的なひとつ措置を中小企業、農業関係やっていただくようにお願いをしたい。  そこで、もうちょっと話を進めますが、今度の被害を見ると、まあ私静岡の場合も、ここもそうでありますけれども河川被害が非常に多い、中小河川。実は下田土木という関係のところで三十六億の被害の中で河川被害が三十億。下田土木には十三水系で三十二、二級河川があるわけだ。三十二、二級河川のある中で中小規模河川として事業量を定めて河川改修をやっている川は幾つあるかといえばたった一つですよ、青野川という川が。その青野川という川が実は大した予算がつかないでいるというのに今度また大変な被害を受けちゃった。全く中小河川のいわゆる河川改修が非常におくれている。で、建設省は中小河川改修を治水事業の重点施策として、五年か十年に一回生じると予想されている時間雨量五十ミリ——今度五十ミリ以上降ったわけで、そういうものに耐える目標で中小河川の整備を進めるということを計画している。で、改修の必要な中小河川が七万三千五百キロある。五十年末までに整備したものはその中の一二・八%しかないわけです。一体建設省はどういう計画で何年までに中小河川をいま言うような目標で改修をしようとしているのか、まずその計画を聞きたい。  同時に、こんな乏しい予算で幾らやってみたところでどうにもしようがないのだが、大蔵省の主計官も来ていることだが、中小規模河川のいわゆる予算を拡大する必要があるということを私は痛感をしている。しかも建設省は重点施策としてそれをやっている。御承知のとおり、大臣、道路は目的税をもって、ガソリン税のあれでやっているけれども河川には目的税がないわけですよ。そのために河川改修というのは非常におくれてしまってきている。特にその中でもいま言うとおり、三十二の中でたった一つやっていて、それでしかも今度はそれらが全部被害を受けているという、こういう実情の中で大蔵としては、この建設省の中小河川改修を重点事業としているものについて、格段なその予算的配意を必要とするけれども、一体どういうふうに考えているのか、建設省と大蔵省の意見を聞かしてもらいたい。
  36. 栂野康行

    説明員(栂野康行君) ただいま先生がおっしゃいますように、中小河川につきましては毎年大きな災害を受けておるのでございます。その点は私たちとしましても非常に遺憾に思っておるわけでございます。それで、中小河川対策としてどうやっていくかという目標でございますけれども、これまだ河川局だけの検討しておる段階でございますけれども、昭和六十年を目標にした計画におきましては、大体一時間五十ミリ、大体五年か十年に一回程度起きる雨でございますけれども、五十ミリを対象にしまして整備を進めていくということで、大体現在一三%の進捗率でございますけれども、それを三〇%以上に引き上げたいというふうに考えてございます。  以上でございます。
  37. 西垣昭

    説明員(西垣昭君) お答え申し上げます。  河川改修のための予算の充実につきましては、五十一年度で二千三百四億七千万円、これは国費でございます。で、これは五十年度に比べますと一七・七%の増加。私どもといたしましては相当努力をいたしておるつもりでございますけれども、国全体で使い得る資源というものが限られているものでございますので、なかなか思うようにいかないというのが実情でございます。ただ、河川事業費の中で中小河川等に充てられます補助河川の予算はここのところ努力をいたしましてだんだんシェアを上げてきております。私どもといたしましては限られた資源でございますので思うようにはまいりませんけれども、できるだけの努力をしていきたいと、こういうふうに考えております。
  38. 松永忠二

    松永忠二君 もう中小河川が非常な被害中心になっているということはわかり切っているし、建設省自身も重点施策としていま言ったような六十年に三〇%に上げようと言っているわけだ。今度の被害を見ても言うとおりですよ、たった一つしか三十二の中でやってない。で、しかも今度はもう激特やらなければできないというようなことになっている。特に河川の予算の中で中小規模河川にウエートを置くというそういうやり方じゃなしに、全体の予算を拡大する中でひとつ充実するように特にひとつ要請をしておくし、建設省もまたこの点についてひとつその計画が実るようにがんばっていただきたい。  そこで、林野庁とそれから河川局長の方に尋ねるわけですが、今度の河川被害等を上流の宅地造成とかゴルフ場の建設と関連がどういうふうにあるというふうに考えているのか、山地崩壊、林野崩壊と、宅地造成とかゴルフ場の建設との関係はどうなっているというふうに考えているのか、それをちょっとひとつ河川と、それから林野庁の方から答弁をしていただきたい。
  39. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) お答えいたします。  今回の災害につきましては、たとえば河津町の筏場の付近につきましてはその山地の上部に宅地造成が行われておったということは現地で確認されておりますけれども、何せ報告にございましたように、連続雨量五百ミリというような大きな雨量が打っておりますので、直ちにそれと今回の災害が関連があるということはなかなか断定しがたいような感じを持っております。しかしながら、林野庁といたしましてはただいま四十九年の十一月以降森林の開発につきましては、森林法の改正によりまして一ヘクタール以上の森林の開発に対してはすべて知事の許可制という形で対応いたしておりますし、今後の問題につきましては国土保全なり災害対策という面からその辺につきましては十分対応するような行政指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  40. 栂野康行

    説明員(栂野康行君) 上流のゴルフ場を開発いたしますと、どうしてもまあ洪水の流れがよくなりまして多く下流に出てくるということで、上流でゴルフ場などをつくる場合には、県におきましていわゆる防災調整池あるいは防災施設とかそういう施設をつくりましていままで以上に悪くならないという指導を行っております。今後ともそういう面につきましてもっと指導を強化してこういう災害が起きないように対処していきたいというふうに考えております。
  41. 松永忠二

    松永忠二君 それじゃひとつ林野庁の方に聞きますがね、あなたのおっしゃった筏場天子平別荘地というのがあるわけですね、これは一体何によって規制をされていたんですか。どういう法律によって規制されてできた別荘地なんですか。
  42. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) 先ほど申し上げましたように、森林法によりまして四十九年の十一月以降、森林の開発につきましては規制をいたしておりますけれども、それ以前につきましては森林法にはそういう規制ございませんでしたので、森林の転用、開発につきましては、林野庁といたしましてはいま申し上げましたような宅地造成あるいはゴルフ場の開発というものについては行政指導はいたしておりません。
  43. 松永忠二

    松永忠二君 それじゃ建設省の方から審議官来ているんだから、宅地造成法なり都市計画法とどういう関係を持ってつくられるのか。
  44. 梶原拓

    説明員(梶原拓君) お答えします。  この御指摘の天子平別荘地につきましては現在都市計画区域のいわゆる未線引き地域、市街化区域あるいは市街化調整区域に入っていない区域でございます。それで現在都市計画法によりますと三千平方メートル以上の開発につきましては知事の許可を必要とするということになってございます。ただし、その関連の法律改正が五十年の四月から施行になりました。たまたまこの開発につきましては四十七年の三月でございまして、その規定が適用にならないということでございます。
  45. 松永忠二

    松永忠二君 これはひとつ国務大臣として大臣にも聞いておいていただくし、また建設省の関係で特にあれですが、筏場の今度三人いわゆるここで死者がある、負傷者一人、半壊一戸、そういうふうな被害がある、この天子平の別荘地というのはお話のように四十七年の三月に承認をしてある。だから林野庁からいえば四十九年の十一月だと、建設省の方からいえば都市計画でも五十年四月からで別に規制何もないんだと。で、この宅地の広さは二十二・三ヘクタールで、これは何で規制されていたかというと、静岡県土地利用事業の適正化に関する指導要綱というのがあって、それに基づく静岡県土地利用対策委員会というのがあって、その規程に基づいていわゆる四十七年三月に承認しているわけですね。したがって静岡県がその行政指導でやっている対策委員会が——対策委員会といってもこれは副知事が中心になって各部課長が入ってやっているのが四十七年三月に承認して九〇%完成をしているわけですね。一体、この土地利用対策委員会がこれを調査をしているけども、どういうふうな注意を与えているのか、建設省調査してあるんですか。
  46. 梶原拓

    説明員(梶原拓君) この静岡県独自で先ほどおっしゃいましたような対策とっておるわけでございまして、まあこの関係につきまして私ども直接指導監督権持っておるわけでございませんが、今回の災害に関しまして静岡県当局から聞きましたところ、この静岡県のまあ独自の土地利用対策委員会が過去に承認しました個所につきまして調査を五十年に行ったようでございます。その個所八十四カ所でございますが、そのうちまあ問題の件数の面から申し上げますと、百三件問題があるということで文書をもちまして改善の勧告をしているという状況でございます。
  47. 松永忠二

    松永忠二君 その勧告が出ているところでしょう。昨年の集中豪雨でも土砂崩れがあってミカン畑が被害を受けている。で、四十九年一月に現地査察をした結果、防災工事や本工事に不備な点があると言って指摘をしている。五十年七月の査察では幹線道路の亀裂を発見して、ため水のボックスが小さ過ぎるからもっとでかくしなさいというようなことを言われているわけです。それ一体やったのかやってないのか、そういう調べはどうなっているんです。
  48. 梶原拓

    説明員(梶原拓君) 逐次改善の措置がとられているというふうには聞いておりますが、具体的に何件ということは承知しておりません。なお、この静岡県の対策は特別の法律に基づかない措置でございまして、したがいまして改善勧告等のまあ有効性と申しますか、そういう点については多少問題があるということでございます。宅地造成等規制法というのが別途ございまして、本来問題のある個所につきましては、その法律に基づいて宅地造成工事規制区域に指定して、宅地造成工事の指導監督をするというたてまえでございます。ただ、この規制区域の指定につきましては、都道府県知事の申し出に基づいて建設大臣が指定するという仕組みになってございます。それで都道府県知事が申し出をする際には地元市町村長の御意見を聞くと、市町村長はまた地域住民の御意見を聞くというふうなことになってございまして、この筏場地区につきましてもそういった過去に指定したらどうかという問題ございましたけれども、なおそういう段階になってないという現状でございます。
  49. 松永忠二

    松永忠二君 そこで、実はこのやり方は非常に国も地方も責任あると私は言いたいわけだ。実はその宅地造成等規制法という法律もあるけども、これは適用してない。これは宅地造成等規制法というのは、いわゆる「宅地造成に伴いがけくずれ又は土砂流出を生ずるおそれが著しい市街地又は市街地となろうとする土地の区域」ということで、市街地に関係したところはその宅地造成等規制法で規制ができるわけだ。ところが、これは山の中だからそれはそうじゃない。これは都市計画区域の中に入っている。ところが、都市計画区域の中に入っているけれども、これは市街化区域とか調整区域の線引きをしてやるような大きな都市じゃないから、結局線引きしてないから規制もない。これじゃ困るというので、こういう小さいのにもいわゆる規制をやろうとしたのが五十年四月だが、これには間に合ってない。それじゃあ自治法の中に、地方自治法の二条二項の中にこういう国がやらないものについて地方が条例を出すことをその三項に例示しているわけだ。その中に治山治水事業とかいろいろな問題が出てきているから、条例で規制をしておけばそういう方法もあった。宅地造成規制法というものをもうちょっと現状に即するように、現に二十二ヘクタールの宅地造成をやっておるんでしょう、ゴルフ場はもっと広いんでしょう。ところが、こんなものをやってもちっとも規制の網をひっかぶすことができないような宅地造成規制法をつくったり、都市計画区域、都市計画法の。だからこそ野放しでこういうことをやっているのじゃありませんか。現にいまこういう計画が進んでいるわけです。稲生沢の支流の荒田川という川のところでは高崎産業が四十五・八ヘクタールのいわゆる別荘地をつくっている。ところが、これは都市計画区域の外にあるわけです。何にも規制するものはないじゃないですか。これはすでに、自治省もいるけれども、条例をつくってきちっとやりなさいという指導もしてはないでしょう。そうなってくると、私は、ここで三人の人が死に、非常な被害を受けたこの人たちの問題については、国や県がもっと親身になって、その責任を感じてきちっとすべきだと思う。そういうふうに法律的に不備があるということを国も一体考えているのかどうなのか。宅地造成規制法をもっと広げて、山野であってもそういうことをやる場合にはするとか、都市計画法の中で小さい都市についての規制をもっと強化していくとかということをやらなきゃ、いま話が出ていましたけれども、筏場のところに宅地造成をする、いま非常な被害を受けた大沢川という川の上流には九・二ヘクタールの別荘地がつくられている。今度はまた、被害を起こした稲生沢川の荒田川のところには、そういう四十五ヘクタールの別荘地の計画が進められている。こんなことをして、さんざん企業に仕事を勝手にやらしておいて後始末は県や国が金を出してやっていたじゃ、とてもじゃないがかなわない。国や県が金を出すのは別としても、個人のうちがつぶされて人を殺された分にはかなわない。もっと的確に、地方も国も法律的に整備をして、きちっとこういうものが規制できるようにすべきだと私は思う。長官のひとつ意見を聞かしてください。
  50. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) 人命の尊重というような立場から考えてみましても、当然法的に規制できないというような法律ではならぬことでありますから、十分そういう問題に対処できるような立法も考えなければいかぬだろうと思います。関係省庁と十分連絡をとりながら考えてみたいと、こう思っております。
  51. 松永忠二

    松永忠二君 短い時間ですから大臣の基本の方針でひとつ検討していただくとともに、私たちもただここで質問したばっかりじゃないから、細かく具体的に、どういった規制をどう考えるのか、方法はないのかどうか、そういう点をひとつ関係者と協議をしていきたいと思います。  そこで、次の問題へ移って気象庁にお聞きしますが、天気予報が少し、特に洪水警報の出し方が遅いじゃないかと。一般に、もう少し早く警報が出ていたらもう少し被害もというような声が聞かれているわけですけれども、この点について気象庁としてはどういう見解を持っておられるのでしょうか。
  52. 窪田正八

    説明員(窪田正八君) 注意報、警報の問題でございますが、ときにはいろいろ、慎重にわたりましたり、あるいは技術の限界という問題もございますので、多少御不満の点があろうかと思いますが、最善の努力を尽くしていきたいと思っております。
  53. 松永忠二

    松永忠二君 それじゃこのことについてどういうふうに言うんですか、ひとつお答えを願いたい。  今度の予報については、梅雨前線が十一日に太平洋のはるか南に遠ざかることを予想して予報を出した。ところが、太平洋の高気圧が急に強まって前線が南下できないで土曜日と日曜にかけて二日続きの雨になったのが今度のいわゆる伊豆の雨の多かった原因だと。ところが、十日の夕方に天気予報は何と出たかというと、曇りときどき晴れというふうに出た。したがって、十日にこういう予報を聞いたから十一日の日曜に——まあ土曜日から日曜にかけて観光客伊豆に出ていくようになってた。それから十一日の午前五時十分に大雨雷雨注意報というのが出た。ところが、五時から六時にかけては、天竜は三十四ミリ、島田は三十一ミリ、掛川は二十九ミリが地域気象観測網のアメダスで自動的に報告が出ている。それから、七時から八時にかけては、天城山が時間降雨量が五十九ミリ、御前崎は五十一ミリ、天城湯ケ島が四十六ミリ、豪雨の範囲は静岡県全域に広がっているという状況の中で九時二十五分に大雨警報を出した。洪水雷雨濃霧注意報が出た。——実はきょう注意報が出ているんですよ、静岡県は。これと同じいわゆる洪水の注意報が出ている、けさ。それで、その九時二十五分に洪水注意報が出ていて、十時四十五分になって大雨洪水警報が出ている。午前八時現在のアメダスのデータと富士山レーダーの写した厚い雨雲を考えれば、警報がややおくれたのではないのかということを一般に言っているわけです。静岡地方気象台の大雨警報の基準は、一時間四十ミリを超える雨が降ると予想される場合に大雨警報を出すということになっているわけです。したがって、素人考えで言えば、九時ころには警報は出てもいいのじゃないかというようなことを言っているわけですね。それで、これについていろいろな人がいろいろ言っているが、気象庁のお天気相談所の藤井所長は、予報を出せるのは激しく降り出す半日前が精いっぱい、現在の観測整備体制と予報技術では、日本海側とか日本東部とかかなり広い範囲で網をかぶせるよりほかにはないと、こういうようなことを言っているんだけども、さっきお話しのように、慎重に出したのであってどうこうという御意見もあるだろうが、こういう一般のいろいろな、あなたたちが自慢しているアメダスの自記の記録から見てもやや遅いのではないかという感触もあるし、また、この方法を充実するのにはまたこんな方法という話も出ているなら、これについて気象庁のひとつ見解を聞かしてください。私の言った数字等を言って、こういうふうに言っていることについてはどうなんだと。
  54. 窪田正八

    説明員(窪田正八君) アメダスとかレーダーで雨が実際降っておるという実況を把握したその段階で直ちに予測ができると非常によろしいんでございますが、現在の技術では、それが二時間あるいは三時間後に果たしてやんでしまうかあるいはもっと雨量が多くなるかというその判断はかなりむずかしい問題になっております。実情は、たとえば静岡の場合でございますと、二十キロとか三十キロとかいった離れたところで雨が降っていたらばまあ一時間後には今後多分強くなるだろうという判断でやる場合が多いと考えております。しかし、その辺の問題は、状況の把握あるいは予報技術の向上といったようなことの努力が必要であろうというふうに思っております。
  55. 松永忠二

    松永忠二君 それじゃ、こういう声に応じて、あんた方は現地と一度検討をしたんですか。ただあんたがいまそういうふうに考えているのか。一体現地調査し話し合いをした結果こういう結論に到達していま答弁をされているんですか、どうなんですか。
  56. 窪田正八

    説明員(窪田正八君) 私は直接参っておりませんが、所管の東管の台長が行っていろいろ話を聞いたりして私のところで報告を聞いております。
  57. 松永忠二

    松永忠二君 そういう声もあるということを考えて、十分にひとつ今後の予報については期待にこたえるようなことを御努力いただきたい、そういう点をお願いしておきます。  最後に、これは特に国土庁の長官や委員長もおられるんだから、これを要望をすることでひとつ。  実はここで見ていただきたいんですが、(図を示す)今度の災害では全然被害が出ないんですが、南伊豆町という一番青野川の被害を受けた場所であります。そのときに、伊豆沖のこの前の地震のときに最大の被害を受けたところが南伊豆町の中木というところです。で、その中木というところば、この前部落が埋没して死者が二十七人、それから家屋崩壊が二十六むね。ここのところをどこかに移そうというような意見もあったけれども、全戸数八十三戸の中で五十戸が民宿をやっている、それから六十隻の船があるけれども、その船の魚の九割がここで使っているということで、ここを離れたら自分たちの生活ができないというような状況である。そこで、当然ここにやはりもう一度集落を再建をしなければいけない。そこでどういうことをやったかというと、そこにもあるように復興計画を立てた。で、基本的には、実はこのところから土砂がここにずっと入り込んできたわけでありますが、そこでこれがやられてしまった。そこでこの土砂を海面に出して、そしてこういうふうにこれを埋め立てをやる。と同時に、区画整理事業をやって、共同のいわゆる鉄筋コンクリートの建物を建てようじゃないか、そして漁港の施設を整備をすると一緒に、いわゆる公園などもつくったりして、それでその生活の環境整備の基準をひとつ整備していくという名実ともにりっぱな町づくりをここでやろうじゃないかということで、復興計画を立てたわけです。総額十億千六百七十四万七千円を使ったわけです。そうして公共土木災害復旧、公共都市災害復旧事業、土地区画整理事業、住宅建設事業、公園事業、漁業施設整備事業、漁業の中では漁港改修事業と海岸保全事業、過疎対策道路事業、治山事業、緊急傾斜地対策事業、がけ地近接危険住宅移転事業というようなものもやったわけです。そういうことをした結果、こういうふうなりっぱなものをつくった。しかし、とにかく全体をこういうふうにとって新しくするので土地の所有権の問題なんか非常にあるので、土地区画整理方式をつくって、理事長を南伊豆町の町長にしてこれをやって、町は区画整理によって造成された区画内の土地を一括所有者から借りて、そして住宅に入居する者が建設戸数に応じて金を出すという——実際は金を出さないんですが、そういうやり方をして土地と建物を持っている者もあれば、土地を所有している者もあるという形でこれをやったわけなんですね。だから要するに、甚大な被害を受けたときに移転をすることについては、私たちは天草の例のときに集団移転の法律を議員提案で出して成立させた。ところが、集団移転できないで、そこへ集落を再建しようとするときに法律がないとうまくいかないから困るということで、当時私たちは、甚大な災害を受けた集落の再建に関する特別措置法というのをつくるべきだ、つまり集団移転と逆な法律をつくったらどうかということを提案したわけです。そして、すでにこの委員会でも各野党にも与党にも委員長にも法案をこしらえて私たち党の方で承認されたものをお回しして検討してもらっているわけです。  で、実はここがまさに集落再建をやったところなんです。いま各地被害を受けた人たちがここに調査に来ているわけですね。しかし、なぜこれができたかというと、建設省は実は一定災という災害復旧の方法をもって、建設省の中では都市局も河川局も道路局もみんな一緒になって一つの計画を立てることをやっているわけです。ところが、農林省であるとか運輸省であるとか林野庁なんかのものを集めてやらなければ実はこれができないわけですね。それで、現に公園もここにつくっているんだが、前にはここに集会所があったんだけれども、これはとうとうできなかった。で、たまたま強力にやって反対する人がなかったから、みんな土地所有権をある程度帳簿だけに残して、事実上は土地所有権を放棄した形の中で共有でやっているわけですが、もしここでそれにがえんじない人があればこの計画は実行できないわけですよ。そこで、私たちはやはりこういうことについて法律をつくっていくべきじゃないか。むやみやたらにこういうことをやられちゃ困るけれども、その町が生活機能が全然破壊されちゃってきて、そういうところに集落の再建を促進をして生活の安定に資するという目的でひとつ法律をつくる。それで、ここで言うとおり、再建計画をまず町の議会が立てたらば、それを一度建設省に出して、県に送って、県知事がこれを意見を付して国に出してくる。私たちがこの法律をつくるときは総理府が災害のあれになったが、いまは国土庁がいる。総理府であれば総理大臣が最後に承認をするわけだけれども、今度は国土庁長官がこれを承認する。で、被害を受けた町が計画を立てて、その計画を県がいわゆる承認するというか、意見を付して国に出して、国土庁長官がこれを承認するという形の中で実行していくということをやれば十分に野方図なことはやれない。しかもこういうことができる。  で、いま実はこの町のこっちの方に落居という部落がある。この部落の人たちはもう集団移転をやろうといって支度をしたけれども、やっぱしその土地を離れちゃ生活できないと、もう離れたって仕事はできないということで、結局もとに戻っちゃった。ところが、危なくてそこに行かれぬものだから、実は十一億の金を使っていまトンネルをつくっているわけです。これは国も協力して国の災害復旧事業として認めて、実は十一億のトンネルをつくってそこに入れるようにしてくれたわけです。これは特に便宜を図ってそういうふうにやったわけなんだが、したがって、集団移転の場合にはこういうものはできるけれども、いわゆるそこに再建をしようとするときにしっかりしたものがない。で、いま非常にうまくいったにかかわらず、集会所を建てることができないというのは、いまの法律をもってしちゃ補助するものが何にもない。だから本当の集団移転のように町としての、部落としての機能を発揮させるのには、やっぱり法律的に根拠を持ってきちっと集会所もつくれる、あるいは郵便局も一角にできる——いま郵便局が実はできているわけですけれども、そういうふうなことが必要だ。ちょうど集団移転の場合にはもうそこで、集落で生活できるように公共施設も補助することになっているわけです。  そこで、ぜひ私たちは国土庁長官にも——大分もういろいろがたがたしちゃいるけれども、ひとつやっぱりこういうことは必要なんだ。で、特に国土庁長官は建設大臣の経験もあるし、こういう点については非常に広い知識を持っておられるわけですね。そこで、集団移転と逆さに、集落再建もどうしたらやっていけるのかという法律的な整備というものが必要だ。野党から出した——野党というか、いま委員長提案で出したいというようなことで委員長に検討してもらっているわけだけれども、委員長提案にしてきた場合においては、ひとつぜひ国土庁もそういうことに協力するし、特に大蔵が一番文句が出てくるところだけれども、大蔵でも関係のところでもその必要性を感じてやっぱり協力をしてもらって、集団移転と逆な、甚大な被害を受けたところの集落の再建に伴ういわゆる措置というような法律をひとつしてやってもらいたい。これは必ずしも——地震なんかのときにある一部が、一角をやられたときにも、この法律で適用していけばいいわけです、地震とか火事の場合ですね。火事なんかのときにこそ町の街路をずっと改めて、復旧じゃなしにやっていくという、そういうようなことも必要なので、ぜひひとつこの点を検討していただきたい。委員長にも特にお願いするのは、ひとつこの問題を委員会で具体的に検討をしていただくようにお願いをしたい。それぞれの大臣と大蔵省と委員長からひとつ御答弁をいただきたいということが一つ。  時間ありませんので、失礼ですが、もう一つ。せっかく道路公団が見えているので、あわせて答弁してください。実は白田で、いま言うとおり、非常な崩壊があった。十万立米の土砂が崩れて、うちも倒れる、道路河川電車もやられてしまう。ところが、これは実はこの前にもここでやったんです。白田でどういうのがあったかというと、いわゆる有料道路の上から大きな石が落ちてきて、それで自動車を直撃をして、このとき死者が二十人近く出た。そのときも私たちが問題にしたのは、道路公団が買収する際に、公団、道路ののりから上をどのくらい買収しているのかというと、一メートルしか買収してない。今度崩壊したのは、道路ののりから数メートル隔たったところからも落ちてきたわけですね。そこでわれわれが言うことは、危険な個所の有料道路ののり面の上の買収する長さをもっとたくさんにすべきじゃないか。あるいは、一メートルしか買収できないなら、五メートルくらいを監視地域として契約を結んで、常時調査に入ることができるようにしておかなきゃだめじゃないか。そうでないと、いま言うとおり、危険な個所でたった一メートルしかのり面から上が買収してないものだから、落ちてきて初めて上の方に問題があったということが、後からいわゆる調査をしなきゃできないということになってくる。だからもっと、危険個所については傾斜ののり面から上の買収の範囲を広げておくべきだということが一つ。  それからもう一つは、十万立米の土砂がいま海の中に百メートルばかり突き抜けて出ているわけです。もしこの土砂をそのままにひっぱがしておけば、陳情書にもあったとおり、周囲の貝とかあるいは魚に影響があるから早く取ってくれという話が漁協から出てくるわけです。そこで、この百メートル出た突端のここをいわゆるむしろ活用して、自動車の休憩地にする、あるいは小さいちょっとした公園にする、そして岸壁をきちっとするということによってこういう被害をなくすと一緒に、積極的に活用する方法があると思うけれども、この点について道路公団の方でどういう検討をしているのか、この点を後ほど、道路公団の方から御答弁いただきたい。  最初の問題について、特に私は強くやはりこういう措置の必要なことを——もう具体的にこういうふうに、これをやるために各省の間で折衝しなさい、もっとやっぱり一つのもので統一できるようなやり方をすべきだと思うが、関係者のひとつ御答弁をいただいて、質問を終わります。
  58. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) ただいまの御質問でございますが、部落の集団移転という問題と、この問題の逆というようなお考え方で御説明をいただいたわけでございますが、私はまあ部落集団の問題は集団としてですね、そういう災害が起きて非常に危険な場所だと、人命にも将来心配があるということですから、まあ補助率も四分の三ですかあれは、方法をとって法律ができ上がっておると、こういうことでございますが、いま先生のお話を私は承りまして、まあ事務当局はいろいろこれは問題点もあると私もいろいろ承ったわけでありますが、また財政的にも限界がある、それも考えなくちゃならぬが、しかしお話しのように、各省庁がばらばらで、まことにこれを推進する上において非常に困難な点もたくさんあるという面、これはそういうことじゃあそこでいろいろ計画を立ててみても、その計画が全きを得るわけにはいかぬということでありますから、全きを得るようなことにすることが国土庁のやる仕事だろうと私は考えております。  また、この現地の問題につきましては、私も先生から初めてこの図面を見また絵を見せていただきまして、写真見せていただいて、なるほどと、何とかこの問題も英知をしぼって解決すべきだというような私も考え方を持ったわけでありますが、まあそういう意味でひとつ現地を私も一回いつの日かできるだけ早い機会に見せていただいて、その見た内容の中で、法律をつくるべきであるかつくるべきでないかというようなことについても十分検討したいと思いますが、ひとつ一遍見て、できるだけ早い機会に見て、国民が困るということですから、困る問題を解決することも政治だと、こういう意味で、現地も見ながら、立法すべきであるか、あるいはまた予算の問題も関連することでありますから、十分関係当局とも話し合いの中で、まず見て検討する、こうお約束をいたしたいと思います。
  59. 工藤良平

    委員長工藤良平君) ただいまの件につきましては、当委員会といたしましても引き継ぎをいたしておりまして、私ども重要な関心を持っております。先般来から地震を初めといたしました予知、予報の問題についての集中審議もいたしておりますので、引き続いて第二回の集中審議をいたす予定にいたしておりますし、私どももできるだけ実情を把握をいたしまして、まあこれは国土庁の方にも、いまお話がありましたように、若干事務的な問題についても問題があるということも言われておりますので、幸いに国土庁長官現地視察をされるというようなことでございますので、できるだけ私どももそのような措置を講じながら、その点については前向きに検討してまいりたい、こういうように考えておりますので、まあ関係の窓口であります国土庁といたしましてもぜひ積極的な御検討をお願いいたしたいと、こういうふうに思います。
  60. 平野和男

    参考人平野和男君) 先生のお尋ねの道路の余裕幅の問題でございますが、おっしゃいますとおり、道路ののり面の上の余裕幅については、現在いろいろお金の問題その他がございまして、大体一メートルぐらいということでやっております。ただ、特にのりの危険なような個所、そういうところについては、必要に応じて余裕幅をもっととるというようなことも現在行っております。それから、公団が管理しておりますのり面の上ののり面、これは通常民有地になっておるわけでございますが、これについても特に道路に関係のあるようなのり面につきましては点検を行っておりまして、必要な場合には所有者の了解を得まして浮き石を取るとか、それから落石防護の施策をするとかいうような対策を行っております。
  61. 松永忠二

    松永忠二君 もう一つ。
  62. 平野和男

    参考人平野和男君) もう一つ、白田地区の堆積の土砂につきましては、先生方も現地をごらんいただきましたように、山から崩れてきました土砂が海中に現在堆積をしております。これの対策につきまして、現在いろいろ考えておりますが、たとえば道路の駐車場あるいは緑地というようなものに利用ができないだろうかということでございますが、現在のあそこの地形でございますと、道路が大分高いところにございまして、鉄道がまた下の方にある、その前に土地があるというような地形でもございますので、非常にその点での利用がむずかしいんではないかというように考えております。その辺は関係の省庁がたくさんございますので、その辺と十分協議をした上で決定をいたしたい、かように考えております。
  63. 工藤良平

    委員長工藤良平君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時四十分まで休憩をいたします。    午後一時一分休憩      —————・—————    午後一時五十一分開会
  64. 工藤良平

    委員長工藤良平君) ただいまから災害対策特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  65. 青木薪次

    青木薪次君 国土庁長官にお伺いいたしたいと思います。  けさほどから議論の焦点になっておりますように、静岡県の南伊豆地方におきましては、昭和四十九年の南伊豆地震並びに昭和五十年十月七日、八日の大雨と今回の七月十日から十二日までの集中豪雨によりまして連続して大被害を受けました。先ほどからも議論になっております河川の関係では一千二十九カ所、道路が六百二カ所、あるいはまた砂防施設や橋梁等の土木災害と、そしてまた非常にお気の毒な死者十六名というような人的被害を出したわけであります。こういう人的被害とともに、家屋の全壊が半壊を含めて五十数軒、しかも床上浸水二千三百八軒を含む浸水家屋が七千三百五十八、住家の被害田畑の流埋没百四十ヘクタール、冠水が三千二百六十五ヘクタールというようなおびただしい数字を示しているのであります。根本的にはこの大雨によることはもちろんでありますけれども、山地の開発行為の行き過ぎにあるということがこの委員会視察報告におきましても指摘されておりますし、けさほどからも各委員の発言にあったとおりでありますが、伊豆一帯の国土保全という問題と、それからそのことについて根本的に検討すべき段階に立ち至ったと思うんです。二年三カ月に三件の重大な災害を受けているということでありまして、伊豆特有の地勢、地質、あるいはまた環境保全等について、まだ行き届いていない点があると思うんでありますけれども、その点についてどういうようにお考えになっておられるか、お伺いいたしたいと思います。
  66. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) 伊豆災害につきまして御質問があったわけでございますが、先生のいまおっしゃられるとおり、私も開発という問題が少なからずこれに関係があるという判断はいたします。ことにあの地方は気候的にも、あるいは温泉もある、環境もよい、そういうようなことで人が集まるというようなこともあったと思うんですが、そういう面でこの受け入れ体制をつくるについて、十分な配慮が欠けておったという面もあるであろうと私も思うわけでありますが、そういう意味で国土庁といたしましては、国土利用計画法の趣旨にもかんがみ、土地利用基本計画あるいは取引規制を通じて土地利用のあり方について各省庁とも十分協力しながら都道府県の指導をしてまいりたいという考え方できょうまでやってきておるわけでありますが、まあ先ほど来から法的にいろいろ手抜かりのあるような御質問もあったわけでありますが、そういう面も十分再検討して、今後そういうことのまたとないような、また災害が開発のために起きたというようなことのないように、十分に配慮してまいりたい、こう考えております。
  67. 青木薪次

    青木薪次君 松崎町の那賀川岩科川のはんらんはゴルフ場の造成に基因いたしておると言われております。このことについては必ずしもこの町の当局とそれからゴルフ場を造成する業者との間において意見の一致が見られておりません。このことについてひとつこの担当者から説明をいただきたいと思いまするけれども、さらに、松永議員からもお話のありましたように、河津町の筏場の二十二・三ヘクタール、それから下田市の稲生沢川水系の蓮台寺川の上流、上大沢川山地の宅地造成九ヘクタール余にわたる開発行為によることが私は一番この原因だと思うんでありまするけれども、このことについて、さらに現地視察して、そして昭和四十七年にこれを許可したということだけで終わるんでなくて、このことについてひとつ注意なりあるいはまた後の保全について再度勧告する意思があるかないかお伺いいたしたいと、こう思っております。
  68. 梶原拓

    説明員(梶原拓君) お尋ねの第一点の、ゴルフ場の造成につきまして地元と協議があったかどうかというお尋ねでございますが、その点はちょっと承知いたしておりません。  それから、お尋ねの各地の開発個所の問題でございますけれども、筏場天子平別荘地につきましては、都市計画法の都市計画区域内でございますけれども、たまたま五十年四月から施行になりました都市計画法改正前の開発でございますので、適用がないということでございます。それで、宅地造成等規制法によります宅地造成工事規制区域に指定しますれば、その後の、造成後の管理が不十分だというような場合に、法律的に改善措置等がとれるということでございます。その区域指定につきましては、法律上のたてまえといたしまして、知事の申し出に基づきまして建設大臣が指定するということになっております。それで、知事が申し出をする場合には地元の意見を聞いてやるということになってございまして、たまたまこの地域につきましては地元の方で消極的だということでまだ指定の段階になっておりません。法律的には、宅地の管理につきまして指導監督するためには、やはり宅地造成等規制法の適用対象にするということが必要かと思います。
  69. 青木薪次

    青木薪次君 松崎町のこのゴルフ場の関係について知らぬということは、これはちょっと問題があると思うんですね。町当局、特に町長を初め理事者側の皆さんや議会の皆さんが、本当にこの地元の意見というものと全く合致しない、こういう段階でどんどん宅地造成が行われていくということについて、私は、住民の意見というようなものが環境保護の問題と相まって全然生かされていないんじゃないかというふうに考えているんでありますけれども、あのような大きな災害があって、しかもゴルフ場があることも知らぬなどということは私は全くもってのほかだ、こういうように考えているわけでありますが、その点について再度の答弁お願いいたしたいと思います。  それから河津町の筏場天子平の関係については、これは二十二・三ヘクタールを造成するときにもちろん町当局との間に協定書を結んでおるわけです。しかしながら、それが造成された、そこの頂上のそこから土砂崩壊がワサビ田の崩壊を伴って一瞬にして、一瞬にして一番下にある後藤さんのお宅さんの奥さんとおばあさんと次男をのんでしまったということなんであります。で、いまや後藤さんは農協の役員をやっておりまするけれども、悲嘆に暮れて仕事も手につかない、ただ自失茫然としているという状態が毎日続いているんです。昨年の十月八日、すぐ近所にやはり土砂崩壊がありました。このときは今日の筏場の同じ今回起こった事故とはこれは話にならないくらい軽微な事故なんです。しかし、今回の事故についてはもう許可されている、また雨が降ったら仕方がないというような態度をとっているらしいということを聞いているんでありまするけれども、その後の状況等についてひとつ政府側としてもこのことに無関心ではいられないんじゃないか、よく県なり町の当局と連携をとりながら、何としてもやはり遺族が納得し得るような解決方式というものについてひとつ勧告なりあるいはまた注意をしていただきたい、こういうふうに思うんでありまするけれども、以上二点についてどう考えておりますか。
  70. 梶原拓

    説明員(梶原拓君) 第一点の松崎町のゴルフ場の件でございますが、ただいま承知している限りでは、都市計画区域外ということでございまして、実は私どもの所管しております都市計画法による開発許可の対象外でございますので、把握いたしておりません。  それから第二点の筏場の件でございますが、二日前に静岡県の関係当局から報告を受けたわけでございます。それで、天子平の別荘地の造成のやり方に問題があって今回の災害になったんじゃないかというようなことも事情を聞いたわけでございますが、現段階では県の関係当局の意見としましては、上の別荘地が今回の災害の直接の因果関係をなしておるというふうには考えてないということでございます。あの地域はたまたま湯ヶ島層という特殊な地層のようでございまして、がけの途中にワサビ田の湧水地もございまして、特殊な地域だというふうなこともございまして、その辺の事情につきましては県におきましても継続的に調査していくということでございますが、善後措置につきましては遺憾のないように指導しておるわけでございます。
  71. 青木薪次

    青木薪次君 これは三カ所についてもう一度ひとつ資料要求したいと思いますので、委員長よろしくお願いします。  次に、南伊豆町の下賀茂地区一帯を流れます青野川の関係につきましては、一条川その他小河川が流入いたしまして、下賀茂地区中心にいたしまして一千世帯浸水を受けた。町役場に対しましては浸水は二階に及ばんとするような勢いでありました。ここの地域は埋め土を伴ったところの宅地化の進展とともに、海岸との落差がなかなかない。昨年の一〇・八水害でも田畑を初め多数の家屋浸水を受けた場所でありますけれども、昭和四十四年から事業費をかけて河川改修工事が進められておりますけれども、川幅を広げて蛇行をなくすなどの工事が計画されているようであります。約九三%以上の山地または傾斜地から七%程度の平地に土石流として流れ込むのでありますから、瞬間にして町全体がどろ水につかるということであります。対策に対して根本的な措置がとられなければあすにもまた災害が発生する、もう住民は住むことができないということで、これまた阿鼻叫喚の毎日を送っているという状態なんでありますけれども、二級河川のうちの代表的な河川であるということは松永議員の指摘されたとおりでありまして、二十二河川中一河川だけが今日補助事業として改修に当たっていったやさきでありますけれども、改修をする意欲がわかないということを町当局でも実は言っているのでありますが、河川局長はこのことについてどういうような根本的な対策をお考えになっておられるかお伺いいたしたいと思います。
  72. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) お答えいたします。  青野川は先生御指摘のとおり、あの地域でただ一つの中小河川でございますが、この川については、今回の災害の激甚にかんがみまして、激甚対策緊急事業の補助の対象河川として採択することを前提といたしまして、現在県におきまして河道計画を検討中でございます。
  73. 青木薪次

    青木薪次君 長官、この川はまたごらんになっていただきたいと思うのですけれども、非常に地質がこの伊豆地帯一帯はやわらかくて、しかも地割れが一昨年の地震でしておるわけです。そのまま土石流としてどっと流れてくるというところでありまして、非常に問題の実は個所であるわけであります。山合いに堰堤をつくるとか、あるいはまた相当用地の買収をして、川幅を広げませんと、これはまたそれこそ来年といわず今年中に大災が起こるのじゃないかということを憂慮しているのでありますけれども、この点については長官も現地をひとつぜひ視察をしていただきたいというように考えておりますが、これはひとつ要望いたしておきます。  それから局地激甚の関係で、指定基準によりますると、「当該市町村がその費用を負担する当該災害に係る公共施設災害復旧事業等の査定事業費の額が」「当該年度の標準税収入の一倍をこえる市町村」がある場合、それから、「ただし、上記に該当する市町村ごとの当該査定事業費の額を合算した額がおおむね一億円未満である場合を除く。」のだというような条文があるわけですね。局地激甚の災害指定基準というものについて、今回下田東伊豆河津南伊豆松崎西伊豆、賀茂村といったような地域におきましては、ほんのごく一部を除きまして全体として、特に公共土木の被害額が町村分としてこれに合致しているというように私は考えているわけでありますけれども、この点建設省としてはどうお考えになりますか。
  74. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) 局地激甚の問題でございますが、これは事業費の方は査定が済まないと決まらないということでございます。それから、その基準になります標準税収入というのは、これは自治省が八月末に発表することになっておりまして、確定するのは来年の二月でございますので、確定的なことは来年の二月にならないとわからない。それから、この局地激甚に指定されるような災害がございまして、それの場合に、特定団体にならないと今度は補助にならないということになるわけでございますが、今後また大きなこういう局地激甚的な災害が出ると、それが合算というような問題もありますので、最終的には来年の二月以降にならないと決まらないわけでございます。    〔委員長退席、理事神谷信え助君着席〕 ことしの十二月で査定が大体済みまして、私の方で各省から公共施設の査定額をいただきまして、自治省の方から標税をいただきまして、それを計算をいたしまして国土庁の方に出しまして、これを国土庁の方で調整いたしまして決めるというふうになるわけでございます。今度の伊豆の場合でございますが、いまの査定もまだ済んでおらないし、標税もまだ完全に決まっておらないということでございますが、まあかなりなりそうな状態にあるんじゃないかというふうに思っております。
  75. 青木薪次

    青木薪次君 ただ、防災課長、この指定基準の中で「標準税収入の一倍をこえる市町村が一以上ある災害。」の地帯であるということは、これは確認していいわけですね。いいですね。
  76. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) はい。
  77. 青木薪次

    青木薪次君 それから標準税収については、やっぱり結果的には自治省等でまとめられると思うのでありますけれども、必ずしもすべての市町村が一以上あることを要しないということも感じとして考えていいですね。
  78. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) 局地激甚の災害の指定のときに、そういう気象条件の災害のときに、一倍以上の町村が一つ以上あればいいわけでございます。その全体の災害を合わせまして、その各町村の災害を合わせましてそれが一億以上あればいいというふうなことでございますから、今回の場合には、やはりまだ査定済んでおりませんけれども、報告額で一以上のもの、二倍ぐらいのものもあろうかと思いますので、仮に半分になったとしても、まあ一ぐらいにはなるものもあるのではないかというふうに思います。
  79. 青木薪次

    青木薪次君 それから、気象庁の方で私はデータを出していただいたんでありますけれども、今回の梅雨前線による豪雨鹿児島県を中心といたしまして六月十九日から二十六日まで、それからいま私が申し上げております南伊豆地方中心に七月十日から十一日、それから九州地帯を襲った台風九号の七月十八日から二十日の、以上三つの大雨、すなわち梅雨期間の大雨というものを総合いたしますと、農地農業用施設及び林道の災害復旧事業事業費の査定見込み額が、当該年度の全国農業所得推定額のおおむね〇・五%を超えるものかどうなのか。そしてまた、査定見込み額が当該年度の全国農業所得推定額のおおむね〇・一五%を超える災害であって、しかも一つの都道府県の区域内における当該災害に係る農地等の災害復旧事業事業費の査定見込み額が当該都道府県の当該年度の農業所得推定額の四%を超える都道府県またはその査定見込み額がおおむね十億円を超える都道府県が一以上あるものとなっているのであります。今回の南伊豆地方農地農業用施設災害は、水稲やミカンやカーネーション、花卉その他被害で五十三億円にも実は達しているのでありまして、この点からすれば、局地激甚でなくて、先ほどから金丸長官のお話にもありましたように、たとえば梅雨期間を全部まとめてみる、あるいはまた、今回の台風シーズン全体をまとめてみる、この二つの方法があると思うのでありますけれども、従来の方式からするならば、梅雨期間だけの、いわゆる梅雨前線というものをまとめただけで私は今回のこの農地等の激甚災害に指定されるものであるというように確信を持っているわけなんでありまするけれども、農林省の答弁をお伺いいたしたいと思います。
  80. 杉山克巳

    説明員(杉山克巳君) 農地農業用施設、それから林道、こういったものについての激甚災の発動基準はいま先生の申されたとおりでございます。今回の——今回のと言いましても一番初めのは六月からございますが、累次の雨あるいは台風による被害が全部を合算したらどうなるか、また、それは同一気象現象として把握し合算することが許されるものかどうかということにつきましては、一応県の被害報告がそれぞれ参っております。私どもも、県の数字としてそれば承知いたしておりますが、まず、気象現象として同一気象現象なのかどうかという問題、気象庁ともさらに打ち合わせを必要といたしますし、被害報告自体そのままでなくて、私ども査定の見込みをこれから立てなくちゃいけないわけでございます。そういったことについて関係府県あるいは関係省庁と目下打ち合わせを行っているところでございまして、まだこの席で直ちに、当然激甚災法の対象になるというようなことを申し上げる段階には至っておりません。
  81. 青木薪次

    青木薪次君 非常に当局は、事務的に非常に忠実に、それ以外一歩も出ないということでなくて、今回の被害の現状というものをよく見て、そして金丸長官の言ったようなことも含めて、問題をやっぱり政治的にも解決する方針というものについていろいろ考えてやってもらいたいというように要請いたしたいと思います。  それから中小企業関係被害額が、旅館、民宿等の、あるいはまた観光施設等のサービス業や店舗、商品、工場等を総合いたしまして四十一億円と想定されます。ほとんどの市町村が中小企業所得推定額の一〇%を超えるものと私の調べでは思っているのでありますけれども、これは局地激甚災害の指定の見通しがあるというように考えておりますけれども、通産省の方お見えになりますか。
  82. 児玉清隆

    説明員(児玉清隆君) 中小企業の場合も指定要件がございまして、現在、その発生した災害ごとに決定されるという前提で調査をいたしておりまして、まだはっきりした結論に到達しておりません。したがいまして、現段階で一概にすべて該当するということはまだ申し上げる段階にございません。
  83. 青木薪次

    青木薪次君 次に、中小企業の災害の融資の関係なんでありますけれども、私は、当然これは局地激甚の指定になり得るものと考えて、そして今後もいろいろと相談をいたしてまいりたいと思っておりますけれども、先ほどからも意見がありましたように、また陳情もありました、過去三カ年程度の累積被害額をもこの今回の災害被害額に算入してもらいたい、こういう意見がございましたが、この点いかがですか。
  84. 児玉清隆

    説明員(児玉清隆君) 現在の仕組みによりますと、やはり発生した災害ごとというふうにうたっておりますので、累積的に被害額を算定いたしまして、一定の基準に達した災害であるかどうかを決定するというような、いま御指摘のような点につきましては、非常にむずかしいというふうに考えております。なお、いま御指摘の、累積的に計算するやり方でございますけれども、これは単に中小企業関係だけではございませんで、他の災害にも共通する問題でございまして、中小企業庁だけで判断できかねます。
  85. 青木薪次

    青木薪次君 この点は防災会議の構成とも関連いたしてまいりますし、会議の開催の日程等にも関連してくると思うのでありまするけれども、これらの関係は最終的には防災会議の権能にかかわるものだというふうに考えておりますけれども、国土庁長官いかがですか。
  86. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) 中央防災会議の基準をお決めいただいております考え方でございますか。
  87. 青木薪次

    青木薪次君 防災会議の権能というものと、それからいつ開くのか。毎年二月とか三月とか言われているけれども、こういう場合、いつ開くのかということを聞いているんです。
  88. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) ああそうですか。この局地激甚の事務の進め方といたしましては、先ほど各省から御説明いただきましたように、査定額をまず策定しなきゃいけない問題がございますので、それが大体各省年災の考え方をもっておられますので、急ぐ中小企業なんかの問題は、金融ベースは別でございますが、まあ十二月ごろまでかかるということでございまして、それから私らの方の局地激甚指定の作業を進めて、二月ごろ結論を出すというふうな形で進めてまいっております。
  89. 青木薪次

    青木薪次君 そうしますと、事務的に進めてきたことを中央防災会議で結論を出すということになるんですか。
  90. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) 局地激甚のそういうふうな関係を決めてまいりますのは政府側の機関で決めていく、基準は中央防災会議でお決め願った基準によってわれわれは事務を処理しておる、こういうふうな形になっております。
  91. 青木薪次

    青木薪次君 公共土木の災害にしても、農地農業災害にしても、中小企業関係災害にしても、その点についてその災害の発生したその懸案の問題だけで処理するのかどうか。その点については長官どうお考えになっておられますか。——いや、長官、長官。
  92. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) その問題は一つ一つ防災会議にかけて決定ということでなくて、いわゆる横の連携をとりながら、国土庁はその結果が出たとこで、この防災会議で決めたものを骨子にして、中心にして物事を決定していくということで、防災会議には事ごと、一つ一つ、一件一件これを会議にかけるということではございません。
  93. 青木薪次

    青木薪次君 私の申し上げているのは、たとえば梅雨前線に係るものについてはこれはひとつやっぱりまとめるべきじゃないか、同じくこの梅雨前線がたれ込めているわけですから、なかなか出ていかないんだから。さっき気象庁の予報の問題等についていろいろ意見があったわけですけれども、これはやはり一つの懸案として処理すべきじゃないか。それを先ほどは長官も全くそういうような考え方というものは正しい、いわゆる降ひょう被害のときもそういったことを考えていく、今回それよりひどいんですから、その点についてひとつ長官ね、あなたやっぱりこの問題については一番発言権を持っておられるんですから、その立場に立ってひとつ御意見を伺いたいと思います。
  94. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) 先ほどひょう害の問題について申し上げたんですが、今回の問題につきましても梅雨前線一体としてできるだけ考えてまいりたいという考え方でおります。
  95. 青木薪次

    青木薪次君 そういたしますと、先ほど中小企業庁の計画部長からのお話等についても、もう少しあなた、情報を読んだだけでもって答弁するなんていうんじゃなくて、もう少し実態というものをごらんになって、そしてあの被害の現状というものの中からやはりひとつ意見として出すことは出すということでいかないと、非常にぎごちのない対策になっていくということが私は予想されますから、そういうようにひとつお考えいただいて、伊豆半島は最も静岡県の伊豆地方の奥座敷と言われるようなところであります。観光客がすでに旅館や民宿に殺到しておったわけでありまして、それをあの災害によっていままさにキャンセルが今日まだ続いているんでありまして、これもやはり被害の一部なんであるというように考えているんでありますけれども、この点と、それから被害が及んだけれども、その地域では、その個所においては非常に被害がひどかった、しかし今度はその隣の町村等を全部合併して大きな市町村にふくれ上がったために、全体として被害額が年度の中小企業所得の一〇%を割ってしまったというような場合があるわけですね。そういう場合には、隣のところはまだ合併しないで残っておったもんだからこれは局地激甚に指定された、ところが合併したところは局地激甚に指定されなかったというような矛盾が起きやすいと思うのでありますけれども、その点についてはどういうようにお考えになりますか。
  96. 児玉清隆

    説明員(児玉清隆君) 私、先ほど申し上げました、累積計算が非常に現行の仕組みではむずかしいということを申し上げたわけでございますが、これは対策とはもちろん別でございまして、対策は実際に企業が即日困る問題でございますので、これは指定を待たずしてきわめて早期に出動態勢に入りまして、すべての制度の弾力的な適用を行っていくということでございます。ただ、激甚災害ないしは局地激甚の指定というものにつきましては、現在、防災会議の決定がございまして、これは単に中小企業だけで成り立っている方式ではございませんので、全体との関連で関係ございます。したがいまして、すぐいまそれを累積計算をするとかあるいはいま御指摘のようにある程度広がりのとり方を適宜弾力的にやるというわけにはなかなかまいらぬわけでございまして、ただ計算の方式につきましていろんな矛盾が出てくる等は従来から指摘されておりますので、その点につきましては恐らく防災会議全体の問題といたしまして見直しについて取り組むべき段階というふうには考えております。
  97. 青木薪次

    青木薪次君 融資枠の確保に特例を設けてもらいたいという話なんでありますけれども、いまこの中小企業者の再建に必要な資金を環境衛生金融公庫ですか、これは主に設備資金に充当しているんですね。で、政府系の金融機関が特に従来までの、既往の貸し付け残高というやつがあるわけでありまして、そういうものとの関連の中で、いま私が申し上げた融資枠の拡大についてはどのようにお考えになっておられますか、お伺いいたしたいと思います。
  98. 児玉清隆

    説明員(児玉清隆君) 環衛公庫の分はちょっと私の所管外でございますので別といたしまして、中小企業金融公庫、それから国民金融公庫、商工組合中央金庫、この三つの政府系の金融機関につきましては、一般の貸し付け枠のほかに、こういう災害発生の場合には早期の段階から災害融資の特別の枠を設定いたしておりまして、一例として申し上げますと、中小企業金融公庫の場合は一般分の枠が一億円でございますが、これに対しまして、別枠といたしまして二千万円を認めている、一例でございますけれども、そういったことでいまの三機関共通にそういった特別の枠を設定しております。
  99. 青木薪次

    青木薪次君 次に、信用保険法による信用保証の特例の問題でありまするけれども、これはいわゆる担保能力の問題も実は出てくると思うのでありますが、これは先ほど私が申し上げてきた災害関係の補償の特例といったような問題とも関連があるわけであります。しかも、これは局地激甚との関連も出てくるというように思っているんでありますが、信用保険公庫の関係について、たとえば担保能力の関係について、たとえばでき上がったらまたそれを担保にしてあげるとかなんとかいろんなことが考えられると思うのでありますけれども、この点についてはどういうようにお考えですか。
  100. 児玉清隆

    説明員(児玉清隆君) 信用保険の特例につきましては、いわゆる激甚災ないしは局地激甚の指定がありましたときに、いろんないわゆる保険料率の引き下げとかあるいはてん補率の特例等設けておりますが、いま御指摘のいわゆる担保の問題につきましては、これは、これという特に決めはないわけでございますけれども、現実にはやはり各保証協会の資産保全措置といたしまして担保を取っている例が多うございます。しかし、いま御指摘のように、災害の場合通常のやり方でこれを評価したりあるいは担保を必ず取るというような条件をつけるということは若干酷でございますので、その辺はきわめて弾力的に、特に担保の評価等につきましては相当有利に配慮をいたすように指導をいたしております。
  101. 青木薪次

    青木薪次君 いわゆる担保能力がなくても借りることができるということは、最低これはあり得るわけですね。しかしながら実際には担保を取っている。しかし、担保が全然ない、家も何も流されてしまったという場合においてはこれは信用度でいくんですか、どうですか。
  102. 児玉清隆

    説明員(児玉清隆君) 個々の具体的なケースにつきまして、特に画一的なあれはございませんけれども、一番多く私どもが配慮すべき事項として申し上げておりますのは、特に担保の評価の問題が一つございます。それからもう一つは、たとえば商工組合あるいは協同組合等つくっておりますので、その役員の全体の保証ということによりまして災害のあれから切り抜けるということ、これは個別に被災者の中小企業の担保と結びつきますので非常にむずかしい場合がございますので、そういった場合は構成員であるそういった個々の中小企業者に対しまして、組合の役員の連帯保証とかいろんな方法を組み合わせして、これはもちろん現地で国民金融公庫あるいは中小公庫等の融資機関も応援するわけでございますが、信用保証協会の方でもいろいろな方法を知っておりますので、そういった指導が徹底するようにやらしております。
  103. 青木薪次

    青木薪次君 今回の豪雨被害について、すでに特別の枠は落としたというように解釈してよろしゅうございますか。
  104. 児玉清隆

    説明員(児玉清隆君) すでにそういう活動に入っております。
  105. 青木薪次

    青木薪次君 次に、林野庁にお伺いいたしたいと思うんでありますが、南伊豆町の妻良地区というところを視察いたしました。去る昭和四十九年の南伊豆地震の結果、山腹に亀裂が入って、そこに今度は雨水が浸入して土砂崩壊を起こしたというところなんでありますが、特に殿田川というところの上流土砂崩壊によって——小さい川ですけれども、土砂流入が百戸、床上浸水が六十戸、流域全部の家屋被害を出すという大災害を起こしたわけでありますけれども、林野庁として地震以後にどういうような対策を行ってきたのか、あるいはまた林地崩壊防止事業というものについてはどういうようになさっているのか御説明願いたいと思います。
  106. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) 四十九年にございました南伊豆の地震に対しましては、当時の調査で、治山事業に対応いたします被害としては約五億八千五百万ございました。これに対しまして直ちに、集落の裏山だとかあるいは交通路沿いの山腹傾斜面等につきまして亀裂やひずみの発生状況等、再度災害の危険性を調査いたしまして、その結果に基づきまして四十九年度から現在までに治山事業で十四カ所、二億八千五百万円を緊急治山あるいは治山事業という形で危険性の高いところから順次実施いたしております。また、治山事業採択されません小規模な崩壊につきましては、林地崩壊防止事業ということで七カ所、千五百万円を行って、すでにこれは完成いたしております。  四十九年の地震と今度の雨との因果関係でございますけれども、当時調査いたしました危険地と思われるものにつきましては、今回の雨との直接の関連は、私どもの調査では必ずしもその関連が十分あったというふうには報告受けておりませんけれども、地震のために林地あるいは山地が相当破砕されまして、それが降雨によりまして雨に対する対応性が弱くなっておるという点はあったのかもしれませんけれども、現時点ではいま申し上げましたような状況でございまして、私どもといたしましても今回の災害に対しまして調査をいたしまして、山腹崩壊等に対しましては緊急治山等で早急に対応しようという姿勢でおります。  それから、先生のおっしゃいました山地災害の予防という問題についてはどうかということでございますけれども、治山事業の中には予防治山とそれから復旧治山とございまして、私どもといたしましては危険度の高い、災害の起きそうなところにつきましては予防治山ということで対応いたしておりますし、それから災害が出ましたものに対しましては復旧治山という形で対応いたしております。こういう形で今後ともできるだけ災害の事前防止に努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  107. 青木薪次

    青木薪次君 それから道路公団の平野理事お見えになりますか。——伊豆半島南東部の国道百三十五号線、百三十六号線、県道下田修善寺線等幹線道路がずたずたに切られてまさに陸の孤島になったわけでありますが、日本道路公団が管理いたします国道百三十五号線の白田地区土砂崩落は、延長二百メートル、高さ百二十メートル、深さ十五メートル、約十万立方メートル近い土砂が百三十五号線を飛び越えて、しかも六戸の民家と伊豆電鉄の軌道を押し流してしまったわけでありまして、しかも海に向かって海岸線から百メートルの沖合いに達して約一万二千平米の半島ができ上がったということでありまして、このことはすでに皆さん御案内のとおりだと思うのでありますが、いま台風季節でもあるわけですから、したがってもし流失した場合においては魚介類に甚大な影響があるということになるわけでありますし、また二次災害防止、二次の崩落防止のために道路公団はテトラポットとか波殺し等の施設をしてそしてここを固める、崩落場所を固めるということについてお考えになっておられるかどうか。先ほどの答弁を聞いたわけでありますが、どうもまだ不十分でありますから、もう一度御答弁願いたいと思います。
  108. 平野和男

    参考人平野和男君) お答え申し上げます。  先ほど松永先生にもお答えいたしましたのですが、白田地区でのり面崩壊を起こしまして、それの流出土砂海岸線に堆積をしております。これの利用につきまして特に道路側としてそれを駐車場その他に使うということは地形上非常に困難ではなかろうかということで関係方面と現在相談をしているところでございます。  それから、道路公団として護岸工事をしたらどうかというお尋ねでございますが、道路公団といたしましては有料道路の制度上、建設費、改良費、防災費、災害復旧等の費用に充当することができますが、護岸工事については若干問題がございますので、今後の検討にまちたいと思います。
  109. 青木薪次

    青木薪次君 ここの白田地区だけでなくて、片瀬地区にしても稲取地区にしてもいま非常に伏流水を含む湧水が非常に出るところなんですね。この原因は私どもは地元でいろんな権威者等にも聞いたわけでありますが、いわゆる地下水の関係が最大の原因だということが実は大体わかったわけなんであります。そういたしますと、いまのこの間の私は工事の状態を見てみたわけでありますが、わずか一センチ五ミリか二センチ程度のコンクリートの吹きつけでは、これはどうともならぬじゃないかというように実は考えておりますけれども、これらの原因とそれから今後におけるたとえば鉄さく等を使うとかなんとかして根本的な対策を立てませんと、またこれも二次災、崩落が起こり得ると思うのでありますけれども、この点についていかがですか。
  110. 平野和男

    参考人平野和男君) 今回の伊豆半島災害につきましては、伊豆半島と申しますのは主に天城火山を主体といたします地質でございまして、火山灰が堆積をしたというような地質でございます。それから、やはり地形上非常に雨が多いということで御指摘のように降雨による被害が出ておるわけでございますが、私ども道路をつくるに当たりましては十分その辺、設計施工時に配慮をいたしますとともに、供用後につきましても毎年相当の金額の防災工事を施行をいたしております。のり面の防護等につきましても、単にコンクリートの吹きつけということばかりでございませんで、コンクリートの擁壁なりあるいは鉄を使いました落石の防護さくというようなものも十分設置をいたしまして、今後ともそういう方面、十分注意をしてやっていきたいと思います。   〔理事神谷信之助君退席、委員長着席〕
  111. 青木薪次

    青木薪次君 農林省の防災課長見えますか。——あの地帯は農林省の管轄だというように聞いておりますけれども、この点について農林省としてはどういうような対策を考えておりますか。
  112. 棚橋正治

    説明員(棚橋正治君) 私どもの農地の管轄じゃないと思いますが、林野庁ではないかと思います。
  113. 青木薪次

    青木薪次君 漁港の関係ですよ、この点は。
  114. 杉山克巳

    説明員(杉山克巳君) 官房審議官でございます。  農林省としては、海岸地区でございますし、それから漁港区域内に入っておりますから、その意味では被害を受ける漁民の立場それから漁港管理の立場で農林省の所管ということになろうかと思います。専門的なことにいろいろわたることについては水産庁長官も参っておりますからお答えいたしますが、確かに白田地区土砂崩壊して海中に堆積しております。これをそのまま放置いたしますと、現在の状況だけならともかく、波等によって崩れてまいりますし、海中が汚濁するといいますか、その土砂でもって汚されるということになりますので、いろいろ漁業上も支障があるということになります。漁民の立場からすれば、これは当然取り除いてもらいたいということになります。ただ現場を私ども写真で見た程度でございますが、状況を考えますと、高い費用をかけてこれをほかに持っていくというのはいかがなものか、むしろある意味では埋め立てをしたような結果にもなっているところでございますから、これをその後何かの形で活用することも考えて護岸をしっかりして土地を造成するような形にもっていけないものか。そういう観点から、これは道路もございましょうし、また鉄道もございましょうし、町のいろいろな総合的な土地利用の考え方もございましょう。それから漁業関係者の意見もございましょうから、そういった総合的な観点からこれは関係機関集まって相談をしなければいけないというように思っております。
  115. 青木薪次

    青木薪次君 私のところもいろいろ相談来ているわけでありますがね、漁民のいわゆる魚族の保護、そして農民の救済、現に一万二千平米というものがいわゆる漁場地を押さえられてしまったわけですからね。それらの点なども考え、あるいはまた防波堤やいろいろなことも考えられると思うのでありまするけれども、現地の地形も私も存じておりますけれども、また、これからいろいろ地元の町長や漁民の皆さんとも相談をしてしかるべく対策を講じていきたいと思いますので、その点についてはひとつしかるべく相談に乗ってもらうというように要請をいたしておきたいと思います。  それから、国道百三十五号線は伊豆海岸の唯一の生活道路です。これが三カ所にわたって有料料金徴収所があるわけであります。私はかねてからこれは建設省が当然負担すべきものである、独立採算制のようなことを言ってみても、しょせん、西海岸の方は百三十六号線がある、修善寺−下田線がある、あるいはまたその向こう側にはマーガレットラインがあるというようにあってしかも料金所はほとんどないんですね、マーガレットラインだけなんです。だから片方の生活道路にゲートが三つもあるなんということについてはこれは前代未聞であるというように考えておりますけれども、この点については、もうあと十年を残して建設省に移管すべきものであるというように考えておりますけれども、この点についてひとつ長官、建設大臣もやられたし、いまもこの点については非常に交通輸送体系上からも問題がありますので、その点について長官のひとつ御意見をお伺いいたしたいと思います。
  116. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) 道路というものは、本来ならば公共の足ですから無料であってしかるべきだが、当時高速自動車道路等が出るにつきまして、また有料道路等をつくるについては財政的な面と、また産業やその他すべての発展のためには道路を急いでつくらなくちゃならぬというようなことで有料道路というようなものができ上がったという歴史的な経過があると私は思うわけであります。実は私の県にも有料道路があります。その有料道路の中で一方の道路はペイしない、これは県がやっているんですが、一方の道路は何とかペイすると、こういう状況の中で、これも期限が来て完済すればこれは一般の道路になる、こういうような状況の中ですが、そういうものを、あえてそういうようなことにばかり持っていったら、県の今度はその関係の財政の負担というものは非常に問題点がたくさん出てくるというようなところでも非常に県自体の有料道路が困惑をしているわけであります。そういう意味で、この有料道路は、原則としては私は道路というものはただであってしかるべきだと思うけれども、歴史的な経過を踏まえると、これを一朝にしてなくするということは困難じゃないかなあという——私は管轄でないから言えるが、そんなような感じを持っておるわけでありますが、原則としては先生のおっしゃられるとおりだと私は思います。
  117. 青木薪次

    青木薪次君 長官は県の立場を考えている、私は住民の立場を考えている。したがって、そういうように考えていくと、一本しかない道路をただ採算だけのことで考えるという点については、私は国土庁の長官らしくないと思うんでありますけれども、もう一度御答弁願います。
  118. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) まあ、一応の有料道路をつくるには、先ほど来から申し上げましたように、歴史的な経過があってでき上がったということでございますから、一日も早くそういうものは、有料道路が枠を外れるような方途を講ずることは、これも政治だと私は思っておるわけであります。まあ、この問題については、道路のことについては、道路局長がいて詳しいですから、局長からぜひひとつ聞いていただきたいと思います。
  119. 浅井新一郎

    説明員浅井新一郎君) お答えいたします。  ただいま長官からのお話のとおりなんでございますが、若干事務的な考え方について追加さしていただきますと、この東伊豆道路は、道路公団が発足のとき静岡県から従前からやっていたものを引き継ぎまして、その後、順次、熱川区間、稲取区間というふうに完成していって今日の姿になってきたわけで、これは法律的に申し上げますと道路整備特別措置法に基づく有料道路でございます。これは建設のときは、御承知のように、伊豆の東海岸海岸沿いの道路は非常に曲がりくねっておりまして、非常に狭かったわけです。これについて地元から強い御要望がありまして、早く建設してくれというようなお話で、この要望にこたえるためにやはり有料道路でないとなかなか進まないということから、一気に、この道路をつくるためには有料道路にした方がいいという判断で有料道路として開通したものでございます。  で、先生お話しのように、これを無料化するという問題ですが、私どももそういう気持ちはやまやまなんですが、実は五十年度末で償還残高が五十六億まだ残っております。この五十六億を、結局、無料開放するためには道路予算から出さなきゃならぬわけです。そうしますと、これは結局税金ということになりまして、五十六億の税金をいまこの無料化のために使うよりは、むしろそれを道路予算として、伊豆周辺の各地に弱いところがたくさんあるわけですが、そういう幹線道路の弱いところを直しながら、防災工事もやりながら、雨に再び襲われたときに災害の起きないような強い道路にしていくような予算に使った方がより使い方としては妥当なんではないかというような考え方を現段階ではせざるを得ないというようなことから、ひとつもうちょっとやはり有料としてこのまま続けさしていただきたいというようなことを考えておるわけでございます。やはり地域の方方のこの道路の利用という面で交通量を調べてみますと、大体一万台ちょっとの交通量のあるうち、料金所を通過するのがそのうち六千台見当でございまして、その料金所を通らないで地域の方が利用されておる交通も半ば近くあるわけでございます。そういうような事情も勘案しまして、やはり現段階では無料開放することは困難であるというふうに考えている次第でございますので、御了解いただきたいと思います。
  120. 青木薪次

    青木薪次君 行政はあまねく公平に全国民に行き渡らなきゃならぬと思うのであります。たとえば、この中の河津町なんていうのは片方は県の有料道路料金所で縛られ、出てきたところは見高と縄地の両方で縛られるというようなところさえ実はあるわけであります。いま一万台のうち六千台が料金所を通るとおっしゃったけれども、これはすべてが観光客じゃないんですね。しかも下田に行くには、県東部から、ここ以外にないわけですから、したがって、それはもう生活道路で、毎日の生活にこの料金所を通って物を売り買いしているということを考えたときに、それはおっしゃったように五十億というものをほかのところへ——道路の整備拡充のために使った方がいいということはそれはわかりますよ。これは半面解釈でしかない、半分の解釈でしかない。いつまでも一方のところを泣かしておいて、そのままの状態でいいのかどうなのかということになれば、そこにやはり行政の温かみというものを当てるべきじゃないかというように考えているわけでありますから、ただ前のものを踏襲すればいいということでなくて、この点についてはひとつ長官や建設大臣が中心となって当局と相談の上検討を加えていただきたい。これは現地のもう強い要望でありますので、ぜひその点についてはよくひとつ要請をいたしてまいりたいと思います。  それから最後に。この南伊豆地方の一万一千数百人の観光客をこの災害によって輸送したわけであります。この輸送費は、とにかく早く輸送しろということで約三百数十万とも言われるし、四百万とも言われているわけでありますので、この費用は一体どこが出してくれるのですか、その点一般の民間会社で泣き寝入りすべきものなのか、その点についてお伺いいたしたいと思います。
  121. 水田努

    説明員(水田努君) 災害時における観光客の避難につきまして民間の船舶会社の御協力を得たわけでございまして、これに対する支払いにつきまして県当局の方から災害基準の中で配慮してもらいたいという強い要請が参っておりますので、私どもはその要請にこたえる方向で現在県当局と詰めをいたしている段階でございます。
  122. 青木薪次

    青木薪次君 以上です。
  123. 戸塚進也

    戸塚進也君 午前中、上條委員から災害全体について、あるいはまた立場は違いますが松永委員から、私の郷里の静岡県の災害について非常に丁寧な、私も通告を申し上げておいた内容についてはほとんど全部触れていただいたということでございまして、立場は違っても考えていることは全く同じであって、そういう立場で両委員からも御指摘いただいたこと、あるいは当局からいろいろ適切な御答弁があったことは敬意を表するわけでございます。そういうわけで重複を避けますので、落ち穂拾いになって恐縮でございますけれども、少し、場合によっては別の角度からお伺いしてみたいと思いますが、当局にお願いしたいんでございますが、私は四十分しか手持ちがございません。極力四十分きっかりでやめますので、なるべく簡明にひとつ御答弁をお願いいたします。  最初に、昨日佐賀県あるいは北九州一体で大分心配されるような降雨があったようでございます。国土庁とのように——まあ、とりあえず、きのうのことでございますから、まだ災害そのほか数字は出ておらぬと思いますが、どのような状況であるか、簡単に御答弁願います。
  124. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) ただいま現在私たちの手元で持っておりますものは人的被害はない模様でございます。それから建物の全半壊、流失十一むね床上浸水千二百七十むね床下浸水六千七百九十六むねと相なっておるようであります。厚生省関係の災害救助法適用関係は佐賀県鹿島市及び相知町に災害救助法適用して救助活動をやっていただいております。こういう現状のようでございます。
  125. 戸塚進也

    戸塚進也君 これも国土庁、なるべく早く数字をまとめていただいて、そして今回の大きな被害に隠れて北九州の困っていらっしゃる方々のことがなおざりにならないように十分ひとつ鋭意努力をしていただきたい。そのことは要望いたします。  それから、静岡県の南伊豆の問題でございますけれども、激甚災害の指定等につきましては非常に前向きな御検討がなされている、さらにまた、条件の緩和等についてもできるだけ現行法律で許される限りでは努力したい、こういったような国土庁を初め関係のお役所の両委員に対する答弁の趣旨だったと思います。そのことの確認をするとともに、さらにまた、できるだけ早くその指定をしてほしい、結論を出してほしい。さらにまた、結論を出す前にでも事前的に手を打てるもの、指導できるものはできるだけそういう準備態勢にも入れるような配慮をして、県との間に十分な連絡をとって——本来激甚関係といいますと、もう何か地元の熱が冷めてしまったころに激甚指定ということで、どうもちょっと役所の制度としてはやむを得ぬですけれども、何か後手後手になっているような気がするのです。その点をひとつ前向きにやっていただきたい。そのことを一言伺いたい。
  126. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) 本激の指定につきましては、先ほど大臣からも言っていただきましたように、梅雨前線一環としてという気持ちで気象庁と相談したいと思いますので、延び延びになっておったのでございますが、これもその時期を過ぎましたので、この八月末から九月にかけて関係各省庁とよく調整して結論を出してみたいと思います。局激は、先ほどからも申しておりますように、査定額等の確定の時期の問題がありますので、いままで同様の行き方しかないんじゃないかと思っておりますが、よろしく……。
  127. 戸塚進也

    戸塚進也君 今回の災害については、御案内のとおり、地域的な面、交通等の途絶、それから地震と水害と、四回という連続的にそのたびごとにやられているという。ですから、もう住民の側としても少し投げやりな点もあるし、たとえば農業で言っても、また壊れた物を直してもどうにもならぬじゃないかというような少し本当に投げやり的な気持ちもあるんです。何とか助けてあげなくちゃいかぬ。民宿もしかりです。こういう状態の中で、先ほど来いろんな質疑が交わされて、それぞれ対策のお話がありましたが、私は、特にこの連続災害ということについて、来年度の予算で国土庁でも何か特に災害多発期についての前向きな調査と、どうして一体そういうものを解消できるかということについて調査したいというふうなお話も伺っておりますが、当然そうなれば今回の連続災害等に悩んでいる地域について、先ほどの中小企業の特例にいたしましても、あるいは農業施設にいたしましても、あるいはまた河川そのほかの緊急改良につきましても、当然やっぱり同じことが同じように毎年毎年あるということについては重大な関心を持って、その予算等が認められた場合、国土庁でひとつ結論を出して、各役所に連絡調整をして、何か新しい制度でもつくるなり特別の何か制度でもって補助金を出す、公共事業を促進させるような施策、中小企業者を助ける施策、そういうものをやはりやっていくべきだと思うんですが、そのことについていかがでしょうか。
  128. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) 御指摘のとおり、来年度はそういう調査をして、その問題のあるところを自然的にも環境的にも研究一度してみまして、その後にどういうものになるかというふうな進め方をしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  129. 戸塚進也

    戸塚進也君 河川一般について、伊豆災害あるいは静岡県の先般の非常に降雨が多かった袋井、掛川等の例についてちょっとお尋ねいたしますが、問題になった青野川は一メートル六十センチというわれわれの背が——私は一メートル六十一ですから私がもぐってしまうような、そういう水が役場の中に入った、こういうふうなことなどを踏まえて、青野川については県からの要請にも基づいて激特を考えられる、あるいはまたそのほかの河川についてもそれなりの手は打っていかれるように考えておられると思います。これまでの質疑の中でも明らかになったところでございますが、できるだけ速やかにひとついま申し上げたような方向で結論を出していただきたいということが一点。  それから二点目には、やはり今度のような場合、特に青野川等につきましては事業費が建設省サイドで四十億と言っておる、地元では七十億と言っているというような、そういういろんな考え方の差異もあるかと思います。こういう点については、陳情を受けて待っているということの姿勢より、むしろこういう問題、特に南伊豆のような地震のときに、ある程度全滅してしまったところを各役所が協力して再建してくれた、そのことが非常に県下全体にいい空気になっているわけですね。そういうことを考えてみれば、災いを転じて福となすという意味で、むしろお役所の方から地域へ出かけていっていただいて、青野川なら青野川の問題をどうやって一体、同じ激特にするにしても、どういう構想で住民が納得してこれなら安心だと、将来に期待が持てると言えるような形にしていっていただけるのか、むしろ建設省で積極的に懇談などを持っていただいたらどうだろうか。さらに、他の河川につきましては、それぞれ県からも陳情があったところでございますので、一括してできないものはできない、また、できるものについてもおおよそ何年度ぐらいでこれを目安をつけよと、何かそういったひとつ、今回災害を受けた川についてそれぞれの対策を建設省で温かくしていただければと、こういうふうに思っておりますが、その点についてのお考え。  さらに、掛川市の中心部を流れております逆川という川が改修が進まないために、毎年毎年同じ時期に市街地の中心部に水がつくと、もちろん支川の影響もございます。しかし逆川そのものがはけ切れないために支川があふれるということで、町の中心部がもういつもいつもやられるということで、遅々として進まない対策に住民から怒りの声が出ております。この点についてごく簡単に今後の対策等についてお伺いしたい。
  130. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) 青野川の問題でございますが、青野川は現在、先ほども答弁しましたように、激特をもってやりたいというふうなことで検討を進めております。この激特というのはおおむね五年ぐらいで改修をしようというふうな計画でございます。  それから、この逆川の件でございますが、逆川につきましては太田改修事業の一環といたしまして静岡県知事が計画を立案いたしまして、建設省の補助事業として昭和二十七年度より工事の進捗を図ってまいっております。現在の状態では築堤はほぼ概成をいたしておりますが、河道の掘削と護岸の一部が残っておるような現状でございます。この川につきましては、本川の方がおくれておりますので、本川の改修の進捗状況を見詰めながら、河道改修であるとか、あるいは護岸の施工等について促進を図ってまいりたいと思っております。  それからなお、この逆川の支川でございますが、たとえば西山沢川であるとか、あるいは倉真川、そういうふうなものも、たとえば西山沢川につきましては災害関連事業で取り上げるとか、そんなふうなこともいろいろ工夫いたしまして促進を図りたいというふうに思っております。
  131. 戸塚進也

    戸塚進也君 課長、先ほど私が冒頭申し上げた青野川についても、地元住民の意向といいますか、いろいろずれがあってはいかぬ、あるいはまた全体の今回陳情を受けた川等について、まあそれぞれできるものはできる、できないものはできない、できるとしても、これは予算の関係でこうなるというようなことで、ある程度住民が納得して、そうか、そういうことならひとつ用地にも協力しようとか、みんな期待を持っていけるようなそういうことを、ひとつ建設省で進んでやっていただけないかということについてはいかがでしょうか。
  132. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) 河川改修の事業につきましては非常に地元協力が必要なわけでございまして、やはり用地の問題だとかそういう仕事を遂行するためには、どうしてもやはり住民の方々の御協力を得なくちゃならぬものでございますから、私どもとしましては、あらゆることをいろいろ考えまして、県と一体になりまして、あるいは市、地元の町村とも一体になりまして、こういう住民の理解を得たいと思っておりますので、先生もひとつよろしくお願いいたしたいと思います。
  133. 戸塚進也

    戸塚進也君 運輸省管轄の港湾について、松崎港を初め関係の今回の災害、一連で受けましたこと、お調べいただいていると思いますし、また松崎港等の川から流れ込んできたもので、漁船等が全然着岸することができないというようなことについては運輸省もそれなりに考えていただいていると思いますが、これはもう仕事ができないという状態になっておりますから、経済的にも非常な心配をいたしておりますし、そういう点で極力早くひとつ実行をし、仕事に着手していただいて、少しでも早く安心して漁民等も仕事ができるような関係者の強い要望もございます。これについて一言。
  134. 寺尾健

    説明員(寺尾健君) 港湾関係の被害につきましては静岡県からの報告によりますと、松崎港それから下田港、田子港、宇久須港とございまして、件数にしまして七件、被害報告額の概算は八千三百万円ということでございます。運輸省といたしましては静岡県におきまして準備ができ次第災害査定を実施いたしまして、早急にその復旧に対処する予定でございます。なお、緊急に復旧を要する個所につきましては復旧方法等につきまして静岡県と協議の上、査定前におきましても応急的な復旧措置をとっております。
  135. 戸塚進也

    戸塚進也君 ぜひその緊急対策を促進してください。  中小企業庁、中小企業のことにつきましては先ほど来青木委員からも非常な懇切なお話がありました。私は、一番いま大事なことは、それは激甚の指定はもう当然これは必要でございますけれども、いまの段階ではともかくあらゆる金融機関に対してこういう三年、四年と連続して借金をしなければならなかった、もちろん担保も提供してあった、もう出す物はない、こういう状態の中で一体どうやってこれから仕事をやっていけるのかということが非常に心配なんです。だからやっぱり役所としては、これは各金融機関、政府系金融機関はもちろんのこと、一般金融機関も含めてやはり中小企業庁という立場から特に困窮、困惑している関係者をひとつ特別に扱ってやってほしい、県は県でもちろんまた考えていると思うんです。たとえばいままで借りてた借金の利息も払わにゃいかぬ、また今度新しく借りたらまた借金、利息だと、だからせめてその前の利息については何とか考えるとか、また県は県なりに考えているようですけれども、国は国でそうした高い見地からこれはもう根本的な指導、要請が必要だと思いますがいかがでしょう。
  136. 松尾成美

    説明員(松尾成美君) ただいま御指摘の点でございますが、私ども全く同様に考えております。で、若干具体的な点を申しますと、実は私どもの方で県とも協力いたしまして、七月の二十八日、二十九日に早速こういう観点から現地調査をいたしました。現地へ関係金融機関——この中小公庫、国民公庫あるいは商中、政府関係機関現地に出向きまして、七月の二十三日、二十四日、二十六日と、それぞれの地区現地に出向いていろんな金融相談に応じております。で、まあ金融機関の運用面でいろいろ弾力的に配慮するということを先ほど部長申しておりましたが、こういったことで個別的にきめ細かく弾力的な配慮をやっております。
  137. 戸塚進也

    戸塚進也君 建設省、それから農林省等に伺います。  災害復旧の事業につきましては原則として三、五、二でございます。ただし、今回のような連続災害の中で、前の災害のことをやっておったらまた起こったというような現状、そういうことですね。こういう場合にやはりいま県の指導者としては、できたらもうこの際再び災害を受けないように、できれば単年度でやりたいけれども、できないものはせめて二年くらいで完成さしたい、非常に強い要望があります。このことについては建設省、農林省等、特に前向きに措置していただく気持ちがありますか。
  138. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) 災害復旧のやり方につきましては、いま先生のお話のとおりでございますが、私どもとしましては、これは予算の問題になるわけでございますので、初年度三割ということでございますが、そのほかに国庫債務を使いまして約四割弱ぐらい借金いたしております。それから二年目は大体五割ということでございますから、それで国庫債務を使いますと、大体八九%ぐらい、これは全国の話でございますので、局部的また局地的な問題につきましてはまたその時点になりまして、県あるいはその他と相談いたしまして、できるだけ配慮をいたしたいというふうに思っております。
  139. 杉山克巳

    説明員(杉山克巳君) できるだけ早期に災害復旧工事を完了するということは当然必要なことでございます。全体としてはいま建設省の方からもお話がありましたが、初年度三〇%、二年度八〇%、三年度完了ということで進めることになっておりますが、特に早急に緊急を要する工事、これにつきましては査定を急ぎまして、できれば第一年度で、また第二年度までかかっても完了するというようなふうに、全体の原則の中で個々の実情に応じて早急な完成を図りたいというふうに考えております。
  140. 戸塚進也

    戸塚進也君 いま私が繰り返して申し上げているように、三年へ四年というその連続した災害、こういうことについて住民が本当にまた意欲を持って仕事ができるというには、やはりそういう特別な前向きな配慮が必要だと思うんです。また県もその気になっておりますので、ぜひ両省とも応援してやっていただきたいと思います。  それから自治省いらっしゃいますか。——地方財政のことについて先ほどもうちの出納長からは特に交付金等をいただいたということで感謝の意もありました。まあそこでまた連続的に、しかもまた特別な費用もずいぶんかかっておるわけですね、先ほどお話があったように、特殊的な事情、たとえば観光客が入っていたとか、いろんなことによってかなり市町村特別な出費もいたしております。そういうことも踏まえてやはり関係の地方自治体に対する特別交付金関係、あるいはまた先ほど来県からも要請がありましたいろんな繰り上げの問題だとか、相当なめんどうを見てやっていただかないと困窮した地方財政の中で災害復旧を初め住民の福祉にこたえるのはなかなかむずかしいと思っておりますが、そういう見地に立って自治省の御見解を伺いたい。
  141. 平岩金一

    説明員(平岩金一君) 災害により被害を受けられました地方公共団体に対しましてはその被害状況とか財政事情などを勘案いたしまして、たとえば特別交付税につきましては本年度の配分において措置いたしますし、また地方債につきましても十分配意いたしまして、被災地方公共団体の財政運営に支障を来すことのないよう対処してまいりたいと存じます。  なお、普通交付税の一部繰り上げにつきましては九州南部及び伊豆地方、それぞれの災害につきまして、被災市町村に対し七月十五日及び七月三十日にそれぞれ繰り上げ交付いたしたところでございますので申し添えさしていただきます。
  142. 戸塚進也

    戸塚進也君 先ほど青木委員からのお話がありました観光客の運搬問題、これは静岡県からの要請に基づいて前向きに対処していると。前向きに対処しているということは、イコールこれは今度の分については、これはやっぱりケースとして過去にも何か例があるようですけれども、災害救助法なり何かそういう法律の中での費用としてめんどうを見てくださる相当前向きな気持ちがあるんだと、こういうふうに承ったのでございますが、そういう考え方でよろしいか。  それから、こういう問題は、これは今回の伊豆災害ということで新しく出てまいりました問題で、単に伊豆災害だけの問題じゃない。これからああいったような、もう道路が途絶してほかには船しか使う道がない、こういう地域については全国的に幾らでも例が出てくると思うんです。そういう例のときに、また一々相談でなくても、やっぱり制度的にこうした問題について、これを地方に押しつけるということでなくて、国でやっぱりこうしたものについてはめんどうを見ましょう、こういったような確たるやはり方針が出るべきだと思いますが、それも含めてお伺いいたします。
  143. 水田努

    説明員(水田努君) 今回の伊豆民間船舶による協力、大変いただいたわけでございまして、それに要した輸送費につきましては災害救助法に基づく災害基準の中で見てまいりたいと、このように考えております。  後段の点につきましては、その事態の緊急性ある場合においては同様に取り扱わるべきものと考えております。
  144. 戸塚進也

    戸塚進也君 それで納得いたしました。  それでは続いて、林務の関係いらっしゃいますか、林務——先ほども青木委員から少し話がありましたけれども、南伊豆町等の被害の場合にどうしても過去の地震とのかかわりがある。これは私どもでなくて.学者がそういう見解を出しておる。現にテレビ対談等でそういう問題が出てきておる。こういうことでございますから、地域の住民もテレビ見ております。相当なやはり不安を持っております。この際やはり徹底的に、地震でもってかなり緩んでおったというならば、いまは見かけ何ともないけれども、またあそこから来るかもしらぬということがございます。県とも相談して、やっぱり国の方でそうした総合的な調査を実施されて、科学的にこうであるという結論を出されるべきでないかと思うが、お考えを伺います。
  145. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) 先ほども御答弁申し上げましたけれども、今回の災害連続五百ミリという大きな雨、これが直接の原因だというふうにわれわれ考えておりますけれども、先般の四十九年度の地震の際に調査いたしました結果もございます。したがいまして、今回の災害に対しまして、私どもまた緊急な治安事業等も対応するわけでございますけれども、前回の調査結果の見直しというものを十分県とも連絡をとりながら検討してまいりたいというふうに考えております。
  146. 戸塚進也

    戸塚進也君 それでは、先ほど百三十五号の話が出ました。伊豆の有料道路の公団のお話が出ました。そこで道路局いらっしゃいますか、建設省——私は現在の道路を無料にする、それは確かにそれも必要だと思うんです。と思うが、私はなかなか今度の下田の件を見ましても、果たしてああいうところにある道路一本だけを頼りにしておっていいかどうか。やはりこの建設省サイドとして必要なところにはバイパス的なものをつくり、まあたとえばトンネルであるだとか、なかなかこれは計画も大変でしょう。大変でしょうけれども、そういう形でもっと——今度の災害で全く道路が途絶したということの現実を考えてみますと、そうするとやっぱりこれは建設省としてもう一度あの伊豆道路網についていかにあるべきかということを考え直してみる必要があるのじゃないだろうか。特に有料道路しか唯一頼る道路がないという現実を考えるならば、ますますそう考えていくべきではないかと、こういうふうに思っておりますが、この点いかがでございましょうか。
  147. 渡辺修自

    説明員(渡辺修自君) お答えいたします。  大変地形が急峻でございます。地質も複雑である、また非常に狭隘なところに人家が非常に多いというような特質がございまして、なかなかバイパスの計画というものも若干むずかしい面がございます。私どもといたしましては現在あります道路網を、先ほど局長も答弁いたしましたが、災害に対して強いものに直していくということによって、現在の道路網を丈夫なものにすることによってその途絶というようなことをなくしていきたいというのを第一義的に考えております。西の百三十六号につきましては四日目に通したわけでありますが、緊急車はその前から通しておったわけでございます。したがいまして白田地区につきましては、いま公団の方でいろいろ復旧の方法、本格的な復旧を考えております。これも災害に強いものにするというような方向で検討しておるわけでございます。
  148. 戸塚進也

    戸塚進也君 建設省、もう一度伺います。  バイパスについては、全く考える余地がありませんか。それともむずかしさはあるけれども、将来の問題としては考える必要があるとお考えですか。
  149. 渡辺修自

    説明員(渡辺修自君) 先生御指摘のとおり、将来の問題といたしましてはこれは検討する余地はあろうかと思いますが、たとえば復旧の方法といたしまして、海岸に橋をかけるような桟橋形式のものにすれば、これはまあ一種のバイパスと言えないこともないわけでございますが、ただいまのところは予算上からも現在ありますものをとにかく強化していくというのが現状では精いっぱいでございます。
  150. 戸塚進也

    戸塚進也君 道路公団、そういうことでお話ありました。そうすると、やはり直接いまは御担当は道路公団になるわけでございまして、あの場所は私も見せていただきましたけれども、あれは普通の防災ではとてもそれは通る人がおっかなくて、いつどうなるかわからぬということになります。公団には大変な御負担でしょうし、大変でしょうけれども、いま建設省のお話もありました。かなり建設省でもめんどうを見るお気持ちのようですから、この際徹底的に、いまのような課長の御答弁も含めた形で、あそこのただ塗りたくりだけにこだわらない、そういう形で公団として考えていただけるか、もう一遍伺います。
  151. 平野和男

    参考人平野和男君) お答えいたします。  白田地区の本復旧につきましては現在応急復旧で仮道を通しまして、先月の七月の三十日に一般車に供用を開始しております。したがいまして、本復旧につきましては現在あの地区でボーリング調査その他調査を行っておりますので、これから設計に入りまして本復旧になるべく早くかかりたいということを考えております。工法としてはこれから検討をいたしますが、ただいま話題に上りましたような桟道形式その他も当然考えに入れなければなりませんと思います。  以上でございます。
  152. 戸塚進也

    戸塚進也君 よく理解できました。その方向で前向きにやってください。  次に、農林省、農業施設の関係等でちょっとお伺いいたしますが、農業全体のことにつきまして。  実は伊豆農業、もう引き続く災害で、もう少々農家の人がやる気がなくなったというようなことを言っている人もいるのです。こういう時期でございますから、よほど将来やっぱりあそこのああいった傾斜地でもって特殊な中で災害起こりやすいいろいろな環境の中で考えて、やはり農家が安心して農業ができるというような施策を、これは県も考えにゃいかぬ、市町村も考えにゃいかぬし、農民みずからも考えなければならないが、こうして三回も四回も連続してあるということであれば、やはり国、建設省という立場からも、まあひとつどうあるべきかということについて、やはりこの国という立場から指導をしてもらう、こうあったらいいんじゃないか、こういうことをもっと直せば災害がある程度最小限に済むのではないか、または、ああした地域についてはこうした農作物が必要ではないか、特にいまミカン等が非常に暴落して困っているような現状もあります。そういうようなこともありながら、あの伊豆農業はどうあるべきかということを、特に災害地中心にして農林省でひとつ指導をしていただきたい。関係者の方々ともひとつ懇談をして勇気づけてやってほしい、こう思っておりますが、それについていかがですか。
  153. 杉山克巳

    説明員(杉山克巳君) 伊豆ももとよりでございますが、一般的に災害を受けた農家、それに対して農地なりあるいは施設についての災害復旧をまず第一義に考える、同時に、そのことだけでなく、いま先生御指摘のように、今後の営農のあり方をどうするかということについても親切に相談に乗ってやる、そして場合によってはいままでのやり方を相当思い切って変えるというようなことまで指導しなくてはいけないかと思います。伊豆の場合、相次ぐ災害、それからおっしゃられるようにミカンの過剰というようなことで、なかなか農業経営苦しくなってまいっております。いまここでどういう形が伊豆農業として妥当なのかというようなことは、なかなか結論出し得ませんが、それぞれ指導する機関もあることでございます。県なり普及所なり、それぞれ担当のところと十分連絡調整をとりまして、農家に親切に対応するようにいたしてまいりたいと思います。
  154. 戸塚進也

    戸塚進也君 今回の災害に際して、海上保安庁、自衛隊等が緊急出動していただきまして、住民からあるいは地方自治体の関係者から、これは政党政派を問わず、非常に感謝されております。もしあのときに海上保安庁がおられなかったら、民間の船だけでは輸送もできずにああいう下田の港でパニック状態になったかもしれない、あるいはもし自衛隊さんが来てくれなかったらその不安が極致に達して——特に水に困っておりましたから、給水作業等も十分に任せない中で自衛隊の関係の施設等を持ってきていただいて、本当に不眠不休でやっていただいた。この前の地震のときもそうでございますけれども、とにかくもうどろだらけになって、もう寝ないで、ほとんど仮眠状態で十五時間、十六時間働きっ放しということで、自衛隊の方々もやっていただいた。非常に心から感謝をしております。海上保安庁の方々にも本当に敬意を表したいと思うのでございますが、そこできょうは、ここで自衛隊について——防衛庁いらっしゃいますか、——災害部隊の派遣状況でございますが、これは伊豆にかかわりません。ことしになってからどんな状況であるか、ごく簡単に伺いたいのと、先ほど申し上げましたように、不眠不休でやってもらっておりますが、実はその内容を伺ってみますと、自衛隊さんはそうやって働くのがあたりまえだと、命を的にして働くのがあたりまえだということで、その出動手当、非常時の際の出動手当も全然出ていない。超過勤務に相当するものは給料として出しているんだからというような理由によって、真夜中まで不眠不休で働いても全く手当も出ない、こういう現状のように聞いております。これから災害でもってあのように活動してもらう、これはなるほど自衛隊の持っている本来の任務でもございましょう。しかし、やはり人間として考えてみるならば、そういう給料を高くしてくれということを要求のできない自衛隊の隊員の方々であるならば、私はその行為に、かわって防衛庁にひとつそういったような災害、ああして命を的にしてやった場合ですね、真夜中まで働いた場合、ある程度のやはり災害出動手当なり何なり考えたらどうか、こう思っておりますが、それについての御見解をあわせて伺います。
  155. 長谷川宏

    説明員(長谷川宏君) お答えいたします。  今年に入りましてからの災害派遣状況を簡単に申し上げますと、件数では約百九十件でございます、規模の大小はございますが。そして人員は約一万五千名でございます。これには実は統計上の処理で伊豆災害が入っておりませんのでございますけれども、伊豆の方では海上自衛隊が千二百名、陸上自衛隊が八千二百名、それぞれ参加いたしました。過去五年間の傾向を見てみますると、年の平均、まあ概数で申しますと七百件ぐらい、七百件強の災害派遣を行っております。そして年約九万人、延べで九万人の参加を行いまして、車両はブルドーザー、トラックその他一万二千両平均であります。ヘリコプター等の連絡機が約一千機、艦艇で申しますると年に約百隻ということでございます。このような状況でございますが、手当の方につきましては、ちょっと所管が違いますので、別の課長から御説明いたします。
  156. 澤田和彦

    説明員(澤田和彦君) 災害派遣に出動しましたときの手当に関しましてお答えいたします。  現在、災害派遣で出動しました隊員に対しましては特別な手当は支給しておりませんが、現在では、そのかわり、災害派遣におきます作業といいますのが、先生いまおっしゃいましたように非常な激務、重労働ということでございますので、この点を考慮しまして、たとえば、それに出動しました隊員には食事を、特別な増加食を支給するとか、あるいは災害派遣でどろにまみれて作業しますために体が非常に汚れる、あるいは下着等が汚れて消耗数が激しいと、こういうことで、下着でありますとかタオルでありますとか石けんというような消耗品を現物支給するというようにしまして、できる限り出動した隊員の処遇には配意しておりますが、しかしながら、これで必ずしも十分とは決して考えておりませんで、いま先生がおっしゃいましたような手当ということ、これは、災害派遣で出動したときの作業はきわめて危険性も高く、また激務で困難も大きいということにかんがみまして何らかの手当ということを設定する必要もあるんじゃないかと。これから、警察官でありますとか消防官でありますとか、こういう類似の職業の場合との関連も考慮いたしましてこの手当につきまして検討していく必要もあると、こういう考えに基づきまして、ただいま防衛庁では、防衛庁に置かれております防衛庁職員給与制度等研究調査会というのがございますが、この調査会にこの問題を審議してもらっております。この審議の結果が現在のところ来年の夏ごろ出ると考えますが、いま先生がおっしゃいました災害派遣出動時におきます手当等の問題につきましても、この審議の結果をまちまして配慮していきたいと考えております。
  157. 戸塚進也

    戸塚進也君 それは結構なことですが、できたら前向きにこの部分については五十二年度の予算ぐらいに間に合うようにひとつ審議会等についてハッパをかけて結論を出してもらってください、前向きにやってください。  それから建設省に伺いますが、一カ月ほど前に建設省で水害共済ということを考えておる、こういったような記事が出ました。建設省としてはどういうふうなお考えがいまあるのか、アメリカの例等もあるようでございますが、若干伺いたい。私が伺いますのは、今回のようなたび重なる災害で、水害等でやられました場合でも、たとえば、裏山がおっこってきて家がどこかにいっちゃったというような場合でも、裏の山に特別問題がなければ裏の山の持ち主は補償しなくてもいい、そういうことになればつぶれた家はつぶれ損でどうにもならない、どこからも見舞い金もくれない。ようやく自然災害の死亡者に対しては国で法律ができて弔慰金が出るようになりました。これは、そのほかの共済制度というのは非常にむずかしいと思いますが、考え方としてはいわゆる国民共済的に、あのような自然災害の場合の国民共済的な問題についてもう一度考えるべきじゃないか、国民自身もある程度の負担をしておく、備えておく、そして、それに対して、もし、それなりの自然災害が起こった場合には適切に国の機関からそれに見合ったといいますか、ある程度の金が出る、こういうことによって中小企業者もあるいはまた農家もあるいは一般の民家もそれなりに緊急の場合に備えることができる、これがやっぱり新しい時代の、いまの日本の新しい福祉としては当然必要なことじゃないか、残っている大きな課題だと思うんです。そういうことを含めて、ひとつまず建設省からその水害共済についてのお考え、続けて国土庁あたりがこの問題については相当中心になって考えていただかなければなかなか考えるところがないと思うんです。これは厚生省だ、これはあっちだと言ったら、ないと思うんで、ひとつ大臣からも災害対策室を充実するという話でもございますから、この際この問題は国土庁ひっしょって場合によってはやってみるお考えはないかお伺いいたします。
  158. 吉沢奎介

    説明員(吉沢奎介君) お答えします。  洪水による一般の被害を何らかの形で補てんしたりあるいは救済したりということを図るのは私どもは大いに検討すべき問題だろうと考えております。このため、私ども、新たに水害保険制度といったようなものを創設する、これも一つの方法じゃないかということで、今後その検討を進めてまいりたいと考えております。その検討すべき内容が多々ございまして、先生がおっしゃいました諸外国の制度ということもございます。それから国民的なニーズというものを把握するということも必要だと思います。また、この制度とリンクするものとして洪水はんらん区域といったものを設定するというようなことも考えなくちゃならないと思います。あるいは国の助成措置、たとえば保険料の補助であるとかあるいは再保険であるとか、そういったことを導入することも考えなくちゃいけない、こういう非常に多くの問題を抱えておりまして、これらについて関係省庁とも協議いたしまして今後鋭意研究してまいりたいと考えております。  なお、先生御指摘ありました、水害共済とおっしゃいますが、この共済方式も可能性がございますので、これも研究の一環として考えてみたいと考えております。  それからなお、アメリカでございますが、まだ十分な勉強がされておりません。聞きますところ、一九六八年に洪水保険制度というものが発足したと聞いております。この制度は連邦政府の新しい治水対策の一環といたしまして水害危険区域というものを設定して、そこにおいて適正な土地利用対策あるいは建築規制を行う、その一方、その地域において従前から居住していた者に対しては、住宅、家財を対象とした保険を掛ける、そうして保険料の四分の三程度を連邦が補助する、こういったような制度があるようでございます。
  159. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) 国土庁の役割りでございますが、各省それぞれの役割りで、いま建設省の方から非常に詳しい研究等々も述べられておりますので、そういうことも踏まえまして一応相談をさしていただきたいと思います。
  160. 戸塚進也

    戸塚進也君 あと五分に二問やらなきゃなりませんので、ちょっとまとめて申します。  ただいまの建設省の課長さん、いまの制度については少なくともこの一、二年ぐらいの間には役所としては前向きな構想が出る、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。  それから気象庁。先ほど松永委員からのお話にもあったようでございます。私はあの日大島におりまして、朝五時半の船に乗りましたが、何らその前にはそういった大雨があるようなことは話はなかった。稲取へ着きまして、朝七時半ごろでしたが、もう前が見えないほどの大雨、こういう状況でございます。これは気象庁としてもいろいろ今後の気象予報等についてのまたよき参考にもしなきゃならぬ、反省事項にもしなきゃならぬ、また、ある立場からは、県民からは少しこれが遅かったのではないか、こういったような非難の声もあるということは事実でございます。これについてのお答えは要りませんが、ただ、こういう予報等が十分でなかったのには何か予算的にもっと、機械そのほかの設備等が足らなかったからだとか、そういう点がなかったかどうか、この点について伺います。反省していただければこれについてとやかくは申しません。そういう前向きなことを伺います。  それからなお、気象庁に続けて申し上げますが、ことしは全体に全国的に異常気象ではないかと。非常な大雨が降ると思えば干ばつあるいはまたひょう等、非常な異常気象が感ぜられます。これについては一体気象庁としてどういうふうに考えられておるか。もし将来——ことしいっぱいを考えてみましても、将来、そうしたことによって非常に大きな損害がある、ありそうだということであるならば、速やかにその長期予報を発表して、関係の、特に食糧確保の農林省とか関係の方面に対して十分注意するように適切な措置をすべきではないか。これが、遅くなってからこうでございましたというようなお話や弁解では済まない。気象庁の責任も相当あると思うんで、この点について確たる御答弁をいただきたい。  これに伴って農林省として農作物への将来、ことしいっぱいを考えたときに食糧危機になるのではないかということが言われております。これについてのいまの考え方、これに対する対処の方法等についてお伺いいたします。  最後に、先ほど大臣から国土庁の災害対策室の機能強化というお話がございました。これは、きょう、私が答弁の通告をしておきましたが、大臣が先にしゃべっちゃったのでまことに残念でございますが、現在のところじゃ、本当にこんなに大きな災害全体の仕事を抱えながら全く人員が少ない。こんなことではなかなかできませんよ。もっとやっぱり国土庁が本当にこれは本腰を入れて災害対策関係の組織を充実する、こういう本当の決意のもとに五十二年度予算に当たっていただきたいし、私どももそういう声は大きくして予算獲得には協力したいと思いますが、その現状の苦しさと、それからその確固たる信念をもう一度お伺いして質問を終わります。
  161. 吉沢奎介

    説明員(吉沢奎介君) 先生一、二年でどうかというお話でございますが、そのように努力はいたしたいと思いますが、何分、先ほど申し上げましたように問題が山積しておりまして、一行緒についたばかりでございますので確たることはちょっと申し上げかねます。
  162. 窪田正八

    説明員(窪田正八君) 二つ質問をいただきましたが、前者の件につきましては個人の限界という問題がございますので、それぞれのところで人間がやらなくても済むような仕事をなるべく機械にやってもらうというようなことで技術的あるいはシステム的な検討を進めております。  それから、長期予報の利用といたしましては、農林省と連絡会を持ちまして去年からこれを有効に使っていただくように検討を進めております。
  163. 戸塚進也

    戸塚進也君 ことしは異常気象ですか。
  164. 窪田正八

    説明員(窪田正八君) 大体異常気象の年になろうかと思いますが。
  165. 杉山克巳

    説明員(杉山克巳君) 気象問題につきましてはいま気象庁の方からもお話ありましたとおり、ここ数年非常に情報もたくさんちょうだいいたしまして、特に長期予報の関連などは十分に勉強さしていただいております。  最近は気象が異常化しているんじゃないかと、地球が冷却化しているのと違うかというような、いろいろ将来の食糧需給について不安はないかというような意見も出ております。そういうような考え方もありますが、私ども少なくとも中期的くらいまで見て、いきなりそういう深刻な事態が起こるというほどには考えておりません。もちろん、そういったことを念頭に置いて自給の確保ということをいろいろ努力してまいることは必要でございますが、むしろ、それよりはやはりその年その年における気象の変化、これが重要な要素になって働いてくるというふうに思います。ことしは若干低温ぎみでございます。ただ、六月にも一部ありましたし、特に七月の初めに低温が激しくて、岩手の一部では氷を見るというような状況もございました。ただ、幸いに、特に水稲でございますが、稲にとって一番大事だった時期を外しているということ、それからその後の気温が上がってまいりまして回復しているというようなことから、ことしも、一番中心になるのは稲作でございますが、まずまず特に不作というようなことはなかろうというふうに見ております。
  166. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) ありがたいお言葉を賜りましてありがとうございました。地震対策も非常に十分にいっておりませんので、地震対策課というふうなものを一課新設し、風水害も増強していこうと、こういうふうな形で予算要求を出させていただいて、これからいろいろお世話をかけることと思いますが、よろしくお願いいたします。
  167. 戸塚進也

    戸塚進也君 終わります。     —————————————
  168. 工藤良平

    委員長工藤良平君) 委員異動について御報告いたします。  本日、藤原房雄君が委員辞任され、その補欠として多田省吾君が選任されました。     —————————————
  169. 多田省吾

    多田省吾君 伊豆災害につきましては、同僚議員の太田委員が質問いたしますので、私は、二十分ほど、三日の朝起こりました群馬県における硫化水素の災害について御質問したいと思います。この災害でもお二人の女子高校生の方が残念にも亡くなられておられまして、私も心からその御冥福をお祈りしつつ二度とこのような事故がないことを祈って御質問をしたいと思います。  初めに、警察庁に、三日の朝、群馬、長野両県境の上信越高原国立公園内の本白根山において、夏休みの校外活動に参加していた県立高崎女子高校生並びに教諭の方が有毒の硫化水素のガスに巻き込まれて事故を起こしたわけでございますが、その概要について御報告願いたいと思います。
  170. 斉藤隆

    説明員(斉藤隆君) それでは、ただいま御質問ございました事故の概況について御説明をさしていただきたいと思います。  事案の起きました日時でございますが、本年の八月三日午前七時三十分ごろの発生でございます。場所は群馬県吾妻郡嬬恋村大字干俣というところでございまして、いわゆる上信越国立公園の本白根山の山頂付近、標高約二千メートルばかりのところでございます。それから遭難者でございますが、ただいまお話のございましたように、群馬県立高崎女子高等学校の先生がお一人と生徒の方が五人、計六名でございます。  その詳細について申し上げますと、死亡者が二名、いずれも生徒でございまして、岡田さんという女子高校一年生と山室さんという同じく一年生の二名が亡くなっております。それから、重症を負われて現在も入院中の方が、その高崎高校の先生の阿部先生でございます。それから、軽症者三名はいずれもその女子高校の一年生の生徒さん三人でございます。これらの方々は病院に収容しまして、三時間ほど治療を受けまして退院されております。  状況でございますが、八月の二日から高崎女子高校の先生など四名と生徒四十三名、計四十七名で本白根山の山腹にございます山小屋を利用しての林間学校に行かれたわけでございまして、八月の二日に山小屋に到着しまして、翌日の八月の三日午前六時五十分ごろ、本白根山を登山するため、先生三名、生徒三十五名、一行三十八名で同校の山小屋を出発いたしたわけでございます。山小屋から一・五キロメートルぐらい進んだ地点で約五分間休憩して、それからさらに三十メートルほど歩いたところで、突然後尾におりました生徒六人が次々に倒れた、それで一番最後尾におりました阿部先生もすぐその現場へ駆けつけたところ、やはり阿部先生も倒れて意識を失ったという状況でございます。  そして、この事故の発生を警察が認知いたしましたのは、当日の午前八時四十五分ごろ、たまたま居合わせた方から地元の長野原警察署に電話で通報がございましたので、直ちに長野原署員、地元の消防団員等百五十四名の救助態勢を組みまして現地に向かいまして、現地に十時二十五分に到着いたしております。そして、現場におりました無事な先生二人と生徒三十名を自力で歩かせ、さらに、軽症を負っておりました三人の人を救助隊員が背負いまして、十一時四十八分にその女子高校の山小屋へ収容し、軽症者につきましては直ちに救急車で長野原病院の長生病院に収容をいたしました。なお、重症を負っております先生一名と、最後に亡くなられた生徒さん二人につきましては、意識不明で重体のため搬出ができませんので、直ちに現場付近で人工呼吸、酸素吸入、心臓マッサージなどの応急措置を講ずるとともに、医師の手配をいたしまして、医師が、正午ごろ群馬大学の先生三名が現場へ到着いたしまして手当てをしたわけでございますが、その手当てのかいもなく午後一時に二名の生徒さんが現場で死亡をしたという状況でございます。なお、重症を負いました阿部先生につきましては、三時十二分に担架に乗せまして下山をいたしまして、直ちに吾妻町の原町にございます日赤原町病院へ搬送をして、午後六時に収容しておるという状況でございます。  概略、以上のとおりでございます。
  171. 多田省吾

    多田省吾君 昨日、群馬県議会の文教・治安常任委員会も開かれましていろいろ質疑があったわけですが、責任の所在については非常に不明確になっているわけです。実は、昭和四十六年の十二月二十七日においても、この白根山系の草津の町の振子沢というところで六人のスキーヤーが硫化水素ガスによって死亡をしている事件がございます。また、昭和四十八年には、万座温泉で硫化水素ガスのために温泉客二名の方が死亡されたという事故が起こっております。特に最近は、四十九年以来白根山系の火山活動が非常に活発でございまして、東京工業大学の小坂教授という方が長年地質調査をしているわけでございますが、昭和四十六年の事故の後においても種々調査をいたしまして、昭和四十八年の調査結果をまとめて、危険個所を示したレポートを関係筋に提出しております。この危険な十カ所の一つに、いまのガレ沢付近ですか、事故のあった現場も記されておりますし、本年の三月には水蒸気爆発が大変起こっております。こういうことを考えますと、やはり環境庁及び林野庁にお尋ねしたいんですが、もう環境庁は国立公園でございますから責任があると思います。その責任をどうお感じになっておられるか。この場所には全然危険であるというような標識もございませんし、また今回の事故後、同じく東工大の小坂教授等が観測した結果ガレ沢付近から三万PPmの硫化水素のガスが検出されているわけです。もう八百PPmでも即死と言われるようなガスでございます。こういった点から見て、やはり行政責任、管理責任が環境庁及び林野庁にあるんじゃないかと、このように私たちは考えるのでございますが、これはどう考えますか。
  172. 宇野佐

    説明員(宇野佐君) お答え申し上げます。  自然公園は国立公園、国定公園、県立自然公園とございますが、すぐれた自然の風景地に指定するものでございまして、往々にして、したがって火山とかあるいは落崖といったような危険な場所がその中に含まれるということはやむを得ないことであろうかと思うわけでございます。で、自然公園法のたてまえからまいりますと、自然公園というのは地域を定めまして指定をいたします。そういう法律の趣旨からまいりまして、法律の内容からまいりまして、公園に指定したからといって直ちにその危険防止のための管理責任が環境庁に生じてくるというふうには考えにくいわけでございますが、そういう意味で一般的に地方自治体でございますとか警察とかあるいは施設のございます場合には施設の管理者あるいは土地の所有者、そういうところが危険防止のための措置をとられるということを期待しておるものでございます。  ただ、そうは言いましても、自然公園というところには大ぜいの方が来られるわけでございますので、私どもの方も十分ではございませんけれども現地に管理職員も駐在させてございます。で、その管理職員が利用指導でございますとかあるいは自然公園法に決められました許可、認可等のために現地を巡回するといったこともあるわけでございますので、そういうときに危険のおそれのあるような場所、そういうものを知った場合には当然に関係方面に連絡をとりまして適切な対策をとっていただくように要請をするというのは当然であろうかと思います。従来からそういうような指導もいたしておりますし、できるだけのことはしてきたつもりでございます。今回のように特に一般の登山道ではございませんので、その辺が不十分であったのかと存じますけれども、一応環境庁といたしましてはそういうような考え方でございます。
  173. 江上幸夫

    説明員(江上幸夫君) 今回の事故はまことに痛ましい事故でございまして、心から哀悼の意を表する次第でございます。  国有林野事業におきましては登山者等の安全な利用とかあるいは高山植物の保護等を図るために森林保全管理事業というのを実施しておりまして、森林パトロールそれから標識の設置等に努めてまいっておるところでございます。今回の事故の発生現場は、通常の登山者が通らないガレ場でございまして、そういうところでございますが、今後再びこのような事故を起こさないように関係機関とも十分に協議して処置してまいりたいと考えております。なお、同様の危険個所につきましても上述の森林保全管理事業におきましてパトロールそれから標識の設置等を重点的に行うように努めてまいりたい、かように考えております。
  174. 多田省吾

    多田省吾君 昨日の県議会におきましても県の当局は、これからの同じような事故を再び起こさないために関係機関調整連絡協議会を環境庁、林野庁の国側あるいは地元の町村とも協力して発足したいということを述べているわけでございますが、環境庁、林野庁としては、こういう県からの申し入れがあった場合、あるいは積極的にこちらからそういった関係機関調整連絡協議会といったようなものを発足さして事故の防止に努めると、こういう積極的なお考えはございますか。
  175. 宇野佐

    説明員(宇野佐君) 昨日の事故は大変不幸なことでございまして、私どもも深く哀悼の意を表したいと存じます。そういう意味におきまして、県の方からまだ正式にどういうようなメンバーで、あるいはどういうような内容を持った連絡委員会をつくるかといったようなことを連絡を受けてございませんですけれども、私どもの方でそれに入って今後の何といいますか、予防措置、そういうものは十分とれるということでございますれば、私どもの方は積極的にそういうことを考えたいと思っております。現地にも一名でございますけれども万座に駐在いたしておりますので、それが入るのが適当か、あるいは本庁の方か、あるいはその辺の詰めばわかりませんですけれども、先生おっしゃいますような御趣旨によりまして前向きに対策は講じてまいりたいというふうに考えております。
  176. 江上幸夫

    説明員(江上幸夫君) 県でお考えになっている内容については十分承知しておりませんが、私どもといたしましては再び今後このような事故がないように関係機関と相談してまいりたいというふうに考えておりますので、必要があればそういう協議会にも積極的に参加してまいりたいというふうに考えております。
  177. 多田省吾

    多田省吾君 それから気象庁にお伺いしますが、先ほど申しましたように、東工大の小坂教授等も、四十九年ごろから火山活動が非常に活発である、ですから硫化ガスの噴出なんかも勢いづいているんじゃないか、またことし三月ごろから水蒸気の爆発も盛んに見られる、こういう火山活動の徴候が見られるんですが、気象庁における定期観測というものはやっておられるようですが、二カ月に一回とか非常に断続的になっておるようでございます。ここでやはり地元の県議会等でも前前から強くこの観測を続けて行うように要望しているようでございますので、この点、気象庁はどうお考えですか。
  178. 小林寿太郎

    説明員小林寿太郎君) ただいま先生の御質問にお答えさしていただきます。  私どものところでは火山噴火予知連絡会というものがございまして、その事務局を気象庁が担当しております。これは全国の火山活動状況を大学の先生、あるいは関係機関の方々御一緒にいろいろと情報交換等、監視あるいは将来の処置、そういったものについていろいろ御検討いただいているわけでございます。で、先ほど先生がおっしゃいました東京工業大学の小坂先生も臨時に事務局からの、火山噴火予知連絡会のメンバーとして入っていただいておりまして、ただいま先生おっしゃったように、草津白根の火山活動状況については私どももよく御連絡いただきまして知っておるものでございます。ただいま先生がおっしゃいました火山活動のある程度活発化している、あるいは消長はございますが、活動期じゃないかと疑われるような火山につきましては、常時監視してないところにつきましては臨時観測をしておるという実情でございますが、本年五月に火山噴火予知連絡会を設けました折にも小坂先生のいろいろなレポレトを検討しました結果、私どももこれを恒久的な施設を設けて常時監視をするのがよいんじゃないかと、そういったことを実施できるようなことを現在検討しておるところでございます。  以上でございます。
  179. 多田省吾

    多田省吾君 それから警察庁にお伺いしますが、このたびの事故の遺族補償の件でございますが、考えられるのは国家賠償法の適用とか、あるいは民法による補償とか、あるいは県知事なんかもおっしゃっておるようですが、そういう地方自治体のお見舞い金とか、いろいろ方法はあると思いますが、警察庁としてはどのようにお考えですか。
  180. 斉藤隆

    説明員(斉藤隆君) この被害者の亡くなられた方、お二方についての見舞い補償の問題でございますが、警察サイドの関係での遺族補償という形にはちょっとなじまないかと思いますので、これは県なり、それぞれの関係機関のところで御配慮いただくよりほかに警察としてはちょっとないんじゃないかと思います。
  181. 多田省吾

    多田省吾君 この問題について県の議会あるいは県知事等も真心をもって対処したいと答弁もしておりますし、考えているようでございますが、県だけで国の方は全然考えていないというのも非常にこれは無慈悲なおかしいことと思いますが、やはり環境庁あるいは林野庁等国のサイドにおいてもこれはよくお考えいただきたいと思う。  これが一点と、それからもう一点は、先ほど関係機関調整連絡協議会等の設置についても県から詳細が来次第考えたいという、私もこれも積極的に前向きに考えて、今後、白根山一帯は非常に広大な地域であり、また火山活動も活発になれば硫化水素の噴出等も盛んになると思われますし、あの辺は非常にまた登山道路としても多くの人が参るわけでございますから、再び災害が起こらないように、先ほども御答弁ありましたけれども、常時パトロールの強化とか、あるいは危険標識の設置とか、あるいは探知器の常時敷設とか、それから防護さくをつくるとか、まあさまざまの対策が必要であると思いますが、それも積極的にやっていただきたいということを強くお願いしまして、私の質問終わりたいと思います。この二点についてひとつ環境庁、林野庁からお答えいただきたいと思います。
  182. 江上幸夫

    説明員(江上幸夫君) 最初の点につきましては、これは営造物ではないと考えられますので、国家賠償法の適用になるかどうか、その辺は非常にむずかしい点ではないかというふうに考えるわけでございます。  それから、今後の災害が発生しないような措置につきましては、先ほど申しましたように、パトロールの強化とかそれから標識の設置とか、そういうことを通じまして再びこういう事故のないようにしていきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  183. 宇野佐

    説明員(宇野佐君) 先生が先にお挙げになりました前の二件の事故と今回の場合とやや様相は異にいたしますので、その点につきましては、補償の点につきましては大変むずかしい問題であろうかと思います。林野庁のお答えになったとおりかと思います。県とはよく連絡をとってまいりたいと思います。  で、今後の対策でございますが、これはもう私どもといたしましてもできるだけの積極的な措置をとって、今後こういうような事故が二度と起こらないように努力をいたしたいという覚悟でおります。
  184. 太田淳夫

    太田淳夫君 それでは、かわりまして先日の伊豆災害について質問さしていただきます。  私ども、せんだって委員長ともどもに視察に参りました伊豆半島集中豪雨によります被害というのは相当な想像以上のものがございまして、一日も早く災害復旧を促進して、被災された市民の方々の気持ちを安んずることが必要ではないかと思います。また、今回の災害につきましては、天災というよりもむしろ天災プラス人災または天災プラス政災じゃないかと、こういうふうにも言われております。政府としましても、私ども現地に参りまして、やはりいろいろとその復旧、救済については心を砕いてみえることは非常によくわかります。しかし、こういった惨状というのを二度と繰り返させない、それが皆さん方の願いだと思いますけれども、この今後の対策について二、三、お聞きしたいと思います。なお、同僚の議員から質問がございましたので、重複する点もあると思いますが、その点も含めましてお答えを願いたいと思います。  私どもとしましては、今回の伊豆災害につきましては、一つには、道路建設あるいは別荘宅地あるいはゴルフ場建設等のそういった乱開発が原因じゃないか。第二には、中小河川の整備の立ちおくれという点があります。第三は、がけ崩れ防止対策のおくれ。第四点は、南伊豆地震の後遺症というのがやはり残っているんじゃないかと。相当な雨量というのが集中してここに降ったというふうに考えられますけれども、こういった四点の原因ということも私たちは十分考えられると、このように考えております。  伊豆半島は、先ほど同僚議員からも再三話がありましたように、日本でも有数の観光地帯です。したがって、高度成長の過程で観光関係というのは、まあ何というか、歯どめのない形でもって進められてきたんじゃないか。その前提となるのはやはり自然災害から国土保全をしていかなきゃならないという点が放置されたんじゃないかと私たちは考えます。人命尊重の政治というのを実現するために皆さん方もがんばってみえると思いますけれども、国土保全、防災行政の充実が目下緊急の課題じゃないかと思うんですが、国土庁、政府としましては、今回のこの災害、まあこれ一つではございませんけれども、こういった状況をどのように受けとめて今後の行政に生かそうとされているのか、最初にまず所見をお伺いしたいと思います。
  185. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) 先ほどからの静岡県の出納長さんの御陳情、それからここでいろいろ議論していただきましたことなどなどから見ますと、大体四つほどの今回の災害が特徴になっておるんじゃないかと見ておるわけであります。まず第一番目は、非常に降雨量が多くございまして、一時的に河川の出水があった。それから二番目には、急傾斜地の多いところでございますので、山腹崩壊がありまして道路、鉄道が遮断されたということ、そうして先ほどからも話題に出ておりました観光客救援活動が必要である、それから連年災といいますか、そういうふうな四つほどのどうも特徴に大約できるんじゃないかというふうに思わしていただいております。  対策の問題につきましては、それぞれの先ほどからの説明のとおり、各省のお立場でいろいろ調査等々も御検討いただいておるようでございますので、十分各省と連絡をとらしていただきまして対処してまいりたいと、かように考えております。
  186. 太田淳夫

    太田淳夫君 建設省にちょっとお聞きしますけれども、建設省は、新聞の報道によりますと宅造地の総点検というのを指示されたそうですが、この内容と、いつごろをめどにしてこれを総点検をされようとしているのか、その点ちょっとお聞きしたいと思います。
  187. 梶原拓

    説明員(梶原拓君) 実はことしの五月十八日に梅雨前線豪雨、例年そういったものがございますので、それに先立ちまして各都道府県に注意を喚起するという意味で計画局長から宅地造成工事の指導監督等を強化するようにという指導をしておりまして、ところが鹿児島県等で災害が起きましたので、再度再確認の意味で七月の十二日付で同じ計画局長から各県に対して通達したわけでございます。中身は、宅地造成等規制法に基づきます宅地造成工事規制区域を重点にいたしまして関係部局と連絡調整を図り、地形、地質等を調査し、危険宅地の総点検を早急に行うこと、それから第二点は、総点検の結果に基づき宅地造成等工事規制法による改善命令等災害防止のために適切な措置を講ずること等を指示したものでございます。
  188. 太田淳夫

    太田淳夫君 いつごろまでにこれ総点検できますか、いつごろまでに。
  189. 梶原拓

    説明員(梶原拓君) そういう趣旨でございますので、まあ秋にかけまして台風という今後の危険も予想されるわけでございます。したがって、いつまでにどこまでやれということではなくて、とにかく早急にできるだけたくさんの個所を点検してしかるべき措置をとっていただきたいということでございます。
  190. 太田淳夫

    太田淳夫君 それでは、若干の質問に移りたいと思いますが、同僚議員も質問されていますので、簡単で結構ですが、まず災害復旧事業についてお伺いしますけれども、今回のこの大雨によって七月十六日現在でも河川道路、砂防施設及び橋梁等の公共土木施設災害というのは約千九百三十カ所、約六十七億円に達しておりますけれども、特に伊豆半島南部の道路というのはこれは大きな災害を受けております。これが復旧整備と安全の確保は、民生の安定だけでなく、観光をこの地帯は生活基盤としていますので非常に重要なことだと思います。で、通常の初年度進捗率以上の予算措置を講じなければならないと私たちは思いますけれども、当局としてはどのような対策を講じられているか、その点お尋ねします。
  191. 栂野康行

    説明員(栂野康行君) 従来、災害復旧につきましては三カ年で復旧するということが原則でございます。そうして、いろいろ個所が多うございますから、そのうちから特に緊急なやつにつきましては、一年とか、またあるいは二年とか、そういうふうに、いわゆる災害程度に応じまして人心の安定あるいは道路の確保という方向で鋭意やっておる次第でございます。また、災害復旧だけでは十分じゃないという、一定の基準に達するものにつきましては、改良復旧をあわせまして、できるだけ改良復旧に持っていくという指導で現在進めております。  以上でございます。
  192. 太田淳夫

    太田淳夫君 現在災害査定に入ってみえると思いますけれども、やはりこの点も緊急に実施しなくてはならないと思いますが、その点はどのように進めていますか。
  193. 栂野康行

    説明員(栂野康行君) 現在災害査定に現地へ入っておりまして、県の方でもまた鋭意その設計書の作成とかそういうものを歩調を合わせて進めてございます。
  194. 太田淳夫

    太田淳夫君 次に、同僚議員からも再三話がありましたが、激特の問題です。私どもも現地へ参りましたけれども、稲生沢水系はこれは伊豆南部の産業の中心でありますし、下田市を流れておりますが、それだけにこの治水の及ぼす影響というのは非常に大きな河川であります。この河川の治水ということについては皆さん方もお考えになってみえると思いますけれども、二年連続して浸水災害をこの地帯は受けているわけです。その治水対策というのがやはり不備ではなかったのかと、このように思うわけですが、その点はいかがお考えですか。
  195. 栂野康行

    説明員(栂野康行君) 治水対策につきましては、鋭意非常に重点を置いて、特に中小河川に重点を置きまして改修を促進しておる次第でございます。しかしながら、どうしても予算の枠というものがありますので、毎年雨が降れば洪水が起きるというまことに遺憾な点でございます。しかしながら、やはり金とあわせまして制度の面、たとえて申し上げますと激特制度とかあるいはまた二級河川の維持修繕工事とか、そういうふうに新しい制度を設けまして、いわゆる予算と制度と両方の面から河川改修の促進あるいは洪水の流下安全を図っておる次第でございます。
  196. 太田淳夫

    太田淳夫君 しかし、この稲生沢水系というのは早急にやはり整備する必要があると思いますので、本年度の激特については県側からも要望を出されておりますが、この予算計上というのはどうなるのか、その点ちょっとお伺いしたいと思います。
  197. 栂野康行

    説明員(栂野康行君) 稲生沢川の激特問題でございますけれども、現在県におきまして鋭意、激特の対象になっておりますので、その計画を作成中でございます。それによりまして建設省としましても激特に持っていきたいというふうに考えてございます。
  198. 太田淳夫

    太田淳夫君 その点お願いしたいと思います。  次に、やはりこれも同僚議員からいろいろと問題が出ましたが、青野川の問題ですが、これも昭和四十四年以来中小河川改修事業として整備を進められてきておりますけれども、やはり今回も、何と申しますか、下賀茂を中心として八百六十九戸の被害を受けております。こういう大きな被害を受けているとなりますと、これも従前からの改修工事にやはり問題があるんじゃないかと思うんです。特に被害のあったところはまだまだ改修工事も進んでおりませんが、非常にこう隘路になっているような感じがします。その点、町民の不安というものを安んずるためにも、早くこれを完成さしてもらいたい。これは町全体の希望でありますけれども、そういった意味から、青野川の改修について早期にこれを完成させる方向というのは考えられないか、その点ちょっとお伺いします。
  199. 栂野康行

    説明員(栂野康行君) 青野川につきましては、先般の豪雨によりまして一般被害が非常に仰せのとおり多かったわけでございます。したがいまして、河川激甚災害対策特別緊急事業というものによりまして、採択することを前提としまして、緊急的かつ抜本的な河川改良工事の全体計画を現在県において鋭意立案中でございます。したがいまして、これを受けまして建設省が今後持ってまいりたいというふうに考えてございます。
  200. 太田淳夫

    太田淳夫君 次に、それでは国道百三十五号線の問題ですけれども、これもやはり生活基盤道路でございますし、観光シーズン最盛期をここに迎えることですので、白田地区開通については東伊豆町あるいは河津町、伊豆南部全体としてのこれは希望だと思います。そこで、いまは、先ほどのお話では、一応仮道をつくってその開通をしているということでございますが、根本的な整備、この点についてもう一度、再度お伺いしたいと思います。
  201. 渡辺修自

    説明員(渡辺修自君) 一本しか道がございませんので、地元の方となりました場合に大変困る、何とかとまらないようにしてほしいという御要望は、私どもも痛いほどわかるわけでございます。ただ、やはりその道路を一本ということでなくて、全体の道路網を考えまして、いざ緊急の事態があった場合にはどこからでも応援ができるというような体制をつくる方がいまの緊急の対策としてはいいんではないかということでございますので、今後とも、伊豆の場合で申し上げますと修善寺−下田線でございますとか、あるいは他の百三十六号、それからもちろん百三十五号もでございます、極力防災に意を用いまして災害に強い道路にしてまいりたいと考えております。
  202. 太田淳夫

    太田淳夫君 いまお話がありました、どこからでも応援できるような体制ということでございますが、修善寺−下田線も現在あれは自衛隊によって仮橋がつくられている程度ですね、あの橋の復旧はいつごろ、めどがついていますか。
  203. 渡辺修自

    説明員(渡辺修自君) 橋の復旧の方につきましては、ただいま防災課の方で災害の方の対策を考えておるところでございます。
  204. 太田淳夫

    太田淳夫君 それと一緒に、先ほど戸塚委員からも要望がありましたが、バイパス道路の建設ということがいま非常に望まれているわけですね。これは技術的に非常にむずかしい面があるというお話ですが、河津町から下田へ抜ける道につきましてはかつての県道があったというような話も聞きますけれども、それをある程度修復をして利用できないかどうか、その点ちょっとお聞きしたいと思うんです。
  205. 渡辺修自

    説明員(渡辺修自君) 昔そのような道があったということを私どもも承知しておりまして、ただいまは町道になっておると思います。こういったものを整備いたしまして緊急の際に使えるようにという御要望は地元の方から伺っておりますので、予算の許す限りそのような方向にも整備を進めてまいりたいと思っております。
  206. 太田淳夫

    太田淳夫君 じゃ、予算の許す範囲というお話ですから鋭意これは努力していただきたいと思います。  次に、緊急砂防、緊急の急傾斜地崩壊対策事業についてお伺いしますけれども、この点につきましては先ほどもやはり同僚議員から話がありましたが、南伊豆町の妻良部落の中央を流れます殿田川、これが上流山地崩壊、渓流の浸食等による土石流によって河川が相当埋められております。全戸数の約八〇%に当たる百三十戸が大被害を受けているわけですが、そのほか、今回の災害によってほかの四河川においても同様な災害が発生しております。ここに私たちはダム設置のための緊急砂防事業対策が必要じゃないか、このように思いますが、その点のお考えをお伺いしたいと思います。
  207. 栂野康行

    説明員(栂野康行君) 土石流の発生しました殿田川でございますけれども、五十一年度、いわゆる本年度におきましては、緊急砂防事業費——約七千万円でございますけれども——によりまして上流にダムを二基ほどつくりたい、そして再度災害防止するということを考えてございます。なお、下流部の流路に土砂埋没してございますけれども、これにつきましては、いわゆる応急復旧によりまして現在施工を行っております。
  208. 太田淳夫

    太田淳夫君 それから稲取地区の問題ですが、やはり現地からも要望が出ております。皆さん方御承知だと思いますが、稲取向井地区に、やはり戦時中軍隊が傾斜地に陣地を構築をした、これは防空ごうだと思いますが、その跡地がございまして、そこから最近がけ崩れ災害が発生しておるわけですが、これは現在急傾斜地の対策事業に認定されて工事が進められていることになっていますが、このたびの豪雨でも崩壊して全壊被災に遭っております。それで現場付近の住民の方は常に危険の状態にあるわけで、早期にこの工事の完成を願っているわけですが、その点について、この工事の完成について工費をやはり全額国庫で負担してもらえないか、こういう要望が現地からありますが、その点についてちょっとお尋ねします。
  209. 栂野康行

    説明員(栂野康行君) 現在、先生がおっしゃった地域につきましても、いわゆる緊急的にも復旧するために緊急砂防事業費をつけて復旧するということで、現在進めてございます。
  210. 太田淳夫

    太田淳夫君 完成はいつごろをめどにされておりますか。
  211. 栂野康行

    説明員(栂野康行君) 災害を受けました部分につきましては、緊急によりまして本年度全部完成さすと、災害を受けました地区につきましてですね、ということを考えております。
  212. 太田淳夫

    太田淳夫君 本年中ですね。  それからちょっと時間がないので進めますが、中小企業関係についても、それぞれ皆さん方関係各省で、それぞれ立場で最大の施策を図っていただきたいと思いますが、やはり何と申しましても観光地でありますので、観光客が訪れないことにはこの地域は繁栄しないわけですが、やはり伊豆半島はこの災害によって道路及び鉄道の損傷等によりまして、予約した観光客のキャンセルが相次いでおりますので、そういった点でほかのいろいろな地域もございますが、特別なやはり施策というのをここで考えていただきたいと思うんです。そういったたとえば旅館、民宿等の予約がキャンセルされた、そういった場合の損失というものも、被害額も、こういった災害による物理的かつ直接に被害を受けたそれに限らないで、そういった損失もこの損害額の中に算入するようにしていただきたい、地元下田中心にそういった要望がありますが、その点はいかがでしょうか。
  213. 松尾成美

    説明員(松尾成美君) ただいま先生の御指摘の点は、恐らく激甚災害の指定の際の被害額損害額の算定についての御指摘であろうかと思いますが、現在指定については、局地激甚災害の基準では損害額というのはどうやら現実に生じた損害というのを考えておるようでございまして、その観点で私どもいろいろ調査しておりますが、確かにここで実態的にはこういろいろ問題が起こっているわけでございまして、災害額を的確につかまえて、指定についてはそれらの基準の許す範囲で極力配慮してまいりたいというふうに考えております。
  214. 太田淳夫

    太田淳夫君 極力配慮してくださるということですね。  それから、ではその次ですが、先ほどやはり戸塚委員の方から話がありましたが、観光客の緊急避難脱出に関する輸送費の問題ですが、厚生省の方から、県からの要請があり、ただいま検討を進めているというお話がありましたので、それでよろしいわけですが、その検討をいつどういうようなことで会合を行って、いつごろまでに結論を出されるのか、その点ちょっとお聞きしたいと思います。
  215. 水田努

    説明員(水田努君) 災害救助法で見るという方針は県の方に示達してございます。  なお、県の方では、民間の船舶会社がどれだけの費用を要したかというのを目下調査中でございますので、その額が確定いたしましたら早急に補助を行いたいと、このように考えております。
  216. 太田淳夫

    太田淳夫君 早急に行ってくださるわけですね。  時間もありませんので、それでは次にまいりますが、個人災害の補償についてちょっとお聞きしたいと思います。  この個人としての災害というのは、私たち考えますと、激甚であるというそういう実感と激甚災指定との間に大きなギャップがあるように思います。というのは、この指定の基準というのは、一つは、全国的な大規模災害対象としている点でありますし、二番目には、地方公共団体の財政をカバーするものであると。第三には、地方公共団体の標準税収入ですか、との関連において判断される。これが指定基準になっておりますけれども、やはり国民感情としては、一つには、被災個人の民心を安定させるとか、第二には、復旧事業を早期に実施をしてもらいたい。三番目には、施設災害のみならず、個人の災害、たとえば家屋とか家財、それから農耕地あるいは漁場、林業、いろいろなものがございますが、個人災害にもやはり十分な救済措置を図っていただきたい。これが国民の被災された方々に対して期待される点ではないかと思うんです。そこで、激甚災指定が前提され、特に個人災害は指定されてもなかなか期待できません。今後このような個人災害についても指定基準の拡大をすべきじゃないか、私たちこのように思うわけですが、厚生省の見解をお聞きしたいと思います。
  217. 水田努

    説明員(水田努君) 激甚災の指定は、厚生省で所管をいたしておりませんのでございます。
  218. 太田淳夫

    太田淳夫君 国土庁ですか、個人災害は。
  219. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) 激甚災害の指定に関連いたしまして個人災害をどういうふうに考えるかという御質問かと、そういう気持ちでよろしゅうごさいますか。——個人災害の救済につきましては、国土庁をつくる以前に総理府におきまして、いろいろ先生方の御意見も尊重しながら、いろいろ研究した時期があったようでございますが、種種問題があるというので、ただいま現在は厚生省が所管していただいております災害弔慰金の支給及び災害援護資金の貸付けに関する法律というのを議員立法でお決めいただいて一応の結論にした、という経過を持っておるのが個人災害関係の制度の実情でございますので、よろしくお含みいただきたいと思います。
  220. 太田淳夫

    太田淳夫君 厚生省。
  221. 水田努

    説明員(水田努君) 災害弔慰金の立法の経緯につきましては、ただいま国土庁の紀埜審議官から御答弁のあったとおりでございまして、一つ私どもは問題になります点は、災害弔慰金の額の点にありはしないか、このように考えております。で、この弔慰金の額は法律事項になっておりますので、法律改正を要する問題が一つございます。と同時に、この弔慰金は社会的な見舞い金という性格のもとで議員立法がなされておりまして、その額を引き上げる際にどの程度のものがきわめて至当なものであるかどうか、非常にむずかしい問題がありまして、この額の引き上げにつきましては、従来の経緯を申し上げますと、超党派で議員立法という形で対処をお願い申し上げているわけでございますが、前回の額の引き上げからすでに一年を経過しているという事情等を見ますと、来る臨時国会においてこの額の引き上げの改正問題が超党派的に一つの爼上に上がるんではないかと、このように私ども想定をいたしております。私どもといたしましては、すでに引き上げられまして一年を経過しているという事情等を考えますと、財政当局との調整の問題等もございますが、その際には私どもとしては前向きに対処していかなければならない問題だと、このように受けとめております。
  222. 太田淳夫

    太田淳夫君 次に参りますが、この本激の指定基準の範囲になるんですが、経済成長の過程の中で標税も高くなってきております。そこで、標税との比較において激甚災指定を決定する以上、これ、だんだんと大規模災害にならざるを得ないと、こういうふうに私たち思うわけですが、特に本激の指定基準あるいは局激の指定基準、これは中央防災会議によって決定されたものですけれども、大分年代も過ぎております、時代的にもやはり指定基準の見直し、改正が必要じゃないかと、こう思うわけですが、その点の見解をひとつお伺いしたいと思います。
  223. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) この激甚災害による、ちょっと正確な法律の名前なんですが、財政援助法と、こういうふうな形になっておりまして、災害復旧費のあり方、国、県の負担の仕方、それらは一般法へ返りましてそれぞれ措置されておりまして、本法は特に災害の大激甚、国民経済に影響を及ぼすと、こういう法律の書き方がされておるわけでございますが、そういうふうな事態に特に国が特定団体に応援していこう、こういうふうな趣旨でこしらえていただいたものであります。そういう意味から言いますと、地方団体の財政力というふうなのが一つのめどになっておるというその財政力の見方は、まあまあいま通常一般、私たちも自治省から参りまして、地方団体あっちこっちなにしてきたわけでございますが、その財政力の見方は、自治省では財政力指数などというふうな言い方をしておるわけでございますが、そういうものも皆やっぱり自分の確保できる税金、そういうふうなことで、標税を一つの財政力のめどというふうな形にしておりますので、その標税自身をほかのものにかえるということは、一般的に財政をやっておる者としてはちょっとむずかしいんじゃないか、これが地方団体の財政力の一つの姿であるというふうに考えておりますので、やっぱり標税を中心にして考えなければ仕方がないんじゃないかというふうな気持ちを持っておるわけでございます。なお、いろいろこの基準につきましては、当初法律をこしらえ——でき上がったときでございます。そのときも大体、都度都度の災害で追っておりましたのをこの激甚法に統一した経過がございまして、そのときもほぼ大体全国の災害の、毎年起こる災害の六〇%ぐらいをめどにしてというふうなおおよその御了解のもとに、これは院の附帯決議もいただいております。そういうところから見ますと、去年で、そういうのを私らが一つの議論のめどにしておるわけでございますが、去年ですと大体もう八〇%までの災害が激甚災害として拾われておるというふうな事態でもありますので、そこらの考え方いろいろ彼此勘案してこの問題には対処していかなければならないんじゃないか、かように考えておるのがただいまの実情でございます。よろしくお願いいたします。
  224. 太田淳夫

    太田淳夫君 それでは、時間がないので最後の質問をさしていただきますが、先ほど松永委員の質問で、大臣から非常に政治的な含みの多い発言がありまして、私どもも心強く思っているわけですが、伊豆の本激あるいは下田の局激の問題について非常に心強く思っておりますが、この伊豆梅雨災害の本激の指定というのは、九州の災害あるいは伊豆豪雨禍、台風九号と、昨日もまた九州にも被害をもたらした災害がございましたが、そういうものを含めると云々というようなお話がありまして、私ども心強く思っておりますが、気象庁にちょっとお伺いしますけれども、昭和四十九年に五月二十九日から八月一日まで約二カ月間の間の災害を含めて、これが本激の指定というのがありましたね。ありましたね。そのときと同じような今回気象状況ではないかと思うんですが、いかがですか。
  225. 窪田正八

    説明員(窪田正八君) 厳密にまだ検討しておりませんが、理論的にはいろいろむずかしい問題がございまして、各省庁でいま連絡をとりながら検討中でございます。
  226. 太田淳夫

    太田淳夫君 現在検討中ということですね。
  227. 窪田正八

    説明員(窪田正八君) はい、さようでございます。
  228. 太田淳夫

    太田淳夫君 まあ大臣からああいうお話もありましたので、その点私も何か今度は梅雨の落とし子か何かがその辺うろうろしたんじゃないかと考えたわけですが、その辺よろしくお願いしたいと思います。
  229. 神谷信之助

    神谷信之助君 もう長官が来られるようですが、   〔委員長退席、理事上條勝久君着席〕 先にそれじゃあ紀埜さんに聞きますが、いま気象庁の方は検討中だと言うんですがね、問題は、全国激甚を決めるのでは気象条件、これをどこでどうくくるかというのが問題になるわけでしょう。もう梅雨は上がったんだしね、そんななかなかむずかしいものですか。
  230. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) 私たちも、この梅雨梅雨前線が日本列島の上をこう行ったり来たりされている間をずっと見据えておったわけでございますので、まあ梅雨も明けてまいりましたので、御指摘のとおり、早速まあそういう形で気象庁と相談させていただきたいと、かように考えております。
  231. 神谷信之助

    神谷信之助君 きょうの委員会でも、まあいつもこの災害の場合は激甚災の問題が必ず議論になるんですがね、問題は、全国激甚の適用がされるということになると、まあ全体として非常に喜ぶわけですが、それも早く決定されることを望んでいるわけなんでね、したがって、これ、まず気象庁の方とも気象条件についての結論はいつごろまでに出すと、めどはどのようにお考えですか。
  232. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) 私らも気持ちとしては急いでおりまして、もうすべてそういう相談を全部詰めた上で、八月の下旬から九月の上旬ごろには政令措置等も用意したいと、これくらいの気持ちでおります。   〔理事上條勝久君退席、委員長着席〕
  233. 神谷信之助

    神谷信之助君 まあお着きになって早速ですが、いま、きょうずっといわゆる激甚災の指定の問題で議論が大分なされております。それで、いま問題は結局、気象条件でいままでの鹿児島災害から先般の十二号台風まで、全部が梅雨前線豪雨による災害として一つにくくれるかどうかというのが大前提になるわけです。これらは、大体四十九年のときには二カ月にわたっての災害を一括して、そして全国激甚の適用をするという措置をした経験もあるわけですね。したがって、今回の場合も当然そういう事例から言うなれば一つにくくれると、前回は八月、四十九年のときは八月の初旬ぐらいまで入っていましたから、ですからそういう条件というものを考えれば不可能ではないと思うんですが、問題はそこで、そういう点でそれが決まれば恐らく私どもの推測では全国激甚災の適用ができるんではないかという予想も大体できるわけですね。こうなれば全国的にいままで被害を受けたところは、非常に大きな喜びになるわけです。この点でひとつ長官としては努力をしてもらいたいというのが一点の問題。  第二点は、そうなりますと次は、全国激甚がもし適用されない場合には、今度局地激甚に何とかしてもらいたい、こうなってきます。問題は、朝の同僚委員の質問の中にも具体的に下田の例で出されておりましたが、これは局地激甚の指定を受けるかどうかというのが補助額でうんと違うわけですから、これはもう自治体にとっては大変な問題になるわけです。そこで、どうしてもいろいろ折衝が行われざるを得ないと、こうなるんですね。しかし、現状の自治体の財政の実情から言うと、しかも伊豆地方の場合、それから鹿児島の場合もそうですが、大体しばしば被害を受ける、伊豆の場合は、三年連続になっていっていますから、そういう状況ですから、これら少なくともそういう連続して災害を受けている場合には採択基準というのを——基準が一応あるわけですから、それはまあとりあえず守らなきゃならぬにしても、一定のやっぱりそういう条件についての政治的配慮なり何なりというのは、実情に応じて考えてやるという態度が必要だと思うんです。私どもは、本来、災害というのが起こって、そのために必要な財政を投入せにゃいかぬわけですから、ですからそれだけでもこれは全部が大体激甚災害ぐらいの補助をして、国もめんどう見てやって、通例の財政運営ではできない状況になっているんですから、全部激甚災と同じような補助率でやるべきだと思うんですが、少なくとも基準を弾力的に運用して、そしてこの南伊豆災害については対処していくという、こういう点についてのひとつ長官の見解をお聞きしておきたいと思います。
  234. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) 今回の梅雨前線豪雨災害というものは相当な被害だと私は考えております。また、先ほど来から申し上げておりますように、災害で相当な被害をこうむり、個人的にも、また自治体にしても非常に困惑しておるということでございますから、非常に政府としては温かい手を差し伸べるべきだと、これが私は政治の姿勢でなければならぬと、こう思っております。そういう意味で、できるだけこの激甚災の指定になるような考え方でひとつ取り組んでまいりたい。なおそれでもどうしてもできない場合は、局地激甚災ということになるわけでありますが、できるだけの温かい配慮をするということが政治だと、このように考えて今後も各省庁と協力しながら進んでまいりたいと、こう考えております。
  235. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは各党、与野党を問わず全体がそういうことを希望しておるわけですから、よろしくお願いしたいと思うんです。  それから第二の問題、その次の問題は、今回の災害を大きくした、もちろん非常に降雨量が多かったという問題とか、急傾斜地帯であったという問題とか、いろいろありますが、もう一つやっぱり開発問題がこの災害をひどくした大きな原因だということが、これはわれわれ現地を見た者のみならず、現地の市長さんや町長さんも一致してやっぱりおっしゃっていますね。これは、先ほどからもこの問題では同僚議員からも出ておりました。静岡県も土地利用対策委員会をつくって、それに対する規制もそれなりにやったり、あるいは調査をしたり、あるいは改善の勧告を出したり、そういう措置をなさっているわけです。先ほども出ましたが、建設省の方も七月十二日付で計画局長から、宅地造成に伴う災害防止について通達を出して、危険個所調査を——監督といいますか、調査をするように、点検をやるようにという文書を出されておるわけですね。これは先般の当委員会で、鹿児島中心にした災害で、そういう宅造地域なり開発地域の点検をやって、それに対して適切な措置をするようにというこの委員会での議論を受けとめて早速そういう措置をなされたんだろうと、私はこれは非常に結構なことだと思うんですが、この中で具体的に危険宅地については、この監督処分なりあるいは改善命令等の適正な措置を講ずることということになっています。これはこの宅造法ができる以前の宅地に大分もう住宅が建っていると、そういうところも含めて、危険な部分については改善命令を出すということを含んでいるわけですか。
  236. 梶原拓

    説明員(梶原拓君) お答えします。  宅地造成等規制法に基づきます宅地工事規制区域内であれば、区域指定前に造成しました宅地につきましても必要な勧告が出せるという法のたてまえになっております。
  237. 神谷信之助

    神谷信之助君 問題は、それじゃ、その地域、危険宅地造成工事規制区域というそういう指定がなければ、指定外のところには関係がないということになるわけですか。
  238. 梶原拓

    説明員(梶原拓君) そのとおりでございます。
  239. 神谷信之助

    神谷信之助君 しかし、この規制区域の指定は知事の申請に基づくと、先ほどからおっしゃっているように。その知事の申請は、市町村なり住民の意見を聞かなきゃならぬ。だから、そうなると、この規制区域の指定自身についてなかなか合意が得られないという状況も起こっているという状態になっているわけですね。たとえば、この南伊豆地域の今度の問題になっている河津町の筏場の上のところとか、あちこち起こっていますが、こういったところはこの区域に指定をされているわけですか、されていないわけですか。
  240. 梶原拓

    説明員(梶原拓君) 指定されておりません。
  241. 神谷信之助

    神谷信之助君 それでは、そういうところは、仮にこの通達が出ておっても、さきにもっと早く仮に出ておってそうしてやっても、別に点検しない。それじゃ今度の災害は防げないということになるわけでしょう。この点については一体どうお考えになりますか。
  242. 梶原拓

    説明員(梶原拓君) 危険宅地の総点検につきましては、宅地工事規制区域中心に危険宅地を総点検するようにという指示をいたしておりまして、必ずしも区域にこだわらない、必要があれば新しく区域を指定するという必要もございますので、規制の既定の区域内に限ってないということでございます。
  243. 神谷信之助

    神谷信之助君 ということは、この文書で「宅地造成工事規制区域を重点に」と書いてありますからね、だから、それ以外でも県の方で必要と認めれば、考えれば、区域外であっても点検をして、そうして——まあその区域外の場合には、この改善命令等の措置はできないわけですわね。そこまではいけないにしても、法に基づく命令は出せないにしても、改善の勧告はできると、こうやることを期待をしているわけですね。その辺がもう一つ不明確ですから、この辺はひとつ具体的に行政指導では親切にして——というのは危険なところは全部この規制区域に入っているかというとそうじゃないわけですから、この点はいままでの実例があるんだから、そういう点をひとつ手落ちのないように指導してもらいたい、する必要があるという点を指摘をしておきたいと思うんです。  それからもう一つは、前回の委員会で、開発について、防災の観点から現行法もひとつ見直してみるべきではないかということを具体的に法の条文を挙げて長官に指摘をしている。長官はこれについて、防災会議の分科会等でひとつ検討してみようという積極的な答弁をなさったわけですが、さらにこれを踏まえて、今度のように開発がどんどんやられていくんですが、開発を認めるか認めないかという場合の基準に、この間は御承知のように地質の問題やその他も対象に入れるべきだということも含めて言いましたが、開発をしたその下流の河川の状況とか、それから地盤の状況、こういったものが開発を許可しても耐えられるのかどうか、言うならば無災害の開発を基準にしてこれらの開発の許可あるいはその規制とかいうことを考える、こういうところまで踏み込んでわれわれ考えていかないといかぬというように思うんですが、この辺はいかがでしょうか。
  244. 梶原拓

    説明員(梶原拓君) 私どもの方で都市計画法に基づきます開発許可を担当いたしますので、その関係で御答弁します。  現行法で、都市計画区域内であれば、一定規模以上の開発につきましては都道府県知事の許可を得なければならない、その場合に、都市計画法の第三十二条で、河川管理者の事前の同意を得るという要件がございますので、したがいまして、開発事業の計画の中で、防災対策につきましては、そういった協議の中で万全を期するという体制になっております。
  245. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) いま御指摘のように、無災害の開発、私はそのとおり考えて開発というものは進めなくちゃならぬと、こう考えております。
  246. 神谷信之助

    神谷信之助君 その次の問題は、時間がありませんからどんどん進めていきますが、中小河川の問題、特に準用河川の問題ですね。これに対して、一昨年の当委員会でも私いろいろと問題を提起をしたわけですが、五十年度からこの改修に対する国庫補助制度がつくられてきているんですけれども、ところが、今度の問題を契機に調べてみますと、非常に予算額が少ないために、年間の改良事業が非常に少ないように思うんですね。お聞きをすると、五十年度が百八十本、五十一年度百十本という状況のようなんです。ですから、準用河川改良すべき川が四千本足らずですか、あると伺っていますが、この調子でいくとなかなかこれは始まらない、終わらないわけですね。そういう状況だ。静岡の場合どうなんかといって静岡県に聞きましたら、約六百本の準用河川があるが、一体じゃ五十年度、五十一年度改良事業の補助対象になったのはどうなんだと聞きますと、浜松と藤枝で五十年度二本だ、五十一年度は掛川とどっかもう一つですね、三ケ日ですか何かというところで二本、だから二年間にわたって四本しか補助対象になっていないと、こうなんです。それじゃ伊豆は一つもないのかと、災害の常襲地帯になってきている伊豆の方は一つもないじゃないかと言うと、静岡県の河川課では、予算枠の関係で、採択基準に合うものはよけいあるけれども、それを一遍に出してみたって始まらぬと、全部予算の枠で切られるからどうにもならぬ。それからもう一つは、市町村に、特に下田市については、県としては下田市についてはひとつ申請をしたらどうだということは言ったと、ところが、下田市の方では、補助率が三分の一ですから、県はそれにプラスしてない状況なんで、したがって自己負担はとうていできないということで断ったというんですよね。そうすると、せっかく制度があっても、やろうとしても、いまの自治体の財政状況からいくと、なかなか市町村も、やれと言われてもやれない。片っ方やりたいというて、全部それじゃ申請出したらどうだと言うと、予算枠が少ないからできない、そうはいかない、こうなってくるんです。そうして一方、災害が起これば、毎年のように洪水が起こって、災害を受ける、こうなるわけですから、この辺をひとつ河川局の方で一体どう解決をしていこうと考えているか、答弁を求めます。
  247. 栂野康行

    説明員(栂野康行君) 準用河川制度につきましては、昨年、昭和五十年度から発足した次第でございます。したがいまして、いわゆるこういう小河川災害が多いということで発足したわけでございまして、予算につきましてもまだ二年目でございますが、その進捗、予算の伸びというものは非常に重点を置いてわれわれとして考えておるわけでございます。また、来年の予算要求におきましても、準用河川につきましては、ほかの河川改修よりも予算の伸びを大きく要求いたしたいというふうに考えてございます。しかしながら、まだ発足二年目でございますので、やはりどうしてもまだ絶対額というものが足らないということでございます。一方、いわゆるその負担率の問題でございます。いわゆる現在国の補助が三分の一、それで地元が三分の二を負担するということでございますが、現在におきましては、いわゆる予算が少ない、国費が少ない、少ない国費でできるだけ事業をふやすにはどうしたらいいかとなりますと、どうしてもやはり補助率が小さければそれだけ事業費が大きくなるということで、その辺非常に痛しかゆしの点がございます。しかしながら、やはりまだできまして二年目で、まだ予算の絶対額も少ないという段階でございますので、いわゆるどうしても緊急的に必要だという要望に基づきまして、当分の間はこういうかっこうで進んでまいりたいという所存でございます。
  248. 神谷信之助

    神谷信之助君 長官、いまお聞きのような状況であるわけです。ですから、ほかの委員からも出ましたように、結局道路の予算に比べてみても河川の方の予算は少ないわけですね、道路予算は独自財源もありますが。だから先ほども答弁があったように、六十年度までに三〇%以上の整備をしたいという答弁もありました。したがって、まあもっとやっぱり急速に広めて促進をしなけりゃいかぬ、この点ではひとつやっぱり、いつも思うんですがね、災害が起こるたびに中小河川対策がおくれているということを何遍もいつも言わなきゃならぬ、この辺は思い切って来年度からひとつ予算の枠をうんと広げて、そして補助率を下げることによって対象事業をふやそうという苦心惨たんをしなくてもいいように、補助率も引き上げ、そして市町村の方もどんどんと応ぜられるようなそういう体制を早くつくらないと、この委員会を何回開いて議論していても始まらぬと思います。この辺で長官の非常に責任は重いと思うんですが、この点についてひとつ長官のお考えを聞かせてもらいたいと思います。
  249. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) 河川の問題につきまして、昔は河川道路というような順序で予算がつけられた、最近はそれが逆転して、そのために河川関係が非常におくれておるという私は感じがいたします。そういう意味で、毎年河川関係の予算をふやさなくちゃいけないという中で、一五%とか二〇%という枠、この予算をつくるための伸びがこれでいいのか悪いのかという問題もあると思うんですが、そういう意味で、今後河川関係の予算については、ひとしくこれはだれしもが予算を伸ばさなくちゃいけない、ふやさなくちゃいけない、こういうことを強く言っておるわけでありますから、まあ予算の関係のことにつきましては、これは建設大臣の所管でありますが、災害という大局的な立場から、私も十分連携をとりながら、御指摘の点について今後進めてまいりたい、こう考えております。
  250. 神谷信之助

    神谷信之助君 ついでに、一緒に、川の問題にいきますが、先ほど稲生沢川、それから青野川、これらについての激特事業、激特であるという話も出ていますから、具体的に進めてもらいたいと思いますが、私、災害起こってすぐ直後、十三、十四と現地へ行ったんですが、特に蓮台寺の区長の話聞きました。とにかく去年の十月八日の災害受けて、それからやったのか、やっているのかわからぬと。いずれにしても政府のやることは中途半端だという不信が非常に強かったわけですね。これは何行きましても、南伊豆町へ行って町長さんの話を聞きましたが、町長さんの方も、改良工事やってくれたけれども、途中で公共事業の抑制になって、それでストップすると、おくれると。だから上流の方はぐうっと広くなって、そしてカーブしているところから狭い川のままになっているわけですね。しかし町長さんに言わすと、あれはやってもらってもあれだけの雨が降ったら、結局平地部全部川にせぬことにはあかぬというような状況だから、これではもう始まりませんと、もうどうしていいかわからぬと、治水ダムつくってもうまくいくだろうかといういろいろな心配もなさっておりましたけれども、いずれにしても災害復旧事業が一応三年ということでやられているところに、連続災害受けた場合に、政府のやっている仕事は中途半端だという、こういう政治不信招くのはこれはもう当然なわけですね。だから災害が多発をする地域については特別の措置をしなければならぬのではないかと、こう思うんですよ。聞くところによると、今度建設省の中で梅雨前線豪雨対策会議ですか、これをつくられたようなんだけれども、そこではそういうことも含めてどのように対策をするのかということも検討されているわけですか。
  251. 栂野康行

    説明員(栂野康行君) 先般つくりました対策会議でございますけれども、これは河川局次長が会長になりまして、いわゆる河川局だけで災害対策するんじゃなくて、建設省挙げてやっていこうじゃないかということで、関係の部局、たとえて申し上げますと、計画局とか道路局とか、あるいは住宅局とか都市局と、そういう関係の各課を入れまして、たとえば南伊豆の問題が起きましても、災害がなぜ起きたか、あるいは災害の実態をまず調査すると、そしてその対策を考えていくということでございます。  それで、先ほど先生おっしゃいましたいわゆる災害があっても何やっているかわからないという問題でございますけれども、これはやはり私たちとしましても、やはり何といいますか、よく地元の方々に知ってもらう手段が欠けておったのではないかということもまた考えるわけでございます。と申しますのは、災害は三カ年で復旧するということでございますが、三カ年で復旧するということは、たとえば全国で一千カ所の災害個所があった場合に、その全体を三カ年で復旧するんでありまして、その一千カ所のうちの非常に急ぐやつが百あるとすれば、それは一年でも完成していくと、その次のやつは二年でも完成していくということで、一千カ所あるうちの少しおくれてもいいというのが三年かかるということでございまして、私どもとしましては、いわゆる重点を置きまして、いわゆる民心安定のためにいま一生懸命やっているわけでございます。しかしながら、先ほど蓮台寺川のお話出ましたけれども、あれはいわゆる護岸が少しはらんだということで応急復旧する必要はないと、その年にはですね。それでまた本年度いわゆる本格的復旧始めようという計画であったところにああいう大きな雨が降ったということで、また災害を受けたというかっこうでございます。したがいまして、あれにつきましては単に護岸が若干はらんだということでございまして、早急にやるということとはまた若干違っておるわけでございます。その点、やはり私たちとしましてもいわゆる災害復旧につきましてよく十分地元説明して今後も進めてまいりたいというふうに考えてございます。
  252. 神谷信之助

    神谷信之助君 それから次は金融問題ですが、中小企業庁の方に。  先ほどから災害の貸し付けについて特別のワクをふやして、そして万遺憾なきを期すという話ですが、下賀茂地区も温泉地帯でありますし、蓮台寺地区も温泉地帯で、しかも下賀茂地区の場合は軒下まで浸水をしておりますから大変なことになっていますね。現地でいろいろお話を聞きますと、しかもそれは連続災害なんで、したがってもうすでに金を借りてしまっておる、今度また金を借りるというようなことではどうやっていいかわからぬという、先の見通しがないという問題。来年はまた災害が起こる、あるいはことしでもまた台風が来れば起こるかもわからぬ、そういう状況で、先ほどからいろいろ出ておりますが、見通しが立たないという状況なんです。ですから借金をさしてやるからそれでがんばれと言われても、という話がずっと出ているのですね。この点についていまの国金の利率でいくと九・四%だそうですね、利率は。で、激甚災の適用を受ければ閣議決定をすることによって六・二%あるいはさらには三%の利子にまで下げることができる、こういうようになっておるようなんです。中金の方も同様であります。したがって、これについて激甚災の適用を待たなければならぬということですと、これは大分先に——いまの話ですと、全国激甚の場合でも八月の下旬ぐらいをめどにというさっきの紀埜さんの話ですから、そうすると金融は急ぎますから、この辺は一体どういうようにお考えになっておりますか。
  253. 松尾成美

    説明員(松尾成美君) ただいま御指摘の点の金利の点につきましては、御存じのように激災法の中に商工中金につきましては法律上の規定がございますのでこれとリンクして動いておりますので、金利自体についてはちょっとこれだけこれの発動を待たずしてすぐにというわけにはこれはまいらないかと思っております。ただ、いまお話しの中で、実は金利というのは仮に三%違いますとして、一億円借りて三万円、長期間で考えますと、むしろいまの返すのが大変だという話は、返済期間なりあるいは据え置き期間なりという問題の方がむしろ実際上大きいのじゃないかと思います。その辺につきましては実はこれは金融面ではそういう激甚災害指定と切り離しまして早速に動き出しておりまして、たとえば中小企業金融公庫でございますと、普通の場合融資期間が五年でございますが、これを実情に応じて十年までは延ばすというようなことで、すでに始めておりまして、国民公庫も同様でございますけれども、そこら辺で大変累積災害があったということを考えまして、いままでのものの返済——これは返済猶予もあるわけでございます。返済猶予とかあるいは期間の延ばし方をものによっては十年使っていないものもあったわけです。その辺を組み合わせまして、金融でございますから返せないような融資をすると政府系金融機関といえどもあとは結局困るわけです、この辺を組み合わせて現地でやっておるわけでございます。
  254. 神谷信之助

    神谷信之助君 話が前後しましたが、繰り延べをする、あるいは返済猶予をするとか、それは当然やって、災害の場合はいまでもやっておりますから、やってもらわなければならない。問題は、今度のような連続災害の場合、いわゆる特別被害者については、たとえば事業用資産三〇%以上または事業収入九〇%以上なくなったものについては閣議決定に基づいて三%、三分の利率でというふうに融資できるわけですね。私はこれを弾力的に運用して、連続災害の場合、これはケース・バイ・ケース、実態にもよりますが、特別こういう条件に仮に合っていなくても、新しく借り入れる場合ですね、融資を受ける場合、こういう措置をとるということができないものかどうか、この辺はひとつ検討する必要があるんじゃないかと思うんですが、この辺はどうですか。
  255. 松尾成美

    説明員(松尾成美君) 先生いま御指摘のとおり、激甚災害指定があった場合に、通常六・二%になるわけでございますが、非常に被害程度がひどいものというのを指定いたしまして、これに三%の利率を適用しているわけでございます。ですから、確かに何度もこういう被害を受けたという場合の問題点あるわけでございますが、客観的に被害という状態でとらえると、そこはひどさというのは客観的に見て、ほかの災害の場合と伊豆の場合と特に区別する理由があるのかどうかという点は検討を要する問題じゃないかと思いますが、その点と、それから実は事務的な話で恐縮でございますが、こういった考え方をもとにして一応予算措置を講じておりますものですから、その辺で予算措置の面での問題がもう一つあるというあたりが問題点になろうかと思います。
  256. 神谷信之助

    神谷信之助君 長官、いまお聞きのとおりで、事務当局としては一応の特別被害者の場合は、事業用資産三〇%以上、または事業収入の九〇%以上の被害を受けた場合というような一定の基準があるでしょう、だからそれはわかると思うんです、それはそれで。ただ、今度の場合実際に現地でいろいろ聞いてみますと、去年の十月八日の災害で借りているわけです。だから、今度また災害が起きた、一年に二回災害を受けると。温泉街でありあるいは中小企業、商店であるわけですね。そして今度の場合は特にまた軒下まで中心部の商店街が水がつくという状況になって、これはしかも速かったわけですから、助役の話を聞いてもとにかくやっと走り込めたという状況ですね。だから持ち出すことも何にもできやせぬと、二階へ上げることも何も。商品が全部やられちまった、こういう状況になっておるんです。ところが、向こうの商店会の会長なり何なりの人の話を聞きますと、いまのままの条件でやれないと。しかし、いままでの借金はとにかく災害用の場合は延ばしたりあるいは猶予するということは制度上あるから、それは可能だという話はしてたわけです。しかし、今度また新しくもう一遍借金せなきゃならぬ、運転資金あるいは設備資金その他借りなきゃならぬ、そういう場合に、もうせめて利子ぐらいはただにしてもらえぬかと、われわれの責任で災害になったわけじゃない、災害によってそういう損失をこうむっているわけですから、せめて利子ぐらいは持ってくれと言うんですね。私もいろいろそういう点で調べてみたら、いま言ったように特別被害者については閣議の決定によって三%の利子にまで下げることができるという制度があるわけです。これはひとつ全般的にそうするんじゃなしに、去年も受けてことしも受ける、しかも去年、ことし受けた、一年のうちに二回受けるわけですからね。二回も連続して災害を受けた。そういう条件ですから、これはひとつ閣議で決定できるわけですから検討してもらって、ひとつこの点はぜひとも実現をしてもらうように努力をしてもらいたいと思うんですが、この点いかがですか。
  257. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) 災害のことですから一度ならず二度、三度というようなことに重なってくれば、それを返済する能力という問題もあろうと思います。また、おのおのの中小企業等内容も違うということもあろうと思いますが、問題はその支払いができ得ないと、余りに過酷だというような問題も出てくるだろうという感じも私もいたします。そういう問題について自助努力ということがまず私は優先すると思うけれども、それやってもだめだということであるならば、これは一つの政治問題だと私も思います。ひとつそういう問題につきまして各省庁とも連絡をとりながら検討してみたいと思います。
  258. 神谷信之助

    神谷信之助君 それからもう一つは、次は個人災害に対する救済問題です。これ先ほども同僚議員の質問に対して厚生省の方は——紀埜さんもそういう答弁していましたね。政府と国会両方で超派的に議論をして、そして議員立法ができて、一番の不幸である死亡という場合にはお見舞いを出そうと、あとは融資の措置をするという議員立法ができればそれでこの問題の議論の決着がついたというような話ですが、私どもは決着がついたとは思っていないわけです。事実またその後も、いつも個人災害に対する救援を何とか考える必要があるんではないかというのがこの委員会で何回となしに議論になってきているというのが実際の状況です。この点は、これはなかなかむずかしいいろんな問題があると思いますが、さっき長官おっしゃったように、災害に対して自力でやっぱり立ち上がっていくということがたてまえなんだという、そういう趣旨からそういうことはやらないという、そういうことになっているようですね。したがって、必要な融資はしようじゃないか、特別の融資枠を考えようじゃないかというそういう措置だと、そこまでしかできぬということですが、実際に今度、いままででもあちこちの災害現地に行っていろいろな話を聞きますと、やっぱりこの点が実際には多くの国民の、あるいは被害者の最大の声になっている。これはひとつわれわれ議員の方も、委員会としても、この個人災害に対する救済をどうするのか、家が全部つぶされてしまったとか、あるいは半壊をしたとか、そういった問題はどうしたらいいだろうかと考えなきゃならぬ。今度の場合でも、十月八日の災害で畳を何とかやって入れかえたところをまたやられたと、もう畳ぐらいただで支給してもらわぬとたまったものじゃないという声も相当強く出ているんです。実際そういった、歩いてみるともっともな意見であるという面も非常に強いわけですね。この辺はひとつわれわれ委員会の方としてもさらに検討をする必要があると思いますが、特に国土庁が元締めになっているわけですから国土庁を中心にしてこの辺をどう解決をしていったらいいのかという点についてもひとつ検討してもらいたいというように思うんですが、いかがでしょうか。
  259. 金丸信

    ○国務大臣(金丸信君) おっしゃられることはもう私ももっともだと思うんですが、財政にも限界があるという問題もこれも考えておかなくちゃならぬ。そこで、個人災害というものに対する定義というか確たる考え方、こういうものも確立して、議員立法でも政府提案でも結構でありますが、確かにそういう問題で公共事業の方は何とか三年なら三年で解決つくけれども、その方は自助努力ばっかりじゃやれないという面もあるし、また、とうとい生命をなくして、果たしてこの生命の代価は幾らだというような問題も検討していくとなかなかむずかしい問題だとは思うんですが、しかし温かい心やりというものはあってしかるべきだという私も感じがいたします。十分検討したいと思います。
  260. 神谷信之助

    神谷信之助君 きょうは同僚議員も全部いろいろ具体的な問題では質問をされ、またそれに対する答弁もあり、努力も約束されています。したがって、時間の関係から重複する部分を避けて、それ以外の部分で若干意見を言いました。いずれにしても災害が起こってから討議をやっているというのがわれわれ一番国民に対して申しわけない状態だと思うんです。したがって、今日までの委員会でも、起こる前の防災対策をどうするかということでは私ども初め、またそれぞれの議員からも出ているわけですから、ひとつそういう点を踏まえて、万全の対策、体制を至急、早く打ち立てることができるように要望して、私の質問をきょうは終わりたいと思います。
  261. 工藤良平

    委員長工藤良平君) ほかに御発言もないようですから、本件に対する質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十分散会