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塚田大願君 私も毎年この
豪雪の問題につきましては当
委員会で質問をしてまいりました。
政府の施策等の面を見れば、確かに一歩ずつ——いや、半歩ぐらいかな、まあ、とにかく前進しているということもそれは確かだろうと思うんです。しかし、やはり考えてみましたときに、いまの社会情勢あるいは経済、こういうものの、つまり時代の変化ということを勘案いたしますと、やはり前進したというふうな評価を私はちょっとしかねるという感じがするんですね。もちろん、担当省庁や担当官、努力されていることは知っています、私もしょっちゅううるさく言っておりますから。だけれ
ども、やはり全体としてみれば、いま申し上げたように、時代の流れというものを考えましたときには、一歩前進、しかし二歩後退という感じを否めないんですね。特に、きょうも、まあ、金丸大臣も積極的な姿勢を示されておりますが、こうやって私がこの
災害委員会で質問するたびに大臣が違う——違うんじゃない、かわっておる。担当官もかわっておる。同じことを実は繰り返しているような感じがしてしょうがないんですよ。だからそういう意味では、もちろんかわられたから
政府の姿勢がけしからぬとは言えない。問題はやはり、
政府のその取り組みの姿勢が一貫して本当に前向きで積極的であるかどうかということが問題だと私は考えるわけです。そういう意味で、やはりこの
豪雪、
雪害の問題につきましては、
政府は今後積極的にひとつ取り組んでいただくことをまず冒頭に
お願いしておきたいと思うんです。
ことしの
豪雪は、先ほどからお話がございましたように、三八
豪雪以上あるいは四八
豪雪以上ということでありまして、私もこの間視察にも行ってまいりました。私はその雪の中で生まれて育った人間でありますから、別にそんなに雪について驚くということはございませんけれ
ども、やはり政治の手がこういう
地域にどれだけ届いているかどうかという点でやはり一番関心を持つわけであります。特に、こういう
豪雪になりまして私が繰り返し毎年感ずる、一番胸を痛めることは、やはり人命が
被害を受けるということです。家屋がある
程度傷んだり、いろいろ
除雪費がかかる。これは金の面で何とかなるわけですけれ
ども、人間の命というのはこれは金でかえられないんですね。ところが、毎年毎年繰り返して人命が
被害を受ける。ことしも御承知のとおり、十日町や柏崎で
屋根から落ちます雪のために母親と子供が生き埋めになったというケースがございます。十日町の場合には子供だけが二十何時間たってとにかく助けられた。ところが柏崎の方は、逆に母親の方が助かったけれ
ども子供はだめだった。こういう場合にですね、いわば雪国の宿命といいますか、そういう悲話とでも申しましょうか、大変悲しいことがあるわけでありますが、これが何百年と続いたと言えばそれはそうでしょう。
たとえば私、毎年この
委員会では
鈴木牧之の「北越雪譜」という本を引き合いに出すわけです。これは天保年間に出た本で、私が持っているのは岩波文庫でありますけれ
ども、百六、七十年前の出版であります。この中にも、そういう親子が雪のために
被害を受けたというふうな話もちゃんと載っておる。非常によく似た話なんですね。子供だけが助かった。一晩雪の中に埋まっていたけれ
ども、母親の体温で命だけは助かったというふうな話がこの本にも載っておるのであります。あの先般起きました記事を見ましたときに本当に胸につまされるような思いであります。
そういうことで、長いことこの雪の問題というのは
地域の方々が本当に苦しんできたことでありまして、そういう意味では、この本にもありますけれ
ども、「雪國の難義暖地の人おもひはかるべし。」ということをこの著者は言っておりますが、やっぱりこの
地域に住んでみませんと、なかなかこの苦労というものはわからない。
そこで、私はまず最初に
政府に
お願いしたいのは、この
雪害というものに対する認識、これをやっぱりしっかり持っていただきたい。さっき大臣も、ひとつおれも今度雪の中へ入ってみるとおっしゃいましたが、これはぜひひとつ実現していただきたいと思うのですね。やはりあそこに入ってみませんと、なかなか実態というものはつかみにくい。
数字やなんかいろいろ出てきますけれ
ども、実態というものは本当に自分のはだ身で感じなければ、
災害、特に雪の害というものはわかりません。風水害の場合でしたら、これはどこにもありますから、
災害がこんなものかということはわかりますけれ
ども、雪の場合にはこれは本当に限られた
地域でありますから、そういう意味ではぜひひとつ大臣行っていただいてつぶさに
実情を
調査していただきたい、こう思っておるわけであります。
まず大臣にそのことを
お願いいたしまして質問に入りますが、第一の質問は、やはり先ほどからもいろいろ論議になりましたけれ
ども、この
雪害に関する
法体系というものを見直すということは私はどうしても必要ではないか。先ほどるる
災害救助法の話も出ました。あるいは
公共施設の
除雪事業の問題も出ましたが、私は全体としてこの
法体系がまだ非常に不備であるという感じがするわけであります。たとえば先ほど出ました
災害救助法の問題でありますけれ
ども、担当官の方では、運用を弾力的にやればいいんだ、できるのだ、こうおっしゃるけれ
ども、三八
豪雪以来これが
発動されておらない。四八
豪雪のときに私はずいぶんやりました。現地の
陳情も受けました。この
災害対策委員会でもなぜやらないのだということを質問いたしました。やはりこの
基準がどうだ、何がどうだ、その
適用をしにくいのだということで四八
豪雪のときには
適用されなかった。私はそのとき大変
不満に思いました。現地でも大変
不満を持っておりまして、なぜその
適用をされないのか、何のために法律はあるのか、われわれ視察に行きましてつるし上げられました、
新潟県で。そういうことから考えまして、
弾力的運用ができるのだとおっしゃるのだけれ
ども、実際問題としてはいろいろその
基準とかいう問題がある。それから救助の内容にいたしましても、炊き出しだ、毛布だ、あるいは仮設住宅——
豪雪の
地帯ではこんな形ではどうにもならないわけですね。問題は
除雪がまず一番の問題なんです。あるいは
屋根の雪おろし、
道路の
除雪。ですからそういう意味では、今度
新潟県が
災害救助条例というものを県で持っておりましたが、実際はこれも空文のようになっておった。これが去年の一月ですか、運用
基準というのが決まりまして、初めてことしこの条例が
発動された。ひどいところには
除雪をする。ただし、これは県の財政も非常に少ないですから、結局、新井市と津南市だけにしか
適用されない。あの広い
地域の中でたった二市です。二つの市にしか
適用されない、こういう状態だと。せっかくしかし県がそこまで努力されておることは私は評価していいと思うんですが、県がそれだけ努力している以上、国としてももっと私はこの
災害救助法の
適用を本当に文字どおり弾力的におやりになる必要があるんじゃないかと思うんです。これが一つ。
それからもう一つ、御承知のように、
豪雪地帯対策特別
措置法というのがあります。これは確かに
災害対策の基本法なんですね。基本法としてこの特別
措置法があるわけです、一面
豪雪法と言われているわけでありますけれ
ども。ところが、これもいわば財源
措置が非常に少ないんです。裏づけが非常にないんです。たとえばこの法律の十一条では、国の財政の許す範囲内において財政
措置をすると、こういうただし書き、制限がされておるわけですね。こんなよけいな文句をつける必要はないわけだけれ
ども、こういう言葉がついている。ですから地元へ行きますとやっぱりこの
不満が非常に大きいです。財政
措置のない法律なんて幾らつくってもらっても役に立たない、何とかしてくれ、改正をしてくれ、こういう要望がございます。私は当然だろうと思うんですね。そのほかに、たとえば先ほど出ました
公共施設の
除雪事業補助法、あるいは
雪寒地域の
道路交通確保措置法、あるいは過疎
地域対策
緊急措置法、いろいろあります。法律はいっぱいあるんです。そのほかに
災害関係の法律を入れればかなりの数でありますけれ
ども、これがみんなばらばらで、本当に、しかも財政的な裏打ちがないと、こういうことでありますから、せっかくの法律がたくさんできて、つくるときにはみんな苦労してつくっていながら、本当にこういう
豪雪で緊急な場合にこれが
適用されていかないと、これでは何のために法律があるんだかわからない。したがって、私はこの
災害関係の法律、あるいはこの
豪雪、
雪害関係の
法体系、これはこの際、せっかく
国土庁ができて金丸さんが就任されておるんだから、私は思い切ってこの際この
法体系全体を見直してやっていく。先ほど
災害救助法とか
公共施設の
除雪法なんかは積極的に見直しますと、こういうふうに、
検討しますというお話でございましたが、そういう個々の法律の手直しでなく、
法体系全体をやはり
災害あるいは
豪雪、
雪害これに対応するような形で私は見直し、改正していただく必要があると思うんですが、少し長くなりましたけれ
ども、ひとつ大臣の御所見を伺いたいと思います。