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木島則夫君 まあ私は数にこだわるわけではありませんけれど、やはり抜本的には
増員をしなきゃとてもじゃないけれ
ども手に負えないと思いますね、本当に。そのことはやっぱり大前提としてこれは大蔵省そのほかへの強いプッシュがなければいけないことですけれど、私はその点強く強調をしたい。で、先ほどから問題になって取り上げられております
福祉施設事業場における
違反はこれはもちろんのこと、余り問題にされない、目立たない部署での
違反の摘発というようなことになりますと、とても現状では手が届かないということになるんだろうと思いますね。
私は、本当に私の目に触れる範囲のものですから非常に小さい狭い範囲のものですけれど、へえ、こんなところにこんな
労働条件の
実態があるのかなというような部署がまだまだあるわけですね。
一つ金融
機関などに
実態をとりますと、ちょうどいま公務員にボーナスが出た、そのボーナスの時期になりますと、
皆さん公務員でいらっしゃるから、うるさいほど恐らく金融
機関からいろいろ預金の勧誘がおありになるだろうと思う。受けていらっしゃるんだろうと思う。各種金融
機関というのは血眼になっていま預金獲得の奔走をしている。特にその過当競争のもとでの中小の金融
機関というのは、まさに生き死にの問題としてこれはもうすさまじいものがあるようですね、本当に。まずある中小に属する金融
機関の外交係の
お話を要約をして私が申し上げて、その
実態にかえたいと思います。
その人は東京の近県から都内に通勤をしているんです。家を朝七時前に出るそうです。八時過ぎにはもう銀行に入ってくる。朝八時半からもう
仕事を開始したり、それから外交ですから外出の
仕事が多い。夜どうしても八時か九時。一日十三時間あるいは十四時間なんというものはもうあたりまえになってしまっているということですね。で、それだけやっても時間外というものは取れない。というのは銀行の
仕事というのは非常に特殊な
仕事であり、ことに渉外とか外交の
仕事というのは外に出て必ずしも全部が全部
仕事的な面だけではなくて、お客さんとお茶を飲んだり
仕事をしたり、ときには引っ越しの手伝いまでさせられる、軽い用事だったらばちょいと電話をかけられて、やってよ、そうすればあんたのところへ預金は入れますよというようなことで、そういうものもどうしてもやらざるを得ない、これが
実態だと思いますね、私は。だから実際に厳密に、ここからここまでが
仕事でここからここまでは
仕事ではないというような、そういうけじめみたいなものをつけにくい。で、さっき言った外交とか渉外の人は外に出る機会が多い。もちろん預金の勧誘とか、銀行に来られない利用者のための入出金の処理、あるいは新規の客の獲得、既存の客の維持継続ですね。ところが
仕事の
内容が特殊なために、いま言ったように時間外が取りにくい。
たとえば一日かかっても一件の勧誘もできないようなことがあるわけです。しかし明らかに一日かけて会社のためにこの人は
仕事をしている。で、その人の話ですと、全部が全部とは言っておりませんでした、非常に多くの金融
機関でタイムレコーダーというのがついてないそうですね。これはなおさら時間外が取りにくいということだそうであります。で、その金融
機関の仕組みをここで細かく言う必要はないと思いますけれ
ども、たとえばある金融
機関の場合には、
年度当初に預金獲得を含めた目標額が各支店に示されるわけですね。そうすると、この目標をこなすために割り当てが行員に課される。その目標も非常に細かく細分化されておりまして、定期預金とか普通預金、あるいは通知預金、公共料金振りかえの口数、口座までその目標の中に細かく分類をされていて、その
一つ一つの項目、その人の銀行では約二十項目あると言ってました。こういう二十項目のいわゆる目標を一〇〇%達成しないとだめなんだそうですね。達成しないとどういうことになってくるかというと、支店長にその罰がかかってきて、支店長の給料の中から罰金として何か差し引かれる、それが一万から十万。そういうふうな
状況になると、君たちがしっかりやってもらわないとこの銀行は成り立っていかぬのですぞと、現在は過当競争ですからと言われると、なかなか
労働組合はあっても、いわゆる時間
外労働も取りにくいというような
状況は、私がいま
お話ししたほかに非常に多くあるそうですね。そういう
状況がいまそのままに放置をされている。
そして銀行というのは、まあ非常に因襲的な、悪い意味で因襲的伝統があったり、さっき言った非常に特殊な事情があるものだから、なかなか思うように強いことも言えないというような雰囲気があるらしい。そして朝八時に来て夜八時か九時。九時に帰るときはもう郊外に行くバスはないからタクシー。このごろタクシーは高い。それも必要経費としては認められないということで、非常に自分への健康、いわゆる肉体的な、あるいは金銭的な負担もかかってくる。しかし時間
外労働はない。それじゃ思い切って歩合になっているかというと、もちろん歩合にもなっていない、というような
状況の中で
仕事をさせられていて、明らかに
違反というような隠れた
状況がここにあるということを、私はまあ愚痴をこぼされながらのつまりアピールをよく受けるんです。
だから銀行とか金融
機関というと、華麗で華やかなスポットライトが当たっているとばかり思ってもらっては困る。それは一部の銀行であって、中小規模の金融
機関に至ってはこれは大変な騒ぎなんですよ、本当によくも体がもってるというような
状況ですね。実は、きのうもあの雷の中、自転車でかさも差さずに走ってないと一日の
仕事が終えないというのはこういう
状況なんですね。そういう
状況でやらないと目標達成ができないということなんですね。まあいままでこういう金融
機関に対する
実態調査というのか、おやりになったことがあるかどうか。もしなければ、ほんのいま私が一端を述べた、こういう金融
機関に対する
実態調査というようなものをおやりになるつもりがありますか、どうでしょうか。