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1976-06-09 第77回国会 参議院 決算委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年六月九日(水曜日)    午前十時八分開会     —————————————    委員異動  五月二十五日     辞任         補欠選任      瀬谷 英行君    茜ケ久保重光君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鈴木  力君     理 事                 今泉 正二君                 遠藤  要君                 大塚  喬君                 峯山 昭範君                 塚田 大願君     委 員                 青井 政美君                 石本  茂君                 岩男 頴一君                 岩上 妙子君                 河本嘉久蔵君                 寺下 岩蔵君                 永野 嚴雄君                 温水 三郎君                茜ケ久保重光君                 案納  勝君                 久保  亘君                 小谷  守君                 小山 一平君                 志苫  裕君                 矢原 秀男君                 加藤  進君                 下村  泰君    国務大臣        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       松澤 雄藏君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       佐々木義武君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  小沢 辰男君    事務局側        常任委員会専門        員        道正  友君    説明員        行政管理庁行政        管理局審議官   加地 夏雄君        行政管理庁行政        監察局長     鈴木  博君        行政管理庁行政        監察局監察官   佐々木富夫君        経済企画庁長官        官房参事官    柳井 昭司君        科学技術庁原子        力局長      山野 正登君        科学技術庁原子        力安全局長    伊原 義徳君        環境庁長官官房        参事官      宇野  佐君        環境庁大気保全        局長       橋本 道夫君        環境庁水質保全        局長       堀川 春彦君        国土庁長官官房        審議官      白根 健也君        国土庁長官官房        審議官      有賀虎之進君        国土庁地方振興        局長       近藤 隆之君        厚生省児童家庭        局障害福祉課長  山内 豊徳君        農林省構造改善        局農政部農政課        長        田中 宏尚君        資源エネルギー        庁長官官房鉱業        課長       松村 克之君        運輸省航空局飛        行場部長     梶原  清君        建設省河川局長  増岡 康治君        会計検査院事務        総局第一局長   田代 忠博君    参考人        日本原子力船開        発事業団専務理        事        倉本 昌昭君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠選任の件 ○昭和四十八年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十八年度特別会計歳入歳出決算昭和四十八年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十八  年度政府関係機関決算書(第七十五回国会内閣  提出) ○昭和四十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第七十五回国会内閣提出) ○昭和四十八年度国有財産無償貸付状況計算書  (第七十五回国会内閣提出)     —————————————
  2. 鈴木力

    委員長鈴木力君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る五月二十五日、瀬谷英行君が委員辞任され、その補欠として茜ケ久保重光君が選任されました。     —————————————
  3. 鈴木力

    委員長鈴木力君) 次に、理事辞任及び補欠選任の件についてお諮りいたします。  小谷守君から、文書をもって、都合により理事辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鈴木力

    委員長鈴木力君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 鈴木力

    委員長鈴木力君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事大塚喬君を指名いたします。     —————————————
  6. 鈴木力

    委員長鈴木力君) 次に、昭和四十八年度決算外二件を議題といたします。  本日は、総理府のうち、行政管理庁科学技術庁及び環境庁決算について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  議事都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 鈴木力

    委員長鈴木力君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  8. 鈴木力

    委員長鈴木力君) 松澤行政管理庁長官は一時退席して結構です。  それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 久保亘

    久保亘君 私は原子力発電の問題と、それから開発環境保全の問題、最後に当委員会が昨年警告決議をいたしました田中金脈に関して信濃川河川敷処分についての問題を質問いたします。  最初原子力発電に関する問題でありますが、いまアメリカカリフォルニアにおいて原発に反対する住民から提起のありました件に関して住民投票が行われておりますが、従来科学技術庁、あるいは政府と言った方がいいのかもしれませんが、住民に対する原発安全性説明をしていく場合にいつも出されておりましたのは、原発先進国であるアメリカにおけるこの安全性の経験的な根拠をもって住民に対してその安全性説明をしていくという態度が非常に強くとられてまいりました。そのアメリカにおいて今日原発安全性をめぐってその補償限度の問題や、あるいは発電の制限、新設停止等を含む住民投票が行われているということは、今日わが国においても原子力発電をめぐって各地の住民の間に不安があり、論争が続いているときでありますだけに非常に大きな関心を持たざるを得ないわけであります。科学技術庁長官は、このカリフォルニアにおける原発をめぐる住民投票の問題について、全体的にどのような受けとめ方をなされておりますか、お尋ねいたします。
  10. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) お話しのように、きのうのカリフォルニア現地時間で午後の六時でございますか、までに原子力に対する州民発議投票がなされたことは承知してございます。時間差の関係でいまごろからぼつぼつ結果がわかってくるんではないかと思いますけれども、まだ正確なその結果の通報はございません。  ただ、この動きは私ども承知しているところでは、投票のためのテーマと申しますかは、決してその原子力発電安全性そのものを否定するという投票でなくて、むしろ安全システム早期に実施をしてくれと、あるいは廃棄物処理処分対策早期に確立しろという、そういう点をいかに住民が、州民が望んでいるかというための問題だと私は理解してございます。したがいまして、この結果がどう出ましょうとも、私どもといたしましては現在進めておりますわが国原子力施設安全研究及び安全性の、実証試験を強化拡充すると同時に再処理及び放射線廃棄物処理処分——一番いま問題になっております、世界的に問題になっているこの問題点に対しまして、アメリカで問題になっていると同様、私どももこの早期確立に万全の努力を傾注していきたいというふうに実は考えてございます。
  11. 久保亘

    久保亘君 いまの長官の御認識は少し私どもとしては納得のいかない点があります、といいますのは、これは原子力発電を否定をするという立場のものではないという御説明ですが、私は今度の住民投票にかけられております表現そのものは読みようによってはそのような解釈ができるのかもしれませんけれども、しかし結局その補償上限についての問題というのは、危険性が非常にあるから、特に原発の場合にはその可能性は小さいかもしれませんが、事故が起きた場合には限りなく大きな事故となるわけであります。そういう意味では、そのことに対して住民の不安がかなり強くあるということ、それから廃棄物処理などについて納得のいく説明が、説明というよりば納得のいく方策というものが住民に対して示されていないというところに問題があるわけであります。したがって現状のままでいくならば、その発電能力を六〇%に引き下げ、五年後にはさらに一〇%ずつ落としていくということになっておるわけでありまして、しかもカリフォルニアにおける原発新設は認めない、こういう内容のものだと私どもは考えております。ということは、これは原子力発電安全性の見地から現状においてば否定的にとった住民意思をいま問うておる、そういう理解に立たなければいけないのではないでしょうか。
  12. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) 住民側の要求と米国原子力法あるいは州の三法と申しますか、いろいろな既存の法との関係等もございまして、むしろもう少し具体的のお話のようでございますから、具体的にお話し申し上げた方がよろしいと思いますので担当官から詳しく説明申し上げます。
  13. 伊原義徳

    説明員伊原義徳君) ただいま先生、幾つかの点の御指摘がございましたが、たとえば損害賠償上限をただいまプライス・アンダーソン法米国で決められております、それについての上限撤廃の問題、確かにそういう提案があるわけでございますけれども、これについては法の有効性の問題といたしましていろいろ見解が分かれるわけでございます。またこれがわが国とは少し事情が違うというふうなこともございまして、わが国では上限は一応ないわけでございます。米国の場合は御承知のように五億六千万ドルという上限があるわけでございます。この辺につきましていろいろ法的な問題は米国内としても連邦政府州政府との間の問題としていろいろあると思うわけでございます。そういうことは私どもも十分今後追跡してまいりたいと考えております。  それから廃棄物処理につきましてまだ連邦政府が確実にその方針を打ち出していないということ、これがこの反対提案の中で問題になっておるわけでございますけれども、この問題は大臣からの御説明もございましたように、直接原子力発電施設そのもの安全性とは直には関係ない問題であると、ただこれが非常に重要な問題であるということも御指摘のとおりでございます。そういう観点から米国政府としても近く明確な方針を打ち出す運びであるというふうに私ども承知いたしておるわけでございます。  一般的に申しまして、このような提案がなされたということ自身、これが可決されるか否決されるかの問題は別といたしまして、こういう提案が行われたということ自身米国として非常に問題があると思うわけでございますが、わが国原子力の安全の問題につきまして、これは米国がどうであるから日本が自動的にどうなるというふうなことでは必ずしもございませんで、私どもは私ども立場として十分原子力施設安全性の確保については今後とも努力してまいる所存でございます。
  14. 久保亘

    久保亘君 わが国原子力発電安全性についてその独自の判断努力をしていくというのはそれは当然のことでありまして、ただ従来各地域で原発をめぐる紛争が起こりますと、そのときに安全性の問題についての説明ではいつもアメリカにおいて安全であるからということが非常に強く主張されてきた傾向があるんです。それからこの住民投票の結果が仮に否決されるといたしましても、この住民が提起したことによって州政府が法の改正を行わなければならなかったということ自体原発はなおいままだその安全性についての経験的段階でありまして、それでこの原発について絶対に安全だという主張を科学技術庁が行うということについては無理があるのではないかということの一つの証拠として今度のカリフォルニアの問題が持ち上がっていると思うんであります。したがって原発新設や拡張など、あるいは既存原発の操業などについても慎重な態度が従来以上にとられなければならないと思うんであります。  私がこれからお尋ねしようと思いますのは、鹿児島県の川内市に設置されようとしております、すでに電調審決定を見ました原子力発電所の問題についてでありますが、まず最初に、住民生命財産にかかわってくる原発設置に関して電調審がどのような審議を行ってきたのか、電調審審議経過を、議事録公開をして住民に知らしめるということが大変必要であろうと思うんでありますが、担当庁であります経済企画庁としてこの電調審議事録公開をされる御意思はありませんか。
  15. 柳井昭司

    説明員柳井昭司君) 電源開発審議会におきましては、その審議円滑化を図るとともに学識経験者を初めといたします各委員の公正な発言を期するために非公開にしております。議事録についても公開する考えはございません。なお審議会の議を経て決定された事項につきましては、電源開発促進法あるいはその政令に基づきましてこれは公表することとしております。
  16. 久保亘

    久保亘君 私は本当ならば電調審会議そのもの公開されるべきものだと考えておりますが、いまはそこまで私は言っているわけじゃありません。すでに各委員が自由に発言をしたその結果、影響を受けるのは電調審委員人たちじゃないんです。その決定によってそこで生活をしている住民の方が影響を受けるんです。その住民たちがどういう経過電調審原発設置同意をしたのかということについて知る権利が当然にあると私は思う。それを知らせることができないというのは単なる秘密主義というようなものではなくて、政府住民サイドに立ってこの原発設置などについて検討をしていないというそしりを受けてもやむを得ぬのじゃないかと思うんですが、これは何か法律公開できない規制がございますか。
  17. 柳井昭司

    説明員柳井昭司君) 特にございません。
  18. 久保亘

    久保亘君 それならばその電調審会長である総理大臣意思によってこれは公開することが可能でありますね。
  19. 柳井昭司

    説明員柳井昭司君) 先ほども申し上げましたようにこの委員会非公開にしておりますので、その結果といたしまして、やはり議事録につきましても公開するということは避けておるわけでございます。
  20. 久保亘

    久保亘君 法律公開制約を受けていないというんなら、だれが決めればそれじゃ出せるのですか。いまは出したくない、出さないようにしているというあなたの事務局としての御意思はわかりましたよ。しかし法律制約を受けていないならば、どこかで決定すれば公開できるわけでしょう。どこで決めれば出せるのですか。
  21. 柳井昭司

    説明員柳井昭司君) 電源開発審議会の運営の問題かと思うわけでございますが、電源開発審議会電源開発という電力の需給上の観点から、円滑にそれを遂行するために行政上といたしまして学識経験者等の御意見を賜る、こういうことで一つ行政裁量を行う際に学識経験者の御意見を承っておる、こういうふうな諮問的な機関でもございますので、そういう性格からいたしましても、審議円滑化を図り、かつその委員の公正な発言を図る、こういうふうな観点からいたしまして非公開にしておりますので、その結果議事録につきましても、その結果といたしまして委員の公平な発言が確保されるような、そういう形において議事録そのもの非公開にしておるわけでございますが、その審議の結果等につきましては、たとえば新聞記者会見というような場におきまして基本計画内容なり審議大要等につきましては紹介しておるところでございます。
  22. 久保亘

    久保亘君 私が質問していることに答えてください。私はあなたにそんなことを聞いているのじゃないんです。その審議大要記者会見で言っているのだからというなら、議事録非公開にする理由はもうないじゃありませんか。どこで決めれば議事録公開できるのかと言っているんです。
  23. 柳井昭司

    説明員柳井昭司君) 運用でございますので、審議会をつかさどる総理大臣において決める、この政令上におきましては会長がこれを定める、こういうふうな形になっておるわけでございます。
  24. 久保亘

    久保亘君 それじゃきょうは会長がお見えじゃありませんから委員長お願いをいたしておきますが、電調審議事録のうち、具体的に指摘をしませんと大変だろうと思いますので、鹿児島川内市の原子力発電所設置に関する部分について、議事録を資料として当委員会提出せられるよう、委員長の方でお取り計らいくださいますようお願いを申し上げます。
  25. 鈴木力

    委員長鈴木力君) いまの申し入れは、後で理事会で検討いたしまして善処いたします。
  26. 久保亘

    久保亘君 なおあなたの方では、ひとつぜひ私の方から強い議事録提出の要望があったことを会長である三木総理の方へお伝えいただきたいと思う。これは中公審専門委員会等議事録公開されないのと同じように、住民は直接このことによって生命財産影響を受けるおそれがあることを感じているわけであります。これらの問題についてどのような経過で、どういう審議を経て決定されたのかということについては知らしめることの方が、求められなくても公開をして知らしめることの方が政府の責任だと私は考えております。そういう点について、ぜひひとつ私の強い希望をお伝えしていただきたいと思う。  それから審議の中で、電調審に関する法律地元意見を聞くために関係地元知事出席を求めることができると法律に定めておると思うんでありますが、そのとおりでありますか。
  27. 柳井昭司

    説明員柳井昭司君) 電源開発促進法第十一条におきましては、審議会は必要があるときは都道府県知事出席を求めてその意見を聞かなければならぬ、こういうふうなことになっております。
  28. 久保亘

    久保亘君 必要があるときには地元知事出席を求めて、その意見を聞かなければならないはずの電調審が、川内市の市長がこの電調審にかけることについて慎重にやってほしいと、それで拙速をとうとんでもらっては困るという意見を表明をし、知事に対しても同意意見を出しておらないという状況の中で、地元意見として知事出席を求める必要がないと判断をされたのはどういう理由でしょうか。
  29. 柳井昭司

    説明員柳井昭司君) 電源開発に当たりましては、地方公共団体理解協力というものが前提でございまして、電源開発基本計画におきまして、その個別地点をくみ入れるに当たりましては地元の意向を尊重するということで、従来から地元情勢をも考慮した知事同意を得て計画決定するよう運用上の配慮を行ってきておるわけでございます。  それで、この川内原子力地点基本計画にくみ入れるに当たりましても、鹿児島県知事からそのような地元情勢をも考慮した判断といたしまして、事前に異議がないという、そういう旨の回答を得ておりますので、改めて電調審の場におきまして知事出席を求めて意見を聞くことはしなかったわけでございます。
  30. 久保亘

    久保亘君 会議内容公開しないのと同じように、一方的に政府がそのような判断に立たれることが問題なのでありまして、私は経済企画庁としても、またこの電調審関係のある各省庁におかれても、地元住民反対運動の組織があるということだけではなくて、地元市長がどういうような経過市長選挙で選ばれ、そしてこの市長がその後どういう態度を表明されてきたかということについては知っておられないはずはないのであります。そして特に県知事もこの地元同意を求めようとして、経済企画庁はもちろん科学技術庁にも非常な協力を要請されて、地元説明会を開くとか、そういう計画をされて、そういう計画が開催ができがたかった事情などがあることについても御承知のはずなのであります。そういうような状況であるにもかかわらず、知事提出した意見書、この知事提出した意見書といいますのは、知事意見を求めるあなたの方からの通知が県に届きまして、その翌日には折り返し同意の返事が送られたはずであります。そういうような形で出てまいりましたものを、いろいろな状況を知りながら電調審審議法律が定めている地元意見を求める知事出席を無視しておやりになるというところに地元住民の非常に強い不満があるわけであります。だからそういう点については、きょうは担当大臣が見えておりませんから、もうあなたにこれ以上お聞きすると大変気の毒だからお聞きしませんけれども、そういうようなことが原発に対する安全性上の不信とともに、行政への不信という形で強まっているということを篤と御承知おきいただきたいと思うんであります。  次は、電調審でお決めになりました後この原子炉安全審査にこの科学技術庁を中心にして取り組んでいかれると思うんでありますが、科学技術庁としては電調審決定に基づいて原発を立地させるための必要条件を整えるというために調査をするのか、それとも原子炉設置に関する安全審査を行った結果ノーという判断もあり得ると、つまり立地の可否を含めて安全審査を行われるのか、その基本的な態度はどちらでございますか。
  31. 伊原義徳

    説明員伊原義徳君) 原子力施設設置につきましては御高承のとおり、現在、原子炉等規制法におきまして一般設置は禁止されておりまして、許可条件が整ったときにのみ初めて禁止が解除されて許可ということになるということでございます。具体的に申しますと、原子炉設置許可につきましては、原子炉等規制法第二十四条一項に四つの許可基準というものが定められております。その許可基準に適合しておって初めて許可が行われるわけでございます。その許可基準一つ原子炉設置することが災害の防止上支障がないものであると、こういうことが必要条件になっておるわけでございます。したがいまして、この条件が満足されない限り許可されることはないわけでございます。したがいまして、許可前提としてやるということではなくて、十分審査いたしました結果、許可基準に適合しない場合には、原子力委員会から内閣総理大臣に対してその旨の答申が行われ、それを尊重いたしまして内閣総理大臣許可を行わないと、こういうことがあり得るわけでございます。
  32. 久保亘

    久保亘君 いま御説明がありましたようなその基本的な姿勢で安全審査が行われるということになりますと、当然この安全審査の日程というのは、エネルギー需給計画などに基づいて一定の日程的なその制約を受けるということはなくて、この安全性の確認に必要な時間は審査に当たって完全に保証されているのだと考えてもよろしゅうございますね。
  33. 伊原義徳

    説明員伊原義徳君) 私どもはいついつまでに許可をしなければいけないというふうな制約なしに、慎重に必要にして十分な審査を行うことにいたしております。
  34. 久保亘

    久保亘君 なお、この安全審査に関して六十八国会安全審査だけで許可はしない、住民同意を得ることを必要としているという説明があったと記憶をしてるんでありますが、それが御記憶ありますか。
  35. 伊原義徳

    説明員伊原義徳君) ただいま正確に記憶いたしておりませんが、そういう政府側からの説明があったといたしますれば、一般論といたしまして原子力施設設置につきまして地域住民の方々の理解と御協力がもう大前提であると、こういう趣旨で申し上げたものと了解いたしております。
  36. 久保亘

    久保亘君 長官、いまの問題については、安全審査の基本姿勢から、それからその審査設置のための日程的な制約を受けて行われることはないということ、それから安全審査の最終的な判断にも住民同意が必要だと考えられる、これらの点については長官としても御確認いただけますでしょうか。
  37. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) いま局長から御答弁申し上げたとおりでございまして、私どもの方では安全の審査をいたしまして、安全でないという判定を下します際には許可いたしません。  それから一定の時期を切りまして、その時期に合うように審査に粗漏ができても構わずに審査を進めるというような、そういうむちゃなことは絶対いたさせません。  それから住民同意という話でございます。同意という意味はどういうことでございますか。
  38. 久保亘

    久保亘君 これは私は、やっぱり住民と言いましてもいろいろとらえ方があろうと思うんで、結果的にはその地元である市町村を含めて、その議会とかその首長とか、そういうものの合意という意味に解してもいいのではないかと思います。県知事はその合意を出されているわけでありますから、その地元首長の意思が最終的に尊重されるのかどうかという意味であります。
  39. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) 川内に関しましては、御承知のように特に安全管理体制の指導の強化とか、あるいは環境の保全とか、あるいは安全性、必要性に対する一層の普及啓発等求められておりますので、その趣旨に沿いまして住民の皆様の御理解、御協力を得るように今後とも努力してまいる所存でございます。
  40. 久保亘

    久保亘君 科学技術庁は結構です。
  41. 鈴木力

    委員長鈴木力君) 科学技術庁長官、結構だそうですから。
  42. 久保亘

    久保亘君 私の時間はいいですよ。国土庁は見えておりますか。——どうぞ前へ。  それでは次に開発環境保全の問題に関しまして、もうすでに五年近くにわたって大きな問題となってきております、単にローカルの問題としてだけではなくて、国土総合開発環境保全の問題として従来論ぜられてまいりました鹿児島県の志布志湾の開発に関連をしてお尋ねをいたします。国土庁は最近鹿児島県側から新大隅開発計画に関する新しい案について事前協議または報告をお受けになっておりますでしょうか。
  43. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) 新大隅の開発計画につきましては、昨年の二月にさらに意見を求め、計画案を作成していくための資料ということで、県当局で「新大隅開発の方向について」という基本的な考え方をまとめました。これにつきまして昨年春に私ども内容説明を受けております。なお県の方といたしましては、この「新大隅開発の方向について」という基本方針関係市町村、二市十七町に及んでおりますが、それに対してこれを示しまして、それぞれの意見をまとめさせました。それが昨年の十一月「新大隅開発の方向について」の市町からの提言という形でまとまりまして、これにつきましても私どもの方は説明を聴取しております。そうして県当局におきましては、現在、昨年の基本方針を踏まえ、関係市町の提言を踏まえまして新しい計画を鋭意作成中であるというふうに聞いておりますが、その具体的な計画につきましては、現在のところ私どもまだ説明を聴取しておりません。
  44. 久保亘

    久保亘君 その昨年の二月に県がっくりました基本的考え方とか、あるいは関係市町村のこの考え方に対する提言というようなものについては御報告を受けられたことは私も承知いたしておりますが、最近、鹿児島県がいわゆる通称第二次試案と称するものについて発表されるのではないかといううわさが高まっておりまして、このことについて私は御報告や説明を受けられたのかということをお聞きしたんでありますが、いまそのことについては特段の説明を受けていないということでしたから、そのとおり理解してよろしゅうございますね。——それでは国土庁はかつて新大隅開発計画の試案が出されました段階においては、この開発についていろいろと国の方としても検討をされたり意見を述べられたりしてきたと思うんでありますが、すでに経済情勢や社会情勢が大きく変化をいたしました今日、新たな志布志湾開発の考え方に対してこの県の試案が改めて出されるとします場合には、これに対して一体どういうような位置づけを考えていかれるのか、恐らく検討されておらぬということであればわからぬと言われるのでありましょうけれども、いま三全総を検討されております国土庁側として、この志布志湾に対する三全総を決めていく上での政策上の要請というのが現にあるのかどうかですね。全く鹿児島県が独自でお考えいただけば結構ですと、その上で国土庁もできたら見せていただきましょうと、こういうような構え方なのか、それはどういうふうにお考えになりますか。
  45. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) この鹿児島県側の昨年の二月に発表いたしました「新大隅開発の方向について」というのを私もよく読ませていただいておるわけでございますが、これは先生も御承知のように新大隅全域にわたっての各般の一つ開発計画、県政計画の大隅部分といった方がいいかもしれませんけれども、そういった一つの総合計画であると理解しております。県独自の計画だと思います。ただ、この中で一点、志布志湾の臨海工業地帯の造成という項目がございます。御承知のように志布志湾の臨海工業地帯につきましては、新全国総合開発計画の中でも南九州の工業開発基地ということで、一つの例示として掲げられておる経緯もございます。ただ現在の志布志湾の計画、具体的にどの程度の規模の、どういった業種が、どの程度の規模のものが入ってくるのかということが、県の具体的計画ができておりませんので、まだはっきりいたしません。  一方また三全総につきましても、御承知のように昨年の暮れ概案をまとめましたけれども、これは人口その他基本的な方向をまとめたにすぎないものでございまして、具体的な計画づくりというのは現在私どもの方の計画・調整局を中心に鋭意進めておる段階でございまして、経済情勢も非常に流動的な折から作業が若干おくれておるような状況でございまして、どういった形でまとめるかということも現在なお合意を見ておらないというような状況でございます。したがって今後県の計画、その中でも志布志湾の臨海工業地帯の計画というのがどうなってくるんであろうかと、一方その推移を見守りつつ、なおまた三全総を今後どのような形でまとめるか、その両者をにらみ合わせながら今後検討していくべき課題ではなかろうかと、そのように考えております。
  46. 久保亘

    久保亘君 一地方自治体が今度私どもが示されるのではないかと予想しております計画案、すでに地元の新聞等が大々的に取り上げておりまして、それによりましても千二百ヘクタール、造成の総資金一兆円を超す、しかも十五年間の長期計画、こういうようなものとして発表されるであろうと、こういう予想がされているわけでありますが、そのような計画であります場合に、国土庁が三全総について、いまいろいろと苦心のおありになるところだと思うのでありますが、こういうような三全総と当然かかわりを持たなければ実現の可能性が薄いと考えられる臨海工業地帯の構想ですね、一般的にはこのことを志布志湾開発と、こう呼んでおるわけでありますが、この問題について国土庁としてはまだ海のものとも山のものともつかみがたい。それで今日の流動的な経済情勢下においては、その実現の可能性などについても、これは県独自の構想ではあるけれども、国土庁としてはまだ実現の可能性や、あるいはどういう点に困難な点があるのかということついても把握しにくい状態にある、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  47. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) ただいま先生のお話によりますと、地元の新聞では大々的に載っておるというようなことでございますけれども、実は二、三日前でございましたか、東京の新聞にも若干載ったあの程度は私も承知しておりますが、それ以外につきましては、県の方から実はいまの段階で連絡を受けておりませんので、内容は存じません。ただ、いままでの経過から申しますと、昨年のこの基本方向を受けて、関係地方団体からいろいろこれ百ページばかりにわたる注文と申しますか、愚見が出ておるようでございますので、それを踏まえて今度具体的な計画案をつくる、それを恐らく公表いたしますと、またいろいろな方面での御意見があろうかと思います。いまの先生のおっしゃった埋め立ての問題あるいは事業費の問題いろいろあろうかと思います。そういったものを踏まえてなお検討する、そういったたたき台としての意味の計画案を現在県でつくっておる、それが地元の新聞にも漏れたのではないかと、私そのように推察するわけでございますが、県のそのたたき台としての計画が出まして、各方面で恐らく論議を呼ぶでございましょうが、そういった意見を踏まえて、県として関係市町村の意見もまとめた上で県としてぜひこれをやりたいという形でまとまってまいりますれば、今度は国として受けとめて地域開発のために必要であるということならば、何分一つの総合開発、大きな総合開発でございますので、国土庁としては窓口としまして関係各省の連携をとりながら、できるだけ地域の方々の要望に沿うようにまとめていきたいと、そのように考えておるところでございます。
  48. 久保亘

    久保亘君 目下のところは、国土庁としては志布志湾の臨海工業地帯の開発について直接関係をしていないので、また県側からの説明も受けておらないのでどうとも言えぬと、こういうことで、もし今後県から出されてきた場合には、そのことについて国土庁としても検討してみようと、こういう程度のことですね。
  49. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) 去年からの経緯がございますので、県の方でいま鋭意具体的な計画というのを煮詰めておるわけでございますので、早急にそれを取りまとめていただいて、それが取りまとまった段階で恐らく県は国へ持ってくるだろうと思います。そうした場合に、こういった開発行政の窓口は国土庁でございますので、できるだけ地域住民の意向に沿うように取りまとめに努力したいと思っております。
  50. 久保亘

    久保亘君 地域住民の意向に沿うということについては、この開発同意できない、環境保全立場で反対の意思を表示しておられる方々が存在をするということについても、地域の意向として国土庁は十分に配慮せられるべきものと思いますが、その点を含めていまお答えになっておりますか。
  51. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) 先ほども申しておりますように、国土庁だけでこういった大プロジェクトを受けとめて国土庁だけが協力するという意味ではもちろんございませんで、政府として協力するということになりますれば、環境庁の方とも十分この計画につきまして御審議——環県境庁の方でも御審議願い、政府としてこの計画をどう進めるかということになろうかと思います。
  52. 久保亘

    久保亘君 それでは続いて環境庁にお尋ねいたしますが、環境庁鹿児島県のこの新しい志布志湾開発計画の試案に関連をして事前に協議や報告を受けておられますか。
  53. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 非公式には私は鹿児島知事さんは昔から同じ役所の先輩でもございましたし、あるいはその地元の代議士さん、あるいはその紹介によりまして、先ほど言われた関係のたくさんの市町村の代表の方々等とはお会いをいたしておりまして、非公式には二回ばかりそういうような計画がある、またそれをさらに手直しして、今度はいわゆる第何次になりますか私はよくわかりませんが、そういうような、またやり直してこういうようにやりたいと思うというようなことは聞いたことがございますけれども、正式に環境庁としての立場で協議を受けるとか、そういうようなことばまだ全然ございません。
  54. 久保亘

    久保亘君 それでは第一次試案のときに環境庁に打診がありました日南国定公園の一部指定解除について最近公式、非公式を問わず県側からその意向打診を受けられたことがありますか。
  55. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 国定公園というのは一部変更、見直しをやるとか、あるいは追加をやるとか、こういうことはやっぱり県から——国定公園でございますから知事の申し出等に属する事項になっておるわけでございます。私ども正式にその点について非常に大きな変更でもあり、あるいは一部削除でもあるから環境庁大臣と協議をしなければならないから、したがってこういう理由に基づいてこういうふうな協議をしたい、またいろいろ御指導願いたいというふうに正式に私どもの方へ申し入れを受けた事実は全くございません。私が経過を申し上げますと、社会党の国会議員の先生方から二回ばかり、大隅開発はそうりっぱな松林をつぶしちゃいかぬぞという、抗議といいますか、陳情といいますか、そういうものを院内で二回受けたことがございますし、また与党の代議士さんからは、県が持ってきたらひとつよろしく頼むぞという推進の意味の申し入れないしは要望、陳情がございました。それから先ほど申し上げました二市十七ヵ町村の代表の方々が来ましてぜひやってくれと。それから一部漁業組合等の奥さん方から、私に、大臣室へおいでになりまして、大隅開発の石油精製とかいろんなことを言われるとわれわれは大変だから、これはひとつ慎重にしてもらわぬと困るよという申し入れないしは陳情を受けております。  それから知事さんからは、先ほど申し上げましたように親しい間柄ですから、私は役所ではありませんけれども、たしかどなたかの会館でお会いになったときか、あるいはどこかの別の会合だったと思いますが、そのときにいろいろこういう点で苦心をしているという話を聞いたことはございます。その場合に国定公園に関係する事項ということになると、一体どういうような手続なり準備なり、あるいは事前の調査なりをしたらいいのかというような話があったので、まあそういう細かいことは私もよくわからぬから事務当局同士で、一体どういう準備が必要なのか、どういうアセスメントが必要なのかという点についてはよく研究をしておいてもらわぬといけませんよと、私はそんなこと知らぬ——細かい手続は余りわからぬものですから、そういう御注意は申し上げたことはございます。したがってまだ私ども環境庁としては、御承知のように昭和四十七年の閣議決定によりまして、大規模開発をやる場合にはあらかじめ環境影響評価を十分にやると、実施主体の方でやりまして、それを私どもの方へ持ってきて、私どもがそれを検討して、それで住民の環境に影響がないようなあらゆる措置を講ずるように指導するのが任務でございますので、まだ全然来ておりませんものですから、何とも具体的に私どもがお答えをする材料がないと、こういうことでございます。
  56. 久保亘

    久保亘君 この国定公園の一部指定解除、正式には区域変更ですね、この区域変更の手続というのは自然公園法に基づいて環境庁長官がこれを許可することになっていると思うのでありますが、環境庁長官許可に当たって関係の都道府県と審議会の急見を聞くということになっておりますね。それでその前に、この区域の変更に関係する意見を聞く関係都道府県というのは、日南国定公園を含んでいる県、つまり鹿児島県と宮崎県の両方の意見を聞いてその合意を基礎にして環境庁長官判断をされる、法的にはこういうような手続になるのでしょうか。
  57. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 実は果たして具体的な計画で、一体関係県がどの範囲になるかという具体的な計画が出てこないうちは、抽象的に、どうも隣だからすぐ関係があるとか隣でないから関係がないとかという判断はなかなかできないのであります。その国定公園にたとえば道路交通網の関係で非常に密接な関係がある場合等もございますし、国定公園を決めたときの、たしかあれは昭和三十年に指定になったと思いますが、そのときの状況で、ここだけということでなくて、他の一つの地域の広がりを考えまして、そしてここが国定公園として確かに指定に値する、こういう検討をしてやった場合と、そうでなくて、その地域の景観というものが単独に取り上げられても国定公園としての指定の値打ちがあると、こういう判断をした場合と、いろいろございますので、一概に関係県はすぐ隣だからとか、どうだからということで、あるいはちょっと離れているから関係がないとか、そういうわけにはちょっといきませんので、その経過とか、あるいは利用の状況とか、いろいろの点を検討した上で関係県というものは決まってくる。その場合に関係県の意見も十分聞いて区域変更なり、あるいは一部変更するなり拡張するなり縮小するなりということについて、よく私どもがその意見を聞いて判断をする、こういうことでございます。
  58. 久保亘

    久保亘君 あなたは金丸さんと親しいからと最初前置きされているけれども、えらい事務的な役人の答弁のようなことをされる必要はないのですよ。すでに五年前からこの問題は検討されている問題でしょう。いまのような答弁を聞くために私は質問しているのじゃないのです。これはどういうことかというと、今度の公園の区域変更については、この志布志湾の臨海工業地帯の開発と関連して、すでに鹿児島県と宮崎県が環境保全の問題については共同して調査もせにゃいかぬ、そして両方に関係があるから鹿児島の方から宮崎県の同意を求めるために、いろいろといままで努力も続けてきておるはずなんですよ、県の段階では。そのことは一般論としてでなくて、現実に志布志湾の問題としては、この同じ国定公園に関連して、この区域変更については開発そのものが宮崎県に対して非常に大きな環境上の影響を与えるということは鹿児島県側も認めておればこそ宮崎県といま協議をやっておるわけです。だからそういう具体的な問題についてこの区域変更を求められる場合には、当然環境庁としては鹿児島県と宮崎県に対して公園の区域変更に関する諮問を行われる、意見を聴取されるということは、これはもうわかり切ったことじゃないですか。
  59. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) いまあなたがそこまでおっしゃればそのとおりで、前は国定公園の一部解除なり区域変更について関係県と法律があるが、それはどういうことかと言われるから私はそれを説明したんですよ。いま志布志湾の開発というものとの関連で言われれば、その開発影響というものがあることを考えれば、当然これはわれわれがアセスメントをやる場合にその関係県の意見を聞くのは当たりまえですよ。それは当然のことですよ。ただ全然出てないんですよ、まだ。私はそういう意味で申し上げたのは、非公式にいろんな計画はあることは聞いているけれどもまだ具体的に出てない、しかし知事さんに申し上げたのは、この話だけではいけませんよと、出てくるためには十分な環境影響調査をちゃんとやってその資料を整えて持ってこなければ、環境庁というのは実施主体じゃないんですから、環境影響評価を十分に私どもがやっていいか悪いかを判断するわけですから、したがって、そういう意味では全然出てこないのに私の方からいま国立公園の一部解除だとかどうだとかというようなことについて意見を申し上げる段階では何にもないわけですよ。何にも出てきてないんです。ただ事前にそういう話を聞いたから、したがって後になって突然としてそんなものが出てきても困るから、国定公園の解除というようなことになるといろいろな要件と細かい事務的なものがありますよと、そういうことについては十分よく研究をしなさいと、しておかないと、ただ知事さんは、いや開発等やるんだから国は許してくれというようなかっこうだけではどうもいきませんよという注意を申し上げたという事実を申し上げただけなんです。
  60. 久保亘

    久保亘君 わかりました。私の聞き方も少し悪かったのかもしれまんけれども長官は従来、関係の地域の漁民などが長官にお会いしましたときには非常に理解のある発言をされまして、それで漁民の人たち環境庁はわれわれの声を民主的に聞いてくれると、こういうことで、環境庁だけが頼りだというようなことを考えているんですよ。そのときにあなたが開発推進の立場に立つような意向を持っておられるのではないかというような気持ちを少しでも抱きますと大変不信の念が高まりますので、それで私はいまそういうふうに申し上げたんです。  そうすると、具体的に志布志湾の臨海工業地帯の開発、あそこに大規模な石油企業、いま言われておりますところでは、当面手をつけるだけでも三十万バーレルの製油所、こういうものを含めて千二百ヘクタールの埋め立てをやって造船、機械、食品工業というものを石油を起爆剤にして入れてくると、もしこういうような計画での公園の区域変更ということになれば、当然環境庁立場としては、この公園の含まれる地域——鹿児島、宮崎両県に意見を聞かれるということは、もうこれはわざわざ聞くまでもないことだ、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  61. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) これは宮崎県の意見も十分間かなけきゃいかぬと思います。
  62. 久保亘

    久保亘君 それでは国定公園の区域変更について、環境庁が発足いたしましてからこの区域変更を行った事例というのが何件ぐらいありますでしょうか。
  63. 宇野佐

    説明員(宇野佐君) 国立公園の見直し等がございまして一部変更している場合があるかと思いますけれども、大きなこういう変更は全くございません。
  64. 久保亘

    久保亘君 そうすると、もし新大隅開発計画、いわゆる志布志湾の臨海工業地帯の開発が行われるという場合には、環境庁としては国定公園の区域変更に関しては初めてのケースとしての取り扱われると、もしそういう申請があればですね、そういうことになりますね。
  65. 宇野佐

    説明員(宇野佐君) 御指摘のとおりかと思います。
  66. 久保亘

    久保亘君 そのようなことになりますと、特に今度のこの問題は環境行政一つの試金石にもなってこようかと、こう思うんであります。したがって、この国定公園の区域変更、一般的には一部指定解除と考えておりますが、そういうようなものが行われるについて、かなり慎重な、時間をかけた環境庁としての調査や検討が加えられなければ、仮に申請が行われたとしても、今日行われているこの開発主体となるべき側での環境アセスメントの結果だけでもって判断することは非常にむずかしいと、こういうことになりましょうか。
  67. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 当然、実施主体がいろいろアセスメントをやって持ってまいりますが、私ども大規模の場合には慎重にいろいろな角度からアセスメントの検討をいたしますので、足りないところがあればどんどん追加もお願いをしなきゃいけませんし、相当時間がかかる問題ではないかと思います。
  68. 久保亘

    久保亘君 この国定公園の問題だけではなくて、今日のこの法律によりますと、区域変更を行わずとも知事の段階でもって埋め立てや陸地の形状変更が可能である、法律上は確かに文言を読んでまいりますと、そういうふうに受け取れる向きもあるんでありますが、この国定公園の中で普通地域や第二種特別地域などについては、そういうようなことが現実に可能なのでしょうか。もしそういうようなことが可能であって、一千ヘクタールを超えるような海面の埋め立てや大規模な形状の変更などが行われるということになれば大変問題があるんでありまして、もしそういうような知事への届け出だけで可能になるというような状況があります場合には、環境庁としては通達に基づいてそれらのことについては当然行政権限の干渉が行われる必要があるのではないか、こう思うんですが、その点はどうなんでしょう。
  69. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 公有水面の埋め立てに関連をしてきますと、それは当然公有水面の埋め立ての法律に基づきまして主管官庁に出てまいりまして、私ども環境庁は協議、官庁になっておりますから、私どものところへ回ってまいりまして、私どもが環境影響上支障がないと判断をしないうちは埋め立ての許可に、認可にはならないと、こういうことになるわけでございます。それからそれと国定公園の許可ということになりますと、原則的には国定公園は知事に権限を大部分おろしているわけでございます。しかし重要な影響といいますか、問題が起こる場合にはこの環境庁長官知事が協議をして、それで環境庁長官同意がなければできない、こういうことになっております。なお詳しい国定公園の解除なり変更なりの手続については、もし必要ならば事務当局から申し上げます。
  70. 久保亘

    久保亘君 結構です。最近一つの議論として国定公園内における開発について、公園の区域変更を申請しておったんではなかなからちが明かぬから、それなら公有水面の埋め立てや土地の形状変更などについて公園法で認められている範囲内で、知事権限のところでやれるんじゃないかという一部の意見があるんです。しかしいまの長官意見をお聞きいたしまして、そのようなことは現実的には不可能である、こういうことがわかりましたので結構です。  次に水質汚濁防止法に関連して少し長官局長の方にお尋ねいたしますが、最近、鹿児島県において志布志湾一帯をA類型の海域として、この法律に基づくA類型の海域として即時指定するよう審議会の答申がありまして、県はそれにこたえて指定をするという方針のようであります。すでに県境までの、宮崎県は四十九年にA類型の指定を行っております。結局B類型で残りますのは、堤防で囲まれた志布志港内だけということになるわけであります。それで私お尋ねいたしますのは、精製を含む石油の大型の工場、造船、機械、食品工業というような重化学工業を含む大規模な開発を行いました地域で、A類型の海域を現実に守り切っているところが実例としてたくさんありますでしょうか。
  71. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 全部を調べてきたわけではございませんが、御指摘のような例に該当するものとして、たとえば鹿島灘、これは類型が三つに分かれておりまして、掘り込み港湾内はC類型でざいます。その周辺の二・六キロ幅の十キロくらいの海岸がB類型になっている。その前面の海域がA類型ということに、三つに区分をされて類型指定が行われているわけでございますが、お尋ねのA類型で指定をされております海域の関係というのは守られておるものと承知しております。
  72. 久保亘

    久保亘君 いま最後に言われたのは……。
  73. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 志布志湾との関係で、A類型を持っているものがあるかというお尋ねと拝聴いたしましたので、ただいまの例でA類型の設定されているところ、その海面につきましては環境基準は守られておるものと承知しているわけでございます。
  74. 久保亘

    久保亘君 ずっと海岸線全域にわたってA類型の指定をいたしました場合に、ここに大規模な重化学工業を含む開発を行いました場合には、当然いま御説明ありましたように、特定の地域は切って、C類型とかB類型に変更し直さなければ、A類型のまま海岸線全域を指定したままにしておくということは不可能なんじゃないですか。鹿島灘の例を見ても。
  75. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 先生御指摘のように鹿児島県におきましては、現段階では志布志の港域の中をB類型にして、それ以外のところはA類型に現段階においてはその指定に当てはめをしたいという考えがあるということは承知しておるわけでございます。そこで志布志の大規模工業開発関係はどうかということになってまいりますと、先ほど来長官がお答え申し上げておりますとおり、そこにどういう業種が出てきて、どういう規模の開発がどういうふうに、どの時点から着手されるのかというようなことは一切まだわかっておりませんので、その工業開発関係で、抽象的に議論をしても、ちょうとややいかがと、こう思われますので、いまの段階で両者の関係を明確にお答えするのは困難であると思います。
  76. 久保亘

    久保亘君 あなたは鹿島灘を例にとってA類型を守られているという説明をされたので私は聞いている。鹿島灘だって掘り込み港湾内はBどころかCの指定をしているわけでしょう、そうして港湾から外へ出た二・六キロ幅のところはB類型だと、こう言われる。そうすると、あそこへ開発をやりました場合には、当然その鹿島灘の先例に合うように掘り込み港湾とか、あるいは工場の排水の処理などがどうなるのかわかりませんけれども、そういうものを含めて部分的にはB類型やC類別とならざるを得ないところがその海岸線に出てくる、そのことはやむを得ぬのじゃないですか。それは抽象的に一般論としては言えないということではなくて、開発をやればそういう形になってくることは当然なんじゃないですか。
  77. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 確かに大規模な工業開発が行われたときに、現在その県が考えておりますような類型指定のままで対応できるかどうかということについては大変大きな問題が先生御指摘のとおりあると思うんでございます。この環境基準は、環境基準そのものの性格からいたしまして利用の状況等を事情変更のあった場合におきましてはその見直しをやるということが環境基準自体の考え方の中に入っておるわけでございます。したがいまして将来先生のおっしゃるようなことが具体問題として出てくるという可能性はあり得るものというふうに思っております。
  78. 久保亘

    久保亘君 よくわかりました。開発を進めればこれは現在の環境維持のための科学の水準からいたしましてそうなるのが当然だと思うのであります。それでその前に環境庁の対応の仕方ですが、世界でもかなりめずらしい有数の海岸線と、それから松林を保持している志布志湾沿岸の場合に、ここに海域を今度は改めて即時A類型にするという指定を行ったということは、現在即時指定を受けても、いつでもここはA類型として変えられる状況があると思うのであります。そのA類型の海域を保持するということになれば、仮にここに大型開発を指ち込みます場合には相当厳しい環境保全上の規制を行わなければ困難になるだろう。その点については環境庁としては私がいま申し上げますような御理解に立たれますか。その場合に、まあそれは工業開発やるんならやむを得ないんじゃないかということで海域指定の方が次々に変わっていくのか、あるいはそのA類型の指定を保持するために可能な限りの開発上の制約を加えていくという立場に立たれるのか、環境庁の考え方としてはどちらにウエートを置いた判断をされますか。
  79. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) この類型指定の権限は公害対策基本法に基づきまして、この海域につきましては都道府県知事に委任をされておる、委任をされておりました知事が権限行使をいたしまして水域類型指定をどういうふうにやるかということについてはさまざまな要素をもちろん考慮をいたしてやるわけでございます。環境基準そのものが海面の利用の動向、事情の変化、将来の利用の仕方、さまざまな要素を考慮をして決めるということになっております。したがって、その地域あるいは海面の利用の方法がかなり基本的に変わってくるというような場合には、もちろん環境保全にも十分留意をして、たとえば現段階における指定でございますけれども、A類型ということで指定がされるならばそれを可能な限り良好な状態で保全をするという配慮が当然加えらるべきものというふうに思います。私どもはその辺の具体的な処理の仕方につきましては、計画が具体的に固まってまいります段階で十分知事さんとも御相談を申し上げ、環境ができるだけ良好な状況で保全をされるということを環境庁としては希望しつつ調整に当たりたいというふうに思っております。
  80. 久保亘

    久保亘君 余り時間もありませんので、最後に小沢長官にお聞きしたいんですが、従来から環境庁長官として一度は現地を調査をして、そして関係地域の住民人たちのいろいろな環境保全に関する意見等も聞きたいと、こういうことを申されておったと思うのでありますが、すでに長官に御就任になりましてからかなりの期間を経過をいたしておるんですが、特にまた志布志湾の開発をめぐっていろいろ動きが激しくなってきました際に、長官として一遍ぜひ志布志湾を御調査になる御意思はお持ちでありませんか。
  81. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 私はもう全国どこでもできるだけやはり大事なところは見て歩かなきゃいかぬのでございますが、ただ先生御承知のように地元では知事さんが第一次案、第二次案とかいって発表されまして言っていますけれども、私のところに何にもまだ環境保全についてどうかこうかという意見を求めた正式の段階でもありませんし、実際上は話だけで、実は現地の方でこう話だけで割れておって、また前から大隅半島の開発ということは聞いておりますけれども、何にもまだ私のところに具体的に意見を求めてきてない段階で、私がのこのこ出かけていって、いやこれだあれだというようなことを聞いてかえって混乱してもいけませんし、私の方へ出てくれば当然私はこれだけの大きな問題ですから、やはり責任者として一回見て、そして判断をしなきゃいかぬと思っておりますけれども、まだ何にも出てこないのに、おまえ来てみろと言われても、将来どういうような計画をしてどうするのかということを、現地では私聞いていますけれども、実際の問題として何にも出てきてないもんですから、まだ実は行こうという気持ちになっていないわけでございます。将来それが出てくれば、これだけ大きな問題ですからぜひ参りたいと、かように思っております。
  82. 久保亘

    久保亘君 長官、えらい何か御心配になっているようですが、そういうことじゃなくて、すでに中央公害対策審議会防止計画部会あるいは環境影響評価制度専門委員会などが出しましたこのパンフレットを見ましても、いままでのわが国環境保全というのは、開発が行われた後どうして環境を守るかという行き方であった、そうではなくて未然に環境を防止をするために開発をどうしていくか、こういうような私は何も開発を全面的に退けろと言っているんじゃありません。未然に環境保全について考え行動していくことでなければならぬという意味のことが書かれているわけであります。私はいまの環境行政というのはそうでなければならぬ。それから何もいま出向かれても長官がこの志布志湾開発についてどう思うかという、あなたのお考えをお述べになる必要があることではない。むしろそういう意味では未然に地元住民たちのこの志布志湾に対する物の考え方、それから一方ではいまの大隅半島の経済や生活に関する問題等、そのいろいろな人たち意見を率直に聞かれるし、またみずからの目でその環境の状況等を確かめておかれるということは、むしろ積極的に御対処になってもよろしいのではないか。それに昨年来、地域の住民にもぜひ私も一度行きたいということをあなたは申されておりまして、そういう意味では住民の側にも環境庁長官に直接見ていただくこと、聞いていただくことに対する期待があるわけです。別にあなたから直接何かを、言質をとろうなどというそれほどせっぱ詰まった気持ちを持っているわけじゃありません。  それで、そういうことなんで、やっぱりぜひこのことについては、いまここで行きますという御返事をされるのはむずかしいでしょうけれども、そういう環境庁は、私が申し上げましたような考え方というのは長官も御同意になっているところだと思いますから、そういう方向で現地の調査などについては御配慮をいただけないのかどうか、恐れ入りますがもう一遍お聞かせいただきたいと思います。
  83. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) いつでも行くことは容易なんでございますが、ただ私が——久保先生どうでしょうか、私が行きますと、大隅開発という問題を前提にして、しからば事前に見ておこうと、こういうことにかえってなって、何か県でいまやっていることを、何もなけりゃ、あのやろう、のこのこ来る必要がないのに——何か開発をもう前提といいますか、一応開発をやるんだということで環境影響立場からどういうふうに見るんだということのような印象になって、かえっていろんな意味で問題になっても先生方としても困るんじゃないかと、後の方がいいんじゃないかと、実際のあれが出てきてから——事前にやらなきゃいかぬということはよくわかるのです。それは私ども国会に間に合わなかったんですが、どうしてもアセスメントの法案を出したいと思っておりますから、十分事前に環境影響評価というものをやらせなきゃ、後追いはしたくないという気持ちですけれども、時期としては、いま行くと開発をむしろ何か行われることを承認の上で環境影響を調べに来たというようなことになってはかえってまずい。両方から見ても、もう少し時期は慎重に選ばなければいかぬのじゃないかと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  84. 久保亘

    久保亘君 いや、私いやみで言うわけじゃありませんが、あなたはいま石油企業の進出をめぐって大騒ぎをしている奄美大島へ行かれましたね。そして奄美大島では開発の問題についてあそこで住民に対してあなたの見解も述べられたはずです。それだから、それほど積極的におやりになりながら、一方では住民の側から積極的にあなたに一遍来てみていただけぬかと言っていることについて、応じられないことについて大変不信を持っておりますよ。やっぱり小沢さんは開発について、元建設大臣であったから、そっちの側の考え方が優先しているんじゃないかという心配だってあるんです。だからその点では、やっぱり環境庁長官としてぜひひとつ内閣がかわらぬうちにいらっしゃることをお願いをしておきます。  それから最後になりましたけれども行政管理庁長官見えていますか。
  85. 鈴木力

    委員長鈴木力君) ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  86. 鈴木力

    委員長鈴木力君) 速記起こしてください。
  87. 小山一平

    ○小山一平君 まず最初環境庁にお尋ねをいたしますが、昭和三十年代後半から四十年代は日本の経済の高度成長成策の一環として、山岳観光道路だとか、スーパー林道だとか、その建設が積極的に進められまして、乱開発、自然破壊が極度に進行してまいりました。これに環境庁はどのように対処する基本的な姿勢を持っているかという、まずそのことをお尋ねいたしたいと思います。
  88. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 観光のための道路によって自然が破壊されることをできるだけ私どもの方は抑えていきたいと、これが基本でございます。私の基本姿勢の第一が私の郷里でありますけれども、妙高高原有料道路をやめさせたわけでございます。これもその一つのあらわれでございます。
  89. 小山一平

    ○小山一平君 すでに建設ができたり進んだりしている山岳観光道路やスーパー林道による自然破壊と同時に、財政問題が発生しているものが幾つもいま出ております。私はきょうはその代表的な事例の一つとして、昭和三十九年に指定を受けた八ケ岳中信高原国定公園の開発計画の中の目玉となりました有料道路ビーナスラインについてお尋ねをいたしたいと思います。  ビーナスラインの和田峠から美ヶ原を結ぶ延長十三・八キロの美ヶ原線の建設工事は、昭和四十五年建設大臣許可を受けているのでありますけれども、自然保護団体や多くの住民から強い反対もございまして、四十六年十月には当時の大石環境庁長官がみずから現地の調査を行いました結果、県に対してこの美ヶ原線の中の扉峠から美ヶ原間にわたる五・三キロの予定線再検討を要請されました。そしてこの路線の建設工事がストップになりました。私は自然保護思想が軽視された当時の計画でございますから、環境庁が自然保護の原点に立って過去の経緯を超えて見直しを求めた措置は高く評価をいたします。大石さんの要請でストップされたのは、この線の一部分でございましたから、美ヶ原線のうち和田峠から扉峠まで八・五キロ、これは四十六年十一月に工事契約が締結をされて、五十年十一月には開通になりました。当然これは行きどまりの袋小路でございます。ストップのかかった扉峠−美ヶ原間については、県は再検討をした結果、和田回りと言われる路線変更の代案を出したのですけれども、これについて賛否両論に分かれて、五年にもわたって激しい論争が続いてきました。環境庁も五年もかかって検討を繰り返して、去る五月二十四日、環境庁の自然公園審議会の自然公園部会小委員会という大変長い会名の委員会が最終審議条件つき賛成と反対と、両論併記という結論になったようなならないような結論を出したわけです。恐らく部会の判断も小委員会の結論と同様になることが予想されていますから、最終の決断は環境庁にゆだねることになると思います。環境庁はこれからどういうふうにされる方針であるかということをお尋ねいたします。
  90. 宇野佐

    説明員(宇野佐君) 御指摘のとおり自然環境保全審議会の公園部会、それから小委員会で検討してまいりまして、先般、両論併記と申しますか、賛否両方の結論が出たわけでございます。六月四日にこれを部会に諮りまして、部会でその結論をめぐって御議論がございました。これはまだ結論に達しておりません。  私どもの方といたしましては、長野県の方から、その後の考え方、こういうものを確かめまして、その上でさらに部会の御議論を願いたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  91. 小山一平

    ○小山一平君 この道路問題処理が最も困難に陥っている点は、大石さんが道路計画の一部にストップをかけて、そのために路線の一部分がすでに開通して行きどまりになっている、こういうことです。私はなぜ全線計画が整うまで全線工事をストップするという措置をとらなかったのか、大変疑問に思うんですが、その理由についておわかりでしたらお答えを願いたい。
  92. 宇野佐

    説明員(宇野佐君) 四十六年の十月に当時の大石環境庁長官が視察をなさいました。そのときは御指摘のように和田峠までしか開通をいたしておりませんでしたが、和田峠−扉峠間につきましては、すでに着工できるような状態、全部準備が整っておったわけでございます。県議会等も予算議決をいたしておったわけでございます。それともう一つ、この路線につきましては国定公園の指定当時から公園計画で幹線の路線として全線決まっておりましたので、その線に従って長野県の方では準備を進めてこられたわけでございますし、また工事を進めてこられたわけでございます。そういう状況でございまして、扉峠まで着工いたしましても、扉峠には県道も通ってございますので、一応そこまででも共用開始できると、そういうふうな考えがございました。それから先の路線については、改めて検討をして適切な路線を選ぼうと、こういう判断をされたわけでございます。
  93. 小山一平

    ○小山一平君 かつて道路をつくりさえすればもうかるという神話はすでに崩壊をいたしました。さっきも申し上げたように、自然保護問題のほかに建設費の償還をめぐる重大な財政問題が出ておりまして、いまはこの二重の荷物を背負うことになっているわけです。県企業局の試算によりますと、その算出根拠は必ずしも明確ではございませんけれども現状のままで工事を打ち切るとすれば、起債償還の終わる七十二年には二百億円を超す赤字が出るし、この悪名の高い自然破壊の先線をあえて建設したとしても百十億円以上の赤字が出るというんです。こうなると一体この赤字はだれの犠牲で処理をするのかという問題もございますが、環境庁の要請によって五年間にわたって論議と紛争をもたらしまして、その決着を大変困難にいたしております。私は開発の悪夢にとりつかれて、自然環境保護という哲学を忘れ、先見性のない無定見な開発を進めてきた県の責任も重大でございますが、この事業に対する適切な指導や規制を誤った環境庁の責任も重大だと思います。環境庁の反省と責任について、率直な御見解をお聞かせください。
  94. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 確かにこのビーナスラインについて非常に長くかかっておりますことが、地元のいろいろ経済的にもあるいは県の財政にも大きな影響を及ぼしておることは事実であろうかと思います。元来、環境庁に参ります前に、御承知のように国立公園という制度は国の方で、厚生省でやっておりまして、昭和三十九年に指定になりますと同時に、公園計画としていろいろな計画がございまして、その一つの中にこのビーナスラインがあったわけで、これは自然環境保全審議会意見を十分聞きまして、この道路をつくるということを計画として国定公園の公園計画として決定をしたわけでございます。  それが大石さんが行かれまして、路線変更しなければこれはどうも認めがたいと、こう環境庁長官としての自然保護の見地からそういう意見を出され、それでは路線の変更をひとつ検討しようというので長野県側がいろいろ計画して新しい路線について持ってこられた。新しい路線ということになるとこれは新しい公園計画としての決定を扉峠から先についてはしなければいけないわけでございますから、これは法律上に基づいて自然環境保全審議会にかけなきゃいけない、当然これは法律上の手続を要するわけでございますから、それがいろいろ長くかかっているということでございますので、この変更を受け入れて、最初決まっておった計画を変更しようということを御決定された以上は、これはやはり法律に基づいて審議会意見を聞かなきゃいかぬわけですから、これがまとまるまではある程度時間がかかるのはこれはやむを得ないと思うのでございます。もし環境庁長官立場で大石長官が自然保護の関係で路線変更を言われても、いやもう一たん計画決定したことであるからこれはやりますと言って知事がおやりになった場合には、これは私どもいわば法律上の権限としてはこれは可能だったわけでございます。しかしお互いに自然保護の立場を重視していこうと、道路も必要だが自然保護も大事にしていこうというような見地から別の路線をお考えになってきたわけですから、どっちの責任だとかということでなくて、自然保護といまの公園計画の調整をどうやってとるかという苦吟の期間が五年間あったというふうに理解をすべきじゃないかと思いますから、いままでの経過についてはひとつ御了承いただいて、しかしいつまでもほっておくわけにいきませんので、私は少なくとも早急に結論をつけていかなければならぬというふうに考えております。もうしばらく、ほんのしばらくだと思いますが、御猶予をいただきたいと思います。
  95. 小山一平

    ○小山一平君 長官の御答弁を聞いていると環境庁は何の責任も感じておられないような発言でございますが、先ほども御答弁があったように扉峠までは差し支えがない、こういうことですでに建設が完了しておる。ところが現状ではそれから先の県道もあり林道もあるけれども、そこでもって十分に自動車が通れるという状況になっておらない。そのために差し支えは自然環境を守るという上ではなかったかもしれないけれども、できた道路は全く用をなさないために、ほとんど交通量は、皆無ではないけれども全く問題にならない。そしてこれが財政的な大きな問題の一部をなしている。そうしてこの五年間の空白というものは私は自然環境を守るということでやむを得ない点もありますけれども、それでは県が出した代案その先線は不適当であるとこういうことになる可能性も十分あるわけですから、こういうふうに中途半端なことに陥ってしまった、そしていまもなお賛否の両論というものは実に激しいんですよ。これは県の代案を環境庁が認めると言っても、あるいは反対だと言っても、どっちを選んでもこれは容易ならざる紛争の種になることは明らかなんです。ですから、なるほど大石さんのおいでになって要請をされたときには、法的には長官のおっしゃるとおりであったけれども、私はその要請という名の指導が問題を非常に複雑にした、指導するならもう少し徹底的な指導をすべきではなかったか。そこでこの指導措置について環境庁も責任を感ずべきだと、こういうことを指摘をしたわけです。どうですか。
  96. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 確かに大石先生以来私で六人目でございますから、四十六年からでございますので、そういう意味においてはもっと早くてきぱきとした指導をやって解決をすべきじゃないかと、いずれにしても。おっしゃる気持ちはよくわかるわけでございます。ただお互いに、県側も、あるいは道路をつくる側も、また環境庁の方でも、自然保護というものを頭に置いてみんなで苦労をしてきたわけでございまして、どこが怠慢でこうなったかというようなことではございませんで、四十七年以来もう何回かいろんな審議をやり調査をやっておるわけでございますから、まあそういう意味においては、私はどこが法的に責任があるとかないとかという問題ではないんで、やっぱり自然保護をみんなでどうやったらいいかということを考えてきたこの苦悶の、苦悩の五年間であったというふうに理解を願って、しかしいつまでもこのままではいけませんので、いずれかの結論に私は必ず早急にいたしたいと、かようにお答えをする以外にはないわけでございます。
  97. 小山一平

    ○小山一平君 これはまことに心外なお答えでございまして、私も先ほど申し上げたように、こういう先見性のない開発計画を進めてきたために、自然破壊という問題もこれも重大問題として一つあり、さらにどういう方法を選んでも七十二年には百億以上の赤字を生むということが明らかだと県の当局が申していることからかんがみても、私は当然こういう計画をした県は重大な責任がある、それと同時に、その指導に当たる環境庁としても責任を感じていただくのが当然であると、どっちがどれだけの責任を負うとか、あるいは反省をしなくちゃならぬとかということはこれは別といたしましても、こう事態を招いたということに対する反省というものは、県当局も環境庁もあるいは建設省も持ってもらわなければ大変なことだと、こう思うんですよ。恐らく百億、二百億の赤字が出た場合には、これは長野県民の犠牲に帰することは明らかだと思いますね。そういう迷惑を県民や住民にもたらしたというこの道路計画開発事業というものは、これは行政当局として当然反省をするに値する問題ではないかということを私は申し上げているんですよ。長官がこだわって、責任だとか反省なんということはないんだというのは、ちょっとおかしいじゃありませんか。
  98. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 先生御承知のように国定公園、国立公園の利用計画というものは、立てまして、そしてそれに基づいて、その利用計画の一環として中信高原線車道計画というものができたわけでございます。それが自然保護の見地から一部途中で計画変更になる、計画変更ということになれば改めて自然環境保全審議会にかけなければならない、そういう手続を踏まなければいかぬのはこれは法律上仕方がないわけでございます、法律のもとでわれわれは行政やるわけでございますから。ところがその計画でたとえば道路ができたと、それが赤字になるかならぬかという問題までこれは自然を守る環境庁大臣に、おまえ責任があるじゃないかと言われてもこれは困るんで、実際でき上がったとしても、利用者が余りなくて赤字になる場合もありましょうし、多くて黒字になる場合もありましょうが、それまで、私ども自然環境を守る立場の者に道路の利用状況まで判断をして、そして採算がとれる道路であるかどうかということまで私どもに議論をされても、それはちょっとわれわれ困るんでございまして、ただ自然保護の観点から指導はしたが、それを受けて計画変更を持ってきたんだから、これが今日までおくれたということについて、おまえたちはもっと早くすべきじゃないかと言われるのはそれは私はわかりますけれども、その赤字であるか黒字であるかの問題までわれわれに言われても、それは私は、その点について責任があるないと、いうことはどうも申し上げかねると言ってるわけです。
  99. 小山一平

    ○小山一平君 まあこんなことであなたといつまでも議論していても始まりませんけれども、私が最初指摘したように、これはまああなたじゃない、大石さんのおやりになったことですけれども、私は自然環境保護のためにああいう措置をとられたことをさっき言ったように評価をしてるんです。だけれども、これだけの路線の中で一部分だけストップをして、一部分は工事を進めて、そしてこの先のことはいつになってもらちが明かない。そのためにここに財政的な、この問題の一部分——すべてじゃありません、一部分も生じている。だからその先線の問題があったら、この線というものは当然一つのものなんですから、全体構想というものが決着のつくまで工事の着工を待つというような指導こそが適当な指導ではなかったかと、こういうことを申し上げてるんです。それは環境庁は自然保護のことだけ考えてりゃいいんで、一部分ができてそれが利用価値があろうが、なかろうがそんなことはわれわれの方の関知するところではない、そのために財政的なマイナスが出ても、それは環境庁の所管外だと。これが下の方の担当者がおっしゃるならこれは話もわかりますが、少なくとも国務大臣という立場大臣とすれば、そういう広い視野に立ってやっぱり行政を進めるべきではないかと、指導に当たるべきではないかと。こういう立場からいけば、環境庁のとった措置についても十分でなかったぐらいの反省は私は持っていただかなければこれは間違いだと思いますよ。こんなことにいつまでもこだわってあなたとそんなに長く時間つぶしてもほかのことできないで困りますけれども、もう一度、その点だけ確かめておきます。
  100. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 私は四十七年から今日まで非常に長くかかったことについて反省を先ほど申し上げてるわけです、私らの立場で。しかし法律がありますので、審議会意見があったり、視察をしなければいけなかったり、いろいろ賛否両論の意見があったりもるこの問題について、まあ審議会がおくれたことについての行政官庁としての反省はいたしておりますけれども、これも法律上やむを得ない一つ経過である、しかもそれが一番自然保護の、みんなでどうやって守っていったらいいかということをみんなで苦悩をし、いろいろ苦しんで検討をした期間であると。しかし余り長過ぎるじゃないかと、そういう点についてもう少し促進をしていくべきだったと思いますので、したがって私になってから非常に急がせまして、近く結論も出したいということでございますから、従来の点については、確かにこの五年もかかったことを、五人も大臣がかわってまだ結論がつかないということについては、これははなはだ遺憾である、したがって私は、私の時代にこれは解決をすべき問題で急いでいまやっておると、この誠意だけはひとつおくみ取り願いたいと思います。
  101. 小山一平

    ○小山一平君 先に進みましょう。この線について長野県は先線建設に大変意欲的であると言われておりますけれども、県の方では環境庁決定を待って対応するという、いわば環境庁にげたを預けたような姿勢を打ち出していますから、環境庁がこれからいろいろ結論を出していただくには大変苦しい立場に立たされていると私もお察しをいたします。小委員会が両論併記という結論を出しましたけれども、このことはこの問題の決着がいかに困難であるかということを浮き彫りにしておりますね。しかしその報告の中には大変示唆に富んだ指摘も含まれています。扉峠で袋小路のままに放置するということは非常に現実的ではないにいたしましても、県の和田回りという代案だけを対象にして環境庁がその認否の結論を出す、この案だけを対象にしてこれがいいこれが悪いという決着の結論を出すというのは私は問題があるように思うんです。ぜひ自然保護の原点に立って、同時に財政問題も配慮をしていただいて既存の林道や県道を有効に活田川するというような方法についても十分検討をしていただきたいと思いますし、特に不景気になってきて以来、財政的な問題も深刻になっていますから、建設省など関係省庁とも協議をしたり協力や助言を求めながら、財政問題含めて慎重なも決着をつけていただきたい、こう思うんです。長官国務大臣ですからただ単に自然保護の立場ばかりでなしに、広い視野に立って取り組んでいただきたいと思います。  そして、とにかく環境庁の中でも賛否両論でなかなか一方に決着がつかないというくらいですから、県段階ではこの論争というものはこれは実に深刻でございますから、その結論はなかなか、一〇〇%納得というようなことはこれは不可能にいたしましても、両者がおおむねやむを得なかろうという納得のいくような結論を出していただくことが、いまの段階で私は環境庁に対するせめてもの期待であるわけです。いかがでしょうか。
  102. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) おっしゃるような方向で早急に結論を出しまして、結論を出した後はいろいろ、私も財政問題所管ではないと言いながらも、やはりこれだけの経過をたどってきた問題でございますので、できるだけ国務大臣としても協力をして県に非常な負担がかかるような——それは県民のものでございますから、ことがないようにできるだけの努力あるいは必要な関係官庁との連絡にも当たりたいと、かように考えます。努力をいたします。
  103. 小山一平

    ○小山一平君 最後に、何しろ五年も議論を重ねていることですから、大臣も一日も早く決着をつけたい、こういう方針もよくわかりました。大体いつごろをめどと考えたらよろしゅうございますか。
  104. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 決める前には私自身が行って見なけりゃいけないと考えておりますので、いろいろ政治日程等も考慮しまして——私はいますぐ、今月中に行けるかどうかわかりませんから、やはりそれを考えますと、幾ら早急にといいましても今月中というわけにはいかないと思います。
  105. 小山一平

    ○小山一平君 そうすると来月ですか。
  106. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 来月いっぱいはかかり、まあ八月ごろになりますか、その辺のところはまだ、いまいつということをはっきりここで申し上げられませんが、いずれにしましても私自身が見た上で、帰りまして最終的に結論を出したい、かように考えます。
  107. 小山一平

    ○小山一平君 田中金脈の中の信濃川河川敷問題は土地買い占めの典型であるばかりでなしに、政府権力者の地位利用の疑惑がきわめて濃厚でございます。松澤行管庁長官はその調査が必要であるということを認められまして、行管による建設省のそれについての調査が実施されました。昭和五十年九月、行管が発表した「信濃川蓮池地区の河川管理に関する行政監察結果」というのを発表されました。これによると昭和四十一年十月、質疑の中で、建設大臣の答弁によって、問題の築堤については、建設省はかすみ堤として、いわゆる流水の調整を図る導流堤であって、連続堤に計画変更する意思がない、こういうことを明らかにしたその当時の建設省での検討経過及びその結果は明らかでなく、それとの対比における連続堤への計画変更の経過を明らかにするものになっていないと指摘をいたしております。また、「今回の調査に必要な「河川改修五ヶ年計画書」 「工事実施計画関係書」等は永久保存とされているにもかかわらず、責任者、作成年月日等が明らかな原議はほとんど保存されていない。また、永久に保存すべきものと認められる総体計画及びその変更については、文書取扱規程上の文書に該当しないものと解釈しており、その原議が保存されていない。」等々指摘をされておりまして、だれの目にも不明朗な印象はぬぐえないばかりでなしに、疑惑の面を深めざるを得ないと思います。長官の御見解をお尋ねいたします。
  108. 松澤雄藏

    国務大臣松澤雄藏君) ただいまのお話でございますが、率直に申し上げまして、私自体といたしましては何としてでも早急に関係方面を調べるものは調べましてそして御回答申し上げたいという意思のもとにおいてそのように回答をしたであったであろうと、かように考えます。しかし私たちの方が極力調査をいたしまして、ただいまの御意見のようなぐあいにできるだけ早目に結論を出すような方向で今日までがんばってまいりました。しかしながら率直に申し上げまして、なかなかそのような状態までにいかなかったことも事実でございますので、現在段階においては、率直に言っていまのお話のように即座に解決をするというふうなことのような方面まで結論がつけられなかったということを申し上げざるを得ないのであります。要はいまのかすみ堤の問題にいたしましても、いずれにいたしましても、率直に申し上げまして直ちに結論づけたというふうなことは言い得ないのじゃないか。しかし、と言って建設省方面においてやっておることに対して、私たちは直ちに行政管理上の問題からして必ずしも不当であるというふうなことのみを考えておるわけではないのでございますので、御了承賜りたいと、かように思います。
  109. 小山一平

    ○小山一平君 建設省の回答によりますと、行管の監察結果についてずいぶん食い違った見解を述べておりますね。そこで行管とすれば、行管の監察結果という、あの公表された内容というものを訂正されるなどということはあるはずがないと思いますが、それでよろしゅうございますか。
  110. 松澤雄藏

    国務大臣松澤雄藏君) 現在の段階におきましてではございますけれども、率直に言って、まあ将来ともにというふうなことになるかもしれませんけれども、訂正するような意思は全然ないと、かように申し上げざるを得ないと思います。
  111. 小山一平

    ○小山一平君 そういたしますと、行管の監察の結果は、その真相を究明することはできなかったけれども、われわれがその結果を読んでみると非常に不明朗な疑惑を残していると、こういう結論になりますが、これは私どもが、だれが読んでもあれを読めば不明朗である、真相は明らかでないけれども不明朗で疑惑はいつでも残ると言わざるを得ない、こういう監察結果である。私どもはそう受けとめます。それでいいでしょう。
  112. 松澤雄藏

    国務大臣松澤雄藏君) 率直に申し上げまして、かすみ堤の締め切りに至る計画変更の経緯については検討の基礎となる現存の文書が限られておりますので、現存する記録から実態を解明し切れなかった部分があったということであります。その間の経緯について疑惑があると考えているわけではございませんので、さように御了承賜りたいと、かように思います。
  113. 小山一平

    ○小山一平君 解明ができなければ——疑問があったので調査をしたが、解明できなかったら疑問はそのまま残るでしょう。行管では疑問があるとかというふうに断定はしないとおっしゃられるのはわかりますが、行管が発表した監察結果という文書を読めば、だれが読んでも不明朗で疑惑は残っていると、こういう事実は否定できないと思いますよ。新聞などの報道によりますと、建設省の回答文書というものが行管の監察結果と大変な食い違いがある、これについて何か行管の方と建設省の方でその食い違いを食い違いでないような、意思統一みたいなものがされたとかなんとかというようなことが言われておりますが、事実ですか。
  114. 鈴木博

    説明員鈴木博君) 昨年の十月の衆議院の予算委員会におきまして御質問がございました。その際に、建設省の見解と行政管理庁の見解が一致していないと、すなわち政府として見解の不統一を来たしているという御指摘がございまして、私ども立場といたしましては、見解そのものが不一致というわけではございませんで、立場のこれは違いではなかろうかということで建設省の方とも、これは当然のことだと思いますが、いろいろ協議いたしました。その結果、行政管理庁及び建設省の方でその疑問になりました点について見解の不一致はないという意味の文書を両方で出した経緯がございます。
  115. 小山一平

    ○小山一平君 おかしいですね。私どもがいただいている行管の出した監察結果と建設省が出した回答と、これを対峙していくと非常に大きな隔たりがある。問題点が存在をする。にもかかわらず行管と建設省で隔たりがないという、意思統一ができるなどというのは、これはおかしいじゃないですか。あの文書を並べて読んでごらんなさいよ。どうして意思統一ができますか。
  116. 鈴木博

    説明員鈴木博君) これはちょっと内容にまたがりますけれども一つの問題は、工事を実施する上の文書の問題と、もう一つは、かすみ堤を連続堤に切りかえましたその経緯を監察するという二つのいわゆる問題があったと存じます。まず前者の工事を実施するという関係の文書につきましては、伺い書きがついておりません関係上、これを原議という断定ができなかったわけでございますが、しかし工事の実施計画とそれに基づいて行われました工事の結果というものを照合しますと、これはその計画どおりにできております。したがいまして、工事の実施計画というのは、いわゆる伺いはついていないけれども真正であったであろうという判断を私どもはしております。それからもう一つのかすみ堤が連続堤に切りかえられたその経緯の問題につきましては、これは監察した当時におきましても、三十八年の総体計画から四十一年を一区切りにして考えました場合には、何にも記録が残っておりませんので、これは私どもとしては確かめようもないということでございました。それから四十三年度の個所別変更という文書もございますが、調書というものもございますが、これによりますというと、検討した結果かくかくの効用があるという意味の文書が残っております。したがいまして、これは推定としまして検討が行われたであろうと、四十一年度以降において検討が行われたであろうという見解を持ったわけでございます。  以上を結論づけてみますというと、工事実施の関係の文書につきましては、これは内容を真正のものであろうと私どもは疑いません。それから検討経緯の問題につきましては、私どもの監察が行われた後に建設省の方で調べました結果、当時の関係者に当たりましてわかったことは、検討が行われなかったと、連続堤にするということについての検討は行われなかったということでございましたので、これはやはり建設省としてそういうことが事実そうであるならばそういうことだったろうと思うわけでございますが、客観的にその検討の記録が残っていない以上、私どもは断定することはできないわけでございます。恐らくは建設省としてそういうことで締め切りに至った検討を行ったであろうというほかはないわけでございます。
  117. 小山一平

    ○小山一平君 長官がすでにこの問題について行管として行政監察を行うと、こう言明したときに行管事務当局はきわめて消極的で戸惑っているというふうに当時の新聞が報道をしていたことを思い返せば、今日の状況がさもありなんというような感がしないでもありません。私はどうも金脈問題については、すべての行政当局が挙げて田中金脈事件を徹底的に究明するという姿勢に欠けて、灰色に包み終わらせようとしているものだ、こういう疑念を取り除くことができません。しかし、いまここでその議論をしていく十分な時間がございませんが、私はただいまの説明によりましても納得ができないことだけを明らかにしておきます。  次に建設省にお聞きしますが、私の経験によると、建設省はこうした築堤工事を実施する場合には、特定企業、特定個人がその工事によって特別な利益を得ることのないようにという方針を従来とってこられたはずだと思いますが、そうでしょうか。
  118. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) いまの先生のおっしゃいますのは廃川処分に当たっての問題だと思いますけれども、廃川処分に当たりましては(「廃川処分の工事の話だよ」と呼ぶ者あり)工事でございますか。(「工事の話だろう、いまの質問は」と呼ぶ者あり)ちょっと御質問の趣旨が十分くみ取れないんでございますけれども……。
  119. 鈴木力

    委員長鈴木力君) まずその答弁続けてください。
  120. 小山一平

    ○小山一平君 わからなきゃもう一度言いますよ。
  121. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 廃川処分の問題と思って御答弁申し上げるわけでございますが、工事を進めます上におきまして防災上の工事が済みますと不必要な土地が出てまいりました場合には廃川処分をするわけでございますが、この廃川処分するに当たっては、河川区域といたしまして存置する必要がないと判断した場合に行うことでございまして、その結果が一般企業云々という問題につきましては直接関与する場がないわけでございます。
  122. 小山一平

    ○小山一平君 それはおかしいですね。私の経験によればということを私が申し上げましたが、私が市長在任当時にこういう事例がありました。築堤をじゃかごで一応処置してあったものを、本堤を築くときに川の中へ本堤を築くというように私が河川局に交渉をいたしました。そのときに河川局は金をかけて本堤をここへ築けば当然旧地主に返還をする土地がここに出てくる。そうすると、いままで無に帰した土地が有効な土地として生まれ変わるわけですから、その土地の前所有者は多大な利益を受ける。こういうことは建設省としてはできない。できるとすればその土地を公共団体が買収をして公共用地として活用をするという条件が確認されなければそういう築堤はできない。こういうことで私が旧地主と交渉をして、本堤ができた暁にはこれを市の公用地として活用をするという条件をつくって堤防をつくってもらったことがあるんです。田舎のささいな地主に対してはそういう対処をしながら、室町産業のようなこういう企業に対してはそういう配慮は一向にしないというのは一体どういうわけですか。
  123. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) まあ先生が御存じのように、千曲川水系におきましても多くのかすみ堤が残っておるわけでございます。一般に堤防事業というものはその背後に控えます大きな土地利用があるわけでございまして、これはいわゆる一般の地域住民を守るための堤防工事であるわけでございますが、その中に、いま先生のおっしゃいますのでだんだんわかりましたけれども、かつての治水事業にはかすみ堤がずいぶん残っております。これを締め切るに当たっては、治水上の観点から十分まず検討いたすわけでございます。したがって、いろいろ市町村から早く締め切ってほしいという陳情も全国各地にもございますけれども、治水上の観点から考えまして、この時期の判断につきましてはいろいろと議論してまいっておるわけでございます。したがって私どもの方はやはり治水上の観点が中心になりまして、そしてこれが問題ないということで締め切った場合は旧地主に九条地の場合はお返し申し上げると、こういうことに現行法がなっておるわけでございますので、あくまで旧地主に返すということを行って今日まで廃川処分という一つの手続をとっておるわけでございます。その際におきまして、いま信濃川におきましても旧地主へお返しするという形に河川法上ではなるわけでございまして、全国いずれの考え方も同じでございます。
  124. 小山一平

    ○小山一平君 そんなことあんたに言われなくたってわかっているんですよ。それは廃川処分をする段階に来れば旧地主に返還をいたします。しかし私の経験したことによれば、旧地主に返還をされるそのことについて、建設省はそれを公共用地として使えるようにするということを前提にしなさいという厳しい指導を行われたじゃありませんか。旧地主に返すんだからそれが室町産業がどういうふうに介入してようが、こうしようが建設省は関知をしないというのは私は納得できないんですよ。そういうことは一切ないんですか。私にだけ特別なことを注文つけたんですか。
  125. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) いま先生に対する私の答弁は、いわゆる河川法上の一つの答弁でございます。まあ御承知のように私ども川というものが地域住民のためであるということをやっておる立場からは、やはりいろいろのお話がありましたときには希望的なことを申し述べることもあったと思います。またそういうことが河川法上とは離れて望ましい姿であるということでいろんな議論を当然私どもは現場におりましてもそういう議論は交わしますけれども、河川法から判断いたします廃川処分については先ほど申し上げたことになるわけでございます。
  126. 小山一平

    ○小山一平君 いや、河川法に基づいて廃川処分をしていく、そのことについてはそのとおりです。そんなことはもう明らかなんですけれども、いまも触れられたように、いろいろ私の経験したような指導をすることもあると、こういうことでございますから、それでは昭和三十九年から四十、年にかけて室町産業が民有地を約三十ヘクタールも買収し、さらに旧河川法によって国が無償で地主から接収していた、廃川処分がされれば当然旧地主に返還されるはずの土地が約三十五ヘクタールも、室町産業が旧地主との間に、そうなったときの売買契約を結んでいるということがすでに明らかで、明らかであるからこそ国会で建設大臣にかすみ堤を連続堤にすれば室町産業はとんでもない暴利を生むことになるということでそのことも確かめられたわけですよ。ですから建設省もそのことを十分知りながらどうしてこの信濃川河川敷だけにはさっきおっしゃったような指導をされなかったんですか、田中さんが後にいたからですか。
  127. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 当時の指導云々というお話でございましたけれども、先ほど申し上げましたように河川法上につきましては河川区域として存置するかどうかということが判断基準でございまして、処分後の土地利用につきましての河川管理者といたしましてはこれに関与する立場ではございません。これがたてまえでございまして、ただいまのお話の信濃川につきましては、そういう問題につきまして積極的にこういうものに河川管理者として関与した経過はなかったように私は思っておりますし、また河川管理者としてもやむを得ないことだと考えておるわけでございます。
  128. 小山一平

    ○小山一平君 法律に基づくことなんか私は問題にしていないんです。さっきそういう指導をしたこともあると言ったじゃありませんか、現に私にしたじゃありませんか。それなのにどうして何十億も、あるいは百億もこの連続堤が完成をすれば特定企業がぼろもうけをするということが明らかなのに、これに限ってはいささかの指導もされなかったということは大変片手落ちであり、そこに当然疑惑を感ぜざるを得ないのではないかということを私は申し上げているのですよ。
  129. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) こういうように国会議論になりまして私どもも初めて、室町産業と旧地主との間の停止条件つき契約というものを初めて実は知りまして、それまで全然私どもは存じておりませんでした。そういうような背景がもちろんありますし、全国的にもそういう廃川処分後の土地利用というものに対してその旧地主さんがどういうことをなさっているかということは現在においても各地区ではわからないわけでございます、河川管理者としては。たまたまいま先生がおっしゃいましたのは非常にこの廃川処分後の土地利用を市町村が積極的にこの問題を勉強なさいましていろいろと御陳情がある場合もあります、そうでない場合が大半でございますけれども。そういう点に関しましてはそういうお話があったときにはそういうようなお話を受けとめて、そういうことならば少し工事を、将来計画になっておるけれども——そういうことで若干御協力する場合もあったかもしれませんが、具体的な問題でよくわかりませんけれども、そういう意味で申し上げたわけでございます。
  130. 小山一平

    ○小山一平君 局長ね、昭和四十一年十月二日、当時の橋本建設大臣が連続堤にする意思がないと国会で答弁したのはどういう経過だか明らかでしょう。すでにこのときは室町産業があの広大な土地の買収をした。かすみ堤を連続堤にすれば室町産業は膨大な利益をむさぼることになる。そういうことが明らかだから国会で建設大臣にかすみ堤でいくのか本堤にする考えがあるのかないかということが確かめられたわけでしょう。建設省の皆さんが国会でそれだけの論議があって、建設大臣国会ではっきりと答弁をしているにもかかわらず、その土地がどういうふうになっていたか、われわれには関知するところでないなどということが言えますか。建設省は大臣答弁というものを一体どういうふうに考えているんですか。大臣国会で答弁したということはこれは大変なことですよ。私は建設省がいまそんなことをおっしゃっているからこそ、大臣がこうやって国会でかすみ堤のままにしておいて連続堤にはしませんと、こういう答弁があったからには、本堤をつくるときには当然国会を通じて、あのときはかすみ堤の予定であったから、かすみ堤であると答弁はしたけれども、これこれこういう経過に基づいて連続堤に計画変更をすることにいたしたいとか、いたしたとか、こういう手続がとられるのが常識でしょう。あなた方は大臣答弁を全く無視をしたり国会軽視をしていることですよ。そうじゃありませんか。
  131. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 昭和四十一年に当時の橋本建設大臣が答弁なさった内容につきましては、御承知のとおり三十八年の総体計画を受けてそのとおりを申されたわけでございます。その後四十三年に計画を変更いたしまして意思決定を建設省がしたときに、国会の場でこの問題について十分私どもの方が申し出て諮ると、お話をするという機会が非常に望ましかったと、私ども現在つくづくその点については考えておるわけでございまして、その点につきましては先生のおっしゃるとおりだと思っております。
  132. 小山一平

    ○小山一平君 それから行政管理庁にお尋ねいたしますが、こういう広大な土地の買い占めの場合には当然農地法にかかわる問題がございます。農林行政の面から、この土地の買収あるいは権利移転というようなものについて適正であるかどうかというようなことも調査をされる必要のある問題だと思いますが、こういう調査をしたこともございますか。
  133. 鈴木博

    説明員鈴木博君) 実は蓮潟地区の監察に当たりましては、主として河川管理の問題、なかんずく、かすみ堤がなぜ連続堤に切りかえられたかという、そこにポイントを当てて監察いたしたものでございます。したがいまして河川敷そのものは河川管理の今回の監察の対象にはいたしませんでした関係もございまして調査いたしておりません。なお農地法との関係等につきましては、当然のことながら農林省の方の問題かと存じております。
  134. 小山一平

    ○小山一平君 いや、私の言うのは農林行政が適正に行われているかいないか、こういう問題を通じて監察をする必要があったのではないかということを指摘をしたわけです。してなければそれでよろしゅうございます。  それじゃ農林省にお尋ねいたしますが、廃川処分が行われますと当然これは旧地主に返還されます。この土地は農地法上どういう位置づけになるでしょうか。
  135. 田中宏尚

    説明員田中宏尚君) 現在の河川敷が廃川処分されまして旧所有者に返りました際に、現況が農地でありますれば当然農地法の許可規制の対象になりまして、旧所有者が取得した土地を他人に売却するという際には、農地法の三条なり、あるいは農地法の五条なり、こういう規定の許可というものが必要になってくるわけでございます。
  136. 小山一平

    ○小山一平君 皆さんは、現在その土地が農地として認定さるべき条件にあるかどうかということを調査したことございますか。
  137. 田中宏尚

    説明員田中宏尚君) 農林省自身で調査したことはございませんけれども、現況農地かどうかという認定につきましては、第一義的には地元の農業委員会なり、あるいは県庁の農地担当部局、こういうところで現況を把握していただきまして、それに基づいてわれわれも判断するということをやってきておりますが、今後この土地が廃川敷処分をされた後にその現況が農地であるかどうかにつきましては、ただいま申し上げましたように新潟県なり、あるいは農業委員会なり、こういうところの判断も待ちまして適正な指導というものはやっていきたいと思っております。
  138. 小山一平

    ○小山一平君 農地と農民を守る立場の農林省が、これだけ大きな問題となっているのに新潟県や地元の農業委員会からこの土地の状況などの報告をすでに聞いて、そうして農地と農民を守る立場でこの土地問題が処理されていくような関心というものを、余りに持たないというのは大変怠慢ではないですか、そんな気がしてなりませんが、多少はそういう状況の報告などを求めたことがございますか。
  139. 田中宏尚

    説明員田中宏尚君) 本件土地につきましてはいろいろ各方面から関心の強い土地でございまして、われわれといたしましてもただいま先生御指摘になりましたような立場で重大な関心を過去も払ってまいっておりまして、現況等につきましては地元の農業委員会あるいは県からのいろんな報告はもちろん受けておりますけれども、現時点で何ヘクタールが具体的に農地であるかというところの確認までは至っておりませんけれども、現実問題として過去何年くらい前まではここを現実に野菜生産等に使っておりましたことから言いまして相当部分は農地であるというふうにわれわれも考えておる次第でございます。
  140. 小山一平

    ○小山一平君 そういうことになりますと、室町産業が当事者間でどのような契約をしたとしても権利移転というものは簡単にできるものではないと、こういうことを確認してよろしゅうございますね。
  141. 田中宏尚

    説明員田中宏尚君) そのとおりでございます。
  142. 小山一平

    ○小山一平君 こういたしてまいりますと、あの河川敷の処分問題というものはこれ大変幾つかの問題をはらんでおります。総理が国民の納得のいくような処理をする、こういう約束をしています。さっき来やりとりをしてまいりましたように、とてもとても国民が納得をするような段階にこの問題が究明されておらない、こういうことですから、当然河川敷の廃川処分というものはいまの段階ではできないし、しない。さらに問題を究明をし、三木総理が言うように、国民が納得する条件が整った暁でなければ河川敷の廃川処分は行わない、当然建設省はそういう見解だと思いますが、いかがですか。
  143. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 幾度も国会の場におきまして建設大臣が御答弁申し上げておるとおりでございまして、ただいま先生がおっしゃいました背景を背景にいたしまして行政管理庁の方の監察結果等の問題点も衆議院の予算委員会の小委員会にも付託されておりましてその方でも検討なされておるわけでございまして、その結果を待っていわゆる大臣は総理ともいろいろお話しなさるでございましょうし、国会関係等も配慮されまして後に決められると、こういうことになっておるわけでございまして、ただいまのところ廃川処分をすぐするということに決まったわけじゃございません。
  144. 小山一平

    ○小山一平君 農林省にお願いしたいと思うんですが、いまも課長から答弁があったように相当面積が農地である、こういうことであれば、宝町産業がどういう契約をしても権利移転の法的手続はとれない、登記はできない、したがっていろいろ取りざたされているように室町産業が長岡市にこの土地を売却をするなどということもこれは筋が通らない、こういうことになろうかと思いますね。そこで農林省には、ぜひとも現地の農業委員会あるいは新潟県等に対して、農地法に基づく農民の土地というものを守る立場で適正な運営ができるように取り組んでいただきたいと思うんです。室町産業が裏の方でどういう取引、契約をしたにしても、それはあくまでも廃川処分になった場合でも室町産業のものではない、農民のものだ、こういう見地をやっぱり貫くような指導をされるのが農林省の任務だと思います。どうでしょうか。
  145. 田中宏尚

    説明員田中宏尚君) 廃川処分された後の土地で農地なものにつきましては、先ほど来申し上げておりますように当然農地法の許可が必要でございまして、農地法の許可が取れるまでは他人の所有には渡らないわけでございます。そういう立場で廃川処分後もそういう正規の手続があるまでは当然旧所有者のものであるということはこれは周知の事実でございまして、われわれといたしましてもそういう立場で廃川処分後の土地の成り行きというものを厳重に見守っていきたいと思っておるわけでございます。
  146. 小山一平

    ○小山一平君 実はきょうは行政管理庁に対して特殊法人の問題、天下りの問題、行政改革の問題などについて御質問をいたしたい予定でおりましたけれども、時間もすでに経過をいたしておりますから、それらの問題については次の機会に譲ることにいたしたいと思います。せっかく厚生省などからも来ていただきましたけれども、そういうわけでございますから、大変恐縮でございます。  そこで私は、委員長お願いをいたしたいんですけれども、衆議院予算委員会では予算委員会の小委員会においてこの問題が論議をされ、そこで承認を得るまで廃川処分をしないということになっているようであります。この問題は本決算委員会で火を噴いた問題であり、大いに論議を重ねてきた事件でもあり、これからも恐らくいろいろと議論が深められなければならない問題でございますから、ひとつ本決算委員会でこの問題がすっきりするまで河川敷払い下げは行うべきではない、こういうことを委員長立場で総理並びに建設大臣に強く申し入れをしていただいて確認をしていただきたい、こういう御提案を申し上げたいと思います。
  147. 鈴木力

    委員長鈴木力君) いまの小山君の申し入れに対しましても理事会で相談をいたしまして、理事会の議を経て善処したいと思います。
  148. 小山一平

    ○小山一平君 以上です。
  149. 鈴木力

    委員長鈴木力君) それでは午後一時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時四十九分休憩      —————・—————    午後一時三十四分開会
  150. 鈴木力

    委員長鈴木力君) ただいまから決算委員会々再開いたします。  午前に引き続き、昭和四十八年度決算外二件を議題とし、総理府のうち、行政管理庁科学技術庁及び環境庁決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  151. 石本茂

    ○石本茂君 私は行政管理庁の所管をしていらっしゃいます国家公務員の定員削減に関しましてちょっとお尋ねしたいと思うのでございます。  まず、現在ただいまの状況というのは、昭和四十九年の八月に閣議において決定されましたその線に沿って各省庁などが定員削減の方向に向かって努力をしておられるわけでございます。私は各省庁におきまして、このことのために業務の簡素化あるいは合理化あるいは人事管理の適正ということで大変御努力もされ、苦慮されておることも目の当たり承知している者の一人でございまして、果たして四十九年の時点でどういうふうなはじき方をされているか、これは大変失礼な言い方をしますが、行政の現場はむしろ多岐にわたってきてしまって、人減らしどころかむしろ定員増をどこでもが要望しなければならない実情にあるように思うのですが、これは私のひがみでございますか、ということが一つと、それからもうすでに昭和五十年度の定員削減の目標が今日達成されておりますのかどうか、その辺についてまず初めにお尋ねしたいと思います。
  152. 加地夏雄

    説明員(加地夏雄君) 現在国家公務員全体につきましては、定員削減計画、お話のように第三次の計画は四十九年度から実施されておるわけでございますが、御承知のようにこの定員削減計画は、実は四十三年度から始まっておりまして、今日まで第一次から第三次に来ておるわけでございます。まあ先生御承知のように国家公務員についてなぜ削減計画を実施するのかという問題が一つございますけれども、御案内のように国家公務員の仕事、これはいわゆる行政事務とか公務とか言われておりますけれども、民間の仕事に比べまして一般に、これは一般論でございますが、コスト意識が非常に薄いと、こういうふうに言われておるわけでございます。したがいまして、この削減計画の基礎になっておる考え方と申しますのは、やはり行政需要に非常に消長のある行政事務につきまして常に見直しをやりまして、いわゆる行政需要の強いところには増員措置を講ずるかわりに、行政需要が停滞しているようなところ、あるいは少し減少しておると、こういうところについては削減をしていくと、こういうことが必要であろうということでございます。これが実は四十三年に国会で成立をさしていただきました総定員法の考え方の基礎でもございます。したがって、この削減計画は、こういった総定員法の考え方を受けまして、具体的には先ほど申しましたような削減計画を実施してまいったわけでございます。  で、全体の数字を申し上げますと、仮に総定員法の一条定員で申し上げますと、この三次にわたる削減で約五万人近い定員の削減をいたしております。それに対しまして、御承知のように四十年代というのは、非常に行政需要の強い時期でございまして、そういう新しい行政需要に対しましては増員措置を講じてきておるわけでございます。その数が約四万八千でございます。したがいまして差し引き四十二年度以降今日に至るまで国家公務員の総数、一条定員につきましては二千人の減になっておるわけでございます。  それからいま直接お尋ねのございました第三次計画でございますが、これは五十年度を初年度といたしまして、五十一年、五十二年とこの三ヵ年で全体としては三年三%の削減をやっていくということでございます。しかもあの計画では、当初設定されましたときは四、三、三の比率、つまり初年度が一・二、それから二年度、三年度が〇・九ということでございましたが、御承知のように昨年以来の財政危機とか、あるいはいろいろな情勢から、総定員法を堅持する必要があるということで、この四、三、三の比率を四、四、二というふうに繰り上げをいたしまして、したがいまして今日までほぼその全体の八割と申しますか、そこら辺が削減が実施されておるということでございます。
  153. 石本茂

    ○石本茂君 その削減の理由についてはよく承知するわけでございますが、実際その職場の中で、人は減った、減ったけれども超過勤務時間がふえていったというようなこともあり得るんじゃなかろうか。私は全部の省庁はよくわかりませんが、厚生省だけの窓口から見ておりましても、あれは昔私どもがおった時代と違いまして、ますます業務はふえていっているように思うんです。そこへ削減が入ってきているということになりますと、本当に信頼できる行政が事務的に行われていくだろうかということが、大変私など素人でございますから心配するわけですね。ですから、減らさなければならぬという帳じりばかりを合わせることを急いで、実際の業務の場が、あっちもこっちも穴があいていったのでは、かえって国民のサービスの中で、どう言いますか、むだという意味じゃなく、非常に迷惑をかけるんじゃなかろうかということを心配するものですから、まあこういうことを聞いてみたわけでございます。  次に私がきょう特に視点を置いておりますのは、国立機関の医療施設でございますね、厚生省、文部省等の持っております病院、療養所などの実態につきまして、理由はわかりますが、いささか納得できないというものが日ごろございますので聞いてみたいわけでございます。で、直接患者に接触しております医師とか看護婦等につきましては、非常な御理解をいただきまして、今日削減対象から外しているとは言えないと思うんですが、一応削減の対象にはしておりません。あわせまして、必要があれば即応しながら増員をしておりますと。これは現実そうしていただいておりますので、私もこのことについては御苦労をいただいて大変だろうなという気持ちで、反面感謝しながら、反面まだまだ足りない足りないと文句を言いたい一人でございますが、問題は、その他の職員たとえば行(一)とか行(二)、ここにやはり削減がかぶってくるわけでございますね。そうしますと、一人の行(一)の職員がいなくなることによりまして、大病院はともかく小さいところにまいりますと、その事務が全部他にかぶってしまう、仲間同士ではもうしょい切れないということで、行(一)同士あるいは行(二)の事務職じゃなく、はっきり申しまして看護婦にみんなしわ寄せが来てしまっている。看護婦の方では定員ふえましたとおっしゃいましても、実際の現場に行ってみますと、減っただけの分が何もかも全部看護婦の頭にかかってきて、掃除もせんならぬ、使い走りもせんならぬ、何もかもせんならぬということで雑用がますますふえていってる傾向が一つあるわけでございます。こうなりますと、真の看護婦としての職責を果たすことができない事態がもう出てしまいまして、そのために、知っていてくださるように、重病人でございますとか、非常に手のかかります患者さんに対しましては、個人付き添いをつけてください、とても私どもの手では見れませんという実態が出てしまいまして、これは働いている職員、特に看護婦のために増員を希望しているんじゃございませんで、そこに入ってこられた御病人のサービスの低下をこれ以上してはならないという意味合いでの増員ということを、日ごろお願いしてきているわけでございます。こういう意味で私は行(一)、行(二)、他の職員の削減をかぶらなきゃならないということに対して、理屈はわかりますけれども、どうしてもこの現場の実態の中で納得いかぬわけでございますが、こんな愚鈍なことではいけないんでございましょうか、その辺をひとつ聞かしていただきとうございます。
  154. 加地夏雄

    説明員(加地夏雄君) 先ほど私がお答え申し上げました言葉で舌足らずがございまして、いま先生が御指摘のように、削減計画を実施するのはいいが行政サービスが低下するのではないかと、こういう御質問がございました。実は私も前回のところで申し上げるべきだったんですが、ただ私どもは無理やりに数字合わせの形で削減をしておるわけじゃございませんで、一方におきまして、行政事務の合理化努力をやってきておるわけでございます。  具体的に申し上げますと、たとえば事務の機械化でございますとか、あるいは民間委託でございますとか、そういった合理化をやっていただきながら、そこで削減ができるような人員を生み出して、それをもとに増員措置をやっていっておるということでございます。したがいまして、私どもが非常に頭に考えておりますことは、この削減計画によって行政サービスができるだけ低下しないようなそういう努力は、ある意味においては業務能率の向上ということもございましょうし、そういう形でやっていただくという上に立ちましてこの削減計画をやっておるわけでございます。  それから、いま御質問の医療機関における医師看護婦以外の職員の定員問題でございます。これも若干詳しく申し上げますと、先生御承知のように国立の医療機関、特に国立病院とか、あるいはその療養所の場合でございますが、二十年代、三十年代は御承知のように日本の結核問題を、第一線の施設として大きな成果を上げたわけでございますが、そういった結核対策から、四十年代に入りましていわゆる重度心身障害者でございますとか、あるいは難病でございますね、新しいそういう政策医療というものに向かっていって、それが相当大きな行政需要という形ではね返ってきているわけでございます。さらに文部省の関係で申し上げますれば、いわゆる無医大県の解消ということで医科大学がどんどんつくられていくわけでございます。それに伴いまして当然大学の付属病院というものがつくられてまいります。そういう形で医療関係従事者というのは非常に現在の行政事務の中では大きな行政需要という形で出てまいっているわけでございます。  で、先ほど申し上げました定員管理の中では、そういう医療機関の職員に対しましては、これは先生御承知のように、一方において削減計画におきましては、学校の先生でございますとか、あるいは看護婦さん、医師、こういった方には、これはいわば合理化の非常にしにくい分野、むずかしい分野でございまして、御承知のように三次計画においてはもうすでに削減の対象外にしておるわけでございます。一方、そういう新しい行政需要の方に対しましては、先ほど申しましたように全体としては公務員の定数はふえておりませんけれども国立病院、療養所で申し上げますならば、約五千人が純増になっておるわけでございます。それから大学の付属病院につきましても約三千七百名でございますか、そういう医療機関で申しますれば約八千近い数が純増をされておるわけでございます。また大学の進学とかそういった問題も含めて文部省関係で申しますと、一万五千人近い純増を見てきておるわけでございます。  ただ、直接の御質問にお答えいたしますと、そういう、たとえば医療機関で申しますならば、医師、看護婦は確かに削減もなければ、一方必要な増員が行われておると。それに対して病院とか療養所というものは、まあ当然のことですけれども、お医者さんと看護婦さんが中心になりますけれども、それ以外の施設管理要員と申しますか、あるいは補助者と申しますか、そういう人間がたくさんおりまして、それで経営、運営が成り立っておるわけでございます。したがって先生の御質問は、そこら辺のいわば行(二)関係職員と申しますか、補助職員と申しますか、そういうところに非常に定員上のゆがみがきておるんではないかと、こういう御指摘だろうと思います。  これは先ほど来申し上げております全体の公務員の定数管理の考え方から申しますと、やはり合理化の非常にしやすい部分としにくい部分がございまして、医師、看護婦の場合は別にいたしますと、たとえば行(一)職員でございます。これは病院の事務局の職員でございます。そういう方々ば一般行政官庁における事務と同じように、ある程度のそういった合理化措置を、努力をやっていただかなければいけないというふうに考えておるわけでございます。したがいまして結局、病院、療養所だけを取り上げてみた場合には、削減がいかにもそこにかたまって、そこにしわが寄っておるということでございますが、まあいま行われておる定員管理全体から考えますと、そういう努力を積み上げて病院なり学校の需要を賄っていっておるということでございまして、そこら辺はひとつ御了承をいただきたいと思うわけでございます。
  155. 石本茂

    ○石本茂君 よくお話がわかるわけなんです。わかるんですけれども、その現場を見ておりますと、私自身は昔小学校に勤務したことがありますし、それから厚生省でも末輩の役人で仕事したこともありますし、それからまた現場でしりに火のつくような仕事もしてきたわけでございますが、人間の命を預かる病院、療養所というところは、これは机の上ではもう考えられない厳しいものがあるわけなんです。ですから私は、行(一)一人ぐらい減らしてもいいじゃないかというお考えだけは、こういう人間の命を支えなきゃならない現場についてはほんとに御配慮願いたい。もうよそ並みに削りゃ何とかしていくだろうと、そういうものじゃないんでございますね。ですから私はこの機会に、大臣もお見えでございますが、ぜひともこういう、同じ現場でありましても人間の生命を預かって、しかもその生命管理をしながら健康に戻すという役割り。かといってやはり亡くなっていく人もしょっちゅうあるわけでございますが、これはとてもいまここで頭で考える場とちょっと違うんでございます。それがどうも、これは行政管理庁関係ございませんが、現場がおろそかにされておりまして、私ども厚生省で行政の仕事をしておりましたときには、行政官の俸給をもらいました。一たんがんセンターに行きますと、ここでは現場の総婦長の仕事ですから、俸給が下がるわけでございますね。あんな厳しい仕事を命をかけてしていくのに、何と日本の国は現場職員をおろそかにしているかということと、この定員配分につきましても、私はいま申されましたように、お役所並みの考えではこれはとても片づかぬというふうに思っておりますので、その辺を篤と御理解をいただきまして、今後の定員削減につきましては、どうか現場、特に生命を預かる現場につきましては御配慮願いたいという気があるわけです。  それからもう一つ、さっきから申しておりますように、老人医療費は無料化と言ってますが、これは厚生省に言うことかわかりませんが、看護力がないばっかしにお世話ができなくて個人付き添いをつけますと医療費は無料であったけど療養費がもう十数万かかるというようなとっぴもない現実が出てしまいまして、非常に御病人には御迷惑をかけているのが現在の日本の医療行政でございます。しかし、よう考えてみると、この首根っこをつかまえておられるのが、国立病院につきましてやはり定員問題でございますので、まあ行政管理庁のお立場では大変これはいやなことであり、つらいことであり、とんでもないことだとお考えかわかりませんが、その辺を二つ三つ回りあわせて、やっぱりこれはひとつこの機会に現場のそういったところの定員等については何か別途考えなきゃいかぬだろうかというようなことをお考えいただいておりますものかどうか、これは担当官並びに大臣の御所見を承りたいと思います。
  156. 加地夏雄

    説明員(加地夏雄君) 先ほど申し上げましたように、公務員全体の定員管理の中で、確かに施設現場である病院、療養所について特別な配慮をすべきではないかという御質問でございますが、私どもこの定員管理をやってまいります中では、そういう医療機関の特殊事情というものは実はこれまでにもいろいろ考えてまいってきておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、一次計画、二次計画の段階では、これは全体の問題として、やはり医師、看護婦の場合も、率は非常に低うございますが、やはり削減をかけておったわけでございます。これは三次計画においては完全に対象外にしたという努力もしておりますし、それから先ほど御指摘の医師、看護婦以外の従事職員につきましても、そういうたとえば非常に重症な患者を特にめんどう見ておる施設であるとか、そういう施設の実態に着目をいたしまして削減率を軽減するとか、そういう実は措置を講じてまいったわけでございます。  ただ、まあ先生御質問のように、そういう中でもなおかつ定員事情というのは窮屈であって、別の考え方はないかという御質問でございますが、私どもは、これはいまのところそういう御質問に対しましては別に新しい考え方を持っておるというふうには申し上げられないわけでございます。と申しますのは、先ほどから申し上げておる趣旨のように、公務員全体の中でそういう合理化努力とあわせて必要なところに増員措置を講じていくという考え方をとりますならば、それはやはりでできるだけ公務員全体を抑えて、その中でそういう措置を講じていく方が非常にやりやすいわけでございます。現に先ほどから申しましたように、国立病院に五千人近い増員をやってまいりましたのも、それは全体の公務員の削減計画の中で行政需要の消長に応じた措置を講じておるからでございまして、そういう意味で、いまの段階としてははっきり別の考え方を持つということは私どもは考えておりませんというふうに申し上げる以外にないと思います。
  157. 石本茂

    ○石本茂君 恐れ入ります、長官
  158. 松澤雄藏

    国務大臣松澤雄藏君) ただいま看護婦の定員の問題について、従来から新規の業務量の増加に対応して必要な処置を講ずべく努めてまいったところでございますが、今後とも、ただいまのお話のように、必要に応じては適切な処置を講じてまいりたいと、かように考えております。いずれにいたしましても、私たちといたしましては極力皆さん方のおっしゃることをそのまま取り上げまして、そして御回答申し上げるというふうにいたしたいのでございますけれども、なかなかそういうふうにいかない場合が多々多いのでございまして、極力、多い中にも取り上げるような気持ちを持って接触していきたいと、かように考えさしておるわけでございます。御了承を賜りたいと思います。
  159. 石本茂

    ○石本茂君 いろいろ御配慮をいただいておることを私は身にしみてわかっておるわけでございますが、さっきの純増五千人あるいは八千人という数字でございますが、これは平地にもらうんじゃなくて、さっきお話のありました、たとえば結核五人に一人の看護だったところが重度心身に振りかわっていったとか、そういう実情があるわけでございますね。ですから平べったい平地におる者にとってはさっぱり恩恵がないわけですね。ですからみんなの文句がますます高まってきている。この高まってきております一つは、御承知いただいておりますように、人事院当局から非常によいお示しをもう十年前にいただいたんですが、夜間勤務は一人ですることはこれは好ましくない、やはり二人以上でするべきものだと。それから夜間勤務につきましても、深夜勤務でございますが、月半分以上もするんじゃなくて、やっぱりせめて八日間ぐらいにとどめるべきだというような言葉があったわけでございます。  ところが今日、国立関係を見ておりますと、東京都中心にかなりの国立機関ございますが、現にいまこれが実現しているのはがんセンターだけでございますね、国立、文部省も含めて。あとは全部そんなものは実現しておらぬのでございますね。ですから、やはりそういう人事院当局が言われたことが最高のものか最低のものかよくわかりませんけれども、せめて言われたことの半分ぐらいが実現してほしいというのがみんなの願いでございます。いまですと、二人以上の夜勤体制、まあ三分の一ぐらいいっているのかいないのか。それも夜になると看護単位を縮めましてそしてまあ何とかやっている。それから月八日どころか、もう十二・五日というのが平均出てしまって、ところによっては十五日もしているというのが現状でございますので、これは将来とも含めて一度現場をよく査察していただきまして、そしてしているからできるんじゃないか、できるからいいんじゃないか、これでは私どもちょっとがまんできません。いないからこそ、できないからこそしているわけでございます。  もう一つ、私、自分がその仕事をした人間でございますから、よく総婦長さんたちが当局へ参りまして、私怒るわけですが、夜はさびしいなんて。さびしいとは一体何だと怒りますけれども、これは本当にしてみた者でなければわからぬ。恐ろしいんです。自分の回り、いつ何どきだれが来るかわからない、患者さんだって、これ男の人いっぱいおりますし、中にはどういう素性かわからぬ人もおりますし、そういうことで私も若いときによく夜勤をしまして、何か身の回りじゆう化け物でも出てくるような気になりまして、そして患者さんが便がしたいという、その便器を整理することも、まあ、あしたの朝までほうっておこうという、何とも恐ろしいんです。現に一人夜勤をしていて殺されましたり傷つけられたりというのがもう随所に出てきておりますので、ますますみんなの気持ちが非常に高ぶってきている状態でございます。そういう意味で、ぜひとも人事院当局が十年前に示しましたあの方策が何とか近い将来に現場の中で実現できていけますように人事院御当局にぜひこれお願いしたい。  それからもう一つ、私大変これけしからぬことを一つ申しますが、よく人員増のことでお願いに参りますと、きょうここにお出ましの長官担当官が申された言葉じゃございませんけれども、いわゆる掃除あるいはまた洗濯等を外注にすればいいじゃないか。そしてそこにおる職員を上手にいわゆる配置転換をしてやればいいじゃないかというお言葉を下さるんですが、いざ大蔵省に参りますと、とってもそんな金は出してくれぬわけですね。そうすると、まるで困っていることのキャッチボールみたいに、行管に行けば、いや人はこれ以上出せませんからひとつ外注にやりなさいと言う。外注にするためにはお金が欲しいと思って大蔵省に行きますと、大蔵省は、いや、そんな金はないんだと。これじゃもう板ばさみになって、たださえ世の中のよくわからない院長先生方がうろうろばかりして、そして職員はだれ一人満足していないのが現在の、全部じゃございませんが、大方の国立所管の医療関係の実態でございます。これもようおわかりいただいていることを私はくどく申し上げているわけでございますが、この辺も十分に御了察をいただきまして、私は大変ばかげたことをきょう申しますけれども、いつまで一体いまのような定員の状況でこの医療機関はいくのでしょうか、いかなければならないのでしょうかというもう愚問をむしろきょうここで心の底から叫びたいわけですね、いつまでもいまのままでいくのでしょうかと。しまいにはお手上げじゃなくて、暴動が起きてしまったんでは御病人に迷惑をかけると思うんです。ほうき一本持って仕事をして見せかけをしながらうろうろとその辺を歩いているような職場じゃございません。みんな身いっぱい、手いっぱい仕事をしているわけでございますので、中にはあれちょっと整理すればよいのにと思われる面もあるかわかりませんが、何しろ厳しい現場でございますもんですから、私はどうにもここ後三年も五年もこのままの状況でがまんしろとおっしゃっても、それはもはやできない。できるとすれば、御病人に全部しわ寄せをして、そしてまかり通っていくであろうというふうに考えております。  もう一度、大変しつこいようでございますが、こうした私のお願いと訴えに対しまして、今後の方策をここで私はお示しくださいとは申しませんけれども、いつまでもだらだらだらだらと、こういうふうにいかれるつもりなのか。いや、やっぱりとにかく第三次が終わるとは言わないで、何とか態勢的には対策としては持っているんだと、具体的にはお聞きしませんけれども、せめてそういうお言葉ぐらい長官からいただきたいのでございますが、いかがでございましょうか。これは無理でございましょうか。
  160. 加地夏雄

    説明員(加地夏雄君) いま先生の御質問、二点ございますが、一つは例の看護婦さんの夜間看護体制の強化という問題で、いわゆる人事院のニッパチ問題の裁定に関する御質問だと思います。これは御承知のように、過去の、いままでの管理局のやってきたことをかいつまんで申し上げますと、人事院のニッパチ問題に対する裁定が出まして、私どもの方では昭和四十五年から三ヵ年計画でこれの必要な措置を一応講じてまいったわけでございます。したがって四十五年から四十七年間で一応ニッパチ問題に対する措置を行いましたということは、その当時の国会においても私どもが御答弁申し上げてきたわけでございます。ただその後、先ほどから出てまいりますように、難病対策でございますとか、手のかかる患者を扱うという場合が非常に多くなりまして、そういう意味で実は御承知のように昨年から五十年度、五十一年度の査定におきまして、そういう実態を十分考えながらできるだけそういったニッパチ問題の解決を定員事情の許す中でやっていこうという形で、実はこの二年間に約数百名でございますか、を増員という形でやってまいったわけでございます。これはやはりそのときそのときの全体の定員事情を考えまして、その中でできるだけのそういう積み上げ、努力をやっていきたいということでやったわけでございまして、したがいまして、これを継続的に計画的にやっていくのかということになりますと、それは私どもはそういう計画的な形ではございませんで、そのときの定員事情を考えて考えていく以外にございませんというふうに申し上げねばならないと思うのです。  それからもう一点は、こういった厳しい、特に医療関係については厳しくなっておるという御指摘で、定員管理を続けるのかという御質問がございました。これにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、公務員全体の定員管理という問題がございます。やはり行政需要の消長に応じまして適正な定員の再配置を図っていく、しかもその中でやはり公務員全体の総数の増加は極力抑制していかねばならぬと、こういう事情は今日もこれから先にわたっても変わっていないと私は思うんでございます。その意味におきまして、やはり定員管理の措置はそういう行政の合理化努力ということを考えましても続けてまいるべきではないかというふうに考えられますし、御承知のように昨年来の非常なこういった財政危機の中で、公務員の数をふやすというふうなことは極力やっぱり抑制していくべきじゃないかということでございますので、将来のことを、これから先をどうするかという問題は、これは現在第三次の削減計画が行われたばかりでございまして、具体的にどうこうという問題ではございませんけれども、やはり厳正な定員管理というものを続けていくべきではないかというふうに考えておるわけでございます。
  161. 石本茂

    ○石本茂君 大臣のお言葉をいただく前に私一言、いままでのお話を承り、今日の経過を見まして、何か医療機関がそういう公的施設であるということの中で、働く者の立場から言いますと、公務員であることが恨めしいという気持ちがしまいにはしてくるんでございますね、特に看護婦などは。そういう意味で、私は決していまの機関の性格をどう変えてくれ、この変えてくれと、とてもじゃないが、そんなことは申し上げる必要もありませんし、思ってもおりませんけど、本当にこのままただなだれ込んでいったんでは、しまいにはもうどこを恨んでいいかわかりませんので、もうこの病院、療養所は国からはずしてくれと言いたくなる時期が来るんじゃないかと、私はそういうばかげたことを実は懸念しております。そんならおまえはやはり国立であるのがいいかとおっしゃると、私はやはり医療機関の幾つかは国営下であって、そして本当に国の医療の基盤となるようなものを示していくべきであろうという気持ちは持っております。  以上、そういう気持を含めまして、長官、最後にお一言だけ、余り心配するなと、必ずよくするんだということを聞かしていただきとうございます。
  162. 松澤雄藏

    国務大臣松澤雄藏君) ただいまお尋ねの点につきましては、担当者の審議官の方から答弁したとおりでございますが、何分厳しい情勢下に置かれていることは実際問題として事実でございます。しかし、せっかくただいまお話がございましたように、いろいろの諸問題等がございますので、御指摘の点につきましては、今後十分に検討さしてみたいと、かように考えております。いずれにいたしましても、私たちといたしましては何とかして皆さん方の御了解を得られるという立場でいけるようにしたいものだと、かように考えて今日までやってきておるような現況でございますので、いまのお話のようなぐあいに持っていけるような方向に全力を尽くしてみたいと、かように考えますので、さようにお答えをいたしておきたいと思います。
  163. 石本茂

    ○石本茂君 どうも本当にいろいろと御配慮いただいておりますことを、今日ここで改めて私は御苦労に対しましては感謝いたしますけれども、このままでは済みませんので、ひとつまたすぐ来年がめぐってまいりますので、特段の御配慮を心からお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  164. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私はきょうは特に環境行政について質問をしたいと思います。  昭和四十六年に環境庁設置されましてから五年でございますか、経過しようといたしておりますが、きょうは初めに環境庁長官に、環境庁長官としての、特に公害行政という問題もございますが、公害行政そのものについてはちょっと後ほど改めてやることにいたしまして、特に第三条にございます「自然環境の保護及び整備」という面について環境庁長官が基本的にどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、これからやろうとしていること、あるいはまた、これまでやってきたこと等を含めて、簡潔で結構ですから御答弁いただきたいと思います。
  165. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 私は環境行政の原点は、公害の各種のいろいろな対策もありますけれども、やはり自然保護が原点じゃないか、基本じゃないかと思っております。  私、着任いたしましてからいろんな事象にぶつかりましたんですが、結局、自然環境保全の長期的な計画といいますか、指針というのか、そういうものが、どうもまだ十分ではないような気がいたしております。したがって行政が具体的な道路や、あるいは開発行為や、その他の現象の許認可に追われているような傾向がありますので、これからは長期的な意味で自然環境保全計画というものを十分立てまして、その基本的な考え方、方針のもとに個々の問題を解決していくという必要があるのではないか、かように考えております。簡潔に言えば私の考え方はそういう点に要約されると思います。
  166. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣おっしゃるように、確かに私は環境保全という面から言いますと、長期的な方針あるいは長期的な指針というものが完璧になっていないために要するに環境破壊というものが逐次行われて、一たん環境が破壊されてしまうと、それをもとへ戻すということはもう本当に不可能に近い。一年で壊したものが、それをもとへ戻すには百年も二百年もかかる、こういうふうな現実にあるわけです。  きょうは具体的な問題を私は取り上げたいと思っておるわけでございますが、大臣がいまおっしゃったその長期的な指針、方針というものを、これはやはり早急に取り組んでいただかないと、これはもう完璧な、要するに自然環境の保全というものはできないということを私はしみじみと感じているわけです。実は昭和四十八年でございますが、予算委員会の分科会におきまして、当時、三木総理大臣環境庁長官の時分でございました。当時私は、きょう私がこれからするであろう質問とほぼ同じような質問をしたことがございます。それで冒頭に、総理大臣に私はいま長官に話をした質問と同じ質問をしたわけです。そうしましたら、総理大臣もやっぱり非常に格調の高い答弁をされました。総理は、「自然環境というものは」「人間の生命の基盤でもあるわけです。自然環境を離れて人間の生存というものは考えられない。」、かっこうのいいことを言うとるわけですわ、これね。環境庁としましては、この議事録を読みますと、一年間かけて「日本全体の中で守るべき自然環境というものは環境庁はこう考えるということを明らかにする環境地図をつくり、そしてその保全のために万全の策を講じていきたい」、こういう答弁を当時の三木環境庁長官はされました。それかもう大分たちましたが、このしょっぱなの環境保全地図というのは、これはもうでき上がったんですか。
  167. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 私着任しました翌年、したがって昨年早々に「緑の国勢調査」という名前で発表いたしました。
  168. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 実は大臣、「緑の国勢調査」という、きのう私の部屋に持ってきていただいたあれでございますな。あれですか。
  169. 宇野佐

    説明員(宇野佐君) いま長官御答弁申し上げましたとおり五十年の一月に発表いたしました。昨日、先生のところへお届けしたものでございます。
  170. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣、一日だけ貸してくれるということで、きのうときょうと二日借りまして、こんなようけある。それで実は大臣、あれはいかぬですな、あれは。あんなものじゃ私は大臣がいばるような、総理大臣がここでいばるようなものじゃない。あの地図見ても、私がこれから取り上げようとしております金剛生駒国定公園のいわゆる乱開発という問題が、どういうふうに保存しようとしているのか、どこをどういうふうにやろうとしているのかというのは全くあの図面の上には出てこない。しかし、あの図面ができたというだけでどうしようもないという現状じゃないかと私は思うんですよ。大臣、実際問題ね。私は、このとき三木さんに話をしたのは、そういうふうな意味のあれじゃなくて、もう少し突っ込んだ、いま砂利を取っているこの山のここら辺は将来こういうぐあいにする、その隣の山の緑のいまあるところは将来こういうふうに残すというふうに、やっぱり、もうちょっと突っ込んだ、きちっとしたものであろうと、私はそういうふうな意味であけてみたんです。ところが、そうじゃないですな、あれ。そうでしょう大臣。あれじゃ私は実際問題、自然保護というものはできないと思うんですよ。そういうような意味で、もう少し突っ込んだこの環境保全というものをやっていただかないといけないんじゃないかということを私感じているんですが、大臣どうです。
  171. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) おっしゃるとおりで、あれは基礎的な日本現状を一応マップとしてあらわしただけでございます。御承知のように、これをもとにしまして、私が事務当局に着任以来申し上げていまして、いろいろいま詰めさしておりますのは、何か出てきたときにそれがいいとか悪いとかということで、追い回されないで、日本の将来の人口の増加、それに必要な住宅用地なり、あるいはまた経済成長に応ずる一定の必要な工場用地なり、その他いろいろな問題があるわけだから、それを念頭に置いて国土の基本的な利用計画というものを国土庁と一緒になってつくり上げて、その際に、いま先生がおっしゃったような、ここはあくまでも守るところである、ここはある程度開発に任してもいいところであるとか、もちろん開発の場合にはいろんなアセスメント等の条件ありますけれども、そういうものをやっぱりきちっとつくり上げていくことが一番大事なんじゃないかというので、その作業を鋭意、さらに今度いたしておる。したがって三木さんがお答えになったものは相当長期間を要するものですから、われわれとしては、いませっかくその方向に向かって進んでおるわけでございます。
  172. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣、こういう論争していますと抽象的で進みませんから進ませますが、三木さんの答弁は、長期的だというんじゃなくて「一年」とおっしゃっている、「一年」。——いやいや、会議録に「一年」と書いていますね。ですから、それがあれであるとするならば、もう五年かかってあんなものしかできなかったというんじゃ、現実に大臣、この四、五年間の間に、もうあの当時とは違った乱開発がどんどんどんどん進んでいるという現実があるわけです。  そこで、きょうは具体的な問題に入ります。まず担当の方にお伺いいたしますが、金剛生駒国定公園というのは、これは昭和三十三年四月十日、国立公園に準ずるすぐれた自然の地域ということで特に金剛生駒国定公園という認定ですかをされたのは、これ間違いありませんか。昭和三十三年でございますな。
  173. 宇野佐

    説明員(宇野佐君) 先生おっしゃるとおり、三十三年四月十日に国定公園として指定をいたしたわけでございます。
  174. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 建設省お見えになっていますね。
  175. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) はい。
  176. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 建設省は金剛生駒国定公園を含んだ当該地域ですね、飯盛山とか、この辺も含めてでございますが、向こうは建設省管轄の砂防地域に指定をされていると思いますが、昭和何年ごろ御推定になったのでございますか。
  177. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) この生駒山水系の砂防指定状況は明治三十二年六月二十六日内務省告示第七十一号及び明治四十二年四月十日内務省告示第四十二号によって指定されたものでございまして、大正、昭和にかけて水砂防上の見地からそういうことになったわけでございます。
  178. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 近畿圏整備法の関係の人来ていますか。——近畿圏整備法に基づいて近郊緑地保全区域として指定されたのはいつごろでございますか。
  179. 有賀虎之進

    説明員有賀虎之進君) 国土庁でございますが、金剛生駒近郊緑地保全区域と指定されましたのは昭和四十六年三月十日でございます。
  180. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いま大臣もお聞きのように、次々と指定をされております。さらにきょうは行政管理庁からもお見えになっておると思いますが、金剛生駒国定公園を中心にいたしました当該地域を保全するための関連の法規及び諸制度というのがあります。これは要するに治水の問題とか土砂の採取の問題とか災害の対策の問題とか清掃法の問題とかいろいろありますね。そういうふうな関連の法律、その一つの山を守るための関連の法律、大体どの程度ございますか。
  181. 佐々木富夫

    説明員佐々木富夫君) 四條畷市を中心とする生駒山系の環境問題直接的には地域指定のあります自然公園法、近畿圏保全区域整備法、砂防法等が直接関係のある法規だと思いますが、環境という問題を最広義にとらえた場合には二十幾つかの法規に関係があるのじゃないかと思います。
  182. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣一つの地域を守るための法律、私の手元にある書類でも二十七の法律で守られておるわけですね。ところが現実の問題としては、私が当委員会で質問をいたしました。そのときの、大臣、きょうは図面と写真と全部見ていただきたいと私は思っているんですがね。ちょっと図面を見ていただいた方が早いですから、(資料を示す)大臣、これ見ていただいて——前の質問をしたときのあれがこのグリーンの塗ってあるところです。砂利のいわゆる乱開発のところですね。この緑のところです、これが。これが四十八年の採取です。それからことしどうなっているかというと、この鉛筆で囲んだところ、これがこれだけふえているわけです。ずうっとこれね。これは、ずっと新しく山が崩されているところです。それから写真ですけれども、これが四十八年の写真です。ずうっと全部あります。それから、これが五十一年の三日ほど前の写真です、これ全部見ていただいて結構なんですけれども。  そこで大臣、いま写真を見ていただいたわけでございますが、まずこの砂利の採取の問題等いろいろございますが、一つ一つやってまいりますが、当該四條畷の市役所等の係員並びにそういう関係者のいろんな話を総合いたしまして、現在金剛生駒国定公園内の特に四條畷市における乱開発状況ですけれども、四條畷の市役所の集計によりますと、昭和四十七年までが百二十五ヘクタール、その後昭和四十八年百五十ヘクタール、昭和四十九年百八十ヘクタール、昭和五十年二百ヘクタール、こういうふうにどんどんどんどん毎年拡大の方向にあるわけです。そこで大臣。私は特に国定公園であり、しかも先ほどから出てまいりましたように砂防地域であり、特別地域であり、あるいは緑化保全地域である。二重三重にこういう保全のあれがかかっていながら、なぜこういうふうな乱開発が行われているのか。私は実はその当時三木総理大臣に——現在総理大臣、当時の環境庁長官に、これはもう理屈の問題じゃないから係官を現地へ派遣してもらいたい、そして具体的に実情を調査してもらいたい、こういうぐあいに私は質問をいたしました。それで当時三木さんは、一週間以内に係員を派遣いたしますと、当時も実はその写真も見せました。これは一週間以内に派遣すると言ったのですけれども、現実にどなたがその現場へ行かれたのか。そしてどういう実情を掌握してきていらっしゃるのか、この点ちょっと一遍お伺いしたい。
  183. 宇野佐

    説明員(宇野佐君) 予算委員会で御指摘のございましたのが四十八年四月九日かと存じますが、四月十二日に担当の総括補佐と担当の係長が現地に参っております。その後大阪府を指導いたしまして、大阪府に対策を立てさしたと、そういうことでございます。
  184. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ですから、その係官は大阪へ行ったのはわかっているんですが、大阪のどこへ行ったのか何人で行ったのか、そしてどういう資料を持ち帰ってきたのか。
  185. 宇野佐

    説明員(宇野佐君) 当時担当二人で参りまして現地へ参りました。現地で実情を調べて帰ってきておるはずでございます。
  186. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ですから、私もいまのその言葉にごまかされた。現地といいましてもいろいろあるわけですよ。ですから現地へだれと行ったのか、現地というのはどこですか。
  187. 宇野佐

    説明員(宇野佐君) 採石の行われておる現場まで行っておるわけでございます。
  188. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 だれと行ったの。
  189. 宇野佐

    説明員(宇野佐君) こちらの担当者二名、大阪府の担当者に案内させて現地へ行ったということに聞いております。
  190. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 どういう車に乗って行ったの。
  191. 宇野佐

    説明員(宇野佐君) そこまでは私存じておりません、失礼でございますが。
  192. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、ここまで聞きますと、何でそんな細かいことまで聞かないかんねと、こう思うでしょう。大阪府の担当者が、環境庁からやってきて、乗用車で、要するに現場の砂利を取っている回りをしゅうっと回って通っだけやと言うんです。現実に大臣、一遍今度は別にぼくはきちっと派遣してもらいたいと思うのですけれども、これは現実の問題として、四條畷の現場を監督している現場の担当者の人を一緒に——乗用車で行けないのです、第一。一番問題の地図の奥の方なんか特に乗用車では行けないところです。全部特殊なジープでなければ行けません。その特殊なジープというのは地元の市役所にしかないのです、実際問題として。そのジープに乗りかえて行って見ないとわからないということです。そして、どういう写真を持ち帰ったのか私知りませんけれども、この間も私は一遍この後で聞いたことがあるんですけれども、確かに現地へ二日二人行ってきたと。けれども結局、大阪府の、これは大阪府にも非常にいろんな問題があるわけです。それだけに私は現実の問題として一つも直っていないですね。砂利採取も許可を受けて採取しているのではなくて、これからの後詳しいことそれぞれ聞きますけれども許可を受けないで採取している人たちが非常に多い。この問題については現実に指摘されているわけです。この問題この後でやりますが、非常にいまの問題については、何と言っても、やっぱり現場へ行く場合でもすみずみまできちっと見て、そして本格的にこの問題については取り組んでいただきたい、このようにお願いをしておきます。  そこで、まず採石の方の担当、これはどこですか——通産省ですね。通産省、これはあなた方は採石の問題についてどういうふうに認識をしていますか、どの程度の業者がおって、それでどういうふうな許可を与え、どういうふうな申請の手続でこの砂利や、あるいは採石のあれが行われているのか、これはどうなんですか、どういうふうに監督していますか。
  193. 松村克之

    説明員(松村克之君) 採石業の実態はどうかという御質問かと思うわけでございますが、採石法におきましては法定の岩石を採取する業を一般的に採石業というふうに言っているわけでございます。ただ、この採石業の中にはいわゆる砕き有業というもの、これは道路とかコンクリート用骨材の生産を目的とするものでございますが、砕き石業と、それから一般の土木建築用石材を生産する一般石材業と、工業用原料を採取する業と、この三つに分かれるわけでございます。それで、その業者数でございますけれども、業者数とそれから採取場数の概要は四十九年の数字で見ますと、業者数が全体で七千三百二十八業者ございます。うち一般石材業が四千七百六十三業者ということで全体の六五%あると、次いで採石業が三一%、工業用原料採取業は三・九%と、こういうことになっているわけでございます。採取場の数につきましても一番大きいものが一般石材業の五千二百二十七採取場、砕き石業が二千五百二十八採取場、工業用の原料採取業が三百三十八と、こういうことになっているわけでございます。
  194. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや、ですから、私はそんな業者の数とかそれだけじゃなくて、実際問題あなた方はどういうふうに監督をしておるのかと言うんですよ。こういうふうな現実にあなた方これ、もう通産省これ、採石と砂利の採取のために山がもうこれ大変なことになっておるわけですよ。どういう条件のもとにやってるのかと言うんですよ。どういうふうにするつもりやと言うんですよ、現実に。これは環境庁長官、きょうはおりますけどね、先ほども言いました、私は詳しく言いませんでしたけどね、この環境庁設置法の第三条の任務のところに、「国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するため、」にとあるんですよ。砂利を採取されたために国民は、そこに住んでいる住民は非常に不安を覚えてね。これから梅雨になりますよ、雨が降ったらどういう災難が起きるかわかりませんよ。現実の問題として、この四条畷の隣には大東市というのがあって、大東水害で訴訟がいま起きている。現実に、こういうような不安が現実にあるわけですよ。その不安を除去するというのはやっぱり役所の責任ですよね、少なくとも。それを守るためにあなた方はどういう規制を設け、どういうふうなもとに許可をしているのかと言うんです、どうです。
  195. 松村克之

    説明員(松村克之君) 御説明いたします。  採石業に対する許可条件でございますが、採石業を営みます者は、その自己の採取計画というものを当該の地方自治体に提出するわけでございます。その採取計画を認可いたします条件といたしましては、採石法上の条件といたしまして採取期間、あるいは採取範囲、沈でん池等の維持管理といった条件と、それから操業上のいわゆる注意事項、これは跡地の緑化等の問題があるわけでございます。こういった事項がございまして、これらの条件の遵守について、たとえば四条畷の場合で申しますと、認可庁としては大阪府が認可庁になっているわけでございますが、大阪府がこれを認可すると、それで認可後はこれらの認可条件が守られているかいないかについて、原則として大阪府が採石場をパトロールして監視すると、こういう仕組みになっているわけでございます。
  196. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 あなた方、大阪府が大阪府がと言いますけどね、大阪府を監督するのはあなた方責任ありますね、あるでしょう、大阪府を監督する責任が。大阪府に責任をなすりつけるようなことはこの際やめてください。しかも許可条件というのは、これは大臣も聞いてください。本当にかっこうのいいことみんな書いてあるんですわ、これ。もうぼくの手元に入ってます。こんな許可条件一つも守ってませんよ、あんた。私の手元にある許可条件ね、これはいいこと書いてますよ。「行為施行上特に次の事項を留意すること。」ということで、あなた方の手元にあるのと同じはずです。これ全部「工事の着手ならびに完了のときは届け出てその検査をうけること。」とか、行為中に雨が降ったときにはこういうふうに土砂防止をせいとか、この採取が終わったら被害を及ぼさぬように万全を期するようにとか、それから終わったら回りから苦情が来ないようにとか、いっぱいこれ条件がついてある。この条件一つも守られていませんよ、あんた、どれ一つも。現実にこの向こうの山へ行ってみなさい。砂利をずっと取ってたらしまいには砂利じゃなくて岩が出てきて、もう取れなくなって岩肌のままみんなほうってあるんじゃないですか。あなた方この間も私が質問したときも、いまと同じような答弁を聞きました。そんないいかげんな答弁じゃ私納得できませんよ。通産省から現実に行ったことありますか、本省から。どうなんです。
  197. 松村克之

    説明員(松村克之君) 前回の四十八年の四月の御質問がありました後、通産省といたしましては本省の鉱業課から採石関係担当官を現地に派遣いたしまして、大阪通産局等の職員とともに実態調査を実施いたしまして、それとともに四十八年の四月の十六日、二十五日、二十六日及び五月七日の四日間にわたって大阪通産局及び大阪府の職員による全地域にわたる採石事業所、これは二十二ヵ所あるわけでございますが、の調査を行っております。
  198. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 現実にそういう調査をやったにしてもその効果は全くあらわれてないじゃないですか。あなた方がこういう許可条件を付してあったにしても、現実にどうしようもない状態にあるんじゃないですか。  さらに建設省、これは建設省ね、前回のときに私が質問しましたら、「現在やっておりますこの作業につきましては、現段階においては、大阪府からの話によりますと、無許可ないしそれに類するものはほとんどないように実は現時点においては聞いておりますが、途中段階においてはだいぶこれはあったようにも聞いております。おりますが、今後これらについての指導あるいは行政上の許可の厳重化、こういうものを実施していきたいというふうに考えておるわけでございます。」、当時の河川局長の答弁です。実際問題、建設省は砂防法というこの法律で、少なくともあの関係区域は全域にわたって、九割近くは砂防法にひっかかるはずです。少なくともこれから梅雨時を控えて、これは何が起きるかわかりませんよ、現実の問題として。一体建設省はその後どういうふうに処置したんです。
  199. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 昭和四十八年の四月に先生からの御指摘がございまして、私どもも従来からこういう面に強く関心を持っておったわけでございますが、この際もう一度大阪府と十分打ち合わせしょうということでいろいろ議論の結果、四十八年の六月八日付で砂防指定地管理の強化徹底を図るということで大阪府知事に対しまして河川局長通達を出したわけでございます。これは先ほど先生がおっしゃいますような、いろんな監視体制の強化だとか、あるいは取った後の裸の地といいますか、裸地の放置個所についての自然保護、防災上の処置をしなさいとか、あるいはまた新規の採取ということが起こった場合は治水砂防上の安全な個所を選定しなければいけないとか、あるいは関係機関と十分連絡をとって指導監督の徹底を図るというようなことをいたしまして、その結果大阪府におきましてはこれを受けまして梅雨期、台風期前に関係部局と十分連絡をとったパトロールの強化をやったと、やるようにいまやっておるということと、監督員を増加したという報告が参っております。また緑地回復指導と防災施設の維持管理の義務づけ、それから申請個所のチェックをやったということが大阪府のとった処置と報告を受けておりますが、四十八年度、特に業者への関係部課による合同聴聞をするんだと、それから関係各担当部局が合同パトロールをやりましたということでございまして、今度そういうものが申請が出た場合には、関係の各課が同時に許可する方針に持っていきたいと、こういう方向になっておりまして、それから五十年度以降には年一同業者への合同講習会を開催しております。それから本年度からは土石採取指導の指導会議というものを設置いたしますという報告が参っておりまして、この関係といいますのは、商工部関係、農林部関係、あるいは生活環境部関係と土木部関係と、こういう五つの関係の各関係課が土石採取指導の会議をまた開いて、いま先生のおっしゃったようにいろんな問題がありますので、なかなか、一生懸命やっておりますけれどもまだまだ徹底しにゃいけないということで、そういう会議設置しておるというのがいままでの経過でございます。
  200. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 建設省も通産省もいろいろおっしゃっていますが、私がきのういろいろ質問通告してから大阪府に対して一生懸命問い合わせしたらしい。そういうふうなことじゃ実際はもうどうしようもないわけです。これは大阪府、大阪府とおっしゃっていますけれども、大阪府は現地に監視体制なんて何にもないんですよ。だれもパトロールしていないんですよ。だれもパトロールしていないというのはオーバーかもしれませんが、しかしながらパトロールしているといっても月に一遍回るぐらいなもんです。そんなんじゃパトロールしているうちには入りませんよ。先ほども通産省の方から報告がありましたように、相当な業者ですよ。何百台というトラックです。あの国道百六十三号線沿いの道の土砂の落ちた公害やら、それはもう大変なもんです。これはやっぱり総合的に、国としてどうするかということを本格的に取り組まない限りこの問題は解決しないと私は思うんですよ。そういうふうな意味で、これはやっぱり私も調べれば調べるほどすべて各省庁にまたがっているわけですね。砂防法の面から言えばこれは建設省、砂利やそういうふうなものは通産省というわけ。また環境保全という面から言えばこれは環境庁になるでしょう。これはしかし大臣ね、こういうふにうして砂利を取って、そして現実の面として、この梅雨を前にして、これは土砂崩れや、これはもういろんな被害が出ることは目に見えています。このままではどうしようもない状態にあるわけですね。これはただ大阪府に任しておけばいいという問題じゃあり得ないと私は思うんです。  それで、そのためにも私はこの環境保全という面から、特にこの間から私はこの問題について、昭和四十八年に一回取り上げて二度目でございますが、この問題を何とか解決する方向に取り組んでいただきたいと私は思うんです。そこで、それぞれの省庁ですね、この問題をどういうぐあいに解決するか。まずいま通産省と建設省にお伺いしましたが、国土庁も来ていますか。国土庁は一体これはどういうふうに考えていますか。特に近畿圏の保全区域の整備に関する法律ということで当該区域がやっぱり入ってますね。国土庁は一体どうなっているんです。
  201. 有賀虎之進

    説明員有賀虎之進君) この地区は先ほども申し上げましたように、近郊緑地保全区域として指定されておる土地でございまして、国土庁といたしましても都市住民から見まして手近にある自然でございまして、大変貴重な存在であるというふうに考えております。したがいまして、この地区につきましては、私どもだけでもっていろいろ単独に処置をとれるというふうなものでもございませんけれども、現在私どもの方からいろいろ大阪の方にいっております業者に対する自然保護に関する啓蒙指導というふうなものを引き続き実施していただく、それからいま大阪府におきまして、この地区におきましての緑地の回復についての調査研究というものも実施いたしまして、緑地回復等の対策を検討しているというふうに聞いておりますので、私どもといたしましても、この大事な緑地という認識のもとに、関係省庁から大阪府に連絡をとりまして、今後効果がどうしたら上がるのかというふうなことにつきまして十分留意しましてこの回復に努めてまいりたい、このように考えております。
  202. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 建設省はどうです。
  203. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 先ほど申し上げましたように、大阪府に対しても十分な、河川局長名をもちましてさらに指導を図ったわけでございますけれども、砂防指定地内におきます土石採取について、本当を言えば全面禁止というようなお話も先般の議論に出たわけでございますけれども、いろいろやはり考えてみますと、一つの土砂採石をした際に防災施設が十分できるということになれば許可せざるを得ないと、こういう面もございます。その後もずっと経過を見て私どももがんばってまいったわけでございますが、やはり満点をとれないという問題もありますので、さらに先般、四十八年に大阪府に対していろいろ指導した経過がございまして、また先ほど申し上げました関連の部課が全部集まってこの会議を府県にも、大阪府でも持たれますので、これを全面的にひとつこの会議におきまして、本省等からも強い国土保全といいますか、それを通しまして私どもは本省といたしましてもこれを強くプッシュしていきたいと、そういうふうに考えておるわけでございます。
  204. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 通産省はどうです。
  205. 松村克之

    説明員(松村克之君) 全体の話といたしましては、私ども年に一遍都道府県の担当者会議を招集して各種の問題の検討をいたしております。また通産局ごとでも同様の趣旨で管内の都道府県の担当者会議を年に二回ずつ開催しているわけでございます。このように一般的な指導は私どもとしてもおろそかにしていないつもりでございますが、本件につきまして先生のいまの御指摘のございましたことは、いろいろ御指摘があったわけでございますが、一番主たる問題として、いろいろな指導をしたとしても実際上そのフォローをといいますかを一体どうするんだという点であったかと私考えるわけでございますが、この点が非常にむずかしい面がございまして、私どもとしても実際上非常に困難を感じている面があるわけでございますが、採石業者の大部分は相当良心的にやってくれているわけでございますが、中にはいろんな問題もございまして、そういった点については今後やはり基本としてはパトロール体制というものを強化していくという方向で進んでいきたい、かように考えております。
  206. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そこで大臣、まず当該四條畷市議会では全会一致で決議をしております。これは長官の手元に来ていると思いますけれども、これは来てませんか、どうです。
  207. 宇野佐

    説明員(宇野佐君) まだ承知いたしておりません。
  208. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それじゃ一遍内容を読んでみますがね。「自然環境保護に関する決議」というんで、昭和五十年の九月三十日、四條畷市議会で決議が行われています。その要点は三点ございまして、まず土砂採取を初めとする自然環境破壊が進み、今日では、本市の美しい緑の山々は見る影もなく荒廃しているというのが第一項目です。それから降雨時における土砂の流出による災害の発生など市民生活は脅かされていると、これが第二項目です。それから第三項目としまして、国府において最大限の抑制と荒廃した山間部の回復のための施策が講じられるまで、これ以上の無秩序な開発による自然環境の破壊は一切許すべきではないというのがこの決議案の要旨です。  これは確かにこのとおりなんですよ、大臣。実はこれは私の手元にあります写真をもう一回大臣にお見せしますが、 (資料を示す)これは大臣、ひとつ具体的に申し上げますと、これから見せますが、いわゆるこの自然開発によって要するに公共物がどういうぐあいに破壊されているかという問題、それから道路がどういうぐあいに破壊されているかという問題、それから送電線や鉄塔の安全性という問題がどういうぐあいにやられているかという問題、それから災害がどういうぐあいにして発生するであろうかという問題、それから公営住宅や土砂の採取の問題、交通問題等、幾つかの問題に分かれておりますが、これを一遍ちょっと見ていただきたいと思うんです。  これは私の方のあれなんですけれども、公共物の破壊、初めこういう池がこうなったというんですね。それから送電線の問題。それから道路ね、これがこうこう。それから災害の問題ね。これはもう垂直に取っているから全部崩れてくるわけですよ、山がね。それからこれははげ山の下に住宅がこうあるという意味です。水が流れてくると危ないという意味ですね。それからダンプがどろをいっぱい落として道がこうなっているということです、それで先ほどの写真と合わせてですね。  そこで大臣、そういうふうな具体的な問題があるわけですが、最後に大臣の方から二、三どうしても御答弁いただいておきたい問題は、まず第一にこういうふうな問題はそれぞれの省庁にまたがっております。それで監督は大阪府にあるとはいえ、現実の問題として、やっぱり国として、環境庁として、住民の安心して生活するという意味から言うといろいろな問題が絡んでくるわけです。ですからこの問題、ぜひとも環境庁が本格的に取り組んでもらいたい。この点ひとつ各省庁のまとめ役として、たとえば各省庁から関係者を出していただいて、この問題について一遍取り組んでいただきたいというのがまず第一点です。  それから第二点としまして、これは具体的に申し上げますが、無届け、特に無許可で採取しているというのが相当あるわけです。現実に監督していませんからチェックはできないわけですけれども、これはもう非常に悪質なのがずいぶんあるわけです。そこで具体的に、私の手元にあるこの資料によりましても、無許可で土砂採取を行っているが大阪府は全く措置を講じていないと。ですからこういうような無許可、無認可で土砂を採取している人たちについては、少なくとも自然環境を破壊している人たちなんですから、現実の問題として、たとえば刑事訴訟法の二百三十九条及び二百四十一条の規定により告発の手続というのができるはずなんですね。ですからそういうふうな強硬な手段も含めて、やはり行政指導をやっていくべきじゃないか。これは一遍この点も検討をしていただきたい。  さらに先ほど私が読み上げました四條畷市議会における決議がございました。この決議の内容は先般大臣も御存じのとおり、大東の水害というので訴訟になっている問題がいまございますね、これは御存じですね。大臣、御存じでございますか、大東水害で国と府が敗訴いたしました、この間。それで再度告訴するかどうかともめている問題がありますが、それもすぐ隣の市なんです。そういう点からいきますと、現実にこれから梅雨になりますと水害が起きる可能性はもう十分あるわけです。ですから、そういうような点からも総合的なこの立案、施策というのが必要になってくる、こういう点から、その先ほどの決議案も踏まえて大臣の答弁を約三点に分けて答弁いただきたい。
  209. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) まず先生がおっしゃる各省庁連絡調整権があるのだからみんな集めて根本的な対策をどうするか、至急ひとつやれと。私どもの連絡調整権は環境保全という立場でのことでございますので、まあ先生方から言いますと、もうこういう問題全部は環境問題じゃないかとおっしゃいますが、私ども法律の中には、環境保全というのはたとえば自然保護でも国定公園なんかの中ならできますけれども一般のところの環境保全、緑化問題、その他緑地保全の問題は別の法律でやろう、御存じのように建設省がやっておるわけでございます。したがって私どもの権限で全部というわけにはいかぬかもしれませんが、いま国務大臣もだれも来ていないわけですから、私がこれだけ大問題になっていることでもございますし、ひとつその設置法のどうこうということを超越しまして、各省関連の方々全部に集まっていただいて、根本的にひとつ対策をどうやっていくべきか、いまの無許可の取り締まり、告訴の問題等も含めまして方針をまずひとつ打ち合わせる連絡会議を開いてみます。  それから第一義的には、責任はあくまでも府なんで、関係法令全部見ましてもやはり府がやらなければだめなわけですから、その結論を府にぶつけまして、府から適当な措置をどういうふうにとるか。それをとってからその府のやり方について国がしかりつけたり指導したり、あるいは督励したりしなければいけないような要素があれば、これは国としてひとつ乗り出してやると、こういうことにさしていただきたいと思います。  もう国定公園の中は、この前のお話があったときから許可はしてないはずなんです。むしろ整理の方向でやって、私どもが聞いているのでは十幾つあったのが四つに国定公園の中にはだんだん整理縮小されてきたと、こう聞いておるのですけれども、どうもいまの先生のお話や写真を見ますと、そういう実態でもなさそうでございますので、この点はもう一遍もう厳重にひとつ調べてみたいと思います。  で、国や府においてもう無秩序なこれ以上の許可をしないようにという決議がございますが、これらもこの砂利やその他のいろいろな問題から見て、通産やあるいは建設当局でそれが言えるのか、先ほどの連絡会議等でこの問題も含めまして、本当はもうこれ以上広げない方がいいに決まっておるわけですから、そういうような点が現実問題として可能なのか、後大阪府やその他で全然そういう砂利の何といいますか、供給は全然できなくなるというようなことになるのかどうか、この辺のところ私がよく立場上わかりませんので、いまこの点を明確にお答えできませんが、もうお話を聞いたり写真を見ますと、少なくとも自然保護上必要な地区については、もうこれ以上許可はもちろんしてもらっちゃ困るような気がいたします、私はいま。よく実態を聞いてみなければわかりませんが、そういう意味でひとつ連絡会議でも持ちまして、根本的に総合的にひとつ検討をいたしまして、その中で先ほどの決議の、工事の市民生活の問題、これは建設省の水の、治水の問題でございますから、御指摘のありました事項全体にわたって対策を立てて善処をしていくようにいたしたいと、かように思います。
  210. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 最後に大臣ね、確かにこれ一遍こういうようになってしまいますと、現場の人たちに聞きましても、もうもとに回復するには二百年かかるんじゃないかと言っていますね、実際問題ね。ですから、これはとてもじゃないけれども、これを復元しようと思ったら大変なことであろうと私、思うんです。そういうような観点から、確かに私はこれ以上の破壊というのはもうやめてもらいたいと思います。  そこで大臣ね、これはやっぱり書類や写真や図面の上では非常にわかりにくいですからね、私は大臣もいろいろお忙しいと思いますが、いまいろいろ非常に複雑な状況にございますからね。一遍大臣もこの現場へ行って、やっぱり日本全国いろいろ悪いところありますけどね、私も実はきょうこの質問するに当たって行政管理庁が監察をいたしました自然環境の破壊の状況のいろんな監察報告等も全部読みました。それで、いろいろ見ましたけどもね、これ以上ひどいところはないみたいですね。ですから、そういうような観点から環境庁長官としてもぜひ一遍現場を見てほしいというのが私の念願なんです。大臣が行くということになりますと、大阪府も物すごく一生懸命になるんですわ、これは本当に。そういうような意味からもぜひ一遍、何らかの機会を見て現場を見ていただいて、そして具体的な指示なり検討なりをお考えいただきたい。このことを最後に要望し、大臣の御答弁をいただいて私の質問を終わるようにしたいと思います。
  211. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 私に見ろという御要望は全国にまだたくさん前からの問題ございますので、なかなか行けないで困っておるわけでございますが、大事な国定公園の管理の問題でございますので、もし私、機会が何とかつくれましたらひとつ、私も昔、実はちょっと生駒に暮らしたことも軍隊生活のときございますので、現地はまあ相当土地勘はあるつもりでございますが、機会を得ましたら、いまいつというふうに申し上げるわけにいきませんが、御要望にこたえるようにやりくってみます。
  212. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 まず最初に、環境庁に質問をいたします。で、これは緊急でございますので、短い時間でございますが、まとめて御答弁いただきたいと思います。  瀬戸内海における赤潮対策についてでございます。これの原因とか、いろんな問題等については昨年も、おととしも、環境庁にも強く私は地元の議員として要請をしたところでございますから、くどくど申し上げませんけれども、私は公明党の赤潮対策本部の一員といたしまして五十一年の五月、七日と十五日の二日間洲本市を中心とする淡路島沿岸の赤潮発生状況を調査をいたしてまいりました。その時点からすでに志筑港から洲本市前面の海面に赤潮の発生を見たわけでございます。毎年同じようなことを国や県にお願いをしても、なかなか成果をわれわれ県民には見さしていただかないわけでございますが、この調査をしながら私も困ったことだなと、また瀬戸内海に赤潮が発生してきた、早急に対策を考えなくてはいけない、こういうふうに思いながら関係のところへいろいろとお願いをしておったわけでございます。  ところが、今度は地元の神戸新聞が、六月の七日午後二時五十五分にチャーター機の調査によって明らかになりましたことは、一つは淡路島の東岸沿いの大阪湾友ヶ島付近に赤潮が発生していること。第二点は、淡路島の由良の港沖合いから志筑港沖合いにかけて、これは公明党の私たちが五月に確認したことと一緒でございますが、長さ十二・六キロ、幅百メートルの赤潮の帯。第三点は、同じく淡路島の三原郡南淡町灘吉野付近の海山岸線に漂着した長さ七キロ、幅一・八キロ。そうして別個には、第五管区の海上保安庁、神戸にございますけれども、そこのヘリコプターの観測では紀伊水道から大阪湾北部にかけて赤潮の斑点の模様が広がっている。まあ、こういうふうな状態が五月から六月にかけて行われているわけでございます。  で、この赤潮の発生というものが本格的なシーズンに入って手を打つのか、それとも予備的に赤潮問題に対して手を打つのか、こういう二点の問題が考えられるわけでございます。で、考えてみますと、瀬戸内海沿岸では、先般でございますけれども、総合計養殖ハマチだけでも数百万匹が死んだ。こういうことについて国や各県が大変な対策というものをやったわけでございます。昨年だけ見ても、兵庫県の私たちが住んでいるところでも五十年の五月には姫路の沖合いにございます家島の養殖ハマチが三万匹死にました。それから淡路島の由良港の中でやっております養殖ハマチも大多数が死にました。そうしていま大鳴門架橋、この前は大臣いらっしゃいませんでしたけれども環境庁の皆さんに建設関係のときにいろいろと質疑をしたわけでございますが、あの福良港の養殖ハマチも事故が起きて湾外に出ているわけです。これも先般も被害を受けております。まあ、こういうふうに養殖ハマチの業者の人はもちろんでございますが、漁業の定置網、瀬戸内海の沿岸でやっていらっしゃる方も赤潮になればみんな魚が死んで腐っている。こういう漁民の皆さん方だけではなしに、瀬戸内海の沿岸に住んでいる県民の人たち、いつも往来をしながら不快な念で汚れた海を見ております。そうして国や関係省庁では常に毎年よくなっておりますという返答をいただいているんですが、しかし結果としてはまたまたことしも赤潮が出たわけです。  こういうことについて私は環境庁に答弁を願いたいことは、一つは、赤潮対策は性根を入れてやるのかどうか、もしやるのであれば具体的な御答弁を願いたいことと、もう一点は、赤潮調査に、先般の数百万匹が死んで大騒動して後の後からいくのか、それともこういうふうな前兆が出た段階の中でいつ調査を環境庁として出向いていく用意があるのか、この二点を明確に答えていただきたいと思います。
  213. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 赤潮対策に性根を入れてやるかどうかと、これは私のいま水質関係では一番の大きな課題でございまして、私はもう性根を入れるどころでない、最重点の対策として考えております。ただ、先生御承知のように、その赤潮の発生原因というものが科学的に一体どういうものかというその発生のメカニズムの解明がまだ科学的、技術的に完結をしてない。考えられる一番重要な要素は窒素、燐等の栄養塩類の蓄積というものが基礎要因であるということは間違いないと思うんですが、それ以外にいろいろなものが複合的に加わって赤潮は発生をするわけでございまして、この辺の根本的な解決がまだできてないという点がどうしても私どもの基礎的な一番大きな悩みになっております。  赤潮対策は、したがって長期的、短期的と両方にやっていかなきゃいけない。やっぱり被害が出ているわけですから、この被害をできるだけ最小限度に食いとめるような対策をまず当面考えなければならない。これには、発生の予測をする手法というものについてこれをひとつ確立をし、その結果事前にいろいろと手を打つようなことをやっていかなきゃいけない。それが第一。第二は、不幸にして発生した場合の被害をどうやって救済をしてあげるかという点。それから第三番目は、瀬戸内海の臨時措置法に基づきまして、いろいろCOD、BODの関係、二分の一カットの政策を当面早急に完結するようにどんどん促進をしていかなければならない、こういうことでありますが、根本的には、発生原因の究明をきちっと科学的にしまして、そこから対策を見出して、どんなに国や地方公共団体として負担がありましてもこれはやっていきたいと、かように考えております。  それともう一つは、どうしても下水の普及率が低いものですから、もう非常に古くから発生する赤潮というものがなかなか解決をされていかないわけでございますので、重点的に下水の整備をやる。それから、下水処理の終末処理の技術として、第二次処理だけでなくて高度の第三次処理までいくように早く進めていくように、建設省と連絡をとりながら対策をとる、これらがいま当面考えられることではないかと思いますが、とにかく、性根を入れてやることについては本当に信じていただいて結構だと、そういう姿勢は十分持っております。  それから、出向いて調査をやるのは、発生してから調査をやるのか、その前にもう梅雨時期を控えているんだからやるのかということでありますが、これはもう調査体制は十分毎年体制を整備しておりまして、予算もことしは重点的に計上をいたしておりますので、関係の官庁、あるいはその出先の都道府県の部局と連絡をとって調査は十分進めておると、こういうことでございます。
  214. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 大臣ね、私、本当に怒りがこもっているのです、本当に。私が市会議員のときに、河野一郎さんが大臣で、瀬戸内海で洋上会談を、関係知事を全部集めて船の上で、瀬戸内海をきれいにするからと言って。そのときからいまあなたがおっしゃっておられると同じようなことをずうっと毎年繰り返されて言われているのです。ぼくはもう苦々しいんです、本当に。この臨時措置法の問題についても、期限切れであるからと言って私は一年半前からいろいろと皆さん方に言っているのに、結局同じような形で二年間も延ばしている。いろいろ言いたいことはありますけれども、どうか、いま長官おっしゃいましたように、本当に腹を決めていただいて、こういう赤潮の前兆に際して、起きてからでは遅いわけですから、長年のいろんな欠点とか、どういうところに手を打たなくてはいけないということはすでに御承知でありますから、御承知でありますから、ことしだけは早目に、調査費用も取っていらっしゃるわけでございますので、関連省庁によく連携をあなたからとっていただきまして、そうして早く手を打っていただきたいと思います。お願いいたします。  じゃ、時間がございませんので第二点目に移ります。  二点目は、まあきょうの三時ごろニュースではわかるそうでございますが、いま米国カリフォルニア州で原発規制住民投票というものをやっております。私は、この問題を私なりにまず長官に申し上げますと、ことしの二月九日にアメリカのニューハンプシャーでフォード大統領の記者会見がございました。そこへ私も入らしていただいたわけでございます。そのときに、新聞記者から二十四の質問が設定をされてフォード大統領に質問されました。その中の一つにこの原発の問題が取り上げられたわけでございます。そのままを申してみますと、記者の人は、いまからアメリカは二百の原子力発電所をつくると、こういうふうになっているけれどもなかなか計画どおりに原子力発電所が建たないではないか、二百の原子力発電所ができた場合にそこに関係者が一いわゆる従業員の方ですね、働く人、その人たちが勤められないから失業者が物すごくふえて困るではないかというふうな質問なんです。日本とはちょっと質問が違っているわけなんですが。そのときにフォード大統領は、二百の原子力発電所計画しているけれどもなかなか計画どおりには建たない。このことにつきましては、アメリカには原子力規制委員会というものがあって、いま原子力は安全ではない、こういう問題が出ているので原子力規制委員会が中心になって審議をしております。そして地元住民の声や学者の声やいろんな声を聞きながら、過去の事故等もいろいろと勘案をしながら原子力規制委員会が指揮をとっておりますので、私が大統領であっても、大統領の権限であっても原子力規制委員会にはタッチができません、こういうフォード大統領の答弁でございました。  私は、それを聞いておりまして、日本とえらい違うなあと思ったわけなんですね。それは、その発言のときに、フォード大統領の発言は非常に正しいと思いました、私は。大統領の権限でもタッチができないんだと。原子力規制委員会というものが厳然とあって、そこでいろいろと問題点についても、建設するかどうかがずうっと行われるわけですから、あなたからいま言われても私ではどうしようもございません、と。それできちっと納得されておりました。  まずこの点について、長官は、私のいまの話につきましてどういうふうに考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  215. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) アメリカ原子力に対する州民発議投票の件でございましたが、先ほど中間報告でございましたが、参りまして、それによりますと、反対住民側の方が非常に数が——非常にということじゃないですけれども、数が少ない、現在のところは少ないということで、結果は大体明瞭のようでございます。  ただ、私どもといたしましては、この問題がどちらが勝つということよりも、この問題を出されました根本は、原子力発電安全性の問題を否定するとか何とかという問題じゃなくて、むしろ安全システム早期実証と申しますか、あるいは廃棄物処理対策、あるいは大事故が起きた場合の故障の最高限度をどうするかといったような、そういう問題を中心にしての問題点のようでございまして、日本におきましても、そういう点でありますれば、私どもといたしましてただいままで施設の原子力研究、あるいは安全性実証試験、さらにはまたただいま一番問題になっております再処理とか、あるいは放射性の廃棄物処理、ハイレベルの放射性廃棄物処理等の問題に関しましては、一番重要な問題としてただいま進めつつございますので、むしろそういう面では、アメリカ側のああいういまのような行き方に対しまして、私ども自体も身をもってそれを進めている最中でございますので、その点はその成否いかんにかかわらず、わが国としては進めてまいりたいというふうに実は存じておりました。  それから、大統領と原子力委員会との関係問題でございますけれども規制委員会という非常に強力な委員会がございまして、あれは原子力委員会を解体いたしまして、そうして新しく去年できた規制委員会でございます。したがって、その権限等の強さ等はどういうふうになっているか、私もつまびらかでありませんが、しかしかつて何遍も——かつてのAECのありましたころ、私もアメリカに参りまして、アメリカ原子力委員会というものへ交渉に行ったことございますが、大変お話のように権限の強いものでございます。したがいまして、その与えられた分野に関しましては、その原子力委員会の結論なしには何人も権限を行使できないというふうになっているのは、これはまた、行政のたてまえから当然じゃなかろうかと思います。特にアメリカ委員会というのは、御承知のように、大変強い委員会ばかりでございますので、お話しのようなことになっているんじゃなかろうかと思います。
  216. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 ですから、いま長官が言われましたように、いわゆる向こうでも原子炉安全性や放射性廃棄物について、従来より厳格な基準を設けろという住民の声、このバックには、やはりこれが勝つとか負けるとかではなしに、原子力規制委員会という、フォード大統領すらの権限においてもタッチができないんだと言わしめていく、そういう毅然としたものが向こうにはあるわけでございます。それから考えますと、私は、日本やそうして地球の将来というものを考えましたときに、原子力の平和利用というものは、どうしてもその道の中で大きく時間をかけて、そうして検討していかなくてはいけないエネルギーのもとであると思いますけれども、それがそれであればこそ、安全性というものについては英知を傾けて、企業ペースの中でばんばんばんばんいままでのようにつくっていって、ああ、ここに事故が起きた、いや、それは事故と通うんです、単なる一つの被照でございますとか、そういうことではなしに、厳粛な人間生命にかけて、安全性というものの立場から日本も私はやらなければならないと思うわけです。  そこで長官日本原子力発電所建設のための許認可の過程を見ておりますと、もう二年前に入る前から、いわゆる設置者が農林省とか、環境庁とか、都道府県に、自然公園の審査であるとか、土地収用法の問題で事前にずっとやっているわけですね、私もそばにおって仄聞しておりますけれども。そういうふうな段階からずっとやられてきている。まあそういうふうにしながら、原子炉設置許可申請が出る段階の中で、科学技術庁やそうして通産省の方で原子炉の安全専門審査会というものが行われるわけですけれども、これは一つ行政の中での原子炉安全専門審査会ですね、科学技術庁が中心になっておりますのは。  ですから、それは物が設置されるときには、やはり安全がどうかということは当然のことでありますけれども、私は日本の将来にとっては、せめてアメリカと同じように原子力規制委員会というものを別個につくって、ダブル的に安全というものが審査されなくてはいけない、これが日本の将来の大きな私は安全というものを見た場合に一番大事な根本的なものだと、こういうふうに考えるわけでございます。その点について、長官は現在の許認可過程のシステムでいくのか、それとも、これだけ事故が多発しておれば、やはり将来はアメリカ方式でいく考えがあるのか、どちらかをまずお伺いをしたいと思います。
  217. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) 原子力の安全という問題でございますけれども、この重要性に関しましてはお話のとおりでございまして、一番原子力問題としては根本であり、重要な問題でございます。ただ、その範囲と申しますと大変種類が多うございまして、この前に批准を得ました核拡散防止条約に示されておるとおり、日本は核エネルギーを核兵器には転用しない、こういう国是でございますし、また国際条約にも加盟したわけでございますから、それをどういうふうにギャランティーしたかという問題も、これは安全にとっては一番でかい、国の安全保障に関する問題でございますから、これをどういうふうにギャランティーしたかという問題、あるいは予算委員会で参議院の予算委員会で、しょっちゅう問題になりましたプルトニウムその他をハイジャック等で盗難して、これで何十万の人間に危害を加えると、こういうことがあったらどうするかといったような、こういう一種のフィジカルプロテクトの問題、こういう問題もございます。  しかし、いまお話しの指摘の点はそういう点じゃなくて、それはそれで重要な問題であるが、しかし、いわゆる原子炉あるいは核燃料そのものに対する安全性の問題をどうするかという問題でございまして、特にその中でもただいま一番問題になっておりますのは、核燃料の燃料サイクルにおける各過程で、一番重要なポイントがそれでありますので、そういう面に対する押さえ方がどうかというのが非常に当面の問題でございますが、御指摘の点はそこでもなしに、いま原子炉自体の安全の問題が主のようでございますけれども、これは御承知のように、原子炉の安全の問題は、将来の開発しつつある原子炉に関しましては、ファーストブリーダーとかあるいは核融合とかいったような問題は、これはもう自分の手で安全そのものの研究から進めていくわけでありますから、これは私は自分の技術として、安全に対して自信を持ってできるんじゃないかと思います。  お話しのいま一番問題になっておりますのは軽水炉の問題でございまして、これはいまの「むつ」しかり、あるいは原子力発電はほとんど、一基を除いて、それ以外は全部軽水炉でございます。その安全の審査の点は一体どうなっているんだと、いまのままでいいのかと、こういう御質問がお話しの指摘の中心点だと思います。その点に関しましては、私ども現状がいいとは思っておりません。したがいまして、国会の承認を得まして、御承知のように、ことしの一月に原子力安全局というものを特別にわが庁の中につくりましてそして、権限を強化し、あるいは責任の所在を明確にし、検査、審査内容を充実していくと、こういう意味を兼ねまして、とりあえずいままでよりさらに一層強力な手段をとりまして、しかしそれでいいのかといいますと、さらにそれ以上原子力委員会まで含めましてどうするかという問題がございますので、この点は内閣の中に有沢委員会行政懇談会というものをつくりまして、去年の暮れに中間報告が出ております。  それによりますと、原子力委員会を二つに割って、開発委員会と安全規制委員会に分けたらいいじゃないかと、そうして審査、検査も一貫性を持つように、あるいはダブルチェックをして、そしてさらに万全を期すようにと、こういう中間報告がございましたので、その中にもまたいろいろ細かく議論していきますとたくさん問題がございます。そういう問題を詰めつつ、ただいま来年の予算、あるいは来年の法案提出のために準備をしている最中でございますので、お話の点から少し長話になって恐縮でございましたが、その点が焦点でございますれば、お説のように大変重要な問題でございますし、現状をもって満足しているわけではございませんので、ただいま、いま改善の方途を講じつつございます。
  218. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 じゃ、この点で、いま長官の答弁を伺いましたが、どうか長官日本原子力発電所建設のための許認可過程というものが、経済企画庁にしても、通商産業省にしても、科学技術庁にしても、農林省や環境庁にしても、都道府県にいたしましても、すべてそういう庁の方々の中における一分野の中での安全の専門審査会ですね。ですから私がいまわざわざフォード大統領の姿勢を申し上げておりますのは、まあ長官もちょっとおわかりいただいたようでございますが、やはり所轄の長官も、大臣も、安全審査のこういうふうな規制委員会というものには、われわれの権力でもタッチできないんだと、日本にもそういうふうな軽水炉においても、もうアメリカと同等、おくればせであるけれども、せめてそこまで、よいものはきちっとやはりまねをした、そういうものをつくらなくちゃいけない。まあこういう、どうか、いま長官のお話を伺っておりますと、いろいろと私と同じような気持ちの御答弁いただいたようにも思うわけでございますが、まあいろいろ問題点があると思いますので、時間も長くかかると思いますけれども、どうかこの点も精力的に、大きな人間生命の安全という立場の中で謙虚に検討をしていただきたいと思います。  では最後に、原子力船「むつ」の問題について質疑をしたいと思います。  原子力船「むつ」の実験については、まあ国民の中にも賛成や反対の声もございましたけれども、結論的な一つ事故が出た段階においては、原子力もやはりもうちょっと真剣にやっていただかなくちゃいけぬなという不安も国民の中に出てきたわけでございます。で、日本原子力船開発事業団法の第一条には、「日本原子力船開発事業団は、原子力基本法の精神にのっとり、原子力船の開発を行ない、もってわが国における原子力の利用の促進並びに造船及び海運の発達に寄与することを目的とする。」まあこのように述べられております。  この中で私気になりますのは、原子力基本法にのっとりとうたわれておるわけでございますけれども、この原子力基本法の基本方針である二条には、「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする。」とはっきり述べられておるわけでございます。この「民主的な運営」という、こういう基本的な方針を尊重したのかどうか、こういうことを考えますと、先般の出力試験の実験を行ったということは、この基本方針から考えましたときに、どの那辺にお考えあったのか、それをまずお伺いしたいと思います。
  219. 山野正登

    説明員(山野正登君) 御指摘の、この原子力開発、利用について、民主的な運営のもとに行うという点でございますが、これは原子力基本法の四条に「国の施策を計画的に遂行し、原子力行政の民主的な運営を図るため、」「原子力委員会を置く。」という規定がございまして、主として原子力委員会の役割りや機能に着目して決められたものというふうに考えておるわけでございますが、この点につきましては、原子力委員会科学技術庁長官及び各界を代表しました学識経験者のうち、国会の承認を得まして任命された方々で構成されておるわけでございまして、そういう意味で十分にこの民主的な運営ということは図られておると思うのでございますが、そのことを離れましても、原子力開発、利用というものが、先生御指摘のように、広く国民的なコンセンサスのもとに進める必要があるということは論をまたないところであるということは全く同感に存ずるものでございますが、先般、四十九年秋の「むつ」の出港に際しまして、私どももできるだけ地元の方々の御理解を得るように、二年間にわたりまして鋭意努力をしたのでございますが、その結果、二十九の漁協のうち二十五の漁協につきましては御賛成を得ましたけれども、残りの四漁協につきましては、二年間の政府の誠意ある説得にもかかわらず、ついに一部御了解が得られなかったという点は、現在非常に結果的に残念な結果であったというふうに考えております。
  220. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 いま四条云々の中で、誠意ある説得と言われておりますけれども、私の方でこの五日間現地でいろいろと県民の方や漁民の方、そうして地域の人たち、いろいろと調査なりお話をしましたけれども、いろいろのまず問題点が出ておりますのは、出力試験の実験に対して、佐々木さんではないんですよ、前の森山さんが長官のときでございますが、現地が心配をしているときに、そういう反対は、この実験に反対するのは科学を冒涜する無知の者と大みえを切られたということについて、いまだにまだ地元では、本当にもうけしからぬと、原子力関係に携わる学者であるとか、その担当の人たちであれば常に正義なのか、常に絶対に間違いがない人なのかと、そうしてそれに反対する者は無知の者とみえを切られなくてはいけないのかと言われておりますね。ここでも何度も、絶対に安全であるから大丈夫だと、原子力は一〇〇%間違いないんだと、こういうふうなことでこの「むつ」の問題も移行をしてきたんです。これは森山さんが言われたことなんだということでございますが、私は現地でその話を聞いても、長官であった森山さんがそんなことを言われたとは信ずることがなかなかできないわけでございますが、まあ話はそういうふうに出たわけでございます。  そういうふうな中から考えますと、では「むつ」は事故が起きたのか起きないのかという問題が出てくるんです、後。そうしたら、放射線が漏れたというふうなことになってきた。じゃ、それは高度な段階の中で初めて、人的に英知をきわめてもだめだったんだと、そこから漏れたんだと……。そうではなしに、その当時の新聞報道や発表によれば、初歩的なミスだと判断されたというわけなんです。だったらよけい地元の人でも、じゃ長官が言った言葉、あれは一体何なんだ、こういうふうな問題が出てくるわけでございます。ですから、放射線漏れも初歩的なミスと判断されておる、起こるべくして起こった事故がある、こういうふうになるわけでございます。で、また森山さんは当時、絶対的に安心だと、このように断言をされた。私はこれは国民に対する科学者や、そうしてその担当されている指導者の最高峰の言葉として、結論から見て疑問を感じるわけでございます。こういうことについて、佐々木さんにいま質問申し上げるのは酷でございますけれども長官、こういうことについて、いまどういうお考えでございますか、お伺いしたいと思います。
  221. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) 森山長官は私の前々の長官でございまして、当時森山長官がどういう趣旨でお話のような発言をしたのか、私自体もつまびらかでございませんので、これを批評するといったようなことは私自体からは慎みたいと存じます。  ただ、私自体といたしましては、あくまでも謙虚な気持ちで住民の皆様の御理解、御協力を得まして、そうして「むつ」の今後は、単にいままで故障が起きたその個所を修理するというだけでなしに、この機会にひとつ総点検をいたしまして、もう一遍安全性に対して徹底的な検討を加えようじゃないか、その上でこれであれば安全であるという原子力委員会の再度御認定もちょうだいして、そしていよいよ新しい母港ができますれば修理、点検が済んだ後で、そちらの方で実験を続けていきたいというふうに考えてございますので、過去の批判に対するよりも、私たちといたしましては、むしろいま申しましたような態度で、今後処理していきたいというふうに実は承知をしてございます。
  222. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 長官、本当にあの当時の新聞報道見ておりますと、「事前に点検できた?完全な初歩的、ミス」、「原子力船「むつ」の放射線もれは、原子炉から出る速中性子線をまったく見落とすという初歩的ミスに原因がある」、また「原因調査にあたった小委員会は「われわれの任務外だ」として、このような欠陥炉を生んだ責任がどこにあるかについては口を閉ざしている」、また、「原子炉をつくった三菱原子力工業は、設計図の点検を米国ウエスチングハウス社に依頼、しゃへいの不完全さを指摘された」、「基本設計を審査した原子力委員会原子炉安全専門審査会は、この誤りを見抜けなかった。さらに原子炉建造の詳細設計を点検した運輸省当局も同様に見のがした」、「むつ」の問題についてはこういうふうなことが出ております。  だから、三宅さんという学術会議原子力問題特別委員長も、「設計の段階で関係する専門家同士の討議が欠けていたためと思う。専門家が集まって議論すれば、こんな初歩的なミスはすぐ見つかるはずだ。第二に指摘したいのは、自主開発の手順を踏んでいないこと。新しい原子炉を作る場合は、まず原型炉を作り、陸上テストでこれなら大丈夫と自信を持ってから〃本番〃に臨む——これが技術開発の常道だが「むつ」の炉はこの手続きを踏まなかった。さらに開発体制について言えば、原子力開発事業団は各メーカーや官庁、研究所などから出向した者の寄合い所帯で、系統的に「むつ」の開発をフォローしている者がほとんどいない状態だ」、こういうふうなことが言われておるわけでございますが、日本は金持ちではございません。国民は常に政治や経済のいろんな変動の中で生活が困っている。私は、余談になりますけれども、「むつ」に現在まで幾らお金がかかったのか、国民の税金が。それから将来どれだけかけようとしているのか、それから施設についてはどれだけお金をかけたのか、新しい今度の寄港地はどこにするのか、そうして修理も三年間ぐらいかかるそうでございますが、それから以後の「むつ」の動きはどうなるのか、それからむつの近辺でも、関連施設や何かいろんなことを、どんどんお金入れておりますけれども補償を含めてどれだけお金がかかったのか、御答弁をお願いしたいと思います。
  223. 山野正登

    説明員(山野正登君) 昭和五十年度までの集計で申し上げますと、原子力船船体、原子炉部分等すべて含めまして船の開発に約七十三億円を要しております。それから、大湊市にございますむつ事業所、定係港でございますが、この施設関係で約二十六億五千万程度の施設費がかかっております。さらに、四十九年十月のこの放射線漏れ以降に、いわゆる四者協定によりまして、地元に対する振興補償費というものが約十三億八千万円かかっておりまして、これが大体これまでの「むつ」の開発に要した経費でございます。  で、今後、現在佐世保港にお願いしまして修理港受け入れにつきまして御検討をお願いしておるのでございますが、いずれ修理港が決まりました暁には、この修理港におきまして約三年間を費しまして所要の遮蔽の改修並びに原子炉部分を中心にいたしました安全性の総点検を行いまして、その後におきまして必要な出力上昇試験を経ました上で実験航海を行い、所期性能の確認あるいは必要な技術データの蓄積といったふうなものを進めていこうと考えておるわけでございます。で、この修理港において修理に要する費用につきましては、これは現在まだ積算中でございまして、注文いたします相手先も決まっていない段階でございますので、額を申し上げる段階に至っておりません。
  224. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 いま申し上げたように、ほんとに全精力をふるってやっていただかないと、国民はもうたまったものじゃないわけですから、時間も来ておりますが、もう一点だけ質問をして、次回のまた機会のときに申し上げたいと思いますが、いまも話が出ましたけれども、新しい定係港については佐世保を予定されていらっしゃるわけですか。
  225. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) ただいま佐世保にお願いしておりますのは修理、点検だけでございまして、それ以後、修理、点検が済みまして新しい母港としてどこにするかということは、その修理、点検の過程において決めたいということにしてございます。
  226. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 佐世保の地元住民も、非常にむつの段階から不安に思って反対運動が起きているそうでございますが、そういうことも、もう容赦なく押し切って佐世保に決定すると、こういうことですね。
  227. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) 私どもは、全然、さらさらそういう考えございません。私がこの二月でございますか、長崎に参りまして、知事さん、市長さんにお願いし、また重ねて総理からも、御両者に東京に来ていただきまして、政府としては最高の礼儀を尽くしましてお願いしました。そのお願い内容は、決して強制するとか何とかではなくて、安全その他の面に関しましては十分いままで検討を経ておりますので、現地でいろいろ御検討をお願いして、そのためには私どもの資料も全部提供してひとつ出しますので、現地で御検討いただけませんかと、受け入れがその結果可能であれば大変幸せでございますということで検討を実はお願いした次第でございまして、いま私どもの方からも出向き、現地の県、市でもそれぞれ検討の段階に入っておるところでございます。
  228. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 むつ市においては合意協定書を遵守していただきたいと、こういう希望が非常に強いわけでございます。そうなってくると、合意協定書の中では、むつに入港後の六ヵ月以内には新定係港を決定すると、こういうふうに明確になっているわけですね。ですから、合意協定書のこの問題と新定係港との問題、その点の兼ね合いをもう一つお聞きしたい。
  229. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) 私は、おととしの十二月就任いたしまして、任命されまして、すぐかかりましたのがこの問題でございまして、役所の中に新母港推進本部というものをつくりまして、青森県とのお約束をかなえるために日本のあらゆる地帯から、いろいろ条件がございますから、母港としての条件にかなうところを選びまして、その中から適地を選んでお願いしょうと、こういうことで準備を進めておりました。  しかし、だんだん顧みますと、母港に予定される地帯では、持ってくるんであれば、やはりきずものじゃなしに、修理も済ませ、総点検も済まして、これであれば大丈夫でございますというものをひとつ持ってきてもらうわけにいかぬでしょうかというのが受け入れ側の偽らざる住民の気持ちではなかろうかと思います。事実そうでございました。いろいろサウンドしてみますとそういう点もございますので、それではやはり、青森の方とお話はそうなっていますけれども、順序を変えまして、この際修理、点検、あるいは将来の日本原子力船のあり方、国策としてどう持っていくか、こういう点をしっかり国として腹を決めて、十分な調査検討を加えて、その結果こういうふうに進みたいということができますれば、それでもって現地にひとつお願いしょうというので、まず修理、点検の検討に入ったわけでございます。  御承知のように、いろいろ内閣につくりました委員会の結論は修理、点検をすればこの船はりっぱに世間で使える、こういう結論でございましたので、長い間修理、点検の技術的な検討に入りまして、それも完了いたしましたので、その間、青森の方には約束どおり半年間に第二母港を決めるはずでございましたが、しかし、当時地方選挙の真っ最中でもあり、また、いま申しましたような順序から考えますと、やはり修理、点検を先にして、その上でりっぱな船にして母港をお願いするのが筋じゃなかろうかと、こう考えましたので、そういうことでよろしいかと言って青森県側といろいろ折衝申し上げたところ、青森県側でも、円満に事をおさめてもらいたいと、そのためにそういう方法がベターであるならばどうぞそういうことでひとつ進めてくださいと、大変御理解のあることでございましたので、御了解いただきまして、いま申しましたような手順を踏んでただいまに至ったと、こういう経過でございます。
  230. 鈴木力

    委員長鈴木力君) ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  231. 鈴木力

    委員長鈴木力君) 速記を起こして。
  232. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 じゃ、次回にまた譲るとしまして、この「むつ」の問題からこれは原子力の問題も連動するわけでございますが、いずれにしても、原子力は一〇〇%安全であるというふうな立場から進めるということは私は謙虚でない。ですから、これは科学者の方も、そうして担当者の方も、「むつ」のように初歩的なミスを犯す。責任をみんな逃げていく。お金だけは国民の税金が自由に食われていく。そうして口には将来の原子力の平和利用を唱えて、それに反対する者は皆間違いであるというふうなことがもしあるとすれば、私はこれはいけないと思います。そういうふうな観点の中から一問だけ、この「むつ」のことで、いま長官、普通の船に返してというふうなことをちょっと言われたと思うんですが……。
  233. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) 言いません。
  234. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 言わなかったですか。そうですが。じゃ、修理が三年かかるわけでございますが、せめてその後の計画等もどの程度までされていらっしゃるのか、きょうは中間的でございますけれども、ここまで質問をして終わりたいと思います。
  235. 山野正登

    説明員(山野正登君) 現在、修理後の計画につきまして私どもが原案として考えております線は、先ほど申し上げましたように、まず、修理港におきまして遮蔽の改修並びに総点検に三年を考えております。この三年間の遮蔽改修並びに総点検を終えました後、約一年間で出力上昇試験を行う予定にいたしております。で、その後、五年目から実験航海に入りまして、まず実験航海、最初二年間につきましては所期性能の確認等並びに乗組員の操船の訓練といったふうなものを主眼にいたしまして実験航海をしました後、さらにその後三年間の実験航海を続けまして、その間信頼性の向上、あるいは将来の原子力船のための安全性基準等の策定に資するための研究開発といったふうなものを進めまして、さらに最後の一年間で、これら過去九年間の開発の成果の総まとめをするということを考えておりまして、したがいまして、集計いたしますと、今後十年間でこの「むつ」開発を終了しようというふうな計画をいま立案いたしております。
  236. 塚田大願

    ○塚田大願君 環境庁にお伺いしたいと思います。  いま御承知のように、ロッキード問題が起きまして、この問題の疑惑の渦中にあります田中総理大臣、この田中総理大臣が中心でやりましたあの田中金脈事件、この田中金脈事件の核心とも言うべきものがあの信濃川河川敷問題であったろうと思うんです。で、この河川敷問題につきましては、もう過去一年半にわたって衆参でやかましく論議されてきたわけでありますが、昨年十一月二十一日、行政管理庁と建設省のいわゆる統一メモなるものが発表されました。この統一メモについては先般衆議院の予算委員会委員会で大変激しい論議があったはずでありますが、この問題について最初お伺いします。  これはもう行管庁よく御承知だと思うのでありますが、この工事実施計画書が真正なものかどうかについての統一メモでは、「行政管理庁としては、工事実施計画書におもて紙がついていないため厳密な意味で原議であると認定できないが、建設大臣の承認書が添付されていること及び内容的にも主事実績に符合することから真正なものであることを否定するものではない。」と、 こういうふうに書いてある。先ほども行管からもこういう趣旨の答弁がありました。  それから計画変更の経緯のところでは、「現存する記録から客観的な事実認定はできないが、この建設省の見解を推定としては否定するものではない。」と、前の方では「厳密な意味で原議であると認定できないが、」「真正なものであることを否定するものではない。」、二番目には「現存する記録から客観的な事実認定はできないが、この建設省の見解を推定としては否定するものではない。」、これは全くわれわれが読んでおりましても意味がわからないですね。率直に言ってこれ日本語かどうかと思うぐらいですよ。何々は認定できないが何々であることを否定するものではない、客観的な事実認定はできないが推定としては否定するものではない、これは日本語になっていませんよ。これはどうにでも解釈できるのです。たとえばこのいまのところですが、「推定としては否定するものではない。」と書いてありますが、じゃ推定としては肯定するものでもないと、こういうことにも読みかえられないとも限らない。全くこれはあいまいもことしておりまして、だれが読んでもわからないんです、こういう文書は。これがいわゆる官庁のテクニックと言われるものかもしれないけれども、こんなものでいまどきこれだけ大問題になりました金脈問題で疑惑が解けるなんていうものではないと思うのです。むしろ疑惑はこれによって深まってくるというのが現実だと思うんですが、いや、もっと言えば、建設省と行管の統一メモとなっておりますけれども、統一ではなくて、これは食い違いをむしろはっきりさしたんではないかと、こういうふうにも読めるんですけれども、この点はどういうことですか、もう一度ちょっと説明していただきたいと思うんです。
  237. 松澤雄藏

    国務大臣松澤雄藏君) これは両省間で置かれておりまする立場がお互いに相違をしておりますので、それらの点をまとめる意味において出したものでございます。なおまた、いまお話がございましたように、両者間の方において右左というようなことを分けたというふうな意味でもないのでございまして、極力一致せしめるというふうなこと等を中心として考えて案を出したものでございます。  詳細な点は、私が申し述べるというようなことよりも、私自体がこれを了承して提出したというようなことでございまするだけに、私の方の係官の方から答弁さしていただきたいと思います。
  238. 鈴木博

    説明員鈴木博君) 表現につきましてただいま御指摘がございまして、非常に一般から読みました場合に理解しにくいという点は私どももさようかと存じます。これの表現につきましては、実は非常にわれわれといたしましても苦心いたしたわけでございますけれども、これ以外に表現のしようがないということでこのようにやったわけでございます。その理由といたしましては、まず最初に御指摘のありました工事の実施計画の点でございます。これは工事の書類のとおりに工事が行われておりますので、内容はほとんど疑う余地のないぐらい真正だったと思うのでございますが、われわれ監察する立場といたしましては原議がない以上はこれが全く事実のものだということを外部に対して言えないという立場でございます。したがいまして、このような表現を使わざるを得なかったということでございます。  それから二番目に御指摘のありました点は、かすみ堤が締め切られるに至りましたその経緯についての点でございます。その点につきましては、三十八年度の工事実施計画以来四十三年度の個所別変更によって締め切られるまでの間の検討の経緯を示す記録というものを私どもは探したわけでございますけれども、ありますものは四十三年度の個所別変更に伴いまして、これが締め切られる場合には経済効果がこれだけ、財政的に経費が安く済みます問題でありますとか、遊水効果も一〇・三%であるとかいう検討のその書類はございました。検討の結果を示す書類はございましたけれども、通じてみまして記録はありませんでした関係で、この点について最初指摘におきましては、まあわからないという立場で申したわけでございます。  しかしながら、その後建設省の方で当時の関係者に詳細に当たって調べましたところ、検討は関係者の間で行われなかったんだと、三十八年度の工事実施計画どおりにかすみ堤でいくんだということでありましたので、途中においては検討が行われなかったんだということがわかったわけでございます。したがいまして私どもは、そういう建設省のやり方、経緯というものを否定する何物もない、それを否定する根拠になるものもございません。したがいまして推定として、建設省がそうなさったことは推定として間違いでもないし、また正しくないとも言えないという立場をとったわけでございまして、そういうような点でこういう表現を使いました点御了承賜りたいと存じます。
  239. 塚田大願

    ○塚田大願君 私の時間は三十分しかないんで、答弁は簡潔にお願いしたいんですが、いま言ったような答弁はもう何回も聞いているんですね。この間の衆議院でも同じようなことが言われたようですが、結局あいまいで何を説明しているのかわからない。聞いておる方はわかりませんよ、そういう説明ではね。どっちでもないと、イエスでもなきゃノーでもないと、こんな答弁というのはないわけです。  そこで私は、しかしきょうこのことを論議している時間がありませんので、ただ一言言っておきたいのは、こういうあいまいもことした文章で果たして責任がとれるのかということです、行管庁としてですよ。きょうは建設省に聞いているわけじゃないんで、行管として職務上、責任上こういう文書で事が済むと思っているのかどうか。三木さんだって衆議院の予算委員会で非常に不明確な問題だから徹底的に追求してくれと、こう言って三木総理大臣がおっしゃっておる。そういうことから考えましてこの統一メモなるものは行管庁もこれは承認をして出しておるわけでありますから、こういうことでは責任がとれないではないかということを私はひとつ申し上げておきたいんです。とにかく率直に言って、これは建設省と行管庁のなれ合い文書であると、いわば臭い物にはふたをするというための文書であると、こういうふうに私は断定をしております。このことはなお衆議院の予算委員会の小委員会で徹底的にまだ論議されるはずでありますから、この点はこれぐらいにしまして次に進みます。  きょう私が主としてお聞きしたいと思うのは、もう一つの文書であります。これは九月に出されました行政管理庁行政監察結果、これは先ほども論議が出ました。ここにこういうことが書いてあるんです。七ページ、この「長岡バイパス建設工事との関連」という項ですね。「蓮潟地区取付道路工事については、昭和四十四年十月から既に一部着工されているが、これは、河川管理者からの正式同意前の着工であるとともに、同意条件である左岸新堤防から旧堤防間の取付道路の築造」云々という条件に「抵触している。」ということがここに書いてありますね。この事実はこの指摘どおりでしょうね。
  240. 鈴木博

    説明員鈴木博君) ここで指摘したとおりでございます。
  241. 塚田大願

    ○塚田大願君 だとしますと、これは明らかに法律違反の事察指摘ですね。したがってきわめて事は重大ですが、一体これについて行管庁はどんなふうな認識を持っていらっしゃるのか、特にお聞きしたいのは、この後のところに、いまの問題ですね、「以上のことからみて、長岡バイパス建設工事については、協議完了前着工、同意条件抵触の問題は認められるが、霞堤締切りとの関連においては、特に指摘すべき問題点は認められなかった。」と、ここでもやっぱり「が」がついているんです。「問題は認められるが、」「特に指摘すべき問題点は認められなかった。」、これもよくわからないことですね。問題はあるんだ、しかしなかったんだと、単純に言えばこういうことです。これはやっぱり日本語になっていませんよ。その点で、この「締切りとの関連」とはどういうことを言うのか、また「特に指摘すべき問題点は認められなかった。」というのはどういうことを言うのか、この説明を簡潔にひとつお願いしたいと思うんです。
  242. 鈴木博

    説明員鈴木博君) ただいま最初に御指摘のございました点につきましては、これは長岡の地方建設局内部の組織間の取り扱いの問題でございまして、これについては、ここに書いてございますように、建設省としても「施工に関する条件は、きつすぎるように思える」と説明もされておりますので、特にこれは内部の反省材料として指摘するにとどまったわけでございます。  それから3にございますこの表現の点は、かすみ堤が連続堤に切りかえられるその問題については、この河川部門と道路部門との内部での協議の問題は関係がないという認識のもとに特にはこの点を結びつけては考えなかった次第でございます。
  243. 塚田大願

    ○塚田大願君 建設省にちょっとお伺いしますが、こういう問題が法律で決められておる事項に違反して協議完了前に着工するとか、あるいは同意条件に抵触してやるとか、そういうことがしばしば起きているんでしょうか。私はこれは大変重大な問題だ、法律にちゃんと明記されているんですから。その法律に違反をするということがたびたび、平気で行われておる、そして問題点はないんだというふうになったら、これはもうめちゃくちゃですよ。これは一体、建設省ではどんなふうに考えておられるか。特に河川法九十五条が空文にされているんじゃないかと思うんですが、その点どうです。
  244. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) いまの御指摘の点でございますけれども、河川法第九十五条に基づく協議の問題でございますが、道路管理者から合い議受けましたときには、河川管理者としてはすべての条件が整うのが通常でございますけれども、この件につきまして、この工事事務所は河川と道路の混合事務所といいますか、完璧を期そうということで、基本的な問題は早くまとまっておったわけでございますが、その後四十四年に至りまして、この取りつけ道路の問題の細部変更等がいろいろ出てまいりまして、そういうことを仕上げた上で最終的に河川法の手続をとろうということになりまして、結果的に河川法の許可の方がおくれておりましたが、内容的にはずいぶん詰まっておったわけでございますが、そういう細部のものまでをすべてといいますか、完成の上ということでおくれたという経過があるわけでございます。
  245. 塚田大願

    ○塚田大願君 いろいろ弁解がされるんですけれども、この河川法九十五条を見ますと、これは国の場合の特例として示されておる。したがって罪則はない。しかしながら、これは河川法の百二条である罰則規定によりますと、二十三条ですかの規定に違反した場合、あるいは二十六条の規定に違反した場合、あるいは二十七条一項の規定に違反したような場合には大変厳しい罰則がありまして「一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する」。懲役になるんです。ところが国の場合にはそういう罰則規定がないということになっておりますね、九十五条では。だから国は何をやってもいいんだということにはならないはずなんで、むしろ罰則規定が国の場合にはないというだけに、それだけ国は厳しくこの法律の趣旨に従わなければならない義務があると思うんです。ところが国の場合には平気でそれをやっておる。しかも行管庁はこれは問題点はありません、違反はしているけれども問題点はありませんと、こんな言い方をしているんですね。これは私は大問題だと思うんですよ、あんた方はそんなことを平気でやっておるとすれば。その点どうなんですか。ひとつもう一度その辺、そこをきちっとしてください。つまりそういうことをやってよかったのか悪かったのか。イエスかノーかだけでいいです。
  246. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 先ほど申し上げましたように、道路関係から出されました問題についての河川管理者の受けとめ方でございますけれども、基本的に道路が都市計画路線に結びつくということは基本的にはもうすでに了承しておったわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように書類の完璧を図るということからおくれたわけでございまして、やはりいま先生がおっしゃるように、こういう普通の場合は基本線がまとまって大体のことがまとまれば許可を出すわけでございますけれども、取りつけ道路の非常な書類の完備を最後まで図った、途中変更もないようにしよう、そういうことの配慮が行き過ぎたような感じがしておりまして、今後こういうことはなるべくないようにしたいというのが私どもの考えでございます。
  247. 塚田大願

    ○塚田大願君 実質的に話し合い、協議はしていたんだからという言いぐさですけれども、しかし法律というものはそんなふうに書いてないです。またそんなふうに勝手に拡大解釈をしていたら法律なんか成り立ちませんよ。とにかく懲役まで科せられるような違反行為を国が平気でやっていたと言うんですから。ですから協議はやっておった、形式文書がそろっていなかったんだということだけでは私はやはり済まない問題だと思うんです。  そこで、なお建設省にもう一つお聞きしたいんですが、この当時の関係者ですね、この工事の。この関係者については具体的にお調べになりましたか。
  248. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 行政管理庁の方からいろいろお話がございました後でございますが、私どもは書類等でいろいろ御答弁申し上げておったわけですが、それでやはり当時の人を調べた方がいいというお話もありまして私ども積極的に調べたわけでございます。この二点に分けて申し上げます。  三十八年度以降総体計画の策定後から四十一年十月の橋本建設大臣国会答弁に至るまでの間につきましては、主として元河川局長古賀雷四郎氏それから元河川局治水課長渡辺隆二氏でございます。それから四十一年十月の橋本建設大臣の答弁から四十三年の七月の締め切り決定に至るまでの間につきましては、元河川局長の坂野重信氏それから元治水課長の西川喬氏でございます。
  249. 塚田大願

    ○塚田大願君 私が聞いているのはそういう方々をお調べになったかどうかということなんです。そういう方々から事情を調べられましたか。
  250. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) ただいま申し上げた方々に当時のことにつきまして私どもの方からお聞きしたわけでございます。
  251. 塚田大願

    ○塚田大願君 そうしましたら、いまの建設省の報告ではとにかく今後こういうことをやっちゃいかぬというところまでは少なくとも反省が行われているのですが、行管庁としては、そうしますとさっき読み上げたような問題は認められるが特に指摘すべき問題点は認められなかったというこの報告、やっぱり問題点あったじゃないですか。建設省自身がそう言っているのですから、だったらこれ訂正しておかなければ私はまずいと思うのですが、どうです。
  252. 鈴木博

    説明員鈴木博君) お答え申し上げます。確かにそこの部分につきましては問題があったわけだと思いますけれども、私どもの監察が河川管理の、かすみ堤を連続堤に直したその経緯、いきさつというものを監察いたしましたので、3でございますように、「霞堤締切りとの関連においては、特に指摘すべき問題点は認められなかった。」こういう表現を使ったわけでございます。
  253. 塚田大願

    ○塚田大願君 かすみ堤締め切りとの関連において問題はなかったというのですけれども、そもそも問題はかすみ堤を締め切って連続堤にした、本堤にした、しかしその工事がもちろん大もとの問題点なんだけれども、そのかすみ堤を締め切るのにはどうしたって締め切った後に初めて取りつけ道路、土盛りの取りつけ道路というものができなければこれはおかしいわけですね。常識的にそうでしょう。もし締め切ってなければ土盛りの取りつけ道路でなくて橋にしなければならないはずですよ。これは工学上そうでしょう、また常識的にもそうでしょう。そのことは建設省だって検討されたはずだ。ところが土盛りの取りつけ道路、閉塞前にやった、こういうことなんですから、これは大変やっぱり問題ですよ。もう意識的にやっていた。かすみ堤の、連続堤の工事も何もかにもまことにもう最初から計画的に進められたのだという結論を裏づけることになるんですよ、この問題は。ですから、かすみ堤と取りつけとの関連においては特に問題なかったなんていうことにはならないです。大いに問題がある。かすみ堤締め切りとの関連においてはむしろますますもって問題がある、こういうことにならざるを得ないと思うのですけれども、その点どうです。
  254. 増岡康治

    説明員(増岡康治君) 関連ございますので申し上げます。  いま先生のお話でございますけれども、長岡大橋の着工が四十二年十一月でございますけれども、このときはあくまで道路サイドとしておりましたのは、いま先生おっしゃるように、ずっとかすみ堤の中はいわゆる短いスパンの橋梁と、こういう設計でずっときたわけでございまして、先ほど申し上げました取りつけ部分が、土盛りか橋梁形式かという問題についていろいろ判断したのはずっと後でございまして、四十四年からこの取りつけの道路にかかっておるということで、初めからそういうことを予測して橋梁ができたわけではございませんで、いわゆる市街地の都市計画道路へ結びつけるという基本的な問題は別個の問題として早くから道路サイドで議論され、研究されてきた問題でございます。
  255. 鈴木博

    説明員鈴木博君) ここで問題になりますのは、正式にこの同意の文書が出される前に取りつけ道路の着工が開始されているという点だったと存じます。したがって、かすみ堤が締め切られるその時点との比較におきましては、すでに締め切りが決定した後でございますので、締め切りとの関係は考えられないという認識に立ったわけでございます。
  256. 塚田大願

    ○塚田大願君 とにかくいろいろ皆さんは都合のいいように解釈していらっしゃるのですが、とにかく法律事項が厳として存在をしておって同意がまだ完了していない、あるいは条件に抵触をしている。条件というのは、いま言った閉塞後この工事をやりなさいと、この条件ですよ。それにも抵触をしている。はっきりとしているんですから。ですから私は余り言いわけはしないで、これはやっぱりはっきり行管庁としてはすべきところだ。そうしないと一体法治国も何もありはしませんよ。法律に決まったことを違反してこれは問題ではありませんでしたなんというようなことを平気で言うような感覚ではこれは問題外だと思うのです。ですからその点をはっきりしていただきたい。  そこで時間も迫りましたので話を進めますが、行管庁に注文があるんですが、具体的に当時の関係者に行管庁自身としても当たってお調べになる必要があると思うのです。これは行管庁の設置法第四条第六項にも明記されております。長官関係者の協力を求めることができる。こういうことになっておりますから、これは建設省任せでなくて、行管庁みずから関係者に事情聴取する私はその必要があると思うのです。特に建設省では、先ほど局長であるとか部長であるとかいう程度の事情聴取だったようですが、私は行管庁の場合には田中総理大臣、あるいは室町産業の関係者、もちろん建設省の関係者も結構でしょうが、そういう関係者をやっぱりきちっと調べると、事情聴取するというぐらいの姿勢がなければ私はいけないと思うのですが、それをぜひひとつもっと突っ込んで調査をしていただいて、事情聴取をしていただいて、やはりいまの個所、この個所は大変私はあいまいなところで、一般には余り気がつかないですうっといけそうなところなんですが、特に私はこの点をひとつきょうは問題提起しまして注文しておきたいと思うのですが、どうですか関係者から事情聴取をしていただいて、ひとつ報告を出していただけますか。
  257. 鈴木博

    説明員鈴木博君) ただいまの御指摘の点でございますが、確かに御指摘どおり設置法の第四条の六項というものがございますが、私どもこれを監察に当たりまして考えましたことは、外部に対してやはり立証できるものでなければならないということから、記録中心と申しますか、客観的に認定できる方法をとったわけでございます。したがいまして、この当時の人に当たりましても、これが正しいかどうかという判断の根拠になるものがございませんので、そういう理由もございまして、現在の建設省のそれぞれの立場の方々、これは昔からずっと責任としては継承されている立場でございますので、その方々に聞いてもらって、その人の責任において私ども説明してもらうという方法をとったわけでございます。で、これから当時の関係者に当たりましても、建設省でお聞きになった以上の新しい事実というものはわれわれが当たりましてもとても入手できるものでもございませんし、またそれを立証することも不可能だろうと存じますので、現在のところはそのような考えを持っておらないわけでございます。
  258. 塚田大願

    ○塚田大願君 やっぱり行管庁は何か非常に遠慮をされていると思うんですよ。特に建設大臣なんというのがみんな歴代の田中派の大臣で、いまの竹下さんもそうだし、仮谷さんもそうだし、そこにいらっしゃる小沢さんもそうだった。それで何か非常に遠慮しているようなものを私ども感ずるんです。これは少しこっちのあれかもしれませんけれどもね。私はやはり行管庁の設置法で堂々とそういう権限が長官に与えられておる。私はその点は非常に大事なところだと思うんですよ。行管庁というものはそういう独特なやっぱり任務を授けられておるんですから、その権限を大いに発揚していただいて、なるほど建設省の現職の方々に聞けば一番いいということも理屈かもしれないけれども、しかしこれだけの政治問題になっている問題ですからね、あらゆるところに、それこそロッキード問題でアメリカの上院の委員会がどんどん証人喚問するぐらいの、そのぐらいの気魄を持っておやりになる必要があると、そうでないと行管庁何のためにあるんだかさっぱりわかりませんよ。建設省の言うなり、ああそうかそうかというふうなことでは国民は納得しないんです。ですから最初にも私が言ったように疑惑はむしろふえていくと、こういう文書が出てくれば。統一メモだなんて称してこういう文書が出れば、かえって疑惑は深まると。先ほどの論議でもそうでした。ですからこの点はひとつ、そうですな、長官に最後にその点の決意といいますか、考え方をひとつお聞きして、私の質問時間が過ぎましたので終わります。
  259. 松澤雄藏

    国務大臣松澤雄藏君) ただいまの御質問がございましたが、関係大臣とか、あるいはまたその他の方々に直接に聞いてみたらどうかと、こういうふうな御意見でございます。しかし実際問題として、この問題は私が当時聞きましたときには確かに疑問があるんではなかろうかと、かように考えて取り調べをするようにしたのでございましたが、結論として、調査した結果としては必ずしもそうでもないというふうな結果になってまいりましたので、私としても建設大臣とかその他の方々にも直接に言葉の上でもってお聞きするようなこともございました。しかしながら、いまお話があったようなぐあいにまでなってくるというようなことが、どうしても私自体が認めることができなかった。そういうふうな立場から現在のような状態になっておりますことをぜひ御了承していただきたいと、かように思うわけであります。現実の問題としてより以上に取り調べをしてと言われましても、私の方として一生懸命取り調べした結果としての結論が出てきたわけでございますから、より以上の結論というものが生まれてくるわけがないと、かように考えました上に立っていまのような御答弁を申し上げたわけでございますから、御了承していただきたい思います。
  260. 塚田大願

    ○塚田大願君 調査はこれ以上できないということを盛んに頑強におっしゃるんだが、なるほどこの統一メモなるものがまともに信用できるような形で出ていればああよくやったなあと、ここまでよくやったと、行管庁精いっぱいだったろうと、こういうふうに私どもも考えられますけれども、これだったら前よりも後退していることは明らかです。一般の新聞の論説を見てごらんなさい。この間の衆議院の小委員会のあの結果を見て新聞はみんな書いていますよ、行管庁は後退をしたと。だれが見てもそういう感じしか受けないんですよ。前は建設省と大変意見の違いがあった。ところがこの統一メモでは何だかわけのわからぬものになってしまった。私はそれだったらもとへ返って、もっとはっきりした、わからないものはわからないんだということをはっきり行管庁として態度を示される必要があると思うんですが、その点どうですか、最後に。これで終わります。
  261. 松澤雄藏

    国務大臣松澤雄藏君) ただいまのお話も一応ごもっともかとは思います。しかしながら、こういうふうな文書をつくりまして、そしていろいろと協議した結果として結論が生まれたわけでございまして、改めていまのようなお話のように問い詰めた結果としてこれでございますというふうなことば、率直に言って私はなし得ないだろうと。またなし得ないというだけではなくって、現実の問題として材料がない、あるいはまた書面上においても書類がないと、こういうふうになってまいりますと、やっぱりこの程度が最高の限度であると。私自体が御答弁を申し上げてそしてやらした問題ではございましたけれども、私自体としても、これ以上のことが取り調べるのは困難だと、かように考えておるような次第でございますので御了承していただきたいと、かように思うのであります。
  262. 加藤進

    ○加藤進君 去る五日から環境週間に入っておるわけでございます。長年にわたって公害の被害に苦しみ抜いてこられた被害者を中心といたしまして全国的にいま公害に対する告発、抗議運動が新たな高まりを示しておるわけでございます。その中で私は特に大阪空港公害についての問題について運輸省並びに環境庁にお尋ねをしたいと思います。  最初に運輸省の航空局長に御出席を願うようにお願いをしておいたわけでございますが、出席できないというお話でございます。どういう事情にあったのか、理由を一言お聞きしておきたいと思います。
  263. 梶原清

    説明員(梶原清君) 飛行場部長の梶原でございますが、本日の決算委員会局長出席を求められたわけでございますが、就任非常に間もない状態でございまして、現在なお所管事項の説明もまだできていない、非常にばたばたいたしておりますので、飛行場部長がかわりまして答弁をさしていただきたいと存じます。
  264. 加藤進

    ○加藤進君 大阪空港公害につきましては、すでに大阪高裁判決が出ています。この高裁判決に対して国が上告をしたという問題が出ておるわけでございます。そこで最初に私はその問題についてお尋ねしたいと思いますが、運輸省にまず最初にお尋ねします。  一昨日、六月の七日、大阪空港公害の問題について訴訟を起こしております多数の被害者が上京して関係省庁を訪ねました。運輸省におきましても梶原飛行場部長が交渉の任に当たられたと思います。被害者が口々に訴えておるのは、日夜みずからの体験している被害の実態の深刻さがどんなものであるのか、何とか国が上告を取り下げて、周辺整備事業等血の通った公害行政を行ってくれないものかということを心から訴えておられたのでございます。運輸省はこういう被害者住民の血のような叫びに対して、どのように理解しておられるのか、被害者のこういう訴えにこたえて上告を取り下げられる意思があるのかないのか、その点をまず明確にお答え願いたいと思います。
  265. 梶原清

    説明員(梶原清君) 大阪国際空港の騒音問題につきましては、私ども政府といたしましては、航空機騒音による障害をできるだけ防止あるいは軽減をいたしたいと、かように考えまして、昭和四十二年に航空機騒音防止法、いわゆる航空機騒音防止法を制定していただきまして以来種々の対策を講じてまいったわけでございます。学校、民家の防音工事、それから直近にお住まいの方の移転補償行政措置を続けてまいったわけでございます。また別途発生源対策につきましても努力を続けてきたところでございます。で、今後とも先生御指摘のとおり血の通った施策を積極的に続けてまいりたいと存じておるわけでございます。  なお先生いま御指摘ございました大阪国際空港騒音訴訟につきまして、御案内のとおり昨年の十一月二十七日に控訴審判決があったわけでございまして、私ども政府といたしましては慎重にこの控訴審判決を検討いたしました結果、この判決は差しとめ請求の当否、騒音等の影響に対する認定、国家賠償法の適用等の諸点を中心といたしまして、数多くの実体法なり手続法上の問題点を内包しておるものと考えまして、さらに上告審の判断を仰ぐことといたしたわけでございます。私ども上告の取り下げをするという考え方は現在のところ全くございません。
  266. 加藤進

    ○加藤進君 政府が上告に踏み切られたその最も主な問題というのは、夜間飛行の差しとめ問題だと思います。ところが現実にはどうなっておるかというと、国内航空については九時以降のダイヤは現在もうすでに廃止されていますね。国際線につきましても、キャセイ、インド航空は九時前に繰り上げをもうすでに実施しておるというのが現状です。残るのはレバノン航空でございますけれども、これも七月十五日以前に繰り上げを実施するということをもうすでに予告しておるわけでございます。したがって訴訟の最大の焦点となるはずの九時以降の便の差しとめについては大阪の高裁判決が示した線ですでに事実上一段落ついているんじゃないか。ついておるのにその上で最高裁で上告審を争わなければならないという理由が一体どこにあるのか、われわれは疑わざるを得ないわけでございまして、重ねて運輸省の一日も早く取り下げを行うように要求したいと思いますが、その点いかがでしょうか。
  267. 梶原清

    説明員(梶原清君) 先生御指摘のとおり国内線につきましては昨年の十二月から九時以降のダイヤはなくなっております。国際線につきましても、インド航空それからキャセイ航空はすでに九時前にダイヤを編成をいたしたわけでございます。で、地中海航空につきましては七月の中ごろまでを目途にダイヤを繰り上げることを検討いたしておりまして、私どももし会社からそういう申請が出てまいりますれば政府部内において前向きに対処する考え方でございます。  しかしながら先ほどお話にございました上告を取り下げるかどうかということにつきましては、私ども上告いたしました理由が、先ほど申しましたように、実体法上あるいは手続法上の問題点が非常に多うございまして、これにつきまして上告審の判断を仰ごうというわけでございますので、私ども上告を取り下げることは全たく考えておりません。
  268. 加藤進

    ○加藤進君 もちろん法的の問題もあるでしょう。しかし最高裁が大阪国際空港に関する公害について、いわば被害者の側から見て適切だと思われるような判決を出した。これに対して国が上告をする、何事であろうかという強い怒りが燃え上がってきておることはこれは言うまでもないことだと思います。  そこで大阪高裁の判決は、なぜ九時以降の航空便の差しとめを命じたのか、実態の問題に入るわけでございますが、これは言うまでもなく大阪空港に発着する航空機の騒音、排気ガスが、直下の激甚地区は言うまでもなく広範な周辺住民に耐えがたい苦痛を及ぼしているというきわめて深刻な実態の事実認定に基づいて出されておることは御承知のとおりです。九時以降の時間帯はもちろんのこと、およそこのような深刻きわまる被害を出す航空機の発着はそれ自体周辺住民の人格権に対する重大なじゅうりんである、不法行為である、こういう立場に立っておると私は考えています。運輸省は自分自身が容認しておるために起きておるこのような周辺住民の耐えがたい苦しみに対して、その原因である航空機の発着というものについて、一体これを不法行為と認めていないのか。地域住民の生活あるいは生命健康に侵害を及ぼしておると考えておられないのか、その点をひとつ明確にお答え願いたいと思います。
  269. 梶原清

    説明員(梶原清君) 私どもといたしましては、先生先ほど御指摘になりました点につきまして、法律上の手続法上あるいは実体法上の問題点がありますので、上告審で判断を仰ごうというわけでございまして、私ども先ほどおっしゃいました被害の内容等につきまして、私どもにつきましてはあの判決に服しがたい私ども立場があるわけでございまして、上告審で御判断をいただこうというわけでございます。私どもといたしましては、先ほども先生御指摘になりましたように、四十九年に周辺整備法をつくっていただきまして、相当の国費あるいはその他の財源措置をもちまして周辺対策に鋭意努力をいたしておるところでございます。
  270. 加藤進

    ○加藤進君 それは存じています。で、大阪高裁判決というのは、住民に重大な被害を及ぼす不法行為であるという点を明確に認定していますね。この点については、いまも触れられましたけれども運輸省自体だってそれを認めておると思います。これは公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律に基づいて、現に学校や民家の防音工事また移転補償などの周辺対策を実施しておられるわけでございますね。これは運輸省が何回も言っておられるように、地域周辺の住民には迷惑をかけている、すなわち被害を与えておるという実態に基づいてこういういわば措置がとられておるのは明らかでないでしょうか。したがって運輸省が大阪高裁判決に服することもしないで上告したというのは、まあとりもなおさずこの不法行為を事実上今後も継続せざるを得ない状況に置いていくということ、引き続き地元住民には苦痛と犠牲を強いる結果になるということはこれは明らかでございまして、運輸省はこういう犯罪行為とも言わるべき事柄について、ぜひとも地域被害者住民の声を耳にしながら上告を取りやめるべきである。私は重ねて要望いたしますが、その点について改めて御答弁をお願いしたいと思います。
  271. 梶原清

    説明員(梶原清君) 先ほど御答弁申し上げましたように、騒音の影響の認定、判断につきまして私どもとしましては経験則違背があると、あの判決にはそういうものがあるということで上告をいたしておるわけでございまして、私ども行政措置で航空機騒音による障害の防止をしようということと先生御指摘の不法行為という問題とは別個の問題であろうと、こういうふうに考えるわけでございます。
  272. 加藤進

    ○加藤進君 環境庁長官にお尋ねいたします。ただいまのように、運輸省はあくまで上告は取り下げないと言っています。長官は昨年の十二月二日の上告を決めた閣議には出席しておられると思いますけれども、そのとおりでしょうか。
  273. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 当然でございます。
  274. 加藤進

    ○加藤進君 そうしますと、この上告問題を決めた閣議において環境庁長官もまたこの上告に同意されたのでございましょうか、それともそうでないような立場意思を表示されたのでございましょうか。
  275. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 閣議というものは全会一致でなければ政府意思決定をいたしませんので、したがって私も同意をしたことはもちろんでございます。
  276. 加藤進

    ○加藤進君 これは環境庁としては重大な問題だと思います。なるほど政府が統一見解をもって閣議で決定する、これはもう形式上言うまでもないことでございます。しかし環境庁はどういう立場に立つ省庁でしょうか。地域住民の公害被害に対して、被害者の立場に立ってこの問題についての事態改善を図るべきいわば政府に対する勧告権も持っておる省庁だと思います。そういう立場に立って、少なくとも夜中まで騒音によって生活そのものさえ脅かされておるようなこの被害者住民の諸君に対して、とりあえず少なくとも九時以降から朝にかけての時間だけを静かな状態に置いてほしい、こういう要望を持って出ておるわけでございまして、そのような要望にこたえる判決が大阪高裁から出されたわけです。出されたのに対して環境庁もまたこれに対する上告をするという立場に立たれるのかどうか、改めてもう一度御答弁をお願いしたいと思います。
  277. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 先生は経過を知っておられると思いますが、私どもはとにかく九時以降に国際線を含めてできるだけ静かな環境に置くための努力をやりまして、運輸大臣にも申し入れをし、運輸大臣もそれを受けて、当面九時以降国内線もやめてもらいました。それから国際線についても、たしか参議院においても衆議院においてもそうだったと思いますが、運輸省に二つの航空会社を指導することによって実現ができるじゃないかということで努力をいたした結果、今日九時以降は静かなる環境になるということができたわけでございまして、この上告の問題そのものは法律論的にいろいろな三権分立のもとにおける行政省としての法律論のたてまえから法律的に見ていろいろな問題点があるというので、むしろそれが主になって上告をしておるわけでございますから、これらの点については環境庁としてはむしろ法務担当の主管大臣意見に従う方が妥当であると、また実施官庁である建設省のいろいろ行政と司法との関係における問題の最高裁の判断を求めるということをしておきませんと、いろいろ今後の行政司法のあり方についての問題があるという御意見についても、これは環境庁として異議をはさむ何物もないわけでございます。したがって上告に同意したということと環境庁長官としての環境保全上の姿勢の問題とは私は別に考えておるわけでございます。
  278. 加藤進

    ○加藤進君 そういう使い分けをされては被害者住民は言うまでもなく国民が困るわけです。環境庁の本来のあり方というのは被害者の立場に立って、公害の防止それからまた自然環境の保全について真剣になって取り組んでいく、そしてあえて行政の面についてその要望を反映さしていくというのが私は主たる任務であろうかと思っております。したがって高裁判決について上告するというような閣議決定が行われようとするような場合に環境庁が独自の立場に立って一体どういう発言と主張をされたのかということは国民にとってもきわめて重大な問題だと私は考えておりまして、この問題については今後とも環境庁の姿勢に対する重大な問題として追及さしていただきたいと思います。  続いてエアバスの導入問題について御質問を申し上げますが、第一に昨年の十二月五日、大阪空港訴訟の原告住民が上京いたしまして環境庁の橋本大気保全局長と交渉をいたしました。局長がそのときに、同年十二月二日付で運輸省の当時の航空局長であった中村前航空局長に対して十三項目の申し入れをしており、その回答については添付資料をも含めて結論が出次第公表いたします、こういうふうに約束をされました。これはテープにもとってございます。で、大気保全局長は当時この約束を当然のことながら覚えておられると思いますが、この申し入れをしてからすでに半年も年月は流れておるわけでございまして、その後運輸省からどのような資料が現に手元に届いてきておるのか、また運輸省、環境庁両省の間でどこまで詰めが進行しておるのか、事態の経過について簡潔に御説明を願いたいと思います。
  279. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) いま先生の御指摘のございました件につきましては、運輸省と局長ベースで三回いろいろの資料を中心に議論をいたしておりまして、これはまあ非常に技術的にも新しい、むずかしい複雑な問題が騒音とか大気とか振動とか悪臭というような問題にございますので、慎重にいろいろ検討をいたしておるところでざいます。そういうことで今日まで日にちがたっておりますが、合同評価につきましては近く作業が終わると、こういう見込みになっております。
  280. 加藤進

    ○加藤進君 重ねてお聞きしますけれども、近くというのは大体どのころをめどとして言われたのでございましょうか。
  281. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) いまはっきりいつごろという考え方は、これは基本的に運輸省の問題でございまして、私どもは運輸省と最終的にまとまればそれを出すということでございますので、余りそう遠くないということ以上には何とも具体的には申しかねます。
  282. 加藤進

    ○加藤進君 ともかくもう半年もたったわけでございまして、もういまかいまかと待っておるというのが今日の現状でないかと思うのでございます。そこで環境庁といたしましては、運輸省との間の話し合いも順調に進み、環境庁の提示した意向や要望については運輸省が十分誠意を持ってこたえつつあるものだと、こういう御認識に立っておられるのかどうか、その点の御見解をお聞きしたいと思います。
  283. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) いま先生の御質問のございましたように、私どもはこの問題につきまして非常に、こういう前提計算をしてみなければおかしいのではないかとか、あるいはこういうデータがもう少し要るのではないかとか、これをもう一度確かめてみるべきではないかと、非常にいろいろの検討を慎重に要求をいたして、運輸省自身も非常な作業をそれに伴ってやる、また、それをやり直してみるというようなことをいたしておりまして、運輸省の方の環境庁の要請に対する態度は誠実をきわめておるというぐあいに判断をいたしております。
  284. 加藤進

    ○加藤進君 そうしますと、十分な説明もほとんどすでに今日まで受けている、それからまた必要な資料の提供についてもすでに環境庁はその資料の提供を受けている、こういう状況だと考えてよろしゅうございましょうか。
  285. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 運輸省として、私どもの要求いたしました資料につきましては、すべてこれを提供をいたして、あるいは計算をいたしてやられておるというのが実際の実情でございます。  なお、一言申し添えますが、私ども立場は、運輸省ともう一つは関連地方自治体という間に立っていろいろ自治体とのコミュニケーションを図り、また自治体の意見をも運輸省に反映させながらやるというところに大事な役割りもございますので、その点につきましても努力をいたしておるところでございます。
  286. 加藤進

    ○加藤進君 運輸省にお聞きいたしますが、航空局長はかわられましたけれども、しかし、当時、環境庁の大気保全局長からの申し入れについてこれをどのように受けとめられたのか。まあ単に聞き置くという程度のものか、それとも積極的に環境庁の疑問をすべて晴らす、こういう立場に立って十分な説明や資料を提供する、こういう立場に立って今日まで努力してこられたのか、その点についての運輸省側の立場を御説明願いたいと思います。
  287. 梶原清

    説明員(梶原清君) 昨年十二月二日に、大気保全局長から私どもの航空局長に対しまして十三項目のお申し出があったわけでございます。これにつきましては、先ほど橋本局長からお答えになりましたとおりでございますが、私どもとしまして、ここにお申し出のありました資料の提供なり説明等を私どもなりに十分にいたしまして、環境庁さんとの間において合同の評価を行い、両省庁間の意見、見解の一致を見るべく、誠意をもちまして努力をしておる最中でございます。
  288. 加藤進

    ○加藤進君 運輸省としましては、とにかく十分な説明もした、資料も十分提供いたしました、こういういうことでございますね。  で、そうであればあるほど私は疑いたいわけでございますけれども、なぜ半年の間もその点について運輸省と環境庁との間に十分に話が進行しなかったのか、一体どこに障害があってどこに問題があったのか、こういう点を私たちは聞きたいということを思わざるを得ないわけでございますが、その点について、すでに半ヵ年も経過した今日でございますから、早急に結論あるいは中間報告なるものを発表していただかなくてはならぬと思いますけれども、重ねてその点についての今日到達しておられる御決断を明確にしていただきたいと思います。
  289. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 両省の間に障害は全くございません。これぐらい両省で誠心誠意、また非常に技術的にも良心的に検討したケースというのは恐らく初めてのことではないかというくらいなものでございまして、私どもは近くこれが整理されましたならば、これを世の中に明らかにするという態度で、両者その他につきましても全く一致をいたしております。
  290. 梶原清

    説明員(梶原清君) 運輸省といたしましても、環境庁の橋本局長が御答弁なさいましたとおりでございます。
  291. 加藤進

    ○加藤進君 重ねて念のためにお尋ねしますけれども、十三項目についての環境庁側から提起された疑問に対して、十分それが環境庁立場から見ても了解し得るような解明の資料なりあるいは説明を求め侮ることができたと、したがって遠からずその内容については公表する段階にきておる、こういうふうに理解してよろしゅうございましょうか。
  292. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) 資料につきましては、再度申し上げますが、非常に現在の段階で詰められ縛る最善のものが、提出されて、また作業されたものというぐあいに私どもは確信をいたしております。いずれ近くまとまりましたならば、これは公表いたすつもりでおります。
  293. 加藤進

    ○加藤進君 そのいずれ近くという点を若干明確にしていただきまして、いつごろまでをめどにするということをもう一度はっきりしていただきたいと思います。
  294. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) これは私どもいまはっきりめどを切っておらないわけでございますが、むしろ運輸省さんに対して、このデータとお互いの技術討議の結果に対してどういうぐあいな対応をお考えになっておられるかということの詰めに次に入ろうとしておりますので、むしろ私どものお答えよりも運輸省からのお答えの方が明確ではないかと思います。
  295. 梶原清

    説明員(梶原清君) 運輸省といたしましては、できるだけ早くいままで行ってまいりました合同の評価なり等を発表できるように努力をいたしたいと存じます。
  296. 加藤進

    ○加藤進君 それはいつごろまでをめどにおいておられますか。
  297. 梶原清

    説明員(梶原清君) 現在のところ、これをいつということははっきりいたしておりませんので申し上げかねますけれども、私どもとしてはできるだけ早くそのような措置をとりたいと、かように考えておるわけでございます。
  298. 加藤進

    ○加藤進君 半年待ったわけでございますから、もうあとといっても半年も待たせるようなことはないということだけは明らかでしょうか。
  299. 梶原清

    説明員(梶原清君) 現在の時点におきましては、できるだけ早くということしか申し上げかねると思います。
  300. 加藤進

    ○加藤進君 ちょっとその答弁をお聞きしましてわかりましたとは言いかねるんですね。もう少し誠意を持って答えていただきたいし、問題があるならあるで出していただいたら結構だと思います。問題がないのにそんなに公表するために時間が必要などとはちょっと常識的には考えにくいわけでございますが、環境庁さん、どうですか、その点について。
  301. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) これは、私、先ほど非常に率直に誠心誠意お答えをいたしました事情でございまして、特殊な問題があるからおくれているというものではございませんで、実は、飛行機の大気汚染の予測であるとか、それに関する気象の問題の扱い方であるとか、騒音の問題が一体どのようなぐあいに台数を変えたりなんかしたらどれぐらい本当に変わってくるものだろうか、あるいは振動の問題を細かく詰めていくということは六ヵ月でもしもできるとしたら大したスピードでございます。これは私ども技術的に非常に良心的に詰めようということでやっておりますので、どうかそこのところは、問題があってお互いに解決がつかないからおくれているものではないということは御信頼願いたいと思います。
  302. 加藤進

    ○加藤進君 ともかく一刻も早く決着をつけて、これを国民の皆さん、被害者の皆さんの前に公表していただきたいということを要望しておきます。  それから運輸省にお聞きするわけでございますけれども、大阪高裁の判決の中には、エアバス導入問題は地元住民の十分な承諾なくして乗り入ればならぬという趣旨のものがありましたが、これはよく覚えていただいておると思いますね、そうですね。  で、大阪空港へのエアバス導入問題については、私は、少なくとも最低条件として次のことが必要だと思っています。その一つは、環境庁と運輸省との間の環境影響評価についての見解の一致、公表の作業を完了させるということ、すなわち公表するということ、これが第一の前提だと思います。それから第二に、同時に、地元住民納得と承諾、すなわち十一市協、兵庫県、大阪府はもとより、被害者である訴訟団あるいは調停派の人々の納得、了承を取りつけるという、この二面がぜひとも前提として必要だと私は思いますが、そういう状態が真に現実化しない場合までは導入をすることは行わない、こういうふうな御決意を持っておられるのかどうか、運輸省にお聞きしたいと思います。
  303. 梶原清

    説明員(梶原清君) エアバスの問題につきましては、いわゆる低騒音大型機でございますが、騒音対策の決め手として開発されてきました航空機でございまして、これの導入によりまして騒音対策が非常に進むわけでございますし、四十八年の十二月に環境庁から出ました環境基準を達成するためにはどうしてもエアバスを導入しなければいけないというわけでございます。で私どもとしましては、地元理解を得て導入をするという基本的な考え方でまいったわけでございます。その姿勢には今日においても変わっていないわけでございます。で先生御指摘環境庁さんとの関係におきましても、このエアバスにつきましての技術面における合同の評価の結果、両省庁間の見解の一致を待ちまして導入を図りたい、かように考えておるわけでございます。
  304. 加藤進

    ○加藤進君 時間が経過しておりますので、若干はしょりまして次に移ります。  一昨日、訴訟団から運輸省に対していろいろな要望が出されました中に、民家の防音工事に伴って設置されるクーラーの電気料金を少なくとも母子世帯と生活保護世帯については何とか国の方で補助してもらえないだろうか、こういう切実な要求が出されていたことは御承知のとおりでございますが、そのとき、梶原飛行場部長は、維持管理費の補助は非常にむつかしい問題だと、こういうふうに答弁しておられたわけでございます。で、どこがむつかしいのか、なぜその程度のことが踏み切れ得ないのか、その点を簡単に御説明を願いたいと思います。
  305. 梶原清

    説明員(梶原清君) 民家の防音工事につきましては、四十九年三月のいわゆる航空機騒音防止法の改正によりまして取り入れられた制度でございます。それ以来、維持管理費につきままして地元の皆さん方から強い要望があるわけでございますが、私どもとしましては民家の防音工事につきましての補助はできるわけでございますが、維持管理費につきましては、制度面その他の面から非常に困難であると、こういうふうに私ども考えておるわけでございます。
  306. 加藤進

    ○加藤進君 私は、一般的にとにかくクーラーの電気料金は全部国で持てというふうに、いわば被害者の皆さんが訴えているわけじゃないんです。少なくとも母子家庭、生活保護世帯です。数からいってもきわめて少ないんです。しかもどの方たちのいま置かれておる生活条件というのはどういうものであるかは御承知のとおりです。  福岡の例を申しますと、月額三万四千四百円ですね、六十五歳の老人夫婦の生活保護費は。これで生活しているんです。防音装置をつけてやったから音の方は必配ないだろう、こう言われても、夏になったらどうなるのか。クーラーつけなかったら蒸しぶろでしょう。クーラーをつけてやった、さてクーラーを動かすためには何が必要かというと、電気料金を払わなくちゃならない。その額が月額六千円から八千円だと、こういうことまで明らかになっておるんですね。  私に厚生省にも関係することだとは思いますけどれも、少なくともこのような被害をもたらしたものは、加害責任の立場から見てもそれなりの手当てを行うのはこれは当然ではないかと思います。クーラーをつけることもその措置の一つなんですから、クーラーを動かすために金がなくてクーラーも動かせない、蒸しぶろの中だ、騒音よりもっとひどい、こんな状態で生きていけるのかというようなところまで追い詰められてきておる母子家庭とそして生活保護世帯の問題についてさえめんどうが見られないとあえて言い切られなくてはならぬのか、これほど冷酷な国の政治なのか、こういうことが問われておるわけでございますが、その点について法的にいうとなかなかむつかしい問題だ、こういう点もあるかもしれません。しかもまた運輸省の側から言うなら、これは厚生省の問題であって、母子家庭や生活保護世帯の問題については、それなりに別途というようなお考えもあるかもしれません。しかし、私は何も行政の上のなわ張りやなんかではなしに、国の施策として何とか知恵を集めてこういう方たちに対して、実質的にそのようないわば電気料金の負担がさらに加重されて、食うものもまた食えないような状態に追い込んでいくということでこの問題の処理が行われ得るとすれば、これは重大な問題でございますから、その点についての血の通った行政措置をぜひともとっていただきたいと、こういう点についてのお答えを私は運輸省を通じてお願いをしておるわけでございまして、運輸省は運輸省の立場からだけではなかなかむつかしいというなら、遠慮なくこれを国全体の問題に持ち出し、閣議にでも持ち出してこの問題の最終的な処理を確立していただきたい、これが被害者の皆さんの切なる声だと私は信じます。その声に対しまして、ぜひともひとつ、法的なたてまえということよりも、こういう実態についてもはやわれわれとしても黙って見ておるわけにはいかぬ、こういう立場から問題の処理に踏み出されるかどうか、その点のお答えを願いたいと思います。
  307. 梶原清

    説明員(梶原清君) 民家の防音工事の維持管理費、特に生活保護世帯の方々の維持管理費につきまして切実なお話を承っておることは事実でございます。ただ、私どもの騒音防止法に基づく補助の体制といたしまして、これを取り上げることが非常にむずかしい状況にありますことは先ほど申し上げたとおりでございますが、航空機騒音防止法による事業費につきましても、当初四十二年に三億で出発いたしましたのが本年度は三百三十億に増額をしていただいておりますし、また制度の面につきましても逐次拡充をしていただいておりますので、全般的に今後とも一検討してまいりたいと、かように考えるわけでございますが、この維持管理費の問題につきましては、非常にむずかしい問題であるということだけ申さなければいけないのは非常に残念だと思います。
  308. 加藤進

    ○加藤進君 ただいまの運輸省の御説明をお聞きになって、環境庁の側から見て、その御説明だけでやむを得ないというふうに考えられては私は被害者がたまらないと思っています。環境庁には環境庁なりの仕事があると思います。そういう立場から見て、ともかく、このような状態に母子家庭や生活保護世帯を置いていく一番の原因は何かというと、これは航空機騒音なんでございますから、その騒音をつくり出したその責任の一端を持ついわば国の行政でございますから、その行政立場に対して環境庁としてしかるべき善処と改善を要求するということは、これは私は環境庁の仕事としてはあたりまえのことではないかと考えるわけでございます。  しかも、これは決して大きなことじゃないんです。御承知のとおり、母子家庭がどれだけの戸数いらっしゃるかということ、あるいは生活保護世帯がどれだけあるかということも実数がもう明らかになっております。その額は何億などというような額には達しない、こういう状態にあることも明らかでございまして、そういう問題についてこそむしろ環境庁が積極的な姿勢で被害者住民の側に立って改善の努力を払われるというなら、私は、その一点だけについても環境庁の姿勢に対して改めて国民の側から見て支持、納得のできる道が開かれるんではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、この点につきまして、庁長官、お聞きになりまして長官としての御所見をぜひ承りたいと思います。
  309. 小沢辰男

    国務大臣(小沢辰男君) 私の方は、生活環境を守るために、騒音なり、いわゆる七大公害の原因を除去する、そして生活環境を守っていくという立場でございます。で、そのやはり基本原則としては、国があるいは地方公共団体がということよりも、いわゆる原因者がそれを負担をしていかなければならない。その必要な費用についてはやらなきゃいかぬわけでございますので、いま、しかし、そう申し上げても、なかなか周辺整備についての問頭点が前進をしていかないものですから、したがって国会法律ができまして、周辺整備についての国の対策というものを進めるようになってきたわけでございます。で、その実施のための予算として国も計上をしている、こういうことを——本来は、実は少し、公害関係の基本的な考え方から言いますと、少し別な道をとっておるんじゃないかと。原因者が当然負担をしなければならない。国は飛行機を動かしているわけではありません。ですけれども、いまの問題については、私が全般的に調整、勧告の設置法に基づいて権限を持っているからといって、直ちに私がこの問題についての結論を出すように乗り出すという前に、まだやらなきゃいかぬ問題があるんじゃないか。  これは、そういう御提起の世帯については、厚生大臣が法のもとで実施をしているわけでございますから、やはり第一次的には厚生大臣と運輸大臣がよく協議をされてもっと詰めていただいて、その上で全般的にどうするかということについて検討なり方針を決めるべき問題だと思いますので、厚生大臣と運輸大臣とでいまの問題をどういうふうに法的なり行政的に詰めていくかということを一応ひとつやっていただかないと、その上に立っての私の所見ではないといかぬと思っております。やはり全般的には法のもとに行政官庁というものはその実施の責任を持っているわけでございますので、法律を曲げることはできませんし、もしそういうことが立法論なりあるいはその他の政策的な問題として必要であるとすれば、これはまた国会の問題にもなってくるわけでございます。いずれにいたしましても担当大臣間でもう少し法的な問題を詰めていただきまして、その様子を聞いた上で、私の被害者に対するいろいろな問題についての一応助言と勧告のできる調整の立場を発動してみたい、かように考えます。
  310. 加藤進

    ○加藤進君 終わりますが、ただいまの環境庁長官の所見はお聞きになったと思います。運輸省としましても、この問題をなおざりにはできがたい問題であって、解決のために努力を払わなくてはならぬ私は重要な問題だと考えておりますので、ぜひともこれを前向きに積極的に解決のために努力をする、検討をいたします、そのためには他の省庁との相談もいたします、環境庁意見も承ります、そういう立場に立ってこの点の最終的な解決に努力されるかどうか、その所見をお伺いしたいと思います。
  311. 梶原清

    説明員(梶原清君) 先ほど来申し上げておりますように、非常に困難な問題でございますけれども政府部内におきまして関係省庁とよく打ち合わせいたしたいと存じます。
  312. 加藤進

    ○加藤進君 終わります。
  313. 下村泰

    ○下村泰君 行政管理庁並びに国土庁、厚生省の皆様方にお伺いしたいと思います。  水資源の利用問題と福祉施設の関係についてお尋ねをいたします。  まず、最初にお伺いしたいのは、実は、行政管理庁のあらましというのをちょいと拝見しましたところが、昭和二十七年に三部、千七百七十七人でありました職員の数が五十年七月一日現在になりますと千五百八人、人口の増加に伴って本来ならばこういう役所なんというのは水ぶくれになっていくべきはずのものがむしろ逆に減っている。これは行管庁だけなのかなという疑問を持ったんですが、この数の減っている理由というのはどういうところにあるんですか。
  314. 加地夏雄

    説明員(加地夏雄君) 行政管理庁昭和二十七年から言いますと約二十四、五年でございますが、相当業務の消長がございます。いま御指摘昭和二十七年の千七百七十七名という時代は、これは例の行政管理庁ができて二、三年を経過した時期に、経済調査庁という役所がございましたが、その役所と合併をして、いわば一番ピークであった時期でございます。確かに削減計画の問題、もちろんこれは関連するわけでございますが、それは現実にはその数は昭和四十二年度末あたりの数から実は私ども計算しておるわけでございます。したがって二十七年から四十二年までの間の数字は、これは削減計画というよりもその後の役所の消長、そういうものがあらわれておると、こういうふうに御理解願いたいと思います。  ただ、御指摘のように、これは現在の定員削減計画・定員管理は、四十三年から三次にわたりまして削減計画を実施してまいっておるわけでございます。確かに行政管理庁の減員は他省庁に比べても相当厳しい数字ではございます。ただ、この数字は何も行政管理庁だけではございませんで、政府全体として行政需要の消長に応じまして削減は削減計画を実施するとともに、一方新しい増員需要のところに増員措置を講じていくと、こういう定員管理の現在の仕組みの中で動いておる数字ということでございます。
  315. 下村泰

    ○下村泰君 私は逆に、よくかつて野にありまして新聞紙上を拝見しますと、行政管理庁から勧告というのが出まして、各省庁にお役人の数が多過ぎるんじゃなかろうかと、国民の方はそれこそ零細企業に至っては、あるいは家内工業に従事しているような方々はそれこそ労働時間に制限なく徹夜して、しかも家じゅうの者が手伝って仕事をし、やっと生活をしているという状態で、それにもかかわらず諸官庁のみが人がふえていくという状態を行政管理庁がよく勧告する。それが実際に行われているのかどうかということは、庶民にはまるでわからない。ところが、いまこれ見ましたところがこういう状態になっていますので、行管庁がまず率先垂範をしてその模範をたれてるのかなと、こういうふうに考えたんですが、そうじゃなくて、もろもろの事情でそうなっちゃったというだけのことですね、これは。  そうしますと、ほかの諸官庁はどうなんですか。やはり制限を食ってそれだけふやせないで現在は減っている状態で、ふえてはいないということでしょうか。
  316. 鈴木力

    委員長鈴木力君) 委員長からお願いしますけれども、答弁もう少し高い声でお願いします。
  317. 加地夏雄

    説明員(加地夏雄君) 先ほどお答え申し上げましたように、現在のこの定員管理の考え方は、行政需要の消長に応じまして国家公務員の定員の再配置を行っていく、こういう考え方でございます。と同時に、全体の公務員の数を極力抑えましてふやさない、こういう考え方できておるわけでございます。  したがって最近の例で申しますと、たとえば学校の関係でそれぞれ学部がふえあるいは大学付属病院がふえていく、こういうところはどうしても増員をせざるを得ないわけでございます。一方、行政需要がそれほど現在においては強くないという業務もあるわけでございます。したがって全体の省庁で見ますと、増員されている省庁もございます、それからさらに先ほど御指摘のように行政管理庁のように減員になっている省庁もございます。その比率は、どちらかといいますと、非常に減員されている省庁の方が多かろうと思います。そういう状況になっておるわけでございます。
  318. 下村泰

    ○下村泰君 庶民感情からいけばふえないのは結構で、これからもできるだけふやさないようにひとつお願いしたいと思います。  水資源の利用についてお伺いしますけれどもわが国ほど水に恵まれている国はないと思います。四季にも富み、花もそれぞれ四季によって咲く大変麗しい国なんですが、どうも水の利用ということに関しては余り行われていないような感じがするんですけれども、行管庁が昭和四十九年度に水資源の利用について監察を実施していらっしゃるそうですが、この監察を実施した趣旨をひとつお伺いしたいと思います。
  319. 鈴木博

    説明員鈴木博君) お答え申し上げます。  近年、首都圏、近畿圏等、いわゆる大都市圏におきます都市用水が非常に需要が急増いたしまして、他面、また渇水時におきましては非常に供給の不安を来すというような現象が見受けられましたので、主として大都市地域における水の供給の安定を図るという趣旨のもとに監察を実施した次第でございます。
  320. 下村泰

    ○下村泰君 それで、どういうことを監察し、どういうことを勧告なさったのか、それを概要をちょっと教えていただきたいと思います。
  321. 鈴木博

    説明員鈴木博君) 時間の関係もございますので、主要点だけを述べさせていただきたいと思いますが、まず第一には、全国規模において水の需給計画というものを策定する必要がある。それからまたその計画は長期的な観点から把握する必要がある。それから関係者で行っております水に関します水資源開発基本計画を実際に合うように改定すべきであるというのが大きな第一項目でございます。  それから第二項目におきましては、河川水の有効利用ということを言ったわけでございますが、これは主として水源地域対策ことに下流部分の問題もございますので、それの解決等によって促進するようにということ、あるいは未利用河川水というものがまだあるのではないか、したがってそのようなものの合理的な利用を図るべきであるというようなことが第二点でございます。  それから大きな第三点といたしましては、水利用の合理化対策でございますが、これは工業用水の再生利用でありますとか、あるいは余剰農業用水についてもこれを利活用するような方策を考えるべきであるというのが主とした内容でございます。
  322. 下村泰

    ○下村泰君 その勧告を受けて国土庁の方ではどういうふうになさっていらっしゃいますか、ちょっとお伺いをしたいのですが。
  323. 白根健也

    説明員(白根健也君) お答えいたします。ただいまの第一点の基本計画ベースの考え方、これは従来から利根川水系、淀川水系、木曾川水系、筑後川水系、この四大水系で全国の大体六割以上の水が使用されているわけでございますが、これにつきましては水資源開発促進法に基づきまして大体長期計画を樹立して計画を推進する、こういう制度を従来から実施しておるわけでございます。  それで今年度につきましては、すでに利根川水系につきまして見直しの改定作業を行いまして、本年の四月十六日に改定をしております。その他の水系につきましては、その後の経済情勢の変動が厳しいものでございますので、現在まず筑後川水系につきまして見直しの改定作業をやっております。なお淀川、木曾川につきましては筑後川が終わり次第さらに見直しを実施する、そういう方針で対処しておるわけでございます。  なおお話がございました全国計画につきましては、これは国土庁発足以来やはり一つの重要課題といたしまして、資源の基礎調査を現在行っておる段階でございます。五十二年度末を一応目途に作成するということで現在鋭意作業を進めておるような状況でございます。これが第一点でございます。  それから水源地対策につきましては、これはいま行管から御指摘のとおり水を使う方は下流の大都市でございます。上流につきましては、いわばつくるだけで犠牲を一方的に払わされる、こういうところがやはり現在の水資源開発で非常に問題になっておるわけでございますので、むしろこれを上下流を一体とした形での対応が必要ではなかろうかということがございまして、本年度予算におきまして、まず荒川水系につきまして利根川荒川水源対策基金、こういうものをつくりまして、上下流の各県が出資いたします、国もそこに一枚出資に加わりまして、そこを通じまして生活再建対策その他というものに対応していこうかと、こういう対策をすでに五十一年度実施してございます。そのような状況でございます。  それから合理化対策、河川水の余剰対策につきましては、関係各省いろいろ問題ございます。これは荒川水系の改定の作業の際にやはりそういう要素を加味いたしまして、農業用水の合理化なりあるいは都市廃水の再利用の問題なり、そういう問題につきまして、さらに関係各省とも検討を進める、場合によっては制度化を将来考える、こういう方向で協議を行っているような段階でございます。  以上でございます。
  324. 下村泰

    ○下村泰君 たとえば行政管理庁の勧告の要旨を拝見しますと、「都道府県の区域内において、建設中のダム等七十九のうち、当初計画どおり事業が進ちょくしているのは、北海道、宮城県、福島県等の区域内で建設されている十九ダム等にすぎず、水需給がひっ迫している南関東、京阪神等の地域では特に著しく遅延しており、中にはダム建設のための事務所を設置してから六年以上を経過して、なお、仮設物の工事にすら着手できないものもある。」これはどういうことでこういうことになる。
  325. 鈴木博

    説明員鈴木博君) これはいろいろな理由があると存じますけれども、下流との利益調整の問題等が非常に大きな部分を占めるという認識を持っております。
  326. 下村泰

    ○下村泰君 その下流との利益調整というのはどういうことなんですか、内容は。
  327. 鈴木博

    説明員鈴木博君) 実は、これは私ども立場でもってお答えした方がいいかどうかちょっとわかりませんけれども、これは建設行政でございます。まあいろいろアロケートの問題でありますとか、あるいは住民の反対でありますとか、各種の理由というものが考えられると思います。
  328. 下村泰

    ○下村泰君 実際のことを申し上げまして、これは国土庁が国土の開発計画の立案をなさって、それに関係する各省庁と寄り合わなければこのお答えは出てこないというのは十分私もわかりますけれども、やはりある程度諸問題を国土庁が把握していなければ、各省庁との連絡もとれないのではないかというような観点からいま御質問をしたわけでございますけれども、この南関東、ことに東京を中心とする関東地域でございますけれども、この関東地域に対するこれからの水資源供給という問題に対して国土庁はどういうふうにお考えでしょうか、何か具体的なあれはございましょうか。
  329. 白根健也

    説明員(白根健也君) 先生御指摘のように、これからの、特に関東地方の水資源の状況は非常に資源的にも厳しい状況でございます。現在の計画計画どおり完成いたしますれば、利根川の利用率といいますか約六割ぐらいに達するわけです。渇水期で計算しますとまあ八割ぐらいということ、ほぼ満杯になる、こういう感じになっておるわけでございます。一方、需要の面は、従来の傾向でございますと、生活用水につきましてもわりあい急上昇でございまして、全国の平均に比べまして原単位というものがわりあい高い形になっておるわけでございます。  この要因自身が家庭用水は大体まあ頭打ちと考えられておるわけでございますけれども、いわば都市活動用水といいますか、大きなビルなり事業所なり、こういうものの冷房のための用水でございますとか、あるいは公園その他のプールの用水でございますとか、そういうようないわば都市活動用水というのはやはり今後ふえるような状況にあるわけでございます。なおこれから下水処理水を考えますれば、その面の水の手当てというものも出てくるわけでございます。なお地盤沈下に対する代替水ということも考えざるを得ない。こういう意味で需要の面というのは若干最近鈍化の傾向にはございますけれども、長期的に見ますとなお相当な需要増が見込まれるわけでございます。  ただ、先ほど先生の御指摘にもございましたように、上流ダム群というのは相当立地的にも不利な条件になっておりますし、またいわば過疎現象にダムをつくるということが一応拍車をかけるということで地元になかなか問題があるということはこれはすでに御承知のとおりだろうと思います。いまのような下流の需要増を同じようなテンポで伸ばしておきまして、なおかつ上流に対してダムの開発の必要性を説きましても、これはなかなか問題がございます。第一義的にわれわれ考えておりますのは、やはり下流に対しては節水、合理化というものをなお強力にしていただかなきゃいかぬ、こういうことが第一義的なものであろうと思うわけでございます。したがいまして先ほどの下水処理水の再利用の問題でございますとか、あるいは大規模な農地の転用がございますればそれの転用の問題でございますとか、そういうのをまず進めていただかなきゃいかぬだろうと、同時に、そういうものをバックにしましてやはり関東一円というかっこうの共同体でございますので、上流に対しても今後ダムが円滑に進まるような形での説得なり協力なり、そういうものの対応なり、こういうものをさらに充実する必要がある、こういうふうな形で認識しておるわけでございます。
  330. 下村泰

    ○下村泰君 昭和十二年に小河内ダムというのが着手されまして、それが完成した戦後の時点において、これで東京都民の水がめは確保できた、もうこれ以上心配ばないという言葉を聞いた。ところが、あにはからんやもうオリンピック前には完璧に足りなくなって、利根川の方から引き水をした。その時点でもやはりもうこれで大体心配はなかろうと、常にそういうことなんです。ところが、ちょいと事が足りておればさほどに手をつけない、ちょっと危機に瀕すると大騒ぎをするというのがいままでの水に対する観念じゃないかと思うんです。人間と水とはこれは切っても切れない、こんなことは私は釈迦に説法で、言う必要ないと思いますけれども、少しこの水資源に対する見詰め方あるいは取り組み方が、真剣におやりになってはいるんでしょうけれども、何かまだどこか足りないような気がする、そういうふうに私ら一般の者は考えるんです。  ことに南関東において、ここで指摘されているとおりに、これからますます逼迫していくだろうと思います。川が何木もあるわけじゃない、いまあるものしかどうにもなりません。後、下から取れば地盤は沈下する、もろもろの問題が起きてきましょう。しかし、その当時に考えている現在の社会情勢を今日だれも予想しなかったかと思いますし、これからますますわれわれの予想だにしないような現象が出てくると思いますけれども、あえて国土庁にお願いをしておきますけれども、この水資源の問題に対しましてはよろしくひとつ今後とも取り組んでいって心配の起きないような状態に努めていただきたいと思います。これはお願いをしておきます。  今度、福祉の方に移りたいと思いますけれども行政管理庁では福祉関係施設の整備運営の問題について監察をなさいましたか。もしなさいましたら、その概要をお知らせ願いたい。
  331. 松澤雄藏

    国務大臣松澤雄藏君) 私の知っておる範囲内で申し上げますと、たしか四十三年ごろに一応監察を実施したというふうに聞いておりますが、心身障害者や高年齢者の社会福祉施設入所者等について適切な処遇を確保することは重要な問題でありますので、その福祉施設の問題を行政監察的な面からそのテーマとして取り上げることについては、今後、十分に検討してまいりたいと、こういうふうに考えております。いずれにいたしましても、これらの問題はもう間もなくまさに十年になるわけでありますから、これらに従って何とか取り上げるようにしていきたいものだと、かように考えております。
  332. 下村泰

    ○下村泰君 厚生省の方にお伺いしますが、行管庁から勧告を受けて、その勧告をどういうふうに措置を講じていらしたか、それをひとつお伺いしたいと思います。
  333. 山内豊徳

    説明員(山内豊徳君) お答え申し上げます。  四十四年の九月に、いま大臣からお話ございました勧告をいただきまして、実は、その後、四十五年度を初年度といたします五ヵ年間の社会福祉施設の緊急整備計画というものを立てまして、五十年度が一応その終わりの時期になるのでございますが、特に、その中でも行管の強く御指摘にもなっておりました重症心身障害児施設につきましては一万三千床余りの計画を立てて今日まで来ているわけでございます。  端的に申しますと、完全にこのベッド数を整備したという状態ではございませんけれども、入っていただくお子さんの定量で法人立あるいは国立療養所を含めまして、約一万二千床ばかりのベッドが確保されております。全体の福祉施設の計画の中では進捗状況の高い方だというふうに一応考えておるのでございますが、さらに、その入所定員の整備だけではなく、内容の問題につきましては、一番端的には職員の処遇を中心とします、私の方で申しております措置費、運営費の点がございます。これについては年次計画といいますよりは、毎年毎年の予算で今日まで拡充を図ってきておるというような実情でございます。
  334. 下村泰

    ○下村泰君 いまのお答えは大ざっぱなお答えだと思いますけれども、重症心身障害者の施設において一番困難な問題をどういうふうに把握していらっしゃいますか。
  335. 山内豊徳

    説明員(山内豊徳君) 重症心身障害児施設に限って申しますと、一つは、端的にいま看護婦を中心とします介護職員の方にあらわれております要員確保が、法人立の場合も、一部国立の場合も含めまして、非常に困難であることが指摘されております。これと関連するのでございますが、入所していらっしゃる児童の一般的な年齢が非常に年長化と申しますか、中には二十歳を超えるのはもちろん三十歳近くになられる方もいらっしゃるために、それにふさわしいベットでございますとか介護体制をどうするかという二つの点が問題になっているというふうに考えております。  初めに申しました看護職員を中心とします職員の確保につきましては、一つには、やはり先ほど申しました処遇費を賄うための措置費の改善ということが、これまでもやってきた施策にもあるわけでございますが、この中には御案内と思いますけれども、医療点数——入院期間でございますので医療点数の中で、たとえば看護基準を高めますとか特殊疾患管理料を高めますというようなこともあわせまして今日に至っておりますために、処遇面では国家公務員並みの処遇を一応用意できる措置費が用意されているというふうに考えております。  問題は、こういった施設に対する若い看護職員の方の就職の動向というものをどう見るかという点でございますが、私どもが伺っている限りでは、なかなか専門医療機関に対する看護婦さんの就職難の問題もございますけれども、このような施設には看護婦さんがなかなか来ていただけないということを特に民間施設の関係者から強く伺っておりまして、これに対してどういう対策を講じなければならないかという点が率直に申しまして最大のいま課題になっておるという状況でございます。
  336. 下村泰

    ○下村泰君 私どもも芸能人の集まりました社団法人になっております「あゆみの箱」という慈善団体がございまして、全国各地でチャリティショーを行って歩いておりますけれども、ほとんどのこういった施設に奉仕していらっしゃる、奉仕という言葉でのみ片づけられない人たち努力によって支えられているようなもんです。いま厚生省側のおっしゃったように、人員の確保というのですけれども、たとえば決まり切ったような職のいわゆる看護人という方々が少なくて、ほとんどそういう資格のない無資格な方が、しかもそういう方々がもう奉仕で来ていらっしゃる。そういう方々に支えられていると言って過言ではないと思うんですよ、現在の重症心身障害者の施設というものは。だから、今後、厚生省がこういう人員の確保をどういうふうな形で求めていらっしゃるか、それをちょっとお聞かせください。
  337. 山内豊徳

    説明員(山内豊徳君) 先ほど申しましたように、正規の資格をお持ちの看護婦の方が制度で決められております割合を確保していただきますと、実は、医療費の点数の上におきましても、基準看護の収入あるいは先ほど申しました特殊疾患管理料の収入が確保されますので、率直に申し上げまして看護婦さんが事実として確保されれば何とかそれに必要な処遇は賄っていけるという状態の地域もかなり多いわけでございます。  問題は、先ほど申しましたように、このような特に重いお子さんをお引き受けする施設に来ていただく看護婦さんの方をどうやって現実に確保するかという問題になるわけでございますが、これにつきましては、厚生省が全体の行政として取り組んでおります看護婦確保の問題、具体的には家庭にいらっしゃる看護婦さんをなるべく職場に出ていただくためのナースバンクと言っておりますが、そういった一般的な看護婦さんの確保対策というような施策も一つでございますが、特に、いま御指摘の民間法人立の重症心身障害児施設につきましては施設間相互でいろんな実は工夫をしていただきまして、たとえば九州なら九州地区においてある程度看護婦さんの確保がお願いできれば、そういった方をある程度関西、関東にも来ていただけないかということを相互になさっております。中には端的には民間の重症心身障害児施設で同時に看護婦さんの養成施設をお持ちになったという例が最近出たわけでございます。これに対しましては、もちろん一般の看護婦養成に必要な助成金のほかに、福祉施設としても何らかの御援助を申し上げる道があるわけでございますので、そういった形を各施設に期待していくことは無理があると思いますけれども、そういった法人相互での御努力に現在の施策で可能な限りの御援助を差し上げていくというのが一番面接的な対策じゃないかというふうに当面考えておるわけでございます。
  338. 下村泰

    ○下村泰君 時間が足りませんので、まだまだ細かくお尋ねしたいこともございますけれども、また時を改めて水資源についても福祉関係についてもお伺いしたいと思います。  本当に、長官、長いお時間御苦労さんでした。そこに座っていらっしゃるだけでも大変だと思いますのに——もう私でおしまいでございますから。  いままで行管庁から勧告をなさって、その勧告をなさったことが事実実施されて反応を示しているとお思いですか。
  339. 松澤雄藏

    国務大臣松澤雄藏君) ただいま御指摘がございましたように、私たちといたしましては積極的に監察関係を推進いたしておりますが、現実の問題といたしましては、ただいま御質問がありましたように、必ずしも実質的な立場で仕事が進んでおるというふうなことは言えない部面もあるかとも思います。しかし、そのような場合には、私たちの方が積極的にまたそこに向かってそのようにやりなさいと、こういうふうにしなさいと、こういうふうなことをやっておりますので、大概のことは進んでおるかとは思いますが、しかし、まだまだ足らないことだけははっきりしておるのじゃなかろうかと、かように思います。
  340. 下村泰

    ○下村泰君 われわれのような俗な人間に言わせていただければ、行政管理庁というのは第三者的立場、将棋を指しているやつの横から見ている立場ですから、一番その筋道がよくわかる、口も出とやすい、大久保彦左衛門的存在じゃないかと思うのですが、幾ら意見を出し勧告をしても、それが行われないとなれば、行政管理庁がある意味がまるでなくなって、むしろない方がいいんじゃないかなんていう感覚も持ちたくなりますけれども、まあひとつ皆様方の御努力が報われることを祈ります。  一つだけ、もう一つ最後にお伺いしますけれども、たとえば行政管理庁で、これこれこういう問題はこういうふうにした方がいいんではないかといういわゆる先取りでございます。その先取り勧告なんていうことをやることございますか、あるいはこれからやりますか、お聞かせください。
  341. 鈴木博

    説明員鈴木博君) 内容が事務的な問題でございますので私からお答えいたしますが、先取り監察につきましては、私ども常に研究を進めておるところでございます。  最近に行いましたものは、たとえば四十八年の大震災に対します各行政の対応の仕方、 これを監察いたしましたし、また省と省との間で落ちこぼれのあるような行政はないかというのも研究いたしまして、これはたとえば省資源の問題でありますとか、各種のものを考えてやっております。また本年度におきましても、たとえば余暇施設を各省能率的に競合状態の起きないようにやっているかどうかという点等は見たいと思っております。御指摘の点につきましては、今後も十分注意してまいりたいと思います。
  342. 下村泰

    ○下村泰君 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。どうも御苦労さんでした。
  343. 鈴木力

    委員長鈴木力君) 他に御発言もないようですから、総理府のうち、行政管理庁科学技術庁及び環境庁決算につきましてはこの程度といたします。  次回の委員会は、明十日午前十時から、予備費及び大蔵省関係を行うこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十五分散会      —————・—————