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1976-05-13 第77回国会 参議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年五月十三日(木曜日)    午前十時三十五分開会     —————————————    委員異動  三月四日     辞任         補欠選任      内藤  功君     橋本  敦君  三月十一日     辞任         補欠選任      橋本  敦君     内藤  功君  三月三十一日     辞任         補欠選任      石破 二朗君     原 文兵衛君  四月一日     辞任         補欠選任      原 文兵衛君     石破 二朗君  五月十二日     辞任         補欠選任      石破 二朗君     大谷藤之助君      青木 薪次君     川村 清一君      内藤  功君     近藤 忠孝君  五月十三日     辞任         補欠選任      大谷藤之助君     石破 二朗君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         上林繁次郎君     理 事                 石破 二朗君                 杉山善太郎君                 三木 忠雄君     委 員                 岡本  悟君                 橘  直治君                 永野 嚴雄君                 福井  勇君                 宮崎 正雄君                 加瀬  完君                 川村 清一君                 瀬谷 英行君                 近藤 忠孝君                 和田 春生君                 松岡 克由君    国務大臣        運 輸 大 臣  木村 睦男君    政府委員        運輸省鉄道監督        局長       住田 正二君        運輸省自動車局        長        高橋 寿夫君        運輸省自動車局        整備部長     犬丸 令門君        運輸省航空局長  中村 大造君        海上保安庁長官  薗村 泰彦君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        内閣審議官    田中  暁君        大蔵省主計局主        計官       宍倉 宗夫君        運輸省航空局監        理部長      山元伊佐久君        日本国有鉄道総        裁        高木 文雄君        日本国有鉄道副        総裁       天坂 昌司君        日本国有鉄道理        事        田口 通夫君        日本国有鉄道理        事        高橋 浩二君        日本国有鉄道理        事        橘高 弘昌君    参考人        日本鉄道建設公        団総裁      篠原 武司君        日本鉄道建設公        団理事      原島 龍一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○海洋汚染防止法の一部を改正する法律案内閣  提出、衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件 ○運輸事情等に関する調査  (運輸行政基本施策に関する件)  (日本国有鉄道の当面の諸問題に関する件)  (青函トンネル異常出水に関する件)  (派遣委員の報告に関する件)     —————————————
  2. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十二日、青木薪次君及び内藤功君が委員辞任され、その補欠として川村清一君及び近藤忠孝君がそれぞれ委員選任されました。     —————————————
  3. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 先般、委員異動に伴い、理事一名が欠員となっております。  この際、その補欠選任を行いますが、選任の方法は、先例により、これを委員長指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 御異議ないと認めます。  よって、理事石破二朗君を指名いたします。     —————————————
  5. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 海洋汚染防止法の一部を改正する法律案議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。木村運輸大臣
  6. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) ただいま議題となりました海洋汚染防止法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  海上災害防止につきましては、従前から、港則法海上交通安全法等により海上災害の原因となる事故の発生の防止に努めるとともに、海洋汚染防止法により油の排出があった場合における防除等について必要な措置を講じてきたところでありますが、最近における大型タンカー火災、大量の油の流出等事故に見られるように、これらに伴う被害は、ますます広範かつ重大なものとなってまいりました。このような海上災害に対処するためには、従前措置に加え、油の流出等事故が発生した場合において、迅速、効果的に、かつ、油の流出及び火災一体的に防除するための対策を早急に確立する必要がございます。  このため、このたび海洋汚染防止法の一部を改正し、大量に油が排出された場合に対処するための措置を強化することとし、さらに、海上火災等が発生した場合における消火等措置及び現場周辺船舶交通の危険の防止について定めるとともに、関係機関及び民間の海上災害防除のための体制整備することとした次第であります。  次に、改正案の概要について御説明申し上げます。  第一に、危険物排出があった場合または海上火災が発生した場合は、船長等は、海上保安庁の事務所にその旨を通報し、かつ、応急措置を講じなければならないこととするとともに、海上保安庁長官は、現場海域における火気の使用制限船舶の進入の中止命令火災が発生した船舶その他の財産の処分等を行うことができることといたしております。  第二に、海上保安庁長官は、危険物等排出があった場合または海上火災が発生した場合における船舶交通の危険を防止するため、火災が発生した船舶を安全な海域に曳航すべきことを命ずることができることとするとともに、海上火災等現場周辺海域において船舶の航行を制限し、または禁止することができることといたしております。  第三に、一定の大きさ以上のタンカーが主要な湾内、内海等を航行する場合には、その所有者は、油回収船等を配備しなければならないことといたしております。  第四に、海上災害防止に関する業務を行う海上災害防止センター運輸大臣の認可により設立し得ることといたしております。また、海上保安庁長官は、排出された油の防除措置を緊急に講ずる必要がある場合で船舶所有者等に対してその措置を講ずべきことを命ずるいとまがない場合等においては、海上災害防止センターに対し、その措置を講ずべきことを指示することができることといたしております。  以上のほか、海上保安庁消防機関との間の消防活動に関する協力及び調整、海上保安庁長官による排出油防除計画の作成、タンカー所有者等による排出油防除協議会設置等について所要の規定を整備することとし、これらに伴い、海洋汚染防止法の題名を海洋汚染及び海上災害防止に関する法律に改めることといたしております。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  7. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。     —————————————
  8. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  運輸事情等に関する調査のため、本日の委員会日本鉄道建設公団の役職員参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 御異議ないと認めます。  なお、出席要求者及び出席時刻につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  11. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 次に、運輸事情等に関する調査議題といたします。  まず、高木文雄日本国有鉄道総裁から、日本国有鉄道の当面の諸問題等に関し発言を求められておりますのでこれを許します。高木総裁
  12. 高木文雄

    説明員高木文雄君) ただいま御指名をいただきました高木文雄でございます。  就任以来二カ月余りを経過いたしましたけれども、その間におきまして相次いで違法ストが起こりまして、特に去る四月の二十日、二十一日のストにおきましては、全国的に国民生活に重大な影響を及ぼすきわめて大きな規模のものとなりました。まことに申しわけないと思っております。まずもって、この点について深くおわび申し上げます。  本日は、総裁就任に際しての所信を述べよという御趣旨と考えますが、春闘問題、運賃改定問題等との取り組みに追われておる実情でございまして、国鉄経営全般につきましての所信を申し上げることにつきましては、いまだ、はなはだ戸惑いを感ずる次第でございますが、この際、各位の御理解と御支援をお願いいたしたく、私の考え方を申し述べさせていただきます。  国鉄現状につきましては、五十年度において一日の赤字が二十三億円にも及ぶというほどでございました。その意味において、経営面から行き詰まっております。また他方、安定した輸送確保するという国鉄使命を十分に果たしているとは言えない残念な状態にございます。このような状況のもとにおきまして、この際まず何よりも重要なことは、私は、四十三万人の職員がもって一丸となって、もろもろの困難を克服する体制を固めることにあると考えております。  不幸にもいろいろな事柄が交錯をいたしました。労使の間で紛争を生じましたり、あるいはまた、経営体質について国民皆さんからとかくの疑念を持たれるような事態にあることは事実でございます。しかしながら、毎日定められた精密なスケジュールのもとにおいてこれだけの大量の輸送が行われているという事実につきましては、改めて相応の評価をいただき、職員も自信を持って広く国民皆様から愛していただける国鉄としての信頼を得るように、元気で明るく毎日の仕事に専念するような雰囲気を再び取り戻したいものと念じております。労使の間に対立を事とせず、一体となって事に当たるという体制を整えて、外からもそのように見ていただけるようになりますならば、国民皆様方から次第次第に信頼を寄せていただけると信じております。  こうした考え方については、それでははなはだ心もとないと、もっと具体的なプランを示すべきではないかという御批判もあろうかとは存じますが、ここ一、二年の足取りをつぶさに見てこられた方々から、改善の芽はわずかながらにもせよ育ちつつあるという御意見を寄せられておりますので、私も、一方において勇を鼓しつつ、しかし、同時に、しばらくの時間をおかりしながら事に当たることによって解決の糸口を見出してまいりたいと思っております。  ただいま申し上げました、職員がもって一丸となってもろもろの困難を克服する体制を固めることが最重点事項であるということに加えまして、以下、二、三の点につきましてこの際考え方を申し述べておきます。  第一は、安全の問題でございます。  国鉄経営に当たって最大の課題は安全な輸送確保にあります。この点につきましても、私の就任以後の短い期間内において二、三の事故が発生いたしましたが、少し長い期間にわたって見ていただきますと、この安全確保の面におきましても、いささかながら前進の跡をお認めいただけるかと思っております。今後も、物心両面にわたる総合的な施策の推進と絶えざる努力が不可欠でございます。安全設備整備教育訓練充実、正しい作業の実施につきまして最重点の注意を払ってまいりたいと思います。  第二番目には、経営基盤確立を図らなければならないと存じます。  このたび、昭和五十一年度予算に当たりまして、過去債務の負担軽減措置が盛り込まれておりました。また今国会には、六月から運賃改定を行うことを含む必要な措置を盛り込んだ国有鉄道運賃法及び国有鉄道法の一部を改正する法律案の御審議をお願いしておりますことは御承知のことでございますが、私どもといたしましては、ぜひこれをお認めいただきますようお願い申し上げます。  三番目に、私どもは、国鉄業務全般にわたり改善すべき宿題を数多く抱えております。責任ある経営体制確立職員管理充実業務運営の刷新、貨物輸送近代化地方交通線対策、資産の有効利用輸送サービス改善など、いろいろと処理しなければならない問題が山積みになっております。これらにつきましても順次勉強して、一つ一つ解決の道を見出してまいりたいと思っております。  近時、労働基本権の問題であるとか当事者能力、あるいは運賃法定制というような問題につきまして、広く国民皆様方から御意見を寄せられておりますし、国会におきましても熱心な論議をいただいておりますが、これらの問題につきましては、いずれも長い経緯を背景とした、いわば盤根錯節した問題でございますので、にわか勉強で物を申し述べるのもいかがかと考えます。本日のところは御容赦いただきたく存じます。今後当委員会におきまして、各般にわたり御指導、御鞭撻をいただきたいと存じます。  長い歴史と伝統を持った国鉄が新しく生まれ変わるために、私は全力を傾けてまいりたいと思っております。
  13. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 次に、天坂昌司日本国有鉄道総裁から発言を求められておりますのでこれを許します。天坂総裁
  14. 天坂昌司

    説明員天坂昌司君) 副総裁を拝命いたしました天坂昌司でございます。未熟者でございますが、今後御指導、御鞭撻いただきますようお願い申し上げます。  よろしくお願いいたします。     —————————————
  15. 上林繁次郎

  16. 篠原武司

    参考人篠原武司君) 青函トンネルにつきましては、五月六日午前三時、突如として作業坑から出水事故がありまして、皆さんに非常に御心配いただいて申しわけないと思っております。  実は、当日の最初のうちは四トンぐらいでございましたけれども、これは毎分の出水の量でございますが、その後四十トンにふえまして、どういうふうになるかと非常に心配しておりましたところ、幸いにも約半分近く、二十五トンぐらいに八日ごろからなってまいりまして、そのために坑内で——あそこには本トンネルのほかに作業坑先進導坑と、この三つ掘っておりますが、作業坑の先端から出水いたしまして、坑内が水につかったという事故があったんでございます。至急これを防ぐためにいろいろな措置を講じましたけれどもなかなか、セメントの袋を盛り上げまして、中にコンクリートを詰めるというような作業をずっとやってきたんですが、それがどこもつぶされまして、幸いに一キロ五百メートルぐらい手前のところに鉄の門扉をつくっておりまして、この鉄の門扉で十分食いとめられるだろうというふうに考えておりましたんですが、鉄の門扉は無事有効に働いておりますが、中に排気関係のために七十五センチ直径ぐらいの大きな穴があいておったわけです。これをふさいでおかなきゃならぬというのであわててふさぎにがかったんですが、これが飛ばされまして、その穴からどうどうと水が出まして、それが手前の方まで浸水してきた。そのために、手前の方から本坑にも水が入るような形になりまして、現在本坑と両方に水がつかっておりまして、作業坑では三千メートル、本坑では千五百メートル浸水しているわけでございます。しかし、ポンプ設備といたしましては、全体で四十五トンぐらいの排水能力を持っておりますので、何とかこれをカバーできるという見通しはあったんですが、早急にポンプ設備を増強いたしまして、現在では全体といたしまして七十四トンぐらいの排水能力を持つポンプ設備を持っておりますので、水に対してはこれで一応一段落というふうに考えております。  それから、この青函トンネル事故によりまして工期が非常におくれるんじゃないかということを皆さん御心配いただいておるんでございますが、実は先進導坑が三百メートル近く出水事故の起こしたところよりも先へ進んでいるわけでございまして、それと、先進導坑作業坑というのは高さが六十メートルぐらい違っておりまして、先進導坑が下をいっているわけでございます。それで、先進導坑から逆にボーリングをいたしまして、作業坑の水の出た個所に注入するという工法が今後考えられる復旧の段階でございますが、そういうようなことをやることによって、案外早く復旧作業が進むんじゃないかというふうに考えております。  ポンプといたしましては、能力が非常にただいまふえたものですから、先ほど御説明しました作業坑出水個所から一キロ半ぐらい手前のところの鉄の門扉のところまで早急に排水いたしまして、その排水を続けながら、さっき申し上げました先進導坑からの手当てをするということを早急にやりたいというふうに思っております。  私も、きょう午後現地に飛びまして、現地実情をよく調べまして、確信を持った案をみんなで相談して立てまして、早急にこの措置をとりたいというふうに考えているわけでございます。  いろいろどうも御心配いただきまして恐縮に存ずるわけでございます。     —————————————
  17. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 運輸大臣所信につきましては、すでに前回の委員会において聴取いたしておりますので、これより運輸事情等に関する調査質疑を行います。
  18. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 運輸大臣所信表明関連いたしまして若干の質問をいたします。  まず最初に、国鉄の抜本的な再建対策と不可欠な関係を持つ、国鉄四十数万の労働者基本権であるところのスト権の復権の問題と労使関係について、大臣行政立場では一応どういうふうに現状認識しておられるか。その現状認識について、かてて加えて、大臣政府にあるところの関係閣僚会議のメイン的な立場におられると思うんで、あわせ兼ねて現状認識を、過去はこうであったとか、将来はどうであるということでなくて、今日ただいまの現状認識というものをずばりで聞いていきたいと、こう思うんでありますからお答えいただきたい。
  19. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 国鉄再建の非常にむずかしい問題の解決に当たっておるわけでございますが、この再建には、財政あるいは経済的な再建の面と、それからいま杉山委員がいみじくも指摘なさいましたように、労使間の一体化の問題が非常に必要だと、かように考えておるわけでございます。  従来、国鉄におきましては、労使一体となって国鉄使命遂行に邁進してまいりました長いりっぱな歴史があるわけでございますが、最近いろんな問題に関連をいたしまして、国民の目から見ましても、必ずしもそういっていないということを私も非常に遺憾に思っておるわけでございます。ことに昨年の秋以来政府機関、あるいはこういう公共企業体スト権を付与すべきであるという問題が中心になりまして、いろいろ世論の批判も受けておりますし、また国鉄内部におきましても、必ずしもしっくりいっていないという状況のもとで、いかに国鉄再建を行うかということがまた一つの大きな問題でございます。  そこで、ストライキ権を認めろという意見は前々からあるわけでございますが、申すまでもなく、公共企業体等におきましては、それが国民に与える影響がきわめて大きいということから法律でこれを禁止をいたし、そのかわり、それにかわる仲裁機関等の制度ができ、それによって職員給与問題等改善措置を図るようにしておるわけでございますが、ストライキ権が働く者の基本権であるということで、公共企業体についてもこれを認めるべきであるという議論、そのために政府といたしましては、これまた申すまでもなく、御承知のとおり昨年の秋まで特別の機関を設けまして検討をいたしたのでございますけれども、なおいろいろ問題があることから、さらに改めて、政府としてこの問題について結論を得るために、検討機関を設けて引き続き検討するということにいたしておるわけでございます。  まあ、この問題につきましての私の現状認識は、たまたま昨年の秋、スト権付与の問題に関連いたしまして違法なストライキ行為があったわけでございましたが、それに対する国民の痛烈な批判その他も考えてみますというと、きわめて重大な問題であるということをさらに一層深く感じておるわけでございます。したがいまして、働く者の基本的な権利でありますストライキ権というものを、こういう国民生活に重大な影響のある事業の中の従業員に与えるべきであるかということは、さらに一層慎重に検討をすべきであるというふうに私自身も考えておるわけでございますが、政府といたしましてもこの問題についてさらに突っ込んで検討いたして適切な結論を得たいということで、現在その準備に入っておるわけでございます。私も関係閣僚の一人でございますので、今回設けられておりますスト権問題の審議機関審議経緯、あるいは経過、またその結論の出るのを待ちまして、十分これを尊重しながら結論を出したい、かように思っております。いま私自身がこの問題について、閣僚の一人として結論を申し上げるということは差し控えることが適切である、かように考えておるわけでございますが、スト権基本権であることの重要性十分認識をいたしておりますし、また、国鉄国民に与える大きな使命と、国民に対して背負っておる大きな使命というものの重大性十分認識しておるつもりでございます。その両者の調和点をどこに見出すかということにつきまして、この審議機関の答申の結果を待って判断をしていきたいと、かように思っております。
  20. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 私が、あえて大臣所信表明関連をして、国鉄再建の抜本的なという言葉に触れて、不可分の関係をですね、これからスト権を与えるという立場ではなくて、率直に申し上げまして、二十数年間の長きに及んで、あるべきスト権が、一応の経過をたどりつつ現状においてないから、それを復権してくれと、返してくれと、今日労使関係において、組合路線は、それぞれ組合がありますけれども、ともあれ国鉄四十数万の枠の中で、たとえば労働組合は幾つかありまするけれども、おしなべて一致する点は、どうしてもこの二十数年かかっている労働基本権であるスト権を返してくれ、復権してくれと、こういうところの現状認識について聞いたわけでありますが、そのポイントについては、やはりそういうふうに大臣も御認識になっておられますか。ないものをこれから、ストライキがあったとかなかったとか、与えるという論議ではなくて、そのために、与えるために閣僚会議があるとか、専門懇一つ審議機関としてあるというようなふうに位置づけておられるか、その辺の理解の仕方は、これは食い違うと大変なことでありますので、そのポイントはどうですか。
  21. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) いま私が申し上げましたとおりでございまして、スト権につきましては閣僚協議会なり、専門家に委託しております審議経過を見て、結論を出すべきである、かように考えておるわけでございますが、ただ国鉄再建問題と、いわゆるスト権問題とがどうしても不離一体、切り離して考えること自体が非常な間違いであるというもし意見があるとすれば、私はそうではないと思うわけでございます。それはなぜかと申しますというと、すでに二十四年以来、公共企業体になりましてからもずっとスト権というものは与えられておらぬわけでございますが、それにかわる仲裁機関等ができておりまして、現在ではその仲裁機関意見によって職員の給与、その他経済的な要求もそれで解決ができておるという過去の事実もあるわけでございます。ただスト権を持つということが働く者の基本的な権限である、権能であるということは、私もこれは尊重するわけでございますが、国鉄再建という問題からいいますというと、私はこの問題は特別に密接不可分ということではなくて、やはり国鉄再建には使用者側と労働者側がお家の一大事である、お家がまさに破産に瀕しておるんだということで、すべてを放てきして、お家の再興に努力するという基本的な合意があって初めて私は再建ができるものである、かように思うわけでございます。その間いいろスト権を初め言い分もあることでございますが、これはこれとして解決の道をいま講じておるわけでございますから、それに任せてもらって、そうして国鉄の四十三万の職員は、これは使用者も、組合員とか職員とかいうことでなしに国鉄再建に努力してもらいたいと、これが私の現在の心境でもあり、現状認識としてそういうふうな考えに立っているわけでございます。
  22. 加瀬完

    ○加瀬完君 関連。  それは、大臣の感想としては結構ですよ。しかし判断としては、はなはだ私は正確を得ていないと思うのです。というのは国鉄総裁からも、労使一体体制がなければ再建はむずかしいので労使一使一体体制をつくるという御意思が表示された。それじゃ、いま労使一体体制に欠けている点はないかと言ったら、労組側から言えば当局に対する不信でしょう。いろいろ、当然当局者として責任を持たなければならない約束したことを皆ほごにする。いま杉山委員の指摘したスト権の問題もそうです。全部ほごにされている。その不信感歩労使一体を阻んでいる。だから、労使一体ということをかち取ろうとするためには、どうしたって相手方、お互いが信頼し合ういま条件を阻んでいるスト権問題というものに対して、もう少し労組側の言い分、いままでの当局の責任というものを、条件を果すべく前向きな解決をしていかなければ問題の解決にはならない。現実はそうであるのに、その現実に大臣の判断は私は正しく答えを出していないと思う。  それから、立ったついでといっては恐縮ですが、国鉄総裁大臣に、あわせてもう一、二点つけ加えるならば、国鉄財政の破綻は国鉄当局だけの責任ではありませんね、これは。政府も責任がありますね。大臣なり総裁なりは、政府が果たすべき責任に対してどうこれから要求していくか、これをはっきりしてもらわなければ、運輸省にとりましても国鉄にとりましても、一番の問題の国鉄財政の再建というのは、これははかどってまいりません。特に国鉄総裁は、国鉄財政の再建に自信があったから総裁をお引き受けになったと思う。それにしては、きょうの御所見は何らそれにこたえていませんよ。いずれかの機会にこれははっきりお聞きをいただいて、また質問もしたいと思います。  いま運輸省だって、一番大きな問題は国鉄財政の再建でしょう。それらなば労使一体の条件というもの、いわゆる国鉄一家と言われた条件はどうして解決するか。それから財政問題も政府自体の責任としてどう解決するか、これをもあわせて考えていただかなければ、私は毎年、毎年運賃値上げだけやったて、それで解決するものではないということは、専門家木村さん一番よく御存じです。それらの点で、私は労使一体にどうしてなれるかというその認識について、大臣のお答えには不満ですので、改めてまた伺います。
  23. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) まあ基本的には加瀬委員のお考えと私は同じような考えを持っておるわけでございますが、スト権の問題にいたしましても、遺憾ながら昨年の秋は結論を出し得なかったわけでございますけれども、これはスト権を与えないとか、与えるべきであるとかということの結論が出なかったわけでございまして、組合の諸君はあの機会にスト権を与えるという結論を出すべきであるという御要望が非常に強かったことは事実でございますが、それに対してスト権を与えないという反対の結論を出したわけではないわけでございますので、なお一層、問題が重要であるだけに検討しようということでございますから、この点はひとつその経緯というものをやっぱり理解をしていただいて、政府といたしましてもできるだけ早く結論を出すように努力をいたしておるということを御理解をいただきたいと思うわけでございます。  それから、今日の国鉄状況政府の責任が大いにあるではないかと、そのとおりだと思います。今回の再建につきましても、政府もその責任を大いに感じておりまして、申すまでもございませんが、運賃改定のみならず、過去債務のたな上げであるとか、あるいは補助であるとかいうふうな点で、やはり政府再建のために力を入れておるわけでございます。ただ、運賃値上げの額がいままでに比べまして非常に高いわけでございますが、しかし、実態を見ますというと、やはり交通事業としての企業体ということから考えますと、今回、五十一年度で名目五〇%という、いままでにない高い運賃改定の案を出しておりますけれども、これでようやく、いわゆる人件費と物件費だけが賄えることでございまして、工事費はもちろん、修繕費も利子もまだ賄えないと、いわゆる純粋な通常経費だけ、運営経費だけがやっと賄えるという程度の運輸収入になるわけでございますので、この程度にはやはり運賃改定によって賄うということが、お客にそれだけの負担をしていただくということが適切な方法ではないかと。その他の点を政府が借金のたな上げ、その他でめんどうを見るということでやっておりますし、また今後、この関係法案が通過いたしまして再建に乗り出しましたその後の経過を見まして、さらに一層国としては実情を見ながら努力をしてまいるつもりでございまして、決して国の責任を回避するものでも何でもございません。国有鉄道はもとより国に準ずる機関でございますので、その精神によって大いに政府も努力をしていくつもりでございます。
  24. 加瀬完

    ○加瀬完君 スト権の問題の関連でありますからお答えはいただかなくても結構でございますが、後で御検討だけお願いをする意味でもう一問お願いをいたします。  国鉄赤字は、国鉄企業体自身の計画と運営によって出た赤字ばかりではありませんね。すでに国鉄企業体というものに国の事業をそのまま引き継がせたために出ている赤字もありますね。これを運営上とか、人件費や運営費が賄えないということで企業体にかぶせていくことはこれは不当ですよ。不合理ですよ。こういう点は、私は新総裁にも十分検討していただきたいと思う。くどいようですけれども、赤字路線なんというものは初めから企業体オンリーに考えれば削っていったっていいものだ。しかし現実は削れないでしょう。そのためにたくさんの赤字を背負っている。それも利用者だけに全部かぶせるというふうなことは、いわゆる国鉄としての性格から言ったっておかしいです。そういう点が何回か政府においても、一体政府の出すべき赤字の補てん分というのはどうい範囲であるかというふうなことは俎上に上りましたけれども結論一つも出ておりません。国鉄自身解決すべき財政の措置はどの範囲か、国鉄自身じゃなくて、政府なり国家なりとして解決をしなければならない場面というのは一体あるのかないのか、あるとすればどの範囲か、こういうものの検討をしてもらわなければ、いつまでたったって運賃だけでけりがつくものじゃありませんよ、これは、そういう点の御検討もいずれかの機会に私は伺いたいと思いますから御用意をお願いいたします。
  25. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 私はどうも、あなたの今日ただいまの労使関係に対する現状認識はそれなりに理解はできますが、このスト権を与えるとか与えないかという問題については、ともかくも労組法が、マッカーサーの占領政策の中で、新しい憲法の中で労働組合法ができて、さらに二・一のストライキというものがあって、そのゼネストをマッカーサーの権力の、権限の範囲で中止されたと。そういう中から、今度はマッカーサー書簡に関連をして政令二百一号というものを盾にしながら——労組法時代には消防署の関係と警察官だけが労働基本権というものはなかったわけですが、あとは全部あったんですよ。それから起算してみるともう二十七年、ことしは二十八年目になっておるわけですよ。絶えず国鉄の四十数万の労働者、これは国鉄労働者に限らず公共企業体関係労働組合は、その表現の方法、手段は違っても、スト権を返してもらいたいと、そういう点については変わりないのでありますから、結局与えるとか与えないかという問題でなくて、生活や労働基本権の原点であるスト権を、ストライキそのものはこれは目的ですよ、手段ですよ。正当な要求を話し合ってもどうしてもというふうなその権利、基本権が必要なんですから、そのある基本権は、原点においては保障されたものであるからそれを返してくれと、そういう点に対する認識上の問題がやはりぼくは、これはいまここでは言いませんけれども、やがて延長線上に、たとえば衆議院の段階では運賃法であるとか、あるいは国鉄法の改正という問題が出ておりますけれども、それが仮にレールを敷かれたような、すんなりといってみても国鉄再建のための抜本的な改正にはならないんだと、私はそういう次元のとらえ方をいたしておりますので、そういう限りにおいては、一番大事なのは、どうしてもこのスト権を、あったものを復権をしてもらいたいと、そういう要求の噴き出しが、結果から見て好ましい好ましくないという評価の仕方は多様でありますけれども、ともあれ十一月の二十六日から、結果して思わざる——あれはやはりスト権復権のいわゆる政治的な要求を内閣にぶっつけておったことは間違いないでしょう。  それが第一ボタンのかけ違いからして——第一ボタンのかけ違いはだれがやったかといいますと、ずばり言いますけれども行政の最高権威である、つまり内閣総理大臣である三木さんがボタンのかけ違いをやってしまったから、どの側から見ても好ましくない、結果して記録の百九十二時間ですか、そういう八日間にわたる長期な、好まざる政治ストへ入ってしまったと、こういうかっこうになるわけでありますよ。国民立場国鉄労働者立場でもこれは与えるという方向で、ただし公労法を改正するとか、諮問機関をつくったり、あるいは閣僚会議をつくったりして若干の期間をかけてほしいと、しかし与えるという方向で、スト権を復権させるという方向で、ただし時間が必要だということに、三木総理が第一ボタンをそういうふうにしっかりとかけ直せば、ぼくはあのときには、スト権を復権してくれという政治的な復権要求であって、他の要求はなかったはずなんでありますから起きようないわけです。それがポイントの切りかえによってずうっと入っていってしまったというふうに考えるわけです。  このやりとりについて時間を費やすというと時間に限りがありまするけれども、いま私は大臣所信表明の中にも関連をして、どうしても国鉄国民国鉄として、国民の足として、苦悩の中から抜本的なやはり再建が必要であると。その原点は何といっても、労組法上あった、そういうような経過があるんだからそれを復権してもらいたいと。その過程においては、そのことがやはり一つ考え方労使の間はうまくいってなかったでしう。たとえばストライキをやる、処分する、そしてストをやるという悪循環が延々として続いておるわけじゃないですか。今後それがこんりんざい打ち切られるという保証は今日の時点においてないから、こういう好ましくないことはこの辺で打ち切るための原点は、現状労使関係に対するあり方の現状認識と、あるスト権を、いろいろ時間はかかってもいいが、与えるという方向においてスト権の回復の問題について現状認識を、私の主観じゃないんですよ、これは物の条理を言っているわけでありまするけれども、しかし行政の長である大臣は、認識と食い違ってもこれはやむを得ませんから、これを一致するまではどうこうするということじゃありませんが、そこで具体的な例を私は一つ申し上げます。  大臣はこの閣僚会議の主要メンバーでもあると同時に、第一次専門懇についても相当に重大な関心を持っておられたと思います。で、具体的には、昨年の十一月二十六日に結局ストに突入したというのが現実であります。その前の段階で、やはりスト権の回復をしてもらいたいという点について政労——たとえば総評であるとか、あるいは社会党というパイプを通して、それから政府側は官房長官なり海部副長官が窓口になって、相当なこの問題に対して時間があったということでありますが、具体的にはやはり、私はここに持ってきておりまするけれども、われわれ国会に議席を持つ者の側には、これは一九七五年十一月の十九日ということになっておりますから昨年の十一月十九日ですよね、スト権回復についての要請書というものが——いわゆる三公社五現業の名前をつけて、国会議員の各位ということで要請書が来ておりまするから、したがって、当然これは政府に対して、その前もやはり総評なり、あるいは政党次元でこれらの復権の問題があったと思いまするが、しかし、現象面で決裂をするという状態で結局具体的にストに入ったというのは十一月の二十六日でありますが、その関係についてどういう認識を持っておられますか。  時間もありませんからさらに申し上げまするが、とにかくこれは昨年の十一月の十九日に国会議員に向かってスト権回復についての要請書というものが出ておるのでありまするから、さらに国鉄関係労働者の中で、具体的には国鉄労働組合だとか、動力車労組等においては、この復権問題について要求という形で出て言葉のやりとりがあったと思いまするが、その辺の事情はどうですか。  さらに申し添えておきまするが、その十一月の十九日の当時マスコミは、たとえばこれは、私がここに持ってきておりますのは五十年十一月二十四日の朝日の社説なんですが、こういう表題で書いております。「「スト権」で政治的決断を望む」。これは社説は民意を吸い上げて、具体的には係争の焦点にある一方の当事者である政府に向かって「「スト権」で政治的決断を望む」ということを言っているわけでありまするが、これは具体的には要請書が労働組合から国会議員の前にまかれておると、それ以前の段階において、政府に向かっては政労のパイプを通してそれぞれ時間をかけた論議があったと思いまするが、しかし、これは二十六日以前の問題で、二十六日にストに突入してしまっただでしょう。でありまするから問題は、私が先ほど第一のボタンのかけ違いができておるんだというふうに言ったので、したがって、責任をどうこうするわけじゃないんですが、これは五十年の十一月二十四日の朝日の社説でありますが、こう書いてありますよ。  これ急所でありますからちょっと簡単に抜き書きをしておりますが、「いま想起するのは十一年前の「池田−太田会談」である。当時と今では社会、政治情勢は違う。政治的決断があった事実は変わりようがない。三木首相はランブイエから帰国後の記者会見で、時期は明示しなかったものの「結論を出す」「決断する」という言葉を繰り返した。ストが延期、または中止されるためには、首相がその条件をつくらねばならない。国民多数が望むスト−処分−ストの悪循環を断つという方向で、短く期間を区切り、首相としての責任において処理するという態度を表明してもらいたい。それは、首相の持論である「対話と協調」を身をもって示すことでもある。」というふうに。当然これはいま申し上げたように、われわれ国会議員の中に、これ恐らく全国会議員にこの要請書が出てきたのだと思います。しかし具体的にはいま申し上げたとおり、ストへ二十六日から突入されたわけでありまするから、その前の段階で社説はそれを非常に憂えている。これが本当に政治的ストというようなかっこうで入らない前に十分これに対処するべきであるというかっこうでこういうことを言ってるわけでありますから、私はこれは当時民意と状況を吸い上げるというマスコミは、中央紙は大体こういう表現をしているわけであります。  でありまするから、これはボタンのかけ違い、だれが責任だ、かれが責任だ——現象面は不幸な現象なんですよ。さらに関連をして大量の処分というものが出されたでしょう。さらに従来の一般の処分というものにアルファがついて損害賠償というものをやはり国鉄は、当時藤井総裁の時代であったけれども、損害賠償の原告として国鉄、それから被告は国鉄労働組合なり動力車労組、こういうかっこうになっておりまするから、このネックはどうしてもスト権を復権をしないというと、労使協調だとか協調主義と言っても土俵の、原点のポイントというものが食い違っておるなれば、私はボタンのかけ違いは最初の出発点にあったんだ。だからこれは復権をしてもらいたいと。しかし、あったものをもとへ戻すということはできない。あったことの事実を思い返してはならないんだと、そういう原点はどうしてもスト権を回復してもらう、回復させるべきだということについて、これは私は実際を言うわけでありますが、こういう関係の事情について政府関係とも、政労の関係というものが相当に交渉があったでしょう。あるいは関係閣僚会議のメインとして大臣は参与しておられたでしょう。  だから、私は私なりに、あの時点ではこれは総理が、時間をかけてもいいから与えるという方向で、しか時間はかしてくれと、閣僚懇で煮詰めるし、あるいは専門懇で慎重審議して案を出す、しかしポイントは、あるストライき権が奪われておるわけですから、ないんですから、それを復権してほしいと。いろいろ法律的な手続があると思いまするけれども、きょうは内閣の方から審議官も来ておられまするから、そのいきさつの法律的なものについては説明を受けます。私は、たとえばいま私のはだで感じた——私は大体戦前派の労働運動者でありまするから、二・一ストがどういうものであったか、あるいはどういう関係であったということは、はだでずっと知っておりますけれども、結局記録的にはやはり内閣官房の方ではそれなりに知っておられると思いまするけれども、そのポイントについては、これボタンのかけ違いであるということは間違いないんですよ。  そして、マスコミも社会的責任を感じて、このストの「政治的決断を望む」ということは、内閣政府に言っているわけですよ。国鉄総裁当事者能力がありませんからね。この段階になればどうしても政府の次元で決断をする、簡単ですよ。与えるという方向で、ただ時間が欲しい——時間というものは一年たとうと時間は時間ですよ。でありまするけれども、それがないから具体的には、客観的には二十六日にストへ入ってしまってから、いわゆるNHK会長の小野吉郎さんがキャップの専門懇意見書というものが出て、そして声明を出されたのはストに入ってしまっての十二月一日ですよ。でありますから、これは先行すべきものを先行させず、後追いの中で、政府の権力でこういう声明を出して、違法ストであるから処分する、であるから警告するということでありまするけれども、それは物理的な賃上げであるとか、何々をしてくれという要求じゃない、ある基本人権で憲法の原点では保障された要求であるから、とにかくこれはどうもしようがないというかっこうでストに入っちゃったわけなんだ。あなたの方で声明を出されたのは十二月一日なんですよ。  こうして見れば、こういう事象はいつまでもこれはスト−処分、あるいは幾ら言葉のあやで労使一体だとか労使慣行をやっていくといってもそれはなかなか納得できないということになりますから、これは大体その当時の時限にそういう要請書が出たということは、国会議員であってもわれわれそれによって初めてこういうふうにこれは進んでおるなと、読んでもっともだと思ったんですが、政労のパイプの中ではどういう話があったんですか、大臣ひとつこの点で……。
  26. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 戦前からの労働運動の非常に深い御経験の杉山委員のお話、非常に参考になるわけでございますが、戦後占領下で新しい日本がスタートいたしまして、いろいな占領軍からのアドバイスによって法律制度もできたわけでありますが、この公共企業体、特に国鉄スト権の問題につきましても、占領中の経緯をもって生まれたものでございますが、しかし、最終的には日本の国会における法律によってこれが禁止されておるということでございます。しかもストライキ権というものが、労使の紛争を解決するための補完的な機能としてのスト権でございます。したがって、このスト権にかわる方法、労使紛争解決スト権にかわる方法が現在の公労法で出てきておるわけでございます。そういう経過をたどっておるわけでございます。  そこで、このスト権の問題は労働者の基本的な権利であるから、公共企業体といえどもこれを認めなさいという強い要求もあることは事実でございまして、いまお話しのような経緯で二年間にわたって検討してもらって、その結論が出るのがおそいおそいと大分言われたわけでございますが、ようやく昨年の暮れに出ようとするときに、その結論が出るのを待たないで違法ストを打たれたということは、私は非常に当時遺憾に思っておったわけでございます。やはり法治国であり民主主義国家であるたてまえは、現行法についていろんな批判があっても、現行法を守って行動するということが基本でなければならないわけでございますから、一つの要求を貫徹するために、その法秩序というものも無視してやるということは非常に遺憾なことだと思っておったわけでございますが、それはそれといたしまして、昨年の暮れに一応専門懇からの意見が出たわけでございます。  ところが、国鉄のような現在の仕組みでいきますというと、ただ単にスト権だけを認めて、果たして国民の期待に沿えるような国有鉄道の運営ができるかどうかということを考えますときに、あの当時、政府の閣議決定の基本方針にもございますように、やはり片方において当事者能力も十分に備えていなければなりませんし、また反面、ストという非常に国民に迷惑を及ぼすこの行為をやるということが一方において認められるとすれば、片方においては経済抑止力というものもなければ無限にストというものが繰り返されるおそれもある。そういういろんな問題をやはりそれぞれ同時に解決していかなければ、ただスト権だけを引き出して認める認めないということを考えるということは、これは適切な措置ではないということになって、そこで改めてさらに政府としても検討いたしたいということでございますので、当時政労の間でいろんな折衝、交渉等もございましたが、政府考え方は、そういう考え方に立っていま一度慎重に検討いたし、そして当時者能力の問題あるいは経済抑止力等についてどれだけの保障ができるであろうかというようなことをこれから検討していく。同時に公共企業体という、これもまあ一つの占領中の、私は占領軍から与えられた特殊な企業体、事業体だと思いますが、こういうもののあり方にもさかのぼって検討すべきである。これらを一切合財くるめて検討しながら、その中でスト権というものを考えていこうということで、現在その準備に入っておるわけでございますから、結論をできるだけ政府としても早く出そうということで急いでおるわけでございますが、しかし、すでに過去二年間やってはっきりした結論を出さないままにまたこの検討に入った、ひきょうではないか、問題を避けておるではないかという御指摘も確かにあろうかと思いますが、政府としては重大な問題でありますだけに、いま申し上げたような点をいま一度慎重に検討をして結論を出したいということであるわけでございます。
  27. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 どうもあなたの立場と私の立場とは違いますので、これが一致することはそう軽々にし得ませんけれども、やっぱり客観的に見て、先ほども何回も申し上げておるように、われわれが国政の段階でその当時者から要請書、スト権を復権してほしいと。要するにその客観的な事実は一九七五年、日本暦に直せば五十年の十一月十九日でしょう。それから先ほど私が読み上げた十一月の二十四日の朝日に限らず、すべての中央紙はこのスト権の復権については、政治は決断をもって対応性を持つべきだ、そのためには、先ほど私が抜粋を読み上げたような関係で、これは第一ボタンがかけ違っておるんだ。それをおそれて、これはまだ盛んに政労との関係でぎりぎりの折衝の前夜でしょう。これが十一月二十四日の社説ですよ。それから二十六日にはストへ入ってしまっておるんだから。それで、スト権スト専門懇から出た意見書を受けて政府声明というものが出ておるのがストへ入ってしまってからの十二月一日ですよ。そして予測すべからざる八日間、とにかく百九十二時間というストに突入してしまったでしょう。  でありまするから、これはやっぱりどうしても、この時点においてだれが責任があるとかどうだという論理でなくて、行政の最高責任者、そして偉大な権限を持っておるところの総理、総裁がそれに対してスト権を与えるという方向で、ただし時間はかしてほしいと。従来公務員制度審議会、それから専門懇閣僚会議というものを開いて、延々として時の流れは二十数年間に及んでおるでしょう。でありまするから、どうしてもこのスト権の、しかも要求というものは規制される経済的な要求じゃないんですよ。明らかにスト権を回復してほしい、こういう要求であったのでありまするから、これに対しては、この点のポイントというものの理解というものを政府は——それはなるほど第二次専門懇は開かれましょう。そして、それなりの答申が出るでしょう。意見書が出てくるでありましょう。  しかし、いずれにいたしましても、そういう点に対してこれはあなたと私とここですり合わせはできませんけれども、ただしこの時点で私の考えておった、経過の中で覚えて、ちょっとチェックしているわけでありまするけれども、これは昭和二十一年の三月に労働組合法が施行されておりますよ。これは幣原内閣のときです。このときには消防署の職員と、それから警察官以外には全部労働三権は保障されておったんです。それで二十二年の二月一日にゼネストがあってマッカーサーがこれの中止を命じた。それでマッカーサー書簡が出てきたのは二十三年の七月ですよ。そして政令二百一号が公布施行されております。したがって、公務員のストは全面的にこの段階で禁止されておる、団体交渉権も制限されております。二十四年の六月に公労法が施行されておりまして、やはりこの三公社五現業については団結権と団結交渉権はあったけれどもスト権はやはり旧態依然としてこのときにもがっちりと剥奪されております。それで二十八年の一月になって公労法の改正があって五現業の職員には団体交渉権というものができたと、こういう過程を経過しているわけでありまするが、しかし、これはきょうは内閣からどなたか審議官も来ておられると思いますが、いま私がはだで感じてチェックしていることは、これはそういう経過をたどっていることは間違いであるかどうか。これはモチはモチ屋ということがありますから、ちょっとこの辺はひとつ教えてくれませんか。どなたが来ておられますか。
  28. 田中暁

    説明員(田中暁君) 三公社五現業のスト権問題の法律的な経緯につきましては、大体先生のおっしゃったとおりだと存じます。
  29. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 まあ、はだで感じて、闘いの中でいろいろと感じたことで日記の一片にチェックしたことは、行政ルートの中でもやっぱりこれは大体そのとおりだというふうに言っておられますので、でありまするからボタンのかけ違い論はありまするけれども、一度あったことを再び繰り返してはならないと思います。これは後で総裁の方にも聞きまするけれども、しかし、このスト権の回復の問題について政府のメインはやはり総理ですよ。そして関係閣僚会議は、そのうちの国鉄の問題については運輸大臣がこの問題の現状認識について、私のいま言っておるということについては私の考え方と同じになりなさいとかいうことではなくて、スト権回復の問題についての現状認識はあなたの認識としてこれ以上追及は避けますが、あなたの現状認識についてはどうしても国鉄の抜本的な再建対策についてはそれが大きな足かせ、手かせになるんだというふうに考えておるわけであります。  前に進みますが、さらにもう一つ参考に読んでおいてください。これは同じ十一月の二十七日で、ストへ入ってからの読売の社説でありまするけれどもスト権スト専門懇意見書のずれということを言っております。この中身読んでください。これはだれが考えてみても、二十六日にストへ入っちゃったと、しかし対応すべき政府声明が出ておると。しかし、これはこのスト権ストに対する専門懇のずれだということで後手に回っているんだと。  それから朝日の社説は二十四日に、これは十分な決断をしてほしいと、これは勝手に論説係が書くのでなくて、その当時の政治状況国民の意思というものがやっぱりこの社説になっておるという評価を、これは間違いなくあの新聞がこう言った、この新聞がそう言ったということじゃなくて、五大新聞も、それからローカル紙も大体一致をして共通にとらえておるわけです。商業紙であっても、民意から浮いたような社説を出す気遣いはないんでありまするから、どうかこのスト権の問題については、好ましからざる政治ストが行なわれておりまするけれども、その当時は藤井総裁のもとであったんでありまするけれども、それから、いままで前例のない処分というものは、大量の処分ということよりもプラスアルファがついて、さらにやはり一つ行政訴訟というものが、民事であっても何であっても、損害賠償の請求訴訟ができておるでしょう。  さらにそれだけではないんですよね。これは総裁の意を得れば、地方自治体においては、その自治体の県会議員以上は別として、市や町村会議員が、大体総裁の同意を得ればみんな出れると。それも、とにかくストップしょうというような形の追い打ちがかかってきておるでしょう。これは、どれがいい、これがいいということではなくて、いい慣行は十分生かして成長させなきゃならぬし、これはどうしても歯どめをかけて、できるのはやはり政府の中でやってもらわなきゃ困るわけでありまするが、いずれにいたしましても、私は重ねて言っておきます。  やはりその当時の朝日の二十四日の社説と、そして二十七日のストに突入してからの社説というものと、なぜ二十六日に期限が定めてないのに二十六日に入ってしまったということについては、労働者側についてもそれなりの責任を感じて、必要に応じて入ったでしょう。そうして政労のパイプを通してやりとりがあっても、結局スト権を与えるという方向が一言一句も得られなかったというかっこうで入ったと。そういう点について、私もこの朝日の社説に準ずるわけでありまして、私はそれ以前に、これはどうしても三木総理が田中総理から、これは四十九年でしょう。日本暦の五十年の秋までには、十一月までには、それは中身はわかりませんよ、とにかく決着をつけると。そこで、田中内閣のポストとして三木内閣が登場してきたでしょう。一年後の大体タイミングの中でこの問題が当時噴き出してきたんだと。でありまするから、この時点で与えるという方向で、とにかくひとつ時間をかしてくれと、研究すると、閣僚会議も開くと、専門懇もつくると、その上でおれの責任でという受け皿が出れば、これはやるべきストでもなかったし、それを基礎にして、違法ストだから処分するということはなかったはずなんですよ。  だから、このことは再び繰り返してはならないんだと、これは行政立場にあっても、われわれ立法府の立場にあってみても、われわれは立法府のかかわり合いとしてはただ紙切れが一枚じゃないか。スト権回復についての要請書、一九七五年の十一月十九日、公共企業体等労働組合協議会で関係組合の声明書が出ておるわけでありまするから、この時点から始まっていることでありまするけれども、いずれにしてもそういうことであります。  それから、これで大臣の方はもう一点だけで、今度は総裁の方に移りまするけれども、大体スト権の第二次専門懇にいま入っておられますが、第一次専門懇は、小野吉郎さんが座長というかっこうで、その後の結論意見書という形であらわれましたけれども、それで争議というものの政治ストがあったと。今度は第二次専門懇の中に入って、総裁もかわっておられると。こういう今日的な時限において、いま第二次の専門懇の動向については、専門懇をつくったから閣僚会議を開いてからだというかっこうで延々として延ばしていい問題と、これはわかり切った問題であるから、たとえば経営形態をどうするとか、あるいはスト権を分割して与えるとか、あるいはやはり何といいますか、条件づきで与えるとかというような論議が醸し出されましょうけれども、今日ただいまの段階で、第二次の専門懇は、これはどういうような作業が進行しておるものかという点について、追及はしませんが、客観的に大臣が知っておられれば、大臣の知る範囲でいいわけでありますが、同時に関連をして、これは内閣の官房ですか、審議官がおられれば、大臣の補足として説明してもらっても構いませんが、これで結局私のスト権の回復の問題と、労使関係現状認識に対する言葉のやりとりはありましたけれども、どうももう少し、いずれこの延長線上にやはり国鉄運賃法の問題であるとか、あるいは日本国有鉄道法の方もであるけれども、あれがあなたの方の提案される、あなたの方のままで通ったって、結局それで国鉄再建の抜本的対策に、それはこう薬張りであってはならぬというふうに私は感じて承っておりますけれども総裁は後で聞きますから、大臣から、いまの第二次専門懇については、とにかくいままでの例からいきゃ公制審はもう二十年ぐらいかかっておる。それから閣僚会議に入ってもずっと時間がかかっておる。今度はどの程度の政治的なめどを立ててやっておられるかと、進捗状況はどうかということを、ひとつ大臣関係閣僚会議のメインポストにおられると、そういう立場でひとつ大臣から答えてもらいたいと、こう思うんです。
  30. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 現在やっております専門委員会的なものの手続につきましては内閣官房で進めておりますので、その現状審議官の方から説明があると思いますが、方針といたしましては、できるだけ早く構成をして、そして審議をしてもらって結論を出してもらう。できるだけ早く出してもらうという非常に強い決意を政府としては持っているわけでございます。
  31. 田中暁

    説明員(田中暁君) この問題につきましては、御承知のとおり昨年の十二月一日の政府の基本方針を受けまして、今年の一月二十日に関係閣僚協議会におきまして、経営のあり方と当事者能力の強化、それから関係諸法令の改正、この三点につきまして検討を進めることにいたしまして、この検討に当たりましては、必要に応じて学識経験者の参集を求めて意見を聴するということが決定されたわけでございます。この三点につきまして専門的に御審議をいただく懇談会のいわば座長に当たられる方四人の方々につきましてはすでに内諾を得ておりますが、そのほかの学識経験者につきましては目下鋭意人選を進めておるところでございます。  今後の段取りといたしましては、近々その四人の方々にお集まりいただきまして今後の進め方、段取り等につきましてまず御懇談いただきたいと考えておるわけでございます。いま運輸大臣からもおっしゃいましたように、政府といたしましては、できるだけ早急に結論をまとめるという方向には変わりはございません。
  32. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 これ以上この問題については追及しませんが、ずばりで言いますけれども、前段の部についてはやはり一国の総理であり、当事者能力を最大限に発現してもらえば、スト権を与える方向で第一ボタンのかけ違いがなかったら、あれは百九十二時間のような記録的ストは避けられたというポイントと、いま一つはこの第二次専門懇は、へたな考え休むに似たりで、時間かせいでもらっちゃ困ると、早くやってもらいたいというかっこうで、第一次専門懇も私よく調べてみましたよ。客観的に主体的に、あの専門懇はわれわれの立場で見れば背骨がひん曲ってあばら骨が一本抜けた専門懇のあり方であり答申だ。  そんならどこがあばらが抜けておるというならば、やはり総評の代表として岩井氏がやはり専門懇の中に入っておったわけでありますが、途中でしびれを切らして言うべきを言ってやめていったわけなんですが、あれは勝手にやめていったんだから、しかも総評の意見であるからというようなかっこうでありますから、これは重要な聞くべき意見をやっぱり欠いておるからあばら骨が一本抜けておると、それから、あの専門懇のいろいろの意見が出たけれども、集約したのはだれかよく知っていますよ。大体これは背骨がひん曲っておるような学者の知能の限界の範囲であれは総括されておるというふうに考えていますが、だから、それは私の評価でありますが、今度は少なくとも、遅いことならネコでもするということでありまするから、早くひとつやってもらいたい。これは十分総理にもしっかりしてもらわなければ困るということをひとつ付言をしておきます。  これで大臣所信表明関連をしての質問は終わりますが、時間は実際はあるのでありますけれども、午前と午後との関係で区切りをつけますが、今度は総裁ですね、これは初めて会うんで、あとはもう新聞が異色の総裁が来たというんでありますから、私もあの人の戸籍謄本から経歴から一切調べてみたんです。これはえらいいい人が来たと、こういうふうに思っているわけです。  それで、実はきょうの朝日新聞で、すでに国鉄労働者とお会いになっておるわけでありますが、しかしいずれにいたしましても、ポイントとしてはやっぱり国鉄総裁としてそのスト権の問題と、それから正常な労使関係というものを避けて総裁総裁の職能を発揮することができると思っておられますかどうか、その点だけはひとつどんぴしゃりで、あなたの真情を吐露した……。簡潔でいいんですが……。
  33. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 先ほど来の御論議にございますように、スト権の問題は長い歴史を持った問題でございますし、また、スト権がないということに関連して現在の複雑な労使関係が生まれてきていることも否定できない事実でございますので、この問題がどうあるべきかということは私どもといたしまして非常に大きな関心の的でございます。ただ、これまでの経緯等からもわかりますように、この問題はまた、いま杉山委員から御指摘がありましたように、私自身の問題と申しますか、国鉄だけで決め得る問題ではないわけでございまして、私どもも、新しく内閣に設けられます基本問題懇談会が一日も早く発足をしていただきまして、そして、そこで熱心な議論を速やかにスタートしていただき、しかるべき一つの回答が早く出されることを強くお願いをいたしておる次第でございます。いまの段階では私は、その懇談会におきます結論がどうなりますかは別といたしまして、余り時間がかからないように、なるべく速やかに結論を出していただけるようにお願いする気持ちでいっぱいでございます。
  34. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 いまあなたのお考え方はわかったんですけれども、そのスト権の問題は政府責任でやってもらわない限りできない問題である、ないという論議はたなに上げておいて、労使関係はあなたの、総裁として当事者能力のあるないという問題については、当事者能力をやはり持つような法的処置や、制度的な慣行を将来つくり上げていかなきゃならぬけれども、今日総裁としての本当の労使関係に立って、すべての労使関係に対する当事者能力が、自来いずれの総裁にもなかったんだから、いずれにしたって、少なくとも労使関係が機能するためには、この労使関係等、スト権の問題はよけては、総裁の職能としては避けては通れないと、その点の実感について、ちょっと私いまあなたのお言葉だけでは理解しかねるので、その点はどうですか。
  35. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 立法政策といいますか、制度論としてスト権がどのようにあるべきかということについて、今日ただいまの段階で私が何か意見を申し上げるというのは差し控えさしていただきたい。と申しますのは、従来から長い間の歴史がございまして、そして昨年の段階で藤井前総裁がこれについて一つの見解を示されたということは事実として非常に大事なことであると思いますけれども、それはそれなりに、やはり前総裁が長い間国鉄という職場にお勤めになり、いろいろな御経験をお持ちになり、そしてまた総裁として、ある期間いろいろ御苦労を重ねられた結果おまとめになった一つの見解でありますから、それはそれなりに非常に意味のあるものだと私は思いますが、しかし、私は御存じのような経歴の者でございますので、全く素人でございますので、いまこの段階で私がこれについてどう考えるかということを、私自身まだ考え方がまとまっておりませんし、またそれを軽々に短い体験といいますか、わずか二月余りの体験、あるいは全く素人の見方ということで申し上げるのはどうも適当でないと思いますので、私自身も大至急この問題については勉強はいたしますが、今日の段階ではこれについてどう考えるかをお答え申し上げるのはお許しいただきたいと思います。
  36. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 きょうの朝日新聞の一番トップ、一面の左側に、国鉄労働者組合の幹部とお会いになって、とにかくこれから話し合いをやっていこうということで、大きな記事で、大きな見出しで、あなたと国鉄の村上さん以下幹部の写真が出ておりましたが、これは私、いいことだと評価しますよ。しかし、動労とも、それから鉄労とも、それから私鉄労とも、大体あなたの御所存では話し合われていかれると、そういう御意見ですか。どうですか、その点は。
  37. 高木文雄

    説明員高木文雄君) なるべくならば昨日のうちに他の組合の幹部諸君とも会って話をしたいと思ったのでございますが、何分急な話でありました関係もありまして、それぞれ日程の都合等でできなかったわけでございまして、何とかきょうにでも、あすにでもそういう機会を持ちたいと思っております。
  38. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 もう一つ聞いておきたいと思いますが、このスト権の問題に関連しては、あなたもそれなりに関心事であろうと思いますけれども、やはり藤井総裁は終始一貫だと私はうかがい知っておりますけれども、とにかく当事者能力というものの有無にかかわらず、労使関係については、条件づきでもいいが一応スト権を与えるべきであるという、そういう考え方を言外に出されておられましたが、それは藤井総裁だけではなくて、やはり三公社の総裁も大体労使関係をコントロールしてうまくかじを取っていくためには、どうしても条件づきでもスト権を与えてもらわなければ困る、スト権を与えるべきだと、条件づきでということを最大公約数として一致をしておったことは、過去の問題でありまするけれども、その時点における一つの客観的な事実であったのでありますが、あなたはこれについてどういう評価をしておられるんですか。あなたは、これについてはいまおっしゃったように、いまの段階では、なったばっかりであるから、そういうことは言外に出せないんだというお腹構えですか。それはどうなんですか。勇気を持ってそれは出してくださいよ。
  39. 高木文雄

    説明員高木文雄君) その藤井前総裁がお示しになりました見解は、決して唐突に、あるいは思いつきで言われたわけではないと思いますので、それなりに十分敬意を表するというか、評価するというか、尊重するというか、重要な意味を持つものと考えておりますけれども、しかし同時に、またあの時点の経過、それから先ほど来お話がありますようなことで、スト権ストというようなことが起こりまして、それがまたいろいろな形で利用者の皆さんと申しますか、国民皆さんの間から強い反発を持たれたこともまた事実でございます。したがいまして、単に藤井総裁が示されました一つの見解だけでなしに、その後の経過等も大いにくみ取りまして、どういうふうに持っていったらいいのかということを考えてみたいと思っておりますが、先ほどと繰り返しの答弁になりますが、さて、それは具体的にはどういうことかということについてのお答えは、この段階ではお許しをいただきたいと思うわけでございます。
  40. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 私は、実はあなたに対して会ったこともない、そして、私の不勉強の不徳のいたすところで、聞いたこともない、話したこともないのでありますから、結局あなたを知るという一つの材料として、朝日新聞の五十一年の三月五日の夕刊でありまするけれども、これなんですが、あなたと藤井総裁が、やはりあなたはにこにことして晴れ晴れとしておられる。藤井総裁は、私と同じ高齢者ですから、老年ですよ。ちょっとこれはふさいでおるなというふうに思いましたが、中身の問題については、私もかつては海軍の予備士官でありましたので、船乗りであったんでありますからそういう共通点があるんですけれども、あなたは海軍、その軍法会議の法務官であったと、そういう経歴を持っておる。だから弁護士の試験は登録さえすれば通るし、また、経済学の通であるから慶応大学の講師でも教授でもなれるわけでありますが、それを三木総理に所望されて来ておられますけれども、そういう経過の中で、あなたの言われたことでありますから、これは書いてありまするから、むろん人間は、政治家であっても、だれだって自分の記事が新聞に出て、しかもメイントップに出れば、言ったことは言わないということにならないと思いますけれども、あなたの現状認識からすると、法はどんな法でも、やはり法秩序を維持しなければ、社会を維持するためには法は法だということを言っておられまするけれども、それはそれで平面的にとらえるとしても、あなたが海軍の軍法会議の法務官時代のこととして、たとえば人間一匹の生命は、下士も兵も卒も上官も同じであるけれども、これを一発で殺した場合においては、卒や兵は、これはまあ人間対人間だけれども、上官を殺すと罪は重いと。あなたのこの新聞を読むと、法務官でありながら、矛盾を感じつつも、やはり法は法だから、これは不平等だということを思いながら、実行面では法は法だと、それがあなたの、いわゆる時代のあなたの持たれた考えですが、その同じ人間が今日次元は違いますけれども、いまでも、たとえば先ほどやりとりで長々と言いましたけれども、二十数年間のこの復権の問題について、これから与えるのでなくて、あるものを返してくれと、憲法上、ILOの条項に照らしても実際あることが——ないのがおかしいのですよ、恥ですよ、実際問題は。だけれども、あなたは、この記事の中では、現行法は、いいとか悪いとかは抜きにして、法は法であるからこれはこれで守らなければならぬということをはっきり言っておられますが、これについて、この現状認識の本質はいまでも変わっておりませんか。これは私は、どうしてもこれから長いつき合いになると思いますから、やはり人生哲学やあなたの人生観として、哲学として一応聞いておきたいと、こう思うのです。
  41. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 私は、ただいま御指摘がありましたように、学校を出て、最初に社会に出ましたときに海軍の法務官という生活をいたしまして、それで、言ってみれば検事のような仕事とか、裁判官のような仕事をやっておりました関係で、そしてまた外地におりました関係で、刑務所長もやりましたというようなことから、やはり法というもののあり方のむずかしさということを、若い時代でございましたけれども、それなりにいろいろ考えさせられるものがあったわけでございまして、その意味で法を立法政策的に考える場合と、実行といいますか、執行の問題として考える場合とでいろいろ問題がある。それから次に役人生活をいたしまして、その間におきまして税の仕事をいたしましたのですが、そのときにも、たとえば大蔵省でいたしておりますような税法の制定に関係するような立法政策にかかわる問題と、税務署等、現場におきまして税法の執行に当たる場合等の経験を通じまして、やはり立法政策として法に携わる場合と、執行の立場で法に携わる場合とでいろいろ考え方がむずかしいということを痛感をいたしておるものの一人でございます。その意味におきまして、私は自分の経験と言いますか、歩いてまいりました道筋から、法につきましてはあくまでそれは、一たん国会で決められました以上は守られなければならぬという考え方を、先生のお言葉をそのままおかりいたしますが、一つの人生観と言いますか、物の考え方と言いますか、そういう意味で持っておるということは事実でございまして、その点でその新聞報道に掲げられていることは私の申したことであり、私が考えておりますと言いますか、私の考え方を示すものであることは間違いございません。
  42. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 もう一、二問で終わりますが、あなたが総裁になられたのは恐らく三月の五日でしたか——そうですね。で、三月の四日、五日の両日にわたって国鉄労働組合は、各中央日刊紙に全面広告の形で「「国民国鉄」への緊急提言」というようなものを出した。これをお読みになったと思うのでありますが、これはずいぶん思い切って運賃問題について——かつて国鉄当局側がPRで新聞一ページ大の広告を出したんだが、国労も「「国民国鉄」への緊急提言」という問題と、それから「警報の鳴らない「危険信号」」という問題について出しておるが、これは見ておられますね。
  43. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 見ております。
  44. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 この中で「運賃値上げを抑え、安全とサービスの確保を目指す緊急提案」というかっこうで七項目出ておりますね。「一、組織機構の民主化、経営自主性の拡大、責任の明確化。二、長期借入金の国庫負担、公共割引の政府負担、運賃一料金の民主的決定。三、新幹線・新線建設の一時中断・工事規模の縮小。四、納入資料のコスト・工事契約の公開。五、安全輸送確保、騒音公害の排除。六、労働災害の絶滅、労働条件の改善。七、大幅運賃値上げ反対。」と、こういうような項目を書いて、それなりに「「国民国鉄」への緊急提言」で訴えておりますが、このあなたに対する評価をどうこうということではありませんけれども、これに対して見ておられるということでありますが、大まかに一言で言ってこれはあなたも見たと、まだ考え中だとか、参考になるとか、その程度のあれで、何かひとつあなたの口からずばりでお答えいただきたい、こう思うんです。
  45. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 各項目とか内容についてはいろいろ見解を異にする場合もあるわけでございますけれども、とにかく私ども労働組合が「国民の正しい理解と協力が、いますぐ必要です。」という姿勢をもって臨もうとしているということについては、私は高く評価をいたしたいと思います。
  46. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 これで終わりますが、これはお答えをいただかなくてもいいが、大臣もひとつよく聞いておいていただきたいと思いますよ。私は戦前派の実は労働運動者でプロですよ。この道五十数年に及んでおりますが、しかしそういう中で、私は現在は国会に議席を持っておる。これは予測もしなかったことでありまするけれども、そういう立場から私の思想と哲学の原点は、一切の生活活動、それから生産構造といったものについて、原点は何といっても人間関係ポイントですよ。それから物と技術ですよ。物財ですよ。それから銭がなくちゃ何にもできぬから金と財政であります。この三つのものは、洋の東西を問わず、社会や政治形態、秩序や体制のいかんにかわらず、この原点というものの運用を誤れば、必ず国鉄の抜本的再建は愚かなこと、なかなかいつまでたってもこれはうまく国民国鉄というかっこう——そういう点について私はその点のコントロール、それがやっぱりモチはモチ屋で生かされていかなければだめだというふうに考えておるわけでありますので、いずれ私は、この現在の国会状況というものがどういう状態で——折り目切れ目ではもう二十四日で幕切れでありまするから、いずれにいたしましても、あなたたちの方の強い主観と願望で出されておるところのいわゆる国鉄法、運賃法の関係は私どもは反対です、あれは。反対でありまするけれども、これは論議の場が違いますけれども、原点はとにかくいま申し上げて、これは答えはいただかなくてもいいのでありまするから、そういうかっこうでこれから勉強していきたいと、こういうふうに考えております。  以上で終ります。
  47. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 午前中の質疑はこの程度とし、午後一時十五分まで休憩いたします。    午後零時十四分休憩      —————・—————    午後一時三十分開会
  48. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  運輸事情等に関する調査議題とし、質疑を続行いたします。
  49. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 まず、青函トンネル異常出水について質問したいと思います。  資料ももらいましたけれども、ともかくトンネルの規模としては恐らく世界でも余り例のないことじゃないかと思うんですが、問題はこの安全性の問題で若干気になるので、その点をまず確かめたいと思っております。何といっても海面の下百メートルのところを通っているトンネルですから、ここへ水が出たということは、これはあり得ることというふうにわれわれも考えるわけです。一体この水は、海水が流れ込んでいるものなのか、いわゆる一般の地下水なのか、それは一体どういう原因でこういうことになっているのか、その点をお伺いしたいと思うんですがね。
  50. 原島龍一

    参考人(原島龍一君) 鉄建公団理事の原島でございます。  お答えいたします。  今回の出水は、いままででもそうでございますが、大体地下水と考えられます。と申しますのは、海水に分析の結果は非常によく似ておりますけれども、大分違いがございまして、海からの水と陸地からの水とまざったものであると考えられます。
  51. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 まことにむずかしい話なんですね。海の水と陸の水とまざったやつだと、どっちの水だと言われて。こういうのが本当の水かけ論で、私はやっぱり安全の問題について気になるのでその点を確かめたいと思っているんですよ。海の水もまざっている、なめてみりゃ多少しょっぱいということなのかもしらぬけれども、何といったって海の底でしょう。底にトンネル掘っているんだから、水が漏ったということになると、さては海水だというふうに考えるのが当然です。しかし、海の中にトンネル掘っているわけじゃないんだから、ストレートの海の水ということにはならぬわけですからね。地面の下百メートルだからこれは海の水かもしらぬけれども、土を通しての海の水ということになると、いまお話のあったように、地下水のようでもあり海水のようでもある、こういうことになるんでしょうがね。ただ、場所が場所だけに、将来トンネルが完成した場合に地震が起きた、ひび割れがして海水がどっと流れ込むといったような心配はしなくてもいいのかどうか、これは素人の心配なんですけれども、そういう点をお聞きしたいと思うんです。
  52. 原島龍一

    参考人(原島龍一君) いま地震のことにつきまして御質問ございましたけれども、先般の十勝沖地震の際に、ちょうど吉岡の斜坑の坑底付近まで掘り進んでおりまして、そのときの測定結果では、陸上より坑内の斜坑底の方が数分の一の震度であったという記録がございますので、私ども地震につきましてはそれほど心配ない、こう考えております。
  53. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 地震については自信がある、こういうことなんでしょうね。しかし、トンネルができ上がって汽車が通るようになった、その際に水が出たということになると、その辺のトンネルとわけが違うのだから、もう世界一の長大トンネル、しかも海面下何百メートルということですから、ここで水がどっと出たということになると、汽車のお客は汽車に乗ったまま溺死してしまうということになるわけですね。われわれ素人としてはそういう心配を当然するわけです。だからその点、完成した後のトンネルの安全性については問題がないということは学理的にも断言できるのかどうか、そういう点をお伺いしたいし、それから運輸大臣にもその点は、これは後になってそんなはずじゃなかったと言っても間に合わないことだから、その点は確かめておきたいと思うのです。
  54. 原島龍一

    参考人(原島龍一君) 安全の点につきまして、地震以外にもあるいは水のこと、水は先ほどから申し上げているように、海の水が直接入るということはまずございません。地質その他の状況から考えまして、トンネル竣工後に浸透してくる水というのは、これは恐らくわれわれの計算では毎分百トンを超えると思いますが、こういう水が参りますと、何といいましても塩水ということで、その中に電車を走らするということで塩害その他ございます。そういう細かいことまで私どもとしましては国鉄その他の学識経験者の方を集めてこれは委員会、あるいは研究会を開いてつぶさに研究をしているところでございまして、開業までにははっきりした事故対策、あるいは防災関係、こういうものの対策も立てられると思います。私どもとしましてはこの安全性については全く心配はしておりません。  以上でございます。
  55. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それでは、今度は経済的な面でお聞きしたいと思うのですが、大体この青函トンネル掘削にかかる費用は、今回のようないわば漏水といったような事故対策をも含めまして、完成までにどのくらいの金がかかるかということをお伺いしたい。
  56. 原島龍一

    参考人(原島龍一君) 私どもの方で一月に計算いたしました総額は三千五百五十四億ほどであります。
  57. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 三千五百億という投資は大変なものだと思うのです。  そこで、今度はこの青函トンネルと、それから将来の新幹線の問題とあわせて考えてみなければいかぬと思う。青函トンネルをつくるという以上は、ここへ線路を敷いてそして北海道まで列車を走らせるということになると、その場合の構想は当然北海道新幹線ということになると思うのですね。青函トンネルだけこさえてそれでいいというものじゃないでしょう、これは当然の話ですが。青函トンネルプラス北海道新幹線ということになる。そうすると、青函トンネルだけで三千五百億、北海道まで新幹線を建設をするということになると、どんなに短くとも札幌ないし旭川ぐらいまでは引っ張らなきゃなるまいという気がするわけです。北海道新幹線と青函トンネルをプラスした、青函トンネルの分はいまお話がありましたからいいですが、北海道新幹線、それと付随をしたいろいろな諸経費というものはどのぐらいかかるのか、その点もお伺いしたいと思います。
  58. 原島龍一

    参考人(原島龍一君) まことに申しわけないんですが、私、実は北海道新幹線につきましてはよく存じません、青函トンネルだけの担当でございまして。北海道新幹線については、恐らくまだ概算が出ていないと思います。
  59. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 青函トンネルそのものの価値の問題ですよ。青函トンネルだけこさえて、歩いて渡るわけにいかないと思うんですがね、これは当然。そこへ鉄道を走らせなきゃいかぬでしょう。その鉄道は、そのトンネルを出たら北海道だったということになるわけです。北海道に新幹線がつながってなきゃ何にもならぬわけでしょう。その北海道新幹線というのはどんな構想でどのぐらいの金がかかるかということ、これは運輸大臣、あるいは運輸省の方でお知らせ願いたいと思います。
  60. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 青函トンネルは、北海道新幹線の一部になっているわけでございます。現在運輸省といたしまして、新幹線はいわゆる整備五線というものを認可いたしているわけでございますが、その整備五線の中に盛岡から札幌までの線が含まれているわけでございます。一応金額で申し上げますと、盛岡から青森までが五千九百五十億、これは四十九年度価額でございます。それから青森から札幌までが、先ほど鉄建公団の原島理事が申し上げました青函の三千五百億を含めまして一兆四千五百億円、合計いたしまして盛岡から札幌まで二兆四百五十億円程度かかると見込まれております。ただ、この二つの線について、いつ着工するかということはまだ決まっておりませんで、いずれ三全総の内容が確定する段階で建設の時期を決めることになると思いますが、しかし、青函トンネルができましたときに新幹線が引けてないということは非常にまずいんで、少なくとも函館までは青函トンネルの完成時期と合わせて建設を進める必要があろうかと、さように考えておるわけでございます。
  61. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 とにかく一兆という、億の上の単位の金がかかるということですね。いまの北海道は黒字線というのはないわけでしょう。全線赤字でしょう。そうするとこの赤字路線ばっかりの北海道へ一兆の投資をするということになるわけですがね。これは投資はしても、見返りの期待できないという投資ということになるわけです。技術屋さんにしてみれば、こういう世界で例のない海底トンネルをつくるということに意欲を燃やしているかもしれないけれども、果たして経済的な面でみると有効な投資かどうかという点はかなり問題があるんじゃないかと、こういう気がするわけです。特にトンネルだけで三千五百億円だと、こういう話を聞きました。しかし、このトンネルは、そうすると青函トンネルというのが新幹線専用のトンネルになるのか、在来線も併用できるのかという問題も一つあるわけです。その点は、トンネルいま水が濡れて工事が進まないけれどもトンネルができ上がった際の構想というものは明らかになってなきゃいかぬと思うんですが、その点はどうですか。
  62. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 青函トンネルは、当初在来線規格の鉄道を通すということで着工することになっておったわけでございますが、四十六年の四月に、在来線を通すということの前提だけではなくて、構造としては新幹線も通り得るような構造にしろという指示をいたしております。さらに四十八年に、先ほど来出ております東北新幹線の延長、あるいは北海道新幹線の整備計画を定める際に、青函トンネルを共用するんだということを指示いたしております。したがって、現在の段階では新幹線と在来線の両方通すということになっているわけでございますが、実際にはどのような使い方をするかは現在国鉄の方で検討中でございます。特にいま貨物の問題等もございますので、そういう貨物をどういうふうな使い方ができるか、現在国鉄検討中であると聞いております。
  63. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 そうすると、在来線と新幹線と両方通すということになると、別々に線路をつくるのか、二階建てにするか、あるいは片っ側は新幹線で片っ側が在来線というようなかっこうにするのか、その辺のところはどういうことになっておりますか、ちょっとお聞きしたい。
  64. 原島龍一

    参考人(原島龍一君) その点につきましては二つの方法が考えられまして、新幹線のいわゆる広軌といいますか、スタンダードゲージの新幹線のレールだけを敷いて、旅客はそのまま直通、それから貨物は積みかえてスタンダードゲージの貨物列車を走らす、そういう方法と、レールを普通は二本でございますが、三本か四本並べて敷いて、狭軌とスタンダードゲージと両方走らせる、結局スタンダードゲージは新幹線の旅客を走らせて、貨物は狭軌を走らせる、こういう方法があるかと思います。これは技術的になかなかむずかしい問題もありますので、ただいま国鉄と私どもの公団と両者一体となりまして、その方法につきまして研究中でございます。開業までには結論を出すつもりでおります。
  65. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 もちろん開業までに結論を出さなければしょうがないですね。どっちにしてもまともなトンネルとはわけが違うんですね。新幹線と在来線と同じ路線の上を走らせるわけにいかないわけですよ、線路の幅が違うんだから。そうかといって、新幹線の線路の中に狭軌の在来線の線路を敷いて両方走らせるということになりゃ、この長いトンネルを、貨物列車が走っている後から新幹線は追い越していくことはできない、わけですよ。そうすると、新幹線だって前に貨物列車が走っていればこれはとことこ、のろのろ走っていかなければならぬということで、新幹線としての機能を発揮できないということになる。また今度、いまお話があったように、その新幹線のレールに合った貨物を走らして、在来線の貨物からそこへ積みかえをするという話がありましたが、そんなことをするんじゃ、こっち側でもって積みかえをして、また向こうへ行って積みかえをしなきゃならぬ。貨物でそんな手間暇かけていたんじゃお話にならぬですよね、これは。それはちょっと考えられないことだと思う。そうすると複々線のようにうんと幅を広くとるか、あるいは、上下に区分けをして一階と二階に分けて走らせるか、いずれにせよ普通のトンネルとは全然けた違いの大規模なトンネルにしなけりゃ両方走らせるということはできないわけですな。  そうすると、すでにいま計画されているのは三千五百五十億ということですが、それらのことを考えてみると、かなり予算がオーバーするということも覚悟しなければならないだろうという気がします。そうやって新幹線を通すということにいたしましても、スピードの点では仮に札幌まで新幹線を通すようにしたところで、やっぱり博多へ行くくらいの時間はかかるだろうと思います、新幹線は。そうなれば飛行機にはかなわぬですよ、時間的には。とすると、急ぐお客は新幹線を利用しないで飛行機を使うということになる。貨物は今度は新幹線のレールは使えないということになる。そうすると、旅客輸送だけのためにこの青函トンネルなり北海道新幹線というものが役に立つということになると、経済的効果というのは果たしてどんなものかということなんでありますが、その点で一体期待できるだろうかという疑問があるんですよ。その点はどのように国鉄総裁としてお考えになっているのでしょうか。
  66. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) いま先生の御質問の中に、旅客だけで貨物は、というお話ございましたけれども、いま原島理事から説明いたしましたように、とりあえず、たとえば昭和六十年の予想では、新幹線でお客さんを運ぶ列車本数が四、五十本、それから、ただいま青函航路で貨物を運んでおります貨物をこちらに移しますと、三、四十本の貨物を通すということを考えております。一つトンネルの中に線路を三本敷いて、そして狭軌と標準ゲージとを両方実は通すことを考えております。ただ、いま先生のおっしゃるのは、速度差があるから追い越せないからというお話でございますけれども、これはいま考えておりますのは時間帯をずらせまして、ある時間帯は主として貨物列車を、ある時間帯は主として旅客を通すというような、時間帯の区別によって貨物と旅客とを両方通すということも考えられるわけでございます。それに対して、いま三線レールを敷きまして、それに両方通すということの技術的検討、特に信号関係等についていま検討いたしておりまして、これは検討としては技術的には可能だと。それが実際に安全上どうかということをこれから実験その他を重ねまして、二、三年のうちに両方通すことの結論を得たいということで、トンネルができましたら、これは新幹線と在来線の貨物と両方を通すということで考えております。  そこで、いまどれだけお金がかかって経済的にどうかということでございますけれども、いま鉄監局長からお話のありました、盛岡から札幌まで約二兆円のお金になるというふうに予想をしております。これはまだ今後どういうふうに変わるか別といたしまして、約二兆円の建設費をかけて、いま申し上げたような数量でまいりますと、ただいまの運賃では国鉄としては収支は償わないということで、国鉄だけの経済性からいけばもう少し運賃の問題、あるいは助成の問題等、今後そういうものを含めましていろいろお願いをしていかなくちゃならないというふうに考えております。
  67. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 要するに、銭金の問題になると余り自信がないということになると思うんですね。ここへトンネルができて、あるいは新幹線を通してみても、それによって北海道から収入の面で得るところは期待をしちゃいないんだろうという気がするんです。北海道なんかの場合は、やっぱり海を渡って連絡船かなんかではるばるとたどり着くところに旅情があるので、トンネルを抜けると北海道だったなんていうんじゃ、これはどうも旅情も何もあったもんじゃない。連絡船だからこそ歌の文句にもなるんであって、青函トンネルなんというのは歌にならぬと思うんです。その点から考えると、余り収入面で期待することは私はできぬと思うんですね。  そこで、青函トンネル並びに新幹線の経済的な価値は果たしてどんなものかということを考えてみた場合に、いまのように国鉄の財政がどうにもならない赤字になっておるという場合には、私は極端な話が、見返りのできない投資というものは、こういう点こそしばらく差し控えるべきではないかという気もするわけです。一体この赤字の問題をどう解決するのか、こういうことがいま緊急の問題になってきておるわけです。いろんな方法を考えてはいると思うんですけれども、まだ運賃法は参議院では今国会の会期中に審議できる状態にはならないというふうな見通しであります。そうすると、六月一日からの運賃値上げといったようなことは絶望ではないかという気がするわけです。先々を考えてみた場合に、財政問題は一体どのように処置をするつもりなのか、その点をお伺いしたいと思うんですが……。
  68. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 当面の国鉄再建の問題と、それから将来にわたっての新幹線網の計画完成の問題との関連でございますが、御承知のように現在の新幹線は、国鉄の非常に大きな収入源になっておるわけであります。いまの国鉄の赤字は赤字として、これは現在御審議をいただこうとしておる再建関係法案を成立をさしていただきまして、ともかくまともな経営に国鉄をまず戻して、健全経営ができるようにいたすということに全力を挙げていかなければなりません。しかる後におきまして、法律で決まっておりますところの七千キロの新幹線網というものをどういうふうに進めていくかと、この問題につきましては、健全化してまいりました国鉄というものを前提にして、それから将来の国鉄の経営がどうなるかという関連性において考えていくべき問題であろうと私は考えます。新幹線が必ずしも、法律に決まっております七千キロが全部採算上黒字が出るからやるというものではなくて、やはりこれは一つの広い意味の国土の均衡のある発展計画というものから出ておる構想でもあるわけでございます。  したがいまして、北海道と本州を新幹線で海底トンネルでつなぐという問題につきましても、北海道は、いわば発展途上地域でございますから、今後の北海道の経済的な発展ということにも大いに寄与すべき使命を持っておるわけでございますので、そういうことを考えて、この海底トンネルを含めます本州−北海道をつなぐ新幹線計画というものを進めてまいらなければならないと考えておるわけでございまして、いま北海道と本州とをつなぐ新幹線が、初めからもう赤字であるということは明瞭だということも必ずしも断定できない。私はむしろ将来にわたって非常にこれは利用度がふえてうまくやっていけるんではないかという予想を持っております。もちろん飛行機の問題もございますが、飛行機は幾ら輸送力をふやしましてもこれは限界があるわけでございまして、北海道とそれから本州との物の、あるいは人の交流というものは相当今後増加してまいる、こういう前提で考えておるわけでございます。
  69. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 私は、青函トンネルに財政的な期待をかけるということは無理だと思うんです、それはね。ここへトンネルを掘って新幹線をつくれば、北海道の赤字線が黒字線になるなんて考えるのはとんでもない話だと思いますよ。そんな甘いもんじゃないと思う。そういう点はもっと慎重に考えるべきだと思うんです。北海道にトンネルをつくる話と、四国に橋をかける話は、どうも今日のような状態では余り適切ではないと私は思っているんですよ。あれは金がだぶついているようなときにやるならいいかもしれないけれども、今日のようなときに、差し迫っているときにやる仕事じゃないという気がするわけです。  そこで、国鉄の問題について、きょうは総裁に初めて委員会に出ていただいたので、総裁からいままでのかかわり合いのないところで素直にいろいろと考えてもらいたいし、その意見も聞いてみたいという気がするわけですが、国鉄は赤字を抱えているけれども当事者能力というのは総裁にないわけですよ、現状では。いまのようなスタイルでもって、いまのような構造でもって運賃だけ上げてみたところで、果たして、じゃ、少し運賃上げれば黒字になるのかというと、そうはいかないのじゃないかという気がするんですね。  それで、国鉄総裁自身が、言ってみれば当事者能力を持っていない。責任だけはある。責任だけはあるけれども権限はない。政府高官にとってみれば、これは責任の防波堤みたいな存在だ。極論をすればまことにばからしい、そういう役柄になっているわけですよ。総裁と名のつく仕事の中で、国鉄総裁ぐらいばからしい役回りはないという気がするわけですね。だから、そのポストにあえておつきになったということは、やはり捨て身になっていまの置かれた立場、機構というものを改めていくという気持ちがなければ、ばかばかしくてやっていけないと思うんですがね。その点、国鉄総裁としてはどのようにお考えになっていますか。
  70. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 現在の国鉄の組織はもともと、昭和二十五年でございますか、公共企業体組織になりましたときには、いわゆる官営の鉄道から変わっていったわけでございますが、しかし、それは民営にまでなり切らない途中のところで新しい形態のものがつくられたということでございまして、官営的なものと純粋な民営的なものとの中間をいくという形になっておるわけでございますが、その中間という場合にどの程度、一口で言うと官営的な色彩の組み立てにしておくか、どの程度民営的なものを入れていただくかというには、いろいろな段階があろうかと思います。現在は、二十年余りの歴史におきましては、結果的には、私の個人的な目では、いささかどうも官営的な様相を強く持ったまま今日まで来ておる。それがまたある意味で制度的に当事者能力がないと言われるゆえんであろうかと思います。したがって、いまの制度のままで将来末永くうまくいくかどうかということは相当疑問が持たれるわけでございまして、先ほど午前中の質問応答で明らかにされましたように、内閣につくられます基本的問題懇談会におきましてもそういう点は議論をしていただきたい。私どもとしてはそこらまで入った議論も一緒にやっていただきたい。三つの部門を設けるのについては、その経営の部門ではそういうこともひとつ大いに検討をしていただきたいというふうに思っております。  ただ、現在与えられた権能といいますか、仕組みといいますか、その中においては何ともならぬかどうか、現状よりも二歩もよくすることができないかどうかという点については、私は必ずしもそう思ってはいないわけでございまして、いまの余り、いささかひど過ぎるというか、ぐあいが悪い状態にあるわけでございまして、現在の機能、機構、組織、体制のもとにおきましても、もう少しいろいろ工夫をすることによって昨日までの状態、今日の状態よりはいささか改善の余地があるのではなかろうか。制度を変えなければもうどうにもならないというほどではなくて、現行制度のもとにおいてもなお工夫のしようによってはもう少しやる余地があるのではないか。たとえば、いろいろな体制の問題につきましても、もう少し営業的観念といいますか、経営的観念といいますか、そういうものを持ち込んでやっていくことによって多少とも収入を上げる方法を考えるとか、いろいろなことがあり得るのではないかなということを漠然と考えておりますが、しかし、これはやってみました結果やっぱりだめだったということになるかもしれませんし、とにかくそういう心組みではやってみたいと思っております。
  71. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 国鉄の赤字の原因については、もういままで何回もいろいろな点で述べられております。しかし、どう努力をしてみても黒字にならない線区があるわけです。先ほども青函トンネル関連をしてちょっと触れましたけれども、北海道へ渡ってみて、奥地の方へ行ってみれば、面積が広くて人口密度が希薄なわけですからね。私は県でもって、自分の出身である埼玉県と北海道とを比較をしてみました。そうすると、人口は埼玉県と北海道はやや同じぐらい。ところが面積は、埼玉県は北海道の二十分の一ですよ。つまり二十倍なわけです。これじゃ人口密度がまるっきり違うわけですよね。そうすると、そういういわゆる最果ての地に引かれた鉄道なんというのはどんなに合理化しようと、どんなに努力しようと、これは黒字にならぬわけです。人間よりもキツネの方がよけいすんでいるようなところでどんなに努力してみたところで、これは収入の上がるわけがないです。それは日本国じゅうに張りめぐらされた鉄道路線のうちで半分ぐらいの、かなりの多くの地域がそういう地域を抱えているわけでしょう。ところが、そういう地域を抱えたまんま独立採算制でいこうというようなこと自体がどだい無理な話ですよ。  さらに、いま一生懸命その建設をしている新幹線、あるいは青函トンネル——山陽新幹線、東海道新幹線は、これはかせぎの中ではドル箱かもしれません。しかし、青函トンネルを掘って北海道へ渡る新幹線が黒字になるなんて考えるのは、大臣の話だとまんざら見込みなきにあらずというふうな口っぷりでしたけれども、人口密度がどだい希薄なんだから、そこへ新幹線を引いて突っ走ってみたところで、たかが知れていますよ。そうすると、そういうどうにもならない赤字というものをこれからも国鉄がしょいながら企業努力を払っていくということは、これはむなしい努力になってしまうのじゃないかという気がするわけですね。運賃を多少上げてみたところで、これはたかが知れていますわね。  そこで、現行制度の中でそれをいじらずにということにはおのずから限界があるんじゃないか。あなた自身国鉄総裁になられましたけれども総裁については、杉山委員のお話によると、戸籍にわたってまでお調べになったそうですけれども、私どもの聞いている範囲では、国鉄の新総裁は、性格的にはややそそっかしいけれども、頭は大変よろしいと、こういうふうに聞いておるわけです。その頭のよろしい総裁がこの問題に取り組む以上は、不可能なものは不可能として割り切って、可能にしていくということはどうしたらいいかということは当然考えるべきじゃないでしょうか。  その点で私は、まず赤字路線の問題をどうするか、それから統計的にどんどん目減りがしてきた貨物輸送の問題をどうするか。これはどんなに努力をしてみてもそう簡単には回復しないと思うんです。先ごろも私どものところで陳情を受けましたけれども、取り扱い数量が少ないから貨物駅を廃止する、廃止をして合理化する。そうするとますます不便になる。ますます不便になって、何人かの人間を節約をするために、貨物収入はそれによってふえるということはないと思う。これからの体制を考えてみると、不便な貨物輸送に依存をする度合いは少なくなってくる。貨物でもって果たし得るのは、貨物に頼らざるを得ないようなものに限られてくるんじゃないかという気がするんですね。その点はやはり割り切らざるを得ぬじゃないかという気がするんですよ。だからそこで、赤字対策の中で大きな比重を占める赤字路線の問題、貨物輸送の問題、公共負担の問題、これらの問題を根本的に解決をするということについて一つの方針を示さなければ、どんなことをやったってどうにもならぬというふうに私は考えるんですが、どうでしょうか。
  72. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 先ほどの、まず北海道の問題でございますが、これは何も国鉄だけの問題ではなくて、いろいろな施策に当たって北海道についてどう考えたらいいかというのは、いろいろ問題があるわけでございまして、私も過去におきまして大蔵省におきまして予算を担当いたしておりました時代にも、たとえば港につきましても、道路につきましても、河川につきましても、公共事業においてそれぞれ国庫負担比率が北海道だけは違っておるという体制に現在なっておるわけでございます。これは明治の初めから今日までそういう体制になっておるわけでございますが、それはやはりそれなりに北海道の地理的事情、歴史的な事情からそのような過程をたどっておるわけでございます。その場合、国鉄だけは明治以来独立採算という観念で自前で何とかやっていくということでございましたから、北海道について特別なことをお願いするということをしなかったわけでございますけれども、これだけ当方の財政、経営状態が悪くなってまいりますと、先ほど来御指摘になっておりますようなことがありますので、やはりもうちょっと時間をいただいて、私どもの方で研究をいたした上でなければ確定的なことは申し上げられませんが、何らかの知恵を出さないことにはいかぬのではないかというふうに考えております。  それから貨物でございますが、これも三つの考え方があり得ると思うのでございますけれども、おっしゃるように、このままでございますとだんだん縮小せざるを得ない状態にあるのではないかというふうに思われますが、他面まだ勉強が十分でございませんが、戦後やってまいりました新しい投資とか、あるいは合理化とか、そういう点をずっと跡づけてみますと、かなり戦前等に比べますれば貨物は余り、言ってみれば顧みられていないようなところがあるわけでございます。主として旅客輸送に新規投資その他の重点が寄っておりますし、またごく最近は新幹線その他の方面に新しい投資が寄っておりますから、したがって、そうでなくても自動車との競争にだんだん負けていく形勢にはありますが、ただ自然にまかせて減らせばいいというわけでもなくて、もう少しそれなりの努力をして新しい分野の開発に努めるといいますか、省力化その他いろいろなことをすることによって、いまの赤字を何とか少しでも小さくしていく、そして最後にはなくしていくという努力もしなければならぬと思うわけでございます。  また、いまどんどん貨物については一方的に縮小だというふうな姿勢のみになりますと、非常に士気に関係をしてまいりまして、ますます貨物の職場の雰囲気がよくなくなりまして、そして、またそれがサービス低下につながるということがありますものですから、もう一度貨物の問題は、何といいますか、自然の成り行きに任すか、どの辺までむしろ改善、改良を図るかということについて洗い直しをしなければいけないということで、そもそも私が参ります前から、国鉄の本社の内部におきまして担当の間でいろいろいま新しい考え方を練ってもらっておりますが、それをいま急がしております。いずれそのことについて運輸省ともよく相談をいたしました上で、現在よりはもっと具体的な案をお示しすることができようかと思いますが、おっしゃるとおり非常にきつい環境にありますけれども、さりとてこれ、ただこのまま放置して自然に減っていくのを待つのみというわけにもまいらぬのではないかというのが現在の私の考え方でございます。
  73. 加瀬完

    ○加瀬完君 関連。  これは先ほどの大臣の御説明にも関係するわけでございますが、総裁の先ほどの御説明で企業体についてのお話がございました。企業体は当然これは原則としては民営形態が主であるはずでありますけれども公共企業体ということになりますと、公共性が非常に強くて民営形態をとり得ない問題があると思うんであります。その一番の例が国鉄ではないかと思います。で、総裁は財政通でありますから、この日本の財政で公共企業体の財政構造というものに対して的確な枠なり方針なりが出ているかということになりますと、非常にこれがあいまいだということに、私は国鉄財政などの一番赤字を生ずる問題点があるのではないかと思うんです。  たとえば、いま新幹線の問題が出ております。隣北海道ですけれども、北海道の者からとれば、北海道だけなぜ新幹線から除かれるんだという要求がありますよ、これは当然だと思う。しかし、国鉄の企業体そのものの財政バランスだけから見れば、赤字路線とか、必要があろうとも採算の合わないところに新規事業を起こすということは、これは差し控えなければならないという原則もまた立つわけですね。そうであれば、そういう場合の一体事業の財政負担というものを、あるいは将来に対する財政責任というものを、企業体そのものが持たなければならないということはどだいおかしいんじゃありませんか。それは別途国家の計画として、国家の事業としてやるというならば、国の新しい財源というものを、そういう枠と場面に限っては公共企業体に与えるという原則が確立しなければこれはどうにもならないんじゃないでしょうか。  将来、大臣の御説明のように、バランスがとれるだろうと言ったって、いま火の車でどうにもならない、月給も払えないという状態の中で、将来明かりが差すであろうということだけを希望的観測にして事業を興すというのは、そういう状態では国鉄はいまないと思う。そこらが私は、国鉄自身よりも政府自体がいままでこの公共企業体、特に国鉄経営に対しての財政の方針なり、あるいは財政の与え方なりということに大きなサボタージュをしておったのではないかと思われてなりません。先ほどのいろいろの御説明がありましたけれども、財政の裏づけというものが何にもないで仕事をさせられていますね、国鉄は幾つかの面で。それから貨物の問題もありますけれども、交通体系上国鉄はこういう位置づけをしておるわけだから、常態の経営をすれば赤字になる心配はないという交通体系上の位置づけも何もありませんね。一面は自由競争させて、自動車と競争させて自動車に負けるような状態に置いといて、それに対して何にも手を打たない。一面は、そしてこれは国鉄自体としては整理したいようなことを、新規事業を差し控えたいようなことも国の要求でずんずんずんずん国鉄の方にひっかぶせている。こういうアンバランスの政府の方針というものを直してもらわなければこの問題は直らないと思うのですよ。  午前中にも私はその点を若干抽象的に触れましたけれども、新幹線というものをとれば、ないよりあった方がいいに決まっている。しかし、いま国鉄自体として一番やらなければならないことは財政再建ではないか。財政再建ということを主にするならば一体新規事業というものはどうすべきか、やらなければならないなら国鉄自体に任せないで、それは国の財政の負担でやるべきじゃないか、そういう一つの方針が非常に不明確だと思うんですよ。それが国鉄財政をにっちもさっちも動かなくさせた最大の原因じゃないか。こういうように思うのですけれども、長い間大蔵省で財政担当をなさっておりました総裁は、御就任なさいまして、国鉄自体の内容はとにかくとして、おか目八目ということもありますから、外側から見ていった方がむしろ国鉄の欠陥がわかるということもあり得るわけです。財政家としての立場から見た場合に、国鉄財政というものの財政構造が非常に何といいますか、公共企業体の財政的な存在というものに対して裏づけが何にもないじゃないか、こういう感じを持つわけですけれども専門家としての御感想なり御判断はいかがですか。
  74. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 率直に言わしていただければ、ただいま御指摘のようなことは多々あると思います。それで、それを私の方でなお研究をいたしまして、運輸省を通じて政府全体にお願いをしなければならないと思っております。  ただ、私が参ります前に、昨年の十二月三十一日に閣議を開いていただきまして、「日本国有鉄道再建対策要綱」というものを決めていただいておりますが、そこでは主として三つのことが柱になっておりまして、一つは過去債務のたな上げということで、そのために財政負担をしてもらうということが決められております。二十年間で過去債務を整理すればよろしいということで、それまでは一般会計の方でつないでもらうという措置が決められております。  それから二番目には、運賃の改定をお願いするということになっております。  三番目に国鉄自身の経営の合理化を図ると、三本柱になっておりまして、その三番目の中に、要員の合理化の問題と並びまして赤字ローカル線の問題と貨物の問題、それからもう一つ、資産の活用、処分、付帯事業をもっとうまくやって増収を図るというようなことが挙がっております。その要員合理化の問題についてはだんだんいまの内容を固めておりますが、赤字ローカル線のやり方、また貨物輸送の今後のあり方ということについては、これから研究をすることになっております。今回お願いしております運賃改定をお認めいただきましても、昭和五十一年単年度でなお五千億の赤字が残るという状況でございますので、これではまだまだ根本的に問題が解決したことにはなりませんので、それらの問題の処理に向けてなるべく早い機会に、赤字ローカル線の問題なり、貨物輸送の問題なり、さらには要員合理化の問題につきまして具体案をお示しをしなければいけない。また、それをわれわれとしては、はっきりした上で経営の運営に当たらなければいけないと思っております。  率直に申しまして、私自身大蔵省におります時分から、国鉄の問題はいわゆる三K問題ということで、食管会計と健康保険の問題と並んで、財政問題として言われて久しいわけでございまして、その意味で、私も前に大蔵省におりました関係で、ある種の責任を感じておるわけでございますが、昨年のこの対策要綱が決まりまして、この線に沿ってなおこれを深めてまいりますならば、十分希望が持てるといいますか、見通しを立て得る状態になってくるんではないかと考えておりますが、それにいたしましても、貨物だけ一つとりましても、なかなかどうやって具体策を立てるか、貨物の赤字の程度が極端でございますのでなかなか容易ではない現状でございますけれども、この貨物と赤字ローカル線問題は、どうしても経営立て直しのために具体策を立てなければならない問題として取り組まなければならない。そしてある種の案ができましたならば、運輸省初め政府各方面に、お願いやら御相談をいたしたいと思っております。
  75. 加瀬完

    ○加瀬完君 もう一問お願いします。  過去の赤字をたな上げしましても、新しく赤字が生まれない原因というのは全部解消したわけにはなりませんね。そうすると、結局旧来の陋習どおり運賃でこれを何とかしようというんです。しかし運賃をどのように上げても、これは無限大に上げれば別ですけれども、常識の範囲で公共料金という性格を逸脱しないように運賃で赤字を解消しようと思っても、これは限度がありましてどうにもならないと思うんですよ。過去は国鉄は安くて私鉄は高かった。現状は私鉄が安くて国鉄が高い。ですから運賃を改定していったってこれは限度があります。合理化といってもこれも限度がありまして、合理化すれば事故のもとになるという悪循環もいままで繰り返されておったわけですが、合理化にも限度がある。  根本的に自動車交通の道路を見ますと、道路には大きな財源が与えられておるわけです。私はこの委員会でも指摘をしましたけれども、元の国鉄総裁の磯崎さんが、中央線から国鉄本社まで通っているんだけれども、一時間にラッシュのときは国電は十六万の人を運ぶ、並行して走っている高速道路は五千人の人しか運ばない。ところが、五千人の人しか運ばない道路には国が金を出す、都が金を出す。その他あらゆる財源措置を講じている。ところが、十六万人の人を運ぶ電車には、国鉄には全然財源がないじゃないか、こういうアンバランスを直してくれなければ国鉄財政の赤字というものは解消しないということを御指摘になりまして、ある雑誌に書きました点を私は指摘をしました。このたな上げもいいでしょう。合理化も当然やらなければならないでしょう。運賃もそれは適当に上げざるを得ないということも一歩譲って認めたとしても、根本には道路財源に匹敵するような鉄道財源、国鉄財源というものを政府が考えない限りは、この問題の解決はいつまでたったってできませんよ。そうして、田中さんは当然政府の負担すべき部分というものを計算して、これは国が出すべきだという構想を発表しましたけれども、それもしり切れトンボになっちゃった。  私は総裁に、財政問題の解消のためには、道路財源に見合う国鉄財源というものをやはり政府段階で考えてもらうように要求すべきであるし、大臣も、これは長い間の国鉄や運輸に関する関係者でございますから、新しい財源というものの付与がない限りどうにもならないということは百も承知だと思う。そういう点で、もっと私は運輸省も国鉄も、政府に道路財源に並ぶような国鉄財源というものを考えてくれなければ困るという要求をどうしてなさらないのか、なさらない限り問題の解決はできないと私は思いますが、いかがでしょうか。
  76. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 大変いまの御指摘は示唆に富むものでございまして、私もいささか個人的にはそういう考えを前においても持っておったことがあるわけでございます。ただ現状から申しますと、いろいろと新しい政策を求めることも決して軽々には考えませんけれども、しかし、自分たちの方でまずやるべきことがございますと思いますので、要員合理化にしましても、あるいは赤字ローカル線問題にしましても、貨物輸送にしましても、まず私どもの中でいろいろ努力をして、ある程度のことは片づけ得る面があると思いますので、それをやるだけはやりますが、それでもなお足らぬという部分についてはまたお願いをしなければならぬ時期がくるのではないかと思いますが、まだ日も浅いことでもありますし、まずいまの中でもっといろいろな能率化、合理化、それから財政面での効率化というようなことをいろいろ、できることはどこまでかということを検討いたしました上で、どうにもならぬという部分について、しかもなおかつ先ほどの北海道の例のように、どうしても国全体のお立場からやらなければならないというものであれば、それはそれなりに何らかの形でのお手伝いをしていただくということをお願いすることになろうかと思いますが、現在の時点では、もっぱら中の方をまず洗えるだけ洗っておくということを先にやってみたいというふうに考えております。
  77. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) いまの加瀬委員のお話、私もよくわかるわけでございます。鉄道と道路との問題についてはずいぶん以前からいろいろな議論、意見が出ているところでございますし、私も若干そういう方面も承知をいたしておるわけでございますが、特に田中前総理が、国がめんどうを見るべきものをはっきりすべきであるということも言っておりました。私も全く同意見でございます。いまの国鉄の破産状態を見まして、現在再建関係法案を出して御審議をいただくわけでございますけれども、あの案でもわかりますように、旅客を今度五〇%上げるわけでございますが、そうしてその値上げによりまして、値上げ後に入ります運輸収入というもので人件費と物件費がちょうど賄えるというかっこうになるわけでございます。そのほかの工事費であるとか、あるいは利子であるとか、その他の費用は運輸収入では賄えない、こういう状況で、その他の点は国がめんどう見るというかっこうにたまたまなるわけでございますが、今後とも私は、少なくとも交通鉄道事業としてやっておる限りにおきましては、直接費でありますところの人件費と物件費はやはり運輸収入で賄うという辺が一つの標準と考えて、それ以外のいろんな費用は、これは国鉄の公共的使命で採算のとれないところもやっておりますし、また、公共の使命のためにいろんな仕事もやらざるを得ない場合がありますから、それらは国がめんどう見る。めんどうの見方もいろいろございますけれども、要するにめんどう見るというところ辺が、やはり公共企業体国鉄としての経営の必要な費用分担のシェアの割合等から言いますと、大体その辺を標準において今後とも考えていったらいいのではなかろうかと、かように思うわけでございます。もちろん公共企業体そのものに対しても、こういう形態がいいかどうかということも根本的にはやはり私は検討すべき点もたくさんあると思いますが、現状のところはそういうところで再建のスタートをやっていく、これがいまの私たちの考えておるところでございます。
  78. 加瀬完

    ○加瀬完君 済みません、もう一問。  関連ですから、大変長引いて恐縮ですからこれでやめますけれども、そこの前提に私は誤りがあると思う。公共企業体という国鉄の形態は、企業バランスがとれない公共性のものを持っている、初めから。これを含めて、赤字が出たものを運賃の値上げだけで賄おうとするところに無理がある。国鉄歴史から考えても、一応国鉄自体として経営の責任を持つべきものと、とても持てないような極端な政治路線、国民的な生活路線として必要な赤字路線というものは、これは初めから分けて国が負担をする、こういう形にすれば赤字分というのは非常に少なくなる。国鉄の意思にかかわりなくやたらに線路を引っ張っておいて、それから出る赤字は全部国鉄の事業の中で賄いをしろという考え方が今日の赤字を生んだ最大の原因でしょう。ここの区分けをまず私はしてもらいたい、午前中も申し上げたのはそこなんです。  ですから、田中前総理の発言もあるわけです。国鉄自体として国鉄の責任で賄うべきものはこの範囲、これはもう国鉄が国から委託されておるようなものなんだと、これは委託料を当然国が払うべきだと、そうでなければ国鉄やっていけませんという区分けを先にすべきだ。その区分けをしないでやたらな注文を全部受けちゃって、そのために赤字を非常に膨大にさせておいて、その赤字原因を一つも解消しないで、ただ運賃で賄えという考え方では国民は納得しませんよ、これは。それも財政上いずれの方向にも国の援助を出すような余地がないというならまだしも、道路なり架橋なりというものには膨大な国家資金を出しているじゃないですか。ここらも私は運輸大臣としてはもっと政府に強く国鉄財政の確立を要求していただきたいと思うわけです。  大変関連が長くなりましてありがとうございました。
  79. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 私が申し上げましたのは一つの原則的な考え方でございますし、それから現在御承知のように総合原価主義をとっておりますので、そういう立て方を前提にしてお話を申し上げておるわけでございますが、しかし、今度の再建関係法案並びに国鉄再建に関する閣議了解にもありますように、総合原価主義をとりながら、なお極端な閑散線等についての処理の方法も今後考えていくということも入れておるわけでございますので、これを無視して全部原則どおりに今後ともやっていくということではないわけでございますから、これもひとつ御理解いただきたいのと、それからその適正な運賃、これはいろいろ議論される方によって違うんですけれども、やはりその運賃がまたあくまでも適正な運賃、他のものに比べてみて適当な運賃にまで持っていった上での赤字路線がどうなるか、こうなるということも議論すべきではないかと、これも二つの原則論になりますが、まあそういう意味合いも含めて申し上げておるわけでございまして、加瀬委員のおっしゃることもよくわかるわけでございます。
  80. 加瀬完

    ○加瀬完君 よろしくお願いします。どうも済みませんでした。どうもありがとうございました。
  81. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それでは最後に、労使問題についてちょっと質問したいと思うんですが、午前中杉山委員からもいろいろと御質問がございましたが、やはり人の和というものがないと仕事はうまくいかぬというのは、これはどの世界にも当てはまることじゃないかと思うんです。ただ、ここの国鉄の場合、非常にいびつなかっこうになっておるということは、総裁自体が当事者能力がないようなものなんですね。先ほど申し上げたけれども、責任だけはあるけれども権限がないと、だから総裁のなり手もなかったわけですよ。高木さんがうっかり引き受けちゃったようなかっこうで……。そこでね、いわば手当の少ない雇われマダムみたいなものですね。これじゃやはり相手になる方だって幾ら押し問答してみても切りがないと、こういうかっこうになるので、この労使の問題はなかなかうまくいかぬということになる。そこで、総裁自身当事者能力を持つということは、いまの国鉄のこの制度、機構、仕組み、これを変えなきゃならぬということを意味しているわけです。  で、専門懇意見書、杉山さんからもちょっとお話が出ましたがね、専門懇意見書なんというものは、私どもあれを読んでみましたけれども、今日の労使問題の解決には何の役にも立ちません、あれは。御用学者のごますり論文だけなんです。あんなものがお役に立つと思ったら大間違いで、あれはそこらの神社のお札みたいなもんで気休めにすぎないですよ。そういう役に立たないごますり論文でもって事を解決しようということ自体がそもそも間違いだと思うんですね。  だから、まず労使間の関係をうまくということであれば、これは私はストライキがけしからぬというだけでは、特に自民党の人たちの立場はそういうことなんですが、ストライキがけしからぬということだけではストライキはなくならぬですよ。いままでの例でも、マル生なんかでもって弾圧をしようとすると、そのたんびに組合の方は強くなってきたと、こういう事実があるわけですね。だから、ストライキはもう一切まかりならぬということで封じ込めてしまおうということは、噴火口の上にふたをしようとするようなものなんで、これははかない努力。それよりも、ストライキをいかにして少なくするかと、そしてむだな労力をお互いに使わないようにするにはどうしたらいいかということを考えるのは、これは為政者の知恵でなきゃいかぬと思いますね。そこのところは、頭のいい高木総裁はどのように対処されるおつもりなのか、その点をお伺いしたいと思うんです。
  82. 高木文雄

    説明員高木文雄君) なるべく早い機会に公式に組合の幹部諸君と会って、そういった問題の糸口を開いていきたいと思っておりましたんですが、いろいろな事情で延び延びになっておりました。新聞報道等で御存じのように、昨日初めて公式に会って話し合いをいたしたわけでございますが、具体的にどういうふうにして糸口を開こうかということは、両方から専門家を出して、なお具体案を立てることにしておりますけれども、いずれにしても、労使が両方から知恵を出し合ってやっていこうということで新しく、内部でありますけれども懇談会といいますか、協議会といいますか、話し合いの場をつくっていこうということを実際問題として相談をいたしておるわけでございまして、幸いにして、まだ国労だけでございますけれども、そういう話もできました関係もありますので、その辺で両者が知恵を出し合ってそしていきたいと。特に民間を含めまして、労使問題について造詣を持っておられる方々のお知恵なども双方が、共通の方の意見を聞きながら、参考にしながらやっていきたいというようなことも考えております。まだまだいろいろ具体的には方法はあると思いますが、両方が熱意を持ってそういう問題の解決に取り組むならば、いまの制度のもとにおきましても、いまよりはいささか改善の余地があるのではないかというふうに確信をいたしておる次第でございます。
  83. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 私は、航空行政について伺いたいと思います。  まず最初に、運輸大臣に現在の心境というか、この問題について伺いたいと思うんです。特にいまマスコミで騒がれているように、実際ロッキード問題というものが運輸行政にとっては非常に大きな問題だと私は思うんです。ゆがめられた航空行政とか、疑惑に満ちた行政指導によるエアバス導入とか、こういうような見出しで連日報道されている。確かにこの問題については、私たち運輸行政を担当する者としても、徹底的にこの問題は解明しなければならない問題ではないかと私は思います。現在まで運輸大臣が、このエアバス導入に絡むいろんな問題を省内で指導し、あるいは行政当局からいろいろ聞いた問題について運輸大臣はどのような感じを持っていらっしゃいますか。まずその感じをお伺いいたします。
  84. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) アメリカのロッキード会社から端を発した、いわゆるロッキード疑惑の事件につきまして、事の真相は現在検察当局が調べておるところでございますけれども、世上いろいろ言われておりますような事柄については、私は非常に遺憾に思うわけでございます。同時に運輸行政を担当いたしております責任者として、いろいろ言われております当時の、昭和四十四年から二、三年の間の航空行政そのものが、しからば非常に誤った行政が行われておったかどうか、運輸行政の、航空行政の責任者の私としては一番それが気になるところでございます。言われておるようなことに影響を受けて、日本の航空行政が、国民の期待に背いたような航空行政が現実に行われてきたかどうかということをつぶさに当時の実情について関係者にも聞きましたし、また行政の実態も調べて見てまいったわけでございますけれども、航空行政そのものは、当時の事情から考えてみますと私は筋としては誤った行政はやっていない。航空需要に対する国民の要請に十分こたえてきておりますし、また航空企業としても、その基礎を固めながら健全な発達を来しておる。そういう意味におきましては、航空行政そのものは誤っていないと、かように私は考えております。ただ世上言われておりますような事柄が、仮にその背後にあるということについては、真偽のほどは別として非常に遺憾に思っておるわけでございます。
  85. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これは遺憾だけで済まされないような問題が、今後いろいろ私たちも事実をもとにしてこれから追及もしていかなきゃならないと思うんです。このロッキード問題が米議会であのコーチャン証言で時間かせぎという、この問題が私は非常に大きな問題だと思うんです。特に私もこの事件からずっといろいろ資料を全部分析してみました。確かにこれはゆがめられているなということを後で振り返ってみればますますそういう問題点が数多く出てくるわけです。  私は、四十八年の三月に予算委員会でPXLの問題で、これは防衛庁の問題でありますけれども専門家会議がつくられたときにすぐに私その問題を取り上げたんです。これも時間かせぎだ。それと並行して取り上げた問題が、運輸省が購入予定であったフライトチェッカーの問題がやはり、これもDC9、ダグラス等のいろんなかかわりがある問題であったわけです。それで私は予算委員会でこの問題も取り上げました。あるいは大蔵省と運輸省の協議事項、認可から逆転した問題等についても非常に私は疑問を持っております。特に四十五年から四十七年の航空行政というものがどうもゆがめられているということはいろんな事実から私はわかる。具体的には後でいろいろ一つ一つ詰めていきたいと思いますけれども、オーバーオプションの問題にしても、機種選定委員会のこの技術委員会の問題にしましても、ちょっと私は納得できない問題がある。あるいは四十六年の二、三回にわたる行政指導、特に運輸省の資料がある四十七年の機材の計画というこの文書の中にもいろんな納得のできないような問題点がある。あるいは四十七年の八月十八日に運輸省案が、エアバスを含めた十六機の導入というこういう問題についてもどうも合点のいかない問題点が私にはあるんです。こういう問題で一つ一つ具体的に航空行政の問題として質問してまいりたいと、こう思うわけでありますけれども、まず最初に、四十五年九月の日本航空の長期計画、この問題については運輸省は承認をしたのかどうか。この点についてまずお伺いしたいと思うんです。
  86. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 日本航空の長期計画は、これは会社としてのいわゆる長期のビジョンを作成したものでございます。したがって、その長期計画自体を運輸省が認可すると、こういうことではございません。ただ、会社の計画でございますから、その長期計画は運輸省は説明を聴取いたしております。
  87. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 この長期計画の問題については、四十五年九月の長期計画です。この内容は具体的にどういうものですか。
  88. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 四十五年に作成いたしました長期計画は、四十六年度から昭和五十年までの五カ年間、これは国際線、国内線に通じまして需要予測をいたしまして、それに対する機材計画、それから乗員計画、訓練計画、そういうものを、要するに会社としての運営の基本的な計画についてのいわゆる計画を作成しておるわけでございます。
  89. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 具体的に機材計画の問題でちょっと伺っておきたいんですけれども四十七年に、これは後で大蔵省の文書でもいろいろお聞きしたいと思いますけれども、四十七年には大型機を導入すると、こういう計画がこの長期計画の中には含まれていたことは事実ですね。
  90. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 四十五年に作成いたしました四十六年度からの長期計画の中では、四十七年度に当時国際線に使っておりましたボーイング747三機を国内線に転用する、それから四十八年度に大型ジェット機、これを国内線用として投入すると、こういう計画がございます。
  91. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これは、もう一つ参考のために伺っておきたいんですが、三十七年でしたか、行政通達の中に、同一機種、同一機材の行政通達を出されたのを私見たことあるんですけれどもね。これは四十五年の十一月二十日の閣議了解、あるいは四十七年の七月一日丹羽通達、これも拘束するように、この同一機種、同一機材という問題はあの時点からずうっと生きている問題と考えていいのかどうかですね。
  92. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 三十七年の八月十五日に「日本航空及び全日本空輸の提携の強化に関する基本方針」と、こういうものを運輸省は決めておるわけでございます。その中で、両者の使用機材について、これは幹線でございますけれども、できる限り機材勢力の質的な均等化を図るということで、同一機種の採用が望ましいということを基本方針として決めておるわけでございます。したがって、この精神は、日本航空と全日本空輸の提携の強化ということの一つの具体的な手段として同一機種の採用ということもあるわけでございまして、そういうふうな提携関係の強化という基本的な精神はその後も変わっていないというふうに思うわけでございますけれども、ただ具体的な方法論につきましては、これは必ずしも将来、未来永劫にこれを拘束するということではございませんで、この方針自体も、同一機種の採用ということを研究することが肝要であると、こういうことを言っておるわけで、同一機種を必ず採用しなさいと、こういうことを言っておるわけではございません。要するに、同一機種を用いることがまあ望ましいという考え方は三十七年に確立されまして、その後もそういう考え方は急激に変わっているということはございません。
  93. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 もう一つ参考のために聞いておきますけれども、運輸省はこの大庭オプションについては全然知らなかったと、こういうふうにいままでも述べられておりますけれども、これはそのとおりと理解してよろしいですか。
  94. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 当時の関係者に聞いたところによりますと、当時そのような事実は全く知らなかったということでございます。
  95. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、私ちょっと合点がいかないのは若狭証言ですね、これを否定しているのは、航空局長は否定されているわけですね。それはもう省内からいろいろお聞きになったと思うんですけれども、予算委員会であったか衆議院であったか、どこか知りませんけれども、まだ設計段階であったとか何かいう話が、若狭証言として衆議院の予算委員会で述べられた。ところが航空局長はそれを否定されましたね。そしてこれは製造中であるということを認められたわけですね。これは間違いございませんか。
  96. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 私は、若狭発言を否定するとかしないとかいうつもりは毛頭ございませんで、当時の御質問が、製造にはいつから入ったかと、こういう御質問に対して、私どもが持っておる資料によりますとこうなっておりますと、こういう御答弁をしたと思っております。
  97. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、昭和四十五年の十一月五日ですか、全日空と三井物産とダグラスの間にDC10の内装打ち合わせの問題が日本で行われたことについては、これはもう運輸省は御存じでしょう。
  98. 中村大造

    政府委員(中村大造君) その事実は、当時はそういう事実について報告もなく、したがって承知いたしていなかったわけでございます。
  99. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、運輸省とダグラス社の接触は、端的に言いまして一番最初に、まあだれが接触したか知りませんけれども、ダグラス社と運輸省との接触といいますか、あるいは機種選定等も含めて、これから後でフライトチェッカーの問題はこれはDCと絡んでくるわけですけれども、このダグラス社との間の接触というものはいつごろから始まったと航空局長理解しておりますか。これはまあ非常に失礼で、航空局長はその当時の人じゃないから、私はその当時やった山元さんの方がよくわかっているのかもしれませんけれども、どちらでも結構ですよ。
  100. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 先生の御質問はその……
  101. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 このDC10だけじゃなしに、運輸省全体がダグラスとの接触はいつから…
  102. 中村大造

    政府委員(中村大造君) そのダグラスとの接触というのは、たとえば当時運輸省で購入いたしましたこの飛行検査機器でございますけれども、それの購入に関してダグラス社と接触したか、あるいはいわゆる代理店である商社と接触いたしましたか、恐らく私は商社と接触をしたと、これは端的に言えばガルフストリュームという機種を最終的には購入いたしたわけでございますけれども、そのときにDC9とかボーイング737とかいう機種が候補に挙がったわけでございますので、その機種選定の過程におきましてメーカーと直接接触したか、あるいは代理店である商社と接触したか、この点についてはすぐ調査いたしますけれども、それを除きまして、いわゆる民間航空会社の購入機材について運輸省航空局がタッチしたということは、これはそれ以前を含めましてなかったというふうに私は承知いたしております。
  103. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 ちょっとそこはいま航空局長に聞いても——それで私は当時の次官か、あるいは実際は、いま東亜国内に行かれている人で当時の技術部長が一番この問題はよくわかっていらっしゃるんではないかということで、実はいらっしゃれば聞きたかったんです。だから、いまの監督課長か、あるいは山元さんがこの点については、いつごろからダグラス社との間の機材購入問題についての打ち合わせを行ったかということについては明確にできませんか。
  104. 山元伊佐久

    説明員山元伊佐久君) 私、監督課長で在職いたしておりましたのは四十三年の六月から四十六年の十一月まででございますけれども、その間におきまして民間航空会社が購入いたします機材、それにはDC10の問題も含まれておりますけれども、そういうことについて航空局がかかわり合いを持ったということは一切なかったというぐあいに記憶いたしております。
  105. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 このDC10だけではなしにDC9の導入、まあフライトチェッカーの問題で後でお聞きしますけれども、このダグラス社との間に、民間航空だけではなしに運輸省もやはりダグラス社と接触しなければ、これから機種選定のときに困った問題が出てきたわけですね。これは私は考えられるわけですよ。したがって、ダグラス社と民間、あるいは運輸省が、購入する機材にかかわらず、ダグラス社との間にいろんな話し合いが行われたのは運輸省はいつからかと……。
  106. 山元伊佐久

    説明員山元伊佐久君) 航空局がフライトチェックのために購入する機材に関しまして、私は所管外でございますが、私が在職しておりましたときに、私が承知している範囲内においてはそのような接触はなかったというように記憶いたしております。
  107. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これね、いまでなくても結構ですから後で調べてくれませんか。運輸省はいつかはダグラスとの間の接点があるはずなんですよ。これがなかったらよっぽど私は後で大問題になってくると思いますよ、これがなかったら。少なくとも四十七年の十月十八日ですか、このフライトチェッカーの導入に対しては、機種選定委員会ではダグラス社との間にあるはずなんですから、それ以前からダグラスの間に運輸省、あるいは民間航空も含めていろいろな話し合いが行われたんじゃないかということを私は、まず最初に行われたのはいつだったかということを、これ調べていただきたいということなんです。これよろしいですか。
  108. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 飛行検査用の機材を購入するにつきまして、運輸省がメーカー、特にダグラス社とどの段階で接触したかと、こういう点につきましては、現在手元にそのような資料を持ち合わせておりませんので、可能な限り調査いたしまして御報告を申し上げます。
  109. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それから、運輸省の航空局で作成した文書で、四十五年十一月にこのボーイング747型機材の三機の国内線転用という、こういうふうな文書が運輸省航空局から、後の行政指導ですか、この文書がつくられて日本航空に指示をされた、こういうように私は聞いているんですけれどもね。航空局のこのボーイング747の三機の国内線転用という問題の文書は中身はどういうふうな内容なのかどうか、これについて。
  110. 中村大造

    政府委員(中村大造君) これは当時、四十五年の十一月に日本航空から国際線機材として747四機を購入したいと、こういう取得認可の申請事案が出てきたわけでございます。で、その是非を判定いたしますときに日航の持っております計画を調査したわけでございますが、その日航の計画として、これは長期計画の中にも入っているわけでごいますが、四十七年度に、当時すでに国際線に使用いたしておりました747LRを三機国内線に転用すると、こういう計画が日航の長期計画の中にあったわけでございます。で、そういう計画があると、こういうことを前提にいたしまして運輸省でいろいろ検討をするその資料を作成いたしたわけでございますけれども、いま先生御指摘の資料というものはそういう過程での検討資料の一部ではないかと、このように考えております。
  111. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 私は、この文書の中に四十七年の四月に国内線に転用するという、こういう条件のもとに、これがこの日航の大型機導入の認可につながった一つの問題だと思うんですね。したがって、この航空局が作成したこの三機の国内線転用というものは非常に権威のあるこれは私は文書だと思うんです。そう航空局長とられませんか。
  112. 中村大造

    政府委員(中村大造君) これはあくまでも内部の検討資料でございますので、そういう意味では権威のあるというものではないと思いますけれども、ただ、航空局として四機の国際線用機材の購入を認めるか認めないかという判断をするときに、日本航空のそのような長期計画の中での三機転用と、こういうことを当然その検討の中に加えておった、念頭に入れておったと、こういうことは当然事実でございまして、そういう検討の事実があったということを示す資料としては意味があると、こういうことは先生御指摘のとおりだと思います。
  113. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 大蔵省に伺いますがね。四十五年十一月航空局が作成したこの三機の国内線転用という問題、これと、これを踏まえてかどうかはわかりませんけれどもね、航空局と大蔵省との間にこの日本航空四十七年国内線に使用する747の四機ですか、これを認めるという文書か何か交換したんですか。あるいは意見を聴取したり、それでこれを承認、オーケーしたんですか。
  114. 宍倉宗夫

    説明員(宍倉宗夫君) お答えいたします。  四十五年の十一月の初めごろだったと記憶いたしておるわけですが、ボーイング747の十三号機から十六号機までの四機、それからDC8の国際線用の機材として三機、それからDC8の貨物機といたしまして同じく三機、それからDC8の中古機といたしまして二機、全部で十二機、この取得総額が約六百七十億円ぐらいになるわけでございますが、それを日本航空において取得したいということであるがどうであろうかというふうに運輸省の方から、正式には日本航空株式会社法の十二条に基づきます重要財産の取得の協議があるわけでございますけれども、その正式の協議の前の内協議が先ほど申し上げました十一月の初めごろあったわけでございます。  で、運輸省の方といろいろ御相談したわけでございますが、結局四十五年の十一月二十七日付の文書になっておりますので、恐らくその二日前なのか一日前なのかはよくわかりませんが、二十五、六日だろうと思いますが、一応そういうことで合意をしましょうということが話がまとまりまして、四十五年の十一月二十七日付で大蔵省の当時の理財局資金課長と、それから主計局の主計官の名前で運輸省の航空局の監理部長あてに書簡を出しまして、同日付で運輸省の監理部長から回答をもらっているという文書の往復がございました。そのことを指しておられるのかと思います。  その内容でございますが、どんなことを言っているんだということをよくお尋ねになられるわけなんですが、私の方から出した文書の中身は四点あるわけであります。  一点は何かと言いますと、四十五年の十一月でございますからして、四十六年予算の審議に入っていたわけでございます。その四十六年予算の運輸省から私どもの方へ参っております要求に、産投会計から日本航空に出資をいたしたいという出資の要求額が三十九億円ございまして、そのほかに政府保証債として、日本航空に百億円政府保証債の枠をとってくれと。これは財投の要求でございますが、そういう要求、合わせて百三十九億円ということになりますが、要求がございまして、大蔵省としては、これは当時の財政事情からいたしましてお断りをいたしたいということで、内々協議はいたしておったわけでございますが、先ほど申し上げましたように、十二機を購入いたしますと六百七十億円近いお金が要るということを片方で十一月に認める。そうすると予算は十二月になりますから、十二月のときに、あれだけのものを認めてくれたからこの出資をしてくれなければ困る、こういうふうに結びつけられては私どもも困ると。今回の取得、航空機の十二機の取得と予算の問題は別問題にしてくださいというのが一点であります。  それから二点目は、日本航空がその十二機を取得するお金といいますのは、大部分アメリカのEXIM——輸銀でございますね——から借款をいたしまして、あとアメリカの市中銀行が協調融資いたしまして、それで買っていくわけでありますが、当時すでにアメリカの国際収支事情も多少よくなっておりまして、アメリカのEXIMそのものが、もう日航は自力で買ったらどうだろうかというような話もちらほらございました。そこで、万一EXIMがその十二機の借款に応じないといったような場合はどうするんだろうかと。それを政府がみんなかぶってくれという話になっては困る。したがってこれは、政府には万一そういう話になっても一切迷惑をかけないようにしてほしいというのが第二点でございます。  それから三点目は、当時、いまと同じような話でございますけれども国鉄はいまと同じように財政状況がよくなかったわけでございまして、総合交通体系の問題というのが、そろそろと申しますよりは、かなり活発に議論をされ始めておったときでございます。で、総合交通体系上の配置からいきますと、鉄道と、それから航空と申しますのはそれぞれの分担分野があるだろう。したがいまして、東京−大阪、これは中距離と申しましょうか、この辺のところは新幹線主体でいいんではなかろうかというのが私ども考え方でございまして、先ほど航空局長さんからお話ございましたように、十三号機から十六号機まで四機買うわけですけれども、買いまして四十七年に、これは一号機から三号機までかもしれません、何号機かはっきりいたしておりませんが、三機ジャンボを国内線に、幹線に投入する。幹線といいますと東京−大阪間も入るわけでございますが、東京−大阪間については主として新幹線にゆだねていいんじゃなかろうか、ほかの幹線に投入するようにいたしたらどうだろうかというのが三点目の話でございます。  それから四点目といたしましては、同じような話でございますが東京−大阪間、当時日本航空が十七便一日飛んでおりまして、全日空が十五便飛んでおりまして三十二便、かなり頻繁に飛んでおったわけでございますが、同じような思想から現有の、現在飛ばしております便数以上には東京−大阪間については余りふやさないようにした方がいいんではなかろうかというのが四点目の話でございます。  これにつきましては、同日付で文書があるわけでございますが、監理部長の方から、趣旨はわかるので善処をしたいという御返事をいただいておりまして、それで十一月の末、三十日だったかと思いますけれども、正式の協議について異存のない旨回答をいたしたというのが当時の経緯でございます。
  115. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、これは一つ重要な意見を私はお聞きしたんですけれども政府はかぶってはならないというこの問題、これは、くしくも輸銀の導入のときにかぶってしまうわけですよ。これは後で論議したいと思いますけれども。四機は結論的には認めたわけですね。
  116. 宍倉宗夫

    説明員(宍倉宗夫君) さようでございます。そのとおりでございます。
  117. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、この四十五年十一月の三機国内線転用という運輸省の要請、そして大蔵省のこの認可、四十五年中には運輸省として日本航空の国内線に転用ということは既定の事実であったわけですね。これをもう一度確認しておきたい。
  118. 中村大造

    政府委員(中村大造君) この四機の購入の認可は、これは運輸大臣の認可でございまして、大蔵大臣に協議をすると、こういうことでございます。  それから、この四十七年度に三機国内線に転用するということは、これは決して既定の事実ということではございません。そのこと自体を認可したわけではないんでございまして、国際線用四機の購入を認可するについて四十七年度時点で転用という問題が当然起こる、そのことについて運輸省は当時の段階としてはこれを是認しておったと、こういうことは言えるわけでございます。
  119. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これは三機転用は是認しておったという問題ですね。  それからもう一つ伺っておきたいのは、全日空の経営五カ年計画は、これは運輸省はこの報告は受けているわけですね。この中で、四十七年の下半期に大型機を三機導入するということはこの経営計画の中には含まれている、それは了承されているわけですね。
  120. 中村大造

    政府委員(中村大造君) この長期計画自体を了承するとか、認めるということは、これ法律的にはございませんけれども、四十五年の十二月に全日空が作成いたしました先生御指摘の長期計画、これは当然運輸省としては報告を受けてよく承知しておった、こういうことでございます。
  121. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これは、くしくも四十七年に三機の導入ということはもう既定の事実であったというのは、このままいけば四十七年の大型機導入ということはこれは既定の事実で運ばれておったわけですね。ところが急に、いろいろもう御論議されております。論議ダブるようなことは私なるべく省きたいんですけれども、なぜ急遽四十六年の二月以降になってエアバス導入延期宣言をしなければならなかったかという、その理由が非常にいま問題になっている行政指導の問題なんですね。  これは時間もないので一つ一つダブった問題を私詰めませんけれども、需要予測だとか空港整備の問題というような問題は、私は二カ月で急遽変更されるとは、これは私たちも論議しておってこんな問題はなかったはずだと思うんです。空港整備はおくれることも当然あった、予測しておった。特に幹線の問題です、これは。それから需要予測だって二二%ふえているわけです、実際上。それは万博から比べてみればいろんな点は私は違いがあると思うんですよ。これは行政指導の疑惑に対する後からつけた、取ってつけた理由ではないかと私は思うんです。したがって、延期理由というものが、なぜ二カ月で急遽しなければならなかったかという理由は私はどうも納得できないんです。この点を……。
  122. 中村大造

    政府委員(中村大造君) これは私、当時の関係者なり資料なりで調査いたしました結果から申し上げますと、運輸省として四十七年度導入ということを決めておったのを四十九年に延期した、こういうふうにおとりになっておられるんではないか、あるいは一般にそういうふうに理解されておるんではないかと思うわけでございますけれども、運輸省といたしましてはこのエアバス導入時期というものを、運輸省の方針として四十七年度からというふうに決めたわけではございませんで、要は四十五年当時に日航、全日空が持っておりました計画によれば四十七年度から導入するということで、事実そのような前提で機種選定の準備をしておる、こういう事実を運輸省は当然承知いたしておったわけでございますけれども、運輸省の方針として四十七年度から入れるんだ、入れさせるんだということを決めたことは一度もないわけでございます。  それで四十六年になりまして需要の動向をよく精査したわけでございますけれども、たとえば幹線における需要見込み、これは正直言いまして、たとえば二月ごろの幹線の需要見込みというものは四十七年度でどれくらいになるだろうかという見通しは、日航の見通しにしても、全日空の見通しにしても、あるいは運輸省の見通しとしてもそんなに違ってなかったわけでございます。ただ、占有率といいますか、日航は当然四十七年度における想定される輸送需要の何%は自分のところで運ぶのだというふうに考えておるわけであります。全日空は全日空で何%自分のところで運ぶ、そういう前提でそれぞれの機材計画を立てておるわけでございます。それを突き合わしてみると、両方足すと一〇〇%を超過してしまう。要するに、想定される幹線における輸送需要を両者で分担して賄うのだということになると、その両社の持っておる機材計画をそのまま認めるならばやはり供給過剰になる、こういう姿が出てきておるわけでございます。  しかも、その需要の動向というものが、これはある程度長期的な経過を経なければ断定できませんけれども、もうすでに四十五年の終わりから四十六年の初めにかけて需要が鈍化してきておる。それは対前年二割とか一割五分とかという増加はいたしておりますけれども、しかし、それまでの三〇%とか四〇%というふうなそういうふうな大きな伸びできたものが万博以後二〇%以内に落ち込んできた、こういうこと、それから、何よりもやはり相当輸送力を増強いたしておりましたからいわゆる利用率というものが落ちてきた。こういう状態というものは当然当時の輸送関係者、あるいは運輸省といたしましても相当深刻にこれを受けとめたことは当然でございまして、そういう前提で考えますと、いわゆる十分でない空港事情、それからまだ現実にどこにも就航していない機種を先駆けて選ぶというふうな、そういうことで計画どおり四十七年度からエアバス化を図るということは、これは政府の責任としてこのまま黙認していいかどうかというのは相当深刻に私は受けとめたというふうに思うわけで、そういうことから四十六年の二月ごろから、やはり導入時期というのは四十九年度ごろが適当ではないか、こういう考え方に航空局としては固まってまいりまして、それ以後いろいろな意思表示をしてきた、こういうふうに私はなったんだと理解いたしております。
  123. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、大蔵省に伺いますが、日航の事業承認計画ですね、日航が事業計画を立てておった問題については、大蔵省は運輸省のいまの意見をそのままのんで承認延期に踏み切ったわけですか。四十六年度の予算に計上する予定だったわけでしょう、日本航空は。四十六年度の計画の中に機材の購入をね。それが承認されなかったというのは、やはり運輸省のいまの需要見通しに従ったその意見を踏まえた上のことですか。
  124. 宍倉宗夫

    説明員(宍倉宗夫君) お答えいたします。  多少御質問がそのままでいいのかどうかちょっとわかりませんが、事実関係をはっきり申し上げますと、四十六年のいま予算の中に日航がそのエアバスを買いたい、こういうことになっておったが、それを大蔵省が断わった、こういういわば……
  125. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 いや、四十六年の事業計画、日本航空の。四十七年ずっと…
  126. 宍倉宗夫

    説明員(宍倉宗夫君) 四十六年の事業計画の中には日本航空がエアバスを買いたいというのは入ってないわけでございます。で、正確に申しますと、その事業計画から収入支出予算、資金計画というのがございまして、資金計画の中に予備費という項目がございます。この資金計画の中の予備費というのは、予備費でございますからして、そのつくる時点におきましてははっきりはいたさない。しかし、ひょっとするとそういうふうになるかもしれないという事項を挙げまして、それに要する資金量は一体どのくらいになるだろうかというのを大体頭に置きまして資金計画上の予備費は幾ら幾らにしてほしい、こういうことになるわけでありますが、そういった性格のものとして日本航空がエアバスを発注するかもしれないので、エアバスといいますか大型機でございますが、大型機を発注するかもしれないので、資金計画の予備費の中にある程度のものを考えてもらいたいということは入っていたのは事実でございます。それにつきまして私どもは、いま航空局長からお話ありましたような事情というのは、確かに私どものとり得ますデータからもそのとおりであったと思います。  それから、その問題を議論いたしましたのは四十六年三月の中旬から下旬ぐらいだったと思いますが、その時点では先ほど申し上げましたように四十五年の十一月に十二機合わせて買ったわけでございまして、これから先かなり日本航空としては機材的に余裕があるはずであると。それから四十七年からはジャンボを国内線に転用するという話もあったわけでございますので、供給過剰になるのではないかという心配の方がむしろ強かったわけであります。  それから、日本航空が大型機を入れますときには全日空はどうなるのだろうかということでございますと、大体当時の常識であったと思いますけれども、運輸省の方のお話でも、まあまあ同時期になるでしょうと、このようなことでもございまして、それは大分四十六年に発注しなくても、かなりもう少し先になるんではなかろうかということであったわけであります。そういうことで、その日本航空の資金計画上予備費に大型機を発注した場合においての頭金の部分というものは計上しなくてもいいのではなかろうかという話になったと、こういうことでございます。
  127. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうすると、四十七年から導入する大型機の予算が四十六年の予備費の中に含まれておったわけですね。それをカットされたとおっしゃるわけですか。
  128. 宍倉宗夫

    説明員(宍倉宗夫君) 四十七年から導入いたします大型機の分というお話でございますが、そうではございません。そのときに、四十六年に発注するかもしれない大型機というものがいつから就航するかということは必ずしも定かでございませんでしたと思います。
  129. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうすると、いずれにしても四十六年の日航事業計画は、その予備費等を含めて承認をしなかったわけですね、全面的な承認は行わなかったわけですね。
  130. 宍倉宗夫

    説明員(宍倉宗夫君) 大型機につきましては予備費の中に計上いたしておりません。
  131. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 だから、最初は組んでおったわけでしょう。それをカットしたわけでしょう。
  132. 宍倉宗夫

    説明員(宍倉宗夫君) 最初含んでおったといいますのは、日本航空の方の一番最初の原案には入っておったと、こういうことでございます。
  133. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 どうもそこらは私は合点がいかないのですけれどもね。この行政指導は、話題になっている中にあって、大蔵省がこの承認を差しとめたという意見も一部あるわけですよね。
  134. 宍倉宗夫

    説明員(宍倉宗夫君) それは大蔵省が差しとめたということは事実に反すると思います。私どもの方は運輸省と御相談いたしまして、私どもの方も積極的に大型機をその時点において導入すべきであるという意見ではなかったと思います。私どもの方が、運輸省がやりたいけれども、これはやめて絶対に認めないと、こういうことを言ったわけではございません。運輸省と御相談をいたしまして、当時の航空情勢から見まして、四十六年度に発注必ずしもしなくても間に合うのではなかろうかという判断であったかと思います。
  135. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それは後でまた運用計画の中で四十七年、四十八年とジャンボが、そういう機材が相当余ったというような問題が出てくるのは、これがきっかけになっておるのじゃないかと私はいろいろ思うんですけれども、これはきょうの論議の問題外にしまして、四十五年の十二月に全日空と日本航空の間で機種選定委員会が発足されたわけですね。これは全日空と日本航空ですから。この問題については運輸省は、委員会には社会的にいろいろ相談相手になっておるというような話を承っておりますけれども、この機種選定委員会と運輸省の職員との関係はどういうぐあいになっておるんですか。
  136. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 先生御指摘のものは恐らく四十五年の暮れだと思いますけれども、運輸省といたしましては日航、全日空において大型機を導入するについて、その導入時期とか、あるいは機種の統一という問題もあるわけでございまして、そういう点についてよく両方で話し合ってもらいたいと、こういうふうなことを意思表示したわけでございまして、そういう意を受けて両方で、両社でそういう委員会のようなものをつくると、こういうことになったわけでございますから、その構成に運輸省の職員が入っておることもございませんし、またその両社の委員会というものが具体的にどのような活動をしたかという点についても、運輸省としてはそれに干渉はしていなかったと、こういうふうに承知いたしております。
  137. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 ところが、この機種選定委員会に運輸省の技術部長は実際上は社会的にいろんな意見を述べる機会とか、そういう技術委員会か何かの顧問か相談役か何かにはなっていた事実はあるんじゃないですか。
  138. 中村大造

    政府委員(中村大造君) それは恐らく全日空の社内的な諮問機関としての技術委員会のことだと思います。それで、この機種選定委員会というのは、各社それぞれに別個に持っておったわけでございまして、それとは別に、この技術委員会というのは、いわばずっとそれより前から技術的な問題について部外の学識経験者からいろいろ意見を聞くと、こういうことで設置されたものでございまして、それに運輸省の職員委員として参加しておったと、こういう事実はございますけれども、その技術委員会と、いわゆる機種選定委員会というのは全く別個のものでございますので、したがって、機種選定について、まあ直接にしろ間接にしろ、運輸省の職員が関与したということはございません。
  139. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それで、四十六年の二月から六月までの間ですか、何回か行政指導が行われた、この問題については、まあ予算委員会でもわが党の黒柳委員の質問に関しても全日空の社内誌で行政指導の実態を知ったという、こういうふうな話ですね、こういう意見を述べられておりますけれども、実際に行政指導したのは全日空と日本航空両方やったんですか。この点どうですか。
  140. 中村大造

    政府委員(中村大造君) これは当然やるとすれば両社に行うわけでございまして、両社に残っております資料から見ましても日航、全日空両方にそのようなアドバイスをしたと、こういうことになっております。
  141. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これ、行政指導の文書は運輸省には残っていないわけですね。これは繰り返して言うようですけれども。いや、それはわかっていますから、ないとおっしゃるわけです。  ところが、こういう重要な導入延期の問題が口頭で伝えられて、後から出てくる四十七年七月一日、これは通達、こちらの方が重みがあるといえば重みがあるかもしれませんけれど丹羽通達、これは四十九年に導入というような問題が書かれ、こういう通達がちゃんと通達で出されるわけですね。私は四十七年導入予定を四十九年に導入延期というこの問題は、一行政官の行政指導で終わるような事柄ではないと思うんです。行政指導の重みですね、内容ですね、これから考えて私は、一行政官がこういう問題を延期したとか何とか言えるそういう筋合いのものではないと、こう思うんですね。この点について運輸省内の行政指導の内容、これは具体的にどれがどうだとは言えませんけれど、こんな導入延期に絡むような、機種の導入選定なんかに絡むような問題が文書もない、あるいは一々口頭でやったというようなことで済まされると思いますか、どうですか、航空局長
  142. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 行政指導というもののやり方につきましては、これはいろいろ意見はあるわけでございますし、また今後いろいろ考えなければならない点もあろうと思いますけれども、これは行政指導の内容、態様によっていろいろ違うと思います。  それで、当時四十六年の二月に、導入時期を四十九年ごろにしたらどうかというアドバイスをしたというこの事実、これは、私は当時の関係者から聞いたところによりましても、一種の行政指導であったというふうに思います。しかしながら、これは決して四十七年度と決めておるものを絶対に四十九年にしろと、こういうふうな強い行政指導ではなかったわけでございまして、とにかく需給の状態から考えて四十九年ごろでいいと思うと、それで、よく両社でひとつ話し合ってその結果を報告してもらいたい、こういうふうな程度のいわゆるアドバイスをしたわけでございまして、したがって、その重みといいますか、これは現在、今回の問題との関連でこの問題が取り上げられておるわけでございますけれども、当時の関係者は全く事務的に当時の需給状態というものを考え、また空港事情やその他、とにかく一機五十億、六十億という膨大な資金の要る機材を、いわば世界に先駆けて導入するということでございますから、これは慎重に私はなったのが当然であって、事務的に考えてそういう慎重な考え方を事業者に意思表示をしたと、こういうことでございますから、これは当然航空局として、局長以下の議論でそういう問題点を煮詰めて事業者にアドバイスをするということは、事務的に考えて当然のことであったというふうに考えております。
  143. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これはどうも不思議なんですがね。四十六年の二月から三月にかけて、需給見通しなんかについてもいろいろ資料をつくって大蔵省と話をし合ったわけでしょう。それから考えますと、じゃ、大蔵省と相談したある程度の需給見通し等の資料、こういう問題は、全日空や日本航空にはその資料は運輸省から、こういう見通しだと、運輸省の見通しは提案したことはありますか。こういう需給見通しであると、今後の航空需要はこういう程度であるというような問題を、運輸省としての見解というか、運輸省の需給見通しというか、そういう問題を日本航空や全日空に提示したことはございませんか。
  144. 中村大造

    政府委員(中村大造君) これは、四十六年の二月ごろのアドバイスというものは、先ほど申し上げましたように、四十九年にしなさいという、そういうふうな指示ではございませんので、四十九年ごろがいいと思うけれども検討してもらいたい、こういうことでございます。  それで、いま先生御指摘のような、こちらの需給の見通しに基づいて日航なり全日空に何らかの意思表示をしたかどうか、こういうことになりますと、実はその後日本航空としては、依然として四十七年度から三機国際線用のジャンボを転用するという計画を捨てないできておるわけでございます。それで、六月に運輸省といたしましては、運輸省としての四十七年度における需要見通しというものを立てまして、それに基づいて四十七年度から必ずしもジャンボを投入しなくてもいいではないか、こういうふうな意思表示をいたしております。
  145. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それは口頭ですか、文書ですか。
  146. 中村大造

    政府委員(中村大造君) その意思表示自体は口頭でございまして、文書は残っておりません。ただ、そのような需要の見通し等について結論を出した、したがって、需給関係から見て必ずしも投入が必要にはならないであろうと、こういうふうな意思表示をするための基礎資料としてつくった資料はございます。それは当然日航にも示したわけでございます。
  147. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 その資料を私ほしいんです。やっぱりそれが必ず日航や全日空、特に日航ですよ。三回あるいは四回の行政指導をしたというやはりそこには、日航が四十七年度からしっかり導入しなきゃならないという需給見通しを明確に持っておったはずだと思うんです。それを行政当局が電話や口頭だけで簡単に、四十九年にしろとは言わなくても、悪い。四十七年七月一日の丹羽通達で四十九年にはっきり出るわけ。そのあたりに怪文書がはさまってくるわけですけれども、これは日付は怪文書と通達でわかるわけですけれども、いずれにしても、四十七年以降についてその需給見通しが大した問題ではないというようなことを運輸省がつくったその文書というものは、私はやはり行政指導の大きな重みの一つの材料になっているのではないかと、こういうように思うんです。その点はいかがですか。
  148. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 航空局として、四十七年度における大型機の国内線への導入の是非について運輸省が判断をしたその一つの重要な資料と、こういうことは言えると存じます。
  149. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それと、運輸省がつくっていた四十七年度機材計画という、こういう問題とは別な問題でしょうか。
  150. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 四十七年度の機材計画というものは、特に運輸省が作成したものはございません。もしあるとすれば、それは四十七年度の日航の事業計画あるいは予算、こういうものの認可の前提として四十七年度の機材計画、こういうものは当然その中にあるわけでございます。
  151. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 もう一度、そこのところわからなかったのですけれども、四十六年の六月五日付の日本航空の社内メモ、これはおたくから資料をもらったんですけれども、「国内線機材問題について」、これによりますと「航空局は本年の二月頃より四十七年度における導入を取止めるよう要望しはじめ、当社としてはこれ迄逐次反論して来た。」と、こういうふうな、日本航空の社内メモの中にこれちゃんとあるわけです。こういう点からくると、やっぱり反論される運輸省のいろんな問題点というか需給見通しの計画、あるいは四十七年度の機材計画という問題に対する資料というものは、私は明確なものが運輸省から提示されたのじゃないかと思うんです。この点についてもう一回……。
  152. 中村大造

    政府委員(中村大造君) それは先ほど申し上げましたように、四十六年の六月に日航に対して、四十七年度の機材計画について大型機を国内線に入れなくてもいいという判断を運輸省がした理由として、こういうふうな需要見通しで、これに対する機材計画はこのようにすればいいのではないかと、こういうものを日航に提示したと、それがいわば四十七年度の機材計画についての運輸省の見解ということであれば、それはそのとおりだと思います。
  153. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 その見解は何ですか、文書ですか。
  154. 中村大造

    政府委員(中村大造君) いわゆる運輸省としてそういう日航の機材計画、需要との関係における機材計画というものを運輸省が検討した運輸省の資料であると、こういうことでございまして、日航に対する意思表示というものはこれはすべて口頭で行っておったと、こういうことでございます。
  155. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 私はこれで終わりですけれども、口頭の問題とは別に、そういう資料をつくった資料を私はいただきたいと思うんですが、これはいかがですか。
  156. 中村大造

    政府委員(中村大造君) これは後ほど御提出さしていただきます。
  157. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 行政指導の内容をあと詰めたいと思うんですけれども、五十七分までしかないものですから、あと何点か今後の審議の問題として、私あと時間がない関係で聞いておきたいと思うんですけれども、四十七年の三月二十二日に、航空企業の運営体制という問題について運輸省から何か自民党に提出されたことはございますか。
  158. 中村大造

    政府委員(中村大造君) これは、先生御指摘の日に自民党の航空対策特別委員会が開かれまして、その席で運営体制についての運輸省としての考え方というものを資料を添えて説明したと、こういう事実はございます。
  159. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 資料ばかり要求して申しわけないんですが、今後の審議のために、これも資料をひとつ要求しておきたいと思うんです。  それから四十七年五月に佐藤試案がつくられたわけですね。政務次官——これは名前を出して非常に誤解を招いて、これは名前がどうこう言うわけじゃありませんけれども、当時佐藤試案と言われているものですから佐藤試案で申し上げるわけですけれども、この航空企業の運営体制というこの資料、それから全日空の試案ですね、これ等も、それからもう一つ、運輸省でつくられた、当時の次官で、これは名前は、私はどうこう言う問題ではありませんけれども、当時の次官であった関係で申し上げて非常に失礼ですけれども、佐藤試案と町田試案の運輸省どういう違い——町田試案ですね、これの違いがどういう問題だったか、この点についても、資料なり意見をお聞かせ願いたいと思うんです。
  160. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 全日空から航空対策特別委員会に提出されました要望書は、これは全日空から出したものでございますので、もし御提出するとすれば全日空に連絡をいたしまして御提出すると、こういうことにいたしたいと思います。  それから、いわゆる佐藤試案とか町田試案というものでございますけれども、これは実は運輸省として、これが佐藤試案でございます、これが町田試案でございます、ということで実は確認をいたしたことは一度もございません。ただ、新聞でそういうふうな報道がなされまして、それと内容が非常に酷似しておるような資料というものが、これは運輸省の中にあるわけでございますけれども、これは運輸省に存在する当時のいろいろな検討資料の中の一部でございまして、どれをもって先生御指摘のようなものであるというふうな断定ができないわけでございます。それからたびたび申し上げるように、運輸省として外部にこれを表明したことは一度もないわけでございますので、したがってまことに恐縮でございますけれども、いわゆる佐藤試案、あるいはいわゆる町田試案という名のもとに御提出するということは御容赦いただきたいというふうに考えるわけでございます。
  161. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それからもう一つ。四十七年の八月十八日の日本経済新聞で私見たんですけれども、エアバスを含めた十六機緊急輸入という問題があるんですね。これは運輸省として、こういう計画を運輸省案として発表されたんですか。あるいはこういう計画があったんですか。この点についてお伺いします。
  162. 中村大造

    政府委員(中村大造君) これは恐らく当時の新聞に報道されたものだと存じますけれども、これは当時の、いわゆる貿易の不均衡是正のための緊急輸入の問題が起こっておりまして、民間航空会社がどの程度の輸入見通しを持っておるかということを運輸省でいろいろヒアリングをいたしまして、その結果、四十七年度においてはおおむね十六機、約二億ドルと、こういうふうな輸入の見通しがあると、こういうことでそれが新聞に報道されたんじゃないかというふうに考えております。
  163. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 時間がありませんのでこれで終わりたいと思うんですけれども、エアバス導入のときに、まあエアバスだけではなしに航空機の輸入のときに、長期にわたってアメリカの輸出入銀行を使えるわけでしょう。それがこの四十七年、四十八年、まあ四十九年に及んでいるか、ここで緊急で日本の輸出入銀行法を改正して、そしてここで三年間で全部これ決着をつけてしまうというようなやり方をとった意図は何ですか。これはまあ輸銀法の方は大蔵かもしれませんけれども、運輸省からやっぱり働きかけなければこれはできないと思うんですけれどもね。
  164. 中村大造

    政府委員(中村大造君) これは、輸銀法の改正ということについては、運輸省から要望したとかなんとかいうことでございません。従来のアメリカの輸銀方式から日本の輸銀を使用することに切りかえられたそのいきさつ等については、これは運輸省としてはちょっと御答弁をする立場にはないというふうに考えておるわけでございます。
  165. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 じゃ時間が参りましたので、議事進行の関係でこれで終わりたいと思いますけれども、いろいろまだまだ詰めたい問題が私あるわけです。特にフラいとチェッカーの問題これ時間があればやろうと思ったんですけれどもなかなかできません。フライトチェッカーの年度別の購入計画、あるいは国庫債務負担計画で購入をされたと思うんです。これらのいきさつをもう少し明確に、何回か資料を要求しているんだがなかなかこれ出てこないものですから、その点について資料を要求して、次回の委員会でこういう問題を具体的にもう一つ詰めたいと思いますので、以上で私の質問を終わりたいと思います。
  166. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 最初運輸大臣にお伺いいたしますが、運輸行政の基本として、運輸大臣の責任の中で最も重要なものは安全であるということですね。で、これは一九六六年のアメリカの交通安全法が成立したときに、大統領の運輸教書にもそう強調されておりますが、日本の運輸大臣も同じお考えをお持ちかどうか。これが第一点。  それから第二点は、それとの関係でありますけれども、その点では自動車の欠陥の問題ですね。欠陥を持った自動車がたくさん走っておる。この問題が放置されておることは、人命や国民生活の安定という面から大変重要な問題です。で、この問題について、きわめて重要な問題としてこれはもう優先して取り組むべき問題である、こういう御認識をお持ちかどうか、まずお伺いしたいと思います。
  167. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 私は、運輸大臣就任いたしましてから、地方の運輸関係局長会議を昨年開きましたが、そのときにも運輸行政で心得べき事柄を七項目ばかり並べまして、忠実にこれを実行するようにという指示をいたしたのでございます。その第一点に、やはり前提といたしまして、運輸行政で一番大切なことは交通の安全である。これには全力を挙げて取り組みなさいということを指示しておりますとおり、非常に最優先に重要視をいたしておるわけでございます。  それから自動車の欠陥問題でございますが、お説のように安全性、非常に重大な関係がございます。自動車事故の原因もいろいろあるわけでございますが、整備上の欠陥のために事故を起こしておるということは、あることはございますけれども、近年非常にそれが減っておりまして、自動車事故の中で占める比率はきわめて少ないということは、私非常に喜んでおるところでございますが、しかし皆無ではございませんので、これも安全性の立場から十分厳重に、車両欠陥による事故防止ということには力を入れたいと思っております。
  168. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 決して少なくはないんで、結構あるんですが、ともかくそれを最優先される、こういう何提のもとに、以下具体的にお聞きしたいと思いますが、そこで、欠陥車を発見した場合には速やかに運輸大臣に届け出る、それからその欠陥及び改善措置について早急に自動車使用者に周知徹底を図るという、いわゆるリコール制度が必要となったということは、これはもう当然のことであります。問題は、これは国会論議の中でも問題になってまいりましたけれども、欠陥車かどうかの判断がメーカーにゆだねられておると、それからさらに欠陥車として届け出るかどうか、このこともメーカーの判断に任せられているという、そういう具体的な事実が特に昨年の十月以来の共産党の議員、主として衆議院の方でありますが、しばしば指摘してまいりました。  この中ではっきりしたことは、たとえば運輸省が具体的にそれを事前にもうチェックする、あるいは常時それを監視し、未然に防いでいくという、そういう点ではアメリカと違って運輸省の要員がきわめて少なくて、それをやっていく体制がないというのが第一。それからもう一つは、法律や省令でメーカーに対して資料の提出を義務づけることになっていない点、そういうことと、もう一つは、実際そうするともう件数が大変に多くなってしまって手に負えなくなってくる、こういうことで実際は手についていない。要するに、欠陥車かどうかの判断は、仮にもしもメーカーが隠しておった場合には実際にチェックができないんじゃないか。特にいまの運輸省の能力では、人員的にも技術的にもそのことができないんじゃないかと、このことをずっと指摘してまいりました。この点について実際どう考えておるか。あわせて法改正の必要も議論されてまいったんでありますけれども、これについて実際どうなっているか、御答弁いただきたいと思います。
  169. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) お答え申し上げます。  欠陥車の処理の問題いわゆるリコール制度の問題につきましては、いま先生御指摘のとおりのことでやっているわけでございますけれども、衆議院の委員会での御議論でもアメリカの制度、あるいは体制との関連でいろいろ御指摘がございました。私どもも運輸省の中のそういったものを処理する体制整備した方がよろしいということはかねがね考えておりますし、現に努力もしてきておるわけでございますけれども、そもそもアメリカと日本とでは、この欠陥車問題の前提になりますところの自動車の型式指定制度という制度の運用の仕方が違がておりますので、いわばアメリカの場合には型式指定というものの指定は、これは何といいますか、日本ほど厳重な審査を経てやるということはしないかわりに、一亘指定した後でそのフォローアップをやりまして、   〔委員長退席、理事杉山善太郎君着席〕 欠陥が出たようなものについてはそれを一つ一つつぶしていくという体制をとっておる。日本の場合には型式指定をするときに非常に厳格にやりまして、その後の品質管理等をコントロールすることによりまして欠陥車の起きるのを防ぐという体制をとっております、これはきわめて大ざっぱでございますけれども。  まあ入学試験等でも、日本の大学あるいは高等学校では、非常にむずかしい試験を課して入学するときに厳選をしてしまう。そのかわり、入れば普通に勉強していれば大体卒業できるという制度でありますけれども、アメリカの学校は入学は非常に簡単だけれども、勉強をちょっとサボっているとすぐ落っこちるという、あるいは退校させられちゃうという、非常に入学は簡単だけれども卒業はむずかしいということになっているそうでございますが、似たようなことがやはりこの型式指定制度にもございまして、わが国の場合には型式指定をするときに非常にむずかしいチェックをいたしますので、それによってかなりこの欠陥車が出るのを防いでいるわけでありますけれども、しかし、生産段階において予期し得ない事故が起こったことございますので、そういったことにつきましては、いわゆるリコール制度によりましてアフターケアをしているということにつきましては先生もいま御指摘のとおりでございます。  問題は、その御指摘のように欠陥車であるかどうかという認定、それをメーカーに任していいのかというふうな御指摘だと思いますけれども、メーカーといたしましては、車を一つのタイプによってつくりまして、型式指定を運輸省からとりまして大量生産いたします。そうしますと、この車が使用段階に入りまして、いろいろ使っているうちにユーザーからの問題点の指摘等も出てくるわけであります。これはこの車を売りさばいたディーラーの店先、あるいは車両整備工場等へ来るわけであります。そういったものを私ども一般にクレームと言っておりますけれども、そのクレームがそういうメーカーの系列の販売店、あるいは整備工場等から本社に上がってまいりますと、そのクレームの資料を自動車メーカーが集計、解析いたしまして、それらの中から非常に重大なものであって、この私どもの決めておりますところのリコール制度に該当するような欠陥になってまいりますと、直ちにそれをリコールとして認定をして届け出をするという仕組みになっているわけでございます。  で、私どもの従来の行政の姿勢といたしましては、この自動車の製造者に対しまして、積極的にそういう使用過程に入った以後のクレーム等を集める、解析し分析いたしまして、一旦欠陥車と認められるようなことになったらば速やかに届け出て、そして自後の対策を講ずるという指導をいたしております。また、そういった体制がしっかりできているかどうかという点につきまして、私どもも少ない人員ながら督励いたしましてメーカーの監督を強化いたしておりますけれども、そういった中で私どもは今後一層これの体制強化をすることによりまして、従来のやり方の中で欠陥車の起こるのを防いでいきたい、こういうふうに考えております。いますぐにこの制度を改正いたしまして、国が直接クレーム資料をとって介入していくというふうなことには、これは検討することはやぶさかではございませんけれども、いますぐそういったことに踏み切るというのにはちょっと時間がまだ私どもかかると思います。   〔理事杉山善太郎君退席、委員長着席〕
  170. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 いかに入学試験がむずかしくとも、一旦入ってしまったあとこれはずがぶんぐあいの悪い学生が出てくる、これはよくあることですね。それと同じように実際あるわけです。欠陥車というのが。これをどうチェックしていくかという問題なんですが、いままで衆議院で何回かにわたって指摘されてまいりましたのは、具体的にメーカーが隠しているかどうかですね。運輸省がチェックできないんじゃないか、このことがもう端的に指摘されてきたんです。  そこで、そのことが指摘されたせいかどうかわかりませんが、その後の新聞報道によりますと、たとえばこれは昨年の十一月五日の日刊自動車新聞ですか、それによりますと、車両欠陥を発見したらば即刻公表する、そういう制度などを含めてこのリコール制度を拡充強化していこうというわけです。こういう面の報道とか、あるいは同じ新聞でこれは最近の記事でありますけれども、四月五日の記事です。これによりますと、犬丸整備部長発言ということで実際にメーカーがリコールを本当に行うものかどうかですね、こういった問題も含めてリコール車の信頼性を高める、こういった調査も行う、こんな記事もあるわけです。これは私どもやっぱり国会で質問したかいがあったと、こう喜んでおったんでありますけれども、いまの答弁ですと、どうも立法作業、あるいはこういう法改正なり、もう一歩進んだ監視体制、これはどうも進んでないように思われるんですが、この点、いかがですか。
  171. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) いま先生御指摘いただきました点につきましては、流れとしてそういったことになっておりますのは事実でございます。  まず第一点の、欠陥が見つかったらすぐに届け出るということにつきましては、従来欠陥車ということになりますと、その欠陥とされている場所、部品を取りかえなきゃいけないということがありまして、欠陥車の届け出がされる、新聞に出る、そうしますと、車を持っている人がすぐディーラーの店先に行ってかえてくれということを言ってまいります。そのときに部品が日本全国の店先に出回っておりませんとユーザーの期待にこたえられないということがあるものですから、メーカーの方としては日本全国のディーラーの店先に交換部品が出回るまで実は届け出をしないでおいて、それが全部交換部品が出回って、さあいつでもかえられますよという体制が整ったときに届け出をするということをしているわけであります。  これは一にかかってユーザーの便利を図るという点からでございますけれども、私はその点につきまして、その業界新聞にも書いてありますように、それは大変親切なようだけれども、よく考えてみるともう一歩改善の余地がありはしないか、その欠陥の度合いにもよりますけれけも、すぐに部品をかえなくても、どこそこが工合が悪いものがあり得ますよということをユーザーに情報を与える。そして、たとえば二カ月なら二カ月後、三カ月後になれば部品が出来上がって出回りますからかえてあげますよということを言うだけでも、その欠陥の場所によりましては、気をつけて運転をするということによって事故の発生を防げるんじゃないかということもあり得るだろうというところで、この欠陥の態様によりましては、従来のように部品が出回ってから取りかえるということじゃなくて、まず第一回は周知をする。そして、速やかに部品の出回りを待って交換をするということにする方が前向きではないかというふうなことを申し上げたのが新聞記事になったわけでありますけれども、そういったこともいま検討いたしております。  それから、先ほど申し上げましたのは、大々的に法改正をしてどうこうということはまだ考えてないということでございまして、と申しますのは、現在のこの欠陥車制度の基本になっておりますところの型式指定制度自体につきましていろいろ立法上の問題もございます。指摘されておりますが、それらをいますぐに、それでは法律改正するのかという点については、まだ私どもの態度は決まっておりませんと申し上げたわけでありますけれども、現行法の枠内で、現行制度の中で、犬丸部長が新聞記者会見したときに申し上げましたように、いまの制度をもう一歩前進させまして、いわゆる行政指導のぎりぎりまでやってみるということは不可能でないと思うんであります。  特に自動車メーカーというのは、日本全国でも大きいのは二つ、あと中ぐらいのを入れましても十ございません。そういうことでございますから、トラックとかタクシーの事業者のように何万とあるのとはちょっと違いますから、これはやれば相当効果のあることはできるはずである。ましてや、いま日本の保有台数三千万台でございます。三千万台もの車を保有する自動車社会、そして毎年六百万も七百万台も車をつくっている自動車メーカーは、当然この法律制度のいかんにかかわらず、当然のことながらこの欠陥車というものをつくらない、仮に不幸にしてそういったものが出たらば速やかに対応するというのが私、社会的責任だと思うんであります。そういう自動車メーカーの社会的責任ということに照らしまして、私たちの行政指導のぎりぎりまで実は対応してみたいということはいま考えております。そういうことを申し上げたかったわけであります。
  172. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 具体的に、四月五日の日刊自動車新聞の記事がありますけれども、ここにはわれわれが指摘してまいりました、メーカーが隠しておって、実際運輸省はその問題についてチェックできないんじゃないかという指摘に対して対応した問題だと思うのですが、具体的にクレーム処理の実質的な掌握を行い、運輸省に届け出されるリコール車の信頼性を確かめる、こういうことなんですね。この調査はもう具体的に始めているんですか。
  173. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) 調査そのものはまだ始めておりません。ここに言っておりますのは、ちょっとその真意は必ずしも伝えておらないと思いますけれども、メーカーに入ってまいりますクレーム情報その他のデータというものは膨大なものでございまして、その処理につきましてはメーカーは電算機によって処理しておるということでございます。それはもちろんその分類等でございますが。それから出てまいりましたものを恐らく分析し、調査し、リコールを決定する組織があってやっておりますことでございます。  で、われわれといたしましては、型式指定製作者の監査等で実施いたしておりますけれども、その実施の充実ということにおいてメーカーのリコール体制の実態、これを把握したいと考えておりますわけでございます。実施方法等を検討中でございまして、極力早い時期にこれを実施する予定でおります。
  174. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 昨年十年から指摘しておって、立法的にも、また具体的な調査も余り進んでいないようですが、実際、調査対策が進んでいないうちにこれはどんどん事故が起きてくるんじゃないかと思うんです。そこで、これは衆議院段階で幾つか各社の欠陥車について指摘されてまいりましたが、それの具体的なその後の調査、これはどうなっておるかお聞きしたいと思います。  これは全部に聞いていますと時間がありませんので一つだけ端的にお聞きしますが、これは正森議員が指摘した鹿児島の例です。クラウンですが、双子の坊やが焼け死にした。要するに車が燃えてしまったというわけですね。これはその後調査が進んでいましょうか。そして、同種の事例がその後全国に発生していないかどうか。この点、いかがですか。
  175. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) ただいま御指摘のクラウンの火災事故でございますが、この事故昭和四十八年の十二月十一日に発生した事故でございまして、幼児二人が死亡いたしております。事故の内容は、路上駐車中に幼児二人を車の中に置いて父親が離れておったのでございますけれども、煙を発見して駆けつけたところ火災になっておりまして、その結果、幼児二人が焼死したという事故でございます。  この事故につきましては、原因は現在でも鹿児島県警において調査中でございますが、現時点におきましては結論は出ておりません。それから、この事故につきましての鑑定でございますが、これは鹿児島大学に委託されたようでございますが、鹿児島大学におきましてもその鑑定の結論が現在出ておらない状況でございます。また同種事故については、調査の結果そういったような車両はございません。  この事故のきわめて不思議なことは、恐らく四、五分のうちに車両が全体として全燃してしまった。それから出火の場所は恐らく計器盤のあたりではないか、この程度のことがわかっておりますだけでございます。
  176. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 このクラウン二千ccの車ですが、これはその後の事故が実際発生しているんですよ。これは、一つは四月二十六日の新聞記事によりますと、沼津市で発生しているんです。私、その報告書を取り寄せてみたわけであります。その報告書によりますと、これは市議会事務局の報告書でありますが、こうなっております。五十一年四月二十六日の八時半ごろですね、沼津の市会議長を乗せて市役所に向かう途中にエンジンルームより噴煙しているとすぐ気がついて、とめて消火に当たったわけでありますけれども、その結果、エンジンルームの塗装部、それから各種電気配線コード、バッテリー、その他ずいぶんあります。そこが焼失しておるわけでありますけれども、この事実は全然御存じないですか。
  177. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) 承知いたしておりません。報告はございません。
  178. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 そこで、これ実際いまトヨタの方の係員がこれ見ておるわけですね。問題は、メーカーに調査させますと原因をぼやかす可能性あるわけですね。ぜひこれ現場の陸運事務所なり陸運局ですね、一緒に調査に当たってですね、もうすでにその後発生しているんですから。この問題をぜひ究明されるようにまず要望したいと思います。  そこで、問題は先ほど来指摘しておりますけれども、メーカーがこういう欠陥車を隠したりはしないというですね、そういう信頼関係に運輸省あるのかどうか、この点、いかがですか。
  179. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) 原則として監督を厳重にすることによってそういったことのないようにしてまいりたい、制度を運用してまいりたいと考えております。しかしながら、メーカーだけの、メーカー系列の情報によるその分析並びにリコールの届け出ということだけではなくて、運輸省自体といたしましても検査業務を担当いたしておりますし、事故報告規則によります事故報告も受けておりますし、その他ユーザーもしくは整備業界等からの苦情処理と申しますか、意見等もいただいておりますので、そういったものを中心にしてメーカーラインのリコール対策、これとのクロスチェックといいますか、それを開始するという形で、別ルートの情報に基づくリコール対策を進めてまいりたいと、このように考えております。
  180. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 しかし、実際はリコールしなくてもこれ罰則もないね。それから、いろんな資料の提出につきましても法的根拠はない。となりますと、どこに担保があるのか。この点、いかがですか。
  181. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) 同種の事故が何回か起こってくるかどうかということによってそのことが具体化してまいりますんで、その時点でチェックできるというふうに考えております。
  182. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 同種の事故が起きたんでは、実際これ間に合わぬわけでしょう。そんなことでいいんですか。起きてしまって、次の起きてくるのを待っておって、それで初めて欠陥車だと、そういったことでいいんでしょうかね。問題はもっと早く、事故が起きる前に発見する、それが運輸省の仕事だと思うんです。
  183. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) すべての事故について、それが車両欠陥であるか、それまた設計、製作上に起因するものであるかという調査を運輸省が全面的に行うということは不可能なことであると考えております。
  184. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 不可能かどうか、これは実際人員がないんだから不可能なんです。まず人員がない。それからメーカーの側は、仮にですよ、実際発見しても隠しておく。それを発見する余地もない。そして、やがて第二、第三の事故が発生してくる。そうしますと、事故というのは先ほどの紹介のとおりですね、死亡事故につながるわけです。先ほどクラウンの場合には幸い軽く済んだからいいようなものの、実際そういう死亡事故につながっていくのを待っておったらこれは遅いわけです。ですから、しかも罰則がない以上、本当にどうして担保するのか。恐らく担保という場合には、そういう悪質な場合には型式指定を取り消すというようなことになると思うんですがね、その点はどうなんですか。
  185. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) 現在罰則といたしましては、この制度が型式指定規則十三条に基づいております関係上、型式指定の取り消しということが行政処分としてあるわけでございまして、罰則そのものにつきましては、百条の立ち入り検査の関係の罰則がございます。
  186. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 それで、具体的にお伺いしますが、もしも本当に悪質に隠しておって発表しなかったと、リコールしなかったと、こういう事例が発生した場合には型式指定を取り消すと、こういう場合はあり得るとお聞きしてよろしいわけですね。いかがですか。
  187. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) そのとおりでございま  す。
  188. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 そこで、今度具体的に、衆議院の方で紺野議員が、実際にこういう欠陥車を事前にチェックする、あるいは隠しておるかもしれぬやつを調べるために、たとえば日産の場合には日産クレーム会議議事録、トヨタの場合にはトヨタ重要品質会議議事録、こういうものがあるから具体的に調べてごらんなさい、こういう指摘をしております。実際この二つのものは調べられましたか。
  189. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) 御指摘の点につきましては、各それぞれの該当メーカーから取り寄せまして調査をいたしました。
  190. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 実際中を調べて欠陥車は、あるいはその欠陥車の疑いのあるそういう事例は発見されませんでしたか。
  191. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) 現段階では、そういったようなリコールに該当するというふうなものは、調査の結果見当たりません。
  192. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 それはいつからいつまでの分をお調べになりましたか。
  193. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) 四十七年から四十九年、つまり紺野先生から御指摘がありました前後の期間でございます。
  194. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 そうしますと、その以前の分はお調べになってないわけですね。
  195. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) そのとおりでございます。
  196. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 私の一つ調査でありますが、四十六年の三月から四月にかけての期間のものでありますけれども、これは日産の、先ほど申し上げたクレーム会議議事録、その中に載っているものであります。これによりますとセドリック二三〇、ブレーキ液漏れによる効き不良、リヤホイルシリンダブリーダスクリュウからブレーキ液が漏れたためにブレーキが効かなくなった。そしてずいぶん、件数は十数件あります。そしてその結果、電柱に衝突してフロントを破損したと、こういう事故が起きているんですけれども、これはごらんになりませんか。
  197. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) 承知いたしておりません。
  198. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 いま私が指摘したような事例がたくさんあれば、これはやっぱり欠陥車と見てよろしいんでしょうね。どうでしょう。
  199. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) 内容を精査いたさないと、現時点で即断はできませんけれども、問題はあると考えております。
  200. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 いま、欠陥車の重大な疑いがあるということですね。  それからもう一つですね、やはり同じこれは三月十日の会議の議事録でありますけれども、ローレルのC三〇、これは走行中リヤタイヤチェーンがフュエルタンク取りつけボルトにひっかかって、ホイールがロックされてスピンした。そしてその結果後続車に追突されたケースがあるんですが、こういう事例があるんです。これも欠陥車の疑いが大変強いと思うのですが、この私が述べた二つの事例もいずれもリコールされてないのです。となりますと、先ほど来指摘してまいったように、実際隠しておる。そして、ついに運輸省も発見できない、こういうことですと、まさに私が先ほど指摘したような、本当に悪質な事例に該当するのじゃないか、こう思いますけれども、この点、いかがでしょうか。
  201. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) 車両故障には設計製作上の欠陥に基づくものもありますけれども整備不良等の問題もあるわけでございまして、それらの事故の内容を現物について十分精査してみなければ正確なところは申し上げられないというふうに考えております。
  202. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 これはですよ、日産のクレーム会議議事録に具体的に出ていたものなんです。決して整備不良じゃないんです。そして、二番目のやつについては全車に可能性がある、こういう指摘があるんですよ。となったら、これは単に整備の問題じゃないじゃないですか。  そこで、これは具体的にもう一つぜひごらんいただきたいんですが……。これをちょっと見てください。これは同じくクレーム会議議事録で三月十日のものであります。ブレーキホース損傷によるノーブレーキというやつがありますけれども、そこの私が赤線を引いたところをちょっと読んでいただけますか。
  203. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) ただいまの資料を読ましていただきます。「運輸省の届出で理由説明ができ難いので、リコール以外であれば年式変更の際に配管変更したい。」
  204. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 これは日産のホーマー小型トラックT六四という自動車ですね。ノーブレーキという、これは大変な欠陥でありますが、いま読まれたところは、こうした欠陥は型式指定規則の十一条による車の改善、改良などでは構造変更の理由説明できない、説明しようとすればリコールでやる以外にないんですね。しかし、それじゃ金もかかるし、企業の信用にもかかわる。したがって、それまでの欠陥を放置したまま、年式変更で新たな型式の車として対策を講じようということを堂々と書いてあるんですよ。大臣、どうですか。これは運輸省全くばかにされまして、運輸省全くそれに対してチェックする能力がないのをいいことにしまして、当然リコールに該当するものを隠しておって、そして年式変更のあれで済ませてしまおう、こういう本当にこれは悪質なものじゃないですか。この点はいかがでしょう。
  205. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) 御指摘のとおりだと思います。
  206. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 大臣ですね、きわめて大事な答弁ありました。指摘のとおりだというわけでしょう。これはずっと従来から共産党の各議員が指摘した、メーカーは欠陥車隠しているのだと、そいつをチェックする機能は運輸省にないんだから、一刻も早くチェックしなければいかぬだろう。それは人員の体制の問題です、一つはね。人員の体制の問題と同時に、こういう資料を常時出さして、強制的に出さして、さらにリコールしない場合は厳重な罰則を設ける、こういう体制をしなければ本当に国民の健康は守れない。しかも、私が指摘したいのは、単にいま指摘した三つだけじゃないんです。たくさんあるんです。これも時間の関係で全部述べられませんけれども、たとえばこれも日産でありますが、スカイラインの車でありますが、ブレーキホイールシリンダ液漏れというやつがありますね、やはり私が述べましたこの日産クレーム会議議事録に載っているやつです。それからチェリーでありますが、電気配線、これが焼けたという事故もありますし——全部載っています。さらに小型トラックT六四、六五、六六ですが、これはストップランプのスイッチ作動不良のために追突された、こんな事件が続出です。  それで、四十七年以降の分は運輸省で取り寄せられたようでありますが、四十六年以前のやつはないでしょう、ありますか。こういうのをお渡ししますから——こんないっぱいあるんですよ。これね、ひとつ検討してください。こんなに。これ全部そうじゃないんですがね、そういうような、私が指摘したほかにまだたくさんありますが、専門家でない私が見ましてね、さっき指摘したような、見ただけでもわかるやつあるんですから。となりますと、専門家である運輸省の職員が見た場合には恐らく、それ一カ月分でありますけれども、それ見るのに一時間で見ること可能だというんです。となれば、いままで人員が足りない、機構がないと言っておってサボっておったこと自身が問題だと思うんです。それ徹底的に——日産だけじゃないんです。トヨタからも、ほかのメーカーからも全部取り寄せて、それで徹底的に調べるという、このことをお約束願えますか。
  207. 犬丸令門

    政府委員(犬丸令門君) ただいまの御指摘のとおり、これらの技術連絡書につきましては取り寄せて早急に調査をいたします。
  208. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 大臣、取り寄せて調査するというんですが、これまた人員が足りない、時間がないということでまた放置しておりますとね、先ほど鹿児島と沼津の例もありましたけれども、同じような事例が今後発生しないという保証はないわけですよ。これは人員の面でも、大臣として責任持ちましてね、人命の問題ですから。いま犬丸部長が言ったその対策を十分にとらせると、早急にとらせると、このことはお約束できますか。
  209. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) こういう問題は人員を幾らふやしても、なかなか対策としてはむずかしい点もあると思いますが、まず第一には、メーカーが自分のところの名誉にかかわる問題でございますから、そういうことのないように十分気をつけなきゃいけませんし、欠陥車ということが発見できればすぐ対策を講じてやるということをやると同時に、運輸省といたしましてもできる限りこういう問題については人員増加等も考慮いたしまして善処いたしたいと思っております。
  210. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 具体的に一つの悪質な事例が出たわけです。で、恐らくほかのメーカーにも、きょうはちょっと時間がないので、ほかの例もあるんでありますが、ちょっと指摘できないんでありますが、ほかのメーカーにもこれあるんですね。となりますと、これはその責任をひとつ大臣としてどうされるおつもりですか。いままでリコール制度がありながらリコールしてこなかった。この責任はどうされるおつもりですか。
  211. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) お答えいたします。  調査いたしました結果が、私どものとっておりますリコール制度に非常に著しく違反しているというようなことがはっきりいたしますれば、やはり最後の手段でありますところの指定の取り消しということも考えなければならないと思います。  それから人員が少ない先ほどの問題でありますが、もちろん増加に努力いたしましても、そう一ぺんになかなかふえないということはあると思います。それから一方においてそのクレームの全部を見るということは、なかなかそういった人員との関係ですぐにはできないかと思いますので、一歩前進する方法といたしまして、いわゆるこの種の技術連絡書などの抜き取り調査といいますか、そういったことをやりまして、いつ立ち入ってこられてそういうものを抜き取られてチェックされるかわからないということにすることによる、まあ一罰百戒的なやり方によるところのチェックの強化といいますか、それをさしあたり考えてみたい。なお人員を増加いたしまして、そのチェックの幅を広げることはもちろんでありますけれども、当面やはりそういったことで、技術連絡書を抜き打ちで調べるということをやって、ひとつ御指摘のようなことがなくなるように努力をいたしたいと思います。
  212. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 これは、いまある制度でも一定の程度できると思うんです。このことをわれわれいままで指摘してまいりました。いままで余り十分にやってなかったということが、きょうのこの結果になったと思うんです。ただ現在の制度でまだ不十分な面もあると思うんですね。たとえばいまのクレーム会議ですね、この資料も、もしもメーカーの方が出したくないと言えば、これは法的に強制力ないでしょう。ですからそういう問題も含めて、この資料の提出について法的強制力を持たせると、そういうことが一つは必要だと思うんですが、これに早急に取り組むお気持ちあるかどうか。  先ほど一番冒頭の答弁では、まあちょっと時間がかかる、あるいは大分先のような話だったわけでありますけれども、具体的にこれだけのこと指摘されますと、そんなこと言っておれぬと思うんですね。先ほどの四月の新聞記事では、そんなことあるかないか、これから運輸省としては調べてみようと、こういった段階だったんですけれども、そんなことしておれないでしょう。そういう本当に悪質な事例あるわけですから、直ちに立法の問題として取り組むと、こういう決意があるかどうか、これは最初の答弁の段階でもありませんから、そういうことの一つの御答弁と、それからもう一つ、人員体制も、これ人間ない、ないと言っておれないんですが、この点どうお考えになるんでしょうか、二つについて御答弁いただきたい。
  213. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 制度改正の問題につきましては、早速検討を開始いたしますけれども、いつの国会に出すかというふうな具体的なお約束まではちょっとまだ中の詰めが進んでおりませんのでここでは断言できませんけれども、至急にそういった方法の検討は進めます。  ただ、先ほど申し上げましたように、自動車メーカーの数は限られておりますし、かなりの大メーカーであって、社会的責任を当然感じておられるべき人たちでありますので、私どもはデータの秘匿というふうなことはまずないように指導していきたい、またあり得ないと思います。また不幸にしてデータを秘匿いたしましてそういったことが欠陥、それが事故につながって人が死ぬということになりますれば、これは一方刑事的な責任すらも問われることもあるかもしれませんので、そういったことも背景にいたしまして、現在の人員のままでもできるだけ努力をしたい。もちろん第二点の御質問の人員の増強等につきましても努力いたします。最近、型式指定制度が非常に複雑になってきておりますので、それを賄う定員も急激にふやしつつございますので、さらに五十二年度、三年度と続きまして、型式指定の審査要員の増加と並行いたしまして、審査した後のチェックをする要員の増加という点も、国会での御論議等踏まえまして、十分関係当局に要求をしてまいりたいと思っております。
  214. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 そういう答弁ありましたので、具体的な人的な体制について一つの提案をしたいと思うんです。これはすでに昭和四十四年の六月十七日に、当時の大臣の談話でも、こういう自動車事故の専門の調査官を配置するという、こういう約束をされておるんですが、今日に至っても実行されておりません。そこで、この自動車事故調査官制度を早急に設置することを要望いたします。そんなに数要らぬと思うんです。私が先ほど出したような資料をそういった点できちっと押さえれば、そんなに何百人も必要ないことなんです。これは一つの私案でありますけれども、これは運輸省の自動車局に主席自動車事故調査官なども含めて七名あれば足りるんです。それから地方陸運局に各二名ずつぐらい、大きな東京、名古屋、大阪などは三名から四名必要かもしれませんけれども、大体二名ぐらいあれば足りるわけです。そうしますと、総計三十名も専門の調査官がおればこれはもう十分処理できるわけです。  そこでどんなことをやるのかと申しますと、第一には設計、生産に関する欠陥情報収集、公表すること。それから第二に設計、生産に起因する届け出、欠陥車の対策進行状況を確認すること。第三に、自動車事故車両について車両欠陥、整備不良の事故要因を警察と協力調査して実態を明確にすること等で八点ぐらい実際やることあると思いますけれども、あと具体例を示しますが、こんなものを具体的に設けることが必要だと思うんです。実際、いま各地で検査官が、民事訴訟などを受けられまして、本来これは国家賠償の対象になると思うような例が、実際その検査官が本当にもうお気の毒な状況になっていますね。そんな問題を避ける意味でもこういう体制をつくれば運輸省の職員の目から見ましても、さらに日本の国民の生命、安全を守るためにも、これは十分可能だと思います。人員はわずか三十名ということでありますので、早急に実現するように要求したいと思います。いかがですか。
  215. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 数年前から自動車の事故防止、あるいは公害防止という点につきまして非常に要請が高まってまいりましたので、幾つかの局に事故公害課という課もつくりまして、それがない課には事故対策の専門官を置く制度を講じておりますが、なおそれらの人員の増強を図りたいと思います。  それからもう一つは、従来の事故調査官たちの行動の仕方でありますけれども、どちらかといいますと、起こった事故の原因は何であったかと、それが私どもの直接監督体制の発動し得るようなものであったかどうか、たとえば営業用トラックの場合に、運行管理者が怠けておったかいないかとか、過積みがあったかないかというようなことをずっと調べることにかなり時間を食っております。警察ともちろん共同してやっておるわけでありますけれども。それにさらに、先ほど来御議論になっておりますところの欠陥車のチェックということを加える必要があると思います。従来は事故が起こったときに、その起こった事故の第一原因たる車の運行者、運転者、あるいはその監督者に責任がなかったかどうかという点がかなり事故調査の主体になっておったと思います。これからはそのことと同時に、車自体の欠陥の有無、そうして怪しい場合には、それをつくった工場等への立ち入り、そういったことをいまの事故調査の仕事に加えるということになりまして、内容につきましても、それから調査官の人員につきましても増強を図ってまいりたいと思います。
  216. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 最後に一点だけ。  いままでの国会の議論を見ておりますと、具体的に議員の方が欠陥車を指摘します。そうしますと、実際わからないとか、あるときには、運輸省の答弁を聞きますと民事事件の係争中であるからと、あるいは刑事事件になっておるので運輸省としては余り介入しないと、こういう態度が大変多いわけですね。しかし、これは行政立場を全く放棄するものだと思うのです。被害者にしますと、みずからの権利を要求、実現するために裁判を起こしましたが、行政が動かなくなっちゃったわけでしょう。起こさぬより悪い状況でしょう。ですから当事者間の、メーカーと被害者間の法律問題、民事問題、これは別として——そこで直接介入するわけじゃないけれども、しかし、運輸省としてはその原因を徹底的に究明していくと、こういう姿勢が必要だと思いますけれども、その点についてはいかがですか。
  217. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 御指摘のとおりでございます。ただ、刑事事件になりました場合には、事実問題として警察当局が一件書類みんな持って行ってしまいますので、なかなか私どもが踏み込めないことが多うございますけれども、そういった場合にもできるだけ御趣旨に沿いまして、警察等にも連絡をいたしまして、協力をしていただいて究明に協力したいと思います。
  218. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 いままでの答弁ですと、踏み込めないのでなくて、もともと踏み込まぬという姿勢があるんです。ですから、刑事事件につきましても積極的に、ある意味では警察と協力してでも原因究明をしていくという、こういうことを要求しまして質問を終わりたいと思います。
  219. 和田春生

    ○和田春生君 きょうの質問は国鉄関係一本にしぼってお伺いしたいと思うんですが、けさほどごあいさつもございましたけれども高木総裁には大変な国鉄に乗り込んで御苦労様と思います。なお、私も御承知のように大蔵省の税制調査委員を十数年やっておりまして、その当時から新総裁のことについてはいろいろお聞きをいたしておりまして、大変期待をしているわけであります。期待をしているということは、それだけ厳しい要望もいろいろ申し上げたいということでございますから、そういう点で、主としてきょうは国鉄の、企業としての経営姿勢の問題についてお伺いしたいと思いまして、あらかじめこういう趣旨のことを質問をしたいということもお知らせをしているわけです。ところが昨日、私が質問したいと考えている中身に重要な関連のある問題が国鉄当局から発表されまして、マスコミに大々的に報道されているわけです。  そこで、まず最初にそのことについてお伺いしたいと思うんですが、それは御承知のように、新幹線列車の一部運休についてであります。国鉄の発表した文書はきわめて簡単なもので、「博多総合車両部で行っている新幹線電車の検修作業が所期の業務量に達しなかったため、今後の輸送に必要な車両が不足するので、多客期を避けて、当面次のとおり新幹線列車の一部を運休いたします。」という形で、上下八本が約四十日、上下二本が十日間運休ということが発表されております。これは、総裁でなくて担当の常務理事でも結構でございますが、まずその原因は何かということを、これだけでは的確にわかりませんので、具体的に要点だけで結構でございますから、お答え願いたいと思います。
  220. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) 原因は、博多に総合車両部というのをつくりまして博多開業に関連する作業を始めたわけでございますけれども、台車検査につききまして——台車検査と申しますのは、新新幹線の台……
  221. 和田春生

    ○和田春生君 説明要りません、わかっておりますから。
  222. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) それでは術語はそのまま使わしていただきまして、台車検査のパートがすべて新しい設備にいたしましたので、流れ作業方式を取り入れました。これにつきまして、当初計画といたしましてはそれが非常に順調にいくという想定のもとにすべて人の配転もやり、諸設備身つくってまいったわけでございますけれども、その面でいろいろと流れ作業でございますものですから、これになれていないというようなことで、ときどき一部で渋滞を来すというようなことから、全体が台車のでき上がりが少なくなってくるというふうなことで、中に一部能率の上がらないものもあるというようなこともございまして、それが積もり積もって今回の運転休止をせざるを得ないという状況になったわけでございます。
  223. 和田春生

    ○和田春生君 なれていないというお話ですけれども一体これ業務開始してからどれだけの日数がたっておりますか。
  224. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 私も参りましたばかりでございまして、本件を詳しく聞きましたのはつい最近でございますので間違っていることがあるといけませんが、その点は間違っておりましたら担当の理事から訂正をさせます。  まず一つ問題は、昨年の三月の十日から車が走るようになったわけでございますが、検査は新しい車両もあるものでございますから、必ずしも三月十日の段階で検査部門が全部整備が整っておる、準備ができておるという必要はなかったようでございます。できれば昨年内に所要の千六百人の人を全部その工場に集めるという措置をとろうとしたようでございますが、結果としては全員がそろいましたのが一月二十二日でございました。一月二十二日にやっと予定どおり全国各地域から人が集まってきたということでございます。でございますから、まず人を集めるのにかなりの程度、生活の本拠をほかの地域から博多へ移さなければなりませんから、その担当の者を任命しようとしましても、進んで行く人がないというようなこともあってなかなかうまく人が集まらなかったという問題が一つございます。  それで、その次に問題は、これも私詳しく存じませんが、台車の検査というのは、どっちかといいますと運転系統の仕事ということに従来はなっておったようでございます。それから、台車でなしに全般検査をやるのは工場の仕事だと。で、国鉄の場合には非常にセクト、セクトの縦割りが従来相当、悪く言えば激しいといいますか、そういうかっこうになっているのを、今回の場合には、台車検査は三十万キロに一回、全般検査は九十万キロに一回ということだからということで二つの、従来であれば別のセクションのものを一つに集めたわけでございます。そうしますと、従来から申しますと、系統の違う人間が全国からばらばらになってそこへ集まってきたという条件が一つございます。その上に、私見ておりませんが、流れ作業式の大変新しい装備だそうでございまして、その新しい技術を入れた装備を動かすのにどうしてもやはり相当のなれが必要なわけでございますが、管理者側も含めて、全体としてその流れ作業になれていないというような条件が重なったようでございます。  で、私は労働問題に余り経験を持ちませんけれども、乏しい経験でございますが、大蔵省におりました当時に、やはり印刷局で新しい印刷機械を入れます場合とか、専売公社で新しいたばこの巻き取り機械を入れます場合とかにつきまして、なかなかこれは何人でこの機械を動かすかというようなことについての話し合いがつかなかったり、それから何人かで動かすということはわかるとしても、なれるまでにどのぐらいの期間を見てやるべきかというような話がつかなかったりしたことで、印刷用機械を外国から輸入したのに梱包したまま工場に置いてあるというような事件が起きまして検査院からしかられましたり、まあいろんなことがあったのでございますが、恐らくそういう苦労もこの場合ではあったのではないかというふうに想像をいたしております。ただそれだけではなくて、職場全体が規律という点において欠くるものがなかったかと。  それからもう一つ言えば、そういうせっかく相当な投資をして新しい機械を入れるわけでございますから、各現場現場がそこへ人を出すについて自信を持って、間違いのない有能な人間、精神的に緊張したという意味もありますが、技術的にも有能な人間をそれぞれのところがそこへ出せばよろしいわけですが、とかくそういう場合に、人事異動といいますか、配置転換をやりますときには、私どもの経験でもしばしば、こちらの出す方がかえってこれはナンバーワンだというのはなかなか出さないというようなことがありまして、それがチームワークがとれて動き出すまで時間がかかるということはあり得るわけでございまして、いろいろな原因が重なっておると思われます。そしてこのことは、国鉄がやっております要員合理化問題のすべての場合に起こり得る問題でございますが、それがそこに象徴的に、集中的にあらわれたということでございまして、大変困ったことだということで、どうするかということについて私の判断を求めてきましたから、この際思い切って、申しわけありませんけれども運休を出してしまって、そしてそれでは申しわけないからということで、大いに職員に気持ちを締め直してもらってこれから作業をどんどん予定どおりにやると。そして、お客さんは七月からふえるわけでございますので、七月の混雑時に御迷惑をかけることなく、まあ比較的年間の閑散時である六月、ゴールデンウイーク後の閑散時に少し工場の負担を軽くして、そしていまのうちに、七月に何とか動かせるようにしたいと。  全体では一日に十二台検査を完了することが可能なような設備が整っているわけでございますが、はなはだお恥ずかしい話でございますが、十二台できましたのは一昨日初めてでございまして、それまでは八台とか九台とか十台とかしかできなかったわけでございますが、一昨日は職場の空気がだんだん高まってまいりまして、新聞に出る前でございますけれども、とにかく十二台という予定の実績を挙げましたので、これで恐らく職員諸君も十二台という一つの目標を達成したということで、うまくいけば自信を持ってこれからやってくれるんではないか。それにしても過去の分が、一月以来の分が予定どおりいっておりませんものですから、全体の回しが少しおくれておりますので、この際としてはそれを取り戻すべく十本休ましていただくということに決意をいたしたという経過でございます。
  225. 和田春生

    ○和田春生君 大変総裁の率直な御説明でございましてそれなりにわかるわけでございますが、実は通常の企業経営の常識からいきますと大変驚くべき内容なのであります。そこで、これは担当常務理事にお伺いしたいんですけれども、きのうのサンケイ新聞にこのことについてかなり大きな解説記事が出ておりますが、ここに書かれてあることは全体として、言葉の用い方その他は別にしてお認めになりますか。それとも事実と相違しているというふうにお考えになりますか。
  226. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) 私ども、流れ作業の中で能率の悪い個人が一人か二人あります。その場合にそれをサボと断定できるか、あるいは本当に能率が悪いのかというところは、あのサンケイの記事ではサボと決めつけてありましたけれども、その辺の仕分けはちょっと微妙なところがありまして、断定的にそう申すのは少し問題があるんじゃないか。ただ、そのような面もあるということは考えられるわけでございますが……。
  227. 和田春生

    ○和田春生君 それならもう一つお伺いいたしますけれども、五月十三日号の週刊新潮、これは一週間前に発行されますから先週発行された。恐らく取材は四月中だと思います。この中に今日のことが当然のこととして予測されて、詳しい記事が二十四ページに出ているわけであります。ごらんになりましたか。
  228. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) 拝見いたしました。
  229. 和田春生

    ○和田春生君 そこで、いまサボと断定するわけにはいかないということですが、それはまたいろいろ議論するところがあると思うんですけれども現地の幹部、これは管理者側だと思うんですが、見逃し得ないことが書いてあるわけです。「四本のボルトを一本だけ締めて列車を出してノルマをあげるようなわけにはいかない。完全に整備が済まなければ、列車はここを出ないんですから、作業量と安全度は関係ないのです」、現地の幹部がこう言っているんです。これはずいぶんりっぱなことを言ったものでして、このでんでいけば、まるきり一日かけて一日一台しか整備をしない。極端に言えば、列車を全然走らせなければ全く事故を起こさないんだから、完全無欠に安全であるという形になるわけですね。ここに言っていることが本当であるとすると、おれはおれの方で支障があろうがどうしようが完全に検査をやるんで、列車が出ようが出まいが知ったことじゃない。完全な列車だけしか出さないんだと、走っても走らなくてもおれの方は知らない、こういうことですわね。開き直りですよ。民間の企業でこんなことを言ったら、これは即刻首ですわね。このことを調査されましたか。
  230. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) この件について、だれがしゃべったかということははっきりいたしません、調査いたしましたが。ただ、言っている意味は、安全性が怪しいんじゃないかというような議論に対しまして、ちょっと極端な言い方で、安全は確実に守られたということを強調したいためにこういう表現をいたしたのではないかと推測をいたしております。
  231. 和田春生

    ○和田春生君 実はそれが、これは新総裁にもお聞き願いたいのですけれども国鉄の経営姿勢というのは、世の中には一般に国労や動労がでたらめなストライキをやるということが非常に強く指摘をされております。確かにあのいいかげんな違法ストは、われわれ働く者の立場に立ってもこれは見逃し得ない、放置できないものだと考えます。そういうでたらめなストライキやサボタージュを助長したものは経営管理の体制にあるんですよ。労使関係というのは、片方がよくて片方が絶対悪いなんていうことはない。片方が悪いときは必ず片方が悪いわけです。こういうことを言うというのは、結局極端なことを言えば、自動車の事故を起こさないようにするには走らなければいいじゃないか、そういうところに発展していく理屈なんですね。そういう点で、だれが言ったか知らぬがとか、あるいは多少言い過ぎたんではないかという担当常務理事の受け取り方そのものがおかしい。こういうことを言う、もし、たとえ行き過ぎにしろ、こんな考え方を持っている幹部がおれば厳しく処断すべきなんです。私はそうだと思うのです。こういう点について、国鉄の姿勢というものは大変私はたるんでいるのではないか、この点についてひとつ総裁に所見をお伺いしたいと思う。
  232. 高木文雄

    説明員高木文雄君) そういう点が端々に率直に言って見受けられます。それは一つには、戦後のいろいろな事故がございまして、事故によるショックというものが非常に大きかったものでございますから、何が何でも安全ということに最重点を置いておりまして、そのことは当然のことだと思いますが、その安全に籍口し過ぎる点がありはしないかという感じがいたすわけでございまして、安全ということと、つまり安全の陰に隠れることと区別しなければいけないという意味での御指摘はまさにわれわれが心すべきことだと思います。  ただ、本件の場合には、何分いろんなところから、全国各地から千六百人の人間が集まってきたわけでございますので、全体としてどうもチームワークがうまくとれていないところからおこっている問題も多分にあるやに思われますし、先ほど申しました工場の方の何となく伝統的なルールみたいなものと、それから運転といいますか、そっちの方の検査掛の方の従来のルールというものがぴったりなかなかはだ合いが合ってこないというようなところから、どうも労使もありますけれども使同士も、労同士も何となくぎすぎすしておったようでございまして、そういうことの何か騒ぎといいますか、スムーズにいかない。それがそんなような言葉にあらわれたのかしらというふうに思ってみたりいたしておりますが、しかし、その御指摘は決して、今回問題を起こしておりますこの場所だけでなくて、ほかの地域でもやはり多少ともそういう傾向がなきにしもあらずだと思われますので、それらについては折に触れて指導をしてまいらねばならぬと思っていることでございます。
  233. 和田春生

    ○和田春生君 いま総裁のお話しのとおりだと思うのです。安全は何よりも大切である。私はそのことを否定するつもりはないわけです。しかし、それは既定の任務を遂行する中において安全を確保するということだと思うのです。そういう点で、どうもこれは一つのティピカルな例ですけれども、いろいろ国鉄現状というものも私なりにタッチをいたしておりますから見ておりますと、こういう民間の企業——いまはりっぱに立ち直っておるので引き合いに出すのは恐縮でございますけれども、かつての三井、三池と同じような状況を私は歩みつつあると思う。あそこでは安全、安全ということを口実にいたしまして、最後に行き着いたところは、炭車に乗るのに右足から乗るのが安全か、左足から乗るのが安全か、こういうふうに組合員が聞いて、係長が説明できないと、こんなことが説明できなくて係長が勤まるか、という形でサボタージュが始まるという形で、日本一の好条件の炭鉱で出炭量は日本最低ということに陥いった、破局的な状況に追い込まれた。その中でのあの深刻な大争議が発生をしたわけですね。いまの国鉄というのは、まさに私の体験から言うとそういう三井、三池が最悪の状態になっていく、そういう過程を歩きつつあるように考えるわけです。  で、国鉄再建ということが盛んに言われておりまして、運賃の値上げによる利用者の負担、それから国の助成という形で国民の負担、国鉄内部の合理化の努力、三本の柱が必要だと言葉では言われております。しかし、幾ら運賃を値上げをしても、国が助成をしても、国鉄内部体制がそういうことでしたら、これは底の抜けたバケツに水を入れるようなものですから、何をやっても私は再建ができないのではないか。そういう点で国鉄としてはひとつ体制を厳しくやってもらう、これが必要だと思います。労使関係を正しくするというのは、これは労働組合と経営者としての団体的労使関係のことであって、職場の規律を確立すると、組織を運営していくというのは、あくまで総裁以下管理者の責任ですよ。これは組合がどうのこうのということに責任転嫁はできないと思います。そういう点を特に希望いたしましてこの経営的な側面について御質問したいと思うんですが、国鉄再建と運賃値上げの内容その他については、この法案が当委員会に回ってきた際に具体的にいろいろまたお伺いをして質問いたしたいと思うんです。  したがって、細かい具体的なことはお伺いしませんが、次の質問に関係がありますのでお伺いしたいんですけれども、いま大体国鉄から国会に提案をされ、ようやく衆議院で審議が始まったわけでございますけれども、このプランによりますと、名目増収がこれ旅客、荷物、貨物全部平均して五〇・三%のアップ。純増収というのは三六・五%アップという形になっておりまして、これはまあ運賃の弾性値によって算出をされたと思うんです。で、いまでもこういうことでおさまるというふうに考えていらっしゃるかどうか。昨年のスト権スト並びにことしの四月二十日から二十二日に至るああいうストライキと、しかも違法なストライキでかなり利用者に迷惑をかけて国鉄を訴える、組合を訴えるという騒ぎがだんだん広がっているわけです。そういう中でも、この見通しというものは狂わない、大体そういうふうに落ちつくというふうにお考えでしょうか、どうでしょうか。
  234. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 運賃が上がりました場合にどうしても、上がらない場合、上がる前よりはお客さんが減るということは、これは国鉄に限らずいかなる場合にも避けられないことでございます。その場合に、実際上がった単価の上がりと、それから実収との影響をどうやって計算をするかというのは大変むずかしい技術だと思いますが、現在御提案申し上げております五〇%なり、三七%なりという数値は、過去の四十四年なり四十八年なりのときの経験値をもとにいたしまして、それに若干の修正を加えて算出したものだというふうに私も説明を聞いておるわけでございます。しかし、経済的要因もありますので、果たしてそのとおりいくかどうか、あるいはもうちょっと上にいくかどうかということについては、なかなか現在の段階で予測が困難でございますけれども、まあその予測を立てましたのは昨年の十二月の段階のことでございまして、スト権ストの実は直後のことでございますし、その後経済の状態もいずれかと言えば少し上がりぎみになっておりますので、特にその当時立てました予測を今日の段階で変えなければならないという要素は、私はいまのところ特に、ただいま御指摘でございますけれども、私自身としてはまだ気づいていないと。私自身初めての経験でございますから、過去の値上げのときにどうであったかという経験がございませんので、余りいわば勘がわかないわけではございますけれども、過去を相当いろいろ勉強して五〇と三七という関係の率を出したようでございますので、その点については私はいまのところは担当職員諸君の計算しましたものを信頼をしているということでございまして、私自身としてそこまでいかないかもしらぬというような心配の要素をいまのところは持っておりませんです。
  235. 和田春生

    ○和田春生君 この問題については、一般の民間企業でも提供するサービス、あるいは商品等の品質、性能、価格と、それからそれに対する需要、かなりマーケティングリサーチということは、今日では中小企業でもきちんとしたところではやっておるわけです。過去の経験はそういうことであって、新総裁としてはそういうふうにお感じになるのはそれなりに了解をいたします。ところで、新しい時点に立ってこういうような名目増収というものに落ちつかない、仮にこれよりももっとどんどん落ちていって、国鉄離れが促進するという形になると、こういう計画は絵にかいたモチになるわけですけれども国鉄当局として、そういう弾性値を算出する上において、どの程度のマーケティングリサーチをやったか、つまり平均して、貨物でいけば五三・九%アップした場合に、引き続き国鉄を利用してくれるのは従来の国鉄の利用者の中で一体何%ぐらいか、何%ぐらいは、それだけ上げたらこれから離れるというのか、あるいは運賃を上げずに据え置きでも、結局大事なときにでたらめなストライキで荷物が送れないのでは大損害をこうむるから、コストが高くついても路線輸送のトラックに切りかえる、船舶輸送に切りかえる、この際国鉄から離れたいというのも、私自身じかにそういう声をかなり聞いているわけですね。そうすると、運賃の上げる上げないにかかわらず国鉄離れがするものがどれくらいか。上げた結果国鉄離れをするものがどれぐらいか。あるいはそれだけ上げてもなおかつ利用し、あるいは新たに国鉄を利用しようとするものをどれぐらい獲得できるか、いわばそういうことが国鉄という輸送サービスを提供する場合のマーケティングリサーチの一つポイントだと思うのですけれども、どの程度のことをおやりになったのですか。ちょっとそれは担当の常務理事でも、担当者にお伺いしたいと思います。
  236. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) それでは御説明申し上げます。  貨物の場合五三・九%の名目改定率が決まりまして、直ちに全国のそれぞれの貨物センター、営業センターございますので、各荷主に当たりまして積み上げをいたしました。その場合の大体の答えは減収率はこれと大差ございません。ただ、非常に距離的に申し上げますと八トントラックと、国鉄運賃がもし五三・九%名目で上がりますと、二百キロまでならトラックの方が安いが、それからは国鉄運賃が安い。十トントラックの場合ですと、三百五十キロが境でございます。こういうようなことで、いろいろ調査をいたしました結果そういう答えが出ておりますので、下から積み上げた場合もきちっと持っておりますので、かなりの自信を持っております。
  237. 和田春生

    ○和田春生君 それはいつからいつまでの期間ですか。
  238. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) これが、この率が決まりましたのが昨年末でございますので、それから三月いっぱいまで各管理局ごと、さらに各貨物営業センターごとに調査をいたしてございます。
  239. 和田春生

    ○和田春生君 それでは、四月のストライキの条件というものは入っておりませんね。
  240. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 入ってございません。
  241. 和田春生

    ○和田春生君 あの結果かなりいろいろの話が出ているわけですが、どれぐらいなマイナス影響が出ると思いますか。
  242. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 春闘の問題につきましては、御存じのとおり時期こそ四月、あるいは五月ということで、まあ非常に残念でございますけれども、年々の行事化されたような形になっておりまして、一応のその後の需要、あるいは輸送トン数を見ますと、もし昨年で春闘がなかりせば、あるいはことし春闘なかりせばということで計算をいたしますと、幾らかやはり景気の上昇もございますが、上向きになっております。
  243. 和田春生

    ○和田春生君 これはどうなるかというのはこれからの問題ですが、利用者の心理というのは大変最近われわれの見るところでは悪くなっていきつつあるように思います。この点について、これやはり総裁にお伺いしたいと思うんですが、実は同じ趣旨のことを前の総裁にもお伺いしたんですけれども、どうも不得要領ではっきりしたお答えを得なかったわけであります。  国鉄の運賃が安いので赤字がある、そこで運賃を値上げをしてくれというのが国鉄並びに政府立場になっておりますね。しかし、運賃が安いという場合に、私は二つの側面があると思うんですね。一つはコストに対して安い、一つは提供しているサービスないしは品質に対して安い、もっと高くてもいいはずだと、両面の問題があると思うんです。よく言われている国鉄離れ、最近ではどんどん他の交通機関も発達しまして、依然として全国をネットワークする重要な輸送手段ではあるけれども、昔言われておったような動脈ではなくなった。路線トラック、その他一般のトラック輸送もありますし、船舶もありますし、航空機もありますし、あるいは旅客で言えばバスや私鉄、どんどん発達してきておりますから多くの競争者を相手に抱えているわけであります。  そういう中で、国鉄が利用者に約束している品質というのは、私は旅客についてはあの国鉄の時刻表だと思うんです。つまり、これだけの品質、サービスを提供する、これは一つの品質表示と言っていいと思うんですね。それから一般の貨物については契約が品質表示であると思います。それから鉄道荷物の場合については常識的にかつて理解をされ、考えられておった、いつごろ送ればどこならばいつごろ着く、こういうふうに世間の常識として受け取られているということの内容が実は国鉄における品質表示であると、こういうふうに考えられるわけですね。  ところが、それがスト権ストという、名目であれ何であれ八日間も列車がとまる、二日も三日もまるまるストップする、突然として内ゲバか何か知らぬけれども列車が運休になる、予定されておった貨物が、出荷はしたけれども予定どおり着かない、そのために契約がパアになる、チャンスを失って売り損なう、あるいは自分の用件が間に合わないとか、ずいぶんあります。私の自身近な経験ですけれども、ことしに入ってからでも三件ほど鉄道荷物で送ってくれた私の友人や親戚の果物は、八日も十日もかかって全部腐っておって使い物にならない、これ自身私は被害を受けているわけです。そういう状況になってくると、まさに品質表示に反する欠陥商品を売っている。一つ一つのかん詰めを見るとちゃんとしたかん詰めかわからないが、一ダースの中に一個腐っているものが入っておるという形になれば、そのことによってその信用がた落ちになる。  実は現在国鉄に対する国民信頼が失われているというのは、従来約束されておった国鉄の品質表示というものが守られていない。その理由ストライキによろうが何によろうが、内ゲバだろうが何だろうが、そんなことは問うことじゃないんです、利用者にとっては。しばしばそれが裏切られる。そういうところから国鉄の運賃は高いんじゃないか、あるいは国鉄よりも高い運賃をかけてもほかの機関を利用した方が自分の営業、ないしは日常生活のためにはいいんではないか、そういう考え方が次第に国民の間に広がりつつある。これが国鉄離れというものを促進をしている私は大きな原因であるということを利用者の側に立った場合に考えるわけであります。  ところが、かつて日本の国鉄は世界一正確と言われておりまして、正確のことを国鉄のようにと言う。このごろは、国鉄の新幹線のようにでたらめじゃ困るからなんていうことが一般に言われる。ちょいちょい時間が狂うわけですね、これはオーバーな表現かもわからないけれども。そうすると、ここで国鉄再建をするということについて私は非常に重要なポイントは、運賃を上げても品質表示が守られないという事態が繰り返されるならばそれはどうにもならないのではないか。そうすると、ここで国鉄の品質表示であるダイヤどおりにきちんと列車を走らせる、約束した貨物の契約はきちんと守る、手荷物は常識的に想定されている範囲内に確実に利用者の手から手へ届く、そのために全力を挙げるということがあらゆる場合における国鉄再建の根本ではないか。  もしそのことに組合闘争に名をかりて抵抗する労働組合があれば、その労働組合と断固として対決をするというのが私は経営者の姿勢だろうと思う。それを労使関係がどうのこうのということに籍口をして、事なかれ主義で品質をどんどん落としていくという形では私はどうにもならないのじゃないか。民間では品物が売れなくなったら品質をよくして値段を下げて競争するのですよ。ところが、いま国鉄がやろうとしていることは、品質を下げておいて値段を上げるということをやっておるわけです。これで御承知をしてくださいということをやっておるわけですね。一体そういうことについて、これから国鉄はどういう姿勢で取り組もうとされるのか。これは私は労使関係に口実を設けることは許されないと思う。経営を預かる経営者の責任の問題だと思うのですね。そういう点で、ひとつ総裁の御意向を伺いたいと思うのです。
  244. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 非常にポイントのところであると思っております。ストというのは、これはまことに違法でございますし、けしからぬというか、そういうことになってあらわれるわけでございますが、そのとき以外にはときどき、まれにはありますけれども、旅客の方は私はかなりの程度動いておると、正確に動いておるといってよろしいのではないかと考えております。突発事故その他の場合を除きましてかなり動いているのではないかと思います。で、中へ入ってみまして、非常に貨物が年々シェアが落ちておるという数字を見まして大変驚いておるわけでございますが、その数字が下がってくる原因は、御指摘のような国鉄離れの現象による点が非常に多いと思いますけれども、その理由としまして、なぜ国鉄離れが起こるかということについていま御指摘の品質、輸送サービスの品質が落ちているということによる面が大変大きなウエートになっておるという御指摘は私も同様の判断をいたしております。  そこで、旅客の場合ですと非常に目立つわけでございますが、貨物の場合には、おくれました場合にも現場現場ではお客様の方からそういう御指摘なり御不満も寄せられますから知っておるはずだと思いますが、私どものところまではなかなかそれがいま届いておりません。そこで、何らかの形でもう少しどういうことになっているのかというのをつかまえることができるように、私自身がつかまえることを考えてみなければいけないと思っておりますし、何はともあれその品質をもとへ戻す、向上というよりはもとへ戻すという努力をしていかなければならないと思っております。  そこで、問題は運賃改定、料率改定との関係でございますけれども、そこはいわば鶏と卵のような関係になっておりまして、私どもとしまては、運賃を上げることについての御承認をいただける、いただけないとに関係なく、特に貨物についての中身といいますか、品質向上をやりませんと、上げる上げないにかかわらず国鉄離れが起こるということを何とかとめなければいけない、その努力をいたさなければならないと思っております。  一方、ただ、いままでもずいぶん歴代の総裁以下努力をされてきたことと思いますけれども、何と申しましてもだんだん旅客の方に押されておりまして、昼間走っているのは旅客列車である。貨物はどうしてもだんだん夜の方に押されていっておるわけでございます。そこで結果から申しますと、貨物を扱っておる職員はだんだん夜の仕事がふえていくということにもなっておりますので、一方において、御指摘のように規律をきちっとすると申しますか、サービスが落ちませんように厳しいしつけ、しつけといいますか指導をしなければなりませんけれども、同時にまた貨物を扱っている職員についてのことに心を配るということもまた必要でございまして、同じ、たとえば運転に当たります職員につきましても、貨物の方の現場では非常に夜走る時間が多くなるというような傾向になっておりますので、そのことについてもこれからは考えていかなきゃならぬと、私はどうもこの貨物問題は、入るまでそれほど気がついておりませんでしたけれども、入ってみて大変いろいろ問題があるなと思っておるわけでございまして、そこのところをいま御指摘がありましたが、ほかにもいろんな問題がありますので、貨物問題には一段と力を入れて取り組んでまいりたいと思っております。
  245. 和田春生

    ○和田春生君 この問題は国鉄の置かれている立場で大変むずかしい点もありまして、政治的な制約もありますから、国鉄の責任に帰することのできないいろんな負担を背負わされているという面については、それは国家なりあるいは地方自治体なり国民が協力をしなければならないという面もあると思うんです。先ほどの博多の新幹線の検査についての御説明の中にありましたけれども、新幹線を走らせる等、国鉄の技術という面では確かに世界の中でも非常に高い水準をいっているということは万人が認めるところだと思います。しかし、企業は設備、資本、労働で成り立っているわけですが、労働の面における合理化というものが、ある意味でいけば親方日の丸という考え方で大変おくれて、しかも国労、動労という組合は合理化反対ということを闘争の基本にしているわけです。たとえば夜間の輸送といいますけれども国鉄と競争している長距離の路線トラックというのは、東海道でも夜走っているんですよ。みんな夜。それは、昼間は渋滞をして走れないものですから夜中に突っ走っているわけです。船の場合には、海上輸送というのは二十四時間フル回転で昼夜の別なく動いているわけです。そうすれば、当然昼の部門と夜の部門とあれば、従来のしきたりにとらわれることなく、みんなの労働というものが平均するように、人員配置なり交代のシステムなり、そういうものについての合理化というものはもっと積極的に取り上げてしかるべきである。  そういう点が非常におくれているものですから、先ほど言った、これはもう一つの象徴的な例でありますけれども、博多で工作系統と運転系統でなわ張り争いが、新しいセンターができたにもかかわらずいつまでも続いておって旧態依然としてやっておる。これがもし民間だったら、そういう仕事を始める前にちゃんと訓練をきちっとやって、スタートするときにはもう軌道に乗るという形であります。初期の場合にはもちろんちょっとごたごたがありますけれども、そういうものはもう軌道に乗ってしまえば克服される。事前にきちんとそういうものが消化される。ところがそれが消化されていない。そういうことも私は国鉄のサービス低下につながっているんではなかろうかと、そういうことをきちんとおやりになってこそ初めて国民国鉄で、おれたちはこれだけのことをきちんとやっているんだと、一生懸命やっても赤字が出るんだと、当然利用者はそれは負担をしてくれと、運賃も出してもらいたい、運賃に転嫁できないというのなら国家の助成で、国民の税金で負担をしてもらおうじゃないかと、これは国民国鉄であるということを私は胸を張って言えると思うんです。  ところが、いまは運賃値上げをするといえば、ばかにするなという声が一般には非常に多い。そういう点で再建法、運賃値上げ法案を審議のときにはいろいろ出ると思いますけれども、ぜひこの際五〇%からの運賃値上げをやろうという提案です。通るか通らぬかわかりません、反対も強いわけですから。しかし、この際気持ちを新たにしてやっていただきたいということを総裁以下国鉄の経営トップの方に先頭に立つことを私はお願いしたい。そういう点について運輸大臣にも、これはやはり国有鉄道でございまして、鉄監局もあるようなわけで、管理、監督の任務を持っているわけであります。運輸省自体も昔鉄道省が国鉄になったという、公社になったという経緯もあるんでございましょうけれども、やっぱり行政府としての国鉄に対するそういう厳しい、国鉄当局だけでは手に負えないような面に対する私は管理、監督という面で手抜かりがあったように思うわけです。運輸大臣についても、いまの議論をお聞きした上で一応所信をお伺いしておきたいと思います。
  246. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) いま和田委員からきわめて適切な御指摘がありましたし、またお話の中に十分われわれもえりを正して聞かなければならない問題が幾つかありましたことを痛感をいたしております。幸いに高木総裁就任をされた機会に、実は私もいま和田委員が言われましたような同じような気持ちで高木総裁にお話をしたことがございます。私もかつて国鉄の一職員であったわけでございますので、当時と今日とを比較いたしまして、国鉄の精神面において私は非常に残念に思うことが多いわけでございます。これは私は一概に職員側だけを責めるというわけにはまいらない。指導する立場にある経営者側がやはり毅然たる態度をもって経営に当たっていくということが今日まで十分に行われたかと、こう言われれば、私は遺憾ながらそうでございますと言い得ない点があることを十分に痛感をいたしております。  これらの点を十分わきまえまして、また政府としても、じゃ国鉄に対していままでの支援の仕方が十分であったかと言われれば、これも私はそうでございますということを言い切れる自信はございません。反省すべき多くのものがございます。そういうことを十分に勘案をいたしまして、今後国鉄に対して十分な監督をすると同時に、政府としてできる限りの応援をいたすつもりでございますし、また国鉄自体が国民のものであるという考えに徹して、国鉄四十三万の従業員使命に向かって邁進するように努力をすることによってのみ国鉄の今後の再建ができると、こう考えておりますので、その決意をもって指導に当たる、そういうつもりでおります。
  247. 和田春生

    ○和田春生君 この種の問題について、やはり何といっても労使関係が大事だと思いますが、私たちの立場は御承知のとおり、早くから国鉄労働者にも一定の条件を付してストライキ権は法的に公認すべしという立場をとっているわけです。法律の上ではストライキがないたてまえに立っておきながら、事実上ストライキが野方図に放任されている。これは非常に陰湿な労使関係をつくりますからはなはだまずい状態で、こういう点については午前中から同僚委員の質問もございましたので、私は特にきょうは触れませんけれども運輸大臣もこれは政府として、そういう陰湿な労使関係をなくすという面において積極的に取り組んでいただいて、公労法の改正を速やかに実現をするというために、むしろ主動力になっていただきたいと考えるわけです。  しかし、私はそのことと関連して最後に国鉄総裁初め首脳部の方にお願いをいたしたいことは、これはあくまで団体的労使関係であります。ところが、最近よく国鉄で聞かれる、いままでに比べると大分労使関係がよくなってきた、そういうことが言われる。言われているところの事例を私なりにいろいろ調べてみているんです。確かに当局側の努力によって一部よくなった面もある。ところが、労働組合側のでたらめな要求や、認めるべからざるいろいろな行為というものに無原則に妥協することによって、表面的にトラブルが起きていないだけである、職場はますます荒廃をしているという部面もあるわけです。常務理事首かしげておりますけど、もっとちゃんと調べてみなければいかぬと思うんですね。これが非常に私は問題だと思うんですね。  たとえば国鉄ストライキでとまった。民間の企業では、はって歩いてでも、満員電車にもみくちゃにされてでも、タクシー代何千円払ってでも、ともかくいろんな手を使って出勤をする。ところが、自分たちがストライキをしておいて、列車とめて通勤の足がないから、おれは働く意思があるんだけど勤められないんだ、出勤扱いにして賃金を払っている事実があるじゃないですか。こんなふざけたことは民間なんかでは考えられないことなんですよ。しかも、それを組合側がいろんなことを言ってそういうことを要求するのはいいとは言わないけれども、それは組合立場でしょう。私はいつ、どこの会議でだれがということ言いません、こういう席上ですから。管理局長会議の席上で、やっぱりそれは賃金払ってやらぬと労使関係がうまくいかぬということを発言した人物がおるはずです。だれとは言いませんよ。お調べになったらわかる。  そういうことがむしろ職場を荒廃するわけですから、団体的な労使関係はきちんと組合の権利を認めて団体交渉をやると、誠実に要求については対応するけれども、そういういいかげんなやり方について当局側が妥協する、それがむしろ怠け者を増長させ、まじめにやる気を持っている者がばかばかしい気になってくる一番根本だと思います。したがって、労使関係については、労働組合との正当な権利に立った団体的労使関係と、職場の規律確保というものは截然と区別をしてやはり対処をしていただきたい、そのことを最後に希望し、総裁の決意をお伺いをいたしまして、きょうの私の質問を終わりたいと思います。
  248. 高木文雄

    説明員高木文雄君) まだ実情を十分把握いたしておりませんが、しばしばいろいろな機会に御指摘のようなお話を各方面から寄せられるわけでございまして、その辺のけじめがついてないということがいろいろあるようでございますので、そういうことでは何と言いますか、まじめに働く気持ちを持っている職員の勤労意欲にまで影響してまいりますので、それを一つ一つそういうことのないように、またそういう事実がありましたならば、その事実を具体的に処理をしていくことをもっておこたえするのが私の仕事であるかと考えております。
  249. 松岡克由

    ○松岡克由君 限られた、与えられた時間内に五点ばかり質問さしてもらいます。  最初に、トラック運賃の水増し問題につきまして伺いたいんですけれども、昨年の八月、日本消費者連盟の訴えによって運輸省が特別監査をして不正が明らかになりました大手トラック業者の運賃の水増し問題。その後どうなったのか、現在では正規の運賃で運送されているんですか。その辺からちょっと聞かしてもらいたい。
  250. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) お答え申し上げます。  御指摘のように、昨年の夏、消費者連盟の方から、路線トラック運賃につきましてクレームがございました。いわゆる小口一見荷主、あるいは一般家庭の人たちが物を送ったりするときに規定運賃を大幅に上回って収受されているというふうな話がございました。路線トラック運賃の制度は、私ども……
  251. 松岡克由

    ○松岡克由君 いや、うまくいってるかいってないか、短めで。
  252. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) はい。  それで、八月の十九日−二十一日の間、私どもの係官が立入検査をいたしまして、その結果につきましては若干の問題点がありましたので、処分をいたしました。新聞等に発表いたしたわけでありますが、そのときに通達を出しまして、一年間路線トラック運賃を含む貨物運賃の特別指導期間とするということで、中央、地方を通じまして抜き打ち検査を主にした監督体制をしきました。そして、その後十二月までに中央、地方を通じまして抜き打ち検査を一、二回ずつ行いました。その結果、かなり改善をされてまいりました。  なお、問題は……
  253. 松岡克由

    ○松岡克由君 ちょっと時間がないので……
  254. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) しかし、はしょりますとかえって説明になりませんので多少お許し願います。  私どもの内規によりまして勧告、または車両の使用停止等の処分をいたしました。そのときも九月のときに比べますと非常に改善をされておりました。その後、ことしの春先に路線トラック運賃の改定をいたしまして、これは二年に一遍ずつ見直しておるわけでありますが、諸物価の高騰等によるコストを反映するための改定でございますが、これを行いましたので、近くこの新しい改定運賃に対する収受状況につきまして監査をするつもりでございます。私どもの考えといたしましては、かなり厳しく監督していますから違反はないと思いますけれども、もしも不幸にして発見されますれば厳重に処分するつもりでおります。
  255. 松岡克由

    ○松岡克由君 あなた、いま全部言わないとこっちが納得できないからなんていう大変こっちを低い状態に見てしゃべっているけれども、それほどの内容はないのだ、ぼくのいま聞いていることはね。だからちゃんとしていますと、いろいろ不備があるかもしれません、その一言でいいので、こっちの状態になって返事をしてもらいたい。
  256. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) わかりました。
  257. 松岡克由

    ○松岡克由君 実態というものはなかなかつかみにくいと思うんですけれども、大体水増し運賃なんていうのは、これはもう考えられないことで、大臣もひとつ気をつけていただきたいんですが、これはこっちの方で状態を説明いたしますと、苦情が出たわけです、どうも高いと。いま言う日本消費者連盟の方が調べてみて、送ってみたんですね、試しに。その結果が、たとえば規定運賃が五百五十円のところを日通が千五十円、西濃が六百五十円、トナミが七百五十円、取り過ぎの上運賃がばらばらである。さあ、これ調べてみたら出るわ、出るわ、ありとあらゆる不正の状態がここに出てくるわけです。ざっと挙げますけれども、運輸省が許可したランクの料金の一ランクずつ上回って取っている、これが一つ。それからトラック運送というのは最短距離ではからなければいけないのをそれを百キロも遠回りしたという、よくある雲助の運転手がやるあのやり方と同じようなことです。  それから、挙げていくと切りがないんですけれども、これは受け取る方がその場所まで取りに行くと差っ引かれるんですがそれも差っ引いていないとか、また冬場は雪が降ったりなんかするからある程度よけいに払わなければならない。それをそうでない期間にやっておる。もっとひどくなると、運賃が改正される前からその改正料金でやっておる。これは幾らも出てきているんですね。余りのひどさにあいた口がふさがらぬということなんですね。要するにその日その日の天気ぐあいによってどうでもなっちゃうという、銀座のバーみたいなものですな。どうしてこういうことができるんですかね、また起きるのか。ということは、こういう状態になってしまうというのを、何とかにも三分の理というのがありますから、向こうの状態になって話してくれませんか。実は松岡さんこういうふうになっちゃうんですよ、それはいけないとはわかっているけれども、こうこうこうだと、こうなっちゃうんですよと、そういうような言い方、もしあるとしたらどうぞ。
  258. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) これは想像でございますけれども、現在の運賃制度が比較的小口のもの、あるいは短距離のものにつきまして、これはかなり本当は手間がかかるわけですけれども、これが昔からコスト割れの状態がかなりあったわけです。しかし、私どもこれ運賃改正をする都度コスト割れを直すべく努力してきているんですけれども、一遍に直しますと大変な倍率になるものですから一遍に直せない。そうしたことで、コスト割れの状況が残ってきたために、扱う現場の人は非常に手間暇がかかるということが現にわかっているものですから、ついつい悪いと知りながら取ってしまうということだったと思います。
  259. 松岡克由

    ○松岡克由君 向こうの言いぐさですから、それはそのとおり伺っておきますが、どう考えたってこんなばかな話はないんで、もうからなかったらもうかるように運賃の改正を頼む、一遍で上げられないというけれども、しかしそれをしなきゃいかぬと。この論理を通していくと、貧乏だから盗人しても構わぬじゃないかという、こういうことになってきますんで、非常に行為を正当化する理由には全くならぬ——もちろんなっているとはおっしゃっていませんがね。向こうの状態ならそういうことだろうと、こういうことなんですけれども。  それからおかしいと思うのは、この中の記事をいろいろ読んでみますと、全日本トラック協会がこういうことを言っているんですね。貨物の運賃が上下二〇%の幅の認可額となっていると。これは事実ですわね。だから小口のお客様に高い料金のしわ寄せをすることがよくないと言うんですね。これは理屈としてはそのとおりなんですが、こういうことを言うのがおかしいんでね。これは私が商人だったらおなじみ様というか、お得意をどっちかというと安くする、大事にする。ふりのお客というのは幅があれば高い方へ持っていくという、これが人情であるんだね。いい悪いではなくて、人間の業であるわけですね。これをかえって反論してくるような言い方をすると、何かかえって疑ぐりたくなるような部分が出てくるんですね。私は少しぐらいの金をとやこう言っているわけでなくて、各社ばらばらであるということがこれが大変問題であると、こう思うんですね。これは言いにくいんですよ、実際は。出てきたというのは、ずいぶんこれは根が深かったと思うんです。引っ越しなんというのは大概一回切りですからね。そう二度も三度も——いま夜逃げなんというのは余りなくなってきましたもんで、逃げられませんからね。そう引っ越しはしない。一回や二回なら、まあ仕方がないからがまんしちゃおうという、こういう感じが多いんですね。それだけにやっぱりこっちが注意を払ってやらなけりゃいけないという事実が目の前に迫っているわけですからね。  それから、まあ何というんですかね、これはぼくらの想像ですけれども、トラック運転なんてわりと荒っぽいですからね。またそう女性的では商売にならぬでしょう。ついついやっぱり向こうの語気に対してこっちが遠慮してしまうというのも想像できますしね。はっきり言ってどこからどこまでが幾らなんであるかと、たとえば運賃改正法の、やれ東京−岡山間がこれだけになったということももちろん大事だろうけれども、やっぱりこういうことも明記しておくとか、どこへ苦情を持っていったらどうなるんだという、私はこれすっきりさせるべきだと思うんですがね。各社ばらばらというこの状態、大臣いかがでございますか。
  260. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) いま局長が申し上げましたように、また松岡委員承知のように、トラックの運賃は確定運賃ではなくて幅があるわけでございますから、その間の変動はやむを得ないと。それからもう一つは、トラック事業者というのは非常に多いわけでございますが、本来どうも自由競争、自由契約で運送をするというふうな、むしろそういうふうな性質、と言えばちょっとおかしな言い方ですが、そういう面が非常にあるものですから、監督の面も限られた人間で徹底的にやるということは非常にむずかしい。また業者の指導もなかなか徹底しにくいというふうないろんな悩みがあるわけなんです。それらの中で、できる限りの努力をして、お客に迷惑をかけないようなきちんとした料金の収受ができるようにしたいと、こういうねらいでやっておるんですが、実情は松岡さんが御指摘のようなことが多々ありますので、今後も十分注意をいたしたいと思います。
  261. 松岡克由

    ○松岡克由君 今後も厳重に注意をするとかいうのは、前向きの姿勢で善処するという意味で、国民にはしないというような印象を与えるんですね。そんなような近ごろあれになっていますので、ひとつそういった語感を覆すように、運輸大臣みずから率先してひとつやっていただきたいと思うんです。  その状態はわかるんですけれどね、状態を理解していた日には質問なんぞしなくてもよくなっちまいますので、やっぱり一時タクシーの料金を大変高く取るんで問題になったときも一同じで、じゃ、あれをひとつ、確かに乗車を選択されたこっちはたまったもんじゃないと。しかし、規定料金があるわけですからね。それだったらもう料金取っ払って、全部話し合いでやるとするなら別ですけども、やはりそれをしてない現実なんですから、これは絶対にあってはいけないんで、こうこうこういう状態であるから間々あるだろうなんていうことで許されるべき問題では私はないと思います。絶対にいけないと思います。こんなもの許していた日には切りがありませんから、じゃあタクシーも許しちまえと、じゃあめんどうくさい、医者もそれでよろしいじゃないかと、どんどんエスカレートしたら世の中の規約などなくなっちまいますからね。状態として恐らくおっしゃったんだろうと思います。なろうことならおっしゃっていただきたくなかったような答弁でございました。断固としてやっぱり廃止をしてほしい、以後あってはいかぬ。——ちょっと待って。何か言いたいの。——はい、どうぞ。
  262. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) ちょっと一点、済みません。  先ほどは貨物屋さんの立場に立ってとおっしゃったので、私申し上げたので、私どもはそれを容認いたしておりません、もちろん。それで、弱い者いじめしちゃいけないということを私は強くそのとき言ったわけであります。大口荷主からは安く取ってくる、一見荷主から高く取るというのはこれは弱い者いじめである、これは法律以前の問題、道徳の問題として悪いということを言いまして、非常に厳しく征伐いたしました。したがって、路線トラックにつきましては、私はいまほとんどないということが言えると思います。今後も絶対なくなすように監督するつもりでございます。どうかその点だけ御了承いただきたいと思います。
  263. 松岡克由

    ○松岡克由君 君に言ったんじゃない。大臣に言ったんだから、君はそう立場心配しなくても大丈夫だよ。  昨年の特別監査によりまして運輸省から厳重に注意を受けた大手十社、これの各社別の違反件数とか内容を、どうなっているのか、これ公表してくれませんか。その十社の名前は挙がっているんですがね。十社が何をやったのかということをこちらへ提出していただけませんか。どうですか。
  264. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) では、後刻御提出させていただきます。
  265. 松岡克由

    ○松岡克由君 ですから、以後不正があったら、これはまあ制度——いろいろ罰則規定あるでしょうけれども、断固として営業をさせぬこと、営業を停止させるぐらいのひとつ気持ちでやってほしい。よろしゅうございますか。
  266. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 結構でございます。
  267. 松岡克由

    ○松岡克由君 では、以後こういった記事が出たり、苦情が来ないようなことを念じております。  話題はちょっと変わるんですけども、新聞でこれ見たんですけどもね、国鉄の武蔵野南線で、貨物列車による振動公害と言っていいんですかね、これが大変にひどいという記事を見、また私もその意見を聞いたんですが、その辺どうなっておりますか、ちょっと状況を手短かに説明してください。
  268. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) ことしの三月一日から、武蔵野南線と申しておりますけれども、府中本町−新鶴見間約二十五キロの延長でございますが、これを新しく鉄道建設公団が建設いたしまして、三月一日から国鉄が貨物列車の運転を開始いたしました。そこで、非常に多くの方々が振動が激しくて苦しんでいるというのが新聞記事に出ておりますが、この実態については私どもの方も地元の方々からそういう苦情が参っておりますので、いま、鉄道建設公団が建設したときに地元の方々といろんな接触がございましたので、鉄道建設公団と共同いたしましてその実態を調べ、また振動の大きさがどうであるかということをただいま調査をいたしております。
  269. 松岡克由

    ○松岡克由君 でも、この新聞、これは三月二十八日なんですがね、私のこの記事見たの。それで、ここへ大体答えが出てますよ。ぼくはこういった数字だけではわかりませんが、一秒当たり〇・六ミリメートルとか、それの二倍に当たる一・二ミリメートルに達したと。この振動は「横になっているとからだが浮く」ってんでね。これ穏やかじゃないですね。横になってて体が浮くって、酒飲んで体が宙に浮くならいいですけどね、これ、がたがたんとくるんですね。これ、こう答えが出てますがな。これどういうことなんですか。
  270. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) いまの数値につきましては、ただいまのところ調べたところでは、その新聞の記事にありますように、〇・六ミリとか、あるいは一・二ミリという数値のところが、貨物列車の列車の組成その他によっても違いますけれども、大体そのくらいの振動が出ております。そこで、体が浮くというような表現、それについては私もどうもちょっと理解がいたしかねますけれども、最近中央公害審議会が新幹線の振動の規制の目標値というのを出しておりますが、その目標値よりは若干高いところがあるということは理解をいたしております。
  271. 松岡克由

    ○松岡克由君 理解をしているのはいいんだけどね、その後どうなっているかということが、よくしようというのが質問の趣旨でありますので、いま調べておりますと答えておいて、いま理解しておりますという、ちょっとこの時間的な差というものを文句の一つも言いたくなるんですけどね。横になっていると体が浮くっていうのは、これは公害局の職員の方の発言であって、決して住民の発言ではないわけですね。だから、ある程度オーバーな表現ではないわけですね。したがって、これをどうするかということ。まる二カ月、足かけ三カ月かかっていて、まだそれに対して考慮中というこの程度のものなんですか、お役所仕事というものは。
  272. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) いまの振動の大きさについては、苦情が出ておりますのが約八十件——件数でございますけれども、八十件ほどの方々から、これは私の方でなくて、つくりました鉄道建設公団の方にいまその苦情が出ておりまして、それで、その振動の大きさについて個々の家ごとに測定をいたしておるというのがいま申し上げた測定中でございます。  そこで、これに対してどうするかにつきましては、振動はその地盤によりまして、あるいは場所によりまして非常にその対策がむずかしいというか、まちまちでございます。そこで方法としては、まずその音源というか、震源自体を小さくするというのがまず第一の考え方でございまして、震源がどうしても小さくならないところについては、それに関係する世帯の方々の移転を願うという方法があろうかと思います。ただ、このトンネルにつきましては非常にかぶりが浅いといいますか、平らなところにつくりましたトンネルでございまして、しかもローム層でございますので、非常に浅いところにつくりましたので、地上権の設定をいたして鉄道建設公団でトンネルをつくったという実態がございます。そういうものとかみ合わせまして処置をしていかなくちゃならぬというふうに考えております。
  273. 松岡克由

    ○松岡克由君 そうすると、がたがたうるさいと、うるさいからこれを直すのでなくて、まあ、いまのところは、がまんできない方は、住んでいる方の方で行ってもらうような方法で解決しようとしていると認識していてよろしゅうございますか。
  274. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) 両方の手段がございまして、それで、いま第一にまずやるべきことは、震源の方を小さくすることをまず考えまして、そして震源自体が小さくならなくてどうしても非常に大変だというところについては、そういう処置をいたすということを考えておるということでございます。
  275. 松岡克由

    ○松岡克由君 この問題——あとがいっぱいあるのであれですが、大体めどはどのくらいでつきますか、それだけ聞かしてください。
  276. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) 私の方でじかに補償の問題にはならないかと思います。これはつくりました鉄道建設公団の方で実は処置をするということになろうかと思います。
  277. 松岡克由

    ○松岡克由君 そっちの方は来ていらっしゃらないわけですか、責任がそちらの方へ流れていきましたけれども。いないのですね。——ああ、そうですね。  それでは、それはちょっと中途半端になりましたですけれども、早い期間にひとつ指示をして、協議をした上で、要するに解決を望むという意見ですから、指摘することが主ではありませんので、その結果をひとつ知らせていただきたいと、こう思っております。そして住民たちも納得するような、こちらの状態もせいぜい、PRという言葉を使ってもいいと思います。知らせてやってほしいと思います。  それから、聞くところによりますと、大蔵省が汐留の貨物駅ですね、昔なつかしい「汽笛一声新橋」の、あのあそこですわな。あれを売って大井の操車場に代替させる、これをやって少し金をつくったらどうだろうかというような意見が大蔵省から出ておりますわな。これは事実なんですか。
  278. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 先ほど来御説明しております国鉄再建対策要綱——昨年の十二月に閣議で決めていただきましたものの中に、運賃を上げるばかりではいけませんので資産処分、あるいは資産活用によって赤字の穴埋めをしなければならぬという対策も要綱の一つに入っております。そういうこととの関連で、大変目立つところにお値段の高い土地があいているじゃないかということで、そういうことを言われるのは無理もないわけでございますけれども、しかし、あそこは東京都の主要物資をまだ相当扱っております。新聞であるとか雑誌であるとか、どうしても都心でないといけないような荷物も扱っておりますし、それから青果物等も相当量まだ扱っておりますので、そう急に処分をしてしまうというわけにはなかなかいかないということが一つと、将来計画との関連で後でほぞをかむ心配がありますので、そういう意見が寄せられておりますけれども、まだそう簡単にはいかないというのが現在の私ども立場でございます。
  279. 松岡克由

    ○松岡克由君 そうすると、この売ったらどうだとかという私の意見、または大蔵省にもそういった動きがあるというのは迷惑千万ですか。これはありがたいと思いますか。
  280. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 国鉄再建のために皆さんがこういう知恵があるよ、ああいう知恵があるよということを寄せていただくという意味においてはありがたいと思うわけでございますが、具体的に汐留駅につきましては、将来計画をもう少し詰めてみなければいけませんし、また同時に、あれ全体を売るとか売らないとかでなくて、もう少し部分的に考える方法等いろいろありますので、内部でいろいろ検討いたしております。しかし、皆さんがそういう問題についていろいろな方のいろいろな意見を寄せていただくことについては、大変私どもの参考になることだと思っております。
  281. 松岡克由

    ○松岡克由君 検討しているという以上は、やっぱりそれが意識にあるということでしょうからね。私は、さっきも和田委員が言ったように、値上げすることはわれわれはわかる。しかし、一般——私みたいに大衆演芸というので、じかに同じサイクルで生活していないともたない芸をやっている人間にとっては、何を忌み、何を憂い、何に不満があるかというのは敏感にわかるんです。もっとも、そういったものを納得させるためにも、私はやっぱりそういった一つのPRと言ってもいいかもしれません、国鉄も思い切ってこういうことをやって赤字を埋める。ざっと計算すると千五百億ぐらいですか、そういった値段に単純計算して売れると、こういうような方法があったらどんどんやると同時に、私は財政の再建のために国鉄の所有地ですね、まあ総点検といいますかね、そういったものを必要ではないかというのを、ここばかりでなく次官会議——大変短い次官の間でしたけれども、その会議で運輸次官にも私は申し入れたこともあるのでございますけれども、ひとつその点を総裁、頭に入れていただいて、こういう意見があるのはありがたいというだけで通り過ぎるのでなくて、具体化してみたらどうなるかぐらいの、そのぐらいの計算できる余裕はあると思いますので、どうぞこの一点にかかわらず、この一点を含めて考えてやっていただきたい、その親切を真に受けてほしいと思います。いかがですか。
  282. 高木文雄

    説明員高木文雄君) かなり全国的にそういう角度で処分できるものはないかという検討をいたし、また現実にも売っておるものもあるわけでごいます。ただ、現在土地の値段、土地の流通がほとんどとまっておるような現状でございますので、ここはこのぐらいのお値段ならば売って財政再建に役立てたいと思っている具体的な物件がありましても、現在なかなか買い手がないとかなんとかいうこともありまして、思うようには進まないということでございまして、気持ちとしては、将来も使う当てのないものについてはどんどん売ってまいりたいというふうに考えております。
  283. 松岡克由

    ○松岡克由君 大蔵省も、ただふっと考えて、あそこを通りかかったらこんなのがあいているからこれ売ったらどうだろうという、それだけのことで私はこんなことを発表しているわけではないと思う。それなりのやっぱり大蔵省という、日本の金どころを預かっている連中が考えて発想したことですから、そして大井操車場に移したらどうだというのは私はやっぱりユニークな発想だと思うんで、こういうものをどんどんひとつ取り入れてやってほしい。そして大衆が納得するような方向にどんどんひとつ合理化を進めていってほしい。場合によっては、あの操車場なんか二階、三階にしたらどうなんだなんというぼくが発想したら、そんなものができるわけはないじゃないかというのを国鉄の方から聞いたんですけれども、できるこっちゃないじゃないかというところから物事というのは始まりますので、よもやと思うことが始まって今日まできたわけですから。まさかわれわれ電話ができる、テレビができるなんとは思わなかった、そう言っておりました年寄りもいますんですからね。まあ、その件はこのぐらいにしておきまして、もう時間もございません。  スト権の問題といいますか、国鉄ストの問題ですかね。大臣、言うまでもなく、総裁も、民主主義社会の原則は法の前に平等であれというのはそうなんですけれども、これは何も特定の団体であるがゆえに平然と法を踏みにじっていいということは全くないので、これは団体でも個人でも法を犯せば、大臣でも私でもしょっぴいていかれるのが、これがこの世の中のルールになっているわけでございますから、私は国労や動労がこれは特別に扱われるということは、そんなものはだれが考えたって、常識から考えてそんなものは特別になるわけはないんでございますけれども、しかし、それは堂々と法を踏み破られているというこの事実ですよ。これは全く考えると、昔のあの比叡山の坊主じゃないけれども、比叡山の坊主とさいの目と加茂の川の流れだけは変えられないと嘆いたという歴史的なあれがありますけれども、これ、どうなんですか、非常に手ぬるく感ずるんですけれどもね、われわれ大衆といたしましては。手ぬるくありませんか。これは甘い顔をしていると切りがない。いろんな思惑があるだろう、いろんな意見もあるだろうけれども、とりあえず非常にシンプルに考えて、法を犯したものはやっぱり処分せにゃいかぬという——どうなんですか、さしずめ先刻の春闘の処分、どうなっておりますか。
  284. 高木文雄

    説明員高木文雄君) これは違法ストでございますので、違法に対してはやはり厳粛な態度をもって臨まなければならないというふうに考えております。なるべく早い時期にいたさねばならぬと思いますが、いままでに比べて——大変いままでにおそく処分があったというような時期もございますが、そういうことになりませんように、十分の調査が終わりましたならば当然処分すべきものと考えております。
  285. 松岡克由

    ○松岡克由君 何か語気が弱いですね。せっかく処分せいと、こういう、質問というよりもあなたにとっては力強い意見ではないかとむしろ思うのに対して、どこが気に入らないんだか知らないけれども、ぼそぼそと処分すると言う。人間のやっぱり語感という、言葉の感じというものもありますからね。ばかに元気がなくなりましたね。座って時間が少したち過ぎたですか。もっとはっきりと、堂々と、何も、気持ちはしっかりしていると、恐らくそう言うでしょうけれども、過去を見ていましても評判悪いですよ。納得できませんです。やっぱり堂々と、こうこうこうなって処分したんだと。時間がたてばたつほど納得いかなくなりますからね。早い時期にぴしっと決めて、私はやっていただかなければ納得できませんですわな。こうこうこうやるんだということをもっとひとつこの席でぴしっと言えませんかね。
  286. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 私といたしましては、当然違法行為でございますから、違法行為に対してはその法治国家にふさわしい処分をいたすということでございまして、ただ時期については、いま現在のところどういうふうに調査その他が進んでいるか、私まだ報告を聞いておりませんので、ここで申し上げることはできないということでございます。
  287. 松岡克由

    ○松岡克由君 いまの労使双方見ていると、何かいまの総裁意見、答弁で象徴されるように、何だかわけのわからないうちにうやむやになり、またそれが続いていくような、非常にそんな感じがする。これは論理ももちろん絶対必要ですが、最終的には人間というのは感情に左右される。まして大衆というものはそこから盛り上がってくるものです。その大衆の感情を論理で納得させられるように処理をしてほしいと、こうつけ加えておきます。  最後に、成田空港の問題についてちょっと一、二点伺います。  過日視察に行ってみたんですけれども、大変条件はよく、というよりも本当に完備しているんですね。いつでももう油さえ、給油の問題さえ解決すればすぐにでも飛べるという、大変きれいになっている。で、あと要するに燃料問題なんですけれども、暫定輸送で鹿島ですか、人たちとの話し合いは大体ついているんですか、どうなっていますか。
  288. 中村大造

    政府委員(中村大造君) これは茨城県がいろいろと努力をしていただいておりまして、現在相当な程度まで詰めつつあるわけでございますので、できるだけ早く結論を出したいと思っています。
  289. 松岡克由

    ○松岡克由君 地元に迷惑をかけるということだけは事実ですからね、やっぱり。かかわり合いを持つんですから、地元の要求もある程度のまなきゃいけませんが、私はこの間の「むつ」、原子力船の。あのように、私の意見としてはちょっとごね得という感じがする。そういうことのないように、いろんな条件もいま読んでいますがね。いろいろ向こうなりの条件はわかるんですが、やっぱり第三者の目、客観的に見ると、ちょっと過ぎるという部分もなきにしもあらずで、その辺をひとつ、第三者がもうけさしちゃったなと思わないように、正当な評価をして私はやってほしいと思うんです。  一般に飛べないというイメージがあるんですね。で、私は行ってみる前に飛べないと言うんだね。滑走路はもうひびが入ってがさがさになっちゃってだめだと、こう言うんだね。それ一般の意見なんですね。行ってみたら、何、とんでもないこった。きれいなもんだ。あれはもう油さえ、要するに燃料の問題さえ片がつけばそのまま飛べる状態になっているのを私はもっとRPすべきじゃないかと思うんで、一言つけ加えておきます。  とにかく、私は何が必要だって、飛ばすことがいま必要でございますからね。どうなんですか、条件がそろっているんだ、飛べるんだということを見せるために、まあ全部地下輸送でやるんだと言い切った手前もあるでしょうけれども、ところが大阪なんかは事実タンクローリーでやっている。危ないという言い方をすれば、危ないことはいいことはないんだけれども、いまのガソリンの売り場に、スタンドにあれはもう車で運んであそこでもって販売している事実。あれよりもっともっと火のつきが悪い、極端に言えばあの油の中へマッチ入れても消えたという話があるくらい発火するという危険の少ないあの燃料を使っているんで、私は週に一遍でもテスト飛行というような形で、どうなんですか、そのタンクローリーで運んで飛ばしてみるなんというそういう発想が、いかがでございますか。
  290. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 実はこの燃料輸送と同時に鉄塔の問題がございます。鉄塔を除去いたしませんと、いまの成田空港には離発着ができない。やはり順序としては燃料問題を解決いたしまして、それから鉄塔の除去をしてそして飛ばすと、こういうことでございますので、やはり一日も早く燃料問題を解決したいと、近く公正な条件でこの問題も解決したいと思っております。
  291. 松岡克由

    ○松岡克由君 それで、鉄塔のあれは市長か何かの許可さえあれば、全部それがそろったとなればあれは撤回することを許すというのが来るわけですわね、聞くところによりますと。そのためには、いま言うとおり燃料輸送の約束が完了しなきゃいかぬということですね。いまのところの予定としてはいつごろになりますか。
  292. 中村大造

    政府委員(中村大造君) まだ明確にいつという日限を申し上げることはできないわけでございますけれども、燃料輸送については、先ほど申し上げましたようにできるだけ早く公正な条件の妥結を見て、しかる後に、そういう条件がそろいますと鉄塔を除去する条件がそろうと、こういうことでございますので、これもできるだけ早くやりたいと思っております。
  293. 松岡克由

    ○松岡克由君 大変抽象的な答えなんですけれどもね。もう私の記憶といいますか、私の判断ではそんなにいまそう抽象的に言わなくても、ある程度言える段階に来ているはずなんでございますね。ええ。ですから、もっとはっきりおっしゃっても構わない、もうちょっと正確に言ってもいいんじゃないですか。言えませんか。やっぱりその程度ですか。
  294. 中村大造

    政府委員(中村大造君) やはりこの燃料輸送について地元との了解というものがまず前提で、それから鉄塔の除去ということ。その地元との了解というのが非常にいいところまで来ておるわけですけれども、いま一歩というところでございます。それで明確な日限を申し上げられない、こういうことでございます。
  295. 松岡克由

    ○松岡克由君 うん、わかります、いろんな状態がね。ですんで、そのあいまいもことしたお答えで結構でございます。しかし、そのニュアンスとしては、非常に私はいいところへ来ていると思いますんで、どうぞひとつ上手に、あるときはなだめ、あるときは強硬にやりながら、一日も早くやっぱり国際的な利益のためにも、外国の乗り入れ、いろんな国際収支の利益のためにもどうぞひとつ、われわれも応援をしたいと思いますんで、成田空港を放っちゃっとくと一日三千万の赤字というのは、それはロッキードの問題も大変な問題かもしれませんが、これも国民的なやっぱり問題でございますんで、大臣、ひとつ一丸となって空港開港に力を注いでほしいと、無所属松岡議員の立場から、ひとつ強く押して質問を終わりたいと思います。
  296. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  297. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) この際、派遣委員の報告に関する件についてお諮りいたします。  当委員会といたしましては、本年一月、運輸事情等に関する実情調査のため、四国地方及び九州地方にそれぞれ委員を派遣し、実情調査してまいりましたが、その口頭報告を省略し、便宜、これを本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  298. 上林繁次郎

    委員長上林繁次郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十分散会      —————・—————