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1976-07-13 第77回国会 参議院 ロッキード問題に関する調査特別委員会 閉会後第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年七月十三日(火曜日)    午前十時五十分開会     —————————————    委員異動  七月九日     辞任         補欠選任      上田耕一郎君     内藤  功君  七月十二日     辞任         補欠選任      玉置 和郎君     戸塚 進也君      瀬谷 英行君     小谷  守君      市川 房枝君     青島 幸男君  七月十三日     辞任         補欠選任      藤原 房雄君     峯山 昭範君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         剱木 亨弘君     理 事                 岡本  悟君                 林田悠紀夫君                 矢田部 理君                 黒柳  明君                 橋本  敦君                 柄谷 道一君     委 員                 石破 二朗君                 岡田  広君                 亀井 久興君                久次米健太郎君                 戸塚 進也君                 秦野  章君                 宮崎 正雄君                 上田  哲君                 小谷  守君                 対馬 孝且君                 野田  哲君                 秦   豊君                 峯山 昭範君                 内藤  功君                 青島 幸男君    国務大臣        法 務 大 臣  稻葉  修君        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       井出一太郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  坂田 道太君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        内閣法制局長官  真田 秀夫君        国防会議事務局        長        内海  倫君        防衛庁防衛局長  丸山  昂君        防衛庁装備局長  江口 裕通君        法務省刑事局長  安原 美穂君        国税庁税部長  谷口  昇君        国税庁調査査察        部長       系  光家君        通商産業省貿易        局長       岸田 文武君        自治省行政局選        挙部政治資金課        長        前田 正恒君        会計検査院事務        総局第二局長   高橋 保司君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○ロッキード問題に関する調査  (ロッキード問題に関する件)     —————————————
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまからロッキード問題に関する調査特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十二日、瀬谷英行君、市川房枝君及び玉置和郎君が委員辞任され、その補欠として小谷守君、青島幸男君及び戸塚進也君が、また本日、藤原房雄君が委員辞任され、その補欠として峯山昭範君が、それぞれ選任されました。     —————————————
  3. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 次に、委員異動に伴い理事が一名欠けておりますので、この際、理事補欠選任を行います。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事矢田部理君を指名いたします。     —————————————
  5. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ロッキード問題に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 上田哲

    上田哲君 法務大臣にお伺いをいたします。  われわれは野党四党の国対委員長会議を開きまして、この特別委員会証人が呼べないという状況について厳しい分析と態度協議をいたしました。私どもは、そのことに対して、証人が呼べないという事態を大変残念に思っているわけであります。一日も早く国政調査権発動として証人喚問証人尋問ということが行われるように強く要求をするものでありますが、同時に、法務大臣地方遊説の中で、はなはだ黙過しがたい発言をされたということについて、私どもは重視をいたしております。  伝えられるところでは、与党のみならず野党側にも疑いがあるという趣旨の発言をされたというふうに承っております。もしこれが事実とすれば、はなはだ許しがたい暴言であります。真意を伺いたいと思います。
  7. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 伝えられておるということですから私もがまんしますけれども、それが新聞の書いたとおりだとおっしゃるんでしたら、私は聞き逃しがたいんです。
  8. 上田哲

    上田哲君 ですから、私どもは単なる風聞報道だけではこの場で議論することはできないと思うので、申し上げた言葉のとおりですね、伝えられるごとくであるならばこれは公党としても許しがたいことであると、したがって真意を、どのようなお話をされたのか、その真意は何であったかを、まず明確にしていただきたい。
  9. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 書いてあることが事実であれば、それはこんなふうに書いてあるけれども真意はこうだと、こうなりますが、書いてあることが事実にないものですから、真意と言われてもね、言わないことを書いてあるのに、その真意を問うったって、真意の言いようがないですな。
  10. 上田哲

    上田哲君 どうも私も、新聞報道で紙をかざしてここでやるということは好ましいことと思わぬのでありますけれども、書いてあることをはっきりしなければというようなお話になるので、そういう形をとらざるを得ぬのです。  どの新聞でも書いてあることでありますけれども、特にこんなに大きく「また言っちゃった」なんていうのはですな、はなはだここで使う言葉としては不謹慎なんですが、そういう見出しが出ているように、稻葉ラッパがさえわたると、こういう感じ。これは一つ報道にとどまらないわけであります。で、伝えられている活字では、衆参与野党と、こういうことになっておりまして、これはやはりそういう言葉を使いながら——与党にということは私どもの関与するところでありませんけれども、少なくとも政府高官と言われて今日まで大きな疑惑の的をしぼってきたのは、ひとしく常識的なところであったはずであります。政府高官というのは野党にはないのでありまして、この野党という言葉言葉の関連としても出てくるということになれば、この真意は明らかにしていただかなければならぬと、こういうふうに考えるわけであります。
  11. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 政府高官という言葉日本語の訳ですけれども、ガバメントオフィシャルズというのですから必ずしも高官——しかし、この言葉の中、この意味は、前から言っているように、私は政府の役員、広く議会関係者も入るのではないかと、こう言うてきているわけです。議会関係者ということになると与野党は入るわけです。それで、私の演説内容は二、三十分のところですから、それ全部言うわけにいきませんけれども、あなたの御質問になっているようなくだりを言うならば、こういう事件は決して愉快な事件じゃありません。したがって、喜んでやっているわけじゃありません。それなのに、演説に来ると、時の人だとかなんとか言うのははなはだ私心外だと。仲間うちから関係者が出るかもしれぬ、出かねない、そういう事件について責任者として喜んでやっているとか、はしゃいでやっているとか言われるのは心外なんです。しかし職務ですからしっかりやらなければいかぬなと、こういうふうに言うてあるだけの話です。それが仲間うちからと言ったのが宇和島の演説。その明くる日、仲間うちというと何だかこう差しさわりのあるような状態になっているなと言うから、仲間うちというと、聞いた人がそういう注意をしてくれましたから、ああそうかと思って、仲間うちというのは同僚という意味ですと、同僚ということになると私も国会議員ですから、与野党を問わず国会議員、こういう意味与野党と、こうなったんで、それを、新聞を見ると、与野党から逮捕者の出ることを示唆したとか、与野党からも逮捕者——あ、野党からも逮捕者か、こういうふうに書かれるのは、私言っていないことを書いてあるんだから、それはいかぬじゃないですか。もしおしかりを受けるなら私でなくて、向こうの方です。(笑声) ○上田哲真意をただしているわけでありますから、この際明確にしておきます。  前の日に同僚という言葉が出たので、この同僚という言葉は常識的には与党側ということになるということだけではいかぬというので、政府高官という言葉解釈として与野党という言葉を使われたのであって、それは野党を指しているのではないということでよろしいですか。
  12. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 前の日は、全与党とも言ってない、与党全部とも言ってないですね。仲間うちというと、いかにもあれでしょう、いまぐあい悪いでしょう、それだから与野党を問わず同僚という意味で、私も国会議員ですから、同僚ということになれば衆参両院与野党を問わず同僚でございます。仲間うちということになる。
  13. 上田哲

    上田哲君 野党を指したものではないんですね。
  14. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) ないんです。特に野党を指したものではありません。
  15. 上田哲

    上田哲君 野党を指したものではないと明確にお答えでありますから、その部分真意として受け取ります。  問題は、野党を指したものではない、にもかかわらず、語句解釈としても、あるいは一般的な言い方としても、この際そういう表現を用いられることは、あなたが法務大臣であるために一定意味を持ってくるわけであります。いまわれわれは証人喚問も拒否されてできないような非常にデリケートな重要な段階になっているときに、法制上は指揮権をお持ちでありまして、その法務大臣が、そういういろいろな意味に受け取れるような語句解釈としても意見をお出しになることは、そういう憶測を生む理由になるのであります。私は公党を代表して申し上げているわけでありますが、先ほど申し上げたように、政府高官解釈というものが野党にも広がるものであるというふうな理解にはわれわれは立ちません。しかし、そういう御解釈で、いかにもそうであるかのごとく、あるいはないかのごとく、あいまいな言葉を用いられることは適当でありません。具体的にはです、具体的に氏名をお持ちになっておられるのであれば、その氏名を腹に持ちながらそのようなあいまいな表現をされるということであれば、これは逆指揮権というような形で法相の立場が責められるべきものでありますし、あるいはそのような氏名をお持ちにならずに、一般的にこういうことを表現されるということになれば、一般的にこの真相究明段階野党にもそうした疑いをかけるという世論運動ということにもなるわけであります。そのどちらの側から言ってもこういう表現は非常に私どもは慎重であっていただかなければならぬと思うのであります。その立場です。これはそうした政治的意図に基づくものではない、野党を指したものではない、逆指揮権立場もない、この立場についてしっかり御回答をいただきたいと思います。
  16. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 私は、具体的な人を知っておって、そうして知らぬような顔して一般論を言うているというのではないんです。私、みな任してあるんですから、本当に何もほとんど知らないですから、これからどういう捜査の進め方にいっていくのか。政府関係者、これはしかし政府の役人だけじゃないんでしょう、あの意味は。やっぱり議会関係者も入るんじゃないでしょうかね。私、そう言って前に答弁して、ずっとそのつもりで来ていますがな。ですから、演説をお聞きになるとわかる——演説ということでないですけれども、私は演説はあんまりできませんからね。話の大筋をずっとよく聞いてくだされば誤解はないはずです。言動を慎めと言われれば、非常に言動を慎んでやっているでしょう。非常に気をつけてやっているんです。それがあんなふうに書かれるというのは全く心外だ。いかに新聞社競争というか、何というか、過当競争というのか、あそこまでぼくのあれをひん曲げて売り込み運動をやらなくてもよさそうなもんだ、このくらいに思うんです。ですから誤解のないように。私にいい弁明機会を与えていただきまして感謝にたえないです。(笑声
  17. 上田哲

    上田哲君 法務大臣ね、まあマスコミの批判というのは、この際私どもにとっては無縁のことでありますし、またこれは別な意味を持ちますから控えることとしたいと思うんですよ。そうじゃなくて、まあ弁明機会を与えられたとおっしゃるんだが、いまのお話を聞いていると、また奇妙な解釈というのが出てくる余地があると思うんですよ。私はほとんど知らないんだとおっしゃる。ほとんど知らないんだということは、裏返して言うと、ちょっとは知っているということになるわけですから、そのちょっとというところを振りかざされているように国民に受け取らしてしまうという発言は、これは非常に問題だと思うんであります。  だから、そうなれば伺いたいのでありますけれども、たとえばけさも檜山会長逮捕されたようでありますけれども、たとえばそういう際ですね。その逮捕権発動というんですか、逮捕令状の執行というんですか、そういう段階には法務大臣はどれぐらい前に御連絡を受けるんですか。
  18. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 法務大臣に対しましては、本件に関しましては特に重要なステップステップを踏む場合には前もって御報告を申し上げております。
  19. 上田哲

    上田哲君 余り細かいことを伺うつもりは私はありません。ありませんが、まあ私どもは、たとえば俗に言われる三ルート一つルートである丸紅の最高責任者、いまはまあ前であっても、最高責任者であることはこの事件についても変わりないと思いますけれども、そういう人の逮捕というのは、重要なステップと言われる重要なステップに入ると思うんです。まあ言い得ないことは構いませんよ。言い得ないようなことは構いませんけれども、これはやはり事前報告をされていることだと思うんですが。
  20. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 具体的には、本日の檜山会長逮捕についても前もって申しておりますし、伊藤宏についても申しております。というようなことから重要なステップとは何であるかを御推察いただきたいと思います。
  21. 上田哲

    上田哲君 推察をいたします。  そうすると、いま問題になっている、先ほどから二、三回お言葉に出ております議会関係者というようなものも重要なステップだと私は推察せざるを得ないんです。それならば、当然、事前に何かがあるならば、そういうことは報告をされるべきだと思うんです。いまそういう報告を受けておられますか。
  22. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 受けておりません。
  23. 上田哲

    上田哲君 受けておられないということになれば、その議会関係者であるとか、あるいは与野党であるとか、そういう言葉は全く裏づけがない、予備知識報告はないと、そういう中できわめて一般的に述べられたことにすぎないのだということですね。そのことをひとつ確認していただきたいことと、そうであれば、やはりこういうことはみだりに発言されることは一定政治的意味を持つ、私は慎んでいただくべきだと思うんです。
  24. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) まあ、一般的に申したことであります、最初。  そういう発言は慎めということでございますが、私言うのはね、いかにもよく親しい友だちや何かでやゆされて、議会答弁などでロッキード問題大変なんだろう、しかしあなたは幾らか楽しんでやっているようだなということを言う人がありますからね、それで、地方へ行ったときには、そんなもんじゃないんです、真剣なんですと、大体この仲間うちからもどうなることかわからないような事件法務大臣としてしょわせられているんですから、いやなことなんですと、けれども職務だから真相究明のためには徹底的にやらなきゃならぬと思って覚悟してやっているんでございますよと、それを強調する過程において、議会関係者にも関係人が出てくるおそれのある事件でございますもの、決して愉快なわけはないじゃないですか、こういうことなんですから真意を御了察願いたいと思いますね。
  25. 上田哲

    上田哲君 その前段の部分ですね、全力を尽くして真相究明に当たるということについては、むしろ私たちは御激励を申し上げたいわけです。私も社会党のロッキード問題の委員長という立場がありますので、党を負うていま御質問申し上げ、真意をただしているわけでありますが、その立場で言えば、捜査当局あるいは法務大臣が、これは私心を捨ててこの真相究明国民的課題全力を尽くしていただくということについては、これは私たちは大いに激励を申し上げる以外の何ものでもないのです。そういう努力がストレートに真っすぐに進むのは歓迎するところでありますけれども、これが政治的に利用されるということは絶対にあってはならない。野党職務権限を持つはずもない、ロッキード問題にかかわりようのないものが、何かそこで適当に拡大をされて、まあ何というんでしょうか、俗に言われれば相打ちというような形をつくり上げられるというようなことに対しては、そうした風聞についても含めてわれわれは強い決意でこれと闘うということを表明せざるを得ません。非常に捜査が長期にわたるために御苦労もあることをよく理解をいたしますけれども、さまざまな風説が乱れ飛んで、その風説を肯定するがごとき印象を与えるような発言当局者から飛び交うようなことがあってはならない。御苦労はよくわかりますよ。御苦労はよくわかりますから、そのことをひとつ峻別していただきたいということを重ねて申し上げます。
  26. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) この事件につきまして特に私の心がけとして、厳正公平、不偏不党かつ冷静沈着でなけりゃいかぬ、真相究明を見失わないように、そういう立場でございますから、何か俗にいう相打ちをねらうというようなさもしい考えは全然ありません。御信頼いただきたいと思いますね、その点は。したがって、そういうふうに疑われるおそれがあるような行動はするなと、こういう御忠告には頭を下げて今後注意しますがね、そういう心がけは持っているんです。だから李下に冠を正さずと、すなわちアメリカの資料を見たら何か不偏不党でないことになりそうだと疑われることすらも困るから、見ないでそのまま渡して、しっかりやってもらいたいと、こうやっているような態度をとったことでも、いかに不偏不党、厳正公平、法務大臣という立場で、自民党員というそういう党利みたいなことから離れて、これは疑いを持たれないようにやらなければいかぬという行動をとっておりますのも、その私の真意のあらわれと思っていただいて、今度のことについてはそういうことを私が考えているのでないと、こういうふうに御信頼いただきたいと思うんです。
  27. 上田哲

    上田哲君 野党をねらったものではないと。
  28. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) そうです。
  29. 上田哲

    上田哲君 それでは次の問題に移ります。  防衛庁長官に伺いたいと思います。七月の八日に日米防衛協力委員会なるものが発足をいたしました。この軍事的な意味ということになりますと、非常に安保体制上の大きな時限を画したものだと言えるものだと私は理解をいたしますが、そうした問題についての議論は別な委員会でやるべきだと思いますので、そのことをあえて省略をして、しぼって伺いたい。きわめて数点にしぼって、時間の関係がありますから、この際ただしておきたいと思うんでありますが、この日米協力小委員会主要テーマといいましょうか、ねらいの中には、当然、に対潜哨戒、PXLという問題が位置づけられていると私は思うわけであります。まず、その点はいかがですか。
  30. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) これは、上田先生御案内のとおりに、日米防衛協力は、有事の際における日米間の協力をどうするかということが、いままで条約はあるけれども話し合いがされておらなかったと、そのことにつきまして、やはりこういう大事な問題については何らかの機関を設けてそして話し合う、研究協議をするということが大切だということでございまして、いま問題になっております対潜哨戒機の選定その他というようなことは、これはわが方が考えることでございまして、日米防衛協力と直接かかわりある問題ではございません。しかし、一般的に申しますならば、日本防衛上、対潜力の向上ということは海洋国として、また資源の大部分を諸外国に仰いでおるわが国といたしましては常に考えていかなきゃならない問題でございます。そういうことでございます。
  31. 上田哲

    上田哲君 日米安保協議委員会の枠内に設定されているわけでありますけれどもアメリカ側の意向というのは、当事者という、最高責任者というのは国防長官でありますから、シュレジンジャー国防長官、それから今日のラムズフェルド国防長官、その長官交代によってこの日米安保協議委員会の中に設定される小委員会役割りというものは一貫していると思うんですが、それでよろしいですか。
  32. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) これは、シュレジンジャー長官がやめまして、ラムズフェルド国防長官になりまして、その後私のところに、シュレジンジャーとあなたと話し合いになりましたことを踏襲しますという意味の手紙が参っておりますから、踏襲するものと確信をいたしております。
  33. 上田哲

    上田哲君 シュレジソジャー、ラムズフェルド、当然同じ考えの中で行われていると、もう一つ奥に、あるいはもう一つ高く、これは去年の八月六日の三木フォード会談共同新聞発表の中に明記されておりますね。それが根拠といいましょうか、合意となってここまで来たと、こういう経過でありますね。
  34. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) そもそもこの話が持ち上がり、そしてとにかく日米防衛協力をやらなきゃならないというふうに決意をいたしましたのはそれ以前の問題でございまして、上田先生御提起の問題から、私はやはりなるほどそういうふうに考えるべきものであると、かねがね私思っておりましたので。しかし、その前にシュレジンジャーとの会談をやりたいと思っておったということは、しばしばその当時の国会におきましても言明をいたしておったわけですが、たまたまその際、シュレンジンジャーと私が会談する以前に三木フォード会談が行われた、そういうことは事実でございます。
  35. 上田哲

    上田哲君 いまのお話のとおりだと思うんです。そうした問題が出てきたのはその前にさかのぼる。昨年の春の段階、三月、四月の段階、これは四月の二日に当院のこの予算委員会の席上で、長官は「わが国周辺海域防衛構想を立てる上で、米海軍第七艦隊による全般的制海前提として日米間の作戦協力のための何らかの分担取り決めが必要であると防衛庁考えておる」と、こういう御発言になっている。まあ海域分担か何かという言葉があるかないかという議論になったくだりですけれども、その言葉にはもちろんこだわりませんが、いずれにしても、わが国周辺海域防衛構想を立てる上で、第七艦隊による全般的制海権前提としての日米間の作戦協力のための機関をつくるんだということは、この四月段階から長官のお言葉の中に出ているわけですね。で、これも基本的な日米安保体制といいましょうか、そういう体制の中から発想されてくるものであり、これを受けて八月六日の日米首脳会談発表文にもなり、そしてすぐその後、八月六日のすぐ後に、シュレジンジャーは八月の二十八日に日本に来られて長官とそういう合意をされておる。で、いまのお話のように、ラムズフェルドも一貫してその趣旨を受け継いで七月八日の小委員会の発足になったと、こういうふうに真っすぐ一本になるわけです。  そうすると、その中の考え方というのは、シュレジンジャー長官が一番明確に——この八月六日の三木・フォード共同新聞発表というのはほんの数行でありますから、それを受けて、それから三週間後に長官国防長官がお会いになって話をされた。そのときにシュレジンジャー長官が明確に言っているのは、対潜哨戒と、海だと、対潜哨戒が中心だということを言っておられるわけです。先ほどからのことで一貫しているわけですから、この小委員会は当然その対潜哨戒を中心に置くことになると思うんですが……。
  36. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) いや、そうじゃなくて、日米防衛協力というのは安保条約第五条についてどうするかと、日米協力関係をどうするかということ、有事の際に。それについて何にも政府レベルでの話し合いがなされていないというのはおかしいということでございます。で、対潜哨戒機の問題云々をおっしゃいますけれども、これはたびたび、私、この国会でも申し上げましたように、対潜哨戒機云々の問題は、先ほど私が触れましたように、私自身からシュレジンジャー長官に、八月の二十九日に、日本防衛上必要なことなんだと、資源の大部分を他国から得てそして経済発展を考えておる日本、しかも平和外交をしておる日本、四海海に囲まれておる日本としては当然のことながら対潜能力を高めていかなきゃいかぬと思っておると。しかし四次防の達成率等から考えても——その当時まだ四次防の最終的な結論は出ておりませんでしたけれども、予想から考えましても、陸海空、やはり艦艇その他がおくれておる、海の方がおくれておるという事情を私説明をいたしました。それにつきまして向こうから、対潜哨戒日本側がそういうふうに自衛のために努力するということについてわれわれは理解を持つと、こういうことを言ったにすぎないわけでございまして、わが国防衛のために対潜哨戒能力を高めていくということが必要なんだというのが私とシュレジンジャー会談の内容でございますから、これはもう繰り返し申し上げておりますけれども、そういうふうに御理解を賜りたいというふうに思うわけでございます。
  37. 上田哲

    上田哲君 それはちょっと理解できないのです。もともと、長官の発想は発想でよくわかりますけれども、それもこれまでの長い流れと離れたとっぴな発想だったはずはないのでありまして、そういう中で言えば、資源の問題が提起され、そして海域分担ということになり、海域分担が機能分担ということになり、それが防衛分担という言葉になり、八月六日の日米会談では防衛協力という言葉に変わったという経過は明らかであります。ですから、機能分担というのは何なのか、防衛分担は何なのか、海域分担は何なのかということはここではやりませんけれども、はっきりしていることは、日米という両方があって成り立つものであることは明らかなんですね。片っ方だけだったらあり得ないことなんであります。これはこの場合の一貫して変わらないところのポイントです。そこで、どちらが何を言ったかということであれば、いまおっしゃるように、私の方から、つまり日本の方から、坂田長官の方から、対潜能力というのを強めなきゃならないのだと、こういうふうにおっしゃったというのはそれでいいです。  しかし、たとえばシュレジンジャー日本に参りましたときに、両方の言葉はここでぴったり一致しているわけであります。たとえば、あなたと御一緒にシュレジンジャー長官は共同の会見もなすっておられて、その中で、一緒に会見されてお話しになった中で——いや、御存じなければ、日米防衛会談、両長官の会見がちゃんとありますからね、これは御記憶にあると思うんでありますけれども。その中で、シュレジンジャー長官は、「兵たんの面、弾薬、補給品、老朽装備が問題だ。数年間をかけて兵たんの基礎をつくり、また特に対潜、防空能力を質的に改善することが必要だ。」と、こういう講演をされている。あなたは——ここに写真も出ているんですが、一緒にお並びになっていらっしゃる、同じことを言っていらっしゃる。あなたの発想も発言シュレジンジャー長官の発想も発言も同じであって、だからここに合意ができたというのは、これは明々白々なことでありまして、海域分担以来ずうっと来ている日米協力のポイントがここにあるということは、これは私は明らかだと思うんです。さっきもお話しになった四月二日の考え方もこのとおりの上に乗っているわけだし、それから、人づての話ではありません、去年の十月に私たち社会党が十八年ぶりの訪米使節団を編成いたしまして、私はその副団長として参りましたけれども、そこで当時現職のシュレジンジャー国防長官と複数で面談をいたしまして議論をいたしましたときにも、対潜哨戒能力の強化、これが日米安保の最大課題であるということを明言をされているわけであります。  そういうことからしますと、対潜能力の強化というのは、これは日米間のいまや中心課題であって、防衛協力委員会にこの問題が中心にならなくなったということであると、これまでの方針は変わることになるのです。私は当然その精神は、先ほど来の御説明から言っても、そのまま生きていると思うんですが、ここで変わったということですか。
  38. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) よく私の話を聞いていただきたいと思うんですけれども、まず第一に、四月の段階海域分担をわれわれが考えておったということをおっしゃいますけれども、それはございません。まずそれでございます。  それからもう一つは、シュレジンジャー長官と共同会見をしたとおっしゃいますけれども、その事実もございません。私は私で会見をいたしましたし、シュレジンジャー長官シュレジンジャー長官で会見をいたしました。そういうことでございます。  それから、この日米防衛協力の問題で機種選定の問題なんていうのを考えるものではございません。これはわが国考えなければならない問題でございます。しかし、一般的な対潜能力の問題あるいはいろいろの協力の問題等については、これはあると思いますけれども、いま問題になっておる次期対潜機をどうするかなんというふうなことをあの防衛協力委員会考えるなんということじゃないということだけは明確にしておかなきゃいかぬものと私ども考えます。
  39. 上田哲

    上田哲君 長官一つ訂正します。共同会見で並んでいるというのは、私が間違えました。同じ日に——この会談の後ですね。同じ日に同時刻ごろ、もっと申し上げれば、二十九日の午後五時半ごろ、その同じ時間に、向こうは帝国ホテルですけれども、やったということなんで、並んでやったというのはほかの場面の間違いですから、これは私が訂正します。しかし、会談が行われて、その直後に双方が同じような時間に同じようなことをおっしゃっているということはこれはまた事実なんですね。  ですからね、私は言葉じりなんかとらえておりませんよ。海域分担かどうかという議論はしていないんです。少なくともそれが議論になったことだけは確かですよ。機能分担というのはそちらがお出しになった言葉なんです。こちらはそんな発明はできませんからね。それが、機能分担が防衛分担という言葉になったのもそちらの言葉でありましたね、丸山さん。そして防衛協力という言葉になったと。だから、そのことをいまここでは問題にはしないと言っているんです。しかし、それらを通じて言えることは、日米のいまで言う防衛協力ということになっているわけであって、この中心のテーマを今日の軍事問題の中心として——この日米委員会というのが軍事問題を全然別にして開かれることになったとおっしゃるならこれは別ですけれども、軍事面というのをやっぱり主軸の一つに据えるのである以上、これは海の問題、その防衛協力の問題、作戦協力の問題、そちらで出されている言葉、説明されている言葉でも、「緊急時における自衛隊と米軍との間の整合のとれた共同対処行動を確保するために取るべき措置に関する指針」づくりというんですから、これは軍事問題を全部しませんということにはならないわけですよ。そうだとすれば、ここでどうしたって海の問題、その日米の軍事協力の問題ということが議題にならないわけはない、中心にならないわけはないでしょう。これは専門家からお答えいただいた方がいい。
  40. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) お答え申し上げます。  今度新たに設置をされました日米防衛協力委員会におきまして、有事の際におきます日米の整合のとれた共同作戦行動のためにとるべき措置に関する指針というのが主要な題目になると。で、そこで具体的に対潜作戦、ASWが主要なテーマになるのではないかという先生の御質問でございますが、私どもはそうなるというふうに考えております。先ほど大臣が申し上げましたのは、PXLの機種選定のようなものがここで議題になるかというと、それは日本わが国防衛力整備固有の問題であるので、ここでは議題にならないということを申し上げておるのでございまして、先生御指摘のように、主要なテーマになることは間違いないというふうに思います。
  41. 上田哲

    上田哲君 わかりました。誤解があれば、そこのところはすぐ解けることです。機種選定を相談するとはあえて言いませんけれども、対潜哨戒能力ということになれば対潜哨戒機の問題になるわけで、その対潜哨戒機の問題ということになればこれはP3Cしかないということに具体的に現実的にならざるを得ないと思いますが、いかがですか。
  42. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 現在ございます第一線に配備をされまして現実に動いておりますのはP3C、それからイギリスその他に若干ございますけれども、性能的に見てP3Cが一番すぐれているというふうに判断をいたしておりますが、ただ問題は、わが国の国土に適した新たなPXLを開発をするか、あるいはそれを整備をしてまいるという問題に関連をいたしまして、かねがね申し上げてございますように、国産、それからP3Cの導入、それからそれの折衷的な考え方、こういった問題、いろいろな観点から、ただいま私どもポスト四次防の問題に絡んで技術的に検討を進めておる段階であると、こういうことでございます。
  43. 上田哲

    上田哲君 安保協議委員会が開かれて、そこでいっこの小委員会をつくるかというのは、これはたとえばずいぶんおくれてますね、防衛庁の方の計画からすれば。しかし、極端に言えば、もっとおくれたからといって決定的にどうなるわけではない、まあ言葉ですけれども、ここまでおくれてしまったんですから。いつやるかということはそういう時間の問題だけではなくて、一言で言うならば、日米共同体制というのをどこでどうするかということにかかるわけですね。これは一つにはやっぱりPXLの問題というのがなければおかしいわけですね。これは常識の問題ですよ。それで、もう一つの常識は、言葉じりではなくて、言葉の言い回しではなくて、P3C以外はないじゃないですか。一体ほかに何かあるのかということを、これはあるなら示していただきたいけれども、そこにいくでしょう。勧めているわけじゃないんですよ、そうするしかないじゃないかという事実を聞いているわけです。
  44. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 私ども現在、御案内のように、P2Jを保有をいたしまして、これが主力の固定翼対潜機になっておるわけでございますけれども、これの減勢に対応してPXLを考えなければならないということで、配備の時期等から勘案をいたしまして、国内の開発で間に合うものであるならばそれでまいりたいと、また、その開発の見通しが相当先になるようであるならば、つなぎに外国機の導入も検討しなければならないではないかということでございまして、現在、先ほど申し上げましたように、いま、ただいますぐ間に合うものを入れて体制を整えるということであれば、御指摘のように一番優秀なものはP3C以外にはないというふうに言えると思いますけれども、最初に申し上げましたように、将来の、つまりP2Jの減勢に対応した次の段階の主力固定翼対潜機というものをどういう形で整備していくかということにつきましては、ただいま私どもは検討を進めておる段階であるということでございまして、それ以上のお答えはちょっといまの段階ではむずかしいんではないかというふうに思います。
  45. 上田哲

    上田哲君 よくわかりませんね。つまり、有事の際の共同作戦の検討になるわけですよ。作戦になるわけですね。そうですね。そうなってきて、中心が海であるというのは、これは別に日米間だけじゃなくて、明らかにこれはもう世界軍事戦略の常識になっているわけです。いわんや海に囲まれている日本、そしてアメリカと。そこでわざわざ安保条約の中でこういうものをつくるとなって、具体的に話が進まないというはずはないわけです。そうなれば、これはP3Cということを置かなければ議論はできないはずだと。混同してもらっちゃ困るから——たちはP3Cを勧めているんでもなければ、そのことの必要があるかないかという議論は別なんですよ。実態はそうなっている以外には考えられないではないかと。しかし、何万分の一かの可能性としてそうでないということも言えるんだみたいな話をされていると、何でこんな小委員会をつくったのかというところに戻らざるを得ないことになるんです。それしかないはずだということを事実としてやっぱりお考えにならなければ……。  特にこのP3Cは、問題はボディーなんかどうでもいいというような長いこの議論が出てきました。これはどこでもできると、問題は電子機器だと。しかし、電子機器だって、数量的にこれは言えないんだけれども、一〇%とか一五%とかといういわゆるソフトウエア、ブラックボックスの分は、これはペンタゴンですよね。日本に来るわけないでしょう。共同作戦ということをすり合わせることになれば、このすり合わせのためには、どうしたってそこのところを向こうに置いて、一〇%、一五%ソフトウエアを向こうに置いて、そこで共同体制を組まなければならない。それはP3Cが一番好都合であると。そしてこの防衛協力委員会というのはそういうところに入っていこうとしたんだということになるのは当然の常識じゃありませんか。
  46. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) アメリカの側から考えますれば、互換性、それからいわゆるデータリンクによりまして情報の伝達が容易にできるというような趣旨からいたしまして、同一の機種を日本が配備するということは、それだけいろいろな面において便利な点があるかと思います。しかしながら、わが国の場合、先ほどから申し上げておりますように、PXL−P2Jの後継機であるPXLをどのような形で開発をし、これを装備するかということは、現在まだはっきり方針が決まっておらないわけでございます。で、日米防衛協力委員会が発足をいたしましても、アメリカとしては、わが国わが国の独自の判断で防衛力の整備を行うことについて、何ら直接アメリカが干渉がましいことを言うわけではございませんで、わが国の持つ防衛力というものを評価して、それとの共同行動を行う場合の整合性ということが日米の間のこれからの研究協議の中身になってまいるというふうに考えておるわけでございまして、したがって、この日米防衛協力委員会が発足をしたから当然P3Cになるんだということは、いま申し上げましたような理屈から申し上げまして、必ずしもそういう結果になることではないと、そこに必然的に結びつくものではないというふうに申し上げられるかと思います。
  47. 上田哲

    上田哲君 時間がないので、ひとつ簡単にお答えいただきたいので質問を変えますけれども、そういうふうに言えば何でも言えますよ。そういうふうに言えば何でも言えるんだけれども、あなたの軍事常識からいって、日米が共同するんだと、協力するんだと、共同作戦をつくるんだと、こういうことになれば、海について言うならば、対潜哨戒能力について言うならば、これは向こうは明らかにP3C、そしてそのソフトウエアのブラックボックスは向こうにあると、こっちには来ないですね。そうですね。そうであれば、これはP3Cを使うことがきわめてスムースであり、共同作戦指針を作成するというなら、そのことが一番効率的であると、そういうふうに考えざるを得ないと思うんですけれども、それはいかがですか。簡単にひとつ答えてください。
  48. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 共同作戦の能率性の面から申せば、ただいま先生の御指摘のようなことが言えるかと思いますが、ただ、私どもは現実にまだPXLについてP3Cに決めるというような最終的な決定をしているわけではございません。現在、現に各種の案につきまして検討中でございますので、その客観点な能率性の点から申しますれば、先生の御指摘のようなことがあるかと思いますけれども、現実には私どもはまだそういう方向に進んでないということでございます。
  49. 上田哲

    上田哲君 そういうところにいかざるを得ないはずなんです。で、それは手続的にとか、まだ決定というところ一つが決まってないとかいう言い方で言われるのは、そちらの立場ですからいいんですけれども、やっぱり私はもう結論として申し上げなければならぬけれども、この日米防衛協力委員会というのはPXL問題のやっぱり終着駅だというふうに考えざるを得ないと思っているんです。  で、これはいまあなたの言われたように、効率を図ると——効率を図らないような作戦協力の検討なんてあるわけないんですから、効率を図るなら、やっぱり御指摘のとおりだと、おっしゃるように、こういかざるを得ないです。で、五十年十一月には防衛庁はP3Cの五十機導入を打ち上げられたわけですよ。この十一月に打ち上げたものが、五十一年二月五日にロッキードが起きたものだから、慎重な取り扱いをしなきゃならぬということで、ちょっとトーンダウンしているんです。これがなければずっと進んでいるはずです。また上がってくるのは、三月一日にブラウン統幕議長が来ているわけです。白川議長と一緒に会議をされる。制服の両議長の会談というのは非常に私は異例なことであり、珍しいことだと思うんですけれども、何とここでボディと電子機器を切り離して購入するということも結構じゃないかという話が出ている。私はふざけた話だと思うんです。ロッキード問題が重要な議題になっている最中に、両方の制服が集まってこんなことをやる。そしてそのわずかな後に白川統幕議長は退任をされる。何かイタチの最後っぺみたいな形でどんどん進んでいってしまう。もともとは、これはもう世上言われていたのは、例の四十九年十二月の専門家会議——あの十月九日以降の専門家会議が四十八年の八月にできて、四十九年の十二月に答申をした。それを受けて、その後、翌年の春ごろからこうした問題が、対潜能力の問題が議論が活発化されてきて、その段階では、日米会談ではもうP3Cの合意ができるんじゃないかということが言われておりました。この席でも、アメリカへ出発されるに際して、三木総理に私ども、私自身も厳しく追及しまして、ロッキードと結ぶべきではない、三十六位のロッキードなんというものに一生懸命加担すべきではないということで、その議題にはいたしませんと総理はそこで言われた。しかしそれが、防衛分担という言葉防衛協力という言葉アメリカで変わったとわれわれは考えるが、そういう中でその発端があって、ここに協力委員会というのが生まれた。  この間、先ほど申し上げたような幾つかの経緯があるわけですけれども、結局、上がったり下がったりはするんだけれども、ロッキードが出たからちょっと慎重にと言ってみたり、かと思えば、ブラウンが来て話をしたり、こういう形の中で、延ばそうと思えば延ばせないことはないはずなんだが、いよいよタイムリミットとしてここで小委員会が生まれるということは——これは、決定は向こうに任せるか任せないかなんて議論はしませんよ。しかし少なくともこちら側も、作戦協力、共同指針をつくるんだと、こういうことであれば、どうしてもそこへいかざるを得ないわけです。あたかもね、あたかも日本のドル減らしというときと同じような状況がまた起きていますね、いま、景気の回復とともに。そういう客観的な情勢もここに一つある。そういうことを考えると、この辺の形というものは大体一貫したように見なければならぬ。きょうは概論ですけどね。そういうところからも、今日までわれわれは、四十七年十月九日の、そこまでのところを一生懸命やってきているんですが、そこからこちら側へひとつやっぱり筋がついてきたんじゃないか。これは細かくいかなければなりませんが、きょう細かくは当然詰められないんですけれども、そういうところへ、やっぱり来るところへ来たように見なければならぬのではないかと思うんです。  ここで、法務省にちょっと一言伺っておきたいんですけれども、われわれはいままで十月九日の前までをずっとPXL問題では一生懸命お尋ねをしてきたんですが、その十月九日の後、ロッキードと丸紅の例の契約が四十七年十一月、それからロッキードと児玉の契約が四十八年の七月ということに、まあそれぞれ十五万ドルと五千万円ですか、大体同じような金額ですけれども、これが結ばれると。これは十月九日よりこっちになるわけですけれども、これがどういうふうにかかわるのか。これはこれからわれわれも一生懸命いろんな形の質問をするわけですけれども、もし説明していただけるならですね、この二つの契約というものがどういうふうにかかわろうとしたかというようなところについては御調査になっておられますか。
  50. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 丸紅の関係の契約がどういうことを目的としたものかということは、いままさに捜査の最中でございますので、これから解明されることでございます。いましばらくお待ちを願いたいと思います。
  51. 野田哲

    ○野田哲君 坂田防衛庁長官にお伺いいたしますが、先日の証人喚問で黒部元防衛庁装備局長の証言がありました。この黒部証言によると、四十七年の春、昭和四十七年度予算の原案が決まった直後ぐらいに、MDAOのスタッダード所長が黒部装備局長を訪ねて、PXLの開発はだめになったようですねと、これを買ったらどうですか、こういうことでP3Cの額入りの写真を持ってきた、こういう経過が証言をされているわけでありますが、これは非常に重要な証言だと思うんですが、坂田防衛庁長官は、昭和四十七年の十月九日の白紙還元以前にそのような経過があったことをあの証言までに承知をされておられましたかどうか。あるいはまた、その黒部証言なる経過について調査をされておられるかどうか。まずそれをお伺いしたいと思うんです。
  52. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) この点につきましては、われわれが調査いたしました段階では、承知をしておりませんでした。
  53. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) いま長官の御答弁のとおり、当初の調査段階においては了知してはおりません。しかしながら、その後五月の十四日の新聞紙上におきまして、黒部元局長のところにP3Cの購入の可能性の打診というのが当時のスタッダード所長から行われたという記事がございました。そういうことが載っておりましたので、その事実関係を黒部さんに照会いたしております。その際は、先般御証言にありましたような御意向でございまして、まあ私どものやりました調査というのは、そういう、以上のような調査でございます。
  54. 野田哲

    ○野田哲君 この黒部証言というのは、私は非常に重要な意味を二つ持っているのではないかと思います。その一つは、MDAOの所長が防衛庁の装備局長のところにあの時点でP3Cを買ったらどうか、こういう話を持ち込んでくるということは、これは問題がP3Cなんでありますから、MDAOの所長権限でできる話ではないと思うんです。つまり、アメリカの本国の海軍あるいはペンタゴンの指示がなければできない、こういうふうにしか思えないんです。なぜ私がそう思うかといえば、昭和四十三年にP3Cの心臓部であるANEWの資料をMDAOを通じてアメリカに要求をした。これについて四十四年三月八日に、提供することはできない、こういう拒否の回答をMDA ○を通じてしてきているわけです。四十五年には、海幕の調査団がアメリカに行って、同じように、ANEWの資料の提供を求めたところ、これをアメリカ側は断っているわけです。そういう経過がありますから、アメリカ側の窓口になっていたMDAOの所長から装備局長に対してP3C、これを買ったらどうですか、こういうコンタクトがあったということは、当時、すでに四十七年の春の時点では、アメリカの海軍あるいはペンタゴン、こういうところを含めたアメリカ政府のトップの日本へP3Cを提供する、こういう了解があった、その了解に基づいてのMDAOに対する指示があった、こういうふうにしか考えられないんですが、その点はいかがですか。
  55. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) MDAOの所長と防衛庁関係でございますが、一般的に申しまして、一応米国政府機関でございます。これは在日米国大使の配下に属しております機関でございますが、それがいわゆる装備等につきましてその一般的な情報等の話し合いということのために関係部局を歴訪するということは、これは通常あり得ることでございます。私どもも一般的にそういうことの一端ということでこれは理解しておるわけでございます。  それからさらにスタッダード所長が四月、春ごろにという御証言でございますが、来られたということにつきましては、その後黒部さんにもまた御照会申しておりますけれども、やはり先般御証言のありましたようなことでございまして、まあ言うならば四十七年度予算要求で開発着手が認められなかったという事実を知って来られたということのようでございます。しかしながら、その事実というものは、ただそういうことを言われたのは、そのときだけでございまして、その後そういうことは重ねて同氏から言われておらないわけでございます。それから言われ方につきましても、当日証人がおっしゃいましたように、非常に間接的な表現になっておるということでございまして、私どもとしては、それはそれだけのことではなかったかというふうに実は思っておるわけでございますが、この辺のところにつきましては実はまだ詳細は何ともいまの段階ではわからないということしか申し上げられないんではないかと思います。ただ一つだけ申し上げられることは、通常こういうふうに歴訪がありました場合には、一応その本国の指示によりとか、あるいは政府の指令によりとか、いろいろな前置きがあるわけでございますが、これは確認いたしたところ、そういうことはないということでございまして、いわゆる先ほど申しました一般的な歴訪の一環として行われたというふうに解されるわけでございます。
  56. 野田哲

    ○野田哲君 それはちょっと私は説明があいまいだと思うんですよ。前後のいきさつからして、昭和四十三年、四十四年、四十五年と、何回も防衛庁が文書を通じ、あるいは現地に行って、P3C搭載のANEWについての資料をぜひ提供してもらいたい、こういうことをMDAOを通じ、あるいは現地に行って要求しているわけでしょう。そうしてそのつど断られているわけです。前にはそういうふうな経過があるにもかかわらず、四十七年春の時点で、これを買ったらどうですか、こういうふうにコンタクトがあったということは、その時点ではすでにアメリカ本国ではP3Cは日本に提供すると、売ると、こういうふうにアメリカ本国の方針が変わったからそういうコンタクトがあったんじゃないか、こういうことを私は聞いているんです。
  57. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 確かに先生のおっしゃいますように、客観情勢を非常に客観的にたどってまいりますと、そういう考え方もできると思います。ただしかしながら、現在時点におきまして私ども調査した限りにおきましては、先ほど申しましたこと以上には出ておりません。要するに、もしそうであれば、もう少し何とか、二回なり三回なりという話があるようにも思えるわけでございますけれども、そういうことはなかったわけでございまして、いずれにいたしましても、いまの状況におきましては、もうそれ以上のことはどうもわからないという状況でございます。
  58. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) ここのところは、われわれの方は、もう御案内のとおりに、防衛庁としましては国産化で動いておるわけでございます。ただ、大蔵省がなかなか言うことを聞かぬということ、同意を得られないということでございますので、したがいまして、いまごろそんなこと言ってきたって、もうこっちは国産に決めているんだからということだったと思います、うちの側はですね、事情は。
  59. 野田哲

    ○野田哲君 防衛庁長官がいま言われたように、防衛庁の側はいまごろそんなことを言われたってと、こういうことであったと思うのです。私はやはり、先ほど言ったように、アメリカの側はこの時点で日本にはP3Cを導入してもいい、導入に応じてもいい、こういうふうにその時点では方針が変わっていた、こういうふうに思うのです。  そこで、私はもう一つ重要な意味を持っているのじゃないかと思うのは、昭和四十七年の春の段階で、スタッダードが来て、PXLの開発はだめになったようですね、これを買ったらどうですか、こういうふうにP3Cの写真を示した。このことは、その時点でアメリカ本国の方針も変わっていた、なぜ変わっていたか、私はこれは、この年の十月九日の白紙還元の決定、そうして十月十一日に田中総理が輸入にウエートを置いて考える、こういう発言があるわけでありますが、アメリカ本国とMDAOではすでにそういう事態になることを、半年前、四十七年春の段階ですでにこれは予知していた発言ではないか、こういうふうに思うのです。なぜかといえば、スタッダードが訪問した時点とこの時点では、四十七年度予算の決定では、いま説明がありましたように、防衛庁では国産化、これを進めていたわけでありますけれども、大蔵省では研究開発は認めがたい、こういう前提があった。それにしても、四十五年、四十六年に続いて四十七年度においても、六億八千万円という研究開発の予算が計上されて国産化の継続と、防衛庁の扱いとしてはそういう筋を追ってきているわけですね。白紙還元、研究開発の凍結という事態ではなかったわけです。ところがこの四十七年の春に、ずばり、国産化はだめになるようですね、これを買ったらどうですか、こう言って、スタッダードが黒部装備局長のところに来ておる。すでにこれは十月九日の状態を見通した発言、つまり、これはこういう状態になるということを四十七年春の段階日米間でトップの段階で双方合意がなされていたからこそスタッダードのああいう行動になったのではないか、私はそう指摘をせざるを得ないのです。この点はいかがでしょう。
  60. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 先生の方ではそういうふうにお考えになられましても、われわれの方では、ただいま申し上げておりますような状況でございまして、いまごろというのが本当のことであったというのが。その当時の状況を、こう、いろいろ思い浮かべますと、真相ではないかというふうに思います。
  61. 野田哲

    ○野田哲君 官房長官お見えになりましたので、官房長官に質問いたしたいと思います。  PXLの問題で、一つの解明しなければならない焦点になっているのは、昭和四十七年十月十一日に、いま防衛庁長官にも質問した中で出ておりますが、これはいわゆる白紙還元という決定があった二日後ですね、二日後に、当時の田中総理がプレスクラブにおいて記者会見をしている、そのときの話の中で、四次防ではFST2改は輸入にしたかったが、T2高等練習機の国産が既定の事実となっていた、それなら同じシステムで支援戦闘機も国産が望ましいということになった、研究中の対潜哨戒機は輸入にウエートを置いて検討する、こういうやりとりをされておるわけです。この当時の田中総理の発言についてどういう経緯でこういう発言がなされたのか、官房では調査をされましたか。
  62. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) お答えいたします。  野田さんの御質問、ずうっと最初から伺っておればよかったんですが、ちょっとよんどころない用事で遅くなりました。  そこで、いまおっしゃる問題でございますが、どうも官房でその当時のことを調べるよすがもないのでございまして、果たしていかなる事情であったかという点は、私もどうも明確にお答えしがたいところでございます。
  63. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 私、ここで何回もお答え申し上げておるわけでございますが、懇談会で了解事項ができまして、いままでと違いまして、輸入を含めて国産化の是非を決めてもらいたいという形になったわけで、その意味を踏まえての田中総理の発言ではないかと私ども考えておるわけでございます。
  64. 野田哲

    ○野田哲君 私が聞きたいのは、まあこれは坂田長官の場合には、いまの話では推定的なお話ですから、この十月十一日のプレスクラブでの話というのが、これ、推定でなくて、具体的にどういう考えで出たものか、これが明らかにされなければならないと思うんです。事はやはりプレスクラブなんですから、明くる日のアメリカ新聞にはそれが載るわけですね。  そこで、井出官房長官、当時のことはよくわからないと、こういうことでありますから、だとすれば、もう一つ伺いたいんですが、一般的に、総理が国内の記者会見であろうと外国の記者団との会見であろうと、記者会見をされる場合にはどうなんですか。あらかじめ記者会の幹事と質問の要項を受けて、それに対して官房のどなたかが想定問答集のようなものをつくって、それをたたき台にしてレクチュアをして、記者会見に臨まれる、これが総理の記者会見の一般的な扱い方ではないかと思うんですが、この点はいかがですか。
  65. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 私のかかわってまいりましたこの一年半ばかりの間の記者会見というものを振り返ってみますると、まあその折々の内外の、どういうふうな問題があろうかと、それについての勉強は総理みずからもいたして出ておりますが、特にいま御指摘のような、あらかじめ想定問答をこしらえてというふうなことはございません。全く自由にその場で澗達にお答えをするというたてまえでやっておるのでありますが、大体、どうも従来ともそういうものではなかろうかというふうに私は考えております。
  66. 野田哲

    ○野田哲君 そういたしますと、この十月十一日の問題の記者会見のときも、田中総理のアドリブでやられたと、こういうふうに考えられるわけですね、いまの官房長官の説明によると。自分自身の発想に基づいて質問に答えて言ったと。そういたしますと、これは当然、官房長官、PXLの疑惑というのは、十月九日の白紙還元に至る総理執務室での密室の三人、田中総理、後藤田副長官、相澤主計局長、この三人がどういうやりとりをしたのか、これとこの十月十一日のプレスクラブでの発言、これがやはり一番の焦点になっているんです。ですから、三木内閣がロッキード問題の徹底究明を図っていくということであれば、当然このくだりについては何回もこの委員会質疑が交わされているわけでありますから、本人、田中元総理自身にこれは真意を確かめてみる必要があるんじゃないですか。官房長官なり法務大臣防衛庁長官関係のそれぞれの大臣、このくだりについて一体どうしてこういう発言が出たのかという点について、田中元総理に直接確かめられたことがありますか。いかがですか。
  67. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 私がただいま答弁申し上げた点でございますが、三木内閣になりまして以来は私よく承知をしております。それから、従来の例もまあそのようなものではなかろうかという、私のこれは想像を申し上げたまででございまして、官邸等にも会見の資料等は別に保存をされておらないのでございまして、ちょっといまのところ調べるよすががないというのが現状でございます。
  68. 野田哲

    ○野田哲君 三木内閣になってからの会見のやり方というのはいま官房長官がお答えになったわけで、それ以前のことはわからないということですが、当然、これはまあ法務大臣防衛庁長官はよくこの委員会へ出席されておるわけですから、ここのくだりが焦点の一つになっているということは、これは承知されていると思うんです。そうすると、私たちは田中前総理を、この問題も含めて証人にぜひ出席してもらいたいということをかねがね要求しているけれども、そういう機会をなかなか与党の方でつくってもらえない。そうすると、このくだりを解明するのは、これはやはり官房長官、田中内閣を引き継いだのが三木内閣なんですから、その官房長官あるいは関係大臣は、このくだりは当然田中前総理自身に、これがどういう経緯で、どういう真意でこういう発言になったんだか確かめる必要があるんじゃないんですか。いかがですか、この点は。
  69. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 私、従来の経緯をもう少し私自身トレースしてみなければならぬと思いますが、ただいまの御発言につきましては、果たしてどういう返事が返ってくるか、その辺が問題ではありますけれども、まあずっとここにいらした両大臣とも相談をしてみようと、こう思います。
  70. 野田哲

    ○野田哲君 ぜひこの点は明らかにしてもらいたいと思うんです。  そこで、引き続いて、これは三木総理に私はお聞きしたい事柄でありますけれども出席を拒否をされた、こういうことでありますから、まあぜひかわりに官房長官で勘弁してほしいというような話しがありましたので、官房長官にお伺いいたしますので、責任を持って答えていただきたいと思うんです。  官房長官は、昭和四十七年の下期に、三菱重工業から四千七百八十万円、国民協会を通じて自民党に政治献金が行われている。このことを御承知ですか。
  71. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 突然いまおっしゃられたんですが、私は承知をしておりません。ただ、国民協会でありますならば、何か正規の自治省への届け出というふうなものはあるのかもしれませんが、いま、私それについては関知しておらぬのであります。
  72. 野田哲

    ○野田哲君 自治省の政治資金課長、見えておると思うんですが、私の調査では、昭和四十七年の下期に三菱重工業から四千七百八十万円、それから四十八年上期で四十万円、こういう政治献金が行われている。その前後には三菱重工業からの政治献金はすべてない、ゼロ、こういう状態の届けが出ているというふうに聞いておるんですが、そういう事実、間違いありませんか、いかがですか。
  73. 前田正恒

    説明員(前田正恒君) お答え申し上げます。  三菱重工から国民協会に対します寄付の金額は、協会の収支報告書によりますれば、四十七年の下期に、先生おっしゃいましたように、四千七百八十万円、四十八年上期に四十万円寄付がなされております。
  74. 野田哲

    ○野田哲君 その他あるかないか。
  75. 前田正恒

    説明員(前田正恒君) 四十七年上期まで調べておりますが、上期はございません。四十九年以降はまだ調べていません。
  76. 野田哲

    ○野田哲君 官房長官、いま自治省の方からお答えがあったとおりなんで、それまで、前後、三菱重工業からの政治献金は行われていないんです。四十七年の上期もゼロ、四十七年の下期に、つまりこれは三菱重工業がつくっていたT2、その延長線上にあるFST2改、これが四十七年の十月九日に至る国防会議、大蔵省、防衛庁、そして総理、官房副長官、こういう範囲の中で、このT2、T2改があわやこれがキャンセルされる、廃止をされようとした時期なんです。こういう時期にだけ突如として四千七百八十万円、こういう巨額の政治献金がそのときだけ突如として行われている。官房長官、これは異例なように思われませんか、いかがですか、これ。
  77. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 一つの連続性というふうなものがその場合認められないと、そこに出ておる数字その限りについてお問いがあったわけでございますが、その限りにおいてはですね、やはり奇異な感じといいましょうか、そういう気持ちはいたします。まあ政治献金、あるいはどういうものになりますか、三菱重工なるものがずうっと連続的に出しておる——国民協会を通じてはそういうことでありましょうが、そのほかの連続性というような問題は、あるいはもう少し調べてみる必要があろうかと存じますが、いまおっしゃる、お示しのその限りにおいては、何か唐突だという感じは私もいたします。
  78. 野田哲

    ○野田哲君 井出官房長官も唐突だという感じがすると言われた。四千七百八十万円、これも私は非常に奇異な数字だと思えるんですよ。天下の大三菱が、政治献金をするのに四千七百八十万円という非常に半端な端数がついている。私はこれはだれかその間に介在した者がピンはねをしている金額だ、こういうふうにしか思えないんですが、これは推定ですからさておいて。  これは関係者の間では、官房長官、この四十七年下期の三菱重工業からの、一般的には五千万円と言われておるんですよ、五千万円と。届け出があるのは四千七百八十万円。関係者の間でこれはどう言っているかというと、やっぱりFST2改があわやキャンセルにされようとした、これがすったもんだしてやっと三菱重工業で引き続いて製作をすることになった。これに対するお礼の献金だと関係者はうわさをしているんですよ。状況からすれば、これは明らかに、もしそうだとすれば、一回FST2改は取りやめと、そしてそれにかわってF5Bの輸入、こういう話を持ち出しておいて、三菱重工業の方に大変なショッキングを与えておいて、最後はそれを復活をさせる、そういうやりとりの中でこういう金が入ってきた、こういう疑惑を持たれているんです。これは政府としても明らかにする必要があるんじゃないですか、いかがですか。
  79. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 先ほども申し上げましたように、それだけとらえますれば確かに唐突な感じがすることは申し上げたとおりでございまして、従来三菱重工が政治献金に対してはどういうビヘービアで対処しておったかというあたりは、これは少し当時の状況等を調べてみる必要があろうかと、かように思います。
  80. 野田哲

    ○野田哲君 さらに重ねて官房長官に伺いますが、三木総理は、PXLの問題で一番疑惑の焦点になっている昭和四十七年の十月九日の時点、田中内閣の副総理であったわけです。で、国防会議の構成員であったわけです。このPXL問題が、あるいはT2、T2改の問題が非常に熱い議論がされておる、たしか、私の調査では、十月の六日であろうと思うんですが、九日の前のたしか十月六日に開かれた国防会議議員の懇談会において三木総理が発言をされているわけです。されているという断定をするわけにはまいりませんけれども、そういう三木総理が発言をした内容を報道している新聞があるんですが、三木総理がそこでどういう発言をされたか、御存じですか。
  81. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) どうも大変きょうは不用意で出てまいりましたが、どうも私その辺はつまびらかにしておりません。
  82. 野田哲

    ○野田哲君 これちょっと……(資料を示す)それによるとですね、多分それには十月五日となっておりますが、国防会議議員懇談会が開かれておるのは十月の六日ですね。この六日の議員懇談会においてT2、T2改の国産か輸入かという議論が行われた。その際、増原防衛庁長官が、T2、T2改にかえてF5B、F5Eの輸入という主張があったことに対して、F5はT2に比較をして相当性能が落ちる、ぜひT2を使いたい、こういうふうに増原防衛庁長官が主張されたことに対して、一番に口火を切ったのは、当時の三木副総理が一番に口火を切ったというふうにそこに報道されているわけです。その三木副総理の口火を切った内容というのは、防衛庁は兵器を何でも国産にしなくてもよいではないか、こういう意味発言があって、それから田中総理がそれを受けて、防衛庁もT2の取り扱いについては十分検討してほしい、こういうふうな発言があったと、こういう経緯がそこに述べてあるわけです。  だから、そういう経過があるとすれば、三木総理自身もこの十月九日に至るいろんなT2、T2改の国産か輸入かという問題、PXLの問題に直接副総理として、国防会議の議員として関与をされておるわけです。しかも発言をされているわけです。この内容を私はぜひたださなければならない、こういうことで三木総理の出席を要求しているわけなんですが、出てこられない。今後なかなか出られないという状態を決めたというふうに聞いているんですが、そういう発言があるとすれば私は当然たださなければならないし、総理は出席をして解明すべきではないか、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
  83. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) きょうは、総理、実はのっぴきならないいろんな用件がふくそうしておりまして、ここへ参れないことは私もまことに遺憾でございます。  そこで、いまの御指摘の点でありますが、これもどうも私この御質問に的確にお答えしがたいことでありまして、どうもそれじゃ代役は勤まらぬじゃないかと仰せになるかもしれませんが、この辺は、私もこの記事だけでこれが是か非かと言うのには、それも簡単な問題ではございませんから、よくひとつ総理にも聞きただしてみるつもりでございます。(「総理は出てもらわなければだめだよ」と呼ぶ者あり)
  84. 野田哲

    ○野田哲君 坂田防衛庁長官に伺いますが、昭和四十八年の七月二十七日に、ロッキード社と児玉の間のP3Cの契約が行われているわけですが、その前後から、児玉との契約が行われた前後から、ロッキード社のP3C販売本部長のE・ギャノン、それから同じくロッキード社のP3C販売担当のG・ローガン、この二人が防衛庁へしきりに出入りをするようになった、こういう形跡がありますが、これは事務局の方だろうと思うのですが、調査をされておりますか。
  85. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 簡単に申し上げますと、ロッキード社のただいま御指摘のギャノン氏は、昭和四十八年の後半から五十年にかけまして防衛庁の装備関係局、それから海上幕僚監部等を表敬いたしまして、事務連絡のために数回訪問いたしております。それからローガン氏でありますけれども、これも一やはり四十八年の半ば過ぎから五十一年初めにかけて、先ほど申しましたような関係局に対しまして、やはり数回訪問をしている、こういう事実がございます。
  86. 野田哲

    ○野田哲君 昭和四十七年の十一月十五日に、MDAOで、海幕が呼ばれてP3Cの説明会が行われておりますね。これは防衛庁の資料にも出ているわけです。この説明会で説明に当たったのはミスター・ローガンであったのかどうか。これはわかっておりますか。
  87. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) その点については定かでございません。
  88. 野田哲

    ○野田哲君 つまり、いまの装備局長の説明によると、四十八年の後半からロッキード社のギャノン、ローガンが防衛庁関係者のところへ出入りをするようになったと。つまり、これはロッキード社と児玉との契約とほぼ期を同じくして出入りをするようになったと、こういう状況でありますけれども、このギャノンやローガンと会っていたのはどういう部署の、どういう人が会っていたわけですか、防衛庁では。
  89. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 一応、仕事の面におきまして、まあこれは情報提供あるいは事務連絡ということでございますので、担当局あるいは海上幕僚監部の担当官のところでございます。具体的に申しますと、当時の装備局の技術参事官あるいは関係課長、それから海上幕僚監部でございますと防衛、技術両部長あるいは副部長あるいは海幕の航空機課長、こういったところでございます。
  90. 野田哲

    ○野田哲君 何か、そういういまの説明によると、かなり頻繁に広範な人と会ったような説明でありますが、このギャノンやローガン、何かこのP3Cに関する印刷物、資料等、防衛庁の会った関係者に手渡しておりますか。いかがですか、その点。
  91. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 具体的に、どのような資料等を手渡したということは現在まだ調査をいたしておりません。ただ、まあ要目といたしましては、一般的な情報、たとえばカナダが調達に入りました、あるいは豪州が買いました、そういったような問題でありますとか、あるいは五十年のころになりますと、防衛庁から調査団等を派遣しておりますので、それに対する事前の事務連絡とか、そういったようなことが大体中心であったというふうに調べております。
  92. 野田哲

    ○野田哲君 もう一つ伺いますがね、昭和四十八年一月の二十九日から三十日にかけて防衛庁の海幕の関係者、技研の関係者が岩国でP3Cの試乗あるいは説明、これを受けているわけですが、当時この岩国には、私の調べたところでは、P3Cは配備をされていなかった。だから、海幕、技研の関係者が試乗し、あるいは説明を受け、内部の装備を見せてもらったこのP3Cというのは、岩国にあったものではなくて、米国本土あるいはその他の太平洋地域の基地からそのためにわざわざ持ってきた、こういう形ではなかったかと思うのですが、この点いかがですか。
  93. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 御指摘のように、当時岩国にはまだP3Cは配備になっておりませんで、P3C三機が訓練のために日本へ飛んできたというふうに私ども聞いております。
  94. 野田哲

    ○野田哲君 まあ訓練かどうか、丸山さんの説明ではどうも取ってつけたような話で、これは乗せるために飛んできたんです。  そこで、坂田長官に最後に伺うわけですが、昭和四十五年までは一切資料も提供もしてくれなかった、そういう状態にあったものが、昭和四十七年春ごろからスタッダードがこれを買えということで訪問する、八月八日にはワシントンから、駐在の自衛官の方からリリースの可能性について私信が来る、そうして年が明ける。四十八年になると、あれだけ資料の提供さえ断っていたものが、今度はよその基地におるP3Cをわざわざ持ってきて、飛ばしてきて海幕の専門家を乗せる。こういう状態というのは、この時点でもうすでにP3Cを日本が買うことの合意が実質的にはできていた、こういう客観的な事実ではないか、こう思いませんか。
  95. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 私はそうは思わないわけでございますけれども、しかし、向こう側からしてリリースをするということでございますから、もう、できれば買ってもらいたいというふうには思っただろうと思いますし、そのためにはひとつ見てくれと、性能はいいぞということを……
  96. 野田哲

    ○野田哲君 買うか買わないかわからないもの見せるわけないじゃないの、あんた。
  97. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) そうじゃないですよ、それはやっぱり。自分の対潜哨戒機が、いまP2J——日本がどういうものを使っているかも知っているわけでございますし、これは性能はいい、ただしなかなか秘密の問題がございますからいままではできなかった、もうリリースができるということになれば、そういうやつを日本に買ってもらいたいというようなことになるというふうに思うというのは自然だと思います、それは。
  98. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 午後一時三十分再開することとし、休憩いたします。    午後、零時三十四分休憩      —————・—————    午後一時三十九分開会
  99. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまからロッキード問題に関する調査特別委員会を再開いたします。  ロッキード問題に関する調査を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  100. 秦野章

    ○秦野章君 最初に今度のロッキード事件捜査、刑事司法の問題で一、二伺って、後、法律的な問題を再確認したいと思うんですが、議員証言法に基づいて、偽証のあった場合には国会は告発をしなきゃならぬと、委員会、合同審査会。告発してもいい、しなくてもいいんじゃなくて、告発しなくちゃならぬと、そういう規定になっておるわけですが、この告発は、判例でもこれは訴訟条件、訴追条件と、こういうことになっていますから、法律的には訴追条件であって決して逮捕条件ではない。これは法律論はそれでいいと思うのですけれども、ただ実際問題として、やはり偽証の疑いがあれば告発をしなきゃならぬという義務も国会側にあるわけですから、そういう意味において、逮捕に当たってはやはり事前に通告をするというか——承認を求める必要はないのですけれども、これはもう委員長だとか、あるいは議長だとか、そういう立場の人でいいわけで、別に委員会にかけたりなんかするわけじゃございませんから、私は捜査の妨害になるなどということはなくて済む、両立する問題だと思うのですね。したがって、やはり逮捕条件として運用される、そういう慣行をつくられるべきである、こう私は思う。衆議院の方でもいろいろ議論があったようですけれども、そういう慣行をつくることが国会の自律性といいますか、一つの自治といいますか、そういう立場を尊重することになる。そして捜査の目的だってそれで別に支障はないだろう、両々決して矛盾しないと思うのでございますが、すでに議論もあったことですが、この問題は再確認というか、整理する意味で御答弁を願いたいと思います。
  101. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 秦野さん御指摘のとおり、訴訟条件であって捜査の条件ではありませんから、別に違法ということではないけれども、法律論としてはそうだけれども国会調査権を尊重する意味事前に、別に委員会に諮ったりするわけでもないから、捜査の妨害にならないのだから、委員長だとか、議長だとか、そういう人には通告してからやったらいいじゃないかと、ごもっともだと思いますね。そういう御意見がありましたものですから、二回目からは事前に御通告を申し上げてやるようにいたした次第でございます。  なお、詳細もしあれでしたら刑事局長に補足させます。
  102. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 大臣の御指示でございますが、特につけ加えるようなこともございません。  御指摘のとおり、私どもといたしましてもその点をいろいろ苦慮をいたしまして、その折衷の考え方として、承認ではなくて事前の通告ということで伊藤宏逮捕のときには七月二日でございますが、その午後早々と、逮捕前に委員長が御不在でございましたので、筆頭理事の小山理事に御通知申し上げたという運用を図った次第でございます。今後ともそういう方向でひとつ慎重に処理していきたいと思います。
  103. 秦野章

    ○秦野章君 そういうことで、つまり運用上の問題として告発は逮捕条件という慣行をつくるというふうに努力される、そういう慣行をつくっていこう、そう理解してよろしゅうございますか。
  104. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) いや、そういうことを申し上げたわけでないですね。逮捕条件にするということになると、これから逮捕しますよという通知をして、告発があってからでないと逮捕できないということになるような御質問でしたら、そうではなくって、通知して逮捕するという慣行はつくっていきたいと私自身思います。
  105. 秦野章

    ○秦野章君 逮捕の前に通知をする、それが国会の自治というか、自律性を尊重するゆえんだから、そういう慣行をつくっていこうと、こう理解してよろしいですね。
  106. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) そのとおりでございます。そういう御理解にしていただきたいと思います。
  107. 秦野章

    ○秦野章君 いま一つ捜査に関連するんですけれども新聞の写真なんかで手錠をかけたような写真が出ているわけですね。たとえば、外為法というのは三年以下の懲役、少なくとも逮捕理由が外為であったような者が、凶悪犯の逮捕なんかでもできるだけオーバーをおっかぶしたり、レーンコートをかぶせるといったような配慮を——とにかくまだ判決がないうちは無罪の推定を受ける立場だし、家族もおり、子供もおるのですから、できるだけそういう配慮を捜査ではすべきだと思うわけでございます。容疑があれば逮捕を幾らしても構わぬのでございますけれども、方法というか取り扱いというもの、権力の運用ということについては細心の注意が必要だと私は思うわけでございますけれども、ああいう写真が出て大変これは心ある者はやっぱり気にすると思うのですね。いまはそういう声は、ロッキード事件徹底究明究明の声の中で、ありませんけれども、やはり捜査権の運用というものはそこら非常に大事なことだと思う。ああいうような姿を見て、捜査というか、そういう検察、これは警察の問題もあるわけでございますけれども、何か注意を喚起したいと私は思うのでございますが、いかがでしょう。
  108. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 捜査と人権擁護の点につきまして、豊富な経験を持たれるあなたからそういう御指摘をいただきまして、そういうふうにあるべきものだと私も思いますが、まあばちっと手錠がかかっている姿そのものを写してある写真は、私は今度見なかったんですけれども、ありましたでしょうか。
  109. 秦野章

    ○秦野章君 ええ。
  110. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) そうですか。それではそれは気をつけなきゃいかぬと思います。
  111. 秦野章

    ○秦野章君 どうかそういう点を末端の方に、警察の方にもそうですけれども、連絡してもらわねばならぬのでして、マスコミもカメラマンその他大変積極的でしょうから、骨は折れると思うのですけれども、これはやっぱり十分注意すべき問題だと、こう思いますので、ひとつその点現場の技術的な問題もあろうかと思いますが、特に重要だと私は思っているんです。
  112. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 御指摘の点は、大先輩である秦野委員の御指摘もありましたように十分気をつけていたわけでございますが、あの場合は何分にもジープの上にはしごを乗っけて、どうも事務官が気づかないアングルから写真を撮られたというようなことでございまして、相当の注意はいたしましたが、今後十分な、そういう意味での、そういう異常なこともあり得るということを考えながら、人権の擁護には十分注意したいと、かように考えます。
  113. 秦野章

    ○秦野章君 今度問題を変えて、刑事訴訟法の四十七条の規定が、三木総理の記者会見か何かのときに公表の問題に関連して登場したわけでございますが、この四十七条に関連してちょっとお尋ねしておきますが、この四十七条の書類の公開の原則の規定の中で、条文の中にある「書類」というものの中には、不起訴処分の書類も入るという解釈ですか。
  114. 安原美穂

    説明員安原美穂君) それが通説でございます。
  115. 秦野章

    ○秦野章君 それから、これは「書類」と書いてあるけれども、書類だけではない、書類に関連した捜査事項というか、検察業務の事項が入ると、これが通説だと思うのですが、その点もそれでいいですか。
  116. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 当該訴訟手続のために作成された書類のみならず、当該訴訟手続に関連して別個に入手した書類も入るというふうに言われております。
  117. 秦野章

    ○秦野章君 書類そのものでなくてもいいというふうな解釈はできますか。
  118. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 秦野委員の御質問がちょっとよくわからないのですが、書類そのものでもないが、書類になるということでございますか。そうじゃなくて、当該訴訟に関連して作成されたものではなくて、当該訴訟に関して捜査当局が手に入れた証拠物たる書類というものが入るかと、こういうお尋ねであればそういうものも入るというふうに考えております。
  119. 秦野章

    ○秦野章君 いや、そうじゃなくて書類についての公開の原則を書いてあるわけだけれども、書類に書いてある事柄が問題なんだと、書類そのものじゃなくて。そういうことは言えるんでしょうな。
  120. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 公開の原則的に禁止する趣旨は、書類の書かれてる内容の公開が問題でございますから、たとえば不起訴処分の理由書とか裁定書とか、そういうものもこの書類の中に入るというふうに考えて、問題は内容の問題であるということでございます。
  121. 秦野章

    ○秦野章君 この四十七条の一定の公益上の見地があれば公表されるということなんだけども、その範囲は、公務員法——まあ検察官も公務員ですけど、公務員法の秘密を守る守秘義務の範囲との関係はどういうふうに理解したらいいですか。これ長官、ひとつ。
  122. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) まず、刑事訴訟法の四十七条と、それから国家公務員でいえば百条、両方とも秘密を守れと書いてあるわけなんですが、この関係を見ますと、刑事訴訟法の方は訴訟関係人の守るべき事柄として書いているわけなんで、たとえば公務員でない弁護人についても四十七条は適用があるというふうに言われております。で、このことから見ましても、公務員法の規定とそれから刑事訴訟法の四十七条の規定はねらいは違うわけなんです。ただ、その訴訟関係人が同時に公務員であると、検察官である、警察官であるという場合には、それはみだりに正当な理由がなくて訴訟書類を公開すれば、それは別に国家公務員法の百条の秘密漏せつ罪に当たると、こういう関係になろうかと思います。
  123. 秦野章

    ○秦野章君 四十七条というこの条文を運用管理する立場にある者というのは、これは起訴、不起訴の問題に関する限りこれは検察官だけだと。検察官あるいはまた検察に従事する事務官とかそういう人当然おると思いますが、弁護士とか判事を除けば、いわゆる検察についての問題ならこれは検察官がこの条文を管理運用すると、こういうふうに理解すべきだと思う点が一点と、いま一つは、この四十七条はしたがって、四十七条の解釈というも一のを検察官以外の者が解釈運用するということはないだろうと、検察業務について。まずそこのところを先に。
  124. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 四十七条の名あて人といいますか、適用を受ける対象者は、先ほど法制長官御指摘のとおり訴訟関係人でございまするから、これの法律の直接の適用で拘束を受けるのは検察官、裁判官、弁護士その他訴訟関係人ということになります。
  125. 秦野章

    ○秦野章君 その次に法制長官から、国務大臣の秘密を守る義務というのはどういうことになってますか。
  126. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) およそ公務員なり官吏は、その服務上の義務といたしまして職務上の秘密を漏らしていけないわけなんですが、その条文上の根拠をお尋ねでございましたならば、普通の、一般の公務員の場合には国家公務員法で規律されておりますし、国務大臣の場合は特別職でございまして、国家公務員法の適用対象外でございますので、国家公務員法というわけにはまいらないんで、それは御存じかと思いますけれども、官吏服務紀律の第四条に、その秘密を漏らしてならないという規定がございます。その適用を受けるものだと考えております。
  127. 秦野章

    ○秦野章君 国務大臣——総理大臣も同じことですね、国務大臣として同じ義務があると。  そこで、この法務大臣なり総理大臣の秘密を守る義務と、それから法務大臣がたとえば検察の業務を報告等でいろんな捜査の内容等をお聞きになる、総理も聞かれると——法務大臣からお聞きになると思いますが、それで秘密を守る義務というものがまたそこにあるわけですが、しかしながら、これは大臣と検察官という立場が違いますから、違うということを考えてもちろんいいわけでございますけれども、しかし法務大臣や総理大臣と、検察官がここからは秘密だというふうに判断した事柄とが食い違った場合の調整というものはどういうような解釈になるわけですか。これは一致するとは限らない。検察官がここから先はもう秘密だと、こう判断した事柄と、法務大臣や総理大臣が判断したことと必ずしも一致するとは限らぬと思うんですよね、立場も違うんだしするから。しかし、それはどういうような——同じ秘密を守るということで法律がそれを保障をしているわけでございますが、その食い違いというものは調整されるわけですけれども、調整されなければ矛盾になりますから、どういうふうにそれを理解したらいいのか、その点ひとつ法制長官、最初に答えてください。
  128. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) 大変むずかしい問題なんですが、私の理解しているところを述べたいと思います。つまり秘密書類、訴訟書類なら訴訟書類というこの秘密事項を公にする場合の基準というのがあるわけなんですが、これは非公開で、つまり漏らさないでおくことによって得られる法益と、それからそれを公開することによって得られる法益とを比較考慮して、そして後者の方が前者よりも大であるという場合には公開禁止が解除をされるというかっこうになるわけでございますが、いまの基準として、いま私が述べました文言それ自体は、これは法務大臣の場合も検察官の場合も同じなんです。ですから、当然法務大臣の判断とあるいは検事総長以下の検察官の判断とが違っていいんだというふうには実はならぬのだろうと私は考えるんです。ただ、現実にはいまの基準と申しましてもはなはだ一般的、抽象的でございますから、判断の幅というやつがあるかもしれませんので、その判断の幅の中で多少法務大臣の御判断と検事総長なり検察官の判断とが違うということはあるかもしれません、現実の問題としては。しかし、それの調整といたしましては、これは秘密を漏らす漏らさない、あるいは公開するということがこれが服務の関係であるというふうに見れば、それは服務の統督者は法務大臣でございますから、法務大臣の方がその服務統督権を使っておれに従えということはあるいはできるかもしれません。あるいはまた書類を公にすることが具体的な、生きている事件の処分とか処理に直接響くというような関係にある場合には、例の検察庁法の十四条もございますので、そっちの方の系統が多少は影響してくるんじゃないかと思いますけれども、いずれにしてもそれは法務大臣の方の御判断の方が終局的には上じゃなかろうかと思います。ただ、現実にはそういうことは余りないんだろうと思いますけれども
  129. 秦野章

    ○秦野章君 法務大臣の判断と検察官の判断とが同じならこれは問題ないですよね。検察官は一定の基準でもって、さっきもお話しのように法益の均衡を考えて判断をして、これは外へ出すべきではないと、こう判断をした。法務大臣の方はそれはちょっと狭過ぎると、いまちっと国会答弁その他やっぱり外へ出さなきゃいかぬというような場合が私はあると思うんですよね。あると思うんだけれども、そのことはそれが程度の問題かもしれませんけれども、そこに問題になるのはやっぱりいま検察庁法のお話が出ましたけれども、検察官の判断では狭過ぎるからもっと広くしろと言って指揮をすれば、言うならばこれは検察庁法の個々の処分に対する指揮になりますわね。要するに指揮権発動一つのスタイルだと思うんですよね。そうじゃなくて、その指揮まではしないと。国会の場とか記者会見とかいうことで、とにかく検察官の発表程度じゃ気に食わぬと、この程度は出すんだということで発表しちゃうと。そうすると検察庁法十四条の関係じゃないけれども、結果はまあ同じようなことになる。そういうことはそういう理屈になると思うんですが、どうでしょうか。
  130. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 四十七条の運用、つまり検察官が四十七条によって公にし得ると判断し得る範囲と、それから法務大臣の四十七条に関する関係においての公表し得るという範囲が食い違った場合における調整は、先ほど法制長官の申されましたように、私どもはそれが不起訴処分の内容であるということになれば、その発表は具体的な事件の処分であるというふうに考えますので、検察庁法十四条の後段の具体的な指揮ということに法務大臣の側からしたらなると、そういう調整を図ることは法律的には可能であるが、われわれ伝統的にさようなことで法務大臣指揮権発動ということがあってはならないという意味において、そういう場合のないような運用を期していきたいというふうに考えておりますが、もう一つは、そういうことではなくて、いまお尋ねは、検察官が発表するということじゃなくて、もう一つの方法として、数回国会で申し上げたことでございますが、法務大臣は、検察庁法十四条に基づきまして事件の処理の結果につきましては一般的な指揮監督の立場から報告を受ける立場にあられる。先ほど法制長官の言われる事務統督の立場から結果の報告を受けるということはあり得るわけでございまするから、そうなりましたら法務大臣がたとえば国会の場において、国政調査権発動としての百四条からの質問に対して法務大臣考え、判断において法務大臣報告を受けた事柄を、了知している事柄をその公益性との比較考量の上において法務大臣がお答えになる、あるいはそれをさらに報告を受けた総理大臣が報告国会法百四条の質問に対して答えるというような方法は別にあるんじゃないかと。ただ、その場合におきましても、法務大臣にしろ総理大臣にいたしましても、検察官に対しての一般的な指揮監督の立場にあられるわけでございまするから、指揮監督というのは、法規に従って職務を執行せよということでございますので、やはりその指揮監督の仕方あるいは国会への公の仕方そのものについても、やはり刑事訴訟法、はっきり言えば四十七条の精神を踏まえて、やはり法務大臣、総理大臣としては国会国政調査権に対処されるべきではないかというふうにわれわれとしては考えておる次第でございます。
  131. 秦野章

    ○秦野章君 法務大臣や総理大臣が四十七条の規定を踏まえて国政調査権協力をするということになった場合に、その踏まえてというのが問題なんだけれども、四十七条というものを念頭に置く限りにおいては、検察官の判断とはあんまりかけ離れることはできないんじゃないかという感じがするんですね。そこのところをいま一度、これはまあある程度、ニュアンスの、要するに国会法の質問に対する答えだとか、その他国政調査権というものに対して協力をしていくということは、これは一般的に当然なんだけれども、いまのお話にもあったように、その場合には刑事訴訟法というものがあるんだと、四十七条があるんだと、何のためにあるんだと、不訴訟処分というものは何のために——いままでも公開しなかったんだというような観点というものがやっぱり大きくそこに働くということになれば、やはり私は何かこう三木総理が公表問題というものを何というか、非常にこう強調される、徹底究明を強調することはいいけれども、公表問題をあんまり強調するということは、何かいまお話しのように、刑事訴訟法の精神というものがちょっと軽んぜられているという感じを受けているわけですよ。このことは検察の長い運営の中で非常に重要な問題だと思うので、いま一遍ひとつ再確認をしておきたいと思う。
  132. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 法務大臣の公表の仕方は、国会調査権に基づく質問にお答えして公表する場合、やはり刑事訴訟法の立法の趣旨を踏まえて議長の裁定にあるようにやるべきことは当然でございます。そういう点の、公表することによって得る公益と、公表することによって失われる公益との比較考量が判断になるわけですが、その判断が当該検察官と法務大臣と食い違う場合、そうあんまり大層大きく食い違うということは、私はないと思いますね。よくその辺のところは慎重に考慮すべきことで、ただ失わるべき公益と、それに公表することによって得らるべき公益といっても抽象的でございまして、やはり当該する事件に、具体的な事柄についてそのときに判断しませんと、むずかしい問題がある。何も公表した方が利益のように思う人もあるかもしれませんけれども、将来ずっと長く続くたくさんの犯罪捜査に響きを与えるようなおそれのあることも十分考慮の上に公表問題は取り扱うべきものだと、私は、ずっと前からそう申し上げているわけです。
  133. 秦野章

    ○秦野章君 国会正常化に関する例の議長裁定というものの四項ですかな、四項で、「政府は、事態の推移をみて、刑事訴訟法の立法趣旨をも踏まえた上で事件の解明に最善の協力を行うものとする。」というのがあるわけでございますが、この四項の「政府は、」というこの「政府」の中には検察官入りますか。
  134. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 検察官も政府の一員ですから、「政府」の中へ入るんじゃないでしょうか。私は入ると思います。
  135. 秦野章

    ○秦野章君 そうしますと、この国会正常化に関する議長裁定が行われて四項ができたということで、いままで四十七条と、あるいは国務大臣職務遂行に当たってのこの四十七条を尊重する、あるいは総理が尊重すると言ったような、そういう立場があったわけだけれども、この四項のために検察官も国政調査協力をするんだと、政府もするんだということになって、この四項がなかったときの法律的なメカニズムというものは変わってきましょうかね。
  136. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 何ら変わりを、変更をもたらすものではなく、かつ法律的には政府——検察官も行政官でございまするから、政府というものを広く読めば政府の一部でありましょうけれども、この問題の対応の仕方として、私ども事務当局ではやはり法務大臣を通じて協力するのが検察の協力の仕方であろうというふうに考えております。
  137. 秦野章

    ○秦野章君 そうすると、この四項の「政府」というのは、法務大臣を通じて検察官も政府の一員だから入るとは言うものの、これは司法権の一つの独立に連なる立場もあるから、「政府は」というのはイコール検察官はという解釈は妥当じゃないですね、適当ではない、そう解釈していいわけですか。
  138. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 事務当局としてはさように考えておりますが、法務大臣も御異存はないように、ただいまおうなずきになりましたのでそうだと思います。
  139. 秦野章

    ○秦野章君 そもそも議長裁定というものの法的な性格といいますかね、これは法制長官、どういうもんでしょう。
  140. 真田秀夫

    説明員(真田秀夫君) 国会内のお取り扱いでおやりになったことの性格を私の方でせんさくしてどうこう言うような立場じゃないと思いますけれども、まあ、政治的な解決をされたということじゃございませんでしょうか。別に法律的な効力というものとは関係がないというふうに考えます。
  141. 秦野章

    ○秦野章君 この議長裁定の四項が仮になかったとした場合、あった場合となかった場合はどこ違うんでしょうか。
  142. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 法律的には、なくともそういうことになると思いますがね。法律的にはだから差異はないように思います。ただ、あれだけの国会の混乱をまとめて軌道に乗せた政治的な意味の大きい議長裁定ですから、心構えといいますかね、私どもの、それは大いに積極的になるような気がします。
  143. 秦野章

    ○秦野章君 なかなかむずかしいところなんだけれども、例の公開の問題がかねがね問題になっておったわけですけれども、公開の問題につきましては、私は、内容の問題とそれから方法の問題と二つに分けて考えなきゃいかぬと思う。で、内容の問題ということになれば、要するに不起訴の処分になったものをどの程度公開するかという問題でしょうね、起訴になったものは問題ないわけでしょうから。その場合に、この処分——公開の前にどのようなものがというときに一つ問題になるのは、何せ不起訴処分ですから、確定性といいますか、裁判を経ていないもんだから確定性というものがかなり問題になると思うんですよ。かなり争う余地のあるものまでも公開をするというようなことにある程度ならざるを得ないのかどうかと。確定というのは、たとえば時効にかかったと、で、時効にかかったということも授受の関係その他、要するに本人も承認をしているとかね、調書の上で承認をしているとか、そういうふうに決まっているという問題。これは時効以外の問題にもあると思うんでございますけれども、その確定性がなかなか決まってないと、ちょっと不十分であいまいだというような場合に、つまり争う余地があるものがあるわけですね。これはある程度争う余地があるものも場合によったら公開するということもあるのかどうか。この争う余地というのは、結局、損害賠償とか名誉棄損とか、何かそういうような問題にもなろうかと思うんだけれども、そこらの問題は確定性の問題でかなり問題があるというふうに感ずるんですが、どんなもんでしょうな、刑事局長
  144. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 私どもの一般的な立場として、いまの段階においていかなる内容のものを公表すべきかということにつきましては、捜査が進行中の現段階において、いかなるものを公表し、いかなるものは公表しないかということをいまの段階で言うことは適当ではないという意味で、具体的な御質問に対してはお答えをしないという立場でおるわけでありますとともに、国会で究明をされようとされますのは、いま御指摘のように、不起訴処分になったものではあるけれども、政治的道義的に責任があるというものを公にすべきだということであろうと思われるわけでございまして、これは他の委員会でも申し上げましたように、不起訴処分にはなったが、政治的道義的な責任があるものというものはいかなる構成要件を満たすものであるかということは、法務、検察当局の考えることではなくて、むしろ立法府その他、政治的責任、道義的責任を追及し、解明する立場におられる立法府の方においてその構成要件をお決めになることがまずあって、その後でそういうものについて、先ほど来御議論いただいております四十七条の精神を踏んまえて公表するかどうかをはっきりするというのが、抽象的でございますが、ただいま私どもがとろうとしており、また申し上げられる究極の立場でございます。  ただ、いま不確定性ということを申されましたが、アメリカのインガソル発言、あるいは大統領の書簡にもありますように、不確かな事実で人の名誉にかかわることを言うということは、刑法の名誉棄損の罪におきましても、真実の証明がなければ公務員については名誉棄損罪が成立するというようなことにもあらわれておりますように、不確かな事実を確からしくしてそれについて公にするということは、やはり基本的な人権の問題として避けるべきではないかということを一般的には考えておりますけれども、より具体的にどういうものを公表するかということは、まず政治的道義的責任の構成要件が決まり、その後で考えるべき問題でありますとともに、いまそういうことについて論議することは捜査の途中でございますので避けたいというのがわれわれの立場でございます。
  145. 秦野章

    ○秦野章君 あのね、たとえばいまお話にあったように、不確かなものは避けたいとか、つまりすぐに捜査の妨害になると言われるけれども、私はそんなことないと思うんだよ、そういう議論は。抽象論、一般論を言っているんだから。決して具体的なことを言っているわけじゃないんですよね。どの程度のものが公表の基準になるか、限界はどの程度かということの一般論というものが、捜査の途中だから影響するということはちょっと考えられないと思うんだけれどもね。  それから刑事責任——確かに国会は政治責任、道義責任の追及という立場でこの委員会も開けているし、そういう立場があることは当然なんだけれども、この刑事責任の資料というものを政治責任の追及の資料に欲しいと、はっきり言えば。そういうことが国会の要求ですわね。ところが、ここでまた一つ考えなくちゃいけないのは、たとえばこれ一つの例なんだけれども、たとえば交通事故があったと、交通事故で刑事責任が追及されたがしかし不起訴処分になったと、過失でもあったし不起訴になったと、一方被害者は、民事賠償でお金を取らなきゃ、たとえば一家のあるじが事故に遭って飯も食えないと、民事賠償を起こすわけですよね、民事の問題を。そのときに、刑事の不起訴処分になっているんだけれども、警察や検察庁は調べたんだからその内容を見せてもらうと民事事件の責任追及にまことに楽なわけですよね。楽か楽でないかというと非常に楽なんだ。だからそういう材料を欲しいと、こう言っても、これは不起訴処分の材料だから絶対出さないですよ、これは。全国出しておらぬわけです。現場の検証調書、これは非常に客観的なものですからね、現場の検証調書というのは。これだけは出すけれどもそれ以外は出さないという不文律というか、そういうことになっていると思うんですよね。このことは、民事責任は民事責任で追及しなさいと、刑事責任は刑事責任でやるべきであると。手をかし合うという、協力ということは、一般論として協力ということは幾ら使ってもいいんだけれども、具体協力になったときにやっぱりいろいろな弊害が起きるという問題があるわけですよ。私はロッキード事件というものは、政治責任も追及せにゃならぬし、刑事責任も追及せにゃならぬ、両々追及せにゃなりませんけれども、検察の材料が政治責任追及の材料に即使われるというやり方を一歩誤りますと、これは検察というものは強大な権力になる、権力の性格が拡大するわけですから。そういう意味において、これ一事件にとらわれることなく、この問題というものは私は非常に責任の中身が違うんです。刑事責任と政治責任は違うんです。政治責任は国会が幾らやってもよろしいと、道義責任も社会も国会も大いにやってよろしいが、刑事責任の追及の材料をいただいてやるんだという、そのいただき方の問題ですね、ここらの問題についてはかなり私は慎重でなきゃならぬし、そしてそのことは権力の拡大につながる。つまり検察権力と政治が手を握ったら、これはもうすごいですからね。いまそんなことだれも考える者はいないけれども、本質論としては。たとえば、国会が全党一致でもって要求したらば検察は全部協力しなきゃならぬ、そんな理屈私はないと思うんです。これは三権分立でやっぱり立憲政治のたてまえというものがあるわけですから。そういう意味において、確かに正常化では五党一致してこういうものができたんだけれども、そこらの一つの何といいますか、懸念といいますか、私は懸念に無警戒であっちゃならぬと、それがやっぱり立憲政治の常道というものがそこにはちゃんと正座に座ってなければ危険なものであるというふうに考えるんですが、いかがですか。
  146. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) おっしゃるとおりだと私は思います。
  147. 秦野章

    ○秦野章君 刑事局長いいかな。
  148. 安原美穂

    説明員安原美穂君) いまのようなことがございますから刑事訴訟法四十七条という規定があるんだと、したがって、公益上の比較考量ということから慎重に対処すべき事柄であるということになるわけであろうと私も思います。  なお、民事訴訟に対する刑事訴訟の書類の提供の問題がございますが、いま申されましたように、民事裁判でやれるものは民事裁判でやってもらいたいと、しかし、再現不可能なもの、たとえば死亡者の調書とか、あるいはいま御指摘の実況見分書というようなものは再現不可能なものでございまして、こういうものは民事裁判目的実現のために、いわゆる公益上その他の事由があっての、その他の事由として提供しておるわけでございます。
  149. 秦野章

    ○秦野章君 今度は公開の内容というよりも方法論の問題ですけれども、国政調査に対応して政府協力して、これにいわゆる公開の態度を表明せにゃならぬわけですね。ある程度やっていかなきゃならぬ。立法府の、つまり国政調査権の行使に応じてやると、だからそういう意味においては、一ころ大臣のお答えも多少ニュアンスが変わったような感じもするんだけれども、統一見解というものを政府側から積極的に出すということはあり得ないわけですね、あり得ない。そうすると、国会側が国政調査権ということで公開を要求すると、お願いすると、これは協力一つの姿ですけれども、その具体的な方法についてはどういうようなものを期待されてますかね。たとえば、ある議員が手を挙げて大臣に質問するというのも一つの国政調査かもわからぬ。質問権にこたえると、広い意味ではそうだと思いますけれども、やっぱり公開ということの方法には今度の場合やはりかなり慎重なものがなくちゃならぬし、また、当委員会の方でも、どのようなものをひとつ公開してほしいかというのは恐らく理事会等で慎重に審議をしていくことになろうと思います。そういう意味において、一つの形式といいますか、方法のスタイル、形、そういうものが大臣やっぱり必要になってくると思うんですよ。何かこういう点について御意見があったら聞かしてもらいたい。
  150. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) ちょっと質問より——別に灰色高官というお言葉はお使いになりませんでしたが、検察当局によって不起訴処分に付されたが、政治的道義的責任があるものを灰色高官と意味するとしても、元来、犯罪事実の存否ないし刑事責任追及の能否の問題と、政治的道義的責任の存否の問題とはおのずから異なる事柄でありますから、いかなる場合に政治的道義的に責任があるかは、この点について現在調査を行われている国会においても明確にされてしかるべき事柄であると考えます。  いずれにせよ、捜査が続行されている現段階においては、政府がこれに関する統一見解を発表するということは相当でないと考えております。  また、いわゆるそれらの、国会がお決めになった、これは道義的政治的責任があるとして追及されて御質問になると、それに対してどう答えるか、公表の手続については、その定義が明確にされた後に具体的状況に応じ最善の方法を検討すべき事柄でありまして、お尋ねのように、国会における答弁を通じて公表するという方法は十分に考えられますが、前述したように、検察当局の捜査が続行されている現段階においては、公表の手続について具体的な場合を分けて論ずること自体時期尚早であり、適当ではないのではないかと考えております。
  151. 秦野章

    ○秦野章君 もちろん捜査の途中でなんてもちろんこっちも言うつもりはないわけで、一応一段落をした暁におけるその結末の資料でございますね。したがって、捜査の途中とか何とかということじゃなくて、その段階においてやはりある種の具体的な方法、形式というものを考えてそれに応ずるという形になるだろうと思うんでございますね。したがって、いまそれがどういう形かということは決まらぬだろうし、われわれもそれは研究せにゃなりませんけれども、そこで、それはそれとして、この際、何といいますか、やっぱり政府側として、議長裁定もあることだし、これは法律的には別に法律を越えたものではない、超実定法的なものじゃない、法律の枠の中の問題だと、解釈運用の問題だと。解釈の運用でも、いままでの解釈よりもちょっと広めにやるのかといえば、その広めというのは法律の解釈なんでございますから限度があると、法律の枠でありますから、そういうことが言えると思うんですね。  しかも、私はここでひとつ、何といいますか、一つの原則といいますか、検察捜査というものが国政調査権協力をしていく一つの姿として、これは学説もいろいろありますけれども、まあかなり、これはそう異常な変わった学説というんじゃなくて、普通の通説の線に沿ってやっぱり当然国政調査権に対する政府協力があるだろうと思うんですね。その原則論というようなものがそんなに大きく変わるはずがないと。国政調査政府との関係というものの基本的な枠、憲法、国会法その他全体を通じての公法上の枠の中で決まってくる。その中で運用されることですから、そんなに大きく変わるはずもない、こう思うんで、結局、政治責任の追及は政治責任の追及でやるんだが、やり方は、人のふんどしで相撲をとるようなことばかりをするのがやり方じゃなくて、やっぱりそれぞれの持ち腸持ち場の分を守りながら適切な協力をしていくという、そういう大筋は——何か議長裁定というものが超実定法的な印象を受けるような説もあるんですけれども、そうじゃなくて、ちゃんともうすでに決まったいまの実定法の中の問題なんだと、そういうふうに理解していいと思うんですがね、最後にその点で大臣の所見を伺って終わりたいと思います。
  152. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 秦野さんの御意見と私の意見とは一致しております。そういうふうにしなければ、法の精神を逸脱するような公表の仕方ができるわけがありませんですからね。そんなことをできるわけはないと思いますね。ですから、あなたのおっしゃるとおりで、それが一番きわめて重要なことではないかと。そうしないでどんどんどんどん公表するんだ、超実定法的なもののように考えてどんどんどんどん公表するんだなんていうわけにはまいりませんと思いますね。
  153. 黒柳明

    ○黒柳明君 大臣、丸紅の前会長檜山逮捕されました。私たち常識的に考えますと、全日空のトップ、贈賄側として、あるいは丸紅のトップ、贈賄側としてトップがいずれも逮捕されたと。常識的に推測されるのは、この次の段階では収賄側に当然移るんではなかろうかと、こういうふうに思われるんですが、この点いかがでしょう。
  154. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 何と答えましょうか——わかりませんという答えでは御満足にならないと思いますから、これでもう全部贈賄側は大関まで来たと言うて収賄側に捜査の手が伸びるんじゃないかというふうな御質問ですが、横綱が残っているかもわかりませんし、その辺のところは私はよくわかりません。
  155. 黒柳明

    ○黒柳明君 局長ひとつ。
  156. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 御案内のとおり、本日丸紅の前会長逮捕したということでございますので、まあロッキード事件というものの究明ということは、いわばロッキードの方から流れてきた金がどれだけあって、どういう手を通ってどう使用、処分されたかというのが究明の抽象的に言えば目的でございますが、少なくとも丸紅の前会長あるいは全日空の社長等が逮捕されたという意味におきまして、金の入りの点についてはいわば捜査の山場に来ておるということは客観的に間違いはないわけで、これからはその山場に来た金の処分がどうなったかということに突き進んでいくのが当然の過程であろうと思います。  ただ、先ほどから贈賄とか収賄とか申しておられまするけれども、いま逮捕しておるのは外国為替管理法違反と偽証でございますので、その点はひとつそういう言葉はわれわれはまだ使う段階には至っていないということを御理解いただきたいと思います。
  157. 黒柳明

    ○黒柳明君 まあ、一般的な用語を使って私も不注意だったと、当然容疑ということです。  法務大臣ですね、先ほどガバメントオフィシャルズと、これは当然政府高官、便宜上使った日本言葉であって、ここには議会関係者も入っていると。そうなれば与野党もと、これは当然だと思うんですけれども、常識的に。そうすると、これが容疑がこの事件で出てくる場合には当然収賄の容疑と、これも常識だと思うんですが、いかがでしょう。
  158. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 常識的に私そうだと思いますね。ただ、常識的にそうだと思うことが、もし間違っているといかぬから刑事局長に法的に正しい用語でもって説明してもらいましょう。
  159. 安原美穂

    説明員安原美穂君) ちょっと事務当局の者と私語しておりまして御質問を聞いていなかったので大臣にお確かめしたわけでございますが、ガバメントオフィシャルズという言葉は海の向こうから伝わってきた言葉でございますし、これからの捜査の方向は先ほど私がぎりぎり申しましたように、金の使用の、処分がどうなったかということに突き進むであろうということを申し上げたわけでありまして、その中に不正の行為としての贈収賄というものが認められますならば、それを摘発することが当面の課題になるという意味でございまして、したがって、これからの予想される一つ捜査の方法としては、いわゆるガバメントオフィシャルズによる贈収賄ということもあり得るであろうということでひとつ御猶予願いたいと思います。
  160. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると大臣ですね、国会議員としてもし容疑を受ける場合ですね、これは一般論になります、この事件のことじゃなくしても。容疑を受ける場合の職責というのはどういうことになるでしょうか。なかんずく先ほど法務大臣野党を示唆したんじゃないと、こうおっしゃったんですけれども与党なかんずく野党の職責はどんなものになるでしょうか。職務権限、職責。
  161. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 国会議員の場合、一般論として、私よく法律知りませんけれども、あっせん収賄罪というようなことになるのではないかと思いますが、これも法律的に正しい答弁は刑事局長にさせます、もしあれば。
  162. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 仮定論でございますが、ガバメントオフィシャルズというものは公務員ということでありましょうから、それについての贈収賄としてはあっせん収賄もございますし、枉法収賄もございますし、単純収賄もあるということでひとつ、刑法の条文を並べて申しわけございませんが、そういうことだと思います。
  163. 黒柳明

    ○黒柳明君 たとえばですね、与党の場合には、まあ、これは大臣それから政務次官、これは行政指導、それが職責に関連するというようなこと、これははっきりしています。  また失礼ですけれども、巷間うわさされている、いわゆる航空議員、与党の場合には航空部会ですね、そういうところで政策の変更、それに伴ってのこと、常識的に私たちそういうことが想定されるんです。  そうすると、野党の場合ですね、いままで日通事件とか共和製糖事件とか、こういうものが私の少なくとも短い議員経験では経験しているわけですが、それをいまに当てはめるかどうかは別にしましても、ついせんだっての、これもまあ巷間のうわさの一環でしょう、全日空のトップが逮捕されたときに、盆暮れには航空族に、議員に対してはもう五十万や百万と贈られているんだと、しかもそれは三十名ぐらいだと、こんなこともこう活字にすでになって広く国民の皆さん方にはこの事件の疑惑の一つとして、こう注視されていることはこれはもう現実なんです。そうなると、こういうものについて果たして、これは捜査過程でありますからこれがどうなるこうなるということではありません、断定するわけにいきませんけれども、当然その与党、そして野党の場合には、この職責、職務権限と言いましても全く与党とある意味において違うんじゃないでしょうか。そういう場合において与党、なかんずく野党の場合には、たとえば委員会発言したこと、それが何か野党野党というのは政府を追及して、ある場合においては政府の姿勢を正すと、これが野党のある意味での一つの役目ですからね、そういうことまでも野党国会議員の要するにこの事件に絡む職務権限として抵触する場合もあり得るのか、あるいはそういうことも容疑の一つになり得るのか、こういうことを私はいま聞いているんですが。
  164. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 黒柳委員の御質問が、大臣が先般ある種の演説会で申された言葉に関連してのことでございますならば、それはもう関係はないと大臣はおっしゃっていますから……
  165. 黒柳明

    ○黒柳明君 全然別に。
  166. 安原美穂

    説明員安原美穂君) その前提でなくて一般論といたしましては、余り具体的なことは申し上げる立場にはございませんが、過去の例を考えますと、野党の議員の方々で贈収賄罪で問擬されて公訴提起を受けた方の職務権限としては、いわゆる国会における立法権の行使に関してということが職務だということで、その立法権の行使の中には当然国政調査権の行使も入るというようなこと、抽象的でございますが、そういうのが恐らく、仮にもう万々一そんなことはないと思いまするけれども、贈収賄が成立するとすればそういう職務権限ということが考えられるのではなかろうかというようなことでございまして、もうこれ以上余り申し上げることはひとつ御勘弁を願いたいと思います。
  167. 黒柳明

    ○黒柳明君 刑事局長ですけれども、万々そういうことはないという、やっぱりそういう発言すれば大臣も誤解されないんですよ。ですから何も、いま刑事局長が、先ほどの大臣の愛媛における発言関係ないと、私そんなつもりじゃないんです。だから大臣も、先ほどマスコミの批判をされて、私も非常にうまくないと、こう思ったんですけれども、まずやっぱり御自分の反省をすることから始まっていくと、こういうふうにしませんと、私先週言ったばっかしだ。もしそういうことが悪かったらやりませんと言っているのを、またやっちゃっているわけですから、だから果たして先ほど言ったように、全部知りませんけれども、ちょっとは知っていますと、こうおっしゃったですね、この事件については。当然ですよ。そのちょっとの中から何かこう発言が出てきたんじゃなかろうかと、こういう認識もするし、誤解をされても、される方とする方と、どっちが悪いかとてんびんにかけますと、これはあくまでもされる方に分がないことは、これはもう世論を代表しているやっぱりマスコミが一致してそういう見解をとるんですから、それを一人だけ大臣が、失礼ですけれども、そんなことはない、おれはもう腹にはなかったんだと思っていらっしゃると幾ら先週言って、注意します、また今週注意しますと言ったって、来週同じことを言っちゃう。そうなると、何となく竹下建設大臣かばっているんじゃなかろうかな、わかんねえけれどもというような気持ちがあるんですよ、ぼくの中も。大きい家に住んだから竹下君はそれが悪かったんじゃなかろうかという。これは全くですからね、この時期ですから、まあ老婆心ですけれども、こんなことをいま刑事局長がちょっと言って、非常にいい答弁されて、もう否定をしながら肯定するというようなところでやったもんで、念のため、そこのところに返って申しわけないです。——いいです、いいです、それまた、峯山が待っていますんでね。  それで、法務大臣、ただしまたその愛媛の答弁の中で、仲間うちから容疑者と、これは野党じゃないということははっきりしました。示唆してない、否定されたんです、これはもう当然だと思います。ところが、仲間うち、まあ与党・自民党あるいは派閥、まあどこであるか知らないけれども与党・自民党でしょうな、大きく言えば。その仲間うちから容疑者がと、こういう状況であると、こういうことですね——情勢か、まあ大意はそんなことだ。まあ正確に言ってください。仲間うちから容疑者が出る情勢、というのは私の伝え聞くところによると——まあ正確に言ってもらいたい。これはもう自民党、与党にとってはこれは野党以上に同じく穏やかじゃないでしょうな。それで、私それを踏まえて、それじゃ、国会議員ですから自民党だって、仲間うちといったって国会議員ですから。そこから容疑者もと、まあ後の状況とか何とかはっきりわかりません、新聞で私伝わっただけで認識しているだけですからね。そうすると、いまこちらで問題になっているのはPXL、衆議院ではトライスター、まあいわゆる航空運輸官僚であり、こちらでは防衛官僚、それがもう事情聴取を受けていることも、これはもうすでにこの委員会においても、固有名詞、名前も挙げて事情聴取は受けられておりますと、防衛庁内あるいは運輸省内。そうすると、幾ら仲間うちといっても、容疑者が云々といっても、議員ですから、これはロッキードの中から知っているちょっとのところから法務大臣が感触として推測としておっしゃっているんだと思うんですけれどもね。そうすると、そのちょっとの部分からこの防衛官僚、運輸官僚の容疑者というのはあるんですか。あるいは逮捕者というのは推測できるんですか。全部知らなくて、ちょっと知っているんでしょうから、そのちょっと知っているところから推測ができませんか。
  168. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 先ほど私は、検察庁でどういうふうにやっているか、それらのことは報告を受けないからほとんど知ならないと、こう言ったら、それじゃちょっと知っていると、こういうふうに受けとめられたんですね。わし、ちょっと知っていますとは答弁してないんですな、ちょっと知っていますとは。
  169. 黒柳明

    ○黒柳明君 言ったよ言ったよ。ちょっと……
  170. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) ちょっと知っていますとは言ってないんです。いいですか。きょうの檜山氏の逮捕などはまあ事前に知らされておると、そういうことです。ちょっと知っているという言葉は使いませんよ、わしね。  それからあなたは、おれがあれだけ、黒柳議員があれだけ法務大臣に注意をしているのに、おまえまたやったなと、こういうことですがね、私、やってないことをやったように書かれるんだから、しょうがないじゃないですか。たとえば、どうしてうそが多いかという一例を挙げます。  きのう議員会館でね……
  171. 黒柳明

    ○黒柳明君 向こうへ向かって言ってください。
  172. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 昼飯食っていたらね、そこへ写真班と記者が二人来られました。サンケイです。そうしてね、「談笑の合間に稻葉さんが「四国ではタイが釣れた。これから陸でも大物がひっかかるかな」と言ったため、そばから——夫人が「お父さん、そんなこといって…」と、発言の手綱をしめるのに大わらわ。」とこう書いてある。言ってないこと書いてある。「四国ではタイが釣れた。」とは言った。その次、「これから陸でも大物がひっかかるかな」、これ、言うてないです。言うてないですよ。そうしてね、「お父さん、そんなこといって…」と家内にたしなめられたと、まあ「手綱をしめるのに大わらわ。」と。家内は「お父さん」なんてわしのことを呼ばないんです。(笑声)だから完全にうそでしょう。完全にうそです。そういうことがあるから、こういうふうにたくさんあるけれどもね、こんなことを言っているのじゃないんですとけさ言うたんです。あれだけ注意したのに、おまえまたやったなとおっしゃるからね。わし、うそ言ってない。うそ言ってないんです。
  173. 黒柳明

    ○黒柳明君 まあ暑いさなか、精力的に議員もマスコミの皆さんも委員会に取り組んでいるんですから、たまには笑いがあっていいと思いますよ、私ね。ただ私が言いたいのは——同僚議員が時間を豊富にとりたいんです、いまそれ読んだだけ時間が超過しちゃったんでね。私、言いたいのは、いまこの時でね、やっぱりすべてそれを、すべてと言わないけれども野党の皆さん方の曲解であり、あるいはマスコミの皆さん方、大臣が釣りが好きだということを御存じだから、それにひっかけてやっぱりそういうことを書かれるんです、おっしゃっているとかいないとかの別じゃなく。ただ根本的にそういうことを反省して発言をしないと、国会では、この前も言ったように、物を言わないのに、外へ出たらいろんなことを言う、そこに大きなやっぱり私たちあるいはマスコミの皆さん方の大臣とのギャップがあるんです。このギャップのずれというものがあってね、大臣はおれはいいんだ、おれはいいんだ、おまえたちがずれているんじゃないかということは、客観的に見ると、大臣がずれているのかわからないです、客観的に見ると。判断する人いないんだから。大相撲じゃありません、行司はいないんだから、ここには。だからそれはわからない。だから、その点大臣もやっぱり責任者として、これから外に出て話をするなと言っても無理でしょう。ですから話をしても結構ですけれども誤解を招き、あるいは言わないことを書かれるような発言は極力抑えなさいと、こういうことを私この前も言ったんだし、まあこんなことをやりますと遅くなりますのでね。  ちょっとそれから最後に、いまこれ余分なことを、変な記事読んで、サンケイさんだって迷惑じゃないですか。それ私ね、客観的に見て、サンケイ新聞だけじゃないですよ。私は全国紙六つ見ましたよ。その六紙併用して言うならばいいんです、併用して。具体的に言って失礼です。東京新聞はこうだとか、朝日はこう、毎日、讀売こうと言うならいいんです。そこが刑事局長が気を使って言うんですよ。法務大臣はそれがないんです。「サンケイです」なんて言う。サンケイと言わなきゃまだいい。東京読んだですか、朝日読んだですか、毎日読んだですか、讀売読んだですか。同じことが書いてあるのに、ただ——まあいいやいいや、それはいいや。サンケイだけ挙げるという——。不必要なんですよ。そこを私言うんです。
  174. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) サンケイだけにしかないんだから。
  175. 黒柳明

    ○黒柳明君 いや、そこはそうだけれども、ほかのところはみんな各紙書いてありますよ。まあ結構です、同僚議員が遅くなっちまう。
  176. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 承服できぬな、承服しません。
  177. 黒柳明

    ○黒柳明君 承服しなかったら、それじゃいい、それじゃ一言入れましょう。簡単にね、簡単に言いなさい。
  178. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) だって、この「四国ではタイが釣れた。これから陸でも大物がひっかかるかな」という記事はサンケイだけなんだもの。
  179. 黒柳明

    ○黒柳明君 うん、わかった、わかった、わかった。その記事だけについて、サンケイ認めましょう。一致、大臣と。いいですね。その大物のタイだけサンケイ一致。ほかのことについて、さっき上田議員から言ったことについては、サンケイだけじゃない、東京だけじゃない、毎日、朝日だけじゃないというの、そこを並列してやっぱり言うぐらいな、この公式の場ですから、注意がないと、また、ここで言ったことだから、この次はもっと話題をまいてということになりかねない。私、老婆心です。孫みたいな年でこんなことを言うのいやだけれども、刑事局長と非常に対照的だったから、一言言っただけ。済みません、時間がなくなって。以上。同僚議員がやるから……。変な質問になっちゃって……。
  180. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) あなたは国会ではさっぱり物しゃべらぬで、よそへ出て行くといろいろなことを言うなんて言うけれども、おれ、言うてないものね。
  181. 黒柳明

    ○黒柳明君 いや、いやいやいや、長くなるから。
  182. 峯山昭範

    峯山昭範君 私は防衛庁の方へお伺いいたします。  初めに、防衛庁が現在軍事有償援助方式ですか、この方式で米軍から直接いろいろと軍事のいわゆる備品を購入しているわけでございますが、これに関していろいろな角度から質問したいと思います。  初めに、FMS方式以前ですね、MDAP方式で防衛庁に納入されたいわゆる備品ですね、航空機等、どの程度あるのか。中でも、特にロッキード関係の航空機等はどの程度あるのか、一遍これ、ちょっとお伺いしたい。
  183. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 防衛庁が現在米国あるいは海外から輸入しておりますものの中では、御指摘のような一般輸入、有償援助、無償援助と三種類、大別するとございます。その中で、いわゆるMAP関係のものは、無償援助は、従来までのところ、約五千七百六十億円でございます。それから、有償援助が千五百億円と、現在、四十九年度までの数字でございますが、大体そのような数字になっております。
  184. 峯山昭範

    峯山昭範君 MAP方式というのは、大体何年から何年ごろまででございますか。
  185. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) MAP方式は、一応二十五年当時から四十四年当時まで入っております。
  186. 峯山昭範

    峯山昭範君 FMS方式は大体何年度からありますか。
  187. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) ちょっといま手元に資料がございませんのですけれども、一応そのFMSが本格化しましたのは、三十年前後からかと考えられます。ちょっとこれ、いま手元に正確な資料がございませんので、その点はお許しいただきます。
  188. 峯山昭範

    峯山昭範君 初めに、MAP方式でロッキード社の航空機、どの程度入っていますか。
  189. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) いわゆるMAP、無償貸与で一番大きなものといたしましては、御存じのP2V7がそれに該当いたすと思います。これはロッキード関係のものでございます。それからあとT33、主だったところではそんなところかと思います。
  190. 峯山昭範

    峯山昭範君 もう少し正確にぱんぱん言ってほしいんですけれども、非常に時間がかかり過ぎます。  T33AがMAP方式で入ったのは昭和二十九年度から三十年度にかけて六十八機、それからP2V7が十六機、三十年から三十三年にかけて——防衛庁の資料です。これはこのとおりでございますか。
  191. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 大変恐縮で、私、いまそのお出しをいたしました資料を持っておりませんが、私どもの方から出た数字でございましたら、そのとおりであろうかと思います。
  192. 峯山昭範

    峯山昭範君 このT33とP2V7というのは、これは一遍確認をしておきたいんですが、自衛隊に供与されたときにはすべて新しい航空機だったんでしょうか、それとも中古だったんでしょうか、これはどうです。
  193. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) T33の練習機につきましては定かでございませんが、P2V7は恐らく新しい飛行機であったろうと思います。
  194. 峯山昭範

    峯山昭範君 どうも私の調査によると、すべてほとんど新しいものであったというふうに聞いております。  そこで私は質問を進めたいのですが、まず、これはMAP方式でいまの八十四機入っております。そこで、その後FMS方式で、いま先ほどトータルで千五百億という話がございましたが、ロッキード関係はどういうふうになっておりますか、これはどうです。
  195. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) これは全体の数字を私ども実はいままだつかんでおりません。調べればわかると思いますが、いま現在私手元に持っておりませんが、一例といたしまして四十九年度のFMS、これは八十八億ございますけれども、その中の一例を申し上げますと、全体の中央調達が六十四億、地方調達が二十四億、合計八十八億七千八百万円でございますが、その中でいわゆるロッキード関係物品というものは、一応私どもの調べたところでは千五百万円程度、約〇・二%という数字になっております。
  196. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは次に、先ほどのFMS方式で合計で千五百億とおっしゃいましたが、これは年度別に言いますと、大体どの程度になりますか。昭和三十一年から先ほど確認……、数字を言っておきましたが、これはそのとおりなんですか。
  197. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 有償援助ということでございますか。
  198. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうです。
  199. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 一応有償援助は、ちょっと三十七年度の数字ございませんが、三十八年度から申し上げさしていただきたいと思いますが、有償援助によります輸入額が三十八年度百六十一億でございます。それから三十九年度六十億、四十年度六十四億八千三百万、それから四十一年度、これは以下丸めますが、五十五億。それから四十二年度六十二億、四十三年度百九十四億、四十四年度五十四億、それから四十五年度五十一億、四十六年度百十六億、四十七年度百十六億五千万円、約百十七億、四十八年度百八十一億、四十九年度八十九億でございます。
  200. 峯山昭範

    峯山昭範君 そこで、この有償援助にかかる米軍のこういうふうな航空機等をいわゆる日本に輸送する場合に、そういう輸送賃の、いわゆる輸送業務ですが、これに関しまして特に丸紅が昭和三十八年度から現在まで特に口銭ゼロということで、手数料ゼロで防衛庁が発注しているわけでございますが、ここら辺のいきさつについてはどういうふうにお考えなんですか。
  201. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) これは古い話でございまして、事の起こりが三十一年の、いわゆる先ほど申しましたFMSの調達が始まりましたころからのことでございます。現在このFMS関係の輸送は大体その七割を商社で扱っておるわけでございますが、この輸送に伴います輸送役務と申しますかあるいは輸送の手数料と申しますか、それの扱いに関しまして、いわゆる商社がこの中に、取り扱いに入っておるわけでございます。当初、三十一年度から三十七年度ごろまでは、概略いたしまして一・五%から二・五%程度の手数料の支払いがこれは一応随意契約の形で行われておるわけでございますが、三十八年度以降は、特に米軍側からのFMS業務の円滑化を図るため輸送業者を一社にしてほしいという要請がございまして、三十八年度ごろから、輸送関係委託業者五社に競争入札をいたさせまして、一社にするというような方針をとった次第でございます。それで、その際落札をいたしました結果、丸紅及び他の一社がそれぞれ手数料率をゼロ%という数字で出してまいりまして、それからさらにそこでくじ引きをさせると、いわゆるくじ引き方法ということで丸紅が落札をするということに相なりました次第でございます。しかしながら、その後三十九年度以降におきましても、輸送役務の関係は予決令におきましても一応随意契約が当然ながら認められておりますので、先ほど申し上げました米軍からの輸送業務の、何と申しますか、安定化と申しますか、そういう要望もございまして、一応三年ごとに各社見積もり合わせを出させまして、そしてその中から最も安いものを選ぶという方向で運用してまいっております。その結果、各三年度ごとにいわゆる見積もり合わせをいたしておりますけれども、その際は丸紅その他数社がそれぞれ手数料はちょうだいしなくてもいいというようなことを言っておられてきておるわけでございますが、一応手なれたところにやらしたいということで、これは丸紅が自来この五十年度に至るまで一社で手数料率をゼロということで取り扱い業務をいたしておる、かような状況でございます。
  202. 峯山昭範

    峯山昭範君 四十八年当時、手数料がゼロでいいと、こういうふうにいわゆる入札した商社はどことどこですか。
  203. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) いま四十八年とおっしゃいましたが、三十八年……。
  204. 峯山昭範

    峯山昭範君 三十八年。
  205. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 三十八年は一応五社を対象といたしまして指名競札をこのときは行っておりますが、その際丸紅及び伊藤忠の両社から手数料率ゼロの応札がございました。
  206. 峯山昭範

    峯山昭範君 そこで、一九五八年ですから昭和三十二年でございますが、昭和三十三年八月一日、一日付でロッキード社と丸紅の間に契約書が交わされている、この事実については、これは防衛庁としてはもうすでに御存じでございますね。これはどうです。
  207. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) おっしゃるように、五八年の八月一日に契約が締結されてございます。
  208. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは五八年の八月一日に、ロッキード社と丸紅の間にMDAPによる日米政府間の航空機及び部品、資材、こういうふうな取引高に応じて一定の報償金がそれぞれの率に基づいて支給をされると。それでその場合に、その契約書自体はその後数回改定をされておりますが、この契約書及び契約書の中身及びその報償率ですね、こういうふうな問題については防衛庁の装備局としてはもう全部つかんでいらっしゃるわけですね。これはどうです。
  209. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) これも先般このロッキード委員会において問題になりましたことでございますが、いわゆるこれは輸入のコミッションの関係の契約でございます。私どもとしては、従来輸入取扱業者に対しましてこういった契約があればその提出を求めてきたわけでございますが、なかなか協力を得られないという一般的な背景がございました。ただ、丸紅につきましては、これは先般こういう問題が起こりまして、さらに衆議院の予算委員会の方からもこの契約の提出ということの御要望もございまして、私どもの方からも丸紅に対して要望をいたしました。その結果丸紅の方からこの契約の中身が提出されてまいりました。一応秘扱いということでございますが、私どもとしては契約の中身、この八本分の契約については一応中身を了知しておると、こういうことでございます。
  210. 峯山昭範

    峯山昭範君 契約書、特に昭和三十三年の八月一日付のこの契約書自身は、ロッキード社の軍用製品を日本政府に売り渡す、あるいは先ほど言いましたMDAP方式で無償で提供する、あるいはライセンス生産等も含めて、すべて軍用機専用の契約書ですね、この契約書。これはそのとおりです。これは御存じですか。要するに、これは一般のいわゆるいま民間航空で問題になっている航空機とは全く関係のない、いわゆる軍用機専門の契約書ですね、これ。私は手元にありますけれども。これをあなたの方で中身等すべて御存じなんですね。それでこの契約書を知ったのはいつなのか。いつの時点でこの契約書を知ったのか、これは一遍明らかにしてもらいたい。
  211. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 私どもの方で現在了知しております範囲、対象品目ということで申し上げますと、先ほど御指摘のありましたような、これ全部軍用機であろうかと考えられますが、T33、P2V7、F104、C130の機体、それからその他フライトレコーダー等、あるいはアリソンのエンジンといったようなものが対象になっておる契約であろうというふうに私ども了知しております。  それから提出されましたのは二月二十五日でございます。
  212. 峯山昭範

    峯山昭範君 二月二十五日というのは、ことしの二月二十五日に防衛庁が初めて知ったと、こういうことですか。
  213. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 中身の提出を受けましたのは二月二十五日でございます。
  214. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは、防衛庁としては丸紅に対しては、こういう契約書は初めからあるということ、あると思っていらっしゃったのか、二月二十五日までは全くこういうものはないと考えていらっしゃったのか、どうなんです。
  215. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 先ほども冒頭に申し上げましたけれども、従来こういった輸入の取扱業者、特に俗称ソールエージェントと申しておりますけれども、海外からの輸入の販売権等を一手に持ちまして、日本向けの販売等をいたしておりますところにつきましては、私どもとしては当然こういったコミッション契約と、あるいは販売代理店契約と申しますか、そういったものが存在するということはっとに推察しておったわけでございます。それで、丸紅の場合もこれはロッキードの代理店という形をとっておりますが、そういう意味で恐らく何らかの契約があるであろうということは了知しておったわけでございます。しかしながら、遺憾ながら実際問題として契約書の提出はなかったと、こういうことでございます。
  216. 峯山昭範

    峯山昭範君 私の手元にあります契約書の中身をずっと読んでみますと、特にコンペンセーションレートですね。これによりますと、先ほど話がございましたように、対象航空機、これはロッキードのモデルT33から始まってP2V7、それからF104、C130、こういうようなものがすべて対象になっているわけでrね。しかもこういうふうな部品を納入した場合、これは要するに、たとえば先ほどお話しをしましたように、MAP方式で、いわゆる無償で提供された場合でも丸紅は手数料が入ってくる、そういうだけじゃないですね。ライセンス生産でやった場合でもこれはちゃんと丸紅には手数料が入ってくる。このパーセントによると、ライセンス生産の場合は一・二五%、それからロッキードモデル104の場合については一・八%、これはもうすべて詳細に、C130の場合には二%、それからこのほかオプションした場合でも丸紅には手数料が入ってくる。すべてこういうふうな、たとえば逆に言えばこれは裏契約ですよね。防衛庁に全く知らさないで、要するにロッキード社と丸紅でこういう契約をやっている。こういうふうなことが現実に許されてきたわけですね。だから、要するにこの問題について、これは防衛庁としてはどういうふうにお考えなのか。それからこういうふうな実情についてどういうふうに現在把握していらっしゃるのか、これはどうなんです。
  217. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) いまの御指摘は、いわゆる一般の商業輸入でないものについてもそういったものがあるのではないかという御指摘であろうかと思います。
  218. 峯山昭範

    峯山昭範君 いやいや、そうではないよ。
  219. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 私どもの方といたしては、とにかく丸紅が輸入をいたします場合には何らかのコミッションというものが、先ほどの代理店契約とか、あるいはライセンス契約があれば、そういったものの取扱料ということで何らかのものが支払われておるであろうということは類推しておったわけでございます。
  220. 峯山昭範

    峯山昭範君 いや、そんなことじゃないんだ、私が言っているのは。丸紅が直接タッチして、丸紅が手を加えて自分のところで輸入をしたと、そういう場合に手数料、コミッションがちゃんと入ってくるのは、これは商売上当然だと私は思うんですよ。ところが、丸紅が全くタッチしなくても、いわゆるMAP方式なんかで米軍から直接供与される、こういうような場合にでも、これは当然手数料が入ってくる、現実にこれはあるわけですね。それから軍事有償方式で、いわゆるFMS方式でやった場合でも、丸紅が手を汚さなくても自然に手数料が入ってくる、現実にこういうふうな方式に全部なっているわけですよね、これね。こういう問題についてはどういうふうにあなた方いままで掌握していらっしゃったのか、これはどうなんです。
  221. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) この丸紅の契約は、通常申しますソールエージェント契約、つまりいわゆるソールエージェント契約というのとはいささか中身が違っておるようでございますが、いずれにいたしましてもソールエージェント的な契約でございます。で、そういうものに対していまそれが現実に商行為と申しますか、そういったことに直接に介入しなくても、あるいはそういったものの手伝いをいたさなくても、一定の手数料なりあるいはコミッションが払われるということをどう考えるかということかと思われますけれども、元来こういったソールエージェント契約と申しますのは、あるいはこういった代理店契約と申しますものは、その代理店の組織力あるいは販売力、知名度というようなものを利用して行われるものでございます。たとえばアメリカの某メーカーが日本である一定の商品を売ろうとする場合に、日本の販路がわからないと、あるいはしかるべき販売機構というものが確立されておらないと、そういうためにある一定の販売機構を持っておるところ、あるいは知名度の高いところを利用いたしまして、そこに依頼をいたしまして、そこの助けをかりてマーケットを拡大すると、こういう契約が実態であろうかと思います。したがいまして、当初におきましては何らかのそういった代理店の介添えがある、あるいは協力があろうかと思いますが、ある一定ルートがついた場合には、それはそのルートで流れていくということでございまして、そういう際には、いわゆるその際その個々の契約における直接の貢献というものがなくても、代理店手数料が支払われていくという性質のものであろうというふうに考えておる次第でございます。
  222. 峯山昭範

    峯山昭範君 要するに、一般商慣習としてそういうふうになっていると、要するに商社の顔ですね、言うたら。それでそういうふうになっているということですけれども、実際は、それならそれで当然防衛庁に、たとえば先ほどの手数料はゼロで結構ですなんて言ってますけれども、表ではゼロで結構ですと言ってますけれども、裏ではちゃんともろうているわけですよ、結局ね。ですからゼロじゃないわけですよ、逆に言えば。この問題も非常に大きな問題です。  さらに、この問題と絡んでいろんな問題がまた出てくるわけでございますが、まず、こういうふうな契約について、会計検査院、これは一体どういうふうにチェックをしてこられたのか。いままでこういうふうな問題について、こういうふうな契約書自身は会計検査院は御存じだったのか。防衛庁からはどういうふうな報告を受けていらっしゃるのか。これはどうです。
  223. 高橋保司

    説明員(高橋保司君) 代理店契約につきましては、そういう契約があって金銭の授受があるということは私ども薄々感じておりましたから、私どもの実地検査を通じましてこの種の契約書を確認したいと思いまして、従来しばしば要求してまいったのでありますが、最近防衛庁当局の御努力によりまして契約書を入手することができまして、そういうものの存在をはっきり知ることができました。  それで、これについてどう考えるかということでございますが、契約書によりますと、丸紅はロッキードのために、販売であるとか、あるいは市場開拓であるとか、あるいはライセンス契約であるとか、あるいは役務の提供であるとかという、単に輸入業務の仲介ということではなくて、かなり広範な市場開拓などの任務を背負っておるわけであります。それに対する対価というようなぐあいに契約書の中ではうたわれておるわけでありますが、そうしますと、こういう経費というものは防衛庁が購入する品代の中に原価計算の上では当然織り込まれておるわけであります。しかし、その織り込まれ方が、たとえば一〇%なら一〇%という手数料がそのまま織り込まれておるのか、あるいは何らかの形で操作した上で織り込まれておるのか、その辺の事情が実は私どもとしてよくわからないのでありまして、一方、輸入手数料というものを払ってまして、ここでは一般管理費、販売費、それから利益というものを補償するような形で支払われておりますから、私どもといたしましてはそういうコンペンセーションの存在ということを頭に置いた上で価格の交渉があるべきではないであろうかというような一般的な考え方で現在調査を進めておるところでございます。
  224. 峯山昭範

    峯山昭範君 時間が短いので簡単にいきますが、まず、特に先ほどから一般商慣習として行われるようなものじゃなくて、現実にこの政府間取引ですね、FMS方式とかMAP方式で、こういうふうな場合でも報償金が現実に商社とロッキード社の裏契約で現実に支払われていると、このこと自体についてこれは非常に大きな問題だと私は思うんです。さらに丸紅とその後の修正契約が幾つもあるんですが、この中身を読みますと、とにかく、たとえば丸紅とロッキード社の場合、丸紅を通して三菱重工に売る場合には手数料を三%から二分の一の一・五%の報酬に下がるようにというロッキード社の要求に対して丸紅は同意いたしますと。ところがその後、しかしながら、上記に関する販売が、われわれと防衛庁との間に別個に——これは要するに、政府間交渉のことを言っているわけですね。別個になされた場合には、そのいわゆる丸紅に対する手数料は従来どおり削減をしないで三%とすると、こういうふうな契約が幾つもあるわけですね。こういうのを見ていますと、丸紅のやり方は、結局は国の予算を、先ほど会計検査院が言いましたけれども、原価計算やいいろんな問題からいきますと、大きく食い込んでいる。またさらに、私はきょう時間がございませんが、明日やりますが、この商慣習のいろんな問題から、丸紅と防衛庁の問題にも大きな問題があるんじゃないか、こういうふうに考えております。そこでこの政府間取引について防衛庁自身が、報償金というものが現実に、ただ単にコミッションというものじゃなくて、コンペンセーションという形で支払われていると。それでこういうような問題は結局公に、今回初めて公になったわけですけれども、こういう問題については一体どういうように考えていらっしゃるのか、一遍お伺いしたい。
  225. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) いわゆる政府間取引と申しますか、FMS契約におきましてそういったコミッションというものが先方の調達価格の中に入れられておるということは、実はわれわれも非常にうかつでございますが、最近まで知りませんでした。ただ、現実の状況をその後調査をいたしますところ、そういうのは定かではございませんが、恐らくこの数年前からやはりそういうことが行われておったのではないか。つまり、アメリカが商品を調達いたしましてこちらの方へ物を送ってまいります。そのときの米国側の調達価格の中にそういったコミッションというものも入れておるということがどうもあるようでございます。しかしながら、それをさらに私どもの方で詳しく調査をいたしますと、現実にそういうことをやる場合には、FMSのDDフォームというものがございますけれども、それのレター・オブ・オファーというのがございますが、その中の脚注にそれを向こうは書き込んでくるという扱いになっておるようでございます。そういうことで、私の方はそれをこの一両年の間にわたりまして、実際にそういうものの書き込みがあるかどうかチェックをいたしまして、また先方にも頼んでチェックをいたしておりますが、いまのところ、大物につきましてはそういうものがないということを確認いたしております。したがいまして、一方においては、いま御指摘のような契約が行われまして、そういうことが行われておるのではないかということが類推されますけれども、私どものいままで、まあ余り長い範囲ではございませんが、一応確認いたしましたところでは、そういうものはないというのが実態でございます。
  226. 峯山昭範

    峯山昭範君 ないとは言いましても、現実にこれは昭和三十三年以降現在まで、この契約は現実にたびたび改正されて実行されてきているわけですよ。これはもう大変な問題だと私は思うんですよ。  そこで、丸紅はロッキード社との契約を破棄しましたね。これは現在どうなっているのか。破棄した後、この問題について防衛庁としてはどういう措置をしていらっしゃるのか。これはどうです。
  227. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) まあこれは二通りございまして、丸紅が三月になって契約破棄の通告をいたしまして、たしか日にちがはっきりいたしませんが、その有効になりましたのは四月ということで——有効といいますのは、失効いたしましたのは四月になってからでございます。その間に、従来発注いたしましたものの経過的な部品等の納入等につきましては、先方もきちっとやってきてくれておりますし、従来の取扱商社、つまり丸紅なり何らかの商社というものは、一応それを履行しておってくれておるわけでございます。  問題は、五十一年度に入った後の従来補修部品でございますとか、そういったいろいろな、たとえばP2Jに必要な補修部品でございますとか、あるいは航空機関係の機材でございますとか、そういったものの取り扱いについて、一体どこにそういう取扱業者的なことをやってもらうかという問題でございますが、これは目下よく検討をしておる最中でございます。本来ならばこれは防衛庁がやるのが適当かと思いますけれども、何分非常に額が細かくなりまして、扱いの手数等も大変な手数になるわけでございまして、まあそういう意味からそれやこれや勘案いたしまして、目下どういう扱いにしようかということを検討しておるという段階でございます。
  228. 峯山昭範

    峯山昭範君 これはただ単に補用部品だけじゃなくて、局長ね。これはすべてですね、この104とか、104Jとか、P2Vとか、P2J、こういうふうなやつのライセンス生産についてもすべて同じなんですよ、ライセンス生産の場合でもね。丸紅はタッチしていないとはいいましても、補用部品だけしか丸紅を通して買ってないといいましても、それだけじゃないわけです。ライセンス生産の場合でも、そのいわゆるロッキード社が受け取る金額そのものから、いわゆるその一・二五%の、飛行機によってパーセントは多少違いますが、そのいわゆるコンペンセーションをもらっておる。コミッションというものじゃなくて、もうコンペンセーションという形になっておるわけですね。それ自体が非常に問題がある。飛行機の原価そのものについても問題がありますし、たとえば民間航空の場合は、いまたとえばトライスターなんかの場合非常にいろんな問題になっております。たとえば値引きの中で、たとえば広告宣伝料とか、スペアパーツの無償提供とか、リタイア奨励金とか、そういうことで相当値引きの問題についてもその一つ一つについて何十億という金額で、そういう金高でずっとこう出てきていますね。ところが、そういうふうな問題について防衛庁関係は全くそれがないわけでしょう。しかも、そういうふうな関係からこういうふうな問題を押していきますと、非常にこれは大きな問題になってくる。そういうふうな点を相当慎重に検討しなくちゃいけないと思う。この点についてひとつ答弁をもらいたい。  もう一つ、これは大臣、PXLの問題ですね。これはいま輸入を含めて検討するということで、この委員会でも相当問題になっているわけでございますけれども、実際国産の場合は、これはもう純国産というんじゃなくて、この委員会でも相当議論しましたように、ライセンス生産ということは相当考えられるわけですね。そうしますと、少なくともこのロッキード社の製品がライセンス生産されるということになりますと、このロッキード社と総契約を結んだ商社というのは、もしこの丸紅と同じような契約を結んだとすれば、要するに、その商社が関与するしないにかかわらず、このいわゆるコンペンセーションとして手数料等をいただくと、報償金をもらうと、こうなっているわけですね。そういうことになるわけですね、実際問題としてですね。そういうふうな場合に、ただ単に、大臣がときどきおっしゃっておりますように、政府間取引だけでいいのか、そこにもやはりいろんな問題点があるんじゃないかと、こういう点もやっぱり検討しなくちゃならないと私は思うんです。この点を後で答弁していただきたい。  それから、時間がございませんので、もう一点だけ質問をしておきます。それは、先ほど肩がわりの商社の話を私は質問いたしましたが、まだ検討中であると、正式に決まってない、そういうことですけれども、このロッキード社の代理店を、丸紅がなくなるとどうしてもすぐ必要だということで、現実に伊藤忠が、先ほど手数料は要らないと言って初めからこのロッキード社の代理店を目指していた伊藤忠がこの名のりを上げている。いわゆるこのFMS方式契約、こういうふうな防衛庁関係についても、伊藤忠が別会社をつくって、そしてすでに名のりを上げていると、こういうふうな事実が現実にあるわけです。こういうふうな問題について、防衛庁としては丸紅の前例を、この先例を、伊藤忠のその子会社に、伊藤忠自身、まあ一〇〇%子会社でしょうから、踏襲させるということがあるとすれば、これはやはり問題だと私思うんです。会計検査院も検査する直前、現在まで知らなかったわけですから、原価をはじき出す場合に、こういうような問題が大きく問題になってくるわけです。そうしますと、そういうような問題については一体どういうふうに今後措置をしていくのか、この点も含めて三点ほど申し上げましたが、答弁をいただきたいと思います。
  229. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) いま調達の問題につきましていろいろ示唆に富んだ御指摘がございました。われわれの方で把握をしている点もございますけれども、まだ把握をできかねておる点もございます。しかし、こういうふうなことをやはりクリアにいたしますことがやはりロッキード問題特別委員会の御趣旨かと思いますので、私どもといたしましては慎重に、しかもそういうことに対して国民の疑惑を招かないような調達の方法を見出したいというふうに考えておるわけでございまして、一部の部品等につきましても、いま先生御指摘のような問題もございますし、あるいはライセンスの場合におきましてはどうなのかというようなことも、全部ひとつ考えさしていただきたい、研究さしていただきたいというふうに思います。  まあ、いずれにいたしましても、アメリカで商習慣として成り立っておるものが直ちに日本の商習慣に合わないような部面もあろうかと思います。こういういろんな問題が今度のロッキード問題をめぐりまして明らかになったことは、私、やはりこういうような災いをもって福となすと申しますか、そういうような方向で処置をいたしたいと考えておるわけでございます。
  230. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 先生の申されました第三の点から申し上げたいと思いますけれども、伊藤忠の別会社ということでございますが、恐らく伊藤忠アビエーションのことの御指摘かと考えられます。この場合は、私どもの知る限りにおきましては、川崎重工がロッキードから入れる部品あるいは機材というものについて伊藤忠アビエーションが代行業務をしておるということであろうかと考えております。と申しますのは、契約面では川重とロッキードが契約をいたしました。コントラクトいたしました。それのライセンス、それのLCを開きますとか、あるいは通関をやりますとか、そういったいわゆる下回りの仕事を伊藤忠アビエーションがやるという形態になっておるのではないかと考えております。したがいまして、先ほど申しました将来のロッキード関係の品物のこれからの扱いをどうするかという問題は、実は防衛庁がロッキードから買う、つまり補用部品とか、あるいは各デポ−に置きます機材とかというようなもので防衛庁がいわゆる直接契約をするものにつきまして、その間の商社というものをどうするかと、こういう問題でございまして、まあこれに先ほどの伊藤忠アビエーションを使うかどうかという問題は別途ございますけれども、そういう問題は厳重に私どもの方も、先ほどいろんな御指摘の事態もございますから、いろいろ考えまして、そういうことも全部含めて検討してまいりたいと、かように考えております。  それからライセンスの問題でございますが、確かにライセンス契約というものを、中に入りました、たとえば丸紅なり何なりが入ってまとめております場合には、いま申しましたような例がありますけれども、すべての契約が全部そういう形になるとは限りませんので、これは恐らく契約ごと、あるいは案件ごとに非常にいろいろ違いが出てくると思います。私どもの方といたしましては、こういった現在現実に起こっています問題その他、いろいろなことを十分考えまして、非常にその点はよく注意をしてこれから取り扱いをしてまいりたいというように考えておる次第でございます。
  231. 橋本敦

    ○橋本敦君 最初に法務大臣にお伺いをいたしますが、例のロサンゼルス裁判所のファーガソン判事の裁定にどう対応するかという問題については、この前私も意見を申し上げましたし、早速に最高裁と協議をするということで、具体的な協議に入られておるやに聞いております。したがって、いつ、どういう手続で最高裁との協議にお入りになって、いまどういう段階になっておるか、現状についてお話を願いたいと思います。
  232. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 法務省は七月七日、最高裁判所事務総局刑事局に対し、中部カリフォルニア合衆国連邦地方裁判所ウオレン・J・ファーガソン判事が、わが国東京地方裁判所の行った証人尋問嘱託に関し、証言伝達の条件として、本件証人がその証言において明らかにしたあらゆる情報を理由として、また、証言した結果として入手されるあらゆる情報を理由として、日本国領土内で起訴されることがない旨を明確にする日本国最高裁判所の決定または規則の提出を要求することを内容とする決定を行いましたので、このファーガソン決定の内容を法務省から最高裁に伝えるとともに、この要請にこたえ、最高裁が、証人尋問の結果が入手できることとなるよう、具体的な方策について検討していただくよう、最高裁に法務省は依頼いたしました。最高裁判所としては、わが国の法令の範囲内において可能な方策について現在検討を願っておるものと考えます。
  233. 橋本敦

    ○橋本敦君 その際、私も前回申し上げたんですけれども、学者の中でも、検察官が起訴便宜主義に基づいて起訴しないと約束したことに対して、これに違反をして起訴するようなことがあった場合はその起訴は無効であるという法律判断の上に立って、最高裁がそのような規則を制定することも可能であるという学者の意見も一部報ぜられているわけですね。で、いま法務大臣がおっしゃった、最高裁に対するその申し入れということに際して、法務省としてはこういう見解があり得ると考えるとか、法務省はこのようなことで対応できると思うとか、法務省側の意見というのは全然述べておられないんですか。それとも別途協議機会にそういう意見を交換し合うというようなことで意見を反映することは考えておられるんですか。
  234. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 法務省のそういう法律構成の意見をつけて出したわけではありません。もっぱら最高裁の御処置を依頼しておるということだろうと思いますが、現に申し込みに行ったのは刑事局長ですから、刑事局長からその辺の事情を、確かなところを答弁させます。
  235. 橋本敦

    ○橋本敦君 その前に、それじゃ刑事局長にお尋ねをいたしますが、最高裁のどなたにお会いになって、そしていま大臣にも聞きましたけれども、法務省側の見解というのはどういうようにお伝えになったのか。そして法務省側の意見としては、この最高裁の対応が一日も早く出ることを期待されているのは当然と思いますが、大体どれくらいの見当でこの対応が出されることを期待されていらっしゃるのか、そこらの話が最高裁との間でどうなっているか、お知らせ願いたいと思います。
  236. 安原美穂

    説明員安原美穂君) いま大臣が申されましたように、ファーガソン裁定が出まして、たしかこの委員会でも橋本委員から御質問があった日であったと思いまするけれども、早速最高裁判所の岡垣刑事局長に私出向いてお目にかかりまして、本来裁判所が証人尋問を嘱託していただいておるわけですけれども、重大な利害関係人は検察当局そのものでございますので、そういう意味からひとついろいろな方策を考えていただきたいということを申し入れるとともに、一応私どもとしては、考えられる規則の改正の考え方とか、あるいは裁判−たしか橋本委員御指摘だったと思いますが、最高裁判所裁判官の何か意見の表明とか、いろんな方法があるように思うけれども、要は、最高裁でお考えいただくことであるから、ひとつよく御検討いただきたいということを申し上げますとともに、御指摘のとおり、いつまでかということについての希望といたしましては、当時、この七月の十四日ごろまでに、予定どおりいけば、尋問が終わるという予定でおりましたこともございまして、できれば尋問が終わったときに対応策ができておることが最も望ましいので、できるだけ早く御検討いただきたいということを申し上げたのが申し入れの内容でございます。
  237. 橋本敦

    ○橋本敦君 その結果、最高裁からその対応について、何らかの状況の報告なり連絡はございませんか、いまだに。
  238. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 最高裁では、刑事局あるいは事務総局でいろいろ本当に熱心に御検討いただいておるようでございますが、具体的な内容についてはまだ回答はございません。と同時に、この裁定をいかに解釈するかということがなかなかむずかしい問題で、どの程度のことを対応策として書けばファーガソン裁定の条件を充足させるのかということが必ずしも明確ではない。と申しますのは、どうもあのファーガソン裁定というものは、一つの決定としてのものなのか、中間的な意見の表明なのかもひとつ明確でないというところもございまして、実は最高裁でも、もちろん私どももその辺の内容の確定にちょっと戸惑っているというようなこともございますので、その点をやはり明らかにする方法はないものかということを考えておるというようなこともございまして、まあ期待どおりに順調に進捗しておるとも言えない状況でございますが、これ以上詳しいことを申し上げることが、どうも直ちにこの国会における私どもの、あるいは橋本委員の御意見を含めて、審議の状況が直ちにどうもロサンゼルスの方にキャリーされるようなことでございまして、これはこういうことだということを申し上げることは、どうも必ずしも目的達成のためにはいい方法でもない——いや、質問をさえぎるようで恐縮でございますが、余り具体的なことに内容を公にすることは必ずしも得策ではないという状況もあることもひとつ御理解いただきたいと思います。
  239. 橋本敦

    ○橋本敦君 国会論議がロサンゼルスの方にすぐに通じるという心配があるということですが、これはロサンゼルスの裁判所が直接スクープするわけじゃなくて、やっぱり丸紅その他の関係の弁護人、しかるべきところからコーチャンの弁護人、そういう関係だろうと私は思うんですね。だから、それは大いにあり得ることとしても、いまなさねばならないことは、司法共助でアメリカに、日本の裁判所の嘱託で、裁判所から裁判所へ公に、まさに国家の行為としてなしたことが、多少のそのようなニュースがあるからといって、それが心配なために問題をはっきりさせないということは、これはおかしいわけですね。いま局長がおっしゃったファーガソン裁定ということが具体的には何を期待し、求めているかということが裁定書それ自体から明確でないということになりますと、私はこういう方法があると思う。つまり、東京地裁の嘱託尋問を決定なさった裁判官が当該裁定を直接に受ける側ですから、その裁定の正文を手に入れた上で、この裁定が持っている法律上の意味なり、それが具体的に求めていると考えられる問題なり、日本の裁判所もしくは裁判官が疑義に思っていらっしゃることなりは、これ、私は日米司法協定に基づく協力関係というのが一本外交ルートであるんですから、この外交ルートにのせるか、もしくは裁判所から裁判所への裁判官の裁定に対する求釈明というのはこれはおかしいわけですから、問い合わせということで、その裁定をお出しになったファーガソン判事に具体的に聞いてみるという方法を考えるとか、これ、やっぱり問題解決のためにそういう努力しなきゃならない。そういう努力をしないで、こちらだけで考えていても的を射ないことがありますよね。だから、刑事局長は、いまおっしゃったような問題があって、それも一つになって、七月十四日ごろと期待された最高の対応がおくれているとすれば、それをやっぱりはっきりさせることについて、法務省は法務省なりに裁定の具体的な意味をロサンゼルスのファーガソン判事がどうとらえているかを、これを的確につかんで最高裁に協力するという方法もあり得るだろう、そういう点についての協力についてはどうお考えでしょうか。
  240. 安原美穂

    説明員安原美穂君) いま御指摘の点はまさに貴重な御示唆でございまして、最高裁当局も本日の審議を御注目のことと思いますが、私からもお伝えいたしますとともに、法務省として、あるいは政府として側面から、あるいは正面からと申しますか、できることについては極力その方向で努力したいと、かように思います。
  241. 橋本敦

    ○橋本敦君 いま私が提起したような問題も含めて、七月十四日といえばあすでございますから、コーチャン証言はもう終わっておりますし、積極的に最高裁と協力をして問題の解決に努力をしていただきたいということを申し添えておきたいと思います。  それからもう一つの問題は、これも重要な関係者であるクラッター、エリオットの証人尋問ですが、エリオットの証人尋問はきょう開始されるのではないかという報道に接しておりますが、いずれにしてもクラッター、エリオット、この両氏の証人尋問がスムーズに進むかどうか、重大な関心を私ども払っております。この経過についてどうなっておるか、お話し願えないでしょうか。
  242. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 実は、だれを証人にお願いしたかということ自体、実はイン・カメラの問題であったわけですが、いつの間にかこれ公知の事実になってしまいましたので、あえてもうそんなことまで隠さないで申し上げてもいいんだろうと思いますが、まあコーチャン氏は証人尋問が終わったということでございます。問題は、東京の支社長であったクラッター、エリオット両氏ですが、クラッターにつきましては、手続上の異議申し出があって、次の尋問は七月二十六日だと。ところが、そのかわりに先にやろうとしたエリオット氏についても、同じように手続上の異議が出されて、本日また七月の二十六日まで延期ということになったようでございます。  で、手続上の問題としての異議の内容は、新聞あるいはテレビ等では報道されておりますが、それが何であるかということは、どうも私の口からはいまのところはまだ公にすべきことではないようでございますので、手続上の理由ということで御理解いただきたいと思います。
  243. 橋本敦

    ○橋本敦君 安原局長が手続上の異議の理由の内容をあなたの口からいま言えないとおっしゃいましたが、これは私はおっしゃっていただいていいことじゃないかと思うんですよ。といいますのは、コーチャンと同じ理由であるならば、また同じようなファーガソン判事裁定が出る可能性があり、早急に対応しなきゃならない。別の異議だとすれば、それに対する対応をしていかなくちゃならない、こういうことで私も意見を言いたいんですよ。  で一言お聞きしますが、あのファーガソン判事の裁定が出るまでの審理の中で、コーチャン側の弁護人が申請をしたアメリカの学者が日本法制度の不備について証言をして、その証言が一定の影響力を持ったのではないか、こういう事実があるというように私は聞いておるんですが、これは間違いないですか。
  244. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 証人尋問を何としても実現させたいというためには、証人尋問のルールを日本政府当局と申しますか、利害関係人は守らなきゃならぬという鉄則を前提といたしますと、遺憾ながら、新聞にはいろいろ言われておりまして、いまおっしゃったようなこともあったようなことが書いてございますけれども、私の口からそういうことがあったということを前提にして審議することは、前提としての秘密を守れということに違反することにもなりますので、どうも私からはちょっとその点は、あったことを前提にしての議論はちょっとしにくいんでございますので、ひとつ……。
  245. 橋本敦

    ○橋本敦君 私は、手続関係までがあの司法取決めで秘密の枠の中だというように理解していないものですから申し上げておるんですが、まあそれはいいです。  法務大臣、私がなぜこれを申し上げるかといいますと、クラッター、エリオットの証言を、真実の証言を得て、早く真相解明に役立てねばならぬという立場から言いますと、またぐあいの悪い裁定が出ては困るわけなんですね、法務省としても、大臣としても。そこで、いまクラッター、エリオットが異議の申し立てをしている。それがコーチャンの場合と同じ理由であるならば、早急に最高裁の対応ということを出さなきゃなりません。それから別に、伝えられるように、クラッター、エリオットがアメリカにおけるアメリカのイミュニティーを要求している。つまりアメリカ司法当局の免責を要求をしているということであれば、これは司法協定の取り決めによって公然とこちらはアメリカ政府にイミュニティーの要求できないという困難な状況に置かれているわけです。そうなると、これはどう突破をされるのか。これは法務大臣として所信を伺いたい、こういう問題になるんですね。ですから、いまおっしゃいませんから、仮定の問題として伺いますが、もし報ぜられるように、クラッター、エリオットが、アメリカにおけるアメリカのイミュニティーを要求しているということを主要な異議申し立ての理由としているならば、日本の検察庁はどう対応するかということについて、これは大事な司法取り決めにかかわる重大な問題ですから、日米関係の問題ですから、大臣の御見解を聞きたいんです。
  246. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 仮に、クラッター、エリオットはコーチャン氏の場合と違って、アメリカにおけるイミュニティーということで、仮にそういうことで延期になったと、手続上の理由でね。そういうことであるということも予想に入れて万全を期さなければいかぬですが、そういう場合にはどうすればいいか。それは司法取り決めに基づく権利としては言えないわけですから、どうやったらいいかということは早急に検討しつつもありますし、結論を出したいと、こう思っております。
  247. 橋本敦

    ○橋本敦君 その問題で私が前に伺ったときに、大臣は、アメリカ政府協力ということは積極的にやってもらっておるという状況の中で、大臣は、私はその点は公然とは権利として要求できないたてまえだが、楽観的な感触を得ておるんだ、事態の推移を見ますと前におっしゃったことがありますね。現在どうですか、その感触は。研究はいいです。しかし、現在感触はどうですか。
  248. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) あの感触よりはやや暗くなっておる。けれども突破できないことではなかろうと、いろいろ考えています。しかし、ここで申し上げることを差し控えさしていただきます。
  249. 橋本敦

    ○橋本敦君 そこで、大臣、もしこの問題がいま言ったネックになるということであれば、私は、この前大臣に申し上げましたように、感触ということだとか、ここだけの研究ということではなしに、積極的に大臣として、本当に真相解明のためにこの問題を解決するという姿勢でもって、総理とも相談をし、あるいは外務大臣とも相談をし——外交関係その他にも絡む問題ですから、積極的に、これは法務大臣一存ではなくて、総理とも相談をした上で、まさにあなた御自身が、私がこの前言ったように、法務大臣としての親書をお書きになるか、アメリカへ行かれるか、本当に腹を据えた対応をされなければならぬと私は思うんですね。言ってみれば、わが国わが国内で、司法取り決め上の義務ではないけれども、免責をやっているんです。だから、相互主義、平等の立場、こういう立場でいくならば、これは取り決め上の権利として要求できないけれども、しかし、取り決め上の権利ではなしに、今後の日米の親善関係の本当の発展が真相解明によってあるんだと三木総理もレターで書いていますが、そういう立場に立って要請することは私は政治的に可能だと思うんですよ。そういうようなことも含めて検討され、研究されているという意味なのかどうか、最後にこの点を伺いたいんです。
  250. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 具体的に私が行くとか行かぬとかいうことは別にして、それは総理とも外務大臣ともお話しして、相談しなければならぬ。まさに政治的解決を必要とするように思います。演説などしているよりは、アメリカへ行った方が無難でいいかもしれませんけれども、そこまではまだ考えていない。
  251. 橋本敦

    ○橋本敦君 じゃ最後に。どっちにしても、法務大臣、本当にこの問題、そうだとしても全力を挙げて突破をするという大臣の御決意だと、これはもう伺ってよろしゅうございますか。
  252. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 強い決意を持っております。
  253. 橋本敦

    ○橋本敦君 時間が来ましたから、内藤議員とかわります。
  254. 内藤功

    内藤功君 最初に法務大臣と、国税庁、来ておられますね、お伺いしたいと思いますが、小佐野賢治とその関連企業に対する捜査あるいは調査はやっているのかという問題であります。  小佐野は、アメリカの上院チャーチ委員会のコーチャン証言でも、児玉とともに真っ先に名前の挙げられた人物であります。児玉とともに真っ先に捜査調査の対象となるべきであることは、これは捜査の常道からいっても当然だと思う。コーチャン証言では、「我々は小佐野氏にも売り込み戦略について相談した。例えば、わが社の製品の特徴をどう売り込むか、だれに会うか、またそのようなことで紹介状をもらったりとかいうようなことだ」、それから「日本社会のシステムは政界でも財界でも、結束の固い個人の集まりで成り立っており、突然やってきてもグループに入る手がかりはない、何らかの援助が必要だ、という意味で役に立った」、さらに「政府内部の各層に誤解があって、私の方針がつぶれる可能性も出てきたので、児玉、小佐野両氏に頼んで政府誤解を解くよう取り計らってもらった。そのような例はたくさんあった」等々、非常に大事なところに出てきておるわけです。しかも、衆議院予算委員会での小佐野の証言では、コーチャンからエアバスの売り込みを頼まれたこと、それに対して、わかりましたと答えたことまでは認めていますが、それ以後の行動についてはコーチャン証言にあらわれたことを認めておりません。食い違いがあります。当然その時点で速やかに真相を究明さるべき人物なんであります。  しかるに、私どもの知り得る限りにおいては、児玉ルート、丸紅ルート、全日空ルート——もっともこの児玉については、法務大臣は、児玉プラスXと言っていますが、これから解明するこのXですがね、こういうルートの調べは進んでいるが、小佐野関係の調べはほとんどやられていないのじゃないか。これは国民の非常に疑問とするところであります。外為法とか、脱税とか、贈賄とか、背任とか、その他いかなる名義によっても捜査調査をやっているのかいないか。やっているとすれば、どの程度の段階かということを、まずお伺いしたい。
  255. 安原美穂

    説明員安原美穂君) コーチャン証言の中に小佐野氏の名前が出てきたことは事実でございますし、ロッキードのわが国内における企業活動の全般について調査をすることが当面の検察の課題でございますので、そういう意味で、先ほどの証言の真否等については検察当局としては重大な関心を持っているということは事実でございますが、それ以上のことは、ひとつこの段階で申し上げるのは控えさしていただきたいと思います。
  256. 内藤功

    内藤功君 国税庁
  257. 系光家

    説明員(系光家君) 国税当局といたしましては、小佐野賢治氏及び国際興業株式会社の毎年また毎期の申告につきまして、所得が高額でもありますので、入手し得られる限りの情報あるいは資料に基づきまして検討を行いまして、従来適正に処理をしてきているわけでございます。なお、最近小佐野賢治氏、また国際興業に関しまして種々の報道がなされているわけでありますけれども、国税当局としましては、そういったようなものこと、これまた当然と考えているわけでございます。児玉譽士夫の査察調査に関連しまして、いわゆる反面調査を必要な範囲で行っているわけでありますが、その対象にこれが具体的に含まれているかどうかということにつきましては、答弁を差し控えさしていただきたいと思うわけでございます。
  258. 内藤功

    内藤功君 法務省の御答弁について言えば、捜査をやっているという積極的な答えがどうもいまの答弁ではうかがわれない。コーチャン証言を吟味検討しているということしか明確に言われた部分はない。どうもその姿勢がまだまだ不十分なように思います。  そこで、コーチャン氏に対して小佐野賢治から告訴手続がとられているかどうかという点を伺いたい。これは、コーチャンの証言について否定する、あるいは告訴するとか、抗議するとか息巻いておられた方が次々と偽証罪でいまつかまっておりますね。そういう人がつかまっている。いま、息巻いておったのでつかまっていないのは小佐野だけになっちゃった。コーチャンの証言の信頼度は、捜査の進展とともにかえって増してきていると思うのであります。小佐野も衆議院予算委員会の証言で、コーチャンを名誉棄損で告訴する手配をすると公言しておりましたが、五カ月たって、まだやっていないようです。法務省として、告訴したという情報はありますか。
  259. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 検察庁としては、告訴されたということで受理をしたという報告は全然ございません。
  260. 内藤功

    内藤功君 小佐野賢治は、単に民間航空会社への旅客機売り込みだけではなくて、軍用機、対潜機の国産化問題の白紙還元、P3Cオライオンなどの輸入にも深くかかわり合っていると見るべきだと私は思うのであります。それは小佐野が、国産化問題白紙還元を決める上で主導的役割りを果たした田中前総理、後藤田官房副長官の両氏とは特に長年にわたるきわめてじっこんの、深い関係にあること、これはいままでずいぶんとこの委員会でも出た。他方、国産化のための調査研究をやってきたが白紙還元で一時とんざをした川崎重工との関係は、いままであんまり当委員会でも問題にされてなかった。ところが、川崎重工に対しても小佐野賢治は長年にわたって大きな非常なる影響力を持っていたということがいろんなわれわれの調査から出てきております。  端的な事実を言いますと、「御前様」というふうに呼んでいるんです、この小佐野賢治のことを、川崎重工、川崎航空機の中では。そして、お正月には社長を先頭に——いまは四本さんという人ですが、社長さんを先頭に川重の重役が小佐野賢治のところへわざわざ行く。重役の中には、おれは行きたくないんだという人もいるらしいが、行く。こういう関係、いろんな人的関係も深い。そうして、こういうコーチャンが言う絶大な影響力を持つ実業家というのが、われわれのいろんな調査でいま出てきておる。これからそれを指摘しますが、まず、その前に法務大臣に、これ、小さな質問ですが一言答えてもらいたい、常識でね。こういう川崎というような超一流の大企業の社長以下重役がお正月に小佐野賢治のところへそろって行くというようなことは、これはちょっと異例の、おかしいことだと思うのですけれども、また「御前様」ということ——これは朝帰ってくるから午前様と言うんじゃないんですよ。お殿様という意味の御前様なんです。そういうことに呼んでいるというのは、この関係はちょっと異常と思うのですが、あなた一流の鋭い勘で、どう思われますか。
  261. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 私は勘が鋭くありませんから、どうしてそういうことをするのかわかりませんが、その心理状態がわかりません。
  262. 内藤功

    内藤功君 そこで、私は、これから明らかにすることは、コーチャンが、政府部内各層に誤解があり、私の方針がつぶれる可能性が出てきたので、両氏に頼んで政府誤解を解くように取り計らってもらった、このような例はたくさんあったと、こう述べておるわけです、コーチャンが。そこで、どういう場面があるか。私は、昭和四十七年十月九日のあの白紙還元の場面がまさにこの場面の一つだと思うのです。  ところで、これから私は、小佐野がコーチャンにとって児玉とともに大変影響力があり、こういう政府部内各層の誤解を解く力を持ち、それから政界、財界に入り込むような影響力を持っている役に立った男なんだという面からまず明らかにしていきたいと思うのです。  まず、小佐野賢治が社主をしている国際興業が川崎重工——以下川崎航空機時代も入れまして、またいまの川重車体の時代も入れまして、川重という言葉で言いますから。川崎重工からいままでに引き渡しを受けたバスの台数、これはわれわれの計算では四千台です。計算と、社内の関係者調査でいままで四千台。この数を覚えておいてもらいたい。国際興業の使用しているバスの一〇〇%は川重から買ったものです。国際興業の使用しているバスのほぼ一〇〇%は川重から買っている。川重の方から言うと、川重の生産するバスの約一二%が国際興業に行っている。こういう関係であります。  ところで、われわれは、調査の結果、小佐野賢治について、彼が川崎重工に対する大きな影響力を行使して、バス一台買うごとにつき一台十万円から二十万円の積み上げリベート、すなわち裏工作資金を要求し、これを取得し、膨大なリベート、裏工作資金を取っていた重要な証拠をつかんでおります。これはロッキード商法のまさに決定打であると思うんです。ロッキードの賄路商法の決定打の一つだと思うんです。小佐野を通じて越山会など政・官界へ流れている疑いも濃いと思うんです。  国税庁に伺いますが、国税庁はいままで何回か児玉、小佐野、こういうところに査察あるいは調査を行われたことがあるでしょうけれども、そのときに、こういうような文書、つまりリベートをうかがわれるような文書を、一時的であれ、一枚であれ、入手したり発見したことは一遍もなかったでしょうか。この点を確めたい。そういうような疑いを持ったことはないですか。いままでに全然ないですか。
  263. 系光家

    説明員(系光家君) ただいまこの場で具体的に——非常に具体的な御指摘でありますので、これは私ども、現在のところはそういう報告は受けていないわけでございます。
  264. 内藤功

    内藤功君 いままでにこういうことが、もし本当に発見していない、あるいは文書を手に入れていない、あるいは情報もつかんでいないとすれば、それは非常に私はおかしなことだと思います。一つは、徹底的にこういう文書は会社の企業内で隠匿し、隠されていたか、あるいは発見したんだけれどもこれを重要なものと見なかったか、いずれかの問題があると思うんで、これは今後の究明点にしておきたいと思うんです。  それでは一体どういうふうにやってきたのかという具体的な方法をここで示したいと思うんです。まず、文書を先にお示しした方が御答弁がやりやすいと思うので、私の方で関係の文書、「小佐野賢治の裏資金環流経路」という、この図解をしたもの、国際興業と川重と、それから架空会社と小佐野との関係を図解した図面と、それから社内のこのリベートに関する特に端的に示した書類というものをここで用意しましたから、これをまず大臣と局長に見てもらいたいと思います。  まず、このリベートがどのように要求されたかということから入った方がわかりやすいと思うので、そこには落ちておりますが、まずこういうもの、後で差し上げますが、これは昭和三十七年の七月十日に、川崎航空機株式会社の自動車部長から経理部長にあてた「積上金返済に関し御願いの件」という書類であります。いま差し上げた中には、三十七年のが二枚目、三枚目に入っておりますね。それちょっとごらんください。初めてですから、これちょっと要点を言ってみますと、こう書いてあるのです。「今般受注致しました国際興業ワンマンカー四〇台に対し一台当り一〇〇、〇〇〇の積上金戻し方の申入れがありました」——当然国際からあった。「御承知の如く、国際興業は当社総生産台数の一二%以上を納入している大独占ユーザーで、当社の国際興業に対する依存度が非常に大であり、又最近に於きましては、各地バス、電鉄会社の併合により、発注台数の増加が更に期待されますので、事情御賢察の上、宜敷くお取計の程、御願い申し上げます」、こう書いてあります。つまり、これはまさに正真正銘の社内文書なんです。いまお渡ししているのは写しですが、ここに私は現物を持っております。関係するものはこれだけあります。正真正銘、社内文書です。そしてこのほかにいろんな文書がありますが、一つ二つ紹介しますと、どういうふうに要求されたか。一つの文書はこう書いてある。「戻し金積上げの折半負担に関し強い要請があり、再三折衝断り方勤めましたが、先方としても処理方法に良策なく、特に本年についてはと強要されて参りましたので」と、強要されているという文書があります。これはそこにはありませんが、ここにもう一つ別の文書。それから「極力辞退すべく申入れ再三に渡り努力致しましたが先方の強硬な申入れもあり、」云々というのがあります。相当強硬な、強要を受けていると。川重は、やむなくこの小佐野国際側の要求に応じてリベートを取ったということが、どうです、局長、うかがわれますね。まあいいです。うかがえると思うのです。実に強硬なリベート要求をしてきたということがうかがわれると思うのです。全部で関連文書は約二百葉あります、いろんなもの。二百葉ありますが、こういうものであります。大臣でも局長でもいいですが、この文面からは相当強硬な要求が出されたということがうかがわれると思うのですが、どうです。
  265. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) この資料が真に実在し、そのままで真実に合致しているという仮定に基づけば、そういうことも言えるような感じですな。
  266. 内藤功

    内藤功君 もちろん真実のものであります。ほかにもたくさんありますが、時間の関係で、朗読は、これ、全部読むわけにはいかないから省略します。  このようなリベート受領の法的評価についてです、次は。これは常識的に考えて、会社の役員が、しかも会社の社主とか会長とか社長とかいうような、まさに大黒柱の役員が、自分の経営する会社の取引の代金ですね、バスを買う代金の一部分を取引先からリベートとして返済を受けて、会社の経理には入れないで、もちろん会社のために使うんじゃなく、自分が使い、あるいは政治家への工作に使うというふうな形で自己の管理下に置いたとき、これは私は、商法四百八十六条でしたかな、特別背任罪、それから所得税法違反の罪は当然これは構成することになると思いますが、これはもう、これが事実とすれば別件逮捕の当然の罪名にもなり得るものだと思います。私あえて言いますがね。そこで、さっきの質問では、刑事局長、だいぶ小佐野ルートは苦戦のようだったから、私は一つのお助けの役割りになると思ってこれを言うわけなんだが、刑事局長どうですか、いまの法律的評価は。私のあれで間違いないかどうか、ほかのいいあれはありますか。
  267. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 具体的な名前をお名指しの上で刑法の罪に触れるかどうかというお尋ねでございますので、このような席で私から申し上げることは適当ではないと思いまするけれども、仮定の問題として、仮にそういうことがあったとした場合に刑法的評価としてどうなるかということとして考えますならば、このいわゆる上積み分のリベートというものの、つくる目的がいわゆる会社のためであったのか個人のためであったのかということによって大きく違ってくることと思います。つまり、その刑法の背任罪あるいは商法上の特別背任というような問題といたしましては、自己または第三者の利益を図る目的であったかどうかということが一つの目的罪としての要件でございますので、かような金のつくり方が自己または第三者であるだれかのためであったという目的でかようなことがなされたということであれば、恐らくは特別背任罪を構成する疑いが濃いというのが刑法的評価ということになろうかと思います。
  268. 内藤功

    内藤功君 そこまで言われましたから、私は、たとえば小佐野が政治家某氏の利益のためにやった場合どうかという質問はあえてしません。答えは論理的に明らかですから、そういうやぼな質問はしませんが、税法はどうですか、税法の答えは。税法違反が成り立つだろうと思うんですが、この点と、こういう場合に、いいですか、こういう場合に、小佐野がもしリベートを受け取っているという場合には——そのリベートを申告してあれば別ですよ。こういうリベートをもらいましたというのを税務署に出していれば別ですが、もし申告してないという場合には、それは所得税法違反その他税法上の措置はどういう措置がとられますか。
  269. 系光家

    説明員(系光家君) やはり、そのリベートを受け取った趣旨といいますか、受け取り方におきまして、まず会社のために受け取ったのか、本人のために受け取ったのかといったような問題があります。さらに、それを使った場合におきまして、どのような目的のために——会社の目的のために使ったのか、あるいはまた本人のために使ったのかといったようなこと、さらに、その収入と支出の残額がどうなっていたかといったようなこと、そういったようなことから見まして、その所得が個人に帰属するのか、あるいはまた法人に帰属するのかといったようなことによりまして、所得税とか、あるいはまあ法人税の課税関係がこれは生じてくるわけでございます。その場合に、そういう所得が生じているにもかかわりませず、偽りその他不正の行為といったようなことで、申告もしないで脱税をしていたという疑いが出てまいりますれば、これは国税犯則取締法に基づきまして査察の調査の対象になると、こういうことになろかと思います。
  270. 内藤功

    内藤功君 だから徹底的にやってもらいたいと思うんです。これは調べてもらいたいと思う。真相を究明してもらいたいと思うんですね。  そこで、次の質問ですが、このリベート分を含めた水増し代金を国際から受け取ったわけですね、川崎重工は。リベート分を含めて受け取る。一台十万、あるいは二十万というのもあります、この中に。二十万というのもありますが、川重はこのリベートをどういうふうに小佐野に支払ったかと図解したのがこの一番上のやつです。これを見ていただきたい。まず架空会社、架空の商人をつくる。架空の会社、これがみそなんですよ。これ、点々で丸印をつけてあります。その銀行口座をつくる、そしてその架空会社から——幽霊の会社です。架空会社から架空の部品代金が、見積書が送られてくるわけです、川重に。どこからか送られてくるわけです。これは恐らく社内で操作する。納品書、請求書、これは拡声器の代金だとかヒーターの代金とかいうことのようにやってくる、形式をつくって。そうして、その金額はリベート額に見合う金額の請求書が来る。請求書が来ると、今度は川重の方は、この幽霊会社、架空会社の口座に川崎重工が払い込むわけです、そのリベートを。  そうして、問題はそれからですが、今度はその銀行に川重の人が取りにいくわけです、金を。自分で入れたのを自分で取りにいくわけです。そうして、今度は戻ってきて、その現金をいよいよ持っていくわけです。いよいよ持っていくわけです。その持っていき方についてもわれわれは調べました。われわれの調査によると、小佐野氏との折衝は大体部長クラス、重役クラスがやっている。それより下の人は余りやらないです。越山会への政治献金を小佐野氏を通して渡していたこともある、こう言われている。われわれの調査によると。小佐野と直接会えるのは重役クラス。川重の社長、専務、重役クラスが持って行く。現ナマですよ。小切手じゃない。現ナマを持って行く。そのきっかけの一つとしては、ある日小佐野のところへ行ったところ、おれはちょっと声をかければ金が入ってくる、これだけ入ってくるということを実際に札びらを見せて言われたこともあったということが言われておる。また、ある関係者の話によると、小佐野のところへ金を持って行った人の一人は高橋精治自動車部長。いまはおやめになっています。精神の精に、明治の治。高橋精治自動車部長。佐藤孝営業部長——何やら似たような名前でありますが、孝行の孝。上の方です。佐藤孝営業部長。これはちょっといまよけいなことを言いました。それと、それについて行った人に吉田正義という業務課長がおる。こういう名前をわれわれは明らかにすることができます。ほかにも明らかにしていい人がいますが、持って行った人の名前は明らかにしておきたいと思うのです。そうして、持っていくときには、ふろしき包みで包んで持っていくことが多い。そして直接であります。小佐野の下の人じゃない。領収証はくれません。このリベートの領収証はくれない。持っていくと、そこへ置いていけということが多いということもわれわれ聞いております。にこりともしないで、そこへ置いていけ、こういうことが多いということをわれわれは調査をして聞いております。  これが私どもの今日までに調査したこのやり方であります。法務大臣に伺いたいが、もしこれが事実としたらどうですか。どうお考えになる。
  271. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 事実としたら、よろしくない。
  272. 内藤功

    内藤功君 もう一つ固めておきたいのは、いま大臣のところにも局長のところにも差し上げた領収証をちょっとごらん願いたい。この領収証でありますが、ここに多数の未記入の領収証、納品書がある。この古さは、このさびたクリップで御判断願いたい。相当古くからやっているのもある。納品書、見積書、現品カード、請求書、領収証の用紙があります。未記入です。これ、全部つくったのは川重側でつくったわけです。判こも全部川重側でつくった。名前は七つありますが、全部言いません。興国工業とか、みんな架空なんです。三宝商工とか、七社あります。七社ありますが、全部調べました、われわれは。これは調べましたが、架空でありました。ここに調べた結果を報告してあります。登記書も全部調べました。全部架空であります。サラリーマンのお宅へかかってびっくりする人もいますし、それから何というか、仏も神も恐れないというのか——昔の歌に「雷門  浅草浅草寺」という歌があった。観音様であります。浅草観音様の浅草寺の電話番号が書いてある、山本商会に至っては。浅草寺へかけましたら、びっくりして、何でこんなものが使われたかということであります。信者に聞かせたら怒るでありましょう。  それからさらに、この内幕を明らかにした文書もあります。これは川崎重工の出張所から本社あてに、請求書について問い合わせを持ってきているんですね。この文書によると、まず見積書を送ります、請求書は見積書の後に発行することにしてあるという課長の話なのでそれ以外のものを送ります、と。全部内幕が出ちゃって.いるわけです。それから、見積書は送りましたが請求書はどうすればいいですか、御相談してくださいなんて書いてある。だからもう全部、それが社内文書なんですから、出張所から。これは一部しかないので、ちょっと見てください。社内文書です。そういうことで中に書いてある。で、これはどういう代金かと言うと、さっき言ったように、ラジオ拡声器装置だとか、熱気式暖房装置等々の取りつけ代金なんだと、こういうことです。こういうリベートの内幕が——リベートの手法はいろいろなものがあります。僕も実務上何回か関係したことがありますが、いろいろな方法があるんですが、この一つの方法なんです、これはね。  以上のような方法で、一台十万円から二十万円のリベートを取る。いままで幾らですか。いままで四千台です。四千台全部十万のリベート、一番最低の十万のリベートを取ったら幾らになります。四億です。半分取って二億です。二十万取れば八億です。まあ億単位ですね、少なくとも、見て。このリベートがこのままでいけば入っている勘定にはなります。勘定にはなる。当然捜査の端緒になるべきものだと思いますが、局長どうですか。
  273. 安原美穂

    説明員安原美穂君) 先ほど申し上げましたように、特別背任というような問題、あるいは国税当局からお話しの脱税の問題というようなことの、御指摘のようなことが事実であるとすれば、疑いを生ずるという意味において端緒にはなるわけでありまするが、問題は、いただいた書類は、昭和三十五年の、いまから十六年ほど前のことでございますので、そういう問題もあるということもひとつお含みおき願いたいと思います。
  274. 内藤功

    内藤功君 局長の御心配は、これは一応それを見た範囲ではごもっともです、実務家として。しかし、私が言った、調べたのは、その方法でずうっと最近まで続いてきている、問題の昭和四十七年、八年という時点まで続いてきておるということになれば、時効の問題というのはこれは言えなくなってくる。また、検察官というものは、あなたも検察官出身であるけれども、時効になった文書が出てきた場合でも、この同じ方法で最近までやっているであろうという勘を働かせなきゃ、これは落第であります、これは。そのための検事ですから。これ以上言うのは失礼ですからやめておきます。この金はまさに小佐野賢治個人の隠し金と見るべきなんですね。なぜか、会社のために使ったものとは思われません。なぜか。会社のために使うなら堂々とやればいいんです。個人の利益のためか、あるいは小佐野賢治と親しいじっこんの、特に刎頸の友と言われている田中角榮前総理の越山会へ回っているという可能性は最もいまの捜査の状況下で疑わなければならない、疑わなければ、これは検事じゃない。こういう事実であります。あるいは政官界への工作資金がここから出ている。こう考えるのは当然だと思うんです。  そこで、自治省にお伺いします。来ていますか、自治省。——あなたに伺いたいのは、国際興業なり川崎重工なり小佐野賢治個人なりから越山会への政治献金の届け出はいままで、最近でどのくらい、何年にどのくらいなされていますか。あるいは届け出はありませんか。国際興業、川崎重工、小佐野賢治個人、これから越山会への政治献金の有無、ありとすれば額。
  275. 前田正恒

    説明員(前田正恒君) お答え申し上げます。  提出されました収支報告書によりますると、川崎重工から昭和四十七年以降五十年上期に至りますまでの間、越山会に対しまして寄付はなされておりません。越山会が寄付として受けた金額はございません。  なお、国際興業、それから小佐野賢治からの分につきましては資料を持ち合わせておりませんので、調査いたしまして後刻お答え申し上げたいと思います。
  276. 内藤功

    内藤功君 けさ国際と小佐野についても調べるようにと言っておいたんですが、早急に調査して報告してください。ちょっとここで答弁してください。その国際と小佐野についてはけさ要求したんですから早急に報告してください。
  277. 前田正恒

    説明員(前田正恒君) ただいまから早急に調査いたしまして御報告申し上げます。
  278. 内藤功

    内藤功君 早急に調査してもゼロだろうと思うのです。表向きゼロ。つまりゼロってことは表の、俎上にのせない金だということであります。私は、ここにいわゆる政界工作資金、賄賂の捻出の一つの手法が見出せると思うのです。特にこの時期が四十七年十月のあの逆転劇というものに絡まって使われたという疑いが濃いということをここで私は指摘をしておきたい。これは今後の捜査当局調査にも大いに期待をしたいし、われわれ自身も国会調査権で調査しなければならぬ課題だと思います。  次に、関連して、この機会があんまりありませんので、そのお手元の書類の選挙資金にもろに使われたというのをひとつ指摘をしておきたい。これは一番最後です。いまお渡ししました、大臣にお渡しした最後です。これは富士急という東急の影響、間接的に小佐野の影響も考えられる富士急行の積み上げリベートです。百五十万円のリベートを要求された。これは昭和三十五年十一月の衆議院総選挙の直前であります。これは真ん中を見てもらいたい。これは積み上げリベートの前払いとなるわけでありまして、リベートの前払いというまた急いだ方法であります。「理由は、社長堀内一雄氏(衆議院議員)の選挙対策資金捻出のためであります。」と、はっきり書いてありますね。はっきり書いてある。そうして、その内訳は選挙に間に合わすために十月末日までにやってくれと、発注が十一月なのにリベートだけは十月に出してくれと、こういうわけです。だから前払い。そして割り当ては川崎が百五十万、いす父が百五十万、日野が三百万、B.S−ブリヂストンタイヤが三百万、九百万をこれで出すという手法が書いてありますね。これもひとつ指摘をしておきたい。こういうやり方ですね。  もう一つは、朝鮮向けの軍バスについて二十万円のリベートを取っている。これが終わりから二枚目であります。これは今般国際興業より朝鮮向け軍バス——軍隊のバス——BA二十台を受注しましたが、これに一台につき二十万円、二十台ですから四百万円の積み上げリベートの戻しを依頼されておる。恐縮ですが御配慮のほど願い上げます、十二月十日を希望されているので、早急ですが、よろしくお願いします、こういうリベートの要求であります。これは韓国と日本関係というのがいま大きな問題になっています。これは別の機会にまた取り上げますが、小佐野は今回のロッキード疑獄でも大韓航空、韓進商事あるいは朴大統領に近い趙重勲氏らの黒い関係が問題になっておる。自民党の議員である塩谷一夫さんでさえ雑誌「世界」の六月号に「「これが知れたら大変なことになる」。宰相の地位にあった人が、日韓関係についてそっと洩らした言葉であった。「ロッキード事件の解明は、日韓関係を洗った方が近道だ」」と、こういうことを塩谷氏が「世界」の六月号に相当詳しく書いてあるくらい、そういう関係にある。その小佐野氏が国際興業のバスを米軍用に出しておる。これは韓国とベトナムと当時占領下にあった沖繩、こういうところに出しておったんでありますが、まさにその一環であるということを考えざるを得ない。  そこで、通産省にお伺いしたいんですが、このバスの量は非常に大きなものだったと思う。まず、これは米軍特需でやったと思うんですが、通産省にお伺いしたいのは、この問題の昭和三十四年あるいは五年、六年、この三年に一応限ってこの自動車、いろんな物資のうちで自動車の特需はどのくらいの金額、どのくらいのパーセンテージを占めていたか、次に韓国という国に出している特需の金額とパーセンテージはどのくらいであったか、この二点をお調べになっていれば数字を簡潔に述べていただきたい。
  279. 岸田文武

    説明員(岸田文武君) お示しの昭和三十四年、五年、六年当時におきます国内向けの特需の中では自動車の金額はわりあい高うございます。実績を統計によって見ますと、三十四年で五千二百万ドル、三十五年で五千三百万ドル、三十六年で五千万ドル、ただし、これは自動車及び自動車部品を含んだものでございます。
  280. 内藤功

    内藤功君 パーセンテージはどのくらいになりますか。
  281. 岸田文武

    説明員(岸田文武君) 国内向けの特需の中での自動車の比重は三十四年で五八%、三十五年で五六%、三十六年で六五パーセントになっております。
  282. 内藤功

    内藤功君 一番多いですね、割合としては。
  283. 岸田文武

    説明員(岸田文武君) そうでございます。
  284. 内藤功

    内藤功君 品目の中で。
  285. 岸田文武

    説明員(岸田文武君) はい。  第二のお尋ねでございます海外向けの契約の状況でございますが、海外向けの契約の中では韓国に向けての比重が非常に高うございます。ただし、この場合には商品別の内訳は統計上残っておりません。
  286. 内藤功

    内藤功君 もう一点通産省に伺いたいんですが、その韓国向けの自動車ですな、部品も含めて結構だ。その自動車の輸出の中で国際興業の占める金額はあなたの方で調べたものはないですか。
  287. 岸田文武

    説明員(岸田文武君) お尋ねがございましたので統計資料など調べてみましたが、輸出向けにつきましては明細がございません。
  288. 内藤功

    内藤功君 これは、いまその問題だけで時間をとることはもったいないのでこれ以上聞かないが、希望としてですね、その点を極力調べてほしい。ロッキードのこの真相究明に役立つんだから、これは調べてほしいということを、これは答弁を求めませんが、要望しておきます。  そこで、私は以上簡潔に事実のポイントだけを申しましたから、最後に結論で要求をしたいと思う。  まず政府側に対して要求をする。私は、小佐野賢治に対する捜査はコーチャンの証言をいま検討し吟味しております、それ以上はちょっと申し上げられません、という最初の安原さんの答弁は、もう少し言いたいこともあるが捜査関係でがまんしているという意味にもとれるが、また、なかなかこの小佐野ルートについては突破口がない、やりたいんだが突破口がないというようにも聞こえる。もし私は善意にとって後者だとすれば、これはやっぱり積極果敢にこの事実をもとにして——沈着冷静でも結構、不偏不党でも結構、しかし、もう一つ積極果敢ということが大事だ、捜査には。そういう精神を持って一われわれにはもう捜査権はないんだから、国会議員はもう必死になってこういうものを選んで調べて、ここへ出して、稻葉さんやってくださいと、安原さんやってくださいというので精いっぱいですよ。ですから、これをもとによく調べてもらいたい。徹底的に調べてもらいたいと思います。特にこれは別件逮捕でいくならば、所得税法とか背任罪、りっぱなものです、みんな別件逮捕でいっているんだから。本件逮捕でいくなら贈収賄、本件逮捕でいくなら。これはやはり金の出し入れ、それから特に川重との関係というものを、きょう帰ってよく考えてもらいたい。いろんな推測が成り立つから、ぼくは一つの断定をここで言わないが、一方田中、小佐野に影響力がある、一方において川重にも影響力がある、そして川重がやっておった国産化の問題は白紙に戻すと、ここに——私は結論の断定は避けるが、十分本体に肉迫できる私は素材であると思います。  次に、いま小佐野賢治については、小佐野賢治は元検事二人を顧問弁護士にしておる。しかも検事総長経験者二人を顧問弁護士にしておる。この間、橋本議員が稻葉さんにも聞いて、稻葉さんはまあよくないことだという御答弁をなさった。こういう検事総長を二人顧問弁護士にしている。まあ異常ですよね。大会社だったら民事、商事に堪能な人を普通は雇っておるはずなんです。ところが、検事総長経験者を——あんまり民事、商事は専門というより、どっちかと言えば刑事が専門の方、こういう人を入れておる。失礼だけれども。そうでない人ももちろんいますよ、いますが、大体そうです。これは異常なことだ。こういう二人の元検事総長、前検事総長が名前だけにせよいるために、そんなことはないと思うが、捜査官がびびってしまって、俗に言う、というようなことがあったらこれは大変だと私は思います。これはないという答弁が来るに決まっているから聞きません。ただ、これだけ出して、いいですか、これ出さぬ場合は別だ、これだけ出してやらなかったと、内藤さんのは聞きおきましたと、十何年前の資料しか出せなかったから調べませんでした、というのでは済みませんよ、これからは、ということを申し上げたいのであります。  稻葉さんは、この間、七月四日の毎日新聞で記者の会見に対して「児玉プラスX」ということを言われた。Xですね。これXじゃないですか。Xの一つだと私は思う。Xとは小佐野じゃないですか。児玉だけやって小佐野をやらないという手はないですよ。児玉、小佐野と並べているんですから、並べているんですから、双壁なんだから。だから、これについて今後どういう御決意でやられるか、法務大臣、刑事局長の順番にここで所信を述べてもらいたい。
  289. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 毎日新聞の「児玉プラスX」というのは、XはやっぱりX。しかし、せっかくの御指摘でございますから、捜査に遺漏があっては、この事件について捜査に遺漏があってはいけませんから、万全の構えをして捜査を進めなきゃいかぬと、こういう決意ですな。
  290. 安原美穂

    説明員安原美穂君) まあ法務大臣を補佐します私の立場といたしまして、かように具体的な事件について検察が捜査に着手するということを約束することは具体的な事件の指揮につながることでありまするから約束はいたしかねますし、すべきではございませんが、いろいろ貴重な御示唆をいただきましたので、貴重なインフォメーションとして検察当局に伝えさしていただきたいと思います。  それから何……、それでよろしゅうございますか。
  291. 内藤功

    内藤功君 もう少し聞きたいが、いいとしましょう。  警察庁と国税局どうですか。警察庁おりますか——警察はいないか。じゃ国税庁どうですか。
  292. 系光家

    説明員(系光家君) 一つの重要な資料情報であるということで承っておきたいと思います。
  293. 内藤功

    内藤功君 承るだけじゃだめだ。承ってどうしますか。
  294. 系光家

    説明員(系光家君) ですから、所管の国税局に知らせまして、今後の適正な処理をしていく上で活用をさしていただくというふうに考えております。
  295. 内藤功

    内藤功君 最後に委員長に要求いたします。並びに理事各位にもお願いをしたい。  いままで参議院の委員会はPXLの問題でずうっと外周事実を調べてきて、十月九日に、あなたもよく知っておられる、委員長も知っておられるように、田中、後藤田、相澤と、この三人が部屋の中で相談をしたと、この話を、この三人を呼んで調べなきゃならぬと、国民の世論ですよ。言論機関はみんな一致して社説で強調しておる。もう各党一致しておる、これは。自民党の中でもそれがいいという人だっているんだ。そういう状況で、田中、後藤田、相澤の喚問を要求していますが、まだ実現しない。そうしてこれと、田中、後藤田、相澤を動かした勢力は、外から外的力を加えたのは片や児玉であり、片や小佐野である。この小佐野についてこれだけの具体的事実が出てきたんでありますから、これは捜査権とは別個にやはり国政調査権というものに基づいてこの小佐野に絡むこの問題、この問題だけではなくて、ほかにもいっぱいあると思う。小佐野賢治氏がもし、おれはそんなことはないと、あれはうそだと言うかもしれない、うそだと言うなら、出てきてもらって、うそかうそじゃないかはっきりさせる、真相を究明すると。そういうことをはっきりさせないと、もやもやの黒い雲がかかったままになっちゃいます。ですから、私は結論として委員長に、小佐野賢治を当委員会証人として呼ぶべきであると思います。理事各位に諮ってそのように善処していただきたいと思いますが、委員長いかがですか。
  296. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 内藤君の申し出につきましては、もういままでもずいぶん理事会で諮っておりますが、今後も十分理事会で相談してまいります。善処いたします。
  297. 内藤功

    内藤功君 前向きでやってくださいよ。  じゃ、これで終わります。
  298. 青島幸男

    青島幸男君 当委員会におきましてはさまざまな論議が尽くされてまいったわけでございますけれども、いずれにいたしましても、いま内藤委員からのお話も出ましたが、議員を含む証人を当委員会に喚問するということが全貌を明らかにする上に大変に重大なことであるということは、もうどなたの目にも明らかであるわけでして、昨日も野党四党から自民党に対して申し入れがあったわけであります。二院クラブとしては別に名を連ねてはおりませんけれども、私どもといたしましてもこの趣旨には無論賛同するわけでございまして、そういう形で当委員会の全貌究明の進展が著しく進むことを私も望んでおるということをまず申し上げておきたいと思います。  捜査するために支障を来すからだということを再三法務大臣も御答弁なすっていらっしゃるようですけれども、重複することは私わかっておりますけれども、そういう主張を含めまして、何がゆえに捜査の進展に邪魔になるから証人喚問は好ましくないのだという御意見をお持ちなのか、ということを明らかにしていただきたいと思います。
  299. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) ロッキード事件に関しまして国会は政治的道義的責任の所在を明確にするために、憲法に基づく国政調査権を行使されているのであり、また捜査当局は刑事責任の追及のため刑事訴訟法に基づく犯罪捜査権を発動しているのであって、それぞれその目的を異にするとともに、両々相まって本件全体の真相が解明されるものと考えております。国会証人喚問の実施の当否はもとより国会自身において決定すべき事柄でありますが、六月二十二日以来捜査当局逮捕勾留をした者は十一名を数えるに至り、本件捜査が重大な段階に入っていると言われている今日、国会証人喚問の時期、方法によっては捜査当局関係人の取り調べや、米国における嘱託証人尋問に微妙な影響を及ぼすばかりでなく、関係人の罪証隠滅、逃亡等を誘発するおそれもなしとしないので、国会側においてこれらの点について御配慮をいただければありがたいということを一般論として申し述べたにすぎません。したがって、法務当局としては、いま挙げられましたような特定の個人について、当局としては特定の個人について証人喚問の是非を国会に申し述べるようなことはいたしません。
  300. 青島幸男

    青島幸男君 重複と知りながら御質問申し上げた失礼をお許しいただきたいと思いますけれども、事は大変重大でございますので、この問題につきまして国民ひとしく私と同じような考え方を持っておると思うのです。ですからその点を御配慮いただきまして、捜査の進展いかんにかかわらず、いま内藤さんから委員長あるいは理事各位にあてても要望がありましたけども、私も全く同感の心持ちを持っておるものですから、そのことを明確にしておきたいということで申し上げました。  捜査の進展あるいは委員会を通じてだんだん明らかになってまいりましたが、まあ丸紅あるいは全日空から金が出ているという事実があったのであろうということは明確になってまいりました。金が出たということが明確になったということは、当然受けた側の人間もいるわけですから、贈賄があれば収賄があることは当然です。しかし、いままでの歴史的な経過から考えましても、さまざまの疑獄事件を見まして、収賄というかっこうの罪を立証するということは大変むずかしくて、むしろ政治献金として受け取った、たまたま地位利用というふうに受け取られる時期が一致したかもしれない。地位を利用して特定の個人に便宜を図った、その謝礼として受け取ったものはまあ収賄ですね。ところが、たまたま時期が一致したわけであって、あれは政治献金として受けたのだというようなことで逃げられるケースというのはかなりあったわけです。そういうことになるといけないという考え方で国民は非常に心配しておるわけですね。ですから、もしそういうことで逃げられるようなことがあったらどうしようか、またうやむやになってしまうのではなかろうか、そういう国民の疑念に対してはどういうふうに対処するお心持ちをお持ちか、御説明いただきたいと思います。
  301. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) これは結果としてお示しする以外にないという決意です。うやむやにはししない。うやむやにはしない結果を示す。ああなるほどうやむやにしなかったな、警察当局はしっかりしているなという結果を生むよりほかに方法はないと思う。口で幾ら何度も言ったってね。
  302. 青島幸男

    青島幸男君 その結果として明白にするということの具体的な事例といたしますと、たとえ政治資金として受けたのだと言われても、それならそれで追及の仕方がありますね。政治資金として受けたのなら、なぜ自治省にその旨届出がないのか、これは政治資金規正法違反じゃないかと。あるいはそういう金品の授受があった、それは個人として受け取ったものであれば当然所得として残るわけですからね。それは税法上脱税ということで追及もできるはずでしょうから、そういう形で明確にするということを事実で明らかにすることは意味していると認識してよろしゅうございますか。
  303. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) そういうことでございますが、いま捜査当局は、この入った金、で、それが出たというところまで行っているのか、また、出たというところまでは行っているが、だれに出たのか、だれにそれが入ったのか、そういうところまではなかなか行っていないんじゃないでしょうか。私よく報告を受けておりませんから存じませんが……。それで、やっぱり捜査の結果、脱税になる、政治資金規正法違反になる、そういう場合は起こり得るかもしれませんが、収賄ということにならない場合も、それは捜査の結果事実がそうならば、それが事態を明確にしたんだという結果を生んだんだ、事態を明確にするという結果を生んだんだということになりませんでしょうかな。
  304. 青島幸男

    青島幸男君 ここまで来ますと、もうそれも時間の問題だと言われておりますね、受け取った側の名が明らかになるのも。名が明らかになることを国民は期待しておるわけです。しかし、名が明らかになったのだけれども、それは政治資金として非常に高度な政治目的のために使用されたのだということで事がうやむやにされますと、政治資金として使われたということの実態の把握のしょうがないわけですよ、国民としては。政治に金がかかるとよく言われておりますけれども、その実態が何かということは一つもつまびらかにされてないわけですね。ですから、非常に高度な政治的な判断に基づいて使ったと言われれば、ああそうかいなという認識しか持てないのが、いまのジャーナリズムも国民も、の一致した立場でしかないわけですね。その辺のところを徹底的に究明していかないと、このロッキード問題はともかくとして、これをどんなに徹底的に究明しても、その辺までで捜査を打ち切るというような、あるいは究明の仕方をあいまいにとどめるというようなことになりますと、何回でも同じように起こってきますね、体質は変わらないんですから。そういうことから申しまして、徹底究明する必要ということは、その金が何の目的に流されたかということまで追及しなければだめだろうということを私は申し上げているわけです。  それからもう一つは、わが国の風潮としましても、いままでの歴史的な経過からしましても、その入った金を、たとえ地位利用であれ何であろうと、入った金を着服した、家を建てた、何々を買ったというようなことですと、社会的な糾弾もわりあい追及も厳しいですね。しかし、それが政治目的で使われたんだということになりますと、何となくそれを許すような風潮がありました、いままで。そのために、国民は何度もいやな思いをしているわけですね。せっかく明らかに、金の動いたことまでは明らかになった、しかしその先はどうなったのだと言うと、政治資金として使われた。政治資金とは何なんだ、つまり非常に高度な政治的な目的のために使われたのであるというようなことで、いつもうやむやにされてしまう。その辺が実にもどかしく感じている今日だと私は思うのです。これからは、常に国税庁とこの問題で私いろいろやり合っているので、きょう国税庁おいでいただいているので、その辺をもう少し詰めてまいりたいと私思うのですけれども、つまり政治資金として個人に入ったお金も、政治目的のために使ったから収支ゼロである、だから所得はないんだから届ける必要はないんだというかっこうを踏襲していままで来ているわけですね。それは間違いで、すべての国民に同時に課せられています納税の義務のたてまえからすれば、一たん入った総枠をまず明らかにして、それからこの収入を得るための必要な経費、あるいは原価その他を引いてこれだけ残りました、これだけ所得があったがこれについて納税をいたしましょう、どうしましょうという相談があるわけでして、これは総枠をまず一回明らかにしないことには、だれがどこへ、どれだけ金が動いたのかわからない。ましてや、政治不信の折から、政治家といって人から信頼されて立法府にいる、あるいは行政府にいるでも結構でございますが、そこにいて国民の負託を受けて任されている立場の人が、それをあいまいにしておくということの方がむしろモラルの点から言っても間違いだと私は思うわけです。ですから私は、必要経費の細かい内訳をつまびらかにして、それは間違っているぞ、それは認めないぞということを言おうとしているわけではないわけですよ。総枠を一回明らかにして、それから必要経費はこれだけだったんだと、それを認める認めないは国税庁の問題ですからいいけれども、それを一回明らかにしないことには国民のだれしもは納得しないし、納税への意欲もかなりそがれてしまうだろう。そこが一番わからないところだから、それを明確にするようにしたらどうだろうということを、国税庁といままでに二、三度やり合っているわけですね。国税庁きょうおいでいただいていると思いますけれども、その後、これは今後の課題としてお互いに検討し合いましょうと、いまの現行の税法で言うところの必要経費というものが、議員の場合これは妥当であるのかどうなのかということですね。宿題としてあなた方の方にこの問題はげたを預けてあるわけですから、その後どういう結論をお導きになりましたか、その辺を御回答いただきたいと思います。
  305. 谷口昇

    説明員(谷口昇君) ただいまの青島委員の御質問にお答えをいたします。  御承知のとおりに、所得税の課税標準は、所得金額——正確には総所得金額あるいは退職所得金額及び山林所得金額でございますが、所得がない場合や、課税標準に関係しない事項までその申告を求める必要はありませんし、収入支出の明細まで申告しなければならないというものではございません。
  306. 青島幸男

    青島幸男君 そんないいかげんな答えを私いただこうとは夢にも思いませんでしたよ。これは三回か四回あなた方と折衝というか、話し合いをして宿題になっているはずですよ。法務大臣ね、このお立場から申し上げまして明確な御回答をいただこうとも思いませんけれども、常識論で結構ですけれども、実はこうなんですよ、政治家が何百万円収入があろうと、政治活動に何百万円、それに相当した金を使ってしまえば、収支なしだったら届けなくていいということになっているわけですよ。ところが、それは必要経費というかっこうで認められているわけです。ところが、必要経費という考え方は、その年度にそれだけの収入を得るために必要な経費なんですよ。それを必要経費というふうに税法上規定しているわけです。ですから、たとえば議員では、政治活動というのは、政治資金をもらったりあるいは歳費を受けたりするための営業活動ではないわけでしょう。その年度の収入に見合うために必要な経費で落とせと言っているわけですけれども、それは確かに、自分の考え方を人々に周知徹底せしめたり理解を求めたりするために、事務所を設けたりパンフレットを配ったりするのは必要ですよ。しかし、その必要なのは、自分の主張を理解していただくために必要な経費ではありますよ。しかし、その年度、特定の収入を得るための必要経費ではないわけでしょう。それを混同して考えて、国税庁はそれは必要経費なんだというふうに言っているわけですよ。ですから、これは私は徹底的に間違いだということを再三指摘しているわけです。ですからね、監督官庁が別だからといって、私は知らぬ存ぜぬとはおっしゃらないと思いますけどね、法律が的確に施行されるように図るお立場にある方ですからね、こういう間違った考え方で法が運用されているということにつきまして私は改めてこの場で告発をいたしますからね、それについてどういうお考えをお持ちか、お聞かせいただけたら幸せだと思いますけど。
  307. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 少し青島君、ロッキードの問題に……。
  308. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) おっしゃるとおりに、ある収入を得るために必要なる必要経費、普通のお医者さんだとか、いろいろな商売人だとかね、そういうものとは性質が違うように思いますな。そはごもっともなように思いますね。したがって税法上の運用として、しかし、入った、これだけ、それ以上使ったとか、あるいはそれ全部使ったとか、あるいは残ったというような場合に、残った分については租税がかかるのは当然だと思いますね、免税点以上ならば。しかし、入った、全部使ったと、これはやっぱり収入がないんですから、税法上脱税というふうにいかないんじゃないでしょうか。そう思います、私。
  309. 青島幸男

    青島幸男君 いえ。委員長……
  310. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) ちょっとちょっと。必要経費という名目で、いわゆる商売人やなんかの必要経費という形でのあれではないけども、収入はないという意味ではね、脱税にはならないと、こういうふうに申し上げたんです。
  311. 青島幸男

    青島幸男君 それだけ承れば結構なんです。ですから、脱税云々のことを申し上げてるわけではなくて、税法上いうところの必要経費と、それから周知徹底するために必要な経費と混同して考えるのは間違いだというのは、普通の常識の考え方でしょうね。で、いまそういうお答えをいただきましたから、それで私満足ですけどね。  委員長からいま御指摘がございましたけども……
  312. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) ちょっとだけ。  ただ、私、そういう点についての素人ですからね、私は常識上申し上げてるんですから、あるいは法律専門の理論から言うと、税法学者から言うと、あんなばかなこと言ってるというふうに思われるかもしれませんけども、それは私の法律常識論としてお答えしたのです。
  313. 青島幸男

    青島幸男君 ですから私も、お立場法務大臣としての御見解を承ったわけではありませんので、そのことで法務大臣をこれで言質をとったからといって追及をするようなやり方はいたしません。ですから、私も法務大臣と同じ常識を持ってるということで安心したわけですよ。で、一般の人は皆そう考えるだろうと。ただ国税庁だけは違った考え方をしてるわけですよ。で、そのことを私は指摘したかったわけです。  で、委員長からいま御指摘がありましたけれども、この税法の問題に細かく立ち入ることはロッキードの当委員会としては不適当ではなかろうかということをおっしゃりたかったのかもしれませんけれども、私はこれはやっぱり構造汚職だと思うんです。ですから、この問題を徹底的に追及していかなかったら、何回でもこういう問題は起こると思います。ということは、政治に金がかかるんだという考え方は、総裁選から始まって、いろんな意味の選挙に金がばかばかしくかかり過ぎる。で、その金を得るために、あるいはポストを得るために、派閥を広げなきゃならぬ。その派閥はたくさんの票を獲得した人によって得られるわけだから、政治資金、あるいは政治に金がかかるということは、つまり票を得るために金がかかるんだということにくっついてしまえば、金と政治が縁を切れないという実態がいつまでたっても変わらなければ、どんなにロッキード事件を追及しても次から次から同じような疑獄事件が起こってくるだろう。だから徹底的に究明するためには、その使われた金の最後の末端、いなりずしになったか、観光バスの費用になったか知りませんけれども、そこまで追及するぐらいの姿勢が検察当局になければこれは徹底解明したことにはならないんではなかろうか、ということを実は申し上げたくて、いままでるる申し上げたわけです。その辺の御見解を承りたいと思います。
  314. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) いま御指摘の点は選挙法、選挙違反問題ですからね。選挙違反になるかどうかということになるんじゃないでしょうか。まあ一般的に、私は、収入が多い、それを本当に票を獲得する正当な手段ならいいと思うんですね、選挙法に触れない正当な手段で。それは票を獲得しなけりゃいかぬのですから、あなたも票を獲得しておられるんですから、正当な手段でやっておられるから皆あれなんでしょう。そういうことであって、選挙違反のような不正な金の使い方であれば、これは当然に選挙違反として罰せられることになるから。まあしかし、一般的に言って、こんなことを言ってどうだかしれませんけれども、もう少し政治家というものは、国政をあずかるんですから、生活は質素な方が私はいいという点は感じていますけどね。
  315. 青島幸男

    青島幸男君 生活は質素であろうと豪華であろうと、それは一向に構わないと思うんです。それは主義主張に基づいて、法律にのっとってだれもが認めるようなあり方であれば、それは本人の趣味の問題ですから一向に構わないと思いますけれども、ただそれが法律にのっとってないという部分があれば、それはだれもが認めないことは事実です。ですから、政治に金がかかるということ、つまり——端的に申しましょう。歴史的に見ましても、大きな財源を抱えている人が大きな派閥を持ってきたわけですよ。それで自治省に届け出てある、動かした金ですね、あるいは集まった金、それだけ扱ってグラフをつくって見ましても、たくさんお金を集めた方が、自治省に報告なすっている方が大きな派閥の領袖になられているわけです。その金の集まった多寡と比例して権力に近づいているわけですよ。このことはかつて私は田中さんが総理になられたときにも面と向かってそのことを申し上げて、非常な怒りを買ったことがありますけれども、そういう実態をすでに国民は知っているわけですよ。ですから、総裁選挙のあり方だって、自民党の問題ですからいいですけれども、総裁選挙のあり方だって多くの国民の疑問を呼んでいるわけですよ。いまだから言おうなんて方々に出てますけどね、あのときは何百万動いた、一本釣りで一人幾らかかったんだというようなことを平気で巷間言われてますし、そのことをふろ屋や飲み屋で国民は口にすることを非常に恥じておるわけですよね。いら立っておるわけですよ。そういう実態を直さなければロッキード汚職は直らないだろうということを言っているわけです。ですから、そこまで追及するためには、何に使われたのかという使途がですね、総裁選に使われたなら総裁選に使われたでいいんですよ、全日空からもらった金は総裁選のときに使ったんだということが明らかになれば、それはそれで進歩ですよ。そんならそれでいいんですよ。そういうところまではっきりつかんでいかなければ国民は納得することはないだろうということを申し上げているわけですよ。
  316. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) ですから、党の方で近代化とか、そういうことが言われておって、こういう事件は、不幸な事件ではあるけれども、正しい政党に生き返るための一つの契機だから、災いを転じて福となそうと言って、いま一生懸命にやっているわけですよね。御指摘のとおり、当たっている点があるから、お説のようなことがあるから、そして自民党の中にもそういう感じを持って皆一生懸命に奮闘努力していると、こういうふうに御理解を願いたいと思います。
  317. 青島幸男

    青島幸男君 そうすると、法務大臣は、このロッキード事件の解決はどこをめどと考えていらっしゃいますかね。たとえば高官の名前が出る、あるいは高官が起訴される、あるいは政治資金規正法違反の事実が出る、あるいは脱税の事実が出る、さまざまなかっこうがあると思いますけれども、どの辺をこの問題の終えんと考えられておられますか。
  318. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) ロッキード社を通じて入ってきた金がどのくらいで、その金のどのくらいの部分がこのいわゆるガバメントオフィシャルズ、広い意味で、そういうところへ流れていったかということが解明されれば、ある一つのめどだと思います。
  319. 青島幸男

    青島幸男君 その金が何に使われたかというところまで究明しようというお心づもりはありませんでしょうかね。
  320. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) それは、何に使われたかということは重要なことでございますわな。それは大部分総裁選挙に使われたということなら総裁選挙のやり方を改めなきゃいかぬと、こういう改革論が出てくるわけですね。いまそれをやっているわけですから、それに役立つような解明の仕方−をすることがめどだと思います。
  321. 青島幸男

    青島幸男君 そのお立場で御活躍いただければ国民の大変な期待が大部分果たされるのじゃないかという気がしますしね。私もただ、だれだれが起訴されたというようなかっこうで終わってしまうことは、決してこの問題の終えんだと思っておりません。だれだれに幾ら行った、その金はだれに流れてどうなったのだと、果ては、理想的に申し上げれば、いなりずしになったところまで、ずっと問題が究明されれば、日本の民主政治の上で大きな私は発展の糸口になると思うのです。ですから、そのくらいのお覚悟で、もういままで何回もその御意思は表明されておられますし、多くの期待を集めていらっしゃるわけですから、法務大臣はこのロッキード解明の旗手としていま存在なすっておいでのわけですから、私どもあるいは国民の願いがその辺にあるということまでも十分に御認識の上、徹底的に解明を続けられるように御努力があってほしいと思います。そのためには、先ほども理由は伺いました。しかし国民大多数は納得してないわけです。高官を含む証人の喚問ですね、当委員会での。その問題なんかの要望なんかも含めまして精力的に推し進めていただくことを要望いたしまして質問を終わります。
  322. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 質問、続けますか。
  323. 青島幸男

    青島幸男君 いま井出さんお見えになりましたけれども法務大臣に私、おいでにならない間に、井出さんに御質問申し上げる分まで合わせて御質問申し上げまして、私もその点で了解した部分もありますので、また別の機会に御質問さしていただくことにしたいと思います。いまから始めますとまたるる御説明申し上げまして、私の時間は超過すると思いますので、機会を次回に譲りたいと思います。終わります。
  324. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめます。  明日は午前十時開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十三分散会