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1976-06-24 第77回国会 参議院 ロッキード問題に関する調査特別委員会 閉会後第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年六月二十四日(木曜日)    午前十時二分開会     —————————————    委員の異動  六月二十四日     辞任         補欠選任      近藤 忠孝君     内藤  功君      田渕 哲也君     柄谷 道一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         剱木 亨弘君     理 事                 岡本  悟君                 林田悠紀夫君                 瀬谷 英行君                 黒柳  明君                 橋本  敦君                 田渕 哲也君     委員                 石破 二朗君                 大島 友治君                 岡田  広君                久次米健太郎君                 町村 金五君                 宮崎 正雄君                 最上  進君                 上田  哲君                 久保  亘君                 対馬 孝且君                 野田  哲君                 矢田部 理君                 峯山 昭範君                 近藤 忠孝君                 内藤  功君                 野末 陳平君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    証人                 土屋  清君                 海原  治君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○ロッキード問題に関する調査  (ロッキード問題に関する件)     —————————————
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまから、ロッキード問題に関する調査特別委員会を開会いたします。  ロッキード問題に関する調査を議題とし、証人証言を求めることといたします。  本日出頭された証人土屋清君でございます。  まず最初に、委員長から確認をさせていただきます。  土屋清君、あなたは御本人ですね。
  3. 土屋清

    証人土屋清君) そうです。
  4. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) この際、証人に一言ごあいさつを申し上げます。本日は当委員会に御出頭いただき、ありがとうございました。  証言を求めるに先立ち、証人に御注意申し上げます。  議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人には、証言を求める前に宣誓をしていただきます。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、次の場合に限られております。  証言が、証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族、または証人とこれらの親族関係のあった者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、並びに医師歯科医師、薬剤師、薬種商、助産婦、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあった者がその職務上知った事実で黙秘すべきものについて尋問されたとき。  以上の場合以外は、証人宣誓または証言を拒むことができません。  正当の理由がなくして証人宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処ぜられます。  また、宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることになっております。  それではこれより証人宣誓を行います。  証人証言席宣誓書を朗読してください。  全員御起立願います。   〔総員起立証人は次のように宣誓を行った〕     宣誓書  良心に従って真実を述べ、何事もかくさず、又  何事もつけ加えないことを誓います。              証人 土屋 清
  5. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御着席願います。  証人は、宣誓書署名捺印してください。   〔証人宣誓書署名捺印
  6. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) これより証言を求めますが、証人は発言に当たっては、その都度委員長の許可を得て発言されるよう、また、時間の制限もありますので、尋ねられた事項の範囲内において明確に証言されるようお願いいたします。  それでは委員から尋問いたします。順次御発言願います。
  7. 岡田広

    岡田広君 これから証人に御質問を申し上げるわけでございますが、本委員会においては、これまで取り上げた問題は主として対潜機に関してでございます。そして政府関係機関から聞きただした結果は、どうも私どもとして隔靴掻痒の感を免れないのでございます。そこで、専門家会議委員であられた証人からは、申さば公正なお立場であられたわけでございますので、また、日ごろ私は別な人格で土屋先生の御高見を拝聴しておる者といたして、ここが知りたいと、こういうことについて率直に御質問申し上げますので、ひとつ公正にお答えを願いたいと存じます。  まずお尋ねしたい第一点は、昭和四十七年十月九日、国防議員懇談会了解事項というのがございますが、御存じでございますか。
  8. 土屋清

    証人土屋清君) 知っております。
  9. 岡田広

    岡田広君 了解事項は次のようでございますが、朗読してみます。「次期潜機早期警戒機等国産化問題は白紙とし、今後輸入を含め、この種の高度の技術的判断を要する問題については、国防会議事務局に、専門家会議を設ける等により、慎重に検討する。」と、こういう了解事項でございますが、内容御存じでいらっしゃいますか。
  10. 土屋清

    証人土屋清君) 知っております。
  11. 岡田広

    岡田広君 そういたしますと、私はこの了解事項に基づいて専門家会議発足されたものと了解するのでございますが、そのとおりでございますか。
  12. 土屋清

    証人土屋清君) そのとおりです。
  13. 岡田広

    岡田広君 それでは、この専門家会議なるものはだれの諮問機関と思われて御就任なされたわけでございますか。
  14. 土屋清

    証人土屋清君) 国防会議事務局長諮問機関だと心得ています。
  15. 岡田広

    岡田広君 私は、国策決定に重要な機能を発揮すべきこの種会議が、内閣法にもよらず、しかもまた行政組織法にものっとらないで、申さば、任意機関として発足させたことに対してどうも合点のいかないものでございます。ましてや、今日ロッキード問題が重大な国民の関心を集めておるに関連いたしまして、とかくの疑問を差しはさまれている問題に、機種選定という重大な国策決定がございます。で、私は、大変失礼な言い分ではございますが、この専門家会議というものは、申さば、役所の、事務局隠れみの的性格ではないかと、かように素朴な考えを持っておるんですが、証人はどのようにお考えでございますか。
  16. 土屋清

    証人土屋清君) そういう審議会もあるかと思いますが、私の関与した審議会あるいは委員会では、できるだけそういうふうにならないように私自身も努力しております。
  17. 岡田広

    岡田広君 わかりました。  それでは、時間の制約もございますので、一問一答の形で次の十数点についてお尋ねをいたしたいと存じます。  第一に、専門家会議委員お引き受けられた当時の先生のお気持ちをひとつおっしゃっていただければと思いますが。
  18. 土屋清

    証人土屋清君) 私は通産省航空機工業審議会委員をしておりまして、かねて航空機工業について関心を持っております。それで今度のPXL及び早期警戒機——AEW開発ということは日本航空機工業にとって非常に重要でございますからお引き受けした次第であります。
  19. 岡田広

    岡田広君 いろいろと審議概要なり何なりを拝見いたしますと、専門家会議発足になりましてから答申に至るまで約一年四ヵ月かかっているやに承知いたしておりますが、その間この専門家会議が故意に引き延ばされたというような印象はございませんか。
  20. 土屋清

    証人土屋清君) そういうことはございません。
  21. 岡田広

    岡田広君 わかりました。  それでは、専門家会議に対していつごろまでに結論は出してほしいというようなことについて事務局から何か御要望はございませんでしたか。
  22. 土屋清

    証人土屋清君) 四十八年八月の発足に際しまして、大体はっきりした形ではございませんけれども、五十年度の予算編成に間に合わしてほしい、ということは四十九年いっぱいに大体の結論を出してほしい、こういうことであったというふうに了解しております。
  23. 岡田広

    岡田広君 それで、四十九年の十二月二十七日、もう年末の押し迫った時点に答申をなされたと、こういうことでございますか。
  24. 土屋清

    証人土屋清君) そのとおりです。
  25. 岡田広

    岡田広君 今度は内容についてお伺いいたしますが、専門家会議での防衛庁側説明、すなわち私ども了解いたしている点においては、防衛庁国内開発を指向しておったと、こういうふうにわれわれは承っているわけでございますが、しかし、防衛庁では国産ということを必ずしも政府決定はしておらないんだと、こういうような一つの条件もつけて意見を述べておられるんですが、この国内開発外国機導入のいずれにウエートを置かれておったか、専門家会議のいろんな審議過程において、御意見をひとつ承りたいと存じますが。
  26. 土屋清

    証人土屋清君) 白紙還元以前の事態については私は存じません。白紙還元した後において国産問題について輸入を含めて検討してもらいたいと、こういうことですから、その以前の事態は知りませんが、白紙還元した後、今度は国産輸入両方検討してほしいということですから、両方公平に検討しようというふうに思いました。
  27. 岡田広

    岡田広君 それでは、さらにお尋ねいたしますが、この防衛庁側のおすすめに対して証人は納得されましたですか。
  28. 土屋清

    証人土屋清君) どういう点が御疑問なのかよくわかりませんが、私は防衛庁側は公平に開発輸入両方説明して、そして会議を進行したというふうに考えています。
  29. 岡田広

    岡田広君 はい、わかりました。  それでは、次に大蔵省はどういうような審議過程において専門家会議で述べられたか。証人の感得されたことを簡潔にひとつ。
  30. 土屋清

    証人土屋清君) 大蔵省は主として財政上の見地から輸入主張したというふうに考えております。
  31. 岡田広

    岡田広君 過日通産省からもいろいろとここで御説明を聞いたんでございますが、あわせて通産省はどういうような御見解を示されたか。
  32. 土屋清

    証人土屋清君) 通産省はむしろ国産を希望しておるというように受け取られました。ただし、私も関係しておるYX開発という、つまり旅客大型機ですね、日本でアメリカと提携して。それがございますので、YXPXL、つまり対潜警戒機とが一緒になると問題があるんで、その点について多少の懸念を持っていたように私は思います。
  33. 岡田広

    岡田広君 まとめ証人にお伺いいたしますが、各省庁の御説明を相当の期間をかけて審議過程を顧みまして承っていくべきでございますが、その間に十分各省庁の御説明を聞いて専門家会議として御検討、討議をなされたわけでございましょうか。
  34. 土屋清

    証人土屋清君) 十分納得いたしました。
  35. 岡田広

    岡田広君 そこで、まあ飛躍いたしますが、会議の大勢は、私が聞き及ぶところでは、国内開発論が多数を占めておったのではなかろうかというように仄聞しておるんですが、証人のお考えいかがでございますか。
  36. 土屋清

    証人土屋清君) 四十八年八月に始まりまして、それから一年間ぐらいは各種の意見を聴取した段階ですから各委員意見はわかりません。しかし四十九年九月、十月ごろからまとめ段階に入りまして、そうなりますと、まあ断片的ですが各委員意見がお互いに明らかになってまいりました。それにおいては、大体国産論の方が有力であったというように考えております。
  37. 岡田広

    岡田広君 会議内容の重点の各先生方の御意見のこともわかりましたが、それでは次に専門家会議それ自体に対して外部からいろいろな圧力なり要請なりがあったかどうかという点についてお尋ねいたしますが、まず事務局から専門家会議に対して、大体御意見国産化をしたらいいんじゃないかというような各委員の大部分の御意見のように証人は一応お考えになられたというふうにいま承知したんでございますが、事務局姿勢として、一応積極的に外国機導入について誘導されたというような御印象はございませんか。
  38. 土屋清

    証人土屋清君) そういうことはございません。
  39. 岡田広

    岡田広君 それでは、この審議概要まとめるに当たりまして答申をなされておりますが、その答申の作成の過程においてやはり外から何か会議に影響を及ぼすような一つの問題はございませんでしたでしょうか。
  40. 土屋清

    証人土屋清君) そういうことはございません。
  41. 岡田広

    岡田広君 私はずっとこれを拝見いたしまして、巷間評価は、この答申玉虫色的な答申であるんだというような評価も承っておるんです。で、私も何回となく、きょうの質問に立つに当たりまして勉強さしていただいたが、やはりそういった巷間評価のそしりは一点免れないところがあるんじゃないかと、こういうような感じもいたすわけでございますが、答申案内容について証人の御感想なり御所見というものを承らしていただければ幸せだと存じますが。
  42. 土屋清

    証人土屋清君) 答申は、私は、どの審議会でもそうでありますが、意見完全一致をしない場合には、多数意見少数意見にはっきり分けて答申する場合と、それから意見が分かれているのを何とか一本にまとめ答申する場合と、二つあると思うんです。私は自分としては、多数意見とあるいは少数意見にはっきり分けた答申の方を大体とるんですが、しかし、審議会によっては、なるべく両方意見を調整しようと、そういう立場の場合もございます。で、この専門家会議においてはその後の立場、つまり多数意見少数意見を分けないで、違った意見をなるべく一本に包摂しようと、こういう立場がとられました。したがって、巷間玉虫色と言われるような結論になったんだと思います。これは委員会まとめ方でありまして、どっちをとるかということはその委員会決定すべきことだというふうに考えております。
  43. 岡田広

    岡田広君 まあ内容是非の問題を討議する時間の余裕もございませんが、それでは証人は、この答申は当初のこの四十七年十月九日の国防会議議員懇談会了解事項に基づいて設置された専門家会議というものが、結論として実りあったものとお考えでございますか。あるいは玉虫色のと言われる答申を出さざるを得なかったというようなお話もございましたが、ひとつざっくばらんに実りあったものであったかという点についてひとつお答えを願いたいと存じます。
  44. 土屋清

    証人土屋清君) 玉虫色というのは巷間の批評でありまして、私は必ずしもそうとは思っておりません。これをよくお読みくださればわかりますけれども、なるほど、いずれかを否とする決定的な要素は見出し得なかったと、こういうふうに言っております。その点が玉虫色と言われるところであります。しかし、その後続けてですね、述べておりますことは、一般的に言えば国産がよろしいんだと、こういうことをはっきり言っています。国産がよろしいけれども、時間的な制約があって当面輸入することもやむを得ない、こういうふうに言っております。したがって、私は自分主張——私はまあ国産論でありますが、自分主張がこの答申に織り込まれていると考えまして最終的に賛成したわけです。その前の二、三行の、いずれかを否とする決定的な要素を見出し得なかったと、そこだけ読んで玉虫色玉虫色と言うのははなはだ遺憾でありまして、その後に、一般的に言えば国産がよろしいと。ただ、時間の制約があるならば、その場合には輸入もやむを得ないと、こういう表現になっています。よくお読み願いたいというふうに思っています。
  45. 岡田広

    岡田広君 証人のいま御所見によって、やはり証人の初心も貫かれておると、それから、この審議概要から帰納された答申案もそれなりの成果はあったものと認めると、こういうことでございますので、次に、証人に御意見をひとつ承りたいと思いますが、私はこの専門家会議発想それ自体は、やはり国策の重要な、四次防に関係するような重要なこの会議が設置されたということについては、その発想において私は非常に結構なことだと思っております。ただ、冒頭に申しましたように、役人の常套手段的な隠れみのとして、何々懇談会とか何々会議とかというような、この政府行政執行機関姿勢については、私はまた国会議員として疑義を持っておるものでございます。  そこで証人から、これはお答えなくとも結構でございますが、私は国防というような重大な問題の国策決定に当たって、こういう専門家会議というものを法制の上からもそしてまた恒久的な機関として存置すべきじゃないかと、こういう見解を持っておるんですが、最後に証人の御所見を承って私の質問を終わりたいと思います。
  46. 土屋清

    証人土屋清君) 御意見のとおり、私も懇談会等の法令によらない審議会はなるべく避けた方がいいと思っています。しかし、緊急の場合ですね、法律によらないで懇談会をつくるということは行政上の慣例でありますから、慣例になっていると思う。現在でもそういう懇談会いろいろあると思います。ですから、緊急の場合はこういう懇談会もあって差し支えないというふうに考えております。しかし、最初から申しましたように、本来なら、こういうものは法律によってきちんとした審議会であるべきであって、国防についても同様だというふうに考えております。
  47. 岡田広

    岡田広君 どうも証人ありがとうございました。これで質問を終わります。
  48. 矢田部理

    矢田部理君 証人事務局より専門委員になってほしいと要請をされたのは、時期はいつごろになりますでしょうか。
  49. 土屋清

    証人土屋清君) はっきりしませんが、四十八年の六、七月——七月ごろじゃなかったかと思っております。
  50. 矢田部理

    矢田部理君 直ちにお引き受けになったのでしょうか。
  51. 土屋清

    証人土屋清君) さようであります。
  52. 矢田部理

    矢田部理君 専門委員お引き受けになった時期にすでにこの答申を出す時期的なめどづけ、いつごろまでにやってほしいという話はあったのでしょうか。
  53. 土屋清

    証人土屋清君) 引き受けたときにはございません。しかし、会議が始まった直後に、先ほど申しましたように、大体五十年度予算に間に合わせてほしいんだというような話はあったと思います。
  54. 矢田部理

    矢田部理君 そこで、四十九年末ぐらいまでにはというめどで日程を組まれたようですけれども、具体的な日程の入れ方等については事務局イニシアをとったのでしょうか。それとも委員の御都合でああいう段取り、日程になったのでしょうか。
  55. 土屋清

    証人土屋清君) これは別に委員の方の意向でも何でもございません。事務局の運びだろうと思います。
  56. 矢田部理

    矢田部理君 そこで日程に関して若干伺いたいと思いますが、第二回の委員会——専門委員会が四十八年九月二十五日に開かれました。それから翌年の四十九年三月十一日、第四回が開かれるまでの間六ヵ月前後あるわけでありますが、この間には十二月末に開かれた程度で、かなりの間があったというふうにまあ言われておるわけでありますが、これも事務局イニシアでこういう日程になったのでしょうか。
  57. 土屋清

    証人土屋清君) そうであります。恐らく、よく覚えてませんが、その間、防衛庁当局海外視察があったんじゃないかというふうに考えています。で、その最新の資料を持ってきて、それで専門家会議に提出すると、そういう使命があったんじゃないかと思います。
  58. 矢田部理

    矢田部理君 海外調査待ちというようなこともあったけれども日程そのもの事務局が中心で組まれたと、こういうことになりますね、お尋ねします。
  59. 土屋清

    証人土屋清君) そのとおりです。
  60. 矢田部理

    矢田部理君 そこで、次の質問に入りたいと思いますが、審議を始めるに当たって、次期潜機みたいなものが本当に必要なのかどうかと、つまり、必要性是非についての論議はなされたのでしょうか。
  61. 土屋清

    証人土屋清君) なされません。  AEW——早期警戒機も同様に私ども審議したんですが、その場合には、その必要性については大いに議論をいたしました。議論活発でした。しかし、対潜警戒機の場合はその議論はなされない、大体現在でもそれやってるんですから、対潜警戒を。特別に議論はいたしませんでした。
  62. 矢田部理

    矢田部理君 そうしますと、次期潜哨戒機が必要だという前提で議論は進められたと、こういうことになりますね。
  63. 土屋清

    証人土屋清君) そのとおりです。
  64. 矢田部理

    矢田部理君 そこで、必要だとすれば、いつごろには必要か、必要になるという時期的な検討はなされましたでしょうか。
  65. 土屋清

    証人土屋清君) それは会議が始まりまして二回目のときだと思いますが、現在P2Jという対潜警戒機を使用しておりますけども、それがだんだんお蔵入りになって、配備を変える必要があるのは昭和五十七年度だと、したがって、五十七年度までには次期潜警戒機を用意しなきゃいけないんだと、こういう説明がございました。
  66. 矢田部理

    矢田部理君 それは防衛庁からですか、事務局からですか。
  67. 土屋清

    証人土屋清君) 両方からだったと思います。
  68. 矢田部理

    矢田部理君 専門家会議審議内容質問を移したいと思いますが、審議概要等を見ますと、防衛庁説明がやはり一番多かったと思うわけでありますが、防衛庁はその中で、P3C——問題になっておりますP3Cの欠点問題点等についても指摘がございました。たとえばスピードが遅い、これは審議概要にも指摘をされておるわけであります。進出速度が遅いというようなことが、弱点といいますか、欠点一つとされているというようなことがあるわけでありますが、そのほかに、P3Cについてはこんな弱点欠陥があると——欠陥とまでは言えないまでも問題があるというような指摘はなかったでしょうか。
  69. 土屋清

    証人土屋清君) P3Cはプロペラ機ですから、したがって、スピードも遅いし、それに伴う不利な点があるということの指摘はございました。そのほかには特別に欠点指摘はなかったように思います。
  70. 矢田部理

    矢田部理君 いま御指摘進出速度については、防衛庁次期潜機として考えておった要求性能に合わないというような指摘はあったことは事実のようでありますが、そのほかに、資料を提出して何点かの弱点問題点指摘しておったのではないでしょうか。
  71. 土屋清

    証人土屋清君) それ以外は余り記憶がございません。あったかもしれません。しかし、余り注意を持って検討しておりません。
  72. 矢田部理

    矢田部理君 それでは、証人記憶を喚起する意味で、私の方から指摘をしていきたいと思いますが、たとえば、重量が非常に重い、だからいま海上自衛隊で使っている下北基地などでは装備を全部積めない、かなり軽くしないと使用できないんだというような資料ないし説明はなかったでしょうか。
  73. 土屋清

    証人土屋清君) 重量はたしか百二十トンだということの説明はございましたが、積めるか積めないかといったような点の指摘は私の記憶にはございません。
  74. 矢田部理

    矢田部理君 その重量の点でありますが、私ども調査によりますと、P3Cの正規全備重量、つまり全部装備をした重さは六十一・二トンである、これを五十六トンに下げる必要があるというような具体的数字まで挙げて、重量の重さを防衛庁は問題にしませんでしたでしょうか。
  75. 土屋清

    証人土屋清君) 私のさっき百二十トンと言ったのは間違いで、確かに五十トンないし六十トンということだったと思いますが、装備が積める積めないといったような説明については記憶がございません。
  76. 矢田部理

    矢田部理君 下北基地具体的事例に挙がっているわけでありますが、この基地などでは重過ぎるので、五十六トン——まあトン数は別としても、数字は別としても、要するに、重さを下げなければならぬというような話をされた、あるいは説明を受けた御記憶はございませんか。
  77. 土屋清

    証人土屋清君) ありません。
  78. 矢田部理

    矢田部理君 そういう資料専門家会議に出されませんでしたか。数字等も含めて、記載をした資料が。
  79. 土屋清

    証人土屋清君) それは、P3Cだけではなく、アトランティックであるとか、ニムロッドであるとか、各種の対潜警戒機の性能並びにその構造についての資料はたくさん出ました。
  80. 矢田部理

    矢田部理君 一般的にはわかるわけですが、いま私が指摘した点についての、それだけではありませんが、P3Cに幾つかの弱点問題点ということで、要求性能との関係で指摘をされた資料、御記憶ございませんか。
  81. 土屋清

    証人土屋清君) 記憶がございません。むしろP3Cの長所の方が私の印象に残っておりまして、弱点の方はスピードが遅いということ以外にはそれほど記憶に残っておりません。
  82. 矢田部理

    矢田部理君 じゃ、次の問題点指摘しておきたいと思うんでありますが、全基地について滑走路及びエプロン等の補強が必要だ、まあ重さ等々の関係から見てですね、そういう指摘なり説明はありませんでしたか。
  83. 土屋清

    証人土屋清君) あったと思います。
  84. 矢田部理

    矢田部理君 それから、降着装置、つまり降りるときの装置の型式などから格納庫そのものも変えなければならぬというような説明はいかがだったでしょうか。
  85. 土屋清

    証人土屋清君) 記憶にありません。
  86. 矢田部理

    矢田部理君 さらにP3Cは、機首——前の方ですが、機首の見張り室がなくて、下方の視界が不良だというような資料が私の調査では出されているはずなんでありますが、その点はいかがでしょう。
  87. 土屋清

    証人土屋清君) そういう指摘があったように思います。
  88. 矢田部理

    矢田部理君 防衛庁のそれらの説明を受けたほかに、専門家会議自身として、P3Cの性能、問題点、その他の弱点等について、直接お調べになるとか検討をされたことはございませんか。
  89. 土屋清

    証人土屋清君) P3Cは、その機体そのものはそうよくはないんです、これはプロペラ機ですから。しかし、あすこに、EDPSというエレクトロニクスを搭載する、この性能が非常にすばらしいので、それで私どもP3Cというものに関心を持った。機体そのものとしてはプロペラ機ですからもう時代おくれであることは明白でありまして、そのEDPSがすばらしいということについては専門家会議でもしばしば話が出ました。
  90. 矢田部理

    矢田部理君 ANEWという電子装置を使っていることは御承知のとおりだと思いますが、このANEWという機器がすばらしいという説明があったと思うんでありますが、そのANEWという機器と日本のいま使っているP2Jの胴体との組み合わせみたいな検討考える余地はなかったんでしょうか。
  91. 土屋清

    証人土屋清君) 現在いま使っているのは日本ではP2Jですが、これ私どももたしか下総の基地に実地調査に行きましたけれども、乗ってみまして非常に窮屈で居住性が悪いんです。こんな飛行機はだめだと思いました。だから、それに幾らEDPSを積み込んでもそれは問題にならぬというふうに思いました。
  92. 矢田部理

    矢田部理君 アメリカでS3バイキングという、これは航空母艦等に載せる艦載用の対潜哨戒機があるわけでありますが、この飛行機はもちろんP3Cより小さい。したがって、ANEWについても非常に小型化して、性能を落とさないで小型化した新しい電子装置ができているという話があるわけでありますが、その点は御存じだったでしょうか。
  93. 土屋清

    証人土屋清君) 知りません。
  94. 矢田部理

    矢田部理君 したがって、その小型化したものであるならばP2Jの機体でも入れることが可能なのではないかというような専門家指摘もあるようでありますが、御存じございませんか。
  95. 土屋清

    証人土屋清君) 存じません。EDPSがいまのP2Jのエレクトロニクスに比べて十倍の能力を持っているということが指摘されました。
  96. 矢田部理

    矢田部理君 探知装置の弱点については何かお気づきの点ございませんでしたか。
  97. 土屋清

    証人土屋清君) 特にございません。
  98. 矢田部理

    矢田部理君 朝夕等の薄暗がりのためにつくられたロー・ライト・レベル・テレビというのが現在P3Cに装置をされておるわけでありますが、実際薄暗がりのところでは見えないと、哨戒できないというような弱点指摘をされているのは御存じありませんか。
  99. 土屋清

    証人土屋清君) 存じません。
  100. 矢田部理

    矢田部理君 そうしますと、防衛庁等から説明を受けた以外に、専門家会議として独自の問題あるいは独自の調査というのはほとんどなされなかったということになりますか。
  101. 土屋清

    証人土屋清君) 別に調査機関を持っておりませんから、独自の調査はいたしません。
  102. 矢田部理

    矢田部理君 次の質問でありますが、経費とか費用対効果についてお尋ねをしたいと思います。  先ほどのお話でも大蔵省国産は高いから輸入にという意向だったという御説明があったわけでありますが、大蔵省独自で経費とか費用対効果の分析なり計数を挙げた資料なりは提出をされたでしょうか。
  103. 土屋清

    証人土屋清君) 提出されたかどうかは別として、説明はあったように思います。
  104. 矢田部理

    矢田部理君 それは防衛庁等がやったのと別に大蔵省独自の資料説明だったのでしょうか。
  105. 土屋清

    証人土屋清君) 大蔵省独自かどうかは知りませんが、大蔵省の責任において説明があったと思います。
  106. 矢田部理

    矢田部理君 審議概要を拝見いたしますと、総経費の中で、単に取得価格だけではなしに、維持運用費と申しますか、そういうことも含めた経費の計算をされておりますね。この維持運用費というのはおおよそ取得価格の何倍ぐらいになるという計算、理解だったんでしょうか。
  107. 土屋清

    証人土屋清君) それは資料が出ていたと思いますが、私は現在記憶しておりません。
  108. 矢田部理

    矢田部理君 通常取得価格の維持運用費というのは一・五倍から二倍ぐらいと見積もられているかと思うんでありますが、証人の御見解はいかがでしょうか。
  109. 土屋清

    証人土屋清君) そのくらいだと思います。
  110. 矢田部理

    矢田部理君 この維持運用費でありますが、P3Cと国産の場合とで比較検討をなされたでしょうか。なされたとすれば、その内容はどうなっておったでしょうか。
  111. 土屋清

    証人土屋清君) 国産の場合と、それからP3Cの場合は開発費が国産の場合はかかるという問題とですね、それから量産に入ってからP3Cは昭和四十八年価格で三十億円、それが国産の場合は四十億円、そういうふうに高いと、そういう点が主として議論になったというように思ってます。
  112. 矢田部理

    矢田部理君 私がいま伺いましたのは、開発費、それを含むところの取得価格というだけではなしに、それもライフサイクルで維持運用費がいろいろかかってくるかと思うわけでありますね。その比較もあるいは検討もなされたように審議概要では記載があろうかと思うんでありますが、その取得価格後にかかる諸経費についてP3Cと国産の場合とで比較対照をされましたでしょうか。その内容をお伺いしているわけであります。
  113. 土屋清

    証人土屋清君) 確かに検討されたことはございますが、その数字について私はいま資料を見なければ申し上げられません。
  114. 矢田部理

    矢田部理君 正確な数字はともかくといたしまして、どちらが有利、どちらがそうでなかったかという御記憶はいかがですか。
  115. 土屋清

    証人土屋清君) 大体の感じとしては、ともかく外国から補給を受けなければならぬ、つまり輸入の場合ですね、これはただのその金額のだけの問題じゃない。外国で生産が中止した場合、こっちは、日本は困るというような問題もあるんで、それは国産の方が有利だというふうになったということだと思います。
  116. 矢田部理

    矢田部理君 いみじくもいま証人が御指摘になったわけでありますが、外国機の場合にはどうしても輸入——部品も輸入ということになるわけでありますから、非常に不安定な要素がもう一つつけ加えられると思うわけであります。特にP3Cはすでに四十四年ごろからアメリカでは実戦配備についているわけです。日本が将来仮に買うとすれば、五十七、八年ごろがめどづけになっていようかとも思うわけですね。しかも、飛行機の寿命というのは、それから通常まあ十五年ぐらいはあるとされているわけでありますので、そういう二十年先、それ以上先の長期の見通しで部品供給が可能なのかどうか、そういう裏づけなり見通しなりはどのようにお立てになっておったでしょうか。
  117. 土屋清

    証人土屋清君) P3Cがいつから使用されなくなるのか、その見当ははっきりつきませんけれども、やがてそういう事態考え国産輸入かは決めなければいけないと私ども考えてました。
  118. 矢田部理

    矢田部理君 アメリカ海軍が古くなった飛行機だからということで次の対潜哨戒機考えたりしますと、どうしても部品の供給、修理整備関係の部品等の供給が滞りがちになる、十分な見通しを立てないと簡単に導入輸入というわけにはいきにくいということは事情としてあることは証人もお考えになっておられましたか。
  119. 土屋清

    証人土屋清君) そのとおりです。
  120. 矢田部理

    矢田部理君 そういう場合には部品の値段がまた、供給が不安定だけでなしに、非常に上がるということも経費の計算の中では当然考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  121. 土屋清

    証人土屋清君) そうだと思います。
  122. 矢田部理

    矢田部理君 次に、もう一つ、P3Cと国産の場合の費用の比較についてお尋ねをしたいと思うわけでありますが、先ほどもお話に出ておりましたように、P3C導入のときには施設整備費がかかると私からも申し上げたわけでありますが、たとえば滑走路のかさ上げをせにゃならぬとか、格納庫や誘導路の補強整備をしなきゃならぬとか、そういう施設整備費がP3Cと国産の場合にどんな違いが出てくるのか、その点についての比較検討はどうであったのか、その点をお尋ねしたいと思います。
  123. 土屋清

    証人土屋清君) 格別そういう細かい点の数字はなかったと思います。
  124. 矢田部理

    矢田部理君 ただ、審議概要によりますれば、P3C導入のときには施設整備費がかかるという御指摘があるわけでありますが、具体的な数字、どのぐらいかかるのかと、その関係から国産とどちらが有利でありどちらがそうでないのかという数字を出してまでの比較はおやりにならなかったということでございますか。
  125. 土屋清

    証人土屋清君) そういう数字もなかったし検討もなかったんじゃないかと私は考えてます。
  126. 矢田部理

    矢田部理君 それから、経費費用の問題でありますが、いま証人国産だと四十億ぐらい、それからP3Cの輸入だと三十億ぐらいというお話がございました。これは取得価格の対比でございますか。
  127. 土屋清

    証人土屋清君) そうです。
  128. 矢田部理

    矢田部理君 どちらの飛行機が安いか高いかというのは、単に取得価格だけではなくて、ライフサイクル・コストといいますか、その飛行機の寿命が終わるまでに、維持運用費等も含めてどのぐらいの経費がかかるだろうかということを中心にして考えるべきだという議論があるのは御承知のとおりだと思いますが、その点は証人としていかがお考えでしょうか。
  129. 土屋清

    証人土屋清君) 主として取得価格について議論が行われたと思ってます。
  130. 矢田部理

    矢田部理君 専門家会議議論としては取得価格の議論が重点であったとしても、全体の費用の比較、経費の比較をするに当たってはライフサイクルで見るべきだと、トータルで考えるべきだという指摘について証人としての御見解——議論がどうであったじゃなくて——はいかがでしょうかというふうに伺っているわけです。
  131. 土屋清

    証人土屋清君) それは維持費用まで含めて考えるということが当然だと思います。それから、その維持費用の場合に、費用だけではなくて、補給部品を果たして正確に得られるかどうかというような要素も当然入るべきだと思います。
  132. 矢田部理

    矢田部理君 そこで、当委員会でも前回川重の室井証人からそれらの点についてもお尋ねをしたわけでありますが、室井証人によりますと、国産輸入かというのは取得価格だけではなくて、ライフサイクル・コストで見るべきだといういまの議論の話があったのと同時に、そういう立場で見るならば、国産でも——費用の面でですよ——遜色のないものができるという証言をされておるわけでありますが、証人としてこういう証言に対する御見解はどんなことになるか伺いたいと思います。
  133. 土屋清

    証人土屋清君) 大体P3Cが三十億円、国産が四十億円というのは昭和四十八年価格ですからね、それが現在ですと恐らく両方ともその倍だと思うんですね。つまり、P3Cが一機六十億円、国産だと一機八十億円ぐらいになっていると思います。だから、現在価格で幾らかということをまず検討して、それにいま言ったような維持運用費用等を含めて考えるべきだというふうに思います。その検討はしかし私どもとしてはやっておりません。要するに取得価格で検討したということです。
  134. 矢田部理

    矢田部理君 検討をやっておられないということであればお聞きしようがないわけでありますが、本来的に費用の対比をするに当たっては、やはり生涯の費用、トータルの費用という計算の方がより正確だということは先ほど御指摘のとおりでございますね。
  135. 土屋清

    証人土屋清君) そうです。
  136. 矢田部理

    矢田部理君 私は必ずしも国産輸入かという議論にいずれかに加担するという立場ではないわけでありますが、むしろどちらも問題だというふうに思っているわけでありますが、国産の場合、そういうライフサイクル・コストで考えれば必ずしも遜色のない値段でできるんだという説明が室井証言などからなされているんですが、先生の見方、受けとめ方はいかがでしょうか。
  137. 土屋清

    証人土屋清君) 室井証人証言は私聞いていないから何とも言えないんですけども開発費が国産の場合は五百億円ぐらいかかる、それが別にありますから、輸入の場合はそういう開発費要らないですから、ですから、それも含めて考えなければいけません。ですから、私はやっぱり国産がそう有利に、金銭的に財政的に国産が有利になるというふうには考えておりません。そういう問題よりは、日本航空機工業としていま国産機をそういう形で持つことがいいかどうかと、その方が基本であって、少々割り高であり財政負担がふえても、日本航空機工業を維持するためにPXLが必要かどうかと、そういうことが一番問題じゃないかと、そういうふうに思ってます。
  138. 矢田部理

    矢田部理君 次の質問に入りますが、先ほどの証言では、国産派が大勢を占めたということが一つと、国防会議事務局等から圧力や誘導はなかったというお話と両方あったわけでありますが、この専門家会議答申まとめられるに当たって、たたき台としてであるかどうか知りませんが、事務局から原案のようなものが示されたのではなかったでしょうか。その原案というのは、国産化の大勢であるにもかかわらず輸入を可とするという方向での原案が示されたのではなかったのでしょうか。
  139. 土屋清

    証人土屋清君) それは恐らく十月十四日の審議概要のことを指していると思うんですが、お話のとおり、十月十四日の審議概要では国産よりも輸入を可とするというふうになっておりまして、それでその後の会議でこれは少し行き過ぎじゃないかと、比較的多数——全部とは申しません、比較的多数の委員国産に賛成的のように見られるのに、輸入を可とするというのは少し断定的に過ぎやしないかという異論が出まして、それが修正されたと、こういうことであります。
  140. 矢田部理

    矢田部理君 そうすると、大勢に逆行したといいますか、少なくとも沿わない原案が出されたという事実はそのとおりでございますね。
  141. 土屋清

    証人土屋清君) いや、そうではございません。それは、審議概要というのは、一回一回の議論の後でまとめるわけです。十月十四日の議論のときにはたまたまその輸入派の委員が大々的にしゃべったわけです。それで、国産派の委員は比較的黙ってまして、それほどしゃべらなかった。その輸入派の委員が大々的にしゃべったその会議審議概要ですから、非常に強く輸入論が出たということで、私は事務局としてはまとめ方がまずかったと思います。それはまだ全員の意見を聞いてんじゃないんですから、たまたま輸入派の委員がしゃべった、それをもとにして輸入が可であるというふうな断定を下すのは少し独断に過ぎやしないかというので注意を促したわけなんです。そういう事情です。
  142. 矢田部理

    矢田部理君 時間がありませんので次の質問に入りたいと思いますが、審議概要まとめのところで、先ほど証人説明をされた結論めいたものを出されております。その内容を見ますと、いずれを否とする決定的な要素はないが、現実問題としては時間の関係から輸入もやむを得ないというふうに結んでおられるわけですね。その最大の根拠というのは、結局国産の場合には「量産機取得までに相当の期間を要し」間に合わない、こういうことになりますでしょうか。
  143. 土屋清

    証人土屋清君) そうです。
  144. 矢田部理

    矢田部理君 この「相当の期間」というのは審議概要にも出てくるわけでありますが、防衛庁説明した開発七年、取得までさらに二年、合計九年ということが前提とされているのでしょうか。
  145. 土屋清

    証人土屋清君) 大体そうだと思います。
  146. 矢田部理

    矢田部理君 この九年というのはそれ以上縮めることができない期間、不動の期間だというふうに受けとめられたわけでしょうか。
  147. 土屋清

    証人土屋清君) 必ずしもそうとは思いません。委員の中にも、もう少し七年というのは短縮できるんじゃないかというような意見もございました。しかし問題は、機体よりはエレクトロニクスですね、先ほど申しましたEDPSというもの、この方が大変なんです。この方は日本でできるけれども、もう少し時間がかかるんじゃないかという委員先生もございまして、そういうことを考えると、どうも五十七年配備というのにはちょっと間に合わなくなる、その場合は、したがって輸入もやむを得ないと、こういうことになったんです。
  148. 矢田部理

    矢田部理君 エレクトロニクスの開発も含めて、川重などの説明、私ども調査によれば、五年でできると、その後実用まで二年かかるから、全体的には七年で可能なんだと、先般室井証言もそういう指摘をしておりますが、そういうふうに言っておるわけです。そこで、専門家会議としては、すでにもう予算などをつけて研究等を進めてきた川重や航空機工業——航空工業会でしたか——等に直接そういうことを調査をされた、あるいは意見を聞くというような機会はなかったんでしょうか。
  149. 土屋清

    証人土屋清君) 直接意見を聞く機会はなかったのですけれども委員の中に、電子工業会の重要な役員の方もおられますし、それから東大名誉教授でその方の専門家の方もおられますから、十分その方面の情報はよくわかっていたというふうに思います。
  150. 矢田部理

    矢田部理君 それから、防衛庁から次期潜機の量産機取得時期といいますか、これは大体五十七年だという説明があったわけですね。それはどの段階説明があったのでしょうか。
  151. 土屋清

    証人土屋清君) 四十八年九月ごろの第二回の会議説明があったと思います。それから一年ぐらいはそういうことについては余り触れませんが、いよいよ四十九年に入ってぎりぎりになりまして、四十九年の九月、十月の段階で、やはり五十七年度配備が必要なんだということが言われたように思います。
  152. 矢田部理

    矢田部理君 その五十七年配備が必要だという時期的な設定、これはまた動かし得ない不動の時期として委員会審議を進められたのでしょうか。
  153. 土屋清

    証人土屋清君) 不動とは思いませんが、大体その時期になると配備が必要だと、こういうことでありますから、それを了承したわけであります。しかし、私個人としては五十七年配備といっても、一年、二年ですね、動かし得ないことはないだろうというふうに思っておりまして、現に最近になりますと、五十九年でいいんだといったような議論も出てきます。しかし、審議しているときには、諸般の情勢から言って五十七年配備が必要なんだということが言われたということだと思います。
  154. 矢田部理

    矢田部理君 その五十七年説の根拠はどんなふうに説明をしておったでしょうか。
  155. 土屋清

    証人土屋清君) 根拠というのは、いまやっているP2Jが、たしか三次防で四十六機、四次防で三十六機か何かと思いますが、それがだんだん耐用年限が来て退役するんだと、そうなると五十七年から配備せざるを得ないんだという説明だったと思います。
  156. 矢田部理

    矢田部理君 四十二年からP2Jは登場しているわけですから、十五年の寿命が五十七年ぐらいに来るだろうというのはおよその見当はつくわけでありますが、配備当初は、調整その他の必要もあって飛行時間がそうなかったと、したがって、十五年よりは大勢は寿命が延びるという指摘一つあるあるわけでありますが、そういう御検討はなさらなかったでしょうか。  またもう一つ、オイルショック以降は全体に油の制約その他もあって、飛行機の寿命は飛行時間で主として決まるわけでありますが、飛行時間を短縮したと——オイルショック以降は——等々を含めて、もっと寿命は延びるのではないか、五十七年以降までもつのではないかというようなことの御検討はなされなかったでしょうか。
  157. 土屋清

    証人土屋清君) 私個人は、五十七年が若干オイルショックその他によって延びるというふうに思っておりましたが、どれくらい延びるのかという検討は、会議の席上ではなされなかったと思ってます。
  158. 矢田部理

    矢田部理君 そこで、まとめて次に伺うわけでありますが、防衛庁説明によれば、五十七年には量産機を取得したい、それを前提として委員会審議を進めたと、しかも、一方で防衛庁は、この審議概要にも出てくるわけでありますが、量産機取得までに九年かかると、こう言っているわけですね。九年かかるということになりますれば、五十七年取得のためには四十八年の段階から開発に着手をしなきゃならぬ、こういう結論になるのは、数字上当然なんでありますが、そうだとしまするならば、もう答申をしたのは四十九年の十二月二十七日ですから、とてもじゃないが、次期潜機国産には間に合わないという論理上の結論になるわけです。つまり輸入しかないという結論が、専門家会議がもう始まる段階で、あれはもう答申を待つまでもなく決まっているというふうに説明するしかなくなってくるわけでありますが、この点はどうお考えになりますか。
  159. 土屋清

    証人土屋清君) 五十七年度配備ということで大体生産に七年を要するという説明で四十八年度から審議に入った。ですから、四十八年、四十九年の審議で、初めから時間おくれだったとは思いません。七年というのが当局の説明だったと思います。
  160. 矢田部理

    矢田部理君 これは審議概要に書いてあるわけでありますが、開発期間が七年で、量産機取得までにはあと二年かかると、合計九年ということに審議概要指摘をしているんじゃありませんか。
  161. 土屋清

    証人土屋清君) それは量産して大量に出てくるのに九年であって、開発が終われば八年目、九年目に若干ずつ出るんだろうと私どもは理解してました。実際その審議のときには七年で開発が終わると、開発が終われば、それは一遍に全部そろわなくても、ある程度出るというふうに考えておりました。
  162. 矢田部理

    矢田部理君 それは、開発期間七年というのは、七年後に試作機一号が飛ぶと、それからいろんな実戦上の訓練その他点検をやられて実戦実用するのは九年ということじゃありませんか。
  163. 土屋清

    証人土屋清君) 開発七年というのはそういう意味だと思います。しかし、五十七年配備と言っても、五十七年になったら全部一どきにすぱっと消えるわけじゃないんですから、さっき言うとおり、いろんな事情もあって五十七年が八年になっても、そう私は重大な変化だとは考えておりません。特に石油危機等がございましたから、五十七年が延びるという情勢になっても不思議ではないわけでありまして、五十七年というのがそれほどの絶対的な目標というふうには考えておりません。
  164. 矢田部理

    矢田部理君 私は、あなた方の考えよりも防衛庁自身がおかしいじゃないかと言っているわけです。五十七年には実戦配備をしたい、開発から実用化までは九年かかる、こう、この審議概要では説明をしたことになっているわけです。しかも、それは特段動かし得るものであるかどうかについて議論なしに審議も進められたという経過に徴して問題を考えてみまするならば、むしろもう専門家会議ができた時点、少なくとも答申の時期には開発に着手していなければ五十七年配備はできない。五十七年配備を当然の、既定の事実として考えるならば、もう輸入しかないという結論が出ていると考えざるを得ない。そういうところで実は専門家会議がスタートをし、一年余の審議を重ねてくる。だから、先ほど自民党の委員からも指摘をされたように、隠れみのだったんじゃないか。主観的な意図は別として、客観的な何かに利用されたのではないかと疑惑の対象になっているんではありませんか。その点もう一度証言を求めたいと思います。
  165. 土屋清

    証人土屋清君) 私はそう考えておりません。  五十七年配備というのは一応の目標でありまして、四十八年にスタートして四十八年、九年と審議すれば間に合うということも十分考えられるんでありまして、最初からそういう間に合わないことを前提にして諮問したんだというふうには考えておりません。
  166. 矢田部理

    矢田部理君 時間が来ましたので、いまの証言には必ずしも納得できませんけれども、私の質問は以上で終わります。
  167. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 初めに証人にお伺いしますが、今回の専門家会議委員は全部で七名でございましたが、今回の専門家会議の設置の目的が、先ほども少しございましたが、高度の技術的判断を求めていたわけですね。そういうふうな意味から考えまして、まず証人は先ほど、通産省航空機工業委員をやっていらっしゃるというお話ございましたが、委員はどういうふうな方面の専門でいらっしゃるのか、これまずお伺いしたいと思います。
  168. 土屋清

    証人土屋清君) 経済政策であります。
  169. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 要するに、PXLの技術的な面というよりも、いわゆる経済、財政的な面の専門でいらっしゃると、こういうことでございますか。
  170. 土屋清

    証人土屋清君) そうです。
  171. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それから、前提としましてもう一点お伺いしますが、今回の専門家会議は第一回から第十九回までございましたですね。それから分科会が全部で七回あったように聞いておりますが、委員はこれ全部御出席になりましたですか。
  172. 土屋清

    証人土屋清君) 出席しました。
  173. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、まず順次お伺いをいたしてまいります。  まず、専門家会議のスタートが昭和四十七年の十月九日に決定をされました。これは昭和四十七年の十月九日に決定をされてからスタートするまで約十ヵ月かかっているわけです。先ほどから、これはこれから私質問ずっとしてまいりますが、この時間という問題が非常に今回のこの審議の中でも重要な問題になってくるわけでございますが、専門家会議が設置が決定されてから十ヵ月たってやっとスタートしたわけです。この間のおくれについては、委員に対して何か説明なり何かございましたですか。
  174. 土屋清

    証人土屋清君) 別にございません。
  175. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、もうそこら辺のところはあれしまして、それでは、先ほど白紙還元の問題については御存じだという話でございましたが、その白紙還元についての理由については説明がございましたですか。
  176. 土屋清

    証人土屋清君) 別にございません。ただ白紙還元したという事実の説明があっただけで、どういう理由かということは何も聞いておりません。
  177. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それではもう一点お伺いをいたしておきます。  第一回の会合で事務局長から専門家会議の設置についての、これは何と言いますか、趣旨が説明あったと私は思うんですけれども、具体的にどういうふうな趣旨説明があって、そしてどういうふうな、いわゆる専門家会議に諮問した内容ですね、これは具体的にどういうこととどういうことであったかということをまず教えていただきたいと思います。
  178. 土屋清

    証人土屋清君) 次期潜哨戒機の研究開発是非に関し、輸入を含めて検討してもらいたいと、こういう諮問だったと思います。
  179. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 輸入を含めて検討しろということですね。  それから、それだけじゃなくて、いつごろまで答申ということは、先ほど答弁ございましたように、四十九年度までということでございましたが、これはこのとおりでございますか。
  180. 土屋清

    証人土屋清君) 五十年度予算に間に合わしてもらいたいということが口頭で言われたように思いますんで、したがって、四十九年いっぱいということに時間的になるわけです。
  181. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、まず、もう一点、委員にお伺いしていいかどうかわかりませんが、委員の中には、証人のように全部出席した人もいらっしゃると思うし、また何と言いますか、欠席された方もいらっしゃると思うんですが、そこら辺のところはどうだったですか。
  182. 土屋清

    証人土屋清君) 私も、いろいろ審議会に関係してますが、あの専門家会議は珍しいくらい出席率のいい会議だったと思ってます。
  183. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、先ほどの質問の中で、審議概要の話がちょっと出てまいりました。これは何と言いますか、十四回の審議概要のところの話が出てまいりましたが、これは毎回毎回審議はその前の会合ではこんな会合があったということを、要するに事務局がつくって、そしてそれは資料として委員の皆さんに配付になったんですか、これはどうです。
  184. 土屋清

    証人土屋清君) そうです。ただ、その審議概要がそう規則的につくられるようになったのは、四十九年九月ごろからじゃないかと思います。その前については、それほど審議概要、重要性もないんで、まとめ段階に入ってから正確につくられるようになったというふうに思ってます。
  185. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それは大体毎回でございますか。大体四十九年の九月と言いますと、大体十二回目ごろからでございますが、そうしますと、十二、十三、十四、十五とずっと後あるわけでございますが、十二回以後は大体毎回つくっておられたわけですか。
  186. 土屋清

    証人土屋清君) そうだと思います。
  187. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 この点については、後ほど資料をもらうことにしたいと思います。  そこで、まずもう一点お伺いしておきます。  先ほど専門家会議の性格の問題について話ございましたが、この専門家会議というのは私は当然法律に基づいて設置されるべきだと思うんですね。いわゆる私的な諮問機関になっているわけでございますが、これは御存じですか。
  188. 土屋清

    証人土屋清君) 知っております。
  189. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 たとえば行政府の場合に、私的な諮問機関答申というような、具体的な答申をしちゃいけないという行政府の、行政管理庁の指導があるってことは御存じでございますか。
  190. 土屋清

    証人土屋清君) 知っております。
  191. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そういうふうないわゆる政府の指導があるにもかかわらず、具体的にそれぞれの各委員意見を聞くというのはこれはいいことになっておりますがね、しかし、その答申まとめるということについては非常に問題があるというように行政管理庁は指導しておるわけですね、ここら辺のことを御存じですか。
  192. 土屋清

    証人土屋清君) 知っておりますけれども、実際上私もいろいろ私的なそういう諮問機関に出ておりまして、一遍にその原則どおりには行われない、慣例上ですね、そういう私的な機関があるというふうに承知しております。
  193. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 しかし、慣例上そういうふうになっているというんであれば、これはやむを得ません。それ以上のことは私言いません。問題があるということだけ指摘をしておきたいと思います。  それから、まず四十九年の十月の話をお伺いしたいと思います。  まず、先ほどもお話がございましたように、四十九年の十月ごろになりますと、大体まとめ段階に入ってこられたわけでございますね、これはそのとおりですか。
  194. 土屋清

    証人土屋清君) そうです。
  195. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、それぞれの委員の皆さんが輸入国産、それぞれ各自の意見を述べられるわけでございますが、先ほど委員は、国産の方の意見を述べられたと、こうおっしゃいました、これはそのとおりでございますか。
  196. 土屋清

    証人土屋清君) いや、十月十四日の段階では、私は明確にまだ述べておりません。多くの委員も、断片的には述べているけれども、まとまった意見はまだその段階では述べていないんです。
  197. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 明確に述べ出したのはいつごろでございましょうか。
  198. 土屋清

    証人土屋清君) 十一月十八日あるいは十二月二日の段階だと思います。
  199. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 まことに失礼でございますが、委員は、どの委員の方が国産意見を述べどの委員の方が輸入意見を述べられたかということは記憶していらっしゃいますか。
  200. 土屋清

    証人土屋清君) 各人全員が意見を述べたわけではございませんから、述べた人もあり述べない人もある。それから、述べた人も、まとまって述べた人もあり断片的なこともある。したがって、大体あの人はこうだろうということはわかりましたが、それ以上のことは余り詳しく知りません。
  201. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それじゃ証人の大体のことで結構でございますから一遍教えていただいたら幸いと思います。お名前を私申し上げてまいりますから、証人記憶ですね、もし、まあ忘れましたらそれは結構でございますが、一遍教えていただきたいと思います。私たちが調査した範囲内では大体わかっておりますけれども、順次申し上げてまいります。委員は、全部の委員の名前もいまでも御記憶でございますね。大体教えていただいたら幸いなんですが。
  202. 土屋清

    証人土屋清君) 岩尾一、堀越二郎、吉光久、高木昇、土屋清、粟野誠一、斉藤有。
  203. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや、それは名前はわかっているんです。それぞれの方がどういう御意見を述べたかということを、証人記憶の範囲内で結構ですから、教えていただければ幸いなんですが、大体国産、全面的に国産であったとか輸入であったとかいうことは結構です。大体国産の方向の意見を述べた、大体で結構です。
  204. 土屋清

    証人土屋清君) 輸入論を述べたのは、はっきり述べたのは一人であって、あとの六人の方は、よくわかりませんけれども、大体において国産に賛成だと。しかし国産に賛成だけれども、それにもニュアンスがあって、やっぱりある程度輸入しないと間に合わぬかなあというような方もございます。はっきりした輸入論というのは一人だったというふうに記憶しています。
  205. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうすると、専門家会議では七名の委員がいらっしゃったわけですから、七名の中で輸入意見をはっきり述べられたのはお一人である、それで大体六人の方が国産主張しておられた、こういうことでございますね。
  206. 土屋清

    証人土屋清君) ちょっと誤解を招くといけませんが、座長はそれに加わっておりませんから、座長を除いていただいて、座長を除く六人について言えば、一人がはっきりした輸入論を述べて、あとの五人は多少ニュアンスの違いがあるけれども、大体国産論だったというふうに思います。
  207. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 わかりました。そうしますと、それだけ国産の御意見の多いいわゆる専門家会議でどうして輸入が可というような答申になったんでしょうか。
  208. 土屋清

    証人土屋清君) 輸入が可という答申にはなっておりません。恐らく十月十四日の審議概要のことだと思いますが、十月十四日の審議概要輸入が可というふうに書かれましたのは、それは先ほど申しましたように、一人の輸入論の人が大々的にお話しになった、それでほかの人は余りまだ時間もなくてしゃべらなかった。その輸入論を大々的に述べたそれをもとにして審議概要をつくったんで、国産ではない、輸入が可だと、こういうことになったんだと思います。
  209. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 先ほど十四回目の専門家会議の話はお伺いをいたしました。私はそれを言っているんではなくて、皆さん方の答申で、要するに、これは答申、先ほども証人がおっしゃいましたように、国産主張したと、それでこの答申をよく読んでいただければ、この答申国産主張しているんだと、こういうふうにおっしゃいました。この点間違いございませんね。
  210. 土屋清

    証人土屋清君) 間違いございません。これを読んでいただければ、どこに趣旨があるのかということはおわかりだろうと思います。
  211. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、それはそのとおりだろうと思うんですが、しかし、この答申内容の最後の方に、いろいろ事情はありますけれども、「当面、外国機導入を図ることも止むを得ないものと考える。」、こういうふうになっておりますね、これがなければ、私たちはそういう詳細言わないんですけれども、こうある以上は、やっぱり答申そのものも外国機輸入を可とするというふうにとれるわけですね、この点はどうなんでしょう。
  212. 土屋清

    証人土屋清君) それは私はそうは思いません。答申はあくまでもいずれを非とする、いずれかを非とするという積極的な要素は見出されなかったということで、その理由を説明いたしまして、一般論としては国産がいいんだ、しかし時間的な制約があるから輸入も当面やむを得ない、こういうことになっております。
  213. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そこで時間的な制約という問題が出てまいりました。そこで証人にお伺いをいたしますが、この時間的な制約という問題はこれは初めから問題になっている問題ですね。たとえば端的にもう結論の方を申し上げますと、たとえば現在の時点で、当時の答申する時点、あるいはその時間的な制約というこのまとめ段階で、防衛庁の配備計画が、たとえば先ほど第二回目のときに説明がございましたいわゆる五十七年配備という問題ではなくて、たとえば現在の時点でなっておりますたとえば五十九年配備あるいは六十年配備というような問題が出てまいりますと、国産十分間に合うということになるわけですが、もしそういうふうな問題が出てくれば、この最後のこの「当面」というこの点は削除されたんじゃないかと考えるわけですが、この点はどうでしょう。
  214. 土屋清

    証人土屋清君) 会議の席上では原則として五十七年配備ということで考えました。五十七年配備を前提にして考えると、当面少し間に合わぬかなあと、それなら輸入もやむを得ない、こう考えたわけです。
  215. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ですからね、その程度の、これは五十七年間に合わないかなあという軽い考えでございますか。
  216. 土屋清

    証人土屋清君) 軽いか重いかわかりませんが、五十七年配備ということを一応最初から前提にして考えております。その他私の個人の意見としては、石油危機その他もあって、五十七年が若干延びるかもしれぬというような感じは持っておりましたけれども、一応最初から言われましたとおり、五十七年配備を前提にすると間に合わぬことがあり得る、したがって、当面輸入考えるのもやむを得ない、こういうことになったと思ってます。
  217. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 しかし、これは時期的な問題をもう一点、もう一回お伺いしますが、要するに、五十七年配備という枠が初めからかかっていますね、第二回目の会合、それから一年後の会合等でもう初めから枠はかかっていますね、この枠がもしなかったとすれば——いろんな事情はありましょう、なかったとすれば、この「当面」以下の文章はこれはあり得なかったと、こうなりますね、どうでしょう。
  218. 土屋清

    証人土屋清君) 多数意見はそうだったと思います。しかし、少数意見輸入主張される方がございますから、答申まとめ方として、もしも多数意見少数意見ということであれば、私はその「ただし」以下はなかったと思いますけれども、多数意見少数意見を一本にして答申しようということになると、かなりあいまいな答申になったんじゃないか。だから答申のつくり方の問題だと考えております。
  219. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、それじゃ違う方向から質問いたしますが、そうしますと、もう初めから、初めから輸入とか国産とかいう問題を検討するに当たって、もう要するに少数意見、多数意見というふうにいいますと、これだけの委員の中には必ず輸入の人もおれば国産の人もいるわけですね。ということは、もうスタートの時点からこの答申は決まっておったということになるんじゃないでしょうか。この点はどうです。
  220. 土屋清

    証人土屋清君) そういうふうにはならないと思います。だれが多数意見でありだれが少数意見だってことは、議論してみなきゃわからない。私自身も、最初審議に参加した四十八年の八月の時点においては、国産にするか輸入にするかはまだ決めていない。私は、特にYXという大型旅客機の問題がございます。これがどうなるかでもって態度を決めようと考えていたんで、したがって、審議が始まって一年間ぐらいたって私自身の意見も決まったわけなんで、ですから、ほかの委員にしても最初から意見を持って参加したというふうには私は考えておりません。
  221. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それはそうですけれども、しかし、これは少数意見、多数意見というまとめ方をすれば、全部片方に傾くということはあり得ないわけだ、実際問題ね。今回の場合もそうですし、大体いろいろな会合でも全会一致、めったにあり得ないことですね、こういうような問題の場合ですね。そうしますと、両方併記するということになれば、初めからもう結論はわかっていたんじゃないかと、こういうわけです。どうです。
  222. 土屋清

    証人土屋清君) 私はそうは思いません。以上申し上げたとおりです。
  223. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それじゃその点は結構です。  それでは次に、もう一点違う方向からお伺いしておきたいと思います。  まず、皆さん方が専門家会議に就任されてから、先ほど、事務当局やいろんなところからの圧力はなかったというふうな話でございましたが、まず事務局の方から、たとえば輸入の方向をにおわすような説明というのは、これは先ほど十四回の話は別にしましても、あったんじゃないでしょうか。
  224. 土屋清

    証人土屋清君) 格別ございません。
  225. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 委員の皆さんのところに、国防会議または幹事会等のメンバーの皆さんから皆さんに対して、直接圧力というんじゃなくて、電話なり、たとえばそういうふうに会ってPXLの話をしたり、そういうふうな問題はございませんでしたか。
  226. 土屋清

    証人土屋清君) それは毎回審議が終わった後一週間ぐらいでその審議の経過を記録いたしますから、その記録のと芝、毎回とは申しませんが、事務局の人が来て、この前はこういう話だった、こういうふうにまとめるというような話がございましたから、接触は絶えずありました。
  227. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、接触は絶えずあったけども、圧力がましいことはなかったと、こういうことでございますね。
  228. 土屋清

    証人土屋清君) 圧力などは毛頭受けた覚えはございません。
  229. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは次に、この委員の中から、自主開発輸入、それぞれに一長一短がある、そこで第一線のパイロットの意見を聞いたらどうかと、こういうふうな話が会議の中で出てきたと、こういうふうに聞いておりますが、そういう話はございましたか。
  230. 土屋清

    証人土屋清君) ちょっといま聞き取れなかったんですが。
  231. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 第一線のパイロットですね、パイロット。——そのP3CなりP2Jのパイロットですね、そういうパイロットの、いわゆる直接の専門家から話を聞こうという話は出ませんでしたか。
  232. 土屋清

    証人土屋清君) 格別パイロットの話を聞こうといったようなことがあったとは思っておりません。ただし、下総の基地を視察に参りましたから、そこで実地の方たちのお話はいろいろ伺いました。
  233. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それから、先ほど第二回目、第三回目の会合を開いてからそれぞれ三ヵ月、三ヵ月間があいてますね。その間は自衛隊の調査のためにという話がございました。これは専門家会議がスタートしてから、これは要するに自衛隊の皆さんが調査に行くわけですけどもね、これはやはりその専門家会議の皆さん方が直接海外に出かけていって、そうして具体的に直接調査をすると、そういうことは考えられなかったわけでしょうか。
  234. 土屋清

    証人土屋清君) 全然考えられませんでした。
  235. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それはどうしてなんでしょうか。やはり当然私たちは、自衛隊の皆さん方が調査に行くよりも、専門家会議の皆さん方が——専門家そういう方々が直接現地に乗り込んで行って具体的にいろいろ調査をしてくると、これは非常に大事なことじゃないかと思うんですが、この点どうです。
  236. 土屋清

    証人土屋清君) ただ、事は軍事問題ですから、私どもは経済の専門家、財政の専門家、あるいはエレクトロニクスの専門家と、そういう各方面の専門家を網羅しておりますけれども、軍事問題について判断する、その総合的な専門家というのは一人もいないわけです。ですから、私はそれは自衛隊員が現地視察に行った方がよかったというふうに考えています。
  237. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、田中総理が初めおっしゃった、当時の「高度の技術的判断」という、この「技術的」という意味は、いわゆる私たちは総合的なやはり専門家を集めてという意味じゃないかと、そういうふうに判断をしておったわけです。ところが、そういうような方面の専門家が一人もいないということになると、やっぱり私たちは問題じゃないかと思うんですがね。この点はどうなんです。
  238. 土屋清

    証人土屋清君) 技術、経済、財政全般にわたる総合的な専門家がいるとは私には考えられません。
  239. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それからもう一点お伺いしておきます。  国産輸入を決めるという、いろいろ問題がございますけれども、これは初めからもう決まっておったんじゃないかということも考えられるわけです。これはたとえば現在のP2Jについて先ほど委員からもお話がございましたように、エレクトロニクスの問題ですね、ここら辺の問題から言いますと、現在の自衛隊ではP2Jではどういう音紋を使っているか、こういう問題についてこういう音紋を使っているというふうな話については、P2Jの機能及び音紋についての説明はどういうふうな説明がございましたでしょうか。
  240. 土屋清

    証人土屋清君) P2Jが非常におくれているついて詳しい説明は格別なかったように思います。これからどうするかという話であって、P2Jそのものについての一般的な話しかございませんでした。
  241. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 時間が参りましたから……。
  242. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 近藤です。  私、今回のこの証人尋問に当たりまして、この専門委員の全先生、外遊しておられる斉藤氏と、それから証人である土屋先生、これを除く全専門委員の皆さんにお会いしました。皆さん率直に意見を述べていただきました。また、この専門委員会に関連した直接間接の一切の各省庁の人にも会って調べました。その結果、この専門家会議につきましては、専門委員の皆さん本当に長期間熱心にやってこられた、努力もしてまいりましたけれども、結果的には利用されたんじゃないか、また各委員の意図とは逆に、このP3C導入に大きな役割りを果たした、こういう疑惑はますます深まったわけです。そういう点から若干質問をさせていただきたいと思います。  まず、先ほどこの審議の運営の日程等については事務局が中心に組んだというこういうお話がありました。そこでこの会議を進める場合の第一回の会議におきまして、議事運営についての申し合わせ事項があったと思うのです。その第二項に、「会議は、座長が国防会議事務局長と協議して、必要に応じて随時招集する。」、こういったことがございますけれども、これは間違いございませんか。
  243. 土屋清

    証人土屋清君) そのとおりです。
  244. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 そういたしますと、堀越座長さんですね、お会いしてみましたけれども、大変高齢でありますし、大変控え目な方ですね。むしろどっちかと申しますと、専門家会議の権限についてもかなり遠慮がちな方であります。となりますと、どうしてもこの審議会専門家会議の運営が事務局のリードによっていくと、これはどうしても一つの傾向だったと、こう理解せざるを得ませ
  245. 土屋清

    証人土屋清君) 堀越さんが消極的だったかどうか私どもそういう印象は受けておりませんが、やはり会議の運営そのものは大体事務局がリードするというのがあらゆる審議会の原則だと思います。ただ、その場合に審議会委員長と事務当局とがどの程度までよく話し合うかということだと思っております。
  246. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 中身の問題に入りますが、このPXL国内開発状況を総合的に知るのは防衛庁しかない。通産省でさえこの開発状況は御存じなかったわけですね。この点どうですか。
  247. 土屋清

    証人土屋清君) 通産省については私は知っておりません。
  248. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 実際私の調査ですと、通産省もあの段階、要するに専門家会議開かれておった段階国内開発の到達状況を調べようと思うということで川崎重工に調査に行こうと、そういう申し入れをこれは通産省の航空機武器課長が申し入れたんです。ところが、これは断られたんですね。となりますと、防衛庁の方が国内開発状況を抑えておる、通産省でさえ十分知り得ない、こういう状況のもとに審議が進められたと。ところで、これは専門家会議委員先生方もやっぱり国内開発の到達点については、十分お知りになっていなかったんじゃないか。逆にP3Cの方の情報はずいぶん入ってきた。たとえば先日問題になりました横山修元海将補ですね、これは四十九年ロッキード社とコンサルタント契約結んでおってP3C売り込みやっておる人です。この人に私どもの神谷、橋本議員が会って聞いたところ、高木委員です、高木委員との関係についてこう述べておるんです。高木先生にはミサイルを東大でやっておったので、学会で知っておると、そしてこれは実際日大に立ち寄って高木先生お会いになったということもこれは調査でわかっておりますが、そして会ったときに、ここまで研究して答申しないと間違いますよということで、エバリユエーション、これは運用効果の評価の問題です——と、テストににお会いしました。すると、私と会った際に内容的にはこの横山氏が高木先生にお話になった同じことを認めておるんですね。となりますと、委員に対してやはりP3C導入の方から、意向がずいぶん伝わったと、こういった事実はこれ否定できないと思うんです。それから先ほどこれ矢田部議員の質問でどうして川重へ行かなかったのか、こういう質問ありました。それに対してはそれは専門の先生おったからだと、電子関係ですね。それは恐らく高木、斉藤両先生でしょう。ところが、この先生は電子に関しては専門かもしれませんけれども、今回の問題はソフトウエアの運用面が一番問題ですね。そこが最大の問題だったわけです。しかし、それについて私どもお会いしましたけれども、やっぱり専門じゃないんですね。となりますと、やっぱり国内の到達点であった川重を調べないで、どうして国内の到達点わかったんだろうか。この点いかがですか。
  249. 土屋清

    証人土屋清君) 私どもは直接川重とは接触いたしておりませんし、また接触したいといっても軍事機密その他の問題がありますから、なかなかそれは困難だったんじゃないかというふうに思っております。
  250. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 川重からはすでに昭和四十七年三月三十一日付でレポートが出ていますね。このレポートは国産可能だというレポートですね。さらに四月以降も、四十七年四月以降も百名を超える強力なるチームをつくって、このPXL開発をやっておる、これは御承知だと思うんです、いまは。当時は知らなかったかもしれませんが。となりますと、そういうその後の開発も進んでいるとなりますと、国内の到達点知らずに、どうしてP、3Cとの比較ができるのか、この点私も率直に高木先生にお会いをしたときに話したんです。そうしましたら、高木氏はもしそれを知っておれば、自分考えは変わっておったかもしらぬ、国産可能の時期については二、三年ぐらい違っておったかもしれぬという、こういった趣旨のことを私に対してお答えになっております。実際問題、専門委員先生の中ではこの高木、斉藤両氏がこの電子関係では判断する能力を持っていますね。その先生が私の問いに対してそういう答えしたということであれば、川重を調べておれば、これは国内開発の可能性についてはずいぶん違っておった、そういうことが言えるんじゃないでしょうか。
  251. 土屋清

    証人土屋清君) それはそうだと思います。しかし、私どもは高木先生、斉藤先生が斯界の権威ですから、そのお二人の判断に待ったということは、これは当然だろうと思います。
  252. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 ですから、当時は当然だったんですが、しかし、考えてみますと、当然調べなければならない川重を調べないで、結局防衛庁だけの判断、これは防衛庁、私はその当時はもうすでにP3C導入に傾いておった時期だと思うんです。となりますと、手前の段階しか報告しないで、もっと到達した段階を報告しないで、いわば先生方の判断を誤らせた、その可能性があると思うんですが、いま思えば。いかがですか。
  253. 土屋清

    証人土屋清君) それは私にはわかりません。
  254. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 ですから、当時としては知らなかったために判断を間違えたかもしれぬと。土屋先生はこれは国産論ですからね。そういったことをもしわかっておれば、もっと国産論を強く主張して、もっと明確な国産答申を出し得た、私はそう思うわけです。  さて時間もありませんので、次の問題に入りますが、もう一つ専門委員先生方の判断の一つの基礎としては、やはり実際飛行機を使う現場の人人の立場をずいぶん考慮しようと、先ほど居住性の問題もありましたけれども、そういう配慮というのはずいぶんあったと思うんですが、この点いかがですか。
  255. 土屋清

    証人土屋清君) そのとおりです。
  256. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 この点は堀越座長も同じことを述べておられますし、大体一番電子関係について、最大の中心であった電子関係についての高木委員もやはり第一線が古いP2Jで耐えられますかと、こう言われると返す言葉はなかった。国産化の可能性の判断より以上に、ユーザーの立場を考慮したという、こういう結果になっておるわけです。ですから、この点もどうしても先生方の主観的判断とは別に、現場のそういう意見にどうしても配慮がいくと、こういう結果があったことは否定できないと思うんです。  それから、次に先ほども問題になった事務局専門家会議まとめを出して問題になった、特に輸入を可とするまとめが出て、それが修正された。ここのところでは、これは岩尾氏からも聞いておりますが、岩尾、土屋論争という、大変かどうかわかりませんが、激しい論争を交わされたと、こう聞いておりますが、これは間違いございませんか。
  257. 土屋清

    証人土屋清君) そうです。
  258. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 土屋証人としては、そのときに大変強く国産論主張されたと思うんです。そして輸入を可とする、そんなことは行き過ぎだということで戻したわけですね。ところで、この時期にこういう輸入を可とする、輸入に大変傾いたというまとめに反発して、日大グループの先生方三名、これは高木、粟野、堀越の三先生です。この三人の先生国産論の文書をお出しになって、全委員に配付された、そういった事実はございますね。
  259. 土屋清

    証人土屋清君) 私はそれは文書としてもらったかどうかは知りません。しかし、高木委員からもう少し国産の色彩を強くした方がいいんじゃないかというお話は伺いました。文書を配付したかどうかは私は記憶しておりません。
  260. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 この日大グループの中の一人である堀越先生から私は先日聞いてまいりました。これは文書にして事務局から全員に配ってもらった、こう言っておるんです。となりますと、この当時は事務局としてはかなり強く輸入論を進めるような形がやっぱり少なくともあったんだと。だからこそ委員先生が反発してというのも、これは先生の言葉です。堀越先生の言葉として、反発して文書出しました。となりますと、やっぱり当時としてはかなり輸入論にずっと傾いたというんですね。こういう結果があって、そこで土屋証人としては、これじゃいかぬと、日本の航空機産業本当にこれじゃだめになっちゃうということで、大変強く反応された、こう承ってよろしいでしょうか。
  261. 土屋清

    証人土屋清君) それは先ほども申しましたように、審議概要を十月十四日の会議の後でまとめた、そのときに輸入論を主張した委員がほとんど独壇場のようにお話しになったわけです。
  262. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 それはわかりました。
  263. 土屋清

    証人土屋清君) ですから、それをもとにしてまとめができたものですから、全体が輸入を可とするという非常に強い調子のものになった。それはちょっとおかしいじゃないか、みんな国産論を言いたくても言えない、うずうずしている人もいるんだから、それはもう少し全体の意見に公平な審議概要にしようじゃないかというふうな議論になった。ですから、あの段階事務局輸入を可とするというふうにまとめましたのは、そのときたまたま輸入論が強く出た、それをそのまま文章化した。私は手際としては非常にまずかったというふうに考えています。
  264. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 それは先ほど伺いましたが、問題はそういう状況に対して文書まで国産論主張される先生が出したと、こういう話を聞いてきておりますが、土屋証人としては、そこははっきりしない。けれども、あったかもしれぬということだと思いますが、その点どうでしょう。
  265. 土屋清

    証人土屋清君) 文書をもらったかどうかは先ほど申しましたように記憶いたしておりません。しかし、高木委員からこの間の輸入を可とするという答申は少し調子が強過ぎると、あれでは全体の委員意見をうまくまとめたものとは言えないから、もう少し緩和しようじゃないかと、こういうお話があったことは事実です。
  266. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 それから、次にタイムリミットの問題ですが、先ほどから五十七年という話が出ております。ただ、実際これは防衛庁から説明あったと思いますが、PS1につきましては、これは五十四年から、ずっと減っていくんじゃないかと、こういう説明があったと思いますね。すると、実際五十四年ごろ必要なんだと、こういう説明はなかったでしょうか。
  267. 土屋清

    証人土屋清君) それはどうも私は記憶しておりません。五十七年ということであって、五十四年というのはどういうのかちょっとわかりません。
  268. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 私ども先生に聞いてみますと、五十七年という意見もありますけれども、五十三、四年ごろ防衛庁は望んでおったと、こういう意見も大変強いんです。その辺は証人のいまの記憶としてははっきりしないということでしょうか。うなずいていますから、そうですね。
  269. 土屋清

    証人土屋清君) 私は五十七年というふうに最初から伺って、そして最後の段階でもやはり五十七年というふうな説明を伺ったと思います。ただし、私は五十七年というけれども、一年、二年はゆとりはあるというふうに判断しておりました。
  270. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 それから開発の期間が七年であるという意見がございました。しかし、それに対しては通産省は急げばもっと早くできるんだと、こういう意見述べたと思いますし、それから川重の方でも五、六年でできるという意見もあったようですね。この辺は各専門委員先生に聞いてみますと、時間が縮まるかどうかは予算がどれだけつくかだということなんですね。予算がつかなきゃこれはもっとかかるんだと、こういうのが全専門委員の一致した意見です。要するに、そうしますとさらに早くできるかできないかは予算がつくかどうかだと。こうなりますと、それは専門委員先生方の判断の場所じゃない、そこはもう技術的な、専門的な判断じゃなくて、政治的なあるいは財政的な判断であると、こういったことになりますけれども、いかがですか。
  271. 土屋清

    証人土屋清君) 私はその予算の問題も確かに御意見のとおり、一つ要素だと思いますけれども、それよりはやはりエレクトロニクスですね、電子機器、これの開発国産で果たして七年か八年でできるのかどうか、それについては最後までわかりませんでした。これはもう高木、斉藤両氏のお話を伺うほかないんですが、この両氏も七年でということには必ずしもその断定はされない。場合によっては十年近くかかるかもしれぬようなこともおっしゃっていました。ですから、私はまあ間に合わなければ輸入もやむを得ないというのは、機体の問題、お話しのとおり五年ぐらいでできます、これは。りっぱなものができると思うんです。電子機器を考えますと若干延びるのかなあと、こういう感じがございました。
  272. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 最大の問題である電子機器について結局斉藤、高木両委員がはっきりしたことをおっしゃらなかったのです、できるというですね。そこでできるということになれば、それは国産論にずうっと傾いていたと思います。ただ、そこがそうはっきりしなかったためにやっぱり輸入もやむを得ないということになったと、これが真相だと思いますね。そこで、問題は先ほどもこの答申の解釈について問題になりました。特に正確のためにはこの審議概要の方の一番最後の部分、そこで考えた方がいいのですが、私はこれは先ほどの証人証言にもかかわらず、やはりこれはP3C導入に大きく道を開いた、そういうものであるとやっぱり見ざるを得ないと思うのですが、いかがですか。
  273. 土屋清

    証人土屋清君) それは私はもう全く納得しません。この答申読んでいただければ、解釈するのは自由ですけれども、私はこれでもって原則は国産なんだと。ただ時間が間に合わぬ場合は輸入しなさいと、そういうふうに言っているとしか私には思われない。
  274. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 しかし、その後の事態の経過は、政府のやっていることを見ますと、これはたとえば輸入の場合にはP3Cにするとか、P3Cの調査団を派遣するとか、P3Cの方がどんどん進んでおるのです。片やこの国産開発のための研究とかその他の対策、これは全然進んでいない。恐らくこれはこういう答申された先生方にとっては大変これは不満だと思うんです。この事態はお認めになりますね。いかがですか。
  275. 土屋清

    証人土屋清君) 非常に残念だと思います。しかし、それは私はよくわかりませんが、私の想像ですけれども、これはアメリカ側からP3CのそのEDPS、つまりエレクトロニクスについてそれを日本に譲渡してもよろしいという何らかの話があったんじゃないか。だから非常に張り切っているのじゃないかというふうに考えています。しかし、その点は想像の域を出ません。
  276. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 私がもうこの答申によって国産論はもうだめになって、結果的にはもう輸入への道を大きく開いたと、そう解釈せざるを得ないのは、たとえばここでやむを得ないということで一時です、つなぎとして輸入しますね、P3Cを。そうした場合にもう国産の可能性が全く絶無になるのじゃないか。というのは、たとえば数十機一時的に買います。まあそれ自身が足元見られますから、単価がずいぶん高くなると思うんですが、ところが残ったまたあとの数十機が、開発の費用は同じですから、単価がさらに高くなるのですね。そういうことは日本の財政考えた場合により一層不可能になる、そういう事態はお認めになりますか。
  277. 土屋清

    証人土屋清君) そういうことは十分あり得ると思います。ですから、私はやはりあくまでも国産という原則でいくべきだというふうに考えていますが、最近の防衛庁の動きについてはよく存じません。
  278. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 結局私が言ったような事態でありますから、各専門委員先生方も、もうこの審議の期間ずいぶんむだなことやってきたと、結局専門家会議は役に立たなかったんだと、これは堀越先生そう言っておられますしですね。要するに、もともと問題、先ほど述べたとおり、技術的な判断じゃなくて結局は財政的判断、いわばもっと高い、一段高いところで判断してもらうべき問題なんだと、だからこれはもうお返ししたのだと。われわれが判断すべきことではなくて、もとへお返ししたのだと、これがよくわけのわからない答申の意味なんです。だから先ほど玉虫色と言われましたけれども、私はそうは思いませんが、P3Cを強く進めたものだと思うんですが、しかし仮に玉虫色としましても、専門委員先生の、多くの先生の気持ちはもうこんなものお返ししようと、これが本当の気持ちだったと思うんですが、いかがですか。
  279. 土屋清

    証人土屋清君) いや別に私ども国産を断念した答申を出した覚えはございません。この答申よく読んでいただければ、国産があくまでも結構なん、だということを強調しておる。ただ、時期的の問題はこれはいかんとも私ども軍事的な理由でわかりません。それについては輸入で対処することもやむを得ない。私はこの答申というものは決して玉虫色ではないというふうに思っています。
  280. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 しかし、まあ先ほどもこれはお認めになったとおり、証人の思いとは全く逆のところへ進んでおりますし、またその糸口を開いたのは、外国機輸入もやむを得ないというこの言葉であったと思います。要するに、この審議やっておられた大変長い期間がいわば国産化の道をさらに奪ったし、この答申がさらにその道を奪ったと、これは私は客観的な解釈だと思うんです。これは先生としてはなかなかそれは承服できないかもしれぬけれども、これは実際そうだと思うんですね。で、こういう状況ですとね、たとえば輸入論であった岩尾氏も、結局われわれのところで審議すべき問題じゃなくて、もっと上のことなんだから、それを熱心にまじめにやらされておって、いわばなめられておったんじゃないか、こうさえ言っとるんですよ。それから粟野先生も高木先生もやはり同様に、これはもう専門家の仕事じゃないんで返上したんだと、これは皆さんそうお認めになっています。恐らく先生の気持ちも私そうだと思うんです。  そこで最後にお伺いしたいんですが、それはいま審議経過から見た問題点でありますが、もっと客観的に見てみますと、たとえばこの白紙還元された四十七年十月の直後の十月十一日には、田中総理が外人記者会見で輸入にウエートを置いて検討すると、まあこう発言されています。まあこれはいまはもう御承知でしょう、当時御承知かどうかわかりませんが。それから同じ年の十一月十日には国会答弁の中でアメリカから買いたかったと、こういったことを述べているわけですね。その直後にロッキードと丸紅のこのP3Cに関する契約がございますし、さらにMDAOの防衛庁に対する売り込みとか、さらに四十八年七月、専門家会議発足するその直前には児玉・ロッキード間の、成功した場合には二十五億円というこの報酬契約までされておる。そして始まる直前にリリースは可能だと、そこまできているわけですね。これだけ客観的事実がそろって、しかもその間十ヵ月もたっている。となりますと、先生方本当にお気の毒なんですがね、その気持ちとしますと。しかし、実際はもう決まったところがすでにあって、一時ずうっと回り道をして、またみんな返上したと、いわばそういうことで全く利用されておったと、いま思えば利用されておったという、そういう意味じゃ岩尾氏の発言じゃありませんけれども、なめられたという、こんなお気持ちは先生ございませんか。
  281. 土屋清

    証人土屋清君) 私にはございません。私は正しい答申をしたと思うし、その答申政府が尊重するのが当然だと思っています。
  282. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 先ほど私が具体的に述べた客観情勢から見て、それとこの専門家会議の関係、私が指摘したような疑惑が先生いまお読みになっていかがですか。
  283. 土屋清

    証人土屋清君) 私どもは別になめられたとは考えておりません。私ども政府の言うとおり輸入を含めて検討する。そしてその結論を出しただけであって、別に政府に利用された、うまく看板だけ利用されたというふうには考えておりません。
  284. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 終わります。
  285. 田渕哲也

    田渕哲也君 まず初めにお伺いしたいことは、この専門家会議発足したのは、国防会議の議員懇談会了解事項でこの専門家会議というものをつくるということが決められてから実に十ヵ月後であります。もちろんこのことはあなたには何の責任も関係もないことでありますけれども、ただこの点について国防会議事務局から何らかの説明があったかどうか、この点をまずお伺いをしたいと思います。
  286. 土屋清

    証人土屋清君) 別にございません。
  287. 田渕哲也

    田渕哲也君 先ほどこの審議のタイムリミットにつきまして、五十年度予算に間に合わせるよう四十九年中に結論を出してほしいという要望がされたということをお伺いしたわけですけれども、これは具体的にはだれからこういう要望がございましたか。
  288. 土屋清

    証人土屋清君) 国防会議事務局長だったと思います。
  289. 田渕哲也

    田渕哲也君 当時海幕の方では五十七年度にPXLを実戦配備するという計画があったということは先ほどからのお話でも明らかでありますけれども、海幕の方としましては五十七年度の実戦配備ということのためには、遅くとも四十八年中に結論を出してほしい、こういう要望を当時しておりました。この点について防衛庁側から何か意見とか要望が出されたことはありませんか。
  290. 土屋清

    証人土屋清君) 記憶しておりません。なかったように思います。
  291. 田渕哲也

    田渕哲也君 先ほど四十九年の十月十四日の会議のときに、輸入を可とすべしというような審議概要が出されたということも論議されましたけれども、この議事概要というものはだれが作成するものか、またその議事概要はそのときはだれが説明されたか、お伺いをしたいと思います。
  292. 土屋清

    証人土屋清君) 議事概要の作成の責任者は国防会議事務局長だと思います。しかし、実際筆をとるのは国防会議の参事官の諸君じゃないかと思っています。
  293. 田渕哲也

    田渕哲也君 専門家会議のこの答申は、これもやはり事務局だと思いますけれども、具体的にはだれがどのように作成したのかおわかりになっておりますか。
  294. 土屋清

    証人土屋清君) これは先ほど申し上げましたように、十月十四日の審議概要が少しこう行き過ぎていておかしいと、みんなの気持ちを代表してないという反論が出まして、そこで最終のまとめ段階に入り、たしか十二月の二日の会議かと思いますが、三人の委員を起草委員に任命いたしました。その三人というのは、高木委員と斉藤委員と吉光委員の三人であります。つまり、輸入論と国産論の非常に強い主張者を除きまして、比較的中間におられる三委員に起草を一任いたしまして、それで三人が多数意見少数意見とするのか、それとも多数意見少数意見としないで、一本の答申にして内容を少しやわらげるのか御協議になったと思います。で、その三人の結論は、多数意見少数意見という形はとらない、一本にまとめるということでこういう文案ができたと思います。その文案を見せられまして、私は先ほど申しましたように、私たちが主張した国産の趣旨ば十分出ていると、ただ時間の点だけで輸入がやむを得ないということであって、一般的に言えば、国産がいいんだという趣旨が出ていると思いましたから、これに賛成した次第です。
  295. 田渕哲也

    田渕哲也君 そうすると、この文章というものは三人の起草委員がつくられたものなのか、あるいは若干それに事務局側の筆が入ったものか、その点はいかがですか。
  296. 土屋清

    証人土屋清君) それは三人の委員にお聞きくださった方がいいと思います。しかし、私は三人の委員がいろいろ相談していましたから、三人の委員意見どおりになっているんだというふうに考えています。
  297. 田渕哲也

    田渕哲也君 先ほどから証人は、この答申内容というものは国産に重点を置いたものだ、私もこの文章全部読みますと、そういうニュアンスは受けるわけです。ただ問題は、まず第一番に書いてあることは、玉虫色になっております。「いずれかを否とする決定的な要素は見いだせなかった。」、さらにこの審議概要の末尾の方を見ましても、P3Cの導入はやむを得ないということがはっきり書いてあります。そういう点から考えて、一般にはこれは玉虫色答申であり、P3Cの導入に道を開くものだ、こういう解釈もできると思うんですね。ただ、土屋証人の解釈に従いまして考えた場合におきましても、国産を図ることが望ましいけれども、ただタイムリミットの問題、この問題で輸入をせざるを得ないというような考え方が書いてあるわけです。私は、ここに先ほどお伺いした最初審議のタイムリミットの設定の問題との関係というものがきわめて重要な問題になってくる、このように考えるわけです。なぜかと言いますと、五十七年実戦配備というのは最初から大体前提として与えられておる。それから開発期間の七年ということもこれ前提として与えられておるわけです。それにかかわらず、五十年度予算に間に合わせるように答申を出したのでは、国産化には間に合わなくなるということになるわけですね。だから、最初のこのタイムリミットの設定そのものに私は問題があったのではないか、この点についてどうお考えになりますか。
  298. 土屋清

    証人土屋清君) この点は、いま使用中のP2Jが次第に退役しているわけですから、そういう関連で技術的に五十七年配備ということが決められたんだと思います。私どもはそれをそのとおり受け取ったというだけのことでございまして、五十六年がいいか五十八年がいいかということじゃない。ただ技術的にP2Jが次第に退役になりますから、そうすると五十七年かなと、こういうことだと思います。ただ私は先ほど申しましたように、石油危機発生後の状況下において、五十七年配備というのが少しは延びやしないかという感じは持っておりました。で、また現在五十九年配備とか何とかいうふうになって次第に延びているということで、そのとき考えたことが正しかったんだと思いましたが、しかし、それは私個人の意見であります。
  299. 田渕哲也

    田渕哲也君 この答申の趣旨というものは、この時期の問題さえもしなければ国産をすべしと、国産を可とすべしというようなことになったというふうに解釈していいわけですね。土屋証人の先ほどからの答申に対する解釈からいうと、そうなると思うんですけれども、この点はいかがですか。
  300. 土屋清

    証人土屋清君) その点は細かい説明をしていないんですが、これは二つ条件がついてですね、技術的、財政的基盤が確実であれば国産を可とする。技術的というのは、先ほど申しましたエレクトロニクスの問題、それから財政的というのは、言うまでもなく国の財政負担、この負担が確実であれば国産がよろしいと。私どもは大体技術的には時間はかかるけれども、できるだろうということを伺いました。それから財政的には、輸入よりは一時国の負担は多くなるかもしれないけれども、結局それは全部日本国内産業の振興に役立つんだから、それは有利じゃないかというふうに思いまして、それでここに技術的、財政的基盤が確実であれば国産化を図ることが望ましいと、こういう答申になったわけです。
  301. 田渕哲也

    田渕哲也君 私は、この技術的基盤、財政的基盤が、これはなかなかいろいろ意見があって、どちらかということは確定するのはむずかしい問題だと思います。それだからこそ、この専門家会議審議をしていただいたわけでありまして、これに対する判断、それからいわゆる価値判断ですね、財政的に多少負担があってもこっちの方がいいとか悪いとか、そうものに基づいてこの答申の結果が出されるべきものだと思うんです。したがって、私はこういう要素があるけれども国産化を図る、そういうものを総合的に検討して国産化を図ることが望ましい。ところがその時期的な問題があるから、当面輸入もやむを得ない、これが答申の趣旨ではないかと思いますけれども、いかがですか。
  302. 土屋清

    証人土屋清君) そのとおりです。
  303. 田渕哲也

    田渕哲也君 そうしますと、やはりこの時期的な問題が一番大きな問題としてひっかかってくるわけです。ということは、この最初のタイムリミットの設定そのものが私は誤っておったと。このタイムリミットの設定から言うならば、これはこういう答申にならざるを得ないということになると思うんですけれども、いかがでしょうか。
  304. 土屋清

    証人土屋清君) 先ほど来申し上げましたように、五十七年配備ということは一応のタイムリミットになりますけれども、先ほど来繰り返して申し上げましたように、その後情勢が変わっておる。四十八年八月に専門家会議発足したときには、もう石油危機の真っ最中、したがってですね、若干それが延びるだろうというふうに、私は個人的に考えておりました。しかし、一応会議のたてまえとしては五十七年配備ということできていると、こういうことだと思います。
  305. 田渕哲也

    田渕哲也君 次に移りますけれども、いわゆるPXL国産開発した場合と、P3Cの性能の比較について審議されたと思いますけれども、問題はこのP3Cの性能面の最大の問題として、速力不足ということが第二回の専門家会議防衛庁側から指摘をされております。ところが、その約一年後の四十九年十月七日の第十四回の専門家会議では進出速度の不足は致命的欠陥ではない、こういう打ち消すような発言がやはり防衛庁からされておる。私はこの速力不足というのは決してささいな問題ではないと思うんです。対潜機の機能からいきまして、潜水艦のいると思われるところへ飛んでいっても、まあいろいろな計器を使って探しても、その索敵範囲はせいぜい数十キロ四方にすぎない、このように言われておるわけですけれども、その場合に進出速度というものはきわめて大きな要素だと思うんです。私は防衛庁のこの第二回の会議と第十四回の会議見解の差というものは、一体どこから出てきておるのか。この点について証人はどのように受けとっておられますか。
  306. 土屋清

    証人土屋清君) 十月七日の審議概要で、進出速度の問題は大したことがないということについては、私は記憶はございません。そういう説明があったのかもしれませんが、記憶に残っておりません。私個人としては、進出速度はきわめて重大である。そうしないと、潜水艦の出たところへ駆けつけるまでにどっかへ行ってしまいますから。そういう点から言って、そのP3Cはプロペラ機であるからちょっと役に立たない面もあるんじゃないかということで、一つ国産化の私の理由になっております。
  307. 田渕哲也

    田渕哲也君 この審議概要を見ましても、この性能面の比較についてはごく簡単にしか触れられていないわけです。これも進出速度について劣るけれども、これは運用上致命的欠陥とは考えられていない。このようにきわめて簡単に一行ほどで書いてあるわけですけれども、私はこれはちょっと腑に落ちないんですけれども、これはいかがですか。
  308. 土屋清

    証人土屋清君) 私はいま申しましたように、進出速度というのは対潜哨戒機の機能としてはきわめて重要であるというふうに考えております。したがって、プロペラ機のP3Cでは私には納得できない。
  309. 田渕哲也

    田渕哲也君 第十四回の専門家会議のことは、私が申し上げた点は御記憶にないとしますと、抽象的にお伺いをしたいのでありますけれども防衛庁側の態度が、専門家会議の初めのころと後のころで変わってきたという徴候はなかったか、初めのころは国産化を強く主張しておったけれども、後の方は輸入でもいいんだというふうに変わってこなかったか、この点はいかがですか。
  310. 土屋清

    証人土屋清君) わりに客観的な説明をしていまして、国産がいいんだとか輸入がいいんだとかいうことを思わせるような、なかなかうまい説明をしていまして、はっきりその点は防衛庁がどう考えているのか、海幕がどう考えているのか、ちょっとつかみにくかったというふうに思っています。
  311. 田渕哲也

    田渕哲也君 時間がありませんので、あと一問だけお伺いをしますけれども、早期警戒機の開発案というものが出されておるわけです。審議概要には、いわゆる輸送機のC1の改造型というものが出ておりますけれども、このほかにPXLの改造型というものが防衛庁側から説明されたと聞いておりますけれども、これは事実ですか。
  312. 土屋清

    証人土屋清君) PXLの改造型があったかどうか、私は記憶しておりません。それは私は早期警戒機そのものに否定的でして、こんなものは役に立たぬ、無用のものだと思っていまして、初めからそれに余り深入りした議論をやっておりません。この対潜警戒機の方はもう現在使っておるのですから、性能は悪いけれども、使っていますから、これはまあその必要性というものははっきりしておる。早期警戒機というのはまだ使ってない。これから導入するものとして、早期警戒機は私は余り必要ないと思いました。したがって、PXLの改造型があったかどうか、どうもそこのところの記憶ははっきりしていません。
  313. 田渕哲也

    田渕哲也君 終わります。
  314. 野末陳平

    ○野末陳平君 専門家会議発足に当たって、いま土屋さんは国産輸入の両案を公平に検討しようという態度で臨まれたとおっしゃいましたけれども、しかし国産開発計画は時間的にリミットがある以上、これは必ずしも公平とは言えない。私は思いますに、公平と言うより、むしろ輸入にやや分があるのではないかと、当初からそうなのではないかと思ってお聞きしていたのですが、土屋さんは当初どう思われましたか。
  315. 土屋清

    証人土屋清君) 私は、五十七年配備ということでも国産の可能性は十分あり得ると、七年開発ということで、それで配備しても、五十七年配備、そのときに何十機一遍にそろえなきゃならぬことはありませんから、何とかやりくりがつくんじゃないか。また五十七年配備そのものもそう絶対的なものじゃない、ある程度の弾力性はあるんじゃないか、こう考えておりました。したがって、私はどっちかというと、最初輸入論であったわけです。それはYXという計画がございまして、この方が日本航空機工業の将来としては重要なんですね。そのYXがボーイング社との間に話が進んでいまして、YXとそれからPXLとが両方一時に競合しますと、これは日本航空機工業として消化できない可能性が生ずる。ですから、一時に両方というわけにはいかないし、どっちがいいのかなあということで、最初はどっちかというと、まあ輸入を若干強く考えていたというのが偽らざるところです。
  316. 野末陳平

    ○野末陳平君 さて、国防会議結論として白紙還元と、先ほども出ましたが、これを専門家会議には結論だけが知らされて、理由その他具体的なことは何も説明がなかったというお答えでしたが、それにしても専門家会議委員の中で、どうしてこの国防会議白紙還元になったんだろう、あるいはこの理由はなぜだろうとか、そのような話は全然出ませんでしたか。雑談の中でもいいと思うんですが。
  317. 土屋清

    証人土屋清君) 全然出なかったと記憶しています。
  318. 野末陳平

    ○野末陳平君 それでは、それまでに、いわゆる白紙還元結論が出るまでに、防衛庁国産の方にむしろウエートを置いていろいろ研究開発を進めていたということは、土屋さん初め委員の方はどの程度御承知だったでしょうか。
  319. 土屋清

    証人土屋清君) それは二、三年間予算がついてますから、国産化のレールが敷かれているんだなあというふうに判断していました。それが白紙還元になって、今度は改めて輸入を含めて検討してくれと、こういうことだというふうに思いました。
  320. 野末陳平

    ○野末陳平君 レールが敷かれているということは、国産化計画の方がかなり積み上げられていると、本来はこちらを防衛庁は望んでいるんだということを判断されていたわけですね。
  321. 土屋清

    証人土屋清君) その前の段階ではそうです。
  322. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうなると、やはり国防会議白紙還元というのはなぜだろうと、唐突ではないかなということをお感じになるのが普通じゃないかと思うんですが、土屋さん個人はどうでしたか。
  323. 土屋清

    証人土屋清君) その問題は、もうすでに与えられたもんとして、白紙還元した後を研究開発するのを輸入化を含めて検討してくれということですから、その前の白紙還元事態そのものについては特別に疑問は出なかったというふうに思ってます。
  324. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうしますと、この専門家会議というものの設置そのもの、この必要さということなんですが、これもやはりこの国防会議白紙還元のときにこれを唐突に言い出されているように私は受け取っている。  そこで、その委員に選ばれた土屋さんは、果たして輸入国産を決めるのにあるいは検討するのに、このような専門家会議というのは必要なんだろうか、これは絶対に必要だなという認識で委員を引き受けられたのか、それともそこまで考えずに、まあ任命されたのでひとつ検討に加わろうということだったのか、その辺の必要さをどの程度大きく受けとめられたか、それともその程度そこまででなかったか、その辺のニュアンスをちょっとお聞きしたい。
  325. 土屋清

    証人土屋清君) それは、そういうことについて検討することは必要だと、白紙還元したのにはそれだけの理由があるんでしょうから、その後で今度は輸入開発両方を含めて検討するということにはそれだけの重要性があると思ってお引き受けした次第です。
  326. 野末陳平

    ○野末陳平君 すると、その中に軍事の専門家がいないということで、技術面、そして経済面だけの専門家ですね。すると、やはりこの問題をどちらがいいのだと検討するに当たってちょっと不十分でないかと、委員の構成ですね、役割りとしてもですね。その辺どうお考えになりましたか。
  327. 土屋清

    証人土屋清君) 軍事の専門家というのはいま日本では非常に少ないのじゃないかと思います。したがって、それを得るとしても困難なんで、その人選ができなかったんじゃないかと思います。私どもちょっと考えましても、軍事の専門家、昔は大ぜいおられましたが、いまはそれほど思い浮かべられません。
  328. 野末陳平

    ○野末陳平君 それでは、専門家会議内容についてですが、先ほどから技術面とそれから財政面と二つの点でまあ負担ができるならば国産化ということが土屋さんの御意見あるいは有力な専門家会議結論というか、傾向だったように思いますが、ここで輸入はやむを得ないと、輸入がやむを得ないというお考えに傾かれたのは技術的な面、財政的な面、どちらがより大きかったんでしょうか。
  329. 土屋清

    証人土屋清君) いや、輸入はやむを得ないと考えたのは時間的な問題だけです、私にとっては。時間的な問題で間に合わなければ輸入するというだけのことで、技術的、財政的には私は可能だというふうに思ってます。
  330. 野末陳平

    ○野末陳平君 大蔵省の方が輸入を支持して、まあ支持して進める立場説明をされたようですけども大蔵省の言い分としてはどのような理由で輸入を促進してほしいということだったんでしょうか。簡単に何といいますか、たとえばこれは金がかかると、あるいは外貨の問題がどうとか、その辺のことをひとつお願いします。
  331. 土屋清

    証人土屋清君) 当時外貨は十分でございましたから、それよりは財政の負担が大き過ぎると、先ほどちょっと数字を申しましたが、開発の場合は開発費が五百億円ぐらいかかる、それに量産に入った場合の調達費も大体五割、五割まではいかないですけども、一機について高い。そういう財政負担が一番大蔵省にとっては問題だったんじゃないかと思います。
  332. 野末陳平

    ○野末陳平君 ドルの問題については全然説明に入っていませんでしたか。
  333. 土屋清

    証人土屋清君) 石油危機の直後でありますから、ある程度国際収支は悪くなったんですけども、しかし、いまそこでドルの問題で議論するというような情勢ではなかったと思っています。あくまでも国の円の問題、つまり財政負担の問題だというふうに考えています。
  334. 野末陳平

    ○野末陳平君 今度の問題が起きまして、私がいままでの委員会でいろいろ質疑を聞いて感じることは、この専門家会議答申よりもむしろそれ以前の国防会議における昭和四十七年の十月の九日のこの国防会議における結論ですね、国産化問題は白紙に戻して輸入を含めて検討すると、これがもうすなわち国産を、いままである程度積み重ねてきた国産を御破算にして輸入への道を開くそのきっかけになっているように受け取れるんですね。で、土屋証人、いまこの時点でどのように思われるでしょうか。相当重要な意味を持つと、国防会議のこのときの了解事項は。いかがでしょう。
  335. 土屋清

    証人土屋清君) それはその輸入を含めて検討するということですから、別に何も輸入答申してくれというわけでもないんですから、私ども専門委員として輸入国産両方公平に検討して決めたい、こういうふうに考えたんでありまして、後になってみてどうかということはその引き受けた時点では問題にならなかったと思います。
  336. 野末陳平

    ○野末陳平君 引き受けた時点では確かに問題になっておりませんが、結果的に輸入もやむを得ないという言葉が入ったのは、これは時間的なことだとおっしゃいましたね。そうなるとこの専門家会議結論が出るまでというのも、やはりこれは相当時間を食っているわけですから、この設置そのものも輸入に一歩近づくことに結果的にはなっていると、そういうふうに考えているわけですね。ですから、その意味で当時問題にならなかったというんでなくて、いまこの時点で振り返って結果的にはそうなっているなというふうに思われるか、それとも全くそれは違うんだということでしょうか、最後に。
  337. 土屋清

    証人土屋清君) それは政府がわれわれの答申を受けて速やかに検討して結論を出せば、私は五十七年配備が若干おくれても間に合ったと思いますけど、われわれの結論というものは、決して無効ではないというふうに考えています。ただその結論をしてからまた議論を始めましてがたがたやっているということで、ますますおくれているということは非常に残念です。
  338. 野末陳平

    ○野末陳平君 委員長最後に……。  そうしますと土屋証人結論は、答申国産であると、そうして政府がその答申を受けて速やかに結論を出せばよかったんだが、結論を出さずにまたぐすぐずしていたために、結果的にまあ今後どうなるかわかりませんが、いまの事態を招いていると、こういうことでいいですか。
  339. 土屋清

    証人土屋清君) そうです。あれが四十九年の十二月ですから、それからすぐに、しばらくは当座は輸入する、しかし基本は国産だと、こういう方針を決めればそれなりに対処して、日本航空機工業界の混乱というものはなくて済んでいるんじゃないかというふうに思います。
  340. 野末陳平

    ○野末陳平君 終わります。
  341. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 以上をもちまして土屋証人に対する尋問は終了いたしました。  土屋証人には長時間にわたり御証言をいただき、ありがとうございました。  午後一時三十分再開することとし、休憩いたします。    午後零時三十分休憩      —————・—————    午後一時三十四分開会
  342. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまからロッキード問題に関する調査特別委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、近藤忠孝君が委員を辞任され、その補欠として内藤功君が選任されました。     —————————————
  343. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ロッキード問題に関する調査を議題とし、休憩前に引き続き証人証言を求めることにいたします。  本日午後出頭された証人は海原治君でございます。  まず最初に、委員長から確認させていただきます。  海原治君、あなたは御本人ですね。
  344. 海原治

    証人(海原治君) そうです。
  345. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) この際、証人に一言ごあいさつを申し上げます。本日は当委員会に御出頭いただき、ありがとうございました。  証言を求めるに先立ち、証人に御注意申し上げます。  議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人には、証言を求める前に宣誓をしていただきます。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、次の場合に限られております。  証言が、証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族、または証人とこれらの親族関係のあった者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、並びに医師歯科医師、薬剤師、薬種商、助産婦、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあった者がその職務上知った事実で黙秘すべきものについて尋問されたとき。  以上の場合以外は、証人宣誓または証言を拒むことができません。  正当の理由がなくて証人宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられます。  また、宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることになっております。  それではこれより証人宣誓を行います。  証人証言席宣誓書を朗読してください。  全員御起立願います。   〔総員起立証人は次のように宣誓を行った〕     宣 誓 書  良心に従って真実を述べ、何事もかくさず、又  何事もつけ加えないことを誓います。              証人 海原 治
  346. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御着席願います。  証人は、宣誓書署名捺印してください。   〔証人宣誓書署名捺印
  347. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) これより証言を求めますが、証人は、発言に当たっては、その都度委員長の許可を得て発言されるよう、また、時間の制限もありますので、尋ねられた事項の範囲内において明確に証言されるようお願いいたします。  それでは委員から尋問いたします。順次御発言願います。
  348. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 海原さんは、長い間防衛庁に勤められまして、特に昭和四十二年から昭和四十七年の十二月まで国防会議事務局長の要職におられたわけであります。そこで、問題になっておりまする点につきましては、最もその間の事情に詳しい方でございまするので、ただいまから次期潜機の問題につきまして疑惑を解明していただきたいと存じます。  そこで、まず第一点でありまするが、このロッキード社製作にかかりまするP3Cの問題点というのは、次期潜機最初国産で決まっておった、ところが専門家会議をつくられ時間をかせがれて、結局国産ができなくなって輸入せざるを得なくなった、という点にあるわけでございます。  そこでまず、四十七年に入りまして二月八日に、四十七年度から五十一年度に及びまする「第四次防衛力整備五か年計画の大綱」というのが国防会議決定を見まして、そうして閣議決定を見たのであります。それでその大綱の「技術研究開発」の項目に、「対潜哨戒および早期警戒機能向上のための各種装備等の研究開発を行なう」というようにあるのであります。  防衛庁は、御承知のとおり、かねてから次期潜機については国産の希望を持ちまして、すでに昭和四十五年から調査予算も獲得をしておったわけであります。  そこで、この大綱の「各種装備等の研究開発」ということが、国産を前提にしていたのかどうかということが問題でございまして、その点について、どういうふうな見解を持っておられましたか、お伺いを申し上げます。
  349. 海原治

    証人(海原治君) ただいま昭和四十七年の二月に決定されました四次防の大綱の段階におきまして、いわゆるPXL国産化という問題が決まっておったかどうかという意味の御質疑でございますが、四次防の大綱の言葉はいま先生がおっしゃったとおりでございまして、そこには対潜哨戒機ということはございません。この大綱を三次防の大綱とお比べいただきますとよくおわかりと思いますが、三次防の大綱に決めました研究開発の中には、高等練習機、レーダー搭載警戒機、それから輸送機等の各種の飛行機という言葉が使ってございます。これと対比していただきますというと、当然この四次防の大綱で次期潜哨戒機、すなわち一般にPXLということが言われておりますが、これの国産ということが決まってはいないということがおわかりだと思います。同時に、当時の事情におきましては、そのPXLなるものの国産ということが決められる事情にはございませんでした。
  350. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 それでこの第四次防の大綱におきましては、PXLはまだ問題にならなかったのか、また、PXLの研究開発について国産というようなことは全然決まっていなかったというようなことでございまするが、そこではこの四次防計画におきまして、高等練習機及び支援戦闘機と、この二つの機種が当面の整備対象になっておったわけでございますね。  そこで、四十七年という年は、日本の外貨保有高がふえてまいる、ドル減らし対策が重要になってきたわけです。そういうときに、四十八年度予算編成を前にしまして十月を迎えるわけですが、防衛庁では高等練習機それから支援戦闘機につきましては、ともに国産が絶対に必要だというように考えておったわけであり、大蔵省はドル減らしのために輸入主張しておったと、その間に海原事務局長がいろいろ調整をされたというように聞いておるわけであります。その間の経緯につきましてお伺いいたしたいと思います。
  351. 海原治

    証人(海原治君) ただいま先生のお言葉の中に、事務局長の私がいろいろと調整をしたというお言葉がございましたが、私、調整という言葉が適当かどうかわかりませんが、十月の二日に四次防につきましての大蔵省からのいわゆる予算規模の内示がございます。それから後で、大蔵省防衛庁の間でいろいろな事務的な折衝がございます。その過程におきまして、いま御指摘のございました対地支援戦闘機というものにつきましての国産ということにつきまして、大蔵省の方ばもともと輸入した方が安いという考え方も持っておったようでございますが、その輸入した方が、当時の新聞等によりましても、大体国産のものよりは三分の二ぐらいの価格で買えるんではないかという、その値段が安いという点と、それから当時非常に問題になりましたこのドル減らし、この二つの点から、アメリカの現在ありますものを買ってはどうかという意見が出される、この間になかなか調整がつかない。そこで、御存じのように国防会議で物事を御決定いただきます前には、国防会議の組織といたしまして、各省課長レベルの参事官会議がございます。その上に今度は各省次官レベルの幹事会がございます。この段階でいろいろと問題点を整理し詰めてまいりますけれども、この問題だけは、大蔵省防衛庁の間になかなか意見の調整を見ませんので、事務局長としましての私が、防衛庁の方がそういうことをいまさら言い出されても困るというきわめて厳しい態度だと受け取られましたので、とにかく現在においての一番大きな問題は、日本が非常に多くたまりましたこのドル減らしということを何とかしなくちゃならぬというのが、最高の政策の一つ要請になっている。とするならば、もし、その要請にこたえるとするというと、どういうことが可能か、そういうことを考えてみてはどうかということで、事務局長立場で、大蔵、防衛の両省の方に一部輸入、一部国産という案も考えられるではないかということの連絡はいたしました。それが私のやったことでございます。
  352. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 そこで、十月七日には国防会議の幹事会が行われるわけですね、十月の八日は日曜日であったのでありまするが、政府の方からの答弁によりますると、十月八日の日曜日にかかわりませず、防衛庁長官も出勤するというようなことで、その夜には大蔵省の宮下主計官から防衛庁の小田村経理局長に対しまして、支援戦闘機は国産を認めるが、次期潜機国産を前提とする研究開発は認められないというような電話があったというのであります。そうしてその翌日の九日の朝早く、その間いろいろ問題があったんでありましょうが、防衛庁長官が総理のところへ陳情に行かれるというようなことで、非常にあわただしい局面であったわけであります。で、その当時のこの問題の焦点は何であったのか、このPXLの問題がその焦点であったのか、あるいはその他に、もっと違う問題が焦点であったのか、その辺の経緯をお伺いいたします。
  353. 海原治

    証人(海原治君) その時点におきましての問題点は、いま御指摘の対地支援戦闘機を国産でいくか、ないしは輸入にするか、その一点だけでございます。PXLにつきましての問題というのは全くございません。
  354. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 そこで国防会議の議員懇談会がその朝に行われるということになったわけでございますね、そのときに総理と官房副長官、それから主計局長が個々に話し合われまして、まあどういう話が行われたかはわかりませんが、その内容について事務局長としては何か聞いておられますでしょうか。
  355. 海原治

    証人(海原治君) 何か聞いておるかということの御質問でございますと、事前には何も聞いておりません。総理の部屋での打ち合わせが終わりましてから、国防会議の議員懇談会が始まりまして、私が事務局長として当時、当日御決定いただく問題についての議案の一通り御説明終わりました後で、座ったときに、後藤田君から、専門家会議を設けてという話はそのときに聞きました。
  356. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 そのときと申しますると、その懇談会の前でございますか。で、その当時あなたはどの辺におられたんでしょう。
  357. 海原治

    証人(海原治君) 懇談会が始まりまして後、私が一応議案の御説明をいたしまして着席した、その隣に後藤田君が座っているわけです。座ったときに後藤田君から私は簡単なメモをもらいまして、専門家会議を設置ということを知らされた。それが私の知った最初でございます。
  358. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 後藤田官房副長官からメモをもらわれたというお話でありまするが、そのメモにはどういうことが書いてあったんでしょうか。
  359. 海原治

    証人(海原治君) 当時の記憶でございますが、私は専門家会議を設置して、このAEW、PXL検討という簡単な走り書きであったと記憶しております。それは、私はこの専門家会議が何だということを後藤田君に問いただしましたときに懇談会の方の議事が始まりましたので、そこで二人の会話はとぎれております。私は後藤田君からそういうメモをもらったことを記憶しております。それだけでございます。したがいまして、言葉その他メモの詳しい内容記憶いたしておりません。
  360. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 そうしますると、この専門家会議の発案者というのは、これは後藤田官房副長官ということになるんでしょうか。
  361. 海原治

    証人(海原治君) これは、私は後藤田君とは——あえて君と申しますが、内務省以来の友人でございますので。後藤田官房副長官とはずっとこの四次防の調整役をしておりますので、もし後藤田君が事前にそういうことを考えておりましたら私に連絡があったはずだと思います。そこで、物事の順序といたしましては、懇談会の始まります前に総理のお部屋で三人が集まりました。そこでいわゆる下相談をされたのではないかと思います。したがって、後藤田君の発案ということは、私にはちょっとそうとりかねます。
  362. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 十月九日の国防会議の議員懇談会におきまして了解事項がつくられたということは御承知のとおりでございます。それでその了解事項は、一つ次期対活機と早期警戒機の国産化問題は白紙とすると。そうして第二には、今後輸入を含めて、この種の高度の技術的判断を要する問題については、国防会議事務局に、専門家会議を設ける等により、慎重に検討する、まあこういうのであります。そこで、この了解事項が問題になっておりまして、この了解事項はいままで国産に決まっていたのを白紙にして、そして専門家会議で時をかせいだと、まあそういう疑惑を生ずる根拠になったものであります。そこで、どういうふうにしてこの了解事項がつくられたのか、それからまた、この了解事項白紙というようにありまするのは、すでに決定しておりました国内開発方針を白紙還元したものであるかと、その辺のことをお伺いいたします。
  363. 海原治

    証人(海原治君) ただいま問題にされましたいわゆる国防会議議員懇談会での了解事項でございますが、これは懇談会が始まりまして一応私が当日の議案の御説明を終わります。それから後、出席の議員方の御懇談が始まるわけでございますが、先ほど申しましたように、そのときまでに一応幹事会議レベルまでで決定できなかったものが対地支援戦闘機の問題でございますので、当然それについての御懇談、討議が始まるわけです。そのときに、総理から問題になっておったこの航空自衛隊の対地支援戦闘機という問題はひとつ国産でいくことにしたいがどうだろうかと、こういう意味の御発議がございます。それを受けまして出席の議員の方々がそれで結構だと、こういうことになったわけであります。その後で総理としましては、このような問題は本来大蔵省防衛庁、この両省の間で話がまとまるべきものである、ところがいろいろと高度な技術的な問題を含んだ問題が両省間の話でまとまらない、それを政治家である自分に最後にどっちかに決めろなんて言うことは、これはなかなか無理な話ではないかと、そこで、もしそういう高度の技術的、専門的な事項について行政官庁の中にその知識がないならば、ひとつ専門家会議でもつくって、そこで検討することにしてはどうかという御発議がございます。それを受けまして出席の議員方も、それも結構だということになります。そこで、じゃいまのこの申し合わせを文章にするということになりまして、私は議案を進めることもございますので、大蔵省防衛庁国防会議事務局の事務方が部屋の片すみに集まりまして、まあ五、六人と記憶しておりますが、そこでこの申し合わせの文案をつくったわけでございます。その一方、私はこの懇談会の方の議事の進行係をしておりますが、そこで、先ほどの三省庁事務局の間の文案がまとまりましたので、それを私が受け取りまして、先ほど総理から御発議があり、関係議員全員の方が御賛成になったことばこういうことでございましょうかということでその用意されました文章を読んだわけでございます。それが先ほどおっしゃった先生のお言葉でございます。そこで皆さんがうなづかれましたので、私は、これは国防会議議員懇談会了解事項という形にいたしたいと思いますということを申しました。これにつきましてもそれでいいということになりましたので了解事項ということになった次第でございます。
  364. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 そこで、了解事項国産化問題は白紙とする、この白紙とするというのがいかにも国産化問題が決まっておったのにそれを白に返してしまうのだと、こういうように聞こえるわけなんですね。書かれたあなたとされましてはどういうことでこの白紙とするという言葉をお使いになったのでしょうか。
  365. 海原治

    証人(海原治君) いま御説明いたしましたが、私は書いた者ではございません。その文案を考えましたのは先ほど申しましたように大蔵省防衛庁国防会議事務局の事務方でございます。当日防衛庁からは島田事務次官、久保防衛局長、この二人が出席しております。大蔵省からは相澤主計局長、それから長岡主計局次長、この二人が御出席であります。それと国防会議事務局参事官三人がおりますので、その事務方が部屋の片すみで相談をいたしましたので、だれがどういう文字を考え出したか、私はそれを承知する機会がございませんし、できましたものを皆様方に読み上げましたら、皆様方がそれで結構だということになったわけです。ただ、いろいろと疑惑を持たれる原因がこの白紙という言葉だとおっしゃいますが、これは国産白紙としとはなっておりません。したがいまして、私が読んだ感じでは国産化問題を白紙としということです。このことは大蔵、防衛両省の間で従来から将来の対潜哨戒機についての研究開発をするについては予算はつけるけれどもそれはこの対潜哨戒機国産を意味するものではないんだという念押しが大蔵省の方にある、防衛庁の方としてはもし自分らの希望するとおりいいものができたら、これを国産したいという希望がある、その辺のところが従来からのいきさつでございます。したがって、国産問題ではございませんし、国産化問題となっているのはそういうところじゃないかと思います。なぜ白紙としという言葉が使われたかということを、当時の私の感触ではそういう専門家会議というものが設けられるならば、そこに専門的な知識の方がお集まりできるならば、それまでの大蔵、防衛両省の間の行きがかりというものを一切白紙に戻して第一歩からこの問題を検討したい、その気持ちが白紙としという言葉になったのではないかと私は考えましたし、いまでもそう考えております。
  366. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 まあいままでいろいろ議論があった、特に防衛庁大蔵省の行きがかりを白紙にして改めて専門家会議意見を聞いて決めようと、こういうことであったわけでありますね。  そこで、先ほどお答えいただきました海原さんが国防会議決定ではなしに国防会議懇談会了解事項にしますと言って、この国防会議より一つ下といいまするか、その議員懇談会了解事項にされたというのはどういう意味でございましょうか。何か意味があったんでございましょうか。
  367. 海原治

    証人(海原治君) 私が国防会議議員懇談会了解事項にいたしたいと申し上げましたのは、当然先生方御存じと思いますけれども、従来からのこれは慣例でもございますし、当然そういう手続になると思いますが、国防会議で物事を決定する前には必ず少なくとも各省次官レベルの幹事会の議を経ることが必要であり、適当であり、妥当だと思うわけです。いろいろ緊急の場合にはその次官レベルの補佐ということがなしに、大臣のお集まりだけで物が決まることもございますけれども、そういうこともありましょうけれども、ふだんはそれぞれの組織がございますから、少なくとも仮に参事官会議は省略いたしましても、幹事会でそういう問題についてのいろいろ事務的な検討をするということが当然に必要であるというのが、私の長年の役人の経験から言えるわけでございます。それは、その会議専門家会議ということが出たわけでございますが、一体それは正式の法律政令に基づく機関なのか、それとも事務的なと申しますか、事実上の相談機関なのか、それもわかりません。法律政令に基づくものでありますれば、その根拠がございませんし、予算もついておりません。したがいまして、それはどうするかという問題がございます。  それから、専門家という中にいわゆる各官庁の役人、公務員が入るのか入らないのか、第三者機関ということになりますというと、関係者は除外すべきでございますから、そうなるというと、防衛庁、各幕の専門家はこれは当然除外されます。そうなってきますというと、いわゆる対潜哨戒機とか、あるいは早期警戒機、こういうものについての専門家という者がおるかどうか、これは非常に疑問でございます。私自身は、そういう事務的な詰めのまだ済んでない問題を国防会議決定ということにするにはいささかどうかと思う感じがいたしましたので、総理の御発議で皆さん方が了承されましたとにかく高度に技術的な問題を下のレベルで解決しないのは困る。何とかそれを解決しろという意味の御意図でございますから、どういう形にしたらいいかということはそれからの検討も必要でございましょう。そういう意味でございますので、幹事会の議を経ていない、そういう事柄についてでございますので、これは一応国防会議の議員懇談会了解事項という形にした方がいい、そう判断したわけでございます。
  368. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 わかりました。  そこで、海原さんは、そのときに、私は後で海原さんの対談とか、あるいは書いておられるもので読んだんですが、専門家会議といってもそういう専門家はいないんだ、それで専門家会議は成り立たないというようなことを言っておられますね。そういうようなことから議員懇談会了解事項にもしたというような意味にもとれるんです。だから、専門家会議は成り立たないということはどういうことを意味するのか、それから成り立たないというのであれば、どういうふうにしたらいいというようにお考えであったんでしょうか。
  369. 海原治

    証人(海原治君) 私が専門家会議は成り立たないというふうに考えましたのは、いわゆる専門家がいないと思ったわけでございます。対潜哨戒機あるいは早期警戒機、こういうものは御存じのように日本開発したもあでございません。全部外国で開発したものをいろいろ教えてもらってつくっているわけでございますから、そういう意味で本当の専門家がおるとすれば、その教えてもらった防衛庁の制服の人々の中にしかいないんではなかろうか、これが第一の考え方でございます。  その次は、そういう飛行機をつくっておる関係の会社の技術者、それがやはり専門家になるかもしれない。ところが、第三者機関的な性格の専門家会議でございましたら、そのような利害関係者が入ること、これはまずいという意見も出てくると思います。したがいまして、私この会議の後で関係各省の参事官とも相談しまして、一体この会議はどういうふうに構成したらいいかということについて、それぞれ案を考えてもらいました。その際にも専門家には民間人は入れるべきでないという意見もございます。それはいわゆる守秘義務の関係がございますから、いろいろ秘密の関係の事柄を扱うことになるかもしれない。そうすると、民間人を入れるのはまずいんではないかという意見もございますし、しかし、行政官庁だけでやったのでは専門家会議の意味をなさないではないか、こういう意見もございます。そのようにいろいろと意見の分かれるところでございます。そこで私は一応内海君に引き継ぎますときには、私は十二月の二十二日に退官いたしましたが、これはなかなかむずかしい問題だ、よくひとつ考えて善処していただきたいということで内海、後任の事務局長に引き継いだ次第でございます。
  370. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 そういうことで内海事務局長に引き継がれたわけでありまするが、十月から十二月の退任されるまでの間に国防会議事務局ではどのような作業がこの問題について行われたんでしょうか。実はこの専門家会議が翌年の八月になってようやく開かれるということになったわけです。だからその間非常に長く時間を要しておるということがまた問題なんですね。あなたの在任期間中はこの専門家会議について取り進めば全然行われなかったんでしょうか。
  371. 海原治

    証人(海原治君) 私は四次防の決定されました後、十一月の末から約二週間、アメリカからヨーロッパの方に回りました。これは四次防を制定されます前に一応防衛庁の方からアメリカの国防省に四次防につきましての御説明をなさっておられます。そこで四次防が正式に決定した後でやはりこれはアメリカの方に説明をする必要があると考えまして、総理に申し上げまして私がアメリカの国防省に四次防の説明に参りました。その帰りにヨーロッパに回りましてイギリス等の対潜哨戒やなんかの実態も見て帰ってきたわけです。その後で、出かけます前から後にかけましては、いま申しましたように、事務局の方に関係各省の方とこの問題の扱いを検討しといてくれということで出かけたわけです。帰ってきましてから参事官会議をいたしまして意見をとりましたら、いま申しましたように、構成員は大体十人前後がよかろうという意見は、大体でございますけれども、その中に民間人を入れろ、入れるなという意見でございます。これはなかなかむずかしいと思いました。もし私が引き続いてやっておりましたらこういうような問題がございますからということであるいはこの問題は改めて願い下げにしたかもしれないほどむずかしい感じがいたしました。そこで内海君にはなかなかこれはむずかしい問題で、こういう形で君に引き継ぐのは申しわけないけれども、私はやめることになったから、ひとつ君なりに新しい観点、視点で考えてくれ、こういうことで引き継ぎましたので、内海君はそれなりにいろいろと苦労されたことと思います。
  372. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 十月九日の国防会議、それから、閣議決定されました「第四次防衛力整備五か年計画の主要項目」というのがございます。  その中で技術研究開発につきまして大綱の場合とはちょっと違った言葉が書いてあるんですね。「対潜哨戒および早期警戒機能向上のための電子機器等の研究開発を行なう。」というように書いてありまして、大綱では、「装備等の研究開発」ということになっているのです。だから装備等が電子機器というように狭められたという解釈も成り立つのですが、そこはどういうふうにお考えであったんでしょうか。
  373. 海原治

    証人(海原治君) これは先生方御存じのような昭和四十七年二月の時点でございますので、あのときの大綱は文字どおり大綱でございます。そこで一応当時の物の考え方の大筋を決めていただいて結構だったのでございますが、その後もやはり大蔵両省の間でいろいろと完成機を考えるとか、いや部分的にいくとかいうことが問題になりました。そこで主要項目の決定のときにはそこの表現が実は事務的には非常にむずかしかったわけでございます。そこで私の事務局の参事官に、両省の間でひとつしかるべく合意できる文章をつくってくれということを私は頼みました。その結果できた文章があれであります。したがいまして、見ようによりましては大綱のときよりも狭まった感じがいたしますが、しかし何分にもこの種の問題は実は毎年の予算折衝の過程で現実には物事が決まってまいります。したがって、私どもの間の言葉で申しますというと、その主要項目とか大綱の言葉で、いわゆる言葉遣いでいろいろ議論するよりは、その予算のときにひとつじっくり詰めたらどうだ、こういうことでああいう文章で両省とも——大蔵省防衛庁が納得された、こういうことでございます。したがいまして、あるいはそれぞれのお立場で、その言葉に読み込む意味が違っておるかもしれません。
  374. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 最後にP3Cというのは大きな飛行機だと、そこで日本のような島国ではP3Cのようなものは要らないのだというようなことも海原さんの見解としてあるようでございますね。簡単にその点だけお答えを願います。
  375. 海原治

    証人(海原治君) その点につきましての私の意見は、P3Cの輸入とかあるいはPXL国産輸入という問題の前に、PXLが果たして要るのか要らないのかという議論がないのでございます。それをまずしていただきたい。およそ装備品を国産するか、輸入するかという問題の前に、それを持つか持たないかということの決定が絶対に必要でございます。それがなしに物事が進んでおる、それがおかしいのであります。  それから私なりの物の考え方から申しますというと、陸海空自衛隊、いろんな不備な点がございますけれども、私は私の人生観で、まず自分の足元を固めるべきであるという考え方から申しますというと、対潜哨戒機能という言葉の中には、実は六つのいろいろなファンクションと申しますか、手段がございます。そういうものを総合的に判断した上で、その中でのPXLの位置づけをすべきである。その後にPXLをどうする、こうするということになるべきだ。それがPXLが果たして要るのか要らないかという議論をもう全く無視して、当然にPXLが必要だという形での論議が進んでいるのに対しまして私は大いな疑問を投げかけた、それが私の意見の真意でございます。
  376. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 時間がありませんのでこの辺で終わります。大変お忙しいところをありがとうございました。
  377. 上田哲

    ○上田哲君 海原さんが有数な軍事専門家として、またこのPXLの重大なポイントに立っておられた方としてようやく出てきていただいたので、私どもここでわれわれの立場をはっきりさせておきたいと思います。  われわれはPXLはあなたとは違う立場、理由でありますけれども、そもそも要らないと。輸入であったらいいとか、国産であったらいけないとか、その逆であるとか、こういう立場はありません。これは、まあ理由は全然海原さんとは違うわけでありますけれども、しかし、いまここで議論するのは輸入国産の問題をめぐっていわゆるロッキード事件の疑惑があると、その問題を追及することであります。まあ海原さんにその不要論自身の議論をお聞きすることになると大変だと思うんでありますが、これはしばらくおかせていただく。  一つ伺いたいのは、あなたはPXL不要論を持論としてお持ちであっても、国防会議事務局長としては国産輸入かということの議論の中にその私見をお入れになっておられたかどうか。
  378. 海原治

    証人(海原治君) 私は昭和四十七年の十二月の二十二日に国防会議事務局長を退官いたしました。それまで五年五ヵ月事務局長をいたしておりましたが、その私の事務局長としての在任期間におきましては、PXLという問題は要するに研究開発の対象の一つでしかなかったわけであります。したがいまして、その必要とか不必要とかというような議論に入るまだ段階ではございません。
  379. 上田哲

    ○上田哲君 いや、私見を入れなかったと言えばそれでいいんです。
  380. 海原治

    証人(海原治君) 私見はあり得ないということです。
  381. 上田哲

    ○上田哲君 はい、わかりました。  そこで、問題は、きょうしぼって、四十七年十月九日を伺いたいのでありますけれども、ここでひとつ整理しておきたいのは、私どもはこれまで長い間の調査あるいは証言等々を、同僚議員の追及等々を含めてこういうふうに整理しているんです。いまトライスターでは逮捕者がどんどん出始めておりますけれども、ロッキード問題ということになると、いわば一本のなわをあざなうように、このPXL問題とトライスター問題は表裏しながら進んできていると思う。  で、ポイントは十月九日になるんですが、ロッキードから見れば、旅客機であろうが軍用機であろうが日本に対する売り込みは同じだ。きょうもある新聞にロッキード副社長の談話が出ておりますけれども、いまでも執拗にそう言っているわけですね。これは一本通っていると。この十月九日からこう見ていきますと、先ほどのお話にもありましたように、四十七年当初は日本に余ったドル、アメリカに向かってそのドルをどういう買い物で還元していくかということが最大の政治課題、田中内閣発足当時の問題であったと。そこで、その直前の佐藤内閣、四十七年の一月のサンクレメンテの会談でも、ニクソン大統領がT2とPXL国産ではなくて輸入にしてくれということを要請したと考えられる理由もあります。こういうアメリカ政府側の考え方、これはその後七月二十五日から二十八日にエバリー通商特使が来で、日本側といろいろ話をいたします。そして、あるいは八月十九日にキッシンジャーが来て田中・キッシンジャー会談が行われました。すべてこれはロッキード、トライスターへという話になっていたといま理解されつつあるんですが、その中にはさまって、八月の八日にワシントン駐在の玉川駐在武官からP3Cの電子機器の輸入オーケーが出そうだという極秘情報が海幕に届いている、日本に届いている。で、その辺からこうなってくるわけですね。そして問題の四十七年の八月三十一日、九月一日の田中・ニクソン会談でトライスターについての三億二千万ドルという大買い物の枠が決まると。これは全部トライスターで話は貫かれているんですが、もう一遍申し上げれば、このときはドル減らしということが問題になっていた。そしてロッキードの売り込みというのがぐっと迫っていた。玉川駐在武官がペンタゴンの極秘情報として、向こうの重要な電子機器、秘密兵器の一部であるP3Cの電子機器部分のリリースがオーケーであるよと言ってくる。その決定をするには大統領のオーケーがなければできない。その大統領のオーケーというのが出ているということは、アメリカ政府の意思はトライスターだけではなくて当然P3C問題につながってなきゃならぬ、こういうことにこれはもう論理的にならざるを得ない。したがって、インガソル・鶴見会談にしても何にしても、ホノルル会談ではトライスターだけが話されたんじゃなくて、もしそのときにアメリカがPXL議論してなかったら、これは話がおかしいということに当然なってきますね。もうちょっと先申し上げておきますけれども……。  そしてここに十月九日というのがあるんですけれども、十月三十日にはロッキードのトライスターを六機買うことを正式に決定している。ここに十月三十日がある。そして十月三十日の前に十月九日があって、ここで、いま非常に問題になっている、国産輸入にわれわれが逆転したと言う、全くトライスターと同じ逆転のドラマがここに出てくるわけですね。その十月九日を受けて、すぐ二日後には田中総理が輸入だとはっきり言っているし、十一月一日になると丸紅とロッキードの間に一機売ったら十五万ドルという契約が結ばれる。さらに十一月十五日にはMDAOが海幕担当者にP3Cの説明をする、さらにP3Cに岩国では自衛隊のパイロットを乗せて飛び回る。さらに六月には海幕がなぜか急にP3Cの方に向いてアメリカに照会を始める。四十八年七月二十七日には児玉の五十機売ったら二十五億円というのが出てくると。これをずっと見ますと、私ども調査してきたこの流れの中でいうと、トライスターとPXLというのは、両国政府の交渉の中で、ドル減らしということをひとつそのときのきっかけにしながら、十月九日をピークにしてこう一本になってきているわけですね。これが含まれてなかったというようなことになったら、これは大変理屈に合わないというのが、いろんな人々にいままで聞いてきたところで、われわれがいま確信している疑念であります。この疑念を解かなければ、このロッキード問題、PXLというのがどうしても国民には納得できぬというところにいまきていると私たちは思うわけです。  そこで、これを前に振って、こういう考え方を聞くんだということで、ひとつ後は事実関係であなたにお伺いするんだが、十月九日です。問題の十月九日。この十月九日——わずかに私は一時間半の問題、さっきの質問がありましたから助かったので、あの部分は重複させないようにいきますけれども、一時間半の問題をぽんぽんと聞きますから、ひとつお答えをいただきたい。  八時半から官邸で幹事会が開かれた。それはどこで開かれました。
  382. 海原治

    証人(海原治君) あれば首相官邸の小客間と申しますか、私、正式な名前は知りませんけれども、一般にそう言っているところでございます。
  383. 上田哲

    ○上田哲君 いつも写真に出る、総理が真ん中に座って、全部こういう広い部屋ですね。
  384. 海原治

    証人(海原治君) 違います。二階。小客間ですか小食堂ですか、ちょっとそこはいま私わかりませんが、二階の、わりに大きな、表に面した方の部屋だと記憶しております。総理の執務室、閣議室、その中間ではございません。ここはもう国防会議議員懇談会以外は従来使用いたしておりません。幹事会は全部別室でございます。大きな、二階に二つ部屋がございますが、そのどっちかを使っております。
  385. 上田哲

    ○上田哲君 はい、わかりました。そんな単純なことでもあなたが出てこないとわかりません。よくわかりました。  そうしますと、その幹事会に出席したメンバーは、時間を節約しますからこちらで読みましょうか。後藤田、吉國、島田、法眼、両角、矢野、あるいはそれに相澤、海原というようなメンバーが出ておりましたね。
  386. 海原治

    証人(海原治君) 資料の持ち込みがお許しいただけませんので、控え室のかばんの中にございますが、私の記憶で申しますと、そのほかに久保防衛局長も入っていたと思います。大体いまおっしゃったメンバーの方がおられました。
  387. 上田哲

    ○上田哲君 その場合の座長といいましょうか、議長といいましょうか、どなたがおやりになりましたか。
  388. 海原治

    証人(海原治君) 慣例に従いまして、官房副長官の後藤田君でございます。
  389. 上田哲

    ○上田哲君 はい、よくわかりました。  その幹事会で議題となったものは何ですか。
  390. 海原治

    証人(海原治君) 議題となりましたものは、その前の前の土曜日、この対地支援戦闘機というものをどうするか、輸入国産かという問題が預かりになっておりました。当日、土曜日は午後からある程度時間をかけてやりましたけれども、いろいろと技術的な問題が絡んでまいりますので、そこで小委員会のような形で関係の省次官レベルでもう一遍やろうということで、御存じのように一時中断いたしました後ホテルニュージャパンでいたしまして、八時までやりました。その結果の報告でございます。そこで、この問題につきましては御委任を受けて、いろいろと関係省庁の間で検討したけれども結論が出ない。そこで、この問題は国防会議の議員懇談会で議員方、すなわち大臣レベルのところで決めていただくことにする、ついては国産になるか輸入になるか、それに従ってそのときの文章は三通りぐらい用意しますということの御了解を得たわけであります。
  391. 上田哲

    ○上田哲君 時間が非常に足りないものですから、私もとんとんと聞きますから、その部分だけお答えいただければいいんです。つまり議題はT2及びT2改の国産輸入かという問題であったと考えていいですね。
  392. 海原治

    証人(海原治君) それが解決がつかないので、国防会議議員懇談会決定していただくことにいたしますという……
  393. 上田哲

    ○上田哲君 だから、テーマはそういうことですね。
  394. 海原治

    証人(海原治君) それだけでございます。
  395. 上田哲

    ○上田哲君 はい。テーマはそれであって結論が出なかったと。時間は三十分にも足らない時間だったろうと思いますが、いかがですか。
  396. 海原治

    証人(海原治君) 二十五分程度であったように日記を見ますと書いてございます。
  397. 上田哲

    ○上田哲君 そこで、座長であった後藤田さんが隣の総理執務室へお一人で説明に行かれたわけですね。イエス、ノーでどうぞ。
  398. 海原治

    証人(海原治君) その辺の記憶は私は定かでございません。だれがどういう順番で入ったかは知りませんが、御存じのように、後で防衛庁で当時の関係者のいろいろな思い出話を総合いたしました経過がございます。それに従いますと、まず後藤田君が総理の部屋に入る、続いて相澤主計局長が呼ばれると、そういうことになっておるようであります。
  399. 上田哲

    ○上田哲君 あなたが入ったという話も一部にあるんです、か、あなたは入っていませんね。
  400. 海原治

    証人(海原治君) 私にはお呼びはございませんでした。
  401. 上田哲

    ○上田哲君 残念でありました。  二階堂さんは入りましたか。
  402. 海原治

    証人(海原治君) 私は一時期官房長官が入られたと記憶しております。いつ入られたかわかりませんが、出てこられた姿は私は見ておりますから。
  403. 上田哲

    ○上田哲君 大体それは九時十五分ごろだった、ある人が時計を見たわけです。九時十五分ごろに、つまり九時から国防会議議員懇談会が開かれる定刻でありましたから閣僚は七人すでに集まっておられた。ところがいつまでたっても始まらないので、九時十五分になったので二階堂官房長官が呼びに入ったというのがまあ実態だと思っているんですが、その記憶がございますか。
  404. 海原治

    証人(海原治君) 官房長官がどういうわけで入られたか、そこまで私は考える余裕持ちませんし、また知りません。しかし、お入りになったということは記憶にございます。  それと、十五分というのはちょっと私の日記とは違いまして十分前後じゃないかと思います、おくれましたから。
  405. 上田哲

    ○上田哲君 この際、五分も大事ですけれども、正確で結構です。じゃ、十分程度の方に合わせましょう。  九時に始まるべき国防会議議員懇談会が十分余りおくれた。そこで官房長官が迎えに入った。皆さん出てこられた。出てこられたのは当然総理と後藤田、相澤の皆さんであったはずですが、そこで国防会議議員懇談会が開かれた。私はその議員懇談会の閣僚出席者は七名だと思っておるんですが、あなたの御記憶を念のためにたどってみましょう。いまの三木総理——当時副総理、植木大蔵、大平外務、中曽根通産、増原防衛、有田経企、二階堂官房長官等であったと思いますが、大体間違いありませんか。
  406. 海原治

    証人(海原治君) 科学技術庁長官おっしゃいましたでしょうか。
  407. 上田哲

    ○上田哲君 いや、言っておりません。
  408. 海原治

    証人(海原治君) 出席しておられます。
  409. 上田哲

    ○上田哲君 ああそうですか。
  410. 海原治

    証人(海原治君) それから慣例としまして法制局長官も出ておられます。それから官房長官、両副長官、そういうことであります。
  411. 上田哲

    ○上田哲君 はい、わかりました。その日によって増減がありますね。
  412. 海原治

    証人(海原治君) ございますが、大体において議員懇談会のいまのメンバーの方々がおおむね出ておられます。
  413. 上田哲

    ○上田哲君 よくわかります。  そこで、こうした皆さんが御出席になり、もちろん島田さんや久保さんや相澤さんや海原さんその他の方々がいらっしゃって、まあ確かにこの防衛庁からそのときのことがいろいろ説明が来ているんですが、これはもう細かいことは書いてないんです。それでよくわかりませんからもう少し詳しくここは伺いたい。  まず四次防の主要装備項目についてあなたが御説明になったんですか。
  414. 海原治

    証人(海原治君) これは慣例によりまして事務局長が一応議案の御説明をいたします。御説明ということは用意されました文案の朗読でございます。当日は御存じのような四十七年二月のあの国会の騒ぎを収拾するいろんな……
  415. 上田哲

    ○上田哲君 いや、もうイエスかノーかで結構です、イエスかノーかで。
  416. 海原治

    証人(海原治君) 私がやりました。
  417. 上田哲

    ○上田哲君 あなたがおやりになったんですね。
  418. 海原治

    証人(海原治君) はい。
  419. 上田哲

    ○上田哲君 はい、わかりました。  あなたがおやりになった。それからその後、総理が先ほど来林田委員お答えになったようなことを御発言になった、こういう段取りですね。
  420. 海原治

    証人(海原治君) 私の説明の後で防衛庁の方から説明があったかと記憶いたします。これは定かでございません。
  421. 上田哲

    ○上田哲君 その後、総理ですか。
  422. 海原治

    証人(海原治君) はい。
  423. 上田哲

    ○上田哲君 そこで先ほどの話にも出ましたけれども、あなたがお座りになっておられた隣に後藤田さんがおられた。そこでメモが渡された。メモが渡されたのは総理が御発言になる前ですね。
  424. 海原治

    証人(海原治君) そのように記憶しております。
  425. 上田哲

    ○上田哲君 ということはもう当然そのメモは後藤田さん以外の人は、非常に少数の方以外にはごらんになってない。そうですね。
  426. 海原治

    証人(海原治君) 私だけでございます。恐らく後藤田君は私が国防会議事務局長でございますから、専門家会議をつくるということについて一応こういう話があったということを知らせるためにメモをよこしたと思います。私だけであります。
  427. 上田哲

    ○上田哲君 はい、よくわかりました。  あなたはそのメモによって会議に向かって発言をされたわけですね。その発言は、そうじゃないんですか。
  428. 海原治

    証人(海原治君) 私は会議に対しては発言いたしておりません。後藤田君に、これは専門——何だということで後藤田君と私の間の私語でございます。
  429. 上田哲

    ○上田哲君 そうしますと、その結果として会議の中から文章にせよということにもなり、官僚の皆さんがお集まりになって、そのいわゆる了解事項の原文をお書きになるという経緯はどういうふうになるわけですか。
  430. 海原治

    証人(海原治君) それは総理の先ほど御説明しました御発言があり、全員の方が御納得になりましたので、じゃ、いまの決定、了承、申し合わせ事項を文章にいたしますということで事務方が集まって文章をつくった、そういうことでございます。
  431. 上田哲

    ○上田哲君 だから会議からその文章にせよということになるのには、あなたがそのメモに従ってメモをお読みになったか、あるいはそのメモを頭に入れて何かおっしゃったかわからぬけれども専門家会議云々というような種類の、性質のことをおっしゃった。そのことに対して了解事項というような文章にせよということになったのではないのですな、繰り返し。
  432. 海原治

    証人(海原治君) 私の御説明が悪いせいかもしれませんが、総理が専門家会議を設置してこのような高度な問題については十分に検討するようにしたいということの御発議がある、それに結構だということになる、そこでいまの総理の御発議を受けて文章にいたしますということで私が関係の方々に文章をつくってもらったわけであります。その草案がまとまったところでそれを受け取って、それで私から改めて先ほどの総理の御発言の趣旨、閣議が了承されました趣旨はいま一応事務方のつくった文章はこうなっておりますが、これでよろしゅうございますかと言って私が朗読いたします。それで結構だということで了解事項になるわけであります。
  433. 上田哲

    ○上田哲君 なるほど。大変すっきりしてきました。  そうすると、総理が専門家会議をつくろうじゃないかということをその席でおっしゃって、それを受けて文章作業が始まった。繰り返しますが、そうですね。
  434. 海原治

    証人(海原治君) あくまで、繰り返して恐縮でございますが、総理の御発議に従って議員全員の御同意があって、そこでそれが文章になったということであります。
  435. 上田哲

    ○上田哲君 なるほど、わかりました。  そうしますと、さっきお話しになった専門家会議というのはあなたがメモで受け取られた。後藤田君、この専門家というのは何だいとあなたは御質問になったわけですね。何のための専門家ということはわからなかったわけですか。
  436. 海原治

    証人(海原治君) 先ほど林田先生に御答弁申しましたように、私はそれを見た瞬間に、私の経験からこれはなかなかむずかしいと思いましたので、一体これは何だということを後藤田君に聞いたわけであります。しかし、その私語の間にすでにこちらの議事が進行しておりますので、もうその話は二人ではそこで終わりであります。
  437. 上田哲

    ○上田哲君 はいはい。だから、何の専門家会議なんだということをあなたは御存じなかったということはないんでしょう。
  438. 海原治

    証人(海原治君) それは専門家会議を設置、AEW、PXLとこう書いてあったように記憶しています。したがって、その二つの機種についての専門家会議、こういうふうに私は感じました。
  439. 上田哲

    ○上田哲君 なるほどわかりました。  先ほどの御質疑の中で、あの当時飛行機問題で議論すべきはT2、T2改のみであったと、だけであったと、こういう御発言がありました。しかし、ここに出てきたのはPXL、AEWですね。私は当然四機種というのが、四次防の主要装備項目を決定する国防会議議員懇談会の当然だれもの念頭にあるテーマだと思いますが、いかがですか。
  440. 海原治

    証人(海原治君) これは少し事実の経過を御認識いただきたいのでございますが……
  441. 上田哲

    ○上田哲君 いや、イエスかノーかでいいです。
  442. 海原治

    証人(海原治君) いいえ、イエスかノーかではちょっとこれは説明できないわけです。
  443. 上田哲

    ○上田哲君 念頭にあるかないかです。
  444. 海原治

    証人(海原治君) AEWというのは、これはレーダー警戒搭載機でございます。先ほど申しましたように三次防以前——ごろからの問題であります。前からの持ち越しであります。PXLは四次防でございません。将来の問題であります。したがいまして、その当面の問題四次防自体の問題はもし前からの懸案があればAEWと当面のこの対地支援戦闘機、この二つになるわけであります。なぜそれでは専門家会議のあの事項にそれが入ったか、これはそういう文章がつくられた過程は、私は先ほど申したようなことでございますので、そういう前からの懸案であるAEW、それから将来問題になり、恐らくいままでずっと大蔵省防衛庁の間で研究開発段階国産かどうかということがあった、その二つをここで検討してもらおう。そこでAEWとPXLがあそこに入ったと私は了解いたしております。
  445. 上田哲

    ○上田哲君 はい。質問を変えましょう。  T2、それからT2改しかそのとき議論の対象ではなかったというのは少し言い過ぎであって、当然PXL、AEWというのは四次防の主要装備項目の中で緊急性、将来度の時間的、期間の問題、金額の問題はあってもですね、このとき決定しなければならない項目の一つに入っているという認識は当然お持ちですね。
  446. 海原治

    証人(海原治君) そういう御認識は、これは誤りであります。何となれば、先ほど申しましたように、国防会議で詰めます前には、逐次参事官会議、幹事会で問題を全部詰めてまいります。したがいまして、四次防の問題点としては各省大臣まであらゆる段階でそういうものはつくっております。その段階におきましてPXLもAEWも出ておりません。したがいまして、先ほど申しましたように十月九日の時点において問題であったのは、対地支援戦闘機の輸入国産か、ただそれだけであります。
  447. 上田哲

    ○上田哲君 あなたはその非常に自信のあるところには敬意を表しますけれどもね、全然念頭にないものがどうしてそこで、たとえば総理の執務室で大蔵省主計局長がいったら急に挿入され、わざわざ総理が専門的にはわからぬけれども、そこでやっておけということになり、しかもそれが後ほどこれほど大きなことになるようなテーマとして取り上げられることになりますか。これはPXLは少し先の問題、T2、T2改というのはもう試作機の飛んでいる目の前の問題、こういう緊急性の度合いはいろいろあるでありましょうけれども、その辺のところを故意にですね、この問題はらち外にあったというようなお話は少しおかしい。私はまあここでまず議論をしてしまいたくはないのですけれども、さっきの御答弁の中で大変矛盾があったので一つ指摘しておきますけれども、総理がそんな技術的な問題はおれのところに出すなよと。だから、これは専門家会議を開けばいいじゃないかと言ったのだとおっしゃった。それについては何が問題なんだと言ったら、T2及びT2改が問題なんで、T2及びT2改の輸入国産か、F5のですね、あなたが主張されていた。そのことについて問題なんで、そんなことはそっちでやんなさいと言っていたはずのものが、話はそこしかなかったはずのものが、ところが輸入国産が問題になっているのはT2、T2改対F5ではなくて、実はT2、T2改とPXL国産じゃありませんか。PXL国産輸入かという問題に話がすうっと変わってきているじゃないですか。ここだけしか話がなかったんだとおっしゃるんだけれども、実はこのことを中心、PXLの問題を実はそのとき大きな問題になっていたんだというのがまさにその事実関係が示しているところです。これは私はやがて大きな矛盾になってくると思いますから、この点については時間がないから先へ行きますけれどもね。  そこでそのメモの中で伺っておきたいのは、あなたはそのメモが、あなたと後藤田さん以外ほかの人は知らなかったとおっしゃるわけです。そしてそのメモには、ちょっと伺いますが、白紙化とか白紙とかという言葉は書いてあったんですか、なかったんですか。
  448. 海原治

    証人(海原治君) 私の記憶では、ございません。
  449. 上田哲

    ○上田哲君 はい。その白紙も、白紙でないのも書いてなかったと。そして先ほどの御答弁では、これを書いたのは後藤田君ではないと思うと言われた。そうすると、引き算をいたしますと、これを書いたのはほかの人だれでもないわけですから、田中総理か相澤さんかということになってきます。いかがですか。
  450. 海原治

    証人(海原治君) 先ほどから先生の御意見を伺っていますと、先生一つのシナリオを持って私に御質問になっている。
  451. 上田哲

    ○上田哲君 いやいや、そんなことを言ってもらっちゃ困る……
  452. 海原治

    証人(海原治君) 私は証人であるから、事実だけを述べろということでございますので、事実を申し上げますというと……
  453. 上田哲

    ○上田哲君 委員長、違うなら違うと言えばいいのです。何ですか、この態度は。
  454. 海原治

    証人(海原治君) その辺のところが、いまのような引き算を私にしろとおっしゃることは、これは委員長、私の証言の範囲内でございましょうか。
  455. 上田哲

    ○上田哲君 当然じゃないですか。あなたがわからなければわからないと言えばいい。
  456. 海原治

    証人(海原治君) 私はそういうことについてはお答えする立場でございませんから……
  457. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 海原君に申し上げます。事実を証言してください。それだけで結構です。
  458. 海原治

    証人(海原治君) 私は知りません。
  459. 上田哲

    ○上田哲君 委員長に申し上げる。海原さんは、有数な軍事専門家であります。敬意を表します。しかし大きな税金を使う、四兆六千億円に上る国税を使う四次防の決定について、いま国民の疑惑を大きく集めているこの問題の核心をその場に立ち会って知っている人です。国民はあなたに向かっていかなる質問をする権利もあります。あなたはこれに対して知らなければ知らないとお答えになればいいのです。そういう態度では、長い間のお役人と強い自信が身についておられるかもしれないけれども、国会に対して非常に失礼であります。私どもは懸命にあなたに追及しようとしているところでありますから、答えられないことは答えられないで結構であります。私はあなたに無理は言いませんけれども、もう一遍お尋ねをする。  そのメモが後藤田さんによってあなたに手渡された。この出席者のこの経過の中では、変なところを通って急に空から舞い落ちてきたものではないわけです。非常に重要なメモであるわけです。このメモは、だれが常識的に考えても、後藤田さんがお書きになったか、相澤さんがお書きになったか、総理がお書きになったか。それ以外のところではないと想像することは、当時の状況——あなたはそこにおられたんですから——当時の状況からしてそのことが一番自然ではないのかと、こういう質問に対してはいかがですか。
  460. 海原治

    証人(海原治君) 私がいただきましたメモは、これは後藤田君が書いたものと私は考えます。何となれば、書体が後藤田君の書体でございます、メモは。
  461. 上田哲

    ○上田哲君 さっき林田さんにお答えになったのは、後藤田さんが書いたのではないとおっしゃったんではありませんか。
  462. 海原治

    証人(海原治君) 同じことを林田先生にもお答えしたのです。
  463. 上田哲

    ○上田哲君 ああそうですか。じゃあ私の聞き違いです。それは訂正します。じゃあ後藤田さんがお書きになったんですね。よくわかりました。  そこで、次の問題に移りましょう。この十月九日のいま一時間半、十月九日の一時間半、ここで国防会議は終わるわけですがね、——もう一つつけ足さなければならない。そのメモをお受け取りになって、いろんな人がいろいろ集まって、どっかの一隅でお書きになったというのですけれども、この執筆者はだれなんですか。
  464. 海原治

    証人(海原治君) 執筆者はわかりません。
  465. 上田哲

    ○上田哲君 大蔵省の長岡實主計局次長が書いたのではありませんか。
  466. 海原治

    証人(海原治君) 知らないことでございますので、知らないとお答えしますが、事柄の性質上は一応事務局の参事官が入っておりますので、私のところへその案文を渡した者は事務局の参事官であります。執筆はだれかとなると、これは合同執筆でございますから、だれだかわかりません。
  467. 上田哲

    ○上田哲君 たくさんの人がおられるわけじゃありませんので、これは委員長にお願いしたいのですけれども、海原さんが御存じないのは仕方がないかもしれない。しかしこれは白紙という言葉が当時の流れからいったら不思議に入ってしまったんだというのなら、その白紙というものをなぜ書いたのか、だれが書いたのかということは非常に重要なことになってまいります。こうしたことは明らかにするように、ひとつ今後の審議の中でお願いをしておきたいと思います。  いろいろ問題はありますけれども、当日の一時間半の姿というのはある程度明らかになってまいりました。これをもとにしてお伺いしたいと思うのですけれども、どうしてもこの十月九日を見て、われわれが先ほど来申し上げている疑念が解けないことは、この十月九日に向かっての一週間、この一週間が実にあわ立つ一週間なんです。海原さんね、国防会議の長い慣例というものは、議長である総理と事務局長であるあなたとが、慣例としては少なくとも最低一週間ぐらい前に式次第といいましょうか、議事次第ですね、議事次第、それから決定見込み事項等々については話をされる、そして日程をお決めになる、まあ御進講というのでしょうか、こういう説明もされている、これが常識だと思いますが、これは行われていましたか。
  468. 海原治

    証人(海原治君) 従来の慣例で申しますと、私が直接総理にお目にかかってどうこうということではなしに、官房長官を通じて物事を処理する、それが慣例でございます。
  469. 上田哲

    ○上田哲君 はい。そうしますと、この日の決定までの経過というのは大変あわ立っていてスムーズではなくて、あなたがまあ官房長官を通じてでも総理と打ち合わせをされたのであれば、その打ち合わせというのはスムーズにはいかない、こういう状況の中にあったわけですね。
  470. 海原治

    証人(海原治君) スムーズという言葉の解釈いかんでございますが、最後に残りましたこの対地支援戦闘機を除きましては、私の判断では幹事会議までにきわめてスムーズに事務の整理が行われたと思っております。
  471. 上田哲

    ○上田哲君 全くスムーズに行われていないではないですか。偽証とは言いませんけれども、これだけ大変な議論がそこまで持ち越されたというのがスムーズだということになると、字引の引き直しをしていただかなきゃならぬことになる。これはまあ海原さんは事務の方の仕事じゃなくて、防衛研究家だからいいのかもしれませんがね。私はそうじゃないと思いますよ。  その混乱がどこから来たかと言えば、その直前になって、日本有数の軍事研究家であり、防衛の大先輩であり、国防会議事務局長であるあなたが、突如としてT2、T2改の国産じゃなくて輸入にしろと、F5にしたらどうかということを強く御主張になった。スムーズになったとおっしゃるけれども、あなたの議論によって、たとえば島田、当時の防衛次官なんというのは、もう顔色がないぐらいに論破されて、言葉は悪いけれどもほうほうのていで帰って、専門家を連れてきて二回目、また会議をするというような会議すら、たとえば七日の日にも行われましたね。こういう大変な議論、当然そこまでいくことになっていたT2シリーズのT2からT2改が、輸入に変われという、こういうところをあなたがお出しになったというところが非常に唐突に感ずるんです。内容説明伺っているとまたあなたの該博な知識に時間をとられますので、私が伺いたいのは、この時期できそうもないことだとだれもが思ったのに、あなたはなぜこんな九日に決めなきゃならない、スムーズだとおっしゃるけれども、この時期のわずか二日前にあんなに激しい議論になったのですか。
  472. 海原治

    証人(海原治君) いま上田先生、あんなに激しい議論とおっしゃいましたが、実はそれが私にわかりません。それが第一点であります。  第二に、私が妥協案を出したと申しますのは、先ほど林田先生お答えしたとおり、大蔵省防衛庁がまるで正面衝突のような形でございますので、これはまずいと、一応ドル減らしに協力をすればどういうことが考えられるかということの案を考えてみたらどうだということは、私、事務局長でありますと同時に国防会議の幹事でもございます。その立場で一応防衛庁の方に頭からノーということでなしに、もしドル減らしに協力するとすれば、どのような案があるかぐらいはひとつ考えてみてくれということを私は防衛庁の方に言ったわけであります。強力に何々をどうしたということではございません。
  473. 上田哲

    ○上田哲君 まあ、その激しい議論というのは表現になりましょうから——ども調査したところでは非常に激しい議論だったと、そこで一たん中断をしてまた開いたということなんですから、これは大変なことだと思うんですが、そこはまあ当事者ですから激論ではなかったというなら、そんなことに私はこだわりません。ただ私、どうしてもわからないのは、F5ですね、特にF5でなくてもいいです。まああなたはノースロップと非常にいろんな知識的な御関係もおありになるかもしれないけれども、しかし、まあF5であってもなくてもいい、財政当局が国産ではないようにしたらどうかという根強い気持ちを持っていたのはわかる、だからあなたは十月の七日に議論をしていらっしゃるが、その五日前の十月二日に大蔵省がそれを言っておりますね、防衛庁に。だからあなたより先に大蔵省が言っていることが私どもよくわかるんです。しかし、実際にはその先頭に立ってF5をぜひ導入したらどうだということをあなたが強く主張されておるというのは、いろんな人々の、私ども調査の中に出てきているんですよ。だから大蔵省防衛庁の調整に当たったというのは実感としてどうしてもよくわからない。まあそこはあなたの御説明を一応ここで納得するとして、どうしてもわからぬのは、いかに大蔵省がそういうふうに言っていたとしても、T2は試作機が飛んでいる。T2をやればT2改は当然なシリーズだと、これは常識中の常識。これが常識であるんなら一番その常識を持っている日本有数の軍事専門家の海原さんが、国防会議事務局長という立場もありながら、ここでF5をこんなに強調されると、こんなにというのはあなたが違うとおっしゃるならなんだけれども、こんなにでなくてもですよ、海原さん、あなたがそのことを持ち出されるということの意味というのは非常に唐突だと、そういうお感じはお持ちにならないですか。
  474. 海原治

    証人(海原治君) これは私は決してそういう感じを持たないわけでございます。このこと、事実は後で知ったことでございますが、防衛庁でも航空幕僚監部の方に、仮にドル減らしでF5系統のものを入れるとすればどうなるかということで案を考えさしておりました。当時で空幕は五つの案を用意していることを私は最近知りましたが、その空幕の五つの案の中に私の案もあるわけであります。したがいまして、そのような国産と購入との折衷案というものは、決して唐突なものでもなければ、私だけが考えたものでもございません。当時の、いわば一つの至上命令的な形であったドル減らしということに協力すればこういうことが考えられるというそれだけのことであります。
  475. 上田哲

    ○上田哲君 ドル減らしについて、それをやるなら考えられるというのは一般論でしてね、海原さん、それならばもっと早い時期に議論するのは議論として成り立つと思うのです。ところが、問題の四十七年十月九日、四次防の主要項目がここで決まるというときです。そして、その、そこで決まろうという二日前に、あなたがこの辺を大変強調されるというところは、だれが考えても、だれがと言っているんじゃ一般論になるんなら困るけれども、私どもはそれぞれの立場で、たとえば三菱だとか、あるいは富士重工だとか、メーカーの方なんかもちょっと調べてみましたけれども、だれでもびっくりするわけです。こんなところは常識じゃない、常識ではない、普通の人が言うならともかく、海原さんが言われるというところに千釣の重みがあったわけですよ。あなたはその重みをよく御存じの方なんだ。防衛はおれのものだと思うぐらいの自信をお持ちの——確かに実力もおありになる、その方が、いわば調整権限かもしれないけれども国防会議を握っている事務局長——ここで私はT2とかT2改の国産賛成なんじゃないですよ、さっきから申し上げているように。そこへそういうF5をぶつけてくるというのはどう考えでも、だれでもそのとき奇異に感じたということを、あなただけはお感じにならなかったということになりますか。
  476. 海原治

    証人(海原治君) 同じことの繰り返しで恐縮でございますが、国防会議事務局長は、要するに国防会議での議事の整理のために、いろいろ問題点を明らかにし、それに対する解決案を用意し、調整することが職務権限でございます。したがいまして、仮に私が、先生のおっしゃるように特定の機種を推薦いたすとしましても、それは何の意味もないことであります。私はあくまで大蔵、防衛両省の間の意見の衝突、外形上はそう見えました。それの調整のために当時の官房副長官の後藤田君を助けまして、私が、こういう案も考えられるではないかということの案を提起した、それだけでございます。
  477. 上田哲

    ○上田哲君 はい、わかりました。  そうしますと、その十月七日の国防会議幹事会で、あなたは激論でないとおっしゃるから、そんなこと争いませんけれども、二回にわたってその議論が行われたその翌日、七日は土曜日ですから八日は日曜日であります。日曜日にあなたは大蔵省へ出かけられてこの問題をお話しになりましたね。
  478. 海原治

    証人(海原治君) 大蔵省に参ります前に、まず私は防衛庁の久保局長に会いまして、久保局長と、当時の伊藤防衛課長、このお二人に、見てると正面衝突のようになってまずいと、そこはひとつこういう案も考えられるということの余裕をもって考えてみてくれぬかということで、まず防衛庁に話をします。それから大蔵省の宮下主計官のところに参ります。そこで、いまこういう話をしてきた、それからあと後藤田君の私宅に参りまして、一応こういうことも言っておいたということで私は帰りました。それだけであります。
  479. 上田哲

    ○上田哲君 よくわからないんで、ポイントは、当然久保防衛局長は国産でなきゃ困ると言われたはずですね。——ははあそうですが、久保さんは国産でなくとも構わないというようなニュアンスが少しでも、少しでもあったんですか。
  480. 海原治

    証人(海原治君) 国防会議事務局長が調整で動いておりますので、そういう場合の答えとしては、当然、わかりました、検討いたしますという答えになるわけです。それは久保君の答えであると同時に宮下主計官の答えでもあります。
  481. 上田哲

    ○上田哲君 もう一点確認しますがね。久保さんはT2及びT2改をF5に変えても了解しますということだったんですか。
  482. 海原治

    証人(海原治君) そういうことでございませんで、私の申しておりますのは、一応輸入、ドル減らしのための輸入考えたらどうなるかという案もあるではないか、たとえばFsBという練習機を取り入れる、しかし、対地支援戦闘機は国産でいくと、そういう考え方もあるだろう。とにかく聞く耳持たぬという態度は困るということを私の立場で助言をしたわけであります。それだけであります。イエスとノーともございません。わかりましたという返事であります。
  483. 上田哲

    ○上田哲君 海原さん、ちょっとそれは無理ですよ。あした決まるんですよ、あした決まるその前の日に、一般論として考える余地もあるじゃないかという余地はもうないわけですよ。T2及びT2改しかないんで、それがいけなきゃF5にしかならないんですよ。F5Bですね、この場合。そういうことを、余裕があるとかないとかということを、久保防衛局長がにわかに政治家になって受け答えしたとなると、私はちょっと耳を疑うんでありますけどね。まあそれは後ほどまた確認いたしましょう。  そうすると、あなたはそこで防衛庁から、場合によっては防衛庁がかたくなにT2及びT2改の国産一本ではないのだというような感触でもつかまれたことになり、そのことで宮下主計官にお会いになって、何とかその辺は、たとえばT2は二十機ぐらいでとめておくとか、ある一定の線からは輸入に変えるとか、T2改をどうするとかというような調整案というものを、まあいろいろ出ていますけれども、そういうことがあり得るという感触を八日の日にはお持ちになったわけですか。
  484. 海原治

    証人(海原治君) 私は特別の感触を得ておりません。
  485. 上田哲

    ○上田哲君 そうすると、大蔵省ではあなたは結論的には何をなすったんですか。
  486. 海原治

    証人(海原治君) 私は宮下主計官に会って、私はこういう話をしてきたということを、あとはひとつまだ大蔵両省で詰めてくれということで帰ったわけでございます。
  487. 上田哲

    ○上田哲君 スムーズに進んだとおっしゃるのはおかしいじゃないですか、先ほど、そうしますと。あした決まらなきゃならない、朝の八時半から開かれる幹事会を前にして、調整役のあなたが後輩の久保さんや宮下さんをわざわざお訪ねになって、日曜日お仕事をなすったことはそれで結構だが、それをスムーズとは言えないでしょう。両方意見は、あくる日になって結局何にも決まらなかった。後藤田さんが座長になって結局何にも決まらずに、そのまま持ち込むことになってしまった。これが四兆何千億円の大変な四次防装備項目を決めようというときの段取りとしてはスムーズだと言えないと私は思うんですよ。
  488. 海原治

    証人(海原治君) これは私の記憶違いかもしれませんが、先ほどの私の発言の際には、私は対地支援戦闘機の問題を除いてはと申し上げたつもりでございます。もしそう申し上げてなければ、そういうふうに訂正さしていただきます。対地支援戦闘機の問題を除いては何も問題はございません。先ほど林田先生にも申しましたように、十月九日の前後の事情におきまして問題であったのは、ただ一点それだけであるということを申しております。
  489. 上田哲

    ○上田哲君 FST2改を除いてはということは、その段階では議論として成り立たないんですね。何でそれを除いて、たとえば支援戦闘機FST2改の問題を除いておいたら話はスムーズにいくんでしょう。あくる日それを決めるのではありませんか。私は、どうも、そこよくわかりません。海原さんね、その話をしていくと、恐らく平行線をたどっていくんだろうと思うんです。それは主張すればそれだけのことです。ずばり私はお伺いしたい。この時期にあなたは防衛専門家として主張されたというのは、それはそれでいいです、F86のときもそうですから、あなたは。それはそれでいいです。それは一つのパターンだろうと思う。しかし、この時期に、この時期にT2、T2改のかわりにF5と、F5でなくても輸入をということを明くる朝の国防会議議員懇談会決定をすることができるなどとはあなたはお考えになっておらなかったと私は思うんですが、いかがですか。
  490. 海原治

    証人(海原治君) 私は、私自身別に防衛専門家とは考えておりませんし、私が事務局長のときには事務局長としての行動をいたしたつもりでございます。そして、あの時点においてそういうことは無理だろうとおっしゃいますが、後で新聞を読み返してみますというと、日曜日の朝日、毎日、讀賣各紙とも、輸入ではないかという方向での記事を書いております。
  491. 上田哲

    ○上田哲君 あのね、そのとき大蔵省防衛庁は激しくやり合っていたということになるんです。そこで、激しくやり合っていたということになるので、両方に向かってあなたが調整されたということはそれらしいように思えるんです。大蔵省は、それでは伺いますが、あくまでもこの際輸入で突っ走ろうという決意を八日、その段階まで持っていましたか。
  492. 海原治

    証人(海原治君) 大蔵省の真意なり決意なりは私にはわかりません。
  493. 上田哲

    ○上田哲君 顔つきで真意や誠意はわからないんですよ。しかし、主計局長はゴルフに行っていましたよ。主計局長がゴルフに行っているようなことで私は真剣だとは思えない。宮下さんから電話があったのも、実は島田豊さんたちが、防衛庁側が、何とかして話し合いたい——実はここに全く、私はもう時間の関係もありますからきょうはここにしぼるんですが、しぼって言うと、二つの大きななぞがあると思うのはそこなんです。T2及びT2改というのを、この七日だ八日だという段階になって急に変えるなんということは常識で考えて不可能です。PXLは後でもっとじっくりやりますが、PXLだってもう二年にわたって、名目上は三年にわたって、三年目には六億九千万円に上るほどの研究開発費がついている。億の単位の開発費がついたら、まあ国産というのは普通は常識ですよ。だから、そこで変わったんだって大逆転になるんですけれども、もう一つ前のT2及びT2改がここで輸入に変わろうなどということは、どう考えたって常識じゃ通らないんです。だから、それが大きな対立があったんだとなれば、大蔵省防衛庁が対立していなければならないんです。日曜日でも確かに防衛庁はみんな集まって、大臣以下庁議を開いていたのです。だから、大蔵省のだれか話に乗ってくれる人はいないのかと一生懸命探したら、肝心かなめの主計局長はゴルフに行っちゃっている。いないんです。それで一生懸命探した。ゴルフを見つけた。夜になった。宮下主計官がT2、T2改は国産にするよという返事を、もし、この電話もよくわからぬのですが、あったとすればそういう返事をしたということにしかならない。つまり、あなたは人の顔はわかりませんとおっしゃるんだから、ここのところはもうこれからまた詰めていって、もう一遍あなたに来ていた、だかなければしょうがないんだけれども——またお願いしますよ。また来ていただかなければなりませんけれども、そのときは大蔵省はもう輸入問題というのはあきらめていた、あるいは投げていた、考えてなかったということになる。——ここのところがどう考えてもわからないというのが一つ。海原さんは持論としてのノースロップを、軽飛行機を入れろということをもってその上に乗せられていたピエロだとは言いたかないが、当時、そういうことを言っていた人もいる。私はそうは絶対思いたくないが、そういう大きな政治の軸がそこで回っていたのではないかというふうに考える方が論理は通るんですよ。  そこで、これは私のいま推論に属するということになるでしょうから、もう一つの大きな不思議を言っておきます。その、まさに十月九日のさっき申し上げた八時半から幹事会が開かれたが、十月九日という日はもうちょっと早く始まっている。七時前から始まっているというのが、増原防衛庁長官が目白台の総理官邸に七時前に飛び込んでるわけですね。そうして、T2及びT2改を何とか国産にしてください、総理、と言って、何と一時間半と言われているんですけれども、これはあなたにお伺いしてもしようがないんだが、確かに大体そんな感じのようです。七時前から一時間半ぐらい、八時半近くまで、少なくとも八時を過ぎる段階まで、懸命にT2、T2改−私は、田中総理はそのときに一人だったので、T2、T2改なんてことを言われたってわからないと思うんです。これは無理はないと思う、技術的には。そこで田中総理は何にも答えなかったんです。だから、増原さんは帰ってきて、何にも答えてくれなかったという気持ちになっているんですね。増原さんがなぜ飛び込んでいったか。前の日に大蔵省からもうT2、T2改は大丈夫だと言われているなら、総理のところに走っていく必要はないわけじゃありませんか。これは、防衛庁は大変にひとりで驚いて飛び回ったわけです。その事情は御存じですか。
  494. 海原治

    証人(海原治君) 私はその辺の事情は全く承知いたしておりません。
  495. 上田哲

    ○上田哲君 あのね、当時石川幕僚長は外遊してました。防衛庁というところはいよいよ退官直前にはヨーロッパ旅行ができるようで大変結構なところですけれども、イタリーからフランスを通ってドイツへ行ったときに、白川副長から電話が入って、大変だ大変だ、海原さんが一生懸命やっているので、T2、T2改が国産がだめになる、F5が入るというので、石川さんはびっくりして、じゃあ日本に帰ろうかという事態があった。まあ帰らぬでもいいだろうというので、石川さんは増原さんのところへ電話をして、T2、T2改の国産絶対守ってくれ、F5はだめだと、こういうことを言った。そういう事態があったんですね。——と、われわれは了知しています。防衛庁の騒ぎというのはこのとき余りにも大変な感じがするんです。  そこで、どうして防衛庁がこういうことになったかというと、海原さん、あなた方の力は大変なんですよ。つまり、総理はそういう立場であった。ところが、総理は、防衛庁長官が朝そんなに早く飛んでいったのに、何にも言わなかった。一時間余りそこにいて、何にも言わなかった。ところが、総理は国会に来られて国防会議議員懇談会に出られるのは、その間、ほんの三、四十分です。長くて四十分、短くて三十分を切っています。ところが、そのわずかの時間の間、九時の、九時ちょっと前から九時十何分とあなたがおっしゃったその時間です。この間に後藤田さんと、決まらない会議結論を持って入った後藤田さんと前の日ゴルフに行っていた相澤さんを呼んだら、そこでこんな大変なことが、国産両方いく、PXL輸入だったら、ばあんと決まるんですか。日本政府というのは、国防会議というのは、四次防というのはそんなに簡単に決まるものかどうかというのをちょっと一言聞かしてください。
  496. 海原治

    証人(海原治君) 上田先生の私への御質問の意味がよくわかりませんのですが、増原防衛庁長官が総理のところへ行かれた。そこでいろいろと陳情された。これに対して総理は何も答えなかった。私はこれは当然のことだと思います。何となれば国防会議で物を決めることになっておりますから、その防衛庁長官だけが行かれて、それに対して総理が、議長である総理がいいとか悪いとか言えるはずがないと思うわけです。防衛庁長官は防衛庁長官のお立場で総理に直訴されたんでございましょうが、前から申しますとずうっと問題は詰めてきておりますから、九日の国防会議議員懇談会国防会議でそれは決めるとなっております。それはあくまで会議で決めるわけであります。総理は議長であります。そこで増原防衛庁長官だけが行かれてどうぞこうしてくださいと言われましても、仮に私が総理であればそんなことはここには言えないよということになる。それは後で検討しようと。恐らく総理はそれからもずっと国防会議までの間お考えになったと思います。その結果が先ほどのようなことになったと、こう私は推察いたします。
  497. 上田哲

    ○上田哲君 大変はっきりしてきました。そうすると、二つしかないんです。総理は決まっていなかったから言えなかったということと、決まっていたけれども言えるはずがないじゃないかということにしか、二つしかならぬのです。あなたは決まっていなかったから総理は——決まっていなかったから総理は言えなかったんじゃなくて、決まっていたがそんなことは言えないじゃないかということになるわけですね。
  498. 海原治

    証人(海原治君) 私はそういうことでは決まらないだろうと申し上げたわけです。総理がいつ決心されたか、それは私は総理に直接伺っておりませんから、これはわかりません。しかし、増原防衛庁長官が、いま上田先生がおっしゃいましたように、一時間以上の陳情をされる。それに対してお答えがない。そのこと自体は私は当然のことではないかと思うわけであります。
  499. 上田哲

    ○上田哲君 だから、そうするとですね、ひとつ消していきましょう。二十分か三十分、ゴルフに行っていた前の日の主計局長を呼んで、その幹事会の座長で結論がなかった副官房長官を隣に置いてそこで即断できるというようなものではないでしょう。どっちなんでしょうかね、これは。あなたは国防会議事務局長だから十五分か二十分でそこでぱっぱっと決まるんなら事務局長としては等閑視しているわけにはいきませんね。どういうふうにそのときのことを御理解になっていたかということだけは伺っていいばずであります。
  500. 海原治

    証人(海原治君) 総理のところにいろいろと陳情されましたのは防衛庁長官だけでなしに民間の方も行っておられたと聞いております。そこでこの問題はやはり後藤田副長官から、総理は少なくとも土曜日、日曜日あたりいろんな情報を聞いておられると思いますから、それなりにお考えの上で最終的な決断を十月九日の会議の席にこういうことにしたいがどうだという形の御発議になった、こう思いますので、先生のおっしゃいますように十分や十五分で決心したということではないと私は思います。
  501. 上田哲

    ○上田哲君 いいでしょう。十分や十五分で決心したことでないとすると、その前に決まっていたということになる。決まっていたから主計局長もゴルフに行ったということになる。知らずに防衛庁は大臣以下みんな日曜日にもかかわらず、ゴルフに行って留守になった主計局長以下を追い求めていたということになる。大変奇妙な図柄がここに出てくるんですよ。防衛庁がどうしてこんなに一生懸命になってT2、T2改というのを国産にがんばろうとしたか。三菱との関係だ、何だという議論はいろいろあるでしょう。あるでしょうけれども、もう一つ問題はね、総理がどうやら危ないと。もっと言いましょうか。何しろここではこの問題を握っている後藤田さんがそのようだ。そして、親友の海原さんがそのようだ。まあ親友という立場で言っちゃいけないな。実力者海原さんがそのようだ。そして、相澤主計局長も異存がないということになっている。これは間違いない。そこへ総理が乗ると。この四人がやられたんじゃですね、精強防衛庁としてもこれは歯が立たぬですよ。これが防衛庁の増原長官をして朝そんなに早く、しかもかき口説くようにして一時間余りも議論をしたというその姿になると。まあ私は防衛庁まとめてここでピエロと言うつもりはちょっと酷だと思うんで言いませんけれども、この図柄は明らかにこんな時期にT2、T2改をだれもの常識に反して押し込んでこようということができない以上、わかり切っているT2、T2改を国産ではなくて輸入だぞと言って持ち込んでおいてゆすぶって、防衛庁が走り込んで、ここでT2、T2改が過去の経過もあることだから国産になったかわりに、まさに九時十五分じゃないですか。中に入った相澤局長がかわりにです、それは認めましょう、前の日からそう言ってんですから。それは認めましょう、しかしPXL輸入ですよということになる。この段取りができたと考えるのがこれどう考えてもわれわれとしては筋道になってくるんですよ。あなたがね、あなたがそのために黒い役割りを担ったかどうかなんということを私は申し上げているんじゃない。客観的にそういうふうになってしまったんじゃないかと思う。この疑念を晴らさなきゃならないんです。私はあなたが小佐野さんと前からごじっこんであるなどということを週刊誌にお書きになったりしているのを読みましたけれども、そんなことで疑ったりなんかして言っているんじゃありません。客観的なメカニズムはそういうふうに動いたというふうにしかならぬのじゃないか。たとえばそういうことを当局から聞かれているとか、そういうことはありませんか。
  502. 海原治

    証人(海原治君) 当局とはどういうことでございましょうか。
  503. 上田哲

    ○上田哲君 いわゆる取り調べ三局であります。
  504. 海原治

    証人(海原治君) 東京地方検察庁には私先月の二十四日の午後と二十五日の午後事情聴取に参りました。それだけでございます。
  505. 上田哲

    ○上田哲君 その問題はどうでしたでしょう。
  506. 海原治

    証人(海原治君) その問題というと、ずいぶん上田先生は多くの問題に触れられていますね。どの問題かはっきり言っていただきます。
  507. 上田哲

    ○上田哲君 T2、T2改というのはもうわかり切った国産路線であったんだが、これが突如として揺さぶりをかけられることによってPXLというのが輸入にかわるという段取りになったんではないか。ね、海原さん、だれがなんということをいまきめつけるとか、そんなことは私絶対しませんよ。しかし、流れがそういうふうに流れたんではないかと思わせるさまざまな流れがあり、そして明らかにこの十月九日のこういう唐突な動きの中で、その後ロッキードと丸紅が一機十五万ドルという大変な契約を結び、ロッキードと児玉が五十機二十五億円という契約を結んでおるんです。どっかでそういうことが行われる。と言うのは、こういう陽動作戦が行われたのではないかとまず普通に考える、こういうふうな聞かれ方はないんですか。
  508. 海原治

    証人(海原治君) いま上田先生がおっしゃったような形での質問はございません。
  509. 上田哲

    ○上田哲君 私はまだ多くの問題がここにあると思います。海原さんにどうしても聞けない問題もありますし、たとえば大きな項目で言えば、委員長、トライスターというのは民間会社が買うわけですね、あの大きな飛行機を。しかし、このP3C、PXLというのは、輸入である場合には防衛庁が買う、国が買うわけです。だから、事柄は単純だとも言い得るし、重大だとも言えるわけですね。ここのところが両国政府のからまってくる問題にもなる。ガラス張りになりゃ問題はないんだけれども、ここにどう考えても理解できない手数料契約が二つも出てくる。となれば、あの大変な精力的なコーチャンが証言しているように、そのことの意味があるからだということになる。これは解明しなきゃなりません。そうすると、幾つかの問題が出てまいります。海原さんが何らかの意図を持ってやったかどうかなんてことをきめつけるつもりは全くありませんが、少なくとも大蔵省が十月の二日に、九日を前一週間の十月の二日に突如としてT2、T2改の輸入ということを言い出したこと、あるいは海原さんがそれに一緒におなりになったこと、あるいは専門家会議云々とおっしゃるけれども、ここでは明らかにT2、T2改ということになっているんだが、ねらいはPXL。なぜなら、トライスターに比べればPXLは十倍の値段ですよ。ロッキード商法がこれを見逃すはずがない。このことだけやって、トライスターだけをやってP3Cを売らないでいいなどというこんなはずがない。こういう問題を考えただけでもこの逆転劇というのは多くの人々の証言を必要といたします。相澤さんにたとえばいまのような話を、あなたは総理とどういう話をされたのか、伝えられているところでは三人しかいない部屋ですから、その三人しかいない部屋で総理がT2、T2改は国産にするよと言われた。海原さんの御証言ではっきりしたことは前から決まっていたと思うということです。前から決まっていたとすれば、決まっていたことをもわかるのはそこにいる三人しかないです。そして、その中でT2、T2改というのが決まっていたんなら揺り戻しをしたというのはおかしくなるわけですが、そのときにすかさずそれじゃPXL白紙にしてくださいよ、輸入にしてくださいよ。二日後に外人クラブで田中総理が輸入にウエートを置いてということをスピーチされているんですから、田中さんがそれから二日間にわかに勉強されたとは信じない。そういう流れがそこにあったということにならざるを得ない多くの疑惑があります。私どもは国民の立場からこのことを明らかにするためにすでに委員長にお願いをしております多くの証人喚問をぜひここにお呼びをいただきたい。聞くところによると衆議院では、証人喚問はこの際逮捕者が出たのでやめようということを与党の側から提起されたと漏れ承りますけれども、参議院は決してそんなことのないように、ぜひひとつ国民の疑惑と怒りの先頭に立っていまこの問題の審議、追及を全力でする、トライスターほど華やかではありませんけれどもPXLはぜひひとつがんばっていくことをお約束をいただき、海原さんどうも御苦労さまでございました。
  510. 黒柳明

    ○黒柳明君 御苦労さまです。長時間、また何回も立ったり座ったりお疲れだと思いますけれども、公明党の黒柳です。質問します。  いまの一番最後のことで出ましたものですから、関連してお聞きしたいと思います。あるいは失礼な質問かと思いますけれども、当局の事情聴取を受けたと、こういうことでありますんで、ひとつお話しいただけますならば、二回にわたってのどういうことがその事情聴取の主眼であったか。また、昨日運輸関係の人が政治家の名前も出して事情聴取をされたと、こういうことありましたもので、関連として海原さんの場合にはそういう政治家の名前がその間に出てきたのかどうか、この二点。
  511. 海原治

    証人(海原治君) 私が事情聴取をされましたのは、先ほど来諸先生方から御質問受けておりますような、このいわゆる白紙還元につきましての前後の事情でございます。  それから第二の、政治家の名前が出たか、全く出ておりません。
  512. 黒柳明

    ○黒柳明君 いまの質問者も言いましたが、私も海原さんは現行、現在の防衛の第一人者だと、こういう認識をいままでしておりました。この事件関係につきましてもその観点から造詣の深い発言なりあるいは執筆なりコメントをしております。そういうものも踏まえて質問の材料にさしていただきたいと、こう思います。  冒頭に、順序はちょっと前後いたしますが、先ほどの質問に関連しての観点からお聞きしたいと思うんですけれども専門家会議、これは午前中も専門家の一人である土屋さんからいろいろ意見を聞きました。非常に無理があったなと、こういう判断を受けました。いま海原さんも個人的な意見であると、こういうお断りがありまして、十ヵ月ブランクになった、本来ならば内海さんにこういうことをお引き受けしてもらいたくないんだけれどもと、こういうこともありまして、専門家会議をつくったことは無理であったと、無意味であったと、こういう発言が個人的な見解として出たわけですが、これいまおっしゃったお言葉ですから別に確認の必要もないと思いますけれども、これもう一回確認さしていただきます。
  513. 海原治

    証人(海原治君) いまの先生のお言葉で十ヵ月というのは私は……
  514. 黒柳明

    ○黒柳明君 いやいや、そこのところじゃない、いまの。それは前の土屋さん終わっているから、いまの。
  515. 海原治

    証人(海原治君) 私は、先ほど申しましたように、専門家というものの意味がよくわかりませんし、それから各省によって民間人を入れるか入れるべきでないかということがございます。そこで、非常に無理なことになるだろうという判断を持ちました。
  516. 黒柳明

    ○黒柳明君 そこで、無理な専門家会議をつくれと、こういう指示があったのは、先ほどから話聞きますと、十月九日の懇談会の席、正式な議員会議になったか、これはわかりません。これは何かと並行してなったらしいですね、内海さんに聞きますと。その席上で田中総理から発言があった。最終的には出席者の了解を得たと、こういうことですよ。だけれども、間違いなく発想は後藤田君じゃなかろうと、親友だから、もしそうであればいままで私に言ったはずだと。そうすると、田中総理はそこで発案したということはこれは間違いない。あるいは総理自身の考えじゃないかもわかりませんよ。若干、プラスだれかの意見もあった。だけれども、発言したのは総理であることは間違いない。そうするとこの総理の発言から、出席した議員がオーケーになって、了解事項になった、間違いありませんですな。その発言に無理があったのじゃなかろうか、またそう受け取らざるを得ないと、こう思うんですが、いかがです。
  517. 海原治

    証人(海原治君) 国防会議のこの会議は、どなたが発言になりましてもともかく会議の議員全般の方々の合意が成立しなければ決定されません。したがいまして、総理の御発議であるからどうこうということには私は考えておりません。したがいまして、出席されました方が全部それでよかろうということに御判断になったわけでございますから、無理であったとすればそれは全部の判断が無理であったと、こういうことになります。
  518. 黒柳明

    ○黒柳明君 その全部の判断、やっぱりその発言をしたのは総理ですから、確かに総理の発言によって全部の判断が無理があったと、これはいいですよ。これは私そのとおりだと思います。ただし、まあ無理であったかどうか、海原さん個人として無理であったという専門家会議をつくらす、そういう議員がオーケーをさせた、その発言したことは、発言したのは総理であることは紛れもない事実。ですから海原さんの意見をさかのぼっていくと、総理の発想、あるいは総理自体発想じゃないかもわかりません。プラスアルファの人が発想に加わっているかわかりません。だけど、いずれにせよ了解事項までなって、今日の非常に疑惑をもたらしたその原因は総理の発言であることは間違いない。その総理の発言について無理があったという論旨は、これはもうどう考えたって常識の範囲でお認めにならざるを得ないんじゃないでしょうか。
  519. 海原治

    証人(海原治君) 先生のお言葉で私が申しましたものを——要するに無理があったとすればと、こういう先生の言葉をそのまま受けたわけでございますが、私はむずかしかろうと、専門家会議、これはいろいろ条件ございますので、なかなかこれはできないんではないか、非常に困難な問題であると、だから内海君十分考えてみてくれと、こういうことで引き継いだわけでございまして、事務方としましては、上の方での発想を受けて十分にそのことの是非と申しますか、うまくいくように検討するのが責任でございますから、そこで検討した結果、だめならだめと、やるならやるということでございまして、内海君は十分に検討した結果あのような形での専門家会議発足させた、これは私全部善意で動いていると思います。
  520. 黒柳明

    ○黒柳明君 わかりました。  それじゃ、余り前言ったことやなんかあれすると——いまの言葉を引きましょう。困難であろうと思われた専門家会議、その発言の主体者は総理であること、これはもう客観的に間違いないですな。
  521. 海原治

    証人(海原治君) これは何度も申しまして恐縮ですが、そういうことを言い出されましたのは総理でございます。
  522. 黒柳明

    ○黒柳明君 言い出されたのは総理である。最終的には国防会議の了承がなければ、またそれも変則な了解事項となったんですよね、これはもう海原さんも言っているように。そうすると、私はどうしても総理の発言に、まあ無理とか無意味、これはさっきおっしゃった言葉ですよ、それをぼくは引いたんですよ。ちゃんとメモ書いてあるんですよ、さっきの言葉を。これは海原さんの言葉なんですよ。無理があった、無意味であったとおっしゃったんですよ。いまはそれが若干困難であろうと、こう思われている。いいですよ。その震源地は総理の発言からである。これは間違いない、これはもう何回念を押したって同じですから、これはもう客観的事実であります。総理のこの発言から非常に無理な専門家会議、あるいは輸入国産かと言って大きな疑惑を招くいまのPXLの問題に発展したと、こういうこと、これは間違いないと、私はこういうふうに思います。また、海原証人証言もそれを裏づけていると、こう思います。  さらに先ほどの発言、またお伺いしますけれども白紙、これはメモにはなくて事務局が書いたんだろうと、こういうことですわね。それから、専門家会議を設けてPXLとAEWの検討、これがメモで来たと。ところが、メモの中にはPXLとAEW、これは専門家会議、T2改のこと、この国産と、これは出ていたんじゃないでしょうか、メモには。
  523. 海原治

    証人(海原治君) 出ておりません。
  524. 黒柳明

    ○黒柳明君 出てない。そうすると、八日の幹事会、九日の朝の幹事会、この幹事会で、本来ならば八日の晩に後藤田さんの自宅に島田さんも海原さんも行った、そこで……そうじゃないですか。まあいいでしょう。要するに九日の幹事会では決められた問題じゃないですか、T2改の国産化というのは。なぜかならば、八日の朝の防衛庁の内局では、PXL国産化断念しよう、それからT2改は国産化決定だと大蔵省防衛庁の合意ができた、これを島田さんが後藤田さんに話に行ったんでしょう。ここで了解した、これは防衛庁長官も発言していますからね。そして九日の朝の幹事会では、これは合意できたんじゃないんでしょうか。なぜここで合意しなかったんでしょうか。
  525. 海原治

    証人(海原治君) いま黒柳先生がおっしゃいましたし、先ほどのお話にもちょっと出ておりましたが、月曜日——国防会議が開かれますその前日の日曜日に、午後か夜か知りませんが、大蔵省の方から防衛庁に連絡があって、話がついたという事実が伝わっております。私は全くそのことを知りません。さらには後藤田君もそのことは当時知りません。しかし、したがいまして、もしそういうことがあったとしますと、調整役でございました後藤田君と私とが一体何をやっておったということになるわけでございますが、しかし現在では、すでに前日そういうことについて事実上話し合いがついておったということになっております。そうなりますと、いまおっしゃいましたように、日曜日にそうなっておりますから、翌月曜日の朝の幹事会でこの問題はけりがつくはずでございます。しかし、その場でもそういう話は聞いておりません。
  526. 黒柳明

    ○黒柳明君 そこに私は非常に大きな疑惑を感ずるんです。これは私、整理するまでもなく、いま海原さんおっしゃったとおりですな。要するに十月二日から一週間にわたる幹事会でT2、T2改のことが論議になって、問題持ち越して、それが八日の朝になって主計官と経理局長そして防衛庁の内局の会議PXL断念、T2改国産と決まった。それをわざわざ夜ですね——これはまた後で聞きたいんですが、事務次官と——その内局の責任者ですな、一番最高の——後藤田さんと話し合った、内海さんもこういっているわけですわな。それはどんな話かわかりません。またそれ聞きますけれども。合意できているんです、これは。それが九日の幹事会、八時半からの幹事会でなぜ合意できなかったのか。そして出てきたメモは、了解事項内容は一週間幹事間で積み上げたT2、T2改のことは全く触れていない。幹事会でも全く合意できたものを触れていない。出てきたものはPXLとAEWのことである、PXL専門家会議のことである。これは海原さん、こういうことについてメモがきて、専門家会議、後藤田君、これ何なんだと言ったそのとき、非常にとっぴなこととして感じられたんじゃないんでしょうか、このメモを見て。
  527. 海原治

    証人(海原治君) とっぴという形容が当たるかどうか知りませんが、私はおやつとは思いました。そこでこれは何だということで後藤田君に聞いたわけでございます。
  528. 黒柳明

    ○黒柳明君 私、国語の学者じゃありません。とっぴなこと、「おや」とはイコールとっぴな形容詞とこう出ているんじゃなかろうかと、引いてみます、家へ帰って辞書を。「おや」というのはやっぱりとっぴである。とっぴじゃなかったら、おかしいなと、こういうことじゃないでしょうかね。そういうことはあくまでもいま海原さんがおっしゃったように、T2、T2改これほど熱心にやっているのに、突然PXLのがぱっと出た、おかしいなとこういうこと、これが私一番冒頭に言った総理のアイデア、プラス総理に対してだれかがこれを進言した、これがぽこっと専門家会議で出てきた。これも自然の環境と成り行きとして非常にとっぴであり、おやと思わざるを得ない。さらに時間的問題どうでしょうか。一週間もかけた幹事会、まとまらない。八時半からやった幹事会、後藤田さんが途中で呼ばれる。二階堂さんが入ったのか出ていったのか。それから直ちに今度は国防会議懇談会、それがいつ議員会議になったのかわからない。十時から閣議がある、さあ、やっちまえやっちまえ、まあ田中総理の性格としてほうふつするような感じしますけれどもね。ただそれは単に田中総理の性格だけじゃないんじゃないですか。手続上としても非常に私はおかしいと、こう思います。あるいはおかしいという言葉、今度当時の事務局長である海原さんに質問するとすれば、いままでにはこんな例はなかろう、こういう感じ。さらにそれがおやと思った。さらに言うならば私は非常におかしいな、こういう客観的情勢です。これについてどう思いますか。
  529. 海原治

    証人(海原治君) 私は先ほども申し上げましたが、総理大臣というお立場に立たれましては、大蔵、防衛両省の間で十分に話を詰めて結論をつけてきてほしいと思ったのが、最後は総理一人の決断になる、そういうことでは、そういう知識もない自分にそういうことを一々やらされては困るという、もしそういう点についての問題があるなら、先ほど申しましたが、大蔵、防衛両省に専門的な技術的な権威がないなら、民間のそういう第三者的な機関を設けたらどうだろう、こうお考えになったと私は思うわけです。この発想は私は一個人として考えました場合に、政治家としては当然の発想ではなかったかと思います。ただ問題は、そのような御発想を実現するだけの専門家が残念ながら日本にはいないということで、いろいろ後で問題になった、こういうふうに私は解釈いたします。
  530. 黒柳明

    ○黒柳明君 政治家としてどう判断を下そうと、そのときの判断の材料というものを持っていた、それに対して否定することもいかない場合もあるでしょう。しかしながら手続上でも——それじゃもう一回違った角度で聞きましょう。  本来ならば、この十月九日の懇談会国防会議では、T2改の国産化決定されるべきものじゃないのですか、本来ならば。おや、という前の状態において。本来ならばそれが決定される懇談会であり、国防会議である、第一義的に。PXLはさておいて、第一義的にはそれが本来の筋ではなかろうか、十月二日から、いかがでしょうか。
  531. 海原治

    証人(海原治君) 先ほど私も申しましたように、その点だけが残っておった問題でございます。
  532. 黒柳明

    ○黒柳明君 だから残っていたことはわかります。十月九日の時点を具体的に言っているわけです。その時点において決定される、こう幹事会をやって、いろいろな事務手続をやって、それで九日の国防会議に幾ら時間が短くても長くても、決められる本来のテーマは、T2改の国産化、これじゃないですか。
  533. 海原治

    証人(海原治君) それはそのとおりでございまして、したがいまして、国防会議の議員懇談会での発言も、総理はまずその点をおっしゃったわけであります。懸案であった、問題となっておったこの対地支援戦闘機の問題は、国産でいくことにしたいがどうだ、という御発議でございます。それで、それが決定されて、ついてはということで、次の専門家会議の設置の発想が出るわけでございます。
  534. 黒柳明

    ○黒柳明君 その発想について、おや、と思わざるを得ない、もう一番総理を助ける補佐役の事務局長、それこそもうツーツーであるべきでありますな。その事務局長が、おや、と思わざるを得ないようなPXL専門家会議の設置ということであった。もう一回念を押しますけれどね、それは間違いありませんですね。
  535. 海原治

    証人(海原治君) 私の申しました「おや」という言葉に非常に関心をお持ちであり、重点を置いておられますが、私としましてはそのとき初めてそういう発想を聞きましたのでおやと思っただけであります。そこでそれについて、しかし皆様方が御決定になる、したがいまして、その後はその御決定のとおりに事を運ぶ、それが別に私はどうこうということではないと思いますが。
  536. 黒柳明

    ○黒柳明君 話をもう一回前へ戻しますけれどもね。十月八日の——先ほどから一、二こう出ました晩、海原さんは防衛庁から大蔵省から後藤田さんのところへ行った、こういうことで、それで話の内容も聞きました。島田さんのことは、一緒に行かれたのですか。全く別々に後藤田さんの家へ行かれたのですか。
  537. 海原治

    証人(海原治君) 私は島田君が行ったことは知りません。
  538. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、そこで海原さんと後藤田さんと、おい、君々の仲ですがね。話し合われたことは、当然翌日の了解事項で出てくるような内容については全く話は出てこなかった、こういうことですか。
  539. 海原治

    証人(海原治君) 私と後藤田君とは内務省入省以来の友人でございますが、仕事の関係となりますと、私は事務局長でございますし、彼は官房副長官でございますから、一応私は事務局長としてこういうことをしてきたぞということを話し、後は官房副長官としてひとつ調整をやってくれということを言って帰っただけでございます。
  540. 黒柳明

    ○黒柳明君 そこでね、報告に行くこと、防衛庁と大蔵でこうしゃべったと、行くこと、悪いとは言いませんよ。十月九日、メモが後藤田さんから来た、これも別に云々と言いませんよ。だけど、国防会議事務局長、これはもう議員会議事務局長でしょう。片方、後藤田副官房長官は幹事会のまとめ役ですな、事務局長ですな。言うならばランクが違うというか、全く違うわけですよ。これを田中さんは十月九日、後藤田さんと相澤さんと呼んで何かやった。メモが後藤田さんから渡された。前の日、防衛と大蔵でこうやったと、海原さんが後藤田さんの家、島田さんもまず内局の報告に行ったんでしょう、朝。断念した、T2改が決まったと。そうすると後藤田さんというのは友だち以上、やっぱりその後ろにはもう田中総理がいるんだ、こういう感じで——島田さんのことはいいですよね、海原さんとしては、国防会議の議長、総理大臣の田中角榮さん、その意図を受けている、あるいは後藤田さんに言えば田中総理、議長にはツーツーだ、こういう観点でいってるんじゃないですか、またメモもそういう観点で来てるんじゃないですか、どうでしょう。
  541. 海原治

    証人(海原治君) 私はそのようなふうな受け取り方はいたしておりません。と同時に、日曜の夜に島田君が後藤田君のところへ行って、大蔵省との間に話し合いがついたというようなことを育ってるとは私聞いておりません。大蔵、防衛の間でそういう話し合いがあったことにつきましては、私の知る限りでは後藤田君も知らなかったはずであります。
  542. 黒柳明

    ○黒柳明君 いや、それはもうちゃんと例の久保発言のときに後藤田さんがしっかり言っています。それを今度は防衛庁長官もきしっと受けて言っています。要するに内局会議で、まあ庁議と言っております、庁議じゃありませんな、内局の会議ですな、そこにおいてPXL国産化断念、T2改の国産化決定、これについて島田さんがいっていると、後藤田さんが言っていますな。それに対して久保さんが反発して、長官がまたさらに、いやあれは誤りだった、こういうことを言っています。ですから先ほどからその点も後藤田さんと私、まあ後藤田さん出ていませんからいいですよ、海原さんは知らなかった、こういうこと。それでそこでは了解のことは何にも話は出ていない、前の晩は。そして前の晩全く出なかった話が翌日。ぱっと出てきた、これを先ほどから何回もこう言っているわけですけれども。そのときに、前の日の話ですよ。前の日の話でこういうことはもうはっきり確認し合ったんでしょうね、T2改についてはあしたの四次防の主要項目に入れる入れないという問題についてはどうなんですか、その海原さんと後藤田さんとの話の中では。
  543. 海原治

    証人(海原治君) 私はその点についての確認、確答を得ておりません。したがいまして事務局としましては、先ほども申しましたけれども国産となった場合、輸入となった場合、折衷になった場合、その三つの一応案を、案と申しますか、文章を用意いたしました。
  544. 黒柳明

    ○黒柳明君 PXL白紙還元、これがどうして了解事項の中に入れる必要があったのか。海原さんはこの白紙還元についてこれは全く白紙なんということはあり得ない、もともと決まっていないものが白紙なんということはないという発言あっちこっちしていますね。これ、もうお見せしなくてもよろしいですな。これについてどうですか。
  545. 海原治

    証人(海原治君) これも言葉の問題になりますが、国産化問題を白紙とし、であります。私が言っていますのは、国産ということは決まっていない、決まっていないものがひっくり返るはずないじゃないかと、こういう言い方をしています。したがいまして、国産化問題を白紙としという言葉と、国産白紙としという言葉とでは、私は意味が違うと思うんです。私が表で言っておりますのは、何回も言っている言葉でございますが、昭和四十七年のこの四次防というのは五年間の事業計画でございます。この五年間においては御存じのようにロッキードのP2Jという対潜哨戒機、これの四十三機の国産防衛庁考えておりますから、したがいましてPXLなんかの国産考えられるはずがないのであります。そのことを言っておりまして、したがいまして国産化問題を白紙としという言葉と国産白紙としということは私は意味が全く違うんではないかと、こう考えております。
  546. 黒柳明

    ○黒柳明君 ただ、それは事務局に案文をつくらせた、全部の合意で了解事項はできた、それについて検討したわけじゃありませんでしょう。海原さんの意見そこに入れたわけじゃありませんでしょう。いまになっていろんな意見がある、白紙還元につきまして。その一つ見解としていま海原さんがそういう見解をお持ちになっているだけでしょう、そうでしょう。当時の、なぜこういう国産白紙にしたのか、そういうことについての正確な意味では当然ないわけであります。いまの現時点に至って海原さんの国産化に対する一つ見解一つのコメント、こういうことですね。だけれども、この国産につきましてはあくまでも四次防の大綱において一応防衛庁考えにあった、これは間違いないんです。それが防衛庁長官もこう言っていますよ、全く了解事項、そういうものが出てきたことはもうそれこそとっぴなことだった、防衛庁長官もこう言っているわけです。防衛庁長官も了解事項が出てくるなんてことは全く予想していなかった、こういうことです。八日の時点において、晩の時点においては了解事項については全然知らない、専門家会議、むしろ何回も言うようにT2改のこと。さらに幹事会でも決められるべきものを決めていない。そうしてPXL専門家、おやつと思って出てきた。防衛庁長官もそんなものが出るとは思っていなかった、こういう客観的な情勢ですね。当時者である防衛庁長官すらもこんな了解事項なんか出てきたのか、知らなかった、こういう発言を、あの例の久保発言の大蔵と後藤田さんと相澤さんと久保さんと、それに防衛庁長官が最終的にそういう発言もしているんです。そういう情勢、海原さんは事務局長として一番その主体者、当事者であったわけですね、ですから、もう一回私、繰り返しますけれども防衛庁長官ですらも了解事項が出てきたのかと、知らなかったと言われるぐらい、おやと思うことなんです。それについて海原さんが全く事務局に案文をつくらせて、それをただ単に読み上げてそれでおしまいになって、いまになっていや、白紙というのは、国産輸入全部白紙、第一歩から始めるんだ、こういう考えをいまになって披瀝しておりますけれども、その当時はやっぱりそういう情勢じゃなかったんじゃないでしょうか。すなわち、後藤田さん、いま言ったように幹事会の主査ですね、片方は議員会議事務局長ですね、その議員会議事務局長が官房副長官のところに足しげくあるいは通いあるいはメモをもらうということは、即もう田中総理の意を受けて官房副長官は動いているわけですから、だから田中総理の意思がやっぱり後藤田さんを通じて伝わるあるいは後藤田さんを通じて伝わってくる、そういうことを前提にした上でこの前の日の後藤田さんの自宅訪問、翌日のメモの受け渡し、そして案文の作成、こういうこと、すべて後藤田官房副長官を通ずるということは、総理であり議長である田中議長、総理の意を受け、意に通ずることを前提にして事務局長として動いてきたんじゃないんでしょうか。
  547. 海原治

    証人(海原治君) 二、三の点についての御質問があったと思いますが、まず当時におきましてはこの専門家委員会の設置、この国産化問題を白紙とするということにつきまして、新聞雑誌を見ましても、だれも何とも言っておりません。今日になりましてからあれをおかしいじゃないかというふうに過去にさかのぼってのいろいろな解釈づけが行われております。しかし、当時のお前はどう思っておったかということは、私が読んだ感じでは、専門家会議ができるんなら、いままで大蔵、防衛両省でいろいろやっておったけれども、そういう問題は一切白紙にして第一歩からそこで検討してもらおう、それがそのままその文章になったと思います。事務方と申しましても、防衛庁は先ほど申しましたように次官と防衛局長、大蔵省は主計局長と主計局次長でございますから、その方々が相談してつくった文章であります。それをしかも全員が了承されたわけでございますから、私は素直にそれを読んでいただきたいと思います。  それとあとの点でございますが、そのような発相が総理から出たということにつきまして、私は当然のことであり、むしろ望ましいのではないかと思います。常に発想は事務方が積み上げなければならないものではございませんから、特に総理大臣としましては、輸入国産かということでいろいろと苦しまれた、その苦しい立場からやはりそういう第三者機関的なものができればつくった方がいいと思われる、どうだろうというお話になる、皆さんが賛成される、そこでも話が決まる、これは私はむしろ当然の行き方ではないかと思います。
  548. 黒柳明

    ○黒柳明君 その当時は当然だと思ったでしょう。現在どうですか。現在それが大きな疑惑の中にあること、事実関係はわかりませんよ、まだ黒か白かわからないんですから。いまいろんな角度でこれ究明しているんですから。だけど、いまの大きな問題を提起している大きな要素になっていること、これは否認できないですな。そうなると盛んにおっしゃっていることは矛盾なんですよ。おやと思った、これは驚いたことでしょう。だけど、いまになって見ると全く失礼な言葉かわかりません。海原さん、そう思っているかどうかわかりません。総理をかばわれる、かばう必要ないですよ。むしろ失礼ですが、海原さんだってそんなに厚遇された立場じゃないなじゃいですか、失礼ですが、むしろ阻害されて、有能な防衛専門家は本当ならば相当な地位にいなきゃなんない。もうここでそんな遠慮することはないじゃないですか。それこそ海原さんがここで真実を吐露しまして——これからあるいはトライスターみたいに起こった問題でないかわかりませんよ。もしかすると、贈収賄とか何とか、だけどわかりません。問題でないとしても、そういう疑惑というものを解明する大きなやっぱり中心にいることは間違いないんですから、おやと思った、とっぴもないものが出てきた、これが田中総理の発想だ。でありながら、いや別にそんなにおかしいとは思いません。だけど、いまになって振り返ってみた場合には、それが大きなやっぱりいまのエアバス、PXLの、ロッキード事件の疑惑をつくる一つの重要部分になっていること、これは間違いないんじゃないですか。そんなに田中前総理をかばう必要はないんじゃないですか。
  549. 海原治

    証人(海原治君) 私は、先ほど宣誓いたしましたように、真実を申し上げているだけでございまして、特定のだれかをかばうようなことは全く考えておりません。
  550. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうです。もうその意気で、あと二、三分ですから、ひとつあれしてください。  そこで問題になるのは——もうだれかをかばうなんてのはとんでもない話でありまして、私もそれを信じております。そこで最後に問題になるのは、それじゃなぜそういう事務手続上、あるいは大きな政府専門家がいないことを、海原さん、非常に問題にした、こういうふうにおっしゃいましたね。むしろそういうものについて専門家がいないこと、これが問題だった。それをこういう国防会議のわずかの時間の中で田中総理がぽこっと出した。何かやっぱりあるからなんですよ。何かやっぱりあったからなんですよ。さらに、いまもこう言われましたように、その二日後には輸入にウエートを置くと、こういう総理自身の発言まで出ていること、これはもう御存じのとおりです。ね、どうですか、この総理自身が輸入にウエートを置くんだと、三日後プレスクラブで、ということは、極端に言うとアメリカに向けて言ったと同じですわ。あそこにはアメリカの報道記者が、一般にいるわけですから。すると何か田中・ニクソンの会談でのうやむやというものを受けてこういう一つの関連になったんではなかろうか。こういう十一日のプレスクラブでの発言、輸入にウエートを置く。どうですか、海原さん——まあこれは事実関係じゃありませんから、知ってるとか知らないの問題じゃありません。ひとつ御感想で結構ですよ。そういう総理が政治的判断をしたことは別に問題じゃない。だけど突拍子もなく出てきたことにはおやと思った、そういうものについてすぐ総理大臣が輸入にウエートを置くという発言をしたこと、これについては客観的に見てどうも何かおかしいんじゃなかろうかと、こう思わないですか。
  551. 海原治

    証人(海原治君) 私には他人の心中ははかりかねます。
  552. 黒柳明

    ○黒柳明君 結構ですね。それじゃ、他人の心中ははからない。心中をはかる必要はありません、発言した言葉ですから。言葉には意もあるでしょうけれども、文字として考えてください。輸入にウエートを置くというこの文字、この心中をはかる必要はない。その三日前には急にそういうPXL専門家、いわゆるこれが時間延ばしではなかろうかとか、こんなことは言う必要はありませんな、一つの大きな問題になっているんですから。そういう発言がこの三日後にあったということは、どうしてもここに隠された何か意図があるように私たちは感ずるんです。それについて当時のいろいろな情勢を知っていた海原さんとしてどういう感想をお持ちでしょうか。
  553. 海原治

    証人(海原治君) いま感想を求められましたが、私、申し述べてよろしいんでございましょうか。
  554. 黒柳明

    ○黒柳明君 ああ結構ですよ。いいんですよ、いいんですよ。
  555. 海原治

    証人(海原治君) 私の感想としましては、当時日米間での最大の懸案が、当時の新聞雑誌を見てもわかりますように、いわゆるドル減らしにあったということは間違いございません。そこでその問題に取り組む総理大臣としては、そういう将来の問題についてもそういうことを考えられ、そういう方向をプレスクラブでお話しになったんではないか、そう思うだけであります。
  556. 黒柳明

    ○黒柳明君 もう時間もありません。いろいろな視点が相当解明されました。また、これだけですべてはっきりしたわけじゃありません。また引き続きと、私はこう思っております。ありがとうございました。
  557. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ちょっと速記を二、三分とめてください。   〔速記中止〕
  558. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記を始めてください。
  559. 内藤功

    内藤功君 まず私どもは、対潜哨戒機——いま問題になっておる大型のP3Cクラスの対潜哨戒機日本の安全にとってこれは不必要であり、かえって憲法の立場、国際関係の立場あるいは軍事技術的な立場に立ってみても不必要であり、非常に国の財政を圧迫するも一のだと、何しろ一台六十億円、国産にすると倍かかるとして百二十億円、百機購入するとして六千億から一兆二千億かかるというものですから、こういう立場をとっております。あなたと結論を同じくする点があるのかもしれませんが、まず立場の点を最初に申し上げてから御質問に入りたいと思います。  先ほどの林田委員の御質問に対して、あなたは大型対潜哨戒機、P3CやPXLというものを保有する前に対潜哨戒の六つのファンクションというものを備えなければならぬというお話がありましたが、この六つというのは何と何と何か、それだけひとつまず説明をしてください。
  560. 海原治

    証人(海原治君) 海中に潜没しております潜水艦を発見する手段といたしましては、まず第一に海の底に聴音機を設置するという海中の施設がございます。その次には船の上からいろいろと探索する手段がございます。さらには岸の施設からの探索がございます。今度は空中からということになりますというとヘリコプターがございます。さらに日本開発いたしました対潜飛行艇がございます。そのほかに陸上基地の対潜哨戒機、こういうものが総合いたしまして初めて対潜機能ということになるわけでございます。先ほど私が申しましたのは、その総合された対潜水艦作戦と申しますか、海中の作戦、潜水艦の所在を確認、発見する、それぞれのファンクションの持つ意味合いの中で陸上基地の対潜哨戒機がいかなるものかということの解明がまず必要ではないかと、こういうことを申し上げた次第でございます。
  561. 内藤功

    内藤功君 あなたの書いたものも大分私は読ましていただきましたが、あなたのお考えとしては、このP3CクラスのいわゆるPXLという大型の対潜哨戒機、これは日本にとっては現在必要ないというお考えで現在もおられるというふうに伺っていいですか。
  562. 海原治

    証人(海原治君) 必要か必要でないかということはいわば相対的な問題でございます。したがいまして、現在の海上自衛隊が抱えておるいろいろな問題点を解決するための方法、その中でのこのPXLの位置づけということになりますと、私はもっとほかにやることがあるんではないか、そういう意味で問題の提起をしておる、こういうことでございます。
  563. 内藤功

    内藤功君 結論的には必要ないというお考え立場と理解をいたしますが、あなたの二月の二十三日のこれは東京新聞です、この東京新聞に「PXLは必要ない」と題する論文をお書きになりましたね。この中で「P3Cは米海軍のためのものであっても、海上自衛隊の必需品ではない。」ということをここで相当はっきり書いておりますが、このお考えはあなたの御持論と伺ってよろしいですか。
  564. 海原治

    証人(海原治君) 私はそう考えております。
  565. 内藤功

    内藤功君 そうすると、このP3Cは米海軍のためのものであると。私はこの深い議論をあなたとしたいんですが、きょうはその場ではありませんから、これは残念ながら別の機会に譲りますけれども、アメリカの伝統的なというと大げさですが、歴代の政府、あるいは国防長官というものは、ずうっと対潜作戦の強化、対潜作戦能力の強化というものを日本の自衛隊に望んできておる、要求してきておる。もちろん日本の自衛隊の一部にもそれに乗る動きがあるけれども、しかし同時にアメリカの強い要求というものがあって、その一環として対潜能力の強化という一環としてこのP3Cの保有という問題が出てきておる、歴史的に。このことは歴史的事実としてお認めになりますね。
  566. 海原治

    証人(海原治君) 私が昭和四十七年の十二月の二十二日に退官するまでの間におきましては、いま先生がおっしゃいましたような強い要求というものは私は存じておりません。
  567. 内藤功

    内藤功君 あなたの在職中以後ですね、この歴代の国防長官というものはこのことを非常に強調してきた。これはもう歴史的な事実として明らかだと思うんです。いまお答えが限定されましたが、私はそれ以後のことをいまここでくどくど聞こうとしませんけれども、その点をまずはっきりさしておきたいと思います。  そこで、以下、あなたが国防会議事務局長時代から、こういういろんな対潜機についてのお考えを持っておられたんですが、それを頭に私は置きながら、十月九日のこの了解事項問題について具体的に聞いていきたいと思うんです。  最初一つ、あなたが、この対潜哨戒機国産化問題は白紙とする、そして国防会議事務局専門家会議を設けて今後検討する、ということを初めて知ったのは、これは確認ですけれども、十月九日当日、国防会議議員懇談会の席上で後藤田氏からメモが回ってきたとき、これで間違いないですか、その前ということはないでしょうね。ひとつ確認しておきます。
  568. 海原治

    証人(海原治君) そのとおりでございます。
  569. 橋本敦

    ○橋本敦君 委員長私から。  それに関連して私からもお伺いをしたいのですが、その開催をされていた十月九日の国防会議の議員懇談会に出席されていた閣僚の皆さんですね、この皆さんも当然このような問題は、その場で初めて知らされたというように私は理解しますが、いかがでしょうか。
  570. 海原治

    証人(海原治君) これは推測にはなりますが、多分そう、だろうと思います。
  571. 橋本敦

    ○橋本敦君 いまの点は、ことしの五月七日の参議院予算委員会の席におきまして、私のその質問に対して当時、副総理であった三木総理も事前には知りませんでした、あるいは外務大臣であった大平現大蔵大臣も、私も知りませんでした、こう答えておられます。さらには坂田防衛庁長官は、海幕の幹部も知らなかったと思うと、こう答えておられる。ですからいまあなたがおっしゃった推測というのは事実に合っているとこう思うわけですね。ところが、その議員懇談会の直前に開かれた幹事会で、証人が三つの案を用意されたというわけですが、この三つの案というのは、次期潜哨戒機に関する案ではなくて、もっぱら問題となっていた対地支援戦闘機、これをめぐる問題であったと、これは間違いございませんね。
  572. 海原治

    証人(海原治君) それはそのとおりでございます。御存じのように、国防会議懇談会の後で意見がまとまりますと国防会議決定いたします。その後十時から閣議がございます。それに全部書類を出さないといけませんので、そこのところだけをブランクにした、後は全部同じの文案を三つ用意したと、こういうことでございます。
  573. 橋本敦

    ○橋本敦君 したがって当然のことですが、幹事会でもあなたの用意なさった文案にPXL問題はないと、こういうことが確認されるわけですね。
  574. 海原治

    証人(海原治君) そのとおりでございます。
  575. 橋本敦

    ○橋本敦君 そこでこの幹事会でもせっかく証人が用意されたにかかわらず意見がまとまらなかったということでもって、この対地支援戦闘機の問題をどうするかは、結局は懇談会で決めることがけれども、具体的には総理の裁断を仰ぐという必要がそのとき具体的に起こったのではありませんか。
  576. 海原治

    証人(海原治君) 具体的にと申しますというと、形式的に幹事会でまとまらない点がその一点でございますから、結局は最終的に総理の裁断という形になる、そういうことでございましょう。
  577. 橋本敦

    ○橋本敦君 そこで、この幹事会後の田中前総理の裁断という事態になって、この田中総理の裁断の中に対地支援戦闘機だけの問題ではなくて、あなたがおっしゃった四次防以後の問題で、まだまだ先の問題であるはずの次期潜哨戒機問題も総理の裁断の中に入ってくる。これが私は具体的に証人に事実関係をお聞きしたい疑惑の第一点なんですね。  そこでお伺いしますが、先ほどからの御証言でも明らかなように、この幹事会が終わった後、後藤田官房副長官が総理室にお行きになる、相澤さんがお行きになるということがわかりました。坂田防衛庁長官の説明によりますと、そのときに後藤田副長官は、後藤田副長官の進言として、支援戦闘機は国産で行くということを進言されたと、こういうように長官は言っているわけですが、後藤田さんがそのような進言をするということを、あなたは事前に御存じでしたか。
  578. 海原治

    証人(海原治君) 事前には承知いたしておりません。
  579. 橋本敦

    ○橋本敦君 そうしますと、なぜこのときに幹事会での議論が分かれたことをそのまま報告しないで、後藤田さんが自分意見として支援戦闘機の国産を進言なさったか、これは後藤田さんに聞かないと証人にはお答えいただけない問題ですね。
  580. 海原治

    証人(海原治君) この点につきましては、後で、後藤田君から国産で行きましょうという意味の意見具申を総理にしたことについて、私は後藤田君と話したことございますが、そもそもこの問題が出てきましたのは、ドル減らしということが大きくございます。ところが輸入をいたしましても、直ちにドル減らしにはならないということがわかるわけでございます。そうしますというと、ここでいろいろと意見を交わしたわけでございますけれども防衛庁の反対を押し切って、アメリカからF5系統を入れてみましても、その目的としたそもそものドル減らしにならぬということになれば、当然国産ということに落ちつくわけでございますから、そういう考え方で後藤田君は国産で行ってはどうでしょうかという意味の意見具申をしたと、私は受け取っております。
  581. 橋本敦

    ○橋本敦君 そういうことであれば、早くから幹事会でも議論できた感じがするんですね。しかし、やっぱりそれでは納得できない事情が私はあると思うんですよ。さらに、相澤主計局長が対地支援戦闘機の国産化は結構だけれども、そのときに次期潜哨戒機はこれは国産を前提とする研究は認められませんよと、こういう意見を述べられたというように坂田防衛庁長官は答弁されているのですが、これもあなたは直接にはなぜ主計局長が支援戦闘機の国産はいいが、それと別にPXL問題を持ち出されたのか、これはどういう事情によるものかおわかりでしょうか。
  582. 海原治

    証人(海原治君) いまのお言葉の中に、相澤君がPXL国産は認められませんよと言ったという形でのお言葉がございましたが、恐らく私は、せっかくそういう専門家会議ができるならば、そういうPXLの問題もそこで検討していただきたいという希望を主計局長としては表明したのではないかと思います。許されませんよというようなことを一局長が総理に申し上げることは、これはできませんことでございますから、そういう表現ではなく、専門家会議ができるなら、ひとつそこで前からの懸案であるAEW、将来、いままで事務的には挙げておった問題もそこでと、そういう意味のお願いをしたのではないかと私は思います。
  583. 橋本敦

    ○橋本敦君 で、もし証人がおっしゃるようなことであれば、この田中、それから相澤、後藤田、この三人の総理執務室の話の中で、専門家会議を設ける云々という話がやっぱりあったということは、具体的に出てくるわけですよね。そこで今度はその問題が、国防会議で具体的に発議をされたのも田中総理からであることは、証人もおっしゃったとおり、わかりました。その場合に、その直前に後藤田さんからメモが回ってきた。証人はそのメモをごらんになって、先ほどの話ではありませんが、おやつと思われ、これは専門家会議とは何だとおっしゃったということで、証人はその段階でまだ疑問をお持ちになっておるわけですが、その場で、その提案がなされたときに異論を唱える閣僚もあるいは防衛庁側の職員も全然なくて、すぐその場で賛成ということにすぐ決まったのでしょうか。
  584. 海原治

    証人(海原治君) すぐその場でという形容は当たるかどうかわかりませんが、異論を唱える方はおられませんでした。
  585. 橋本敦

    ○橋本敦君 そうしますと、私はあなたがおっしゃるようにこの専門家会議というのはもっともっと詰めないと、法的根拠の問題、専門家がいるのかいないのか、民間を入れるか入れないか、いろいろございます。これは敏感にあなたはそのとき感じとられた。そういうことを感じた方がほかにもあり得ると私は思いますし、第一に防衛庁長官がちょっと待ってくれと、PXLについては、たったその十月九日から約一ヵ月余り前に、庁議決定をして、国産化を目指す概算要求をやると庁議決定したばかりだと、ちょっと待ってくれという意見が出てもよさそうなもんだと思うんですが、あなたがおっしゃられるように、みんな賛成をした。これはまさに当時田中総理のおっしゃることは、まさに俗言で言うならば、ツルの一声という言い方が過ぎるかどうか知りませんが、田中総理のおっしゃるその裁断というのは、もし総理がおっしゃれば、みんながそれに従うと、そういうことでツルの一声で決まったというように私は了解せざるを得ないのですが、どうですか。
  586. 海原治

    証人(海原治君) 先生の御意見に対しての御批判はできかねますけれども、その席で防衛庁の方からも異議が出なかったということにつきましては、当時において一番大きな問題は、これは対地支援戦闘機の国産問題でございますから、私が防衛庁長官の心の中を憶測いたしますと、やれやれということであったんではないかと思います。専門家会議の設置とかということは、これから先の問題でございます。後には閣議が控えております。そこでいろいろ出してみても、話が詰まるわけのものでないと、とするならば、異議を唱えられる必要がないわけで、私が強いておまえの考えを言えと言えば、そういうふうに解釈申し上げます。
  587. 橋本敦

    ○橋本敦君 だがしかし、あなたがおっしゃるとおりだとすれば、なお一言、この十月九日、このPXL問題専門家会議設置、これは決めなくても、支援戦闘機の国産、これさえ決めればいいわけですから、その問題はこの次の国防会議懇談会に回してもらいたいと言えれば当然言える事情であったという問題は残るわけですね。で、しかしそれはさておいて、問題の今度は文案の作成ですが、これはあなたが、賛成を皆さんなさったので、事務局の方に文案をつくらさせたということですが、違いますか。賛成を得たので文案の作成は事務局メンバーにやってもらうことになさった、これは間違いございませんね——はい。  そこで私が聞きたいのですが、後藤田さんから回ってきたメモは、あなたの御証言によりますと、PXL、AEW、これは専門家会議検討という簡単なメモであったと。文案を見ますと、国産化問題は白紙にして、輸入を含めて専門家会議検討と、こうなってまいります。こういう具体的な輸入を含めてというような文案ができてくるについて、だれが基本的にその文章を起草したのか、これは証人おわかりでしょうか。
  588. 海原治

    証人(海原治君) 私は具体的には承知いたしません。先ほど申しましたように、それを確認する時間的余裕がございませんし、こちらで議員懇談会をやっているわけでございますから。ただしかし、従来からの経緯で申しますと、物事の順序として、大蔵省輸入主張しておりましたから、そういう輸入を含めてという言葉が入るとするならば、それは大蔵省側から出たんではないかと推測されます。しかし、これはあくまで私の推測でございます。
  589. 橋本敦

    ○橋本敦君 そういたしますと、いままで大蔵省は明確に次期潜哨戒機輸入主張していないと私は理解をする。国産を前提とする研究予算は認められませんとこう言う。今度は輸入を含めてと、公然とここで文章が出てきて了解事項になった。こうなりますと、やっぱり事態は根本的に転換をしてまいります。だからしたがって、専門家会議も具体的に輸入国産か、具体的に輸入問題も検討しなきゃならなくなる、こういう道に行くわけですよ。そこで、この文章をだれがつくったかわからないということは、これは小人数でおやりになっているんですから、関係者を調べればすぐわかることです。しかしあなたは御存じないとしても、次に私が伺いたいのは、この文案を読んだら、これもまた閣僚の皆さんは異議なく即座に賛成ということになったかどうか、その点はいかがですか。
  590. 海原治

    証人(海原治君) 私は、できましたその文案を読みまして、こういうことでよろしゅうございましょうかと申しましたら、皆様方がうなずかれたわけです。そこで私は、これは国防会議決定ということでなしに、国防会議議員懇談会了解事項にいたしますということで、よろしいということになったわけでございます。
  591. 橋本敦

    ○橋本敦君 その議員懇談会ということになさった理由も御証言なさったとおりですね、明確な法的根拠のある機関でもないし、もっと詰めなきゃならぬという状況があったことはわかります。私はこの問題であなたにさらにひとつお聞きしたいことは、当時アメリカとの関係においては、対米ドル協力という問題が政治的にはきわめて重要な問題であった、そういうような背景があって、輸入も含めてという、こういう文章が具体的に入ってくるという、こういう政治的状況であったというように私は理解しておりますが、いかがですか。
  592. 海原治

    証人(海原治君) 私、いまこれについて御批評する立場にございません。
  593. 橋本敦

    ○橋本敦君 しかし、政治的状況としては、繰り返しあなたも証言されているように、当時対米ドル協力問題が非常に大きな問題であったことは明らかですね。  もう一つあなたに伺いたいのですが、明確に輸入も含めて検討するとこうなりますと、P3Cというアメリカの対潜哨戒機を頭に置きますと、高度の軍事機密として、アメリカの海軍が日本にこれを持たすこと、あるいはリリースを許可するかどうかという問題があります。十月九日の国防会議当時に、このP3Cの日本へのリリースの可能性があるということは、証人御存じだったかどうか、いかがでしょうか。
  594. 海原治

    証人(海原治君) 私は、全然当時P3Cについての知識はもらっておりません。むしろ当時の事情におきましては、ニムロッドとか、P3Cオライオンというものでなしに、いわゆる純国産的な形で将来を考えたいという気持ちの方が強かったと記憶いたしております。
  595. 橋本敦

    ○橋本敦君 あなた自身のお気持ちはわかりました。だがしかし、具体的に輸入問題の検討が始まるという足がかりの了解事項になるわけですからね。このリリースの可能性なしに考えることはこれまたおかしいという一つの問題もあり得るんですね。そうなりますと、このリリースの可能性を当時知っておったということになりますと、これはごく少数の人しかないし、田中さん、後藤田さん、相澤さん、この三人の話の中で、具体的に専門家会議設置、輸入を含めての検討ということが出てくるとすれば、これらの方々がいち早くこれを知っていたのではないかという問題も一つ私は考えざるを得ない問題になる。しかし、それはともかくとして、いま私が指摘をした、アメリカに対する対米ドル協力という問題は、田中前総理もこれはその十月九日からわずか一ヵ月もたたない、四十七年十一月十日の当参議院予算委員会において、この十月九日の了解事項の経緯について、次のように答弁されていますね。田中総理は「国産にするかアメリカから買うか、私は、アメリカから買いたかったわけであります、」とはっきりこうおっしゃっている。それで、御自身通産相という状況から苦い経験を持って対米問題に当たってこられた。そういう現状から「買えるものは買いなさいということだったのです」と、こうおっしゃっている。ところがいま言ったように、支援戦闘機は国産にする、こういうように裁断をした、そういうそれとの関連で、対米ドル協力ということになれば、いますぐではないが、四十八年、九年、五十年度ぐらいこうなるのですということで、そうなったら別に哨戒機のようなものもあるではないか、こういうことでやったんだということをはっきりおっしゃっている。だからしたがって、この田中総理の裁断と、出てきて文章化された、あの白紙に論議を戻し、輸入を含めて検討という問題は、田中総理の頭の中に、対米ドル協力という問題が、これが頭の中にあって、そこから出てきた問題だというように私は考えざるを得ないと思うんですが、証人はこの点についてどうお考えですか。
  596. 海原治

    証人(海原治君) これまた、私の推測になるわけでございますが、私の経験から申しますというと、十月九日までの段階におきましては総理も後藤田君もそれほどPXLなるものについての御知識はあったとは思いません。事柄がいろいろと出てきてから、いろいろとまた勉強されたんではなかろうか、そういう感じがいたします。くどく申しますけれども、ともかくPXLというものはその保有が決まっていないわけでありますから、その保有の決まっていないものを、国産にするか、輸入にするかなどということを検討できるはずがないわけであります。その辺のところに非常に私はどうも物事の順序が逆になっているような気がするわけであります。
  597. 橋本敦

    ○橋本敦君 そういたしますと、証人自身も疑問をお持ちになるようです。しかし、現実には対米ドル協力体制の中で国産化防衛庁が進めてきたのがこういうかっこうで転換されていくという問題に発展をしている。で、具体的にはやっぱりこの問題は、私どもが要求しておるように、田中前総理あるいは相澤主計局長、後藤田当時の官房副長官、これを当委員会に呼んで、証人として喚問していただくよう重ねて委員長に要求いたします。
  598. 内藤功

    内藤功君 いま、あなたは国産ということが決まってないということを非常に強調されるんですが、現実には八月の二十九日に防衛庁の庁議でこの翌年度の概算要求、その中に基本設計を含むものが、長官以下出席して、これが決定しておるんですね。さらに川重の証人が、そこで、同じ席で、この間証言しました、室井さんが。もう設計室も独立しておる。海幕からいろんな幹部が行っておるんですね。海幕の二尉が設計机まで持って仕事をしておるんですね。で、この部長の名前でアメリカに部品の引き合いも出しております。私はもう一々紹介しないけれども、こういう明確な証言が出ているんです。ですから、大きな方向として、もしその国産化全然問題になっていないというんなら、これは白紙なんということは問題にならぬのです。私はまずそのことを一つ申し上げておきたい。  そこで質問として、専門家会議の問題です。専門家会議発足したのが非常におくれた、十ヵ月おくれたという問題。これは非常に大きな問題になっていますが、あなたのさっきのお話だと、十月九日以降あなたがおやめになる十二月二十二日までの間は、この間は、その間に外遊もなさっておって、ほとんどこの人選とか機構についての仕事というものは着手してなかったと、こう承っていいんですか。
  599. 海原治

    証人(海原治君) 仕事としてという、この仕事のことでございますが、先ほど申し上げましたように、専門家会議というものを正式のものにするためには、これは当然、御存じのことでございますが、法律なり政令なりの根拠が必要でございます。さらには予算の要求も必要でございます。そういうことはやってない。じゃ、どうするのか。国防会議事務局に置くということでございますが、事務局長の個人の諮問機関みたいなことにするのか。それとも事務局のこの、何と申しますか、さらにこの付属にするか、そういうものを法律政令の根拠なしにやると皆様方からおとがめを受けるわけでございますから、その辺のところはどうするんだということになるわけです。さらに先ほど申しましたような、専門家というものは一体どういうものを専門家と言うのか、こういうことを、先ほども説明しましたように、関係の各参事官のところで検討してもらった、それが私としての仕事でございます。そこで結論が出ない。出ないままに内海君に引き継いだ、そういうことでございます。
  600. 内藤功

    内藤功君 そうすると、もう宿題自体が非常に無理な宿題を十月九日に受けたと、こういうことですね。
  601. 海原治

    証人(海原治君) 私ども能力のない者に対しては大変むずかしい宿題であったということになると思います。
  602. 内藤功

    内藤功君 御謙遜は無用ですが、非常にむずかしい宿題を受けたということを私は強く印象づけます。  そこであなたが今度は、さっき林田委員お答えになったんだけど、十二月の二十二日に事務局長をやめられて内海さんに引き継がれるときの言葉、非常にぼくは重大だと思って聞いておったんですが、もし自分がずっと事務局長をやっておるとしたら願い下げにしたかもしれぬと、新しい観点、視点で内海さんやってくれと、こう言ったというんですね。この願い下げというのは、あなたに聞くまでもないが、この専門家会議というものは一応取りやめにして別の方法で考えると、あるいは別の方法も考えないか、とにかく専門家会議というのはやめにすると、つくるつもりはないと、こういう意味にわれわれ理解したわけなんです。この点はあなたどういうふうに願い下げにする、新しい観点でやってくれと、専門家会議というものは非常にむずかしいと、これはできっこないと、できても結論がはっきり出るわけがないと、こういうお考えだったんじゃないですか。
  603. 海原治

    証人(海原治君) 結論が出るか出ないかというところまでの判断はいたしておりませんが、ともかくむずかしい問題だと、そこで、そのむずかしい問題で、そこでもう一度御再考願えば、あるいはこういう専門家会議の設置は取りやめになるかもしれないという感じは持っておりました。しかしそのときには、総理大臣をそれほど困る立場に追いやってはいけないわけでございますから、十分に関係各省で話を詰めることの必要は出てまいりましょう。いろんな気持ちはございますが、ともかく自分としては、これはもう一度ひとつ御検討いただいて、できれば願い下げにしていただきたいという、そういう気持ちでございました。
  604. 内藤功

    内藤功君 そうすると、相当はっきりおっしゃったわけですが、私は、この非常に無理難題をあなた方事務当局に総理以下が押しつけて、そうして専門家会議発足がなかなかできてないと、いかない、時間がかかるという間にずっとP3C輸入の動きが出てきたと思うんです。いま私は繰り返しませんがね、この十月九日直後に、MDAOーアメリカの防衛援助事務所がP3Cの説明会を開いておる。翌年の一月には試乗lP3Cに海幕の幹部を乗っけてもう飛んでいる。そして翌年の六月にリリース照会して、七月にそうしてリリース・オーケーでしょう。輸出許可オーケー。そして八月六日に人選完了して、ピーナッツが八月の九日。そして十日に専門家会議発足する。こういうやはり専門家会議のおくれというものがこのP3Cの道を私は結局開いた結果になっておると思うんです。  ところで、次にお伺いしたいのは、十月の九日の二日後の十月十一日の田中角榮総理の外国特派員協会主催の昼食会の席上の話です。この話はあなたは当時知っておられましたね。
  605. 海原治

    証人(海原治君) 当時私は、それは何かの新聞に出たということでございますが、知っておりません。
  606. 内藤功

    内藤功君 私はこの問題については、前にわが党の調査に行かれた方があなたとお会いしたときに、テープが一体あるかないかというお話があったそうです。そこで私は、当時の外国特派員協会で田中首相がお話しになったテープをここへ持ってきている。残念ながら、時間の関係でここで回すわけにいかないけどもね、この中で、非常に明確に輸入にウエートを置くということを言っておられるわけですね。十月の九日に決定をして了解事項をやる。そして二日後に田中首相が輸入にウエートを置くと。外人記者クラブだからね、気持ちが非常にほぐれて本心が出たと私は思うんですよ。私は、あなたの答えは、人の心の中はわかりませんと、あるいはそう言うかもしれないけどもね、あなたは事務局長、田中総理は当時国防会議の議長です。当時田中首相の気持ちの中に、輸入にウエートを置くという気持ちがこの二日間で変わったとは思えないんです。この十月十一日に言ったことは、九日の日もそういうのが田中総理の気持ちであったということをあなたがお感じにならなきゃならぬと私は思うんです。その点もう一遍私は確かめたいと思う。
  607. 海原治

    証人(海原治君) おまえはこのように感じなければならぬとおっしゃられましても、私はどうもそういうふうには感じないわけでございまして、先ほどもお答えしましたように、日本の内閣総理大臣ともなれば、いろいろなことをお考えになって御発言になるのが当然だと思います。一事務屋のはかり知るところではございません。
  608. 内藤功

    内藤功君 ただあなたは国防会議事務局長として、最も総理に近い立場国防会議の面ではおられるわけですね。この中にはこうはっきり言っている。「いま研究中の新しい対潜しょう戒機とかいろんなものがあります。そういうものに対しては、まだまったく手をつけておらないものでありますから、手をつけておらないものに対しては輸入をするか、国産にするかということを白紙検討しようと、まあ、輸入にウエートをおいてということでございますので……」、これがいまここにあるテープを全部起こして書いた全文なんです。私は、いま伺う前にこれを全部聞いてきたんです。まあ、なつかしい田中角榮さんの調子がここへ出てきているわけですよ。こういうことがはっきりしているということです。  さて、私は最後にお伺いしておきたいんですが、あなたは現在の後藤田氏とは内務省同期だという間柄でございましたが、最近、この後藤田氏の徳島県における後援会ですね、この機関紙に、ロッキード疑獄というのは全くこれは根も葉もないものだという趣旨の対談を細川隆元さんという方としておられますね。これが載っておる。国産化決定はもともとなかったということを言いながら、迷惑を受けた後藤田氏と、非常に後藤田氏を弁護する記述がここに出ているんですね。  それからもう一つ、私はここで指摘したいのは、この疑惑の中心になっておる一人であります田中前総理の後援会越山会、この越山会の機関紙に、「PXLの疑惑はマスコミの幻覚」だという、こういう論文を書いてここに載せておられる。この事実はお認めになりますか。
  609. 海原治

    証人(海原治君) そのとおりであります。
  610. 内藤功

    内藤功君 私は、いまあなたが一貫して、さっきからのお話を聞いておりますと、田中総理あるいは特定の人の弁護、あるいはそれをかばうということはしないと言っておられますけれども、一番大きな根本的な問題、この疑惑というものですね、どういうふうにしてこのPXL白紙還元専門家会議というああいう唐突な決定が出てきたかということが非常に国民が疑惑を持っている、こういう時期において、私は、この疑惑の中心にあると見られている方の後援会の機関紙に書かれる。しかも、その中身を見ますと、火のないところに煙は立たないというのは自然界の法則だけれども、このロッキード騒動の中のPXLの疑惑は火の気が全くないところにも一うもうとした黒煙が立てられたものだと、こういうことを言っておるんですね。しかも、それはマスコミの人々の不注意による途方もない錯覚が生み出したものだと。これは私はいまこういう国防会議という中の事務局長として重要な要職にあられた方が、いまみんな真相を究明をやろうとしているんでしょう。マスコミの方々そうですよ。われわれ国会議員もそう。国民みんな究明しようと、疑惑があるから調べようとしている。その中で、このマスコミの不注意による途方もない錯覚だというようなことは、私はこの真相の過程の中にいた人の発言としてはこれは注意しなければならぬことだと思うんです。あなたのこれについての、どういういきさつでこの「越山」というこの機関紙に書かれるようになったかということと、どういう御心境でやられたかを伺っておきたい。
  611. 海原治

    証人(海原治君) 私は現在評論家として生計を立てております。いまのこのPXLの疑惑なるものについては、いま御指摘のあったようなことを、単にいま御提示になりましたそこだけでございません。文藝春秋社が出しております「諸君」という雑誌にも書いてございます。新聞では東京新聞、中日新聞、徳島新聞、それに全部はっきりとそう書いてございます。なぜかと申しますと、先ほど申しましたように、昭和四十七年二月の時点においてPXL国産というものは絶対に決まっていないし、決まるはずがないからであります。それを決まったという前提のもとにいろいろと皆さんが騒がれておる、これはやはり一種の幻覚であると私は考えております。
  612. 内藤功

    内藤功君 最後に一言私は申し上げておきたい。  さらに私は毎日新聞持ってきましたが、六月の二十二日の毎日新聞、二十一日の大阪で開かれた内外情勢調査会で講演されて、ロッキード事件の日本人の受けとめ方は「太平洋戦争に突入する直前の日本人と同じ。集団的催眠状態にある」、こういうことまで言っておられるんですね。私はこういうことを当時の要職にあられた人が言えば言うほど、非常に——あなた自身をどうと言うんじゃないですよ、この大きな背景というものを非常に感ぜざるを得ないですね。それで私は、こういう国民に対して、または報道機関に対して、また国会の調査に対して、非常にこれは当を得ない、失当な発言だと思います。これは私はこのことを厳重にあなたに申し上げておきたいと思う。——答弁がなければこれで終わります。   〔委員長退席、理事岡本悟君着席〕
  613. 田渕哲也

    田渕哲也君 つい先ほど同僚の議員から指摘もありましたけれども、あなたはPX問題は幻想で何も出てこない、こういう発言をあちらこちらでやっておられるわけです。ただ、本当に疑わしい点が絶対にないと言い切れるのかどうか。あなたの、国防会議事務局長を当時やっておられたという、要職についておられたという点から見ても、あなた自身わからない面がたくさんあるのではないかと思うんです。だから絶対これは疑わしい点がないんだと断言はできないと思いますけれども、この点はいかがですか。
  614. 海原治

    証人(海原治君) 断言はいたしておりません。私はそう思うという見方をしているわけでございます。
  615. 田渕哲也

    田渕哲也君 いまから九年前に、すなわち昭和四十二年の七月にあなたは国防会議事務局長に就任されたわけです。その背景についてあなた自身が週刊誌とかマスコミの取材に応じていろいろ言っておられます。当時は第二期FX選定の時期でありましたけれども、そのときにあなたはノースロップのF5輸入ということを主張しておられた。したがって、あなた自身のこの転出といいますか、国防会議事務局長に就任されたということは背後に政治的意図があったと、こういう趣旨の発言をしておられますけれども、これについての見解はいかがですか。
  616. 海原治

    証人(海原治君) これは取材に参りました記者の方に当時の情勢についての私の感じを申し上げたのでございますから、本日私はロッキードこの事件問題の証人として参っておりますので、この証人としての資格では、いまあのような点についてはお答えをいたしかねます。
  617. 田渕哲也

    田渕哲也君 あなたの記事を読んでみますと、あなたはそういう感じを持っておられたということは私は感ずるわけです。あの当時ですらこういうことが、背後に政治的圧力によってこういうことが行われたとするならば、今回のロッキード事件においても何らかのそういう政治的な動きというものがあったということが想定されると思うんです。この点はいかがですか。
  618. 海原治

    証人(海原治君) 私の知る限りではそういうことは全くなかったと感じております。
  619. 田渕哲也

    田渕哲也君 それではいよいよ本論に入りますけれども、私は特に次の三点に質問の的をしぼりたいと思うんです。一つは、支援戦闘機のこの輸入案というものが出てきた問題、それからもう一つは、次期潜哨戒機国防会議に議題として出されたその経緯の問題、第三点は、あなたも先ほど言われましたけれども白紙還元という問題、この三つの点について質問をしていきたいと思います。  まず、この支援戦闘機の問題でありますけれども、これはいままでの国会での政府側の答弁によりましても、防衛庁側が正式に大蔵省から、いままで国産の方向で進めてきた支援戦闘機、さらに高等練習機、これを輸入に切りかえるという要請を受けたのは昭和四十七年十月二日だということを言っております。あなたは、大蔵省がこの問題について、この輸入切りかえの要請の意向というものをあなたはいつ知られたですか。   〔理事岡本悟君退席、委員長着席〕
  620. 海原治

    証人(海原治君) その四、五日後でなかったかと思います。
  621. 田渕哲也

    田渕哲也君 当時その輸入する機種としてノースロップF5E、こういう機種の名前が挙げられておったわけでありますけれども、この機種の案をつくったのはどこなのか御存じでしょうか。
  622. 海原治

    証人(海原治君) 私は存じませんが、いわゆる当時の関係者の常識としては、同じような任務を達成するための戦闘機としてはアメリカのノースロップのF5B系統になるだろうということでございます。
  623. 田渕哲也

    田渕哲也君 防衛庁は当時はこの問題、これを輸入するということは毛頭考えていなかったと思うんです。だから防衛庁側からこのノースロップという機種の名前が出てくるとは考えられないんですけれども、そうすると大蔵省が独自で判定してこの名前を出してきたのか、あるいは国防会議——あなたの方からそういう機種の案が出されたのか、あるいはその他のところ、たとえば総理周辺から出てきたのか、この辺はいかがですか。
  624. 海原治

    証人(海原治君) その辺についての事実は私は承知いたしておりません。ただし、先ほどの他の議員の方にも御説明いたしましたが、空幕で一案を考えたときには、やはりそのF5系統が入っておりますから、先ほど申し上げましたように当時の常識でございます。どこで考えたというよりも、やはり大蔵省あたりは当然知っておったと思います。
  625. 田渕哲也

    田渕哲也君 十月六日に第五十一回の国防会議の議員懇談会が開かれております。この場合の議題はいわゆるT2シリーズについてのみでしたか、あるいは次期潜哨戒機のことが話題になったのかどうかお伺いしたいと思います。
  626. 海原治

    証人(海原治君) 当時は全くこの次期潜哨戒機の問題は幹事会以上においては論議されておりません。で、六日の懇談会におきまして私が記憶しておりますのは、研究開発という問題と具体的な装備の問題とは切り離していくべきだと、そういう点についての論議があったと思います。
  627. 田渕哲也

    田渕哲也君 明くる日の十月七日に第五十九回国防会議幹事会が開かれております。この内容については先ほど御説明を聞いたとおりでありますけれども、さらにこの関係者会議というものが持たれて、この中で海原さんはF5の輸入主張したと、そしてその理由としてはこのT2の国内開発の成果に疑問を持っていたと、こういう報道があるわけですけれども、この点はいかがですか。
  628. 海原治

    証人(海原治君) その日におきましては、私はF5というものを輸入しろということは一言も言っておりません。ただし、防衛庁の方での主張で、このFST2改とまあ一般に言っておりますが、これとF5とを比較いたしまして、FST2改の方が絶対的に優秀なんだと、こういう形の断定的な御説明がございますので、それは言えないことではないかということでいろいろと質問したことは事実でございます。何となれば、当時まだ練習機のT2もできておりません。その練習機のT2ができた上でそれをさらに改造して戦闘機にするわけでございますから、それと、そういう将来の飛行機と現にアメリカで十分証明済みのものとの比較ということは、これは無理でございます。そこで、その点についていろいろと私が質問したことは事実でございます。
  629. 田渕哲也

    田渕哲也君 いままでのこの委員会における政府側の答弁によりますと、四十七年の十月当時にはT2は試作機が一号機、二号機がもうすでに完成しておる。また三号機、四号機は実用試験機として製作中である。しかも、この開発の結果については担当省庁としてはきわめて良好であるという評価をしております。この点についてはいかがですか。
  630. 海原治

    証人(海原治君) そのころの新聞にも出ておりますけれども、T2につきましてもいろんな問題があると報ぜられておりました。したがいまして、まあ担当省庁見解ということになりますと、これは私何とも申せませんけれども、過去の私の長年の体験から申しますと、なかなかこの研究開発というものは予定どおりまいっておりません。特に、この超音速の戦闘機をつくった経験がございませんし、どこの、対地支援戦闘機と申しますけれども、洋上における艦船の攻撃ということが主たる特色であるごとく説明されておりますので、その方面についての技術開発の可能性、その見通しということが当然事務的には問題になるわけです。
  631. 田渕哲也

    田渕哲也君 十月七日の時点では対潜哨戒機の問題は全然出なかったですか。
  632. 海原治

    証人(海原治君) 全然出ておりません。
  633. 田渕哲也

    田渕哲也君 翌日の十月八日に、あなたはいわゆる妥協案というものをつくられて関係者のところを回られた、このように聞いておりますけれども、あなたがこの妥協案というものをつくられたのは十月八日ですか、あるいは七日のときにもうすでにつくられていたのか、いかがですか。
  634. 海原治

    証人(海原治君) 七日は午後の八時まで会議をいたしまして、結論を得ずに散会いたしました。八日の日曜日の朝の朝刊を見ますというと、朝日、毎日、読売——先ほど申しましたが、全部輸入説的な言い方をしております。一つの新聞では八十三機輸入ということも書いてございます。それを見まして、それから考え防衛庁に行ったわけでございます。
  635. 田渕哲也

    田渕哲也君 妥協案の内容というものはどういうものでしたか。
  636. 海原治

    証人(海原治君) これはT2二十機は国産、F5Bは輸入、あとの対地支援戦闘機は国産、こういうことも考えられるではなかろうかということを、先ほど申しましたように、私の私案として連絡いたしました。
  637. 田渕哲也

    田渕哲也君 この高等練習機のT2と、それから支援戦闘機FST2改、これはやはり一つの系列の方が望ましい。これは防衛庁のかねてからの主張であるし、また常識的にもそう考えられると思います。この、一方国産で一方を輸入ということにしますと、今後の整備とか運用の面できわめてむだが多い、こういうことも常識的には考えられるわけですけれども、あなたのつくられた妥協案のこの問題点についてはどうお考えですか。
  638. 海原治

    証人(海原治君) いまの御指摘の点は確かにございます。ただ、私がそういう案を考えましたのは、先ほども申しましたように、一応ドル減らしのための協力の要請がある以上はこういうことも考えられる、しかしこの案はこういうマイナスがあるんだということの形での折衝が望ましいと思ってやったわけです。で、私がFsBを出しましたのは、かねてから航空幕僚監部におきましては、私が防衛庁在職時代から、T38系統、すなわちノースロップのその系統の練習機がほしいと、こういう希望がございました。それを受けて私はその案をかけたわけです。そういう次第でございます。
  639. 田渕哲也

    田渕哲也君 この前日の段階でも、いわゆる次期潜機の問題は全然出てこなかったわけですか。
  640. 海原治

    証人(海原治君) 出ておりません。
  641. 田渕哲也

    田渕哲也君 新聞の記事によりますと、当時に対する後藤田氏の発言としてこういう発言があるわけです。国防会議の前日、すなわち十月八日の日です。防衛庁は庁議を開きPXL国産化について大蔵省の強い反対を考慮して国産化を断念したはずで、島田次官と海原事務局長が私の自宅を訪ね、この方針を伝えてきたと反論している。これは偽りですか。
  642. 海原治

    証人(海原治君) 事実と相違いたしております。
  643. 田渕哲也

    田渕哲也君 次に肝心のこの十月九日に移りたいと思いますけれども、九日の午前八時三十分、第六十回国防会議幹事会が行われたわけであります。その中身は、先ほどの御説明のように、いわゆる支援戦闘機あるいは高等練習機、こういうものについての討議をしたけれども結論は出なかった、そうして国産輸入、妥協案、折衷案、この三つのたたき台をつくったと言われておりますけれども、この会議におけるそれぞれの案に対する支持をする、支持をした人というのはどういう人ですか。
  644. 海原治

    証人(海原治君) 格別に支持をした方はおられません。後藤田君から、こういう事情になっておって話し合いがつかないから、これは国防会議の議員懇談会国防会議決定していただくことにひとつお任せ願いたいということで、全員それを了承したわけでございます。
  645. 田渕哲也

    田渕哲也君 ただこの三つの妥協案、三つのたたき台の案を並列的につくったということは、それぞれの主張があって話し合いがつかない、こういうことが前提ではなかったかと思うんです。
  646. 海原治

    証人(海原治君) それは完全に事務的な準備でございまして、どの案に決まりましてもすぐそれを国防会議決定案として私が関係の方に御配付できる、そのために用意しただけのことであります。
  647. 田渕哲也

    田渕哲也君 それから九時過ぎにいわゆる田中・相澤・後藤田の三者会談というものが開かれました。先ほどからのお話ですと、海原さん自身はこれには入っておられません。しかし、この三者会談というものは、私は国防会議幹事会でなかなかその意見がまとまらない、そして国防会議議員懇談会あるいは国防会議を開くための意見調整だと思うんですね。当然国防会議事務局長の海原さんが入るべきだと思うんですけれども、入らないというのはちょっと不自然ではありませんか。
  648. 海原治

    証人(海原治君) 私にお呼びがなかったことは事実でございます。それが不自然かどうかはこれは皆様方の御判断でございますが、その段階におきましてはもう総理として決意をされる。そこで私よりも官房副長官の後藤田君の方がはるかに総理との距離は近こうございますし、私の考え方は後藤田君が知っているわけでございますから、そこで後藤田君を呼び、さらに輸入説を言っておった大蔵省の相澤君を呼んだ。そこでこういうことにしたいがいいかという下相談をされたと私は了解いたします。
  649. 田渕哲也

    田渕哲也君 その三者会談で後藤田氏が田中総理にいわゆるT2は国産化にしたらどうかと、こういう進言をしたということでありますけれども、そうすると、後藤田さんはこの朝には大体そういう方向で腹を決めておった、あるいは前日ですね、と思うんです。あなたは前日後藤田さんに会われたのは何時ごろですか。
  650. 海原治

    証人(海原治君) 正確には記憶しておりませんが、ずっと回ってまいりましたので、午後の二時か三時ごろだったと思います。
  651. 田渕哲也

    田渕哲也君 そういうときにそういう腹のうちを打ち明けるというようなことはなかったですか。
  652. 海原治

    証人(海原治君) 先ほども申しましたように、友人ではありますが、そういう仕事のことについては私も後藤田君の腹のうちはわかりません。
  653. 田渕哲也

    田渕哲也君 次いで九時十五分に第五十二回の国防会議議員懇談会が開かれたわけでありますけれども、このときにT2シリーズが、一たん大蔵省からこの輸入案が出て、大分ゆさぶられて再び国産に逆戻りした、もとのさやに戻ったと言う方が適切かもわかりませんけれども、この点について何か話し合いとか意見とか、そういうものはメンバーから出なかったですか。
  654. 海原治

    証人(海原治君) 話し合いというのが、後藤田副長官と私との間でございますと、それはございません。
  655. 田渕哲也

    田渕哲也君 後藤田さんとあなたとの話し合いではなくて、国防会議議員懇談会の中の論議として何にも意見が出なかったですか。
  656. 海原治

    証人(海原治君) 何にも意見が出なかったというよりは、総理の提案に全員が賛成されるということで意見が出ているわけであります。
  657. 田渕哲也

    田渕哲也君 私が申し上げておるのは議論ですね、それについて発言をするとか、そういうことはなかったですか。
  658. 海原治

    証人(海原治君) 私の記憶ではございません。
  659. 田渕哲也

    田渕哲也君 それからまあPXL問題がこのとき総理の方から出されたわけですけれども、この四次防の主要項目を決定すべき国防会議において、ポスト四次防のPXL問題を持ち出す必然性というのは私はなかったと思うんですね。あなたはこれ、どう判断されますか。
  660. 海原治

    証人(海原治君) 先ほどからも申しておりますように、全くそのときにおいては問題になっておらないことでございますから、おっしゃるように必然性はないということになろうかと思います。
  661. 田渕哲也

    田渕哲也君 この問題についてもメンバーはだれも発言をしませんでしたか。
  662. 海原治

    証人(海原治君) 発言いたしておりません。
  663. 田渕哲也

    田渕哲也君 白紙還元の問題も先ほどから論議されておりますが、私も確認をしておきたいと思うんですけれども、これはメモにはなかった。そうすると作文の段階で入れられたのか、あるいは田中総理が発言された中にこういう言葉があったのか、どちらでしょうか。
  664. 海原治

    証人(海原治君) 私の記憶では、総理の御発言の中にはございません、そういうことは。
  665. 田渕哲也

    田渕哲也君 そうすると、いままでの経過を通じまして、このPXL問題というものが初めて持ち出されたのは、この国防会議議員懇談会においてである。それまではどの会議でもこれは出ていなかったと。これは間違いありませんか。
  666. 海原治

    証人(海原治君) 念を押すようでございますが、PXL問題ではございませんで、PXLという言葉が出ましたのは、ということでございます。
  667. 田渕哲也

    田渕哲也君 そうすると、それまでは全くこの支援戦闘機の問題で論議をされておったわけで、この対潜哨戒機の問題が問題じゃなくて、対潜哨戒機という言葉が出てきたのはこのときが初めてというふうに理解していいと思うんです。ただ、あなたは支援戦闘機との関係で、対潜哨戒機の問題で、その前にどうこう考えられたことはありますか。
  668. 海原治

    証人(海原治君) どうこう考えたかということになりますというと、防衛庁の方では、その途中におきまして、次期潜哨戒機というものの研究開発という言葉を文章上使ったことがございます。そこのときにPXL問題が出ておりますので、二月に大綱を決めまして、十月に主要項目の決定されるまでの間、いろいろとやりとりございますから、その間ではどうこうという話は出ております。
  669. 田渕哲也

    田渕哲也君 私が申し上げておるのは一般的な意味ではなくて、この支援戦闘機の輸入問題との関係で、PXL問題まで考えがいったことがあったかなかったか。
  670. 海原治

    証人(海原治君) そういうことはございません。
  671. 田渕哲也

    田渕哲也君 それから白紙還元ということになるわけですけれども、これについてはあなたもいろいろいままで書いておられますし、それからまた発言もしておられます。いままで決まっていなかったものの白紙還元はあり得ない。確かに理屈から言えばそういうことになるわけであります。ところが、四十七年度のPXLに関する予算が執行が停止されております。この点についてあなたはどう思われますか。
  672. 海原治

    証人(海原治君) 先ほどもいろいろとお話ございました。で、私は執行停止になったことは、当時そういう事実も知りませんし、関係者から、したがって話も聞いておりません。ただ、私は、川崎の方でいろいろと準備をしているということもございますが、そもそもがPXLというものが一体要るのか要らないかという議論が先ではないかということを防衛庁にも言っておりますし、そのことがいろいろとあちらこちらに伝わっておるということは当然考えられますので、その辺のところで自主的なそういうかっこうになったんではないかと、これも想像でございます。
  673. 田渕哲也

    田渕哲也君 あなたは先ほどこのPXL、これの保有は決まっていないということを言われました。保有は決まっている。私どもその意味は、国産開発しようがあるいはP3C級のものを輸入しようが、次期潜機日本が持つということは決まっていない、そういう意味で言われたのだと思います。しかしながら、四十五年度から、もうすでにPXLに関する技術研究調査費が予算として決定されておるわけです。さらに四十五年、四十六年、四十七年、いずれも予算が計上されております。そうしてこの予算の性格について政府にただしたところでは、これはPXL国産開発するか、あるいは外国から輸入するか、どちらかを決めるための研究であると。ということはPXLを保有するということが前提になっておると思うんですね。だから、あなたが決まっていないと言われるのはあなたの間違いではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  674. 海原治

    証人(海原治君) この種の問題は、決まっておるということが、どの段階で決まっておるかということでございます。したがいまして、海上幕僚監部の担当部局では、かねてからそういう希望があった。それが海上幕僚監部の総意になっておるかもしれません。あるいは防衛庁としての一つの希望であったかもしれません。しかし、それを防衛庁単独の決定、意思決定では実行できないものであります。それはPXLの保有ということは、先ほども委員の御指摘にございました、大変多額の金がかかりますし、一体何機要るかという問題もございます。百機要るのか、九十機要るのか、六十機かという問題もございます。そういう問題が決まって、それから初めてそのPXLを入手するとすれば、それは国産輸入かということで検討になる。そういう前提を踏むのがこれは物事の筋道でございます。その最初のところが全くございませんから、したがって私の言うようなことになると私は考えております。
  675. 田渕哲也

    田渕哲也君 これは正式に、たとえば国防会議で決めたとか、閣議で決めたとか、そういうことではないかもわかりませんけれども、しかし予算として決まっているわけですね。予算として決まっておるということは、単に防衛庁段階考えておることではないんです。私が申し上げているのは、このPXL国産開発して持つということは決まっていない。しかし、国産にするか輸入にするかを別にしても、次期潜機装備する、こういう方針が決まっておるからこそ、四十五年、四十六年、四十七年の予算が計上されたと思うんです。そうしてこの予算の性格については、次期潜機について国産にするか、輸入にするかを検討するための研究である。こういうふうに政府は答弁をしております。これはやはり保有を前提としたものである。保有を前提として、すでに四十五年から政府予算をつけておるということになるわけです。この点はあなたの見解の方が誤りではないかと思いますが、いかがでしょう。
  676. 海原治

    証人(海原治君) 政府の責任当局がそういう御説明をしておるとすれば、それが政府見解だということにならざるを得ません。ただし、お考えの中に、研究開発予算がついたからということが国産へにつながる道だということは、具体的に一つの例を申し上げますと、第三次防衛力整備計画では、レーダー警戒搭載機AEWの研究開発がはっきり決まっております、三次防で。これについてもある程度予算がつきました。しかし今日の段階、これは全く輸入とも国産とも決まっておりません。そのように研究開発予算がついたからといって直ちに国産にはつながるものではないということが、私は今度の問題について、一つの大きな条件ではないかと思います。
  677. 田渕哲也

    田渕哲也君 あなたは私の質問の趣旨を誤解されておるわけで、私は国産が決まっておると言っているわけじゃないわけです。次期潜機を保有する、国産輸入かは別にしても保有するという、そういう前提があるから技術研究調査費がつくのだと思うんです。だから技術調査研究費も、政府の答弁は、国産化を前提としたものではない、国産輸入かを決定するためのものだと、こういうように言っていますから、この保有が決まっていないというあなたの論拠というものは間違いであると私は思います。
  678. 海原治

    証人(海原治君) これは見解の相違でございますが、私の過去におきます防衛庁国防会議事務局を通じての体験から申しますというと、絶対に決まっておりません。
  679. 田渕哲也

    田渕哲也君 決まっていないものに予算がつくということは、私は矛盾だと思いますが、この点は時間がありませんので、これぐらいにしまして、専門家会議発足が、いわゆる閣議了解で白紙還元決定し、専門家会議を設置することが決まってから非常にもたもたしております。あなたは十月九日にこの問題が決まってから、十二月二十二日に退官されるまで、ほとんどこの専門家会議発足については放置されていたのではないか、この点はいかがですか。
  680. 海原治

    証人(海原治君) 先ほども説明しましたように、私としては一応事務的に事を進めまして、各省参事官にどうしたらよかろうかということの相談をいたしまして、その結論まとめて内海君に引き継いだわけでございます。したがいまして、それだけなら、おまえは仕事をしていなかったというおしかりであれば、甘んじてそういうことでございますかということになるわけでございますが、私なりにいろいろと事務方で勉強はしておりました。
  681. 田渕哲也

    田渕哲也君 時間がありませんので、これで終わりますが、PXL国産開発の場合には、やはりタイムリミットがあるわけですね、こういう点については当時お考えになっておりましたか。
  682. 海原治

    証人(海原治君) タイムリミットということについて、私はよく存じておりません。
  683. 田渕哲也

    田渕哲也君 終わります。
  684. 野末陳平

    ○野末陳平君 十月九日の議員懇談会での了解事項の中のこのPXL国産化問題の白紙、この部分ですけれども、それまでのいろんな会で全く出ていなかったと。で、このときこの懇談会の席上で唐突に出てきたということまではあなたの証言でわかったんですが、これはやはりこれを言い出されたのは、この席上、総理なんでしょうか。
  685. 海原治

    証人(海原治君) 先ほども説明いたしましたが、その案文それ自体は、大蔵省防衛庁国防会議事務局の三者の事務方が集まって相談した結果用意したものでございます。その用意された案文を私が読み上げまして、全員が了承されました。したがいまして、いま言われましたように、総理の発案ではございません。
  686. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうすると、この案文の基礎になった発言というのはその席上だれからも出ていなくて、もうそれ以前につくられていたと、こういうことですね。
  687. 海原治

    証人(海原治君) そういうことではございませんで、この懇談会の席上で総理からそういう新しいお考えが出され、賛成され、それではいまのこの申し合わせのことを文書にしようということで事務方が相談してつくったものでございますから、前から用意されたものではなく、そこでつくられたものでございます。国防会議議員懇談会が進行中に、部屋の片すみで、いま申しました大蔵省防衛庁国防会議事務局の事務方が、いままとまりました懇談会での話し合い、それを文書にしたのがその文書でございます。
  688. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうすると、総理はそのPXL国産化問題白紙というようなことは全く言葉にはその席で出してないと、こういうことですね。
  689. 海原治

    証人(海原治君) そのとおりでございます。
  690. 野末陳平

    ○野末陳平君 それではこの専門家会議を設けるというこのくだりですが、これは総理ははっきりおっしゃってたわけですか。
  691. 海原治

    証人(海原治君) 対地支援戦闘機は国産でいこうということの御発議があり、関係者全員がこれを了承され、その次に、ついてはこのような高度の技術的な問題については専門家会議を設けてそこで検討することにしたらどうだろうと、こういう御発議があったわけでございます。
  692. 野末陳平

    ○野末陳平君 その辺ですが、もう少し総理の生の言葉を思い出して説明をしてほしいんですが、先ほどの証言の中じゃ、まあ、こういう専門的なことは知識がないから、まあ、ここまで一々上げられては困るとか、まあ、この委員会でもそんなこともあったりいろいろあるんですが、その生の言葉で、どう言われたんですか。要するにわからないと、こういうむずかしいのは。だから専門家にやらせるのが当然だと、そういう言葉なんでしょうか。
  693. 海原治

    証人(海原治君) 私は証人としての証言でございますので、いま御要求のありました生の総理のお言葉というものは記憶いたしておりません。
  694. 野末陳平

    ○野末陳平君 いえ、ですから、記憶——じゃあ思い出してほしいんですが、そうしないとこの文書のもとになった総理の発言というものがどういう形で出てんのか、それ以前にもう決まってんのか、それとも、あなたが聞いた範囲でもう少し明確にしてほしいと思うんですが、だめでしょうか。
  695. 海原治

    証人(海原治君) それは私には無理な御注文ではないかと思います。
  696. 野末陳平

    ○野末陳平君 それでは、無理ならば別の角度からお聞きしますが、あなたは先ほど総理がこういう問題については高度の技術的判断を要するから専門家に任せるという気持ちになられるのは当然ではないかと、いわばかばうような発言をなさっているわけですが、かばうというのは私がそう感じているんですが、その後で総理が、いいですか、PXL輸入にウエートを置くということを——これはもう個人的な意見ですね、これをはっきり外人記者ですかを前にして言っている。これは少なくも、場所が場所だけに、まあ公式発言ですね。これはオーバーに言えば国の方針を総理がもうあらかじめ言っていることですよ。そうなると、これはもう総理は、第三者に任せる、専門家にと言う以前に自分はもう勝手に決めている。しかも、今後専門家会議結論を先に出しているようなもんですね。そう思えるんですが、あなたにはそう思えませんか。
  697. 海原治

    証人(海原治君) 第三者の専門家会議をつくるということになりますというと、総理の意見と同じものが出てくるという保証はどこにもないわけであります。したがいまして、先ほどもお答えしましたように、日本の総理大臣としては、政治家としてはこういう希望を持っているということの御発言と、専門家会議結論をその方に誘導しようということとは私は全く因果関係がないと思います。
  698. 野末陳平

    ○野末陳平君 いや、全く因果関係がないように思えますが、しかし、いいですか、しかし、この了解事項における総理の立場というのは、やっぱり第三者に任せるべき問題で、高度の技術的判断だということでしょう。その高度の技術的判断を要することならば、総理が勝手に輸入にウエートを置くなんということを言うこと自体が非常に矛盾しておかしいわけです。決してこれが誘導するとは言いませんが、しかし、総理が一歩先にそういう結論を出してしまってるということは、今後の国防会議の、あるいは専門家会議答申が出るまでの過程をもう先取りして、いわば無視しているようにとれる。これは行き過ぎじゃないでしょうかね。
  699. 海原治

    証人(海原治君) 総理が輸入にウエートを置いた発言をすればその方向に自然的になるということ自体は、この対地支援戦闘機の経過を見ますと、そういうことにはならぬと思うわけであります。皆様方は、総理は輸入の方向でいっておったとこう言われますが、結果的には国産ということになっておりますから、そのようにこれは御推論、御判断になることは私とやかく申し上げませんけれども、私にはそういうふうには思えません。
  700. 野末陳平

    ○野末陳平君 もう前にそういう例があったからこれからもそうでというのはこれは事が違うと思うんですが、いずれにしてもあなたの判断はそうであるならばもう一つお聞きしますが、あなた自身がその事務局長として総理のこの発言を何か後で知ったと、あるいは知らなかったというようなことをちょっとさっきおっしゃいましたが、どうですか、事実は。
  701. 海原治

    証人(海原治君) 私はその当時見た記憶がございませんということを申し上げました。
  702. 野末陳平

    ○野末陳平君 ではいつごろこの総理の発言をお知りになりました。
  703. 海原治

    証人(海原治君) その後でございますが、いつごろであったかは的確に覚えておりません。先ほど申しましたように、私はその後アメリカに四次防の説明にも参っておりますし、帰って来ましてから退官いたしておりますので、その間にこういうことがあったということをあるいは新聞記者の友人から聞いたかもしれませんが、だれからか、いつということは記憶たしておりません。
  704. 野末陳平

    ○野末陳平君 私は常識的に考えますにですね、十月九日にあなたが専門家会議考えるように言われて、非常にこれはむずかしいという判断をなさっている。そのやさきに、もうすぐに総理が全く第三者に任せるべき高度の技術的判断を要する問題に関してもう個人的意見を言うと。事務局長立場としてこれはほうっておいていいんでしょうかね。私だったらやっぱりちょっと総理の真意を確かめに行くなりあるいは少し軽率な発言は困るというようなぐらいのことは言いかねない。いかがでしょうか。あなたは全然それに対して何の総理とも接触なさらなかったんですか。
  705. 海原治

    証人(海原治君) 私も長い役人の生活をしておりますその体験から申しますというと、政治家の方がいろんなことをおっしゃいますから、その時その時に臨んでの臨機応変の御発言ございます。それは御希望の表明であったり、願望であったり、約束であったり、そういうことが多々ございますので、一々事務局長があれはどうですかというようなことをすべきものではないというふうに私は考えております。
  706. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうすると、あなたは非常に、日本の政治家は余り信用してないということになりますね。ですから、この輸入にウエートを置くというのは、私はこの言葉が三日後に、十月九日の後三日後に出ることが非常に軽率なんで、本来これは言うべきじゃないのに言っているから何かそこにあるんじゃないか、あるいは総理はもう初めから輸入に傾いていたというか、もう自分で勝手にそれを決めていたんではないかと、まあこういうふうに判断してあなたにお聞きしたわけですが、いかがでしょう。それは全然あなたはそう思われないということですか。
  707. 海原治

    証人(海原治君) 私は全然そのような判断はいたしておりません。
  708. 野末陳平

    ○野末陳平君 それでは専門家会議のことですけれども懇談会了解事項の後にあなたに対して田中総理あるいはその他の方から何か指示ないしはその後の経過などについての問い合わせ、そのようなものはありましたか。
  709. 海原治

    証人(海原治君) 後藤田官房副長官との間であの問題はどうするんだということで、先ほど申しましたように一応事務的に検討してみてくれよと、こういう、何と申しますか、話し合いはございました。それ以外には何もございません。
  710. 野末陳平

    ○野末陳平君 その話し合いはいつですか。
  711. 海原治

    証人(海原治君) いつか、何月何日ということでございませんが、先ほど申しましたように、十月九日の後の私がアメリカに出かける前の段階だと思います。
  712. 野末陳平

    ○野末陳平君 この専門家会議の設置ですが、あなたの判断では非常にこれは無理じゃないか、むずかしいなあと思われたが、しかし一応手続はいろいろな点でやられたと、一応の結論を出されたということですが、この発足はいつごろにしなければいけないなと、ある程度の時間的な制約をお考えになりながら検討されましたか。それとも、それは全く、とにかくできてからやればいいという程度でしたか。
  713. 海原治

    証人(海原治君) 時間的な制約の前に、まずその専門家会議の設置の可能性、性格の問題の検討がございますので、そういうタイムリミットということにつきましては当時頭にございませんでした。
  714. 野末陳平

    ○野末陳平君 しかしながら、その人選その他も大事ですが、少なくもこのPXL次期潜機に関してはある程度のタイムリミットというものが当時からもう考えられているわけですね、防衛庁の中では。これは全く無制限にいつでもいいんだと、結論が出てからというわけではなかったと思うんです。ですから、専門家会議検討すると、これの設置を考える場合には、当然時間的な制約があることも考慮に入れていなきゃおかしいと思うんですが、それは余裕がなかったということなんですか。
  715. 海原治

    証人(海原治君) 余裕がなかったということではございませんので、先ほどから申しますように、PXLの保有それ自体が大きな問題である。したがって、そのPXLの保有それ自体検討が先だ。それから後でその入手法を検討すべきだと、こういうことを従来から私は言っておりましたので、おっしゃるようなタイムリミットのことは全く頭にございません。
  716. 野末陳平

    ○野末陳平君 それはあなたの個人的な意見でね、事務局長としては、もう総理が保有を前提にしているような発言もなさっているわけでしょう。ですから、ちょっと個人的意見事務局長立場とが混同しているように思えるんですけど。
  717. 海原治

    証人(海原治君) とにかく、当時の情勢といたしましては、懸案でございました第四次の防衛力整備五ヵ年計画がようやくのことでまとまった時点でございます。PXLというのは、五次防——その後の問題でございますから、それについてのタイムリミットを考える余裕は私はございません。
  718. 野末陳平

    ○野末陳平君 時間も来ていますので、最後の質問になってしまうんですが、当時の経過と、それから、いまになって考えて解釈するのと大分違うと思うんです。ということは、あなたが、先ほどここの証言の中にもありましたけども、全くこのPXLに関するこの疑惑というものは根拠のないもので、いわばつくり上げた幻覚であるようなことをおっしゃいました。そのときであれば、当時であれば、そういうことも通用したと思うんですが、いまになって振り返ってみると、やはり腑に落ちない点があったり、ちょっと納得——まあ、防衛庁とのいろいろないままでの質疑を通しましてね、それを参考にして、ちょっとおかしいという点がやはり感じられるんです。で、それが果たしてロッキード問題のこの疑惑の核心につながるかどうかそれはわかりませんが、少なくも私などは大分臭いんではないかと、こう思ってしまう。あなたはそれについては全く思わない。当時もいまも、この問題については何の疑惑もないんで、すべては幻覚であるということをまた改めてここで断言なさいますか。それをお聞きして終わりにします。
  719. 海原治

    証人(海原治君) 私は当時も現在も何の疑惑も感じておりません。
  720. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 以上をもちまして海原証人に対する尋問は終了いたしました。  海原証人には長時間にわたり御証言いただき、ありがとうございました。  また、先ほど各委員から御要求のありました証人喚問につきましては、理事会において協議することにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五分散会