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1976-06-22 第77回国会 参議院 ロッキード問題に関する調査特別委員会 閉会後第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年六月二十二日(火曜日)    午前十時五十一分開会     —————————————    委員異動  六月十七日     辞任         補欠選任      野々山一三君     野田  哲君  六月十九日     辞任         補欠選任      内藤  功君     神谷信之助君  六月二十一日     辞任         補欠選任      太田 淳夫君     峯山 昭範君  六月二十二日     辞任         補欠選任      神谷信之助君     近藤 忠孝君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         剱木 亨弘君     理 事                 岡本  悟君                 林田悠紀夫君                 瀬谷 英行君                 黒柳  明君                 橋本  敦君                 田渕 哲也君     委 員                 石破 二朗君                 大島 友治君                 岡田  広君                 亀井 久興君                久次米健太郎君                 宮崎 正雄君                 最上  進君                 上田  哲君                 久保  亘君                 対馬 孝且君                 野田  哲君                 矢田部 理君                 峯山 昭範君                 神谷信之助君                 野末 陳平君    国務大臣        法 務 大 臣  稻葉  修君        大 蔵 大 臣  大平 正芳君        通商産業大臣   河本 敏夫君        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       井出一太郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  坂田 道太君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        国防会議事務局        長        内海  倫君        警察庁刑事局保        安部長      吉田 六郎君        防衛庁長官官房        長        玉木 清司君        防衛庁防衛局長  丸山  昂君        防衛庁人事教育        局長       竹岡 勝美君        防衛庁装備局長  江口 裕通君        法務省刑事局長  安原 美穂君        法務省刑事局刑        事課長      吉田 淳一君        大蔵省主計局次        長        高橋  元君        通商産業省機械        情報産業局長   熊谷 善二君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○ロッキード問題に関する調査  (ロッキード問題に関する件)     —————————————
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまからロッキード問題に関する調査特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る六月十七日、野々山一三君が委員辞任され、その補欠として野田哲君が、六月十九日、内藤功君が委員辞任され、その補欠として神谷信之助君が、また、昨二十一日、太田淳夫君が委員辞任され、その補欠として峯山昭範君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ロッキード問題に関する調査を議題とし、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 対馬孝且

    対馬孝且君 まず最初に稻葉法相に対しまして、二、三の見解を承りたいと思います。  実は本委員会で、去る十六日の同僚野々山議員質問に対しまして、   〔委員長退席理事岡本悟着席稻葉法相から、灰色政府高官名に関して統一見解国会求めがあれば提出をしたい、こういう趣旨回答がございました。ところが、その後十九日の毎日新聞、それから読売新聞等を見ますと、法務並びに検察庁部内統一としては、灰色高官名については、部内統一として公開はしない、公表はしない、こういう意味記事が載っているわけでありますが、したがって、この段階において、特に社会党が十七日の日に三木総理大臣あてに七項目にわたる政府高官名ロッキード徹底究明に関する問題をひっ下げまして提出をいたしました。二十四日、回答求めることになっているんでありますが、その前段としまして、これらの問題を含めて、いま一度稻葉法相の当時の考え方が変わっているのかどうか、こういう基本的な考え方について、ひとつ、統一見解について承りたいと思います。
  5. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) いわゆる灰色高官意味は必ずしも明確ではありません。仮にこれが、刑事責任追及されないが政治的道義的責任があるものを意味するとしても、いかなる場合に政治的道義的責任があるかについては一概に言いがたく、この点について現在調査を行っている国会においても明確にされることが望ましいと存じます。政府としては、捜査が続行されている現段階においては、いわゆる灰色高官定義やその公表基準等について具体的に論議することは、捜査活動に悪影響を及ぼすので適当でないと考えております。いわゆる灰色高官氏名公表については、捜査が終了した段階において、過般の議長裁定趣旨にのっとり、具体的状況に応じ、国政調査権の行使によって得らるべき公益と、捜査結果の内容を非公開にすることによって保護さるべき公益とを比較考量して公表の可否をその時点で決することと相なると存じます。
  6. 対馬孝且

    対馬孝且君 いまの稻葉法相考え方でいきますと、十六日の野々山同僚議員に答えた、いわゆる国会求めがあれば灰色高官に対する基準、あるいは灰色高官に対する公表、不公表を含めて、その段階では統一的に明確にすると、この考え方とどうも矛盾をするんじゃないですか。どうもその後後退をした感じをするわけです。その点いかがですか。
  7. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 別に後退はしておりませんので、あなた方どういうふうに受け取られたか知りませんけれども議長裁定にあるとおり、捜査推移にかんがみ、とありますから、捜査推移にかんがみて、そういうときはやりますと。それは、捜査推移というのは、結局は捜査終了の時期ですよ、どうしたって。そうなります。
  8. 対馬孝且

    対馬孝且君 なお、だめ押し意味でちょと聞くんでありますが、どうも政府見解が、印象として、私はなおだめ押しをする意味で聞くんですが、同じ読売の六月十九日の新聞に、インガソル・アメリカの副長官が参りまして、第十三回財界人会記者会見をやっている。その記者会見の中に、ロッキード問題に触れて、政府高官名を発表することは好ましくないと、こういうことをこの会見をした記事が載っているわけでありますが、どうもそれと符節が合うようなかっこうで、どうも先ほどの前段答弁が出ておるもんですから、あ、やっぱりこれはアメリカとべったりになってこれ後退——政府高官をうやむやにするのかと、こういう印象国民はぬぐい去らないと思うんですよ。私は、そういう意味だめ押ししているので、あくまでも捜査終了段階でいま言った政府高官に対する基準、あるいはその内容公表、不公表含めて、議長裁定に従って統一見解を出すと、こういうふうに確認してよろしゅうございますか。
  9. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) インガソルと符節を合すると言うけれども、ちっとも何の関係もないですね、往復も何もないんですからね、会ってもおりませんしね。それは全然切り離して考えていただきたいと思いますし、それから、大体政府高官という意味内容定義といいますかね、なかなかこれむずかしいですね。私の方はクロ追及するわけですから、クロということになれば、政治的道義的にも皆ついて回るわけですね、起訴ということになれば。そうですね。けれども刑事責任追及する、公判請求はできない、起訴はできないと。けれども道義的政治的責任が残る場合を予想されて議長裁定になっているわけですね。そして、それは法務検察任務ではなくて、国政調査権に基づく国会の場が政治的道義的責任追及の場だと、こう書いてありますね。したがって、刑事責任はないけれども政治的道義的責任はいかなるものが残るかということは国会がお決めになるべきことでございまして、われわれの方はその任務外——出過ぎたことですから、そういうことをやることは。しかし、その国会調査権に基づく政治的道義的責任追及については、政府、つまり法務省及び検察庁も含めて、政府は最善の、最大限のこれに協力を申し上げますと、こうなっているわけですから、その時点で最大の協力をいたします、決してうやむやにするというようなことはございませんと、こういうことを言い切れると思いますね。
  10. 対馬孝且

    対馬孝且君 その時点最大限協力をするということは、つまりこの前の十六日のことをもう一回確認しているんですよ、私は。統一見解という意味での内容が、道義的政治的にこの国会の場、ロッキード委員会求められれば、ここで調査権として統一見解を示されると、こう確認していいでしょうと、こう言っているわけですよ。
  11. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 政治的道義的責任の問題とは切り離して別に、一生懸命にクロを追うたけれども、そしてクロになった者もあるが、捜査はしたが公判請求に至らなかった場合はどういうものがあるかということについての意見は申し上げられると思うんです、その段階で。
  12. 対馬孝且

    対馬孝且君 なぜこれを聞くかというと、問題はやっぱり金品を収受して、たとえば職権がなかったとか、職権があっても金品収受がなかったとかいうようなことによって、つまり時効によってうやむやになるということがいま国民が一番心配しているわけですよ。そうなるだろうという懸念を非常に持っている。だからこのだめ押しをしているんですから、その点は言葉を濁さずに、いま言ったように、その時点で明らかにこの国会の場において政府としてはそういう一定の見解を示すと、そのための協力をしますということを確認してもらえばいいんですよ。
  13. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) その時点においては統一見解を出し得ると私は確信しております。
  14. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 関連して。  法務大臣にお伺いしますが、そうすると、先般の野々山質問から後退したとか、ぼかしたということはないかということが一つ。それから、いま対馬君の質問にありましたように、時効逃げ道になると、政府高官等氏名について、そういうことはないかということです。つまり、クロだったのが時効によってシロになるということは刑事責任の上ではある。しかし、道義的にはそうはいかない。だから、したがって、時効逃げ道になるというようなことは絶対にないかということ、二つを確認したいと思います。
  15. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 関連質問に対して御答弁申し上げます。  後退はしておりませんということが一つ。もう一つ時効云々の場合はどうなるという点については、いま時効になんかかけてたまるかと。一生懸命に捜査している段階で、時効になりそうな場合を予想するということは検察庁をばかにするようなことで、私としては言いにくいことですな。いま一生懸命に時効になんかかからないように、かけるもんかと言ってやってんですから、この御質問に対してはいまこの段階ではお答えにくい。
  16. 対馬孝且

    対馬孝且君 いま争点がはっきりというよりも、一応再確認の意味統一見解を示すと、うやむやにはしないと、こういうことですから、はっきりしますが、ただ明確にしておきたいことは、あなたはサンケイ新聞で、十九日に一問一答やっているんですよ。その中で、三木総理法務大臣とは一致するかという問に対して、あなたは答えているんですが、その中で気にかかることが一つある。それは三木総理は、どうも若い検察官が張り切っちゃって行き過ぎてもらっては困るんだと、それを戒めてくれという意味のことを言っているわけですよ。ああいうようなことがサンケイ新聞に出るということになると、いまずいぶん張り切って徹底的に、うやむやにしないということを言葉では言っておりますけれども、一方ではああいう若い検事が行き過ぎてもらっては困るんだというようなことを言うというようなことは、何か言っていることとやっていることと違うんじゃないかという誤解を招くので、そういう意味で私はだめ押ししているわけですから、その点ひとつ明らかにしておきたいと思います。
  17. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) サンケイ新聞の書き方はわしも見ましたけれども、余り気に入らないんです、私自身もね。それはしかし、こういうことは一般論としては言っているんです、総理と私との場合、場合ではね。それは、えてしてこういう事件になりますと、第一線の人はもう功名心に駆られて、検察ファッショみたいなことになることは気をつける意味において、検事総長がいつか来られたときに、厳正公平、不偏不党はもちろんだけれども、こういう事件はよく部下に冷静沈着に、本当に真実を解明してもらわなければ後で困ることがあるからねというふうなことを言っておりますから、そういう点で、三木さんのおっしゃることも別に間違ったことを言っているんじゃない。それがために、何といいますか、厳正公平、不偏不党徹底解明ということがお留守になるというふうにはおとりにならぬようにひとつお願いしたい。
  18. 対馬孝且

    対馬孝且君 これも問題ははっきり申し上げておりますが、ともあれ常に政府答弁予断を与えないとか、あるいは捜査当局予断を与えてはならないとかと言っておきながら、予断を与えるようなことをちょいちょい言うわけですからね、その点ははっきり常にやっぱり議長裁定に従って国民の疑いをうやむやにしないように晴らしてもらいたい。この点でひとつ次の問題に進んでいきたいと思います。  それでは次の問題にひとつ入るわけです。私はきょうはPXLを中心に問題をひとつ追及しますけれども、その前段に若干いままで国会で取り上げられていない問題として、YX民間輸送機の問題とロッキードの兼ね合いについて、関連についてひとつこれから追及を、問題の解明をいたしてまいりたいと、こう思っているわけであります。問題は、この点について率直に申し上げますが、通産省にひとつお伺いしますけれども、四十三年以来、このYX民間輸送機共同開発に関しまして、実際に予算要求がどの程度されたか、これをまずお伺いします。
  19. 熊谷善二

    説明員熊谷善二君) お答えいたします。  四十三年度の予算要求は二億百万でございます。四十四年は二億七千九百万、四十五年は十一億九千八百万、それから四十六年は二十九億一千二百万、四十七年は三十三億二千三百万、四十八年度は十六億四千八百万、四十九年度は五十二億九千九百万、五十年度は百七億二千九百万、五十一年度は八億四千二百万の要求でございます。
  20. 対馬孝且

    対馬孝且君 同時に、それに対する決定額
  21. 熊谷善二

    説明員熊谷善二君) 決定額は、四十三年度は一億でございます。四十四年度は一億五千万、四十五年度は五億、四十六年度はゼロでございます。四十七年度は二億、四十八年度は六億七千五百万、四十九年度は二十一億、五十年度は二十一億、五十一年度は一億六千万でございます。
  22. 対馬孝且

    対馬孝且君 そこで、この予算通産省概算要求大蔵省決定とは、全く私は不可思議だと思いますのは、四十六年、四十七年の問題について特に不思議さを感ずるんですよ。なぜかならば、といいますと、四十六年、四十七年、二点にしぼってひとつお伺いしたいんでありますが、四十六年の場合は、全くこの予算要求でいきますと、二十九億四千万円要求してゼロですよ、ゼロ。四十七年は三十三億二千三百万円要求してたった二億です。一体このYXが必要である、共同開発を含めて、つまり民間輸送機が必要だというならば、大体こういった経過が、予算要求に対するゼロということは一体どういうことですか、これ。これは通産省は無責任な、全くずさんな要求をしたと言っても過言ではないんじゃないですか。これはいかがですか。
  23. 熊谷善二

    説明員熊谷善二君) お答えいたします。  昭和四十六年度の予算要求時、つまり四十五年の夏の段階でございますが、この段階におきまして、私どもとしては、航空需要の予想以上の大幅な伸びという新しい状況がございまして、そういう情勢を踏まえまして予算要求をいたしたわけでございますが、同年の八月に航空機工業審議会におきまして従来のいわゆる自主開発方向から国際協力方向についての建議がなされておりまして、予算要求時点とそれから最終的な調整段階での大蔵省との話し合いの段階までの若干の時間的な経過もございまして、要求時点自主開発構想とそれから国際協力の間の構想調整ということもございました。私ども要求いたしました要求額に対しまして、前年度の繰り越し約四億円ございますが、それをもちまして四十六年度の事業は十分可能であると、こういう判断に立ちまして、予算の新規の設定はゼロという形になったものでございます。
  24. 対馬孝且

    対馬孝且君 いま通産省答弁理由にならないと思うんですよ、私は。なぜかと言うと、昭和四十五年八月十九日の航空機工業審議会答申がここにあります。この答申によりますと、共同開発に対する量産体制YX体制は特に共同開発量産体制方向に移行するという方向で実は答申をされているわけですよ。それが何で、逆に共同開発したら金がかからないという理由にはならない。共同開発したら逆に日本は出資をしなきゃならぬということになるんじゃないですか。その点がこれはもう根拠にならないということが一つと、もっとおかしなことは、それじゃ何で四十七年に三十三億二千三百万円、四十六年が繰り越しでゼロであったとしたら、四十七年が何で三十三億も要求するんですか。これは全く一貫性がありませんよ、そんなことは。理由になっていませんよ、そんなことは。その点どうですか。答弁しなさいよ。理由にならぬじゃないか。
  25. 熊谷善二

    説明員熊谷善二君) お答えいたします。  少し簡単に説明を申し上げましたので誤解かと思いますが、私どもが四十六年度予算要求のべースといたしましたのは、それまでの調査検討の上に立ちまして、新機種は百五十人から百八十人乗り機体というふうな考え方をベースにいたしまして要求をしたわけでございますが、いろいろその後検討いたしました中で、今後の国際協力方向を考える場合には、やはり二百人から二百五十人の機体の方がいいんではないかと。そうなりますと、関係のたとえばユーザーその他の意見も十分取り込んだ上で内容を詰めて予算を実施してまいる必要があると、こういう状況になったわけでございます。そのためには相当な時間も、内容を詰める時間もかかります。四十六年度の事業といたしましては、その内容を具体的に詰めるということのために大きな予算額が要らないと、こういう判断になりまして、そうなりますと、繰り越し額の四億で十分実施できると、こういう判断で四十六年度の予算はゼロという形になっておるわけでございます。   〔理事岡本悟退席委員長着席〕 それから、四十七年度の予算要求に当たりましては、こういった国際化の動きの中で四十六年の六月に航空機工業審議会のメンバーを中心といたしました調査団を欧米に派遣いたしまして、国際開発を行うに当たりましてどういった相手方共同開発を行うかと、こういうことを中心にしました調査を行ったわけでございまして、その際、調査団報告といたしまして、これからの国際開発についてはボーイングパートナーとした共同開発を行うのが至当であると、こういう報告が出ております。それをもとにいたしまして航空機審議会におきまして九月、同じく政府に対する答申が出されまして、十月に具体的にボーイング社を選定するという決定航空機工業審議会におきましてなされておる。こういった背景のもとでかなり内容が具体化してまいりましたので、四十七年度の予算要求段階で三十三億の予算要求をいたしたわけでございます。ただ、この段階におきましては、私ども予算要求の中身がいわゆる一〇〇%補助、民間負担なしと、こういうことになっていたことがございまして……
  26. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 簡潔にお願いします。
  27. 熊谷善二

    説明員熊谷善二君) 大蔵省との間の意見調整の結果、二億の調査費だけということになったわけでございます。私どもの方としましては、その段階で、さらに相手方との——どういうパートナーを選んでやるかということにつきまして再度検討するというふうなことにいたしたのが四十七年度予算段階でございます。
  28. 対馬孝且

    対馬孝且君 時間がありませんからね、長々とくだらぬ答弁をしないで、ポイントに答えてもらいたいと思うんです。これ、どう言おうと、これは理屈に合わないですよ、とにかく。四十六年度は予算要求をしてゼロ。四十七年は三十三億も要求してたった二億と。答え言うと、これは大蔵省YX開発に対する一貫した輸入政策が、YX輸送機に対する、民間輸送機に対するこれは予算が削られたということですよ。答え簡単なんだよ。そんな理由つけたって理由にならないんだよ。それが証拠に、航空機工業審議会木村秀政という教授が言っておりますように、実際に共同開発には三十数億必要なんだと。たった二億になったということについては、もはやこの段階では共同開発そのもの意味がなくなっていると、こういうことを言って談話も出ているわけですからね。これは素直に通産省は、大蔵省のそういう方針によって削られたと、こういう答えより私はないと思うんですよ。これは時間がありませんから、後ほど大蔵大臣が見えてから、午後から大蔵省関係質問することにして次に入ります。  次に、そこで私はどうしても理解がいかないのは、このYX関係の中で、昭和四十六年五月に航空機工業審議会の中で、YX開発問題に伴ってYX開発事業団が、この共同開発路線という基本方向設定をされました。そのときに、ボーイングロッキードダグラスということで、この三社のいわば競合合戦という形がこう出てまいりました。これに対して大体どういう内容のものであったかということを簡単に、ポイントだけでいいですからお答え願います。
  29. 熊谷善二

    説明員熊谷善二君) お答えいたします。  YX開発につきまして外国から持ち込まれました計画は、ボーイング、それからマクダネル・ダグラス、それからロッキードあとイギリスのBAC、それからオランダのフォッカー社等ございますが、一番問題に主として検討いたしましたのは、冒頭申しましたボーイングダグラス、それからロッキード社提案でございます。で、これらの提案は若干途中でいろいろな微細な変更はございますが、基本的には余り変わっておりませんので、概括して申し上げたいと思います。  まず、ダグラス提案でございますが、これは、いわゆるDC10の改造を行ってこのYX開発といたしたいと、こういうものでございます。これにつきましては、私ども内容を検討した段階では、日本の企業に対する下請的な開発協力という形になりますので、余り望ましくないと判断をいたしております。  それからロッキード社提案は、いわゆるトライスター改造を行いたい。御承知のように、トライスターは三百人乗りのエンジン三発でございますが、これを二発に改造し二百人乗りYX機にいたしたいと、こういう内容のものでございますが、ただ、開発費その他につきましてはすべて日本側負担ということになっておる点が収支上問題があると、こういうことがございました。また、ロッキード民間輸送機の経験は余りございません。そういった点もございましてこれはとるべきじゃないという判断になっております。これに反しましてボーイング社の計画は新しく機種を開発する、機種の新規性というところが他と違っておる点でございまして、技術向上の効果が非常に期待できる、また完全なパートナーシップをとってやっていく。開発費用その他につきましても応分の分担は行う。また販売の分野におきましては、ボーイング社は従来非常に豊かな経験を持っておる、こういうことで、事業の成功の見込みも高い。こういう判断のもとで、ボーイング社との提携が結論づけられたものでございます。
  30. 対馬孝且

    対馬孝且君 私はそのロッキード社の、いまボーイングに最終的に決定したという経過はわかるんでありますが、その間にロッキード社が二回にわたって新提案をされているわけであります。この事実について通産省は確認をできるかどうか、きちっとしたいんでありますが、四十六年十月十三日にロッキード社のコーチャン副社長がみずから参りまして新提案をいたしております。その内容は、当初の提案に対しまして、日本側が生産する部品、機械を従来どおり多くして原価を安くするという提案、二つ目は、トライスター改造について同社が持っているノーハウ、つまり技術情報を全面的に提供して日本開発に役立てる。この二つの提案が実は昭和四十六年十月十三日にコーチャンが日本に参りまして提案をされておるわけです。一貫してトライスターということがこのときも出されておる。トライスター改造をこのときも出されています。もう一つ、さらにその段階でも相当三社の競合がありまして、次の提案というのは昭和四十七年一月二十三日。これははっきり申し上げます。三たびのコーチャンが来日をいたしまして、このときはロッキード社は画期的な提案をいたしております、日本に対しまして。その内容は、昭和四十七年度はとりあえず総額三百万ドル、約九億二千四百万円を投じYXの設計、性能を確定する。市場の分析、生産計画の分析、必要な生産設備の研究等を共同によって行おうというものであった。その資金負担については、当初日本側だけでありましたが、新提案としまして最終提案が出されましたのは日米折半であります。したがって、日本側負担は四億六千二百万円、残りが、民間負担が仮に二分の一を負担をすれば、ちょうど国家予算額この年につきました二億があれば、YX開発が、多少おくれますけれども、できるという提案になっているわけであります。このときも相変らずトライスター改造ということが基本になって、しかもトライスターの木造、木型まで持ってきて実はこの提案をされて、三たびの提案をされているわけであります。こういった事実について通産省としては客観的な事実として認めることができるかどうか、これをお伺いしたい。
  31. 熊谷善二

    説明員熊谷善二君) お答えいたします。  コーチャン氏が四十六年の十月の十三日という、来日して具体的な提案を行ったというお話でございますが、具体的な日付につきましては、ちょっと私どもの方で確認はいたしておりませんが、十月の段階におきましては、ボーイング社の方の提案内容というのは、いま先生がおっしゃったような内容のものであったかと思います。余り具体的な内容のものではございません。
  32. 対馬孝且

  33. 熊谷善二

    説明員熊谷善二君) ロッキードにつきまして、そういうコーチャン氏の提案というのは多分お説の内容のものであったかと思います。四十七年の一月の二十三日、これも日付は確認できませんが、ロッキード側の提案の初年度と申しますか、第一のフェーズにつきまして三百万ドルの費用についての日米折半の考え方は、御指摘のとおり提案があったようでございます。ただ、先ほど申しましたように、これは全く最初の調査段階のものでございまして、その後の開発費の問題は、先ほど私が答弁いたしましたように、全額日本側負担ということになっておるものでございます。
  34. 対馬孝且

    対馬孝且君 いまお答え願って、トライスター改造ということについて確認できますか、一貫してこれを。
  35. 熊谷善二

    説明員熊谷善二君) 先ほども申し上げましたように、ロッキード社提案はすべてトライスターL一〇一一の改造という基本構想においては変わりございません。
  36. 対馬孝且

    対馬孝且君 通産省トライスター改造ということでロッキード提案が一貫しているということについて確認したようですから、認めていただいておりますから、そこで私は申し上げたいんでありますが、先ほど第三の提案の際に、まだ最終的なあれが認められていないような印象を受けましたが、実は「航空情報」の中に正式に出てくるんでありますが、「航空情報」というプロジェクトの特集がございます。YX特集というのがございます。この中にはっきり出てきますのは、いま私が申し上げた最終的な日米折半四億六千二百万円というのが出てくるんですが、この事実は「航空情報」が誤りがない限り、この事実は客観的な事実として確認できるんじゃないかとこう思いますが、いかがですか。はっきりしてください。
  37. 熊谷善二

    説明員熊谷善二君) お答えいたします。  四十七年の十月の段階で最終決定と申しますか、航空審議会におきまして再度ボーイング社決定いたしました段階、いわゆる最終段階におきますロッキード提案というものの中身は、その年度におきましてつきました調査費二億に対応します四億の金額が初年度の費用ということになっておるわけでございます。
  38. 対馬孝且

    対馬孝且君 いま最終的なロッキード社提案について、私の申し上げたことを確認いたしておりますから、そのとおり確認してよろしいと思います。そこで、私はやはりここで疑問を感じますのは次の点であります。このロッキード問題が発生してから田中前総理とコーチャンとの会見が一月二十五日に行われたと、これは衆議院の鬼俊良証人でも明らかになりました。したがって、一月二十五日の会見の際には、YXの問題だと記憶しているという田中前総理会見の談話があります。もう一つは、これは社会党が川崎団長を中心にいたしまして、ロッキード問題を、事件が発生しましてから渡米をいたしております。これは二月十二日の午後四時四十分から約一時間半にわたりまして、カリフォルニア州のバーバンク、ロッキード本社におきまして社会党訪米調査団とコーチャンとの会見が行われております。この会談の中で、田中氏を知っているかという質問から始まって、これは小佐野氏の紹介で一月の二十五日に田中通産大臣と会見をしたと、こう言っております。その中で問題が出てきますのは、たしか一九七二年だと思ったが、YX選定の売り込みのため、特にYX内容についてはトライスターという改造型のものである、このことを強調して実は会見をしたということは認めております。このときに、結果的にはボーイングに決まったが、この問題についてはわれわれとしてはいまなおトライスターYX開発というものについての、トライスター改造というものについては信じていると、こういうことをこの社会党の調査団会見の中で出てくるわけでありますが、こういった事実から判断して、明らかに今回のYX問題の共同開発というのは、先ほど通産省もお認めになったように、ロッキード社は一貫してトライスター改造型ということを三たびにわたって提案をしている。この三たびにわたって提案をしたねらいというのは、つまりトライスター、エアバスを導入するためのロッキード社の、本質的にこの問題は、共同開発と同時に、トライスターが本命としてこの開発乗り出してきた、こういう断定をしても間違いないというふうに疑わざるを得ないわけであります。この点についてひとつ通産省見解求めたいと思います。
  39. 熊谷善二

    説明員熊谷善二君) お答えいたします。  四十七年の一月の二十五日に当時の田中通産大臣にコーチャン氏が表敬訪問をいたしております。ただ、当時の記録が残っておりませんので、詳細については明らかでございませんが、表敬訪問と同時に、当時問題になっておりましたYX開発に対する協力ということの提案も行われているであろうというふうに考えております。
  40. 対馬孝且

    対馬孝且君 これ記録に残ってません、記録にありませんとかなんとかと言ってますが、会見したという事実は田中前総理も認めているし、コーチャン自身も社会党の調査団との会見で確認しているんですが、この点、全然通産省の中でだれが会ってだれがどうしたということはないんですか。おかしいじゃないですか。
  41. 熊谷善二

    説明員熊谷善二君) 一月二十五日の会見については事実でございます。先ほど申しましたのは、記録が残っておりませんので、会談の内容の詳細につきましてはお答えしかねると申し上げたわけでございますが、当時の状況から判断いたしまして、表敬訪問のほかに、YXに対するロッキード開発協力という提案がなされたものと思います。
  42. 対馬孝且

    対馬孝且君 当時の段階でそのYXの問題に触れられたということを通産省も認めているわけですから、これは大体私は率直に言って、外人が来て、しかも通産大臣にお会いするのに、通産官僚を通さないで会うという仕組みになっているんですか。この点どうですか。
  43. 熊谷善二

    説明員熊谷善二君) お答えいたします。  いろいろなケースがございまして、私ども現場の担当がまず話を聞きまして大臣にお会いいただくというケースもございますし、また、直接大臣の方で秘書官を通じましてお会いになるというようなケースもございまして、本件につきましては私どもの現場の者が立ち会っているという事実はございません。
  44. 対馬孝且

    対馬孝且君 この問題、先ほど通産省が、ロッキード社が三たびにわたるトライスター改造型のつまり再提案をしてきたという事実を認めていることと、それからコーチャンと田中前総理会見が一月二十五日に行われて、このときにYXの問題に触れられているという客観的な事実を認められました。そうなれば、この問題、われわれ国民がひとしくこの問題を判断をすれば、おのずから、この問題についてはYXという共同開発が、つまりロッキード社がねらったのはトライスターが本命でこの問題を売り込みに集中をしたと、そのためにコーチャンが三たびにわたって来日している。こういう事実というものは客観的にやっぱり浮き彫りにされてくるのではないか。こういう事実をこのYXとの関係YXロッキードという関係は重大な関係があったという事実をこの機会に指摘をしておきたいと、こう思うわけであります。したがって、本題のPXLの問題に入りたいと思います。  それで私は、PXL問題をめぐる疑惑につきまして、いままでも何回かここで、委員会等で議論をされてまいりました。論議の焦点となっていますのは、どうしてもやっぱり疑問が、われわれ胸をすっきり晴らすことのできないのは、国民もひとしくそうだと思うんでありますが、四十七年十月九日の国防会議の前後の動きについて改めて政府見解をただしたいと思います。十月九日の前後、これ、ポイントだけでいいですから。
  45. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 国防会議の開かれます前日十月八日に至りまして、十月八日は日曜日でございましたが、日曜日に午後一時から防衛庁長官が御出席になりまして、当時問題になっておりました支援戦闘機の問題について防衛庁内で内局の参事官が参加をいたしまして会議が行われました。この会議の途中、夕方になってからでございますが、大蔵省から防衛庁に対しまして、FST2改の国産については同意するけれども、PXLについては国産化を前提とした研究開発は断念してほしいという趣旨の意向が伝えられております。防衛庁におきましては、長官以下が協議をいたしまして、大蔵省の申し入れに対しまして、PXLについてはやむを得ないと判断をいたしましたものの、FST2改につきましては、なお総理に要請する必要があるというふうに考えたわけでございます。で、翌朝午前七時に防衛庁長官に、当時の事務次官が随行いたしまして、総理を訪問して、FST2改についてはT2の同系列でなければ困るという趣旨の要請を行っておりますが、これに対しては総理の確答を得ておりません。  それから、同日の国防会議の開かれる前に後藤田官房副長官総理に、懸案となっていた支援戦闘機の問題は国産機でいきたいという旨進言をされております。総理は相澤主計局長を呼ばれ、大蔵省に異存があるかどうかを確認をいたしております。相澤主計局長は、大蔵省も検討し、大臣の了解を得ているとして、支援戦闘機の国産には異存がないが、次期対潜機、早期警戒機等の国産化を前提とする研究開発は従来からの大蔵省の主張どおり認めがたい旨の大蔵省意見を述べております。  で、これに対して総理は、このような技術的な問題を一々自分のところまで上げられては困る、そういうことは専門家に検討させて決めてはどうかという趣旨のことを言われ、また、引き続いて開かれました国防会議議員懇談会の席上においても同様の発言がございました。  この総理の発言の趣旨を受けまして、次期対潜機、早期警戒機等の国産化問題は白紙とし、今後輸入を含め、この種の高度の技術的判断を要する問題については国防会議事務局に専門家の会議を設ける等により慎重に検討すると、こういうことが国防会議議員懇談会の了解事項ということになったわけでございます。
  46. 対馬孝且

    対馬孝且君 私の調べによりますとね、十月八日に、つまり国防会議の前日の、いま報告ありました、お答えありました日曜日の日、防衛庁と大蔵省の四次防関係者が登庁して最後の詰めに入っていますね。その最後の詰めとは、まず島田防衙事務次官が吉國大蔵事務次官に対して面会を求めているわけであります。ところが、この面会が断わられているというんですね。そして防衛庁長官はこの事実を御存じですか。面会が断られている。
  47. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) ただいま御指摘の事実に関しましては、私ども調査関係ではまだ承知をいたしておりません。
  48. 対馬孝且

    対馬孝且君 おかしい、これ事実だから。都合の悪いときは事実を知っておりませんというのはどういうことですか。この点、どうなんですか。——この点、もっと言いますか。相澤主計局長はゴルフに行っていなかったと。したがって、いま会っても、つまり話の結論が出てこないんじゃないかということで実は断られたという趣旨も明らかになっていますよ。これ、どうですか、その点は。
  49. 高橋元

    説明員(高橋元君) お答えします。  島田次官から当時の吉國大蔵次官に会いたいというお話があったことは私ども確認できませんのでちょっとお答えいたしかねます。当日は日曜日でございましたので、当時の相澤主計局長は出勤をしておりませんでした。したがって、その行き先はちょっと本人から伺っておりませんので、私どもわからないわけですけれども、担当の主計官から、情勢については局長に対して御連絡はしておったわけでございますが、当日は登庁いたしておりませんでした。
  50. 対馬孝且

    対馬孝且君 どうも、これ記憶に残っていないとか、わかりませんとかと言うのですがね。実は、この後で島田次官は防衛庁の部下小田村四郎経理局長を伴って後藤田官房副長官の自宅を訪ねているんです。そこでFST2改は国産だという陳情をいたしておりますが、この事実について確認できますか。
  51. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) ただいま御指摘の事実はあったように承知をいたしております。
  52. 対馬孝且

    対馬孝且君 それでは後藤田副長官を訪ねたときの会見の模様はどうだったんですか。
  53. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 細かいことはよく私ども当事者の御記憶もはっきりしておりませんので、細かいことは私ども承知をしておりませんが、ただいま御指摘のように、FST2改——支援戦闘機について、防衛庁の主張である国産でいきたいということについて陳情をしておるということでございます。
  54. 対馬孝且

    対馬孝且君 後藤田氏の返事はどうだったのですか、後藤田副長官の返事。
  55. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 後藤田副長官は、このときは明確な回答をされておりませんように聞いております。
  56. 対馬孝且

    対馬孝且君 このときは、後藤田副長官から次のような明快な答えが一つ出ているんですよ。一切は首相の裁断にかかっているのでここで答えられないと。答えられないのは一致してますけどね、一切は首相の裁断にかかっていると、総理の裁断にかかっていると、だから答えられないと、こう言っているんですよ。ただ答えられないじゃないんだよ。その前段の方が非常に大事なんだよ。その問題についてどうですか、これ。
  57. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) この点につきましては、経緯につきまして後藤田副長官——そのときの副長官でありますが——、お話をしました。しかしながら、そういうことはおっしゃいませんで、ただ自分は意思表示をしなかった、イエスともノーとも言わなかったというお話でございました。
  58. 対馬孝且

    対馬孝且君 これは長官おかしいじゃないですか。実際は言わなかったと言ったってね、相手は日曜日にわざわざこれを求めに行っているわけでしょう、答えを求めに行くかどうかは別にして、一定のやっぱり動きがあって、その動きに対する答えがどういうふうに求めに行ったかという、しかもこの日というのは、非常に九日が迫って逼迫しているわけでしょう。九日という既定事実が迫って、果たしてこの予算がどうなのか、どういうふうに決まるかと、こういうふうな、言うなればタイムリミットが来ている段階ですからね。そこにただ会って話して何も言わなかったと。先ほどの答弁と違うじゃないですか。防衛局長は、答えなかったと、こう言うけどもね、その答えなかったというのは、一切は首相の裁断に待つことで、そういう意味での答えられないということを言っているんでしょう。おかしいじゃないですか。
  59. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 私が、実はこの問題につきまして指揮をいたしまして調べたわけでございます。しかも、後藤田官房副長官ともお会いをいたしまして、そのいきさつをずっと聞いたわけでございます。そのときに、確かに島田次官が来たと、しかしながらそれについては確答をしなかったということでございます。当時の防衛庁といたしましては、いずれにいたしましても、支援戦闘機というものが一番大きい問題でございまして、それが副長官のところに行ってもわからない。確答は得られない。したがいまして、翌日の朝、総理のところに陳情に行く。陳情に行ったけれども、ここでも確答を得られない。こういう状況で、非常に焦燥感にあったということは、私たちの経緯の調べによっても明らかでございます。
  60. 上田哲

    ○上田哲君 関連。  いまのお答弁ですが、ちょっと確認をしておきたいのですが、そういう分明にならない経過があると。で、いろいろ御調査になったわけですが、その御調査の中で、当時の防衛庁長官総理のところへ陳情に行かれた。FST2改の国産を固めなきゃならぬの、だということであったと言われる。それはそのとおりだと思います。FST2改を固めるという、そこまでかけつけなきゃならない理由ですがね。T2は大丈夫だと、これはもう当然大丈夫なわけですね、その当時の固まり方から言っても。ところが、FST2改というのはまだ危ないと。危ないという理由が何だったのか。ここのところが、防衛庁長官がそれほどにして駆けつけなきゃならなかった理由が何だったのかということがもう少しきちっと説明をしてほしいのです。  私が一つ言いたいのは、いままで説明されているよりも、もっと深い理由があったんではないか。つまり、T2に関しては当然試作機も飛んでるんですから、いまさらレベルが違うわけです。しかし、T2改についてはそこまでいってないというので、もたもたしていると危なくなるという説明だけではなくて、もっとこのままほっておくとだめになる理由が生じかけていたという心配があったんではないか。その点です。それが一つ。  それから、その朝田中総理防衛庁長官の陳情を受けられて、まあその時間ですから総理のそばにはアドバイザーはいなかったと思うんですが、さしで会われたのかどうか、これも念のためにひとつ聞きたいのですが、さしで会われた場合にですね総理の等えです。総理の答えはどうだったのかということをもう一遍おさらいをしておきたいのですが、調査として。その際、特にお伺いしたいのは、田中総理は、このとき、FST2改なるものについて知識をお持ちであったのかどうか。政治判断というようなところならそれでも結構ですが、FST2改を国産にすることの可否の問題もあり才しょうけれども、そもそもこれを決定するのは金額の問題もあり、いろいろな問題もあるけれども、航空機としての、軍用機としての性能の問題があるはずです。たとえばT2改とT2との同じ系列上の問題というような問題について田中総理は御存じであった、そういう知識を持っていたというふうに考えていいのかどうか。この点をひとつお伺いいたします。
  61. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) まず第一の問題でございますが、T2は御案内のように当時四十七年度予算で二十機お認めをいただいておったわけでございますが、これが凍結をされておったということで、このT2の問題も全部ひっくるめまして、十月二日の大蔵省の内示ではそれに続いてのFST2改を含めて輸入で検討をしてみてはどうかということであったわけでございまして、途中でいろいろの妥協案を検討はいたしておりますが、いずれにいたしましても最終的にT2が確実に国産というような結論にはなっておらなかったわけでございます。で、この十月八日の状況を踏まえて、十月九日早朝、防衛庁長官総理に直接陳情に行かれたということは、たびたび申し上げておりますように、大蔵の内意は伝えられておりますが、これに対して防衛庁としてこの方向にオーケーをするか否かというような意見求められているものではございませんで、大蔵の中の空気をこちらに伝えてもらったということでございまして、この十月二日以降の大蔵省との折衝の経緯を考えました場合に、この程度でFST2改、T2の系列が国産に確実になるという保証は当時はなかったということでございまして、したがいまして早朝、直接防衛庁長官総理に陳情されたということであるように私どもは承知をいたしております。  それから、総理のところへは防衛庁長官に島田事務次官が随行してまいっておりまして、総理とのお話は島田事務次官がわきで立ち会って伺っておるというふうに伺っております。それ以外の方がおられたというふうには私どもは承っておりません。  それから最後の第三点でございますが、第三点は田中総理がこのFST2改について技術的な知識を持っておられたかどうかということでございますが、その点については、実は私どもこの調査をいたしました段階においてははっきり承知をする、それを推測する材料を持っておりません。早朝には、増原長官からはこのFST2改と輸入の対象になっておりますF5との比較をるる御説明になっておられますし、特に強調されましたのは、高等練習機から支援戦闘機へ移るパイロットの教育問題で、これが高等練習機とのT2シリーズでない場合において、転換教育のために別の練習機を導入しなければいけないという、こういう問題について特に陳情されたのでございまして、また、FST2改が本来支援戦闘機として持っておる性能と、それから一般のアメリカが同盟国用に開発をいたしました一般目的のための戦闘機であるF5との性格の違い、こういった点を主として増原一長官から総理に御説明を申し上げたと、こういうふうに承っておるわけでございます。
  62. 上田哲

    ○上田哲君 もう一遍伺いますがね、かなりわかったんですよ。かなりわかったんで、もう一遍ひとつしっかり伺っておきたいのは、当時の防衛庁も、それから防衛局長丸山さんもです、防衛庁のそうした専門担当者としてはTシリーズと言いましょうか、兵器の流れの常識としてはですね、T2とFST2改というものがシリーズでなきゃならぬということについてはこれは当然のことですね。仮にそれ以外のことになったらこれはまあ困ってしまいますな。そういう問題をいまは乗員教育というお話がありましたけれども、これは一番重要なことですけれども、兵器性能の問題から言ったって、あらゆる面で配備の根本原則が変わってしまうというような意味でも、常識的にそれはもう言うまでもないのだということは当時もいまも変わりませんね。そのことを一つ。  それから、そうだとすれば、これは国産ということは、もし防衛論をこぶしを握って論ずるんであれば、それは一番ベーシックな問題として譲れないほどの重要な問題であったでしょうね。当然それは私は常識であったと思うんですよ。それを大蔵省が国産だということを言ってきたと。まあいいわけですな、これは。輸入だという話がそこに出てきたというこれまでの経過は、そもそもそのことが防衛庁にとってはとんでもないことですね、あってはならないことのはずですね、常識的に言っても、主張する立場から言っても。そこへ一番ガンとなっていた、それは何のことでガンになっていたかと言えば、金額の問題だけで反対をしていたと考えられる大蔵省までがいいと言ってきたということになれば、これはまあ悪くいってもだめ押しであり、普通ならまあこれでよかったということになるのであって、不安な問題ではありませんね。そうですね。そこで、朝、総理のところへ駆けつけることになった経緯が、さっきから対馬委員が聞いている経過とのつながりでお尋ねしたいことにもなるのですが——事実関係はこれからおいおいいくと思いますが——どうもその経過は、よかったよかったという方向ではなくて、これは大変だという要素がかなりある。その大変だという要素が何であったかということは、つまり兵器の常識から言っての当然のシリーズというものをあえて超えてもこれを覆す可能性というものがなお存在していたということになりませんか。そういう事実の思い当たりはありませんか。私はあえて一般的な言い方をしていま聞いておきます。そういうことがありませんか。  それからもう一点ですが、総理のところで、これも確認できましたけれども、こちらはともかくとして、総理の側は総理に対するアドバイザーはなかったと。そうすると、総理のそのときのお答えをひとつ可能な限り明確に伺いたいのですが、これは当然調査されている中に入るわけですから、もう一遍明確に総理のそのときのお答えを伺いたいのですが、そのとき総理はそういう兵器技術論あるいはFST2改についての知識というものを含めてのお答えをなされたのであるかどうか、事実関係として聞いているのであります。
  63. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 第一の点でございますが、このいわゆるT2シリーズを防衛庁として当時考えておった、また四次防の一つの重要な項目であったということでございまして、当時は防衛局長は現在の次官の久保局長であったわけでございますが、常識的に申しまして、乗員教育その他の点から考えて、すでにT2が四十七年度に認められておるというそういう事情からいたしまして、当然その発展の形として支援戦闘機もT2の系列ということが、これは防衛を担当する者としては当然の常識であるというふうに思うわけでございます。  それから、もっとも、いま申し上げましたその防衛の技術的な問題と、それから費用対効果の問題は総合的にこれは検討されなければならない問題でございますから、大蔵省がこの整備をするについて所要経費が相当多額に見積もられるということを理由に再検討を防衛庁に要求してまいりましたのも、そればそれなりに十分理由があったことであるというふうに私どもは考えるわけでございます。  それから、二番目の、総理の増原長官に対します御回答でございますが、私ども、この点については当時の島田次官その他に伺っておりますが、はっきりした御記憶がございませんので正確には出ておりませんが、まあいずれにしろ、この問題はきょう開かれる国防会議で結論を出そうというような趣旨のことをおっしゃったように承知をいたしておるわけでございます。
  64. 上田哲

    ○上田哲君 くどいようですが、その時点というのは非常に重要な時点でありましたね。朝駆けつける、防衛庁長官が駆けつけるぐらいなんですから、非常に重要な時点であったことは間違いないんですね。相手は総理なんですね。そこで総理が何を言うかというのはまさにツルの一声なわけですね。その声にかけて出かけたはずのことがわからぬというのは、ちょっと常識じゃありませんね。「てにをは」までわかれとは言いませんよ。そのとき総理の答えが何であったのかということの中に——それが一つですけれども——その中に、常識的に考えて——これは質問の角度を変えますけれども、常識的に考えて、総理はFST2改のことがわかる状態にありましたか、少なくとも。航空機の性能論、軍事配備のポイントとしてのFST2改についてアドバイザーもいない朝の総理が十分な知識を持つような状況にあると考えられましょうか。私は考えられないと思うんです。出かける側もそのことは当然予定して行っていることでありましょうけれども、これは当然な想定の範囲に入ると思うんです。あたりまえのことを聞いているんですが、そういう想定はいかがですか。
  65. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 本件につきましては、十月の六日に国防会議の議員懇談会が開かれておりますが、その席上でも、詳しくはございませんが、若干問題は触れておりますので、問題になっているという御認識は総理は持っておられたというふうに思うわけでございまして、当日の朝、増原長官から島田次官がつきましてかなり詳しく技術的な問題については御進講申し上げて、その点について技術的に前から知識を持っておられたか、あるいはそのとき初めて承知をされたかということについてはちょっと私どもの方でははっきり推測をする材料がございませんわけでございますが、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように……
  66. 上田哲

    ○上田哲君 つまり総理は何と答えたのですか。
  67. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 総理は防衛庁の要請に対してイエスともノーともおっしゃらずに、いずれにしろその結論は国防会議でというような趣旨の御回答であったというふうに私ども承知をいたしておるわけでございます。  それから、もちろん当時の増原長官としては、明確な御回答でなくても、何らか防衛庁として判断できるような示唆を得えられるのではないかというふうに御期待を持たれて行かれたように私ども承知しておるわけでございますが、この点については、少なくとも当時の増原長官は期待を得られなかったと、失望されて帰っておるわけでございまして、その様子は、当日の帰られて後すぐ、防衛庁の記者クラブで記者会見をされております。そのときに、総理からは回答を得られなかったという趣旨の発表をされておるわけでございます。
  68. 対馬孝且

    対馬孝且君 いまの質問にちょっと関連して——というよりも、もっと突っ込んで解明をしたいんでありますが、いまそういう重大な段階にあったと思うんです、いま上田先生からもありましたように。そのときにイエスともノーとも言わなかったとこういうことですが、先ほど私が申し上げたように、後藤田副長官が、一切は首相の裁断を待つんだと、こういう答弁がある限り、そこでイエスともノーとも言わなかったという答えにはならないんじゃないか、客観的に見まして。この点、どうですか。
  69. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 私、調べました限りにおきましては、やはりそういうお答えであったわけでございます。それが事実であって、それほどまあなかなか複雑ではあったわけでございまして、とにかく普通でございましたら、前の日にいままでやり合ってまいりました大蔵省が、一応PXLの方は……
  70. 対馬孝且

    対馬孝且君 簡単でいいですよ。
  71. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) まあいいと、防衛庁の言うとおりにしようと。いや、支援戦闘機の方は防衛庁の言うとおりにしようと。しかし、PXLの方はだめですよと、これは大蔵省の言うとおりにしてくださいと、こう言っているわけですから、それで決まりそうなもんですけれども、なかなか決まらないという事情。だから総理のところへ行かれた。その前には、前の晩に島田次官が副長官のところへも行かれたということで、かなり防衛庁といたしましては悲観的な状況だったということが出ておると思います。
  72. 対馬孝且

    対馬孝且君 そこで、答弁はイエス・ノーでいいから、ずばりそのものに答えてもらいたいんですがね、具体的に聞きたいんだが、十月九日の増原長官が田中首相に会った時間、その後幹事会、議員懇談会が持たれていますね。その国防会議の時間はいずれも何時から何時までやったのですか。簡単でいいですよ、何時から何時までと。
  73. 内海倫

    説明員(内海倫君) 幹事会は九日の八時半から。それから、議員懇談会は九時たしか十分から十五分のころからだと思います。
  74. 対馬孝且

    対馬孝且君 何時までと聞いているんだよ。
  75. 内海倫

    説明員(内海倫君) 議員懇談会からさらに引き続きまして国防会議に入っておりますので、それが終わりましたのが大体十時過ぎでございます。
  76. 対馬孝且

    対馬孝且君 そこで、議員懇談会の了解事項というのは先ほど防衛局長が読み上げましたね。その次期対潜哨戒機、早期警戒機等の国産化問題は白紙として、今後輸入を含めて、つまり専門家会議に云々とこうありましたが、その発案者は一体だれですか、その発議をしたのは。そこが問題なんですよ。
  77. 内海倫

    説明員(内海倫君) 先ほども丸山防衛局長が防衛庁の方で調査いたしました経緯を詳しく御説明申し上げましたように、T2改の問題につきまして田中総理が、こういうふうな技術的な問題については一々自分のところに持ってくるなとそういうふうなお話があり、さらに議員懇談会の席におきまして、PXLあるいはAEWについても同様に専門家に検討させたらどうだと、そういうふうな御意見があったということが防衛庁の経緯の説明の中で行われておるわけでございます。
  78. 対馬孝且

    対馬孝且君 そこで、この問題についてどうもいまの答弁もあいまいなんですがね。海原前国防会議事務局長はサンデー毎日の誌上でも言ってんですが、その議員懇談会の中でメモが、後藤田副長官からメモが渡されてこのPXLは専門家会議を設けて検討すると、こういうことになったということを言ってるんですが、この点どうなんですか、はっきりしてるじゃないですか。本人が言うんだから間違いないでしょう、本人がそういうことを誌上で言ってるんだから。
  79. 内海倫

    説明員(内海倫君) 海原事務局長が後藤田さんからメモを回されたことは事実のようでございますが、そのメモの中にどういうふうなことが書いてあったかということにつきましては、当事務局にそういうふうなメモが残っておりませんので、その内容については私どもははっきりいたしません。
  80. 対馬孝且

    対馬孝且君 大事なところへ来ると、メモが残ってないとかね、知らされてないとかってね、これでは真相究明にならぬと思うんだよ、はっきり申し上げて。具体的な事実を挙げてるんだから、その事実に対して答えてもらわぬと、言葉で真相究明とか、究明しましょうとか言ったってね、私は固有名詞を挙げてるんだ、後藤田副長官からメモはもらったと、こう海原長官がみずから発言してるんですから、それが間違いなら間違い、事実なら事実だと、ここをやっぱりはっきりすべきですよ、その点どうなんですかね。
  81. 内海倫

    説明員(内海倫君) メモが回ったことは私も事実と思いますが、その内容にどういうことが書いてあったかということにつきましては、先ほど申しましたように、私どもでは、そのメモがございませんし、わからないと、こう申し上げるわけでございます。
  82. 対馬孝且

    対馬孝且君 これは時間がありませんから、当然今日までの間に後藤田副長官に聞いて解明すべきですよ、防衛庁は。そういうことはできないというなら後藤田を証人喚問を要求します。  次に入ります。  ところで話題をちょっと変えますが、この海上幕僚監部技術部が作成した「新国内開発対潜機」というパンフレットが実はあります。これは実際は川重でつくったものですが、この資料をきのう私は要求したんですよ、防衛庁に対して。ところが、廃案となって消却したということで、この資料は一部も手元にございませんと。こういうことでは、なぜこれだけの重要資料が廃案にして消却したのか、これをお伺いします。重大な問題ですよ、これ。重大な資料をなぜ廃案、消却したんですか。
  83. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) きのう御指摘の資料につきまして、内部の関係者にも照会しておりますけれども、当時それは海幕の技術部で一応作成したということになっておりますが、具体的な手続といたしましては部長決裁すらまだ済んでおらないという資料でございまして、現実にいわゆる公式資料ということにはなっておらないと、いわゆる単なる一つの資料ということであったということでございます。で、扱いといたしましては、御説明いたしましたように、廃案ということになっておるわけでございます。
  84. 対馬孝且

    対馬孝且君 これ私は手元にありますから、これを見せますよ、これ。これだけの貴重な海上幕僚技術部、「新国内開発対潜機」という、写真入りでこうきちっと内容が整理をされている。これは、専門家会議の中でですよ、あるいは関係各省までこれは配付されておるんですよ。当時やっぱり対潜哨戒機は国産化ですべきであるということで、この資料が決定づける重要な資料になっているわけですよ。これが何で消却されたかって、いまの説明では、私に言わせれば、これは消却された資料は国産の方針だから、最近P3Cについて輸入に変わったという状況にあるからどうも都合が悪いと、こういった根拠で廃案になったという以外にないんじゃないですか。それ以外に消却したという道はないでしょう、これ。最近、海幕はP3Cを求めていると。これ、四十七年の資料ですから、四十七年はこれだけのりっぱな資料をもって国産化をすべきであるということをはっきりした根拠を持っての技術部の発表であります。これを消却するっていうことはね、しょせんやっぱりロッキード問題をうやむやにしてるってことと同じですよ、この問題は。この点どうですか、納得できませんよ。
  85. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) あるいは私どもの方の申し上げ方が悪かったのかもわかりませんが、それは消却というよりもむしろ廃案ということでございまして、そもそもその資料、正式の資料ということになっておりません。で、したがいましてそういう意味で各省に対して、関係方面に対しても配付はしておらないと、かような状況でございます。
  86. 対馬孝且

    対馬孝且君 これは理由にならないというのはね、単なる資料というけど、写真まで入れてるでしょう。ずいぶん、機能、構造を全部解説してるんです。だから、そんな、資料といったって単なる資料でありませんよ。一つ方向決定づける内容を持ったものであります。  それじゃちょっとお伺いしますけども、これ、いつ消却して——この実際の「新国内開発対潜機」というパンフレットは検察庁に出しましたか、ちょっとお伺いします。
  87. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) その点ちょっと確認をしておりませんので、いまの段階でちょっと御即答は申し上げかねますが、おそらく提出しておらぬのではないかというふうに考えられます。
  88. 対馬孝且

    対馬孝且君 いつ消却したかと聞いてるんだよ。
  89. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) これは消却と申しますよりも、むしろ案としておりませんので、案としてできた場合には消却ということにあり得るわけでございますが、大変手続的になって恐縮でございますが、いわゆる成案の形になっておりません。したがいまして、案としてはまあ廃案ということでございます。
  90. 対馬孝且

    対馬孝且君 いつつくって、いつ廃案にして、どこの場でそれが確認をされたかってことをはっきりしてください。
  91. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 文書の扱いといたしましては、四十八年でございますけれども、日付等はもう一遍調査をいたしまして正確な日付を申し上げます。しかしながら、起案の形に一応なっておりますけれども、部長決裁も済んでおりません。で、その形においていわゆる俗に申します没と申しますか、廃案になっておると、こういうことでございます。
  92. 対馬孝且

    対馬孝且君 時間もありませんから、これはひとつ、後ほど調査をして回答するということですから、回答願います。  次に私は、四十七年八月八日にワシントン駐在の玉川武官から、米国防省の非公式通告として、P3Cリリースの可能性が伝えられてきております。国防省がこのような通告をするということは、すでに米政府首脳もつまりこの方針が固まっていたというふうに了解してよろしいかどうか、この点ひとつお伺いします。
  93. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 玉川一佐のその私信は、実は現物がございませんで、当時見た記憶がある者のまあ証言と申しますか、そういうことで、中身は、P3Cをリリースする意向があるようであるという趣旨のことを、これはおそらく——これは全く推測でございますが——玉川一佐が連絡に国防総省に参りましたときに先方の担当官からそういう感触を得たことをもとにして私信で送ってきたのではないかというふうに思いますが、したがいまして、アメリカがそういう内意を日本の防衛駐在官に漏らすということは、正式に幹部における、上層部における決定があったか否かはわかりませんが、いずれにしてもその方向に動いておったというふうに推測をしてよろしいんじゃないかと思います。
  94. 対馬孝且

    対馬孝且君 それでは輸出の方向に動いておったということをいま確認しておりますから、それでは私が申し上げたいんですが、当時の田中首相は、白紙還元直後の十月十一日、これ外人記者クラブでPXLは輸入にウエートを置いて検討したいと、こう語っているわけです。この時点では、このP3Cの輸入の可能性は、私は公式には田中首相の知り得るところではなかったはずであります。しかし、いま確認しましたように、八月八日の玉川武官の連絡は、海幕の内部のみで処理されていたというふうに私は確認をしておりますが、この点、事実かどうかお伺いします。
  95. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 当時の玉川一佐の情報は海幕の防衛部の関係者だけが承知をしておったようでございまして……
  96. 対馬孝且

    対馬孝且君 間違いありませんね。
  97. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 防衛庁の内部では一般にその事実について知っておったということはないようでございます。
  98. 対馬孝且

    対馬孝且君 しかし、この時点で、すでにロッキード社とアメリカの政府首脳はP3Cの輸出の方針を持っていたということです。これは先ほどお認めになったように、すでにこの玉川武官に漏らしているのですから、その内容はもはや知っておった。そこで十月九日までの間に次の実は大きな首脳会談が行われているわけであります。田中・キッシンジャー会談が開かれたのは八月十九日、田中・ニクソン会談が八月三十一日から九月の一日に開かれています。ここで武器輸出に全力を挙げている米政府首脳が田中首相に対してP3C購入を要求する機会は十分にあったと私は考えられるわけであります。この可能性について防衛庁は否定をしますか。この点どうですか。
  99. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 防衛庁に関する限り、そのようなお話があったという徴候は承知をいたしておりません。
  100. 対馬孝且

    対馬孝且君 いや、防衛庁は、その当時感触があったかどうかは別にして、私が言っておるのは、こういった幾つかの重要会談を通して、しかも田中総理にアメリカの首脳部からそういう要求があった、その可能性について防衛庁としてはどう考えるかということを聞いているんですからね、その点、ひとつ長官に答えてもらいますよ。
  101. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 私の調べました限りにはございません。
  102. 対馬孝且

    対馬孝且君 ございませんと言うならば、私、率直に申し上げます。田中首相がP3Cの輸入の可能性について何らかの感触を得なければ——当時の総理として、これは外人記者会において輸入にウエートを置いて考えていきたいという発言をしているということは、これは既定の事実じゃありませんか。この点、ひとつはっきりしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
  103. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 恐らく議員懇談会で了解事項ができまして輸入を含めて検討するということを言われて、それを踏まえての発言だろうと、それ以上ではないというふうに私は承知をいたしております。
  104. 対馬孝且

    対馬孝且君 輸入を踏まえてと言ったってだね、当時明らかに、これは箱根会談、それからホノルル会談でも明らかになっているように、いずれにしても三億二千万ドル、日本としましては当時ドル減らしのために協力をしようと、こういう流れがあったことは事実なんですから、そこに、はっきり外人記者会見で輸入にウエートを置くということを言っている限り、結果的にはやっぱりP3Cについては輸入をしようという流れであったということは間違いない事実じゃありませんか。いまの長官答弁では納得しません。したがって私は、この段階では田中前首相の証人喚問を要求して私の質問を終わります。  なお、時間につきまして若干ありますが、これは大蔵省関係がありますから大蔵関係質問します。  以上で、それじゃ終わります。
  105. 最上進

    ○最上進君 私は、まず政府側を代表いたしまして井出官房長官にお伺いをしたいと思います。  昨日の三木・椎名会談におきますいわゆる四項目の合意事項が成ったわけでありますが、あの第二番目の項に「ロッキード問題の速やかな解明を期する」という言葉が挙げられておるわけであります。そこで、まずお伺いしたいわけでありますけれども、大変、二文字で簡単なようでありますけれども、この「解明」という言葉の持つ意味合いをめぐりまして、この解釈というのは非常に私は現時点におきましては重要な意味を持つというふうに考えておりますけれども、従来、三木総理が言われてこられたとおり、いわゆる灰色高官問題の決着をもって解明をするという言葉意味で昨日の会談合意事項の「解明」という言葉が使われたのかどうか。これは大変、臨時国会の召集問題とも絡み合いまして重要な問題であると思いますので、ひとつ簡明に御説明をいただきたいと思います。
  106. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 最上君おっしゃるように、きのうの四項目の一つに「速やかな解明」という文言がございました。きのうのきょうでありますから、党内のこれに対するいろんな御意見があるというのを私まだつまびらかにしておりません。ただ従来、灰色高官という文言が当委員会においてもしばしば出てきておるようでございますが、これ自体が法律用語でもありませんし、少し厳密性を欠いておるようには思います。しかし総理は、私がそばで見ておる限りにおいては、このロッキード問題こそは日本の民主政治の根幹にも触れる大きな問題であって、これを解明せずに通るわけにはいかないと、この気持ちに変わりはないのでございまして、いまおっしゃるような特に灰色高官ということに限定をしてお答えはしにくいんでありますが、ともかくこのロッキード問題の解明に熱意を持っておると、このことは変わりございません。
  107. 最上進

    ○最上進君 ただいま御答弁いただいたわけでありますけれども、先ほど稻葉法務大臣からも、るる灰色高官問題についての統一見解につきまして御説明がございました。大変やはり重要な問題でございますので、この灰色高官定義あるいは公表基準等を含めたこれらの問題につきまして、政府のひとつ統一見解というものを、明確にひとつこの問題につきましてお示しをいただきたいというふうに考えております。
  108. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) この点、稻葉法務大臣どういうお答えをしたか私もまだ伺いませんけれども、いま捜査途上にある問題でございまして、これを検察当局、鋭意それに向かって努力をしておるわけであります。したがって、言葉の厳密性を欠いておる灰色高官というディフィニションは政府としてどう扱うかという点は、まだ法務当局とも私、話はしておらないところであります。したがって、今後のこれは研究問題だろうとは思いますが、ただそのことを捜査が進行途上にあるいまの段階において、かようかくかくだというふうなことが、捜査に何か妨げにでもなるようなおそれがもしありとすれば、この辺も慎重に考えなければならぬ点でありまして、最上さんのいまのような御発言があったことは私もよく銘記しておるつもりでございます。
  109. 最上進

    ○最上進君 それでは、防衛庁長官にお伺いをしてまいりたいと思います。  今回のPXL問題に関するいろいろ論議を伺っておりまして、一つ大きな要点になっておりますのは、いわゆる装備の国産化につきまして、政府レベルでの基本方針が欠如しているということが一つの問題を起こしている原因になっているというふうに私は感じておるわけであります。率直に申し上げまして、政府にはいわゆるその防衛産業と申しましょうか、兵器生産についての国としての大方針というものが存在をしているのかどうか、この点についてひとつ長官からお答えをいただきたいと思います。
  110. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) これは装備の国産化についての国としての方針は、昭和四十五年度の次官通達にございますものでございまして、それに基づきまして運用をいたしておるということでございます。
  111. 最上進

    ○最上進君 昭和四十五年の次官通達というお話がありましたけれども、少し掘り下げて御質問をしたいと思うんですが、昭和五十一年三月四日の衆議院予算委員会におきます答弁にもありますとおり、昭和四十五年七月、当時中曽根防衛庁長官の時代でございますけれども、防衛庁で決定されたいわゆる「装備の生産及び開発に関する基本方針」、「防衛産業整備方針」、「研究開発振興方針」という、いわゆる三つの方針が現在なおいまも踏襲をされているということであります。この三方針とも防衛庁限りのものでありまして、政府のいわゆる方針と解する手続をとってこられなかったんではないかと、そういうふうに私は感じておるわけでありますけれども、この辺につきましてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  112. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) ただいま長官が御答弁申し上げましたように、これは四十五年の七月の十六日の次官通達、防衛庁の次官通達でございます。したがいまして、防衛庁の方針でございます。もちろんしかしながら、これをつくります際には関係各省とは十分合い議をいたしております。そういう意味で、実質的な検討は、御協議はしておると、かように理解しておりますが、形式的にはこれは防衛庁のものであると、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  113. 最上進

    ○最上進君 御説明のとおり、防衛庁限りのものであるという御指摘でありますけれども、先ほど来私が申し上げておりますとおり、やはりこうした重大なその方針というものが、やはり政府の方針と解されるようなやはり手続というものをとっておくということが私は非常に大事ではないかというふうに考えているわけであります。防衛庁設置法第六十二条第二項三号の、いわゆる防衛計画に関連する産業等の調整計画の大綱、これに基づきまして国防会議の場におきまして、国産化方針について当然協議されてしかるべきであると私は感じておるわけでありますけれども、現在までこの条項が発動されたと、これに基づいて話し合いが行われたというようなことは私自身聞いてないわけであります。防衛産業というその概念というのは確かにあいまいでありますけれども、防衛産業整備の方針という限りは、本来は通産省の所管と申すべきであると私は思います。防衛庁としては需要者あるいは調達者側としていかなる注文をつけていくかという問題でありますので、少なくとも防衛庁と通産省の協議の上で決めるべきことであるというふうに私は考えております。さらに必要であるならば、やはり国防会議で明確な国産化方針というものが決定されるべきであるというふうに思いますけれども、この点につきまして、長官並びに通産側のひとつ御所見をお伺いしたいと思います。
  114. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 防衛庁の関係を申し上げますと、ただいま御指摘の防衛庁設置法六十二条の関係でございますが、これに基づきます行為と申しますか、そういうものは具体的にはとっておりません。いままでとっておらないわけでございます。ただまあ実体的な問題といたしましては、たとえば航空機製造事業法というようなものがございまして、機種ごとあるいは様式ごとの許認可は、製造の認可をいたしております。そのときには所管省の通産省に対しまして、防衛庁の方は協議を受けるという形になっておりまして、いわゆる防衛庁側の需要と通産省のサイドの方の、いわゆる生産サイドの方の生産調整と申しますか、そういった法域というものの調整が行われておるというふうな運用をいたしておるわけでございます。
  115. 熊谷善二

    説明員熊谷善二君) 一般的に申しますと、防衛庁の装備に関しましてどのような装備を行うかという問題は、これは防衛庁の方で一義的にお決めになる問題であろうと思いますが、国産化あるいはライセンス生産ということになりますと、私どもの方とは事前に防衛庁からも協議を受けまして、私どもは産業所管官庁といたしまして、その立場から必要な助言を行うということがございます。また国防会議等におきましても適宜意見を述べるという立場で、私ども意見を装備計画にできるだけ反映するように考えておるわけでございます。
  116. 最上進

    ○最上進君 どうも私の感じばかりで申し上げることは大変遺憾でありますけれども、防衛産業のその育成という問題あるいはまたその国産化について明確なる方針をどうも打ち出さないというのは、いわゆる憲法九条の戦力解釈につきまして、潜在力としての防衛産業もこれに含むといういわゆる野党側からの疑義というものを配慮したものではないかというふうに私は感じざるを得ないわけであります。そういう意味で装備の国産化については、やはり私はもっと積極性を持って臨んでいただきたい、これを考えるわけでありますけれども、この点はどのようにお考えでありましょうか。
  117. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 一国の防衛ということを考えていく場合、その装備をできるだけ自国で賄うというのはやはり非常に大事なことであるというふうに思います。そういう考え方の上に立ちまして、昭和四十五年度の防衛庁の次官通達にもなったと思うわけでございますが、しかしものによりましては、国産だけではやはり今日の兵器の装備というものを全うできない面もございますので、これはやはりケース・バイ・ケースでお願いしなくちゃならぬ。しかし基本はやはりあくまでも自分の国の産業でできるだけ賄うということで、なければならないというふうに考えておるわけでございます。こういう問題につきまして、もう少し基本的にやはり研究する必要はある、あるいはまた国といたしまして、国防会議等に諮ってこれを決めるということも大事なことではないかと思いますけれども、いまの段階はただいまのような状況推移をしているということでございます。
  118. 最上進

    ○最上進君 PXLの機種の選定について関連してお伺いをしておきたいと思います。  長官は三月四日の衆議院予算委員会におきます答弁におきまして、私としては「一点の疑惑のないように、国民の納得のいくような機種選定を行わなければならぬ」、その御決意を述べられているわけであります。ここで長官のおっしゃられるいわゆる「国民の納得のいく」ということはいかなる手順を考えておられての御発言か、お伺いしたいと思います。
  119. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) いまPXLにつきましても疑惑を持たれておるわけでございますし、いよいよ捜査段階に入ってきておるわけでございますから、これがどういうふうに推移をするか、その推移を見きわめないとなかなか国民の疑感を晴らすわけにまいりません。そういうことでございますが、しかし、機種の選定につきましては、もう防衛庁で決めておるんだから既定方針で進めばいいと、こういうものではないということでございまして、われわれといたしましては、この手続としては、ポスト四次防をどうするか、その初年度をどうするか、あるいは基盤的防衛力で装備をどうするかということをただいま検討いたしております。これはまだ発表いたしておりません、詰めておりませんが、いずれ、これも八月の概算要求を出します前、あるいはそこに間に合わせることができない場合は遅くとも十二月の末の予算編成期時期までには何とか決めなければならない課題でございます。その間におきまして、恐らくロッキードの問題につきましてもある程度の解明が行われるだろうと私たちは期待をいたしておるわけでございまして、その上に立って国民の疑惑を招かないような形でやりたいというふうに思っております。
  120. 最上進

    ○最上進君 そういたしますと、具体的には国防会議の議を経るのか経ないのか、この辺についてひとつお聞かせいただきたいと思います。
  121. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) もちろん国防会議で審議をしていただきたいと考えております。
  122. 最上進

    ○最上進君 過去機種選定の手続につきまして、場合によっては国防会議にかけたりかけなかったり、あるいは防衛庁限りで決定したりしてきたと、あるいは国防会議にかけることに戻したりもしてきたと、そういういろいろ変遷があるわけでありますけれども、私見といたしまして、機数、こういうものについてはともかくといたしまして、やはり機種選定というような純軍事的、技術的問題というものは、やはり専門家に任かせる意味で防衛庁限りの決定にゆだねる、これも一つの私は考え方だというふうに考えております。この点につきまして、先ほどの長官の御答弁もあったわけでありますけれども、大変食い違うような面もあるかもしれませんが、この点につきましてひとつ長官の再度御意見を賜りたいと思います。
  123. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 何を申しましても、次期対潜機というものが国防上なぜ必要なのか、そしてそれはどういうような役割りを持ち、かつどれくらいの性能を備えたものが現実にできるかというようなことはやはりわれわれ防衛庁でなければ実はわからないわけでございます。しかも、対潜機を備えた場合に、それを運用いたしまして、実際の対潜哨戒に当たりますのは海上自衛隊の諸君でございますので、そのユーザーの立場もよくお考えをいただきたい、こういうふうに思います。さりとて、しかし、これが機数となりますと、やはり莫大な費用のかかるものでございますから、これはやはり経済、財政当局ともよく御相談をして決めなきゃならない問題でございますし、それからまたライセンス生産等ということになりますと、これはやはり通産行政の、いわゆる航空機産業との関連も出てまいりますので、やはり通産省の方々ともよく話し合いをしなくちゃならぬということで、やはりこれは国防会議で議論をして最終的に決めるべきものであるというふうに考えておる次第でございます。
  124. 最上進

    ○最上進君 少し話題が変わりますが、今回こうしたPXLの関係の議論をいろいろ聞いておりまして私は大変強く感じたことがあるわけであります。それはわが国における予算編成過程と防衛庁予算のいわゆる特異性という問題であります。昭和四十五年、四十六年、四十七年のPXL関係予算の動き、流れ、こういうものに対するいわゆる防衛庁及び大蔵省、それぞれの理解あるいはその解釈の差というもの、要するに日本における予算要求テクニック上の問題というものがまさに表面に露呈をしたというような感じがしてならないわけであります。従来の各省予算要求側といわゆる財政当局たる大蔵の事務的折衝あるいはその事務的査定、こういう積み上げのもとに最終的にいわゆる政治的決定のレベルに持ち上げていく、こういういわゆる官庁主導型と申しましょうか、まさに日本の政治風土に大変なじんだ、いわゆる単年度ごとの、毎年毎年作業の継続の集積であるという、いわゆるわが国のこうした予算制度、こういう中でいわゆる防衛庁の予算のような莫大な、しかも長期計画を内容としている問題を果たして処理していけるんだろうかどうか。この点につきまして大変私は疑問を感じているわけであります。この点につきまして、大蔵なりまた防御からも率直なひとつ御意見をこの際お聞かせいただきたいと思います。
  125. 高橋元

    説明員(高橋元君) 防衛の予算というものが非常に規模が大きい、またその整備水準を達成するのに長期間を要する、調達にも時間がかかると、これは御指摘のとおりでございます。予算の中には、防衛予算に限らず、いわゆる大規模プロジェクトといわれるような公共事業予算とか、いろいろ達成に長期を要するものもございます。それからまた、長期間の整備水準というのを頭に置いて編成をしていかなきゃならないといういわゆる五ヵ年計画、十ヵ年計画というものを伴ったものもございます。ただし、そういった長期の目標というものをどうやって単年度の予算の中でこなしていくかということになりますと、仮に防衛の予算を例にとりましても、これは概念設計、基本設計、試作、実用試験、そういうことを経て初めて導入される。その手法としても、多年度にわたる予算として国庫債務負担行為あり、継続費ありと。それを一般の諸施策との均衡——社会保障でございますとか、農林関係費でございますとか、さまざまな一般諸施策から成り立っておるわけでございますから、そういうものとのつり合いを考えながら、単年度の予算の歳入とぶつけまして、その中へうまく入れていくということが各年度の予算の一番の根幹になるかと思います。したがいまして、大きな予算だから、これはその着手なり内容なりということをあらかじめ先取り的に決めてしまうということになりますと、各年度の予算が編成及び運営ということに支障を来たしてまいるという場合が多分にあり得るわけでございます。そこで私どもも確かに、現在のような御承知のような財政状況でございますから、中長期にわたる経済ないし財政の見通しを持って財政の運営を行っていかなきゃならないということは考えております。しかしながら、それが具体的に財政の健全性ということをどうやって担保していくかということになりますと、やはり事務的な各種の必要な項目、それが費用対効果の観点からいいかどうかということを全部の経費について洗ってみますと、そこで一年の歳入の枠の中に入れていくということがどうしても必要になってまいる。そこで中長期にわたる財政計画的な運営というものと、それから特にその中で、いま御指摘になりましたような個別のプロジェクトについての長期の計画というものと、さらに単年度ごとの歳入ないし経済の状況というものを取り合わせてやっていく方法としては、やはり私どもとしてはいま財政法なり諸般の財政の制度が予定しておりますところの各省の概算要求を受けて、それを調整いたしまして閣議に諮りまして、全体の施策のバランスをとって決めてまいるという現在の予算制度によらざるを得ないという考えを持っておりますが、財政政策それから経済政策の問題として別途中長期の財政というものをどう運営していくかということをいま勉強いたしておるわけでございます。
  126. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 防衛庁の立場から申しますと、いままで三次防、四次防と進んでまいりまして、ポスト四次防をどうするか、その長期整備計画をどうするかということを固定的な五次防というような形でやるのか、あるいはこれにローリング方式を導入いたしまして、たとえば二年見直しとか三年見直しのローリング方式を導入する。この辺も今度のポスト四次防整備計画をするに当たりまして選択しなけりゃならないというふうに思っておりまして、いままでの固定方式のみでいくというふうには考えておらない。場合によってはローリング方式も導入したいというふうに考えております。まだ決定はいたしておりませんが。
  127. 最上進

    ○最上進君 御説明で大体わかるわけでありますけれども、一次防——四次防に至るいわゆる防衛計画、これが先ほどから私が述べてまいりました難点を解決する一つの方策であろうというふうに考えております。その防衛計画の決定につきましても、まあ今回、はしなくも防衛当局と財政当局の事務的処理の限界というものがまさに露呈したものというふうに受け取らざるを得ない事態と私は考えたわけであります。その意味から少なくとも日本的政治風土の中で非常にむずかしい方法ではあると思いますけれども、少なくとも事防衛予算につきましては、やはり私は政治的決定というものが先行して本当の意味でのシビリアンコントロールというものが名実ともに実現されるように、閣僚レベルでの決定というものが先行されるべきであるというふうに私は考えておりますけれども、この点につきましてひとつ御所見を承りたいと思います。
  128. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) やはり国の防衛、国防と、安全保障というからには、今日単に軍事力のみを備えましても防衛は成り立ちません。やはり外交、経済、民生安定というそのグローバルな形においての防衛力ということでなければ国は守れないという立場から考えますと、やはりわが防衛庁といたしましての防衛構想というものが各省庁によく理解をされるということがまず前提になると思うんでございます。その意味におきまして、この防衛白書が六年も出なかったというところにも実は問題があったと思うんで、各省庁に御協力を願おうと思っても願い得なかったんじゃないだろうか。防衛庁自身の意思がはっきりしないというところにやはり問題があったというふうに私は思うんでございます。そういうような立場から防衛白書も意義づけておるわけでございますが、今後はそういう形で各省庁が御協力をいただきまして、そしてやはり安全保障の問題について国防会議等で十分に御検討の上に将来の長期防衛整備計画を立ててもらいたいというふうに私は考えておる次第であります。
  129. 最上進

    ○最上進君 次に、今回のような大変日本国民にとりましても、また政党にとっても、政治家にとりましても、すべてのものに不幸なこうした事件というものを二度とやはり起こさないようにする、そういう意味で、どうしてもこの問題を契機に解決をしておかなければならない問題がやはりあると思うんです。  その一つに、輸入につきましてのいわゆる商社関係の排除の問題であります。ロッキード問題後、防衛庁におきましては今後航空機購入につきましては商社が関与することのない方式というものを検討していきたいという旨の御答弁をされているわけでありますけれども、そこでお伺いしたいのは、従来その商社が介在をしてきたそういう方式というものが防衛産業につきまして長く続いてきた何か理由、背景というものがやはりあるんではないかということを感じるわけでありますけれども、この点についてひとつお考えを賜りたいと思います。
  130. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 御質問に答える前に、少し現状を御説明を申し上げた方が適当かと存ずる次第でございます。  まあ、俗に商社の介入ということを言われておりますけれども、現実の問題といたしまして主要機種、たとえば航空機の主要機種の決定等の際には、これは防衛庁が独自の立場に立ちまして、たとえば要求性能でございますとか、経費でございますとか、いろいろな点を十分検討いたしました上で、要すれば国防会議等に諮りまして決定をいたしておりますので、この段階でわれわれといたしましては、いやしくも商社等にいろいろな助力を求めるというようなことは一切いたしておりません。また、今後もこの方針は引き続き続けてまいるというつもりでございます。  ただ、しかしながら、そういった主要機種以外のもの、たとえば修理部品でございますとか、補用品関係、そういったものにつきましてはやはり商社の力に頼らざるを得ないものがございます。具体的にこの金額は大体全体四十九年度で四千六百億円程度の調達をいたしておりますが、そのうちの約百五十億程度、約三%程度の額でございます。金額的にも非常に件数が小そうございまして、これを一々防衛庁みずから調達するというようなことにいたしますと、言うなれば手間と申しますか、手数と申しますか、そういった経費等が非常に繁雑にわたってくるというケースがございます。それからさらに、ものによりましては外国のメーカーとの間にソールエージェント契約等を結んでおるものがございます。こういうものについては相手方のメーカーとの了解を得ない限りはやはりそこを通して買わざるを得ない。もっと極端に申しますと、その商社でわずかな、小さな、少量の品目を多数集めてもらいまして、そこで納めてもらうというような例もございます。そういう点から申しますと、やはりこういった少額のもの、それからそういった特殊の関係にあるものにつきましては、やはり従来からそういうあったルートを利用するということが効率的ではないかというふうにわれわれとして考えておった次第でございます。もちろん、その場合にやはり買い付けの価格の妥当性ということを期さなければなりませんので、この点につきましては、調達本部等で現実には予定価格制度というものをとりまして、それを買いますときに厳重なチェックをして買っておると、こういう状況でございまして、従来の実情はそういうことでございますが、いま御指摘のような、特に機種選定等につきましては、冒頭に申し上げましたように、一切そういったものを排除するということで進むと、この方針は従来以上に続けてまいりたい、かように考えております。
  131. 最上進

    ○最上進君 ついでと言ってはなんでありますけれども新聞報道等でも伝えられておりますけれども、今後採用されようと検討されております方式の中にFMS、いわゆる有償軍事援助方式というものが挙げられているわけでありますけれども、これひとつちょっと御説明をいただきたいと思います。
  132. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 俗にFMS方式、フォーリン・ミリタリー・セールスと申しておりますけれども、これはいわゆる相互援助体系の一つの流れでございます。俗称有償調達と申しておりますけれども、いわゆる政府間ベースの取引でございます。これは大体年間にいたしますと、四十九年度で約九十億程度でございまして、約二%程度の額になっております。この対象といたしましては防衛装備品の関係でございまして、いわゆる通常のルート、商業輸入のルートでは調達できないようなもの、たとえば防衛上の秘密、マル秘物件と申しますか、そういったものでございますとか、あるいは米国側で大量に部品等を納入して大量取引をやっておりますので、その在庫等を利用さしてもらった方が非常に安く買えるというようなものもございます。そういったものを主体といたしまして、先ほど申しましたような約九十億程度の年間輸入をいたしておると、こういう形態でございます。
  133. 最上進

    ○最上進君 次に、すでに伝えられておりますけれども、元海将補のロッキード社コンサルタント契約問題についてでありますが、この元海将補問題の事実調査の結果につきまして、防衛庁が調査をされているということでありますので、ひとつ御報告をいただきたいと思います。
  134. 玉木清司

    説明員(玉木清司君) お答えいたします。  この十七日に、元海将補横山修と申しますが、この人に関します新聞報道が出ましてわれわれも承知したわけでございますが、これにつきまして調べてみますと、事実関係としてこういうことになっております。  まず横山氏は四十九年の五月ごろにロッキード社とコンサルタントの契約を結んだようでありますが、その契約はどういうものを結んだかということにつきましては、本人の説明ではわが国がP3Cを導入した後役立つような技術的なアドバイスをするというふうに心得たと申しております。それから、横山氏は主として海上幕僚監部をときどき訪れまして、技術部とか防衛部の担当者と会っておったということでございますが、担当者の話によりますと、月に一回あるいは数ヵ月に一回というような程度訪れてまいりまして、いろんな装備品に関します外国の情報を紹介して論文の翻訳というようなものを渡してくれた、あるいは外国会社の新しい製品、この場合はヨーロッパ系のものを具体的に記憶しておるようでございますが、外国の新しい製品の紹介、こういうものをしてくれたということでございます。ただし、担当者に聞いてみますと、会った者すべてがP3Cの導入について働きかけられたという記憶はない、このように申しております。  また、私が横山氏自身に対して確認をしましたところでも、横山氏自身もP3Cの売り込みというものについて口をきいた記憶はないと、こう申しております。  大体以上のようなことでございます。
  135. 最上進

    ○最上進君 確かに海将補まで勤められた方がロッキード社のコンサルタントをされていたということは決して望ましいことではない、これは明白だと思います。しかし、私はこの問題はただ単に表面だけあるいは側面だけを見て判断をしたり、決めつけていっては私はいけないというふうに考えているわけです。と申しますことは、たまたまロッキード問題が浮上したということでこの件が出たわけでありますけれども、私は防衛産業全般について防衛庁の職員の方々が退職後何らかの形でやはり再就職しているということは、私は事実だと思います。同時に、わが国においてはこういう形態というものがかなり浸透していることもやはり事実だと指摘せざるを得ないわけであります。  で、今回私はこの問題で明確にしておいてあげたいのは、やはりいわゆる法的に、たとえば自衛隊法に規定があるわけでありますけれども、そのほかにやはり法的に何かこの元海将補の問題が触れている、違法性があるということがあるのかどうか、この点につきましてひとつ、私は自衛隊の特に幹部の方はもとより第一線で一生懸命やっておられて、そして退職後もやはり何か就職をして働いていかなければ食べていかれないという隊員が大多数であるというふうに考えます。そういう中でやはりそういう方々の士気にも大変大きな影響を与えるんではないかと憂慮しておりますので、この点につきましてひとつ明確に御答弁をいただきたいというふうに考えております。
  136. 竹岡勝美

    説明員(竹岡勝美君) 今回の横山元海将補の問題でございますけれども、自衛官も自衛隊員すべて他の公務員と同じように、自衛隊法六十二条で退職後の私企業につきます制限がございます。これは他の国家公務員と同様に退職後二年間は自分が現職についておりました、退職前五年間ついておりました職業と密接な関連のあるような私企業の枢要な地位についてはならないという制限がございます。これは他の国家公務員と同様でございまして、やはりやめる前の自分の職業に関連して他の企業と何かそういうコネをつくってはいかぬというようなことで、職務の公正さを期するためにこのような制限が設けられておるんだと思います。この横山海将補の場合には、御承知のとおりに四十二年にやめておるわけなんです。そしてこれが四十九年にこんなふうにコンサルタントの職についたと聞きます。だから法令的には何らこれは問題がないわけでございます。それといま先生非常に温かい言葉をいただいたんですけれども、御承知のとおり自衛官、たとえば一佐ですと五十三歳が定年です。まだ子供が恐らく学業についております。あるいは将補にいたしましても五十五歳の定年でございます。しかも自衛官というのは他の公務員よりも専門的な業種についておりましたために再就職の口が非常に狭い。しかし、彼らもやはりそのライフサイクルとして第二の人生を幸福に送りたいと思っておるだろうと思うのです。もちろんわれわれとしましても、この法律に絶対触れてはいけませんし、ただ彼らのせっかく築き上げました能力なり、そういう知識なりをできる限り生かせるようないい職場があるならばという援護活動といいますか、というものはわれわれも真剣に考えております。今回の問題で自衛官が自分らの職場が狭くなったとか、非常なそういうような心配は毛頭ないと思います。ただ、もしありとするならば、調達関係の業務等についておる者が、いままで厳正にやっていると思いますけれども、こういう新聞に出ますことを見まして、今後の、より一層心を引き締めて関連業者等との平素のつき合い等は引き締めないかぬなというような反省はあったと思いますけれども、再就職についてはそういう心配は毛頭ございませんし、われわれもできるだけの援護はしてやらなければならないと、このように考えております。ありがとうございました。
  137. 最上進

    ○最上進君 以上をもって質問を終わります。
  138. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 議事進行について緊急に申し上げたいと思いますが、全日空の経理部長あるいは営業本部長、取締役といった役員が逮捕されたということでありますが、このロッキード事件関係があるのかどうか、どのような容疑事実があるのか、午後の再開の冒頭に報告をしていただきたい。
  139. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 委員長はいまの瀬谷君の申し出に対しまして善処いたします。  午後一時三十分再開することとし、休憩いたします。    午後一時七分休憩      —————・—————    午後一時三十四分開会
  140. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまからロッキード問題に関する調査特別委員会を再開いたします。  ロッキード問題に関する調査を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  141. 対馬孝且

    対馬孝且君 大蔵大臣にお伺いをいたします。  大蔵省が四十七年当時、PXLの国産化に反対した主な理由としまして、専門家会議の審議概要の中にも出ているんでありますが、つまり外貨減らしと財政負担の二つの理由が主なる理由であると、こう挙げられているんですが、この点ひとつ大臣に所見を、この意味を確認をしたいと思いますが、いかがですか。
  142. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 主にいま対馬委員が挙げられたことが、当時大蔵省が考えておりました理由であると私も承知いたしております。
  143. 対馬孝且

    対馬孝且君 いま大臣から明快に大体おおむね外貨減らし、財政負担という二つの理由であるということを確認をされました。  そこで、私は、当初の次期対潜哨戒機は五十五年度から一これは防衛庁の関係でございますけれども、五十五年度から配備するといわれていましたが、五十五年度に間に合わせるためには、たとえば契約から輸入までが、大体輸入の場合は二年間かかる、それからライセンス生産の場合は三年かかる、国産の場合は七年かかる、こう言われているわけであります。したがって、輸入ならば五十三年、ライセンスならば五十二年、そして国産ならば四十八年から着手することになるわけでありますが、大体こういう行程をたどると、こういう生産工程になるということについてはいかがですか。防衛庁にちょっとお伺いします。
  144. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) おおむね先生のおっしゃったとおりでございます。開発は七年、それから輸入が大体二十数ヵ月、それからライセンスの場合は三十数ヵ月と、大体こんな感じでございます。
  145. 対馬孝且

    対馬孝且君 そこで、いま防衛庁の見解も、私が指摘をいたしました大体そういった年限がかかるということをここではっきりされました。とすると、そこで大蔵大臣にお伺いをするんですが、外貨減らしのため、あるいは財政負担というためであります。まず、外貨減らしのために輸入では役に立たないんじゃないかということを私は指摘をしたいわけです。いま防衛庁が出した見解からまいりますと、むしろ国産化をする方が、アメリカ側から資材その他、部品などを買い入れて直ちに外貨減らしのために役立つのであって、かえって輸入化した場合については五十五年度ですから、結論的には五十五年度に買い求めるわけですから、そういう意味では外貨減らしという当時の理由というのは非常に根拠がないんではないかと、こういうことが一点疑問を感ずるわけであります。したがって、財政負担とおっしゃるならば、これも私は率直に申し上げますけれども、四月の二十三日に川崎重工の室井副本部長に私も矢田部参議院議員とともに会見をしているんでありますが、このときもはっきり私らに言っていることは、財政的には財政負担が国産化はかかるというが、実際はむしろ国産化が長期的に見ると、償却その他のコストを見ると安くなるんだと、こう言っているわけであります。だから、そういう意味では当初大蔵省が外貨減らし、財政負担といういま大臣がお認めになった二つの理由から判断して、どうも理由は他にあったのではないかという気がするのでありますが、この点ひとつ大臣の考え方をお伺いします。
  146. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 御指摘のように、直ちに外貨減らしに役立つということにはならぬじゃないかということはそのとおりだと思います。したがって、主たる理由は財政負担にあったのではないかという御指摘も私はそのとおりだと思います。この点につきましては、いろんな計算がなされて、どう見てもやはり輸入の方が割り安であるということで、終始輸入に魅力を大蔵省が感じておったというように私は承知いたしておるんでございまして、あなたがいま引用されましたように、国産でいった方が終局において割り安でないかという御議論は、私、まだ伺ったことはございません。
  147. 対馬孝且

    対馬孝且君 いま大蔵大臣から率直に、外貨減らしに役立たないんじゃないかと、当時の現況として。やっぱり、国産化することがむしろ役立つわけであって、輸入という方針では役立たないわけであります。この点はやっぱり、矛盾した答えを大蔵省はいままで言っておったんじゃないか。ただ、財政負担の問題は一つありますよ。ありますが、財政負担については先ほど私が言ったような考え方を、率直に言うと、長期的に見るならば国産化でいった方が安上がりであるという川崎重工あたりの見解というのは一つあるわけでありますが、これは別にいたしまして、そういう点から考えますと、私は、外貨減らし、財政負担にこの輸入化の問題があったのではなくて、むしろ政治判断として——これは、これから以降、私の所見でありますが、考え方でありますけれども、やっぱり当時の田中総理が日米関係関係から政治判断として輸入化を方針を決めたと、こういう根拠に私ははっきり言わざるを得ないのではないか、こういう考え方を持っておりますので、この点ひとつ私の考え方として明らかにしておきたいと、こう思うんですが、大臣、どういう見解を持っているか、ちょっとお伺いします。
  148. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 当時の内閣といたしまして、対潜哨戒機について輸入の方針を決めたということは、私伺っておりません。まさに、その問題について長く大蔵、防衛両省の間に論議がありましたのは一応白紙に戻しまして、専門家の検討にゆだねるということにいたしたという経緯は承知いたしておりますけれども、あなたが御指摘のように、内閣がそういう方針をすでに決定しておったというようなことは、伺っておりません。
  149. 対馬孝且

    対馬孝且君 先ほど大蔵大臣から、いずれにしても外貨減らしということは、国産化をすることがむしろ外貨減らしだと、輸入はそういうことにならないという点についてはお認め願っておりますから、私もこれ以上の問題は、別に改めて証人喚問等でひとつ解明をしていきたいと、こう思っておりますので、私ははっきり申し上げて、当時の判断からまいりますと、田中前総理の決断による輸入化の方向決定をされたものである、こういう判断の、外貨減らし、財政問題から判断をしてもその結論を言わざるを得ないということを明確に申し上げて、実はこの質問を終わりたいと思います。  以上でございます。
  150. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  151. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記を始めてください。
  152. 峯山昭範

    峯山昭範君 きょうは、大蔵大臣が時間の都合で先にお立ちになるそうですので、大蔵大臣に対する質問を先にしたいと思います。  まず、坂田長官にお伺いいたしますが、私は先般の当委員会における質問におきまして、まず四次防の大綱のことをやりました。それで、この四次防の大綱というのは要するに国産を決めたものではないというのが、防衛庁長官答弁でございました。しかし、その後のずっと質疑応答の中で、もしそれが四次防の大綱というのは国産を決めたものでないとするならば、防衛庁が少なくとも四十八年度の予算概算要求で国産化につながるような概算要求をするというのは、これは大綱にも違反するんじゃないかという質問をいたしました。そうしましたら防衛庁の方は、こういう、四次防の大綱というのは、国産につながる研究開発は行わないということではないという答弁になっております。議事録を読みましたら、そういうふうになっております。したがって、その国産化につながる研究開発を行ってもよいというふうに考えていると、まあこういうふうになるというふうな答弁がございました。これは、この点防衛庁長官、これは間違いございませんか。
  153. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) われわれの方は、まだどちらとも決めてないということでございます。
  154. 峯山昭範

    峯山昭範君 いや、それはね、またその大臣、そういう答弁ですとまたこう一からやり直さないけませんね、これね。それじゃ困りますんで、もうその議論はしたわけですからね、その議論をした上で、上でですね私は結論的なことを申し上げているわけです。要するに、国産は決めてない。決めてないんなら、国産を決めてないというその大綱があるならば、それに基づいて国産化につながる研究をするっていうのはおかしいじゃないかという、この間質問をしたわけです。そうしましたら、いやあの大綱というのは国産化につながる研究開発は行わないということではないと、したがって国産化につながる研究開発を行ってもよいと、いま先ほどのことを裏返して言えばそうなりますね、これはおかしいじゃないかという答弁を、現実に会議録を私精査いたしましてね、いま言っているわけですが、これは間違いないかと私はこう確認をいたしますとね、いやどっちも決めてないんだという答弁では困るわけです。これはどうです。
  155. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) どういうお尋ねなのかよくわかりませんけれども、とにかくあの時期、四十七年の二月の大綱が決まりましたときには、政府としては国産化ということを決めていたわけじゃないわけなんで、しかしながらわれわれの方が、防衛庁が国産の方針のもとに技術調査をやっておったということは、そのとおりだというふうに御理解願いたいと思います。
  156. 峯山昭範

    峯山昭範君 ですから、これは大臣、もうあんまりくどい答弁、あれはいたしませんが、少なくとも四次防の大綱というのは、防衛庁としてはこれは国産化につながる研究開発は行わないというんじゃなくて、行ってもいいと考えておったということでございますね。
  157. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) まだ政府全体としては国産というものは決められていなかったけれども、われわれとしてはその方向へ向かってですね、調査研究をお願いしておったということで、まあできるならばこれから量産、基本設計というふうにして認めてもらいたかった、しかしながらそれは認められなかったと、まあこういうことでございます。
  158. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますとね、大臣、少しあれしてきましたから、それでは四次防の大綱の中で、いま大臣がおっしゃったように、少なくとも国産化につながる研究開発は行わないというそこのところを、行わないんじゃなくて行わないということは決めてないということですから、そこのところの問題で、特にその四次防の大綱の中でPXLの国産を、まあ国産を行わないというんじゃなくて、行ってもいいと防衛庁が解釈するに足るところは、この大綱の中のどの点でございますか。
  159. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 四次防の大綱におきましては、研究開発の項に対潜哨戒機能向上のための各種装備等の研究開発を行うと、こうまあ記されてございます。したがいまして、次期対潜機の——対潜機の研究開発を行うということは具体的には明記されておりませんけれども、いま申し上げました各種装備等の開発を行うというのは、防衛庁といたしましては、機体も含めた次期対潜機の開発も行えないことはないというふうに解釈をしておったわけでございます。
  160. 峯山昭範

    峯山昭範君 ということは、これは問題になっております「各種装備等」、この「等」の中にはPXLの機体等もすべて含むということですね。
  161. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 機体も含み得るという解釈をいたしております。
  162. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、これは非常に私は重要な問題でございますが、そこで大蔵大臣にお伺いをしたい。まず大蔵大臣は、これは少なくとも四次防の大綱を決められる国防会議並びに閣議の段階では参与していらっしゃるわけですけれども大蔵省としては、四次防の大綱の中で、このPXLについてはどういうふうな御見解をお持ちなんですか。
  163. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) いまお話がありましたように、防衛庁は国産のための研究開発が必要であると考えておられたようでございますけれども大蔵省は財政負担関係がございまして、国産開発には終始消極的であったということでございます。したがって、この間の、両省の間に論議が絶えなかったわけでございます。そこで、この問題に一応の終結をもたらしたものがいわゆる白紙還元であると私は承知いたしておるわけでございます。
  164. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、大蔵省と防衛庁とではこれは多少従来から言われております玉虫色的な見解の相違があるんですけれども、この点についてはどうです。
  165. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 玉虫色的な見解の相違ということでどういうことを意味されておるのか、私はちょっと理解いたしかねるわけでございますけれども、本来、予算におきましては要求官庁と査定官庁の間に見解の相違が往々にしてありますことは御案内のとおりでございますし、またあることが物事の発展の上から申しまして望ましい場合も多いわけでございますので、私はあながちそれは責められるべきことではないと思うのでありまして、防衛、大蔵両者間の間におきまして、この問題について長い論議が交わされたということは当然あってしかるべきことであったのではないかと思っております。
  166. 峯山昭範

    峯山昭範君 そういう論争はあってしかるべきだと大臣はおっしゃいますけれども、少なくともこの四次防の大綱というような、こういうようなもの、国防の基本を定めた国防会議決定であり、閣議決定ですね、こういうようなものに、それを解釈する場合に、防衛庁の解釈と大蔵省の解釈がいわゆる食い違うということは、私はこの点はやっぱりこの委員会で前々から何回も議論してきてますけれども、これは食い違ったままでがっちりこないわけですよ。ですから、やっぱりこれはきちっとした——大蔵省としてはどう、防衛庁としてはどうというんじゃなくて、政府としてはこの問題についてはこうなんだと、それをはっきりしていただかないと、これに関連した予算要求の問題や何やかやが全部初めの解釈の違いから、いろんな問題が波及していっているわけですよ。この問題はやはり両大臣がいらっしゃるわけですから、これはただ単に防衛庁としてはこう解釈して話を進めておった、あるいは大蔵省としてはこうして話を進めておったというんではなくて、やっぱりきちっとした統一したものでなくちゃいけないと、私、こう思うんですがね。
  167. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) ごもっともでございます。あなたの言われる御指摘のように、四次防大綱の第三項の(四)に記載されておりまする対潜哨戒機能向上のための各種装備等の研究開発を行うなどの中に機体を含むか否かについては、防衛庁は機体の研究開発を行うことが排除されているとは考えていないという御見解を持たれておったこと、これは先ほどお話があったとおりでございまして、大蔵省はこのように防衛庁が解釈されておることに別に異存はなかったわけでございますけれども予算上国産化のための経費を計上するかどうかということになりますと、四次防計画を具体化する各年度において検討することといたしてこれに対処してきたわけでございますので、解釈論といたしまして、大蔵、防衛両省の間に、あなたが御指摘のように、見解の相違があったわけではないのでございまして、ただ、予算の、年次別の予算の作案に当たりまして、当然のことでございますけれども、査定官庁といたしまして防衛庁の要求をそのままのむことはできなかったということはあり得ることでございます。
  168. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、大臣、いまの大臣の答弁ですと、要するに防衛庁がかねてから主張しておりましたように、この四次防の大綱——予算要求の問題じゃないんです。四次防の大綱の中では、「各種装備等」のこの「等」の中に、防衛庁が解釈しておりましたように、要するに機体をも含むと——いま大臣、こうややこしい言い回ししましたけれども、結局機体をも含むということを大蔵省も認めておったということですね。ということは、四次防の大綱では、少なくともこの技術研究開発のこの項目で、四次防の大綱で国産が、国産の方向というものが——機体も含めて研究開発ですからね、ただ基礎研究だけじゃないわけですよね。研究開発という場合は基本設計をも含むということに、前の委員会ではっきりしていますからね。そういう点からいきますと、少なくとも四次防の大綱では、もう大蔵省も認めて、少なくとも国産の方向を目指すということは、国産そのものを決定していたというんじゃなくても、少なくとも国産の方向自体ははっきりしておったと、こういうことになりますが、どうです。
  169. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) いま私が御答弁申し上げたのは、四次防大綱に言うその表現、対潜哨戒機能の向上のための各種装備等の研究開発を行うという中に機体を含むかどうかという解釈につきましては、大蔵、防衛両省の間に別段解釈上の相違はなかったと聞いております。ただ、これを予算化するかどうかということにつきましては、これまた話は別でございまして、解釈上の相違はなかったけれども予算化につきましては防衛庁の要求どおりにはならなかったと承知しております。
  170. 峯山昭範

    峯山昭範君 ですから、予算のことはいいんですよ。予算は別としまして、要するに四次防の大綱では、要するにいま大臣がおっしゃいましたように、防衛庁との解釈の相違はなかったと、これはもうはっきりしましたですね。  そうしますと、大臣、次にまいりますが、それではその四次防の大綱の後に、いま問題になっております十月の九日に主要項目の決定がございます。この主要項目の決定の中のいわゆる技術研究開発という項目がございますが、これは、この点については、この主要項目の中でうたわれた対潜哨戒機の問題と、それから大綱の中でうたわれた問題と、これは同じと考えていらっしゃるのか、あるいは違うと考えていらっしゃるのか、これはどうです。
  171. 高橋元

    説明員(高橋元君) 四次防の大綱の内容につきましては、先ほど大臣からお答えがありましたところでございますが、「等」の中に機体を含めて読むことができるという防衛庁の御解釈に対して、まあ大蔵大臣からお答え申し上げましたように、大蔵省としては、それに賛同はいたしておりませんでしたけれども、立場として。解釈として、その中に含めるということはいいんだが、しかし含めるかどうかは、毎年毎年の予算で検討していくということであったわけです。それは、主要項目の「対潜哨戒および早期警戒機能向上のための電子機器等の研究開発を行なう。」という表現についても同様でございます。
  172. 峯山昭範

    峯山昭範君 これはね、いまの、要するに私は、いま次長さんですか、次長の答弁ですね、先ほどの大臣の答弁を再度同じことを言っているわけですけれどもね、要するにそれは、四次防の大綱の方は、機体を含むというんであれば、これは当然私は、すべて機体と電子機器全部含むわけですから、当然その「研究開発を行なう」ということですから、防衛庁がかねてから解釈したがっていたようないわゆるその大綱の決定であると、こう私は解釈したわけです、大臣の答弁でね。  もう一点の質問は、その後主要項目の決定がありましたね、十月の九日に。この主要項目の決定時点では、これは大綱の同じ時点の解釈と、これは大蔵省としては同じと考えていらっしゃるのか、中身は全部まるっきり違ったと考えていらっしゃるのかと、こう質問しているわけです。
  173. 高橋元

    説明員(高橋元君) 大綱の段階と主要項目の段階と、表現は違いますけれども、私どもとしては、趣旨は同じと考えています。
  174. 峯山昭範

    峯山昭範君 当然、国防会議事務局長の答弁も、これは字句は違うけれども、中身は同じという答弁がございます。したがって、これはすべてこの点については同じということで、私はそういうようにとります。  そこで、そうしますとね、防衛庁長官ね、これはちょっと問題になってくるんですよね。何が問題になってくるかと言いますと、「次期対潜機問題の経緯について」ということで、防衛庁長官——防衛庁長官、そうしますと、この二月七日の大綱の問題で、経緯の中で最後に、「二月七日の四次防の大綱においても国産化を前提とした次期対潜機の研究開発を行うことは定められなかった。」と、こういうぐあいに書いてございますね。しかし、これはそういうことにはならないんじゃないですか。これを読みますと、「技術研究開発」で、「各種誘導弾、電子機器ならびに対潜哨戒および早期警戒機能向上のための各種装備等」の「各種装備等」というのは、これはPXLの機体及び電子機器等のすべてを含むと言うんですから——「の研究開発を行なうとともに、」ということですから、そういうように読めますね、結局そういうようにこれは入れますとね。いま大蔵大臣防衛庁長官答弁をあわせてこの中に繰り入れますとね、要するにPXLの機体及び電子機器等の研究開発を行うとともにということになりますよ、この文章、四次防大綱の文章読んでみなさい。そうしますと、あなたがこの経緯の中で発表したこの問題とはやっぱり食い違ってきますね。これはどうです。
  175. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) それは意見は一致しなかったと、しかし二月七日の四次防の大綱において「国産化を前提とした次期対潜機の研究開発を行うことは定められなかった。」ということで、これはそのとおりだと思います。
  176. 峯山昭範

    峯山昭範君 いやいや。ですから「国産化を前提とした」と言いましても、これはこの間の私はこの委員会で、基本設計の問題からずっと語句の問題から質問いたしましたね、同じことをやるのはいやですけれども。そのときに私は、基本設計に入れば、初めて研究開発のいわゆる開発の方に入るんだということで、私たちは先般の当委員会並びにその前の内閣委員会等でもこの議論をいたしましたね。そうしますと、研究開発という言葉自体は、少なくとも国産を目指すものであるというふうな解釈に大臣の答弁だったですね。そうしますとね、いま大臣がおっしゃる、その国産を前提としたということがあるから違うんだとおっしゃいますけれども、そうじゃない、これはやっぱり大綱で少なくとも私は国産を目指していたということが明らかである。それは予算の問題とかそういう問題別ですよ、大蔵が反対だったという問題は別にして、少なくともこの四次防の大綱では、国産を目指すということははっきりしていた。少なくとも私はいままで防衛庁長官大蔵大臣と一緒に並んでもらって最後まで質問やりたかったわけですけれども、大臣の都合で抜けていただきましたけれども、これは少なくとも大蔵省自身がああいうような解釈をしている以上、少なくともこの問題はここら辺で、同じことを何回も議論しておったんじゃ時間が足りませんからね、これは決着をつけたいと思うんですけれども、ここら辺のところはやっぱり少なくともこの大綱の段階では、私は「研究開発を行なう」ということ自体、言葉意味が、研究開発というのは国産も輸入も両方含むんだというのであれば、また話は別です。しかしながら研究開発ということは、少なくとも基本設計に入らなければ研究開発には入らないという先般の答弁がございますからね。そうしますと、私はこの問題は、四次防では、この四次防の大綱で、少なくとも国産を、まあパーセントで言ったら、一〇〇%とはいきませんね、大蔵の予算の面がありますからね、少なくとも大綱の中身そのものはやっぱり国産を目指したものであったと、こういうぐあいに私なると思うんですが、どうです。
  177. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) それはやっぱりそうじゃございませんですね。やはりこれは大蔵とわれわれとがはっきりと国産化を目指すということを決めない以上は決まらない問題でございまして、少なくとも四十七年の二月の大綱の段階では定められておらなかった、国産化を前提とするものではなかったということは、これはもう大蔵省もわれわれの方も了承をしておることでございます。
  178. 峯山昭範

    峯山昭範君 こういう押し問答を私はね、委員長、たびたびするのはいやなんですけれども、であるならば、大臣、国産を前提とするものでないというその大臣の答弁であるならば、それじゃどうして少なくとも一四十八年度の予算要求で、国産を目指すその要求を、概算要求であったとしても、防衛庁は、少なくともこの第四次防衛力整備五ヵ年計画の大綱に沿って防衛庁は業務を進めていくのが当然でしょう。ところがその大綱では定められていなかったと言うのですからね。であるならば、私は先ほど大臣、言葉を緩めて、何%かは少なくともこの国産の方に傾いていたんだろうと、大臣が困らないようにこう言っているわけです。ところが、いやそうじゃないと、全く国産を目指すという方向じゃなかったと。であるならば、あなた方が先般の当委員会でこの問題について、国産化につながる研究開発は行わないということではないと、だから国産化につながる要求はしてもいいんだと言いますけれども、防衛庁のそれじゃ業務の基本方針というものは、少なくとも私は、この四次防の大綱とか、その主要項目とか、そういうものにきちっと従って国防会議決定し、閣議で決定した国防の基本というものがあるわけですから、その国防の基本に基づいて防衛庁は業務を進めないといけないわけでしょう。ところが、その国防の基本を踏み外して、どちらかが、どっかが矛盾するんじゃないですか、やっぱり。やっぱりこの四次防の大綱で国産そのものは決めてなかったにしても、国産の方向を目指していたということぐらいは、——でないとあなた方のその業務姿勢というのはおかしいんじゃないですか。
  179. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 大臣から申し上げておりますように、この統一見解にも述べておりますように、「二月七日の四次防の大綱においても国産化を前提とした次期対潜機の研究開発を行うことは定められなかった」ということは、つまり、先ほどから先生御指摘のように、この大綱で、国産化を前提とした次期対潜機の研究開発、これをやるかやらないかということをここでは決めてなかったということでございます。したがいまして、この前も申し上げてございますように、防衛庁としては国産化を前提とした研究開発を否定されたものではないという考え方を持って自後の予算要求もしておったということでございます。で、この間につきましては、四十七年の五月十六日の衆議院の内閣委員会におきまして当時の久保防衛局長が、「この点は大蔵省ともずい分やり合った問題でして、AEW、それからPXLの開発そのものに踏み切ったのではありません、四次防の場合には。つまりその前段階の事前研究ということであります。」、こういう答弁をいたしておるわけでございます。
  180. 峯山昭範

    峯山昭範君 いやね、それはね、防衛局長、それはそういう議論はだめなんですよ。きょうは先ほどからずっと聞いていただいてわかりますように、四次防の大綱自体で、予算の問題は別として、少なくとも四次防の大綱では、あなた方が言うように、全く国産は前提とした研究開発は行わないという言葉、これよく読んでみなさい。次期対潜機の研究開発を行うことは定めなかった。これは、この点とこの点と比較してみましても、少なくとも四次防の大綱では国産を、機体も含めてですからね。これはね、大蔵省も同じ解釈しているっていうんですから。ということは少なくとも国産の方向であったということは間違いないんじゃないですか。もう一回どうです。
  181. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 私どもは、二月七日の大綱につきましては、先ほど申し上げましたように、要するに、国産化を前提とした研究開発を行うか否かについての結論を出したものではないという解釈をしておるわけでございます。したがって、防衛庁としては機体を含めた研究開発が可能であるという趣旨で四十八年度の予算要求をいたしておるわけでございます。
  182. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) この際、先ほど瀬谷君から御要求のありました件につきまして、政府当局から報告を聴取いたします。法務省安原刑事局長
  183. 安原美穂

    説明員(安原美穂君) 本日午前十一時過ぎごろでございますが、東京地検におきまして、そして警視庁におきまして、全日空関係の外国為替管理法違反の容疑によりまして三名の者を逮捕いたしまして、同時に、それらの逮捕された者の自宅等につきまして捜索をいたしましたので、その経緯を御説明を申し上げたいと存じます。  ただいま申し上げました被疑事実の要旨を申し上げますと、被疑者は、沢雄次全日空専務取締役、それから植木忠夫、これは調達施設部長——現在は営業本部の業務部長及び青木久頼全日空経理部長の三名が共謀いたしまして、昭和四十九年六月中ごろ全日空においてロッキード社のエリオットから非居住者であるロッキード社のためにする支払いとして金員二千七十二万円を受領した、第二に、七月の下旬ごろ全日空において同じくエリオットから非居住者であるロッキードのためにする支払いとして金員三千三十四万五千円を受領したという外国為替管理法違反の容疑で三名を逮捕したものでございまして、本件は、警視庁と東京地検との共同捜査でございまして、沢専務につきましては東京地検において逮捕し、その他二名の者につきましては警視庁において午前十一時ごろ逮捕したものでございます。  それから捜索、差し押さえの場所でございますが、いま冒頭申し上げましたように、沢ら三名の自宅及び全日空本社について六月二十二日午後零時ごろから捜索、差し押さえを実施中であるという報告を受けております。
  184. 吉田六郎

    説明員吉田六郎君) ただいま安原刑事局長より御報告がございましたとおりでございまして、警視庁と東京地検と協力いたしまして、それぞれ分担いたしまして逮捕並びに捜索を実施したものでございまして、特に私からつけ加えて申し上げることはこの際ございません。  以上でございます。
  185. 黒柳明

    ○黒柳明君 ただいまの報告につきまして若干質問をしたいと思います。  言うまでもなく、去る二月の六日上院の公聴会でパーシー上院議員、コーチャン副会長、クラッター氏とのやりとりがありました。いま言われた金額、この金額について三千三十四万五千円と、これだけは合っておりますですね、日付が違います。それから二千万云々についてはここに出ていない。一つ言葉として六千万云々と出ておりますが、コーチャン証言のこの部分のいまは裏づけと、こういうふうな判断でしょうか。
  186. 安原美穂

    説明員(安原美穂君) 被疑事実の裏づけとなった証拠関係につきましては、現在の段階では申し上げることを差し控えたいと思います。
  187. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうなりますと、客観的に見まして、裏づけ云々ということを別にしまして、客観的に見て、いま申しましたように、金額が、クラッターさんが一九七四年九月二日付で額は三千三十四万五千円と読めますと、その後、若干どうもはっきりしないというような経過があるわけですが、ここと全く金額が一致するわけですが、客観的にこの御一致はお認めでしょうね。
  188. 安原美穂

    説明員(安原美穂君) いま黒柳委員御指摘の三千三十四万五千円という金額が一致しているということは認めざるを得ないと思いますけれども、私どもはコーチャン証言ということだけで捜査をやっているわけでもございませんので、必ずしもそのとおりの被疑事実ということにはまいらないこともあるわけでございます。
  189. 黒柳明

    ○黒柳明君 これだけであるかどうか、これはもう捜査当局が相当やっぱり午前中も法務大臣が大詰めと、昨日も総理大臣が同様の発言もしておりますしね、これは相当複数の証拠固めをしていると、これも常識にかたくないわけであります。しかしながら、客観的に捜査についていままでも審議がありました、発言がないんで困る困ると、審議が進まないじゃないかという発言がある。ここまではっきりしたわけですから、これは金額が一致しているものにつきましてね、コーチャン証言だけではないけれども、これも一つの端緒、裏づけには間違いないと。金額が全く一致です。これも一つの裏づけには間違いない。全く客観的に見て、こういう判断ができるんですが、これについてもやっぱり発言はできませんか、どうですか。
  190. 安原美穂

    説明員(安原美穂君) コーチャン証言そのものは公表されているわけでございますから、何ら秘匿する必要もないと思いますけれども、いかに捜査当局が現在の被疑事実を認定するに至ったかということ、そのことはやはり捜査の秘密として申し上げるわけにはいかないということをお願いしているわけでございます。
  191. 黒柳明

    ○黒柳明君 これは外為法違反ですけれども、いわゆる日本の非居住者であるロッキードが現金を三人に渡したと、この事実だけをもって外為法違反と、こうとらえているのか、あるいはさらに内容的に、この個人に行ったのか、全日空の経理に入ってないんではなかろうか、こういう私たちの感触もあるんですが、その点いかがでしょうか。
  192. 安原美穂

    説明員(安原美穂君) 外為法違反はだれのインカム——所得になったかということではなくて、だれが受領したかということが被疑事実でございますので、その被疑事実そのものとしては、だれの所得になったかまできわめる必要はございませんが、これを契機といたしまして、その入金の関係、それから使途ということに当然調査は及ぶものでございます。
  193. 黒柳明

    ○黒柳明君 警察庁の方も沢さんのほかの二人、逮捕されたんですが、いまの事実、ひとつ述べてください。——二つの点ね、コーチャン証言のことと個人か会社かということ。
  194. 吉田六郎

    説明員吉田六郎君) 警視庁と東京地検と協議して、全く同じ見解捜査に着手したものでございまして、安原刑事局長からお答えしたとおりでございます。
  195. 黒柳明

    ○黒柳明君 当然これ、もう捜査は終わってるんじゃないかと思いますが、個人に渡れば横領でありますし、さらにコーチャン証言がその逮捕の裏づけであるかどうかは、裏づけについては捜査まだ進行中ですか、ですから、差し控えたいと、こういう発言ですけれども、この中には、もう言うまでもありません、宣伝費としてその額の金を払うのですと、一機当たりの宣伝費として。いままで全日空の若狭さん、全然この宣伝費なんて発言がないわけですけどね、また若狭さんの証言では全くこの金は全日空に入ってない、こう証言しました。まあ偽証でもう告訴されているわけですけれども、さらにあのときは、オプションを中心にしての偽証ですね。そうすると、いまこの逮捕を中心にして、これも客観的なことですよ、調べたものを公表しろと言うんじゃない。客観的な事実として若狭さんがこの金入ってないと、こういう金銭は。全日空に入ってない。これはもう刑事局長もこれだけ重要な国会証言、もう承知でしょう。そうすると、ここのものであるかどうかは別にしても、全く客観的に金額は同じなんですから、それがコーチャンは宣伝費と言っていますが、これはどういう金かわかりません。ともかく全日空に入っていた。個人か会社かわかりません。全日空に入っていたという事実は、これはもう間違いありませんですな。——と、若狭さんの証言というのは、この面でも誤りであった、これはもう確認していただけますね。
  196. 安原美穂

    説明員(安原美穂君) 検察、警察当局といたしましては、先ほど申し上げた五千万円が全日空に入ったという容疑を持っておるわけでございますから、いま御指摘の若狭証言が、そういうものが入っておらないと言われておることも知っておりますが、そういう意味におきまして、衆議院の予算委員会から若狭氏について偽証の告発もあることでございますので、当然それの関連調査するものと思います。
  197. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうじゃなくて、事実関係だけ、客観的に最低限の言えることだけをこちらは質問して言ってるんですから、それは言わなきゃだめですよ、もう。若狭証言というものは知ってるこういう金は入ってないという証言も知ってる、それが入っていた。これが会社の経理へ入ってんのか、個人が横領罪に、あるいは工作費——まあこの次質問しますけれども——何らかの形で入ったこと——専務ったって全日空ですからね、これはもうねこれは免れません。会社に入っていた事実はこれは否定できないでしょう。そうなれば、若狭証言というものも、オプションの問題で告発されました、衆議院で。この金銭の授受の面、この面でも若狭証言というものは誤りであったという客観的な認識というものは当然しているでしょうねと、こういう常識的なことです。
  198. 安原美穂

    説明員(安原美穂君) 客観的にはそごしていることは間違いございません。
  199. 黒柳明

    ○黒柳明君 もうちょっとはっきり、ちょっと。
  200. 安原美穂

    説明員(安原美穂君) 若狭証言と、被疑事実による全日空のそういう金を受領したという疑いとの関係において、客観的にそごしていることは間違いございません。
  201. 黒柳明

    ○黒柳明君 そこで、こういう質問、失礼な質問かと思いますけれども、嘱託尋問は、これは私たちの情報では非常に困難。まあ前回のとき法務大臣も見通しは暗いと、暗く厳しいと、こういう発言であったですが、これとの兼ね合いで、自治大臣も、いまから四日前、強制捜査に踏み切る可能性というものを示唆しました。まあこれは大臣、国家公安委員長としてのあるいは発言であるか、個人のことか、あるいは捜査を踏まえてか、その点わからなくても、少なくともそういう発言しているんです。それも、何か嘱託尋問が非常に困難だと、見通しが。だから、この際、臨時国会開会時期と兼ね合わせて強制捜査もあり得るんじゃなかろうかという感触、それを国家公安委員長の立場で言ったんだと、こういう私認識をしたばっかしなんですけれども、何かやっぱりこの嘱託尋問が見通し暗い、これは客観的事実ですね、これも。捜査内容じゃありません。それとの兼ね合いでこういう地検と警視庁と、もうこうなるならば、ひとつ臨時国会も早く開かなきゃなんないし、官房長官、その次いきますよ、開かなきゃなんないし、このあたりでひとつと、こういうことじゃないんですか、これ。嘱託尋問の厳しさと国内捜査のこの公表と、これと兼ね合わせて、もうそろそろ逮捕に踏み切らなきゃなんないと、こういうことで踏み切っちゃったんじゃないですか、向こうの厳しさを考えて。どうですか。
  202. 安原美穂

    説明員(安原美穂君) 今次の段階で申し上げますと、要するに東京地検、警視庁といたしましては、アメリカにおる証人の証言がきわめて重要なものであることは間違いはないわけでありまするから、嘱託尋問の実施ということを期待して今日に至っており、まだ、いま黒柳委員おっしゃるように暗いというような見通しは持っておりませんし、二十五日には証言のなされることを期待しておりますが、本来から、それがなければやれないというようなことではなくて、それも必要、それから国内における捜査も必要ということで、並行して進んでまいりましたわけでございまして、いま申されるように、あちらが見通しが暗いから踏み切ったというような因果関係はなく、国内捜査の自然の過程においていまや逮捕の機が熟したということでございます。
  203. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、いまのお言葉、本来嘱託尋問なくてもできるんだと。このできるんだということは、さらに捜査、これを端緒にしてこの次の捜査にも踏み切ると、こういう可能性、見通しを持っているわけですな、国内捜査の範囲で。
  204. 安原美穂

    説明員(安原美穂君) コーチャンその他の証人の証言がきわめて重要なものである、それがあるにこしたことがないことは間違いはございませんけれども、それがなければ何ともならぬということではなかったことは今日の逮捕が示しておるわけでございます。ただ、将来の捜査の見通しにつきましては、これはどういう方向に進むか、どういう資料によってやるかというようなことは、やはりなお手のうちとして申し上げるわけにはまいりません。
  205. 黒柳明

    ○黒柳明君 大詰めの捜査というようなことを政府関係総理法務大臣も発言してるんですけれども、まあこれは漠然としておっしゃっていただきゃいいんですが、この逮捕というのは相当大詰め捜査の中の占める位置というのは重いものですか。まあ逮捕したということは、これはもう重要だから逮捕したんでしょう。それからさらに、私たちは政府高官までいくであろうということを期待するわけですし、国会でもその方向でいま審議を進めているわけですけれども、この全日空の三人、外為法の逮捕ということは、相当やっぱり大詰め捜査の中に占める地位というものは、この次の捜査関連性において——この次の捜査関連性においてウエートは重いと、こういう判断ですか。
  206. 安原美穂

    説明員(安原美穂君) いまから捜査の目標を決めましてそのプランの全体を申し上げることとなるような意味においてこれが重いかどうかということを申し上げるわけにはまいらないことは御理解いただけると思いますが、何しろ人の逮捕でございますから、逮捕ということは重大な事実でございます。
  207. 黒柳明

    ○黒柳明君 もうちょっとね、刑事局長、物を言うときは、すらすらすらすらとじゃなくて、抑揚をつけて、何も刑事局長だから、野党とこう構えてなんて雰囲気じゃないでしょう、官房長官ね、与野党相まってやっぱり国会政府高官名出していくんだから、何も私とこう敵味方が相対決しているみたいにぱっぱっぱっぱ言ったんじゃね、非常に今度は何か私もせつなくなりますよ。ひとつこれは冗談じゃないの。刑事局長の立場がある。これはもう理解して質問しているわけですから、やっぱり若干抑揚もつけたり、考えるふりもしたりなんかしないと、つらつらつらっと言われても、何だというようなことになっちゃう。これは冗談みたいですけれども、やっぱり注意した方がいい。何か捜査が冷たいと、与野党が対決みたいな、言えないとこは言えないでいいじゃないですか。言えるところをぼくも質問して言ってもらおうと、こういう質問しか考えていません、ばかな知恵ですけれども。すみません、変な注文のつけ方して。それで官房長官、初めての逮捕者ですな、三木さん政治生命かけて、三十七年の政治の締めくくりだと、まあこうなるかどうか全くまだ私は疑問だと思いますよ。だけど、初めての逮捕者であることは変わりないんです。ひとつ初めての逮捕者ということを踏まえて、人の不幸を私何もあげつらうというんじゃないんですけれども、これはこれだけの重要な審議ですから、局面ですから、ですから初めての逮捕者ということを踏まえまして、ひとつ総理大臣おりません、法務大臣も残念ながら所用で行っちゃったもん。官房長官、所見を述べていただけますか。
  208. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) まさにおっしゃるとおり初めての逮捕者でございますから、これは当事者にとりましては非常に重大なことであろうと存じます。このロッキード問題に対して、総理が臨んでおる姿勢については、これはもう黒柳委員先刻御承知のとおりでございまして、これに対しては真相を解明すると、この熱意においては姿勢は少しも変わっておりません。したがいまして、これ、感想を述べよとおっしゃられましても、私からこういう際、かれこれ申すことはむしろ差し控える方がしかるべきであると、こう思います。
  209. 黒柳明

    ○黒柳明君 官房長官ですね、捜査当局と違うわけですからな。要するにコーチャン証言の信憑性、これはますますやっぱり政府としては、この信憑性についてやっぱり認識を深くしたと、客観的に見て。これはもう発言せざるを得ない、あるいは認識せざるを得ない事実かと思うんですが、どうですか。
  210. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 先ほど捜査当局からもお答えをいたしましたとおり、独自の捜査能力をもって鋭意これに対処しておる捜査当局をわれわれは信頼しております。同時に、海の外からの資料も、これと関連をいたしまして、こういうものがとり得るならば、これは一層結構なことだと、こう考えております。
  211. 黒柳明

    ○黒柳明君 いやいや、そうじゃなくて、コーチャン証言の裏づけ。これはやっぱり捜査当局からも、新聞情報ですと、信憑性が強いものらしいというような情報がいままで出てきているんです。こういう逮捕者、しかもコーチャン証言の裏がそっくり出ているわけです、捜査当局から数字が、時期が。それを踏まえて、いまの時点において、政府として、官房長官としまして、コーチャン証言というのはやっぱり信憑性が——この部分だけでもいいですよ——強いものであるという認識を改めてせざるを得ないんではなかろうかと、こういうことです。
  212. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) この点に関しましては、捜査当局見解もございましょうが、私どもとしては、あえて論評をいたさない方がよろしかろうと、こう思っております。
  213. 黒柳明

    ○黒柳明君 論評じゃなくて、客観的事実というだけで、コーチャン証言あるいはこの公聴会の議事録を読んでますでしょう。それが今度は逮捕に踏み切って内容が一致したわけです。そうなればこの信憑性というものはますますあるんではなかろうかという客観的な認識をせざるを得ない。評価じゃないわけです。もう事実関係だけぼく言っているだけですよ。捜査したものを出せったって無理なんですから。
  214. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) その点の解明は、これは捜査当局がいま鋭意行っておるわけでございますから、私としては先ほど来申し上げておる立場を御了解願いたいと思います。
  215. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうしますと、これを端緒にして、さらに捜査が核心に触れることは、当然政府としては期待しているわけでしょうな。
  216. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 捜査に対しては鋭意努力をしておるわけでございまして、これからどういうふうな展開過程をたどりますか、その辺は私があえて申すべきことじゃございますまいが、しかし、この真相の究明と、こういうことを従来とも政府は熱意をもって当たっておるのでございますから、今回のことは一つの一里塚とでも申しましょうか、そういうふうに考えておる次第でございます。
  217. 黒柳明

    ○黒柳明君 要するに、客観的に見まして、コーチャン証言の信憑性が、非常に、さらにこの逮捕で強くなった。その中における政府高官に賄賂を流した——賄賂とは言っておりません。金銭を流した、お金をやった、と、こういうことにも当然結びついて、これの信憑性、強くならざるを得ないわけです、さらにいまの時点で。そこで若干閣僚もこういう発言しました。まあ臨時国会召集との兼ね合いですけれども政府高官に、これつながる一里塚でもあると、私はこう官房長官の発言を認識したいんです。一里塚というのは政府高官につながる一里塚だと。そこで臨時国会。これはロッキードだけが国民の重要問題じゃないと、経済問題もあるんだと、召集時期もあるんだと。そうすると、召集に対しては早くするという与党の首脳あるいは政府の確認もあるわけですね。これはどうですか、臨時国会開会しなきゃなんないでしょう。それとロッキードのこの捜査。臨時国会、もし開会されて、踏み切るときもあるんでしょう。捜査の終了宣言してから臨時国会っていかない場合もあるでしょう、可能性としては。そのときは国会議員の逮捕、この許諾につきましても、やっぱりいまから考えざるを得ないんじゃないですか。臨時国会というものは開かざるを得ない、こういう判断でしょう。早期にという意見も強いでしょう、与党、政府ともに。そうなりますと、捜査終了と宣言をしないうちに開く可能性もそれはあるわけでしょう。この一里塚が政府高官に、国会議員の逮捕につながる可能性、臨時国会の場合にも、その許諾はいまから考えなきゃなんないと思いますが、その点いかがでしょう。
  218. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 一里塚という意味は、これから、鋭意捜査が行われておりまするし、真相究明と、こういう展開をしていくであろうプロセスと、こういうふうにお考えを願いたいと思います。さらに、臨時国会についてお触れになりましたが、これはまあ黒柳委員御承知のように、前国会において歳入関係の重要な法案を積み残しております。これはまあやはり一刻も早く国会にお願いをして、御承認を願わなければならない重要な案件でございますから、その意味においては、臨時国会が一刻も早くと、こういう願いを持っておるわけでございます。しかしまあ同時に、いま御指摘のありましたような、本問題にかかわっている部分も一つの要素として考えなければならぬかと思うのでございますが、いずれにもせよ、まだいまの段階で、政府はおよそいつというようなめどがついておらない、こういうのが現状でございます。
  219. 黒柳明

    ○黒柳明君 じゃあ、いまの問題は、やっぱり何らかの考える要素になっていると、こういう発言ですけれども、それから政府高官名につながる、ここがやっぱり核心なわけですよ。臨時国会の開会時期だったって、この捜査と相まってオーバーラップする可能性もあるわけです。そのときにやっぱり無条件で逮捕者が出るときには許諾を与えなきゃならないということもいまから考えざるを得ない——いまの逮捕で——ときじゃないのですか、いまは。まあ総理大臣じゃないし、法務大臣じゃないんですけれどもね、政府の大番頭として、いまからそういう考えを持って臨時国会というものを召集しなきゃならないだろう、こういうことですよ。局面がちょっと変わったんじゃないですか。それとも、きょうの逮捕というものはあれはもう事前に知ってましたか、官房長官、どうですか。
  220. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 臨時国会につきましては、先ほど来申し上げましたような次第で、諸般の情勢というものを十分に勘案をして国会の方へお願いをしなければならぬ、かように存じます。  それから先ほど検察当局の方から発表されました案件につきましては、私もつい昼前後に情報として承知をしたような次第であります。
  221. 黒柳明

    ○黒柳明君 このことについては全く事前に話はなかったと、報告はなかった、こういうことですね。もう時間が来ましたんでね、ひとつこの逮捕を中心にしてまた臨時国会の問題召集時、さらにはそれよりもっと重要な、あるいは並行して重要なこの解明について、その一里塚から次のステップ、政府高官に行く可能性を秘めた——きょうからまた時点が変わってきたと思うんですね。その変わってきたことを踏まえて、政変だけ考えないで、諸情勢というものを考えざるを得ないんじゃなかろうかと、こう思いますよ。いままで——お昼ごろ知ったわけでしょう。その前と、後と、同じことを考えて政治の日程を組むわけにいかないんじゃないですか、官房長官として。まあ総理があさっては行くでしょう。三日には帰ってくる。これは動かしがたいでしょう。だけど、きょうの逮捕ということで、ロッキードのあるいは核心に入るのか、もうステップの、政府高官に行く試金石、一つの門戸が開かれることは間違いない。それと財特法とか値上げ法案との臨時国会の兼ね合い、こういうものを考えるに当たって、少なくとも知った以前と、後とは、考え方を変えて政治日程というものを組まざるを得ない、こういう考えはないですか。
  222. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 情勢の推移をよく見守って対処をしたいと思っております。
  223. 黒柳明

    ○黒柳明君 官房長官に聞いてもしようがないでしょう。  以上です。
  224. 峯山昭範

    峯山昭範君 国防会議事務局長にちょっとお伺いしておきます。  先般の委員会で国防会議の議員懇談会のことをやりましたが、きょう時間がございませんから一つだけ聞いておきます。それは、専門家会議ができましてその後、一つは、事務局長は専門家会議ができた後アメリカへ行ってこられたかどうかというのがまず第一点。その目的は、というのがその第二点。それから専門家会議へ行ってこられた後、それまで自由な立場で、中立的な立場でいろいろと答申の取りまとめといいますか、そういうようなことを進めてまいりました事務局長がですね、四十九年の十月ごろ以降、急にPXLは輸入が必要だと、そういうふうな圧力があったというようなことを発言する委員が現実にいるわけです。その問題として特に内海さんが三点にわたって発言をしているということで新聞等にも報道されたことがございます。第一が、米軍との共同演習の際、米国機でないと不都合である、それから二番目に、開発には時間がかかり、現有のP2Jのつなぎにはならない、三番目に、国内開発は費用も高くつくのでどうしても輸入にしたい、こういうふうな発言をしたというふうに現実に発言をしている委員がいるわけです。この点について、具体的な事実関係だけで結構ですが、一遍御答弁をいただきたい。
  225. 内海倫

    説明員(内海倫君) お答え申し上げます。  四十九年の十月の中旬から私、ポスト四次防の準備、それから軍民統制のあり方、こういうふうなことの調査を命ぜられまして、約二十日間ヨーロッパに参り、さらにアメリカに参りました。この旅行はもっぱらそういうことのための旅行でございました。  それから先ほど新聞に出た、ある委員の御意見ということでございますが、私自身、そういうふうな圧力をかけるとか、あるいはそういうことを、まあ誘導という言葉が適当かどうか知りませんが、そういうふうな覚えは全くございませんし、もし申しておるとしますならば、自衛隊側から説明のありましたアメリカにおける共同訓練ということでP2Jを使って訓練を一緒にやってみると、やはりP2Jというものの能力には限界があると、こういうふうなことを自衛隊側が説明したことをさらに紹介したことはございますし、あるいは、その高くつくというふうな問題については私記憶がないんでございますけれども、いずれにいたしましても、そういうふうな事柄について具体的にいろいろ話をしたというふうな記憶は全くございません。のみならず、私は、終始一貫専門家の会議というものに対しましては客観的な立場をとって、もし質問等がありました場合はそれに答えておると、こういうことでございます。
  226. 峯山昭範

    峯山昭範君 それじゃもう時間ございませんから終わりますが、まずもう一点だけお伺いしておきます。  四十九年十月、アメリカに行かれたわけでございますが、当時は特にこのPXLの問題については相当専門家会議やっておられたわけですね。あなたはいまPXLの問題については全く触れなかったみたいな話でしたけれども、P3Cの問題についてはアメリカで説明等は受けてこられなかったのか、また、向こうの方から説明はなかったのか、この点はどうかという問題が一つ。  それからいまのこの問題は、委員の方はこういうふうなあなたから圧力を受けたみたいなことを言っているわけです、現実にね。たとえば、そういうような圧力になるようなたとえばレクチャーなりあるいはそういうふうな動きは全くなかったのかどうか。これはどうです。
  227. 内海倫

    説明員(内海倫君) アメリカに関しましては、私が主として参りました目的は、特にポスト四次防に対処して国民のコンセンサスという問題が一番ポスト四次防で私大事な問題だと思っておりましたので、もっぱらそういう問題を、ワシントンにおきまして、国防省よりもむしろ国務省の人たちと話し合いをしてまいりました。それから、国防省におきましては、国防次官補代理のミスターアブラモウィッツという人と、いろいろそういうふうな日本における防衛の一番大事な問題は国民のコンセンサスの問題である、こういうふうなことをるる説明をいたしてまいりました。それからホノルルに参りまして、アメリカ側の海軍の招待がございました。そのときに、アメリカの海軍の者が、アメリカの対潜哨戒というふうなことについて説明をしてくれましたけれども、私が滞米——アメリカにおりました間、P3Cということについて日本にどうこうしろとか、あるいはどうであるとかというふうなことについての論議とか、あるいは向こう側のP3Cに関する見解の表明というふうなものはいたしておりません。
  228. 峯山昭範

    峯山昭範君 もう一点。最後のレクチャーと……。
  229. 内海倫

    説明員(内海倫君) もちろんアメリカから帰りまして以降も、専門家会議はどこまでも客観的、中立的な立場のものでございますから、私はそういう点については何も受けておりません。
  230. 橋本敦

    ○橋本敦君 法務省の安原刑事局長にお伺いさしていただきたいと思います。  きょう、まさにこのロッキード問題調査特別委員会が開かれているさなかに、初めて国内における自主的な強制捜査で全日空関係者の逮捕という事態に発展をしたわけですが、まず逮捕されたこの沢さん、この沢氏は元運輸省の官房長、そして海運局長から航空局長を歴任された方であることは間違いありませんか。
  231. 安原美穂

    説明員(安原美穂君) 御指摘のとおり沢雄次は、被疑者沢雄次は昭和四十二年三月に航空局長、四十三年六月に海運局長等の職を経ておられます。
  232. 橋本敦

    ○橋本敦君 まさにそういう意味では元政府高官というのが逮捕ということに発展をしてきたわけであります。そこで、この被疑事実について先ほど御説明がございましたが、安原刑事局長に見ていただきたいのですが、ここに二枚のシグ・片山氏が署名をした領収証があります。この金額が今度の被疑事実の金額と全く一致している、まずこの点は間違いないと思いますが、この領収証ごらんいただけますか。
  233. 安原美穂

    説明員(安原美穂君) 御指摘の領収証の金額と一致する被疑事実になっております。
  234. 橋本敦

    ○橋本敦君 そうしますと、シグ・片山氏は当委員会でも一証言をして、その金がどのように使われたかは私は聞きもしなかったが、要するに日本におけるロッキードの支出をカバーするためのものであるということははっきりおっしゃっている。そういう意味ではまさにシグ・片山氏が書いた十枚前後の領収証の一端が日本国内において現実に使われた金額に見合う事実が一つ明らかになったわけです。こうなりますと、シグ・片山氏についても、まさにロッキード日本国内における工作資金の運用に新たな疑惑が出てくるというように思いますが、この逮捕された三人の捜査を通じて、必要がある場合、片山氏をこの関係で再び取り調べる必要もあろうかと思いますが、その点の見通しはいかがですか。
  235. 安原美穂

    説明員(安原美穂君) その点の見通しについては捜査当局から報告も受けておりませんし、私としては判断いたしかねます。
  236. 橋本敦

    ○橋本敦君 しかし、いま示したように、シグ・片山氏のサインの領収証と全く一致した金であるという事実は動かしがたい。こうなりますと、この三人の供述いかんによっては必要が生ずる場合があり得るということは言えるのではございませんか。
  237. 安原美穂

    説明員(安原美穂君) 捜査一般論としてあり得ると思います。
  238. 橋本敦

    ○橋本敦君 重ねて刑事局長に伺いますが、いま問題になったこの二千七十二万円並びに三千三十四万五千円、この金はロッキードと全日空との間の契約上当然全日空が受けるべき契約上取得する権利のある金では決してない。契約上取得する権利のある金ではないということは明らかだと思いますが、いかがですか。
  239. 安原美穂

    説明員(安原美穂君) どういう性質の金であるかということは当然捜査当局が調べていると思いますけれども、私遺徳ながら現在報告を受けておりませんのでお答えすることができないことをお許し願いたいと思います。
  240. 橋本敦

    ○橋本敦君 報告を受けていらっしゃらないので仕方がありませんが、契約上受ける権利のある金ならば、それは適当な法的手続を踏んで入金できるわけですから、その点から考えてもこれは契約上当然の権利として受け得る金ではないという推定がつくわけですね。そこで捜査当局は、すでに早くから公表されているチャーチ委員会、これが公表したコーチャン証言、これを御検討になっているはずだと思いますので、その関係でも伺っておきたいのですが、この金が渡された一九七四年——四十九年といいますと、トライスター関係でどういう年かといえば、その三月に一号機が就航している年であります。この一号機が就航した後、この金が一体どういうことで動いてきたか、これはコーチャン証言を注目する必要がありますが、コーチャン証言では、三千三十四万五千円、これはクラッターが認めている証言がありますが、その使途についてパーシー議員から聞かれまして、コーチャンは次のように述べている部分があります。「三千万円」、つまり三千三十四万五千円ですが、「三千万円の方は覚えがありますが、私の考えではこれは……。われわれはこの契約をしっかり固めようとしていました。この契約は私ではない他の人が扱ってたんですが、私も取引は覚えています。八機の追加分の契約を固めることだったんです。」、こう証言している部分があります。つまり一号機が就航した後、八機の追加分契約をこれを全日空との間で固めて売り込みをしたい、まさにこういう時期に、きょう逮捕されたこの金がシグ・片山のサイン入りで支払われたという状況になっている。こうなりますと、この使途については、このコーチャン証言との関係において全日空がどういう趣旨でこれを受け取ったかという問題、そしてこのトライスター就航後の契約の追加分を固めるというこのことと、この金がどういう関連があるかという問題は、すでに明らかになっているコーチャン証言を見ただけでも、素人が考えても国民が考えても、この使途についてはコーチャン証言のこの部分の裏づけを当然捜査としてはとっていく必要がある、こういうことが判断されますが、いかがでしょうか。
  241. 安原美穂

    説明員(安原美穂君) いま申し上げましたように、コーチャン証言も重要な資料でございますが、さしあたり被疑事実を認定しておりますように、そういう金が全日空において受領されたという疑いを持っておりまするから、それがどういう性質の金であり、それがどういうように処分されたかは当然捜査の対象になるものと思います。
  242. 橋本敦

    ○橋本敦君 いままでロッキード日本において使い、かつ運び込んだ工作資金は、たとえば児玉の関係では同じく外為法違反ということで起訴をされ、立件をされている。今度の場合も外為法違反ということでやられている。これはまさに日本円が現金で持ち込まれ、受領されたというその資金の流れの一端と、その資金が日本円で持ち込まれたという事実、ここに一応捜査の着手点があるという関係をうかがわせることは十分なんですが、しかし問題は、まさにロッキードが言っている、これは工作資金だ、そういう性質の金だという点の解明がこれからなすべき基本的な課題であるということは言うまでもありませんが、そういう趣旨でこの金の性質、これがロッキードの工作資金の一部であると、あるいはあるかないか、それはまたまさに早急に解明すべき問題、こう私どもは思いますが、その点は間違いないでしょうね。
  243. 安原美穂

    説明員(安原美穂君) いかなる性質の金であり、いかなる方向に処分されたかということは当然捜査の対象になることは先ほど申し上げたとおりでございます。
  244. 橋本敦

    ○橋本敦君 いまアメリカでの嘱託尋問がかなりおくれるという状況の中で、検察庁もそれなりの苦労をなさっていることはよくわかりますが、その嘱託尋問の数多くの尋問事項の中には、このようなトライスター関係だけではなくて、PXLに関連する問題についても尋問事項を用意して、全貌の解明をするという方針で検察庁は努力をしておられると、こう聞いておりますが、そう伺って間違いございませんか。
  245. 安原美穂

    説明員(安原美穂君) 橋本委員は御専門でございますから御理解いただけると思いまするが、刑事訴訟法の二百二十六条は、いわば司法機関による証人尋問ではございますが、非公開の手続でございますので、それでどういう尋問事項があるかということは原則として非公開でございます。そういう意味におきましてただいま具体的な点のお尋ねにつきましてはお答えいたしかねますが、要するに、先ほども御指摘のように、ロッキード社の金の入りと出というようなことの全貌を明らかにするのが今回の捜査の目的でございまするから、そういう観点からの尋問事項があるものと思います。
  246. 神谷信之助

    神谷信之助君 四十九年の五月にロッキード社とコンサルタント契約を結んでおりました横山修氏の問題について、先ほど防衛庁から報告がありました。さらにちょっと詳しく聞きたいんですが、横山氏が接触をした技術関係者の人というのはどういうクラスの人で、そして、まあP3Cの売り込みの話はなかったということですが、いろいろな技術的な問題というのはどういう内容であったか、こういった点について御報告いただきたいと思います。
  247. 玉木清司

    説明員(玉木清司君) お答えします。  横山氏が防衛庁の部内の者と四十九年五月以降に接触しました範囲は、私ども部内の者からそういう接触の記憶はないのかということで申し出を受けまして掌握したところでございますが、主として海上幕僚監部技術部、若干の者は防衛部というところに勤務しております課長、班長クラスあるいはその班員、そういうクラスの職員でございます。
  248. 神谷信之助

    神谷信之助君 それから、国防会議の専門家会議のメンバーに横山氏が会ったという、こういう事実については御存じですか。
  249. 内海倫

    説明員(内海倫君) 横山元海将補につきまして当時の専門家会議委員であった方にだれか会ったことがあるか、あるいは知り合いがあるかということを尋ねましたところ、横山元海将補は高木日大教授と、それから斉藤有氏、この二人を承知しておるが、斉藤先生につきましては、横山氏の話では少なくとも十数年間会ったことはないと。なお斉藤先生は目下渡米中でございますので、先生についてお調べはできません。  それから高木先生につきましては一、二度専門の学会で面識があったと、新聞でございますか、旧海軍時代の知り合いというふうに書いてありましたが、そういうことはないそうでございます。それから二、三年前に、横山氏はほかの用事で近くまで来たからということで日大の高木先生のところに立ち寄って会ったことがあるそうですが、立ち話程度で、P3Cに触れるような話し合いというふうなものは全くなかったということを両方の人が申しております。
  250. 神谷信之助

    神谷信之助君 この契約を結ばれたのは四十九年の五月ですが、その当時専門家会議の審議の段階というのは一体どういう段階になっておりましたか。
  251. 内海倫

    説明員(内海倫君) 四十九年の三月に対潜哨戒機の海外調査報告が行われ、それから同じ年の四月の二十二日に次期対潜機の技術的な検討が行われ、五月の十三日に次期対潜機の所要経費についての説明及びそれらを中心とする討論が行われております。
  252. 神谷信之助

    神谷信之助君 十二月の答申ができるまでの間で、各省のいろんな資料の説明を受ける、それから海外の調査をするという事前の段階の審議が終わって、そしていよいよ技術面やあるいは所要経費等の審議が始まっていくというのが四月、五月段階であることは明らかであります。そういう時期にロッキード社はコンサルタント契約を結んだのであります。  そこで、先ほど内海局長報告では、立ち話程度で高木氏と話ししたぐらいでP3Cの話はしてないという趣旨のお答えですが、私も直接この横山氏に会いました。そしていろいろお話をお聞きしましたが、おっしゃるように高木氏とは学会とか、あるいは東大でミサイルの研究をやっているという、そういう関係から面識がある。そして高木氏と会って一体それじゃどういう話をなさったのかということを聞きましたが、それに対して高木氏は、専門家会議答申を出すならばイバリュエーション——運用効果、評価のことですね、あるいはテスト、こういう問題について一体国産の場合どう解決するのか、国産でいく場合にはそういう問題についてどういう解決をするのかというところまでちゃんとはっきりさせないと、そういう答申は役に立ちませんよと、そういう趣旨の話をしたということを言っています。それからまた、海幕の技術部あるいは防衛部の課長クラスあるいは班長クラス、こういう方々に話をするのは直接P3Cを買ってくれという売り込みの話はしてない。しかし、これを国産でやった場合には、いま言ったそういうテストとか、あるいはイバリュエーションなんかの蓄積が日本にはないから今日では不可能ではないかということで、いろんな外国のカタログなんかも、雑誌なんかの記録も見せたりして説明をすると。すなわち国産ではこういった技術的な問題が解決できないよという話を、海幕でもあるいはこの高木委員に対してもなされた。これがこの専門家会議に重大なやっぱり影響を与えてきているというようにわれわれ考えざるを得ないんですが、この点についてはいかがですか。
  253. 内海倫

    説明員(内海倫君) 高木先生と横山元海将補との話し合いということを私どもが承知しました範囲は先ほど申し上げたようなことでございます。  それから専門家会議の論議というものは、いずれも防衛庁のいろいろな説明あるいは資料、あるいはその資料を中心として論議されたものでありまして、そういうふうな元海将補の横山氏の影響がいささかでもあるというふうなことは高木先生から考えても私はあり得なかったんではないかと。また海上自衛隊の方の技術部からの説明は、在来、技術部あるいは技術本部で検討したものを報告いたしておるわけでございますから、それ以上の、あるいはそれ以外のものではないのではないかと私どもは考えております。
  254. 神谷信之助

    神谷信之助君 ロッキード社の売り込みのやり方というのは、児玉譽士夫とコンサルタント契約を結ぶ、あるいは丸紅に賄賂商法をやらせる、あるいはこういう横山氏の場合は月日本円にして十五万、年間百八十万のコンサルタント料ですがね、そういう直接売り込みをやらなくても、技術家の立場からこの方がよろしい、あるいは国産ではこういう困難があるという説明をしてもらう。いろんなルートで売り込みをやっているということがこの点でも私はうかがい知ることができる。  そこで、長官お伺いしますがね。こういう武器売り込みに、直接的ではないにしても、コンサルタント契約を結んで間接的なそういう形の協力をするということを元自衛隊の幹部がやると、こういう事態についてどうお考えですか。
  255. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) たまたまロッキード問題で横山氏がこういうことになったわけでございますが、わが自衛官がやめまして、そして、どうしても自分の妻子を養っていかなきゃならない。そういうわけで自分が持っておった才能、能力というものを生かした形で第二の生活に入るということは、これはやむを得ないことだと思うんでございまして、それがロッキード社を選んだということでございますが、問題は横山氏が何か変なことをやったということであれば問題でございますけれども、いままでわれわれが調べました限りにおいては、何も圧力を加えたり何かしたような形跡はございませんので、問題はないというふうに考えております。
  256. 神谷信之助

    神谷信之助君 自衛隊時代のそういう能力を生かして退職後の生活を支えると、それ自身は悪いことないというようにおっしゃるんですが、しかし、先ほどもちょっと説明がありましたが、自衛隊法の六十二条「私企業からの隔離」第二項ですね、「隊員は、その離職後二年間は、営利を目的とする会社その他の団体の地位で、……総理府令で定めるものについてはならない。」という規定もあって、いわゆる売り込みあるいは取引先、こういうものについての一定の制限がされているわけです。私は、これは単にロッキード社のコンサルタント契約だけではなしに、自衛隊の高級幹部が退職をして、天下りで航空会社あるいは商事会社——こういう自衛隊と取引をするあるいは売り込みの仕事をやっている、そういう会社に、しかもその会社の技術顧問とか、そういう高級のクラスですね。こういうところにたくさん所属されているわけです。横山さんの場合はロッキード社とコンサルタントの契約を結んでやっている。多くの方々は高級幹部が天下りで自衛隊と取引のあるそういう会社に、顧問なり何なりというポストで入っていくと、これはそういう意味では同一、同じ内容であって、この自衛隊法の六十二条の点から言っても非常に大きな疑義があると思うんですが、この点は一体どうお考えですか。
  257. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 先ほど人教局長が申し上げましたように、やめましたのは四十二年でございますからもう二年を経過しておるわけでございます。それから、まあわれわれの防衛庁に勤めました人たちが各会社に行っておることは事実でございます。しかし、やはり自衛官といえども生活をしなくちゃならないわけでございます。いま申しましたような公務員としての限界と言いますか、あるいは節度というものですか、あるいは規則というものを破ったらいけないと思いますけれども、そうでない場合に、自分の妻子を養うために自分の能力を生かす道を選ぶということは、これはその人本来当然の権利だと私は思うわけでございます。  ただ問題は、それを利用していろいろやるとか何とかいうようなことであってはいけないというふうに思います。  それからまた、わが自衛官の高級退職者でございますけれども、実際、会社等におられる方々はかなり薄給でございまして、顧問料みたいな形でやっておられる。むしろ気の毒な面が非常に多いというふうに私どもは考えております。まあ中には、あるいは本当の実力を買われて、そして相当の地位におられる方もあると思いますが、私はそれはそれなりにむしろ結構なことだというふうに考えておるわけです。しかし、いやしくも防衛庁におったその地位を利用していろいろやるということはやってもらいたくないことでございます。また私どもも、一たんやめられました以上は、そしてある会社等に入られました以上は、もう一商社マンとして取り扱う、そういうふうなきちんとした態度で臨んでおるというふうに承知をいたしておる次第でございます。
  258. 神谷信之助

    神谷信之助君 イタリアで明らかになりましたロッキード社の暗号表で、「いわし」という暗号になっている元自衛隊の幹部の高山氏について、これについては調査をなさいましたか。
  259. 玉木清司

    説明員(玉木清司君) 新聞報道によりますと、御指摘の高山氏はタカヤマ一佐というふうな表現になっておりましたが、高山さんはすでに昭和四十四年に退職しておられまして、その退職後、日本ミネチュアベアリングの顧問をしながら生活をしておられますが、その方がたまたま従前からございましたF4会と申します同好会の中でゴルフをしておったと、こういうふうに新聞報道を理解しております。
  260. 神谷信之助

    神谷信之助君 そのゴルフをしたおったF4会ですね。F4会については御調査なさいましたか。
  261. 玉木清司

    説明員(玉木清司君) 調べてみますと、F4会と申しますのは、大変古くから航空機を製造いたします関係会社約三十社ぐらいの法人が集まりまして同好クラブをつくっておるという会合でございまして、その方々が年に一回あるいは二回、所属の法人の職員である方々が集まってゴルフを楽しまれると、これにとどまっておるようでございます。
  262. 神谷信之助

    神谷信之助君 これに自衛隊の出身のいわゆる元幹部あるいは現職の幹部まで含めて接触を持っているという点もわれわれの方では明らかになってきています。  長官、こういう退職した幹部の再就職のあっせんは各幕の一部人事担当のところでやっているという話を聞きました。これは元自衛隊の幹部で商社におられて最近やめられた方ですが。こういう形で、川崎重工——まあ先ほど、横山さんはコンサルタント契約は五年後だからもういいんだとおっしゃったけれども、しかし退職をしてすぐ入られたのは川崎重工ですか、そこの技術顧問ですね。横山さんは御承知のように海幕の中でも早期警戒機やあるいはいま問題になっているPXL、PC3、こういった関係は非常に権威の高い人でしょう。そうしてそういう仕事、技術顧問として参加をして、そして長官の言い方で言えば、その知識、これを生かしたということです。いずれにしてもそういう形ですし、いま出ました高山氏の日本ミネチュアベアリングは、横山氏も川崎重工をやめると同じようにここの技術顧問にまた就職されております。というような形で、自衛隊の高級幹部の方々が自衛隊と直接の関係にある航空機会社や商事会社、これと非常に結びつきを深めている。言うならば産軍癒着がある。この土台が自衛隊における知識を退職後の生活に生かすという、そういう口実で実は癒着の土台がつくられてきているんじゃないか。そこに、ロッキード社がこれを利用して、そうして横山氏とコンサルタント契約を結ぶ、こういう状況があるというように思うんです。これは私は、アメリカのアイゼンハワーでも、彼が大統領をやめるときには、アメリカの産軍癒着体制がいまや憂うべき事態にあるという有名な警句を吐いてやめていますね。これと同じような体質が日本の自衛隊の幹部とそして航空機業界、あるいは商事会社との関係、天下り就職といいますか、中にはだから技術顧問、顧問だといって顧問室で話をしているだけだという、そういう人もあるという話も聞きました。そういうような状況があると思うんです。また、衆議院で共産党の中路議員が質問しました例の玉川一佐、あの人はユニバックに、そのまま駐在武官やめて向こうで就職する、まさにそのまま海外駐在をした人がやめて就職する、これは異例のことだという答弁もなされておりましたが、こういう状況ですね。特にアメリカで海外駐在武官でおって、そこでやめて、そしてそのままアメリカの商社に就職する、あるいは日本の国内にあるアメリカの商社に就職をする、こういうような人たちはほかに例がありますか。
  263. 竹岡勝美

    説明員(竹岡勝美君) お答えいたします。  さきに最上委員にもお答えいたしましたとおり、自衛官の退職後の再就職の制限は、他の国家公務員と同じように、離職後二年間、自分のついておりました職業に非常に密接な関係のある私企業の役員、またはこれに相当するような重要な地位についてはならないとか、これは他の国家公務員と同じような制限なんです。これは在職中にそういう自分の地位を利用して業者にコネをつけて、大きな、いいポストについてはいかぬというような意味での制限だと思います。こういう一般的な、他の公務員と同じような制限がございますので、この制限外でありますならば、その私企業の主要なる役員等、それにふさわしいような地位でない限りは、単なる非常勤の顧問とか、そういうような地位でありますならば、これは他の国家公務員と同様に法令的には認められております。そのために、自衛官の場合にもやはり登録会社というのはたくさんございますけれども、そういう方面に自分の知識を買われて、顧問等——重役とかあるいは役員とか、そういう枢要な地位じゃございませんけれども、そういう顧問等の地位につく者が若干ございます。これは他の国家公務員とも同様でございまして、問題は、やめた人がそういう顧問なら顧問等の地位につきましたことによって、防衛庁の方の調達関係の業務等に携わっている者が、かつての先輩だからというようなことで不公正な業務、ゆがんだ業務をやってはならない、これはどこの役人でも最も大きなタブーでございます。それからまた、やめた人もそういうことは十分に心得ておるわけでございますので、そういう意味の弊害はないし、また現実にもなかったと思います。先生御指摘のとおり、一部の者がそういった関係の登録会社等の顧問等の地位につくことはございます。玉川一佐についても同じ事例であったと思います。
  264. 神谷信之助

    神谷信之助君 長官、私はどうもいまの答弁ではまだ納得できません。先ほども言いましたように、産軍癒着の状態がそういうような経過、形でつくられてきている、そういう疑いが私は十分考えられる。  そこで、長官、ひとつ調査をしてこの当委員会報告をしてもらいたいと思うんですが、昭和三十一年以降三菱重工あるいは川崎重工あるいは丸紅、日商岩井、伊藤忠あるいは新明和、こういった航空機業者、それから関連商社、これに就職をした人のリストを出してもらいたい。将補以上でいいですよね。大体一佐で退職して将補になってやめるという方が多いようですから、いわゆる将補以上の方のリストを提出をいただきたい。よろしいでしょうか。
  265. 竹岡勝美

    説明員(竹岡勝美君) お答えいたします。  先ほど申し上げましたとおり、法令的に制限がございますのば限職後二年間ということでございますので、私ども四十九年、五十年、五十一年のものは十分つかんでおります。ただし三十一年当時までさかのぼりますと、すでに退職した方もいろいろあろうと思いますし、十分につかめるかどうかはわかりません。もう少し時期をしぼりまして、ここ数年間という点なら出せると思います。ただし、ポストは私は言ってもいいと思いますけれども、やめて法令に何ら違反なくその職業についている方でございますので個人の名前まで出すことは御勘弁願いまして、こういうポストの者がついた、三菱重工にこういうポストの者——将補以上ですね、こういうポストの者、階級、そういうものは出すつもりでおりますけれども、できますならば個人の名前までは、現に働いておられますので御勘弁を願いたい、このように考えております。
  266. 神谷信之助

    神谷信之助君 それじゃ、とりあえずそれでいいですから、ぜひ提出をしてもらいたいと思います。  それじゃ次に、ロッキード社と丸紅との間の七二年の十一月一日に締結せられました契約についてお伺いしたいと思います。御承知のように、十月の九日には国防会議の議員懇談会があって、問題になっております了解事項が確定をしました。そうして十一日の日には外人記者クラブで、先般八日の当委員会で私が問題にしました田中総理の演説、輸入にウエートを置くというやつが発言されました。そして、その直後十一月の一日にロッキード社と丸紅が代理店契約を結んでいます。これには社長の檜山氏、立会人は、いま逮捕されたという情報が入りましたが、大久保がサインをしております。それからロッキード社はコーチャン氏がサインをしております。この契約書は防衛庁に二月下旬あるいは三月上旬の段階提出をされておりますから御存じですと思いますが、間違いございませんか。
  267. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 契約はわれわれの方に提出されておりますので存じております。ただし扱いは秘ということで私の方にいただいております。
  268. 神谷信之助

    神谷信之助君 この契約には、P3シリーズについて一機十五万米ドルの手数料を支払う旨が明記をされています。同時に、丸紅は市場の開拓、情報の提供、さらに事務所、役務の提供など義務づけられている、そういう契約になっていますが、この点は間違いございませんか。
  269. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 先生のただいま御指摘の大体そのとおりでございます。やや詳しく申し上げますと、契約書で私どもの方でもらっておりますのは、一九五八年の八月一日以降からの契約がございまして、これが八本もらっております。そのうち当庁関係のものは六本の契約でございまして、その中の一本にいま先生の御指摘の七二年の契約というものが入っておるわけでございます。
  270. 神谷信之助

    神谷信之助君 そこで、お伺いしますが、P3シリーズという問題ですが、P3シリーズといえば当然この時期はP3Cが含まれていると考えますが、いかがですか。
  271. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 前提がございまして、私ども契約の当事者では実はない……
  272. 神谷信之助

    神谷信之助君 いや、契約の内容を言っているんじゃない。P3シリーズといえば当然P3Cもこの時期には含まれているということですか。
  273. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 通常P3シリーズと申しますときはP3Cは入っておると思います。
  274. 神谷信之助

    神谷信之助君 そこで、このP3A、P3Bですが、この点でお伺いしますが、今日までの国会の審議の場でも、あるいは防衛庁の資料をずっと見てみましても、このP3A及びP3Bについてこれを防衛庁として必要だとかどうとかいうような議論をされたという記録はありませんが、そのように理解をしてよろしいですか。
  275. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 私の記憶では、何回もその種の御質問があって、お答えをいたしておるように覚えております。
  276. 神谷信之助

    神谷信之助君 防衛庁やあるいは海幕としては、先般のわが党の橋本議員の質問に対して答弁があったわけですが、その場合、国産化をするという場合、それはP3Cを念頭に置いておったと、すなわちP3Cクラスを考えていたという答弁をなさっていますが、これは間違いございませんか。
  277. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 開発は、当初の四十三年それから後四十五年以降でございますが、その当時においてはP3Cの中身は当方ではわかっておりませんので、当方の運用構想その他から要求性能、まあ要求性能というのは正確に言いますと要求性能ではございませんけれども、研究開発基準要目と申しますか、こういったものを打ち出しておるわけでございます。
  278. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは前回の橋本質問に対して長官自身もお答えになっているんですよ。防衛庁として必要としているのはP3Cクラスであるというのがまず答弁された。もう、したがって次は国産化をする場合、その場合P3Cを念頭に置いてやっておったのか、すなわちP3Cクラスを防衛庁次期対潜機としては必要としておったんではないかと、実はそのとおりだという答弁長官していますが、いかがですか。
  279. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) ちょっとその時点がはっきりいたしませんので、どの時点においてP3Cを考えておったかということになりますと、P3Cの性能がはっきりこちらでわかるような時点でないと、そういう問題が出てこないわけであります。
  280. 神谷信之助

    神谷信之助君 四十七年だけ、四十七年だけ。もう量産に入っていますよ。P3Cは四十四年から量産を開始しています。
  281. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) PXLの要求性能は、正確に申しますと必ずしもP3Cと合致をいたしておりません。したがいまして、四十七年当時におきます要求性能は、P3Cをそのまま目標にしたものではないというふうに申し上げられるかと思います。
  282. 神谷信之助

    神谷信之助君 それでは長官の先ほどの答弁、大分食い違っていますよ。これは橋本議員の質問に対して長官自身が答えたのだよ。(「P3Cのクラスのものは要求していると何回も言っているじゃないですか」と呼ぶ者あり)何遍も何遍も答弁しているよ、あんた。確認をしているだけなんだ、いまは、いままでの答弁を。
  283. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) ただいまの御質問関連しての防衛庁長官のお答えは、ポスト四次防のいわゆる基盤的防衛力の策定作業を現在やっておるわけでございます。これについて海幕からP3C何機という原案が出ているはずであるという、こういう御質問がございまして、それにつきましては一応性能を限定、特定をするという意味合いにおいて、現在の海幕はP3C級のものを何機そろえたいと、こういう要望が出ているというお答えはしております。これは現在の段階におきます作業に関連して申し上げているわけでございます。
  284. 神谷信之助

    神谷信之助君 前の答弁と狂ってもらっては困りますよ。前にこの問題で橋本議員からも質問をして、そして国産化をするという場合、それはP3Cを頭に入れ、P3Cクラスというものを欲しいということであるのかという質問に対して、ちゃんと長官は明確に答弁をしています。  そこでこれは議事録に明記もしてますよ。ほかの議員も皆聞いているんだから、わかっていますよ、あんた。
  285. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 前で、ちょっと私ここに速記録を持っていないんですけれども、橋本さんにお答えした意味を私が申し上げるとするならば、それは今後ポスト四次防でどういうものをやるかという場合には、P3C級のものをやりますということを申し上げたと思います。それ以外に言った覚えはないと思います。
  286. 神谷信之助

    神谷信之助君 次に、もう一つ聞いておきますが、このロッキード社と丸紅との七二年の十一月一日付の契約、このP3シリーズの売り込みが契約内容一つになっていますが、この売り込み先は当然日本政府あるいは防衛庁であるというように考えていいと思うんですが、その点は間違いないでしょうか。
  287. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 防衛庁という、たしかそういう指定はないと思いますけれども……
  288. 神谷信之助

    神谷信之助君 外国に売るわけないよ。
  289. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 条理から考えますと、やはり……
  290. 神谷信之助

    神谷信之助君 民間会社に売るわけないんだから。
  291. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 条理から考えますと、防衛庁ということになると思います。
  292. 神谷信之助

    神谷信之助君 とぼけないで、質問に的確に答えなさい、簡明に。はっきりしているのだから。外国に売るわけじゃないし、民間に売るわけないん、だから。  そこで、この契約にあるP3シリーズですが、これはP3Cを指すというように当然考えられるのだけれども、その点はいかがでしょうか。
  293. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) この場合は単にP3Cのみならず考えの理念——概念といたしましては、ほかのいわゆるPクラスのものは入るというふうに考えられます。
  294. 神谷信之助

    神谷信之助君 いや、だから防衛庁の方は、日本政府の方はp3AやP3Bを必要としていたんですか。
  295. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 当時の時点におきましては一応P3Cというものは考えられると思います。
  296. 神谷信之助

    神谷信之助君 したがって、この契約に言うところのP3シリーズというのは、P3Cであるという理解をせざるを得ないというように思います。  そこで、この契約を見ますと、ライセンス生産を含めまして手数料を細かく規定をしています。そのために、丸紅の側は先ほども言いましたように、情報の提供や、市場の開拓すなわち売り込みが義務づけられております。しかもその売り込み先は、先ほど確認をしたように、日本政府であり、防衛庁であるわけです。そこで、防衛庁に対してこの契約で義務づけられているわけですから、当然丸紅からいろんな働きかけがあったと思うんですが、一体どういうような働きかけがあったのかどうか、調査をされておりますか。
  297. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 現在、まあ私どもの了知しておる範囲におきましては、担当の部課長の者が海幕あるいはわれわれの装備関係のところにときどき来ることはございます。ただしかし、いわゆる情報の提供と申しますか、そういった程度のものでございまして、特に他の商社以上のものと、あるいは他のメーカー以上のものというふうな感じはいまのところ持っておりません。
  298. 神谷信之助

    神谷信之助君 その情報の提供ぐらいというのは、情報の提供とはどういうことですか。
  299. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) たとえば、ロッキード関係のアニアルレポートのようなものでございます。そういったいわゆる一般情報的なものはときどき持ってきたという記憶はあるようでございます。
  300. 神谷信之助

    神谷信之助君 P3Cの性能とか、あるいはそれに関する情報とか、そういうものも含まれるわけですか。
  301. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 性能その他の中身につきましては、これは米国のマル秘事項でございますので、商社等からは一切入手しておりません。
  302. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると丸紅の方は防衛庁へ来てどういうことをやるのですか、情報の提供というのは。もう少しちょっと具体的に話をしてもらいたいと思います。一機売れれば十五万米ドル入るわけですからね。丸紅は何にもしないのにロッキード社が払うはずがない。どういうことを防衛庁に対してやっているのか。
  303. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 俗に申しますと、先ほど申しましたようにアニュアルレポート、いわゆる客観的な刊行物でございますとか、そういった物が主でございます。特に具体的にいま調査しておるわけではございませんので申し上げかねますが、私どものいま知り得る範囲においては大体そういうことでございます。
  304. 神谷信之助

    神谷信之助君 すでに先ほども言いましたように、丸紅の大久保が逮捕されています。すでに捜査当局捜査状況をスクープして新聞でも報道されておりますが、防衛庁の幹部が連続接待を受けたという記事もあります。これについては、いままでも質問に対して防衛庁当局の方は綱紀粛正の引き締めの立場からも報告求めたけれども報告はなかったという答弁をいままで繰り返しておられますね。しかし、新聞報道によれば銀座の高級クラブBとかレストランSとかあるいは赤坂溜池のナイトクラブのEとか、あるいは神奈川県の名門ゴルフ場F、こういった名前が報道されております。こういった点について実際に防衛庁は調査をして、そういう丸紅の働きかけがどういう形でやられたのかどうかというのをお調べになったことはないのですか。
  305. 玉木清司

    説明員(玉木清司君) 先生御指摘の新聞記事だけではございませんで、ロッキード問題始まりましてから、私どものところに入ってまいりましたいろんなお話はたくさんございます。その中で新聞記事につきましても、またその他入手しましたいろんな情報につきましても、私どもなし得る限り調べてみましたが、たくさんの話が、相当荒唐無稽なでっち上げの話が多うございまして、特に新聞記事の問題につきまして調べましたときにも、事実らしき片りんをうかがうことができませんでした。
  306. 神谷信之助

    神谷信之助君 私は、これは絶対もう調査が足らぬと思います。具体的にそれじゃ銀座の高級クラブのBとかレストランSとか、あるいはゴルフ場神奈川県のF、これは恐らく芙蓉でしょう。こういったものを全部お調べになったのかどうか、どうなんです。
  307. 玉木清司

    説明員(玉木清司君) 私ども防衛庁という行政庁でございますので、司法権に基づく調査とかいうような形の調査はできませんので、おのずから限度はあろうかと思います。
  308. 神谷信之助

    神谷信之助君 それでは調査をしたということになりませんよ。下に、下部にそういう接待工作を受けた者名のり出よと言ったってなかなか出てこない、出てこないからありませんということだけでは、こういう行為がやられていなかったという証明にはならぬのです。  そこで、もう一つ長官に聞きますが、実は八月の二十六日に当時の田中総理と檜山社長との会談がやられています、四十七年ですね。そして八月の三十一日から九月の一日はハワイ会談があった。田中・ニクソン会談があります。そしてその直後の十月九日は、国防会議の議員懇談会の了解事項でですが、白紙還元、そして専門家会議で検討という、これが輸入を含めて検討するという、こういう決定になりました。そして十月十一日、これは田中総理が輸入にウエートを置くという重大な演説をやりました。これは八日の委員会長官も、輸入にウエートを置くという考えが田中総理の頭の中にあったんだというそういうことをお認めになっています。その後に「輸出にウエートを置いて、だからそれは総理はそういう気持ちもあったかもしれませんと、輸入にウエートを置いてという気持ちもあったかもしれません」というように長官自身もお認めになっている。だから、十一日の段階で輸入にウエートを置くという気持ちを持っている総理が、九日の日に了解事項をつくる発議をしているわけです。この経過はすでに明らかになっているとおりです。ですから国産化をストップをしてそして輸入に転換をしていく、こういう意図があの了解事項をつくったことはこれは明らかじゃないかと思います。そして、そういう演説を十一日に田中前総理がやって、十四日には再び田中・檜山会談が行われています。そして、十七日には田中・インガソル会談、十八日には田中・相澤会談、そして十一月の一日にロッキード社と丸紅の契約ができた。P3Cシリーズについて、いままでの八本の契約が出ています。私も全部見ました。この七二年の十一月一日の契約というのは基本契約。だが、いままでの手数料の金額ところっと違って、これは一機十五万米ドルという、こういう金額が明記をされた、そういう契約に変ってきています。これが十一月一日に締結をされた。そして、ロッキード社及びMDAOからの売り込み工作は、前回八日の委員会でも言いましたように、ゴーのサインが出て猛烈にやられます。十一月十五日にはMDAOの説明会がやられ、翌年の一月二十九日、三十日にはP3Cの試乗まで行われた。こういう経過になっていますね。そこで、この一連の経過を見ますと、この七二年十一月一日のロッキード社と丸紅と結んだ契約、これについて長官疑惑を感じないでしょうか。どういうようにお考えかお聞かせいただきたいと思います。
  309. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 私がいままでずっと調べました感じでは、それとこれとの関連はないように思います。それから、先ほどの総理の、外人記者の言葉でございますけれども、先ほどお答えいたしましたように、十月九日の了解事項、議員懇談会の了解事項におきまして、輸入を含めて云云というふうになっておりまして、その意味を言われたと私は思います。
  310. 神谷信之助

    神谷信之助君 長官、あなたまだ答弁を変えますよ。これは議事録写してきたんですよ、ちゃんと書いています。「輸出にウエートを置いてと、だからそれは総理はそういう気持ちもあったかもしれませんと、輸入にウエートを置いてという気持ちもあったかもしれません」と繰り返して言っています。だから輸入にウエートを置くという気持ち、輸入重点だという考えが田中前総理の頭の中にあった。そして、その前後には、丸紅の社長の檜山さんと会っている。丸紅と当時の田中総理との関係というのは非常に密接なんですよ。一年後の十一月二十二日に丸紅の会長の市川さんの追悼会がやられています。これはわざわざ写真もありますが、田中角榮さん出ていますよ、総理大臣として。政務多忙の中を割いて十一月の二十二日わざわざ田中総理が出て、そして代表して追悼の演説をやっています。そして丸紅を、そしてまた市川さんをほめたたえていますね。そういう関係なんです。こういう関係の人がしばしば会談をし、そしてこういう契約をやられ、了解事項ができ、契約ができ、そして同時にMDAOやロッキード社を通じての売り込み合戦が。これあなたはどういうふうに——本当に黒白をつけなければ、ポスト四次防もどうにも決められない、どうしても早くつけたいんだとおっしゃるなら、こういう疑惑について明らかにするために調査をすべきだと思うんだけども、どうです。
  311. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 私は私なりに一生懸命努力をいたしまして調査をいたしております。その調査をいたしました結果は御報告を申し上げ、また御審議に答えているわけでございますが、それだけでそれが先生のおっしゃるようには私は感じません。
  312. 神谷信之助

    神谷信之助君 それじゃロッキード社と丸紅とのあの契約がどういう話し合い、経過でできたかというのは調べられましたか。調査をしてないんじゃないですか。あるいはこの間の八日の委員会で、それじゃ田中さんに直接会って愚見を聞いたのかと言ったら、聞いてないと言ったでしょう。疑惑を解明をする努力は何にもなされていないじゃありませんか。  これは委員長ね、こうなりますと、何と言ってもやっぱり事件の、本件の事態を解明をするためにも、その中心である田中角榮氏、前総理、これの証人喚問はどうしても必要です。それからこのP3Cをめぐるロッキード社と丸紅との関係、この契約をめぐってのいきさつ、これらを明らかにするためにも檜山——まあ大久保は逮捕されてしまいましたが、あるいは伊藤氏、こういった丸紅の関係者、これも証人として喚問をして、そうしてロッキード社との関係を明らかにしてもらう。田中・檜山会談の中身もはっきりさしてもらう。あるいは相澤、後藤田、二階堂、こういった関係が了解事項をつくるあの段階でどういう役割りを果たしたのかと、これも本人にちゃんと来てもらって、しかも虚偽の供述はできない証人として、ここで真実を述べてもらうことが何よりもこのロッキード問題の真相を解明をする最大の近道だと、私もこう考えます。再びこれらの証人喚問を要求して、時間になりましたから私の質問を終わります。
  313. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 議事進行について提案したいと思います。  丸紅の大久保専務が逮捕されたということなんでありますが、本件とのかかわり合いがどのようなものであるのか、いかなる容疑で逮捕されたものか、先ほどに引き続いて関係法務省から説明を願いたいと思います。  なお、先ほど全日空の重役が逮捕された直後なんでありますが、そのほかにも逮捕された人物があるならばその人についても、あるいはこれから逮捕しようといったようなことがあれば、小出しにしないでまとめてひとつ報告をしていただきたい。  以上提案したいと思います。
  314. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいま御要求がございましたが、もう、いま要求しておりますから、もうおっつけ参ると思いますので、参りましたら御報告をいたします。
  315. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私はまず通産大臣にYXの問題並びにPXLについて通産省としての見解質問したいと思います。  四十六年ごろからYXについて外国メーカーとの共同開発の話が進められておったわけでありますけれども共同開発の相手に指名してもらうために四十七年の一月に、ロッキード社のコーチャン社長が当時の田中通産大臣を訪問しております。その会談の内容についてお聞きになっておられるかどうか、まずお伺いをしたいと思います。
  316. 熊谷善二

    説明員熊谷善二君) お答えいたします。  四十七年一月二十五日にコーチャン氏が田中前総理、当時通産大臣に表敬訪問をいたしまして、あわせて、当時の状況から、YX計画に対するロッキード社開発提案が話し合われたのではないかというふうに考えております。当時の記録につきましては、残っておりませんので、詳細につきましてはお許しをいただきたいと旧心いますが。
  317. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 その会談に立ち会ったのはだれだれか、田中通産大臣とコーチャンだけであったのか、ほかにだれか立ち会ったのか、お伺いをしたいと思います。
  318. 熊谷善二

    説明員熊谷善二君) お答えいたします。  記録が残っておりませんので確認はできないんでございますが、当時私ども、当時の重工業局で担当いたしておりましたが、当時の関係者に確かめましたところ、その会議には出席いたしておりません。
  319. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 多分YXの話が話し合われただろうというのは推測だと思いますけれども、そのときにPXLあるいはP3Cについての話し合いがあったということも推測されるのではありませんか。
  320. 熊谷善二

    説明員熊谷善二君) お答えいたします。  PXL等につきましての話がそこに出たということは私ども予想はいたしておりません。これは翌日の日本経済新聞に掲載されております記事によりましても、YXについて話したと、こういう記事が出ております。  以上でございます。
  321. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) この際、ただいま瀬谷君から御要求のありました件につきまして、法務省当局から報告を聴取いたします。
  322. 安原美穂

    説明員(安原美穂君) 本日、私がこちらに参っておりますころの午後一時半ごろに、東京地検におきまして、丸紅株式会社の取締役兼機械第一本部長であります大久保利春を東京地検におきまして逮捕いたしましたので、その被疑事実等につきまして経過を御説明申し上げます。  その被疑事実は、丸紅株式会社の取締役兼機械第一小部長である大久保利春が、ジョン・ウイリアム・クラッターから昭和四十七年十月三十日ごろ三千万円、同年十一月六日ごろ九千万円をそれぞれ東京都内で受領し、その際、右金員を受領したことを証明するため、三十ユニットをクラッターから受領した旨及び九十ユニットを同人から受領した旨の領収証各一通に署名したのにかかわらず、昭和五十一年二月十七日衆議院予算委員会において宣誓の上証言するに際し、ユニットの領収証について金品の授受は一切ないなど虚偽の陳述をし、同年三月一日同委員会において宣誓の上証言するに際し、ユニットの領収証に関連して一切何も受け取っていない旨の虚偽の陳述をし、もって偽証したものであるという、議院証言法第六条第一項違反の嫌疑でございます。逮捕の日時、場所は先ほど申しましたように、六月の二十二日午後一時三十分ごろ東京地検において逮捕。それから、これに関連いたしまして捜索、差し押さえをいたしましたが、その一つは大久保利春の自宅につきまして六月二十二日午前十時三十分ごろから、それから丸紅株式会社について本日午後二時ごろから、それぞれ捜索、差し押さえを現に実施中であります。
  323. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 ただいまの刑事局長報告関連しまして、二、三質問をしたいと思います。  丸紅の大久保利春の逮捕についてはいわゆる議院証言法違反ということでありますけれども、もしこれは、彼の証言に反して領収証と引きかえに三千万円並びに九千万円の金を受け取っておるとするならば、これは外為法違反にもなるのではないか。この点はいかがですか。
  324. 安原美穂

    説明員(安原美穂君) 御指摘のように、外為法違反の構成要件に該当いたしますが、私のこれは推察でございまするけれども、恐らく三年の時効にかかっておりますので、捜査権の対象にならないというふうに理解しております。
  325. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それから、書かれた領収証は三十ユニット、九十ユニットのほかに丸紅の伊藤氏も絡んでピーナツあるいはピーシズという領収証が出されておりますけれども、これについても金を授受しておるという事実はつかんでおられるわけですか。
  326. 安原美穂

    説明員(安原美穂君) 問題のピーシズ、ピーナツというものについての金銭の授受を証するらしき領収証のあることは公表されておりまするが、その関係につきましてはなお捜査中でございまして、明確に申し上げる段階ではございません。
  327. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 もし大久保がこれらの金を授受しておるとするならば、これは本ロッキード問題のきわめて核心に触れる問題だと思います。といいますのは、コーチャンの証言にもありますように、丸紅のこれらの人物を通じて日本政府高官に渡っておると、こういうコーチャンの証言があるわけですけれども、問題はこの金の行方ということでありますけれども、これは現在当然捜査の対象として進められておると思いますけれども、この点はいかがですか。
  328. 安原美穂

    説明員(安原美穂君) 被疑事実は、先ほど申し上げましたように、逮捕した被疑事実は偽証ということでございますが、その偽証の中身がユニット、領収証に記載の合計一億二千万円を大久保が受領しておるということでございますので、当然にその受領した金がどうなったかは捜査の対象になるものと理解しております。
  329. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 その金の行方についての捜査はかなり進捗しておるわけですか。
  330. 安原美穂

    説明員(安原美穂君) きわめて御関心の高いところと存じまするが、いまのところ申し上げるわけにはまいりません。
  331. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 的を、核心に触れるようなことはお答えいただけないと思いますので、質問は以上の程度にしておきたいと思います。  それから引き続きまして、先ほどの質問に引き続いてYX、PXL関係質問をしたいと思いますけれども、このYX計画に関するこれまでの経緯並びにこれからの方針、見通し、こういうものについてお伺いをしたいと思います。
  332. 熊谷善二

    説明員熊谷善二君) お答えいたします。  YS11に次ぎます次期の民間輸送機開発のためにYX開発計画が今日まで進められてまいっているわけでございますが、最近の状況を申し上げますと、四十七年にボーイング社との間の共同開発について航空機工業審議会におきまして答申も得まして、その線に沿って今日までボーイング社との交渉が続いているわけでございます。私どもはこのYX開発計画が航空機産業にとりましての最も重要な政策であるというふうに考えまして鋭意努力はいたしておりますが、何分にも初めての国際開発共同開発の経験でございます。また石油危機後の最近の石油民間需要その他が変化いたしております等々ございます。また、機体自体に対する要求性能の変化がございます。たとえば、低燃費あるいは低騒音と、こういった機体上の要求性能の変化もございます。いろいろ情勢が変動いたしておりますので、そういった状況に対処しつつ、ボーイング社と交渉が続けられたわけでございますが、昨年の十二月にボーイング社との間の共同事業開始につきまして基本的な点についての合意を得て、現在、細目についての覚書の詰めを行う交渉が続けられております。私どもとしましては、早急に合意に達しまして、共同事業に着手いたしたいと、かように考えておるわけでございます。
  333. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 PXLの開発についての通産省の方針はどうですか。これは過去の態度も含めて、いままでのずっと経過を含めて通産省のこれに対する考え方というものをお伺いしたいと思います。
  334. 熊谷善二

    説明員熊谷善二君) お答えいたします。  私ども防衛産業の所管をいたしておりますものといたしまして、国の防衛上必要な装備につきまして、これをできるだけ国産化をするということが従来からの基本的な方針でございまして、また防衛産業としてもそれは当然の任務であろうと考えておるわけでございます。PXLにつきましては、この選定の経緯につきまして、一義的には防衛庁の方でお決めいただく性質のものであろうと思いますが、私どもは産業のサイドからいろいろな意見を申し上げるという立場にもございます。とりわけ、四十九年の十二月に、専門家会議におきます答申にありますように、今後、関係省庁の間でさらに検討するようにという状況になりました以降、昨年の十一月ごろでございますが、防衛庁との間の意見交換を行いまして、通産省考え方も国産化の方向で私どもの考えをお伝えをしてございまして、今後機種選定に当たりましての政府全体としての御決定の際の一つの参考にしていただきたいということで、私どもの検討をいたしました結果につきましては、防衛庁側に御説明をしているという状況でございます。
  335. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 このYX計画とPXL国産との関係についてお伺いをしたいと思います。  このYX計画が進められておるときは通産省はPXLの国産についてはあまり積極的ではなかった、ところがYX計画がいわゆる費用分担の交渉その他で行き詰まってからPXLについて通産省は積極的になったというような報道もあるわけですけれども、この関係はどうですか。
  336. 熊谷善二

    説明員熊谷善二君) お答えいたします。  通産省がPXLにつきまして、むしろ輸入がよろしいという考え方はいままで一度も持っておりません。ただ、四十七年、八年の間におきまして、通産省は明示的にはPXL国産化についての特段の意思表示をいたしておりません。これは特に四十八年以降は、とりわけ専門家会議等で御議論にもなるわけでございますので、意見を差し控えていたわけでございますが、専門家会議の方の御要市によりまして、四十九年の十一月の段階——十二月の段階であったと思いますが、通産省といたしましてはPXLについての国産化につい国産化の方がよろしいというふうに考える旨を御説明をいたしております。  なお、PXLの国産とYX共同開発が進んだ場合に、たとえば技術工数あるいは製造工数の面でいずれかが支障が生じて実現が不可能になる問題はないかという点につきましては、同じく四十九年の九月の時点であったと思いますが、専門家会議の席上で当方の考え方を御説明いたしまして、両方がピークになりましても、工数その他の面で支障が生ずるようなことはない、こういう説明をいたしております。
  337. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 昭和五十年の十一月十三日に、通産省はPXLの国産推進について防衛庁に意向通報を行っております。その内容についてお伺いをしたいと思います。
  338. 熊谷善二

    説明員熊谷善二君) お答えいたします。  これは先ほども申し上げましたように、私どもの基本方針といたしまして、必要な装備につきましてはできるだけ国産化をしたいと、こういう観点で独自に実は検討をいたしておりまして、雑誌その他で報道されますいろんな資料、関係者からの情報等をもとにいたしまして、予想されますP3Cの性能、あるいは国産した場合のPXLの性能につきましては、現在の日本の産業の技術力から判断いたしまして十分国産が可能ではないかと、かように判断をいたしまして、防衛庁側にもその旨御説明をし、御配慮を煩わすということにいたしたわけでございます。
  339. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 通産省がPXLの国産化を推進する理由一つの中に、性能的にPXLとP3Cの比較をして、PXLの方が非常にすぐれておると、こういう点を挙げておるわけでありますけれども、この性能比較の中にある資料、データ、こういうものは通産省独自でつくられたものでありますか。
  340. 熊谷善二

    説明員熊谷善二君) 通産省独自で作成したものでございます。一例を申し上げますと、P3Cは、たとえばいわゆるターボプロップのプロペラ機でございます。一九五〇年代に開発されたものでございますが、PXLの場合には、これがいわゆるファンジェットに切りかえられます関係上スピードの点では速くなるということが言えるんではなかろうかと。これは部分的な一つの例でございます。また、内装しておりますEDPS、つまり電子処理装置等につきましてはP3Cのコンピューター、これも大分一九六九年にコンピューター化されておりますので、かなり昔のものでございますが、最近のコンピューターを装入いたしますればかなりその点も改善されるんではないかと、少なくとも相当な性能のものは十分確保できるんじゃないかと、こういうふうに私ども判断をいたしております。一例を申し上げましたわけでございますが、資料、こういうような結論に至りました原データ等につきましては、私どもの独自の判断で集め、結論を出したものでございます。
  341. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 専門家会議においてもこの性能比較というものをやっておるわけでありますけれども、これはごく簡単にしか「審議概要」の中では触れられておりません。性能については、機体については、P3CはターボプロップであるからPXLに比べて進出速度において劣るけれども、「これは運用上致命的欠陥とは考えられていない。」この程度しか触れられていないわけですね、機体については。私は、通産省から出されたこの資料というものと、ここに書いてあるこの判断というものとかなり差があるように思うわけです。通産省から出しておる資料によりますと、ほとんどの面でPXLの方がすぐれておると、電子機器も含めてすぐれておるというようなデータが出されておるわけですけれども、この専門家会議においてこの性能の比較について詳細な論議が行われたのかどうか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  342. 内海倫

    説明員(内海倫君) PXLとP3Cとの性能の比較というのは非常に大事な問題でございますから、専門家会議におきましても、特に防衛庁から提出されましたデータを基礎にかなり厳密に比較対照が行われております。特に、この「審議概要」におきましても、防衛庁が運用上要求しております性能についていろいろ検討し、そういう要求性能というものを十分専門家会議として認識した上で、これに耐え得る可能性があるかどうか、そしてまた、そういうふうな要求性能と比較してP3Cというものがどういうふうなものであるのかと、こういうふうな点についてかなり詳しくデータを対比しながら検討をいたしております。  また、先ほど御指摘のありました、進出速度は致命的欠陥ではないという程度しか触れてないではないかということでございますが、これは確かに進出速度はP3Cは防衛庁案に比べますと劣っておりますけれども、この性能は、そういうふうな進出速度の国産予定機に比較すると若干劣るけれども、しかし、運用上非常に大きな支障というものはないと。特にこの点につきましては防衛庁の運用者側にも質問いたしまして、やはり対潜機の機能というものは海中にある潜水艦を捕捉するということが一番重要な問題であって、この程度の進出速度の差というものは、いわゆる要求しておる防衛庁の性能というものと関連させてそんなに致命的なものではないというふうな説明も行われており、そういう点はそのまま「審議概要」にも書かれておるわけでございます。
  343. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 通産省から防衛庁に出されたこの性能比較の資料と防衛庁が持っておるPXLについての性能のデータ、これに大きな差があるわけですか。
  344. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 通産省からの資料を一応一読をさしていただいた感じといたしましては、性能面につきましては定性的なものは記してあるように思えるわけでございますが、定量的なきちっとした数字というようなものは必ずしもないというふうに理解しております。したがいまして、比較というよりも、何と申しますか、定性的なことについての御主張をいただいたというふうに理解しておるわけでございます。
  345. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は、専門家会議の「審議概要」に、この進出速度の件に簡単に触れておる程度で、後のことは余り触れていないわけですね。たとえば、必要滑走路長とか航続性能あるいは燃費、騒音レベル、こういうようなことは触れてないわけですけれども、いま説明のありました進出速度の件ですけれども、私はこれはきわめて疑問があるわけです。といいますのは、昭和四十八年の九月二十五日の第二回の専門家会議では防衛庁側はP3Cの速力不足を指摘しておるわけです。ところが、四十九年の十月七日の第十四回の専門家会議になって、これは致命的欠陥ではないというような説明をしておる。この間に約一年余りあるわけですね。私はこれはどうしてかという疑問をまず抱くわけです。私はこの間に防衛庁側の態度が変わったのではないかという推測をするわけですけれども、この点はいかがですか。
  346. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 専門家会議の初期におきましては、当方のPXLの要求性能の中におきまして進出速度が重要な意味を持っていると。特に航空機だけをとらえました場合に、これはもうたびたび申し上げておりますように、デイタム捜索をやる場合には決定的な要因になる要素でございまして、そういう意味で、当方として進出速度を重視しておったわけでございますけれども、その後、海外調査の結果等がだんだん判明をいたしまして、むしろ総合力を評価すべきであるというような考え方にだんだん変わってきておるのでございまして、たしか御指摘のように、専門家会議の当初と、それからただいまございました、十何回でございますか、そのときに進出速度についてそう致命的な欠陥ではないという評価が出てきておる。その違いはいま申し上げましたようにP3Cの実態というものがだんだんわかってきたということが大きな原因であるというふうに考えるわけでございます。
  347. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は対潜機がどのようなケースで使われる場合が多いのかよくわかりませんけれども、私は進出速度というのはこれきわめて重要な要素ではないかと思うんですね。といいますのは、ソノブイにしろ、あるいはレーダーにしろ、潜水艦を探り当てる範囲というものはきわめて限られております。したがって、進出速度が遅ければそれだけ索敵範囲が広くなるわけでありまして、これはもう非常に大きな要素ではないかと思うんです。この専門家会議の概要で、一行か二行で簡単に片づけられるほどの問題ではなかろう、このように思うわけですね。また、通産省から出されておるデータによりましても、PXLはP3Cより約一一%速度が速い。これは索敵範囲は約二〇%狭くて済む。これはもう致命的な欠陥でたいという一言で簡単に片づけられる問題ではないと思いますけれども、この点はいかがですか。
  348. 内海倫

    説明員(内海倫君) 文章といたしましてはそういうふうなきわめて簡潔な文章で表現いたしておりますけれども、その文章が生まれるまでの基礎といたしましては、かなり防衛庁側からの意見も聞き、また専門家の先生も検討をして、その上でそういうふうな表現をいたされたものと、こういうふうに理解いたしております。したがいまして、そういうふうな簡単に片づけたというのではなく、そういう表現に至るまでのかなり厳密な検討は行われておるものと、こういうふうに理解いたしております。
  349. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私はこの専門家会議の「審議概要」を見ますと、故意にこの性能の差というものを余り触れないできておるような印象を受けるわけです。これは印象ですからこれ以上論議しませんけれども、問題はこの専門家会議答申が四十九年の十二月の二十七日に出ましたけれども、それ以来政府は双方の性能の比較について検討を進めておるのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  350. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 四十九年の十二月の国防会議の議員懇談会の了解事項がございまして、それによりまして関係省庁が財政的、技術的な基盤の条件についてさらに検討をして詰めるということの御方針が示されまして、私どもといたしましては、国内機の開発の見直しをやりますと同時に、外国機につきましては、その前の段階でニムロッド、アトランティックという対象が入っておったわけでございますが、専門家会議の過程においてこの点は非常にはっきりとP3Cということになってまいりましたので、翌年の三月に国防会議の参事官会議の場を拝借をいたしまして、関係省庁でその問題について御検討をいただいたわけでございます。そこでさらに国産開発については検討をすると、それから一方、P3Cについてはそのための専門の調査団をアメリカに派遣をするということで五十年の五月、六月であったかと思いますが、第二次の調査団を派遣をしておるわけでございます。で、この間、この見直しの結果等につきまして、防衛庁の内部におきましてはしばしば参事官会議を開催をいたしまして、その見直し結果についての検討等を行っておるわけでございます。ところが、ちょうどこれと並行いたしまして、ポスト四次防の作業が進行いたしておるわけでございますが、御案内のように、海上自衛隊のASWの固定翼対潜機は主力——まあある意味での主力をなすわけでございます。これをどのような構想で整備をしていくかということがこのポスト四次防の作業の中核になるということからいたしまして、全般の兵器体系、かねがね申し上げておりますように、艦船それから航空機の場合には固定翼、回転翼、こういったものの総合的なASWの兵器体系を組み立てると、その中でこの問題をひとつ解決をしてまいろうということになりまして現在に至っておると、こういう状況でございます。
  351. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 いわゆるP3シリーズといいますか、これは言うなら非常に古い飛行機なんですね、開発されたのが一九五八年。それからアメリカは一九七八年にはいわゆる新しい対潜機を開発するという計画もあると聞いておりますけれども、そうすると、日本がP3Cを使い出すと、アメリカはもうP3Cについては減退期であって、そろそろ新しいタイプの対潜機が登場してくる、こういう少しズレが起こるわけです。したがって、私はこれからP3Cを使っても、果たして何年使えるかという点に非常に疑問があるわけですね。大体耐用年数十年としましても、後の方になるとアメリカ自体がP3Cを使わなくなる。そうすると、たとえば部品の調達にしても支障があるのではないか。また、日米の共同作戦が必要な場合にやはりそういう支障が起こってくるのではないか。P3Cは積んでおる機器がいいということも聞いておりますけれども、その電子機器そのものがもうすでに現在から見たら古いタイプになりつつある、いわゆる第三世代のコンピューターだということが言われておりますけれども、現在英国で開発されておるニムロッドMK2にしても、あるいはアトランティックMKIIBにしても、いわゆる三・五世代ということが言われておるわけであります。こういう視点から見てもP3Cは言うなら古い時代の対潜機である。それをいまから導入するということが果たしていいのかどうか、この点についての判断はどうですか。
  352. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 確かに御指摘のように、P3シリーズが始まりましたのは大変——大変と申しましたが、古いのでございますが、P3Aが量産に入りましたのが一九六一年、それが翌年に就役をいたしております。それからP3Bは一九六五年で量産に入りまして、翌年の一九六六年に就役をいたしております。それからP3Cは六八年に量産に入りまして六九年に就役と、こういうことになっております。  このP3の生産計画でございますが、アメリカの場合には、ことしの二月の十九日にアメリカの下院の軍事委員会でハウザー中将、これは担当は海軍航空作戦部長の補佐でございますが、ハウザーという中将がこのP3Cの今後の計画につきまして、現役は八五会計年度までにすべてP3Cにするということを言っております。で、その現役と申しますのは、現在P3の、対潜哨戒機の現役部隊、海上哨戒隊でございますが、これを二十四個隊持っておるわけでございます。で、現状は、この二十四個隊のうち十一個隊がP3Cで装備をされておりまして、残りの十三個隊はP3Bで整備をされておるということでございます。それから予備役というのがございまして、これは海上偵察機隊——マリタイムスコードロンと、こう言っておりますが、これが十二個ございます。この十二個のうち十個隊がP3Aで装備をされておりまして、残りの二個隊がSP2H、これはネプチューンという、あのP2Vでございますが、その一世代前の航空機でございますが、これで装備をされておる、こういう状況でございます。  そこで、いまのハウザー中将は現役の、ただいまの二十四個隊でございますが、現在はまだ半分にまでいってないわけですが、これを全部を一九八五年会計年度までに全部P3Cでそろえるということにすると。それから予備役の方は一九八〇会計年度までにすべてP3AかBにするということを証言をいたしております。  で、かねがね申し上げてございますように、この対潜哨戒機の耐用年数は比較的長期でございまして、大体平均して十五年ぐらいの期間使えるというふうに考えておるわけでございまして、そういう点から考えますと、かなりこの今世紀の後半、今世紀末の時期までこのP3Cが活用されるということは確実であるというふうに考えてよろしいんではないかというふうに思います。
  353. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 終わります。
  354. 野末陳平

    ○野末陳平君 防衛庁の質問に入ります前に刑事課長においでいただいたと思いますので、全日空に関することを先にちょっと質問しておきます。  全日空のDC10のオプションをめぐる疑惑が衆議院の方でクローズアップされていますけれども、先日来の証言では全日空と三井物産が——いやそうじゃなくて、三井物産がオプションをして後で全日空がそれをキャンセルする結果になりまして、しかし全日空と物産の間には道義的あるいは経済的な責任といいますか、関係はないんだということを衆議院で証言されていたと思いますが、その辺の事情を解明するかぎとして一つの事実をきょうは刑事局に質問しておきたいと思うんです。  ことしの二月ですがね、ことしの二月に全日空がコンピューターのシステムを変えましてね、これまでは日立のを使っていたんですが、今度日本ユニバックのものに変える契約をことしの二月にしているんですね。で、来年の二月からこれは導入されるんで、PNR方式リザベーションシステムという新しいやつなんですけれども、これをことしの二月に契約したことについては、もう通産省に確かめたところ通産省ももう認めていますが、当然当局としても全日空を調べた過程でこれはもうおわかりになったと思うんですが、いかがでしょうか。
  355. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) 全日空関係につきましては、御承知のように現在鋭意捜査中でございます。必要な事項については検察当局においては十分調査をして、捜査をしておるものと確信しておりますが、具体的な内容につきましては、いつもこういうことを申し上げて恐縮なんでございますが、申し上げることを差し控えさせていただいているわけでございます。  お尋ねの件につきましては、私自身はそういうことが現在捜査の対象になっているかどうか承知しておりません。おりませんけれども、ただいま申しましたように、この全日空関係につきましていろいろ捜査の過程で必要なことについては十分捜査をしているものと思っております。
  356. 野末陳平

    ○野末陳平君 もう初めにそういうお答えをされてしまいますと、もうあと何聞いても全部だめじゃないかという気がしてきて心配になりますが、いまのはもちろん事実ですから、間違いない事実なんですがね。で、これまで日立を使っていたわけですね。システムが変わっても日立の方はユニバックに負けない技術があるんで、自分のところはもうできるとこう思って、恨み言といいますかね、そんな気持ちを持っているんじゃないかと思うのです。ただ問題は、現実に全日空がユニバックのシステムに変えたと、この変えるに至った理由なんですが、その辺の事情が一番問題なんで、これを当局に説明していただきたいというか、その辺のことを具体的にはともかく、当然そこまでお調べになっているんじゃないかと、どうですか。
  357. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) お叱りを受けるかもしれませんけれども、現在ロッキード社からのわが国内に流入した資金の使途等を含めましていろいろ捜査をしておるわけでございます。そういうことに関連して必要な事項であれば、そういう御指摘のように捜査の対象にしていると思いますけれども、お尋ねのユニバックに変えたことが本件とどういう形で関連があるか、そういうことは私は恐縮ですが、承知しておりませんので、そういうことについて検察当局が調べているかどうかは正直に言ってこの席で申し上げかねると、こういうことでございます。
  358. 野末陳平

    ○野末陳平君 この事件、つまりロッキードとどう関係があるかなんてわかっちゃったらこれはもうお聞きしなくてもいいわけなんでね、その辺を当然そこまで、つまりこれをコンピューターを変えたといういろいろな事情についてまでそちらが関心をお持ちかどうか、当然お調べだろうかと思いながらも、その事実関係をお聞きしているのですがね。弱りましたね。実は、じゃあ改めて私の方が調べている範囲をここで紹介しますからね。まさかそんなことないでしょうが、もしお調べでなければ当然この辺も調べてほしいとお願いすることにします。  アメリカのユニバック、これは本社ですね。で、販売その他を受け持つのが日本ユニバックという会社なんですね。この日本ユニバックという会社は資本金の三分の一が三井物産なんですね。それでもちろん本社からコンピューターシステムを輸入する場合の間に介在する代理店が当然これが三井物産なんですね。で、この辺はもう通産省がもう認めている問題ですから間違いはないんですがね。そこで全日空がユニバックに決めたことで、三井物産は当然アメリカの本社からシステムを輸入するわけでしょう。で、輸入の手数料が当然入るわけですね、輸入マージンですね。で、通産省に聞いたら、これは輸入マージンがどれくらいかということは、物によって違うから一概に何%とは言えないという返事をもらいましたけれども、少なくもこの商売は十億を下らない商売で、当時、去年大体この話が内定したときに——もちろんロッキードの起きる前ですけれども、非常に大きいビジネスとして業界では評判になっていることなんですね。ですから周知のことなんですが、そこで物産の手に入るマージンも決して少なくはないだろうと——これは想像ですよ。で、いわば全日空としては、まあユニバックのコンピューターを買うことで三井物産にもうけさせたと、俗に言えばそうなるわけですね。で、ここから私の調査がどこまでそちらと合っているかどうかが関心だったんですがね。私の調査では、全日空がこのいままでの日立にかえてユニバック、いままでの日立じゃなくて、全日空がユニバックのこのPNR方式リザベーションシステムというのに変えるについては、大庭社長から若狭社長にかわるその時点から、そのころからすでに導入の約束がなされていて、いいですか、それで四十八年の十一月からはもう具体的な段階に入っているんですね。ユニバックの方では、その売り込みを開始したのが四十八年十一月だと言っているんですが、私の調査では、もうそれ以前にすでに日立からユニバックに変えるという約束ができていたと、こう聞いているわけなんです。そうなりますと、要するに全日空がDC10のオプションを結果的にキャンセルしたその埋め合わせを三井物産にしてやったことになるですね。その見返りとして要するに三井物産に、まあ何といいますか、輸入を依頼した形でユニバックのコンピューターを買うと、こうなるんですよ。ですから、あくまでもここは私の推測ですけれども、物産の顔を立ててDC10の損を埋めてやると、これで貸し借りなしという取引にこのコンピューターのシステムが利用されていると、こう見ているわけですね。で、そこをこれが今度のいま問題になっていますDC10のオプションがあったないとか、あるいは三井物産も歯切れの悪い証言をしたり、その辺がぼくは絡んでいると、こう見ているんです。で、あくまで推測を事実と言うわけにいきませんから、この話がこのユニバックのコンピューターシステムを入れて導入していく、その話がいつごろから出たのかなと、私の聞いたところで、調べたところで果たして間違いないのかどうか、そこを改めて調べてほしいなと、こう思うんですけれども
  359. 吉田淳一

    説明員吉田淳一君) いままで再三申し上げておるわけでございますが、捜査の過程においてその内容がどうであったかということは一般的には申し上げることは差し控えさしていただきたいというのが私どもの立場でございます。しかし、委員御指摘のような事情につきましては十分拝聴いたしましたし、その点につきましては、検察当局にもその御発言の趣旨を十分伝えたいと思います。  どうも一般論で恐縮でございますけれども、この関係につきましても、いろいろ検察当局としては犯罪の容疑事実がございますれば、それについて徹底的に現在いま捜査中でございます。御指摘のような関連がもしあれば、十分その点についての捜査をしているものと確信しておりますが、現在その点についてどうなっているかということについては、私自身先ほど申しましたように承知しておりませんし、また一般論として、仮に私が承知しておりましたとしても、捜査内容はこうであったということをいまの段階で御報告するわけにはいかない点をぜひ御了解いただきたいと思います。
  360. 野末陳平

    ○野末陳平君 わかりました。まあ、いずれにしてもこのロッキード問題にこれはかなり関係があると見ているんです。そして私、全日空あるいはユニバックにこの辺のことをいろいろの角度で聞いてみますと、表向きはみんな否定しているわけですね。そういうことは全然ないんだと、あくまでユニバックが売り込んで、製品がよかったんで、結局全日空が採用したんだと、こう言うんですけれども、どうもこの表向きの説明が納得できない。そこでDC10のオプションをめぐるこの疑惑の事実として、これをじゃ指摘しておくにきょうはとどめたいと思うんです。いずれ事情がわかるんじゃないかと思うんです。  そこで防衛庁と思ったんですけれども、もう時間ありませんからこれでやめます。次回に譲ります、防衛庁への質問は。
  361. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめます。次は明後二十四日午前十時開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十五分散会