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1976-06-16 第77回国会 参議院 ロッキード問題に関する調査特別委員会 閉会後第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年六月十六日(水曜日)    午前十時十分開会     —————————————    委員異動  六月十六日     辞任         補欠選任      小谷  守君     対馬 孝且君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         剱木 亨弘君     理 事                 岡本  悟君                 林田悠紀夫君                 瀬谷 英行君                 黒柳  明君                 橋本  敦君                 田渕 哲也君     委 員                 石破 二朗君                 大島 友治君                 岡田  広君                久次米健太郎君                 秦野  章君                 宮崎 正雄君                 上田  哲君                 久保  亘君                 対馬 孝且君                 野々山一三君                 矢田部 理君                 太田 淳夫君                 内藤  功君                 野末 陳平君    国務大臣        法 務 大 臣  稻葉  修君        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       井出一太郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  坂田 道太君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        国防会議事務局        長        内海  倫君        公正取引委員会        事務局経済部長  吉野 秀雄君        防衛事務次官   久保 卓也君        防衛庁参事官   岡太  直君        防衛庁長官官房        長        玉木 清司君        防衛庁防衛局長  丸山  昂君        防衛庁経理局長  亘理  彰君        防衛庁装備局長  江口 裕通君        法務省刑事局長  安原 美穂君        大蔵省主計局次        長        高橋  元君        大蔵省主計局主        計官       古橋源六郎君        国税庁調査査察        部長       系  光家君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○ロッキード問題に関する調査  (ロッキード問題に関する件) ○証人の出頭要求に関する件     —————————————
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまからロッキード問題に関する調査特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、小谷守君が委員を辞任され、その補欠として対馬孝且君が選任されました。     —————————————
  3. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ロッキード問題に関する調査を議題とし、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 野々山一三

    野々山一三君 法務大臣にまず、このロッキード問題をめぐります法務省当局として一体今後どのような見通しを持っているのかなどを中心にいたしまして、若干の質問をいたしたいと思います。  今日私なりに司法当局のこのロッキード問題をめぐります取り組み方を客観的にながめてみますと、結局国会でのむずかしい言葉は別にいたしまして、国政調査という立場からする議論は、結局司法権分野であるからとか、捜査上の秘密であるとかという言葉によって、事実上は内容にわたって公開をしない、こういう事態中心で、司法当局任せという印象はぬぐい切れないものがあります。そこで政府というか総理大臣みずからは、三木内閣の手によって究明をするんです、国会に向かっては最大限協力をします、公開はいたしますと、こうおっしゃるわけですが、言葉だけではないかという感じがいたします。そこであらためて一体この事件捜査及び究明に当たって、司法当局としてまた国会に対してどのような気持ちでこれに対応しようとしていらっしゃるか、まずあらためてその方針といいますか、決意などを承りたい。
  5. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) いわゆるロッキード事件は非常に大きな事件ですし、国際的な関係で大きな事件と、しかも関係者外国籍を持っている人が震源地みたいな関係になっておりまして、大きな事件であり難事件であると、これが真相の究明はきわめて困難である、けれども、わが国の置かれている現状から見て、徹底的にこれは究明して事態を明らかにしなければおさまるもんじゃない、国民が承知しない、国会も承知しない、こういうことであることを肝に銘じて、そうして法務当局、それの捜査に当たる検察当局はその刑事的責任追及に没頭すると。しかし、この事件はしばしば国会でも問題になっておりますように、総理も言明しておりますように、単に刑事的責任追及して、それでもって全部が同時に政治的、道義的責任も伴って完了されるという自信を持てるかというと、そうではなくて、刑事的責任追及できなかったと、ついに。しかし道義的、政治的責任は残るということもあり得ると。政府全体としては検察当局と違って問題は刑事問題だけではなくて、政治問題でありますから、その両方を解明しなければ、ロッキード事件の解明全しとは言えない、こういう感覚でいるわけです。それが議長裁定国会正常化のあの項目の第四項にありますように、国会は、ロッキード事件については政治的道義的責任追及する場として国会はこれを追及すると、国政調査権の発動によって追及すると、政府はこれに対し刑事訴訟法の立法の趣旨をも踏まえて、事態推移を見て、国政調査権に対し最大限協力をする、最善協力をする、こういう姿勢でおりますわけでございますから、だんだん事態推移に従って、そういう機会といいますか、そういう国会追及なさるべき場面といいますか、そういう国会責任といいますか、議長裁定に基づいた国会側責任というものが出てくる場面が出てくると思いますが、そういう際には法務省ももちろん、ことにどういう捜査経過であるかということがなければ協力のしようがないわけですから、そういう点を踏まえて最善協力をする、そういう所存であります。
  6. 野々山一三

    野々山一三君 国会のロッキード問題に対する関心国民関心というものは重大であるから最善を尽くしてこれに協力する、そういう趣旨だといまのお答えを受けとめましたけれども、端的に実は伺いたいのでございますが、きのう自民党ロッキード問題調査特別委員会大臣呼ばれまして、一つの例として、八月いっぱいぐらいは捜査はかかるであろうと、灰色高官公開基準法務省をして統一見解をつくらせて、それによって社会的に究明一つの型をつくりたい、こういう趣旨のことを述べられたやに伝えられるわけですけれども、一体いま国会を通して国民にその事態を明らかにいたしまして、究明の極をきわめる、こういうお考えと、いま自民党調査特別委員会統一見解をつくって、了解を得てというようなこととはどういう関係になるのでございましょうか。非常に抽象的な言い方ですけれども、私の真意をひとつ踏まえてあなたのまず気持ちを承りたいわけなんです。
  7. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 野々山さんの御質問は、どういうことを端的にお聞きになりたいのか、よく把握できませんけれどもね、きのう自民党ロッキード問題特別調査委員会濱野委員長の要請に基づいて出てまいりました。新聞にいろいろなことが載っておりますが、全部うそだとは言いませんけれども、少なくとも正確ではないです。八月いっぱいみたいなことは、私の感じでこう見てみるというと、いままでの同一類型の過去の事件捜査の長さというようなものとをいろいろ勘案して、私の感じとして、なるべくきちっと明らかになってから、それから財政法法律を通すような国会はそういう時期にしてもらいたいと、こう言ったら、それじゃいつごろかと、まあ九月に入ればいつ開かれてもいいようでござんすねと、あとそれ以上のことは申し上げられませんねと、こう言ったのが、捜査終了するのは八月いっぱいだというふうに書かれていますけども、必ずしもそれは正確でないですものね、私の言うことと。それならば安心ですと、こう言っただけの話で、その前に片づくかもしらぬし、それはわからぬでしょう。だらだらだらだらいつまでたってもやっているわけにいかぬのですから。言葉は悪いですけども、早くやれ、早くやれったってですね、証拠も固まらぬのにそんなに踏み出せるわけがないじゃないですか。いま歌舞伎座でやっている長崎犯科帳みたいなことをやってられるわけないですよ。現在の民主政治下における刑事訴訟法のもとにおいて、やみ奉行みたいなことをやってられるわけがない。そういう意味では、ざる碁の早碁といって、あんまり急いじゃだめなんだというと同時に、やっぱりそんなに幾ら——近代碁はどんな名人戦でも制限時間というものがあるんだから、そういうことをずっと言ってきたもんだから、皆自民党皆さん終了の時期、終了の時期とおっしゃるけれども、終了の時期なんてことを私が言うことは、間接的な検察検事総長に対する指揮になりかねない。だから私は、臨時国会は九月に入ってからにしてもらうと捜査当局を持っておる法務大臣としてはありがたいですがねと、しかし、そうもいかぬかもしらぬけれども、法務大臣としてはそう言わざるを得ないと、こういうことを言うたわけですから、それがいろいろな人からたねをとりますとああいう記事になるのかもしらぬけれども、もう少し正確に書いてもらいたいと私は思ってますな。
  8. 野々山一三

    野々山一三君 法務大臣は、大手各紙が書いている八月中くらいに捜査終了するということは自分真意とは違うんだと、あんな余分なことを書いてもらっては困るんだと、こういうことですか。
  9. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) そうはっきりは思わないですな。そんなに、けしからぬとか、捜査の妨げになるとか、はなはだ心外だとか、そういうことを言う気持ちじゃないです。ただ、身内と言っちゃ悪いけれども、自民党員ですからね、自民党のそういう会合に出てざっくばらんに聞かれるからざっくばらんに答えたと、なかなか財政当局としてそうもいかぬだろうけれどもねと、こう申し上げているわけです。ですから、ああいうふうに新聞に出るということはいい面もあると言っちゃ少し言い過ぎだけれども、全然都合が悪いねと、こういう気持ちはありませんね。
  10. 野々山一三

    野々山一三君 要するに、それじゃ大臣ね、できるだけ緻密な捜査をできるだけ早くやってほしい。それが法務大臣としての期待であると、こういうことで八月いっぱいはかかるであろうとか、あるいは九月に延びるだろうとか、日限をある種の示唆したような意図ではなくて、早い方がいいと、こういう趣旨でございますか。
  11. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) お説のとおりでございます。私のいままでの過去の同一類型事件捜査期間等を勉強しまして私自身感じを申し上げ、そしてそういうことに党も——党というか、ロッキード問題調査特別会のきのうのあの会合のメンバーの人も、そういう私の気持ち、解明したいという気持ちを理解してもらえばありがたいなという私の見込みを申し上げたわけであります。
  12. 野々山一三

    野々山一三君 その際、自民党ロッキード問題特別委員会法務省当局をして灰色高官公表基準について統一見解をつくるというわけですけれども、そこが問題なんでございます。国会としてはこのロッキード問題、御案内のように二月の当初から真剣に取り組んでおるわけでございます。灰色問題といえばまさに今日的でもあり、終始一貫しての重大な一つ問題点であります。それを自民党特別委員会法務省統一見解出してそれによって基準公表いたします。さようなことは一体あなたの専門である法律論から見まして、国会との関係においてどういうことなんでございましょうか。そのことを実は本質的に聞きたかったわけです。
  13. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) ごもっともな話で、そこが新聞に出ることに私ら一番不満を持つ一つポイントなんですよね、ポイントなんです。私が申し上げたのは、灰色高官ということを私どもは法務当局として一度も言うたことはないんです。刑事責任追及する立場にある者としてはシロかクロかであって、灰色なんという言葉はどこから出てきたもんですかな。これはジャーナリズム、一番最初。それから国会予算委員会とか、それから法務委員会とか、このロッキード問題調査委員会とか、そういうところで漠然と灰色高官灰色高官と言いますが、私もこの間のこの委員会でも申し上げましたように、灰色ということは別として、それはしばらくおくとして、政府高官とこう言いますがね、私はやっぱりそうではなくて、政府及び議会関係者と、こう言うのが正確でないかと思いますがな。それから、私はときどき灰色高官と言われる質問に対していろいろなことを答えておりますがね、私なりに。たとえば、時効さえなかったら当然犯罪を構成して起訴さるべき者であったのに刑事責任上は不起訴刑事訴訟法上明確にこれは不起訴にせざるを得ない、そういう者を言うとすれば、それに当たるのでしょうかなというようなことはしばしば答弁してまいりました。きのうの自民党特別委員会におきましては、そういう意味で、灰色高官灰色高官と言うから、これはまあ初めジャーナリズムがつくって、そうして今度いまジャーナリストは自分でつくっておいて、自分灰色高官とは何ですかなんて法務大臣に聞いたってだめだと言うんだ、それは。おれがつくった言葉でない、そっちでつくったんだから、そっちが決めてこいと言うんだ、決めるなら。そういう本心ですね。そういうことで、もしそれをお決めになるなら、それは刑事責任は逃れたけれどもu、政治的道義的責任が残ると、その道義的政治的責任追及さるべき者は、議長裁定に明確に国会任務だと、国会の場だとこうなっているん、だから、国会の場でそれを範囲をきちんとして、さあこれはどうだこれはどうだと、こうなった場合に法務省あるいは政府総理大臣、これがそれはこうでございますと答えるか、それは最善の努力をするといっても刑事訴訟法上許されることでないからできませんとか、そういうふうにすべきもんじゃないんでしょうかと、こういうふうに言ったのが、党の方でそれは決めらるべきことではありませんかと私が言うたように書いてあるから、そこが新聞発表は私は不満だと、こう申しているんです。
  14. 野々山一三

    野々山一三君 そうすると法務大臣考えでは、新聞に書かれております要旨を、あなたのいま言われたもので私流に置きかえてみますと、当然起訴できる者は司法権範囲で処理するが、これは刑事上の問題、責任でやりましょう。それ以外の法律上不起訴となる者というより時効にかかった者、時効にかかった者もあるでしょう、不起訴になった者もあるでしょう、そういうようなものの政府及び議会関係者政治的道義的責任にかかわる個々の問題については、議会を通して公表するということが本旨であって、つまり究明、解明する、国民の疑惑を解消する、そういう趣旨において明らかにするものであって、自民党から灰色高官などというものの基準を示せ、公表の仕方について党で注文をつけるからそれに従いなさいというような性質のものではなく、前者の性質のものである、そういうふうに受けとめて結構でございますか。
  15. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) それはそのとおりなんです。ただ、党の調査会というより、みんな国会議員ですから、だから国会調査権を皆お持ちの方ですから、その方々がいわゆるジャーナリズム用語政府高官というものはこういう範囲だろうなと、灰色高官というか、灰色というものはこういう者を言うんだろうなと、こういうことを御研究になることは御研究になって結構じゃありませんかと、これは言いましたよ。けれども、最終的な決定権国会が持っているんだ、院が持っているんだ、国政調査権。それはもうあなたがおっしゃるとおりです。
  16. 野々山一三

    野々山一三君 そうしますと、いわゆる政府及び議会関係者などの公表基準については法務省をして統一見解を出させますということは、とり一もなおさず、衆参両院に持たれているロッキード問題調査特別委員会などを通してその政府統一した見解を示すと、こういうことなのですねと御確認をいたしたいわけです。
  17. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) ちょっと違うです。それは刑事局長なども、灰色灰色と言われて弱ってんですな。わしらも弱るもの。わしらの任務刑事責任追及者ということ。それすらも非常に大事件であり難事件であって、それで手いっぱいなんです。しかし問題は、この問題はただそれだけで国民をなるほどという治まり方をできるもんじゃないかもしれないと、その場合はどうぞひとつ国会国政調査権に基づいて調査をお進めください、それには法務当局政府全体も最善の御協力を申し上げますと。これ以上のことをいまは申し上げるわけにはまいりません。
  18. 野々山一三

    野々山一三君 議論二つ本来あるわけでございます。法務当局としては一定の基準を持ち、それを政府側統一した見解として国会究明姿勢としてこれを示しますと、これが一つだと思う。それだけにとどまっている点に問題があるんで、あなたも指摘されるように、国政調査権分野から、その統一見解などを含めまして国会はこれを国会としての分野から最大限調査をして、より正確かつ極をきわめることの可能な、国民の納得する条件が可能な調査をするということになる。二つのものがあって初めて一体的なものだと思います。あなたのお答え自分の担当している分野だけのことを一生懸命おっしゃるもんだから、なんだ稻葉ロッキード隠しの親方かと、こう言われてしまうわけじゃございませんでしょうか。私の言うのは、国会国会として十分に精査をするけれども、政府側が持つ一つ見解というものを、これを自民党に出すということじゃなしに、当然きのうの委員会でおっしゃられた法務省当局をして統一見解出し自民党の意見を聞きますということは、それは国会議員という一つの集団である分野においてお出しになることであって、公式な国会への機関にお出しになることじゃございませんでしょう。そのことをあなたはよく踏まえて私の聞いていることに答えてもらわなければいけないし、国会側としてのこれに対応する姿勢というものもございますから、これは後ほど私は私の見解を述べるわけでございますけれども、そこをお答え願いたい。
  19. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) わかりました。この法務省のいわゆる灰色政府及び議会関係者という意味について、私はしばしば答弁しているんですね。ところが、法務大臣答弁刑事局長答弁とがぴしっと一致してないとか、あるいは総理大臣答弁法務大臣答弁とぴしっと軌を一にしてないとかいうこと、それでは困るではないかと、こう濱野委員会でごもっともな御指摘がありましてね、速記録を調べていただきましたが、そんなに違ってませんと思いましたがね、たしか。もしそういう御心配があるならば、いままでの速記録をずうっと調べれば出てくることでしょうからそれはお示ししましょうということなんです、単に。しかし、もし皆さん方もそういうのがあれば欲しいなとおっしゃれば、いつでも、それは用意できるかどうかわかりません。刑事局長などは、そんなことはわしらのやることでありませんで国会がお決めになるべきことじゃありませんかと言ってますが、いままでの答弁に不統一があるというならば、そういうことはないんですから、いままでの答弁範囲内においてこれが統一した見解ですということはお示ししましょうときのうは答えたんですね。ですから、この皆さん方がお決めになるべき、国会がお決めになるべき、道義的政治的責任追及する範囲はこれだと、いわゆる灰色はこれだと、こういうことを私が決めてお示しします、そんなんじゃないんです。これは御理解願いたいと思いますな。
  20. 野々山一三

    野々山一三君 法務大臣、私の言っていることとあなたの答えている次元が違いますわ。あなたは、国会がいろいろ議論をしているので、調査をしているので、このロッキード問題の一つのいわゆる灰色高官云々の問題は国会でその基準決めればいいではないか、国政調査権というものはそういうものではないかという次元からだけ答えていらっしゃるわけで、私に言わせると、その話は一応横ちょへ置いといてもらって、いまあなた自身が語るに落ちられたわけですけれども、総理大臣答弁、あるいは法務大臣としてのあなたの答弁事務当局答弁というものには、不統一というような言葉を使っていいかどうかは別といたしまして、混乱をしているということには間違いないと思うんです。これはロッキード問題が提起された今日以後の歴史的な経過をずうっとながめてみれば、全く混乱して、一生懸命歩いとったら山の中へ行って自分が行くとこどこだかわからぬというようなところに行っているんではないかとさえ思うほどの混乱をしていることは間違いないので、そういうことは余り強くは言いませんけれどもね。したがって、この際政府としては、いわゆる灰色高官と言われるそのことの意義、つまり、先ほど言われたように、政府及び議会関係者というのを灰色高官と言われる者の部類なんだと言われたわけですけれども、置きかえられたわけですけれども、そういう言葉、及び刑事上の責任追及、あるいは政治的、道義的責任の問題、あるいはもっと、後で大蔵大臣を呼んでいますけれども、税法上の問題、あるいは外為法上の問題、あるいは政治資金規正法上の問題、などなど各般の問題がございますが、これはお認めでしょう。そのものについて、政府としてはかくかくしかじか統一した考え方で臨みますと言うのが一つだろうと思う。臨みますと、こういう考え方で臨みますと言うのが一つだろう。第二は、その結果として、捜査をきわめた結果、かくかくしかじかの者は公表する、こういう者はしないというような趣旨——趣旨のでございますよ、政府としての見解をこの委員会にお示しになる気持ちはありませんかということを聞いているわけなんでございます。そこで、つけ加えますけれども、そこをお示しいただいたらそれでいいというものではないんで、あなたの言われるように、国会国政調査権という分野においてこの事実を最大限究明していく、そういうことの一つの重要な資料としてこれを受けとめる必要があるだろうということが一つ。それから第三には、一般論ですけれども、国民的な、究明の結果できるだけの理解を得る、それには行政府として最大限協力をするというところで、この問題の究明目標点というものが明らかになるんじゃございませんかということをつけ加えて、私は改めてあなたの——どうも私の聞いていることとお答えになっている心情が違うように思いますから、改めて伺うわけであります。
  21. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) いわゆる灰色云々範囲とか定義とか、そういうことについては速記録をごらんになっても混乱はないんで、ただもう一つの問題である公表のやり方、形式、いつ、だれが、どこでそのいわゆる灰色高官という定義が決まって、その者をいつ、だれが、どこでどういうふうに知らせるか、国民に。知らせる権利に対して協力をするかという点についてはまだ決まっておりませんもんね。その点では総理大臣、それから私、刑事局長、そういう点では決まってないんですから、また決められるべきことじゃありませんから、いまこの段階で。決めて御答弁申し上げられるべき段階ではありませんから、それは決まっていません。その点では混乱があると言えば——言葉はともかくとして、決まっていないことは決まってないんですね。ですから、混乱があるように見えると言うて差し支えないでしょう。御指摘のとおりです、二つに問題を分けると。そういうことでございますが、それにつきましても、こういう世論をも踏まえて、それから議長裁定をも踏まえて忠実にこれを守っていくという気持ちに変わりはありません、公表について。
  22. 野々山一三

    野々山一三君 具体策として混乱があると言えばあるんであるから、一つの物差し、一般論で、表現で相済まぬのですけれども、物差したる政府統一見解、処理に対するですね、いまおっしゃられたようなもの。いまはないとしても早急に委員会にお出しになるつもりはございませんか。
  23. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) できたら直ちにと——またできるかできないか、できたら直ちにということでなく、議長裁定にもありますように、捜査推移を見てお求めがあればお出しするという気持ちでございます。捜査推移を見て。
  24. 野々山一三

    野々山一三君 そこまでまいりますと水かけ論みたいで、捜査推移を見てって。  そこで、前段としてお伺いしたように、できるだけ早く、しかも緻密かつ正確なものを、捜査を完了したいと、そうして所要の手続をしたいと、こういう御意思なんですから、捜査が緻密で正確で、かつ、国民の疑惑を解消できるという趣旨のものであることには、お気持ちの上であることには間違いないんで、その具体論として、その作業が進行してまいります、いますぐにそれを出せとは言いませんけれども、できるだけ早い機会に国会を通してこの基準を明らかにするというのが正当であって、仮にきのうの自民党特別委員会の中で示したものが、言葉が正確にああいうふうに書かれているかどうかは別問題といたしまして、自民党特別委員会でその協議をしたもので政府としての方針を決めますなどと言われると、国政調査権を軽視しているもはなはだしいではないかということになりますから、その二つの面、一つはできるだけ早い機会に統一見解を示します、この委員会出しますと、そして究明の目的を十分に果たすようにいたしますというお答えはできませんかと伺っているわけなんです。
  25. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) それはもう当然にしなけりゃならぬことじゃないでしょうかね。その定義も決まらぬで公表とか不公表とか言ったって始まらないことですからね。もうロッキード問題の究明は最大のいまの政治課題ですから、それから法務省としては、また検察当局としては最大の職務ですから、これはもうできるだけ早くそういう見解をぴしっと決めることが真相究明に不可欠の要件だとさえ思うくらいに思っているんです。ですから、これはできればなるべく早く野々山さんのおっしゃるように申し上げた方がロッキード問題調査特別委員会究明のためにも御便宜じゃないかと、よけいなことですけれども、思う次第ですね。  それからもう一つの方が——これで尽きていますかな、私の答弁は。もし不十分であればまことに恐縮ですが、答弁漏れがあると御指摘いただきたいと思います。
  26. 野々山一三

    野々山一三君 いま大臣が言われたのは、できるだけ早く的確な捜査を完了いたしたい、それについては国民の疑惑を解消するために一定の基準議会に示して、そのことも一つの基本の柱にして国会がロッキード問題究明の目的を果たすように協力しますと、こういうことのお答えだと私は解して、二つの点というのはそれでいいわけですけれども。  そこで委員長ね、いま大臣のこのお答えは、自民党特別委員会統一見解を出すというのはこれは余分なことで、国会で当然示すのがあたりまえという前提でいまお答えになったと思うんでございます。できるだけ早い機会にこれは理事の皆さんにもすみやかに——ある意味では大臣も八月までなんてかかっちゃいけないんだという趣旨もあるようで、早く捜査を完了したいということもあるし、捜査の成り行きを見てこれは明らかにしたいということでございますから、委員会——委員長以下理事の皆さんもその時点を的確にとらえて政府統一見解を求めるということが議長裁定真意でもあり、これを具体化しているものでもあるという意味で、そういう趣旨委員長もひとついまの私の質問に絡む問題についての処理をいただけるかどうか。委員長にちょっと伺いたいと思います。
  27. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 野々山君に申し上げます。  ただいまの申し出につきましては、十分理事会におきまして相談をいたしまして委員長として善処いたします。
  28. 野々山一三

    野々山一三君 次に官房長官、総理大臣に本来来てもらいたいわけなんですけれども、先ほど来法務大臣とロッキード問題に絡んで議論をいたしておったんですが、三木内閣としてはロッキード問題究明三木内閣の使命である、それは議会制民主主義を守る根幹でもある、そういう姿勢で臨んでいらっしゃるということは、その中心的人物であるあなたは官房長官として異論はないところだろうと思いますが、問題は、先ほど法務大臣との間に質疑をいたしておる間に、ちょっとこうわかったようなわからなくなったんですけれども、きのうの報道するところ、捜査が八月いっぱいはかかるであろう、ロッキード問題は。したがって臨時国会は九月以降でいいと、それ以上早く開いてもらっちゃ困るんだとかの趣旨に聞こえるような報道が一斉に出されたわけでございますけれども、一体ロッキード問題究明と今日の政局のもとにおける臨時国会というものはどのように、どうお考えになっていらっしゃるんでしょうか、まずそこを伺いたいわけです。
  29. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 法務大臣とすでにやりとりがおありのようでございまして、私はそれを聞き漏らしましたが、三木総理のこの問題に対する姿勢は、野々山さんおっしゃるように、日本の民主政治の根幹にかかわるきわめて重大な問題である、この真相の解明については自分は全力を挙げてやらなければならぬ、この姿勢は少しも変わっておりません。十分な熱意を持っておると私は傍らにおって考えておるわけであります。  そこで法務当局捜査並びにこれからの展望というものについては、私もまだ稻葉大臣とそういう点について触れたことはございませんけれども、捜査のお立場からのきっと御発言であろうかと思うんでございますが、同時に政府といたしましては、前国会における重要な法案の積み残しもあるわけでありまして、そういう点をも勘案して、しかるべき時点に臨時国会をまたお願いをしなければなるまいと、かように考えておるわけでありまして、まだ具体的にいつごろをめどというところまでは——そういう事情を十分に踏まえた上で、その上で判断をいたしたいと、かように思っておるのであります。
  30. 野々山一三

    野々山一三君 賛否は別といたしまして、いままで前国会では財政特例法初め国鉄、電電公社の値上げ法案など重要法案と言われている問題は、いわばあらゆる機会を通して政府は一日も早くこれを通してもらわなければ困ると、それこそが日本の今日の経済危機を打開する道だと、こう主張され、答えられていらっしゃったわけだ。ところが議会が終わりまして今日の状況をながめてみますと、法務大臣自民党会議でおっしゃったと伝えられているものによれば、九月までは臨時国会やってもらっちゃ困ると、こういうわけなんでございますけれども、   〔委員長退席、理事岡本悟君着席〕 それじゃそこであなたに伺いますけれども、財政特例法などの現況をどう認識していらっしゃるのか、それからこういうことは心配だから言うんですけれども、たとえば鉄道労働者のボーナスなんというものは、いまだかつて予定の期日に払われなかったなどということはございませんね。その結果として、私はながめていて、労働者諸君も非常に慎重に事に処しているわいと思うのですけれども、もしこれが本当にそんなばかなことはあるかいということになったら、一体この社会的問題はどうお考えになるんでしょうか。  それから先週末の閣議の内容が新聞に報道されておりますが、一遍詳細に、どの閣僚がどういうふうに言ったかという、経済問題を中心にする事情をひとつ詳細に述べていただきたいと思う。新聞にだけ伝えられて、われわれ国会ではちっともそんなことは伝えられないわけですけれども、一体、詳細に述べてもらいたい。  それとロッキード問題究明との間にどういう政治的責任を内閣としては担当して感じてらっしゃるかということであります。非常に抽象的にはそれはあなたの言おうとしていることが何かちょこっとわかったような気がするが、ちょこっとわかっただけによけいわからぬようになっているのが実情でございます。国民皆さんは一体こんなことでいいかいという不信感が増大しているんじゃないでしょうか。その趣旨を正確にとらえていただいて一遍あなた方の見解を承りたいわけであります。
  31. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) いま御指摘の財政特例法を初め、国鉄運賃法あるいは公衆電気通信法、こういうものがそれぞれ本年度の予算と重要密接な関係のありますことは、これは申し上げるまでもございません。したがいまして、これをできるだけ早目に成立をさせたいと、ことにそういう法案を背負っておられる閣僚は非常にそれに熱意を持っていらっしゃることは、これは当然でございます。したがいまして、先般の閣議でそういうお立場の、たとえば運輸大臣、郵政大臣、こういう方々がこの法案の早期の成立に関連をいたし、そのためには何と申しても臨時国会が開かれなければ手の打ちようがないわけでありまして、そういう主張をなさったことは、これは新聞紙上等に大体伝えられたとおりでございまして、そういう一方においては要請がございますと同時に、稻葉大臣言われておるようなこの大きな問題も一つの考慮、判断の材料にしなければならぬと、そういうあたりを総合判断をして、いずれ国会の側に臨時国会をお願いをするということに相なろうかと思っておるのであります。  そこで、野々山さん後段にお触れになりました国鉄、特に夏期手当の問題でありますが、これは事情を一番よく御承知の野々山さんに私がかれこれ申し上げる要もなかろうと思うんですが、おっしゃるように、国鉄始まって以来こういう窮迫した財政状態というものはかつてなかったわけであります。しかし、さりとて、四十三万の国鉄職員諸君から見れば、これはまさに生活がかかっておる問題でございます。で、そういう点、このほど来主管の運輸大臣はもとより、財政当局とも、それぞれ何とかこれを打開する方途を求めるということで、鋭意苦心をいたしておる最中でございます。私もそれを総合調整をするというようなお手伝いをしなければなるまいかと、こういういま状況でございまして、せっかくいま努力をしておる最中でございます。
  32. 野々山一三

    野々山一三君 つまり、非常に端的に聞きますけれども、ロッキードは三木内閣の手で究明いたします、政治的、経済的危機、混乱考えています、心配していますというのがあなたのお答えですか。
  33. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) これはロッキードはもとより重要であり、それから三法案ですね、これまた国民生活に重大な関係があるわけでありますから、これをやはり両方考慮のうちに置きまして、どちらもひとつ国民の期待されておる方向において解決をしたいと、これが三木内閣姿勢でございます。
  34. 野々山一三

    野々山一三君 この問題に余り時間とりたくないんですけれども、七十七議会の末期から議会直後は——自民党内部の動静について余り触れたくないんですけれども、速やかに、できるだけ早い機会に臨時国会を開いて、財政処置にかかわる各般の法律の処理をしなければならぬという動静であったことは間違いないですね。にもかかわらず、何かこの間の閣議の内容から見ると、各閣僚の意見はわかったけれども、なお検討するということで三木さん何か閣議を終了されるという、その中心的な発言はどうも井出官房長官と、こんなふうに伝わっているわけなんですけれども、一体心配はしています、できるだけ早くというのだが、一体どう、いつ国会を開いていこうとお考えになるのでございましょうか。七月中旬説もあったり、下旬説もあったりしているわけですけれども、私きょう、前から、かつて大蔵大臣要求しているのだが、何かの都合でいらっしゃらないし、大蔵委員会でもさんざんその議論をし尽くしてきて、もうとにかく七月いっぱいに財特なんかは始末がつかなけりゃ内閣としては困るんだということをもう終始貫いていらっしゃった。その心境、大蔵大臣の心境といまのあなたの答弁とはどういうふうにどうなってくっついているんですか、非常に抽象的な表現ですけれども。どうもわからぬ。だから一言に言えば、経済的な問題は大変でござんすけれども、しようがありません、これはロッキード問題があるからですと、こういうふうに答えられればそれなりにわかるわけなんですが、そういうことでございますか。
  35. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) まあ私は先ほど来、ロッキードも、それからこの財政関係の法案も、これもやはりともどもきわめて重要な問題であると心得ておりますので、それらを総合的に調整をいたしました上、およそどういう時点に臨時国会をお願いしたならば一番スムーズにいくであろうかと、これをただいま検討しているわけでありまして、まだきょうの段階で定かにめどを申し上げるというところまではどうも残念ながら至っておりません。しかも、これ国会にお願いをするわけでございますから、野党の御感触等もつぶさに伺う必要もございましょう。そういうことで、これはまあ自民党サイドで野党の側へもそういうふうな問題について、まあおよその御感触はどうかというふうなこともしてみていただいた上と、こういうことにも考えておるわけであります。
  36. 野々山一三

    野々山一三君 それじゃ一言で聞きますが、臨時国会は早く開いて財政関係諸法を通さなきゃいけないという気持ちなのですか。それとも法務大臣がきのう自民党会議で言われたと伝えられているように九月以降で結構ですというところのどっちがあなたのお考え中心ですか。
  37. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) 野々山さんに申し上げますが、きのう自民党ロッキード問題調査特別委員会で私が申しましたのは、ロッキード問題調査特別委員会ですから、ロッキード問題の究明を非常に大事に考えるという立場の人だと思いますから、そういう性質のものだ。だから法務大臣立場からわがままを言わせてもらえばそれにこしたことはないねということで、九月前では困るなどという発言はしてないんですね、困るなどという。わがままを言わせてもらえばそういうことになりますなということでありますから、ですから政府としてあれだけの重要法案を各閣僚が抱えて、そちらの方の立場の人はそちらの方の立場で、どう官房長官、総理大臣がこれを調整なさるか、それは官房長官お答えになるでしょう。
  38. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 私の申し上げる前に稻葉大臣が、まあ真意と申ますか、昨日の模様を先に申し上げていただいたわけでありまして、そういうことを踏まえてどう調整をするかと、これは内閣の仕事でございますから、私はその間、それぞれのお立場はありましょうけれども、一番適切な時期を選ぶということは可能であろうと、こういう考えのもとに今後調整をしてまいりたいと、かように思います。
  39. 野々山一三

    野々山一三君 次元を変えて——というような官房長官の答弁などをなさっていらっしゃる精神及び自民党内部の事情があるものですから、河野洋平君のようなああいう六人新党組ができ上がっているが、それはどういうふうにお考えになるでしょうか。つまり密室政治、ごまかし政治、もっと言えば寄り切り政治とでも言うか、三木インチキ政治、非常に言葉が悪いから、言葉が悪ければ——というような批判が集中しているから河野洋平君などのような分党問題が起こり、政局不安が——一層経済的な今日の問題を打開することができないような事態になっておるんじゃないでしょうか。一音だけその点についてあなたはどうするつもりなのか、お答えをいただきたいと思います。  いまの事態を私どもながめてみれば、恐らく分党するでしょう。そして混乱は一層拡大するでしょう。そうすると、議会を早く開いて対処しなければならぬというかのごとく聞こえるような御発言でございますけれども、実態的にはなかなかそうはいかぬのではないかと思われるんで、そこを一体、一言だけでいいんです、三木内閣としてどういうふうにお考えなのか。あなたが答えにくいというなら、ひとつぜひ、十分なり二十分待って結構ですから、ひとつ三木さんにここへ出てきてもらって、それを聞かなければ、ロッキード問題一の究明はできないのではないかとさえ私は私なりに思うのでございますよ。一言でお答えを願いたい。
  40. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) ただいまの時事問題については私は論評をいたすことはひとつ差し控えさせていただきます。  いずれにもせよ、この生起しているいろんな政治問題、これに対しては非常に苦心をしつつ対処しておると、こういうふうにお受け取りを願いたいのでございます。そうしてそのことがロッキード問題に対する総理姿勢というふうなものには私は決して影響はないと。これはもう従来ともに申し上げておりますとおり、やはり日本の民主政治は、今回のロッキード事件というような、いわば一つの災難かもしれませんが、これをやはり乗り越えていかなければならない、そこに日本の健全な民主政治の発展がある、こういう考え方においては総理は少しも変わっておらぬことを申し上げるわけであります。
  41. 野々山一三

    野々山一三君 私は時間がありませんから、一言に、いま官房長官並びに法務大臣お答えになっているものを私流に集約いたしますと、全く国民関心事であるロッキード問題は研究します、検討いたします、捜査をいたします、一生懸命やってますということだけに尽きるような感じがする。それを一つのてこにいたしまして、三木内閣というものは、三木内閣でなければこの究明ができないというきれいごとによって、言うならば財政問題など国家的な重大な経済問題などの解決のために、言葉では熱心にやります、一生懸命やりますということ以外に、言葉ではそういうことなんですけれども、実際はちょっとも進まない。そういう事態が今日の事態であるというふうに認識せざるを得ません。あなた方のお答えではどうも納得できない。そういうことで今日の日本の政治不信、国民の政治に対する不信感を解消することは困難であるということを率直に提言をして、その問題終わっておきます。別の機会にまた改めて伺うことにいたしましょう。  次に脱税問題、贈収賄問題についてひとつ改めて伺いたいと思います。  まず児玉譽士夫の脱税額の数字から伺いたいんでございますけれども、税務当局いらっしゃいますか。四十五年から四十七年分についてでありますけれども、四十五年のごまかし所得は三千八百万、追徴金が三千五百万、延滞税が九百万、   〔理事岡本悟君退席、委員長着席〕 それから四十六年はごまかし所得が一億三千五百万、追徴金が一億二千五百万、延滞税が二千八百万、四十七年はごまかし所得十一億五千百万、追徴金十一億一千五百万、延滞税一億八千八百万、この数字には誤りはございませんか。
  42. 系光家

    説明員(系光家君) お答え申します。  児玉譽士夫につきまして昭和四十七年分の所得税につきまして所得税法違反があったということで告発をいたしまして、それに基づきまして起訴されているということでございまして、その際に起訴状に書かれております数字によりますと、十一億四千二百万の所得の脱漏があったと、これがまあ脱税所得であると、こういうことになっているわけでございますけど、その際に私どもその脱税の調査の過程におきまして、四十五年分、四十六年分、さらにまた四十七年分につきましても、いわゆるロッキード以外の領域におきまして従来の申告漏れがあったということで更正措置を講じたわけでございますけれど、その数字につきましては従来発表を差し控えさしていただいているわけでございまして、いま、したがいまして先生がおっしゃいましたその数字につきましても、そのとおり間違いありませんというようなことをここで申し上げることを差し控えさしていただきたいと思います。
  43. 野々山一三

    野々山一三君 新聞で発表されているのは、あれは勝手な新聞の推測だということでございましょうか。これが一つ。  それから他の所得に対して申告漏れがあったというものについても答えてないんで、本物も答えられない、こういうことなんですか。答えられない理由は一体何でしょうか。  それから時間がありませんから、どんどん聞きますけれども、他の一般国民がこういうような事態を起こしたら一体どういうふうに対処されるんでしょうか。こういう脱税問題はぴしぴしとすんなりやられていくのがたてまえであって、それが今度の場合はどうなっているんでしょうか。これを一括お答えいただきたい。
  44. 系光家

    説明員(系光家君) なぜ答えないかということでございますけれど、まず新聞にいろいろ数字が出たわけでございますが、あの数字につきましてまだ私どもとしまして発表したことはないわけでありまして、またその新聞の数字が正しいとか正しくないとかいうようなことを公式に申し上げたこともないということでございます。これはまあ先生よく御承知かと思いますけれど、やはりこの税務調査の結果知りました、知り得たことをいろいろ発表しますと、税務行政上大変差し支えがあるということで、従来からまあ御了解をいただいているというふうにいま私理解しているわけでございます。  また、その他一般の納税者におきまして同様なことが起こったらどうかという御質問でございますけれど、やはり同様に扱っているわけでございまして、決して数字につきまして、こういう非違を見つけて、こういう額について更正をしたといったようなことはどなたにつきましても発表はしないということでまいっております。
  45. 野々山一三

    野々山一三君 二つ伺いますが、その真相究明というこの委員会国政調査権という分野、そんなむずかしいことは別といたしまして、そういう分野から真相究明をしたい、脱税問題。そういう趣旨でながめたならば、一般的に守秘義務が職務遂行上知り得た秘密であるからこれは公開できないという一般論で、それらに対応することが一体最大限協力という内閣統一見解趣旨に照らしてみて一体適合するものなですかということをまず聞きたいわけです。  それから第二番目に、私の推論するところ、この種の脱税行為というものは、まあたとえばあなたと私とが売買をしたと。ところが、あなたが頼む、こっちはこれはひとつ帳簿に記載しないでくれということで起こる事件があって、そういうことがあって、ところが買った側なり売った側が、これが税務調査の結果調べられたと。泣き寝入りというものが起こる事態がよくあるわけでございますね。今度の二の児玉事件というものも、そういう全部いろいろな金が、先ほど言われたように十一億何がしというような金が児玉の所得になっておって、児玉が全部これをかぶっておるのか、その金がどっかへ流れているのかというような事態は、児玉事件と一般国民のそういう所得にかかわる事件とどんなふうに違うんでしょうか、違いがあるんでしょうか。特別な理由があるんでしょうか。参考までに承りたい。
  46. 系光家

    説明員(系光家君) まず児玉譽士夫のこのロッキード関連の脱税の真相究明に資するというこの国会国政調査権について最大限協力をするという見地から、守秘義務についてどう考えているのかということでございますが、私ども従来からいろいろな機会に申し上げていると思いますけれど、この真相を究明するという国政調査に対しましては、もちろん最大限協力したいと思っておるわけでございますが、いまのところまだこの児玉につきましては、四十七年分につきましては公判請求されておりまして、やがて刑事事件としまして公判廷でいろいろな証拠が出されていくということでありますし、またその後四十八年分、四十九年分につきましてはなお調査を続行いたしているわけでありまして、そういう見地からもいまの段階におきましていろいろこの調査の現状、調査の進捗度合いにつきまして申し上げるということは、いろいろな意味で差し控えさしていただきたいと、こういうように考えているわけであります。  また御質問の二段目におきましては、児玉譽士夫から出た、金が入ったこと、さらにまたそれから出たものがあるんじゃないかと、その点についてはどうなのかと、調べているのかといったようなお含みもあろうかと思いますけれど、その点につきましても私どももちろん児玉の所得を確定するという意味で、またそこから金が出ていった先があるとすれば、これがまた税法上の責任問題と絡んでくるという趣旨で重大な関心を持っておりまして、究明しなくちゃならないという体制を現在持っているわけであります。ただ、重ねて申し上げますけれど、やはりそれじゃどの程度証拠をつかんだのかということにつきましては、いろいろな調査の現状その他からしまして、ひとつ御答弁は差し控えさしていただきたいということを御了承賜りたいと思います。
  47. 野々山一三

    野々山一三君 四十七年、四十七年とおっしゃるけれども、申し上げたように、四十五年以降の数字を私は申し上げているわけで、その点は非常に四十七年、四十七年という限定されたものじゃないということで、まずあなたの方はお考えをいただかなきゃいけないわけですし、それから四十八年、四十九年では新聞報道を信ずるわけではないんですけれども、「児玉脱税、全容ほぼ解明48、49年分は12億円超す」と、「月末にも告発」ということが新聞には堂々と出ているわけですね。いま調査中だと言われる。それから五十年の申告は一億三千四百四十六万というふうに公示されておるわけです。これはもう公示されているわけですね。この額は妥当なんですか、更正はするというんですか。その扱い方について税務当局の見解を承りたいわけです。
  48. 系光家

    説明員(系光家君) お答え申し上げます。  まあ先ほど四十七年分、四十八年分、四十九年分につきまして触れたわけでございますが、確かに先生の御質問は四十五年分、四十六年分のことも指摘されておったということでございます。ただこの四十七年分につきましては、これは脱税事件刑事事件として告発起訴されておりまして、その全容は漸次公判廷で明らかになっていくと思うわけでありますが、四十五年分、四十六年分につきましては、すでに脱税事件としては手をつけた当時におきましてすでに時効が参っておりまして、これは通常の税務事件と、通常の課税案件ということで更正をしてあるわけでありまして、この点につきましては、この脱税事件ではなくて通常の税務事件であるというふうに理解をしておるわけでありまして、ほかの一般の納税者の案件と同様な考え方で、特段のこの公表とか発表等は遠慮さしていただくというふうに考えております。  また、五十年分につきましては、いま数字の御提示があったわけでありますが、五十年分の申告につきましては、現在やはりあらゆる角度から申告審理もいたし、いろんな資料、情報を総合してまいっておりまして、今後これを徹底的に検討、調査をしてまいると、こういうつもりでおります。
  49. 野々山一三

    野々山一三君 四十七年の分は九月三十日に東京地裁の刑事部で初公判が行われるということがもう通知されているわけですね。で、これは四十七年分の脱税の分で、四十八年、四十九年、五十年というものはいま調査中でございますと言っていらっしゃるが、この公判に間に合うんですか。
  50. 系光家

    説明員(系光家君) 四十七年分の第一回の公判が九月にあるということをおっしゃいまして、その時期までに四十八年分、四十九年分、五十年分が間に合うのかということでございますが、これは私どもはいまのところ、いつまでにこれを告発しなくちゃならぬというふうには実は考えていないわけでありまして、できるだけこういうものは一たん調査に手がけました以上、できるだけ早期に解決をしたいということで鋭意努力はいたしておるわけでございますけれども、それじゃいつまでに告発するかというふうな御質問に対しましては、現在まだその日取りをはっきり申し上げる段階には至ってないということで、ひとつ御容赦いただきたいと思います。
  51. 野々山一三

    野々山一三君 四十七年が脱税の問題、それから四十五年、四十六年は税務の徴税の問題ということですけれども、それはそれとして、先ほどちょっと国政調査分野から実情を的確に知るというためにどう対処するかという質問に対して、いわば私の読みですよ、これは税務事務であるから税務当局に任してほしいと、これは職務上知り得た問題であるから国会に提示をして審議を求める、調査を求めるということできませんと、こういう趣旨ですね、あなたの方のお答えは。  そこで委員長、たとえばロッキード問題で——たとえばと言うのは、現実的にロッキード問題で大蔵委員会で輸出入銀行の全日空に対する融資の申請内容、それから決定の内容、こういうものについて審理をいたしました。その際に、これは企業の秘密であるから答えません、職務上知り得た秘密であるから答えられませんということで、いまのあなたの税務調査と同じような次元で終始答えていらっしゃったわけです。しかし、これはただ単に委員会で国政審査をするということだけでは問題の解決にならないということで、秘密理事会に融資申請書の様式、そしてその内容は口頭で全部にわたりまして説明がなされたわけでございます。で、これは諸般の議論がありまして、結果として、大蔵大臣決定権者といたしましてそれを秘密理事会において公表することは結構であるという決定をしたんだと答弁がなされまして、そういう処置が行われたわけでございます。後でもずっと問題がありますけれども、この脱税問題の基本は、内容は全部税務調査でございます、言えません、そうして第二には、起訴されて裁判でこれが議論になるから国会では言えませんというわけで、全部が裁判に事件が移されてしまって、国政調査分野ではこれが全然関与できないというととは非常に不当である。疑問を解消することにはならないわけであります。  これは税務当局にも申し上げると同時に、委員長にも申し上げるんでございますけれども、他の委員会で同じような企業秘密であり、職務上知り得た秘密と言われるその秘密である、その問題について秘密理事会で問題を提起した人を招致いたしまして、その委員を招致いたしまして、それを精査した事実がつい最近あるんであります。この委員会でもこの脱税問題についての内容についてさような処置をする気持ちはございませんか。委員長にちょっと承りたいし、税務当局はそれに応ずる用意はないか。ないならば、私はけさは冒頭から大蔵大臣にこの問題もあるので、出頭を求めておるし、大蔵大臣が所管の大臣としてそういう処置を講じられた事実もございますので、いま申し上げたように、秘密理事会ででもこれを解明することによって国政調査分野から事態究明を図るという、そういう第一歩としてそういう処置を講ずる気持ちはあるかないか。これを承った上で、私はいま申し上げた点についてさらにきわめたい、こう思いますので、まずは委員長見解を承りたいわけであります。
  52. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 野々山君にお答えいたします。  大蔵委員会にありましたあの問題につきましては、委員長もよく承知をしております。で、この会のこの問題につきましてそういう同じような処置をとるべきかどうか、これはひとつもう少し内容なり、その必要性等を各会派とも相談する意味におきまして、理事会において検討さしていただきまして、その結論に従いましてしかるべき措置を決定したいと思います。しばらく理事会における研究——委員長単独でこうすると決定するわけにいきませんから、相談に、お任せ願いたいと思います。その結果で適当なことをまた御相談いたします。
  53. 野々山一三

    野々山一三君 各会派に相談するということは、事実、運営上の問題として私は否定しませんけれども、事実この問題、この種の問題はもう何回となく私はそういう実例を各種の委員会でやっているわけでして、それじゃ私は一遍すぐ、即座にひとつ理事会でこの秘密問題をどうするかについて協議してもらいたい。そうでないと、あと質問することはいっぱいございますけれども、先ほどの繰り返しみたいに、言えません、言えません、言えません、新聞は勝手に書いただけですと、そういう事態では、これはせっかくの質問もやったってこれは意味がないじゃありませんか。その点について、もう一回……。
  54. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 野々山君に申し上げます。  大蔵委員会において秘密理事会で聴取した問題と、この今回の問題は必ずしも同一事態ではないと思うんです。それは私は大蔵委員会の、内容的にはよく存じませんけれども、それを今回の問題につきましては、やはり刑事上の犯罪捜査とかそういう問題と絡んだ問題があると思いますね。そういう問題からこの秘密理事会で聞くべきかどうか、またそれについてはやはり当局の意見も一応聴取しましてお答えしませんと、いま私が直ちにあなたの要求どおり秘密理事会で聞くということの決定を申し上げるわけにいかぬと思うんです。それには理事会で相談する余地を与えておいていただきたいと、これが私の意見です。
  55. 野々山一三

    野々山一三君 これは水かけ論みたいになります。それなら、私は冒頭から、きょうは私の質問というので、冒頭から大蔵大臣の出頭を求めておったわけです。大臣を呼んできてください。この種の問題は類似するという言葉で私は申し上げていますが、類似するどころじゃない、実態的には同じ問題なんでございますよ。ただ扱った委員会が違うというだけなんでございますよ。大臣を呼んできてくれますか。それまでは質問を保留します。それから、関係当局と相談をしてということでございますけれども、関係当局の問題については大臣は他の委員会でございますけれども、それは大臣としての私の決定権に基づいて処置をしたことです、したがって、なお関係当局では答弁できないとするならば、大臣みずからが求められれば出頭してそれを解明いたしますと、こう答えていらっしゃるわけだ。そのことをつけ加えます。  それから、税務当局のお考えはいかがですか。いまそういうふうに大臣がすでに言ってられる一例をちょっと申し上げただけでございますけれども、それに対して応ずるかどうかはいかがですか。委員会決められれば応ずるということなんですか、いかがですか。
  56. 系光家

    説明員(系光家君) 税務の問題につきまして、この秘密委員会でございましょうか秘密理事会、そういうところで議論することができるかどうか、決定があったならば、というようなお話、御質問なわけでございますが、またその前提としまして輸銀の全日空に対する融資の問題につきまして、企業秘密ということ、また職務上の秘密という性格であったものをそのような場所で、理事会で披露した前例があるというようなお話だったわけでございますけれども、税務の当局といたしましては、通常のこの輸銀などの関係につきましてのいわゆる公務員の守秘義務というものよりも、税務につきましては法律上は罰則が、別途またより強い罰則があるといったようなこともありますし、非常に多くの納税者を抱えて税務行政をしているといったようなこともありまするので、できるだけその披露をするということをしないで、まあ私どもも全面的に何にも申し上げないということではないわけでありまして、できるだけの御協力をこの公開委員会で申し上げる、またその時期にもよろうかと思いますが、そういうことでございますので、できるだけそういう程度で御了解を賜りたいと、こういうように思っております。
  57. 野々山一三

    野々山一三君 いまのような状態でこの問題の究明ということは、すべて職務上知り得た秘密というものによって内容を知ることができない、確認することもできないという状態で質疑をすることは、続けても結果的に内容を究明することはできない。したがって、私はたくさん提起したい問題があるわけでございますけれども、この状態であとすべてこれはどうにもなりませんので、質問を留保するということで理事会でこの処置を協議してもらいたい。  それから、その際私は、先ほどうかがい知るところ、大蔵委員会などにおける例もあるのでということでございますから、その例に基づいて言うならば、提起した委員は理事でなくてもその理事会に出席ができるようにしてもらいたい。そこでその扱いについて意見を述べる機会を与えてくれるということならばこの状態で留保する。  それから次は、何回も言うようですけれども、所管の大臣も出席を要求しているのにかかわらずいらっしゃらない。これについてもどうするかは、ひとつ理事会で協議をしてもらいたい。  それから、これは事実上しようがないことなんですけれども、国税庁長官も次長も転任されるとか退職されるとかというので、新任者ばかりで、直税部長も新しい方、そういう状態であるだけに、非常にまあ私流に言うと初歩的な四角四面な話しか一歩も出ない。これではむずかしく言えば、この委員会で幾ら審議をしたってこれは審議の意味がないじゃないか、審議権というものを回避するのかと、こういう気持ちさえするんで、その点はひとつ早急な機会にいま申し上げた点を理事会で委員長のもとにおいても、理解ができるようにしてほしいという注文をつけて、繰り返しますけれども、この状態で留保するということにいたしたいと思います。
  58. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 野々山君に申し上げます。  ただいま申し出のとおり理事会で取り計らいます。
  59. 岡本悟

    ○岡本悟君 私は、前回このPXLの問題に関しまして質問の入り口で時間がなくなりまして、やめざるを得なかったんですが、その続きをやりたいと、こう思います。  あのとき申し上げましたように、私はこのPXLの選定に関して基本的に、日本国民の心情として自分の国の防衛に関する兵器を自分の国でつくり、調達するということは当然のことである。でありますから、その当の責任者である防衛庁が国産化に進みたい、これを決めたか決めないかは知りませんけれども、それは決めたとしても一向不思議はない。また川崎重工が、きのうも関係者を証人として呼んだわけでありますけれども、川崎重工が、防衛庁の意向がどうあろうと、政府の意向がどうあろうとおれたちは国産でつくるだけの技術も持っておるし、確信があるんだということで、ずっと準備を進めてきたということも一向不思議でないんです、これは。当然のことなんです。だから、私は本委員会におけるPXLの問題についての審査のあり方について非常に不満を持っておる。ということは、防衛庁は国産化を決めたじゃないかと、あるいは川崎重工を呼んで聞いてみたってやっぱり川崎重工も国産化を決めておるじゃないかと、そして膨大な人員なりあるいは予算なりをつぎ込んでおるじゃないか、それを不当な圧力でひっくり返したんだというふうな筋書きで進んできておるように思うんですが、私はそうじゃないと思うんですね。防衛庁の決定ということは、これは仮に決定されておるとしても、これは政府の決定ではないんです。防衛庁の願望であり、防衛庁はこうしたいと思っているだけで、それが政府の決定になっておるわけではないんであります。だから、政府の決定というものは全然なかったんだ、これは。たとえば、いままでのP2Jあるいはその前のP2Vにいたしましても、これをたとえばライセンス生産するということにつきまして、政府の決定があるという形はどこでそういう形が決定的になるかと申しますと、これは申し上げるまでもなく、予算がついたときであります。つまり大蔵省が同意したときであります。そのときに初めて政府の決定があったということになるのであります。もちろん大蔵省が予算をつけるかどうかについては、いろいろそのときになるまでにはいろいろ折衝があって、そしてどうしてもまとまらなければ最後的には防衛庁長官大蔵大臣が政治折衝される。それでも解決つかなければ、まあ総理が決断を下すと、こういうことになるわけなんでありますから、私はこの問題の扱い方につきまして、防衛庁の決定がどうであったとかあるいは川崎重工がどういう受けとめ方をしてやったかと、こんなことは問題にならないと思うんです。当然のことなんです、それは。国産化を進めたい、国産化にしたいということ、決定であろうがどうであろうが。だから、私は政府の決定があったかどうか、つまり大蔵省はこれに同意したかどうかということの経過を十分調べてみる必要があると思うんです。その前に私はいまのわが国の装備、なかんずく航空兵器についての、まあこれは装備一般でいいんですが、国産と輸入に分けまして過去十年間ぐらいのことでいいんですが、大まかに言ってどういうふうなことになっておるか、ごく概略でよござんすからお聞きしたいんです、最初に。
  60. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 国産あるいは国産以外と申します場合にはいろいろの定義のとり方がございます。ごく簡単に申しますと、輸入との比較がどうなっておるかというようなことをよく通常申しております。  それから、さらにそういうものでない、つまり輸入の場合にも一次輸入、二次輸入というのがございます。つまり直接防衛庁の輸入する分あるいはメーカーが輸入をいたしまして、それを防衛庁が買うという場合には、それは防衛庁の輸入ということにはなりませんので、それは実質的にはしかし輸入であると、しかし、形式的には輸入でないというような、いろいろな技術的な問題がございます。そこで御質問趣旨はそういうことではないと思いますので、非常にラフに申し上げたいと思います。  まず一般的に申しまして、現在防衛庁がさっき申しました一次輸入というので買っておりまするのは大体五%でございます。年間大体五%。それからそれにいわゆる間接輸入、いま申しました間接輸入的なもの、つまりメーカーがつくりまして、メーカーが輸入してくる。それを防衛庁が買い上げると、こういう形でございますが、そういうものまで入れましたいわゆる実質輸入というものは、推定でございますが二割前後であろうかと思っております。  それから、それが全体の状況でございまして、そのうち特に主要装備品についてごく簡単に申し上げますと、これはいささか数字は古いんでございますが、去年の終わりごろの数字でございますけれども、ごく大づかみに、いまある、保有しておるたとえば航空機でございますとか、船舶でございますとかと、そういうもののうちでいわゆる日本の中の国産というものは一体どれぐらいあるだろうかということでございます。つまり残高で見た場合でございますが、そういたしますと、航空機が大体八割程度が一応国産ということになっております。ただ、この場合にはライセンス生産もこの中に入れておりますので、ライセンス生産を入れますと、ライセンス生産の割合が、大体やはり全体の八割のうちのまたこの八割程度がライセンス生産になりますので、ですから実質的な本当の国産というものは一五、六%になろうかと思っております。  それから、その次の船舶でございますが、これは大体九割方国産でございます。それからあと、戦車等も八割程度。それから砲関係になりますと、これは米軍のMAPでございますとか、軍用品でございますとか、そういうものがございます。これは若干比率が低うございまして、一〇%以下というような、非常にラフに申しますとそんな感じでございます。
  61. 岡本悟

    ○岡本悟君 いまのお答えを聞きますと兵器、主要兵器についての国産と輸入の割合は航空機関係が一番おくれているわけですね。ライセンス生産というのは、これは国産と言えば言えますけれども、事実はやはり輸入と違いない。純然たる国産ということになると航空機に関する限りは一五、六%であろうというふうなお答えでありましたが、一番おくれておるということは確かなんです。したがいまして、いままでに関する限りはいわゆる対潜哨戒機で言えばP2V、P2Jに至るまではこれは外国のものを輸入したというに等しい内容と言って差し支えないんじゃないかと思うんです。PXLに関して初めてこれは国産の問題が大きく出てきたということは、その背景にやはりわが国の航空機に関する技術が非常に水準が上がってきたということを考えなきゃならぬだろうと思うんですが、ちょうど四十五年の七月でしたか、防衛庁として初めて、当時中曽根防衛庁長官であったと思うんですが、装備に関する基本方針をお決めになっている。これはやはりそれまでは国産にするか輸入にするかその都度の決め方であったのを、わが国の科学技術の力が充実し、レベルが非常に向上してきたという背景のもとにつくられたと思うんですが、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  62. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 御指摘のように四十五年度には装備の生産及び開発に関する基本方針というのを策定しております。その基本方針にのっとってやっておると、こういうことでございまして、いま大体御指摘のようなことであろうと思います。
  63. 岡本悟

    ○岡本悟君 いや、だからその背景がそれまでは国産とかあるいは輸入とか、その都度ケース・バイ・ケースで決めてきておったんだが、ここらでひとつわが国の科学技術の力も充実してきたから、ある程度これからは国産でいけるのじゃないかというふうな背景もあってそういう装備に関する基本方針というものが新しく設けられたというふうに私は理解しているのです。  ところで、昭和四十五年度にPXLの調査委託研究費が予算化された。それでその翌年四十六年度の予算で防衛庁は概算要求で次期対潜機設計研究委託費、これを要求したわけですね。しかしながら大蔵省はそれをけ飛ばして技術調査研究委託費、つまり四十五年度と同じような名称で、予算はふえておりますけれどもそういう名称で、つまり同じような目的のための予算を認めておる、こういうことであります。そこで、本委員会でも問題になりましたが、四十五年度で大体基本的な調査は終わって、そして四十六年度には防衛庁は基本設計の研究費を要求している、だからここでもうすでに国産はスタートしているんだと、防衛庁サイドにおいては、こういうやりとりがあったように思うんですがね。しかし、私どもの経験では素人ではありますけれども、一年で基本設計ができる段階まで到達できるとはとうてい考えられない。でありますから、防衛庁は四十六年度に概算要求で設計研究委託費というものを要求したのは多分に私は予算要求技術的な面があるんじゃないかと思うんです。と申しますのは、防衛庁サイドとしてはこれは国産化で進みたいのだ、だからなるべく早い機会に国産化の第一歩としての基本設計の設計研究に関する予算を取っておきたい、だからそれを早目にやっぱり大蔵省に対しては要求しておかぬと、要求した年度にすぐ予算がつくということはいままでの経験からいってもなかなかあり得ないことなんだから、これは予算要求技術として早目に出しておこう、だから防衛庁サイドとしては四十六年度に要求することに決めたというような点があるだろうと思うんです。つまり、裏の話ですから私の想像ですけれども、そういう多分に予算要求技術の面があってそういう概算要求をされた。つまり客観的に言えば、まだ設計研究の委託費まで要求する段階ではなかったけれども、予算要求技術的にはそういうやり方にしておきませんと、やはり一年なり二年なりの経過がないと大蔵もなかなか認めてくれないからとこういうような判断もあったろうと思うんです。これについては私は答えにくければお答えにならぬでもいいと思うんですが、こういう裏の話をはっきりしないと、こう表ばかり見ていくと、当委員会委員の方でも四十六年度はもう設計研究委託費を要求しているじゃないかと、こういうふうなことになってしまうんですね、とり方が。ですから、そこらあたり私はそうじゃない。これは一年じゃとてもこんな予算要求できる背景はないけれども、やはり予算要求技術としては積み重ねが必要だから、まず四十六年度の段階ではもう出しておこうと、こういうことであろうと思うんですが、これは防衛庁長官にお聞きしてもなかなか答えにくいことだろうと思うんですが、そういうふうな背景を明らかにしないとこれははっきりしない、表ばかり見ていると。どうですか、装備局長は。
  64. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) ただいまいろいろと含蓄のある御質問いただいたわけでございますけれども、私どもの方は非常に率直に申し上げまして、一応四十五年度の基礎研究というもので相当いけるだろうというふうに思っておったわけでございます。と申しますのは、四十三年ごろから海上幕僚監部、いわゆる海幕でございます。それからあるいは技術研究本部等におきますいわゆるORというものもやっております。それから技本の中においても一応いろいろな部内研究と申しますか、ということでの知識の積み上げはずっと行われております。これはなぜかと申しますと、四十一年度のP2Jが入りました後次期対潜機の問題はすでに関係者は皆考えておったわけでございますので、そういう意味で当然次期を予想した勉強はしておったということでございまして、私どもとしては四十六年度にこういう概算要求をいたしましてもまあ何とかやれるのではないかというふうに考えておったわけでございます。ただ結果といたしまして、この点につきましては大蔵省の方から時期尚早と申しますか、もう少し勉強をしなさいという御指摘をいただいたわけでございまして、私どもの方もそれはまあごもっともであるということで基礎調査に入っていったということでございます。したがって、結果においては四十五年、四十六年あるいは予算的には四十七年というようなことになっておりますが、私どもの方の実際つくる方としてはこれで何とかやっていきたい、こういう考え方を持っておったと、こういうことでございます。
  65. 岡本悟

    ○岡本悟君 どうも裏の話についての私のお尋ねでありますので、お答えにくいということはよくわかるんですが、そういうことはある程度明らかにしておかぬと、この見方に狂いが出てくるんですね。だから四十五年度の予算の性格、四十六年度の予算の性格というようなものをやっぱり分析していかないと、お互いにこういうふうに理解するということで一致しないと、そこらあたりからいろいろ疑惑が出てくるんです。で、お尋ねしたわけなんです。  そこで今度は大蔵省。大蔵省は結局はPXLについての国産化には同意しなかったわけなんですがね。四十七年ですか、この委員会で問題になったんですが、四十七年の十月二日に四次防の各項目に対する実質的な第一次査定をやっておりますね。そのときにこのT2とFST2改を輸入に切りかえよと、すでにT2はその年度で二十機の予算が決定しておった段階であります。これが本委員会でも問題になっておる。十月二日にそういう内示をしておいて、そして十月の八日、日曜日の晩には大蔵省の宮下主計官がT2とFST2改は国産化はよろしいと、PXLはいかぬと、こういうことを言って来たんで、突如としてその輸入の問題を持ち出してきた。そして一週間たつかたたないかのうちに今度はそれは国産化はよろしいと、PXLはいかぬ。おかしいじゃないかということなんですね。それで私はこういう推測をしておるんです。これは大蔵省のよくやる手ですけれども、まさかT2とか、FST2改を輸入に切りかえいというのは本気で言った話じゃないと思うんです。これは予算の折衝のやりとりのテクニックと申しますか、防衛庁が非常に熱望しているT2とT2改、これにオーケーを与えてやればPXLはあきらめるかもしれぬと、そういう作戦から、その前に、まず本命と目されておるT2とT2改を輸入に切りかえたらどうだと、当時外貨事情もありましたので、そういう大義名分をバックにして大蔵が切り出して、それでびっくり仰天さして、そのT2、T2改に防衛庁の関心というものを集中さして、そしてそれは最後にオーケーをして、PXLは相打ちというかっこうにしようという、そういう作戦であったように私は過去の経験からこれはわかるんですけれども、一般の目から見ますと、これは非常に奇怪な出来事になってくるわけなんですね。十月二日に、いままで国産化に決まっておったものを輸入に突如として切りかえいと言っておいて、そして一週間後には今度はそれは国産化はオーケーと言っている。そのかわりPXLはあきらめなさい、こういうことであろうと思うんですが、どうもこれが一般の人にわかりにくい。私はそれは大蔵省独特の予算の折衝の駆け引きだというふうに見ておるんですが、どうですか、それは。また裏の話ですから非常に言いにくいとは思いますけれども、一般に非常に疑問にしているんです、これは。
  66. 高橋元

    説明員(高橋元君) いま先生からお話がありましたように、十月二日に四次防の主要項目の内示をいたしました。その内示の際にT2とFST2改、これは輸入を検討してほしいという御要請をいたしたわけでございます。  T2につきましては、四十七年度予算で二十機でございますか、国産化ということで予算がついておったわけでございますが、しかしながら、四次防、四十七年度の予算の国会審議の段階で、T2に関する予算というのは凍結になっておりました。四十六年の暮れから外貨事情と申しますか、国際為替相場が著しく変動いたしまして、従来でも、T2及びFST2改は国産が輸入に比べてかなり割り高につくということでありましたのですが、三百六十円レートを前提にしてそうであったものが三百八円という新しいレートになってみますと、その差が一層著しくなってまいりました。数字を申し上げて恐縮なんですが、T2につきましては、当時の見積もりでは一機当たり十四億円、それに見合いますFsBといいますか、これで見ますと九億弱、それからFST2改でございますと十六億五千万ぐらいのものが輸入機の場合には十億と、これはいずれも海外の資料によってした試算でございます。このように一機当たりの購入単価が著しく開いてまいっておるというのが当時の情勢でございますので、したがって、大蔵省といたしましては、四次防の主要項目の内示をいたします際に、機種を限定しないで輸入について検討してほしい、これは財政の効率的な使用という観点からの、私どもとしては予算を作成していきます際に常にお願いをしておることで、先生おっしっるような意味の駆け引きということではないわけでございます。  それで、防衛庁が実際に輸入機また国産機、それを運用される場合に、どういう運用上の利点があるのか、技術的な問題があるのか、そういうことはもちろん防衛庁の方の御要求によることでございますから、私どもは財政、予算を預かっております立場から、効率的にぜひやっていきたいということでお願いをしたわけでございます。
  67. 岡本悟

    ○岡本悟君 それは、大蔵省は子供じゃあるまいし、何の理由もなしに輸入に切りかえを検討したらどうかということを言うわけじゃないんです。だから、そのことは、いまおっしゃったような答弁は前の委員会で聞いているんです、あなたは出席してなかったからですけれども。で、一応表向きのかっこうのいい理由をつけて検討しろということを言ったんですよ。それはそれでもっともらしいんですがね、しかし背景は、事の真相は私はそうだと思う。輸入を検討したらどうかと言っておいて、一週間後に今度は国産化はよろしいと、こう言って、そのかわりPXLはいかぬぞと、どうもこれは予算の折衝の駆け引きと見ざるを得ないんです。大蔵省はよくやるんです、これは。日常茶飯事的に行われる。だから、そういうことは表座敷では大蔵省としては肯定できないでしょうけれども、私はどうもそういうにおいが強いと思っております。  それから大蔵省はP3Cの存在というものをいつごろから知っておられたかですね、つまり、事航空機に関しては、ライセンス生産によらないで本格的な国産に乗り出そうという非常な意気込みで防衛庁はおったわけですね。それで四十五年度の予算折衝もしたんだろうと思うんですが、その予算はついた。そういう状況の中で、大蔵も、一体これは国産化に発展するのかどうか、いろいろそれは前提にしない予算だということをしつこく言われたであろうと思うんですが、特に大蔵省は財政を預かる見地から費用対効果の問題、非常に大きなウエートをかけておられたと思うんですがね。そういうこともありまして、P3Cの存在というものを早くから知っておったのじゃないか、これはリリースできるかどうかはそれは別としても。その存在をそれはいつごろから知っておったかということなんですね。
  68. 高橋元

    説明員(高橋元君) お答え申し上げます。  PXLの問題を検討してまいりましたんでございますが、たしか四十四年にこれはアメリカで量産に入っていった飛行機かと思います。四十五年から四十七年、各年度予算編成の過程で次期対潜哨戒機の問題が取り上げられてきたわけですが、防衛庁から私ども説明を伺っております段階で、ニムロッドとかアトランティックとか、そういうものとともにP3Cというものも挙げまして、その性能について御説明を承っておりました。したがって、いつから承知しておるかという御質問でございますれば、四十五年以降予算要求の際にそういうことは承っておったということでございます。
  69. 岡本悟

    ○岡本悟君 これはこういうことなんですよ。防衛庁の資料によりますと、すでに四十三年の三月八日にP3C用のANEWの機器に関する資料の提供を在日米軍事援助顧問団に要請している。四十三年の三月からスタートしているんです。ですから、耳の早い大蔵省がすでにこのころから、P3Cという次期対潜哨戒機としては非常に優秀なものがあるんだなぐらいは御存じであったろうと思うんです。そのことがやはり四十五年度、四十六年度の予算をいろいろ審査なさる場合にも、費用対効果、特に四十六年の八月には、御承知のように、ニクソンのドル防衛に関する声明があった。四十六年の暮れには、円の切り上げ、ドルの切り下げがあったと、こういうふうな国際情勢もあったし、やはりこのP3Cという存在は、大蔵省、予算を審査されるに当たってしょっちゅう頭の中にあったんじゃないか、これの比較がですね。そういうふうに私は判断しているわけなんですがね。だから突如として四十七年に至って四次防の項目での実質的な第一次査定でPXLはノー、こう言われたんではないと思うんですね。ずっと四十三年——あなたは四十五年からと、こうおっしゃったが、そのころから一応、大蔵省よく勉強せられるし、耳が早いんですから、だからそんなことは百も承知の上でいろいろ査定にも当たっておられたと思うんですがね。その辺はどうなんですか。
  70. 高橋元

    説明員(高橋元君) 毎々申し上げておりますように、PXLの開発につきまして非常に多額の開発費がかかる。それができ上がった対潜哨戒機というものの性能についてはまた別途防衛庁の技術的な問題がございますけれども、多額の研究開発費を投入することがいいかどうかということで、私どもは先ほどもお答え申し上げましたように、四十五年度の予算要求でございますから四十四年の秋になりますか、そのころから機種を限定しませんで、申し上げましたようにニムロッドとかアトランティックMKIIとか、そういうものとP3Cも含めまして一般的に輸入について検討してほしいということを主張してまいったわけでございます。四次防の策定の段階で突如それを取り上げたのではないことはいま岡本先生のおっしゃるとおりでございます。
  71. 岡本悟

    ○岡本悟君 それでは次に国防会議事務局長にお尋ねしますが、この委員会一つ疑問になっている点は、四十七年の十月九日の国防会議議員懇談会で専門会議を設置して検討しようじゃないかということになって、実際専門会議が発足したのが一年近くもたって翌年の八月になっておる。一体一年近くも何をぼやぼやしておったのか。これはやっぱり引き延ばしということに関係するんじゃないかという疑惑を生んだ一つの原因になっているわけなんですね。あなたの説明がどうもはっきりしない。これはいわゆる役人仕事ということでもたもたしていることも相当あるんですね。経験的に言うんですけれども、そのうちに時がすっとたっちゃうこともあるんです。だからそういった経過を率直に洗いざらいお話しになったらどうですか。やっぱり疑惑を持っている人がある、これはことさらにそうやって延ばしたんだろうと言って。どうですか。
  72. 内海倫

    説明員(内海倫君) いま仰せのように、四十七年の十月に了解事項ができまして専門会議が発足いたしましたのは八月でございますから、その間十ヵ月を要しておると。これにつきましては確かに理解をしていただくのにはなかなか困難かと思います。ただ、いままでも私御答弁申し上げておりますように、いろいろな事情を申し上げてみたいと思いますが、まずこの了解事項というものが、突然というと言葉は適当でないと思いますけれども、議員懇談会におけるいろいろな論議の末にでき上がったものでございます。これをどう具体化していくかという問題は、当時非常にむずかしい問題であったと思います。たまたま私はその当時はまだ不在しておりまして、その当時の事情までは明らかにはいたしませんけれども、いろいろ事務当局の方で検討したことは事実でございます。  年末になりまして事務局長が交代いたしまして、私の手によりまして翌年一、二月からいろいろさらに検討を進めました。検討を進めましたが、端的に申し上げまして、私のところにおりますごくわずかな人間によりましていろいろ仕事をやるわけでございますが、考えなければならない問題としまして、この専門家の会議というものを基本的にどういうふうな性格でとらえるべきか。これはもう大変むずかしい問題でございまして、いわゆる審議会風なものとするならばこれはやはり法律の基礎を必要といたします。しかし、了解事項で専門家の会議を設けるというふうな基本的な方針が、方針といいますか、基本的な合意がなされております。これに基づいてつくるとするならばどういうふうなものであるべきか。いろいろ検討いたしましたが、これはやはり事務局長が資料収集ということの仕事をやるため、事務局長の職務権限の範囲内にとどまるものであろう、こういう理解のもとで基本的な考え方決めたわけでございます。  さらに、これにつきましてどういうふうなことを専門家の皆さんに検討をお願いすべきであろうか。これもいまになりますときわめて端的に言えることでございますけれども、これをどういうふうに定めていくか、どういうふうにしぼっていくか、いろいろ検討しあるいは論議をいたしまして、結局問題は、大蔵と防衛の間でいろいろ論議をしておる問題というものは、国産を前提とする研究開発に着手するということを、一方はぜひ着手いたしたいと、研究開発に着手したいと、他方は先ほども答弁がありましたように、諸般の事情を考えれば適当でないと、こういうふうな考え方でございますから、結局焦点をそこにしぼって、国産を前提とした研究開発に着手することは是か非かということに問題をしぼりました。さらに、輸入を含んでというふうな問題もございますので、これの関係をどういうふうに理解すべきか。  次いでどういう方々にお願いをするのがいいのか。これもいろいろ巷間伝えられておりますように、こういう問題の専門家というものはそれ自体非常に少ないものでございます。といって、今度は本当にこういうものを運用面からも技術面からも理解できる人ということになれば、やはり防衛庁またはその関係者あるいはその関係企業の方。そうしますと、これは客観的な立場で問題を見てもらうためにはそういう向きはやはり排除して、厳正、客観的な立場で意見を出し得る人を選ばなければならない、こういう問題でそういうふうな基準を定めました。さらにどういう方をそれではそういう人として選ぶべきか。これはそういうふうになりますと、非常に人の数というものが限定されてくるわけでございます。その中でいろいろお願いをいたしました結果、やはりいろんな事情で容易に引き受けていただけないような事情もございました。結局最終的には八名の方にお願いをいたしましたけれども、その一回目を開いた後、一名の方はほかの事情でやめられましたけれども、そういうふうなことで非常にお人を得るということにも私どもは苦労をいたしました。  こういうふうなことを申し上げておりますと、それだってやるつもりになれば簡単にできたじゃないかと、こうおっしゃいますけれども、やはりこういう手順を追いながら検討いたしますとどういたしましても日数がかかる、こういうことが私が率直に申し上げます理由でございます。
  73. 岡本悟

    ○岡本悟君 もう時間がありませんからその問題はその程度にしておきますが、要するにいまもお話がありましたように、長官ね、私はPXLを国産化にしたいという防衛庁の願望、まあそこまで水準上がってきておるという判断、しかし大蔵省の立場、費用対効果あるいはいろんな経済財政の問題、これはなかなか決め手がないんですね。だから大蔵省と防衛庁がすったもんだすったもんだやってもだれが一体行司になるのか。しかも、国産化と防衛庁は言い、あるいは川崎重工が言っても、七年先に確実に要求性能どおりのものが果たしてできるのかどうかにもやっぱり一抹の不安がある。結局は、あげくの果ては、それでは第三者機関に一遍意見聞いてみようじゃないかと、こうなる。ところがいまのお話のように、第三者機関といっても、それを客観的に公正に判断し得るだけの技術的な見識を持った人は、もうほとんどいない。むしろいるとすれば、それは防衛庁あるいは川崎重工、そういった方面ですね。それは当事者だから入れられない。だれが一体これを裁くんだと。それはいままではライセンス生産ですから、ある程度簡単に事は決まっていた。だから、この大規模な初めての国産化です。大変スケールの大きいものです。これに踏み切るかどうかという決断は、これはやっぱり手順は積み重ねても、これはいつまでもぼやぼやしておれぬわけです、決断しなきゃいかぬわけですから。だからやっぱり政治的な決断よりほかないんですね。いつまでたってもこれはけりがつきませんよ。だからそこは政治的決断を私は望みたいと思う。そしてこういう事柄が今後起こってくるんだが、どうして決定するかという手順ですね、第三者に聞けばいいんだが、公平な第三者というものはいない。とすれば、やっぱりもうそれは防衛庁長官なりの決断なり、あるいは総理の決断ということになるんだろうと思うんですね。じんぜん日をむなしゅうして手をこまねいておるわけにいきませんから。それからもう一つは、そこでいまの私は、この第三者の決定にゆだねるという方式も結局は失敗したわけですね、あれは。いわゆる結論は玉虫色です。出ませんよ。出してもらおうというのが大体無理な注文だったと思うんです。だから、これはなかなかこれから大規模な国産に進むか、輸入にするかというような決断は、大変な決断だと思うんです。だから私もいろいろ仕組みを考えてみましたが、いい仕組みが見つかりませんね。そこで、まあ最後は長官の政治的決断と決心だと、あるいは場合によっては総理だと、こういうふうに申し上げるわけなんです。  それからもう一つ、この委員会委員皆さんと長官とのやりとりで、一つ気になっておることは、私は次期対潜哨戒機が、PXLの選定がわが国第四次防の、あるいはそれ以降の大きな役割りを持つものでありますから、この選定は早急にしてもらいたい。四十八年度から国産にするにしても、四十八年度生産を開始する。そうして九年先の五十七年度の配備がようやく間に合うのだというようなことでありましたが、でありますから、非常に急いでもらいたいと思うのです。で、長官は、しばしばこの委員会でも、ほかの委員会でも、ロッキード事件が解明されるまではPXLの選定を延ばしたいというふうなお話、まあしかしタイムリミットとしては、概算要求を出す八月の末ないしは予算が最終的に決まる年末、こういうようにおっしゃっておるのですが、それまで解決しなかったらどうするのだというような質問もしたくなるわけですね。そういう意地悪い質問はともかくとしまして、私は元来は、ロッキード事件問題とPXLの選定は全然切り離してやってもらいたい。これは坊主憎けりゃけさまで憎いというようなことで、PXLの選定そのものまでも巻き込むということは大変な問題だと私は思うのですね。もちろんそれは国民の疑惑が非常に深まっている今日であるから、この事態が解明されるまでは選定作業は中止ということの方が好ましいのだという御判断だろうと思うのですけれども、事は私は大変重大だと思うのです。もしおくれたらどうするかという質問に対しては、長官は、たとえばP2Jの現有機のもう少し発注を追加して、それで繰り延ばしをするとか、何とかというようなこともおっしゃったように記憶しておりますが、どうも私は何かしら、失礼ながら少し責任回避のような感じを受けるのでございますけれども、だからやっぱりロッキード問題の解明は解明、PXLのこの大事な選定の問題を早く進めるという姿勢が本当は欲しいのですけれども、国民がそれを許してくれるかどうかということに疑問をお持ちだから、そういうことになるんだろうと思うのですが、私は国防の重大性、防衛の重大性というものを考えれば、その中に占めるPXLの選定の重要性ということを考えれば、これは一日も早くやってもらいたいと思うのです。そうして、わが国の防衛体制に、かりそめにも大きな穴があくことのないように早く決断をしていただきたい。こう要望して私の質問は終わります。
  74. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 午後二時再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十六分休憩      —————・—————    午後二時六分開会
  75. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ロッキード問題に関する調査特別委員会を再開いたします。  ロッキード問題に関する調査を議題とし、休館前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  76. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 現在までにいろいろと審議された中で明確になってきておりますが、防衛庁は可能な限り装備を国産化する方針をとってこられたことは、四次防に向けての有田長官の原案作成指示、あるいは四十五年の中曽根長官が特命事項として装備の生産、あるいは開発の基本方針の検討を進めさせたその三大方針の中でもはっきりいたしておりますし、また、四十六年四月の四次防防衛庁原案でも防衛力の向上、装備国産化に資するため云々と、この中で、わが国の実情に即した装備開発を推進すると、項目としては対潜哨戒機あるいは早期警戒機等の航空機等を重視すると、こういうように言っております。こういった点を見ますと、四次防決定前までは明らかに装備の国産、そして明確に対潜機までを含めた防衛庁の基本方針と、このように私たち考えるわけですが、その点間違いないでしょうか、確認いたします。
  77. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 大体そうでございます。
  78. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 また、四十七年二月の国防会議及び閣議決定の四次防大綱におきましても、「研究開発を行う」と、このようにうたっております。そこでもやはり対潜機の開発、つまり生産を目指したものと、このように見られます。これは久保次官の発言でもはっきりいたしておりますけれども、この大綱の決定に際しまして大蔵省は国産に反対したと、このように言います。少なくとも防衛庁は国産方針を撤回していない。それは、四十七年夏の概算要求に次期対潜哨戒機設計研究委託費を要求していることからもこれは明らかであると、このように思います。  そこで、大蔵省にお聞きいたしますが、大蔵省の反対の理由というのは将来の財政負担を懸念してと、このようにございますが、その詳細な理由をはっきりと聞きたいと思います。
  79. 古橋源六郎

    説明員古橋源六郎君) お答えいたします。  PXLの国産化に大蔵省が反対いたしました理由は、先回当委員会におきましても御説明申し上げましたけれども、一つは、多額の研究開発費を要するということでございます。当時、私どもが防衛庁から聞いておりましたのは、四百億円程度の開発費がかかるであろう。それから第二番目に、国内開発機でございますとわが国だけの受注でございますので、経済法則に従いまして量産単価が非常に高くなる。大量生産されております外国機に比べまして、これが非常に割り高になる。国産の場合は大体三十五億円程度、輸入の場合は二十五億ないし三十億円程度と、こういうふうに防衛庁から当時聞いておったわけでございます。これが、私どもがPXLの国産化に反対をした理由でございます。
  80. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 先ほど防衛庁長官からは、国産化を目指しているとはっきりお話がありました。P3C搭載のANEWシステムに関する資料の提供を四十三年三月に防衛庁としましては在日米軍顧問団を通じて要請しました。同年夏には海外調査を行うなど、強い決意でこの国産化路線を進んできた。これは既定の事実だと思います。これを覆すに至った大蔵省の理論というものをもう一度確認しておきたいと思います。
  81. 古橋源六郎

    説明員古橋源六郎君) お答えいたします。  いま先生がおっしゃいました四十三年度、四十四年度に欧米各国に調査班を派遣するという話と、それからもう一つANEWシステムに関する資料提供要請と、これの話二つございますけれども、まず最初に、防衛庁が四十三年度と昭和四十四年度に欧米各国に調査班を派遣したと、これは海外調査旅費でございまして、大蔵省としてもそのとおり了知いたしております。しかし、この内容は、いずれも将来の対潜機一般に関する動向を把握するために、固定翼でありますとか、ヘリコプターであるとか、あるいは垂直離着陸機いわゆるVTOL機、あるいはその搭載装備品、エンジン等につきまして各国の研究開発の状況でございますとか、考え方調査を行ったものでございます。したがいまして、次期対潜機のための特定のための調査ではございません。したがって、私はこの調査によって防衛庁が次期対潜哨戒機の国産方針を決めたということではないと理解いたしております。なお、P3C用のANEWシステムに関します資料要請、これにつきましては当時防衛庁からこういうことは聞いておりません。私どもがこのPXL国産化に反対いたしましたのは、まだその当時に政府部内においては決定しておらなかったし、防衛庁としても国産化をしたいということを部内で決められたのは四十六年度予算からだと私どもは理解いたしております。先ほど申し上げましたような理由によりまして、大蔵省といたしましてはPXLの国産化に反対ということでございます。
  82. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 四十七年二月の閣議決定のこの四次防整備五ヵ年計画の大綱の中で三項の(四)ですか「技術研究開発」、この中で「各種誘導弾、電子機器ならびに対潜哨戒および早期警戒機能向上のための各種装備等の研究開発を行なうとともに、技術研究開発体制を強化する。」、こういう項目がございますが、この「技術研究開発体制を強化する。」、こういうことは、この言葉は国産を目指したものであるかどうか、防衛庁長官
  83. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) いまの御指摘の「各種装備等の研究開発」というところでございますが、これはなかなか関係省によって読み方の違いが率直に申してございました。しかしながら、私どもの方といたしまして、機体等もこれでは一応読めるというふうに解釈をしておったわけでございます。そういう意味で、研究開発をやろうと思えばやれないことはないという考え方をいたしております。
  84. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 国産を決めたのかどうかということです。
  85. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 結論から申しますと、国産を決めたわけではないというふうに解釈しております。と申しますのは、国産化に至ります段階といたしましては、御承知のように基礎調査研究、それから開発、それから量産化、俗称国産と言っておりますが、そういう段階がございまして、私どもとしてはその段階段階にそれぞれ一つのけじめがあるというふうに考えておりますので、ここで研究開発と申しておりますときはいわゆる研究開発を考えておりまして、直ちに国産化を読んだというふうには解釈しておりません。
  86. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 防衛庁のしかし方針としては、四次防以前は国産を目指してきたわけですね。ここで変更したわけですか。
  87. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 従来ともに、国産ということを装備の基本とするという考え方は四十五年以来持っておるわけでございますが、これはいわば方針と申しますか、そういう基本的な構えとして持っておったわけでございます。しかしながら、この四次防のこの段階、この大綱の決まりました段階におきましては、いわゆる先ほども御指摘がありましたように、正式に国産化をしてやって云々ということは実は四十六年度の概算要求のときに出てきておるわでございまして、この段階には一応頭の中には国産の方向ということはございますけれども、はっきりしたそういう線で考えておったわけではないと、かような次第でございます。
  88. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 何かだんだんと答弁が後退しているような感じがしますけれども、四十七年の十月の四次防決定に際しては大蔵省の強力な反対があったと。四次防の主要項目の中では「対潜哨戒および早期警戒機能向上のための電子機器等の研究開発を行なう。」、これが入っております。この「等」については先ほどお答えがありましたように機体も含むと、こういうふうに理解してよろしいわけですね。
  89. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 防衛庁としてはさように考えておりました。
  90. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、防衛庁としては、いままでの審議の中で、四十七年の十月の時点までは国産化方針を堅持してきたんじゃないのですか。
  91. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 四十七年の十月という時点でございますが、その前に四十七年の八月に御存じの概算要求をいたしております。したがいまして、その概算要求の庁議では、一応国産化の方向に進むということで開発の要求をしておるわけでございます。事実はそういう事実で進んでおります。
  92. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いまお話しの四十八年の概算要求でも、国産化の方針というのは防衛庁では庁議決定して堅持していたことは明らかですね。——これは、各年度とも対潜哨戒機の調査研究ないし基本設計という科目で要求しております。単に対潜機の運用上あるいは積載機器についての調査研究でなくて、機体を含む調査研究及び基本設計であると。この基本設計というのは開発、すなわち国内生産の最初の段階であることも防衛庁の答弁から明らかですね。これは、参議院の五月十二日の答弁ではっきりいたしていると思います。その点、もう一度確認しておきたいと思います。
  93. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 概算要求の中には機体を含む開発ということは当然入っております。
  94. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 防衛庁は、四十七年の研究調査費をこれは未執行に終わらしているわけですけれども、調査研究そのものが四十七年度で完了して、四十八年度で開発生産にこれは着手することができたんじゃないかと思うんですが、その点どうですか。
  95. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) ちょっと大変恐縮でございますが、四十七年度で開発に着手できたのではないかという御趣旨でございますか。
  96. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 四十七年の研究調査費が未執行で終わりましたけれども、四十七年まで完了してれば四十八年度から開発生産に着手できたんじゃないかという質問です。
  97. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) それは四十七年度の予算がございまして、これは御指摘のように未執行にいたしました。しかしながら、これがもし執行されておれば、われわれの方といたしましては四十八年度から開発に着手できたというふうに考えております。
  98. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 これは、概算要求の科目では四十六年から基本設計となっておりますけれども、調査研究はもう一年間で終わったと、こういう判断に立っているように見えますけれども、その点どうでしょうか。
  99. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) これはけさほどの、午前中にも同じような御質問をいただいたわけでございますが、御質問趣旨は、四十五年度の基礎調査を経て四十六年度に開発の概算要求をしておるということで、その辺をどう考えるかということであろうかと思いますが、私どもといたしましてはけさほど申しましたように、四十五年度の基礎調査を経まして、四十六年度においては一応開発に入り得るものということで概算要求をいたしておるわけでございます。ただ、結果におきましては、これは財政当局等との話し合いの中においてそれではまだ不十分であるという御指摘をいただきまして、そういう意味で四十六年度、七年度も基礎調査研究という結果に終わっておる次第でございます。
  100. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 再度お聞きしますけれども、四十七年の調査研究委託費の執行を取りやめた理由はどんな理由ですか。
  101. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) これも従来から申し上げてきたことでございますが、一応経緯を簡単にたどってまいりますと、四十五年度、四十六年度ということでこれはいずれも基礎調査をやってまいったわけでございます。いわゆる基礎調査研究というものをやってまいったわけでございます。そこで、一応国産の場合のイメージと申しますか、そういうものを得たわけでございます。そして、四十七年度もそのイメージの線に沿いまして、一応さらにやや細かく部分研究と申しますか、そういうことをしておったわけでございます。  そこで、前後いたしますが、しからばどういうイメージかと申しますと、一応次期対潜機を考えます際のいろいろな基礎的な諸元というものがございます。たとえば五十三トンの重さであるとか、搭乗人員が十名であるとか、進出速度が幾らであるとか、こういう一つの言うなれば大型固定翼対潜機というようなイメージで進んできたわけでございます。しかしながら、これは四十七年の十月に至りまして、御存じの専門会議を設けて慎重に検討するということになりました。その結果、まあ要するに、きわめて広い立場からもう一度新たに物事の基本を考え直すということでございます。したがいまして、そういったイメージというものがやはり根本から変わるという可能性もある。たとえば改造の場合あるいは民間機等との共用をいたします場合というようなことで、考え方によりまして、扱い方によりましてはそういうものは基本的に変わる可能性もあるということが予想された次第でございます。そういう意味で、そういう段階においてはやはり予算のより効率的な運用を期するために執行を停止した方がよろしかろうということで、私ども財政当局とも御相談をいたしまして、そういうふうな不執行の措置をとったという次第でございます。
  102. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 五月八日の参議院の予算委員会でこの点につきまして答弁がありましたが、本来ならば執行すべきだが輸入か国産かは専門会議の結論を見ないとわからない状態になったと、予算執行上の効率からいって見通しの決まった場合に改めてこの関係の経費を執行するのが適当と判断したと、このように答弁されておりますが、そのとおりですか。
  103. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) おおむねそのとおりであろうと思います。  やや補足いたしますと、その輸入か国産かと申しますのは、従来基礎調査研究と申しますのは、開発をすることの当否ということを検討しておったわけでございまして、その兼ね合いにおいて輸入ということも考えたわけでございますけれども、さらにこの輸入を含めて考えるというようなことにもなってまいりました。何と申しますか、検討いたします対象が非常に根本的に広がると申しますか幅広くなってくる、それから新たな角度から行われると、こういうことになったわけでございます。そういうことで、いま申し上げた趣旨の御答弁を申し上げている、かように考える次第でございます。
  104. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 四十五年、四十六年で調査研究されたことは、国産、輸入両方にこれは役立つことができるということですね。この見解からしますと、四十七年度の調査研究費についてもこれは当てはまるのではないかと思うのです。あの十月の白紙還元が防衛庁と大蔵省とのいままでの経緯というものを一応御破算にした、つまり白紙にしてもう一遍専門会議で輸入を含めて検討する、そういう意味答弁もされておりますけれども、これがきちんと執行されれば、一層その調査研究というのが進められていくのではないか。そうすれば、さらに輸入か国産かの比較検討をするときのデータというものを、より万全にすることができるのではないか。予算執行上の効率がよいというのは、むしろ四十七年度の予算もきちっと執行して研究調査した方がかえって予算執行上の効率が上がるのではないか、このように思うわけですが、その点どうでしょうか。
  105. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 一つ考え方といたしましては、おっしゃるような考え方も十分あり得ると思うわけでございます。私どももできればそういうふうにしたいという考え方も一面においては持っておったわけでございますが、しかしながらやはり先ほど申し上げましたある一定の国産イメージと申しますか、開発イメージと申しますか、一つの固定翼機のイメージというものを一定の幅で持っておったわけでございますが、これはやはり先ほど申しましたいろいろなケースが出てくる可能性がある。ですから、そういうふうに持っておった基本的なイメージが根本的に変わってしまう可能性があるわけでございます。たとえばYXというような、共用というようなことも当時は考えられるわけでございますが、そういった場合に、たとえば民間機には本来不必要な爆弾倉をどういうふうにやるかというようなことになりますと、あるいはそれからさらに民間機の場合でございますと低速性というものは本来ないわけでございますが、それをある程度要求していくというようなことになりますと、従来一応固定翼というようなことで進んでおりましたことを根本的に変えて、全然別の角度からやらなければならぬということもあり得るわけでございます。そうなりますと、そういう意味でやはり予算をより効率的に使うということになりますと、やはり一応見合わせまして方向を見た上でやった方が執行としては適切ではないか、かように考えた次第でございます。
  106. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは続けますが、昨日同僚の黒柳委員が川崎重工の室井副本部長質問をいたしましたが、その中で、四十七年度の予算を伴う委託契約というものが実際には行われていなかった、こういう答弁がありました。四十五年は七月に契約が結ばれておりますし、四十六年度は九月に契約が締結されております。防衛庁のこういった委託契約その他の契約というのは大体いつごろこれが結ばれるのが通例でしょうか。
  107. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) これは一概にどうということは申し上げられませんが、ごく大ざっぱに申し上げますと、単年度予算の場合と、それから国際契約のあるような、すなわちやや規模が大規模のものでございまして期間的にもやや長期にわたるというようなものと二通りございます。それで単年度のものにつきましては、九月とか十月とか、従来四十五年度、四十六年度において行われたような時期ごろには大体普通は締結するのが一般でございます。ただ四十七年度のような二年国債ということになりますと、従来とも要するに対象、相手先とのいろいろな打ち合わせでございますとか、あるいは仕様書の作成あるいは予定の見積もり、価格の設定、そういうような細部の事務手続に相当時間を要するわけでございます。そういう意味から、従来ともこういった金額の大きいもの、あるいは多年度のものにつきましては、一般的に年度後半にわたるケースが非常に多うございます。これは、例を申し上げますとそういう例が幾らもございます。そういうことで、四十七年度の場合にはやはり十月以降にならざるを得なかった、もしやっておったといたしましてもならざるを得なかったのではないかというふうに考えております。
  108. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 きのうのお答えの中には、約一月ぐらい前からこの四十七年度の契約についてはできなくなるんじゃないかというようなそういううわさが、示唆が流れていたと、こういうように答弁があったように覚えております。その点、防衛庁の方からこの川崎重工に対して何らかの示唆を与えていたのかどうか、その点をちょっとお聞きしたいと思います。
  109. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) いま御指摘の個所は、私、きのうちょっとどういうお答えをしておられたのか、果たしてそういう言い方をされておりましたか、実は私はちょっと違うように解釈しておりましたのですが、いずれにいたしましても、防衛庁の方から事前に、むずかしくなるのではないかというようなことを言ったという事実はございません。
  110. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いま、言ったことはないというお答えでございましたけれども、室井氏は部下に督促をさせたということをきのう答弁いたしておりましたね。それに対して、きのうは答弁はありませんでしたというあれでしたけれども、調達実施本部では支出負担行為計画示達書を流してくれるように防衛庁内局に要請をしておると、そういう答弁をされていましたけれども、実際にその示達書が作成されなかったという点の原因については、防衛庁が実施計画をつくらなかったのか、あるいは川崎重工と防衛庁との打ち合わせの期間であったのか、その点明確にちょっとお答え願いたいと思います。
  111. 亘理彰

    説明員(亘理彰君) お答えいたします。  一般に、予算が成立いたしますと、予算の示達ということでその予算を執行できる状態になるわけでございますが、財政法の三十四条の二の規定によりまして、大蔵大臣の指定する経費につきましては、その予算の具体的な内容についてさらに詰めをやりまして、支出負担行為実施計画に関する書類を作製して大蔵省に協議いたしまして、そして大蔵大臣の承認を得た後でなければ予算の示達ができないということになっております。研究開発費のうちでも、全部ではございませんが、この技術調査研究委託費と試作品費というのは大蔵大臣の指定経費になっております。したがって、予算の示達の前に支出負担行為実施計画の承認手続が要るわけでございますが、四十七年度の場合についてはその承認手続に入っていないわけでございます。先ほど装備局長から申し上げましたように、金額が四十七年度は七億に近いかなり大きなものになっておりますので、その内容的な詰めにやはり時間がかかっておりまして、実施計画の承認を得るまでに至っていなかったというのが実情であります。
  112. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 じゃあ次へ。  次ですね、四十七年の夏に出されました四十八年度予算の概算要求の中にありました次期対潜機の基本設計及び対潜機用搭載機器の試作等の科目はこれは予算化されなかった、この点も納得のいかない点があるわけですが、こういういままでの問題というのは、国としても確固たるやはり防衛方針がないままに毎年予算を積み上げてきた、そこにまず問題があると思います。  大蔵省につきましても、いろいろとこの国産化等につきましては反対をしてきたわけですが、大蔵省としましては、日本のこのシビリアンコントロールのかなめというのは国会でもなければ総理大臣でもない、あるいは防衛庁内局でもなくて大蔵省の主計局だと、このように皮肉を言う人もいますけれども、大蔵省というのはどういう考えで防衛予算というのを査定して、あるいは防衛政策を考えてどういう基準でその査定を行ってきたのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  113. 古橋源六郎

    説明員古橋源六郎君) お答えいたします。  大変むずがしいお話でございますので、私個人の考え方というものでお許しいただきたいと思いますけれども、大蔵省といたしましてもこれは政府の一機関でございます。したがいまして、国には国防の基本方針、そういうものがございます。その枠の中において、すなわち日米の安全保障条約を一つのてことして、そして小規模なものについては独力で自分たちの国土を守ると、そういうことのためにどういうふうに他の諸施策、たとえば福祉関係予算、あるいは公共事業費、あるいは文部予算、そういうものとの関係の中において防衛費をどのように配分したらいいかということを考えるということが、まず非常に大きな、グロスの面におきます大きな問題だと思います。さらに、私ども防衛においては素人ではございますけれども、しかし他の諸施策との関係において、たとえば人件費はこういうふうにした方がいいのじゃないかとか、そういうような一つ考え方も持っております。そこで防衛予算の中におきましては、たとえば現在五六%でございますけれども、これについてこういう考え方がいいだろうか、人件費の割合と装備費との割合はどういうふうに考えるかとか、そういう私どもなりの疑問点を防衛庁の方にお伝えいたしまして、そうしてその関係についてお互いに切磋琢磨すると、こういう考え方でございます。さらにまた、そういうふうに装備費の中に今度は後方と正面との関係割合はどういうふうにしたらいいのか、さらに正面の中において陸海空の割合はどうしたらいいのか、さらに陸海空の中においても一つの作戦というものを考えたときに、与えられた予算の中において、これはもう大変な税務署員が苦労をして集めてきた金でございますけれども、与えられた予算というものを最も効率的に使う仕組み、そのおのおのの予算の配分はどうしたらいいのか、これを私どもなりにもいろいろ考えて、それを防衛庁の専門家の方々とお互いに話し合いをしてそうして最もいい予算をつくっていこう、こういう考え方でございます。
  114. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次にまいりますが、次に国防会議の議員懇談会のもとにつくられた専門会議についてちょっとお聞きしますけれども、この専門会議というのは法的根拠がない、議員懇談会の了解事項のもとにつくられた。私たちとしましては、この法的根拠のないものであるとして認めるわけにいきませんけれども、この専門会議の設置がどのような形で出されてどのようにして決まったのか、最初にちょっとお聞きしたいと思います。
  115. 内海倫

    説明員(内海倫君) お答え申し上げます。  確かに、専門会議というものについて法律上の根拠は持っておりません。それは、ただいま仰せられました国防会議の議員懇談会の了解事項に基づきまして設置されたものでございます。
  116. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この問題ついて同僚の峯山議員から先回質問がありました。それに対して、議員懇談会を国防会議のはっきりとした法律によって合法的なものにすべきじゃないかという、そういう質問も出されましたけれども、その点についてどうでしょうか。
  117. 内海倫

    説明員(内海倫君) 専門家の会議と一応申しておりますけれども、本来私どもがいろいろ検討して考えましたのは、要するに議員懇談会の了解事項に基づきまして事務局に専門家の方たちに意見を求めるということを、意見を徴して問題を慎重に検討する、これが了解事項だと思います。そうしますと、それに基づきまして、私どもは専門家の先生方の意見を徴するために、事務局におきまして事務局長のいわば権限、職務執行の参考にするために、そうしてそれはすなわち貴重な意見を求めてそれを国防会議あるいは国防会議の議員の方々の参考に資する、あるいは関係省庁の参考に資すると、こういうことのためにいわば意見を求めると、こういうものでございまして、したがって、私どもは個々の専門家の意見をそれぞれ聴取するということを考えておりましたが、しかしながら実際問題といたしましては、いろいろ話を聞きお互いに検討もし討論もしなければならないと、こういうふうなことで、事実上の会議体を構成して出発をいたしたものでございます。したがいまして、それは法律を根拠にしなければならない重要な政策について意見を答申すると、あるいは重要な政策の一端を担うというふうな意味合いの審議会等とはその性質を異にするものと、こういうふうに考えております。
  118. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この専門会議の答申によって政府の意向というのがいま動かされているんじゃないかと思うんですね。この専門会議の答申後、防衛庁としてはどのようなこの答申を参考にしてその後PXLの選定に進んでみえるか、その点ちょっとお聞きしたいと思います。
  119. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 四十九年の専門会議の答申に基づきまして議員懇談会の了解事項が出まして、このPXLの問題については財政的、技術的基盤について関係省庁においてさらに検討をせよと、こういう御趣旨のものをいただきまして、私どもといたしましては、それまでいろいろ研究をしておりました国産開発の問題についてさらに見直しをいたしますとともに、外国機についての新たなデータの入手に努めて、その実態についてさらに検討するということになりまして、五十年の中ごろでございますが、第二次のPXLの調査団、これはP3Cを対象にするということでアメリカに派遣をいたしましていろいろ調査をやらしてまいったわけでございます。この両者の結果を検討してさらに問題を詰めるということであったわけでございますけれども、いろいろ問題が、一方に決定をすると非常に困難な事情がいろいろございまして、そこで五十年の十二月に国防会議の御決定によりましてこれをさらに延長し、ポスト四次防でさらに検討するということになったわけでございます。私どもは御案内のように、五十年に入りましてからポスト四次防の作業が開始されると。そうなりますと、当然対潜兵器の中の主要な役割りを演じます固定翼対潜機をどうするかという問題、これは全般の構想の中で決めてまいらなければならないということになりますので、そこでポスト四次防の全般計画策定作業の中でこの問題を決めてまいろうということでございまして、これはかねがね大臣からも申されておりますように、輸入かあるいは国産かというそういう二者択一的な選択ではなくして、さらにその間におきますいろいろな折衷案というものもあるわけでございます。こういった点についてはただいま技術的に詰めておりますし、それからまた一方アメリカに対しては、まだ非公式でございますけれども、機体と搭載機器についての分離のリリースの可能性があるかどうかというような打診も非公式に行っておるわけでございまして、いろいろな可能性についてただいま検討中というところでございます。
  120. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 ところで、ちょっとPXLに関連してお聞きいたしますが、長官、昨年の八月に坂田長官とシュレジンジャー国防長官との間で合意されました日米防衛協力委員会ですか——を設置するための安保協議委員会ですね、これはいつごろ開催される予定ですか。
  121. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 七月の初旬には開催したいということでアメリカ側と折衝をいたしております。
  122. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、まだ折衝中ということですか。日にちにつきましては確定はしていないわけですね。
  123. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) まだ確定はいたしておりません。
  124. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いままでもいろいろそういう日程をお聞きいたしますと、質問した後で記者会見で発表等がございましたけれども、その点はございませんね。七月の初旬ということで間違いございませんね。
  125. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) その前に六月の下旬と申しますか、二十八日ごろを実は予定いたしておったのでございますが、先方もそのあたりならばいいのじゃないか、ガイラー大将もいいということでございましたが、御案内のとおりに、首脳会談が二十七、二十八というふうに行われる、そうすると外務大臣が出られないということで、延期をいたしまして、で、やはり早い機会にということになれば七月の上旬ということでございます。
  126. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 七月の第一週以内ということですか。
  127. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 大体そういうようなところをめどといたしております。第二週ごろになるかと思います。
  128. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この日米防衛協力委員会におきましては、このPXLの問題は協議されるお考えがあるのかどうかお聞きしたいと思います。
  129. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) これは御案内のとおりに、安保条約第五条の有事の際における日米防衛協力関係でございますので、その問題は協議されません。
  130. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 有事の際と申しますといろんな問題があると思いますが、有事がない方が一番よろしいわけですけれども、有事の際のいろんな検討をする場合には、日本でもこういうようなたとえば装備があるとか、あるいは米国ではこういうような装備、対応策があるとか、そういうことをいろいろ協議されると思うのですね。そういった小委員会でどういうことをじゃ協議されるのか、詳しくちょっと話してください。
  131. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 有事の際の問題についての日米間の連絡調整と申しますか、こういったことが主眼になるわけでございますが、具体的にどういう項目を研究協議の対象にするかという問題につきましては、この研究協議機関、今度の日米防衛協力委員会という、仮称でございますが、私どもの方ではそういうふうに考えておりますが、これが発足をいたしましてから日米間において協議をいたしまして、議題を決めてそうしてそれに入るということになっておるわけでございます。  日本サイドにおいてそれではどういう腹案を持っておるかということであるかと思いますが、これはできるだけ包括的に問題をとらえてまいりたいと思っておるわけでございまして、まず作戦の場合の機能分担と申しますか、こういった面についてどうするか、それからこれは最後の問題になるかと思いますが、指揮系統はこれは別個に参りますので、その指揮連絡の調整機関というものをどういう形で置くかというようなことが一つ問題になるかと思います。あと後方支援の問題でございまして、補給あるいは通信、輸送といったような各般の問題にわたって協議をする予定であるわけでございます。  ただいま御指摘がございましたPXLをどうするかという問題でございますが、このPXLを整備するのは日本の固有の問題でございます。日本の防衛力整備をどういうふうに考えていくかということでございまして、これは全くわが方の問題でございまして、この際アメリカからの装備の導入、こういうような問題が出てまいりました場合に、アメリカからそういう点についての支援を依頼するというようなことはケース・バイ・ケースに出てくると思いますが、これはいままでの防衛力整備計画においても行われましたことでございまして、ただいま申し上げました日米防衛協力委員会におきましては、そのような問題は直接の議題にはならないというふうに私ども考えておるわけでございます。
  132. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 ここで有事の際にはどうするかということをいろいろと話し合うということですが、有事の際に話し合う相手というのは日、米、韓の三国でその作戦行動について調整を図っていくのか、どういう作戦調整を図っていくかという大綱で決めていくのじゃないかと思うんですが、その点いかがですか。日、米、韓三国ですか。
  133. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) ただいま御指摘ございました韓国は全然考えておりません。日本とアメリカだけの問題として考えておるわけでございます。
  134. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 私の手元にある、これは外務委員会会議録ですけれども、これを見ますと、五月十九日の衆議院の外務委員会で、丸山局長は社会党の河上委員質問に答えて、有事の際に日、米、韓でどのように作戦行動について調整を図っていくかという大綱をここで決めますというような答弁をされていますが、いかがですか。
  135. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) その日米間の、日米の間という意味で私は発言しておりますので、韓国の韓を当ててあるとすれば大変な間違いでございます。私は、日米の間という意味で日米間と申したわけでございます。日、米、韓国とは発言をしていないつもりでございます。
  136. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 間違いないですか。
  137. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 間違いございません。
  138. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、日米の間でそういう取り決めをするということですね。——わかりました。  この有事の際どうするかということを日米の間で取り決めた場合ですね、何と申しましても隣の韓国ということは、もし韓国に有事のことがあれば、これは日本にとりましても最大の有事じゃないかと思うんですけれども、この日米間で有事の際どうするかと決めたその内容は韓国に連絡をするのか、報告をするのか、その点どうでしょうか。
  139. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 繰り返して申し上げておりますように、基本は日米安保条約の円滑な運用を図り、したがって日米安保条約の抑止力を高めるというのがねらいでございまして、この問題はあくまでも日米の間、間は韓国でございません、日米の間だけの問題でございまして、私どもは韓国に一々通報しなければならない義務もないし、またそういうことをやるべきものではないというふうに考えておるわけでございます。
  140. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 しかし、日本と韓国とは海の、あれですが、日本のこの有事という場合も韓国を抜きではこれは考えられないと思うんですね。ですから日米、日本の政府と米国の間の問題だといっても、やはり韓国を含めたそういういろんな考えが検討される場合があるんじゃないですか、その点はないでしょうか。
  141. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 少なくとも日本に関する限りは、ただいま御指摘にございましたように、韓国を含めてという問題は考えられないというふうに思います。私どもも現にそれは考えておりません。米韓の間におきましては、御案内のように、米韓の相互防衛条約がございますので、米韓がどういう話し合いをするかということについては私どもは関知するところではございません。
  142. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次の問題に移りますが、防衛庁はPXLというのは五十七年の配備を目途としております。これは、P2Jが五十七年にはフェーズアウトされると、こういう点からこれは決定されているんですか。それともそこには政策の判断が入る余地があるのかないのか、その点ちょっとお聞きしたいと思います。
  143. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 基本的にはP2J、これが減勢に入っていくということが前提になっておりますけれども、P2Jが予想されます一九八〇年代の潜水艦の技術的な進歩というものに対応できる能力をもうすでにかなり失ってきつつあるという現状からいたしますと、一九八〇年代におきまして次の世代の対潜哨戒機に切りかえていかなければならないと、これは何人も認めるところであるわけでございまして、そういう点で私どもとしてはできるだけ現在のP2Jを保有をいたしまして、それを活用するということを第一次の手段として考えておるわけでございますが、当然いずれにいたし、ましても五十七年ということが別にフィックスされた時点ではございませんで、多少の前後はあると思いますけれども、仮に延ばしましても二年以上これを延ばすということは技術的に不可能でございますので、大体その時点に新しい後継機を入れてまいるということでございまして、一気にP2Jがなくなりましてそれにかわって新しいものが入り込むということではなくて、P2Jが徐々に勢力が落ちてまいりますので、その穴埋めを新しい航空機によって、対潜哨戒機によって穴埋めをしてそうして逐次何年かかかりまして新しいものにかわっていく。いずれはある時点におきまして、大体一九八〇年の後半になると思いますが、その時点においてはPXLが日本の固定翼の対潜哨戒機の主力になるということを考えておるわけでございます。
  144. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 最近、米中軍事同盟的な動きが活発になってきておるように思いますが、アメリカの国際問題専門機関誌のフォーリン・ポリシーには米中間に軍事提携かと、その可能性、アメリカの選択、こういうふうに述べて、シュレジンジャー前長官も対中軍事援助について話し合ったと、こう述べております。これから見まして、私は米中軍事同盟的な動きがこれから大きくなれば、当然世界の戦略も大きく変わってくると思うんです。ですから、その点につきましても無関心では日本もいられない。防衛庁としてもこの点については分析をされておると思いますが、どのように分析を進められていますか。
  145. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) アメリカの中国に対する軍事援助の問題、これは先生御案内のように、アメリカの有力な新聞でございます「フォーリン・アフェアーズ」にそういう趣旨の論文が載せられて大変注目を引いておりますし、それから若干アメリカ政府直接ではございませんが、政府に近い筋といわれるそれぞれの専門家の発言も、最近比較的活発に出ておるというふうなことでございますが、ただ御案内のように、最近、下院議員の訪中の際にこの問題が提起されまして、それに対する中国の反応は、やはり国内の装備は自力で開発をしていくと、あくまでもその主義で行くんだという中国の基本的な態度がかなり明確に示されておるようでございます。したがいまして、軍事面におけるアメリカの援助ということは必ずしも全般的な問題ではなくて、きわめて部分的な問題として出てまいるんではないかと、これはまあ私ども分析をいたしました現在の時点の判断でございますから、正鵠を得ているかどうかということについては自信はございませんが、大体そういうふうに考えておるわけでございます。
  146. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 もしもこういった米中軍事同盟的な構想というものが実現したとしますと、わが国の安全にとってそれはよい方向なのかあるいは悪い方向なのか、むしろない方がいいのか、その点どうでしょう。
  147. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 単純に悪いとかいいとかいう判断は非常にむずかしいと思います。少なくとも現状からは複雑な要素が一つふえてくるというふうに判断をすべきではないかと思います。
  148. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 ことしの二月の二日にアメリカの下院で米海軍長官がいまや日本海における制海権はソ連の掌中にあると、こういう発言がありました。これを受けて防衛庁長官も、潜在的に脅威がありますと、こういう答弁をされていますね。そのためにも一いま問題になっていますPXLの必要性が言われているんじゃないか、このように思いますが、ここでお伺いしますけれども、日中、日ソの、日本対ソ連あるいは日本対中国の等距離外交ということが、軍事面から見た場合にそれは可能性があるのかどうか、防衛庁長官ちょっとお聞きしたいと思います。
  149. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) いま直ちにソ連の脅威が顕在化するというふうにはどうしても考えられない。特に日本に対してソ連が現実の問題として求めておるのは、むしろ技術あるいは産業協力といった面というふうに把握をいたしておるわけでございます。  それから、日本に対する軍事面における中ソの見方もこの数年かなり変化をしてきていて、中国側といたしましても、日米安保条約あるいは自衛隊の存在というものは中国にとって脅威とは考えないということを言っておりますし、また、最近行われましたソ連の党大会におきましても、従来のように著しく日本の米軍基地あるいは安保条約ということについて批判がましいことを言っておらないというようなことは、そういうことを物語るものではないだろうかというふうに思います。
  150. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 もう時間がなくなりましたのであれですが、最後に、防衛庁長官は、国民の理解と支持と協力を得ることが何よりも必要と考えると、いつもこのようにおっしゃっていますね。このロッキード問題でPXLの問題が取り上げられた。このロッキードと児玉氏との関係というものが明らかに疑惑に包まれております。また、昨日の夕刊の報道によりますと、アメリカにおける嘱託尋問におきましてもP3Cについての項目が多いと、このように新聞報道にありましたけれども、こういう点から見ますと、このPXLの決定を長官としては今年度中に結論を出したいと、こういうお話でありますけれども、もしもP3Cに絡んでいろいろな疑惑がさらに増して、もしも、まあこんなことはあれですけれども、防衛庁関係政府高官の中に灰色高官があったとした場合は、あくまでもP3Cというものを選んで購入の道を進めていくのかどうか、その辺ちょっとお聞きしたいと思います。
  151. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) この点は繰り返し申し上げておりまするように、まだ国産ともあるいはP3Cとも決めておりませんし、あるいはその他の選択があろうかと思います。しかし、それにつきましては慎重に検討はいたしておるわけでございます。しかし、御指摘のとおりに、いまロッキード問題が国民の疑惑に包まれておるわけでございまして、私は、いやしくも日本の防衛を担うところの、しかも非常に日本の安全にとって大切な対潜哨戒機というものが、疑惑に包まれたまま、疑惑を残したまま決定をするということはいかにも不都合であるというふうに思いますので、一点の疑惑のない形で決めたいということだけ申し上げておきたいというふうに思います。
  152. 内藤功

    ○内藤功君 最初に法務大臣に。いまロッキード事件刑事責任追及ポイントは、何といってもロサンゼルス連邦地裁における嘱託尋問、この問題が一つあると思う。そこで、法務省にお伺いしたいんですが、この嘱託尋問は、コーチャン氏らの尋問は何日ごろから始められる見通しですか。現地の検事からはどんな報告を受けていますか。
  153. 稻葉修

    国務大臣稻葉修君) きのうかきょう堀田検事から何か報告があったやに聞いておりますが、内容については刑事局長答弁させます。
  154. 安原美穂

    説明員(安原美穂君) 去る六月八日に、ロサンゼルスの裁判所で三人の証人尋問を開始しようとした際に、異議の申し立てのあったことは御案内のとおりだと思いますが、それにつきまして、六月の十日にスチーブンス判事から異議の却下ということがございまして、その際の申し渡しでは、十八日まで証人尋問の実施を延期するということでございました。したがいまして、目下そのスチーブンス判事の裁断のとおりいきますれば十八日から開始できるはずでございますが、他面、本日、日本時間の本日午前九時に、召喚を受けた証人側からいわゆるその異議の却下に対するアピール、抗告の申し立てがなされたという報告がございましたので、その結果、高等裁判所にケースが移るわけでございますので、実際問題として十八日にそのとおり証人尋問が実施できるかどうかということは必ずしも明確ではございません。したがいまして、いつ開始できるかということをこの段階で明確に申し上げるわけにはいきませんが、さしあたり地方裁判所の判断では十八日から証人尋問を開始するから出頭しろということにはなっておるわけでございます。
  155. 内藤功

    ○内藤功君 これは刑事局長に伺いますが、アメリカの訴訟法上は、こういう場合に、抗告を証人側が申し立てたという場合には、訴訟法上何日ぐらいまで許容期間があるか。また、その期間を連邦高裁の側で短縮することができるか。これは余りこれが長引きますと、四十八年六月から七月ごろのこの賄賂事件時効にかかってくると、こういう関係にもなると思うんですね。この点はどういうふうに理解をしておられますか。
  156. 安原美穂

    説明員(安原美穂君) 詳細は、実はいまアメリカの規則を精細に調査中でございますが、さしあたり承知いたしておりますところでは、いわゆる抗告、上訴の申し立てをして、四十日以内にその申し立ての理由書等を提出するということになっておりまするが、四十日間の期間の余裕はさしあたりあるということに訴訟法ではなるというふうに理解しております。
  157. 内藤功

    ○内藤功君 いずれにしても、この抗告に対して連邦高裁がその四十日というような期間を職権で短縮すると、この権限はあるわけですか。その可能性はあるわけですか。
  158. 安原美穂

    説明員(安原美穂君) それを短縮する裁量の権限は裁判所にあるというふうに承知しております。
  159. 内藤功

    ○内藤功君 もしこの証人尋問調書が日本の東京地検に到達しなければいわゆる強制捜査に着手できないということになると、さっき私が申したような、六月から七月にかけて時効が次々成立してくる、こういうゆゆしい事態にも私はなりかねないと思うんですね。  そこで法務省にお伺いしたいのは、この尋問調書が東京の地検に到達する以前の段階においても、なお状況によっては時効による刑の消滅ということを避けるために強制捜査に踏み切るということがあり得るかどうか、そこらあたりの見解考え方を伺いたいと思います。
  160. 安原美穂

    説明員(安原美穂君) その点は非常に重大な関心を有されることは当然のことと存じますが、いま内藤委員御指摘のように、この証人尋問の結果を得られなければ強制捜査に着手できないかどうかということを含めまして、そのことについてお答えを申し上げますことは、遺憾ながらいわゆる、俗に言えば手の内を示すということにも相なるわけでございまして、それを申し上げることは控えさしていただきたいと存じますが、いずれにいたしましても、証人尋問、嘱託をしてあらゆる困難を克服しながら司法共助の手続をとっておるということにかんがみますれば、証人尋問の嘱託の結果というものが、証人尋問の嘱託をするということがきわめて有力な捜査法であることは間違いないということは御理解いただけると思います。
  161. 内藤功

    ○内藤功君 いずれにしても、この時効の完成によって予定をしていた捜査、強制捜査ができなくなる、これは何としても避けなきゃならぬというお気持ちがあると思いますが、どうですか。
  162. 安原美穂

    説明員(安原美穂君) 御案内のとおり、検察官といたしましては、みすみす時効を、捜査の手段を尽くさないために、尽くせないために、みすみす時効を完成させるというようなことは極力避けるべき事柄であることは申すまでもないところでございます。
  163. 内藤功

    ○内藤功君 それでは防衛庁にお伺いをしたいと思うんです。  きのうの六月十五日の室井証人の証言によって、PXLの白紙還元までは防衛庁と川重が日常的に一体のように協力をして国産化を進めてきた事実がわが党の橋本委員などの質問によって非常に明らかになったと思うんですね。たとえば、四十七年の一月にPXLの設計室を独立さしたこと。そのことは駐在官に届け出て防衛庁としても承知をしておる。防衛庁との間で第一読会、第二読会というような研究開発予算獲得のための協議もやっておったこと。四十七年の九月には国産のための部品を資材輸入部長の名前で引き合いを出しておる、アメリカの商社に。さらに技術審査会というところに防衛技研や海幕のメンバーが参加をしておる。PXLの設計室には海幕の制服二尉が設計机を持って仕事をしておったこと。国産のPXL機のモックアップもパネルもできておったという具体的な事実が明らかにされて、室井証人も十月九日の白紙還元は予期し得ない、夢にも思わないことだと、こういうふうに証言をされたことは聞いておられたと思うんです。私はいままでの防衛庁の、あるいは政府の、この川重が何のために生産をしておったか、防衛庁がどういう態度をとっておったかということについての答弁は、全面的に私はこの証言、宣誓をした証言を前にして再検討をされなきゃならぬときに来ていると思うんです。  そこで質問は一点にしぼってこの点について行いますが、これは装備局長になるかと思いますが、きのうの室井証人の証言でお聞きになっていたと思いますが、四十六年の三月ごろから四十七年の九月までの間に、当時の海幕長——これは私どもの調査では石田捨雄海将である。石田海幕長ほか海将クラスの海幕の幹部が川重の岐阜工場を訪れて、PXLのパネルなどを見て、視察、点検、技術資料の説明を受けるということをやっておるわけです。つまり、調達実施本部事務所やPXL設計室以外にこのような海幕の幹部が川重と密接なコンタクトをとっていたという事実をわれわれは調べてきた、きのうも橋本委員質問でこれを明らかにしたわけです。一体防衛庁は、まずこのような派遣の事実を当然知っておられるはずだと思うんですが、この点お認めになるかどうか。私どもの方は調査の上の質問でありますが、そちらの方のお調べはどうか、この点を伺いたいと思います。
  164. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) いま石田幕僚長のお名前が出ておるわけでございますが、特に私どもの方でいまそれをチェックしたということではございませんけれども、そういう海幕の幹部の方が年に一、二回見えられるというケースはあり得ることではないかというふうに考えます。  それから、いま派遣とおっしゃいましたが、それはちょっとその点……
  165. 内藤功

    ○内藤功君 派遣というのは、文字どおり防衛庁なり海幕なり、最終的には防衛庁の監督下にあるわけですな、現場に行ったということですよ。
  166. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) ですから、幕僚長が行かれるということは年に一、二回程度はあり得るというふうに考えます。
  167. 内藤功

    ○内藤功君 ほかの海将クラスはどうですか。
  168. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) これもやはり必要に応じてあり得ると思います。ただ、私どもでいまちょっと調査をいたしましたのは、きのう、四十五年六月ごろにそのモックアップに立ち会ったかというようなことについて調査をいたしましたが、この際は立ち会っておらないという調査はしておりますが、いまの石田幕僚長の点につきましてはまだ私どもちょっとチェックをしておりません。しかしながら、お答えといたしましては、そういった方の行かれることはあり得るというふうに考えます。
  169. 内藤功

    ○内藤功君 海幕長が一、二回行ったこと、その他の人が行ったことあり得るという答弁ですが、詳細、具体的にひとつ調査をしていただきたい、これ要望しておきます。  次に、きょうは久保次官お見えですのでお答え願いたいと思うんですが、昭和四十七年の十月の七日ですね、国防会議の幹事会が開かれました。いままでもいろいろ聞かれていることですけれども、当時関係しておられた一人として——証人としてはまたお呼びする機会があるかと思いますが、きょうは一応政府側としてお聞きするわけですが、場所は、一体この幹事会はどこで、出席者はだれであったか。久保さんはそこにいたかどうか。いなければどこに当時おられたかという点。
  170. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 事実関係関係局長から御説明いたします。  私はそこにおりました。
  171. 内藤功

    ○内藤功君 だれが説明するんですか。
  172. 内海倫

    説明員(内海倫君) 当日会議の開かれましたのは官邸大客間でございます。それから、当日の
  173. 内藤功

    ○内藤功君 官邸の何ですか。
  174. 内海倫

    説明員(内海倫君) 大客間でございます。それから、当日の会議出席者は、外務、大蔵、防衛、経企、通産、科学技術庁の各事務次官、法制局の法制次長、それから官房の両副長官、それから事務局長、それから陪席いたしておりましたのは先ほどの現久保次官、それから小田村経理局長、伊藤防衛課長、宮下主計官、これが出席者でございます。
  175. 内藤功

    ○内藤功君 その後この幹事会の場所を官邸からほかに移しましたか。移したとすればどこか。何時ごろまでやったかという点。
  176. 内海倫

    説明員(内海倫君) お答えを申し上げますが、いま御質問の件につきましては、幹事会ではございませんので、私どもはどういう人がどこに集まったかということを承知いたしておりません。
  177. 内藤功

    ○内藤功君 海原国防会議事務局長、それから大蔵省の相澤主計局長、それから後藤田官房副長官、こういった人がホテルに場所を移して夜遅くまで引き続き議論をしたということは承知していますね。
  178. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) その幹事会の後、引き続いて場所を変えて、いま挙げられましたような人々で特にFST2改の問題、これについての議論が行われたというふうに承知しております。
  179. 内藤功

    ○内藤功君 その席上で、つまり場所を移した席上で、国防会議の事務局長であった海原氏から、国産論、輸入論のいわば折衷案とも言うべき提案がなされたことは承知しておりますか。
  180. 内海倫

    説明員(内海倫君) 私ども具体的にそういう問題の内容については承知をいたしておりませんが、何かの記事かなんかで読んだような気もいたしますけれども、何しろ外のことでございますので、私どもは承知をいたしておりません。
  181. 内藤功

    ○内藤功君 翌日の十月の八日に同じく海原——当時の事務局長が同じくこの国産丁2改の、国産と輸入の中間にある妥協的な案を、折衷案とも言うべきものをつくって後藤田副長官、相澤主計局長、それからそこにおられる久保——当時の防衛局長、いまの次官、こういう方々のところをずっと意見を聞いて回ったと、そしてさらに、この海原氏は田中国防会議議長——当時の総理、この御意見も聞いて、ずっとこういう関係者のところを回ったということは承知していますか。
  182. 内海倫

    説明員(内海倫君) お答え申し上げます。  先ほどと同じように委細承知をいたしておりません。
  183. 内藤功

    ○内藤功君 十月八日の夜ですね、電話で大蔵省の宮下主計官から小田村防衛庁経理局長に電話がかかってきて、そしてT2改の国産、T2の国産は了承するけれども、PXLについては国産は断念してほしいという趣旨の電話があったというんですが、これに対して小田村経理局長というのは一体それからどういう措置をとったのか、つまりだれとだれに、防衛庁のだれとだれにそのかかってきたという電話——これに私は疑念を持つのですがね実は、その電話の内容をだれとだれに知らして、知らせられただれとだれはそれぞれどういうふうに対応したのか。会議でも開いたのか、何とか答えたのか、どうしたのか、その先がどうもはっきりしない。これはどういうふうに答えますか。
  184. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) この件に関しましては、先般の長官の御指示による関係者にお集まりをいただいての調査におきまして当方が調査をいたしました結果によりますと、十月の八日、日曜日でございますが、午後一時から当時の増原長官が御出席になりまして、日曜ではありましたが、問題はこのFST2改について大変状況が悪いということでございまして、この問題を中心にして内局の各局長が集まりまして、もちろん当時の事務次官が入っておりますが、行われたわけでございます。これは深夜に及ぶ会議であったわけでございます。その途中で大蔵省——これは宮下主計官であると思いますが、それから小田村経理局長に対しまして、ただいま先生がT2改は認めるとおっしゃいましたが、T2改のみでなくて、FST2改とそれからT2改でございますが、この国産については……
  185. 内藤功

    ○内藤功君 FST2改とT2だろう。
  186. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) T2とFST2改。
  187. 内藤功

    ○内藤功君 両方ね。
  188. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) ええ。についてそれが防衛庁の原案でございますから、これを国産でいくということについては同意をするけれども、PXLについては国産化を前提とした研究開発は断念してほしいという意向が伝えられた。当然、当時これは会議が開かれておるわけでございますから、その会議出席者にはこの電話の内容は伝えられたものというふうに私どもは判断をいたしておるわけでございます。  なお、ついでながら、この問題については長官以下が協議をいたしまして、大蔵省の申し出に対しては、PXLは大変残念であるけれども、まあやむを得ないであろうということになったということでございます。
  189. 内藤功

    ○内藤功君 いまの話で久保さんですね、あなたはこのときにその午後一時からの庁議というか会議に出ていたんですか。そしていまの電話は確かに聞いたんですか。
  190. 久保卓也

    説明員久保卓也君) いわゆる久保発言がありましたときには、私は前の晩に電話があったことを失念をいたしておりました。しかし、その後関係者が集まっていろいろ記憶を呼び起こしているうちに、当時の状況をはっきり思い出してきたわけでありますが、私は終始会議に出席をしており、そして電話がかかっておったことも明確に記憶いたしております。したがいまして、この点疑念があるというお話でありましたが、疑念はお晴らしいただきたいと思います。
  191. 内藤功

    ○内藤功君 ところがあなたは、ことしの二月十日衆議院の予算委員会で楢崎委員のたしか質問に対して、このPXLの問題を白紙にするということは十月の九日の国防会議の席上で初めて自分以下は知った、こう非常に明確に述べているんですね。それから増原長官に至っては、二月十三日に、やはり二月十二日の記者会見で国防会議の席上で初めて、つまり十月九日の国防会議の席上で初めて白紙化ということを知った、こう言っているんですね。電話のことなんか二月のあなたが発言して取り消す取り消さないという問題が起きたときや、あるいはこの増原長官の談話がそれを追って出たころには何にも出てないんです。そして最近に至ってこれが防衛庁の統一見解ですか、そういう中で宮下主計官の電話というものが突如として出てくる。そうしてその突如として出てきた電話に対して長官以下がいともあっさりと言っちゃ語弊があるけれども、その場で了承する、これは非常に、私、腑に落ちないのです。後からつじつまを合わせるために八日の電話をつくったんじゃないかと、これは非常に不合理な感じがするのですね。これはまあいずれ海原氏その他の関係者も全部喚問して聞く機会があるだろうと私は思うのですけれども、もう一遍伺いたいのです。あなたは宣誓した証言じゃないけれども、ここで本当のことを言ってください、これは。
  192. 久保卓也

    説明員久保卓也君) この委員会は事実をお求めになるわけでありましょうから、評価はどうされましょうとも事実は事実であります。そこで、私が十日の日に衆議院で申し述べたのは、九日の晩取り消しをして十日の朝の新聞に出てすぐに衆議院委員会、たしかお昼前後、午前であったと思いますが、そのころはまだ記憶をしておらない、つまり前夜の会見から国会で呼ばれまするまで調査が行われておらないわけであります。十日の朝私は二時か三時ごろうちへ帰っておりますから調査やっておらない。その後いろんな人と関係者を集めて話をしているうちに、その話の過程でなおかつまだ思い出さない当時の関係者もおりましたが、私は明白に思い出してきた、ということであります。
  193. 内藤功

    ○内藤功君 久保次官に伺いますが、あなたがその記憶を思い起こしたのは何月何日ですか。
  194. 久保卓也

    説明員久保卓也君) たしか十日のお昼ごろに当時の小田村経理局長に来てもらいまして……
  195. 内藤功

    ○内藤功君 十日というといつの十日ですか。
  196. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 二月十日ですね。二月九日があれですから、二月十日の、つまり国会で呼ばれて御説明をしたその後、政府委員室に当時の電話を受けたという小田村経理局長に来てもらってそしていろいろ話をし、そしてまた当時私の下にいた課長なんかにも来てもらっているうちにわかってきたということであります。
  197. 内藤功

    ○内藤功君 そのときにあなたの記憶を喚起するために向こうの方から、つまりあなたの部下の方から、いやあのときは前の日に、八日の日に電話があったんですよということを言われて思い出したのですか。
  198. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 実は、十月八日の晩の会議の席上、私の下にいる課長は当時出席しておりませんでした。これは本人がそう言っておりますから。そこで電話がかかってきた内容について当時の私の担当課長は知っておりませんでした。ところが、電話を受けたのは当時の小田村経理局長でありますから、小田村氏から話を十日のお昼ごろ聞いて、なるほどと自分で思い当たったわけであります。これはうそではありません。
  199. 内藤功

    ○内藤功君 ところが、そうなると、二月の十二日に増原防衛庁長官がさらに記者会見をして、自分が初めて知ったのはやっぱり十月の九日の国防会議のとき初めてPXLの白紙還元を知ったと、こう言っているのですね。これも記憶違いになりますか。大臣も次官も二人とも記憶違いしていたというのは実におかしいと思うのです。
  200. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 増原長官、当時の長官が後で記者会見をされたそのお言葉の内容と新聞記事とが同じであるかどうか私は保証できません。それから、私も増原当時の長官も初めて知ったというのは、了解事項の文言、つまり了解事項に示されている事柄であります。つまり、前の日に大蔵から電話がかかってきた事柄と了解事項とは若干ニュアンスが異なっておる、その点について私も増原さんも御存じなかったということであります。
  201. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 増原前長官には、私、事実調査関係でお会いをして話を聞きました。非常に記憶があいまいでございまして、ただ、よくお話を聞きますと、そのときの自分の頭というのはPXLというよりも支援戦闘機の問題で頭がいっぱいだったんだと、こういう話なんです。それが正確だと思います。
  202. 内藤功

    ○内藤功君 いずれにしてもこのいまの二人の答弁でも明らかなように、非常に、当事者でない人の記憶というもので組み立てられた答弁が非常に多いわけです、いままでね。ですから私どもは、この関係者をきのうの室井さんのようにちゃんと宣誓の上証人に出てもらって、そうすれば、何回も何回も人に聞きまして、こうですという問答を繰り返さなくてもいいんですから、そうしてこの尋問を進めるべきだとかねがね主張しているのです。いまの問答は、いかに証人尋問によらない事実の究明というのがむずかしいし、また、ああ記憶違いでしたと、大事なところは記憶違いになってしまうということになるかということを私は示したんだと思うのですね。  もう一つ久保さんにお聞きしたいと思うのです。久保さんにお伺いしたいのは、小田村経理局長から電話を聞いたのはだれとだれとだれで、どういうふうな議論をして、どういう経過で了承したのか、その過程をちょっと説明してください。
  203. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 多分長官室であったろうと思うのですが、関係局長、参事官は出ておりました。そこに電話がかかってきたわけでして、どういう文言であったか正確には実は関係者は覚えておりません。しかし、趣旨は、いずれにせよ支援戦闘機はいいけれどもPXLの方はだめですよという趣旨のことが伝えられたわけであります。私どもの方ではそこで若干の議論が行われて、ただいま防衛庁長官もお話しになりましたように、防衛庁としては支援戦闘機が大問題であったわけで、PXLの方は研究開発を行うに当たって機体を入れるかどうかという点だけであったわけでありますから、その点が大蔵省との争点であったわけで、この点がだめですよと、しかしながら主要項目の方の文言は変わらないわけでありますから、場合によってはわれわれとしては予算でまた巻き返すことが可能だろう、したがって、大蔵省の言い分を防衛庁がのんでもいいじゃないかというような結論になって、小田村経理局長から大蔵省の方に返事をしたという経緯だったと思います。
  204. 内藤功

    ○内藤功君 それでもまだおかしいのは、久保さんは一たんこの二月の九日の発言をその後取り消されましたね。その取り消したときに、八日に実は電話がかかってきたので、そのとき初めて防衛庁としては、また久保としてはPXLの白紙還元というものはそこで理解をし、了知し、了承したんだということは一言もなかったですね。これは確認しておきますが、それはどうしてですか。
  205. 久保卓也

    説明員久保卓也君) ちょっと御質問趣旨が私よくわからなかったのですが、二月の九日……
  206. 内藤功

    ○内藤功君 九日にあなたが発言したですね、そしてその後それを取り消されましたね、取り消した。その取り消しのときに、あなたは十月の八日に宮下主計官から電話がかかってきて、そのときPXLは白紙還元だということは承知をしたと、こういうふうには言っていないはずですね、言ってないですね。まずその点、言っておりませんね。
  207. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 十月の八日に大蔵省から連絡があったのは白紙還元という言葉ではなくって、そこがまあ言葉が、関係者、電話をかけた人、かけられた人、両者とも正確な言葉を覚えておらないのですけれども、要するに、PXLの方はだめですよということを言われたと。したがって、九日の日の了解事項、国防会議の了解事項の趣旨を前日に知っておったわけではこれはありません。
  208. 内藤功

    ○内藤功君 いずれにしましても、十月の八日の夜の宮下主計官の電話で知ったということは久保さんがきょう初めて言われた。それで、二月の九日の発言をあのころ取り消されたときはそういうことは言っていなかった。私どもは、これから先は評価になりますから、あなたと論争は余り意味がないからこれはこれで打ち切りますけれども、非常に不自然な感じ。私は、この八日の電話は、この前もわが党の神谷委員質問しましたが、非常に問題としている。われわれが調べた関係者の中でも、八日の電話というのはおかしいと、あったということがおかしいという人が多いということを私はひとつ指摘をしておきたいと思うのです。ありますか、反論か何か。
  209. 久保卓也

    説明員久保卓也君) もう一度繰り返しますけれども、十月九日の晩に取り消しをした。そして、十月十日の午前に衆議院でお話を……
  210. 内藤功

    ○内藤功君 二月十日ですね。
  211. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 二月十日。失礼しました。二月九日の晩に取り消しをして、二月十日に衆議院に呼ばれて御説明をした。その時点においては、さっき申しましたように、小田村氏から話を聞いておりませんので、全く前の日に電話があったことは失念しておりました。したがって、その後関係者が集まって、防衛庁が作成した資料の中には明確に電話があった趣旨が書かれてあるはずであります。私はここで初めてと申されるのは、二月十日以降初めて国会に呼ばれましたから、たまたま議事録の上で初めてになるだけであります。そして電話があったことは、これは関係者以外の方がどう憶測されようとわかるはずがないのでありまして、電話をかけた人、かけられた人、そして私どもが関係しておった人のみが知っておること、あとはそこから聞かれたものであろうというふうに思います。
  212. 内藤功

    ○内藤功君 二月十日以後国会に呼ばれたことがないと言うけれども、重要な事実ですから記者会見をなさってその点を明らかにすることもできるはず。国会に呼ばれないからということは私は聞こえませんね。  それからもう一つは、電話をかけた人、かけられた人、二人しか知らない、それはそうでしょう。しかし、それなるがゆえに電話での二人の話というのは非常にこれは幾らでも私どもは疑うことも可能だということを申し上げておきたいと思います。そう言われるから私はそういうことを言っておきたい。いずれにしても、これは証人喚問をしてはっきりさせなければいけないんですよ。証人としての喚問をしなきゃいけないと私は思うんです。  さて、十月九日の早朝、増原長官と島田次官が田中総理を訪問されたという事実ですが、この訪問したときに防衛庁長官の方からT2、T2改は国産、PXLはだめですよということなんですね、ということを田中前総理に確かめたかどうか。あるいは逆に、田中前総理の方から同様の話を聞いたかどうか、この点を伺います。
  213. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 私どもの調査いたしました結果によりますと、増原長官は総理に対してT2シリーズ、いわゆるT2と、それからFST2改、これは絶対防衛庁の要求どおり国産でお願いをしたいということを終始総理に陳情された。総理は、これに対しては明確な御回答がなかったというふうに承っております。したがって、PXLは全然当時増原長官からのお言葉の中には含まれていなかったというふうに聞いております。
  214. 内藤功

    ○内藤功君 そうしますと、おかしいのは前の晩にPXLはだめですよと、久保さんの言葉かりて言うと、そういうことも電話の中にあった。ところが、翌日行ったときには、田中総理に対してT2、T2改のことは言ったけれども、PXLのことは何にも言わなかった、こういうことなんですね。これはどうしてなんですか。ちょっとおかしくありませんか。説明ができればしてください。
  215. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 私はおかしくないと思います。たびたび申し上げているように、当時はFST2改の問題が争点であったわけでございますから、これが国産に決まるかどうかということは防衛計画、四次防にとっては一番致命的な問題であったわけで、これについて当時の増原長官が総理に陳情されたということであるというふうに思います。  また、PXLにつきましては、これは先ほども久保次官からも御説明がありましたように、国内開発の問題でございますから、ここで仮にそういう話になっても、いずれ勝負は十二月の予算の折衝があるわけでございます。そのときに、また大蔵と折衝するという機会がちゃんと残されておるという考え方でございます。
  216. 内藤功

    ○内藤功君 しかし、四次防の大きな目玉がやはりT2、T2改とそれから次期対潜哨戒機であったということは、これは当時衆目の一致するところです。これには準備期間が要りますね、準備期間が要る。研究調査あるいは開発、訓練の期間も要るでしょう。こういう点から言って、さっきから言われている、T2、T2改だけを重視していたという言い方は私は理解できない。納得できない。  それから十二月の予算折衝でやればいいと言うけれども、その十二月の予算折衝の重要な前哨戦ですよ、八月末の交渉というのはね。ですから、この十二月の予算折衝の重要なやっぱり前哨戦だという意識があって当然だと思う。私はいまの点の説明、納得できませんね。
  217. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) これはむしろいま防衛局長がお答えしましたとおりでございまして、非常に素直に申し上げておるわけで、素直にお聞き取りをいただきたいと思います。  久保次官の前に次官をしておりました田代次官、これが昨年でございましたか、随筆を出しております。これはまだロッキード問題が起こっていないときに書かれたものでございます。これは印刷されておるわけですが、それを読みますと、やはり、いま丸山局長がお答えを申し上げましたとおりでございまして、やはりそのときの防衛庁の価値観といいますか、一番大切な課題は何かというならば、支援戦闘機の問題、しかしこれはもし輸入にされたらそれこそ大変な問題なんだと。増原長官その他のお気持ちを察するならば、それは本当に首をかけなきゃならない課題だというぐらいに考えておられたわけでございまして、PXLの問題はいまでこそこういうふうに問題になっておりますけれども、そうしてまた、防衛庁にとってはそれは確かに大事な問題ではございますけれども、いま丸山局長が申し上げますように、大蔵とうちとの関係におきましてまだまだ勝負の時期はある、残されておるということでございますので、そういうふうに素直にお聞き取りいただいた方が真相解明に役立つんじゃないかと私は思うのです。
  218. 内藤功

    ○内藤功君 これは素直に受け取れないということを申し上げて、次に行きたいんですが、九日の国防会議幹事会です、問題は。この幹事会で、久保さんは出られたかどうか、それからここでT2、T2改については大体幾つぐらいの案が出たか、PXLについては何か案が出たか、時間の関係で三つまとめてですが。
  219. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 私はその会議に出ました。あとは関係局長からお答えいたします。
  220. 内藤功

    ○内藤功君 丸山さんどうですか、この点は。事務局長もう少し明快に答えてもらいたいのだな。
  221. 内海倫

    説明員(内海倫君) 十月九日の朝の幹事会におきましては、前々日、だから十月の七日に幹事会をやっておりますが、それまでにまだ決定を見ておりませんでしたいわゆるT2改、支援戦闘機の機種についてのその後における大蔵、防衛等の……
  222. 内藤功

    ○内藤功君 済みませんが、途中で失礼ですが、幾つ案が出たかでいいですよ。
  223. 内海倫

    説明員(内海倫君) そのことについては……
  224. 内藤功

    ○内藤功君 わかりませんか。
  225. 内海倫

    説明員(内海倫君) わかりませんので、経緯を説明したと……
  226. 内藤功

    ○内藤功君 結論だけでいいのです。T2、T2改については幾つ案が出たか。PXLについては何か案が出たか、これだけです。
  227. 内海倫

    説明員(内海倫君) 案その他については、私、承知しておりませんし、それからPXLについてはここでは論議はしておらないようでございます。
  228. 内藤功

    ○内藤功君 この席上ではT2、T2改については国産案、輸入案、そうして一部輸入案の三案が出て、論議したじゃありませんか。何でも、承知しておりませんじゃ困るね。だから証人尋問が必要なわけだよ、肝心なところなんだから。
  229. 内海倫

    説明員(内海倫君) この幹事会のときに出しております資料は、支援戦闘機については機種を入れてないブランクのままの案が出ております。
  230. 内藤功

    ○内藤功君 それはどういうことですか。どういうふうになっているか、もう少し具体的に説明してください。
  231. 内海倫

    説明員(内海倫君) たとえば支援戦闘機として括弧して、たとえばT2改と書くとか、あるいは何かほかのものがあればほかのものを書くとかいうのが仰せのような一つのはっきりしたものでございますが、この幹事会に出ております案は、支援戦闘機と書いただけで、括弧の中は何もないわけでございます。
  232. 内藤功

    ○内藤功君 括弧はあるわけですか。括弧はあるけれども、中は白くなっているというわけですか。
  233. 内海倫

    説明員(内海倫君) ええ。白紙になっている、ブランクでございます。
  234. 内藤功

    ○内藤功君 前の晩に、八日の晩に宮下主計官から電話があって、防衛庁は了承したと、T2、T2改は国産だと、PXLはだめですよというのを了承したというんでしょう。それで、明けて翌日の幹事会に国産かどうかということがまだはっきりしないで、支援戦闘機、括弧白紙と。話がつながらないですね、これ。これはどういうふうに理解したらいいですか。
  235. 内海倫

    説明員(内海倫君) 先ほど、私、括弧と申しましたが、括弧はついてないそうでございますから……
  236. 内藤功

    ○内藤功君 いいかげんだね。
  237. 内海倫

    説明員(内海倫君) お許しをいただきたいと思います。  それから、前の晩の問題は、恐らくこの幹事会で経過の報告として、経緯の報告として行われておるとは思いますけれども、それはどういうふうな形でどういうふうに話をされておるか、私どもは承知のしようがないわけでございまして、幹事会そのものが、御存じのように決定をする会議ではございませんで、T2じゃなくてその支援戦闘機の問題の経緯を報告を聞いて、最終の決定は国防会議で行ってもらうと、こういうことを話し合って幹事会というのは終わっておるわけでございます。
  238. 内藤功

    ○内藤功君 実におかしいと思うんですね。八日の電話と九日の朝の幹事会がつながらないんです。これが一つ重大な疑点であります。十月九日の幹事会の後、田中前総理の執務室に後藤田が入り、続いて相澤氏が呼ばれて入ったと、こう理解しておりますが、この点は余り争いがないから詰めませんが、後藤田氏がT2、T2改の国産を田中前総理に進言したということが統一見解に書いてあるが、その進言というのは幹事会の報告じゃないんですか、それとも後藤田の意見として進言をしたんですか、どっちなんですか。
  239. 内海倫

    説明員(内海倫君) 官房副長官としては幹事会の報告を議長に対していたしたと思いますが、ただ、経緯に書いてあります国産を進言したという点につきましては、幹事会で論議せられた結果を報告したというわけではなくて、恐らくこれは私ども気持ちの類推以上を出ませんけれども、そういうふうな幹事会における経緯の報告等を聞いて、自分の心証として議長に報告をしたんではなかろうかと、こういうふうに私どもは理解をしておるところでございます。
  240. 内藤功

    ○内藤功君 ますますあいまいになってきた。気持ちの類推だとかそんたくなんてものはこの調査権には最も忌むべきものなんですね。  そこで、その席上でT2、T2改は国産だが、PXLは白紙とする、国産化問題は白紙とするという話が出たのは、田中前総理から出たんですか、相澤から出たんですか、どっちですか。
  241. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) このくだりは私ども関係者調査でお話が出ておるんで、統一見解に書いてあるとおりでございます。つまり後藤田副長官からは、支援戦闘機並びに高等練習機については国産でいくのが妥当であると思うという進言をされておる。続いて相澤主計局長が呼ばれまして、本件について国産でいくということについて大蔵省は異論がないかという問いに対して相澤主計局長は、大蔵省は大蔵大臣の了承も得ており異論はないということを言われてます。それから相澤局長から、しかしながらPXL、AEWについては防衛庁は国産化を前提とする研究開発を主張しておるけれども、これは大蔵省としては認めがたいという旨を言われておる。それに対して総理がそういうめんどうくさい問題は——めんどうくさいと言ってもあれですが、細かい……
  242. 内藤功

    ○内藤功君 正確に言ってくださいよ、めんどうくさいでいいのか。
  243. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) そういうことをおっしゃるならちょっと統一見解にあるとおりでございます。  それでは、統一見解に書いてあるとおりでございます。「総理は、相沢主計局長を呼び、大蔵省に異存があるかどうかを確認した。相沢主計局長は、大蔵省も検討をし、大臣の了解を得ているとして、支援戦闘機の国産には異存がないが、次期対潜機、早期警戒機等の国産化を前提とする研究開発は、従来からの大蔵省の主張どおり認め難い旨の大蔵省の意見を述べた。  総理は、このような技術的な問題を一々自分の所まで上げられては困る。そういうことは、専門家に検討させて決めてはどうかという趣旨のことを言われ」たということでございます。
  244. 内藤功

    ○内藤功君 いまの点も、相澤元主計局長は、久保さんの談話の直後の記者会見では、総理の方からPXLの白紙の問題が出されて自分が了承したと、こういうことを言っていて、非常に区々な問題で、だからわれわれはここで、証人喚問で明らかにしなきゃいかぬと前々から言っているとおりなんです。  そこで関係者調査といま丸山さん言われましたけれども、関係者の中に田中元総理は入っていますか。田中前総理を調べましたか。
  245. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 田中総理は入っておりません。ただし、いま申し上げましたのは、相澤君、それから後藤田君、それから海原君、この三人、それから前長官といたしましては増原長官、それから大蔵大臣の植木庚子郎先生……
  246. 内藤功

    ○内藤功君 いや、肝心なのは田中前総理ですからほかはまあ結構です。
  247. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) ということです。
  248. 内藤功

    ○内藤功君 国防会議の事務局に専門会議を置いて、そこで検討させよという、そこまで具体的に田中前総理が言ったと、こういうことなんですか。——その読むのはなるべくやめてほしいな。それは持っているからね。
  249. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 正確を期するために読み上げて申し上げるわけでございますが、いまおっしゃっておるように、国防会議専門会議を設けてという具体的なことはおっしゃっておりません。そういうことは専門家に検討させて決めてはどうかという発言でございます。
  250. 内藤功

    ○内藤功君 そうしますと、田中前総理専門家に検討さしたらどうかと言った。国防会議事務局専門会議を置いて云々というのは、これはだれの発案ですか。
  251. 内海倫

    説明員(内海倫君) 私どもの承知しております限りでは、議員懇談会で議員の先生方が論議をされた中でいろいろ議論があり、それらを受けて事務当局の者が案文をつくって、それを海原事務局長が読み上げたと、こういうふうに承知いたしております。
  252. 内藤功

    ○内藤功君 だからね、案文をつくるためには国防会議事務局専門会議を置いてということをだれかが発案してほかの関係者の了承得なきゃならぬでしょう。それはだれが発案したかという質問ですよ。
  253. 内海倫

    説明員(内海倫君) いま申しましたように、論議を受けて事務当局が書いておりますので、どういう形でどなたがそういう発言をされたかということについては、私どもはつまびらかにいたしておりません。
  254. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 私が調べました限りは、先ほど丸山防衛局長が申し上げましたように、「総理は、このような技術的な問題を一々自分の所まで上げられては困る。そういうことは、専門家に検討させて決めてはどうかという趣旨のことを言われ、国防会議議員懇談会の席上においても同様の発言があった」ということであります。それに基づいていまの専門会議というものが出てきたと思われます。
  255. 内藤功

    ○内藤功君 だから、それじゃ答えにならないんで、国防会議の事務局に専門会議を置いて云々という具体的なことを言ったのはだれかと、これは答えがない、わからないということでここは私は腹におさめておきます。ここではわからない、ここにいる人だれもわからないということで。  その次に、この了解事項にある「輸入を含め」というのはだれが言い出したのかという問題、どうですか。「輸入を含め、この種の高度の技術的」な問題はと、「輸入を含め、」というのはだれが言い出してどういう意味かという点、これはどうですか。
  256. 内海倫

    説明員(内海倫君) だれが言い出したかということについては、先ほども申しましたようにつまびらかにいたしませんが、現在私どもがこの了解事項の、何と言いますか、理解といたしまして「輸入を含め」というのは、国産開発を前提とする研究開発を行うについて、輸入機との対比をして、あるいは対比をしながら検討をする、こういうふうな意味合いのものというふうに理解をいたしております。
  257. 内藤功

    ○内藤功君 聞かれないことは結構なんです。つまびらかにしないということなんですね。  その次に、これは内海さんに真っすぐにお伺いしますが、あなたさっきのほかの同僚委員質問に対して、国防会議の事務局専門家懇談会の人選や運営がなかなか時間がかかったということをいろいろ弁解的な答弁をなさいましたが、そういう困難にぶち当たっているということについて、あなたの上司になる官房長官や総理と相談なさったことはあるのですか。そういうときにどういうようなお答えがあったのですか。
  258. 内海倫

    説明員(内海倫君) そういう仕事をやっております過程におきまして、官房副長官あるいは官房長官に経過を報告いたしておりますが、特にどういうふうにというふうな特別な御指示というふうなものはございません。何と言いますか、しっかりとやるようにと、こういうことでございました。
  259. 内藤功

    ○内藤功君 慎重にやるようにという指示があったんじゃないのですか。この了解事項には「慎重に」と書いてある。その点はいいですが、「慎重に」というのはだれの発案で入ったんですか。くどいようですがもう一つだけ。これもつまびらかにしないならしないで結構です。
  260. 内海倫

    説明員(内海倫君) 大変申しわけございませんが、やはりだれが発案したかというふうなことについてはつまびらかにいたしません。
  261. 内藤功

    ○内藤功君 国防会議でのこの席上で、後藤田副長官から海原氏にこの了解事項の文案になる文章が回ってきたと言われておりますが、この文案は回覧したんですか。一人一人に配付をしたんですか。
  262. 内海倫

    説明員(内海倫君) 海原氏の書かれましたもので、そういう事実を私読みましたけれども、それがどういうふうなもので、どういうふうにされたかということについては聞いておりません。
  263. 内藤功

    ○内藤功君 ここでまとめてお伺いしますが、さっきぼくが質問して、あのとき深く追及しませんでしたけれども、十月七日の日に海原氏から国産と輸入の真ん中の折衷案らしきものが出される、八日の日に海原氏が田中総理の了解も得たと称して関係者のところを回られる、こういうことがあったわけですね。それからいまの文案は、国防会議の席上後藤田さんから海原さんに回される、こういうことがあったわけですね。こういうような海原氏に関係していること、いまは民間の方ですけれども、もとの要職にあられた方ですよ。こういった方の、いやしくもものに書かれたことについて、このロッキード事件の真相究明立場からお調べになって当然だと思うのですが、調べていないわけなんですね、これは。——調べていない。きわめてこれは調査としては片手落ち、手抜かりだということを私は思うのですよ。  そこで、次に聞きたいのは、そうすると回覧されたか、配付されたかもわからないというわけですね。どっちなのか、内海さん。
  264. 内海倫

    説明員(内海倫君) 海原さんがお書きになったものか、あるいは海原さんの談話だったかによりますと、後藤田さんから海原さんのところに紙が来たとこういうことを書いておられるのを読みました。
  265. 内藤功

    ○内藤功君 そうすると内海さん、それは真実であるか、真実でないかの点についての御判断はお持ちですか。あるいはわかりませんか。
  266. 内海倫

    説明員(内海倫君) 何とも判断いたしかねますが、御本人がお書きになっていることでございますから、その限りにおいては、御本人のお書きになっておるものを信ずる限りそれは事実であろうと思います。しかし、それは御本人に関する問題でございます。
  267. 内藤功

    ○内藤功君 もう話になりませんね。私は、ですからこういうような状況ですから、まさに靴を隔てて足をかくという——余り品のいい言葉じゃありませんが、ありますが、いまの問答まさにこれなんです。配られたかどうかつまびらかにしない、そして海原氏にも聞かない、じゃ配られた側の人も調べているかというと、それも調べていないらしいという、調査としては全く調査の初歩がなってないんじゃないかという感じを、失礼ですが、持ちます。したがって、私はいま焦点になっている田中前総理、それからそこに一緒に入られた後藤田、相澤両氏、これは久保さんもここにはいないわけですからね。この三人のことを知っている人はここにだれもいないわけだ、本当に。この三人はここへ出てきていただいて、そして喚問するしかない。  私は残念ながら時間がなくなってしまったので、委員長並びに理事各位に、すみやかにこのことをなされることを要求しまして終わります。     —————————————
  268. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) この際、証人の出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  ロッキード問題に関し、土屋清君及び海原治君を証人として来たる六月二十四日に出頭を求め、その証言を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  269. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、その手続等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  270. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  271. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は、まず防衛庁と川崎重工との契約の問題についてお伺いをしたいと思います。  四十五年度の契約が結ばれたのが四十五年の七月九日である。それから四十六年度の契約が結ばれたのが四十六年の九月九日、いずれも年度の途中で結ばれております。こういうやり方がとられる理由というものをお伺いしたいと思います。
  272. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) こういった技術調査研究委託契約等のいわゆる契約を締結いたします場合には、先ほども御説明を申し上げましたように、予算の実施計画の承認を得るため、あるいは契約に必要な仕様書の作成あるいは予定価格の見積もりというようなことで、いわゆる手続的な時間を要するということでございます。そういった事務調整等のために通常単年度のものにつきましては大体中ごろに締結されるというのが一般でございます。
  273. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 四十七年度の契約は十月に至るもなお結ばれていなかったわけですけれども、この契約を結ぶ前にすでに川崎重工は実際には契約内容に関する作業に入っておった。これはきのうの室井証人の証言でも明らかでありますけれども、この事実を防衛庁は知っていたかどうか、お伺いをしたいと思います。
  274. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) きのうの室井証人のお話にありましたように、川重といたしましても川重独自の社内研究というものはいたしておるわけでございます。したがいまして、私どもの方も一応その社内研究の一環ということでそういうものが行われておるというふうに了知しておるわけでございます。
  275. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 たてまえは一応社内研究というかっこうですけれども、その内容については、将来、契約が結ばれるであろうと、そういう想定のもとにそういう作業が行われておる。しかも、その作業を行うに当たって防衛庁の担当官と打ち合わせの上行っておる、こういう証言があったわけですけれども、この事実についてはどうですか。
  276. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) その辺の事情でございますが、私どもが先ほど申し上げましたように、中で行われておりますのは一応社内研究であるというふうに解釈しておりますが、防衛庁の担当官と申しますか、あるいは技本の担当官だと思いますけれども、打ち合わせが行われたということは一応、先ほども申しましたように、契約を締結いたします際に契約の中身等確定していく必要がございます。そのための打ち合わせば行われておったと、かように考えております。
  277. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 契約の中身についての打ち合わせではなくて、実際問題はその契約を予想したその作業について打ち合わせを行っておったと思うのです。きのうの証言の趣旨はむしろそういう趣旨だったと思います。それから、これは単に四十七年度に限ったことではなくて、四十五年度においても、四十六年度においても、大体防衛庁と川崎重工との契約方式というものはそういうやり方がずっと慣行として行われていた、こういうことも室井さんは言っております。こういう点はいかがですか。
  278. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 契約を締結する以前にそういうことを会社と打ち合わせし、かつ会社がそれを事前にやると、俗に申しますとはみ出してやるわけでございますが、そういうことは私どもの方としてはしておらないつもりでございます。先ほども申しましたように、やはり契約を締結する際に、大体こういうことの契約の中身になるであろうという打ち合わせばいたしまして、それをある程度受けて、たとえば受託者のあるいは川重の方で自社研究を進めていくということはあり得ると思いますけれども、中身を事前に打ち合わせをしてやらしていくというようなことはやっておらないわけでございます。
  279. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は恐らく川重とだけではないと思いますけれども、また防衛庁だけではないかもわかりませんけれども、こういうことは一般に行われておるのではないかと思うのです。そして、まず予算を決めるときに、予算の中身の積み上げについては大体受ける業者と打ち合わせをして予算の細目の積み上げをやる。だから、業者としては大体予算が決まればどういう仕事が出るということはよくわかっているわけです。それから実際問題として十月ごろに契約を結んで、それから作業にかかったのでは間に合わない、こういうことがあるわけですね。だから、暗黙の了解でそういうことを作業を進めておる。ところが実際の場合は、予算が決まれば大体契約が結ばれるものである。だから、問題はそれでも起こらないわけですけれども、四十七年の場合にはその契約が結ばれなかったから問題が起こった。川重としてはそれによって受けた損害が約五億円、こういうことが言われておるわけですけれども、しかも、それを損金処理にしておる。営業外費用として社内研究費ということで落として処理しておる。こういう事実は防衛庁は知っていたのかどうか。
  280. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 当時どういうふうな要するに社内研究が行われておったということは存知しておるわけでございます。ただ、その経理処理がどういうふうに行われておったかということは、当時は恐らく知らなかったと思います。事後的にはもちろん私どもの方は了知しております。
  281. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は正式の契約が結ばれていないにしろ、あらかじめ防衛庁の担当官も知っておるし、黙認の上で作業を進めておる。作業を進めるに当たって打ち合わせもしておる。こういうことで契約が結ばれずに会社が損害を受けた場合、これは防衛庁として責任はあるのかないのか。この点はいかがですか。
  282. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) これは先回にも申し上げましたように、結論から申し上げますと、防衛庁としては責任はないというふうに考えざるを得ないと思います。と申しますのは、まず雑損金で処理しておるわけでございますので、一般の要するに会社の運営としてこういうものが年々落とされていっておるというふうに理解せざるを得ないわけでございますし、それからこの点はきのうも発言がありましたように、一応契約というのはいたしておらないわけでございますので、いわゆる契約の場の外のことであろうかと思われるわけでございます。そういう意味で、私どもの方としては、これは一応そういう意味の具体的な損害が生じたと、期待感とかそういうものは別といたしまして、そういう具体的な損害が生じたと、そういうことについての責任というところまでは考えておらないということでございます。
  283. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 形式的にはそうですがね。そういうたてまえと実体とやっぱり違うわけです。その場合、形式的には責任がないということで言い張ることができるでしょうけれども、道義的にはどうなんですか。
  284. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) これは見方の問題でございまして、確かにこういう研究を進めてまいります場合に、きのうも証言にありましたように、やはり現場との意思疎通というものは当然行われておりましたわけでございます。お互いに協力関係で進めておるわけでございます。それなりに相手方は期待権を持っておられると思います。ただ、四十五年、四十六年の場合につきましてはやれましたけれども、四十七年度はできない。これについては実際に契約ができておりませんので、私どもの方としてはちょっとどうしようもないと、率直に申してそういう感じがするわけでございます。
  285. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 いや道義的。
  286. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) もちろん道義的な問題ということになりますと、期待感を裏切ったという見方が不可能ではないと思います。その点にどう考えるかということでございますが、これについてはやはり事務的に処理せざるを得ないのではないかと、かように考えておるわけでございます。
  287. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私がなぜこういうことを申し上げるかというと、防衛庁としては川重に対して少なくとも何らかの負い目を感ぜざるを得ない事情にあると思うのです。こういうことをはっきり処理しないと、私は防衛庁と企業との癒着というものが生まれてくると思うのです。今後何らかのことでそれをカバーしなければならない。だから、今度の発注は川重に出そうとか、あるいは単価の問題でカバーしょうとか、私はこういうことがあってはならないから、こういう問題はやはりはっきりしなくてはならない、こういうことを申し上げたいわけであります。したがって、私は現在までのようなこの防衛庁の契約方式に問題があるのではないか。こう予算が決まって、事実上は先行して作業をやる、それから中ごろで契約を結ぶ。それが、いままでは大体予算が決まれば契約が結ばれておるから問題が起こらなかったけれども、今回のような問題が起こると何らかの負い目を防衛庁が負うことになる。それが企業と防衛庁との癒着ということに結びついていく、そういう意味で、いまの契約方式に問題があると思いますけれども、いかがですか。
  288. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) それは確かに御指摘の点はあると思います。私どもも端的に申し上げますと、もう少し契約を早く結んでおれば、そういうような問題はないのではないかという感じがいたします。そういう意味で、私どもは契約の早期締結化ということを極力推進しておるわけでございますが、なかなか実態的に先ほどの経理局長の説明にありましたように、予算の実施計画をとる、あるいはいろんなレート設定をする、いろいろ手続的に問題がございます。そういうことで、改善にこれからも努力をしていきたいと思っておるところでございます。しかしながら問題は若干ございます。
  289. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 四十六年度の川重との契約書の中に、国産化を前提としないという文言が入っている、これは室井氏が昨日証言したことでありますけれども、これは事実かどうか、またこれは契約書のどこに入っておるのかお伺いをしたいと思います。
  290. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 四十六年度の契約書の別添の、私ども俗称仕様書と申しておりますが、その中の一項に入っております。
  291. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 いままでにこのような例はほかにもあったのかどうか、お伺いをします。
  292. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 私どもの調べております範囲内におきましては、こういうこのとおりの文言が入っておるという契約はいまのところ見当たりません。  そこで、なぜこういうことを入れたかということであろうかと思いますけれども、一応四十五年度基礎調査をいたしまして、それと同じような性質のものをここでやってまいるわけでございまして、したがってそれを受けていわゆるこれはそのようなことをやるのであって、必ずしも開発を前提とするものではないという文言を挿入したわけでございます。
  293. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 これは防衛庁独自の意思で入れられたのか、ほかから何か要請があって入れたのか、いかがですか。
  294. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 予算成立に際しまして、財政当局との間にこの予算は開発を前提とするものではないという条件が付せられておるということは御説明申し上げました。私どもの方といたしましては、この具体的な契約をつくります際にそういう要請があったというわけではなくて、そういうことをそんたくして入れておるということでございます。
  295. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 四十七年に契約されるべきであろう内容、それからそれを見越して川重が進めてきた作業の内容は、昨日の室井氏の証言では全く国産化のためのものである、全く国産化のためのものであるということをはっきり認められたわけでありますけれども、いままで防衛庁側はこの点を否定してこられたわけです。どちらが本当かお答えをいただきたいと思います。
  296. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) これはもう防衛庁といたしましては、四十五、六から一貫いたしまして七年度に至るまで、いわゆる国産化を前提とする開発というものではないと、そういうものではないというふうに考えてやっております。ただ、川重の方としては、やはり社内研究というのは、きのう御指摘の、お話にありましたように、やはり国産というもの、期待と自信を持ってやっておられたのであろうと思います。そういう事情はございますけれども、われわれの方としては、これはそういうものではないというふうに考えております。
  297. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 いまの御答弁はちょっとおかしいと思うんですね。契約を出す側は国産化のためのものではない、契約を受ける方は国産化のためのものだ、こんなばかなことはないと思うんです。  それから社内研究と言われましたけれども、私が聞いたのは社内研究の分じゃなくて、予算の内容に基づいて契約されるであろうと、そういう想定で行った作業の内容はどうかと、こういうことを聞いたわけです。
  298. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 四十六年度につきましては、これは国産化を前提とする開発のためのものではない、着手するものではないという条項が入っておりますが、恐らく四十七年度におきまして、契約を締結する際におきましても、実際、締結する際にはそういう条項をやっぱり入れておったと思います。という意味で、私どもの方としてはやはりこれは、そういう国産化を前提とするものではないというふうに考えざるを得ないわけでございます。
  299. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 これはちょっと不可解です。  それから室井さんの証言では、四十七年度の防衛庁が予定しておった調査研究の内容というのは、製造技術を含めて細部にわたる研究をやるんだと、こういうことも言っておられたわけです。このことはお認めになりますね。
  300. 岡太直

    説明員岡太直君) 四十七年度に計画しました技術的内容につきまして、製造技術の問題は入っておりません。
  301. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そうしますとちょっとこの証言の内容と食い違うことになるわけです。どっちかがうそを言っているということになるんですがね。  それじゃ次に移りますけれども、四十七年度予算の執行を取りやめた、そのことによって川重側は非常に大きな被害を受けておるわけです。また防衛庁もそのことは御承知であります。法律的な責任はないにしても道義的な負い目というものはある。それを承知であえてこれをやめたというのは、やはり国産化のためのものであった証拠ではないでしょうか、この点はいかがですか。
  302. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) この点につきまして、予算の執行を取りやめたという理由は、そういう損害があるとかあるいはというようなことを意図して、つまりそういうことがあるにもかかわらずというようなことで執行を取りやめたということではないわけでございまして、やはり先ほども申し上げましたように、四十五、四十六の後を受けまして、一定の国産のイメージというもので進めておりますが、それが新たな専門会議というものに検討されることになりまして、そのイメージと言いますか、そういったものの根本がある程度変わると、大幅に変わるという可能性が十分予測されたわけでございます。そういう意味で、私どもの方といたしましても、予算の執行のより効率化を考ええるということで執行を取りやめたと、かような次第でございます。
  303. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 この点は過去何度も論議を繰り返しておる点でありますけれども、無理やりにこじつけて説明をしようとされるから、なかなか納得のいかないような説明になるのだと思います。大蔵省もそのことは知っていたのではないかと思うんです。川重がやっておる作業というのは国産か輸入か、それを白紙の上での作業じゃなくて、国産に突っ込んでおるということは知っておったからこそ、予算の執行停止を要求したのではないか、この点はいかがですか。
  304. 高橋元

    説明員(高橋元君) お答えします。  四十七年度の予算の中で、PXL関係の技術調査研究委託費、これを不執行にいたしましたのは、ただいま防衛庁からも御答弁がありましたように、十月九日の国防会議議員懇談会の了解によって専門会議が置かれると。その検討を待って、その検討の結果の答申を待って、試験研究の内容を再検討の上、予算の執行を行う方が効率的であると、そういう理由でございます。それで、私どもが四十七年度にいま申し上げております技術調査研究委託費を予算化いたしましたのは、国産化を前提とする調査研究を行うためのものでない、この点は防衛庁との関係では明らかでございます。
  305. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 モックアップについて前も質問したわけですけれども、そのときの江口装備局長の御答弁ときのうの室井証人の答弁とは若干食い違っておりますので、再度ただしたいと思います。モックアップについて防衛庁が知った時期はいつか。
  306. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 四十五年の六月以降であろうと思います。ですから、モックアップのでき上がりました後でございます。
  307. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 いつごろですか、大体。
  308. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) ちょっと時間的にまだいまチェックはいたしておりませんけれども、六月以降あるいはもう少し後だったかと推定されます。
  309. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 防衛庁側の人がモックアップを見に行きましたか。
  310. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 少なくともでき上がる六月以前あるいは六月の時点において、つまり完成しましたときに見たと、立ち会ったということはございません。
  311. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 その後は。
  312. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) その後はございます。
  313. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 モックアップをつくるために搭載機器の実物大のモデルが必要なわけです。この実物大のモデルをつくるには、それについてのやはりデータが要ると思います。このデータはどこから出されたわけですか。
  314. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 社内研究等におきまして会社側におきましてはいろいろな情報を入手しておるわけでございます。そういうことで、会社はいろろろな知識を持っておる、あるいは考え方を持っておると思います。そういうことを前提としてモックアップをつくっていったであろうというふうに考えております。
  315. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 社内研究のために必要なデータは入手するとしてもルートがあると思うのですね。それから搭載機器そのものは川重そのものでつくっていないわけです。他の会社でつくっておるわけです。だから、私はこのデータを入手する場合には防衛庁が一枚かまなければ入手は困難だと思いますけれども、いかがですか。
  316. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) きのうも説明のありましたように、P2V7以下いわゆるPシリーズというものは川重の方において行われておるわけでございます。それからP2Jにおきましても、たとえばジュジベルでございますとか、いろいろ電子機器というものは持っております。恐らくこれから直す部分は若干それを進歩改良するわけでございますけれども、その程度のことは恐らく情報として十分推測できたのであろうというふうに考えております。
  317. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 P2Jその他とPXLとはかなり内部が違っておると思うのです。それから新しい機器の開発が当然必要なわけです。恐らく四十五年当時はそういう開発も進んでいない段階ではないかと思うのですね。だから、そう簡単にそういうデータが入手できるとは思わない。私は防衛庁の技術研究本部からそのデータが出たと思いますけれども、いかがですか。
  318. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) これは現実にモックアップをごらんいただくとある程度御理解いただける、あるいはすでにごらんいただいておるかと思いますけれども、そこにございますものはそれほど精緻なものでは実はないわけでございます。ですから、その程度のことはある程度推測はできるのではないかというふうに考えております。
  319. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 次に久保次官にお伺いをしますけれども、二月九日の久保発言というのは非常に問題になっておるわけですけれども、この久保発言をされた意図は何なのか、お伺いをします。
  320. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 二月九日の次官会議の後の定例の記者会見の席で私が説明をしたわけですけれども、それ以前からPXLについて何か疑問があるのではないかという質問が個々の記者の方からありました。そこで次官会議の後で質問に応じましてPXLについて何らの疑念がない、そういうつもりで私は経緯を説明したというつもりでありました。
  321. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私はかなり前のことでありますから、当時の細かな記憶というものには間違いがあり得ると思うんです。ところが、人間というものは細かな点では昔のことはわからなくても、そのときの印象というものはそう記憶は変わるものではないと思うんですね。あなたの発言の趣旨といいますか、内部の印象から言いますと、やはりPXLの白紙還元は防衛庁の意思に反して政治レベルで行われた、こういう印象をあなたは持っておられたのではないか。また現在も持っておられるのではないか。この点はいかがですか。
  322. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 政治レベルということよりも国防会議議員懇談会で決まったわけでありますが、前夜、つまり先ほども話が出ましたように、二月八日の晩の大蔵省からの電話を記憶しておれば、もう少し印象の違った発言をしたかもしれません。
  323. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は先ほど申し上げたように、電話かあったとかなかったとか——これも問題点でありますけれども、私は、過去の記憶においても、自分が受けたショックとか印象というものはそう簡単に変わらないと思うんです。あなたが四十七年十月九日前後の時点において、そのときの細かないろんなものの集積で一つの印象ができるわけですから、その細かな事実は記憶が定かでなくても、それによって形成された印象というものは私はそんなに変わるものではない。だから、あなたの発言というものは、やはり防衛庁としてはきわめて突然であり不本意であったけれども、また、あなた自身が参画することもなくどこかでこれが決められた、こういう印象が非常に強いわけです。私はこれは恐らく間違いがないと思いますけれども、この点はいかがですか。
  324. 久保卓也

    説明員久保卓也君) いわゆる白紙還元の国防会議の議員懇談会における了解事項ができた経緯は先ほど答弁があったとおりであります。そこで、それについてどういう印象であったかというのは、やはり防衛庁の望むところで本来なかったのがむしろ了解事項では逆に生き返ってきたという印象をそのときは受けているわけです。
  325. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 最初にあなたがPXLを白紙とするという情報を得られたときの「白紙とする」という意味はどう受け取られましたか。
  326. 久保卓也

    説明員久保卓也君) これは当時の模様を見ておりますると、先ほども文書のお話が出ておりましたけれども、数名でがやがやと文書がつくられていったのでありまして、だれがどういうふうな形で文書が取りまとめられたかということははっきりいたしておりません。そこで、その意味のとり方というのはあまり詰められたものではなかったと思います。
  327. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 あなたが受けた感じです、印象。
  328. 久保卓也

    説明員久保卓也君) そのときは、いずれにせよ、支援戦闘機が決まったということで大変われわれとしては喜んだ。それから、PXLの問題については、前夜、実質的な意味としては国産化を前提とする研究開発は認められないという趣旨の大蔵省からの連絡があったということでありますから、その趣旨とそのときは多分理解したろうと思います。余り白紙というのはそのときに具体的に皆でその意味を確かめたわけではありませんので、特に大きな意味合いというものを感じたわけではありません。
  329. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そうすると、私は先ほどの発言の持っておる趣旨といいますか、意味というものとちょっと矛盾があると思うのです。これは防衛庁の意思に反してどこかでこんなことが決められたというような印象の発言をされておるわけです。何も問題にするようなことがない。それから、前からも国産を前提としなかったから、それと大して相違がないような決定がされた場合にわざわざ次官が二月九日のような発言をされるというのは理解ができないんですがね。
  330. 久保卓也

    説明員久保卓也君) これは当時の関係者の言もそうでありますけれども、前夜受けた大蔵省からの内容と、それから了解事項の点はちょっと違うわけです。国産化問題を白紙としというような言い方を当然前夜はしておりません。「輸入を含め」ということも前夜は聞いておりません。専門会議においてということも前夜は聞いておりません。したがって、意外性があったということは、これは当時の関係者の印象でありました。
  331. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そうすると、前夜聞いたことは大体どういうことですか。
  332. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 先ほど申し上げましたように、電話をかけた当事者が正確な言葉を記憶いたしておりません。しかし、従来大蔵省と防衛庁との間でやり合っておったこと、これは私ども明確に承知いたしておりまするけれども、いわゆる装備等、あるいは電子機器等、その「等」の中にわれわれは機体を含めて解釈したいし、大蔵省はいやだということを言っておりました。その争論があったわけで、この点についてだめだと言われたという印象ですから、現在の整理が、国産化を前提とした研究開発は認められない旨云々というのは正しい解釈であろうと思います。
  333. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そうすると、前夜受けた印象というのは国産がだめになったという印象だったのですね。
  334. 久保卓也

    説明員久保卓也君) そういうおっしゃられ方をするとまたこんがらかるわけなんで、あくまでも対潜機の向上のための電子機器等の「等」という言葉の中に機体が入らないということ、これは四次防の期間中にそれが入らないということであって、そのことが直ちにそこで議論になったわけじゃありませんが、国産化が将来にわたってだめであるというようなこととは結び合わさりません。
  335. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 PXLの国産の問題はこの四次防の問題と関連して論ぜられておるわけで、四次防よりうんと先のことについてその当時論じておったわけじゃないわけですね。だから、四次防で機体の国産化が入らないということは、すなわち、機体の国産化はだめだと、こういうことでしょう。
  336. 久保卓也

    説明員久保卓也君) それは国産化ということをどう認識するかということなんですけれども、もともと四次防ではPXLという飛行機の国産を考えたことはないわけです、防衛庁側でも。これは五ヵ年のうちにそれができるわけありませんから。ただ、将来われわれは国産をしたいという希望は持っておったことは確かでありますから、そこで、それを念頭に置きながら、機体は開発を始めないと間に合わなくなるという意味で、機体だけに固執をしておった、「国産」という言葉は余り議論の対象ではなかったということであります。
  337. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 あなたはすぐ明くる日に発言を取り消されたわけですけれども、このときもちろん当事者である後藤田さん、相澤さんの両氏から反論があったことは事実だと思うんです。この二人以外のだれかから反論もしくは圧力というものはなかったか。
  338. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 二月九日のお昼の記者会見で、総理の部屋で三人が集まって協議をしてその結果決まったと私が言いました。ところが、その夜にNHKの放送があったようで、私聞いておりませんが、後ですぐに御両所から電話がかかってきて、PXLについては自分は全然関知しておらないと、あのときの問題は支援戦闘機でなかったかというお話であり、かつ、テレビに出ている趣旨は違うから取り消してほしい、こういうことでありました。言われてみれば、確かに二人の人が総理の部屋に入ったことは私見ておりますけれども、何が議論されたかわからないのを、私が想像して、そこで協議されたろうと言ったことは、確かに早まり過ぎたわけでありますから、そういう趣旨で夜中に記者会見を改めてして取り消したわけでありますが、それ以外にはどこからも抗議その他のあれはございませんでした。
  339. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 防衛庁長官からは。
  340. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 長官からは、後藤田さんからの抗議の趣旨を伝えてありましたので、本人の言うところに従って記者会見をした方がよろしかろうという御指示があったわけであります。
  341. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 時間も余りなくなりましたけれども、次に、各種PXL関係の装備についてお伺いをします。  ソノブイインジケーター、サーチレーダー、ECMそれから赤外線探知システム、これらの試作はそれぞれどこが行っていたのかお伺いをしたいと思います。
  342. 岡太直

    説明員岡太直君) 試作を契約しておる相手方のことだと解釈しまして申し上げますと、赤外線探知装置でございますけれども、これは富士通と契約いたしております。それから対潜機用ソノブイ直上指示装置、これは日本無線、対潜機用逆探装置、これは三菱電機、対潜機用レーダー、これは富士通、以上のように契約しております。
  343. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 これらについての予算並びにその執行状況を各年度ごとに説明していただきたいと思います。
  344. 岡太直

    説明員岡太直君) 赤外線探知装置について申し上げますと、試作品費が五十年度に成立しております。これは二年国債でございまして、五十年、五十一年度にわたるものでありまして、成立予算は三億六千二十五万六千円でございます。これを富士通と契約いたしまして、契約しました金額は三億五千四百六十七万五千円と、こういうことになって成ります。  次に、対潜機用ソノブイ直上指示装置でございますが、この成立予算は四十七年度、四十八年度にわたりますところの二年国債でございまして、国債限度額千八百八十四万五千円というふうに成立しております。契約は、先ほど申しましたように、日本無線でございまして、契約額は千八百六十九万四千円と、こうなっております。  それから対潜機用逆探装置でございますが、これも四十七、四十八年度にわたりますところの二年国債でございまして、成立予算は、国債限度額一億五千七百四十九万九千円でございます。契約相手方は三菱電機でございまして、契約金額は一億五千六百二十三万九千円と、こうなっております。  それから対潜機用レーダーでございますが、これにつきましては四十七、四十八年度の二年国債てございまして、成立予算は一億八千九百八万九千円と、富士通と契約しまして、契約金額は一億八千七百五十七万六千円でございます。  なお、赤外線探知装置につきましては、この五十年度の前に、四十九年度に三千二百万円の委託費——これはシステムスタディでございますが、成立いたしておりまして、これを富士通と契約いたしております。  以上でございます。
  345. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 このそれぞれの装置について、将来の開発の計画、何年度に実用になるのかを含めて、それぞれの計画をお伺いしたいと思います。
  346. 岡太直

    説明員岡太直君) まず第一に、赤外線探知装置でございますが、先ほど申し上げましたように、五十年度、五十一年度の二ヵ年で試作いたします。そうしまして、この後五十二年度以降技術試験を実施いたします。そうしてこの赤外線探知装置の技術的可能性を確認しました上で第二次試作に移りたいと思っております。この時期はいつかまだ検討中でございます。  それから対潜機用ソノブイ直上指示装置につきましても、これは先ほど申しましたように、四十七、四十八年度に試作いたしまして、四十九年度に技術試験をいたしております。そして新しい技術の可能性を見出しておりまして、技術的成果をおさめておりますが、いまのところ、次の第二次試作に移るという計画は検討中でございます。  それから対潜機用逆探装置、これもやはり四十七、四十八年度に試作しまして、四十九年度に技術試験、それで新しい技術的な可能性を確認しましたが、次の第二次試作にはまだ移っておりません。検討中でございます。  それから、対潜機用レーダーもやはり四十九年度に技術試験をいたしまして、新しい原理を確認しましたが、まだ第二次の試作にいつ移るかということは検討中でございまして、第二次試作に移る時期は現在検討中でございます。
  347. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 対潜機用レーダー、それからソノブイインジケーター、それからECM、これらは四十九年度で一応第一次試作が終わり、技術試験が終わっておるわけですね。その後これ中断されておるかっこうですけれども、その理由は何ですか。
  348. 岡太直

    説明員岡太直君) これらの三アイテムは、現在固定翼対潜機に装備しておりますところのレーダーであるとか、ソノブイ直上指示であるとか、逆探装置というものを一段と新しい原理を使って性能を向上したいと、こういうふうに考えておるわけでございます。第一次試作は、この性能向上の可能性を確認したものでございます。そして今度第二次試作に入りまして、これを実際どの固定翼対潜機に装備するかということを検討しまして、もし費用対効果その他がよく非常に効率的であるという結論が出ますれば、これを初めて第二次試作にいたしまして、たとえばPS1につけるとか、P2Jにつけるとか、あるいは将来の次期対潜機につけるかということを検討するわけでございまして、まだそれらのことを現在検討しておる段階でございまして、結論はまだ出ておりません。
  349. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 これらの装置はPXL用のものであると、このように私は聞いておるわけですけれども、その点はいかがですか。
  350. 岡太直

    説明員岡太直君) これらの装置は先ほどから御説明申し上げましたように、現在あるレーダーその他の装備品を改良するものでございます。そうしてもしこれがPXLなり、次の特定の機種に役立つという結論が出ましたならば、それに向かって第二次試作をすると、こういうことになります。と申しますのは、特定の機体につけるためには、たとえばレーダーの場合ですと、レーダーについて、まあたとえばどういう信号を出してEDPSにつなぐとかというようなこともありまして、機体側の態様がはっきりしませんと、第二次試作に移れないことになります。そういうことで、たとえば第一次試作でやりましたのは、ただ普通に信号がアナログで出るだけだというような状況でございますから、これそのものがPXLをねらっておるとか、あるいは特定の機種をねらっておるとか、こういうものではございません。
  351. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 時間がなくなりましたので、最後の質問にしますけれども、私はこれらの装置の実用化の予定というものが決まっていたと思うんです。お答えにはなりませんでしたけれども、私はいずれも五十四年度実用試験の予定だと、私の調査ではこういうことを聞いておるわけでありますけれども、そうすると現在のP2J、こういうものはもうそろそろ廃却すべき年度です。したがって、そのP2Jに使うためにこういうものを開発しておるということは、私は理屈から言って納得できないわけで、明らかにこれはPXL用のものだと思うんですね。だからこそ、この四十七年から始めて四十九年で技術試験が終わっておるのが現在中断しておる。これはPXL問題が決まらないからではありませんか。
  352. 岡太直

    説明員岡太直君) 対潜機につきましては非常にその寿命が長いと、こういうわけでございまして、絶えずレーダーその他の機器は新しいものに更新されるわけでございます。したがいまして、ある時期にP2Jにつけたとしても相当の時期まで使えるということになるのではないかと私は思っております。
  353. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 時間がありませんので、この問題はまた後日進めたいと思います。
  354. 野末陳平

    ○野末陳平君 きょう久保委員の要求資料が手に入りまして、それを見ますと、前回の委員会でも、私がちょっと問題にしました例の輸入品販売代理店契約書等の提出状況ですが、防衛庁が督促をしているにもかかわらず、提出拒否が二十七社ということですね。そこで別の角度からこの問題をまず最初取り上げて次に移りたいと思うのですが、この輸入品販売代理店契約書等の提出は、独禁法によりますと、独禁法の第六条の二項ですけれども、国際的契約を結んだときは三十日以内に公正取引委員会に契約書の写しを提出しなければならないと、こういうふうになっていますね。そうすると、当然丸紅とロッキード社との間で、前回の委員会で防衛庁が答えましたとおり、昭和四十七年の十一月一日にPXLの販売手数料を決めた契約書、これは取り交わされているわけです。公正取引委員会は、この四十七年十一月一日から三十日以内に丸紅の報告を受けていますかどうか。
  355. 吉野秀雄

    説明員(吉野秀雄君) 当時丸紅からは、その契約についての届け出はございませんでした。
  356. 野末陳平

    ○野末陳平君 当時なかったということは、いまでもないのですか。それともその後、いつかの時点でこの報告がありましたか。
  357. 吉野秀雄

    説明員(吉野秀雄君) 本件の事件が発生いたしましてから公取といたしまして、丸紅とロッキードとの間に代理店契約が結ばれておるという事実を承知いたしまして、早速丸紅に対してその事実の有無を確かめ、もし独禁法上届け出る義務のある契約であれば、至急届け出をするようにという督促をいたしました。その結果、本年二月十二日に第一回の届け出があり、さらに三月の四日に第二回の届け出をいたしまして、ロッキードとの間の契約の一切の届け出が行われております。
  358. 野末陳平

    ○野末陳平君 独禁法では「二十日以内」と、こうありますが、非常に、四十七年からことしの二月、三月、しかも公取が丸紅に催促したような形で出されたというので、これはずいぶんのんびりした話だと思いますね。三十日大幅におくれておりますが、この独禁法のこの項には罰則規定も当然あるわけで、どうでしょうか、公正取引委員会、丸紅に対してどういう処置をとられたか、その辺のこともお願いします。
  359. 吉野秀雄

    説明員(吉野秀雄君) 公取といたしましては、届け出義務違反に対しまして、告発等により罰則の制裁を科することも当然考えたわけでございますが、従来公取といたしましては、たとえばカルテル等競争秩序に著しい悪影響があるようなケース、しかも同じような違反をたびたび繰り返すという事案につきましては、行政処分により適切な排除措置を命ずると同時に、告発という問題も検討いたしますが、本件のような届け出あるいは報告義務違反につきましては、さしあたり行政指導によりまして、届け出あるいは報告書を出させ、その際にあわせてどうして届け出ができなかったか、あるいは怠っておったか、その理由を十分ただしまして、今後そういった不測の事態が起きないようにその辺の是正措置をとらせておるのが従来の扱いでございます。したがいまして、今回の丸紅につきましては、現在のところ告発ということは考えていないわけでございます。
  360. 野末陳平

    ○野末陳平君 告発は考えていないということになりますと、相手の理由ですね、なぜこんなにもおくれたか。独禁法もずいぶん甘く見られたものですけれども、なぜおくれたと丸紅は理由説明しましたか。
  361. 吉野秀雄

    説明員(吉野秀雄君) 丸紅の社内体制と申しますか、管理体制の不備な点から担当としての公取への届け出義務を知らなかった、そういった手違いから届け出をしなかったという説明でございます。
  362. 野末陳平

    ○野末陳平君 しかし、大商社ともあろうものが知らなかったでは済まないと思うので、その辺のことは公正取引委員会もいろいろと厳重に注意されたと思いますから、あえて追及はしませんけれども、どうでしょうね、こういう場合に、義務違反であることは確かでも、告発に値するかどうか、その解釈だと思いますが、検察庁の場合だったらこのケースは告発の対象になりますか。
  363. 安原美穂

    説明員(安原美穂君) 独禁法の違反事件につきましては、従来の実務の扱いが、特に独禁法違反の重い罪につきまして法律が公取の告発を訴訟の条件とする、つまり告発がなければ刑事訴追ができないということになっておることにも見られますように、きわめて専門的な事柄でありますとともに、まず公取で審査をなさりて、そして告発するかどうかをお決めになる。それを受けて検察としては刑事捜査権を発動するというたてまえになっておりますので、本件につきましても、検察当局としては、もし告発があれば適正に処理をしたいというふうに考えております。
  364. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうなると、やはりもう一度公正取引委員会にお聞きしなければなりませんけれども、結果的にはどうしたのですか。二度にわたって丸紅からロッキード社との契約の報告を受けて、その理由を聞いて、注意をして終わりになったのですか。それとも始末書をとるとか、何らか具体的なことまでなさったのですか、くどいようですが。
  365. 吉野秀雄

    説明員(吉野秀雄君) 丸紅から始末書をとりまして、同時に丸紅が公取の指示に対して社内的にどういう改善措置をとったか、その報告も出させております。
  366. 野末陳平

    ○野末陳平君 公正取引委員会がそういう判断をなされたならば、これ以上いまこの時点では質問しませんけれども、丸紅以外の商社ですね、今度は。丸紅以外の商社で外国の航空機メーカーと契約を結んでいる、そういう代理店があると思いますが、その辺の契約書の提出状況はどうなっていましょうか、独禁法に基づいた公取への。
  367. 吉野秀雄

    説明員(吉野秀雄君) たまたま今度の丸紅・ロッキード事件が起きましたため、早速公取といたしまして、丸紅以外の十大商社には直接、それからその他の商社につきましては日本貿易会を通じまして、一般的に義務づけられた国際的な契約を届け出ておるかどうか、その辺を十分確かめた上で、もし未届け分があれば至急公取へ届け出るようにという督促をいたしました。この督促に応じまして、最近いろいろ代理店契約その他技術援助契約等の未届け分の届け出がかなり参っております。大きな干大商社のうち一部につきまして、今月末まで届け出を待ってほしいという連絡もございます。少なくとも現在まで届け出られたものの中に、御指摘の航空機に関係をした契約は、いまのところございません。ただ、一部今月末までと延期を申し出ておる分につきましては、いまのところはっきりしておりませんが、近くその中に御指摘の航空機関係の契約があるかどうか、七月上旬にははっきりいたすと思います。  なお、現在までに届け出がありました案件といたしまして、安宅産業とグラマン社の契約が届け出られております。
  368. 野末陳平

    ○野末陳平君 まあ、徐々に出てくるのかもしれませんが、そこで防衛庁なんですが、防衛庁は督促しても提出拒否してなかなか出してこないので、困っているけれども、公正取引委員会にはやはり法律の定めで出さなければならないので、これは連携してやれる、やるべきことかどうか、それは私はわかりませんが、防衛庁が知りたがっている、国益のために。ところが、これが知れない立場にある。この場合に、公正取引委員会に出てきたものをすぐに見せるというのも非常に問題があるところだと思いますが、どうでしょう、防衛庁、こういう一方においては公取はこういう形で契約書の中身を知ることができるのですがね。
  369. 江口裕通

    説明員(江口裕通君) 私の方からも、御指摘を待つまでもなく、公正取引委員会の方には御連絡をいたしまして、その状況等も、向こうのいわゆる秘密の保守義務と申しますか、公取で持っておられるその保守義務に支障のない範囲で承らしていただきたいというお願いはしておるわけでございます。ただ何分ともに独禁法という法のスタンドと申しますか、立場と申しますか、そういうことをとらえる観点も違っておるようでございます。したがいまして、その点どこまで私どもの要望にこたえていただけるかどうかはわかりませんけれども、極力あらゆる手を尽くして私どもの方としてはやってまいりたいというふうに考えております。
  370. 野末陳平

    ○野末陳平君 私どももその点をもう少し考えてみたいと思いますからね。  きょうのテーマに戻って防衛庁に改めてこれからお伺いしたいと思いますが、児玉譽士夫ですね、児玉譽士夫は、聞くところによると、防衛庁の内部に非常に通じていたといいますか、情報をよく知っていたといいますか、何か防衛庁と特殊のパイプを持っていたんではないかとか、あくまでも考えられるいろいろなことがあるんですがね。防衛庁としてはどうなんでしょう。児玉がよくずいぶん内部のことを知っているなあというようなことをお感じになったことはありますか。
  371. 玉木清司

    説明員(玉木清司君) お答えいたします。  ロッキード事件が二月の初めに問題になりましてから、その後も児玉譽士夫氏と私どもの職員との間に何らか親しい関係があるのではないかというような風説も耳にいたしましたので、われわれとしましては、現在の職員及び最近まで勤務した職員の範囲におきましていろいろと事情調査をしてみましたが、私が調べました範囲では、児玉氏と親交のあるとか、近いとかいうような職員を発見できませんでした。
  372. 野末陳平

    ○野末陳平君 検察庁にお伺いしますが、児玉譽士夫の秘書の太刀川恒夫氏ですけれども、いままで事情聴取のようなことを何回ぐらいされましたか。——じゃ、法務省刑事局長にお願いします。
  373. 安原美穂

    説明員(安原美穂君) 児玉譽士夫の秘書に太刀川という人があることは検察当局も承知しておりますし、資金の流れということを、あるいは出入関係ということの調べをする、あるいはというような関係で当然秘書の太刀川氏についても取り調べをしたものと私は思いますが、詳しいことは存じませんが、何回調べたとかいうことは知りませんけれども、取り調べたものと思います。
  374. 野末陳平

    ○野末陳平君 当然取り調べてなければおかしいと思うんですが、そこで刑事局長にお伺いしますが、この児玉とロッキードの間で秘密代理人契約があったと、その内容がこれこれである、一機売り込めば幾らというようなことまで読みましたけれども、新聞などで。これは、こういう契約があったことは、もちろんもう確認して構いませんね。いいですね。
  375. 安原美穂

    説明員(安原美穂君) 構いません。
  376. 野末陳平

    ○野末陳平君 防衛庁としてはこういうことは、今度の事件まで全く知らなかったということになりますか。
  377. 玉木清司

    説明員(玉木清司君) 新聞を見て初めて知ったという状態だと思います。
  378. 野末陳平

    ○野末陳平君 ということは、児玉がこういう契約を結んで当然P3Cを輸入していこうということで、攻勢をかけるためにいろいろ工作をしたんでしょうけれども、防衛庁が感じ範囲ではいわゆる輸入攻勢といいますか、児玉の影がちらちらしていたとか、そういうことはなかったというふうにとれますね、いまのお答えは。
  379. 玉木清司

    説明員(玉木清司君) そのとおりでございます。
  380. 野末陳平

    ○野末陳平君 もう一つ、念のためお聞きしておきますけれども、そうすると児玉が秘密代理人契約を結んだ昭和四十八年以後にいわゆるP3Cを輸入しようという、それを推進しようというような、あるいは国産を非難するような、いずれにしてもいわゆる怪文書とか意見書とか、そういうようなものも全然ありませんでしたか。
  381. 玉木清司

    説明員(玉木清司君) P3Cに関しますものは聞いておりません。
  382. 野末陳平

    ○野末陳平君 そこで刑事局長にお尋ねしますが、この秘密代理人契約を結んだと、しかも契約書があるように聞いているんですがね。いままでのお調べで児玉譽士夫とロッキード社との契約はどこで取り交わされて、だれが立ち会ってたか、その辺のことをちょっと教えてほしいんですが。
  383. 安原美穂

    説明員(安原美穂君) 野末委員御承知のとおり、契約の状況につきましては、すでにチャーチ委員会公表した資料の中にあるわけでございますから、これは公表されたものとして先ほども確認をいたした次第でございますが、あとだれとだれが、どこで、立ち会いをだれにしてというような事柄になりますと、これは一つの具体的な捜査の内容になりますので、遺憾ながら現段階ではひとつお答えすることをお許しいただきたいと思います。
  384. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうお答えになると思ったんですが、秘書の太刀川恒夫氏がこの契約の場にいたかどうか、それが知りたいもんで、あえてまたお聞きするんですがね。
  385. 安原美穂

    説明員(安原美穂君) まさにそのこともいまお願いしたようにひとつ御勘弁を願いたい一つでございます。
  386. 野末陳平

    ○野末陳平君 それではまたちょっと方向を変えまして、外為法違反で児玉を地検が起訴されたんですが、その起訴状の中に、現に児玉が自宅でクラッター氏から現金を受け取ったというようなことがあったように記憶しているんですが、こう間違いないですか、これは。
  387. 安原美穂

    説明員(安原美穂君) 児玉譽士夫に対する外為法違反の公訴起訴状によりますと、まず四十八年五月中ごろから同年の六月中ごろまでの間に自宅において外為法上の居住者であるクラッターから非居住者であるロッキード社のためにする支払いとして、児玉が現金合計四億四千万円を受領したというのが昭和五十一年五月十日の起訴状の内容でございますし、さらに六月の四日の起訴状によりますと、四十八年の六月十四日から十二月十二日ごろまでの間、前後四回にわたって自宅においてやはり居住者であるクラッターから非居住者であるロッキード社のためにする支払いとして現金合計一億三千八百万円を受領したということになっておりますので、自宅においてクラッターから受け取ったということは公訴事実として検察当局が認定したところでございます。
  388. 野末陳平

    ○野末陳平君 それはもうすごい金ですけれども、これを現金で受け取ったそのときにやはりこの児玉譽士夫の秘書の太刀川氏が立ち会っていると思うんですがね。しかも児玉がいないときに代理として太刀川氏が直接現金を受け取っているのではないかと、これも推測しているんですが、これについてはいかがですか。
  389. 安原美穂

    説明員(安原美穂君) このことも詳細の報告を受けておりませんので、私はひとつ推測として申し上げるので、恐縮でございますが、たとえばいまの外為法違反ということは、公判請求をしたわけでございますから、その授受の関係を立証していくという過程で必要とあれば、仮にいま野末委員御指摘のとおり太刀川氏が仲介をしたとかいうようなことがあるとすれば、その公訴事実の立証の過程において明らかにされることであろうと思います。そういう意味においては、いまそれを明らかにすることは、いわば裁判官に予断を抱かせることになるから避けた方がよいと思います。ただ、これはあくまでも推測でございまして、一般論といたしましては、太刀川氏がどのような介入をしたかどうかということは、そういうことでないといたしましても、ないといたしますならば捜査の内容に関することでございますので、この際はひとつ御勘弁をいただきたいと平にお願いを申し上げる次第でございます。
  390. 野末陳平

    ○野末陳平君 まあそれは平にお願いされても困ると思うんですがね。いずれにしても、私はこのPXLの問題は児玉よりも太刀川恒夫氏がかぎを握っていると思っているもんで、ですからこの太刀川氏に事情を聞けばきっといろいろなことがわかると思うんですが、御本人がいらっしゃらないから、あえてだめだろうと思いながらお聞きしているんですがね。  で、もう一つ、じゃあ今度国税関係からお伺いしますけれども、太刀川氏を立ち入り捜査をされたということを聞いたんですが、税務上どんな問題点がそこで発見されたんでしょうかね。何かこれは新聞に出ていたことで全く私も聞いていいものやらわかりませんが、アタッシュケースに一千万円ぐらい現金が入っていたというんですがね。いずれにしても、それを含めて国税庁が太刀川氏を捜査なさったときにわかった税務上の問題点を二、三教えてください。
  391. 系光家

    説明員(系光家君) お答えいたします。  児玉譽士夫の四十七年分等の脱税調査に際しまして、その密接な関係のある人物としまして、太刀川氏につきましても参考人としての調査をいたしたわけでありますが、そしてそのいろんな調査の過程におきまして太刀川氏自身の所得につきましてもいろいろ問題はあるというふうに承知したわけでありまして、一部につきましては税務上の課税措置を講じたわけでありますが、そのいろんな問題点について逐一どういうことがあったのかということをここで全部申し上げるということは、ひとつまだ調査中でもありますので、御容赦をいただきたいと思います。
  392. 野末陳平

    ○野末陳平君 じゃ、もうそういうお答えをいただけないようなことは全部やめましてね、次回に譲るとしましてね。今度はお答えいただける点について刑事局長にお伺いしますが、太刀川恒夫氏は児玉譽士夫の秘書になる前に一時的に中曽根さんのところの政治事務所に籍を置いていたことがあるという話で、これは昭和三十八年ごろのことだそうですがね、これはどうなんでしょうか。事情聴取の過程でこの程度のことは確認されたと思いますが、ほんとでしょうか。
  393. 安原美穂

    説明員(安原美穂君) いま御指摘の太刀川恒夫氏が昭和三十七年ごろ中曽根康弘氏の事務所に勤めたということは事実のようでございまして、このことはすでに私の監督者である法務大臣国会で申しておられますから間違いないと思います。
  394. 野末陳平

    ○野末陳平君 そこで、私が調べている範囲ではトライスターの方も含めて、このPXL、ロッキード社との今度の問題については太刀川恒夫氏が児玉譽士夫以上にいろいろな点で事情を知っていると、そういうことなんです。ですから、もうきょうは時間なくなりましたし、それから捜査上の問題については期待するお答えは当然いただけないと思いますので、これは委員長に改めてお願いしたいと思うんですがね。太刀川恒夫氏を証人に喚問していただけないかと、こういうふうに思うんですね。でないと、このPXLの問題はもうひとつわからないと思います。そこでもちろんいろんな証人をいままで呼んで、二人呼んでいただきましたが、やはり証人にもいろいろの立場がありますから、どうしても業者とか、お役所の関係とかいう枠の中だと思い切ったことが言えない場合もあるでしょうし、むしろわき役のような、事件のわき役のような証人に来ていただく場合はかえって時間もロスじゃないか、そう思ったりしますので、先ほどお昼の休みに衆議院の方を見ていましたら、もう長谷村さんという人が、経歴から始まりましてね、具体的にぽんぽん固有名詞も、具体的に人物の名前も飛び出しますし、非常に迫力のあった証言をテレビで見ていまして、やはりこの問題、何回もこの委員会を重ねても核心になかなか触れていかないということは非常に残念だから、この際、わき役よりも主役クラスの証人にしぼっていただきたいと。で、その一人として私はPXLの問題に関しては太刀川恒夫氏が一番いいんではないか、一番いい人の一人ではないかと、そう思っていますので、ぜひ委員長のお計らいで理事会にも諮られて太刀川恒夫氏を証人として喚問していただきたい、それを切にお願いして質問を終わりとしたいと思います。
  395. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 太刀川君の証人喚問につきましては、いま理事会でずっと証人を検討中でございますが、その中に各会派からの要求も出ておりまして、その名前も出ておりまして、あわせて理事会で十分相談をしたいと思います。
  396. 野末陳平

    ○野末陳平君 よろしく。
  397. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ほかに御発言もなければ、本日の調査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十五分散会