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1976-06-15 第77回国会 参議院 ロッキード問題に関する調査特別委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年六月十五日(火曜日)    午前十時三十三分開会     —————————————    委員異動  六月十日     辞任         補欠選任      矢追 秀彦君     峯山 昭範君  六月十二日     辞任         補欠選任      小巻 敏雄君     内藤  功君  六月十五日     辞任         補欠選任      案納  勝君     上田  哲君      峯山 昭範君     太田 淳夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         剱木 亨弘君     理 事                 岡本  悟君                 瀬谷 英行君                 黒柳  明君                 橋本  敦君                 田渕 哲也君     委 員                 石破 二朗君                 大島 友治君                 岡田  広君                久次米健太郎君                 秦野  章君                 町村 金五君                 宮崎 正雄君                 上田  哲君                 久保  亘君                 小谷  守君                 野々山一三君                 矢田部 理君                 太田 淳夫君                 峯山 昭範君                 内藤  功君                 野末 陳平君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    証 人        川崎重工業株式        会社航空機営業        本部本部長   室井 則泰君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○ロッキード問題に関する調査  (ロッキード問題に関する件)     —————————————
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまから、ロッキード問題に関する調査特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る六月十日、矢追秀彦君が委員辞任され、その補欠として峯山昭範君が、六月十二日、小巻敏雄君が委員辞任され、その補欠として内藤功君が、また本日、案納勝君が委員辞任され、その補欠として上田哲君が、それぞれ選任されました。     —————————————
  3. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ロッキード問題に関する調査を議題とし、証人証言を求めることといたします。  本日出頭された証人室井則泰君でございます。  まず最初に、委員長から確認をさせていただきます。  室井則泰君、あなたは御本人ですね。
  4. 室井則泰

    証人室井則泰君) はい、本人でございます。
  5. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) この際、証人に一言ごあいさつを申し上げます。本日は当委員会に御出頭いただき、ありがとうございました。  証言を求めるに先立ち、証人に御注意申し上げます。  議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、一証人には、証言を求める前に宣誓をしていただきます。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、次の場合に限られております。  証言が、証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族、または証人とこれらの親族関係のあった者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、並びに医師歯科医師、薬剤師、薬種商、助産婦、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあった者がその職務上知った事実で黙秘すべきものについて尋問されたとき。  以上の場合以外は、一証人宣誓または証言を拒むことができません。  正当の理由がなくて証人宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられます。  また、宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることになっております。  それではこれより証人宣誓を行います。  証人証言席宣誓書を朗読してください。  全員御起立願います。   〔総員起立証人は次のように宣誓を行った〕     宣  誓  書  良心に従って真実を述べ、何事もかくさず、又  何事もつけ加えないことを誓います。                 室井則泰
  6. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御着席願います。  証人は、宣誓書に署名してください。   〔証人宣誓書に署名〕
  7. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) これより証言を求めますが、証人は発言に当たっては、その都度委員長の許可を得て発言されるよう、また、証言を求められた範囲を超えないようお願いいたします。  それでは、証人室井則泰君の証言を求めます。  まず、委員長から尋問いたします。  証人は、航空機生産の第一線を預かる者として日本航空機生産技術程度をどのように把握され、国産化現状並びに将来の見通しについてどのような判断をお持ちか、お聞かせ願います。
  8. 室井則泰

    証人室井則泰君) 国産化現状と申されましたが、この航空機開発とかあるいは生産とかございますが、これは非常な総合力を要するものでございまして、ちなみにこれに携わっております会社は百二十社を超える、あるいは勘定の仕方によりましては三百社を超えるというような膨大な底辺を持った産業航空機工業でございます。御想像いただきますように、航空機というのは三次元——空を飛ぶというようなことでございますので、単に空気力学的な問題だけじゃなしに、エンジンもございます、あるいは中の装備もございます、あるいは材料もありとあらゆるものを積んでおります、使っております。かようなものでございますが、この総合力を要するものでございます。  振り返ってみますと、昭和二十八年、日本に空が帰ってきたというような時代からちょうど約二十数年を経てきたわけでございますが、その間、この業界におきましては、川崎重工を初め関連会社がいままで生産してまいりました各種航空機という数は数千機に及ぶと思います、オーバーホールも含めまして。それで、手順といたしましてまずオーバーホールというものから入りました。修理をいかにするかというところから入っていったわけでございまして、さらに外国技術を導入するというライセンス生産という形でも入りました。ちょうどオーバーホールからライセンス生産技術を思い出し、人を結集し人を育て、こういう状態でさらに三十年間——失礼しました、二十数年間のうちの最後の三分の一ぐらいなところから開発というテーマに取り組むと、潜在ポテンシャルができたところで開発に取り組んだというのが、具体的な問題としまして、御存じのClだとか、あるいはT2だとか、あるいは民間用のYSだとか、その他各種のものでいままで蓄積したものをさらに創造的な作業として取り上げてきたと、こういう形でいままで過ごしてきたわけでございます。したがって、この潜在した技術力は欧米に比べましても決して遜色あるものとは思っておりません。で、したがって、われわれといたしましては、やはりこういう底辺の広い先進技術を駆使し、あるいは人を養成しやってきたわけでございますので、資源の少ない日本におきましては——物質的資源です。少ない日本におきまして、あるものは何かといいますと、結局頭脳——ブレーンでございます——頭脳と蓄積した技術力、この蓄積というのは、企業が蓄積したというものではございません。これは国民が全部が寄ってやった。そのために税金も投入していただいたわけです。そういうものをこれから発展させなきゃならぬと。将来産業構造も変わると思います。従来の労働集約産業から知識集約産業へ、物を使わずに日本を主張するという、そういうぐあいに産業構造が私は変わるだろうと、こういうぐあいに考えております。したがって、何とぞこの間をひとつ意のあるところを、意味の御理解を願いたいなと、こう思うのが切なる気持ちでございます。  以上、委員長のお問いに対して、舌足らずでございますが、申し述べるわけでございます。
  9. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 委員長からお尋ねすることは以上でございます。  引き続いて委員から尋問いたします。順次御発言願います。
  10. 石破二朗

    石破二朗君 証人には御多忙のところわざわざ御出席いただきまして私からも厚くお礼申し上げます。  そこで、いわゆるロッキード問題なるものは目下国税当局あるいは検察当局におきまして鋭意捜査中でございまして、いずれ真相は解明されるものと期待いたしておりますので、私はこの際証人にいわば犯人捜しのようなために御質問申し上げるつもりはございません。先ほど委員長からも御質問がございましたが、私も、日本兵器産業、特に航空機生産技術水準が現在どの程度にあると証人は御判断になっておるものか。さらに防衛庁兵器発注のあり方が現在のままでいいかどうか。あるいはまた政府兵器装備の現在の態度が航空機産業に携わっていらっしゃる証人の目からごらんになって果たしていまのようなままでいいのかどうか。さらにまた、証人は承りますと旧軍人であり、自衛隊の御出身と承っておりますが、現在の問題になっておりますいわゆるロッキード問題が自衛隊の諸君にどういう影響を与えておると御判断になっておるかと、そういう点につきまして順次お伺いいたしたいと思います。素人でありますので飛行機のことは全然知りませんし、質問します範囲が一証人としての証言を求めるというよりか、あるいは参考人的な御意見を承る面も多いかと思いますが、あらかじめ御了承賜りたいと思います。  そこで、順序としまして、おたくの川崎重工さん、いろいろの部面のお仕事をなさっておるわけでありますが、概括的に申しまして航空機産業川重さんに占める——売上でも結構でございますが——シェアというものはどのくらいになっておりますか、承りたいと思います。
  11. 室井則泰

    証人室井則泰君) 川崎重工の概括的な現況の中における航空機事業本部の占める状態はどうかと、こういう御質問だと理解してよろしゅうございますか。——今年度は——失礼しました。五十年度の状況で売上高で申します。五十年度は川崎重工といたしまして約五千億の売上販売額を持っております。その中で航空機事業本部、これは四百七十億円の売上げでございまして、一〇%弱と申しますか、その程度でございます。ちなみに人間の数から申しますと、重工全体で三万三千人おります。そのうち飛行機に携わっておるわれわれが三千三百人、ちょうど一割に相当しておる、その程度の規模でございます。
  12. 石破二朗

    石破二朗君 川崎重工さんの飛行機部門相当シェアをお占めになっている。したがって、会社全体とされても、防衛庁航空機国産になるかどうか、あるいは国産としてなった場合に発注先川崎重工さんになるかどうかと、非常な御関心を——まあ卑俗な言い方でありますけれども会社としてお持ちになっておったろうと思うのでありますが、昭和四十五年に初めてPXLに関する研究委託をお受けになりましたときの御心境を承りたいと思います。つまり、そういうことがあれば、結局は川崎重工さんが生産まで担当になる道が開けたというふうにお感じになったのかどうか承りたいと思います。
  13. 室井則泰

    証人室井則泰君) 四十五年にいま御指摘調査研究委託契約はいたしました、受注いたしました。そのときの心境というあれでございますが、その前に私ども昭和四十年ごろから独自に仕事を、研究をやっておりました。したがって、そういう調査を正式に委託されたということにつきましては、われわれのその対潜哨戒機というものに対する立場をまず防衛庁側がお認め願ったと、何とかこれ花咲かしたいというようなところが偽らない考え方だったと思います。
  14. 石破二朗

    石破二朗君 いわゆるロッキード問題、特にPXL問題の論点の一つといたしまして、昭和四十五年からの始まりました防衛庁研究委託国産前提としておったと、じゃないかと、いやそうじゃないんで単なる技術研究委託であったという、そこに議論の分かれ目があるわけでございますが、防衛庁発注の形式はともかくといたしまして、また防衛庁なり政府考えは別といたしまして、会社の率直な受けとめ方、これで国産はもう動かしがたいものになったと御判断になっておったかどうか承りたいと思います。
  15. 室井則泰

    証人室井則泰君) その四十五年度の契約を締結することによって国産化がもうかたくなったとかいう印象はございません。われわれが従来経験してまいりました防衛庁との契約というのはたくさんあるわけでございますが、そういうものの流れ、手続、政府筋がやられる調達というものの動きというものから照らしましても、開発がこれで前提となったなというような感じは持っておりません。持っていなかったと言った方がいいですか。
  16. 石破二朗

    石破二朗君 政府からもいろいろ資料をいただいておりますけれども証人から改めて伺いたいと思いますのは、国産の場合に防衛庁当局からおよそ何年ぐらいで完成になるものかとか、あるいは何年間ぐらいのうちに国産を完成さしてほしいとか、あるいは防衛庁としては次期潜哨戒機を何年から使いたいんだというような、まあ非公式でもいいんですけれども、そういうお話がなかったものか、あったものか承りたいと思います。
  17. 室井則泰

    証人室井則泰君) 生産に何年かかるかというようなことにつきましては、私どもは記憶しておるところによりますと、生産——まあこれ言葉のあやですか——開発といいますか、七年かかると、開発完了までに着手して七年間だというのがその当時のわれわれが、だれに、いつということは記憶ございませんが、お話しした数字でございます。  それから何年、もう一つ質問、ちょっとあれでしたが、ちょっと二番目の質問につきまして……。
  18. 石破二朗

    石破二朗君 いや、それで結構です。
  19. 室井則泰

    証人室井則泰君) そうですが、どうも。
  20. 石破二朗

    石破二朗君 七年間ということ、いつが起点になりますか。具体的なPXLにつきましては、七年という年数がお示しになりましたが、いつを起点にしてのお話でございましたか。
  21. 室井則泰

    証人室井則泰君) 私どもはいつを起点ということではございません。メーカーとして何年かかりますということでございまして、一つスケール——尺度になるわけでございまして、それはお使いになる政府筋がそのスケールを合わして、ここで欲しいからじゃ何年前になるとか、こういうことの意味で言っておるわけです。
  22. 石破二朗

    石破二朗君 昭和四十五年に初めてPXL研究について委託があったわけですが、四十五年を起点として七年間には完成すると、こういうふうにお考えになったと理解してよろしゅうございますか。
  23. 室井則泰

    証人室井則泰君) いいえ、もう、その四十五年の調査研究とは全く無関係でございます。しかも四十五年の調査研究意味というのは、そういうことを論ずるのが主眼ではなかったように思っています。
  24. 石破二朗

    石破二朗君 そうしますと、四十五、六、七年のまあ予算は不執行に終わったわけですけれども、仮に四十七年の防衛庁予算が執行されたと仮定いたしまして、いわば予備研究予備調査というものはそこで終わると、そうすると、四十八年度に発注になれば、四十八年を起点として七ヵ年で完成するものと御判断になっておりましたでしょうか。
  25. 室井則泰

    証人室井則泰君) 四十八年度で起点にするというまあ石破先生のあれですが、物理的にそういうことはできないんじゃないかと思います。といいますのは、執行されたと仮定してとおっしゃいましたけど、仮定いたしますと、その結果を見て、こう踏まえて判断されるわけでございますので、予算要求とか、あるいはわれわれもこういう財政支出のやり方承知しておりますので、間に合わないと思います。したがって、それ論じられるのは四十九年度だと思います。これは思うということでございます。物理的に私はそういうことは不可能だろうと思います、四十八年を起点にするということはですね。
  26. 石破二朗

    石破二朗君 四十七年の十月九日に国防会議議員懇談会が「了解事項」というのを作成しておりますけれども証人、御承知でございましょうか。
  27. 室井則泰

    証人室井則泰君) はい、ただいま現在承知しております。
  28. 石破二朗

    石破二朗君 そこでお伺いしますけれども、これはまあ政府当局に聞いた方がいいかとも思うんですけれども証人としてどういうふうにこれを御理解になっておるか承りたいと思います。「次期潜機早期警戒機等国産化問題は白紙とし、今後輸入を含め、この種の高度の技術的判断を要する問題については、」云々と、まあこう「了解事項」がなっておるわけですけれども、承りたいと思いますのは、「この種の高度の技術的判断を要する問題については、」となっておりますが、一部にはこの四十七年十月九日の「了解事項」は、当時のわが国の外貨事情、あるいは国産機輸入機との価格の問題、そういうものが、まあこの早期警戒機は別でございますけれども、一機当たり単価だとか外貨事情というようなのが白紙還元をした主な理由のようにも言われておるんですけれども、「了解事項」を見てみますとそういうことは書いてないんです。「この種の高度の技術的判断を要する問題については、」となっておるんでございますが、これを証人はどういうふうに御理解になっておりますか、承りたいと思います。(資料を手渡す)ちょっと私もわからぬものだから、これよく御存じですか、まあ、よくわからぬものですから、承りたいと思います。
  29. 室井則泰

    証人室井則泰君) 実は、私はこういうことをまあ批判するような立場でないかもしれませんので、まあ全く当然のことでしょうが、個人的なことで済いませんけど、「この種の高度の技術的判断を要する問題」についてどう思うかということにつきましては、この問題のとらまえ方が政府側でそういう御判断をなさっておることでございますので、なぜそうしたかというようなことにつきましては、その裏——判断の基礎を、私、これを読む限りではわかりませんので、批判の限りではないように思っています。そのように判断されたんだなあというとり方しかできないと思います。まことに答えにならぬ答えかもしれませんけれども……。
  30. 石破二朗

    石破二朗君 はい、結構です。証人には「了解事項」の前提となっておる事項がよくわからないから、批判あるいは判断の限りでないというお答えでございましたが、私も実はこれよく読めないもんですから、率直に御意見を承っただけでありまして、結構であります。  ただ、まあ証人とされては若干の年数はかかる、あるいは相当値段になるということは別といたしまして、若干の年数、ある程度価格、容認されるならば、技術的には対潜哨戒機として恥じないものが生産できると当時お考えになっておったかどうか、承りたいと思います。
  31. 室井則泰

    証人室井則泰君) いまおっしゃったように、もうそっくりそのままでございまして、その当時——いまも変わっておりません。遜色のないものができるということは確信しております。
  32. 石破二朗

    石破二朗君 技術的には問題ないと、自信があるというお答えでありますが、そこで値段の問題でございますけれども、これはまあ生産台数に大きな関係がありましょうから、簡単には言えないと思いますけれども、まあ対潜哨戒機日本でおつくりになるとしますれば、当分は輸出なんということは期待できないと思います。そうしますと、当然自衛隊だけで発注するということに終わろうと思うんです。そうしますと、台数というものもおのずから明らかになろうと思います。そういうことを前提とされまして、外国の対潜哨戒機を購入する場合とおたくでおつくりになる場合と、一機当たり値段はどの程度になったとお考えでありますか。
  33. 室井則泰

    証人室井則泰君) 国産開発するものの値段外国との値段とどれくらいになるかということ、御質問の趣旨は私はこのように理解してよろしいかと思うんですが、まあどの程度の差で安くできるのか高くなるのかと、こういうことだと理解したそういう答えをさしていただきますが、この単価とか、いろいろおっしゃいますけれども数字というやつは非常に前提条件が問題でございます。いま先生指摘機数の問題もございます。いつつくるんだという問題もございます。あるいは、どんなペースでつくるんだと——月産何機くらいつくるんだというような、いろんな条件がございますし、その前に、ここで言っておる国産開発というものは一体何だという問題が、これがもう先決でございます。どの大きさのどんなものなんだと、これがないままこれ論じられておるきらいがありますので、非常にクールな意味数字では答えは申せません。ただ、フィーリングとして、遜色のない値段でやれますというような感じでしかお答えできないと思います。といいますのは、これは決して詭弁ではございません。こういう産業というものは、立ち上がりでコスト・ツー・デザインとか、値段をイメージしてそれに合わせるというようなデザインも非常にその手法を開発されています。きょう現在、あるいは昔から、相当前からです。まあそういうこと、それからそういうものは設備に見合い、マンパワーに見合うような状態でつくるという要件も入っております。それから、決心という、その企業のリーダーといいますか、企業そのもの決心というものがあるわけです。そういうものをこれから、開発はこれからそれをイメージしていくという立場にありますので、不可能な話をしておると私は思っておりません。しかし、一般的にいいまして、値段に大いに遜色があるようなものは不経済なものです。別にほかの意味があれば別でございますけれども、したがって、それに遜色のないものにやれると、あるいはほかのちっちゃなものでも大きなものでもやってきた事実もございます。われわれ、たくさんいろんな仕事をやってます。そういう意味遜色のないもの、値段でやりますということと、単価という前に、こういうものはつくるだけが目的じゃございません。運用します物には寿命がございます。われわれはライフサイクル・コストと言ってますけれども、そのスポット的な単価をとらまえて物を言う場合と、使い切ってしまうまでのいかほど金がかかるかという、空を飛ぶもの、地上を支援するもの、含めまして、維持をする費用とか、整備性とか、いろんなものが総合的に、生まれてから死ぬまでのコストというとらまえ方が正しいんじゃないかと思いますが、そういうことにつきましてトータル的には決して遜色がないものができると、こう確信しておるわけです。
  34. 石破二朗

    石破二朗君 いわゆるP3Cという飛行機があるそうでございますけれども、ある人は、P3Cという対潜哨戒機の能力は現在世界の最高水準にあると、ああいう程度の、ああいう高度の性能を持っておる対潜哨戒機というものはちょっとやそっとのことで開発されるものではないというような意見が一部にございますけれども証人はP3Cというものの性能についてどのように評価なさっておりますか、承りたいと思います。
  35. 室井則泰

    証人室井則泰君) 私は実際は技術屋でございません。したがって、技術的な細かいところの評価とか、そういうようなお答えは実際はできないので不適かとも思いますけれども、一般論的な私の見方ということで御勘弁願いますと、まあ現存しておる対潜哨戒機では確かに第一級のものだと、まあ文献それからその他でもよくわかります。ただ、メーカー立場から見た場合に、この機体は二十年前に設計されたものでございます。それからターボプロップ機でございます。非常にわかりよくいいますと、プロペラ機でございます。それから電子機器というのがやはり非常に重要な要素で、これは事実そうでございます。潜水艦を発見するやっぱりディテクターといいますか、こういうものはすぐれておるかどうかというものも非常に重要な要素でございますが、もうそれも十年前に開発されたものでございます。もちろん、飛行機というのは生まれてから死ぬまで日々アドバンスします。改善します。そういう意味でAからBへ来、P3Cといままで来たわけでございます。したがって、そういう意味では十年前に開発されたものでも改善されておると、きょう現存のもので、やはり世界で第一級のものであると、そういうことは理解できます。だから、まあこれを要するに、かなりな、りっぱないい飛行機であると、そういう答えにさしていただきます。
  36. 石破二朗

    石破二朗君 次期潜哨戒機決定のためには、先ほど申し上げました議員懇談会の「了解事項」を受けまして専門家会議が設置され、そのすでに答申も四十九年の十二月でございましたか、たしかそうだったと思いますけれども、その答申がありまして、関係当局でさらによく調査研究するようにというような閣議の了解事項もあったように——国防会議でございましたか——理解しておるんでございますけれども、その後、政府関係機関、PXLについて具体的にどのような調査をしておるのか、私よく存じませんけれども航空機メーカーとされて、現在おたくにおかれましてはどういうような態度をおとりになっておるか。つまりPXL調査研究委託も打ち切られたと、国産化白紙還元になっちゃったと、それで従来のような体制はもうすでにすっかりやめちゃって現在何もしてないというのが現状なのか、それとも将来に備えて何らかの研究などをなさっておるのかどうか、承りたいと思います。
  37. 室井則泰

    証人室井則泰君) いま現在、四十七年ですか、白紙還元になり、あるいはその後専門家会議ができ、その答申に従って政府筋ではいろいろ御作業をされておると、したがって、われわれはどうだということだと思いますが、私どもの方ではいま約二十名の程度の人間を継続してアサインといいますか、仕事割り当てをやってPXLの継続研究をやらしております。といいますのは、われわれ、これが私ども川崎重工の主張すべき技術一つなんです、対潜哨戒機というものにつきましては。したがって、その国産開発であろうがあるいは輸入であろうが、そういうことをもちろん望むところはありますけれど、これ自体が私ども技術的な拠点の一つでございまして、そういう性格上いかなる状態になっても対潜機に対しては私の方がこれを受け持つと。あるいは、オーバーな言い方をさしていただきますと、まあ企業の社会性といいますか、いろいろ御異論はあろうと思いますけど、少なくとも自分たちか与えられて——与えられたと私考えてもいいと思います——従来やってきました対潜哨戒機というのは国で買い上げてもらったわけですから。そういうようなことで、それを社会的にフィードバックする、経済的でいいものを、というのが使命だと思っておるわけでして、つくっても輸入しても、それにその力を投入するということについてはいささかも手を休める気持ちはございません。そういう立場でございます。
  38. 石破二朗

    石破二朗君 証人のただいまのお話によりますると、次期潜哨戒機国産になるか輸入になるかそれは別としても、企業の社会的責任として、いつ国産に決定されても社を挙げて最大限の努力をするという用意はしておるというお話でございますので、ありがとうございました。  次に、一部政府の責任者あたりの口からもよく出る言葉でありますけれども、対潜哨戒機の問題、具体的にはP3Cだと思いますけれども、これの決定は、いわゆるロッキード問題が十分に解明されて国民の理解が得られるまではP3Cの導入等は考えられないという意味の発言を耳にしたように記憶いたしております。もちろん、自衛隊は国民の理解と協力があって初めて使命が達成できるわけでありまして、国民の理解が得られないままに対潜哨戒機等を軽々に導入することは許せないと思いますけれども、そもそも、対潜哨戒機などいう高価なものを国民の血税を使って導入するということは、それだけの必要があってやっておるもんだろうと思うんです。ロッキード問題なんという問題が解明されるまでは日本が対潜哨戒機を使う必要がないというようなことは予想できないと思う。証人は旧軍人でいらっしゃいますのでその辺の御理解というものもあろうと思うんですけれども、対潜哨戒機はいわゆる——言葉は悪うございますけれども——日本に反対する側の潜水艦を捜索しなきゃならぬ使命を持っておる。そうとしまするならば、ロッキード問題の解明はもちろんしなきゃならぬ。それとは別に、そういうものに関係なしに対潜哨戒機というものは一日も早く整備しなけりゃならぬものと私は理解するんですけれども証人はいかように御認識になっておりますか、承りたいと思います。
  39. 室井則泰

    証人室井則泰君) いま石破先生、私は元自衛隊だということ、出身だというお話ございましたが、確かにそれは二十八年、九年とか非常に古い時期でございまして、余り最近のあれはあれで、自衛隊とのつながりはありませんけど、対潜哨戒機が必要かどうかということにつきましては、私は非常に客観的なお答えをさしていただきたいと思うんですが、私なりの。といいますのは、約二十年間防衛庁さんとおつき合いしています、この航空機の世界で。そういうところから、自然発生的に、門前の小僧的に、防衛庁さんがどんな仕事をされておるかということをよく、やっぱり二十年もやっておりますと、その中身、細かいことはわからなくても、わかります。そういう立場から、防衛庁さんはひたすらやはりきょう現在法で与えられた枠内で一生懸命とにかく作業をしていらっしゃるということは、一時でも禄をはんでおったずぶの素人でない目から見ましても、よくわかります。そういうことを踏まえまして、その任務というものの範囲でひたすらやっておられる方がいるとおっしゃっておるということは真実であろう、正しいと、私はそれに反対する理由は私自身は何も持っておりません。そのとおりであろうと思います。そういう感じでございます。
  40. 石破二朗

    石破二朗君 私のお伺いしたがったのは、一部の政治家の中には、対潜哨戒機の導入なんというものは、ロッキード問題が解明されるまでは導入しないと。それは国民の理解が要ることは私もよく承知しておりますけれども、対潜哨戒機を必要とするような事態はロッキード問題が解明されるまでは起こらぬのだということは、つまり対潜哨戒機どもう導入せぬでもいいんじゃないかという議論にもなりかねぬと思いましたのでお伺いしたわけですが、結構です。  そこで最後に、これも証人にお伺いするのはあるいは悪いかもしれませんけれども、ロッキード問題はいろいろの階層の国民に重大な影響を与えておると思うんでありますが、その中でも特に自衛隊の諸君に与えておる影響は非常に大きいと思います。自分たちが生命を託して国を守ろうとしておるその兵器に関して一部の者が何らかの悪事を働いておるというようなことになっては、自衛隊員の士気を期待するなんというのはこれはとうてい不可能だと私は思います。証人に伺っては大変悪いと思いますけれども、やっぱり元の自衛隊員とされて、どういうふうに御想像になっておるか承りたいと思いますのが一点。  それからもう一つ、これこそ証人に大変失礼でござんすけれども、先ほど来お話を承っておりますと、川崎重工さんとされては、企業の社会的責任としても十分の備えはしておる、技術的にも外国に劣らないものを持っておると。大変心強い御証言をいただいてありがとうござんしたが、ただ、これは失礼な話ですけれども証人、あるいは川崎重工さんも、言葉は悪うござんすけれども、一営利企業であり、証人も営利企業の一員であります。証人にはそういう気持ちは毛頭ないと思いますけれども、知らず知らずのうちにも、あるいは会社のためというような御証言に陥った危険があるいはあったかもしれぬというふうな理解をしても許されましょうか。どういうふうに御判断になっておりますか、承りたいと思います。
  41. 室井則泰

    証人室井則泰君) いま御質問二つあったと思うんですが、一つずつ、まず一つ答えさしていただきます。  これは単に想像でよろしいというお話でございますので、自衛隊員のこのロッキード事件に対する影響はどうだったということにつきましては、これはもう全くお答え、ちょっとできないと思います。どんな影響があるかというような、私もその場におりませんので。  それから二つ目は、企業マンとしての考え方が多分に入っておるやろうと、そう理解していいかと、そういう個所があったかと、ちょっと正確にはようつかまえなかったですけれども、結局やっぱりその体制の中におりますのであれですが、こういう国政レベルのお話につきましては、企業だからという意識は私はそれをむき出しにしておるとか、持っておるという気持ちはいま現在ございません。商取引をやりに来たとか、そんなレベルで私はここへ出てきておる覚えは全然ございませんので、そこは御判断にお任せしたいと思います。
  42. 石破二朗

    石破二朗君 ありがとうございました。
  43. 小谷守

    ○小谷守君 室井証人、御苦労さんです。  最初に伺いたいのは、いま川重防衛庁からどのぐらいな量の注文をお受けになっておるか、ここ五年ばかりのデータでよろしいが、概要を御説明を願いたいと思います。
  44. 室井則泰

    証人室井則泰君) ここ五年間程度のとおっしゃる、いま現在ちょっとその資料持ってませんが、いままでに何本ぐらいだというようなことはちょっと実は調べてまいったあれがございますので、それでよろしゅうございましたらお答えさしていただきます。  航空機関係でヘリコプターが約三百機でございます。それから固定翼関係で約三百機の——プライムとしての固定翼機三百機です。それからサブプライムといいますか、共同生産やったものにつきまして約三百機、合計九百機ばかりのものを受注、生産、納入いたしております。そのほかにオーバーホール関係で二千五百機ばかりのオーバーホールをやっております。そんな規模でございます。それが飛行機の世界でございまして、ミサイルは一つございます。対戦車ミサイルというのをやっておるわけです。ちょっとこの数は調べてきてませんけれども相当数やっておると思います。  それからもう一つ関係がございまして、船舶関係で事業本部でやっておりますが、九隻ばかりの潜水艦も製作、納入さしていただいてます。  それから、エンジン事業部の中で飛行機用のジェットエンジンをやっておるわけですが、それもちょっと台数は記憶してないんですが、これも相当数やっております。まあそんなようなことです。
  45. 小谷守

    ○小谷守君 川崎重工防衛庁からの対潜哨戒機技術調査研究委託契約を四十五年七月九日に締結されたわけでありますが、川重側の契約当事者は代表取締役中南通夫さん、航空機営業本部長三沢義雄さんと、こういうことに相なっておりますが、証人との間の契約締結時における職務上の関係はいかがでありましたか。
  46. 室井則泰

    証人室井則泰君) 四十五年当時は私は岐阜工場の方で航空業務部長をやっておりました。それで、いま読み上げられました契約当事者お二人は東京におりまして、営業方面を担当されておった重役並びにその受託者と——営業本部長といいますか、それが三沢でございます。で、私は岐阜におりまして、航空業務というところの部長をやっておったという関係でございます。
  47. 小谷守

    ○小谷守君 防衛庁は四十三年ごろから、あるいはそれ以前から、PXL国産化の方針を固めておった、こういうふうに承知しておりますが、証人はこのPXL国産化の方針をいつごろ御存じでありましたか。
  48. 室井則泰

    証人室井則泰君) 防衛庁国産化の方針を固めておったということにつきましては、口頭で伺ったこともないし、書いたものでも知った記憶はございません。
  49. 小谷守

    ○小谷守君 委託契約を締結するまでですね、これは大変な契約だと思うので、あとでまたいろいろ触れますが、この問題についての防衛庁との事実上の接触はどのような状態でありましたか。
  50. 室井則泰

    証人室井則泰君) この接触でございますが、この作業の中に研究会というやつがあるわけでございます、四十五年度の契約はですね。で、そういう研究会というものは、結局目的は、円滑にこの作業がいっておるかということをチェックをし、あるいはこちらの疑問と思うことをそこで質疑をし、調整をし、というようなことでございますので、そういうからみで行ったら来たり、コンタクトといいますか、接触はあったと思います。
  51. 小谷守

    ○小谷守君 川重がこの契約を受託されたことについてどういう体制を整えられたか、予算上はどの程度の規模であったか、人員はどういう規模であったか。
  52. 室井則泰

    証人室井則泰君) 私、ちょっとまた聞き漏らしたような気がするんです。これは二つの調査研究契約理解してよろしゅうございますか。——そうしますと、四十五年度にその一つ調査研究契約というのが規模は、ラウンドで申しますと、千九百万円だったと思います。それから四十六年度は、技術調査研究委託契約というようなことで、この予算規模は、契約規模は二億八千六百万円であったと、こう思っております。で、それに対して、その第一の四十五年度の時点では、私どもは約七十名程度の人間をこれに投入いたしました。それで、その契約の成果は、レポートの形で提出したわけでございます。それから、四十六年度の契約におきまして私どもがかけました人間、人数は、百十名程度じゃなかったかと思っております。
  53. 小谷守

    ○小谷守君 防衛庁委託研究を受託するからには、川重としては、その研究に対応すべき体制等を考慮するのは当然のことでありますが、しかもPXLに関する研究ともなれば、恐らく国産化として受注をするという気持ちで、きわめて大がかりな体制を考えられておられたと思う。委託研究の目的、研究の成果をどうするか等の見通しについて、防衛庁と突っ込んだ話し合いは事前に行われましたか、どんな話し合いをしたか、こういう点を伺いたいと思います。
  54. 室井則泰

    証人室井則泰君) 成果をどういうぐあいに使うかということについて話し合ったかということの、この事実はございません。事前に話し合うとかというようなことはございませんでした。
  55. 小谷守

    ○小谷守君 それはおかしいですね。そういう先々のことを考えずに、漫然と一年限りの契約に対応してやろうということなんですか。私ども常識でそういうこと考えられませんよ。どうですか。
  56. 室井則泰

    証人室井則泰君) 御質問、私、別の意味で解釈しておったと思うんですが、事前にそれをどう使うかというぐあいにという、ただタイミングの問題だけに重点を置いておったものですが、——レポートはお出しいたします。四十五年もお出ししました。もちろん、それは契約上の義務でございますので……。四十六年も出しました。しかし、それがどんなシリーズにあるかといいますと、そういうところにつきましては、後さらにやらなきゃ、追加しなきゃならぬ試験研究はどんなものだと、どんなものがあるということは、私自身その衝に当たらなかったですから、ここは想像になるわけですが、当然の手順だという確信の上で申し上げるわけですが、後はどうしようか、どうフォローしていこうかという話は当然あったと思います。
  57. 小谷守

    ○小谷守君 ですから、契約締結に至るまでの間に、防衛庁とのやりとりの中で、この研究は一体何を意味するのか、川重としては将来これを開発して、量産する方針が当然あった、こういうふうに思って間違いないと思うんですが、いかがですか。
  58. 室井則泰

    証人室井則泰君) 川重といたしましては、国産に進んで、あるいは国産に決断をつけていただきたいという期待は大いにありました。方針、会社の方針としても、国産するんだということは会社自身で方針出せません。相手さんの政府のお決めになることですが。しかし、会社としたら、その方針が望ましいし、そうあらまほしいといいますか、大いに期待をして、まあ万端進めておったといいますか、という心持ちであったと思います。
  59. 小谷守

    ○小谷守君 委託された研究の内容でありますが、契約に至るまでの間、研究内容について防衛庁研究項目を提示したと思います。提示したとすれば、その研究項目に対し川重としてはどのような受託条件を出されましたか。
  60. 室井則泰

    証人室井則泰君) それは契約書によるものでございます。一つずつ記憶はしておりませんが、各条文は契約書一般条項とかあるわけですが、まあそういう状態でございます。ちょっと御質問意味が、まあ私がこう考えておるのと違うかもしれないですが、いま申し上げたいのは、契約書に、その受託条件というのは契約書そのものでございますので……。
  61. 小谷守

    ○小谷守君 よろしい。それは後でまた伺いましょう。  研究項目の中心になるものは何であったか。電子機器関係か、機体か、それらを含めたものか。これはどうでしょうか。
  62. 室井則泰

    証人室井則泰君) 四十五年度は、四十五年度の調査研究はいわば全般論でございまして、防衛庁がこういう運用をしたいんだが、それに対応して飛行機はどんなものが考えられるというような運用構想に対して性能諸元をあらあら定めるとかいうようなこと、並びにその積み込む電子機器はどんな系統のものがあるんだとか、それから他の外国機を流用することはできないかとか、あるいはこれを開発するとした場合は、その業界といいますか、工業水準に及ぼす影響はどうであったかとか、どうであろうかとかいうような一般概括的なのが、要求内容が四十五年度の調査研究であったと思っています。  それから四十六年度の技術調査研究の内容は、その四十五年度でおおむね定めた、その絵で言いますとデッサンといいますか、おおむねこうこんな大きさで、こんなもので、中身はこんなものだろうという、おおむねのデッサンを空力的に、それから一つは情報処理装置的にといいますか、積み込む電子の中身ですが、その空力的と電子情報処理装置の二つに今度は細分しまして、デッサンをさらに固めるための部分、そのもう一歩細かく入っていくと、まあこのような研究委託契約であったと思っています。
  63. 小谷守

    ○小谷守君 受託した研究がですね。PXL関係でありますから、当然、搭載する電子機器はもちろんでありますが、機体そのものも研究項目に入っておるのが常識だと思う。そこで、契約に至るまでの話し合いの中で、防衛庁からPXL国産化する方針とでも言うべきことを、そういうお話し合いはありましたか。
  64. 室井則泰

    証人室井則泰君) 国産化するための方針というような話し合いがあったとは記憶しておりませんけれども、これもちょっとまた先生の御質問意味が正確に私とってないかもしれませんけれども
  65. 小谷守

    ○小谷守君 後でまた結構です。
  66. 室井則泰

    証人室井則泰君) はい。
  67. 小谷守

    ○小谷守君 こういうことは御存じでしょうか。当然、御存じのことであると思いますが、防衛庁においては、昭和四十五年度から委託調査研究費を予算化しておるわけでありますが、大蔵省との予算折衝においては当初から継続研究として要求しておったのでありますけれども、実際の予算上では一年限りの単年度の形で予算化されておる、そういう形で承認されておる。したがって、川重契約を結ぶ時点に、防衛庁から研究は今後とも継続して行っていくのだと、こういう話し合いはありましたか。
  68. 室井則泰

    証人室井則泰君) 直接的なそういう話があったという事実はございません。継続してやっていくんだというような——私の言う意味はオフィシャルな話で、それは実際やっておる担当者では、これは先進めてどんどんやるべしだなあというようなことはあったと思いますけれどもお答えするのは非常にしにくいんですが、いわゆるオフィシャルレベルでこれはこうやるべしだと、どんどん進めていくよと、進めていけと、こんな話はなかったと。しかし、事の性格上、やはり技術に携わっておる者同士のやはり一つの一脈通ずるものがどうしてもありますので、これはどんどん進めていくべしだなあというような感じは、これも私自身がその渦で話をした記憶、これは全然ございませんが、想像にかたくないと、こんな御返事しかできません。これはこういう——返事になるかどうか、私疑問でございますけれども
  69. 小谷守

    ○小谷守君 いや、結構です。客観的にそういう理解の上で川重としては継続という考え方のもとに進められたと、契約を締結されたと、こう伺ってよろしいか。
  70. 室井則泰

    証人室井則泰君) まあ総合判断で、川重は当初、先ほども申し上げましたように、それ自体をきょう現在まで推し進めておるような会社でございますので、そう判断をして、その当時もいまも変わっていないということは申し上げられます。起伏はございますが。
  71. 小谷守

    ○小谷守君 そこで、前の質問に返るわけですが、契約を結ぶことにより、防衛庁川重契約書を作成されておりますが、契約書に添付された別紙の内容を資料として要求したいと思いますが、御提出願えますか。
  72. 室井則泰

    証人室井則泰君) 別紙というのはどれか、ちょっと私いまこれだというのは頭に浮かびませんが、私の方からこの契約書の内容という、契約書そのものを、もしくは写しをちょっとお出しするという前には、やはり甲乙契約で、しかも私ども乙の立場でございますので、受注者側の——防衛庁の御了解も得なきゃならぬということもございますので、いまここでお約束するような立場ではちょっとないものでございますから、あしからず……。
  73. 小谷守

    ○小谷守君 防衛庁に対しては同様な要求をしておるわけです。
  74. 室井則泰

    証人室井則泰君) ああそうですか。
  75. 小谷守

    ○小谷守君 同様な要求をしておる。防衛庁答えは、原則としては出すという答えです。ただし、これまた契約のことでありますから、川重の意向も徴してということです。特に、川重の営業上の機密に属する点、そういう点も配慮してということであります。ですから、キャッチボールをせずに、あなたの方は——もちろん企業上の機微に触れる点までわれわれは求めようとは思っておりません。原則的なことだけ伺っておけばいいんです。いかがですか。
  76. 室井則泰

    証人室井則泰君) 先ほども申しましたように、お答えしましたように、いま先生の御指摘になった別紙というのはどれか、私ちょっと具体的に、まことに不勉強でございますけれども、ぴんときませんので、いま防衛庁さんとの客観情勢を御説明いただきましたので、後刻防衛庁さんと直接お話し合いをさせていただきまして善処させていただきたいと、こう思っております。
  77. 小谷守

    ○小谷守君 結構です。  さて、四十五年に契約が結ばれたと、そうしてまた四十六年度には改めて契約を結ばれたわけであります。そこで、基礎研究というものは四十五年で一応終わったわけでありますか、四十五年度で。
  78. 室井則泰

    証人室井則泰君) いえ、基礎研究は四十五年だけではございません。四十六年も基礎研究になるとわれわれ心得ております。
  79. 小谷守

    ○小谷守君 防衛庁は四十五年の八月に四十六年度予算の概算要求をしております。この中身、この経緯はあなた方の方も御承知だと思います。御関心の深い点だと思いますから。この概算要求を見ますと、PXL設計研究委託費と、こういうふうに銘打って要求をしております。したがって、四十五年度の概算要求をしました四十四年八月時点では、これは基礎研究調査委託費であると、こういうふうに概算要求自身がなっておる。ところが、四十五年の八月にはこれは設計研究委託費と銘打って防衛庁は要求しておる。これは防衛庁の要求でありまして、その後大蔵との折衝の結果、それは困ると、設計という言葉を使ってもらっては困ると、いまはまだ調査研究でおいてもらわなきゃいかぬと。こういうことになって、でき上がった予算の姿、項目は依然として、あなたがおっしゃるように、技術調査研究委託費となっておりますが、防衛庁がこういう要求を、概算要求をしておるからには、私どもは四十五年の調査をもって実質的には基礎研究は終わったものだと、こういうふうに見るわけでありますが、いかがですか。
  80. 室井則泰

    証人室井則泰君) それは私の方が四十六年度の技術調査研究——調査契約をやった中身に照らしまして、四十五年度でもってその調査は終わったんだと、基本、基礎調査は終わったんだというようなことにはならないと思います、中身の話です。要求された手続は、私も後刻、その時点、その当時は知りませんでした、正直申しまして。しかし、あの事後に、そういうことも、最近新聞などでも、特に、ああそういうことだと、であったのかと思うことがたくさん報じられていますが、少なくとも四十五年度だけで基礎調査は終わったということは、やった事実、後、継続してやった事実から考えますと、確かにそうではなかったですと言わざるを得ないと思います。ただし、要求された状態は、また別途に、こうあったかとも、いまの先生お話で、あったかと思いますけど、ちょっとそこの問題は契約のやり方じゃなかろうかなと思っておるんです。包括して、それも含めてやる場合と、こま切れにこうやる場合と、いろいろ私、テクニックは、やっぱり予算の、そのときの国の支出できる範囲とか、まあそこら辺になると私たちわかりませんけど、何か切り方だと、じゃなかろうかなというような感じでございます。これは職業柄の想像だけでございますから、まあ想像ばかりして失礼なんですけど、まあ、かどうか知りません。
  81. 小谷守

    ○小谷守君 わかりました。  それでは角度を変えましょう。いかにも、どこまでが基礎研究で、どこからが設計に入るかということは、関連しておりますから、なかなか区切りがつかぬでしょう。ですから質問の角度を変えますが、少なくとも四十六年度からは設計研究に入られたと、こう見てよろしいか。
  82. 室井則泰

    証人室井則泰君) 設計研究というような段階ではございません。やはりあくまでも基礎資料を取得、収得するための研究であったと。設計という言葉に、設計研究という、設計という言葉に重点を置いたものでは決してございません、やりました事実は。
  83. 小谷守

    ○小谷守君 ここに一つその不審な点があるわけです。四十六年度の契約を締結されたのはいつですか、日にちは。
  84. 室井則泰

    証人室井則泰君) 四十六年の九月であったと記憶してます。
  85. 小谷守

    ○小谷守君 そのときに、防衛庁からあなた方の方に頼み込みがあったと。どういうことか。開発前提にしないという一札を入れてくれと、四十六年度の契約再締結に際して、防衛庁からこういう要求があったことは事実でありますか。
  86. 室井則泰

    証人室井則泰君) その事実は知りません。ありません。(「知りませんとありませんと違うよ」と呼ぶ者あり)あ、私は絶対ないと思います。
  87. 小谷守

    ○小谷守君 もう一遍伺います。ここは宣誓して証言されておられる。絶対というような言葉を使われて、あんたよろしいか。かつて御社に伺って、いろいろと調査に伺った同志も、同僚もたくさんおる。あなたのお立場もありますから、ここでいろいろ申し上げることは差し控えたいという気持ちがあるが、しかし絶対というふうなことでよろしいか、そういう表現は。
  88. 室井則泰

    証人室井則泰君) 防衛庁がこう頼み、川重に頼み込みした事実はないかということにつきましては、その事実はありませんという答えしか私はできないと思っています。
  89. 小谷守

    ○小谷守君 それなら表現を変えましょう。この一札を出された事実はあるかどうか。開発前提としないという念書というか、一札を入れられた事実はあるかどうか。
  90. 室井則泰

    証人室井則泰君) ございません。  ただ、これに敷衍さしていただきます。四十六年度の契約につきましては、これに関連するその契約、問題か——文言か契約書に載っております。それは、この四十六年度の契約書の中に、本——これ正確かどうか、ちょっといま私記憶、ちょっと言葉遣い、一字一句確かかどうかあれですが、まず間違いないと思っていますが、本開発開発着手を前提として実施してはならないという文言が契約書の中に入っております。これは受託者側の川崎重工もそれに合意してサインを付し、契約したと、こういう立場の絡みでございます。
  91. 小谷守

    ○小谷守君 私が伺っておるのは、四十六年度からの委託段階においては、すでに設計段階に入れられたかどうかという点を中心にして伺っておるわけでありますが、そこで、いまの防衛庁との一札云々の問題は、いまあなたが新しい答弁をされたので、これ以上追及をしませんが、そこで木型の風洞実験をされたのはいつでございますか。また実物大の模型を作成されたのはいつでしょうか。
  92. 室井則泰

    証人室井則泰君) 風洞試験をやりましたのは、四十六年度の委託契約で風洞実験はいたしました。  それから実大模型でございますが、これは私ども自身で四十五年の六月につくり上げました。
  93. 小谷守

    ○小谷守君 そこでいろんなことをつなぎ合わせますと、あなた方はやっぱり四十六年度ぐらいからは設計段階に入られたと、こう見るのが常識的ではないでしょうか。その根拠になる点をもう一度繰り返して申し上げると、まず防衛庁は、この四十六年度の予算の概算要求をするについて設計研究委託費という言葉をあえて使っておる。そういう言葉を使い、そういう構えで予算要求をしておる。これが一つです。  また符節を合わせるようにあなた方もモックアップをし、風洞実験をし、常識的に設計段階に入ったと目されるところの作業をしておられる。動作をしておられる。そういう点をつなぎ合わして、これは設計段階に入ったもんだと。私どもはそのことをあなたに向かってとがめ立てをしよう、川重に向かってとがめ立てをしようという気持ちじゃありませんよ。私どもは今度のこの問題では川重はむしろ被害者の立場だと、こういう気持ちでおりますから、あなた方をとがめ立てようというふうなそんな気持ちじゃありませんよ。しかし、いろいろと総合的に分析をし、判断をすると、総合判断をすると、そういうふうにならざるを得ぬと思うんです。  そこで、御承知のように、大蔵省と防衛庁との考え方が違う。ですから、これから先は仄聞であります。推察でありますが、予算は大蔵省との関係があるから、技術調査研究委託費という名前にしておくけれども、設計段階に入ってよろしいよと、そういう防衛庁との内諾のもとに設計段階に入ったところの研究に一歩進められたと、このように見るわけでありますが、いかがですか。
  94. 室井則泰

    証人室井則泰君) 先生は私ども立場というものも万々いろいろと御調査の上御理解いただいておると思って感謝いたしておりますけれども、設計段階に入っておったかと言われますと、これはやはり事実設計段階に入っていませんでしたと。たとえば三面図をつくることすら設計とおっしゃるんだったら、それはそうかもしれません。私そういう詭弁をこういう先生に向かって言う気はございません。そういう意味で非常にどういう説明したらおわかり願えるんでしょうかね。私の方は大いにどんどんどんどんやりたいんです。契約にかかわらず金を投入して社内研究をやっております。したがって、その事実があれば、そのとおりでございますと、とうあえて言いたいです、実際は。訴えたいです。しかし事実はやっておりません。といいますのは、こういう御説明いたしましょう。基本設計に入りますと、直ちに百八十人から二百人の人間が要るんです、直ちにです。絶対そういう人間はもうかけてもおりません。まあ契約やるのが精いっぱいだったわけです。私の方はやっぱりその操業というのはいつも念頭にありますので、人は何人かかるだろう、要るだろうというのはしょっちゅうやりますので、人間というのはシリアスに考えます。そういう立場から、二百人というのが私これいまここででっち上げた数字じゃございません。あしたかかれと言われると、二百人さっと集めてやらなければ、設計という段階には、少なくとも基本設計には入れないです。詳細設計になりますと、四百人要るわけです。その程度の規模のイメージをいま持っておるものですから、そういう意味では設計というのはまだまだやらなきゃならぬことがたくさんあるわけです。したがって、おっしゃる意味はよくわかります。しかし実際問題としてはございません。したがって、密約といいますか、密約があれば、私はここへ来てこう振りかざします。損害賠償が欲しいぐらいのものです。そういうことは絶対ございません。やっぱり法にのっとって執行されておるということは、私はだれをかばう気も、遠慮会釈して申し上げておるわけではございません。やはりそういう状態で進められておった業務であるということだけは申し上げたいと思います。
  95. 小谷守

    ○小谷守君 それならばいつから設計段階には入れると思っておられましたか。契約が中断されなければ……。
  96. 室井則泰

    証人室井則泰君) 中断されなければ——これも仮定のことでございますが、中断されなければ、四十七年で基礎資料は全部取り終わることになったと思います。したがって、それを評価して、四十八年に恐らく四十九年度の予算要求をやったと思います。したがって、四十九年度からは基本設計といいますか、そこへ入っていけたと、このように時系列的に思います。
  97. 小谷守

    ○小谷守君 その点は防衛庁の答弁と違います。防衛庁の答弁と違いますが、御訂正の意思はありませんか。防衛庁は二年間で基礎研究を終わって、つまり四十五年、四十六年度で終わって、四十七年度からは設計段階に入れると、こういうふうに答えておりますが、もし訂正されるなら……。
  98. 室井則泰

    証人室井則泰君) 先生の最初のお問いに対しては、実際は私はくくり方であろうというような意味で、あえて合わすとかというような気持ちはございません。訂正するというような気持ちはございません。ただそれも含めて、基本設計、基礎設計に入れるというような、予算執行上のあるいはテクニックかとも思いますし、実際やりました内容、それだけ残っておりますので、四十七年には、というような感じを持っておりますので、だから実際は予算要求をする立場にございませんので、そこら辺の、防衛庁がそうだということであれば、そういうことですかなというような程度で、確信を持っていやそうじゃございませんというような、いばり方で変える気はございませんと言っているわけでもないのですが、非常にこれはあれでございますがね。
  99. 小谷守

    ○小谷守君 それではもう一度。  四十五年に国産化開発をする、量産に入るという川重の方針に即して、これは七年間でしょう、七年間でやるということでしょう。それを一遍刻んでみてください。基礎研究いつまで、設計段階いつまで、試作はいつ、テスト飛行はいつ、量産はどのくらい、一遍刻んでみてください。
  100. 室井則泰

    証人室井則泰君) 正確に記憶していませんが、基本設計は一年見当だと思います、一年。それから引き続いて詳細設計が二年ぐらいかかると思います。それから詳細設計の細部設計の若干後半ぐらいからラップしまして、治工具といいますか、治具の製造とか、あるいは材料発注とか、いろいろそういう周りの準備が始まるというようなことで、結局六年目の初めといいますか、六年目の中ごろに試作初号というようなものが飛ぶことになって、あと残りと、七年目いっぱい、約一年少々というのが試験飛行、運用試験とか、技術試験とかいうようなことでやられる。大体こんなパターンがティピカルなものだと思っていますけれども
  101. 小谷守

    ○小谷守君 四十五年にこれ、契約が始まって、ここからスタートして、五十二年には四次防でそのでき上がった国産機を配備しなきゃいかぬでしょう。そういう要請のもとに、あなた方はこれに取り組まれた。そうすると計算合わぬですね、いまおっしゃることでは。ですから、前言ったことにつじつまを合わせるための言葉ではなしに、構いませんから、訂正する点があったら訂正してください。
  102. 室井則泰

    証人室井則泰君) 私はいま申しましたスパンというのは、別に防衛庁何年に合わすというような気持ちで申し上げたわけではございません。七年というものの大まかな割り振りをこんなことで七年と申し上げておるというようなことでございますけれども
  103. 小谷守

    ○小谷守君 あなた、川重という大メーカーの航空本部の最高スタッフ、それがそんなあいまいな御答弁しかできませんか。私どもは揚げ足を取ろうなんという気持ちはありませんよ。計算が合わぬから申し上げておるんです。
  104. 室井則泰

    証人室井則泰君) 当時はやはり七年でやるという感じでアプローチしておったと私どもは思っておるんですが、ちょっといま先生の御指摘のところが正確にちょっとわからないんですが。
  105. 小谷守

    ○小谷守君 時間がありませんから。  私が申し上げるのは、防衛庁は四十七年度の予算についても同様な設計研究であるという予算要求をしておる。しかし予算の査定の結果、大蔵省のいろんな圧力があって、でき上がった予算はやはり技術調査研究費と、こういう形になっておる。毎年毎年こういうふうになっておる。二年も三年も基礎研究ということはないでしょう。どの段階から設計段階に入ったか、設計の研究に入ったかということは、これを見れば歴然として、またあなたの方の風洞実験やモックアップ等の作業とも照らし合わして、結局防衛庁が設計研究委託費という言葉を銘打って予算を要求した段階からそうである、こういうふうに見て間違いないではないかと、こういうふうに伺っておるわけでありますが、その点については何回質問をしても言葉を濁される。  時間がありませんから、先へ進みますが、そこで風洞実験について端的に伺っておきます。  このときに防衛庁は当然関係者がこれに立ち会ったり、いろいろと助言をしたり、指導をしたりという場面が当然あるべきものだと思う。これはどうでしたか。  また大切な実験の節々、大切な研究の節々については、防衛庁からあなたの方に、岐阜工場に行っていろいろと尋ねたりしたことと思うんですが、そういう点はいかがですか。
  106. 室井則泰

    証人室井則泰君) 一々は記憶をしておりませんが、そういうコンタクトはあったと思います。
  107. 小谷守

    ○小谷守君 風洞実験のときはありましたか、来ましたか。
  108. 室井則泰

    証人室井則泰君) 正確には私も確認しておりませんが、恐らくインベント、インベント、ポイント、ポイントのとき、その資料の整理をした、あるいはしたいというようなまとめ方とか、そういう打ち合わせなどはあったんじゃないかと思います。
  109. 小谷守

    ○小谷守君 わかりました。  さあ、時間がありませんので、先へ進みますが、そこで四十七年です。十月九日をポイントにしてこの契約は再契約ができてなかった、中断された。川重としてはまさにこれは青天のへきれきだったと思う。これを知らされたのはいつですか。文書で知らされましたか、口頭ですか。
  110. 室井則泰

    証人室井則泰君) たしか業界紙で知ったと思っています。
  111. 小谷守

    ○小谷守君 そんなことですか。私は、このPXL国産開発ということは、川重にとってはまさに社運にかかわる大事業だと思う。また、それだけの熱意と体制をもってこれに取り組まれたと、このように承知しておる。それがもうパーだというふうなことを業界紙で知ったというふうなことは、うなずけませんね。防衛庁から話があったと思うし、なきゃならぬと思う。また川重としても、たくさんの防衛庁に対する接触のメンバーを持っておられる。それは当然だと思う。当然の情報網を持っておられると思う。それが業界紙を通じて知ったなんということはうなずけませんよ、そういうことは。もっと正直な答弁をしてください。
  112. 室井則泰

    証人室井則泰君) 文書、文言の全貌につきましては私、業界紙で知ったわけですが、だれからどう聞いたかといういきさつはちょっとわからぬですが、私の方いま先生指摘のように、営業活動で出入りしておりますので、どうも白紙還元という言葉はそのころは知りませんが、どうもおかしいと、何か契約が非常に遅いなあと、できそうもないなあというようなところから、単に契約が遅いなあというような想像でございまして、したがって、いま申しましたように、白紙——その文書全貌を知ったというのは業界紙だということについては間違いございません。
  113. 小谷守

    ○小谷守君 まあいろいろ圧力があるから、言いにくい点もあろうと思いますが、四十七年度契約の再締結を断念せざるを得ぬようになったと。その間半年以上あるんです、新しい年度が始まってから。その間、川重としてはやはり継続の気持ちで研究の作業を進めておられましたか。
  114. 室井則泰

    証人室井則泰君) 進めておりました。
  115. 小谷守

    ○小谷守君 そうすれば、まさにこれは青天のへきれきだと思う。契約によりますと、違約金ないしは損害賠償の条項もありますが、この再契約ができなかったことについての川重の実害はどのぐらいですか。実損はどのぐらいですか。
  116. 室井則泰

    証人室井則泰君) 実損という、これまた先生、理屈っぽくなるんですが、やっぱり正確にお伝えしようと思うんですが、実損というものは、直接的な実損というものはなかったと思います。といいますのは、こういう試験研究処理を川重自身の形式的に営業外として処理をするというようなことで、自己支弁といいますか、川重自身の試験研究の一部として処理をしておるというようなことで、対株主に対しての実損だとかというようなとらまえ方ではないということであります。
  117. 小谷守

    ○小谷守君 四十五年、四十六年で三億余の委託費が出ておるわけですね、出ておる。それとそこまでしか出てないわけです。それと川重がこの研究に投入された資金との差額はどうかということです。
  118. 室井則泰

    証人室井則泰君) 投入したものにつきましては、別にそれをくくっていませんので、非常に正確な数字だということにはならぬと思いますが、少なくとも私自身で大体こんなものかなということで推定する数字につきましては、投入したものは四十七年度末までで私は八億程度あったと思いますので、三億引きまして約五億という感じになると思います。
  119. 小谷守

    ○小谷守君 これについての補てんは別な方法で考えるから、川重としてはその差額についてとやかく声を立てないでおいてくれというふうな要求が防衛庁からありましたか。
  120. 室井則泰

    証人室井則泰君) そういうことはございません。
  121. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 関連。  先ほどの小谷委員質問の中で、委託研究の目的等について質問がございましたけれども証人のお言葉では衝に当たっていなかったので、わからないというような御答弁がございました。そこで衝に当たっていらっしゃった方はどなたかということが一つ……。まだ続けてあります。衝に当たっていらっしゃった方は川重ではどなただったのか、あなた以外ではどなただったのかということ、それをお答え願いたいということが一つと。  それからPXLの設計研究のこの契約書の別紙の内容について、これはやはり防衛庁との関係もあるということでございます。これは決算委員会で五月十二日にやはり質疑が行われておるんでありますけれども防衛庁関係でオーケーということになれば、その契約書の別紙の内容を提出しても差し支えないのかどうかということが一つ。  それからもう一つは、風洞実験等のお話がございましたけれども、四十六年六月には模型も作成されておるということでございますが、これらの模型あるいはその実験施設というものは、現存をしているのかどうか、あるいは現存しているかどうかということは、われわれに見せてもよろしいということなのかどうか、つまりわれわれ行った場合に見られるのかどうかということですね。  以上の三点について御質問をしたいと思います。
  122. 室井則泰

    証人室井則泰君) 先生、第一の点の衝に当たって、ちょっと私聞き漏らしておったのですが、何の場合だったかどうかということなんですけれども、その衝に私当たっていなかったと言ったことですね。
  123. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 委託研究の目的ですね。
  124. 室井則泰

    証人室井則泰君) 目的……。
  125. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 目的について小谷委員から質問がございましたね、最初に。つまりこの防衛庁からの委託研究の目的、それについて御質問がありましたけれども、あなた自身はその衝に当たっていなかったのでと、こういうお答えがあった。
  126. 室井則泰

    証人室井則泰君) 小谷先生からそういう御質問、ちょっと私、とぼけた話ですが、ちょっと失念いたしておりますが、委託研究の目的は何かという御質問があったのに、衝に当たってなかったと答えたわけでございますか……。委託研究の目的というのは、私もうこのときの衝に当たっておったものでございますので、委託研究の目的そのものは、要するに基礎資料を得るというためでございまして、(「基礎開発のために」と呼ぶ者あり)あるいはそういう、要するに基礎資料を得ると、新しくつくる場合の基礎資料をつくると、こういうことでございますので、ちょっと私、仮に、こういう場でございますので、御勘弁願いたいのですが、仮に私でなかったと言ったとすれば、ここで訂正さしていただきます。  それから二つ目の別紙の件でございますけれども、これは防衛庁さんがよろしいということであれば、私の方は何ら差し支えないと、どれだというのはいまイメージございませんが、甲乙契約のいきさつ上、包括的に私はそう思っております。  それから三つ目、モックアップのことだと思いますが、現存しているか。岐阜工場にございます。これはいつでもお見せすることはできると、こう考えてます。
  127. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 午前の尋問はこの程度とし、午後一時三十分再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十八分休憩      —————・—————    午後一時三十三分開会
  128. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまからロッキード問題に関する調査特別委員会を再開いたします。  ロッキード問題に関する調査を議題とし、休憩前に引き続き証人室井則泰君の証言を求めます。  委員から尋問いたします。順次御発言願います。
  129. 黒柳明

    ○黒柳明君 まず、私の質問に入る前、午前中に引き続き本当に御苦労さまです。ただ午前中の質疑を聞いていまして非常に疑問に思える点がありますので、その点解明してから私の質問に入りたいと思うんです。  まず第一点は、四十五年、六年、PXL川重の責任者では室井さんはなかったわけですね。
  130. 室井則泰

    証人室井則泰君) そのときの最高責任者ではございません。
  131. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、先ほど岐阜工場か何かいらっしゃったとか、こういうことで業務部長であったと、ですから、そのときの責任者はどなたですか。PXL防衛庁との予算の問題、あるいは国産化というようなことの問題で話し合いした責任者どなたですか、いまおっしゃった最高という。
  132. 室井則泰

    証人室井則泰君) 時の事業本部長は内野憲二という、きょう現在常務取締役をやっております。
  133. 黒柳明

    ○黒柳明君 午前中に証言された内容、これはその当時の責任者の意を受けて真実を証言しているのか、さらに言うならば、最高責任者の社長の意を受けて証言されているのか、いわゆる川重としての当時の真実を述べているのか、それとも室井さんが岐阜の方の業務部長として知り得た範囲における証言をしているのか、その点どうでしょう。したのか、その点どうでしょう。
  134. 室井則泰

    証人室井則泰君) 私の業務部長としての立場を出るものではございませんが、業務部長の立場と言いますのは、やはり最高スタッフの業態でございまして、トップを補佐するという役目でございますので、会社の方針がこうであるというようなことは知らなければ、私は業務を遂行できませんので、そういう意味で一体的な意味理解していただいていいんじゃないかと、こう思っております。
  135. 黒柳明

    ○黒柳明君 最高責任者ではなくても責任者の一群にいたと。ですから、私の証言についてはイコール川重の当時の真実を述べる責任者としての私の証言であると、こういうことでよろしゅうございますね。これはもう言うまでもなく偽証罪ということになるわけでありまして、私、こんなことを言うのは失礼かと思いますが、もうその点は重々御存じのことかと思いますが、そういう観点から午前中答弁なされたと、証言なされたと、よろしゅうございますか。
  136. 室井則泰

    証人室井則泰君) 黒柳先生のおっしゃることで結構でございます。
  137. 黒柳明

    ○黒柳明君 業界紙であの四十七年の十月九日の了解事項を聞いたと。これは非常に私も聞いていておかしいなと。まあ岐阜にいらっしゃったからそんなこともあり得るのかなと思ったのですが、いまはそうじゃないと、あくまでも最高責任者の一人の証言である、こういうことですね。  川重に防衛駐在員——監理官やなんか含めて何人いらっしゃいますか。
  138. 室井則泰

    証人室井則泰君) 防衛庁の駐在員は正確でどうかあれですが、三十五、六人はいらっしゃると思います。
  139. 黒柳明

    ○黒柳明君 そういう方との話し合いは当然常時行われていると、こう認識してよろしゅうございますね。
  140. 室井則泰

    証人室井則泰君) まあ常時という意味は、要するに密接なコンタクトはございます。
  141. 黒柳明

    ○黒柳明君 四十七年のことでありますので、業界紙でお知りになった。いつごろの、何月何日ごろの業界紙でしょう、御記憶ありませんか、正確に。
  142. 室井則泰

    証人室井則泰君) 記憶はございません。そのすぐ近いところだったんじゃないかと推察する程度でございます。
  143. 黒柳明

    ○黒柳明君 四十七年の予算、これは御存じのように国会でクレームがつきましたですな。それでだんだんおくれていった。最終的にはこれはもう保留された。これはどっからそういう通告きましたか、業界紙ですか、やっぱり。
  144. 室井則泰

    証人室井則泰君) どっかから通告がきたかということについては、あそこからであったなというような記憶はございませんが。
  145. 黒柳明

    ○黒柳明君 私の質問おわかりになりましたか、いま。四十七年度の予算、計上されました。国会で先取りだと問題になりました。おくれました。最終的にはペンディングになりました。これですよ。これがどこからかわからない。これは別にいまの問題と違いますよ。どこからきたか。これも業界紙から知らされたんですかと。皮肉に聞こえるかと思うんですけれどもね、どうですか。これも業界紙ですか。どこからきたんですか、これは。これは別に、私、皮肉を言っているわけで、素直に受けとめていただければ、業界紙からきたんじゃないんじゃないですか。
  146. 室井則泰

    証人室井則泰君) おっしゃるとおり、業界紙からというような別に強烈な印象はいまありません。
  147. 黒柳明

    ○黒柳明君 防衛庁から、これ来たんじゃないですか、これこれしかじかと。
  148. 室井則泰

    証人室井則泰君) そうですね、防衛庁からわれわれの営業活動として知り得たと、こういう言い方……。
  149. 黒柳明

    ○黒柳明君 だって、予算を一千七百万、二億八千万、それから七億、八億、庁と折衝するでしょう、防衛庁と。常時そのため駐在官がいるわけじゃないですか。三十何人もの、いろんな角度において。そうでしょう。それがペンディングになった、国会で大問題になった。正式に通告、防衛庁からあるに決まってるじゃないですか。そんな問題は考えていただくまでもないことじゃないですか。だから、この了解事項だって業界紙で知った——後ほどひとつ業界紙、これ重要な問題なんで、手繰っていただいて、何月何日の業界紙か教えてください。委員長、これ後でまた教えてください。余りにも不自然過ぎる。  先ほど、四十五年には七十名、四十六年には百十名研究員がいた。他社の研究員も入っているでしょう、この中には。三社十五名、どうですか。
  150. 室井則泰

    証人室井則泰君) 百十名程度と申しました中には入っております。他社の人たちが入っております。
  151. 黒柳明

    ○黒柳明君 どこから何名ぐらいですか。
  152. 室井則泰

    証人室井則泰君) 電機業者——東芝、それから富士通、それから日立、ここが十一名だったと思います。合計です。それから機体会社としては日本飛行機、それから富士重工、それから新明和工業、ここが二名ずつの合計六名で十七名だったと思っています。
  153. 黒柳明

    ○黒柳明君 先ほど説明ありました航空機部門、年間二百億ぐらいですな、防衛庁との取引。これはもう常識的に出ています。今度のPXLについては一兆ですよね、これが実現すれば。しかも自社だけじゃなくて他社のブレーンですか、手までもかりているんですよ。いままでの防衛庁との取引から見れば巨額なもんですな、これは。川重全体の取引、五、六百億じゃないですか。一兆ですから、これが。莫大な予算ですな。それがいままでの過程が、推移があって、九月ごろからおかしいなという動向もあったんですから、それが正式に知ったのが業界紙なんていうことは、余りにもこれは不自然過ぎる。あるいは私、だから冒頭に、もしかすると、それは岐阜の業務部長として業界紙で知ったんだと、こういう立場かなと、それならばまだ了解できないこともないなという感触あったんです。そうじゃないですか。
  154. 室井則泰

    証人室井則泰君) 私が全文を知り得たというのは、業界紙で見ましたという意味でございます。
  155. 黒柳明

    ○黒柳明君 じゃ、防衛庁から正式に通告があったのはいつですか。
  156. 室井則泰

    証人室井則泰君) 正式に通告があったというのは、私自身は記憶はございません。
  157. 黒柳明

    ○黒柳明君 ですから、失礼ですけれども、最高スタッフの一人だとおっしゃいましたが、記憶がないということは、絡んでないからこれだけ重要なことをお知りにならないんじゃないですか。いまも言ったように一兆のお買い物、そうでしょう。防衛庁川重の航空部門、その中の二百億か三百億の——一兆でしょう。他社の人手もかりてるんでしょう。そういうものについて防衛庁から正式にいつ通告があったんですか、わかりません。最大関心事じゃないですか、これについては。どういうふうに動くのか、どうなるのか。そうでしょう。さらに百歩譲って、午前中の川重の使命ですと、二十名のスタッフを置いて研究させていますと、そういう使命感を前提としたとしても、百歩譲って。これは営利事業ですから、そんなことないと思いますよ。としたったって、それが四十五、四十六続けられて、四十七年国会でがたがたした。どうなるのかなということは最大関心事じゃないですか。それが、私は業界紙で知りました。防衛庁の通告いつかわかりませんということは、スタッフの一人ではあるけれども、そういうことについて関知してなかったのか、あるいは知っているけれども、失礼な言葉ですけれども、うそをおっしゃっているのか、どっちかじゃないですか。こんな重要なあれを、いつ通告があったかわかんない。関心なかったですか、この問題について。いまもって信念に燃えてやってるんじゃないですか。そうでしょう。極端に言えば、採算度外視していまの二十名のスタッフ——度外視じゃない、私、これから入りますけれども。やってるんでしょう。それが予算につくかつかないか国会で大議論があった、ペンディングになった、怪しくなった、もう、きょうがあしたどうなるか、どうなるか、さらにその問題、直接どう話したか話さないか別にしたって、駐在員がいるわけでしょう。その問題、直接話した話さない別にして、常時意思を通じている駐在員がいるわけでしょう。業界紙で知りました、防衛庁の通告いつあったかは知りませんということは、結論的には、そういうことを答えることができる責任のポジションにいなかったか、そういうことを知り得る責任のポジションにいなかったか、あるいはもしいたとするならば、失礼な言葉ですけれども、とぼけていらっしゃるか、あるいはうそ言っておらっしゃるか、どっちかじゃないですか。
  158. 室井則泰

    証人室井則泰君) 先生のいまお話のあった、二、三整理さしていただきたいですけど、当時四十七年の十月九日にいわゆる白紙ということで−四十七年は私は東京に転勤しておりました。営業担当の担当部長といたしまして仕事をやっていました。  それから三十五名の駐在員、駐在官といいますか防衛庁側の、これは岐阜工場で日常契約をしておるものの履行業務の監督をされておるという立場の方々でございます。  そこ、ちょっと前後関係、私伺っていまして、ちょっと僭越でございますけど、あれですが、現状を整理さしていただいたわけですけども、私の方としまして、私、最高スタッフ——確かに部長で仕事をしておりましたしするので、いわゆる最高責任者の補佐、スタッフというよりも補佐的な感じ仕事をしておったわけでございますが、ただ知り得たというような——実際そういう通告というのはどういう形であったか、これは私、実際知りません。ただ仕事をする上につきまして、例年なら、いつも七月とか九月に契約するわけでございますけど、遅いものですから示達を欲しい、まず示達があってから契約業務に入るものですから、示達をとって、その調達実施本部といいますか、そちらへ流してくださいというようなことで、その示達を早く出してくださいということの要求をするようにというようなことで督励しておったかと思います。それが結局契約に至らなかったという事実は、その十月の九日を境にして契約まあ、いつ知り得たかということについては、ちょっと正直、記憶ございませんしするんですが、防衛庁からは白紙になったからだめだといって、少なくとも私自身は確かに知り得なかったかもしりません。そういう状態であることば事実でございます。
  159. 黒柳明

    ○黒柳明君 じゃ、その白紙になってだめだと、どこでもいいですわ、どういう形でもいい、知り得たのはいつごろですか。何によって知り得たですか。業界紙ですか。年明けてからですか。その点どうですか。時期と何によって、これが言えなかったら最高責任者を補佐しているなんというようなことは言えないですよ。時期と媒体です。白紙撤回されたという時期。日にち、知った。室井さん個人が知った。
  160. 室井則泰

    証人室井則泰君) 正直申しまして正確の日付は覚えておりません。
  161. 黒柳明

    ○黒柳明君 大体。
  162. 室井則泰

    証人室井則泰君) これはそういう問題ですから、御指摘を待つまでもなく、われわれ重大関心事でございますから、その翌日ぐらいは少なくともそういうことらしいということは伝わったかと思います。
  163. 黒柳明

    ○黒柳明君 正式に。
  164. 室井則泰

    証人室井則泰君) はい。正式という意味が、防衛庁から書いたものではもらったという事実は、私自身はもちろんありませんが、客観的に見てもそういうことはなかったと推定いたします、その件は。
  165. 黒柳明

    ○黒柳明君 翌日にはそういうことがあったらしいと、こういうふうにわかった。それはどこを通してそういうことわかったのですか。何によってそういうことがわかったのですか。
  166. 室井則泰

    証人室井則泰君) 具体的には記憶ございません、正直申しまして。決してとぼけておるわけでも何でもございませんけど、本当にだれから聞いたなというか、そういう記憶は実際ないですけど、ただ——まあその翌日というのも定かではございませんけれども、恐らく素早くそういうことは漏れてきたんだろうなと想像しか実際できないような記憶でございます。
  167. 黒柳明

    ○黒柳明君 私でも三年、四年の前のことは忘れる可能性ありますよ。だけど、最大関心事だとおっしゃいましたですな。非常に言葉が、失礼ですけど相矛盾するのですよ。最高スタッフの補佐でもある、私は一人である、すべて意向を受けている、最大関心事であると言いながら、事実関係になると、翌日だと思う、何となく風のまにまに便り、何だか漠然としてわからない。まあこればっかり突っ込んでいる時間ありません。  さらに、これは国産化希望すると、こう先ほどおっしゃいましたですね。もう国産化に決めて、四十五、四十六研究開発、それで、もうできれば七年で何とか実用化、量産にもと、こういうことはもう決められていたんじゃないですか。当然これだけの重要事項ですから、業務ですから、重役会議の議論も経てたわけでしょうね。そこでは単年度の予算、まあ後は野となれ山となれ、幾ら防衛庁だ、お客様といったって、そんなやっぱり簡単な事業計画というものは、私は常識的にはないと思いますよ。もうこの四十五年、研究開発出発するときには、重役会議において先の見通しまでつけて、そして国産化——少なくとも川重としてはですよ、それで出発した。これはもう常識じゃないでしょうか。ということは、何を根拠に言うかと、防衛庁長官もそれを言っているわけなんですよ。国産化の計画はあったんですとはっきり認めているわけですね。四十五、六年において、大網をつくったんですから四十五年においては。そのときの川重の少なくとも一スタートにおいては国産化と、これについて固めてスタートした。過程においてはわかりませんよ。現在においてはまたわかりませんよ。それは間違いなかろう。これはいかがでしょう。
  168. 室井則泰

    証人室井則泰君) 黒柳先生のおっしゃることは会社の方針として間違いございません。国産化でいくんだということについては、国産化でとにかく物事を進めると、考え方は進めると、その方向へ行くということについては、確かに会社としてはそういうことを考えてもおりました。
  169. 黒柳明

    ○黒柳明君 先ほどできれば国産化の方向というふうに一言おっしゃったもので、私はもう社として国産化決定と、こういう方向で進んだことは間違いないと、こういうふうに私はいま念を押したのですが、それは間違いないと、こうおっしゃった。じゃないと、会計検査院——まあ四十五年、六年直接の担当者じゃないんで、これはもういいと思うんですが、川重の責任者内野さん、もう国産化だったんですとはっきり言っているのですな、検査院には。この点も責任者の一人ならば確認していただけますでしょうな。会計検査院の会計検査では要するに責任者はもう国産化なんですと、これははっきり言っているんです。これはもう確認していただけますね。まあ先ほどの言葉の続きですけれども
  170. 室井則泰

    証人室井則泰君) 内野憲二がそういう会計検査院でどういう雰囲気でどういう状態で話したかということはよくわかりませんが、したがって、そのそこの問題を確認しろとおっしゃることであれば、ちょっと私自身確認はできないと思います。はい。
  171. 黒柳明

    ○黒柳明君 結構です。そうでしょうね、川重国産決定、これはもう間違いない。ところがそうであるならば、いま現在信念に燃えて使命があるといって、二十名いらっしゃるわけでしょう。これについて、この次の後にやりますけどね。ちょっと私、先ほどからの答弁でどうも責任者でなかって、いろんなことをくどいようですが知っていて隠しているか、あるいは知らないという感じがするんです。  そこで、四十五、六年のときじゃなくていまのときのことを聞きたいんですよ、いまのことならもうそのものずばりですからなあ、責任者ですから。どういうことかというとロッキードとの関係。ロ社と川重との関係。これの航空機部門。これはずばりですね、いまの担当ですから。これは契約関係、どういうものが契約にありますか、いま現在。ロッキードと川重と、航空機部門だけの契約。たとえばトライスターのドアとかいろいろありますね。
  172. 室井則泰

    証人室井則泰君) T33という練習機がございますが、これの技術提携が既存しております、それが一つと、それからP2Jのやはり技術契約がございます、技術援助契約がございます、これが一つ。それから、L一〇一一トライスターのドアの下請契約、これがいま現在も生きております。そういうところかと思います。
  173. 黒柳明

    ○黒柳明君 L一〇一一のドアはいつですか、契約の年月日は。
  174. 室井則泰

    証人室井則泰君) 昭和四十四年に契約したと思います。
  175. 黒柳明

    ○黒柳明君 四十四年十一月ですな。そのときの代理店はどこですか、輸出入業務の代行やっているところは。
  176. 室井則泰

    証人室井則泰君) 丸紅でございます。
  177. 黒柳明

    ○黒柳明君 で、丸紅は言うまでもなくロッキードとの契約を破棄しましたね。それで、いま川重は、失礼ですけど業務遂行代理人がいないわけですな。現実にロッキードとの業務協定結んでいるわけで、まあ代理人がいなくたって輸入関係、輸出関係はできると思いますが、やっぱりお困りになっているんじゃないですか。なかんずく防衛庁は非常にやっぱり困っているんじゃないでしょうかな。防衛庁はいざ知らず、川重も、なかんずく御自分の責任部門、これどうですか、いま。
  178. 室井則泰

    証人室井則泰君) 当面は、ごく最近までは発注……発注したものは、いつまで発注したものは丸紅が始末するとかいう日程的なけじめがあります。で、大部分はもう既発注という形のものが多うございますので、大きな支障はないんですが、やはり御指摘のように不良品の取りかえとかいろいろございますので、そういうものを調整発注とわれわれ言っていますけど、まとめてやらなきゃならぬことは目に見えております。したがって、いま、伊藤忠アビエーションという会社に、その丸紅飯田がやっておりました川重のための輸出入業務の代行をやらんかということについて折衝いたしております。
  179. 黒柳明

    ○黒柳明君 これは防衛庁からも相当、いまの現在発注しているものについては経緯がある、これだってそんなに長くないと思いますよ。これからのものについては非常に困っている。そうなると、やっぱり川重としても困りますが、防衛庁も困る。防衛庁から矢の催促である、これは間違いありませんな、早く業務代理人をつくれと、これは間違いありませんね。
  180. 室井則泰

    証人室井則泰君) 直接的には防衛庁に部品が入らぬからといって迷惑をかけておるわけでございませんので。
  181. 黒柳明

    ○黒柳明君 やがてかかるでしょう。
  182. 室井則泰

    証人室井則泰君) はあ、いま現在は矢の催促というようなことはございません。それを先取りしてわれわれがいま肩がわり社を探しておるという状態でございます。
  183. 黒柳明

    ○黒柳明君 いまの伊藤忠アビエーションと川重の常務の内野さんですかな。もうロ社を訪れて、それでもう話は詰ているんですか、どうなんですか。業務代理人として伊藤忠はもうほぼ決定の段階にいくんですか。
  184. 室井則泰

    証人室井則泰君) 恐らく伊藤忠アビエーションが肩がわりしてくれるんじゃなかろうかなと私はこのように——まだ最終的に煮詰っておりませんが、思っております。
  185. 黒柳明

    ○黒柳明君 四月の中旬ごろ伊藤さんと、あの伊藤忠のアビエーションの社長と、それから内野さんとロ社へ行っていますね。そこでは相当話は煮詰まっているわけでしょう。で、間もなくやっぱり代理業務は丸紅にかわって伊藤忠がやると、こういう方向に行っていることは間違いないんじゃないですか。
  186. 室井則泰

    証人室井則泰君) したがって、先ほどお答えしましたように、多分伊藤忠アビエーションと話がつくんじゃなかろうかと思っています。  その前にちょっとお断りしておきたいんですが、よろしゅうございますか、済みません。  ロッキードへ行くというのは、あそこが了解がなければというようなことはない、まあしかし、やっぱりこれに扱わすんだぞというような、紹介かたがたみたいな感じだったと思っていますけど……。
  187. 黒柳明

    ○黒柳明君 まあいずれにせよ、向こうがやっぱり了解しないと業務はスムーズに進まないと、これはもう周知の事実であります。  それで、先ほど二十名、私ちょっとこう触れましたけども、残ってやっていると、これも限度があるんじゃないでしょうか。幾ら信念に燃えてやっているにせよ、やっぱり利潤というものを追求する営利会社ですから、それが五億も、まあ欠損ということではないでしょう、工業パテントも取っていますからね、まるっきり欠損じゃないでしょうけれども、これは限界があるでしょう。防衛庁に対して違約金を取るという構えでもない。これはまあ取引関係もありますから、なかなかおいそれとして言えないんじゃなかろうかと思いますがな。この二十名、いつまで待たされるんですか。いやおれたちはいつまでも、ともかくPXLはわが社でと、こういうことなんでしょうか。それにはやっぱり信念以上のものが何かあるんじゃないですか、成算が、見通しが。どうなんでしょう、その点は。
  188. 室井則泰

    証人室井則泰君) 御指摘のとおり、いつまでも無際限にというようなことはもちろん相ならぬと思いますが、まあそれを裏返せば、われわれは間もなく、少なくとも今年度じゅうにどちらになるか——どちらにというのは輸入国産かという問題ですが、決めていただけるものだと期待してひたすら待っておるといいますか、そういう状態でございます。
  189. 黒柳明

    ○黒柳明君 国産ということについて、いまP2J、これはライセンスで重要部分は向こうから来ていますね、ロッキードから。そういうことも含めて国産ということを当然お考えになってんでしょうな、準国産と。もう純国産じゃね、ポスト四次防じゃもうこれは常識的に間に合わぬ、可能性がないですよ。まあいままでの研究開発が若干ありますけれどもね。ですけど、ここでまたいつオーケーになるものやらわかりませんしね、相当の紆余曲折もあるでしょうし、ですから、純国産というのはもう非常にやっぱり距離が遠いんじゃなかろうか。そうなると、いまやっているP2J、あのライセンス生産、それも含めてやっぱり国産にと、こんな希望的観測も当然持ってんでしょうな。
  190. 室井則泰

    証人室井則泰君) オイルショック以来のさま変わりでなかなか仕事もございません、現に操業は非常に不足を来たしております。定時を維持するのがやっとで、来年はさらに割っていくと、人の整理にいきなりつながってくるというようなところでございますので、まあおそくなることが非常にわれわれ耐え切れないような状態に来ております。したがって、いま先生がおっしゃいましたように、これはお決めになるのはもちろん用兵側の防衛庁さんでございますけど、われわれ産業界という、そういう大それた言葉は使えませんが、川崎重工としましては、少なくともP2Jを考えていただくケースも考えていただきたいという希望はございます。
  191. 黒柳明

    ○黒柳明君 P2Jをこのまま延長してもらって、さらにそれを川崎がやっていくと、こういうケースも考えていると、だから二十名の要員も限度があると、少なくともことしじゅうはと、こういうお考えですね。さらに、私は、PXLは信念持ってもう川重じゃなきゃできないんだと、やるとすれば、この考えももう信念以上にかたいものがあるんじゃないですか。
  192. 室井則泰

    証人室井則泰君) これは企業体で主張すべき、私の方はメーカーでございますので、やはりそれが何としても成立、確立して推進していきたいという気持ち以外はございません。ただ、見通しが確かかどうか、どこまで持ちこたえるのかというようなことになりますと、これはもう、これこそいま先生がおっしゃいましたように私のレベルじゃないかもしれません、もうトップの決心ということで考えられる問題であろうかと思いますが、傍ら、何かそのほかに、何か信念以外のものということについては、まああろうはずがないと、私はそう思っております。
  193. 黒柳明

    ○黒柳明君 いや、たとえば、たとえ輸入になったとしても、やっぱりオーバーホールをやるとか、部品の補修をやるとか、あるいは試作品もつくるとか、まあいろんなケースがあるでしょうね、いままで研究開発やってた実績が、積み重ねがあるわけですから。そういうもの。だから、何が何でも川重じゃなきゃこれはできないんだと。さらに言うならば、ことしじゅうに何とかこの国産のめどもつけてもらいたいと、そのために二十人の要員を残してその時を待っていると、こういうこと。さらに私はその裏にやっぱりライセンス——さっきちょっと言いましたP2Jのライセンス生産、そのライセンス生産ということが強くやっぱりあるんじゃないんですか、純国産じゃちょっと間に合いませんね、そういうものが。どうですか、これ。これの方が非常に距離的に近かろう、可能性が強かろうというものがあるんじゃないですか。
  194. 室井則泰

    証人室井則泰君) 先生、それはP2Jというものを取り上げてもいただけるケースは、われわれ実際はあるかないかはわかりません。しかし、操業度を、ことしまあ右か左か決めていただかないと、見通しすらつかないと……
  195. 黒柳明

    ○黒柳明君 P3C。
  196. 室井則泰

    証人室井則泰君) ああ、P3Cですね、を輸入するなら輸入する、もしくは純国産でいくとか、何か今年じゅうに決定していただかなければ傷がますます深くなるという、まあ私の方抱えておる問題があるわけです。したがってそういう場合は、まあ用兵上可能かどうかそれはちょっとわれわれの手の届く話じゃないんですが、P2Jを買い増していただいて、それでもやはり仕事を若干維持していただきたいと、国防上それで若干でもしのげるんであれば、というような意味でございまして、その二十名いまやっておるというのは、まあその開発の根は絶やしたくないということでやっておるわけで、必ずしもP2Jを推進をしたいとか国産をどうだとかいうような絡みではございません。ただまあP2Jというものも、万一の場合——まだまだ決まらぬと、国家でいろいろ御論議あると思うんですが、そういう場合にわれわれに影響度が多うございますので、準国産、P3Cの輸入にかかわらず、操業という産業界的な意味もひとつP2Jというものでお考え願えませんでしょうかと、まあこんなような気持ちでおるわけです。
  197. 黒柳明

    ○黒柳明君 航空業界全体としてはP3Cの国産化について強い要請を関係省庁にやってますね。
  198. 室井則泰

    証人室井則泰君) P3Cでございますか。
  199. 黒柳明

    ○黒柳明君 国産化
  200. 室井則泰

    証人室井則泰君) ああ、開発PXL開発でございますね。はい、それはいたしております。ぜひ国産開発にしていただきたいということで陳情をそれぞれやっております。
  201. 黒柳明

    ○黒柳明君 ちょっと、先ほどからP2Jとちょっと混乱してるんでね。その可能性、これが純国産じゃ非常に手が届かない、だからライセンスの可能性を非常に強く持ってんじゃないんですかと、こういうことなんですよ。これ、二、三回聞いてることね。P2Jじゃなくて、この可能性。できればこのままでもとおっしゃったこと、それはそれでいいんですよ。ライセンス生産の可能性が強いんではなかろうか、それを待っていると、本年じゅうにと、純国産よりも。
  202. 室井則泰

    証人室井則泰君) それは、私の方のいままでの行き方から、あるいはその他もろもろの要因から考えまして、やはり国産化開発ということを少なくとも来年度から踏み切っていただきたいということ以外は考えておりません。ただし、それをチョイスされ、デシジョンされるのはやっぱり政府防衛庁筋でございますので、それを先取りして待っておるとか待ってないとかというようなことじゃございません。やはり主張は変えておりません。
  203. 黒柳明

    ○黒柳明君 ということは、それは最終的な断は防衛庁政府でしょうね、だけど、やっぱりおのおの、川重とロ社だけじゃなくして、ほかのところでも業界と業界の技術提携なんかやってて、政府を乗り越えていろんな技術導入なんか早いんです。それで、私もこのハーク会長がすでにライセンス生産についてはもうアプルーバルを得ていると、こういう書簡があるわけですよ。だから、ライセンス生産の、川重の方でそういうものはもう入っているんじゃなかろうかと、ライセンス生産の方向でいくよと、こういう先行したものがロッキードとの間にあるんじゃなかろうかと、ハーク会長の手紙にはそういうことを書いてある。これを私は聞きたいんですがね、どうですか。
  204. 室井則泰

    証人室井則泰君) ございません。
  205. 黒柳明

    ○黒柳明君 全然そういうライセンス生産、ロッキードとの話し合い、ここの中に書いているようなことはないと、これは間違いないですね。全く政府の最終的決定を待つ、こういうことですな——わかりました。時間がありませんでね、まだいろいろ聞きたいことがあるんですけど。  最後に、要するに先ほど、できれば今年じゅう二十名の駐在員もいつまでも待たせられないと、これは当然でしょうね。ということは、要するに国産の方向で航空業界もPXL国産を推進していると、その航空業界のトップは社長ですな、四本さんですな、そうですね。そうすると、川重——いいですね、航空業界全体ですよ、これは何も川重がということは言いません、航空業界全体が防衛庁を含めて国産化の推進をしている、過去も現在もやっていますよ。その航空業界の会長が川重の社長の四本潔さん。そうすると、川重国産化を一生懸命推進していると、防衛庁に対して、防衛庁も含めて、こういうことですね。そうすると、終始一貫して四十五年の初めからいまに至るまで何とかこれは国産化でやらなきゃ、やってもらいたいと、ただ単に希望的観測ぐらいのもんじゃないですね、川重とすれば。
  206. 室井則泰

    証人室井則泰君) 何とかそれをやっていただきたいということでございます。希望的観測というようなことではございません。
  207. 黒柳明

    ○黒柳明君 それでですね、もしそれだけの重大事であり、それだけの他社からも人手を導入し、そして開発研究した、ストップになった、航空業界挙げて国産化を陳情している、全くわからない。もしこれがですよ、どうなるかわかんない、そうすると、先ほども取り上げられました契約には違約金の項目いろいろあります。こういうものに対してやっぱりそれは防衛庁の今後の問題、いままでの結びつき、やりにくいと思いますよ。やっぱり、だけどそこらあたりきちっと筋は筋として立てることがこの疑惑を少なくとも解明する一つの端緒になると思うんです。川重は、全くこれに対しては防衛庁との裏取引も何もなかったんだと、私はないことを信じますけど。だけど、どうしても防衛庁には、防衛庁の発言を、失礼ですけれども、政治的発言を、そのまま、いましているような感じがするんです、どうしても。防衛庁長官が、発言が変わってきているんです。いまになるともう国産化じゃなかったんだ、あったけれどもそうじゃないんだ、大蔵省はそうじゃない、そうしちゃいけないと、全く政治的発言、その枠を出ないような、ある部分はですよ、午前中は特に感じしたんです。ですけどね、それはそれとして、だけど防衛庁との取引関係はあるでしょうけれども、これだけの問題ですから、契約にのっとったものはやっぱりのっとった部分としてきちっと処理しないと、何かやっぱり、川重防衛庁の圧力があって泣き寝入りじゃなかろうかなと、そこにやっぱり疑惑も後を引くんじゃないですか。それについてもし今回の国産に対して全くそれが川重の全面的な敗北になったら、これは何らかのやっぱり処置をとるというおつもり、あるいはその議論をしたことあるんですか、社内では。
  208. 室井則泰

    証人室井則泰君) ここで明確にしておきたい件は、何か、確かに早くできておれば、あるいは早く国産というものが四十八年でも、九年でもいいんです、決定しておれば、こう操業で大変苦労するというようなこともなしに済むわけですが、だといって、この違約金とか、損害賠償とかいうものにつきましては、これは契約の土俵の中でしか存在しない話なんです。いま先生が非常に、私、非常にありがたいと思います。そういう企業立場も御理解願って、つらかろうというようなお考え——私甘いかもしれませんか承って感謝しておるんですけれども、それにしましても、こういうものはやはり契約の場の中での話でございまして、契約の中ではその約束したことは守らない場合はしかじかかくかくだというようなことでしか処理できません。したがって、われわれが期待をし、進めて来、いまもやっておるというような状態で消費したものにつきましては、別にそれが契約の場に及ぼすようなものではございませんので、それを処置をとるとかなんとかいう意思は全然ございません。
  209. 黒柳明

    ○黒柳明君 もう時間です。
  210. 橋本敦

    ○橋本敦君 あなたは、会社の中にある次期潜機開発室、この部員におなりになったことがありますね。
  211. 室井則泰

    証人室井則泰君) あります。
  212. 橋本敦

    ○橋本敦君 この次期潜機開発室というのは、川重内で何年ごろからつくられた組織ですか。
  213. 室井則泰

    証人室井則泰君) 四十四年か五年だったと思います。
  214. 橋本敦

    ○橋本敦君 川重が自主的に次期潜機開発、この研究を始めたのは大体昭和四十年あるいは四十一年ごろというように伺ってよろしいですか。
  215. 室井則泰

    証人室井則泰君) そのように了解していただいて結構でございます。
  216. 橋本敦

    ○橋本敦君 昭和四十一年というのは、川重がP2Jの試験機、これのフライトに成功して、これを防衛庁に納入をした、そのころではありませんか。
  217. 室井則泰

    証人室井則泰君) 大体近いときだったと思っています、はい。
  218. 橋本敦

    ○橋本敦君 私の手元におたくの会社の社内報「はばたき」という雑誌がありますが、この中で対潜機開発に重要な役割りを持っておられる坪井副事業部長ですか、この方のお話があるんですが、ここにはこう書いてあります。この次期潜機開発ですね、この仕事は「P−2J試作機を防衛庁に納入した昭和41年から研究を続けているもので」あると、ちょっとごらんいただきたいと思いますか。このとおり間違いこざいませんか。
  219. 室井則泰

    証人室井則泰君) 間違いないと思います。
  220. 橋本敦

    ○橋本敦君 そういたしますと、川重としてはP2Jの試作機を防衛庁に納入したそのときから、やがてP2Jの次に新しい対潜哨戒機を配備するという必要が起こるであろうということをいち早く考えられて、さっそく研究を開始され、あなたのお言葉ですと、あなたも部員であるPXL開発室は四十四年ごろから設置をすると、こういう段取りになっていくわけですね。そこで、この四十一年ごろから四十四年ごろまでは自主的にどのような研究をなさっていたのですか。
  221. 室井則泰

    証人室井則泰君) 全般的な次期潜機はこんなイメージであろうと、P2Jの次に来るものといいますか、というものをモデルをいろいろ設定しまして、スタディーをしたということだと思います。非常に文学的表現でございますけれども
  222. 橋本敦

    ○橋本敦君 そのような一般的なイメージ模索という文学的表現以上に、具体的にいまお示ししたこの社内報では、坪井さんは四十一年から研究を続けて空力・構造関係の基礎研究を進めてきたと、こうお書きになっておられる。だから次期潜機の単なるイメージ模索ではなくて、基礎的な次期潜機の空力・構造関係、これもすでに基礎研究を開始していたと、四十四年までに。ということがこの発言から明らかだと思いますが、間違いありませんか。
  223. 室井則泰

    証人室井則泰君) それは社内報でございますので間違いないと思います。
  224. 橋本敦

    ○橋本敦君 ところで昭和四十四年に、防衛庁研究本部PXL次期潜機防衛庁部内研究が行われて、関係航空会社では川重だけが参加をしたということはありますか。
  225. 室井則泰

    証人室井則泰君) その件については、私、いま覚えておりませんが。
  226. 橋本敦

    ○橋本敦君 これはもう一度それではこの社内報を見ていただきたいんですが、坪井さんがおっしゃっています。読んでください。
  227. 室井則泰

    証人室井則泰君) 「昭和44年の防衛庁研究本部の部内研究には当社だけが、これに参加し、45年からの委託調査も当社が担当することになると思われます。」
  228. 橋本敦

    ○橋本敦君 間違いありませんね。いかがですか。
  229. 室井則泰

    証人室井則泰君) はい、間違いございません。
  230. 橋本敦

    ○橋本敦君 だからしたがって、四十四年、つまり四十五年の防衛庁との研究の前年に、防衛庁内部のPXL開発研究川重だけが部内研究に参加をしたということは、これは四十五年に正式に防衛庁研究委託を受けるという前提として非常に重要な事実であった、ということが言えると思うんですね。そこで、川重の方がこのような自主的な研究体制を続けておられた、その契約が四十五年に交わされる正月のことですが、おたくの四本社長が年頭のあいさつでPXL問題について大変重要な方針をお話になっていらっしゃる。御記憶があるでしょうか。——御記憶なければ私読みますから。御記憶があるかどうか。
  231. 室井則泰

    証人室井則泰君) 正確には記憶していませんので、どうぞお願いします。
  232. 橋本敦

    ○橋本敦君 これは「かわさき」と言えば同じくおたくの社内報ですが、この「かわさき」の四十五年一月、四本社長は年頭で「近い将来の飛躍に備え 一層の研究開発を」と題されて、航空機事業本部の事業の重点について次のように述べられています。「第一は、PXL、HXおよび飛翔体に対する開発研究の推進であります。すなわち、次期潜哨戒機は当航空機事業本部の今後の主柱となるプロジェクトであり、これが研究開発には万全を期さねばなりません。」こうおっしゃっています。この四本社長のお話から明らかなように、次期潜哨戒機問題は、川重のまさに次の事業の主柱となるプロジェクトであったということは、川重社内の一般の認識としても会社の方針としても間違いのないところだったわけですね。
  233. 室井則泰

    証人室井則泰君) まさに間違いございません。
  234. 橋本敦

    ○橋本敦君 ところでおたくの会社では事業計画について、短期事業計画並びに長期事業計画というものを、短期事業計画は毎会計年度もしくは半期ごと、長期経営計画は五、六年の単位で策定をされていると思いますが、間違いございませんか。
  235. 室井則泰

    証人室井則泰君) おっしゃるとおりでございます。
  236. 橋本敦

    ○橋本敦君 そこで、いまのような方針に基づいて、川重、おたくの会社自体の長期経営計画の中で次期潜機研究開発はどのようなプロジェクトとして定められていたか、お話しいただきたいと思います。
  237. 室井則泰

    証人室井則泰君) どのようなと、おっしゃいます意味があれですが、まあ最優先項目であるというようなことで、長期経営計画の中にもやはり売り上げ想定とか、いろいろやっぱり経営計画でございますので、数字として入れていくということはやっぱりやっております。
  238. 橋本敦

    ○橋本敦君 それでいまお話しのPXLの長期経営計画の売り上げ想定、これはたとえば昭和五十年度ではどのような想定になっていたのでしょうか。
  239. 室井則泰

    証人室井則泰君) いまおっしゃいましたのは五十年度でございますね。去年、先年度の話ですね。
  240. 橋本敦

    ○橋本敦君 はい。長期経営計画では五十年度はね。——御記憶がなければ結構です。
  241. 室井則泰

    証人室井則泰君) ちょっとあの……
  242. 橋本敦

    ○橋本敦君 御記憶がない。
  243. 室井則泰

    証人室井則泰君) はい、済みません、そこら辺……。
  244. 橋本敦

    ○橋本敦君 それではその経営計画について、私も先日川崎でお目にかかった管理部長の尾藤純一さんが、四十六年五月号の社内報「はばたき」で書いておられるので、これを読んで証人の記憶を喚起しますが、尾藤さんはこう言っておられます。「長期経営計画」と題する部面で、「新製品の売上によるもの三百十億円」「五十年度の売上の約五十%は新製品によることになります。これは、長期経営計画における販売計画の基本方針が新製品」すなわち「(PX−L、HX等)のプライム確保にあることを意味するものであります。」と、こうおっしゃっております。つまり昭和五十年度では航空機事業の売り上げの半分が新製品、その中でPXLが、これがまさに契約上プライムを確保してこの売り上げを出していくという長期経営計画になっておるということが、これで明らかですね。ということは、四十一年以後研究開発を進めて、昭和五十年度にはすでにPXLは売り上げの半分を占めるぐらいに盛り上げていくと、こういう方向が示されている経営計画であることは間違いない。そこで具体的に五十年度はこの売り上げの五〇%を示すPXLは、これはもともとの長期経営計画からいくならば、五十年度にはあるいは一年ずれて五十一年度には試作一号機が国産体制でフライトをすると、こういう状態を想定したからこそ売り上げが五〇%、こうなっているはずですが、間違いありませんか。経営計画自体です。
  245. 室井則泰

    証人室井則泰君) まあそういう経営計画スタディーはあったことは思い出します。
  246. 橋本敦

    ○橋本敦君 川重ではこのように積極的な開発とそれから国産体制で進んでいるというそういうプロセスの中で、四十五年、四十六年防衛庁から委託研究が入ってくると、こうなるわけですね。だからしたがって、私があなたにただしたいのは、四十五年、四十六年に防衛庁からの次期潜機委託研究は入ってくるけれども、これは大蔵省のサイドで国産前提としない基礎研究だと、こう言うけれども、これを受ける川重のレールとしては自主的にすでに国内生産に向かって長期経営計画も持って進んでいたところへ入ってきている、こういう事実が明らかですね。  そこでこの四十五年、四十六年の研究レポートを防衛庁にお出しになった中身の問題ですが、これは基本的には防衛庁が示した要求性能諸元あるいは次期潜機防衛庁考えているいろんな要求、これは研究結果として生産可能であるという結論が得られた、いずれもそういうレポートであることは間違いありませんか。
  247. 室井則泰

    証人室井則泰君) 出しましたレポートそのものは、生産可能かどうかということについての答えではなかったと……
  248. 橋本敦

    ○橋本敦君 直接的には。
  249. 室井則泰

    証人室井則泰君) 直接的には。ただ、われわれは、できるであろうというような評価はわれわれ側ではできるわけでございますので、そういう……、直接的にはそういう答えにはなっておりません。
  250. 橋本敦

    ○橋本敦君 川重研究部分の評価を聞きたいんです。川重としては、防衛庁に出したレポートは、言葉では国産可能と、こう書いてないが、防衛庁が要求した性能諸元を満たし得る内容のものは、これは川重研究を進めてき、まずP2Jで実績を持っている国内航空事業の体制からいって国産が可能であるという、そのことが、これが評価としては川重としてはしておったと、こう聞いて間違いないですね。
  251. 室井則泰

    証人室井則泰君) われわれ自身はそのような評価をいたします。
  252. 橋本敦

    ○橋本敦君 川重が自主的な研究を進める上において、開発室が具体的にどのような体制を伴って発展をしていったか次に伺いますが、四十六年——四十六年では川重は社内的にはとのような体制をおとりになっていましたか。
  253. 室井則泰

    証人室井則泰君) 四十六年は約百十名の、引き入れ外注も入れましてですけれども、人員を配置しておりました。
  254. 橋本敦

    ○橋本敦君 会社の組織図を証人に見ていただきますが、四十六年四月一日現在では、あなたが所属される次期潜機開発室のほかに、航空機事業部のもとで第三技術部というのがあり、ここで加古四郎さんが責任者で、この第三技術部にPXL設計室——初めて設計という言葉か使われますが、設計室というのが四十六年につくられたのではありませんか。組織図をごらんください。
  255. 室井則泰

    証人室井則泰君) そのとおりでございます。
  256. 橋本敦

    ○橋本敦君 この第三技術部の設計室が四十七年には組織的にどのように発展いたしますか。
  257. 室井則泰

    証人室井則泰君) 四十六年は第三技術部の中の一つの室でございましたけれども、四十七年はそれを、設計室を部に昇格しております。それで、構成人員は四十名ぐらいだったと思います。四十名程度です。
  258. 橋本敦

    ○橋本敦君 いまおっしゃった四十名というのは川重の社員が四十名。だから、関連の富士通だとか日本飛行機だとかあるいはその他いろいろな会社からのスタッフをそろえて全部で何名になりますか。
  259. 室井則泰

    証人室井則泰君) 問題を対潜機にしぼりますので、ちょっとよけいかもしれませんが言わせていただきます。設計室はいま言いました四十名です。それから、ASW装備課というのがあります。これが四十名ぐらいです。これは中身の話です。それで八十名になります。そのほか電機会社、主要メーカーでございますが、東芝、それから富士通、それから日立、この三社から過去四名ずつ十二名だったと記憶しておるんですが、したがって、合計九十二名と、ラウンドで言ってそんな感じです、大まかに申しまして。
  260. 橋本敦

    ○橋本敦君 四十六年には全部で百十名ぐらいとおっしゃいましたね。四十七年にはいよいよ設計室を独立をさすという体制で全部を含めて百十名より減るというのはおかしいんじゃないですか。
  261. 室井則泰

    証人室井則泰君) 人数が減ること自身が——この差がおかしいかおかしくないかということについては、ちょっと、私ここで答弁持ち合わせていませんか。
  262. 橋本敦

    ○橋本敦君 人数の問題ではなくて、質と体制の問題だ。たとえば、四十七年には独立をさせ、部に昇格をし、場所も技術研究センターの二階の西半分、かなり広いところに全部集めて、そこでデスクその他をそろえて集中的に仕事をすると、こういう体制になりましたね。間違いありませんか。
  263. 室井則泰

    証人室井則泰君) 間違いございません。
  264. 橋本敦

    ○橋本敦君 そこでもう一度もとに戻って、四十五年、四十六年の研究との関係で伺うんですが、四十五年度の研究から四十六年度へ研究が移っていった一つの重要な中身の変化は、四十五年にも電子情報システム関係の検討はされました。しかし、四十六年にはいよいよ、この電子情報処理システムの中でもソフトウエアの問題が中心で研究をするという方向に入っていったのではありませんか。
  265. 室井則泰

    証人室井則泰君) ソフトウエアとふうあれでございますが、やはり四十六年度は空力関係——わかりよく言いますと、翼型の風洞試験とかそういうものが一つございますが空力関係で、そのほか電子情報処理装置と、これは音響データ分析とか、あるいはそれの制御装置とか、どんな配置図になるとか、まあ、いろいろあると思うんですが、演算方式とか、こんなようなことを中心にやっていったものでございます。四十六年度でございます。
  266. 橋本敦

    ○橋本敦君 私は、おたくの技術部の地主さん——技術部長ですね。その方にいま言ったソフトウエアの積極的な検討をやったという話を聞いたからあなたに聞いておるんですが、技術的な問題はあなたよりむしろ現場の技術者の方が正確でしょうね。これはもう当然のこと。  そこで、さらに私があなたにお伺いしたいのは、四十七年の四月一日に、いま言ったように大がかりの場所を取ってPXL設計室を独立さして部にして、そうして、その年度の十月の白紙還元ということが起こるまでの間どのような研究を持続されていたのでしょうか。
  267. 室井則泰

    証人室井則泰君) これも技術的に明快にお答えできないと思いますが、四十六年度でやりました項目のほかに、要するに継続してさらに深くやるものと、それから別途にやらなきゃならぬ項目というようなものをさらに追求していくということだと思いますが、流れからしまして。
  268. 橋本敦

    ○橋本敦君 だから、その別途に流れの上に乗って追求していくとなれば、四十五年、四十六年の研究で、大体、防衛庁の要求性能に合った次期潜機のイメージアップができてくると、これはできてくると。そして今度は、それの具体的な構造やあるいは部分的な問題についての具体的な技術的な検討ということに流れはなっていくと、こういう流れに沿った検討を設計室ではやっていたと、これは間違いありませんね。
  269. 室井則泰

    証人室井則泰君) 間違いございません。
  270. 橋本敦

    ○橋本敦君 そこで、防衛庁とおたくとの間で次期研究をどうするとか、あるいは次の契約をどうするかというようなことでいろんな協議が行われると思うんですね。この協議について、おたくの会社あるいは事業部で言っている言葉では、第一回の打ち合わせを第一読会——一読、第二回の打ち合わせを二読——第二読会、こういうことで防衛庁との間に進めるというのが例年の例だと思いますが、間違いございませんか。
  271. 室井則泰

    証人室井則泰君) 第一読会、第二読会という言葉は、私自身は余り使ったあれはございません。
  272. 橋本敦

    ○橋本敦君 言葉はともかく、そういう打ち合わせがあることは間違いないですね。
  273. 室井則泰

    証人室井則泰君) 必要所要事項は詰めていくと、打ち合わせをさしていただくと、調整さしていただくと、そういうのが通例の動きでございます。
  274. 橋本敦

    ○橋本敦君 四十七年ではそのような防衛庁との次期の、その次、つまり四十八年度の問題について、対潜哨戒機をどのようにするかという問題についての打ち合わせば五月段階で大体終わっていたと、こう伺っていますが、証人御承知ですか。
  275. 室井則泰

    証人室井則泰君) 詳しくは存じませんですね。
  276. 橋本敦

    ○橋本敦君 四十七年の八月の末に防衛庁は庁議決定でもって四十八年度概算要求を決定したのですね。で、この概算要求は、いよいよ本格的な国産化に向けてのPXLの基本設計、これに入るという研究内容のものだ、これは防衛庁が答弁をして明らかにしています。それに向けて五月段階までに川重と協議が整って、そして八月の庁議決定、こうなって概算要求がなされてくる、これがたてまえの筋ですが、間違いありませんか。これはあなたもよく御存じの筋ですね。
  277. 室井則泰

    証人室井則泰君) そのとおりの筋だと思います。
  278. 橋本敦

    ○橋本敦君 だからしたがって川重としても四十八年からはいよいよ具体的な国産を目指した基本設計の研究、それに防衛庁も入っていく、私どもも入っていくということを期待しておった、ということは間違いないでしょう。
  279. 室井則泰

    証人室井則泰君) 全くそのとおりだと思います。
  280. 橋本敦

    ○橋本敦君 そこで、四十六年度の契約レポートは、四十七年三月末に契約どおり出された後、四十七年四月一日から、契約はないけれどもいま言った方向に向けて自主的な研究を進めてきておる。特に私があなたにお尋ねしたいのは、その四十七年の九月に川重の方からいよいよ次期潜機を、これを開発するとすれば、アメリカのユニバックあるいはその他の会社に、一定部品の輸入をして、部品輸入をするということを検討して、各会社に品目で言えば百項目以上、これの引き合い、つまり値段、納期は注文からどれくらいになるか、輸出が可能であるかどうか、こういったことを川重が引き合いを出された。これは私の調査では、平木資材輸入課長の指示でもって文書をタイプで打ってPXL国産化をするということに関して照会をするという文言でアメリカ各会社に出されたということですが、あなた御存じですか。
  281. 室井則泰

    証人室井則泰君) それ自体は具体的には知りません。
  282. 橋本敦

    ○橋本敦君 こういうことがあったのを知っていますか。引き合いをしたことは。
  283. 室井則泰

    証人室井則泰君) 想像はできます。
  284. 橋本敦

    ○橋本敦君 あったと想像はできる。
  285. 室井則泰

    証人室井則泰君) はい。あったと想像はできます。
  286. 橋本敦

    ○橋本敦君 だからしたがって、昭和四十七年十月の白紙還元がなされる直前には、川重としては具体的な契約はないけれども防衛庁との協議を通じてどんどん国産化の方針を進めて、国産化のための部品輸入の検討までやっていたということが明らかになるわけです。  そこで、私はもう一つお聞きしたいのですが、四十七年の四月一日から川重PXLの設計室を独立昇格さして、そして本格的に取り組んでいくということについて防衛庁に了解、もしくはそういうことで結構だというような話し合いですね、そういうことばありましたか。
  287. 室井則泰

    証人室井則泰君) 職制の変更はやはり駐在官にも届けるというようなことになっておりますので、届けたことだと思います。
  288. 橋本敦

    ○橋本敦君 どこに届けた。
  289. 室井則泰

    証人室井則泰君) 駐在官ですね。駐在官事務所がございますが、そこら辺には届けることになっておりますから。
  290. 橋本敦

    ○橋本敦君 そうすると、防衛庁としても駐在官事務所を通じて、いよいよ川重は四十七年四月一日からPXLの設計室を独立昇格さしていくだいうことは知っておって、ちょっと待ってくわと、四十七年の契約はまだだから、どうなるかわからないから待ってくれというようなクレームは一切なかったと、防衛庁からね。川重のやることにクレームはなかったと、こう伺ってよろしいですね。
  291. 室井則泰

    証人室井則泰君) まあそう考えていただいていいと思います。ただし私の、先ほどもほかの先生に申し上げたように、そのころ四十七年は東京におりましたので、具体的にそこで届けた事実を見届けたとかそういうことはありませんので、しかし事の動きはそういうことであろうなというようなことだと理解していただきたいです。
  292. 橋本敦

    ○橋本敦君 だから言ってみれば、防衛庁としても、あの四十七年の十月に白紙還元になるなんてことは夢にも考えないで川重とずっと進めてきたということなんです。これは白紙還元は、防衛庁だって知らなかったと言っているんですから間違いないです。遠慮なさらずに御証言いただいて間違いないんです。国会論議直接御存じないでしょうけどね。  そこで、それまでの川重防衛庁との研究に関するかかわりについても私はこの際はっきりお伺いしておきたいんですが、四十五年から委託研究が始まって、四十五年、四十六年の間、川重防衛庁との間で技術的な検討の詰め、研究の促進をやらなきゃなりませんから、技術審査会というものを設けまして、そしてこの協議を毎年四、五回はやっておったと、こう伺っておりますが、この協議があったことは間違いございませんか。
  293. 室井則泰

    証人室井則泰君) 間違いないと思います。
  294. 橋本敦

    ○橋本敦君 この技術審査会は、防衛庁側からはどういう方が御出席になるのが通例ですか。
  295. 室井則泰

    証人室井則泰君) まず防衛庁内部の組織でしか私答えられませんが……。
  296. 橋本敦

    ○橋本敦君 おわかりの範囲で結構です。
  297. 室井則泰

    証人室井則泰君) はい。まず技術研究本部の担当の方、来られると思います。それから海幕の航空機課、いわゆる技術航空機課、まあその辺の方とか、必要不可欠な方々はそんなものだと思いますが、まあその内容にもよりましていろいろとあると思いますけど。
  298. 橋本敦

    ○橋本敦君 技術開発官、つまり技研の関係ですね。それから実際に対潜機を運用する海幕の方から運用及び技術問題の関係者、これが出てくる。総計十四、五名はお出になったと私聞いておりますが、川重もこれに見合う人数を出してこの技術審査会では具体的にどのようなことを検討したんでしょうか。
  299. 室井則泰

    証人室井則泰君) 具体的な件は私はここでお答えするだけ持ち合わせておりません。
  300. 橋本敦

    ○橋本敦君 こういう技術審査会を通じての意見交換やあるいは研究交換のほかに、防衛庁としては川重のこの研究に対してどのように積極的に支持、支援をしたか、これが次に聞きたい問題ですが、一つ伺いますが、このPXLの設計室に常時防衛庁側から研修ということで若い防衛官、具体的に名前を言えば、私の調査では石黒海上二尉がおられたということですが、この方が来て、この設計室で川重や他の会社の皆さんと一緒に仕事をされておったと聞いてますが、あなたは御存じですか。
  301. 室井則泰

    証人室井則泰君) 石黒二尉という、具体的に存じません。
  302. 橋本敦

    ○橋本敦君 いや、来ておられたかどうかについては。
  303. 室井則泰

    証人室井則泰君) 駐在という意味でございますか。
  304. 橋本敦

    ○橋本敦君 はい。
  305. 室井則泰

    証人室井則泰君) ちょっとその辺の……具体的には覚えてないですね。
  306. 橋本敦

    ○橋本敦君 ないとは言えませんでしょう。
  307. 室井則泰

    証人室井則泰君) はい。それは駐在しておったかどうかは、ちょっとそれ自身は、私、覚えておりません。
  308. 橋本敦

    ○橋本敦君 具体的に爆弾倉あるいはソノブイですね、あれを入れる部分の設計だとか主翼の設計検討、こういうことをデスクを同じようにしてなさっておったと、これは、私従業員の方に直接会って聞いてきたんです。そういうように防衛庁側も人を派遣して研究体制に協力をしておったと、こういう事実は間違いないんじゃないですか、どうですか。
  309. 室井則泰

    証人室井則泰君) 私の方の従業員つかまえて御調査なさったとすれば間違いないと思います。
  310. 橋本敦

    ○橋本敦君 あなたよりも直接の人ですからね、仕事をなさった方だから。それ以外に海将補その他海幕の首脳部が川重の岐阜工場を訪れられて、研究の到達度合、これをパネルで見るとか、あるいは次期潜機のフライトの想像図あるいは運用図、こういうものをごらんになっておられた。あるいは私もモックアップを見していただきましたが、あれをごらんになっていろいろ意見を述べられた。あるいは操縦席の模型であるコックピットもつくられていていろいろ検討をされた。こういうことがあったように伺っておりますが、あなたも御存じですか。
  311. 室井則泰

    証人室井則泰君) そういう事実あったと思います。
  312. 橋本敦

    ○橋本敦君 だからしたがって、防衛庁も積極的に契約で任せっ切りじゃなくて自分が要求性能諸元を出して検討してもらっているわけですから、積極的にその協力関係をやっておったということは明らかなんですね。  そこで、四十七年十月九日の白紙還元という問題、これをお聞きになって、あなたの立場も含め川重の皆さんは予期し得たことだったですか。まるっきり予期し得なかったことだったですか。その点はいかがですか。白紙還元になるとは夢にも思わなかったというのが私は本当じゃないかと思いますが、いかがですか。
  313. 室井則泰

    証人室井則泰君) 予期し得ませんでした。夢にも思わなかったです。
  314. 橋本敦

    ○橋本敦君 私はそれは真相だと思うんですね。  じゃあ、なぜこのような予期し得ないようなことが、あれだけやってきて、防衛庁とも話し合ってやってきて、防衛庁からもこんなまるでなかったのになぜあの時点でこんなことが起こったのか。これはやっぱり川重としても確かめ究明する必要があると思うんですが、防衛庁もしくはその他のところへこの理由を尋ねられたことはありますか、ありませんか。
  315. 室井則泰

    証人室井則泰君) それぞれあったかどうか知りませんが、私自身尋ねて歩いたような記憶は余りございません。
  316. 橋本敦

    ○橋本敦君 あなたがおっしゃったように、約八億もつぎ込んで、約三億が委託研究費で支給されてますから、五億の実際は損害になる。会社の決算上は自主的研究で落とせますね。だけど、実際は五億に上る損害がある。私は、防衛庁もおたくの方に研究を依頼をし、国産化に期待を持たせ、また積極的にお持ちになってやってきて、防衛庁としてもこの始末は責任があると思うんですよ。だがしかし、それは契約上の問題ではありません。実際上の川重防衛庁との関係の問題。  そこで、一つ私は聞きたいのは、ことしの三月に八日から十二日まで会計検査院が川重岐阜工場、会計検査をいたしましたね。その直前にいろんな書類を焼却場で焼き捨てたという事実、これも私は現場へ行って確かめてきたんですが、あなたも御存じだと思いますが、書類を焼いた事実はあなたも知っておられますか。
  317. 室井則泰

    証人室井則泰君) 後で私も調べましたが、焼いた事実はございます、書類を。はい。
  318. 橋本敦

    ○橋本敦君 会計検査が入るというときに、これは防衛庁調達本部から連絡があって事前にわかって、定期検査の六月か五月にやってもらいたいという意向を申し述べられたことはありますね。いかがですか。
  319. 室井則泰

    証人室井則泰君) あの特別検査、こういう事件の真っ最中ですからあらぬ疑惑を受けるのも片腹痛いと、したがって、しかも非常に年度末忙しいときですので、定例検査の五月とか六月に十分間に合うんじゃないでしょうかということで私は事実申し入れいたしました。
  320. 橋本敦

    ○橋本敦君 しかし、会計検査院はお聞きにならなかった。実際おやりになった。その直前に書類を燃やされたというと、これまた一つの疑惑にたるんですが、これはですね、もう時間がありませんから端的に伺いますけれども、これはどういう書類を燃やされたんですか。
  321. 室井則泰

    証人室井則泰君) これは、私の方は文書保管規程というものがございまして、倉庫がいっぱいになりますので、この部分は五年、この部分は十年とか三年とか、いろいろ規定があるわけですが、そういうもので例年、年度末にそれを始末するわけです。そういうものでございます。で、その中身は、私の聞きましたところでは、発注書と、資材部でいろいろ物を発注いたします写しがあるわけですが、そんなようなものとか、あるいはそのジョブカードというのがあります。私個人がたとえばミーリングの作業をやると一日何時間働いたというような毎日記録するわけですが、そういうものをずっとまあ非常に膨大になります。そういうものとかをまとめて倉庫を掃除するために運んで焼いたと、こういうことです。
  322. 橋本敦

    ○橋本敦君 いまのお話ですが、あなたの調査は正確ではないんじゃないか。年度末といえば三月八日からまだ先がありますから、焼却は、年度末ならばもっと後でもよろしいです。お断りした会計検査院が来ると、その直前に焼かれたというのは、やっぱり問題がある。私どもが聞いた話では、あなたの方が五億円の損害を受けたと、これを表向き防衛庁はカバーできない。しかし、その他の多くの契約品目ですね、これの管理費あるいは利益率、これを単年度でカバーすることもできないが、順次わずかずつ見てあげようということで、防衛庁との話があって、そういう関係の書類がわかったら大変だということで焼却をしたというように私は私の調査で聞いてきておるんです。いかがですか。
  323. 室井則泰

    証人室井則泰君) その事実は絶対、これこそ絶対ございません。といいますのは、仮にそういう損害といいますか——損害と私は思わない節もあるんですが、まあそういう論議はあれしまして、私の方は不正を別にやっておるわけではございませんので、会計検査院も国のむだ遣いをどうかということだと思うんですけれど、私の方は適正なものは皆やっぱり補償していただきたいと、焼くよりも残します、もしそういうことであれば。はい。
  324. 橋本敦

    ○橋本敦君 まだ疑問が残りますが、時間がないので後最後の質問だけやって終わりますが、あなたはアメリカへ半年ばかり、四十七年か四十八年お行きになって、ロッキードとも接触をされているように伺っておりますが、あなたがお行きになったのはトライスターのドアの下請の単価アップの交渉に行かれたと、こう聞いておりますが、その単価アップは要求どおりロッキードはいつごろ認めてくれたかどうか、この点はいかがですか。
  325. 室井則泰

    証人室井則泰君) 四十六年か七年の初めだったと記憶していますけれども、エスカレーション、要するにインフレといいますかね、値上がりを、それは契約条件決められておりますのでね、何年ごろに改定すると、それは大体希望どおり折衝したつもりでおります。
  326. 橋本敦

    ○橋本敦君 ああそうですか。
  327. 室井則泰

    証人室井則泰君) はい。
  328. 橋本敦

    ○橋本敦君 じゃあ希望どおり認めてくれたんですね、ロッキードが。
  329. 室井則泰

    証人室井則泰君) 具体的数字は覚えておりませんけれども、まあそう……
  330. 橋本敦

    ○橋本敦君 まあそれじゃいいです、要求どおり大体認めてくれたと。
  331. 室井則泰

    証人室井則泰君) はい。大体希望どおりいったような記憶です。
  332. 橋本敦

    ○橋本敦君 最後に一問だけ。  ことしですね、P3Cのライセンス生産についての引き合いあるいは問い合わせに川重からロッキードへも行かれていると私どもは伺っておりますが、間違いありませんか。
  333. 室井則泰

    証人室井則泰君) P3Cのために行ったという事実は私は聞いてはおりません。
  334. 橋本敦

    ○橋本敦君 聞いておられない。
  335. 室井則泰

    証人室井則泰君) はい。
  336. 橋本敦

    ○橋本敦君 じゃあ時間来ましたので終わります。     —————————————
  337. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、峯山昭範君が委員辞任され、その補欠として太田淳夫君が選任されました。     —————————————
  338. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 まず初めに、この防衛庁仕事のやり方、契約と作業の関係、そういうものについてお伺いをしたいと思いますが、先ほど証人は、PXL関係研究の人員について、四十五年度は七十名程度、四十六年度は百十名程度、このように言われたわけですけれども、この人員というのは、年間を通じてのものですか、あるいは一時点のものですか。
  339. 室井則泰

    証人室井則泰君) その数そのものは、年間を通じてというような考え方でございます。
  340. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 四十五年度の契約は、四十五年の七月九日に出されております、契約書が交わされた日ですね。それからその作業の完了が十二月の二十五日ということになっております。それから四十六年度の契約は四十六年の九月九日、契約完了日は四十七年三月三十一日、これが事実とすると、この間に空白の期間があるわけです。その間は何をしておるのか。
  341. 室井則泰

    証人室井則泰君) やはり私ども継続的に社内研究をやっておるわけでございます。
  342. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 四十七年度のPXL関係の担当人員というのは何名ですか。
  343. 室井則泰

    証人室井則泰君) 四十七年度ですか。
  344. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 はい。
  345. 室井則泰

    証人室井則泰君) 社内の者だけで八十名程度でございます。
  346. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それに、先ほどの設計室の人数が四十名加わるわけですか。
  347. 室井則泰

    証人室井則泰君) いえ、設計室とASW関係ですか、これを四十、四十と見て八十と申し上げたわけですが、はい。
  348. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 四十七年度は、この十月の時点で契約がまだ結ばれていないわけです。私は、この契約が結ばれるまでの間の作業の内容というものは、単なる社内の自主的な研究じゃないと思うんです。と申しますのは、この予算——防衛庁予算を詰める段階で発注先川重、この場合は川重とかなり詳細な内容の検討と詰め合いが行われているはずであります。だから予算が決まれば大体作業の内容、契約の内容というものはあなたの方でわかっておるわけですね。だから正式の契約が結ばれるまでに、もうすでに先行してその作業に入っておる。これが実態ではありませんか。
  349. 室井則泰

    証人室井則泰君) それは実態でございます。私はいまその社内研究でございますと言いましたのは、両方あるわけでございまして、社内研究じゃなしにその契約で認められる範囲とそのほかの二つあるものですから、空白期間中、私こちらだけのいま御返事申し上げたと御理解願いたいと思いますが。
  350. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そうしますと、このように理解をしていいのではないかと思いますけれども、つまり年間を通じて防衛庁予算が決まれば大体契約されるであろうという内容に従って作業を始めておる、同時に社内独自の研究もそれと並行してやっておる、こういうことでいいわけですね。
  351. 室井則泰

    証人室井則泰君) このいま取り上げられました問題の時点におきましてはそれぞれ結構だと思います。
  352. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 この場合に、防衛庁関係の作業をやる場合に、正式の契約が結ばれていないわけですけれども、正式の契約が結ばれる前に防衛庁との間に何らかの打ち合わせなり文書の交換ということはされますか。
  353. 室井則泰

    証人室井則泰君) 打ち合わせをさしていただきます。主として駐在官あたりでございます。駐在官にやはりその原価を監視するお役目の方がいらっしゃいますので、しかじかかくかくの内容でスタートしますと、後で御査定願いますと、ふぐあいなものが入っておればはじき出されるわけでございますが、あらかじめそういう意味で御了承は得るわけです。
  354. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そうしますと、実際の正式の契約というものはきわめて形式的なものであって、実際の作業というものはその防衛庁の担当官との間に打ち合わせをしながら、どんどん進んでおる、予算決定後はそれがどんどん進んでいくというのがいままでの慣行である、このように考えていいわけですね。
  355. 室井則泰

    証人室井則泰君) それは普遍的な形でおっしゃられると、私はちょっと違うような気もいたしておりますが、ずっと従来継続的につくっておるようなものにつきましては、もう中身も決まっておりますのであれでございますが、そういうケースはあらかじめ口頭なりで了解を得ながら進めることできますけれども、新規のものにつきましては、これは中身がまだ設定してませんのでそういうぐあいにはまいらぬかと思いますけれども、はい。
  356. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 先ほど証人の御答弁の中で、四十六年度契約書の中に国産化前提としないという文言が入っておったということが言われましたけれども、この国産前提としないという条件についてどのように受け取られましたか。
  357. 室井則泰

    証人室井則泰君) いままでこういう研究試験、いや研究契約といいますか、で、そういう言葉が入っておったという記憶は余りございません。したがって、大変きちっとけじめをつけているなというような印象でございますね。
  358. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 ということは、特にそれについて奇異には思わなかったということでいいわけですか。
  359. 室井則泰

    証人室井則泰君) 特にこれで奇異だということは感じませんでしたが。
  360. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そのとき防衛庁側からこの点について何か説明がありましたか。
  361. 室井則泰

    証人室井則泰君) 特に御説明があったような感じでいま記憶しておりませんが。
  362. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 四十七年度の予算に基づいていずれ契約がなされるであろうとして進められてきたこの作業の内容について、具体的に説明してほしいわけです。この作業は、四十五年、四十六年の調査研究内容と質的には同じものなのか、質的に違うものなのか。
  363. 室井則泰

    証人室井則泰君) 質的にはやはり同じものだと思います。しかし、それはもっと細かく入っていくというようなことで、同じ重量のことでも、当初のところは重量配分はどうだと大まかな配分をやるわけですが、今度は重心といいますか、というような置き方はどこに置くんだとか、重心——もっと細かく入っていくといいますか、あるいはその製造法につきましても、最新の接着法と申しますか、あるいは金属接着をどう適用するかとか、新しい、ニューテクノロジーの適用の方法とかいろいろ考えていく、あるいは共同部分の結合はどういう結合がよろしいかとか、あるいは与圧といいますか、内部、高空へ上がりますときに内部圧力に対抗するためにはもっと細かい部分部分の試験をやるとか、何か非常に細かく入っていくということだと私は概括的に覚えておりますが。
  364. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 いまの御説明によりますと、ある程度この製造方法の検討も含めた問題である、ということはこれは明らかに国産開発のための研究である、このように理解していいわけですね。
  365. 室井則泰

    証人室井則泰君) そのようにわれわれは理解しておりますが。
  366. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 四十七年度の契約は、川重としてはこれは当然結ばれるものだと思っておられましたか。
  367. 室井則泰

    証人室井則泰君) 当然結ばれるものだと思っておりました。
  368. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 大体契約の時期はいつごろを予想しておられましたか。
  369. 室井則泰

    証人室井則泰君) 例年の例にならいまして、七月とか九月とかということは期待しておったと思います。
  370. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 このおくれておることについて防衛庁側に督促をされたことがありますか。
  371. 室井則泰

    証人室井則泰君) 予算示達を早く出してもらうようにということをお願いに行けというようなことを部下に指示した記憶がございます。
  372. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 防衛庁側の返事はどういうものですか。
  373. 室井則泰

    証人室井則泰君) やっておりますと、要求しておりますというようなことだったように思っています。
  374. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そうすると、川重の方は早く契約をしてもらいたいということを督促したけれども防衛庁は一生懸命やっているんだということでずるずる延びて十月まで至ったと、このようなことですか。
  375. 室井則泰

    証人室井則泰君) 私はそのように理解しております。
  376. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そうこうするうちに、この十月九日の国防会議閣僚懇談会の白紙還元国産化問題を白紙還元ということが決定されたわけですけれども、この白紙還元のニュースを聞かれた時点で、この四十七年度の契約は取りやめになるということを想定されましたか。
  377. 室井則泰

    証人室井則泰君) 執行されないということは日を追うに従って明確になったと記憶していますので、これは取りやめになるということは承知せざるを得なかったということです。
  378. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私がお伺いしたのは、日を追うに従ってということではなくて、十月九日の時点でですね、閣議了解の時点でこれはひょっとすると契約が結ばれないのではないかという予想はされましたか。
  379. 室井則泰

    証人室井則泰君) 予想はいたしました。
  380. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 ということは、いままでのそのやってきたことが全く国産化のためであったからという理由からでしょう、それは。
  381. 室井則泰

    証人室井則泰君) まあそういうことだと思います。
  382. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 実際に作業を中止した時点はいつですか。
  383. 室井則泰

    証人室井則泰君) 定かには記憶しておりませんが、中止は——全面的には中止はしておりません。ただ、私十二名と申しましたが、十二名の引き入れの方を十二月までにはお帰ししたと思います。七月ごろ来ていただいて十二月にはもうお帰ししたということは記憶しています。
  384. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 この間、川重が受けた損害金は先ほどから論議されておりますけれども、これの経理処理について具体的にお伺いしたいと思いますが。
  385. 室井則泰

    証人室井則泰君) その年度年度に営業外費用として処理をすると、落とすといいますか経理上、損金という形というか、営業外の費用として落とすわけです。そういう形で処理しています。
  386. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 もし、これが契約が実施されておればこれは当然国からその分の委託開発費、委託調査費としてもらえる分ですね、それは。
  387. 室井則泰

    証人室井則泰君) そういうことには、当然ということにはならないんじゃないかと思っています。その中で命ぜられてやったものではございませんしいたしますので、やはり契約した時点から認められるというのが原則でございますので、何かお墨つきでももらってやっておれば別でございますが、これは当然認めてもらえたはずだというような発想は私としては持っておりません。
  388. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私が言っているのは、この全部の費用ということではありません。その大部分は、将来この契約が結ばれるであろうということを前提に作業を進めてきたわけでありますから、契約がもし予想どおり結ばれておればその中の大部分のものは防衛庁側から支給されるものである、このように理解していいと思いますが、どうですか。
  389. 室井則泰

    証人室井則泰君) 恐らくわれわれは、なるほど申請——それを繰り延べて一つの繰り延べ費、仕掛費として残しておれば、そこに私たちの意図があるわけでございますけれども、その年その年こう処分していく試験研究費という形で落としていくものですから、請求する根拠もございませんし、請求するといたしましても今度は何を納めるんだというその対象がないし、そういう意味で、私は基本的にはこれはやっぱり自社研究という形でやっぱり行われるべきものであると。ただ、そこに予算がつけば、たとえば執行されればといいましょうか、執行されれば、この傍ら執行されないままずっと解散もせずにやったというものは、言われた、打ち合わせした、横道それた、されてない内容は大部分でございますので、それはその執行されるであろう金でカバーしていただくということはあり得たかもしれません。その程度でございます。
  390. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 自社研究というかっこうで研究開発費として営業外費用で落とすというのは、私はこの契約が実行されなかったからそういうかっこうで処理されたわけで、これは当然四十七年度の契約が行われるものだという想定のもとに進められた作業があるわけですから、その部分は当然防衛庁側からもらうべきことを想定したものだ、このように考えていいと思いますが、どうですか。
  391. 室井則泰

    証人室井則泰君) 具体的には、ちょっとこれが、こういう項目がそうであったとかいうようなことは御説明できませんが、ありようは、やはりいま先生がおっしゃったように当然執行されればその中で吸収される、処理していただく、買い上げていただくというものはたくさん含まれておったと、状態ではなかろうかと想像されます。
  392. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私が当時の川重の担当責任者のある方に聞いたことですけれども、もしこれを防衛庁側に損害賠償を要求して裁判すれば勝てると、こういう判断を言っておられましたけれども、あなたはどう思われますか。
  393. 室井則泰

    証人室井則泰君) 裁判に持ち込むべき問題とは私は思っておりませんので、勝てるとか勝てぬとかいうようなあれは考えておりませんが。
  394. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は防衛庁との今後の取引とか、いろいろの利害関係考えられて、裁判に持ち込んで争うよりも社内的に処理した方がいいと、そういう判断でそのようなことをされたのだと理解しておりますけれども、次に移ります。  PXLの設計室が四十七年四月に部に昇格されましたけれども、その内容は先ほど証言にありましたように社内の者が四十名、それにASW装備課として別に四十名、このASW装備課の中にはかの社から応援に来られたということもありましたけれども、これは富士通、日立、東芝という名前を挙げられましたけれども、そのほか三菱電機、日本電気等からは来ていませんでしたか。
  395. 室井則泰

    証人室井則泰君) そう形では出向というか、来てみえませんでした。
  396. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 この設計室がつくられた目的は何ですか。
  397. 室井則泰

    証人室井則泰君) やはり約二千万の四十五年度、四十六年度の三億弱、四十七年度へ至って七億と申しますか、拡大的な状態でまいったわけでございますので、いままでのような規模、あちらこちらの分散しておるというよりも、やはり一ヵ所へその頭脳を集めて整々とやるというような形に整えるという方が非常に効率的であるからということが主体だったと思いますが。
  398. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 モックアップをつくられたのは四十五年六月という証言がありましたけれども、モックアップをつくるということは技術的にどういう意味を持つものですか。
  399. 室井則泰

    証人室井則泰君) モックアップは、図面でいろいろ、その図面というか、ポンチ絵というか、いろいろ同じかいてもいろんな段階があるようでございますが、技術的に申しますと。ペーパープランで実感が、寸法は書いておりますけど、これが三メーターとか四メーターとか書いておりますけども、その実感が、ぜひ必要だというような部分につきまして、立体的にそれをつくってみるということでもって、その図面と実際と、人間の今度はかかわり合いを実物でチェックするというようなのが主体じゃなかろうかと思っております。そういうものはモックアップということになると思いますが。
  400. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 このモックアップをつくるということは、防衛庁は知っておりましたか。
  401. 室井則泰

    証人室井則泰君) つくるということは御存じだったかどうかわかりませんが、つくったときはもうすでに御存じでございます。
  402. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 防衛庁からだれか立ち会ったり、あるいは点検したり、チェックしたり、あるいは打ち合わせをしたり、そういうことはありませんでしたか。
  403. 室井則泰

    証人室井則泰君) それはございませんでした。
  404. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 モックアップの意義はいま御説明のあったとおりですけれども、実際にその計器の配置とか作業のやり方とか、人間が通れる幅があるかとか、居住性とか、いろいろの問題が検討されるわけですけれども、実際使う側の防衛庁がこれを知らなければ、見なければ意味がないと思うんですね。この点はいかがですか。
  405. 室井則泰

    証人室井則泰君) 関係の方は来て見られたかと思いますが——と思います。
  406. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 先ほど言われたこととは矛盾すると思いますけれども、やっぱり防衛庁からも来て見られたわけですね、これは。
  407. 室井則泰

    証人室井則泰君) 見られたと思います。見られました。
  408. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 モックアップをつくるための搭載機器、電子装置、その他いろんな機器があるわけですけれども、これはまあ実物大のモデルを置かれたと思うんです。それのデータはどこから手に入れられましたか。
  409. 室井則泰

    証人室井則泰君) それは私は知りません。
  410. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 搭載計器類の開発の進捗状況というものは知っておられましたか。
  411. 室井則泰

    証人室井則泰君) その当時、詳しくは存じません。
  412. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 今後の開発のことについて二、三お伺いしますけれども、もしことしじゅうに国産開発が決定されれば、実用機が飛ぶのはいつになりますか。
  413. 室井則泰

    証人室井則泰君) 実用機——実用装備理解してお答えいたしますが、五十八年ぐらいになるんじゃないかと思いますが。
  414. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 いま、もしすぐ国産開発を決定すると、どの段階から作業に入れるのか、すぐもう基本設計から取りかかれる段階にあるのか、この点いかがですか。
  415. 室井則泰

    証人室井則泰君) すぐ基本設計に入れると思っております。
  416. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 先ほどの証言によりますと、四十七年度に基礎研究を終わり、四十九年度基本設計に入るということ言われましたけれども、そうするとこれは少しおかしいのではないかと思うんです。  まず第一の点は、この四十七年度になされるべき基礎研究は中断されておるわけですね。だから、その残りをやっぱりやらないと、四十七年度に予算がついた分をやらないと基礎設計、基本設計にははいれないという理屈になります。  それからもう一つ、先ほどの証言で疑問の点は、四十七年度に基礎研究終わって、四十九年度に基本設計に入るとすると四十八年度の空白があるけれども、これはどういうことか、この点についてお伺いしたいと思います。
  417. 室井則泰

    証人室井則泰君) 恐れ入ります。もう一度御質問をお願いします、ちょっと。
  418. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 先ほど証人は基本設計に入る一つの予想、計画として答えられたわけですけれども、四十七年度に基礎研究を終わると、そして四十八年度に予算要求をして、四十九年度から基本設計に入ると、まあそういう見通しを言われたわけです。ところが、これの疑問点は、一つは、先ほどの御答弁ではいまからすぐ基本設計に入ると言われましたけれども、肝心の四十七年度の基礎研究予算が執行停止になっておる。だから、ある程度川重で自主的に進められたとしましてもやはりまだ完全ではないのではないか、だからいますぐ基本設計に入るということがちょっと矛盾ではないかということが第一点です。  それから第二点は、先ほどの御答弁では四十八年度というものは空白期間にあるけれども、これはどうなのか、この二つの点について御質問しておるわけです。
  419. 室井則泰

    証人室井則泰君) 第一の点につきましては、四十七年度はなるほど予算は執行されませんでしたが、いま先生も御指摘なされましたように、自社研究で実質的にもう大部分追求していっております。それが一つと、それからその後、四十八、九、五十というところも現実問題といたしまして継続しております、約二十名ばかりの人間で。毎年二十名といいますか、そういう規模で追求継続をやっております。したがって、まあ中身については、基本設計に入るだけのものは、基本設計も一遍にわあっといくものじゃなしに、こういう形で広がると思いますので、逐次やっていけると、そういう意味でございます。  それから第二の点の四十八年度は遊んじまうのかということですか、遊んだわけでは——いま答えの中で一遍にまとめたような形で申し上げましたが、継続して自社研究を続けておりましたと、こういうことでございます。
  420. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 次に、ライセンス生産の点でお伺いしますけれども、もしP3Cのライセンス生産という決定になった場合、川重としては受入体制はあるかどうか。
  421. 室井則泰

    証人室井則泰君) 受入体制はございます。
  422. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 このライセンス生産のための準備としていままでどのようなことを進められてきましたか。
  423. 室井則泰

    証人室井則泰君) ライセンス生産のための準備といって特に準備をいままで進めてきたことはございません。
  424. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 じゃ、終わります。
  425. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  426. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) それでは速記を始めてください。
  427. 野末陳平

    ○野末陳平君 私は最後の番になりまして、いままでやられた他の委員の方々と質問が重複するところがあると思います。そこで、証人にはわずらわしいと思いますけれども、ひとつまたよろしくお許しをいただいて……。  四十九年八月の時点なんですけれども、当時の業界紙といいますか、防衛業界のいろいろな印刷物があります。それを見ますと、PXLの構想は当初計画が大幅におくれているけれども、常識的見通しとして四次防内での開発ゴーアヘッドは必至と見られていると。で、その後に、大蔵省の財源支出への反対とか、その他いろいろ、それからアメリカ側の強硬な要求で云々とか、そういうような事情があってPXL開発が見送られる可能性もわずかではあるが残されると、しかし、結局はPXLのプロジェクトは、国内開発方式に踏み切られると。これは業界紙ですけれども、結局国内開発方式に踏み切られるんだと、四十九年八月でこういう印刷物が出回っている。そこで、あなた方の川重としても、この四十九年八月の時点ではなおこういう期待を抱かれていたのかどうか。
  428. 室井則泰

    証人室井則泰君) 依然として国内開発の期待を抱いておりました。その理由は、やはりわれわれはそこまでの技術水準があるということでございまして、それが一つと、それから川崎重工だけの作業と思っておりません、この作業は。やはり業界を挙げて総力を結集しようというようなプロジェクトでございますので、それやこれやの総合力として技術力ありと。世でいわれる電子機器の分野ももちろんございますが、やはり世界的にも通用するような大会社でございます、電機部門を受け持ってみえる会社も。そういう総合判断から、依然としてそれが一番いいんだと、できるんだというような立場を貫いておったわけでございます。
  429. 野末陳平

    ○野末陳平君 しかし、防衛庁との話では国産化前提とはしていないとか、あるいは四十七年の十月には国防会議による国産化白紙還元ですね、それから予算面でも四十八年、四十九年と、だんだん減っていく、あるいはなくなっていくというような、国産化というものにとっては非常に悲観材料ばかりが続いていて、常識的に考えると、業界の総合判断としては自信もあって期待を持っていたとおっしゃるけれども、これはあきらめざるを得ない状況と思うのが、これが普通ではないかと。常識的にあきらめざるを得ない状況なのに、なお期待を持ち続けているというのは、業界の一方的な片思いに似た期待なのか、それとも防衛庁との接触において何か希望を持たせるような、期待を抱かせるような感触をそちら側が十分につかんでおられたのか、その辺がちょっとまだわからないんですが……。
  430. 室井則泰

    証人室井則泰君) その先生の御質問につきましては、われわれ、いわゆる世で言う白紙還元になってから専門家会議というのを持たれると、それでよく検討しろというようなことで政府に設けられたと承知しておりますが、その先生方の専門家会議の結論といいますか、これをまあひたすら待っておったわけでございます。私の記憶では、四十八年の八月ごろにその専門家会議が設定されたということで、答申か四十九年の秋だった——ちょっと月は忘れましたが、出たわけですが、まあ専門家会議先生が必ずやわれわれの主張を理解していただけるものと思っておったと、まあこういう答えでございます。
  431. 野末陳平

    ○野末陳平君 しかし、実際には専門家会議がなかなか発足しませんで翌年になっておりますし、それから結論といいますか、その答申も決してあなた方業界の期待にこたえるような積極的なものではなくて、いわば玉虫色といいますか、どちらでもいいような、何かそれを見ますと、どうでしょうか、専門家会議がいいように答申をしてくれるという期待もつぶれてしまうんじゃないかと、それでもなおまだ期待を抱かれていたわけでしょうか。
  432. 室井則泰

    証人室井則泰君) 専門家会議の答申では国内開発はだめだという、積極的にだめだというものは何も出しておりませんし、逆にいいますと、国産開発することのメリットと申しますか、これもやはり挙げておられます。どちら——輸入がいいか国産がいいかということにつきましては、どちらを否とすることもできないと、いま野末先生がおっしゃいましたようなことですが、したがって、その判断誤っておるというようにはわれわれ理解していないんでございます。やはりその時期が来れば、このメリットは国として御決定願えると。ただし、あえてつけ加えさしていただきますと、装備時期とか、そういうものでやむを得ない場合は輸入もやむを得ないとかいうような文書があったやに記憶しておりますが、まあ、いまだにわれわれが——われわれという言い方はおかしいんですが、川崎重工が二十名の人間をつけて継続研究をやっておりますのも、やはりそういうところに意味を求めておるわけでございます。
  433. 野末陳平

    ○野末陳平君 いま輸入の話がちょっと出ましたけれども、丸紅は四十七年十一月にロッキード社と契約をもう結んでおりまして、一機売れれば幾らというような具体的なことまで出ているわけですが、これについては、いわばこれはあなたの方にとってはライバルの出現ですがね、丸紅がこういう契約をロッキードと結んだというような情報ないしはそういうことに対する関心、そういうのはどうだったんでしょうか。御存じだったんですか。
  434. 室井則泰

    証人室井則泰君) 丸紅はロッキードのソールエージェントとしてロッキードのための日本に対する営業活動というものをやっておることは知っております。その具体的に一機売れば何万ドルだというようなことについては、まあ、おかしいかもしれませんが、新聞情報で知ったような次第でございます。
  435. 野末陳平

    ○野末陳平君 それから、今度わかったことですけれども、四十八年の七月には児玉もロッキードと秘密代理人の契約を結んでP3Cの輸入に非常に積極的に動き出すわけですが、いかがでしょうか、新聞紙上でそういうことを知ったけれども、現実に国産化開発計画を進めているあなた方にとって、このP3Cの輸入攻勢というようなものは何か業界で感じられましたか。
  436. 室井則泰

    証人室井則泰君) 具体的にこれといって事実を挙げて感じたということは私自身ございませんが、ときどきこれも業界紙あたりで、P3の宣伝に、売り込みに来ておるとかいうようなことも間々見受けました次第ですが、それやこれやで推察するのにはかたくなかったわけでございます。
  437. 野末陳平

    ○野末陳平君 これはあくまでも不確かな情報といいますか、ちらっと聞いただけですからあえて確認をしたいんですけれども国産化に対する、妨害とは言いませんけれども、中傷とか、それからいわゆる意地の悪い非難とか、そういうような動きが文書ないし、あるいは、何といいましょうか、口頭というのは変ですけれども、いずれにしてもそういうような動きがあったということを川重のプロジェクトチームの方からちょっと聞いたんですが、それはどうなんでしょうか。事実でしょうか、それとも事実は確認できないが話としてはそんなようなことはあったんでしょうか。
  438. 室井則泰

    証人室井則泰君) 私はそういう話は聞いたことございません。
  439. 野末陳平

    ○野末陳平君 同じく業界紙ですね、四十九年のこれは六月なんですけれども、その業界紙にはこう書いてあるんですね。「海幕としては既定方針通り国内開発型の採用を期待し、」と、あと二、三数字的にいろんなことが書いてあるんですが、その後の方で「P−3C一〇−二〇機程度の導入案は政治レベルで強く支持されない限り難しいといわれる。」と、こういう文書があるんですよ。ということは、政治レベルで強く支持されればP3Cの導入はこれは実現するという裏の読み方もできると思うんですが、こういう文書を読まれたときに、国産化研究をされているあなた方は、この「政治レベルで」という場合に大体どんなことをすぐぱっとこう、まあ、ぴんと思い浮かべますか。大蔵省の財源の問題かなと、あるいは防衛庁の方針が何かで変わったのか、あるいはその他いろいろあると思うんですが、まず防衛業界では、政治レベルの支持と言われた場合に、どのようなことを一番問題にされ、気にされるのか、その辺のことをちょっとお聞かせ願いたい。
  440. 室井則泰

    証人室井則泰君) これは私にとっては非常にむずかしい、お答えにくいといいますか、あるいは観念にないようなお話でございますので、いま野末先生のおっしゃったようなその具体的な記事はあんまり記憶ございませんが、「政治レベル」という言葉でどういうことを感ずるかということにつきましては——そうですね、どこかにそんなレベルがあるんだろうぐらいな話しか私自身わかりません。
  441. 野末陳平

    ○野末陳平君 まあ言葉が「政治レベル」というのでずいぶんあいまいなんですけれども、具体的に言えば、まず大蔵省が財源支出へ反対していると。これは当然あると思うんです。で、これはもう防衛庁すらもこれには抵抗できないかもしれないし、これがまあ一つありますね。それから、アメリカの外交姿勢というか、それとの絡み合いで、やはり何か高度の政治的判断といいますか、それも考えられないでもないと思うんです。その二つを比べた場合に、皆さんはどちらがより政治レベルというような言葉に近いのか——その辺はおわかりになると思うんですけれども
  442. 室井則泰

    証人室井則泰君) どちらというよりも、両方だろうと思いますが。要するに、われわれこういう仕事をしておる者の習性かもしれませんが、とにかく予算というものがすぐにぴんとくるわけです。それから、予算、やっぱり支出される限度というものがやっぱり国で、その防衛というものと予算のかかわり合いというものをわれわれ一般市民としても常識的に考えておるわけですが、まあ予算の制約というものがまず大きかろうというようなことが、まずどちらが先かというと、そちらの方にこう習性的に考える、私自身はそんな癖を持っております。
  443. 野末陳平

    ○野末陳平君 ロッキードの問題が起きてから、特にまたPXLがクローズアップされた時点で、当然川重としてもいろんなショックを受けられたと思いますが、そのときの防衛庁の説明ですね。われわれが知る限りでは、国産化というものは別に決めていたわけじゃないんで、国産化決めてたのをそれをひっくり返して輸入にしたわけではないというような説明をしていたようなんですが、皆さんに対しては、いわゆるこのロッキード事件が起きてからの防衛庁側の説明、いままでその起きてからの説明と、それからここ長い間開発計画でつき合ってきたプロセスにおける防衛庁の説明と、かなりの食い違いありましたか。何か驚いたような、これはニュアンスから言ってもいいんですけれども、どうでしょう、防衛庁終始全然変わりませんですか。その辺のことをお聞かせください。
  444. 室井則泰

    証人室井則泰君) これも抽象的にしか、感じとしてしかお答えできないことを御勘弁願いたいんですが、私、商売柄出入りさしていただいておる関係であえてお答えさしていただくわけですが、終始お変わりないと思ってます。で、逆に言えば、早く片づかぬかなというような、率直に言って、お互いにそんな話ばかりすると、まあ私と同レベルの人たちしか知りませんが。まあ、そんなようなことでございまして、仕事の内容その他については終始、お変わりになっておるという印象は全然ございません。
  445. 野末陳平

    ○野末陳平君 それではもう最後にさせていただきますが、室井証人お話を聞いておりまして、国産化ということ、開発計画をこのまま実現するというのは、どうも日本の業界がやや一方的に期待過剰といいますかね、何か少し甘い期待をいままでずっと持ち続けているのではないかなと、こういう気もしながら聞いていたわけなんです。しかし、企業ですから、そんなに子供みたいに甘い期待を持つわけもないだろうし、恐らくかなりの根回しとか、それからある程度の確信とか、当然取引相手である防衛庁と接触の中において政治的な感触といいますか、間違いないというような、あるいは人間的な信頼とか、そういうようなものを含めて企業としてはかなりのものがあって期待を持ち続けたのか、その辺がちょっとくどいようですが、わかりません。そこで、私はちょっと甘い期待を業界が持ったんじゃないかと、業界紙などを見てもそんな感じも受けますが、果たしてそうとっていいのか、それとも企業としてきちっとした根回し、確信、それから技術水準に対する自信などを含めて、企業としては当然なんだということで、甘くないとおっしゃるのか、その辺を最後にお答えいただきたいと思います。
  446. 室井則泰

    証人室井則泰君) 私どもはいまの先生の御質問に対しましてこう思っております。なるほど執拗に甘い状態だという一方の見方もあるかと思いますけれども、一方こういうことをお考え願いたいんです。この飛行機産業をやっております会社川崎重工の中では一〇%と、あるいは三菱重工さんは五%だとか、富士重工さんはどうだとか、あるいは東芝さんは、日立さんは、というような、大きな企業の中のほんの一部のものがやっておるわけです。それでもってその総合力を結集してやっておるわけですが、ただ、これをやらなければ企業がつぶれてしまうと、川崎重工自体がつぶれてしまうとかいうような状態ではございません。しかし、ここから先、私一つ——私というよりも業界全体がそう思っておるわけですが、先ほど冒頭にも申しましたように、産業構造が必ずや変わるはずだと、地上には輸送機関が要ります。水上も要ります。航空もそうなるんだというような、航空の輸送機関が飛行機なんです。われわれ軍用だけを論じておるわけじゃございません。必ずそういう状態で、資源のない国ブレーン——頭脳を売りたいというそういう産業構造になると。繊維は労働集約産業だったです。それから鉄鋼は基幹産業できてます。自動車へ来ました。造船もやりました。だんだんだんだん物の目方だとか、手間をかけることが頭脳の方に移ってくる時代が必ず来ると、それが日本を支える一つのおこがましいですが、必ずそういうことになるんだという信念を持った、あるいは持ち得るステータスを持った会社の集団だと、こういうことからいっておるわけでございまして、もちろん企業ですから、きょう現在養っていかなければなりません。その件について非常に次元の低い、操業が足りませんとも申します。これも事実です。しかし、そこから先のことにつきまして、いま申し上げましたような、やっぱり自信過剰と言われましても、何と言われましても、これを私、企業の責任と、こう思っておるわけでございますので、そういう意味で御理解願いたいなと切に思うわけでございます。
  447. 野末陳平

    ○野末陳平君 どうもありがとうございました。  終わります。
  448. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 以上をもちまして室井証人に対する尋問は終了いたしました。  室井証人には長時間にわたり御証言をいただき、ありがとうございました。  明日は午前十時開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十三分散会