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1976-06-01 第77回国会 参議院 ロッキード問題に関する調査特別委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年六月一日(火曜日)    午前十時三十四分開会     —————————————    委員異動  五月二十八日     辞任         補欠選任      市川 房枝君     野末 陳平君  五月三十一日     辞任         補欠選任      小谷  守君     久保  亘君      中尾 辰義君     峯山 昭範君  六月一日     辞任         補欠選任      野々山一三君     栗原 俊夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         剱木 亨弘君     理 事                 岡本  悟君                 林田悠紀夫君                 瀬谷 英行君                 黒柳  明君                 橋本  敦君                 田渕 哲也君     委 員                 石破 二朗君                 大島 友治君                 岡田  広君                 亀井 久興君                 玉置 和郎君                 秦野  章君                久次米健太郎君                 町村 金五君                 宮崎 正雄君                 上田  哲君                 久保  亘君                 栗原 俊夫君                 野田  哲君                 矢田部 理君                 峯山 昭範君                 内藤  功君                 野末 陳平君    国務大臣        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       井出一太郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  坂田 道太君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        国防会議事務局        長        内海  倫君        警察庁刑事局長  土金 賢三君        防衛庁参事官   岡太  直君        防衛庁長官官房        長        玉木 清司君        防衛庁長官官房        防衛審議官    渡辺 伊助君        防衛庁防衛局長  丸山  昂君        防衛庁人事教育        局長       竹岡 勝美君        防衛庁装備局長  江口 裕通君        大蔵省主計局次        長        田中  敬君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○ロッキード問題に関する調査  (ロッキード問題に関する件) ○証人の出頭要求に関する件     —————————————
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまからロッキード問題に関する調査特別委員会を開会いたします。委員異動について御報告いたします。  去る五月二十七日、秋山長造君が委員辞任され、その補欠として小谷守君が、五月二十八日、市川房枝君が委員辞任され、その補欠として野末陳平君が、また昨五月三十一日、中尾辰義君及び小谷守君が委員辞任され、その補欠として峯山昭範君及び久保亘君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ロッキード問題に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 野田哲

    野田哲君 まず防衛庁担当の方に基本的な問題について伺いたいと思うんですが、対潜哨戒機配備状況について伺いたいと思います。現在、対潜哨戒機は何機配備され、それは基地別にその機数はどうなっているか、これをまず伺いたいと思います。
  5. 玉木清司

    説明員玉木清司君) お尋ね固定翼潜機につきましては、北から申しまして八戸、それから関東地方では厚木、九州にまいりまして鹿屋、この三個基地大型固定翼潜機を保有しております。  それから水上機でありますPS1の部隊を岩国に保有しております。
  6. 野田哲

    野田哲君 機数は。
  7. 玉木清司

    説明員玉木清司君) 機数は各隊とも十機前後、一個飛行隊ずつでございます。
  8. 野田哲

    野田哲君 機数、各基地ごと機数を具体的に言ってください。
  9. 玉木清司

    説明員玉木清司君) 補足いたします。  八戸鹿屋厚木それから岩国及び沖繩大型固定翼潜機基地を持っておりますが、総機数を申し上げますと、五十一年度でP2V7が十五、それからP2Jが六十八、合計八十三。そのほかに飛行艇が十五機でございます。
  10. 野田哲

    野田哲君 PXL配備計画について伺いたいと思います。  次期潜哨戒機については、いつからどういう年次ごと機数で、そして最終的には総配備機数はどういう計画を持っておられるか、この点を伺いたいと思います。
  11. 渡辺伊助

    説明員渡辺伊助君) お答えいたします。  PXLにつきましては、現在ポスト四次防の作業の一環として検討中でございまして、所要機配備計画その他まだ具体的な計画段階に至っておりません。
  12. 野田哲

    野田哲君 防衛庁長官に伺いたいと思いますが、昨年の八月に坂田長官シュレジンジャー・アメリカ国防長官との会談が行われております。さらに最近のアメリカ国防計画では、常に日本の対潜哨戒機、対潜哨戒機能向上ということを非常に強く要望している。こういうふうに報道をされておるわけでありますが、それに応じて日本としても対潜哨戒機能向上ということを防衛計画の重要な柱にされている。そこで対潜能力向上を求め、それについて昨年八月の防衛庁長官シュレジンジャー国防長官との会談が行われ、あるいはさらにまあ制服——具体的な担当者同士話し合いも行われている。そういたしますと、この対潜哨戒機能向上という点についての日米間には共通の具体的な目標を持ってその必要性を強調している、こういうふうに思うわけであります。その点について対潜哨戒機能、これを日米とも北太平洋地域において強化をしていく、この目標というものは一体どこにあるのか。対潜哨戒機能ということになりますと、当然北太平洋地域において一つの軍事的な目標というものを持っておられると思うのです。あるいはまた、どの国のどのような潜水艦に対する対潜機能向上と、こういう計画があると思うのです。こういう点について、基本的な問題として伺っておきたいと思うのです。
  13. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 昨年八月の二十九日にアメリカ国防長官シュレジンジャーと私が会談をいたしました。それは安保条約日本防衛にとって必要不可欠であると、ところがその第五条についての有事の際における日米間の防衛協力最高責任者同士におきまして話し合いが行われておらない。それではいけない。それからまた、日米防衛協力の具体的な防衛協力のあり方、あるいはその大綱あるいは作戦協力等について、やはり両国の意思を確めて、そして進める必要があると思いまして、実はあの会談を持ったわけでございまして、その会談決定をいたしましたことは、年一回最高責任者同士が会うということ、それから安保協議委員会の中に新たに日米防衛協力機関を設けて、そして日米防衛協力の具体的な問題について話し合うということを決定いたしておるわけでございます。その際、日本防衛構想について私からお話を申し上げ、また今日までやりました防衛整備計画につきまして、特に四次防において積み残しが出るという状況等お話を申し上げたわけでありますが、そのとき、特に私が強調いたしましたことは、日本は憲法の制約があって、できることとできないことがある。その中において日米防衛協力というものをやらなきゃならない。それからいま一つは、日本海洋国である。資源の多くを外国から輸入をし、それを加工して今日経済発展を遂げつつある。そういう立場から考えて日本防衛一つの大きい柱としては、やはり対潜能力を高める必要があると思って今日まできておる、そのことに対して自分は同意をする。同意をするという言い方でございまして、向こうから対潜能力を高めなさいとか何とかというような議論があったわけではございません。私の方からむしろ対潜能力を高める努力をするということが、やはり日本の安全にとって必要であるということに対して、向こう理解を示したということでございます。  それから、先生のお尋ねでございますが、その日米防衛、まあ分担と申しますか、それをどういうふうに進めていくかということは、まさにこれからの問題でございまして、この日米防衛協力委員会が、近く私発足させたいと考えて、いま向こう側とも日にちを検討しているところでございますが、その第一回の会合で新たな機関が設けられ、そこにおいていろいろこれから具体的に進めてまいらなければならないというふうに思っておるわけでございます。  ただ、いまお尋ねのありました相手の国をどういうふうに想定しておるかというようなことでございますが、わが国防衛構想といたしましては、いま顕在的な脅威があるというふうには考えておりません。潜在的な軍事力増強というものは、日本周辺、特にソ連の海軍力増強というものは著しいものがございますし、その点はちゃんとわれわれの方で承知をいたしておるわけでございますが、私どもの対潜能力を高める努力というものは日本防衛にとって必要であるという、そういう一般的要請に基づいて、この能力を高めていく努力をやらなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  14. 野田哲

    野田哲君 いま長官は、この対潜哨戒機配備といいますか、対潜能力強化と、こういう点については一般的にというふうに答えられたわけでありますけれども、しかし、広い太平洋地域でありますから、重点的なレーンとか、あるいは重点的なエリアというものが作戦的には当然考えられていると思うんです。そういう点を具体的にあれば説明してもらいたいと思うんです。
  15. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 先ほど私がお答えいたしましたように、一応一般的な要請にこたえるための整備計画を考えているわけで、特に日本列島を中心としたこの周辺地域が主体となるというわけでございまして、まだ特別のレーン等を考えているわけではございません。しかし、そういうようなこともおいおい考えていかなければならない課題ではあるというふうに考えております。
  16. 野田哲

    野田哲君 この議論はまた改めてする機会があると思いますので、具体的に内容に入っていきたいと思うんです。  防衛庁では、昭和五十二年度からスタートする、五十二年度から五十六年度までの五カ年間のポスト四次防、この五カ年計画について、すでに本年の一月末までに陸海空のそれぞれの計画を提出をさせて検討中である。こういうふうに聞いておりますけれども、この点については現在どうなっておりますか。
  17. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) ポスト四次防の整備計画につきましては、昨年二回にわたりまして長官指示を出しまして、鋭意陸海空、それぞれの自衛隊におきまして作業をいたしております。第一回の中間的な報告は受けておりますけれども、まだそれは煮詰まっておりません。しかしながら、これも早急に煮詰めまして、できますならば八月の概算要求時点までにはそれを固めたいと思っておりますし、あるいはそこまでどうしてもできない場合は、少なくとも十二月のぎりぎり予算編成当時までには決めなければならない課題だというふうに考えておる次第でございます。
  18. 野田哲

    野田哲君 このポスト四次防の計画について、海幕から出された計画の中に航空機整備計画という項目がありますか。
  19. 渡辺伊助

    説明員渡辺伊助君) ございます。
  20. 野田哲

    野田哲君 その海幕航空機整備計画機種、それから配備機数並びにその調達方法についてどうなっているか、これを伺いたいと思います。
  21. 渡辺伊助

    説明員渡辺伊助君) 先ほど長官からもお答え申し上げましたように、現在海幕内局との間で具体的な内容について検討中の段階でございまして、現在出ておりますいろいろな数字その他は、あくまでも部内限りのものであり、流動的なものでございますので、いまここで申し上げられるようなものではございません。
  22. 野田哲

    野田哲君 流動的なものであるということで、具体的な答えがなかったわけでありますけれども海幕からの計画原案というものが出されておる。その中に、航空機整備計画というものがある、だから決まったものを私は聞いているんではなくて、海幕から内局へ出された計画の中の一項に航空機整備計画というものがある。その原案海幕から出たものの中の整備計画の中で機種配備機数調達方法、これがどうなっているか、結論を聞かしてもらいたいと言っているんではないんです。海幕計画を聞かしてもらいたい、こう言っているわけなんですよ。
  23. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 現在の私たちが保有しておりますこの大型陸上固定翼潜機P2V7、これがすでに減少しつつございますし、また、P2Jは昭和五十七年度以降逐次用途廃止が見込まれるわけでございまして、それに対しましてこの次期潜機を求めたいと考えておるわけでございます。しかも、その運用上の要求性能というものは、御承知のとおりに、列国潜水艦性能向上に対応するために、新しい探知機器総合的情報処理装置等を搭載いたしまして広域の同時監視能力、あるいは迅速にして正確な目標の位置を局限できる、そういう能力、あるいは対潜攻撃機等充実強化ということがその目標でございます。そのことにつきまして確かにP2Jにいたしましても、P2Vにいたしましても、それぞれの役割りを果たしておるわけでございますけれども、これから先の周囲の潜在的軍事能力の高まりということに対応するには、やはりもう少し対潜能力を高めた新しい機種を欲しいということでございまして、私どもといたしましてはP3C級の対潜哨戒機というものを得たいと考えております。しかし、この機数といたしましては、やはりポスト四次防全体の計画がどういうふうになるか。しかも、いままでのような高度経済成長のもとでなくて、そして、安定経済成長のもとにおいてどうやってこれを整備し、あるいはこれを購入していくかというところ、あるいはこの整備計画やり方そのものにつきましても、いままでのように、この五カ年計画を固定化して計画を進めていくか、それともローリング方式というものを導入をするかという、言うならいろんな選択があるわけでございまして、これはやはり八月の段階、最終的には十二月の予算決定までの間に詰めなければならぬ課題だというふうに考えておるわけでございます。
  24. 野田哲

    野田哲君 坂田長官はずいぶん回りくどい説明をされたわけですが、直線的に伺いたいと思うんですが、いま長官答えは、新しい要求性能によってP2V7等の廃止、それにかわるものとしてP3C級のものを、こういうふうな説明があったわけですが、この海幕から出た整備計画の中では、明らかにこれはP3C級のものと言ったっておのずから新しい要求性能として考えれば機種は限定されてくるわけでありまして、ずばり伺いますけれども海幕要求としては、P3Cという機種指定をして四十一機、こういう形で海幕ポスト四次防の計画の中には入っていたと、こういうふうに伝え聞いておるわけですが、海幕からの要求としてはそういうふうに指定をしてあると、こういうふうに理解をしていいわけですか。
  25. 渡辺伊助

    説明員渡辺伊助君) お答えいたします。  海幕の方から出されましたこの中には、P3Cクラスのものが欲しい。こういう内容のものでございます。
  26. 野田哲

    野田哲君 P3Cクラスのものといっても、おのずから世界じゅうの対潜哨戒機、これを見渡したときに、おのずからこれはもうはっきりしてるんじゃないですか。P3Cクラスということではなくて、これは調達方法も含めてP3C四十一機、調達方法については一年次はどうする、二年次はどうする、そこまで具体的に明記をされている。こういうことがすでに報道をされているではないですか、この点はいかがですか。
  27. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) その点が、まさにロッキード問題が出まして、次期潜機をどうするか、これはやはり国民疑惑を招かないような形で機種の選定を行わなけりゃなりませんし、また、現にわれわれといたしましてはこのP3Cにするのか、あるいは国産にするのか、あるいはP3C、国産ということでなくて何らかのそのコンビネーションという形のやり方でやるのか、これはいろいろの選択の仕方があろうかと思うわけでございまして、それをいま検討をいたしておるわけでございまして、それ以上のことをここで申し上げることを差し控えさせていただきたいと思います。
  28. 野田哲

    野田哲君 くどいようですが、長官内局の方ではいろいろ検討されるでしょうが、専門的な立場に立った海幕としては、これはもうP3Cを明らかに指定しているんではないですか、内局への要求としては。いかがなんですか、その点は。
  29. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 私どもの方といたしましては、やはり国産にするのか、あるいはP3Cにするのかということは、まだ決定をいたしておりませんし、またロッキード問題がこれほど国民疑惑に包まれておるわけでございますから、それについてやはりP3Cをどうだというようなことは問題があろうかと思うのでございます。  ただ、海幕ユーザー立場から言いますと、いま持っておりまするP2Jよりも性能がよくて、そうして現在この世の中に存在する実際の飛行機というものはどういうものかということは承知をしておるわけでございまして、少なくとも国産にして調達をしてもらうにしてもP3C級ぐらいの性能のあるものが欲しいということは海幕から言ってきている、こういうことでございます。
  30. 野田哲

    野田哲君 長官、現在使用中のものははっきり老朽化して、この前の予算委員会でも答えられているように、各年次ごとに廃棄していく。老朽化して廃棄していく、この年次は決まっているわけですね。そういたしますと、その後に配備しようという新しい要求性能を持った対潜哨戒機ですね、いま長官がこの段階でまだ国産にするか、あるいは輸入にするか、あるいはライセンス生産にするか、いろいろな方法検討されているようなお答えがあったわけですけれども、いまの段階でそういう検討ということでは、タイムテーブルとして、老朽化していくものを廃棄して新しい機種にかえていく年次的な計画が成り立たないんじゃないですか。そうでしょう。すでにもうこの段階で決めなければならないわけでしょう。そこで、私がいまからでは国産は間に合わない、だから海幕の方ではもう割り切って、ユーザーとしてはP3Cに決定をして内局の方へ要求が出ている。こういうふうに私は聞いているわけなんです。その点をもう一回はっきりしてもらいたいと思うんです。
  31. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 私が申し上げておりますのが事実でございまして、P3C級のもの、クラスのもの、それだけの内容を持ち、探知能力を持ち、あるいは処理能力を持ったもの、そういうものが欲しいということは言ってきておるわけでございます。しかし、それをどうするかというのは、実はこれからの課題でございます。まだ、八月まで時間がございますし、あるいは十二月まで時間がございます。しかも、一面におきましては、ロッキード問題というものがこれくらい騒がれておる問題でございますから、それをいまここでわれわれが決めるというわけにはまいりません。
  32. 野田哲

    野田哲君 そうは言われますけれども、そういたしますと、このP3C級性能を持ったもの、こうなると当然一番問題になってくるのは電子機器でしょう。これについて、これからP3C級電子機器、これについて国内生産という形での新しくその級のものを開発をしていく具体的なプランというものがあるんですか。
  33. 江口裕通

    説明員江口裕通君) ただいま御指摘搭載機器につきましてはすでに防衛庁の方で従来考えておりましたPXL開発案というのがございます。この案の中には、一応その搭載機器日本でやるという、若干の危惧は持っておりますけれども、一応日本で何とかやっていきたいという線で検討は続けております。ただ、問題はP3Cの搭載機器というものは御存じのようにどんどん進んでおります。その点について何分ともわが国の方は未経験分野でございますので、若干の危惧はございますけれども、従来ともにPXL開発ということは搭載機器についてもやりたいということで検討は進めておるわけでございます。
  34. 野田哲

    野田哲君 非常に私は矛盾を感じるんですよ。長官、P3C級のものをということで日本でも開発研究を進めていると、こうおっしゃっていますけれどもね、確かに、後でこれは具体的に触れますけれども昭和四十五年、四十六年と委託研究費を計上して、川崎重工業岐阜工場に、委託を受けた川崎重工業研究室をつくって研究開発をやっていた。中間報告も二回にわたって出ている。しかし、昭和四十七年度については六億八千万円の研究開発費が計上されているにもかかわらず、これは未執行になっている。六億八千万円の研究開発費が未執行になっているにもかかわらず、現在もP3C級のものを電子機器も含めて研究開発中であると、これはおかしいじゃないですか。この点はどう理解すればいいんですか。
  35. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 一つお断り申し上げたいのは、ただいま検討は進めておると申しましたが、いわゆる開発を進めておるわけではございません。実態といたしましては調査研究段階であったわけでございます。それにつきまして御指摘のように四十七年度において確かに予算は未執行になっておるわけでございます。ただ、その前の四十六年度予算におきましては、いわゆる対潜哨戒機の中の主要な項目でございますところの低速域あるいは高速域における空力特性研究と並びまして電子情報機器に対する検討といいますか、調査研究はいたしておるわけでございます。そういう意味で、わずかではございますけれども、そういう検討はしておるわけでございます。引き続き、その後も技本等の中におきましていわゆる所内研究というような形の検討は進めておるという状態でございます。
  36. 野田哲

    野田哲君 質問したことに具体的にずばっと答えてもらいたいと思うんですよ。いまの説明では検討はしているとね、開発をしているということではないと、こういうふうに言われているわけです。四十五年、四十六年とそれぞれ委託研究開発川崎重工委託をして、そして三億円ばかりの四十五年、四十六年と委託費川崎重工に払っている。そして二回にわたって報告書が出されている。この川崎重工研究室には電子機器についても日立やあるいは東芝、富士電機等から電子技術関係の技師がスタッフとして加わっている。これが四十六年度で打ち切られているわけでしょう。そして防衛内部では検討はしている、こういうことでありますけれども、具体的にはしかしそこまでの、川崎重工委託をして、それに電子関係技術陣も加わった研究開発というものは四十五年、四十六年でやってきたものが、四十七年六億八千万円も予算を計上していたにもかかわらず打ち切りになっている。そういたしますと、現実にはもう日本では新しいPXLについては調達方法はなくなっている、こういうふうに考えるのが常識的ではないんですか。どうなんですか、その点は。
  37. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 確かに御指摘のようにまだ日本は未経験分野でございます。そういう意味でやはり電子機器というものにつきましては若干の危惧はございます。したがいまして、今後もし日本でそういうことをやっていくということになってまいりますと、やはり開発期間あるいは研究期間がなお必要であろうというふうに考えております。
  38. 野田哲

    野田哲君 だからね、だから結局現在使用中の機種にかわるPXLについては、いま使用中のものが廃棄されていく段階での調達方法は国内ではないと、こういうことなんでしょう。いかがなんですか、その点。
  39. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 先ほどの御指摘のありましたいわゆる現在現有対潜機の減衰する時期とのかね合いの問題であろうと思います。確かに現有のP2Jは五十七年度以降だんだん減衰してまいりますけれども、特にその減衰度が大きく目立ってまいりますのが六十年度以降というふうになっております。そういう意味でその辺のところが実はまさに開発との間のからみ合いになってまいりまして、われわれの方としてはもし開発をすれば極力間に合わせたいというふうに考えておりますけれども、かなりむずかしい問題があるというふうに考えております。
  40. 野田哲

    野田哲君 長官にお伺いをいたしますが、昭和四十五年に装備の生産及び開発に関する基本方針、これが決められているわけでありますが、この内容はどういう内容のものか。特にこの中での次期潜哨戒機の問題についてはどういう内容になっているか、この点を伺いたいと思うんです。
  41. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 四十五年度におきまして装備に関する基本方針というものを確かに決めております。この考え方は、やはりわが国の装備は国土、国情に適したものを自分でつくっていくと。いわゆる開発でございますが、これが基本であるという考え方に立脚をいたしております。ただし、ものによりましてはやはり値段の問題だとか、あるいは取得装備の必要の装備必要数というようなことで、いわゆる少量装備というような場合には必ずしも能率的ではございませんので輸入によることも当然予定はいたしておりまして、そういうことはケース・バイ・ケースで考えたい。しかし、基本は開発ということで考えております。  なお、対潜機につきましては、この際このいまの基本方針の中には特に具体的に触れておりません。
  42. 野田哲

    野田哲君 昭和四十五年の基本方針では対潜機の問題に触れていないということでありますけれども昭和四十六年の四月二十七日に防衛庁は四次防の原案を発表しています。この中では装備の開発を推進するとして、対潜哨戒機、レーダー搭載警戒機、誘導弾、電子機器等を重視すると、こういうふうに四次防の防衛庁が発表した項目の中に明らかに対潜哨戒機あるいは電子機器、この開発を進める、こういうふうになっている。これはPXLについては国産ということを基本にしていたものと、こういうふうに理解をしてもいいと思うんですが、そういうことですか。
  43. 渡辺伊助

    説明員渡辺伊助君) おっしゃるとおりでございます。
  44. 野田哲

    野田哲君 そこで、この方針に沿ってということであろうと思うんですが、昭和四十五年に二千二百万円、四十六年に三億一千万円、四十七年に六億八千万円、こういう形での研究委託費が計上されています。四十五年、四十六年については、川崎重工日本航空工業会、さらに四十六年川崎重工、こういう形でそれぞれ研究開発委託契約をされている。この川崎重工あるいは日本航空工業会に研究開発委託をした。これはどういう性格のもの、つまり何を研究開発委託をされたのか、この点を説明してもらいたいと思うんです。
  45. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 四十五年度、四十六年度におきまして、それぞれいま御指摘のありました相手先に対して契約を締結いたしておりますが、この中身は予算の費目にありますような技術調査研究に関する研究委託という形でございます。
  46. 野田哲

    野田哲君 その研究委託というのは、これは具体的に言って次期潜哨戒機——PXL、これの委託研究を行った、こういうことですね。
  47. 江口裕通

    説明員江口裕通君) そのとおりでございます。
  48. 野田哲

    野田哲君 その委託を受けた川崎重工業、これは岐阜工場が受け持ったというふうに私は承知をしているんですが、これに先ほど言いましたように日立、東芝、富士通等の電子機器メーカーからもそれぞれ電子機器技術陣が加わっていた、こういうふうに聞いているわけですが、この委託を受けた川崎重工業を中心にした、それに電子機器技術陣が加わったこのスタッフは、一体人員の配置等がどういう内容になっていたか、これをお答えいただきたいと思います。
  49. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 四十五年度及び四十六年度におきまして、次期潜機に関する技術調査研究委託契約を締結しております。それの受けざらといたしましては、川崎重工業が一応受けざらになっております。まあ人員的に申しますと、川崎重工では一応四十五年の受託後七十名のチームを編成いたしております。そして調査研究に従事いたしておりまして、さらに四十六年度は約百十名という人員がこれに従事をしておるというふうに私ども調査いたしております。それから、いまの電子機器関係でございますが、特に搭載電子機器関係といたしましては、富士通、日立製作所、それから東京芝浦電気の三社から、これは約十五名程度の人員が参加いたしております。
  50. 野田哲

    野田哲君 川崎重工岐阜工場、これは日本でも有数の航空機のメーカーであり、これに電子機器のスタッフが加わった。四十六年ではそういたしますと総勢百十名の川崎重工のスタッフに電子関係が十五名、百二十五名、こういうスタッフで研究開発に取り組んだということは、つまりこれは四十六年の防衛庁の四次防の計画次期潜哨戒機開発を進めていく、これが具体的に国内出産という形でスタートをした、こういうふうに当然理解できるわけであります。そういうことでいいわけですね。
  51. 江口裕通

    説明員江口裕通君) これは中身はやはり調査研究でございますが、いわゆる高度な技術的な内容を持っておるものでございます。特に電子機器等につきましてもそういう性格のものでございます。したがいまして、いろいろデータの解析あるいは分析と申しますか、それから研究、要すれば風洞等の実験もいたします。そういうことでかなり膨大な人員が必要とされるわけでございまして、やはりこの程度の人員はどうしても当時としても必要であったというふうに考えております。
  52. 野田哲

    野田哲君 いや、だから人員の必要性を私は聞いているんではないんです。ここでこの四十五年から四十六年にかけてPXL国内生産に向かってスタートを切った。川崎重工を受けざらにして研究開発を進めていくための具体的なこういうスタッフが動き出したということは、ここで防衛庁としてもPXLについては国内で生産をするという方針に基づいての具体的なスタートを切ったと、こういうことではないですかというふうに聞いているわけであります。
  53. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 防衛庁といたしましては、当初予算要求等いたします場合にはおっしゃるような気持ちもございますけれども、いわゆる調査研究委託をいたしております、そういう意味で、いわゆる開発段階ではなく、いわゆる国産というようなことを考えておりませんで、いわゆる開発すべきかいなかということのデータと申しますか、基礎資料を得るための研究をいたしておったと、会社側にもそういうことでやってもらっておったと、かような次第でございます。
  54. 野田哲

    野田哲君 これははっきりしてもらいたいと思うんですよ。昭和四十六年に四次防の原案防衛庁がつくって発表した、その中で電子機器、そして対潜哨戒機、これは国産を基本にして開発計画を進めるということを先ほどお答えになったわけです。したがって、この川崎重工を受けざらにした研究開発をスタートさせたということは、これは単なる研究委託ではなくて、国内での生産、国内生産、このスタートだと、こういうふうに当然見ざるを得ないじゃないですか。この点はいかがですか。
  55. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 四十六年度のいわゆる四次防原案、四次防の原案という中には、確かにそういった考え方で開発を進めてまいりたいという考え方を持っておったわけでございます。その後いわゆる四次防の策定、大綱の決定等に当たりまして、その後さらにいわゆる四十七年度の予算要求というようなことをやっております。それからさかのぼりますが、四十六年度においても予算要求をしております。この際は、四十六、四十七ともに防衛庁といたしましては、いわゆる開発を踏まえまして基本設計に入りたいという意味の概算要求はいたしておるわけでございます。しかしながら、これは予算決定あるいは政府部内の財政当局の検討予算決定等に当たりまして、なおそれはいわゆる基礎研究と申しますか、調査研究段階にとどまるべきであるということで予算も設定されておりまして、防衛庁といたしましては、四十六年度、それとともにやはり基礎調査研究ということでやっておるわけでございます。
  56. 野田哲

    野田哲君 そこのところは、これは非常にあいまいなんですけれども、四十五年の二千二百万、四十六年の三億一千万、そして四十七年は六億八千万、こうなっているわけですから、当然あなたが言われたいま防衛庁としては基本設計ということを考えていたと。これが私は当然として受け取られる経過だと思うんですよ。そこで、川崎重工業並びに航空工業会の方から、この委託を受けた研究の結果についてそれぞれ何回かに研究報告が納入をされている。四十五年十二月二十五日川崎重工から、それから四十六年二月二十七日航空工業会から、四十七年三月三十一日川崎重工業からそれぞれ研究報告書が納入をされている。この内容、まあむずかしい技術的なことはいろいろあると思うんですが、一言で要約をしてこれらの委託研究に対する報告書内容、これはどうなっておりますか。
  57. 岡太直

    説明員岡太直君) まず四十五年度川崎重工業委託しました調査研究内容でございますが、これは運用構想、つまりどういうふうに次期潜機を運用するかということを踏まえまして、これを飛行機につくる場合どういうふうな重量になるとか、どういうふうな諸元になるとかというようなことあるいは性能、そういうふうなことを検討いたしまして、さらにそれにどういう電子機器を搭載するかということ、そして同時に要するにどういう飛行機になるかということを概定しまして、外国の対潜機とも比較しました。それから民間機と共用できないかとかあるいは改造というような問題も検討しております。したがいまして、四十五年度の川崎に委託しました事項というものは、次期潜機をもしつくるとすればどういうふうなものになるかという概略の内容をつかむものでございます。それから航空工業会に委託したものでございますけれども、この航空工業会に委託したものは、この対潜機に搭載するエンジンが国産できるかどうかということを技術的に検討してみたものでございます。この四十五年度の調査研究の結果によりまして、もしつくるとすればどういうかっこうになろうかというのが大体つかめたわけでございます。それから四十六年度に川崎から納入されました報告書につきましては、特に将来の対潜機というものは先ほど御質問ありましたような電子情報処理装置、そういうものが大事でございますから、この電子情報処理装置関係の試験研究あるいは調査ということをやっております。  それからさらに対潜機の特徴でありますところの高速、低速をあわせ持つというような空力的な問題等を研究をいたしました。  それで、この四十六年度の成果によりまして四十五年度におおむねの形を決めた次期潜機というものが、技術的にどの程度成り立つかということを確かめたものでございます。したがいまして、四十五、四十六年度の成果と申しますものは、技術的データが将来対潜機開発することができるかどうかということの可否を判断するための技術的な判断の資料として役立つと、こういうものでございます。したがいまして、これはまだ開発に着手したものじゃなくして、開発に果たして技術的にどういう問題点があってどうかという開発の前の検討段階というふうなものでございます。
  58. 野田哲

    野田哲君 四十七年度に同様の性格を持って委託研究費六億八千万円が決定をされております。この前年度に比較をして倍額以上のものを予算が計上されたということは、つまり四十五年度、六年度川崎重工にあるいは航空工業会に委託をして研究開発を行ってきた。それをさらに一歩進めていく、こういう性格を持っていたんじゃないかと思うんですが、この六億八千万円を要求され、要求はもっとあるいは多かったかもわかりませんが、決定をされたのが六億八千万円、これはどういう意味を持ったものですか。
  59. 岡太直

    説明員岡太直君) 六億八千六百万円の内容でございますけれども、これもやはり予算科目としては技術調査研究委託費となっております。この六億八千六百万円で実施しようとして考えておりましたことは、四十五、四十六年度の成果を踏まえまして、さらに細かい部分的な問題を検討していくということでございます。つまり四十五、四十六では一番最初の四十五で飛行機の概略が決まったと。それから四十六年度で重要なる電子情報処理装置についてある程度の見当をつけたと。それから空気力学の問題も見当をつけた。さらに進んでもっと詳細な問題細かい部分的な問題を突っ込んで検討しようということでございました。これはやはり性格としましては四十五、四十六、四十七は同じ性格のものでございます。それでこれらの資料によりまして、開発の可否の技術的資料のより詳細なものを得ようというつもりで、開発可否検討ということで、この四十七年度の予算の六億八千六百万円が技術調査研究費として計上されたものでございます。
  60. 野田哲

    野田哲君 ですから、結局この経過を見ると、四十五年に着手をして二千二百万円、それが四十六年に三億一千万円、四十七年に六億八千万円、こういう形で倍々増の研究委託費が計上されている。大蔵省もそれを認め、国会でも議決をされているということは、つまりこれは海のものとも山のものともわからない全く成算なしにこういう多額のものが計上されるとはどうしても考えられない。だから防衛庁としてはこの段階ですでに国内での生産というものについて成算を持っていた、可能性を持っていた、こういうふうに当然考えられるわけですけれども、そういう理解でいいわけですね。
  61. 岡太直

    説明員岡太直君) やはりこの六億八千七百万円まで予算が計上される段階では、開発の可否を慎重に検討するということでありまして、開発には踏み込んだものではございませんでした。
  62. 野田哲

    野田哲君 あなたのいまの答弁では三億あるいは六億八千七百万円、これが海のものとも山のものともわからない。結果どうなるかわからないけれどもとにかくと、こういうように受け取れるわけですけれども、そんなものではないでしょう、これだけのものを計上するということは。すでにこれは生産へのスタートのステップを踏み出した、こういうことじゃないですか、くどいようですけれども
  63. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 御疑問になられるのも無理からぬことだと思いますが、私ども開発というような段階におきましては、幕僚長が要求性能を上申しまして、そして長官がこれをもとに基本要目、たとえば装備品等の設計の基本となる性能、諸構造、そういうものを決定をいたしまして、技術研究本部長に対し、これに関する基本設計、細部設計、試作、技術的試験の実施を命令することになっておりますが、こういうようなことはまだやっておらない段階でございまして、特に四十七年度の要求、決まりました予算はあくまでも大蔵省から、それは研究調査段階であって、開発段階ではないんだ、国産を前提とするものじゃないんだということが強く要請をされて決まったものであります。
  64. 野田哲

    野田哲君 そういう抽象的な説明ではどうも理解しにくい。そこで防衛庁の方に要請したいと思うんですが、川崎重工業との間に取り交した研究委託契約、それからそれに基づいての研究の結果の報告書日本航空工業会も含めて、これを資料として提出を願いたいと思うんですが、これはいかがですか。
  65. 江口裕通

    説明員江口裕通君) まず調査内容でございますが、これは先生御承知のようにいわゆる防衛上のまあ秘に属する事項が非常に多いわけでございます。それからいわゆる部数と申しますか、量も非常に膨大になりまして、これは従来ともにこの調査報告につきましてはお出しするのを御猶予いただいておるわけでございます。  それから契約につきましては、これはいわゆる私的な契約に属するものでございまして、相手方の同意等も必要でございます。これは従来ともに御要求に対しましては、まあごくラフなものをと申しますか、一、二ページのものを、最初のかがみ程度のもので御猶予をいただいておるわけでございますが、もう一度よく検討いたしまして、御要望にこたえるか、検討さしていただきたいと存じております。
  66. 野田哲

    野田哲君 これはぜひ委員長の方でも計らっていただきたい、こういうふうに思います。  そこで、防衛庁と大蔵省との間の昭和四十七年の十月前後のやりとりの経過について伺いたいと思うんです。  まず、昭和四十七年の十月二日、この日に四次防についての大蔵省の内示が防衛庁に対して行われた、こういうふうに聞いておるわけでありますが、この内示をしたときの大蔵省側の担当者はだれであったか、この点をまず伺いたいと思うんです。
  67. 渡辺伊助

    説明員渡辺伊助君) 当時の防衛担当の宮下主計官でございます。
  68. 野田哲

    野田哲君 宮下主計官、この宮下主計官から説明を受けたのは防衛庁側はどなたですか。
  69. 渡辺伊助

    説明員渡辺伊助君) 当時の伊藤防衛課長でございます。
  70. 野田哲

    野田哲君 そのときの内容で特に航空機関係のものについては、どのような大蔵省からの内示があったか、その内容説明してもらいたいと思います。
  71. 渡辺伊助

    説明員渡辺伊助君) 航空機につきましては、高等練習機並びに支援戦闘機については輸入について検討をしてもらいたい、こういう内容のものでございました。それからPXL関係につきましては、国内開発を前提とする研究開発は認めがたい、こういうことでございました。  ちょっと訂正さしていただきます。支援戦闘機と高等練習機につきましては、輸入を含めて検討するように、こういう言い方でございます。
  72. 野田哲

    野田哲君 いまの練習機とそれから支援戦闘機、いわゆるT2ですか、それからFST2改ですか、これは従来からずっと国産でやっていたものでしょう。
  73. 渡辺伊助

    説明員渡辺伊助君) 高等練習機につきましては、おっしゃるとおりでございます。それからFST2改については、まだ開発と申しますか、改造と申しますか、それにはまだ着手しておらない段階でございます。
  74. 野田哲

    野田哲君 防衛庁から提出された資料によると昭和四十七年の十月八日、この日に大蔵省から通報があった、こういうことが出ています。内容は支援戦闘機の国産には異論はないが、次期潜哨戒機国産化を前提とした研究開発は認めがたい、いま説明がありましたが、十月八日にこの通報があった、この大蔵省の意向を通報してきたのはどういう方法で、だれが通報をしてきたのか、これを説明してもらいたいと思います。
  75. 渡辺伊助

    説明員渡辺伊助君) 時間は余りはっきりいたしておりませんけれども、夜先ほど申しました宮下主計官から当時の防衛庁の経理局長あてに電話で通報がございました。
  76. 野田哲

    野田哲君 宮下主計官から夜経理局長、これは小田村さんですね、小田村経理局長に電話で通報があった。そこで、電話でこういう重要な内容について経理局長に通報があったわけですが、そのあとのことについて伺いたいと思うんです。  十月九日の日に、当時の増原防衛庁長官が朝七時ごろに田中総理の目白の私邸に、時ならない七時ごろに訪問されている、こういうことだそうでありますが、この増原防衛庁長官が十月九日の朝、田中総理の私邸を訪問した、これは当然この前日の夜の宮下主計官が電話で小田村経理局長に通報した、このことが訪問の内容になっているのかどうか、あるいは全然別のことなのか、この点を説明してもらいたいと思うんです。
  77. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 大蔵から電話がございましたのは、支援戦闘機について国産という防衛庁の主張を一応了承する代償といってはおかしいんですが、入れかわりにPXL、それからAEWの国産化を前提とする研究開発については防衛庁が断念をしてもらうというような趣旨でございまして、当時は、いままで繰り返して御説明しておりますように、FST2改、高等練習機並びに支援戦闘機の国産ということが防衛庁としては非常に特に四次防の主要課題であったわけでございまして、この点について一応大蔵のそういう内意は伝えられておりますけれども、相当この輸入という意向については強力な御意見があるということでございまして、大蔵の内意は伝わっておりますけれども、なおその点について当時の増原長官が不安感を持っておられたということが、翌朝総理のところへ直接意見具申をされる動機になったというふうに私ども考えておるわけでございまして、ただいまの大蔵からの連絡ということは、そういった点につきましては直接のつながり、関係ということはございません。
  78. 野田哲

    野田哲君 前後いたしますが、十月八日のこの宮下主計官から電話で通報があった、これに対して、資料によりますと、防衛庁側は、「大蔵省の申し入ればやむを得ない」と、こういうふうに資料に記述してあるわけですね。この防衛庁がやむを得ないと了解をしたのは、これは内局海幕も含めて了解をしたと、こういうことですか。
  79. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) この大蔵からの連絡は十月八日の遅い時期であるというふうに私ども聞いておりますが、その時点で防衛庁長官を中心として内局のメンバーが集まって協議をいたしたということでございまして、海幕にはこの辺についてはまだ感触を伝えたということでございまして、最終的にPXL研究開発をあきらめたということではございませんので、最終段階になるまで海幕に連絡する必要はないという判断であったようでございますが、海幕には連絡をいたしておりません。
  80. 野田哲

    野田哲君 そうすると、この大蔵省の申し入ればやむを得ないという態度を防衛庁が決めた、これは防衛庁の庁議、海幕等も含めた庁議を開いたものではなくて、担当者と内局と大臣、大臣を含めた内局、ここでこういうことにしたと、こういうことなんですか。
  81. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) おっしゃるように、防衛庁長官内局局長のグループで、決めたと申しますか、正式に庁議とかあるいは参事官会議とかいう形でやったものではございませんが、内局の意向を大体——それに防衛庁長官を含めた内局の意向を大体そういう方向で決めたと、こういうことでございます。
  82. 野田哲

    野田哲君 そこで坂田防衛庁長官に伺いたいんですが、以上の説明によると、十月八日から九日の朝にかけての経緯というのは、十月八日の夜、宮下主計官が電話一本で防衛庁に対して通報をしてきた。それを当時の小田村経理局長が受けて、そして大臣を含めて内局で協議をしてその了承をした。これには非常に強力な意向があったと、こういうことで、そこでなお心配があるので、翌朝七時ごろに増原防衛庁長官が田中総理の私邸に、すっ飛んでいったという言葉が適当かどうかわかりませんが、まさに異常な時間に大臣が訪問をされているわけですね。これは役所の予算のやりとりとしては、私はまさにこれは異常な状態だと思うのです。通常大蔵省とそれから関係各省との間での事業計画とか予算の折衝を行う場合には、主計官から担当局長に、意向は認めがたいと、こういうような通報があったとすれば、しかもそれは電話で夜遅くされているということですね。そうすると、通常の場合は、そういう状態があった場合には、主計官との話でなくて、それを大蔵省の主計局次長なりあるいは主計局長なり、そうして防衛庁の方も次官なり、こういうふうに順次当事者間の話のレベルを上げていくというのが役所の間の常識的な取り扱いだと思うのです。それをいきなり夜主計官が電話一本で通報があると、翌朝七時には大臣が、防衛庁長官が総理の私邸にすっ飛んでいく、こういう経過を見ると、これはどうしても私はそこに不可解なものを感じざるを得ないのです。つまりこれはどうなんですか、宮下主計官から電話一本で通報があったということ、つまりこれは宮下主計官だけの判断ではなくて、いまいみじくも強力な意向を感じたと言われた、この強力な意向というのは、相手は宮下主計官であるけれども、これはもっと上の方の、トップの方の、具体的に言えば総理の意向という形で伝えられたから、こういう防衛庁は常軌を逸したようなあわてふためいた態度で防衛庁長官増原さんが総理の私邸へすっ飛んでいかれた、こういうふうに私どもは見ざるを得ないと思うんです。常識的に見て一体この経緯、坂田防衛庁長官どういうふうにお感じになりますか。
  83. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 私も文部大臣で予算折衝三回、防衛庁長官として二回ですか、やりました。それで、その経過は予算のときは相当すごいものでございまして、それはかなりいろいろなことがあるわけで、宮下主計官から小田村経理局長に伝えられたという意味は、宮下主計官は大蔵省の意思を代表してかけておるわけでございますから、受け取るわれわれの経理局長といたしましてもそのように受け取っておるというわけでございまして、われわれの方は支援戦闘機が一体これどうなるか、これがもし輸入になったらそれこそ大変だと。私、増原長官にもその後お会いをいたしましてそのときの事情をお聞きいたしました。詳しく聞きました。そうすると、PXLの問題は余り御記憶にございません。しかし支援戦闘機の問題は非常に大きい課題であったというふうに言っておられますし、またその当時の防衛庁長官としましては四次防全体の総枠の問題もございますし、その意味合いにおきましてまあ異常だと言えば異常かもしれませんが、予算折衝の場合にはそういうようなことはいろいろあるということは私の経験からはございます。そして、また翌日、もし、大蔵はああいうふうに言っておられるが、最後のあしたそういうふうに果たして出てくるかどうかということについてもやはり不安が一面残るわけでございまして、その翌日増原長官が総理のところまで直訴をして、とにかく国産ここまでやってきておるわけですから、支援戦闘機は是非国産にしてくださいということを伝えられることはこれはあることでございます。ほかの大臣でもそういうことは経験として持っておられると思います。
  84. 野田哲

    野田哲君 坂田長官予算折衝のときにはあり得ることだという説明をされたんですが、これは予算折衝ではないんですよ。四十七年の十月八日から九日のことなんですよ。普通の予算折衝ではないんですよ、これは。四次防の内容をどう扱うか、こういうときの問題なんで、そんなに一刻を争うようなゆとりのない時期ではないんですよ。そういう時期に、実に防衛庁側はあたふたしている。相手は主計官の電話一本、こういうことなんですよ。普通の予算折衝の時期ではないんですよ。そうしてしかも、当然そういう内容が主計官からあったとすれば、その次は防衛担当の主計局次長なり主計局長なり、そこと話をされるのが当然のことなんですよこれは、普通の常識から言えば。それをいきなり総理の私邸へ駆けつけておられる。異常じゃないですか。普通の予算折衝のときじゃないですよ、これは。
  85. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 確かに予算折衝じゃございませんけれども、しかし、われわれ防衛庁といたしましては四次防を決定するという重大な時期でございまして、それがなければその年のまた予算も決まらないわけでございます。だから普通の省とは違いましてこの四次防決定あるいは三次防決定ということを国防会議で決めていただくということは非常に大事な問題。だからやはりいつかもここの予算委員会で申し上げたと思いますが、恐らく増原長官は、もし支援戦闘機の方が国産がだめだというようなことであったら、本当に私は首をかけたい気持ちだったということを申しておられるぐらいでございまして、そういう意味からP3C——対潜哨戒機の方はそれほど頭になかったというのが私が増原先生にお会いいたしまして聞いたことでございます。  そういうわけでございまして、宮下主計官から日曜日に長官を初めとして非常に心配をして待っておられるところに大蔵の意向が伝わって、そして支援戦闘機の方は何とか防衛庁の主張が通りそうだと、こういうことで、そのかわりPXLの方は勘弁してもらいたい、それじゃこれはやむを得ないかなあ、そしてまたPXLの問題はこれからまた考えればいいじゃないかというふうになったというのはあり得ることだというふうに、私は調べてみまして感じたわけでございます。
  86. 野田哲

    野田哲君 くどいようですがね、大蔵省の方は宮下主計官以外は、このやりとりの中ではだれも出てきていないんですよ。主計局長も主計局次長も大蔵大臣も次官も出てきていないんですよ。宮下主計官の電話一本で防衛庁が右往左往しているわけですよ。しかもそれでその結果、いきなり増原防衛庁長官が田中総理の私邸に朝七時ごろ時たらない時に行かれたということは、つまり四次防の中の航空機の問題について、宮下主計官から伝えられたことは、つまりこれは田中総理の意向として伝えられたから防衛庁長官はいきなりそこへ田中総理のところへ飛んで行ったと、こういうことじゃないんですかと、こういうことなんですよ。
  87. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) いずれ調べました担当の方からもう少し詳しく御説明申し上げると思いますが、先生のお尋ねは、そこのぎりぎりのところだけをとらえておっしゃっておりますから、いかにもそのようにぎくしゃくしたように思いますけれども、ぎくしゃくしていることは事実でございますが、とにかくその間には何回か大蔵省とやり合っているわけでございます、八日の段階までくるまでは。それは次官も動き局長も動きという、そのとどのつまりが八日の晩になってきているわけでございまして、そこだけを宮下君からこちらの小田村君にきたということを非常に驚いたということでございますけれども、そうではないわけで、たしかあれは六日か……。
  88. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) いま大臣から申し上げましたように、十月の六日に国防会議の議員懇談会が開かれております。それから七日に国防会議の幹事会、これは次官レベルの会議でございますが、これが開かれております。特に七日の幹事会は、FS、つまり支援戦闘機の問題について、大蔵と防衛庁の間に大変な議論が繰り返されまして、幹事会では結論を得られず、引き続いてそのまま延長の形で、当時主宰されましたのは後藤田副長官でございますが、夜遅くまで議論を繰り返したわけでございます。結論としては、十月九日の国防会議において決着をつけると、結論を出すと、こういうことになって物別れで終わっておるわけでございます。翌日の十月八日、これは日曜日でございましたが、そういう情勢下でございましたので、増原長官が出庁されまして、それに対する対策を内局局長が参集していろいろ御相談を申し上げておったと、こういうことでございます。したがいまして、いま先生おっしゃいますように、一主計官からの連絡で急に後、防衛庁長官が総理への陳情ということが出てくるその形は大変おかしいではないかという御指摘でございますけれども、その面だけを取り上げますと、確かに異常な形であるというふうに申してよろしいかと思いますが、いま申し上げましたように、大蔵、防衛それから国防会議事務局、これらの全部幹部までが集まりまして、何回となくいま申し上げましたような議論を繰り返した上の話でございますので、問題点はかなり煮詰まっておるわけでございまして、その連絡は主計官から当方の経理局長に連絡があったということであっても、その予算折衝、これはまあ予算折衝ではございませんが、防衛庁にとってはむしろ予算折衝よりは重要なものであるわけでございまして、こういう過程において双方が相当エキサイトしておるというような時点におきましては、通常起こり得ることであるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  89. 野田哲

    野田哲君 つまり、ですから、いろいろぎくしゃくをした経過があった。このことは私もいろいろ記録を読んで承知をしておりますが、要するに、最後は——最後のくだりというのは、十月八日夜宮下主計官からの最終的な通報があったと、そして十月九日に増原長官が総理の私邸を訪問して、防衛庁立場を述べた、陳情したということだろうと思うんですが、最終的に、だから、要するに十月九日の国防会議に至るまでの間、この航空機の問題については田中総理がみずから決着をつけたと、こういうふうに理解をしていいわけですね。
  90. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) これはやはり最終的には国防会議議員懇談会の了解事項として決まったということでございます。
  91. 野田哲

    野田哲君 議員懇談会の了解ということになったということだけれども、最後の断を下したのは田中総理だと、こういうふうに理解していいわけですか。
  92. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) まあいろいろの過程がございまして、白紙還元の問題が出てきて、いままでの防衛庁と大蔵省との論争というものは白紙にして、そうして国産の是非については、改めて了解事項の線で、輸入を含めた専門家会議で決めてもらいたいと、こういうような細かい問題まで一々おれのところに持ってきては困るということはちゃんと言っておられるようでございます。
  93. 野田哲

    野田哲君 国防会議の問題について伺いたいと思うんですが、国防会議、これに至るまでにはどういう手続が必要なんですか。
  94. 内海倫

    説明員(内海倫君) 国防会議を開きます場合には、一応議題が決まりまして、その議題について国防会議を開催してよろしいかという決裁を、議長及び事務系統の系統に決裁をとります。それが手続でございます。
  95. 野田哲

    野田哲君 国防会議に至るまでには、その議題等については幹事会、防衛庁の資料にもあるわけですが、幹事会というものがその前段にあるというのが、通常の運営の方法として理解していいんですか。
  96. 内海倫

    説明員(内海倫君) 通常の状態としてはそのように御理解願って結構かと思います。
  97. 野田哲

    野田哲君 参事官会議というのはどういう性格のものですか。
  98. 内海倫

    説明員(内海倫君) 参事官会議と申しますのは、事務局に三人の専任の参事官がおりますほか、国防会議を構成しております各省庁大臣のおりますところに兼任の参事官がおります。これらを随時招集いたしまして、いわゆる会議を行います。したがいまして、参事官会議と通称よく言われておりますけれども、これは参事官の会合でございます。
  99. 野田哲

    野田哲君 防衛庁に資料で伺いますけれども、四十七年の十月九日に二つのことが記載をしてありますね。一つは国防会議議員懇談会、それからもう一つは国防会議。閣議はこれは別として。この資料によると十月九日国防会議議員懇談会というのと、それから国防会議というのと、会議が二つ開催されたような記載の仕方になっておりますが、これは実際はそうではなくて、国防会議議員懇談会、つまり国防会議を構成する閣僚が集まって会議をやった。それを問題によって仕分けをして、議員懇談会と、それから国防会議と、こういうふうに分けた。つまりこれは会議としては二つあったのではなくて、一つのものだ。こういうことじゃないかと思うのですが、その点いかがですか。
  100. 内海倫

    説明員(内海倫君) これは国防会議と議員懇談会というものの性格の問題として申し上げておきたいと思いますが、御存じのように国防会議は、機関として防衛庁設置法に規定されておるものでございます。しかも、その所掌は内閣総理大臣から諮問を受けた事項について答申をする。
  101. 野田哲

    野田哲君 時間がないから、十月九日は二つ会議があったのか、一つであったのか。
  102. 内海倫

    説明員(内海倫君) これは議員懇談会と国防会議と二つが行われております。その議員懇談会というのは、先ほど説明しかけましたけれども、諮問事項等、あるいは重要事項等について国防会議を構成する出席メンバーが、議長を含めまして、自由に懇談し討議するという形で行われる場合、これを議員懇談会、というものにわれわれは慣例上行っております。それから決定をいたします場合は、ここで国防会議として正規に決定を行う、こういうことでございます。しかし、いま御質問のように、これが引き続いて行われておること、それから出席メンバーが全く同じであること、しかも、同日、同じ時間引き続いて行われているということは当日間違いございません。
  103. 野田哲

    野田哲君 国防会議の場合は議事録はありますか。
  104. 内海倫

    説明員(内海倫君) 国防会議のいわゆるどういうふうに、大臣がどう発言をされたとかというふうな議事録というものはとっておりません。
  105. 野田哲

    野田哲君 いわゆる議事録、発言の順序に従ってだれがどういう発言をした。こういうことはないということであれば、この記録ですね、議事録という形式ではない記録、これはあると思うのですがいかがですか。
  106. 内海倫

    説明員(内海倫君) 私どもでとっております記録は、何月何日どこそこにおいて国防会議が、あるいは議員懇談会が開催され、そのときの議題は何であり、そのときに提出された資料はこういうものであると、そういうふうな記録は整理いたしております。
  107. 野田哲

    野田哲君 何を決めたか、こういうことの記録は当然あると思うのですが、いかがですか。
  108. 内海倫

    説明員(内海倫君) 決定されたものは当然保存いたしております。
  109. 野田哲

    野田哲君 十月九日の国防会議議員懇談会、ここで次期潜哨戒機の問題について、いわゆる白紙還元、こういう決定がされているわけですが、この了解事項についての提案、文案の起草、これはだれがやられましたか。
  110. 内海倫

    説明員(内海倫君) 当時のことでございますから、私その場におりませんので、私自身の体験としては御説明申し上げることはできませんが、防衛庁の方で、防衛庁長官が詳細に調査されて、すでに発表されましたとおりに、この了解事項は、議員懇談会においてなされた合意を文書としてつくられたものでございます。最初にこの問題について先ほど防衛庁長官説明ありましたように、こういうふうな問題は高度の専門的あるいは技術的な解明を要するので、一応この両者の大蔵、防衛の問題は白紙にしたらどうだと、こういうふうな御発言が議長からなされ、各出席のメンバーの方々がこれに合意され、文書をだれがつくったかということについては、われわれは事務関係の者が集まって案文を練ったというふうに当時の状況から聞いております。
  111. 野田哲

    野田哲君 もう時間が参りましたので大急ぎで。  その懇談会了解事項、これは十月八日の——十月七日ですか、幹事会には議題としてはかけられていないと、こういうふうに理解していいわけですか。
  112. 内海倫

    説明員(内海倫君) お説のとおりでございます。
  113. 野田哲

    野田哲君 最後に委員長にお願いしたいと思うんですが、十月九日の国防会議の議員懇談会の記録とそれから国防会議の記録、これをぜひひとつ参考資料として提供をしていただけるように取り計らっていただきたい。このことをお願いをして終わります。
  114. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 理事会で御相談いたしまして。  午後一時五十分再開することとし、休憩いたします。    午後零時十二分休憩      —————・—————    午後一時五十七分開会
  115. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまからロッキード問題に関する調査特別委員会を再開いたします。  ロッキード問題に関する調査を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  116. 大島友治

    ○大島友治君 私は、今回のこのロッキードの問題につきまして、特に過去の問題にわたるわけでありますが、第一次のFXの問題、さらにまた今回のPXL問題に関連いたしまして、防衛庁長官に対しまして、これからの防衛政策というものも踏まえまして、次の点を主点にいたしましてお伺いいたしたいと思うんでございます。  そこで、まず第一にはシビリアンコントロールという問題についてが一つ、それから第二番目には日米の安保体制と、こういう問題、さらに三番目には武器調達の問題とこの三つを主点にいたしましてお伺いをしたいと思うのでございます。  そこで、まず第一にシビリアンコントロールの問題でございますけれども、自衛隊という実力組織にとりましては、このシビリアンコントロールということは、その存在の根源ということにもかかわる重大なる問題であるということの認識は、もちろん長官におかれましてもお持ちであるというふうに私も知っておるわけでございます。今回のこのロッキードの真相はいまだ最終的なもちろんこの解明ということには至ってはおりませんけれども、自衛隊はもとより国民全般にわたりまして自衛隊に対するシビリアンコントロールが、過去においてやはり好ましくないというような経過をたどってきておる。これはいわば汚い手が回ってきていっておるのではないかというような国民からの不信の念を持たれるようなことが、こういう疑念が一般に浸透されておるんじゃないかということはこれは否定できない事実じゃなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。  そこで、この問題につきましては実は本問題が発生いたしましてから、ことしの三月にはかっての防衛庁長官でございました伊能、元の防衛庁長官から、当時のFXについての問題が表面に発表されたというようないきさつもございまして、国民としていろいろな疑惑もさらに持っておるんじゃないかというような観点から、私はやはり過去におけるこのシビリアンコントロールという点から、十分この点は国民にFXの問題当時のことも絡めてこれは表明すべきではなかろうかと、こういう考えを持っておりますので、まず第一点をお伺いするわけでございますが、そういうただいま申し上げましたような点から、防衛庁長官といたしましてはシビリアンコントロール確立のために、過去の事実経過等も踏まえながら、今日いかなる責任というものを感じ、かつまた今後どういうふうに対処していくかというような基本的な考えについて、ひとつ詳細にお聞かせをいただきたいと、こういうわけでございます。
  117. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) ただいまPXLの問題が国民の間に非常に疑惑に包まれておるわけでございまして、ポスト四次防を決めるに当たりまして、PXL機種の選定を行わなきゃならぬわけでございますが、あくまでも国民の納得のいく、疑惑を招かないような形においてこれを選定をしなくちゃならないというふうに思います。シビリアンコントロールという、この政治優先の原則がございますことも私はよく承知をいたしておるわけでございますから、その意味合いにおきましても、やはり国防会議等に諮り、そしていろいろの国民疑惑を解くような形において最終的に決めたいというふうに思います。  過去におきまして、ロッキード、グラマンの選定の当時にいろいろ疑惑を招いたこともございましたが、当時、伊能前の長官がおやめになりまして、赤城宗徳官房長官が新たに防衛庁長官に任命をされ、そして源田団長をアメリカに視察団長としてやられまして、そしてユーザー立場から技術的にいろいろ検討を行い、かつ源田団長を初めとする人たちがこれに試乗をいたしまして、そしてお帰りになりまして、その結論を防衛庁長官に御報告になり、かつこれを踏まえて国防会議に諮られて、最終的にお決めになったというのが104の決定の経緯かと思いますが、今日、諸外国の第一線戦闘機として、その当時104を各国が採用したというような事実から考えましても、この御決定というものはやはり当を得たものであったろうというふうに私は思うわけでございまして、今回のPXL選定につきましても国民疑惑を招かないよな形に、しっかりわれわれもシビリアンコントロールを厳にいたしまして、国防会議等にお諮りをして最終的に決定をいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
  118. 大島友治

    ○大島友治君 ただいまのFXの場合には、当然シビリアンコントロールという観点から、私は、いま聞き取ったことによりますと、現地調査、試乗までいたしまして、十分これを確認して、その上で国防会議にかけて決定をいたしたということで、当然な筋道によるものであるというふうに聞いたわけでございますが、しからばその現地の調査なりそのデータを取得するために、シビリアンコントロールというたてまえからは、国防会議に、これを導入するかどうかというようなことについて諮られた上に立ってのことであったのかどうかと。ややもすると過去においてはいわゆる幕僚監部、防衛庁、国防会議と、こういうような順序でなされたというようなことも言われておるんで、果たしてそうであったのか。それとも国防会議というところで大綱を定めた上に立って、いまのような経路をたどったのか。その辺についてもちょっとお伺いいたしたいと思います。
  119. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) お答え申し上げます。御案内のように、防衛に関します政策の決定は、そもそもが国防の基本方針——御案内のように閣議によって、基本が閣議決定によって示されておりまして、そういった枠内で、それぞれの長期の計画につきましては幕で立案をいたしますが、その立案の基本方針は、防衛庁長官が基本方針を示されて、それにのっとって各幕僚監部で作業をいたしまして、それを積み上げてまいりましたものを内局、それから防衛庁長官という形で防衛庁の意見を、意向を取りまとめまして、そしてそれをさらに案件の中身によりましては国防会議にお諮りをし、最終的には閣議の御了解あるいは御決定をいただくと、こういう順序を経て行われておるわけでございます。
  120. 大島友治

    ○大島友治君 そうしますと、ただいまのような具体的な経過をやって、これは正しく行われたのだと、こういうふうに理解していいわけでございますね。  そこで、このPXLの選定の経緯ということについては、部内においても事実調査ということをやられておりましたのですが、また第一次のこのFXの問題については、その事実というものの調査は、これは行われたのかどうか、行われていないのじゃないかということもちょっと聞き及んでいるのですが、その辺について、ひとつ明確な御回答をお願いいたしたいと思います。
  121. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) ただいまの御質問は、最初のFX、F104、この選定の経緯についてどういう手続をとったかという御質問と存じますので、その経緯を申し上げてみたいと思います。  当時はF86Fという要撃戦闘機を装備いたしておったわけでございますが、新しい航空脅威に対処するために新しい戦闘機を整備するということで、そのための調査団を三十二年の八月から約一カ月にわたって米国に調査団を派遣をいたしております。これは団長は空将補の永盛でございます。で、この調査団が候補機として対象にいたしましたのは、当時ノースアメリカン製で米空軍で採用をいたしておりましたF100D、それからF104A、これはロッキード社のもので同じくアメリカ空軍でございます。それからF11F1という、これはアメリカの海軍、空軍で、それぞれ実験機として使われておったものでございますが、グラマン社の製品でございます。それから同じく米空軍が試作中でございました、ノースロップ社の製品であるN156FとそれからF102A、これはコンベア社の製品で、同じくアメリカの空軍が使用しておるこの五機種について、それぞれの性能、運用、それから生産等、各方面にわたりまして調査をいたまして、その結果を報告をいたしました。防衛庁はこの永盛調査団の報告に基づきましていろいろ検討をいたしました結果、さらに三十三年の一月に佐薙空幕長を訪米をさせまして、さらに慎重な検討を行ったわけでございます。その結果、三十三年の四月にF11F1というグラマン社の実験機が最も適当であるという結論に到達をいたしまして、そして防衛庁は三十三年の四月の十二日、国防会議におきましてこのグラマン社の航空機が最も適当であるという結論を防衛庁の見解として説明をいたしております。国防会議次期戦闘機整備のための諸条件を整備するために、一応このグラマン社の航空機を採用することを内定をいたしまして、そして四月の十五日の閣議に報告をいたしております。この閣議の報告内容は、航空自衛隊の次期戦闘機については今後の計画を進行せしめる諸条件を整備するため、一応F11F1Fを採用することに内定するという趣旨でございます。この機種内定後、御案内のように、国会におきまして衆参両議院の決算委員会あるいは内閣委員会等におきまして証人喚問その他の問題がございまして、この機種内定の経緯についていろいろ御審議があったわけでございます。その後F104が不備の点が開発をされまして、また西独でこれを正式に採用をしたというような状況も勘案をいたしまして、国防会議は三十四年の六月十五日に、ただいま申し上げました、前の国防会議の内定を白紙に戻しまして、そしてさらに調査団を派遣して、慎重検討の上決定すると、こういう方針を六月の十五日に決定をいたしまして、そして六月十六日に閣議に報告をし、閣議の了解を得ておるわけでございます。防衛庁はこの決定に基づきまして、三十四年の八月に改めて当時の源田空将を団長といたします調査団をアメリカに派遣をいたしました。この調査団は十月まで約八十日間を費しまして、先ほど申し上げましたのと若干の違いはございますが、全体で六機でございますが、対象機についてそれぞれ運用上、性能上の見地からの適否を検討、それからすべて米軍の協力を得まして、調査団みずからが操縦するというようなことで調査をいたしまして、十一月の六日にこの調査結果を防衛庁長官報告をいたしております。その調査団の意見を尊重いたしまして、F104Cを採用することが適当であるということを防衛庁といたしましては庁議を開いてそういう決定をいたしまして、そして同日の国防会議にその線で説明を行っておるわけでございます。  国防会議はF104Cを採用することを承認いたしまして、同機を百八十機と、ほかに訓練機二十機を四十年度末を目途に国産をするということを決定をいたしておりまして、この決定は十一月の十日閣議の御了解を得ておる、こういう経緯でございます。
  122. 大島友治

    ○大島友治君 ただいまの説明で、当然これはF104に至る経過は十分調査をしたということでございますが、ただ私が若干疑問に思ったのは、グラマンからロッキードに移ったというところの問題について当時疑問視されたということがあったように私も承知しておりますので、この問題については、ただいまの経過の説明からすれば、あえてそういうことはないのだというようにも聞けるわけでございますけれども、たまたま今回のPXLの問題とも絡み合いまして、当時ああいうこともあったが今度もやはりそうなのかというような国民の疑念に結びつくというようなことも考えられるので、国民の目としては、この三月に出た新聞からしても、やはり疑惑の目というのがありますから、グラマンからロッキードにかわったというときの状況につきましては、十分国民に知らせるという意味で、これは政治的あるいは道義的というようなことの面、これは別といたしましても、シビリアンコントロールの確立という上におきまして、何らかの方策を持ってこれを解明して国民に知らせるべきではないかと、こういうような感じを持っておるわけでございますが、長官、ちょっと一言その点についてお考えを承りたいと思います。
  123. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) ただいま防衛局長から経緯についてお話を申し上げたわけでございますが、ああいうふうにグラマン一、ロッキードの問題が国会の問題となり、そしていろいろ国民疑惑を当時残したと、それについてさらに検討をいたしました結果、源田団長を再度アメリカにやりまして、そして慎重な検討の結果、しかも諸手続を経まして最終的には冒頭に私がお答えを申し上げましたような経緯で104を決定いたしたわけでございます。そういうわけでございますから、われわれといたしましては、この経緯、いろいろ御心配等もあろうかと思いますけれども、きちんとしたシビリアンコントロールのもとに最終的には決定をしたというふうに御了承を賜りたいと思います。
  124. 大島友治

    ○大島友治君 ただいまの問題は、そうしますと、全くそういう疑念をはさむ余地はないというような手続経過をたどっておるのだというふうに承知してよろしいわけですね。  次に、日米安保体制の問題との関連についてお伺いいたしたいと思うのですが、日米安保条約は、もとより日本防衛政策の根幹をなすものであることはいまさら多言を要しないところの問題でございます。そして、日米安保条約というものは、日米国民相互の信頼という精神的なきずなというか、気持ちの上に結ばれて支えられておるんじゃないかというふうに考えるわけでございます。しかしながら、今回のような事件が発生したということによりまして、国民としてもこれはやはりアメリカから発生した問題じゃないかというような問題も醸しておりますし、わが国民はもとより、アメリカ国民との間にせっかく日米安保というものが精神的につながれておるというにもかかわらず、こういう問題を生じたことによってお互いの不信感というか、特に対米不信感というような問題が根強くこれからも残るんじゃないかというような懸念を持つ一人でございますけれども、この問題を通じまして、長官としては今後やはりこの問題をどう処理し、今後どう対策を立てるかというようなお考えもあるかと思いますので、その点をひとつお伺いいたしたいと思うんでございます。
  125. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 私、かねがね日本防衛につきまして日米安保条約というものが日本の独立と安全のために不可欠なものであるということをたびたび繰り返し申し上げておるわけでございますが、そういう時期に、しかも、昨年八月二十九日には、アメリカの国防の最高責任者でありますシュレジンジャー氏を招きまして、さらにこの安保条約が有効に機能するために、有事の際における日米防衛協力がいかにあるべきかということについてお話し合いをいたしますし、そして年  一回必ず最高責任者同士が会うということ、そしてまた安保協議委員会の中に新たに有事の際における防衛協力やり方を具体的に詰めていこうという新しい機関を設けるということについて合意を見たわけであります。近く日米間におきましてその第一回の新しい委員会等も発足をさせたいというふうにずっとアメリカ側と話し合いを紡げてきておるわけでございまして、その意味合いにおきましても、非常に日米の関係においてこのロッキードの問題が一つの不信感のもとになるとかあるいは亀裂を生ずるとかいうことになりますと、  これはまことにゆゆしい問題であるというふうに私は思います。したがいまして、事はアメリカから起こった問題でございますけれども、しかし、やはりこれは私ども次期潜機をどう選ぶかと  いう問題にかかわっておるわけでございまして、やはり国民に一点の疑惑がかけられたままでうやむやのうちに機種の選定が行われるということがあっては断じてならないというふうに思うわけでございます。その意味合いにおきまして、私は今後とも日米間の不信感がこれによって妨げられるとか、これによって支障を来すとか、亀裂が生ま  れるとかいうようなことのないように万全を期し  たいと思っております。それだけに、アメリカ側  に対しましてもいろいろ私たちとして言うべきこ  とは言いたいと思っておるわけでございまして、私が昨年シュレジンジャーとお話しいたしました  ことは、こういうようないろんな問題が出てく  る。出てきたときにどうそれに対処するかという  ことが一番大事だと思うんです。その実績の積み重ねによってむしろ両国の信頼関係をさらに深め  ていくということが必要ではなかろうか、行動で  もってそれを示していくということが必要ではな  かろうかというふうに思います。したがいまし  て、私といたしましては災いを転じて福となすと申しますか、さらに日米関係を深める上においてどうすべきかということにつきまして、ただいまPXLの選定の問題については慎重に検討をいたしておるということでございます。
  126. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 関連。  防衛庁長官ね。現在P2Jでしょう、P2Jでは三十ノットの速さで走る原子力潜水艦に対して機能しにくいと、いわゆる捕捉しにくいというのがこれはもうすでに報道されておりますし、また答弁の中にもありました。そこで国民疑惑を招かないためのPXL機種の選定、これは当然のことですが、こういうふうにもたもた、もたもたしておったら、現実に極東の範囲の中にアメリカが警戒をしておる国の原子力潜水艦が動いておることはこれは間違いのない事実である。そうなった場合に、この空白をどうして埋めるのか、これを聞きたい。
  127. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 玉置先生の御質問ごもっともだと思うんでございますが、もしこのPXLの選定を一歩誤りますと、そこに防衛上空白が生ずるというようなことになりかねませんので、その空白をどうやってあかさないような形において、なおかつ国民疑惑を招かないような形が決めるかということが私、防衛庁長官に課された大きな責任であろうと思っております。まあそういうことはなかなかむずかしくてできないじゃないかというような御心配もあろうかと思いますが、それをやらなければならないのが私の実は責任でございまして、いろいろ御心配の点もあろうかと思いますが、そのようなことにつきましていろいろ御指導、御鞭撻をいただき、あるいは御心配の点を御指摘いただきまして、万遺漏のないような形において最終的に決めたいと思っております。まだまだ、いまロッキード問題も本委員会が開かれたばかりでございますし、どういうふうな推移になるかわかりません。しかし、どんどん時日は経過をしてまいります。しかし、われわれの目指しております八月の末の概算要求時期が一つのめどかと思います。あるいは最終的には十二月の来年度の予算編成のときが一つのめどかとも思います、最終的な。それまでには何とか玉置先生御心配の点につきまして解明をいたしました上において最終的な決定をいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
  128. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 もう一回。あのね、もう防衛庁長官として本音を言うべき時期に来たですよ、これは。この問題でぼくは前にもここの予算委員会で有事の際のときの話をしました。有事の際で一番やっぱり心配になるのは、このシーレーンに対する攻撃ですよ。そのためには、かつて第二次大戦のときにアメリカとイギリスの間で取り決められた、いわゆるチャーチルとルーズベルトの間で取り決められたチョップラインという問題までここで出しました。いまやっぱり一番大事なのは、やっぱり海洋ゲリラに対する、極東の範囲、いわゆるこの海域における安全の確保、これがアメリカの世界戦略に協力する日本の基本的な立場ですよ。アメリカの基本戦略の中の二つ目は、前の分科会でもお話し申し上げたように、アメリカを中心とする地球上の陸海空の自由の航路を確保するということですからね。そういうことであるならば、いまのように原子力潜水艦に対して日本防衛体制がアメリカ要請をしておるところに協力できないような機材の配置ではこれはまことに心もとない。私はこの辺について、もしこの空白状態が——現実あるんです。あるんだから、そのときには大体アメリカとの間で、その間はひとつP3Cをアメリカから日本基地を提供するからやってもらいたいとかなんとかという約束が当然あってしかるべきだと思うんです。現在日本基地アメリカのP3Cがどのぐらい来ておるのかどうか、それをやっぱり国民の前に明らかにすべきです。そしてこういう空白状態が続いても日米間のきずなというものは揺るぎのないものであるということを示すことが防衛長官としての当然の役割りであるというふうに考えておるんですが、いかがですか。
  129. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 現在アメリカのP3Cの配備状況につきましては後ほど防衛局長からお答えを申し上げたいと思いますが、現在確かにソ連の海軍が非常な極東方面に潜在的な軍事力を高めておるということは事実でございます。しかし、いまこの日本をめぐる情勢というものは、潜在的軍事力というものは高まっておりますけれども、それが日本を侵略しようというような意図と結びついたいわば潜在的軍事力ではないということは玉置委員も御案内のとおりだと思うのでございまして、その背景には、米ソの緊張緩和の問題もございますし、あるいは中ソにおける対立の問題もございます。あるいは朝鮮半島の南と北との軍の対峙は行われ、あるいはトンネルが掘られるとか、あるいは小さい紛争等もないわけではございません。若干の危険は残っておりますけれども、しかし、アメリカが韓国に駐留するということをコメントいたしておりますし、実際にまた駐留をいたしております限りにおいて、いま直ちに朝鮮半島で事が起こるということはないと思います。そういうような状況を踏まえた場合におきまして、われわれのなし得る限界というものはおのずとあるわけでございまして、その点はシュレジンジャーと私とお話をいたしました場合においてもよく先方に理解をさせておるつもりでございます。日本の足らざるところはアメリカが補うということは当然考えておることでございまして、いま日本に直接の侵略事態あるいは間接の侵略事能というものがない現在の状況において、われわれが一定の計画のもとに対潜能力を高めていく努力を着実にやるということが一番大事である。しかもまた、わが自衛隊と国民との間におけるコンセンサスを広く求めていくということがいま私に課された最大の国民の求めであるというふうに考えておる次第でございます。しかし、実際の問題といたしまして、ポスト四次防をどうするかということにつきましてせっかくいま作業を進めておるわけでございまして、しばらくの間その具体的な発表をお待ちいただきたいと思います。
  130. 玉置和郎

    ○玉置和郎君 答えられるのなら答えてください、いまの対潜能力のP3Cの問題。
  131. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) アメリカのいまのP3Cの極東における配置でございますが、私ども全部わかっておるわけでございませんが、日本に対します配置は、御案内のように岩国に一スコードロン——一スコードロンと申しますのは九機で大体できております。それから沖繩の嘉手納にもう一スコードロンというところで、日本には二スコードロンでございます。このほか、私ども承知しておりますところでは、グアムに一スコードロン、それからフィリピンのスービックに一スコードロンという配置があるように承知をいたしております。
  132. 大島友治

    ○大島友治君 安保体制、日米安保体制の点から、ただいま玉置委員の質問したようないわゆるPXLをめぐりまして、特にP3Cをめぐってブランクになるようなことは、国際情勢の中においてこれは大いに危険なことも考えられるじゃないか。同時にまた、日米間の問題を通じ本当の精神的なきずなでつなぐ上においては、具体的な措置を断固ここでとっていくべきであるというふうに私も考えておるわけでございます。  そこで、PXLの選定の問題につきまして、もちろん先ほどから、国民疑惑を招くようなことなく、しかもこれを慎重に検討して今後やっていかなければならないというようなことを一応申されておるわけでございますが、しからば長官はこれを具体的にどういうような方法論をとっていくかということについて、もしお考えありましたら、ちょっと承りたいと思います。
  133. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) PXLの今後の段取りでございますが、ただいま私ども部内の作業といたしまして、従前から防衛庁計画をしておりました、全部を国産でいくか、あるいはP3Cの輸入、完全輸入ということでいくかということのほかに、機体を国産、それから中の電子機器についてはこれを導入をする、あるいは機体については現在のP2Jの改造でいくか、あるいはすでに既存の航空機としてございますYSあるいはC1、こういうものを土台にしてこれに対する電子機器については、現在のP3Cのほかに、S3Aという航空母艦に搭載をいたします中型の対潜機がございますが、これは中身が相当進歩をいたしておりますので、こういうものを導入をして入れる。まあ、いずれにしても、機体にいたします電子機器の装着は非常にむずかしい問題がたくさん技術的にございます。そういう点について現在いろいろな角度から検討を進めてもらっておるわけでございます。  私ども現在のこのポスト四次防の関連の作業として進めておりますものがある程度の結論に到達をいたしました際には、また改めてその段階で、調査団の派遣その他によりまして、また再度その総合的な検討を行う必要があるのではないかというふうに考えておりますが、先ほど大臣から申し上げましたように、来年度の概算要求、最終的に予算が設定をされます本年度末までには何らかの方向を決めさせていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  134. 大島友治

    ○大島友治君 ただいまの説明で大方のその考え方、方法論の理解もできるような気もいたしますが、やはり従来国民からの疑惑は、一つの導入についての問題をめぐりましての疑惑もありましたが、同時にまた、いわゆる日本の国防ということに対して国民に果たしてどれだけ理解と協力を得られるような措置をとってきているかということにも一つ大きな問題があるのじゃなかろうか。特にPXLの問題につきましても、果たして過去においてどれくらい国民にこれらの問題を明示して国民の協力を得たということがあるかということになると、私の調べた範囲内では、余りそういうことが行われなかったのじゃないか。そういう点も一つ大きな今日の問題を醸した原因にもなるというふうにも考えますので、具体的に長官が今後、国民疑惑も持たれずに、しかも日米お互いの信頼の上に立っての国防体制がとれるというような方向に持っていくためには、やはり私は国民に対して国防の実態というものを十分に知らせるということが必要じゃないか、こういうふうに考えているわけでございます。  国防白書につきましても、新聞紙上で承って、近く公表される、閣議決定にもなるという見込みにもなっているようでございますが、そういう点を踏まえまして再び繰り返すことのないような措置をとってもらいたい。具体的な方法につきましていろいろお伺いもし、かつまた今回の昭和四十五年、六年、七年と午前中も野田委員の方から御質問がございましたことについての内容の究明もお願いいたしたいと、こう考えておりましたのですが、いずれ、この点については後日に譲りまして、時間が参りましたのでこれで質問を終わります。     —————————————
  135. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) この際、証人の出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  ロッキード問題に関する件に関し、児玉譽士夫君、福田太郎君及びシグ・片山君を証人として出頭を求め、その証言を聴取いたしたいと存じますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、その手続等は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  138. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 質疑を続行いたします。
  139. 峯山昭範

    峯山昭範君 午前中から種々審議が行われておりますが、長官にお伺いしますが、PXLの問題でございますが、先ほどからの答弁にもございましたが、現在PXL防衛庁としてはどういうふうな方針になっておりますんですか。簡単に言いますと輸入にするのか、国産にするのか。簡単におっしゃっていただいて結構です。
  140. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 簡単にお答えをいたします。  PXL輸入にするか、国産にするか、あるいは純然たるそういう完全な輸入、完全な国産以外に道はないのか、そういうようなことをいろいろ検討をしておる段階でございまして、どちらともまだ決めておらないというのが実情でございます。
  141. 峯山昭範

    峯山昭範君 ということは、かねがね言われております白紙ということでございますか。
  142. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) そのとおりでございます。
  143. 峯山昭範

    峯山昭範君 防衛庁はいつから白紙になったんでございましょうか。
  144. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) PXLに関しましては、これまでも白紙でございます。
  145. 峯山昭範

    峯山昭範君 これまでも白紙といまおっしゃいましたが、国産を考えたことは全くないんでございましょうか。
  146. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 国産を方針として予算要求等もいたしたことはございますけれども、国防会議あるいは政府全体として国産ということが決まったことはございませんでした。
  147. 峯山昭範

    峯山昭範君 政府としてはなかった——それは当然、そういう答弁をいままでしてきていらっしゃいますから、それはわかります。防衛庁としてはどうなんです。
  148. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 四十六年概算要求段階防衛庁自体といたしまして国産ということを考えたことはございました。
  149. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣、私はきょうは非常に時間が短いので端的にお答えいただきたいと思うんですが、先ほどから政府の話は全くしていないわけです。防衛庁としては、要するに現在どう考えておるんだという質問を初めまして、白紙だと言うから、いつから白紙かという話をいましているわけですね。  四十六年のいわゆる四次防の原案をつくった段階までは国産の方向で防衛庁としては考えてきたととってよろしいんでございましょうか。
  150. 江口裕通

    説明員江口裕通君) いまの長官の御答弁を補足いたしますと、四十六年度の概算要求のときには一応国産を前提といたしました開発ということを概算要求要求をしておるわけでございます。そのことは四十七年度、四十八年度、ずっと引き続いてそういう考え方を防衛庁としてはとっております。予算のセットの仕方は別でございますが、そういう考え方を踏襲しております。それでその後いわゆる専門家会議になりまして御検討いただくことになりまして、御答申をいただいた以後現在に至っておる状況でございます。
  151. 峯山昭範

    峯山昭範君 非常にわかりにくいんですがね。専門家会議から白紙だということですか、それまでは国産で、そういうことですか。
  152. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 御案内のように、四十七年の十月の九日の議員懇談会の了解事項によりまして、当時まで防衛庁と大蔵省との間に国産化を前提とする研究開発をやるかやらぬかという議論をやっておったわけでございますが、それを専門家会議において検討をするという了解事項ができ上がりまして、私どもといたしましては基本的には国産を進めると、在来の防衛庁の考え方をできるだけ実現の方向に持ってまいりたいという基本的な考え方はあったわけでございます。ただし、この専門家会議に際しましては、当時の防衛庁長官からも公平な考え方、判断を得るために防衛庁として特に特定のその判断といいますか、事実関係を専門家会議に御報告をするということであって、防衛庁としていずれを選びたいという考え方、これは意見を差しはさまないようにという御注意がございまして、終始その線で専門家会議には臨んでおる、こういうことでございます。
  153. 峯山昭範

    峯山昭範君 非常にわかりにくいんですがね。これは大臣、専門家会議後要するに白紙になったということでございますか。はっきりわかりやすく、そんなむずかしいこと聞いているわけじゃないんですから。
  154. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) これがなかなかわかりにくいわけでございまして、その専門家会議が開かれることによって輸入を含めてこの国産化の是非を検討しなさいと、こういうことでございます。
  155. 峯山昭範

    峯山昭範君 それから白紙ということですな。
  156. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) ですから、それまでは一応防衛庁としては国産を考えておったと、しかし常に大蔵省からチェックを受けておったと、こういうことでございます。
  157. 峯山昭範

    峯山昭範君 私は大臣、防衛庁の話だけで結構なんです。防衛庁としてはいま大臣から答弁ございましたように、専門家会議までは少なくとも国産の方向で防衛庁としては歩んできた、しかし専門家会議でいま了解事項等がございまして公平を期するためにも口出しはしない、したがって白紙の白紙で臨んできた、こういうことでございますね、大臣。
  158. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) その、大体大筋はそうですけれども、少うしやっぱり違うと思うんです。それはやはりわれわれは、政府としては国産化を目指すものでないということをやっぱり言われているわけでございますから、われわれがどういう気持ちを持っておりましても、それは、政府としてはそれは言えないわけでございますから、その若干のニュアンスはありますが、しかし大筋は先生おっしゃるとおり。
  159. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは、話が進みませんので、大筋はそのとおりということでございますから。  それでは大臣、きょうは非常にむずかしいこと聞くつもり全然ございませんのでね、素直にお答えいただいて結構なんですが、それでは次に先ほど出てまいりましたこの防衛庁の概算要求の話ですね。これは先ほど四次防の原案をつくった時点まではいわゆる国産の方向で防衛庁としては考えておったと、こういう話がございましたが、四次防の原案をおつくりになったのはいつごろでございますか。
  160. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 四次防の事務案の最終は四十七年の八月でございます。
  161. 峯山昭範

    峯山昭範君 いまのちょっとおかしいんじゃないですか。四十六年の八月じゃございませんか。
  162. 江口裕通

    説明員江口裕通君) その前からいろいろな案がございますけれども、いわゆる四次防の事務案としての最終案は四十七年の八月の案でございます。
  163. 峯山昭範

    峯山昭範君 ですから、質問よく聞いて的確にお答え願いたい。  それで、したがって、防衛庁として四次防の原案をつくって国防会議に提出するわけですね。その場合に、国防会議に提出したのはいつですか。
  164. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 国防会議、ただいま事務的な最終案が四十七年の八月でございますが……
  165. 峯山昭範

    峯山昭範君 四十六年でしょう。
  166. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 四十七年です。四十七年の八月でございます。先ほど装備局長から御説明いたしましたように、各種の案が四十六年の段階ではできておりますけれども、御案内のように、四次防のいわゆる先取り問題というのがございまして、そして、大綱だけが四十七年の二月に決められまして、そして、六カ月後に主要項目その他を決めると、こういうことになっておりました。その年の八月に事務案の最終案ができ上がっておる、こういうことでございます。国防会議は、事務案ができ上がりました直後に国防会議へ、事務局に持ち込んでおります。
  167. 峯山昭範

    峯山昭範君 私はこの問題、非常にむずかしい問題じゃございませんので、さっさとお答え願いたいんですが、まず、いま四十七年の夏に事務案ができたと、こうおっしゃいました。しかし、現実の問題として先取りの問題が出てまいりましたけれども、現実に四十六年の四月、防衛庁原案として事務局でまとめられたのは、これは当然ですね。
  168. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) それは、そのとおりでございます。
  169. 峯山昭範

    峯山昭範君 この場合、その四十六年度中において当然国防会議に提出されたわけでしょう、初め。
  170. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) この四十六年の分につきましては、国防会議で審議をされておりません。
  171. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、国防会議の大綱について、私はそれじゃお伺いしますが、大綱が現実の問題として国防会議に提出されたのはいつでございますか。
  172. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) この大綱はおっしゃいますように、四十七年の二月に決定になっておりますが、この前にかけまして数度にわたって国防会議事務局との間に関係省庁と詰めを行っております。この大綱自体は、国防会議事務局で作文をいたしました案でございます。
  173. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、防衛庁としましては、この四次防の大綱につきましては、防衛庁としては原案は提出していないわけでございますか。
  174. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 防衛庁といたしましては防衛庁の意見は提出しておりますけれども、この大綱の原案というものは、先ほど申し上げましたように、国防会議事務局で立案をいたしたものでございます。
  175. 峯山昭範

    峯山昭範君 事務局長にお伺いしますが、この四次防の大綱というのは防衛庁原案に基づいてつくられたと思うんですが、これはどうです。
  176. 内海倫

    説明員(内海倫君) 防衛庁の意見を入れまして国防会議の事務局で原案を作成した、こういうことでございます。
  177. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、防衛庁はこの四次防の大綱の原案をつくるとき、当然防衛庁としては庁議で決定して国防会議に意見を述べあるいは意見書を提出されると思うんですが、これはどうです。
  178. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 本件につきましては、庁議、という形式をとっておりませんで、防衛局の事務段階で作成をして出しておる、こういうことでございます。
  179. 峯山昭範

    峯山昭範君 それではそこはそれで置いておきます。  それで次にまいりますが、防衛庁は、まず四十六年度からお伺いいたしますが、四十六年度の予算の概算要求をする場合、これは当然私はその概算要求についてこれは庁議で決定をして概算要求をすると思うんですが、この点どうです。
  180. 江口裕通

    説明員江口裕通君) そのとおりでございます。
  181. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは四十六年、四十七年、四十八年とそれぞれ概算要求についてこの庁議の決定した時期は、それぞれの年の何月ごろか、そしてその要求総額は幾らか、それぞれ言ってください。
  182. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 四十六、七、八概算要求いたしますのは大体八月末でございます。総額は四十六年度の概算要求が十八億九千、これは端数を丸めまして四百万円。それから四十七年度が十八億二千四百万円。それから四十八年度が二十六億七千九百万円でございます。
  183. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは次にお伺いをいたしますが、先般の記者会見におきまして、あの久保発言の問題のときでございますが、大臣が記者会見をいたしまして、防衛庁はかねて国産化を前提とした次期潜機研究開発計画していた、こういうふうにございますが、当然その後大蔵省の問題がつくわけでございますが、当然私は防衛庁はこの次期潜機研究開発計画していたというんですから、これについては防衛庁の庁議として決められた計画があったものかどうか、これは私はこの文章の中からいきますと、当然私は庁議で決定した計画案があったんではないかと思われるわけでございますが、これはどうです。
  184. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 端的にお答え申し上げますと、いわゆる開発計画というものの形で決定しておるということではございませんので、概算要求をいたしますときは当然国産化を前提とする開発ということを考えまして概算要求をいたしますが、その際の裏づけ資料というものは持ち続けておったわけでございます。  それからなお、その以前においても云々ということでございますが、四十三年ごろから一応海幕あるいは技本等でOR研究ということは引き続きやっておるわけでございます。
  185. 峯山昭範

    峯山昭範君 ということは、具体的な計画はなかったわけですか。
  186. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 計画というものの案的なものでございますが、そういうものは当然持っておるわけでございますが、一応その正式の形で決定というような、その開発計画というものを決定したというプロセスはないわけでございます。
  187. 峯山昭範

    峯山昭範君 研究開発という計画を具体的に庁議とかそういうところで決めた計画は持ってなかったけれども、その計画そのものは持ち続けていたと、そういうことでございますか。
  188. 江口裕通

    説明員江口裕通君) そのようにお考えいただいて結構だと思います。
  189. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは次にもう一問お伺いします。  防衛庁調査研究という言葉をずいぶん使ってまいりました。大臣も午前中の質問でも調査研究という言葉をずいぶん使ってまいりました。この調査研究という言葉と研究開発あるいは開発研究という言葉がずいぶん根本的に違うというような感じがするわけですが、これはどういう意味です。
  190. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 装備品等の調査研究は、当該装備品の改善または新規の開発をするかいなかを決定するに当たり、その技術的可能性、経費の見通し等に関し、必要とされる基礎的資料をつくるために行うものでございます。具体的には技術的調査研究、考案及び試験を実施することを内容としております。  それから開発は、前記の調査研究の成果を踏まえ、当該開発案と各種の代替案(外国装備の輸入を含む)とを十分比較検討の上決定し、運用、技術、経済の諸要素を勘案した最適装備品等を創製ないし改善するために行うものでございます。具体的にはシステムとしての総合的設計とその設計に基づく試作、試験を実施することを内容としております。  量産化は、当該装備品等の開発の成果を基礎にいたしまして、装備の適否及び導入可能な外国装備品等の費用対効果を十分検討の上決定し、当該装備品等を取得するために行うものでございます。
  191. 峯山昭範

    峯山昭範君 非常にたくさんおっしゃいましたので、簡単に申し上げますが、調査研究というのは要するに基本設計に、今回のPXLに関する問題で考えますと、基本設計に入る前のいわゆる基礎的な資料の収集であると。それで基本設計に入って初めて研究開発または開発研究というと。これは大臣の答弁で、そのとおりでございましたから、このとおりでございますか。
  192. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) そのとおりでございます。
  193. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、そこでもう一点ただしておきたいことがございます。  まず、防衛庁の概算要求をされる場合のいわゆる防衛庁の姿勢ですが、たとえば三次防の場合ですね。昭和四十五年、四十六年当時はこれは三次防の時代でございますね。ですから私は三次防の予算要求をされる場合、概算要求をされる場合には当然私はその三次防のいわゆる閣議決定あるいは国防会議決定あるいは三次防の大綱、こういうふうなものに基づいていわゆる三次防の予算要求される、そう考えますが、このとおりでございましょうか。
  194. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 概略においておっしゃるとおりでございますが、大綱はいわゆる大筋を定めておるものでございまして、その具体的に細かい問題になってまいりましたときに、その大綱では全部カバーをいたしておりませんので、これは年度年度の予算要求をするということになってまいると思います。  それから主要項目も、その名前のとおり主要の項目でございまして、全部を網羅しているものではございません。
  195. 峯山昭範

    峯山昭範君 したがって、大綱といえども本筋において概算要求とは違うことはあり得ない。たとえば三次防で決められたその大綱に基づいて四十五年、四十六年等の予算要求される。これはこういうことでございましょう。要するに、大綱において外れるようなことはあってはならないわけですね。これはどうです。
  196. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) お答え申し上げます。  おっしゃるように、大綱というのは全体の大枠を示しておるものでございますので、その大枠を外れるようなものはいまの趣旨に沿わないというようなことになるかと思います。
  197. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、それではまず申し上げますが、いま言ったような意味で、四十七年二月八日のいわゆる四次防の大綱というのがございます。この四次防の大綱というのは、これは当然そういうふうな意味での枠組みがきちっと決まっているわけであります。したがってこの四次防の枠組みに基づいて、当然少なくとも昭和四十八年度の予算要求がなされたものと私は考えるわけでございますが、この点についてどうです。
  198. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 四十七年の枠組みに基づきまして四十八年度の概算要求を大体したということでございましたら、そのとおりでございます。
  199. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、これは防衛庁長官、これはどういうことでございますかね。そうしますと、四次防の先ほどの大綱がございましたですね、大臣。この四次防の大綱というのでは、これは当然私はこのPXLにつきましては国産が決まっておったというふうにとらざるを得ないわけでございますが、この点どうです。
  200. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 二月における大綱では国産化は決まっていないというふうに承知をいたしております。
  201. 峯山昭範

    峯山昭範君 この問題が、国産化するか輸入するかという問題は、先ほどから大臣がおっしゃいましたように、非常に政治的な問題としましても重要な問題でございます。ということは、あなた方は、少なくとも私はこの昭和四十八年度の概算要求、四十七年度の概算要求、四十六年度の概算要求、この三カ年間にわたりまして、この研究開発の推進——先ほど大臣は、少なくとも研究開発ということになるとこれは国産ということに一歩踏み入れたことになる、大臣の答弁からもそういうことになりますね。そうしますと、防衛庁としましては昭和四十六、四十七、四十八年、三年間の概算要求で、こういう概算要求の中で第七項目研究開発の推進」という欄で、「未来性に富む事業の推進」ということがあります。そして、その中身の項のところでは、「次期潜機の基本設計」となっているわけです。ということは、基本設計というのはこれは国産を目指しての基本設計でございますね。概算要求の段の基本設計です。そうでしょう。そうしますと、概算要求では少なくとも四十八年度、少なくとも四十七年の二月八日の閣議決定の大綱の後、皆さん方はこの四十八年度の予算要求しておるわけです。ということは、いずれにしましても四十八年度のこのいわゆる概算要求におきましては、四次防の五カ年計画大綱で、閣議決定でこの四次防大綱、この中でいわゆる国産化が決定されていたか、あるいは決定されていないのに、防衛庁として概算要求でこの基本設計を要求するということは、四次防の大綱に反して防衛庁が勝手にこの基本設計の費用を概算要求として要求したのか。要するに、閣議決定に反して、防衛庁は概算要求をしているのか、あるい  はこの閣議決定が違っているのか。いずれなんです。
  202. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) お答え申し上げます。   たびたび申し上げておりますように、四十七年  の二月の大綱は、いま先生がお読み上げになりま  したように、対潜機能向上のため「各種装備品等  の研究開発」ということになっておるわけでござ  います。これは、この趣旨は国産化を前提とする  ものではないというふうな趣旨であるということ  でございますが、防衛庁といたしましては、たび  たび申し上げておりますように、この中に「等」  とございます中身は機体を含むものであるという  解釈をして十月の国防会議まではそういう線で大  蔵省との間で論争をずっと続けてまいったという経緯があるわけでございまして、そういう意味で私どもといたしましてはあくまでもこの四次防の大綱の解釈については大蔵との間にはっきりした決定的な納得をしないままに十月に入り込んだと、こういうことでございます。
  203. 峯山昭範

    峯山昭範君 あのね、一つずつ確認をしていきます。四次防の大綱、第四次防衛力整備五カ年計画大綱、これは四十七年の二月八日閣議決定の分であります。この件につきましては国産化を前提とするものではないということでございますが、国産化を前提とするものではないということ、これは間違いないですか、このとおりですか。
  204. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) そのとおりだと承知をいたしております。
  205. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうすると、四十八年度の防衛庁の概算要求のいま「等」が入っておるということで言いましたが、実は「等」は入っていない。「研究開発の推進」の、これは欄が二つありまして、項目の欄の二つありまして、次期潜機の基本設計」、「等」はありませんよ、防衛局長、「等」はありませんよ、「次期潜機の基本設計」、それからもう一つは「対潜機用とう載機器の試作等」、下の方には「等」があるのです。ところが、上の方の欄には、これは予算も全く別ですよ、金額も別です。したがって、防衛庁はこの「次期潜機の基本設計」ということで要求しているわけでございますから、国産化の要求を完全にしているわけです。これはどうなんです。
  206. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 先ほど大臣が申し上げましたように、調査研究開発、それから装備化あるいは量産化と言っておりますが、その三段階がございます。それで、私どもの扱いといたしましては、調査研究から開発にいく段階にひとつけじめをつけなければいけない。それから開発から国産化にまいりますときにやはりこれもけじめをつけなければいけないということでございまして、そのいま基本設計と申しますのはいわゆる国内の開発要求をしておったということでございまして、さらにこれが国産化に入るかどうかということにつきましては、開発が完成した段階においてもう一度チェックするということで要求しておるわけでございます。
  207. 峯山昭範

    峯山昭範君 いまの装備局長の答弁は詭弁ですよ。先般の参議院の決算委員会等でもこの問題はずいぶん議論いたしました。大臣御存じでしょう。あなたの答弁でも、基本設計に入って初めて研究開発とも言えるし、また国産を目指したものとも言えると。だから、したがって、大臣の答弁は、基礎資料の収集、いわゆるこの技術調査研究委託費、技術調査研究というふうに言っている場合には、これはあくまでもいわゆる基礎的な資料の収集であると、基礎的な資料の収集であると。したがって、基本設計に入って初めて国産化ということが言えるんだと、こういうあなたの答弁ございましたね。いままた装備局長はまたもう一つランクをつけました。これはこんなことをして、あなた方次から次にそういうことをしちゃ困りますよ。あなた方は現実に「次期潜機の基本設計」ということは、対潜機国産を目指しての基本設計なんでしょう、これどうなんです。
  208. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 開発をいたしますときはもちろんその目指した開発ということでございまして、そういうことを考えて要求しております。ただ、実際にその開発をやることが直ちに国産化を意味するかと言えば、そういうことではないということで申し上げたつもりでございます。
  209. 峯山昭範

    峯山昭範君 直ちに国産化を目指したものではないとしても、国産化の第一歩になるわけでしょう、これはどうです。
  210. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) これは先ほど申しますように、開発から量産ということに移っていく、それのいろいろの手続がございますが、それを手続を踏めば先生おっしゃるようになる。しかし、そこまでいかなければ調査研究にとどまるということでございます。
  211. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣、あなたの答弁は完全に詭弁ですね。先般の委員会では、基本設計に入るということがもう研究開発または国産化の第一歩だと、こういう答弁だったですよ。現実の問題として「次期潜機の基本設計」に入るということは国産化なんでしょう、要するに。私はいまのあなたのような答弁では納得できませんね。これは、これだけじゃないんですよ、まだこれからいっぱい問題があるんですけれども、たったこれだけの問題がはっきりしないようじゃどうしようもありませんよ。要するに、それじゃ少なくとも大臣がお好きなようにどちらに比重が置かれておったかということになると、これは少なくとも「次期潜機の基本設計」というのは九九%国産のためたんでしょう、どうなんです。
  212. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) これはあくまでも国産化を前提とするものではなくって、その是非を決めるための必要な調査ということが性格でございます。  それから、開発段階におきましても、先ほどもちょっとお答えを申したと思いますが、幕僚長が要求性能を上申し、私、長官がこれをもとに基本要目、たとえば装備品等の設計の基本となる性能、諸元、構造等を決定をし、技術研究本部長に対しこれに関する基本設計、細部設計、試作、技術的試験の実施、こういうものを命令することになっております。このとき初めてその開発という段階に入るわけでございまして、さらに量産化ということになりますと、業務計画として決定の上調達をされる、特に重要なものにつきましては、特定の装備品等の新型式のものの種類及び数量というようなものを含めた重要なものの取得は、文民統制強化のための措置によって国防会議に諮って決定をされると、こういうきわめて厳重な段階があるということを御了解を願いたいわけでございまして、私があえて基本設計と申しましたのはその前の段階を申し上げておるわけでございます。しかし、きわめてその基本設計ということに入っていけば国産化へつながっていくということは言えるというふうに思います。
  213. 峯山昭範

    峯山昭範君 いま大臣が一番最後の方の答弁で基本設計に入れば国産化につながっていくということは言えると、こういうことですから当然私はそのとおりだろうと思うのです。そうしますと、大臣、かねがねからこの問題については何回も委員会で取り上げられてまいりました。防衛庁としては国産化を目指してこういう要求をしてきたけれども、大蔵省からさんざん国産化を目指すものではないということで予算が削られて、要するにこの概算要求のこの項が認められなくて、そして、この技術調査研究委託費という項目になって返ってきたというのがあなた方の答弁だったですよ、いままで。ところが、あなた方の要求していること、「次期潜機の基本設計」そのものがまたこの技術調査研究のそのものなんだというきょうの答弁なんです。これは大分前の答弁から後退していますし、まあしかし、大臣、最後の方のいまの国産化につながるものであるということを取り上げて、それじゃ一歩私は譲ってあれしますが、一歩譲ったとしても、それじゃこの四次防の大綱の中で国産化を前提には全くしないというふうな大綱が決められておりながら、なぜ国産化につながるような予算要求防衛庁はやっているんです。これはどうなんです。
  214. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) それは非常にお聞き取りにくい言葉ではございますけれども、そういう査定が行われたわけでございますから、あくまでもその査定にわれわれは忠実でなければならないわけでございまして、それを逸脱するわけにはまいりません、執行する場合におきましては。したがいまして、われわれとしてはあくまでも調査研究に四十七年の予算も甘んじたということでございます。
  215. 峯山昭範

    峯山昭範君 いやそんなこと言ってないですよ、大臣。査定なんか関係ないんですよ。私は査定のことはいままでずいぶん大臣と議論しましたから、だから査定の話はきょうは別にして話しているんです。査定じゃなくて、四次防のこの大綱の中で、現実に国産化を前提とするものではないと、しかも全くこの中で国産化はうたわれていないにもかかわらず、あなた方がその査定の前のこの概算要求、あなたが先ほど庁議で決定したとおっしゃいました。防衛庁の庁議で決定をして要求する、大蔵省に対して要求するその要求の中身が国産化につながるもの、これは一歩譲って言ってですよ、つながるものをこの要求の中に入れるということ自体が防衛庁としては大綱から大きく踏み出した、はずれたものじゃないかと、私言ってるんです。
  216. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 私が先ほどつながるものと言ったのは、大綱を逸脱しない限りのぎりぎりの線を申し上げておるわけでございます。したがいまして、それを逸脱しておるとは思っておりません。
  217. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) ただいまの長官の補足をさしていただきたいと思います。  先ほど私も申し上げましたように、四次防の大綱の考え方がいわゆる国産化につながる研究開発、対潜哨戒機については国産化につながる研究開発を大綱において決めたものであるというお話研究開発を決めたものではないというこういう大蔵財務当局の考え方、これに対して当方は、先ほど申し上げましたように、国産化につながる研究開発を行わないということではないという立場で論争をずっと続けておったということでございまして、いま申し上げましたように、この時点におきましてもなお大蔵と防衛庁の間には議論が分かれておったと、それが十月まで続いたと、こういうことでございます。
  218. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、防衛局長はいまおっしゃったのは、防衛庁としてはこの四次防の防衛力整備五カ年計画の大綱の中で決められた技術研究開発というのは、これは要するに国産化につながらないというものじゃないと、防衛庁としては国産化につながるものであると、こう考えていると、そういうことですね。どうです。
  219. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) いずれにいたしましても、このいまの大綱をそういう考え方で決着をつけているものではないと、わが方は予算で大蔵と勝負をする、こういう考え方でおったわけでございます。
  220. 峯山昭範

    峯山昭範君 ということは、局長防衛庁としてはこの四次防の大綱の技術研究開発項目のこの研究開発というところは少なくともその後で出てくる概算要求の中でも出てまいりますように、いわゆる防衛庁としてはこの四次防の大綱及びこれに基づいて防衛庁が進めてまいりました概算要求というものも、少なくとも要するに国産化につながるものであると、こういうふうに解釈をして防衛庁としては作業を進めてきたと、こういうことですね。
  221. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 私どもその時点においてはいま先生のおっしゃいましたような考え方で予算要求をいたしておったということでございます。
  222. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうでないとおかしいわけです。当然、それじゃ少なくとも防衛庁としては「第四次防衛力整備五か年計画の大綱」という、これは国産化を前提とするものでは全くないという先ほどの答弁はこれは訂正されるわけですね。
  223. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) お答えいたします。  ただいまその四次防の大綱の中の表現、これは当方の考え方は、いずれとも定められていないという考え方でございます。つまり国産化を前提とするか否かという問題については決着をつけたものでないという考え方でございます。
  224. 峯山昭範

    峯山昭範君 まあ同じ議論を何回もしておっても仕方ありませんからね。局長、先ほどはこの項目国産化を前提とするものではないと、こういう答弁があったから、そうじゃないんですねと聞いているんですから、そうじゃないならないとはっきり言ってもらえばいいんですよ。
  225. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 私の答弁ではそう申し上げていないつもりでございますが、もしそうお受け取りになるようなことでございましたら、防衛庁としてはこの問題についてははっきりした決着をつけていないという当時の考え方を持っておったと、こういうことを申し上げたわけでございます。
  226. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは非常に重要な問題でございます。  それでは次にもう一点、時間ございませんので進みますが、官房長官お見えになっていただきましたので官房長官にお伺いいたします。  私はかねがねから官房長官に、政府の、いわゆる行政機関のいわゆる私的な諮問機関という問題についてずいぶん長官に質問をしてまいりました。当然私は私的な諮問機関というもののあり方というのは非常に重要であると思います。そこで昨年の十二月にも大臣に私は申し上げました。大臣の私的な諮問機関というものはやはり法に基づいてきちっとした整理を行うべきである。法律に基づかない諮問機関で答申等が行われるというのは非常に遺憾なことであるということで私はあの防衛を考える会等の議論の中で申し上げてまいりました。それについて政府としてはきちっと処置をするということで先般の委員会でもお伺いしましたが、この点についてはどういうことになっておりますか、再度お伺いしておきます。
  227. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) これは再々の御指摘でございまして、私も御趣意に沿って十分に見直しをいたしますと、こういうお答えをしておるところでございます。まだ実は具体的にどれとどれを整理をするとか、そういうところまではまだいっておりませんが、ただいま御趣旨の線に沿うて鋭意検討をしておると、こういうところでございます。
  228. 峯山昭範

    峯山昭範君 それではまず、まことに恐縮ですがしばらくそこで議論を聞いておっていただきたいと思います。  まず、国防会議事務局長にお伺いをいたしますが、国防会議議員懇談会、これは非常に私は今回のロッキード事件に関連をいたしまして、このPXLの問題に関しては非常に重大な役目を果たしております。そこでお伺いするわけでございますが、国防会議議員懇談会というのは、この議員懇談会の法的根拠をお伺いしたい。
  229. 内海倫

    説明員(内海倫君) 国防会議議員懇談会というものについては特別な法的な根拠を持っておりません。
  230. 峯山昭範

    峯山昭範君 全く法的根拠のないその国防会議議員懇談会は、要するに、これはいままで何回かこの議員懇談会が開かれております。しかしその中で最終、昭和四十七年の十月、四十九年の十二月と二回にわたってこのPXLの問題に関しまして了解事項というのが出ています。この了解事項というのはこれは何でございますか。
  231. 内海倫

    説明員(内海倫君) 先ほど御答弁申し上げましたように、議員懇談会というものは法的な根拠は持っておりませんが、国防会議で審議さるべき重要な事項あるいは国防会議に諮問されるような問題、こういうものにつきまして議長以下全く同じ国防会議の出席メンバーが出席いたしましてそこで自由に討議をする場として慣例的に設けられておるものでございます。したがいまして了解事項は二回行われておりますけれども、その自由討議の中で出ました問題につきまして各出席者の意見が、いわば合意が成立しまして、それを確認して文書にしたものが了解事項でございまして、そういう意味では全く根拠のない、あるいは不明確なものというものとは考えておりません。
  232. 峯山昭範

    峯山昭範君 その了解事項の法的意味はどうですか。
  233. 内海倫

    説明員(内海倫君) 厳密な意味で、私は法律的な効果というものは、この議員懇談会の了解事項にはないと思いますが、出席されておる全メンバーを通じてそれぞれの行政庁に対してこれを尊重し、またその行政効果を実現するということは、この了解事項は性格として持っておるものと、こういうふうに考えております。
  234. 峯山昭範

    峯山昭範君 官房長官、法的根拠を全く持たない懇談会が、そこで各人が了解した、出席者はそれぞれの行政府を縛るということです、いまのは。そういうこと許されますか。
  235. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 私の承知しております限りでは、これは国防会議はもとより法的機関でございますが、長い間の慣行としまして同じメンバーによる議員懇談会というものが、言うならば事実上の機関としてずっとやってまいったしきたりのようであります。  そこで、もちろん決議というふうなことは正式な会議にかけなければならない。しかし、いま事務局長から言われましたような了解事項というものは従来の慣例に従いまして、それは拘束というふうにいま言われましたが、その出席者一つの心構えとでも申しましょうか、そういう意味で従来取り扱ってまいったのが慣例ではないかと、かように存じております。
  236. 峯山昭範

    峯山昭範君 官房長官ね、これは国防会議議員懇談会というのは大臣も長官も御存じのように何回も開かれているわけです、いままで。毎回開かれているわけです。ところが、こういうふうに拘束するような、こういうふうなのをしたのはたった二回、PXLに関してだけなんですよ。慣例じゃないんですよ。しかも、それぞれのこの問題については、私きょう時間がございませんから、あんまり詳しくやれませんけれども、この了解事項に基づいた白紙還元、白紙の問題、それから専門家会議の問題、これは法的根拠の全くないところが決めたその了解事項に基づいて、この二つがまたできているわけです。これはやっぱりおかしいことないですか、どうですか。
  237. 内海倫

    説明員(内海倫君) 先ほども答弁申し上げましたように、了解事項というものはそういう議員懇談会の場で、いわば各メンバーが相互に意見を一致させた、合意した、こういうことを確認したものでございます。その限りにおいて、それぞれ合意された大臣は、その了解事項を尊重して、その線に沿って進めていくということが当然ではなかろうかと思います。しかも、この了解事項というものは直ちに何らかの決定をするというふうなことではなくて、関係者の間で作業手順、そういうふうなものを今後この種の問題に関して審議のあり方、そういうふうなものについて合意をしておるわけでございまして、たとえば、政策を決定するとか、あるいは本来、国防会議決定を必要とするというふうなものについての了解をしておるわけではございません。
  238. 峯山昭範

    峯山昭範君 事務局長、そんなことをおっしゃいますけれども、現実に行政を縛っておるわけです。現実に防衛庁長官、四十七年度のいわゆる技術調査研究委託費として付託された予算執行してなかったでしょう。執行してなかったという問題について、先般の参議院の予算委員会で五月八日だったですか、防衛庁長官は統一見解を出すことになっていますね、これはどうなりましたか、いまの問題と関連がありますよ。
  239. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 決算委員会で、昭和四十七年度の次期潜機関連予算執行しなかった理由について私申しておるわけでございますが、これはここではまだ言っておらないと思いますが、少し長くなりますけれども、御了承を賜りたいと思います。  一 防衛庁は、かねて国産化を前提とした次期潜機研究開発計画し、昭和四五年度以降の各年度の予算編成に際して、大蔵、防衛両省庁間において議論が続けられていた。その結果、各年度の予算に計上された次期潜機関連経費は、いずれも国産化を前提とするものではなかった。   このような状況の下で策定された四次防の大綱は、次期潜機について国産化を前提とする研究開発を行うか否かいずれとも決めておらず、昭和四七年一〇月九日の国防会議議員懇談会の了解も次期潜機国産化問題は国防会議事務局に専門家の会議を設ける等により慎重に検討するというものであって、次期潜機について国産化を前提とする研究開発を行うか否かを決めていないという点では終始政府の考え方は変っていない。  二 次期潜機国産化問題は、国防会議議員懇談会が専門家の会議を設ける等により検討することとされたことにより、この問題について従来大蔵、防衛両省庁間で行われていた国産化を前提とする研究開発を行うか否かについての議論は白紙とされ、国防会議事務局に設けられる専門家の会議における議論に委ねられることとなった。  三 次期潜機関係の昭和四五年度の技術調査委託費は、運用構想を満足する航空機の技術的可能性について検討し、性能諸元等を概定するとともに諸外国機についても比較検討するものであり、また昭和四六年度の技術調査委託費は、次期潜機において重要な役割りをもつ電子情報処理装置に関する試験研究を行うとともに、空力特性に関し高速風洞試験及び低速風洞試験を行うものであった。   昭和四七年度の技術調査委託費は、これらの研究成果を踏まえ対潜機の構造、ぎ装の重要な部分についてとう載機器及び電子情報処理装置に関連するものを中心とする試験研究を行うものであった。   しかしながら、次期潜機国産化問題については、専門家の会議において検討することとされたので、専門家会議検討の結果、試験研究の重点が変わる可能性がある等のため、専門家の会議の答申を待って、試験研究内容を再検討のうえ、予算執行を行う方がより効率的であると判断して、昭和四七年度予算執行しないこととした次第である。  以上でございます。
  240. 峯山昭範

    峯山昭範君 非常に時間がございませんので、もう簡単に申し上げますが、官房長官ね、いま国防会議事務局長は要するにそれぞれ拘束するものではないとは言いながら、いま防衛庁の見解を読み上げたとおり、四十七年度の予算執行しなかったのはやっぱり専門家会議の結論を待ってということです、結局結論として言いますことはね。ということは、その専門家会議自体、いま議論いたしておりますこの議員懇談会すら法的根拠がない。その法的根拠がないところで決めた白紙還元と専門家会議というもの、これ、専門家会議自体も法的根拠全くない。そうしますと、その法的根拠が二重にないですよ、二重に全くないところの結論を待ってというふうに、防衛庁予算まで絡みついてきているわけですね。ということは、私はこれはこういうものに拘束されるものでは全くないと国防会議事務局長がおっしゃいますけれども、そういうものじゃない。これはやっぱり両方ともこの政府の行政というものが完全に絡みついてきています。そういうような面からは、私はこのいわゆる専門家会議並びにもう一つの国防会議議員懇談会、この二つについてのあり方、またそれでどういうふうに法的根拠を持ってくるのか。その答申なりなんなりを権威づけるためにもきちっとした法的根拠がなければならないと私は思うのですよ。大臣、そこのところをやっぱり今回のこのロッキードの問題を議論するに当たってこの問題をはっきりしておかないと、そこから出てきた答申そのものが何とも議論のしようがないわけですよ。ですからそういうような意味でやっぱりこれはきちっとした政府の統一見解を出してもらいたいと思うのですが、どうです。
  241. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) ただいま御議論を承っておりましたが、まあ私どもの考え方は、政策決定を要するというような問題は当然国防会議でやらなければならぬと、まあこの自由な議論の場所として、従来、この議員懇談会というものを活用をしてまいったという長いしきたりでございますが、いまおっしゃるような問題点、一つの了解事項とは申しますものの、これを参考にするというふうには当然考えられることでございますが。まあ法的機関ではないことは先ほど来の答弁のとおりでありますが、いまのような御指摘もございますので、これからはきちんと国防会議とそれからこの議員懇談会というものの性格は明確にして処理をしてまいりたいと、かように存じます。
  242. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは長官ですね、それはこれからは言うわけにはいかないのですよ。というのは、後まで尾を引かなければもうこれからということでいいんです。大臣おっしゃるとおりでいいんです。ところが、この議員懇談会はいいとしましても、そこで決められましたこのPXLのいろんな問題、専門、家会議自体の問題、これは手続上やっぱり重大な手落ちですよ、やっぱり。その手続をミスしているわけですから、これはやっぱり政府としてきちっとしたけじめをつけていただかないとわれわれ議論しにくいわけです。そういうような意味ではきちっとやっていただきたい。  それから時間がございませんからこれで終わりますけれども、午前中の議論の中で、私、非常に納得いかないことがあります。といいますのは、国防会議事務局長の答弁というのは、非常に私は国会のわれわれの質問に対して非常に事務的過ぎるし、非常によくない。といいますのは、官房長官ね、先ほど同僚議員が国防会議の議事録を出していただきたい、こういう質問をいたしました。ところが事務局長は、初めの答弁では、そんな議事録なんかありませんと、こういう答弁です。いや、そんなことはなくて、記録はあるだろうと言ったら、出席者とかいろんな決定事項とか、そういうふうなものを記録したものはありますと、こういう答弁だったでしょう。時間がありませんから私急いでやりますけれども、これは非常に長官、問題だと思いませんか。国防会議が、文民統制という問題でシビリアンコントロールが問題になりましたときに、わざわざ私たちは国防会議のの運営規則というのを検討いたしました。そしてあの中でわざわざ第六条で議事録という項をわざわざつくった。そして、「国防会議事務局長は、会議の都度、その出席者、議案及び決定内容等」ですよ、出席者だけじゃない、等ですよ、出席者の主な議論も含めてその議事録を収録し、「これを保管するものと」、こういうふうに決定されたはずですよ。それが、第一発の答弁でありませんなんというのはわれわれ国会議員をほんまに侮辱していますよ、本当に。委員長、そうじゃないですか。やっぱり私はこれは注意していただきたいと思いますよ。こういうふうな態度の答弁、現実に午前中にあったわけです。私は、非常に時間がございませんから、これ以上言いませんけれども、こういうことも含めて、長官ね、本当にいまのこの専門家会議の問題については一遍御検討いただきたい。それで長官の答弁をいただきたい。それから委員長からも注意していただきたい、一遍。
  243. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 申し上げます。  委員長は大体そのとおり聞いておりますけれども、なお十分速記録等調べまして、おっしゃるとおりの行動をとりたいと思います。
  244. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 私もその午前中のやりとりを存じませんので、その辺はいま委員長が言われましたような線で、十分調べました上で対処をいたしたいと、こう思います。
  245. 峯山昭範

    峯山昭範君 いやいや、それはいいんですよ。専門家会議の話を、専門家会議のあれを官房長官から。官房長官の答弁は専門家会議の答弁をいただいて終わりなんですよ。委員長はみんな聞いてますからね。
  246. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 御指摘の点につきましては、一度こちらの部内でも御趣旨に沿って十分相談をいたすつもりでございます。
  247. 峯山昭範

    峯山昭範君 どうもありがとうございました。
  248. 橋本敦

    ○橋本敦君 先ほどから防衛庁としてのPXL国産化方針等についてしきりに議論をされているわけですが、このロッキード疑獄事件の真相を解明するという任務を持った当委員会議論としては、答弁があやふやにぐらぐらするということは、これは政府側としても細心の注意をもって慎重に答弁をして、避けてもらいたい。明確であるべきものが一向明確にならないということであるならば、いたずらに証人として調べる数もふえるでしょうし、事態の真相究明が進まない。そういう良識を政府側に要求をして、まず明確にしてもらいたいんですが、要するにPXLについては防衛庁としては四十七年十月九日、例の白紙還元了解事項ができるまではこれは国産でいきたいという国産化方針を持って進んできたことは間違いがないと、これはもうはっきりしていいんじゃないかと思いますが、大臣いかがですか。
  249. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 大筋においてはそのとおりだと思っております。
  250. 橋本敦

    ○橋本敦君 そこで、その国産化方針の具体的な問題について私は、四十八年度二十七億の予算を概算要求として防衛庁が決めた、これが国産化方針の最も重大な具体的なあらわれだと、こう解しておるわけです。この点についてさきに衆議院の特別委員会で中路委員が、この四十八年度から本格的な基本設計計画で進むということを防衛庁としては決めた、このことは間違いがないか、こう聞いたときに、江口さんも、防衛庁としてはいま御指摘のようにそういうふうに決定をして概算要求をした、こう答弁をされておるわけです。  そこで、私は防衛庁側に聞きたいのは、この四十七年の八月末に決定したというこの防衛庁の四十八年度概算要求ですが、これを決定したときの庁議はどういう方が出席をされておられましたか。
  251. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 概算要求をいたしましたときの庁議は四十七年の八月二十九日でございますが、そのときのメンバーはまあ通常のいわゆる庁議メンバーでございます。
  252. 橋本敦

    ○橋本敦君 おっしゃってください、通常の。長官以下。
  253. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 長官以下、次官、それから内局長、それから各幕僚長、皆入っておるわけでございます。
  254. 橋本敦

    ○橋本敦君 したがって、この四十八年度概算要求については、当時の長官自身もいよいよ本格的な国産化方針を目指した基本設計に入るということを十分了解をして裁定をされていることは間違いがない。  そこで防衛庁側にもう一つ明らかにしてほしいことは、この四十八年度概算要求をするに当たって、防衛庁としてはこの基本設計計画の具体的な中身としてどのような運用構想を持っていたか。これを概算要求決定する時点での運用構想あるいはそのときに考えられていたPXL性能諸元、そういったものについて明確にしていただきたい。これはなぜ聞くかと申しますと、いま長官国産にするにしてもあるいは輸入するにしてもP3Cクラスのものが防衛庁としては欲しいということをおっしゃっている。それとの関係で、この四十八年度の概算要求に関連をして聞くわけです。
  255. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 考え方の基本といたしましては、やはり列国潜水艦、特に原潜等の性能向上に対応いたしますために、新しい探知機あるいは総合的情報処理装置等を搭載いたしまして、そして広域の同時監視能力、あるいは正確迅速な目標の位置の局限能力と申しますか、それからさらに対潜攻撃能力というようなものを充実した対潜機をつくりたい。こういうことでございまして、性能諸元という点でごく大ざっぱに申し上げますと、大体全体の全備重量が約五十数トン前後のもの、搭乗人員は十名程度のもの、それから進出速度、これは潜水艦を見つけますときの進出速度でございますが、まあ四百五十ノット程度のもの、それからターボファンでございまして、所要の電子搭載機器を積むものと、こんなような考え方をいたしておりました。
  256. 橋本敦

    ○橋本敦君 いまのお話を聞きますと、現在就役をしているP2Jよりもはるかに性能もよくなっていくということが目指されているということはわかります。ところで、この概算要求決定された四十七年の八月当時、すでに米海軍ではP3Cは現実に就役をして就航しておる、実戦配備についておる、これはもう明らかです。  そこで私はもう一問尋ねたいんですが、ただいまの性能諸元なり運用構想は現実にその当時米軍が配備をしていたP3C、これを参考にして、いまお話しになったような構想が参考にして含まれているかどうか、その点はいかがですか。
  257. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 当時はまだいわゆるP3Cのリリースということが正式にございません段階でございますので、よくわからないわけでございますが、大体推定をいたしまして、必要とされる対潜能力等につきましてはこの程度のものがまあ必要であろうというな考え方で考えておったと、こういうことでございます。
  258. 橋本敦

    ○橋本敦君 ちょっとよくわかりません。P3Cは全く念頭になかったかどうかはどうなんですか。私は念頭になかったということはないと思うんですよ。現に防衛庁からいただいた資料でも、それ以前の四十三年ごろから防衛庁はP3Cに関連をしてアメリカに対する照会だとか調査、こういったことをやっているわけですよ。だからP3Cが全然念頭になかったといえばうそになるんじゃないですか。
  259. 岡太直

    説明員岡太直君) P3CとPXLの対比でございますけれども、当時電子情報処理装置につきましては、先ほどからいろいろ御説明があるように、私どもの方の状況ではわかっておりませんでした。ただ巷間の資料で、たとえばジェーンの年鑑であるとか、いろいろ雑誌がございます。それなんかによりまして飛行機としてのスピードその他というものはある程度把握しておりました。それで、PXL計画するに当たりましてはやはりスピードの速い方がいいだろうということで、ターボプロップの飛行機を体してターボファンということで計画したわけでございます。
  260. 橋本敦

    ○橋本敦君 もっともこの資料によっても昭和四十五年に対潜機について防衛庁は海外調査をした。欧米各国も回ってこられたそうですが、P3C搭載の電子計算情報システムについては資料を得られなかったと、こうありますから、私はそれがまるまる入っているかどうか聞いているんじゃない。P3Cのような対潜能力強化、これがいま現に就役をしている、これと同じようなものをつくりたいという、こういう関連での比較的な検討での意見が運用構想、性能諸元に入っていたでしょうと、こう聞いているんですよ。明確に答弁してください。あたりまえのことじゃないですか、これは。
  261. 岡太直

    説明員岡太直君) PXL計画するに当たりましては、やはり将来の対潜機と申しますのは電子計算機を中心としますところの総合情報処理装置というもので情報処理しなければとても潜水艦に追いつけないということでございますから、そういう電子情報処理装置をつけるということで計画してまいったわけでございます。ただ正確に申しますと、P3の情報はわかっておりません。しかしながら、いろいろ巷間の雑誌であるとかというようなことでいろいろと考えて、P3Cと同等あるいはその程度のものというようなことでそういうものを開発したいということで考えたわけでございます。
  262. 橋本敦

    ○橋本敦君 わかりました。  ところで、このP3Cのリリースのオーケーを米軍が出しそうだという話は四十七年の八月にワシントン駐在の玉川武官から私信の形で防衛庁にあった。これについては参議院予算委員会で私の質問に対し、丸山局長は、当時は防衛庁には国産化の方針で進めるという意向があったために、これについてはどうこうという応対はしなかったという話があった。それはそれとして、   〔委員長退席、理事岡本悟君着席〕 私はこの玉川武官からのこの非公式連絡というのは防衛庁のだれに来たのか。この非公式連絡についてあったということを防衛庁側が答弁されているんですから、だからしたがって、御承知のはずですが、この非公式連絡の中身について、つまりリリースも可能性があるという問題について防衛庁側はどのクラスまで四十七年当時知っておられたのか。この点御答弁を願いたいと思います。
  263. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 玉川一佐からの私信でございますが、これは当時玉川一佐はいまおっしゃいましたようにワシントン駐在の防衛駐在官でございまして、正規の連絡でございますれば、これは当然外務省を通じまして大使名の公信で入ってくるわけでございますが、そうでなくて、これは私信で海幕あてに出されたものでございます。この現物は現在ございませんし、それから、だれあてになっておったのかと、こういうことも現在、私、調査をいたしましたけれども、はっきりいたしておりません。ただこの私信を読みました者、これは当時の防衛部長、それから防衛部の副部長、それから防衛課長、班長、こういった者数名が読んで記憶をいたしております。その記憶の中身はP3Cについて非公式であるけれどもリリースの可能性が出てきたと、こういう趣旨のものであったということでございます。これは先ほど当時これに対する返答をしてなかったという、前に私御答弁申し上げてあるかと思いますけれども、これは大変申しわけないんでございますが、間違いでございまして、これに対してはだれがやったかはっきりしておりませんけれども、国際電話を通じまして、現在国産ということで海幕の思想統一ができておるので、この問題は当分お預けであるという意味の指示を玉川一佐に出しておるとこういうことでございます。   〔理事岡本悟君退席、委員長着席〕
  264. 橋本敦

    ○橋本敦君 そうすると、確認をしますが、防衛局長は知っていたけれども、リリースの可能性は長官あるいは事務次官、これは御存じなかったと、こう伺ってよろしいですか。
  265. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 大変恐縮でございますが、私どもの方は似通った名前がそれぞれたくさんございますので、ただいま申し上げました防衛部長というのは海上幕僚監部の防衛部長、当時齊藤、これは将補か一佐だったと思いますが、でございまして、これは海幕限りの話でございます。
  266. 橋本敦

    ○橋本敦君 わかりました。  もう一つ聞きますが、P3Cについては先ほどお話ししたように、この資料でも搭載する電子機器システム等の機能については、これは調査したけれども、資料は入手できなかったと、こうありますが、その他アメリカだけではありません、欧米各国において検討もされたとこういうことですが、アメリカ以外のたとえばニムロッド、アトランティックありますが、これらの資料についてあるいはリリース、ライセンス、オーケーかどうかという資料は四十七年十月当時入っていましたか、いませんか。
  267. 岡太直

    説明員岡太直君) 四十七年十月当時におきましては、アトランティック及びニムロッドに関しましては資料はございませんでした。巷間のいろいろ雑誌に出ておるとか、ジェーンに書いてあるとか、そういう程度の資料でございます。
  268. 橋本敦

    ○橋本敦君 ところで、十月九日の国防会議議員懇談会の了解では、このPXL問題というのはいわゆる白紙還元をされて、将来は輸入も含めて検討すると、こういうことがはっきり出てくるわけですね。そこで、私が聞きたいのは、将来輸入も含めて検討するということになれば、当然リリースなりライセンスなり、こういったことについて、これはいずれの国にとっても軍の機密に関係がありますから、その可能性があるということが前提でなければ輸入を含めて検討すると言ったって不可能なことを検討することになる。そこで、私は防衛庁に聞きたいんですが、この了解事項がなされた時点で防衛庁側は輸入を含めて検討するというこの了解事項について、いま私が質問をしたP3Cのリリース、ライセンスの可能性、こういった問題についてどのように把握をして認識をしておられましたか。
  269. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 先ほど申し上げましたように、海幕の方にそういう連絡がありましたことは、海幕の当局者は、一部の者でございますが、承知をしておったわけでございますが、私ども調査をいたしました範囲では当時の、いまの十月九日の時点でございますが、防衛庁内局におきましては本件についてリリースの可能性があるということは全く不明のままであったとこういうことでございます。
  270. 橋本敦

    ○橋本敦君 そうすると、この時点でリリースの可能性、ライセンス生産の可能性があるということを防衛庁側首脳部は知らなかったとすれば、この専門家会議輸入も含めて検討をするんだということを発案をした田中前総理は、この可能性を知っていたのかあるいはこれにかかわった発議者は知っていたのか、このことを明らかにしなきゃならぬと私は思うのです。  その前に一つ聞きますが、この十月九日の直前にMDAOのスタンダード大佐が防衛庁の黒部装備局長を訪ねてきて、P3Cの写真を見せあるいは説明書を提示して話をしたという事実があったのかどうか、いかがですか。
  271. 江口裕通

    説明員江口裕通君) スタンダード所長が黒部前装備局長のところに参ったということは御本人の記憶にもそういうことはあったという記憶でございます。ただ、時点がいつであったかということは、どうも定かではございません。確認いたしました。  それから中身でございますが、いま御指摘のようにP3Cの写真等は持ってきた。それは見た覚えはあると、しかし中身についての詳しい話はどうも聞いておらぬというような感じのお話でございました。
  272. 橋本敦

    ○橋本敦君 私は誠実な答弁を初めに要求しておいたんですが、防衛庁国産化の段階でもP3Cは頭にあった。対潜能力強化した次期潜哨戒機をつくるのに国産化をする上でもあったのですよ、P3C。だから調査団まで派遣をしている。そうして玉川一佐から手紙も来ている。そうしていまおっしゃったように、黒部装備局長が当時スタンダード大佐からP3Cの写真などを見せられたということになれば、私はこの話はいつごろであったかわからぬというようなそんなものではなくして、防衛庁側としてはもっとしっかりつかんでおるはずだと私は思うんですよ。いいかげんにあしらっていたとは思えない。だから私はこれがいつごろであったか、十月九日の直前——私が言うように直前であったのか、直後であったのか、この点もう一遍確かめて事実調査報告を装備局長にお願いしたいと思いますが、いかがですか。
  273. 江口裕通

    説明員江口裕通君) よく調査して御報告したいと思います。
  274. 橋本敦

    ○橋本敦君 ところで、この十月九日の白紙還元に至る直前にいわゆるT2、T2改の輸入問題が大蔵から出されて激論が闘わされたという問題が委員会でもたびたび議論になっておるわけですが、これをめぐって私はまだ疑問を払拭し切れないでいるわけですが、これについて伺いますが、十月二日に大蔵の方からT2、T2改を輸入せよというような意見を言ってきたという話が出ておりますが、具一体的にこれはなぜこの段階でT2、T2改を輸入に切りかえて、国産をやめてF5を輸入せよと、こう言ってきたのか。大蔵が言ってきた理由はどういうことだったでしょうか。
  275. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) この輸入国産かという支援戦闘機と高等練習機の問題につきましては、別個に大蔵との間にずっと議論が交わされておりまして、本件は輸入国産かという、そういう議論でございました。まあ在来から大蔵の主張いたしておりましたのは、結局国産機で量産化をいたした場合には割り高になると、財政負担が重くなるので軽減する方途をひとつ検討したらどうかということであったわけでございます。十月二日の内示の際には、支援戦闘機、それからT2についてはすでに四十七年度で二十機はついておるわけでございますが、残余の高等練習機等について輸入検討してみたらどうかという趣旨の内示であったわけでございます。その理由は、かねてから議論になっておりますように、国産の場合には割り高になると、それから輸入についてはその十月二日の時点においては、対米ドルのいわゆる円高の現象が出てきておる。したがって、輸入する場合にはさらにコストダウンになるというようなことが理屈にあったように聞いております。
  276. 橋本敦

    ○橋本敦君 このT2の問題について言うならば、すでに昭和四十二年三月十三日の国防会議決定で、「超音速の高等練習機について、国内開発を行うとともに」、こういうことで明確に国産化、量産化方針が決まっている。こういう意味では、これは防衛庁の方針というより、むしろたびたび議論されている国の方針です、政府の方針ですよ。この政府の方針になっているものも含めて輸入に切りかえたらどうかというようなことを大蔵が言ってくるというのはよっぽど重大な事情がなければ、国防会議で決まったものを大蔵だけの裁量で変えろなんというのは不見識ですよ。私はいまの局長の答弁にまだ満足しない理由は、割り安だからというだけじゃなくて、当時日米間の経済協力問題が論議をされて、わが国アメリカに対するドル減らし、対米経済協力、アメリカからの輸入をふやすという問題があって、防衛庁もこれに協力せよということが大きな理由であった。これではないかと、こういうことで質問しているんですよ。いかがですか。これも明らかでしょう。
  277. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 大蔵の方からのは、先ほど申し上げましたように、いわゆる円高の問題と、それからもう一つはやはりドル減らしのあれに、要請に合うのではないかと、こういうことはございました。しかし、これは後、議論の過程において直接ドル減らしに寄与するものでないという、こういう認識が双方の中に出てまいってきております。
  278. 橋本敦

    ○橋本敦君 どっちにしても対米経済協力でドル減らしということから問題が理由づけられておったということは事実なんだ。それに対して田中前総理は、四十七年十一月十日、参議院の予算委員会で重大なことを言っておりますよ。これとあなたの答弁が食い違うならますます田中前総理証人で来てもらわなくちゃならない。こう言っていますよ、国防会議の専門家会議問題で聞かれて、田中国務大臣は、「国産にするかアメリカから買うか、私は、アメリカから買いたかったわけであります」、とはっきり言ってますよ。アメリカから買いたかった。その理由を「ざっくばらんに言いまして。」ということで日米関係の経済実情を「よく知っておりますから、何とか日米間の現状打開をしなければならないということで、買えるものは買いなさい、こういうことだった」、はっきり田中前総理言ってますよ。だから論議の過程ですぐドル減らしになるかどうかという議論が、仮になされたとしても大蔵が言ってきた根本問題は、アメリカの、対米協力のために国の方針として決まったものまで変更して対米協力しよう、これがあったんですよ。これはあなたの答弁からでも推測できる。さらに田中前総理はこの問題で、次に重要なことを言っております。そこで、「輸入するとすれば、これは年度間でもって輸入するのであって、四十七年度の国際収支にはあまり影響ありませんと、四十八年度、九年度、五十年度ぐらい、こうなるのです。」つまり即効的にドル減らしの効果がないという議論があったというあなたの証言とこの部分は一致する。その次にどう言っているかと言いますと、「こうなるのですと。そうなればまた別に哨戒機のようなものもあるんですというようなことで、」いいですか。「哨戒機のようなものもあるんですというようなことで、国産に一応踏み切ったわけであります。」つまりT2、T2改の国産に踏み切った、つまり将来対潜哨戒機を買うようなこともあるんですよと、対米協力という含みでもって買ったと、はっきり言っているんですよ。  そこで私は防衛庁長官に聞きたいのですが、この白紙還元了解事項という政治的決定がなされた裏には、このような田中前総理の国会答弁から考えても、そしてまた大蔵がT2、T2改の国産、これをやるならPXL国産を前提とした予算、これは認められませんよと、こういうことを関連をして言ってきているという、その言い方を見ても、白紙還元とはいうものの、明白に将来「輸入も含め」てと、こう書いてある、ここに重点があった。つまりPXLは将来アメリカとの関係でP3Cを輸入するという方向が田中前総理の頭の中に明白にあったと私はここから推定して間違いないと思うんですが、防衛庁長官に聞きますが、この白紙了解、そして輸入も含めてという、この輸入も含めてという了解事項の輸入も含めてというのは、具体的にどこからどのように、どういう機種輸入するのかという問題について、防衛庁は当時どう認識していましたか。
  279. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) その当時のことを、私まあいろいろ調べてみましたわけでございますが、それはお手元に差し上げておるような経緯でございまして、とにかく大蔵省と防衛庁と、PXLの問題については論争をいたしておりましたわけでございまして、それを国防会議懇談会の了解事項となって輸入を含めて検討をしろと、こういうことであるわけでございまして、事実はそういう経緯をたどっておるというふうに思います。まあ前総理があとで委員会等で御説明になったのも、恐らく自分が主宰をする国防会議議員懇談会で輸入を含めたこの専門家会議を設けるということに決まった、それを踏まえていろいろ御答弁になっておるんじゃないかというふうに思いますので、その関連は、そういう意味における関連性はあろうかと思います。
  280. 橋本敦

    ○橋本敦君 防衛庁が——この問題重大ですよ。私は人ごとのように言えないと思う。だから私は初めに聞いたんです。四十八年度の概算要求は、長官を含めた庁議決定までされて、いよいよこれから国産へ踏み切っている基本設計、これに入っていくということなんですよ。性能諸元、運用問題から言ってもそうなんです。そこまで四十七年の八月二十九日に踏み切っていく方針を持っていながら、たった二カ月後の十月九日に「輸入も含め」てという言葉が入って白紙に還元をしていくという、了解ができてきた。全くの白紙じゃなくて、輸入も含めてなんですよ。防衛庁がここで一体どういう認識を、当時、この了解事項に対して持ったのか、これがやっぱり大きな問題ですよ。いま長官の言葉を聞くと、全く当時は、あなたではなかったために、きわめて他人ごとみたいな感じの答弁に私は聞こえたんです。防衛庁としては大問題ではありませんか。国産化方針、いいですか、これがどうなるかわからぬという大問題ではありませんか。その認識は当時あったかどうか。当時おられた方ここにいらっしゃいましたら答えてほしい。——装備局長も違う。防衛局長も違う。答えられる人ありますか。
  281. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 私が調べました限りにおきましては、この十月の九日の議員懇談会の了解事項が決まります前日、つまり八日でございます。八日大蔵省の方から支援戦闘機の国産化は、これはひとつ防衛庁の主張どおりそれは大蔵省としても異存はない、しかし、まあひとつPXLの問題は、これはひとつあきらめてもらいたいと、こういう意向が伝えられておるわけであります。それに対して増原長官以下内局の首脳といたしましては、とにかくこの支援戦闘機を輸入ということは、これはどうしても防衛庁としては耐えがたいことであって、これは何としても国産化を実現しなきゃならないと、P3Cの問題はまだ先のことであるからというようなことで、まあそれじゃ、いろいろ検討の結果だとは思いますけれども、やむを得ないかなあというのが、八日の夜の首脳会議だったと思うのです。それでも翌日、どういうふうな決まり方するか、本当に支援戦闘機が国産化に本当に決定できるのかどうなのか、一抹の不安もあったもので、翌日総理のところまで増原長官行かれたという経緯もあるわけでございます。そういうわけで、九日を迎えたわけでございますが、九日のその了解事項では輸入を含めて、そしていままでの大蔵省と防衛庁とのその論議は白紙として、こういうふうに決定されたわけでございますから、前の八日の日はもうP3Cは支援戦闘機を国産と決めたらもうだめだと、こう思っておった防衛庁にちょっと光がほのかに見えたわけで、まだ勝負はこれからだという気持ちも起こったことは事実だと思うんです。当時、いまの次官の久保次官は防衛局長でございまして、そして懇談会に出席しておったんでございますが、それをいち早く防衛庁に伝えておる経緯があります、途中でですね。そういうことから言いますと、まあまあと、まあまあとにかく支援戦闘機は国産に決まったと、そしてまた、PXLの問題はこれからの勝負だと、こういうつもりがあったわけでございまして、その間の事情は、私が直接その当時の長官や次官や局長やにお話を聞きまして得ました情報から見ますと、ただいま申し上げましたのが本当の実情ではないかというふうに思っております。
  282. 橋本敦

    ○橋本敦君 いま御説明がありましたが、私はやっぱり納得できないです。四十五年以降ずっと国産化方針を進めてきて、四十八年、いよいよ具体的な基本設計に入る庁議を決めたその直後に国産化がまるでだめになる、かすかな希望とおっしゃったが、かすかな希望というのは基本的にだめになる可能性がある、こういう了解事項をやらされた。防衛庁はT2、T2改さえ入ればやむを得ない、そう簡単なものでなかろうと私は思う。そういうようにおっしゃるならば、それは、あなたがお調べになった結果だと言うんですから、直接当事者、久保事務次官だとか、増原防衛庁長官にここへ出て来ていただいて聞かにゃならぬですよ。  それともう一つ私が思うのは、国産化をするにしてもP3Cのようなものが欲しいという頭があったから、防衛庁としては輸入を含めてということであってもP3Cのようなものが輸入されれば、これは輸入だって構わないという考えが当時あってやむを得ない、結構だということになったのかもしれないという疑惑もあるんですよ。いまの点の長官の答弁は私はとうてい納得できないから、今後委員会で私は真相究明しなきゃならぬと思う。  ところで、次の質問に移りたいと思うんですが、防衛庁は外国機を輸入するとすればP3Cだというような方向に海幕を中心で固まっていったのはいつごろからでしょうか。
  283. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) これはなかなかだれがそういう考えに変わっていったかというようなことになってまいりますんで、明確にいつの時点ということを申し上げるのは非常にむずかしいと思いますが、P3Cについての実際の姿がよくいろいろな意味で技術的に判明をいたしましたのは、四十八年の十一月に調査団を派遣をいたしております。これはヨーロッパとアメリカと両方行っておりますが、これが初めてP3Cの運用の実態、それから航空機生産、まあロッキード、あるいは電子機器、こういうところの見学をやっておりますが、この辺でP3Cの優秀性というものがはっきり認識をされ、少なくとも調査団が認識をいたしまして帰ってまいりまして報告が出てから、徐々にこのP3Cに対する認識が変わってきたんではなかろうか。これを決定づけましたのは五十年のあれは六月だったと思いますが、第二次の調査団が今度はP3Cだけの調査のために派遣をされておりますが、これによって決定的にP3Cの中身、またそれの優秀性というものがはっきりと海幕において認識をされたというふうに私どもは判断をいたしております。
  284. 橋本敦

    ○橋本敦君 この十月九日の了解事項がなされて以後、MDAOとの関係でも防衛庁はP3C問題に関していろいろコンタクトをしておりますね。これは、私は予算委員会でも聞いたわけですが、たとえば、もう一度繰り返しますと、十月九日以降、直後の十一月十五日には、アメリカのMDAOとの関係で海幕の実務者レベルがP3Cの概要について説明を聴取をしている。この実務者レベルというのは具体的にはどういう方ですか。
  285. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 海上幕僚監部の防衛部の副部長米村海将補ほか九名でございます。
  286. 橋本敦

    ○橋本敦君 海幕の高級幹部ですよね。  続いて、年が明けて四十八年の一月二十九、三十。これは、いよいよP3Cに岩国に行って、試乗していますね。これに乗った人は、長はだれですか。
  287. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 海上幕僚監部の調査部長香取海将補、それから海上幕僚監部の防衛部の副部長のいまの米村海将補、こういった人々でございまして、全部で三十一名でございます。
  288. 橋本敦

    ○橋本敦君 かなりの人数と、そうしてまた幹部を含んでおるわけですよ。  いま局長がお答えになったように、四十八年の十一月にはこれはまた海外調査を実施される、そういうことでP3Cの優秀性について徐々に海幕の中の認識が深まっていって、明けて五十年、いまおっしゃったように、具体的にP3Cの優秀性が一応海幕の意思統一の方向に動いていった。そこで、私は大事だと思うのは、この専門家会議の結論が出されたのは、これは四十九年の十二月二十七日です。四十九年十二月二十七日。それまでに防衛庁はMDAO、その他と接触をしてP3Cについて試乗をし、説明を聞き、そうしてまた海外調査も行って、この結論が出るまでに海幕としては徐々にP3Cは優秀である、海幕としてはそれが欲しいという方向へ、人によっては程度が違うかもしれませんよ、大体動いていっているということなんです。これはあなたがおっしゃったとおりなんです。確定的になったのが五十年だとあなたはおっしゃっている。私はこういう経過も非常に大事だと思うんですよ。そうして、実際に専門家会議の答申はどうですか。玉虫色だというけれども、当面はP3Cの輸入もやむを得ないと、明確にそう言っているではありませんか。P3Cの輸入もやむを得ない。この専門家会議の答申がこの中で外国機の輸入も当面やむを得ないということを書いているのじゃなくて、明らかにP3Cの導入を図ることもやむを得ないと考える、まさにP3Cそのものに的を当ててこのような答申をしていることは、そのような海幕の空気を知り、そうしてまたこの専門家会議がP3C導入へ大きく道を開いたことだと言わねばならぬ。このP3C輸入、はっきり専門家会議が外国機の場合、P3C輸入指定をして答申をしたことについて、この答申について、長官、どう思われますか。明らかにP3C、輸入外国機とすれば、専門家会議もP3Cだと言っている。これははっきりそう言ってよろしいですね。長官のお考えいかがですか。——書いてあるんですから、はっきり。そのとおり受け取っていいわけでしょう。
  289. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) いま橋本さんの御質問のとおりに、いままではP3Cというものはリリースができなかった。それからまた、海幕といたしまして、ユーザー立場でどういうものかということを実際見ていませんし、試乗もしていないし、性能もわからなかった。それが、だんだん乗ってみたり、アメリカへ行ってみたりしてわかってきたというわけでございまして、やっぱりユーザー立場からいたしますとですね、現実にもう実現しておるものを欲しいというのは、これは自然の成り行きだと私は思うわけでございます。それはそのとおりに私は考えてよかろうかと思います。
  290. 橋本敦

    ○橋本敦君 だから、したがって長官に確認的に伺いますが、いま国産かあるいは輸入かをめぐっていろんな検討がなされているというお話ですね、ポスト四次防の関係。結構ですよ。もし外国機を輸入するとすれば、この専門家会議答申どおりP3C、これを輸入をするという方向にこれは防衛庁も政府も動くということは、いままで私が質問した経過並びにこの専門家会議の明白なこの答申から輸入するとすればP3Cだということは、これはもう動かないと見てよろしいわけですね。
  291. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) いままでのところはそういうことで外国機を選ぶとするならば現実にP3Cがあると。しかしながら、しかし防衛庁長官国産化がどうなんだとおっしゃれば、まだいまロッキード問題でこういうふうにして議論がございますんで、やはり疑惑を持たれないような形で機種決定をしなきゃなりませんし、また同時にまだP3Cと決めたわけでもございませんし、また国産化、国産とも決めてもおりませんし、またその他のコンビネーションの選択というものも決めていないということでございます。
  292. 橋本敦

    ○橋本敦君 決めていないことを前提に外国機を輸入するとすればP3C、これは既定事実だともう言える状況だということを質問したんです。あなたはこれを否定なさらないですし、いろいろ検討していると、しかし輸入するとすればこの専門家会議でP3C当面やむを得ないと書いていますが、これ以外の外国機を輸入することはあり得るというお考えがありますか。私はそれはこの答申を受けて防衛庁検討していくというその道筋しかあり得ないと思うんですよ。いまいろいろ検討しているのは結構です。しかし、輸入をするとすれば、この答申を尊重するとP3Cになる、海幕要求とも一致すると、これはもう明らかではありませんか。輸入するとすればP3Cだと、あなたの輸入するとすればそうなるという私は確認をしているんです。間違いありませんね。
  293. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) まだ輸入するとも国産化するとも決めていないということが正確な答弁であります。
  294. 橋本敦

    ○橋本敦君 輸入をするとすればという前提で聞いているのに、なぜ答えられませんか。私が質問することが余りにも具体的ではっきりしているからですか。だれが考えてもそうなりますよ。  ところで、長官にお伺いしたいんです。このP3Cの売り込みについてアメリカの国防省なりペンタゴンなりが、いま長官がいろいろと苦労して今後どうしようかとお考えになっているときに、アメリカの国防省なりペンタゴンがこれを日本防衛庁に買わせるために日本の政府や国会、こういったことにくちばしを入れてでもロッキードの代弁者になってこれを売り込むことをアメリカ側の国防省がこれを策動しようとするようなことがもし仮にあるとすれば、これは私は明白な主権侵害になると思います。許されぬことだと思います。長官のお考えはいかがでしょうか。
  295. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 次期戦闘機というのはわれわれ日本国民の安全を守るために必要なものでございますし、そういうわけでございますから、しかもこのロッキードの問題がアメリカ側から問題が提起をされた形になって、国民疑惑を呼んでおるわけでございます。そういう中に防衛庁長官として次期戦闘機を決めなきゃならぬわけでございますが、あくまでも国民の納得のいく形において自主的に日本人自身日本で私どもが知恵をしぼって決めなけりゃいけない課題であるというふうに思っております。
  296. 橋本敦

    ○橋本敦君 つまりいまの御答弁は自主的に決めるんで、アメリカの軍部の介入とかそういうものは許さないという所信の表明と受け取ってよろしいわけですね。
  297. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 当然のことだと思います。
  298. 橋本敦

    ○橋本敦君 そうだといたしますと、最近外電で重要なニュースが流されていることは長官も新聞を読んで御存じでしょう。たとえばですね、アメリカの国防総省の関係で言うならば、ハリン報道官がこれが言明をいたしまして、そうしてアメリカの国防省が日本に対するP3C売り込みについてMDAOに対して、これはメッセージ、これまで送って、そうして売り込みの促進を図るような動きをしているというニュースがある。こういう情報が報道されていることについて、防衛庁はMDAOに対して調査もしくは問い合わせ、これをおやりになったでしょうか。
  299. 江口裕通

    説明員江口裕通君) ただいまの点につきましては、一応そういう情報が紙上に載っておりますので、早速外務省経由あるいは私どもの方からもMDAOの方に尋ねております。外務省の方から一応入手いたしました情報によりますと、安全保障援助局長でございますが、本件は安全保障援助局長が在日のMDAO——日本にありますMDAOでございますが、にロッキード問題との関連からFMSまたは政府間取り決めのもとでP3C販売を行うことの可否について意見を求めた部内限りの処置であると言っております。したがって、ラムズフェルド国防長官が関係しておるという事実はございませんし、また日本政府にあてたものではないということが一応公式のルートで入ってまいっております。それから、私どももMDAOの方とコンタクトをいたしておりますが、まさにいま申し上げました部内限りの何と申しますか、議論と申しますか、本件をめぐる議論がたまたまリークされたということのようでございまして、米国政府の方といたしましては特に日本政府に直接に働きかけるというような意向はいまのところ全くないと、こういう話でございます。
  300. 橋本敦

    ○橋本敦君 いまの答弁でも重要な事実が幾つかあるんですね。だから、アメリカの安全保障援助局、ここからMDAOに対して、ロッキードで日本が揺れているけれども、この中で政府間政府ベース、つまりFMS方式によってP3Cを日本に売るというような可能性があるかどうかという問い合わせが来ていると、こういうわけですね、基本的に言えば、部内関係として。しかし、MDAOがそれが判断できるでしょうか、MDAOが。MDAOとして一体そういうことを判断して、国防総省の外局である安全保障援助局にどういう答弁ができるでしょうか。私は防衛庁とのコンタクトや防衛庁の意見その他日本の情勢を判断しなければ返事ができない性質の照会が来ていると思うんですよ。  さらにもう一つ重要なことは、それだけではありません。新聞報道によれば、国防総省の外局である安全保障援助局、ここからこの問題が出されてきたということの趣旨についてこういう報道がなされている。米国の世界防衛戦略の見地から日本の自衛隊のP3C装備が不可欠とするものである、これが一つの前提。これはアメリカの太平洋戦略、特に対潜能力強化という向こう側の意向、私どもがよく伝えられているこの問題と一致します。そして、この前提の上に立って日米両国政府が政府間契約を結んで、日本政府は米海軍を通じてP3Cを買い付ける。そして、この政府間政府方式による買い入れということについては、防衛庁長官が、これが参議院本会議での答弁でしたか、それを通じて商社を介在しないで直接の取引をやることもこれは賛成であるという方向での意見表明をなされた事実もある。これもアメリカは知らないわけじゃないでしょう。それからさらに次に大事な問題は、ロッキード社の財政能力日本の国会の反対を乗り切るための政治的援助を米政府が日本に保障する、こういったことも含めて言ってきているという報道なんですよ。  装備局長にもう一度聞きますが、いまあなたがコンタクトをされて調査された向こうの部内同士の情報だと言うけれども、いま私が言ったような問題、つまり太平洋戦略の一環として日本のP3C配備が不可欠であるということだとか、それからもう一つは政府間同士の交渉でどうだということだとか、それからもう一つはロッキードの財政能力、あるいは日本の国会乗り切り、これについても向こう側は分析をし、協議をして援助をしたいと言っているようなそういう部内文書なのかどうか。もう一度そこのところを正確に調査をして報告していただけますか。
  301. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 部内文書につきましては、これは私どもも尋ねましてもなかなか答えを求めることは不可能ではないかと思います。したがいまして、いま御質問のありましたような点につきましては、若干先方の意向も聞いております。意向といいますか事実を聞いております。これは五月の二十七日に向こうの方で記者会見をしておりまして、いまある程度のことはリリースされております。それによりますと、いま御指摘のあった点のP3Cは日本にとって不可欠だというようなところの言い方でございますが、先方の考え方としては、日本の対潜システムを考える上にP3Cというのは非常に費用対効果においてすぐれていると思っておると、こういうような表現を言っておるようでございます。それから、後の点につきましてはそういう事実はいまのところないと……。
  302. 橋本敦

    ○橋本敦君 政府間政府契約の方式について何も言っていませんか。
  303. 江口裕通

    説明員江口裕通君) そういうことについては、私どもの方で具体的にどういう話し合いが行われたかということは了知いたしておりません。
  304. 橋本敦

    ○橋本敦君 これは徹底的に調べて、もし事実がそうなら厳重に政府として抗議すべき性質のものですよ。これはひどいでしょう。ロッキード社の財政能力、これに対する援助の問題だとか、これは現にカナダがP3C十八機買うという決定をしたときに、ロッキードに対してカナダが緊急融資をするかしないか問題になっている問題ですよ。そして、またさらに、国会乗り切りのための政治的援助、こんなことまでアメリカがもし言っているとすれば、これは容易ならぬです。わが国の主権を守る立場からも、これは政府としても断固抗議しなきゃならぬ。向こうがどんなことを言っているか内部文書で容易に知り得ないということでほっとっていいと私は思いません。徹底的にこれは究明してもらいたい。  そこで、時間がありませんから坂田長官にも伺うのですけれども長官もこのP3C問題はこれは国民の納得のいくということを前提に解決しなきゃならぬとおっしゃっていますね。このPXL問題、P3C問題にはまさにロッキードの具体的な疑惑があるんですよ。四十八年八月の児玉とロッキードの契約ごらんください。あるいはコーチャン自身が、私がロスアンゼルスで会ったときにコーチャン自身が、このP3Cの売り込みについても十年来いろいろと考えてきたんだ、日本に行って児玉と作戦も練ったのだとはっきり言っておるんです。そういう疑惑を一切解明しなきゃならぬ。三木総理も予算委員会で私の質問に答えて、「P3Cの問題は、これだけ国民疑惑に包まれておるわけですから、この問題を決定するときには、国民疑惑を受けないような形でなければならぬということでございます。」と明言されておる。そこで長官に伺いますが、総理がこのようにおっしゃっているように、長官国民疑惑を受けないような形でやると、そうでしかこの問題は決定をしないという御決意がおありでしょうか。
  305. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) この問題はあくまで本国民の納得のいく形でやらなければならないというふうに思いますし、やはりロッキードの問題の黒白をやはり明らかにするということが前提になろうかというふうに思います。
  306. 橋本敦

    ○橋本敦君 わかりました。だからしたがって、このロッキード疑獄事件の真相解明、国会決議あるいは五党会談に基づくこの特別委員会の任務もそうですが、この黒白をはっきりさせることが前提だとおっしゃった長官の言葉を信用して、私は長官にその方針でいっていただくということについて最後に一言聞きたいのです。したがって、この黒白がはっきりするまでは、たとえことしの八月概算要求の時期であろうが、本年の年度末であろうが、このロッキード疑獄事件の真相解明、ここでの黒白、疑惑がはっきりするまでは、それまでになされればよろしいよ、なされないならば、本年度末とかことしの年末というような予算策定時期とのからみではなくして、場合によっては疑獄が解明されるまではこれは今年度中にもP3C輸入あるいは国産化、そういった問題は決定しないということをここで明言していただきたいと思いますがいかがですか。
  307. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 私といたしましては、あくまでも国民の納得のいく形で、国民疑惑の残らないような形で機種決定をいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
  308. 橋本敦

    ○橋本敦君 最後ですが、具体的に長官がもしそのとおりおっしゃるならば、私が言うように、疑獄が解明されない限りP3C機種決定はやってはならぬということだと思いますが、この問題は、時間が来ましたので、さらに議論を別の機会に譲りたいと思います。  終わります。
  309. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は、前に予算委員会でもPXL並びにT2関係の質問をしましたけれども、必ずしもつじつまが合うといいますか、納得のいくような御答弁がいただけていないわけです。引き続きましてその疑問点、矛盾点をただしていきたいと思います。  まず、高等練習機並びに支援戦闘機、これに関する件でありますけれども、四十七年当時すでにこのT2は開発段階を終了して、しかもその結果もきわめて良好であった、そして四十七年度予算においてはT2の二十機の量産の予算が組まれておったということは事実であります。もちろんいわゆる四次防の先取り問題でこの分は凍結されましたけれども、しかし少なくとも国産化の方針というものは決まっておって、いわゆる手順前後というかっこうで凍結されたのだと思います。坂田防衛庁長官予算委員会におきまして、このT2シリーズ、つまり高等練習機と支援戦闘機の輸入の話を大蔵省から初めて聞いたのは十月二日だと、このように御答弁されましたけれども防衛庁としてはそれまでこのT2シリーズの国産をやめて輸入に切りかえることを考えたことはなかった、このように解釈してよろしいでしょうか。
  310. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) T2、それからそのT2を改造いたしましたFS支援戦闘機については、十月二日に大蔵省から輸入検討してはどうかという内示があったわけでございますが、この議論は四十七年度にT2が二十機ついておりますけれども、この四十七年度予算要求段階におきましても、またその前におきましても、大蔵省との間には輸入国産という形で絶えず議論が行われておったわけでございます。ただ、防衛庁として国産という方針で、既定方針でずっと進んでおりましたので、輸入の代案ということについて、少なくともこの十月に至ります間において防衛庁が独自で輸入代替案というものについて検討をいたしたことはございません。
  311. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 大蔵省にお伺いしますけれども予算委員会における私の質問に対する答弁としまして、このT2シリーズの輸入切りかえを要請した理由として為替レートの変更を挙げておられるわけです。しかし、この為替レートが変更したのは四十六年の十二月であります。四十六年の十二月の段階で為替レートが変更されたのに、これを防衛庁に話を、為替レートの変更を理由にして輸入の方が安くつくからという話を持ち出したのが四十七年の十月二日、これはきわめて不自然で納得ができないと思うんですね。しかも、一週間後の十月九日の国防会議で四次防の主要項目決定される、それまでに結論を出さなくてはならない。つまりその一週間前になって話を持ち出した。しかもその理由はもうすでに四十六年の十二月に発生した理由である。こういう点の説明をさらにわかるようにしていただきたいと思うんです。
  312. 田中敬

    説明員(田中敬君) 先生の御指摘のように、為替レートの変更は四十六年の十二月、三百六十円から三百八円に変わったわけでございますけれども、T2というような大きな防衛庁の当該年度の予算の主要項目に関する事項等につきましては、八月の末に概算要求をいただきまして、九月にその内容説明を受け、予算の骨格を決める必要がございますので、そういう大きな問題につきましては大体十月、十一月、いわゆるわれわれの予算作業の、時期的に申しますと、前半段階でおおむね議論の勝負をつけるのが主要項目につきましては通例でございます。そういう意味でその議論をいたしました段階におきましては、まだレートは三百六十円でございまして、三百六十円価格を基本として輸入国産との費用対効果を検討し、そこで私ども防衛庁の主張を入れまして、ある段階でその決着を見たわけでございます、十一月の段階で。十二月の二十日にレートが変更になりましたときは、もうほとんど予算の骨格ができておりまして、後は最後の細かいものを詰めるという段階でございましたし、あるいはまた御承知のように四十二年度からこれの国産開発予算がついておりまして、その効果のこともございまして、その段階では為替レートの変更ということに左右されずに既定方針で進んだわけでございますが、四十七年度に入りまして御承知のように一般の国内の経済対策といたしましては、対外経済対策推進閣僚協議会というようなものが設けられるような環境で、いろいろ外貨減らしでございますとか、対米経済協力というような問題が議論されまして、輸入の促進措置というようなものが何回かにわたって閣僚協議会の決定として打ち出された背景がございます。そこの段階におきまして、四次防の決定をすべく主要項目をどうするかという議論になりまして、私どもは十月に入りまして、そういう一月から七月までの外貨のふえぐあいが一挙に八億ドルも外準がふえるとか、あるいは対米貿易収支が上半期だけで日本が十六億ドルの黒字になるとか、そういう一般的な経済情勢でございましたので、これを背景に改めてここで三百八円レートということであれば輸入の方がより安くつくし、そういう一般的な経済政策にも順応する形であるから、一応輸入検討をお願いしたいということで十月二日内示の形といたしまして、支援戦闘機あるいは高等練習機につきまして輸入検討していただきたいということを申し上げたわけでございまして、御指摘のように十二月の二十日段階でのレートの変更ではございますが、その後の外貨事情が一層何と申しますか、予期した以上に緊急の課題になったということを背景に十月二日に改めてその意思表示をしたということでございます。
  313. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そういう事の成り行きの流れというものはよくわかるわけですけれども、私が言っておるのは十月九日の国防会議で四次防の主要項目決定する、事実上はそこで国産化か輸入かを決めなくてはならない。そういうときに一週間前の十月二日にいままで防衛庁はこれはもう国産を前提として考えておるわけです。一週間前に話を持ち出したというのがどう考えてもこれはむちゃだと。もし大蔵省が真剣にT2シリーズの輸入切りかえを考えておられるならば、もっと前から根回しがあってしかるべきではなかったか。私はその直前に出されたことの不自然さを尋ねておるわけです。この点はいかがですか。
  314. 田中敬

    説明員(田中敬君) 先ほど丸山防衛局長からも御説明がありましたように、四十七年度の予算編成段階、いわゆるT2二十機を予算に組み込ました際に、大蔵省といたしましては輸入案を検討していただきたいということで、高等練習機につきましてあるいは支援戦闘機につきましての輸入案の提示を求めまして、それで防衛庁からいただいた資料に基づきまして防衛、大蔵両省の間でさんざん議論をした集積がございました。そういう意味でその議論の原点に立ち返り費用対効果等を比較するということにつきましては、予算編成段階で十分議論が尽くされておりましたので、いよいよ四次防の最終決定段階に入りまして、私どもがいまも申し上げましたような外貨事情その他で輸入検討をお願いしても、そう唐突な要請ではなかったというふうに私どもは当時の事情として考えております。
  315. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私はそれはおかしいと思うんですね。いろいろ論議はされたけれども、その論議の末一つの方針が決定されたわけでしょう。だから防衛庁としてはこれは国産化でいくものと思い込んでおるわけです。思い込んでおるものをかえさせるんですから、一週間前に話を出してそれが簡単に変わるわけがない。それでしかもこの開発や量産化の準備を見ても、航空機産業の方においてもそういう前提で進んでおるわけですね。そういうものを切りかえさせるには、かなり前からそういう意向を防衛庁側に話を出しておかなければ、これ実現できるはずがないと思うんです。この点はいかがですか。
  316. 田中敬

    説明員(田中敬君) 私どもが正式に申し上げたのは十月二日でございますが、事務段階におきましては四十七年の八月九日、この四次防のいろいろの細目を決定する事務折衝をいたしております段階でございますが、四十七年の八月の九日に防衛庁に対しまして輸入機とFST2改あるいはFST2改とFSEとかあるいはFSBとT2とか、こういうものについての性能の比較表の提出を求めましたり、あるいはその他いろいろそういうものを取得する際の線表でございますリードタイムがどれくらいになるかとか、こういうことにつきまして防衛庁に資料要求をいたしまして、八月段階からすでに事務的にはそういう話し合いをいたしておりました。
  317. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 防衛庁にお伺いしますけれども、いまのお話ですが、これはあくまでも資料要求であって、輸入にかえてくれという要求じゃなかったと思うんです。もちろん大臣に話が通るまでに事前に内局間で話があったことは事実だと思います。私は本当に輸入の話を出したのはもっと後ではなかったかと思うんですけれども防衛庁側はどうですか。
  318. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 十月二日に当方の持ち込みました四次防の原案に対します大蔵当局からの内示が始まったわけでございますが、その前に当方の持ち込んだ案についての説明をやり、その段階でいろいろ議論をやっております。もちろん本件については前々から議論のあった輸入、それから国産という、こういう議論は行われておったわけでございまして、したがいまして、十月二日に輸入検討してみてはどうかということについては、防衛庁としては国産をやるという既定の路線で、しかも四十七年度に凍結されているとは言え、T2二十機の予算がもうすでに認められておるわけでございまして、国産で当然進むべきものという考え方に立っておったわけでございまして、輸入検討しろという内示の案は防衛庁としては相当抵抗感を感じたようでございます。
  319. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 重ねてお伺いしますけれども、そうすると大蔵省からこれはぜひ輸入に切りかえてくれという要請を聞かれたのはいつの時点ですか。
  320. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) ぜひかえてくれという意味の積極的な意思表示は十月の二日であるというふうに受け取っております。
  321. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そうすると、先ほどからのお話のとおり防衛庁としては十月の二日までは国産化を前提にしてこれは何にも気遣っていなかったと言っていいと思うんですね。そこへ十月二日に輸入切りかえの話を出すこと自体きわめて不自然である、この点は大蔵省も認められますね。
  322. 田中敬

    説明員(田中敬君) 正式に輸入に切りかえてくれという要請を十月二日にいたしたことは事実でございます。しかしながら先ほど申し上げましたように、八月段階からすでに各種資料の提供を求め、その資料に基づいて事務当局間でいろいろ議論を交しておりますので、大蔵省にそういう意図があったということは防衛庁の方でもお察しにはなっておったと存じます。ただ、唐突であったということでございますけれども、すでにT2について国産化が決定され、予算が計上されておるにもかかわらず、そういう内示というものをいたしたということは、唐突と申しますよりも、私どもといたしましては当時の外貨情勢その他あるいは財政負担というもので、この際考え直してもらえるなら直していただきたい、検討していただきたいという趣旨で申し上げたわけでございまして、唐突という意味がむしろその防衛庁に対して何かそういう突然の申し出という意味においては唐突であったかと存じますが、その底流は十分御理解いただけると存じます。
  323. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私はこういう問題を、予算も組まれて国産化で進んでおるものを輸入にかえるなんということはそうおいそれとできるもんじゃないと思うんです。前々から話をして、資料も要求しているから察してくれているだろう、そんなことで変わるもんじゃないと思うんですね。よっぽど強硬な申し入れを早くからしないと変わるもんじゃない。もともと大蔵省はこれを輸入に切りかえるということを本気で考えていなかったんですよ、この現状から見るならば。それで私はやっぱり話を持ち出す時点が非常に遅い。為替レートの問題とか、それから外貨事情の問題わかりますけれども、それを真剣に考えられるならば、もっと前の段階で話を出すべきであった。直前に出したというのは、これは本気でなかったということのあらわれではないかと思うんです。  さらにこの点についてお伺いしますけれども、十月の二日の時点から十月九日にかけていろいろの会議が行われております。国防会議議員懇談会あるいは国防会議幹当会その他の会合があるわけですけれども、この中でもこの問題が論議されたと思うんですね。そのとき輸入を主張した、高等練習機並びに支援戦闘機について輸入を主張したのは大蔵省だけであったかどうか。これは防衛庁にお伺いをしたいと思います。
  324. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 輸入機の問題については、当然のことながら大蔵省は輸入検討すべきであるという主張を終始続けておりました。また防衛庁輸入機について検討をすべきだ、その輸入にするかどうかは別でございますが、輸入機について検討すべきであるという御意見は当時の国防会議の事務局長からもそういう御意見が出ていたように承っております。
  325. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 午前中の、審議の中で丸山防衛局長の答弁の中にこういうのがあるわけです。十月八日に大蔵から連絡があったけれども、つまり支援戦闘機については国産でいく、そのかわりPXL、対潜機輸入だ、こういう旨の連絡が夜あったということでした。ところが、まだそれでも不安感があったから、当時の防衛庁長官の増原さんが田中総理を訪ねた。まだそれでも不安感があったというのはどういう意味ですか。
  326. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 当時の輸入検討するという御意向はかなり強いものであったというふうに私ども受け取っておるわけでございまして、十月八日に一応大蔵省の事務レベルの内意は示されておりますけれども、それだけをもって国防会議に臨むということについては、当庁として不安感が依然として残った、こういう意味でございます。
  327. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私はその不安感を抱かれて増原長官が田中総理のうちに行かれた。これは大蔵省だけでなくて、やっぱり首相の筋から強く輸入を要望されておった、こういう事実があったからではありませんか。
  328. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 総理がそういう強い御意向を持っておられるということを当時防衛庁としては直接お聞きをしていなかったというふうに聞いております。
  329. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 大蔵省はどうですか。
  330. 田中敬

    説明員(田中敬君) 当時の関係者に聞きましたところ、別に大蔵省が輸入を主張したに際しまして、総理あるいは国防会議事務局より輸入の方が望ましいというような御意見は全然聞いておらなかったそうでございます。申し上げましたような外貨事情、経済事情にからんで、この際いろいろ問題はあろうけれども、切りかえ得るなら四次防の決定に際して切りかえたい、こういう大蔵省独自の発想でございました。
  331. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それはそう言われるだろうと思いますけれども、一応次に移りたいと思います。  PXL防衛庁内部の考え方について、先ほども質問がありましたけれども国産化の方針を防衛庁自体として決定したのは四十六年予算の概算要求においてである。したがって、四十五年八月ごろだ、このように解釈してよろしいですか。
  332. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 防衛庁としてそういう考え方を持ちましたのは、四十六年の概算要求からでございます。
  333. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 その当時から防衛庁PXL国産化の方針でずっとこられたわけですけれども、この国産化を決めた理由はどこにありますか。
  334. 江口裕通

    説明員江口裕通君) 装備につきましては、四十五年度以来装備の国産化方針というのがございまして、一応基本的にはそういう基幹的な装備につきましては、そういうものに、原則としてそういうものでやっていきたい。いわゆる防衛基盤の培養に資するという基本的な考え方でやっておったわけでございますが、一方情報処理の面でもやはりP3Cにつきまして、情報処理の面でもすぐれておるというようなことも聞いておりましたわけでございますが、当時P3Cにつきましては、リリースする意図がなかったわけでございます。そういうことがからみまして、以上のような理由で進めておったということであると思います。
  335. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 五月二十七日の衆議院の特別委員会で丸山防衛局長は米側はリリースの意向はない、こういう回答を続けてきた。これが国産化の方向にいった原因だということを言われておりますけれども、これは間違いがありませんね。
  336. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) そのとおりでございます。
  337. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 その後初めてこのリリースの情報を得たのは四十七年の八月、非公式において初めてこの情報を得たわけでありますけれども防衛庁はその当時でも海幕限りであって、防衛庁は知らなかった。その当時においてもまだP3Cのリリースの望みはないという判断に立っておったかどうか。
  338. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 海幕の一部はリリースの可能性ありという情報を持っておりましたけれども防衛庁全体はその点については承知をいたしておらなかったわけでございます。
  339. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 大蔵省にお伺いしますけれども、大蔵省は対潜機輸入を主張しておられたわけですね。このリリースの問題についてはどういう見通しを持っておられたんですか。
  340. 田中敬

    説明員(田中敬君) 大蔵省は輸入の主張と申しますか、国産化を前提とする研究開発に着手するということは財政負担も大きいということで、それに反対したわけでございまして、その代案として輸入検討していただきたいということを申し上げ、その輸入検討といたしましてはP3Cというような特定の機種を対象に検討をお願いしたことはございません。当時ありました三つばかりの機種がございますが、それらについての輸入検討をお願いしたいと申し上げたわけでございます。ただし、その段階におきまして、予算折衝段階でございますが、リリースの問題が解決しておらないということは大蔵省としても十分存じておりました。しかしながら、装備化に移るのが五十七年度からというような御説明でもございましたし、その間にはこのリリース問題も含めて御検討を願う時間は十分にあろうというような感じを持っておりました。
  341. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 アメリカがP3Cのリリースに踏み切った理由はどこにあると想定されますか。
  342. 丸山昂

    説明員(丸山昂君) 正直申しまして、どういう理由であるかということはちょっと私ども推測をいたしかねます。大体一般的にリリースが行われますのは、これはアメリカ自体が実戦配置をいたしましてからかなり年月がたってからということがございます。で、もちろんリリースをする相手は同盟国である、それからその国との信頼関係、こういったものが一番大きな要素になるように思うわけでございます。日本が現在保有しておりますP2Jが能力的にもダウンするし、それから機数的にもダウンするという実情はアメリカはよく承知をしておるわけでございまして、それに日本としてはP3C級の対潜哨戒機を、ぜひ配備したいという海上幕僚監部の熱烈な希望もあるわけでございまして、その辺いろいろ勘案して、しかも日本の海上防衛ということについての重要性を判断してのことではないかと思いますが、これは一に私どもの推測にすぎないわけでございます。
  343. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 国防会議の事務局長お尋ねします。  四十七年の八月二十五日に国防会議議員懇談会が行われました。当時の増原防衛庁長官は四次防を八月末策定するように主張されたようでありますけれども、二階堂官房長官は十月以降にしようということを主張して延期された。その理由は一体何か、お伺いします。
  344. 内海倫

    説明員(内海倫君) お答え申し上げますが、当日のことにつきましての詳細なことは記録がございませんので、明確に申し上げるわけはまいりませんが、当時のいろいろな事情を推測いたしますと、四次防の主要項目等を策定する前提であります長期経済見通しというものがまだ現在作業中でございましたし、したがって、九月以降でないと確定的な見通しを得られる段階になかったという状態、また議長である総理大臣等の関係者のスケジュールの調整が大変困難であったというふうな、まあいわば客観的、一般的な情勢を考慮して、増原長官の御希望にかかわらず十月以降に決定するということになったものではなかろうかと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  345. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は、八月末に田中・ニクソン会談というものが予定されておるわけです。やはりそういう結果を見てからというような配慮ではなかったかと思うのですけれども、この点はいかがですか。
  346. 内海倫

    説明員(内海倫君) 私どもの知ります限りにおきまして、そういうものとの関係はないようでございます。
  347. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 次に専門家会議の問題についてお伺いをしますけれども、これは四十七年十月九日の国防会議議員懇談会の了解事項で設置を決めておきながら、発足したのは四十八年の八月十日、  一年近くの空白があるわけです。これは五十七年実戦配備ということを前提とするならば、これは国産化の場合は四十八年中に決めなくてはならない。海幕からも四十八年秋までに結論を出してほしいという要望をされておったはずであります。したがって、この一年近く空白があるというのは納得できませんけれども、その理由は何ですか。
  348. 内海倫

    説明員(内海倫君) 確かに御指摘のように了解事項が成立いたしましてから専門家会議が発足するまで約十ヵ月かかったわけでございます。これについて少し事情を御説明申し上げたいと思いますが、たまたまのことでございますけれども、事務局長が十二月末に交代いたしましたことも一つの理由でございますが、それまでもいろいろ検討をしてはおりましたけれども、私が引き継ぎましたときは、これは非常にむずかしい問題で、よほど検討しないと結論を出し得ないというような状態でございました。どういうことかと申しますと、先ほども他の先生から御質問をいただきましたように、「専門家の会議を設ける」と、こうありますけれども、その専門家の会議というものの基本的な性格をどういうふうに考えたらいいのか、これも非常に論議をいたしておりました。それから仮に専門家の会議をつくるとして、それでは何を審議していただき、どういうふうな形で諮問と申しますか、あるいは論議をしていただくようにしたらいいのかということにつきましてもいろいろ意見が多々出ました。それからこの専門家の会議というものを構成する上でどういうふうに構成していけばいいのか。これも後から考えれば非常に簡単なように見えますけれども、私ども考えました点は、たとえば国産に偏った形で構成をしてはいけない、あるいは輸入に偏ったようなものでもいけない、どこまでも客観的な構成をとらなければいけない、しかも専門家というものをどういうふうに把握するかということも考えなければならない、さらに答申をどうするか、会議の運営をどうするか、いろいろ論議が出まして容易に私ども答えを出すことができないまま、四月の下旬ごろになりまして一応の案をつくり、さらにそれで関係省庁の調整を行いまして、六月末ごろから具体的な人の就任交渉に入ったわけでございますが、これも私どもの想像しました以上に難航をいたした、遂にそれが八月初旬になったということでございます。私が説明申し上げますと大変簡単なことをことさら長くと、こういうふうにお感じかもしれませんが、そういうふうな問題が多々あったということをぜひ御理解をいただきたいと存じます。
  349. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は発足までの経緯ももちろんですけれども、この中の持ち方もちょっと納得できないのですね。非常に急いだ傾向が見えない。  それはおきまして、専門家会議の論議の内容について少しお伺いをしたいと思いますけれども、専門家会議委員の中で国産支持と輸入支持の割合はどれぐらいでしたか。
  350. 内海倫

    説明員(内海倫君) 新聞その他ではいろいろと書かれておりますけれども、私ども中におります者から見まして、そういうふうな色分けをするということは適切でもございませんし、また私どももどういう形でそういうふうになせばいいのか、これははかりかねます。たとえば国産をお考えになった先生方であっても、あるいは財政的な面を考慮すればこれはやむを得ないかなというお考えの先生もございますし、また論議の過程を経ながらいろいろの見解を示されておりますので、結局は私どもは最後に全員が意見を一致されて行われた審議の概要の結論と、それからそれに基づいて行われました答申というものにおいて判断する以外になかろうかと、そういうふうに存じております。  ただ、一言申し上げれば、あの答申に見ますとおり、やはり基本的な考え方というものは国産というものを基本的な考え方にしておるということだけは申し上げることができると思います。
  351. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 新聞でもいろいろ出ておりますけれども、私が調べたことによりましても、国産輸入かそれはいろいろの理由があるでしょう。しかし、強いて色分けするならば国産が圧倒的に多かった、その中で輸入を支持されたのは大蔵省出身の岩尾さんだけである、こういうことを聞いております。また、調べた結果それが大体事実だろうと思うのです。それが結果としては玉虫色の答申になった。これはいよいよ大詰めに来たころ、四十九年の十月ごろに事務局原案輸入を可とすべしというものが出された。これは正確に言うならば事務局原案というものではなくて、議事概要というものを会議に出されているわけでありますけれども、この議事概要の中で輸入をきわめて重点的に主張した概要というものを出した、こういうことが言われております。これに対して国産派の委員がかなり反発をした、この実情並びにこの議事概要の内容についてお伺いをしたいと思います。
  352. 内海倫

    説明員(内海倫君) お答え申し上げます。審議の概要をつくり始めましたのは大体九月の初旬からでございますが、これは事務局が素案はつくりますけれども、しかしそれはいずれも専門家会議の席上で出ました見解をまとめまして、それをまとめたものとして素案としてつくっているものが概要の案でございます。ただいま御指摘のございました十月のときでございますが、十月の十四日に第十五回目の会議を行いまして、それまでで大体PXLに関しましては論議が及び、説明が終わりまして、これについての一応まとめの方向を出していただきたいということで、かなり長時間フリーディスカッションが行われました。そのときに出ました御意見の大勢をまとめまして審議概要の素案ということをまとめたわけでございます。そのものにつきましては、その後各委員の先生方に持ち回りまして、さらにその素案についての御意見を承り、また、直すべきところがあれば直していただいて、それをその次の回に提出いたしました。その時の十月の十四日のフリートーキングに基づく素案はお説のようにP3Cを導入することがより適当であろう。ただし、それについてはいろいろな諸条件を検討してライセンス生産と申しますか、ライセンス国産でいくか、あるいは輸入でいくかというふうなことは十分検討しなければならないであろうと、こういうふうなことでございました。決してわれわれが何といいますか、勝手な案をつくったというふうなものではございません。なおそれにつきまして国産派の先生から御意見が云々ということは、その後さらに論議が進められて、十二月の二日にさらに通産省からも補足説明を聴取されて、それらの論議の上でさらに検討され、その当時においていろいろ論議が交わされたというものでございまして、そして最後は三人の委員の方に一任され、いわゆる審議概要のまとめ、さらに答申の作成ということが行われたものでございます。
  353. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 時間がなくなりましたので、最後に一言だけお尋ねしたいと思います。  この答申が出たわけですけれども、この答申はよく読んでみると、先ほども事務局長が言われましたように、国産に重点を置いておるという色合いは私は出ておると思うんですね。ただ最後のこのまとめた文書の中に「いずれかを否とする決定的な要素は見いだせなかった。」と、こういう言葉があるから玉虫色になっておりますけれども、この内容をよく読んでみますと、性能についても大体甲乙つけがたい。経費については輸入が有利だけれども、ただ外貨を使用という面では国産が有利だと、費用対効果の面では両機種の間に優位の差はない。航空機産業への影響についてはもちろん国産化の方がいい。技術波及効果についても国産化の方がいい。まあその他についても大体甲乙いろいろあると、こういうことで結果として出ておるこの答申の結論は、「防衛庁の運用上の要求性能的、時期的に満足」させられるならば、そういう技術的、財政的基盤があるならば国産化が望ましい、これが私は本論だと、こう思うんです。ただし「今後その量産機取得までに相当の期間を要し対潜機能維持上問題があること等を考慮すれば、」当面、外国機の導入はやむを得ない。つまり時期がおくれたから外国機導入もやむを得ないということなんです、わかりやすく言えば。こういう答申が出ておるのに、この専門家会議がこのようにおくれてきた。私はこの答申は、やっぱり時期がおくれたからやむを得ないんだ、本当はいろんなことを判断すれば国産化が望ましいんだ、こういうことを端的に読めば読み得るわけですね。こういう点からしましても、私はこの専門家会議の開催のおくれ、それから審議のやり方、これはきょうは触れる時間がなかったわけですけれども、非常に問題があるのではないか、こういう気がしますが、この点についての御答弁を求めて、私の質問を終わりたいと思います。
  354. 内海倫

    説明員(内海倫君) お答え申し上げます。  答申は、いまおっしゃいましたように甲乙つけがたい。いずれを否としがたいと、こういうのが答申の結論でございます。審議の過程からは、いろいろ審議概要をもしお読みくださればよくわかると思いますが、最後にいろいろ落としていって、P3Cと国産開発機とを対比検討いたしたわけでございます。そして結局甲乙いろいろな諸条件を勘案するとつけがたいということで答えが出たわけです。それからそのあとのものにつきましては、これは審議の結果における一つの付言でございまして、まあいわば意見が付されておると申してよかろうかと思います。先ほども申しましたように、基本的には国産がいいと、望ましいと。ただし時期的云々ということを言っておりますが、これは単に時期的のみならず、あるいは財政的あるいは技術的な面も考え合わせて、そういうふうな措置をとることもやむを得ないのではないかと。それにしてもやはりできるだけ早い時期における国産開発を考えていくべきであろうという含みを持った意見と私ども理解いたしておる次第でございます。
  355. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 終わります。
  356. 野末陳平

    野末陳平君 まず防衛庁長官にお伺いしますけれども、藤沢に芙蓉カントリーというゴルフ場がありまして、御存じかどうか、系列のゴルフ場が全国に三カ所ありまして、一つは小松の自衛隊基地のそばで、もう一つは千歳の基地が近いところでというぐあいに、このゴルフ場は自衛隊や防衛庁の幹部の人も利用するところなんですが、おなじみだと思いますが、御存じですか。
  357. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 私は存じておりません。私ゴルフいたしませんのでわかりません。野末陳平君 説明しますと、この芙蓉カントリーというゴルフ場は、丸紅と富士銀行の役員が社交に使う特殊なゴルフ場でして、一般のゴルファーは全く縁がありません。また会員になりたくても会員権を市場で売買しておりませんので入れない。ですからここに入ってプレーをする会員は芙蓉グループと特殊なコネがある、あるいは強力な線の推薦がなければだめというところなんですね。  そこで藤沢の芙蓉カントリーというゴルフ場についてきょう取り上げようと思ったのは、ここがロッキード事件の陰の舞台の一つとなっていると、私の調査ではそうなっているわけなんです。まず警察庁の方お見えですか。警察庁にお聞きしますが、ここに調査はもう当然及んでいると思うんですが、いかがでしょうか。
  358. 土金賢三

    説明員土金賢三君) お答え申し上げます。御指摘の件につきましてはまだ具体的な報告は受けておりませんが、ロッキード事件と関連するものである限り、当然ロッキード事件の全体を鋭意捜査いたしております警視庁において、そのような事実関係の有無を含めて捜査を進めているものと考えております。ただ、捜査結果の具体的内容につきましては、今後の捜査にも影響するところでございますので、御答弁は差し控えさしていただきたい、こういうふうに存じます。
  359. 野末陳平

    野末陳平君 当然調査をされなきゃおかしいと思っておりますけれども、具体的に一つだけ最初に確認しておきますが、去年の八月の末に、多分八月の三十日だったと思いますけども、国会にも証人で喚問された丸紅の元専務の伊藤宏氏が、時の内閣官房副長官の川島氏とここでゴルフを楽しんだはずになっておりまして、この事実は一部ではもう知られているんですけれども、政府としてこれは官房長官確認していただけましたか、お願いしておきましたが。
  360. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) お答えいたします。  私、この事実は実は承知をしておらなかったのでございまして、御質問があるやに承りましたので、調べましたところ、そういうことがあったようでございます。
  361. 野末陳平

    野末陳平君 そうなると警察庁にもう一つお聞きしたくなるんですがね。やはり、いわばこれは平日ゴルフなんでして、この二人の組み合わせが、伊藤さんと川島さんというこの組み合わせが気になりますから、一体この二人はどういう関係でゴルフをここでしているようになったのか。聞けばこれが一回だけではないようなんですが、警察庁、重ねて。
  362. 土金賢三

    説明員土金賢三君) お答え申し上げます。  川島元副長官と丸紅伊藤専務との関係について知っておるかと、こういう御質問でございますが、私ども承知いたしておりません。まあいまのところそういうロッキードの捜査には直接関係はないと、こういうふうに考えております。
  363. 野末陳平

    野末陳平君 じゃゴルフをやった事実はそちらでも。
  364. 土金賢三

    説明員土金賢三君) それは承知いたしております。
  365. 野末陳平

    野末陳平君 これは御本人がもうおやめになっていますので、御本人に聞くしかありませんのでね、改めてここの芙蓉カントリーというところの性格から触れていこうかと思うんです。ここに会員名簿があるわけですね。この会員名簿を見てみますと、まず丸紅の例の檜山さん、大久保さん、伊藤さんですかの三証人は紛れもなくここの会員でして、常連ですね。いわば昼の接待役じゃないかと思うんですね。で、夜用に、夜丸紅が銀座でしばしば使っているクラブがありまして、ここのクラブのママさんたちも当然ここの会員になっているわけですね。実にばかばかしいようなことなんですけれでも、つまり、丸紅としては昼夜こういうルートでもってVIPその他いろいろ接待などをしていたんではないかと思っているわけなんです。ですから、ここの昼と夜の人間関係を調べれば、当然ロッキード関係の解明もある程度できるように思っているんです。しかし、警察庁の方は質問してもお答えをいただけないようですから、あえて官房長官にお聞きしようかと思うんです。  この会員名簿を見ましたら、いわば高級官僚といいますか、官庁関係の方がこれ、メンバーに入っているわけですね。私先ほど言いましたように、ここには入れないのですよ、普通の人は。お金で入れるわけじゃありませんのでね。こういう特殊なゴルフ場に官庁関係の人がメンバーになっているということがどうも脇に落ちませんで。これは昭和四十五年の名簿なんです。これが最新の名簿ですから、この中で官庁関係の人をちょっと引用しますと、私知らない人もいますので、たとえば大蔵省の相澤さんとか、それから外務省の吉野さんとか、ほかにも通産とかいろいろなお役所からメンバーになっているわけですね。そこで考えるんですがね、芙蓉グループの身内あるいは芙蓉グループの人しか入れないようなゴルフ場になぜ官僚の方がメンバーになれているのかと。これはどう考えても、役人と業者のつながりの深さといいますか、かなり仲のよさを疑わせるのは、これは当然だと思うんですね。もちろんロッキード関係とこれを関係づけてお聞きしているわけじゃありませんけれども、しかし、少なくもいろいろ疑惑を招くようなことであり、好ましいとは私思えないんですね。道義上から考えても、この業者とこういう特殊なところでゴルフをするとか、あるいはここの会員になっているとか、そういうことはやはりちょっとやめるべきことじゃないかと、こう思いますので、どうなんでしょうか。お役人の皆さんというのはこういうことはわりと平気なんですか、それとももう常識になっていてあえて取るに足らないことなんでしょうか、その辺ちょっとお聞きしたいと思うんですが。
  366. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 私もどうもゴルフに縁がないものですから、そのカントリー倶楽部がどうかということは全く存じておらないのであります。  いま御指摘のような点についてでございますが、これは個々のケースによって事情が異なるということはあろうかと思いますので、一般論としてどうも善悪の判断というのはあえて言及いたすこともどうかと、差し控えさせていただきたいと、こう思います。
  367. 野末陳平

    野末陳平君 じゃあもう一つ官房長官にお伺いしますがね、政治家と業者の癒着などいろいろと今回また問題になりまして構造汚職などと言われていますが、ここに当然お役人が、官僚が一枚加わって、この三者で構造汚職を形成しているというふうに思っているんですね、私は。どう考えても道義上の責任といいますか、みずからの置かれた立場というものに対してお役人もどうも鈍感過ぎはしないかと、こういうふうに実は思うんです。ですからそれは一般論としてでもいいんですがこういうことはケース・バイ・ケースでということでなくて、やはり平気であってはいけないことで避けるべきことだ、誤解を招くような、疑惑を招くような業者とのつながりを持っちゃいけない、こう思いますが、いかがですか。
  368. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 公務員たる者は身を持すること厳でなければならぬことは当然でございます。そういう意味で身辺を気をつけなければならぬという一般論は私も同感でございますが、たださっき御指摘の件が直接いま話題になっておる問題と結びついておるというふうには思っておりません。
  369. 野末陳平

    野末陳平君 防衛庁長官にずっと後はお聞きしますので、官房長官は結構ですから。  さて、長官にお聞きしますが、防衛庁ではもちろんいろんな業者との折衝があるとは思いますけれども、やはり国民の税金を使っていろいろ物を買ったりする立場ですから、当然一層厳しくつき合い方といいまずか、接触の仕方を気にしているだろうと思うのです。業者からゴルフとかあるいは夜の招待など誘われた場合、防衛庁はどういうふうにするように御指導なさっていますか。どなたでも結構ですから。
  370. 竹岡勝美

    説明員(竹岡勝美君) お答えいたします。  防衛庁はこういう自衛隊員、こういう組織でございますので、他の官庁以上に規律の厳正というのが要求されております。また、御承知のとおり防衛庁は、古い昔でございますけれども、ロッキード、グラマンとかいろんな問題で揺さぶられた経験、苦い経験もございます。防衛庁の職員、特に制服の自衛隊員というものはこの点につきましては非常に私は神経質と言っていいくらい気を使っておる、このように思いますので、また長官の方からも、防衛庁関係は非常に多額の契約等もございますので、この点については十分に身を慎むように常日ごろ戒められておりますので、防衛庁職員につきましては厳重に注意をし、みずからを戒めておる、このように考えております。
  371. 野末陳平

    野末陳平君 当然そうだと思うのですね、そうあってほしいと思うのですよ。ことしになってからは確かに自粛なさっているようなんですね。これはもちろん全体について言うのじゃありませんで、私の知った範囲だけですから。たとえば工場に検査のために出張する場合も、ことしになってからはきちっと制服を着まして、日帰りで帰っているようなんで、ゴルフも宴会もないようなんですが、去年までは果たしてそうであったかどうか。いまのお答えのようにそんなに神経質にやっていたかどうかということになると、私の方が知る限りにおいちゃ必ずしもそうじゃないわけですよ。本当に長官あれでしょうかね、そこまで厳しくやられていたんでしょうかね。
  372. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) ただいま人教局長が一般論として申し上げたことは常々私が戒めておることでございます。いやしくも、業界と妙な関係になるというようなことは厳に慎むべきことだというふうに考えております。  ただ、御承知のように、最近、戦前と違いまして、非常に自由な世の中になってまいっておりますし、それからいろいろのスポーツもかなり流行をいたしております。したがいまして、それぞれの個人個人で身は慎むとも、自分で良識とそれから常識の線でそれぞれの楽しみもやっておる、あるいは体力づくりをやっておるということはあろうかと思います。ただ、去年とことしと比較してどういうふうになっておるか、それはつまびらかにいたしておりません。
  373. 野末陳平

    野末陳平君 やぼなことを言うわけじゃないんですね。ゴルフがいけないとは全然言っていませんで、自由にゴルフをやるのも結構です。良識の線でおやりになるのもいいんですが、しかし、長官もしね、そういうふうにおっしゃるならば、私の方からある程度御説明してもいいんですけれども、私の方は業者の方からの話であり、一部分しか知りませんから、具体的にあまり露骨に言うとかえって不公平になってまずいと思いますから、大ざっぱに言います。もし詳しくお知りになりたければ後で全部お教えしても結構ですけれども。  こういうことなんですよ。一例ですね、一例。大企業の下請をやっている部品メーカーの工場に年に四、五回は——恐らく防衛庁の方おわかりだと思いますが、年に四、五回は制服の技官があれですか、製品の検査に行くまあ工場があるわけですね。これは関東地区ですがね。この場合ですね、公務出張ですからね。でも実際にやることは午前中で検査はおしまいなんです。午後はゴルフで、また制服で行かないで私服でもってゴルフバッグ担いで出張に来るんですからね。だからこういうところがぼくね少し気楽に考え過ぎているんじゃないかと思うんですがね。まあ、いずれにしても業者の方はこれがあたりまえだと思ってますからね、別におかしいとも思わないらしいんですがね。宿は近くの温泉地に大体とると、こういうのが業者の検査を受けるときのパターンになっているわけですね。細かいことを言えば、宿泊費を業者に持たして旅費浮かせるなんという人もいるわけですよ。  そこで、ぼくがお伺いしたいのは、今度の事件が起きたについて防衛庁内部でも当然業者とどういうつき合いしていたんだということを何か調査といいますか、報告をさせるといいますか、神経質にいろいろ検討されたんじゃないかと思うんですよ。その中でぼくがいま言ったような話の片りんぐらいは出てきているはずだとぼくは思っているんですね。いかがでしょうか、こういうことは全くあり得ないといって自信を持ってそちらではお答えになることできますか。
  374. 玉木清司

    説明員玉木清司君) お答えいたします。  この二月からロッキード事件がございましたので、当然にわれわれも部内の綱紀の問題という角度からも検討いたしております。特に指揮命令という形で点検を命じたことはございませんが、幕僚副長、各付属機関の副長、こういう者の集合いたします定例の会議がございますので、そういうものと部内の自発的点検という形で点検をいたしまして、私のところに報告が寄っておりますが、ただいままでのところそういうものの片りんはございません。
  375. 野末陳平

    野末陳平君 そうですかね、片りんがないとすると、業者の方が勝手にそう思ってやっているということになるかもしれませんね。後でじゃこれ以上のことをお教えします。  そこでこれは、いいですか、これは業者とのつき合い方のごく初歩的といいますか、ごくあたりまえにやってだれもこれが悪いと、業者ももちろんそれから検査にいく方も思っていない程度なんです、これは。でこの後——その前に、こういうことを社内処理でもって業者の方も伝票書くわけですが、その場合は全部そちらのお名前は使わない、証拠を残すことになっていますから、これはエチケットだというんで使わないで別の名前をやったりして、そういうのが事実あるから、実を言うと証拠が残らないんですよね。証拠が残らないから、これについてはそちらも絶対にないと言い張れるのかもしれませんね。だからその点で私はいま言ったように、出張に行くのに私服でゴルフバッグ持っていくとか、そういうようなことは恐らく御本人が一番よく知っているんじゃないかと思うんです。  そこで、さらに防衛庁の皆さんが業者とどういうようなつき合い方をしているかということを指摘して、先ほど言った構造汚職といわれるが、この役者として政治家と業者とそれから役人と、この三者がいるということをまた続けて質問したいと思うんです。時間がなくなっちゃったんで、次の機会がありますので、そのときまでにそちらに資料を差し上げます。  終わりとします。
  376. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十二分散会