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1976-04-07 第77回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年四月七日(水曜日)     午前十一時四十四分開議  出席分科員    主査 笹山茂太郎君       荒舩清十郎君    大石 千八君       片岡 清一君    木野 晴夫君       櫻内 義雄君    瀬戸山三男君       前田 正男君    兼務 受田 新吉君 兼務 小沢 貞孝君    兼務 小宮 武喜君 兼務 永末 英一君    兼務 宮田 早苗君 兼務 渡辺 武三君  出席国務大臣         法 務 大 臣 稻葉  修君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      植木 光教君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 坂田 道太君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      佐々木義武君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 小沢 辰男君  出席政府委員         内閣法制次長  真田 秀夫君         内閣法制局第三         部長      茂串  俊君         国防会議事務局         長       内海  倫君         内閣総理大臣官         房会計課長   豊藏  一君         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      室城 庸之君         内閣総理大臣官         房広報室長   関  忠雄君         内閣総理大臣官         房管理室長   藤井 良二君         内閣総理大臣官         房同和対策室長 今泉 昭雄君         警察庁長官官房         長       鈴木 貞敏君         警察庁交通局長 勝田 俊男君         宮内庁次長   富田 朝彦君         行政管理庁長官         官房会計課長  林  伸樹君         北海道開発庁予         算課長     冨金原俊二君         防衛庁参事官  岡太  直君         防衛庁長官官房         長       玉木 清司君         防衛庁防衛局長 丸山  昂君         防衛庁人事教育         局長      竹岡 勝美君         防衛庁経理局長 亘理  彰君         防衛庁装備局長 江口 裕通君         防衛施設庁長官 斎藤 一郎君         防衛施設庁総務         部長      安斉 正邦君         科学技術庁長官         官房会計課長  石田  徳君         科学技術庁原子         力局長     山野 正登君         環境庁長官官房         長       金子 太郎君         環境庁長官官房         会計課長    松田豊三郎君         環境庁企画調整         局長      柳瀬 孝吉君         環境庁企画調整         局環境保健部長 野津  聖君         環境庁自然保護         局長      信澤  清君         環境庁大気保全         局長      橋本 道夫君         環境庁水質保全         局長      堀川 春彦君         沖繩開発庁総務         局会計課長   隈   健君         法務大臣官房会         計課長     近松 昌三君         法務省人権擁護         局長      村岡 二郎君         運輸省自動車局         長       高橋 寿夫君  分科員外出席者         衆議院事務次長 大久保 孟君         衆議院庶務部長 彌富啓之助君         衆議院法制局長 川口 頼好君         参議院事務総長 岸田  實君         裁判官弾劾裁判         所事務局長   西村 健一君         裁判官訴追委員         会事務局長   大迫 藤造君         国立国会図書館         長       宮坂 完孝君         会計検査院事務         総長      鎌田 英夫君         最高裁判所事務         総長      寺田 治郎君     ————————————— 分科員の異動 三月二十九日  辞任         補欠選任   瀬戸山三男君     細田 吉藏君   大橋 敏雄君     渡部 一郎君 同日  辞任         補欠選任   細田 吉藏君     瀬戸山三男君   渡部 一郎君     大橋 敏雄君 四月七日  辞任         補欠選任   櫻内 義雄君     大石 千八君   瀬戸山三男君     木野 晴夫君 同日  辞任         補欠選任   大石 千八君     櫻内 義雄君   木野 晴夫君     瀬戸山三男君 同日  第二分科員永末英一君、宮田早苗君、第五分科  員受田新吉君、小沢貞孝君、小宮武喜君及び渡  辺武三君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十一年度一般会計予算皇室費国会、  裁判所会計検査院内閣総理府経済企画  庁、国土庁を除く)及び法務省所管並びに他の  分科会所管以外の事項  昭和五十一年度特別会計予算及び昭和五十一年  度政府関係機関予算中他の分科会所管以外の  事項      ————◇—————
  2. 笹山茂太郎

    笹山主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  本分科会は、皇室費国会裁判所会計検査院内閣総理府及び法務省並びに他の分科会所管以外の事項、なお、総理府につきましては経済企画庁及び国土庁を除く所管について審査を行うことになっております。  昭和五十一年度一般会計予算中、皇室費国会裁判所会計検査院内閣総理府及び法務省の各所管を議題とし、それぞれ説明を求めます。  まず、富田宮内庁次長
  3. 富田朝彦

    富田(朝)政府委員 昭和五十一年度における皇室費歳出予算について、その概要を御説明いたします。  皇室費昭和五十一年度における歳出予算要求額は二十二億九千四百八十六万五千円でありまして、これを前年度予算額二十一億四千五百七十七万六千円に比較いたしますと、一億四千九百八万九千円の増加となっております。  皇室費歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。  以下、予定経費要求書の順に従って事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費一億六千七百万円、宮廷に必要な経費二十億二千五百三十五万五千円、皇族に必要な経費一億二百五十一万円であります。  次に、その概要を御説明いたします。  内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上したものでありまして、前年度と同額となっております。  宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費二億六千五百九十六万八千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費十七億五千九百三十八万七千円でありまして、前年度に比較して一億四千九百八万九千円の増加となっております。  なお、皇室用財産維持管理等に必要な経費には、皇族殿邸建設に必要な経費四億二千九百十四万六千円が計上されております。  皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上したものでありまして、前年度と同額となっております。  以上をもちまして、昭和五十一年度皇室費歳出予算計上額説明を終わります。  よろしく御審議くださるようお願いいたします。     —————————————
  4. 笹山茂太郎

  5. 大久保孟

    大久保事務次長 昭和五十一年度衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和五十一年度国会所管衆議院関係歳出予算要求額は二百七十億四千三百四十五万二千円でありまして、これを前年度に比較いたしますと、二十八億九千八百九十五万四千円の増加となっております。  次に、その概略を御説明申し上げますと、第一は、国会運営に必要な経費でありまして、二百五十二億七千三百七十一万円を計上いたしております。この経費は、議員議員秘書及び職員給与に関する経費旅費庁費議案類印刷費通信費等事務費及び庁舎等維持管理に必要な経費でありまして、前年度に比し二十九億二百八十五万九千円の増加となっております。  増加したものの主なものを申し上げますと、文書通信交通費月額三十五万円を五十五万円に増額いたしております。  また、弔慰金につきましては、歳費月額十二カ月分に相当する金額を十六カ月分に、職務に関連した場合につきましては、歳費月額十五カ月分に相当する金額を二十カ月分に引き上げて支給することといたしております。  海外派遣に必要な外国旅費につきましては、一億三千二百五十七万六千円を計上いたしております。  次に、公職選挙法の一部を改正する法律に基づき次の総選挙から施行される本院の議員定数二十名増に伴う必要な経費を計上いたしております。また、これに伴い職員を三名増員いたしました。  第二は、衆議院施設整備に必要な経費といたしまして、十七億六千二百七十四万二千円を計上いたしております。このうち主なものは事務局庁舎の新営費でありまして、昭和五十四年度完成を目途として十一億三千九百九十五万九千円、第二議員会館空調設備の一部改修に必要な経費七千四百四十八万八千円、赤坂議員宿舎一、二号館外壁改修及び赤坂青山議員宿舎整備に必要な経費一億五千四百八十三万二千円、国会周辺整備に必要な不動産購入費として一億五千万円等であります。  第三は、国会予備金に必要な経費といたしまして、前年度同額の七百万円を計上いたしております。  以上、簡単でありますが、衆議院関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願いいたします。     —————————————
  6. 笹山茂太郎

  7. 岸田實

    岸田参議院事務総長 昭和五十一年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和五十一年度国会所管参議院関係歳出予算要求額は百六十一億一千二百四十五万三千円でありまして、これを前年度に比較いたしますと、十一億三千四百五十四万三千円の増加となっております。  次に、その概略を御説明申し上げますと、第一は、国会運営に必要な経費でありまして、百五十億三千四百八十六万八千円を計上いたしております。  この経費は、議員議員秘書及び職員給与に関する経費旅費庁費議案類印刷費通信費等事務費及び庁舎等維持管理に必要な経費でありまして、前年度に比し十五億一千三百二十五万二千円の増加となっております。  増加したものの主なものを申し上げますと、文書通信交通費月額三十五万円を五十五万円に増額いたしております。  また、弔慰金につきましては、歳費月額十二カ月分に相当する金額を十六カ月分に、職務に関連した場合につきましては、歳費月額十五カ月分に相当する金額を二十カ月分に引き上げて支給することといたしております。  海外派遣に必要な外国旅費につきましては、八千三百七十四万四千円を計上いたしております。  第二は、参議院施設整備に必要な経費といたしまして、十億七千二百五十八万五千円を計上いたしております。  このうち主なものは、事務局庁舎新営の最終年度工事に必要な経費三億一千二百六十八万八千円、議員会館における委員長室及び議員サロン新設並びに冷房用冷凍機改修等に必要な経費四億六千三百九十二万一千円等であります。  第三は、国会予備金に必要な経費といたしまして、前年度同額の五百万円を計上いたしております。  以上、簡単でありますが、参議院関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願いいたします。     —————————————
  8. 笹山茂太郎

  9. 宮坂完孝

    宮坂国立国会図書館長 昭和五十一年度国立国会図書館関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和五十一年度国会所管国立国会図書館関係歳出予算要求額は四十九億九千二百三十五万七千円でありまして、これを前年度予算額四十五億六百七十九万円と比較いたしますと、四億八千五百五十六万七千円の増加となっております。  要求額事項別概略説明申し上げますと、その第一は、国立国会図書館管理運営に必要な経費でありまして、四十七億九千一百六十四万三千円を計上いたしております。  これは、職員給与等に関する経費立法調査業務に要する経費図書の収集及び利用に要する経費、目録、書誌等作成刊行に要する経費図書の製本、印刷カード作成、頒布に要する経費図書館間協力業務に要する経費並びに図書館業務機械化に要する経費、その他でございます。  第二は、科学技術関係資料購入に必要な経費でありまして、一億八千四百三十九万円を計上いたしております。  第三は、国立国会図書館施設整備に必要な経費といたしまして、一千六百三十二万四千円を計上いたしております。  これは、書庫棟避難誘導灯設備及び公開書架室用書架設置等に要する経費であります。  以上、簡単でございますが、国立国会図書館関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願いいたします。     —————————————
  10. 笹山茂太郎

  11. 大迫藤造

    大迫裁判官訴追委員会参事 昭和五十一年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和五十一年度国会所管裁判官訴追委員会関係歳出予算要求額は六千三百九十一万九千円でありまして、これを前年度予算額千八百三十三万四千円に比較いたしますと、五百五十八万五千円の増加となっております。  この要求額は、裁判官訴追委員会における委員長職務雑費及び事務局職員給与に関する経費並びに訴追事案審査に要する旅費その他の事務費でありまして、前年度に比し増加となっておりますもののうち主なものは、職員給与関係経費増加によるものであります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。     —————————————
  12. 笹山茂太郎

  13. 西村健一

    西村裁判官弾劾裁判所参事 昭和五十一年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和五十一年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係歳出予算要求額は五千五百五十五万一千円でありまして、これを前年度予算額千八百三十二万二千円に比較いたしますと、二百七十七万一千円の減少となっております。  この要求額は、当裁判所裁判長職務雑費委員旅費及び事務局職員給与に関する経費事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官弾劾裁判に直接必要な旅費庁費であります。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。     —————————————
  14. 笹山茂太郎

  15. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 昭和五十一年度会計検査院所管歳出予算について説明申し上げます。  昭和五十一年度会計検査院所管一般会計歳出予算要求額は六十一億六千五百二十四万九千円でありまして、これは会計検査院日本国憲法第九十条及び会計検査院法規定に基づいて会計検査を行うために必要な経費であります。  いま、要求額の主なものについて申し上げますと、一、職員俸給給与手当等として五十四億八千七百六十三万一千円を計上いたしましたが、これは総額の八九%に当たっております。これらのうちには、会計検査充実を図るため、定員二人を増加する経費及び技術専門官一人、調査官五人を増置する経費も含まれております。  二、旅費として四億一千四百八十一万三千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、会計実地検査旅費が四億七十三万三千円、外国旅費が四百七十七万一千円であります。  三、施設整備費として四千四百七十九万一千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、書庫棟特殊消火設備工事費及び庁舎本館事務室床改修工事費であります。  次に、ただいま申し上げました昭和五十一年度歳出予算要求額六十一億六千五百二十四万九千円を前年度予算額五十六億二千九百八万五千円に比較いたしますと、五億三千六百十六万四千円の増加となっておりますが、その内訳について申し上げますと、一、職員俸給給与手当等において四億一千五百八十万五千円、二、旅費において九千四百六十万四千円、三、その他において二千五百七十五万五千円となっております。  以上、はなはだ簡単でございますが、昭和五十一年度会計検査院所管一般会計歳出予算要求額概要説明を終わります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  16. 笹山茂太郎

    笹山主査 以上で国会関係は終わりましたが、退席されて結構でございます。     —————————————
  17. 笹山茂太郎

  18. 植木光教

    植木国務大臣 昭和五十一年度における内閣及び総理府所管歳出予算要求額について、その概要を御説明いたします。  内閣所管昭和五十一年度における歳出予算要求額は八十四億九千四百十一万八千円でありまして、これを前年度歳出予算額七十五億三千九百九十七万六千円に比較いたしますと、九億五千四百十四万二千円の増額となっております。  次に、総理府所管昭和五十一年度における歳出予算要求額は三兆四千百六十九億一千五百二十一万円でありまして、これを前年度歳出予算額二兆九千七百六十七億四千五百五万円に比較いたしますと、四千四百一億七千十六万円の増額となっております。  このうち、経済企画庁及び国土庁に関する歳出予算要求額につきましては、他の分科会において御審議を願っておりますので、それ以外の経費について予定経費要求書の順に従って主なるものを申し上げますと、総理本府に必要な経費九千三百二十三億九千六百五十二万一千円、警察庁に必要な経費一千十六億三百六十八万一千円、行政管理庁に必要な経費百四十九億三千四百三十六万七千円、北海道開発庁に必要な経費三千七百五億五千百二万一千円、防衛本庁に必要な経費一兆三千七百七億三千七百二十三万七千円、防衛施設庁に必要な経費一千四百十五億一千五百万円、科学技術庁に必要な経費一千九百六十一億四千四百九十二万五千円、環境庁に必要な経費三百四億百四十四万円、沖繩開発庁に必要な経費一千十四億七千九百五十五万八千円等であります。  次に、これらの経費についてその概要を御説明いたします。  総理本府に必要な経費は、総理本一般行政及び恩給の支給等のための経費でありまして、前年度に比較して、二千四十三億七千七百四十八万三千円の増額となっております。  警察庁に必要な経費は、警察庁及びその付属機関並びに地方機関経費及び都道府県警察補助のための経費でありまして、前年度に比較して百七億七千三百五十六万六千円の増額となっております。  行政管理庁に必要な経費は、行政管理庁所掌一般事務処理費都道府県に配置されている統計専従職員費地方環境行政推進費国連アジア統計研修の実施に対する協力及び行政情報処理調査研究等のための経費でありまして、前年度に比較して十三億五千九百九十七万五千円の増額となっております。  北海道開発庁に必要な経費は、北海道における土地改良農用地開発漁港住宅、林道、造林等事業経費及び治山治水道路整備港湾整備等事業に充てるための財源の各特別会計への繰入金等経費でありまして、前年度に比較して二百三十九億八百五万七千円の増額となっております。  防衛本庁に必要な経費は、陸上、海上、航空自衛隊等運営武器車両及び航空機等購入並びに艦船の建造等のための経費でありまして、前年度に比較して一千三百三十三億九千八百六十一万円の増額となっております。  防衛施設庁に必要な経費は、防衛施設周辺地域生活環境整備等を一層拡充することにより、関係住民生活の安定、福祉の向上に寄与するための経費並びに基地従業員対策充実及び駐留軍施設整理統合等のための経費でありまして、前年度に比較して百十五億一千六百五十九万四千円の増額となっております。  科学技術庁に必要な経費は、原子力開発利用宇宙開発及び海洋開発推進福祉防災科学技術振興、その他の重要分野研究開発推進並びに科学技術振興基盤整備等のための経費でありまして、前年度に比較して二百八十八億四千三百九十八万七千円の増額となっております。  環境庁に必要な経費は、大気水質土壌等に関する公害規制基準の強化、公害監視設備整備公害健康被害の補償、公害防止事業団の助成、公害防止等に関する調査研究等公害対策に必要な経費及び自然公園等維持管理交付公債による特定民有地買い上げ、自然公園等施設整備鳥獣保護等自然環境保護整備対策のための経費でありまして、前年度に比較して八十四億四千六百二十二万五千円の増額となっております。  沖繩開発庁に必要な経費は、沖繩における教育振興保健衛生対策農業振興に要する経費並びに沖繩開発事業に要する海岸、漁港住宅環境衛生施設都市計画土地改良造林等事業経費及び治水治山道路整備港湾整備空港整備事業に充てるための財源の各特別会計への繰入金等経費でありまして、前年度に比較して八十九億五千六百八十一万九千円の増額となっております。  また、以上のほかに継続費として、防衛本庁において四百二十七億八千四百九十二万三千円、国庫債務負担行為として、総理本府において百三十七万円、警察庁において六億九百五十七万一千円、北海道開発庁において百二十一億七千四百五十五万八千円、防衛本庁において三千二百七十四億八千五百五十一万二千円、防衛施設庁において六十六億六千五百二十万円、科学技術庁において六百九十二億七千四百九十万円、環境庁において六億二千八百九十六万四千円、沖繩開発庁において六十六億一千四百三十二万三千円を計上いたしております。  以上をもって昭和五十一年度内閣及び総理府所管歳出予算要求額概要説明を終わります。  よろしく御審議くださるようお願い申し上げます。     —————————————
  19. 笹山茂太郎

  20. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 昭和五十一年度裁判所所管予定経費要求額について説明申し上げます。  昭和五十一年度裁判所所管予定経費要求額総額は一千三百七十一億五千九百九十三万一千円でありまして、これを前年度予算額一千二百七十七億七千二百八十四万七千円に比較いたしますと、差し引き九十三億八千七百八万四千円の増加となっております。これは、人件費において七十五億三千五百八十一万九千円、裁判費において七億六千六十四万一千円、司法行政事務を行うために必要な旅費庁費等において十億九千六十二万四千円が増加した結果であります。  次に、昭和五十一年度予定経費要求額のうち、主な事項について説明申し上げます。  まず、人的機構充実のための経費であります。  一、特殊損害賠償事件等の適正迅速な処理を図るため、判事補三人、裁判所事務官六人の増員に要する経費として一千二百七十六万九千円、二、行政事件の適正迅速な処理を図るため、判事補四人、裁判所事務官十二人の増員に要する経費として二千十三万二千円、三、交通事件、すなわち道路交通法違反事件の適正迅速な処理を図るため、裁判所事務官七人の増員に要する経費として五百三十八万四千円、四、調停制度の拡充強化を図るため、裁判所事務官三十三人の増員に要する経費として二千百四十九万三千円、五、寄託金事務の処理を図るため、裁判所事務官三人の増員に要する経費として二百三十二万六千円、合計六千二百十万四千円を計上しております。  以上、昭和五十一年度の増員は合計六十八人でありますが、他方、定員削減計画に基づく昭和五十一年度削減分として、裁判所事務官四十八人の減員を計上しておりますので、これを差し引きますと、二十人の定員増加となるわけであります。  次は、裁判運営の効率化及び近代化に必要な経費であります。一、庁用図書図書図書充実を図る等のため、裁判資料の整備に要する経費三億一千四十三万六千円、二、裁判事務の能率化を図るため、複写機、計算機等を整備する経費二億三千九百二十四万五千円を計上しております。  次は、裁判所施設の整備充実に必要な経費であります。裁判所庁舎の新営及び増築、新規十一庁、継続十二庁に必要な工事費及び事務費等六十四億二千七百九十七万一千円を計上しております。  次は、調停制度の拡充強化に必要な経費であります。一、調停委員の手当として二十六億九千二百五十万九千円、二、調停室の整備等に要する経費として四億三千三百五十九万三千円を計上しております。  次は、裁判費であります。一、証人等の日当を増額する経費として一千五百三十一万七千円、二、国選弁護人報酬を増額する経費として七千七百五万九千円、三、刑事訴訟法の一部改正に伴う費用補償に必要な経費として七千十九万九千円を計上しております。  以上が昭和五十一年度裁判所所管予定経費要求額の大要であります。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。     —————————————
  21. 笹山茂太郎

    笹山主査 次に、稻葉法務大臣。
  22. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 昭和五十一年度法務省所管予定経費要求の内容につきまして、大要を御説明申し上げます。  昭和五十一年度の予定経費要求額は二千五百三十四億七千五百七十六万円であります。前年度補正後予算額二千三百三十一億六千七百十二万五千円と比較しますと、二百三億八百六十三万五千円の増額となっております。  なお、組織関係については、量的増加と質的複雑困難化の度を加えている国の利害に関係のある争訟事件に対処するため、大臣官房訟務部を訟務局に昇格させ、もって訟務行政の円滑な運営を図ることといたしております。  さて、予定経費の増減について、その詳細は別途の資料により御承知願いたいのでありますが、内容を大別して御説明いたしますと、第一に、人件費関係の増百五十七億三百七十六万一千円であります。これは昇給等の原資としての職員基本給及び退職手当等増額分が主なものでありますが、そのほかに、副検事、法務事務官等五百七十八人の増員に要する人件費が含まれております。  ここで、増員の内容について申し上げますと、一、交通事件、財政経済事件、公害事件、公安労働事件等に対処するとともに、公判審理の迅速化を図るため、副検事三人、検察事務官百二十五人、二、登記事件、国の利害に関係のある争訟事件及び人権侵犯相談事件に対処するため、法務事務官二百六十人、三、刑務所における看守の勤務条件の改善と医療体制の充実を図るため、看守百六人、看護士、婦人ですが十二人、四、非行青少年対策を充実するため、保護観察官二十人、五、出入国審査及び在留資格審査に対処するため、入国審査官二十四人、入国警備官五人。六、暴力主義的破壊活動に対する調査機能を充実するため、公安調査官二十三人となっております。  他方、昭和四十九年の閣議決定に基づく定員削減計画(第三次)による昭和五十一年度削減分として、四百八十八人が減員されることとなりますので、これを差し引きますと九十人の定員増加となるのであります。  第二に、一般事務費の増四十六億四百八十七万四千円であります。これは、事務量の増加に伴って増額されたもののほか、積算単価の是正、職員の執務環境の整備改善並びに保護司実費弁償金及び人権擁護委員実費弁償金の単価引き上げに伴う増額分等であります。  次に、主な事項経費について概略を御説明いたします。  第一に、法務局、地方法務局において登記、供託、戸籍等の事務を処理するために要する経費として三十二億七千八百三十八万六千円、第二に、検察庁において刑事事件を処理するための検察活動に要する経費として十五億九千七百二十九万二千円、第三に、拘置所、刑務所、少年刑務所、少年院、少年鑑別所及び婦人補導院の被収容者の衣食、医療、教育、作業等に要する経費として百四十三億六百二十三万二千円、第四に、保護観察に付された少年等を更生させるための補導援護に要する経費として二十四億三千百六十四万二千円、第五に、出入国の審査、在日外国人の在留資格審査及び不法入国者等の護送、収容、送還等を行うのに要する経費として三億一千五百二十五万五千円、なお、外国人登録法に基づき、在日外国人の登録及び指紋採取の事務を処理するために要する経費として七億一千八百六十三万九千円。第六に、公安調査庁において処理する破壊活動防止のための調査活動等に要する経費として十三億九千五百八十七万六千円、第七に、法務局、検察庁等の庁舎及び刑務所、少年院等の収容施設の新営整備に要する経費として八十億二千六百六万一千円が計上されております。  最後に、当省主管歳入予算について一言御説明申し上げます。  昭和五十一年度法務省主管歳入予算額は六百十九億六千六百二十万円でありまして、前年度予算額六百六十六億五千八百四十八万五千円と比較しますと、四十六億九千二百二十八万五千円の減額となっております。  以上、法務省関係昭和五十一年度予算案について、その概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。
  23. 笹山茂太郎

    笹山主査 これにて各所管についての説明は終わりました。     —————————————
  24. 笹山茂太郎

    笹山主査 これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。受田新吉君。
  25. 受田新吉

    ○受田分科員 先ほどいろいろと政府側の説明を承りました。その中で、総理府の予算に関係する問題で、一つお尋ねをしたいことがございます。  昨年、ここにおられる稻葉法務大臣の発言をめぐって——憲法を遵守し、擁護する義務がある憲法第九十九条の規定に基づきまして、憲法が日本国で基本法として誕生して以来、最初の五年間は記念行事をやって憲法の普及徹底を図ってきた。しかるところ、自後、自民党内にも憲法改正論者もおられまして、また組織的に党内に機関もできまして、いつの間にか、この現行憲法を大いに尊重し、そしてそれを祝福する行事等が中断をしてきたわけです。それで、稻葉法務大臣の発言に関連して、三木総理及び稻葉法務大臣も御一緒の閣議によりまして、憲法記念行事をやるということが決定をしました。  そこで、総理府の予算を拝見しますると、五百万円という金額が計上されておるのでございますが、憲法を大いに尊重し、そしてその基本法を祝福する行事としては余りにもささやかな予算額であると思うのですが、これはどのようにお使いになろうとしておるのでございますか。
  26. 植木光教

    植木国務大臣 ただいまお話がございましたように、国会におきまして、憲法記念日に政府が何らかの行事を行うべきであるという御議論がございまして、また本年は憲法公布三十年を迎える年でございますので、憲政記念館におきまして式典を行おうとするものでございます。  これは、ただいま仰せのとおり、四月二日に閣議決定をいたしたのでございますが、憲政記念館におきまして、内閣が主催をいたしまして、三権の方々及び報道関係者あるいは民間代表者等に御参集をいただきまして、厳粛かつ簡素に式典を行いたいと存じております。
  27. 受田新吉

    ○受田分科員 厳粛かつ簡素にということで、五百万円で予算を打ち切った。この憲法の趣旨を普及徹底せしめるために、憲法公布以後におきまして憲法普及会というのが当時ありまして、稻葉先生も御存じのように、新憲法の趣旨徹底を図る機関がございました。そういうこともありまして、当初はこの新憲法を国民的規模で理解し、消化する努力が払われてきたわけです。その後、この憲法の中身の中に、与えられた憲法などという論議も出まして、そうした新憲法の誕生を祝福し、その趣旨を理解し協力するという動きが中断をして、政府自身もその問題を敬遠して、昭和二十七年の五周年の記念式典以後、何ら行事を行っていない。  その後、十年、十五年、二十年、二十五年と、区切りのよいとき、私からも何回か質問を申し上げ、また三十七年には、片山元総理からも当時の池田首相に対して、強烈に憲法の尊重、祝賀行事を提唱されたのでございますが、実りませんでした。来し方を顧みてまことに残念な歴史をいまよみがえらせておるのでございますが、ちょうど私、二十二年の五月三日のあの式典に参加して以来今日まで二十九年の日月をけみしているだけに、今度政府が三十年の区切りで記念祝賀行事をやろうということになったこと、これは稻葉発言がなかったらやらなかったかもしれません。稻葉さんは、その意味においては大変な功績を残された歴史的な人物であるということも言えるわけですが、その趣旨は逆であった。稻葉さんの御趣旨が逆な実を結んだわけです。  そこで、祝賀行事をやるのなら、地方公共団体等にも、中央ではこういう行事を内閣の主催でやる、各都道府県その他においても憲法の趣旨を尊重して、祝福の行事をなすべきであるというような通牒などを出されて、三十年という記念式典に、全国的規模で憲法を尊重する行事をなすべきではなかったか。総理府はそういう配慮をして第一線に何らかの通牒などを出されたかどうか、お答え願いたいです。
  28. 植木光教

    植木国務大臣 先ほどお答え申し上げましたのは中央における記念式典の実施についてでございますが、先生御承知のように、憲法記念日を中心といたしまして、憲法週間というのが設定をせられております。私からお答えすべきかどうか存じませんが、これは法務省及び裁判所が中心となりまして、各地域におきまして、講演会、座談会あるいは無料法律相談所の開設、あるいは裁判教室、法律討論会等を行っておるのでございます。  そしてまた、政府といたしましては、今年は、先ほど申し上げましたように、ちょうど公布三十年でございますから、政府広報によりまして、日本国憲法の普及のために努力をいたしたいと存じておりますが、地方自治体におきましても、広報紙あるいは新聞、テレビ、ラジオ等を通じまして、憲法の意義についていろいろ広報を行っておるのでございます。  したがいまして、中央、地方それぞれ、ただいま申し上げましたように、今日まで努力をしてきたわけでございますけれども、式典は今年久しぶりに開かせていただくということになり、また憲法週間における諸行事の法務省裁判所の予算につきましては、昨年に比べましては増額されておりますので、そのことを御理解をいただきたいと存じます。
  29. 受田新吉

    ○受田分科員 法務省裁判所ということを特に指摘しておられて、他の民間、地方公共団体等の問題は軽視されているようですが、何らかの形で通牒等を出されて、せっかく中央でこれだけ乗り出そうという閣議決定も見られた機会に、第一線に対するもっと積極的な取り組み方があったのではないかということです。  いまの法務省裁判所の憲法週間における諸行事等に対して、本年においてどれだけ経費増額されておるのですか。
  30. 植木光教

    植木国務大臣 憲法週間行事経費でございますけれども、五十年度は約三十万ぐらいであったというふうに承知いたしておりますが、今年は百九十一万三千円という予算でございます。
  31. 受田新吉

    ○受田分科員 その三十万、百九十万、特に百九十万という額が数字の上で出ておるのですが、どのような中身の行事をやるのですか。裁判所法務省の今年の行事です。
  32. 植木光教

    植木国務大臣 費目についてだけ私からお答えさしていただきますが、これは、つるし看板の製作費でありますとか、立て看板製作、あるいはポスターの製作、それから先ほど申し上げましたようにいろいろな諸行事が行われますので、それの会場の借料、それから会場に使いますいろいろなアンプの設備等についての借料、そういうようなものでございます。
  33. 受田新吉

    ○受田分科員 地方公共団体に対するいま期待的な発言があったのですが、地方公共団体がことし特に何か積極的に取り組むような問題をどう把握しておられるか。
  34. 植木光教

    植木国務大臣 これは総理府といいますよりも内閣において行うべきものでございますけれども、遺憾ながらただいまのところ地方においての諸行事について把握をいたしておりません。把握いたすように努力をいたします。
  35. 受田新吉

    ○受田分科員 そういうところに非常な欠陥があるわけで、つまり中央で場当たり的に五百万というわずかな予算を組んで、ただそれは何か印刷物を出したり乾杯をしたりするというような程度のものではないかと思うのですが、憲政記念館であの小さな講堂を使って政府や国会議員や民間のある程度の人が集まって、これ全部集まってきたら最高五百人程度の講堂はあふれることになるのですが、皆人っては困るような予算が立っておるのか。いすか何か、補助いすでもつけて、御案内した総人数が何人あるか等で計算してあるのか。ただ政府が面目を保つための、稻葉発言に伴う緊急措置としての場当たり的なやり方ではなくて、本当に憲法を大事にしようという雰囲気の記念行事でなければいかぬと私は思うのです。  これは、稻葉法務大臣もせっかくここにちょうどおられるので、大臣の発言が契機になってこの行事を行うことになったわけですが、この行事は、もう一度あなたにお尋ねしたいのですが、あの閣議決定は三十年の憲法記念ということと思うのですが、当時あなたも三木総理も、記念行事をやるというのは三十年の年だけということではなかったはずです。記念行事を今後やろうということですから、三十年記念、三十一年、二年、三年と、ずっと今後もこれを継承してやるという意図であるのかどうか、これも含めて稻葉先生からも御答弁願いたい。——担当大臣だそうですから、法務大臣には別に見解を聞きますから、いまの点。
  36. 植木光教

    植木国務大臣 憲政記念館で収容できるかどうかということでございましたが、御承知のとおりこの憲政記念館は、議会開設八十周年を記念して設立されたものでございますから、憲法記念の式典を挙行する場所には最もふさわしいものであるということで選んだわけでございます。ただ、ホールは確かに五百名のいすでございますけれども、私どもといたしましては、その他展示室やホール等も別にございますので、いま御案内を出しつつありますのは九百名の方々でございますが、大体五百名前後の方々がお集まりくださるのではないかというような目安を立てて準備をしているところでございます。
  37. 受田新吉

    ○受田分科員 むしろ政府はこの機会に世論調査等もなさって、憲法三十年の歴史を解剖して、さらにこの憲法の祖国の再建に貢献したいろいろな効果等も含めたパンフレット等を作成するというような配慮もあってしかるべきだと思うのです。  それからいまの来年からの問題です。総理は三十年記念式典だけで終わるという発言じゃなかったのです。今後憲法記念日を中心とした行事として継続的にやる、こういう趣旨と私は理解しているのですが、どうでしょうか。三十年だけで終わるという、そういう発言とは私理解しておりません。
  38. 植木光教

    植木国務大臣 本年開催いたします憲法記念式典は、ちょうど公布三十年に当たりますので、これを意義あらしめるために開催をするものでございまして、来年度以降の問題につきましては引き続き検討さしていただきたいと存じます。
  39. 受田新吉

    ○受田分科員 引き続き検討ということで、ことしきりというわけではないと理解してよろしいわけですね。いいですね。ことしきりで終わるわけではない、そういうふうなごまかしであっては意味がないと私思うのです。
  40. 植木光教

    植木国務大臣 先ほど申し上げましたように、本年の行事につきましては、先日の閣議におきまして、今年の式典について閣議決定をいたしたわけでございます。したがいまして、来年度以降どうするかということにつきましては、まだ検討を始めるというところでございますから、したがって引き続き検討ということで御理解をいただきたいと存じます。
  41. 受田新吉

    ○受田分科員 これで総理府の長官に対する質問は終わります。稻葉先生、よろしゅうございます。あなたも。御苦労でした。  防衛庁長官にお尋ねしたいのですが、あなたの担当である四次防計画に引き続くポスト四次防計画というものはいつ策定されるのですか。それに対する準備をどうしておられるのか。ロッキード事件発生以来この問題を確かめる機会がなかったので、改めて長官から御答弁をいただきます。
  42. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 ポスト四次防の問題につきましては、昨年の四月一日第一次長官指示を出し、また十月二十九日に第二次の長官指示を出しまして、陸海空三幕に対しまして作業を命じておるわけでございます。一応の三幕からの報告が近々行われまして、それをもとといたしまして鋭意検討をいたし、三幕を含めましてまだ協議を続けておるということでございます。いずれこれは八月の概算要求時期までにはその考え方をまとめていきたいというふうに思います。手続といたしましては、もちろん国防会議等にもおかけしなければなりませんし、最終的には十二月の予算のときということになろうかと思います。
  43. 受田新吉

    ○受田分科員 各幕から要求されている予算の総額がどのくらいになっているか、お示しを願います。
  44. 丸山昂

    ○丸山政府委員 一応第一次の段階で各幕の要求をそのまま算術的に合計した額でございますが、約十二兆六千億ぐらいの額が出てきております。
  45. 受田新吉

    ○受田分科員 GNPの一%以内に抑えるという政府の方針は堅持されておるのかどうかです。
  46. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私といたしましては、一応一%ということを目標としておりますけれども、この際、基盤的防衛力というものがどういうような所要になるかということは、まず作業としましては、一応どういう結果になるかは別としまして、出させておるわけでございます。つまり、一%におさめろというようにはいたしておりません。
  47. 受田新吉

    ○受田分科員 長官、あなたが就任以来しばしば宣言しておられるこの基盤的防衛力、そして不況時における防衛力、こういうようなものを考えたときに、GNPの一%を超えることがあり得るかどうかです。
  48. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私といたしましては、やはりこの日本の防衛力、特に平和時における基盤的防衛力というものの総額が著しく民生を圧迫するようなものであってはならないというふうに思いますし、その一応のめどとしては、やはりGNPの一%ということが頭にあるわけでございますが、しかし基盤的防衛力を作成する段階におきまして、一体その所要の防衛力というものがどういうふうになってくるか、これは作業を詰めてみないと実はわからないわけでございまして、その辺のところは一応のめどというようなことで作業を命じておるということでございます。あるいは多少アップするというようなところも、作業の段階としては出てくると思いますけれども、その辺はどういうふうにこれから考えていくかということでございます。
  49. 受田新吉

    ○受田分科員 長官、昭和三十三年に第一次長期防衛計画がスタートした。そして第二次に引っかかるときに単年度予算編成をやったことがあるんです。一年の編成をやったことがある。私もよく記憶しております。当時、安保騒動の段階です。いま、こうした情勢で、世界的な動きとして、あなたもデタントの基調は変わらないと判断するかどうか、国際緊張は緩和された方向にある、この基盤的な構想は今日依然としてとっておるかどうかです。
  50. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 このデタントにつきまして、最近いろいろ言葉それ自体について議論があるようでございますけれども、しかし、デタントというものの、緊張緩和の政治情勢というものは、いわば力の追求の結果として出てきた政治情勢でございまして、その基調というものは、やはり今日も変わっておらないという立場でございます。
  51. 受田新吉

    ○受田分科員 五カ年計画をもって防衛庁としては対応しようとするのか。あるいはローリング方式、もしくはいま私が指摘した単年度。私は、こういう情勢の中では、単年度方式をとってしかるべきだと思うのです。いまそういう時期に来ておる。つまり、五カ年計画というものを策定するのには非常に困難な不況時期であるということも含めて、あなた御自身は、これらの構想のいずれをとろうとしておられるのか、お答え願います。
  52. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 一応、作業といたしましては、五カ年計画というものを頭に置いて作業を命じておりますけれども、しかし、今後最終的決定におきまして、固定的な五カ年計画にするのか、あるいはローリング方式にするのか、あるいはその折衷案にするのかということにつきましては、柔軟に対処をしたい。まだ私はここで、固定方式とも、あるいはローリング方式をとるとも、あるいは一年きりの単年度方式をとるというふうにも決めておりません。
  53. 受田新吉

    ○受田分科員 この四次防が完成する本年度において、積み残しがたくさん出てきたわけです。その積み残しを含めて、次の構想をどう立てていき、そして最終にどういう策定をされるか、八月、この時間切れまでに答えが出ると判断してよろしゅうございますか。
  54. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 いずれにいたしましても、これは八月ないし最終的には十二月までには決めなければならない課題であるというふうに思っております。
  55. 受田新吉

    ○受田分科員 長官、あなたは各幕に長官指示を二回にわたってなさった、いまお話しのとおり。ところが、各幕は十二兆六千億という膨大な予算要求をしていらっしゃる。それをシビリアンコントロールで長官がどう裁断を下すかです。  私、陸上に一例をとってみたいのですが、十八万という定数、第一次防以来まことにこれに固執しておられる。ところが、現実には十五万五千で八五%の充足しかない。この実情を中心にして新しい構想を打ち立てるべきだと、私、何回かもう元長官すべてに当たってきた問題です。それで、自衛隊をやめろという意味ではなくて、われわれは自衛隊を基本的に認めておる。しかし、国力、国情というものからは現状に凍結すべきであるという立場をもって政府、あなたたちに申し上げているのですけれども、陸上の五方面隊十三個師団というこれを、十八万という定数を、少なくとも十五万五千という現実を中心に考えないと、架空の数字でこの師団編成をするなどということは本当におかしな話なんです。そうして人材を確保するためには量よりも質だという意味で、現在の人員である十五万五千を基盤に、あるいは十三万というようなところでもっと優秀な人材をとって、悪いことをするような自衛官のおらぬような良質の人材を吸収して、そうして希望ある自衛官勤務をしてもらうというのがたてまえじゃないかと思うのですが、この五方面隊十三師団の編成について、現在の人員十五万五千、あるいはそれより下を策定して人材を吸収、量よりも質の自衛隊をつくるという構想をお持ちではないか。
  56. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 昭和三十五年度に現在の編成を行いましてからもうすでに十五年実は経過をしておるわけでございまして、やはりこのあたりで、わが国の国土の特性、あるいは地政学的な状況とか、あるいは近代戦の対応能力というようないろいろな観点から見通しを立てるべき時期に来ておるのじゃないかというふうに私も実は考えておるわけでございます。  そこで、現在御承知のように、陸上自衛隊におきまして、地方連絡部があるとか、あるいは業務隊あるいは音楽隊等々の平時の所要人員が実は増加いたしておって、そうして一方、この教育訓練の効果を上げるのに十分でない。これで果たして効率的な構成単位であるだろうかということは、この際やはり真剣に見直すべきではなかろうかということで、私はあの長官指示を実は出しておるわけでございます。やはりこの師団の改編についての新しい見方というものを求めておるわけでございます。  でございますから、そういうようなことで目下検討をいたしておるということでございますが、しかし基本的に申しますと、定員の十八万というものはそのままにいたしたい。しかし、その運用、平和時におけるその部隊の運用というものについての新しい、つまり先生おっしゃるような現有人員というものを、本当に教育訓練にも、また有事即応の体制においてもある程度対応できるようなもの、こういうものをいま検討いたしておるというところでございます。
  57. 受田新吉

    ○受田分科員 長官、現有の定員の十八万をそのままにしておきたい、しかし問題はそのようなことでなくて、現実に国民生活に直結するような部隊編成にすべきなんで、国民だって、充足しないような定員をいつまでもとり守っている防衛庁に対して、非常に疑義を持っているわけなんです。だからこの際、現在おる人員、あるいはこれに近いもっと低い線で優秀な人材をとる、そのためには九千師団を七千師団にするなどと、方策はいろいろあると思うのです。むしろ制服の皆さんに対して、制服の皆さんも失望しないように、量よりも質で、諸君の待遇を向上させ、諸君に対して国民規模で感謝して、諸君の勤務を守るからという立場でやれば、制服の皆さん納得すると思うのです。そういう行き方をとるべきだし、また、いまのPXL、FXこういう問題も、なかなかよう解決していない。そこから非常に疑惑がこのロッキード事件で起こって、PXLの決定なども大変お困りだと思うのですが、国産か、あるいは輸入か、こういうような問題。PXL、FXをいつまでにめどをつけたいと計画しておられるか、お答え願います。
  58. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 FX及びPXLという機種の選定ということは、やはり、いま申し上げましたポスト四次防の中に、どういう位置づけをするかということになってくるわけでございまして、私の基盤的防衛力というものの構想が出ないうちは決められないということでございますし、また一方、PXLにつきましては疑惑があるわけでございますから、やはり、これは国民の納得のいくような形で、純国防的見地から国民の納得のいくような決定をしなければならないというふうに私は考えておるわけでございます。いま国産でやるとか、あるいは輸入でやるとか、あるいはその折衷案でやるとかいうふうには、まだ決めておりません。
  59. 受田新吉

    ○受田分科員 時間が来ましたので、これで質問を終わりますが、長官、いまロッキード事件以後、国防会議に対する疑惑、防衛庁に対するいろいろな不安が国民の中をかすめておる。特に、国防会議が一遍決めたことをまた変更している、国防会議懇談会と国防会議とが違った答えを出す、こういうようなことが繰り返されておると、これはもう大変です。国防会議の構成員たる議員たち、総理、そしてあなた方の閣僚たちというものは、天地神明に恥じない、本当に信頼される行動をしていただかなければならぬ。何か臭い物へつながりを持ってくるようなものでこの最高責任者たちがすかすか決めてくれたら、国民も、また国家もたまったものじゃないのです。国民的規模の信頼、神に恥じない行動、そういうところでいい答えが出るはずなんですから、そこからまた自然に制服の皆さんも文官に信頼を持ってくるわけです。この信頼、それに取っ組むためには猛烈な反省が要るわけです。坂田長官も総理も、そこには十分真剣に取っ組んでいただいておると思うが、この国防会議のあり方について、より新しい角度から、信頼される機構で、また機構だけでなくしてその人間が信頼されなければいかぬというところへ十分頭を向けて、今後の問題に対処していく、シビリアンコントロールの成果を上げる、制服も信頼、国民も信頼、やれるかどうかです。お答えを願います。
  60. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 わが国の憲法の制約のもとにおいて、わが国民の、あるいは日本の国の安全を保つということは、なかなかむずかしい問題でございますが、しかしこれは、単にいままでのような軍事力のみによって日本の安全を守るわけにはいきません。やはりこれは、外交努力、あるいは民生安定、あるいは経済努力、そういう総合的な中においての防衛力をきちんとかたした形で持つことによって、初めて日本の独立と安全というものが達成されるというふうに私は考えるわけでございまして、総理大臣を中心として開かれます最高の会議でございます国防会議というものが、本当に国民から信頼されるものでなければならないということは、先生と全く私は同じように考えておるわけでございまして、私、就任しまして以来、どうも、これが発足して二十年になるけれども、前半の十年間においてはかなり活発にこの審議が行われておったようだけれども、この十年間は多少形式的に流れておるような批判もないわけじゃない。したがって、これはやはり、実質的な審議をするような、そういうような国防会議にしていきたいという、私は気持ちを持っておるわけでございますが、これは何分にも私だけの希望で達成されるわけではございません。やはり総理みずから国防会議の議長として、そういうような態度で恐らく今後やっていただくものだと私は思いますし、また、そういうふうにもかねがねお願いを申し上げておるということで、ひとつ御了承を願いたいと思います。
  61. 笹山茂太郎

    笹山主査 これにて受田君の質疑は終了しました。  少し繰り上げるようでございますが、次には小沢貞孝君。     〔主査退席、片岡主査代理着席〕
  62. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 衆議院の法制局にお尋ねをしたいと思うわけであります。  この間のロッキード問題に関する国会の決議の解釈をどういうようにしたらよいか、若干混乱があるようであります。これは柱は「真相の解明は徹底的かつ迅速になされなければならない。」その次は「ここに本院は、ロッキード問題のわが国に関するいわゆる政府高官名を含む一切の未公開資料を提供されるよう米国上院及び米国政府に特段の配慮を要請する。」最後には「政府においても、右の趣旨を体し、特使の派遣等を含め本問題の解明のため万全の措置を講ずべきである。右決議する。」こういう要旨であります。  これには実は、いきさつがあったわけであります。決議の日ごろは国会が正常化されておらなかったものだから、民社党の私の方から、国会の決議をすべきじゃないか、こういう提案があったわけであります。そうすると、ほかの野党の方は、いや本会議を開けば国会が正常化されちゃうから、それはまずかろうと反対されたわけであります。自民党の方は、まあよかろうじゃないか、こういういきさつがあって、それよりは衆議院議長から親書というか書簡を出してもらって、それを国会の代表なり何なりが持って、アメリカ政府並びに上院に要請した方がいいではないか、こういう意見が実はあったわけであります。ついては、それは前尾衆議院議長に聞いてみよう、こういういきさつがあったわけであります。そうしたら前尾議長、私の書簡を持っていったところで、それはある程度の陳情書ぐらいにしか扱われないじゃないか、外交権はしかも政府にある、だから外交ルートを通じて院の決議をもってしなければならないではなかろうか、こういうサゼスチョンもあって、この案文の決議になったわけであります。  そこでお尋ねをしたいことは、きょう午前中の質問にも出ておりましたが、これは一体アメリカから来た資料というものは、ストレートで本院衆議院に持ってくるという理解をしておる者が多いようでありますが、そういう性格のものであろうか。あるいは、公開するということが原則だ、こういう理解をしておる者がおりますが、そういうものであろうか。御質問をしたい要点は実はそういうところであります。国会正常化しないで、院の決議無視というようなことで長く国会が不正常になっておるので、その辺を明確に、これは政治的なことを抜きにして、この案文を見ただけで、そう理解できるだろうかどうだろうか、お尋ねしたいと思います。
  63. 川口頼好

    ○川口法制局長 実はいま先生がお話しになったことと関連しまして、議長さんからも、この決議の後の取り扱い等について、事務総長を通じまして私の方に若干の御質問がありまして、それに対して、ある種の、きょうここで申し上げますと、ほとんど同じような意見を具申した次第であります。  いまの先生の御質問のポイントは二つあるわけでありますが、まず第一にストレートに本院に対して資料をよこせという意味なのかどうか。この文言を率直に読みまして、その点で特に問題になりますのは、「ここに本院は、ロッキード問題のわが国に関するいわゆる政府高官名を含む一切の未公開資料を提供されるよう米国上院及び米国政府に特段の配慮を要請する。」この文言でありますが、決議をなさいました先生方の心底の心理状態が、どういうお気持ちでこういう表現をなさったかは私、読み取れません。けれども、客観的に読みまして、これには、本院にストレートというふうなことは、文言上、全然出ておりません。  それから第二に、理論的に考えまして、この文句自身は、いかにも日本の衆議院がアメリカの上院やアメリカ政府、大統領府に対して、直接語りかけるような表現になっておりますけれども、国と国との関係でありまして、それを代表して外交交渉する権能は憲法上政府でありまして、国会がじきじきにアメリカ上院に語りかける、あるいはアメリカ国務省に衆議院がじきじきに語りかけるというふうなことは、理論的に考えましても、おかしいと思うわけであります。したがいまして、その文言の表現に若干の疑問の余地はございますけれども、客観的に見て、この米国に対して「特段の配慮を要請する」という意味は、日本という国家にこういう資料をよこしてくださるよう御配慮願いたいということを本院は考えているから、政府はその旨を、その意を体して、できるだけそれに努力してくれ、こういうふうに私は読んでいるわけであります。単なる文言だけじゃありませんで、憲法上の外交処理権の理論上のたてまえからして、そのように考えております。  それから、第二の御質問の公開がたてまえだということですが、これも同じことでございまして、決議は普通に法律的効力はないので、単に政治道義的な責任を政府に負わすだけだというのは、これは一般的な原則。内閣不信任決議案みたいな憲法で取り上げられているものは別でございますが、そうでない一般の決議は、そのように申して間違いないのでありまして、こういう決議の性格の一般論からしましても、それから特に外国に対して物を頼むという性格、日本の国内だけでは処理できないことでありまして、その二つの両面からしまして、こちらの希望が入れられるかどうかというのは、政府が努力はしなくちゃいけませんが、まあ、これは要するにお願いでありまして、このとおりしろなんということを、米国の大統領やアメリカ上院に対して、幾ら言葉遣いは強く言ってみたって、アメリカに押しつけるわけには本来いかないことであります。この事柄の性格からして、向こうの国内法上の諸制約等で現在のような結末になっているようでありますが、そこらは当然、院の決議の中に言葉の表面には出てなくても、当然にそういうことはお含みの上で、公開か、あるいは非公開かというふうなことは折衝してみなくちゃわからないということをお含みの上で、この決議がなされたものだ、こう解釈せざるを得ない。これは文言の表現の問題じゃなくて、むしろ外交関係の特色からしてそのように考える次第であります。
  64. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 いろいろのいきさつもあったもんだから、一部の政党では、これをストレートに院に行くべきものだ、こう理解するところもあるようですし、人によっては、公開があたりまえのことだ、原則だ、こう理解する人もあるようですが、厳密にこの文章を解釈したり、憲法上の外交権の問題等から考えれば、ストレートにそういう主張をすることは私もできないんではないか、こう思っておりましたが、まさにそういう御答弁のようでありました。これをさらに突っ込んでお尋ねしようとはしません。   こういうことと関連して、これは私たち自身が自由民主党との間に取り決めたことなんですが、第一項に「ロッキード問題に関する院の決議に対する政府の努力は不十分であり、遺憾である。今後とも院の決議をふまえ、さらに両国の事件究明に関する協力と連絡を図り、真相の徹底的解明を期する。」これはいいです。  二として、「そのため必要に応じ政府の使節、」これは外交権のことで、「政府の使節」、それからその下に「院よりの超党派代表団の派遣などを考慮する。」超党派代表団は院自身が院の決意によって派遣すればいいわけです。その場合に、向こうの上院に要請する、あるいは国務省に要請する、こういうケースが出てくると思いますが、外交権は政府にある、外交権は一本であるべきだ、こういう立場からいって、院の代表というものの性格というものは、単なる要請、単なる陳情という性格づけになるんではないかというような気もするんですが、その辺どうお考えになるでしょうか。
  65. 川口頼好

    ○川口法制局長 結論を先に申しますと、先生の党と自民党とが合意なされたいまお読み立ての条項は、何ら法律問題は生じない、おやりになって結構だと思っております。  理由を申しますと、本院から超党派の議員団が派遣されて上院においでになったり、あるいは向こうの政府機関の証券取引委員会あるいは裁判所等にお会いになって、日本はこうこうにしたい、非常に強い要望を持っているんだというお話をなさることは、これは何も条約を締結するわけでも、そういうことじゃありませんで、簡単に申しまして、事実上のいわゆる国民外交でありまして、これは政治的に一つも差し支えないことであって、何も、かた苦しい憲法七十三条第二号の外交処理権なんという、そういう法的な問題の次元に取り上げて、いろいろ問題が起きるというふうな危険性は全然ないと考えております。
  66. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 わかりました。結構でございます。  次に、内閣法制局からお見えですか。——内閣法制局にお尋ねしますが、院の決議ですね、ロッキード問題に関する決議、これを内閣法制局はどういうように理解しているかという点を二点お尋ねをいたします。  この決議は、米国からの資料をストレートで本院、衆議院へ持ってくべきものか。それが一点。  それから、この決議は公開、公開というが、どうも違うじゃないか、こういうようなことがよく言われるのだが、公開するというように理解できるか。この二点であります。もう端的に、どういうように御理解をしておられるか。
  67. 真田秀夫

    ○真田政府委員 先般の二月二十三日付の衆議院の決議の中身についてお尋ねでございますけれども、決議の各条項の文言をどう思うかというようなことは、これは決議をなさった院自体でお決め願わないと、私の方で権威を持って、こういう趣旨であるというようなことを申し上げる立場じゃございませんので、いまの御質問にありました第二項の「提供されるよう特段の配慮を要請する」、この提供先が一体どこだということは、これはまさしく決議の中身でございますので、私の方で、これはこういう意味であるというようなことを申し上げて押しつけるなんというような立場じゃございませんので、どうぞひとつ御勘弁願いたいと思うのです。(小沢(貞)分科員「もう一点、いわゆる公開」と呼ぶ)公開の問題につきましても、決議の第二項に「未公開資料を提供されるよう特段の配慮を要請する」と書いてございますが、これ自身からも、提供だけのことを言っていらっしゃるのか、あるいは提供した上公開することまで言っていらっしゃるのか、その辺も、先ほど申し上げたと同じ理屈で、私の方で権威を持って解釈を申し上げるべき立場にございませんので、やはり御勘弁願いたいと思います。
  68. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 それで結構です。いいと思います。先ほど衆議院の法制局から聞きましたので、私が疑問に思っていた点はもう理解しておりますので。内閣法制局で何か言って、また言質をとらえられてはいけないと思うせいか、どうも御答弁がないようですが、私の方は理解ができましたので結構です。ありがとうございました。  それでは総理府へ若干、お尋ねいたしたいと思います。  新聞の報道等によれば、これは「ビデオジャーナル」というのに出ておりますが、「全国のユースホステルにビデオを三カ年計画で設置、年間予算は約五千万円」、これをどうぞごらんになっていただいて結構です。そういうことをめぐって、ちょっと総理府にお尋ねしたいわけです。  一つとしては、総理府はユースホステルに対し、展示物広報の名目で五千万円余の補助金を計上している。この具体的補助内容と予算計上に至るまでの経過はどうなっておるか、それが一つ。  それから二つ目は、ユースホステル運動は青少年の自発的精神を支えにしておる。したがって、政府がひもつき補助で無制限に介入したり、特定の政治的イデオロギー的立場を強要するのは、運動の趣旨と健全な青少年の心を汚すおそれがあるのではなかろうか、こういう心配をするわけであります。この点に関して、政府みずからは、テーマ設定、運営方法等において、みずからにブレーキかけるような歯どめ、または具体策を考えておるでしょうか。その点についてお尋ねしたいと思います。
  69. 植木光教

    植木国務大臣 ただいま御指摘がございましたように、財団法人ユースホステル協会がございまして、これは御承知のとおり文部省所管の公益法人でございます。全国に多くのユースホステルを設置、管理いたしておりまして、その会員は約六十万人でございます。  国といたしましては、このユースホステルに、ただいま御指摘ありましたように、展示物広報をいたすという計画を立てまして、青少年向けの広報といたしまして、国の施策に対する理解を深めますとともに、青少年の教養を高める上で効果的であるというふうに考えたものでございますから、五十一年度に五千万円、五千五十五万二千円でございますけれども計上をしたのでございます。この金額をもちましては、まだ全部に置くことはできませんで、大体、十五カ所以上を予定いたしているところでございます。  ユースホステル運動は、いまお話ございましたように、特定の政治的イデオロギーの立場を強要いたしますなどというようなことは、運動の趣旨に反することはもう十分私ども心得ております。したがいまして、テーマの設定でありますとか運営方法につきましては、日本ユースホステル協会と協議をいたしまして、また同時に有職者の方々の御意見も十分参考にいたしまして決定をしてまいりたいと、いま準備を進めているのでございます。これは、もちろん健全な青少年育成に寄与する教育的テーマを選定いたしたいというふうに考えておりまして、具体的に申し上げますならば、体力づくり運動でありますとか、あるいは交通安全対策でありますとか、資源・エネルギー問題、環境問題、あるいは国際協力の問題の食糧問題、科学技術の振興というようなものを考えておりまして、政治的に青少年の心を汚し、あるいはむしばむというようなことは一切考えておりませんので、御理解をいただきたいと存じます。
  70. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 了解いたしました。そういうように運営していただくようにお願いをしたいと思います。  ちょっと細かいことですが、さらに、展示に要した備品等の取り扱いについて、展示期間の終わった後は、それは直ちに撤廃してしまうのか、その後も政府広報の場として活用するためにそこに存続させるのか、あるいは一括して譲渡をするのか。その辺、いま、どんなお考えでしょうか。構想があったら御提示いただきたいと思います。
  71. 関忠雄

    ○関政府委員 お尋ねの展示に要した備品等の取り扱いについてでございますが、この展示物広報に関しますところのいろいろな備品等の耐用年数は、予想されますところの使用状況などから考えまして、さほど長いものではないというふうに考えられますけれども、一定の期間が経過しました後で、これらの取り扱いにつきましては、その備品などの状態、ユースホステル協会の意向なども考慮いたしまして、適切に処理することといたしたい、現在さように考えております。
  72. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 次に、広報室の予算で、これはラジオとかテレビに契約をして予算を出しておるわけですが、その予算を調べてみたらば九十三億ちょっと、百億近い予算があるわけです。それぞれラジオやテレビに契約をしてやっていると思います。これは最近、陳情があって私自身もびっくりしたわけですが、全国に有線放送——あの戦後、電話等が普及しないときに、電話と放送を兼ねた有線放送があるわけであります。これがまた大変地方で生活と密着しているので、聴取率も大変いいわけであります。これがいままでの何年間か政府の宣伝をしておったのに無料、全然ただ奉公をさせられておった。これを聞いて私もびっくり仰天をして、そこの運営が民放のようによければいいのですが、これは農家が主体ですから、大変経営が困難であるわけです。ところがこれは、政府のことだからまた材料もいい、放送内容もいいそうですから、どうしてもただでもかけたい、そういうあれも持っているので、しようがないわけです。だがしかし、大変経営の悪い中でずっと何年間か無料で放送していた。放送させる方もさせる方だし、去年の暮れだかことしの春陳情が来て、私の方も、またただでやる方もやる方だが、一体いままでどうしてこういうことをしておったのだろうか、こういうように考えて、この間から総理府の方へいろいろ要請をして、五十一年度からでも、できるだけそれは、放送料というか、それに準ずるもの。それから、もう時間の関係でみんな申し上げておきたいと思いますが、五十二年度は明確に予算をとって、民放やなんかと契約していると同じように、やはり料金を払って放送させるべきではないか。私もこれは調べてみたら、約百億近い予算がありながら全然ただでやらしておったということは、これは全国で相当のあれがあるわけです。事務当局で十分わかっていると思いますので、御答弁をいただきたいと思います。
  73. 植木光教

    植木国務大臣 ただいまお話のございました全国の有線放送施設における政府の放送資料、「政府の窓」の問題につきましては、小沢先生から特別の御指摘がございましたこと、私も承知をいたしております。  実は、これは三十八年以来、政府の施策や暮らしに役立つ話題をお送りをしているわけでございますが、これはもちろん無料で送っているわけでございますが、制作費には約二千六百万円かけておりますので、したがいまして、政府は全然金をかけていないというものではございません。この制度は実は発足のときから、放送料は支払わないということを明らかにいたしまして送付をしているものでございますが、昨年七月にアンケート調査を行いましたところ、八一%が放送料が出なくても放送を続けたいという回答でございました。一方、県でありますとか市町村の公共団体のお知らせの広報も、この有線放送を使って行われているわけでございますが、これも無料で放送をされております現況でございますので、国だけが放送料を支払うということについては問題があるというのがいま現況でございます。  なお、ただいま申し上げましたアンケートの調査でございますが、回収率が大変低うございまして、したがいまして、再度三月に、施設及び一般聴取者を対象にいたしまして実態調査を実施いたしまして、現在取りまとめ中でございます。したがいまして、その結果を待つことといたしたいというのが、ただいまの私どもの考え方でございます。
  74. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 調査の仕方で、いままでずっとただでやったものだからただなれしておって、ただでもやります、これはもう何年もただでやらせられておったのだからただでもやりますと答弁するのは、けだし当然だと思うのです。ところが、いま大臣からも言われておりますが、農協とか役場とか税務署とか、そういうところでも払ってやっているわけです。税務署の納税の時期はどうだとかいうようなのを、それは税務署はそこの有放に契約をして料金を払ってやっている。ところが国のものだけは、ただなれしてしまったものだから、ただでなければいけないかと思ってただでやっているわけです。どうか来年はぜひ、事務当局でもいま実態調査をしているようですが、これはひとつ事務当局、お願いしておきますが、実態調査ができたら、委員長、いま実態調査をやっているその資料は出していただくように委員長に要望しておきます。
  75. 片岡清一

    ○片岡主査代理 わかりました。
  76. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 それから大臣、民放はかねてから国民の財産である電波というものをただで使っておるわけです。私は、電波使用料というものを取って、そして難視聴地帯解消のために、その電波使用料の財源でもって解消のための予算にしたらどうか、こういうことをかねがね主張しているわけですが、この民放というのは電波をただで使っておるわけです、国民の財産を。そして大部分のところは——まあ大臣聞いてください、大部分のところは二割も配当しておる。そういうところへ契約を、この間も総理府から見せてもらうと、これはたんまり契約をしておるわけです。国の予算で総額九十三億もある。ところが、有線放送というのは、できた過程もいろいろありますけれども、大変経営が苦しい中で零細でやっておって、地域においては密着しておりますから、視聴率等も、ここで申し上げると大変な視聴率で、ラジオや民放とは全然視聴率が違うわけです。はるかにいいわけです。だから、ひとつ来年はどうしても、資料、調査結果もあるでしょうが、予算を組んでこれと契約をしてやっていただきたい、こういうように考えます。それが一つです。  もう一つは、聞くところによれば、五十一年度も何がしかのその放送料に見合うものを出してくれるやに聞いておるわけですが、それはいいわけですか。
  77. 関忠雄

    ○関政府委員 ただいまのお尋ね、有線放送に対する放送料というものは予算上計上されておりませんので、支出はできないわけでございます。有線放送協会に私どもいろいろと協力をお願いしておるわけでございますので、何らかの形で別に仕事をお願いするといったようなことなどを考えておるわけでございます。
  78. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 来年度予算のことを、これは大臣……。
  79. 関忠雄

    ○関政府委員 ただいまのところ、ちょっと申し上げる段階にないと思います。
  80. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 来年というのは五十二年度、ことしの八月ころに編成する……。
  81. 植木光教

    植木国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、実態調査をいまいたして取りまとめをいたしまして、四月中には恐らく出てくると思います。これは先ほど御要請がございましたが、もちろん先生のところにお届けをいたします。その実態調査を待ちまして、ひとつ検討させていただきたいと存じます。
  82. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 時間ですので、終わります。
  83. 片岡清一

    ○片岡主査代理 小沢貞孝君の質疑は終わりました。  次に、小宮武喜君。
  84. 小宮武喜

    小宮分科員 原子力船「むつ」の問題について質問します。  政府は、原子力船「むつ」の修理港として長崎県佐世保港に白矢を立てまして、去る二月十日、長崎県知事及び佐世保市長に対して受諾の要請を行っておりますが、なぜ佐世保港に白矢を立てたのか、まず、そこからひとつ御説明を願いたい。
  85. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 御承知のように、去年の四月ごろまででございましたか、青森県むつ港から、ほかの第二のと申しますか、母港を選定しろ、決めろというお話でございまして、青森側との取り決めでございまして、そのとおり実行しようというので、いろいろ第二母港の選定にかかっておったのでございますけれども、その間、むしろ修理点検を十分にして、そしてその船が安全であり、健全であり、完全なものだという、そういう姿にして、その上で第二の母港を決める場合には第一母港として受け取る側も大変安心できるのじゃないかという話が出ましたし、実際また各所でもそういう希望が多うございました。したがって、まず第二母港を選択する前に、「むつ」自体の修理点検をしようじゃないかというので、修理点検の作業に入り、これも御承知のように修理点検は安全に施行できました。何ら放射線漏れなんということはございませんという立証ができましたので、それでは修理点検港をどこにしようかという修理点検港の選択にかかったわけでございます。  お話のような、長崎県に検討を御依頼したゆえんのものは、一つは、母港とは違いまして、修理点検でございますから、修理点検のできる設備がなければいけません。たとえばドックとかクレーンといったものが整備しておる、あるいは大型船舶の修理点検をするような技術者がおるとか、あるいは船の修理点検に必要な細々した諸設備が周辺に完備している、あるいはモニタリングが従来からあって、そして従来からその周辺のモニタリングが済んでおって、その海はこういう状況でございますという調査ができておるということ、こういったようなことが非常に重要な条件になっておりますので、そういう点を加味して検討してまいりますと、佐世保が一番適格な条件を備えておりますので、お願いした次第でございます。
  86. 小宮武喜

    小宮分科員 長官も御存じのように、長崎は原爆被爆県として、原子力、原爆、こういうようなものについては非常に敏感な対応力を持っているわけです。そういう中で、いま言われたような理由はわからぬでもございませんけれども、わざわざ長崎を選んだということについて、このような被爆県であるという問題について何らの配慮もしなかったのかどうか、その点ひとつ明確にお答えを願いたい。
  87. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 配慮しなかったのじゃなくて、たとえますと、去年の八月でございましたか、ちょうど長崎で原爆何十周年かをやりました際、私もその時点に記者会見をして、そういう発言をしたのじゃございませんけれども、ある新聞が書きまして、それが大変現地の感情を無視した発言であるというので非難をこうむりました。そうでなくても慎重に処理しておったのですけれども、そういう事象を見まして、もちろん国会で正式な訂正をしたのでございますけれども、さらに一層そういう点を加味して慎重に、特に被爆者の皆様に対しては御了解、御理解をいただくように、特に平和利用というものはいかに日本の将来にとって必要であるかという点もよく御理解いただき、また平和利用の範囲内におきましては、原爆とは違って、決して皆様に、生命、財産に危害を加えるようなことはございませんといったような安全に対する御説明もよく御理解いただいてということで、そういう点には特に私慎重に配慮して、そしてじっくりひとつ御理解をいただくようにすべきじゃなかろうかということで、被爆県である特殊事情はよく承知しておりますけれども、そういう点を加味して進めたと思っております。  余談になりますけれども、私、経済企画庁におりました、大分戦後でございますが、石炭課長をやっておりまして、長崎に石炭の調査に参ったことがございます。ちょうどザビエル祭の最中でございまして、永井隆博士をお宅にお見舞い申し上げまして、あの二人のお子さんがおりましたが、クレヨンとかかばんとか持ってお見舞いに参りました。そしていろいろ遺言めいたお話などもちょうだいして感銘深く帰ってまいったのですけれども、あの当時まだ長崎は生々しい戦後の状況でございましたので、私もよく長崎の特殊事情というものは身をもって知っているつもりでございますので、そういう点も十分配慮して、慎重の上にも慎重にということで進めたつもりでございます。
  88. 小宮武喜

    小宮分科員 いまの答弁からは、長崎県が被爆県としての特別の配慮が私はなされていないと思うのです。「むつ」の修理港であれば、いまのような説明であれば、ほかにも造船所はあるわけですから、何もわざわざ佐世保を選ばなくてもいいはずなんです。だからしたがって、これは私は、佐世保港に選んだというのは何かそれ以外の理由があったはずだ、こういうふうに考えるのですが、その点ほかに何も理由はないですか。
  89. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 お話しのように、横須賀とか神戸といったような造船所の完備した港はございますけれども、それぞれやはり、クレーンの問題とか、モニタリングの問題とか、欠陥と申しますか、ございまして、最も完備したのは佐世保であることは間違いございません。  それから、あの当時どこにしようかと言って、まだどことも選定しなかった当時に、佐世保の市長さんが自分の方で受けてもよろしいというふうな、公式な発言を私ども受けたわけではございませんけれども、新聞あるいはテレビ等でお話があったようにも承知いたしましたので、それでは一番適材の場所でもあり、よく検討をひとつお願いしたらどうだろうということで、知事、市長さんにお願いしたのも、そこに決めてくれという問題よりは、どうぞひとつ御検討いただけませんでしょうか、これこれの点では準備は整いました、ついてはひとつ現地のいろいろな事情もおありでしょうから、また受けるためには国に対するいろいろ御希望等もおありでしょうから、よくそれも加味してひとつ御検討いただけませんでしょうかと言って、御検討を実はお願いしたのでございます。
  90. 小宮武喜

    小宮分科員 この「むつ」受け入れについては、地元の漁業団体を初め、被爆者団体あるいは労働団体、これらの人たちがこぞって反対しているわけですが、この反対を押し切ってもやはり佐世保を「むつ」の修理港として要請するのか、その点いかがですか。
  91. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 青森で御承知のように大変苦い経験を政府としてなめておりますので、この問題の処理に当たっては、強権でもって無理やりに現地が納得しないのに押しつけてということは毛頭考えてございません。あくまでも安全なことは、もう修理点検に当たっても何もないのですから、そういう安全の点をよく御理解いただければ、自然現地でも、いま反対しておった人でも、事情がよくのみ込めれば、御理解いただければだんだん同調してくださるのじゃなかろうかということで、したがって、お願いするに際しましても、私がまず現地に参りまして知事、市長さんにお願いし、重ねて東京で総理からお願いしてということで、非常に丁重な、政府としてこれ以上の丁重な進め方はないという礼儀正しい姿勢で実はお願いした次第でございまして、そういう面からお考えくだすっても、決して無理やりに、現地で拒否するものを強権でもって争いを起こしてまでというふうには実は考えてございません。
  92. 小宮武喜

    小宮分科員 それでは、こういうふうな反対者の方々を説得するための努力はもちろんやるでしょうけれども、どうしても説得できない場合はあきらめるということですか。
  93. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 私は、事安全という問題が一番の問題点だとすれば、必ず皆さんに御理解いただけるものと確信してございます。長い間かかって、そして熱心に皆さんに御説明すれば必ず御理解いただけると思いますので、いま反対があるから永久に反対が続くというふうには決して私は考えてございません。
  94. 小宮武喜

    小宮分科員 えらく説得に自信のあるようなことを言われておりますけれども、説得に当たって、長崎県知事も佐世保市長も、もう自分たちは説得は直接やらないのだということをはっきり言明しておるのです。そうした場合に、だれが説得するのか、科学技術庁がやるのか、その点明確にしてください。
  95. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 これは科学技術庁と原子力船事業団が主体になって進めます。また現在進めつつございます。私どもの役所も機構改革をいたしまして、そのための特別の専門に当たる室をつくりまして、現地にも御承知のように長崎と佐世保には人を出向かせまして常駐させております。また、事業団の方も支所等を設けております。そしてもちろん県、市の御協力がなければいかぬわけでございますが、そういう点は、こちらを主として応分の御協力を得て進めていくという体制で進めております。
  96. 小宮武喜

    小宮分科員 具体的にどういう方法で説得活動をやりますか。
  97. 山野正登

    ○山野政府委員 ただいま大臣から御説明申し上げましたように、科学技術庁といたしましても、現在、長崎市と佐世保市両市に現地対策室を設けまして、また原子力船事業団の方も佐世保市に現地事務所を設けまして、これらの事務所を中心に、各種講演会、説明会、あるいは映画会、さらに原子力発電所等の見学会といったふうなことを積極的にやっておりまして、こういう活動を通じまして、原子力に対する正しい御認識、また今般の「むつ」の修理改修の作業内容の安全性についての御理解をいただく活動を進めております。
  98. 小宮武喜

    小宮分科員 そういう説得活動だけで、漁民団体あるいは被爆者団体、こういうような人たちが納得するかどうかということは、はなはだ疑問だと思うのですよ。やはり問題は、一番反対しておる理由は、すなわち修理に当たって安全性の問題が保証されるのかどうかということが一番問題ですから、その意味で、やはり安全性の問題について、むしろ私自身も確かめておきたいのは、絶対大丈夫だという自信がおありですか。
  99. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 ただいま原子力船「むつ」は青森県のむつ湾に係留されてございます。そしてこれは炉をとめてございます。原子炉としては動いておりません。そしてもう一年有半になりますので、その間ほとんど出力を上げませんでしたから、一番問題になるはずの冷却水等もほとんど普通の水と変わりないような状況で、汚染というところまでもちろんいってありません。これは流すわけでもございませんし、もうそのまま飲んでも差し支えないような状況でございます。  それから、もう一つは燃料棒でございますが、燃料棒はそのまま装入して抜けませんので、普通の低濃縮の濃縮ウランでございまして、これも別に危険だということでもなし、したがって、それからほかを汚染するとか従業員に危害を加えるというようなことはあり得ないわけでございまして、もし船が危険であれば、いま係留していても危険なわけです。向こうの漁民も何とも思わない。また、それを動かせぬための、たとえばクレーンのかぎとかいったようなものは厳重にしまうとか、あるいは燃料棒を抜いて運ぶものは東海村へ格納するとかといったようにして、全然動かせぬようにしてございます。ですから、向こうでも安心しておるわけでございまして、いわば原子力船とは名ばかりで、原子炉が動いてないのですから、普通の船と変わりないわけでございます。  そこで、仮に佐世保にこれを回送する場合どうかと申しますと、補助エンジンで重油でやるわけですから、普通の漁船等と何ら変わりないわけでございまして、その間、別に原子力のげの字も発動することはございません。そして、さて向こうへ着いて、修理点検は燃料棒を抜いたりなんか——抜いても大丈夫なんですけれども、いまのところは、抜かずにそのまま修理点検が可能であるということになっておりますので、そのまま修理点検をいたします。ですから、その間普通の船と何ら変わりないわけでございまして、放射能の放射線のと言う余地は全然考えられぬのでございまして、その点をよく御理解いただければ、先ほどからるる申し上げますように、ああそういうことかということで御理解いただけるというふうに考えまして、そういう点を現地でいろいろ御説明しているはずでございます。
  100. 小宮武喜

    小宮分科員 政府は、長官も安全だ、安全だ、したがってその御理解願えないはずはないはずだということを言いながらも、やはり反対運動は一向に終息するどころかますます盛んになっておる。それで私、県議会の議員の方々ともお会いしたのですが、久保知事初め県議会の自民党の人たちですら、あの説明を聞いたけれども安全だという保証は何もない、長官の説明を聞いても小沢政務次官の説明を聞いても、安全だという保証はどこにもないということを言っておるわけです。いまの長官の説明を聞いておると、いかにも安全だという印象をわれわれも受けるわけですが、その意味では、その説明を聞いた人たちも、県議会の人たちも、安全だという保証は何もないということを言っておるわけです。したがって、知事みずからが、このままで安全性が保証されなければ修理港としての要請があってもやはり拒否することもあり得るのだということまで言っているわけですね。だから、そういった意味で、皆さん方が言われておるけれども、本当に現地の人たちはそのように理解していないのです。そこに何かやはり問題がありはしないかという気もしますが、いま言われた燃料棒は引き抜くことはないということですね。制御棒は引き抜くわけでしょう。その点はいかがですか。
  101. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 もちろん制御棒は抜きません。制御棒を抜きますと連鎖反応を起こしてきますから、制御棒で連鎖反応をするのをとめてあるわけでございますから、制御棒を入れたまま、燃料棒を入れたまま、そしていまの凍結したままでございます。したがって、その間放射線とか放射能の問題は起こりようがないのでございます。
  102. 小宮武喜

    小宮分科員 ちょっとそれはおかしいのじゃないですか。私が原子力局を呼んでいろいろ説明を聞いた場合も、改修計画の中では燃料棒は引き抜かぬけれども、制御棒は手を加える、いわゆる引き抜くのだ。これは改修計画に入っておるのですよ。だから、危険だから二本以上は引き抜かないということを書いてあるのですよ。だから、その点、私が局長から聞いたことと大臣が言ったことと若干食い違いがあるようですから、明確にしてください。これは大事な問題ですから。
  103. 山野正登

    ○山野政府委員 ただいま大臣が御説明申し上げましたのは、原子炉があくまでも冷態停止の状態に置かれる、つまり制御棒を引き抜くことによりまして原子炉が稼働することがないという趣旨を御説明申し上げたと思うのでございますが、いま先生御指摘のとおり、十二本ございます燃料棒につきまして、この健全性を確認いたしますために、点検作業におきましては、一本ずつ引き抜いて検査をすることを予定いたしております。ただ、これは機構上、一本しか抜けないというふうにして配慮した上でそういう検査をするわけでございまして、複数の燃料棒が同時に抜かれるということは絶対にあり得ないことでございますから、この作業によって冷態停止が崩れるということはないかと思います。
  104. 小宮武喜

    小宮分科員 私はその話を聞いて、燃料棒は引き抜かぬでも制御棒は引き抜くということですから、大臣が言われたような、もっと本当に安全だというようなことを納得させるためには、現在青森県のむつにその施設もあるわけだから、むしろ制御棒ぐらいは青森でやって、そしてそのまま修理に来るというようなことも考えていいのじゃないか、これは素人考えですが。そうすれば、いま長官が言われたような裏づけにもなるし、もっと地元の人たちも安全性についての安心感というものが生まれてくるのじゃないか。だから、そういうふうに私たち長崎県の地元の人は、青森のむつの場合は漁民の反対に遭ったらこそこそ逃げられて、そして金の金一封もテラ銭まで払って、今度ほかを見つけて何もわざわざ長崎に来なくてもいいじゃないか、もっと安全だというならば、またむつでやったらいいじゃないかという声もかなり多いのですよ。むつの方にあれだけの施設もしながら、そしてその取り決めをやった。だから、新たに佐世保を見つけるより、そういうふうに安全なら、ひとつむつと再交渉してむつでやったらどうなんだ、そういう燃料棒を抜く施設だとか制御棒を抜く施設があるのだから、という声も一つ感情的にはあるのですよ。それをなぜ長崎まで持ってきて、これだけ反対しておるのに政府は押しつけるようにしておるのかという不満もあるのですよ。だから、そういった意味で、もっと安全だということを地元民に理解してもらうために、技術的にはたとえば制御棒はむつならむつで点検なりするということができないかどうか。局長、いかがですか。
  105. 山野正登

    ○山野政府委員 先ほど私、答弁の中で制御棒十二本と申し上げるのを燃料棒十二本と申し上げました。これは制御棒十二本の間違いでございますので、御訂正申し上げます。  ただいま先生御指摘の、なぜ青森県むつ市でこういった点検を行わないかという点でございますが、私どもももちろん、できることであれば、可能な点検等はむつでやることがいいとは思っておりますけれども、先生御承知のように、本件につきましては、一昨年の放射線漏れ事故によりまして、今後の「むつ」についての各種の開発活動というものは、むつ市ではしないで、至急しかるべき定係港を探して、むつ市の定係港を撤去するという趣旨の協定を地元と結んでおりますので、いま御指摘のような作業というのは、残念ながらむつ市ではできないという状況にあるわけでございます。
  106. 小宮武喜

    小宮分科員 それでは、時間が迫ってまいりましたので、原子炉の出力上昇試験はどこでやるのですか。
  107. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 修理点検という範疇の中には、出力上昇試験は入れておりません。したがって、修理点検が済みまして出力上昇試験をやらなければならぬわけでございますから、その際には、第二母港が決まっておれば、その母港で行うというふうに考えております。
  108. 小宮武喜

    小宮分科員 最後に、政府は、修理港を佐世保に要請するに当たって、いわゆる母港化をしないということをはっきり言っておるわけですね。したがって、われわれも政府の言を信用したいのだけれども、地元民の中には、修理港として引き受けた場合に、現在時点では母港化ということを濁しておるけれども、引き続いて佐世保が母港化されるのではないかというような不安を持っているわけです。したがって、この際、本当に佐世保港を新母港として考えていないなら、ここの場でひとつ佐世保を母港にはしないということを明言できますか。
  109. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 先ほど来申し上げましたように、まず修理点検を先にすべしというのは、修理点検に三年ぐらい時間がかかりますので、その間に母港を決めればよろしいというたてまえでございますから、実際に修理点検にかかっている間に母港の問題は処理したいということで、いまのところは、どこにするということは白紙でございます。
  110. 小宮武喜

    小宮分科員 あと修理期間が三年ぐらいあるから、その間にゆっくり母港の問題を考えようと言っておるけれども、そう簡単に母港が見つかるかどうか疑問なんで、われわれ民社党も、原子力の平和利用あるいは原子力の開発については促進する態度を持っておりますけれども、やはり安全性というものについては、われわれもこれをないがしろにするわけにまいりませんので、いずれ委員会で、この問題については、改修計画についても具体的に突っ込んで質問したいと思いますが、これで質問を終わります。
  111. 片岡清一

    ○片岡主査代理 小宮武喜君の質疑は終わりました。  次に、永末英一君。
  112. 永末英一

    永末分科員 防衛庁長官、ロッキード問題でP3Cが一つの焦点になっておることは御承知のとおりでございます。P3Cにつきましては、公式には白紙という態度で防衛庁はおられるわけでございますけれども、今後持つべき対潜哨戒機とP3Cとの関連について、あなたはいまどういうことをお考えですか。
  113. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 御承知のとおりに、現在保有しておりますP2Jが、五十七年になりますと大体かえなければならない、そういう時期でございます。ところが、P2Jの性能というのは十分な対潜能力ではないというふうにわれわれ感じておりますので、やはりもうちょっと性能のいい対潜哨戒機が必要であるというふうに考えまして、次期対潜機をどうするかということでいろいろ検討いたしたわけでございます。     〔片岡主査代理退席、主査着席〕  そういうわけで、外国機を選ぶとするならば、P3Cというのはすでに配備されておる外国機の中では優秀であるというようなことから、これを、こういう外国機を導入した方がいいのか、あるいは国産で五十七年度以降の新しい対潜機を選ぶのかということで、両方検討をしておるということでございます。  しかし、一方P3Cにつきましては、ロッキードの問題が出まして、疑惑がございまするので、私といたしましては、あくまでも国民の納得のいく対潜哨戒機を選ばなければならない、かように考えておるようなわけでございます。
  114. 永末英一

    永末分科員 P2J現有機は五十七年度でかえなければならぬとおっしゃったのですが、五十六年度は最後の一機を予算で生産をしようとしている機種でございまして、したがって、このP2Jの現有機数が寿命が参りましてなくなっていく過程と合わせて、次期対潜哨戒機をつくらなければならぬ。しかし、次期対潜哨戒機をつくると言いましても、決めてから一年でできるわけでも何でもございません。やはり最終的な次期対潜哨戒機の保有すべき年代というものがあるわけでございまして、その辺の関連を明らかにしていただきたい。
  115. 丸山昂

    ○丸山政府委員 御案内のように、ただいま私どもの保有しております固定翼の対潜哨戒機P2V7、これは有償援助で受領したものでございます。それからP2J、これは御案内のように、P2V7を母体といたしまして、この対潜能力を向上するために、搭載その他の能力をアップいたしたものでございまして、これはほとんどが国産でございます。それからS2F、これは小型の固定翼対潜機でございまして、これはP2V7と同じようにやはり有償援助のものでございます。  で、今後のこの勢力推移を見ますと、P2V7は五十年度末の就役機数が二十機でございまして、五十一年度以降、各年度に四ないし六機の減耗が予定されるわけでございまして、そのまままいりますと五十五年にはゼロとなるわけでございます。  それからP2Jは、五十年度末の就役機数が六十一機でございます。で、五十一年から五十三年度間に調達をいたしましたもの、あるいは調達予定のものが就役をすることになります。したがいまして、これは逆に五十三年度には七十八機程度になるわけでございますが、これもP2Jの全体で見ますと、五十六年ごろまでこのピーク時の勢力を維持することが可能でございますが、五十七年度からは逐次減衰の時期に入ってくるというふうに考えておるわけでございます。  それからS2Fにつきましては、五十年度末の就役機数が二十四機でございまして、五十三年度ごろまでに現在程度の勢力を維持するということが見込まれるわけでございますけれども、五十四年度以降は、逐年これが減衰をいたしまして、五十八年度にはゼロになるというふうに見積もっておるわけでございます。  したがいまして、大まかに申しまして、五十七年度以降はP2Jが主体になりまして、このP2Jが耐用年数の関係で逐年減衰をしていく、こういう状況でございます。
  116. 永末英一

    永末分科員 防衛庁長官の言われましたことと防衛局長の言われましたところを合わせますと、五十七年度から七十八機をピークとしているわが対潜哨戒機がだんだん減衰をしていく。したがって、七十八機が必要なのか、それ以上が必要なのか、望ましい機数は一体幾らであるか。それから、そのためには絶対に補充しなければならない年度はいつであるか。この二つをお答え願いたい。
  117. 丸山昂

    ○丸山政府委員 まず必要機数の方でございますが、これは御案内のように、対潜の装備といたしましては、水上艦艇、それから潜水艦。それから航空機も、固定翼機、回転翼機というようないろいろな種類があるわけでございまして、全体の効率を高めるために、それぞれの特徴に応じた使い方をするということになってまいるわけでございます。当然水上艦艇の今後の整備計画というものと密接な関連があるわけでございまして、これを詰める過程において、固定翼対潜機をどれだけの機数配備するかということがポスト四次防の構想を立てるうちの大きな作業になるわけでございまして、現在これを続行中でございまして、現在の段階で固定翼機をどれだけ整備するかという点につきましては、はっきりした結論が出ておらないところでございます。  それから、この配備を絶対に必要とする時期でございますが、これは先ほど申し上げましたように、P2Jが五十七年度以降勢力が減衰をするという点から勘案をいたしますと、機数の問題は別といたしまして、実戦配備を開始する時期は五十七年以降ということにならざるを得ないというふうに考えておるわけでございます。
  118. 永末英一

    永末分科員 すでに次期対潜哨戒機の問題は昭和四十四年度ごろから問題となっておったのでありまして、したがって、その当時から、P2Jの行く末、運命というものはすでにわかっておる。だといたしますと、いま防衛局長のお話では、いわゆるポスト四次防計画が成立しなければ機数はわからぬというのですが、そうじゃないんじゃないですか。大体わかっているんじゃないですか。そうしないと、いままで一体次期対潜哨戒機問題というのは何をしておったかということになりますね。いま御報告がございましたように、P2Jその他のものの運命は決まっておるわけです。P2Jはこれ以上生産しないという決定になっておりますから。  だといたしますと、いまの話の中で、ほかのことはわかりましたけれども、五十七年度から次期対潜哨戒機を配備につけたい、こうおっしゃったが、それには機数の問題がある。機数の問題が出てくれば、どの程度の準備をしなければならぬかということも出てくるのである。その点、お考えあるのでしょう。お答え願いたい。
  119. 丸山昂

    ○丸山政府委員 四十四年のころから国産を考えまして、PXLの問題についての将来の整備構想というものを打ち出しておったことは事実でございますが、この時点におきましてもどれだけの機数を整備するかということは、結局、現在保有しております固定翼対潜機が合わせて約百機ということになりますので、大体それをめどということが当時も考えられておったと思いますが、はっきりした整備機数というものは出ておらないわけでございます。  現在、私ども内輪で海上幕僚監部との間に、ポスト四次防の固定翼の対潜機の整備機数についての議論をやっておる段階でございまして、海上幕僚監部としての希望いたします整備機数というのは出ておりますけれども、私どもの立場から見ました場合に、それだけの機数が必要であるかどうかということについて納得のいく段階にはまだ来ておらないわけでございまして、現在の段階では、先ほど申し上げましたように、何機を整備するかということは、やはり海上艦艇の整備、それからその他関連の対潜兵器の整備というものと総合的に考えて行うべきではないかというふうに考えておりますので、現状を正確に先生に申し上げましたわけでございまして、現在の段階においては、まだ整備機数についてははっきりした結論を得ていないというのが実情でございます。
  120. 永末英一

    永末分科員 現在のP2Jが五十七年度以降五十七年度、五十八年度、五十九年度と、最初の三、四年、五年ぐらいの間に、年々スクラップというか、耐用時間、飛んでしまってだめになる飛行機、それはわかっていますね。それを教えてください。
  121. 丸山昂

    ○丸山政府委員 先ほど申し上げましたように、五十年度末の就役機数が六十一機。したがいまして、今後調達あるいは調達見込みになっておりますもの、これを全部入れますと五十三年度に七十八機になりまして、しばらくその勢力を続けるということになるわけでございます。これが、先ほど申し上げましたように、五十六年ぐらいまで大体七十八機のベースを保ちます。まあ、これは試算でございますので、大変細かくなりますけれども、大体五十五、六年ぐらいまでの間に一機ずつの減耗ということになりまして、五十七年から急激に減耗の数が三機ないしは四機というベースで落ちてまいります。したがいまして、このままの形でまいりますと、昭和六十六年にはゼロになるという見込みを立てておるわけでございます。
  122. 永末英一

    永末分科員 先ほど、対潜哨戒機の機数というのは、艦艇を含めいろいろの対潜哨戒用のわが方の保有すべきものとの見合いで決まるということですが、いまのように、一機ないし三機、四機、年々消耗するとして、ぎりぎりどうしても配備しなければならない時期がありますね。それはもうお見込みですか。航空機をつくらねばならぬ時期、配備につけねばならぬ時期。
  123. 丸山昂

    ○丸山政府委員 したがいまして、PXLについては、第一線配備の時期は五十七年度を初めとして、それ以降減衰に見合った形での配置をやってまいらなければならないというふうに思っております。
  124. 永末英一

    永末分科員 いやいや、あなたは、機数はいま策定しているところで、決まってないと言われた。七十八機というのはいまの保有のピークであるけれども、それから減っていく。私が聞きたかったのは、艦艇その他の、回転翼もございましょうし、固定翼の対潜哨戒機というものの機数は、ポスト四次防計画がまだ決まっていないので検討中だとおっしゃったが、しかし、少なくともぎりぎりのところはあるだろうということを聞いたのですが、また五十七年からと言うが、それはいまの機数が減るからというだけの裏返しでしょう。そんなことを聞いているのじゃないのです。つまり、七十八機から減っていって、あるいは七十六、七十三、あるいは七十と、こう減っていくかもしれぬが、たとえば六十五機までくればもうだめなんだというところがあるとぼくは思う。六十五か何か知りませんがね。その年度はいつだということを聞いておるのです。
  125. 丸山昂

    ○丸山政府委員 その保有しております固定翼対潜機の勢力がある一定限度以下になった場合という御指摘であるかと思います。その点につきましては、私どものいまの考え方では、先ほど御説明いたしましたように、P2J以外の対潜哨戒機というのはもうそれまでに全部ゼロになっておるわけでございまして、P2J一種類のみの保有ということになるのでございまして、その一機、二機の損耗ということは大勢には大きく響かないわけでございますけれども、三機、四機というベースで落ち込んでまいりますときになりますと、これは大きな問題であるというふうに考えるわけでございます。ましてやP2Jは、現在その内容の近代化を図る余裕がもうほとんどなくなってきておりますので、現在の能力のまま推移するということになりますと、一方、潜水艦の性能向上ということと対比して考えますと、相対的には能力のダウンということが必至になってまいりますし、それから機数の点については、先ほど申し上げましたように三機、四機ベースで落ち初めるときが、われわれとしてはやはり問題の時期であるというふうに判断をしておるわけでございます。したがいまして、先ほどから申し上げておりますように、五十七年度以降三機、四機という形になりますので、どうしてもやはり五十七年度にPXLの一番機の配備が望ましいというふうに考えておるわけでございます。
  126. 永末英一

    永末分科員 五十七年度に次期対潜哨戒機の配備をしなければならないといたしますと、国産ではいつ決めてかからねばなりませんか。
  127. 丸山昂

    ○丸山政府委員 五十七年の配備でございますと、この方針はことし中にお決めをいただく必要があるというふうに考えております。
  128. 永末英一

    永末分科員 国産はことし中、それから輸入の場合にはいつですか。
  129. 丸山昂

    ○丸山政府委員 輸入と申しましても、ライセンス生産を含めての考えでございますが、リードタイムがライセンス生産の場合には三年というふうに承知をいたしております。
  130. 永末英一

    永末分科員 もし外国機のライセンス生産ということでございますと、五十七年で三年だといいますと、五十三年中に決まればいい、こういうことですか。
  131. 丸山昂

    ○丸山政府委員 ライセンス生産もしくは輸入の場合におきましては、大体先生のおっしゃった五四年でよろしいようでございます。しかしながら、これはその問題だけに限って申し上げた場合でございまして、私どもの現在やっておりますポスト四次防の全体計画を立てる際におきましては、当然その計画の中の一部として基本的な考え方はことし中に決めておかなければならないというふうに考えるわけでございます。
  132. 永末英一

    永末分科員 私が時期のことをうるさく聞きましたのは、すでに一度ある程度の実体が進行しながらそれが白紙還元をされたという歴史をこの次期対潜哨戒機問題は持っているからでございまして、したがって、いまの御答弁がございましたが、防衛庁長官に伺いたいのは、ことしポスト四次防の計画を立てられるときには、次期対潜哨戒機が国産になるか否かぴたっと決めて国民にお示しになりますね。
  133. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私はやはりタイムリミットが来ておると思いますので、いずれにいたしましても、対潜哨戒機をどういうふうにするかということを決めなければならないというふうに思っております。
  134. 永末英一

    永末分科員 かつて、この八月にはポスト四次防の計画を決めて、そのときには次期対潜哨戒機問題も決着をつけたい、こうおっしゃいましたが、八月で間違いございませんか。
  135. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 一応八月が概算要求の時期でございますから、できますならばその時期までに決めたい。もちろんその前に国防会議等にも諮って決めるわけでございますけれども、しかし、御承知のように十二月が最終の予算決定の時期でございますので、あるいはそういう時期が最後のタイムリミットだというふうに心得ております。しかしそれまでには、いずれにいたしましても決めなければならないというふうに思っております。
  136. 永末英一

    永末分科員 防衛庁長官、それまでに、ロッキード社がいままで兵器を売り込むためにいろいろなことを外国に対してやった、そういうことに対する国民の疑惑が真っ白になると思われますか。
  137. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 これは先のことでございますからわかりませんけれども、ひとつそれまでにこの問題がけりがつくというように期待をいたしております。
  138. 永末英一

    永末分科員 いずれとも国民の疑惑が残っている限り、国民が大きくこれに対して疑惑を持っておれば、そういう兵器は、それを扱う自衛隊員の士気を鼓舞することになりませんね。私はその機械よりはむしろ士気の方に問題点があると思う。したがって、疑惑が残っておれば国産で進まざるを得ない、そう判断してよろしいか。
  139. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私は決め方はいろいろあると思うのでございまして、やはり国民の納得のいく形でしか決めてはならないというふうに思っております。
  140. 永末英一

    永末分科員 いま八月と十二月と二つ言われましたが、ポスト四次防計画といって基盤防衛力なる構想を出されましたが、それに基づく構想はいつ出されるのですか。
  141. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 先ほど受田先生の御質問にも答えたわけでございますが、これもいま作業をせっかくいたしておるわけでございますが、できますならば、八月の概算要求までには決めたいというふうには思っておるわけでございます。
  142. 永末英一

    永末分科員 すでに国防白書も昨年中にも出されるような勢いでございましたが、国防白書なるものはいつ出されるのですか。
  143. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 国防白書はもうすでに九分どおりできておりまして、いずれ近々これは発表できる段階に入ると思います。
  144. 永末英一

    永末分科員 その国防書の中には、防衛生産の問題も入っておりますね。
  145. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 細かい防衛生産の問題は入っておりませんけれども、一応対潜機の問題とかいうような問題は入っておるのでございます。
  146. 永末英一

    永末分科員 次期戦闘機の問題も問題になっておりまして、防衛庁では、グラマン社、マクダネル・ダグラス社、ゼネラル・ダイナミックス社それぞれの航空機三機種にしぼって検討するように決めたようでございますが、それらの会社もまたアメリカにおきましては、多国籍企業としてその商法について疑惑が持たれておる。たとえばグラマン社のごときは、イランに対して、わが国が対象機種としておりますF14トムキャットについて、その売り込み方がおかしいというので、その手数料部分について、イラン政府はグラマン社に対して値引きを交渉して、それが成立したということが伝えられております。これは、どういう手順で何月ごろ何をして、どういうことをやっていこうというお考えですか。
  147. 丸山昂

    ○丸山政府委員 この一月に、ただいま先生御指摘のように、次期対潜機の候補機といたしまして、F14、15、16の三機種に対象機をしぼりまして、この三種の機種について実際に搭乗いたしましてテストをするという、そういう実機検査、こういったものを含めた第二次の調査団を、予定といたしましては四月に派遣をするという予定であったわけでございますが、暫定予算になりました関係で、この予算が成立をいたしました後の段階に派遣をするという予定になっております。したがいまして、五月の下旬あるいはそれ以降ということにならざるを得ないと思いますが、いずれにいたしましても、この第二次の調査団の派遣をいたしまして、その結果、ただいまの三機種のうちから一機種に候補機をしぼるということをやりたいというふうに考えておるわけでございます。これは、先ほど大臣からも申し上げましように、八月に五十二年度の概算要求を当庁として決めますまでに、できれば一機種にしぼるということを明確にいたしたいと思っておりますが、ただ、大変調査団の派遣がおくれておりますので、その時期に間に合うかどうかという点については、ただいまのところ多少の不安がなきにしもあらずというところでございます。しかしながら、概算要求に間に合わなくても、最終の十二月の五十二年度予算が決定を見るまでには、ぜひこのFXについての機種を一機にしぼるという作業を完了いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  148. 永末英一

    永末分科員 次期戦闘機は現有戦闘機の後継ということで考えられておるようでありますけれども、もともと104からF4に至る過程におきましては、いわゆる地対空ミサイル網というものにつきましては、すでに決まったものが実行せられただけであって、それとの一体において防空ということが考えられた節がございません。しかし、いまわれわれは、過般のイスラエル・アラブの戦闘において、いかに地対空ミサイルというものが有効であるかということをよく知らされておると思います。次期戦闘機の選定に当たっては、そのこともかみ合わせてお考えですか、いかがですか。
  149. 丸山昂

    ○丸山政府委員 おっしゃるとおりに・中東戦争におきましては、地対空ミサイル、特にソ連の機動力のございますSA6あるいはSA7というものが大変有効な働きをしたということを言われておるわけでございます。私どもも当然、SAMと要撃戦闘機のコンビネーションというものは、全体の防空戦略構想を立てる上において必要不可欠なものでございまして、この点について十分検討をする必要があるということで、ORその他でもやっておるわけでございます。  ただ、御案内のように、現在SAMの主勢力でございますナイキにつきましては、大体四次防で配備をほとんど完了しておるわけでございまして、今後大きな変化はないと思います。それからナイキそれ自体については、長期的にはアメリカで今後これを改良して継続生産をするという見込みがないようでございますので、問題はポストナイキ、ナイキの後継がどうなるかという点についての見通しが現在のところはっきりしておらないということでございます。  それからホークでございますが、このホークも改良ホークにヨーロッパでは逐次改装されつつあるわけでございますが、私どもの陸上自衛隊におきましては、ポスト四次防の末期にやっとこれの着手に当たり得るというような状況でございまして、そのほかアメリカでは、現在SAMの後継としてSAM−Dの開発を行っておりますが、これも現在のところにおきましては、将来の見通しが全く立ってないということでございますので、少なくとも現状のナイキとホーク、一部は改良ホークというものを前提にインターセプターとの関連を追求してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  150. 永末英一

    永末分科員 そうなりますと、現状のいわゆる地対空ミサイル網では不十分だと現在お考えですか。
  151. 丸山昂

    ○丸山政府委員 現状のナイキ、ホークにおきましても、十分それによって所要の目的を達し得る能力は持っておると思います。  ただし、これらの兵器に共通の弱点と申しますか、ECM、電波妨害に対する脆弱性、あるいは低空侵入に対する対応措置、こういったような問題につきましては若干問題点はあるわけでございますが、現有は現有なりの有効性は十分に持っておるというふうに考えております。
  152. 永末英一

    永末分科員 そのものの機能を申し上げているのじゃなくて、分量のことを申し上げておるのであります。  時間が参りましたから終わらねばなりませんが、防衛庁長官、外国からこういう高価な航空機を買おう、兵器を買おうというときには、いろいろな問題がここ十数年つきまとってきたわけであります。これはわが国の平和と安全を守る上についてはきわめて遺憾な事件であります。そういう黒い影のあった兵器をたとえわれわれが使うということになりましても、黒い影が濃ければ濃いほど士気は上がりませんね。したがって、いま次期戦闘機を買うに当たってはまず第一に、やはりそういうことのないよう、厳重にひとつ防衛庁長官は責任を持って対処をしていただきたい。  第二は、F4の購入に当たって、わけのわからぬ理由でもって、当初の航空機の目的を達成しないように改造してわが航空自衛隊はF4を持っておるのである。そういう点については、やはりポスト防衛力の計画をお立てになるわけでございますから、その防衛計画を十分に国民に説明をして、それにのっとっておるからこの航空機なんだ。それをまたわざわざ手を加えて、何かその役に立たぬようにして持っておるなんということは、私は国民に対する裏切りだと思います。  その二点について、あなたのお考えを承っておきたい。
  153. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 まず後段の問題からお答えを申し上げたいと思うのでございますが、私はやはり、国民の納得のいくような防衛理念と申しますか、構想といいますか、そうしてそれに対してどういうような編成を持ち、どういうような装備を持つかということでなければ、国民を説得することはできないと思いますし、また、それを使いますところの自衛隊の諸君の士気を鼓舞することもできないというふうに思います。いわんや、前段の問題でございます国民の疑惑のかかったような決め方をしたならば、これはもうそれだけで士気は下がるというふうに思いますので、一点の疑惑のないような決め方をひとついたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  154. 永末英一

    永末分科員 終わります。
  155. 笹山茂太郎

    笹山主査 次に、渡辺武三君。
  156. 渡辺武三

    ○渡辺(武)分科員 私は、わが国の環境行政について、若干の御質問を申し上げたいと存じます。  近代社会に生存するわれわれ人間にとって、環境問題、公害問題というものはきわめて重大な問題でございますが、これはやはり新しい分野だけに、非常に未経験な分野でもあり、それだけに非常にむずかしさが伴っておるということもまた事実でございます。刑法によっては、人を裁く場合は、疑わしきは罪せずという大原則がございますけれども、環境行政においては、未経験な分野もあり未知な分野もございまして、それらの状況をも推して、やはり早く環境問題を解決しなければならぬという立場から、疑わしきを罪するんだというような、そういう姿勢で貫かれておるわけでございますけれども、それだけに、この問題を処理するに当たって、非常に慎重な態度が必要ではないであろうか。後で間違っておりましたでは済まない大きな影響を与えてしまうという問題があるわけでございます。  特に、一、二の例を申し上げますと、きょうはお見えになっておられますか、いま大気保全局長の橋本さんが実はまだ厚生省におられたころだったと思いますが、当時、牛込柳町交差点において鉛公害が問題になったことがございます。当時はまだ環境庁もございませんでしたので、たまたま厚生省で公害課長をやっておみえになった橋本さんに、私の部屋に来ていただきまして、いろいろ話し合いをしたことがあるのです。当時の橋本課長は、確かにその発表されたことどもについて非常に疑問を表明をされておられたのですけれども、しかし実際には、厚生省そのものとして十分なデータも何もない、ある日突然ある学者グループが発表されたということで、それに対するコメントを避けられたわけでございますけれども、結果的に見ていきますと、そういうことから端を発して日本の鉛規制というものが行われていった、こういう経過があるわけでございます。  一方、アメリカはどうかといいますと、アメリカも確かにそういう鉛害問題が爼上に上りまして、いろいろ規制がかけられんとした。その過程において連邦裁判所の判決等が示されて、EPAそのものが鉛公害の規制実施ということに中止をかけられた、こういう経過があるわけです。ちょうど中止を命ぜられたアメリカの状態の中で日本は鉛害規制が実施をされるというような事態に相なったわけでございまして、実際問題として、ガソリンの中に含まれておる鉛分によってどの程度われわれ人間生活に影響があるのかということが十分解明をされないまま規制だけが先行していくというような形で、そのために受ける経済的な影響、いろいろな影響があろうかと思いますが、一体それで本当にわれわれの命と健康が守れたであろうかどうであろうか、こういうふうに疑わざるを得ない。  きょうの新聞なんかを拝見をいたしますと、自民党の環境部会ですか、すでにもう判決も出、企業も多額なる賠償を払っておられますイタイイタイ病とカドミの問題、この問題も何かどうも非常に疑問がある、その因果関係に疑問があるのだというようなことを、自民党自身もその部会での一応の結論をお出しになっておるようでございますけれども、しかし実際は、この問題はもうすでに企業が悪玉だということになり、裁判も済んで、そうして多額な賠償、補償金が実は支払われておる問題なんです。  そこで、環境行政そのものを進める上において、非常に重大な問題があるのではないであろうか。つまり、非常に未知な分野、未経験な分野だけに、実はほとんどデータが不足しておるということです。したがって、その不足な分野を補うための対応策というものが本当は早急に講じられなければならない。  いまの近代社会における企業の中において、これは環境問題とは別ですけれども、ある製品をつくっておって、その製品に不良が出たといたしますと、まずその不良の要因分析というものを徹底して実はやるわけです。不良の要因分析を徹底してやって、そしてその要因をパレート展開をして、一番要因の重いものからアクションをとる。これがいま企業の中における近代的な手法の実はイロハのイの字なんですよ。そうしないと、確かに要因の一つではあっても、全体の中で占めるウエートがたとえば五%にすぎなかったといたしますと、その五%にすぎなかった要因を取り上げて一生懸命でつぶしてみた。仮に一〇〇%つぶし得たといたしましても、全体の中で環境がよくなった率というものはわずか五%、九五%の悪環境はそのまま残ってしまうことになるわけでございますから、当然やはり、そういう悪環境が発生をしておる要因の一番ウエートの大きなものからアクションをとっていくということが、一番合理的であるわけですね。その要因をつぶすことによって、三〇%、四〇%、あるいは五〇%というような、そういう悪影響をつぶすことができる、こういうことに相なるわけでございますから、そういう面では私は、一つの公害現象が起きておるその要因分析というものが本当に科学的に十分なデータによってなされているであろうかどうであろうかということについて、実は大変疑問を持たざるを得ないわけでございます。  その例として、いま、鉛公害の問題、あるいはカドミの問題等を申し上げたわけでございますが、いまごろになって、どうもあれはおかしかったというような問題が出てきたといたしますと、そういう不十分なままで結論を出されていって影響を受けた問題は、再び取り返しのつかないような問題に実はもうなってきておるわけですね。それだけに私は、これからの環境行政を進める上において一番不足をしておるそれらの問題について、一体環境庁はどう対応をなさっていかれるであろうか、この点についてまず長官からお考えをお聞きしたいと思います。
  157. 小沢辰男

    小沢国務大臣 渡辺委員おっしゃるように、環境行政はあくまでも科学的、技術的な知見をもとにして判断をしていかなければいけない、これはもう私、就任以来の基本的な強い考え方でございます。ただ、この科学的知見というものが、公害問題のいろいろな現象を考えますと、相当まだわからない分野がたくさんございますし、そうかといって、人の健康に関係するようなものが、もし結果的にこの対応の仕方を誤りますと、後で非常に大きな後悔を残すことにもなりますので、したがってその辺、あるいはおっしゃるようないろんないままで過去の事例があったんではないかと思うのでございますが、公害研究所も四十九年に発足いたしまして、逐次内容も整備しておりますし、また私どもの役所では、毎年の予算でいろんな調査研究費を計上をしていただいておりまして、あらゆる分野で相当この科学的な知見を正確に得るべくいろんな調査を続行をいたしておるわけでございますから、私は、今後は徐々にそういう意味においては科学的な知見をはっきり基礎にした行政に進んでいくものであろうと、こう考えております。  ただ、学問的な研究というものは非常に長くかかるわけでございまして、そう急にはなかなか出てまいりません。また健康に対する影響等については、動物実験の問題等が非常におくれている面もございます。しかし、世界全体でいろいろ得られました科学的な情報というものを公害研で常に把握をいたしまして、これを参考にしながら進んでいく、こういう態勢でいま進めております。  基本的な考え方としては、フィーリングで、あるいはムードで環境問題に対応するということでなくて、科学的、技術的な知見をもとにして、本当にひとつ正確な科学の裏づけによって進んでいく、こういう態度でいきたい、かように考えております。
  158. 渡辺武三

    ○渡辺(武)分科員 基本的な考え方についてはまあいいんですけれども、きわめて抽象的ですから、いま筑波学園の中に公害研究所というのが国立である、これでもってやっていくんだという意味かというふうにも解せられるわけでございますが、私自身がそれを見ていった場合に、大変不十分な状態ではないであろうか。もっともっとこの国立公害研究所の機構改革、拡大、拡充ということをやらないと、いまのいろいろあらわれている現象に対応することはできないんではないか。  アメリカは、御承知のように科学アカデミーという組織があって、これはきわめて厳選されたその道その道のエキスパートが集まり専門家が集まって、そしていろいろな角度から純科学的に検討が行われ、いろいろな答申が行われる。それだけに、そこから出てきました答申というものは大変高い位置づけでもって国民に信頼をされる、こういう形になっておるのですね。ところが、日本の場合では非常にそれが不十分でございまして、ある特定グループが自分たちの単なる調査によって簡単に発表され公にされる。悪く言えば、その公にされた事象について環境庁が後追い行政を行う、振り回されるということすら実はなきにしもあらずのような状態ですから、そういうことを極力避け、さらに過ちを犯さないようにしていくためには、やはりデータの分析、データそのものの収集、こういうことが相当大規模に行われなければならない事態であろう。それが行われずにムード的にいろいろ環境行政が進められていきますと、規制が先行していくという結果になる。それがたまたまうまく当てはまればいいわけですが、中にはそれが誤ってしまうという場合も皆無とは言いがたい。それだけにいろいろの疑問も出ておる、こういうことでございますから、この点についてだけ長官の御決意を伺っておきたいのです。いわば、現在ございます筑波学園の中にある公害研究所というものを、本当にもっともっと拡充強化をして、りっぱな権威あるものにするという御決意はおありになるのかどうか、この点だけお伺いしておきたいと思います。
  159. 小沢辰男

    小沢国務大臣 おっしゃるまでもなく、その決意を十分持っております。  ただ、御承知のとおり、厚生省の分野、そのもとにおける衛生試験所の分野、あるいは各省それぞれ責任を持ってやっていただいております日本のいろんな行政機構なり任務の遂行のあり方、こういう点もありますから、何から何まで公害研究所でやるというわけにはいかないわけでございまして、主としては、先ほど言いましたような、いま今日考えられる科学的な知見というものに対する正確なあらゆる世界的な情報を集める、それを提供する。それから同時に、環境汚染というものが動植物に影響を与えるかということを中心にして、一層機構を充実し拡充をしていきたいと、かように考えておるわけでございます。
  160. 渡辺武三

    ○渡辺(武)分科員 時間が大変ございませんから、それでは具体的に、すでに環境庁がこの国会に、まだ付託はされておりませんけれども、提出をされております振動規制法案につきまして、若干の御質問をしたいと思います。  振動による人体被害の影響というものは、多分に心理的、感覚的なものだというふうに言われておるわけでございます。環境庁としましては、この振動被害については、その態様、範囲といったものをどういうふうに把握をしておられるか、これがまず第一点です。  それから中公審の答申によりますと、基準値の厳しいものは六十から六十五デシベル、こういうふうになっておりますけれども、人体被害が認められる振動の大きさとは一体どの程度のものだろうか。さらに、この振動による被害でございますけれども、被害を受けたというふうに認定をするためにはどのような要件が必要となっておるか。どう考えておられるか、お答えを願いたい。
  161. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 先生の御質問の第一点でございますが、振動による人体影響と申しますのは、御指摘のように心理的、生理的な問題が非常に大きゅうございます。ただ、この基準として取り上げましたのは、夜は少なくとも眠れるようにということの問題。あるいは非常に多くの苦情が出てくるわけでございますが、その苦情が少なくとも三〇%か四〇%以上出てくるというようなものを一つの尺度としてものを取り上げてきておるということでございます。  そこで、どれくらいの振動で人体に影響が出るのかという御指摘でございますが、九十デシベルくらいのところでは人間にはっきり生理的な好ましくない影響が出てくるということが明らかでございまして、これを地上に直しますと、大体そこから五を引きますと、地上振動で八十五デシベルぐらいあると人間に生理的な認められる影響が出てくるものと見て対応しなければならないというように考えておるわけでございます。
  162. 渡辺武三

    ○渡辺(武)分科員 その被害の認定の要件をお聞きしたわけですが、いまお答えになっただけで全部含まれておるんだ、こういうことですか。
  163. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 どうも失礼いたしました。  最終の質問のところの被害の認定はどうするのかという御質問でございますが、この場合に、被害の認定というような形をこの法律はとっておりませんが、規制の行為がかかりますときには、基準をオーバーしていることと、そこの場所でその被害に対する訴えが多い、この二つの点をとっております。そういうことで、単に訴えがあるということだけではなしに、基準をオーバーしておるかどうかという客観的な尺度があり、それに加うるに、そこの場所の人々の苦情というのがどういう程度にあるのかということをあわせて、被害の状態についての判断を下すことにしております。ただし、これは補償とかそういうものの問題とは全然異なりまして、規制を発動する場合の条件でございます。
  164. 渡辺武三

    ○渡辺(武)分科員 そのこと自身について実は本当は討論をしたいわけでございますが、時間の制約もございますから、次に移ります。  この法案によりますと、二条に規制の対象がございまして、規制の対象を発生源別に工場だとか事業場だとか建設工事だとか道路交通というふうに規定をいたしておりますが、この中で一つ大きな問題が抜けておるんではないかと考えられますのは、御承知のように新幹線に対する問題でございます。新幹線の規制対象がこの法律からは外れておるようでございますけれども、それを除外された理由がどういう理由なのか、お聞かせを願いたい。
  165. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 新幹線の問題でございますが、振動公害そのものがいままで余り十分データがそろってなかったということもあって、答申以来二年間を要したわけでございますが、特に新幹線のような問題になってまいりますと、非常に技術的な観点からその対策、原因の究明等につきまして、まだきわめて不確かなところが多い。どうしてもそれをまだ法律の規制にまで上げていくことは全く無理でございますので、そこで当面緊急に講ずべき措置ということで勧告を行ったというようなことになっておるわけでございます。
  166. 渡辺武三

    ○渡辺(武)分科員 新幹線についてのデータがきわめて不足をしておるということは、言いかえれば、別に発生源である工場だとか事業場だとか建設工事とか道路交通というものは十分なデータがそろっておる、こういうことになるわけですが、そういうことですか。
  167. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 工場につきましては、これはかなりのデータと規制の経験との積み重ねがございまして、新幹線よりかははるかにそろっております。それから建設の振動につきましても、これも実際どういうぐあいにこの建設作業の時間を規制するかということでございますので、新幹線の場合のような対応とは全く様相を異にしておるということで、これは対応の手段があるということで入れております。それから道路につきましては、これは警察庁や建設省等の協力を得まして、二年間にわたりましていろいろ調べた結果や、あるいは道路の補修あるいは交通規制等の評価につきましてもかなりのデータを得ましたので、完全にして満足したデータであるかという御議論からおっしゃいますれば、いろんな御意見はあるかと思いますが、少なくとも現在工場については規制をするに足るだけのものがある。それから建設作業につきましては、作業の時間等の制限についてやるに足るだけのものはある。道路につきましては、要請を発動しまして、そしてそれによって道路管理者の方の措置、あるいは交通規制をする方の措置についての裏づけはあるということで踏み切ったわけでございます。
  168. 渡辺武三

    ○渡辺(武)分科員 私が冒頭申し上げましたように、一つの規制に踏み切ろうとする場合のデータの収集、これは非常に大切でございますが、その中の分類、分析の仕方について、いろいろ要因別にたくさんあるでしょうけれども、一体何を一番最初に取り上げていった方が、この問題である振動を除去していくために、あるいは人間の生活影響を排除するために一番手っ取り早いであろうか、そういうウエートづけをしていきますと、一体どういうことになるでしょうか。
  169. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 何を取り上げれば最もよいかということでございますが、まず一番最初の手がかりは、苦情が何に多いかという苦情統計でございます。これは明らかに統計の数としてあらわれてまいります。そういうことで、苦情の最も多いものを取り上げております。それからその次に、態様の把握ということがどの程度までされておるかということでございまして、これは振動現象の解明ということにつきましては、先ほど申し上げましたようなデータを基礎として、その強い弱いの程度がポイントになっております。それから技術的な対応がどこまでできるのか、その実績はどこまであるのかということを中心といたします。  影響の観点につきましては、これは先ほど御指摘のような心理的、社会的な問題もあるということは事実でございますので、その点につきましては、そういう分野の専門家を入れまして、そして社会調査の手法をもちまして、どのレベルで何%ぐらいまでの苦情が出てくるかという段階を検討いたしまして、そしてそれを議論の上、基準の線を設け、少なくとも夜は眠れるように、それから健康被害、具体的な先ほど申し上げましたような全くひどいような条件は絶対に出てこない、それから物的な被害が明らかにここから起こるというようなところまでのものは中に含めないというようなことで決めたわけでございます。
  170. 渡辺武三

    ○渡辺(武)分科員 いままでの御説明だけでは、私が得んといたしておりまする、つまり新幹線が規制対象から除外をされ、単なる勧告にとどまったということの納得性がなかなかむずかしいわけでございますが、時間が参りますから次の問題に移りたいと思います。  法案の四条によりますと、各地方自治団体が条例によって規制基準の上乗せをすることができる、こういうことになっておるわけですが、その上乗せの範囲というものをどの程度に考えておられるのか。あるいはまた、市町村段階によって規制の基準が異なるということは、環境庁が統一的に行政を行う場合にいろいろな支障を来してこないかどうか。さらに受ける国民側から見ますと、大変不公平が生じてまいるのではないか。こういうことがあるわけですが、この辺はいかがでしょうか。
  171. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 まず、先生の最初の御質問の上乗せの範囲でございますが、これは環境庁長官が幅を示しますので、その幅の中でしか上乗せができないということになります。また、それを決める手続に、上乗せの厳しい基準を決めるときにはちゃんと条例で決めなければいけないということでございますので、地方議会の手続を経て決められるということでございます。  それから、地方自治体に任せておいて非常な不均衡を生じはしないかということでございますが、振動問題は非常に地方的な問題であるということについては先生もお認めいただけると思いますが、騒音規制法がすでに昭和四十四年以来動いておりまして、騒音規制法と同じような原則、やり方をもってやっておりますので、騒音の規制におきまして地方自治体の間に非常な相違を生じたということは、実は私どもまだそういう事態に遭遇しておりません。しかし、その点につきましては、非常に注意すべき問題であるとも思いますので、その運営につきましては、不公正のないようにきっちり指導していきたいというように考えておるわけでございます。
  172. 渡辺武三

    ○渡辺(武)分科員 それでは、時間が来ておりますから、あと二、三まとめて申し上げますので、一括して御答弁を願いたいと思いますが、法案の十三条には、指定地域内の小規模事業者に対して、改善勧告あるいは命令の内容について配慮すべきだ、そういうふうに書いてございます。このような配慮のほかに、小規模事業者に対して救済をするということが必要な場面が往々にして出てまいるのではないかというふうに考えられるわけですが、この命令の配慮以外に、小規模事業者に対して救済の措置ということは考えておられるかどうか、あったら具体的にお答えを願いたい。  さらに、法案の十五条を見ていきますと、公共性のある施設または工作物の建設工事に対する改善命令、勧告、その他円滑な実施について特に配慮しなければならない、こういうふうに書いてあるわけでございまして、公共性ということで勧告や命令が左右されるということにも考えられるわけでございますが、果たして公共性ということでそのような措置がとられるということが妥当なのかどうなのか。民間または私的なものであっても、この振動を発生するという問題については同じではないか、こういうふうに考えるわけですが、この辺も御見解を承りたい。  さらに、道路交通の振動防止策といたしましては、道路改善または交通規制が挙げられておりますけれども、振動の要因というものは、地盤だとかあるいは路面の状態というものが非常に大きいというふうに言われておるわけでございます。そうした場合には、やはり道路構造、道路対策というものが第一義的な対策というふうに考えられてまいるわけでございますが、その辺は、環境庁としてどのような御理解、御見解を持っておられるか、お聞かせを願いたい。  以上三点について、まとめてひとつ御答弁をいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  173. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 まず第一に、小規模の事業者に対する配慮でございますが、基本的にこの改善命令をかけますと、いついつまでに直せということになるわけでございますが、その場合にやはりいついつまでという期間については、小規模の場合にきわめて難点が大きいということで、普通の場合よりも長くなるということは当然起こり得ようかと思います。次の点は、税制とかあるいは金融上の措置でございますが、現在振動は全く法規制になっておりませんので、いまのところでは、たとえば公害防止事業団法に基づく業務方法書にも入っておりません。そういう融資の道がついてくるということと、規制法に載れば、やはり税制上の特別措置の議論をして制度に乗せるには、はるかに有利に具体的な可能性が出てくるのではないかというように考えておるわけでございます。  それから、第二点の公共性の問題でございますが、振動の問題は、先ほど申し上げましたように、生活環境の保全、人間の生活の質の問題でございまして、そこの中で、下水道とか上水道とか、あるいは道路工事、学校の建設というような地域の利害に非常に関係のあるものについて行う場合には、非常にそれが長引いたり、あるいはなかなかできないということは、地域の人自身の別の面での生活上の問題も生ずるということが一方にございます。このことは、騒音規制法の場合にも公共性の問題をうたっておりまして、そういうことで公共性というものをこの法律の中に同様にうたってきたというようにお考え願いたいというように思います。  民間の場合にはどうかというような御議論がございますが、これは先ほどの公共事業をやっているその建設業者は民間のものであるというものも中にはございますし、あるいは民間の場合の建設作業等の時間の調節等の規定もございますので、そういうものの中で地域住民との調整というものがこの法律の中で行われていくということになってこようかと思います。  それから、最後の道路交通振動については、道路対策が一義的であるという御指摘でございますが、御指摘のとおり、法律の中におきましても、道路振動につきましては、路面の補修とか舗装の打ちかえというような道路構造自体の修繕、改善ということを非常に重く見て、法律上の条文としても明らかに入れ、建設省もこの点について非常に積極的な対応をお考えいただいているというぐあいに私どもは承知をいたしております。  なお、道路の交通条件等もやはり大きな問題になりますので、これは道路の構造とは別に、交通警察という観点から交通規制等の問題もございますので、都道府県の公安委員会に要請をして措置をとってもらうということを入れたわけでございます。
  174. 渡辺武三

    ○渡辺(武)分科員 最後に長官にお願いをしておきますが、いま若干の討論を進めてきたわけでございますけれども、この振動規制そのものも、振動の発生源に対して規制を加えていくという方向でこの法律が構成をされておると思うのですね。私はそれだけでいいだろうかという疑問があるのです。たとえば、本来的にわれわれが生活をしていく上において、そういう活動が必要な部面から出てまいります振動というものに対して、規制ということももちろん必要でございましょうが、むしろそれらを除去する道というものはないだろうかどうだろうか。そういう研究が並行的に相当進められていかなければいけない。一部には、プレスの機械なんかは下にばねを入れてどうこうというようなお話もあるようでございますが、本来的にわれわれが生きていくための動脈である幹線道路等々を考えた場合に、この幹線道路から起きる振動が住環境に影響をしない方向というものは、道路構造上一体どうなんだろうか、こういうことが十分に調査研究をされなければいけないのですね。これはひとり環境庁の枠の中だけではなかなか解決できない問題でございますけれども、えてして規制のみによって行っていこうとすると、いろいろな問題が影響が出てまいると思うのですね。したがって、そういう分野における拡大をした形でのわれわれ人間の生活環境をよりよくしていくという面においては、忘れてはならない分野ではなかろうか。それがともすれば、環境庁行政の中だけでは規制ということに重点を置いて動いていく、こういう結果ですから、そういう面についてひとつ最後に長官の御決意をお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
  175. 小沢辰男

    小沢国務大臣 御意見は一面非常にもっともでございまして、そういうような技術的な検討の裏づけを持って初めて効果を上げていくわけでございます。ところが、道路構造の面、あるいはまた先ほど例示に挙げられました機械そのものの改良、改善というもの、振動が出ないようにするという技術的な研究、これはやっぱり通産省の問題ではないかと思います。したがって、関係各省と十分連絡をとりまして、所期の目的が結局私どもの快適な生活環境を保障するための法案でございますので、規制が目的ではないわけでございますから、それを達成するためのあらゆる手段について、今後、もちろん十分関係者と連絡の上に努力をしていきたい。私はいつも内部で議論をしておりますが、規制そのものが目的ではないので、振動という生活環境を破壊するような状態をいかにしてつくらないようにするかが目的なわけでございますので、おっしゃるような技術的な研究もあわせて当然これは真剣にやっていかなければいけない、かように考えます。
  176. 渡辺武三

    ○渡辺(武)分科員 終わります。
  177. 笹山茂太郎

    笹山主査 次に、宮田早苗君。
  178. 宮田早苗

    宮田分科員 今日ちょうど春の交通安全運動が全国で繰り広げられておるわけでございますので、この際、交通行政に関しまして若干の質問をいたします。  まず最初に、最近の指定自動車教習所の卒業者数、これがどの程度か、また新たに免許を受ける者のうち、卒業者の占める割合はどうなっておるか、それをお伺いいたします。
  179. 勝田俊男

    ○勝田政府委員 昨年の指定自動車教習所の卒業者の数は百七十九万三千三百三十二人ということでございまして、その前年に比べまして四万五百八人、二・三%増加でございます。ここ数年を見てまいりますと、若干の同異がございまして、ほぼ横ばいの状況であるというふうに見受けられます。また、新たに免許を取得する者の中に占める指定自動車教習所の卒業者の占める割合でございますが、昨年は七三・四%でございます。ここ数年の状況を見ますと、わずかではございますが、逐次その占める比率が増加しつつあるという状況でございます。
  180. 宮田早苗

    宮田分科員 過去の状況から見ますと、ただいまもおっしゃったように、大体横ばいということなのでございますが、一方、指定自動車教習所が増加し続けるといたしますれば、勢い過当競争が行われることとなり、ひいては教習の質の低下につながるおそれもあると思うのであります。これを防止するために、需給関係を考えて指定するとか、あるいは指定を制限する、こういうことができないものかどうか、この点をお伺いいたします。
  181. 勝田俊男

    ○勝田政府委員 新たに自動車教習所を指定する場合につきましては、その施設あるいは指導員等の資格、指定前の運営基準、こういった点につきまして、かなり厳しい要件が課せられている現状でございます。そういったことでございますので、かなりの見通しがなければ新設ができないのじゃなかろうかということでございまして、ここ一数年の状況を見ますと、全国で増加しているのが年間五カ所ないし六カ所ということでございます。こういった状況でございますので、現在これが過当競争のおそれがあるというような状況ではないのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。もちろん、われわれといたしましては、この教習所で運転者がつくられていくということでございますから、りっぱな運転者をつくっていくために、教習の質の低下を来さないように十分な指導をしてまいりたいと考えております。
  182. 宮田早苗

    宮田分科員 ただいま御答弁がございましたように、指導員とか、あるいは厳しい条件とかいうことをおっしゃっておりましたし、また免許をとる人が技術、能力ともに、極端に言いますと万全でなければならぬ、こう思っておるところでございますが、この指定自動車教習所の職員のそれに対する報いとして、労働条件、この点がちょっと問題になっておるわけでございますので、そういう点を協議するために、公安委員会、あるいはまた、経営者並びに労働者の三者代表による懇談会、こういう機関を設置する、そうして十分に運営を図っていくという、こういう考え方はないものかどうか、お伺いします。
  183. 勝田俊男

    ○勝田政府委員 労働条件等につきましては、これはやはり労使間で自主的に解決されるということが望ましい問題であろうというふうに考えるわけでございまして、従来からも、この問題についてはわれわれは介入するという気持ちもありませんし、今後とも同様の方針で臨みたいというふうに考えております。しかし、この教習所で行われている仕事は、公共的な意味を持っている重要な仕事でもございますので、そのために教習に危険を生ずるとか、そういったことのないように十分な指導、また法令に反するというようなことのないように十分な指導はしてまいりたいと考えております。
  184. 宮田早苗

    宮田分科員 やはり条件というものが、教える側の指導員と申しますか、この質を向上させる、同時に、その方々が教えます運転者の技術、能力を高める、こういうふうになると思いますので、そういう点はもちろん条件の問題、労使関係ではございましょうけれども、いま答弁でおっしゃいました公共的な色彩の非常に強いものでございますだけに、また今日の御存じの交通状況だけに、格段のこの側面的な御指導というものをお願い申し上げる次第であります。  また、新たに免許を受ける者の大半が指定自動車教習所の卒業者で占められている。これはさっきもおっしゃったとおりでございますが、指定自動車教習所は公共性が高い事業でございますので、これに対する各種の助成措置を講ずべきだというふうに思いますが、この点はどうでございますか。
  185. 勝田俊男

    ○勝田政府委員 私ども、この教習所が健全に運営されるということが望ましいことであろうというふうに考えております。そういったことで、特にこの教習所につきましては、技能試験免除というような制度が設けられているわけでございますので、われわれとしても、これが健全に運営されるためにできるだけ手をかしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。  従来まで、われわれといたしましては、この教習車両につきまして自動車保険、損害賠償責任保険の保険料率の引き下げ、それから中小企業信用保険法の適用、中小企業金融公庫法による貸し付け対象の指定、こういったことをやってきたわけでございますが、さらに中小企業近代化促進法による業種指定につきまして検討中で、現在通産省の中小企業庁とも折衝中でございますが、こういったことによりまして、指定自動車教習所の運営の改善にできるだけ資し得るように努力してまいりたいと考えているところでございます。
  186. 宮田早苗

    宮田分科員 ただいまの答弁に一つ補足をして質問をいたしますが、いろいろな助成措置というものを考慮してもらっておるということをお聞きしましたが、その上に例の車両税、土地税あたりの面でこういうものを考えられないかどうか、これもお聞きいたします。
  187. 勝田俊男

    ○勝田政府委員 国税、地方税それぞれあると思うわけでございますが、ものによりましては府県段階で、それぞれの団体で府県と折衝して、一部税制上の優遇を受けているものもございますし、事業所税等につきましても、首長等ともいろいろと連絡をしまして、それぞれ折衝の過程において何らかの優遇の方法ができるように配慮していきたい。全般的に改善するということは非常にむずかしい問題があるかと思いますが、そういった面につきましても細かく気を配ってまいりたいと考えております。
  188. 宮田早苗

    宮田分科員 次に、身体障害者に対しまする免許行政の問題について二、三点お尋ねしたいと思いますが、身体障害者が自立をするには、今日、車は欠かせないものとなっております。この身障者に対する運転免許行政についてどのように考えておられるか、まずその点をお伺いいたします。
  189. 勝田俊男

    ○勝田政府委員 最近の情勢から言いますと、身障者におきましても、社会活動を行うについて、自動車の運転を必要とする場面が非常にふえてきていると思うわけでございます。したがいまして、われわれとしても、できる限り免許を与えるような配慮をしてまいりたいというのが基本的な考え方でございます。しかし同時に、免許を持って車を運転することによって、そういった障害の面から、逆に事故を起こすとか本人が事故に遭われるというようなことになっては、これはより以上の不幸になるわけでございますので、そういった面についての配慮を十分にしながら、安全ということを前提としながら、できるだけ免許を与えるような配慮を考えてまいりたいということでございます。
  190. 宮田早苗

    宮田分科員 現在、身障者で運転免許を受けておいでになる人は何人ぐらいおられます。
  191. 勝田俊男

    ○勝田政府委員 昨年末現在で六万九千人でございます。また難聴者で補聴器を使用すればよろしいとしている者が約四千百人でございます。
  192. 宮田早苗

    宮田分科員 身障者の適性相談の実施状況は大体どうなっておられますか。
  193. 勝田俊男

    ○勝田政府委員 身障者につきましては、できる限り免許を与えるという方針ですが、先ほど申し上げたような配意もありまして、まず相談に乗る、そういったことで、全国の試験場に相談コーナーを設けて、身障者の方がお見えになったら、いろいろと相談をして、こういう条件ならばあなたが免許を取れるんじゃなかろうかというようなことで相談をしておるわけでございますけれども、その適性相談は、全国で五十年中に、肢体不自由者につきましては二万三千二百七十五人、難聴者につきまして三千八百九十八人、その他が一万四千五百一人、四万一千六百七十四人の方の相談に応じているという状況でございます。
  194. 宮田早苗

    宮田分科員 これと非常に関連があると思うのですが、メーカー側に対しましては、どういうふうな措置を講じるように指示といいますか、指導といいますか、されておりますか、お聞きします。
  195. 勝田俊男

    ○勝田政府委員 身障者の運転のしやすいような車、普通の車よりノークラッチの車の方が運転がしやすい問題がまず一つあるわけでございますが、そういったことで、ノークラッチ使用というような条件をつけて免許を許可している者がありますが、それ以外に、特別の補助装置をつけたりして運転しやすいような車をつくっていくというようなことについても、指導なり連絡をして協力の要請をしているわけでございます。
  196. 宮田早苗

    宮田分科員 もう少し小まめにお聞きしますが、身障者の事故の比率、それから一般の方々の事故の比率、わかっておりますか。わかってなかったら後で結構です。
  197. 勝田俊男

    ○勝田政府委員 全国的な統計というわけではございませんが、サンプル調査で申し上げますと、一般身障者あるいは難聴者ともに、一般の人の比率に比べて高くはないということでございます。
  198. 宮田早苗

    宮田分科員 次に、例の暴走族の関係、いわゆるナナハンですね。七百五十ccの自動二輪車の事故が大変多発をしておる。御存じのとおりであります。免許制度の改善強化が、昨年ですか実行に移されたと聞いておるわけでございますが、その効果がどのように出つつあるのか。また春の交通安全運動、あるいは、ちょうど新学期に当たるわけでございますので、学校に対する事故対策の指導をどうしておられるか、この点をお聞きいたします。
  199. 勝田俊男

    ○勝田政府委員 二輪車の事故の中で、御質問にございましたように、大型二輪車、特にナナハンの事故の率が大変に高いということが一つございます。それから暴走族、これは四輪と二輪と両方あるわけなんですが、一万八千くらいの車があるわけですけれども、そのうち一万ぐらいが四輪、八千ぐらいが二輪と見ているわけですが、二輪の車のうちの四〇%ぐらいが、去年の調査ではナナハンであったというようなこともございまして、一般の安全対策の面からも、あるいは暴走族対策の面からも、大型二輪に対する対策を考えるべきであろうということで、昨年十月から排気量四百ccを超える二輪車を運転するためには七百五十ccの試験車で技能試験をやらなければならないというふうに改めたわけでございます。それまでは、サンハンの車、三百五十ccの車で全部運転できたということでございますので、試験が大変むずかしくなったということでございます。  そこで、試験をやりました結果、従来ならば無限定で運転できる人が一カ月に平均二千人ぐらいであったということでございますが、この試験制度を改めましてからは、平均が三十人ということで、大変大幅に激減をしているということでございます。  この効果については、まだ正確な分析ができ得るほど期間がたっていないわけでございますが、昨年、二輪車につきましてはヘルメットの問題と両方ありまして、二輪車の死者が二百六人、一八%減少している。一般の死者の減少が五・六%ですから、それに比べて大幅に減少しているということで、このような二輪車対策がある程度効果をおさめつつあるのじゃないか。また暴走族対策としてもある程度の効果が出てくるのじゃなかろうかというふうに期待しているわけでございます。
  200. 宮田早苗

    宮田分科員 学校の関係はどういうふうになっていますか。
  201. 勝田俊男

    ○勝田政府委員 二輪車の問題となると、二輪車に乗っている中で少年が七〇%ぐらい、その半分ぐらいが高校生ということになるわけでございますが、これにつきましては、各県ごとに二輪車安全運転推進委員会というようなものがありまして、その安全教育に非常に力を入れている。それに、安全協会ほか警察、高等学校の先生方も加わっていただいて、安全教育を徹底していくという方針でやっているわけでございまして、高校とも十分に連絡をとりながらやっていくし、また、それについての御協力も得ている状況でございます。
  202. 宮田早苗

    宮田分科員 教習所の実態が大体わかったわけでございますが、最後に、交通事故防止のための政策確立について御所見を承りたいと思います。  指定教習所の卒業生で新たに免許を受ける者、さっき七三%ですか、おっしゃったわけでございますが、教習内容の充実強化を図ることが今日特に重要と考えます。そのためには、関係行政機関の指導助成を強化することも、またきわめて大切なことと考えられるわけであります。この点について何か措置をとっておいでになるならば、お聞かせを願いたいと思います。
  203. 勝田俊男

    ○勝田政府委員 事故防止対策の中にいろいろあるわけですが、そのうちの一つとして運転者対策が大変大事である。運転者対策の中で、新規に運転免許を取る人の対策、そういった面では教習所が大変大きな役割りを果たしている。そこで、一つは教習所の教習水準の向上という点で、われわれもいろいろと努力をし、教習所協会等も通じまして、できるだけ努力をしてもらいたいと考えておりますのは、設備機材の近代化、ティーチングマシーンとか、そういったできるだけ効率的な教習ができるような機材を導入してやってもらいたい。  それからもう一つは、やはり何といっても指導員の質の向上。これは公安委員会の行う指導もございますが、教習所なりあるいは協会なりの行う指導というものを一層強化していただくようにお願いをしたいというふうに考えておるわけでございます。また、われわれとしましても、そういった配慮から指導するとともに、十分な監督もしてまいりたいと思います。     〔主査退席、片岡主査代理着席〕
  204. 宮田早苗

    宮田分科員 最後に要望をいたしますが、春の交通安全週間が毎年行われるわけでございますが、この種の関係は何回やっても決して万全ではないと思います。私はもちろん教習所あるいは自動車運転者だけということではないと思います。道路問題なりあらゆる関係に対しまする連携というものが、特に必要じゃないかと思っておるところであります。交通関係に対しまするあらゆる努力というものについては、いろいろ評価されるところもございますが、より一層の交通事故をなくす対策をひとつ十分にやっていただきたいということを特にお願いをいたしまして、質問を終わります。
  205. 片岡清一

    ○片岡主査代理 次に、木野晴夫君。
  206. 木野晴夫

    木野分科員 私は、日本原子力船開発事業団の関係と、それからいわゆる地名総鑑の問題につきまして、お伺いしたいと思います。  まず、日本原子力船開発事業団についてであります。御承知のとおり、原子力船の第一船としまして「むつ」が建造されたわけでございます。昭和三十八年のことであると思うのでありますが原子力船ができまして、試験の過程におきまして、四十九年の九月に出力上昇試験中に放射線漏れがございまして、現在むつに係留のままにあるわけでございます。これをば修理いたしまして所期の目的を達する、こういう課題が残っておるわけであります。  実は政府におきましても、そういったことで日本原子力船開発事業団法の改正を今国会に出しておられるのでありますが、この条文の附則第二条に「この法律は、昭和五十一年三月三十一日までに廃止するものとする。」とあるわけでございます。改正案は「昭和六十一年三月三十一日まで」に改めるということで、十年間延長するという法案でございますが、三月三十一日を迎えまして、この法案が国会を通っておらないということになったわけでございます。この前後でございますが、私も、この条文を見まして、これはぜひとも三月三十一日に通さなければならぬのじゃないか。また通したいということでおった一人でございますが、三月三十一日に通らないままで終わったわけでございます。  そのときに私、個人的ではございますが一応、条文を調べまして、私なりに研究いたしましたところ、この附則の規定といいますものは「五十一年三月三十一日までに廃止するものとする。」ということで、廃止の手続をとると、そこで初めて廃止になるのであって、廃止の手続がとられない限りはこのまま事業団は存続するのだということでございましたし、私も、そういった条文を集めて、いろいろ検討したわけでございます。たとえば大学管理法案、大学の運営に関する臨時措置法・これも「五年以内に廃止するものとする。」とありまして、廃止措置をとっておりませんので現在まで続いておる。そういった事例もございますし、またほかにも、たとえば肥料価格安定等臨時措置法におきまして「五年以内に廃止するものとする。」この廃止の措置がとられておりませんので、これに基づきまして、できておりました日本硫安輸出株式会社というものが、その後も存続しておったという事例もあるわけであります。その他、数多くの法案が、そうたくさんではございませんが、あったものでございますから、事業団はこの廃止の措置をとらなければこのまま存続するのだ、こういうことでおったのでございます。  ところが実は、ほかの方にも当たってみますると、そういうことだから、いわゆる日切れ法案として措置しなくてもいいんじゃないかというふうな方もあったのでございますが、三月三十一日が過ぎてまいりますと、いや、これは「廃止するものとする。」とあるのだから、もう事業団はないのだというふうな逆のことを言い出す方も実はあるわけであります。また、御承知のとおり、佐世保において修理するといいますと、現地におきましては、そういった意見が新聞に載るというようなことがございますので、私は、この際、科学技術庁、政府におきまして、この解釈はどうなっておるのだ、どういうふうに考えておるのだということを改めてお聞きしたいと思うのでございます。  まず大臣に、お伺いいたしますが、大臣も委員会におきまして、この事業団法はぜひとも通してくれという話がございまして、そうして努力されておったのはうかがえるのでございますが、ただいまのこの附則の解釈をどういうふうに解釈しておるか、その点をまずもってお伺いいたしたいと思います。  なお、それに関しまして現在「むつ」につきましてはどうなっておるか。現状と、それからただいまの解釈、これをばお伺いいたしたいと思います。
  207. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 お説のとおりでございまして、時限法にもいろいろの書き方がございますが、何年何月何日まででこの法律は効を失するということでございますれば、当然その法律は廃案になると考えますけれども、廃止するものとし、こういう書き方は、お話のように、立法をもって廃止するか存続するか等の措置を講じて、この法案の処理をするわけでございますので、そういう期限が来たからといって、そのまま当然効を失うというふうには私ども解釈してございません。  たしか私が昔、原子力局長時代にできた法案だと記憶にございますけれども、十年ぐらいたてば大体この事業団の目的は達成するのじゃなかろうかということで、こういう文面にしてあるのですけれども、しかし十年たって、その時点に立って、まだ、その目的が達成されておらない、あるいは新しい情勢に対処して事業団の性格を変えるなりといったような新しい事態が起こるかもしれない、そういう点を考慮して、当然に効力を失うというのではなくて、その時点に立って政府としては、この事業団をどうするかという点を改めてはっきり意思表示をして、法案の形式で国会審議を願いたい、こういうのが当時の趣旨だったのじゃなかろうかと私は思います。  したがいまして、ただいまの状況から「むつ」の状況は、御承知のように、青森県の陸奥湾に原子力船「むつ」は係留したまま、その修理、修繕を待っているのでございまして、去年一年の研究の結果、将来の原子力船時代を考えまして、いまの「むつ」を修理、点検して健全な船にして、これが本来の実験船として十分その使命を果たして、将来の日本の原子力船時代のために備えるべきだという結論に去年達しましたので、修理、点検をしようと。そうなりますと、当然この法案は、さらに延期をいたしませんと本来の目的が達成されませんので、お話のように、ただいま別法をもって十年間さらに延長したいという法案を提出した次第でございまして、くどくど申し上げましたが、廃止するものとしというだけで当然三月三十一日には効を失する法律だというふうには解釈してございません。
  208. 木野晴夫

    木野分科員 いま大臣は、「三月三十一日までに廃止するものとする。」こういった条文の書き方、こういった条文は立法措置、廃止措置をとるというのがあって初めて廃止するので、それが出ない限りは存続する、こういう解釈だということを言われましたが、事務局にお聞きしたいのでございますが、三月三十一日限りその効力を失うということであれば効力を失うと大臣は言われましたが、そういった条文もあるのですか。
  209. 山野正登

    ○山野政府委員 もちろんございまして、例示で申し上げますと、たとえば沖繩振興開発特別措置法という法律がございますが、これは三条におきまして「この法律は、昭和五十七年三月三十一日限り、その効力を失う。」という条文がございます。
  210. 木野晴夫

    木野分科員 先ほど申しましたとおり、法律を知らない方は、三月三十一日廃止するものとするとあるのだから、これでもう事業団はなくなったんだ、幻の事業団だというふうなことを言って、そうして自分の主張の根拠にしている新聞記事を見たことがあるのでありますが、その主張その他は別といたしまして、この点の解釈はしっかりしておかないといかぬ、こう思うのであります。  ただいま科学技術庁の方から話がございましたが、内閣の法制局の方、法制局としてこの点についての解釈をはっきりと言っていただきたいと思います。
  211. 茂串俊

    ○茂串政府委員 ただいまの御質問の点にお答え申し上げます。  結論は大臣初め科学技術庁政府委員の方から御答弁申し上げたとおりでございますが、一応私の方で立法の関係を処理しております立場でございますので、一般的にさらに敷衍して申し上げたいと思います。  たとえば、附則でこの法律は何年何月何日限り効力を失うという旨の規定が設けられておる法律、これをいわゆる限時法とわれわれ称しておるのでございますが、このように、その終期、すなわち効力を失う時期が明示されている法令の場合には、その明示された終期が到来すれば、廃止のための特段の措置を要せずして、その法令は自動的に失効することとなるわけでございます。他方、法令によりましては、一見限時法のように見えながら、実はこの限時法と異なるものがございます。日本原子力船開発事業団法の場合がまさにその例でございまして、この法律の附則の第二条は、先ほどお話がございましたように、「この法律は、昭和五十一年三月三十一日までに廃止するものとする。」と規定しておるのでございますが、この規定は、その定められた期限内にこの法律を廃止することについての立法者の意図、方針を明らかにしたものでございまして、この法律を廃止するためには、さらに別途の立法措置を講ずることが必要であるわけであります。つまり、このようなケースにおきましては、別途の立法措置が講じられなかった場合に、その期限の経過によりまして現行の法律が自動的に失効するということにはならないわけでございまして、この点が先ほど申し上げました限時法との本質的な違いでございます。  もっとも日本原子力船開発事業団法につきましては、廃止措置を講ずるということではなくて、その期限を延長する必要があるということで、その延長措置を講ずるための一部改正法案を国会に御提出申し上げておるわけでございますが、いま申し上げましたような見地に立ちますと、この一部改正法案が、附則の第二条で指定された期限、つまり本年三月末日までに成立しなかったからといって、この事業団がその存立の根拠を失ったものということには相ならないのではないかというふうに私どもは考えております。
  212. 木野晴夫

    木野分科員 法律の解釈はただいま承りましたが、先ほど大臣の話にありましたとおり、この事業団がそもそもできたときを考えてみますると、昭和三十八年に事業団ができまして、そうして九年たったところでさらに四年間延長になっておるわけでありますが、一つの目的を持って、そうして十年たったならばもう実用化するだろう、ないしは軌道に乗るだろうということで、そのときの情勢を見てということで期限を区切ったのだ、こういう話がありました。いまの法制局の部長の話によりますと、そのときの立法者の意思といいますものをどういうように見るかという判断が入るのだというのがございましたし、そしていまは、さらに十年延長したいという意思が出ているわけでございますが、そういった状態のもとにこれがあるといいますと、その期限が来たときには、政府としてこれについての考え方をやはりはっきり打ち出す必要がある。そういった意味で、期限の切ってない事業団と、こういうように一応期限を切ったもとにおいての事業団とは、やはりその時点におきましての運営が多少とも違うのだ。こういった時点には、どういうようにするかを一刻も早く出さなければいけない、こう思うわけでありまして、そうしますと、存続するんだということだけでは、実は立法者の意思、また政府の意思としては不十分であると思うわけでありまして、ぜひとも、これは通さなければいけない法案である、こう思うのでございます。  そういった意味で、そういった期限切れの段階で、存続はしますが、どんどんさらに拡大発展した事業をやるというふうなことは、多少とも——多少じゃなしに、これはできないのじゃないかと思うわけでありまして、そういった点について、大臣はどういうふうに考えておられますか。
  213. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 私も、ただいまお話しのように、別法で提出いたしまして十年間延長の御審議をお願いしているわけでございますので、それができますれば、当然、本来の目的をさらにと申しますか、その線に沿ってどんどんやっていけるわけでございますけれども、その別法が成立せぬ間と申しますか、やはり維持、管理といったような、そういう程度の業務をしていくのが至当なことではなかろうか。そうではなくて、その間、別法が成立しないのに、たとえば第二船をつくるとか、あるいは原子炉をほかの炉に変えるとかいったような大きな変革は、少なくともすべきじゃなかろうというふうに考えておるわけでございます。
  214. 木野晴夫

    木野分科員 先ほどの法制局の解釈で、事業団は存続するのだ、だから従来どおり、私は一応こういうふうに解釈しておきたいのでございますが、大臣は、第二船とかそういったことはできない、それは当然だと思いますが、維持管理という表現でされましたが、これをはっきりさすためにぜひともこの法案は通さなければいけない、こう思っておるので、所管の大臣としましてもこの点については十分に肝に銘じてひとつ努力されるということをお願いいたしたいと思います。  それから、ちょっとお伺いしますが、暫定予算の関係では、事業団法のこういったいまの関係、積極的にいろいろどんどん仕事するということはできないのだが、まあ維持補修、そういったことはできる、存続する、これは言える、こうありましたが、暫定予算の関係ではどういうふうになっておりますか。
  215. 山野正登

    ○山野政府委員 先生御指摘の暫定予算期間中におけるこの原子力船開発事業団の活動でございますが、これは従来からの継続的な業務を行うのに必要な経費並びに一カ月分の職員給与が必要なわけでございますが、これらの経費につきましては、事業団の五十年度からの繰越金並びに自己収入金によって賄うことといたしております。したがいまして、国からの出資金、補助金といったふうなものは、今回の暫定予算には計上いたしておりません。  なお、この点につきましては、私どもの方の所管でございますほかの原子力関係の法人、つまり日本原子力研究所及び動力炉・核燃料開発事業団につきましても、全く同じ方針で処理をいたしております。
  216. 木野晴夫

    木野分科員 暫定予算の関係では出資とか補助とかはない、これは事業団全般につきまして、繰越金でやれるから支障ないということであります。したがいまして、事務費その他はちゃんと払っておる、存続しておるのだということでありますが、先ほど申しましたこの法律の解釈をしっかりとさせるとともに、この事業団が時限法的な形でできているその意味、そしてその時が来たときにはきちんと政府の意思をはっきりさせて、それが実現するように努力する、そういうことがこういった法律だけに必要であると思うわけであります。いま依然として存続する、そうして暫定予算でも支障はないということはありましたが、しかしながら、「むつ」につきましては、非常にいろいろ問題を抱えておるわけであります。乗り切らなければいかぬ問題がたくさんあるわけでありますから、こういった法律につきましては、間のあかないようにひとつやるように、重ねて私から要望いたしまして、科学技術庁に対する質問は終わります。  次に、総理府にお聞きをしたいと思います。  長官にお伺いいたしますが、私は、昨年の十二月十八日の内閣委員会におきまして、実は当時突然起こった問題でございますが、坪田何がしというものが部落地名総鑑というものを市販いたしまして、そのために同和関係の人々に非常な刺激を与えたという問題がございまして、政府においても、しっかりとした調査をまずしてほしい、それからしっかりした対策を講じてほしいということを強く、要望したのでございます。長官以下、内閣法務省はそのことを約束されましたが、大分時間もたっておりますので、その結果を御報告願いたいと思います。
  217. 植木光教

    植木国務大臣 ただいまお話がございました「人事極秘特殊部落地名総鑑」という文書、これはまことに悪質なものでございまして、企業の人事関係者がこれを購入することによって、同和地区住民の就職の機会均等にきわめて悪影響を及ぼすということを木野委員からも御指摘をいただきました。私どもといたしましても、すでに御報告を申し上げましたように、総務長官談話を出しましたり、労働大臣の談話を出しましたり、あるいは次官通達を出したりなどいたしたわけでございますけれども、引き続き法務局において調査を続けますとともに、十二月二十五日でございますが、発行者から提出を受けましたものにつきまして、総理府職員立ち会いのもとに法務省が焼却をいたしたのでございます。また私自身、テレビを通じて全国民に対しまして、このような悪質な文書がいかに人権を脅かすものであるかということとともに、同和問題に対する啓発のための呼びかけをいたしました。さらに、これだけでは十分ではございませんので、購入企業に対しまして、国民的課題であります同和問題についての正しい理解と認識を深めさせる必要がございますし、また企業の社会的責任というものを自覚させる必要がございますので、法務省、労働省等関係省庁及び都道府県協力のもとに、企業に対する研修をいたしております。すなわち、購入企業に対する指導の実施状況でございますが、四月一日現在で約半分の都道府県におきまして研修を行ったという報告を受けておりまして、さらにこのような悪質な文書が出ないように、またこれを購入するという差別的行為が起こらないように努力を続けているところでございます。
  218. 木野晴夫

    木野分科員 私がそのとき申し上げたのは、調査を徹底的にやることということでございました。いま長官から、徹底した調査をしたという話がございましたが、当初百部であるといっておったのが四百部になる、また最近ではそれが五百部になるというふうなことで、向こうの方では、法務省の調べが徹底しておらない、つじつまを合わした答えをしておけばいいのじゃないか、こうなりますので、ひとつこれにつきましては、徹底した調査をして、そして実態をつかむ。そしてまた、当時問題になりました資料の入手、そういった点につきましても、調べて禍根を断つというふうにひとつ徹底した調査というものを重ねてお願いいたしたい。  それから、長官から、そういった買った企業につきましてはその点の対策を講じたということでございますが、早速そういうふうに講じていただいて結構かと思います。とにかく十分に調査をやること、それから対策を十分にすること、この二点をお願いする次第であります。  それから、実は最近また大阪の方の新聞で、たとえば三月二十四日付の新聞でございますが、「全国特殊部落リスト」というふうな、これと同種の本が出ておるということを見たのでありますが、これにつきましてはどういうことになっておりますか。
  219. 植木光教

    植木国務大臣 ただいま御指摘ございましたように、先ほど申し上げました地名総鑑と同種のものが発行されているという事実が判明をしてまいりました。したがいまして、これはもう先ほど来申し上げており、また先生御指摘のとおり悪質なものでございますので、これらにつきましても、引き続き法務局が調査をいたしているところでございます。したがいまして、私どもといたしましては、御指摘の本事案と同種のものにつきまして、調査を待ちました上で、地名総鑑購入企業にとりました措置と同様の指導と啓発に当たってまいりたいと存じておりますし、また同時に、このような発行者に対しましては、営利を目的とする差別意識の助長ということがいかに重大な社会問題であるかということにつきまして、徹底した指導を行っていく所存でございます。
  220. 木野晴夫

    木野分科員 さきの地名総鑑といい、今回のリストといい、こういったことにつきまして、私も非常に残念だと思うわけであります。これを二度と繰り返さないためには、やはり徹底した調査をやって、そして禍根を断つということが大事であると思います。したがいまして、今回のものにつきましても、法務省においては十分に調べて、そして資料の入手先、そういったものまでも調べていく。相手が発行先に行ってみたらわからないというのでやめてしまうのじゃなくして、さらにそれをば調べて、そして徹底した調査を行うということと、それからそれの善後措置につきましては、十分に気を使ってやっていただきたい。このことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  221. 片岡清一

    ○片岡主査代理 次に、大石千八君。
  222. 大石千八

    大石(千)分科員 きのうからですか、春の交通安全運動も始まっておりまして、きょうは交通対策、それから交通安全に対して全般的な質問を総理府にさしていただきたいと思います。  戦後は、今日まで三十一年戦争はないわけでございますが、その中でも、交通戦争と言われるぐらい、交通事故が戦争にかわるぐらい大きな数の死者とか負傷者を出しているわけでございまして、これが戦後の大きな社会問題の一つであることは言うまでもございません。そして交通事故がふえるにつれて、交通事故に対する考え方も変わってきております。たとえば飲酒運転なども、以前でしたら、酒を飲んで交通事故を起こしたということは、ある意味で情状酌量の理由にもなっていた。モータリゼーション化される前はそういうようなこともありましたが、最近では、飲酒運転、酒を飲んで事故を起こしたということは、当然正常な形で運転しているよりもはるかに罪が重い。当然のことでありますけれども、それだけ交通事故に対する認識というものも大きな変化を見せているわけでございます。  そういうような一つの大きな社会問題でございます交通事故でございますが、いろいろ最近の報道によりますと、一時モータリゼーション化につれてもうウナギ登りに上っていた交通事故が数の上で減ってきているということも報ぜられているわけでございますが、恐らく政府といたしましても、この事故対策にはあらゆる手を尽くして臨んでおられると思いますけれども、最近の交通事故の状況はどんなふうになっておりましょうか、長官、御説明いただきたいと思います。
  223. 植木光教

    植木国務大臣 ただいま大石先生からお話がございましたように、戦争のないわが国におきまして、交通問題がいわば唯一の戦争であるというような状況で、大きな社会問題として、政府といたしましては精力的に今日まで取り組んできたところでございます。  御承知のように、四十五年がピークでございまして、約百万人近い死傷者を出しましたが、四十六年度を初年度といたしました第一次交通安全計画を立てまして以来今日まで、おかげさまで年々死傷者数が減少してまいりました。これは民間におきましても、いろいろな国民運動が世界でもまれなくらい非常に広範にわたりまして展開をせられまして、政府の施策と相まってこのような成果を生み出していると思うのでございます。しかしながら、五十年中の交通事故を見ましても、死傷者数は六十三万人という状況でございまして、やはり依然として重大問題であるということには変わりはございません。  事故の発生件数でございますが、人身事故は四十七万二千九百三十八件でございます。前年と比較いたしますと一万七千五百十四件の減少。死者数は一万七百九十二名でございます。これは前年に比べますと五・六%の減少でございます。それから負傷者数は六十二万二千四百六十七人でございまして、これは四・四%の減少という状況でございます。  なお、本年四月六日現在でございますけれども、死者数は二千四百九十八名、対前年比百七十名、六・四%の減少という状況でございます。
  224. 大石千八

    大石(千)分科員 いろいろな対策、これは単に法律をつくるだけでなくて、国民各位が交通事故に対する認識を高める、そういう精神的な行政指導も非常に必要なわけでございまして、そういうあらゆる努力というものが確か煙数字の上でも実ってきているということは、大いに評価できることであると思います。  数字は確かにこうして減ってきている。これをゼロにするためにこれからも努力をされなければならないわけでございますけれども、事故の中でも、総体的に減っているとしても、年齢層だとか職種別だとかそういう中で、数の上でもまだ十分に減少傾向が見られないとか、こういう点は減らないんだとか、そういうものがございましたら、ひとつ御指摘いただきたいと思います。  特に幼児の事故は、数の上でもそう容易に減っていないと伺っておりますし、特にこれから学校が始まりまして、四月の入学時、子供の事故も非常にふえているというふうに聞いておりますけれども、この幼児の交通安全対策を初めとして、今後問題となるような交通安全の面での問題は、特にどんなところに重点を置いていかなければならないというふうにお考えになりますか。特に先に、具体的に幼児の交通安全対策の面から伺っていきたいと思います。
  225. 植木光教

    植木国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、死傷者は減少しておりますけれども、ただいま御指摘のありました幼児でございますが、五十年中の事故を見ますと、幼児に関しましては事故件数が増加をいたしているのでございます。これは大変遺憾なことでございまして、しかもその幼児の事故死傷者はほとんどが歩行中に事故を受けております。しかも事故率は他の年齢層の数倍というような状況でございますので、私どもといたしましては、先ほどお話のありましたように、昨日から始まりました春の交通安全運動におきましても、幼児の交通事故防止を重点の一つといたしまして、全国的に運動を展開している状況でございます。  この対策といたしましては、交通規制、交通取り締まりの強化、あるいは信号、歩道、ガードレールなどの施設をつくりましたり、遊び場をつくりましたり、あるいは保護者に対する啓蒙指導の徹底をいたしましたり、あるいは家庭、幼稚園、保育所、地域の組織においてそれぞれ交通安全教育を強化するというようなことに努めてまいりました。これからもそういたしたいと存じております。  なお、スクールゾーンを昭和四十七年から設けておりますことは御承知のとおりでございまして、これは非常に効果を上げております。また、四十八年五月には「幼児交通安全教本」を制定をいたしまして、幼児と母親が一体となって交通安全を学ぶことができるように、その対策の促進を図っているところでございます。  なお、先ほどお話がございました、酒飲み運転あるいはわき見運転によります乗車中事故というものも、非常に高い事故率を占めておるのでございまして、この点につきましては、きわめて悪質な事故と申しても差し支えないと私は思います。徹底的な取り締まりとともに、運転者の自覚にまたなければならない。また、シートベルトの着用でございますけれども、これの徹底を図っていくということに重点を置いているところであります。
  226. 大石千八

    大石(千)分科員 交通事故の問題は、社会的な現象の中から国として考えるところでございますが、それと同時に、国民の認識が高まらなければなかなかこれは絶滅というか、減少をさらに続けていくことはむずかしい問題であると思います。特に幼児の事故が減らないという理由の中に、そういう認識の面ですぐわかる人はいろいろなところですぐ注意するけれども、幼児の場合は、母親の指導とか保護者が十分にそれをやりませんと、なかなか減らないという一つの例かと思います。  法律でいろいろなことを縛るということは、ある意味ではいい面もあるけれども、個人の主体性をなくすということにつながるので、日本が本当の自由主義社会であり民主主義社会である以上は、法律で縛るということでなくて、自主的にいろいろな制約を自分からやっていくというふうに、社会自体をなるべくそういう機能が生まれるようにしていかなければ私は正しい自由主義というのはできないと思いますので、交通事故の方も、確かにそういう法的な裏づけでやることも必要ですけれども、何か自分で自分の身を守るというのがあたりまえであるという国民的認識を国民各位が持てるような指導も必要ではないか。何でも国に、自分の命まで任せてしまうんだというようなことでない、そういう真に自主独立の精神を持った国民意識というものを植えつけることも大事なことではないかと思います。  そこで、日本においても、そういうモータリゼーションの中で交通事故が非常に多いわけでございますが、各国の共通問題として、これは日本だけではなくて、先進国、モータリゼーションの進んだ国の各大都市において共通の問題でございますけれども、大都市における自動車交通量の抑制ということは、一つのなかなか大きなむずかしい問題があるわけでございますが、わが国においても過密地帯という現象——過密過疎の問題も非常に大きくなっておりますし、特に過密地域での、大都市における自動車の交通量の問題、これは非常に重大な問題であると同時にむずかしい問題であると思いますけれども、どんな対策をお考えでしょうか。
  227. 植木光教

    植木国務大臣 大都市におきまして、自動車の台数が需要に応じて大変ふえてくる、そういう現象を食いとめ、また、食いとめるだけではなしに、何とかして交通量の抑制をしなければならないという非常にむずかしい課題を私どもは担っているわけでございますが、この対策といたしましては、現在は、駐車規制の強化、バス専用レーンの拡大などいたしまして、交通規制の強化をやっております。また、地下鉄でありますとかバス等の大量輸送機関の輸送力の増強とサービスの向上によりまして、自動車を利用しなくても済むようにいたしたい。また、貨物輸送の場合でございますが、共同化をすることによりまして輸送を合理化していくという方法をとっております。それから通過交通を排除いたしますために環状道路を建設する。これは環状道路をつくりますと必ずその効果が上がってまいります。これは事実、数字で直ちにその効果が出てまいっております。また、歩行、自転者交通への転換を促進いたしますための歩道でありますとか自転車道の整備をいたしております。  いずれにいたしましても、昭和五十年四月以降、十大都市を特に対象にいたしまして自動車交通量の削減対策を強力に実施しているのでございます。総合的かつ計画的に実施してまいらなければなりませんので、ちょうど自動車排出ガス対策閣僚協議会というものがございますので、この幹事会の中に、関係省庁の局長クラスによりまして交通量抑制グループというものを設けまして、鋭意さらに交通量抑制のための具体的な方策について検討を進めているところでございます。
  228. 大石千八

    大石(千)分科員 最後に、交通事故による交通遺児、それから——いや、これは総理府に対して最後でして、この後大事な質問をまた運輸省にいたしますので、大丈夫でございます。それから、交通事故による母子家庭、さらに、働き手を失った寡婦、こういう方々に対してひとつそれなりの、困らないような生活保護だとか、あるいは就職口だとか進学希望に対しての補助だとか、そういうものを、数が多いだけにまた大変でしょうけれども、それなりに一つの社会的責任としてやっていくことが必要であろうと思いますが、こういう点で、これまでもいろんな要望の声も出ておりますし、それから実際に、直接若い学生などが、各党首とかあるいは首脳に陳情をして実現化を要請するというようなことも行われておりますけれども、この遺児もしくは母子家庭というものに対する対策についてお伺いしたいと思います。
  229. 植木光教

    植木国務大臣 わが国には恵まれない母子家庭や遺児がたくさんいらっしゃるわけでございまして、この救護策を講ずるというのは政府の当然の責任でございます。したがいまして、一般的に申しますと、御承知のように、母子福祉対策、寡婦雇用対策、就学援護対策というようなものといたしまして、児童扶養手当でありますとか、母子福祉年金でありますとか、あるいは母子福祉資金の貸し付けでありますとか、寡婦雇用奨励金の支給、それから就学奨励援助、また日本育英会による奨学金の貸与というようなものがございます。これは交通遺児だけではございませんで、遺児及び母子家庭に対する一般的な施策として充実をしていかなければならないものでございます。特に、その中での交通事故による被害者のためには、自動車交通に関連のございます基金を特別の財源として充てることが可能でございますので、その措置をとっているわけでございます。  たとえば、運輸省所管の特殊法人自動車事故対策センターにおきましては、自動車損害賠償責任再保険特別会計の運用益を財源といたしまして、義務教育終了前の交通遺児に対し育成資金を無利子で貸し付けることにいたしており、昭和五十一年度予算案では八千百五十五人を対象といたしておりまして、一時金八万円、育成資金月額七千円を計上しているのでございます。  また、総理府と文部省共管の財団法人交通遺児育英会におきましては、高等専門学校を含みます高校及び大学に在学する交通遺児を対象といたしまして奨学金を無利息で貸し付けることといたしておりますが、昭和五十一年度の予算案には、自賠責特別会計からの補助一億九千万円を計上いたしております。  なお、五十一年度予算案には、新規なものといたしまして、これはただいまもお話ございましたように、大石先生を初め議員の方々の非常に大きな御努力、御協力をいただきまして、交通遺児に対する高等学校授業料の減免に関する補助をいたすことにいたしまして、自賠責特別会計から二億五千万円を計上する。この補助に要する残りの二分の一につきましては地方交付税で賄う、こういう措置をとることにいたしまして、昨年七月から自賠責保険の保険金の限額が大幅に引き上げられたところでございますので、私どもといたしましては、被害者の補償を厚くするための努力をいたしているところでございます。  今後も、これら遺児及び母子家庭に対しましては、特段の配慮をいたしてまいりたいと存じます。     〔片岡主査代理退席、主査着席〕
  230. 大石千八

    大石(千)分科員 交通事故対策、そしてそれに対する遺児の補償、こういう非常に大きな社会問題に関してそれなりの御努力がされているということに非常に敬意を表する次第でございます。  また、現在のような不況下におきまして雇用問題が非常に厳しいわけでございますけれども、寡婦の雇用問題に関しても、交通事故で夫を失った寡婦の雇用問題などもひとつ大いにまた御検討をいただきまして、このような不況下の中ではございますけれども、交通事故で働き手を失ったりした方が不幸な目に遭わないように一段の御努力をお願いしたいと思う次第でございます。  総理府におかれましては、長官以下こうして御努力をなされていることに対して本当に敬意を表すると同時に、今後とも引き続き交通安全対策に対して万怠りなき御努力をお願いさしていただきまして、総理府に対する質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。  それから今度は運輸省にお伺いをしたいと思います。  いま総理府の方で交通事故対策に対していろいろ質問をしてきたわけでございますけれども、交通事故の防止あるいは交通安全対策というものは、法律によって上からルールをつくることによってのみ交通対策がりっぱに遂行されるものではございませんで、やはり民間の意識の高揚というものが交通問題を解決する一つの大きな要素になると思うわけです。  そこで、そういう団体の中に自家用自動車協会というのがあるわけでございます。これは昭和十九年、戦時中に発足をした非常に歴史のある団体でございまして、当時の設立の目的は、ガソリン、タイヤ等戦時物資の配給機関としてできたわけでございまして、その後、この自家用自動車協会の存立の意義とか目的というものも、もちろん大幅に変わってきているわけでございますけれども、やはりこれは、現在のような状況の中にあって、民意の盛り上がりを高める上で非常に大事な協会ではなかろうかというふうに私は存じております。会員も三百万人という数があるようでございますが、実際には、それが現在、交通問題に対してどれだけの働きをしているかということに対しては、はなはだ疑問があるわけでございます。私は、こういうような全国自家用自動車協会のようなものに、もう少し行政の面でも指導に力を入れて、これが交通問題全般に一つの大きな力となり得るように、運輸省がそれなりの御指導を賜りたいと考えているわけでございます。  そこで、自動車局の方でも、五十一年度から総務課の中に企画室というのをおつくりになったわけでございますね。こういうようなことを試みられまして、いろいろ企画をされているわけでございますけれども、この自家用自動車協会について、いまどのようにお考えになり、どのように指導していかれようとしているのか、その辺まず概略的なことからお伺いしたいと思います。
  231. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 お答えいたします。  現在わが国には二千九百万台ほど自動車がございます。そのうち自家用の車がたくさんございまして、乗用車では自家用車が千三百万台ほどございます。それから貨物トラックでは六百五十万台ほど自家用がございます。いわゆる営業用のハイヤー、タクシーあるいは営業用トラックというものは、数はうんと少ないわけでございます。特に貨物自動車などにつきましては、営業用のトラックの約十五、六倍の数の自家用トラックがございまして、そして運んでいる荷物のトンキロの点につきましては、自家用と営業用は全く伯仲しているという、大変物流の面でも大事な機能を果たしているわけであります。それから自家用乗用車は、いわゆるマイカーでございますが、これが交通円滑化というふうな観点からいろいろ問題を起こしているわけであります。  ところが、私ども運輸省の仕事は、従来ややもすると、国有鉄道を一番右翼にいたしまして、国有鉄道から始まって私鉄、バス、ハイヤー、タクシー、営業用トラックというふうな、いわゆる他人の荷物を運ぶ、あるいは人様を乗せて仕事をするという、いわゆる営業用の交通事業を主にしてやってきたきらいがございまして、それだけたくさんの数がありますところの自家用交通について、ほとんどなすところがなかったと言っても過言じゃなかったんじゃないか。警察の方では、自家用、営業用問わず道路の円滑化ということでお願いしておりますけれども、運輸省としてその点についての十分な施策が講じられなかったということでございまして、これを反省いたしまして、私どもはやはり、自家用自動車というものの社会的な機能をいかにとらえるべきか、そしてその機能に即したいわゆる行政指導あるいは行政制度をどう確立すべきかという点を勉強しなければならないということで、おくればせながら、先ほどお示しのように、今年度から私の局内に小さい組織をつくりまして勉強を始めたわけでございます。  いろんな問題がございますけれども、そういった組織の中で、自家用自動車というもののあり方、特に自家用乗用車、貨物車、それぞれに社会的機能が違いますので、違うのに従いまして勉強いたしまして、それをどういう施策に結びつけるかということになってまいりますが、その場合には、乗用車につきましては、いま主として日本自動車連盟、JAFという団体がありますが、これを中心に、貨物車につきましては、全国自家用自動車協会、あるいは各県の自家用自動車協会、こういう民間の団体を活用いたしまして、私どもの考えていることを実施していきたい、こう考えておるわけであります。  しかしながら、従来、特にこの後者のトラックを中心にいたしました自家用自動車協会については、御指摘のように、戦時中あるいは戦後の物資統制時代の仕事がなくなって以来というものは、ほとんど仕事らしい仕事をしていただいてない、いわば休眠状態でございまして、大変残念なわけでありますが、私どもの方の行政の目的自体に、自家用乗用車を、あるいは自家用の貨物自動車をどういうふうに活用していくのかという点がいわば欠けていた点かと思いますので、その辺に魂を入れまして、それに並行いたしましてこの民間団体の活用も考えていきたい、このように概括的に考えております。
  232. 大石千八

    大石(千)分科員 営業だけに力を入れるのではなくて自家用の方も力を入れていきたいという方針、まことに結構で、そのようにしていただきたいと思いますが、たとえば営業用自動車の整備管理業務を行う者の講習は年に一回必ず受けるように義務づけがあるわけでございますけれども、自家用自動車の方の管理業務を行う者の講習も、やっていることはやっているけれども、余り義務づけもないというものですから、非常に出席率も悪い、周知徹底していないということがあるようでございますが、これも営業用と同じように、やはり自動車の整備管理業務に携わる者は必ず講習なり指導を受けるということをきちんとやるべきだと思いますが、その辺はいかがでございますか。
  233. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 いま道路運送車両法によりまして、整備管理者というものの選任がある一定規模以上の事業場に義務づけられておりますが、これは自家用も対象になっております。その整備管理者の研修を行っているわけでありますが、陸運局がやる場合もありますし、また自家用協会がやっている場合もございますが、これが必ずしも参加人員が多くないということでございます。今後は陸運局のやっております仕事のほかに、この自家用協会へお願いする分野も拡張いたしまして、てこ入れをしていきたいと思っております。  先ほど総務長官からのお話もございましたように、自賠責のお金から二千万円、この自家用協会に出しまして、その整備管理者研修の補助金に充ててもらっておりますが、こういったものを将来必要に応じまして増強いたしまして、自家用協会が、自家用自動車を使う人たちの中におきますところの資質の向上、あるいは交通安全の強化という点に活躍ができるように、これからバックアップしてまいりたいと思っております。
  234. 大石千八

    大石(千)分科員 なお、先ほどお話に出ましたJAFでございますが、これは特に労働サービスの件そのほかで一つの責任を持った仕事をしているようでございます。まあしかし、このJAFの方も、自家用自動車に対してのいろんな役割りを果たす一つの大事な団体だとは思いますけれども、自家用自動車協会そのもの自体は、そういうように長い伝統を持っているわけでございまして、これから非常に力を入れていただいて、それなりの役割りを果たすように指導していただきたいと思います。まあ自動車局の総務課の企画室ができましても、その辺のバランスというものを十分に考えていただいて、これは五十一年の一月十六日に発行された日刊自動車新聞でも、JAFの方は高橋自動車局長も、いろいろなことで前向きにいろいろ仕事をしてもらうように大分話をされているようでございますが、自家用自動車協会の方は少しウエートが足りないのではないかという心配が、一生懸命やっている自家用自動車協会の人の中から声が出ているわけでございます。もちろん、これは局長がすべてそういうお考えであるかどうかはわかりませんけれども、たまたまそういうような心配もされているわけでございますので、最後に局長に、その辺、JAFと、それから自家用自動車協会との役割りをどういうふうにそれぞれにこれから果たしていかせるつもりなのか、お伺いしたいと思います。
  235. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 ごく大まかに申しまして、JAFの方は自家用の乗用車を中心の活動をお願いしたい、それから自家用協会の方は貨物自動車を中心とする活躍をお願いしたい、こんなふうに大ざっぱに考えております。特に後者の自家用協会につきましては、いまほとんど休眠状態というふうな団体も全国にはございますので、これは大変遺憾なことでございますし、その組織も非常に脆弱でございますので、御指摘まことにごもっともでございますので、何とかてこ入れをしてまいりたいと思っております。
  236. 大石千八

    大石(千)分科員 そのように強く希望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
  237. 笹山茂太郎

    笹山主査 これにて本分科会の質疑は全部終了  いたしました。     —————————————
  238. 笹山茂太郎

    笹山主査 この際、お諮りいたします。  昭和五十一年度一般会計予算中、皇室費国会裁判所会計検査院内閣総理府及び法務省所管並びに他の分科会所管以外の事項、なお、総理府につきましては、経済企画庁及び国土庁を除く所管昭和五十一年度特別会計予算及び昭和五十一年度政府関係機関予算中、他の分科会所管以外の事項に対する討論採決は予算委員会に譲ることにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  239. 笹山茂太郎

    笹山主査 御異議なしと認め、さよう決しました。  以上で本分科会の議事は全部終了いたしました。  これにて散会いたします。     午後四時四十二分散会